厚生委員会速記録第十五号

令和六年十一月二十八日(木曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長関野たかなり君
副委員長玉川ひでとし君
副委員長浜中のりかた君
理事藤井とものり君
理事伊藤しょうこう君
理事荒木ちはる君
こまざき美紀君
さんのへあや君
うすい浩一君
原 のり子君
山加 朱美君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
保健医療局局長雲田 孝司君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務吉原 宏幸君
保健政策部長小竹 桃子君
医療政策部長新倉 吉和君
都立病院支援部長鈴木 和典君
健康安全部長中川 一典君
感染症対策部長内藤 典子君
政策推進担当部長宮澤 一穂君
地域保健担当部長井上 俊治君
医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務岩井 志奈君
食品医薬品安全担当部長早乙女芳明君
感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長
健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
感染症対策調整担当部長松谷いづみ君
感染症対策調整担当部長小原  昌君
感染症対策調整担当部長及川 勝利君

本日の会議に付した事件
保健医療局関係
 事務事業について(質疑)
  第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都保健医療局関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都島しょ保健所小笠原出張所(六)改築工事請負契約
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その一)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その二)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その三)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その四)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その五)について
  陳情の審査
  (1)六第三八号の五 首都直下地震に備えた抜本的対策を求めることに関する陳情

〇関野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申合せいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、保健医療局関係の事務事業に対する質疑、第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び陳情の審査を行います。
 なお、事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

〇雲田保健医療局長 それでは、説明に先立ちまして、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員を紹介させていただきます。
 技監で福祉局技監兼務、教育庁技監併任の成田友代でございます。保健政策部長の小竹桃子でございます。感染症対策調整担当部長で医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務の西塚至でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

〇関野委員長 紹介は終わりました。

〇関野委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

〇船尾総務部長 去る十月三十一日の当委員会で要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。当委員会で要求がございました資料は、全部で五十項目となっております。
 それでは、一ページをご覧ください。1、国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移でございます。
 二ページにかけまして、令和四年度から令和六年度までの各区市町村における加入世帯数、被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移を記載してございます。
 三ページをご覧ください。2、国民健康保険料(税)率の推移でございます。
 四ページにかけまして、基礎賦課及び後期高齢者支援金等につきまして、令和三年度から令和六年度までの各区市町村における所得割、資産割、均等割及び平等割の推移を記載してございます。
 五ページをご覧ください。3、国民健康保険料(税)の減免件数の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの各区市町村における減免件数の推移を記載してございます。
 六ページをご覧ください。4、国民健康保険における一部負担金減免件数の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの各区市町村における一部負担金減免件数の推移を記載してございます。
 七ページをご覧ください。5、国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの各区市町村における対象世帯数、滞納世帯数及び収納率の推移を記載してございます。
 八ページをご覧ください。6、国民健康保険料(税)の滞納に対する新規の差押件数、差押額及び差押物件の内訳の推移でございます。
 一〇ページにかけまして、(1)に、令和三年度から令和五年度までの各区市町村における新規差押件数及び差押額の推移を、(2)に、同期間における特別区、市町村別の新規差押物件の内訳の推移をそれぞれ記載してございます。
 一一ページをご覧ください。7、国民健康保険への東京都支出額の推移でございます。
 (1)に、平成三十年度から令和四年度までの特別区への都の支出金の推移を、(2)に、同期間における市町村への都の支出金の推移を、(3)に、同期間における東京都国民健康保険事業特別会計への繰出金の推移をそれぞれ記載してございます。
 一二ページをご覧ください。8、病院の耐震化状況でございます。
 令和五年九月一日時点の病院の耐震化状況を記載してございます。
 一三ページをご覧ください。9、保健医療局所管の政策連携団体及び地方独立行政法人における障害者雇用人数及び障害者雇用率の推移でございます。
 令和三年から令和五年までの各団体における障害者の雇用人数及び雇用率の推移を記載してございます。
 一四ページをご覧ください。10、熱中症による死亡者数の推移並びに死亡場所及びエアコンの使用状況でございます。
 一六ページにかけまして、(1)に、平成二十五年から令和四年までの特別区と多摩・島しょ地域別の熱中症による死亡者数の推移を、(2)に、令和四年の各区市町村における死亡場所の内訳と屋内における死亡のうちエアコンの使用状況の内訳をそれぞれ記載してございます。
 一七ページをご覧ください。11、都立病院機構の病院におけるがん患者数でございます。
 令和五年十月十八日に実施いたしましたワンデー調査における各病院のがん患者数及び全入院患者数に占める割合等を記載してございます。
 一八ページをご覧ください。12、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師の定数及び現員の内訳の推移(診療科別)でございます。
 三二ページにかけまして、令和三年度から令和六年度までの各病院における医師の定数及び現員の推移を記載してございます。
 三三ページをご覧ください。13、都立・公社病院及び都立病院機構の病院におけるPFI事業に係る経費の推移及び累計並びに各事業の契約額でございます。
 三四ページにかけまして、(1)に、令和二年度から令和五年度までの各病院における経費の推移及び累計額を、(2)に、令和六年十月一日時点の各病院における各事業の契約額をそれぞれ記載してございます。
 三五ページをご覧ください。14、都立病院機構の病院における心身障害者医療費助成制度等を利用した障害者の入院患者数及び有料個室使用者数でございます。
 令和五年十月十八日に実施いたしましたワンデー調査における各区分の入院患者数及び有料個室使用者数を記載してございます。
 三六ページをご覧ください。15、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師及び看護要員の採用者数の推移でございます。
 三九ページにかけまして、医師及び看護要員につきまして、(1)に、令和元年度から令和五年度までの各病院における常勤職員の採用者数の推移を、(2)に、同期間の各病院における非常勤職員の採用者数の推移をそれぞれ記載してございます。
 四〇ページをご覧ください。16、都立病院機構の病院における病棟休止状況でございます。
 令和六年十月一日時点の各病院における病棟休止状況を記載してございます。
 四一ページをご覧ください。17、特別区及び多摩・島しょ地域における検案・解剖実績の推移でございます。
 令和二年から令和四年までの特別区と多摩・島しょ地域別の検案、解剖実績の推移を記載してございます。
 四二ページをご覧ください。18、東京都監察医務院における妊産婦の自殺検案数の推移でございます。
 令和二年から令和四年までの妊産婦の自殺検案数の推移を記載してございます。
 四三ページをご覧ください。19、東京都監察医務院における十九歳以下の自殺検案数の推移でございます。
 令和二年から令和四年までの十九歳以下の自殺検案数の推移を年齢区分別に記載してございます。
 四四ページをご覧ください。20、特別区における熱中症による死亡者数の推移(年代別・状況別)でございます。
 四五ページにかけまして、(1)に、令和二年から令和四年までの年代別の熱中症による死亡者数の推移を、(2)に、同期間における死亡場所の内訳と屋内における死亡のうちエアコンの使用状況の推移をそれぞれ記載してございます。
 四六ページをご覧ください。21、医療法人に対する指導・監督の実施件数の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの指導監督の区分別の実施件数の推移を記載してございます。
 四七ページをご覧ください。22、患者の声相談窓口への相談件数及び内訳の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの相談件数及び内訳の推移を記載してございます。
 四八ページをご覧ください。23、令和三年一月十三日の厚生労働省通知を踏まえた、精神科病院に対する実地指導を通じて発見された虐待の件数と内容でございます。
 令和三年一月十三日から令和六年九月三十日までの虐待の件数及び内容を記載してございます。
 四九ページをご覧ください。24、保健医療局における障害者の採用、配置、業務、業績評価に係る合理的配慮の取組状況でございます。
 区分別に合理的配慮の取組内容を記載してございます。
 五〇ページをご覧ください。25、保健医療局における障害者就労施設等からの優先調達の契約件数、金額の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの障害者就労施設等からの優先調達の契約の件数及び金額の推移を区分別に記載してございます。
 五一ページをご覧ください。26、動物の引取り及び収容数の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの各区市町村における動物の引取り及び収容数の推移を記載してございます。
 五二ページをご覧ください。27、動物の致死処分数の推移でございます。
令和三年度から令和五年度までの動物の致死処分数の推移を区分別に記載してございます。
 五三ページをご覧ください。28、第一種動物取扱業者に対する勧告及び命令の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの勧告及び命令の推移を記載してございます。
 五四ページをご覧ください。29、医療保健政策区市町村包括補助事業を活用した飼い主のいない猫対策の実施状況でございます。
 令和五年度に補助事業を活用した区市町村を内容別に記載してございます。
 五五ページをご覧ください。30、保健医療局が所管する事業のうち事業者に対して行った不利益処分件数の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの不利益処分の件数の推移を区分別に記載してございます。
 五六ページをご覧ください。31、保健医療局への公益通報の事由別件数の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの公益通報の受理件数及び事由の推移を記載してございます。
 五七ページをご覧ください。32、公衆衛生医師の配置状況等の推移でございます。
 公衆衛生医師につきまして、(1)に、令和元年度から令和五年度までの都、特別区、八王子市及び町田市における配置数の推移を、(2)に、同期間の採用者数及び退職者数の推移をそれぞれ記載してございます。
 五八ページをご覧ください。33、保健医療局の職員の自殺者数、病気休暇及び病気休職者数、定年退職を除く退職者数及び公務災害件数の推移でございます。
 六一ページにかけまして、(1)に、令和元年度から令和五年度までの自殺者数の推移を、(2)に、令和元年から令和五年までの男女別、年齢区分別の病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数の推移を、(3)に、令和元年度から令和五年度までの男女別、年齢区分別の定年退職を除く退職者数の推移を、(4)に、同期間における男女別、年齢区分別の公務災害の認定件数の推移をそれぞれ記載してございます。
 六二ページをご覧ください。34、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における分娩件数の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの分娩件数の推移を記載してございます。
 六三ページをご覧ください。35、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における誤嚥に係る報告件数の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの誤嚥に係る報告件数の推移を記載してございます。
 六四ページをご覧ください。36、小児総合医療センターにおける死亡退院患者数の推移(疾病分類別、年齢別)でございます。
 六五ページにかけまして、(1)に、令和元年から令和五年までの疾病分類別の死亡退院患者数の推移を、(2)に、同期間における年代別の死亡退院患者数の推移をそれぞれ記載してございます。
 六六ページをご覧ください。37、松沢病院における死亡退院患者数の推移(疾病分類別、年齢別)でございます。
 (1)に、令和元年度から令和五年度までの疾病分類別の死亡退院患者数の推移を、(2)に、同期間における年齢別の死亡退院患者数の推移をそれぞれ記載してございます。
 六七ページをご覧ください。38、松沢病院における再入院率及び入院期間別入院患者数の推移でございます。
 六八ページにかけまして、(1)に、令和五年度の区分別の再入院率を、(2)に、令和元年度から令和五年度までの入院期間別入院患者数の推移をそれぞれ記載してございます。
 六九ページをご覧ください。39、都立病院機構の病院における精神疾患による入院患者数及び入院形態別内訳でございます。
 令和五年度の各病院における入院患者数及び入院形態別内訳を記載してございます。
 七〇ページをご覧ください。40、松沢病院における患者の退院時の状況の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの患者の退院時の状況の推移を記載してございます。
 七一ページをご覧ください。41、松沢病院における行動制限実施患者数及び保護室数の推移でございます。
(1)に、令和元年度から令和五年度までの行動制限実施患者数の推移を、(2)に、保護室数の推移をそれぞれ記載してございます。
 七二ページをご覧ください。42、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医事関係訴訟件数及び事由の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの医事関係訴訟件数及び事由の推移を記載してございます。
 七三ページをご覧ください。43、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師の兼業件数等の推移でございます。
 令和三年度から令和五年度までの医師の兼業件数、人数及び主な内容の推移を記載してございます。
 七四ページをご覧ください。44、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における職員の自殺者数、病気休暇及び病気休職者数、定年退職を除く退職者数及び公務災害等件数の推移でございます。
 七七ページにかけまして、(1)に、令和元年度から令和五年度までの自殺者数の推移を、(2)に、令和元年から令和五年までの男女別、年齢区分別の病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数の推移を、(3)に、令和元年度から令和五年度までの男女別、年齢区分別の定年退職を除く退職者数の推移を、(4)に、同期間における男女別、年齢区分別の公務災害等の認定件数の推移をそれぞれ記載してございます。
 七八ページをご覧ください。45、都立病院及び都立病院機構における障害者優先調達の契約件数・金額の推移(契約種類別)でございます。
 令和元年度から令和五年度までの障害者優先調達の契約件数及び金額の推移を契約種類別に記載してございます。
 七九ページをご覧ください。46、都立病院機構、都立病院及び保健医療公社における障害者の雇用状況でございます。
 平成三十年及び令和五年における六月一日時点の障害者の雇用人数を区分別に記載してございます
 八〇ページをご覧ください。47、都立病院機構の病院における病児・病後児保育の取組状況でございます。
 令和六年十月一日時点の病児、病後児保育を実施している病院の開設時期及び定員を記載してございます。
 八一ページをご覧ください。48、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における電気けいれん療法の実施件数の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの電気けいれん療法の実施件数の推移を記載してございます。
 八二ページをご覧ください。49、都立・公社病院及び都立病院機構における懲戒処分の件数及び内訳の推移でございます。
 八四ページにかけまして、(1)に、令和三年度及び令和四年度の都立病院における懲戒処分の件数及び内訳を、(2)に、同期間の公社病院における懲戒処分の件数及び内訳を、(3)に、令和四年度及び令和五年度の都立病院機構における懲戒処分の件数及び内訳をそれぞれ記載してございます。
 八五ページをご覧ください。50、都立病院機構の病院における研究活動に係る利益相反に関する自己申告書の提出者数、申告額の最高額及び総額でございます。
 令和五年度の申告の実績を区分別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、当委員会で要求がございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

〇関野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

〇浜中委員 それでは、質疑を始めさせていただきます。
 まずは、がんの研究についてであります。
 がんは二人に一人が一生のうちにかかると推計されており、都民の死亡者数のおよそ四人に一人ががんで亡くなっております。今後、高齢化の進展に伴い、がん患者の一層の増加が見込まれることから、早期発見、早期治療とともに、新たな治療法の開発、研究も期待されているところであります。
 東京都医学総合研究所においても、がんの研究を行っているわけでありますが、当研究所におけるがん研究の取組についてお伺いをいたします。

〇吉原企画部長DX推進担当部長兼務 東京都医学総合研究所では、神経系及びその疾患等に関する研究、精神障害に関する研究、がん、感染症等未解明の重要疾患に関する研究を総合的に行っております。
 がん研究については、前身の東京都臨床医学総合研究所設立以来、長年にわたり継続的に取り組んでまいりました。現在は、ゲノム動態プロジェクト、幹細胞プロジェクト、がん免疫プロジェクトの三つのプロジェクト研究やゲノム医学研究センターにおける分子機構の解明やゲノム解析など、様々な観点からがん研究に取り組んでおります。

〇浜中委員 医学総合研究所では、研究所設立以来、がん研究に取り組み、現在も様々な観点から研究を継続しているということでありました。
 その中で、現在、具体的にどのような研究を行っているのかということを教えてください。

〇吉原企画部長DX推進担当部長兼務 ゲノム動態プロジェクトではがんの発症メカニズムの解明や新規治療法の開発研究、幹細胞プロジェクトではがん、白血病治療薬の開発研究、がん免疫プロジェクトではがんの遺伝子治療法の開発研究、ゲノム医学研究センターではがんをはじめとする疾病の原因となる分子機構の解明、ゲノム解析研究等に取り組んでおります。
 研究成果の一例として、ゲノム動態プロジェクトにおいて、発がんを抑制している遺伝子を自在に調整することにより、発がんを誘導することができるモデルマウスを作製いたしました。これは新規治療法を開発する上で必要不可欠な発がんメカニズムの解明に大きく貢献するものとされておりまして、当研究所が世界に先駆けて作製したものでございます。
 今後も、東京都医学総合研究所において、これまでに蓄積された知見、研究技術を生かしながら、様々なアプローチにより、がん研究に取り組んでまいります。

〇浜中委員 免疫やゲノムなど様々な基礎医学の観点から、がんの新たな治療法の研究に取り組んでいるとともに、具体的な成果が出ていることを非常に心強く感じます。
 基礎研究は、その成果が一朝一夕に都民に還元されるといったものではありませんが、早期発見、早期治療と併せて、新たな治療法の開発により少しでも多くの方ががんを克服できるように、今後の研究に期待したいというふうに思っております。
 東京都は本当に大きいですから、がんの研究もやっていて、こういった成果も出ているということなので、これで何かすぐにってわけじゃない、時間かかるかもしれないんですけれども、しっかり都民のためにお願いしたいというふうに思いまして、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、東京都立がん検診センターでございます。
 平成二年に、東京都の進めるがん検診事業をさらに推進するために、多摩がん検診センターとして府中市に設立され、これまで、がんに係る検診の専門機関として重要な役割を担ってきました。
 当センターは令和七年二月二十八日に閉所し、同年四月二十一日に多摩総合医療センター東館において診療を開始するとのことでありますが、東館での検査体制はどのようになるのかということをお伺いいたします。

〇鈴木都立病院支援部長 多摩総合医療センター東館では、東京都がん検診センターの高度な検診技術を継承し、早期の段階でがんを発見、診断するための体制を整備いたします。
 内視鏡等の精密検査部門に機能を重点化するほか、婦人科や乳腺外科の患者に配慮して、問診から検査、診察まで完結できる女性専用のエリアを設置いたします。また、短時間で高精度な検査が可能な最新の医療機器の導入により、早期の診断、治療が可能となります。
 これらの体制を整備することにより、地域の医療機関からの紹介患者を積極的に受け入れ、早期の発見、治療を提供できる新たながん医療提供体制を構築いたします。

〇浜中委員 多摩総合医療センター東館では、がん検診センターの高度な検診技術を継承し、早期にがんを発見、診断するために、内視鏡等の精密検査部門への機能重点化のほか、女性専用エリアの設置、また最新の医療機器の導入など、体制の充実が図られたとのことでした。
 四月二十一日の診療開始後、円滑に運営を行うに当たって、現在どのような準備を進めているのかということを伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 多摩総合医療センター東館での診療開始に向けて、現在施設整備を進めており、今後は、医療機器の搬入や館内ネットワークの敷設など設備面における整備を進めるほか、新たに使用する医療機器や医薬品に係る適切な取扱い、患者の動線確保など、職員に必要な研修を実施していきます。
 また、東京都立がん検診センターで経過観察中の患者に対しては、多摩総合医療センターで必要な診療を継続して受けられる旨、個別に文書を郵送するほか、新規に診療する患者には窓口で案内を行うなど、閉所後も安心して受診できるようきめ細かな周知を行っております。
 さらに、東館開所後も、地域の医療機関からの紹介患者を積極的に受け入れるため、地区の医師会とも協力しつつ、個別に地域の医療機関に訪問するなど、連携を深めるための取組も併せて行っているところでございます。

〇浜中委員 ありがとうございました。来年四月の開所に向けて、着実に準備を進めていただけているとのことで安心をいたしました。
 多摩メディカルキャンパスは多摩地域における重要な医療拠点であります。同キャンパスを今後さらに充実強化していくことを期待しまして、次の質疑に移ります。
 続きまして、救急医療についてであります。
 今年の夏も猛暑により熱中症による救急患者の搬送が、先ほど資料にありましたけれども増えたと思います。医師の働き方改革もあり救急医療への影響も懸念される中で、今後、冬になると救急患者の搬送も増加のピークを迎えていくことが想定されます。このような状況を踏まえて、東京都の救急医療について何点か確認を行いたいと思います。
 まず、都内の救急搬送人数と東京ルールの状況についてお伺いをいたします。

〇新倉医療政策部長 令和五年の都内の救急搬送人員数は、高齢化の進展にも伴い、七十七万人を超え過去最多を更新いたしました。
 救急搬送先の選定が困難な東京ルール事案の件数も、コロナ禍前の令和元年には約九千三百件でございましたが、令和五年は約四万五千件に増加いたしました。

〇浜中委員 救急搬送件数も東京ルールの件数も近年増加傾向にある中で、救急医療の現場に負担がかかっているというふうに思われます。
 救急患者の増加を踏まえて、さらに救急医療機関の患者受入れ体制を強化する必要があると思いますが、都の取組についてお伺いをいたします。

〇新倉医療政策部長 都は、救急医療機関が救急外来における医師や看護師の業務支援を行うために救急救命士を配置する場合に、その人件費を補助する救急搬送患者受入体制強化事業を平成三十年度から実施しております。
 その後、東京ルール事案が増加していることや今後も救急搬送患者の増加が見込まれることなどから、平日日中も含めた全時間帯への救急救命士の配置を促進するため、今年度から補助対象とする救急救命士の上限を二名から三名へと拡充いたしました。昨年度は三十五の医療機関に補助を行っており、補助内容を拡充した今年度は四十八の医療機関が申請の見込みとなってございます。

〇浜中委員 救急患者が入院してベッドを逼迫するような状況になりますと、救急患者の受入れに支障が生じ、東京ルール事案の件数も増加するという悪循環が生まれます。
 このような状況になるのを回避するためには、地域の多くの医療機関において役割を分担し、地域全体で救急患者を受け入れる体制づくりが重要だと考えます。
 そこで、救急医療機関において、新たな救急患者を受け入れていくには、症状の安定した患者をほかの医療機関へ転院搬送しやすくするためにも支援が必要と考えますが、この点についてお伺いをいたします。

〇新倉医療政策部長 救急医療機関において診療後に症状の安定した患者の転院を促進し、病床の効果的な活用を図ることは、地域における救急患者の受入れ体制の強化につながります。
 このため、都は、救急医療機関の転院搬送手段を確保する支援策といたしまして、病院救急車を導入する場合に経費の三分の二を補助する病院救急車購入支援事業を今年度から開始いたしました。今年度は申請のあった十七の医療機関に対し、交付決定を行っております。

〇浜中委員 ありがとうございます。
 いずれにしても救急医療が増えていて、これは保健医療局だけの問題ではなくて、恐らく消防庁とか何か社会全体でこれどうするんだということをしないと、ちょっとこの増え方は、これは大変だなと。ただ、救急車を呼ぶということは本当に困っているということでございますので、ちょっとその点も踏まえて、今の質疑も踏まえて、しっかり救急患者を受け入れられるような体制の構築をお願いして、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、自死遺族支援についてであります。
 厚生労働省が発表した令和六年版自殺対策白書を見ると、令和五年の全国の自殺者数は約二万千人となっており、過去に三万人を超えていた頃と比べると減っているものの、依然として深刻な状況にあります。
 都は、令和五年三月に策定した東京都自殺総合対策計画の第二次で六つの重点事項を掲げ、その一つを自死遺族等支援の推進としております。
 計画に基づき、昨年十月にとうきょう自死遺族総合支援窓口が開設され一年が経過をしておりますが、現在どのような体制で相談支援をしているのかということを伺います。

〇小竹保健政策部長 とうきょう自死遺族総合支援窓口は、自死遺族等が直面する様々な問題について、死別の直後から相談できる窓口として、昨年十月に週四日の電話相談受付を開始いたしました。本年四月には週四日から週六日に拡大するとともに、六月からはメール相談への対応を開始するなど、体制の充実を図っております。
 窓口では相談員が遺族等の気持ちに寄り添いながら困り事を把握し、必要時に公認心理師や弁護士等の助言を受けながら、相談支援を行っております。

〇浜中委員 家族や身近な人を自死により亡くされた方は、悲しみ、抑鬱、孤独感、自責、罪悪感など心の反応、睡眠障害や体調不良などの体の反応など、心身に影響を受ける中で、各種手続や生活、経済上の課題など、様々な問題への対応が発生すると考えられます。
 困り事が発生したそのタイミングで相談ができ、支援を受けられることが大切であり、そのためには、窓口の存在を身近な人を自死により亡くされた方の多くに知ってもらうことが重要であると考えます。
 そこで、これまでの相談対応実績と死別の直後から支援を行うための窓口周知の工夫について伺います。

〇小竹保健政策部長 とうきょう自死遺族総合支援窓口の電話相談は開設から本年九月までの一年間に七百七十五件、メール相談は対応を開始した本年六月から九月までに四十八件寄せられております。
 窓口については、東京都だけでなく区市町村のホームページにも掲載を依頼して周知を図っているほか、監察医務院等を通じた遺族等へのリーフレットの配布も行っており、死別直後からの相談につなげております。
 今後も、区市町村や関係機関と連携して窓口を周知するとともに、研修等により相談員の対応力向上を図りまして、困難を抱える自死遺族等の支援を推進してまいります。

〇浜中委員 この一年で、電話とメールを合わせて八百件を超える相談に対応してきたとのことですが、引き続き、支援事例を積み重ね、遺族等に寄り添いながら、相談員の対応力を向上させることで、身近な人を自死で亡くした方々のニーズに即した支援に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 あわせて、やはり自死というのは亡くなる本人もそうですし、周りも本当に悲しいことだと思います。既に東京都はいろんな対策をしておりますが、引き続き、ゲートキーパーも含めて、周知も含めて、思いとどまるような形での支援を継続してお願いをしたいと申し上げて、次の質問に移ります。
 続きまして、小児インフルエンザワクチンの任意接種の補助についてであります。
 インフルエンザが流行期に入ってきております。インフルエンザの予防のためには、ワクチン接種が重要であります。その年の流行予測に合わせてつくられたワクチンを毎年接種しなければならず、経済的な負担も大きいです。
 今年度より、十三歳未満への小児インフルエンザワクチン接種を行う区市町村に対して都が助成を実施しておりますが、補助事業の概要と目的について、まず教えてください。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 小児インフルエンザワクチンは任意接種であるため、感染予防効果と副反応リスクを理解した上で、保護者の方も含め、自らの意思で接種を受けるものでございます。
 インフルエンザワクチンの接種回数については、十三歳未満は二回接種とされており、一回接種である十三歳以上と比較して負担に差がございます。
 このため、都は、子育て世帯の経済的負担軽減の一環として、十三歳未満の接種費用の負担軽減を行う区市町村に対し、一回当たり上限千円まで、区市町村負担分と同額を補助することといたしました。

〇浜中委員 小児インフルエンザワクチン接種の費用補助については、子育て支援の一環として有意義な取組だと評価をしております。というか、非常に評判がいいですよね。いったらですね、あっ、こんなのがあるんだということで、私の地元でもやっているんですけど、いや、東京都が後押ししていますとはいってはいるんですけど、ただ、幾つか問題があって、うちはやっているんだけど隣の市はやっていないというと、そのお医者さんが、まず、どこですかって聞くんです。聞いて、それでさばくっていうような話なので、ぜひこの取組は広げられるようになるといいなというふうに思っております。あくまでも子育て支援ということだと思いますけれども、非常に評判がいいなというふうに思っております。
 また、併せて、これ都の補助の制度の対象とはなっていないんですけど、今シーズンから二歳以上十九歳未満用として、鼻に噴霧するタイプのワクチンも使用できるようになりました。このワクチンは注射が不要ということで、小さなお子さんも受けやすいという利点があります。ただ、接種後しばらくは、ワクチンですから鼻の中にウイルスが存在するので、周囲の人にうつしてしまう可能性があるとも聞いております。
 こういった新たな選択肢も含めて、来年度以降、先ほどの話もそうですけど、より多くの方の負担軽減につながるように検討をお願いして、次の質問に移ります。
 続きまして、都におけるHIV、エイズ、梅毒の取組についてお伺いをいたします。
 最近、梅毒が若者を中心に増加しているという報道を多く見かけるようになりました。そこで、同じ性感染症であるHIV、エイズについて調べたところ、全国では昨年七年ぶりに増加したとのことでありました。
 過去の病気だと思われがちなHIV、エイズや梅毒が近年増加傾向にあるといった状況を目の当たりにして、新型コロナウイルス感染症の陰に隠れて見過ごされがちだったこのような性感染症が、今後もますます増えていくのではないかと懸念をしております。
 都におけるHIV、エイズや梅毒の発生動向についてお伺いいたします。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 令和五年のHIV、エイズの都内報告数は三百二件で、平成二十八年以来七年ぶり増加に転じました。今年も昨年と同じ水準で推移してございます。感染者の年代は三十歳代が最も多くを占めております。
 また、令和五年の梅毒の報告数は三千七百一件で、現行の調査開始以降三年連続で過去最多となり、今年も昨年と同じ高い水準で推移してございます。感染者の年代は、男性は二十歳代から五十歳代、女性は二十歳代が多くを占めてございます。

〇浜中委員 都においても全国の傾向と同様に、HIV、エイズの感染者数が昨年七年ぶりに増加したこと、また、梅毒は今年過去最多だった昨年と同じペースで感染が拡大していることが確認できました。梅毒だけでなく、HIV、エイズも若い人たちに広がっているという状況が大変心配であります。
 こういった性感染症は感染しても症状がないこともあることから、自覚がないうちに周囲に感染を広めてしまう可能性もあります。早期に発見して確実な治療を行うことが性感染症の感染拡大を防ぐ有効な方法であると考えます。
 HIV、エイズや梅毒の感染拡大を防ぐためには、都民が早期に感染に気づき、治療につなげていくことが重要であると考えますが、都の取組を伺います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都では、HIV、エイズや梅毒の感染状況を踏まえ、匿名、無料で実施しているHIV、梅毒の同時検査の体制を一層強化いたしました。
 まず、多摩地域検査・相談室では多摩地域で初となる日曜日の検査を開始したほか、新宿東口検査・相談室では新たに女性の検査日を毎週設定するなど、検査枠の拡充を図ったところです。
 また、都の保健所及び検査・相談室の予約電話を一元化したことに加え、今年七月にはウェブ予約も新たに開始するなど、都民の利便性の向上を図ることで検査受検を促進し、早期発見につなげております。

〇浜中委員 都は検査の拡充により、早期発見に向けた不断の取組を行っているということが理解できました。
 同時に、特に感染が広がっている若者を中心に、HIV、エイズや梅毒などの性感染症について正しい知識を知っていただき、感染不安がある場合には、実際に検査に足を運んでもらうことが何より重要であると考えます。
 そこで、HIV、エイズ及び梅毒の普及啓発について、都の取組を伺います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 HIV、エイズや梅毒の感染拡大を防ぐためには、年齢、性別など、ターゲット層の実情に合わせた普及啓発が重要です。
 HIV、エイズについては、年二回、強化月間を中心に、差別、偏見の解消に向けた啓発を行っています。十二月一日、世界エイズデーを中心とした東京都エイズ予防月間では、繁華街において啓発フラッグを掲げるほか、池袋で若者向け参加型イベント、エイズフェス二〇二四を開催いたします。
 梅毒については、夏の集中啓発期間に、若者をターゲットに啓発漫画をSNS等で配信するとともに、NPO法人と連携し繁華街で啓発カードを配布いたしました。
 今後も引き続き関係団体等と連携しながら、HIV、エイズ並びに梅毒のターゲット層に効果的に届くよう、普及啓発を実施してまいります。

〇浜中委員 この質疑を通じて、HIV、エイズや梅毒の感染拡大防止に向けた都の取組を確認することができました。HIV、エイズも梅毒も身近な病気であることを理解し感染予防につながるように、都においては、今後も引き続き普及啓発等の取組を強力に進めていただくようにお願いをいたします。
 最後の質問に移ります。最後は健康食品の安全対策について伺います。
 本年三月末に、小林製薬が製造販売する紅こうじを含む健康食品を喫食した方が腎疾患を発症するなど、全国的な健康被害が明らかとなりました。六月二十八日の時点で、小林製薬の報道発表によると、全国での死亡者は少なくとも五名、入院治療を要した方は二百八十九名に達するなど深刻な健康被害が確認されています。
 この紅こうじ製品は健康食品の一種である機能性表示食品として国に届け出されたとのことですが、こうした健康食品は、本来、健康の維持増進を期待して摂取される食品であり、健康を損なうものではあってはなりません。健康になろうと思っていたのに健康じゃなくなっちゃって、これ、本当にとんでもない話だと思います。
 都は、今回、この紅こうじの問題に対してどのように対応してきたのかを伺います。

〇早乙女食品医薬品安全担当部長 都は、小林製薬の本社を所管する大阪市からの情報提供に基づき、都内における健康被害の拡大防止や実態把握などに取り組んでまいりました。
 まず、三月二十九日に都内で紅こうじ製品を発売していた約二千店舗のリストが大阪市から提供されたため、都の保健所のほか、特別区、八王子市、町田市の保健所が連携し、当日中に店頭からの製品の撤去と小林製薬への返品指導を行い、健康被害の拡大防止を図りました。
 また、都内で紅こうじ製品を喫食して体調不良を訴えた三百名以上の方に対し、各保健所が病状等の聞き取り調査を行い、必要に応じて受診を促すなど、速やかに健康被害の実態把握を行いました。
 さらに、都民に対しましては、ホームページやSNS等を活用して、回収対象となった紅こうじ製品が手元にある場合は返品する、当該製品を喫食して体調が悪くなった場合は病院に受診し、保健所にお知らせいただくなどの周知を行い、都民の健康の安全確保を図っております。

〇浜中委員 今回の紅こうじ問題のように、健康被害を招くおそれのある食品を速やかに市場から排除し、都民の健康を守っていくためには、関係自治体の保健所と連携した初動の対応が大変重要であります。東京都の保健所、特別区、八王子市、町田市の保健所がしっかりと連携し、食の安全対策を進めていくことを要望しておきます。
 今回の紅こうじ問題における被害の多さは、健康食品が国内で広く普及している証左でもあります。ある調査会社によると、国内の健康食品市場は拡大基調にあり、二〇二四年度の市場規模は九千億円に達するとの調査結果もあります。多種多様な健康食品が開発され、健康に関する効果も複雑かつ多様化する中で、都民が健康食品を正しく利用できるよう、環境整備をしていくべきであります。
 都は、今回の紅こうじによる健康被害を受け、都民に対する健康食品の啓発についてどのように取り組んでいくのかを伺います。

〇早乙女食品医薬品安全担当部長 今回、紅こうじ製品を喫食して体調不良を訴えた方々に対する聞き取り調査の結果を見ますと、約五割の方々が何らかの薬を服用していることが判明いたしました。一部の健康食品は医薬品と併用した場合、医薬品の効果に影響を及ぼすこともあるため、服薬中の患者が健康食品を安全に利用するためには、事前に医師や薬剤師等に相談することが重要でございます。
 このため、都は、服薬中の患者が健康食品の利用前に医師や薬剤師等に相談することや、利用中に体調不良を感じたら直ちに利用を中止して医療機関に受診することを促す普及啓発の強化に向けた検討を開始いたしました。
 今後、東京都医師会、東京都薬剤師会、業界団体等と意見交換を行い、具体的な広報手法を取りまとめ、都民が健康食品を正しく利用できるよう取組を進めてまいります。

〇浜中委員 ドラッグストアやスーパーには多くの健康食品が販売されており、利用者にとってどのような製品が適切なのか、逆に、不適切な製品は何かを判断するのは難しい面があると思います。また、薬を服用している方は、さらなる効果を期待して、別途サプリメントを摂取してしまう傾向にあります。
 医師会、薬剤師会、業界団体等と連携し、都民が健康食品に対する理解を深め正しく利用できるように、しっかりと取組を進めていくことをお願いして、私の質問を終わります。
 以上です。

〇こまざき委員 都民ファーストの会のこまざき美紀です。よろしくお願いします。
 私はこの間、小児がんのお子さんのご家族の方々と意見交換を重ねてまいりました。本日は、そこでお預かりしたお声を届けていきたいと思います。
 小児がんは、子供たちにとって命を脅かす深刻な病であり、早期発見と適切な治療が不可欠です。東京都は、小児がんの治療に熱心に取り組んでおられますけれども、医療体制の整備には、なお多くの課題が残されています。長期にわたる小児がん治療は、患者やそのご家族にとって大きな心理的、経済的負担を強いることはいうまでもありません。このため、支援策のさらなる強化が求められます。
 小児がんやAYA世代の患者が在宅医療へ移行する際、介護保険制度の対象とならないことから、在宅サービスの利用に当たって全額自己負担しなくてはなりません。また、医療麻薬、CADDポンプのカセットや接続に必要なチューブ、アダプターなどの消耗品も医療保険適用外となる場合があり、月に数千円から数万円の費用が自己負担となるほか、医療タクシーやおむつ代も大きな経済的負担となっております。
 在宅療養者の負担を軽減するための支援が必要と考えますが、都の取組と見解を伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 若年がん患者が住み慣れた地域で安心して療養生活を送るためには、在宅療養環境の充実が重要でございます。
 都は今年度から、在宅療養に係る自費負担に対する支援としまして、若年がん患者在宅療養支援事業を実施しております。本事業では、介護保険制度の対象とならない四十歳未満のがん患者に対し、訪問介護の利用や福祉用具の貸与、購入等の費用を助成する区市町村を包括補助により支援しております。

〇こまざき委員 若年がん患者在宅療養支援事業において、介護保険制度の対象とならない四十歳未満のがん患者に対し、訪問介護の利用や福祉用具の購入等の費用を助成する区市町村を包括補助により支援しているとのご答弁でした。
 大変ありがたい事業だと思います。今後は、実態に合わせて、日々命をつなぐために必要な消耗品についてもご検討いただくことを求めます。
 若年がん患者在宅療養支援事業について、今年度から実施とのことですが、実施している区市町村は幾つあるのでしょうか。また、全ての区市町村で実施していないと住んでいる地域によっては支援が受けられないということになります。公平に支援が行き渡るよう、導入の普及啓発を進めていくべきと考えますが、併せて都の取組を伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 今年度、包括補助を活用して在宅療養支援を実施予定の自治体は七自治体でございます。
 都は、区市町村の人口規模に応じて補助額の上限を設定している包括補助におきまして、本事業については、より多くの区市町村で活用されるよう、この上限を超過する場合でも補助できる取扱いとしております。事業開始に当たりましては、区市町村に対して説明会を実施しており、今後も様々な機会を通じて積極的に本事業の活用を働きかけてまいります。

〇こまざき委員 ご答弁ありがとうございました。今年度から七自治体において実施されているとのことです。
 包括補助の上限を超える場合でも補助できる取扱いとしているとのことですので、できる限り多くの区市町村にご活用いただきたいと思います。事業自体、まだ始まったばかりではありますが、費用負担でお困りの都民の方々に支援が行き届くよう、周知徹底に努めていただくよう要望いたします。
 小児がん等における家族のメンタルケア、カウンセリング窓口の設置や家族同士の交流支援プログラム、きょうだい児のケアなど、家族に対するメンタルケア、メンタルサポートプログラムや相談窓口の拡充が重要です。あわせて、闘病開始から治療後も患者が孤立せずに地域社会に戻れるように、復学や地域交流を支援する地域連携ネットワークの強化が求められますが、都としての取組と見解について伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 がん患者やその家族の置かれた状況はそれぞれ異なり、治療に関する悩みに加え、精神的、社会的な問題など、多岐にわたる相談に対応することが重要でございます。
 小児がん拠点病院や東京都小児がん診療病院では、看護師や医療ソーシャルワーカー等の相談員を配置したがん相談支援センターを設置しております。センターでは、医療相談のほか、患者の発育、教育、就学等の相談やきょうだいを含めた家族に対する支援、医療関係者と患者会等が共同で運営するサポートグループ活動に対する支援などを実施しております。
 都は、各病院における取組の好事例を共有するとともに、センターの利用の促進に向け、東京都がんポータルサイト等でセンターの設置場所や支援内容等について周知しております。

〇こまざき委員 様々なお取組をしていただいていることが分かりました。ありがとうございます。今後も、患者やご家族に寄り添う支援をお願いしたいと思います。
 続きまして、小児がんにおける緩和ケアと終末期医療について伺います。
 小児がん患者に対する緩和ケアは、痛みの緩和や生活の質の向上に不可欠です。また、残念ながら完治が難しい患児の方には、終末期医療の提供体制も重要です。
 現在、都立病院及び東京都においては、小児がん患者に対しどのような緩和ケアや終末期医療の支援を行っているのか、今後の強化策についても併せて伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 がん患者の療養生活の質の維持向上を図るためには、患者ががんと診断されたときから切れ目のない適切な緩和ケアが提供されることが重要でございます。
 都では、東京都小児・AYA世代がん診療連携協議会を設置し、医療従事者向けの緩和ケアに関する研修会や患者や家族向けのリーフレット等の作成などを実施しております。

〇鈴木都立病院支援部長 続いて、都立病院に関してでございます。
 小児総合医療センターでは、小児、AYA世代の全ての疾患を対象に、緩和ケアサポートチームによる支援に加え、令和六年一月に緩和ケア外来を、四月には緩和ケア科を設置するなど、緩和ケアの取組を強化しております。令和六年度上半期では、緩和ケアサポートチームが新規に七十名に対応しており、特に終末期医療を受ける患者等には、家族の同意が得られた全例に対応してございます。
 今後、緩和医療の専門医を育成するとともに、小児総合医療センターで得た知見等を地域医療機関にも還元してまいります。

〇こまざき委員 ご答弁ありがとうございました。
 令和六年に緩和ケア科の設置や緩和ケアの取組が強化されたとのこと、非常に心強く思っております。これにより、多くの患者さんとそのご家族が必要とする支援を受けられる環境が整いつつあると理解いたしました。今後も緩和ケアの重要性やその取組内容について、皆さんへ広く情報を届け、患者やご家族が安心して治療やケアを受けられる体制のさらなる充実を目指していただくことを要望します。
 東京都は令和六年三月に、都立病院粒子線治療施設整備計画を策定し、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院に陽子線治療施設を整備することとしました。
 粒子線治療には重粒子線治療と陽子線治療があり、保険適用となる範囲に違いがあるなど、それぞれに異なる強みがあるものと認識しています。
 そこで、改めて、粒子線治療のうち陽子線治療施設を整備することとした理由について伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 粒子線治療は、がん病巣への集中的な照射が可能であり、身体的な負担が少なく、仕事や学業、日常生活との両立も可能な治療法でございます。
 整備計画の策定に当たり、有識者からは、粒子線治療の中でも小児がんを含め幅広く様々ながんを治療できる陽子線治療装置が望ましいなどの意見をいただいたところでございます。こうした意見等も踏まえ、都は、都民のがん治療の選択肢が広がるよう、陽子線治療施設を駒込病院に整備することといたしました。

〇こまざき委員 粒子線治療は、周囲への健康な組織への影響を抑えた治療法として注目されており、副作用の軽減や二次がんリスクの低減が期待され、特に小児、AYA世代のがんに有効であるといわれています。こうしたことからも、駒込病院において小児がん患者にも陽子線治療を提供していけるよう、検討を求めたいと思います。
 現在都内には、陽子線治療を受けられる施設がなく、多くの患者やそのご家族が遠方での治療を余儀なくされている状況です。今後、この整備計画を都民や医療関係者にどのように知らせ、利用や認知を促進する予定か伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 都は、令和六年三月に改定したがん対策推進計画におきまして、あらゆる分野における情報提供及び普及啓発のさらなる推進や質の高いがん対策を持続可能なものとするための医療機関間の役割分担や連携の強化について取り組む必要があるとしているところでございます。
 粒子線治療につきましても、都及び都立病院機構において、誰もが必要に応じて適切に治療を受けることができるよう、効果的な情報提供及び普及啓発について検討してまいります。

〇こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。
 がん対策は患者やご家族にとって待ったなしの課題です。ただの計画ではなく現実の治療体制として実を結ぶよう、都としてリーダーシップを発揮していただくことを強く求めて、次の質問に移ります。
 女性特有のがん検診の受診率向上について伺います。
 都民のがん検診受診率を見ますと、女性に特有の乳がんや子宮頸がんがほかのがんよりも低い数値となっております。受診率の向上に向けて、特に普及啓発が重要と考えますが、都の取組について伺います。

〇小竹保健政策部長 都は、女性の健康を支援するポータルサイト、TOKYO女子#けんこう部におきまして、乳がんや子宮頸がんに関する正しい知識や、がん検診のメリット、デメリット、定期的な検診受診の重要性などを漫画やコラムにより分かりやすく解説しております。
 また、十月の乳がん月間におきまして、区市町村や企業等と連携したピンクリボンの普及啓発キャンペーンの実施や都庁舎等のライトアップ、パネル展の開催など、乳がん検診の受診促進のための啓発を集中的に展開しております。
 さらに、今年度は、子宮頸がん検診の対象世代となる学生の視点を取り入れながら、若い女性に影響力のあるインフルエンサーが検診受診を呼びかけるコンテンツを作成し、来年三月の女性の健康週間に合わせてSNSで発信する予定としておりまして、今後とも、女性特有のがん検診の受診率向上に向けて取り組んでまいります。

〇こまざき委員 どうもありがとうございます。今後のお取組についても大いに期待しております。
 最後になりますが、乳がんは、日本の女性において最も多く診断されるがんであり、特に三十代から罹患率が急増しております。
 しかし、現行の乳がん検診は多くの自治体で四十歳以上を対象としております。三十代の女性は乳腺密度が高いためマンモグラフィーでは検出が難しいケースがあるため、エコー検査の導入が有効な対策として考えられます。
 そこで、東京都として、三十代女性に対するエコー検査を推奨していただくことを求めて、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

〇うすい委員 よろしくお願いします。初めに、若い世代の歯科健診についてお伺いをいたします。
 令和六年第一回定例会厚生委員会の質疑におきまして、我が党の北口議員から、若い世代に対する歯科健診の受診を促す令和六年度の都の取組について質問をいたしました。その際の答弁では、若い世代に向けて日常的な口腔ケアや定期的な歯科受診の必要性について、理解促進を図る動画を作成し、SNS等を介して広く発信していくとのことでございました。
 そこで、今年度、都が行う若い世代に対して歯科健診の受診を促す青年期歯科口腔保健推進事業の取組の内容について説明を伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 若い世代の都民に対して、歯と口の健康に対する意識の向上や日常的にデンタルフロスを使用したり、かかりつけ歯科医を持ち定期検診を受けるといった歯科保健に関する行動変容を促すため、インフルエンサーを起用した一分程度の動画を制作いたします。
 制作した動画は、SNS等のインターネットやワイドコラボ協定等を活用し、若い年代のうちから口の健康づくりに取り組む重要性を広く発信してまいります。
 現在、動画を制作する委託事業者との契約に向けた手続を進めており、ターゲット層に合わせた動画の制作や適切な広報媒体の選択を行い、来年三月に配信を予定しております。

〇うすい委員 ただいま答弁をいただきましたとおり、歯の健康というのは、やはり若い世代から積み重ねていかなければ、年を取られてから歯の健康といっても、これは手遅れになってしまいますので、しっかりと今のこの取組が生かされるように、よろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、小児インフルエンザワクチン接種事業について伺います。
 子育て支援の一環として、十三歳未満への小児インフルエンザワクチン接種の費用助成を行う区市町村に対して、都議会公明党が要望し、今年度から都が補助を実施しているところでございますが、まず、昨年度まで独自に費用助成を実施していた自治体数及び今年度都の補助事業を活用する自治体数についてお伺いをいたします。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、子育て世帯の負担軽減の観点から、二回接種が必要となる十三歳未満の小児を対象としたインフルエンザワクチン接種について、接種費用の一部を補助する区市町村に対し区市町村と同額を補助しております。
 令和五年度、独自に補助を実施した区市町村数として都が把握しているのは二十六でございます。今年度、都の補助事業を活用する区市町村数は四十二でありまして、新規に助成を開始する区市町村数は二十二となっております。

〇うすい委員 今ご答弁いただきまして、今年度、都の補助事業を申請していない自治体が二十ありますけれども、令和七年度に向けてさらなる活用を促すための都の取組について見解を伺います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 小児インフルエンザワクチンは任意接種でありますため、予防効果と副反応リスクを理解した上で、保護者の方も含め、自らの意思で接種を受けるものでございます。
 本事業は子育て支援の観点から実施するものであり、その趣旨や仕組みについて、都は区市町村に対し、引き続き様々な機会を捉え、丁寧に説明してまいります。

〇うすい委員 現在の東京都の十一月のインフルエンザ患者数は、一医療機関当たり二・〇九になりました。先ほど、評判がいいという話もありましたけれども、私の地元も評判が大変よろしいです。
 そういう中で、子供はインフルエンザに罹患しますと肺炎や脳症などの重症化するリスクもございまして、自宅療養中の見守りが欠かせなくなります。大人の負担も大きくなるわけでございまして、希望する、そういう人たちがしっかりと接種できるように、引き続き取組をよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、がんピアサポーター養成研修事業について質問をいたします。
 がんは二人に一人が罹患するといわれておりまして、がんと共に生きるということも考えなくてはならない時代になっております。そうしたがんとの共生社会を実現するには、がん患者やその家族の不安や悩みを軽減するため、相談支援の取組を充実することも重要と考えております。
 都では、相談支援の取組として、令和六年度から新たに、がんピアサポーター養成研修事業を実施すると聞いておりますけれども、その内容について説明を求めます。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 がんピアサポーター養成研修事業は、がん経験者が自分の経験を生かしながら、がん患者やその家族に対する相談や支援を行うピアサポーターを養成し、相談支援体制の充実及び療養生活の質の向上を図ることを目的としております。
 令和六年度は研修会を三回開催し、六十名程度を養成する計画でございまして、第一回を来月実施いたします。研修修了者の情報につきましては、本人の了解の下、がん診療連携拠点病院等と共有し、病院が患者サロンの開催時などに要請したピアサポーターと連携できるよう取り組んでまいります。

〇うすい委員 様々なライフイベントが訪れるAYA世代のがん患者は、就学や就労、また、恋愛、結婚、育児など、多種多様な悩みを抱えているわけでございます。
 そうしたAYA世代特有の相談にも対応できるようなピアサポーターを養成する必要があると思いますが、見解を伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、AYA世代特有の相談支援にも対応できるピアサポーターの養成に向け、来月から実施するピアサポーターの基礎的な研修に加えまして、今年度中にAYA世代に関する内容を充実させた研修プログラムを作成いたします。
 プログラムの作成に当たりましては、多様な相談ニーズに対応できるよう、今後、有識者やAYA世代がん経験者などで構成する会議で、必要となる知識や制度、ロールプレーイング演習等について、具体的な内容を検討してまいります。

〇うすい委員 AYA世代特有の相談支援にも対応できるピアサポーターの養成をしっかりと取り組んでいただきまして、相談した方々が本当に相談をしてよかったと、そう思ってもらえるような体制をぜひとも構築をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、健康寿命の延伸、トーキョーウォーキングマップの再構築について質問をします。
 生涯にわたり健やかで心豊かに暮らしていくためには、健康上の理由で日常生活に制限を受けることなく生活できる期間、すなわち健康寿命を延ばしていくことが重要でございます。
 東京都健康推進プラン21に記載されている都民の現状を確認いたしますと、国の調査による令和元年における健康寿命は、男性が七十二・九四歳、女性が七十四・五五歳であるのに対しまして、令和二年における平均寿命は、男性が八十一・七七歳、女性が八十七・八六歳でございます。さらに、健康寿命を延ばし、平均寿命との差を縮めていく、そういう必要があると考えております。
 都は、東京都健康推進プラン21の総合目標の一つとして、健康寿命の延伸を掲げておりますが、達成に向けての取組内容について説明を求めます。

〇小竹保健政策部長 本年三月に改定いたしました東京都健康推進プラン21では、総合目標の達成に向けて、身体活動、運動をはじめ、健康づくりを推進するために対策が必要な十八分野を設定しており、分野ごとの目標に基づき、都民への普及啓発や区市町村に対する支援等の充実強化を図ってまいります。
 また、健康寿命を延伸していくためには、自ら健康づくりに積極的に取り組む方だけではなく、自身の健康に関心を持つ余裕がない方も含め、幅広くアプローチすることが重要であるため、新たな分野として自然に健康になれる環境づくりを設定しており、企業など多様な主体と連携し、健康的な生活習慣を実践しやすい環境の整備を促進してまいります。
 健康推進プランに基づき、都民の健康づくりを着実に推進することで、生活習慣の改善や生活習慣病の発症、重症化予防等を図り、健康寿命の延伸につなげてまいります。

〇うすい委員 ありがとうございます。
 都民の健康寿命を延ばしていくためにも、区市町村や企業をはじめ関係機関と緊密に連携をしていただいて、一人一人が健康づくりの実践をしやすい環境をぜひ整備していただくことを要望いたします。
 また、健康づくりにおいて身体活動は重要であります。どれだけ歩いているか、すなわち歩数は、身体活動の客観的な指標であります。
 歩数を増やしていくことは、健康寿命の延伸や社会生活機能の維持増進につながる効果的な方策とした上で、国は国民の一日当たりの歩数の目標を、二十歳から六十四歳までは八千歩、そして六十五歳以上では六千歩としております。
 一方で、東京都健康推進プラン21によりますと、都民の一日当たりの歩数の平均は、二十歳から六十四歳までの男性が八千五百八十五、女性が七千三百八十九、六十五歳以上の男性が五千九百十三、女性が五千五百二十三、それぞれの歩数となっております。また、二十代から五十代までの男性を除きまして国の目標に届いていないこともあるため、さらに、増やしていく必要があると考えております。
 この点について、都は、保健医療分野のDXの重点事業の一つとして、都民の日常的な歩数を増やし、健康づくりを支援するためのサイトであるトーキョーウォーキングマップの再構築に取り組んでいるとのことでございます。現在の取組内容についてお伺いいたします。

〇小竹保健政策部長 平成二十八年度に開設したトーキョーウォーキングマップは、現在、都内の全区市町村五百を超えるコースを掲載しており、今年度のアクセス数は、十月までの月平均で約八万件となっております。
 一方で、現在のサイトは利用者が最適なウオーキングコースにたどり着くまでに時間を要することや、事業者を通じて更新作業を行う必要があることなどの課題を踏まえ、DX推進計画に基づき、令和六年度と七年度の二か年度にわたり再構築することといたしました。
 今年度は、利用履歴や位置情報に基づきまして、ウオーキングコースの表示を可能とするなど、利便性の向上を図るための検索機能の強化や都及び区市町村が迅速に情報を更新できる仕組みづくりなど、新たなサイトの基盤づくりを進めておりまして、年度内の公開を目指しているところでございます。

〇うすい委員 今答弁いただきました。ウオーキングはやはり楽しく行っていくことが継続につながると考えております。
 利便性の向上と併せまして、トーキョーウォーキングマップを使い続けてもらう、そのための工夫を図っていくことも重要だと考えております。また、答弁いただいたとおり、月平均で約八万件のアクセスがあるとのことであります。多くの方が利用されていると思いますけれども、やはり、さらなるアクセスを増やしていく必要があると考えるわけでございますが、併せて都の見解を求めます。

〇小竹保健政策部長 都は、新たなサイトの基盤づくりと併せ、利用者の行動範囲や利用シーンを広げ、継続的、習慣的に使っていただくための機能や仕掛けについて検討を進めております。また、サイトの認知度向上やウオーキングの魅力発信を図るための効果的な広報を引き続き展開することにより、サイトを利用するきっかけづくりに取り組んでまいります。
 新たなトーキョーウォーキングマップをより使いたくなる、歩きたくなるサイトとし、多くの都民の皆様に利用していただくことで、平均歩数の増加を図り、生活習慣病の予防や生活機能低下の維持向上につなげてまいります。

〇うすい委員 今、トーキョーウォーキングマップをより多くの都民の皆様に利用していただけるとの答弁がございました。そのためには、都民のニーズを捉えていくことが重要だと考えております。再構築した新たなサイトに対する利用者の声を的確に把握しながら、その先に生かしていただくよう要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、病院勤務者勤務環境改善事業、救急医療体制強化事業について質問します。
 将来にわたり質の高い医療サービスを受けるためには、長時間労働や当直、夜間交代制勤務など厳しい勤務環境にある医療従事者が、健康で安心して働ける環境の整備が重要となります。
 そのため、平成二十六年十月施行の改正医療法で、医療従事者の勤務環境改善等への取組について、医療機関の責務や都道府県の役割等が位置づけられ、取組が進められてきたところであります。そして、勤務医について、今年四月から時間外、休日労働の上限規制の適用が開始をされました。
 上限規制の適用後も地域の医療体制を確保していくためには、病院で勤務する医師や看護職員の勤務環境の改善を一層進めていくことが重要であると考えます。都のこれまでの取組について伺います。

〇新倉医療政策部長 都はこれまで、病院勤務者勤務環境改善事業により、病院が実施する医師及び看護職員の離職防止、負担軽減、定着、そして再就業を支援する取組に対しまして、必要な経費の二分の一を補助してまいりました。
 具体的には、働きやすい職場環境を整えるための短時間正職員制度の導入や当直負担の軽減、また、医療スタッフの専門性の発揮や役割分担など、チーム医療を推進するための医師事務作業補助者等の活用や認定看護師の資格取得支援などを補助の対象としております。
 加えて、東京都医療勤務環境改善支援センターを設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーが就業規則の見直しやハラスメント対策、仕事と子育ての両立支援、タスクシフトによる多職種連携などについて、相談対応や助言を行う体制を整えております。

〇うすい委員 救急車の出場件数が、令和四年、五年と過去最高を更新していると聞いております。加えて、今後の高齢化により、救急医療の需要は一層の増加が見込まれます。
 救急医療体制を確保していくために、救急医療を担う病院における勤務環境の改善への取組に対して、都民の命を守るためにも、より手厚く支援を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

〇新倉医療政策部長 二十四時間三百六十五日対応が求められる救急医療を担う病院において、医師及び看護職員の負担を軽減し、勤務環境を改善していくことは重要でございます。
 そのため、都は、都内の救急医療体制の中核を担う救急車年間受入れ二千件以上の病院が行う勤務環境改善に向けた取組に対しまして、より手厚い支援を行う救急医療体制強化事業を今年度から実施しております。
 本事業では、先ほど答弁いたしました病院勤務者勤務環境改善事業の補助率二分の一に四分の一を上乗せし、合計で補助率四分の三とすることで、救急医療を担う病院に対する支援の充実を図っております。

〇うすい委員 ただいま答弁いただきまして、それぞれ事業の内容の説明をしていただきましたが、説明いただいて、病院勤務者勤務環境改善事業、また救急医療体制強化事業の申請状況についてお伺いいたします。

〇新倉医療政策部長 今年度は、病院勤務者勤務環境改善事業に四十二の病院から申請がございまして、そのうち十七病院からは、補助率の上乗せを行います救急医療体制強化事業の申請もございました。
 申請があった病院からは、医師事務作業補助者等の活用や認定看護師の資格取得支援などチーム医療を推進するための取組や、当直負担の軽減のための新たな非常勤医師の雇用が多く申請されております。
 引き続き、これらの事業の活用によりまして、病院が実施する医師及び看護職員の勤務環境改善に向けた取組を支援してまいります。

〇うすい委員 病院勤務者勤務環境改善事業、上乗せの救急医療体制強化事業、これらをより多くの病院に活用していただくためには、積極的な、先ほどありました周知に取り組んでいただくとともに効果検証を行っていただいて、より実効性のある仕組みとしていただきたいと思っております。
 引き続き、医療従事者の方々が働きやすい環境をしっかりと整えるとともに、安全で質の高い医療の提供に向けて、取組をよろしくお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。
 次に、電子カルテ関係について質問をいたします。
 高齢化の進展等に対応しながら、医療の質の向上や効率化を図るためには、医療機関におけるデジタル化を進めていくことが必要でございます。
 都は、令和六年三月に改定した保健医療計画において、医療DXの推進を掲げ、医療機関での電子カルテ導入を進めることなどを示していますが、まず、医療機関への電子カルテの導入支援に関する取組についてお伺いをいたします。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、都民が安全で質の高い医療サービスを受けられるよう、デジタル技術を活用し、医療機関間や医療、介護関係者間での効率的かつ効果的な情報共有を進めることとしており、この実現に向けまして、医療機関において電子カルテの導入を進めることが重要でございます。
 このため、二百床未満の病院を対象に、電子カルテの導入や更新による環境整備を支援するとともに、今年度から、有床診療所への導入も支援対象に追加いたしました。
 また、こうした医療機関の電子カルテ導入に関するノウハウ不足や業務負担に対応するため、新たに、コンサルタントの活用に係る費用の補助を開始しております。
 引き続き、デジタル技術を活用した医療情報の共有を進めるため、医療機関への電子カルテ導入を支援してまいります。

〇うすい委員 電子カルテ導入を進めるため、今年度から事業を拡充して取り組んでいることを理解させていただきました。現在、医療機関では、働き方改革への対応が求められております。そうした中で、医療機関でもAIを活用することは、職員の業務負担軽減を図る上でも有効だと考えます。
 そこで、医療機関のAI技術の導入に関する都の取組についてお伺いいたします。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 医療現場は、医師、看護師等の専門職種をはじめ、人が対応、介在する業務は基本となっており、医療の高度化や医療ニーズの変化に対応しながら医療の質を向上させるためには、業務の効率化を進め、限られた医療人材を最大限に活用できる環境を整備することが重要でございます。
 このため、都は今年度から、AI問診や看護記録等の音声自動入力、多言語対応に向けたAI通訳機などの導入に関する経費を補助し、AI技術の活用に取り組む中小病院や有床診療所の支援を行っております。
 引き続き、こうした取組を進め、医療機関の勤務環境整備を図ってまいります。

〇うすい委員 デジタル技術を活用する医療機関に対する支援を行っていることを確認させていただきました。
 ところで、厚労省の医療機関へのアンケート調査によれば、電子カルテの導入予定がない理由として、システム運用における負荷が大きい、システム化による不具合、障害時の業務影響に懸念がある、また、電子カルテの導入に時間や人員を割けないといった回答が多く挙げられておりまして、電子カルテ未導入の医療機関にとって、システムに対応する職員の負担に不安を抱えていると考えられます。
 そこで、電子カルテの導入促進に向けて、医療機関の職員を支援することも必要と考えます。都の見解を求めます。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 医療機関が円滑に電子カルテを導入し、導入後も医療安全の観点から適切に維持管理をしていくためには、職員がシステムの内容や情報セキュリティに関する正確な知識を持つことが重要であると認識しております。
 都は今年度から、医療機関向けに、電子カルテの導入メリットやデジタル技術の活用事例等の周知を図るセミナーを実施しております。一方、医療機関から、システム関連のノウハウを持つ人材が不足しており、診療を行いながら院内で職員教育を行うことは困難などの声を聞いております。
 こうした点も踏まえながら、今後、医療機関への電子カルテ導入を推進するため、必要な取組を検討してまいります。

〇うすい委員 今答弁をいただきましたとおり、答弁いただいたその視点から検討をしっかりと進めていただきまして、医療機関に寄り添った取組を行うことを要望しまして、次の質問に移ります。
 続きまして、都立病院についてお伺いいたします。
 都立病院では、医師や看護師、技師や薬剤師といったコメディカルなど、多くの職種の方が働いておりまして、独法化のメリットもこうした医療人材を安定的に確保できるということだったと思います。
 例えば、病院薬剤師は、高い専門知識や技術を生かし、調剤や薬の混合調整、患者指導などの多岐にわたる業務を担っております。なくてはならない存在であるわけでございますが、薬剤師の資格取得に当たりましては、六年制薬学課程等を修める必要がございまして、学費等の負担もかなり大きいわけであります。
 給料などの処遇面がよく、そして、スキルや経験を積み重ねていける職場が選ばれていくのはいうまでもありません。独法化により別々の給与体系であった旧都立病院と旧公社病院が一つになり、新たな人事給与制度が構築されましたが、都立病院が薬剤師から就職先として選ばれ、そして、今働いている職員が満足するためには、処遇改善や職場環境の整備が不可欠であります。
 そうした観点も含めて、安定的な病院薬剤師の確保に向けた都立病院での現在の取組状況について見解を求めます。

〇鈴木都立病院支援部長 都立病院では、独法化後、薬剤師の採用選考を柔軟に実施するとともに、病院で働く薬剤師の魅力を伝えるためのパンフレットを令和六年度に新たに作成するなど、安定的な職員の確保に向けて採用強化に努めております。
 また、育児に限定しない短時間勤務を制度化するなど、ライフスタイルに合わせた働きやすい環境を整備しているほか、学会等認定資格の取得支援について、薬剤師の対象資格を拡充するとともに、特定の資格を活用して業務に従事する職員に支給する資格手当を創設しており、専門人材の確保、育成に向けて取組を進めてまいります。

〇うすい委員 今ご答弁をいただきまして、都立病院が質の高い医療を提供し続けられるためにも、ぜひ、現場の声を聞きながら、満足度が高く、安心して働ける職場をぜひとも構築をしていただくことを強く要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

〇原委員 日本共産党の原のり子です。三つのテーマについて伺います。よろしくお願いいたします。
 まず、都立病院について伺います。
 都立病院と公社病院が独立行政法人化して都立病院機構となり、今年の五月十五日に新しい患者権利章典が制定されました。
 どういう目的で、誰がどのような形で検討して制定したのでしょうか。

〇鈴木都立病院支援部長 都立病院の患者権利章典や公社病院の患者権利憲章は、制定からいずれも二十年以上が経過しており、都立病院と公社病院が一体的に地方独立行政法人に移行したことを契機に、理念は継承しながら医療環境や社会情勢等の変化も踏まえ、都立病院機構として改定を行ったものです。
 改定に当たりましては、各都立病院への意見聴取のほか、医療関係の各分野や患者団体、自治体代表から構成される有識者会議において、助言を得ております。

〇原委員 二〇〇一年、平成十三年七月ですけれども、都立病院の権利章典が制定されたときには患者アンケートが行われていました。
 今回は、都民の声はどのように聞き、反映させたのでしょうか。

〇鈴木都立病院支援部長 改定に当たりましては、患者団体も委員である有識者会議におきまして、患者と医療従事者との関わりなど、患者目線でのご意見をいただいたところでございます。

〇原委員 患者目線での助言をいただいているということですけれども、患者さんに直接のアンケートはやられていないということですよね。それはとても残念だと思います。
 また、これまで子供の権利章典もありましたが、どのように今後制定していくのでしょうか。子供自身の声は聞く予定はありますか。

〇鈴木都立病院支援部長 子ども患者権利章典は、平成十九年に、都立病院の患者権利章典を基本に小児医療の特性に配慮して制定したものであり、今回の患者権利章典の改定に伴い検討を進めているところでございます。
 見直しに当たりましては、同様に、有識者会議でご意見をいただくこととしております。

〇原委員 これも有識者会議ということなんですが、子供自身の声を聞いてほしいと思います。こども基本条例に基づいて、子供たち自身の声を聞くことを強く要望しておきたいと思います。
 新しい権利章典には、家族の範囲について新たな言及があります。
 家族等の範囲についても、法的な親族関係に限らず、患者さん本人が信頼する方を決めていただくことで、患者さんの意思を尊重しますと書かれていますが、これはパートナーシップ宣誓制度を念頭に置いているという理解でよいですか。

〇鈴木都立病院支援部長 都立病院では、患者側責任者の決定や面会の範囲、手術等の同意などにつきまして、これまでも患者権利章典の考えに基づき、患者本人の意思を尊重して、法的な親族に限定せず、患者自身に決めていただいておりました。
 東京都パートナーシップ宣誓制度の開始などもあり、今回の改定に当たり明文化したものでございます。

〇原委員 これまでも取り組んできたけれども、ここで明文化をしたということで、とても大事だと思います。例えば病状などを家族に伝えるときに、パートナーシップ宣誓をしているパートナーはもちろん認められていくということだと思います。
 それで、一つ確認したいのですけれども、子供のけがや手術についても、パートナーシップ宣誓制度で子供の名前も申し出ていれば、パートナーのどちらが子供に引率をしていっても、親として認めて対応されるということでよろしいでしょうか。

〇鈴木都立病院支援部長 年齢にかかわらず患者本人の意思を尊重しておりまして、法的な親族に限定しておりません。

〇原委員 とても大事なことだと思います。これまで同性パートナーの方などは、お子さんがけがなどをして、それに一緒に行っても、あなたでは駄目ですといわれて、緊急の手術をしなければいけないときにも連絡を取るのが大変だったり、そういう苦労があったと。これは都立病院の話ではありませんけれども、そういうことをたくさん聞いてきました。
 でも、ここできちんとこういう形で明文化をされていくということですので、今後、こういう悲しいことが起こらないでほしいと思いますので、都立病院で実施をしていくだけではなくて、東京都としても、これをどの医療機関でも対応してもらえるように改めていっていただきたいなと思います。
 それで、今伺ったことはとてもいいことだと思うんですけれども、もう一つ私が課題だなと思っているのは、これまでの権利章典と大きく違うのが、患者さんの責務を強く押し出しているという点なんですね。
 医療費の支払いの責務など、患者の責務を強調したのはどういう理由でしょうか。

〇鈴木都立病院支援部長 医療は病院と患者の協力関係により成立するものでございまして、患者の権利保障を前提としつつ、患者側の責務を明示することが必要であるとの考えの下、整理したものでございます。

〇原委員 これまでの権利章典は、患者さんの責任についても、全体として患者さんの権利を尊重するという大きなくくりの中で述べていました。それでも、権利章典の文書の中に責務として書く必要があるのかは疑問を感じますけれども、今回はそれをあえて別建てで、患者さんの責務という見出しをつくって責務を強調するということになっていまして、私はこの権利章典の中でこういうような形で表現をされたということについて、大きな違和感を感じています。
 また、これまでは患者さんの権利を大事にして、お互いの信頼関係の中で、よりよい医療を進めていく、その中で患者さんにも病状を積極的に伝えてもらったり、分からないことは納得できるまで聞いてもらう、そういう責務があるとしてきているんですよね。よい医療、納得できる医療を提供するためにお願いをする、あるいはほかの患者さんのためにお願いをするというものです。
 ところが、今回の権利章典で象徴的なのは、先ほどいったように、全く別建てで支払いの責務を強調しているということなんです。患者さんの医療を受ける権利を守る視点からすれば、支払いで心配なことがあれば相談をしてくださいということが大切なのではないでしょうか。
 初めに権利章典をつくったときの二〇〇一年の都立病院倫理委員会の報告では、都立病院の患者権利章典に関する掲示やリーフレットに病院の対応窓口を明記する、病院の対応で満足できない場合は、東京都で設置している患者の声相談窓口にも相談できる旨を都立病院の患者権利章典に関する掲示やリーフレットに明記すると書いてあって、旧病院経営本部の事業概要を見ると、二〇一六年度までは患者権利章典のページに、病院の相談窓口と都の患者の声相談窓口を紹介する内容が書かれていました。
 それが二〇一七年度からはなくなってしまって、今もホームページでの広報を見ても、相談窓口は書かれていないようです。相談窓口を明確に示した上で、医療費の支払いについて相談できることを明記する必要があると思います。権利章典自体の中ではっきり示すべきです。
 相談窓口を明記すべきではないかと思いますが、見解を伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 患者の権利章典では、その性質上、医療費の支払いに係る相談のある方は病院職員にお声かけいただくよう求めておりまして、具体的な相談窓口の案内は、院内掲示やホームページ等で周知しております。

〇原委員 職員にお声がけといわれても、本当に困った方がどうやって声をかけていくのかなと心配になります。医療費を支払ってくださいという投げかけは、生活保護を受けている方にとっては傷つけるものになりませんか。
 また、医療費を支払う責務があります、所定の期日までにお支払いくださいと書いた後に、医療費のお支払いについてご相談のある方は、病院職員にお声がけくださいという、そういうふうに書くやり方なんですけれども、これでは相談はしやすくならないと思います。医療費を払う責務を書き込むのはやめて、相談先を分かりやすく示して、相談しやすくするべきだと考えます。
 さらに、お金がないために医療を受けられない、受診抑制をしている人たちがいる中で、行政的医療を使命とする都立病院としては、無料低額診療を実施して、患者さんの権利が守られるようにすべきではないでしょうか。そのことは強く指摘をしておきたいと思います。
 その上で、さらに二つの点を確認したいのですが、一つは、今回の権利章典の前文から、都民の生命と健康を守ることを使命とするという言葉がなくなっています。なぜか伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 今回の改定では、大都市東京を医療で支えるという理念の下、患者中心の医療を実践することを目的として、患者権利章典を制定することを前文に掲げております。
 この理念につきましては、都立病院機構は、全ての都民のための病院として、たゆまぬ自己改革を行い、質の高い医療サービスを提供し、都民の生命と健康を支えていきますとしておりまして、ホームページや業務実績報告書等でもその旨を記載しているところでございます。

〇原委員 それでは、もう一つ確認をします。
 新しい権利章典にある、いかなる種類の差別も受けることなくという言葉ですけれども、旧権利章典にあった、社会的な地位、疾病の種類、国籍、宗教などにより差別されることなくという内容は含まれているのでしょうか。

〇鈴木都立病院支援部長 様々な人権問題に配慮し、従来は患者の属性や社会的立場に関する事例を具体的に列挙しておりましたが、こうした事例を含め、包括的な記載としたところでございます。

〇原委員 今確認した二つのことは、都立病院の姿勢の中でも肝になる部分だと思っています。今のご答弁では、それが消えたわけではなくて包摂しているということと受け止められますが、そういうことでよいのか確認します。

〇鈴木都立病院支援部長 包摂しているというところでございます。

〇原委員 包摂しているということです。都民の命と健康を守ることを使命とするということ、また、社会的な地位、疾病の種類、国籍、宗教などにより差別されないということは、消えてなくなったのではなくて包摂しているということを確認しました。
 しかし、だからといって権利章典自体から、都民の生命と健康を守ることを使命とするという言葉をなくす必要はなかったと思います。権利章典は大事な文書ですから、ほかの文書と照らし合わせたら分かるということではなくて、権利章典に明記をするということが本来重要だと思います。患者さんの人権を大事に、行政的医療を後退させず、都立病院としての使命を果たすことを強く求めておきます。
 それで、次に、都立病院についてもう一つ伺います。都立病院の障害者雇用についてです。
 都立病院における障害者雇用率はどのようになっていますか。併せて、達成すべき法定雇用率を伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 令和五年六月時点で、都立病院機構の障害者雇用率は一・七二%であり、当時の法定雇用率は二・六%でございました。

〇原委員 法定雇用率には大分距離があり、努力が強く求められる状況だと思います。
 それでは、障害種別はどのようになっていますか。そのうち、視覚障害や聴覚障害の方はいらっしゃいますか。

〇鈴木都立病院支援部長 障害の種別では身体障害者の割合が多く、次いで、精神障害者、知的障害者の順でございます。身体障害者には、視覚障害や聴覚障害のある職員もおります。

〇原委員 それでは、仕事内容はどのようなものがあるでしょうか。資格を生かしての仕事はどのようなものがあるでしょうか、伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 障害者雇用の募集では代表的な例として、軽作業、清掃、事務補助等を挙げてございます。障害特性や能力に応じて様々な業務を選定しております。なお、障害のある方で、看護師、放射線技師、理学療法士などとして勤務している職員もおります。

〇原委員 働いているその途中で障害を持つようになった方も、継続して働いている例もあるということだと思います。障害者が働きやすい職場環境をつくっていくために取り組んでいることについて伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 研修等を通じまして、周囲の職員の障害者雇用に対する理解促進を図るとともに、障害を有する職員の職場適応を援助するジョブコーチを採用するなど、職場環境の整備に努めております。

〇原委員 そういう努力をさらに強めていただきたいと思いますし、また、先ほどの答弁でも、その特性に合った仕事ということも、特性や能力に応じて様々な業務を選定していくということも話がありましたけれども、ぜひ、そういうなるべくたくさんのいろんな仕事、その人が力を出せるそういう仕事をつくっていく、その努力も求めておきたいと思います。安心して働き続けられる職場環境の整備にも努力をしていただきたいと思います。
 それでは、法定雇用率を達成するためには、どのような対策を今後進めていく考えでしょうか、伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 都立病院機構では、特別支援学校からのインターンシップの受入れのほか、就労支援機関等への求人募集、年間で複数回の採用選考の実施など、障害者雇用を積極的に進めているところでございます。

〇原委員 積極的に推進しているということなんですけれども、法定雇用率までには大きな距離があって、これまでどおりの取組ではやはりまだ不足しているということだと思うんですね。ですので、ここは努力が必要だと思います。
 また、法定雇用率のことにとどまらず、都立病院は、本来、他の医療機関を牽引するような役割が求められています。障害者が働きやすい職場環境の整備や合理的配慮の徹底などを進めて、障害者雇用のための取組をさらに強めることを求めておきたいと思います。
 次に、コロナ対策について伺います。
 まず、冬に向けてのコロナや他の感染症の動向をどのように捉えているか、状況や対策について伺います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症は夏と冬、感染拡大する傾向がありまして、十一月十一日から十七日までの第四十六週都内定点医療機関当たり患者報告数は一・二八人であります。
 このほか、インフルエンザは、十一月中旬流行開始の目安である報告数一・〇人を超え、第四十六週は二・〇九人であります。次、マイコプラズマ肺炎は、九月下旬、報告数が一九九九年の感染症法施行以来最多となっており、第四十六週は四・三二人であります。次、伝染性紅斑は、第四十六週、都内十五保健所で警報基準の報告数二・〇人を超え、都内全域で見ると一・九三人となっております。
 都は、必要に応じて専門家の意見を伺いながら、新型コロナの新たな変異株の監視を含め、様々な感染症の状況を把握するとともに、感染状況を踏まえ、基本的な感染予防対策を呼びかけるなど、適切に対応しております。

〇原委員 基本的な感染予防対策については、これまで質疑をした中でも、場面に応じたマスク着用、手洗い、換気などと示されて、答弁をされてきています。今ご答弁にあったように、これだけ様々な感染症が広がっている中で、改めて強く呼びかけていただきたいと思います。
 コロナは終わっていません。先週発表された定点医療機関当たり患者報告数は久しぶりに前の週を上回りました。例年、冬に感染拡大をしていることを考えると、やはりこれから警戒が必要だと思います。
 感染を広げず重症化リスクの高い方を守る対策を取るべきだと思いますが、何を実施しているのか、あるいは、これからどういう対策を取ろうとしているのか伺います。

〇内藤感染症対策部長 都は、本年四月に通常の医療提供体制に完全移行した後も、高齢者施設等への感染対策支援チームの派遣など、必要な取組を継続しております。
 また、先月から始まった新型コロナワクチンの定期接種につきまして、初めて自己負担が生じますことから、高齢者等が接種しやすいよう、都独自の自己負担軽減策を実施しております。
 今後も東京都感染症対策連絡会議等において、都民に基本的な感染予防対策を呼びかけるなど、引き続き適切に対応してまいります。

〇原委員 必要な取組を継続しているということなのですけれども、実際には四月でコロナ対策はほぼ終了していると思うんですね。答弁されたものは、その中で辛うじて残っているものだと私は思います。ワクチンにしても昨年度まではもっと幅広く無料で接種できたんですけれども、残念ながら後退をしているといわざるを得ないと思っています。
 このまま感染が拡大してしまうということは絶対に避けなければならないと思います。コロナは重症化リスクの高い方たちにとっては命に関わる感染症です。また、感染が軽かった、無症状だったという人であっても、後遺症が長引き深刻だということが大きな問題となっています。
 少なくとも緊急に障害者、高齢者施設を中心に、職員の定期的検査や検査キットの配布をすべきと考えますが、いかがですか。

〇及川感染症対策調整担当部長 多くの医療機関でコロナ患者に対応できる体制が構築されたことや国の方針を踏まえ、本年四月に検査など新型コロナへの対応は通常の体制に移行しております。

〇原委員 今の状況でこれから冬に向かって増えるかもしれない、警戒しなければならないというこの時点に立って考えていくということが必要だと思うんです。通常の体制に移行しましたということで終わらせるわけにはいかないのではないかと思います。現に、障害者や高齢者の施設からも大変要望されています。せめて検査ができるようにしてほしいという声はたくさんありますので、その声を受け止めていただきたいと思います。
 ワクチン接種についても、体質的にできない方もいらっしゃいます。検査であれば基本的に誰もができて、感染拡大防止にとって不可欠です。なぜこれから冬に大きく増える可能性もあるという中で対策を取ろうとしないのか、非常に疑問です。
 また、後遺症に苦しんでいる方は子供から大人までいます。都立病院で行っていた相談窓口はやめてしまいました。都の責任で後遺症相談窓口の設置をすべきだと思いますが、いかがですか。

〇松谷感染症対策調整担当部長 都では、今年度も引き続き、後遺症に悩む方が身近な地域で受診できるよう、後遺症に対応する五百以上の医療機関の公表を行っております。
 また、八月には新たに新型コロナ後遺症ポータルを開設し、後遺症に関するQ&Aを掲載するとともに、後遺症に対応する医療機関について、所在地や症状で検索できる機能を追加し、利便性の向上を図っております。

〇原委員 ワクチンの副反応の相談の方は継続しているけれども、後遺症相談窓口はなぜやらないのでしょうか。今お話にあったとおり、ポータルサイトを充実させているということは重要だと思いますけれども、自分で探して病院へ行ってくださいということだけでなく、心配なことがあったらここに電話で聞けますという窓口はとても大事です。
 特に、倦怠感が強くて動けなくなってしまう方が非常に多いといわれています。いろいろお話を聞いていきますと、自分で医療機関を探すこと自体困難だった、そういう話を多く聞きます。しかも、一人暮らしであったり、スマホやパソコンを持たない人は、より大きな困難を強いられます。
 こういう方たちを取り残さないようにすることが行政の役割だと思います。改めて、少なくとも都として後遺症相談窓口を設置する、そのことを検討するよう強く求めておきたいと思います。
 それでは、最後の質問に移ります。最後に、市販薬オーバードーズについて伺います。
 まず、薬物乱用に関する教材を今年度作成するとなっていましたが、進捗状況を伺います。

〇早乙女食品医薬品安全担当部長 若年層を対象とした普及啓発を充実するため、医薬品の適正使用に関する小学生向け教材を現在作成しているところでございます。

〇原委員 今作成中ということで、今年度内にはできるんだと思いますけれども、子供のうちから正しい理解が深まるようなものにしてほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。

〇早乙女食品医薬品安全担当部長 この教材は、小学生を対象に医薬品に関する正しい知識を分かりやすく普及啓発するものであり、授業を実施するための基礎資料等として作成するものでございます。

〇原委員 正しい知識を分かりやすく普及啓発するものだということです。
 三月の予算特別委員会の質疑で質問させていただいたんですけれども、そのときの答弁で、医薬品の適正使用に関する教材の作成──今ご答弁にあったところですよね、その教材の作成、配布など、若年層を対象とした普及啓発を充実すると答弁されているので、今用意されている教材だけではなく、直接子供たちへの配布物なども新たにつくられていくことになるのではないかと思います。
 ぜひ、その内容については、授業の内容もそうですけれども、一度やったら取り返しがつかないと子供たちが思ってしまったり、あるいは自分が悪いんだと諦めてしまったり、そういうふうにならないようにしていただきたいと思うんです。困ったら相談してみようと、そういうふうに思えるような内容のものを作成していただきたいと、この点については強く要望しておきたいと思います。
 それで、現在既につくられている、出来ている薬務課のリーフレットがあります、何種類かありますけれども、その中には、相談先の連絡先が書かれていないものがあります。このことについて見解を求めます。

〇早乙女食品医薬品安全担当部長 相談先の紹介方法につきましては、それぞれのリーフレットの内容や想定する対象者に応じたものとしております。

〇原委員 私は、基本的にどのリーフレット、配布物であっても、相談先は必ず連絡先を書くべきだと思うんですね。それをどういう年齢の人が見るかってそれは分かりませんけれども、でも、それを見たときに、困っているなと思う人が手に取って連絡先がないっていうのは、やっぱりこれは改善した方がいいのではないかと思います。相談することにも迷いがあったり、不安があったりする方がいる中で、いかに相談のハードルを下げて相談してもらうかということが大事なので、自分で相談先の連絡先を調べるという手間をなくすということは重要だと思います。
 例えば、子供向けのリーフレットの場合だったら親御さんが見る場合もあります。子供自身が見ている場合もあるので、その子供さんが、ちょっと親とか先生とかには相談できないと思ったときに、ここにちょっと聞いてみようかなと思えるような、そういう配慮があっていいんじゃないかなと私は思うんですね。とにかく、なるべく早く相談できるようにしていくということで、ぜひ、いろいろ工夫をしていただきたいと思うんです。どのリーフレットにも相談先の連絡先は書いてほしいということです。
 それで、このリーフレットなどを今後さらに充実させて作成をしていくという場合に、オーバードーズの正しい理解、子供、若者の苦しみに寄り添ったものになるように工夫していただきたいと思いますが、いかがですか。

〇早乙女食品医薬品安全担当部長 様々な媒体を活用し、若年層を対象とした普及啓発を実施しており、引き続き取組を進めてまいります。

〇原委員 様々な媒体を活用しということで、いろいろ工夫を既に進められていることは理解をしています。例えばチャットボットなども、新たな工夫があって大事だと思いました。精神保健福祉センターや自助グループなどにも意見を聞いたり、そういう連携もしながら、子供たちが活用しやすいように工夫されているんだと思います。
 とにかく、ぜひ早く相談につながるようにということで工夫を進めていただきたいですし、依存症対策のところでも話しましたけれども、LINEで相談できるとか、そういうことも今後検討されて進んでいくと思いますけれども、やはりこの薬務課で出しているリーフレット、また、薬務課から発信をするオーバードーズ対策についても、より工夫をして、子供たちの心に届くように、努力を強めていただきたいと思います。
 そのことを要望して、質問を終わります。

〇藤井委員 よろしくお願いいたします。病床政策についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、二次保健医療圏の考え方についてお伺いをいたします。
 練馬区を含みます区西北部二次保健医療圏では、病床の偏在がございまして、人口の多い練馬区には相対的に病床が少ないという状況であります。既存病床数が基準病床数を上回る圏域での病院の開設、増床等は原則としてできないということでありますが、まず、区西北部の基準病床数と既存病床数について、平成三十年から直近までの推移をお聞かせいただきたいと思います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 一般の入院医療は、医療法に基づく二次保健医療圏を単位に確保することとされており、都は病床整備の基準となる基準病床数について、国が示す算定式により医療圏ごと算出しております。
 区西北部二次保健医療圏の基準病床数ですが、以下、それぞれ四月一日時点です。平成三十年は一万四千六百八十四床、令和二年は一万四千八百八十床、令和六年は一万五千五百八十九床でございます。
 また、同じく既存病床数については、以下、四月一日時点で、平成三十年は一万四千二百九床、平成三十一年一万四千四百七十三床、令和二年一万四千四百三十六床、令和三年一万四千八百三十三床、令和四年一万四千八百二十三床、令和五年一万四千七百六十七床、令和六年一万四千三百八十八床でありまして、平成三十年以降は既存病床数が基準病床数を下回っております。

〇藤井委員 直近は既存病床数という今ある病床が基準病床数、計算上の病床を下回っているということでございます。
 それでは、平成三十年以降、練馬区に配分された病床数についてお伺いをしたいと思います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 平成三十年度から令和五年度までの間に、区西北部二次保健医療圏の医療機関に配分した病床数は九百八十六床であります。
 そのうち、練馬区の医療機関に配分した病床数は五百七十八床でございます。

〇藤井委員 区西北部における病床配分において、練馬区に多くの病床が配分されているということは分かりましたが、区西北部では、まだまだ病床の偏在が存在をしております。ですので、区における病床の整備が必要であると思うわけであります。
 そこで、病床配分につきましては、二次保健医療圏単位ということももちろん尊重しなければいけませんけれども、一方では、地域の事情を踏まえた配分ということも考えていく必要があると思うんですけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 一般の入院医療は、医療法に基づく二次保健医療圏を単位に確保することとされておりまして、都は病床整備の基準となる基準病床数について、国が示す算定式により医療圏ごと算出しております。
 医療機関が新規開設や増床を希望する場合、行政や地域の医療関係者等から成る二次保健医療圏ごとの地域医療構想調整会議において、医療機関が今後担う役割や機能について説明を求めるとともに、区市町村の意見を聞いた上で内容を審査し、基準病床数の範囲内で公平に病床を配分しております。
 引き続き、地域の実情を踏まえながら、適正に病床を配分してまいります。

〇藤井委員 練馬区の中でも西部地域、特に大泉や石神井といった地域があるわけでございますけれども、特に今は病床が少なく、例えば同じ医療圏域内の板橋区まで救急搬送されるということになりますと、夜でも一時間近くかかってしまうということでございまして、こういった事情は地元の方からもお伺いをしているところであります。
 その他、病床の質という観点でも急性期の病床が相対的に多くて、地域包括ケア病床、いわば地域の病床ですね、こういったものがどうしても少なくて、最近ちょっと増え始めたんですけれども、慢性的にこういったものが少ない、地域の病床がとりわけ少ないということでございます。これは、我が練馬区だけではなく、ほかの区でも同じような課題が存在しているのかなとそういうふうに想像するところであります。
 つきましては、柔軟な病床政策を展開をする仕組みを、ぜひつくっていっていただきたいなと思うわけでありますけれども、都の見解を改めてお伺いしたいと思います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 一般の入院医療は、二次保健医療圏を単位に確保することとされております。一部重複しますが、都は基準病床数について、国が示す算定式により医療圏ごと算出しております。
 医療機関が新規開設、増床を希望する場合、二次保健医療圏ごとの地域医療構想調整会議の場で、医療機関が今後担う役割、機能について説明を求め、区市町村の意見を聞いた上で内容を審査し、基準病床数の範囲内で公平に病床を配分しております。
 引き続き、地域の実情を踏まえ、適正に対応してまいります。

〇藤井委員 ブロック単位、二次医療圏という区西北部ということであれば、練馬、板橋、豊島、北ということで、四区合算でブロック単位で病床が足りているか否かということを管理する方法だと思いますけれども、私は地域包括ケアっていうのが問われる時代の中にあって、やっぱり病床政策、こういった管理の在り方も、やっぱりぜひ変えていっていただきたいなというふうに思います。
 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけど、急性期中心のものから、こうした回復期の病床を増やしていく、質の観点でのこういったものもやっぱり考えていかなきゃいけないというふうに思いますので、ぜひこういったものは柔軟に取り入れていっていただきたいなということを要望いたしまして、次の質問項目に移らせていただきたいと思います。
 次に、救急における選定療養費についてお伺いをいたしたいと思います。
 紹介状がない場合、そして、医師が必要性が認められないというふうにいう場合など、選定療養費──これは東京都では七千七百円といった金額になっていると伺っているわけでありますけれども、取っている事例があると思います。
 救急搬送のうち、選定療養費が発生をする件数、そして割合など、都として把握をされていたらお教えいただきたいと思います。

〇新倉医療政策部長 選定療養費は、一部の大病院に外来患者が集中し、患者の待ち時間や勤務医の外来負担等の増加が課題となっていたことから、紹介状を持たずに外来受診する患者等から、大学病院等の一定規模以上の病院において、特別の料金を徴収するものでございます。救急車を利用した軽症患者のうち、緊急性が低い場合などもその対象となります。
 選定療養費の徴収に当たって、都への届出や報告の必要はなく、それぞれの医療機関の判断により対応しているものでございます。

〇藤井委員 都への届けなり報告の必要性がないということでございますので、都としても把握をされていないということだと思います。私もこの選定療養費、実際にっていうことは、救急に関してということは、聞いたこと今まではありませんので、ほぼ今のところは実例がないのかなというふうに推測をしているところであります。
 他方で、これはあくまでも救急車の有料化ということではなく、病床や医療関係者を守る制度として機能しているというふうに認識をしているところであります。
 これは新聞でも報道されたところでありますけれども、三重県の松阪市におきましては、こうした不要不急の救急車の利用に対して療養費負担をうたう、こういった自治体も出てきていると認識をしているところでございますが、こうした他自治体の動きについて、都としてどのように評価をされているのか、認識をされているのかお伺いをしたいと思います。

〇新倉医療政策部長 救急搬送における選定療養費の徴収に係る、今お話ありました三重県松阪市や茨城県の取組については承知をしております。
 都では、救急車の適時適切な利用について、ポスターや救急の日のイベントなどを通じまして、都民の理解を促進するとともに、救急相談センター、シャープ七一一九でございますが、こちらの普及啓発を実施しているところでございます。

〇藤井委員 本当に貴重な救急医療に係る資源でございますので、これをしっかり守っていく取組をお願い申し上げたいと思います。
 最後に、医療費の適正化に関連をして幾つかお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、後発医薬品についてお伺いをしたいと思います。
 医療費は、今後も高齢化が進んでまいりますと、さらなる増大が見込まれているところであります。これまで東京都も、医療費の適正化計画ということでございまして、様々、適正化に係る効果額の検証をされていると思いますが、令和十一年度、これは計画の最終年度におきましては、効果額五百六十六億円というふうに推計をされておられるということでございます。
 そのうち、後発医薬品の使用促進に関わる効果額は四百十九億円ということでございます。かなり大きな金額を占めているところであろうかと思います。後発医薬品、ぜひ取組を進めていただきたいと思いますけれども、そのような観点でお伺いをしたいと思います。
 まず、都におけるこれまでの取組を踏まえた後発医薬品の使用割合の推移について、そしてまた、他自治体との比較の現状についてお伺いをしたいと思います。

〇井上地域保健担当部長 都は、平成三十年三月に策定した第三期東京都医療費適正化計画におきまして、令和五年度までに後発医薬品の数量ベースの使用割合を八〇%以上とすることを目標に掲げ、令和元年度から使用促進事業に取り組んでまいりました。
 令和五年三月時点の使用割合は七八%であり、事業開始前の平成三十年三月時点と比較すると一一・三ポイント上昇しておりますが、令和五年三月時点の全国平均の八一・二%を下回っております。
 都は、令和六年三月に策定した第四期東京都医療費適正化計画におきまして、当面の目標として使用割合八〇%以上を掲げ、引き続き後発医薬品の使用促進に取り組んでおります。

〇藤井委員 今ご答弁ありましたとおり、目標値八〇%に満たないということでございますし、全国平均の八一・二%にも満たないというような状況であろうかと思います。
 都は、ほかのデータでも使用割合が後発医薬品低い、それほど高くないといったデータも示されているところでありますけれども、都として、今後しっかり働きかけをしていくべきではないかなと思うわけでございますけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。

〇井上地域保健担当部長 都は、都民が安心して後発医薬品を使用できる環境を整備するために、都民、医療関係者、保険者等で構成する後発医薬品安心使用促進協議会を設置しております。
 協議会の意見も踏まえまして、令和元年度に行った実態調査に基づき、後発医薬品の使用割合が低い高齢者や子育て世代をターゲットといたして、リーフレットの作成、配布や医療関係者向けの講演会の開催などにより、普及啓発を行っております。
 また、医療保険者に対しましては、地域ごとの後発医薬品の使用割合に関わる分析結果を区市町村、国民健康保険等に提供しているほか、取組状況調査を行い、好事例を横展開するなどの支援を行っておりまして、引き続き後発医薬品の使用割合の向上に向けて取り組んでまいります。

〇藤井委員 最後に、いわゆる残薬についてお伺いをしたいと思います。
 これは全国に金額ベースというか、五百億円程度あるともいわれているわけでございますけれども、複数医薬品の投与、重複投薬といったもの、あるいは薬の飲み残しなどによって生じる残薬というものについては、一定の余裕分というのは大切でありますし、これは否定をするものでありませんけれども、これは極力減らしていくというような努力は都としてしていく、あるいは働きかけていく、こういう必要性はあるかと思いますけれども、都としてどのような取組をされているのか、見解をお伺いしたいと思います。

〇井上地域保健担当部長 医療費の適正化を進める上では、重複投薬や多剤投与の是正等、患者に応じた適正な医薬品使用を確保していくことが重要でございます。
 都は、東京都薬剤師会の協力を得ながら、国民健康保険加入者に対する薬局での残薬管理の相談や薬剤師による訪問指導等、区市町村が各地域の薬剤師と連携して実施できるよう支援しております。
 今後も、本事業の活用を区市町村に広く呼びかけまして、地域における適正な医薬品使用の取組が一層進むよう支援してまいります。

〇藤井委員 残薬が発生する理由というのは様々だと思いますけれども、都としてしっかり原因を分析して働きかけをしていただきたいと思います。
 私の地元練馬区の運動なんかですと、節薬バッグ運動といって、薬局から患者さんに回収袋を渡して、ほかの地域さんでもやられていると思うんですけど、自宅で余った薬を詰めて持ってきてもらって薬剤師さんがチェックするみたいな、こういった取組も一生懸命やられておられますので、こういった運動もですね、都もしっかり市区町村を支えていただいて、薬剤師さんを支えていただいて、こういう節約をさらに進めていただくということをしていただきたいなと思います。
 このことをお願い申し上げまして、私からの質疑を終わります。ありがとうございました。

〇関野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたしたいと思います。
   午後三時三十四分休憩

   午後三時五十分開議

〇関野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

〇さんのへ委員 このたびも多くの資料をご用意いただき、ありがとうございます。資料を基に質疑をさせていただきます。
 最初に、都内における検案、解剖実績の推移について伺います。資料、17をご参照ください。
 令和四年の検案数は、東京都全体で二万三千九百九十件、対前年で三千件近く増え、対前年比では一四%増えています。
 解剖数は、こちらの資料にはありませんけれども、平成三十年から漸減したものの令和三年に下げ止まり、令和四年は四千四十八件と対前年比で三百八十三件、一〇%ほど増加に転じています。
 解剖率は、東京都全体として二〇%内外で推移していたものの、この五年間は、特別区、多摩・島しょ地域ともに二〇%を下回り、さらに、令和四年は検案数の増加も相まって、一六・九%と低下傾向が顕著になっている状況です。
 検案数増加の背景と、それに伴い検案体制の強化及び検案の精度向上にどのように取り組まれたか、ご説明ください。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都全体の検案数につきましては、死亡者数の増加に伴って増加しています。都は、政令により監察医を置くべき地域とされている東京二十三区に監察医務院を設置し、全国的に法医学教室の医師が少ない中、養成教育研修などにより、監察医の確保に努めています。
 また、多摩・島しょ地域において、東京都医師会や大学等の協力を得て、検案、解剖の体制を確保するほか、地域の開業医等を対象に研修会を実施し、検案の精度向上を図っております。

〇さんのへ委員 ありがとうございます。
 以下は東京都監察医務院が公表する情報となりますが、六十五歳以上の高齢者の検案は一万千七百五十三件で、全検案数の七二・二%を占めています。そのうち一人暮らしの例が六千二百十八件で、高齢者の検案の五二・九%を占めています。
 先ほど死亡者数の増加に伴い検案数の増加が背景にあるとご答弁をいただきました。警視庁では、自宅で亡くなる一人暮らしの高齢者が、今年は推計でおよそ六万八千人に上る可能性があることを公表しています。一人暮らしの高齢者が増加し、みとられることなく病気などで死亡する孤独死や孤立死も増えると懸念されており、検案数の増加はこうしたことも背景にあるのではないかと推察します。
 高齢者の検案数の実績は年によって増減がありますが、高齢者人口、高齢単独世帯の増加が反映されることからも、今後もさらに増加傾向が続くものと考えられます。死者の尊厳を守り、公衆衛生の向上を図り、検案の精度向上に引き続き取り組んでいただくことを求め、次の質問に移ります。
 次に、資料、20、特別区における熱中症による死亡者数の推移について伺います。
 資料によりますと、熱中症による死者数は増加傾向にあり、特に、四十代や六十代という比較的若い年代でも増加していることがうかがえます。
 東京都監察医務院のホームページ上では、熱中症死亡は予防可能な死であると説明して、その統計を公開しています。しかし、令和六年度の酷暑を受け、残念ながら死者数は増加の予想となっています。
 都民を熱中症から守るための予防を全庁を挙げて行うことが必須と考えますが、熱中症による死者数の統計を取り扱う局、監察医務院として、東京都の他部署とどのような連携、対応を取られているか教えてください。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 監察医務院は、監察医務院において検案を行い、熱中症で亡くなられた方の年代別人数、死亡場所及びエアコンの使用状況について、ホームページで公表しています。また、夏期には、毎日速報値として、報道機関へ情報を提供しています。これらの情報は、熱中症に関する情報や対策を掲載する環境局の東京都熱中症対策ポータルサイトにもリンクを掲載しております。
 引き続き、関係局等と連携を図り、熱中症防止の啓発に努めてまいります。

〇さんのへ委員 今回初めて熱中症で亡くなられた方の死亡状況について資料を要求させていただきましたが、令和二年以降、ほとんどの方が屋内でエアコンの使用がない状況で熱中症となり亡くなられていることが分かります。
 こうした熱中症となる背景が明らかであり、亡くなる方の多くが高齢者であることからも、環境局のみならず高齢者への啓発を行うために、福祉局ともぜひ連携を取り、熱中症から都民を守る取組の強化を強く求めて、次の質問に移ります。
 次に、患者の声相談窓口について伺います。
 資料、22にあります患者の声相談窓口への相談件数及び内訳の推移のうち、精神科病院に限るとどのような数字になりますでしょうか。また、暴力、暴言の相談について、その後、虐待通報窓口と連携するなど、相談があった場合の対応マニュアルはどうなっているでしょうか。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 患者の声相談窓口に寄せられた精神科病床を有する病院における暴力、暴言に関する相談件数は、令和三年度は三十二件、四年度二十七件、五年度は五十八件となっております。
 本年三月から、福祉局障害者施策推進部精神保健医療課内に、精神科病院における虐待通報窓口を設置しており、相談内容が病院職員による虐待に関する場合は当該窓口を案内するとともに、二つの窓口の担当者間で情報を共有しております。

〇さんのへ委員 今年から精神科病院に特化した虐待通報窓口が新たに設置され、患者の声相談窓口の担当者間でも情報共有が行われていることが分かりました。資料、23で明らかとなった実地指導を行って初めて発見される虐待の件数がゼロになるまで、精神科病院において患者に対する虐待通報窓口の周知徹底を求めます。
 次に、旧滝山病院、以下滝山病院について、保健医療局が所管する内容について伺います。
 福祉局の方で開示された資料、54、滝山病院の虐待防止委員会のこれまでの経緯及び主な措置状況を見ると、主な措置状況として、法人ガバナンス、理事長と院長の責任の明確化が措置済みとなっています。
 しかしながら、理事会によるガバナンスの機能不全が原因の一つとされていた以上、単に朝倉一族を排斥したというだけでは意味がなく、現在の理事会がきちんと院長を監督できている体制であると確認されて初めて措置済みといえるのではないかと考えます。
 その観点から現在の対応を見ると、院長を監督すべき立場にある理事長が同一人物となっており、このような改善命令に基づく改善の結果としては極めて不十分と思われますが、東京都の見解を伺います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 医療法人の理事長及び病院の管理者である院長は、ともに法人の理事でありまして、その職務執行は理事会が監督することとなっております。旧滝山病院について、都は、改善計画に基づく取組状況の報告や立入検査等を通じ、理事長や院長を含めた虐待発生当時の理事全員が交代したことを確認しております。
 新たに就任した理事長兼院長の下、病院が科学的かつ適正な医療を行う場にふさわしいものとなるよう、必要に応じて指導してまいります。

〇さんのへ委員 繰り返しとなりますが、理事会が監督機能を果たしていることが分かって初めて措置済みと、改善したといえるかと思いますので、都として、引き続き注視していただくことを求めます。
 また、滝山病院は、外来や面会室もなく全病棟が閉鎖病棟となっており、開放処遇の原則も構造上守りようのないものになっていたことが判明しています。
 毎年の実地指導でその点について指導がなかったのはなぜでしょうか。同様に、院長交代後の滝山病院においても、全病棟が構造上閉鎖病棟となっていないか確認はされたでしょうか。もし、開放処遇の原則が構造上守れないものであるのであれば、直ちに改めるべきと考えますが、東京都の見解を伺います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、これまでの実地指導において、旧滝山病院は一部の病棟が開放病棟であることを確認しております。なお、国が定める基準では、任意入院患者本人の意思により閉鎖病棟に入院する場合は、開放処遇の制限に当たらないものとされておりまして、旧滝山病院の閉鎖病棟においても、国の基準に基づいて運営されていることを確認しております。

〇さんのへ委員 実地指導において滝山病院の一部の病棟が開放病棟であったと確認されたとのことですが、どこの病棟が開放病棟で、どこの病棟が閉鎖病棟であると確認されたか、教えていただけますでしょうか。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 ちょっと資料を確認して、またお答えさせていただきます。

〇さんのへ委員 資料を確認した後に、ぜひお答えください。この調査結果自体がしっかり記録として存在しているのか疑問を持たざるを得ません。
 そもそも東京都は、医療法に基づく立入検査及び精神保健福祉法に基づく実地指導を行うことについて、基本的に一か月以上前に病院側に通知しています。結果として滝山病院では、事前に手製の拘束道具を隠蔽することが可能となっていたことが調査報告で明らかとなっています。東京都が事前通知をすることなく虐待に係る検査や指導を行っていれば、滝山病院で虐待が行われていることについて早期に発覚することができていたとも調査報告書では指摘されています。
 こうした表面上の確認のみで深く踏み込まずに検査をしてこなかった結果として、多くの命が失われたことに深く反省し、二度とこのような事件が繰り返されることがないよう、抜き打ちも含む精神科病院への立入検査の実施を強く求めます。
 昨日の福祉局答弁にて、滝山病院で今年十月末時点で転退院を希望する任意入院患者が十一名いることが分かりました。東京都として、適宜必要に応じて急性期の透析患者等を都立病院において転院を引き受けるなどに努める方針はおありでしょうか。

〇鈴木都立病院支援部長 都立病院ではこれまでも、透析を含む精神科身体合併症医療など急性期の精神科医療を提供しておりまして、透析が必要な急性期患者に適切に対応しております。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 失礼しました。先ほど、旧滝山病院の開放病棟のことについてお尋ねいただきました。
 旧滝山病院では、現在、六つの病棟単位で合計二百五十二床あります。この六つの病棟のうち一つ、1B病棟につきましては、こちら開放病棟として運営されていることを確認しております。

〇さんのへ委員 今ご答弁いただいた内容を先に申し上げさせていただきます。
 1B病棟につきましては、調査報告の中では、職員が患者を事前に確認することなく拘束をしていたというような発言、職員からなされております。構造上の問題を先ほど指摘させていただきましたので、東京都が1B病棟が開放病棟であったというご認識であった旨、今確認させていただきました。
 改めて、今、別途質疑させていただいたことについてです。
 都立松沢病院の第三者評価委員会に出席された方より、松沢病院の身体合併症向け病床数は三割が空いており、二百床のうち三十五床しか急性期でも使っていないとの情報をいただきました。転退院を求めている滝山病院の十一名に対して、死亡退院となる前に空いている病床数のある都立病院で受け入れるよう、都として責任ある対応を強く求めます。
 次に、保健医療局における障害者採用について伺います。資料、24をご参照ください。
 東京都は、既に都庁として、障害者法定雇用率は達成しているとのことですが、当会として障害を有する職員の採用並びに配置状況、優先調達の状況を毎年確認させていただいております。
 障害者の採用と採用したことによる職場環境の変化、障害者施設等からの優先調達の現状への評価を伺います。

〇船尾総務部長 まず、障害者の採用についてでございますが、保健医療局では今年度、障害を有する職員を三名採用しているところでございます。こうした職員が働きやすいよう、障害特性に応じた就労支援機器の導入や研修等を通じまして、周囲の職員の障害者雇用に対する理解促進を図るなど、職場環境の整備に努めているところでございます。配属された職場におきましては、障害特性や能力に応じた業務を選定し、活躍してもらっておりまして、職場全体の活性化につながっている事例もあると認識しております。
 また、優先調達についてでございますが、東京都による障害者就労施設等からの物品等の調達方針、こちらの方針に基づきまして、障害者就労施設等からの優先調達を行ってございます。令和五年度は六月までの福祉保健局の実績も含みますが、印刷で九十五件、物品購入で九件、委託で七件、合計で百十一件の優先調達を行っておりまして、着実に取組を進めているところでございます。

〇さんのへ委員 ありがとうございます。引き続きの取組をお願いいたします。
 次に、動物愛護について伺います。
 小池都知事が掲げた七つのゼロ公約のうち、動物殺処分ゼロの取組についてです。資料の27をご参照ください。
 定義上は、殺処分がゼロになっていることが確認できますが、動物福祉等の観点から行ったものに関しても致死処分を減らしていく必要があると考えます。東京都としての見解と今後の取組について伺います。

〇中川健康安全部長 都はこれまで、動物の適正飼養、終生飼養の普及啓発やボランティア団体等と連携した譲渡の取組を推進してまいりました。こうした取組により、平成三十年度に動物の殺処分ゼロを達成し、令和五年度まで継続しております。
 一方、動物福祉等の観点から行う致死処分や引取り収容後死亡する動物の多くは、負傷した猫や衰弱した子猫であることから、センターでの引取り数を減少させるため、飼い主のいない猫対策等の取組を進めております。

〇さんのへ委員 動物福祉の観点から致死処分となる動物の多くが負傷した猫や衰弱した子猫ということで、飼い主のいない猫を減らしていく観点からも、里親探し、譲渡活動等の協力が欠かせないと思います。
 日頃、里親探し、譲渡活動にご協力いただいている都内ボランティアの地域や団体の件数や連携状況、また譲渡数について、詳細をご報告ください。同じく、市区町村も包括補助事業等を活用し殺処分ゼロに貢献されていると思料いたしますが、その評価について伺います。

〇中川健康安全部長 都は、動物愛護相談センターの譲渡事業に協力するボランティア団体を登録譲渡団体としており、現時点で四十七団体と連携して譲渡を行っております。令和五年度のセンターからの譲渡実績は、個人への譲渡も含め、犬三十五頭、猫百三十三頭、その他二頭の計百七十頭でございます。
 令和五年度の区市町村の包括補助事業につきましては、飼い主のいない猫対策は四十九自治体が地域の実情に応じて取組を進めております。

〇さんのへ委員 ありがとうございます。ボランティア団体及び市区町村とも協力して、引き続き致死処分のゼロを目指して取り組んでいただければと思います。
 次に、保健医療局における不利益処分について伺います。
 資料の30、令和五年度の不利益処分件数のうち、改善等の義務を課すものの五件はどのような処分であったか伺います。

〇船尾総務部長 令和五年度の旧福祉保健局及び保健医療局が所管する不利益処分のうち、改善等の義務を課した五件の内容でございますが、精神科病院に対して行いました医療法及び精神保健福祉法に基づく改善命令がそれぞれ一件、食品販売業者に対して行いました食品衛生法に基づく販売禁止命令が二件、フグ取扱責任者に対して行いましたふぐの取扱い規制条例に基づく免許の効力停止命令が一件ございました。

〇さんのへ委員 ありがとうございます。都民の命と健康を守るため、必要なものに対する管理監督を引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、都立病院の現状について伺います。資料の37、まずは、都立松沢病院についてです。
 死亡退院患者数の推移について、死亡退院の中に自殺は含まれているのでしょうか、含まれているのであれば、何件でしたでしょうか。また、身体拘束中あるいはその直後の突然死はあったのか、もしあれば、肺塞栓症のケースはあったのでしょうか。三十代で亡くなられている方もいますので、こちらの死亡原因についても伺います。
 身体拘束中に亡くなった患者がもしいれば、身体拘束中の患者の安全についてどのように取り組まれているのか伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 令和元年度から令和五年度までの松沢病院における死亡退院患者のうち、自殺した方は四名でありまして、また、身体拘束中に亡くなった患者は一名で肺塞栓症の疑いがございました。また、三十代の患者の死亡原因は、栄養障害やアルコール性急性肝炎など様々でございました。
 また、松沢病院では身体拘束を最小限とするよう努めるとともに、身体拘束を行う場合でも、肺塞栓予防のため、早期の離床や拘束解除、注意深い観察を行うほか、患者には積極的な下肢の運動、十分な水分補給を促しているところでございます。

〇さんのへ委員 同じく資料、37にあります、割合の多い呼吸器が死因のケースにおいて、年齢別に見るとどうなりますでしょうか。また、死亡退院の要因について伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 例えば令和五年度ですと、二十二名のうち七十代が八名、八十代が十一名、九十代が三名で、半数以上が食物及び吐物による肺臓炎でございました。

〇さんのへ委員 引き続き、都立病院について伺います。資料、44を見ると、都立病院に勤務する職員で自殺者数が二名出ており、大変重く受け止めています。
 職員向けのゲートキーパー等、自殺防止の取組について伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 都立病院では、職員の総合的なメンタルヘルス対策を講じておりまして、ストレスチェックの実施やメンタルヘルスに関する教育、啓発、専門スタッフによる相談体制の整備などに取り組んでいるところでございます。

〇さんのへ委員 引き続きの取組をよろしくお願いいたします。
 資料の48、電気けいれん療法が一転して増加しています。
 令和四年度までは実施件数が減少しており、その背景として、統合失調症のうち、通常の薬物治療では十分な効果が得られない治療抵抗性統合失調症に対する治療薬の導入により治療の選択肢が増えたことや、適用となる患者が減ったことにより、実施件数が減少しているものとの認識でした。
 増加については、都はどのようなご認識でしょうか。

〇鈴木都立病院支援部長 新型コロナウイルス感染症の五類感染症移行後に、電気けいれん療法を目的とした転院が増加した病院もございまして、適用となる患者が増加したことが原因であると認識しております。

〇さんのへ委員 分かりました。
 資料の49、都立病院機構における懲戒処分について、処分理由の内訳をお示しください。

〇鈴木都立病院支援部長 令和三年度から令和五年度までの懲戒処分理由の内訳は、手当の不適正受給が四件、無許可の営利企業等従事が三件、窃盗等が二件、不適切な事務処理が二件、欠勤が二件、その他が九件でございました。

〇さんのへ委員 ありがとうございます。
 最後に、都立病院における無痛分娩の実施に関して伺います。
 私ごとで大変恐縮ですが、先月の中旬に第三子を出産いたしました。妊娠中は厚生委員の皆様及び理事者の皆様に大変なご配慮いただきまして、この場をお借りして深くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
 その第三子を私は初めて計画無痛分娩で出産いたしました。当初は、第一子、第二子同様に自然分娩を予定しておりましたが、妊娠中におなかの子が大きいことを指摘されたことや出産後すぐの復帰を予定していたため、途中で運よく計画無痛分娩に切り替えることができました。
 生まれてきた第三子なんですけれども、予定よりも一週間早く生まれてきたものの体重が四千グラムありまして、もしも無痛分娩を選択していなかったら、出産に大変な体力を使うことになりますので、私がすぐに公務に復帰することは難しかったと思います。結果として、私自身はこの無痛分娩に非常に助けられました。
 一つの選択肢として広く普及してほしい一方で、昨今、麻酔科医の不足や無痛分娩に使用される麻酔薬アナペインの不足により、一部の産婦人科では無痛分娩の実施制限をせざるを得ない状況であると報道で知りました。
 資料の34を見ると、都立病院での分娩件数は四千件台となっています。
 このうち無痛分娩に対応している都立病院機構の病院はあるでしょうか。特に、広域基幹病院、センター的医療機能を持つ都立病院で無痛分娩を行うメリットとして、一番には、無痛分娩中の母体や赤ちゃんの急変に対して、各診療科が協力して速やかに対応できる体制を整えていることがあります。都立病院として、今後、通常分娩のみならず無痛分娩も実施できるように、数を増やしていく方針はあるかどうか伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 都立病院では、患者ニーズや医療提供体制などを鑑みながら無痛分娩を実施しておりまして、現在、総合周産期母子医療センター三病院を含む五病院で無痛分娩に対応しているところでございます。

〇さんのへ委員 今ご答弁の中にはなかったんですけれども、新たに荏原病院が、令和六年、今年の四月から無痛分娩に対応しているとのことです。ただ、無痛分娩に対応していても医学的な適応のある方にのみ実施しているという都立病院もあるようです。今後も安全な無痛、病院提供体制の確保とともに、導入を進めていただくことを期待します。
 私自身は無痛分娩を行う際に、プラスで十五万円ほどの実費費用がかかりました。小池都知事は、三期目の公約に無痛分娩の無償化を掲げられています。既に、保健医療局では、都内病院に対して無償化に係る調査を行っていると伺いました。まだ、無償化に係る予算は計上されておらず、質疑は今後の機会に行わせていただきますが、無痛分娩の無償化が少子化対策になり得るかという点については、懐疑的であるということをこの場で申し伝えさせていただきます。
 無痛分娩は多額の費用がかかるので、助かる方は確かにおられるんですけれども、一時的な助成ではなくて、第二子、第三子と産みたいけれども経済的に難しいという家庭に対する、例えば家賃補助ですとか、今、国でまさに議論されている年少扶養控除の復活といった方が、少子化対策としてはより効果的と考えます。
 また、先ほど申し上げたように、麻酔科医や麻酔薬自体が少ない状況の中での無償化の強行によって、医療機関側に負担が生じることがないように申し上げ、質疑を終わります。

〇山加委員 私からは、まず広尾病院についてお伺いをしたいと思います。
 私、広尾では、十年ほど前に命をつないでいただき、今があることに大変感謝をいたしております。また、広尾は、島しょ医療に大変力を入れてくれておりますので、都民の方にとってはなくてはならない大切な病院であります。移転をするのか改築をするのか、大変な、数年にわたって紆余曲折がありましたが、最終的には現地での建て替えということになりました。
 整備事業に関してお伺いをしたいと思います。
 この整備事業に係る入札も、昨年一月に、建設資材や労務費の高騰等の影響を受け不調となっています。その後、五月に整備基本計画等を修正の上、再度入札公告を行い、落札者が決定をされました。
 現在の広尾病院整備事業について、進捗を伺いたいと思います。あわせて、事業への理解を深めるためには、住民への周知も大変重要でありますので、その取組を伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 広尾病院の整備事業につきましては、都立病院機構におきまして、再度入札公告を行い、今年六月、事業者と契約締結を行いました。現在は、既存の建物につきまして解体のための設計を行っており、来年には、看護専門学校から順次解体工事に着手する予定でございます。
 また、今年十月には、住民との意見交換会を実施し、解体工事の工事手法や新病院における建物配置などにつきまして丁寧にお伝えした上で、住民との共通認識を図ったところでございます。なお、島民の方々に向けても、年二回発行している島しょ医療NEWSを活用し、事業の進捗に応じた周知を行うなど、丁寧な対応を行っております。

〇山加委員 いよいよ来年から解体工事が始まり、具体の工事が始まってくる中で、工事期間中に病院機能をどのように維持していくのかが重要であります。
 令和五年に一部修正した整備基本計画等では、病院機能の維持に当たっては、仮設棟を建設せずに既存の本館改修等により機能を確保することも可能とし、その後の整備内容の詳細については、今後実施する基本設計及び実施設計において定められていくこととされたと認識をいたしておりますが、そこで、現在の病院機能の維持に当たり、仮設棟は、つくることで維持をするのか、それとも既存の本館改修により行うのか、検討状況をお伺いいたします。

〇鈴木都立病院支援部長 令和五年五月に一部修正した基本計画では、事業者が一層の経費削減や工期短縮のほか、知見を生かした創意工夫のある提案を可能とし、契約締結後は事業者と協議を進め、整備事業が円滑に進められるよう検討を行いました。
 病院機能の維持につきましては、既存病院を改修する整備手法においても可能であり、工期も短縮できることから、都立病院におきまして、仮設棟を建設せず既存病院改修により整備事業を進めることといたしました。
 そのため、医療提供機能を補助する医局、当直室等については、改修により本館の中で確保し、島しょ患者家族宿泊施設、職員宿舎、院内保育室につきましては、代替施設の確保等により、機能を維持してまいります。

〇山加委員 既存病院の改修により病院機能を維持しながら整備事業を進めていくとのことですので、施設整備期間中は、当然、外来機能、病床数等を縮小した形での運用を余儀なくされると思われます。工事期間中であっても必要な医療が確実に提供されなければなりません。
 本当に必要な医療を提供されるのか、病院、外来それぞれについてお伺いをいたします。

〇鈴木都立病院支援部長 入院機能につきましては、工事期間中必要な病床数を確保し、重点医療のほか一般医療につきましても確実に提供してまいります。
 外来機能につきましては、現在、診察室の一部がある既存病院別館の解体を令和八年度以降に予定していることから、当面の外来診療はこれまでどおり行いつつ、今後の運用につきましては、患者動向も見据えながら、影響を最小限にとどめられるよう検討を行ってまいります。
 工事期間中も広尾病院の限られた医療資源を最大限有効に活用し、地域医療機関等との適切な役割分担と密接な連携を通じまして、地域の医療ニーズに応えてまいります。

〇山加委員 地域の医療機関との役割分担と連携の下、地域医療の充実に取り組むことは都立病院の使命であります。整備事業を一つのきっかけといたしまして、これまで以上に地域医療機関との連携を深化させ、新病院開設後も継続していくことをお願いしたいと思います。
 そして、島しょ患者家族宿泊施設、職員宿舎、院内保育室についてですが、これらの機能については、先ほど代替施設等の確保により、機能を維持していくとの答弁をいただきましたが、具体的にはどのように機能を維持されるのでしょうか。

〇鈴木都立病院支援部長 お話のございました施設は、工事期間中、敷地内に確保することが難しいため、代替施設の確保等により機能を維持していくことといたしました。
 具体的には、島しょ患者家族宿泊施設につきましては、近隣ホテルの借り上げにより、工事期間中も現在と同様の部屋数を確保するとともに、使用料も現在と同額で利用いただけるよう準備を進めていくほか、職員宿舎につきましては、代替物件の確保により対応いたします。
 また、院内保育室につきましては、代替施設を設けるのではなく、職員の理解を得ながら、保育料助成制度の利用に切り替えることで対応してまいります。

〇山加委員 広尾病院の島しょ患者家族宿泊施設は、島民の方にとっては非常に重要な施設であります。今ご答弁いただきました、工事期間中は一時的に病院の敷地の外になるわけですが、近隣に、現在と同様の施設料で確保していただけるということで、大変安心をいたしました。
 広尾病院は、救急医療、災害医療、島しょ医療などのまさに行政的医療、総合診療など様々な特色ある医療を提供する都民にとっては重要な病院であります。今後とも円滑に整備事業を進めていただくことを期待申し上げます。
 次に、臓器移植に関して伺いたいと思います。
 臓器移植は、重い病気、事故などにより臓器の機能が低下した方に他者の臓器を移植して機能を回復させる、まさに善意の第三者に支えられている医療であります。
 日本では、この臓器移植を希望して待機をしている方が約一万六千人を超えている中で、実際に移植を受けられた方は約六百人となっています。移植件数は、昨年、令和五年は過去最高でありましたが、しかし、それでもアメリカ、ヨーロッパの諸外国と比べれば格段に少なく、現在も臓器移植を待っている方が大勢いらっしゃいます。
 件数の増加に伴い、臓器移植のあっせん機関には業務が集中するなど、様々な課題が山積をいたしております。ぜひとも、今後も引き続き、臓器移植対策の推進に向けて、体制整備を行っていく必要がありますので、よろしくお願いを申し上げます。
 令和六年、今年の予算特別委員会におきまして、我が党の磯山議員が都における今後の取組について質問をさせていただき、保健医療局長から、本年度、新たに院内ドナーコーディネーターの配置を働きかけるなど、移植医療のさらなる推進に向けて取り組んでいくとご答弁をいただきました。
 そこで、今年度から開始する院内ドナーコーディネーターの認定制度の現在の取組状況をお伺いいたします。

〇小竹保健政策部長 院内ドナーコーディネーターは、勤務する医療機関において、マニュアルの作成や連絡体制を確保するなど、臓器提供に関する院内体制の構築に当たって中心的な役割を担うものでございます。また、実際の臓器提供時には、患者のご家族に対する説明及び院外の関係機関と連絡調整などを行います。
 都は本年九月に、臓器の移植に関する法律の運用に関する指針において高度の医療を行うとされております五つの類型に当てはまる都内全ての医療機関に呼びかけまして、院内ドナーコーディネーターの設置促進に向けた説明会を開催いたしました。
 今後、医療機関からの推薦に基づきまして、院内ドナーコーディネーターの認定を行い、定期的に研修会を開催し、スキルアップを図ってまいります。

〇山加委員 九月に説明会を行ったということですから、現在設置に向けた取組が進められていることが分かりました。臓器移植の推進に重要な役割を果たす院内ドナーコーディネーターの設置は、院内の体制整備、さらには、都内における移植医療の円滑な実施につながるため、大変重要であります。今後とも、都内の臓器移植体制の整備がしっかりと進むように取り組んでいってほしいと思います。
 一方、そうした体制整備に加え、都民への普及啓発、これも大変重要であります。臓器提供の意思表示について考えるきっかけとして、継続的に実施していくことが大変必要であると考えます。
 そこで、都における臓器移植に関する普及啓発の取組をお伺いいたします。

〇小竹保健政策部長 都では、意思表示に関する普及啓発活動を実施しており、区市町村を通じてリーフレットを配布するとともに、毎年十月の臓器移植普及推進月間を中心に、SNSを活用した啓発や東京腎臓病協議会との共催で、都立公園にて、臓器提供意思表示カードを配布するイベントなどを実施しております。
 さらに、今年度は、都民の方のより一層の理解を促進するため、初めて都庁舎や隅田川橋梁のライトアップを実施したところでございます。
 今後も引き続き、普及啓発活動を実施するとともに、都内の移植医療の推進に向け取り組んでまいります。

〇山加委員 体制整備のほか、都民の意識醸成に向けた普及啓発においても、従来の取組に加えて、新たに都庁舎のライトアップを実施するなど、大変工夫をして行っていることを確認いたしました。
 日本は医療技術が大変高いこともあり、今後、移植医療の体制整備が一層進めば、待機期間の短縮などにより移植を受けられる方がさらに増えていくのではないかと考えます。
 近年、臓器移植については様々な報道がされていますが、今後とも、提供体制の整備、普及啓発の実施など、都としての臓器移植の取組を確実に進めていってほしいとお願いいたします。
 次に、感染症対策に関してお伺いをいたします。
 近年、グローバル化により各国との往来が飛躍的に拡大をし、未知の感染症が発生した場合には、時を置かずして瞬時に世界中に拡散し、パンデミックを起こしてしまいます。これまで、SARS、重症急性呼吸器症候群、また、ジカウイルス感染症の感染拡大が発生をし、さらに、記憶に新しい二〇二〇年以降、新型コロナが世界的な大流行を引き起こす等、新興感染症は今や国際的な脅威となっております。
 感染症はいつ病原体が侵入をするのか予見できませんし、さらに、一旦侵入すれば急速かつ広範囲に拡大をし、都民の健康と安全にとって大変大きな脅威となることは明白であります。
 次なる感染症危機の際、迅速に対応できるよう、平時から医療提供体制を強化していくことは重要であります。都の取組についてお伺いをいたします。

〇小原感染症対策調整担当部長 都は、本年三月に改定した感染症予防計画におきまして、新興感染症発生時の確保病床や発熱外来等の数値目標を設定いたしますとともに、感染症有事の際に機動的かつ的確に対応できるよう、医療機関と病床確保や発熱外来等の感染症対応に係る協定締結を進めております。
 今年度は、新たに協定締結医療機関に対し、感染症発生時に備えた体制整備に資するよう施設、設備整備の補助を行うほか、東京都医師会など関係機関と連携し、感染症対応に必要な知識や技術を習得するための研修を実施いたしております。

〇山加委員 協定締結、また人材育成等を通じて、それぞれの医療機関が平時から備えておくことは非常に大切な点であり、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、新型コロナのような今回のパンデミックに対しては、都が広域的な視点から、都内の医療資源、感染状況を俯瞰し、区市町村の域を超えた対策を実施していくことが重要であります。関係機関同士が顔の見える関係性を構築し、日頃から連携を深めておく必要があります。
 関係機関の連携を強化し、都が広域的な視点から感染症対策を講じていくべきと考えますが、どのような取組を行っているのか伺います。

〇内藤感染症対策部長 新型コロナでの対応におきまして、地域を超えて急速に広がる感染症に対して、関係機関が緊密に連携し、広域的な視点から対応していくことの重要性が改めて明らかとなりました。
 都は、感染症予防計画において、保健所設置区市や感染症指定医療機関等が参画する東京都感染症対策連携協議会を通じて、平時から連携体制の強化を図ることとしております。今年度は、六月に保健所連絡調整部会、七月に予防計画協議部会をそれぞれ開催し、医療措置協定の締結状況や研修、訓練等について、関係機関と共有を行っております。
 新興感染症発生時には、平時に築いた連携体制を生かしながら、広域的な入院調整、保健所体制の支援など、都による総合調整の下、統一的かつ機動的な感染症対策を行ってまいります。

〇山加委員 協定を締結した医療機関に対し、研修、設備整備支援を実施するとともに、協議会を通じて関係機関との連携を図っているということでありますから、ぜひとも、次なる感染症への対応としては、平時からの備えが欠けることがあってはなりません。今後ともコロナ対応の知見、経験を生かし、関係機関との連携の下、有事への備えを着実に進めていってほしいと思います。
 実は、私は二十年前、二〇〇四年、SARSのときに、動物由来新興感染症が世界的なパンデミックを引き起こす可能性がある、そのことを当時の石原知事に一般質問で問うたことがあります。そのとき、知事も関係機関としっかりと連携を取り備えていく、日頃からの備えが必要であるということをご答弁いただいたと記憶をいたしております。
 そのときからの、関係機関の皆様方が懸命なご努力をいただいたおかげで、今回のコロナのパンデミック、大変なことでありましたが、ふだんからの備えがしっかりと生かされた、その結果だと私は高く評価をいたしております。
 今後とも、次なる感染症に対して、ぜひとも努力を惜しまず、精進をいただきたいとお願いを申し上げます。
 次に、災害医療に関してお伺いいたします。
 本年一月発生した能登半島地震では、十月末時点で死者四百十二名、うち災害関連死亡百八十五名、家屋倒壊六千四百二十五棟に上っています。被災地の医療を継続するために、全国から多くの医療チームが応援に入りました。とりわけ、DMAT、災害派遣医療チームは、地震発生から一か月の間で延べ約一千隊を超えるチームが被災地で医療支援活動に従事し、活動してくれました。心から敬意を表したいと思います。
 さて、都が令和四年に公表した首都直下地震の被害想定では、都内で最大規模の被害が想定される都心南部直下地震で、死者は六千人以上、負傷者は九万人以上となっています。さらに、被害想定では、医師や看護師などの医療従事者が被災した場合、病院での負傷者の受入れが困難となる可能性が指摘をされています。こうした状況下、都内の医療を継続していくためには、全国からの医療チームの応援が必要不可欠であります。
 そこで、首都直下地震において、全国から応援に駆けつけてくださる医療チームを受け入れるに当たり、都はどのような取組を行っているのかお伺いをしたいと思います。

〇新倉医療政策部長 首都直下地震発生時に、負傷者の治療をはじめ、被災者へ医療を提供していくためには、全国から応援に来る医療チームを円滑に受け入れ、効果的に活動してもらうための体制を整備しておくことが重要でございます。
 都はこれまで、災害時医療救護活動ガイドライン等において、応援医療チームの参集場所や活動内容など、応援の受入れ体制を定めるとともに、訓練などを通じて必要な見直しを行ってまいりました。
 本年九月には国と合同で、首都直下地震を想定した大規模な実動訓練を実施し、全国から百十九チーム、四百七十五名のDMAT隊員が実際に都内に参集して、都庁本部や災害拠点病院等において活動を行いました。
 今回の訓練については、年内に検証を行って課題を洗い出し、都の災害医療協議会等で具体的な改善策を検討して、受入れ体制のさらなる充実強化を図ってまいります。

〇山加委員 具体的に詳細な答弁をいただき、ありがとうございました。
 私はかねてより、未曽有の災害に対しては、過去の体験から常に教訓を得て対策を見直し、災害への備えを万全にして対応策をあらかじめ講じておくことが、行政に最も期待されていることであると指摘をしてまいりました。
 首都直下地震を含め、いかなる災害が生じようとも、都民が不安を感じることなく、しっかりと医療が継続されるよう、今後とも引き続き、国や全国の自治体とも連携をし、取組を進めていってほしいと強くお願いを申し上げ、私の質問を終わります。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

〇荒木委員 十一月十七日、都庁が初めて世界早産児デーのテーマカラーであります紫色にライトアップされました。
 世界早産児デーでよく使われるイラストがありまして九足の赤ちゃんの靴下の中の一足、九足並ぶ赤ちゃんの靴下の中に、一足だけ紫色のちっちゃい靴下がありまして、世界中で十人に一人の、日本だと二十人に一人なんですが、赤ちゃんが早産児であるという意味を持たせています。
 都庁のライトアップを見ながら、今現在、NICUで頑張っている赤ちゃん、そして、毎日搾乳を頑張りNICUに届けている産後のママ、そして、自宅に戻ってくることを心待ちにしているご家族にエールが届くといいなと思いながら、私も拝見させていただきました。
 NICUに入院する子というのは、生まれてから外に出たことがありません。通常の出産ですと、生まれて数日で地域や、そして自宅に帰ります。NICUの入院児は、長い子供で一年近くNICUから出たことがないということもあります。入院の際に病名がつく子もいれば、残念ながらつかず、どのような診断がこの後つくのかと、どのような治療になるのか、出口が見えない子もいます。
 入院児は、例えば未熟児網膜症などあらゆる検査や治療を受けながら、生まれて初めて外に出る退院を目指していき、そして家族、そして地域は、子供を在宅で受け入れる体制を準備していくことになります。
 そこで重要な役割を担うNICU入院児支援コーディネーターについて質問をさせていただきたいと思います。
 周産期母子医療センターには、NICU入院児支援コーディネーターが配置をされていますが、地域の保健師との連携が十分ではなく、退院後の支援に実際にはつながっていないという現状も見られます。
 NICUから退院後、安定した在宅生活を送るためには出産後、これまで滞在をしていた医療機関と、そして、そこから戻る場所である地域との連携が必要だと考えますが、都の見解について伺わせていただきます。

〇新倉医療政策部長 都はこれまで、NICUに配置しています入院児支援コーディネーターを含む医療関係者や地域の保健師向けに小児等在宅移行研修を実施いたしまして、円滑な在宅移行に必要な知識の習得や多職種連携を推進してまいりました。
 また、昨年度末には、医療機関と地域の連携を進めるため、入院児支援コーディネーター連絡会に退院後のフォローを担う地域の保健師も参加し、情報共有や意見交換を行ったところでございます。
 NICU入院児が安全かつ安心して退院し、在宅生活を円滑に始められ、また、それが継続できるよう、今後は都としても把握した課題や好事例につきまして、この連絡会の場で積極的に発信し、全体として共有を図ってまいります。
 また、都と入院児支援コーディネーター、そして地域の保健師がお互いに顔の見える関係づくりも進め、それぞれの児に合わせた成長、発達に向け、関係者の連携をより一層強化してまいります。

〇荒木委員 ありがとうございます。今、様々に例を挙げていただきまして取組をしていただけるということで、理解ができました。ありがとうございます。
 資源、そして、リソースの限界もあると思いますが、表面的には要支援と顕在化していない多くの入院児、そしてご家族に対して、支援が届くことを望みます。
 続きまして、NICU退院支援手帳「のびのび」について伺わせていただきます。
 このNICU退院支援手帳「のびのび」につきましては、昨年、我が会派からの予算特別委員会の求めに応じていただきまして、約十年ぶりに改定に踏み切っていただいたということであります。
 中をぱらぱらと読みますと、結構空欄が多いものでありまして、これまでは記録を書くということがほとんどで、先ほどいいました空欄が多く、使い勝手について──これで使いやすいという方もいらっしゃると思いますが、使い勝手について課題があるというご意見も頂戴をしています。また、私たちから受け取る側の家族の視点もぜひ入れていただきたいという要望もこれまで行わせていただきました。
 現在、この手帳の改定に向けてワーキンググループでの検討が進んでいますが、NICU退院支援手帳「のびのび」についての現在の改定状況について伺いたいと思います。

〇新倉医療政策部長 NICU退院支援手帳「のびのび」は、NICUを退院した子供のご家族の不安解消を目的に、成長や発達を継続的に記録できる手帳として配布しております。
 今年度はこの改定に向け、九月に、有識者のほか、産科や新生児科の医師、訪問看護ステーション、そして区市町村、またNICUを退院した子供のご家族などで構成いたしますワーキンググループを立ち上げ、改定内容の検討を進めております。
 また、NICUを退院した子供のご家族でつくる家族会、これを通じまして、当事者の意見も広く聴取をしているところでございます。
 この間の議論や、またご意見を踏まえまして、改定版の手帳は、家族と共に病院や地域の医療、保健、福祉の関係者が共同して手帳に記録できるような形にするほか、地域の医療や福祉のサービスに関する情報も掲載するなど、より実用的な内容に改定する予定でございます。

〇荒木委員 ありがとうございます。今ご答弁をいただきましたように、家族会を通じて当事者の意見も広く聴取をしていただいているということと、また実用的な内容に改定をするということで、大変期待の声も大きく、そして、東京以外で注目をされている方々も大変多いということで、どうぞよろしくお願いをいたします。
 今、手帳の内容について伺わせていただきましたが、次は、「のびのび」の配布の方法について伺わせていただきます。
 この中、一ページの最初を見ますと、対象について、出生体重千五百グラム未満の場合、またはそれ以外で支援が必要と判断される場合の方々を対象にしているということでありますが、残念ながら、配布対象の方の中でも、見たことがないとか、どこに置いてあるか分からないというような声も聞きます。
 そこで、NICU退院支援手帳「のびのび」について、改定だけではなく、十分に活用されていくことが重要だと考えます。改定後の活用について伺わせていただきます。

〇新倉医療政策部長 改定後の「のびのび」は、医療機関からNICUに入院した全ての子供のご家族に配布するとともに、NICU入院児支援コーディネーター及び地域の保健師向けに、その活用方法に関する説明会を開催いたします。
 また、地域ごとに開催しております医療機関の連携会議や各種研修など、あらゆる機会を通じまして周知を行うほか、ホームページにも掲載をする予定でございます。
 改定後の「のびのび」が、家族、医療関係者、そして地域の支援者をつなぐツールとなることで、連携の一層の促進と家族支援の充実を図ってまいります。

〇荒木委員 ありがとうございます。
 ぜひ、ご答弁をいただきましたように、NICUに入院した全ての子供と家族に届くようにお願いをいたします。また、配布の時期につきましても、ぜひ、ワーキンググループの皆様と検討していただきまして、このNICU退院支援手帳という名前があることから、退院のときに渡されるということが多くて、退院後しばらくして渡された、もし入院中に、数か月間子供がNICUにいる間に渡されたら、もうちょっとゆっくり心の準備とかいろんなものができたなという声もいただいていますので、この名前も含めて、ワーキンググループの中でぜひ検討していただきたいと思います。そして、配る際に、この手帳を東京都がつくる意義を、ぜひご家族に伝わる方法で配布をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、ファミリーセンタードケアについて伺わせていただきます。
 NICUにおいて両親が、出産した子供、いわゆる入院児ですけれども、入院児と一緒に時間を過ごし、治療やケアに積極的に関わること、またそれらをサポートすることをファミリーセンタードケアといいます。
 NICU入院児の家族支援の一つでありますファミリーセンタードケアについて、都の取組、そして見解を伺わせていただきます。

〇新倉医療政策部長 ファミリーセンタードケアは、関連学会などでは家族と一緒に気づく医療といわれ、家族と医療者が一緒に子供のケアを実施することでございます。
 海外では、NICU入院児の家族支援の取組の一つとして、ファミリーセンタードケアが推進され、日本では、長野県立こども病院などにおきまして、海外の取組事例を取り入れたファミリーセンタードケアが開始をされております。
 都におきましては、有識者や新生児科の医師などとの意見交換や医療機関における取組状況の視察などを行っておりまして、今後、ファミリーセンタードケアの取組が進むよう、必要な支援策について検討してまいります。

〇荒木委員 ありがとうございます。ぜひ、検討を深めていただきたいと思います。
 次に、母乳バンクについて伺わせていただきます。
 都内には、二か所の母乳バンクがありまして、私も視察をさせていただきました。一緒に視察に伺いました我が会派の伊藤大輔都議から、第一回定例会において必要性などについてお伝えし、普及啓発を求めてまいりました。
 必要な赤ちゃんに確実にドナーミルクが届くよう、東京都として普及に向けての取組を行っていただきたい、そして、まだまだこのドナーミルクや母乳バンクについて認知度が低いため、啓発にも取り組んでいただきたいと思いますが、都の見解を伺わせていただきます。

〇新倉医療政策部長 母乳は、WHOや小児科学会におきまして、千五百グラム未満のごく低出生体重児等の疾病予防や健康状態の改善に一定の効果があるとされており、母親がサイトメガロウイルスに罹患し、母乳による児への感染を避けるべき場合など、母乳が得られないときにドナーミルクの活用が推奨されております。
 都は今年度、母乳バンクの認知度向上やドナーのさらなる確保を図るため、東京都出産・子育て応援事業のメールマガジンによる周知や普及啓発用チラシを医療機関や区市町村において配布するなど、普及啓発を実施してまいりました。
 今後、関係機関と連携しながら、さらなる普及啓発に取り組んでいくとともに、NICU入院児等が必要なときにドナーミルクを使用できるよう、新たな支援策を検討してまいります。

〇荒木委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、乳幼児の歯科保健について伺わせていただきます。
 生えたての乳歯は表面が軟らかい状態にあるため、永久歯と比べて酸への耐性が低く、虫歯が進行しやすいといわれています。
 現在、法律で定められた乳幼児の歯科健診は、一歳六か月と三歳児に対して実施をされていますが、乳歯は六か月頃から生えてくることから、保護者に対し、より早い段階から歯科に関する情報提供が必要だと考えています。
 そこで、東京都の取組について伺わせていただきます。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 乳幼児期は、歯並びやかみ合わせといった口腔機能を獲得する大切な時期であり、保護者による日々の仕上げ磨きや口の中の観察等が重要となります。
 都はこれまで、子供の月齢に応じた歯科保健に関するリーフレットを作成して区市町村に配布するほか、今年度は、乳幼児期の口腔機能の発達に関する動画を制作し、配信しております。
 今後、区市町村、関係団体等と連携しながら、乳幼児の歯や口腔に関する必要な情報が保護者に届くよう、東京都出産・子育て応援事業のメールマガジンやSNSの活用等により、普及啓発の取組をより一層推進してまいります。

〇荒木委員 ぜひ、特に乳児は自分では歯磨きができないわけでありますから、当然のことながら、子育て家庭に今ご答弁をいただきましたその重要性とか、また、それがしっかりと届くように、そして、これも答弁をいただきましたけれども、観察することの機会が得られるように、歯、そして口、そして口腔に目を向けていただくあらゆる機会を捉えていただく努力をしていただきたいと要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

〇高倉委員 それでは、最初に、子宮頸がんを予防するHPVワクチンについて質問させていただきます。
 このHPVワクチンの接種でありますけれども、積極的な勧奨を控える時期に遭ってしまった方々がいらっしゃいまして、そういう接種機会を逃した方々を対象にして、今年度まで三か年で、キャッチアップ接種というものが行われてきたわけであります。
 このキャッチアップ接種が、今年度最終年度に当たりまして、期間中に希望者が確実に接種できますように、対象者への周知が大変重要であるということを私もずっと訴えてまいりました。
 そこで、まず、キャッチアップ期間中の接種実績と周知について、都の取組をご答弁いただきたいと思います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 令和四年度にHPVワクチンのキャッチアップ接種を受けた方は、それぞれ一回目三万五百八十五人、二回目二万四千二百二人、三回目一万四千七百十三人でございます。また、令和五年度は、それぞれ三万九千八百八十五人、三万五千五十五人、三万四千二百六人でございます。
 都はこれまで、キャッチアップ接種に関する啓発用リーフレットを作成し、都立学校や大学等に配布するとともに、学生向け講演会等の機会を活用し、普及啓発を行っております。
 また、企業や社会人に対して、職域を通じた呼びかけや新聞広告、リーフレット等を活用した周知を行っています。
 さらに、本年七月、ポータルサイトを新規開設し、キャッチアップ接種の対象者、接種時期等を分かりやすく紹介するとともに、動画広告やバナーでサイトへ誘導するほか、SNSなど様々な手段を活用し、期間中の接種を検討するよう呼びかけを行っております。

〇高倉委員 今、令和四年度と令和五年度の一回目、二回目、三回目のそれぞれの接種数を答弁いただきました。なかなか、例えば、どれぐらいの接種率であるのかということの把握が若干難しいわけです。
 分母がはっきりしていれば分かるわけですけれども、一回目、二回目、三回目という、三回打たなきゃならないというようなことがあって、都の方もホームページの方で接種率なんかは出していると思いますけれども、国の方の接種率の計算にのっとってやっていらっしゃるんじゃないかなと思いますが、それもちょっと高めに出るっていう指摘もあって、厚労省の審議会の方では、専門家の先生が別な接種率の算定方法なんかも出してきているわけでありまして、なかなかこの正確な把握が難しいということでありますが、キャッチアップ接種の接種率というのは、やはりちょっと低いということは事実だったと思います。
 今答弁にありましたように、都としてもこの周知に取り組んできたわけでありますが、三回目の接種を期間内に無償で受けるためには、この十一月ぐらいまでに一回目の接種を受ける必要があったわけであります。
 通常は、一回目の接種から三回目の接種を受けるまで、標準のスケジュールでは六か月ぐらい期間が必要であると。その一方で、最短四か月で接種することも可能であるということで、そうしますと、キャッチアップ接種を今年度中に無償で受けるためには、もう既にこの十一月に第一回目を受けていなければ、事実上、もう三月までに三回目を受けることが不可能であって、そうしますと、来年度にずれ込んでしまうというようなことがあるわけであります。
 そこで、先ほど答弁にもあったとおり、ポータルサイトなんかを出していただいて、非常に周知をしっかりやっていただいた、逆にその結果なんですけれども、この秋に駆け込みの接種というのが重なってしまいました。
 これは別に悪いことでは決してありませんが、ワクチンの需給が逼迫したというような事態もあったわけでありますけれども、ワクチンの供給は大丈夫なのかどうか、都のご認識をお伺いしたいと思います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 HPVワクチンのキャッチアップ接種は三回の接種が必要であり、年度内に接種を完了するため、九月に接種需要がメーカーの出荷量を上回ったことから、一時的にワクチンの入手が困難となりました。
 メーカーによりますと、多くの方が接種を希望する九価ワクチンについては、出荷時期の可能な限りの前倒しと増産に取り組んでおり、十月の出荷量は九月と比べて三割増となっております。

〇高倉委員 今ご答弁もいただいて、何とかこうした逼迫にも対応していただくようなことで、関係するところでご努力していただいているというふうに思います。
 先ほど申し述べましたように、このキャッチアップ接種、今年度が三か年目で、終了するわけでありますけれども、この十一月を過ぎてしまいますと、先ほど申し上げましたように、この後一回目を打っても、もう三月までに必要な三回目までの接種を打つことは事実上できないわけでありまして、その際には、年が明けて、いわゆる年度が変わって二回目、三回目を受けなきゃならないという人が当然出てくるわけでありまして、これがいわゆるキャッチアップ接種の無償接種の対象にならないということが、ずっと懸念されてきたわけであります。
 私もこの委員会でそのことは指摘させていただいて、九月、あるいは十一月までに何とか希望する方々が接種の機会を逃さないようにできるように、周知をしっかりやってほしいということで、先ほどご答弁ありましたけれども、しっかり周知もしていただいたわけであります。
 ただ、接種率がやはり低いんですね。本来であれば、ちゃんとした情報があればきちっと接種をしたいという方々が、残念ながらその情報が十分でなかったために、つまり、以前、国が積極的な接種勧奨を控えてきた時期に相当した方々が、今そういう事態にあるわけであります。そうすると、このキャッチアップ期間が終わると今度は有料でもって、自己負担でもって受けなければなりませんので、非常に高いです、これは。
 したがって、なかなか受けることが難しいということで、私は、来年度もこれは継続してやるべきだというふうに、以前からずっと思ってきておりましたが、昨日開催されました厚労省の厚生科学審議会予防接種ワクチン基本方針部会が、令和七年の三月末、つまり今年度末で終了とされていたHPVワクチンのキャッチアップ接種期間を、条件付で延長するということを了承したということであります。
 今年度末までに一回以上接種した方に限りまして、最大一年間延長する、いわゆる無償で二回目、三回目を受けることができると、こういうことであります。この夏以降の需要の大幅な増加に伴うワクチンの限定出荷の状況等を考慮して、接種希望者が機会を逃さないように経過措置を設けるとしたわけであります。
 これは、キャッチアップ接種の対象者だけではなくて、現在の高校一年生、この方々も同じなんですよ。つまり、この十一月までに一回接種をしないと、もう来年度に入っちゃうわけですね。そういう方も含めて、今いったみたいに条件付ですけれども、一年間、この無償接種の期間を延ばしたということが、昨日部会で決定して、都の方には、正式に来るのはまだまだこれからだと思いますけれども、これは、もう恐らくそういうふうになってくると思います。
 したがって、こういう延長がされたということを知らずにいる方にとっては──延びたわけですよ、十一月までじゃなくて来年の三月まで延びて、そこまでに一回目をやれば、来年、接種する場合には、同じように無償で接種ができるということなんですけれども、この情報を知らない場合に、来年の三月までに初回の接種を受けなければ、この経過措置の対象とならないということであります。
 したがって、具体的にこの延長の対象となる方々は、平成九年度から二十年度に生まれた方、現在の高校一年生もここにプラスして含まれるわけでありますけれども、このワクチンの未接種者に対しまして、令和七年三月末までに初回接種を実施すれば無料接種期限が延長されるということを、これ、ぜひ郵送の通知で個別に伝えるべきであるというふうに私は思いますので、実際接種を行っている区市町村に対して、都は個別の通知を行うように要請していただきたいと思います。
 これも初回接種の期限を考慮しまして、三月頃慌ててやってももう遅いんで、その期限が迫る少し前の二月ぐらいまでにはこうした対応が必要ではないかというふうに思いますので、ぜひ、区市町村に対して、そうした要請を発出していただきたいというふうに思います。
 さて、それから、このHPVワクチンです、先ほどキャッチアップのお話をしましたけれども、これは定期接種になっているわけであります。これがずっと続いていく、定期接種でありますけれども、公費の負担で接種できる期間中に完了ができるように、接種の働きかけなど、工夫した周知啓発を行いまして、接種促進に取り組んでいくことが必要であります。
 特に、定期接種の最終年齢に当たる高校一年生世代に対しては、二回目、三回目の接種が年度内に終わるように、個別通知などの働きかけが必要と考えます。具体的には、令和七年度の夏休みまでに、来年度の高校一年生世代に対して、やはり個別通知を発出する必要があるんではないかと思います。
 先ほどキャッチアップのお話をずっとしてきましたけれども、それとは別に、いわゆる定期接種としてこれからずっと定期接種の対象になる方いらっしゃるわけですけれども、その最終年度の高校一年生世代は、三回目を無償化の支援の中で受けることを、ちょっと時期を逃しちゃうことが、危険性があるんですよ。
 先ほど申し上げたように、秋の九月とか十一月とか、こういったところを、第一回目を逃しますと無償で受けられないということになりますので、これからの定期接種について、しっかりとこうしたことを配慮して周知を徹底するように、特に区市町村に対して、都としてもお願いしたいというふうに思いますけれども、このことについて見解をお伺いします。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 HPVワクチンの定期接種については、ワクチンの有効性や安全性に加えて、国が示している標準接種年齢、また計画的な接種の重要性などについても分かりやすく発信していくことが重要です。
 都は、こうした情報が対象者に届くよう、接種主体である区市町村による対象者への個別勧奨に加え、学校を通じた情報提供のほか、SNSによる発信、予防啓発イベント等での周知など、多様な取組を行っています。
 また、本年七月より新規にHPVワクチンポータルサイトを開設し、定期接種の対象者に必要な情報を分かりやすく発信しており、この中でも、特に高校一年生に対しては、早めの接種検討を呼びかけているところでございます。

〇高倉委員 ワクチン接種について、最後に、東京都は、HPVワクチンの男性接種に対する費用助成を行う区市町村に対して、今年度から都が補助を実施しているということでありますけれども、利用自治体数についてご答弁いただきたいと思います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都はこれまで、小学校六年生から高校一年生相当の男性を対象にした新規の補助事業について、実施主体である区市町村に向けて、事業の趣旨や内容を説明してまいりました。
 その結果、今年度三十三自治体から交付申請を受けているところでございます。

〇高倉委員 この助成事業については、令和七年度も同様に継続をして、できるだけ早く全区市町村で実施ができるように推進をしていただきたいというふうに思います。
 がん対策に関連しまして、もう一点質問したいと思います。男児、男の子ですね、男児の精巣の保存についてであります。
 放射線や抗がん剤によるがん治療を受けますと、治療がうまくいっても、生殖機能への影響により不妊になるケースが心配をされます。生殖機能を維持するため、成人、大人ですね、成人については、卵子や精子を凍結保存する技術が使われております。また、子供のうちに、女児、女の子ですね、女児についても、凍結した卵子を成人後に体に戻し出産することも可能になっているということであります。
 一方で、精巣が未熟な男児、男の子については、これまで方策がありませんでしたけれども、日米の共同研究チームが、男児の精巣の一部を凍結保存し、成人後に正常な精子をつくれるようにする治療技術を開発しまして、これを踏まえて、国は来年度にも精巣バンクをスタートさせる方針であるというふうにも聞いております。
 そこで、がん対策として生殖機能温存治療への支援を積極的に推進してきた都は、今後の施策展開に生かせるよう、新たな男児の精巣凍結保存による生殖機能温存治療の動向にも着目すべきと考えますけれども、見解を求めたいと思います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 若年のがん患者等が、将来子供を持つことに希望を持ってがん治療に取り組めるよう、生殖機能温存治療に係る環境整備は重要と認識しております。
 都では令和三年度から、がん患者等への生殖機能温存治療費の助成事業を実施しており、受精卵や卵子、卵巣組織、精子の凍結保存に対して助成をしているところでございます。
 精巣につきましては、凍結保存後の治療法が確立されておりませんが、現在、精巣細胞から精子をつくる研究が大学などの研究チームにおいて進められており、その動向を注視してまいります。

〇高倉委員 次いで、ドクターヘリについてお伺いをしたいと思います。
 私ども都議会公明党は、全国展開をしているドクターヘリを東京に導入するように訴えてきたわけであります。
 もともと東京は、東京型ドクターヘリという、逆に全国に先駆けるような形で実施をしておりました。東京消防庁のヘリを使ってやっていたわけであります。したがって、要らないんじゃないかという、そういう意見もかなり強かったわけでありますけれども、全国でずっと国が各道府県に展開をしてきたドクターヘリ、これ実は小型のヘリなんですね。したがって、機動性があって小回りが利くと。つまり、着陸する場所は大型とか中型のヘリに比べると、いってみれば選択肢が広いといいますか、東京消防庁のヘリはやはりすばらしいヘリなんですけれども、中型、大型のヘリなわけであります。
 なおかつ、近隣県も国の方で導入している、まさに全国展開をしているドクターヘリ、同じようなシステムで導入をしておりますので、いざというときに、平常時の救急医療についても災害時についても、相互の、いってみれば相互活用というんでしょうかね、お互い連携をして活用するっていうことは、実にスムーズにいくというようなメリットもあるわけであります。
 こういうドクターヘリなんですけれども、東京では、こちらの都市部といいますか、二十三区の方では、もう救急車の方が速いということがあって、必ずしも国が展開しているドクターヘリというのは、必要かというとそうでもないかもしれませんが、多摩地域ではやはり、これ有用なんですね。
 多摩地域でもってこれ導入されてからランデブーポイントという名前で、つまり患者さんをあるところまで運んできて、そこでもってそこにドクターヘリが着陸をして、ヘリにそのときはもう医師が乗っていますので、そこから治療が始められるわけですけれども、そこから運ぶ、まさにそのドクターヘリとドッキングする、このポイント、ランデブーポイント、これが大変重要になってくるわけでありますけれども、ランデブーポイントの現状の数について、教えていただきたいと思います。

〇新倉医療政策部長 都が令和四年三月末から開始しております東京都ドクターヘリ事業は、一一九番通報時に、救急車の出動とともに消防司令室が通報内容から重症、重篤と判断した場合、直ちにドクターヘリの出動を要請し、迅速な救命措置を最優先にした運用を行っております。
 今お話にあったランデブーポイントでございますけれども、ドクターヘリが救急車から患者を引き継ぐ場所でございまして、四年三月末の運航開始時は九十九か所であったところ、現在は百九十五か所となってございます。

〇高倉委員 東京の一番西側に奥多摩町があります。奥多摩に我が党の都議会議員はおりませんので、私も時々あっちに行きまして、東京都に関する要請等、我が党の町会議員はおりますので、いろいろお聞きをしたりするわけであります。
 今年、奥多摩町で、災害をテーマとしたちょっとした集会がありまして、私も呼ばれてそこでいろんなお話をしたときに、このドクターヘリのお話をしました。ちょうど奥多摩町の町長さんもそこにいらっしゃっていて、我が党の町会議員を通じて実は要望がありました。
 奥多摩町には日原っていう地区がありまして、皆さん、まだ覚えていらっしゃると思いますけれども、台風の大きな災害があったときに、あそこ一本しか道がないんですね、あの道が崩壊しまして孤立集落になったわけであります。知事もそのときに山を迂回して現地まで行かれたということがありましたけれども、あそこの日原には鍾乳洞があって、観光客も数多く行くということがあって、ただし、道が一本しかないんで、いざというときに大変なことにもなりかねないということで、あそこにランデブーポイントを一つ増やしてほしいと、こんなような要請がありまして、私も現地をちょっと見てまいりました。
 こうしたランデブーポイントがない地点にも増やしていく必要があるというふうに思いますけれども、不足していると思われる地域に対しまして、都としての考え方、取組の方向性についてご答弁いただきたいと思います。

〇新倉医療政策部長 ドクターヘリを効果的に運用するためには、ランデブーポイントの確保が重要でございます。
 都はこれまで、地元自治体や消防機関と連携し、運動場等の施設管理者への働きかけなどによりまして、ランデブーポイントを拡充してまいりました。
 今後も地域のニーズを踏まえながら、関係者への情報提供や個別の働きかけを行うことによりまして、ランデブーポイントの確保を進めてまいります。

〇高倉委員 ドクターヘリの最後に、災害時の訓練についてお話をさせていただきたいと思います。
 非常に東京のドクターヘリは、出動する回数も多いんですね、非常に頻繁です。本当にしっかりとしたノウハウを持っているお医者さんが乗っていますね。杏林大学の先生が中心になってやっていますけれども、立川に基地を置いて非常に広範囲に頑張っているわけであります。
 なかなか日常的には、ほかのことをやる余裕はないというような状況にあるのかもしれませんけれども、災害時の訓練といったようなことは、やはりドクターヘリも参加をしてしっかりとやっておく必要があるんですね。大変、救急活動で忙しいということは当然あるんですけれども、そういったいざというときに、ほかの機関とも連携ができるような災害時の訓練、こういったことはとても重要だというふうに思います。
 ドクターヘリが訓練に参加をしていくということ、非常に大事ですけれども、こうしたことについて、都の取組について見解を求めたいと思います。

〇新倉医療政策部長 ドクターヘリでございますが、先ほど委員の方からも出動実績が多いということでお話しいただきました。令和四年度は六百八十三件出動してございまして、そのうち診療人数は百五十人、また、五年度につきましては千三百六十件出動いたしまして、診療人数は三百六人でございました。
 こうした中におきまして、都内での災害発生時には、ドクターヘリは東京都災害対策本部の指示の下、出動することとしてございます。
 本年九月には、国と合同で実施いたしました首都直下地震を想定した大規模な実動訓練にドクターヘリも参加をいたしまして、医療対策拠点等と調整を行いながら、被害の大きかった区部から被害の少なかった多摩地域へ重症者を搬送する訓練を行いました。
 災害時にドクターヘリを有効に活用できるよう、今後も様々な訓練にドクターヘリを積極的に参加させてまいります。

〇高倉委員 最後に、動物の施策について質問させていただきたいと思います。
 先ほども他の委員の方から動物のことについては質問がございましたけれども、私の方からも改めてお聞きをしたいと思います。
 東京都は動物の殺処分ゼロを達成したとしているわけでありますが、一方で、動物福祉等の観点から行います致死処分というふうに呼んでいるんだと思いますが、これは実施しておりまして、都民にこの殺処分と致死処分の違いといったようなことが十分に伝わっていないんではないかというふうにも思いますけれども、動物の殺処分について、改めて都の考え方についてお伺いしたいと思います。

〇中川健康安全部長 都は、動物愛護相談センターで引取り収容した動物の致死処分のうち、苦痛からの解放が必要、著しい攻撃性を有する、または衰弱や感染症によって成育が極めて困難と判断される動物について、動物福祉等の観点から行うもの及び引取り収容後に死亡したもの、これらを除いたものを殺処分としております。この対応は国の考え方にも合致しております。

〇高倉委員 今、都の考え方をいただきましたけれども、やはり端的にいうと、助かる見込みのない動物っていうことはあるんじゃないかとは思いますけれども、今後の方向性として、そうした動物も最大限、やはり医療的対応も含めて助けていく、こうした方向性は、ぜひ持っていただきたいと私は思っております。
 殺処分をなくしていく、ゼロにしていく、これは本当にすばらしい方向性だと思いますけれども、一方で、やむを得ずっていうことだとは思いますけれども、そういうふうなことをされてしまう動物がいる中で、もっともっと対応をしっかり充実をさせて、この数をもっともっと減らしていく、かなり減ってきているってことは私も承知はしていますけれども、ぜひ、それはよろしくお願いしたいと思います。
 この動物の殺処分ゼロの継続に向けた取組について、答弁をいただきたいと思います。

〇中川健康安全部長 都は、保護した動物の譲渡を進めるため、ボランティア等と連携して譲渡に取り組むとともに、都独自に動物譲渡促進月間を定め、譲渡活動を多くの方に知っていただくための広報やイベントを実施しております。
 また、飼い主が責任を持って動物を最期まで適正に飼うことができるよう、東京都動物情報サイト、ワンニャンとうきょうやポスター、リーフレット、講習会等において、飼い方に関する普及啓発を実施しております。さらに、区市町村による飼い主のいない猫対策など、地域の取組を包括補助により支援し、動物愛護相談センターに保護される動物数の減少に努めております。
 こうした取組により、平成三十年度に動物の殺処分ゼロを達成し、令和五年度まで継続しております。

〇高倉委員 今答弁の中で動物愛護相談センターに保護される動物数の減少に努めていると。これは、いろんなことを取り組んで、結果として保護される動物数の減少に努めているというお話でありました。
 動物愛護相談センターに保護される動物を減らすためにやるっていうふうなことではなくて、やはり様々な取組をした結果として、センターに保護される動物の数が減っていく、今の答弁はまさしくそういうお考えだったというふうに思いますけれども、そこら辺がこう、考え方がひっくり返らないようにしていただきたいというふうに思います。
 いずれ新しい動物愛護相談センターが整備をされるときには、こうした動物保護の機能もしっかりと持つようにということを私たち公明党はずっと訴えてきておりますけれども、この点をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 都が殺処分ゼロを継続していくためには、動物の譲渡などに関わるボランティアの協力が欠かせないわけであります。ボランティアの活動を支援するための都の取組について、答弁をいただきたいと思います。

〇中川健康安全部長 動物愛護相談センターで保護した犬や猫のうち、負傷によりボランティア等への譲渡後も継続的な治療が必要な場合は、保護用具やペットシーツなどを提供するとともに、離乳前の子猫を譲渡する場合は、ミルクや哺乳瓶などを提供しております。
 都民がボランティアから動物を譲り受ける方法やボランティアが実施する譲渡会の情報などにつきましては、都の情報サイト、ワンニャンとうきょうで広く発信し、その活動を支援しております。
 また、地域において、ボランティアと協力し、飼い主のいない猫対策や飼い主への相談支援、動物の一時保護、譲渡等の取組を行う区市町村に対しまして、包括補助により支援しております。

〇高倉委員 このボランティアの存在は、都の動物保護施策にとってとても重要な存在であるというふうに思っております。東京都が殺処分ゼロをずっと継続してきているというその背景には、このボランティアの方々の活動抜きには考えられないといっても過言ではないと私は思っております。
 したがって、動物を積極的に引き取って、いろんな状態の動物がいるとは思うんですけれども引き取って、例えばボランティアの団体に加盟している方々が、自宅でもって育てながら、そして新たな飼い主につないでいくということをずっと日常的にやっているわけであります。したがって、その過程においては非常に費用も当然かかるわけですよね。もちろん大変な手間もかかるわけであります。
 したがって、東京都は、この殺処分をなくしていくということを今後もずっと継続していくということについては、このボランティアの存在というのを非常に大事な存在というふうに捉えて、民間の力を借りましょうみたいな形だけではなくて、やはりもう一緒になって動物の殺処分をなくしていく、こうした本当に非常に大事なパートナーとして今後進めていっていただきたいと思います。
 そのためにも、やはりどういうところでお金がかかっているのかとか、どういうところが大変なのかとか、こういうことをよくご意見、要望も聞いていただいて、新たな支援策なり何なりというのもその都度考えていっていただきたいと思います。
 譲渡会を行うにしても、やはり会場を探すだけでも大変なんですよ、すごくですね。以前、新宿駅のそばの、皆さんもよく行く大きなデパートのあるフロアを全部使って譲渡会をやっておりました。よく譲渡会をやると、鳴き声がうるさいんじゃないかとか、臭いがするんじゃないかとか心配して、なかなか公共の会場なんかは貸してもらえなかったりするわけですけれども、行ってみて感じたのは、鳴き声もほとんどなければ臭いも何にもしないと。普通に、デパートの商品を売っているようなフロアの一つでやっていましたので、したがって、そういう譲渡会の会場提供等についても、ぜひ力を貸してあげていただきたいというふうに思います。
 令和元年に動物愛護管理法が改正されまして、動物虐待に対する罰則が強化をされました。動物は依然物として扱われるために、虐待事案に対し強制力を持って対処できないわけであります。
 都は、虐待防止対策をさらに強化するための取組を進めるべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

〇中川健康安全部長 動物の愛護及び管理に関する法律では、飼い主による不適正な飼養管理が行われている場合においても、行政機関が強制的に動物を保護できる規定は存在しません。都は、動物虐待が疑われる事例を探知した場合は、区市町村や警察と連携して対応し、適正飼養の指導や譲渡の働きかけを行うほか、警察が虐待事案として対応する場合には、当該動物の保管に協力しております。
 今後も、ホームページやポスター等により、広く都民に対し動物の虐待防止に関する普及啓発を実施するとともに、区市町村や警察等関係機関と連携して、動物虐待に対応してまいります。

〇高倉委員 国の方でも、さらに法改正をしていかなきゃならないというようなことで、いろんな今動きもありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、都は昨年度、動物愛護相談センター整備基本計画、第一次の基本計画ですけれども、策定をしました。
 センターは、動物の保護などの施策をより推進していく施設でありまして、整備に当たっては、周辺の方々の理解を得ながら整備候補地を決定していくことが重要になると思いますけれども、現在の検討状況についてお伺いしたいと思います。

〇中川健康安全部長 都内に三か所設置している動物愛護相談センターは、普及啓発や動物譲渡、事業者の監視指導など、都の動物愛護管理施策の中核的役割を担っております。
 センターを都民に身近な動物との共生推進拠点とするには、保護した動物を健康な状態で譲渡できるよう、動物福祉に配慮し、飼養管理する体制の充実や都民ボランティア等との協働の促進など、現在の機能を強化する必要があります。
 本年三月には、センターに必要な機能と整備の方向性を示した第一次基本計画を策定したところでございまして、現在、新たなセンターの整備に向け、候補地や整備方針などについて検討を進めております。

〇高倉委員 新たなセンターの整備に当たっては、基本計画がしっかりできませんと、そこから前へ進めませんので、ぜひ引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。
 今日の質問の最後に、この動物施策と関連することで、都内にあります獣医系の大学のことについて質問させていただきます。
 都内には獣医系の大学が複数あるわけであります。私がよく行ってご意見を聞いてきたりしているのは、武蔵野市にある日本獣医生命科学大学、あと東京大学ですとか、東京農工大学ですとか、そういったところに獣医系の学部といいますか、そういうのがあるわけであります。
 動物の保護機能を高めるためには、センターの整備と併せて、専門的な知見や高度な医療体制を持つこれらの大学と協働して事業を行うことも有用であると考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

〇中川健康安全部長 動物愛護管理施策を推進するに当たり、専門的な知見を持つ獣医系大学との協働は重要であり、都は、動物愛護相談センターに保護された動物の飼養管理に関する助言等の協力をいただいております。
 現在、獣医系大学との協働をさらに推進するため、最新の知見を活用した動物の治療やトレーニングの実施方法などについて、大学と意見交換を進めております。

〇高倉委員 以上で質問は終わりますけれども、今最後のご答弁をいただきました。特にこの獣医系の大学でありますけれども、普通に動物がいるところなんですよね。先ほどセンターのお話をしましたけれども、なかなか候補地を探すときに、動物がいる場所でということで理解を得られないというようなことがあるかもしれませんが、この獣医系の大学というのは普通にふだんから動物がいるところで、それから、まあいってみれば、ちょっと変ないい方になりますけど、人手もあるっていうことなんですね。それは単なる人手というんじゃなくて、学生さんたちがいて、自分のまさに勉強のために動物と常日頃接していると。
 そして、大学に非常に高度な動物の医療施設もあったりして、非常に、普通に見てすばらしい場所なんですよね。動物の施策を進めていくに当たって、先ほど協働という話もありましたけれども、非常にいいところであるというふうに思います。
 大学の方からは、災害時のお話もあって、東京都と災害時の協定を結んでしっかりと力になっていきたいと、こういったことも、かねがね私もいろいろとお話を聞いてきておりますので、こういったところも視点を置きながら、そうした獣医系の大学と今後とも意見交換も重ねていただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。

〇里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いします。
 今日は、まず初めに、国民健康保険組合について質問をいたします。
 国民健康保険組合は、都民三十六万五千人を擁しており、国民皆保険制度が施行される以前に設立された、区市町村の国民健康保険の補完的な役割を果たしています。建設、理容、美容、料理飲食、芸能人など、様々な同種同業の組合員で構成されている、この利点も生かして経営しています。
 しかし、少子高齢化の進展や医療技術の高度化、高額薬剤の保険適用等により、医療費は増えていきます。また、現役世代の高齢者医療制度への支援金や納付金及び介護納付金の増加など、国の度重なる制度変更で国保組合の財政運営は大変厳しい状況が続いています。
 多くの国保組合では、これらの要因により保険料の引上げを行っており、さらなる組合員の保険料負担は困難な状況です。さらに、国保組合の被保険者数は減少傾向が続いており、業種においては、公共料金の値上げや原材料価格及び人件費の高騰などで廃業を余儀なくされる組合員さんも増加している、被保険者数が減少し続けている、こういう話も聞いてまいりました。
 国保制度の健全な事務運営の維持には、東京都からの補助金の現行水準の確保が最低限欠かせません。建設国保など都内二十一国保組合に対する都補助金の内容と過去三年間の実績をまず伺います。

〇井上地域保健担当部長 国民健康保険組合に対する都費補助金は、都内被保険者の負担軽減のため、国保組合が支出する医療給付費等の一部と国保組合が行う特定健診、特定保健指導の費用の三分の一を補助対象としております。
 補助金の実績は、令和三年度は約四十四億七千万円、令和四年度は約四十三億六千万円、令和五年度は約四十二億三千二百万円となっております。

〇里吉委員 被保険者が減少しているということですので、金額、若干減っていますけれども、都費補助金は現行水準を確保していることが確認できました。
 次に、特定健診、特定健康指導に係る補助の内容と過去三年間の実績について伺います。

〇井上地域保健担当部長 平成二十年四月から、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、国民健康保険組合においても、特定健康診査、特定保健指導の実施が義務づけられていることから、四十歳以上七十五歳未満の都内在住の被保険者に関わる特定健康診査等の費用を補助しております。
 補助金の実績は、令和三年度は約一億円、令和四年度は約一億九百万円、令和五年度は約一億九百万円となっております。

〇里吉委員 こちらは若干金額が増えているんですけれども、ご説明聞きましたら、特定健診などの受診率が上がっているということで、こちらも現行水準が維持されているということを確認させていただきました。
 最低限必要な最低水準を維持されているということなんですけれども、ここで毎回、特に建設国保の方などからご要望いただいているのは、特定健診、特定保健指導の補助が、実際にかかっている費用の三分の一になっていないということなんですね。
 二〇二三年度のある区の医師会の特定健診の単価を見ると、一万八百円、自己負担三割を除いた額で七千五百六十円のうち、国が三分の一、都が三分の一負担をすると本来であれば二千五百二十円になるのですが、実際、国から出ているのは千六百六十八円と、実質的な補助率は東京都も国もそれぞれ二二%ずつとなっているんですね。
 特定保健指導もやはり、国の分も都の分も実際にかかった費用の約二割程度しか補助されていないのが実情です。
 この特定健診などへの補助は、実際、三分の一の補助になっていないということで、これ補助単価の見直しがどうしても必要だと思うんですけれども、このことについて、都としての対応、見解について伺います。

〇井上地域保健担当部長 特定健康診査及び特定保健指導につきまして、都は国に対し、健診等実施機関への委託契約単価など、実情を踏まえた財政支援を求めており、また、国民健康保険組合につきましては、国の補助を法律上位置づけることを提案要求しております。

〇里吉委員 これも聞きましたら、毎年のように国にも求めていただいているということなんですけれども、国に求めるのは当然のことなんだと思うんですけれども、金額を聞きますと、余りにも実態と乖離しているわけです。ですから、国に求め続けることは大事なんですけれども、東京都だけでも実際にかかっている費用の三分の一を何らかの形で負担するということができないのか、独自に、都だけでも金額を引き上げられるような検討をしていただきたいということは要望しておきます。
 そして、次に、建設国保のがん検診について伺いたいと思います。
 これも本当に切実な声が寄せられているんですが、皆さんご存じのように、建設現場では様々な種類の職業病が発生していますが、特に、長年にわたってアスベストに暴露してきた方が多く、アスベストによる肺がんなどの病気を発症する人が少なくありません。そこで、建設国保では、特に肺がん検診に力を注いでいるわけですね。
 これに対して国は、二〇一六年から国保組合が実施するがん検診への補助を行っておりますけれども、この国の補助について、まず、どのようなものか伺います。

〇井上地域保健担当部長 国は、国民健康保険組合が保険者機能をより一層発揮することにより、国民健康保険事業の円滑、適正な運営の確保と財政運営の安定化に資することを目的といたしまして、国保組合が実施するがん検診事業等への補助を行っております。
 補助対象である検診の種類は、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんとなっております。
 補助金は、国保組合が独自に実施するがん検診及び被保険者ががん検診を受診し国保組合が費用の一部または全てを補助している場合に交付されるものでございます。

〇里吉委員 国の補助は、それぞれのがん検診の国保補助交付基準額というのがあって、それにその年の対象者数と前の年の受診者率を掛けて、〇・二五で計算するということでした。今いわれた五つのがんに対してはそういう補助金がスタートしているということで、これは大事なことなんですけれども、しかし、四分の一しか補助がないということで、これに東京都も補助を行えば、がん検診の促進を図ることができると思うんですね。
 建設国保では、アスベストにより肺がんなどを発症する人が増加しているために、より丁寧に早期発見に努める特別の努力をしております。
 アスベスト専門医による胸部エックス線写真の再読影を行っているなどお話を伺ってきましたけれども、これは、国のがん検診の基準にはないものなのかということを確認したいんです。その場合は、この補助の対象にもならないので、全て組合の独自負担で取り組むことになるのか確認します。

〇井上地域保健担当部長 国の国民健康保険組合に対するがん検診の交付基準は、肺がんの場合、胸部エックス線検査と胸部エックス線検査及び喀たん細胞診の二種類となっております。

〇里吉委員 これも、私も読ませていただいたんですけれども、年一回って書いてあるんですよね。そうすると、再読影だと二回少なくともしなくちゃいけないから、これは今の答弁だと、国のがん検診の対象には含まれていないということだと思うんですね。
 建設国保では、特にアスベスト被害によって肺がんなど発症する加入者を早期に発見して、自己負担なしで治療を受けたり、休業補償なども給付されるように労災認定の推進にも取り組んでおりまして、この検診事業が本当に大きな役割を果たしていると伺っています。実際にこの検診で肺がんが見つかって、休業補償も含めて、医療費もかからずに治療に当たられている方もいるということで、本当に大事な取組だと思います。
 区市町村が行うがん検診に係る経費については、区市町村の一般財源から出すことが可能です。しかし、国保組合が行う場合は、行政からの補助金以外の分は保険料を原資として出すか、もしくは自己負担とするしかないわけですね。
 ですから、建設国保が行っているがん検診に対しても都として支援できないのか、ぜひこれも、積極的に検討していただきたいということを最後に求めまして、質問を終わります。

〇中村委員 それでは、保健医療局について、事務事業について質問します。
 初めに、感染症対策について質問します。
 新型コロナが猛威を振るいました。今でも、まだ終わったわけではないとは思っていますが、当時から含めて、医療関係者の方々はじめ、多くの方々の献身的な取組を改めて感謝をします。その上で質問したいと思います。
 コロナのときには、都内には全部で十万床病床があるにもかかわらず、確保された病床数からすると病床確保が十分にできていなかったのではないかと思われます。各病院にもともとの入院患者がいて、動線の確保も必要であり、人材確保も大変だったいうと事情は十分に分かりますが、少なくとも入院する必要がある人も在宅療養を強いられました。さらに感染が拡大していたら、これでは済まなかったのかもしれません。
 病床確保について十分だったといえるのでしょうか、見解を伺います。

〇小原感染症対策調整担当部長 都は、新型コロナ対応におきまして、患者を受け入れる病床を確保するため、都立病院や独立行政法人の病院、大学や民間の病院などに対して、その機能や役割に応じて病床確保を要請し、順次病床の拡大を進めました。
 デルタ株の感染が拡大した第五波では、令和三年八月に全国で初めて国と連名で感染症法に基づく協力を医療機関に要請し、同年九月には六千六百五十一床の病床を確保いたしました。同年十月にはコロナ以外の通常医療との両立を図りながら、次の感染拡大に機動的に対応できるよう三段階のレベルで病床を確保できるようにいたしました。
 第六波では、令和四年一月にオミクロン株の感染が急拡大する中、先手先手で病床の確保レベルを引き上げたほか、二月には重症化リスクの高い高齢の方を受け入れる臨時の医療施設などを開設し、合わせて七千二百二十九床の病床を確保いたしました。
 その後も通常医療との両立を図りつつ、感染状況に応じて確保病床を柔軟に運用するほか、臨時の医療施設を増設するなど、機動的かつ的確に入院医療体制を確保いたしました。

〇中村委員 どのぐらいの病床を確保すればいいのかというのは難しいところがあるんですが、今回のコロナの状況より、まださらにひどい状況になるということも想定せざるを得ないときには、場所の確保も含めていろんなことをまだ考えなきゃいけないと思いますけれども、ぜひ、今後とも注力していただきたいと思っております。
 さて、コロナで高齢や障害や持病がないと入院できないという時期もありました。在宅療養とはいえ、必要な医療が受けられなかったことを考えると、実質は医療崩壊だったともいわれます。
 都から議会に示された資料によると、令和二年十二月から令和五年五月までに自宅療養者で亡くなられた方は二百七十二人とのことでした。地域の関係機関とも早く連携し、在宅療養者のケアをもっとすべきではなかったでしょうか、見解を伺います。

〇小原感染症対策調整担当部長 都は、令和二年十一月に保健所の業務を分担するフォローアップセンターを設置し健康観察を開始するほか、令和三年四月から東京都医師会や地区医師会等と連携し、体調が悪化した自宅療養者に対し、往診や電話、オンライン診療事業を実施いたしました。
 また、その後の感染状況等を踏まえ、令和四年一月には往診等を広域に行う医療機関と連携した往診体制の強化を行うとともに、自宅療養者への食料の提供や療養生活を送る上での様々な相談に対応するうちさぽ東京を開設いたしました。
 さらに、保健所などと連携し広域的な入院調整を実施するなど、都域全体で関係機関と協力して重層的な取組を展開いたしました。

〇中村委員 いろんなところの関係機関とは連携はできたんですけれども、最初には、保健所のない市町村等との連携がなかなかなかったわけです。在宅の療養者が増えて都が対応できなくなったので、市町村からの申出があって食料の提供は協力してもらいましたが、いろんな市役所等を含めて、住民に最も身近な自治体でできることがあったんだろうと思いますので、より連携を深めていただければと思っております。
 また、今後の見通しとして、今回のコロナの状況を見据えて病床確保の計画を立てていますが、想定外の事態も想定して備える必要性があります。コロナ以上の感染症も想定する必要もあります。
 今後の感染症のさらなる拡大期における病床の確保について、見解を伺います。

〇小原感染症対策調整担当部長 都は、昨年度改定した感染症予防計画におきまして、新型コロナの対応実績も踏まえ、新興感染症発生時の確保病床等の数値目標を設定いたしますとともに、医療機関等との協定を締結し、体制確保を進めております。
 また、新型コロナ対応におきまして、確保病床による入院医療体制を補完するため、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく臨時の医療施設として、高齢者等医療支援型施設等を設置運営いたしました。
 今後の新興感染症の発生時におきましても、感染症の性状や地域の医療提供体制の逼迫状況等を踏まえまして、機動的に臨時の医療施設を設置することとしておりまして、感染拡大に迅速かつ適切に対応してまいります。

〇中村委員 病床確保のために医療機関と個々に協定を結ぶことになると思いますけれども、ただ、その過程において、もう少し医療業界全体として協力いただけるような話合いができれば、もっと個々の医療機関との話合いもスムーズにいけるのかなというふうには思っていますので、いろいろ想定しなければならないことがあると思うんですが、対応をお願いしたいと思っています。
 さて、新型コロナについては、その前に策定されていた新型インフルエンザ計画がありましたが、そのとおりに動いていたのでしょうか。計画どおりに何もかもいかないとは思いますが、計画をつくっても、生かされたというふうにいえたのでしょうか。
 改めて新型コロナへの対応を検証すべきだと考えますが、見解を伺います。

〇内藤感染症対策部長 新型コロナが急速かつ広域的に拡大する中におきましても、都は感染状況を踏まえ、医療機関等の協力も得ながら、的確に保健医療提供体制を構築することで感染の波を乗り越えてまいりました。
 都は、新型コロナ対応で得た知見や経験を踏まえ、感染症予防計画を改定し新たな感染症発生時の病床確保、保健所の体制強化など、内容を充実させますとともに、感染症対策連携協議会を通じて、平時から感染症有事の対応を関係機関と協議し、計画の実効性を高めていくこととしております。

〇中村委員 過去の検証を踏まえてこそ次の改善につながるため、誰もが想定し得なかった新型コロナの対応については、何度も申し上げますが、検証していただけるように求めます。
 新型コロナにおいては、多くの障害のある方や高齢者などから心配で相談も受けました。感染症に罹患するとリスクの高い方々については入院できる体制をつくる必要がありますが、見解を伺います。

〇小原感染症対策調整担当部長 都は、新型コロナ対応におきまして、障害者が感染した場合、その症状や障害の程度、基礎疾患の有無のほか、個々に配慮すべき点などを把握し、かかりつけ医の意見なども参考にしながら、確保病床や高齢者等医療支援型施設等への入院受入れを進めました。
 新興感染症の発生の際には、先ほど申し上げた医療機関との協定等により入院医療体制を確保することとしておりまして、入院調整に当たりましては、新型コロナ対応の経験も踏まえ、障害の有無や重症化リスクなど患者の容体を総合的に考慮し、適切に対応してまいります。

〇中村委員 やっぱり障害のある方は非常に不安でよく相談をされます。今も、まだコロナも終わったわけでないので非常に慎重に行動されていますし、マスクをつけたりということもあります。ぜひ、体制がしっかりしているんだということで、安心していただけるような体制を築ければと思います。
 次に、自殺対策についてでございます。
 都は昨年三月に、第二次東京都自殺総合対策計画、こころといのちのサポートプランを策定し、施策に取り組んでいます。自らの命を自ら絶つということは本当に悲しいことですし、都としても、都民の命を守ることは大切であり、様々な原因があるため、それぞれに違った対応が必要になるため、施策は多岐にわたりますが、しっかり取り組んでいただきたいと思っています。
 さて、連日鉄道を利用しますが、人身事故がよく発生し、ダイヤが乱れることが頻繁に起こります。駅のアナウンスは詳細な情報をいわないため推測でしかないのですが、目が不自由な方が転落する場合や物を落とした場合、酒に酔った場合や、最近ではスマートフォンを見て落ちたってこともあるようなんですが、全てが自殺ではないにせよ、自殺の場合もあるようです。
 自殺防止のための早期のホームドア設置が必要になり、度々議会でも早急な取組を求めてきました。都営地下鉄では一〇〇%になりましたが、まだJRや私鉄が遅れています。
 自殺対策については、ホームドアの設置というハードの整備だけではなく、例えば駅のトイレに相談窓口を書いたパンフレットを置くなど、駅と協力した自殺防止対策が必要ですが、見解を伺います。

〇小竹保健政策部長 都は、自殺対策の推進等を協議する自殺総合対策東京会議におきまして、鉄道事業者を委員として委嘱し、会議において具体的な取組の共有や意見交換を行っております。また、毎年三月と九月の自殺対策強化月間には、鉄道事業者と連携して普及啓発を行っており、駅構内において悩みを抱える人に相談を促すポスターやデジタルサイネージの掲出に協力いただいております。
 引き続き鉄道事業者とも連携して、自殺対策を推進してまいります。

〇中村委員 いろいろと要因は様々あると思いますが、防げるものであれば防いでいくことが大切です。鉄道事業者についてもいろんな事情はあるでしょうけれども、より迅速な対応を求めていただきたいと思っております。
 さて、それぞれの原因に対応していく必要性がありますが、自殺の原因、動機の一つとして、経済生活問題があり、貧困対策が重要になってきます。
 生活保護や就労等の相談窓口とも連携した対策が必要ですが、見解を伺います。

〇小竹保健政策部長 自殺の背景には様々な要因が複雑に絡み合っており、生活苦や失業などの経済、生活問題についても対策が必要でございます。
 悩みに応じた様々な相談窓口を検索できる都のホームページ、こころといのちのほっとナビでは、生活の再生や就労支援等、経済、生活問題に関する相談窓口を掲載しておりまして、このホームページに誘導する検索連動型広告により、悩みを抱える方を早期に適切な相談窓口へつなぐ取組を行っております。
 また、東京都自殺相談ダイヤルやSNS自殺相談における相談支援においても、必要に応じて経済、生活問題に関する相談窓口の案内や仲介を行うなど、連携して対応しております。

〇中村委員 本当に要因が様々で対策が難しい場合もありますが、経済や生活が原因だとすれば、行政として対策できる分野でもあり、しなければならない分野ともいえます。引き続きの取組をお願いします。
 近年、自殺者数は全体としては減少傾向にあるものの、児童生徒、学生の自殺者数は増加傾向にあるということです。要因をどう捉え、対策をするのか伺います。

〇小竹保健政策部長 子供の自殺の原因、動機は不詳な場合も多くございますが、これまでの国の分析では、家庭、学校、健康に関する問題が多く、また、学校の休み明けの自殺が多いとされております。
 このため、都では、夏休み前に様々な相談窓口を掲載したポケットメモを小学校五年生から高校三年生までの全学年に配布し、相談を促しております。また、今年度は、自殺未遂者対応地域連携支援事業である、こころといのちのサポートネットに子供の事例に対応可能な精神科医や精神保健福祉士等の多職種の専門家による子供サポートチームを設置いたしまして、教育関係機関に活用を促すなど、子供の自殺防止への取組を強化しております。

〇中村委員 どの世代の方も自ら死を選ぶことは悲しいことですが、特に子供が、幼い若い命を失うのは心が痛みます。保健医療局だけではなく、福祉局や教育庁とも連携して対策の強化をお願いします。都として自殺対策を強化し、都民の命を守るためには、自殺対策条例を制定することも一つの方策であることを申し述べて、次の質問に移ります。
 次に、PFAS、有機フッ素化合物への対応について伺います。
 PFASについては、健康への影響、発生源など分からないことも多いのですが、それだけに多くの都民の方が不安になっています。健康への影響は長い時間がかかってから出ることもないとはいえません。
 PFASへの対応は、環境局や水道局、都市整備局など複数の部門が関係しますが、保健医療局は飲料水の安全確保の業務を担っており、飲用の井戸等の水質検査を行っています。保健医療局は飲料水の安全の確保のために、PFASについてはどのように扱っていますか、伺います。

〇中川健康安全部長 保健医療局では、飲用井戸等について設置者の協力を得ながら水質等の状況を把握するための検査を実施しております。検査の結果、国が定めるPFOS等の暫定目標値の超過が確認された場合には、施設の設置者に対して、飲用に供さないことなどの助言を行っております。

〇中村委員 また、保健医療局では、令和五年五月からPFASについての電話相談も行っているようですが、実績等の内容はどのようなものがあるでしょうか。また、それに対してどう答えているのか伺います。

〇中川健康安全部長 本年十月一か月間の相談件数は二十五件でございます。主な相談は、現在の水道水中のPFOS、PFOAの値に関するものでございまして、お知りになりたい地域をお聞きして、水道局ホームページに掲載されている値をお伝えしております。

〇中村委員 電話の件数は減ってきてはいるようなんですけれども、いろいろと悩みながらかけてくる方もいるでしょうから、丁寧な対応をお願いいたしたいと思います。
 また、PFASについて、国の水道水の基準がないとのことですが、より強く求めるべきですが、見解を伺います。また、国があまり動かないようなら、都民の命と健康のために都独自の基準をつくることも考えられますが、見解を伺います。

〇中川健康安全部長 国は水道水について、令和二年に、PFOS及びPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リットル以下とする暫定目標値を設定しており、現在、専門家による検討会において、その取扱いについて検討していると承知しております。

〇中村委員 海外ではもっと低い値にしているところもあるようなので、日本の暫定目標値が五十ナノグラム・パー・リットル以下としていることには不安の声もあります。国での検討を待っているようですが、早急な対応をするよう求めていただきたいと思います。
 都としても、保健医療局、水道局、環境局、都市整備局など、関係する部門が多岐にわたっています。都庁内で情報共有はされていると思いますが、全庁横断的な対策本部をつくることが必要と考えます。都庁挙げての対策をつくり、都民の健康を守ることは当然のこと、調査、情報提供に安心していただけるような取組を求めたいと思います。
 次に、健康推進について伺います。
 健康推進プラン21において、健康寿命の増進と健康格差の縮小を掲げ、誰一人取り残さない健康づくりを推進しています。そうした中で、経済的格差が健康格差、命の格差になってはならないと思います。都民の健康推進に向けて何点か質問します。
 まず、社会的なつながりを持つことが、健康状態や死亡リスク等に好影響を与えるといわれていますが、この点について、都はどのように取り組んでいるのか伺います。

〇小竹保健政策部長 都は、東京都健康推進プラン21において、健康づくりを推進するために対策が必要な十八分野の一つに、社会とのつながりを位置づけ、地域とのつながりの醸成に向けた普及啓発や人材育成等に取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
 また、分野における目標の達成状況を評価するための現状を把握するとともに、区市町村の取組の参考となるよう、現在、地域とのつながりに関する都民の意識等についての調査を実施しております。
 引き続き区市町村等と連携いたしまして、社会とのつながりの醸成を図りながら、都民の健康の維持向上に向けた取組を進めてまいります。

〇中村委員 市区町村とも連携しながら、様々取り組んでいただいているようです。以前国の方でも、孤立、孤独の担当大臣も置いていたようなんですが、やっぱり、孤立、孤独が健康に与える影響も大きいようですから、つながりを積極的につくっていただいて、健康増進を図られるよう取組をお願いしたいと思います。
 さて、次に、睡眠について伺います。
 他国に比べて睡眠時間が短く、その確保が必要になっています。ところが、スマホ中毒やゲーム依存が進み、ますます睡眠が短くなってしまいます。
 良質な睡眠時間の確保に取り組むべきですが、見解を伺います。

〇小竹保健政策部長 睡眠は心身の健康を保つための大切な生活習慣であり、都は、東京都健康推進プラン21において、対策が必要な分野の一つに位置づけております。
 良質な睡眠には、適切な睡眠時間の確保に加え、睡眠により休養感が得られることが欠かせないため、睡眠に関する正しい知識や就寝前にスマートフォンの利用を控えるなどの望ましい生活習慣をホームページ等を通じて広く都民に周知しております。
 引き続き、プランの分野別目標として掲げておりますよりよい睡眠が取れている都民の割合の増加に向けまして、普及啓発に取り組んでまいります。

〇中村委員 昨今、良質な睡眠時間の確保の必要性がよくいわれるようになりました。他の国に比べて睡眠時間が短いのは日本人の勤勉さがあるんだろうと思いますが、産業労働局が担当かもしれませんが、労働時間短縮ということも必要になるかと思っています。睡眠不足で仕事をしても効率が悪く、飲酒をしていると同じ状況だともいわれます。
 最近では、大リーグで活躍している大谷選手は、あれだけ忙しくても睡眠時間を確保しているということも報道されています。スマホ中毒などは教育庁とも関係します。睡眠を軽く考えず、他の局とも連携しながら、広報啓発により良好な睡眠時間確保により、健康増進を図っていただくことを求めます。
 次に、難病について伺います。
 難病は種類が多くて、通常の診療所の医師でも難しいものがあります。患者からすると、何の病気か分からないと不安があり、病名が分かると一定の安心があります。
 そのためにも、医師への難病の研修を行う必要があると思いますが、見解を伺います。

〇小竹保健政策部長 難病はその希少性によりまして、発症してから確定診断までに長期の時間を要する場合も多いことから、早期に正しい診断を行い、身近な医療機関で適切な疾病管理を行うことが重要でございます。
 都は、難病疾患の診断方法や治療の最新の動向等につきまして、医師等の医療従事者を対象とする研修を年五回開催しており、例年約三百名が参加しております。
 引き続き難病患者が早期に正しい診断を受け、適切な治療につながるよう、医師等の医療従事者の資質の向上を図ってまいります。

〇中村委員 最初にかかるところはやっぱりお医者さんなので、そこで分かると安心するところもありますから、ぜひ、研修を進めていただければというふうに思っています。
 さて、人工透析について伺いたいと思っています。
 腎臓病の患者は定期的に人工透析を受けなければならないわけですが、災害時には大変不安にもなります。災害時の対応を強化する必要がありますが、見解を伺います。

〇小竹保健政策部長 都は、災害発生時の透析医療の確保のため、災害時における透析医療活動マニュアルを策定しており、透析医療機関の被災状況の把握方法や災害時透析医療ネットワークと連携して行う患者の都内外の受入れ調整についての手順等を定めております。
 あわせて、発災時の被害想定に基づく透析患者の受入れシミュレーションや災害時における透析医療確保に関する連絡会の設置など、マニュアルを踏まえた各地域の好事例を取りまとめ、透析医療機関や区市町村等に横展開を図るなど、地域の透析患者の災害対策を後押ししております。
 今後とも、災害時透析医療ネットワークや区市町村と連携して、災害時の透析医療体制の強化を図ってまいります。

〇中村委員 透析の方は定期的に受けないと命に関わるわけですから、災害時に本当に心配だということでご相談もたくさんいただきます。ぜひ、こうした取組をしっかり行っていただきたいと思いますし、また、東京には、当然島しょ部もあります。特にまた、こちらの内地とは違うようなご苦労もあると思いますので、そういったことも含めて、いざというときにもしっかり人工透析を受けられるような体制を取っていただくようお願いいたします。
 また、都立の精神疾患の医療の拠点である松沢病院について、透析患者の受入れ体制を強化する必要がありますが、見解を伺います。

〇鈴木都立病院支援部長 都立病院ではこれまでも、透析を含む精神科身体合併症医療など急性期の精神科医療を提供しておりまして、透析が必要な急性期の患者に適切に対応しております。

〇中村委員 松沢病院の方の取組として、急性期のということではあるんですけれども、慢性期の患者さんもいたりもします。全体的にこういったところが足りないということであれば、都立で受けるということも必要ではないかと思うので、そういったことも検討していただければと思っています。
 さて、様々な疾病がある中で最も亡くなる方が多いのはがんです。
 がんは早く見つかれば治る病気ともいわれるようになりました。検診率の向上による早期発見、早期治療が重要です。また、胃がんや大腸がんなど主要ながんは早く見つかれば治療できますが、膵臓がんとか胆管がんなどは、見つかったときは遅いともいわれ死亡率が高くなっています。検査項目に入れることも検討してもよいのではないかと思っています。
 いずれにしろ、がん対策を進めるためにがん対策条例が必要になります。現在四十以上の県で制定されています。都としても施策の推進に向けて制定が必要だと考えますが、見解を伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、がんに関する理解を深め、がん患者や経験者が必要な支援を受けながら罹患する前と変わらず自分らしく生活を送ることができるよう、東京都がん対策推進計画に基づき、総合的な対策を展開しております。
 昨年度末に改定した計画では、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、患者本位で持続可能ながん医療の実現、がんと共に尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会の構築の三つを分野別目標として定めております。
 この目標を達成するため、専門家や患者団体などから成るがん対策推進協議会におきまして、指標等について、評価、検証しながら、着実に取組を進めてまいります。

〇中村委員 計画に基づいて施策の方は進めてはいただけるんですが、まだまだ、さらに進めていただきたいというときに条例が制定されると、より一層推進力につながるところもありますので、ぜひ、改めて検討していただければということを申し述べまして、質問を終わります。

〇関野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたしたいと思います。
   午後六時十八分休憩

   午後六時三十五分開議

〇関野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

〇伊藤委員 まず、災害拠点病院の整備について伺います。
 災害拠点病院は、災害時において通常の医療体制では医療の確保が困難となった場合に、応急医療を行う医療救護所と連携して、知事の要請に基づき、重症者などを受け入れることを目的としています。
 都は、災害拠点病院の新規指定を進めるとしていますが、災害拠点病院の必要数はどのように算出しているのか伺います。

〇新倉医療政策部長 都では、令和四年度に公表いたしました新たな被害想定を踏まえて試算した重症者数と受入れ数を比較し、災害拠点病院の必要数を算出しております。
 具体的には、区部、多摩それぞれで最も被害の大きな地震動における重症者数を基に、災害拠点病院等で治療を受けたが亡くなってしまう患者数や想定病床利用率、今般の災害被害想定で新たに示された医療従事者の被災の可能性、これらを勘案の上、試算をいたしました。
 こうした試算方法も含めて、昨年度災害医療協議会で議論を行い、現在指定している八十三病院に、区部に五病院、多摩地域に二病院追加して、合計九十病院を災害拠点病院の必要数としたところでございます。

〇伊藤委員 災害拠点病院の必要数は、新たな被害想定を踏まえて試算した重症者数と受入れ数を比較するなどの検討を行い、算出しているとのことでした。また、その結果、現在指定している八十三病院に、区部五病院、多摩二病院を追加して、合計九十病院を災害拠点病院の必要数としたとのことです。
 それでは、災害拠点病院の整備について、今後どのように進めていくのか伺います。

〇新倉医療政策部長 災害拠点病院の整備につきましては、東京都保健医療計画において、二次保健医療圏ごとの新たな被害想定に基づく被災の想定や医療資源、病院の収容力、地域の実情等を踏まえまして進めていくこととしております。現在候補となる病院の情報収集を行うとともに、当該病院に対して指定に向けた病院の意向や指定要件の充足状況の確認を進めております。
 今後、指定に当たり課題となっていることがあれば、その解決策を講じるなど、災害医療協議会の意見も踏まえながら、必要数の確保に向け取り組んでまいります。

〇伊藤委員 随分前に、近年の災害の激甚化や災害時は想定外のことが起こることも踏まえ、災害拠点病院を増やすべきと主張しておりましたが、なかなか増えませんでしたが、今回増えるようになったということです。災害はいつ起きるか分かりませんので、速やかな対応を求めておきます。
 次に、医療施設浸水対策計画策定支援事業について伺います。
 気候変動による影響なのか、ゲリラ豪雨や線状降水帯といった集中豪雨の発生頻度が近年増えています。こうした中、東京都内各地の特性を踏まえ、様々な水害対策を講じる必要があります。
 都は、病院の浸水対策として、今年度新たに浸水対策計画策定支援事業を開始しましたが、改めてその目的と、この事業を今後どのように進めていくのか伺います。

〇新倉医療政策部長 都は、病院の浸水対策の実効性を高めるため、建物の構造や立地条件など、病院ごとの震災リスクに応じた対策が可能となるよう、今年度新たに、浸水想定区域に所在する全ての病院を対象として、専門的な調査や設計に要する経費の支援を開始いたしました。
 本事業の実施に当たりましては、対象病院に向けた説明会や二次保健医療圏ごとに開催している地域災害医療連携会議など、様々な機会を通じて事業の周知を図り、浸水想定区域に所在する病院において、必要な浸水対策が講じられるよう取組を進めてまいります。

〇伊藤委員 各病院の立地や施設の状況などにより、水害リスクも大きく変わってくることから、浸水対策計画は実効性のあるものとなるような支援を求めておきます。
 さて、地震時はもとより、水害発生時においても医療を継続していくためには、ライフライン、とりわけ電力を確保することが重要です。
 都は、水害発生時に、病院が電力を確保するためにどのような取組を行っているのか伺います。

〇新倉医療政策部長 都はこれまで、水害により浸水が発生した場合にも医療の提供を継続できるよう、災害拠点病院、そして災害拠点連携病院が行う防水板の設置や自家発電機の高所への移設を支援してまいりました。
 今年度からは、災害拠点病院等への支援に加えまして、浸水想定区域に所在する災害医療支援病院に支援対象を拡大しております。
 大規模豪雨などによる水害発生時にも医療機能を継続できるよう、引き続き病院への支援に取り組んでまいります。

〇伊藤委員 病院機能を確保し、患者の命を救うためには電源の確保は不可欠なので、しっかりとした支援を求めます。
 次に、災害時薬剤師班活動ガイドラインについて伺います。
 近年、台風による豪雨災害などの大きな自然災害が続いており、今年は能登半島地震も発生しました。東京都内においても、今後三十年以内に七〇%の確率でマグニチュード七クラスの首都直下地震の発生が想定され、災害時は都民に対し、医薬品を確実に供給する必要があります。
 都は、災害時に薬剤師班が活動するためのガイドラインを策定していますが、これまでの災害を教訓に適切に見直していくべきと考えます。都の見解を伺います。

〇早乙女食品医薬品安全担当部長 都は、災害時に適切に医薬品を供給できるよう、医療救護所での調剤、服薬指導や医薬品の調達等を行う薬剤師班の活動ガイドラインを平成三十年度に策定しております。
 今年度は、災害時に薬事に関する活動への総合的な支援を行う東京都災害薬事コーディネーターを四月に新設するとともに、現在、能登半島地震への対応を教訓として、災害時に他県等から受け入れる応援薬剤師班を円滑な活動につなげるための必要な方策などを整理しているところでございます。
 こうした取組をガイドラインに反映し改定することとしており、引き続き薬剤師会など関係機関と連携し、検討を進めてまいります。

〇伊藤委員 災害時の医療体制を確保するためには、医薬品の確実な供給が不可欠です。過去の災害事例も踏まえ、実際に被災した方々や現地の応援に行った薬剤師などの声もお聞きして、東京の特性に合ったガイドラインの見直しを求めます。
 次に、障害者歯科について伺います。
 障害者が虫歯になるなど歯科治療が必要な状況になると、治療時にじっとしていられないなど困難を伴う場合が多くあり、地域の歯科診療所では対応が難しいこともあると聞いています。
 また、障害者が地域の身近な場所で歯科治療を受けたくても、対応できる歯科診療所が少ないという声も聞いています。
 そこで、都が今年度新規に立ち上げた障害者歯科医療設備整備補助事業の目的や内容について伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 障害者が適切な歯科医療を受けるには、身近な地域でかかりつけ歯科医を持ちながら、必要に応じ全身麻酔や鎮静等の全身管理下で歯科医療を受けられる環境を整えることが重要でございます。
 都は、昨年度改定した東京都歯科保健推進計画におきまして、専門的な医療機関の受入れ体制の拡充等に向けた支援を行うこととしております。
 障害者歯科医療設備整備補助事業は、医療機関に対し、全身麻酔下等で障害者への歯科医療を実施するために必要な麻酔器や心電図モニターなどの医療機器の購入費用を補助するものでございます。一か所当たりの基準額は二千二百二十一万円、補助率は三分の二であり、この事業により障害者が専門的な歯科医療を受けられる体制を整備してまいります。

〇伊藤委員 障害者が適切な歯科医療を受けるには、身近な地域でかかりつけ歯科医を持ちながら、必要に応じて専門的な歯科医療を受けられる環境を整えることが重要であり、今年度この整備事業を開始したとのことでした。
 それでは、本補助事業により、全身麻酔や鎮静等で歯科医療を受けられる環境が整備されることで、患者やその家族に対してどのような効果があるのか、また、今年度の申請状況についても併せて伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 全身麻酔下等で行う歯科医療は、患者を鎮静状態にし、体動を抑制することで一度に多くの治療を安全に行うことができるため、患者やその家族にとって負担となる来院回数を減らすことができます。また、全身麻酔や鎮静等で歯科医療を提供する医療機関が増えることにより、患者やその家族は、身近な地域で専門的な歯科医療を受けることが可能となります。
 今年度は、区部三か所、多摩地域二か所の計五つの医療機関への補助を予定しております。

〇伊藤委員 全身麻酔等による歯科医療は、一度に多くの治療を安全に行うことができ、患者、家族の来院回数を減らすなど、患者や家族の負担軽減につながるとのことです。障害者が身近で専門的な治療を安心して受けることができるよう、地域の歯科医師会ともしっかり連携して取り組むことを求めておきます。
 最後に、がん患者の治療と仕事の両立支援について伺います。
 がんは特別な病気ではなく、誰もがかかる可能性のある病気です。がんになっても以前と同じように日常生活を過ごすことを望んでいると思いますが、中でも仕事の継続は、生活を支えるため、また生きがいのためにも大きなウエートを占めると思います。
 現在では、外来での化学療法による治療も可能となっており、社会における治療と仕事の両立への認識も高まっていますが、がんと診断された直後の混乱の中で、早まって退職してしまうケースもまだまだあるのではないかと感じています。
 そこで、都の現状はどうなっているのか伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都が実施したがん患者調査では、がん診断後に退職した患者の割合が、平成二十八年度調査では二一・九%、令和四年度調査では一八・九%と減少していますが、依然として約二割の方が退職を選択しております。
 また、国立がん研究センターの平成三十年度調査によれば、がん診断後に退職した人のうち、五六・八%は初回治療開始前までの早期に退職、廃業を決定しております。

〇伊藤委員 我が国のがんの現状は、年間でがんに罹患する方は約九十五万人、生涯のがんリスクは男性で六二%、女性で四九%、そして、継続して治療中の方は年間三百六十六万人と推計されているそうです。
 ご答弁によると、がん診断後に退職した方が減少しているとはいえ、二割の方が退職しているとのことでした。また、初回治療前に退職した方が五割以上いるとのことです。その全ての方が退職する必要がなかったとは一概にいえませんが、専門家への相談や職場の理解があれば、退職せずに済んだかもしれません。
 そこで、都が実施している治療と仕事の両立支援や早期退職防止のための取組について伺います。

〇岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、がん診療連携拠点病院に設置されたがん相談支援センターが、治療と仕事の両立に関する相談に適切に対応できるよう、社会保険労務士やキャリアコンサルタント等の就労に関する有資格者を配置する場合に、必要な経費を補助しております。
 また、中小企業の経営者や人事労務担当者、産業医等を対象に、専門家による講演や実際に治療と仕事を両立している患者の経験談、企業での具体的な取組事例などを紹介するセミナーをオンライン等で開催しております。
 さらに、今年度は、診断直後の早期退職防止のため、がんになっても働き続けられることや相談できる窓口があることを都民に対し効果的に伝える普及啓発動画を制作し配信いたします。
 引き続き、がん患者が治療を受けながら自分らしく働き続けられるよう、両立支援の取組を進めてまいります。

〇伊藤委員 都の治療と仕事の両立支援の取組を確認しました。
 先日、ご自身もがんの罹患経験がある生稲晃子参議院議員の講演をお聞きしました。実体験も踏まえて、治療と仕事の両立支援の大切さを教えていただきました。
 患者が一番大変な状況にあるわけですが、医療ソーシャルワーカーなどが職場と医療機関をしっかりつなぎ、両立支援コーディネーターとして役割を果たしていければ、患者も治療しながら働き続けることができるトライアングル型サポート体制の重要性も理解しました。
 今後も患者第一で都も支援を加速させることを求め、質問を終わります。

〇玉川委員 新型コロナウイルス感染症が五類に移行して一年半がたちます。生活様式もほぼ通常に戻りまして、周囲に新型コロナに感染した人がいるのかどうか、ピーク時のような感染状況からかなり変化をしたことと思います。
 とはいえ、五類移行後は濃厚接触者の特定がされなくなったことも認識されてなく、いざコロナに感染した際、どう対応すればよいのか、外出の自粛期間やマスクの着用義務など、厚労省が示されているとおりの感染後の対応行動を取っても、長きにわたるコロナ禍での生活習慣で周囲の人たちに理解されなかったり、困惑される場面を幾つか見聞きしてきました。
 そこで伺いますが、コロナ五類移行後、感染した際の対応はどのように変化し、それをどのように都民に発信しているのか伺います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 新型コロナウィルス感染症の分類が五類感染症に移行したことから、本人や同居家族が罹患した場合においても、行政から外出自粛などを求められることはなくなりました。
 一方、五類移行後も、発症後五日間かつ症状軽快後二十四時間程度を経過するまでは外出を控えることが推奨されております。また、この期間を過ぎた後も、発症後十日間程度マスク着用や高齢者等との接触を控えるなど、周りの方に移さない配慮をすることが望ましいとされております。
 こうした対応について、ホームページ、SNS等を通じて都民に広く周知しております。

〇玉川委員 感染症対策の方針が変化する中、都民が安心して生活できるよう、タイムリーかつ明確な情報提供を引き続きお願いいたしますが、都は、新型コロナの感染状況や感染防止対策について、どのように発信しているのか伺います。

〇西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、新型コロナの定点当たり患者報告数や集団発生報告数等について毎週公表をしているほか、これらの情報を分かりやすく取りまとめた東京都新型コロナウイルス感染症情報を制作し、ホームページ等を通じて都民に発信しております。また、感染状況に応じ、感染症対策連絡会議やSNS等を通じて、換気、手洗い、場面に応じたマスク着用など、基本的な感染防止対策を都民に広く呼びかけております。
 今後も、感染状況の公表を継続するとともに、必要に応じて都民への注意喚起を行ってまいります。

〇玉川委員 日々変化する感染状況に対応し、具体的なデータを公表しながら、都民に注意喚起を行っている点を評価いたします。特に、SNSや感染症対策連絡会議を活用することで、より広範な層に情報が行き渡るようになっていると感じます。引き続き、多様な情報伝達手段を活用し、都民の安心と予防意識の向上につなげていただきたいと思います。
 続いて、コロナの後遺症について伺います。
 新型コロナ感染症は五類に移行しましたが、現在もコロナ感染後に後遺症の症状に悩む方がいらっしゃいます。後遺症に悩む方が症状に応じて安心して診療を受けられるよう、医療従事者への情報提供や医療機関の確保などの体制の整備が重要と考えますが、どのような取組を行っているのか伺います。

〇松谷感染症対策調整担当部長 後遺症に悩む方々が適切な医療を受けられるようにするためには、医療従事者に後遺症診療に関する情報を提供し、後遺症に対応する医療機関を確保していくことが重要でございます。
 都は、東京iCDCの専門家の協力を得て、後遺症診療に関する最新の知見や国内外の研究内容等を提供する医療従事者向けのオンライン研修会を令和四年度から継続して実施しております。
 研修会には、毎回千名程度の医師をはじめとする医療従事者等から申込みをいただいており、今年度も四回実施を予定しております。また、研修会の参加者に対しまして、後遺症対応医療機関の登録についても依頼を行っており、その結果、登録医療機関数は、令和四年九月の公表開始当初の四百二機関から令和六年十月末時点で五百六十四機関に増加しております。

〇玉川委員 医療従事者への研修会では毎回千名程度の申込みがあり、最新の知見提供により後遺症対策医療機関が増加していることは心強い限りであります。後遺症に悩む方々にとって適切な医療を受けられる環境が整いつつあることは大変重要であります。さらに、多くの医療機関が登録されるよう働きかけることで、後遺症に悩む全ての方が適切な医療を受けられる環境の構築を要望いたします。
 さて、後遺症対応医療機関の数は増加しているとのことでありますが、後遺症に悩む方が症状等に応じて受診先を見つけられるよう、分かりやすい情報提供も重要であります。
 また、後遺症の方は症状が長引くことなどから、周囲の理解が得られず、悩みを抱える方もいると聞くことから、後遺症自体の理解促進も必要と考えますが、どのような取組を行っているのか伺います。

〇松谷感染症対策調整担当部長 都は本年八月に、専用サイト、新型コロナ後遺症ポータルを開設し、簡便に後遺症に対応する医療機関を探すことができるよう、マップやリストでの公表に加え、所在地や症状、診療科目を組み合わせて検索できる機能の拡充を図ったところでございます。
 また、今月新たに、後遺症について容易に理解できるよう、症状や治療と周囲のサポートの重要性などを説明する動画を二本作成し、新型コロナ後遺症ポータルへの掲載やSNS等により広く周知しております。
 後遺症はコロナに感染した全ての方に起こる可能性があり、症状が長期間継続する場合もあることから、今後も引き続き、後遺症に悩む方々への支援と後遺症に対する理解促進に取り組んでまいります。

〇玉川委員 後遺症ポータルサイトの開設や動画作成といった分かりやすい情報提供の取組は非常に有効だと感じます。また、後遺症が長期間にわたる可能性がある中で、周囲の理解促進に力を入れていただいている点も重要です。都民一人一人が後遺症に対する正しい認識を持ち、より多くの都民が実際に活用できるよう、さらなる周知活動を要望いたしまして、次の質問に移ります。
 都は本年三月に、東京都健康推進プラン21(第三次)を改定されました。
 このプランでは、健康づくりの三つの領域の一つ、個人の行動と健康状態の改善として、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康といった六つの項目で対策が必要であり、多くの都民に身につけてもらいたい生活習慣の改善として位置づけられております。
 この生活習慣の改善、六つの項目の中で、休養・睡眠がありますが、平成二十五年に策定された東京都健康推進プラン21(第二次)では、休養という分野名でありましたが、今回の第三次では、休養・睡眠になりました。
 睡眠の質や量は、個人の健康だけではなく社会全体の幸福や生産性にも影響を与えるもので、これまで私は睡眠の重要性について、一般質問や予算特別委員会でも取り上げてきましたので、このような健康づくりの基本として、心身の健康を保つために欠かせない大切な生活習慣として、休養に加えて睡眠がより明確に位置づけられたことは大変意義深いことであります。
 そこで、この東京都健康推進プラン21(第三次)において、対策が必要な項目の一つとして位置づけられた睡眠について、プランに基づきどのような取組を行っているのか伺います。

〇小竹保健政策部長 都は、都民に対しまして、睡眠不足が心身に及ぼす影響や適切な睡眠に向けた工夫などを健康づくりに関するポータルサイト、とうきょう健康ステーション等を通じて広く周知しております。
 また、睡眠により休養感が得られない場合は、睡眠時無呼吸症候群等による睡眠障害の可能性がございまして、睡眠障害により生活習慣病のリスクが高まるといわれていることから、パンフレット等で不眠症状が見られる疾患を紹介するとともに、かかりつけ医や専門医への相談を促しております。
 さらに、働く世代の睡眠には残業など働き方が関連するため、企業向けイベントにおきまして、睡眠不足が仕事に及ぼす影響や勤務間インターバル制度などを分かりやすく解説したパネルの展示等を行っており、引き続き効果的な普及啓発を図ってまいります。

〇玉川委員 現在、筑波大学をはじめとする研究機関の報告では、睡眠が脳内の老廃物を除去し、精神的な安定を保つために重要な役割を果たしていることが明らかにされています。また、適切な睡眠は生活習慣病や認知症の予防、さらには、仕事のパフォーマンス向上にも寄与することが示されています。さらに、遺伝的要因が睡眠に与える影響も注目されており、今後は個別化されたアプローチが求められるかもしれません。
 一方で、東京都の統計では、三十歳代から五十歳代の働き盛りの世代の男女ともに、約四割の人が睡眠不足を感じている状況が明らかになっております。特に、令和三年の睡眠不足の理由として、残業等で終業時間、帰宅時間が遅いと回答した人が最も多く三五・九%を占め、また、子育てとの両立が睡眠の確保を難しくしているという現状も浮き彫りになっております。
 こうした課題に対応するため、産業労働局との連携を強化し、企業への啓発や働き方改革を一層推進していくことが重要であります。また、睡眠時無呼吸症候群や不眠症といった具体的な疾患について、専門医療機関への相談を促進する体制を整えることも必要であります。
 そうしたことから、ポータルサイト、とうきょう健康ステーションでは、都民が簡単にアクセスできるセルフチェックツールや専門医への紹介システムを構築することを期待いたします。
 最後に、都民一人一人が睡眠の重要性を認識し、眠り方改革に取り組み、健康的な生活習慣を築いていくための環境整備がより一層進められることを願いまして、質問を終わります。

〇関野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇関野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

〇関野委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

〇雲田保健医療局長 令和六年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております保健医療局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、条例案一件、事件案五件、契約案一件の合計七件でございます。
 初めに、条例案の概要でございます。
 大麻草の栽培の規制に関する法律の改正に伴い、手数料の名称を改めるほか、額を改定するものでございます。
 次に、事件案の概要でございます。
 東京都PCR等検査無料化事業に係る債権の回収を図るため、訴えを提起するものでございます。
 最後に、契約案の概要でございます。
 東京都島しょ保健所小笠原出張所の改築工事を行うものでございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

〇船尾総務部長 それでは、令和六年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
 初めに、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和六年第四回東京都議会定例会条例案、事件案及び契約案の概要の一ページをご覧ください。
 整理番号1、東京都保健医療局関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 大麻草の栽培の規制に関する法律の改正に伴いまして、手数料の名称を改めるほか、額を改定するものでございます。
 この条例の施行日は、令和七年三月一日を予定しております。
 次に、事件案についてご説明申し上げます。
 二ページをご覧ください。整理番号1から六ページの整理番号5までの五件でございますが、いずれも、不正の手段によりまして補助金の交付を受けていたことが判明いたしましたことから、東京都PCR等検査無料化事業に係る債権の回収を図るため、訴え提起するものでございます。
 整理番号1は、AIM Beauty Medica Clinic泉岳寺院こと畑野颯佑氏を被告とするもので、訴訟の目的の価額は二億一千二百四十万二千四百七十五円でございます。
 三ページをご覧ください。整理番号2は、株式会社HOSを被告とするもので、訴訟の目的の価額は八千四百十七万四千円でございます。
 四ページをご覧ください。整理番号3は、株式会社StarSeedを被告とするもので、訴訟の目的の価額は六億八千九百四十八万四千九百三十四円でございます。
 五ページをご覧ください。整理番号4は、池袋スタークリニック・デンタル アンド メディカルこと新井正彦氏を被告とするもので、訴訟の目的の価額は十八億四千九百七十万二千六十三円でございます。
 六ページをご覧ください。整理番号5は、医療法人社団創生会を被告とするもので、訴訟の目的の価額は十五億七千六百七十二万五千七百六十円でございます。
 最後に、契約案についてご説明申し上げます。
 本契約案は、財政委員会に付託された後、本委員会でご審議いただくものでございます。
 七ページをご覧ください。整理番号1、東京都島しょ保健所小笠原出張所(六)改築工事請負契約でございます。
 東京都島しょ保健所小笠原出張所について、昭和五十六年に竣工してから四十年以上が経過し、躯体等の劣化が著しいことから、同敷地内に併設している職員公舎と併せて、現地建て替えを行うものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約の金額は十四億一千九百九十九万円、契約の相手方は杉田建設株式会社、工期は契約確定の日の翌日から令和八年十一月三十日までとするものでございます。
 工事場所は小笠原村父島字清瀬でございまして、八ページに案内図及び配置図を記載してございます。
 条例案、事件案及び契約案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、令和六年第四回東京都議会定例会条例案、事件案及び契約案をご覧いただきたいと存じます。
 以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

〇関野委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇関野委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

〇関野委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情六第三八号の五を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

〇新倉医療政策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、陳情六第三八号の五、首都直下地震に備えた抜本的対策を求めることに関する陳情は、大柳武彦さん外七十五人の方々から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、首都直下地震に備えた対策について、次のことを実現していただきたい。
 9、都立病院をはじめとした診療体制を確立するとともに、多摩地域の保健所を増設することというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 都は、災害時に患者を迅速に受け入れるため、重症患者に対応する災害拠点病院や、中等症患者に対応する災害拠点連携病院を整備するなど、都立病院を含む都内全ての医療機関による重層的な体制を確保しております。
 保健所については、都道府県が設置する保健所の所管区域は、地域保健法に基づく国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針において、二次医療圏とおおむね一致した区域とすることを原則として定めることが必要であるとされており、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点として、二次保健医療圏に一か所、都保健所を設置しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

〇関野委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

〇原委員 本陳情について意見を述べます。
 陳情は、都において、首都直下地震に備えた各分野での対策を求めているものです。厚生委員会には、都立病院をはじめとした診療体制を確立するとともに、多摩地域の保健所を増設することについて付託されています。
 地域防災計画には、医療体制や保健活動について位置づけられています。行政的医療を使命とする都立病院の役割は重要であり、万全の備えをしておくことが求められています。
 また、都の保健所は市町村を支援し、避難所などにおいての保健活動においても役割を果たすことが求められています。震災時にコロナのような感染症が流行している場合の対策など、保健所の役割は以前にも増して重要になっています。
 ところが、八王子と町田を除く二十四市三町一村では保健所が五か所しかありません。日常的に各市町村との連携を強めていくといっても、広い多摩地域に五つの保健所だけで、いざというときに市町村のバックアップができるのか心配です。
陳情が求めているとおり、増設が必要だと考えます。よって、本陳情の項目、9に賛成するものです。

〇中村委員 陳情、首都直下地震に備えた抜本的対策を求めることに関する陳情について質問します。
 この陳情は、首都直下地震への備えとして、診療体制の確立ともう一つ、多摩地域の保健所を増設することを求めています。地震発生時にも感染症が広がる複合災害も起こり得るわけですから、それに備える必要から、保健所の増設について伺います。
 新型コロナで保健所の重要性が再認識されました。二十三区では、区長の下、保健所が先頭に立って取り組んできました。一方では、保健所設置市以外の市町村は当初は役割がなく、自らの住民の罹患状況すら都から知らせてもらえませんでした。
 都と市町村における感染症への対応についての役割はどうなっているのか伺います。

〇内藤感染症対策部長 市町村は平時におきまして、都の保健所と連携しながら、住民に対して感染症に関する普及啓発等を行うとともに、予防接種法に基づく定期予防接種を実施しております。
 また、本年三月に改定した感染症予防計画では、新興感染症が発生した場合には、都が実施する施策への協力や相談対応等を通じ、住民に身近な自治体として自宅療養者の支援などを迅速に実施することとしております。

〇中村委員 コロナ後の反省として、都と市町村との連携がいわれて、多摩地域の都保健所には市町村連携課が設けられ、市町村ごとに一名の担当がつきました。
 連携の重要性が認識されているならば、再配置をし、もっと緊密にすべきではないかと考えますが、見解を伺います。

〇井上地域保健担当部長 住民に身近な保健サービスは市町村の保健センター等が行い、都道府県の保健所はより専門的なサービスを実施するという地域保健法の考え方に基づき、多摩地域の都保健所につきましては、二次保健医療圏に一か所設置しております。

〇中村委員 保健所を国の指針に基づき設置しているとのことですが、人口百万人を超えての一つの保健所圏域は想定されていたのでしょうか。
 保健所設置に関する国の考え方を伺います。

〇井上地域保健担当部長 地域保健法に基づく国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針において、都道府県が設置する保健所の所管区域は、保健医療に関わる施策と社会福祉に係る施策との有機的な連携を図るため、二次医療圏または介護保険法第百十八条第二項に規定する区域、いわゆる老人福祉圏域とおおむね一致した区域とすることを原則として定めていることが必要であるとされております。

〇中村委員 おおむねということと原則としてということですが、できないことではないんだろうと思っています。
 都内最大の多摩府中保健所でいえば、旧三鷹武蔵野保健所である武蔵野三鷹地域センターに空きスペースがあり、ここに、三鷹武蔵野保健所を再編することが最も早くできると考えて、都に繰り返し求めてきました。しかし、ここに暫定とはいえ、児童相談所が移ってくることになりました。児童相談所も必要ですが、他の候補地を探すべきであって、ここに移転するのは少し残念な気もしています。
 児童相談所が他の場所に移転した後、ここに保健所を再編すべきですが、見解を伺います。

〇井上地域保健担当部長 住民に身近な保健サービスは市町村の保健センター等が行い、都道府県の保健所はより専門的なサービスを実施するという地域保健法の考え方に基づき、多摩地域の都保健所につきましては、二次保健医療圏に一か所設置しております。
 都は、新型コロナ対応で得られた知見や、都保健所のあり方検討会における市町村等との連携強化などが重要との意見等を踏まえまして、本年四月、多摩地域の都保健所に市町村連携課を新設するなど、体制機能の強化を図っているところでございます。

〇中村委員 ぜひ今後、保健所についても、また増設をしていただきたいということを求めて、質問を終わります。

〇関野委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

〇関野委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第三八号の五は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で保健医療局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時十九分散会