厚生委員会速記録第十七号

令和六年十二月十三日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長関野たかなり君
副委員長玉川ひでとし君
副委員長浜中のりかた君
理事藤井とものり君
理事伊藤しょうこう君
理事荒木ちはる君
こまざき美紀君
さんのへあや君
うすい浩一君
原 のり子君
山加 朱美君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長山口  真君
次長理事兼務浅野 直樹君
理事小室 明子君
総務部長関口 尚志君
企画部長DX推進担当部長兼務森田 能城君
子供・子育て支援部長西尾 寿一君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
政策推進担当部長調整担当部長兼務柳橋 祥人君
総合連携担当部長児童相談センター次長兼務竹中 雪与君
保健医療局局長雲田 孝司君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長吉原 宏幸君
保健政策部長小竹 桃子君
健康安全部長中川 一典君
感染症対策部長内藤 典子君
政策推進担当部長宮澤 一穂君
地域保健担当部長井上 俊治君
食品医薬品安全担当部長早乙女芳明君
感染症対策調整担当部長及川 勝利君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 福祉局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百七十五号議案 東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
  ・第二百九十五号議案 文京区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
  付託議案の審査(説明・質疑)
  ・議員提出議案第十二号 東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例
 保健医療局関係
  契約議案の調査
  ・第二百八十二号議案 東京都島しょ保健所小笠原出張所(六)改築工事請負契約
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百七十六号議案 東京都保健医療局関係手数料条例の一部を改正する条例
  ・第二百八十八号議案 東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その一)について
  ・第二百八十九号議案 東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その二)について
  ・第二百九十号議案 東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その三)について
  ・第二百九十一号議案 東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その四)について
  ・第二百九十二号議案 東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その五)について

○関野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○関野委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することとなっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

 令和六年十二月十一日
 東京都議会議長 宇田川聡史
 (公印省略)
厚生委員長 関野たかなり殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第二百八十二号議案 東京都島しょ保健所小笠原出張所(六)改築工事請負契約
2 提出期限 令和六年十二月十三日(金)

○関野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、保健医療局関係の契約議案の調査並びに福祉局及び保健医療局関係の付託議案の審査を行います。
 これより福祉局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 初めに、第二百七十五号議案及び第二百九十五号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 議案となっています児童相談所条例の改正と事務委託について質問します。
 法律の改正により、特別区に児童相談所が設置できることになり、今回、文京区に設置をされます。法的には移管ではないことは承知していますが、以下、便宜上、移管として述べます。
 質問の趣旨は、移管に際して、子供の不利益になってはならないということです。日付が替わって管轄が変わったから、そこで線を引くというわけにはいきません。今関わっている子供を切れ目なく支え、専門職が不足するといわれる中にあっても、人材の確保を行い、目が届かないことがないようにすることが大切です。移管に際して、子供からのSOSを決して見逃さないことを求めます。
 最初に、事実上の都から文京区への事務の移管となりますが、子供のためになることが何より重要です。メリットをどう生かし、デメリットはどう解消するのか、見解を伺います。先行して移管した区も多くあるので、円滑に移管できたかどうか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 文京区児童相談所の開設に向けましては、東京都児童相談センターに区の職員を受け入れ、共同で家庭訪問や施設への訪問等を行うなど、丁寧な引継ぎを行っております。引継ぎに当たりましては、全ての相談継続中のケースについて、児童票をはじめとした関係書類等を確認し合い、引継ぎが完了した際には確認書を取り交わすこととしております。
 既に児童相談所を設置した区におきましても、同様に引継ぎを行っております。

○中村委員 引継ぎもされるということですので、丁寧にお願いいたします。
 児童相談所の問題として、専門家の不足というのがあります。現状の都全体における国基準と比較した職員数を伺います。移管に際して、人材を取り合ったり、囲い込みを行ったりはしていないのかどうか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 令和六年度の都の児童福祉司の定数は、国の配置基準五百七十人に対しまして、四百九十九人でございます。
 区が児童相談所を設置する場合には、児童福祉法に基づき、自ら児童福祉司や児童心理司等の専門人材を確保、育成することとなっております。

○中村委員 まだ、文京区に移管する前の段階で、七十一人足りていないということです。
 前から、こういった人が足りないことに何とかしてほしいと話はしていても、なかなか専門家の育成に時間がかかるんだということも説明を受けていますが、それからも大分時間がたっていますので、本当に計画的な育成をしていただいて、人材の補強をしていただきたいと思います。
 そういった意味では、特に今、東京都でさえ苦労をしているので、これから始める区にとってはこれは大変なことだと思いますので、私は都と連携してしっかりと人の確保をしていただきたいと思っています。
 そういった点では区の状況にも配慮する必要はありますが、移管に備えた文京区の職員の採用状況や配置状況をどう把握しているのか伺います。
 また、円滑な移管には、現在の都の組織において、文京区を担当する職員の方がその業務を担ったままで、例えば区に出向して、区が独自採用できて安定してから戻ってくるようにするということもできるんではないかと思うんですが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、文京区が策定しました人員配置を含めた児童相談所設置計画を確認しております。
 区が児童相談所を設置する場合には、児童福祉法に基づきまして、自ら児童福祉司や児童心理司等の専門人材を確保、育成することとなっております。

○中村委員 区の方で新たに設立するということですから、区の方でやるということは当然だと思いますけれども、簡単な状況ではないと思っていますので、区の採用についても支援していただければと思いますし、私は、やっぱり少し時期が──今現在担当している人が少し向こうに行ってもというふうには思うんですけれども、今後も引き続き連携をお願いしたいと思います。
 さて、国からは、おおむね人口五十万人に一か所児童相談所を設置するという基準が示されていて、これから多摩地域の方では再編整備も行われます。法律で、区は中核市同様に業務を担うことができるようになるんですが、文京区は中核市よりも人口が少ない、二十四万人だと思いますが、という状況です。
 一定の規模がないと専門性が持てないともいわれますが、今回の文京区をはじめ、人口規模の小さい区では専門性を持つことができるのか、見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所は、都道府県及び指定都市に設置義務があり、希望する特別区につきましても、個別に政令で指定を受けて設置できることとなっております。
 政令で指定を受けた特別区は、法令に定める児童相談所業務等を実施することとなっております。

○中村委員 法的には設置ができるということなんですが、実際、その質を保てるかということだと思うので、その点に関しては今後も、違う組織にはなってしまうんでしょうけれども、都としてのサポートをしていただきたいと思っています。
 ただ、この国の基準も、おおむね人口五十万の解釈が大体二十万から百万とかなり幅があって、そういう意味では、文京区、二十万に入っているんですけれども、それをいうんだったら逆に多摩の方が、本当に百万というのはちょっとやり過ぎじゃないかなと思うので、もう少し数をつくってもらった方がよかったのかなというのは、今さらながら思うところでもあります。
 いずれにしても、法的にはできることになったとしても、質がちゃんと維持できるように、都としても引き続きサポートをお願いしたいと思っています。
 さて、そういった点では、今後、都と文京区の連携はどうなるのか伺いたいと思います。また、転居する場合もあるため、文京区と他の区とも連携して取り組む必要がありますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 全国の児童相談所間では、被虐待児童の転居等に伴う相談ケースの移管及び情報提供等の取扱いのルールについて申合せをしておりまして、文京区におきましても、これに基づき運用することとなっております。

○中村委員 子供を中心に考えていただきたいので、ぜひ切れ目なく連携もしてやっていただければと思っています。
 さて、児童相談所に関連してですが、一時保護所というのが不足をしています。文京区単独にこれからはなるわけですが、一時保護所の確保はできているのでしょうか。足りない場合などについては、都や他の区の施設を利用することはあるんでしょうか。その場合、個人情報の扱いや費用負担はどうなるのか伺います。

○竹中総合連携担当部長児童相談センター次長兼務 文京区におきましては、一時保護所付設の児童相談所を開設することとしております。
 東京都及び児童相談所設置区は、協定に基づき、一時保護所の相互利用を行っておりまして、文京区におきましても同様の協定を締結する予定となっております。
 児童相談所間の個人情報の取扱いにつきましては、法令に基づき適切に行っております。また、費用におきましても、国の支弁基準に基づき、利用自治体が負担しております。

○中村委員 一時保護所も全般的に足りないという状況もあるので、区の方でもしっかり設置していただきたいと思うんですが、足りない場合は、ぜひそういったところもサポートしていただければと思います。
 さて、文京区を含めて、相次ぐ区への移管というのがあると、今新宿にあるセンターというのは、そのたびごとに職員数が減って規模が小さくなっていくということになってしまいます。他の児童相談所を支援するセンター機能を維持することができるのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談センターは、地域児童相談所としての役割のほか、中央児童相談所としての役割を担っておりまして、各地域児童相談所への連絡調整や技術的援助等を行っております。

○中村委員 いずれにしても、区へいろいろと移管をすると空くスペースが出てくるので、また、そのスペースの有効活用ということもあると思うんですけれども、残る多摩地域と一部の区と島しょ部というところはあると思うので、そういった中央児童相談所としての役割は引き続きやっていただきたいと思うんですが、いつか、そうなってくると、だんだん区の方が少なくなってくると、場合によっては多摩の方にそのセンター機能を置いてもいいんじゃないかというのもあるので、これからどこを、移管するのに中心になっていくかということも含めて、今後の位置づけというのは検討していただきたいと思います。
 さて、児童自立支援施設の業務委託について、文京区から都へ支払う委託費は幾らなのか、将来的に委託をやめて独自で行うことになるのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所設置区は、地方自治法に基づく事務の委託によりまして、児童自立支援施設に関する事務の管理及び執行を東京都に委託しております。
 委託に係る経費につきましては、文京区が措置した児童数の実績等により算定をいたします。

○中村委員 いろいろ質問をしてまいりましたが、子供の命と安全を守ることが最重要課題です。体制は変わりますが、今後は都と文京区が連携して取り組むことが重要です。今後も他の区に移管されると、最後は、多摩地域と島しょ部、幾つかの区だけの業務にはなりますが、専門職員の育成、確保、質の向上を図る必要があります。移管された区と都は対等な関係にはなりますが、規模や経験から、今後も都内自治体のリーダーシップを発揮すべきでもあります。
 都と区が連携して子供の命と安全を守り健全な育成ができるよう、都の取組を伺います。

○竹中総合連携担当部長児童相談センター次長兼務 都は、子供家庭支援センターをはじめとする地域の関係機関と連携しながら、児童虐待防止に取り組んでおります。
 また、今年度、区立児童相談所や子供家庭支援センターを含めた都全体の児童相談体制を強化するため、児童相談センターに新たに総合連携担当を設置いたしまして、各機関の業務の標準化や個別ケースに係る専門性の向上、共同での人材育成などに取り組んでおります。

○中村委員 虐待の通報件数が増えていく中で、現場の職員の方々は一生懸命取り組んでいただいているというように思いますので、ぜひ理事者の皆様にはそういった状況をしっかり見ていただいて、そして、人材が、一応基準には、まだ満たしていないということなので、その人材の確保をしていただいて、少しでも子供たちの安全が守られるように、近づける体制を取っていただくことをお願いしまして、質問を終わります。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○関野委員長 次に、議員提出議案第十二号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。東京都シルバーパス条例の改正案についてご説明いたします。
 シルバーパスの発行に必要な費用負担額は、住民税非課税または所得百三十五万円以下の方は千円、それ以外の方は二万五百十円となっております。
 本条例案では、第一に、この費用負担額を一律千円にします。
 第二に、利用できる交通機関を拡大し、新たに多摩都市モノレール、「ゆりかもめ」、各地域のコミュニティバスでも利用できるようにします。
 第三に、都県境のバス路線で利用できるようにいたします。現在の制度では、民営バスに乗る場合、乗車、降車の両方が都内の停留所である必要がありますが、これを都内に停留所がある運行系統であれば、どこでも乗り降りをしてもシルバーパスを全て利用できるように改めます。
 施行日は、二〇二五年十月一日です。
 次に、提案理由についてご説明いたします。
 シルバーパス制度は、七十歳以上の都民が負担金を支払ってパスの発行を受けることで、都営交通と都内のほとんどのバス路線を利用できるようになるもので、多くの高齢者の生活の足として欠かせない役割を果たしています。また、都の調査でも幅広い世代から評価されていることが確認されています。
 一方で、課題もあります。シルバーパスの負担額は、住民税課税で所得が百三十五万円を超えると、千円から一気に二万五百十円に上がるため、負担軽減を求める声が大きく広がっています。実際に、二万五百十円のパスの発行枚数は低迷しております。二〇〇三年度から二〇二三年度までの二十年間で、高齢者人口は一・八倍に増えており、千円パスの購入者も増えているのに、二万五百十円のパスの購入者は減っているのです。
 東京都が都民を対象に行ったアンケート調査でも、二万五百十円の利用者負担金に対する考えは、高いと思うが最も多くなっていました。シルバーパスを使いたいという全ての方に利用していただき、交通権の保障をするため、社会参加をさらに促進することが重要であり、そのためには負担軽減が必要です。負担軽減を一律にすると手続の負担が減るというメリットもあります。
 また、多摩都市モノレール、「ゆりかもめ」は、東京都の第三セクターによる公共交通機関ですが、シルバーパスは利用できません。沿線の住民からは適用を求める声が根強くあります。また、各地域の身近なコミュニティバスでも利用できるようにしてほしいという声も多く寄せられています。条例を改正して、多摩都市モノレール、「ゆりかもめ」、各地のコミュニティバスで利用できるようにする必要があります。
 さらに、東京都と他の県の境の近くに住む都民は、生活圏が都外に及ぶことが少なくなく、日常的に利用する駅が都外にあるためシルバーパスで行くことができないなど、多くの不便が生じております。そのため、都内に停留所のある運行系統であれば利用できるように変更する必要があります。
 シルバーパス制度の拡充は、若い世代にとっても重要です。若い世代の方々も、年をとれば高齢者になります。若い世代にとって、高齢者は将来の自分たちの姿です。福祉が充実し、高齢者が安心して生活し、生き生きと社会参加できる社会にしてこそ、若者が将来に希望を持つことができ、ひいては社会の活性化にもつながります。
 以上の理由から、シルバーパス条例の改正を提案するものです。
 ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○関野委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。——発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。

○関野委員長 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百八十二号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。——発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了しました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、そのように決定しました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○関野委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百七十六号議案及び第二百八十八号議案から第二百九十二号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○原委員 日本共産党の原のり子です。私は、第二百七十六号議案、東京都保健医療局関係手数料条例の一部を改正する条例について伺います。
 本議案は、大麻取締法の改正により、大麻草採取栽培者の免許制度が変わり、それに伴い免許申請の手数料を変更するというものです。
 これまでの大麻栽培者の免許は、全て都道府県知事が免許権者で、有効期間一年で手数料は八千百円でしたが、今後は二種類の免許に分かれます。
 第一種免許は、しめ縄などに使う有害成分の濃度が基準値以下の大麻草栽培で、都道府県知事が免許権者で、有効期間三年、手数料は二万三千七百円ということで、都は、今回提案をしています。
 第二種免許は、医薬品の原料になる基準値を超える栽培も可能で、こちらは厚労大臣が免許権者、有効期間一年とのことです。
 基本的に国は、これまでは新規の免許取得に極めて慎重な方針だったため、二〇二一年末時点で、全国で大麻栽培者は二十七人、東京都はゼロということです。今回、免許制度が変更になったため、都としての対応も変わることになります。そのため、幾つか確認をしたいと思います。
 まず、第一種免許を申請するに当たり、資格や条件はどういうものか伺います。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 大麻取締法の改正により、第一種大麻草採取栽培者の免許制度が新設をされ、令和七年三月一日から施行されます。
 第一種大麻草採取栽培者は、産業用に大麻草から製造される製品の原材料を採取する目的で、麻薬成分であるTHCが国の基準で定められた濃度以下である大麻草を栽培する者とされております。
 なお、未成年者や暴力団員等には免許を与えないこととなっております。

○原委員 では、免許申請を受けて、どのように審査をしていくのか伺います。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 都は、申請者からの申請書を受理した後、書類審査、栽培地等への立入調査を実施し、基準にのっとり、第一種大麻草採取栽培者の免許を与えることとなります。

○原委員 まず書類をチェックして、整っていれば受け取って、それから書類審査と立入調査を実施するということですね。
 では、立入調査はどのように実施をするのですか。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 栽培地等への立入調査は、薬剤師の免許を持った薬事監視員が複数名で実施することとしております。

○原委員 現地には薬事監視員の方が複数名で行くということです。特に、有害成分の濃度が基準値以下であるかどうか、また、栽培している環境が適切かどうか、管理状態はどうかなど、専門家でなければできないチェックをしていくということになると思います。
 ただ、免許の有効期間は最長三年です。免許の申請時だけではなくて、その三年の間、どのような頻度と内容で現地調査を行うのかが大事だと思います。どのように行うのか伺います。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 都は、免許交付後は定期的に現地に赴き、麻薬成分であるTHCの濃度が国の基準以下であることを確認するため、栽培している大麻草を収去して検査等を行うこととしております。

○原委員 定期的にということですので、免許申請時だけでなく、その後も検査を実施していくということを確認しました。
 どのぐらいの頻度で実施をしていくのかというのは、今後、国から具体的な考え方が示されるのだと思いますが、長期間確認されないままになることのないようにすることが大事だと思います。
 また、栽培されている大麻草を切って、基準値以下かどうか検査を行うということです。その結果によっては、栽培を中止するという場合もあると思います。ですから、正しい検査が行われることが大事になってきます。
 現在、東京都では、免許取得者はゼロです。そのため、免許申請に対応する経験の蓄積などがないと思いますが、どのように対応していくのでしょうか。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 都はこれまでも、薬事監視員の資質向上を図るため、大麻草の栽培研究を行っている東京都薬用植物園で大麻に関する専門の研修を行っており、今回の法改正に合わせまして、研修の充実を図っているところでございます。

○原委員 研修については、さらなる強化を進めていただくことを求めて、質問を終わります。

○中村委員 PCR検査の補助金返還請求訴訟提起の五つの議案について質問します。
 猛威を振るった新型コロナは、昨年五月、ようやく二類から五類に扱いが変わりました。まだ完全になくなったわけではないのですが、一定の区切りにはなりました。ただ、そこに至るまで多くの方々の献身的な取組があっただけに、この不正な手段により補助金の交付を受けていたとすれば、許されるものではありません。
 このPCR不正訴訟は、第二回定例会、第三回定例会で議決をされ、第四回定例議会、今回が三回目ということになります。これまで二回の議案で訴訟を提起することで返還はされたのでしょうか。その後の訴訟の推移も併せて伺います。

○及川感染症対策調整担当部長 令和六年第二回定例会及び第三回定例会の議決を経て提訴した七件と、専決処分を経て提訴した一件の計八件につきまして、交付済補助金の返還請求訴訟が係属中でございます。

○中村委員 八件が係属中ということなんですが、それに加えて、今定例会に提案されたのがさらに五件ということで、その五件で合計は四十億円も超えるという大変な金額になっています。
 現在、返還請求中の総額は合計幾らなんでしょうか。まだ調査中のものがあり、増える可能性はあるのか伺います。

○及川感染症対策調整担当部長 都がこれまでに返還命令を行った無料検査事業補助金の総額は、十八事業者で約百二億円でございまして、このうち、令和五年度末時点で約四億円を回収済み、約九十八億円について返還請求中でございます。

○中村委員 総額が百二億円で、回収が四億円ということですから、ほとんど回収できていないわけです。今回もこういった提案がなされますけれども、対応の方をしっかりとしていただきたいと思います。
 とはいえ、この間、一回目、二回目があったわけで、今回三回目の提起になるわけですが、一回目、二回目に比べれば、時期が大分遅れてしまいました。早くしないと、こういった返還しない人たちの資産が散逸をしてしまうおそれがありますが、なぜこうなったのか伺います。

○及川感染症対策調整担当部長 本定例会に訴訟提起を付議している五事業者につきましては、都はこれまで、継続して返還交渉を行ってまいりましたが、今回、返還意思がないことが明確になったことから、訴訟を提起することといたしました。

○中村委員 なかなか、返せ、返さないなど押し問答をして大分延ばされてしまうということもあり得ますので、なるべく早く、こういった強い対応に出ていただくということは、ある程度必要なのかなというふうに思いますので、今後の対応をお願いいたします。
 さて、新型コロナのときを振り返ってみると、当時は検査キットがなかなか入荷もされずに、PCR検査がなかなか受けられなかったという状況でありました。これ、そうすると、普通にしていても、たくさん検査へ来る人がいるので、利益が出たのではないでしょうか。
 国民が困っているのに、このような大きな問題になっているわけですが、なぜ不正が発生をしたのか伺います。

○及川感染症対策調整担当部長 補助金の不正を働く意図を持った事業者が、検査実績の水増しなどの不正を行ったものと認識しております。

○中村委員 不正受給はなぜ分からなかったのでしょうか。緊急な対策だったというような、当時状況はあって、とにかく急がなければというのがあったわけですけれども、これだけ多くの事業者が不正を働いたわけです。
 チェックをする仕組みが十分ではなかったのではないかともいえるわけですが、いかがなのでしょうか。これだけ多く発生したのは、都の仕組みの問題もあるではないのでしょうか。事業そのものをしっかり検証し、原因を突き止め、再発防止をすべきですが、見解を伺います。

○及川感染症対策調整担当部長 無料検査事業の要件や手続等は、国の実施要領に準拠した都の要綱に定めております。都は要綱に基づき、補助金の交付決定や支払い審査等の各段階で厳格に審査を行いました。
 また、感染者数が減少局面にもかかわらず検査件数が著しく伸びている事例など、不正が疑われた場合には立入調査等を行い、不正を確認した際には交付決定の取消し、返還命令を行うなど、厳正に対処してまいりました。
 加えて、都は国に対して、今後、新たな感染症が発生した場合に類似の事業を展開するに際して、不正受給防止の制度設計等をあらかじめ検討するよう、先般、要望したところでございます。

○中村委員 あまりにも金額も大きく件数も多いので、しっかりとした対応をしていただけるように求めたいと思います。
 さて、事業者が不正を働いた場合に、社長や理事長などの個人資産についてはどうなるんでしょうか。
 今回の五件中二件は法人ではなく個人事業主のようなので、無限責任になりますが、他の三件は法人なので、経営者は有限責任になるんでしょうか。伺います。

○及川感染症対策調整担当部長 都は、補助金交付申請等を行った事業者に対し補助金を交付したことから、当該事業者に対して返還請求を行っております。
 事業者が個人の場合は、当該個人に対して返還請求を行うのに対しまして、事業者が法人の場合は、原則として返還請求権は経営者個人には及ばないと認識しております。

○中村委員 例えば、今、普通に事業者が何か事業をするときにお金を借りるときに、経営者が連帯保証になるかどうかというのをやり過ぎるとちょっと問題になるというのは、今あるとは思っているんですけれども、こういう補助金を受ける場合、仮に不正をした場合に、じゃあその経営者はどうなるかっていうことが、どうも決まっていないかのようで、それで結局個人の経営者に及ばないということになっているようです。
 これ、補助金全般の課題になるのかもしれませんけれども、これはもちろんあっちゃいけないことだとは思うんですけれども、あった場合に、じゃあどうするかっていうのは、今後、検討の課題になると思いますので、少し検討してみていただければと思います。
 さて、訴訟でこれからやるわけですが、負けたりした場合、また、勝ったとしても既に資産がない場合など回収できない場合には、返還金は都としてどう扱うんでしょうか。これ、国の補助事業のため、回収できれば国に返還するのでしょうか。仮に返還できない場合は、国と都でどちらが負担をすることになるのか伺います。

○及川感染症対策調整担当部長 国は、不正受給された補助金について、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第十八条に基づき、都道府県に返還を命じることとしておりまして、都は回収した補助金のうち、国庫補助相当額を国に返還いたします。
 一方、回収できなかった補助金につきましては、同法は、やむを得ない事情があると認めるときは、国は返還命令を取り消すことができる旨を定めております。

○中村委員 基本的には返還していただくことだとは思うんですけれども、仮にそれが返還できなかった場合について、都が負担してしまうというのも大変なことになりますので、国とは協議していただきたいと思います。
 さて、現状、今この回収の業務について、誰がやっているんでしょうか。都庁の中には、回収の専門家でもある主税局というところもありますが、そこに委託をするということもあると思うんですが、いかがでしょうか。

○及川感染症対策調整担当部長 返還請求を行った補助金の回収は、東京都債権管理マニュアルに基づきまして、専門家の助言を得ながら、所管局である保健医療局が実施しているところでございます。

○中村委員 税と私債権は違うとは思うんですけれども、少なくとも、ただ、皆さんが業務を、これを行うのも大変なところもあるでしょうし、そういったノウハウを持っている主税局にアドバイスをもらうとかはできると思いますので、ぜひそういったことも考えていただければと思います。
 あまり厳しめにということでも、今質問もしてきたんですけれども、やっぱりこういう不正があるというのは、あってはならないことですし、ましてや、こういったコロナということで、皆さん大変な時期に起きた不正だということです。
 また感染症が広がってほしいとは思わないんですけれども、そういった感染症が広がるというおそれはまだないわけではありませんから、今後こういった同様のことがあるときには、しっかりチェック体制も整えてもらって、まずは不正が発生しないことに全力で努めていただいて、都民の皆様の健康を守っていただくようにお願いしたいと思います。
 以上で終わります。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で保健医療局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十六分散会