厚生委員会速記録第三号

令和七年三月十七日(月曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長関野たかなり君
副委員長玉川ひでとし君
副委員長浜中のりかた君
理事伊藤しょうこう君
理事藤井とものり君
理事荒木ちはる君
こまざき美紀君
さんのへあや君
うすい浩一君
原 のり子君
高倉 良生君
山加 朱美君
里吉 ゆみ君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
保健医療局局長雲田 孝司君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務吉原 宏幸君
保健政策部長小竹 桃子君
医療政策部長新倉 吉和君
都立病院支援部長鈴木 和典君
健康安全部長中川 一典君
感染症対策部長内藤 典子君
政策推進担当部長宮澤 一穂君
地域保健担当部長井上 俊治君
医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務岩井 志奈君
食品医薬品安全担当部長早乙女芳明君
感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長
健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
感染症対策調整担当部長松谷いづみ君
感染症対策調整担当部長小原  昌君
福祉局子供・子育て施策推進担当部長瀬川 裕之君

本日の会議に付した事件
意見書について
保健医療局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 保健医療局所管分
・第五号議案 令和七年度東京都国民健康保険事業会計予算
・第八号議案 令和七年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百四十号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構に対する出資について
・第百四十一号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構定款の変更について
・第百四十二号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構中期目標の変更について
・第百四十三号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構中期計画の変更の認可について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第二号 子どもの属する世帯に係る国民健康保険料又は国民健康保険税の補助に関する条例

○関野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○関野委員長 次に、予算調査について申し上げます。
 令和七年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和七年三月十四日
東京都議会議長 増子ひろき
(公印省略)
厚生委員長 関野たかなり殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(金)午後五時

(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 令和七年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六号議案 令和七年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七号議案 令和七年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第八号議案 令和七年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算

(別紙2省略)

○関野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、保健医療局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより保健医療局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 初めに、第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、保健医療局所管分、第五号議案、第八号議案及び第百四十号議案から第百四十三号議案までを一括して議題といたします。
 なお、本日の予算の調査については、関連のある福祉局の理事者にもご出席いただきます。ご了承願います。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○船尾総務部長 去る二月十四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。資料は全部で二十五項目となってございます。
 それでは、一ページをご覧ください。1、二次保健医療圏別NICU病床整備状況でございます。
 令和七年一月一日現在の各二次保健医療圏におけるNICU病床数を記載してございます。
 二ページをご覧ください。2、療養病床を有する医療施設数及び療養病床数(医療保険適用・介護保険適用)の推移並びに介護医療院の施設数及び定員でございます。
 (1)に、令和五年から令和七年までの各年一月一日現在の療養病床を有する医療施設数及び療養病床数の推移を、(2)に、令和七年一月一日現在の介護医療院の施設数及び定員をそれぞれ記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、被爆者の子の健康診断受診票の交付者数及び健康診断受診状況の推移でございます。
 (1)に、令和元年度から令和五年度までの健康診断受診票交付者数の推移を、(2)に、同期間における一般検査及びがん検診受診者数の推移をそれぞれ記載してございます。
 四ページをご覧ください。4、新型コロナウイルス感染症に関連した死亡者数の推移でございます。
 令和六年一月から九月までの新型コロナウイルス感染症に関連した死亡者数の推移を記載してございます。
 五ページをご覧ください。5、保健医療局所管の政策連携団体及び地方独立行政法人における障害者雇用人数及び障害者雇用率の推移でございます。
 令和四年から令和六年までの各団体における障害者の雇用人数及び雇用率の推移を記載してございます。
 六ページをご覧ください。6、高齢者等医療支援型施設における施設ごとの延べ患者受入数の推移でございます。
 施設別の開設日、稼働床数並びに令和四年二月から令和六年三月までの月別の患者受入れ人数及びそのうち救急患者受入れ人数の推移を記載してございます。
 七ページをご覧ください。7、都立病院機構の病院における医師の診療科別現員でございます。
 八ページにかけまして、令和七年二月一日現在の各病院における診療科別の現員を記載してございます。
 九ページをご覧ください。8、都立病院機構の病院における職種別現員でございます。
 一五ページにかけまして、令和七年二月一日現在の各病院における職種別の現員を記載してございます。
 一六ページをご覧ください。9、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における看護要員の採用者数及び退職者数の推移でございます。
 二二ページにかけまして、令和元年度から令和五年度までの各病院における看護要員の採用者数及び退職者数の推移を記載してございます。
 二三ページをご覧ください。10、都立病院機構の病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数でございます。
 令和五年度の各病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数を記載してございます。
 二四ページをご覧ください。11、都立病院機構の病院における研修医受入状況でございます。
 二五ページにかけまして、(1)に、令和五年度及び令和六年度の各病院における初期臨床研修医の現員を、(2)に、同期間の各病院における後期臨床研修医の現員をそれぞれ記載してございます。
 二六ページをご覧ください。12、都立・公社病院及び都立病院機構の病院におけるPFI事業に係る経費の推移及び累計並びに各事業の契約額でございます。
 二七ページにかけまして、(1)に、令和二年度から令和六年度までの各事業における経費の推移及び累計額を、(2)に、令和七年二月一日現在の各事業の契約額をそれぞれ記載してございます。
 二八ページをご覧ください。13、一般会計繰入金、運営費負担金、運営費交付金及び保健医療公社への運営費補助金(施設整備関連経費以外)の推移でございます。
 三一ページにかけまして、一般会計繰入金、運営費負担金、運営費交付金及び保健医療公社への運営費補助金のうち、各病院における施設整備関連経費以外の経費の推移を記載してございます。
 三二ページをご覧ください。14、一般会計繰入金、運営費負担金、運営費交付金、保健医療公社への運営費補助金とその施設整備関連経費の推移でございます。
 (1)に、令和三年度から令和七年度までの一般会計繰入金、運営費負担金及び運営費補助金と、そのうち施設整備関連経費の推移を、(2)に、令和四年度から令和七年度までの運営費交付金と、そのうち施設整備関連経費の推移をそれぞれ記載してございます。
 三三ページをご覧ください。15、令和七年度予算案のうち都立病院機構への運営費負担金の項目における令和六年度の項目からの変更点の有無及びその内容でございます。
 変更点の有無及びその内容を記載してございますが、変更はございません。
 三四ページをご覧ください。16、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における経営指標の推移でございます。
 三七ページにかけまして、入院、外来別に、各病院における令和二年度から令和六年度までの経営指標の推移を記載してございます。
 三八ページをご覧ください。17、都立病院機構における病院間での医師の兼務発令の状況でございます。
 令和七年二月一日現在の各病院における兼務が発令されている医師の所属、兼務先及び人数を記載してございます。
 三九ページをご覧ください。18、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における看護要員の離職率(既卒・新卒別)の推移でございます。
 四〇ページにかけまして、(1)に、令和元年度から令和五年度までの各病院における既卒の看護要員の離職率の推移を、(2)に、同期間の各病院における新卒の看護要員の離職率の推移をそれぞれ記載してございます。
 四一ページをご覧ください。19、都立病院機構の病院における専門看護師及び認定看護師の人数及び看護分野の内訳でございます。
 四三ページにかけまして、(1)に、令和七年二月一日現在の各病院における専門看護師の人数を、(2)に、同時点の各病院における認定看護師の人数をそれぞれ看護分野別に記載してございます。
 四四ページをご覧ください。20、都立病院機構の病院における看護要員の夜勤回数の分布でございます。
 四五ページにかけまして、(1)に、令和六年十月の各病院における三交代制勤務の夜勤回数別勤務者数を、(2)に、同期間の各病院における二交代制勤務の夜勤回数別勤務者数をそれぞれ記載してございます。
 四六ページをご覧ください。21、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における一直二勤務の実施病院及び実施科の推移でございます。
 五〇ページにかけまして、令和二年度から令和六年度までの各病院における一直二勤務の実施科を記載してございます。
 五一ページをご覧ください。22、助産所設備整備費補助事業の実績でございます。
 令和五年度に補助を行った施設数を区分別に記載してございます。
 五二ページをご覧ください。23、助産所と嘱託医療機関等との連携支援事業の主な内容でございます。
 相談窓口の設置等、事業の主な内容を記載してございます。
 五三ページをご覧ください。24、自殺未遂者対応地域連携支援事業における支援件数の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの支援件数及び内訳の推移を記載してございます。
 五四ページをご覧ください。25、患者の声相談窓口に寄せられた相談件数及び対応状況の推移でございます。
 五五ページにかけまして、(1)に、令和元年度から令和五年度までの相談件数の推移を、(2)に、同期間の対応状況の推移をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○関野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、私の方から何点か質問をさせていただきます。
 まず初めに、オーラルフレイル対策についてお伺いをいたします。
 身体機能の低下は口の機能の衰えから始まるといわれており、私は過去の質疑の中でも、高齢期に健康な状態をより長く維持するためにはオーラルフレイル対策が重要だと主張し、都の取組や支援の状況を伺ってまいりました。
 東京都が来年度新規事業に掲げている後期高齢者医療歯科健康診査事業は、歯科保健対策に取り組む市区町村が、まさにそうした対策をさらに推進していくための足がかりになるものだと思います。
 そこで、後期高齢者歯科健診に対する新たな補助事業を活用して、後期高齢者のオーラルフレイル対策に取り組む市区町村への支援をさらに充実すべきと考えますが、見解を伺います。

○井上地域保健担当部長 後期高齢者のオーラルフレイル対策として、東京都後期高齢者医療広域連合では、国の補助事業を活用して後期高齢者への歯科健診を実施する区市町村に対し補助を行っております。
 都は、区市町村の取組のさらなる拡充を図るため、来年度から新たに、自己負担なしで口腔機能の評価を含めた歯科健診を実施する区市町村に対し、広域連合を通じて、都独自に国の補助額と同額の上乗せ補助を行ってまいります。
 また、広域連合と連携して、区市町村の主幹課長会や担当者向け説明会において支援拡充の趣旨を丁寧に説明し、補助事業の活用を積極的に働きかけてまいります。

○浜中委員 ご答弁いただきましてありがとうございました。今答弁にあったように、自己負担なしで口腔機能の評価を含めた歯科健診を実施する市区町村を、都独自に、国の補助額と同額で上乗せをして支援をしていくよということでありました。
 いうまでもなく、口の健康、食べるとか、そういったものが機能できると健康で長生きできるということが分かっていると。逆に、口が衰えて食べられなくなってしまうと健康を損ねてしまって、結果、認知症も含めて医療費が増えてしまうということでありますから、未然に口の健康を維持していくということはとても大切だと思います。
 ただ、市区町村によっては、当然温度差があるところもあると思うので、こういうすばらしい事業は、各市区町村に問いかけをして、ぜひやっていただくことが都民の健康をより長くする、いいものにすると思いますので、歯科医師会の皆さんですとか地域の皆さんとちょっと協力しながら丁寧に進めていただければと思いまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、在宅医療現場におけるハラスメント対策についてお伺いをいたします。
 在宅医療の現場においては、医師や看護師などが患者や家族からハラスメントを受ける例もあり、都が令和四年に行った都内の在宅医療従事者を対象とした調査では、約二割が身体的な暴力を、そして約五割が言葉による暴力を受けたとのことであります。
 こうした状況も踏まえて、都では今年度から、在宅医療現場におけるハラスメント対策事業を開始しておりますが、取組状況についてお伺いをいたします。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 在宅医療現場においては、医療従事者が安心して医療に従事できますよう、都は今年度から、在宅医療現場におけるハラスメント対策事業を開始いたしました。
 具体的には、昨年七月に在宅医療ハラスメント相談窓口を設置し、在宅医療現場での患者や、そのご家族からのハラスメントの相談を電話やメールで受け付けているほか、法律相談にも対応しており、二月までに三十四件の相談がございました。
 また、二月に在宅医療従事者を対象としたハラスメント対策の基礎知識や対応事例を学ぶ研修を開催し、二百四十二名が受講をいたしました。

○浜中委員 ただいまの答弁で、相談窓口に医療従事者からの相談が来ており、また、研修にも二百人を超える参加者があったということからも、ハラスメント対策の重要性がうかがえます。
 こうした中、東京都では、カスタマー・ハラスメント防止条例が四月から施行され、防止の取組が本格化していきます。在宅医療現場におけるハラスメント対策についても、来年度、予算額が二千万から四千九百万円に増額となっておりますが、拡充した内容について伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 来年度は、今年度実施した相談窓口の設置や研修に加えまして、訪問診療を行う医療従事者のセキュリティ確保に向けた支援を開始いたします。
 具体的には、防犯ブザーや防犯ボタン付携帯電話などの防犯機器の導入費用につきまして、一施設当たり十万円を上限に、その二分の一を補助いたします。

○浜中委員 ただいまご答弁いただきましたけれども、医療従事者が安心して在宅医療に従事できるように、防犯機器の導入を支援するとのことであります。ぜひ、多くの施設に活用してもらえるように、しっかり周知をしていただきたいというふうに思います。
 都でカスタマー・ハラスメント防止条例ができたといっても、在宅医療の現場では徹底をといってもなかなか難しいところがあると思います。そうすると何が起こるかというと、やはり行くのが嫌になっちゃうと、もう実際、人手不足とかっていうふうになると、働いてくれる人がいなくなっちゃうっていうことも考えられるわけであります。
 したがいまして、この在宅医療におけるハラスメント対策っていうのは、患者さんから診てくれる人に暴力を振るったり、暴言を吐いたりとかっていうのはやっぱりあってはならないことだと思いますので、これから在宅医療を広げていくという意味でも、今回の対策も含めてしっかりやっていただければと思いまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、災害時在宅医療提供体制強化事業についてであります。
 昨年の第四回定例会において、災害時にも在宅療養患者の安全確保や在宅医療提供の継続を図っていくべきだという我が党の提案に対して、都としても必要な取組を検討していくとの方針が示され、来年度予算で災害時在宅医療提供体制強化事業を新たな取組として盛り込んだことを評価したいというふうに思います。
 そこで、どのように取り組んでいくのかということをお伺いいたします。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 来年度新たに実施する災害時在宅医療提供体制強化事業では、訪問診療を行う医療機関等の災害対応力強化に向けたセミナーを開催いたします。
 また、災害時における地域全体の医療提供の継続と早期復旧を目的とする地域BCPの策定など、在宅医療における災害対応体制の構築に取り組む区市町村を対象としたモデル事業を令和七年度から令和九年度に実施し、そこで得られた成果を踏まえ、区市町村向けの地域BCP策定等の手順書を作成いたします。
 こうした取組によりまして、災害発生時における継続した在宅医療提供体制を確保してまいります。

○浜中委員 ありがとうございました。災害時のように診療機能が制限される中でも、在宅療養患者への医療を引き続き提供できる体制を構築することは重要であります。今ご答弁いただいた取組を着実に進めていただきたいというふうに思います。
 やはり、医師だけとかだとなかなか難しいものがあって、いい事例とかっていうものを、共通した、今回モデル事業をやられるということでありますけれども、それをしっかりまとめて手順書とかをつくって、簡単にBCPができるような形で実効性のあるものにしていただければと思いまして、次の質問に移ります。
 最後に、小児インフルエンザワクチンの任意接種の補助についてであります。
 東京都が子育て支援の一環として令和六年度から実施している、十二歳以下を対象とした小児インフルエンザワクチン接種費用の補助については、有意義な取組であると評価をしております。
 十一月二十八日の事務事業でも、私、質問をしましたが、昨年十月から二歳以上十九歳未満として、鼻に噴霧するタイプのワクチンが国内で流通をしております。経鼻ワクチンは、注射が不要のため小さなお子さんも受けやすいという利点があります。回数も一回で済みます。
 そこで、選択肢を増やすという観点から、令和七年度から、この経鼻ワクチンも補助の対象とすべきと考えますが、都の対応についてお伺いをいたします。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は今年度、子育て支援の一環として、小児インフルエンザワクチン任意接種について、注射による二回接種が必要な十三歳未満の接種費用が、一回接種である十三歳以上と同等になるよう、区市町村への財政支援を開始いたしました。具体的には、十三歳未満の接種費用の負担軽減を行う区市町村に対し、一回当たり上限千円まで区市町村負担分と同額を補助するもので、来年度も継続してまいります。
 経鼻ワクチンは接種回数が一回で、注射に比べ、特に小さなお子さんの身体的負担も軽いと期待されており、昨年十月から国内での流通が始まったことから、接種実績や今後の流通状況等を注視してまいります。

○浜中委員 接種を受けるお子さんの身体的負担が少ない経鼻ワクチンの接種を望む声もありますから、ぜひ検討していただきたいと。
 私も子供をワクチン接種に連れていったことあるんですけど、やっぱり、皆さんも行かれたと思うんですが、泣き叫んで大変なんですよね。注射で前の子が泣いたらみんな泣いちゃうみたいな話で。ただ、この鼻の噴霧のやつというのはちくってするわけではないですから、あっという間に終わってしまうし、回数も一回と。ただ、メリットもあればデメリットもございますので。あと、流通のシェアも非常に低いということもありますし、その辺の論点を整理していただいて、東京都の、このインフルエンザの任意接種の補助って本当に喜ばれておりますので、それを、こういう新しいものが出たときに柔軟に対応していただければと思いまして、私の質問を終わります。

○こまざき委員 都民ファーストの会のこまざき美紀です。よろしくお願いします。
 まず初めに、無痛分娩費用助成事業について伺います。
 都では、無痛分娩を希望する女性が費用やリスクを理由に無痛分娩を断念することなく、安心して出産できる環境を整備するため、無痛分娩に係る費用を最大十万円助成、規模は九千五百件を見込んでいます。
 私自身、無痛分娩経験者であります。二〇一六年及び二〇一八年の各国の周産期調査によりますと、アメリカは七割以上、フランスでは八割以上が無痛分娩を選択するという調査結果もあり、無痛分娩は出産時の痛みの緩和だけでなく、産後の回復も早く、心身のゆとりを持って子育てができるようになるため、本事業を高く評価しております。
 一方で、懸念事項もあり、よりよい制度となるよう期待を込めて質問します。都内でも無痛分娩ができる施設、実施できる人数には限りがあります。厚労省が発表した二〇二三年の東京都の出生数は年間約九万件、一方で、本事業の予算案では、半年で九千五百件を見込んでいます。出生数分のお産を見込めば、希望する方を少なめに見積もって三割としても大幅な不足が予測されます。現状でも、無痛分娩を希望する方から、予約が埋まっていて無痛分娩できないとの声も上がっていると医師から伺っています。
 助成制度が始まることで希望者のさらなる増加が見込まれることから、希望する都民が安心して無痛分娩を選択できるよう医療機関を確保すべきと考えます。また、費用助成が始まった後も、医療機関の数が都民ニーズに応えられる状況になっているか確認していくべきと考えており、併せて都の見解を伺います。

○新倉医療政策部長 都は、無痛分娩の費用助成の対象医療機関について、原則として、国が作成しました無痛分娩の安全管理対策等に関する自主点検表の全項目を満たすことを要件としております。
 都の調査では、都内分娩取扱施設の半数以上が無痛分娩を実施しており、そのうち自主点検表に定める研修受講の項目を満たしていない施設が約四割となってございます。このため、無痛分娩取扱施設が自主点検表の項目を充足できるよう、急変対応に関する研修受講の機会を提供してまいります。
 また、周産期医療協議会におきまして、費用助成開始後の無痛分娩の実施状況などを確認してまいります。

○こまざき委員 どうもありがとうございました。無痛分娩実施に関する補助をいただけるとのことで、スキルを伴わないまま無痛分娩の取扱いを検討する施設も既に出てきていると、現場の婦人会から懸念の声が上がっています。
 二〇一七年に、相次いで重篤な無痛分娩の事故が報道されました。母体の死亡や深刻な後遺症を残すといったことが起きてしまいました。都として、このような事故を未然に防ぎ、安全性を確保するための対策が必要です。
 そこで、施設基準など、どのような対策を講じる予定なのか伺います。

○新倉医療政策部長 都は、対象医療機関における自主点検表の充足状況につきまして、九月中旬までに現地調査等により確認を行います。その後も、定期的に実施いたします医療法に基づく立入検査によりまして継続的に確認を行ってまいります。
 また、急変対応に関する研修の実施に加え、周産期医療に関する地域連携会議におきまして、無痛分娩についても取り上げ、副作用や合併症、麻酔方法等に関する最新の知見の情報共有も行ってまいります。

○こまざき委員 ありがとうございます。医療機関としっかりと情報共有いただきながら安全対策を講じていただくことを求めたいと思います。
 無痛分娩は痛みが軽くなる魔法ではなく、リスクも発生します。副作用のほか、分娩の進行がゆっくりになるなど、吸引、鉗子分娩など産道が大きく傷つくお産が増えるリスクも上がるといいます。
 また、無痛分娩においては、陣痛が来て子宮口が一定程度開いた段階で麻酔を始める分娩と、陣痛から計画的に行う無痛分娩がございます。分娩に有効な陣痛はあるものの、後者の方がより、二時間以上分娩が進行しない状況、いわゆる分娩停止が起こるリスクが高くなる場合もあるとのことです。こうした情報も都民に周知した上で選択いただく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○瀬川福祉局子供・子育て施策推進担当部長 都は、事業開始に先立ち、無痛分娩に関する専用ホームページで、日本産科麻酔学会が公表しております無痛分娩Q&Aを周知し、情報提供をしております。
 今後、妊婦が自らの出産方法を安心して選択できるよう、分娩の流れ、硬膜外鎮痛法を用いた無痛分娩の特徴やリスク等を盛り込んだ動画を作成し、ホームページで公開するほか、助成金の対象医療機関を通じまして動画の視聴を案内してまいります。

○こまざき委員 妊婦が出産方法を安心して選択できるよう、動画を作成し、周知に努めていただけるとのこと、ありがとうございます。ぜひ、分かりやすい内容での周知をよろしくお願いいたします。
 都内でも出生数が減っており、どの産院も経営が大変な局面にあります。そのような中で、無痛分娩に係る補助金をいただいた上で、その後に料金の値上げをした場合、便乗値上げといって批判されるのではないかという心配もあると伺っています。将来において、そのような風評被害に脅かされることがないよう、産院が丁寧に都民に説明するとともに、都としても産院を支えていくことが重要と考えています。
 懸念事項もありますけれども、ぜひ妊産婦や産院、医師が安心して本事業を受け入れ、希望する方が無痛分娩を選択できるよう、さらなる取組を求めて、次の質問に移ります。
 飼い主の急な入院や施設入所等で、大切な家族の一員でもあるペットの行き場がなくなるケースが増えています。特に、東京都では一人暮らしの高齢者の割合が増えており、世帯全体のうち、高齢者単独世帯が占める割合は、二〇〇〇年から二〇年の間で二・四倍に増え、二〇三五年には世帯全体の約一五%に達するとも推計されています。
 また、一般社団法人ペットフード協会の調査によりますと、中高年世代の多くがペットを飼っていることが分かっています。ペットとの共生は高齢者の健康維持や社会参加を促し、フレイル予防や介護費削減に寄与します。特に、犬の散歩の習慣は健康寿命を延ばし、交友機会を増やすことから、地域環境の整備が進めば持続可能な福祉にもつながるとの報告もあります。
 一方で、高齢者のペット飼育については、病気や加齢などで世話ができなくなる飼育崩壊、ペットがいることで高齢の飼い主が入院や施設入所を拒むこと、入所後のペットの預かり先の問題等、様々な課題があります。
 地元北区においても同様で、特に飼い主が急なご病気等でご自宅から離れる場合のペットの預かり先が確保できず、大変苦慮されているケースが散見され、ご意見をいただいています。今後もこうしたケースは増加すると考えられ、都として、地域団体、ボランティア、保健所、福祉関連部署が連携しながら、取組を進める区市町村への後押しの強化が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○中川健康安全部長 高齢者は、体力の低下や健康上の理由などから動物を適切に飼うことが困難になり、生活環境の悪化につながることもあります。
 都は、動物を飼い続けることが難しくなった場合に、身近な地域で相談ができ、一時預かりや新しい飼い主への譲渡などの支援を受けられる体制づくりにボランティア等と連携して取り組む区市町村を包括補助で支援しておりまして、今後とも高齢者が動物を適切に飼い続けられる環境づくりに取り組んでまいります。

○こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。包括補助事業において補助を実施しているとのことですが、事業開始以降、どれぐらいの自治体が活用しているか伺います。

○中川健康安全部長 都は、地域の実情に応じた動物愛護の取組を効果的に進めるため、動物の相談支援体制整備に関する包括補助を令和二年度に開始いたしました。令和二年度は一自治体で事業を実施し、事業説明会などを通じて区市町村への働きかけを行い、令和三年度は三自治体、令和四年度は十三自治体、令和五年度は十六自治体、今年度は二十自治体で活用されております。

○こまざき委員 ありがとうございます。都内六十二区市町村中、二十自治体ということで決して多いとはいえませんが、必要な自治体が導入していただけるよう、周知強化を求めたいと思います。
 さて、民間団体が主催する、ペットと一緒に老い支度という講座は大好評でした。飼い主が突然施設入所、入院になったらどうなるのか。人生の先を見据え、元気なうちからできること、ペットの終活について、同じ世代、境遇の方々が学びます。ペットを飼うということは大切な家族の一員が増える喜ばしいことではありますけれども、同時に飼い主は大切な命を預かることとなり、責任が生じることにもなります。そのため、前述したペット飼育に関する学習会等による周知は大変効果的と考えます。
 一方で、学習会に足を運べない方もいます。特に高齢者は介護や病気によりペットを飼い続けることが困難となる可能性があるため、飼い主を把握しやすい福祉職などを通じて啓発をしていくことも重要です。併せて都の見解を伺います。

○中川健康安全部長 都は、飼い主が最後まで責任を持って動物を適正に飼うことができるよう、動物の飼い方などを分かりやすく伝える適正飼養講習会を毎年度実施しております。講義内容は動画で配信し、広く都民への周知を図っております。
 高齢者への啓発につきましては、シニア世代になっても動物と安心して暮らすためのポイントを詳しく解説したパンフレットを作成し、昨年度作成した概要版とともに、区市町村の窓口や動物愛護のイベントなどで配布するほか、都の動物情報サイトでも紹介しております。
 また、地域で高齢者の支援に関わる区市町村の福祉部門の職員や民生委員等の参考となるよう、会議などの場を活用しながら、動物を飼っている高齢者に起こり得ることなどをパンフレットを使いながら説明しております。
 今後も、様々な機会を通じて飼い主の意識向上に向けた取組を一層推進してまいります。

○こまざき委員 ありがとうございます。周知に関しては、SNSへの広報も有効と考えます。九月二十日から二十六日までの動物愛護週間や、都独自に設けた十一月の譲渡促進月間などの機会を捉えて、高齢者とペットが安心して暮らすために必要な情報を周知、拡散いただくことを求めます。
 また、介護保険の対象外となっているペットの世話、ペットに関する買い物などについても課題です。高齢者本人の体調不良等においてご自身ができない場合には、民間事業者等が有料でその穴を埋めてくださっていますが、支払いが困難な方がいるなど、今後も対策が必要と考えています。
 まだまだ課題は残りますが、ペットも大切な生き物であり、取り残されることがないよう取組を進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 受動喫煙防止対策について伺います。
 二〇二五年四月に、東京都受動喫煙防止条例の全面施行から五年を迎えます。本条例の施行により、都内において、お子様連れのご家庭や、呼吸器のご病気を抱える方なども、望まない受動喫煙に脅かされることなく、安心して外食ができるようになったとの喜びの声が多数届いています。私自身も子育て当事者であり、この条例に助けられた一人であります。都の取組を高く評価しています。
 まず、屋外での喫煙対策について質問します。
 屋外の喫煙所に目を向けると、地元北区においては、たばこの煙が漏れることで苦情が多いパーティション式の喫煙所から、都の補助事業を活用した密閉式喫煙所の設置が予定されている場所もあり、区民から大きな期待が寄せられています。
 新年度予算案において、受動喫煙防止の強化対策として、屋内、屋外公衆喫煙所の整備に関する予算計上がございますが、その詳細について伺います。

○小竹保健政策部長 都は、受動喫煙を生じさせることのない社会環境を整備するため、区市町村が地域の実情に応じて取り組む公衆喫煙所の整備を、包括補助により補助率二分の一で支援しております。来年度は、これまでの申請額等を踏まえ、屋外公衆喫煙所の整備について、煙が漏れにくいコンテナ型一か所当たりの補助基準額を一千万円から一千七百万円に引き上げ、支援を拡充いたします。

○こまざき委員 ありがとうございます。これまでの実績を踏まえて、密閉式喫煙所では、一か所当たりの上限額を七百万円増額する予定とのことです。
 ここで、これまでの東京都補助による密閉式喫煙所を含めた喫煙所整備数と、東京都補助を活用し喫煙所設置を実施している区市町村数について伺います。

○小竹保健政策部長 都の補助を活用して整備された公衆喫煙所の数は、補助を開始した平成三十年度から令和五年度までに計三百四十か所、補助を活用したのは二十二区二十一市二村の計四十五自治体でございます。

○こまざき委員 ありがとうございます。喫煙所の形態については、場所や地域事情がございますので一概に密閉式がよいとはいえませんけれども、本事業がスタートして六年間で三百四十もの喫煙所設置に貢献できたことが分かりました。喫煙者も、非喫煙者も、気持ちよく過ごせる環境づくりに一層努めていただきたいと思います。
 こうした喫煙所の整備がどんどん進められている一方で、喫煙者への取組も重要です。三月十二日に行われた予算特別委員会において、我が会派の小山都議から受動喫煙防止に関する質疑がありました。東京都からは、目標を定めている健康推進プラン21において成人喫煙率一〇%未満を目指す旨のご答弁がありました。この数値は、国が掲げる令和十四年度を期限に一二%まで減少という目標よりもさらに高いものとなっており、国を牽引する目標を掲げていることを大変心強く思っています。
 令和十年の喫煙率を指標に中間評価、そして令和十三年の喫煙率を指標に最終評価を実施する予定と認識していますが、令和十七年度までに目標を達成するため、どのようにPDCAサイクルを回していく予定か伺います。

○小竹保健政策部長 都は、健康推進プラン21で掲げる目標達成に向け、進捗管理等を行う場といたしまして、学識経験者や関係団体等で構成する健康推進プラン21推進会議を設置しております。推進会議や、その下に設置する部会では、指標の達成状況に加え、禁煙治療費助成を行う区市町村への支援や、たばこの健康影響に関する普及啓発などの取組状況を毎年確認し、評価を行っており、必要に応じて取組の見直しを行ってまいります。

○こまざき委員 喫煙率を減らすに当たり、希望する一人でも多くの方が禁煙に成功できるよう支援をすることが重要です。それには、都の包括補助事業を活用した区市町村による禁煙治療費助成制度も大変効果的だと考えます。
 しかし、喫煙者が禁煙してみようかなと思ってもらえるような動機づけも同時に力を入れていかなくてはなりません。禁煙外来の啓発、たばこの害の周知について、直接喫煙者に届くように、喫煙所内の周知啓発を行うなどさらなる強化対策が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○小竹保健政策部長 都は、喫煙率の減少に向けまして、区市町村や関係団体とも連携し、たばこの健康影響に関する普及啓発や禁煙を希望する人への情報提供を行っております。
 今後、公衆喫煙所で直接喫煙者に働きかける啓発などの効果的な事例につきまして、毎年行っている担当者連絡会を通じて区市町村と共有を図るなど、喫煙率を下げるための取組を強化してまいります。

○こまざき委員 ありがとうございます。新たな喫煙者を増やさないためにも、特に若年層や二十代に対するアプローチが必要と考えます。都の取組と見解を伺います。

○小竹保健政策部長 都は、児童生徒が喫煙や受動喫煙に関する正しい知識を身につけ、自ら考え、家族や友人と話し合うきっかけをつくるため、毎年度、都内の小学四年生から高校生を対象に、二十歳未満喫煙防止・受動喫煙防止ポスターコンクールを行っております。
 また、コンクールの入賞作品を活用し、小中高生向けの禁煙教育副教材を作成し、学校を通じて児童生徒に配布することで、将来にわたる喫煙防止を呼びかけております。
 さらに、今年度から行っている世界禁煙デー、禁煙週間に合わせた都庁や東京スカイツリーなどのライトアップに際しては、SNSを活用した啓発を行うなど、幅広い世代に向けて禁煙等について考えることを働きかけております。

○こまざき委員 ご答弁ありがとうございました。
 続きまして、歩行喫煙について伺います。
 歩行喫煙、いわゆる歩きたばこは、残念ながら見ない日はないほど頻繁に見受けられる状況です。自転車に乗りながらの喫煙も頻繁に見かけ、子供と安心して歩行できないという保護者からの不安の声も上がっています。前後の通行者、特に目線が低い子供たちにとってはやけどの危険性もあり、受動喫煙を含め、大変迷惑で悪質な行為です。
 都内の区市町村のほとんどにおいて、条例により歩行喫煙が禁止されています。こうした取組は都内全域で実施されているものの、罰則規定がない自治体も多く、進んでいるとは決していえません。
 環境美化、歩行者の安全確保の観点から、歩行喫煙の対策も重要です。区市町村の環境部門と連携した対策が必要となりますが、保健医療局の観点から、都としての取組と見解について伺います。

○小竹保健政策部長 都が開催する受動喫煙対策に係る区市町村との担当者連絡会には、区市町村の環境部門にも参加いただいており、今年度は、屋外公衆喫煙所の設置運営のポイントに係る研修や、区市町村の条例等に基づく屋外での喫煙ルールの啓発等に関する情報交換を行うなど、区市町村の環境部門と連携して受動喫煙対策に取り組んでおります。
 また、都が行った調査で、屋外での受動喫煙を経験した方が一定数いたこと等を踏まえ、来年度新たに検索連動型広告を活用し、歩道や建物の出入口付近などの屋外での喫煙の際に必要な受動喫煙への配慮等について、普及啓発を行ってまいります。

○こまざき委員 ご答弁ありがとうございました。
 最後のテーマとなります。小児の救急平日夜間診療について伺います。
 多くの小児科クリニックが休診となっている時間帯に子供が病気やけがをした場合、区市町村が実施する小児初期救急医療機関において診療を受けることとなります。病気やけがは三百六十五日起こり得るものでありますが、土曜日については対応がなされていない自治体もあります。
 医師会からも、小児科の夕方から深夜にかけての平日準夜帯の診療に対応する小児初期救急平日夜間診療事業補助について、特に土曜日への拡充のご要望があると仄聞しており、本事業補助を土曜にも拡充すべきと考えています。
 都は来年度から、小児初期救急平日夜間診療事業を拡充するとのことですが、その内容について伺います。

○新倉医療政策部長 小児初期救急平日夜間診療事業は、区市町村が平日の夜間に入院を必要としない小児の初期救急に対応できるよう、必要な経費を補助するものでございます。
 都の昨年四月時点の調査によりますと、小児科の診療所において土曜日の午後に診療しているのは約二○%にとどまり、土曜日の夜間帯では約二%となってございます。
 来年度は、本事業の対象を土曜日の午後や夜間の時間帯にも拡大し、区市町村におけます小児初期救急医療体制の充実を図ってまいります。

○こまざき委員 ありがとうございます。事業対象を土曜の午後や夜間の時間帯にも拡大していくとのことで、子育て世代にとって大変心強いものだと思います。より多くのご家庭が安心して医療を受けられる体制が整うことを期待します。
 最後に、区市町村における医療に関連して、ご要望させていただきます。
 予算案によると、都では来年度、地域医療確保緊急支援事業を実施予定です。都内民間病院等に対して緊急的、臨時的な支援を行うとともに、高齢者の受入れや小児、産科救急医療における患者の受入れ体制の確保に向けた支援を実施することとしています。
 コロナ禍を経て、入院施設を伴う都内病院は、二〇二三年度で約五二%が経常赤字となり、二〇二四年度ではさらに悪化をしているという緊急事態に対し、都独自の臨時的な支援金が計上されたことを高く評価いたします。
 一方で、小児診療所、産科クリニック、児童精神科クリニックなどの診療所は本事業の対象外となっています。これらの診療所は、日常的な小児診療、妊婦健診、分娩、予防接種、児童のメンタルヘルスケアなどを担い、地域の子供や妊産婦の健康を支える役割を果たしています。しかし、少子化に伴う患者数の減少や人件費の高騰により経営が厳しく、診療体制の維持が困難な状況だというお声を多々いただいております。
 こうした状況を踏まえ、地域医療確保緊急支援事業の支援対象に、小児診療所、産科クリニック、児童精神科クリニックを加え、地域医療体制の維持強化を図ることを求めまして、私からの質問を終わります。どうもありがとうございました。

○うすい委員 よろしくお願いします。私からは、初めに下水サーベイランスについて伺います。
 下水中のウイルスを検査、監視する下水サーベイランスという手法は、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的指標として活用が期待をされております。これまでの定例会で都議会公明党は、下水サーベイランスへの迅速な対応を求めてきたところでございます。
 都が、これまでも下水を活用した新型コロナウイルスの調査を試験的に進めてきたことは承知しておりますが、このたび、令和七年度予算案に下水サーベイランスが新規計上されていることから、大いに期待をしているところでございます。
 そこで、都の取組状況についてお伺いをいたします。

○松谷感染症対策調整担当部長 下水サーベイランスは、下水中に含まれるウイルスを検査、監視し、地域の感染状況を把握する手法の一つでございます。
 令和六年度、国は、新型コロナの定点報告による感染動向の把握を補完するため、下水サーベイランスを予防接種法に基づく感染症流行予測調査に位置づけたことから、都は、これに基づく調査を都内一か所の水再生センターを対象に開始し、国に報告しております。
 令和七年度は、感染状況をより詳細に把握するため、健康安全研究センターにおいて、都内全二十か所の水再生センターを対象に、国の実施要領に基づく調査を行う予定でございます。
 今後、都民や関係機関等に対する情報提供の方法を検討してまいります。

○うすい委員 今ご答弁いただきましたけれども、下水サーベイランスは、冒頭にも述べましたが、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的な指標としての活躍が期待をされておりますので、都民や関係機関等への情報提供も含めてしっかりと取り組んでいただくことを要望しておきます。
 次に、来年度予算において、保健医療局と福祉局にわたって認知症医療の実態調査が計上されておりますが、この調査の目的や、保健医療局で実施をする調査の対象などについて見解を伺います。

○新倉医療政策部長 都は来年度、認知症専門病院の検討に向け、都内の認知症医療の実態を把握するため、医療機関や介護事業者、区市町村などに対し調査を実施いたします。そのうち保健医療局では、都内全ての病院を対象に、認知症のある人の受入れ実績や、受入れに関する課題、認知症対応研修の受講状況などについて調査を実施いたします。
 調査は、夏頃までに調査票を配布いたしまして、来年度中に集計、分析を実施いたします。

○うすい委員 今ご答弁いただきました。目標、ゴールは専門病院を立ち上げるということだと思いますけれども、認知症については、有病率は年齢とともに急峻に高まることが知られております。
 現在、六十五歳以上の約一六%が認知症であると推計されておりますけれども、八十歳代の後半であれば、男性の三五%、女性の場合には四四%、九十五歳を過ぎると、男性が五一%、女性が八四%となっておりまして、やはり、日本の長寿社会を考えれば認知症の専門病院は必要不可欠でございますので、しっかりと実態調査をしていただいて、できるだけ早く専門病院を立ち上げていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、潜在看護師等登録制度についてお伺いをいたします。
 災害時においては負傷者が多数発生をし、軽症者も含めて多くの住民が避難所での生活を余儀なくされることが想定をされます。また、避難所生活が長期化すると、心のケアなど、けが等の治療以外の対応も出てくるわけでございます。災害時は、医療機関に働いている医療従事者だけではなく、様々な方が活動できるようにしておくことが大変に重要でございます。
 そこで、都が来年度から登録制度を開始していく潜在看護師等の登録者でございますが、有事の際に避難所等でどのような流れで軽症者への健康観察等を行っていくのか、都の見解を伺います。

○新倉医療政策部長 都は、登録者の情報を本人が居住している区市町村に提供いたしまして、区市町村はその情報を基に登録者の参集場所を指定いたします。有事の際に、登録者は、ご自身やご家族の安全を確保した上で地域の指定された場所に自主的に参集し、区市町村の指示の下、避難所での軽症者対応や健康観察などに従事いたします。

○うすい委員 答弁をいただいたところでございますけれども、区市町村が指定した場所に参集するとのことでありますが、今後、事業の実施に当たっては、区市町村とも十分に意見交換しながら事業を構築していただきたいと思います。
 また、この登録制度は、登録後に五年で更新と聞いておりますが、その間での登録された方の実際の現況の確認が必要だと考えますが、見解を伺います。

○新倉医療政策部長 登録後は、都から、看護に関する知識や技術を高めるための研修や最新の情報などを掲載したニュースレターを配信するほか、区市町村と連携し、災害対応に係る地域での研修や訓練について情報提供してまいります。こうした情報提供の機会を活用しまして、登録者の現況について確認してまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。この登録制度では、有事の際に確実に運用できるように、登録者の状況を把握していくことが重要だと考えます。ニュースレターを配信するなどして現況を確認していくとのことでございますが、配信しても音沙汰がない人も中にはいるかもしれません。いざというときに登録者が参集されないという事態を避けるためにも、今後、登録者の現況について確認する仕組みを、ぜひ検討を進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 日本共産党の原のり子です。三つのテーマについて質問します。
 まず最初に、がん検診センターについて伺います。
 この間、高額療養費の自己負担の上限額の引上げが大問題になっています。がん患者の方々が声を上げて、国会でも論戦も行われる中で一旦凍結となりましたけれども、いつか解けてしまう凍結ではなくて、撤回が必要だと私たちは考えています。
 がんは二人に一人がかかる病気です。そして、早期発見、早期治療により回復できることも大変多いことが分かっています。大事なのは、検診によって早期発見できること、治療に当たっては、費用がかかるから治療を断念するということのないように、少なくとも自己負担をできる限り抑えていくことです。高額療養費の自己負担上限引上げについては、凍結にとどまらず、全面撤回することを強く求めたいと思っています。
 その上で、東京都は、がん検診の目的と重要性をどのように考えているか、まず最初に伺います。

○鈴木都立病院支援部長 がん検診は、がんを早期に発見し、適切に治療につなげることで、がんによる死亡率を減少させることを目的としており、重要であります。

○原委員 早期発見、早期治療が重要だということです。そうしたことを踏まえて、東京都も、がん検診センターを設置し、運営をされてきたと思いますが、そのがん検診センターは二月末をもって閉院しました。
 センターの果たしてきた役割はどういうもので、どう評価しているのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 東京都立がん検診センターは、多摩地域におけるがん検診を推進するため、一次検診のほか、内視鏡やCTなどの精度の高い精密検診を実施してまいりました。

○原委員 非常に重要な役割ですよね。検診に携わってきた方にもお話を伺いましたけれども、まず一次検診を実施すること、そして、体にできる限り負担が少ないようにしながら、かつ精度の高い精密検診まで行ってきたとお話をされていました。こうした中で、医療スタッフの方々の高い技術も培われてきたわけです。
 がん検診センターでは、ホームページに、都民の健康に役立つように一次検診から精密検査まで一貫して実施する意義があると書かれていました。つまり、一次検診が重要であるということをもともとは位置づけていました。しかし、その一次検診を二〇一七年から段階的に縮小して、二〇二〇年度まででやめてしまいました。
 改めて、一次検診をやめた理由はどういうことだったのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 一次検診につきましては区市町村の事業とされており、がん検診センターでは、多摩地域の自治体から委託を受け、検診を実施してきました。
 平成三十年一月に策定した多摩メディカル・キャンパス整備基本構想におきまして、キャンパス全体で検診機能と治療機能が一体化した、新たながん医療提供体制を構築することといたしました。このため、がん検診センターの事業のうち一次検診は、地域の状況を踏まえ、段階的に縮小しながら廃止し、精密検査部門を多摩総合医療センターに統合することといたしました。

○原委員 当時、多摩地域では十六自治体が、がん検診センターに一次検診を委託していました。検診を委託してきた自治体からは、なくなると困るという声も寄せられていました。また、教職員を対象とした婦人科検診を、がん検診センターの職域検診廃止を理由にやめた自治体があることも、日本共産党都議団の調査で分かっており、都の責任が問われます。
 検診車で奥多摩地域などにも行き、検診を受ける方が数人で効率が悪いといわれても、一人でも多くがんの患者さんを見つけることが使命だと誇りを持ってやってきた、地域のために貢献するという思いでやってきたというお話を職員の方からも聞かせていただきました。行政的医療を今後も充実をさせるというなら、廃止は見直すべきだったのではないでしょうか。
 今後、多摩総合医療センターに事実上吸収されることになる精密検査については、今年の二月末に閉院するぎりぎりまで市町村からがん検診センターに来ている方たちもいて、がん検診センターでの検診をやめないでほしいという声もあったと聞いています。
 そこで、精密検査の内容について伺います。東館では、がん検診センターと同規模以上の精密検査ができるのですか。

○鈴木都立病院支援部長 多摩総合医療センター東館開設後は、検診機能と治療機能が一体化した新たながん医療提供体制を構築いたします。東館では、がん検診センターで実施していた精密検査を引き続き実施するとともに、内視鏡室を七室から十四室に増設するほか、超音波診断室を二室から三室に増設するなど検査機能を拡充いたします。

○原委員 同規模以上にできるのかという質問には、直接回答がありませんでした。もう開始間近なのですから、実際は分かっているはずだと思います。
 そこで、伺いたいんですけれども、がん検診センターでは、多摩地域で数少ない乳がん精密検査のマンモトーム生検ができる場所だったと伺っています。異常石灰化に対するステレオガイド下マンモトーム生検については継続をされるのでしょうか。

○鈴木都立病院支援部長 お話の検査につきましては、多摩総合医療センターで引き続き実施いたします。

○原委員 引き続き実施をするということで確認をさせていただきました。乳がんは女性のがん罹患数のトップです。これまでできた検査ができなくなるということのないように、強く求めておきたいと思います。
 今後、多摩総合医療センターで、精密検査だけになる中で、医師、看護師、検査技師など、職員の方たちは何人残るでしょうか。これまでの人数と退職する人数、四月以降の人数を伺います。

○鈴木都立病院支援部長 多摩総合医療センター東館として新たに診療を開始するに当たり、がん検診センターで勤務していた医師、看護要員、コメディカルのうち、本人の希望に基づき、半数以上の職員が引き続き多摩総合医療センターで勤務する予定であり、現在多摩総合医療センターにいる職員も含め、必要な体制は確保してございます。

○原委員 充実すると説明してきているのに、半数以上で、多いとはいえないのではないでしょうか。約半数しか職員の方が残らないともいえるのではないかと思います。ほかのところから来る職員で補ったとしても、入れ替わりがあまりに多いと、よいとはいえません。先ほども述べたように、地域のために貢献したい、一人でも多くのがん患者さんを見つけて助けたいと仕事をしてきた方々が意欲を持って残れる環境なのか、大変心配をされます。
 がん検診センターで行ってきた人材育成や研究は継続するのですか。

○鈴木都立病院支援部長 多摩総合医療センターでは、多摩地域のがん医療の拠点として、検診従事者への講習会等の人材育成や、臨床研究に積極的に取り組んでいくこととしております。

○原委員 検診従事者への講習会等は、やられる予定のようですけれども、センターで実施をしてきた、地域に開かれた形の研修や講習は行われないのでしょうか。また、センターで実施してきた、がん患者の五年推定生存率追跡調査、これやられてきましたが、こういうものは今後どうなるのか確認をしたいと思います。

○鈴木都立病院支援部長 地域の医療機関からの紹介患者を積極的に受け入れ、精密検査による早期の発見、早期の治療を提供できる新たな医療提供体制を構築するため、他の施設でも実施している研修や調査研究につきましては終了する方針で調整してまいりました。終了に当たっては、関係機関に丁寧に説明しており、理解を得ているところでございます。

○原委員 やはり、先ほどの最初の答弁では、いろいろ積極的に取り組んでいくというお話もありましたけれども、実際には今までやられてきたことが終了する、継続をされない、そういうものが多くあるということが今のご答弁で分かりました。そこに含まれているのかもしれませんが、がん患者さんの五年推定生存率追跡調査等も終了する方向なのだということだと思うんですね。
 東京都としては、例えば東京都マンモグラフィ講習会、これを都としてちゃんと位置づけてやってきていますよね。東京都として責任を持って、こうしたものをがん検診センターで実施をしてきた。こうしたことを継続されないという判断は、何とも、ここは見直す必要があるのではないかと思います。
 今も触れましたけれども、マンモグラフィーの研修は、都全体の人材育成を行うものはなくなるということと、細胞診の研修も終了し、先ほどいったように五年推定生存率追跡調査も行わない方向だということです。
 都として責任を持って、都全体のがん検診を向上するためにセンターが優れた役割を発揮してきたのに、それが継続されないというのは問題ではないでしょうか。がん検診センターの廃止については、独法化の前に方針が決められていたものではありますけれども、都は、独法化に際して行政的医療を後退させないと約束しているのですから、検診の充実についても責任があります。都としてのバックアップを強く求めたいと思います。
 それで、このがん検診センターに関わって最後に確認をしたいんですけれども、今回、多摩総合医療センター東館には、医療機器は何が何台入るのか、当初の予定どおり入るのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 CTやMRIのほか、短時間で高精度な検査が可能な半導体PET-CTなどを導入いたします。PET-CTにつきましては、当初二台整備することとしておりましたが、開設時は一台の整備とし、今後の医療動向などを踏まえ、必要に応じ速やかに増設対応が可能となるよう、施設を整備しております。

○原委員 検査拡充していくというご答弁がある一方で、今お話にあったように、PET-CTも二台を一台として整備をするということになっていることや、今ご答弁にはありませんでしたけれども、乳腺PETも整備されなかったのではと思います。
 基本計画には明記をされていて、都議会でも何度も導入すると答弁をしてきたものなのに導入しないことになったら、今のご答弁のようにいわなくなってしまうというのは、これは許されないのではないかと思います。導入する前提で入札が行われたにもかかわらず、その後にこういう変更がなされてしまうというのは、PFI方式の弊害といえるのではないでしょうか。
 がんの早期発見、早期治療がますます重要になっているときに、がん検診はより充実することが必要であり、センターは廃止すべきではなかったし、多摩総合医療センターの東館を検診の充実のために機能させなければならないということを強く指摘しておきたいと思います。
 次に、多摩北部医療センターについて伺います。
 昨年五月十三日から、多摩北部医療センターにおいて産婦人科の診療がスタートしました。まだ分娩は対応されていませんけれども、妊娠十二週未満のトラブルへの対応として、かかりつけ医からの紹介による受入れを行っています。
 まず、産婦人科が設置された以降の実績を伺います。

○鈴木都立病院支援部長 令和六年五月十三日の開始から令和七年一月末までで、入院患者が一名、延べ外来患者が十一名でございます。

○原委員 ニーズがあるということです。大事な取組だと思います。
 同時に、清瀬や東村山では出産できる病院がないため、出産を早く実施できるようにしてほしいとの要望が強くありますが、いかがですか。

○鈴木都立病院支援部長 多摩北部医療センターでは、地域の医療ニーズに対応するため、妊娠初期の妊娠関連疾患について、令和六年五月から診療を開始いたしました。新病院では、新たに分娩を取り扱う産婦人科病棟を整備することとしており、来年度から設計に着手する予定でございます。

○原委員 現在、病院の整備基本計画案についてパブリックコメントも行われています。一日も早くという都民の声に応えて取り組んでいっていただきたいと思います。
 改築後、病室は、個室、多床室、それぞれどれぐらいになるでしょうか。また、有料個室は幾つの予定か伺います。

○鈴木都立病院支援部長 新病院では、感染症患者や認知症患者への対応力強化や患者の療養環境に対するニーズ等に対応するため、病床全体の約半数程度を個室として整備することとしております。有料個室数については未定でございます。

○原委員 約半数が個室ということは、現状よりもかなり個室が増えます。有料個室の数はまだ決まっていないということですが、大まかな想定はしているはずだと思います。健康長寿医療センターでは、二百十六床の個室のうち百四十一床が有料個室になっていることから考えても、多くが有料個室になると想定をされ、これは重大だと思っています。
 他の病院では受入れが難しい患者さんを受け入れるということを使命としている都立病院で差額ベッドを設けるべきではありません。料金設定も非常に心配をされます。
 出産するときに、個室料が高くて利用できないということが起きないようにすべきだと考えますが、いかがですか。

○鈴木都立病院支援部長 有料個室の使用料は、都が認可した中期計画におきまして上限額を定めております。部屋の面積や附帯設備の整備状況等により、上限額の範囲で都立病院機構が適切に設定するものでございます。

○原委員 上限額の範囲でということですが、この上限額は二万八千円です。それで、中期計画が変更されれば、さらに上がることもあり得るわけです。その上限額の範囲で適切に設定するといいますけれども、独法病院がどこで収入を増やすかとなると、診療報酬は自分で決められませんから個室料などになります。
 出産は保険が利きません。出産や子育てにお金がかかることが子供を産むことをちゅうちょする要因にもなっている。そういう中で、多摩北部医療センターで、お金の心配なく出産できるようにしてほしいと強く求めておきたいと思います。
 また、安心して出産できるようにするためには、多摩北部医療センターの整備に当たり、多摩地域に少ないNICUを整備すべきだと考えますが、いかがですか。

○鈴木都立病院支援部長 多摩北部医療センターでは、北多摩北部医療圏における産科医療の機能を向上するため、帝王切開や内科合併症のあるミドルリスク妊産婦等に対応することとしております。
 なお、重症度の高い児は、総合周産期母子医療センターである都立多摩総合医療センター、都立小児総合医療センターや地域の周産期母子医療センター等の連携により対応いたします。

○原委員 リスクの高い妊婦さんへの対応を重視して考えているということは、とても重要だと思います。そうであればなおのこと、NICUの設置、少なくとも多摩地域に増やすということが不可欠だと思います。検討を強く求めておきます。
 次に、多摩北部医療センターへ、付添いが必要な障害者の方が入院する場合の対応について伺います。
 障害者が入院するときに付添いが必要な場合、どのように対応していますか。

○鈴木都立病院支援部長 入院中の看護は看護師が行うこととなっておりますが、多摩北部医療センターでは、病状、その他の事情により、ご家族等が希望する場合は、医師の判断により原則個室にて付添いの受入れを行ってございます。

○原委員 原則個室にて付添いの受入れを行っていると。対応していただいているわけですが、重度の障害者の入院に当たって、支援者の付添いが認められないために必要な医療が受けられないことのないよう二〇二二年に厚労省から通知が出され、さらに二〇二三年にも、意思疎通支援者の役割の重要性も踏まえて通知が出されています。これらは、東京都福祉局からも都内の医療機関に向けて連絡が出されています。多摩北部医療センターでも、ご答弁にあったとおり対応をされています。
 しかし、個室が空いていないため付添いが認められなかった例があると聞いています。本来はいつでも認められるように改善していく必要があると思いますが、いかがですか。

○鈴木都立病院支援部長 他の入院患者の状況等を踏まえ、可能な範囲で柔軟に対応しているところでございます。

○原委員 可能な範囲で柔軟に対応しているということなのですけれども、実際には、多床室でほかの利用者がいない場合など、ごく限られたときだと思います。
 ある脳性麻痺の方が救急で病院に行き、処置をしてもらって入院となったのですけれども、そのときに個室が空いていなくて、個室が空くまでは多床室でということになりました。その多床室にいる間は付添いの方が認められないということで、この方はその間、十分に意思を伝えることができなくて大変つらい思いをされたというお話も伺いました。
 病院の改築に当たっては、付添いの方も泊まれる病室を十分に確保するよう検討していただきたいと思います。同時に、この改築が行われるそれまでの間も、工夫して、付添いが必要な障害者の方が確実に入院できるように検討していただきたいと強く求めておきたいと思います。
 最後に、こうした市民の声を病院運営に生かしていくためにも、運営協議会の委員に市民も入れるべきだと考えますが、いかがですか。

○鈴木都立病院支援部長 多摩北部医療センターでは、運営協議会に地元自治体の職員や地区医師会の代表にご参加いただき、地域ニーズを確認し、病院運営に反映してございます。

○原委員 改築が進められていく重要な時期にもなっています。市民が直接委員になって、改築に対して、また、改築するまでの間の病院の在り方について意見が反映されるようにしていく必要があると思います。ぜひ、東京都からも働きかけをすることを求めて、次の質問に移ります。
 最後に、保健所について伺います。
 都立の保健所での障害者健診について、これまでも何回か質問しています。障害の有無にかかわらず、誰もが健康に生きていく権利があり、健診の機会が保障されなければなりません。特に障害者の方は、安心して健診を受けられるということに様々なハードルがあります。そのため、本人やご家族が健診を諦めてしまうというお話もたくさん伺います。そういう中で、都立保健所が障害者健診を実施している意義は非常に大きいと思います。
 そこで、幾つか伺います。まず、保健所での障害者健診について、来年度は幾つの保健所で実施をする予定ですか。あわせて、健診項目はどのような内容か伺います。

○井上地域保健担当部長 障害者施設等の利用者を対象とした健康診断では、身体測定、血圧測定、尿検査、血液検査及び胸部X線検査を行っており、来年度は、引き続き都の六保健所全てで実施する予定でございます。

○原委員 全ての都立保健所での実施が予定されているということ、また、内容も今年度と同様に行われるということで、これはよかったと思います。
 健診項目、この内容については、これまで私は歯科健診なども入れてもらえないかなど提案をしてきていますけれども、今後さらに拡充を検討していただけるよう要望をしておきたいと思います。
 今年度、ある保健所では、施設への連絡の中で、一回、一施設二十五人以下、さらに時間内に健診が終了するよう、障害が重く介助が必要な方が多い施設は十五人以下での申込みをお願いしますとなっていました。これまでも人数制限はすべきではないと求めてきましたけれども、さらに重度の方を制限するという内容に大変驚きました。
 施設からも是正を求める意見が出されていたと聞いていますが、どのように対応したのか伺います。

○井上地域保健担当部長 都保健所では、安全・安心に健診を受診していただけるよう、集団での健診実施に伴う感染対策を講じるため受入れ規模等を設定しております。
 お話の保健所では、当該施設と意見交換を行い、その後、申込みいただいた施設利用者に対しまして健診を実施いたしました。

○原委員 施設とも話し合い、申込みした方は全て受けられたということで、その点はよかったと思います。ただ、障害の軽重にかかわらず、必要な方が健診を受けられるようにする、このことを強く求めておきたいと思います。
 やはり人数を制限するのではなくて、希望する人が受けられるように日程を増やすなどの対応をすべきではないかと思いますが、いかがですか。

○井上地域保健担当部長 都保健所においては、障害者施設等の利用者が地域の医療機関や、健診機関等での健診の機会が確保できない場合に健診を実施しており、今年度は希望する方全員の受診が可能となっております。

○原委員 今年度は結果として可能となったということなんですけれども、私が聞いているのは、最初に人数を制限してしまうのではなくて、ちゃんと希望を聞いて、その人数に合わせて日程を増やすなどの対応をしたらどうですかということを聞いているんです。
 では、ちょっと重ねて聞きたいんですけれども、まず、毎年施設に送るお知らせの中で、まずは今年は何人が希望されますかと尋ねて、その人数に応じてスケジュールを組むということはできないでしょうか、伺います。

○井上地域保健担当部長 健康診断の実施に当たりましては、今もそうですが、今後も申込みのあった施設等と個別に調整して対応していきます。

○原委員 個別に調整していく、もちろん、それぞれの事情に応じてやっていただくというのは大事なんですけれども、私は、やっぱり保健所での健診を必要としている方が漏れなく皆さん受けられるようにするためには、事前に調査をして、それにふさわしいスケジュール、体制を整えていくということをぜひやってもらいたいと思うんです。
 それで、来年度の健診についてのお知らせが出されているわけですけれども、ここでは先ほどいったような重度の方についての人数制限、これは書かれていないということは確認しました。これは改善されてよかったと思っていますが、しかし、一施設二十五人までという、それはやはり書かれていて、ほかの保健所などでも、一施設八人まででお願いしたいなど、やはり全体の人数制限はされているんです。
 希望する人は全て受けられるようにしているのかどうか伺います。

○井上地域保健担当部長 来年度の健康診断の実施に当たっては、今後、申込みのあった施設等と個別に調整してまいりたいと考えております。

○原委員 今後、施設と個別に調整していくということですので、希望する人は来年度も必ず受けられるように調整していただきたいと思います。
 ただ、お知らせに人数の上限が書かれてしまっていると、それ以上になる場合は初めから諦めてしまうということが多いと思うんです。ある施設に伺ったら、施設の利用者の方は二十八人いると。二十五人までと書かれてしまうと、三人受けられないのかっていう、そういう声なども聞きました。
 ですから、先ほどもいいましたけれども、問題は基本的な考え方なんですよね。保健所での健診を必要としている人が漏れなく受けられるようにするために、お知らせを出して、必要とする人は受けられますという体制をしっかり組んでいただきたいというふうに思います。
 実際に保健所での健診、私が伺った中では、とても評判がいいんです。施設の方々にお話を伺いますと、ゆったりとしたスペースで、周りからせかされずに受けることができた、本当にありがたいとお話をされた方もいらっしゃいました。
 障害者の方の中には、不安が強くなると暴れてしまう方もいて、その方の場合、拘束をある程度しないと受けられないかもしれないと施設の職員の方、考えていたそうなんですけれども、実際には、せかされずにゆったりとした環境で、医療スタッフの方も本当に皆さん親切で、結局、座って検査を受けることができたというお話も聞きました。
 私は、この施設の方々に聞きますと、施設の職員の皆さんからも、集団で健診をすることというのは非常にいいといっているんですね。集団健診で、みんなで行って不安なく受けられて、さらにそこで直接健康状態を施設の方も把握をできて、日常的な支援にも非常に役立っているとおっしゃっていました。
 こうした声が寄せられていますので、ぜひ継続をするとともに、検査の充実を求めたいと思いますが、いかがですか。

○井上地域保健担当部長 都保健所では、障害者施設等の利用者が、各保険者等が実施する地域の医療機関や健診機関等での健診の機会を確保できない場合、管内の施設からの依頼を受け健診を実施しており、来年度、全ての都保健所で実施する予定でございます。

○原委員 私は、この健診を続けているということが都立保健所の優れた部分であり、継続していってほしいと思っています。こういう保健所が多摩地域にもっと身近にあれば、障害者の方にとっても、さらにメリットが大きいとも思っています。
 体制強化と増設も併せて求めて、質問を終わります。

○藤井委員 私からは、地域医療確保緊急支援事業、今回新たに計上されました三百二十一億円の、民間病院さんに対する支援についてお伺いをいたしたいと思います。
 今回の対応は、国が診療報酬改定で対応すべきものと、本来はこういうものだというふうに都もいっているわけであります。また、あくまでもこれは緊急的かつ臨時的支援という位置づけとなっております。
 これは、恐らくコロナ禍などで受診控えが起こって、院内感染などを恐れて患者さんがかなり減っていて、病院経営が厳しくなっているというのが背景にあると思うんですけれども、都としてどのように認識して、どのような問題意識からこのような事業が行われるのか、まず簡単にご答弁をいただきたいと思います。

○新倉医療政策部長 都は、全国と比べて民間病院の占める割合が高い中、急激な物価高騰などが病院運営を圧迫してございます。本来、こうした課題は診療報酬制度の改善や、必要な財源措置を講じるなど国が対応すべきものでございますが、地域の医療提供体制を確保するため、来年度、緊急的かつ臨時的に都内の物価等を考慮した支援金を交付いたします。

○藤井委員 この間、コロナの専用病床の補助金だとか、こういったものがかなりなくなっていますので、中規模以上の病院さんにとっては相当厳しい状況があるのかなというふうに推測をするところであります。
 今回は、あくまでも、三つメニューがありますけれども、令和七年度のみというものと、九年度までの三か年というものが二つあるわけでございます。これは、いずれも最大三年間の時限措置でしかないということでございます。
 現下の厳しい状況が続く限りにおきましては、三年後においても同じような議論が、どうするのかというような議論も出てきかねないと、こんなことも考えるわけでございますけれども、今の厳しい状況をどのように好転をさせていこうとされているのか、都の見解をお伺いをいたしたいと思います。

○新倉医療政策部長 都は来年度、都民の受療に対する意識や、年齢階級別の受療率の分析及び推計、また病院の経営状況、病院と介護施設との連携における近年の課題など、幅広く調査分析を実施いたします。調査結果は、診療報酬の改善に向けた国への提案要求や、今後の医療政策の検討に活用してまいります。

○藤井委員 ぜひ今後の医療政策にも、検討に活用していただきたいと思います。
 もう根本的な診療報酬は大きな病院さんに対して相当厳しいものになっていると思います。東京都としても、都民という最も多い患者さんを抱えているという行政体でもあろうかと思いますので、国に対しては、大病院さんに対する診療報酬について、ぜひ物を申していただきたいと思いますし、今回、三百億円を超える支援をするということでもございますので、ぜひ都としてもしっかり指導力を発揮していただいて、病院の経営を好転させるというようなことに、ぜひ力を発揮していただきたいということを要望し、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、電子カルテの導入支援についてお伺いをいたしたいと思います。
 政府はマイナ保険証を今後利用して、電子カルテを今後、医療機関の間で、病院さんだとか診療所との間で共有をしていくということで、安全な医療、そして医療も効率化をして現役世代の負担を軽減していこうというようなことを、二〇二五年度に実施をしていくということでございますけれども、やはりそのためには電子カルテの導入が大前提になると思うんですけれども、現在の都の状況についてお伺いをしたいと思います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 厚生労働省が実施しました医療施設調査によれば、都内医療機関の令和五年における電子カルテの導入率は、病院が六五・六%、医科診療所が五九・八%でございます。

○藤井委員 クリニックさんの方が若干数字が低い、導入率が低いというような状況を、今ご答弁でございました。
 私、この電子カルテなんですけれども、病院間で共有できたらですね――私も患者として病院、クリニックに行くことはあるんですけれども、ちょうど私、恥ずかしながら十年前に足を骨折したことがありまして。そのときは、レントゲンを受けた後に、次の、ちょっとほかの病院行ってくださいということで紹介されたときがあって。そのときに、またすぐレントゲンを受けさせられて。数日前に受けたものをもう一回受けさせられたということで、私もちょっと時間もったいないなというふうに思いましたし、やっぱり都民の全体としての医療費も上げてしまうと。こういったことになってしまうので、こういったことは、ぜひ防いでいくことができれば効率化につながっていいのかなと思うんですけれども。
 一方で、私、地元の診療所の先生に聞きますと、私は年配の先生なんかにもかかっているんですけれども、いまだ手書きのカルテで書かれていたりですね。クリニックの先生にとってみれば、東京都全体とか国全体の医療費を効率化させていくという社会的なメリットはあるけれども、個人にとっては、その先生にとってはメリットがないと。要するに、その先生なり看護師さんが治療する上で見るぐらいだから、結局、あまり導入するコストに見合わないというような、こういった率直なご意見もいただいているわけでございますけれども、その辺の事情について、どのように都として把握をされていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都はこれまで、二百床未満の病院や有床診療所に対しまして電子カルテの導入等を支援するとともに、電子カルテ導入のメリット等に関するセミナーを実施してまいりました。一方、医療機関からは、電子カルテ導入における課題として、費用の確保や職員の負荷の増加などの意見を聞いております。
 そのため、来年度は、電子カルテの導入等の支援に関しまして、二百床以上の病院や無床診療所も対象に加えるほか、小規模な医療機関への補助率を引き上げます。また、医療機関でのDXを推進できる人材育成を進めるため、新たに研修受講経費等への補助を行うこととしております。

○藤井委員 今のご答弁で、カルテ導入に係る費用の支援だとかをやっていくという、これはこれで結構なことだと思うんですけれども、やはり先生にとって、病院さんにとってメリットがあると、カルテを例えば共有化していくことによって医療技術、サービスの向上につながるとか、実際メリットがあるというふうに感じていただければ、こういったものってどんどん導入率って高まっていくと思いますので、そういったこともぜひ、都として啓発というか、どんどん情報提供をしていただければなというふうに思っています。
 最後に、二次医療圏についてお伺いをしたいと思います。
 私の地元練馬区の事例に基づいて質問をしてまいりたいと思います。
 実は、令和七年四月に練馬光が丘に医療福祉プラザという新しい病院ができまして、令和七年度四月で、練馬区の病床数は二千八百床まで増えるんです。もともと平成二十八年には千八百だったんですけど、二千八百まで増えると。でも、それでも二十三区の人口対比の平均でいうと二分の一しかなくて、残念ながら区民一人当たりの数としてはワーストワンの病床数にとどまっているというような状況でございます。
 これも前の委員会でも若干触れさせていただきましたけれども、練馬区って区の西北部ということで、練馬、板橋、豊島北っていう四区合算で病床管理をするという、ブロック単位で管理をするという仕組みになっていまして、これ、歴史的に板橋区さんが大学病院があったり都立病院があるということでございまして、総体的に区が東京都に対して申請をしても、なかなか病床が認められづらいと、こういった経緯がありました。
 この間、千床増えたのも、板橋区さんの方で病院が廃院になったというタイミングでうまく枠を持ってくるということで何とか対応してきたということなんですけれども、私、たまたま区の西北部のことで、練馬区のことで申し上げているんです。この問題って、多分ほかの区さんでも起こっている問題なのかなと思っています。都心区に近い区ほど比較的病床が多いということでございます。
 一方では、ベッドタウンというか、住宅都市の練馬区だとか周辺の区になってくると、こういった状況って、同じようなことって起こっていると思うので、これから病床数の管理をしていくという中にあっても、こういった、もっと地域の事情を加味したものにぜひ変えていってほしいなというふうに率直に思うわけでございますけれども、この点について、都はどのような見解をお持ちでしょうか。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、医療機関が新規開設や増床を希望する場合に、行政や地域の医療関係者等から成る二次保健医療圏ごとの地域医療構想調整会議において、医療機関が今後担う役割や機能について協議を行うとともに、区市町村の意見を聞いた上で、内容を審査し、基準病床数の範囲内で公平に病床を配分してまいりました。

○藤井委員 公平に病床を配分していただいてきたということなんですけど、やっぱりこの公平っていうのはどういうふうに考えていくかというような問題だというふうに思います。
 だからこそ、しゃくし定規でご判断をされないで、先ほど地域構想会議というような話もありましたけれども、ぜひ地域の事情を加味したものにしていただきたいなということを重ねて要望させていただきたいと思います。
 この医療資源の偏在、病床の偏在っていう問題は、私、量の問題だけじゃなくて質の問題もやっぱり重要だなというふうに思っていまして、地元の話が続いて若干恐縮でございますけれども、練馬って、郵便番号で、練馬地域、光が丘地域、石神井地域、大泉地域って四地域あるんですけれども、その中で大泉地域は極端に病床が不足をしておりまして。先ほどちょっと例示させていただきました板橋区さんの病院だったり、三鷹の病院に救急搬送されるというケースが相対的に多くて、夜でも一時間以上搬送に時間がかかってしまったというようなことでお叱りをいただいてしまう、こんなこともございました。
 ブロック単位で判断する、そしてその中に区があると。もっとメッシュで、地域で考えていけば、その地域の中でも、例えば練馬区なら練馬区で、それぞれで弱い地域ってあると思いますので、こういったことも加味をしていただきたいと思いますし、今、地域包括ケアというのは重要性が叫ばれている時代でございますが、練馬区の事例でいうと、もうほとんどが、千八百ある病床のうちの九割、八割ぐらいが実は急性期の病床だったんですけれども、これからはやっぱり回復期の病床ということで、地域にある病床をぜひ確保していくという視点、まさに質を加味した病床政策というものを、ぜひこの二次医療圏の中で色濃く反映をしていただきたいなというふうに思うわけでございますけれども、この点についてはどのような見解をお持ちか、都の答弁求めたいと思います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 一般の入院医療は、医療法に基づく二次保健医療圏を単位に確保することとされており、都は、病床整備の基準となる基準病床数について、国が示す算定式により医療圏ごと算出し、医療機関が新規開設、増床を希望する場合には、その範囲内で病床を配分してまいりました。
 都内病院の一般病床の病床利用率は、コロナ以降、低水準で推移しており、休止している病床も一定数あることから、令和六年度は病床配分を休止しております。今後、病床利用率の推移や、地域医療の状況なども踏まえながら、病床配分の取扱いについて検討してまいります。

○藤井委員 先ほど急性期の病床が多い、大半を占めていたという話がありました。今、一般病床については配分を休止しているという話であります。地元でも、回復期の病床ができて、どうしてもそうした急性期の病床に頼らざるを得なかったのは、回復期の病床がないということで、それがどんどんスムーズに移行しないということで、どうしても一般病床に依存してきたというような経緯もあると思います。
 回復期の病床も含めて、地域の包括ケアを進めていくというような観点もぜひ加味をしていただいて、地域の需要も十分に配慮していただいた病床政策を進めていただきたいと、このことを要望して私の質問を終わります。ご清聴いただきありがとうございました。

○さんのへ委員 令和七年度新規事業及び関連する事業について質疑をさせていただきます。
 まず初めに、患者の声相談窓口のDX化についてです。
 本委員会の事務事業質疑でも確認させていただきましたが、昨年三月からは福祉局の方で精神科病院における虐待通報窓口が設置されておりまして、精神科での病院職員による虐待に関する相談内容は、こちらの虐待通報窓口で受けるようになり、この患者の声相談窓口は、主に医療に関する相談や苦情の対応を行っているということです。
 この患者の声相談窓口のDX化は何を目的に実施されるのか、都としての狙いを伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 患者の声相談窓口は、患者、都民と医療従事者や医療提供施設の間にあって、中立的な立場から問題解決に向けた双方の取組を支援しております。
 DX化によりまして、患者の声相談窓口における相談記録の集計、分析、検索等の迅速化を図り、相談員が類似事例を容易に参照するとともに、分析結果を医療機関の指導に迅速に生かすなどにより、医療安全の向上につなげていくものでございます。

○さんのへ委員 私、存じ上げなかったんですけれども、この患者の声相談窓口に寄せられていた、令和五年度は七千八百九十二件、これ全部手書きで記録保存されていたということで、そうしたものをデータ記録として残すことで、後の分析や指導に生かすということの都の意図を確認させていただきました。
 患者の声相談窓口に寄せられた、相談件数及び対応状況の推移、今回、資料要求させていただきましたが、やはり医療や医療現場に関する相談なので、本当にこれ、多岐にわたる相談が寄せられていることが分かります。
 中でも、意味不明やその他として振り分けられている内容というところも詳細が気になるところなので、データで振り分ける際に、その分類の仕方というのがどうしても偏ってしまうということにならないように、通話ですとか面談の際の音声記録もぜひ残した上でAI分析とかそういったことをされると、よりその傾向が確実に分かるかと思いますので、ぜひ漏れのないように、寄せられた相談に、全件に対するデータ化というところも要望させていただきます。
 次に、医療法人杏林会について伺います。
 二〇二三年三月の十二日に、同法人が運営する青森県八戸市にある、みちのく記念病院内で起きた殺人事件について、警察に届け出ず、死因を肺炎とする虚偽の死亡診断書を遺族に渡すなど、事件を隠蔽したとして当時の院長ら二人が逮捕起訴されています。
 つい先日の三月十四日には、厚生労働省東北厚生局が監査に入りまして、常勤医の勤務実態に不明瞭な点が見つかったことを受けて、診療報酬の不正受給などについて確認をしたとのことです。
 みちのく記念病院を運営する杏林会は、青森県と岩手県、東京都などで四つの病院や介護老人保健施設などを展開しており、東京都目黒区に本部があります。
 今年の二月二十五日に行われた厚生労働省福岡大臣の会見では、逮捕された元院長が都内にある本部の医療法人の理事長も務めていたことから、医療法人自体のガバナンスが欠如していることに対して厚労省としてどういう対応をするかということを尋ねられた際に、福岡大臣は、ご指摘のあった医療法人のガバナンスについては、当該法人の主たる事務所が置かれ、指導監督権限を有する東京都においても青森県と対応を共有していると聞いています、厚生労働省としても、引き続き関係する自治体と緊密に連携を図りながら、まずは自治体における対応状況を注視していきたいと思いますと発言されています。
 東京都として、みちのく記念病院を運営している医療法人杏林会に対する指導監督の状況と今後の予定について伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、みちのく記念病院に立入検査を行った青森県及び八戸市と情報を共有するとともに、都内に主たる事務所を有する医療法人杏林会の運営状況について確認し、現在、定款の規定に基づき理事長の代行を立てるよう指導しております。
 引き続き、都は国や関係自治体と連携しながら、適正な運営を指導しているところでございます。

○さんのへ委員 精神科ではないんですけれども、同医療法人の運営する都内の病院においても同様のずさんな状況というのがなかったかを確認するために、医療法に基づいた立入検査をすべきと考えますが、見解を伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、これまでも都内の各病院に定期的に立入検査を実施するとともに、必要に応じて臨時の立入検査を実施しているところでございます。

○さんのへ委員 ぜひ、臨時の立入検査の実施、強く求めます。逮捕された元院長兼法人理事長は、殺人事件の報告を看護師から受けた際に、そんなことで騒ぐな、家族への連絡は必要ないといった指示をしていたという報道もあり、法人としての隠蔽体質というところを懸念されております。
 法人としてガバナンスや対応に問題がある場合においては、特に通告なしでの検査というところでしか改善することは難しいと思いますので、患者の皆様の人権保護のためにも、通告なしの検査、実施を強く求めます。
 また、旧滝山病院に限らず、七生病院や綾瀬病院、八王子恵愛病院、多摩あおば病院などで不適切な処遇をめぐって民事裁判や刑事告発が起き、報道になっています。都内精神科病院においての民事や刑事のトラブルや事件について、都としてどこまで把握しているのか伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、医療法及び精神保健福祉法に基づき、定期的に立入検査を実施しております。また、通報や内部告発、報道等の情報から必要と判断した場合には、速やかに臨時の立入検査を実施しております。
 民事裁判や刑事告発等の個別の事案につきましては病院が対応すべきものと考えておりまして、お答えは差し控えさせていただきます。

○さんのへ委員 通報や内部告発、報道等の情報から判断した場合において、臨時の立入検査を実施しているとのことですが、やはり都に立入検査を求めたにもかかわらず、対応してもらえなかったりですとか、立入検査された後でも改善されなかったというご相談というのが多く寄せられています。
 報道になる前に、ぜひ都として対応する必要があるかと思いますけれども、今の時点で現在進行形の事件、どれぐらいあるか、都の認識を伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都内の精神科病院に関する報道等の情報の把握には、都としても努めているところでございますが、民事裁判や刑事告発等の個別の事案につきましては病院が対応するべきものと考えておりまして、お答えは差し控えさせていただきます。

○さんのへ委員 綾瀬病院や七生病院のこの事件が起きた後、都として、その後どのような対応をしたのかを伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 綾瀬病院における入院患者の開放処遇の制限や、七生病院における入院患者の隔離につきましては、定例の立入検査を行っておりまして、この際には適正に行われていたことを確認しております。

○さんのへ委員 旧滝山病院について事務事業でも質疑をさせていただきましたが、精神疾患と合併症がある場合でも、空き病床がある都立病院で積極的に患者の受入れをしないのはなぜでしょうか。都としての責任を伺います。

○鈴木都立病院支援部長 都は、中期目標におきまして、質の高い精神医療を提供するとともに、一般医療機関では対応が難しい精神科救急医療、精神科身体合併症など専門性の高い精神疾患医療を提供することなどを都立病院機構に求めておりまして、都立病院では、精神科身体合併症医療など急性期の精神科医療を提供しているところでございます。

○さんのへ委員 本委員会の事務事業質疑で、急性期の透析患者等を都立病院において転院を引き受けるということについて質疑をさせていただいているんですけれども、そのときも、急性期の精神科医療を提供しており、透析が必要な急性期の患者に適切に対応をしているという回答だったんですけれども、なぜ、旧滝山病院の転退院を希望する患者を積極的に、現状、受け入れていないのかというところの質問の回答にはなっていないのかなと思います。
 繰り返しますけれども、都立病院の身体合併症向け病床数で空いている病床、あるというふうに伺っておりますので、都として責任を持って受け入れることを強く、引き続き求めてまいります。
 次に、ドナーミルク利用支援事業について伺います。
 私は、二〇二一年に第二子を出産した直後に、日本財団母乳バンクにてドナー登録を行いました。このドナー登録を行ったきっかけなんですけれども、第一子育児中に、それまで習慣で献血を行っていたんですけれども、母乳育児をしている間は献血ができないということを初めて知りまして、献血の代わりに人の何か役に立つことができる行為として、この母乳バンクの存在を知りました。
 そのときに、日本では年間約五千人の赤ちゃんが超早産、極低出生体重児で生まれるということ、そして何らかの理由でお母さんの母乳が出ないときに、壊死性腸炎という怖い病気から赤ちゃんを守る、救うのがドナーミルクの役割と学びました。
 令和七年度予算には、対医療機関に対する事業として三千二百万円が計上されていますが、具体的にどのような支援を行うのかを伺います。

○新倉医療政策部長 都は、母乳バンクの普及啓発にこれまで取り組んでおりますけれども、ドナーの登録やドナーミルクの使用に当たって医療機関の負担が大きいことなどから、現在、都内で対応できる施設は限られております。
 このため、来年度、ドナーの登録やドナーミルクの使用ができる施設を一層確保するため、ドナー登録を行う医療機関に対し、登録数に応じた補助を行うほか、NICUを有する医療機関のドナーミルク使用に係る経費を補助いたします。これにより、NICU入院児が、必要なときにドナーミルクを利用できる環境を整備してまいります。

○さんのへ委員 調べさせていただいたんですが、現在、東京都内ですと四か所の病院で、医療機関でドナー登録ができるようになっているということなんですけど、やっぱり需要に対して、現状、まだ少ないのかなと感じています。
 また、ドナー登録希望者の多くが、やはり赤ちゃんを連れて移動して、医療にかかって、検査をしてというところが必要になりますので、こうした負担を減らすためにも、ドナー登録ができる医療機関をさらに都内で増やしていただくために、支援と取組を続けていただきたいと思います。
 また、出産直前は臍帯血バンクの案内を妊婦さんは受けるんですけれども、そういうタイミングで、この母乳バンクの存在ですとか、ドナー登録の方法が案内されるというのが普及のためにはいいかなと思いますので、ぜひ取組を要望させていただきます。
 最後に、無痛分娩の費用助成について伺います。
 先ほども質疑がありましたけれども、新規事業のうち保健医療局に係る内容について確認をさせていただきます。
 一般質問でも質疑をさせていただいたところですが、やはり私の下には、無痛分娩だけに費用を助成することが少子化対策につながるのかという疑問の声が届いています。繰り返しとなりますが、無痛分娩を費用面で諦めている人、こうした方にとっては助かる事業かもしれませんが、現状、医療現場や産科麻酔にたけた麻酔科医、このスタッフの絶対数が不足しているという指摘がされています。
 こうした麻酔科医不足を受けて、研修機会の確保の予算については保健医療局で計上されているため伺います。都内の妊婦全員が無痛分娩を希望しても、現状のキャパシティには限界があることから、結局、この無痛分娩、できる人とできない人に分かれてしまうという不平等が生じる恐れがありますが、この点について都の見解を伺います。

○新倉医療政策部長 都は、無痛分娩の費用助成の対象医療機関について、原則として、国が作成しました無痛分娩の安全管理対策等に関する自主点検表、これの全項目を満たすことを要件としております。
 都の調査では、都内分娩取扱施設の半数以上が無痛分娩を実施しており、また、そのうち自主点検表に定める研修事項の項目を満たしていない施設が約四割となっております。このため、無痛分娩取扱施設が自主点検表の項目を充足できるよう、急変対応に関する研修受講の機会を提供してまいります。

○さんのへ委員 都として、研修や自主点検表による安全確保に取り組まれるという答弁だったんですけれども、やはり急に都内の麻酔科医さんが増えるわけではないかと思いますので、費用助成を受けたくても受けられない方、無痛分娩をしたくてもできない方というのが、ある程度発生してしまうのではないかなというところが懸念されます。
 先日の一般質問の答弁では、無痛分娩の費用助成に関して医療現場や関係者と意見交換を実施しているとのことでしたが、どのような意見を都として受けているでしょうか。本事業の実施について反対する意見、なかったかどうか確認します。

○新倉医療政策部長 都は、無痛分娩に関して、医療関係者や関係団体等との意見交換を行い、費用助成の対象医療機関の要件や開始時期、また都民への普及啓発の必要性などについて様々な意見をいただいており、これらも踏まえ制度設計を行っております。

○さんのへ委員 本事業の実施予定、今年の十月を予定しているとのことですが、導入までの期間、そして導入後もしばらくは混乱が生じる可能性が懸念されます。事務手続ですとか申請手続等、医療現場や妊婦さんへの負担というところも配慮していただく必要があると考えます。
 無痛分娩の費用助成については、また福祉局の方でも質疑をさせていただきます。
 以上です。

○関野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分強休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時三十分開議

○関野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊藤委員 まず、後期高齢者医療歯科健康診査事業について、私からも伺います。
 今年二〇二五年は、かねてから二〇二五年問題といわれ、団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者となり、我が国が超高齢社会になることを指します。団塊の世代の人口は現在、約八百万人おられるそうで、後期高齢者になっても健康維持していただくための施策を講じることは極めて大切です。
 新規事業として、後期高齢者医療歯科健康診査事業が計上されていますが、この事業はどんな目的で何を実施するのか、まず確認で伺います。

○井上地域保健担当部長 現在、東京都後期高齢者医療広域連合では、口腔機能低下や誤嚥性肺炎等の予防を通し、被保険者の健康の保持増進等を図るため、国の補助事業を活用して後期高齢者への歯科健診を実施する区市町村に対し、取組実績に応じた補助を行っております。
 都は、オーラルフレイル対策推進のため、来年度から新たに、自己負担なしで口腔機能の評価を含めた歯科健診を実施する区市町村に対しまして、広域連合を通じて、都独自に国の補助額と同額の上乗せ補助を行い、都全域の歯科健診の体制整備の促進に取り組むものでございます。

○伊藤委員 オーラルフレイル対策推進のため、自己負担なしで口腔機能評価を含めた歯科健診を実施する区市町村に対し、上乗せ補助を行い、歯科健診の体制整備に取り組む事業と確認しました。
 それでは、現在、どのぐらいの市区町村が自己負担を求めず口腔機能評価を含む歯科健診を実施しているのか、また、今後どのように実施する市区町村を拡大していくのか伺います。

○井上地域保健担当部長 令和六年度広域連合の補助を申請している四十九の自治体のうち、三十三自治体が自己負担金を徴収せず口腔機能の評価を含む歯科健診を行っております。
 都は、自己負担なしで口腔機能の評価を含めた健診を実施することを補助要件とする本事業の活用を、広域連合と連携して区市町村に積極的に働きかけていくことで、歯科健診に取り組む区市町村の拡大を図り、後期高齢者が住み慣れた地域で受診できる環境の整備を進めてまいります。

○伊藤委員 現在は、三十三の自治体が自己負担金を徴収せず口腔機能評価を含む歯科健診を実施していることを確認しました。そして、本事業を活用して歯科健診に取り組む市区町村の拡大を図る意図も確認いたしました。
 以前、地元の歯科医の方にオーラルフレイルの重要性をお聞きしたことがあります。年齢を重ねても自分で物を食べて飲み込むことなど、高齢者の健康維持には口腔機能の維持が極めて重要とのことでした。
 それでは、この後期高齢者歯科健康診査を実施し、その結果、口腔機能に問題がある場合には、どのように対応するのか伺います。

○井上地域保健担当部長 各区市町村が国の歯科健診マニュアル等を参考に、健診受診者の状態に応じまして口腔ケアに関する情報提供や保健指導等を行うほか、検査、治療が必要な場合につきましては歯科受診を勧奨いたします。

○伊藤委員 市区町村が今回の新たな補助事業を有効活用し、地域の歯科医師会等と連携しながらオーラルフレイル対策を一層推進していけるよう、都としてしっかりと支援してもらいたいと思います。
 特に、一般の歯科医では対応できないような摂食嚥下障害を含めまして、支援を求めておきたいと思います。
 次に、災害時看護体制整備事業について伺います。
 災害支援ナースとは、被災地等に派遣され、地域住民の健康維持、確保に必要な看護を提供するとともに、看護職員の心身の負担を軽減し、支えることを行う看護職員のことであり、厚労省が実施する養成研修を修了し登録された方であるそうです。
 また、災害支援ナースは、都道府県と災害支援ナースが所属する病院などの施設との間で締結した協定に基づき派遣されるそうで、昨年、令和六年四月より、法令等に基づく仕組みとなりました。
 それでは、今まで看護師などの災害派遣はどのように対応していたのか伺います。

○新倉医療政策部長 従来の災害支援ナースは、日本看護協会及び都道府県看護協会が要請し、被災地域からの要請などに基づきまして同協会から派遣をしておりました。一方で、この派遣は法令等の根拠がなく、日本看護協会のボランティア活動と位置づけられ、派遣形態も、個々人により休暇や出張など取扱いが異なる、また、事故補償が曖昧であるなどといった課題がございました。このため、令和六年四月から、改正医療法により災害支援ナースが制度化されたものでございます。

○伊藤委員 これまで被災地で支援に当たってこられた看護師等は、法令など根拠がなく、主にボランティアであったことや、派遣形態もまちまちであったことを確認しました。
 さて、今回の災害時看護体制整備事業の目的は、有事の際に迅速に災害支援ナースを確保できるよう派遣体制を整備するとともに、災害支援ナースを派遣する施設に対し、研修、派遣に必要な経費などを支援とのことです。
 そして、平時の派遣体制の整備として、災害支援ナースの登録リストを整備するとのことですが、どのようにリストを作成するのか、また、どの程度の登録人数を目指すのか伺います。

○新倉医療政策部長 災害支援ナースとして活動するためには、国の災害支援ナース養成研修を修了することが要件となっております。都道府県は、研修を修了した災害支援ナースが所属する施設との間で協定を締結しまして、災害等発生時に派遣可能な災害支援ナースのリストを整備することとされております。
 国の研修は日本看護協会及び都道府県看護協会が受託しており、都における養成規模は年間二百十人程度となっております。

○伊藤委員 災害支援ナースの登録リストの作成方法や目標人数などを確認しました。
 さて、例えば地震災害なども全国各地で発災していますが、その一方で、いつ起きるかは分かりません。一旦登録した後に、転居や離職など様々な状況の変化も想定されますが、最新のリストになるように、どのように工夫するのか伺います。

○新倉医療政策部長 国が定めている災害支援ナース活動要領では、災害支援ナースの登録更新は五年ごとに行うこととされておりますが、有事に備え、登録リストは最新の情報に更新しておくことが重要でございます。
 このため、都は、本人や所属施設に対し定期的に登録情報の確認を行い、最新の情報を反映するなど、リスト管理を徹底してまいります。

○伊藤委員 有事に備え、常に最新のリストとしていくことを確認しました。
 災害支援ナースの派遣により、被災地では非常に頼りになり、助かることになるでしょうが、その一方で、派遣元の病院などのマンパワーへ影響を与えてはいけないと思います。特に看護師などは人手不足ともお聞きしており、災害派遣に協力したことがマイナスになってはいけません。
 それでは、派遣元の医療機関の負担軽減にどのように取り組むのか、また、今回の事業の立ち上げにより、災害対応力の強化にどのようにつながるのか伺います。

○新倉医療政策部長 都は、災害支援ナースの派遣元医療機関に対し、看護師が研修に参加する際や、登録した看護師が訓練や実際の災害時等で派遣される際、代替職員の確保等ができるよう協力金を交付いたします。
 本事業により看護職員の派遣体制を整備するとともに、派遣元医療機関の負担軽減を図ることで、有事の際必要となる看護職員の迅速な確保につなげてまいります。

○伊藤委員 東京都看護協会や看護連盟の現場からも、災害派遣ナースの育成支援に向けて、研修修了者の確保のための協定、医療機関での研修派遣や、必要な資器材整備のための支援、そして潜在看護師の活用についても要望がありましたので、この事業が順調に進むようよろしくお願いいたします。
 次に、潜在看護師等登録制度について伺います。
 まず確認で伺います。潜在看護師等とは、どのような人材の登録をしていくのか伺います。

○新倉医療政策部長 本事業の対象となる潜在看護師等は、都内在住で、保健師、助産師、看護師、准看護師の免許を有しているものの、看護職員として就業していない方でございます。
 令和二年度に報告された国の研究では、全国の潜在看護師は約七十万人いると推計されております。都は全国の十分の一の規模と仮定をいたしますと、都内の潜在看護師は約七万人いると推計されます。

○伊藤委員 保健師や看護師などの潜在看護師は、都内で七万人いると推計とのことでした。
 現在、医療現場などで働いていないとはいえ、国家資格等を有し、医療や福祉現場などで実際に携わっていた方も多数おられると思います。災害時などを含めて、いざというときに、こうした方々にスムーズにご協力いただくための仕組みづくりは大事であると思います。
 それでは、潜在看護師等の方々に登録していただき、実際に災害時の避難所などでどのように活動してもらうのか、また、平常時はどのような対応をするのか伺います。

○新倉医療政策部長 都は、登録者の情報を本人が居住している区市町村に提供し、区市町村は、その情報を基に登録者の参集場所を指定いたします。有事の際に、登録者はご自身やご家族の安全を確保した上で、地域の指定された場所に自主的に参集し、区市町村の指示の下、避難所での軽症者対応や健康観察などに従事をいたします。
 平常時は、都から、看護に関する知識や技術を高めるための研修や、最新の情報などを掲載したニュースレターを配信するほか、区市町村と連携しまして、災害対応に係る地域での研修や訓練について情報提供をしてまいります。

○伊藤委員 災害時と平常時の対応についても確認しました。
 登録していただいた潜在看護師等の皆さんに過度な負担をかけるわけにはいきませんが、可能な範囲でご支援いただくことは、東京の防災力の向上につながると思います。市区町村にも趣旨をよく説明した上で対応いただくよう求めておきます。
 次に、看護職員等宿舎借り上げ支援事業について伺います。
 宿舎借り上げ支援については、保育従事者、介護職員など、順次実施されていますが、今回、看護職員などで新規事業が計上されました。
 ここで、改めてこの事業を立ち上げた理由を伺います。

○新倉医療政策部長 都は、病院が行う看護宿舎の整備を支援しておりますが、物価高騰等の影響から、建設費用や施設の継続的な維持管理などが課題となっております。このため、来年度から、病院が看護職員や看護補助者向けの宿舎を借り上げた場合の支援を実施することといたしました。

○伊藤委員 事業の対象者の看護職員とは、常勤の看護師、保健師、助産師、准看護師及び看護補助者であるそうで、単身者はもちろんのこと、同居人がいても対象となりますが、同居人が住居手当等受給者の場合は補助対象外とお聞きをいたしました。
 それでは、この事業の実施により、今後どのような効果を期待するのか伺います。

○新倉医療政策部長 病院による看護職員への居住面の支援は、本人負担の軽減や通勤の容易さなどのメリットから、看護職員の安定的な確保、定着に有効な取組でございます。
 本事業により、看護職員等への居住面の支援を充実し、より働きやすい環境づくりを支援することで、病院における看護職員や看護補助者のさらなる確保、定着につなげてまいりたいと考えております。

○伊藤委員 病院における看護職員等の確保は、地域医療充実に不可欠と思いますので、しっかりご活用いただくよう、お知らせを徹底するよう求めておきます。
 次に、災害時医療物資供給体制の強化に関して、災害用モバイルファーマシーの運用について伺います。
 都は新年度、来年度にモバイルファーマシーを新規導入しますが、既に都内には東京薬科大学が所有するモバイルファーマシーがあります。この東京薬科大学が所有するモバイルファーマシーは、大学と八王子薬剤師会と八王子市の三者で連携協定を締結して、相互に連携協力することで、災害発生時にとどまらず、平時における防災訓練への参加や医薬品の適正使用の啓発を行っていくとも聞いており、実際に私の地元八王子市内の防災訓練にも度々参加をされています。
 災害時には、これらの車両を有効活用し、医療救護所等に必要な医薬品を迅速に供給すべきと考えますが、見解を伺います。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 都は、能登半島地震における活動実績を踏まえ、被災地での医薬品供給を担うモバイルファーマシーを来年度に導入し、東京都薬剤師会と連携して運用する予定でございます。
 また、八王子市にある東京薬科大学が所有し、八王子市、八王子薬剤師会と連携して活用しているモバイルファーマシーにつきましては、現在、都内災害時の運用方法等について、都を含めた関係者間で意見交換を行っているところでございます。
 今後、災害時の医薬品供給体制の強化に向けまして、都が導入するモバイルファーマシーを円滑に運用するための訓練を重ねるとともに、大学が所有するモバイルファーマシーの運用方法等につきましては、引き続き関係者との意見交換を丁寧に進めてまいります。

○伊藤委員 防災訓練に参加した薬剤師の方にもお聞きしましたが、災害時などでいつでも派遣に応じてくれると。心強い限りでした。二台のモバイルファーマシーがしっかりと運用できるよう、調整を進めていただきたいと思います。
 次に、医療施設近代化施設整備費補助事業について伺います。
 物価高騰が続く中、老朽化による建て替えが困難な二次救急病院が診療を休止するケースが生じています。建築資材の高騰が地域医療に影響を及ぼすような事態が起こり始めています。
 こうした病院の建て替えが厳しい状況となっていることについて、都の見解を伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都内の病院は、約四割が築四十年を経過し老朽化が進む中、建築価格が高騰しております。地域医療を確保していくには、老朽化した病院の建て替えの促進に取り組むことが重要でございます。
 このため、都は来年度、老朽化による建て替え等を行う病院を支援する医療施設近代化施設整備費補助事業を拡充いたします。

○伊藤委員 都内の病院の約四割が築四十年を経過し老朽化が進む中、建築価格が高騰しているため、地域医療を確保すべく、老朽化した病院の建て替えの促進に取り組むことが重要と、東京都の認識を確認しました。
 それでは、都は来年度、病院の建て替えの補助を拡充するとのことですが、その内容を伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 来年度の事業では、病院の補助基準単価につきまして、一平方メートル当たり二十六万四千四百円から四十一万一千円に引き上げます。また、二次救急医療機関をはじめとした地域における中核的な医療機関につきましては、現在三百床とされている補助病床数の上限を撤廃いたします。

○伊藤委員 補助単価の引上げや補助病床数の上限を撤廃して、老朽化した病院の建て替えを促進するとのことです。
 先日、報道にもありましたが、日本病院会など病院関係六団体の記者会見によりますと、物価の高騰や賃金上昇に伴い、診療に係る費用が収益を上回り、昨年は赤字の病院が六割を超えていることを明らかにしました。
 新年度予算では、地域医療確保緊急支援事業として、現下の状況を踏まえ、都は、緊急的、臨時的な支援とともに、高齢者の受入れや、小児科、産科、救急医療における患者の受入れ体制の支援も実施をいたします。
 病院の建て替えについても、引き続き現場を注視し、国とも連携して支援の在り方についてしっかり対応していただくよう求めておきます。
 最後に、島しょ地域におけるリハビリテーションの提供体制について伺います。
 島しょ地域の高齢化や核家族化は深刻で、患者の入院治療後の対応が一層求められています。急性期治療後のリハビリテーションは、その後の患者のADLに大きく影響しますが、島ではリハビリテーションを行える施設が限られているため、本土の医療機関での入院が長くなる場合や、リハビリテーションが不十分なまま帰島する例もあるそうです。
 このような現状を踏まえ、都では、昨年三月に部会を設置し、島しょ地域におけるリハビリテーションに関する課題や対応について検討してきたと聞いています。
 そこで、島しょ地域の患者が住み慣れた島に安心して早期に帰島できるよう、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。

○新倉医療政策部長 都は、本土の医療機関に入院した島しょ地域の患者が早期に帰島できるよう、来年度から、島しょ地域の医療機関とリハビリテーションの提供に係る連携強化に向けた取組を、新島村と八丈町で開始をいたします。
 具体的には、本土と二島の医療機関との間で協定を締結し、ウェブ会議を活用して情報共有を行うとともに、入院早期から帰島後の生活環境の調整などを実施いたします。
 また、帰島後も島内の医療機関で、より適切なリハビリテーションを継続的に提供できるよう、本土からの遠隔支援や、現地に専門人材を派遣し直接指導を実施してまいります。今後とも、島民が安心して医療を受けられる体制を確保してまいります。

○伊藤委員 島の規模により医療提供体制が大きく異なるため、まずは新島村と八丈町において、それぞれで検証を実施し、他島でも展開していくよう要望して、質問を終わります。

○荒木委員 都民ファーストの会の荒木ちはるです。
 希少がんについて質問をさせていただきます。
 我が国では二人に一人ががんに罹患、三人に一人ががんで死亡するといわれており、日本での死因の一位ががんであります。これまで、都民ファーストの会東京都議団として、AYA世代のがん患者の支援、がんとの共生や就労支援に至るまで、がんに関する政策提言や要望、質疑などを重ねてまいりました。
 今回は、そのがんの中でも、人口十万人当たり年間六例未満で数が少ないため、診療、受療上の課題がほかのがん種に比べて大きいものと定義をされております希少がんについて質問させていただきたいと思います。
 希少がんは、この名のとおり、希少というほど症例が少ない。ただ、個々のがんの症例数は少ないとしても、全てを足していきますと、がん患者の約二割にも上るといわれておりまして、人口の多い東京都におきましては、必然的に希少がんの患者も多いと推察をされます。希少がんの対応力の強化は、東京都として重要な課題であると認識をしています。
 このような中で、都立駒込病院は、都内で二か所の都道府県がん診療連携拠点病院のうちの一つとなっているのみならず、昨年の令和六年、二〇二四年ですね、一月に希少がんセンターを立ち上げました。大変期待も大きく、この希少がんセンターを立ち上げた開設目的について伺わせていただきます。

○鈴木都立病院支援部長 希少がんは、症例数が少なく臨床研究や治験を進めにくいことから、科学的根拠に基づき推奨される標準的治療の確立や診療ガイドラインの策定が困難であること、診療できる病院や医師が限られるなどの課題があるとされております。
 都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院では、各診療科で希少がんの治療を行ってまいりましたが、希少がん医療では臓器全般にわたる知識や技術が求められるがん種が存在することや、治療法が確立されていない希少がんには、診療科を横断して患者に最適な治療法を探る必要もあることから、組織横断的な対応力を強化する必要がございました。
 そのため、内科系、外科系の診療科や放射線科、遺伝子診療科など、診断と治療に関わる医師で構成する希少がんセンターを開設いたしました。

○荒木委員 ありがとうございます。組織横断的な対応力を強化するために希少がんセンターを開設ということで、まだ一年たったばかりということでありますが、希少がん患者の方々からも大いに期待の声も寄せられています。
 今後の取組に期待をして、もう一問質問させていただきます。
 都立駒込病院は、希少がんセンターの開設とともに、全国で八番目の施設として、国立がん研究センターのMASTER KEYプロジェクト、これは希少がんの治療開発を促進することなどを目的とする製薬会社との産学共同プロジェクトでありますが、これに参画するなど取組を行っています。
 改めまして、希少がんセンターの特色、そして強みを伺わせていただきますとともに、センターに関する情報発信を患者目線で行うべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木都立病院支援部長 駒込病院では、希少がんなどにも診断をつけることができる病理診断のほか、様々ながんに対応してきた各診療科やその専門医、がん遺伝子パネル検査の実施体制、臨床研究、治験の豊富な実績など、これまで培ってきた専門性の高いがんの診療基盤を生かしながら、治療法が未確立な希少がんにも積極的に取り組んでおります。
 また、症例の蓄積が希少がんの研究開発において重要であることから、令和六年四月より、国立がん研究センター中央病院の産学共同プロジェクトに参画し、患者の同意を得まして希少がん患者の診療情報等を登録し、網羅的なデータベースの構築に貢献するとともに、条件が合えば、未承認、適用外薬を用いた臨床試験の機会を患者に提供することとしております。
 駒込病院では今後、こうした特色や強み、患者や医療機関からの相談先をウェブページでより明確にするなど、希少がんの患者がしっかりとつながるよう工夫してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。まだできて一年ちょっとということで、知名度もまだ低いと思いますけれども、既に治療中のがん患者にとっても希望の光であるとも思います。ぜひ、セカンドオピニオンなどで駒込病院を検索する方も出てくると思いますので、患者目線での情報発信も強めていただきたいと思います。
 では、次に、NICU退院支援手帳「のびのび」について伺わせていただきます。
 これまで、都民ファーストの会東京都議団から、NICUの支援、そしてNICU内でのファミリーセンタードケア、早産児、超低出生体重児、特に退院後の支援など、質疑、要望を多くさせていただきました。令和七年度予算案の中では、早産児の相談体制の整備、そして、東京都主催での早産児の理解、啓発のイベントの開催、そして、先ほども申し上げましたがファミリーセンタードケアでの取組、そしてドナーミルクなど、我が会派の要望が多く取り込まれたことに対しまして、大変歓迎をしているところであります。
 その中でも、我が会派の提案で改定となりましたNICU退院支援手帳「のびのび」につきましては、改定のためのワーキングが昨年から立ち上がりまして、いよいよ配布の時期に移ってまいります。
 リトルベビーの団体などからの期待も大変高まっておりまして、どのようなスケジュールで配布がなされるのか、すばらしい手帳ができているからこそ、配布の仕方、そして場所などが大変重要と考えます。改定前の手帳がちょっと古いものであったということもありまして、その配布の対象となっていても配布をされなかったり、私は配布いただきましたけれども、配布をされたりされなかったりと、少しばらつきがあったことからしても、ぜひ全ての子供やそのご家族に届くように取り組むべきと考えますが、見解を伺わせていただきます。

○新倉医療政策部長 都は、手帳の改定に当たりまして、二月にNICU入院児支援コーディネーター及び地域の保健師向けに、両者が集まる連絡会におきまして、改定のポイントや留意点などの事前説明を行いました。また、改定した手帳を速やかに活用いただけるよう、医療機関や区市町村の家族支援の担当者向けに、三月中にあらかじめ手帳を配布いたします。
 今後、NICUに入院した全ての子供のご家族に対し、四月以降、入院している医療機関から、または区市町村の保健センターなどから手帳を直接お渡しし、入院早期から手帳が活用されるよう取組を進めてまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。NICU支援コーディネーターや地域の保健師には既にご説明をいただいていること、そして三月、今月は支援を行う支援者に手帳を現物配布しているということ、そして、これから全ての子供たちのご家族に確実に渡っていくということで、大変安心をいたしました。
 ぜひ、支援の一つのツールとして大変重要なものだと考えますので、活用いただけるように、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

○高倉委員 子宮頸がん予防のためのHPVワクチン接種について質問をしたいと思います。
 今年度には、高校一年生及びキャッチアップ接種対象者の合計十二学年の無料接種が終了するため、多方面から接種の呼びかけがありまして、期限間近になった昨年夏頃には駆け込み接種が増えた状況がございました。その後、キャッチアップ接種対象者については、さらに対策が必要との考え方から、国は、年度末の今月までに一回目の接種を開始した場合に、令和七年度も残りの接種回数分は公費でできるよう新たな方針を示し、再度の対象者への個別通知を行うことなども含め、確実な周知に努めるよう各自治体に要請をしたわけでございます。
 厚労省の審議会資料によれば、こうした世代の令和六年九月末現在の累積初回接種率は、おおむね三〇%から四〇%でありまして、依然低いことが明らかになっております。私は、これまでの委員会質疑において、来年度もキャッチアップ接種を継続していくことの必要性とともに、接種率向上に効果的な個別通知を、都として区市町村にしっかり促すよう訴えてまいりました。
 期限となりますこの三月が終わろうとしている中、これまでの都の取組状況と、今後の都の対応について答弁を求めたいと思います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 HPVワクチン接種の機会を逃した方への救済措置であるキャッチアップ接種は、令和六年度末をもって終了の予定でありましたが、昨年十一月、国の審議会において、対象者が今月末までに一回以上接種を行った場合には、来年三月まで残りの接種を公費で受けることができる方針が示されたところです。
 都は、このことについて区市町村に対し速やかに情報提供を行うとともに、今年度新たに開設したHPVワクチンポータルサイトを通じて年度内の接種開始を呼びかけたほか、民間事業者とタイアップしたポスターを区市町村や大学、高校等へ配布し、周知を行っております。
 先月からインターネット広告を開始し、接種の対象となる方をポータルサイトに誘導するとともに、今後、東京商工会議所を通じ、会員企業約八万社に勤務する方を対象に広報を行うなど、さらなる周知を図ってまいります。

○高倉委員 しっかりと取組をお願いしたいと思います。
 キャッチアップ接種の対象者を除きますと、令和七年度は小学校六年生から高校一年生までの定期接種のみの体制に戻ります。しかしながら、これまで以上に周知の強化を図りませんと、接種率が十分に上がらない状況になる可能性もあります。
 宮崎市の例になりますけれども、令和六年度に新たな取組として、無料接種期間が終了となる高校一年生とキャッチアップ対象者に、分かりやすい内容で年四回、個別通知を送付し、その結果、高校一年生の接種率は、令和五年度の四三・九%に比べまして、令和六年十二月末時点では六一・九%と大きく接種率が増加をしていると聞いております。
 また、宮崎県も、県内の被接種者に接種のきっかけについて調査をしたところ、最も多かった回答が、市町村からの通知はがき、文書を見てであるとして、個別通知の有効性を強調しております。
 令和七年度の都内における定期接種のうち、接種の最終学年である高校一年生については、今年秋ぐらいまでに初回の接種をしないと無償の三回接種の機会を失うことになってしまいます。したがいまして、高校一年生への周知は特に重要となります。
 都としても、個別通知の発出を含めて区市町村に対応を促していく必要があると思いますけれども、見解をお伺いします。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 HPVワクチンの定期接種については、ワクチンの有効性、安全性に加えて、国が示している標準接種年齢や計画的な接種の重要性等についても分かりやすく発信していくことが重要でございます。こうした情報が定期接種の対象となる小学校六年生から高校一年生相当の方へ届くよう、接種主体である区市町村による個別勧奨に加え、都は、小中学校や高等学校に通じた情報提供を行っております。
 さらに、昨年七月のHPVワクチンポータルサイトの新規開設と併せてインターネット広告等を開始し、対象者に必要な情報を分かりやすく発信しており、特に高校一年生に対しては早めの接種検討を呼びかけております。
 来年度も引き続き、様々な情報発信を行い、接種検討を呼びかけてまいります。

○高倉委員 今、答弁でも、高校一年生に対しては早めの接種検討を呼びかけるというお話がありました。まさにここは毎年毎年大変重要なところでありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 また、このHPVワクチンの男性接種についてであります。
 都は、今年度から男性接種を実施する区市町村に対して補助を行っておりますけれども、令和七年度中に実施する自治体がどこまで広がっていくのか、また、実施自治体がさらに増えるようにするための都の取組について、答弁を求めたいと思います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、HPVワクチンの男性への接種が定期接種化されるまでの措置として、今年度から独自に、小学六年生から高校一年生相当の男性を対象に、区市町村が負担する接種費用の二分の一を補助しており、現在、三十三自治体から交付申請を受けております。
 この補助事業について、来年度も引き続き実施していくことにしており、本事業の趣旨、仕組みについて、実施主体である区市町村等に対し、様々な機会を捉え丁寧に説明し、活用を促してまいります。

○高倉委員 東京都の補助開始よりも先に、令和五年度から男性接種を開始した、私の地元中野区では、接種対象者に個別に通知をしていると聞いております。男性接種の対象者にも個別通知をするなど周知に努めるべきと思います。
 補助を実施している都として、利用対象者に向けたこの周知について、来年度どう取り組んでいくのか答弁を求めたいと思います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 HPVワクチンの男性接種については、希望する方がワクチンの効果、副反応のリスクを踏まえた上で安心して接種を受けることが重要でございます。
 このため、都は、ホームページやポータルサイトにおいて、ワクチンの有効性、安全性などに加え、接種に関する相談窓口の情報や区市町村の事業実施状況を取りまとめて掲載するなど、対象者やご家族の方に対し広く周知しております。
 来年度も、引き続き様々な情報発信を行ってまいります。

○高倉委員 続きまして、都立病院の運営状況について質問したいと思います。
 都内医療機関から、コロナ禍以降、患者が戻らないという声を多く聞きまして、病棟の休止や病床返還を行う病院も出ているとのことであります。こうした厳しい状況の中で、都立病院も病棟休止が継続をしております。
 以前の質疑で、こうした病棟休止が起こったのは、主に令和二年からの新型コロナウイルス感染症対応として、新型コロナ病棟への看護師の応援等により病棟休止が拡大したものであるとの答弁を得ておりましたが、改めて現在の病棟休止の状況をお伺いするとともに、診療への影響はないということでよろしいのか見解をお伺いします。

○鈴木都立病院支援部長 本年三月一日時点で、工事を理由とするものを除いた休止病棟は、都立十四病院全体で二十一病棟、病床数七百五床でございます。なお、診療科自体は維持しておりまして、診療への影響は生じていないものと認識しております。

○高倉委員 病棟休止の理由について、改めて確認をしたいと思います。答弁を求めます。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院では、病棟運営に必要な職員を確保して患者の受入れ体制を整備しておりますが、令和六年四月から十二月までの延べ入院患者数は、令和元年の同時期と比べ約二十二万人減少しております。
 こうしたことから、患者動向に応じた病棟運営を行い、一部の病棟を休止しており、そのうち約四分の一を占める松沢病院の社会復帰病棟では、対象となる長期入院患者等の減少に伴い、順次休止をしているところでございます。
 なお、感染症の蔓延や大規模災害発生等により、さらなる病床を必要とする事態が生じた際には、速やかに休止病棟を再開するなど、今後も必要な体制を確保しながら、行政的医療をはじめ、都民に必要とされる医療を着実に提供してまいります。

○高倉委員 今答弁をいただきまして、病棟休止は患者動向によるもので、しっかりと必要な職員を確保し、患者の受入れ体制は整備をされているということでありました。
 大事なことは、都民に必要とされる医療を着実に行うことであります。その中で、救急医療について、令和六年の東京消防庁救急隊の出場件数が過去最多を更新するなど、救急需要がますます高まっていることから、都立病院でもしっかりと救急患者の受入れ強化を図っていくべきというふうに思いますが、見解をお伺いします。

○鈴木都立病院支援部長 都は、中期目標におきまして、いつでも、誰でも、その症状に応じた医療を受けられるよう、総合的な救急医療を提供することや、重症、重篤な患者や、一般医療機関では対応が難しい特殊な診療を必要とする患者に対し、高度で専門的な救急医療を提供することを都立病院機構に求めているところでございます。
 例えば、小児総合医療センターでは、救急要請に対し、重症、重篤の患者を含め、ほぼ全ての患者を受け入れているところであり、また、都立広尾病院では、高齢化で増加が見込まれる骨折を含めた救急体制を強化するため、来年度早期に外傷の専門的処置を行う外傷センターを立ち上げまして、ADL低下を防止する早期リハビリテーションにつなげていくこととしております。
 今後も、高まる救急のニーズに対し、各都立病院の医療機能に応じて着実に対応してまいります。

○高倉委員 病院を取り巻く環境や変化する医療ニーズを踏まえながら、都立病院が行政的医療をはじめとする質の高い医療を継続的に提供していただくように強く求めておきたいと思います。
 次いで、動物施策についてお伺いしたいと思います。
 令和六年度は、動物愛護相談センターの整備に向けて、基本計画といっても、第二次の基本計画ということで、取決めを進めていただいているところだというふうに理解をしております。もともと、令和五年度にこの基本計画を策定するということだったわけでありますけれども、それが、引き続き令和六年度も第二次の基本計画を策定する、こういうことになっているわけであります。
 その最大の要因といいますか、理由は、センターを整備する、いわゆる場所をどこに決めていくのか、このことがやはり大きな課題となって、令和五年のみだけでなくて令和六年度も引き続き基本計画を進めていくということになっているんではないかと思います。
 そうはいっても、令和六年度も、もう今月でおしまいであります。したがって、こうした大変重要な整備地の選定、こういったことがどうなっているのか大変気になるところではありますけれども、まず最初に、この第二次基本計画の策定に向けてどう取り組まれているのか、このことについて答弁をいただきたいと思います。

○中川健康安全部長 都内に三か所設置している動物愛護相談センターは、普及啓発や動物譲渡、事業者の監視、指導など、都の動物愛護管理施策の中核的役割を担っております。新たなセンターを都民に身近な動物との共生推進拠点とするには、保護した動物を健康な状態で譲渡できるよう、動物福祉に配慮した飼養環境の充実や都民ボランティア等との協働の促進など、機能を強化する必要があります。
 このため、昨年策定いたしました第一次基本計画において、センターに必要な機能と整備の方向性を整理しており、現在、新たなセンターの整備に向け、候補地や整備方針などについて具体的な検討を進めております。

○高倉委員 今答弁の最後のところで、具体的な検討を進めている、整備地についてですね、こういうご答弁がありました。
 時間がかかっているということは、それなりに私も理解をしているつもりでありますけれども、ずっと同じような方法で、やはり整備地選定の検討を進めているということだと、なかなか整備地が決まらないというようなこともあろうかと思っています。ぜひ、いろんな方法を考えて、この整備地の選定については、ここが一番肝になるところでありますので、しっかりと進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それから、次に、獣医系大学との協働事業について質問したいと思います。
 私はかねてから、都の動物施策を進めていくに当たって、獣医系大学、都内に非常に立派な大学が幾つもあるわけであります。この獣医系大学との、いわば協働という取組を進めていくべきじゃないかと、こういう提案をさせていただきました。
 獣医系大学は、ご承知のとおり、当然ながら専門家がいるわけであります。また、すばらしい医療設備も整えていると。さらには、動物が常にいる場所でもあるんですね。そして、なおかつ、動物について学んでいる学生さんもたくさんいるということで、いってみれば重要な人的資源でありますとか、あるいは施設的資源といっていいんでしょうかね、こういったものを備えているというところなんですね。
 したがって、いわゆる行政としての都が進める動物施策については、こうした獣医系大学と協働していくということは大変意義があることではないかというふうに思うわけであります。
 さきの予算特別委員会におきまして、来年度、都内の大学と協働事業に関する協定を締結し、動物の治療等の研修を行うといった答弁があったわけでありますけれども、具体的な内容でありますとか、その効果についてご答弁いただきたいと思います。

○中川健康安全部長 都内の獣医系大学は、先進的な獣医療機器を備えている附属の動物病院での治療や、動物の保護施設における飼養環境の整備に関する研究等を行っており、動物愛護管理施策の推進に当たり、このような専門的な知見を持つ獣医系大学との協働は重要でございます。
 このため、都は来年度、都内の獣医系大学と協働事業に関する協定を締結し、動物愛護相談センターの獣医職の職員を対象として、大学教員による負傷動物の治療手技や高齢動物のケア、動物の行動治療、動物福祉に配慮した飼養環境の整備等に関する専門的な研修を実施いたします。
 また、研修のフォローアップを行うため、センターの職員が大学教員にオンラインで相談できる体制も整え、動物の治療やトレーニングに関する職員のスキルアップを図ってまいります。
 このような大学との協働事業を通じて、センターに保護された動物の譲渡を一層推進してまいります。

○高倉委員 今、予算特別委員会の場よりもっていうと変ですが、かなりしっかりとした内容についてご説明がありました。非常に、これが進んでいけば、すばらしいまた結果も生まれてくるんではないかと思いますので、ぜひしっかりと取り組んでいただくようによろしくお願いしたいと思います。
 そして、獣医系大学の方からは、例えば災害時にですね、やはり都が取り組む災害時の動物への取組についても、ぜひ協力したいというお話を私もかねがね聞いております。ぜひ東京都との間で災害協定等も結んで協力したいというお話もあったわけであります。
 将来的には、今答弁もありました協働のことをこれから進めていくわけでありますが、獣医系大学と災害時の対策も協働して行えれば大変すばらしいのではないかなというふうに思いますけれども、答弁をいただきたいと思います。

○中川健康安全部長 都は、獣医系大学と連携し、動物愛護推進員や動物愛護団体、区市町村の職員等を対象として、災害時の同行避難等をテーマとしたシンポジウムを開催し、関係者の災害への対応力向上のための取組を行っております。
 来年度は、新たに開始する協働事業の機会も通じて大学とさらなる連携を図り、災害時の動物救護対策などの分野についても、協働に向けて意見交換を行ってまいります。

○高倉委員 最後に、飼い主が不明な猫、または飼い主が飼育を続けることが困難になった猫について質問をさせていただきたいと思います。
 都は、こうした動物に対する区市町村の施策が前進するよう、三か年の十分の十補助として包括補助金による事業を実施しております。これについて、東京都多摩市の、私ども公明党の市議会議員から都の対応を求める要望がございました。
 具体的に申し上げますけれども、子猫が多数保護される事態が多く発生をしていること、ペットフードの原材料価格が高騰していること、急激な物価高騰などによる生活の不安から猫を飼育しようとしている人が減少していることなど、年度当初には、どうしても想定が難しい要因によりまして、都の補助を受けて実施している多摩市の飼い主不明猫保護譲渡補助金の予算が不足する事態が生じてしまったというお話でありました。このため、市の事業が年度途中の昨年の十二月までしかできなかったということであります。
 市は、都に対して年度途中の増額を申請したそうでありますけれども、都からは、相当な理由がない場合、増額は認められない、そういった返答があったそうでございます。
 先ほど、こまざき委員の質疑の中で、都が実施している包括補助事業の内容や事業の実施自治体数について答弁がありましたので、このことについて用意していた質問は省かせていただきます。
 まず、この都の補助事業が多くの区市町村で活用されるよう、都はどういった取組を行っているのか、答弁をいただきたいと思います。

○中川健康安全部長 都は、区市町村に対して、保健医療施策に関する説明会や動物行政の担当者会議などの場を通じて事業の活用を働きかけるとともに、好事例を取りまとめて事例集として紹介するなど、多くの区市町村による取組を促しております。

○高倉委員 今答弁いただきました。先ほど申し上げた多摩市の市議からは、都の補助金に関する具体的要望としまして、一つには、十分の十の補助は三年目の令和六年度で終了しますが、令和七年度以降も引き続き補助は受けられるようにしてほしいとのことであります。これについては、二分の一の補助が継続して実施されるようでありますが、飼い主不明猫対策は継続した取組が必要でありまして、今後しっかりと継続するよう強い要望が寄せられております。
 また、二つ目として、年度途中に事業費が増額となった場合には柔軟に対応してほしいといった要望が寄せられております。年間を通じて区市町村が円滑に事業を進めるためには、包括補助の申請後、様々な状況の変化などにも適切に対応する必要があると思います。ボランティアが活動する中で、動物の引取り数が当初の予定を上回るケースもあります。ぜひ、現場の声にしっかりと耳を傾けていただきたいと思います。
 地域における対策が継続的に進められるよう、都として十分支援をしていく必要があると考えますけれども、答弁を求めます。

○中川健康安全部長 地域における動物の相談支援体制の整備は、先駆的事業として三年間の補助期間が終了した後も選択事業として補助率二分の一で継続しております。また、この事業のほか、ボランティアと連携して飼い主のいない猫対策に取り組む場合も包括補助のメニューとしており、取組手順や都内の取組例をまとめたガイドブックを紹介しながら区市町村を支援しております。
 今後とも、地域の実情に応じた取組がさらに進むよう、区市町村の意向を丁寧に聞きながら、これらの事業に取り組んでまいります。

○高倉委員 飼い主不明猫対策については、実施する自治体の負担が大きくなっている現状があります。また、単独の自治体だけでは、取り組んでもなかなか解決に至らない、広域的な取組が必要な要素も含む対策であります。今後、都としても、さらに先進的、効果的な事例等を十分研究するとともに、今後の施策展開の方向性を示しながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、以前から申し上げておりますけれども、飼い主のいない動物の譲渡対策につきましては、ボランティアの皆様のご協力なくしては進めることができないものであります。都として、ボランティア団体等の活動に十分配慮をして、今後新たな支援策についても検討を進めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いします。
 それでは、今日は国民健康保険について質問していきたいと思います。
 子供の均等割保険料について質疑したいと思いますが、まず、その前提として国民皆保険制度の意義、その中で国民健康保険の果たしている役割とは何かについて伺います。

○井上地域保健担当部長 国民皆保険制度は、誰もが安心して医療を受けることができるよう、国民全員を公的医療保険で保障する制度でございます。その中で、国民健康保険は、住民である被保険者を対象として、疾病等の場合に保険給付を行い、被保険者の健康の保持増進を図る国民皆保険制度の基礎をなすものでございます。

○里吉委員 国民皆保険制度の基礎をなすものというお答えでした。
 七十五歳以上になりますと後期高齢者医療保険への加入となりますが、それまでは民間企業に勤務している人たちが加入する健康保険、船で仕事をする船員などが加入する船員保険、それから、公務員や私立学校の教職員が加入する共済組合があります。どれにも属さない方、フリーランスや自営業の方、年金生活者などが国民健康保険に加入するわけです。ほかの公的医療保険に加入する人を除いた全ての人が加入するのが国保でありますので、まさにこれで国民皆保険制度が成り立つわけです。ですから、健康保険のセーフティーネットとしての大事な役割があるということです。
 しかし、この国保の保険料がとても高い、支払うことが困難という声が本当にたくさん寄せられています。国民健康保険料全体の軽減が必要だと思いますが、今回は、子供の均等割保険料について質疑したいと思います。
 国民健康保険における子供の均等割保険料について、今年の金額、一番高い順に都内第五位まで、その保険者、自治体名とその金額をお示しください。

○井上地域保健担当部長 保険料については区市町村が定めるものでございますが、特別区においては、千代田区、中野区、江戸川区の三区を除き統一保険料を採用しております。
 令和六年度における国民健康保険の均等割保険料が高い上位五つの保険者は、江戸川区が六万九千円、次に、統一保険料を採用しております特別区が六万五千六百円、次に、八王子市が六万三千百円、次に、中野区が六万二千百円、最後に、千代田区が六万四百円となっております。

○里吉委員 二十三区、少し抜けているところもありますが、そこも含めて全部六万円超えということで、東京都は〇一八サポートで子供一人当たり年間六万円給付していますが、それを上回る額が取られてしまう。これ、本当に子育て世代のペナルティじゃないかと思うわけですよ。二〇二二年度から、未就学児に限り均等割半額減免となりましたが、それでも高い。そして、この均等割の金額は上がっているんですよね。
 それで、どのぐらい上がっているかということについてもお伺いしたいんですが、ここは、子供の均等割、先ほどご紹介いただいた千代田区、中野区、江戸川区を除いた特別区のこの五年間の金額の推移を伺いたいと思います。

○井上地域保健担当部長 千代田区、中野区、江戸川区を除いた二十の区における直近五年の均等割保険料は、令和二年度が五万二千八百円、令和三年度が五万二千円、令和四年度が五万五千三百円、令和五年度が六万百円、令和六年度は六万五千六百円となっております。

○里吉委員 来年度は少し下がることになっていますが、それでも六万四千百円です。多少凸凹はありますが、確実に値上がりしています。この均等割という仕組みがあると、保険加入者が増えたら保険料が上がるわけで、子供が生まれると、その分保険料が増えるわけです。どう考えても子育て支援に逆行すると思うんです。そもそも、所得ゼロの子供から保険料を取るという仕組みそのものがおかしいと思います。
 そこで、改めて確認しますけれども、医療保険には、民間企業に勤務している人たちが加入する健康保険、船員などが加入する船員保険、公務員や私立学校の教職員が加入する共済組合、そしてフリーランスや自営業の方などが加入する国民健康保険、こういう制度がありますけれども、加入者が増えるごとに保険料が増える均等割制度がある保険制度は、国民健康保険以外にあるか伺います。

○井上地域保健担当部長 国民健康保険と後期高齢者医療制度の保険料については、法令により、経済的負担能力に応じた所得割に加え、世帯の被保険者数に応じた均等割を賦課することとされております。

○里吉委員 国民健康保険と後期高齢者医療制度には、所得割に加えて均等割を賦課しているということですよね。この仕組みがあると。この二つの制度が、均等割という人頭税のような仕組みを持って、低所得者への減免、減額措置はありますけれども、原則として所得にかかわらず同じ金額が課される重い負担となっています。
 とりわけ矛盾が大きいのが、やはり国民健康保険の子供の均等割だと思うんです。ほかの公的医療保険にはない、この均等割の制度は変えるべきだと思います。国がこの均等割保険料を課すことがおかしい、制度の見直しをするべきだと思うわけです。
 こうした中で、国や東京都の動きがない中で、それぞれの自治体で軽減を求める声は繰り返し出されています。私たち日本共産党も、都議団と各地方議員団が毎年東京都への申入れを行っています。さらに、区議団の皆さんと特別区長会へも伺い、国保に関する申入れと懇談も行ってきました。そこでも子供の均等割の負担軽減を求める声が多くの議員から出されました。
 そこで伺いますが、子供の均等割保険料、保険税を独自に軽減している自治体はあるかどうか。あるとしたら、軽減の内容はどのようなものか伺います。

○井上地域保健担当部長 子供の均等割保険料を独自に軽減している自治体があることは承知しております。軽減内容は、未就学児を対象として、均等割保険料の全額を減免しているものや、十八歳未満を対象に、第二子や第三子以降の保険料の半分を減免しているものなどがございます。

○里吉委員 国が未就学児の減免を半分しか行わないので、残りの半分を自治体として負担したり、第二子、第三子以降の分を減免する。それぞれ工夫して取り組んでいるわけですよね。
 そこで伺いますが、都としてこうした均等割保険料を軽減する自治体を支援すること、これは制度上可能かどうか伺います。

○井上地域保健担当部長 国民健康保険法及び地方税法では、災害等で生活が困窮した場合など特別な理由や事情がある場合に、区市町村の条例の定めるところにより、国民健康保険の保険料、保険税を減免することができるとされております。
 国は、保険料の減免の仕組みは保険者が個々の事情を勘案して行うものであり、特定の対象者にあらかじめ画一的な基準を設けて減免を行うことは、明確な法令違反とはいえないものの、適切ではないとしております。

○里吉委員 その気になれば、減免する区市町村に財政支援できるということだと思うんです。
 東京都は、十八歳までの医療費助成制度では、全ての子供たちの健全な育ちと子育て世帯の経済的負担の軽減を進めるためとして、今年十月から所得制限を撤廃します。一方で、所得もないのに保険料が加算される子供の均等割保険料は重い負担として残っています。
 今、国が適切ではないとしているというご答弁でしたけれども、この子供の医療費助成についても、国は国民健康保険への国庫負担を不当に減額してまで妨害してきましたよね。その下でも、東京都と区市町村の努力で拡充を進めてきたわけです。国の姿勢には引き続き問題がありますが、子供の医療費助成についての国庫支出金の減額は、ようやく廃止されました。このような役割を国保の均等割でも果たすべきだと思います。
 茨城県では、五億円の予算を市町村に振り分けて、それを活用して大半の市町村が子供の均等割の負担軽減をしています。本当に重要な取組だと思います。都は、全国知事会などで子供に係る均等割の負担軽減をかつて求めていましたが、未就学児への半額負担軽減で終わらせることなく、全額免除をぜひ求めていただきたいと思います。そして、実現までの間は、都として支援することも強く求めておきます。
 次に、国民健康保険料の差押えについて伺います。まず、過去三年間の差押件数は何件か伺います。

○井上地域保健担当部長 国民健康保険料、保険税の滞納に対する新規差押えの直近三年間の件数でございますが、令和三年度が二万四千二百五件、令和四年度が二万七千六百九十三件、令和五年度が三万三千八百三十六件となっております。

○里吉委員 この三年間で見ると、差押件数は増加しているということですが、この背景に何があると東京都は考えているでしょうか、伺います。

○井上地域保健担当部長 各保険者が被保険者間の公平性を確保する観点から、財産があるにもかかわらず保険料を納付しない場合等は、法令に基づく差押えを行っているものと認識しております。

○里吉委員 今の答弁ですと、財産があるにもかかわらず保険料を納付しない方が増えている、だから差押件数が増えたんだというふうに聞こえてしまうんですけれども、果たしてそうでしょうか。
 そもそも、収入に占める国民健康保険料の割合が高過ぎるんです。そこに物価高騰が襲って、生活を圧迫しています。そして毎年、国民健康保険料は値上げされています。物価高騰で生活も苦しくなっている、そういう中でも、実は東京都全体で滞納世帯数は、二〇一九年度の四十七万世帯からすると、二〇二三年度は三十五万世帯に減っているんですね。対象世帯数に対する割合も一八・一%から一四・六%に減っています。つまり、生活が苦しくなって、保険料が値上げされる中でも、何とかして払う世帯は増えているということなんです。
 だけど、今こういう結果になっているってことですよね。滞納が減っている要因の中には、私は自治体の徴収強化もあると思います。それでも払えない世帯が滞納世帯として残されています。その中で差押えが増えているというのは、より生活の厳しい世帯に差押えを行うようになっているということだと考えられます。
 日本共産党の地方議員団、地方議員のところには、本当にたくさんの相談が来ています。単発の仕事で生活をつないでいる、いわゆるギグワーカーの青年は、体を壊して仕事ができなくなり、電話代も払えなくなって困っているとか、二十五万円から二十六万円の収入から所得税を払い、年金保険料払い、奨学金を返し、国保料で十万円かかる。ぎりぎりで生活している、これ若者なんですけれども、本当にこういうぎりぎりで生活している方々が差押えを受けているのではないでしょうか。
 主な差押えは預貯金だと伺っています。しかし、預貯金といっても生活費も含まれている場合も多く、そのまま差し押さえるわけにはいかないと思います。
 そこで、改めて確認しますけれども、国税庁通達で、生活困窮を引き起こす可能性のある場合、給与などを差押禁止財産とされています。これは、具体的にいうと、どのような場合に給与などが差押禁止財産になるのか伺います。

○井上地域保健担当部長 国税徴収法では、滞納者の生活保障の観点から差押禁止財産を定めており、給与の差押禁止として三点ございます。一点目は、給料等から徴収される税及び社会保険料、二点目に、生活保護法における生活扶助の基準となる金額とされている一月十万円と、同居親族一人につき四万五千円を加算した額、三点目に、給料等から一点目の税金等及び二点目の生活扶助の基準額を差し引いた後の二割に相当する額。以上三点の合計額としております。

○里吉委員 国税徴収法で、給与の差押えをする場合でも禁止事項が三点あることを確認しました。全部押さえちゃいけないんですよね、給料が入っている口座をね。
 ところが、都内のある自治体でこんな事例がありました。おばあさんの口座なんですけれども、祖母がひきこもりの孫を弁当屋で働きながら養育して、ぎりぎりの生活で過去の滞納が蓄積していた。国保料を払っていなかったわけです。給料日になって家賃を払うために口座からお金を引きおろしそうとしたら、差押えで引き落としができず、驚いて国民健康保険課に出向いて、これでは生活ができないと訴えたら、そうですねと答えただけだったそうです。
 この相談を受けた共産党の議員が申し入れても、差押禁止の給与や年金ではなく貯金を差し押さえたんだといって、返却にも応じなかったということなんです。その後、さらにその上司、上の方に申し入れて、届けて、差し押さえられたのは給料だということで返却された。こういうことがあったんです。これ、二〇二四年度の都内で起きた事案です。
 こういう事案が発生したということ、東京都はちゃんと把握しているのかどうか伺います。

○井上地域保健担当部長 本件事案でございますが、当該自治体から聞いたところによりますと、滞納者に対し財産調査を実施したところ、金融機関の口座に一定の預金が存在することが判明したため、預金口座の差押えを実施しております。その後、差し押さえた口座は給与が振り込まれる口座であり、差押禁止財産が含まれることが判明したため、差押えを解除したと聞いております。

○里吉委員 これ、議会の中で表に出ている話なんですけれども、誤った差押えについて議会で答弁する、まあちょっと上の人ですよね、この人は、今回の事例では、給与が振り込まれた預金に差押禁止部分があるという認識がなくて、預金を差し押さえてしまったと。差押禁止である給与や年金そのものではないという誤認だったということで、納付が困難な方の生活資金の差押えに至ってしまったと。深くおわびします、こういうふうに謝罪はしているんです。誤りを自治体は認めたわけです。
 ただ、これ、議員が相談に乗って粘り強く交渉した結果、差押えが解除されたということで、違法な差押えに遭っても泣き寝入りしている事例がほかにもあるのではないかと疑わざるを得ません。
 都は国保事業の主体でありますから、こうした違法な差押えが起きないように指導する責任があると思いますが、いかがですか。

○井上地域保健担当部長 都では、毎年度、国民健康保険の実務を担う自治体職員を対象に、保険料の徴収に関する研修を実施しており、その中で滞納者に対する差押えに当たっては、各種法令に基づき適正に行うよう周知を行っております。
 今後も、こうした研修や各自治体との意見交換の機会を通じて、適正な保険料の徴収について指導してまいります。

○里吉委員 本当に、差押えについての正しい知識を担当者にしっかり周知していただきたいと思います。
 東京都は、二年に一回、全自治体への指導検査に入っていると伺っています。この指導検査に入った際も、差押業務が本当に正しく行われているのか、ぜひ調査していただきたいと思います。その際、預金になりさえすれば差押禁止財産ではなくなるという考え方は誤りであると、先ほど答弁いただきましたけれども、そのこともきちんと踏まえていただきたいと思います。
 同時に、国や都からの指導もあり、自治体は、ただただ収納率を上げることばかりに力を集中しているという声も寄せられています。国保料を滞納している生活困窮者に催促を繰り返しても、支払えないものは支払えないんです。滞納額は増えるばかりです。大切なことは、滞納者の相談に積極的に乗りながら、滞納処分の停止や生活保護も含め、生活再建などの支援を行うことだと思います。
 国保料滞納者への対応は、一人一人に寄り添った支援となるよう、都としてもきちんと対応していただきたい、指導していただきたい、このことを求めてこの質問は終わります。
 最後に、看護職員等宿舎借り上げ支援事業について一点だけ質問いたします。
 病院に勤務する看護師、保健師、助産師、看護助手者が対象と聞いているんですね、これ、病院に勤務する。私のところには、なぜ診察所や訪問看護ステーションは対象にならないのかという、これも対象にしてほしいという要望が出ているんですが、お答えください。

○新倉医療政策部長 都は、病院が行う看護宿舎の整備を支援しておりますが、物価高騰等の影響から、建設費用や施設の継続的な維持管理等が課題となってございます。このため、来年度からは、病院が看護職員や看護補助者向けの宿舎を借り上げた場合の支援を実施することといたしました。

○里吉委員 入り口が、病院が行う宿舎の整備の支援から始まったということなんですが、今、看護師不足って本当に深刻じゃないですか。看護師の確保は困難で、これ本当に期待されている事業なんです。そう考えますと、看護師の確保が困難なのは、病院だけではなくて、特に訪問介護は確保が困難な上、これから在宅療養をする高齢者が増える中で大きく増やしていく必要があります。
 また、民間病院からは、同じ法人の看護職員が異動によって診療所とか訪問看護ステーションに行くと、勤務先によって宿舎借り上げの対象にならなかったりするというのでは困ると。診療所や訪問看護ステーションでは二十四時間対応を行っていて、そうすると夜中の呼出しもあって近くに住んでいる必要があるということで、この看護職員等宿舎借り上げ支援事業は大変重要なものだと思いますが、ぜひ改善していただきたいと、活用する側の法人からの要望を強く受けておりますので、改善を求めて、質問を終わります。

○中村委員 立憲民主党の中村ひろしでございます。令和七年度、二〇二五年度東京都予算案の保健医療局分について質問します。
 まず、都立病院について伺います。
 二〇二二年七月一日に都立病院が独立行政法人化をしましたので、二年半が経過しました。ちょうど新型コロナ流行の時期だったため、そんな時期に体制が変わることへの懸念はありました。とはいえ、現場の方々はコロナ禍に際して懸命に取り組んでいただき感謝をします。その後、コロナにより通院控えが起こり、都立病院の経営は厳しくなりました。
 そこで、まず、病床の利用率、経営状況を伺います。

○鈴木都立病院支援部長 病床利用率でございますが、コロナ前の令和元年度は、当時の都立病院が七六・九%、当時の公社病院が七〇・六%でございました。令和五年度の都立全十四病院の病床利用率は五六・二%となっております。
 令和五年度の決算は、百八十二億九千五百万円の当期純損失となっておりまして、これは新型コロナの影響で患者数が減少したことのほか、コロナ関係補助金が大幅に減少したこと、物価高騰の影響により材料費等が増加したことが主な要因でございます。

○中村委員 コロナ禍という異常な状況があったとはいえ、五六%ということで半分近くのベッドが空いていることになります。経営の改善は必要とはいえ、季節、時期の変動は社会全体で調整し、平常時に余力を持っておけるのが都立病院の役割でもあるとは思います。
 来年度予算では、民間病院への支援として三百二十一億円という大きな支援を行います。これは対象が民間病院だけです。都から都立病院への支援は行政的医療の支援だけでしょうか。経営状況が厳しければ補助を出すのでしょうか。厳しい状況をどう乗り切るのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院への財源措置につきましては、地方独立行政法人法等により、設立団体による負担等について定められております。
 具体的には、その性質上、法人の事業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費等を設立団体が負担するものとして、運営費負担金がございます。同様に、法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部または一部に相当する金額を交付することができるものとして、運営費交付金がございまして、令和七年度は、独法化以前から計画、整備に着手していた施設整備に対する物価高騰に係る経費の一部につきまして、臨時的に支援することとしてございます。

○中村委員 都立病院の役割として行政的な医療があり、経営が厳しくても民間病院ではできない役割を果たすことが求められます。どのようにその役割を遂行するのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 行政的医療を適正に都民に提供し、都における良質な医療サービスの確保を図ることは都立病院の基本的役割であり、引き続き、機動的な人材の確保等により、こうした役割を果たしてまいります。

○中村委員 都立病院が独立行政法人化しましたが、民間病院では受け切れない行政的医療については今後も堅持していただくよう要望します。
 施設整備費臨時交付金として、独法化以前に計画または着手した事業の物価高騰分の二分の一として五十七億円出すとのことです。資材高騰と人材不足は民間でも多くの事業が苦労しています。都立病院に対して都がどこまで支援するのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 都は、これまでも施設整備に係る費用のうち、必要な額を都立病院機構に貸し付けております。令和七年度は、独法化以前から計画、整備に着手していた施設整備に対する物価高騰に係る経費の一部につきまして、臨時的に運営費交付金を措置することとしております。

○中村委員 医療の内容は、独法化したとはいえ、行政的医療の継続をして公的な病院の役割を果たしていただきたいのですが、一方では施設整備や資材購入などは独法化することで低減できる部分でもあります。また、都が支援するにせよ、着実に進めるのは当然ですが、同時にコスト感覚を持ってやっていくべき部分は適切な対応が必要と思います。
 そして、この独立行政法人化について、その結果をしっかりと検証する必要があります。どのように評価をしているのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院では、独法化のメリットである安定的かつ柔軟な医療人材の確保や機動的な運営によって医療提供体制を整備しており、新型コロナ対応をはじめとした感染症医療や周産期医療、災害医療など、行政的医療を着実に提供しているところでございます。

○中村委員 独法化したのがコロナ禍なので多難なスタートでしたが、その前と後でどうなったのか、きちんと検証する必要があります。
 都の新規事業で常々感じているのは、最初は華々しく打ち出していた割には、その結果がどうなったのかはあまり公開していない。公開していないとはいいませんが、始めるときに比べると淡々と公表しているだけというものが多いと感じます。
 独法化のメリットと答弁されましたが、仮にメリットが多かったとしても、デメリットが全くないということはないと思います。検証は、よかったことだけではなく、悪かったことも含めて行い、情報公開しているという消極的な姿勢ではなくて、積極的に広報していく必要があります。
 場合によっては、最初の判断が誤っていることがあれば、立ち止まったり見直すことも必要です。ぜひ、そうした視点から独法化の検証を行うことを求めます。
 次に、民間病院の補助と感染症対策について伺います。
 新規事業で注目されたものとして、経営が厳しい民間病院に、都は異例の施策として補助することにしました。このことは、本来国が診療報酬で対応すべきですが、コロナ後急に入院患者が減ったという特殊要因だからこそ対応したものでもあります。とはいえ、またコロナのような感染症が流行するという異常事態が発生しないとも限らず、だからこそ異例の補助を行うという側面もあると考えます。
 コロナ禍の際には、病床確保において民間病院とのさらなる連携が必要な部分もありました。こうした補助を行い経営が立ち直ることは、都の施策への協力も募りやすくなると考えますが、都の見解を伺います。

○新倉医療政策部長 都は、全国と比べて民間病院の占める割合が高い中、急激な物価高騰などが病院運営を圧迫してございます。本来、こうした課題は診療報酬制度の改善や必要な財源措置を講じるなど、国が対応すべきものでございますが、地域の医療提供体制を確保するため、来年度、緊急的かつ臨時的に、都内の物価等を考慮した支援金を交付いたします。
 なお、来年度実施する地域医療に関する調査への協力を支援金の交付要件としております。

○中村委員 地域医療に関する調査への協力を支援金の交付要件とするのは重要だと思います。医療の重要性はもちろん承知していますが、他の産業でも物価高騰により経営環境は厳しいため、今回の医療機関の支援が、ひいては都民全体の利益になることは重要です。調査結果をしっかり分析をして、今後の地域医療に役立てていただきたいと思います。
 さて、コロナ禍で、より民間病院との連携が必要だったと思いましたが、コロナ後に多くの医療機関と協定を結んだとのことです。来年度予算案において協定締結医療機関連携システムが新規事業となっていますが、どのような事業か伺います。

○小原感染症対策調整担当部長 都は、令和六年四月に施行された改正感染症法に基づきまして、新興感染症の発生及び蔓延に備えるため、病院、診療所、薬局等の医療機関との間で、その機能と役割に応じた医療措置協定を締結いたしております。
 医療措置協定を適切に管理、運用していきますとともに、医療機関及び関係機関との情報共有を図りますため、協定締結医療機関連携システムの構築に着手いたします。

○中村委員 法改正を受けてとのことでしたが、今回のコロナ禍の経験を踏まえた改善ともいえます。度々コロナ禍における施策の検証を求めてきましたが、万一に備えて、検証から改善につなげていただきたいと思います。
 まだコロナ禍が完全に終わったわけではありませんが、コロナだけではなく、今後の未知なる感染症への備えも必要です。未知の感染症が流行した際に、円滑に連携できる体制を構築していけるか伺います。

○小原感染症対策調整担当部長 都は今年度、医療機関等との協定締結を進め、医療提供体制や検査体制の強化を図りますとともに、感染症発生時に備えた設備整備への支援や医療従事者向けの研修等を実施いたしております。
 こうした取組を来年度も継続いたしますとともに、新たに、先ほど申し上げました協定締結医療機関連携システムの構築に着手いたします。あわせて、感染症指定医療機関や医師会、保健所設置区市等で構成いたします連携協議会等を通じて、関係機関との連携を一層強化し、次なる感染症危機に備えてまいります。

○中村委員 コロナ禍の経験を大きく今後に生かしていく必要があります。ご答弁では、今、医療機関や医師会、保健所設置区市等との連携とのことでしたが、保健所のない市町村との連携も重要だと考えます。度々求めてきましたが、改めて、住民に最も近い自治体との連携強化を求めます。
 次に、災害医療について伺います。
 地震や風水害だけではなく、感染症も災害の一つともいえます。災害時に備え、保健所の機能強化の予算が計上されています。コロナ禍では連携が不十分だったため、その後、各保健所に市町村連携課が設けられ、各自治体担当が一人ずつ配置がされました。これは平常時の体制ですが、災害時には一名では足りないのではないでしょうか。どういう体制を取るのか伺います。

○井上地域保健担当部長 災害時の避難所運営や住民の健康管理等は市町村の役割であり、都保健所は、専門的、技術的立場から、市町村の保健活動等を支援する役割を担っております。
 災害発生後、都保健所では災害対策本部を設置し、所内各課、各職種が連携協力する体制を構築いたしまして、管内市町村との連絡調整や、避難所における健康相談や衛生管理等の支援を行います。
 都は、職員の参集状況等により保健所の人員に不足が生じる場合は、保健所への庁内応援職員の派遣を調整するとともに、専門的な研修、訓練を受けた自治体の職員により構成される災害時健康危機管理支援チーム等の応援要請を国に対して行うなど、必要な体制を確保していくこととしております。

○中村委員 地震と感染症の複合災害になれば、避難所運営はさらに難しく、保健所の専門知識が必要になります。都は避難所改革を行うとしていますが、重要なことです。地震で人が亡くなるのは天災ですが、避難所に避難し亡くなるのは必ずしも天災とはいえません。避難所で亡くなる人がなくなるように体制の強化をお願いします。
 さて、コロナ禍のような感染症が少しでも早く発見できれば、対応もそれだけ早くなります。下水道における汚水の調査に期待するものです。
 来年度予算案では、下水サーベイランスが新規事業になっています。保健医療局として、実施に至るまでどのような経緯があり、どのように行い、それを感染症対策にどう生かすのか伺います。

○松谷感染症対策調整担当部長 下水サーベイランスは、地域の感染状況を把握する手法の一つでございまして、都は令和二年度から、健康安全研究センターにおいて下水を活用した新型コロナウイルスの調査を試験的に進めてまいりました。
 令和六年度、国が下水サーベイランスを予防接種法に基づく感染症流行予測調査に位置づけたことから、都は、これに基づく調査を都内一か所の水再生センターを対象に開始し、国に報告しております。
 令和七年度は、感染状況をより詳細に把握するため、都内全二十か所の水再生センターを対象に国の実施要領に基づく調査を行う予定でございまして、今後、都民や関係機関等に対する情報提供の方法を検討してまいります。

○中村委員 国の基準では一か所ですが、都独自に二十か所を対象にするということで進めていただければと思います。
 例えは違うかもしれないんですが、地震でも、緊急地震速報によって、地震は防げなくても数秒間早く対応できることで命を守ることができます。下水サーベイランスで少しでも早く感染状況が分かれば、命を救うことになるかもしれません。今後の取組に期待したいと思います。
 さて、災害時在宅医療提供体制強化事業が新規に出されました。私の地元の三鷹市では、大規模な災害が起こると地域の診療所は閉めて、避難場所に医療資源を集中させるということになっています。今回の新規事業とは、そうした自治体ごとの体制と違い、訪問診療を行う事業者は、災害時にも通常どおり在宅避難者への診療を行うというものでしょうか。見解を伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 来年度新たに実施する災害時在宅医療提供体制強化事業では、訪問診療を行う医療機関等の災害対応力強化に向けたセミナーを開催いたします。また、災害時における地域全体の医療提供の継続と早期復旧を目的とする地域BCPの策定など、在宅医療における災害対応時の関係機関の役割確認や連携体制の構築に取り組む区市町村を支援いたします。

○中村委員 災害時でも、自宅が損傷していなければ避難せずに自宅にとどまる方もいますし、避難できない方もいます。災害時にも、避難場所での医療提供だけではなく、必要な場合には訪問し、医療を提供することができるのは重要です。各市区町村でそれぞれの体制があるので、ぜひ連携を深めて災害時に備えていただきたいと思います。
 次に、看護人材確保について伺います。
 人手不足がいわれる中、介護人材確保で実施したように宿舎借り上げ支援事業は効果が見込めます。
 現在、都内病院において看護師はどのくらい勤務しているのでしょうか。看護人材不足もいわれますが、どのくらい不足していると把握しているのか伺います。

○新倉医療政策部長 令和四年度衛生行政報告例によりますと、都内で医療施設等に従事している看護職員は十四万五千七百七十六人、そのうち病院に従事しているのは九万三百六人となってございます。
 また、令和元年の東京都看護職員需給推計では、二〇二五年時点で、約二万人から約三万人の看護職員の不足が推計されております。

○中村委員 看護師さんが二、三万人不足しているということです。看護師不足で診療所が開けなかったり、少ない配置で負担が重くなることが懸念されますので、早急な対応が必要だと思います。
 今回の事業では、三十九億円の規模で五千二百十五戸としているんですが、これで不足は解消するのでしょうか、伺います。

○新倉医療政策部長 都は、養成、定着、再就業、この三つを柱に総合的な看護職員確保対策を実施しております。その中で、来年度は病院が看護職員等のための宿舎を借り上げた場合の支援を新たに開始するものでございます。

○中村委員 二、三万人の不足に対して五千人ですから、まだまだ足りません。看護師不足の解消は都としても最重要課題であり、より一層の取組を求めたいと思います。
 様々な人手不足がいわれる中で、対象は看護師だけなのでしょうか。周辺の看護支援員、調理員や清掃員、事務員等の職種も病院経営には必要となりますが、対象となる範囲を伺います。

○新倉医療政策部長 本事業は、病院における看護人材のさらなる確保定着を図るためのものであり、その対象は看護職員及び看護補助者としているところでございます。

○中村委員 看護人材の確保はもちろん重要ですが、病院の経営には多くの職種の方が働いています。こうした方々の待遇改善ができるような支援が必要となります。
 さて、来年度予算案の中で、災害時に備えて潜在看護師の登録を行うとしています。予算書を見ると、事業規模は六百二十五人とのことですが、この人数の登録で足りるのでしょうか。都のポイント付与はそのインセンティブになるのでしょうか。見解を伺います。

○新倉医療政策部長 都は、災害時等に看護活動に従事するより多くの人材を確保するため、来年度から潜在看護師等の登録制度を独自に創設し、その初年度、一年目として六百二十五人の登録を見込んでおります。一人でも多くの方に登録してもらえるよう、登録のインセンティブとして東京ポイントを五〇〇〇ポイントを付与し、登録を促してまいります。

○中村委員 通常時で既に二、三万人が不足をしていますので、災害時にはさらに多くの人材が必要となりますので、六百二十五人ではまだまだ足りません。様々な事情から現在では就業していないわけですが、災害時には多くの人手が必要になりますので、より登録していただけるよう積極的な広報を求めます。
 次に、認知症対策について伺います。
 知事は公約で、都独自の認知症専門病院を創設するとしました。新年度予算で、認知症医療の実態調査として福祉局と共に調査をするというのですが、どのような調査を行うのか伺います。

○新倉医療政策部長 都は来年度、認知症専門病院の検討に向け、都内の認知症医療の実態を把握するため、医療機関や介護事業者、区市町村などに対し調査を実施いたします。そのうち保健医療局は、都内全ての病院を対象に、認知症のある人の受入れ実績や受入れに関する課題、認知症対応研修の受講状況などについて調査を実施いたします。調査は夏頃までに調査票を配布し、来年度中に集計、分析を実施いたします。

○中村委員 公約はしましたが、詳細は来年度検討ということのようです。
 既に認知症に関する医療機関や施設は様々あります。そこでは解決できない問題を新たな病院で対応することになるのですから、医療機関、介護施設、自治体などの現場の声とともに、当事者や家族、支援者の声をよく聞いていただくことを求めたいと思います。
 次に、在宅医療について伺います。
 住み慣れた地域で暮らし、自宅で最期を迎えたいと思っても、家族への負担が懸念されたり、自宅で医療を受けられないため、その希望どおりいかないことが多いのが実情です。
 来年度予算に区市町村在宅療養推進事業があります。今年度は二億円、来年度は三億円計上されています。実績について伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、区市町村在宅療養推進事業により、在宅医療と介護の提供体制の充実に向けた先駆的な取組や、デジタル技術を活用した医療、介護関係者等への情報共有などに取り組む区市町村を支援しております。
 令和六年度は、申請のあった三十五区市町村に対しまして交付決定を行いました。

○中村委員 住み慣れた地域で暮らし続けるには、在宅での医療と介護が重要です。各自治体にとっても大きな課題になります。申請のあったのは三十五区市町村ということで、全六十二自治体があるので半分強です。来年度は予算も増えるので、ぜひ申請する自治体が増え、より一層の取組がされることを求めます。
 在宅療養については、医療と介護の連携が必要ですが、そこが難しいといわれます。医療と介護の相互の理解が不十分ともいわれています。改善を図るべきですが、見解を伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、医療介護関係者の連携を強化するため、在宅療養に関わる多職種の人材育成や関係者間の情報共有を促進する、多職種連携ポータルサイトの運用に取り組んでおります。

○中村委員 それぞれの分野の専門家ですが、他の職種に関しては必ずしも詳しいというわけではありません。制度の違いや考え方の違いをお互いに理解できるよう、さらなる取組を求めます。
 最近では、ACP、アドバンス・ケア・プランニング推進が重要な時代になってきました。都の来年度の予算案でも、最後まで希望する治療、療養を受けられる社会の実現として、ACPに関する継続事業、新規事業が計上されています。課題の改善に向けて、具体的にどのように行うのか伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、自らが望む医療やケアについて、家族や医療、介護関係者等とあらかじめ話し合い、共有するアドバンス・ケア・プランニングを推進するための小冊子、わたしの思い手帳を都民や医療機関等に幅広く配布しております。
 また、医療、介護関係者を対象に、アドバンス・ケア・プランニングの理解促進に向けた研修を実施しております。

○中村委員 治療や療養の内容について患者や介護者からはなかなかいえないこともあるので、ぜひこうした考え方を普及させて、話し合える環境を整えていただきたいと思います。
 さて、一人暮らしの高齢者について、在宅で最期を迎えるのは多くの機関の協力が必要になります。結婚していても、子供が自立して夫婦だけになれば、その後は必ずどちらかは一人で最期を迎えることになります。お一人様の老後はそれほど特別なことではありません。
 今後、在宅医療がより促進され、自宅で最期を迎えることができるよう取り組む必要がありますが、見解を伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、在宅医療に関わる人材の確保を図るため、在宅医療への参入を希望する医師等への相談支援を実施しております。
 また、地域における切れ目のない在宅医療体制の確保に向けまして、地区医師会と連携して、二十四時間の診療体制を構築する地域の拡大などに取り組んでおります。

○中村委員 在宅療養を進めるには、国の診療報酬の問題も大きいのですが、自治体としても、医療機関と協力しながら体制を構築するのが重要です。社会の変化の中で、これからますます増える独居高齢者、お一人様への対応として、在宅医療のさらなる充実を求めます。
 次に、自殺対策について伺います。
 来年度の他局の事業ではありますが、ホームドア柵の設置が促進されることになったのはよかったと思います。ただ、電車の事故が全て自殺ではないと思いますが、事故が少しでも減ることを願います。とはいえ、電車での自殺を防いでも、原因を取り除かなければ他の手段によって亡くなる方も多いので、様々な原因を分析し、対策を行い、自殺を防ぐことが大切です。
 原因は様々あると考えますが、自殺者がコロナ禍で増加したようです。傾向と原因を伺います。

○小竹保健政策部長 都の自殺者数は、コロナ禍前は減少傾向にありましたが、令和二年から令和五年の間は増加いたしました。自殺の背景には、経済、生活問題や家庭問題、健康問題など、様々な要因が複雑に絡み合っているとされており、コロナ禍ではこうした問題が悪化し、自殺者数の増加につながった可能性があると指摘されております。

○中村委員 原因は様々あるようですが、減少傾向にあった自殺者がコロナ禍に増えたのは統計上明らかなようです。コロナの後遺症もあるのかもしれませんが、私は、コロナによって人と会うことが減り、孤立、孤独が深まったことも原因ではないかと思います。様々要因がありますが、引き続き自殺を防ぐ取組を求めます。
 悩んだ人が相談ダイヤルに電話をしても、電話が混んでいてつながらないともいわれます。回線を増やすべきですが、見解を伺います。

○小竹保健政策部長 自殺相談ダイヤルは、相談者の悩みを受け止め、状況に応じ専門の相談機関につなぐ自殺防止専用の相談窓口であり、都は、専門性を備えた相談員の確保、育成を図りながら、段階的に受付時間の延長や体制の強化を図っております。
 本年十月からは、午後五時から午後七時までの時間帯につきまして、二回線から三回線に拡充することとしております。

○中村委員 回線を増やしていただいてはいるようですが、恐らく、相談される方一人当たり、かなり長くお話しされることもあると思いますので、もう少し増えればというふうに思います。対応をされる方も大変だとは思いますが、大切な命を守るため、ご検討願います。
 さて、都会における孤独、孤立が増す中で、自殺を防ぐには居場所や人との接点を増やすよう、地域福祉との連携が重要です。地域で活動する町会の役員や民生委員などに自殺対策の検証を行ってはどうかと考えますが、見解を伺います。

○小竹保健政策部長 民生委員など地域の住民に対する自殺対策のゲートキーパー研修は区市町村等で行われており、都は、研修教材の提供や交付金等により支援しております。
 引き続き、悩みを抱える方を社会全体で支えるため、区市町村等の関係機関と連携して、自殺対策に関わる人材の養成に取り組んでまいります。

○中村委員 既に行っていただいてはいるようなんですが、継続して取り組んでいただきまして、様々な兆しがあったときにそれを見落とさないようにお願いをいたします。
 さて、来年度、中高年男性を対象とするメール相談を開始するそうですが、会って話す方がよいとは思いますが、メール相談はどのような内容になっているのでしょうか。メール相談で自殺防止を図ることができるのか見解を伺います。

○小竹保健政策部長 働き盛りの男性は自殺死亡率が高い一方で、自殺相談ダイヤルへの相談が少ないことなどを踏まえ、都は来年度、新たに対面や電話での相談に抵抗を感じる方も利用しやすいメールによる相談を受け付ける事業を開始することとしております。
 本事業では、悩みを抱える中高年男性を、検索連動型広告により専用のメール相談に誘導いたしまして、自殺相談ダイヤルやSNS自殺相談とも連携しながら、その悩みを受け止め、状況に応じて専門の相談機関の案内や仲介を行います。

○中村委員 自分から悩みを相談しない方もいる中で、新たな技術によって相談につなげることは効果を期待したいと思います。インターネットには情報があふれていて、自殺サイトなど危険なページに誘導されてしまうことが心配でしたが、新たな技術でよいサイトの方に誘導できることは効果を期待したいと思います。今後も自殺の根本原因を取り除き、手段として、こうしたいろんな防止も図ることが大切なので、そういった取組もお願いします。
 次に、花粉症対策について伺います。
 都民の二人に一人が罹患しているといわれている花粉症について、都は各局連携して政策を行っています。根本的には、林業の振興により花粉を出さない杉に植え替えていくしかありませんが時間がかかります。すぐにでも対応してほしいという声が多く出されます。
 全庁的な体制で取り組んでいますが、医療の側面も重要です。保健医療局の取組を伺います。

○中川健康安全部長 都は、医療機関が花粉症の患者に適切な医療を提供できるよう、診療所の医師等に研修を実施し、資質の向上を図るとともに、専門的な医療を提供する医療機関として都が指定した拠点病院等と地域の診療所との連携体制の整備を進めております。
 また、花粉の飛散状況やセルフケアの方法などを都民に情報提供するなど、花粉症の症状を低減させるための取組を進めております。

○中村委員 多くの人が花粉症になる時代になりました。私も突然なったんですが、今まで平気だと思っていたら、ある日突然なったということでございます。年々増えてきているので、昔は、少し前までは三人に一人といっていたのが二人から一人になりました。ずっとこのまま増え続けていくんではないかと懸念もされます。情報提供というのは、花粉症になった人が見ることも多いのかもしれませんが、まだなっていない人にとっても予防につながると思いますので、積極的に広報していただければと思います。
 さて、薬を飲んで免疫を整えるには二週間ぐらいかかるともいわれています。早めに対応するよう広報を行う必要がありますが、見解を伺います。

○中川健康安全部長 都は、杉、ヒノキの花粉が飛散する前の毎年一月に、飛散総数、飛散開始日、飛散数の多い日の予測を行い公表するとともに、観測地点を独自に設け、杉、ヒノキのほか、夏から秋にかけて飛散する花粉も含め、ほぼ通年にわたり花粉の飛散状況の観測を行っております。これらの情報や花粉症に関する基礎情報は、アレルギー情報navi.やリーフレット等で分かりやすく提供しております。
 また、毎年二月を東京都アレルギー疾患対策推進強化月間として、アレルギー情報navi.の周知など、広報啓発活動を集中的に行っております。

○中村委員 花粉の飛散前から薬を飲むのが効果的なのですが、今年は早かったので飲みそびれてしまった方も多いんではないかと思います。早く情報を流すことも重要です。また、いろんなサイトがあっても、どうしても商業的なサイトになるとサプリの方につながったりということになってしまうのですが、東京都の方がページを出していただいて情報の方を提供していただければ、それを見る方も多いと思いますので、そういったこともよくPRしていただきたいと思います。
 さて、薬だけではなくて、様々な根治に向けての治療もあります。花粉症による労働力低下の経済的損失は数千億円ともいわれる中で、治療に対して補助を出すことができるのかどうか、見解を伺います。

○中川健康安全部長 都が実施した花粉症患者実態調査によると、春先に症状があると回答した人の六割以上は、セルフケアなどにより、医療機関を受診しなくても日常生活に支障はないと答えております。
 引き続き、花粉症の発症予防や症状の軽減に向けて取り組んでまいります。

○中村委員 いろんな相談を私たちは受けるんですが、この時期は本当に多くの方から花粉症を何とかしてほしいといわれます。根本的には花粉を出す木を切るしかないのですぐには解決できないとはいうものの、なかなか新たな手法もないようですが、情報の方を提供していただいて、また、セルフケアなどを促し、少しでも改善するよう取り組んでいただきたいと思っております。
 様々な施策、今質問させていただきましたが、指摘等を含めて訴えまして、質問を終わります。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○関野委員長  次に、議員提出議案第二号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○里吉委員 それでは、国民健康保険の十八歳までの均等割保険料、税ゼロ円条例についてご説明いたします。
 初めに、条例案の内容についてです。
 国民健康保険には、子供も含めて国保に加入する家族が一人増えるたびに、一定額ずつ保険料、保険税が増える均等割の仕組みがあります。
 この均等割のうち、子供に係る分の額を減免する区市町村に対し、補助を行います。減免した子供の均等割の全額を都が補助し、子供の均等割負担をゼロ円にするものです。
 次に、提案理由です。
 国保の均等割は、国保に加入する全ての家族に定額の負担がかかる人頭税のような仕組みです。そのため、国民健康保険料、保険税の負担は、子育て世代にとって、とりわけ重いものになっています。所得税の課税最低限である百三万円の壁について議論がされていますが、国保の均等割は、どんなに所得が少なくても、子供であってもかかります。子供の均等割は、子供の貧困対策にも子育て支援にも逆行するものです。
 国は、子供の均等割の負担制度をつくりましたが、小学校入学前の子供に限って半額にするだけです。
 東京都は、保育料、子供の医療費、学校給食費などの無償化を進めていますが、国民健康保険料、税については独自の対策は行っていません。国に先駆けて負担軽減に踏み出すことが重要です。
 そのため、都として独自に十八歳までの子供の均等割の負担をなくすため、本条例案を提案するものです。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で保健医療局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十一分散会