厚生委員会速記録第六号

令和七年五月二十九日(木曜日)
第七委員会室
午後一時五分開議
出席委員 十四名
委員長関野たかなり君
副委員長玉川ひでとし君
副委員長浜中のりかた君
理事伊藤しょうこう君
理事藤井とものり君
理事荒木ちはる君
こまざき美紀君
さんのへあや君
うすい浩一君
原 のり子君
高倉 良生君
山加 朱美君
里吉 ゆみ君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長高崎 秀之君
次長理事兼務浅野 直樹君
理事船尾  誠君
総務部長森田 能城君
企画部長DX推進担当部長兼務柳橋 祥人君
生活福祉部長新内 康丈君
子供・子育て支援部長天野 哲史君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
障害者施策推進部長梶野 京子君
政策推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務石塚  宣君
福祉人材・サービス基盤担当部長佐藤 淳哉君
事業調整担当部長松谷いづみ君
子供・子育て施策推進担当部長瀬川 裕之君
総合連携担当部長児童相談センター総合連携担当部長人材企画担当部長兼務竹中 雪与君
高齢者施策推進担当部長木村 総司君
障害者医療調整担当部長新田 裕人君
保健医療局局長山田 忠輝君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長加藤 みほ君
企画部長DX推進担当部長兼務吉原 宏幸君
保健政策部長小竹 桃子君
医療政策部長新倉 吉和君
都立病院支援部長鈴木 和典君
健康安全部長中川 一典君
感染症対策部長内藤 典子君
政策推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務犬飼陽一郎君
健康危機管理統括調整担当部長及川 勝利君
地域保健担当部長井上 俊治君
医療改革推進担当部長杉下 由行君
医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務宮澤 一穂君
食品医薬品安全担当部長稲見 成之君
感染症対策調整担当部長宮田 雅子君

本日の会議に付した事件
保健医療局関係
報告事項(説明・質疑)
・令和六年度東京都一般会計予算(保健医療局分)の繰越しについて
・令和六年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算の繰越しについて
請願陳情の審査
(1)七第四号 安全・安心の医療・介護・福祉の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願
(2)七第八号 都立病院を都直営に戻し、休止病床を稼働させること等による医療の充実に関する請願
(3)七第一〇号の三 物価高から都民の暮らしを守ることに関する請願
(4)七第二二号 都立の産院における赤ちゃん取り違え案件への対応に関する陳情
福祉局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・スマートウォッチ(リストバンド型活動量計)の買入れについて
・契約解除に伴う損害賠償の額の決定について
報告事項(説明・質疑)
・令和六年度東京都一般会計予算(福祉局分)の繰越しについて
請願陳情の審査
(1)七第九号の四 学びを守り、子ども・若者を応援することに関する請願
(2)七第一〇号の三 物価高から都民の暮らしを守ることに関する請願
(3)七第一一号の一 交通費の負担を軽減することに関する請願
(4)七第一号 全ての難聴者の聞こえを助ける補聴器購入助成制度の実施に関する陳情
(5)七第四号 生活保護費の国庫負担分の増額に関する陳情
(6)七第五号 生活扶助基準額の大幅な増額と夏季加算の創設等を求めることに関する陳情
(7)七第六号 障がい児・者個人賠償責任保険事業の実施を求めることに関する陳情
(8)七第七号 都独自の物価高騰対策の給付金の実施等に関する陳情
(9)七第一〇号 障害者手帳の所持者に対する福祉施策の充実に関する陳情
(10)七第一一号 生活保護制度の抜本的改革を求める意見書の提出に関する陳情
(11)七第二〇号の一 別居・離婚後の共同親権及び共同養育に係る法整備等を求める意見書の提出に関する陳情
(12)七第三三号 東京大空襲被害者に対する救済措置を求めることに関する陳情
(13)七第三四号 東京大空襲被害者に対する救済措置を求める意見書の提出に関する陳情

○関野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記、齊藤祥平君です。
 議案法制課の担当書記、大畑陽平君です。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○関野委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、保健医療局及び福祉局関係の報告事項の聴取及び請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項については、説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、保健医療局長及び保健医療局の幹部職員に交代がありましたので、局長から挨拶並びに幹部職員のご紹介があります。
 保健医療局長に就任されました山田忠輝君をご紹介いたします。

○山田保健医療局長 四月一日付で保健医療局長に就任いたしました山田忠輝でございます。
 私ども保健医療局では、都民の生命と健康を守り、都民が生涯を通じて安全な環境の下で安心して暮らし続けることのできる社会を実現するため、福祉局とも緊密に連携を図りながら、大都市東京にふさわしい保健医療施策を積極的に展開し、さらなる充実を目指していく所存でございます。
 関野委員長をはじめ委員の皆様方のご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、説明に先立ちまして、人事異動及び役職に変更のございました幹部職員を紹介させていただきます。
 総務部長の加藤みほでございます。政策推進担当部長で女性活躍推進担当部長、子供政策連携室企画調整担当部長兼務の犬飼陽一郎でございます。健康危機管理統括調整担当部長の及川勝利でございます。医療改革推進担当部長の杉下由行でございます。医療政策担当部長で感染症医療政策担当部長兼務の宮澤一穂でございます。食品医薬品安全担当部長の稲見成之でございます。感染症対策調整担当部長の宮田雅子でございます。最後に、当委員会との調整に当たらせていただきます総務課長の田邉泰彦でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○関野委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○関野委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○吉原企画部長DX推進担当部長兼務 令和六年度東京都一般会計予算及び令和六年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算の繰越しにつきましてご報告をさせていただきます。
 お手元の資料、厚生委員会報告事項のうち、令和六年度一般会計繰越説明書をご覧いただきたいと存じます。
 二ページの方をご覧ください。繰越総括表でございます。
 繰越明許費予算議決額の欄に記載のとおり、令和六年度最終補正予算にて、保健医療費について六十一億八百八十八万八千円を繰越明許費として議決いただいております。
 このうち、執行見込みの状況を踏まえまして、表の右側、翌年度繰越額の欄に記載のとおり、歳出予算六十一億八百八十八万八千円を今年度に繰越しいたします。
 その財源といたしましては、繰越財源内訳の欄に記載のとおり、国庫支出金が三十四億六千八百八万円、繰越金が二十六億四千八十万八千円でございます。
 次に、三ページをご覧ください。事項別内訳でございます。
 まず、一段目、医療政策費について、資料右側の説明欄をご覧ください。医療機関等物価高騰緊急対策事業でございます。
 国の令和六年度補正予算、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、令和六年度から七年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続いて、一段下、健康安全費について、資料右側の説明欄をご覧ください。薬局物価高騰緊急対策事業でございます。
 国の令和六年度補正予算、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、令和六年度から七年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 以上が令和六年度東京都一般会計予算の繰越しについての報告でございます。
 続きまして、令和六年度地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計繰越説明書の方をご覧いただきたいと存じます。
 六ページをご覧ください。繰越総括表でございます。
 繰越明許費予算議決額の欄に記載のとおり、令和六年度最終補正予算にて、貸付等事業費について、三億三千四百九十三万四千円を繰越明許費として議決いただいております。
 このうち執行見込みの状況を踏まえまして、表右側、翌年度繰越額の欄に記載のとおり、歳出予算三億三千四百九十三万四千円を今年度に繰越しいたします。
 その財源といたしましては、繰越財源内訳の欄に記載のとおり、全額事業収入でございます。
 続いて七ページをご覧ください。事項別内訳でございます。
 資料右側の説明欄をご覧ください。施設整備でございます。
 こちらは、都立荏原病院熱源改修工事について、材料不足、人手不足及び工事開始時期の遅れといった複数の要因が重なることで令和六年度中の工事完了が困難となったため、今年度に予算を繰り越して支出するものでございます。
 以上が令和六年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算の繰越しについての報告でございます。よろしくお願い申し上げます。

○関野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○関野委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願七第四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新倉医療政策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、請願七第四号の安全・安心の医療・介護・福祉の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願は、東京医療関連労働組合協議会代表の三母明己さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨についてご説明します。
 都議会において、次の事項について国に意見書を提出していただきたい。
 1、安全・安心の医療、介護、福祉を実現するため、医師、看護師、介護職員などの配置基準を抜本的に見直し、大幅に増員すること。また、安定した人員確保のために、ケア労働者の賃上げを支援すること。
 2、医療や介護現場における夜勤交代制労働に係る労働環境を抜本的に改善するため、次の項目を実現すること。
 (1)、労働時間の上限規制や勤務間インターバルの確保、夜勤回数の制限など、労働環境改善のための規制を設け、実効性を確保するための財政的支援を行うこと。
 (2)、夜勤交代制労働者の週当たりの労働時間を短縮すること。
 (3)、介護施設や有床診療所などで行われている一人夜勤体制をなくし、複数夜勤体制とすること。
 3、新たな感染症や災害に備えるため、公立、公的病院を拡充強化するとともに、保健所の増設など公衆衛生体制を拡充すること。
 4、患者、利用者の負担を軽減することというものでございます。
 現在の状況について、項目に沿ってご説明させていただきます。
 項番1についてご説明します。
 医療機関における医師及び歯科医師の人員配置標準は法令で、看護師等の人員配置基準は法令で定める基準に従い都道府県の条例、規則で、介護施設等における人員配置基準は法令で定める基準に従い都道府県または区市町村の条例、規則でそれぞれ定められております。
 都は、医師奨学金制度等の取組を通じて医師の確保に努めるとともに、東京都ナースプラザにおける就業促進、教育研修、普及啓発等の取組などにより看護師の確保を図っているほか、介護職員の確保に向け育成研修や資格取得支援などに取り組んでおります。
 国に対しては、小児科など不足する分野の医師の早急な確保、看護職員の処遇改善、養成、定着、再就業に向けた十分な財源確保、介護事業者が介護人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる介護報酬とすることなど、実効性のある総合的な対策を講じるよう繰り返し提案要求しております。
 なお、国は、令和六年度診療報酬改定において、全体でプラス〇・八八%の改定を行い、看護職員その他の医療関係職種について賃上げを実施するためベースアップ評価料を新設しました。加えて、令和七年二月には、ベースアップ評価料算定医療機関を対象に、賃上げ等のための生産性向上の取組を支援する補助事業を創設しております。
 また、令和六年度介護報酬改定において、全体でプラス一・五九%の改定を行うとともに、処遇改善に係る加算の一本化と加算率の引上げを行っております。さらに国は、令和六年十一月に策定された総合経済対策に基づき、介護人材の確保、職場環境の改善のため、職員一人当たり平均五万四千円相当の人件費や職場環境改善経費を一括で交付するための措置を講じております。
 項番2についてご説明します。
 平成三十年に働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立し、医師については、令和六年四月から時間外労働の上限規制や勤務間インターバル規制が適用されております。
 都は、医師の労働時間短縮や健康確保に取り組む医療機関に対し、医療勤務環境改善支援センターにおいてアドバイザーの派遣や電話相談対応などの支援を行っております。
 夜勤体制については、介護施設は、条例により、夜間及び深夜に入所定員等に応じた一定数以上の介護または看護職員を配置することとされており、基準を上回る職員配置について、介護報酬の夜勤職員配置加算により評価する仕組みとなっております。
 また、病院等の看護師等については、国の看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針により、入院患者の状況等に応じて、三交代制の場合は、複数を主として月八回以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力する必要があるとともに、その他の看護体制においても、看護師等の負担に配慮した夜勤体制の構築に向けて積極的に努力することが必要とされております。
 さらに、同指針では、法改正により勤務間インターバルの確保が努力義務化されたことに伴い、看護師等の夜勤負担の軽減を推進する観点から、国及び都道府県による推奨並びに病院等の努力の必要性が明記されております。
 診療報酬においても、夜間に複数の看護要員を配置した場合は、夜間看護配置に係る加算により評価する仕組みとなっております。
 都は国に対し、医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る診療報酬改定の評価、検証を行うとともに、医療機関の体制整備等支援の充実を図るよう繰り返し提案要求しております。
 項番3についてご説明します。
 都は、新たな感染症の発生、蔓延への備えとして、令和四年に改正された感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、新興感染症発生時における病床や外来の診療体制を確保するため、医療機関との医療措置協定の締結を進めております。
 また、災害時に患者を迅速に受け入れるため、重症患者に対応する災害拠点病院や中等症患者に対応する災害拠点連携病院を整備するなど、重層的な体制を確保しております。
 地方独立行政法人東京都立病院機構の定款には、災害及び公衆衛生上の緊急事態等に対処するために必要な業務を行うことを定めております。
 保健所については、都道府県が設置する保健所の所管区域は、地域保健法に基づく国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針において、二次医療圏とおおむね一致した区域とすることを原則として定めることが必要であるとされており、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点として、二次保健医療圏に一か所、都保健所を設置しております。
 都は、新型コロナ対応で得られた知見や、都保健所のあり方検討会における、市町村等との連携強化などが重要との意見等を踏まえ、令和六年四月に多摩地域の都保健所に市町村連携課を新設するなど体制、機能の強化を図っております。
 国に対しては、新興感染症の発生に備えるための協定締結医療機関に対する必要な財政支援や保健所の機能強化、災害医療体制の整備に必要な財政支援の充実について繰り返し提案要求しております。
 項番4についてご説明します。
 医療、介護を含めた社会保障制度の枠組みについては、社会経済状況の変化を踏まえ、負担と給付のバランスに考慮して国が定めております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 それでは、質問したいと思います。
 本請願は、東京医療関連労働組合協議会から提出をされ、四項目について国に意見書を提出することを求めています。一つは、医師、看護師、看護職員などの配置基準の抜本的見直しと増員、賃上げ、二つ目に、医療や介護現場における夜勤交代制労働に係る労働環境の抜本改善、三つ目に、新たな感染症や災害に備えるため、公立、公的病院の拡充強化と保健所増設など公衆衛生体制の拡充、四つ目に、患者、利用者の負担軽減となっています。いずれも重要かつ切実であり、国に意見書を提出すべきと考えています。
 同時に、都としても対応していくべき課題も多くあります。先ほど、部長からも現在の都の状況も併せて説明をされました。私は、今日は特に願意の三つ目に関わって伺います。
 この数年間、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、亡くなられた方、現在も感染している方、後遺症に苦しんでいる方がいらっしゃいます。五類に移行したものの、コロナは終わったとはいえない状況だと思います。重症化リスクの高い方々は、今なお緊張しながら生活を送っています。インフルエンザなどとは違い、治療薬は高額で、医師に勧められても断る人が出る状況です。また、検査も無料では行えません。また、これからも感染が広がらないか心配もされています。さらに、新たな感染症も広がる可能性も考えられます。
 しかし、東京都は、コロナ禍のさなかに都立、公社病院を独立行政法人化しました。都立病院機構での新たな感染症や災害の備えについては、どのように強化をしているのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院機構では、感染症や災害について、研修や訓練等を通じ、法人全体の対応力強化に向けて取り組んでおります。令和六年度は、感染症対応力の向上として、看護職員向けの研修を実施したほか、災害対応力の向上として、災害時に自宅近くの都立病院に参集した他病院の看護師等の職員を受け入れ、応援業務に従事させる訓練等を実施いたしました。

○原委員 独法化するときに行政的医療は後退させないと約束したのですから、研修や訓練の強化は欠かせないものと思います。ただ、都民から今心配をされているのは、感染拡大したときにちゃんと入院や治療は受けられるのかということです。そのために重要なのは、体制自体の確保です。経験を重ねた職員をふだんから余裕を持って配置できるようにするべきだというのがコロナの教訓です。
 しかし、都立病院の看護師は、独法化前の二〇二二年四月一日時点では約六千二百二十人、その一年前は六千二百八十人いたのに、今年の四月一日時点では約六千百三十人と減ってしまったままです。早急な体制の強化を求めておきます。
 二〇二〇年の第三回定例会で、障害者三団体の皆さんから五千名を超える署名が添えられた緊急の陳情が提出をされました。障害者がコロナに感染し、入院が必要になったとき、ちゃんと受け止める病院を決めてくださいという切実なものでした。このとき東京都は、都立、公社病院で受け止めるという答弁を行い、陳情は趣旨採択になりました。旧都立、公社病院は、コロナ感染の患者さんの入院を全国的に見ても積極的に受け入れてきました。都立病院機構では、このときと同じように対応することになっているのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院は、コロナ対応を最優先として、独法化後も独法化前と同様に、重症、中等症患者、コロナが軽症でも基礎疾患のある方、認知症など介護度の高い方などを積極的に受け入れました。
 また、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、新興感染症発生時における病床や外来の診療体制を確保するため、都が医療機関と締結する医療措置協定につきまして、既に都立病院も締結しております。

○原委員 行政的医療を後退させないという約束を守り、障害特性に応じて都立病院で受け止めることを強く求めておきます。
 同時に、都立病院で実施をしていたコロナ後遺症相談窓口は、再開することを要望しておきたいと思います。感染した後、後遺症と思われる状況が続いている若い方がポータルサイトに載っているある病院に行ったのですが、後遺症について理解してもらえず困っているという相談が寄せられています。長く学校や仕事を休んでいる方たちにとっては、体調とともに生活の不安も大きいものがあります。相談窓口の再開と、以前にも質疑の中で求めましたが、都立病院においても、この時間帯は後遺症専門の医師が診察をするなどの設定をする工夫などをしてほしいと、このことについては強く求めておきたいと思います。
 あわせて、感染症対応で鍵になる問題について次に伺います。それは保健所です。多摩地域の保健所は、八王子と町田を除けば二十四市四町村で五か所しかありませんが、コロナ禍の経験を踏まえても都は増設する方針を持っていません。保健所について、体制、機能の強化を図っていると説明をしますけれども、内容を改めて確認します。

○井上地域保健担当部長 都は、新型コロナ対応で得られた知見や、都保健所のあり方検討会における、市町村等との連携強化などが重要との意見等を踏まえまして、令和六年四月、多摩地域の都保健所に市町村連携課を新設するなど体制、機能の強化を図っております。
 また、保健師の人事交流や市町村等支援研修の充実などの取組を行っているところでございます。

○原委員 都保健所のあり方検討会が行われて、その結果、昨年四月より市町村連携課が設置をされ、市町村それぞれの担当者が配置をされ、日常的に意見交換や情報交換を行っていると聞いています。
 また、保健師の人事交流も行っているということです。もともと感染症対応のために、市町村の保健師に一年間、保健所に来てもらい研修する、その間、都の保健師を市町村に派遣するという話だったと思いますが、ただでさえも市町村の保健師体制が大変な中、長期間は難しいという声もあって、現在の人事交流は実態に応じて対応していると聞いています。これは、現場の声を踏まえ、柔軟にしたのだと思います。現場の実情を踏まえて可能な形での実施にすることは必要だと思いますけれども、一方で、そうすると、それぞれの市町村で感染症に係る研修や訓練に違いが出るということにはならないでしょうか。
 今後、さらに保健所の体制、機能の強化を進めるのでしょうか。するとすればどういうことを行うのか伺います。

○井上地域保健担当部長 市町村連携課を中心に日常的に市町村等との意見交換を行い、顔の見える関係を強化し、地域の健康課題の解決や災害、新興感染症への備えを着実に進めてまいります。

○原委員 伺ったところ、吐瀉物への対応とか防護服の着脱など、市町村から意見を聞いて具体的にいろいろ進めていらっしゃるということです。もちろんそういう努力は大事です。大事ですけれども、それをしていればパンデミックに対応できるとはならないのではないでしょうか。市町村の保健師も、先ほどもいいましたけれども、もともと余裕があるわけではありません。研修や人事交流を無理のない範囲で行うことは否定されることではありませんし、現場にプラスになることももちろんあると思います。
 しかし、市町村の保健師は、精神や母子保健など本来の大事な業務がありますから、人事交流にも限界がありますし、感染拡大のときにもできることは限られます。そもそも感染症対策は保健所の役割ですから、保健所自体を強化することが基本だと思います。やはり保健所については、適正な管轄人口、管轄面積を検討するべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○井上地域保健担当部長 地域保健法において、保健所は、都道府県、政令指定都市、中核市、保健所政令市または特別区が設置することとされております。また、住民に身近な保健サービスは市町村の保健センター等が行い、都道府県の保健所は、より専門的なサービスを実施するという地域保健法の考え方に基づき、多摩地域の都保健所につきましては、二次保健医療圏に一か所設置しております。

○原委員 二次保健医療圏に必ず一か所となっているわけではなくて、東京都がコロナの経験を踏まえて必要な増設をすることは可能です。先日、保健師として長く仕事をされてきた方のお話を伺いました。こうおっしゃっています。
 公衆衛生の仕事は、健康に関する問題が発生したとき、できるだけ迅速に現地に出かけて問題の実態を調査する必要があります。そして、総合的な視点で科学的に分析して原因を探り、明らかにし、対策を取るということです。しかし、多摩地域の保健所は、統廃合により広域化し、住民から遠くなり、住民も相談しにくく、職員も訪問活動がしにくくなっています。あり方検討会にも期待しましたが、保健所体制の見直しには全く触れられず残念です。保健所が機能を発揮できるためには、適正な管轄人口、面積とともに、住民の近くに活動拠点が存在して地域とのつながりがあることが大切、体制の見直しは必要だと思うとのお話でした。
 現在、都の保健所体制は、二十四市四町村で五か所しかありません。多摩府中保健所は、六自治体で百四万人を超える人口、西多摩保健所は、管轄人口は三十七万人ほどですけれども、面積が東京都全体の約二六%とあまりにも広いなど、改めて検討が必要であると思います。このことを強く指摘し、この請願には賛成をいたします。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、請願七第四号は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、請願七第八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○鈴木都立病院支援部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、請願七第八号の、都立病院を都直営に戻し、休止病床を稼働させること等による医療の充実に関する請願は、人権としての医療・介護東京実行委員会代表の大嶋祐介さん外一万四百四十二人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨についてご説明します。
 都において次の事項を実現していただきたい。
 1、都立病院を東京都直営に戻すこと。
 2、都の責任において職員の処遇改善と人員確保を進め、休止病床を再開すること。
 3、独立行政法人化後に引き上げられた都民の負担を元に戻すとともに、新たな負担増を行わないことというものでございます。
 現在の状況について、項目に沿ってご説明させていただきます。
 項番1についてご説明します。
 地方独立行政法人は、医療環境の変化に迅速に対応し、柔軟な病院運営を行いながら行政的医療等の提供を可能とする経営形態であります。都立病院は、独法化のメリットを生かした柔軟な人材確保や機動的な運営により、行政的医療をはじめとする質の高い医療を提供しております。
 項番2についてご説明します。
 都立病院では、柔軟な人材確保やきめ細かな処遇を行いつつ、患者動向等を勘案しながら、各病院が有する医療機能に応じた行政的医療等が提供できるよう病棟運営に取り組んでおります。
 項番3についてご説明します。
 都立病院の患者が負担する料金は、原則として二年ごとに改定される診療報酬によることとしており、医療保険が適用されない自由診療部分などは、受益者負担の原則に基づき、人件費や光熱水費などの原価計算等を基に定めております。
 なお、国の制度によりますと、一定規模以上の地域医療支援病院等では、救急患者等を除き、紹介状を持たずに外来受診する患者から通常の診療料とは別に特別の料金を徴収することとされており、現在、都立病院では、国が定める最低金額を徴収しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いします。
 それでは、請願八号、都立病院を都直営に戻し、休止病床を稼働させること等による医療の充実に関する請願について質問いたします。
 請願では、都立病院で新型コロナ患者の確保病床数が全国で一位から十一位までを占めるなど多くのコロナ患者を受け入れてきたが、その一方で、一般病床の長期的な診療制限によってかつてないほど患者が減少し、未稼働病床が全病床の一割を超えていると指摘しております。
 そこで、まず伺いますが、都の休止病床は現在何床になるのでしょうか、伺います。

○鈴木都立病院支援部長 令和七年五月一日時点で休止病棟の病床数は、工事により百三十八床でございます。
 なお、都立病院では、患者動向等に応じて柔軟に病床を運用しており、患者数が増加した際に稼働できる状態にある病床が七百五十五床ございます

○里吉委員 工事で休止している病床が百三十八床、それ以外に休止している病床、まあ未稼働病床が七百五十五床だということです。
 今ご答弁に患者動向でという話がありましたけれども、例えば小児総合医療センターのER病棟とか夜間の二次救急患者を受け入れる病棟などは、患者動向が休止の理由にはならないと思います。
 また、二〇二五年四月一日現在で、介護要員の現員数は六千百三十二人で七十人減っているんですね。独法化の前の二〇二一年に比べると約百五十人――この七十人というのは七百五床だったときと比べて減っているということと、それから、二〇二一年、独法化の前年に比べると、看護要員の数、今、百五十人減っています。これもいろいろ細かく病院ごとに見てみますと、昨年の四月一日現在で看護要員の数が独法化前の定員を下回っているのは、駒込病院、豊島病院、荏原病院、小児総合の四病院あります。今年の四月一日時点での病院ごとの人数は出ていませんが、全体で七十人減っているのですから、さらに不足している可能性が高いと思います。しかも看護要員の数というのは、年度後半になると毎年減っていきますから、これがずっとある数ではないということですね。独法化して職員定数はなくなりましたけれども、病院の運営に必要な職員数が減ったわけではありません。今も都立病院の看護師をはじめとした看護要員の数は足りていないのではないかと思います。
 東京都は、独法化をすると定数がなくなるから職員を確保しやすいと、できるといってきましたけれども、むしろ職員数の不足が曖昧にされてしまっていると思います。休止病棟の病床について、請願にもあるように計画的に再開を進めること、そのためにも必要な看護要員数と職員確保計画を明確にすることを求めます。
 また、都立病院は、都民の命を守る最後のとりでとしてその役割を果たす必要があります。そのために、請願にもありますように、さらなる負担増を行わないこと、そして、都の責任で運営をするためにも直営にするべきだと考えます。
 請願の採択を主張して、質問を終わります。

○中村委員 立憲民主党の中村です。請願七第八号、都立病院を都直営に戻し、休止病床を稼働させる等による医療の充実に関する請願に意見を述べます。
 都立病院の独法化に際してメリットとデメリットが議論されました。しかし、未曽有のコロナ禍が起こり、都立病院の関係者の皆様にも本当にご尽力いただいたことは感謝しかありません。だからこそ私たちは、コロナ禍への対応が最優先のときに独法化のような大きな組織改編を行っている場合ではないとして、この時期に性急に進める必要性について委員会での質疑などを通じても明らかにならなかったため独法化には反対しました。
 独法化した後、再度、都の直営に戻すことができるのかとの当時の委員会質問に対して、都は再度設立団体等の職員となる場合の手続については、地方独立行政法人法上規定されていないと答弁しました。だからこそ、拙速に物事を進めるのではなく、慎重な対応が必要でした。
 そもそも東京都は、コロナ禍への対応そのものすらきちんと検証していません。都議会立憲民主党は議会でも再三求めましたが、振り返りはしたとのことですが、きちんとした検証はいまだに行われていません。私は、この独法化についてもきちんと検証すべきだと思います。
 コロナ禍では、公的医療機関に求める都民の見方も大きく変わりましたが、改めて行政的医療における感染症医療や公衆衛生への立ち位置を検証する必要があります。コロナ禍は、ようやく落ち着きを見ましたが、その後は社会全体で受診控えもあり、民間病院だけではなく都立病院も病床の利用率が大幅に低下し、経営的に厳しい状況にあります。そもそも想定外のコロナ禍と分かっていて強行したのですから、想定外とはいえないはずです。
 この請願については、独法化から直営に戻す法的な位置づけが不明なため採択には至りませんが、独法化についてしっかりと検証し、問題が明らかになれば対応することを求めて、意見とします。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、請願七第八号は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、請願七第一〇号の三を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○井上地域保健担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号4、請願七第一〇号の三、物価高から都民の暮らしを守ることに関する請願は、都民のくらしを守りゆたかにする会代表大澤利彰さん外百三十八人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、都民の負担を減らし、自由に使えるお金を増やすため、次のことを実現していただきたい。
 3、国民健康保険料、保険税、後期高齢者医療制度の保険料を軽減することというものでございます。
 次に、現在の状況をご説明いたします。
 国民健康保険は、保険料、保険税、国、都、区市町村が法令の定める割合により負担する公費及び前期高齢者交付金等により運営されており、保険料、保険税は、区市町村が議会の議決を経て決定しております。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づく負担のほか、独自の財政支援を行っております。
 後期高齢者医療制度は、保険料や公費及び後期高齢者支援金等により運営されており、保険料は、制度を運営する東京都後期高齢者医療広域連合が広域連合議会の議決を経て決定しております。
 都は、法令等に基づき、国や区市町村と共に財政負担を行っております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 請願七第一〇号の三について賛成する立場から一言意見を述べます。
 本請願の三つ目の項目は、国民健康保険料、税、後期高齢者医療制度の保険料を軽減することを求めています。
 共産党都議団としては、今年度予算についても予算組替え案を示し、国保税、後期高齢者医療保険料を引き下げる提案を行い、さらに現在、緊急に三万円引き下げる提案を行っています。医療は命に直結していることからも、都としてできる緊急の対策が必要だと考えます。よって、請願に賛成をいたします。
 以上です。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、本件につきましては、福祉局所管分もございますので、決定は福祉局所管分の審査の際に行い、ただいまのところは継続審議といたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認めます。よって、請願七第一〇号の三は継続審査といたします。

○関野委員長 次に、陳情七第二二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○鈴木都立病院支援部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号14、陳情七第二二号の都立の産院における赤ちゃん取り違え案件への対応に関する陳情は、全国の児童相談所が行う子どもに対する人権侵害を阻止する会代表の江邑幸一さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨についてご説明します。
 都において、都立の産院における赤ちゃん取り違え案件について、生みの親を特定する調査を行うとともに、生みの親に連絡先の交換について意思確認していただきたいというものでございます。
 現在の状況について説明させていただきます。
 本事案は、昭和六十三年三月に廃止となった旧都立墨田産院において、昭和三十三年、出生直後に取り違えられた男性が生物学上の親を特定する調査の実施等を求めて、令和三年十二月二十二日、東京都に対して訴訟を提起したものでございます。令和七年四月二十一日、一審の東京地方裁判所におきまして、東京都に対して調査の実施を命ずる判決が出され、都は控訴せず調査を実施することといたしました。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。――発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認めます。よって、陳情七第二二号は趣旨採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で保健医療局関係を終わります。

○関野委員長 これより福祉局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、福祉局長及び福祉局の幹部職員に交代がありましたので、局長から挨拶並びに幹部職員の紹介があります。
 福祉局長に就任されました高崎秀之君をご紹介いたします。

○高崎福祉局長 四月一日付で福祉局長に着任いたしました高崎秀之でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私ども福祉局は、都民が生涯を通じて安全・安心に暮らし続けることができるよう、都民の生命と健康を守り、地域での自立を支える新しい福祉を実現するため、保健医療局とも緊密に連携を図りながら、大都市東京にふさわしい福祉施策を積極的に展開し、さらなる充実を目指していく所存でございます。
 関野委員長をはじめ委員の皆様方のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、説明に先立ちまして、人事異動及び役職に変更のあった幹部職員を紹介させていただきます。
 理事で保健医療局理事兼務の船尾誠でございます。総務部長の森田能城でございます。企画部長でDX推進担当部長、保健医療局福祉保健医療連携推進担当部長、スタートアップ戦略推進本部スタートアップ戦略推進担当部長兼務の柳橋祥人でございます。子供・子育て支援部長で子供政策連携室企画調整担当部長兼務の天野哲史でございます。障害者施策推進部長の梶野京子でございます。政策推進担当部長で女性活躍推進担当部長、子供政策連携室企画調整担当部長兼務の石塚宣でございます。福祉人材・サービス基盤担当部長の佐藤淳哉でございます。事業調整担当部長の松谷いづみでございます。総合連携担当部長で児童相談センター総合連携担当部長、人材企画担当部長兼務の竹中雪与でございます。高齢者施策推進担当部長の木村総司でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○関野委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○関野委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○高崎福祉局長 令和七年第二回都議会定例会に提出を予定しております福祉局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、条例案一件、事件案二件の合計三件でございます。
 初めに、条例案の概要でございますが、女性福祉資金の貸付事業の充実を図るものでございます。
 次に、事件案の概要でございますが、スマートウオッチの買入れ及び契約解除に伴う損害賠償の額の決定についてでございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○森田総務部長 令和七年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
 初めに、条例案についてご説明申し上げます。お手元の資料、令和七年第二回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。整理番号1、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございます。
 女性福祉資金貸付事業の充実を図るため、事業開始資金等の貸付限度額を改めるものでございます。この条例の施行日は公布の日を予定しておりますが、改正後の規定は令和七年四月一日から適用する予定でございます。
 次に、事件案についてご説明申し上げます。
 二ページをご覧ください。整理番号1、スマートウオッチ(リストバンド型活動量計)の買入れについてでございます。
 高齢者の健康状態の把握及びフレイルリスクの検知が可能なアプリを活用して、高齢者の健康づくりを推進するため、スマートウオッチを買い入れるものでございます。種類及び数量は、スマートウオッチが五千台となりまして、価格は三億九千三百九十九万九千九百九十九円となります。
 整理番号2、契約解除に伴う損害賠償の額の決定についてでございます。
 東京都障害福祉サービス等事業者指定申請システムの開発中止による設計開発業務委託契約の解除に伴い発生した損害につきまして賠償を行うものでございます。損害賠償の額は、一億六千二百五十万五千百円となります。
 条例案及び事件案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、令和七年第二回東京都議会定例会条例案及び事件案をご覧いただきたいと存じます。
 以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○関野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○さんのへ委員 三点、お願いします。
 東京都女性福祉資金貸付金の内訳、改正前後。
 二点目、スマートウオッチ(リストバンド型活動量計)の買入れ事業における入札から落札までの経緯が分かるものを一式。
 三点目、契約解除に伴う損害賠償の額の決定について、東京都と国とのやり取りと経緯が分かるものを一式。
 以上、お願いいたします。

○関野委員長 ただいま、さんのへ委員から資料要求がありました。これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○関野委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○柳橋企画部長DX推進担当部長兼務 令和六年度東京都一般会計予算、福祉局分の繰越しにつきましてご報告させていただきます。
 お手元配布資料の厚生委員会報告事項の表紙をおめくりいただきまして、令和六年度一般会計繰越説明書をご覧ください。
 一枚おめくりいただきまして一ページをご覧ください。繰越総括表でございます。
 繰越明許費予算議決額の欄に記載のとおり、令和六年度最終補正予算にて、福祉費につきまして百五十六億八千二百五十九万一千円を繰越明許費として議決いただいてございます。
 このうち、執行見込みの状況を踏まえまして、表の右側、翌年度繰越額の欄に記載のとおり、歳出予算百五十六億八千二百五十九万一千円を今年度に繰り越しいたします。
 その財源といたしまして、一番下の段、繰越財源内訳の欄に記載のとおり、国庫支出金が百四十九億五千六百二十三万三千円、繰越金が七億二千六百三十五万八千円でございます。
 次に、二ページをご覧ください。事項別内訳でございます。
 まず、一段目、生活福祉費の繰越しにつきまして、資料右側の説明欄をご覧ください。保護施設物価高騰緊急対策事業でございます。
 国の令和六年度補正予算、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用いたしまして、令和六年度から七年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続きまして、その下の子供・子育て支援費の繰越しにつきまして、説明欄をご覧ください。保育所等物価高騰緊急対策事業と、説明欄の一段下、児童養護施設等物価高騰緊急対策事業でございます。
 こちらも国の令和六年度補正予算、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用いたしまして、令和六年度から七年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続きまして、その下、高齢者施策推進費の繰越しにつきまして、説明欄をご覧ください。特別養護老人ホーム等物価高騰緊急対策事業と、説明欄の一段下、介護サービス事業所燃料費高騰緊急対策事業でございます。
 こちらも国の令和六年度補正予算、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用いたしまして、令和六年度から七年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 次に、三ページをご覧ください。引き続き高齢者施策推進費の繰越しにつきまして、説明欄をご覧ください。介護人材確保・職場環境改善等事業でございます。
 国の令和六年度補正予算、介護人材確保・職場環境改善等事業を令和六年度から七年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続きまして、その下、障害者施策推進費の繰越しにつきまして、説明欄をご覧ください。障害者支援施設等物価高騰緊急対策事業と、説明欄の一段下、障害福祉サービス事業所物価高騰緊急対策事業でございます。
 国の令和六年度補正予算、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用いたしまして、令和六年度から七年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 その下、障害福祉人材確保・職場環境改善等事業でございます。
 国の令和六年度補正予算、障害福祉人材確保・職場環境改善等事業を令和六年度から七年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 以上が令和六年度東京都一般会計予算の繰越しを行った事業についてのご報告でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○関野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 ご異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○関野委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願七第九号の四を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○天野子供・子育て支援部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3、請願七第九号の四は、新宿区のどの子も豊かに育ちあう新宿の会代表世話人、米澤瑛子さん外五十七人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第5項として、保育士の処遇を改善し、人員不足を解消すること。
 第6項として、学童クラブは無償とすること。
 なお、第1項及び第2項については文教委員会、第3項は経済・港湾委員会、第4項は総務委員会にそれぞれ付託されております。
 現在の状況でございますが、第5項につきまして、都は国に対して、保育事業者が安定的に保育人材を確保できるよう、公定価格の増額や処遇改善等加算の適切な運用などについて提案要求しております。
 また、保育士等のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援を実施しており、各保育所等の財務情報の公表や非常勤職員の賃金改善などの要件を満たした場合、支援の充実を図っております。
 第6項につきまして、国は、学童クラブの運営に係る経費について、国制度の運営費補助と利用料により賄われるという考え方を示しております。
 また、区市町村では、学童クラブを利用する生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯などを対象として利用料の減免を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 それでは、学びを守り、子ども・若者を応援することに関する請願について意見を述べます。
 厚生委員会に付託されているのは、保育士の処遇を改善し、人員不足を解消することというものと、学童クラブを無償とすることという二点です。
 一つ目の保育士の処遇改善については、現在取り組まれてはいるものの、都内で比較すると保育士の賃金は全産業平均から月十万円以上低いのが現状です。世田谷区では、独自に月一万円の上乗せをするなどの努力をしています。こういう自治体もありますけれども、都として今以上の処遇改善に取り組むことが求められています。
 二つ目、学童クラブの無償化を求めるものですが、子供たちが放課後や休みの日に生活の場として安全に安心して過ごせる学童の充実は、働く父母の切実な願いです。都は、待機児童対策に取り組み、新たな基準となる認証学童制度もスタートさせるなど質の確保についても取り組んでいるところです。
 同時に、利用する側の負担軽減も重要です。今年の九月から第一子の保育料が無償となります。また、小中学校では、都の補助で学校給食が無償化され、教育の無償化、子育て支援が拡充されてきました。さらなる子育て支援として、学童の無償化も進めるべきと考えます。よって、請願は採択を主張し、意見といたします。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、請願七第九号の四は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、請願七第一〇号の三を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○花本高齢者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号4、請願七第一〇号の三、物価高から都民のくらしを守ることに関する請願は、都民のくらしを守りゆたかにする会代表の大澤利彰さん外百三十八人の方々から提示されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、都民の負担を減らし、自由に使えるお金を増やすため、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 4、介護保険料を軽減すること。
 5、電気代やガス代の値上がりで生活に困っている課税世帯にも緊急の給付金を支給すること。
 6、保育、介護などケア労働者の賃上げをすること。
 次に、現在の状況についてご説明させていただきます。
 項番4につきまして、六十五歳以上の方の介護保険料は所得に応じて段階的に設定されており、低所得者の保険料軽減に要する費用について都は応分の負担をしているほか、区市町村においては著しい収入減少等の場合に減免措置を講じております。
 項番5につきまして、都は、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある方に対して、生活困窮者自立支援法に基づき区市等が設置する自立相談支援機関において包括的な支援が行われるよう必要な助言等を実施しております。また、住居を失い不安定な就労に従事している方などに対し、TOKYOチャレンジネットにおいて、生活相談や一時利用住宅の提供などの居宅支援、就労支援等を一体的に行っているほか、生活困窮者等に食料を提供し、適切な支援につなげる地域の拠点となるフードパントリーの設置や運営に対する支援を実施しております。
 続きまして、項番6につきまして、介護職員等に関して、都は国に対して、介護事業者が介護人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる介護報酬とするよう提案要求しております。
 国は、令和六年度介護報酬改定において、全体でプラス一・五九%の介護報酬改定を行うとともに、処遇改善に関わる加算の一本化と加算率の引上げを行っております。さらに、令和六年十一月に策定された総合経済対策に基づき、介護人材の確保、職場環境の改善のため、職員一人当たり平均五万四千円相当の人件費や職場環境改善経費を一括で交付するための措置を講じております。
 保育士等に関して、都は国に対して、保育事業者が安定的に保育人材を確保できるよう公定価格の増額や処遇改善等加算の適切な運用などについて提案要求しております。
 国は、令和六年十二月に、人事院勧告に準拠した改善として、保育士等の給与を前年度比一〇・七%引き上げる処遇改善を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 念のために申し上げます。
 本件中、保健医療局所管分に対する質疑は既に終了しております。
 本件について発言を願います。

○原委員 それでは伺います。
 本請願は、都民のくらしを守りゆたかにする会より百三十八人の署名を添えて提出をされています。福祉局に関わる項目として、介護保険料の軽減、生活に困っている課税世帯にも緊急の給付金、また、保育、介護などケア労働者の賃上げを求めています。どれも重要かつ切実であり、賛成するものです。
 私は、主にケア労働者の賃上げについて伺います。ケア労働者の方は、全産業平均と比べても賃金が低く、とりわけ東京のケア労働者の実態は深刻です。そこへ長引く物価高騰も重なっています。都内では、二〇二〇年から二〇二三年までに介護職員が約一万人減ってしまいました。そうした状況に見合った賃金アップが必要です。
 居住支援特別手当は大変喜ばれています。しかし、より効果を上げるためには、勤続六年以上の人を一万円に引き下げず二万円を継続すべきではないかと思いますが、いかがですか。

○花本高齢者施策推進部長 介護事業所においては、勤続年数三年未満の離職者が多いことから、五年目までの職員を重点的に支援できるよう一万円を加算して二万円としております。
 なお、介護職員等を対象とした居住支援特別手当の金額は補助上限額であり、加算額を含め、手当の支給額については、各法人の実情に応じて定めることができることとしております。

○原委員 実際には、法人の実情で定めることができるとはいっても、あえて満額を出さないというのは現実的な選択肢ではないと思いますので、二万円、一万円ということで各法人も対応されているのだと思います。逆に、法人独自に六年目以降も二万円を出し続けるというのも、もともと余裕がない中では困難だと思います。心配なのは、五年間働いて力をつけてきた方が手当が一万円減ってもさらに勤続して働き続けてもらえるのかということです。熟練した人が介護現場に定着してくれることが大切だと思いますけれども、見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護報酬において、介護職員等処遇改善加算の取得には、経験や勤続年数、資格等に応じて昇給する仕組みを設けることが要件の一つとなっております。

○原委員 国の考え方も働き続けられることはよいことだということではあると思います。しかし、実際には、新人の人と熟練の人の賃金が逆転することはないのかということが心配をされています。また、五年までなら二万円プラスだからということで、五年勤めてほかへ移るということが起きないかと現場では心配の声も出されています。
 都は、居住支援特別手当の申請に当たっての課題を把握するため全事業者にアンケート調査を行うとのことでしたけれども、具体的にどのようなことを聞くのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 申請に必要な支援などについて聞く予定でございます。

○原委員 せっかくのアンケートですから、申請に関わることとともに、制度自体についての意見も聞いていただくことが重要ではないかと思います。ぜひ現場で心配されていることなども丁寧に聞き取る中身にして、よりよい手当にしていただきたいと思います。
 宿舎借り上げ事業についても伺います。宿舎借り上げ事業も職員の定着と暮らしを支える上では大きな役割を発揮しています。ただ、法人が一年分立て替えなければならないことについては改善を求める声が出されています。せめて半年ごとにするなど、法人の負担を軽くすることが必要ではないかと考えますが、いかがですか。

○花本高齢者施策推進部長 実績報告や請求書等の提出があり次第、速やかに審査を行い、審査完了後補助金の支払いを行っております。

○原委員 そうなんですけれども、そこを実績報告書を出してからということで、なかなか立替えをしているのが非常に厳しいんだという声がありますので、ぜひ受け止めて検討していただきたいと。
 そして、事業者からは、事務の煩雑さについても軽減してほしいという要望も強くあります。これまでに改善されてきている面もあるんですけれども、より一層の改善をお願いしたいと思います。
 この宿舎借り上げ事業については、都が実施状況を聞き取りするなどきめ細かい対応をしてこられていると思うんですけれども、先ほど質問しました居住支援特別手当についても直接聞き取りを実施して、より改善を進めるべきではないかと考えますが、いかがですか。

○花本高齢者施策推進部長 申請に必要な支援等について今後聞く予定でございます。

○原委員 そこをぜひ聞き取りを広げてやっていただきたい。宿舎借り上げ事業については、事業者だけでなくて、この事業を受けている職員からの聞き取りも行っていますので、とても重要だと思っているんです。ぜひ、この手当の方も同じように聞き取りを実施していただきたいと思います。
 都としては、介護職員の昇給の在り方について検討するという、そういう予算も今年度計上されています。これは、私たちも大事なことだと思っていまして、求めてきました。重要だと思っています。介護職員等の昇給の在り方検討調査事業は、どのように進めていくのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護職員の人事給与制度の在り方について、今後、都内事業者の実態を把握するとともに、関係団体の意見を聞きながら検討していくこととしております。

○原委員 調査を委託する事業者は決定をされて、これから調査が行われるわけですけれども、委託仕様書を見ますと、委託内容は、調査票による調査、ヒアリング調査、そしてその結果の分析、人事給与制度の検討、そして制度導入のマニュアル作成、そして制度検討の有識者会議の運営支援などとなっていました。東京都として、現場への有効な支援を行うことにつなげることが重要だと思っています。この有識者会議がどのように持たれていくのかというのは今後のことのようですけれども、東京都として、ケア労働者の厳しい実態を踏まえて、希望を持って働き続けられるための検討が進むよう取り組むことを求めて、質問を終わります。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、請願七第一〇号の三は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、請願七第一一号の一を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○花本高齢者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号5、請願七第一一号の一、交通費の負担を軽減することに関する請願は、移動の権利をすべての人に!公共交通を考える会代表の本葉カツ子さん外百六人の方から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において東京都シルバーパス制度について次のことを実現していただきたいというものでございます。
 1、シルバーパスの利用者負担金を一律千円にすること。また、東京メトロも利用できるようにすること。
 次に、現在の状況についてご説明させていただきます。
 1につきまして、シルバーパスの利用者負担額は、東京都シルバーパス条例及び同条例施行規則により、区市町村民税非課税等の方は千円、それ以外の方は二万五百十円となっております。シルバーパスについては、制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえ、高齢者施策全体を総合的に議論する中で、ICカード化により利用実態を把握しながら検討することとしております。
 なお、抜本的な制度の見直しまでの間、高齢者の社会参加を後押しするため、年間の利用者負担額を二万五百十円から一万二千円に引き下げ、利用者の負担軽減を図ることとしております。
 また、シルバーパスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例及び同条例施行規則に基づき、都営交通及び路線バスとなっております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 請願一一号、交通費の負担を軽減することに関する請願です。請願者は、今回シルバーパスを東京メトロでも使えるようにしてほしいと求めています。
 都心を走る地下鉄は、都営地下鉄と東京メトロの二種類がありますが、都営地下鉄だけしか使えないのが現状です。東京メトロでシルバーパスが使えるようになれば、もっといろいろなところに出かける先が広がります。この地域の皆さんからは、何十年も前から強い要望が上がっております。
 多摩モノレールへの対象拡大を求める声もずっと出されてきましたけれども、これについては、知事が選挙公約で多摩モノレールへの利用拡大を掲げました。多摩モノレールも東京メトロも東京都が出資している公共交通ですから、東京メトロへも拡大してほしいということだと思います。そこで、シルバーパスを東京メトロにも適用すべきと思いますが、都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 シルバーパスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例及び同条例施行規則に基づき都営交通及び路線バスとなっております。

○里吉委員 現在の条例、規則の説明をしていただきましたけれども、条例は変えられるものです。だから変えてほしいっていう請願が出されているわけです。利用対象についても、知事は公約で都営交通ではない路線バスでもない多摩モノレールを掲げたわけです。ですから、併せて東京メトロも対象となるように検討していただきたいと思います。
 都は、いつまでも輝けるアクティブな長寿社会の実現、これを目指すといっております。そうであるなら多くの高齢者の方から要望の強いシルバーパスの対象拡大、早急に進めるべきと考えます。よって、請願は趣旨採択をすることを求め、質問を終わります。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、請願七第一一号の一は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、陳情七第一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○花本高齢者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号6、陳情七第一号、全ての難聴者の聞こえを助ける補聴器購入助成制度の実施に関する陳情は、みんなのきこえを実現する東久留米の会準備会代表の平尾敏之さん外三名から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、補聴器の購入助成について、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 1、都において、補聴器の購入助成を都内全自治体が実施できるよう財政支援を一層強化すること。
 2、都議会において、補聴器購入助成制度の実施を求める意見書を国に提出すること。
 次に、現在の状況についてご説明させていただきます。
 都は、高齢者施策推進区市町村包括補助事業により補聴器の支給等に取り組む区市町村を支援してまいりました。令和六年度からは、より多くの自治体で取組が進むよう高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業として実施しており、令和六年度は三十三の自治体に助成を行っています。
 また、国に対して、加齢性難聴に関する調査研究の結果を踏まえ、公的補助制度の創設など、補聴器等の普及を推進するための方策を講じることを提案要求しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 それでは伺いたいと思います。本陳情は、みんなのきこえを実現する東久留米の会準備会より提出をされています。
 都は、昨年度から、それまでの包括補助による支援から高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業として、補助制度を明確化しました。そうした中、補助が広がり、昨年度は三十三自治体になったとのことです。そして、二〇二六年度までに全区市町村での実施を東京都としての計画、目標にしています。
 まず、現時点での区市町村の実施状況を伺います。特別区、多摩市町村、島しょ町村別にお願いいたします。

○花本高齢者施策推進部長 令和六年度において、都の補助である高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を活用して高齢者に対する補聴器支給の助成を行っている区市町村は、区部が二十区、多摩地域が十一市、島しょ部が二村でございます。

○原委員 そのうち所得制限を設けていない自治体はどのぐらいあるでしょうか。これも特別区、多摩市町村、島しょ町村別に伺います。

○花本高齢者施策推進部長 令和六年度において、都の補助を活用した自治体のうち、所得制限を設けていない自治体は、区部が九区、島しょ部が一村で、多摩地域はございません。

○原委員 すみません、重ねて伺います。上限額が十四万四千九百円の自治体名を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 令和六年度において都の補助を活用した自治体のうち、上限額を十四万四千九百円としている自治体は台東区でございます。

○原委員 東京都の補助を活用していない三つの特別区は、昨年度は独自に助成を行っていて、今年度は補助を活用しようというふうに聞いています。そうすると二十三区全部ということになります。多摩・島しょ地域でも今年度新たに実施をしたり内容を充実する自治体もありますが、やはり全体として特別区の方が実施が進み、充実をしているということがいえると思います。また、千代田区、港区、葛飾区は、新たに十四万四千九百円を上限にするというふうに聞いています。助成の実施や内容の充実をさらに広げていくことが重要だと思います。
 そして、伺いたいのですけれども、聞こえについては、なかなか自覚できない場合も多いことから聴覚検査の機会があることが重要だと思っています。聴覚検査を実施している自治体はあるのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都の高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業では、補聴器相談医が在籍する医療機関がない一部の町村を対象として、適正な補聴器を支給するための聴覚検診等の取組を補助しており、令和六年度において本補助を活用して聴覚検査を実施している自治体はございません。

○原委員 つまり、ご答弁にあったように、補聴器相談医がいる医療機関がない区市町村であればこの補助制度は使えるけれども、補聴器相談医がいる区市町村ではこの補助制度は使えないと、聴覚検査には使えないということなわけです。実際には、補聴器相談医が一人もいないという地域はほとんどないので、この補助が使われていないわけです。これは、相談員がいるかどうかにかかわらず聴覚検査を実施する場合には、この補助を活用して支援ができる、そういうふうに改善をしていただきたいと、このことは求めておきたいと思います。
 では、次に、この補助制度は、六十五歳以上が対象ですけれども、六十五歳未満も対象にしている自治体があるのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業は、加齢性難聴に関する高齢者本人のコミュニケーションの機会の確保に向けた取組を進めるものであり、六十五歳以上を補聴器支給助成の対象者の要件としております。

○原委員 実際には、六十五歳未満を対象にしている自治体もありますけれども、この制度の対象としては、あくまで六十五歳以上なので、都として正確に把握をしてはいないということだと思います。
 しかし、加齢性難聴というのは、高齢期に突然始まるわけではなくて三十代ごろから少しずつ聞こえが低下していくと専門家は指摘をしていまして、国立長寿医療研究センターの調査でも、六十代前半で四十デシベルを超える難聴者は男性で五・八%、女性で一・四%、二十五デシベルだと男性で一八・八%、女性で一〇・六%とされていますし、また、働き盛りの方が突発性難聴で突然聴力が落ちて回復せず、相当聞こえていなくて、補聴器を使った方がよいけれども障害認定にまではならない、こういうケースもあります。こうしたことに対応している自治体もありますので、それは東京都として把握をして制度の改善につなげるべきではないかと指摘をしたいと思います。
 高齢者施策推進部以外の部が関わることもあり得ると思いますので、必要に応じて連携した対応を求めたいと思います。
 部長からの答弁では、昨年度実績でご答弁をいただきました。私たちの調査では、今年度、さらに、先ほども少し触れましたが、実施自治体は増えているというふうに把握をしています。二十三区では、先ほどいったように全てスタートをしているという状況です。実施区市町村が増えていますけれども、
 実施できていないところもあり、やはり自治体間格差が出ています。実施できていない自治体について、その理由や障害になっていることが何であると考えていますか。

○花本高齢者施策推進部長 事業未実施の自治体からは、地域の実情に応じた基準額の設定水準や事業効果の測定方法などの課題があるとの意見が寄せられております。

○原委員 私たちが調査したところ、財政面から踏み切れないとしている自治体もあります。東京都に全額補助することを求めたという自治体もあります。財政が厳しい自治体の場合は、新規事業を立ち上げることにちゅうちょがあるんです。二〇二六年度までに東京都としても目標を立てたように全区市町村で実施をすると、これを実現するためには今後どのような取組をしていく考えでしょうか。

○花本高齢者施策推進部長 多くの自治体で取組が進むよう、実施自治体の取組状況等を情報共有するとともに、加齢性難聴対策としての本事業の有効性について周知を図るなど事業の実施を働きかけております。

○原委員 全区市町村で実施をしていくということになると、やっぱり広域自治体の東京都としてどういう支援をしていくかということが、強化していくかということが求められると思うんです。全ての自治体で実施するという目標を掲げた以上、どこでも実施できるように支援をするというふうに考えますと、先ほどいったように、私たちの調査でも財政的な問題ということが、声がある以上、そこに対して東京都としてどういう働きかけ、努力をしていくかということも私は求められていると思うんです。
 給食費無償化も、補助率を大きく引き上げて全区市町村実施となっています。補聴器補助についても、東京都と区市町村で今は二分の一ずつという仕組みになっていますけれども、これをぜひ見直して都の補助率を引き上げる、そういう手だてが必要だと思いますけれども、このことについては見解を伺いたいと思います。いかがですか。

○花本高齢者施策推進部長 先ほどもお答えしましたが、実施していない区市町村に事情を聞いたところ、補助基準額をどのぐらいに設定すべきなのか、それから対象者の規模をどのぐらい見込むのか、そういった相談が寄せられております。それに対して、既に実施している自治体の取組状況ですとか、例えば要項ですとか、そういった情報を提供することで新たに取組を始めるところも出てきておりますし、東京都としてそういった支援をこれからも引き続き行っていきたいと思っております。

○原委員 もちろんそれは全然否定はしていなくて、そういう努力を重ねていっていただきたいです。ただ、私たちが調査をした中では、やっぱり財政的な問題がネックになっているという声もありますので、やはりそういう声もぜひ聞き取っていただいて、よりよい制度に改善をしていただきたい、その検討は進めていただきたいということをこの場では強く要望しておきたいと思います。
 東京都としては、福祉局から国に対して予算編成への提案要求を提出されていますが、その内容と国の動きについて伺いたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 都は国に対して、昨年度から、加齢性難聴に関する調査研究の結果を踏まえ、公的補助制度の創設など補聴器等の普及を推進するための方策を講じることを提案要求しております。

○原委員 昨年度から国に対しても意見を上げているということは、とても私は重要だと思います。本来、こうした制度というのは、国が検討して実施をしていくということは絶対に必要だと思っていますので、東京都がこの制度を実施しながら国に対しても意見を上げているということは非常に重要だと思います。
 現在も都の補助制度で各区市町村それぞれ違いがあるものですから、助かったという声がある一方で、なかなかまだ補助が少なくて、これでは補聴器は高額だから足りないという声もあります。これもまた区市町村によってそれぞれ声が違う状況になっています。私は、そうした中で国にも要望を上げながら、都として支援を厚くしていくという検討も進めていただきたいと思います。
 都の福祉局もこうした意見を上げているということですので、私は、都議会としても国に意見を上げていくことが非常に重要になっていると考えますので、本陳情には賛成をしたいと思います。
 以上です。

○さんのへ委員 陳情七第一号、全ての難聴者の聞こえを助ける補聴器購入助成制度の実施に関する陳情について、陳情趣旨に賛同する立場から質問させていただきます。
 高齢者への補聴器助成への支援について、令和六年度は三十三区市町村で実施していると伺いました。一方で、東京都の長期計画二〇五〇東京戦略三か年のアクションプランにおいては、二〇二七年までに全六十二区市町村に対する助成の支援を目標としているとのことです。
 この三年間で全ての自治体における実施拡大に向けて、都としてどのように取り組んでいくのか、また、事業未実施の自治体からはどのような意見が寄せられているか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は昨年度から、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業により補聴器の支給等に取り組む区市町村を支援しており、三十三自治体が本事業を活用いたしました。事業未実施の自治体からは、地域の実情に応じた基準額の設定水準や事業効果の測定方法などの課題があるとの意見が寄せられております。このため、実施自治体の取組状況等を共有するとともに、加齢性難聴対策としての本事業の有効性について周知を図るなど、事業の実施を働きかけております。

○さんのへ委員 ありがとうございます。基準額の設定水準や事業効果の測定方法などに課題があるとご説明いただきました。
 今まさに認知症予防のポイントの一つとして聞こえの支援が有効であるという研究が進められています。補聴器の支給助成によって、長期的には社会保障費の抑制という事業効果が期待できますので、東京都として引き続き健康長寿医療センター等機関と連携して研究を進めて周知を行っていただきたいと思います。
 また、こちらは要望なんですけれども、初めて補聴器を使う方は、特に、使いづらさや慣れるまでは聞こえる雑音が逆に増えてしまうなどアフターフォローや調整が必要になります。せっかく助成を受けて補聴器を購入したのはいいけれど、使いにくくて、その後、外してしまって、ご自宅では結局テレビの音量を最大にして聞いているというような状況の方がいることも地域でよくお話を伺っております。購入助成と併せて、初めて使う方への丁寧なフォローを行うことも区市町村と共に取り組んでいただきたくお願いいたします。
 以上です。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情七第一号は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、陳情七第四号、陳情七第五号及び陳情七第一一号は内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新内生活福祉部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号7、陳情七第四号は、練馬区の小松凜太さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、生活保護費の国庫負担分の増額を国に求めていただきたいというものでございます。
 現在の状況につきましてご説明させていただきます。
 生活保護費は、現在、国が四分の三、地方が四分の一の負担割合となっておりますが、国民の基本的人権である生存権を保障することは国の責務であることから、都は国に対し、生活保護費を全額国の負担とすることを提案要求しております。
 続きまして、整理番号8、陳情七第五号は、練馬区の小松凜太さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、国に対し次の事項について働きかけていただきたいというものでございます。
 第1項として、全ての生活保護世帯について、令和七年度の生活扶助基準額を少なくとも七・七%以上引き上げること。
 第2項として、夏季の光熱水費を賄うための夏季加算を創設すること。
 第3項として、全ての生活保護世帯について、エアコン購入費用の支給を可能とすることというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 第1項につきまして、生活扶助基準について、国は社会経済情勢等を総合的に勘案して、令和七年十月から当面二年間の臨時的、特例的な措置として一人当たり月額千五百円を加算することとしております。都は国に対し、生活扶助基準について、被保護者が住み慣れた地域での生活を継続できるよう大都市の生活実態を踏まえたものとすること、また、生活扶助費の検討については、物価高騰等、経済等への影響による消費水準の動向を踏まえ基準に反映することを提案要求しております。
 第2項につきまして、電気料金等に対する支援については、全国的な課題であり、国の責任において実施すべきものであります。都は国に対し、生活扶助基準について、被保護者が住み慣れた地域での生活を継続できるよう、大都市の生活実態を踏まえたものとすることを提案要求しております。
 第3項につきまして、国は、生活保護受給者に生活福祉資金の貸付けによる冷房機器の購入を認めております。また、保護開始時や転居の場合などの要件に該当する者に対し、冷房器具の購入に必要な費用の支給を認めております。都は、健康維持管理上必要な場合には、保護開始時等に限らず購入費用を支給できるよう国に提案要求しております。
 続きまして、整理番号12、陳情七第一一号は、日野市の長谷川智哉さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都議会において、生活保護受給者の状況に応じた等級を設けることにより、一人一人に合った生活保護支給額を決定できるように生活保護制度の抜本的改革を求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 生活保護制度は、生活保護法により生活に困窮している方に対して、憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立した生活ができるよう援助する制度でございます。
 生活保護は、生活を営む上で必要な各種費用に対応して生活扶助をはじめ八種類の扶助が支給され、さらに受給者の状況により障害者加算などの加算が設けられております。都は国に対し、生活扶助基準及び住宅扶助基準について、被保護者が住み慣れた地域での生活を継続できるよう、大都市の生活実態を踏まえたものとすることを提案要求しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 三つ、生活保護に関連して陳情が出されていますけれども、私は主に陳情五号、生活保護基準改定に当たって大幅な増額と夏季加算創設等を求める陳情について質疑を行いたいと思います。
 生活保護の基準については、二〇一三年から二〇一五年、安倍政権のとき、生活扶助基準を平均六・五%引き下げ、生活保護費を六百七十億円削減した。これが生活実態を踏まえず、専門的な知見に基づかず、生活保護費一〇%引下げという当時の自民党の選挙公約ありきで進められてきたものです。この結果、今、さらに物価高騰の中で保護費が増えず、逆に減っている中で本当に多くの生活保護受給者の皆さんが苦しんでいます。保護利用者の皆さんは、決して健康で文化的な生活は送っていないというふうに思います。生活保護利用者は、基準の度重なる引下げと物価高で、本当に極めて苛酷な生活を強いられていると思いますが、東京都にはその認識はあるでしょうか、伺います。

○新内生活福祉部長 生活保護の基準は、生活保護法に基づき、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別、その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮して国が定めております。
 都は国に対し、生活扶助基準について、生活保護受給者が住み慣れた地域での生活を継続できるよう、大都市の生活実態を踏まえたものとすること、また、生活扶助費の検討については、物価高騰や経済等への影響による消費水準の動向を踏まえ基準に反映することを提案要求しております。

○里吉委員 今ご答弁いただいたのは、どういう生活保護の基準が必要かということと、多分それに合ってないので、いろいろ要求しているということをお答えいただいたんだと思うんですけれども、私が聞いたのは、生活保護利用者が、今、物価高で、そして基準がどんどん引き下げられて、極めて苛酷な生活を強いられているという認識はありますかということを聞いたんですね。この質問には残念ながらお答えになっていないと思います。
 繰り返しますけれども、今の生活保護基準は、とても最低限度の文化的な生活を送れるものではありません。生活保護利用者の方、入浴は週一回、食事も一日一回、エアコンは壊れて使えず扇風機で過ごすなどなど、それ以外にも本当に様々苛酷な生活を送っている、まずその現実をきちんと見ていただきたいと、向き合っていただきたいと思います。
 東京都は、この夏の猛暑を見越して夏季四か月間の水道基本料金の無償化が示されていますが、夏の猛暑から命を守るためには、この陳情にもあるようにエアコン購入費の支給は欠かせないと思いますが、都の見解を伺います。

○新内生活福祉部長 国は、生活保護受給者に生活福祉資金の貸付けによる冷房器具の購入を認めております。また、保護開始時や転居の場合などの要件に該当する者に対しまして、冷房器具の購入に必要な費用の支給を認めております。
 都は、健康維持管理上必要な場合には、保護開始時等に限らず購入経費を支給できるよう国に提案要求しております。

○里吉委員 これもずっと東京都が国に要求しているのは、私も知っているんですけれども、毎年エアコンがなくて、もしくは使っていなくて亡くなる方がいる中で、国も動かない下で二十三区の中では独自に支援を行っているところも増えてきています。
 今の答弁も、エアコン購入の支給は欠かせないというのはどう思いますかという質問にはお答えいただけなかったんですけれども、生活が本当に厳しい、そういう方々に、お金をためて、もしくはお金を借りてエアコン買いなさいっていっている国に対して、それはひどいですよっていっているだけではやっぱり駄目だと思うんですね。それはいうことは大事です。同時に、都としてもこれは何とかする、エアコン設置の補助を東京都としても始めるということも必要なんじゃないかなと思います。
 国に対してずっと要求し続けているのは知っていますけれども、今回も要求はしていると思いますけれども、併せてそのことについても、都としても動いていただきたいということも求めておきたいと思います。
 さっきもいいましたけれども、熱中症で亡くなった方、室内で亡くなる方が多いんですけれども、エアコンがない、もしくは壊れている、それからエアコンを使っていなかったという方が本当に多いということが明らかになっています。皆さんもよくご存じだと思います。エアコン設置とともに、夏の数か月間は、エアコンの電気代として、例えば生活保護の夏季加算があるべきだという陳情なんです。現在、生活保護には、冬の間の加算はありますが、夏の加算はありません。
 そこで伺いますけれども、生活保護に冬季加算があるのは、どのような理由で加算されているのか伺います。

○新内生活福祉部長 冬季加算は、冬季における光熱費等の増加需要に対応するものとして、十一月から三月までの生活扶助基準に上乗せして支給されるものでございます。

○里吉委員 そうなんですよね。冬の光熱費の増加需要に対する加算ということなんです。灯油代とか昔はそうだったんだと思いますが、そうであるなら、この数年の夏の暑さを考えたら夏のエアコンの電気代などの光熱費の増加需要に対する加算もやっぱり必要で、これについても強く国にも求めていただきたいと思います。
 先ほどもちょっと触れましたけれども、東京都は夏の四か月間の水道の基本料金を無償化して、これは物価高が続く中で家計を助けて、浮いた水道代で猛暑時のエアコン利用を促すということが報道されていました。しかし、生活保護世帯は、もともと水道料金、基本料が免除されていますので、ここでは何の恩恵もありません。ですから国への夏季加算の創設を求めるとともに、都としても電気代の補助なども検討してほしいと思います。かつては、法外援護として夏季見舞金ありましたよね。そういうことを生活保護の制度を変えるために国に強力に求めてもらうことも大事ですけれども、併せて東京都としてもぜひ検討していただきたいと思います。
 もう一つ最後に意見を申し上げます。陳情一一号です。
 陳情一一号は、生活保護制度の抜本的改革を求める意見書の提出を求めるものですが、その内容は、生活保護制度に障害者手帳や障害年金と同じように等級をつけることを求めるものです。生活保護制度は、生活基準の引上げをはじめ、必要な人が全て利用できる制度に改革することこそ必要であり、陳情にあるような改革は必要ではありません。
 よって、陳情四号、五号について採択することを求め質問を終わります。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、陳情七第四号及び陳情七第五号を一括して採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情七第四号及び陳情七第五号は、いずれも不採択と決定いたしました。
 次に、陳情七第一一号をお諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認めます。よって、陳情七第一一号は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、陳情七第六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○梶野障害者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号9、陳情七第六号の障がい児・者個人賠償責任保険事業の実施を求めることに関する陳情は、練馬区の小松凜太さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、愛知県岡崎市が実施する障がい児・者個人賠償責任保険事業、保険料自己負担なしと同様の事業を実施していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 障害者総合支援法では、障害者が地域で安心して暮らし、安全に外出や移動ができるよう、屋外での移動が困難な障害者等に対する移動支援のほか、知的障害または精神障害により行動上著しい困難を有する障害者の外出時に危険を回避するために必要な支援を行う行動援護サービスが位置づけられております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 陳情第六号について一言意見を述べます。
 本陳情は、愛知県岡崎市で実施されている障がい児・者個人賠償責任保険事業と同様の事業を東京都で実施してほしいと求めています。
 岡崎市の事業は、知的障害、精神障害の方の日常生活における偶発的な事故等で発生した法律上の損害賠償責任を補填する保険に岡崎市が加入することで、本人や家族が住み慣れた地域で安心・安全に暮らし続けるためにということを目的に実施されています。保険料の自己負担はありません。補償の対象になるのは、他人にけがを負わせてしまった、お店の商品などを壊してしまった、誤って線路に入り電車を止めてしまったなどの場合ということです。障害を持っている方が地域に出て安心して過ごせる、活動できるようにしていくために一つの支えとなるのではないでしょうか。
 同様の陳情が、練馬区では継続審査になっています。本陳情については採択して、都としても検討していくことを求め意見といたします。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情七第六号は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、陳情七第七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新内生活福祉部長 請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号10、陳情七第七号は、練馬区の小松凜太さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、物価高騰対策の給付金の支援について次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第1項として、国が実施する支援に加えて同様の給付金を実施すること。
 第2項として、給付金の増額または追加給付の実施を国に求めることというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 国は、令和六年十一月、国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策を取りまとめ、低所得世帯の食料品やエネルギー関係等の消費支出に対する物価高の影響のうち、賃上げや年金物価スライド等では賄い切れない部分をおおむねカバーできる水準として、住民税非課税世帯に一世帯当たり三万円を目安として給付しております。
 令和七年五月からは、石油元売に補助金を支給し、ガソリン価格の引下げを行うとともに、冷房需要が高まる七月から九月には、電気代、ガス代への補助を再度実施することとしております。
 都は、経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある方に対しまして、生活困窮者自立支援法に基づき、区市等が設置する自立相談支援機関において包括的な支援が行われるよう必要な助言等を実施しております。
 また、住居を失い不安定な就労に従事している方等に対し、TOKYOチャレンジネットにおきまして、生活相談や一時利用住宅の提供などの居宅支援、就労支援等を一体的に行っているほか、生活困窮者等に食料を提供し適切な支援につなげる地域の拠点となるフードパントリーの設置や運営に対する支援を実施しております。
 国に対しては、物価高騰等により、より厳しい状況に立たされている生活困窮者への効果的な支援策について検討し、その内容を早急に示すことを提案要求しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 陳情第七号について、賛成する立場から一言意見を述べます。
 本陳情は、政府が実施した非課税世帯への給付金では物価高騰の状況から不十分であると述べ、都として国に上乗せして実施すべきであると指摘し、国に対し給付額の増額と追加給付の実施を求めることを求めています。
 共産党としても、都として一人一万円の生活支援給付金の実施を提案しています。物価高騰から暮らしを守る対策として国に求めると同時に、都としてもできることをやっていくという点で、この陳情が求めていることは必要であり、採択すべきと考えます。
 以上です。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情七第七号は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、陳情七第一〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○梶野障害者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号11、陳情七第一〇号の障害者手帳の所持者に対する福祉施策の充実に関する陳情は、日野市の長谷川智哉さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、障害により外出が困難な障害者手帳の所持者に対して食料品の配達事業を実施するなど、福祉施策を充実させていただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 障害者総合支援法では、障害者が地域で安心して暮らせるようホームヘルパーが自宅を訪問して、入浴、排せつ、食事等の介護、食料品の買物や調理、洗濯、掃除などの家事など、生活全般にわたる援助を行う居宅介護サービスが位置づけられております。サービスの利用者負担については、所得に応じた負担上限月額が設定されており、生活保護受給世帯及び市町村民税非課税世帯には負担を求めないこととされております。
 また、精神障害者保健福祉手帳の所持者は、税金の減額、免除、生活保護の障害者加算、生活福祉資金の貸付け、都営交通乗車証の発行等のサービスを受けることができます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 陳情第一〇号について賛成する立場から一言意見を述べます。
 本陳情は、障害により外出が困難な障害者手帳の所持者に対して食料品の配達事業を実施するなど、福祉施策を充実させることを求めています。
 陳情者の方は、精神疾患による抑鬱症状が激しく、一日の大半をベッドの上で寝たきりで過ごしているため労務不能にあり、自炊や外出が困難な状態にあり、無理して動くとその反動で一週間寝込む状態だと述べられています。そういう状態のため、買物にも行けず食料品も調達できない、障害者手帳を持っていても利用できる支援が少ないことを訴えています。陳情者の方は、コロナ禍のときのような食料配達事業のようなものをと具体的に示しています。障害のある方の困難に耳を傾け、できる対策を進めることが必要ではないでしょうか。よって、採択を主張します。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情七第一〇号は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、陳情七第二〇号の一を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○天野子供・子育て支援部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号13、陳情七第二〇号の一は、広島県広島市の全国の児童相談所が行う子供に対する人権侵害を阻止する会の代表、江邑幸一さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、別居、離婚後の共同親権及び共同養育に係る法整備等に関し、子供の最善の利益を実現するため、次の事項を盛り込んだ意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 第1項として、別居、離婚後の原則共同親権制度及び原則共同養育制度を導入し、両親の子育て責任を明確化すること。
 第2項として、一方の親が同意なく子供を連れ去った場合は、子供を速やかに元の場所に戻し、子供の養育について話し合うこと。また、子供を速やかに元の場所に戻すことに応じない場合は、子供を連れ去られた親に暫定監護権を与えること。
 第3項として、主たる養育者の決定は、フレンドリーペアレントルールによるものとすること。
 第4項として、養育費の取決めに合わせ、子供と離れて暮らす親に年間百日以上の面会または養育を義務づけること。
 第5項として、特別養子縁組について、次の事項を実施すること。
 (1)、外国人との特別養子縁組を禁止すること。
 (2)、特別養子縁組後、子供が十八歳になるまでの生存確認を行い、特別養子縁組の継続について子供の意思確認を行うこと。
 (3)、特別養子縁組をした子供の実父、実母の氏名を戸籍から削除しないこと。
 第6項として、離婚前後の親支援講座を廃止し、夫婦や子供等の家庭に関する問題を解決するための学習会を開催すること。
 なお、第7項については、文教委員会に付託されております。
 現在の状況でございますが、第1項につきまして、令和六年に成立した民法等の一部を改正する法律において民法が改正され、改正後の同法第八百十八条第二項により父母の婚姻中はその双方を親権者とするとされており、同法第八百十九条第一項により、離婚後は父母の協議でその双方または一方を親権者と定めることとされております。
 第2項につきまして、一方の親が他方の親の同意なく子供を連れ去った場合は、他方の親は子供の引渡しについて家庭裁判所に調停または審判を申し立てることができるとされております。
 第3項につきまして、父母が離婚する場合、子供の監護をすべき者または子供の監護の分掌は、同法第七百六十六条第一項により、子供の利益を最も優先して考慮し、父母の協議で定めることとされております。父母の協議が調わないときや協議をすることができないときは、同条第二項により家庭裁判所が定めることとされております。
 第4項につきまして、父母が離婚する場合、養育費や面会交流等は、同法第七百六十六条第一項により、子供の利益を最も優先して考慮し、父母の協議で定めることとされております。
 第5項につきまして、(1)、法の適用に関する通則法第三十一条により、養子縁組は縁組の当時における養親となるべき者の本国法によるとされております。なお、国際養子縁組については、児童の権利に関する条約第二十一条(b)により、児童がその出身国内において里親もしくは養家に託されまたは適切な方法で監護を受けることができない場合には、これに代わるる児童の監護の手段として国際的な養子縁組を考慮することが認められるとされております。
 (2)、児童相談所では、国の児童相談所運営指針に基づき、特別養子縁組成立後少なくとも半年間は、児童福祉司による指導等で定期的に子供の生活状況を確認するとともに、養親から相談に応じるなどの援助を行っております。
 また、児童福祉司による指導等を終結するときは、養育状況や子供の状態、学校や地域との関わりの状況などを改めて把握し、チームで協議するとともに、援助方針会議や関係機関間の個別ケース検討会議で十分な検討を行うほか、終結することを子供と養親に説明し、様々な問題が起こり得ることを前提として相談先を具体的に伝えることとされております。
 (3)、子供の福祉を積極的に確保する観点から、戸籍の記載が実親子とほぼ同様となるよう、特別養子縁組の届出がされた場合は、戸籍法により養親の戸籍に記載されている養子の欄に実親の氏名や養子の元の氏、実親の氏は記載されなくなるとされております。
 第6項につきまして、国は、離婚前後親支援事業実施要綱に基づく親支援講座を実施する自治体に対し、その経費の二分の一を補助しております。本事業は、離婚後も子供が心身ともに健やかに育成されるよう、離婚を考える父母やひとり親等を対象に、養育費支払い、親子交流に関する取決めの促進を図るなど、ひとり親家庭の子供及びその家庭の福祉の向上を目的としております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 陳情第二〇号の一について、一言意見を述べます。
 離婚後共同親権の導入に関わる民法改定が国会で可決されましたが、この法改定は、離婚する父母が合意していなくても共同親権を家庭裁判所が強制することができるものでした。真摯な合意がないのに親権の共同行使を強いれば、別居している親による干渉、支配を復活、継続する手段となり、子供の権利や福祉が損なわれてしまう危険があるため、日本共産党は反対しました。
 そもそも民法の親権に関する規定は抜本改正し、子供の権利を実現する、親と社会の責任、責務という位置づけを明確にする必要があります。本陳情は、国会で可決された改定民法より強力に離婚後共同親権の導入を進めるべきという趣旨のものですので、反対です。
 以上です。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認めます。よって、陳情七第二〇号の一は不採択と決定いたしました。

○関野委員長 次に、陳情七第三三号及び陳情七第三四号は、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新内生活福祉部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号15、陳情七第三三号は、世田谷区の太田健一さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、東京大空襲の被害者に対する救済措置を実施していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 国は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等に基づき、軍人等及びその遺族等に対しまして、公務上の傷病及び死亡等に関する弔慰金などを支給しております。
 また、一般戦災者につきましては、年金、医療、社会福祉などの社会保障施策の充実により福祉の向上に取り組むほか、全国戦没者追悼式を開催し、一般戦災死没者の遺族代表を招待するなどの取組を行っております。
 続きまして、整理番号16、陳情七第三四号は、世田谷区の太田健一さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都議会において、東京大空襲の被害者に対する救済措置の実施を求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 国では、平成二十七年八月、空襲被害者等の補償問題について立法措置による解決を考える議員連盟が設立され、立法措置等について議論が行われております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 それでは、東京大空襲被害者に対する救済措置を求める陳情、そして、その意見書の提出を求める陳情二本について質疑を行います。
 東京大空襲から今年で八十年です。それ以外にも日本国内で四百の市町村、四百以上の市町村で無差別に行われた米軍による空襲、原爆の被害者を含め、およそ五十万人の民間人がこの戦争で犠牲になりました。東京でもその被害は十万人以上といわれています。また、戦争孤児は全国で十万人以上となっています。
 戦後八十年を迎えた今になってもなお、国は民間の戦争被害者に何ら補償していないことについて、陳情では、国での救済措置がなされないため、国に先立って東京都で独自の東京大空襲被害者に対する救済措置の実施を求めています。
 そこで、まず、福祉局が行っている戦争被害者に関する制度、どのようなものがあるのか伺います。

○新内生活福祉部長 福祉局では、旧軍人、軍属や、そのご遺族に対する各種恩給や旧軍人等のご遺族に対する各種特別給付金につきまして、旧軍人等からの請求を受け、受給資格について調査の上、国に対する進達等を行っております。また、旧軍人等の公務上の傷病に対し、療養の給付等の援護を行っております。
 さきの大戦で亡くなられた犠牲者の方々のご冥福を祈り、平和を願う都民の強い決意を表すため、一般財団法人東京都遺族連合会と共催で東京都戦没者追悼式等を実施しております。

○里吉委員 戦争当時、軍人として従事した人や家族には恩給法があって、今でも恩給などが支払われている。都も、今確認しましたけれども、その一部の業務を担っているということなんです。
 一方で、空襲被害を受けた民間人は何らの救済も補償もないままとなっています。日本各地への空襲は、無防備都市に対する無差別攻撃であり、当時も国際法違反でした。しかし、日本政府は、サンフランシスコ講和条約によって米国への賠償請求を放棄し、空襲被害についても米国にその責任を求めませんでした。
 こうした中で、全国では、陳情にあるように、愛知県岡崎市、静岡県浜松市、岐阜県岐阜市、そして二〇一〇年からは愛知県名古屋市が独自の見舞金制度を創設し、今年は、都内でも世田谷区が独自に空襲被害者への支援を検討するということになりました。地域でぽつぽつと行われているだけでは、五十万人亡くなった民間人の被害を救うことができません。戦後八十年となる今年、もうこれ以上先送りは許されないと思います。
 そこで伺いますが、都としても国への空襲被害者への救援を求めるべきと考えますが、これまで都として、国に対して空襲被害者への救援を求める要望は上げたことはあるでしょうか、伺います。

○新内生活福祉部長 空襲被害者に対する給付金について、国に対して要望はしておりません。

○里吉委員 ぜひ、この陳情は議会として意見書を上げてほしいというものですけれども、都としても国に対して空襲被害者等への補償を求めていただきたいと思います。そして、陳情にあるように、国が動かないのであれば、東京都として先駆けて救済措置を行う必要があると思います。
 国では、超党派の議員――ご説明にもありましたけれども、平成二十七年八月、空襲被害者等の補償問題について立法措置による解決を考える議員連盟が設立されて、最近もニュースで、ここでどういう議論がされているか報道されていますが、本当に今、戦後八十年の今、動かすべきときということでいえば、私たち都議会議員も都議会としてぜひ意見書を上げて、国の動きを、国会議員の超党派の動きを後押しするべきだと思います。よって、陳情三三号、三四号は採択することを求め質問を終わります。

○中村委員 立憲民主党の中村です。私からも東京大空襲被害者に対する救済措置に関連する二つの陳情に対して質問いたします。
 戦後八十年が経過をいたしました。被害を受けた方々も高齢化をしております、早く対応が必要になります。軍人は恩給など補償があるわけですけれども、民間の人にはありません。原爆等の被害者による法律が特別にあるところは補償されているんですが、普通の空襲被害者には補償がないということです。しかし、どのような状況であれ、戦争の被害者でありまして、本人には何ら落ち度はないわけです。長年空襲の被害で苦しんだ方々をこの戦後八十年という機会にこそ救うべきだと思っています。
 そもそも都は、そういう都民の方々のことをどのように考えているのでしょうか。空襲で被害を受けた方々の状況や人数について、都はどのように把握をしているのか伺います。

○新内生活福祉部長 東京は、昭和十七年四月十八日から昭和二十年八月十五日に至るまで度重なる空襲により甚大な被害を受け、多くの都民が犠牲となりました。生活文化局がご遺族等の申出に基づきまして作成している東京空襲犠牲者名簿には、令和七年三月現在、八万一千五百八十三名のお名前が登載されております。

○中村委員 都が生活文化局の方で把握をされているのは、空襲で亡くなられた方ということになります。今ご存命の方はまだまだいらっしゃるわけですし、例えば空襲で障害が残った方についても、その理由に関係がなく、恐らく障害者ということで、一人の障害のある方ということで数えられているのみになるんだろうと思います。これでは、当然のことながらこの方々の苦しみは分かるはずはありません。しっかりとした対応がやはり必要になってくると思っています。
 国で対応すべき話だということではありますけれども、今後、国の方の動向も見なければなりませんが、少なくとも国が実施するまでの間、自治体が先行して行うということは他の事業でもよくある話です。既に岡崎市や名古屋市、岐阜市で行われ、今後、都内でも世田谷区で検討もされているとのことです。
 私は、都としても実施を検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。お答え願います。

○新内生活福祉部長 空襲被害者に対する補償につきましては、平成二十七年八月、空襲被害者等の補償問題について立法措置による解決を考える議員連盟が設立され、国において立法措置などの議論が行われております。

○中村委員 あくまで国でということであります。国がやることには、当然そうなんですけれども、自治体としても、国がやるまでについては、自治体として必要があれば独自で行うということがあってもいいわけですし、むしろ自治体が積極的に行って国をリードしてもよいと思っています。身近な自治体として、自らの住む住民が長年苦しんできたことに対して報いるのは当然だと思っていますし、時間が経過したことを考え、最低限、戦後八十年ということですから被害を受けられた方は八十歳以上ですから、そういった点ではそれだけ人数も減ってきているわけですし、だんだん必要な予算としても少なくはなっていきます。だからこそ、今こそ、こういった苦しんでいる方々が高齢を迎えてそのまま亡くなっていくということではなくて早く補償していくべきだというふうに思います。
 国が対応すべきだということではありますけれども、都としても国に意見も出していただきたいと思います。都議会でも今この陳情審査を行っていますが、採択を求めたいと思いますが、採択されれば都議会からも意見を出すことになりますけれども、ぜひ並行して都の方からも国に対して意見を出していただきたいということを要望いたしまして質問を閉じます。

○さんのへ委員 私は、東京都において東京大空襲の被害者に対する救済措置を実施すべきであること、併せて、国に対して救済措置の実施を求める意見書を提出すべきであるという二点に賛同の立場から質疑をします。
 まず、東京大空襲において犠牲になられた民間の方々のお名前について、東京都として把握をしているのか伺います。

○新内生活福祉部長 都では、生活文化局におきまして、昭和十七年四月十八日から昭和二十年八月十五日までの東京都内における空襲で亡くなられた方につきまして、ご遺族等の申出に基づいて東京空襲犠牲者名簿を作成しております。東京空襲犠牲者名簿には、令和七年三月現在、八万一千五百八十三名のお名前が登載されております。

○さんのへ委員 東京都生活文化局の方で、お亡くなりになられた方については名簿を作成し、今年三月時点で八万一千五百八十三名の方々のお名前が記録されているとのことです。
 次に、東京大空襲で被害を受けた民間の方々のうち、現時点でもご存命の方々のお名前について、東京都として把握しているか伺います。

○新内生活福祉部長 東京空襲犠牲者名簿は、空襲で亡くなられた方を対象としており、ご存命の方は登載されておりません。

○さんのへ委員 東京都として、東京大空襲により亡くなられた方のみを把握しているという状況であることが分かりました。
 極めて重大な問題として申し上げなければならないのは、東京都が東京大空襲の被害者のうち現在どれほどの方がご存命でいらっしゃるのか、その実態が把握できていないという事実です。国においても東京大空襲の被害者の実態調査は行われておらず、正確な人数は把握されておりません。私の地元江東区にある東京大空襲・戦災資料センターでは、民間団体が独自に証言者の登録を進めていますが、その数は数百人程度にとどまっております。こうした現状を踏まえると、時間的猶予は極めて限られており、実態調査と救済措置は一刻を争う状況にあります。
 他の自治体においては、例えば大阪市では、独自の空襲見舞金制度を創設するなど実効的な支援が始まっています。東京都としても、まずは空襲被害者と生活実態を把握し、必要な支援を講じることが急務であると考えます。
 国会においても超党派の空襲議連が救済法案の原案を正式決定し、今国会での提出成立を目指すとの報道がありました。東京都としても、既に、被害者に対する補償や見舞金支給など法的根拠に基づく恒久的な制度の整備を求める意見書を提出するべきであると考えます。
 以上です。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、陳情七第三三号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○関野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情七第三三号は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情七第三四号をお諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認めます。よって、陳情七第三四号は趣旨採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分で、執行機関に送付することを適当と認めるものについては、これを送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三十六分散会