厚生委員会速記録第十四号

令和六年十一月二十七日(水曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長関野たかなり君
副委員長玉川ひでとし君
副委員長浜中のりかた君
理事藤井とものり君
理事伊藤しょうこう君
理事荒木ちはる君
こまざき美紀君
さんのへあや君
うすい浩一君
原 のり子君
山加 朱美君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長山口  真君
次長理事兼務浅野 直樹君
理事小室 明子君
総務部長関口 尚志君
企画部長DX推進担当部長兼務森田 能城君
指導監査部長西坂 啓之君
生活福祉部長新内 康丈君
子供・子育て支援部長西尾 寿一君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
障害者施策推進部長加藤 みほ君
政策推進担当部長調整担当部長兼務柳橋 祥人君
福祉人材・サービス基盤担当部長石塚  宣君
事業調整担当部長渋谷 恵美君
子供・子育て施策推進担当部長瀬川 裕之君
総合連携担当部長児童相談センター次長兼務竹中 雪与君
高齢者施策推進担当部長梶野 京子君
障害者医療担当部長菊地 章人君
障害者医療調整担当部長新田 裕人君

本日の会議に付した事件
福祉局関係
事務事業について(質疑)

○関野委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより福祉局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しており、その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○関口総務部長 十月三十一日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 おめくりいただいたところに目次を記載しておりますが、全部で六十一項目となっております。
 それでは、一ページをご覧ください。1、特別養護老人ホームへの入所申込者数の推移といたしまして、厚生労働省が全国調査を行った平成二十八年度、令和元年度及び令和四年度における入所申込者数を区市町村ごとに記載してございます。
 四ページをご覧ください。2、認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、令和元年十月一日現在から令和六年四月一日現在までの七つの時点の人数につきまして、区市町村ごとに記載してございます。
 一一ページをご覧ください。3、認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 一二ページをご覧ください。4、認可保育所における設置主体別、職員の平均経験年数別施設数といたしまして、令和五年度の施設数を記載してございます。
 一三ページをご覧ください。5、重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、(1)に、令和三年度から令和六年度までの都立施設における看護師の定数及び現員を、(2)に、令和三年度から令和六年度第一・四半期までの短期入所の運用状況を、(3)に、令和二年度から令和五年度までの重症心身障害児(者)入所待機の状況を記載してございます。
 一四ページをご覧ください。6、社会福祉施設等の耐震化状況といたしまして、社会福祉施設等の調査回答数及びそのうち耐震済みの棟数を記載してございます。
 一五ページをご覧ください。7、保育所等利用待機児童数調査における申込児童数及び認可保育所等利用児童数の推移といたしまして、平成三十一年から令和六年まで、それぞれ四月一日現在の児童数を区市町村ごとに記載してございます。
 二一ページをご覧ください。8、福祉局所管の政策連携団体及び地方独立行政法人における障害者雇用人数及び雇用率の推移といたしまして、各団体ごとに令和三年から令和五年まで記載してございます。
 二二ページをご覧ください。9、介護保険料の滞納件数及び収納率の推移といたしまして、区市町村ごとに令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 二四ページをご覧ください。10、介護保険料の滞納に対する新規の差押件数及び差押物件の内訳の推移といたしまして、(1)に、区市町村ごとの新規差押件数を、(2)に、特別区、市町村別の新規差押物件の内訳を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 二七ページをご覧ください。11、都型放課後等デイサービス事業所数の推移といたしまして、令和四年四月から令和六年十月まで月別に記載してございます。
 二八ページをご覧ください。12、高齢社会対策区市町村包括補助事業を活用した高齢者への補聴器の支給又は購入費助成の実施状況といたしまして、(1)に、区市町村における令和五年度の事業内容を、(2)に、過去五年間の支給等対象者数及び補助対象経費の推移を区市町村ごとに記載してございます。
 三一ページをご覧ください。13、都道府県の医療費助成制度において、重度以外の知的障害者を対象としている自治体名。そのうち、身体障害者手帳の所持にかかわらず対象としている自治体名といたしまして、それぞれ対象としている自治体名を記載してございます。
 三二ページをご覧ください。14、乳児院退所後の措置先の推移といたしまして、記載の区分別に令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 三三ページをご覧ください。15、里親委託等、乳児院及び児童養護施設の児童数と割合の推移といたしまして、記載の区分別に令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 三四ページをご覧ください。16、児童養護施設退所者等の進路等把握状況といたしまして、(1)の児童養護施設、(2)の里親等につきまして、記載の区分別の人数及び割合を令和四年度から令和六年度まで記載してございます。
 三五ページをご覧ください。17、都内の児童養護施設退所者に対するアフターケア施設の活動状況及び補助額の推移といたしまして、実施箇所数、相談実績、サロン参加者数及び決算額を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 三六ページをご覧ください。18、妊娠相談ほっとラインの相談実績の推移といたしまして、全相談件数及びその対応内容の内訳を令和四年度から令和六年度まで記載してございます。なお、令和六年度につきましては、八月までの五か月分の件数となっております。
 三七ページをご覧ください。19、新生児等の新規措置先の推移といたしまして、措置時の年齢別、措置先別の人数を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 三八ページをご覧ください。20、児童相談所が里親に委託した児童に係る特別養子縁組の成立件数の推移といたしまして、平成二十六年度から令和五年度まで記載してございます。
 三九ページをご覧ください。21、児童養護施設等措置変更数の推移といたしまして、記載の区分別の人数を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 四〇ページをご覧ください。22、養育家庭委託の解除理由別内訳の推移といたしまして、解除理由別に令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 四一ページをご覧ください。23、児童相談所一時保護所の入所定員及び入所期間、事故件数、職員の研修状況並びに心理専門職の配置状況といたしまして、(1)に、令和五年度の入所定員、新規入所児童数及び入所期間等を、(2)に、令和三年度から令和五年度までの事故件数を、(3)に、児童相談所職員の研修状況を、(4)に、令和六年度の心理専門職の配置状況を記載してございます。
 四四ページをご覧ください。24、都所管の児童養護施設への指導検査における文書指摘数の推移といたしまして、文書指摘の内訳別の件数を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 四五ページをご覧ください。25、都外の障害児入所施設の入所者数の推移といたしまして、令和二年から令和六年まで記載してございます。
 四六ページをご覧ください。26、社会福祉法人が運営する都内の高齢者施設及び障害者施設において入院・死亡に至った事故件数等といたしまして、(1)の高齢者施設、(2)の障害者施設について、令和五年度の事故件数等を記載してございます。
 四八ページをご覧ください。27、障害者グループホームの定員の推移といたしまして、区市町村ごとに令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 五〇ページをご覧ください。28、重症心身障害児(者)施設の入所定員及び待機者数並びに通所定員の推移といたしまして、令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 五一ページをご覧ください。29、有料老人ホームにおける事故件数・実地検査実施状況といたしまして、(1)に、内容別の事故件数を、(2)に、実地検査実施状況を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 五二ページをご覧ください。30、介護事業所及び介護保険施設の廃止件数の推移といたしまして、(1)の介護保険施設を除く介護事業所、(2)の介護保険施設について、記載の区分別に令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 五三ページをご覧ください。31、都が指定した就労継続支援A型事業所の廃止数の推移といたしまして、令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 五四ページをご覧ください。32、障害福祉サービス事業のうち事業者に対して行った不利益処分件数の推移といたしまして、記載の区分別の件数を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 五五ページをご覧ください。33、自立支援医療費(精神通院医療)受給者証所持者数及び死亡・病状改善を理由とする受給者証返還数の推移といたしまして、(1)に、自立支援医療費(精神通院医療)の受給者証所持者数を、(2)に、死亡・病状改善を理由とする受給者証返還数を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 五六ページをご覧ください。34、自立支援医療費(精神通院医療)の公費負担件数及び公費負担合計金額の推移といたしまして、(1)に、公費負担件数を、(2)に、公費負担合計金額を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 五七ページをご覧ください。35、都が所管する社会福祉法人への指導検査における文書指摘数の推移といたしまして、総数及び指摘内容別の内訳を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 五八ページをご覧ください。36、精神科医療機関における虐待が疑われる事案の件数及び内訳の推移といたしまして、令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 五九ページをご覧ください。37、福祉局における障害者の採用、配置、業務、勤務評価に係る合理的配慮の取組状況といたしまして、記載の区分別に取組状況を記載してございます。
 六〇ページをご覧ください。38、福祉局における障害者就労施設等からの優先調達の契約件数及び金額の推移といたしまして、記載の契約区分別に令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 六一ページをご覧ください。39、区市町村別年齢別待機児童数の推移といたしまして、平成三十一年から令和六年まで、それぞれ四月一日現在の年齢別の申込児童数、待機児童数及びその割合を区市町村ごとに記載してございます。
 六七ページをご覧ください。40、家庭的保育事業の区市町村別実施状況、家庭的保育者数、保育児童数及び保護者負担額といたしまして、家庭的保育事業における国制度及び都制度の実施状況、令和四年度から令和六年度までの認定家庭的保育者数及び保育児童数、都制度における保育料月額につきまして、区市町村ごとに記載してございます。
 六八ページをご覧ください。41、区市町村による認証保育所等利用者負担軽減制度の実施状況といたしまして、令和四年四月一日現在の事業名、内容、対象者及び月額の補助額を区市町村ごとに記載してございます。
 七三ページをご覧ください。42、とうきょう保育ほうれんそうの受付実績の推移といたしまして、令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 七四ページをご覧ください。43、保育内容に関する専用相談窓口の受付件数及び対応件数といたしまして、令和六年九月から令和六年十月末までの件数を記載してございます。
 七五ページをご覧ください。44、福祉局が所管する事業のうち事業者に対して行った不利益処分件数の推移といたしまして、記載の区分別の件数を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 七六ページをご覧ください。45、福祉局への公益通報の事由別件数の推移といたしまして、受理件数及びその事由を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 七七ページをご覧ください。46、福祉局の職員の自殺、病気休暇及び病気休職、定年を待たない退職、公務災害件数の推移といたしまして、(1)に、令和元年度から令和五年度までの自殺者数を、(2)に、令和元年から令和五年までの病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数を、(3)及び(4)に、令和元年度から令和五年度までの定年退職を除く退職者数及び公務災害の認定件数を記載してございます。
 八一ページをご覧ください。47、ベビーシッター利用支援事業における指導・監督の状況等といたしまして、令和二年五月一日から令和五年十二月二十日までの対応状況を記載してございます。
 八二ページをご覧ください。48、株式会社グローバルキッズが設置する認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設への指導検査件数、文書指摘施設数等の推移といたしまして、記載の区分別の件数を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 八三ページをご覧ください。49、〇一八サポートに係る契約の件名、契約金額及び受託者名といたしまして、令和五年四月一日から令和六年十月三十一日までに契約したものを記載してございます。
 八六ページをご覧ください。50、〇一八サポートに係る誤送付、システムトラブルにより、追加で都が負担することとなった経費といたしまして、区分ごとに記載してございます。
 八七ページをご覧ください。51、児童発達支援事業所等利用支援事業に係る支給決定件数といたしまして、令和五年度の件数を記載してございます。
 八八ページをご覧ください。52、特別児童扶養手当受給者数の推移といたしまして、令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 八九ページをご覧ください。53、滝山病院の令和五年二月十五日以降の死亡者数及び死因、入院、退院と地域移行の状況といたしまして、(1)に、令和六年十月三十一日現在の区分別の人数を、(2)に、死因について記載してございます。
 九〇ページをご覧ください。54、滝山病院の虐待防止委員会のこれまでの経緯及び主な措置状況といたしまして、これまでの経緯、主な措置状況を記載してございます。
 九一ページをご覧ください。55、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び生活保護法に基づき、都が行った指定医療機関数並びに取消件数及び理由といたしまして、(1)に、指定医療機関件数を、(2)に、指定医療機関の取消件数及び理由を記載の区分別に令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 九二ページをご覧ください。56、精神医療審査会の審査件数の推移といたしまして、(1)に、入院届等書類、(2)に、退院請求、(3)に、処遇改善請求のそれぞれの審査件数を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
 九三ページをご覧ください。九三ページから九五ページまでの57、58及び59につきましては、滝山病院、成仁病院及び綾瀬病院における、それぞれの任意入院以外の入院形態による在院者数、身体拘束、隔離、死亡退院の件数の推移を記載の区分別に、国の精神保健福祉資料調査による令和元年から令和五年までの各年六月三十日現在の人数及び件数を記載してございます。
 九六ページをご覧ください。60、生活保護法に基づく指定医療機関数の推移といたしまして、平成二十七年度から令和五年度までの各年度末の指定医療機関数を記載してございます。
 九七ページをご覧ください。61、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定医療機関数の推移といたしまして、平成二十六年度から令和五年度までの各年度末の指定医療機関数を、(1)の精神通院医療、(2)の更生医療、(3)の育成医療の種類ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○関野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、質問をさせていただきます。
 まず最初に、子供家庭センターについてであります。
 児童虐待相談が年々増加している中で、国は本年四月に改正児童福祉法を施行し、区市町村における母子保健部門と児童福祉部門が一体的に相談支援を行う子供家庭センターの設置を努力義務化しました。
 まずは、都内の区市町村の取組状況を教えてください。

○西尾子供・子育て支援部長 国は、区市町村の母子保健部門と児童福祉部門がそれぞれの機能を維持した上で組織を見直し、全ての妊産婦、子育て世帯、子供へ一体的な相談支援を行う機能を有する機関として、区市町村に対し、子供家庭センターの設置に努めることとしております。
 都内では、本年四月の法施行後、これまでに三十五の区市町村は子供家庭センターを設置しております。

○浜中委員 ただいまのご答弁で、都内では半数以上の自治体で既に子供家庭センターが設置されているとのことであります。
 核家族化や地域社会の変容などを背景として、子育てに困難を抱える家庭がこれまで以上に顕在化している中で、この子供家庭センターの設置が形だけのものではなくて、妊婦等に対して有効性をしっかり把握しながら、より実効性のある援助を行えるように市区町村を支援していくべきだと考えますが、都の取組についてお伺いをいたします。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、区市町村の児童相談部門と母子保健部門が連携しながら妊産婦等に対する効果的な支援を行えるよう、東京都医学総合研究所との協働によりまして令和三年度からモデル事業を実施し、独自の援助スキームを開発いたしました。
 具体的には、保健師等が定期的に家庭訪問を行い、妊産婦等に対しまして経済、体力、時間、精神、生活全般の五つの側面からのゆとり感を確認の上、困り事や悩み事に寄り添いながら支援プランを作成し、個別のニーズに沿って支援する内容としておりまして、支援開始後は、支援プランを実行しながら継続的にゆとり感を確認し、効果を検証するスキームとなってございます。
 今後、子供家庭センターの専門職がこうした支援内容やアセスメント方法を習得できるよう、研修を通じて区市町村を支援してまいります。

○浜中委員 国の政策で、子供家庭センターというのをつくりましょうというお話になったかと思います。とはいえ、各市区町村も、東京都もそうですけど、児童相談部門は児童相談部門、母子保健部門は母子保健部門というので、今まで歴史と伝統を持って自信を持ってやってきたわけであります。
 それをなぜ一緒にするのかというところから、やっぱり、よりきめ細かにできるようにしましょうということでこれを進めているんですけど、実際に現場だと、これ何でだろうとか、どうするんだろうみたいな話なんかもあったりとか、ハードとソフトの話があると思います。
 今いったみたいに、都のモデル事業だとか独自の支援とかっていうのを、成功事例とかを共有していただいて各区市町村に広げていただいて、困っている人に手が届くような形にしていただければと思いまして、次の質問に移らせていただきます。
 続いて、里親の研修についてであります。
 東京都は現在、新たな社会的養育推進計画の策定に向けて検討しているところであります。
 今年三月に国が示した社会的養育推進計画策定要領において、家庭養育優先の原則とパーマネンシー保障の理念に基づく支援が中心に据えられていることから、社会的養護における里親の役割はますます重要になっており、里親の数だけではなく、質の担保も考えていく必要があります。
 一方で、共働き家庭が多い現状では、里親になる方の負担軽減も考えていかなければなりません。特に、都においては里親登録の有効期間が二年となっており、有効期間を五年としている国の制度と比べると、登録更新をする際の研修を短いスパンで受ける必要があり、負担に感じている方もいるという声を聞きます。
 里親の負担を軽減しながら質を担保していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、昭和四十七年の児童福祉審議会の意見具申を踏まえまして、里親登録の有効期間を二年と規定しております。登録を更新する際に受講を義務づけている研修は、里親の養育技術の向上や社会的養護に対する理解を深める機会として重要でございます。
 一方で、里親にとって過度な負担とならないよう配慮する必要があることから、里親登録の有効期間や研修制度の在り方につきまして、里親委託の推進に資するものとなるよう検討してまいります。

○浜中委員 これは、国より東京都の方が古いんですよね。まあこういう歴史もあります。時代も変わっていきますから、短くなっても質を担保できるということがあれば、使いやすくなって里親の方が増える、そこに手が届くというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思いまして、次に進みたいと思います。
 続きまして、一時保護児童の通学支援についてであります。
 一時保護所では、児童の学習を保障するとともに、心身の状態に応じた適切な支援を提供することが重要であります。一時保護児童の中には、保護者からの安全を確保できず通学が困難な児童もいるほか、基礎的な学力が身についていない子供もおり、その状況や特性、学力にも配慮しつつ、適切な学習環境を整備しなければなりません。
 児童福祉法の改正により、本年四月、児童相談所の一時保護所に係る独自の設備及び運営に関する基準が施行され、その中で、学校に在籍している児童が適切な教育を受けられる必要な措置を講ずるように規定をしております。
 都の一時保護所において、現在どのように児童の学習支援が行われているのかということを教えてください。

○竹中総合連携担当部長児童相談センター次長兼務 都の全ての一時保護所では、学習指導員を配置し習熟度に応じた学習指導を行うとともに、外部講師による専門性の高い教科への対応や、家庭教師を活用し受験に向けた個別指導を行うなど、学習内容の充実を図っております。さらに、子供一人一人の状況に応じて学べるようタブレット端末を配布し、AIによる学習アプリを活用するなど、効果的な学習支援にも取り組んでおります。
 また、一部の保護所において、児童が在籍している学校と連携しオンライン授業を実施しているほか、児童の安全が確保できる場合には高校生を中心に通学の支援を実施しております。

○浜中委員 一時保護所内における学習の充実に加え、国の一時保護ガイドラインにも示されているとおり、児童の希望を尊重しながら、その置かれている環境その他の事情を勘案し、通学の支援に努めるべきであるというふうに私は考えます。
 児童の権利擁護を一層促進するために、都の一時保護所における通学の支援をさらに加速するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○竹中総合連携担当部長児童相談センター次長兼務 現在、新たな社会的養育推進計画の策定に向けまして、児童福祉審議会専門部会において、一時保護児童の学習や通学支援など、一時保護所の支援体制の強化について議論しております。
 委員からは、希望する児童が保護所から在籍校に通学が可能となることや、送迎の支援を実現するために必要な職員体制を確保することなどの意見をいただいております。
 こうした意見や国の新基準を踏まえまして、一時保護所の支援の充実に取り組んでまいります。

○浜中委員 力強い答弁をいただきましてありがとうございます。
 保護されている児童が学校に行けるにこしたことないと思うんですけど、なかなか困難な状況で、保護者との兼ね合いとかもあって行くのが難しいだろうと。もしくは、もともとそこの、行ったんだけど、保護されていたところで入ったところがすごい遠くてとか、いろんな事情はあると思います。
 ただ、やっぱり子供は学校に行くものだっていうようなことが、その子供にとっては、いいことっていうのが一般的であろうと私は思います。そうした後押しをできるように、しっかり都が対策を立てて政策をつくってというので進めていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、次は、五歳児健診についてであります。
 五歳児健診については、こども家庭庁が取組を推進しているところでありますが、医療的な資源や関係機関との連携などにより、市区町村によって状況は様々であります。
 五歳児健診の実施に向けた都の見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 五歳児健診は、身体発育状況、精神発達の状況、言語障害の有無等について検査するものでございます。健診に当たりましては、医師、心理職など専門職が連携して実施する必要がございますが、専門職の確保など、区市町村により課題は様々でございます。
 都はこれまで、区市町村に対して国の取組や先行自治体の実施状況を共有するとともに、人材確保に向け、東京都医師会に対して、区市町村への医師の派遣について協力を依頼しております。
 今後とも、国の動向や区市町村等のニーズを踏まえ、五歳児健診の取組が進むよう支援してまいります。

○浜中委員 五歳児健診、一か月の健診もそうなんですけど、国がこれをやったらどうかということで、今、掲げているわけであります。
 しかしながら、現場は、できるならそれはやりたいんだけれども、人、物、金で、診てくれる人がいなきゃそれはできないし、それには当然、お金がかかれば場所もかかって、いろんなやり方とかリソースをつぎ込まないと難しいだろうと。区市町村によってそれぞれだと思います。
 そうした中で、これ自体はやった方がいいだろうということは、先ほど答弁にもあったかと思うんですけれども、都内の、どういう状況なのかというのを見極めた上で、伴走で市区町村を支援していただければと思い、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、発達検査、発達障害のある方への支援についてお伺いをいたします。
 私は、令和五年の第三回定例会において、市区町村によっては、相談体制や医療機関の不足等により、必要な支援を速やかに受けられずに待機している児童がいる現状について指摘をさせていただきました。
 発達障害のある方を適切な支援につなげるためには、自治体の検査体制の整備に加え、発達障害を早期に診断する医療機関の体制を確保することが重要であります。
 東京都の取組状況についてお伺いをいたします。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、発達障害の診断待機を解消し、適切に診断できる体制を確保するため、高度な専門性を有する医療機関を中核的な拠点医療機関として選定し、発達障害の診療ネットワークの構築に向けた取組を行っています。
 具体的には、拠点医療機関において、都内全域の医師等を対象に少人数制の専門人材育成カリキュラムによる研修等を実施するほか、受診を希望する当事者やその家族に対して、発達障害の診療が可能な医療機関の情報提供などを行っています。
 また、区部及び多摩地域にそれぞれ指定した地域拠点医療機関において、各地域の医療機関を対象とした圏域連絡会を実施するとともに、症例検討会を通じて診療力や支援力の向上を図っています。

○浜中委員 今年度、都は、発達検査に関する実態調査を行っております。発達障害児のさらなる支援に向けて、まずは現状を把握することが重要であるかと思います。
 現時点において、実態調査で判明している課題と今後の取組についてお伺いをいたします。

○新田障害者医療調整担当部長 都は今年度、発達検査に関する課題を把握し、発達障害児の適切な支援につなげるため、自治体の福祉部門及び教育部門、医療機関、保護者等を対象とする調査を行っています。
 自治体への調査では、発達検査の課題として、調査に回答した半数以上の自治体が発達検査を実施できる医療機関が少ないことを挙げているほか、多くの自治体が医療機関における検査までの待機期間が長いことを挙げています。
 また、医療機関への調査では、初診の待機期間が長期化している理由として、診察一件当たりに時間がかかることや、医師や公認心理師等の専門人材が不足していることなどが挙げられています。
 今後、調査結果を踏まえ、医療機関の課題解決に向けた取組を検討してまいります。

○浜中委員 ありがとうございました。
 この問題は、例えば小学校とかでいえば、一学期、二学期、三学期とか、面談だとか進級のときに、おたくのお子さんはちょっと落ち着きがないかもしれないから、こういうのを受けた方がいいですよって先生にいわれるケースがあって、例えば、通級とかに通いましょうってなったときにも、この発達検査の、要はスコアが必要なわけです。
 ところが、問題が幾つかあって、一つは、よし、じゃあそういうことであればテストを受けようと思っても、それを受けるのに二か月とか三か月とかかかる。問題、これが一つ。
 もう一つは、これ教育とかの話にもなってしまうんですけれども、要は、判定をする会議に人がいなくて、判定が半年に一回とか、何かもうほとんどやっていないとかになっちゃうと、テストは受けたけど判定されないから行けないとか。
 あとは、仮にそれに、これ教育の話になっちゃうんですけど、それをやったとしても、その後の環境が整っていないから割り振りができないとか、それが普通級なのか固定級なのかというのが進めないというような形で、これはいろんな問題があると思います。
 ただ、発達障害とかで困っている人がいるわけでございますから、まずは、この入り口のところをしっかり福祉局として後押しをしていただいて拡充をしていただいたりとか、まあやっているのは現場ですから、自治体に対して支援をしていただく、教育と連携をして、今、すごい進んできたと思うんですけど、さらに後押しをお願いしたいというふうに思いまして、次の質問に移らせていただきます。
 続きましては、認知症施策についてでございます。
 認知症に早く気づき早期に診断を受けることは重要であり、早めに治療をすれば、改善が可能な病気を見つけたり、症状が軽いうちに今後の生活の準備をしたりすることができます。また、早期のアルツハイマー型認知症であれば、レカネマブや、昨日販売が開始されたドナネマブの治療が受けられる可能性もあります。
 認知症の方を早期診断につなげるには、まずは検診を受けていただくことが必要であります。都は、認知症サポート検診事業を実施しておりますが、この事業の目的と内容についてお伺いをいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 認知症サポート検診事業は、市区町村の実情に応じて、認知症に関する正しい知識の普及啓発や治療方法等に係る情報提供を行うとともに、認知機能検査と検診後支援を推進することにより、認知症の早期診断対応を促進することを目的としております。
 本事業では、五十歳以上の高齢者を対象としまして、検診を希望する方に問診や認知機能検査を行い専門機関等につなぐ市区町村の取組を支援しており、令和十年度まで補助率十分の十で支援をいたします。

○浜中委員 ただいまご答弁にありましたとおり、市区町村の実情に応じた取組に対して、令和十年度まで補助率十分の十で支援をしているということでありました。
 それでは、どのくらいの数の自治体がこの事業を活用して検診を行っているのか、現在の状況についてお伺いをいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 昨年度は二十一市区町に対し補助を行いましたが、今年度からは本事業の補助対象を拡大するとともに、市区町村の担当課長会等において積極的に活用を働きかけましたところ、現時点で二十五市区町から申請を受けております。

○浜中委員 現時点では二十五市区町とのことで、今後、より多くの自治体が地域の実情に合った形で事業を実施していくことが期待されるかと思います。これ、まだ半分ぐらいですから、もっと広げた方がいいと思います。
 そこで、先進的な事例を共有するなどして、未実施の区市町村にも取組を促すべきだと思いますが、見解を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 市区町村における先進的な取組としましては、音声認識で認知機能チェックが行えるアプリを活用しチェックの結果に応じて相談先機関等の情報を提供している事例や、認知機能検査において問診を行った後にデジタル機器を用いて脳の健康度等を測定する事例などがございます。
 こうした取組事例につきまして、市区町村に対し、様々な機会を捉えて共有することなどにより、本事業の一層の活用を促してまいります。

○浜中委員 アプリやデジタルツールを活用する取組も広がるなど、今後に期待できると思います。認知症の早期診断、早期支援の重要性は増しており、都は引き続き力を入れて取り組んでいただきたいとお願いを申し上げます。
 それでは、最後になります。心身障害者医療費助成制度についてお伺いをしたいというふうに思います。
 心身障害者医療費助成制度を開始した趣旨と制度開始からの対象の変遷についてお伺いをいたします。

○渋谷事業調整担当部長 心身障害者医療費助成制度は、昭和四十九年に、国の社会保障制度が不十分であったこと、また、在宅サービスが不足していたことから、それを補完する趣旨で開始されました。
 制度開始時の対象者は、身体障害者手帳一級、二級、愛の手帳一度、二度であり、昭和五十二年には、身体障害者手帳の内部障害三級を対象に追加いたしました。平成三十一年一月からは、精神障害者保健福祉手帳一級所持者に対象を拡大いたしました。

○浜中委員 昭和四十九年の制度開始以降、都が必要な対象者の見直しを行ってきたことが確認できました。
 そこで、次は、このマル障の助成の内容について伺います。

○渋谷事業調整担当部長 国の医療保険制度においては、自己負担が原則三割のところ、住民税課税者については原則自己負担一割、住民税非課税者については原則自己負担はなしとなるよう助成しております。

○浜中委員 住民税非課税の方については負担が生じなくなるなど、制度において所得が低い方への配慮がなされているということが確認できました。
 続いて、ほかの道府県では、障害者を対象とした医療費助成をどのように実施しているのかということを教えてください。

○渋谷事業調整担当部長 障害者を対象とする医療費助成は、全ての都道府県で制度化されておりまして、所得制限や一部自己負担額など、それぞれの自治体が地域の実情を勘案しながら実施しております。
 他の道府県においては、市町村を実施主体としておりまして、道府県の補助等を受けて医療費の自己負担額の一部または全額を助成しております。
 なお、東京都は、都が実施主体となっておりまして、申請書の受理や受給者証の交付などの窓口業務は、事務処理特例条例により区市町村が実施しています。

○浜中委員 これも東京都が実施主体ということであり、歴史のある政策であります。
 今の答弁によって、自治体によって様々取組状況が異なり、単純に対象となるかならないかで評価するということが難しいということが確認をできました。
 続きまして、先日、都政新報にも載っておりましたけれども、知的障害者の声を直接聞く機会がありました。障害のありなしにかかわらず、歯医者さんだったり、風邪などで医療費はかかりますし、知的障害の方は工賃など収入が低いために医療費の負担感が大きいと、こういうお話だったと思います。
 そこで、収入が低い障害者に対して、医療費に関して、現状、どのような支援制度があるのかということをお伺いいたします。

○渋谷事業調整担当部長 収入が低い方につきましては、国の医療保険制度の下、所得に応じた加入保険料の軽減措置がなされているほか、高額療養費制度による自己負担限度額により、家計に対する医療費等の自己負担が過重なものとならないよう配慮されております。また、障害者の医療費につきましては、医療保険制度のほか、自立支援医療費の支給などで負担軽減措置を講じております。
 都は、趣旨を同じくする所得税の特別障害者控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえまして、重度の障害者を対象に心身障害者医療費助成制度を実施しております。

○浜中委員 マル障は、愛の手帳三度、四度に対象を拡大することを求める声があります。
 マル障の受給者数の実績と愛の手帳三度、四度、それぞれの交付者数についてお伺いをいたします。

○渋谷事業調整担当部長 心身障害者医療費助成制度におきまして、令和四年度の受給者数は、各月の平均で約十万五千人、医療費助成額は約百四十九億円であります。
 また、令和四年度の愛の手帳三度の交付者数は約二万三千人、愛の手帳四度の交付者数は約五万一千人、合計約七万四千人でございます。

○浜中委員 今の答弁を基に計算すると、一人当たりの年間助成額というのが約十四万二千円となります。この一人当たりの年間助成額に、今、愛の手帳三度、四度の方が約七万四千人ですから、これを掛けますと増加額が約百五億円となります。しかし、愛の手帳三度の交付者数約二万三千人を乗じると増加額は約三十二億となります。三度だけであれば、こういう数字になるわけであります。
 しかしながら、この試算は、単純に手帳所持者数の総数を基にしており、手帳所持者数の中には、子供の医療費助成で支援を受けられる十八歳未満の子供や、後期高齢者医療制度の対象である七十五歳以上の方も数字として含まれておるかと思います。必ずしもマル障の対象となる方だけではない人数の計算であります。
 また、愛の手帳三度の方は、医療費が、重度障害者の方がかかる医療費と比べて、そこまで医療費が高くない可能性もあります。単純な試算では、対象を拡大することにより、相当の、今いった計算でいえば予算が増えるように見えるんですけれども、三度だけでも約三十二億という話になるんですけれども、正確には判断ができないのかなというふうに思います。
 財政の話もあるんですけれども、実際に困っている方がいるわけですから、障害者医療費助成制度の拡充など、医療費の負担軽減策を検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○渋谷事業調整担当部長 都は、心身障害者の保健の向上と福祉の増進を図ることを目的として、重度障害者の医療費の一部を助成する福祉施策として、心身障害者医療費助成制度を実施しております。
 本制度の対象要件は、趣旨を同じくいたします所得税の特別障害者控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ設定しているところであります。

○浜中委員 本日の質疑を通じて、マル障の現行の制度は重度障害者が対象であって、医療費が高額となる方の支援制度であることなど、改めて事業の考え方については確認ができました。
 障害者の中には、医療費を抜きにしても厳しい生活を余儀なくされている方がいますし、ご家族の方が支えている方も多いと思います。また、支えているご家族の方が亡き後の、親亡き後の不安にもつながるのではないかと考えます。
 本来、制度は、目的を達成するため、その時々の実情に応じて見直しを図っていくべきものであるかと思いますが、今回質疑を行ったマル障の見直しについては、様々課題があったということも今ので分かります。また、聞いております。
 例えば、自治体が医療費助成事業を実施すると、国民健康保険の国庫支出金が減額されて、結果的に保険料の上昇につながる懸念もあります。また、実際の実務を行う区市町村では、システム改修や資格審査の業務量の増加が生じるため、丁寧に調整を行う必要があります。
 今回の質疑をきっかけに、マル障制度の今後の在り方、見直しの必要性等について、ぜひ、都においても検討を深めていただきたいというふうに思います。
 いろいろ考え方はあると思います。制度の歴史もあります。予算もあります。決まりもあります。だけど、やっぱり話を聞いて思うことは、これがこの医療助成なのか、ほかの制度なのかということは分かりませんが、とにかく、今、三度、四度の方とかっていうのは、特に三度の方はそうだと思うんですけれども、就労作業所に行っても月一万円もらえない。その中で、親も高齢化して自分も年を取っていく中で、そのお金の中から医療費を出したりとか、生活費を出したりっていったら、やっぱり困っているわけであります。
 私は、困っている人が一人でもいたら、それは政治の責任だと思っています。その上で、皆さんと一緒にどうすればいいのか、例えばグループホームをつくって、そこでちゃんと面倒を見ましょうとかっていう話の議論もあると思います。ただ、今いわれているのは、目の前にこういう話があったときに、やっぱり、我々がどういう対応を取っていくのかということが、私は大切だというふうに考えております。
 できることとできないことがあるかと思いますが、皆さんとしっかり議論をして、前に進めることができればなというふうに申し上げて、この質問を終わります。
 以上です。

○こまざき委員 障害者虐待防止に関して伺います。
 厚生労働省が令和五年十二月に公表した令和四年度障害者虐待事例対応状況調査結果によると、障害者施設従事者による虐待の相談、通報件数は、前年度の一・二八倍の四千百四件。このうち、虐待と認定された件数は一・三七倍の九百五十六件と、いずれも増加傾向にあります。
 令和三年度の報酬改定に伴う運営基準の見直しにより、障害福祉サービス事業所等において、虐待防止、身体拘束の研修を定期的に実施することが努力義務として定められました。さらに、令和四年度からは義務化されましたが、事業者、保護者、利用者の負担は払拭できず、研修だけでは虐待を根絶することは困難な状況です。
 個室、トイレ、車内等、人の目が行き届かない場所や死角もある中、虐待防止については防犯カメラの設置が非常に有効であり、抑止力も高いと考えられ、事業者からも声が寄せられています。
 東京都は、障害児通所支援事業所等に対して、カメラや人感センサーライト等の設備の購入費用や更新を支援しています。このような安心・安全を確保するための取組を障害児だけでなく障害者に対しても進めるべきです。
 そこで、都における障害者施設等での防犯対策の状況と支援について伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都条例に基づきまして、障害者の入所施設でございます障害者支援施設等は、利用者の人権の擁護、虐待の防止のため、必要な措置を講じなければならないとされております。
 令和六年十一月現在、都内の九割以上の障害者支援施設におきまして、防犯カメラ等の設置がされております。各施設におきましては、利用者のプライバシーの保護に十分配慮する必要がありますことから、門扉、玄関及び廊下等に設置をしております。
 また、都は、通所施設でございます生活介護などの障害福祉サービス事業所につきましては、防犯設備の設置に係ります費用の一部について、区市町村を通じて補助をしております。

○こまざき委員 ご答弁をありがとうございました。
 都内の九割以上の施設において防犯カメラ等を設置済みであり、あと一歩で全施設にて設置となるということです。引き続き、虐待防止のための防犯カメラ設置推進に向けた周知啓発をお願いいたします。
 次に、障害のある方を受け入れる入所施設について伺います。
 厚生労働省の令和四年社会福祉施設等調査の概況によれば、全国の障害者支援施設等の数は五千四百九十八施設で、前年より三十二施設減少しています。また、都では、施設入所者等の待機者がいる現状があります。ご家族の方々から、慣れ親しんだ地域で安心して生活していけるよう、施設入所の希望も多々伺っているところです。
 そこで、都における入所施設の整備方針を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 国は、施設入所者数の削減を基本としておりまして、第七期障害福祉計画の基本指針におきましても、令和四年度末時点の施設入所者数の六%以上が地域移行するとともに、令和八年度末の施設入所者数を五%以上削減することとしております。
 都におきましては、平成十七年十月時点の定員数を超えないこととし、施設入所者の地域生活への移行や、グループホームなどの地域生活基盤の整備を促進しております。

○こまざき委員 国の方針として、施設入所者数を削減し、その代わり、より家庭的な環境の中で生活できるようなグループホームなどの地域生活基盤の整備を促進していくということが分かりました。
 重度の肢体不自由者や知的障害者、強度行動障害のある方々の住まいの確保は非常に困難で、親亡き後の生活に不安があるとの声が都民から度々寄せられています。
 そこで、施設増設は困難と先ほどの答弁で伺いましたけれども、強度行動障害も含め、重度障害者であっても住み慣れた地域で生活できるグループホームの整備を進めることが必要と考えます。都の取組を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都は、今年度策定いたしました障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、グループホームにおける重度障害者の利用者数を千人増やす目標を新たに設定しております。
 また、重度障害者に対応するグループホームを整備する場合に、設置者負担を軽減する特別助成を実施いたしますほか、補助基準額を一・五倍に設定するなど、整備を促進しております。
 さらに、強度行動障害など特別な支援を必要とする重度障害者を受け入れ、手厚く職員を配置する事業者を支援しております。

○こまざき委員 ご答弁をありがとうございました。
 都内で適切な住まいを見つけることができない方が多く、やむを得ず地方の施設に入所される方も多いのが実情です。こうした課題を踏まえ、ご答弁でもいただきましたが、重度の身体障害者、知的障害者、そして強度行動障害のある方々を、住み慣れた地域で受け入れるグループホームの整備を一層進めていただくことを求めます。
 また、施設等において、重度の肢体不自由児者のサポートに慣れているスタッフが少ないというお声も聞きます。スタッフの方々へのスキルアップの研修強化を求めまして、次の質問に移ります。
 学童クラブについて伺います。
 学童クラブは、共働き家庭やひとり親家庭が増加する中、子供たちが放課後を安心して過ごせる場として、ますます重要な役割を担っています。子供の命と安全を守り、学童保育の役割を果たすため、タイムシェアや密な状態での保育ではなく、放課後児童クラブ運営指針において示された一つの支援の単位はおおむね四十名以下であること、子供一人当たりの一・六五平方メートルの面積が必要なことを実現するよう各区市町村に働きかけていただきたく、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、専用区画の面積を児童一人につき一・六五平方メートル以上確保することや、一支援当たりの児童定員をおおむね四十人以下とすることなどを定めました都型学童クラブ事業を実施し、質の向上に取り組む区市町村を支援しております。
 これまで、区市町村への説明会等において本事業の活用を働きかけておりまして、令和五年度は二十九自治体、五百八クラブで実施されております。

○こまざき委員 都型学童クラブの導入による改善を働きかけているとのことでした。
 しかし、都型学童クラブに該当しない一般の学童クラブに対する働きかけも推進すべきと考えます。それらも含め、認証学童クラブ制度創設に向けた専門委員会で現在検討されていることと思いますので、改善を求めたいと思います。
 学童クラブの指導員は専門性の高い職種であり、次世代を担う子供たちを育成する重要な役割を担っています。生計を立てにくい給与水準であったり、雇用止めのある有期雇用であったりする場合も多く、将来に向けた生活設計ができるような処遇改善を行うことが必要ですが、都の取組と都内区市町村の実施状況を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、学童クラブに従事する放課後児童支援員の経験年数等に応じた処遇改善を図るため、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業によりまして、賃金改善に必要な費用の一部を区市町村に補助しております。
 令和五年度、本事業を活用して処遇改善に取り組んでいる自治体は十三自治体でございます。

○こまざき委員 放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業への現場の期待感は大きく、現状の改善を図る上で欠かせない事業であると評価いたします。また、事業導入済みの地域における職員の処遇改善は一気に進んでいることと思います。
 しかし、ご答弁によると、東京都では十三自治体が事業を導入しているとのことで、全体の約二割程度にとどまっています。
 持続可能な放課後児童支援員の雇用及び採用、育成のため、地域偏在をなくすべく、東京都として本事業の区市町村へのさらなる取組の働きかけが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は令和二年度から、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の要件となります資質向上研修を実施し、区市町村における本事業の活用を後押ししております。令和五年度、本研修の参加者は三百十一人でございます。
 また、今年度、区市町村の実施状況や課題を把握し区市町村に共有しておりまして、引き続き本事業の活用が進むよう促してまいります。

○こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。さらなる取組の推進をお願いいたします。次の質問に移ります。
 障害のある児童は放課後等デイサービスに通う場合が多いですが、自分の生活する地域で地域の子供たちと過ごせる学童クラブも選択できる環境整備が重要です。
 そのため、十分な専門的知識を有する加配指導員の確保と常勤化等、施策の前進が図れるように、ハード、ソフト両面で支援することを求めますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、学童クラブにおいて、障害のある児童の受入れを促進していくために必要な施設の改修や設備の整備、備品の購入等を支援するほか、専門的知識等を有する職員の配置に要する経費を支援しております。
 また、学童クラブが医療的ケア児や重症心身障害児等の障害児を受け入れる際に、専門職を増配置するなど、国の障害児受入れ支援を上回る取組を行う区市町村を都独自に支援しております。
 今後とも、学童クラブでの障害児の受入れを促進するため、区市町村を支援してまいります。

○こまざき委員 子供たちがインクルーシブな環境で過ごすことは非常に重要です。児童が希望する居場所で放課後が過ごせるよう、引き続き、東京都から区市町村への後押しを求めまして、次の質問に移ります。
 障害児支援サービスの費用負担について伺います。
 障害児が利用する放課後等デイサービスなどの利用者負担は、収入に応じた負担上限額が決められています。非課税世帯では費用負担は生じませんが、世帯収入九百万円までが四千六百円、世帯収入九百万円以上となると一気に跳ね上がり三万七千二百円となります。そのため、利用控えを余儀なくされているご家庭もあり、当事者の皆さんからお声を寄せていただいています。
 放課後等デイサービスは、学童クラブと同じような放課後の居場所、学びの場であり、学童クラブであれば、例えば地元の北区では一か月五千円にて通うことができます。障害児家庭の子育てを支援するため、二十三区においても、中央区、千代田区が自治体独自で無償化を進め、荒川区では負担軽減策があります。
 東京都においても、収入や所得によらず、障害児の放課後の居場所や発達支援を支えるため、こうした自治体の取組を後押しする補助制度を設ける、あるいは都独自で支援制度を設けるなどの施策が必要です。
 学童クラブ利用料の五千円程度まで負担を軽減するなど、障害の有無にかかわらず放課後を過ごせる環境づくりに着手すべきと考え、都の見解を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 放課後等デイサービス等の障害児通所支援に係る利用者負担につきましては、児童福祉法等に基づき、児童の保護者が原則として一割を負担することとなっております。この利用者負担につきまして、国は、保護者の収入に応じて負担上限月額を設定しているところでございます。
 今後、区市町村における放課後等デイサービスの利用状況につきまして把握をしてまいります。

○こまざき委員 ご答弁をありがとうございます。今後、区市町村における利用状況を把握してくださるとのことで、大きな一歩だと思います。
 区市町村別でのそれぞれの利用者負担額の人数ですとか、利用者負担額においてどれだけサービスを利用されているかなど、早急に調査を行っていただき、支援につなげていただくことを求めます。
 さて、併せて必要なのが、放課後等デイサービスの数の充足や質の担保です。特に、主として重症心身障害児が通う放課後等デイサービスの数が足りておらず、遠方まで保護者が送迎を行い通われている方もいらっしゃる状況です。また、事業所によって提供されるサービスにもばらつきがあり、児童への福祉の質の向上も重要です。
 東京都においては、放課後等デイサービスの質の向上を図るため、令和四年度から都型放課後等デイサービス事業の制度を開始しました。都が求める要件を満たす場合には、都からの補助を受けることができます。しかし、全ての要件を満たすことが難しく、なかなか事業所数が増えませんでした。
 そうした現状を踏まえ、令和六年度から補助要件の一部を選択制としたことを高く評価いたします。しかし、要件を選択できるようになった今もなお、十月末現在で約千二百事業所あるうち、交付決定数は二十二事業所にとどまっており、補助要件の選択制に関しても、まだまだ現場で認知されていないと考えられます。
 都型放課後等デイサービス事業において、より多くの事業所で取り組まれるよう、さらなる普及啓発の推進が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都はこれまでも、都のホームページ、東京都障害者サービス情報に掲載しております質疑応答集につきまして、問合せの多い項目を追加し充実をしてきております。
 また、事業所との個別面談におきまして、具体的なサービス提供の手法について、これまでの事例を参考に丁寧に説明をするなど、事業所の参入を促す取組を実施しているところでございます。
 引き続き、より多くの事業所が都型放課後等デイサービス事業に取り組めますよう、普及啓発を推進してまいります。

○こまざき委員 どうもありがとうございます。都型放課後等デイサービス事業の補助要件に選択制を取り入れたことで、多くの事業者さんにとって活用しやすい制度となったと思います。
 しかし、まだ選択制となったことを知らない事業者さんも多いようですので、普及啓発の強化を求めると同時に、私自身も啓発を行っていきたいと思っています。
 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

○うすい委員 よろしくお願いします。
 初めに、認証保育所への支援について質問をさせていただきます。
 認証保育所は、都独自の制度として、認可保育所に先駆けて、大都市特有の多様な保育ニーズに柔軟に対応してきたと思います。現在、待機児童が解消されつつある中で、認証保育所の利用児童数が減少してきており、利用率は待機児童数がピークであった平成二十六年の九二・二%から、令和六年は八四・九%となっていると聞いております。
 これまでも認証保育所の実情を踏まえた支援をしてきたと考えますが、その取組内容について説明を求めます。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、保育ニーズの変化を踏まえ、ゼロ歳児保育の必須要件の緩和や短時間利用の導入など、認証保育所の実情に応じた様々な制度の見直しを実施してまいりました。
 昨年度は、よりよい保育環境で保育サービスの提供を継続できるよう、認証保育所の改修経費等の補助について、定員増の要件を撤廃し、定員増を伴わない施設の改修や移転等につきましても補助対象としたところでございます。
 また、今年度からは、新たに認証保育所の運営費補助にチーム保育や療育支援など、保育サービス向上や子育て支援等の取組を実施した場合の加算を設定いたしまして、認証保育所の支援を充実してございます。

○うすい委員 認証保育所の空き定員が発生している中で、空きスペースを活用して子育て家庭の多様なニーズに応えていくことも、今後の認証保育所の重要な役割であると考えます。
 こうした課題に対する都の対応について見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は令和二年度から、認証保育所の空き定員や余裕スペースを活用して、保育ニーズの高い一歳児の受入れを促進するための支援を実施しております。
 昨年度からは、他者との関わりの中で子供の健やかな成長が図られるよう、保護者の就労等の有無にかかわらず、子供を定期的に預かる取組も開始したところでございます。
 さらに、今年度は、認証保育所が空きスペース等を活用して地域の子育て家庭の多様なニーズに一層対応できるよう、ニーズ調査分析や新たな取組を開始するための助言等を行うコンサルティングの経費を支援対象としております。

○うすい委員 今の都の取組を伺いましたけれども、認証保育所は、十一月一日現在、A型が三百六十三、B型が五十一。そして、平成十三年に発足以来、親の就労等に関係なく、保育を必要とする子供であれば誰でも利用することができ、これまでも都民の保育ニーズに応えてきたと思っております。
 認証保育所の利点を生かしながら、子育て支援が充実するよう求めまして、次の質問に移ります。
 物価高騰対策臨時くらし応援事業について質問をいたします。
 消費者物価指数の上昇が続いている中で、都は、令和五年度最終補正予算で、物価高騰対策臨時くらし応援事業を実施することとして、対象世帯には順次、商品券が届いていると思いますが、この事業に対し、都にはどのような声が届いているのかお伺いをしたいと思います。

○新内生活福祉部長 令和六年五月下旬に開設をした本事業専用のコールセンターでは、これまでに約二十二万件の問合せを受けており、一日当たり、多い日で三千件程度、少ない日で一千件程度の入電がございます。
 その多くは、自分はこの事業の対象になるのかといった要件の確認ですとか、通知書がいつ届くのかといった内容となっております。また、届くのを心待ちにしていた、家計が苦しいので助かった、近くのコンビニでも使うことができたという声や、申し込んだ商品券の配送が遅いといった声も寄せられております。

○うすい委員 私の下にも、このご時世ですから詐欺ではないかといった問合せも何件かございました。商品券の配送については、申込みが集中した時期に遅れが生じたこともあったとのことですが、現在では解消されていると聞いております。
 次に、これまでの通知書の配送数と申込み状況を伺います。また、本事業では、紙媒体の商品券や、ペイペイやdポイントなどスマホアプリで使える電子ポイントなど、複数の選択肢から選べる仕組みとしていますが、それぞれの申込み状況はどうかお伺いいたします。

○新内生活福祉部長 本事業では、対象世帯がお住まいの地域で生活必需品を購入できるよう、地域性や利便性などを踏まえまして、紙媒体の商品券五種類に加え、スマートフォン決済の電子ポイント十種類も対象としているほか、地域商品券十五種類も対象としております。
 令和六年六月上旬から通知書の送付を開始し、これまでに約百七十四万世帯に通知書を郵送いたしました。また、十月末までに約百二十八万世帯、約七四%から申込みがございました。申込みがあった百二十八万世帯の内訳は、紙媒体の商品券が約八十三万世帯、電子ポイントが約四十万世帯、地域商品券が約五万世帯となっております。
 より多くの世帯にご利用いただけるよう、今後とも「広報東京都」への掲載等によりまして、申込みの勧奨を行ってまいります。

○うすい委員 今答弁いただきまして、対象世帯の約七四%が申し込んでいるとの答弁がございました。残り二六%の世帯には利用されていないということでもございます。
 本事業は、物価高騰の影響を特に大きく受けている低所得世帯の生活上の不安を和らげることを目的としているわけでございます。また、商品券等のラインアップに地域商品券を加えたことで、地域経済の活性化にもつながるものであると思うわけでございます。
 利用したくないから申込みをしないのと、知らなくて利用できなかったということは全然違います。より多くの対象世帯に支援が届き、経済振興にもつながるよう、都は引き続き広報等に努めていただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、認知症の早期診断、早期支援について質問をいたします。
 私は、二〇一七年の第三回定例会の一般質問において、二〇二五年には六十五歳以上の五人に一人が認知症になるとの推計があることから、認知症の早期発見と対応のための認知症検診の重要性等を訴え、その後も認知症への取組の強化を訴え続けてまいりました。
 その結果、都は、認知症サポート検診事業について、今年度から検診の対象年齢を原則五十歳以上に拡大するとともに、令和十年度まで補助率十分の十とするなど、取組を強化しております。
 さらに、本年の予算特別委員会では、新たな抗体医薬であるレカネマブの投与の対象となる方が時期を逸することなく診断につながることが必要であることから、若い世代を含めた普及啓発の強化を求め、認知症の早期診断の大切さを伝えるリーフレットを新たに作成するとの答弁があったわけでございます。
 そこで、このリーフレットの作成について、現在の取組状況をお伺いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 都は今年度、認知症サポート検診事業の対象となる五十代から八十代の方に早期診断の大切さを周知することを目的とするリーフレットを作成いたします。リーフレットが、ご本人やご家族等の診断前の不安を軽減し、早期診断の重要性への理解を深めるために役立つものとなるよう、東京都健康長寿医療センターの医師、研究員に監修を依頼しまして、現在、原稿作成を進めているところでございます。
 また、認知症のご本人及びご家族が参加する座談会でのご発言を基に、早く気づくことの大切さについての当事者からのメッセージも、このリーフレットに盛り込むこととしております。
 今後、完成しましたリーフレットを区市町村等に配布するとともに、ホームページやSNS等を通じて発信しまして、普及啓発をさらに推進してまいります。

○うすい委員 ぜひ推進をよろしくお願いしたいと思います。
 また、普及啓発の強化とともに、認知症に気づき検診を受けられた方が確実に医療につながるよう、地域の認知症サポート医の活動の活性化も重要でございます。私は、二〇二二年の第一回定例会の厚生委員会において、都における認知症サポート医のさらなる活動促進を図るための取組の推進を求めたところでございます。
 都は今年度から、認知症サポート医地域連携促進事業を開始し、認知症サポート医の活動を促進することとしていますが、現在の取組状況についてお伺いをいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 都は、身近な地域における医療、介護の一層の連携と認知症対応力の向上を図るため、今年度から東京都医師会と連携しまして、地域包括支援センター等と協力して活動ができる認知症サポート医をとうきょうオレンジドクターとして認定する取組を開始いたしました。
 認定に当たっては、認知症診療歴五年以上などの一定の基準を満たすほか、診断書作成、支援困難な方への支援に協力することなどにつきまして、地域包括支援センターと合意することを要件としております。
 現在、百十四名の認知症サポート医からいただきました申請を審査しておりまして、今後、認定した医師についてホームページで公表するとともに、認知症疾患医療センターなどの関係機関に周知をいたします。
 こうした取組を通じて、地域における認知症サポート医のさらなる活動促進を図ってまいります。

○うすい委員 都が認定することによりまして、認知症サポート医が地域で役割を果たしていただいて、さらに活躍されることを大いに期待したいと思っております。
 また、健康長寿医療センターでの、先ほど浜中委員もありましたけれども、ドナネマブの投与の開始もされたことをお伺いしました。さらなる認知症の施策を充実させていただくことを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、単身高齢者等の総合相談事業について質問をしたいと思います。
 私の地元足立区においても高齢化率が高く、近年、一人暮らしの高齢者が自室で亡くなり、死後の対応に苦慮するケースも散見をされております。今後も、身近に頼れる家族や親族がいない高齢者は増加傾向にあります。
 このような中、身の回りの整理や遺言、相続、葬儀のことなど、いわゆる終活に関して高齢者自らが相談できる場が必要であります。都は、区市町村が行う終活に関する取組について支援できるよう、今年度新たに事業を開始したと聞いております。
 そこでまず、当該事業の内容についてお伺いをいたします。

○新内生活福祉部長 都内の単身高齢者は増加しており、判断能力が低下した際の生活や、死後の対応に不安がある高齢者の増加も見込まれております。そこで、従来家族などが担ってきました死後の対応につきまして、元気なうちに自分の意思を反映しながら準備することは重要となっております。
 そのため、遺言書の作成や遺品整理などに関し、高齢者個々の状況に応じて支援や助言を行う総合相談窓口を設置する区市町村を本年度から包括補助により支援しております。

○うすい委員 今年度から開始したとのことでありますが、現在、どのぐらいの区市町村が本事業を活用しようとしているのかお伺いをいたします。

○新内生活福祉部長 本事業の開始に当たりまして、区市町村向けの包括補助事業説明会におきまして本事業の周知を行い、その取組を働きかけました。
 今年度に協議のあった自治体数は五自治体となっております。

○うすい委員 高齢化の進展によりまして、終活支援に関するニーズは、今後、ますます高まってくるものと思っております。
 現在、今答弁いただきました五自治体とのことでありますけれども、こうした取組が一層広がるよう、区市町村に対して取組を促していくべきと考えますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 これまでも、成年後見など権利擁護を担当する区市町村等の職員を対象とした研修の場におきまして、エンディングノートの作成や死亡時の葬祭支援など、社会福祉協議会等が行っている事業内容について共有をし、意見交換を行っております。
 また、先日開催しました家庭裁判所をはじめとした専門職の団体や区市町村、社会福祉協議会が参加する地域連携ネットワーク会議におきましても、先行して取り組んでいる自治体の事例紹介や情報共有等を行っております。
 今後とも、区市町村に対しまして、様々な機会を捉えて情報提供や働きかけを行い、その取組を促進してまいります。

○うすい委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 私の地元の足立区においても、既に社会福祉協議会が、一人暮らし高齢者を対象とした死後事務を含む終活支援の取組を独自に実施をしております。他の自治体の社会福祉協議会においても同様の取組が実施されているとも聞いております。
 こうした社会福祉協議会独自の取組に対して都の補助事業が活用されることにより、よりサービスの充実が図られると考えることから、こうした視点も踏まえて、引き続き、区市町村へ働きかけを行っていただくことを強く要望しまして、次の質問に移ります。
 人生百年時代セカンドライフ応援事業について質問いたします。
 人生百年時代といわれる現在、都の高齢者人口は約三百十一万人、高齢化率は二三・五%であり、高齢になっても誰もが健康で生き生きと暮らせる社会をつくることが重要となってまいります。
 中でも、単身で暮らす高齢者の増加が見込まれています。八月に都が公表した世帯数予測では、東京都の六十五歳以上の単身世帯数は、二〇二〇年の八十九万世帯から、三十年後の二〇五〇年には約一・四倍の百二十四万世帯に増加すると推計をされております。こうした高齢者が、社会から孤立をすることなく生きがいを持ち続けることが、大都市東京において非常に重要な課題となっております。
 そこで、都や区市町村において、高齢者の生きがいづくりを支援する様々な取組が行われておりますが、都が平成三十年度から実施をしている人生百年時代セカンドライフ応援事業は、どのような事業なのか改めてお伺いをいたします。

○花本高齢者施策推進部長 人生百年時代セカンドライフ応援事業は、人生百年時代において、全ての高齢者が地域ではつらつと活躍できる社会を実現することを目的に、区市町村が取り組む生きがい活動等の促進と地域サロンの設置運営を支援するものでございます。
 生きがい活動等の促進は、高齢者が参加できる文化芸術活動や教養、スポーツ活動、地域コミュニティ活動など、高齢者の生きがいづくりや自己実現に関する事業であり、地域サロンの設置運営は、空き店舗、民家、公共施設等を活用した活動拠点を整備する事業でございます。
 それぞれ対象経費の三分の二を補助しております。

○うすい委員 今答弁いただきまして、補助率が三分の二であるなど、かなり充実した支援といえると思います。
 令和六年度の申請状況と区市町村における具体的な取組内容についてお伺いをいたします。

○花本高齢者施策推進部長 令和六年度の第一回交付申請において、生きがい活動等の促進として申請があった区市町村は四十三区市町村、合計事業数は百五事業であります。事業内容は、様々な趣味や文化活動の教養講座や、近隣大学と連携した市民講座などでございます。
 また、地域サロンの設置運営として申請があった区市町村は十七区市町村、サロンの合計数は五十三か所であり、空き店舗を活用した多世代交流の場や公共施設を活用した憩いの場等として利用されております。

○うすい委員 多くの区市町村から交付申請が上がっており、区市町村が高齢者のニーズにマッチした事業であると思っております。
 具体的な取組事例として、今ご答弁いただいた大学と連携する取組の紹介もございました。私も、今年の第三回定例会の一般質問におきまして、高齢者のリカレント教育の重要性について質問をさせていただきました。知事からは、シニア世代が生涯を通じ学び続ける機会を提供することは不可欠との答弁もいただいたところでございます。
 私の地元である足立区では、複数の大学、六大学があります。こうした学びの場を含めた高齢者の居場所づくりが今後も進むよう、関係局と連携をしながら取組をさらに進めていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、団塊の世代が後期高齢を迎える一方で、生産年齢人口が減少に転じる二〇二五年を目前に控えまして、福祉業界も人材の確保が課題でございます。
 福祉、介護の仕事に対しては、体力的、精神的にきつい、仕事の内容の割に給与水準が低いというイメージがありますが、福祉の仕事は、人が人に関わり支え合うという、やりがいのある尊い仕事であると、実際に仕事をしている方からも聞くことがございます。
 福祉人材の確保に向けて、そうした福祉の仕事の魅力を発信することが重要だと考えますが、都はどのように取組を進めているのか、見解を伺います。

○石塚福祉人材・サービス基盤担当部長 都はこれまで、福祉の仕事のイメージアップに向け様々な普及啓発を行っておりまして、今年度は新たに十一月を福祉人材集中PR月間に設定し、福祉関係団体等とこれまで以上に連携し、業界を挙げて福祉の仕事の魅力を発信することといたしました。
 集中月間では、若者や主婦、シニア男性など、様々な方が自分らしく福祉の仕事に取組む様子を伝えるPR動画を都内主要駅で放映するほか、新宿アルタ前で現役若手福祉職員によるトークセッションなどを行うプロモーションイベントを実施いたしました。
 また、福祉の仕事は身近でやりがいがあるということを現場の最前線で働く福祉職員が自らの言葉で発信するSNSキャンペーンでは、多くの方にトークをシェアしていただいておりまして、今後とも福祉の仕事の魅力を社会全体に発信してまいります。

○うすい委員 今後とも、工夫をしながらさらなる進捗を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 福祉人材の中でも、今後増加が見込まれる高齢者の介護を担う人材の確保は喫緊の課題でございます。
 都の推計では、二〇三〇年度には四万七千人の介護人材の不足が見込まれております。特に訪問介護を担う人材の確保が厳しく、求人倍率は実に約十五倍にも上がっております。その上、職員の高齢化も進んでいて、大変厳しい状況でございます。
 高齢者が必要なサービスを受けられるよう、訪問介護員の確保を支援すべきと考えますが、都の取組状況をお伺いいたします。

○花本高齢者施策推進部長 都は、求職者に訪問介護の仕事を理解してもらえるよう、リーフレットや動画等を作成し仕事の内容や魅力を伝えるほか、未経験者等を雇用する事業者に対し雇用経費や資格取得経費などを支援しており、現在、約八百事業所が取組を進めております。
 また、国が介護報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員、障害福祉サービス等の福祉、介護職員を対象に、月額一万円から二万円の居住支援特別手当を支給する事業者を支援しております。
 六月の申請開始から、毎月多くの介護事業者から申請を受けており、既に半数を超える事業者から申込みをいただいております。現在、約一千六百法人等に対し、約百億円を支払っております。
 今後、訪問介護の人材のさらなる確保、定着、育成に向け取り組んでまいります。

○うすい委員 またぜひよろしくお願いしたいと思います。
 介護を担う人材を確保していくためには、そこで働く職員の負担軽減も重要であると考えます。
 昨今、パワーアシストスーツや見守り機器などの次世代介護機器の導入も進みつつありますが、十分に活用できていないケースもあるというふうに話も聞いております。また、訪問介護などの在宅系の事業所では、まだまだ浸透しておりません。
 介護現場を魅力的な職場環境にしていくためにも、デジタル化や次世代介護機器の活用を一層進めるべきと考えますが、都の取組状況をお伺いいたします。

○花本高齢者施策推進部長 都は、介護事業者の負担軽減や業務の効率化、ケアの質の向上を図るため、介護施設、事業所を対象にデジタル機器や次世代介護機器の導入経費を補助するほか、導入事例を紹介するセミナーや、先進的な取組を行う施設の見学会などを開催しております。
 今年度からは、機器の選定や業務手順の見直し、職員の教育等のノウハウを持たない事業所に対し、機器選定から導入、活用までを一貫して支援を行う伴走型による個別支援を実施しております。また、産業労働局と協力し、介護事業者の次世代介護機器等の開発ニーズと中小企業の優れた技術力を結びつける意見交換会を開催するなど、現場のニーズを反映した機器の開発を促しております。
 今後、介護現場におけるデジタル化や次世代介護機器等の活用が一層進むよう、支援の充実を図ってまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。
 介護現場の人手不足は本当に深刻なものがございます。介護現場を魅力的なものにしていくためにも、今が正念場といいますか、本当に大事なときであると思います。さらなる支援を要望して、次の質問に移ります。
 次に、社会福祉施設等への非常用電源等の整備促進事業補助金について質問をいたします。
 近年、大規模な地震や水害が相次いで発生しております。特に、今年一月に発生した能登半島地震では、高齢者や障害者の方が利用する社会福祉施設が、停電によって運営に支障を来すなどの問題が報じられております。これらの施設で災害時に電源を確保することの重要性が改めて認識されたところでございます。
 そこでまず、都が開始した社会福祉施設等への非常用電源等の整備促進事業について、国の補助制度との違いも含めた概要や実績をお伺いいたします。

○森田企画部長DX推進担当部長兼務 国は、災害による停電時にも社会福祉施設等がその機能を維持できるよう、大型の非常用電源設備の整備に係る経費を補助しております。
 都は今年度から、国の補助対象とならない小型の非常用電源、蓄電池等を導入する施設等に対しまして、災害時における施設利用者等の安全確保を図ることを目的に、購入に要する経費を支援する取組を開始しております。
 本事業は、有料老人ホームや障害者グループホーム、認可保育所など、高齢、障害、子供分野の入所系、通所系、訪問系、相談系のサービスを行う全ての社会福祉施設等を対象としております。
 今年度は二回に分けて申請を受け付ける予定でございまして、六月末が期限でございました第一回で、千七百五十一件の交付決定を行っております。

○うすい委員 ありがとうございます。
 能登半島地震や各地で起こる大雨、土砂災害の報道等を受け、社会福祉施設においても防災意識が高まり、本事業の積極的な活用が進んでいるものと認識をしております。
 せっかくの事業でありますから、多くの施設に活用してもらいたいと思うわけでございます。事業を知らずに申請できなかった、申請が大変で見送ったということがあってはならないと思っております。
 この事業について、社会福祉施設等に丁寧に周知をし、活用を促すべきと考えますが、見解を伺います。

○森田企画部長DX推進担当部長兼務 本年五月に本事業を開始以降、都のホームページなどで広く事業内容を周知するほか、対象施設等に対しましてメールや郵送で事業を紹介するチラシを送付し、個別に案内してまいりました。
 また、専用のコールセンターや問合せフォームを設けまして、補助対象となる機器の確認や申請用紙の書き方など、施設等からの様々な問合せに丁寧に対応してきております。
 現在、今年度の第二回目の申請を受け付けているところでございまして、多くの社会福祉施設等が災害に備えることができるよう、引き続き本事業の活用を働きかけてまいります。

○うすい委員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。災害はいつ起こるか分からない中、多くの要配慮者が利用する社会福祉施設において、平時から備えておくことが重要であります。
 今年度は、一回目の申請だけで想定を超える施設から申請があったというふうに答弁もいただきました。現在、二回目の申請を十二月二十日まで受け付けているとのことでありますので、引き続き積極的な活用を施設に働きかけ、丁寧に対応していただきたいと思います。
 また、来年度に向けて、局として本事業の予算要求を進めているとのことでございますので、高まる施設のニーズにしっかりと対応できるよう、都としての支援をよろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、就労継続支援B型事業所マネジメント事業について、工賃についてお伺いをしたいと思います。
 現在、障害者の一般就労が進んでおりますけれども、障害特性によっては一般企業等で働くことが難しい方もいらっしゃいます。就労継続支援B型事業所は、こうした方々の就労の場であり、生産活動により得られる工賃を向上させることは重要であります。
 私が地域を回っておりますと、そうした中で知的障害者の親御さんから、事業所の工賃が低いとよくお伺いします。実際には、それぞれの事業所の状況によって様々な工賃の水準があることは理解しているところでございますが、障害のある方が地域で自立して暮らすためには、さらなる工賃の向上が必要であります。
 そこで、直近の都の工賃の実績とこれまでの取組についてお伺いをいたします。

○加藤障害者施策推進部長 令和四年度の工賃月額の算出方法でございますが、事業所の工賃総額を支払い対象延べ人数で割り返したものでございまして、都内の平均工賃月額の実績は、一万六千三百二十円となっております。
 都はこれまで、就労継続支援B型事業所の工賃向上を図るため、経営意識の醸成等を目的とした事業所向けのセミナーの開催のほか、生産性向上につながる設備の整備への補助や、商品開発等の業務改善を支援してまいりました。

○うすい委員 様々な取組をしてきたことは理解をしました。ただし、事業所が工賃向上を目指す上で抱える様々な課題を自ら解決できるよう、さらなる支援が必要でございます。
 都は今年度、新たに就労継続支援B型事業所マネジメント事業を開始しておりますが、現在どのように取組を進めているのか、見解を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 本事業では、個々の事業所における課題を抽出し、解決に向けたプロセスを整理するとともに、課題等に応じ専門のアドバイザーを派遣することによりまして、事業所の状況に応じて自ら解決できるよう、伴走型支援を実施しており、現在、三十四事業所を支援しております。
 今後、本事業における好事例を発表する報告会を来年三月に開催いたしまして、その際、販売会を実施することにより、ノウハウの展開や販路拡大につなげてまいります。

○うすい委員 今答弁があったとおり、ノウハウの展開、さらなる販路拡大等、私はとても重要であると思っております。
 引き続き、都内の事業所の工賃向上への取組を後押しすることを要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。それでは、質問を行いたいと思います。
 まず初めに、介護、福祉の現場で働く皆さんの処遇改善について伺います。
 まず最初に伺いますのが、居住支援特別手当事業についてです。居住支援特別手当事業が始まったことは重要です。
 まず初めに、この事業の目的について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 本事業は、住宅コスト等が高いという東京の地域特性を考慮し、国が必要な見直しを講じるまでの間、介護人材の確保、定着に向け支援することを目的としております。

○里吉委員 今、目的を全部読んでいただかなかったんですけれども、詳細に書かれた目的では、今答弁されたことの前に、介護の方では介護職の給与が低いことやと書いてあったり、障害福祉の方では福祉、介護職員の給与水準が低いことやと目的にも書かれてありました。それも含めて重要だと思います。
 この制度は居住支援という名前にはなっていますが、持家でも対象になるということで、一般的な賃上げにかなり近いものです。東京都では、介護保険制度導入以降、ほぼ介護報酬だけで運用しなければならない状況が続いてきましたが、東京都独自に賃金引上げについて、ついに踏み出したものであり、大きな変化だと思います。
 この介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業については、これまでの申込み状況について、どれくらい申込みがあったのか、そして、これまでに支払った法人数、金額はどれくらいなのか改めて伺います。

○花本高齢者施策推進部長 六月の申請開始から、毎月多くの介護事業者から申請を受けており、既に半数を超える事業者から申込みをいただいております。現在、約千六百法人に対して、約百億円を支払っております。

○里吉委員 申請期限、年末というふうに伺っていますが、着実に申請手続ができるようにお願いしたいと思います。
 それから、ちょっと確認なんですけれども、制度があまりまだ浸透していないのか、介護職員さんの方から、特に賃金上がっていない、こういう声を聞くわけです。
 それで、今回の事業は本人の賃金以外に使えるものなのか、それから、申請が年度途中となりますけれども、ちゃんと四月まで遡って出る分も、対象の職員に、賃金というか渡るものなのか、改めて確認したいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 居住支援特別手当は、事業者が給与規程等の改正を行い、新たに手当を設けた上で介護職員等に支給した場合に補助の対象となります。遡及して支給した場合でも、令和六年四月分から補助の対象としております。

○里吉委員 つまり、事業者が給与規程をちゃんと改正してから申請をして手続をするっていうことなので、まだそこが、その事業者さんのところが手続ができていなければ、まだ上がらないかもしれないけれども、きちんと申請していただければ、四月まで遡って、ちゃんと一万円、二万円というのがその介護職員の方の手元に行くということで、確認できました。
 これは、本当に大変喜ばれている制度なんです。しかし、同時に、さらに改善しなければならない点もあると思います。これ、いつも課題になるんですけれども、同じ職場で報酬が上がる職員とそうでない職員が生まれるということなんです。
 事務職や医療職、調理の方などにも、介護の現場を支える大事な職員ということで、同じようにこの対象にするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○花本高齢者施策推進部長 本事業では、国が介護報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員及び介護支援専門員を対象に、居住支援特別手当を支給する事業者を支援しております。

○里吉委員 本事業は、介護職員と介護支援専門員が対象だというご答弁でした。
 一方で、東京都は今年度から、居宅介護事業所の事務職員の雇用支援事業を始めていますよね。介護の現場で事務職員の方の果たしている役割を認識しているからだと思うんです。他の職種も同じです。
 福祉の現場は、チームで利用者に対して対応しているものです。賃金の上がる人と上がらない人が出るのは避けたいんだという事業者の方の声もよく聞きます。事業所でそれぞれが役割を発揮することで、みんなで介護を支えているので、処遇改善を全体で進めることも、ぜひ、都として取り組んでいただきたいということも要望しておきます。
 また、職員が定着して働き続けることを支援するためには、六年目以降も二万円支給してほしいという声もたくさん出されています。私も、六年目以降も二万円ということで支給すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護事業所においては、勤続年数三年未満の離職者が多いことから、五年目までを重点的に支援できるよう、一万円を加算して二万円としております。
 なお、介護職員等を対象とした居住支援特別手当の金額は補助上限額であり、加算額を含め、手当の支給額については各法人の実情に応じて定めることができることとしております。

○里吉委員 一番最初に三年未満で辞めないように、五年目までを二万円ということも、それはそれで都の考え方だということで、今、伺いました。
 後半の答弁は、事業所で決めていいんだよということは、差がつかないようにしたいのであれば、手当を最初から一万円しか引き上げないということも可能だっていうことなんでしょうかね。上げられるものをあえて上げないという選択は、なかなか考えにくいと思いますので、なかなかこれは、各事業所が頭を悩ませることだと思います。
 もともとの昇給が小さいと、六年目以降に賃金が下がってしまうというおそれもあります。経験が評価されて、着実に賃金が上がっていくようにするべきだと考えるわけです。そもそも、介護の現場の職員の皆さん、全産業平均賃金に比べて十万円から十五万円低いということですから、六年目以降も二万円にして少しでも差を縮めるべきだというふうに思いますので、この部分についても検討を求めておきます。
 次に、この制度、職員の住所について伺います。
 この制度は、介護、障害者事業所が対象ですけれども、それぞれ個々の介護、福祉職員が東京都外に住んでいても居住支援特別手当は支給できるのか確認します。

○花本高齢者施策推進部長 本事業は、都内の介護、障害事業所に勤務する介護職員等を対象としております。

○里吉委員 都内の事業所に勤務していれば、居住地は東京都外でも居住支援特別手当が支給されることを確認しました。これは大事なことだと思います。
 しかし、その一方で、この制度の対象にならない福祉、介護職員もおり、疑問の声が寄せられています。都の社会福祉事業団が運営する都立施設の中に、都外に立地しているものがあります。ここで働いている職員は、同じ事業団の職員であるにもかかわらず、居住支援特別手当の支給対象外となっています。
 これはなぜなのか、お答えください。

○加藤障害者施策推進部長 居住支援特別手当事業は、住宅コスト等が高いという東京の地域特性を考慮し、国が必要な見直しを講じるまでの間、東京都内の障害福祉サービス事業所が居住支援特別手当を支給する場合に支援をしております。

○里吉委員 今ご説明あったんですけれども、この施設は、またちょっと特別でして、都の方針で都外につくられたもの、入所している方も全て都民なんです。そして、この施設の住所は都外ですけれども、働いている職員は東京都社会福祉事業団の職員です。
 都内の職員と同じく、居住支援特別手当の支給対象にすべきだと考えます。見直しをすべきと思いますが、いかがでしょうか。

○加藤障害者施策推進部長 都はこれまでも、障害福祉サービス等報酬の見直しを国に対して求めておりますが、住居費の高さなど東京の実情が十分に反映されていない状況でございます。
 そのため、国が障害福祉サービス等報酬について必要な措置を講じるまでの間、居住支援特別手当を支給する事業者を支援しているところでございます。

○里吉委員 あくまで居住支援だというご答弁なんですけれども、先ほどもちょっと触れましたけれども、障害福祉サービス等職員居住支援特別手当事業実施要綱、ここに目的が書いてあります。その第一条、目的ですけれども、本事業は、福祉、介護職員の給与水準が低いことや、住宅コスト等が高いという東京の地域特性を考慮しと書いてあります。この手当を出す目的の一つに、ちゃんと給与水準が低いことも挙げているわけです。
 そして、今ご説明にもありましたけれども、国が報酬について必要な見直しを講じるまでの間、人材確保、定着に向け支援することを目的とすると、これも書いてあります。これは今年から始まったものですから、これで固める必要はないと思うんです。都の制度ですから、必要な見直しをぜひしていただきたい。
 今日お話しした施設は、単なる都外施設ではなくて、東京都として設置している施設であり、利用者も都民。少なくとも、この施設で働く東京都社会福祉事業団の職員については手当を支給できるように、改めて強く求めておきます。
 次に、訪問介護事業所でのこの制度の利用状況について伺います。
 訪問介護事業所は登録ヘルパーの方が多く、対象になる職員が少ないという実態を東京都は把握しているでしょうか。訪問介護事業所で働く方の対応が必要ではないかと思いますが、都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 訪問介護事業所等では、非常勤職員の割合が高いという実態も踏まえ、常勤職員だけでなく非常勤職員も含めて、週二十時間以上勤務する介護職員、介護支援専門員を対象としており、訪問介護事業所からも多くの申請をいただいております。

○里吉委員 非常勤も対象にしていただいたというのは、本当に重要だと思います。
 しかし、私がお話を伺った訪問介護事業所は、二十人弱の介護職員さんのほとんどが登録ヘルパーといわれる方で、今回のこの対象になる方は一人か二人だということなんです。その事業所は、報酬のマイナス改定で、それまでは赤字の月もあれば黒字の月もあるということだったんだけれども、マイナス改定後はずっと赤字続きだというお話でした。
 それから、私の地元の世田谷区の介護事業所の方からは、この制度が週二十時間働かないと対象にならないのは厳しいと。せめて月四十時間以上で対象になるような手当もつくってほしい、こういう要望も伺っております。
 それから、複数の事業所に登録していて合計では週二十時間以上となる方も、一つ一つの事業所では二十時間未満だともらえないことも課題です。労働時間の短いヘルパーの方々の処遇も改善できるよう、何らかの形での解決を求めておきます。
 十一月二十六日付の都政新報には、都内の訪問介護事業所の方が出ていましたが、現場は報酬改定を見直してほしいと声を上げている、次の改定のタイミングまで待つというのは影響が大き過ぎる、こう指摘しておりました。営業で新規獲得を増やしても、人材不足でサービスに行けるヘルパーがいない、こう話して、マイナス改定で売上げが減少、賃金低下、人材不足の三重苦に直面しているとありました。
 訪問介護事業所の倒産数が過去最多とニュースにもなっておりますけれども、今年一月から十月までの廃止数、また、併せて新規開所の数を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都が指定を行っている訪問介護事業所の令和六年一月から十月までの廃止件数は百四十六件となっております。同期間における新規指定件数は百四十一件となっております。

○里吉委員 廃止の理由は様々だと思いますが、これから介護を必要とする高齢者の方が増えるときに、廃止件数が指定件数を上回っている、こういう状況は懸念があり、この傾向が続くのかも含めて注意が必要だと思います。
 併せて、ヘルパーの数がどうなっているか、都内の介護職員の数、三年分お示しください。

○花本高齢者施策推進部長 都内の介護職員数は、令和二年度は十八万五千六百九十四人、令和三年度は十八万二千八百八人、令和四年度は十八万一千六百九十人となっております。

○里吉委員 全体としては、この三年間で、計算すると介護職員四千人減っているということなんですね。東京都の第九期高齢者保健福祉計画では、二〇三〇年までに二十三万三千人の人材を確保する必要があると書いてありますが、実際はこれに逆行する事態となっています。
 東京は、これから高齢者人口がまだ増加しますし、高齢者のみ世帯、高齢者一人暮らし、これが多いのも東京の特徴です。これからは認知症の方も増えていくというふうに予想されています。
 認知症になっても地域で安心して生活していくためには、訪問介護事業所、ヘルパーさんの力は欠かせません。私ごとですが、両親がともに認知症となってから数年間、二人だけで生活できたのは、ヘルパーさんの献身的な介護のおかげでした。必要な薬の管理やごみ出しなど、日々の生活で欠かせないこと、週三日から四日、短時間でもヘルパーさんに来てもらうことで、私と妹は週一回から二回、八王子なんですけれども、実家に帰るだけで、何とか高齢者二人とも認知症という生活を支えることができました。
 多分、皆さん自身の中にも、職員の方の中にも、それから皆さんの周りにも、そういう方がたくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか。今、ヘルパーさんと話していても、私も実は親を介護しながらヘルパーしていますっていう方がいたりして、すごく話が通じるんですよね。
 皆さんおっしゃるのは、高齢になっても自宅で暮らしたい、認知症になっても今までの暮らしを続けたい、こうおっしゃいます。そのために欠かせないものの本当に大きな一つが訪問介護事業所なので、この数を本当に増やしていきたいなと、いかなきゃいけないなと思うわけです。
 倒産もあったけど、新規開業もあったから何とかなっているんじゃないか、大丈夫などという状況では全くありません。
 これから訪問介護事業所は大幅に増やしていく必要があると思いますが、都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 訪問介護員の確保に向け、都は、これまでの取組に加え、今年度から居住支援特別手当を支給する事業者への補助や、未経験者を雇用する事業者に対し、雇用経費や資格取得経費などの補助を行っております。

○里吉委員 いろいろ頑張っているというご答弁でしたけれども、大幅に増やす必要はあると認識しているということですよね。だから頑張っているということでいいですよね。ちょっと確認します。

○花本高齢者施策推進部長 先ほども答弁したとおりでございますけれども、訪問介護員の確保に向けて、様々な取組を行っております。

○里吉委員 訪問介護事業所の職員さんを増やしていかなくちゃいけないという認識では一致していて、私もいろいろ見させていただいていますけれども、本当に、今年度からも、昨年度からもいろいろな制度、取り組んでいるというのは、私自身も見て、頑張っていただいているというふうには思っています。
 ただ、処遇改善という点で、居住支援特別手当事業、この制度の対象になる方が圧倒的に多いわけです。そのヘルパーさんの処遇改善をどうするのかと。
 訪問介護事業所をもっともっと地域に増やしていくためには、今苦労している事業所を潰さない。そのために何ができるのかを本当に考える必要があると思うんです。訪問介護は職員の不足、それから高齢化が深刻です。東京都は、何とか人材を確保するために、地域を支える訪問介護採用応援事業をスタートさせていますけれども、緊急策として事業そのものを否定するつもりは全くありませんが、局のつくったこの制度の説明資料を読みますと、報酬体系上、常勤雇用が難しく、新卒の就職が少ないとあるんです。これ、どういうことなんでしょうかね。
 そもそもこの常勤の雇用が難しい、それから新卒の就職が少ない、この点を改善することが根本的に必要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 訪問介護は、利用者が訪問を希望する時間が集中することから、非常勤や登録パートといった形態での雇用が広く行われております。また、訪問介護員は利用者の自宅に一人で訪問しサービスを提供することから、介護の仕事の未経験者から選ばれづらい傾向がございます。
 そのため、都は今年度から、求職者に訪問介護の仕事を理解してもらえるよう、リーフレットや動画等を作成し仕事の内容や魅力を伝えるほか、未経験者等を雇用する事業者に対し雇用経費や資格取得経費などを支援しております。

○里吉委員 訪問介護は利用者が希望する時間に訪問を行うサービスだから、非常勤やパートといった形態での雇用が広く浸透している、こういうお答えでした。
 報酬については言及がありませんでしたけれども、こういう働き方を前提にした報酬になっているっていうことなんでしょうかね。私は、それを変える必要があるんじゃないかという質問をしたんですけれども、お答えがありませんでした。
 非常勤や登録といった方が多いことを踏まえた支援も、そうおっしゃるんだったら、そういう方たちも居住支援特別手当の改善で対応できるようにしていただきたいと思うんですけれども、同時に、介護職員を常勤で雇用して、月給でお仕事してもらえる人を増やすことで若い職員も増やしていける、そういうことが必要だと思うんです。
 今回の介護報酬の改定の影響については、今年六月の衆議院厚生労働委員会でも、介護、障害福祉従事者の処遇改善に関する決議が全会一致で可決されて、現在、実態調査が行われているところです。
 都内でも深刻な状況がたくさんあります。これどうやって解決していくのかっていうことがいろいろあるんですが、東京都としては、国にこの報酬改定については、どのような要望を上げているのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 訪問介護をはじめとした介護サービス事業は、介護報酬等により運営されることが基本であり、都は国に対して、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、これまでも緊急提言を含め、繰り返し要望しております。

○里吉委員 東京都は、国が動かない中で、東京都独自で、今議論している居住支援特別手当事業を始めたり、それから介護職員の昇給の在り方の検討を進めようとしているわけですから、ぜひ、もう本当に待ったなしなんだと、喫緊の課題なんだと、今まで以上に強く要望していただきたいと思うんですが、緊急提言、昨年度、報酬改定の前にやられたのは聞いておりましたけれども、今回も、前回の報酬改定前と同じぐらい、強く何回も国に申入れなどを行っていただきたいんです。
 先ほども都政新報の記事、紹介しましたけれども、次の報酬改定まで待つのは影響が大き過ぎる、こういう悲鳴のような声も上がっているわけですから、早急に改善を求めて、国には強く要望をしていただきたいと思います。
 その上で、せめて東京都として、ぎりぎりで頑張っている訪問介護事業所に何か支援できないか、要望を聞いてまいりました。そうしますと、訪問介護事業所には、物価高騰対策としての電気代などの支援もないし、自動車やバイクで移動すればガソリン代の補助があるけれども、自転車だとその支給もないと。
 訪問介護事業所を直接支援する家賃補助だとか、車や自転車購入の補助だとか、何か独自の補助も検討してほしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○花本高齢者施策推進部長 訪問介護員の確保に向け、都は、これまでの取組に加え、今年度から居住支援特別手当を支給する事業者への補助や、未経験者を雇用する事業者に対し、雇用経費や資格取得経費などの補助を行っております。

○里吉委員 居住支援特別手当が、多くの方がなかなか使えていないんだと繰り返し申し上げてきたんですけれども、今、訪問介護事業所の支援の中にこの手当も入れていただきましたから、それだったら、ぜひ使えるように改善していただきたいと思うんです。
 今頑張っている訪問介護事業所に続けてもらった上で、新しく訪問介護事業所を開設していくようにならなければ、地域で訪問介護事業所は増えていきません。ヘルパーさんも増やしていくためには、短時間で働く方も、そして常勤で働く方も増やしていかなければなりません。
 いろんな制度をやっていますけれども、なかなかこれが、それだけではうまく、介護職員、訪問介護事業所を増やす、潰さないでいるというふうになっていないわけですから、東京都としての独自の支援を、特に今、経営の厳しい訪問介護事業所に対しては、ずっと赤字続きだというところ本当に増えていますから、ぜひ検討をしていただきたいと強く要望しておきます。
 そして、処遇改善については、次に、介護保険制度における介護職員等の昇給の在り方検討の調査事業について伺っていきたいと思います。
 これは、昇給の仕組みなんですけれども、本当に介護職員が定着して働き続けるためには、昇給していく、給料がちゃんと上がっていく仕組みが重要だと思います。
 これは国の制度ですけれども、介護報酬の処遇改善加算、この要件は経験に応じて昇給する仕組みも含まれているのか。それから、併せて、昇給する人が増えることに合わせて、現場に入ってくるお金がちゃんと増えるような原資が保障されているのか伺いたいと思います。
 また、昇給については、職員間の分断を生まないで、経験を適切に評価して働き続けられるようにするために、職種、各資格ごとに、経験、勤続年数に応じて上がっていくことを大事にするべきだと思いますが、国の処遇改善制度の仕組みについて伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護職員等処遇改善加算の取得には、経験や勤続年数、資格等に応じて昇給する仕組みを設けることが要件の一つとなっております。また、令和六年度の介護報酬改定においては、処遇改善加算の加算率は最大で二・一%引き上げられております。

○里吉委員 国の制度、要件はあるけれども、事業所の職員の勤続年数が上がっていけば、ちゃんと給料は上がっていく仕組みは設けているということでした。
 ただ、心配なのは、それに応じて収入が増えるわけではないので、昇給の原資が保障されていないってことなんですね。先ほどお話ししましたように、福祉の現場はチームで対応しているけれども、職員を選別して、一部の職員だけしか上がらないという仕組みになってしまうと、別の人は昇給できないとなってしまって、平等に昇給できないということになってしまうということなので、ぜひ、国の制度も一部そういうふうに改正されたということもお伺いしましたけれども、これから東京都で取り組む昇給については、現場の声を聞いて、職員を選別して一部の人だけが昇給するような制度にならないで、平等に昇給できるようにしていただくことが重要だということを申し上げておきたいと思います。
 それで、特に今問題になっている訪問介護職員の昇給の在り方についても、ぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、その際には、小規模の訪問介護事業所なども含めて、直接訪問して実態をつかむという調査も、ぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○花本高齢者施策推進部長 介護職員の人事給与制度の在り方については、第三回定例会の答弁にありましたとおり、今後、訪問介護も含め、都内事業者の実態を把握するとともに、関係団体の意見を聞きながら検討していくこととしております。

○里吉委員 ぜひ、これからやることなので、実態をきちんと把握できるような調査を頑張ってやっていただきたいと思うんです。
 皆さんもご承知だと思うんですけれども、国の報酬改定でも、訪問介護の調査が実態を正しく把握できていなかったために、マイナス改定になったのではないかと、関係者の中ではそういうふうにいわれているわけです。私もそういうふうに思います。
 昇給の在り方についての調査検討ですから、都内の本当に多様な介護の現場を見ていただきたい、直接話を聞いていただきたいと思うわけです。現場に行って話を聞く、実態をつかむということは、福祉局の皆さん、これまで例がないわけじゃなくて、私自身は最近知ったんですけれども、介護職員宿舎借り上げ支援事業について、東京都が現場に行って、施設に直接出向いていって、対面でヒアリングも行ってお話を伺っていたということをやっていたということを知りました。
 この取組の内容とその成果、意義について伺いたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 従来より、事業の利用事業者から、申請予定や活用方法、事業の改善に関する意見などを聞き取り、制度の運営や改善の参考としております。

○里吉委員 そうなんですね。もう何年もやっていらっしゃると、私、初めて知ったんですけれども、それは、都の職員が訪問した施設の方から、すごい喜んでご連絡いただいたんですね、都の職員の方がとても丁寧に話を聞いてくれたと、喜んでいらっしゃいました。
 また、都の職員の皆さんも、自分たちが所管している支援事業が現場でどう活用されているのか、直接話を聞くこともできて、仕事のモチベーションも上がるし、改善してほしいという話も、書面で要望書でもらうだけではなくて、直接話を聞いたことで、よりその必要性が伝わったのではないかと思うわけです。
 これまで議会でも、宿舎借り上げ支援事業については多くの会派が取り上げてきましたし、団体からも要望が上がっていましたけれども、直接、事業の利用団体、利用事業所から東京都が意見を聞き取って、制度の改善の参考にしてきたというのは、本当に大事な取組だと思います。
 今年始めた居住支援特別手当事業についても、様々改善点、要望させていただきましたけれども、ぜひ、現場で事業の効果や改善に関する意見なども聞き取って、今後の制度運営や改善の参考にしていただきたいと思いますし、また、介護職員の昇給の在り方についての調査でも、直接、ヒアリングも含めて声を聞いていただくよう、改めて要望しておきます。
 そして、このテーマの最後に、事務負担の軽減についても一言伺いたいと思います。
 介護報酬の加算や補助金の事務負担が重いという声は、いまだに寄せられています。国への要望とともに、都でもできるだけ簡素化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、介護職員の処遇改善加算等について、計画書等の簡素化や算定要件を整理することを国に提案要求しており、国は令和五年度より、計画書及び実績報告書の簡素化を図るとともに、令和六年度の介護報酬改定においては、介護職員の処遇改善に関する三つの加算を一本化するなど、事業者の事務負担を軽減しております。
 また、都は、補助金申請について、これまでもオンライン化や申請書類の簡素化などの事務負担軽減を図ってきております。

○里吉委員 この点でも、繰り返し国にも要望をし、いろいろ改善もされてきているということでしたけれども、それでも、やっぱりいろいろ負担が重たいという声が出るんですね。特に、地域に密着している小規模な事業所から、この要望が強く出されますので、引き続き、東京都としても事務負担軽減の努力を続けていただくよう要望し、この質問を終わります。
 次に、様々な会議体に当事者を参加させていただきたいというテーマで、何問か質問していきたいと思います。
 東京都ひきこもりに係る支援協議会には家族会や当事者が参加しております。それから、認知症の分野でも、東京都認知症施策推進会議に家族会や当事者が参加しております。
 これ大変重要なことだと考えますが、ここに当事者が参加しているのはどういう理由なのか、背景について伺います。

○新内生活福祉部長 都は、当事者やその家族の状況に応じた切れ目のない支援の在り方について検討するため、学識経験者や関係機関、区市町村から成る東京都ひきこもりに係る支援協議会を設置しておりまして、当事者会や家族会の代表者にも委員として参加いただいております。

○梶野高齢者施策推進担当部長 認知症施策に関する会議でございますけれども、都は、認知症の方やその家族に対する支援体制の構築に向けた方策について検討するため、学識経験者、医療、介護関係者、都民等から成る東京都認知症施策推進会議を設置しておりまして、認知症の方ご本人及びご家族からの意見を聞くため、委員としてご参画いただいております。

○里吉委員 ひきこもり当事者やその家族の状況に応じた支援の在り方を検討するために、当事者や家族が委員として参加していると、ひきこもりの分野はそういうご答弁でした。
 これは、二〇一九年、福祉局、当時は福祉保健局でしたけれども、ここに所管が移ってきてから初めてこういう協議会ができました。それまでは、当事者はおろか、家族会の方も政策形成の過程に参加できませんでした。繰り返し参加させてほしいという要望は出ていたんですよね。
 それから、認知症施策推進会議へも、当事者と家族の方が参加しているという、これも必要だということで参加しているっていうご答弁でしたけれども、これは、家族の方は以前から参加されていましたけれども、当事者の方が参加するようになったのは今年からです。
 私、昨年、予算特別委員会で認知症の本人の参加を求めましたけれども、そのときは、オブザーバー参加でご意見をいただいているという答弁だったんですけれども、今年度からは当事者枠が加わりました。
 議事録を読ませていただきましたけれども、認知症の方が加わったことで、当事者の方が参加しやすいように会議の途中で休憩を取ったり、いろんな工夫がされていて、また、当事者の方も発言できていることがよく分かりました。様々な計画をつくるときに当事者の声を聞くことは大前提であり、そうした方向で改善されていることは、とても大切なことだと思います。
 その一方で、都内の障害者団体からは、なぜ自分たちが当事者として、そういった会議体に参加できないのかという声が出されています。
 そこでまず、障害者施策推進協議会の参加団体はどのように決めているのか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 障害者施策推進協議会は、障害者基本法第三十六条及び都条例に基づきまして、都における障害者施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、知事の附属機関として設置をしております。
 本協議会の委員は、関係行政機関の職員、学識経験者、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事する者及び都職員から組織すると条例に規定されておりまして、障害当事者にも委員としてご参画いただいております。

○里吉委員 当事者も委員として参画しているというご答弁でした。
 この障害者施策推進協議会に対しては、中途失聴・難聴者協会の方から、中途失聴や難聴の当事者を会議体に入れないことで障害種別に対する理解が広がらない、だからこの会議体へ参加させてほしいという要望が出されているんです。
 いろんな団体が出ていると思うんですけれども、自分たちの特性はまた別なので出してほしい、こういう声、どのように受け止めるでしょうか。こうした団体が参加できるような工夫をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○加藤障害者施策推進部長 都は、都における障害者施策に関する基本的な計画の策定及び推進に当たりまして、障害のある方などと協議するための連絡調整会議といたしまして、昭和五十五年から東京都障害者団体連絡協議会を設置しております。
 お話の中途失聴・難聴者協会も含めまして、連絡協議会には、都内の障害当事者の団体や家族会にご参画をいただいておりまして、都の計画のほか、障害者施策に関して定期的に協議を行っているところでございます。

○里吉委員 名簿を見させていただきました。確かに連絡協議会の方には、多くの障害者当事者の団体や家族会が参加をしています。会の目的は、東京都における障害者施策に関する基本的な計画の策定及び推進に当たり、障害のある方と協議するために設置したとあります。一方、東京都障害者施策推進協議会は、条例に基づく知事の附属機関として設置されているもので、性質の違うものです。
 連絡協議会に参加できることは大事なことだと思いますが、それで代わりにはなりませんし、幾つかの団体はどちらにも参加しているわけです。これは、委員を増やそうとすると条例改正が必要になりますが、より多様な当事者の意見を集めて計画をつくる組織に時代とともに発展していくことも必要ではないかと思いますので、ぜひこれは検討していただきたいと思います。
 次に、東京都福祉のまちづくり推進協議会についてです。
 東京都福祉のまちづくり推進協議会の目的、また、どのような団体、個人を構成員として選定しているのか、障害者団体、当事者団体は参加しているのか伺います。

○渋谷事業調整担当部長 東京都福祉のまちづくり推進協議会は、福祉のまちづくり条例に基づき、福祉のまちづくりの推進に関する基本的事項について、知事の諮問に応じ調査審議するための附属機関として設置されております。
 この協議会は、学識経験者、民間事業者、都民及び行政関係者のうち、知事が任命する委員三十人以内をもって組織しております。
 障害者当事者の団体につきましては、様々な障害を持つ団体の連合体、聴覚障害、視覚障害、精神障害、知的障害の各団体から委員となっていただいております。

○里吉委員 ここには、東京都視覚障害者協会の方から、また中途失聴・難聴者協会の方からも、東京都福祉のまちづくり推進協議会に参加して協議の場に加わりたいという要望が出されています。
 この団体からの声をどう受け止めるのか。何らかの工夫で、参加団体を増やすべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○渋谷事業調整担当部長 福祉のまちづくりに関して、多くの当事者や団体の意見を聞く必要がある場合には、福祉のまちづくり推進協議会の場だけではなく、各障害者団体の会合等への出席や、個別に意見を聞く機会の設定によりまして意見を聞いております。
 今後も、様々な機会を捉えて、当事者や各障害者団体の意見聴取に努めてまいります。

○里吉委員 個別に意見を聞くことも大事ですが、こちらの会議体も、知事の附属機関として福祉のまちづくりに関する基本的事項について議論する場に委員として出るのとはわけが違います。
 東京都視覚障害者協会では、まちづくり部会をつくって、まちの調査、点検活動をしているんです。どういうふうに歩いたらいいのかということを取り組んでいますので、これをまちづくりに反映させるために、代表を委員にしてほしいと繰り返し要望しています。しかし、繰り返し要望があっても動きはないということなんですけれども。
 それで、改めて伺いますが、今までの構成メンバーの出身団体が変わったことはあるんでしょうか。また、構成員を増やすことはあったのでしょうか。併せて伺います。

○渋谷事業調整担当部長 福祉のまちづくり推進協議会委員の任期は二年としておりまして、再任する場合でも、連続する在任期間は八年を超えないものとしております。
 これまでも、審議する内容に応じて委員を選任しておりまして、直近では令和五年二月からの任期である第十四期において、パラスポーツとバリアフリーの連携の継続を目的として、パラアスリートの方に新たに委員になっていただいています。

○里吉委員 委員の任期は二年で、連続八年を超えないようにしているということでしたが、出身団体が変わっているのかどうかは答弁がありませんでした。新たな団体が加わることは、あまりないということなのかと思いました。
 一方で、条例上の定数が三十人なんですが、今回、パラアスリートの方も入ってちょうど三十人になったと伺いました。これ以上増やすには条例改正が必要ですけれども、必要があれば人数を増やしてきたということは確認できたので、それはよかったと思います。ただ、こちらも条例改正してでも、必要な場合は人数を増やすということもぜひ検討していただきたいと思います。
 計画策定の場に、より多くの当事者が参加できるように条例改正することは、本当にこれからの時代に合わせて取り組まなければいけない問題ですので、どちらも検討していただきたい。認知症の対策の会議も、最初はオブザーバー参加だった当事者の方が、正式に当事者枠を増やして参加されているわけですから、ぜひ、併せて検討していただきたいと思います。
 最後に、盲ろう者向け通訳・介助者派遣事業について伺います。
 盲ろう者とは、目と耳の両方に障害のある方です。そして、盲ろう者といっても、その障害の状態や程度、盲ろうになるまでの経緯はその人によって違うそうです。それでも、目と耳という主要な感覚機能に障害を持ち合わせているわけですから、周りの情報を知ることも、コミュニケーションを取ることも、外出することも困難です。
 盲ろう者向け通訳・介助者派遣事業で派遣される通訳介助者は、聴覚と視覚に障害のある盲ろう者の方の日常生活、社会生活に欠かせない役割を果たしています。養成に必要な研修事業はどのようになっているでしょうか。
 会の方からお話を伺ったんですけれども、必修科目というのがあって四十二時間、選択科目が四十二時間、基本としているそうですが、東京都の補助金額が必修科目だけしかないということなんです。しかし、四十二時間の必修科目だけでは、十分な能力、資質を身につけることができず、盲ろう者のために働いていただくためには、追加の研修費を会が負担しなければいけない。これ、おかしいんじゃないかっていうお話を伺っています。
 現在の研修費用の出し方について伺いたいと思います。

○加藤障害者施策推進部長 都では、国に先駆けまして、当事者団体と協議しながら、平成八年度から盲ろう者通訳介助者養成研修を開始しており、独自の養成カリキュラムを編成してまいりました。
 この養成研修でございますが、団体の自主事業として実施をしているものでございまして、最低四十二時間の研修時間を確保することを要件に、当事者団体の自主性を尊重するとともに、弾力的に養成カリキュラムを編成できるよう、一定の経費を都が補助しております。

○里吉委員 自主事業というふうにいわれたんですけれども、先ほどもいいましたように、東京都から出ているお金だけでは十分な研修にならないために、結局、盲ろう者の友の会の方が会のお金を持ち出しして、この研修をされているということなんです。
 自主事業に都が補助しているというご答弁いただきましたけれども、そもそもこれは、障害者総合支援法の都道府県の地域生活支援事業の必須事業ですよね。だから、これは都としては必ず行わなければならないものだと。それを盲ろう者友の会が行っているということですから、この費用は都がちゃんと負担するべきものだと思います。
 ぜひ、これからちゃんと検討していただきたいんですけれども、改めて、盲ろう者の目となり耳となる支援をする大事な役割を担っている方を養成することですから、会からの持ち出しなしで通訳介助者の養成ができるように、補助金額を引上げていただくことを強く求めておきます。
 それから、次の質問なんですが、通訳介助者派遣事業での謝金、お礼のお金ですね、この単価の引上げも要望が出されています。
 私も、新しくできた東京都盲ろう者支援センターに、今年の六月、内覧会にお邪魔させていただきましたけれども、指文字とか、指点字とか、コミュニケーションのやり方を見せていただきまして、本当にびっくりしました。すごい専門性の高い技術だと思いました。
 盲ろう者の方が生きていく上で欠かせない役割を担っているわけですから、本来、謝金、感謝の謝にお金で謝金っていうんですけど、このいい方も、ちょっと言葉の使い方が違うなと思いましたし、高い専門性にふさわしい対価が支払われるべきだと思いました。しかし、現在、東京都の謝金は一時間千六百円。全国平均千六百八十三円よりも低いということなんです。
 そこで伺いますが、謝金の単価の決め方と、いつからこの金額なのか。また、なぜ東京が全国平均より低くなっているのか、併せて伺います。

○加藤障害者施策推進部長 盲ろう者向け通訳介助者の当初の謝金単価は、団体や国の単価を参考に設定をいたしまして、令和三年度より現在の単価となっております。
 謝金単価についてでございますが、派遣時間の単位設定や上限の取扱いなど、自治体によって考え方が異なることから、他県との単純な比較は困難であると認識しております。

○里吉委員 三年前から謝金は一時間千六百円だということですが、なぜ千六百円なのかっていうことがよく分かりませんでした。
 他県との比較ですけれども、例えば近県、神奈川は二時間まで五千百円、それ以降、一時間につき千四百円だそうです。東京での通訳介助は、一件当たり大体四時間が平均なので、それで計算すると時給千九百七十五円だというふうに伺いました。千葉県は一時間千六百六十円ということなんです。
 全国平均の出し方がいろいろ違うから分からないというご答弁だったんですけれども、調査をしている団体に聞きましたら、神奈川県のように派遣時間の長さによって額が変わるようなところは除いて計算しているそうです。なので、単純に比較しやすいところでこれを出しているということなんです。だから、比較しにくいんだということをいうんじゃなくて、ちゃんとこの声に応えていただきたいと思います。
 皆さんが心配しているのは、派遣時間の謝金単価が全国平均より低いこと、千葉県や神奈川より低いことで、総体的には、この通訳派遣の皆さんが東京からいなくなっちゃうんじゃないか、担い手が減ってしまうんじゃないか。そもそも賃金がどんどん上がっているときに、物価高騰で生活も大変なときに、盲ろう者の通訳介助者そのものが減ってしまうんじゃないか、そういう心配の声が寄せられているわけです。
 盲ろう者の方の生活に欠かせない専門性の高い通訳介助者の謝金ですから、単価の引上げを検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都は、決算や執行状況を踏まえまして、毎年必要な額を措置しております。

○里吉委員 決算や執行状況を踏まえてっていっても、単価は千六百円で執行されているのでよく分からないんですけれども、ぜひ、単価の引上げを検討してください。
 それから、最後に、契約時間の引上げについても繰り返し要望が出されています。検討しているのか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 通訳介助者派遣事業につきましては、令和二年度から五万四千六百時間分の予算措置をしております。派遣時間数につきましては、利用状況を勘案して対応しておりまして、令和二年度以降は上限を超えたことはございません。

○里吉委員 令和二年、五万四千六百時間になってからは上限を超えていないというご答弁でしたけれども、以前は何回も上限を超えていたんです。そのたびに、その分、会が負担していたということです。
 そもそも、令和二年度、二〇二〇年度というのは、コロナで外出が大きく減った年です。そこから回復してきているということで、これまで超えていなくても、大丈夫だという根拠にはなりません。超えてから対応するのでは、その分がまた会の持ち出しになってしまうかもしれません。
 さらに、令和二年度、二〇二〇年度に契約時間の引上げを行った後、次の年に業務時間の換算方法の変更があって、今までは三十分未満切捨て三十分以上切上げという計算から、一分以上は切上げと業務時間を換算するようになったために、こういうこともあって引上げの検討が必要だというふうにいわれています。ぜひ、今年度契約時間を超えそうになったら、契約変更をして超えないようにしていただきたいと思います。
 目と耳に障害のある盲ろう者の皆さんは、専門性の高い研修を受けた通訳介助者の方がいれば社会参加の可能性が大きく広がります。都として、盲ろう者向け通訳・介助者派遣事業、それから養成事業を積極的に進めていくことを改めて強く要望して、私の質問を終わります。

○関野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十二分休憩

   午後四時一分開議

○関野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○中村委員 それでは、福祉局への事務事業質疑を行いたいと思います。
 最初に、児童虐待への対応について伺います。
 年々、児童虐待の通報件数が増えてくる中で、子供たちの安全を守るべく取組をしていただきたいと思っています。特に、児童虐待からさらに児童虐待死ということにつながらないように、児童虐待死ゼロ宣言をして取り組んでいただきたいと思うんですが、なかなか東京都からその答えが出てこないんですが、しっかり取り組んでいただきたいと思っています。
 児童虐待の原因は様々あります。孤立等が大きな原因になることもあるんですが、例えば、地方から出てくるなどして核家族が社会で孤立をすると、支援を受けられずに虐待につながることもあります。
 地域全体で、虐待防止のために孤立させないネットワークをつくる必要があると思いますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都内全ての区市町村では、子供家庭支援センターや保健センターなど、地域の関係機関が参画いたします要保護児童対策地域協議会等のネットワークを構築しておりまして、各関係機関が子供やその家族の状況などについて情報共有を図りながら援助方針を確認し、児童や家庭への支援を行っております。
 都は、このネットワークの中心となります子供家庭支援センター等に巡回支援チームを設置し、課題や不安を抱える家庭の情報を収集し、早期に必要な援助につながる取組を行う区市町村を支援しております。

○中村委員 行政のこうしたネットワークというのもしっかりしていただきたいとは思うんですけれども、本当に困っている家庭とかがSOSを出せない場合とかもあって、そこがどう行政のネットワークにつながるかという課題もありますので、地域の支え合いというつながりが、市町村がメインになるところがあるんですけれども、協力しながらつながりをつくって、孤立がないようにしていただければと思っています。
 さて、先ほども述べましたが、児童虐待から子供の命を守ることは何より大切で、児童相談所と警察との連携は重要だとは思ってはいます。とはいえ、相談内容が全て警察に伝わるのもいかがなものかというところがあり、児相が持つ情報をリアルタイムに警視庁と共有するということのようですが、全ての情報を共有するわけにはいかないと思っています。これ、全て例えば警察に伝わるとなると、家庭から児相に相談しにくくなってしまうということもあると思っています。
 子供の安全が第一という前提ではありますが、行政の都合ではなく、子供のための判断が必要になります。この情報についてどこで線を引くのか、誰が判断するのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、虐待非該当、警察による通告及び助言指導としたものを除きまして、児童相談所が身体的虐待、ネグレクト、性的虐待として受理したケースなど、リスクが高いと認められる全てのケースを警察と共有しております。

○中村委員 虐待非該当ということが除かれるということなので、安心はいたしました。もちろん、虐待を見逃さないという前提ではあるんですけれども、警察に相談したりしにくい場合もありますから、児相なら安心して相談できるという場合もあると思っています。親身になって相談して、できるだけ川上のところで虐待が防止できるようにお願いをしたいと思っております。
 さて、多様な子供たちの特性がある中で、医療や心理面でケアが必要な児童もいます。そうした児童への対応に特化した旧情緒障害児短期治療施設である児童心理治療施設が必要となりますが、現在、東京都にはありません。
 都において設置が必要だと考えますが見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、知的障害や発達障害等の個別的な援助が必要な児童のケアを行う施設を都独自に支援しております。また、精神科医と心理職員を配置し、専門機能を強化した児童養護施設に対する支援も行っております。
 さらに、入所児童が情緒が不安定になり、集団での生活が難しくなった場合などには、児童相談センター治療指導課におきまして、専任の医師や心理職による認知行動療法や心理教育などの専門的なケアを実施しております。

○中村委員 東京都の他県とは違う事情もあるとは思うんですけれども、できるだけ早期に治療につながるようにすることが大切なので、必要であれば設置も検討していただきたいと思っています。
 また、児童福祉法上の自立援助ホームの一類型である子供シェルターは、都内に何か所あるのでしょうか。また、こうした民間が行う子供シェルターへの支援を行う必要があると思いますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 自立援助ホームのうち、虐待等を受けた児童等の緊急の避難先であります、いわゆる子供シェルターは都内に三か所ございます。
 都は、子供シェルターに対しまして、国の委託費に加えまして、通院する際に職員が同行する場合など、入居者に対する援助等の状況に応じた経費を都独自に支援しております。

○中村委員 少し前まで一か所だったと聞いていたので、三か所になったというのはよかったのかなと思っていますが、民間への引き続きの支援をお願いしたいと思っています。
 さて、こうしたいろんな相談を受けた後で、施設であったりとか里親の下で育つなど、それぞれの人生の道があるんですけれども、いつかまた、子供の出自に関する情報について、成人した後で本人が知りたくなるという場合も、当然起きてくると思っています。
 以前は、一定期間を過ぎると文書が廃棄されていたということだそうですが、昨今、国の方針で、文書の保存は、養子の場合には永久保存になったと伺っています。
 しかし、養子になった場合以外でも保存していく必要性があると思いますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所は、指導、援助の経過を残すとともに、子供の知る権利を保障する観点から、必要な情報を児童記録票に記録し管理しております。記録票の保存期間は、国の運営指針に基づきまして、施設等に入所した児童の場合は満二十五歳になるまで保存、養子縁組の事例は永年保存、棄児や置き去り児等の場合には長期保存としております。

○中村委員 国の指針どおりの運用ということのようなんですけれども、保存年限を分ける必要はないと思いますので、どの場合であっても、いつかその子供が自分の出自を知りたいということは出てくると思いますので、これ、私自身は、永年保存に全てしていただければと思いますので、ご検討のほどお願いしたいと思っております。
 さて、多摩地域の児童相談所の再編について伺いたいと思っています。
 二十三区の方が、法改正等によって区部の方で児童相談所をやる場合が増えてくる中で、私の地元の三鷹市のところでは、三鷹と武蔵野、また杉並、中野と四区市だったので、再編が起こることになりました。
 そして、再編になった後では、多摩中部児童相談所が、三鷹、武蔵野、国分寺、小金井でできることになっているわけですから、今後の計画を伺いたいと思います。
 今、多摩府中保健所の武蔵野三鷹地域センターの施設に入るということで発表されておりますけれども、私自身は保健所の再編が必要だと主張してきたので、その保健所が、今、一部なくなっているからそこに移るというのは、少し残念ではありました。
 ただ、一時保護所が必要なため、いずれまた移転するということだそうなんですが、今後の見通しも併せて伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、多摩府中保健所武蔵野三鷹地域センターの一部を改修いたしまして、令和十一年度に同地域センターと併設で、これは仮称でございますが、多摩中部児童相談所の開設を予定しております。
 今年度は、建築関係法令等の規制を確認した上で、施設の整備方針や規模等を盛り込みました基本計画を年度内に策定し、併せまして、本施設の機能が相談援助部門に限られていることから、今後、一時保護所の付設が可能な児童相談所用地の確保にも努めることとしております。

○中村委員 最初の移転が令和十一年ということで、その後、一時保護所がある場所に移るということだそうです。広い場所が必要なので、すぐに見つけられなかったということですけれども、そうなるとかなり時間がかかります。
 どちらも、保健所も児童相談所も大事だとは思っているんですけれども、そういった点では、少なくとも児童相談所という立場からしても、一時保護所の併設が必要になると思いますので、早期に適地の選定を行っていただければというふうに思っております。
 次に、子供の健診について伺います。
 子育ての経済的負担もさることながら、親の心配は子供の病気や健康です。今年の七月二十九日に、我が会派の竹井ようこ議員が仲間たちと国会で会見を開き、三歳児健診の問診票で、専門家が作成したガイドラインにある吃音の項目を明記している自治体が僅か一・二%でしかないことを明らかにしました。改めて乳幼児健診の重要性を考えさせられるものです。
 三歳児健診での吃音を各市区町村に働きかけるべきですが、見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 母子保健法では、乳幼児健診など身近な保健サービスの実施主体は区市町村と規定されており、三歳児健診における問診項目等は区市町村が定めております。
 都は、今後とも区市町村が三歳児健診を適切に行えるよう、情報提供や技術的支援を実施してまいります。

○中村委員 市区町村の役割だということではあるんですけれども、一・二%というのは低いことですので、できれば、都としても積極的に進めていただければと思っております。
 さて、現在、三歳児健診の次は就学前健診となり三年近く空いてしまいます。そのため、独自に自治体で五歳児健診を行うところもありますが、医療人材不足などもあり、なかなかできてはいません。
 発達障害などを早期に発見し、治療など対応することは重要です。五歳児健診についての都の見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 五歳児健診は、発達障害や知的障害等の子供の個々の発達の特性を早期に把握し、必要な支援につなげることを目的としており、出産後から就学前までの切れ目のない健診体制を整備する上で必要なものとなっております。

○中村委員 この五歳児健診については、先日もこども家庭庁が自治体を補助するとの報道もありました。
 先ほどのご答弁で、都としても必要だということで認識していただいておりますので、市区町村への実施を支援すべきですが、見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 国は、五歳児健診に取り組む区市町村に対しまして、検診実施に係る財政的支援やマニュアルの提供など、技術的支援を実施しております。
 都は、区市町村に対し、五歳児健診の実施に向け、国の取組や他自治体の実施状況の周知等を行っております。

○中村委員 ぜひ、市区町村が実施できるように支援をお願いします。
 次の質問として、中国残留邦人問題について伺います。
 毎年、中国残留邦人の支援について、市区町村の担当者に説明があるとのことです。戦後八十年近くたつと、若い世代はこの問題を知らない人も多くなってきたという感じもしています。
 自分自身も学生の頃から支援する活動を続けているんですが、当時では、報道で頻繁に、帰国とか、涙の対面とか、そんなのを身近に接していたので身近な問題だったんですが、今の学生とかに聞くと、教科書の中では聞いたことあるけど知らないとか、そんなことをいっている人もいます。
 職員の、こういった説明会に出る方も、恐らく若い方が多いんではないかと思いますので、歴史的な背景を含めて説明する必要性があると思っています。
 資料も見させていただいたんですが、一定の説明はあるようなんですけれども、もう少し説明していただきたいなという思いもあります。というのも、この中国残留邦人の問題というのは、何度も何度も国に捨てられたという経過があり、国の責任というのが大事だと思っています。
 国策によって中国に渡り、また、その後の帰国の妨げ、国籍の抹消、不十分な援護策など、何度も国から捨てられてきた経過もありますから、支援策がなぜ必要なのかということも含めて、丁寧に説明する必要があると思いますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 都は、毎年度開催しております区市の支援給付担当職員や支援相談員等への研修、説明会などの中で、首都圏中国帰国者支援・交流センターより職員及び戦後世代の語り部を招きまして、中国残留邦人等の体験した労苦や支援に当たっての現状及び課題を学ぶ場を提供しております。
 また、併せて、現在の中国残留邦人等支援について講義を行い、区市の職員が中国残留邦人等へ十分な支援を行うことができる体制を整備しております。

○中村委員 丁寧なご説明をお願いしたいと思います。
 さて、中国残留邦人の方々自身も、もちろん高齢化をしています。最も若い方でも一九四五年生まれですから、七十九歳ということになります。高齢化した当事者世代が、日本に帰ってきてよかったと思ってもらえるようにすることが大切かと思っています。
 医療や介護における中国語の通訳の確保が必要になりますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 中国帰国者等が高齢化し、介護施設などを利用することが多くなっていることから、日本語の習得が十分でない中国帰国者等が医療や介護施設などを利用する際は、区市が支援相談員や自立支援通訳を派遣して対応しております。
 都におきましては、都内全域の支援相談員等を対象に、医療や介護保険制度に関する知識や専門用語の通訳技術、介護支援専門員等との連携方法など、専門研修を行いまして区市を支援しております。

○中村委員 ぜひ、こういった通訳等でも、二世、三世等がやれる場合もありますから、そういうところの活用ということも含めて、併せて考えていただけるといいと思います。
 さて、今は国の方で法律を改正して支援金がもらえるようになりましたが、生活保護を準用しているために、本来固有の権利としてもらえるはずの支援金が、子供と同居すると収入認定されて減額されてしまいます。子供と同居できるように法改正すべきですが、見解を伺います。
 また、二世、三世への支援も必要です。中国残留婦人の二世になると、残留孤児とほとんど変わらない年齢の方もいて、年金がほとんどない方もいます。国に法改正を求めるべきですが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 平成二十年度から始まった支援給付制度は、中国残留邦人等が満額の老齢基礎年金を受給してもなお一定の基準に満たない場合に支給し、安定した生活を送るためのものでございます。子や孫世帯との同居をする場合には、同居する子らの収入を一定の率で控除するなど、同居を阻害しないよう配慮がなされております。
 国に対しては、毎年、都も参画する二十二都道府県中国帰国者対策協議会におきまして、二世も高齢化が進んでいるため、十分な介護と医療が受けられるよう措置を講じることなどを提案しております。

○中村委員 一定の率で控除されてしまうというところもあるので、本当は同居しても減額されないようにした方がいいとは思っているので、国への要望もしていただいているということですが、そういったことも加味していただければと思っています。
 さて、二世の問題についてもお話をいたしましたけれども、国籍がいろいろあります。改正前の国籍法が適用されているため、中国残留邦人本人が男性の場合には、そのお子さんは日本国籍、女性の場合には中国籍になってしまうため、その場合、法的地位が不安定で、生活保護の受給も難しくなってしまいます。
 また、昨今では、入管法の改悪によって永住権を失う可能性も出てきてしまい、そのことの周知も必要です。また、同じ二世でも、帰国の際の同伴家族か、後になって呼び寄せた家族かで扱いが異なっています。同伴家族は国の援護の対象ですが、呼び寄せ家族は対象外になっています。どちらであろうとも、二世、三世も含めて、国の責任による対応が必要です。
 二世、三世の実態を調査し、法改正までの間、自治体として独自に支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 中国残留邦人等への支援は、国の責任において実施すべきものでございまして、都はこれまでも、必要な提案要求を行っております。また、中国帰国者等の世帯状況などは、国が必要に応じて実態調査を実施しており、その結果が公表されております。
 都は、独自に相談窓口の設置、国の支援対象となっていない二世等につきましても、生活相談員の派遣を行い、日常生活の諸課題に関する相談、助言や通院への同行などを行っております。生活に困窮する二世等への支援は、要件を満たす場合は生活保護制度において対応することとなります。

○中村委員 二世の場合、国籍が取れていないと、日本語の能力が少し年齢的に厳しいことがあると、帰化するといってもなかなかできないところがあります。呼び寄せ家族であれば援護の対象になるんですが、呼び寄せ家族でない二世の場合で国籍が取れないと、窓口で生活保護を受けるということになっても、なかなか受けられなかったりとか、理解が得られないと、何で中国人が来るんだとかいわれたりするということが、以前は大分起きていました。
 今後、年を取ると、またそういったことが起きないとも限らないので、より一層、そうした点でいうと法改正が必要なんですが、普及啓発もしていただきたいと思いますし、本来国の役割ではあるんですけれども、どうしても困窮されていらっしゃる方がいるのであれば、自治体としての支援ということも考えていただければというふうに思っています。
 さて、何度もいろいろ質問もしているんですが、東京都には平和というのを担当する部署がありません。生活文化スポーツ局は、東京大空襲の三月十日のみ記録を保存して伝えているというだけであって、平和を包括的に所管する部門が必要であって、それまでの間、中国残留邦人問題を、今唯一担当している福祉局が当事者の聞き取りを行う必要があると思っています。
 満州に渡ったのは地方だけではなく、東京からも開拓団が行っており、都としてそういった歴史を残す必要があります。都としても、当事者の体験を聞き取り後世に伝えることが必要だと思いますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 国は、証言映像公開事業として、中国残留邦人等の証言映像をホームページやユーチューブにて公開し、中国残留邦人等支援の拠点施設である中国帰国者支援・交流センターにおきまして、DVDの貸出しも行っております。
 都は、毎年度開催する区市の支援給付担当職員や支援相談員等への研修、説明会等の中で、首都圏中国帰国者支援・交流センターより職員及び戦後世代の語り部を招きまして、中国残留邦人等の体験した労苦や支援に当たっての現状、課題を学ぶ場を提供しております。
 また、区市におきましては、中国残留邦人等の問題の背景や言葉の問題、生活習慣の違いなどにつきまして、地域住民や次世代を担う若者を対象に、地域に根差した、きめ細かな普及啓発を実施しております。

○中村委員 平和な社会をつくるためには、過去の悲惨な戦争から学び、それを伝えていくことが必要かと思っています。特に今の世界の混沌とした状況もありますから、ぜひやっていただきたいと思っています。
 国がやるべきことではあるんですが、都がやってもいいと思っていますし、特に国は、この都庁の隣の新宿の住友ビルのところに平和祈念展示資料館ってあるんですけれども、あそこで対象にしているのは三つで、戦時の兵士とその後の抑留、そして帰国引揚げというところだけで、中国に残された残留邦人のことは全く扱っていないということで、そこでも国は、また見捨てているのかという感じもしています。
 都として、やっぱり平和なことを語り継ぐ必要があると思いますので、しっかりとした取組をお願いしたいと思います。
 それでは、次に、高齢者施策について伺います。
 高齢化が進み、施設等も待機者がいる一方、ヘルパー不足になるなど課題もあります。人材確保に努めるべきだと思います。また、高齢者のみの世帯や単身高齢者が増える中、居場所と出番をつくることが必要です。孤独、孤立の高齢者よりも、地域との関わりのある方の方が平均寿命が長いともいわれています。
 都として孤独、孤立対策を行うべきですが、見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、第九期高齢者保健福祉計画等に基づき、地域包括ケアシステムの深化、推進を進めており、区市町村が実施する見守りや、単身高齢者等を対象とした総合的な相談窓口の設置などを支援しております。

○中村委員 ぜひ、市区町村とも連携しながら行っていただきたいと思いますけれども、その対象事業の一つだと思うんですけれども、東京都がTOKYO長寿ふれあい食堂推進事業を行っています。いつでも行くことができて、話を聞いてくれる高齢者の居場所というのは大変重要だと思っています。
 この長寿ふれあい食堂推進事業について、十分な成果があったのか、現状と課題を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 TOKYO長寿ふれあい食堂推進事業は、都民の提案を踏まえ、区市町村が行う会食の実施などの取組を支援するものであり、令和五年度に開始をいたしております。
 今年度は、本事業を一般事業化し、会食等の運営費を補助するとともに、高齢者自身がスタッフとして活動する場合には、食堂の立ち上げに関わる経費を支援しております。
 多くの自治体で本事業の活用が進むよう好事例を横展開しており、現時点で九自治体、三十三食堂に対し補助を実施しております。

○中村委員 今、九自治体、三十三食堂ということでしたけれども、恐らく地域の中で、いろいろ市民とかがやっている類似の事業っていうのはたくさんあるんではないかというふうに思っています。うまくそういったところの声も聞きながら、その人たちが使いやすいような制度になったりすれば、例えばこれからやろうとしているところの背中を押すこともできると思っていますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っています。
 さて、多くの高齢者の中には、介護保険等を使っていない元気なご高齢の方もいらっしゃいますので、介助を受ければ暮らせるという方も多いと思います。ただ、買物に行ってくるのに時間がかかったりして、そのサービスを受ける時間が足りなかったりとか、最近であれば、選挙でも、投票にもなかなか行けないという話も聞きました。
 こういう高齢者の実態を調べて制度の見直しを求める必要もありますが、見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 高齢者の生活実態については、五年に一度、福祉保健基礎調査により把握し、様々な高齢者福祉施策を推進しております。

○中村委員 ぜひ、調査の結果を踏まえて施策に生かしていただければと思っております。
 さて、介護保険制度の創設時から、家族介護の位置づけというのが議論されてきました。家族介護者の支援などを含めたケアラー支援条例が必要だと思います。最近では、若年層の介護者であるヤングケアラーが注目されていますが、条例の中にはヤングケアラーの支援についても規定しているものも、他の自治体ではあります。
 家族が介護地獄に陥らないようケアラー支援条例を制定して施策を強化すべきだと考えますが、見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 これまで主に家族が担ってきた高齢者の介護を社会全体で支え合うという介護保険法の理念を踏まえ、都は、高齢者保健福祉計画を策定し、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、様々な施策に取り組んでおります。

○中村委員 ぜひとも、家族の介護の方々も大変なところもありますから、ぜひ支援していただければと思っております。
 さて、昨今、孤独死とか、身内がいない人の死後について支援することがだんだんと当たり前のような時代になってきたのやもしれません。自宅で一人で死んでいくにも、お金がないとそうもいかないという声も聞かれてきます。疫学的にも、高額所得の高齢者が長生きするというようなこともあるようなのですが、いろいろと課題もあるかと思っています。
 昨今では、そういった老後のことや、また死後のこと、また、そういったところを担当しますよという事業者もたくさんあるんですけれども、トラブルも起きているようです。
 実際また、こういったことを想定して成年後見の制度があるはずなんですが、それがあんまり活用されていないともいわれています。後見人には弁護士や司法書士、社会福祉士が選ばれることがありますが、法的な資格を有する社会保険労務士や行政書士などとの連携も重要です。
 専門家も積極的に活用すべきと考えますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 都は、区市町村における成年後見制度の利用を促進するため、平成十七年から成年後見活用あんしん生活創造事業を開始し、地域の成年後見の相談体制、支援体制の整備を図る区市町村を支援してまいりました。
 その結果、現在、島しょ部を除く五十三の全ての区市町村で、利用の相談や申立て支援などを行う成年後見推進機関が設置されております。
 また、関係者で構成する地域連携ネットワーク会議を定期的に開催しており、この会議には、弁護士、司法書士、社会福祉士のほか、社会保険労務士や行政書士などの団体にも参加いただき、相互の連携を図っております。

○中村委員 ぜひ専門家の方も積極的に活用していただきたいとは思っておりますが、先ほども少し述べましたが、そういう専門家ではない、いろんな民間事業とかもありますが、こういった事業者に対する基準があるというわけでもなく、トラブルも起きています。
 トラブルの防止を図るべきだと考えますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 国は本年六月に、高齢者等に対して身元保証や死後事務、日常生活支援等のサービスを行う事業が適正に運営され、利用者の安心等を確保するため、契約の締結や移行に当たって留意すべき事項をまとめた高齢者等終身サポート事業者ガイドラインを策定し、利用者による事業者選びの判断の目安を示しております。
 また、都は、遺言書の作成や遺品整理などに関し、高齢者個々の状況に応じて支援や助言を行う相談窓口を設置する区市町村への支援を行っております。

○中村委員 この事業者というのは、何か決まりがあるということでもないので、監督官庁があるわけでもありません。結局は消費者トラブルというようなことの扱いになっているとのことのようです。ただ、契約を結んでいるご本人は、認知症になったりとか、また亡くなられて死後の問題だったりもするわけですから、単に消費者問題というわけではいかないんだろうと思っています。
 今後、こうしたトラブルも起きてくることがだんだん増えてくる可能性もあるので、少しきちんとした検討が必要ではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。
 さて、認知症の方々が増えているということではありますが、認知症の当事者の意見を聞く場がなかなかないともいわれています。当事者の声を聞く場が必要になります。地域づくりが重要で、家族だけではなく、地域の他人が支え合う社会をつくるということにもなっていくんだろうと思います。容易に助けてといえるまちをつくっていく必要性もあると思います。
 認知症の方を地域全体で受け入れる施策が必要ですが、見解を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 都は、学識経験者、医療、介護関係者、都民等から成る東京都認知症施策推進会議の委員として、認知症の方ご本人及びご家族に参画いただいております。
 また、今年度、東京都認知症施策推進計画の策定に当たりまして、地域に出向くなどして、当事者からご意見を伺う機会を計八回設けております。
 さらに、認知症に対する正しい理解を促進するためのシンポジウムを開催するほか、都が区市町村ごとに指定している認知症疾患医療センターにおいて、認知症カフェや家族相談会を開催するなど、認知症の方とご家族が地域で安心して生活できるよう、様々な施策を進めております。

○中村委員 政策決定の場に、そういった当事者の方々の声を聞いていただける場を設けていただくということも必要ですし、また、地域の中でも、ぜひ、お話ができるような場ができればと思っておりますので、よろしくお願いします。
 次に、障害者施策について伺います。
 まず、手帳についてなんですけれども、精神障害者保健福祉手帳が発行されるのに時間がかかるといわれました。そもそも運転免許証のように更新のお知らせがありません。期限が切れる前に更新を出しているのに間に合わなかったりします。
 それでも、運用で医療は受けられるということのようなんですが、精神障害の方には、やっぱり不安になってしまう方もいるので、期限が切れる前にお知らせをして、期限までに発行できなければ資格証のようなものを発行するとか、そもそも発行手続を早くすることが必要だと思いますが、見解を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 精神障害者保健福祉手帳は、区市町村が申請を受け付け、東京都立中部総合精神保健福祉センターへ送付します。センターでは、診断書の内容等を確認した上で、医師により構成された東京都精神障害者保健福祉手帳等審査会において判定を行い、区市町村を通じて申請者に交付します。
 手帳の更新に当たっては、有効期限の三か月前から申請を行うことができると国の規則で定められており、期限までに発行できるよう、標準でおおむね二か月から二か月半程度で処理を完了しています。また、希望した方に対して、更新手続の開始時期をSNS等により通知しております。

○中村委員 普通の車の免許証のようにはいかないようなので、やっぱり審査に時間がかかるということは分かります。ただ、やっぱりどうしても当事者の方々が間に合わないと不安になってしまうところがあるので、先ほどSNS等で通知をするということもいっていただきましたけれども、そういったことも周知していただいて、なるべく早く申請して、期限までに更新ができるようにしていただければと思っております。
 さて、昨今では発達障害の方もだんだんと増えておりますが、東京都発達障害者支援センターが世田谷区にあり、以前、見学もさせていただきました。
 多摩地域でも出張で相談できるサービスをしているということですが、そもそも多摩地域にも発達障害者支援センターの開設を求める声があるんですが、いかがでしょうか、見解を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 区部に設置している東京都発達障害者支援センター、こどもTOSCAとおとなTOSCAでは、都内全域から相談を受け付け、身近な地域の医療機関や福祉サービスなどの紹介を行っています。
 令和六年五月からは、多摩地域における出張相談を実施しています。

○中村委員 出張相談はしていただいているということですが、状況等を見ながら、必要であれば増設ということも考えていただければと思っております。
 さて、障害を持っている方の保護者の方からは、よく、親亡き後を心配する声が聞かれてきます。特に重症心身障害者施設の整備が求められていますが、見解を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 現在、都内には、都立四か所、民間五か所の重症心身障害児者の入所施設がございまして、入所定員の合計は一千百五十人でございます。
 また、都は、在宅で生活する重症心身障害児者の日中活動の場や、短期入所などのサービス基盤を整備しております。

○中村委員 施設の整備が最近はなかなかないみたいなので、待機されている方も大勢いらっしゃいます。そんなに簡単に増やせるものじゃないということも、当然、分かってはいるんですけれども、重症心身障害児者の方々を介護するのも大変ですし、その後の不安ということもあるようなので、ぜひ今後、整備についても、また検討していただきたいと思っています。
 また、東京都は障害者の都外施設、東京都外のところに施設も多くありますが、どこに何所あるのでしょうか。都内にはなかなかできないという事情は分かりますが、遠方だと家族が行くのも大変だと思います。今後、どういう方針になっていくのか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都外の知的障害者の入所施設は、昭和四十年代初めから平成九年にかけて設置をされました。十四県に四十四施設、二千八百八十三人の定員となっております。
 また、都は、都外施設も含めて施設入所者の地域生活への移行を支援しておりまして、グループホームなどの地域生活基盤の整備を促進しております。

○中村委員 私も久しぶりに厚生委員に戻ってきたんですけれども、以前、厚生委員会にいたときには、視察で都外の施設も見に行きまして、当時は青森県の施設を見に行ったこともありました。大変遠いところであるなとは思ってはいたんですけれども、そういったところで、障害者の方が施設で過ごす姿も拝見させていただきました。
 施設が、なかなか都内でつくるのは難しいということではあるんですけれども、グループホーム等の整備をするということでございましたので、ぜひそういったことも進めていただければと思っております。
 次に、精神障害者の施策について伺います。
 精神障害者の相談体制の強化が必要になります。市役所と保健所、精神保健センターの連携がうまくいっていないケースをたまたま相談を受けたんですが、どこに行っていいか分からなかったという声もありました。
 障害の程度によって対応が違うということですけれども、いろいろ複数窓口があると所在が曖昧になってしまうということもあるようです。どこが受けても、受けたところがしっかり責任を持って相談対応をすべきだと考えますが、見解を伺います。

○菊地障害者医療担当部長 精神保健福祉法では、都道府県及び市町村は、精神障害者及びその家族等からの相談を受けるとともに、相互に密接な連携を図ることとされております。
 区市町村や保健所では、地域の医療機関や福祉サービスの紹介など、身近な地域における精神保健福祉に関する様々な相談や情報提供に対応しております。
 都内の精神保健福祉センターでは、地域の複雑な事例や、困難な事例を扱うとともに、思春期、青年期の問題や依存症など、精神疾患に関する専門的な相談を受けており、区市町村と連携し、精神障害者や家族からの多様なニーズに対応しております。

○中村委員 いろいろな組織が連携して、ぜひ丁寧な対応をお願いします。
 さて、精神障害のある方で、近隣とトラブルになった場合に、家族がいなくても、例えば生活保護を受けているとケースワーカーがいたりもするんですが、家族がいない場合に対応が困難な場合があります。そうした際には、市役所や警察に通報する場合も多いようなんですが、保健所が駆けつけないと対応できないということもあるようです。
 精神障害で自傷や他害のおそれのある人を警察が把握した際に保健所に知らせる警察官通報について、東京の保健所は現場に行かず、臨場率ゼロ%という報道もありました。
 これ原因は何か、対応すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○菊地障害者医療担当部長 精神保健福祉法に基づく警察官通報は、警察官が精神障害のために自身を傷つけ、または他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見した場合に、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報する制度でございます。
 都では、都内全域で年間約三千件の警察官通報を一元的に受理した後、専門性の高い職員や経験豊富な職員が警察等への電話調査を行うことにより、被通報者の状況や医療の必要性などを把握した上で、迅速かつ適正に措置診察を経て措置入院へつなげております。

○中村委員 なかなか件数が多いこともありますし、迅速な対応に必要なので電話で対応ということもあるんですが、いろいろ件数があれば、現場に行かなきゃいけないこともケースによってはあるんではないかというふうに思います。人員不足なのであれば人員の増強ということも必要になると思いますし、いずれにしてもいろんなケースがあると思いますから、丁寧な対応をお願いしたいというふうに思っています。
 さて、滝山病院についてなんですけれども、滝山病院について、希望の丘八王子病院に名前が変わったとのことです。イメージを変えたいのかとは思ってはいますが、本当に大事なのは、中身が変わればいいということだと思っています。
 本当に体制が変わったのかということをお伺いしたいと思いますが、特に退院促進を行うべきだといわれていますが、どのような状況か伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、令和六年一月に病院から提出された改善計画書に基づいた病院による自立的な取組が着実に進むよう、引き続き病院から取組状況について定期的な報告を求めるとともに、立入検査等で確認しながら指導しております。
 病院には身体の合併症や重い精神症状の患者が入院していることから、本人の希望や家族の意向などを踏まえながら、他の自治体とも連携して本人の状況に合った医療機関を探すなど、丁寧に転退院の支援を行っております。

○中村委員 転退院の支援についてよろしくお願いします。
 さて、先ほどの答弁の中でも立入検査ということもありました。滝山病院については、今後も立入調査が必要だとは思うんですが、事前に予告していくと、そういった対応を準備をすることもあるんでしょうから、抜き打ちで行く必要もあると思うんですが、見解を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、虐待事案が発覚した令和五年二月十五日以降、立入検査を継続して実施し、病院の改善の取組状況を確認してきました。
 都では、虐待通報窓口を設置し、虐待に関する通報や相談を受け付けており、入院患者に対する虐待が強く疑われ緊急性が高い場合などは、事前の予告なしで立入検査を実施しています。

○中村委員 ぜひ、引き続き適切な監視をお願いしたいと思っています。
 さて、滝山病院だけではないんですけれども、長期入院の精神障害者の方も地域で暮らせるようにすることが重要です。都はアウトリーチ支援を行っていますが、地域で受け入れる土壌も必要になります。
 退院促進についての見解を伺います。

○菊地障害者医療担当部長 都は、精神障害者が地域で安心して暮らせるよう、精神科病院と地域援助事業者との連携体制を構築するとともに、地域の関係者の調整を広域的に行うコーディネーターの配置等を通じ、精神障害者の円滑な地域移行を促進しております。

○中村委員 また、精神との合併症、人工透析ができるところがなかなかないので、滝山病院に入らざるを得なかったということもあったといわれています。
 精神との合併症の受皿となる医療機関を増やす必要があると思いますが、見解を伺います。

○菊地障害者医療担当部長 都は、精神身体合併症患者が地域において迅速かつ適正な医療を受けられるよう、一般診療科と精神科との連携体制の構築を進め、精神身体合併症救急医療体制の整備などの取組を行っております。
 また、精神科病院に入院する患者が他の医療機関を受診して維持透析を実施する場合には、精神科病院に対して、送迎及び看護師等の付添いに係る経費を補助する取組を実施しております。

○中村委員 なかなか合併症への対応ということは大変なんだと思いますけれども、ぜひ、しっかり対応していただければと思います。
 以上で終わります。

○さんのへ委員 初めに、多数の資料のご用意をいただき、誠にありがとうございます。
 最初に、重症心身障害児入所施設について伺います。資料の28をご参照ください。
 重症心身障害児入所施設は、定員に変化がない一方で、待機者数は減っています。定員が増えた通所施設に待機者が流れたか、もしくは都外の施設を選択せざるを得ない状況だったのでしょうか。都の認識と見解を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都は、障害児やその家族が地域で安心して暮らせるよう、日中活動の場である通所施設を整備するなど、在宅支援サービスの充実に取り組んでおります。
 また、医療的ケアに対応できる看護師の加配に対する支援など、都独自の取組を行うことによりまして、令和三年度の八百八十三人から令和五年度には九百六十二人へと、通所事業の定員を七十九人増やしております。

○さんのへ委員 通所施設の定員増加や看護師の加配の増加の取組により医療的ケア対応の通所定員を増やし、入所施設の待機者数が減っているとのご答弁でした。
 一方で、全国的に見ますと、障害者入所施設やグループホームの待機者数が二万人を超えていることが新聞報道で明らかとなりました。ただ、こうした待機者の中には、複数の施設に申し込んでいる方ですとか、将来に備えて入所を希望する方、入所を申し込みつつも支援があれば地域で暮らしたい人などが混在しているため、厚労省は、待機者の定義などを整理するための実態を調べるとしています。
 東京都として、待機者の基準や考え方は設定されているでしょうか。している場合は、入所の希望は本人によるものなのか、家族によるものなのか、また、入所希望時期はいつかなどの希望をどうやって確認をされているでしょうか。

○加藤障害者施策推進部長 都では、福祉局月報におきまして、障害者支援施設等の利用が必要となった方であって、定員等の状況により当該月末までに利用できなかった人数を待機者として区市町村から報告を受けております。
 施設入所の希望につきましては、各区市町村の障害福祉担当所管におきまして、本人や家族から入所希望施設や入所時期などを確認しております。

○さんのへ委員 特に強度行動障害を持つご家族、保護者からは、都内施設に空きがない、もしくは入所を求めても断られてしまうという切実な声が届いています。昨年は、突然の施設の閉鎖などの出来事もあり、転出を余儀なくされた方もいらっしゃいます。
 東京都として、強度行動障害を含む障害児者施設の整備に、いかに取り組んでいくでしょうか。また、ご家族の声として、可能であれば住み慣れた地域で親と共に暮らしていきたいという声もあります。これは、親亡き後のことを思うと保護者として当然の心情だと思います。
 そこで、親も入居できる介護複合型の施設、グループホームの新設や誘致に対する取組はしているでしょうか。

○加藤障害者施策推進部長 都は、重度障害者が地域で安心して暮らせるよう、障害者・障害児地域生活支援三か年プランに基づきまして、特別助成や補助金額の上乗せ等により、グループホームなどの地域生活基盤の整備を促進しております。
 また、障害者やそのご家族がそれぞれの希望に応じ地域で生活ができるよう、様々な取組を行っております。

○さんのへ委員 様々な取組を行っていただいているということなんですけれども、地域共生の理念に基づいて、都は、その仕組みづくりをまず支援すべきであると考えます。
 東京都は、令和六年度予算方針でも、人を育み、誰もがいつまでも輝き続けられる成熟社会へと称して、年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、誰もが個性を生かし活躍できることが都市の持続可能性を支える重要な要素であるとしています。
 ですが、実際に障害の有無を問わず地域で一緒に暮らしていくことができるように、例えば、民間事業者などがグループホームの設立などに取り組んだときに、縦割りの福祉制度が大きな壁となっています。
 地域移行や生活支援に基づいた取組の一方で、特定の障害者や当事者家族が地域で孤立してしまうという現状を都としてご認識いただいて、介護が必要な方も障害をお持ちの方も一緒に入所できる、そうした複合施設の新設などの支援を行っていただくことを強く要望し、次の質問に移ります。
 有料老人ホームについて伺います。
 要求した資料、29によると、有料老人ホームにおける事故件数が大幅に増加傾向にあることが分かります。
 この背景は単純な施設増によるものなのか、東京都はどのように捉えているか、見解を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 有料老人ホームからの事故報告の件数が増加している背景といたしましては、施設の定員数の合計が、令和三年度五万八千二十五人、令和四年度六万三百二十一人、令和五年度が六万三千八百六十二人と年々増加していることに加えまして、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針に基づき、事故発生時の報告の徹底について、事業者への指導に努めていることなどがあるものと考えております。

○さんのへ委員 施設の定員増及び、そうした事故発生時の報告の徹底を東京都は努めているということです。
 また、難病、パーキンソン病など、また末期がんの高齢者を対象にした有料老人ホームをめぐって、有料老人ホーム紹介会社に一人当たり百五十万円の紹介料を支払っていることが全国的に問題視されています。有料老人ホームの供給が過剰なエリアでは、入居者の取り合いが起きているとのことです。
 東京都として、どのような規制、対策を行っているでしょうか。

○梶野高齢者施策推進担当部長 有料老人ホームの運営事業者は、高齢者や家族からの申込みのほか紹介事業者からの紹介を利用するなど、様々な方法で入居者を確保しておりまして、紹介事業者の利用については、民間事業者間の契約により行われているものと認識をしております。
 なお、今般の大阪での状況についての報道を受けまして、厚生労働省は、高齢者の介護度や医療の必要度等に応じて紹介手数料を設定することがないよう、是正を求める通知を業界団体に対して発出しております。

○さんのへ委員 ありがとうございます。
 次に、自立支援医療費について伺います。資料の34をご参照ください。
 要求資料として、自立支援医療費の件数、合計金額のみが出ていますが、要求した病院別内訳は出せないのはなぜでしょうか。政令指定都市である千葉市では、自立支援医療費の公費負担額が医療機関ごとに公表されています。
 都内の公費負担件数及び公費負担合計金額は増加の一途をたどっており、極端に自立支援医療費が多く支払われている医療機関があれば問題ですので、その点確認します。

○新田障害者医療調整担当部長 自立支援医療費の公費負担分については、毎月、受給者ごとに診療報酬明細書等の審査、支払いを行っており、医療機関ごとに集計する仕組みとはなっておりません。
 都では、診療報酬明細書等の点検委託を実施しており、重複請求や算定方法に誤り及び疑義がないか、自立支援医療制度の対象としている診療報酬について疑義がないか等について点検し、不正請求の防止を図っております。

○さんのへ委員 生活保護世帯者が自立支援医療費を利用した場合、医療費は全て公費負担となり、自己負担額はありません。利用者の負担額がないため、病院が行った医療行為等の内容は利用者に開示されず、東京都として診療報酬明細の点検を行ったとしても、この対応では、自立支援医療費を使った不正請求が病院側でたとえ行われてしまっても、第三者が気づきにくいという点があり、後ほど質疑しますが、自立支援医療費制度を悪用した事件も発生しています。
 そうした問題を未然に防ぐために、改めて医療機関ごとの自立支援医療費の公費負担額公表を強く求めて、次の質問に移ります。
 次に、精神科医療機関について伺います。保健医療局に質疑がまたがるため、ここでは福祉局で出された要求資料の結果を基に何点か伺います。
 資料の36、精神科医療機関における虐待が疑われる事案の件数及び内訳の推移ですが、令和三年度以前について資料がないのはなぜでしょうか。また、患者、家族、病院職員からの通報等により虐待を把握した件はあるでしょうか。ある場合は、その件数を教えてください。

○新田障害者医療調整担当部長 令和三年度以前については、精神保健福祉法に基づく実地指導、精神科医療機関からの報告などにより都が把握した虐待が疑われる事案はありませんでした。
 また、職員等からの通報等により把握した件数は、令和四年度は四件、令和五年度は十二件です。

○さんのへ委員 ここで、順番が前後します。同じく資料、36について伺います。
 精神保健福祉法に基づく実地指導で発見された虐待については、どのような対応をされたでしょうか。一般論として、書面審査が中心の実地指導では、虐待を発見することが困難と思われますが、どのようにして各虐待を発見されたのでしょうか。
 さらに、虐待が疑われる事案が発生した場合に、直接被害者から聞き取りを行ったり、一旦都立病院に転院していただくなどして、患者の安全を確保してから聞き取りを行うなどの対応を行ったことはあるでしょうか。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、虐待通報窓口に寄せられた虐待通報については、内容等を事案ごとに個別に判断して、入院患者に対する虐待が強く疑われる場合などに事前の予告なしで立入検査を実施しています。立入検査では、病院職員だけでなく、入院患者からも聞き取りを行うなど、事実確認を行っています。
 虐待行為等が確認された場合、都は、精神科病院の管理者に対して、提示した期限までに、指導事項の改善や再発防止に向けた具体的な取組を改善計画として作成し、都に提出することを求めています。

○さんのへ委員 入院患者からも事実確認をされているとのことで、そこで様子も確認されているかと思います。
 確認された虐待の被害者で、病院によるご家族への被害の説明やご本人への賠償等、病院による被害回復が確認できた例はあるでしょうか。また、そのような被害回復を行うよう、東京都として指導等をした実績がありましたら教えてください。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、虐待事案発生時における病院による家族等への説明や謝罪等の対応につきまして報告を受けております。
 また、今年度からは、都は、精神科病院において虐待であると判断された場合の患者、家族等への報告、説明、謝罪、改善の必要性について、精神科病院の職員を対象とした研修で周知することとしています。

○さんのへ委員 次に、旧滝山、以下、滝山病院について伺います。資料の53をご覧ください。
 転退院七十八名のうち、東京都の退院支援により転退院した方は何名いらっしゃるでしょうか。
 また、令和五年二月十五日以降から二年もたたないうちに四十八名もの方が亡くなっていますが、死因について、高齢の方や腎疾患を抱えた方が多かったという説明では、あまりにも言葉足らずであると指摘します。具体的に、死因を四十八名それぞれについて把握された上で、不審な死はないと把握しているということですか。東京都としてどのように把握したのか、その方法を教えてください。

○新田障害者医療調整担当部長 都が転退院の希望を確認した患者のうち、都の支援により転退院した者は、令和六年十月末時点で十七名です。
 都は、病院から亡くなられた方の情報について報告を受けております。都は、医療法、精神保健福祉法など、法令に基づく病院の適正な管理運営について確認するため立入検査を実施しており、法令違反等があるときは、改善のための必要な指導を行っております。

○さんのへ委員 滝山病院における任意入院者で、退院を希望しながら現在まで退院が果たされていない方はいるでしょうか。いる場合、それは何名ですか。
 もしもいた場合、精神保健福祉法第二十一条一項に違反すると思われますが、東京都として指導や処分は行っているでしょうか。また、行う予定があるかお答えください。

○新田障害者医療調整担当部長 都が転退院の希望を確認した患者のうち、令和六年十月末時点で病院に入院している任意入院の患者は十一人です。
 病院には身体の合併症や重い精神症状の患者が入院していることから、本人の希望や家族の意向などを踏まえながら、他の自治体とも連携しながら本人の状況に合った医療機関を探すなど、丁寧に転退院の支援を行っています。

○さんのへ委員 十一名の方が現在まで転退院がかなわない状況にあるとのことです。転退院を希望する十一名の方全員の希望が実現するように、都としての指導対応を強く求めます。
 また、滝山病院では、院長等が変更になった後にも、外部からの面会希望者がある場合に、そのことを患者本人に伝えることなく、恣意的に病院が面会者をセレクトして断るといった事案が報告されています。
 そのような行為が実際にあるとした場合、東京都としてはどのようなご見解をお持ちでしょうか。

○新田障害者医療調整担当部長 面会の制限については、精神保健福祉法第三十七条第一項の規定に基づき、厚生労働大臣が基準を定めています。
 都は、立入検査等で法令に基づいた対応が行われているか確認をし、法令違反等がある場合は必要な指導を行っています。

○さんのへ委員 実際に面会の制限が行われた旨が報告されておりますので、立入検査のみならず、患者並びに患者ご家族からの通報があった場合にも、確認していただくことを求めます。
 現在の滝山病院の入院者数は五十名程度まで減少しています。昨年発覚した患者虐待事件の発覚当時、滝山病院しか行き場がないなどといわれていた患者さんの大半は、現在、ほかの受入先で生活したり、治療を受けていたりすることが推察できます。
 現在も、滝山病院にしか行き場のない患者さんがたくさんいて、ゆえに、滝山病院は現時点でも必要な病院であるという認識を東京都としてお持ちでしょうか。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、旧滝山病院をはじめとした精神科病院に対しては、医療法、精神保健福祉法など、法令に基づく病院の適正な管理運営等について確認するため立入検査を実施しています。法令違反等がある場合は、改善のための必要な指導を行っています。

○さんのへ委員 次に、綾瀬病院について伺います。資料の59をご参照ください。
 綾瀬病院では、今年に入り二件の事件が報道されています。一件目は、今年六月二日、綾瀬病院が患者の自宅などへ実際には行っていないのに、通院してきた際に待合室で行った面談を訪問看護、つまり職員が自宅へ赴いて面談を行ったとして虚偽の報告を行い、診療報酬を不正に請求していた事件です。
 この訪問看護費の診療報酬不正請求を受け、都としてどのような対応を行ったのかお答えください。

○西坂指導監査部長 委員お話しの事案につきまして、関係法令に基づき、都で調査を行っております。

○さんのへ委員 現在、都として調査を行っているとのお答えでした。
 綾瀬病院における訪問看護費不正受給に関しては、元職員の証言から発覚したものですが、なぜこれまで訪問看護費の不正受給が指摘されなかったかという背景については、綾瀬病院側が、生活保護受給者、つまり自立支援医療費受給者かつ医療費の自己負担がない方に対して行われていたことが発覚しています。ゆえに、患者自身も虚偽の訪問看護が行われていることに気がつくことはできませんでした。
 これは、訪問看護費の不正受給のみならず、さきの質疑でも述べたように、自立支援医療費制度も悪用していると指摘します。本件があしき事例とならないよう、東京都に対して、しっかりとした調査対応を行っていただくことを強く求めます。
 二件目の事件は、報道によると、二〇二二年に綾瀬病院に統合失調症で入院していた四十代女性から、退院したいとの相談を弁護士が受け、退院に向け病院側と調整していたが、約二か月間進展がなかったため、病院に伝えた上で、精神保健福祉法に基づき、女性の代理人として都に退院請求をしました。
 その約二週間後、病院から突然、今日退院させると弁護士事務所に連絡があり、院長らが女性を連れて弁護士事務所を訪問し、退院請求をした責任を取ったらどうかなどといい、女性を置いて立ち去ったとのことです。
 現在、損害賠償をめぐって裁判が行われているものの、退院調整を行わないまま患者を連れていって置き去りにしたことを病院側は認めています。
 資料の59を見ると、綾瀬病院は、令和四年以降は医療保護入院が行われておらず、一〇〇%任意入院となっていることが分かります。
 しかし、こうした入退院トラブルが起きていることから、全て患者同意の下に入院が行われているのか疑わしいと指摘せざるを得ません。また、ほかの精神科病院と比較しても、医療保護入院がないのは不自然ではないでしょうか。都の見解を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 精神保健福祉法第二十条に基づきまして、精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならないとされております。

○さんのへ委員 万が一、強引な入院手続が行われていた場合、利用者、患者はどこに相談、連絡すればよいのでしょうか。また、綾瀬病院における退院者数推移及び退院請求に対する面談実施の対応割合について教えてください。

○新田障害者医療調整担当部長 都内の精神科病院に入院中の方、またその家族などは、都の精神医療審査会に退院の請求または処遇の改善を請求することができます。
 年間の退院者数推移につきましては、国の精神保健福祉資料の調査対象となっていないため、把握しておりません。
 令和五年度の綾瀬病院における退院請求は一件ありましたが、その後、請求が取り下げられたため、意見聴取は実施しておりません。

○さんのへ委員 任意入院でもあるにもかかわらず、退院請求が行われている場合においては、都の精神医療審査会には少し注意して見ていただきたく、この場で申し入れておきます。
 任意入院をした場合において、患者の意思に基づく退院が行われてしかるべきですが、病院側は空床をなるべく出したくないという意思から、何かと理由をつけて退院を食い止める、そして、都合が悪くなったら患者を放り出すということもあり、その一例が今年発生した患者置き去り事件であったと指摘します。
 次に、ベビーシッター利用支援事業について伺います。資料の47をご参照ください。
 私の地元である江東区でも、ベビーシッター利用支援事業が本年度より始まりました。現在の自治体と利用者の活用状況と課題を確認します。
 令和二年四月に発生したベビーシッターによるわいせつ事案を受け、認定事業者であったキッズラインに対する指導状況を資料でまとめていただいておりますが、こちらの資料を見ても、全て立入調査に伴う改善指導にとどまっています。また、ポピンズファミリーケアへの対応を含め、しっかりと改善指導をなされているのでしょうか。改めて、指導監督の現状と所見を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 待機児童などを対象とするベビーシッター利用支援事業の令和五年度の実績は、二十区市、二百七十五人となっております。ベビーシッター利用支援事業の一時預かり利用支援の令和五年度の実績は、十九区市、一万四千二百六十五人となっております。
 都は、保育の質の向上を図るため、認定事業者に対して、保護者の居宅への巡回支援や管理責任者向けの研修等に要する経費を補助しております。また、認定基準等の遵守状況を確認するため、認定事業者を対象に立入調査を実施することとしております。

○さんのへ委員 東京都は、認定事業者に対して立入調査を実施しているとのことですが、この調査を受けて指摘事項があったのか、その経緯などは自治体や都民には公表されておりません。
 自治体として、問題のある事業者を選択肢から外すことはできず、保護者も情報を得られないことから、東京都の指導監督が子供たちを守るためのとりでとなっています。
 令和五年十一月二十一日から十二月二十日には、二十五事業者に立入調査を実施し、指摘事項ありと表記されていますが、指摘事項があった事業者はどこでしょうか。また、指摘事項の具体的な内容は何か、それらが現時点で改善されていることを既に確認されているかどうか伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は昨年度、都の認定基準等の遵守状況を確認するため、二十五の事業者へ立入調査を行い、そのうち五事業者に対して指摘を行ったところでございます。
 具体的な指摘事項につきましては、保育実習の未実施、研修機会の未提供等であり、四事業者は既に改善を確認しております。また、一事業者につきましては、改善指導中でございます。

○さんのへ委員 保育実習や研修機会の未実施というのは、子供の事故対応や危機管理対応に直結するものであり、重く受け止める必要があります。また、一事業者は改善指導中ということですが、指導中の事業者であっても、認定事業者として認められているわけですから、利用者の選択肢から外れることなく、未然に事故を防ぐことが難しい状況です。
 東京都が行う立入調査は、事前に告知をした上で調査を行うものですが、本事業は東京都の事業として、子供の安全を担保するために、事前告知なしの立入調査の実施を強く求めます。
 また、要綱の改定を行い、指摘事項の詳細並びに指導経緯と事業者の公表を求めます。保育施設に対して指導があった場合は、その経緯も含めて文書指摘事項が各自治体の議会等でも公表されています。都民に対しての情報を担保し、子供たちを未然に守れるよう、より厳しい指導と事業者の公表を強く求めて、次の質問に移ります。
 〇一八サポートに係るシステムトラブルについて伺います。
 今年九月、約一億二千百四十一万円の誤支給が、申請者からの問合せで発覚しました。こちらは、資料の49をご参照ください。
 昨年九月は、十七万枚ものチラシの誤送付が発生しています。後者は地方公共団体情報システム機構の抽出ミスであったとのことですが、東京都が負担する経費は調整中となっています。これはいつ頃に判明するのでしょうか。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 現在、地方公共団体情報システム機構に対し、費用負担の交渉を行っておりまして、終了時期をお答えすることは困難でございます。

○さんのへ委員 今年六月には、申請サイトでの画像のアップロードができないシステムトラブルが発生しています。これによって都が負担する経費はどのようになるでしょうか。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 申請サイトで画像のアップロードができない事象の対応につきましては、〇一八サポート認定請求システムの保守・運用支援委託の委託業務の範囲内で実施しておりまして、追加で都が負担する経費はございません。

○さんのへ委員 システムトラブル、後者のものに関しては都の費用負担は発生しないということですが、資料の49を見ていただいても、既に多額の事業費を投入しています。
 これまでの誤送付、誤支給、システムトラブルなど、執行部とも綿密に事業を計画していたら起こり得なかった凡ミスであると指摘せざるを得ません。
 当会が開示請求をしても、まだ得られていない十七万件のチラシ誤送付と誤送金の損失金額を速やかに明らかにして示すべきであり、二度と稚拙な事業展開をしないことを強く求めます。
 最後に、児童発達支援事業所等利用支援事業について伺います。
 児童発達支援事業所等利用支援事業とは、児童発達支援事業等を利用する第二子以降の保護者の自己負担を世帯収入にかかわらず無償化する事業です。もともと、利用者負担の上限月額がゼロ円であれば、こちらの事業を利用する必要性はないので、この事業における支給件数は、住民税の課税世帯からの申込みであると考えてよいでしょうか。
 また、二〇二三年十月から開始した本事業ですが、令和五年度の支給決定件数は、資料51を見ると七百六十七件となっています。一児童当たりの給付額は幾らとなっているか、お答えください。

○加藤障害者施策推進部長 児童発達支援事業所等利用支援事業は、保護者が実際に事業者へ支払った利用者負担額を給付するものでございます。本事業の対象は、国が定めました所得区分に応じて負担が発生する住民税課税世帯でございます。
 令和五年度に都が本事業で支出した額を支給児童数で除した額は、約一万五千円でございます。

○さんのへ委員 ありがとうございます。この事業の給付は第二子以降を対象としていることから、住民税課税世帯、第一子でゼロ歳から二歳の障害を持つ子供が児童発達支援を利用すると、一人当たり一万五千円程度の自己負担が発生しているということが置き換えてみると分かるかと思います。
 内閣府が掲げる障害者施策では、障害のある児童の育成については、できるだけ早期に適切な医療的リハビリテーション、指導訓練などの療育を行うことにより、障害の軽減及び基本的な生活能力の向上を図り、自立と社会参加を促進しています。自己負担が発生することによる児童発達支援事業の利用控えは、早期療育の理念に反するものであり、あってはならないことだと考えます。
 今後の児童発達支援事業所等利用支援事業の利用状況を加味しつつ、第一子からの利用支援事業拡大の検討を強く要望して、質疑を終わります。

○山加委員 冒頭、委員長から、各議員が手短に要領よくというご要請がございましたので、しっかりと頑張らせていただきたいと思います。
 また、重複するテーマもございますけれども、角度を変えて質問をさせていただきたいと思いますので、理事者の皆様におかれましては、内容の濃い答弁をひとつよろしくお願い申し上げます。
 まず、二〇一二年、障害者手帳の有無にかかわらず、社会参加、真の共生社会に資するマークが必要ということで、私の体験から、このヘルプマークを提案させていただきました。
 当時、石原都政がこの提案を受けて実現をいただいたわけでありますが、所管局の福祉局はどちらかというと、前例がなかったということで、ちょっと後ろ向きな印象を持っておりますけれども、ただ、二〇一七年、日本の新しい福祉のマーク、JISに採用されまして、そして、観光地の京都が最初に飛び火をしたと思いますが、そこから全国に飛び火をいたしまして、もちろん以降は、所管局、福祉局の担当者の皆さんも全力で力を注いでくださったおかげでございますけれども、ただ市民力が、やはり大きく作用したと確信をいたしております。
 現在では、四十七都道府県全てで導入をされ、新しい日本の福祉のマークとして、社会参加するのに必要な皆様の不安を取り除いてくれているなと感じるところであります。
 この時期になりますと、中学生、高校生、大学生から、恐らく卒業の論文であったり、研究テーマであったりすると思うんですが、私の方には、ヘルプマークの提案者として意見を聞かせてほしいというお電話やメールが結構たくさんいらっしゃいます。
 数年前にも、中学生の方が提案者の声を聞きたいということで、都庁にお越しになられました。三年たって、今、高校生になって、自分たちが、ヘルプマークのことは分かったけれども、じゃあ、自分たちに何ができるんだろうと考えて、ポスターがつくりたい、ただ、ヘルプマークは東京都が商標登録を持っていますから、どうやって許可を取るんですかというお問合せでいらっしゃって、ポスターをおつくりになって、校内に貼るポスターですから、こんなのができましたって送られてきました。あっ、このマーク見たことある、知っているだけじゃ何も変わらない、まさにそのとおりであります。
 現在、日本のマークとなりましたけれども、まだまだ知らない、見たことはあるけれども、知らないという方も多いなと感じております。
 今年の春、国会でも超党派で、このヘルプマークの推進に力を注いでいこうという議員連盟が立ち上がりまして、その設立総会に、ヘルプマークの提案者としてちょっと経緯とお話を伺いたいとご要請がありましたので、伺ってまいりました。やはり、マークは知っているけれども、深い意味まではもう一歩という先生方もいらっしゃいました。都民の皆様では、なおさらのことと思いますので、ぜひ、発祥の地の東京都として、日本のマークとなりましたけれども、これからも力を入れていただきたいなと思うところであります。
 まず、ヘルプマークに関してお伺いいたします。
 確認の意味で、都は、ヘルプマーク作成の初年度、どのくらい作成し、今年度はどのくらい作成予定でしょうか。併せて、これまでの配布状況、配布場所について、改めて伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都は、ヘルプマークを作成初年度でございます平成二十四年度に六万五千個作成いたしまして、今年度は七万八千個を作成する予定でございます。
 ヘルプマークは、都営地下鉄各駅、都営バス各営業所、東京都心身障害者福祉センター、都立病院等で配布をしておりまして、令和六年三月末までの累計で約六十二万一千個を配布しております。
 また、区市町村において作成をし配布する場合には、包括補助事業で支援をしております。

○山加委員 令和五年三月時点の都内の障害者手帳の所持者数は約七十四万人ですが、手帳の所持にかかわらず、このヘルプマークを真に必要としている方、社会参加するに当たり配慮の必要な方の数は、もっとたくさんいらっしゃると思います。
 ヘルプマークを必要とする方が、ご自身が必要と感じたときにすぐに入手できる、東京はもらえる場所が多いですから非常に便利だと思っておりますが、ただ、地域を回りまして、私の練馬区、有権者から、先生、このマークもらいに行ったら在庫がないっていわれたよ。いや、そんなはずはないなと思いまして、都営交通の改札、事務所でもらうことができますので、練馬区は光が丘に福祉事務所がありますので、もらいに行く方も多いと思いますので、実は私ももらいに行きました。聞くだけでなく、自分自身も体験しないと分かりませんので、そうしましたら、やはり在庫ありませんといわれてしまいました。
 ぜひ、ヘルプマークを本当に必要としている方、援助、配慮が必要な方、困るような状況を発生させてはならないと思います。
 そこで、交通局との連携状況、在庫切れにならないための取組について伺います。

○加藤障害者施策推進部長 昨年度実施をいたしましたインターネット都政モニターアンケートによりますと、ヘルプマークについて、意味も含めて知っていた人は六六・五%でございまして、ヘルプマークを希望される方も増えております。
 これまでも、最寄り駅等、身近な場所で希望者が確実に入手できるよう、交通局と随時在庫状況の確認等をしてまいりましたが、今後は、ヘルプマークの在庫管理を徹底いたしますとともに、定期的に連絡を行うなど適切に連携を図ってまいります。

○山加委員 来年度は聴覚障害のデフリンピックが東京で初めて開催をされるわけであります。実は私も聴力が六十デシベル、難聴の一歩手前まで聴力を落としまして補聴器を使用しておりますが、補聴器を離しますと、もうほとんど音が取れません。自分の声もよく取れないんですけれども、ある日突然というのは誰にでもあり得ることであります。
 私自身、このヘルプマークを提案したのは、事故により人工股関節を挿入、その後、一か所の機能欠損を抱えますと、どうしてもよくて現状維持、悪ければどんどん機能の低下があります。今年、残念ながら膝も人工関節、自分の機能を全廃いたしまして、やっとつえが取れて、自力で、ただ、リハビリはまだ進んでおりません。
 様々な機能欠損、また、障害の有無にかかわらず、社会参加は皆様の本当に温かな支えがあってできるなと思っております。ぜひとも、このデフリンピック、内外から多くの、障害、不自由さを抱えた、そのことが分かりにくい方が日本にいらっしゃると思いますので、引き続き、この配慮のマーク、ヘルプマークのさらなる取組に期待を申し上げたいと思います。
 次に、車椅子使用者と駐車区画についてですが、バリアフリー法による整備が進められている、皆様ご存じの国際標準化、車椅子使用者の駐車区画は、車椅子を使用している人も乗り降りしやすいよう、三・五メートル以上の幅が必要とされまして、建物の出入口、エレベーターホールなどに近い場所に設けられております。私は、かねてより、この車椅子使用者等の利用する障害者の駐車区画、ここは障害者手帳を有していなければ止めることができませんので、そこに必要としない方が止めてしまうことによって、本当に必要な人が止めることができない、規範意識の薄さに、これまでも問題視をして提言をしてまいりました。
 この車椅子使用者の障害者駐車区画のほかに、高齢者、妊婦さん、車椅子を使用しないけれども歩行に困難を抱えて長い距離の移動に配慮が必要な人を対象とした優先駐車区画があります。ここは三・五メートル以上の幅を必要とせず、このヘルプマークを使用している方も利用しやすい駐車区画でありますが、この優先駐車区画を増やしていく必要があるということで、昨年、提案をさせていただきました。
 来年のデフリンピック開催を見据えまして、駐車区画の適正利用に向けた取組についてお伺いしたいと思います。優先駐車区画の設置を促進するため、まず、これまでどのように取組を進めてきたのか伺います。

○渋谷事業調整担当部長 都は、車椅子使用者等の駐車区画とは別に、通常の区画を活用し、車椅子使用者ほど広いスペースを必要としない、歩行に配慮が必要な方が利用できるよう、優先駐車区画の設置を望ましい整備基準として、福祉のまちづくり条例のマニュアルに記載しております。
 令和五年度には、障害者や高齢者、妊産婦など、移動に配慮が必要な方が利用できる駐車区画である優先駐車区画の設置を促進し、車椅子使用者等の駐車区画は車椅子使用者の方が適切に利用できることが重要であると考えまして、ヘルプマーク等を明示しました優先駐車区画用の標識を作成し、区市町村へサンプルを配布いたしました。

○山加委員 確認の意味で伺いました。
 昨年、提案させていただきましたが、令和五年度に作成をいただいたヘルプマークを明示した優先駐車区画、この標識であります。これですね、現物。カラーコーンにこれをかぶせるようになっていまして、ヘルプマークを入れ込み、障害者手帳は持っていないけれども、社会参加する上で車が必要で、やはり現地に行かなければ−−場所がなければ止めることはできませんが、障害者手帳がなくても優先的に利用できる、大変分かりやすいデザインとなりました。
 ヘルプマークを所有している方などが社会参加するに当たり、利用しやすいこの優先駐車区画、これを拡充するために、大変有効なものと思いますが、外出するに当たっては移動に不安を抱えている都民の皆様が安心して社会参加する上でも、真の共生社会のさらなる推進のためにも有効であると思っています。
 昨年度に続き、今年度も追加で配布するなど、取組の充実が必要と思いますが、ヘルプマーク等を明示したこの優先駐車区画の標識について、まず、区市町村へどのように配布をしたのか伺います。

○渋谷事業調整担当部長 令和六年三月に、区市町村連絡会において優先駐車区画用の標識の活用について周知を行った上で、区市に各二枚、町村に各一枚を配布するとともに、区市町村が標識を作成するための印刷データを公開しております。
 また、区市町村が優先駐車区画用の標識を作成する場合、その経費につきましては包括補助で支援しております。
 今後、区市町村の公共施設を中心に、優先駐車区画の設置をさらに促進していただくため、年度内に区市に二十枚、町村に十枚の標識を追加で配布する予定でございます。
 引き続き、区市町村の公共施設における優先駐車区画の拡充に向け、積極的に働きかけてまいります。

○山加委員 区市町村への取組については分かりましたが、区市町村における優先駐車区画の拡充の取組を進めていくためには、まず、都が範を示す必要があると思います。
 都の施設にはどのように配布をしたのでしょうか。

○渋谷事業調整担当部長 これまで、都の各施設におきましても、優先駐車区画の設置に取り組むことができるよう、まずは移動に配慮が必要な方の利用が多いと見込まれる都立病院、保健所等に約四十枚の標識を配布いたしました。
 今年度は、さらに庁内各局における取組を進めるため、各局へ優先駐車区画用の標識の必要数を調査いたしまして、これを基に、年度内に合計三百二十枚程度の標識を追加で配布する予定でございます。
 引き続き、庁内各局に対しましても、優先駐車区画の意義を説明した上で、都の施設における優先駐車区画の設置促進に取り組んでまいります。

○山加委員 数ある都の施設に対して、今、合計三百六十枚程度の配布ということでしたが、これで十分といえるのかなと、はてなマーク、私はまだまだ足りないと思います。
 また、先ほど区市には、三月にサンプルとして二枚、さらに年度内に追加二十枚、合わせて二十二枚ですね。町村には、三月にサンプルで一枚、その後追加で十枚、つまり十一枚ということですが、私も、まだ、ほどんどこれを拝見したことがあまりございません。ゼロの数をちょっと聞き間違えたかなと思うくらいなんでありますが、ちょっと厳しく申し上げますと、やはり一層の拡充が必要と考えます。
 車椅子使用者等の障害者駐車区画の適正利用をさらに進めるためにも、都がさらなるリーダーシップを発揮していくことが必要です。さらには、新たにこの提案を受けて都がつくってくださった優先駐車区画の標識を使って、区市町村の公共施設における優先駐車区画を一層拡充させていただきたいと思います。
 ぜひ、この配布枚数を、区市に二十枚、町村十枚ということではなくて、それでは区役所や市役所にしか置けないと思うんです。ぜひとも、その枚数を増やしていただき、そして、十分に都民の理解が得られるように、真の共生社会の実現に向けて、皆様のご努力をお願い申し上げたいと思います。
 次に、テーマは重なりますが、重症心身障害児者の支援についてお伺いいたします。これ、ちょっと私の練馬区とも関わりありますので、お伺いします。
 重度の肢体不自由と重度の知的障害を重複する重症心身障害児者は、都内に約四千人以上おられます。こうした方々の多くは在宅で生活をしていらっしゃり、また、気管切開を行ったり、人工呼吸器を装着するなど、医療的なケアが欠かせない方が多く、ご家族は大変な苦労をなさっていらっしゃいます。
 こうした重度の障害を持った方、医療的なケアが必要な方に対し、様々な施策の取組をされていると思いますが、都は、改めて、これまで在宅で暮らす重症心身障害児者の方の支援にどのように取り取り組んできたのかお伺いいたします。

○加藤障害者施策推進部長 都は、東京都障害者・障害児施策推進計画に基づきまして、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら障害児者やその家族が地域で安心して暮らせるよう、日中活動の場である通所施設の整備を促進いたしますとともに、一時的に家庭での療育が困難になった場合に、施設等に短期間入所できる病床を確保するなど、在宅支援サービスの充実に取り組んでおります。
 令和六年三月末現在、重症心身障害児者を受け入れることのできる通所事業の定員を九百六十二人分、また、重症心身障害児者を受け入れることのできる短期入所を令和六年四月一日現在、百五十三床確保いたしまして、重症心身障害児者の在宅生活を支援しております。

○山加委員 重症心身障害児者が地域の中で暮らせるための様々なサービスを充実されていることは、高く評価をしたいと思います。
 こうした中で、私の地元練馬区では、このたび区有地を事業者に無償で貸付けをし、五十年の無償貸付ですね、医療的ケアにも対応した重度障害児の地域生活支援拠点を整備するという計画を、先月公表いたしました。在宅生活を支える機能として、都の施策とも合致をしています。
 そこで、こういった施設の整備に対して、都としてどのような支援があるのか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都は、重症心身障害児者の在宅での生活を支えるため、日中活動の場である通所施設の整備費や運営費に対する都独自の補助を行っております。また、病院のほか、医療機能を有する福祉施設などを対象といたしまして、人員配置や医療機器の整備への支援を行い、重症心身障害児者に対応できる短期入所の拡充を図っております。
 今後とも、区市町村と連携しながら、こうした取組を進め、重症心身障害児者とその家族を支援してまいります。

○山加委員 ぜひとも、区市町村としっかりと連携をして進めていただきたいと思います。
 今月は十一月。皆様もオレンジリボンをつけていらっしゃる、当然ですけれども、東京都の児童虐待防止推進月間であります。私も、このオレンジリボンは三百六十五日つけて啓発をさせていただいております。
 最後に、児童虐待対応についてお伺いをしたいと思います。
 都内の児童虐待相談対応件数は、いまだ増加の一途をたどり、悲しいばかりであります。令和四年度二万六千百二十三件でした。児童相談所が受けた相談のうち、子供の生命の安全を確保する必要がある場合には一時保護し、里親委託、施設入所につなげています。また、地域において関係機関と連携しながら、親子に対して援助することが適当と判断された場合は、在宅での支援が行われています。
 虐待相談対応件数が増え続ける中、深刻な虐待から子供の命を着実にしっかりと守りつつ、地域において子育て家庭をしっかりと支援していくためには、児童相談所の体制強化、子供家庭支援センターとの連携の強化が必要であります。都の取組を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童虐待の対応につきましては、児童相談所は法的対応や専門的な相談支援を担っており、子供家庭支援センターは地域の第一義的な相談窓口として、子育て支援サービスなども活用しながら児童や保護者からの相談支援を行っております。
 このおのおのの役割を踏まえまして、虐待対応における連携、協働のための東京ルールに基づき、両者が緊密に連携しながら児童と家庭を支援しております。
 また、児童相談所の体制強化につきましては、虐待相談に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司、児童心理司の増員を図っております。
 さらに、子供家庭支援センターが地域での支援をきめ細かに行えるよう、虐待対策コーディネーターや児童相談所と連携強化するための職員の増配置を支援しております。

○山加委員 本年九月、こども家庭庁が児童虐待による死亡等の重大事例の検証結果を発表しました。対象となる事例の約半数がゼロ歳児でした。これは大変な衝撃でありました。こうした虐待を防ぐためには、出産、子育てに不安を抱える家庭に対し、妊娠時からの継続的な相談支援の充実を図っていくことが重要であります。
 国は、本年四月、区市町村において子供家庭支援センターの設置を努力義務化しました。冒頭、我が党の浜中副委員長からも、このことに関しては質問がございましたけれども、この子供家庭支援センター、児童福祉と母子保健の部門が一体的に相談支援を行う機関であります。
 この子供家庭センターにおいて、妊産婦に対して、先ほど副委員長もおっしゃいましたけれども、実効性がある支援を行えるよう、形だけでなく、しっかりと中身をつくっていく、それは当然であります。
 都として、区市町村をしっかりと支援をしていくべきと考えますので、さらに詳細な取組をお伺いしたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は今年度から、こども家庭センター体制強化事業を開始しておりまして、区市町村の児童相談部門と母子保健部門が一体となって、妊娠期からアウトリーチによる継続的な相談支援を行い、子育て家庭のニーズや困り事を早期に把握し、適切な支援につなげるよう、区市町村を支援しております。
 具体的には、保健師や心理職などの専門職に対し、当事者の視点に立った面接技法や、チームアプローチによる支援方法などの実践的な研修を行っており、これまでに三十二自治体が参加をしております。
 また、両部門の連携を担うリーダー職員の増配置を支援しており、今後とも区市町村における虐待防止の取組を促進してまいります。

○山加委員 ありがとうございます。
 これからの未来を担う全ての子供のかけがえのない命を児童虐待からしっかりと守るため、また、失われなくて済む命をしっかりと守り、支えるために、都としての児童相談体制の充実、子供家庭支援センターとの連携強化に一層取り組んでいく必要があると考えます。ぜひ、局長の強い決意をお伺いさせていただきたいと願います。
 これで私の質問を終わります。

○山口福祉局長 深刻化、複雑化する児童虐待に的確に対応するためには、都全体の児童相談体制を強化しますとともに、都と子供家庭支援センターをはじめとする地域の関係機関が緊密に連携することが重要でございます。
 都は今年度、区立児童相談所や子供家庭支援センターを含めた都全体の児童相談体制を強化するため、児童相談センターに新たに総合連携担当を設置いたしまして、各機関の業務の標準化や個別ケースに係る専門性の向上、協働での人材育成などの取組を行っております。
 また、児童福祉司や児童心理司、子供家庭支援センターの専門職などの増配置を進めますほか、人材育成のためのトレーニングセンターを設置しまして、今後、子供家庭支援センターとの合同研修を充実するなど、研修を通じまして顔と顔の見える関係を築いてまいります。
 さらに、児童相談所の管轄人口などを考慮し、管轄区域の見直しを進めておりまして、今年度、練馬児童相談所を開設しましたほか、来年度以降、五か所に新設をし、よりきめ細かな相談援助の体制を整備いたします。
 今後とも、子供の最善の利益を実現するため、区市町村や関係機関と連携を密にしながら、児童虐待防止に全力で取り組んでまいります。

○荒木委員 私ごとでありますが、昨年の五月に、不妊治療を経まして出産をいたしました。東京都の子育て支援をありがたく受けた都民の一人でありますので、福祉局の皆様には、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。
 一方で、もう少し支援を拡充していただきたいものなどについて、取り上げさせていただきたいと思います。
 まず、早産児支援について伺わせていただきます。
 再び、これも私ごとなんですけれども、昨年出産いたしました、生まれた子供の出生体重は八百八十六グラムで、超低出生体重児で、二か月半の早産でありました。四か月半にわたってNICUとGCUに入院をしていました。四か月間、子供は医療機関、そして、私を含めた家族は自宅。四か月半の母子分離という期間において、温かく医療を提供いただいた医療機関以外で、残念ながら行政の支援というものが身をもって感じられないところがございました。
 いわゆる早産といいますのは、在胎三十七週未満で出生した赤ちゃんのことをいいまして、日本では、生まれてくる赤ちゃんの約二十人に一人が早産児であります。日本NICU家族会機構、JOINで実施しました早産児ご家族向けアンケートにおきまして、早産児に対する地域や行政の支援について、約六割の早産児家族が何かしら不十分と感じたことがあるという結果も出ています。
 東京都が求めに応じていただきまして、初めて都庁で世界早産児デーのライトアップ、今月行っていただきました。また、NICUの退院支援手帳「のびのび」の改定と、普及啓発や支援が増えてきて本当に感謝をしておりますが、早産児の場合、特に子供の健康状態、そして将来への不安など抱える悩みが多く、相談体制や母子への支援並びに周囲の理解の促進も必要だと考えますが、東京都の今後の取組を伺わせていただきます。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は今年度、早産や早産児に関する啓発のため、十一月十七日の世界早産児デーと併せて都庁舎を紫色にライトアップするとともに、家族会と早産児支援に関わる方々と共催で、普及啓発イベントを実施いたしました。
 イベントに参加された早産児のご家族からは、あのとき相談できる場所や早産児に関する支援をもっと知りたかったなどの声をいただいておりまして、支援に当たりましては、家族に寄り添った、より一層きめ細かな対応が必要となっております。
 このような声を踏まえ、都は今後、助産師がオンラインで行っております妊産婦向けの相談窓口において、早産児やご家族の不安や悩みについても対応するとともに、支援に関わる保健師など専門職への研修の充実や、周囲の理解促進に向けた普及啓発と早産児支援をより一層推進してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。
 ライトアップや啓発イベントにも私も参加をさせていただきました。当日行けなかった方々や、また、東京都以外の他の自治体からも、東京都もやっとやっていただけたんだという喜びの声が届いています。尽力いただきました東京都の職員の皆様にも、心から感謝を申し上げます。そして、今ご答弁いただきました相談窓口、そして研修の充実、そして普及啓発等にも力を入れていただけるということで、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、早産児に関する区市町村の支援について伺わせていただきます。
 早産児の場合、出産予定日と実際に生まれた日にちの間に数か月の乖離があることから、修正月齢というもので計算をされます。乖離があることで、区市町村が行う、例えば、子育て講座を適切な時期に受けられなかったり、産後ケアなどサービスを受けられるか明確でなかったりします。
 既に、修正月齢の適用を周知してほしいとのお願いにもたくさん対応していただいておりますが、早産児やその家族に対する支援を、産後ケアなどを担う区市町村においても主体的に実施できるよう、東京都として一層後押しをすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、とうきょうママパパ応援事業におきまして、産後ケアや産前、産後の相談支援など、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の充実に取り組む区市町村を支援しております。
 産後ケア事業では、出産後一年以内の母子等が対象となっておりますが、早産児の場合は出産予定日を基準にした修正月齢を適用し、一歳の誕生日を超えても利用が可能であることを区市町村の母子保健事業担当者向け説明会等において周知をしたところでございます。
 今後、地域で早産児やそのご家族が抱える悩みへの相談支援等が進むよう、産前・産後サポート事業を活用した早産児への支援につきまして区市町村に通知するなど働きかけてまいります。

○荒木委員 まだ修正月齢という言葉自体も知らないという区市町村の職員もいらっしゃると思います。ぜひ、修正月齢で受けられることなど積極的に周知をしていただくことで、東京都で、例えば月齢で線引きのあるイベント等をもしも開催する際には、修正月齢可能などと明記をいただくように要望をさせていただきます。
 続きまして、産後ケア施設のオンライン予約システムの構築について伺わせていただきます。
 産後ケアは、産後鬱の抑制や心身の回復のために大変重要でありまして、私自身も産後ケアのサービスに大変助けられました。令和二年に、あらゆる自治体でも受けられるようにという思いを込めまして、東京都の補助を十分の十に変更していただきました。区市町村に強力に支援を始めたところ、これまで行っていなかった自治体の多くが、産後ケア事業を実施するようになりました。
 ただ、実際の利用者の皆さんからは、施設によって予約方法が残念ながらばらばら、そして、予約の際に自治体を挟まなければならない場合には、役所の開庁時間にしか予約ができないなど、利便性の向上が課題になっています。
 例えば、東京都では、現在、保活ワンストップと銘打ちまして、保育園を探すこと、そして見学から入園の申請まで、手続がオンラインで一括で完結するサービスを始めておりまして、区市町村を支援しています。
 産後ケア事業においても、この保活ワンストップサービスのように、各自治体でオンライン予約が可能となるよう、都として主体的に取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 産後ケア事業は、出産後の母子等に対して、心身のケアや育児のサポート等を行う取組であり、実施主体である区市町村が医療機関や助産所への委託により実施をしております。
 本事業の利用に当たりましては、予約等の手続が利用者の過度な負担にならないよう、電話だけでなくオンラインでも受け付けるなど、一層の利便性の向上が重要でございます。
 予約手続等のオンライン化について区市町村に対し行った調査では、施設によって予約方法が異なることや、複数の区市町村と契約している施設への対応等が課題であるとの声が上がっております。
 今後、区市町村の調査結果やヒアリング等を通じ把握した産後ケアの委託先における課題なども踏まえまして、デジタルサービス局とも連携し、保活ワンストップサービスの取組も参考にしながら、オンラインでの予約について対応を検討してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。
 保活ワンストップも、各自治体では到底取り組めないという声が実際多かった中で、東京都が保活において利用者の視点に立って取り組んでいただいたことが推進につながったと思います。
 産後ケアを受ける当事者である出産後のお母さんたちは、なかなか赤ちゃんから手や目を離せなかったり、日中は余裕がなかったりするため、あらゆるサイトに産後のママさんたちがアクセスする必要なく一括して予約ができるよう、システムの構築に向けて、ぜひ、デジタルサービス局と連携して進めていただきたいと思います。
 次に、母子感染について伺わせていただきます。
 東京都は、妊娠中・これから妊娠を考える方へと、母子感染について注意喚起をホームページで行っています。その中で、サイトメガロウイルスやトキソプラズマ原虫について、感染経路は様々であるものの、日常の生活に気をつけることで感染を防げることも示されています。
 サイトメガロウイルスについては、子供の残した食事を食べないことや、きょうだいの唾液や尿に触れた後は丁寧に手を洗うこと、そして、トキソプラズマについては、加熱が不十分な肉の摂取を控える、そして猫のふんを扱う際に手袋をつけるなどで予防も可能といわれています。
 そこで、妊娠中の母子感染について、例えばプレママパパクラスの機会を捉えたり、妊娠したいと思っている方へ届くよう、あらゆるツールを使って、できれば、ホームページのような、検索したら出てくるということではなく、プッシュ型で周知を進めていただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 妊娠中の母親から細菌やウイルスなどが胎児に感染しますと、流産などの原因となるほか、胎児に健康上の影響が起きる場合があることから、妊婦が感染症の予防のための正しい知識を持つことが重要でございます。
 都は、妊娠中の感染症予防につきましてホームページで啓発するとともに、区市町村の保健師や医療従事者等を対象とした研修を実施し、基本的な知識や最新の知見等に関する情報提供を行っております。また、区市町村におきましても、母子健康手帳による周知や両親学級での保健指導を通じた注意喚起を行っております。
 今後、区市町村と連携した妊婦への普及啓発に加え、妊娠に関する基礎知識や日常生活で心がけること等をまとめたポータルサイト、東京都妊活課や、東京都出産・子育て応援事業のメールマガジンを活用いたしまして、啓発を一層強化してまいります。

○荒木委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 私自身も出産をするまで、お恥ずかしながらこのサイトメガロウイルスやトキソプラズマにつきまして存じ上げず、東京都のホームページで検索して知ったということもあります。ぜひ、取組をお願いいたします。
 次に、病児保育について質問させていただきます。
 これまで度々、病児保育の必要性について要望をさせていただいています。病児保育と一言でいいましても、例えば保育中に体調不良になりお迎えが必要という場合、これを体調不良型というかは別といたしまして、途中で体調不良になった場合、お迎えが必要になった場合、そして、もう一つ、病児や病後児で保育園にそもそも朝から登園できない場合などがあります。そのそれぞれについて伺わせていただきたいと思います。
 東京都内では、共働き世帯が六六%を超える中で、発熱や下痢など子供の体調不良は突発的なことが多く、急遽仕事をキャンセルすることが大変難しかったり、急な対応が不可能な場合もあり、保護者の負担の軽減も重要だと考えます。
 さきの第三回定例会におきまして、体調不良になった子供の保育について、保護者のニーズ等を把握し、体調不良になった子供の保育が充実するように取り組んでいくという答弁をいただきましたが、まず、その後の調査結果について伺わせていただきます。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 病児保育についてのニーズを把握するため、保育所等にアンケート調査を実施いたしまして、千三百七十二施設から回答がございました。このうち九割以上の施設が、体調不良となった子供の対応につきまして、保護者に連絡をしてお迎えに来てもらっていると回答しております。
 一方、約五割の施設が、仕事を休むことができないなどにより、いつものお迎えの時間まで預かってほしいという保護者からの要望を受けており、子供が体調不良となった際の保育のニーズがあることを把握したところでございます。

○荒木委員 ありがとうございます。
 九割以上の施設が対応を保護者が行うということで、一方で、病児保育への保護者のニーズが大変高いという結果を、お示しを今いただきました。その後に、五割の施設が、お迎えの時間まで預かってほしいという保護者から要望を受けて、病児保育のニーズがあることを把握したとありますけれども、これは多分、潜在的にはもっと多いと思います。
 なかなか子供を預けている保育園には要望ができない、しづらいという背景もありますので、五割よりももっともっと多い、潜在的に、本当はもう少し保育園に見ていただきたい、病児保育の対応をしていただきたいという思いがあることも、ぜひ読み取っていただきたいと思います。
 親心としては、すぐに子供を迎えに行きたいという思いはあります。しかし、実際にはどうしても休めないときもあります。働いている保護者の負担を軽減するため、これは例えばですけれども、空き教室などを活用し看護師を配置していただくなど、保育園で保護者が迎えに来られるまでの間、子供を預かれるような取組を早急に進めていただきたいと要望させていただきます。
 続いて、先ほど二つ目に挙げさせていただきました、病児や病後児で、そもそも保育園に登園をできない場合について対応している病院や保育所等の施設について伺いたいと思います。
 東京都としては、先進的に、国の取組を待つことなく病児保育の充実に取り組んでいただきたいと、先ほどから申し上げさせていただいております。
 そこでまず、病児保育の重要性の東京都の認識と、病児保育事業の過去五年間の実施施設の数について伺わせていただきます。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 病児保育は、病院や保育所等におきまして病気の児童を一時的に保育することで安心して子育てができる環境整備を図るものであり、重要な取組でございます。
 回復期に至らない児童を保育する病児対応型の実施施設数は、令和元年度は九十九施設、令和二年度は百二施設、令和三年度は百五施設、令和四年度は百七施設、令和五年度は交付決定ベースで百十四施設となっております。

○荒木委員 ありがとうございます。令和元年から一桁ずつではありますけれども、スローペースではあるものの、少しずつ施設が増えているということは分かりました。
 ただ、東京都全域ということで考えますと、決して十分だとは思えません。区市町村からは、キャンセルなどがあり不安定で運営などがとても大変と聞くなどの声が聞こえます。区市町村などから、ぜひヒアリングをしていただきまして、適切な支援、そして制度を構築していただきたいと要望させていただきます。
 今、病児保育について伺わせていただきましたが、この病児保育と関連をいたしまして、ベビーシッター利用支援事業について伺わせていただきます。
 病児保育の受皿として、病児に対応しているベビーシッターも活用されています。今、私この時間も、自分の子供が感染性胃腸炎で保育園に冒頭から通えないため、自宅で病児対応のベビーシッターさんに、今、預けさせていただいています。
 自宅に訪問する訪問型の病児保育ということもありまして、子供の立場に立って考えると、自宅で見ていただくということで、子供にとっても、環境の変化もない、そして移動もない、そして住み慣れた、過ごし慣れた自宅という面でも、今後、活用の広がりをこのベビーシッターに、私、大変期待をしています。
 病児保育についてベビーシッターを利用するということについて、東京都の認識と今後の取組について伺わせていただきます。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、日常生活上の突発的な事情などにより一時的な保育等を必要とする保護者に対し、ベビーシッターによる保育を提供する区市町村を支援しており、一部の事業者では、病児の受入れも実施しているところでございます。
 今後、ベビーシッター利用支援事業の認定事業者を対象に病児の受入れ状況等、調査を行う予定でありまして、ベビーシッターを活用した病児保育の状況を把握してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。
 まず、ぜひ実態把握をしていただきまして、病児対応のベビーシッターの活用が進むように取組をお願いしたいと思います。また、必要であれば、さっきの病児保育の施設型の補完として、ぜひ新たなスキームをつくっていただいたり、何らかの対応をお願いしたいと思います。
 続きまして、障害児の、小学校高学年のベビーシッターの利用支援について伺わせていただきます。
 東京都のベビーシッター利用支援事業について、大変助かるとの声がたくさん私の下にも届きます。現在、東京都のベビーシッター利用支援事業は、未就学児の児童を対象にしており、学童クラブの待機児童対策の計画を策定した区市町村に限り、小学校の三年生まで対象にしています。しかし、小学校の高学年の児童を育てている家庭の中でも、特に障害児の皆さんの預け先については、様々な事情があり困っているという事例を多く聞きます。
 そこで、今対象から外れている小学校四年生から六年生の障害児を育てる保護者を一層支援するために、東京都のベビーシッター利用支援事業の対象児童を小学六年生まで拡大すべきと考えますが、都の見解を伺わせていただきます。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、ベビーシッター利用支援事業の対象児童を令和四年度に五歳児まで拡大したほか、学童クラブの待機児童対策の計画を策定した区市町村では小学三年生まで可能としておりまして、令和四年度は二区市、五年度は四区市で実施をしております。
 障害児を育てる家庭では、障害児の特性への配慮が求められるとともに、他のきょうだい児の育児も両立しなければならないなど、特有のニーズがあると認識をしております。
 このため、障害児を育てる家庭におきまして、ベビーシッターの活用がさらに進むよう、取組を推進してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。令和四年度では二区市、そして、五年度ではまだ四区市ということで、取組を進めていただく自治体に、ぜひ促していっていただきたいと思います。
 また、障害児を育てるご家庭についてのニーズも認識をしているというご答弁もいただきました。ぜひ、現在のベビーシッター利用支援事業の拡充をお願いいたします。そして、加えまして、一人親家庭につきましても、ぜひ支援の拡充を併せてお願いをしておきます。
 続きまして、発達障害児の支援について伺わせていただきたいと思います。
 文科省が令和四年度に行った調査では、通常の学級に在籍する小中学生のうち、発達障害と推定される子供の数は八・八%、三十五人学級の場合、一クラスに三人の子供が発達障害を抱えているということになります。
 昨年の代表質問で、発達、知能検査が三か月から半年以上待ちの状態があることや、検査をタイムリーに受けられないことで支援の遅滞にもつながっていることを指摘し、東京都として、早期療育の支援につなげていくために検査体制を強化することを求め、知事より、実態調査を行うこと、そして検査体制の充実の検討との答弁をいただきまして、その後、区市町村発達検査体制充実緊急支援事業を行っていただきました。
 心理士の増員や検査の外部委託、個別に民間の検査機関を利用した際の負担軽減などを実施していただいたことに対しまして、私の地元の中野区、そのほか自治体から、大変助かっていると東京都への感謝の声が届いています。
 このように、東京都は今年度、区市町村における発達検査に関する実態の把握、そして、検査体制の充実に向けた緊急支援に取り組んでいただいておりますが、その状況について、都の今後の対応について伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都が今年度行った実態調査の中間報告では、要支援児童の増加に伴い、一部の自治体で発達検査を受けるまでの待機が常態化していることや、検査に携わる医師や心理士等、専門人材が不足していることが確認されました。
 今年度実施している区市町村の検査体制充実に向けた緊急支援事業では、二十五の自治体から申請がありました。自治体からは、診断に携わる人員を配置したことにより待機期間は縮減に向かっているといった声や、診察件数が増えたため今までよりも多くのニーズに対応できるようになったなどの声が聞かれています。
 現在、実態調査を基に自治体への個別ヒアリングを行っており、今後、その結果も踏まえ、区市町村と連携して取組を推進してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。
 子供にとっての数か月、半年待たされるということは、成長、発達にとってとっても影響が大きく、決して逸してはならない時間だと考えます。ぜひ、実態を早急に把握をするとともに、検査に関わる専門家の養成や、例えば、この分野に一部でもAIなどが活用できないかなどについても、ぜひ、もう一歩踏み込んで検討、対応の要望をさせていただきます。
 続いて、発達障害に関しての療育のニーズについての把握について伺います。
 先ほどは発達の検査について伺いましたが、その先の療育支援について、必要な療育、望む療育を受けられていないという声も多く聞きます。提供している療育の量、いわゆる受けられたサービスの量だけではなく、実際に、残念ながら断っているというような実情があるか、待ち、例えば見えない待ちがどれぐらいなのかなど、実態を把握する必要があると考えます。
 発達障害の疑いのある未就学児に対して、早期に適切な療育につなげるためには、東京都として、ニーズを的確に把握をし、それに見合ったサービスが提供されることが必要と考えます。
 ニーズの把握と、そして適切なサービスの提供体制の構築に向けて、今後、東京都がどのような取組を行っていくのか、見解を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都では、令和六年度から八年度までを計画期間といたします東京都障害者・障害児施策推進計画を策定いたしまして、この計画に基づき施策を推進しております。
 計画策定に当たっては、各区市町村が見込んだサービス量に基づき、都全体のサービス供給量を見込んでおります。また、地域における障害児支援の中核的施設となる児童発達支援センターや、主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所につきましては、三か年の整備目標を定めております。
 この目標の達成のため、都は、施設開設の際の整備費につきまして、設置者負担の二分の一を補助する特別助成や、未設置地域に整備を行う場合の加算をいたしますほか、児童発達支援センターに対し運営費の補助を実施する区市町村を支援しております。
 発達障害の疑いのある児童を早期に適切な療育につなげることは重要でございます。今後、区市町村や事業所におけるサービス利用の状況を把握いたしまして、取組を強化してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。
 続いて、療育についての専門家の活用について伺わせていただきます。
 乳幼児期を含む未就学期は、児童の生涯にわたる人間の形成において極めて重要な時期です。発達に心配のある子供は、福祉サービスである児童発達支援事業所に通っていますが、その事業所の中で、専門職が運動や知覚などを適切に支援することで、その後の成長の段階や日常生活を送る上で大変大きな助けとなっていきます。
 実は、私自身も幼稚園に入園のときに発語が遅めであったこと、そして、その後に運動会でみんなと一緒の方向に走れず、いつも反対方向に走ってしまうなどの特徴がありまして、私の場合は、特にSTさんでありましたけれども、専門家の助けをいただいて発達を応援していただいたという経験もあります。
 そこで質問をさせていただきます。発達段階にある児童の健やかな成長を促すためには、児童発達支援事業所で早期の療育に携わる作業療法士、そして理学療法士などの専門職の活用が必要であると考えますが、都の取組を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 児童発達支援では、児童の障害特性を踏まえ、個々のニーズに応じた療育の提供が重要でございます。作業療法士や理学療法士は、粘土やはさみ、のりなどを使った手指や認知の感覚を鍛える療法や、遊びやゲームなどを介した体感や姿勢保持などの身体的療法など、自立生活に必要な日常生活動作、運動機能等に係る訓練を実施しております。
 現在、都内の児童発達支援事業所のうち、作業療法士や理学療法士を配置し、専門的な支援を実施している事業所は約四割でございまして、今後、こうした事業所の配置状況等を確認いたしますとともに、障害児通所支援事業所説明会などの機会を通じまして、作業療法士や理学療法士などの専門職の活用の必要性を周知し、さらなる活用の促進を図ってまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。
 この間、OT、PT、作業療法士の皆さんや理学療法士の皆さんから、様々にヒアリングを行わせていただきました。これらの専門家の皆さんの中には、今は病院でリハビリなどに従事をしているが、子供の分野で定着できるような働く環境があれば、ぜひぜひ、子供の分野でも活躍したいという声もいただいています。
 例えば小さい事業所であると、OT、PTを複数抱え切れず、OJTを十分にできなかったり、まだまだ働く環境の課題が多くあります。東京都が配置状況を把握した上で、ぜひ、専門家の活用が進むよう、対応をお願いいたします。
 続きまして、五歳児健診について伺います。
 現在、法律が自治体に義務づける小学校入学前の健診は、一歳六か月と三歳児、そして、原則集団で行われる就学時の三つであります。集団健診の中では、発達の状況を特に見抜くには限界があるともいわれています。
 五歳児健診については、現在、自治体の判断に任されており、残念ながら、先ほども質問が続きましたが、実施もまちまちであります。五歳児健診で学童期の不登校発生数が減少したという研究結果も聞きます。
 子供の言葉の理解力や社会性が高まる時期に発達という部分に重きを置く健診を行うことで、発達障害の早期発見、そして、先ほどから何度も申し上げておりますが、早期の療育につなげることが期待をされています。
 そこで、五歳児健診について、東京都として本気で進めていくのか、東京都の見解、そして決意を伺わせていただきたいと思います。局長、よろしくお願いします。

○山口福祉局長 五歳児は、言語の理解能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期でございます。発達障害や知的障害などの子供の個々の発達の特性を早期に把握し、育児の困難さや子育て相談のニーズを踏まえながら、子供とその家族を必要な支援につなげる五歳児健診の実施は重要でございます。
 特に、五歳児健診において所見が認められた場合には、必要な支援につなげられるよう、保健、医療、福祉、教育の各分野が連携した地域のフォローアップ体制の構築が求められております。
 都は、今後、区市町村が実施する上での課題等を把握し、健診の実施やフォローアップ体制の構築に向け、取組を推進してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いいたします。
 最後に、精神障害者の移動支援について伺わせていただきます。
 精神障害者の地域移行の促進の観点から、退院後間もない精神障害者への福祉支援の安定した提供が必要であると考えます。
 とりわけ、精神障害者の移動支援につきましては、人材の育成とサービスの向上に向け研修を充実させていくことが必要と考えますが、今後の都の取組を伺わせていただきます。

○新内生活福祉部長 地域生活支援事業に位置づけられております移動支援事業につきまして、都では、障害者の外出時における移動支援を行う人材を育成するため、障害者移動支援従業者養成研修事業を実施しており、視覚障害者、全身性障害者及び知的障害者を対象とした研修課程を設けております。
 また、障害者居宅介護従業者基礎研修等事業においては、精神障害者を含む障害者の多様化するニーズに対応した専門的な知識、技能を有する居宅介護従業者の養成を図っております。
 今後、当事者や区市町村のニーズ、専門家の意見も伺いながら、精神障害者の地域生活を支える人材育成の研修カリキュラムについて検討してまいります。

○荒木委員 ありがとうございます。
 研修によって、知識が前もってあったらよかったというような、支援を受ける側と提供する側の意図しないミスマッチが生じることを極力避けるという意味でも、研修の充実をよろしくお願いをいたします。
 以上で質問を終わります。

○玉川委員 まず初めに、フレイルについて伺います。
 健康な状態と介護が必要な状態の中間として、日本老年医学会がフレイルの概念を提唱してから十年となります。この十年間、様々な介護予防、フレイル予防の取組が推進されてきたことと思います。中でも、住民主体の通いの場における日常的な活動が重要であります。
 通いの場の活動について、区市町村が支援や参加促進を行っていますが、一方で、令和四年度の都内の通いの場の参加率は五・二%と、全国平均の六・二%を下回っており、特に男性の参加が少ないとの声も上がっております。都内では、フィットネスジムなど、通いの場以外の活動が盛んでもあるため、一概に比較できるものではありませんが、通いの場についても参加促進が必要であります。
 通いの場への参加促進のためには、高齢者の様々な関心に合わせた通いの場の活動内容の多様化が必要と考えますが、都はどのような支援を行っているのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 通いの場の参加率を高めるためには、高齢者の興味や関心、健康状態等に応じて参加できるよう、活動内容を多様化していくことが必要でございます。
 このため、都は、健康長寿医療センターに委託して、区市町村向けに、運動に加え栄養や口腔など、多様な活動を通いの場に普及するちょい足し研修や、男性が参加しやすい居場所や環境づくりの手法についての研修を行うなど、通いの場の活動内容の多様化を推進しております。
 さらに、今年度から、読み聞かせやスポーツ吹き矢など、参加者のやりがいや楽しみにつながる内容の活動を区市町村に紹介する取組を開始しております。
 こうした取組により、通いの場の活動の多様化を行う区市町村を支援し、介護予防、フレイル予防の取組を推進してまいります。

○玉川委員 特に男性の参加が少ない現状につきましては、趣味や特技を生かせる場を提案したり、グループでの活動を促進することが鍵になると感じます。
 私の身近なところでは、七〇年代、八〇年代の音楽で、高齢者を中心にディスコの体験をするシルバーディスコといったものが開催されています。今から四、五十年前にはやったディスコナンバーの曲に合わせて、当時若者として踊られていたと思われる高齢者の方々が、青春時代を思い出しながら生き生きと楽しく体を動かす姿はとても輝いていて、とてもすてきでした。
 多様な活動といった中で、青春時代を取り戻したり、若かりし頃にやり損ねたことにチャレンジしてみたりと、参加が少ない男性がかっこよく輝けるような通いの場が都の支援によってさらに広がり、世代を超えて交流できる環境が生まれることを期待いたします。
 さて、介護予防、フレイル予防のためには、加齢性難聴の早期発見と適切な補聴器利用の進展を図ることも大事であります。
 都は、我が党の提案を受けて、包括補助で実施してきた補聴器補助を令和六年度から単独事業化し、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を開始しましたが、その取組状況について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、加齢性難聴の早期発見と適切な補聴器利用の進展のため、令和六年度から、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を単独事業として実施し、補助条件を明確化いたしました。
 昨年度は、包括補助事業で二十三自治体に補助を実施しておりましたが、今年度は、これを十自治体上回る三十三自治体に対し補助を行う見込みでございます。
 今後、補助を活用していない自治体に対し、実施区市町村の補助基準額や件数等の状況を横展開しながら、問合せなどに丁寧に対応していくことで、より多くの自治体で地域の実情に応じた本事業の活用が進むよう、積極的に働きかけてまいります。

○玉川委員 加齢性難聴の早期発見や補聴器の適切な使用で、高齢者のコミュニケーションの機会が確保され、健康寿命の増進につながるものですので、こちらの支援事業がさらに多くの自治体に広がっていくことを願いまして、次の質問に移ります。
 女性福祉について伺います。
 東京都は、困難な問題を抱える女性支援の中核機関として、女性相談支援センターを設置し、関係機関と連携して相談支援を行ってきております。
 また、令和六年度の新規事業として、女性相談支援センターにおいて、十一月からSNSを活用した相談事業、女性はーとふるLINE@東京を開始しました。
 様々な問題を抱える女性を早期に把握するため、誰もが相談しやすい体制を整備するとともに、把握した対象者について、多様な支援を切れ目なく包括的に提供していく必要がありますが、女性相談支援センターにおける相談支援の実施状況について伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 女性相談支援センターでは、女性の抱える様々な問題につきまして相談を受けております。相談件数は、受付時間等を拡充いたしました令和四年七月以降増加をしておりまして、令和五年度では、電話相談と来庁出張相談を合わせて四万七千二百五十一件、前年度比で一四%増となっております。
 また、本年十一月一日から開始した女性はーとふるLINE@東京では、十一月二十五日現在、友達登録者数は百九十二人、総アクセス数は二百四十五件、相談対応件数は五十四件となっており、主な相談内容は、配偶者暴力、離婚問題、親族関係などとなっております。
 相談におきましては、専門の相談員が本人の意向を尊重しながら助言を行うとともに、相談内容に応じ他の支援機関を紹介するなど、関係機関とも連携して対応しております。

○玉川委員 最新情報をありがとうございます。
 女性相談支援センターでは、多岐にわたる相談内容に対応していると伺い、改めてその重要性を感じます。特に、LINEなどSNSを活用した取組は現代のライフスタイルに即しており、若年層を含め、より多くの女性が気軽に相談できる環境を提供している点で、大変有意義であると思います。今後、さらにアクセスが増え、女性たちの心のよりどころとして機能していくことを期待いたします。
 都は本年三月、困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する東京都基本計画を策定しましたが、実効性を高める支援を推進していくべきであります。
 関係機関や民間団体等と連携、協働した支援体制を構築し、困難を抱える女性への支援を一層充実していくべきと考えますが、見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、基本計画に盛り込んだ施策の進捗状況を評価するため、今年度、新たに計画推進委員会を設置し、既に七月に第一回の委員会を開催しております。第二回の委員会は、年度内に予定をしております。
 また、関係機関や民間団体等との連携を深めるとともに、支援の事例や課題等について情報共有や協議を行うため、代表者会議、実務者会議、個別ケース検討会議の三層から成る支援調整会議を設置しており、来月には代表者会議を開催することとしております。
 こうした取組によりまして、関係機関等と連携しながら、困難な問題を抱える女性への支援を着実に推進してまいります。

○玉川委員 関係機関や民間団体との連携が進むことで、困難を抱える女性一人一人に寄り添った支援が可能になると思います。支援調整会議や課題共有の場を通じて、多角的な視点から具体策を講じていく動きは、まさに地域全体で問題解決に取り組む姿勢の表れであります。
 こうした支援調整会議が、単なる情報共有にとどまらず、地域の実情に応じた柔軟な支援策を具体化し、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援につながっていくことを期待いたします。
 都は、基本計画において、多様な支援を提供する民間団体と連携、協働した支援体制を構築することとしております。若年被害女性への支援については、民間団体が先駆的に取組を進めていますが、その特色である柔軟性のある支援や、これまでの活動の中で蓄積された知見、育成されてきた人材は、若年女性の支援を行う上で重要であります。
 このような民間団体等との協働を推進し、その取組を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都内では、様々な問題を抱える女性に対しまして、多様な民間団体が支援を行っております。特に、若年女性は、困難を抱えていても行政機関の既存の支援が届きにくいこともありまして、より適切な支援を提供していくため、民間団体と連携、協働することが重要でございます。
 都は、日本有数の繁華街を複数抱える東京ならではの対策といたしまして、困難な問題を抱える若年女性への支援を総合的に推進することとしており、今年度は、若年被害女性等の支援を行う五つの民間団体に対して補助を実施しております。
 また、女性相談支援センターが定期的に各民間団体を巡回して、個別のケースへの助言や心理相談などを実施しており、こうした取組によりまして、若年女性の支援について民間団体等との協働を推進しております。

○玉川委員 民間団体が持つ柔軟な支援体制や専門的な知見は、行政にはない独自の強みであり、これを最大限生かす協働は非常に意義深いと考えます。特に、女性相談支援センターが定期的に巡回する取組は、支援の質を向上させる上で効果的だと思います。こうした協働が、支援を受ける女性一人一人の自立や安心につながるとともに、地域全体における支援の連鎖を生み出し、社会全体を支える仕組みがさらに強化されることを期待いたします。
 女性支援新法では、支援の対象を、日常生活または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性もしくはそのおそれのある女性としており、幅広い層を対象としております。また、近年、支援のニーズは複雑化、多様化、複合化し、個別専門的な対応を必要とするケースが多くなっています。
 困難な問題を抱える女性が、本人の意向を尊重されながら地域で専門的技術に基づく支援を受けられるよう、女性相談支援員等の支援者のスキルの向上も必要と考えますが、見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 本年四月に施行された、いわゆる女性支援新法に基づく支援の対象となる女性の年齢層は、若年層から高齢層まで幅広く、また、その抱える課題は複雑化しております。
 このため、福祉分野全般の専門知識の習得や、相談支援のスキル向上が必要であり、女性相談支援員をはじめとする女性福祉に携わる支援者のための研修の充実が重要となっております。
 都は今年度、有識者や区市職員、女性相談支援員等で構成するワーキンググループを設置いたしまして、民間団体の意見も伺いながらカリキュラムの見直しを検討しており、今後、階層別の研修や相談援助技術向上のための実践的な研修を実施してまいります。

○玉川委員 支援員のスキル向上に向けた実践的な研修の見直しや民間団体との連携による取組は、大変重要なステップだと感じます。支援者がその専門性を高めることで、困難を抱える女性一人一人の状況に寄り添い、適切な対応を提供することが可能になります。
 こうした質の向上が、支援体制全体の信頼性をさらに高めることにつながると期待いたしまして、次の質問に移ります。
 中国帰国者、中国残留孤児について幾つか伺います。
 中村委員からも質問がありまして、少し重複するかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
 中国帰国者一世の高齢者は、後から学んだ日本語を認知能力の後退などにより忘れてしまうケースも多く、訪問介護は介護ヘルパーとの意思疎通が図りにくいといった問題があります。
 そのため、中国語を話せるヘルパーを各事業所に一定数配置するか、あるいは、そのような能力を備えた人材を派遣事業などを通じて利用できるように整備すべきだと考えますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 中国帰国者等が高齢化し、介護施設などを利用することが多くなっていることから、日本語の習得が十分でない中国帰国者等が介護施設などを利用する際には、区市が支援相談員や自立支援通訳を派遣して対応しております。
 都は、都内全域の支援相談員等を対象に、その資質及び能力の向上を図るため、介護保険制度に関する知識や専門用語の通訳技術、介護支援専門員等との連携方法などの専門研修の実施を通じまして、区市を支援しております。
 また、国に対しては、高齢化した中国帰国者等のニーズに対応し必要な財源確保等を行うよう、引き続き提案要求してまいります。

○玉川委員 ありがとうございます。
 中国語を話せる支援相談員や通訳の派遣体制が整備されていることは、中国帰国者にとって大きな安心材料だと感じます。特に研修を通じた専門性の向上は、ヘルパーと利用者のコミュニケーションの円滑化に寄与すると考えます。
 また、利用者の声を積極的に反映した仕組みづくりを進めることで、現場の課題を解決し、より質の高い支援が提供されるよう期待いたします。
 中国帰国者一世の高齢者は、介護保険でデイサービスを利用することはできますが、経営者も利用者も日本人の事業所では、言語、習慣、娯楽、食習慣、文化など、幼い頃から慣れ親しんだ遊びや知っている歌も日本人とは異なるため楽しむことができず、結果、足が向かなくなり、自宅で老老介護となるケースが多々あります。
 デイサービスは、中国語対応の事業所が幾つかあり、その需要を満たしてはいるものの、数が限られており、全ての需要をカバーし切れていないのが現状であると思いますが、見解を伺います。

○新内生活福祉部長 国は毎年度、中国語の対応が可能な介護事業所の調査を実施し、ホームページで公表しております。令和六年九月三十日現在、全国では三十九都道府県の五百七事業所で対応可能となっております。このうち、都内の事業所は、訪問介護、訪問看護、通所介護、グループホームなど、六十一事業所でございます。
 また、国は、介護サービスの利用において、中国帰国者等の自身の要望を伝えられない不安や孤独感などを解消するため、事業所、施設及び居宅を訪問し語りかけを実施する語りかけボランティア訪問を中国帰国者支援・交流センターに委託して実施しております。
 都としましては、区市の中国帰国者等支援担当者向けの研修や、都内の福祉事務所長会などにおきまして、中国帰国者等の特別な事情の理解及び国の取組の周知を引き続き図ってまいります。

○玉川委員 中国語対応の介護事業所が限られている中、語りかけボランティア訪問などの取組は、利用者の孤独感の軽減や、地域での支援体制の充実につながるすばらしい方策だと感じます。
 デイサービスが持つ楽しさや安心感がもっと多くの方に伝わり、結果的に高齢者の方々の生活の質が向上するよう、今後も地域ごとの特色に応じた柔軟な取組を進めていただきたいと思います。
 残留孤児としての把握ができず、高齢の中国帰国者に中国語対応の介護サービスが届かないといった現状もあります。
 そこで、中国語対応の介護事業者に対して、残留孤児の情報共有ができる仕組みができれば、補うことができるのではないかと考えますが、見解を求めます。

○新内生活福祉部長 国は、高齢化した中国残留邦人等の生活の安定を図るため、平成二十年度から支援給付事業を開始し、生活費や介護費、医療費等の経済的な支援を行うとともに、区市に専任の支援相談員を配置し、支援給付等の事務手続の補助や、様々な生活相談に応じております。
 都は、区市の支援給付の担当職員への研修や説明会を行うとともに、支援相談員に対する専門研修においても、国が公表している中国語の対応が可能な都内の介護事業所の情報について周知徹底し、介護事業者等と中国帰国者に関する情報共有ができる体制を整えております。
 また、中国帰国者相談窓口を都にも設置をし、福祉サービスなどに関する制度内容等の情報提供を電話及び来所により行っております。

○玉川委員 高齢化した中国帰国者に対する支援が拡充されることで、文化や言語の壁を超えた心の通う介護が実現することを願います。特に、情報共有の仕組みが整備されることで必要なサービスが行き届くようになり、安心して生活できる環境が広がることを期待します。また、支援する側の専門性向上にも、引き続き力を注いでいただきたいと思います。
 高齢者の待機は、特別養護老人ホームが必要であり、民間で中国帰国者たちの専用の施設が運営されていますが、増設をしていくには予算的に非常にハードルが高く、簡単には実現ができない状況であります。
 既存の特別養護老人ホームのワンフロア、あるいは一角を中国帰国者専用にすることはできないものかといった要望の声も、民間の運営事業者の方からいただいたことがあります。特別養護老人ホームは介護保険制度の中で運営されるものであり、この要望は難しいことは十分に理解しておりますが、このような現状もあることは、都も理解していただきたいと思います。
 課題解決のために、引き続き国へ声を届けていただきますことを要望しまして、次の質問に移ります。
 心のバリアフリーについて伺います。
 バリアフリーを進める上で、ハード面の整備はもちろん重要でありますが、ソフト面である心のバリアフリーの取組がさらに求められていると感じます。
 例えば、障害の有無や年齢にかかわらず、全ての人が安心して利用できる環境を整えるためには、意識啓発を通じた社会全体の行動変容が不可欠です。しかしながら、まだ十分に理解が広がっていない現状もあり、より幅広い層を対象とした普及啓発が必要です。
 これまでの取組の成果や課題を改めて振り返りつつ、より効果的な施策を進めていくことが期待されますが、心のバリアフリーに関するこれまでの普及啓発の取組について伺います。

○渋谷事業調整担当部長 都では、全ての人が平等に参加できる社会や環境について考え、必要な行動を続ける心のバリアフリーの普及啓発を行っております。
 具体的には、平成二十八年度から、小中学生を対象とした普及啓発ポスターコンクールを実施。平成二十九年度からは、心のバリアフリーの実践に向けたハンドブックを作成し区市町村や事業所へ配布いたしました。平成三十年度から、社内研修や職場環境の整備、様々なニーズに対応したサービスの提供など、心のバリアフリーの取組を行う企業等をサポート企業として登録し、ホームページで取組内容を公表しております。さらに、令和五年度に新設しましたホームページでは、関心が薄い層やこれまでアプローチできていなかった年齢層を対象にした動画を掲載するなど、理解を促進する取組を強化しております。
 このほか、小中学校における体験学習や地域住民向けワークショップの開催など、心のバリアフリーの推進に取り組む区市町村を包括補助により支援しております。

○玉川委員 今お話のありましたサポート企業、好事例企業の公表による成果について伺います。

○渋谷事業調整担当部長 都は、心のバリアフリーサポート企業として、平成三十年度の事業開始から累計で五百三十九社を登録していまして、このうち五十五社を好事例企業として認定の上、公表するとともに、企業向けセミナーなどにおいて事例を紹介しております。
 令和五年度に行いました令和四年度の新規登録企業へのアンケートでは、従業員の意識が向上したと答えた企業が七割を超え、また、五割以上の企業で心のバリアフリーに関する新たな取組を開始していらっしゃいます。
 民間事業者によるこうした取組を通じ、社会的機運の醸成に寄与しているものと考えております。

○玉川委員 サポート企業の登録や好事例の公表によって、心のバリアフリーに取り組む企業が増えている現状は、すばらしい成果だと思います。特に、従業員の意識が向上し、新たな取組が始まっているという点は、まさに社会全体の機運を高める要となるものであります。このような取組がさらに多くの企業に広がり、日常生活の中にバリアフリーの意識が根づいていくことを心から期待いたします。
 先週十九日、東京二〇二五デフリンピック主催者である国際ろう者スポーツ委員会のアダム・コーサ会長が都議会に訪問され、私も都議会スポーツ振興議員連盟の理事として、意見交換の場に同席させていただきました。コーサ会長は、デフリンピックへの周知が子供たちから広がり、インクルーシブな社会、共生社会の実現へと向かうことを期待しているとのお話をされました。
 東京二〇二〇大会を経て、来年には東京二〇二五デフリンピックが開催されることを契機に、さらに心のバリアフリーの普及啓発が進むことを期待いたしますが、未来に向かう子供たちへの理解促進に力を注いでほしいと思います。見解を求めます。

○渋谷事業調整担当部長 東京二〇二〇大会が開催されました令和三年度に実施した東京都福祉保健基礎調査では、都民の心のバリアフリーについての認知度が約五〇%であり、認知度向上に向けて様々な取組を強化して実施しているところでございます。
 先ほどもご答弁申し上げましたが、令和五年度に新設した心のバリアフリーホームページには、子供向けのページがございまして、まちに出かけるときのバリアなどについて、小中学生向けにキャラクターを用いて分かりやすく解説する動画などのコンテンツを掲載しております。
 併せて、心のバリアフリーについて知り、考えるきっかけにしていただくため、著名人を起用した広告動画をユーチューブやSNSを通じて児童生徒向けに対象者を絞って配信し、昨年、令和五年十二月から四か月間で約八十万ページビューと、多くの方に視聴していただきました。
 引き続き、子供や若年層に向けた心のバリアフリーの普及啓発に努めてまいります。

○玉川委員 心のバリアフリーは、社会全体が思いやりを持って支え合う文化を築くために不可欠な取組であると思います。東京二〇二五デフリンピックの開催を契機として、このような意識がさらに広がり、一人一人が行動を通じて変化を生み出すきっかけとなることを期待します。特に、次世代を担う子供たちが、小さな頃から多様性を尊重する心を育み、未来の共生社会を築いていくことが私たちの願いであります。
 このような取組が東京だけではなく全国に広がり、心のバリアフリーが日常生活の中で当たり前になる社会の実現に向かっていくことを願いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○関野委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時五十二分休憩

   午後七時二十分開議

○関野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 日本共産党の原のり子です。
 四つのテーマについて伺います。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、障害者の医療費の負担軽減について伺います。
 東京都は昨年度、障害者の生活実態調査を行いました。改めて、この調査の目的は何か伺います。

○関口総務部長 東京都福祉保健基礎調査、障害者の生活実態は、五年に一度実施しておりまして、東京都内に居住する身体障害者、知的障害者及び精神障害者並びに難病患者の生活実態を把握することにより、東京都における障害者施策の充実などのための基礎資料を得ることを目的としております。

○原委員 障害者の方たちの生活実態を把握することにより、障害者施策の充実などのための基礎資料となるということで、改めて重要だと思います。よく分析をして、生かしていくための議論が必要だと思います。
 今回の調査では、障害者の年収の低さが改めて鮮明になりました。例えば、知的障害の方でいえば、年収百万円未満が四二%、年収二百万円未満で見れば七六%です。お金がかかるので病院に十分通えない、通院をちゅうちょするという声も聞きます。調査結果にはどのように表れていると分析していますか。

○渋谷事業調整担当部長 福祉保健基礎調査、障害者の生活実態では、障害の状況、健康医療、日常生活の状況、就労の状況、障害福祉サービスの利用状況等、都内に居住する障害者の生活実態を調査しております。
 なお、障害者の暮らし向きは、国の年金や手当のほか、就労収入等により構成され、障害種別や等級、家族構成等の違いにより、医療費の負担感は様々でございます。

○原委員 負担感は様々だということですけれども、この年収の低さというところに、今の状況ははっきり表れているのではないかと思います。
 今、直接のご答弁ではありませんでした、今回も、医療費負担自体は調べられていませんけれども、でも、この調査は様々な角度から生活実態を捉えていく内容になっていて、多くのことを読み取ることができます。
 調査結果で注目される一つは、障害が中度、軽度である方たちの年収の低さです。先ほど、知的障害の方の年収が低いことを指摘しましたけれども、特に愛の手帳三度の方は、年収百万円未満が五五%、年収二百万円未満で見ると八六%にもなります。愛の手帳四度の方も、年収百万円未満が三六%、年収二百万円未満では七〇%です。手帳が三度や四度だからといって、経済的に余裕があるわけではないということです。
 医療費負担そのものの設問はありませんけれども、自由記述を見ますと、医療費免除なので本当に助かっていますという意見がある一方で、医療費の自己負担額も非常に大きく、本人が生涯にわたって安心して生きていける状況にはまだ達していない感がありますという意見や、障害者の医療費が誰でも無料になってほしいという意見があります。医療費助成を受けられるかどうかの違いが大きいことの表れではないかと思います。
 十一月十四日に都議会議事堂内で行われた愛の手帳三度、四度の障害者の医療費負担軽減を求める第二回シンポジウムでは、当事者や保護者の切実な発言が相次ぎました。障害者医療費助成制度の対象にならない障害の中度、軽度の方々は、医療費三割負担のため負担がとても重くなっている実態が語られました。先ほど、調査結果で、中度、軽度の方の年収の低さが表れていると指摘しましたけれども、そういう状態の上に医療費三割負担が強いられているわけです。
 直接障害に起因していなくても、持病があったり、あるいは虚弱体質で病気になりやすい方もたくさんいらっしゃいます。たくさんの診療科に通わなければならず、そのたびに三割負担を強いられる、そのため診療科を絞っているという内容の発言もありました。
 障害があることにより病気の発見が遅れ悪化してしまうということ、また、生命保険にも入れないという、そういう声も複数の方から指摘されました。その上で、シンポジウムでは、要望書が東京都に対しても手渡されました。
 どの障害者も、経済的な心配なく安心して医療を受けられるようにしていくことは大切です。これらの意見をどう受け止めたのか、見解を伺います。

○渋谷事業調整担当部長 障害をお持ちの方が地域の中で生活を送る上で、医療費をはじめとする負担が大きいなど、様々なご意見があるということは承知しております。
 障害者の医療費につきましては、国の医療保険制度のほか、自立支援医療費の支給などで負担軽減策を講じております。
 また、収入が低い方については、医療保険制度の下、所得に応じた加入保険料の軽減措置がなされているほか、高額療養費制度による自己負担限度額により、家計に対する医療費等の自己負担が過重なものとならないよう配慮されております。

○原委員 私は、声をどう受け止めたのかと聞いたんですけれども、直接それにはお答えになりませんでした。
 様々なご意見があるということは承知しているということでしたけれども、でも、当日は、生活福祉部長さんをはじめ課長さんも来られて、直接皆さんの声、生の声を聞いてくださっているわけですよね。そのシンポジウムでの発言は、医療費の負担軽減の必要性が本当によく分かる、伝わるお話でしたし、この切実な声を聞いて要望書を受け取って、生の声をどう受け止めたのかということを聞きたかったわけです。真摯に向き合っていただきたいと思います。
 医療の問題は命に直結しているので、支援が途切れないようにすることが重要です。その点で、子供の医療費助成が十八歳まで大きく拡充してきていることは、とても重要だと思っています。障害児のご家庭でも大変喜ばれています。
 しかし、十八歳の壁があります。支援の必要性は減るわけじゃない、ますます切実になったりするにもかかわらず、手帳の等級や所得制限によって、突然そこで医療費三割負担になってしまう人が多くいらっしゃいます。
 障害者は加齢の進行が速いとも指摘されていること、また作業所の工賃も非常に低いこと、保護者の方も高齢になっていくことなどを考えると、十八歳の壁の問題は解決が必要だと私は思います。
 障害者医療費助成制度の拡充など、医療費の負担軽減策を検討すべきと考えますが、いかがですか。

○渋谷事業調整担当部長 都は、心身障害者の保健の向上と福祉の増進を図ることを目的として、重度障害者の医療費の一部を助成する福祉施策として、心身障害者医療費助成制度を実施しております。
 本制度の対象要件は、趣旨を同じくいたします所得税の特別障害者控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ設定しております。

○原委員 繰り返しその答弁をされるんですけれども、それで十分ではないということが、先日のシンポジウムでも明らかになっているわけですよね。
 今の日本社会では、障害児が大人になっても親がケアし続けなければならない、そういう状況になっています。そのような社会自体を変えなければなりませんけれども、変えられていない上に、医療費負担まで家族に負わせてよいのかということが問われているわけです。
 障害者の生活実態調査では、先ほど紹介したこと以外にもとても大事な設問があって、ちょっと紹介したいんですけれども、日常生活を送るためにもっとあったらいいと思うことは何かという質問があって、それ、三つまで回答してもらうという内容になっています。
 知的障害の方の回答のトップは、生活をしていくのに困らない収入が得られること、三三・八%です。二位が、障害者が暮らしやすい住宅を増やすこと、これが二五・二%。そして、三位が、病気やけがなど必要なときに十分な医療が受けられること、二三・五%という結果なんです。この設問も、質問の仕方が五年前よりもより分かりやすく、改善をされているんです。ですから、その分、より切実な声が今回はっきり表れたと思っています。
 このほかにも、相談できる人や場所の大事さ、障害への理解なども高い回答にはなっているんですけれども、本当に今回の結果を見ると、はっきり出たのは経済的な問題が最も高く、十分な医療を受けられるということが五年前よりも大きく増えているということなんです。ここに注目すべきだと思います。
 十分な医療を受けられるために重要なのが、医療費負担の軽減だと思います。小池知事は知事選の公約で、障害児を育てる家庭への支援拡充を挙げています。
 障害児の保護者の方々は、この子よりも一日でも長く生きなければと、我が子が大人になってからもずっと支え続けています。せめて安心して我が子が医療を受け続けることができるように、親亡き後を心配しなくてもいいようにするということは、障害児を育てる家庭への支援拡充の一つの大事な要素だと思います。
 医療費の負担軽減、そういう角度からも検討すべきだと思いますが、いかがですか。

○渋谷事業調整担当部長 繰り返しのご答弁となりますが、都は、心身障害者の保健の向上と福祉の増進を図ることを目的として、重度障害者の医療費の一部を助成する福祉施策として、心身障害者医療費助成制度を実施しております。
 本制度の対象要件は、趣旨を同じくする所得税の特別障害者控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ設定しております。

○原委員 繰り返しで答えるというのが、何か決まりでもあるんですかね。本当に、質問していることに対して、ぜひ向き合ってもらいたいですし、特にこれは、先ほども紹介したように、シンポジウムで生の声が直接伝えられている、そういう内容ですので、答弁は都民に向けてしているものですから、私は本当に、ちゃんと向き合ってほしいと思います。
 都の実態調査からも切実さが浮き彫りになって、本人や家族の声も大きく広がっている下で、今こそ検討して改善すべきだと思います。障害者の生活実態調査は、冒頭の答弁にあったとおり、施策の充実のための基礎資料ということなんですから、この実態調査から酌み取れるものは最大限酌み取って、医療費助成の拡充につなげるべきだと思います。
 先ほど、浜中副委員長のご質問の中でも様々な大事なご指摘がありました。その中で、愛の手帳三度、四度の方を制度の対象にした場合の一つの試算が示されました。私も、またちょっと違う角度からの試算というのをしているんですけれども、以前の厚生委員会で、一度いった部分もあるんですけれども、私の場合は、愛の手帳三度の方を対象にしている杉並区の実績、これを基に、東京都の三度の方を当てはめたらどうなるかっていう、そういう試算をしてみました。
 そうすると、大体、三度だけだと七億円程度になる、四度と三度を合わせると二十一億円程度と試算しているんですね。でも、いずれにしても、今の都政において十分に実現可能であると思います。私は、東京都にも、ぜひ真剣に、試算も含めてやってみてもらいたいというふうに思っています。
 手をつなぐ育成会の予算要望にはこう書いてあります。一般の人と同じ三割負担では負担が大き過ぎ、体調が悪くても受診を控える人もいると書かれています。こうした声に誠実に向き合うべきです。
 都はこの間、給食費無償化も、子供の医療費助成も国に先駆けて進めています。障害者の所得保障は国がもっと力を入れるべき問題です。しかし、国待ちにならず、都として実施している医療費助成などを充実させていくことは、やるべき課題ではないでしょうか。
 障害を持った人が子供から大人になっても、途切れることなく命を支えていけるように、施策の充実を強く求めておきたいと思います。
 次の質問に移ります。次に、子供、若者の依存症対策について伺います。
 子供、若者からの相談のハードルをできるだけ低くしていくために、依存症の相談の拠点として位置づけられている精神保健福祉センターでのLINE相談が必要だと、私は問題提起をしてきました。
 現在、どのような検討がされているのか伺います。

○菊地障害者医療担当部長 精神保健福祉センターでは、本人または家族の状況等をより正確に把握し実態を踏まえた相談等を行うことができることから、対面実施を基本としております。
 都は、相談体制の整備などについて、ギャンブル等依存症対策推進委員会などにおいて議論しております。

○原委員 議論をされているということで、検討を急いでいく必要があるというふうに私は思っています。というのも、相談になかなかつながらない現実があるからです。
 国が実施した二〇二三年度、ギャンブル障害及びギャンブル関連問題の実態調査によると、依存問題を相談機関に相談するきっかけは、本人は、家族に勧められたというのが五一・二%、自分からホームページなどで探したというのが三二・五%でした。家族が相談するという場合は、自分からホームページなどで探したが最も多くて五一・二%となっていました。
 それで、私は、これはやっぱり深刻だなと思ったのが、本人が相談機関に相談するまでに三年近くたっているという結果なんです。
 もっと早く相談につながるために、LINE相談でハードルを下げることが必要だと私は思っています。そして、LINE相談も含め、相談機関の周知を徹底する必要があると思いますが、見解を伺います。

○菊地障害者医療担当部長 都は、依存症に関する正しい知識の理解促進や相談機関の周知等に向け、都のホームページのほか、依存症の啓発週間に合わせた都民向けフォーラム等の開催やリーフレットの配布などにより、普及啓発に努めております。

○原委員 リーフレットなども、大変充実したものも出されているということも理解をしています。ただ、一般的にお知らせするという範囲では足りない、間に合わないのではないかと思っています。
 SNSを活用することも含めて、若者の目に留まるような発信の仕方の工夫が必要ではないかと思います。また、守秘義務もあるので、安心して相談できますよということを伝えていくことが大事だと思います。
 併せて、大事なのは、相談に対応する人が依存症の知識を持ち、適切な機関につないでいける力が必要だということだと思います。都の精神保健福祉センター、保健所で、ギャンブル依存症の相談についてはどのぐらいの相談を受け、その相談をどういうところにつないでいますか。

○菊地障害者医療担当部長 精神保健福祉センターでは、都民の身近な相談機関である保健所と連携しながら依存症に関する相談に対応しており、令和五年度のギャンブル等依存症を含め依存症全体の相談実績は、三センター合計で約四千五百件でございます。
 センターでは、依存症について、本人や家族などからの相談に応じて、医療機関や支援機関などを紹介しております。

○原委員 ギャンブル依存症を含め依存症全体で、三センターで約四千五百件ということで、大変な相談に応じていらっしゃるということです。また、医療機関や支援機関にもつないでいるということなんですということが分かりました。
 それで、依存症は適切な治療が行われることと、それから、やめ続けるための自助グループが必要だといわれています。また、家族への支援としての家族会の存在も非常に重要です。
 こうしたグループや会と東京都の連携は取られていますか。

○菊地障害者医療担当部長 都は、地域の関係機関と連携を強化するため、精神保健福祉センターにおいて、医療機関や行政機関、民間団体等で構成する会議を実施しております。
 また、民間団体の協力も得ながら、本人への適切な対応方法等を学ぶ家族教室や本人向けプログラムを実施しております。

○原委員 連携をしっかり構築していく、そういう努力を進められていくこと、本当に大切だと思いますが、のんびりしていられないなと感じているのが、オンラインカジノの問題です。
 オンライン化したギャンブルは、スマホからいつでもできることから、低年齢層に相当広がっているのではないかと指摘されています。違法とは知らずにはまり込んで、大変な借金になっているケースも多いと聞きます。
 東京都は、どう把握し、予防も含め対策強化をどう考えていますか。

○菊地障害者医療担当部長 都は現在、東京都ギャンブル等依存症対策推進委員会において、精神保健福祉センターでの相談事例や国の実態調査の分析等、ギャンブル等依存症に関する状況も踏まえ、計画の改定に向けた議論を進めているところでございます。

○原委員 その中で十分議論をしていっていただきたいと思いますけれども、同時に、さらに急がれているといわれているのが、ヤミバイトの背景にオンラインカジノがあるということが指摘をされていることなんです。オンラインカジノにはまって、お金に困ってヤミバイトに手を出してしまうケースも増えていると聞きます。
 ギャンブル依存症を考える会では、ギャンブルのために違法なバイトに手を出さないで相談をと呼びかけています。実際に相談を受け、助け出している事例も多くあります。
 都として、こうした団体の力も借りて相談の対応強化を進めるべきではないかと思いますが、いかがですか。

○菊地障害者医療担当部長 都では、民間団体や依存症治療拠点機関等で構成する推進委員会において、相談支援体制の充実や行政と民間団体との連携推進に向けた方策等を議論しているところでございます。

○原委員 ぜひ、十分な議論を進めつつ、急いで対策を進めていただくことを求めまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、都外の医療型障害児入所施設のサービス推進費について伺います。
 この間、この質問を重ねてきました。都内の医療型障害児入所施設に入れず、都外の施設が東京の子供たちを受け入れてくれた場合、平成十二年一月の前までに設置をされている施設であれば、子供の人数分、サービス推進費を東京都は出すけれども、それ以降にできた施設には出さないという、不公平な事態が続いていることについての是正を求めています。
 今年の三月に厚生委員会で質問したときの答弁と、十月の決算特別委員会で質問したときの答弁が微妙に違っていたと私は思っています。もともとは、こういうふうに答弁されています。平成八年の東京都障害者施策推進協議会の提言を踏まえ、都外の入所施設につきまして、平成十年度以降、新たな施設整備を行わない方針とし、運営費を対象とするサービス推進費補助においても、平成十二年一月の制度創設以降、新たな施設を対象としてございませんと、一体のものとして答弁をされていたんです。サービス推進費を出さない根拠に、平成八年の提言、これを示していたわけです。
 ただ、決算特別委員会での答弁はそこが微妙に違っていまして、平成八年の提言を根拠にしているということは、できなくなっているのではないかと私は受け止めたんです。その提言には、サービス推進費はもう新しいところには出しませんとか、そういうこと全く書いていないわけですから、それで少し微妙に答弁を変えてきたのかなと思ったんです。
 それで、改めて伺いたいんですけれども、なぜ都外の医療型障害児入所施設において、サービス推進費の対象にならない施設があるのか、その理由を改めて伺います。

○加藤障害者施策推進部長 平成八年度の東京都障害者施策推進協議会提言におきまして、都内での施設の設置を促進すべきという提言を受けたことを踏まえ、都外の入所施設について、平成十年度以降、新たな施設整備を行わない方針といたしましたサービス推進費補助については、平成十二年一月の創設以降、新たな施設は対象としておりません。

○原委員 サービス推進費を平成十二年一月に制度として創設し、それ以降にできた都外施設は対象としないということは、どこで決まり、どこに書かれているのですか。

○加藤障害者施策推進部長 平成八年度の提言を受け、都としてサービス推進費の取扱いを決定いたしました。

○原委員 じゃあ、つまり平成八年度のこの提言を根拠にしているわけですね。それはとても無理がある話だと思います。今日は、前回、決算特別委員会でこの問題指摘しましたので、ここでは繰り返しませんけれども、結局は、東京都の今の考えとしては、平成八年度の提言、それを根拠にして、サービス推進費でもそういう違いを出している、都外でも、新しいところにはもう出しませんというその根拠は、全部平成八年度の提言ということなんですね。もし違うのであれば訂正してください。
 それでは、もう一つ聞きます。平成十二年一月以降に設置された障害児施設の中で、サービス推進費の対象外になっているものは、医療型入所施設以外には何かありますか。

○加藤障害者施策推進部長 都外に所在する障害児の入所施設につきましては、医療型障害児入所施設と同様に、サービス推進費の制度創設以降、新たな施設は対象としておりません。

○原委員 医療型障害児入所施設だけではなく、障害児入所施設については、平成十二年以降に設置された施設は、サービス推進費が出ていないということなんですね。
 現在、サービス推進費が出されていない施設にお話を伺うと、子供を受け入れる段階で、東京都から何も補助が出ないとは聞いていなかったという話もあります。緊急性を考えて、本当に重たい障害等もあって、医療的ケアを早くちゃんと受けさせなければいけないと思って、東京の子供たちを受け止めてくれるわけですね、緊急性を考えて。だけれども、その分、何も都独自の支援はなく、施設で実質的に持ち出して子供を支えているということになります。
 さらに、自分の自治体−−東京の外ですからね、自分の自治体の子供は待機しているという状況もあるんです。そういう中で、東京の子供たちを受け入れているけれども、今後の受入れについては慎重にならざるを得ないという声も聞いています。
 東京都から補助がないという説明は、全ての施設に行っているのですか。

○加藤障害者施策推進部長 都は、受入れをされている施設から問合せがあった場合に、補助の対象となっていないということを説明しております。

○原委員 これは、本来、問合せがなければ説明しないというのは、私はいかがなものかと思うんです。というのは、全ての施設に出していないわけではなくて、平成十二年を境にして、出している施設と出していない施設があるわけだから、あなたのところにはサービス推進費は出ないっていうことをちゃんと説明するべきなんじゃないんですかね。
 だって、施設の人たちは、ほかのところでは、古い施設で都民を受け入れている場合にはお金が出ているということを知っているんじゃないんですか。だから、自分の施設でも、子供を受け入れたらそれなりの補助があるって思っているけれども、それは出ませんよということを特にお知らせもなく、問合せがあれば説明する、これは、私は本当によくないと思うんですね。
 是正するべきだし、もともとのその線引きが間違っていると私は思っていますから、十二年を境に、新しい施設だったら受け入れてくれても、もうお金出しませんというそれ自体が間違いですけれども、ちょっと東京都の対応として、本当に是正しないとまずいんじゃないんでしょうか。
 それでは伺いますけれども、他の県では、県外で自分の県の子供を受け入れてもらう場合、新しい施設でも補助を出している事例がありますか、都は把握していますか。

○加藤障害者施策推進部長 近県の状況につきましては、神奈川県と千葉県は補助の仕組みがあることを確認しております。

○原委員 近県では、神奈川、千葉は補助があるということですよね。
 それらの県っていうのは、東京都のサービス推進費のように、平成十二年以降の施設は対象にしないというような線引きはないんですよね。他の自治体に自分の自治体の子供を受け入れてもらう場合に、新しい施設には補助は出しませんということをやっているわけではないんですよね。
 今、都内施設に入れず待機している子供たちは四百人を超えているわけです、東京では。都として、都外施設に、そうやって新しいところにお金を払わないっていうふうになっているわけですけれども、では、都として都内に施設をつくるという予定はあるんですか。

○加藤障害者施策推進部長 都は、東京都障害者・障害児施策推進計画に基づきまして、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら障害児者やその家族が安心して暮らせるよう、様々な取組を進めております。
 具体的には、重症心身障害児者等の日中活動の場でございます通所施設の整備を促進するとともに、一時的に家庭での療育が困難になった場合に短期入所できる病床を確保するなど、在宅支援サービスの充実に取り組んでおります。

○原委員 在宅支援を充実することは、もちろん大事だと思っています。しかし、施設を必要とする子供たちは必ずいます。これからもいます。そのときに、都内施設は整備はしない、都外施設には受け入れてもらっても、新しい施設には補助も出さない。出す施設と出さない施設を都の勝手な基準でつくり出してしまっているわけですよね。私は、これは本当にあり得ないと思っています。
 この平成八年の提言でも、前、決算特別委員会でも触れましたけれども、あの提言では、子供たちを住み慣れた地域で育てていくということが書かれているわけですけれども、この都外の施設に行った子供たちにとっては、そこがその子の地域なんですよ。だから、本当にそこで子供たちが安心して過ごせるように、東京都の子供たちですから、支援をしていくっていうのは、私は当然だと思うんです。
 これだけ本当にたくさんの待機児がいる中で、何とか受け入れましょうと受け入れてくれた都外施設に対して、どこの施設にも平等にちゃんと東京都が補助を出す、そういうふうに、もうここで切り替えるべきだと思うんです。これは、もう長くこの状態が続いてきてしまっているわけですけれども、ぜひ、一日も早く是正をしていただきたい。
 本当に医療的ケアが必要で、重度の障害のある子供たちがたくさんいて、その子たちの命を救うためにも、そのことを強く指摘をして、ぜひ検討していただきたいということを述べておきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、最後に、障害者福祉会館のネット環境について伺います。
 障害者福祉会館のWi-Fiが不安定だという利用者からの指摘があります。もともとは、Wi-Fi自体もなくて、障害者団体などから繰り返し要請があって、厚生委員会でも、当時、白石議員が取り上げました。
 その後、Wi-Fi環境が整えられたのですが、現在もそのWi-Fiが不安定だと、利用者からご指摘があります。一緒に現場を確認して改善することが必要だと思いますが、どのように進めるのか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 障害者福祉会館では、集会等で利用する部屋につきましてはWi-Fiが利用できる環境となっております。接続が不安定な場合でございますが、ルーターを移動させるなどして、個別に職員が対応しているところでございます。

○原委員 申出があれば、ルーターを職員の人が運んで対応するということなんですけれども、私も見に行って、部屋の片隅にルーターを置いてあるのは確認しています。そういうことなんですけれども、そのこと自体を利用者の皆さんに十分に周知していただきたいというふうに思います。
 また、本来は個別対応しなくてもよいようにできるのが大事だと思うんです。どうすれば改善できるのかを調査して、例えば、もともとWi-Fi不安定だなという場所については、あらかじめセッティングをしておくなど、利用者の皆さんが不便なことのないようにしていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 また、パソコン室のパソコンをインターネットが使えるようにしてほしいと、かねてから要望が出されていますが、セキュリティの問題でできないと都は回答しています。具体的に何が問題なのか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 お話のパソコンにつきましては、視覚障害者の方が利用するためのパソコン室がございまして、そこに設置しておりまして、点訳等を行った資料を専ら印刷するために設置をしているものでございます。
 当該パソコンには、点訳等に必要なソフトをインストールし、視覚障害者の方がUSB等の外部記憶媒体等をお持ち込みになって、当該パソコンに接続してデータを印刷するという運用としておりまして、コンピューターウイルス感染により不具合が生じるおそれなど、セキュリティ上の観点から、インターネット接続については行っていないところでございます。
 なお、お話のパソコン室も含めまして、先ほどもご答弁いたしましたが、集会等でご利用いただいております部屋にはWi-Fiが利用できる環境となっておりますので、ご自身のスマートフォンですとかパソコンを接続してインターネットが閲覧できる環境となっており、ご利用いただいているところでございます。

○原委員 パソコン室は、電話もちょっとつながらなかったんですけどね、私は。これはちょっと、本当にいろんな意味で改善をしないといけないと思いますが、少し具体的に伺います。
 具体的に、ウイルス感染による不具合というのは、どういう状態で起きると考えているんですか。

○加藤障害者施策推進部長 ウイルスに感染しているUSB等の外部記憶媒体や、インターネットサイト等からのウイルスの侵入によって起きると考えられております。

○原委員 ちょっと今の答弁では、具体的っていうふうにはいえないんじゃないかなと思うんですけれども、それでは、それにしてもそういう心配があるというのであれば、それを防ぐための方策などは検討していないのですか。

○加藤障害者施策推進部長 お話のパソコンにつきましては、インターネット接続は今はしておりませんため、インターネット経由で感染するという可能性はないところでございます。
 現在、視覚障害者の方がお持ちになったUSB等の外部記憶媒体等を利用した後に、ウイルス感染しているということが確認された場合は、速やかに対処することとしております。

○原委員 どういうふうにやっているのかちょっと分からないんですけれども、じゃあ、対処できるっていうことなんですかね。
 私は、ネット接続をしてほしいという要望がある中で、東京都はセキュリティ上の問題からしていないんだと、ざっくりと説明してきた。今のお話でも、ネットを接続していないからネット経由の感染の可能性はありませんっていうのは、ちょっと私が聞いていることと本当に違うんですけれども、では、具体的に、インターネットにつなぐとどんな問題があるのか、そして、その問題を解決するための方策は考えていないのかというふうに私は聞いているんです。ネットに接続していないから感染しませんというのは、ちょっといかがなものかと思います。どうやったらできるのかっていうことを考えるべきだと思うんです。
 先日、見学させていただきましたけれども、ネットにつながっていないため、アップデートされずに古いままのソフトがあります。これは早急に改善する必要があるのではないですか。

○加藤障害者施策推進部長 点字等を印刷するための、お話の視覚障害者用専用ソフトでございますが、インターネット経由ではなくて、別途、例えばCD-ROMなどをお持ち込みということになりますけれども、業者に委託するなどして適宜更新をしておりまして、引き続き適切に対応してまいります。

○原委員 とても、何ていうんですかね、視覚障害者の方が使う、このソフトに限定してっていう感じで物をおっしゃっているんですよね。私も、障害者福祉会館に行きましたけれども、例えば、利用者の方が使っているマイワードというソフトは最新のバージョンではありませんでした。ほかにも最新でないものがありました。併せていうと、オフィスはサポート期間が終了した二〇一三が入っていて、これも大変驚きました。
 障害者の方が何を望んでいるのか、ネットを接続していろいろ調べ物をしたいんだという声も含めて、それをちゃんと捉えて、それを実現するためにはどうしたらいいのかっていうふうに考えてもらいたいんです。障害者の方が調べ物をしたいと思っても、パソコン室でネットが見られない、これも、今お話ししましたけれども、改善が必要だと思いますけれども、いかがですか。

○加藤障害者施策推進部長 視覚障害者の方のパソコン室、視覚障害以外の方は使わないパソコン室になっているわけですけれども、その部屋も、それからそれ以外のいろんな障害をお持ちの方が使われる集会室も含めて、現在、障害者福祉会館は全てWi-Fiが利用できる環境になっております。
 ご自身のスマートフォンですとかパソコンを接続してインターネットを閲覧し、検索できる状況になっておりまして、実際にお使いいただいているところでございます。

○原委員 障害者の方がパソコン室で調べ物ができないために、自分のパソコンを持ち込まないとできないんだとおっしゃっているんですよね。それも、いろいろWi-Fi環境も不安定だったりするので、わざわざ廊下とか外にまで行って調べているという方もいらして、視覚障害者の方は、ご存じのとおり白杖を持ったりして歩いていて、荷物もできるだけ少なくしなければいけないのに、障害者福祉会館のパソコンで作業するために、その重い荷物を持ってこなきゃいけないっていうことも訴えておられました。
 私は、やっぱり、そこに行けば調べ物もできるし、作業もできる、そういうふうにしようっていうふうに考えるのが本当だと思うんですよね。障害がない人が、まあ障害のある人がこのぐらいやっておいてあげればいいだろうみたいな発想でもしやるとしたら、それは本当に間違っていると私は思うので、そんなことないと信じたいですので、ぜひ、声を聞いて改善をしてもらいたいと思うんです。
 そもそも、視覚障害者の方が使うパソコンっていうのも、当事者の皆さんが声を上げて要望する中で設置もされたということも聞いているんです。それは、応えていただけたのは本当に大事なことだと思うけれども、でも、障害者福祉会館というのは、いろんな障害の方が利用しますよね。そこに、要望されたから、視覚障害者の方だけのパソコンという形で置いていて、ほかの方々が使えるパソコンをもっと用意しようとか、そういう発想はないんですかね。
 私は、一番最初に行ったときに、そこに驚いたんです。パソコンが一台しかないんだなって。誰もが利用できる、調べ物をしたりできる、そういうパソコンを置くことは、セキュリティに十分配慮しながらも、十分できることだと思うんです。
 ですから、私は、これを機会に、障害者の方々が障害者福祉会館でそういう調べ物をしたり、作業をしたり、そういうことがもっとやりやすくなるように、本当に全体を考えてほしいと思っています。
 そういう中で、私は改めて本当に確認したいと思うのは、国においても情報アクセシビリティー法が成立をしていて、現在、都議会でも条例の検討もされているわけですよね。障害のある方たちが、ほかの人と同じように情報を得ることができる、またアクセスできる、そのための環境整備と合理的配慮はなされなければならないことだと思うんです。
 それなのに、障害者福祉会館で不便を被っているというのは、都の姿勢が問われるのではないかと思います。認識を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 障害者福祉会館は、障害者が利用できる集会室の貸出しなど、障害者の福祉の増進を図るための施設として設置をしているところでございます。
 会館では、視覚障害者のための日常生活情報点訳等サービスを行うほか、聴覚障害者のためには、筆談器をはじめ遠隔手話通訳サービス、音声字幕表示、ヒアリングループの設置など、様々な情報保障を行っております。
 また、定期的に東京都障害者福祉会館運営懇談会を行っておりまして、障害者団体からのご意見やご要望を伺っているところでございます。

○原委員 点字のパソコンは点字の文書を印刷、製版できる、そういう環境も、今、整っていて、視覚障害の方にとっては大事な場にもなっていて、そこも含めて充実をさせていくということがとても大事だというふうにも、これもいっておきたいと思うんです。
 今、部長の答弁で、定期的に利用者からの要望を聞いているということです。聞いてくださっているんだと思いますけれども、それを真剣に受け止めているのかが、私は問われていると思うんです。パソコンにネットをつないでほしいというのは、十年越しの要望なんです。今日質疑を行って、また、質疑に向けて調査もしてきましたけれども、率直にいって、まともに、これまで十年の間で検討したことがあるのかなと疑問を感じました。
 パソコン室で作業している中で、私たちも普通に、何か分からないことがあったらパソコンでネットでぱっと調べて、それを文書に書くとか、そういうことをやるわけですけれども、調べ物をしたくてもネットにつながっていないというのは、本当に不便だと私は思いました。
 また、不具合があるからいろいろアップデートしていくものなのに、サポート期間が終わっているオフィス二〇一三を使えるのだから、そのままにしておこうということは、やっぱりこれはあり得ないと思うんです。
 東京都では、DX推進を強調しているわけです。それなのに、障害者の分野を置き去りにするということでよいのでしょうかということが問われていると思います。急ぎ検討して改善することを求めて、質問を終わります。

○藤井委員 それではよろしくお願いします。
 まず、保育料の無償化についてお伺いをしたいと思います。
 小池都知事の公約でもありますけれども、ゼロ歳から五歳のうち、三歳児以降はそもそも国の政策で無償化ということでございまして、ゼロ、一、二に関しましては、二子以降をこれまで都の政策で無償化をしてきたと。さらに、今度はゼロ歳、一歳、二歳の第一子に関して無償化をしていくというような方向性をお示しになられたわけであります。
 これは、他方で、私の地元練馬区で、一番高い保育料は月七万二千五百円ということでございまして、これ、三年間弱無償になるということで、二百万円以上保育料の節約になるということで、かなり大きな話にもなってくると思うんですけれども、今、都としての検討状況について、まずお伺いをしたいと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 本年第三回定例会で、都としてご答弁いたしましたとおり、第一子の保育料無償化につきましては、検討することとしております。

○藤井委員 現在の検討状況についてお伺いしますと、まさに検討中でございますというご答弁だったわけでございますけれども、まあ本当に、かなり大きな話になってくるわけでございまして、例えば、私の地元なんかですと、通りを挟んで埼玉県の和光市だったり、新座市だったりという地域もありまして、例えば、子育て世代の方にとってみれば、同程度の住宅であれば、例えば練馬区に住めば、月一万円から二万円程度家賃が高いとしても、これ、住んだ方が、経済合理性に照らして考えればお得だというような話にもなってくると思います。これ、本当にうれしいことではあるんですけれども、大量に子育て世代が流入してくるというような可能性もあるわけでございます。
 これ、私の地元にまで、待機児童が五年連続でゼロだったんですけれども、一方では、私たち練馬区と同程度の世田谷なんかでは、また今、待機児童が増え始めているなんていう話も伺っているところでございまして、率直に、保育料無償化にしても、結果、待機児童になって入れない人が出てしまうと、やっぱり非常に困る話でもございますが、そんな待機児童に対して与える影響なんか、どういうふうに、今、分析をされているのかお伺いできればと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 保育サービスにつきましては、保育の実施主体である区市町村が、認可保育所、認証保育所、認定こども園など、地域の実情に応じて様々な支援を活用して提供しており、都は、引き続き、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援していくこととしております。

○藤井委員 この保育料の無償化が待機児童に影響を与えるという説と与えないという説が、二つ説があって、かなり大きな影響を与える政策でもあろうと思うので、待機児童、限りなく、もう今、ゼロに近づいている状況だと思いますので、引き続き、ぜひ、これは堅持をしていただきたいなというふうに思うわけであります。
 その関連というか、次に、保育士さんの借り上げ宿舎に関する家賃補助についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 今、認可保育所、認定こども園の借り上げ宿舎に対する家賃補助、月額八万二千円というのを行っておられると思います。これは保育士不足を解消するための保育士さんの確保策であるというふうに認識しているわけでありますけれども、他方では、我が地元練馬区で、練馬こども園というふうに呼んでいるんですけれども、私立幼稚園の空き教室というか、空き部屋を使って、夏休み、冬休み、かつ十一時間保育を行っている、保育園同様の預かり保育を実施していただいているんですけれども、今年から区の予算を六万二千円かけて家賃補助を区の独自の対策として始めたんですけど、これまで家賃補助がないということで、園の理事長さんなんかの話を聞きますと、なかなか人が採れない、同じ免許を持っていて、同じお子さんをケアする仕事なんだけれども、どうしても認可保育園の方に人が流れていって、なかなか採れないということで、地元区で努力して六万二千円という家賃補助を始めたわけであります。
 こういったことって、練馬だけじゃなくてほかの地域でも起こり得る話なのかなというふうに想像するところなんですけれども、こういったことだったり、あるいは認証保育所の人材確保に対しても、こういった家賃補助の制度って、一定影響を与えている部分もあるのかなというふうに思っているところでございますけど、今後のこの家賃補助の在り方も含めて、今、お考えになっていることがあればお伺いをしたいと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 来年度の予算に関するものに関しましては、予算編成過程の中で検討していくものでございます。

○藤井委員 今やっている家賃補助についてどうですかと聞いたつもりなんですけど、様々、地元では非常に、悲鳴とまではいいませんけれども、かなり影響を与えていて、幼稚園の経営なんかにもかなりインパクトを与えているような状況でございます。
 これは、生活文化スポーツ局の所管になると思うので、ぜひ今後、連携を図って、情報調整をしっかり図って取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、〇一八サポートについてお伺いをいたしたいと思います。
 今、ゼロ歳から十八歳のお子さん二百万人いらっしゃって、月五千円、年間六万円、そして一千二百億円を振り込んでいると。年三回振り込んで、おおむね銀行振込の手数料を含めて五十億円プラスアルファの間接コストがかかっているというようなお話を伺っているところでございます。
 一方で、これは区の事務、国の法定受託事務という名前になるのかなと思うんですけれども、児童手当を、区でも、これは年六回、振り込んでいるのかなと思います。
 この二つの事務というか、都がやっている〇一八サポートを区の児童手当の事務に一体化というか統合ができれば、この間接コストの部分を相当程度軽減できるという可能性もあるのかなというふうに思うわけでございますけれども、こういった点について、どうお考えになるのか、局の見解をお伺いしたいと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 〇一八サポートは、子供の保護者等が受給する児童手当とは異なり、子供一人一人の成長をひとしく支えていく観点から、子供本人を支給対象として実施をしております。
 本事業は、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供を対象に、都が実施主体といたしまして、区市町村の意見も聞きながら実施しているところでございます。

○藤井委員 児童手当は親御さんに、〇一八サポートについてはお子さんにということなので、こういったことになっているということでございます。
 一方では、これだけの経費かかっているという現実もあると思いますので、今後のこういったコストの削減ですね、同じ一千二百億円お届けをするにも、極力ご迷惑をおかけしない、公平な形でなければいけませんけれども、こういったこの間接コスト部分をうまく節約をしていく方法というのを、ぜひ、検討していただければなというふうに思います。
 次に、シルバーパスについてお伺いをしたいと思います。二問予定をしていたんですが、二問目の方のみをちょっとお伺いをしたいと思います。
 シルバーパスは、社会参加に広く利用され、幅広い分野で高齢者の社会参加を支援する施策を実施しているということでございます。小池知事は、三期目の公約の中で、シルバーパスの改善というような文言をおっしゃっておられるわけでございます。
 今後、局としてどのように取り組んでいかれるお考えなのかお伺いをしたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 シルバーパスについては、第三回定例会において答弁したとおり、現行制度導入以降の健康寿命の延伸や交通事情の変化等を踏まえ、高齢者施策全体を総合的に議論する中で検討することとしております。

○藤井委員 このシルバーパスをめぐっては、私も地元の方から本当に様々、ご利用に関するご意見をいただきました。実際、一番多い意見は、千円パスと二万五百十円のパスと二種類あって、特に二万円の方を払っている方から、俺はしっかり納税している、納税しているのに何で二万円も取られて、公平じゃないじゃないかというような趣旨の話をかなりいただくわけでございまして、もう少し、この料金の部分を段階をつけて、千円と二万円って極端なやつじゃなくて、もう少し段階をつけていくということも、一つ方法としてはあり得るのかなというふうに思っているわけであります。
 いずれしても、シルバーパスは、高齢者の皆さんにとって本当に生活に密着をした重要な制度であろうかと思っています。
 来年度の福祉局の予算要求の中で、このICカード化を進めるための四十八億円という予算も計上されているところであります。IC化を進めることで、まずは、ほかの交通系のカードみたいなIC化で利便性の向上を図っていくということと、あと、非常に大切な制度であるからこそ、どういう利用のされ方をしているのかっていう、現状把握をしていくということにも、ぜひ使っていっていただきたいなというふうに思います。
 こういったことも含めまして、より使いやすいシルバーパスの在り方というのを検討していっていただきたいなというふうに思う次第であります。
 最後に、受験生チャレンジ支援貸付事業についてお伺いをしたいと思います。
 まず、事業の概要と令和五年度の利用状況についてお伺いをしたいと思います。

○新内生活福祉部長 受験生チャレンジ支援貸付事業は、世帯収入が生活保護基準の一・五倍以下の世帯の受験を支援するため、中学三年生、高校三年生等を対象に、受験料と学習塾の受講料を無利子で貸し付けております。
 当事業は、令和四年度に所得要件を生活保護基準の一・一倍から一・五倍に緩和をいたしました。所得要件を緩和しました令和四年度以降の予算規模は、緩和する前の令和二年度の実績を基に、緩和後の所得基準に該当する世帯数の増加分を勘案して約三万五千件と見込んでおります。
 令和五年度の貸付件数は一万一千三百十二件でございまして、執行率は三二%となっております。

○藤井委員 執行率三二%ということでございまして、これも、やっぱり地元の方から、恐らくこの要件に当てはまるであろうという方からいわれたんですけど、この事業って、塾代は最大二十万円ということでございますし、実際、利用者の九九%の方は、結果減免されて、貸付けではなくて、実質的に給付をするような形になるということでございまして、生活厳しい方にとっては非常にありがたい制度だというふうに思いましたので、その方の話を聞いて、ほかにも知らない方がいらっしゃるのかなと思ったものですから、ちょっと伺った次第なんですけれども、執行率三二%ということで、これは予算を、生活保護の基準の一・五倍ということで大きめに取っていただいているということは、ありがたいことなんですけれども、一方で、やっぱり執行率三二%にとどまっていることっていうのは、これは課題でもあるのかなというふうに思います。
 その辺の要因について、都として一定分析をされていることがありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。

○新内生活福祉部長 必要な方が本事業の貸付けを受けられるよう、制度について広く周知を図ることが重要と認識しております。
 このため、都は教育委員会と連携し、公立の中学校や高等学校等を通じて、中学生二年生及び三年生、高校二年生及び三年生の全生徒を対象に、案内チラシやリーフレットを配布するとともに、私立の中学校、高等学校等にもリーフレットなどを送付して周知しております。
 引き続き、より多くの方に利用してもらえるよう、本事業の周知に努めてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。周知、頑張っていただくということで、ぜひ、やっていただきたいと思うんですが、プラスアルファで、何か、周知不足という部分以外にもやっぱり原因あると思いますので、こんなことも、ぜひ分析の上、今後、鋭意事業を進めていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○伊藤委員 まずは、保育の質の向上について伺います。
 保育所は、乳幼児期という子供の心身の発達にとって極めて重要な時期を過ごす場です。そのため、各保育所で、より質の高い保育が提供される必要があり、各保育士の人材育成が大変重要であります。
 そこで、都は、保育士の人材育成に取り組む市区町村や保育所を支援していくべきと考えますが、都の取組を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、キャリアアップ研修の受講機会の確保や、保育所間の交流を通じて他の保育所における取組を学び合う機会の充実を図るなど、保育所職員の資質や専門性向上に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 今年度からは、保育士等が外部の研修に積極的に参加できるよう、代替保育士の雇い上げ経費や研修受講費用などを包括補助により支援をしております。
 また、保育士等キャリアアップ補助におきまして、処遇改善等加算の要件を満たし研修を受講した職員を国の加算対象上限を超えて配置した場合に、一人当たり月額五千円を独自に補助しており、引き続き保育の質の向上に取り組んでまいります。

○伊藤委員 ご答弁にあるような取組を通じて保育士の人材育成を図り、保育の質のさらなる向上を求めておきます。
 次に、社会福祉施設等への非常用電源等の整備について伺います。
 今年一月に能登半島地震が起き、八月には宮崎県で発生した地震を受けた南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど、いつどこで大規模な地震が発生してもおかしくありません。また、この夏も日本各地で豪雨が発生し、多くの被害をもたらしました。
 こうした中、災害時の避難行動に支援が必要な方々が多く生活する社会福祉施設においては、災害への備えがますます重要になっています。
 都は今年度から、社会福祉施設等への非常用電源等の整備促進事業を開始しましたが、全ての社会福祉施設等を対象にしているとのことですので、その狙いと実績を伺います。

○森田企画部長DX推進担当部長兼務 本事業は、入所施設のほか、通所系、訪問系、相談系のサービスを行う全ての社会福祉施設等を対象としております。利用者が入所または通所する施設は、被災時に利用者を一定の間とどめること、また、訪問系、相談系の事業所は、利用者の情報を基に安否確認を行うことが想定されておりまして、それぞれ最低限の電源を確保することが必要でございます。
 こうしたニーズに対応するため、国の補助対象とならない小規模な非常用電源や、スマホやパソコンを充電できる持ち運び可能な蓄電池など、小規模な事業所でも利用しやすい機器を補助対象としております。
 今年度は、二回に分けて申請を受け付ける予定でおりまして、六月末が期限でございました第一回で、千七百五十一件の交付決定を行っております。

○伊藤委員 施設によって災害時の対応は異なってくることから、様々なニーズに応じて活用してもらえるよう、全ての社会福祉施設を対象にしていることを確認しました。よって、多くの施設にこの事業を活用していただきたいところですが、それぞれの施設において非常用電源を導入するだけで終わるのではなく、災害時の対応について実効性を高めることが重要です。
 それでは、都は、本制度を通して、どのように事業者の災害対応力の強化を図っていくのか伺います。

○森田企画部長DX推進担当部長兼務 本事業は、実績報告時までに、施設等の事業継続計画、いわゆるBCPを策定することを要件としておりまして、整備した機器種別を記載したBCPの提出を求めております。これによりまして、BCPが未策定の施設等に対しましては、本事業の活用を契機にその策定を促すこととなり、また、既に策定済みの施設等に対しましても、本事業の活用が、その点検、見直しにつながることになります。
 施設等が災害時において求められる役割を果たせますよう、都は、引き続き本事業の活用を働きかけ、災害への備えを強化する施設等を支援してまいります。

○伊藤委員 この補助を活用して非常用電源を導入する施設が、BCPをはじめ、災害時の対応について検討、整備することが災害対応力の強化につながると思われます。都は、引き続き多くの事業者にしっかりと取り組んでもらえるような働きかけをお願いいたします。
 次に、災害時の要配慮者対策について伺います。
 能登半島地震でも、高齢者や障害者など、要配慮者に対する災害時支援の重要性が改めて認識され、その取組の一つに、個別避難計画の作成があります。
 個別避難計画は、自ら避難することが困難な避難行動要支援者ごとに作成する避難支援のための計画で、一人一人の状況に合わせて、災害時の避難先はどこか、支援をする人は誰か、避難するときにはどのような配慮が必要かということを記載したものです。
 また、個別避難計画の作成は、災害対策基本法により市区町村の努力義務とされていますが、高齢者や障害者の方が災害時に円滑な避難を確保するためにも、非常に重要な取組と考えます。
 そこで、都内の市区町村における個別避難計画作成に係る取組状況を伺います。

○関口総務部長 国は、全国の市町村の個別避難計画の作成に係る取組状況等について調査を実施し、令和六年四月一日現在の状況を六月に公表いたしました。都内の六十二市区町村中、個別避難計画の作成に着手している自治体が六十市区町村、計画作成に未着手の自治体が二町村となってございます。
 計画の作成に着手している六十市区町村でも、作成状況は様々でございまして、避難行動要支援者数に対する計画作成数の割合が六〇%を超える自治体が五市区町村ある一方で、二〇%以下の自治体が四十二市区町村となってございます。

○伊藤委員 地震等の災害はいつ起こるか分かりません。災害が起きたときに、高齢者や障害者の方が円滑な避難を確保できるよう、平常時から個別避難計画の作成に向けた取組を進めておくことが重要です。
 しかし、都内では、既に六十市区町村で作成に着手をしているようですが、計画作成の進捗状況はかなりの差があります。つまり、避難行動要支援者に対する計画作成数の割合が二〇%以下の自治体が四十二市区町村ということですから、都内全体では、まだ低い状況にあります。
 それでは、自治体における計画作成の課題と計画作成の取組が進むように、都としてどのような支援を行っているのか伺います。

○関口総務部長 個別避難計画の作成に当たりましては、自治体内の防災、福祉等関係部局間の連携や、福祉専門職の参画等が必要でございまして、また、避難行動要支援者本人や家族、地域住民等の計画作成への理解、協力が重要でございます。
 このため、都は、市区町村の防災、福祉保健部局の担当者を対象に、災害時要配慮者対策の研修会を毎年度実施しておりまして、対策が進んでいる自治体の事例紹介などを行うとともに、市区町村が福祉専門職に対して実施する研修会の経費等、必要な費用の一部を補助してございます。
 また、計画作成の具体的な手順に加え、自治体内の関係部局や庁外の福祉専門職との連携のポイント等を盛り込んだ手引や、本人や家族、避難支援者等へ計画作成の必要性等を解説する動画を作成いたしまして、今年度、それらの活用を市区町村に働きかけてございます。
 こうした取組を通じまして、引き続き、市区町村における個別避難計画作成の取組が一層進むよう支援してまいります。

○伊藤委員 個別避難計画は、一度作成したらそれで終わりではなく、作成とともに、避難の実効性を高めるため、例えば、実際に避難訓練を行い、計画の改善に取り組むことも必要だと思います。
 個別避難計画の作成は市区町村の努力義務でありますが、その取組が進むよう、都としてもしっかり支援することを要望しておきます。
 次に、ひきこもり対策について伺います。
 令和五年に発表された内閣府の調査によれば、いわゆるひきこもりの人は、十五歳から六十四歳までの年齢層の二%余りに当たる百四十六万人にも及ぶと推計されています。このうちの一割が都の人数であるとすると、約十五万人もの人がひきこもり状態にあるということになります。
 都では令和元年度から、中高年層を含めた全世代に対象を拡大し、ひきこもりに係る支援策を進めてきたところであり、相談窓口として、ひきこもりサポートネットにおいて様々な相談対応を進めてきたと聞いています。
 そこでまず、サポートネットが実施する相談内容と昨年度の実績について伺います。

○新内生活福祉部長 都は、ひきこもりの相談窓口であるひきこもりサポートネットにおきまして、令和元年度から対象年齢を拡大して、電話、メール、来所、家庭への訪問のほか、同じ悩みを共有するピアサポーターによるパソコンやスマートフォンを活用したオンライン相談を実施し、当事者やその家族等からの健康に関する不安や、家族との関わり方など、多岐にわたる悩みや相談に対応しております。
 令和五年度の相談実績は、電話相談四千八十二件、メール相談五百六十四件、来所相談百四件、訪問相談三十件、ピアサポーターによるオンライン相談が八十五件となっております。

○伊藤委員 サポートネットだけでもこれだけの相談件数がある中、いまだ相談につながっていない潜在的なニーズを考えますと、都の相談機関のみで全てのニーズに応えることは難しいと考えます。
 また、かつては若年層のみが対象であったり、教育や保健部門など、その窓口も多岐にわたり、自治体によってひきこもりへの対応は様々となっていました。
 そこで、市区町村における相談体制の整備に向けた取組についても伺います。

○新内生活福祉部長 都はこれまで、令和三年度に設置した都と区市町村によるひきこもりに係る支援推進会議におきまして、都の施策や区市町村が行っている取組の好事例を共有するなど、身近な地域での相談体制の整備を区市町村に働きかけてまいりました。
 その結果、令和四年度には、都内全ての区市町村におきまして、全世代を対象としたひきこもりに係る相談窓口が設置され、現在では、身近な場所で相談できる環境が整っております。

○伊藤委員 都内全ての市区町村において相談窓口が設置されていることを確認しました。
 さて、令和二年度に実施した都の調査によると、ひきこもりの状態が継続している期間が十年以上にもわたるケースも多数ある中、ひきこもり状態にある当事者やその家族が抱える悩みも、医療や介護、所得、就労など複雑多岐にわたり、市区町村が受ける相談内容も支援困難な事例が多々あると思われます。よって、適切な支援が行われるよう、都として市区町村への支援をさらに充実する必要があります。
 そこで、都における具体的な支援策についても伺います。

○新内生活福祉部長 都は、ひきこもりサポートネット内に、医療、法律、福祉等の多職種専門チームを設置し、ひきこもりの課題に加えて、貧困や精神疾患、介護等の課題を複合的に抱える困難ケースへの対応について、区市町村に専門的な助言を行っております。
 今年度からは、新たに区市町村における相談窓口の職員等を対象として、効果的な支援事例等の情報共有や、グループワークによる意見交換を通じ、現場で抱える課題や悩みの解消と適切な相談支援の推進を図る交流会を開催しております。
 こうした取組によりまして、地域における相談体制のさらなる充実を図ってまいります。

○伊藤委員 ひきこもりで悩む当事者や家族を今後ともしっかり支援をすることを求めておきます。
 次に、介護人材確保対策について伺います。
 都が実施した需給推計では、二〇三〇年度に四万七千人の介護人材の不足が見込まれており、介護人材の確保や定着は深刻な課題となっています。
 東京は、他県と比べ家賃などの生活コストが高いことに加えて、昨今の人材不足や賃金上昇により、他業種との人材獲得競争が激化しています。
 こうした状況の中、必要な人材を確保していくためには、居住面も含め、安心して働くことができる環境整備を支援することが必要と考えますが、都の取組状況を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化を目的に、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施してまいりました。
 今年度からは、一戸当たりの助成期間の四年制限を撤廃するなど、支援を拡充して実施しております。
 さらに、国が介護報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員、介護支援専門員を対象に、月額一万円から二万円の居住支援特別手当を支給する事業者を支援しております。
 本事業は、六月の申請開始から、毎月多くの介護事業者から申請を受けており、既に半数を超える事業者から申込みをいただいております。現在、約一千六百法人に対して、約百億円を支払っております。
 今後も介護職員の働く環境の改善を図り、人材のさらなる確保、定着に向け取り組んでまいります。

○伊藤委員 介護人材確保の支援策について確認しました。
 さて、職場環境の整備には、デジタル機器や次世代介護機器の導入など、いわゆるDXを進め、業務の効率化や職員の負担を軽減することも重要であります。しかし、実際には、事業所内にそうした知識やノウハウを持つ人材がおらず、DXをなかなか進められないという声も届いています。
 そこで、介護事業者がDXを推進し、生産性の向上に継続的に取り組めるよう支援すべきと考えますが、都の取組について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、介護従事者の負担軽減や業務の効率化を図るため、介護施設、事業所を対象に、デジタル機器や次世代介護機器の導入経費を補助するとともに、機器の導入や活用等に関するセミナーや専門相談などを行っております。
 今年度からは、介護事業者が継続的にDXの推進に取り組めるよう、事業所内でDXを推進するリーダー人材を育成する事業者に対し、年間百万円を上限に人材育成や手当の支給に関わる経費を支援しております。
 今後も、機器の導入、活用支援とDX人材育成支援を両輪で進めることにより、事業者の継続的な生産性向上の取組を一層推進してまいります。

○伊藤委員 介護事業者は、中小事業者がその多くを支えています。限られた人材の中でしっかりとDXに取り組めるよう、引き続き後押しをお願いします。
 次に、発達障害への対応について伺います。
 我が会派は、令和四年第四回定例会において、大人の発達障害に対して悩みを抱える当事者の支援や相談窓口を充実させること、そして職場などの理解を広めていくことは、本人にとっても周囲にとっても必要な施策であり、また、発達障害と認定されないグレーゾーンの方への支援も必要であることを述べたところです。
 これを受け、都は、令和五年一月から大人向けの相談窓口として、発達障害者支援センター、おとなTOSCAを開設し、医療面でのサポートも含めて、成人期向けの専門相談に対応しています。
 そこで、まずは、おとなTOSCAの相談や支援の状況について伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 おとなTOSCAでは、令和五年度は延べ二千五百件を超える相談を受け、そのうち、医療機関をはじめとする支援機関の情報を求めるものが約三割、現在の生活や家庭で家族ができることを知りたいが約三割となっています。
 また、就労者からの相談が半数以上を占めていることが、おとなTOSCAの特徴であり、具体的には、発達障害の診断によるキャリアへの影響や、障害者雇用の配慮を受けられないなどの相談が寄せられています。
 これらの相談に対し、本人や家族を取り巻いている問題を整理し、障害者に関する就労制度の説明や、関係機関に関する情報提供や紹介、対処方法についての助言など、支援を行っています。
 引き続き、発達障害のある方が安心して地域で暮らせるよう、切れ目のない支援に取り組んでまいります。

○伊藤委員 おとなTOSCAの相談などの状況を確認しました。
 また、令和五年第三回定例会において、発達障害に関する相談の増加や支援の必要が増す中で、多摩地域への対応について伺ったところ、相談の状況などを踏まえながら、多摩地域にお住まいの方が、より気軽に相談できる機会の提供について検討していく答弁がありました。
 それでは、その後の多摩地域における取組状況についても伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 令和六年五月から八王子市の協力を得て、こどもTOSCA、おとなTOSCAともに、多摩地域において、それぞれ月一回、一日三件までの出張相談を開始しました。
 相談者の大部分は多摩地域の市町からの利用者であり、身近な地域の医療機関や福祉サービスの紹介などを行うほか、本人や家族に対し、対処方法についての助言を行っています。
 TOSCAでの日頃の相談事例や相談員の専門を生かすことで、身近な地域で発達障害について相談できる有効な機会となっており、引き続き、多摩地域の自治体とも連携して、発達障害のある方への支援を充実してまいります。

○伊藤委員 多摩地域の取組状況も確認しました。発達障害と診断をされる方は、子供も大人も増加傾向ということですので、しっかりと支援を行っていただきたいと思います。
 最後に、福祉局と保健医療局の連携について伺います。
 福祉保健局が再編され、福祉局と保健医療局の二局となってから約一年が経過しました。中でも精神医療施策については、障害者施策を担う福祉局が所管となっています。
 両局が連携して施策に取り組んでいることは承知していますが、一方で、今般の精神保健福祉法改正による虐待通報の義務化への対応など、これまで以上に両局の緊密な連携が重要となっています。
 それでは、両局の連携について、どのように取り組んでいるのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 精神保健福祉行政は、障害者福祉と医療の双方の観点が必要なことから、組織再編後も、福祉局と保健医療局とが連携して対応しています。
 精神科病院への指導監督では、人員配置等の観点については医療法、患者処遇等の観点については精神保健福祉法に基づき、両局が合同して事前の予告なしの立入検査を行うなど、迅速に対応しています。
 また、精神身体合併症救急医療においては、精神障害者が身体疾患に罹患した際に一般救急医療機関で受け入れ、身体治療が終了した後、精神科医療機関に転院させるなど、保健医療局と緊密に連携しており、引き続き体制の強化に取り組んでまいります。

○伊藤委員 福祉保健局分割の際には、縦割りの弊害を危惧する声もありましたので、今後とも両局がしっかり連携し、医療や介護、福祉施策を充実させることを期待し、質問を終わります。

○高倉委員 私で、今日最後の質疑になると思います。もう少しですので、よろしくお願いしたいと思います。
 今日お聞きをするのは、二つの点であります。
 まず第一点に、子育て支援に関することについて質問をしたいと思います。
 私たち都議会公明党は、これまで切れ目のない子育て支援策の拡充に取り組んでまいりました。その中でも、以前は少し立ち遅れていたという時期ありましたけれども、妊娠、出産、子育ての中でも、特に産後ケアの取組といったものが、この切れ目のない支援の中でもちょっと遅れていたという時期があったというふうに思います。
 私たち都議会公明党は、こうした課題に全力で取り組んでまいりまして、東京都において、ゆりかご・とうきょう事業を積極的に推進をしてきたわけであります。その事業は、現在、とうきょうママパパ応援事業というふうに発展をしているわけであります。
 そこでまず、とうきょうママパパ応援事業のこれまでの経緯についてお伺いしたいと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援を充実するため、平成二十七年度から、妊婦への全数面接と育児パッケージの配布等を行う区市町村を支援するゆりかご・とうきょう事業を開始いたしました。
 令和二年度からは、とうきょうママパパ応援事業として、出産後の母子等に対する産後ケアや、乳幼児を育てる家庭への家事育児サポーターの派遣など、産後の支援を大幅に拡充したところでございます。
 なお、今年度は、都内全自治体が本事業を活用しております。

○高倉委員 このとうきょうママパパ応援事業の中に様々なメニューがあるわけでありますけれども、その中でも、先ほど私が申し上げた産後ケアの事業については、区市町村が地域の実情に応じまして、ショートステイ、デイサービス、アウトリーチといった三類型で実施をしているわけであります。
 この三つの類型ですけど、私は三点セットというような形で前から質問の時にいわせてもらっていますけれども、それぞれがきちっと組み合わさった形で、非常にきめ細かな産後ケアの取組ができると私は思っております。
 そこで、区市町村における、昨年度と比較をした、今年度のそれぞれの三つの各類型の実施状況についてお伺いしたいと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、とうきょうママパパ応援事業におきまして、産後ケア事業を実施する区市町村を支援しております。
 昨年度と比較した令和六年度の類型ごとの実施自治体数は、まず、ショートステイ型が四十七から五十二園、デイサービス型が四十五から五十一、そして、アウトリーチ型が三十七から四十一へと、それぞれ増加をしております。

○高倉委員 今ご答弁いただきましたように、着実に充実してきているといいますか、取り組む自治体が増えてきているということであると思います。
 私ども都議会公明党は、今年の第二回定例会の代表質問におきまして、安心して産後ケアの支援を受けられるように、広域自治体である東京都が区市町村の取組を積極的に支援するように求めたところであります。その際の都からの答弁では、区市町村や医療機関等に対して調査を実施していくと、こういったお答えがあったわけであります。
 そこで、区市町村における産後ケア事業の取組を進めていくための都としての対応についてお伺いしたいと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は令和二年度から、産後ケア事業の区市町村負担分につきまして、運営費の全額と施設等整備費の半額を支援しております。
 産後ケア事業をさらに進めるためには、実施主体である区市町村の意向や、委託先となる医療機関等の実態を把握することが重要でございます。このため、都は、区市町村や都内全ての産科医療機関等に対して、産後ケア事業の実施状況や課題等を調査しております。
 今年度、年度内に調査結果を取りまとめるとともに、区市町村とも共有し、産後ケア推進に必要な対応を検討してまいります。

○高倉委員 この産後ケアの事業を進めるに当たっては、非常に大事なのは担い手なんですね。なかなかその担い手っていいますか、人、受皿になるというような、そういうものが地域にないと、仮にやりたい思いがあったとしても、なかなか実施ができないというようなところがあって、これは、やはり地域によっても、そうした差があるんではないかなというふうに思っておりますので、しっかり取り組んでいただければと思っています。
 このとうきょうママパパ応援事業では、乳幼児を育てる家庭に家事育児サポーターを派遣する取組を実施しているわけであります。先ほど申し上げた、この担い手となるサポーターでありますけれども、例えば、産後ドゥーラといったような方々が活躍しているというふうに思っております。こうしたサポーターの人材育成が大変重要であります。
 今申し上げた産後ドゥーラというのは、一般社団法人ドゥーラ協会が認定をしている、産前産後のお母さんと、そして暮らしを支える、いわば専門家であります。
 こうした担い手の人材育成といったことについて、このとうきょうママパパ応援事業において、どういう取組をされているのか、その事業内容についてお伺いしたいと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、産後ドゥーラやベビーシッター等の家事育児サポーターが乳幼児期の子供を育てる家庭等に寄り添った支援を行えるよう、産婦の妊娠、出産による心身の変化や多胎児家庭が抱く不安感や孤立感への理解を深める研修等を実施する区市町村を支援しております。

○高倉委員 ちょっと重なっている質問になってしまいますけれども、区市町村における今年度の家事育児サポーターの人材育成の実施状況とその内容についてご答弁いただきたいと思います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 家事育児サポーターにつきまして、今年度は十八自治体が人材育成を実施しております。
 各区市町村では、授乳等の育児や産前産後に抱えるストレスの理解、そして、新生児の発達やこれに伴う事故防止の知識などについての研修を実施するほか、妊娠、出産、子育てに関する外部研修の受講を支援するなど、地域の実情に応じて様々な方法により人材を育成しております。

○高倉委員 今答弁いただきました中に、外部研修の受講を支援するというお話があったわけであります。先ほど私、産後ドゥーラのお話をしましたけれども、非常にしっかりとしたカリキュラムがあって、それをがっちりと受講した上で認定をされるということでありまして、とてもすばらしい専門家の方々なんですけれども、しっかりしたカリキュラムがあるがゆえに、受講料は比較的高いわけであります。
 そうした中で、今答弁がありましたように、外部研修の受講を支援するという、こうしたこともこの事業の中で行われているということでありまして、非常に、これからこうした産後ドゥーラをはじめとして、担い手を目指していくという方々にとっては、この取組が大変感謝をされているというふうに思います。
 ぜひ、来年度以降も同じような支援をしっかりと継続をしていただいて、がっちりとこの担い手を育成する中で、各区市町村で産後ケアが進むようにお願いしたいというふうに思います。
 もう一つのテーマでありますけれども、障害者の住まいについてであります。今日も、いろんな方から質問が出ていたと思います。
 毎年毎年、障害者の関係の団体の方々が集まりまして、東京大集会というような会合が開かれていて、私ども都議会議員もそこに招かれて、超党派で、そこでシンポジウムのような形でかなり長い時間やるわけでありますけれども、私、昨年と今年と、その前のコロナの時期にはビデオメッセージなんかも送らせていただいたりはしましたけれども、やはり去年と今年と、障害者の特に住まいについてというのが大きなテーマでありました。やはり、本当に大事なことなんだというふうに思います。
 特に、障害者の方々が、ご自身が自分の意思で選択をしていく重要性、このことが強調されておりました。本当に大事なことだと思うんです。やむを得ずこういってくださいって、今は、現状はそういう傾向が強いと思うんですけれども、何とか障害者の方々が、自分の意思でもって自分のことを決めていくということは、とても大事なんだと思うんです。
 そのためには、やはり選択肢がしっかりなければ、自分の意思で決めようにも決められないということがあります。今日も様々な質問も出ていたと思いますけれども、非常に大事なところですので、しっかり取り組んでいっていただきたいと思います。
 今年の三月に、今年度、令和六年度から令和八年度を計画期間とする新たな障害者・障害児施策推進計画が策定をされました。新しい計画では、引き続き、障害の種別にかかわらず、またどんなに障害が重くても、障害者本人が希望する地域で安心して暮らせる社会の実現といったことを基本理念に掲げているわけであります。
 本計画では、障害者の地域生活を支えるグループホーム、そして通所施設等の整備目標を掲げるとともに、重度の障害者の利用者増を目指しまして、重度障害者の利用者数の目標を新たに設定をしているわけであります。
 まず、これまで、前回の計画の達成状況について、特にグループホームの整備状況についてお伺いしたいと思います。

○加藤障害者施策推進部長 障害者が希望する地域で安心して暮らしていくためには、地域居住の場でございますグループホームの整備を進めることが必要でございます。
 そのため、都は、令和三年度から五年度までの障害者・障害児施策推進計画の三か年プランにおきまして、グループホームの定員を三年間で二千五百人増やす目標を掲げまして、三年間で三千十四人増加させ、令和五年度末の定員は一万四千八百九十人となっております。

○高倉委員 地域における居住の場としてのグループホームが確実に増加をしているといった答弁をいただいたわけであります。ぜひ、取組を、しっかりと引き続き進めていただきたいと思いますけれども、やはり新たな課題も出てきているように思います。
 最近、私も障害者のいらっしゃるご家庭の、例えば親御さんからもいろんなお話を聞くわけでありますけれども、そうした中には、強度行動障害を有する方でありますとか、あるいは、高齢化に伴う障害の重度化といったようなこと、そういうお話を、よく相談を受けるわけであります。
 こうした特別な支援を必要とする重度の障害の方、障害者を受け入れるグループホームが、なかなかやはり見つからないといったような、非常に深い悩みをお聞きするわけであります。
 都のこの計画におきましても、重度障害者の利用者数を目標として掲げているわけでありますけれども、この目標達成に向けた具体的な取組につきまして、答弁をいただきたいと思います。

○加藤障害者施策推進部長 都は、令和六年度から八年度の障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、グループホームでの重度障害者利用者数を千人増やす目標を新たに設定をいたしました。
 そのため、今年度より、重度障害者に対応するグループホームを整備する場合には、設置者負担を軽減する特別助成を実施するほか、補助基準額を一・五倍に設定するなど、整備を促進しております。
 併せて、身体上または行動特性上特別な支援を必要とする重度の障害者を受け入れるために、手厚い職員配置や職員間での支援スキルの共有を行うグループホームを支援しております。

○高倉委員 今の目標の設定のお話とか、それから具体的な取組のお話がありましたけれども、とても大事なところですので、ぜひ、本当に本腰を入れて、しっかりと取り組んでいただきたいと思うんですよ。やはり、目標は目標として、実際はできませんでしたとかっていうことじゃなくて、しっかり目標を掲げた以上、断じてこれやり切るんだということで取り組んでいただきたいんですね。本当にしっかりした決意で取り組まないと、なかなかずっと課題だった問題ですので、これ、ぜひしっかりよろしくお願いしたいというふうに思います。
 なお、通所施設のことについても、本来、ここでもお聞きをしたかったところでありますけれども、今日、何人もの方からその質問は出ておりますので、これはちょっと割愛をさせていただきたいというふうに思います。
 地域移行のことなんですね、今日もちょっと地域移行のお話もあったとは思います。障害が重くても、様々なサービスを利用しながら住み慣れた地域で暮らしていくということも、とても大事であるというふうに思います。
 施設に入所している方々の地域移行の促進に向けた取組について、これ、ご答弁いただきたいと思います。

○加藤障害者施策推進部長 都は、障害者支援施設十か所に地域移行促進コーディネーターを配置いたしまして、障害者本人や家族の理解を促進いたしますとともに、円滑に施設から地域生活に移行できるよう、相談支援事業所などの関係機関と調整を行っております。
 また、受入先となる地域の社会資源の開拓やマッチングを行う新規開拓・受入促進員をグループホームなどを運営する法人に配置いたしまして、地域移行を希望する障害者を支援しております。

○高倉委員 障害者の親元からの自立、あるいは親亡き後の障害者が地域での生活を継続していくためには、環境の変化や緊急時に対応する地域の支援体制といったものが不可欠であるというふうに思います。
 今年の四月から、緊急時の対応や施設等からの地域移行の推進を担う地域生活支援拠点等を障害者総合支援法に位置づけるとともに、区市町村における整備が努力義務化をされたわけであります。
 区市町村における、この非常に重要な地域生活支援拠点の整備状況についてお伺いしたいと思います。

○加藤障害者施策推進部長 障害者が地域での生活を継続していくためには、相談や緊急時の受入れ、一人暮らし体験などの機能を備え、障害者の生活を地域全体で支えていく地域生活支援拠点の整備が必要でございます。
 そのため、都では、障害者・障害児施策推進計画におきまして、地域生活支援拠点を令和八年度末までに各区市町村に少なくとも一つ以上整備することを目標としておりまして、令和五年度末までに三十三区市において整備をされております。
 また、令和六年度中には新たに七区市で整備される見込みでございます。

○高倉委員 今ご答弁で令和五年度末までに三十三区市、それから、六年度中に新たに七区市という話がありました。そして、令和八年度末までに各区市町村に少なくとも一つ以上整備をすると、これも大事な目標であります。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 この地域生活支援拠点は、今答弁で着実に増加をしているというお話でありましたけれども、引き続き、都において、区市町村の取組を後押ししていただきたいというふうに思います。
 区市町村における整備を促進するとともに、地域生活支援拠点が十分に活用をされるように支援していくべきと考えますけれども、ご答弁をいただきまして、質問を終わりたいと思います。

○加藤障害者施策推進部長 区市町村では、地域生活支援拠点等の整備に当たり、緊急時の受入れ対応を行う短期入所施設の体制確保が課題となっております。そのため、都では、拠点の短期入所に看護師などの支援員を配置する区市町村を支援しております。
 今年度からは、新たに支援拠点において、連携体制構築の中心的役割を担うコーディネーターを配置する区市町村を支援し、障害者の地域生活を支える関係機関の連携強化を図ってまいります。

○関野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○関野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時十三分散会