厚生委員会速記録第九号

令和六年九月十三日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長磯山  亮君
副委員長斉藤やすひろ君
理事関口健太郎君
理事浜中のりかた君
理事内山 真吾君
北口つよし君
伊藤 大輔君
原 のり子君
山加 朱美君
鈴木  烈君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君
さんのへあや君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長山口  真君
次長理事兼務浅野 直樹君
理事小室 明子君
総務部長関口 尚志君
企画部長DX推進担当部長兼務森田 能城君
生活福祉部長新内 康丈君
子供・子育て支援部長西尾 寿一君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
障害者施策推進部長加藤 みほ君
政策推進担当部長調整担当部長兼務柳橋 祥人君
子供・子育て施策推進担当部長瀬川 裕之君
高齢者施策推進担当部長梶野 京子君
障害者医療調整担当部長新田 裕人君
保健医療局局長雲田 孝司君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務吉原 宏幸君
保健政策部長小竹 桃子君
医療政策部長新倉 吉和君
都立病院支援部長鈴木 和典君
健康安全部長中川 一典君
感染症対策部長内藤 典子君
政策推進担当部長宮澤 一穂君

本日の会議に付した事件
理事の辞任及び互選
保健医療局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 保健医療局所管分
・プール等取締条例の一部を改正する条例
・胞衣及び産汚物取締条例の一部を改正する条例
・東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
・東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例
・東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その一)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その二)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その三)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その四)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その五)について
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起(その六)について
・東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解(その一)について
報告事項(説明)
・地方独立行政法人東京都立病院機構の令和五年度業務実績評価結果の報告について
陳情の審査
(1)六第一五号の一 有機フッ素化合物(PFAS)による汚染についての健康調査と原因究明に関する陳情
(2)六第一六号 ペットを受動喫煙から守る法律の制定を求める意見書の提出に関する陳情
福祉局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為 福祉局所管分
・東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例の一部を改正する条例
・東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例による廃止前の東京都心身障害者扶養年金条例の一部を改正する条例
・東京都心身障害者扶養共済制度条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
・地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの令和五年度業務実績評価結果の報告について
陳情の審査
(1)六第一九号 都内全ての児童福祉施設に対し監視カメラの設置を義務化する条例の制定に関する陳情
(2)六第二〇号 東京都出産・子育て応援事業に関する陳情
(3)六第二五号 とうきょうママパパ応援事業の継続に関する陳情
(4)六第二六号 精神障害者保健福祉手帳に旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄を設けることに関する陳情
(5)六第三四号 城北労働・福祉センターの事業における運用の改善に関する陳情

○あかねがくぼ委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る九月十一日付をもって、上田令子議員が本委員会から経済・港湾委員会に所属変更になった旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
 次に、委員の選任について申し上げます。
 議長から、去る九月十一日付をもって、新たに本委員会委員に、さんのへあや議員を選任した旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の、さんのへあや議員をご紹介いたします。

○さんのへ委員 ただいまご紹介にあずかりました、さんのへあやと申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

○あかねがくぼ委員長 紹介は終わりました。

○あかねがくぼ委員長 次に、原のり子理事から、理事を辞任したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。よって、申出のとおり、原のり子理事の辞任は許可されました。

○あかねがくぼ委員長 次に、ただいまの原のり子理事の辞任に伴い、理事一名が欠員となりましたので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○関口委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名をしていただきたいと思います。

○あかねがくぼ委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。よって、理事には浜中のりかた委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。よって、理事には浜中のりかた委員が当選されました。

○あかねがくぼ委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、保健医療局及び福祉局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、報告事項の聴取及び陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 谷田次長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願いします。
 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○雲田保健医療局長 令和六年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております保健医療局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回審議をお願いいたします議案は、令和六年度九月補正予算案一件、条例案五件、事件案七件の合計十三件でございます。
 初めに、補正予算案についてでございます。
 長引く物価高騰の影響から都民、事業者を守るため、物価高騰への対策を講じるとともに、喫緊の課題に対応するために必要な経費を補正するものでございます。
 次に、条例案の概要でございます。
 地方自治法の改正に伴い、罰則に係る規定を整備するものなどでございます。
 最後に、事件案の概要でございます。
 東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する紛争について和解するもののほか、東京都PCR等検査無料化事業に係る債権の回収を図るため、訴えを提起するものでございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○船尾総務部長 それでは、令和六年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
 初めに、令和六年度九月補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和六年度九月補正予算概要をご覧ください。
 おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 今回の補正は、一般会計歳出予算の補正でございます。
 右側の(2)、歳出予算の補正予算額欄をご覧ください。保健医療費で百二十一億五千九百十一万六千円の増額補正でございます。これにより、補正後の歳出合計は五千四十九億一千二百十一万六千円となります。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、物価高騰対策でございます。
 物価高騰対策に要する経費として、医療機関等物価高騰緊急対策事業について、医療政策費で八十八億六千二百七十五万四千円の歳出を計上してございます。
 三ページをご覧ください。同じく物価高騰対策に要する経費として、薬局物価高騰緊急対策事業について、健康安全費で十億六千七百三十六万二千円の歳出を計上してございます。
 四ページをお開き願います。喫緊の課題への対応でございます。
 喫緊の課題への対応に要する経費として、新型コロナウイルスワクチン定期接種化に係る特別補助事業について、感染症対策費で二十二億二千九百万円の歳出を計上してございます。
 令和六年度九月補正予算案については以上でございます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和六年第三回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。整理番号1、プール等取締条例の一部を改正する条例から、二ページの整理番号5、東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例までの全五条例につきましては、刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律の施行による地方自治法の改正に伴い、規定を整備するものでございます。
 これらの条例は、いずれも罰則に係る規定中、懲役を拘禁刑に改めるほか、所要の改正を行うものでございまして、施行日は、令和七年六月一日を予定しております。
 次に、事件案についてご説明申し上げます。
 三ページをお開き願います。整理番号1、東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解(その一)についてでございます。
 本件は、東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する紛争について、令和三年二月、都は、原子力損害賠償紛争解決センターに対して和解のあっせんを申し立てておりましたが、基本了解に達したため、和解するものでございます。
 当事者でございますが、申立人は東京都、被申立人は東京電力ホールディングス株式会社でございます。
 和解金額でございますが、被申立人は申立人に対し、一億八千三百三十万円の支払い義務があることを認めるものでありまして、その内訳として、(1)から(6)まで損害項目ごとに記載をしてございます。
 四ページをお開き願います。整理番号2から九ページの整理番号7までの六件の事件案でございますが、いずれも不正の手段または交付決定の内容に係る違反により、補助金の交付を受けていたことが判明いたしましたことから、東京都PCR等検査無料化事業に係る債権の回収を図るため、訴えを提起するものでございます。
 整理番号2は、FRONTLINE株式会社を被告とするもので、訴訟の目的の価額は六千五十八万五千七百八十円でございます。
 五ページをご覧ください。整理番号3は、MSCルナクリニック渋谷院こと福永和成氏を被告とするもので、訴訟の目的の価額は五億二千八百六十八万二千百三十二円でございます。
 六ページをお開き願います。整理番号4は、向日葵商事株式会社を被告とするもので、訴訟の目的の価額は四千四百三十六万七千六百六十六円でございます。
 七ページをご覧ください。整理番号5は、プレミアム禅クリニックこと寺西康行氏を被告とするもので、訴訟の目的の価額は五千七百五十六万五百円でございます。
 八ページをお開き願います。整理番号6は、医療法人木原会を被告とするもので、訴訟の目的の価額は二億九千五百八十一万七千百四十円でございます。
 九ページをご覧ください。整理番号7は、スキンシアクリニックこと石山実穂氏を被告とするもので、訴訟の目的の価額は三十億三千三百九十万三千六百円でございます。
 条例案及び事件案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、令和六年第三回東京都議会定例会条例案及び事件案をご覧いただきたいと存じます。
 以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○里吉委員 一点だけ資料要求させていただきます。
 補正予算に関わって各区市町村における新型コロナウイルスワクチン定期接種の自己負担予定額、分かれば全区市町村分、お願いします。
 以上です。

○あかねがくぼ委員長 ただいま里吉委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○鈴木都立病院支援部長 地方独立行政法人東京都立病院機構の令和五年度の業務実績評価につきましてご報告申し上げます。
 お手元の資料、厚生委員会報告事項、表紙からおめくりいただき、三ページをお開きください。地方独立行政法人制度の概要でございます。
 1、地方独立行政法人の定義でございますが、地方独立行政法人法に基づき、地方公共団体の対象事業のうち、民間の主体に委ねては確実な実施が確保できないおそれがあるものを効率的、効果的に行わせるため、地方公共団体が設置する法人でございます。
 2、地方独立行政法人制度の仕組みと議会との関係でございます。資料右側の括弧にありますように、議決事項、条例事項及び報告事項の三つに分類して列挙しております。
 今回は、このうち、〔3〕、目標による管理及び評価の三つ目の項目、知事が法人の業務実績を評価について、議会に対しご報告するものでございます。
 一ページにお戻りください。1、評価制度の概要でございます。知事は、法人の業務実績について、地方独立行政法人法及び東京都条例に基づき、東京都地方独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で評価を行うこととなっています。評価委員会は外部有識者で構成され、当法人につきましては、この評価委員会に置かれた四つの分科会のうち、都立病院分科会に意見を聴いております。
 次に、2、評価方針と手順でございます。法人が作成した中期計画の事業の実施状況を確認すること、法人の業務運営の改善、向上に資することなどを評価の基本方針とし、法人から提出された業務実績等報告書を基に、法人に対するヒアリング等を実施するとともに、評価委員会から意見を聴取しております。
 3、評価結果の概要でございます。評価は、項目別評価と全体評価について実施しております。
 まず、項目別評価については、行政的医療や高度、専門的医療等の安定的かつ継続的な提供、災害や公衆衛生上の緊急事態への率先した対応などの分野における令和五年度計画の計二十一項目ついて、事業の進捗状況、成果を五段階で評価しております。
 全体評価は、項目別評価を基礎とし、法人の中期計画の進行状況全体について評価したものでございます。
 まず、枠内に記載しております項目別評価についてでございます。
 二十一項目のうち、評定S、年度計画を大幅に上回って実施しているとしたものは二項目で、災害医療及び災害や公衆衛生上の緊急事態への率先した対応でございます。
 評定A、年度計画を上回って実施しているとしたものは、がん医療、救急医療、周産期医療など九項目でございます。
 評定B、年度計画をおおむね順調に実施しているとしたものは、精神疾患医療、島しょ医療、障害者医療など九項目でございます。
 評定C、年度計画を十分に実施できていないとしたものは一項目で、財務内容の改善に関する目標を達成するため取るべき措置でございます。
 評定D、業務の大幅な見直し、改善が必要であるとした項目はございませんでした。
 次に、二ページをお開きください。全体評価でございます。
 1、総評として、全体として年度計画をおおむね順調に実施しており、中期計画の達成に向け着実な業務の進捗状況にあると評価しております。
 具体的には、機構全体で断らない救急の徹底等に取り組み、小児患者を含めた救急患者を積極的に受け入れる等、行政的医療を着実に提供したほか、今後の総合診療医の確保、育成に向けた様々な取組を積極的に実施したこと。また、平時における災害対応力強化の取組を能登半島地震への対応に生かし、DMAT等の速やかな派遣や看護師の継続的な派遣による切れ目のない支援等、被災地支援に最大限貢献するとともに、各種感染症へ幅広く対応しつつ、新型コロナの五類移行後も様々な取組を継続するなど、災害や公衆衛生上の緊急事態に率先して対応したことなどを高く評価しています。
 2、都民に提供するサービス及びその他の業務の質の向上に関する事項として、がん医療について、先進的な医療機器を活用した手術や放射線治療の一層の推進や、薬物療法の体制整備により、積極的な患者受入れを行ったほか、がんゲノム医療や患者のライフステージに応じた相談支援の実施等、質の高いがん医療を提供したことなどを評価しています。
 また、3、法人の業務運営及び財務状況に関する事項として、新卒看護師離職率が九%以内という目標を達成したほか、業務改善、効率化や、多くの職員の参画を得ながら検討を重ねた都立病院人材育成ビジョンの策定、人材確保、働き方改革への対応等、幅広い取組を実施したことなどを評価しています。
 4、中期目標・中期計画の達成に向けた課題、法人への要望として、収入の確保と適切な支出の徹底に努めながら、行政的医療及び専門的医療等の提供や地域医療の充実への貢献といった役割を将来にわたり安定的かつ継続的に果たしていくことを期待するとしています。
 以上が評価結果の主な内容でございますが、詳細は、お手元の資料、令和五年度地方独立行政法人東京都立病院機構業務実績評価書をご覧いただきたいと存じます。
 説明は以上でございます。

○あかねがくぼ委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○里吉委員 五点、お願いします。
 まず、都立病院機構の病院における医師及び看護要員の退職者数。
 また、都立病院機構の病院における医師及び看護要員の採用者数。
 三点目が、同じく医師及び看護要員の現員の推移。
 そして、同じく病院における医師及び看護要員の退職者数の推移。それぞれお願いします。
 それから、最後に、都立、公社病院及び都立病院機構の病院における−−今、採用者数ですよね、ごめんなさい、以上です。最後が、医師及び看護要員の退職者数の推移です。
 以上です。よろしくお願いします。

○あかねがくぼ委員長 ただいま里吉委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情の審査を行います。
 まず、陳情六第一五号の一を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中川健康安全部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、陳情六第一五号の一、有機フッ素化合物(PFAS)による汚染についての健康調査と原因究明に関する陳情は、自由三多摩の会小平支部代表柴垣茂之さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、有機フッ素化合物、PFASにより汚染された地域の住民に対する健康調査を実施することというものでございます。
 次に、現在の状況をご説明いたします。
 環境省が設置したPFASに対する総合戦略検討専門家会議では、PFOS、PFOAは、どの程度の量が体に入ると影響が出るのかについて、いまだ確定的な知見はないとしております。
 都はこれまでも、国に対し、PFOS等に関する最新の科学的知見等を踏まえ、健康影響及び環境に関する評価を明確にし、国民に分かりやすく示すこと、健康影響等が懸念される場合は、対策等も併せて検討し、自治体への情報提供と必要な支援を行うことを要望しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○伊藤委員 それでは、質問させていただきます。
 今も部長からご説明をいただきましたが、このPFASの件につきましては、報道などの影響もございまして、私の地元でも不安に思っていらっしゃる方がいらっしゃいます。
 その都度、市町村が水質検査をする場合の費用補助でありますとか、あるいは国に対しての基準値の早期明示を求めているといったことなど、都が取り組んでいるということについても説明をしているところなんですが、正しい情報がなかなか伝わりにくいということを感じています。そこで、今回いただきましたこの陳情にございます健康調査、健康とPFASの関連について幾つか確認をさせていただきます。
 まず、六月に食品安全委員会の評価が出たということでありますが、現時点において、このPFASの人への健康影響についてはどのようなことが分かっているのか、いま一度教えてください。

○中川健康安全部長 環境省が設置したPFASに対する総合戦略検討専門家会議では、PFOS、PFOAは、どの程度の量が体に入ると影響が出るのかについて、いまだ確定的な知見はないとしております。
 令和六年六月に取りまとめられた国の食品安全委員会の評価書においても、疫学研究からは、健康影響について、PFOS、PFOAとの関連は確かなものとはいえないとしております。
 国は、PFAS総合研究、子どもの健康と環境に関する全国調査、化学物質の人への暴露量モニタリング調査により、科学的、技術的知見のさらなる充実を図ることとしております。

○伊藤委員 重ねてお伺いをします。陳情にですね、健康調査をしてほしいということが、記載がございます。その一つの手法として、PFASの血液検査について伺います。
 現在、市民団体でありますとか、ほかの自治体でも検査をするところがあるというふうに聞いておりますが、血液検査をすると、健康でありますとか、人体に対するどのような影響が分かるのか伺います。

○中川健康安全部長 国の専門家会議によりますと、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかについては明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査のみによる健康影響の把握は困難としております。
 都はこれまでも、国に対し、PFOS等に関する最新の科学的知見等を踏まえ、健康影響及び環境に関する評価を明確にし、国民に分かりやすく示すこと、健康影響等が懸念される場合は、対策等も併せて検討し、自治体への情報提供と必要な支援を行うことを要望しております。
 国は、PFOS等に関する科学的知見等の充実を図ることとしており、今後とも国の動向を注視してまいります。

○伊藤委員 もう一点お伺いをしたいと思います。住民の皆さん、都民、市民の皆さんがご心配されているのは、当然健康のことということと同時に、それと、自分の地域が使っている水がどの程度汚染されているのかというようなことにも、やっぱりご懸念というのは及んでいると思います。
 そこで、地域の汚染状況を血中濃度で把握する、血液検査をして、その結果によって、自分の地域の水がどの程度PFASに汚染されているのかというようなことを把握するというお話がありますが、血液検査をすることによって、PFASの各地域における汚染状況という、これは状況が分かるということになるのでしょうか。伺います。

○中川健康安全部長 国の食品安全委員会が発表した健康影響評価書によりますと、人におけるPFOS及びPFOAの体内動態については不確実な点が多いため、測定された血中濃度の結果から、PFASの摂取量や暴露量、時期、期間等を推測することは、現時点での知見では困難であるとされております。
 国の専門家会議は、地域における存在状況に関する調査としては、水質等の環境モニタリングの強化で対応することが妥当であるとしております。

○伊藤委員 PFASにつきましては、都は、地下水あるいは井戸水の検査でありますとか、水道水の管理などを行うとともに、この暫定目標値を超えた井戸を飲用に使用しないよう助言するなどの対応を行ってこられています。
 また、こうした取組をホームページで掲載をされたり、独自に専用電話による相談窓口を開設したりするなど、様々な取組を都全体で行っていると認識をしております。
 しかし、先述のとおり、水を使用するご商売をされている方々を含めて、不安を抱えている都民、市民がいらっしゃるということは、これは事実であります。
 ですので、ぜひ今後とも、国への働きかけとともに、さらなる情報発信、また情報提供を進めていただいて、都民の不安解消に努めていただきたい、このことを要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

○原委員 それでは、私も質問したいと思います。
 この陳情は、PFAS汚染地域の市民に対する健康調査の実施を求めています。ちょっと振り返ってみたいと思うんですけれども、二〇一六年に沖縄県の米軍嘉手納基地周辺の地下水や河川水でPFAS高濃度汚染が分かって、二〇一九年には、血液検査によって基地周辺の住民の血中濃度が高いということが分かりました。
 また、二〇二〇年には、国は水質管理の暫定目標値を五十ナノグラムとして、そして二〇二一年度には、三十一都道府県の河川水や地下水の調査が行われ、一千百三十三地点のうち八十一地点が暫定指針値を超えるということになったわけです。調査地点の定め方はそれぞれですけれども、東京で暫定指針値を超えたのは二十四地点だったわけです。
 二〇二二年には、大阪府の調査で、摂津市内の地下水から暫定指針値の四百二十倍という高濃度で検出をされるということも起きました。
 東京都は、昨年度は二百六十地点の地下水調査を一年前倒しで行って、今年度は一年で二百六十か所行うということになっていると思います。
 PFASは永遠の化学物質とも呼ばれ、工場や基地などから放出されたものが長く環境中に残る。それが体内に取り込まれた場合、体外、体の外に排出をされるのに大変長い期間を要するということは、よく知られているところだと思います。
 そのために、血液や肝臓、腎臓などに蓄積してしまうといわれており、発がん性や子供の発達など、様々な影響が懸念をされているわけです。こういう状況ですから、都民の皆さんが心配をするというのは、むしろ当然だと思います。
 二〇二四年五月には、国連人権理事会のビジネスと人権作業部会の報告書が出されましたが、影響を受ける地域の住民の血中濃度の大規模検査を行わない日本政府の取組を不十分だと評価をしています。そして、東京西部の住民が四つの有害なPFAS、化学物質にさらされていることを示す学術研究があるにもかかわらずであると述べて、国家レベルの措置、また汚染者の責任について言及をされました。
 ところが、これに対して政府は、東京都の意見を踏まえてこのようにいっています。東京都は都民の不安を解消するために国内でも先進的な取組を行っているにもかかわらず、東京都西部の事例をあたかも代表的かつ深刻な事例であるかのように紹介することは都民の不安をいたずらにあおるものだと述べて、東京都西部に関する部分の削除を強く要請をしたわけです。
 共産党都議団としては、この要請については撤回をすべきだと東京都に申入れを行いました。しかし、このとき対応した環境局は、これは適切だと答えています。
 よく改めて報告書を読みますと、報告書では国の姿勢について指摘をしているんですね、基本的に。東京都の取組については評価をする記載もあるんです。東京都西部、つまり多摩地域のことを指しているわけですけれど、ここを殊さら代表しているかのように取り上げているというふうに意見で出していますけれども、しかし、ここで汚染箇所が多く出たことは事実でもあって、また、この地域での学術研究がなされていることも事実なんですよね。
 にもかかわらず、その部分の削除を要求するというのは、都民の不安を否定するのか、あるいは学術研究を否定するのかと取られかねない対応だと思い、本当に残念であると同時に、憤りも私は感じました。改めて、今からでも削除要求は撤回すべきだと思います。
 要請内容については、相談室について書くなどもしていますから、当然、この削除要求を出すに当たっては、保健医療局にも相談があった上で書かれていると思うんです。ですので、私は都民の不安に応えていく、保健医療局として都民に寄り添って対応するということを改めて強く求めたいと思います。
 その上で、まず伺いたいのですが、PFASによる健康影響についての都民の不安、心配について、保健医療局はどのように捉えていますか。そして、これまでどのような対策を講じてきましたか。

○中川健康安全部長 PFASに関しましては、都民の安心に資するよう、専用電話による相談窓口を令和五年五月に設置するとともに、関係局と協力して都民向けのQ&Aや都の取組をまとめた資料を作成し、ホームページに掲載しております。

○原委員 都民の安心に資するようということで、それで相談窓口を設置したということです。有機フッ素化合物に関する東京都の取組というものが出されていますけれども、これについてはこの委員会でも議論もされてきました。里吉委員も去年の十一月に触れています。
 この、はじめにというところを改めて読みますと、これまでに国や都などが行った地下水の調査において、都内でも比較的濃度の高い地点があることが判明しており、健康等への影響も含めて不安を感じる都民もいらっしゃることから、都は、その不安に寄り添い、透明性を確保しながら適切な情報発信を強化してまいりますと書かれています。つまり、都民の安心に資するようと今、部長が答えられた、そのことは不安に寄り添うという姿勢だということだと思うんです。ここにそういうふうに表明をされていると思います。
 それで、相談窓口はこれまでどのぐらいの相談件数があるのか、また、相談の主な内容はどういうものか伺います。

○中川健康安全部長 電話相談窓口では、令和六年八月までに千四百五十七件の相談を受け付けております。
 主な相談内容は、水道水のPFOS、PFOAの値に関するものなどでございます。

○原委員 水道水の数値を聞く、値を聞くということは、つまり健康への影響を心配しているからですよね。ただただ不安でいるというのではなくて、客観的に今どういう状況なのかということを知りたいと。本当は、不安でいるだけではなくて、不安を解消していくためにも血中濃度がどの程度なのか、健康影響はどうか、自分自身の状態を把握して医師などに必要なアドバイスを受けられるということが大切だと私は思います。
 しかし、どこへ行けばいいのか、PFASの血液検査や、また、相談に応じてくれるところはどこなのかということは分かりません。
 PFAS血液検査を実施している医療機関はどのぐらいあると保健医療局では把握をされていますか。

○中川健康安全部長 血液検査を独自に実施している都内の医療機関があることは承知しております。

○原委員 都内に医療機関があることは承知しているということでした。
 そうしますと、ちょっと一つ教えていただきたいんですけれど、もし相談窓口で問合せがあって、医療機関を紹介してもらえないか、どういうところにあるんですかと聞かれた場合には、どのように対応されるものなんでしょうか。医療機関を紹介することはできないんでしょうか。教えてください。

○中川健康安全部長 PFASに関しましては、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかについては明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査のみによる健康影響の把握は困難としております。
 したがいまして、都が血液検査を独自に実施している医療機関を調査し、相談窓口で紹介する予定はございません。

○原委員 紹介は、する予定はないっていうことなんですけれども、私は、そうであるのであれば、やはり都として実施をしていくことを含めて考える必要があると思うんです。都民の不安に寄り添い、応えていくために何をするかということが今本当に検討しなければならないのではないでしょうか。血液検査、健康調査は、健康影響の状況を把握していく上でも重要だと、改めて述べておきたいと思います。
 東京都は、PFASについて、地下水中のPFOAとPFOS、それぞれの濃度についてもデータを公表することとしました。
 これはとても重要だと思っています。このことによって、どういう由来の汚染なのかを見るための手がかりになります。これに健康影響の調査も行っていくということが重要です。血液検査と健康調査を実施していくということが必要だと思うんです。
 やっぱり汚染の状況をちゃんと把握していくためには、一つだけでいいわけではなくて、そういう総合的な調査、検査、これらが行われていくことが必要だというふうに思いますが、いかがですか。

○中川健康安全部長 国の専門家会議では、PFOS、PFOAは、どの程度の量が体に入ると影響が出るのかについて、いまだ確定的な知見はないとしております。
 都は、国に対しまして、健康影響及び環境に関する評価について、科学的根拠に基づいた知見を示すよう要望しております。
   〔「何か質問と答えがかみ合っていないんじゃないですかね」と呼ぶ者あり〕

○原委員 そうですね、かみ合っていないですし、これまでの様々な答弁とあんまり変わらないんですけれども、まあ私は、国に要望しているっていうことは必要だと思っているんです。それはもう大切なことです。
 ただ、私、今日どうしてもいいたいなと思っているのは、とりわけ心配だと改めて感じているのが子供の影響なんです。
 一般に化学物質が人に与える影響は、成長期の子供の方が大人よりも大きいと考えられています。濃度の高い水道の水源井戸が取水停止になるまでの間に生まれて、成長期だった子供たちの影響を調査する必要があるのではないかと考えます。専門家は、暴露から時間がたつほど、成長希釈によって血中濃度が低下をして汚染実態が過小評価されるということを指摘しています。
 子供への健康影響調査の必要性について見解を伺います。

○中川健康安全部長 都はこれまでも、国に対し、PFOS等に関する最新の科学的知見等を踏まえ、健康影響及び環境に関する評価を明確にし、国民に分かりやすく示すこと、健康影響等が懸念される場合は、対策等も併せて検討し、自治体への情報提供と必要な支援を行うことを要望しております。

○原委員 要望しておりますということなんですけれども、私、今質問でいった部分、一般に化学物質が人に与える影響は、成長期の子供の方が大人よりも大きいと考えられているというこの文章は、東京都の化学物質の子どもガイドラインからの引用なんです。
 東京都が出しているこのガイドラインでは、これ室内空気編と書かれていますけれども、子供と大人の比較も示していて、こういうふうに書いてあります。次世代を担う子供から化学物質によるリスクを回避することは、今取り組まなければならない大きな課題ですと。これ、東京都が出しているガイドラインなんです。
 この東京都の姿勢からすれば、PFASについても、子供をその影響から守るための対策は特に重要だということになると思いますが、見解を伺います。

○中川健康安全部長 一般的には、化学物質が人に与える影響は成長期の子供の方が大人よりも大きいと考えられていることは承知しております。
 なお、PFOS、PFOAについては、国の専門家会議などでは、どの程度の量が体に入ると影響が出るのかについて、いまだ確定的な知見はないとしております。

○原委員 私が本当に心配しているのは、国の動き待ちで結局子供に大きな影響を及ぼしてしまったということは、絶対に避けなければいけないと思っているんです。ですから、本当に自治体でできる調査を、私は考えてやっていくべきだと思います。
 実際に、民間の医療機関では、三歳以上の子供を対象に検査を始めているところもあります。先ほど、相談窓口にもし相談に来たら、ほかの医療機関を紹介することはできないってお話ですから、そうであれば、心配をしている、とりわけ子供への影響を心配している声などに応えて、東京都ができる調査をしていくっていうことは本当に考えるべきだと、改めて強く指摘をしておきたいと思います。
 それで、予算特別委員会で福手ゆう子議員が、暴露量の把握のために血中濃度を指標として使うことは、国内や海外で広く行われていると指摘をしました。今把握をしないと、後で把握をしましょうということはできないんですよね。不可能なんですよね。そこがすごく肝腎なことだと私は思っています。
 PFASの摂取を減らす対策の効果を見ていく上でも、こうした血中濃度をちゃんと見ていく、このことは役立てることができるというふうに、福手議員もこのとき指摘をしました。
 同時に、そのときの議論で、そもそも日本の疫学調査が少ないという問題にも触れました。そのことに対して、保健医療局長の答弁では、国内における疫学研究などを推進すべきとされている、ということを含めた答弁をされているんです。
 そうであれば、都として、水質調査で高濃度だった地域の調査や希望者の血液検査など支援をしていくということを考えるべきだと、本当にそのことを思っているところです。
 見解があれば伺いたいと思います。

○中川健康安全部長 現在、国は、PFASに関しまして、PFAS総合研究、子どもの健康と環境に関する全国調査、化学物質の人への暴露量モニタリング調査により、科学的、技術的知見のさらなる充実を図ることとしております。今後とも国の動向を注視してまいります。

○原委員 国の動向を注視しつつ、自治体として何をやるかっていうことを、本当に今回、提起をしているわけです。ぜひ検討していただきたいと思いますが、この間の新しい動きとして、自治体もかなり動いてきているんですよね。
 岡山県吉備中央町が血液検査を実施する。また、千葉県鎌ケ谷市も血液検査や浄水器購入費用の補助を進めるなど、自治体の動きが出始めています。吉備中央町の検査では、十八歳未満の子供の調査も行って、大人とは区別して、発達に関する項目も入れるという予定になっていると聞いています。
 こうした自治体が、なぜ検査等を自治体として実施しようと判断をしたのか、決断をしたのか、そのことを把握されていますか。

○中川健康安全部長 お話の自治体の血液検査の動きについては承知しております。
 国の専門家会議では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかについては明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査のみによる健康影響の把握は困難としております。

○原委員 自治体の動きは承知しているということですけれども、私が聞いているのは、動きを承知しているっていうだけではなくて、なぜこういう自治体が自分たちの自治体でやろうと、そういう決断をしたのか、そのことを把握していただきたいと思うんです。今後の東京都の取組をどうするかっていうときに、これはとても私は大事だというふうに思いますので、指摘をしたいと思うんです。
 吉備中央町では、PFASの健康影響を評価するとしているほか、こういうふうにお話をされていました。不安を持っている暴露された方々について、長期的に健康状態を見ていくという目的もあると。それから、血中濃度が下がっているかを確認していくという意味合いもあると話しているんです。住民の方に、今だけじゃなくて長く寄り添って、その経過を見ていきますという姿勢を自治体として示したっていう点が重要なんじゃないかと思うんです。ここまで来るには、吉備中央町でも住民の皆さんの大変な粘り強い取組があって、それが町を動かして、町長が住民に寄り添いますと表明をして動き出しているんです。
 東京都においても、目の前の住民の方々が不安を抱えているときに、自治体としてできることを行う、手遅れにならないように取り組むことを強く求めて、質問を終わります。

○鈴木委員 私からも、PFAS問題の本陳情について、三点ほど質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどから答弁を伺っておりまして、中川部長はじめ皆さんが、国に再三にわたって要望していただいているということがよく分かりました。ありがとうございます。
 ただ、私、去年の十月に初当選をさせていただきまして、厚生委員会に配属をしていただいて、十一月の事務事業のときからずっと同じPFASのことを取り上げてきたんですけど、いつも、国に要望している、国の動きを注視しているというご答弁ばかりなんですね。恐らく、中川部長、マッチョな答弁ぶりから察するに、国に厳しく迫っていただいているんだと思うんですけど、ちょっともう国に期待していていいのかなと、ご答弁を伺っていても思うんです。
 私も、本来PFASの問題というのは、国でしっかりと調査を行って、具体的な対策を立案して実行すべきだと思います。ですから、東京都が対応できていないことを非難するつもりはございませんし、皆さんのいい分も分かるなと、反面分かるなという思いがあって、一年間、議論をしてきたつもりでございます。
 ただ一年たっても、結局、いつまでも国からは何の情報も出てこない。いまだに基準値についての見解も出てこない。こういう中で、注視していますっていうだけで本当に東京都民の健康や財産−−井戸水って財産だと思うんですね。これが本当に守られるのかということを考えたときに、やはり東京都として一歩踏み出すべきなんじゃないかというふうに思っているところでございます。そんな観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、先ほど別の委員の方も触れられましたけれども、岡山県の吉備中央町のPFASに関する血液検査の実施についてお伺いをしたいと思います。
 皆さんご存じだと思うんですけれども、今年の六月、岡山県の吉備中央町が、希望者を対象にPFASの血中濃度などを調べる血液検査を今年中に行うことを発表いたしました。今回の陳情も、私、お話を伺ったことはございませんけれども、恐らくこういったことが影響しているのかなというふうに思っております。
 今年の六月に放映をされましたNHKの「クローズアップ現代」では、吉備中央町では、昨年十月に水道水から国の暫定目標値の二十八倍のPFASが検出されたことをきっかけに、住民有志が血液検査を受けたところ、一番高い人では、アメリカの学術機関が健康リスクが高まるとする指針値の十八倍、検査を受けた住民の平均値でも九倍の濃度が観測されたそうでございます。この問題の専門家である京都大学の原田准教授によると、今後、健康リスクが懸念される数字だということでございます。
 また、番組中では、血液検査で家族全員が基準値の五倍以上の濃度が検出された阿部さん一家を紹介されていらっしゃいます。一部の研究ではPFASと流産の関係が指摘をされているわけですけれども、この阿部家では、奥様の阿部順子さんが三度の流産を経験しているということを番組中で告白されていらっしゃいます。
 ほかにも、これちょっと驚くべき数字なんですけれども、この吉備中央町で有志で血液検査を受けた二十七名のうち、脂質異常症が十人、肝機能に問題がある方が四人、腎機能に問題がある方が三人、流産が三人。二十七人ですから、これ学問的、統計的に因果関係を証明できる数字じゃないんでしょうけれども、PFASの悪影響が想像される状況がNHKの番組で報告がされているわけでございます。
 こういった状況を見ると、本当に東京都、このままでいいのかなと思うところでございます。東京都と吉備中央町を比べると、もちろん水道水については、東京都は率先して、いち早く行動を起こしていただいていて、こんなひどい状況はないわけでございますけれども、私の地元の、先ほど伊藤委員もご質問されていらっしゃいましたけれども、我々地元の立川市では、井戸水から吉備中央町の水道水と同程度のPFASの汚染も確認をされているわけでございます。
 こういった状況を見ると、やはり東京都、今のまま、ずうっと国の研究を注視していますっていうのでいいのかなというふうに思うわけでございますけれども、まず、東京都はこういった吉備中央町の状況をどう認識されていらっしゃるんでしょうか。吉備中央町が血液検査を実施することを決めたことをどう評価されていらっしゃるんですか。教えていただければと思います。

○中川健康安全部長 お話の自治体の血液検査の動きについては承知しております。
 国の専門家会議によりますと、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかについては明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査のみによる健康影響の把握は困難としております。

○鈴木委員 それ、さっき原委員の質問のときに伺ったんですけど、ちょっと不誠実だなと思うんです。別に吉備中央町と我々は違うんだと答弁していただいてもいいんですけど、ちょっとこちらの趣旨を酌んでいただきたい。
 部長が再三主張されているように、その因果関係が証明されていないことは、私たちは分かっています。ただ、例えば先ほど原委員も指摘されていらっしゃいましたけれども、多分、部長もご覧になっていらっしゃると思うんですけど、吉備中央町のホームページを見ると、今回の健康調査の意義についてこんなふうに言明されていらっしゃるんです。
 PFASの一部は、体内に蓄積され、健康被害を引き起こす可能性があるといわれていますと。しかし、部長がおっしゃるとおり、高濃度のPFASを摂取したときの人体への健康影響は詳しく分かっていません。吉備中央町も同じ認識なんですよ。分かっているんです、それは。ただ、吉備中央町がここで続けているのは、そこで、吉備中央町におけるPFASによる健康影響を評価することで、PFAS暴露が人体への健康にどのような影響を与えているのかを解明し、住民の方々の健康支援や不安軽減につなげるだけでなく、公衆衛生施策の提案に役立てることを目的として健康影響調査を実施していきますというふうに、彼らは説明をされていらっしゃるわけです。
 本当に、小さい町がこうやって頑張って、国の対応を待っていられないということで行動を起こされていらっしゃるわけで、こういう行動に対して東京都はどう思うのかというのが、私の最初の質問の意図です。この点ちょっとお含みおきいただいて、もう一度ご答弁お願いしたいと思うんですが。

○中川健康安全部長 お話の自治体の血液検査の動きについては承知しておりますが、都として見解を述べる立場にはないと考えております。

○鈴木委員 納得できませんけど、さっきよりはかみ合いましたので、次に行きたいと思います。続いて、次の質問に移ります。
 国の動きを注視しているということで、恐らく、今年の六月に出された食品安全委員会のPFAS評価書について、皆さんもいろいろとご検討いただいたんだろうというふうに拝察をするところでございます。この食品安全委員会のPFASの評価書が今後国の対策の一つの基になっていくんだろうなというふうに私も考えているところなんですけれども。
 都として、まず率直に伺いたいのは、この評価書をどのように受け止め、分析をされていらっしゃるんでしょうか。また、これが今後どう生かされていくのか、国の動き等について入手されている情報等があれば教えていただきたいと思います。

○中川健康安全部長 国の食品安全委員会の健康影響評価書は、専門家により国内外の学術文献などを用い、科学的知見に基づき令和六年六月に取りまとめられたと承知しております。
 食品安全委員会は、この評価書を踏まえた対応を検討するよう、評価の結果を関係省庁に送付したと聞いております。

○鈴木委員 東京都として、その内容をどのように皆さんは読まれましたかね。それが伺いたいんですけど。

○中川健康安全部長 本評価書につきましては、専門家により国内外の学術文献などを用い、科学的知見に基づき取りまとめられたものと、このように承知しております。

○鈴木委員 取りまとめられた結果の報告書は、つまり結論は何なのかと、どう受け止めたのかってことをお伺いしているんですけど。概要じゃなく中身をどう受け止めたのかということをさっきから聞いているんですけど、何か、どうもここは、いっちゃいけないって局長さんにいわれているんですかね。
 答えられないようなので、ちょっと質問のいい方を変えてみたいんですけど、これ、私も読んだんです。私は専門家じゃないので詳しいことはよく分かりませんけれども、非常に読んでがっかりしたんです。日本の国が調査したっていうから、どんな調査をしたのかなと思って読んでみると、結局、国内外の動物調査と疫学調査の結果をいろいろと調べて、動物調査に対しては、おおよそ因果関係が述べられている文献が多いと。
 一方で、疫学調査については、一三三ページ以降にまとめの部分でありましたので、また皆さんもぜひ、終わった後に目を通していただきたいと思うんですけれども、研究報告はあるんだけれども、症例数が少なく、関連の有無を判断するための証拠は不十分であると。これが、肝臓がんであったり、腎臓がんだったり、精巣がんであったり、乳がんだったり、いろんなことでもう全部同じなんです。症例が少なく、関連の有無を判断するための証拠は不十分であるがずうっと続いていくんです。
 結局、何にも分かりませんでしたっていうのがこの評価書で、私はこれを読んで非常に残念だなと、一体何を待っていたのかなと。国がもう少し踏み込んで、何らかの、安全なんだでもいいし、やっぱり危ないでもいいんだけど、一年間ずっと待ってきたわけで、私は一年ですけど、皆さんもっと前から待っていたわけで、一年待って出てきたら、これ、結局何も分かりませんという話なわけですよ。
 一方で、これも先日の委員会でも取り上げさせていただきましたけど、去年の十二月ですね、WHOの附属機関からは、PFASはやっぱり危ないですよと。発がん性のリスクを最高度に評価し直して、喫煙やアスベストと同じ程度だと。欧米もこの報告に従って、どんどんどんどん規制を厳しくしているわけなんですけれども、さっきから部長がおっしゃるのは、因果関係が分からないから、我々は動かずに国の動きを注視していきますと、繰り返しなわけなんです。これで本当にいいんですかと。都民の安全と健康を守られるんですかっていうことを私は疑問に思うんですけれども、なかなかお答えいただけないみたいなので、最後の質問に行かせていただきたいというふうに思います。
 いろいろと伺ってきたんですけど、最終的に東京都の見解として、希望者に対する血液検査、健康調査を併せて行うことをどう考えるのか、ご答弁をいただきたいなというふうに思います。
 東京都のPFASに対する調査、水についてはよくやってくださっていると思うんです。水質調査も、環境局頑張って毎年毎年対象を増やしてくださって調査をやってくれているところも増えてきている。それを補助していただいている。これはありがたいなというふうに思っています。
 ただ、先ほどから取り上げているこの食品安全委員会の評価書にも書いてあるんですけど、PFASが人体に暴露する経路って水だけじゃないわけですよ。当たり前なんですけど、肌を通して、職場で伝わってしまったり、食べ物を通じて伝わったり、いろんな経路があるわけで、水だけ調べても、実際PFASがどういうふうに広がって人に暴露しているか分からないわけです。
 だから、これもう何度も同じ話していますけど、別に血液調査をやって健康調査をやったからって、それがどういう病気にすぐになりますよ、因果関係が分からないから、そこでその人の健康をどうできるっていうことができないというのはもう分かっているんですけど、血液調査をやることによって、水質調査では分からない暴露の状況が、東京都全体でどういう深刻な問題になっているのかっていうのが分かるから、やはり血液調査をやった方がいいと思うんです。
 さらに、原委員も指摘をされていましたけど、調査をやることで、定期的にやっていくことで、例えば今年やる、三年後やる、五年後やるという血液検査をやっていって、もし血中濃度が下がっていれば、東京都が今取っている対策はおおむね間違っていないからいいんだなって判断できますし、血中濃度が変わらないとか、上がっているってなりますと、やっぱり東京都がやっている対策に大きな穴があるんじゃないか、もう一度根本から検証し直すべきじゃないかっていうことが分かるわけです。
 そういう意味で、やはり最低限その現実を把握するためにも、血液検査、健康調査が必要だと思うんですけれども、ぜひお考えを聞かせていただきたいと思います。

○中川健康安全部長 PFASにつきましては、繰り返しになりますが、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるか明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査のみによる健康影響の把握は困難としております。
 国は、PFOS等に関する科学的知見の充実を図ることとしておりまして、今後とも国の動向を注視してまいります。

○鈴木委員 ちょっともう、部長は多分、その答弁しか許可を与えられていないと思うので局長に伺いたいんですけど、この答弁ずっと聞かれてどう思われますか。東京都の都民の健康を守られる局長として、本当にいいんですかね、今のままで。
 ぜひ、局長から答弁をいただきたいと思います。

○中川健康安全部長 繰り返しになりますが、都としての取組を引き続き進めるとともに、国に対しましても必要な要望を行い、今後とも国の動向を注視してまいります。

○鈴木委員 今日、初めて参加される、さんのへ委員もいらっしゃるので、ぜひお話ししたいんですけど、私、こういう委員会のやり方って議会としてどうなんだと思うんです。だって、もう準備した答弁しか読めないんだったら、リアルで委員会やる価値ってあるんですか。局長さん、せっかく来てくださっているので、私、局長さんに意見を伺いたいと思って、そんな難しい細かい話聞いているわけじゃないと思うんですよ。この堂々巡りの議論を変えられるの、局長さんだけだと思うので伺っているんですけど、答えてくれない。
 やっぱり、こういう委員会のやり方って、ちょっと問題があると思うんですけれども、どうなんでしょうか、委員長。局長に答えていただくことできませんかね。

○あかねがくぼ委員長 局長は、ご答弁いただけそうですか。(中川健康安全部長発言を求む)では最後に、中川部長お願いします。

○中川健康安全部長 繰り返しになりますが、今後とも国の動向を注視してまいります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第一五号の一は不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情六第一六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中川健康安全部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、陳情六第一六号、ペットを受動喫煙から守る法律の制定を求める意見書の提出に関する陳情は、栃木県の中山一行さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都議会において、ペットを受動喫煙から守る法律を制定することを求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 次に、現在の状況をご説明いたします。
 動物の愛護及び管理に関する法律では、動物を取り扱う場合には、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養または保管を行うための環境の確保を行わなければならない旨が規定されております。
 また、環境省が平成二十二年に策定した住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドラインには、たばこの副流煙は人だけでなく一緒に暮らす犬や猫の健康にも悪影響を与える可能性があり、受動喫煙の害に気をつけるよう記載されております。
 都においては、動物の健康管理やそのための環境確保等について、適正飼養の講習会を実施するとともに、パンフレットやホームページを通じて、受動喫煙の害や消臭剤、殺虫剤などの化学薬品の使用に注意するよう、都民に普及啓発を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。陳情一六号、ペットを受動喫煙から守る法律の制定に関する陳情について、趣旨採択を求める立場から意見を申し上げます。
 今ご説明がありましたように、今回の陳情は、ペットを受動喫煙から守る法律を制定するよう国に意見書を提出してほしいというものです。国の取組は、二〇一〇年に環境省が住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドラインを発表して、ここで、たばこの副流煙は人だけでなく一緒に暮らす犬や猫の健康にも悪影響を与える可能性があります、受動喫煙の害に気をつけてくださいと注意喚起をしている程度であり、もっと実効性を持たせるためには、法律でペットを受動喫煙から守るための努力義務を制定するべきだというものです。
 国の健康増進法、東京都受動喫煙防止条例、東京都子どもを受動喫煙から守る条例など、受動喫煙防止の取組は以前に比べれば大分進んできました。しかし、ペットの受動喫煙防止という観点からの取組は、飼い主さんへの注意喚起くらいです。
 犬や猫などのペットは家族の一員、パートナーとして暮らしている方が多いと思いますが、そうであるならば、たばこの有害性を認識できず受動喫煙の被害を回避できないペットをたばこの害から守るために、何らかの形でさらなる対策を講じるべきだと考えます。
 都としても、ペットを受動喫煙から守るさらなる対策を検討していただくよう要望し、趣旨採択を求め、意見といたします。

○さんのへ委員 陳情第一六号、ペットを受動喫煙から守る法律の制定を求める意見書の提出に関する陳情について質疑します。
 法制定にはなじまずとも、引き続き啓発が必要であるという立場から質疑をさせていただきます。
 現在の状況に関して、東京都では、ペットの受動喫煙の害についてパンフレットやホームページを通じて都民に普及啓発をしているとのことですが、適正飼養に関しては、これからペットと暮らす方のみならず、既にペットを飼育されている方、また、たばこを吸う方、吸わない方を問わず、人への受動喫煙に関する啓発同様に広く啓発する必要があると考えます。
 パンフレットの配架場所ですとか、ホームページの掲載先など、より具体的な都としての取組について伺います。

○中川健康安全部長 都は、犬の飼い方、猫の飼い方のパンフレットやホームページにおいて、たばこの副流煙は犬や猫の健康にも悪影響を与える可能性があることを普及啓発しておりまして、パンフレットにつきましては、区市町村や保健所のほか、適正飼養に関する講習会やイベントなどで配布しております。

○さんのへ委員 ありがとうございます。パンフレットの配布先が区市町村や保健所ということで、既にペットを飼っている方が、ワクチンの接種ですとかそういった際に知る機会があるということでした。
 先ほども申し上げたんですけれども、広く啓発することが必要と考えますので、例えば、毎年九月二十日から二十六日まで動物愛護週間となっておりますが、東京都でも、どうぶつ愛護フェスティバルなどのイベントを開催されると伺っています。こうしたイベントですとか機会を見計らって、ペットに対する受動喫煙防止に引き続き努めていただきますよう要望して、質疑を終わらせていただきます。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第一六号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で保健医療局関係を終わります。

○あかねがくぼ委員長 これより福祉局関係に入ります。
 初めに、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○山口福祉局長 令和六年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、令和六年度九月補正予算案一件、条例案四件の合計五件でございます。
 初めに、補正予算案についてでございますが、長引く物価高騰の影響から都民、事業者を守るための対策に必要な経費などを補正するものでございます。
 次に、条例案の概要をご説明申し上げます。
 救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する基準の改正に伴い、救護施設における個別支援計画の作成に係る規定を設けるもののほか、刑法等の一部を改正する法律の施行に伴い、規定を整備するものなどでございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○関口総務部長 令和六年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
 初めに、令和六年度九月補正予算案でございます。
 お手元の資料、令和六年度九月補正予算概要によりご説明申し上げます。
 二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 今回の補正は、一般会計歳出予算の補正でございます。
 右側の(2)、歳出予算の補正予算額欄をご覧ください。福祉費で三十三億三千二百四万一千円の増額補正でございます。これにより、補正後の歳出合計は一兆一千七十九億八千四百四万一千円となります。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、物価高騰対策でございます。
 物価高騰対策に要する経費といたしまして、保護施設物価高騰緊急対策事業について、生活福祉費で二千八百二十八万六千円の歳出を計上してございます。
 三ページをご覧ください。物価高騰対策に要する経費といたしまして、保育所等物価高騰緊急対策事業について、子供・子育て支援費で十四億二千二十一万円の歳出を計上してございます。
 四ページをご覧ください。物価高騰対策に要する経費といたしまして、特別養護老人ホーム等物価高騰緊急対策事業や介護サービス事業所燃料費高騰緊急対策事業につきまして、高齢者施策推進費で十億二千百七十二万八千円の歳出を計上してございます。
 五ページをご覧ください。物価高騰対策に要する経費といたしまして、障害者支援施設等物価高騰緊急対策事業や障害福祉サービス事業所物価高騰緊急対策事業につきまして、障害者施策推進費で八億六千百八十一万七千円の歳出を計上してございます。
 六ページをご覧ください。Ⅲ、債務負担行為でございます。
 萩山実務学校改築工事に係る令和七年度から令和八年度分の債務負担行為といたしまして、七億八百十八万九千円を計上してございます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和六年第三回東京都議会定例会条例案の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。整理番号1、東京都保護施設等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 国の救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する基準の改正に伴いまして、救護施設における個別支援計画の作成に係る規定を設けるほか、規定を整備するものでございます。
 この条例の施行日は、公布の日を予定しております。
 整理番号2、東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 国の刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律の施行によりまして地方自治法の改正がございました。それに伴いまして、罰則に係る規定を整備するものでございます。
 この条例の施行日は、令和七年六月一日を予定しております。
 整理番号3、東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例による廃止前の東京都心身障害者扶養年金条例の一部を改正する条例及び整理番号4、東京都心身障害者扶養共済制度条例の一部を改正する条例の二条例につきましては、国の刑法等の一部を改正する法律の施行に伴いまして、規定を整備するものでございます。
 これらの条例の施行日は、令和七年六月一日を予定しております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、令和六年第三回東京都議会定例会条例案をご覧いただきたいと存じます。
 以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○原委員 一点お願いします。
 萩山実務学校改築工事の概要をお願いいたします。

○あかねがくぼ委員長 ただいま原委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○森田企画部長DX推進担当部長兼務 東京都債権管理条例第十三条に基づき、福祉局が令和五年度に実施いたしました私債権の放棄につきましてご報告させていただきます。
 お手元の資料、厚生委員会報告事項の表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。福祉局におきまして令和五年度に放棄いたしました私債権は合計十二件で、金額は八十八万四千四百二円でございます。
 表の番号1から12までの東京都母子及び父子福祉資金貸付金でございますが、この制度は、母子、父子家庭に対して、経済的自立、扶養されている子供の福祉の増進を図ることなどを目的に資金を貸与しているもので、今回放棄した案件は、昭和四十九年度、平成七年度、平成十三年度及び平成二十一年度に貸与したものでございます。
 これら十二件のいずれも、債務者や連帯保証人等に対しまして催告を行うなど回収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、死亡や行方不明等により、実質的に回収不能となったものでございます。
 また、これらの債権は消滅時効に係る時効期間が既に経過しておりますとともに、債務者等が死亡や行方不明等の状態で時効の援用の確認を得ることができないことから、令和六年三月に債権を放棄したものでございます。
 以上が私債権の放棄についてのご報告でございます。よろしくお願いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの令和五年度業務実績評価につきましてご報告申し上げます。
 お手元の資料、厚生委員会報告事項、三ページ、令和五年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価の概要をご覧ください。
 まず、1、評価制度の概要でございます。
 知事は、地方独立行政法人の業務実績について、地方独立行政法人法及び東京都地方独立行政法人評価委員会条例に基づき、二十四名の外部有識者で構成される東京都地方独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で評価を行うこととなっております。健康長寿医療センターにつきましては、この評価委員会に置かれた四つの分科会の一つである高齢者医療・研究分科会に意見を聴いております。
 次に、2、評価方針と手順でございます。
 法人が作成した中期計画の事業の実施状況を確認すること、法人の業務運営の改善、向上に資することなどを評価の基本方針とし、法人から提出された業務実績等報告書を基に、法人に対するヒアリング等を実施するとともに、評価委員会から意見を聴取しております。
 3、評価結果の概要をご覧ください。
 評価は、項目別評価と全体評価を実施しております。
 まず、項目別評価については、高齢者の健康長寿を支える医療の提供、普及、高齢者の健康長寿と生活の質の向上を目指す研究などの分野における令和五年度計画の計二十一項目につきまして、事業の進捗状況、成果を五段階で評価しており、その結果は資料下段の枠内にお示ししております。
 全二十一項目のうち、評定S、年度計画を大幅に上回って実施しているとしたのは、認知症医療、高齢者に特有な疾患と老年症候群を克服するための研究、老年学研究におけるリーダーシップの発揮の三項目。評定A、年度計画を上回って実施しているとしたのは、血管病医療、高齢者がん医療、地域連携の推進など八項目。評定B、年度計画をおおむね順調に実施しているとしたのは十項目。評定C、年度計画を十分に実施できていない及び評定D、業務の大幅な見直し、改善が必要であるとした項目はございませんでした。
 四ページをお開きください。全体評価でございます。
 まず、1、総評でございますが、全体として年度計画を上回って実施しており、優れた業務の進捗状況にあると評価いたしました。
 具体的には、病院部門では、四つの重点医療であります血管病、高齢者がん、認知症及び高齢者糖尿病につきまして、低侵襲な治療など高齢者の特性に合わせた医療の提供に努め、特に認知症医療については、認知症抗体医薬レカネマブの投与に必要な体制を早期に整備するなど、認知症患者に対する適切な医療の提供や地域における認知症対応力の向上に貢献したことを高く評価しております。
 また、研究部門では、高齢者に特有な疾患に関する研究等を推進し、科学研究費助成事業をはじめとする外部研究資金の獲得金額が四年連続で十億円を超えるなど、研究成果の実用化や社会への還元を一層推進したこと。
 そして、経営部門では、健康長寿医療研修センターにおけます病院部門と研究部門とが連携した研修の実施や、フレイルサポート専門職の育成に継続的に取り組むなど、高齢者の医療と介護を支える地域の専門人材の育成を推進したことを高く評価しております。
 一方で、改善や充実を求める事項といたしまして、救急患者受入れ体制の強化と救急患者断り率の改善、患者獲得等による医業収入のより一層の確保とコスト管理の体制強化によるさらなる収支改善のほか、職員のライフ・ワーク・バランスの一層の推進や、DX等を活用したさらなる業務の改善、効率化への取組を求めております。
 次に、2、都民に提供するサービス及びその他の業務の質の向上に関する事項につきましては、血管病医療について、SCU、脳卒中ケアユニットを増床しまして、より多くの急性期脳卒中患者を受け入れるとともに、新たに作成した高齢者のための心不全管理手帳などを活用しまして、高齢者の多様な症例に対して適切な医療の提供に努めたことなどを評価しております。
 また、3、法人の業務運営及び財務状況に関する事項につきましては、医師の働き方改革を踏まえた勤務間インターバル制度の創設や、職員の勤務状況を可視化した新たな勤怠管理システムの導入により、ライフ・ワーク・バランスの推進に努めたほか、電子問診票の活用による患者情報の共有化により、診察室での対応時間を短縮するなど、患者のQOS向上を推進したことなどを評価しております。
 東京都健康長寿医療センターにおいては、今年度が法人の第四期中期目標期間の二年目となりまして、目標達成に向けて、第四期中期計画に基づき着実に成果を上げていくことが重要でございます。
 そのため、これらの評価を踏まえまして、4、中期目標・中期計画の達成に向けた課題、法人への要望として、法人が東京都における高齢者医療、研究の拠点として、その役割を着実に果たすとともに、目標達成に向け、法人一丸となって取り組むということを求めております。
 以上が令和五年度の業務実績評価に関する報告でございます。
 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○あかねがくぼ委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○原委員 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに関わる資料で、十点お願いいたします。
 一つ目は、職種別職員数の推移。
 それから、診療科別医師数。
 三点目は、経営指標の推移。
 四点目、その他医業収益の推移と内訳。
 五点目、運営費負担金及び運営費交付金の推移。
 六点目、個室使用料の推移。
 七点目、人材紹介会社への職種別支払い金額の推移。
 八点目、新卒者、経験者別看護師採用者数の推移。
 九点目、看護師の夜勤回数別勤務者数。
 十点目、職種別年次有給休暇平均取得日数。
 以上です。

○あかねがくぼ委員長 ただいま原委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情の審査を行います。
 まず、陳情六第一九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○西尾子供・子育て支援部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3、陳情六第一九号は、練馬区の小松凜太さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、都内全ての児童福祉施設に対して、屋内に監視カメラを設置することを義務化する条例を制定していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例第十条において、児童福祉施設の職員による児童虐待その他児童の心身に有害な影響を与える行為は禁止されております。また、児童福祉施設は、国のガイドライン等に基づき、虐待の防止に取り組むこととされています。
 児童福祉施設内におけるカメラの設置については、児童のプライバシーの保護に十分配慮する必要があるため、設置の要否や設置場所等は各施設において判断することとされており、都は、各施設が虐待防止等の取組の一環として設置する場合には、財政支援を行っています。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○さんのへ委員 陳情第一九号、都内全ての児童福祉施設に対し監視カメラの設置を義務化する条例の制定に関する陳情について伺います。
 先ほど、現在の状況についてご説明のあったとおり、東京都として児童福祉施設内における監視カメラの設置についての助成を行っており、各施設判断、各事業所の判断により、虐待防止等の取組の一環として屋内における監視カメラ設置の実施が行われているとのことです。
 また、今月より、東京都として、都内認証保育所、認可外保育施設における不適切保育が疑われる事例についての専用相談窓口が設置されたと伺っております。
 陳情者の願意としては、児童福祉施設に対してとありますが、理由の具体例には保育所並びに保育施設における不適切保育並びに虐待に関する事例が挙げられています。先ほど申し上げたとおり、保育所における不適切保育並びに虐待に関する未然防止、相談体制の整備が進められてきていると認識しております。
 一方で、児童養護施設等の入所施設においては、第三者の目が届きにくく、職員からの虐待、子供たちの間における性的、身体的虐待、心理的虐待などの発生が長年問題視され、こども家庭庁では、被措置児童等虐待に関する各都道府県等の対応状況を調査し、公表しています。令和三年度の報告では、施設等種別内訳では児童養護施設が五〇%を超え最も高く、監視カメラの設置だけでは虐待防止が難しい現状が指摘されております。
 そこで、児童養護施設における虐待防止並びに被措置児童の権利擁護の徹底を目的とした東京都の現状の取組について伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、児童養護施設等の入所児童向けに子供の権利ノートを作成しておりまして、担当の児童福祉司が児童の施設入所時等に配布し、子供が施設で暮らす中で自分の意見や希望をいえることを説明するほか、困ったときの主な相談窓口を紹介しております。
 施設に対しましては、子供が気軽に希望等を伝えるための意見箱や、弁護士などの外部委員が子供の意見を聞き、施設にその声を伝える第三者委員制度を有効に活用するよう働きかけをしております。
 さらに、施設の職員向けには、事故や被措置児童等虐待の防止に関する研修を実施するなど、児童養護施設における児童の権利擁護の推進に取り組んでおります。

○さんのへ委員 子供の権利ノートや第三者委員制度の活用についてご紹介いただきましたが、被虐待児童等、虐待の事実が認められた令和三年度百三十一件の事例について、被害を受けた児童の年齢なんですけれども、ゼロ歳から四歳が十八人で全体の八%、五歳から九歳が六十人で二六・七%と、合計すると全体の約三分の一を占めています。
 声を上げたくとも上げられない、こうした権利ノートを利用できない被害児童がいる現状を踏まえて、引き続き、東京都として監視カメラの設置をすることによる効果検証並びにそのほかの手法による虐待防止の取組の実施を併せて要望して、質疑を終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。よって、陳情六第一九号は不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情六第二〇号及び陳情六第二五号は、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 まず、整理番号4、陳情六第二〇号は、練馬区の小松凜太さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、東京都出産・子育て応援事業に、おむつなどの育児用品の無料定期配布を加えていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都は、都内在住の児童の養育者等に対し、希望する子育て支援サービスや、おむつ等の育児用品などを提供する東京都出産・子育て応援事業を実施しております。
 養育者等が本事業の申請を行うに当たっては、区市町村の保健師等の行う面接を受けることが要件とされており、区市町村は、この面接を通じて支援が必要な家庭の状況を把握できる仕組みとなっております。
 また、都は、とうきょうママパパ応援事業により、三歳未満の子供を育てる家庭への家事育児サポーターの派遣や、一歳または二歳前後の子供を育てる家庭の状況把握と育児用品などの提供を行う区市町村を支援しております。
 さらに、こども家庭センター体制強化事業において、児童福祉部門と母子保健部門が一体となり、妊娠期から継続的に家庭訪問を行い、ニーズに応じた支援を行う区市町村を支援するなど、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援体制を構築しております。
 次に、整理番号5、陳情六第二五号は、同じく練馬区の小松凜太さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、令和六年度に事業が終了する予定のとうきょうママパパ応援事業の必須事業及び任意事業について、令和七年度以降においても継続して実施していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都は、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援を充実するため、とうきょうママパパ応援事業により、保健師等による全ての妊婦への面接を要件として、出産後の母子等に対する産後ケア、三歳未満の子供を育てる家庭への家事育児サポーターの派遣などに取り組む区市町村を支援しております。
 都では、全ての事業について期限を定めることを原則としており、本事業は令和六年度が終期となっております。終期を迎える事業につきましては、事業評価を行い、事業の見直し、拡充、継続等を判断しており、本事業の来年度以降の取扱いについては、令和七年度予算編成過程において検討することとしております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 それでは、陳情第二〇号、東京都出産・子育て応援事業に関する陳情について伺います。
 出産・子育て応援事業は、先ほど説明があったとおり、子育て支援のサービスや育児用品などを提供している事業です。本陳情は、おむつなどの育児用品の無料定期配布を求めています。育児相談や見守りなどを強化し、虐待の予防ができるようになるのではないかと書かれています。
 今後、この出産・子育て応援事業をより充実させていくために、こうした利用者の声を聞いて検討をしてほしいと思いますが、都の見解を伺います。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまでも、利用者アンケート等による様々な意見や要望、申込み状況等を踏まえて選択可能な育児用品等を入れ替えるなど、対象家庭のニーズに合わせて事業の充実を図っております。

○原委員 アンケートで事業の充実を進めているということは大切だと思います。育児用品に限らず、様々な利用者の提案を検討していただきたいと要望します。
 その中の一つとして、現金給付についても強い要望が寄せられています。東京都出産・子育て応援事業では、出産の前後で合計十五万円の経済的支援が行われており、子育ての経済的な負担を軽減する大事な事業になっているわけですけれども、都が広域的に行う事業については、ポイントが付与され、専用のポイント交換サイトでのみ利用できる、また期限もあります。そうした中、使い切れなかったと話している人もいました。使い勝手からすれば、現金給付にしてもらいたいという要望も聞かれます。
 来年度に向けて、現金給付も含めて、利用者の声も聞きながら検討することを求めますが、いかがでしょうか。

○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 本事業では、出産や子育てに確実に役立ててもらうため、現金ではなく、専用ウェブサイトにおきまして千点以上の育児用品や子育て支援サービス等を用意してございます。

○原委員 カタログの育児用品を増やしてきたことなどは、大事だともちろん思っています。ただ、必ずしも、それに全ての人が当てはまるとは限らないと思うんです。千点以上ということですから物すごい種類なわけですけれども、それでも、例えば子供の特性によっては、粉ミルクとかおむつなども合わない場合というのは、これはないわけではないんです。そういう場合、現金給付であれば、誰もが平等に活用できると思います。
 また、先ほどご答弁で、出産や子育てに確実に役立ててもらうため、現金ではなくというふうにおっしゃっていましたけれども、その考え方は、私は見直しが必要ではないかと思っています。
 実際に現金給付も選択できるようにしている自治体もあります。また、東京都も、〇一八サポートは現金です。きちんと効果があるという認識で、多くの、外国なんかもそうですけれども、自治体などでも現金給付を行っているところはたくさんあるんです。
 出産・子育て応援事業についても、出産や子育てに確実に役立てられるように、各家庭が考えて使ってもらえればいいのではないかと思いますので、ぜひ、この現金給付も含めて、私は皆さんが本当に使い勝手よくできるように改善もしていく、よりよい事業として継続されるよう求めたいと思います。
 陳情二〇号、また並びに二五号については、趣旨採択すべきものと主張しまして、質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第二〇号及び陳情六第二五号は、いずれも不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情六第二六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新田障害者医療調整担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 七ページをご覧ください。整理番号6、陳情六第二六号の精神障害者保健福祉手帳に旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄を設けることに関する陳情は、小松凜太さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、精神障害者保健福祉手帳に旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄を設け、第一種または第二種の別を記載していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 令和六年四月十一日、東日本旅客鉄道株式会社等は、旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄に第一種または第二種の記載のある精神障害者保健福祉手帳の所持者を対象とした精神障害者割引制度を令和七年四月一日から導入することを発表しました。
 これを受け、国は、令和六年七月二日、障害者に対する旅客鉄道株式会社等の旅客運賃の割引に係る都道府県等への通知について、精神障害者に関する事項を追加する改正を行い、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者のうち、障害等級が一級に該当する者が第一種に、それ以外の者が第二種に該当するものとし、令和七年四月一日から適用することとしました。
 併せて国は、精神障害者保健福祉手帳制度実施要領を改正し、第一種または第二種の区分を示す旅客鉄道株式会社等旅客運賃減額欄を追加した手帳の様式例を都道府県等に通知しました。
 都は、国の通知等を踏まえ、手帳所持者等への周知も含め、対応に着手しています。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。陳情二六号、精神障害者保健福祉手帳に旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄を設けることに関する陳情について、陳情の採択を求める立場から意見を申し上げます。
 今年四月、JR六社と小田急電鉄など大手私鉄九社が、精神障害者を対象とした運賃の割引制度を導入すると発表しました。京王電鉄など七社は既に同様の割引を実施済みで、これで全国のJRと大手私鉄十六社が導入することになります。
 陳情は、精神障害者保健福祉手帳に運賃減額欄を設け、第一種または第二種の別を記載することと、内容の広報、周知を求めています。精神障害者を対象とした運賃割引制度の導入については、当事者、家族団体や関係団体が約三十年運動してきた成果です。
 一方で、鉄道各社での精神障害者割引の適用が片道百一キロ以上のため、通院など日常の交通に使えないという課題もありますので、ここは改善が必要です。
 今回の陳情については、既に都は、国の通知等を踏まえ、手帳所持者への周知も含めた対応に着手しているということですので、ぜひ抜かりなく進めていただくことを求め、意見といたします。
 以上です。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第二六号は不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情六第三四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新内生活福祉部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号7、陳情六第三四号は、台東区の山谷労働者福祉会館活動委員会代表平野良子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、公益財団法人東京都福祉保健財団城北労働・福祉センターに対し、次のことを指導していただきたいというものでございます。
 第一項として、発熱した労働者の診察を健康相談室において行うこと。
 第二項として、しごとカードの所持者及び申請者の診察を健康相談室において行うこと。
 第三項として、一般利用者カード発行の就労実績の基準を、現行の連続した二か月の間で月に十三日程度の日雇労働に従事していることから、センターの実施する各種事業を利用することにより、連続した二か月の間で月に十三日程度の日雇労働に従事することが期待できることに変更すること。
 第四項として、職業紹介限定高齢者利用者カードの発行を行うこと。
 第五項として、センターの実施する各種事業の利用を求める労働者に生活保護の申請を勧め、センターの利用を断る対応を改めることというものでございます。
 現在の状況につきましてご説明させていただきます。
 第一項につきまして、公益財団法人東京都福祉保健財団城北労働・福祉センターでは、山谷地域に居住する日雇労働者の職業の安定及び福祉の増進を図るため、職業紹介、住宅や生活保護等に関する生活総合相談、宿泊や給食等の応急援護、レクリエーション事業、広報活動、娯楽室及び敬老室の運営、健康相談室の運営等の事業を行っております。
 このうち、職業紹介、応急援護及び健康相談室の各事業におきましては、利用対象者ごとに一般利用者カード、高齢者用利用者カード、しごとカードの三種類のカードを発行しており、一般利用者カードまたは高齢者用利用者カードの所持者を対象に、健康相談室での応急診療を実施しております。
 コロナ禍におきましては、発熱がある場合に、感染症法上の指定医療機関への受診を案内しておりましたが、令和五年七月以降は、発熱があっても健康相談室で診療を行っております。
 第二項につきましては、しごとカードは、就労意欲のある者に対し民間求人等の紹介のみを行うことを目的としてセンターが発行しております。センターは、しごとカードの発行の相談を受けた際、心身の状況等により就労が困難と見込まれる場合には、必要な医療が受けられるよう、無料低額診療事業を行う医療機関等へつなげるとともに、生活保護の申請を勧める等、福祉事務所と連携しております。
 第三項につきまして、一般利用者カードは、山谷地域の日雇労働者がセンターの実施する各種事業を利用することにより経済的に自立した生活を送ることを目的に、就労実績等を確認した上でセンターが発行しております。
 第四項につきましては、センターでは、一般利用者カード所持者のうち、五十五歳以上で民間求人等による就労が困難となった方には、高齢者用利用者カードを発行し、カードの所持者に高齢者特別就労を紹介しております。
 第五項につきまして、センターでは、一人一人の状況に応じた丁寧な支援を行っており、就労自立が困難で生活に困窮している方に対しては、生活保護の申請を勧める等の対応を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 それでは、陳情三四号、城北労働・福祉センターの事業における運用の改善に関する陳情について質疑を行います。
 城北労働・福祉センターでは、山谷地域に居住する日雇労働者の職業の安定及び福祉の増進を図るために、職業紹介や様々な生活相談、宿泊や給食など応急援護、健康相談室の運営などを行っています。陳情は、都として、この城北労働・福祉センターの運用の改善を指導してほしいということで、今ご指摘がありました何点かの要望があったわけです。
 そこで伺ってまいりたいと思いますが、まず、センターでは、利用対象者ごとに一般利用者カード、高齢者用利用者カード、しごとカードという三種類のカードを発行しています。この陳情の二番目ですが、しごとカードの所持者及び申請者の診察を健康相談室で行うことを求めています。
 このしごとカードというのを調べてみましたら、これは最近、二〇二〇年、令和二年から発行されたもので、まだ四年目の新しいものなんですね。なぜこのカードがスタートしたのかということを伺いたいんですが、しごとカードを導入したときの議論がどのようなものだったのか、まず伺いたいと思います。

○新内生活福祉部長 城北労働・福祉センターでは、山谷地域に居住する日雇労働者の職業安定及び福祉の増進を図るため各種事業を実施しており、このうち、職業紹介、応急援護及び健康相談室の各事業におきましては、利用対象者ごとに三種類のカードを発行しております。
 令和二年六月から導入したしごとカードは、センター利用者の高齢化等に伴い、求職者に対して民間求人数が多い場合がある状況なども踏まえ、従来からありました一般利用者カード及び高齢者用利用者カードに比べ、山谷地域での簡易宿所、アパート等の居住要件や就労実績を緩和しまして、職業紹介を受けられるようにしたものでございます。

○里吉委員 今のご説明ですと、求職者数に対して民間求人数が、つまり、仕事を求めてくる人よりも仕事の量が多くなってきたので、もっと幅広く職業紹介をできるようにした、こういう答弁でした。
 しかし、それと同時に、仕事がなくて困っている方々がいたから、その方々に対応するために、条件も緩和して職業紹介ができるようにした、そういう側面もあると思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○新内生活福祉部長 山谷地域を取り巻く状況につきましては、近年では日雇労働者の高齢化、日雇労働市場の縮小、簡易宿所の減少や再開発の進展など変化をしております。
 経済的に困窮している方への就労支援は、センターで直接実施しているもののほかに、生活保護制度、生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援機関、ホームレスの方には自立支援センター事業など、様々実施してございます。
 センターにおきましては、状況の変化に応じまして、地元自治体や関係機関と連携し、適切に対応してまいります。

○里吉委員 これ、かみ合っていないんですよね、答弁が。いろいろと、山谷地域で暮らす方々には、ほかの支援もたくさんありますと。だけれども、あえてこの令和二年、二〇二〇年に、ここで持っている仕事を、今まで提供していた一般利用カードの方や高齢者カードの方以外にも提供しようと、新たに提供しようと決断したわけですよね。そこには何らかの、決断するに至った理由があるはずなんですね。
 私、先日、城北労働・福祉センターも視察させていただいて、直接、センター長さんからもお話を伺いました。二〇二〇年といえば、コロナ禍で仕事がなくなった方も多かったです。就労状況が悪化して、就労の機会を提供するということが、いろいろほかでも支援はあるけれども、このセンターでも、そういう提供するっていうことをしなければいけないということが背景にあったということも伺いました。
 城北労働・福祉センターの地下には娯楽室があるんですけれども、ここは定員百人で、ここはカード持っていなくても利用できると。誰でも利用できるという場所で、私も見させていただきましたけれども、テレビを見たり、囲碁、将棋ができたり、新聞や本を読んだり、簡単な料理できるところがあって、カップラーメンつくって食べたりと、いろんな方が利用されていたということを伺いました。これがコロナで閉まってしまった、この人たちの行くところも考える必要があった、こういう話も伺いました。
 様々な議論があったと思うんですけれども、就労状況が悪化して、就労の機会を提供しなければならない人が増えてきたということや、このセンターの地下にいらっしゃるような方々に働く場を提供しなければと、こんな議論もあって、しごとカードを導入したんじゃないかと思うんです。
 ここは本当に大きな決断で、コロナ禍で仕事がなくなった方々に、城北労働・福祉センターがこういう踏み込んだ対応をされたということはよかったなというふうに、聞いていて思ったわけです。答弁は、そういう答弁があまりなかったので残念なんですけれども。
 それで、質問続けていきますけれども、こういう状況の中で、この陳情の中にいろいろ書かれているんですけれども、カードの申込みに行っても、生活保護を勧められて申込みを受け付けてもらえなかったという話もいろいろ出されていました。
 ここで確認したいんですけれども、センターの実施する各種事業を利用することを求めてきた方に対して、仕事を紹介しないで生活保護を勧めるというのは、どのような場合なのか伺います。

○新内生活福祉部長 城北労働・福祉センターでは、一人一人の状況に応じた支援を行っておりまして、心身の状況等により医療が必要な場合など、就労自立が困難で生活に困窮している方に対しましては、生活保護の申請を勧める等の対応を行っております。

○里吉委員 医療が必要な場合に仕事の紹介ができないというのは仕方ないと思いますが、今の答弁でも、医療が必要な場合などということを述べていて、結局はっきりしないんです。健康上の問題のない方に対しては、仕事をしたいという意思をきちんと尊重して、カードを取得して日雇の仕事ができるようにしていただきたいということは、しっかりと申し上げておきたいと思います。
 そもそも、生活保護を勧めるからといって、その人にセンターを利用させてはならないということではないと思うんです。生活保護も利用しながらセンターで仕事もするっていう方もいらっしゃるわけですから、本人が、今は生活保護を利用したくないんだと、そういう思いでいらっしゃる方には、その思いをちゃんと尊重して、その方が健康上問題がなければセンターを利用できるようにしていただきたいと。
 そして、生活保護も勧めてもいいんですけれども、なかなかそれは利用したくないというご本人の意思ですから、それは無理強いはもちろんできないわけですから、ただ、仕事の提供はできるわけですから、ここは。ぜひ、それはきちんと対応していただきたいというふうに思います。
 それから、これも私、現地も見させていただいて強く思ったんですけれども、健康上問題があって仕事を紹介できない方に対して、センターには医師も、看護師も、薬剤師さんもそろっているんですね、ちゃんと治療することができるので、ぜひそうしていただきたいと思うんですけれども、実際にはそうなっていないと。しごとカードの人は医療を受けられないんです。申請しに来た人も、何もカードを持っていないわけですから、この人たちも医師の診療を受けられない。これを受けられるようにしてほしいというのが陳情者の訴えです。これ、そのとおりだと思うんです。
 そこで伺いますけれども、二〇二〇年、令和二年に、しごとカードを導入したときに、医療相談を利用できない、こういうふうに決めてしまったのはなぜなのか伺います。

○新内生活福祉部長 しごとカードは、就労意欲のある方に対して、民間求人等の紹介のみを行うことを目的としております。しごとカードの相談に来所された方が体調の不良を訴えるなどした場合には、無料低額診療事業を行う医療機関等へつなげたり、緊急を要する場合には救急車を要請するなど、症状に合わせて必要な対応を実施しております。

○里吉委員 これもまた答えになっていないんですよね。無低診を紹介していただいたり、救急車を呼んでいただくっていうのはいいんですけど、城北労働・福祉センターにお医者さんいるんですよね。看護師さんもいるんです。薬剤師さんもいるんです。だから、ここで診てもらったらいいんじゃないですかと。そういうことができるはずなのに、そもそも新しいカードをつくったときに、医療相談は利用できないって何で決めてしまったんですか、なぜそうしてしまったんですかということを聞いたわけですが、今の答えでは分かりませんでした。
 しかし、どんな議論があったにせよ、少なくとも医療相談は、ぜひ対象にしていただきたい、対象にすべきだと思いました。体制はそろっているわけですから、山谷地域で暮らす方のために、ここはしっかり活用していただきたいと思います。
 次に、陳情の四つ目、職業紹介限定高齢者利用者カードの発行を行うことについてです。これも、いろいろ調べさせてもらったら、令和二年十一月二十七日付の文書がありまして、城北労働・福祉センターは、職業紹介限定高齢者利用者カードの発行に前向きな方向だったということがよく分かる文書が出てきたんです。
 陳情者の方は、このカードの発行を行うように求めているわけですが、なぜできていないのか、できなかったのか伺います。

○新内生活福祉部長 高齢者用利用者カードの発行者に対して実施しております高齢者特別就労についてでございますが、山谷地域に居住する日雇労働者が高齢化し、民間求人等による就労が難しくなった場合に、公園清掃等の軽作業を都の公共事業として実施し、日雇労働者の就労機会を確保することを目的とした特別かつ限定的なものでありまして、利用対象を拡大する予定はございません。

○里吉委員 今のは理由として、一応ちゃんと答えていただいたなと思います。高齢者特別就労は、ずっと山谷地域に住んでいた方が高齢になったときに、今までの民間求人では無理だという方に、ちゃんと高齢者の方でもできる仕事を特別に手当てしているので、これは対象を広げるつもりはないということで、一応理屈は分かりました。
 ただ、しごとカードの導入の議論をしていたときに、既に、併せて高齢者カードをつくる必要があるんじゃないかっていう検討がされていたという文書も、私、見たんです。十一月には、かなり具体的な内容が示されていたというこの文書を見ると、少なくとも現場では、しごとカードの高齢者版が必要だと考えていたのではないかと推察されます。
 ですから、これも、今の山谷の状況、いらっしゃる方の状況を見て、カードを持っていない方の中にも高齢の方が結構いらっしゃるんじゃないかということが推察されますので、改めて検討することを要望しておきたいと思います。
 ここからは意見を述べますけれども、今回、この陳情質疑を行うに当たって、山谷地域の現状や城北労働・福祉センターについて、いろいろと学ばせていただきました。古くから山谷地域で日雇で働いてきた方は、高齢化してきたり、また、生活保護を受けている方も増えてきております。その一方で、生活保護は受けたくない、日雇など働いて生きていきたいと考える方が一定数存在していること。
 しかし、センターで民間求人紹介や応急援護相談、これは宿泊援護とか給食援護、物品の援護、それから交通費援護、医療相談、こういったセンターの事業を全般的に利用するためには、一般利用者カードを取得しなければならない。このハードルが本当に高い。なかなか取得できないということがよく分かりました。
 一般利用者カード発行の基準である連続した二か月の間で月十三日程度の日雇労働に従事していること−−陳情の中にもありますけど、これ変えてほしいって書いてありましたけれども、これをクリアできている人は、今カードがなくてもそれだけの仕事ができているわけですから、新たに民間求人の紹介がどうしても必要という、そういう人ではないというふうに思われます。
 逆に、センターで民間求人を紹介してもらえれば、二か月間、月十三日程度労働できる、こういう方がたくさんいらっしゃって、そういう方にこそ一般利用者カードを発行するべきだと、陳情者はこういうふうに訴えているわけですけれども、これは至極そのとおりごもっともだというふうに思いました。ぜひここも改善してほしいと思います。
 議事概要とかいろいろ読ませていただいて、現場でもお話を聞かせていただいて、城北労働・福祉センターの職員の皆さんは、野宿の場所に出かけていったり、簡易宿所へ行ってアウトリーチを行ったりしながら、山谷地域で暮らす様々な方の支援を行っているということもよく分かりました。
 ですから、今回陳情に出されている方向で運用の改善がなされれば、もっと支援を充実させることができます。ぜひ陳情で出された改善を進めていただきたいというふうに強く思いました。
 よって、本陳情を採択することを求めて、質問を終わりたいと思います。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情六第三四号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十六分散会