厚生委員会速記録第六号

令和六年五月二十四日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長磯山  亮君
副委員長斉藤やすひろ君
理事関口健太郎君
理事原 のり子君
理事内山 真吾君
北口つよし君
上田 令子君
伊藤 大輔君
浜中のりかた君
山加 朱美君
鈴木  烈君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長山口  真君
次長理事兼務浅野 直樹君
理事小室 明子君
総務部長関口 尚志君
企画部長DX推進担当部長兼務森田 能城君
指導監査部長西坂 啓之君
生活福祉部長新内 康丈君
子供・子育て支援部長西尾 寿一君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
障害者施策推進部長加藤 みほ君
政策推進担当部長調整担当部長兼務柳橋 祥人君
福祉人材・サービス基盤担当部長石塚  宣君
子供・子育て施策推進担当部長瀬川 裕之君
総合連携担当部長児童相談センター次長兼務竹中 雪与君
障害者医療担当部長菊地 章人君
保健医療局局長雲田 孝司君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務吉原 宏幸君
保健政策部長小竹 桃子君
医療政策部長新倉 吉和君
都立病院支援部長鈴木 和典君
健康安全部長中川 一典君
感染症対策部長内藤 典子君
政策推進担当部長宮澤 一穂君
地域保健担当部長井上 俊治君
医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務岩井 志奈君
食品医薬品安全担当部長早乙女芳明君
感染症対策調整担当部長小原  昌君

本日の会議に付した事件
保健医療局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都保健医療局関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例
・東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例
・東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起について
・広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業契約の締結について
報告事項(説明・質疑)
・令和五年度東京都一般会計予算(保健医療局分)の繰越しについて
・令和五年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算の繰越しについて
福祉局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・東京都母子及び父子福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・品川区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
報告事項(説明・質疑)
・令和五年度東京都一般会計予算(福祉局分)の繰越しについて
陳情の審査
(1)六第六号 心身障害者福祉手当の増額と支給対象範囲の拡大に関する陳情

○あかねがくぼ委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、保健医療局及び福祉局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び報告事項の聴取並びに福祉局関係の陳情の審査を行います。
 なお、本日は、提出予定案件については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項については、説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○雲田保健医療局長 それでは、説明に先立ちまして、このたびの人事異動により交代がございました幹部職員を紹介させていただきます。
 企画部長でDX推進担当部長、スタートアップ・国際金融都市戦略室スタートアップ戦略推進担当部長、福祉局福祉保健医療連携推進担当部長兼務の吉原宏幸でございます。医療政策部長の新倉吉和でございます。都立病院支援部長の鈴木和典でございます。健康安全部長の中川一典でございます。感染症対策部長の内藤典子でございます。地域保健担当部長の井上俊治でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○あかねがくぼ委員長 紹介は終わりました。

○あかねがくぼ委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○雲田保健医療局長 令和六年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております保健医療局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回審議をお願いいたします議案は、条例案三件、事件案二件の合計五件でございます。
 初めに、条例案の概要でございますが、麻薬取締法等の改正に伴い、薬物の定義や手数料の名称を改めるものなどのほか、東京都立広尾看護専門学校の移転に伴い、位置を改めるものでございます。
 次に、事件案の概要でございますが、広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業のうち、広尾看護専門学校整備等に係る部分を施行するための契約を締結するもののほか、東京都PCR等検査無料化事業に係る債権の回収を図るため、訴えを提起するものでございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○船尾総務部長 それでは、令和六年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
 初めに、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和六年第二回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をご覧ください。
 まず、一ページをご覧ください。整理番号1、東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例及び整理番号2、東京都保健医療局関係手数料条例の一部を改正する条例でございますが、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴い、規定を整備するものでございます。
 このうち、整理番号1につきましては、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法の改正に伴い、薬物の定義から大麻取締法に規定する大麻を削除するもの等でございます。
 整理番号2につきましては、大麻取締法の改正に伴い、手数料の名称を改めるもの等でございます。
 これらの条例の施行日は、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行の日または条例の公布の日のいずれか遅い日を予定しております。
 整理番号3、東京都立看護専門学校条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都立広尾看護専門学校の移転に伴い、位置を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、令和六年九月一日を予定しております。
 次に、事件案についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、二ページをご覧ください。整理番号1、広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業契約の締結についてでございます。
 広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業のうち、広尾看護専門学校整備等に係る部分を施行するための契約を締結するものでございます。
 本議案の提出は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律第十二条の規定に基づくものでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は五十八億三千三百六十九万四千二百四十円、契約の相手方は広尾パートナーズ株式会社、契約期間は事業契約締結の日の翌日から令和二十六年三月三十一日までとするものでございます。
 三ページをご覧ください。案内図及び配置図でございます。
 上段の案内図の中央部の黒塗り部分の計画地のうち、下段の配置図の中央の斜線網かけ部分が広尾看護専門学校の計画地でございます。
 二ページにお戻りをいただきまして、整理番号2、東京都PCR等検査無料化事業に係る補助金返還等請求に関する民事訴訟の提起についてでございます。
 本件は、東京都PCR等検査無料化事業に係る債権の回収を図るため、訴えを提起するものでございます。
 訴訟当事者でございますが、原告は東京都、被告は株式会社メディトランセでございます。訴訟の目的の価額は十三億一千九百七十八万二千九百十円でございます。
 事件の概要でございますが、東京都PCR等検査無料化事業補助金交付要綱に基づく補助金の交付を受けた被告が、不正の手段により補助金の交付を受けていたことが判明したことから、被告に対し、既に交付した補助金の返還等を求めて訴えを提起するものでございます。
 都は、新型コロナウイルス感染拡大に備えた安心確保のための取組として、PCR等検査の費用を無料化し、検査を実施する事業者に対して補助金を交付してまいりました。
 被告は、都に対して申請を行い、令和四年度に合計十三億一千九百七十八万二千九百十円の補助金の交付を受けております。
 しかし、検査実績を水増しして報告していたことが後日に判明したことから、都は、交付決定を取り消し、被告に対して補助金の返還等を求めたところ、被告は、返還義務がないと主張しております。
 このため、都は、被告に対し、交付決定の取消しによる原状回復請求権に基づき交付済みの補助金の返還等を求め、訴えを提起するものでございます。
 条例案及び事件案の詳細な内容につきましては、資料の令和六年第二回東京都議会定例会条例案及び事件案をご覧いただきたいと存じます。
 以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○里吉委員 一点だけ資料要求させていただきます。
 地方公共団体と地方独立行政法人が共同で行ったPFI事業の先行事例の一覧をお願いします。
 以上です。

○上田委員 広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業における入札から落札までの経緯が分かるものを一式。
 同じく、医療従事者、職員の意見、要望、提案の集約などが分かるもの。
 大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法違反の現状が分かるもの、過去五年。
 また、PCRなんですけれども、検査無料化事業補助金交付決定の取消しを何度かしているかと思いますけれども、その取消しをした事業者と金額の内訳一覧、これまでの直近のが分かるものをいただければと思います。
 以上です。

○あかねがくぼ委員長 ただいま里吉委員、上田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○吉原企画部長DX推進担当部長兼務 令和五年度東京都一般会計予算及び令和五年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算の繰越しにつきましてご報告させていただきます。
 お手元の資料、厚生委員会報告事項の表紙をおめくりいただき、令和五年度一般会計繰越説明書をご覧ください。
 二ページをお開き願います。繰越総括表でございます。
 繰越明許費予算議決額の欄に記載のとおり、令和五年度最終補正予算にて、保健医療費について百十四億七千三百六十四万円を繰越明許費として議決いただいております。
 このうち、執行見込みの状況を踏まえまして、表右側、翌年度繰越額の欄に記載のとおり、歳出予算百十四億七千三百六十四万円を今年度に繰越しいたします。
 その財源といたしましては、繰越財源内訳の欄に記載のとおり、国庫支出金が百四億五千二十七万七千円、繰越金が十億二千三百三十六万三千円でございます。
 次に、三ページをご覧ください。事項別内訳でございます。
 まず、一段目、医療政策費について、資料右側の説明欄をご覧ください。医療機関における電子処方箋の活用・普及の促進事業でございます。
 国の令和五年度補正予算、電子処方箋の活用・普及の促進事業を令和五年度から六年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続いて、一段下、同じく医療政策費について、資料右側の説明欄をご覧ください。看護補助者処遇改善事業でございます。
 国の令和五年度補正予算、看護補助者処遇改善事業を令和五年度から六年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続いて、一段下、健康安全費について、資料右側の説明欄をご覧ください。薬局における電子処方箋の活用・普及の促進事業でございます。
 国の令和五年度補正予算、電子処方箋の活用・普及の促進事業を令和五年度から六年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続いて、一段下、感染症対策費について、資料右側の説明欄をご覧ください。感染症対策でございます。
 医療費公費負担等の事業について、令和五年度内に事業が完了しなかった経費分の予算を繰り越して支出するものでございます。
 以上が令和五年度東京都一般会計予算の繰越しについての報告でございます。
 続きまして、五ページ、令和五年度地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計繰越説明書をご覧ください。
 六ページをお開き願います。繰越総括表でございます。
 繰越明許費予算議決額の欄に記載のとおり、令和五年度最終補正予算にて、貸付等事業費について、一億四千八百五万九千円を繰越明許費として議決いただいております。
 このうち、執行見込みの状況を踏まえまして、表右側、翌年度繰越額の欄に記載のとおり、歳出予算一億四千八百五万九千円を今年度に繰越しいたします。
 その財源といたしましては、繰越財源内訳の欄に記載のとおり、全額事業収入でございます。
 次に、七ページをご覧ください。事項別内訳でございます。
 資料右側の説明欄をご覧ください。施設整備でございます。
 こちらは都立荏原病院受水槽設備改修工事について、世界的な半導体不足等により遅延していた工事の再開及び建築需要の高まりに伴う人手不足により、令和五年度中に受水槽の納入が困難になったため、今年度に予算を繰り越して支出するものでございます。
 以上が令和五年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算の繰越しについての報告でございます。よろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いします。
 今回は、感染症対策の繰越しに関連して、何点か質問いたします。
 ゴールデンウイークが終わって、都の定点医療機関当たりの患者報告数が増え始めています。四月以降も私の周りでも新たにコロナに感染した方が複数おり、コロナは終わっていないと私自身も実感しています。
 昨年五月に五類に移行しましたが、今年の二月、東京iCDCが実施した都民一万人アンケートでも、新型コロナは終息していないと答えた方が約四五%、終息したと答えた方約一〇%を大きく上回っています。終息していないと答えた方の約四割は、自分の周りで感染している人がいるからと答えています。
 四月以降、ほとんどのコロナ対策を終了させてしまったために、福祉施設などでは新たな緊張を強いられています。都がこれまで行ってきた定期検査も終了してしまったため、現在は全て施設の自助努力に任されています。
 我が党は、少なくとも新型コロナ対策として、高齢者や障害者施設などの定期検査等は継続すべきと求めましたが、全て終了してしまいました。国の考えに都も従って、ほとんどの対策、三月末で終了しています。
 そこで、感染症対策として約八十一億円繰り越していますが、この具体的な中身について伺いたいと思います。

○内藤感染症対策部長 令和五年度の繰越明許費として計上した経費は、昨年度内に支出を完了しなかった新型コロナウイルス感染症の医療費公費負担に係る経費や、新型コロナワクチンの大規模接種会場及び高齢者等医療支援型施設の原状回復に係る経費などでございます。

○里吉委員 今ご説明いただきました三月末に終了したもの、その後の原状回復の経費などが計上されている、繰越しの中身だということでご説明ありましたけれども、この中の高齢者等医療支援型施設につきましては、施設活用の実績、どのようになっているでしょうか、伺います。

○小原感染症対策調整担当部長 高齢者等医療支援型施設では、医療機関を補完する臨時の医療施設として、軽症から中等症で要介護五までの高齢者や障害者などを受け入れたほか、救急要請へ二十四時間対応いたしました。
 令和四年二月から順次累計で九施設八百四十二床を設置し、令和四年十二月からは八施設六百九十二床を運営いたしました。入所者数の実績は一万一千五百七十二名でございます。

○里吉委員 今ご説明があったように、この施設は新型コロナに罹患した軽症、中等症の高齢者や障害者の療養施設として設置され、医師や看護師が二十四時間常駐し、健康観察や治療を行っていて、主には高齢者施設や自宅で罹患した方が多く活用していたと伺いました。
 また、この高齢者が入院中にADL−−日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作ですね、これが低下してしまうことが大きな課題になっている中で、リハビリを進める、こういう施設であることも重要でした。
 入所者数は、二年二か月間で、今ご答弁ありましたように一万一千五百七十二名ということでしたけれども、五類に移行した後、昨年の五月八日から今年の三月末までの受入れ人数がホームページに載っておりました。
 これを見ますと、全体で四千二十人、うち救急が五百四十九人いらっしゃいました。五類移行以降も本当に使われていたと。感染に波があるので利用が少ないときもありましたけれども、昨年の八月は八百二十三人、九月も七百十三人の方を受け入れていました。そして、今年の一月も六百二十四人、三月も救急十人を含む二百七人もの方を受け入れていました。
 こういう中でこの事業が終了してしまったわけですけれども、コロナにかかった高齢者、障害者の方の療養施設として、大事な役割、果たしてきたわけです。
 今は、ここにいたような方は、どのようなところで治療をしているのか伺いたいと思います。

○小原感染症対策調整担当部長 新型コロナに係る医療提供体制につきましては、本年四月に通常の医療提供体制に完全移行いたしておりまして、新型コロナに罹患した方は、他の疾病同様、症状に応じ、自宅や施設、医療機関で療養していらっしゃっておいでです。

○里吉委員 特措法による経過期間が終わって通常の医療提供体制に完全移行したので、自宅や施設、医療機関で療養ということでした。
 コロナ感染症の法令上の位置づけが五類に引き下げられたからといって、ウイルスの性質は変わらないということで、その後も経過措置として、高齢者等医療支援型施設を運営してきたことは、本当に大切な対応だったと思います。そして、先ほどお話ししましたように、今年に入ってからの利用者数は、ニーズはまだあるんだということを示していると思います。
 しかし、四月以降、コロナは終わったかのように、ほぼ全ての対策がなくなってしまった。コロナ感染状況の公表についても、四月以降、専門家による分析が公表されなくなるなど、つかみにくくなっております。
 しかし、高齢者や障害者など、重篤化する心配がある方へ特に気をつけて対応しなければならないということは、何ら変わりません。また感染が拡大したときに対応できるのかということやリハビリの重要性なども考えると、私は、本来、高齢者等医療支援型施設のような施設は今も必要だと、今も求められていると思います。
 しかし、ご説明聞きましたら、国の特措法で認められていた臨時の医療施設であって、東京都だけでそのまま残すことは現実的に難しいということなんですね。それならば、なおさら国の方針に沿ってほとんどの対策を終わらせてしまうのではなくて、国に対応を求める、そのことも含めて、対策の継続を追求するべきだったと、なくす前にですね、国に求めていただきたかったなと改めて思います。
 また、せめて少しでも感染拡大を防ぐために、施設での定期検査への補助など、検討していただきたいと思います。
 最初に申し上げましたが、新型コロナの報道も少なくなり、コロナ感染が見えにくくなっている中ですが、重篤化リスクが高い高齢者や障害者の皆さんを守ることの重要性や、後遺症の深刻さは変わっていません。
 感染防止の対策強化を求めて、質問を終わります。

○上田委員 電子処方箋の活用の促進についてです。
 このシステムの運用を開始している都内医療機関数は、令和六年二月十八日時点で病院が一施設、診療所は百三十二、歯科診療所が六施設、薬局数は、同じく二月十八日時点で千二百十六とのことです。申請ですが、医療機関における電子処方箋の活用・普及の促進事業は、今年の十月上旬から十二月下旬までで、薬局におけます同事業も同じ募集の期間となっております。
 これから少し期間がありますけれども、今後新規申請者も増えると考えますが、対象事業者がどの程度いて、どの程度の普及を目指すのか、所見を伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 厚生労働省が公表しております電子処方箋利用申請・運用開始医療機関・薬局数によりますと、電子処方箋システムの運用を開始している都内医療機関数は、令和六年五月十二日時点で病院が三施設、診療所が二百七十施設、歯科診療所が十一施設でございます。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 厚生労働省が公表しています電子処方箋利用申請・運用開始医療機関・薬局数によりますと、電子処方箋システムの運用を開始している都内薬局数は、令和六年五月十二日時点で一千七百七十一施設でございます。
 本事業は、社会保険診療報酬支払基金から国の補助金の交付決定を受けている医療機関及び薬局が対象となります。

○上田委員 課題としては、周囲の医療機関、薬局が導入していない、システム改修等の費用、電子署名の対応等とのことでありましたけれども、都は、医療機関、薬局に導入費用に関する補助金を支給、電子処方箋の活用、普及を促進しているとのことです。
 申込みまでに具体的に−−たくさん申し込んで、せっかくやるんですから周知してほしいと思いますが、検討していることがありましたらご報告ください。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 本事業は、ホームページ等で周知を図っているほか、東京都医師会、東京都歯科医師会及び東京都薬剤師会等を通じて、医療機関や薬局に情報提供しております。

○上田委員 引き続きまして−−マイナカードと保険証との連結については、まだ政府の方でごたごたしているところでありますけれども、まあ電子処方箋の方は粛々と進めていただきたく、医師会、歯科医師会、薬剤師会等、協力をしながら推進をしていただきたいと思っております。
 令和六年二月から五月までの間、対象看護補助者の賃金改善を行う対象医療機関に対して、当該賃金改善を行うために必要な費用を看護補助者処遇改善事業は補助をするものでありますが、申請意向の確認は二月九日に締切りをされたようです。
 対象事業者のうち、どの程度活用の希望があったのか伺います。

○新倉医療政策部長 本事業の対象となる医療機関は、病院及び有床診療所であって、令和六年二月一日時点において急性期看護補助体制加算や療養病棟入院基本料など、看護補助者の配置を要件とする診療報酬を算定している施設でございます。
 都内で当該要件を満たす医療機関は七百九十一施設でございまして、このうち四百二十一施設から申請の意向が示されたところでございます。

○上田委員 看護に携わる人材不足、これが指摘されて久しいところ、現場は結構大変なことで、半数を超えているということは、まずまず周知がされているのかなというふうに思っております。
 局としての評価、この七百九十一施設中四百二十一施設の比率が妥当なのかどうなのか、所見を伺いたいと思います。

○新倉医療政策部長 対象となる医療機関のうち、半数を超える医療機関から申請の意向が示されておりまして、こうした医療機関において、本事業を活用した看護補助者の給与水準引上げの取組が進められているところでございます。

○上田委員 現場、とても助かると思いますので、引き続きましての取組と利用につきまして、きめ細かい情報提供をどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で保健医療局関係を終わります。

○あかねがくぼ委員長 これより福祉局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、福祉局長及び福祉局の幹部職員に交代がありましたので、局長から挨拶並びに幹部職員の紹介があります。
 福祉局長に就任されました山口真君をご紹介いたします。

○山口福祉局長 四月一日付で福祉局長に着任しました山口真でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私ども福祉局では、都民が生涯を通じて安全・安心に暮らし続けることができるよう、都民の生命と健康を守り、地域での自立を支える新しい福祉を実現するため、保健医療局とも緊密な連携を図りながら、大都市東京にふさわしい福祉施策を積極的に展開し、さらなる充実を目指していく所存でございます。
 あかねがくぼ委員長をはじめ委員の皆様方のご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、説明に先立ちまして、人事異動及び役職に変更のあった幹部職員を紹介させていただきます。
 次長で福祉局理事、子供政策連携室理事兼務の浅野直樹でございます。理事で保健医療局理事兼務の小室明子でございます。企画部長でDX推進担当部長、スタートアップ・国際金融都市戦略室スタートアップ戦略推進担当部長、保健医療局福祉保健医療連携推進担当部長兼務の森田能城でございます。指導監査部長の西坂啓之でございます。生活福祉部長の新内康丈でございます。障害者施策推進部長の加藤みほでございます。政策推進担当部長で調整担当部長、子供政策連携室企画調整担当部長兼務の柳橋祥人でございます。福祉人材・サービス基盤担当部長の石塚宣でございます。子供・子育て施策推進担当部長で子供政策連携室企画調整担当部長兼務の瀬川裕之でございます。総合連携担当部長で児童相談センター次長兼務の竹中雪与でございます。障害者医療担当部長で保健医療局精神保健医療担当部長兼務の菊地章人でございます。最後に、当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の吉野成典でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○あかねがくぼ委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○あかねがくぼ委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○山口福祉局長 令和六年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、条例案が三件、事件案一件の合計四件でございます。
 初めに、条例案の概要をご説明申し上げます。
 児童相談所設置市となる品川区への事務の移譲に伴うもののほか、女性福祉資金の貸付事業の充実を図るもの、母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令の改正に伴うものでございます。
 次に、事件案の概要でございますが、品川区から児童自立支援施設に係る事務を受託するために規約を定めるものでございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○関口総務部長 令和六年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
 初めに、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和六年第二回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。整理番号1、東京都児童相談所条例の一部を改正する条例でございます。
 国の児童福祉法施行令の一部を改正する政令の施行に伴いまして、児童相談所の所管区域から品川区を除くものでございます。
 この条例の施行日は、令和六年十月一日を予定しております。
 整理番号2、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございます。
 女性福祉資金貸付事業の充実を図るため、事業開始資金等の貸付限度額を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、公布の日を予定しておりますが、改正後の規定は、令和六年四月一日から適用する予定でございます。
 整理番号3、東京都母子及び父子福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございます。
 国の母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令の一部を改正する政令の施行に伴いまして、引用条文を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、公布の日を予定しております。
 次に、事件案についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。整理番号1、品川区の児童自立支援施設に係る事務の受託についてでございます。
 令和六年十月に児童相談所を設置する予定の品川区から児童福祉法に規定する児童自立支援施設に係る事務を受託するため、地方自治法の規定に基づきまして、都と品川区間の協議によりまして規約を定めるものでございます。
 この規約の施行日は、令和六年十月一日を予定しております。
 条例案及び事件案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、令和六年第二回東京都議会定例会条例案及び事件案をご覧いただきたいと存じます。
 以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○上田委員 都内区市町村における区児相、都児相の状況、担当地域、定員、職員数及び子供及び各自治体子供家庭支援センターとの連携状況が分かるもの。
 女性福祉資金貸付金の内訳、改正前後。
 母子及び父子福祉資金貸付けの内訳、改正前後。
 以上、お願いします。

○あかねがくぼ委員長 ただいま上田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○森田企画部長DX推進担当部長兼務 令和五年度東京都一般会計予算、福祉局分の繰越しにつきましてご報告させていただきます。
 お手元の資料、厚生委員会報告事項の表紙をおめくりいただきまして、令和五年度一般会計繰越説明書をご覧いただきたいと存じます。
 一枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。繰越総括表でございます。
 繰越明許費予算議決額の欄の一番上に記載のとおり、令和五年度最終補正予算にて、福祉費につきまして、二百七十六億一千九百二万四千円を繰越明許費として議決いただいております。
 このうち、執行見込みの状況を踏まえまして、表右側、翌年度繰越額の欄に記載のとおり、歳出予算二百七十六億一千八百三十七万四千円を今年度に繰越しいたします。
 その財源といたしましては、一番下の段、繰越財源内訳の欄に記載のとおり、国庫支出金が四十四億九千六百二十八万四千円、繰越金が二百三十一億二千二百九万円でございます。
 次に、二ページをご覧ください。事項別内訳でございます。
 まず、一段目、生活福祉費の繰越しにつきまして、資料右側の説明欄をご覧ください。物価高騰対策臨時くらし応援事業でございます。
 多くの対象世帯を商品券配布等により支援する事業でございまして、今年度も継続して事業を実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続きまして、一段下の高齢者施策推進費の繰越しにつきまして、説明欄をご覧ください。介護職員処遇改善支援事業でございます。
 国の令和五年度補正予算、介護職員処遇改善支援事業を令和五年度から六年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続きまして、同じく高齢者施策推進費の繰越しにつきまして、一段下の説明欄をご覧ください。介護サービス事業所等のサービス提供体制確保事業でございます。
 国の令和五年度補正予算、介護サービス事業所等のサービス提供体制確保事業を令和五年度から六年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 続きまして、一段下の障害者施策推進費の繰越しにつきまして、説明欄をご覧ください。福祉・介護職員処遇改善事業でございます。
 国の令和五年度補正予算、福祉・介護職員処遇改善事業を令和五年度から六年度にかけて実施する必要があるため、予算を繰り越して支出するものでございます。
 以上が令和五年度東京都一般会計予算の繰越しについてのご報告でございます。よろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 物価高騰対策臨時くらし応援事業についてなんですが、なぜ商品券を選んだのか、起案から決定するまでの経緯を決裁者も含め、時系列での説明を前回求めたところ、令和五年十二月中旬に、財務局からの令和五年度最終補正予算編成の指示があり、庁内での検討を踏まえ、知事査定を経て決定したとのことです。商品券については、一般に市場に流通している複数の商品券とする考えであり、具体的な内容については今後検討していくとのことでした。
 現状の進捗状況を伺います。また、改めてどのような需要を捉え、商品券を選定した根拠をご説明の上、どのような具体的な効果を期待していたのか伺います。

○新内生活福祉部長 令和六年四月二十五日に事業者と契約を締結いたしまして、現在事業の実施に向けまして準備、調整を進めております。
 本事業は、物価高騰の影響を特に大きく受けている低所得世帯の生活上の不安を和らげることを目的としております。この事業目的を踏まえまして、商品券等を送付することで、生活必需品の購入を支援することといたしました。

○上田委員 四月二十五日に決まったということですが、この選定において、入札−−まあ契約をされたということで、入札など含め、どのように選定する予定か確認したところ、補正予算成立後、契約に係る規定に基づき対応していくとのことでしたが、この件につきましてどうなってきたのか、入札参加者と落札事業者を報告の上、その選定に関して公正、公明であったかも踏まえた所見を伺います。これ、落札業者名というのは出せないものなんでしょうか。ここも踏まえて、お伺いします。

○新内生活福祉部長 令和六年三月十一日に契約案件の公表を開始し、十三者から入札参加の希望がございました。このうち四者が辞退、二者が不参となり、残り七者からの技術提案書の提出を受けました。同年四月十二日に技術審査委員会を開催し、技術提案書等の審査を行いました。
 その後、四月十七日に開札があり、価格点と技術点の合計点が最も高かった株式会社博報堂プロダクツを落札者として決定をいたしました。これらの手続は契約に係る規定にのっとり適正に実施いたしました。

○上田委員 博報堂プロダクツということで、このところ博報堂は−−オリ・パラによりまして指名停止になっているようなところに発注をしているのではないかという、これ随契でしたけれどもね、指摘もあったところでございますが、博報堂プロダクツということを確認させていただきました。
 私どもが賛否の態度表明するには、コストの比較がないと判断ができないことから、現金支給と商品券支給のそれぞれのコストについて三月に確認したところ、現金給付及び商品券支給に共通する経費として、対象世帯への通知の作成、送付やコールセンターの運営に係る経費を想定とのこと、これは理解します。
 一方、現金支給の場合には口座振替や現金書留などに係る経費が発生し、商品券支給の場合には配送に係る経費が発生するということで、本事業の予算額二百二十七億円のうち、商品券の調達に係る経費は百九十億円、事務費は三十七億円とのことでした。
 現金支給を想定したとすると、事務費は三十七億円かかるのかどうか伺います。

○新内生活福祉部長 本事業の対象世帯に現金支給することとした場合、その方法が銀行振込となるのか現金書留となるのか、また、銀行振込とした場合、口座情報を誰からどのように取得するのか等によりまして、金額が大きく異なってまいります。
 このため、本事業の条件において、商品券を支給する場合と現金を支給する場合とのコスト比較は行っておりません。

○上田委員 今後はコスト比較を我々に明示するなり、しっかりとしていただいて、現金支給とすべきと考えますが、所見を伺います。

○新内生活福祉部長 事業の内容や目的を踏まえまして、適切に対応してまいります。

○上田委員 適切に判断をしていただきたいと思います。
 福祉、介護職員の処遇改善についてです。
 福祉・介護職員処遇改善事業ですが、既に本年二月から五月分の手続が行われ、該当事業者の下へ適正な情報提供がなされていると思料しますが、申請、利用状況、対象事業者の何割かについて、ご報告をお願いいたします。

○花本高齢者施策推進部長 介護職員処遇改善支援補助金は、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所が対象であり、対象となる事業所の約八四%から申請を受け付けております。
 今後、本年二月分から四月分については六月、五月分については七月と二回に分けて支払う予定でございます。

○加藤障害者施策推進部長 福祉・介護職員処遇改善事業につきましても、ベースアップ等支援加算を取得している事業所が対象でございまして、対象となる事業所の約八五%から申請を受け付けております。
 また、支払いにつきましても同様に、本年二月分から四月分につきましては六月、五月分につきましては七月と二回に分けて支払う予定でございます。

○上田委員 先ほど看護補助者は約半数ということでしたが、いずれも高齢者の方は八四%、障害者の方は八五%申請があったということで、これについては本当に局の方も、また区市町村の方も、事業者さんも、しっかり把握をして利用いただいているということで、高く評価をさせていただきまして、質疑を終わらせていただきます。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情六第六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○加藤障害者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
 整理番号1、陳情六第六号の心身障害者福祉手当の増額と支給対象範囲の拡大に関する陳情は、障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会代表の市橋博さん外千三百八名から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、東京都心身障害者福祉手当について、支給額を増額するとともに、手当の支給対象者範囲を身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者全てに拡大していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 東京都心身障害者福祉手当は、心身障害者の経済的、精神的負担を軽減し、福祉の増進に資することを目的として、都と区市町村が一体となって、昭和四十九年から実施している制度でございまして、区部については、昭和五十五年から都区財政調整制度の基準財政需要額に算入されております。
 支給対象者は、二十歳以上で、身体障害者手帳一級及び二級の身体障害者、愛の手帳一度から三度までの知的障害者及び脳性麻痺または進行性筋萎縮症を有する者であり、支給額は、平成八年度以降、月額一万五千五百円となっております。
 障害者の所得保障は基本的に国の役割でございまして、都は、他の自治体とも連携し、障害基礎年金など障害者の所得保障の充実を国に要望しております。
 都といたしましては、グループホームなどの地域居住の場や通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなど、障害者が地域で安心して暮らせるためのサービス基盤の整備を促進しておりますほか、精神障害者につきましては、障害の特性から、医療を確保することの重要性を考慮し、低所得者に対して、都独自に精神通院医療の一割の自己負担分を無料としております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○磯山委員 それでは、質問させていただきます。
 障害者といいましても、身体、知的、精神と、それぞれの障害特性や手帳の等級などにより、当事者の求めるものは様々であると思いますが、昨年の都の基礎調査によれば、生活の基礎となる主な収入は年金であると回答された方が多数という現状がございます。所得保障は一義的に国の役割ですが、都としても、障害者の経済的負担の軽減や福祉の増進に取り組むため、心身障害者福祉手当制度を実施しています。
 そこで、昭和四十九年から実施している心身障害者福祉手当について、改めて現在の制度となった経緯について伺います。

○加藤障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、国の所得保障制度が不十分であったこと、また、在宅サービスが不足していた昭和四十年代におきまして、それらを補完するため、障害者の経済的負担を軽減し、在宅での生活を支援するための手当として、都独自に事業を開始いたしました。
 その後、国の年金制度が充実されるなど社会経済状況が大きく変化し、障害者の地域生活を支援するサービスの充実が求められたことや、社会保障制度との整合、負担の公平性の確保などの観点から、経済給付的事業を見直す一方、福祉サービスの量的、質的な充実に向け、都議会での様々な議論を経て、施策の転換を図ったものでございます。

○磯山委員 国の年金が充実したことや、都として、福祉サービスの量的、質的な充実を図るために施策を転換したということでありますけれども、都はどのように障害者福祉サービスの充実に取り組んでいるのかについて伺います。

○加藤障害者施策推進部長 都は、グループホームなどの地域居住の場や通所施設など日中活動の場の重点的な整備や、医療的ケア児への支援など、障害者が地域で安心して生活できるよう様々な取組を進めております。
 今年度からの障害者・障害児地域生活支援三か年プランでは、新たにグループホームの定員数を令和八年度末までに二千七百人増やす目標を設定いたしますとともに、重度障害者に対応するグループホームを整備する場合には補助基準額を一・五倍とするなど、施策の充実を図っております。

○磯山委員 都が障害福祉サービスの充実を図っていることは分かりましたが、所得の少ない障害のある方は、物価高騰などにより、生活に苦労している方が多いともお聞きいたします。また、障害のある方を支えるご家族の経済的負担もまだまだ多い現状であるんだと思っております。
 都が昨年度行った障害福祉計画の改定に当たっても、様々な障害当事者のご意見を聞いていただいたと思いますけれども、これからも当事者の声をしっかり受け止めていただきまして施策に生かしていただくこと、また、障害基礎年金などの障害者の所得保障の充実については、今後もしっかり、引き続き国に要望していただくことをお願いして、私の質問を終わります。

○原委員 それでは、お願いいたします。
 本陳情は、障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会の皆さんから、署名を添えて提出をされています。
 心身障害者福祉手当の拡充を求める請願や陳情は、これまでも繰り返し提出をされてきています。残念ながら近年は採択されたことはありませんけれども、二十八年間も手当額が引き上げられない、手帳を持っていても受けられない人を残している、この状況でよいのかどうか、改めて問われていると思います。
 それでは、伺っていきます。まず、一九七四年、昭和四十九年以来実施をしてきての効果をどのように見ているのか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、国の所得保障や在宅サービスが不十分であった昭和四十年代におきまして、障害者の経済的負担を軽減し、在宅での生活を支援するための手当として都独自に事業を創設し、支給しているものでございます。

○原委員 そのように創設してスタートをして、その結果がどうだったのかを聞いているんです。先ほどの説明では、心身障害者の経済的、精神的負担を軽減し、福祉の増進に資することが目的と話されました。これ、とても大事だというふうに思います。今も、国の所得保障は不十分で、福祉手当はとても大事な役割を持っていると思います。
 現在、二十歳以上の方で、愛の手帳一度から三度の知的障害の方、身体障害者手帳一級、二級の身体障害者、脳性麻痺または進行性筋萎縮症の方が対象になっていて、月一万五千五百円ということです。
 それでは、手帳を持っている障害者全体の人数と、そのうち福祉手当の対象になっている人数、支給額はどうなっているか教えてください。

○加藤障害者施策推進部長 令和五年三月三十一日現在の手帳所持者数は、身体障害者手帳は四十八万六千百四十二人、愛の手帳は十万九百七人、精神障害者保健福祉手帳は十五万一千六百三人の合計七十三万八千六百五十二人でございます。
 東京都心身障害者福祉手当の令和四年度実績は、特別区の財調分も含めまして、受給者が約十万九千五百人、支給額は約二百三億八千三百万円でございます。

○原委員 およそ七人に一人が受けているという範囲だと思います。手帳を持っていてもかなりの人が受けられていないというのが現状です。
 そもそも全ての手帳所持者を対象にしていないということについて、その線引きをした理由はどういうことだったのか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、介護を必要とする重度の身体障害者、知的障害者に対する福祉サービスの提供が十分でない時期に創設したものでございます。
 一方、精神障害者につきましては、その障害の特性から、精神科救急医療体制の整備や通院医療費の助成など、医療を確保することを重点に支援策を展開してまいりました。

○原委員 すみません、ちょっと一点確認をさせていただきたいんですけれども、介護を必要とする重度の障害者への福祉サービスが十分でない時期に創設をされたというお話がありましたけれども、重度という言葉があったんですが、条例については、条例の条文には重度という言葉はないと思うんですね。
 それで、この心身障害者福祉手当では、重度の人を対象にしている条例という位置づけなのかどうか、そこを確認させてください。

○加藤障害者施策推進部長 重度の方の在宅生活を支えるための手当でございます。

○原委員 そうすると、その重度の定義はどういうものかというのが分からないので、ご説明いただければありがたいと思います。
 この条例の別表を見ますと支給対象が書いてあって、そこには、知的障害者については中度以上であるものと書かれています。身体障害者であって身体の障害の程度が二級以上であるものというふうにも書いてあって、それから、脳性麻痺または進行性筋萎縮症を有する者というふうにあるんですよね。
 ですから、重度のというふうな規定にはなっていないのではないかと思いますが、もう一度確認させてください。

○加藤障害者施策推進部長 支給対象者でございますが、二十歳以上で、身体障害者手帳一級及び二級の身体障害者、愛の手帳一度から三度までの知的障害者及び脳性麻痺または進行性筋萎縮症を有する方でございます。

○原委員 つまり、重度というふうに規定はしていないわけですよね。であれば、なおのことなんですけれども、心身障害者の福祉の増進に資するというその第一条の目的に照らして、必要な見直しは当然できるというふうに思いますし、手当の対象外の方々の収入が低くないということでも今ないということですので、ぜひ改善を図っていく必要があるというふうに思います。
 それで、一つ疑問なのは、なぜ精神障害者を対象にしていないのかということです。過去の厚生委員会でもいろいろ議論をされてきているところだと思いますが、改めて教えていただきたいんです。
 精神障害者、また難病者の方をきちんと障害に位置づけるというふうになったときに検討されなかったのかどうか、精神障害者を対象にしていないことの理由はどういうことか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 精神障害者につきましては、その障害の特性から、精神科救急医療体制の整備や通院医療費の助成など、医療を確保することを重点に施策を展開してまいりました。

○原委員 もちろんそれは大事なことではあると思いますけれども、だからといって福祉手当の代わりになるものかといえば、違うと思うんです。
 それでは、これまでに福祉手当の対象の拡大を検討したことがあるのかどうか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 障害のある方の所得保障は基本的に国の役割でございまして、都は、他の自治体とも連携し、障害基礎年金など障害者の所得保障の充実を国に要望しております。

○原委員 私は、福祉手当の対象の拡大を検討したことはないのですかっていうふうに聞いていますので、そこにぜひ答えていただきたいんですが。
 これまでというと幅が、かなり二十八年間で長いので、では、小池都知事になってからの八年間では検討したことがあるのかどうか伺います。

○加藤障害者施策推進部長 繰り返しになりますが、障害基礎年金など障害者の所得保障の充実につきましては、国に要望をしております。

○原委員 検討したことはありますかっていうことですので、繰り返しの答弁ではなく、やはりちゃんと答えていただきたいなと思います。障害者団体の皆さんからも、毎年、陳情とか請願だけではなくて、予算の要望なども出されているわけですから、当然、皆さんご存じのことだと思うんですよね。その要望を受けて検討したかどうかっていうことを、やっぱりちゃんと答えていただきたいというふうに思います。
 それで、そのことは求めておきながら、今おっしゃっていたみたいに、国に要望していますということですよね。東京都のその拡大の検討はしないで国に要望しているということなのか、本当にちょっと疑問なんですけれども、障害者基本法は、国と地方公共団体の両方に対して、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならないとしていて、東京都としても検討するのは当然のことなんです。
 しかも、東京都が国の役割だといって検討せずにいる間に、区市町村では精神障害者への支給が増えている、都のまとめた資料によると、昨年度は十六区一町が実施をしています。地域格差をなくすため、都としても拡大に踏み出すべきだというふうに思いますし、金額の引上げの検討も必要だというふうに思います。
 それで、都制度である福祉手当が一九九六年以来、金額が一万五千五百円のままだと、先ほどもいいましたけれども二十八年間据え置かれていると。この状態でいいのかどうかということなんです。その理由はどういうことか。また、一九九六年の前までは、毎年見直しをされてきたわけです。増やしてきているわけですね。その理由も併せて伺います。

○加藤障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、国の所得保障や在宅サービスが不十分でありました昭和四十年代におきまして、障害者の経済的負担を軽減し、在宅での生活を支援するための手当として、都独自に事業を開始したものでございます。
 その後、国の年金制度が充実されるなど社会状況が大きく変化し、その対応や社会保障制度との整合、負担の公平性の確保などの観点から、経済給付的事業を見直す一方で、福祉サービスの量的、質的な充実に向け、施策の転換を図ったものでございます。

○原委員 私の質問に対しての明確な答弁というのはないので、本当に残念なんですけれども。今ご答弁にあった国の所得保障ですけれども、では本当に充実して大きく変化しているのかっていうことが、そこが問われていると思うんです。都としても、他の道府県とも連携して、国に対して所得保障の充実を求めているということは、これは大事だと、もちろん思っています。
 この中には、こういうふうに書いてあるんです。障害基礎年金の増額、住居手当の創設、年金受給前の対策など、所得保障制度を充実すること、こういうふうに国に求めているんですよね。
 つまり、現状では、所得保障は十分ではないと都としても認識をしているということではないかと思いますが、いかがですか。

○加藤障害者施策推進部長 障害者の所得保障は基本的に国の役割でございまして、都は、他の自治体とも連携をし、障害基礎年金など障害者の所得保障の充実を国に要望をしております。

○原委員 答えがありませんけれども、十分保障されているのであれば、要望する必要はないんですよね。ですから、現状不足しているということだと思うんです。実際に障害年金は、物価上昇に見合うだけの増額がされない仕組みが導入されていて、この間はむしろ悪くなっているといえると思います。障害者権利委員会からも、障害年金は市民の平均的な所得と比べて著しく低額であると指摘をされて、見直すよう勧告をされているんですよね。
 陳情者が各議員に配ってくださった資料でも、こういう事例が紹介をされていました。七十代の視覚障害者夫妻の月々の収支の例が書かれていました。収入は、障害基礎年金一人当たり月八万二千八百十二円、これは昨年度です。心身障害者福祉手当一人当たり月一万五千五百円、二人合わせて約二十万円の収入だということです。医療費は、医療費助成制度の対象になっているので、無料だということです。そのほかに、家賃とか、光熱費とか、食費とか、もう本当にかかると。合計、それだけでも十三万円ほどになると。残り七万円ほどなんですけれども、そのほかに交通費がかかったり、日用品や交際費などは、本当に僅かになってしまうということです。
 さらに、直接お話も伺ったんですけれども、本当は、視覚障害者にもっと便利な携帯電話に変えたいと。でも、お金がかかるから、そういうことはなかなかできないということや、パソコンなどの文字を音声化する、そういうソフトを買うとか、あるいは、メール用のソフトなど、本当に日進月歩なので更新をしていきたいと思うけれども、数年に一回しか更新できないということなんです。それもお金がないので、数年に一回の更新というのも日常生活用具で補助が出る範囲でしかできないとおっしゃっていました。障害者の社会参加には、本当にまだまだ厚い壁があるということだと思うんです。
 東京都は、この間、〇一八サポートとか、子供の医療費無料化を実施したり、給食費の負担軽減など、国が実施するまでの間、必要なものは実施するということを進めているんですよね。小池知事は、本来国がやるべきものといいながらも、そういう判断をしているものもあるわけです。そうであれば、障害者福祉手当についても、都としてもっと充実させるという考えに立つべきではないかというふうに思います。
 日本が障害者権利条約の批准に向けて制定した障害者差別解消法がありますけれども、行政と事業者が社会的障壁を除去するために、合理的配慮が義務化されています。さらに、東京都はそれを上乗せをする条例を制定して、社会的障壁を取り除くことは社会全体の責任だと位置づけているんですよね。現実には、そうはいっても多くの社会的障壁が残っています。
 所得保障が不十分で、障害者の収入は全体としてとても少ない一方で、障害者がほかの人よりも多くの支払いをさせられているものが、実はたくさんあるというふうに思います。
 例えば、コンサートに行く際に支援が必要な場合、移動支援が同行援護を使えたとしても、チケットは二人分買わなくてはなりません。また、脳性麻痺があって、歩くときには靴がよりすり減りやすい場合は靴代がほかの人よりも多くかかります。
 こうした経済的負担に対して、個別の補助制度をつくることも重要ですが、全てのものに個別の制度をつくるというのは無理な話だと思うんです。そのため、十分な額の現金を給付して、それをどう使うかは障害者本人が決められるようにするということが、社会的障壁をなくすためには不可欠だというふうに思います。
 ところが、現状ではあまりにも不十分で、障害者の収入はとても低い、そういう実態だということです。様々な社会的障壁があることで、障害者の暮らしや社会参加がより厳しくなっている現状があり、さらに、そのことを当事者の方たちが訴えているのに、改善を図らないことは問題があるのではないかと私は思います。
 そもそも障害者権利条約では、第二十八条一項には、生活条件の不断の改善についての権利が、また、第四条二項では、経済的、社会的権利について、利用可能な手段を最大限に用いるとあります。
 ここに照らしての制度の拡充が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○加藤障害者施策推進部長 国は、障害者の権利に関する条約の批准に伴いまして、障害者総合支援法などの国内法を整備し、都は、条約や法の考え方を踏まえ施策を行っております。
 都は、グループホームや日中活動の場の整備など、地域で安心して暮らせるサービス基盤の整備に取り組むとともに、当事者のご意見も伺いながら、様々な福祉施策を推進しております。
 所得保障は基本的に国の役割でございまして、都は、他の自治体とも連携し、障害基礎年金など障害者の所得保障の充実を国に要望しております。

○原委員 今のご答弁の中で、条約や法を踏まえる、また当事者の意見も聞きながらという考え方については、重要だというふうには思います。でも、そうであれば、手当の引上げを求める声にも応えていただきたいというふうに思います。
 改めて伺いますが、障害者の暮らしが厳しくなっているという認識は持っているのでしょうか。

○加藤障害者施策推進部長 障害のある方の暮らし向きは、国の年金や手当、自治体の手当のほか、就労による収入などによって構成されておりまして、障害種別や等級、家族構成等の違いによって様々でございます。
 都は、グループホームなどの地域居住の場や通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなど、障害者が地域で安心して暮らせるためのサービス基盤の整備を促進しております。

○原委員 認識を聞いていますけれども、なぜ答えが出ないのかというふうに思います。
 それでは、昨年度実施した障害者の実態調査、ここでは障害者の年間収入額についても質問がありました。これについては、どのような結果が出ていますか。

○関口総務部長 令和五年度東京都福祉保健基礎調査、障害者の生活実態におきまして、令和四年中の障害者ご本人の生活保護費を除く収入額を聞きましたところ、身体障害者では、回答のございました二千六百六十九人のうち、百万円未満が三〇・九%、百万円以上三百万円未満が四一・七%、三百万円以上五百万円未満が一一・四%、五百万円以上が八・五%となってございます。
 また、知的障害者につきましては、回答のございました八百六十四名のうち、百万円未満が四二・〇%、百万円以上二百万円未満が三三・八%、二百万円以上三百万円未満が一一・七%、三百万円以上が二・一%となってございます。
 さらに、精神障害者では、回答のございました八百七十一人のうち、百万円未満が五一・四%、百万円以上二百万円未満が二四・一%、二百万円以上三百万円未満が一〇・〇%、三百万円以上が六・四%となってございます。
 さらに、難病患者では、回答のございました千七十五名のうち、百万円未満が三〇・二%、百万円以上三百万円未満が三四・九%、三百万円以上五百万円未満が一五・一%、五百万円以上が一六・三%となっております。

○原委員 それぞれ障害種別に応じて答えていただきましたけれども、やはり大変厳しいということが分かるわけです。実態調査の速報では、身体障害者、精神障害者及び難病患者は五十万円から百万円未満の割合が最も高い、知的障害者は百万円から百五十万円未満の割合が二二・七%と最も高くなっていると書かれています。知的障害者の場合は、約六五%が百五十万円未満の収入ということです。
 都の実態調査では、五年前、十年前と比較をしていますけれども、大きな変化はなく、相変わらず障害者の収入は低いということが、この速報でも分かります。しかも、物価が上がっていますから、福祉手当の実質的な価値は下がっているといわなければならないと思います。
 陳情には、もともとの文章に、全ての障害者の健康で文化的な生活を保障するため、東京都心身障害者福祉手当を増額することというふうに書かれて、求められているんです。
 今の障害基礎年金や福祉手当の状況では、健康で文化的な生活が十分保障されているとはいえないというふうに思います。障害のあるなしにかかわらず、人が人として生きていく、豊かに生きていくためには、文化的な生活、社会参加は欠かせません。でも、そこを削らなければ暮らせないという障害者の声にどう応えていくのか、これが問われています。
 都は、障害者の社会参加の重要性については、どのような認識を持っていますか。

○加藤障害者施策推進部長 障害者基本法におきまして、全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されることとされております。
 これを踏まえまして、都は、障害者総合美術展やふれあいコンサートなど文化芸術活動の推進や、障害や障害者への理解の促進を分かりやすく発信するホームページなどを通じまして、全ての都民が共に暮らす共生社会の実現に向けて取り組んでおります。

○原委員 実態調査では、社会参加をする上で妨げになっていることとして、これも質問項目にありますけれども、この答えでは、精神障害者の方は経済的な理由を挙げる人が三七・四%と一番多くなっています。また、障害や難病のために諦めたり妥協したことは何ですかという質問もあるんですよね。これに対して、身体障害者は旅行や遠距離の外出三二・九%、知的障害者は人付き合い三一・四%、精神障害者は就職四一・九%、そして人付き合いが三九・四%、難病患者の方は旅行や遠距離の外出四一・〇%となっているんです。
 バリアフリー化や社会の理解増進によって解決すべき場合も、もちろんたくさんあるんですけれども、旅行や遠距離の外出や人付き合いはお金がかかるのも特徴で、経済的な理由も大きなハードルになっているのではないかと思います。
 なぜ困難になっているのか、より掘り下げて考える必要があると思います。また、就職ができないということは、経済的な困難にもつながります。やはり福祉手当を拡充して、社会参加を諦めない状況をつくっていくことが必要ではないでしょうか。
 この実態調査は、障害当事者の方も参加をされて実施をされています。とても重要なものです。今はまだ速報ですけれども、これから秋にはまとめた詳細なものが出されると伺っています。ぜひその内容をよく分析して検討していくことが必要だというふうに思います。
 共産党都議団としては、福祉手当は一日も早く拡充をという立場で取り組んでいますけれども、この実態調査をよく踏まえて検討する、継続して積極的な議論を進めることが必要であるというふうに考えて、その意見を述べて、質問は終わります。

○上田委員 先ほど物価高騰対策、これまでですね、くらし応援事業予算繰越しについて、るるご報告をいただいているところでございました。今日も、朝のモーニングショーとかいろいろなところで、四月から電気代が上がってもう大変なことになっているということで、給料が上がるよりも物価が高くて実質はマイナスだという報道も出てきたところでございます。事ほどかように、物価高に都民は苦しんでおります。障害者とご家族であれば、なおさらのことと思います。
 平成八年から二十八年間も月額一万五千五百円のままで、しかも対象については極めて限定的になっておりますよね。一方、都税収は近年好調であり、六・五兆、過去最大となっております。
 このところ話題になっているプロジェクションマッピングは、二年間で五十億円です。SusHi Tech、DX推進、Invest Tokyo、そして太陽光パネル義務化−−昨日これもう不採択になりましたけど、私、紹介議員となって出しておりました。この荒唐無稽な非現実的な新エネルギー対策に関しては、千九百七十億円も計上をしているわけでございます。また、今いったInvest Tokyoといった、そういったものは二百四十三億円。あと外国人企業誘致、今のこの苦しむ都民生活に一円たりとも寄与しないのに、数千億もかけているんですよ。もうこれを費やせて、何で福祉手当に回せないのか。もう憤りすら感じる不思議さでございます。
 福祉局としては、まず、先ほど国が国がといっていますけれども、この金額が妥当でいいと考えているのか、考えているとしたら、その根拠をいま一度お示しいただければと思います。

○加藤障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、国の所得保障や在宅サービスが不十分であった昭和四十年代におきまして、障害者の経済的負担を軽減し、在宅での生活を支援するための手当として、都独自に事業を開始いたしました。
 その後、国の年金制度が充実されるなど社会経済状況が大きく変化し、その対応や社会保障制度との整合、負担の公平性の確保などの観点から、経済給付的事業を見直す一方、福祉サービスの量的、質的な充実に向け、施策の転換を図ったものでございます。

○上田委員 私も、ご相談を受けるのは、重度訪問、通称重訪のサービスが本当に足りなくて、使い勝手が悪くてですよ、二十四時間ご苦労をしているんですよ。これ、年間幾らか確認しましたら、百五十四億です。DX、プロジェクションマッピングだ、何だかんだやって、百五十四億ですよ、何で拡充ができないのか。ましてや、この手当はもうケースでございますから、すぐに生活の役立てができるわけでございます。
 そしてまた、級数の高い低いで足切りすることも、合理的配慮の理念に欠けると思います。正直、この級の決定も、なかなか正当にできているのかということも、ご相談を受けるんですよ、毎回、毎回。何であの人がこの級で、何でこちらがそうだという、そういった非常に玉虫色なんです。
 級と級のはざまは極めて微妙でありますし、いずれにしろ手帳を持っている人は、健常者よりもずっと不利な環境にある中で、対象者の現状、そのままでいいのか、何度も先ほど、共産党さんへの答弁、答えにならない答えをしていますけれども、このままでいいのか、そう考えている根拠を伺いたいと思います。

○加藤障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、介護を必要とする重度の身体障害者、知的障害者に対する福祉サービスの提供が十分でない時期に創設をしたものでございます。
 都は、グループホームなど地域居住の場や通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなど、障害者が地域で安心して暮らせるためのサービス基盤の整備を促進しております。

○上田委員 私は、税金というのは相互扶助、互助の精神の下、優先順位をつけて使うべきと考えております。その最筆頭に来るのは、障害者福祉ではないでしょうか。これ、本人でも家族でも、もうその答え、各戸の所帯ではどうにも解決ができないものだと思います。
 小池都政は八年前に、セーフシティ、スマートシティ、ダイバーシティ、三つのシティでやりましたけど、セーフシティ、まあいいです、これは。地域防災とか必要だと思います。スマートシティといって、さっきいったことは、ほとんどスマートシティ事業です。そっちよりも、私、やっぱりダイバーシティが一番最初に来るべきだと思います。
 なぜならば、小池知事は、国に先駆けてと、〇一八サポート、また、私学の学費の無料も、神奈川、千葉、埼玉の県知事とも話もすり合わせずに決めているわけじゃないですか。太陽光パネルもそうです。中国のですね、本当ジェノサイドが疑われる中国製パネル、もうアメリカでもフランスでも、パネルは推進するといっても、ほかの国は、ドイツ、フランス、アメリカは、中国製パネルは一切輸入禁止にしているんですね。そうした人権侵害のものは知った上でやっている。しかし、それでもそこを押し切ってまで国に先駆けてやっているんですが、まさにダイバーシティは国に先駆けてやったらいかがなものなのでしょうか。
 非常にご答弁にも憤りを感じました。ですから、このきらきらした何ら都民生活に寄与しない事業予算を、スタートアップ・国際金融都市戦略室や政策企画局や産業労働局や環境局に予算を渡さずに、新しく来た局長はしっかりと、福祉局は予算を確保していただきたい。本当は、今日は局長の意気込みを伺いたいところでございますけれども、令和七年度の予算でしっかりと、もう何としてでももぎ取って、今日ここにお集まりの、本当に皆さん、障害を抱えながら傍聴に来ている、静かに見守っている皆さんのためにも、国に先駆けて、願わくば新しい都知事と共に進めていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。よって、陳情六第六号は継続審査といたします。
 陳情の審査を終わります。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十二分散会