厚生委員会速記録第四号

令和六年三月十八日(月曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長磯山  亮君
副委員長斉藤やすひろ君
理事関口健太郎君
理事原 のり子君
理事内山 真吾君
北口つよし君
上田 令子君
伊藤 大輔君
浜中のりかた君
山加 朱美君
鈴木  烈君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長佐藤 智秀君
次長小林 忠雄君
総務部長関口 尚志君
企画部長DX推進担当部長兼務山本 謙治君
指導監査部長坂本 尚史君
生活福祉部長中川 一典君
子供・子育て支援部長西尾 寿一君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
障害者施策推進部長鈴木 和典君
政策推進担当部長森田 能城君
福祉人材・サービス基盤担当部長新内 康丈君
事業調整担当部長渋谷 恵美君
子供・子育て施策推進担当部長新倉 吉和君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
障害者医療調整担当部長新田 裕人君

本日の会議に付した事件
福祉局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉局所管分
・第六号議案 令和六年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
・第七号議案 令和六年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十七号議案 東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
・第六十八号議案 東京都福祉局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十号議案 東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十五号議案 東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例を廃止する条例
・第七十七号議案 東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十八号議案 児童福祉法施行条例の一部を改正する条例
・第七十九号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第八十号議案 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第八十一号議案 東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第八十二号議案 東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・第八十三号議案 東京都女性自立支援施設の設備及び運営の基準に関する条例
・第八十四号議案 東京都女性相談センター条例の一部を改正する条例
・第八十五号議案 東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第八十六号議案 東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第八十七号議案 東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第八十八号議案 東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第八十九号議案 東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
・第九十号議案 東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
・第九十一号議案 東京都立療育センター条例の一部を改正する条例
・第九十二号議案 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による任意入院者の症状等の報告に関する条例の一部を改正する条例
・第九十三号議案 東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例

○あかねがくぼ委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより福祉局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 福祉局の浅野理事及び梶野高齢者施策推進担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 次に、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉局所管分、第六号議案、第七号議案及び第六十七号議案から第九十三号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○関口総務部長 去る二月十四日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 一枚おめくりいただいたところに目次を記載してございますが、全部で二十七項目となってございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、地域密着型サービスの事業所数の推移といたしまして、平成十八年から令和五年までの各年四月一日現在の事業所数の推移を表側の区分ごとにそれぞれ記載してございます。
 なお、表側の区分のうち、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、地域密着型通所介護、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)につきましては、制度が創設された年から令和五年までを記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、地域包括支援センターの設置状況といたしまして、(1)に、区市町村別の令和五年四月一日現在の地域包括支援センターの設置数及び令和五年一月一日現在の六十五歳以上人口を、(2)に、地域包括支援センター職員の配置基準を記載してございます。
 四ページをお開き願います。3、障害者グループホームの定員といたしまして、令和五年三月一日現在の定員を区市町村ごとに記載してございます。
 五ページをご覧ください。4、都内障害者グループホームの国加算算定状況といたしまして、令和五年十一月に国の各種加算が算定された都内障害者グループホームの事業所数を加算の種類ごとに記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、通所介護事業所数の推移といたしまして、平成二十六年から令和五年までの各年四月一日現在の事業所数の推移を記載してございます。
 七ページをご覧ください。6、特別養護老人ホームの定員数の推移といたしまして、平成二十六年度から令和四年度の各年度末時点の定員数の推移を、ユニット型、ユニット型以外の区分別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、東京都児童相談所が東京都以外に所在する児童心理治療施設に措置した児童数の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度までの各年度末現在の児童数の推移を記載してございます。
 九ページをご覧ください。8、都内から都外の医療型障害児入所施設に入所している児童数といたしまして、令和五年四月一日現在の児童数を、道府県別、東京都民間社会福祉施設サービス推進費補助金(医療型障害児施設)の有無別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、東京都低所得者のひとり親世帯等生活支援給付事業補助金交付決定状況といたしまして、令和五年三月末時点の決定状況を区市町村別に記載してございます。
 一一ページをご覧ください。10、東京都が認可した認可保育所並びに認証保育所の施設数及び総定員数の推移といたしまして、(1)に、認可保育所、(2)に、認証保育所の平成三十年度から令和四年度までの五年間の施設数及び総定員数の推移を区市町村別に記載してございます。
 一三ページをお開き願います。11、廃止した認可保育所及び認証保育所の一覧といたしまして、廃止した認可、認証保育所の所在区市町村、設置主体及び施設数を平成三十年度から令和四年度まで年度別に記載してございます。
 一九ページをお開き願います。12、心身障害者福祉手当の負担金確定額及び取消額といたしまして、(1)に、負担金確定額、(2)に、取消し額を平成三十年度から令和四年度まで市町村別に記載してございます。
 二一ページをお開き願います。13、ベビーライフが行った養子縁組あっせんに係る情報提供の実施状況といたしまして、都が令和二年八月から令和四年二月までにベビーライフから引き継いだケース数及び令和三年十月から令和六年二月までに養親、養子からの依頼により情報提供を行った件数を記載してございます。
 二二ページをお開き願います。14、都所管の児童養護施設並びに児童相談所及び一時保護所における人権教育・外部通報に係る取組状況といたしまして、各施設において令和四年度に実施した取組の内容を記載してございます。
 二三ページをご覧ください。15、児童相談所における措置、措置解除に係る不服申立て件数(審査請求等を含む)及びその裁決等内訳の推移といたしまして、措置及び措置解除の区分ごとの不服申立て件数及び裁決等の内訳の推移を平成二十五年度から令和四年度まで記載してございます。
 二四ページをお開き願います。16、児童相談所における親権停止審判の請求人数及び承認人数の実績推移といたしまして、平成二十五年度から令和四年度まで記載してございます。
 二五ページをご覧ください。17、養育家庭の認定取消件数の推移といたしまして、養育家庭からの辞退及び被措置児童等虐待該当の区分ごとに平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 二六ページをお開き願います。18、児童相談所長及び児童養護施設長の児童への治療・投薬の権限、法的根拠及び判断基準といたしまして、権限、法的根拠及び判断基準を記載してございます。
 二七ページをご覧ください。19、児童相談所が措置入院又は医療保護入院により精神科病院へ一時保護委託を行うまでの流れといたしまして、入院先医療機関に一時保護委託するまでの流れを記載してございます。
 二八ページをお開き願います。20、東京都児童相談所による医療機関への一時保護委託件数の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 二九ページをご覧ください。21、医療保護入院届出件数及び措置入院者数といたしまして、(1)に、医療保護入院届出件数を平成三十年から令和四年まで、(2)に、措置入院者数を平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 三〇ページをお開き願います。22、滝山病院への令和五年二月十五日以降の都の対応・取組といたしまして、令和五年二月十五日以降の都の対応、取組を時系列で記載してございます。
 三一ページをご覧ください。23、滝山病院の令和五年二月十五日以降直近までの死亡者数及び死因、入院、退院と地域移行の状況といたしまして、(1)に、令和六年二月二十九日現在の記載の区分別の人数を、(2)には、死因について記載してございます。
 三二ページをお開き願います。24、滝山病院における、任意入院以外の入院形態による在院者数、身体拘束、隔離、死亡退院の件数の推移といたしまして、記載の区分別に、国の精神保健福祉資料調査による各年六月三十日現在の人数及び件数を令和元年から令和五年まで記載してございます。
 三三ページをご覧ください。25、困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する東京都基本計画(案)に関する事業といたしまして、基本計画(案)第四章の二における今後の取組のうち、都において予算計上している事業につきまして、基本計画(案)における主な記載内容、関連する事業名、令和六年度当初予算額及び所管局を記載してございます。
 四四ページをお開き願います。26、都内婦人保護施設の入所者数の推移といたしまして、記載の施設別の各年度末現在の在籍者数の推移を平成二十五年度から令和四年度まで記載してございます。
 四五ページをご覧ください。27、東京都若年被害女性等支援事業の実施団体数、事業実績及び契約金額等の推移といたしまして、事業の実施方法、実施団体数、アウトリーチ回数、相談件数、居場所を提供した人数、契約金額等の推移を平成三十年度から令和五年度まで記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、私の方から、質問を絞りまして端的に質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、児童相談所の管轄区域の見直しについてであります。
 深刻かつ重大な児童虐待が後を絶たない状況であります。先日、児童相談所や区の子供家庭支援センターが関わっていた四歳の女の子が亡くなり、薬物により死亡させた容疑で両親が逮捕されるという案件が、本当に痛ましい案件が発生をいたしました。女の子には本当にご冥福をお祈りいたします。
 こういう事件があるたびに、児童相談所は何をやっていたんだとか、子供家庭支援センターはどうだったんだということをいわれるんですけれども、現場の皆さんは本当に一生懸命頑張っているわけであります。
 ただですね、とはいえ、本当にそれがよかったのかということはしっかり検証しなければいけないんですけれども、本当に児相の職員は、子家センもそうですけど、子供の安全・安心を確保するとともに、家族機能の回復に向けた保護者への支援のために、日々懸命に取り組んでいるかと思います。こうした痛ましい案件が起こらないように、東京都の児童相談所や区市の子供家庭支援センターの体制を一層強化することが急務であります。
 そこでまず、都児童相談所の体制強化に向けて、人が足りないのであれば人員増をするべきだというふうに私は考えますが、今後どのように取り組むのかということをお伺いいたします。

○西尾子供・子育て支援部長 児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、来年度、児童福祉司を四十一名、児童心理司を二十二名、計六十三名の増員を行うとともに、専門職が児童相談分野のエキスパートとして着実にキャリアアップできるよう、課長代理ポストを十五増設いたします。
 また、職員の専門性向上のため、トレーニングセンターにおきまして、児童福祉司等を対象としていたロールプレーイング研修を一時保護所職員にも拡大するとともに、リーダー職員向けのマネジメント研修を新たに実施いたします。

○浜中委員 人も増やして、課長代理ポストだとかトレーニングにも取り組んでいただくということで、本当にありがとうございます。
 児童虐待は、子供の数がこれからどんどん減っていくにもかかわらず、通報の件数は上がっていって、案件は上がっていると。これは今まで目に見えていなかったものが目に見えてきたということなのか、ほかに、本当に純粋に増えているのかというのはよく分からないんですけれども、その先に子供がいるということでは、都が大人の役割としてですね、しっかりやっていかなきゃいけないということで、我が会派もしっかり後押しをしたいというふうに思います。
 そこで、職員体制を強化していくことを今ご答弁いただきましたけれども、きめ細やかな相談体制を整備することも重要であります。
 今定例会の我が会派の代表質問で、都は児童相談センターを機能強化し、区立児童相談所も含めて総合調整を行うことなどにより、都全体の相談体制を強化するというふうにしております。
 また、国の政令基準を踏まえて、児童相談所の管轄の見直しが求められており、都は昨年度、多摩地域児童相談所配置計画を策定し、先般、町田児童相談所、これ仮称です、多摩中部児童相談所(仮称)及び西多摩児童相談所(仮称)の設置場所を公表いたしました。
 区部においては、来年度、練馬児童相談所の設置が予定されているほか、先日の大田区議会での所信表明演説において、東京都の児童相談所との新たな相談支援体制についての表明がなされたところであります。
 こうした動きも含めて、新たな都立児童相談所の設置に関する都の見解をお伺いいたします。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、区立児童相談所の設置状況も踏まえ、法令等に基づき、人口規模などを考慮し、児童相談所の管轄区域の見直しを進めております。
 今年度は、足立児童相談所の管轄区域を足立区一区といたしました。さらに、来年度は、練馬区子供家庭支援センターと同一建物内に児童相談所を開設するとともに、多摩地域におきまして、令和七年度以降、町田、武蔵野、福生に新たな児童相談所を設置いたします。
 大田区につきましても、都の児童相談所と区の子供家庭支援センターとの一体的な相談体制の構築に向け、今後協議を行ってまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 多摩地域においては、カバー率でとても多かったので、少し分けますよということで、これは高く評価をさせていただきますし、その際に、子家センとの連携、これまた区と市で変わってくると思うんですけれども、その近隣のですね、例えば武蔵野にできても武蔵野市だけではなくて、その周辺を見るわけですから、その連携も、警察との連携も含めて、しっかりと相談体制の構築を進めていっていただきたいというふうに思います。
 続いて、児童の専門的なケアについてお伺いをいたします。
 昨年の第三回定例会で、私は心理的なケアが必要な児童の対応についてお伺いをいたしました。
 社会的養護の下で育つ児童の中には、心理的なケアが必要なケースが増えており、都としても、児童養護施設などにおける心理面でのケアを行う体制の確保や、専門的な支援体制の確保に努めているとのことでございましたが、現在の取組と来年度の取組の充実についてお伺いをいたします。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、知的障害や発達障害等の個別的な援助が必要な児童のケアを行う施設に補助するほか、児童への専門的なケアを充実するため、精神科医と心理職員を配置し、専門機能を強化した児童養護施設に対する支援を行っております。
 また、入所児童が問題行動などにより集団での生活が難しくなった場合には、児童相談センター治療指導課におきまして、専任の医師や心理職による認知行動療法や心理教育などの専門的なケアを実施しております。
 来年度は、治療指導課の体制を強化し、入院治療が必要な児童の支援に向け、医療機関とのネットワークを構築するほか、児童養護施設等へのコンサルテーションを強化するなど、ケアニーズの高い児童に対する専門的な支援の機能を拡充いたします。

○浜中委員 ありがとうございます。
 ケアニーズの高い児童に対する専門的な支援の機能を拡充するということで、これも現場を見させていただきましたけれども、やっぱり必要なことであると思いますので、必要なことは、ぜひどんどんやっていただきたいというふうに思います。
 続きまして、子供家庭支援センターの体制強化についてお伺いいたします。
 ただいまの質疑等を含めて、都の児童相談所の新たな体制を構築していくことは分かりました。同時に、車の両輪である子供家庭支援センターの虐待対応力の強化も不可欠であります。
 都として、市区町村の子供家庭支援センターの体制強化を後押しするとともに、児童相談所と子供家庭支援センターとのさらなる連携強化を図るべきだと考えますが、今後の取組についてお伺いをいたします。

○西尾子供・子育て支援部長 都は来年度、子供家庭支援センターの体制を一層充実させるため、子供の泣き声に対する通告等に伴う安全確認や関係機関への調査などを行う職員の増配置を支援いたします。
 また、支援センターの基幹職員の育成を支援するため、児童相談所への研修派遣に必要な経費も補助いたします。
 さらに、支援センター職員の記録作成等の業務の負担軽減を図るため、AIを活用した電話での相談内容のテキスト化など、デジタル化による業務効率化の取組を支援いたします。
 都児童相談所と子供家庭支援センターの連携強化につきましては、サテライトオフィスなどの連携拠点に、児童相談所と共同して相談支援を行う専門職員を配置する子供家庭支援センターを支援してまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。今、しっかりこれから子家センとも手を取り合って頑張っていきますということが具体的に分かりました。
 これ、本当に委員の皆さんにも紹介したいんですけれども、私、都政新報を見ていたら、都政新報の下に、それでも児童相談所は前へという、何か本の宣伝みたいなものが載っていたんですね。それを買って読みましたら、それは都庁のOBの方で、児相の所長とかをやられた都のOBの方が書いている本で、読むと、二十年とかもうちょっと前から、児相だとか子家センの流れが書いてあって、実際にこういうことをやっていますというのが書いてあって、本当に大変なんだなと。今は分かりませんが、当時とかだと、児相の職員さんとか子家センにいる人とかっていうのは、自分の子供の入学式とか卒業式にも行けないぐらい大変で、それでも、自分の子供じゃない子供のために一生懸命やっているということなんです。
 ただ、こういう虐待の事例とかが出るたびに、何やっているんだ、何やっているんだというのは、これはもうずっといわれることで、常にバージョンアップをしていかなきゃいけないですし、今回、人も増やすし教育体制も増やすということですけれども、なかなか人もいないし、もう本当に人の子供の生き死にに関わるところですから、本当に大変な現場だと思います。
 そういうところを、今ご答弁いただいた内容なんかもそうなんですけれども、とにかく一人でも困った子供がいないようにするのは、これ大人の責任ですから、都としてしっかり後押しをお願いしたいと思いまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、高齢者分野であります。
 今回、都議会自民党も、皆さんもそうですけど、ずっと介護人材の確保をどうするのかという中で、月一万円をプラスしたりとか、五年目未満にはプラス一万円で合計二万円、介護報酬のプラス改定なんかにも合わせて賃金を高くしましょうというお話があったかと思います。
 しかしながら、お金もそうなんですけれども、これから働く人がどんどん減っていきますから、これからどうやって介護人材の確保をし、定着をするかというのが、今深刻な課題となっております。それで、業務の効率化や職員の負担軽減などにより、限られた人材で質の高いサービスを提供することが今求められているわけであります。
 今回の介護保険法改正では、こうした介護現場の生産性の向上の取組を支援することが都道府県の努力義務とされましたが、今後ますます増大する介護ニーズに対応するために、都はどのような事業者支援に取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○花本高齢者施策推進部長 都はこれまで、介護事業者に対する支援として、デジタル機器や次世代介護機器の導入を支援するとともに、人材育成の仕組みづくりの支援や生産性向上の普及啓発を行うなど、東京都福祉保健財団にワンストップ窓口を設置し、様々な施策を実施してまいりました。
 来年度からは、新たにデジタル機器の導入や活用のノウハウがない事業者に対して、専門家による伴走型の支援を実施するほか、次世代介護機器の導入を検討する事業者に対する機器の貸出しを開始いたします。
 また、これまでの機器の導入や活用等に関する専門相談に加え、人材確保や経営等に関する介護事業者からの問合せにも対応いたします。
 さらに、現場のニーズを反映した介護機器の開発を促すため、介護機器を開発する会社を介護事業者とつなぐなど、財団のワンストップ機能を強化いたします。

○浜中委員 生産性の向上の取組を進めるためには、デジタル機器や次世代介護機器の導入などのDXの推進は必要不可欠であります。小規模事業者など取組がなかなか進まない事業者に対して、伴走型のきめ細かな支援は有効と考えられることからも、都の取組を強化したいというふうに思います。
 一方、事業所の規模にかかわらず、事業所内にDXのノウハウを持つ人材がいる事業所といない事業所で、取組に大きな差があるという話も聞きます。
 事業者が、都の施策を十分に活用するためにも、事業所内での人材育成を支援することが必要だと考えますが、都の取組についてお伺いをいたします。

○花本高齢者施策推進部長 都は、来年度から新たに、介護事業者が継続的にDXの推進に取り組めるよう、事業所内でDXを推進するリーダー人材を育成する事業者を支援いたします。
 具体的には、一人当たり年間五十万円を上限に、人材育成や手当の支給に関わる経費を一法人当たり二人まで三年間補助いたします。
 今後、導入のためのコンサルティング経費支援や伴走型支援など外部からの支援と事業所内でDXを推進する人材の育成支援を両輪で進めることにより、事業者の生産性向上の取組を一層推進してまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 これは常々私、お話しさせていただいているんですけれども、保険やサービスがあっても、それを提供する人がいないと介護を受けられませんので、そうすると、これから人口や働き手が減っていく中で、外国から人に来てもらったり、働いてもらう人に来てもらうか、今いる人たちの生産性を上げていくしかないということは、介護業界にとってとても大切なことだと思いますので、ぜひ、今お話ししていただいた取組を着実に進めていただいて、介護業界全体が生産性向上ができるようにお願いをして、次の質問に移ります。
 続きまして、介護医療院についてお伺いをいたします。
 高齢化や独居高齢者の増加が進む中で、都内では、日常生活の介護だけではなく、医療的ケアと介護の両方を必要とする方が増えてきております。
 これまで長期療養の必要な要介護高齢者は、介護療養型医療施設で医学的管理の下で介護を受けてきましたが、国の医療制度改革により、介護療養型医療施設は、その他の介護保険施設等に転換することとなりました。令和五年度末に転換期限を迎えます。
 一方で、医療の必要な要介護高齢者の受皿として、新たな介護保険施設である介護医療院が平成三十年度に創設をされました。介護医療院は、要介護者に対して長期療養のための医療と日常生活のお世話、介護を一体に提供する医療機能と生活施設としての機能を備えた施設だと聞いております。
 まず、介護医療院の現在の整備状況についてお伺いをいたします。

○花本高齢者施策推進部長 令和六年三月一日現在、都内では二十八か所、二千四百二人分の介護医療院が開設されております。
 また、現在、転換期限である令和五年度末までに介護医療院に移行するため、複数の施設が準備を進めているところでございます。

○浜中委員 今ご答弁ありました介護医療院は、今後増加し続けるであろう長期療養を必要とする要介護者を支える重要な施設となっていくと感じております。都においては、介護医療院のような医療と介護の両方のニーズに応えることができる施設の整備がより一層必要であると考えます。
 そこで、介護医療院整備に対する今後の都の支援策についてお伺いをいたします。

○花本高齢者施策推進部長 高齢化、独居化が進む中、医療の必要度が高い要介護者の生活の場の整備は急務であることから、令和六年度から新たに介護医療院整備費補助事業を開始し、介護医療院の創設や改築、大規模改修費用などを支援いたします。
 例えば、ユニット型の介護医療院を創設する場合、一床当たり五百万円に建築価格の高騰等に対応する加算額四百十八万円を加えた九百十八万円補助いたします。
 また、長期の入所を前提として、入所者の生活環境の改善を目的として行う内部改修工事や老朽改修工事などの大規模改修に対しては、最大一億五千七百五十三万円の二分の一を補助いたします。
 これらの支援策により、医療と介護の両方を必要とする方が安心して生活できる場の確保に取り組んでまいります。

○浜中委員 ありがとうございました。介護医療院も、これは本当に必要な施設でございますので、ぜひ着実に整備の方を支援していただきたいというふうに思います。
 ただ一方で、特養とかでベッドが余っていたりとか、一部では余っている一部では余っていないとか、このミスマッチなんかもありますし、高齢者全体で限られた医療だとか介護のリソースを皆さんにどう割いていくかというのは、これは大きな課題だと思いますので、その辺の整理もこれからしっかり議論をして、目の前にいる皆さんのために取り組んでいっていただきたいというふうに思いまして、次の質問に移ります。
 次は、障害者分野についてであります。
 相談支援事業なんですけれども、相談支援事業者は、障害者や家族が抱える課題を把握して、家族の支援も含めて適切なサービスにつなげる等の対応を行うため、様々な機関と連携が必要であります。
 そのためには、市区町村において、相談支援の中核的な役割が求められる基幹相談支援センターの設置を進めることや、その機能を強化していくことが重要であると考えますが、都の取組についてお伺いをいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 基幹相談支援センターは、相談支援事業所等からの困難事例に関する相談への対応や地域の関係機関との連携強化の取組を行うなど、障害者の地域生活を支える相談支援体制の整備や充実のための重要な役割を担っております。
 都は、令和五年度から新たに相談支援体制整備事業を立ち上げ、その中で基幹相談支援センターが未設置となっている区市町村等にアドバイザーを派遣し、センターの設置を促すとともに、好事例の紹介や地域のネットワーク構築に向けた助言、調整など広域的な支援を行っております。

○浜中委員 この基幹相談支援センターは、あくまで市区町村がつくるものであるということだと思うんですけれども、東京都として、センターの設置促進を進めていることがよく分かりました。
 一方で、施設に入所している障害者や精神病院等に入院中の障害者が地域での生活に移行する際には、相談支援事業者が様々な関係機関等と障害福祉サービスの利用等に向けた事前調整が行われております。
 実際にサービスの利用につながらない場合は、これちょっとかわいそうで、報酬が払われない仕組みになっているんですよね。いわゆる成功報酬型になっています。つまり、相談が来て、いろいろコーディネートしてここまで行ったんだけど、体調が悪くなって駄目になっちゃったとか、そういう話だと相談されている事業者にお金が払われない、それでは事業者の努力が全く報われないことになってしまうと。
 こうした状況に対して、東京都として今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 都は来年度から、地域での受入先等の情報集約拠点である特定相談支援事業所や、障害者の地域移行、定着を促進する一般相談支援事業者が実施する地域移行に関する国の報酬算定外の業務に対して、区市町村を通じて財政支援を開始いたします。
 地域での生活を希望する障害者が、施設や精神科病院等からの移行が円滑に進み、より早い段階からの相談対応が行われるよう本取組を進めるとともに、報酬算定対象外の業務について、国に報酬の対象とするよう要望してまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 私たちも国にみんなで要望して、これおかしいですからね、都だけがやるとかっていう話じゃなくて、光が当たらなかった部分にしっかり光を当てていただいて、困っている障害者の方、またその家族の方をしっかり支援できる体制というのを組み立てていただきたいなというふうに思います。
 続きまして、今度は就労支援型の施設の話です。
 一般企業等で働くことが困難な障害者の就労の場である就労継続支援B型事業所において、障害者が生産活動により得られる工賃を向上させることは重要であります。
 そこで、改めて、就労継続支援B型事業所の概要と直近の工賃の実績についてお伺いをいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 就労継続支援B型事業所は、障害者総合支援法において、企業等に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難な障害者に対して、就労の機会の提供や、生産活動に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練や支援を行う場とされております。
 B型事業所におきまして利用者が行う生産活動としては、清掃の請負、印刷物の封入、封緘、自主製品の製作、販売などがあり、こうした生産活動から得られる事業収入から、事業に必要な経費を控除した額が工賃として利用者に支払われております。
 令和四年度における都内平均工賃月額の実績は一万六千三百二十円となっており、前年度実績の一万五千五百六十三円から七百五十七円、約四・九%の増加となっております。

○浜中委員 ただいまの答弁で、工賃が上昇していることは分かりました。しかしながら、B型事業所で働く障害者が地域で自立した生活を実現していくためには、事業所における工賃向上に向けた経営努力を促していくことも重要であります。
 そこで、今後さらなる工賃向上に取り組む事業者をどのように支援していくのかお伺いいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、来年度から新たに、就労継続支援B型事業所マネジメント事業を開始し、事業所が工賃向上を目指す上で抱える様々な課題について、事業所の状況に応じて自ら解決できるよう、伴走型支援を実施いたします。
 本事業では、個々の事業所における課題を抽出し解決に向けたプロセスを整理するとともに、課題等に応じ専門のアドバイザーを派遣することにより、事業所が工賃向上を目指す上で抱えている様々な課題を解決してまいります。
 また、本事業における好事例を発表する報告会を実施し、各事業所へノウハウを展開するとともに、報告会に合わせて販売会や商談会を開催するイベントを実施し、販路拡大につなげてまいります。

○浜中委員 ありがとうございました。
 就労支援のB型で働くと、法律で、対価に対してもらったお金を配分しなきゃいけないので、そこに公金を充てるということがなかなか難しいと。
 一方、物価高でございまして、価格転嫁がなかなかできないというような実態もあるかと思います。例えば印刷物の封入とかをするに当たっても、これ誰でもそうだと、どこの業者でもそうなんですけど、お客様に対して、これから値上がっちゃうのでお願いしますといって、ガソリンも関係ないのに何で値上がるんですかみたいなことをいわれて、もう全ての物価が上がっていますから、価格転嫁ができないと、なかなかこれもつらいでしょうし、どうやって販路を開拓していくかとかというのも、人もいなかったりとか分からなかったりとかというので、難しい実態があるかと思います。
 しかし、このマネジメント事業をしていただくことによって現場を見ていただいて、改善をしていただくというのは非常にいい取組だと思いますので、ぜひ着実に進めていっていただきたいというふうに思います。
 以上で私の質問を終わります。

○内山委員 本日、長時間の質疑が予定されておりますので、できるだけ私も簡潔に伺いたいなというふうに思います。
 主には大きく二つの相談所、または一時保護所についてお伺いをしたいなと思います。
 まずは児童相談所、また児童相談所の一時保護所についてお伺いをしたいと思います。
 先日の一般質問におきまして、台東区の女児虐待というか、殺害というか、本当に痛ましい事件を受けまして、これをしっかりと検証することも大事だけど、しっかりとここを、まずは早急にこの事案を各相談所で共有をして、できることを速やかにやっていくべきだという指摘をさせていただいて、もう既にそこはご対応いただいたということで、引き続きスピード感を持ってご対応いただきたいなというふうに思っております。
 また、メンタルヘルスの問題を抱える保護者の支援ということも極めて重要ですので、本日はそこは質問しませんが、引き続き一般質問でもご答弁いただきましたとおり、ご対応いただければと思います。
 一時保護所について、これまで私も二つの観点から質疑をさせていただいてまいりました。一つは定員の問題、もう一つは支援改善の問題です。
 支援改善といえば、福祉局の皆さんには少し耳が痛いかもしれませんが、以前は個別指導というものがありまして、私も都市伝説だと思っていた体育館を百周させるとか、辞書の書き写しをパーティションで仕切ってずうっとひたすらやらせるとか、私語厳禁とか、いろいろなことがありましたが、そういったことも支援改善という中で、第三者委員の活動報告だとか子供たちのアンケートだとか、様々なことをしながら、この間、かなり改善がされてきているのではないかなというふうに私も感じています。
 その一つの成果指標というのが子供たちのアンケートの調査結果だと思いますが、これはまだ年度末まで出てこないということでしたので、こちらもぜひ、効果測定の大事な指標の一つとして取り組んでいただきたいなと思っております。
 本日は、依然として高い入所状況が続いている一時保護所の定員についてお伺いをしたいなと思っています。
 こちらも、私、何度も質疑をさせていただいていると思いますが、区児相ができたことによって、都児相の一時保護所の定員状況だとか、また、どういう児童が入所してくるかということも、大分大きな変化が訪れているんではないかなと思います。
 区児相の定員がどんと増えたとしても、実際は都児相の状況が大きく改善されたかというと、そうでもないというふうに聞いておりまして、依然として定員の超過というのが常態化しているというふうに伺っています。
 今年度、葛飾の区児相ができたこともあって、さらに、都全体としては、一時保護所の定員というのは増えているというふうに思いますが、都と区の一時保護所を合わせた定員数は現在どのようになっているのか、また、都の児童相談所の入所状況につきましてもどのように影響があったのか、今後の取組状況も含めてお伺いをしたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 令和五年度の都一時保護所の定員は二百五十人、特別区一時保護所の定員は百六十七人でございまして、都内全体の定員は四百十七人となっております。
 都の一時保護所は定員を超える入所状況が続いておりまして、昨年度の入所率は一二二・五%と前年度より一〇%以上増加しております。
 高まる一時保護需要に対応するため、立川児童相談所跡地での保護所開設に向け準備を進めるなど、引き続き保護所の定員の拡充に取り組んでまいります。

○内山委員 この間、私も都議会議員として七年ぐらいですかね、当初からこういった質問、指摘をさせていただきながら、徐々に徐々に、一時保護所の定員というのは拡充をされてきているかなというふうに思います。
 一方で、とはいいながら、一気に増やしていくというのは難しいというのは、これもよくよく理解をしているところでありまして、そういった意味では、この一時保護に関しては、一時保護委託というものも積極的に活用していかなくてはならないんではないかなと思います。
 ただ、一時保護所の入所状況というのを聞くときに、なかなかこの一時保護委託が、じゃ、一体全体何件ぐらいあって−−要するに、もともと一時保護所の定員というのは二百名前後だったものが、今、二百五十ぐらいまで増えてきているんだけど、それだけじゃなくて、東京都としては一時保護委託というものも行っていながら、全体的にそういった対応をしているんだというふうに私は理解をしているんです。
 そこで、一時保護委託に対する都の見解と現在の一時保護委託の実施状況についてお伺いをしたいなと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 一時保護委託は、児童の一時保護の受皿としての役割を果たすとともに、通学の保障等、児童の地域における生活の連続性の確保や、それぞれの施設が持つ専門性の活用などの面で有効なものと考えております。
 年間の一時保護委託の人数は、令和四年度は一千四十九人でございまして、五年前、平成二十九年度の八百四十三人と比べまして増加しております。

○内山委員 ありがとうございます。
 都の一時保護所で定員が二百五十名で、これ日数とかを掛けるとちょっと難しくなりますけど、実際、人数として二千名前後ですか、弱ですかね、一時保護をされているということでしたから、一時保護委託で千人を超える、これも日数を掛けちゃうとまた複雑な計算式になりますけど、一時保護委託をされているということであれば、定員でいえば百名弱ぐらいの定員になるんじゃないかなと思います。
 こういった意味では、ぜひ、引き続き積極的に様々な形で、一時保護の受皿というものを増やしていただきたいなというふうに思います。
 その中で、多様な支援、または、その子供たちによっては適切な場所で行うというのは、かなり大切なのではないかなと思いますが、多様な保護先の確保に努めるべく、都の取組についてお伺いをしたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、児童養護施設や里親、婦人保護施設への一時保護委託など、一時保護の様々な受皿を確保しております。
 今年度は、児童福祉分野の知識や経験を有する事業者に委託をいたしまして、足立児童相談所の仮設一時保護所や民間の物件等を活用した保護児童の受入れを開始いたしました。
 来年度は、乳児院の空き定員を活用し、三歳以上の幼児の一時保護委託を受け入れられるよう、専任職員の配置に対する支援を開始いたします。

○内山委員 ありがとうございます。新規としては、乳児院の空き定員を活用して、三歳以上の幼児の一時保護委託を受け入れられるようにということでありました。
 乳幼児の一時保護需要というのは、学齢期以上に比べて少ないといわれていますけど、一方で、乳幼児を乳児院で預かることができれば、一時保護所の定員に余裕ができますので、そこで逼迫している学齢児だとか、それ以上の定員を受け入れることができると思いますので、ぜひこちらも積極的に進めていただきたいなというふうに思います。
 続きまして、今度は女性相談センターの方を、るるお伺いしたいなと思います。
 私もこれまで予算特別委員会や事務事業質疑におきまして、女性相談センターの様々な取組、大きく分けると相談体制の強化、もう一つが支援改善ですかね、支援内容についての改善の質疑、提案をさせていただいてまいりました。
 まずは、相談体制についてです。
 外部委託を導入するなど、電話の相談において、応答率の向上に努めるべきじゃないかということを質疑させていただいて、これが、相談件数も伸びているということは確認をさせていただきましたが、新法施行に向けて、さらなる相談体制の充実が必要であると思いますが、都の取組状況についてお伺いをしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 女性相談センターでは、休日や夜間の電話相談の体制強化を図るため、令和四年七月から外部委託を導入し、平日の受付時間を一時間延長して午後九時までとしたほか、休日の相談対応を開始しており、電話相談の件数は大幅に増加いたしました。
 来年度は、外部委託の電話相談員を増員し、夜間、休日の電話相談体制のさらなる拡充を図ります。また、誰もが相談しやすい体制とするため、SNSを活用した相談を開始いたします。
 こうした取組を通じまして相談体制の充実を図り、支援が必要な対象者の早期把握に努めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。回線数だとか、応答率だとか様々確認をさせていただいた当初から比べると、かなり相談体制の充実に努められて、今後もまた拡充をしていくということであります。
 しっかりと、まずは入り口の相談体制の強化というところを引き続き着実に進めていただきたいなと思います。今後、また細かな数字等も聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、婦人保護施設への直接入所についてでございます。
 二年前の予算特別委員会で、私もかなり力説をさせていただきましたが、児童相談所と一時保護所と児童養護施設みたいなものは、何となく、今虐待の問題もあって、かなりその関係性みたいなものが一般でも理解されてきているところでありますが、婦人保護施設と女性相談センターと女性相談センターの一時保護所というのは、なかなかこれは、私も当時、不勉強ながらぴんと来ないところがありまして、そういう中で児童相談所に当たるものが女性相談センター、そこに、両方とも一時保護所があるように、一時保護所があると。児童養護施設に当たるようなものが婦人保護施設、ちょっと乱暴にいうとこんなようなものになっているということでした。
 コロナ禍においても、また、様々な困難な状況にある女性が増えているという中においても、婦人保護施設の入所率が極めて低いという問題を二年前に指摘をさせていただいて、このボトルネックになっているのが、女性相談センターの一時保護所に直接入所をしないと婦人保護施設には措置されないという、ここの定員が三十名しかいない、子供を連れてくるとその子供も一にカウントされてしまうと。ここがボトルネックになっていて、なかなか婦人保護施設が活用されないんじゃないかという指摘をさせていただきました。
 昨年度から、一時保護所を経由しないで、例えば婦人保護施設に一時保護委託をした女性、これまでは一時保護委託しても、一回、一時保護所に戻してからでなきゃ入れなかったものを、そのままダイレクトに行けるようにという取組を試行し始めたということでありますが、本人の意向に合わせた柔軟な対応を行うために、これは速やかに本格実施にしていくべきだと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 令和四年度から、婦人保護施設に一時保護委託した女性が、女性相談センターの一時保護所を経由せずに直接施設に入所する取組を試行してございます。
 現在策定を進めております困難な問題を抱える女性への支援のための基本計画案には、直接施設に入所する取組の推進について明記しておりまして、来年度から本格実施いたします。

○内山委員 極めて重要な取組だと思います。初めは手探りの部分もあって、これをやるとなっても三週間、四週間かかってしまって、その間に女性の気持ちが変わってしまったり、不安定になってしまったりということも当初はあったというふうに聞いています。ぜひその辺りもしっかりとケアをしながら、本格実施に移行していっていただきたいなというふうに思います。
 最後は、我が会派の龍円あいり議員がかなり取り組んでいる困難女性支援計画におけるトランスジェンダーの女性の保護についてお伺いをしたいと思います。
 現在、東京都では、次期の困難な問題を抱える女性への支援のための基本計画の策定を進めていると聞いています。ちょうど本日まで意見公募をしているというところですが、この計画の策定に当たり、性自認が女性のトランスジェンダーの方々から、困難さを抱えているトランスジェンダー女性についても一時保護を可能にしてほしいという切実な要望をいただいているということでした。
 性的マイノリティーに関する有識者によると、LGBTQの中でも、特にトランスジェンダー女性を取り巻く状況は深刻だというふうにいわれています。トランスジェンダーとしての困難さに加えて、女性としての困難さも経験することから、ダブルマイノリティーと表現されることもあるそうです。
 そこで、三つの視点から、トランスジェンダー女性の困難さを紹介していきたいと思います。
 一つ目は、トランスジェンダー女性と仕事です。
 性的マイノリティーが働きやすい環境づくりに取り組んでいるNPO法人虹色ダイバーシティと国際基督教大学のジェンダー研究センターが共同で二〇二〇年に実施した調査では、非正規雇用率は、性的マイノリティーではない一般女性は二八%だったのに対して、トランスジェンダー女性は四一%だったそうです。参考までに、性的マイノリティーではない一般男性は一四%ということでした。
 二百万円以下の低収入の方の比率を見ると、一般女性だと一九%でございますが、トランスジェンダー女性は三五%です。また、一般男性は僅か四・七%でした。
 二つ目は、トランスジェンダー女性とメンタルヘルスです。
 GID、性同一性障害学会の理事長で、国立大学法人岡山大学病院ジェンダーセンターの中塚幹也教授が昨年発表した論文によりますと、岡山大学病院を受診していたトランスジェンダー女性約五百人のうち、自殺という能動的な行為で人生を終わらせようという考え方、自殺念慮を持っている方が六四%だったそうです。
 日本財団が二〇二一年に発表した自殺意識全国調査だと、一年以内に自殺念慮を持った女性は七・三%だったそうです。一般と比べると、トランスジェンダー女性のメンタルヘルスが厳しい状況にあることがうかがわれます。
 三つ目は、トランスジェンダー女性と性被害です。
 宝塚大学の日高庸晴教授が二〇一九年に行った性的マイノリティー当事者への大規模な調査では、トランスジェンダー女性の半分以上が性被害に遭った経験があるとのことでした。
 これらの調査から想像すると、トランスジェンダー女性はとても高い困難さを抱えている実態が見てとれると思います。
 東京都ではこれまで、トランスジェンダー女性からの相談は受けるものの、一時保護の対象とはしてきませんでした。しかし、トランスジェンダー女性が助けを求めている場合、その方が置かれている状況が非常に深刻であり、生命の存続さえも危ぶまれる窮地に追い込まれている可能性が高いと考えられます。
 今後、一時保護を必要としているトランスジェンダー女性についても、都として対応していくべきだと考えますが、都としてどのように対応していくのか伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 女性相談センターの一時保護所では、配偶者からの暴力被害等に遭った女性を保護しておりますが、性自認が女性のトランスジェンダーの方の保護については、現在対応できていない状況でございます。
 計画案では、性自認が女性のトランスジェンダーの方については、人権の尊重に努め、その状況や相談内容などを踏まえ、可能な支援を検討し対応していくこととしております。

○内山委員 ありがとうございます。トランスジェンダー女性については、これまで保護ができていない状況だったものの、次期計画では、可能な支援を検討した上で対応していくとの答弁でございました。
 現在の一時保護施設で対応が難しければ、トランスジェンダー女性についても保護できる施設の在り方を検討し、取組を進めていただくことを要望させていただき、私の質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

○斉藤委員 私も何問か質問しますが、今、内山理事が困難女性支援策についてお話しされましたので、それを先にいたします。
 困難な問題を抱える女性への支援計画について、三点質問したいと思います。
 本年四月、困難女性支援法が施行されますけれども、法律に基づき、都道府県には基本計画の策定が義務づけられておりまして、現在、都では、困難女性支援基本計画の年度内策定を目指していると伺っております。
 昨今、若年の女性が犯罪に巻き込まれるケースが報道で大変目にすることが多くなっておりますけれども、あらゆる視点で女性を守る施策の充実が喫緊の課題であると思います。
 そして、都が策定を目指すこの基本計画案では、五つの基本目標と今後の取組等から構成されておりますけれども、各局をまたぐ施策を俯瞰しながら計画の進捗状況を評価するなど、実効性のある計画としていく必要があると考えます。都の見解を求めます。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 困難な問題を抱える女性への支援のための基本計画の策定後は、新たに学識経験者や区市町村等から成る委員会を設置いたしまして、計画の進捗状況の評価を毎年行います。
 具体的には、女性支援の現状を示す直近のデータや今後の取組に関する指標の達成状況等を参考に、計画に掲載した施策の進捗状況を評価し、それぞれの取組について必要な見直しを行うこととしております。
 今後、困難な問題を抱える女性への支援の充実に向け、計画に掲げた施策を着実に推進してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 この基本計画案の柱の一つに、先ほども内山理事からありましたが、女性相談支援センターの体制強化が挙げられておりますが、女性相談センターは、四月から女性相談支援センターへと名称を変更することが提案されています。
 今日まで女性からのあらゆる相談に対応し、配偶者暴力相談支援センターの役割も果たしてきておりましたが、女性の様々な相談に対し、機動的に支援に結びつけていくための支援の中核ともいうべき役割を担っていく必要があると考えます。
 女性相談支援センターの体制強化について見解を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 女性相談センターは、本人の意向を尊重しながら最適な支援を実施するため、名称を四月から女性相談支援センターと改め、区市町村の相談員や民間団体等に対し助言を行う役割も担ってまいります。
 今年度は、女性相談センターに課長職の職員を増員するなど、人員体制を強化いたしました。
 来年度はさらに、経験のある婦人相談員を他の職員への助言も行う主任相談員として配置するほか、電話相談システムを導入し電話音声の自動文字起こしなどのマイニングを行うことで業務の効率化も図ります。さらに、相談方法も多様化するため、SNSを活用した相談を開始いたします。
 こうした取組によりまして、女性相談支援センターが困難な問題を抱える女性の自立を支援する中核機関としての役割を果たしてまいります。

○斉藤委員 困難女性の支援につきましては、民間団体の方々が先駆的に取組を進めておられますけれども、若年女性支援の活動をしているある団体の方からは、相談が急増している実態、また対応するマンパワーの確保等、効果的な支援を行っていく上で財政的に厳しい状況にあるとの課題のお話も伺ってまいりました。
 計画案では、民間団体等に対して幅広く調査、ヒアリングを行い、把握した意見も踏まえて計画を策定していくとされておりますけれども、こうした民間団体等との協働を推進し、民間団体の取組を強化できるよう支援を検討していくべきと考えますが、見解を求めます。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 東京では、配偶者からの暴力被害者や生活困窮者、特定妊婦等に対して多様な民間団体が支援を行っておりまして、困難な問題を抱える女性に最適な支援を提供するためには、民間団体と連携、協働していくことが重要でございます。
 今年度、女性相談センターに増員した職員は、民間団体との連携を担い、現在、個別ケースへの助言や心理相談支援などを行っております。
 都は来年度、都、区市町村、民間団体等で構成する支援調整会議を設置いたしまして、連携、協働をより一層推進してまいります。
 さらに、民間団体からの意見も踏まえ、女性相談センターが実施する研修に民間団体の職員を受け入れ、人材育成を支援してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございました。しっかりと支援していただきたいと思います。
 来年度、支援調整会議を設置するということでありまして、連携、協働を一層推進していくとのご答弁をいただきました。先駆的に支援に取り組んでいる民間団体等の現場の意見に十分に耳を傾けながら、施策に反映していく取組をお願いしたいと思います。
 続きまして、ひきこもり施策について質問したいと思います。
 都ではこれまで、都議会公明党が推進してきた、ひきこもり経験者や家族会も加わった東京都ひきこもりに係る支援協議会での議論を踏まえまして、ひきこもりに関する正しい理解の促進に向けた普及啓発などに取り組んできたことを評価します。
 かつての組織では、一部、青少年問題と矮小化していると批判されるようなこともあった都の施策ですけれども、ひきこもり施策は、非常に世代的にも多岐にまたがっております。福祉局に所管替えされており、全国模範の取組を展開されていると評価されていることも、ここで確認したいと思います。
 今般、都内在住の満十八歳以上の男女個人を対象に、ひきこもりに関する都民の意識や要望等を把握し、今後の施策に反映をさせるため世論調査を実施し、その結果が公表されております。
 そこで、初めに、今回のこの調査を実施した理由についてお伺いしたいと思います。

○中川生活福祉部長 都は、ひきこもりの当事者やその家族等への支援を一層推進するため、当事者団体や家族会、関係機関、区市町村等で構成する協議会を令和元年度に設置し、相談支援体制の充実を図るとともに、正しい理解の促進に向けた普及啓発を行ってまいりました。
 今回の世論調査は、これまでの取組を踏まえ、ひきこもりに対する都民の認知度や関心、要望等を把握し、今後の事業実施や普及啓発の参考とするために実施いたしました。

○斉藤委員 今回の世論調査は、これまでの取組を踏まえて、ひきこもりに対する都民の認知度や関心、要望等を把握して、今後の事業実施や普及啓発の参考とするために実施したというふうに理解します。ご答弁がありました。
 では、次に、この調査結果におけるポイントについて、概略をお話しいただきたいと思います。

○中川生活福祉部長 ひきこもりは誰にでも起こり得ると回答した方が七割を超え、甘えていると回答した方は約一五%、働かないことが問題と回答した方は約一四%でありました。
 最も多い相談先は家族であり、相談窓口の認知度は、約五割の方が知っている窓口、団体等はないと回答いたしました。
 行政への要望で最も多かった回答は、相談窓口の明確化でございました。

○斉藤委員 一般の方からのお声ということで、大変参考になる調査が行えたと思います。調査結果からも、これまでの取組の成果が一定程度あったというふうに思われます。分析、これからもっとしっかりしていかれると思いますが。
 一方、いまだに偏見を持っていると思われる人もいる状況も分かりました。こうした偏見を払拭するためにも、ひきこもりに係る正しい理解や窓口の周知をさらに充実していくことが必要であります。
 そこで、今回の調査結果も踏まえて、都民の理解促進をどのように進めていくのかを伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 ひきこもりは誰にでも起こり得る自分の身を守る反応の一つであり、引き続き正しい理解に向けて、インターネットやリーフレットのほか、新聞広告や交通広告など、多様な媒体を活用し効果的に普及啓発を図ってまいります。
 また、都は今年度から、都内各地でひきこもりに関する活動を行う団体と協定を締結し、当事者や家族への支援に連携して取り組んでおりまして、今後、これらの団体に関する情報発信を強化するなど、相談窓口の周知を一層推進してまいります。

○斉藤委員 この東京都の施策は、当事者や経験者、また家族会の方々のお声も反映されやすい協議体ができております。そういったことがありまして、様々な施策の実施が今後も期待されるわけですが、今回は世論調査を行うことによって、一回、自分たちの取り組んできたことの方向性を確認するとともに、啓発は常にすぐできることから始めていただきたいんですが、これから出てくる事業実施についても、しっかりとこちらも応援してまいりますけれども、進めていただきたいと思います。
 次に、介護について質問、お話ししたいと思いますが、さきの第一回定例会の都議会公明党の代表質問におきまして、報酬が大幅に切り下げられた訪問介護事業所への支援策について、その際、答弁も求めたわけですが、その中身について、少々詳しく質疑をしたいと思います。
 来年度の介護報酬改定では、施設系の基本報酬は増額となりましたが、訪問系は何と減額されるということになりました。減額になった理由を、いろんな説明の仕方があると思いますが、私がちょっと伺ったところによりますと、厚労省の年間事業調査で利益率が七・八%と高く、全サービスの平均値二・四%と比較して大幅に高いので、もうかっているというふうに見られている傾向があると思います。見かけ上、もうかっているように見えるということかもしれませんが、この減額の根拠は大変問題だと私は認識しております。
 利益率が高くなっているというのは見かけかもしれないのに、その数字だけ高いというものを捉まえて、実際は、ホームヘルパーの方々のお仕事というのはとても大変でして、人材確保ができていないというのは、先ほど理事からのお話もありました。
 人材が採用できずに、一人のヘルパーの業務量が増えている、要するに二人でやるところを一・五倍、一人がやっているみたいな状況もある現場なんですね。その一人を採用できないという状況の中で、人件費が執行できていないという状況のお金もそこにあるわけですが、人件費を支払っていない分、利益があるように見かけ見えているだけで切り込まれていくというのは、大変に納得のいかない今回の改定であると私は厳しく指摘をしていきたいと思います。結局それがさらに悪循環になっていくわけであります。
 公明党の国会議員が岸田総理にその見直しを求めたという国会での議論の様子を見ておりましたが、その際、総理からのご答弁は、処遇改善加算の手続を簡素化することで加算を取りやすくして収入増に結びつくように対応する旨、答弁ありました。これはぜひ進めていくべきでありますが、本体のところが切り込まれていくことに対する議論は全然深掘りされていない、現状は足りないというふうに認識しております。
 私は、介護報酬減額は、国が目指してきている地域包括ケアシステムの在宅サービスを支える要、その要である訪問介護を担う、特に小規模の方が多いんですが、小規模事業者を倒産の危機に追い込むようなものでありまして、都としての処遇改善加算の取得簡素化の周知、これは代表質問でもご答弁いただきましたし、また、取得手続の支援は当然必要だと考えます。
 訪問介護を担う訪問介護員は、人材の確保が非常に困難となっておりますけれども、その背景には、訪問介護を行うには資格が必要であり、事業者からすると、資格がない方や未経験者の雇用はハードルが高いということがあると事業者からお伺いしました。
 こうした方の雇用を来年度支援していくということで、訪問介護事業者を支援することにつながるというふうに思います。支援の内容を具体的に伺っておきたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、来年度新たに、介護事業者が介護職員初任者研修の未受講者など、訪問介護の未経験者を六か月以内の有期雇用契約で雇用し、働きながら介護職員初任者研修を受講することを支援した場合、雇用経費や資格取得経費などを補助いたします。
 また、多様な働き方ができる訪問介護の特性を生かすため、常勤職員だけでなく、短時間で働く職員も補助の対象といたします。
 小規模な事業者にも広く本事業を活用してもらえるよう、事業者向けに採用力向上セミナーや専門家による個別の採用相談を実施し、訪問介護事業者の職員採用を支援してまいります。

○斉藤委員 さらに、人材の確保が厳しい要因として挙げられているのが、若い人が訪問介護の仕事や介護そのものを身近に感じることや知る機会が少ないということが考えられるわけであります。
 訪問介護の仕事を知ってもらうことや、介護の仕事自体の魅力やメリットをアピールしていくことで、将来的に安定した人材確保にもつながると考えますが、来年度の都の取組を伺いたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 訪問介護は、利用者の自宅でサービスを提供するため、職場体験など仕事を体験できる機会が少なく、求職者が仕事の内容をイメージしづらいことから、訪問介護の仕事の内容や子育てとの両立がしやすく多様な働き方ができることなどの特徴を動画やリーフレットにより紹介いたします。
 また、介護の仕事自体を身近に感じてもらうため、介護の仕事の魅力を伝える動画を作成し、SNSや駅のデジタルサイネージなどで放映いたします。
 さらに、夢や趣味と介護の仕事を両立している職員を支援している事業所と連携し、多様な働き方ができることをPRすることで、介護業界全体をイメージアップする事業も実施いたします。
 今後、介護人材のさらなる確保に向け、介護の仕事の普及啓発や魅力発信に取り組んでまいります。

○斉藤委員 在宅療養を支える訪問介護事業者は、小規模のところが多いものですけれども、地域包括ケアシステムの構築の要が在宅療養にあるわけです。
 訪問介護ヘルパーの生活介護がしっかり入っているからこそ、それに連携する訪問看護師の方々の質の高い医療サービス提供というものも、これができるという声をいただいております。いわば、ヘルパーなくして看護なし、在宅療養でございます。
 国は、地域包括ケアシステムの構築を真剣に進める気があるのかと叫びたくなるわけですが、公明党の国会議員にもしっかりと国の財務省に、厚労省は一生懸命要求しているというふうに聞いていますけれども、財務省に訴えるように強く要望してまいりたいと思います。
 この看護と介護ですけれども、病気で急に入院して、そして、せっかく助かった命がどこでケアされるかということで、在宅でということを希望する、それが結局、最終的に、最期おうちで厳しい状況を家族でみとりたいというお声に応えるためにも、在宅療養って非常に重要なんですけれども、それとは裏腹に、施設に入ってもらった方がいいというような流れは、絶対に目指してきた方向と違うと思うんです。
 ですから、やっぱりこうやって在宅療養を支える方々の周辺については、しっかりとこれからも支えていくことが重要であると思います。事業所が人材確保のために、大変費用負担などもある分を都が肩代わりをしたり、一本化された加算制度を活用してもらうようにサポートすること、これもしっかりと並行させながら在宅療養を支えていきたいと思っております。
 次に、障害者施策について質問をしたいと思います。
 去る三月十四日の予算特別委員会総括質疑におきまして、都議会公明党の竹平ちはる都議が、障害当事者などが困り事への対処に係る情報が欲しいときに、チャットボットなどで速やかに回答を得られる仕組みを構築すべきと質問したのに対しまして、都からは、来年度、チャットボットを活用した情報発信をする事業を実施するという答弁がありました。
 障害当事者や家族が抱える就学、就労といった暮らしの中での課題に対しまして、相談するツールとして、多くの方が保有しているスマートフォン等を活用していくことは重要だと考えます。都の見解を求めます。

○鈴木障害者施策推進部長 都は来年度、視覚障害者や聴覚障害者を対象に、障害者が時間や場所に限らず必要な情報を入手できるよう、行政サービスの情報や日常生活の困り事を乗り越えるための工夫などをAIチャットボットにより入手できる事業を実施いたします。

○斉藤委員 デフリンピックの東京開催を来年に控えておりますけれども、まずは聴覚障害者から、日常生活の中で少しでも困り事を調べるストレスが減ったというお声が出てきたり、便利になったという声を寄せられるような取組をお願いしたいと思いますし、また、視覚障害者についても先行して進められると伺っております。
 私は先日、ダウン症のお子様を授かったお母様から、これは知的障害の話ですけれども、子供の発達に応じて、それぞれのステージでどのような行政サービスが受けられるかをワンストップで調べられるツールが欲しいとの要望がありました。
 各自治体は、自分の区の施策といろんなところを合わせてガイドブックにしているようなところもございます。そういったところはとても進んでいて、いいと思うんですが、こういったワンストップツールが欲しいというお声がよく寄せられます。
 私からは、その際に、児童発達支援センターにまずはつながってくださいねとお答えするんですけれども、そのときに職員のスキルのレベルが様々であるリスクがあります、人ですから。ですから、そういった職員のスキルレベルが様々な中で、心ない一言で心が折れてしまうということも避けたいわけです。あってはならないわけです。
 ダウン症の方は、遺伝子レベルの先天性の知的障害でございますので、将来どういうことが必要になってくるか、ある程度予想がつくわけです。ですから、まずは大変な状況から始まるんですけど、就学前、就学期、そして卒業した後に就労はどうしようかとか、自分が亡くなった後のグループホームはどうかとか、様々な先々のことも一気に抱えるような傾向がございますが、そういったチャットボットがあれば、例えば自分が聞きたいことを聞けば返してくれるわけですね、しかもAIが。人によって差が出るってことはないわけです。
 ですから、そういうような若いお父さんやお母さんたちが知りたいことを聞くと、すぐに答えてくれるようなチャットボットは、非常に知的障害の方向けにも待たれるところでございます。
 今後は、来年度からの実施状況を踏まえ、ダウン症など知的障害者などへの対象拡大も含めまして、より実践的な内容となるよう、ライフステージに合わせた分類や発信ができるよう検討し、障害者や家族の生活の質の向上に向け取り組んでいくことを強く要望しておきたいと思います。
 最後のテーマでございますが、最後は、福祉のまちづくりについて質問したいと思います。
 コロナ禍によって開催が一年延期となって、無観客大会となった東京二〇二〇大会ですが、東京二〇二〇大会の開催を契機として進められてきた様々な取組をレガシーとして、しっかりと今計画に盛り込み、継承していく必要があります。
 来年、二〇二五年には、世界の聴覚障害者のトップアスリートが多数東京に来日し、デフリンピック東京大会が開催されます。
 そうした中、都は今年度末までに、新たな東京都福祉のまちづくり推進計画を策定しておりますけれども、間もなく発表かもしれませんが、その概要やポイントについて伺いたいと思います。

○渋谷事業調整担当部長 東京都福祉のまちづくり推進計画は、東京都福祉のまちづくり条例に基づき策定しておりまして、福祉のまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本となる計画でございます。
 令和六年度からの新たな計画案は、これまでの東京二〇二〇大会を契機としたハード、ソフト両面からのバリアフリーの取組を踏まえるとともに、東京二〇二五デフリンピックも見据え、誰もが自由に移動し、必要な情報を入手しながら、あらゆる場所で活動に参加し、多様な人との違いを認め合い、共に楽しむことができる社会を目標としております。
 この計画案では、鉄道駅のバリアフリールートの複数化やホームドア整備の計画的な促進のほか、ユニバーサルコミュニケーション技術の社会への普及促進などについても盛り込んでおりまして、計画に基づき、福祉のまちづくりを一層推進してまいります。

○斉藤委員 今のご答弁にございましたが、ハードだけではなくて、ハード、ソフト両面から取り組んでいくという特徴が今回見られると思います。そして、来年度からは、鉄道駅のバリアフリールートの複数化、一か所できていればいいというんじゃなくて、これを複数化していく、そして、我が都議会公明党が政策公約にもしておりますけれども、ホームドア整備の計画的な促進、こういったことなどについて、しっかり取り組んでいくというお話でございました。
 このデフリンピックが二〇二五年に開催される中で、いわゆる情報保障が重要となってまいりますが、今後、福祉のまちづくりの観点から、情報バリアフリーをどう進めていくのかをお伺いしたいと思います。

○渋谷事業調整担当部長 都は来年度、デフリンピックを見据え、身近な地域における情報バリアフリーの取組を一層進めるため、誰もが円滑にコミュニケーションできる最新のデジタル技術の普及に取り組んでまいります。
 具体的には、音声を文字に変換して表示する透明のディスプレーで公共施設の窓口などで活用が見込まれる機器や、会場アナウンス等を同時に文字化して表示する機器等を導入する区市町村を支援してまいります。

○斉藤委員 大変に技術革新も進んでいるようでありまして、ディスプレーに表示する、要するにいろんなコミュニケーションツールがある中で、話したことが文字化される、聴覚障害の方にとっても非常にすばらしいコミュニケーションツールだと思います。
 先日、全日本ろうあ連盟の方ですとか、東京都の聴覚障害者の団体の方に伺ったんですが、普通の健常者と比べて、例えば耳が非常に不自由だ、聞こえにくいだとか、目が見えにくいだとか、そういう方々というのは、そういうことが分かって相手が一生懸命話しかけてきてくれたり、あるいはタッチしてくれて手を引いてくれたりすることがとてもうれしく感じるそうであります。
 自分たちからは決して、例えば手話ができなくても全然構わないんだと。しかし、実際の方というのは、やっぱり手話ができないとどうやってコミュニケーションをしていいか分からないから、ちゅうちょしてしまうことがあるんですが、そうしたまさにバリアを超えていく一つのツールとしても、ディスプレーに文字が表示されて、楽しく一緒に同じ空間で話ができるというのは、本当に即時性もあってすばらしいツールだと思います。
 葛飾の学校でもこういったものが、都立学校でも実装されているということでありますけれども、ここにある先進する区市町村を支援する、どんどんこういうことは競って、基礎自治体でも進めていくべきだと思いますが、この事業を進めるため、区市町村へどう働きかけていくかを伺いたいと思います。

○渋谷事業調整担当部長 今後、区市町村の連絡会等でユニバーサルコミュニケーション機器の導入効果を説明するとともに、先行して導入している自治体の活用事例も紹介するなど、区市町村による導入を働きかけてまいります。
 また、新たな機器の情報や効果的な実践例などについて、随時、区市町村に情報提供を行ってまいります。

○斉藤委員 二〇二五年のデフリンピック大会に向けては、ボランティアというか、やっぱり自分たちは手話ができないからどうかなという、そこを超えてですね、もう本当にボディーランゲージでもいいんだと。本当に待っている方々がおられますので、多くの都民がこの二〇二五年大会を目指して、各区市町村−−私は目黒区ですから、駒沢の競技場は会場にもなります、地元の議員などとも、首長ともしっかり連携を取って、機運醸成も図ってまいりたいと思います。
 質問は以上でございます。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、介護保険関連の議案について伺ってまいります。
 今回、多くの議案の改正に含まれているのが、施設等と医療機関の連携強化です。これまでも医療機関との連携はあったと思いますが、今回の改正で、特養ホームと医療機関の連携、例えば特養ホームでお話ししますけれども、どういうふうに強化されるのか、改正の目的、背景、その内容について、まず伺います。

○花本高齢者施策推進部長 高齢者施設においては、都の条例において、あらかじめ協力医療機関を定めることとしておりますが、協力医療機関が提供できる医療の内容と施設が求める医療の内容に乖離があるなどの実態を踏まえ、国の省令に準じて見直しを行うものでございます。
 実効性のある連携体制を構築するため、本年四月からは、協力医療機関との間で一年に一回以上、入所者の急変時等の対応を確認いたします。
 また、三年間の経過措置期間を設けた上で、常時、医師や看護職員による相談対応や診療を行う体制のある協力医療機関を確保することを義務化いたします。

○里吉委員 提供できる医療の内容と施設が求める医療の内容に乖離があるということです。
 審議会の議論を私も読みましたけれども、医療機関との連携の重要性は肯定する発言が続く一方で、医療機関側では二十四時間の相談、診療体制を確保するための職員配置等で新たな費用が発生する場合もあるとして、要件を満たす協力医療機関を確保すること自体が困難な介護施設もある、地域によっては対応できる医療機関がそもそも少ないなど、心配する声が様々出されていました。
 多くの関係者が、もともと医療機関との連携の重要性は感じているけれども、医療機関の負担などもあって、これが難しいわけです。したがいまして、施設側に義務を課したからといって、それだけで医療機関との連携が進むとは思えないわけです。
 こういったこともあって、議論の末、三年間の経過措置期間を取るということになったんだと思いますが、この連携を本当に進めていくためには、行政として何をするのかということが最も問われていることだと思います。
 協力医療機関を決めることが難しい施設などが出てくると思いますけれども、その際の対応は何があるのか、東京都として施設の相談を受けるなどの支援体制などあるのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 今回の改正で新たに要件となる常時の相談、診療体制について、現在の協力医療機関のみでは対応が難しい場合には、複数の協力医療機関を確保することにより、要件を満たすことも可能となっております。
 都は、施設から相談があった場合には、医療機関の情報を提供するなど対応いたします。

○里吉委員 病院を探すことが困難だという声が、心配がある一方で、やはり必要なときに緊急に対応してもらえる病院があるということは、その施設にいらっしゃる方、入居者の方にとっても家族にとっても本当に安心です。ですから、それはぜひ進めてほしいと思うわけです。
 先ほどの答弁で、都として施設からの相談があった場合には対応する、病院を紹介するなどしていただけるということでしたので、ぜひ丁寧に対応していただきたいと思います。
 同時に、相談対応だけで進むのかなというふうにも思うわけです。特養老人ホーム等と医療機関の連携強化を進めるためには、特養側が病院に入居者の健康状況を日常的に伝える、こういう連携も必要になってくると思いますし、病院側も相談体制を整える、そのために新たな職員配置が必要な場合も出てくると思います。
 新たな仕組みをつくるためには、業務量がどちらも増えると思われます、当然増えると思うんですね。介護と医療の報酬改定で一定の対応はされるというふうに読ませていただきましたけれども、それで十分なのかと。そもそも報酬全体が抑制されている中で、厳しい面もあるのではというふうに思います。新たな予算措置も含めて考える必要があるのではないかと私は思います。
 特養老人ホームの施設長さんにお話を伺いましたが、三年間の猶予があっても、決めることが難しい施設、決められない施設も多分出てくるんじゃないか、こういうふうにおっしゃっていました。
 そこで確認しますけれども、三年間の猶予の間に協力医療機関が決まらない場合、その場合はどうなるのか、ペナルティーなどがあるのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 経過措置終了後の措置については未定でございます。
 本条例改正は、国の基準省令改正に準じて行っており、国の動向を踏まえて対応いたします。

○里吉委員 経過措置終了後については決まっていないということです。
 国の方でも考えていただかなければいけないと思いますけれども、くれぐれも真面目に運営している施設が続けられなくなる、こんなことになれば本末転倒ですから、そうならないように、必要な声は東京都としてもぜひ上げていただきたいと思いますし、都としてできる対応をお願いしたいと思います。
 次に、管理者の兼務について伺ってまいります。
 今回の条例改正案では、指定居宅サービス、それから指定介護予防サービス、指定介護老人福祉施設に関わる条例改正案の本文に、管理者の兼務についての改正が示されています。
 また、軽費老人ホームや介護老人福祉施設、介護医療院は、条例の本文にはありませんけれども、規則で同様の改正が予定されているというふうに思います。
 まず、それぞれの施設、事業所で、管理者というのはどのような役割を果たしている者なのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 国の通知では、介護保険施設、事業所の管理者の役割は、当該施設の従業者の管理及びサービスの実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該介護保険施設、事業所の従業者に運営基準を遵守させるための必要な指揮命令を行うこととされております。

○里吉委員 事業所の従業者の管理やサービスの実施状況の把握その他の管理を一元的に行うと。それから、事業所などの従業者に運営基準を遵守させるための必要な指揮命令というお答えでした。この答えだけですと、なかなか分かりにくいんですけれども、実際、事業所ごとに様々な仕事があると思うんですね、責任者ですから。
 今回の条例改正では、この管理者について、管理上支障がない場合は、同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるという文言から、同一敷地内にあるという言葉が削除されました。
 管理上支障がない場合というのは大前提ですが、今までは管理者が兼務する場合に、同一敷地内ということに限定されていたわけです。でも、これが条例の文言から削除されたわけですから、同一敷地外にある施設などもできるようになるんじゃないかということなんです。
 それで、改めて伺いますけれども、今までは同一敷地内に限定されていたので、同一敷地外にある施設などは管理者の兼務ができなかったという理解でいいのか確認します。

○花本高齢者施策推進部長 同一敷地外の場合は、都の条例規定により、サテライトの地域密着型介護老人福祉施設との兼務が可能でございました。

○里吉委員 今、サテライトの場合は兼務が可能だったというご答弁でしたけれども、もう一度確認しますけれども、それ以外は兼務ができなかったという理解でよろしいでしょうか、確認します。

○花本高齢者施策推進部長 そのとおりでございます。

○里吉委員 それ以外は、現状、兼務できないわけですよね。条例、今これから改正されようとしているわけですけれども、現在は同一敷地内という限定がついた上で、管理上支障がない場合に限り兼務が認められていた、その限定条件もなくなるということです。
 昨年十一月に開催された社会保障審議会介護給付費分科会議事録を私も読みましたけれども、人員が足りていない状況で管理者が様々行うべき業務以外にも、誰が行うかはっきりしない仕事がなされないままになる、いわゆるポテンヒットを防ぐ役割も果たしているとか、書類業務の時間の確保に苦慮している、こうした状態が悪化しないかといった心配の声が出されていました。
 そこで伺いますが、管理上支障がない場合かどうかを判断するのは、個々の判断に任されているということでよろしいんでしょうか。どういうふうに決められているのか、内容について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 管理上支障がない場合というのは、国の通知案では、他の事業所、施設等の管理者または従業者としての職務に従事する時間帯も、当該施設、事業所の利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員及び業務の一元的な管理、指揮命令に支障がないときとされております。

○里吉委員 今、国が示している内容をご答弁いただいたと思うんですが、これですと抽象的で、介護の質の明確な担保になるのか大変疑問です。
 介護の現場は本当に厳しい状況ですから、管理者の兼務ができれば、兼務することができれば、その分経営が助かるんじゃないか、こういう声も出てくるかもしれません。ぎりぎりで経営している中で、管理者の兼務ができないかと考えることも出てくるかもしれません。そうすると、一人、人件費が浮くわけですから。
 しかし、介護の現場の経営というのは、その厳しさを、そういう規制緩和、大事な管理者を兼務するという形で解決するというのは、やっぱり違うんじゃないかと思うんです。審議会でも、十分な人員を配置できる措置を行うこと、管理者がしっかり現場を見ていくことで職員が安心して働ける、こういった意見も出されていました。
 管理者の兼務について要件を緩和する条例改正には賛成できません。このことを申し上げておきます。
 次に、離島、過疎地における職員配置基準の変更について伺います。
 指定介護老人福祉施設の基準改正案の第四条で、規則で定める指定介護老人福祉施設等にあっては、ここですね、等という言葉が書き加わりました。
 これはどのような変更なのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 今回の省令改正において、島しょ地域などで指定介護老人福祉施設−−これは定員三十人の小規模特養でございますが、これに併設する指定短期入所生活介護事業所等の事業所の職員配置基準の緩和が行われ、指定介護老人福祉施設の規定に盛り込まれたものでございます。
 ご質問の改正箇所は、この省令改正に準じて都条例を改正し、等というのを追加したものでございます。

○里吉委員 職員配置基準の緩和だということで、具体的な中身のご答弁がありませんでした。
 私、こういう中身だと確認しているので、部長さんに確認させていただきたいんですけれども、定員三十名以外の特養ホームに併設するショートステイの医師、デイサービス、ショートステイ、認知症高齢者グループホーム等の生活相談員、栄養士または機能訓練指導員、居宅介護事業所のケアマネジメント、これらは特養ホームの職員が適切に対応する場合は置かなくてもよいとするものというふうに私は理解しているんですが、これでよいか確認します。

○花本高齢者施策推進部長 入所定員三十人が限定ですけれども、三十人の特養の配置基準の緩和ということで、今、議員がおっしゃったとおりでございます。

○里吉委員 今、そういう対象となるような施設はないということもお伺いしているんですけれども、介護現場の厳しさを解消するために職員配置基準を緩和する、こういう流れじゃないかなというふうに思うんです。ですから、こういうことが認められれば、どんどん体制が弱くなって、ますます介護現場で働くことが大変になっていくと思います。
 今やらなければいけないことは、こうした厳しい状況を改善するために、介護現場の職員を増やしても運営していけるような制度の改善です。職員配置基準の緩和はすべきではないということも訴えておきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 次は、学童クラブ事業について伺います。
 現在、都内の学童待機児は、昨年五月一日時点で三千五百二十四名となっています。また、一つの学童の規模が百名以上いたり、スペースが足りない、様々な課題もあります。
 保育待機児を解消するために、東京都で保育園をどんどん増やしましたが、こういうペースで、現在、学童保育が増えていない原因を東京都はどのように分析しているのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、令和二年度に策定いたしました第二期子供・子育て支援総合計画におきまして、令和六年度末までに登録児童数を一万六千人増やすことを目標にしておりましたが、令和四年度末で達成をしております。
 このため、昨年度策定いたしました同計画の中間見直しにおきまして、登録児童数の目標を九千人分引き上げております。

○里吉委員 都としては、来年度までの目標を前倒しで達成した、目標は引き上げているということでした。しかし、待機児童の解消はできていませんので、分析、検証が必要だと思います。同時に、量とともに質の向上を進めることが重要です。
 そこで、来年度、認証学童クラブ制度創設に向けた検討会を行うと東京都はしておりますけれども、この検討会設置の目的は認証学童クラブ制度の創設とのことですが、具体的には、待機児童の解消が、解決が目的ということなんでしょうか、伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 学童クラブの充実に向け、認証学童クラブの創設を検討してまいります。

○里吉委員 学童クラブの充実ということでした。
 確認したいんですけれども、つまり、待機児童の解消だけでなく、学童クラブの充実、質の拡充も含めて検討していくということでよろしいでしょうか、確認します。

○西尾子供・子育て支援部長 学童クラブの充実に向けて、認証学童クラブの創設を検討してまいるところでございます。

○里吉委員 今、説明文も、局の方にいただいたものも、質の高いサービスを保障というふうにありましたから、量だけで、学童クラブの待機児童を解消するだけじゃなくて、質の向上も目指すんだということだというふうに思います。
 この検討会ですけれども、伺いたいのはメンバーです。
 どのようなメンバーを入れる予定なのか。学童を運営している中心の自治体の代表ですとか、学童保育で働く職員、保護者の代表などは入れる予定があるのか、また、当事者である子供の意見も聞くべきだと思いますが、いかがでしょうか、併せて伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は来年度、学童クラブの認証制度の創設に向け、保護者や事業者などから意見を聞くとともに、学校や区市町村などが参画いたします検討会を立ち上げ、具体的な内容を検討することとしております。
 また、保護者や子供のニーズを把握し、具体的な内容を検討してまいります。

○里吉委員 様々な意見を聞いて、具体的な内容を検討するということですけれども、今、検討会の参加者として明言されたのは、学校と区市町村だけでした。まだ未定なのかもしれませんけれども、当事者である子供や保護者、それから、長年実践を積み重ねてきた学童保育の関係者の皆さんが参加できるように、ぜひしていただきたいと思います。
 また、子供については、子供のニーズを把握しということでご答弁ありましたけれども、意見表明権を踏まえ、直接意見を出せることが必要ですので、ぜひ確実に行われるように、これは求めておきたいと思います。
 同時に大切なことは、ゼロから議論を始めるのではなくて、学童保育については、これまで積み重ねられてきた知見を踏まえることだと思います。特に重要なことは、学童保育は生活の場だということです。学童保育で何より大切なことは、何か特別なことをするというより、学校から家に帰るように学童に帰ってきて、ゆっくり休んだり、宿題をしたり、遊んだり、家庭のように過ごす場だということなんです。
 すごく昔のことですけれども、私も学童に通っていました。学校で嫌なことがあっても指導員さんに話を聞いてもらったり、また、異年齢で過ごすことで、学校とは違った友人関係をつくることができました。これは私にとって本当に学童の魅力でした。
 何よりも毎日の生活なんですね、学童での生活が。この毎日の生活が安心して過ごせるものであることが大切です。その中でこそ、情緒の安定や生活する力、他者と関わる力が育つことにもつながると思います。
 改めて、学童保育の生活の場としての重要性をどう認識しているのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 国の運営指針では、放課後児童クラブにおける育成支援は、子供が安心して過ごせる生活の場としてふさわしい環境を整えるものと規定されております。

○里吉委員 国も生活の場として明確に規定しているということです。生活の場として充実させることが重要であり、そのためには、ゆとりのある広さの部屋の確保、職員の十分な配置が不可欠です。
 そして、活動内容についてです。福祉局の事業説明の文書を見ますと、活動内容についても、今回、調査検討テーマに上がっています。
 そこで伺いますが、放課後児童クラブ運営指針は、学童保育の活動内容に関する重要な指針だと思いますが、いかがでしょうか、確認します。

○西尾子供・子育て支援部長 国の放課後児童クラブ運営指針は、設備運営基準に基づき、放課後児童健全育成事業を行う場所における子供の健全な育成と遊び及び生活の支援の内容に関する事項や、これに関する事項を規定しております。

○里吉委員 重要な指針だと思うがどうかという質問でしたけれども、中身を答えていただきました。重要だという認識だというふうに受け止めます。
 放課後児童クラブ運営指針は、放課後児童健全育成事業の目的、ここに書いてありますが、適切な遊び及び生活の場を与え、子供の状況や発達段階を踏まえながら、その健全な育成を図ることと定めています。その支援の内容に関する事項やそれに関連する事項も決めています。
 この指針は、学童保育の関係者もこれに沿って行われるようにするべきですし、そういうものとして学童保育関係者も評価しているものです。ですから、この指針に沿った内容で検討することが大切です。
 特別なプログラムのようなものの検討が求められているわけではなくて、この放課後児童クラブ運営指針に沿って豊かな活動ができるように、どのような条件整備が必要かということを考えることこそ大事です。そうした立場に立つことを改めて求めておきたいと思います。
 次に、調査について伺います。
 東京都は毎年、東京の学童クラブ事業実施状況、これで都内の学童の調査を行っていますが、来年度は認証学童の創設に向けてどのような調査を行うのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は来年度、学童クラブの認証制度の創設に向け、保護者や子供のニーズを把握し、事業者にも意見を聞きながら、職員配置や活動プログラムなど具体的な内容を検討してまいります。

○里吉委員 今の答弁を聞くと、まだ具体的にどのような調査をするか分からない、検討中ということかなというふうに思います。
 現在の学童クラブ事業は、本当、自治体ごとにその取組が様々違うんです。公設公営、公設民営、民設民営など運営形態も様々です。待機児がいることも問題ですが、待機児がゼロでも、職員配置や保育の内容に課題を抱えている自治体もあります。それぞれ抱えている課題は違いますので、ぜひ丁寧に状況をつかんでほしいと思います。
 それから、職員の配置と併せて、職員の処遇、正規職員、非常勤、アルバイトなどの割合や、それぞれの処遇なども調査対象とすることが重要だと思いますが、これ検討しているかどうかだけお答えいただけますか。

○西尾子供・子育て支援部長 検討内容には職員配置なども含まれております。

○里吉委員 いろいろな職員配置があるので、職員の処遇の低さも学童保育制度で改善が必要な課題ですので、ぜひ調査していただきたいと思います。
 処遇の低さの原因の一つに、指導員の仕事が正しく理解されてこなかったことがあると思います。
 そこで確認なんですが、子供がいない時間帯に行う業務も学童保育職員の重要な仕事だと思いますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 運営指針では、放課後児童支援員等の勤務時間については、子供の受入れ準備や打合せ、育成支援の記録作成等、開所時間の前後に必要となる時間を前提として設定されることが求められると規定されております。

○里吉委員 子供たちのいない時間の勤務も必要だということなんですね、確認させていただきました。
 そうであれば、職員は常勤での配置が必要ですが、かつて国が積算する人件費の補助単価は、平日六時間勤務の非常勤職員で賃金を計算されていたわけです。最近では国も処遇改善を少しずつ進めていますけれども、いまだに不十分なのが現状です。学童保育の職員が行っている重要な仕事を正当に評価して、処遇を改善するという視点が重要だということを強調しておきたいと思います。
 また、従来から一定の基準を満たした学童保育に対して、都が補助を行ってきた事業として、都型学童クラブがあります。面積や職員の配置についての基準を定めていることは、よいことだと思います。
 問題は、公設公営の施設が対象になっていないことなんです。そのため、公設公営の学童の充実にはつながりません。民営化を促進することにもなってしまいます。
 民間参入を促進するということが、都による認証学童クラブの事業の説明でも示されていますが、民間の学童を否定するわけではありませんけれども、公設公営の学童も含めて支援を行うことが重要だと、そうした立場で学童保育の充実を進めることを求めます。
 子供たちが放課後や休みの日に生活の場として安心して過ごせる学童保育の充実は、働く親にとっても切実な願いです。大規模施設の解消や、そのための施設の確保への支援、指導員への処遇改善などが必要です。学童保育の拡充のために区市町村の行う公設公営学童への支援も含めて、今までの枠を超えた支援も改めて求めて、この質問を終わりたいと思います。
 最後に、三宅村の特養ホームについて質問を行います。
 資料を配らせていただきます。三宅村特養老人ホームあじさいの里の建設、建て替え、改修の対応について伺います。
 ここは、三宅村で唯一の特養老人ホームなんですね、あじさいの里。ここの建て替え問題があるということで見に来てほしいということで、日本共産党都議団を代表して、私と原のり子都議は、今年一月に、三宅村の特養老人ホームあじさいの里を視察してまいりました。
 ちょっとこれ、建物の全容の写真を持ってこなかったんですけれども、ご覧ください。(パネルを示す)これは、ここが屋根ですね。屋根の部分がもう剥がれ落ちています。外壁も、建物内部にも亀裂ができているんです。これが建物内部です。建物内部とそれから外ですね、鉄筋が出ています。
 それから、ちょっと分かりにくいんですけれども、これ天井なんですね。天井についているエアコンが、天井と一緒にずり落ちてきているんです。ここ、差があるのが分かりますか。天井からエアコンが天井と一緒に落ちてきそうな感じなんですね。こういう状況を見に来てくれということで見てまいりました。本当にちょっと、大変危険な状況だというふうに思いました。これ、撤去が必要な古いエアコンもお金がなくて撤去できないなど、事業者も大変困っています。
 三宅にはここしか特養ホームありませんから、ここに代わる施設はないんです。それで、前回の大規模改修で外壁を直したんです。しかし、実際には金額が足りず、今見ていただいたような状況がまだ残っているということです。エアコンの更新もしたそうですが、古いエアコンの撤去費用までは用意できなかったというお話でした。
 そこで伺いたいんですが、特養老人ホームあじさいの里に適用される都の大規模改修修繕補助制度とはどのような制度で、このあじさいの里の活用実績はどうなっているのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 老人福祉施設整備費補助事業における大規模改修費補助については、既存施設の躯体工事に及ばない浴室、食堂等の改修工事や、外壁、屋上等の防水工事等を対象としており、令和元年度時点の補助上限額は五千万円でございます。
 島しょ地域においては、施設の整備を促進するため、島しょ工事指数一・四五を適用しており、補助上限額は七千二百五十万円となっております。
 ご質問のあじさいの里への補助実績でございますが、上限額である七千二百五十万円の補助を行っております。

○里吉委員 令和元年度に補助限度額いっぱい使ったんですけれども、こういう状態が残っているということです。
 今回視察しました鉄筋がさびて剥がれた外壁も、壁が剥がれてきた建物内部や天井に取り付けられたエアコンも見ましたけれども、少なくとももう一度、大きな改修が必要だと思いますが、施設の方からは補助がなくて困っていると伺いました。
 なぜ新たな大規模改修ができないのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 補助金を活用して整備した場合は、経済的価値として効用が増加したものとして扱い、十年以内の改修、解体の場合には財産処分の返納が求められる場合があるため、大規模改修費補助については、工事竣工後十年を経過した施設を対象としております。
 あじさいの里は、都の補助を受けて実施した大規模改修による工事竣工後の経過年数が、令和五年度末で四年のため、施設の一部改修に関わる大規模改修については、現時点で補助対象とはなっておりません。

○里吉委員 これ、壊れているところだけ写しているんですけど、この反対側はすごくきれいになっているんですよ。だから令和四年にここまではきれいにしたんです。しかし、その先が直せないと。
 特養老人ホームですから、そこに暮らす人がいます。改修の必要性が、絶対必要だと思えば、何らかの対応をぜひ柔軟にしていただきたいと思うんですけれども、都としての対応、何か検討されているのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 施設からは、今現在、運営に支障を来しているという事実はないが、村と今後の改修等について相談をしていると聞いております。また、村からも必要な工事を適切なタイミングで支援していくと聞いております。
 都は、村に対して補助制度等に関する情報を提供するとともに、村としての検討の方向性等の情報共有もしております。

○里吉委員 東京都として、施設からも村からも聞き取りをしていただいたということで、本当によかったと思います。ありがとうございました。
 でも、現在、運営に支障はないということですが、いつ深刻な事態が起きてもおかしくない状態なんです。今使えない部屋があるのかといわれれば、そういうことではないですが、天井のエアコンが天井ごと落ちてくるのではないかという心配もありますし、塩害で鉄骨がさびているんですが、中のさびがどこまで進んでいるか分かりません。
 また、壁の中に雨水が入ったのか、壁の膨らんでいるところを押すと、ぷよぷよするんです。こういう状況で、外の屋根も落下するおそれがあります。入居者と職員の皆さんの安全に関わる問題ですので、ぜひ早急に対応していただきたいんです。
 さらに、根本的には、移転建て替えが必要ではないかと思います。特に三宅島という地理的な課題、塩害があるんです。ここは建設されて六、七年使用したところで噴火があって、全島避難となって、火山性ガスの影響もあります。特にここの場所は、海からの風をまともに受けるため、見晴らしは大変いいんですけれども、本当にもう、すごい塩が降り注いできちゃうわけです。なので、別の場所への建て替えも求められています。
 伺いますが、建て替えについての補助制度はどのようになっているでしょうか。あじさいの里で建て替えの補助制度は使えるのかどうか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 既存施設を取り壊して改築整備を行う工事を対象とする改築整備費補助は、都の補助協議で提出を求めている老朽度調査票で、至急改築を実施すべきであるとの評価に該当する老朽度B以上となった施設が対象となります。
 補助額は、例えば従来型の個室の場合には、一床当たり五百四十万円に来年度は物価調整額四百五十二万円が加算され、さらに島しょ地域においては、一・二五から一・九〇の島しょ工事費指数も適用されることになっております。

○里吉委員 至急改築を実施すべきであるとの評価に該当すれば、補助対象ということです。私、素人目に見て、至急改築を実施すべきであるところではないかと思うんですけれども、これは調べてみないと分からないということです。
 村も、改築も含めて、実は新たな場所も検討しているというふうに伺っております。ぜひ村とも情報を共有しながら改築が進むよう、また、改築が進むとしても、それが終わるまで引っ越さないで今の建物に残っていなきゃいけないわけですから、現在の建物の応急対応も含めて取り組まなければいけませんので、そのことも含めて、都としても、村や施設と連携して、ぜひ取り組んでいただきたいと、ここで重大な事故が起きないように対応していただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 この際、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時二十分開議

○あかねがくぼ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○鈴木委員 まず、私からは、〇一八サポートについてお伺いをしたいと思います。
 来年度の予算で、〇一八サポート事業の継続実施が盛り込まれたことは評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 加えて、都は来年度予算案で、公立学校の給食費負担軽減のための財政支援や私立中高の授業料の実質無償化など、様々な子育て支援策を追加して、子育て支援を充実させているわけでございます。
 日本の公的支出は、他の先進国対比、高齢者に厚く子育て世帯に薄いという指摘が度々なされてきておりますので、私は子育て支援を充実していくということ自体には賛成でございます。
 ただ、こういった今の我々の子育て支援策が少子化対策として位置づけられていることに強い疑問を感じています。福祉局の皆様を前に釈迦に説法だと思うんですけれども、多くの識者から、子育て支援策は少子化対策にはあまりならないという指摘は多くなされているかというふうに思います。日本の少子化の原因のほとんどは非婚化で説明できるというのが、今の多いオピニオンではないかなというふうに認識をしております。
 ご存じない方もいらっしゃるかと思うので、くどいかもしれないんですけど、ちょっと簡単に私の方で説明させていただくと、分かりやすい例でいうと、ニッセイ基礎研究所がホームページで公開されている天野馨南子さんという人口動態シニアリサーチャー、日本の人口減を正しく読み解く、合計特殊出生率への誤解が招く止まらぬ少子化というレポートがあるんです。
 これ非常に分かりやすいので、この数字を使ってちょっと説明をしたいと思うんですけど、一九七〇年と二〇二一年を比べると、同じ人口当たりの子供が生まれる数って半減しちゃっているわけです。同じ人口で半分しか生まれなくなっているので、これはまずいんじゃないかと今大騒ぎしているのが日本の状況。
 ただ、気をつけないといけないのは、子育てが大変だからだ、それを支援すればいいんだという意見をおっしゃる方がいらっしゃるんですけど、実は、既に結婚されている方々が産む子供の数というのはあんまり減っていないんです。既に結婚されている方々から生まれる子供の数というのは、一九七〇年から二〇二一年までの五十年の間で一四%減っているだけなんです。結婚されている方はあんまり子供を産む数、変わっていない。
 じゃあ、何でこんなに子供が半減しちゃっているのというと、簡単にいうと結婚しなくなっているんです。この五十年間で結婚される方の比率が四〇%減少してしまっている。日本は婚外子が非常に少ないですから、日本の少子化の原因は、ほぼこの結婚しないという現象で説明ができるんだというのが最近の学問的、科学的な分析なのかなというふうに理解をしているところです。
 私から見ると、東京都は、少子化待ったなしとかって威勢はいいんですけど、やっていることはいまだに、何というか昔の子育て支援ばかりにお金を投じようとしているのかなというところで、本来の少子化対策にちゃんと目が向けられていないんじゃないかというふうに危惧をしているところでございます。
 そこで、ご質問をさせていただきたいんですけど、東京都は、こういった〇一八サポートをはじめとする子育て支援策と少子化問題をどういうロジックでつなげていらっしゃるのか。何か東京独自の、日本全体はそうなんだけど、東京独自はこんな事情があるんですよとか、そういう分析があるんでしたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 少子化の要因は複合的でございまして、都は、ニーズや課題に応じて様々な対策を講じております。
 〇一八サポートはその一環として実施しておりまして、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を支給するものでございます。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 都は、ニーズや課題に応じて様々な対策を講じていらっしゃるとおっしゃるんですけど、私はそう思えない。非婚化の問題こそ少子化対策というのであれば、一番リソースを割くべきであって、そこの議論がおざなりになっているんじゃないかというふうに危惧を感じているところでございます。
 続いて、〇一八サポートの今後について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 さきの一般質問の場で、我が会派の藤井議員から指摘をさせていただいたんですけれども、本来、福祉というのは、一律で現金を配布することではないんじゃないかと。一律でお金をばらまいてしまうと、もちろん至急対応しなければいけない場合はそういう方法もあっていいとは思うんですけれども、一律で現金を配布すると、公の助けを必要としない人々にもお金が配られてしまうという欠点があるというふうに認識をしています。
 私たちは、福祉とは、必要なサービスを必要な範囲で過不足なく、正規の職員がお届けすべきものだというふうに考えています。今、様々な対策で、子育て支援策については、〇一八以外でも充実をしていただいているわけでございまして、〇一八サポート事業自体は、若干役割を終えつつあるのではないかなというふうに感じるところもございます。
 今後、例えば学校給食を半額支援ではなくて全額支援にするなど、よりよい子育て支援策を充実していくことと併せて、どっかのタイミングで〇一八サポート事業を終了させることを考えてもいいんじゃないかと思うんですけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、先ほども申し上げたとおり、少子化対策の一環として〇一八サポートを実施し、社会全体で子育てを応援するというメッセージを発信してまいりました。このメッセージをさらに定着させていくため、来年度も継続して実施いたします。
 今後とも、子供と家庭を支えるため、国の動向などを踏まえながら、必要な施策に取り組んでまいりたいと思います。

○鈴木委員 少子化対策をしっかりやっていっていただきたいなというふうに思っています。出生率を上げるということに東京都がこだわるのであれば、子育て支援も重要なんですけれども、何で今、若い人たちが結婚しなくなっているのか、東京都の非婚化の問題、そういったところをもっと掘り下げていっていただきたいなと。広がる経済の格差の問題や非正規雇用の問題にもっと切り込んでいっていただきたいなというふうに考えているところでございます。
 ただ一方で、私個人的にいって、政策的に人為的に出生率を上げることって、現実的に可能なのかなというふうに最近感じるところも正直ございます。いろんな国が対策を講じておりますけれども、詳細に研究すると、実はなかなか思ったような効果が出ていない。
 私、今回、これからいろんな質問をさせていただくんですけど、通底しているテーマがありまして、それは、もう出生率を政策で上げるというのは難しいと。それよりも、今生まれている方々でなかなか活躍できていない方々にもっとサポートの手を差し伸べて、そういった方々が、少子化でマンパワーが減っていく中で、社会を支える側に回っていっていただくという政策をやることの方が現実的なんじゃないかというふうに考えております。
 そういった観点から、これから非正規公務員の問題、生活困窮者支援、障害者への医療費補助の問題について、順番に触れていきたいというふうに思います。
 まず、非正規公務員、会計年度任用職員について伺いたいと思います。
 現在、福祉局には、どの程度の会計年度任用職員がいるのかを知りたいのですが、まず、常勤、非常勤合わせて、福祉局には職員が何人いらっしゃって、定数が何人いて、そのうち会計年度任用職員の職員定数は何名いらっしゃるんでしょうか。

○関口総務部長 令和六年四月一日時点で、常勤職員定数二千九百四十五名、非常勤職員設定数一千四百八十一名、合計四千四百二十六名の職員体制となる予定でございます。
 また、非常勤職員のうち、会計年度任用職員は一千五十一名でございます。

○鈴木委員 大まかにいって、福祉局の中で、全職員の中で三三%が非常勤の方、そのうち全体の二四%が会計年度任用職員として非正規で働かれているということなんです。
 私、単純に思うのは、この二四%の方々が正規職員としてまた活躍していただければ、無理して出生率が上がるのかどうか分からない政策にこだわるよりも、社会が活性化するんじゃないかなと素朴に思うものでございます。
 続いて、次の質問なんですけど、福祉局の会計年度任用職員はどんな仕事を担っているのか伺いたいと思います。
 先ほどの会計年度任用職員のうち、専門性を持って直接住民サービスに関わるような仕事をされていらっしゃる方々で、設定数の多い職種はどういったものがあるのか、ご説明をいただきたいと思います。

○関口総務部長 会計年度任用職員のうち、専門性を持って直接住民サービスに関わる職の設定数の多いものにつきましては、北療育医療センターなどで診療及び治療を担う医員百二名や看護業務を行う看護員六十七名、また、障害者施策推進部精神保健医療課に所属いたしまして、入院させなければならない自傷他害のおそれのある精神障害者を入院させる場合の診察補助、看護及び移送業務を行う看護員五十名、児童相談所において児童福祉司と連携し虐待相談対応を行う虐待対応協力員三十三名などが挙げられます。

○鈴木委員 丁寧な説明をありがとうございます。
 皆さんも聞いていただいてどう思われますでしょうか。私は思うんですけれども、看護員の方とか児童福祉司の方とか、非常に重要な仕事を担っていただいている方々が多いわけです。こういった方々が本当に正規で働いていただいたら、どんなにいいことかというふうに思うんですけれども、ぜひご検討いただきたいなというふうに思います。
 続いて、会計年度任用職員の雇い止めについて質問をさせていただきたいと思います。
 部門が違って恐縮なんですけれども、今、多くのスクールカウンセラーの方にご相談をいただいていまして、今年度、教育委員会の方で、都のスクールカウンセラーの大量雇い止めが行われて、それがマスコミにも取り上げられて問題になっているところでございます。
 そこで伺いたいんですけれども、福祉局において、所管の会計年度任用職員について、こういったスクールカウンセラー問題と同様、五年ルールによって、雇い止めが今年度末発生しているのかどうか、教えていただきたいと思います。

○関口総務部長 会計年度任用職員は、勤務実績等を考慮し、連続四回まで公募によらない再度任用が可能とされております。また、再度任用の回数が上限に達した場合におきましても、公募による客観的な能力実証を経た上、任用が可能とされております。
 福祉局では、今年度末で再度任用の上限に達した職員のうち、公募に申込みをした方の任用につきましては現在選考中でございますことから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

○鈴木委員 皆さん、どう思われますか。現在選考中とおっしゃるんですけど、新年度までもう二週間なんですよ。二週間前に迫っているにもかかわらず選考中というのは、どう受け止めればいいのかなと。もしかすると、何か内示で、もう大丈夫なんだとお伝えいただけているんだろうなと。さすがにここから、二週間前に首を切るようなことをしないだろうなというふうには感じてはいるんですけど、とはいえ、選考中ということに大きな問題意識を感じます。私は民間企業で経営者をやってきたので思うんですけど、これ、労基法違反ですよね、民間でこれをやったら。
 改めて確認したんですけど、民間企業であれば、有期労働契約の場合であっても、三回以上更新されているか一年以上継続して雇用されている労働者の場合は、少なくとも契約が終了する三十日前までにその予告をしなければならないと。これ、厚生労働省が平成二十年の三月一日一部改正の有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準で定めています。会計年度職員の方々には、こういった規定はないんでしょうか。

○関口総務部長 職員の任用につきましては、行政処分としてなされるものでございまして、辞令に示された期間の満了によって、当然に職員としての身分は消滅するということになってございます。労働基準法第十四条第二項は、地方公務員につきましては適用除外とされております。
 しかしながら、複数回にわたって同一の職に任用されている場合、何の予告もなく再度の任用を行わないことへの当該職員への影響を考慮いたしまして、総務省が定める会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルでは、労働基準法第十四条第二項に基づく、今お話のございました有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準において、契約を更新しない場合の予告や理由の明示等が定められていることに留意することとされてございます。
 具体的には、このマニュアルにおきまして、事前に十分な説明を行うとか、ほかに応募可能な求人を紹介するなどの配慮をすることが望ましいとされてございまして、当局におきましても同様の取扱いを行っているところでございます。

○鈴木委員 今、選考中という状況であるけれども、いろいろと考えてくださっているという誠意を答弁から感じることができましたので、これ以上追及をするのは避けたいというふうに思うんですけれども、ぜひですね、私、来年も厚生委員会に残れたら同じ質問をしますので、来年は、これまた現在選考中ですということのないように、早め早めに、一人一人の会計年度任用職員の方々に向き合って対応していただきたいなというふうに思います。
 これまた、ちょっと話が変わって、スクールカウンセラーの話に戻っちゃうんですけど、教育委員会の方のスクールカウンセラーについては、実は今でも、四月一日以降の異動先の通知すら受けていない、もう最終勤務日が終わって、四月一日から何していいか分からない、いつ引継ぎするんだというような扱いを受けていらっしゃると。部門によって濃淡あるんだと思うんですけど、今、東京都は、人が輝く東京へという掛け声をかけていながら、東京都自体が自分たちの職員を大切にしていないんじゃないか、そういう現状があるんじゃないかという点を指摘させていただきたいというふうに思います。
 続いて、先ほどちょっと触れたんですけど、現在、会計年度任用職員が担っている業務について、専門性の高い業務については、業務の質の向上やノウハウ、経験の蓄積、人材の安定確保の観点から、常勤の職員の定数を増やして、常勤職員が担当していくべきと考えますが、どう考えられるでしょうか、見解を伺いたいと思います。

○関口総務部長 会計年度任用職員は、常勤職員の臨時的、補助的な業務または特定の学識経験を要する職務に任期を限って任用するものとされております。
 そのため、常勤職員との役割分担や職務内容を確認の上、総務局に対し、常勤職員と併せて必要な人員の要求を行いまして、必要な体制の確保に努めているところでございます。
 職務内容や業務量等を精査し、常勤職員と会計年度任用職員を適切に配置することで、効率的、効果的な行政サービスの提供を実現していくことが重要であると認識してございます。

○鈴木委員 ぜひ仕事を精査して、ご検討を進めていただきたいと思います。
 都庁に限らず、事業の主体としては、会計年度任用職員っていつでも首を切れるので、使いやすい、合理的だという理屈は分かります。ただ社会全体で見ると、各事業所がそうやってやっていくから日本全体で非正規雇用が増えて、社会全体では労働力が有効に生かされていないんじゃないかなという問題意識がございます。
 都も公共の機関でございますので、率先してこの問題に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続きまして、児童相談所のことについて伺いたいと思います。
 私の前にも多くの方々が触れていらっしゃって、私も児相の職員の方々は、非常に大変な仕事をしていただいていると認識をしておりまして、感謝をしているところでございます。
 児相の関係者の皆様にお話を伺うと、非常に頑張ってやっていただいているなと思うお話を伺うんですけど、同時に、不満というか、やっぱり人員が足りないという悲鳴のようなお声を伺うことがよくございます。人員が足りないとか、経験が足りないとか、実際の現場の人員配置は定数すら満たしていないんですよとかといったお話をよく伺います。
 そこで、ぜひ教えていただきたいんですが、東京都の児相では、配置している職員の数は国の配置基準に足りているんでしょうか。足りていない場合は、原因、理由を教えていただきたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 令和五年度の児童福祉司の定数は、国の配置基準五百六十九名に対しまして四百五十八名でございます。
 児童福祉司の配置基準は、平成二十八年の政令改正によりまして、人口おおむね四万人から七万人までに対して一人とされていたものが、平成三十一年四月以降は人口四万人に対して一人が標準とされ、さらに、令和四年度に人口三万人に一人の配置に引き上げられております。
 児童福祉司には高い専門性が求められるため、必要な人材確保はもとより、人材育成をしていくことが重要であり、都といたしましては、引き続き国の配置基準等を踏まえまして、計画的に増員を図ってまいります。

○鈴木委員 配置基準が変わってしまってという大きな原因があるんだなという点については理解をしたいなと思います。
 ただ、私も全体像が全然分かっているわけではないんですけれども、現場の方に伺うと、都の職員の中で、なかなか児童福祉司を目指される志のある方が少ないんだとか、児相の仕事は大変だから、なかなか人が集まりにくいんじゃないかと思われているお声も伺うので、ぜひ、私の懸念が外れていればいいんですけれども、そういった現状がないのかも、よく精査をしていただきたいなというふうに思います。
 今、正規の職員の方について聞きましたので、続いて、児相の会計年度任用職員の配置について、これは足りているのか足りていないのか、足りていないのであれば、その原因をどう分析しているのか、ご説明をいただきたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所における会計年度任用職員につきましては、必要な人員の要求を行い、必要な体制を確保しております。

○鈴木委員 必要な人員が確保できているということで、ほっとしたところもございます。
 ただ一方で、私も現場の方々に伺うと、非常にやっぱり正規の職員の方と同様、児相の仕事は厳しいので、敬遠する方も多いというふうに伺っています。そういった点、ぜひケアしていっていただきたいなというふうに思います。
 続いて、一つテーマを次に移しまして、生活困窮者支援について伺いたいというふうに思います。
 日経平均株価が史上最高値を更新するなど、日本の景気回復が着実に進んでいるように思われて、私もうれしいなというふうに思っているところでございます。
 一方で、生活困窮の方々はどうなのかというところが気になっているんですけれども、なかなか生活困窮者の数って把握が難しいと思うので、都内の生活保護者の生活保護費の受給者数は、これ減っているのか増えているのか、どう分析されているのか伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 都内の生活保護の受給者数は、最も多かった平成二十七年度が二十九万五千百七十六人でございまして、令和五年十二月は二十七万六千百二十八人でございます。

○鈴木委員 ピークから減ってきているということで、生活困窮者の方々も含めて、やっぱり景気回復の恩恵が少しずつ広がっているのかなというふうに感じることができる答弁でございました。
 次に、生活困窮者の方々にとって非常に重要な無料低額宿泊所のことについてお伺いをしたいというふうに思います。
 生活困窮者の方々にとって、住む場所を失ってしまうということは、その後の再起や自立を非常に困難にする、非常に重要な問題でございます。そのための対策の一つとして、無料低額宿泊所があるわけでございます。
 無料低額宿泊所を開設するためには、都への届出が必要で、都の条例に基づいて運営することが求められているわけでございますが、東京都は、都内各地の無料低額宿泊所の実態をどのように把握していらっしゃるんでしょうか、教えてください。

○中川生活福祉部長 都は、事業者からの開設届や変更届により、無料低額宿泊所の事業内容や運営体制を確認するとともに、毎年実施しております現況調べや定期的な指導検査などにより、運営状況を把握しております。

○鈴木委員 ご説明をいただきまして安心しまして、私は、設置したらもうそのまま放置に近いんじゃないかと危惧をしていたものですから、実態の把握に努めてくださっているというご答弁をいただいて、安心をしているところでございます。
 その上で、ちょっと難しい質問かもしれないんですが、今後の質疑で重要な部分でございまして、今、都内の無料低額宿泊所というのは、余っているのか足りないのかをちょっと知りたいなと思っておりまして、その無料低額宿泊所の需給について、どんなご認識を持たれているか、教えていただければというふうに思います。

○中川生活福祉部長 現況調べによれば、八王子市を除く都内の無料低額宿泊所は、令和五年八月一日現在で百二十一施設、入居率は約八九%でございます。
 無料低額宿泊所の入居期間は原則として一年以内でございますが、入居者の約六割が一年以上入居しております。
 都は、定期的な検査等を通じて、福祉事務所とも連携しながら、本人の状況に応じて適切に居宅生活への移行の支援を行うよう指導しております。

○鈴木委員 ありがとうございます。入居率八九%というと結構高いんだなと。満杯とはいえないんでしょうけれども、逼迫しているのかなという印象を持ったところでございます。
 その上で、ここが本題なんですけど、無料低額宿泊所の実態についてご質問をさせていただきたいと思います。
 平成三十年の社会福祉法の改正とその後の都条例の改正で、無料低額宿泊施設の居住環境が大幅に改善されたというふうに伺っています。
 一方で、生活困窮者を支援するNPOや実際に宿泊した経験のある方々にお話を伺ったんですけれども、実態は無料低額宿泊所によってピンキリで、中にはもう二度と入りたくないと自ら逃げ出してホームレスになるということを選択するような方もあると。短期的な利益優先の悪質な宿泊所もあるんじゃないかというふうに思っているところでございます。
 私の地元の立川市議会では、この無料低額宿泊所の問題、党派を超えて多くの議員が取り上げております。先日の本会議もですね、ある議員の方が、居どころがなくなってしまった方、ホームレスになってしまった生活困窮者の相談に何人も応じてこられたそうなんです。その方が、通常は一時的に無料低額宿泊所に入っていただいて、そこを居どころに生活保護の申請をしていただく手続を普通は取るので、生活困窮者の方に無料低額宿泊所への入所を勧めると、過去入ったことがある方が強い抵抗を示されて入所を断られて、結局、生活保護申請に至らなかった、恐らくホームレスになってしまったという方が何人もいらっしゃったんだというご指摘をされていらっしゃいました。
 私は、全然実態を知らなかったものですから、ちょっと泥縄式で恥ずかしいんですけれども、先日、入所経験のある方お二人にお話を伺ってきました。
 お一人は、部屋は非常に快適だった、食事はまずまずおいしくて、食堂があって、そこでほかの入居者と交流もできた、寮長は気さくに相談に乗ってくれて、声をかけてくれたりして、特に大きな不満はなかったですよというお話を伺いました。
 もう一人は、これ全く真逆で、施設内では、ほかの入所者との会話が一切禁止されていて、至るところに監視カメラがあって刑務所のようだった、食堂や談話室もなかった、管理人は簡単な質問にも応じてくれず、食事はおなかが減っていても食べられないくらいまずかった、もう二度とあんなところには行きたくないというふうにお話をされていらっしゃいました。
 どうも、やはりピンキリなようなんですけれども、東京都としては、こういった無低の実態をどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

○中川生活福祉部長 国は平成三十年に社会福祉法を改正して、無料低額宿泊所の規制を強化いたしまして、都はこれに基づき、運営や設備等の基準を定めた条例を令和元年に制定いたしました。
 この条例では、家族等と同居する場合を除き居室の定員を一人とすること、サービス内容や利用料等を運営規程に定めて必ず文書により利用契約を締結すること、入居者に提供するサービスの状況に関する記録を整備することなどを定めております。
 都は、定期的な検査等を通じて、運営体制やサービス内容などについて確認し、必要な指導を行っておりまして、令和五年三月末までに全ての居室が個室化の要件を満たすなど、無料低額宿泊所の改善が図られております。

○鈴木委員 なかなかこういった、特に不適切な運営をしている無低の実態をつかむって難しいと思うんですけれども、ぜひ引き続き努力を重ねていっていただきたいなというふうに思うところでございます。
 こういった生活困窮者を支援するNPOの方々にお話を伺ってきたんですけれども、皆さん、生活困窮者っていうとどういうイメージを持たれますか。そういう支援をされている方々に伺うと、最近の生活困窮者って昔と違うんだとおっしゃるんです。どう違うんですかって聞くと、昔は非常に分かりやすかったと。ホームレスの方とか生活困窮になられる方って、大体失業に遭ったとか、会社が潰れたとか、明確な経済的な理由がある方が多かったそうなんですけど、最近は、多分いろんな福祉的な措置もあって、そういうことよりも、ちょっといいづらいんですけど、軽度の精神疾患とか精神障害をお持ちの方とか、もしくは発達障害をお持ちの方とか、そういった方々が非常に増えているように感じるというお話を伺いました。
 そのために、お話を伺った施設の方々は、自立支援に向けて精神的なケアを重視している取組をされていらっしゃるそうでございます。
 今、学校現場で、物すごい発達障害の話というのが市民権を得てきたと思うんです。私もそれを聞いていて、今さらながら思ったんですけど、昔はこういう議論ってなくて、でも、たくさんいたんだと思うんですね、発達障害の方。その方々が適切なケアを受けられないままに大人になって、生活困窮者になっているというパターンが実はすごく多いんだろうなということに、今、思い至っているところでございます。
 今、東京都は、発達障害の子供たちへの支援とか、フリースクールや子供食堂を運営するNPOへの支援を始めていて、非常にすばらしいなというふうに私は感じております。
 こういった子供向けの施策を見習って、生活困窮者の方々に対しても、例えば彼らを支援するNPO等を支援するとか、そういった新しい施策をぜひご検討いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○中川生活福祉部長 社会福祉法とともに改正された生活保護法では、無料低額宿泊所のうち、単独での居住が困難な生活保護受給者に対して一定の支援体制が確保された施設を日常生活支援住居施設に認定する制度が創設されました。
 この施設では、障害や介護などの外部サービス等も活用しながら、入居者の状況に応じた日常生活の支援を行うこととされております。
 日常生活支援住居施設の多くはNPO法人等により運営されておりまして、施設の運営に要する経費は、生活保護法による委託事務費として福祉事務所から支弁されます。

○鈴木委員 一部、始めていただいているというご答弁かなというふうに思いました。ありがとうございます。ぜひ引き続き強化をしていっていただきたいなというふうに感じるところでございます。
 最後に、今まで長々と生活困窮者に関する質問をしてきたんですけど、生活困窮者の方々のタイプが昔と変わってきているとか、いろいろと査察をしていただいているみたいなんですけど、無料低額宿泊所もピンキリであるんじゃないかというような問題意識を持っておりまして、一度しっかりと調査をしてみた方がいいんじゃないかなというふうに感じているんですけれども、いかがでしょうか。

○中川生活福祉部長 都は、福祉事務所等を通じて、生活保護世帯や生活困窮者の状況を適宜把握しております。
 無料低額宿泊所につきましては、指導検査や現況調べ等により、運営状況を把握しております。

○鈴木委員 最後に、今度は障害者の方についてお話を伺いたいと思います。具体的には、障害者への医療費補助についてご質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず一つ目の質問なんですけれども、令和四年度の心身障害者医療費助成制度の総受給者数と助成額の実績を教えてください。

○渋谷事業調整担当部長 心身障害者医療費助成制度におきます令和四年度の受給者数は、各月の平均で約十万五千人、また医療費助成額は約百四十九億円でございます。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 先日、地元の障害者団体の代表で、ご自身も車椅子生活者である方にお話を伺ってまいりました。
 夫婦双方、障害を持ちながら自立して生活をされていらっしゃるご夫婦がいらっしゃって、奥様が病気になられました。命に関わる病気ではないんですが、自宅療養等を含めると一か月程度仕事を休まざるを得ないと。医療費の負担もあるので、今の蓄えでは足りないんですと。せめて医療費だけでも何とかなれば乗り切れるんですがというご相談を受けられたそうなんです。ご夫婦は現在、住民税非課税世帯なんですけれども、ご主人、奥様、両方働いていらっしゃって自立をされていらっしゃるんです。ただ、病気をされた奥様の障害は中度障害なんです。市役所に相談に行ったんですけれども、対象ではないので、お金が足りないなら生活保護の申請を検討したらどうかと冷たくあしらわれたというふうに嘆いていらっしゃったそうなんです。
 障害をお持ちの方であるにもかかわらず、いろんなサポートは受けながらでしょうけれども、せっかく自立をして生活されていらっしゃるのに、この一回の病気の医療費が払えないから生活保護世帯に転落してしまうというのは、非常に残念な話だなということを強く感じているところでございます。
 何とか、現在は重度に制限されている心身障害者への医療補助を、例えば一段階、中度まで広げることをご検討いただけないかなというふうに感じております。
 非常にアバウトな概算で恥ずかしいですけれども、じゃ、どれぐらいの財政負担が発生するのかと思って私なりに計算をしてまいりました。令和四年度の福祉統計年報によると、医療費助成制度の対象になっている障害者、つまり重度以上の方が、三障害合わせて約二十八・二万人いらっしゃいます。それぞれ中度まで対象を拡大するとなると十六・九万人増えるんです。つまり、対象者が一・六倍に増えてしまいます。こうなると確かに大きな財政的な負担になるなというふうに思うんですけれども、これ、実際の金額にすると、年間八十九億円程度の財政負担になってまいります。
 非常に大きな金額で、じゃあ、やりましょうといえるような規模ではないなということは重々承知なんですけれども、例えば、私が冒頭で触れた〇一八サポートは年間千二百四十五億円なんです。これと比べることがいいのかどうか、ご見解いろいろあられるかと思うんですけれども、〇一八サポートの七%で、こういった障害をお持ちの方々の医療費を支援して、働き続けることをサポートできるチャンスがあるんだなというふうにも感じているところでございます。
 ぜひこういった医療費補助を中度まで広げることをご検討いただきたいと思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。

○渋谷事業調整担当部長 心身障害者医療費助成制度は、心身障害者の保健の向上と福祉の増進を図ることを目的に、重度障害者の医療費の一部を助成する福祉施策として実施しております。
 本制度と趣旨を同じくいたします所得税の特別障害者控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ、身体障害者手帳一級、二級及び内部障害三級、愛の手帳一度及び二度並びに精神障害者保健福祉手帳一級の方を対象としてございます。

○鈴木委員 はい検討しますといってくださらないのは分かっていますので、それでいいんですけれども、ぜひご検討いただきたいなというふうに思っているところでございます。
 最後に、最初の質問にまた戻って少し触れたいんですけれども、私、子育て支援を充実していることは全く賛成です。私も中学校一年生の娘がおりまして、子育ての苦しさを身をもって味わっているところでございまして、ぜひ子育て支援、充実をしていっていただきたいなと。
 一方で、やっぱりこれから本当に少子化が進んでいって、なかなか出生率を上げることはもう難しいという世の中を迎えるんだろうというふうに思います。
 そういった中で、既に生まれていらっしゃる方々でなかなか活躍できないという方々に、自立に向けて後押しをしていただくというのは、これ福祉局の皆さんの重要なミッションじゃないかなというふうに感じておりまして、ぜひそういった観点から、今後、少子化の問題、福祉局内部で議論をしていっていただければというふうに思うところでございます。
 以上をもちまして、私の質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

○上田委員 非常に多岐にわたる質問でございますので、端的に進めさせていただきたいと思います。
 令和六年四月一日に改正精神保健福祉法が施行されます。
 精神保健福祉法の改正点としては、第一条の目的に、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、精神障害者の権利擁護を図ることが加わりました。
 まずは、改正を受けての都の精神障害者福祉とそれに関連する政策、施策、それにひもづく事業も権利擁護の実現に向けての取組がなされると思料しますので、都政事業におけます改正点及び目指す方向性と所見を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、本年四月に虐待の通報が義務化されることに先立ち、精神科病院で虐待を受けたと思われる患者を発見した方や虐待を受けた患者、その家族からの通報、相談に対応する窓口を三月に開設し、虐待が疑われる事案の早期発見と速やかな立入検査等につなげています。
 また、来年度は、患者の生活に関する相談や傾聴を行い、困り事の解消に必要な情報を提供する支援員を病院に派遣するほか、病院の管理監督層や現場のリーダー層を対象にした虐待防止研修を開始します。

○上田委員 さらに、第五条では、精神障害者の定義から精神病質が削除され、精神保健福祉法での家族等の範囲と除外される人が記載され、DV加害者や医療保護入院等、意思表示を求めることが適切でないと厚生労働省で定めた人という新たな除外区分が記載されることになりますが、医療現場で適宜適切な運営がなされるか懸念するところでございます。
 法の適正運用に向けての取組を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 法改正の内容について、都は、都内全ての精神科病院を対象に説明会を開催しているほか、実務を行う精神保健福祉士の研修の機会を活用して説明を行うなど、その周知を図っております。

○上田委員 措置入院対象者や立会いをした者等には措置になった理由も書面告知をするようになり、措置入院においても、退院後生活環境相談員の選任が義務づけられ、地域援助をする事業者の紹介も義務となります。措置入院の必要性についても精神医療審査会での審査対象となりますので、その辺りも確認させてください。

○新田障害者医療調整担当部長 令和五年四月の改正精神保健福祉法の施行に伴い、都は、措置入院対象者等に措置になった理由を書面で告知しております。
 また、令和六年四月の改正精神保健福祉法の施行後は、東京都精神医療審査会では、措置入院決定報告書及び精神保健指定医による診断書に基づき、措置入院時の入院必要性に係る審査を行います。
 さらに、東京都精神医療審査会において、措置入院者の定期病状報告書により、退院後生活環境相談員の選任及び地域援助事業者の紹介について確認を行います。

○上田委員 また、医療保護入院は厚生労働省の定める期間の期限がつくようになり、更新の際には手続が必要になります。これまでの医療保護入院者に対する定期病状報告に加えて、医療保護入院の更新の届出が創設されます。
 入院期間の更新について、精神科病院の管理者は家族等に必要な事項を通知し、一定期間後も意思表示を受けなかったときは同意を得たものとみなすことができるようになります。区市町村同意の対象に家族等が意思表示をしない場合も含まれるようになり、一定効果を期待するものでありますが、障害者不在で事務手続などを進められる可能性もなきにしもあらずであります。もう本当に言語道断で、滝山送りみたいなことが、ちょっと心配しているわけでございます。
 従前、都では、精神病床を有する病院に対して立入検査を毎年行い、法令に基づいた対応が行われているか確認するとともに、精神医療審査会を設置し、医療保護入院の入院届等に関する審査を行っているとの答弁はいただいていることから、障害当事者の権利擁護が担保されるために、当然、都は関係各機関に働きかけると考えますので、これらについても法改正の趣旨どおり、滞りない運用にかかる所見を伺います。
 また、入院時に本人、同意した家族に入院の理由を書面で告知することが必要になりますが、こちらについての徹底をどう図るかについても確認をいたします。

○新田障害者医療調整担当部長 法改正の内容につきましては、都は、都内全ての精神科病院を対象に説明会を開催しているほか、実務を行う精神保健福祉士の研修の機会を活用して説明を行うなど、その周知を図っております。

○上田委員 この精神医療審査会は、私もるる、その健全性や人選について大丈夫かということをただしているところでございますが、他県では定期報告等の審査において、一時間で二百件の審査を行うという実情もございます。一時間で二件ならともかく、二百件では内実を伴う審査が全くできないことは明らかに思いますが、都の実情はどうでしょうか。
 一時間当たりの審査件数をお示しいただくとともに、現在の審査の実情について確認します。

○新田障害者医療調整担当部長 法令により、精神医療審査会は、精神障害者の医療、保健または福祉に関し学識経験を有する者のほか、法律に関する学識経験を有する五名の委員により構成された合議体で審査を行うこととされております。
 令和四年度における都の精神医療審査会では、八つの合議体を設置して、年間約二万七千件の定期病状報告書等の書類審査を行っております。
 なお、審査に要する時間については、審査内容等により異なっております。

○上田委員 年間二万七千件というと大変な数だと思います。私は医療保護入院と措置入院というのの近似性、これで大丈夫かなというふうに考えますが、法律も改正されておりますことから、やり放題にはきっとできないことになるかと思いますので、観測させてもらいます。
 録音、録画の有無等によらず、入院患者に対する虐待が強く疑われ緊急性が高いと判断される場合等は、事前の予告なしで立入検査を実施と答弁はいただいておりますが、改正を受けて、厚労省通知、何度もいっていますけれども、令和三年一月十三日の精神科病院に対する指導監督等の徹底、とにかく虐待を見つけたら速やかに報告すること、これを求めるものです。
 昨年とは状況も変わりましたことから、法改正もあったし、滝山病院事件も起こりましたから、指導監督、予告なき立入検査の徹底状況と所見について確認いたします。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、事前予告なしの立入検査を、令和五年二月十五日以降、本年二月末までに二十二回実施しました。
 引き続き、入院患者に対する虐待が強く疑われ緊急性が高い場合等は、事前の予告なしで立入検査を実施してまいります。

○上田委員 事前の予告なく立入検査するというのは、本当に一昨年前はいっていなかったので前進していると思いますが、虐待が疑われる事案が発生した場合には、精神科病院は速やかにその概況を都道府県等に報告することとされており、公益通報者保護法では、公益通報したことを理由とする労働者に対する不利益な取扱いを禁止されております。
 本改正により、精神科病院の業務従事者による虐待を受けたと思われる患者を発見した者に、速やかに都道府県等に通報することが義務づけられます。通報が今後増えてくると考えられますので、公益通報者や報告をする従事者を恫喝や不利益扱いから守る新たな取組について伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 改正精神保健福祉法に、業務従事者は、虐待を通報したことを理由に、解雇その他不利益な取扱いを受けないことが規定されております。
 都は、虐待に関する通報または届出を受けた場合、当該通報または届出をした者が特定されることのないよう対応しております。

○上田委員 よろしくお願いします。
 また、精神科病院の管理者は、職員に対して精神障害者の虐待防止のための研修の実施や普及啓発等の措置を講ずることが義務づけられることになりますが、都内該当病院での悉皆実施の徹底をするための取組、所見、課題を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は来年度、精神科病院における入院患者への虐待の防止と早期発見に向けた体制の構築を支援するため、都内全ての精神科病院の管理監督層を対象に、虐待の早期発見、未然防止に向けた組織づくり等に関する研修を開始します。
 また、現場のリーダー層には、虐待防止に係る知識のほか、アンガーマネジメント手法等の研修を実施します。
 これらの研修は、オンラインも活用し、より多くの精神科病院職員が受講できる機会を確保していきます。

○上田委員 精神医療審査会の審査件数ですが、さっきちょっと、二万七千件、三百六十五で割りますと一日七十三件ですけれども、過去五年において、入院患者またはその家族等からの請求を受け、審査会において処遇が適当でないと判断された内訳は、身体拘束に関するもの、隔離に関するもの、外出の制限−−結局自由が奪われるんですよね、だったそうです。
 法改正を受けて、改善に向けたオール東京での全該当病院への取組を伺うところです。

○新田障害者医療調整担当部長 精神障害者の人権に配慮しつつ、その適正な医療及び保護を確保するために、精神医療審査会において専門的かつ独立的な機関として、精神科病院に入院している精神障害者の処遇等について、引き続き審査を行ってまいります。

○上田委員 精神病院は、身体拘束と隔離というのがほかの病院と違って独特な、また虐待の温床になるということでございますので、厳しく取り組んでいただきたいと。
 改正に先んじて、先ほどおっしゃいましたように、精神科病院による虐待通報窓口が開設されました。これまで都の精神医療の改善を求めてきた者としては、一歩前進と評価をするものです。
 始まったばかりではありますが、まず、問合せ状況、相談内容の傾向、指導や立入検査などに至った事例はあるか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 虐待通報窓口に寄せられる通報、相談等の内容は様々であり、事案ごとに個別に判断して、入院患者に対する虐待が強く疑われ緊急性等が高い場合は、事前の予告なしで立入検査を実施することとしておりますが、指導や立入検査を行った事例があるか否かについては調査中であり、お答えできません。

○上田委員 調査中ということは、何かちゃんと動いているということと理解します。
 精神科訪問看護の不正あるいは不当な請求が問題視され、厚生労働大臣までその問題について記者会見で言及するなど、大きな社会問題となっております。誠実にやっている事業者がある一方で、一部のもうけ主義の事業者が貴重な社会保険料を無尽蔵に食い荒らすというゆゆしき構図が見られます。
 国は診療報酬の改定で是正していくようですが、都としてもその財源として、自立支援医療費(精神通院)が関わるため、事業者に対する適切な指導、監視が必要と思われます。
 精神科訪問看護を実施している事業者数と都の自立支援医療費(精神通院)のうち、精神科訪問看護関連の医療費の公費負担分について、直近令和四年度の数値をお示しください。その上で、適正化に向けて都としてどのような対応をするのか、お聞かせください。

○新田障害者医療調整担当部長 精神科訪問看護を実施している事業者は令和四年度末時点で一千二百九十五事業所であり、また、都の精神通院の自立支援医療費のうち、精神科訪問看護関連の医療費の公費負担分に係る令和四年度の額は九十四億九千二百万円余です。
 なお、都では、保険者が実施する各医療機関からのレセプトの請求の審査と併せ、自立支援医療費の個々の請求内容について精神保健医療費の内容として妥当かを点検し、過誤請求等の疑いがあれば、法令に基づき適切に対応します。

○上田委員 私も地域のさんしょうがいフォーラムといって−−福祉関係者で悪質な訪看が増えていて、ペーパー看護師だけ置いているというような話も仄聞しておりますので、早いうちから徹底チェックをお願いいたします。
 三月四日より、都は、精神科病院における虐待の窓口を開設しております。一方で、改正精神保健福祉法は精神科クリニックにおける虐待についてはカバーできていない問題があります。
 昨年は、新宿区内の精神科クリニック院長が患者に対する傷害と名誉毀損で実刑判決が確定する事件もあったように、精神科クリニックに通院する患者や障害者に対する虐待も深刻な問題です。
 この問題では、精神科クリニックで受けた虐待についても対応できるのでしょうか。

○新田障害者医療調整担当部長 東京都の虐待通報窓口は、精神保健福祉法の規定に基づき、精神科病院において虐待を受けた精神障害者を発見した方や虐待を受けた本人やその家族から通報や相談を受け付けております。
 都の窓口にクリニックに関する相談等があった場合は、権限を有する所管保健所につなげていきます。

○上田委員 たらい回しにせず、丁寧な対応と案件の集約はお願いいたします。
 滝山病院についてです。八回にわたって開催された虐待防止委員会、それを受けた改善計画書も令和六年一月に病院側から提出されています。滝山病院は、外来診療を行っていないことや面会の制限があったと指摘されることから、外部の人間が入ることが極端に少なかったことが虐待の温床となった点を指摘してきました。
 一昨年六月に実施した当該病院への定例の立入検査において、精神保健福祉法第三十七条第一項の規定に基づき、厚労大臣が定める基準にのっとり、適正に運用されていることを確認していたということです。事件が発覚する前のことですよ。私はとてもそうだと思えませんでした。
 これまでの議論を経ての問題意識、改善点を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 面会の制限については、精神保健福祉法第三十七条第一項の規定に基づき、厚生労働大臣が基準を定めており、引き続き、立入検査等で法令に基づいた対応が行われているか確認してまいります。

○上田委員 法令に基づいた結果、見破れなかったということになっちゃいますね。
 滝山病院には地域医療連携室が設置されていないこと、退院後生活環境相談員の配置やスキルについてどうなっているのか確認させていただいてきております。
 法令で定める資格を有する退院後生活環境相談員は二名配置されているようですが、退院後生活環境相談員はあくまでも医療保護入院について設置されるものであって、任意入院者を含めた患者全体に対応するものではなく、任意入院者については通常の地域医療連携室に配置させる専門のソーシャルワーカー等の担当職員は各患者についていなかった、あるいは、いても機能をしていなかったのではないかということを指摘してきました。
 改善報告書では、退院支援の強化とともに医療体制の改革に触れていますが、その後、都はどう指導し改善を図ったか、現状を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 本年一月に都に提出された改善計画書に基づき、現在、滝山病院では、地域の福祉事業者による職員を対象とした地域移行支援に関する研修の実施や、希望する患者を対象としたピアサポーターとの交流が行われております。
 引き続き、立入検査等により、改善計画の進捗状況について確認していきます。

○上田委員 任意入院患者についてのカバーがどうなるかがちょっと見えないところですので、今後も確認をさせていただきたいと思います。
 現在、滝山病院に残っている患者の心身の健康、命、人権が守られ、退院希望者の転退院支援ができているのか、多くの都民が関心を持っております。虐待が続いていないのかも懸念しております。改善計画書の中で、NPOわかくさ福祉会、地域の関係機関と退院支援や地域のピアサポート組織との連携について協議を図っている、先ほどおっしゃっていましたが、ということですが、現在、こうしたNPOや都のあっせんで区市町村の福祉課につながっているのでしょうか。具体的に受入先がどうなっているのか、ほかの病院に転院できましたか、できているんですか。転退院希望者とその後の対応の現状が気になりますので、以下、現時点のことをご報告ください。
 今の滝山病院に病床が何床あるかご明示の上、事件発生の二月から直近まで、月ごとの入退院患者数、現時点の転退院、地域移行希望者数−−前は東京精神保健福祉士協会以外の支援者につないでいませんでしたが、改善が図れているか気になることから、具体的な支援体制、実際に何人が実現し、希望かなわず残っている患者数は何名なのか、病院稼働率、転院や地域移行がかなった場合の行き先、不自然な死亡退院はなかったかについて伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 滝山病院の医療法に基づく許可病床数は、精神病床二百五十五床、療養病床三十三床、合計二百八十八床です。
 滝山病院において、令和五年二月十五日以降、令和六年二月末日までの新規入院患者は十一人、転院及び退院患者は五十五人であります。二月末時点における許可病床に対する入院患者の割合は約二一%です。退院や転院後の行き先は、自宅や精神科病院等です。
 なお、都が転退院の希望を確認した患者のうち、二月末時点で滝山病院に入院している患者は二十一人です。
 死亡された方は、高齢の方が多かったことに加え、慢性腎不全などの疾患が多かったことを把握しております。
 また、現在、滝山病院では、地域の福祉事業者の協力を得て、地域移行支援の体制整備とピアサポーターの導入等が進められております。

○上田委員 二十一人が残っているということです。
 都は、同病院において昨年二月から十二回、立入検査をしています。
 事前予告なしの立入検査を令和五年二月十四日以前の一年間で一回、令和五年二月十五日以降、現在までに十七回実施との報告を受けておりますが、これは滝山病院がほとんどで、それ以外はほとんどないという理解でよいのでしょうか。その後、ほかの病院における予告なし立入検査も含めた検査件数は増えましたのでしょうか、伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 令和五年二月十五日以降、現時点までに、滝山病院以外の精神科病院に実施した予告なしの立入検査は十二回です。

○上田委員 しっかり増加していること、まだまだきっとあると思いますので、よろしくお願いします。
 計画書では、職員のモラルとモラールにおいて内部通報制度が機能していなかったことを認め、反省を踏まえた対策、力を入れるべきことは倫理教育、研修としています。
 これまで、虐待事案で訴訟や事件になっている多摩地域の精神病院医療従事者のモラルの低下が疑われていることと、対策も検証のみで完結していることを指摘してきました。
 通報において、計画書では、職員による虐待通報という立脚点に終始して、患者が直接通報する視点が欠けています。都の滝山病院における改善計画の取組状況及びさらなる改善に向けた指導の実施についての報告で、患者からの相談に内部の職員のみが対応しており、患者が相談しづらいことが考えられるため、より相談しやすい仕組みとなるよう、外部の第三者の体制も整備することと指摘しているにもかかわらず、通報先の院内掲示及び職員、患者への周知、東京都精神保健医療課及び医療安全課の連絡について、各病院に設置している公衆電話前及び看護師勤務室前に掲示している点がちょっと現実的ではないと指摘しております。
 今、読んでいてもおかしいよなと思いました。看護師が虐待していたら、その前で連絡するのみたいな感じなんですが、計画書からも患者による通報の視点が欠如していることから、職員にも知られることなく、障害、疾病を抱えながらも速やかな虐待通報、退院希望、SOSを伝えられる手段があるのか、前回、具体的な回答が得られませんでしたことから、法改正もされますし、以下、改めて伺います。
 院内で、患者は携帯電話、スマホ利用が禁止されていましたが、どうなりましたか。携帯電話の利用制限は、精神保健福祉法三十六条一項の行動の制限に当たるはずですので、患者個々人の病状にかかわらず、一律に入院患者の携帯電話使用を禁ずるというような扱いは違法であると考えます。
 携帯電話の制限に関しては、むしろ個々人の病状に応じて指定医の診察か、どうしても制限が必要な人に限り、ご本人に説明の上、きちんとカルテに使用制限を記載し、その理由もですよね、状況が改善すれば、直ちに使用制限を解くという運用が適法かつ適切と考えますので、この点を踏まえた所見を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 精神科病院に入院中の患者は、精神保健福祉法第三十七条第一項に基づき、国が定める基準において、医療または保護の上で合理的な理由がある場合を除き、電話や面会など、様々な方法で外部との連絡が可能とされております。

○上田委員 私は、三十六条の一項で、行動の制限じゃないんですかといっている、結局、スマホも駄目、携帯駄目ということなんですかね。これは本当に自由の侵害だと思います。
 今回、監視カメラをつけたといっても、これ死角が必ずあって、その死角で虐待が行われていると、私は介護現場でもですね、ご相談、たくさんありました、そういうのも。内部の状況を撮影されることを恐れてスマホ禁止などをしていませんよね。スマホを持てなければ、通報などかないませんので、スマホ解禁にしてほしいんですよ。
 公衆電話、どこにあるんですか。看護師の前で、虐待している人の前でかけなきゃいけないんですか。どのような場所に設置されているのか、安心して連絡できるところにあるのか、いま一度伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 滝山病院におきましても、精神保健福祉法第三十七条第一項に基づき、国が定める基準により、スマートフォンの使用を認めていると報告を受けております。
 また、公衆電話は各病棟内の廊下に設置されております。

○上田委員 スマホ、オーケーということになったということで、各患者にもぜひ伝えていただきたい、ご家族にも伝えていただきたいと思います。
 滝山病院事件の背景には、人工透析を必要とする精神科患者の入院施設がほとんどなく、そのために、滝山病院の評判が悪くても送らざるを得なかったという声を多く耳にします。
 都は、人工透析施設のある精神科病院については、医療機関案内サービス「ひまわり」により都民に案内しているとのことですが、一義的窓口は区市町村と思料します。今般事件を受けて情報共有をすべきと考えておりますことから、どのように選択肢をお示ししているのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 人工透析施設のある精神科病院については、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」により、都民や区市町村などへ広く案内をしております。
 また、区市町村から問合せがあった場合には、個別に案内をしております。

○上田委員 改正に伴いまして、ぜひ全施設を共有していただきたいと思います。
 事務事業質疑で確認したところ、生活保護法指定医療機関が、ここ二年、指定取消し四件から三件ということですが、二万四千か所と照らし合わせると少な過ぎることを指摘し、調査権限のある都が先に不正を見つけて処分すべきではないか求めております。
 厚生局よりも先に都が事実を確認して単独で処分を行った近年の事案をご説明ください。

○中川生活福祉部長 都は、生活保護の指定医療機関について、今年度これまでに三件の指定取消しを行いました。このうち二件は国による保険医療機関の指定取消しに伴うもの、一件は都が検査を実施して不正請求により指定取消しを行い国に情報提供したものでございます。

○上田委員 都も先んじてできる、やったということでありました。
 都が処分が先行した事例があるか、都が不正を先に見つけて動く責務を感じていないのか、改めて所見を伺います。

○中川生活福祉部長 都は、生活保護法の指定医療機関のほか、はり、きゅう、あんまを行う指定施術機関についても、今年度これまでに一件の指定取消しを行い国に情報提供するなど、法に基づき適切に対応しております。

○上田委員 また、事務事業質疑では、前回、八王子市は指定医療機関の取消しといった行政処分とレセプトの提出を求める権限を有していることが分かりました。指定医療機関の行政処分は、国、都道府県、政令指定都市、中核市がそれぞれ権限があり、連携が図られると思います。
 レセプトは、市は求めて、都は共有しているのでしょうか。

○中川生活福祉部長 指定医療機関の検査等は、生活保護法に基づき、国、都道府県、指定都市、中核市がそれぞれ行っており、権限を有する行政機関は、関係する福祉事務所に対し、レセプトの提出等を依頼することができます。
 本件の検査等は中核市である八王子市が権限を有しており、都はレセプトを共有しておりません。

○上田委員 レセプトにこだわるのは、滝山って過剰医療をやっていることが、今、厚労省もあれしていて、保健医療局の方では調査中ということで、そういったことから、異様な状態であることは分かっているのですから、ぜひ八王子市と連携いただきながら、過剰医療で苦しむ患者のこと、これ都民ですからね、八王子市も都も関係ないと思いますので、よろしくお願いします。
 障害者総合支援法による指定自立支援医療機関の指定、監督、検査、取消しは、都道府県知事が行うとされております。
 今後、滝山病院は生活保護法指定医療機関と自立支援医療機関の取消しといった行政処分があるかどうかの可能性も含めた調査はしていませんか、処分の可能性はありませんか、伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 法令等に反する事実があれば、関係法令に基づき適切に対応してまいります。
 なお、生活保護法に基づく指定医療機関の検査等は、中核市である八王子市が所管しております。

○上田委員 自立支援医療は東京都ですので、厳しく行っていただきたいと思います。
 今、滝山病院患者への支援の輪が広がっています。今の経営陣が替わらない限り、時限を切って、今、転退院を希望している二十一名を救済する必要があります。現在、滝山病院の多くの患者は身体の合併症のある患者だと聞いております。
 この患者の受入先はどうなっているのでしょうか。また、既に受け入れている病院はどこか、具体的に教えてください。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、患者の様々な状況を踏まえながら、転退院先等に関する情報提供や関係機関との調整など、丁寧に転退院の支援を行っております。
 なお、個々の患者が入院されている病院は、個人情報保護の観点からお答えできません。

○上田委員 都内で急性期身体合併症の精神疾患患者を受け入れている病院は二十一病院あります。しかし、慢性期患者を受け入れている病院はわずか二病院と聞いています。
 そして、都としてもっと受入れを促すことはできないのでしょうか。時限を切って保健医療局と連携を図って救済することはできませんか、伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 滝山病院には、転院や退院を希望しても、自ら転退院先を見つけることが困難な患者がいらっしゃいます。都は、患者の様々な状況を踏まえながら、転退院先等に関する情報提供や関係機関との調整など、丁寧に転退院の支援を行っております。

○上田委員 ほかの委員も指摘していましたが、ここはもう行政的医療の出番じゃないでしょうかね。都立病院で積極的にどうしていくか考えていってもらえればというふうに、連携を図ってお願いしたいと思います。
 精神保健福祉法二十一条二項によれば、任意入院者から退院の申出があれば、退院をさせなければならない。仮に一時的な退院制限をする場合にも、指定医の診察の下、最大で七十二時間までとされております。これ、三項ですね。
 滝山病院にも多数の任意入院患者が退院の申出があることを、都としても昨年五月に行った個別意識調査で確認しているところです。ところが、それらの任意入院者からの退院の申出に対し、滝山病院は、患者さんには様々な事情がある、東京都や精神保健福祉士協会のご協力を得ながら、丁寧な支援をしていますというだけで、十か月もの間、退院をさせていない患者さんが多数います。
 十か月という期間は既に法律の限度を桁違いに超えており、あしき前例にしないためにも、このような違法状況を直ちに是正するよう、改めて改善命令等を発すべきと考えますが、所見を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 現在、滝山病院では、都の指導に基づき、地域の福祉事業者による職員を対象とした研修の実施や、希望する患者を対象としたピアサポーターとの交流など、患者の地域移行支援に向けた取組が進められております。
 都は、滝山病院の状況について、立入検査等で確認しながら指導を続けていきます。

○上田委員 資料によれば、転退院が一年で五十五名とありますが、昨年二月十五日の時点で入院は百四十五名、七月で百一名というところが分かっておりました。七月までは、都の退院支援で転退院した人は、私の中ではゼロ人ではないかと。少なくとも四十四名は、報道によって大騒ぎになった直後に、都の退院支援とは無関係にご家族や生保関係者が転退院させたか、亡くなったかのいずれではないでしょうか。
 既に死亡者が四十名に達したとのことで、依然として都の退院支援で転退院した人よりも多くの方が亡くなっているのが現状です。しかも、亡くなった方一人一人に異なる病状や事情があるはずのところ、度々、十把一からげに、高齢や腎疾患を抱える人が多かったからで片づけられているところに強い憤りを感じます。
 これまで退院の支援をされた専門家から、ほとんどの方が高齢か腎疾患を抱えていましたが、多系統萎縮症の方を除いて退院後は皆さんぴんぴんしている、高齢者や腎疾患をお持ちの方でも、滝山の外にいる人であれば、一年に四分の一も亡くなっているわけはありませんので、当たり前のことですが。亡くなった多系統萎縮症の方も、結局、病院移したから亡くなったんじゃないかというような都の担当者、福祉関係者の話を漏れ聞くと、滝山では、いつ自発呼吸が止まっても不思議でない状況で放置されていたものを死の直前で助け出し、手術を受けていただくことができたからこそ延命できたことなど、まるで無視されていますし、何よりもその後、滝山から出られた最後の六か月の充実した生きざまを思い出し、あの方の人生の意味を踏みにじられているようで胸が痛みます。滝山は現在、多剤耐性菌の蔓延で肺炎のクラスター状態になっているにもかかわらず、感染防止対策を怠っているような状態で、まさにご高齢の方や心疾患の方など、免疫力が落ちている方がばたばた肺炎で亡くなっていくのではないかという状況を東京都に通報もしていますが、都が把握している中には入っていないということに絶望感すら覚えますとの声をいただきました。
 高齢者、心疾患が多い、だから四十人も一年間で亡くなっても当たり前だと取られかねぬ答弁を、私は松沢の死亡退院の確認質問からこの滝山問題まで連綿と伺ってきましたが、残念ながら事実とはかなり乖離があるようです。
 一人一人の命と人生があって、家族があって、十把一からげにはできない。精神障害者及び行き場のない患者、社会的弱者への凄惨な暴力は、かつて我々人類が持つホロコースト、アウシュビッツという非人道的蛮行の歴史の深い反省に立って考えるべきなのです。
 私は、転退院を希望している患者の即時救済、朝倉重延院長一族を一掃し、一旦廃院し、理論上は可能な都立病院からの医師派遣をするなど、解体的見直しを強く求めます。
 次に、医療保護入院措置についてです。
 これまで確認してきましたが、一時保護の権限と、委託先としてダイレクトに医療保護入院する手続の流れはいま一つ腑に落ちません。一時保護で通常は一旦児相預かりにして、必要が生じた場合、精神保健福祉法三十四条に基づいた移送手続で医療保護入院をすることが認められるとは思うのですが、保護した直後に、児相を経由せず直接病院へ医療保護することは可能なのでしょうか。
 一般論として、児相における医療保護移送の権限をつまびらかにし、法に基づく手続を説明ください。

○西尾子供・子育て支援部長 一時保護は、児童福祉法第三十三条に基づき、児童相談所長が児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、または児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため行うことができるとされております。

○上田委員 前回質問したのは、二〇一八年に児相の一時保護で直接病院に行って、今裁判になっている、このことから私は新たな気づきをいただいた次第でございます。裁判の状況を見ていくと、何か一旦児相を経由していないんじゃないのというようなことを、非常に問題意識を持って質問させていただいた次第です。適正運用をよろしくお願いいたします。
 本年四月にこども基本法、改正児童福祉法が施行され、昨年確認させていただきました。この間、保育士によるわいせつ事案が多発しました。児童にわいせつ行為を行った保育士の資格管理が厳格化されたため、基準や具体的運用方法等を明示するよう国に求めるとともに、実施体制を整備するための人員、予算を確保しているとのことです。
 こども家庭庁は二月二十八日、日本版DBSの創設に向けた法案の概要を提示しております。認可事業者側も物理的負担が生じるとはいえ、徹底はしていただきたいと思料します。
 基準や具体的運用方法は、現状どのようになっているのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 令和四年六月に公布された児童福祉法の改正において、児童生徒性暴力等を行った保育士について、登録の取消しや再登録の制限などの資格管理の厳格化に関する規定が整備されました。
 具体的には、性暴力を行ったと認められる場合には保育士登録を取り消さなければならないとされ、その後の再登録に当たっては、児童福祉審議会の意見を聴取し、審査することとされております。
 また、保育士を雇用する者には、性暴力等を行ったことにより登録が取り消された者が記録された国のデータベースの活用が義務づけられるとともに、雇用する保育士が性暴力等を行った場合、都道府県知事への報告が義務づけられております。

○上田委員 保育現場も事務量が多くて大変だと思うんですが、そちらについても支援の方をよろしくお願いします。
 改正で示された子供家庭センター、困難を抱える妊婦等の支援、社会的養護経験者の自立支援、子供の意見聴取の取組、一時保護に際しての司法審査、実務者の専門性の確保について、その後の進捗、区市町村からの要望や意見などを踏まえて現状を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 子供家庭センターにつきましては、都は来年度から、母子保健部門と子育て部門が連携して切れ目ない支援を行えるよう、こども家庭センター体制強化事業を実施し、妊産婦に対して丁寧な寄り添い支援を行う区市町村を支援することとしております。
 困難を抱える妊婦等の支援につきましては、来年度、妊産婦等に対して、一時的な住まいや食事の提供、医療機関等への同行支援などを行う民間団体を支援することとしております。
 社会的養護経験者の自立支援につきましては、ケアリーバーが相互に交流し、スタッフに対して悩みが相談できるふらっとホーム事業を新宿区と国分寺市の二か所に加えまして、本年一月からは三か所目を台東区において開設しております。
 子供の意見聴取の仕組みにつきましては、昨年一月の東京都児童福祉審議会の提言を踏まえまして、今年度、児童相談所が関わる子供の意見表明等支援に関する検討委員会を設置し、意見表明等支援員の導入について具体的に検討いたしました。
 一時保護に際しての司法審査につきましては、国は、令和七年六月の施行、実施に向け、本年一月に一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアルの素案を公表しておりまして、今後とも、国の動向を踏まえて対応してまいります。
 実務者の専門性の確保につきましては、国は、児童相談所や区市町村等における相談支援等の質の向上を図る観点から、来年度より、新たな公的資格であるこども家庭ソーシャルワーカーを創設することとしております。

○上田委員 施行後、動いていることを確認しました。
 子供家庭センターについて、区市町村は既に、通称子家センや母子保健事業、区児相など、地域に特化した子育て家庭への支援の充実に向けた取組も物理的な施設もあるので、もう一度屋上屋を重ねない方がいいのではないかということを求めたものですが、効率的な、地域に即した運用をしていると考えます。
 児童相談所と要保護児童対策地域協議会と子供家庭センターの協働等も含め、代表的な取組事例を明示され、状況を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 現在、都内全ての区市町村では、児童相談所をはじめ、子供家庭支援センター、保健センターなど、地域の関係機関が参画いたします要保護児童対策地域協議会等のネットワークを構築しておりまして、各関係機関が虐待事例に係る子供やその家庭の状況などについて情報共有を図りながら、援助方針を確認し同行訪問などを行うなど、緊密に連携して児童と家庭を支援しております。

○上田委員 法律に基づきながら、今ある福祉資源の中で工夫しながらやっているのではないかなというふうに思料いたしました。
 一時保護の適正性の確保や手続の透明性の確保のため、おっしゃったことですけれども、一時保護開始の判断に関する司法審査を導入することになっていますが、その後の検討状況を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 国は、令和七年六月の実施に向け、本年一月に一時保護時の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアルの素案を公表しており、今後とも、国の動向を踏まえて対応してまいります。

○上田委員 この点、何で確認するかといいますと、私のところに毎週のように都内全域から−−都内全域なんですよ、私、江戸川区選出なんですけどね、児相に保護されたまま子供に会えないと悲壮な相談や苦情が届き続けております。児相は動き過ぎても動かなくても問題ということを、過日行われました超党派の地方議員の勉強会での共有課題となりました。児相の独善的な判断に、司法審査がお墨つきを与えまいか危惧するところです。
 適正な保護、そして保護者への接遇、情報提供等々、度々求めてまいりましたが、法改正施行に当たって、取組状況と課題、課題解決に向けての対策を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 一時保護は、児童福祉法第三十三条に基づき、児童相談所長が児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、または児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するために行っております。
 国は令和七年六月に、一時保護時の司法審査を実施する予定としており、国の動向も踏まえながら適切に対応してまいります。

○上田委員 司法審査については、所長の権限というか判断力が非常に重要ですので、適正な所長判断ができる都政にしていただければと思います。
 また、児童相談所長は、子供の意見を尊重しながら一時保護を判断し、児童虐待などにより子供の安全を迅速に確保する必要がある場合は、児福法三十三条に基づき、子供の最善の利益を最優先に考慮して速やかに一時保護を実施しているのは承知しております。
 支援員の育成、拡充は、こうなりますと喫緊の課題であり、子供が保護を拒否、措置の解除、こうした子供の意見をどうしていくのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所長は、子供の意見を尊重しながら一時保護を判断しております。ただし、児童虐待などによりまして子供の安全を迅速に確保する必要がある場合や児童の心身の状況を把握する必要がある場合には、児童福祉法第三十三条に基づき、子供の最善の利益を最優先に考慮して一時保護を速やかに実施しております。
 本年四月に施行されます児童福祉法では、児童相談所長は、児童の意見または意向を勘案して措置を行うために、年齢や発達の状況その他の当該児童の事情に応じ意見聴取その他の措置を取らなければならないとされております。

○上田委員 やっぱりここでも所長が子供の意見表明をちゃんと聞くということで、私も児福審、傍聴させていただいたので、あそこでの議論が反映できるようにお願いをしたいと思います。
 同じく、施設入所等の措置等を解除された者など、措置解除者等の実情を把握し、その自立のために必要な援助を行うことについて、都道府県が行わなければならない業務となり、児童自立生活援助事業の対象者の年齢要件等を弾力化する、生活、就労、自立に関する相談等の機会や、措置解除者の間の相互相談等の場を提供する事業を制度に位置づけるということになりました。
 自立援助ホームの需要は高まり続けており、対象年齢要件が満二十歳以降も利用できるよう緩和され、より柔軟な自立支援が可能となりましたが、成果は上がっていますか。ふらっとホーム事業も活用されているのか、利用者数等を含め確認します。
 都の取り組むこれらのホームの現状について見えた課題、今後なすべきことを伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 自立援助ホームは、児童養護施設の対象児童等に対して、職員と児童が共同生活を営みながら、日常生活の援助や就労支援等を行う事業であり、今回の児童福祉法の改正により、対象年齢要件が満二十歳以降も利用できるよう緩和され、より柔軟な自立支援が可能となっております。
 現在、国において要綱やガイドラインを検討中であり、都は本年四月の法施行後、適切に対応してまいります。
 また、都は、ケアリーバーが相互に交流し、スタッフに悩みが相談できるふらっとホーム事業を実施しておりまして、令和四年度の相談実績は延べ五万八千三百十九件でございます。ケアリーバーがより気軽に相談支援を受けられるよう、今年度から一か所増やし、都内三か所で実施しております。

○上田委員 一つ増えたのは大変喜ばしいんですが、ふらっとホームが福祉保健局のホームページに載っていなくて、指摘をさせてもらって、たしか追加してもらったことをふと思い出す次第でございますので、検索しやすく、よろしくお願いします。
 意見表明等支援員の人材育成ですが、都は児童相談所職員に対して子供の意見表明等に関する理解促進を図るほか、来年度、検討会において、意見表明等支援員の研修などについて検討していくと昨年答弁されています。
 その後の進捗を確認いたします。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、昨年一月の児童福祉審議会の提言を踏まえまして、今年度、児童相談所が関わる子供の意見表明等支援に関する検討委員会等を設置し、児童相談所職員等に対する子供の意見表明等に関する理解促進や意見表明等支援員の研修などについて具体的に検討をいたしました。

○上田委員 支援員の拡充、研修されることについても非常に期待しているので、よろしくお願いいたします。
 赤ちゃんポストについて、一昨年九月、突如として江東区の医療法人が開設を表明し、都民ファーストの都議共々、知事に要望書を渡して既成事実化されようとしたところ、私も指摘しましたし、志ある医療、児童福祉関係者も拙速であることを指摘され、都においても冷静な対応をしていただき、推進しようとした前江東区長、まあ、でも当選無効なので前江東区長じゃないんですけれども、その方も公選法違反で当選取消しとなり、おかげさまで頓挫した次第でございます。
 赤ちゃんポストにおいては、信頼できる賛育会が令和六年度の設置を表明しております。現在の状況と児相関係者など関係機関との連携状況を含め、現状を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 医療機関での新生児の預かりについてでございますが、先般、同法人が新生児を匿名の親等から預かる取組などを実施するとの意向を示しておりまして、都は現在、墨田区と共に同法人から内容について説明を受けているところでございます。

○上田委員 都立病院でお願いをしていたところですが、それでも超民間主導ではなくて、手堅く進めていることは評価したいと思います。
 一方、現在、予期せぬ妊娠、内密出産、NPOフローレンスの始める無料出産なんですけれども、当該法人が医療機関と連携し無料出産事業を実施していることは、都は承知しているということなんですが、何らか結果的に児相が関わる等の事例はなかったのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 個別の事例につきましては、その有無を含めてお答えを差し控えさせていただきます。

○上田委員 いずれにしろ、赤ちゃんの人権最優先でお願いをしたいと思います。
 今、養子縁組もすごく活発にやっているNPOフローレンスさんが、一緒に、二〇一六年に民間養子縁組のアドバルーンを立ち上げました。その中にいたのがベビーライフです。この養子縁組の状況、資料要求もしましたが、令和二年八月から令和四年二月にベビーライフから、都は、合計四百二十二ケースの養親、養子に対する文書を引き継いでいて、そのうち国外在住の養親にあっせんした養子は二百九ケース、引き継いだ情報は、子供の出自を知る権利を保障する観点から都が管理しているということです。
 実子になってしまうこと、本来これは喜ばしいことなんですけどね、ましてや海外というと、人権が守られて健やかに成長しているのか、私は片時も忘れたことがありません。
 二百九人の子供たちの詳細を都は把握していると理解しておりますが、彼女、彼らを今後どう見守っていけるのか、また、二度とこのようなことが発生しないための都の所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、養子縁組のあっせんを受けて養子となった児童の出自を知る権利を保障するため、事業廃止をしたベビーライフから引き継いだ情報を管理するとともに、養親、養子の求めに応じ必要な情報の提供に努めております。
 海外への養子縁組あっせんにつきましては、平成三十年施行の民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律では、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんは、可能な限り日本国内において児童が養育されることとなるよう行わなければならないとされております。
 あっせん法施行以降、民間事業者から海外へのあっせんを行ったという報告は受けておりません。

○上田委員 海外へのあっせんはしていないということで安心はしたんですが、引き続き、二百九人の子供たちのこと、忘れずにお願いいたします。
 かねがね私は、虐待情報の警察との全件共有を目黒区五歳女児虐待死事件前から求めております。台東区の痛ましい事件もありました。児相も区移管も進み、法改正もなされ、現状は変わってきています。
 相変わらずリスクが高いと認められると都が自己判断せず、引き続きまして、他県の先行事例に学び、虐待情報を警察と全件共有すべきと考えますが、所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、警察との情報共有につきまして、虐待非該当、警察による通告及び助言指導としたものを除きます身体的虐待、ネグレクト、性的虐待があると考えられる全ての事案、四十八時間以内に児童の安全確認ができない事案、他県との移管ケースをその範囲とし、リスクが高いと認められる全てのケースについて共有しているところでございます。

○上田委員 やっぱりこれ、誰かがいい続けない限り、私がいわなきゃ動かないと思いますので、全件共有をお願いしたいと思います。まさにこれ、データベース化、東京DXを進めていただきたいと思います。
 令和六年四月に施行される困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、女性支援新法ですが、都道府県が基本計画を策定することとされています。資料をおまとめいただきました。相談、啓発事業から、住宅確保、障害支援、DV対策、多岐に分かれて、それぞれの局で取り組んでいることが分かります。
 女性支援新法は、もともと売春防止法を根拠にし、女性支援を新法で支援できるようにしてきた経緯があります。売春防止法対策では、戦後長い歴史の中で率先して都は取り組んできました。若年妊娠女性保護施設もあり、女性保護施設も若年妊娠施設も含めて五か所あります。適切に入所措置を行っており、入所した方の中には若年被害女性等支援事業の支援からつながった方もいるということは心強い限りです。
 まさにこの都政事業をワンストップで女性支援に結びつけられるようにしていただきたいと思います。現在、基本計画の策定に向け検討していると思いますので、その点の所見を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、現在策定を進めている困難な問題を抱える女性への支援のための基本計画案に、対象者の把握から地域での自立まで多様な支援を切れ目なく提供していくことや、若年女性への支援を推進していくこと、女性への相談支援体制を強化することなどを盛り込んでおります。
 今後、策定した計画に基づき、女性への支援の充実を図ってまいります。

○上田委員 血肉の通ったものとなることを願ってやみません。ワンストップでの相談窓口も、さらに要望しておきます。
 私は、ジェンダーの問題、この女性支援新法においてもまずは生来女性の救済を徹底することが最優先だと考えます。例えば、全ジェンダーレストイレ化にも私は懐疑的です。なぜならば、女装した変質者と区別がつかない、そして、まず女性が怖い、嫌だということを解決することが最優先と考えるからです。
 現在、女性保護施設については、手術をされていない性自認女性の方はお断りしているということで、私は逆にほっといたしました。DVやレイプ等、暴力や性犯罪で痛めつけられた女性をまた不安にさせては絶対にならないからです。これまでも女湯に入って盗撮する、女子トイレに入り込んで生理用品を盗む、女装犯罪者の性犯罪も度々報道され、後を絶ちません。むしろLGBT法施行以降、堂々と行える土壌を法の趣旨に反してつくってしまわれたのではないかと危惧するものです。
 無理やり女性トイレや女性更衣室、女性保護施設を開放しなくても、令和の時代は多岐にわたる解決策が見いだせますことから、断固として、まずは生来女子、生来女性で性自認女性で困難を抱える女性を可及的速やかに救済することを強く求めます。
 都は長年、全国に先鞭をつけて、その時代時代の女性支援を、批判されながらも庁内で闘い、恐らく女性都庁職員が進めてきた歴史ある取組ですので、そのバトンの大きな節目ですので、重ねてよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 委託費の不正利用が疑われ、監査請求され、NPO法人代表があからさまな政治活動をしていたことから注目を集めてしまった若年被害女性等支援事業ですが、相談件数は増加していますが、アウトリーチは伸び悩み、居場所提供数についても三日に一人程度ということで、どのように都は評価して今後取り組むのか、新年度に向けて所見を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、若年被害女性等支援事業について、平成三十年度の事業開始から令和四年度まで委託事業として実施し、民間団体のノウハウを活用しながら若年女性への支援を行ってまいりました。
 今年度からは、事業の効果を一層高めていくため、民間の創意工夫を生かし支援が必要な若年女性の状況に応じた対応が行えるよう、委託事業と比較して、より柔軟な事業の実施が可能な補助事業に変更しております。
 また、支援が必要な女性を確実に自立につなげるため、女性相談センターに専任の職員を配置して、民間団体との連携を強化しているところでございます。

○上田委員 専任職員配置ということであります。
 補助事業になって、宣誓文ですか、宗教及び政治活動はしないという、あれはすごくよかったと思いますので、そして、若い人たちが食い物にされないような事業であることを願うものでございます。
 障害者福祉についてです。資料の東京都心身障害者福祉手当負担金と取消し額です。
 取消しに至る代表事例と、三多摩地区は特別区より財政が厳しいことから、本来福祉につながるべき人たちがつながっているのかいないのか懸念しています。所見を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当は、心身障害者の経済的、精神的負担を軽減し福祉の増進に資することを目的とし、都条例及び施行規則に対象年齢、障害程度、所得制限のほか、施設入所の方を対象外とするなど、支給要件を定めております。
 都条例及び施行規則に基づいて支給される手当は都が全額負担をしており、支給要件を満たさないことが後から判明した場合等には、市町村は都に負担金の返還を行っております。

○上田委員 健全に運用されているようでございました。
 都による福祉、介護現場の処遇改善事業が展開されております。
 福祉事業所運営者の方々にお尋ねすると、えてして処遇改善はもちろんあってほしいが、報酬の改正をしてほしいと。職員の処遇はもちろんのこと、利用者の工賃が上がる改正をしてほしいとの声をるる頂戴いたします。
 報酬支給は工賃額により段階別となり、工賃が低いほど報酬も低くなり、報酬が低いと運営費が不足し、工賃向上に手が回らなくなり、工賃アップのめどが立たなくなってしまいます。工賃が低い事業者には利用者は来ないということになり、この点から、工賃によって段階をつけず、報酬支給を望まれるようです。
 職員の処遇改善も大切ですが、本来は障害者福祉、障害当事者の処遇改善が先なはずです。ここで、職員処遇改善を行政が始めていることは評価しますが、あわせて、障害者の処遇改善が求められるものです。
 最低賃金があるように、最低工賃も設定して、足りない分を支援するなど新たな取組が必要と考えますが、この点の所見と対策を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 国は、法令で平均工賃月額を三千円以上と定めており、令和四年度の都内平均工賃月額の実績は一万六千三百二十円となっております。
 都は、令和三年度から五年度までの工賃向上計画を策定し、就労継続支援B型事業所に対して、商品開発、営業手法及び作業工程管理等の業務改善支援を実施しております。

○上田委員 ということなんですが、そもそもB型工賃の全国平均が二〇〇六年から四千円ほどしか変わっておらず、工賃倍増五か年計画も達していない。
 この点の所見と今後どう達成されるのかも伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 国は、平成十九年に工賃倍増五か年計画を推進するための基本的な指針を策定、平成二十四年度以降は三年ごとに工賃向上計画を推進するための基本的な指針を策定しております。
 都は、これに合わせて工賃倍増五か年計画や工賃向上計画を策定し、工賃向上に向けた取組を実施してまいりました。
 引き続き、来年度からの工賃向上計画に具体的な支援策を盛り込み、就労継続支援B型事業所における取組が効果的に実施されるよう支援することとしております。

○上田委員 一般質問でも、局違いますけど、デフリンピックバッジが聴覚障害者に全然届いていないとか、やっぱり当事者を置き去りにしちゃうというのがどうなのか。ここで工賃を本当に上げるべきじゃないですかね。さっき鈴木委員も〇一八サポートの一千億を超えるような予算のことをおっしゃっていましたけど、ちょっと優先順位が違うのかなというふうにも思う次第でございますが、ぜひお願いをしたいと思います。
 新規事業についてです。
 学童クラブ昼食提供支援事業で、お弁当の発注システムを構築するということでありますが、私の選挙区の江戸川区は、すくすくスクールという独自の学童事業を推進しております。長期休暇のときは保護者も助かることと思います。
 現在、都内学童クラブでは、昼食提供に係る需要がどの程度あり、既に開始している先行事例を把握していますか。ぜひ広げていただきたいことから、確認させていただければと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は昨年七月に、都内学童クラブの長期休業期間における食事提供事例を取りまとめ、区市町村に周知しております。長期休業中に昼食提供を行っている学童クラブの数は、令和五年五月一日現在で三百七十か所となっております。

○上田委員 まさにこれは、私も学童クラブは子供たちがお世話になったんで、夏休み、冬休み、休みが頭が痛いというので、保護者会でお弁当を買って届けたりなんかもしていたわけでございますので、ぜひ進めていただきたいというふうに思っております。
 認証学童クラブ制度の創設に向けた取組ですが、モデル事業で十か所程度の既存学童を想定しているようです。公平、公正な基準で選定されているのか、その十か所ありきで予算づけしていないのかちょっと気になっているので、事業所がいるのか確認させてください。
 また、江戸川区の場合、なかなか都型学童を認めてもらえずに、ようやっと一昨年から二つ認めてもらったというようなことがありまして、事業所が補助を必要としても区市町村がこの取組に非協力的な場合はどうするのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は来年度、独自の運営基準による新たな認証制度の創設に向け、学童クラブの充実に先行して取り組む区市町村を選定の上支援し、その成果を新たな制度に活用することとしております。

○上田委員 このことも、学童クラブの施設長とかに聞いたら全く知らなかったようなので、周知はフェアにしていただければと思います。
 児相と子家センの連携強化事業です。
 例えば、江戸川、荒川は、区児相移管の際に子家センと児相は一体化しております。私個人は、その方が現場も情報共有しやすく、人材も集約できると考えます。特別区の児相移管は各区の判断ではありますが、都は移管に積極的ではないのでしょうか。都児相と子家センの連携強化対象としている自治体はどこを念頭にしているのか、移管までの暫定的な対策なのか、恒久的な取組なのか伺います。
 また、児相移管を希望する特別区への協力連携体制も求めるものです。その際、子家センと一体化するかしないか、世田谷はしなかった、こんな形の特別区の選択を阻害することはないか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所は、都道府県及び指定都市に設置義務があり、平成二十八年の児童福祉法の改正により、希望する特別区にも個別に政令指定を受けて児童相談所を設置できることとなっております。
 都は来年度、増加する児童虐待に的確に対応するため、子供家庭支援センターの機能強化を支援するとともに、子供家庭支援センターと都児童相談所との一層の連携強化を図る連携強化事業を実施することとしております。
 また、都は、児童相談所の設置を予定する区の設置計画を確認するとともに、区職員を研修で受け入れ、人材育成を支援しております。

○上田委員 区の選択の自由があるということを確認させていただきました。
 小池知事鳴り物入りの卵子凍結事業です。
 民間による赤ちゃんポスト、養子縁組と同じように、福祉、医療ビジネスの温床とならないか懸念するものです。卵子凍結に熱心に取り組んでいる産婦人科医が主宰する財団には、都や国の女性政治家や議員関係者も関係していることを仄聞しております。
 現在、卵子凍結のできる病院は都内に何か所ありますか。特定の医療法人に集中しまいか、医師会、区市町村、保健所と地域医療との連携状況も確認いたします。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、卵子凍結への支援の実施に当たり、医療機関を登録制としており、常勤の生殖補助医療の専門医の配置や卵子の適切な凍結保管などを要件としております。
 本事業の開始に当たりましては、事前に東京都医師会や都内の産婦人科等の医療機関に事業内容を周知するとともに、登録医療機関としての協力依頼を行いました。
 本日時点で登録医療機関は六十二施設でございます。

○上田委員 女性もすごい長寿命化しましたけれども、出産可能年齢は変わらないので、高齢出産への不安は非常に理解するところであります。
 一方、生命倫理の問題もはらんでおります。とりま凍結、お試し凍結はあってはならず、また、そうした女性心理に付け込む医療ビジネスがあってはなりませんことから、警鐘を鳴らすという意味で質問させていただいておりますので、その点、ご理解の上、取り組んでいただければと思います。
 虐待などの不適切保育に対する相談対応事業ですが、認可ですと第三者委員もいたり、周知なども区市町村も関わるので、設定してくれると思いますが、認可外保育所が相談機関に、要するに自分のところの苦情をいわれちゃうわけですから、そういうのは自ら積極的に相談窓口があるよと、積極的に全てが行うとは限りません。
 園任せにせず、当該保護者がこの相談事業をどう把握することができるのか、想定を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都が来年度設置する認可外保育施設における不適切な保育に関する相談窓口につきましては、都のホームページに掲載するとともに、区市町村とも連携し、保育に関する手続を行う窓口などにおいて、保護者等への周知を行うこととしております。

○上田委員 多分、認可落っこちちゃって行く場合があると思いまして、必ず区市町村の窓口に行くと思うので、その際、渡していただけるということで安心しました。
 認知症高齢者早期発見等支援ネットワーク事業なのですが、地域によってはNPOや民間主導で実施しているところもあるようです。
 一億一千五百万ということですが、想定支援規模や、これの数、業態などをご説明ください。

○花本高齢者施策推進部長 認知症高齢者早期発見等支援ネットワーク事業は、行方不明になった方を早期に発見するためのネットワーク構築に取り組む区市町村を支援するものでございます。
 実施規模については、行方不明者の位置情報を探知するGPS機器の導入とネットワーク構築を合わせて行う事業は十自治体、地域資源マップの作成やGPS機器の導入など六種類の個別事業は計四十三自治体を予定しております。

○上田委員 結構、工夫をしながら始めるようでございますので、これについても広がっていくことを−−本当にしょっちゅう私も、江戸川区も人口が多いので、おじいちゃん、おばあちゃんがいなくなったと大騒ぎで、町会で探すなんてこともありますので、進めていただければと思います。
 介護現場のイメージアップ戦略事業、介護WITHプロジェクトですが、PRということで、一概にちょっとイメージが湧かないんですね。広告代理店に丸投げしておしまいということではないとは思いますので、具体的にご説明の上、期待できる効果をお示しください。

○花本高齢者施策推進部長 介護現場のイメージアップ戦略事業、介護WITHプロジェクトは、夢や趣味と介護の仕事を両立している職員を応援し、多様な働き方ができることをPRすることで、介護業界全体をイメージアップする事業でございます。
 具体的には、こうした職員を支援している事業所と連携し、多様な働き方の事例を就職フェアに出展して紹介するとともに、夢や趣味と介護の仕事を両立できる環境づくりに取り組む事業所を支援いたします。

○上田委員 就職フェア等、具体的な事業にひもづいていることを確認させていただきました。
 発達障害の検査体制の充実に向けて、緊急的な支援をこのたび行いますが、安易なレッテル貼りで、長年、私が警鐘を鳴らしてきた乳幼児、子供への安易な向精神薬投与につながらないか懸念するものです。
 従前、都は、小児における精神科薬物療法については慎重を期しており、特に就学前の子供に対しては投薬以外の方法を第一選択とすることはいうまでもなく、投薬が必要な場合にも最小限にとどめると明言してくれています。
 この検査の取組推進と安易な薬物投与抑制を、本当に難しいところですが、バランスよくどう実現するのか、所見を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は来年度、区市町村や医療機関、検査機関、保護者等を対象に、発達検査の現状と課題を分析するための実態調査を実施するとともに、緊急的な対応として、区市町村が検査体制を充実できるよう、人件費や委託経費などを支援します。
 都はこうした取組を通じて、発達障害が疑われる子供を早期に障害の特性を踏まえた必要な支援につなげていきます。

○上田委員 江戸川区は発達障害児の支援センターの草分けでやっていて、各保育事業者さんたちも本当に検査、待ち焦がれているので、前向きな事業者さんにはとてもありがたい取組だと思いますけれども、私なんかは本当にじっとしていられない子供だったので、ともかくレッテルづけではなくて、その子と保護者が生きやすいための一つ検査の過程ということで、一人一人に寄り添った、コーディネートをされた発達障害児と保護者支援というのをお願いしていきたいなと思います。ただ、検査の拡充は評価するものでございます。
 最後に、ケアラー支援です。ヤングケアラーコーディネーター連絡会及び事例作成は評価するものですが、まずはケアラーの悉皆把握のための調査、ケアラー条例制定が喫緊に求められると思料いたしておりまして、所見を求めるものです。

○山本企画部長DX推進担当部長兼務 ヤングケアラーに関する調査について、都は、令和二年度に国が実施した実態調査を基に、子供家庭支援センターや学校に対して具体的な対応事例等のヒアリング調査を実施いたしました。
 また、都は、高齢者保健福祉計画や障害者・障害児施策推進計画、子供・子育て支援総合計画を策定し、様々な施策に取り組んでおります。
 ケアラー支援としましては、レスパイトに有効なショートステイなどの介護サービス等の基盤整備を推進するほか、ケアラーの交流会開催などを行う区市町村を包括補助により支援するとともに、ヤングケアラーやその家族への相談支援などを行う民間団体等を支援しております。

○上田委員 過日、埼玉県のケアラー条例の視察に行ってきました。
 自民党の議員が中心となって、議員でつくったケアラー条例でありますので、本当は私たち議会で提案できたらいいのになというふうには思っておりますし、ヤングケアラーはもちろんのこと、さきの困難な女性の新法もできましたけれども、ほとんどやっぱり女性なんですよね。ケアラーになるというのは、幼い頃から介護や看護もまた女性ということで、これも真の意味でのケアラー条例をつくっていくことが、真の女性支援にもつながっていくというふうに重要に思っておりますので、こちらの方の事例集も楽しみに待ちたいと思います。
 最後になりますけれども、十六兆円の規模のうちの十六分の一の一兆円、庁内最大級の予算を福祉局が持っていると思いますが、るる、ほかの委員も指摘したように、〇一八サポート、おこめクーポン、困窮世帯一万円商品券と、もうばらまきといったらなんですが、そういったことも散見されます。また、都の外郭団体、区市町村との二重三重福祉行政というのも散見されることであります。そうしたことに莫大な予算が使われておりながらも、検査体制が、結局見つけ出せずに滝山事件も起こりました。障害者の工賃も上がりません。
 こうしたことも踏まえて、もうちょっと都民に直結する生活や、本当に苦しみに直結する事業を展開していっていただきたいということを私は指摘をさせていただきまして、質疑を終わらせていただきます。

○伊藤委員 それでは、五点にわたって質問させていただきます。
 まず一点目、認証学童について伺います。
 今定例会の私たちの代表質問に対して、知事より、保育所の待機児解消に続き、小一の壁に挑むことが示され、学童クラブの充実に向け、都独自の運営基準による新たな認証制度の創設に取り組むとの答弁がございました。子育て世帯に寄り添った支援を切れ目なく行い、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向け、重要な一歩を踏み出したということは高く評価をさせていただきます。
 学童クラブの課題の一つに、職員の処遇の改善という課題がございます。学童クラブは放課後の時間帯の業務であるため、勤務時間が短く、職員の給与等の処遇に課題があるというふうにいわれています。学童クラブの質の向上を図るためには、そこで働く職員の皆さんが継続的、また安定的に勤務できる環境が必要と考えます。
 今後、認証学童クラブの制度創設に向け、学童クラブのサービスの質の向上について検討するとともに、職員の確保、定着に向けて、処遇改善も検討していくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は現在、学童クラブに従事する放課後児童支援員の経験年数に応じた処遇改善を図るため、キャリアアップ処遇改善事業によりまして、賃金改善に必要な費用の一部を区市町村に補助しております。
 来年度は、都独自の運営基準による新たな認証制度の創設に向けて検討会を立ち上げ、保護者や子供のニーズを把握しながら、職員配置や活動プログラムなどを検討するとともに、支援員の専門性の向上や処遇改善など、人材の確保、定着に向けた取組についても検討してまいります。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 もう一点、学童クラブに出している運営補助金についてです。
 学童が得ている収入は、補助金以外には、児童家庭からの月謝のみとなっており、運営においては補助金が大きな役割を担っています。
 事業者に対する補助金の支払い方は、これは区市町村が決めている、決定によって行われているというものなんですが、この支払いの頻度については、自治体によってばらつきがあるというふうに伺っています。支払いの頻度によっては、学童の財務運営自体に困難を来してしまうということも考えられます。この点についても、ぜひ今後工夫ができるように、区市町村ともしっかりと連携を取って進めていただくことを、これは要望としてお願いを申し上げます。
 続いて、卵子凍結について質問します。
 社会的な事情による卵子凍結支援については、様々なご意見があるということは承知をしておりますが、一方で、子供を望んで不妊治療をしても希望がかなわない夫婦が非常に多いということや、少子化に歯止めがかからないということは大きな社会問題であると思います。
 そこで、卵子凍結に係る費用への助成は、都内在住で十八歳から三十九歳までの女性が対象となっておりますが、令和五年度に都に助成を申請した方の年齢別実績について、まず伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 先週金曜日、三月十五日時点でございますが、都に助成金を申請した方は九百二十四人でございまして、年齢別の内訳は、二十歳から二十四歳までが一人、二十五歳から二十九歳までが二十七人、三十歳から三十四歳までが二百八十四人、三十五歳から三十九歳までが六百十二人でございます。

○伊藤委員 先日の予算特別委員会の入江議員の質問に対して、東京都は卵子凍結に関する都民向けセミナーを開催し、幅広く都民の理解を促進するという答弁をいただきましたが、今ご答弁をいただきました年齢別の内訳では三十五歳以上の人数が最多であるということで、現状の課題が反映されているということが読み取れるとともに、今後は若い世代にも関心を持っていただくということが重要であるというふうに考えます。
 プレコンセプションケアの一環として、若い世代から様々な機会を通して卵子凍結に関する正しい知識を持っていただくということが必要であると考えますが、見解を求めます。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は現在、広く都民に卵子凍結について正しい知識を持っていただけるよう、妊娠、出産の知識や卵子凍結のメリット、デメリット、採卵から凍結までの医療行為の流れなどを盛り込んだ手引の作成に取り組んでおります。作成した手引や、先ほどお話がありましたとおり、来年度開催する都民向けセミナーにつきまして、今後、区市町村のほか、都内の大学や専門学校等に周知するとともに、SNSを活用して広報を行います。
 また、関係局とも連携し、若い世代が集まるイベント等においても周知を行うなど、若い世代に対して卵子凍結についての正しい知識の啓発に取り組んでまいります。

○伊藤委員 続きまして、母子感染について伺います。
 都の福祉局のホームページや各自治体の母子健康手帳にも母子感染についての記載はございます。しかし、さらなる取組が必要と考えまして、本日、質問させていただきます。
 母子感染とは、妊娠中の母親の体内から胎児に感染することなどをいいます。一度感染すれば抗体が確保されますが、妊娠中に初めて感染をしますと生まれてくる赤ちゃんが病気を持っていたり、あるいは障害が残る可能性があるとされています。
 そこでまず、妊娠中の母子感染に対する都の認識について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 妊娠中の母親から細菌やウイルスなどが胎児に感染すると流産などの原因となるほか、胎児に健康上の影響が起きる場合があることから、妊婦が感染症予防のための正しい知識を持つことが重要であると考えております。

○伊藤委員 例えばサイトメガロウイルスでありますとか、トキソプラズマ原虫などは、感染経路は様々ですが、唾液、母乳、体液なども原因にあり、普通の生活の中で感染をします。家族の残した食事を食べないということであったり、きょうだいの唾液や尿に触れた後は丁寧に手を洗うなど、生活上の予防でかなりの予防ができるともいわれています。母子感染は避けられない感染症でありますが、日常生活の工夫によって感染のリスクを下げることができるものもあります。
 そこで、こうした妊娠中の母子感染について、区市町村のいわゆるママパパクラスのような場や産科での周知をさらに進めていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、妊娠中の感染症予防についてホームページで啓発するとともに、区市町村の保健師や医療従事者等を対象とした研修を実施し、基本的な知識や最新の知見等に関する情報提供を行っております。
 また、区市町村においても、母子健康手帳による周知や両親学級での保健指導を通じた注意喚起を行っております。
 今後とも区市町村と連携して、妊婦への普及啓発に取り組んでまいります。

○伊藤委員 ありがとうございました。
 続きまして、高齢者健康づくりデジタル機器活用事業について伺います。
 昨年の九月時点での発表ですが、東京都の高齢者人口は約三百十一万四千人、これは前年比で一千人増と発表されました。
 超高齢化社会を迎える中、都は来年度から、プラチナ・キャリアセンター創設に向け動き出すなど、高齢者の皆さんが自分らしく活躍できる社会の実現に向け取り組んでいることは、高く評価をしたいと思います。
 あわせて、昨年度から、千五百人枠の被験者に対してスマートウオッチなどを配布して、そこで得られたデータなどを活用し、高齢者の健康増進、フレイル予防に役立てるため、高齢者の健康づくりに資するスマートウォッチ等デジタル機器活用事業を行ってきました。
 まずは、この事業の進捗状況について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、東京都健康長寿医療センターの知見を活用し、フレイル外来の患者や、板橋区、千代田区の協力を得て募集した高齢者にバイタルや身体活動量を計測できるスマートウオッチ等を配布し、収集したデータ等を分析することで、フレイル等の健康リスクとの関係性を解明する取組を行っております。
 今年度は、収集したデータと健康診断結果を詳細に比較分析して健康リスクを可視化し、高齢者が自ら確認できるアプリの試作モデルをヘルスケア分野でノウハウを有するスタートアップ企業とも連携しながら開発しており、今月末に完成予定でございます。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 これまでの分析結果を基にアプリの試作モデルの開発を進めるということですが、こうした事業というのは、一市町村で行うには財政的な負担の大きさでありますとか、また、取得したデータの活用をする面ということからもとても難しいため、都のような広域行政が進めてくださるというのは、とてもありがたいことだというふうに思います。
 実用化に向けては、現在連携を進めておられる千代田区と板橋区以外の区市町村においても、広く活用される工夫が必要と考えます。
 そこで、来年は具体的にどのような取組を行っていくのか、また、実用化に向けた今後の事業展開について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 来年度は、開発したアプリの試作モデルに、利用者の活動量等に応じて行動変容を促すメッセージを表示する機能を新たに追加します。さらに、実証運用を通じて利用者の声を反映し、アプリを完成する予定でございます。
 また、アプリから得られたデータを区市町村が健康増進やフレイル対策に生かせるよう、本事業に協力いただいている千代田区や板橋区とデータの活用方法を検討してまいります。
 実用化に向けては、実証運用での利用者の声や、千代田区、板橋区との検討結果を踏まえ、区市町村が健康増進やフレイル対策に活用できる仕組みを検討するなど、効果的なフレイル予防の取組につなげてまいります。

○伊藤委員 ありがとうございました。どうぞ区市町村との連携、しっかりとお願いをしたいと思います。
 では、最後に、チャイルド・デス・レビュー、CDRについて質問をします。
 都は、チャイルド・デス・レビューの具体的な取組の開始に向け、今月、関係機関連絡調整会議を開催し、また今月の末には、多機関検証ワーキンググループを開催する予定と伺っています。
 そこでまず、この二つの会議体のそれぞれの設置目的と今回の議事内容について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 関係機関連絡調整会議は、医療や警察等の関係機関が参加し、検証に向けた情報収集や検証結果の取りまとめ等を行う目的で設置をしております。本会議は今月四日に開催し、情報収集や検証の進め方に関する意見交換や、関係機関への情報提供等の協力依頼、今後の予定の共有等を行いました。
 また、この会議の下に各分野の専門家による具体的な検証を行うことを目的とした多機関検証ワーキンググループを設置いたします。ワーキンググループは今月末に開催し、人口動態調査における年齢別死因や死亡数のデータなどを基に、都内の子供の死亡に関する全体の傾向等を議論する予定でございます。

○伊藤委員 今のご答弁にありました多機関検証ワーキンググループで行うこととしている個別事例の検証は、同意ができた事例がある場合に行うということになっています。
 ただ、私自身も親の立場として考えても、予期せぬ事故あるいは突然死をされた子供の保護者から、亡くなってまだ間もない期間の中で同意を得るということは、これは相当難しいことではないかなというふうに考えますが、この点についてはどのように取り組んでいくのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、個別事例の検証を行うために、遺族から同意を得て、関係機関から死亡した子供に関する情報を収集する予定でございます。
 遺族同意の取得は、東京都こども救命センターに指定している四病院の協力の下で実施し、具体的には、四病院の医師が遺族の心情に十分配慮をしつつ、将来に向けた予防という事業趣旨を丁寧に説明し、理解いただいた上で行うこととしております。

○伊藤委員 先日の予算特別委員会の代表質問でも取り上げまして、私自身も先週末の保健医療局の中でも触れましたが、例えば自殺対策については、とりわけ若年層への対策について、都は来年度から、多職種の専門家による子供サポートチーム、これを設置し支援を充実していくなど、自殺リスクの高い子供への支援を一層強化するとしています。
 自殺も含め、子供の死亡は様々な場所、要因で起こり得るものであり、都の様々な部署も関わらなくてはいけません。このCDRの取組を効果的に進めていくためにも、庁外の関係機関はもちろんのこと、子供の自殺対策など、異なる局で行っている事業であってもしっかりと連携をし、命を守る施策を進めていくことが重要と考えます。
 最後に見解を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 チャイルド・デス・レビューの取組では、庁内関係局や関係機関から情報提供を受け、連絡調整会議やワーキンググループで検証を行い、改善策を取りまとめます。取りまとめた改善策は、関係機関等にその実施を働きかけることとしております。
 他の制度で検証する事例等は個別検証の対象とはなりませんが、例えばお話の子供の自殺につきましては、保健医療局をはじめ関係局ともしっかり連携して、全体の傾向等に関する把握や分析を行ってまいります。

○あかねがくぼ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十七分休憩

   午後五時五十五分開議

○あかねがくぼ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○北口委員 私からは、まず、二〇二五年デフリンピック大会の東京開催に際しまして、何点か質問をさせていただきます。
 初めに、デフアスリートの地域交流についてお伺いいたします。
 オリ・パラ大会では、大会のかなり前から海外選手が我が国に前乗りして宿泊される必要もあったことから、ホストシティに名のり出る自治体が出て、今でも交流が続く例もあるなど、それ自体が本大会の開催意義にも通じる意義深い取組となりました。
 このデフリンピック東京大会においては、そうした事例が過去大会にはないため、全く同じように構えることは困難かもしれません。
 しかし、可能な範囲で、希望する都内区市町村のろう者団体と海外アスリートや国内アスリートとの交流を前夜祭や後夜祭的に開催するなどして、本大会の枠組みを超えて、デフリンピックを東京で開催する機会を捉えて、共生社会づくりへの共感の輪を都内のあちらこちらで広げて、その輪に参加をした、希望した都民が、大会後も各地のろう者団体との連携を深めてサポーター的存在になっていく、こうしたきっかけをつくることは大変意義深いものというふうに考えております。
 この二〇二五年に東京都で開催されるデフリンピックのレガシーを残す取組として、地域におけるデフアスリートとの交流会の開催は大変重要と考えております。
 都としても、地域における交流会の開催について、積極的に支援すべきと考えますが、都の見解を求めます。

○鈴木障害者施策推進部長 身近な地域におきまして、将来を担う子供たちがデフアスリート等と交流することは、聴覚障害をはじめ、様々な障害及び障害者への理解を推進する上で重要でございます。
 都は今年度より、手話に関する知識や理解を子供の頃から深められるよう、聴覚障害者による出前授業などに取り組む区市町村を支援しており、今後、デフアスリートを招いた交流会やイベント等についても支援の対象となることを区市町村に積極的に周知してまいります。

○北口委員 ぜひそうした取組の可能性があることを都が広く発信をして、そうした希望の表明があった場合には、全日本ろうあ連盟を通じて、ICSD、国際ろう者スポーツ委員会ですけれども、に早めにお伝えをして、一例でも多くの実現に結びつくよう取組をすることを要望させていただきます。
 また、障害者への関心が高まるこの機会を捉えて、障害及び障害者への理解を促進させ、大会前よりも都民の意識の中のバリアフリーを促進させなければなりません。
 また、ICTなども活用しながら情報保障に取り組むなど、ハード的な整備もさらに推進をする必要があります。
 障害者差別のない共生社会の実現に近づけるよう取組を推進していくべきというふうに考えますが、都の見解を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都はこれまで、差別解消条例に基づき、障害及び障害者の理解促進のため、障害特性や配慮すべき事項をまとめたハンドブックやパンフレットを作成するほか、民間事業者向け説明会を実施するなど、様々な普及啓発策に取り組んでまいりました。
 来年度は、これらに加えて、子供を含めたファミリー層や若者が集まる商業施設等において、デフアスリート等を招き意識啓発イベントを実施していくほか、誰もが円滑にコミュニケーションをできるデジタル機器を導入する区市町村を支援してまいります。
 こうした取組により、さらに多くの方への障害者理解を深め、地域の中で共に暮らし、支え合うことができる共生社会の実現を目指してまいります。

○北口委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、デフを契機とした手話人材の環境整備について伺います。
 これまで都議会公明党は、手話人材や量と質の確保を求め、都もそれに応え、着実に取組を強化してきております。
 その一方で、手話人材の多くは、現状、手話通訳や手話講座の講師としての収入だけでは生活が成り立たないため、ほかに仕事を持ちながら何とか時間を工夫して手話技術を発揮しての活動に従事をしております。
 しかし、長年手話通訳をして活躍をしてきた方々からは、海外では、ご本人が希望しその技術を周囲が必要としていれば、手話の仕事だけで十分に生活が営める環境が整っているとのお話を伺うことがあります。
 加えて、我が国では、手話通訳者等の高齢化や若手人材の不足等が課題となっております。
 新たな担い手が意欲的に手話人材の世界に飛び込めるようにするためには、手話人材が手話活動によって得られる収入の増額と手話の専門家としてより幅広く活躍し安定した生活を営める環境の整備が必要でございます。
 都は、デフリンピックを機に、社会が必要とする手話人材の継続的な確保のため、手話通訳者等が専門家として活躍できる場を確保できるように、都としても環境の整備に取り組むべきというふうに考えますが、都の見解を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、聴覚障害者などの意思疎通支援に係る人材確保のため、手話通訳者等の養成などに取り組んでおります。
 区市町村においては、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業として手話通訳者等を派遣しており、地域の実情に応じてその派遣条件を定めております。
 都は来年度、障害当事者のニーズや手話通訳者等の派遣回数、派遣先などの活動状況等について、区市町村などを対象に調査を行い、手話通訳者等を取り巻く実態を把握いたします。
 今後、調査結果も踏まえ、手話通訳者等がより活躍できるよう環境整備に取り組んでまいります。

○北口委員 よろしくお願いいたします。
 そしたらテーマ変わりまして、次に、子供の居場所づくりについて質問します。
 まず初めに、学童クラブについてです。
 学童クラブは、放課後の子供の居場所として、また子供の遊ぶ権利の場として、十分な質と量の確保が求められております。残念ながら、場所によっては十分に家庭や子供の要望に応えられていないというケースもあるように見受けられます。
 私も低学年の子を持つお母様から、学童に入れなくて困っている、また、学校と学童クラブが離れていて移動が心配等のお声を聞いております。
 こうした状況を改善すべく、都は区市町村と緊密に連携しながら取組を進めるべきというふうに考えております。
 来年度、都は、認証学童クラブ制度の創設に向けて、都独自の運営基準を検討することとしておりますが、都民の多様なニーズに対応できるよう、実態を踏まえきめ細かく検討していくことが求められております。
 学童クラブの運営実態や都内の先駆事例も参考にしながら、様々な視点から基準を検討していくべきというふうに考えますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は来年度、学童クラブの認証制度の創設に向け、学校や区市町村などが参画いたします検討会を立ち上げ、具体的な内容を検討いたします。
 検討に当たりましては、学童クラブの運営形態は、学校内設置の公設クラブや学校外の施設で運営する民設クラブなど様々であることから、それらの運営実態や課題等を調査した上で、事業者にもきめ細かく意見を聞きながら、都独自の運営基準等としてまいります。
 また、学童クラブの充実に先行して取り組んでいる区市町村を新たに支援し、その成果を新たな認証制度の検討に活用してまいります。

○北口委員 学童の質と量、十分に確保できますよう、何とぞよろしくお願いいたします。
 次に、子供の居場所二つ目として、放課後デイについてお伺いをいたします。
 知的障害児などのお子さんを預かるこの放課後等デイサービスは大変重要です。放課後デイにつきましては、近年のニーズの高まりを受け、多くの事業者が運営に参画しまして、増加傾向にあります。
 しかし、中には利用者のニーズに応えられていないケースもあり、これまでもサービスを提供する人材や質の確保に向けて都の支援の充実を求めてまいりました。
 都では、令和四年度から都型放課後等デイサービス事業を開始しておりますが、令和四年度に事業に参画したのは六事業所というふうに聞いております。
 都型放課後等デイサービスの充実に向けた今年度までの改善状況についてお伺いをいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、都型放課後等デイサービス事業により多くの事業者が取り組めるよう、事業開始後も関係者との意見交換を重ね、実態に応じた柔軟な運用を行っております。
 具体的な例としては、補助要件である十九時までのサービス提供時間について利用希望等に応じ設定できるようにしたほか、コア職員の配置条件として、児童福祉事業の実務経験に加え、学校等での相談支援などの実務経験も認めることといたしました。
 こうした取組もあり、今年度は、昨年度から十七事業所増え、二十三事業所が参画しております。

○北口委員 様々な運用の工夫により、都型放課後等デイサービスに取り組む事業所が四倍近くに増加したことは、成果だというふうに評価をしております。
 一方で、都内には多くの放課後等デイサービス事業者が存在し、そのほとんどが一般の放課後等デイサービス事業者で、基本的には国の定める報酬等により運営をされております。
 国が定める方針に加え、都独自の補助金が得られる都型放課後等デイサービス事業は、事業者にとっても大きなメリットがあり、また、サービスの質の向上を図るためには、より一層の充実が求められております。
 今後、都型放課後等デイサービス事業がさらに多くの事業所で取り組まれるよう、一層の手だてを講じるべきというふうに考えますが、都の見解を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業にさらに多くの事業所が参画できるよう、都は来年度から、これまで必須としていたサービス提供時間や送迎の実施を事業所が選択できるようにいたします。
 都が定める全ての要件を満たす事業所には、補助額を従来よりも充実し、引き続き質の高いサービスの提供を推進してまいります。
 今後も事業に関する情報発信のほか、対面やオンラインによる説明会での周知、参加意向のある事業所に対する個別相談などを丁寧に行いながら、事業への参画を積極的に働きかけてまいります。

○北口委員 ぜひ事業者と、また利用者の声をよく聞いていただきまして、こうした取組を通して放課後デイの質と利用者の満足度の向上、期待をしております。
 次に、子供食堂についてお伺いをいたします。
 子供食堂は、地域の子育て家庭への支援の一助として近年広がりを見せています。
 その役割は、様々な理由で家族と食事を共にできない子供たちへの食事提供にとどまらず、地域コミュニティの形成や見守りなど多岐にわたります。
 私の地元の葛飾でも、多数の子供食堂が運営されております。
 コロナ禍で配食となったNPO団体もございますが、配食や宅食の取組の中で、訪問の機会に子供の様子を見守るなど、活動を続けてくれております。
 都は、この子供食堂の開催に関わる経費の支援を平成三十年度に開始しました。令和元年度にはコロナ禍における対応策として、配食、宅食に関わる経費も補助対象とするなど、支援を拡充してきたことを評価しております。
 そうした都の後押しもあり、都内各地域において取組が広がっているものというふうに理解をしております。
 そこでまず、都が事業を開始した平成三十年度に比べ、現在どの程度増加をしているのかお伺いをいたします。

○西尾子供・子育て支援部長 都が支援を行いました子供食堂の実績は、事業開始の平成三十年度は二十五区市百九か所でございましたが、昨年度は二十九区市三百四十三か所でございまして、四年間で四区市二百三十四か所増加いたしました。

○北口委員 都の支援を受けた子供食堂は、制度創設時から三倍以上に増加しているということが分かりました。
 子供食堂は、子供が安心できる地域の居場所となることはもとより、貧困や虐待など課題を抱える子供や家庭に対して、行政など地域の関係機関と連携して必要な支援につなげる役割も求められております。
 子供食堂が増加している中、そうした役割を担う子供食堂への支援をさらに充実するべきというふうに考えますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、原則として月に一回以上、会食形式で開催している子供食堂に対しまして、区市町村を通じて必要な経費を支援しております。
 また、補助要件といたしまして、子供食堂が地域の見守り機能を十分に果たせるよう、虐待の未然防止に係るスタッフ研修の実施を区市町村に求めてまいりました。
 来年度は、週一回以上、食事の提供を行う子供食堂への補助基準額を引き上げ、子供食堂と定期的な情報共有を行い、要支援家庭に対して子供食堂の利用勧奨等を実施する区市町村への支援を充実してまいります。

○北口委員 ありがとうございます。
 それでは、次に移ります。次に、子育てに関連して、ベビーシッター事業についてお伺いをします。
 昨年の夏、子育て世帯の保護者の皆様と懇談会を開催し、様々な意見を伺いました。その中の一つのご意見として、ベビーシッターを活用したい、もっと支援を充実してほしいとのお声をいただいております。
 都内では、少しずつベビーシッターの活用が浸透してきているように感じておりますので、本取組を拡大していくべきというふうに考えております。都は来年度の予算で、令和五年度と比べて約四倍の予算を計上しております。
 そこで、実際にベビーシッター利用支援事業の一時預かり利用支援の実施自治体数と利用者数は、令和二年度の事業開始からどのように推移しているのか、また来年度の見通しについても併せてお伺いをいたします。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 ベビーシッター利用支援事業の一時預かり利用支援の実績は、令和二年度が二区市四十四人、三年度が九区市千二百七十三人、四年度が十五区市六千三百二人となってございます。
 今年度は十九区市が事業を実施しておりまして、利用児童数は交付申請ベースで一万四千二百六十五人でございます。
 また、区市町村への意向調査によると、来年度実施予定であると回答いただいた自治体数は二十八でございます。

○北口委員 この事業開始当初、令和二年度は二区市四十四人だったのが、今年度は十九区市に拡大し、利用者も一万四千二百六十五人と、さらに、来年度は二十八区市に拡大の予定ということでございます。
 このシッターの利用支援事業を実施する市区町村の拡大を今後も継続して働きかけていただきまして、どの地域でも活用できるように、取組をぜひお願いをいたします。
 そして、利用者数の拡大に合わせまして、認定事業者の拡大もぜひ進めていただきまして、利用したい方が安心して便利に活用できる事業として成長させていただきたいというふうに期待をしておきます。
 次に、特定妊婦の、困難な状況を抱える妊産婦に対する支援についてお伺いをいたします。
 先日、発達障害を抱える娘さんのお母様から、娘さんが妊娠したとのご相談をいただきました。望まぬ妊娠でございまして、相手の男性には何も期待できないという状況でございます。もともと様々な事由から生活に困難を抱える状況でございましたが、娘さんの妊娠でさらに大変な状況になりました。これまでも児相や家庭支援センターなどに個別に相談をしておりましたけれども、今回の件でも地元区の保健センターなどに相談をしております。
 こうした様々な困難を抱える妊産婦に対しまして、区市町村が、妊娠期から対応チームを組んで継続的に関わり、切れ目のない丁寧な支援をすることが求められております。
 都は来年度、こども家庭センター体制強化事業を実施するということでございますが、どのように区市町村を支援していくのか、これまでの取組内容と来年度の取組を伺わせていただきます。

○西尾子供・子育て支援部長 都は今年度から、若年初産の妊婦などを対象として、保健師等が子育て部門と連携し、妊娠期から継続的に家庭訪問を行い、ニーズに応じた支援を実施する区市町村を支援しております。
 具体的には、妊婦の困り事などを把握し、相談支援を行う専任職員の配置を支援するとともに、支援のポイントを盛り込んだマニュアルの配布や、妊産婦のニーズを把握するためのアセスメント手法や面接技法を習得するための研修を行っております。
 来年度からは、母子保健部門と子育て部門がより一層連携して切れ目ない支援を行えるよう、両部門の連携を担うリーダー職員を配置し、丁寧な寄り添い支援を行うチーム体制の構築を支援してまいります。

○北口委員 区市町村の取組、後押しをしていただきまして、この伴走型支援、ぜひ力強く後押しをしていただきたいというふうに思います。
 なかなか区市町村の窓口の方々、人間でございますので、相談者に合う、合わないというのもございます。窓口の方々の本当に人間力が問われる事業だなというふうに思っておりますので、そうした人材の育成、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、若年者の相談支援について伺います。
 若年者が抱える精神面での苦悶や葛藤などの対応は、精神疾患や発達障害への早期対応を図る上で、先進各国など、共通の課題というふうになっております。
 しかし、現状我が国では、本格的に精神科治療を受診することに対する敷居感が高く、早期発見、早期対応の明るい道筋が立っておりません。
 そこで、都議会公明党は、足立区にある、あだち若者サポートテラスSODAの取組を紹介してまいりました。本相談窓口は、精神科専門の入院治療機関である東京足立病院が設立し、足立区がその趣旨に賛同して拡充を図ってきた経緯がございます。
 これまで都議会公明党は、こうした相談窓口に対し、都による支援の充実と、広く都内に周知し、都民による活用の促進や同様の取組の重要性への認識の喚起を図ることを提案してまいりました。
 今後の取組について、都の見解を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 心の不調や生活上の悩みは多くの若年者が経験するものであり、症状が軽く済み早期に回復するには、身近な地域で専門家に相談できる体制が確保され、必要に応じて医療機関とも連携しながら早期に支援につなげていくことが有効です。
 お話の足立区では、若年者の早期相談支援に特化した窓口を設置し、精神科医や精神保健福祉士などの多職種専門チームが若年者の相談に対応する独自の取組が行われており、都は包括補助により支援しています。
 今後は、現在策定中の次期東京都障害者・障害児施策推進計画において、この取組を好事例として紹介するなど、他の区市町村へ周知してまいります。

○北口委員 ありがとうございます。何卒よろしくお願いします。
 続きまして、高齢者の聞こえの支援についてお伺いをいたします。
 都議会公明党は、昨年の第一回定例会での代表質問で、加齢性難聴について言及をし、補聴器の適切な使用は健康寿命の増進につながると指摘をいたしました。
 その後の第四回定例会の代表質問においては、加齢性難聴の聴覚検診では、補聴器相談医が在籍する医療機関が不十分な自治体に補助を実施すべきという質問に対しまして、都は、補聴器の利用を希望する方が必要な支援を受けられるよう補助の仕組みを検討するなど、施策の充実を図っていくというふうに答弁をしております。
 都は令和六年度の新規事業として、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業を実施する予定でございますが、こうした補聴器相談医が不十分な自治体への支援について、都はどのような取組を行っていくのかお伺いをいたします。

○花本高齢者施策推進部長 都は来年度、区市町村の補聴器支給経費に加え、加齢性難聴に関わる普及啓発など、早期発見、早期対応に係る経費の補助を開始することといたしました。
 さらに、加齢性難聴に関わる補聴器の利用を希望する方が、お住まいの地域にかかわらず必要な支援を受けられるよう、補聴器相談医が在籍する医療機関がない自治体に対しては、新たに加齢性難聴に関わる聴覚検査経費を補助率十分の十で七百万円を上限に補助することとしております。
 こうした取組を通じて、高齢者のコミュニケーション機会の確保を推進し、介護予防の取組を進めてまいります。

○北口委員 ありがとうございます。着実に取組の実施、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 最後のテーマでございます。
 外国人や、様々な理由により日本語が上手でない方も、やがて高齢化して介護が必要となります。そうした方々の中には、できれば日本国内にとどまって介護保険等を活用し、余生を過ごしたいというふうに考える方もいらっしゃいます。
 そうした場合に、日本語が苦手であり、自分の要望を細かく伝えて出身国の言葉でやり取りできるケアマネジャー、そしてヘルパーさんがいてほしいとの要望が出てくるというふうに考えております。その実例の一つが、中国からの帰国者の方々でございます。
 都議会公明党は、そうしたご要望を受け、外国語で介護ができる人材の確保に向けて、都としての努力を求めてまいりました。
 その努力の結果、例えば中国語で介護ができる事業者は、現在都内でどのぐらい整備できているのかお伺いいたします。あわせて、他県や全国の状況はどうかもお伺いをいたします。

○中川生活福祉部長 国は毎年度、中国語の対応が可能な介護事業所の調査を実施し、ホームページで一覧を公表しており、令和五年九月三十日現在、全国では三十九都道府県の四百八十四事業所で対応可能となっております。
 このうち都内の事業所は、訪問介護、訪問看護、通所介護、グループホームなど、五十五事業所でございます。

○北口委員 都内五十五施設ということでございます。
 中国帰国者・日中友好の会の皆様から、そうした事業所について情報提供を求める声があった場合に、都は積極的に対応していただきたいと考えますが、この辺の見解を伺います。

○中川生活福祉部長 各区市では、中国残留邦人等の生活の安定を図るため、専任の相談員を配置し、生活上の様々な相談に応じております。
 都は、これらの相談員が中国残留邦人等の高齢化による介護ニーズや医療ニーズに適切に対応できるよう、介護保険制度に関する知識や専門用語の通訳技術、介護支援専門員や医療関係者等との連携方法などの専門研修を実施しております。
 今後、国が公表している中国語の対応が可能な都内の介護事業所の情報について、この研修の中で周知を徹底してまいります。

○北口委員 ありがとうございます。これについても着実な推進、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○原委員 それでは、お願いします。
 初めに、医療型障害児入所施設について伺います。
 医療型障害児入所施設は、自閉症児、肢体不自由児、重症心身障害児が対象で、手帳の有無は問わず、児童相談所、保健センター、医療機関などで療育に必要性が認められた児童が対象です。
 まず、医療型障害児入所施設について、都内の施設数と入所児童数、また、都外で都内からの児童を受け入れている施設数と入所児童数を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都内の医療型障害児入所施設に入所している児童数は、令和五年四月一日時点で八施設百四名でございます。
 都外の医療型障害児入所施設に都内から入所している児童数は、十八施設四十六名でございます。

○原委員 かなり都外施設で受け入れてもらっているということですよね。
 では、都外施設でサービス推進費が出ている施設、出ていない施設は幾つずつですか。

○鈴木障害者施策推進部長 都外の医療型障害児入所施設について、民間社会福祉施設サービス推進費の補助対象となっている施設は三施設であり、補助対象となっていない施設は十五施設でございます。

○原委員 圧倒的に対象外となっているわけです。
 補助対象とならない理由は何でしょうか。また、サービス推進費は幾らか教えてください。

○鈴木障害者施策推進部長 平成八年五月に、障害者施策について調査審議する東京都障害者施策推進協議会から、入所施設について、今後は住み慣れた地域で生活し続けたいとする本人や家族の希望選択を最大限尊重するという観点から、第一義的には都内での設置を促進していかなければならないという提言を受けました。
 この提言を踏まえ、都外の入所施設について、平成十年度以降、新たな施設整備を行わない方針とし、運営費を対象とするサービス推進費補助においても、平成十二年一月の制度創設以降、新たな施設は対象としておりません。
 都外の医療型障害児入所施設に関し、主として重症心身障害児を入所させる施設のサービス推進費の基本単価は、児童一人につき月額六万七千三百円でございます。

○原委員 今ご答弁で、障害者施策推進協議会の提言を根拠にされているんですけれども、提言は、第一義的には都内の設置を促進と述べているのであって、都外施設にサービス推進費を出すのをやめることを提言しているわけではないと思うんです。あたかも協議会から求められているようにいうのは、やめるべきではないかなと私は思います。
 実際に都内施設が足りないために都外施設を利用しているわけですから、新たな施設にはサービス推進費を出さないという線引きがおかしいのではないかというふうに思います。
 実際に都内からの児童を受け入れてくれている施設には、サービス推進費を出すべきではないでしょうか。伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 繰り返しになりますが、平成八年の東京都障害者施策推進協議会の提言を踏まえ、都外の入所施設につきまして、平成十年度以降、新たな施設整備を行わない方針とし、運営費を対象とするサービス推進費補助においても、平成十二年一月の制度創設以降、新たな施設は対象としてございません。

○原委員 ですから、それがおかしいのではないかというふうに思うんです。
 都内施設だけでは現状足りないわけですよね。その責任は東京都にあるのに、利用させてもらっている都外施設にしわ寄せが行くのはおかしいし、申し訳ないことだと私は思います。
 先ほどのご答弁にあったように、サービス推進費の基本単価は月六万七千三百円ということですから、一人のお子さん、年間八十万七千六百円になるわけですよね、これだけ見ても。もし施設で五人受け入れれば、四百三万八千円、十人受け入れれば八百七万六千円になります。物すごく大きいわけです。
 他県では、千葉県などは補助を出すとなっています。子供たちを助けようと思って受けてくださっているのに補助を出さないというのは、あり得ないと思います。是正すべきではないでしょうか。
 都は入所施設をつくる予定はないのでしょうか。ないとすれば、今後も都内で受けられない場合はどのように対応していくのか伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は現時点で、医療型障害児入所施設を新たに整備する予定はございません。
 都は、重症心身障害児等が地域で安心して暮らせるよう、日中活動の場である通所施設の整備を促進するとともに、一時的に家庭での療育が困難になった場合に施設等に短期間入所できる病床を確保するなど、在宅支援サービスの充実に取り組んでおります。

○原委員 先ほどから引用されている提言には、第一義的には都内の設置を促進とあるわけですけれども、今ご答弁にあったように、新たに入所施設を整備する予定はないということですよね。その分、地域で暮らせるように在宅支援サービスを充実させるとおっしゃっているんですけれども、でも入所が必要な子供さんは必ずいますよ、これからも必ずいるわけです。
 都内に整備する予定がないなら、入所が必要なお子さんはこれからも都外の施設を利用させていただくことは、必ず出てくるわけです。また、現在入っている子供さんは、入所している間ずっと、当然ながらお金をかけているわけです、施設では。
 今、サービス推進費の対象外になっているお子さんは、先ほど提出していただいた資料によれば、三十八人ということです。もし、サービス推進費の対象になっていれば、年間三千万円強、東京都から支出をされるんですよね。施設にとって、非常にこれは大きいことです。大きいんですけれども、東京都の財政力からすれば十分にできることではないかというふうに思います。
 どの都外施設でも、都内の子供たちを受け入れてもらった場合には、サービス推進費の対象にするように改善を求めたいと思います。
 もう一度聞きます。検討を求めますが、いかがですか。

○鈴木障害者施策推進部長 繰り返しでございますが、現在、サービス推進費補助において、平成十二年一月の制度の創設以降、新たな都外施設は対象としてございません。

○原委員 繰り返しの答弁でとても残念なんですけれども、でも本当に検討していただきたいというふうに強く求めておきたいと思います。
 先日、里吉都議と一緒に、共産党都議団として埼玉県にあるカリヨンの杜を視察させていただきました。ここでは十人の都内の子供たちを受けてくださっています。その十人の子供たち全員を一人一人紹介してくださったんです。
 まず最初にお会いしたのは、これからお昼ですといって、テーブルの周りに車椅子で集まっている三人のお子さん方でした。お昼ですといっても胃瘻なんですけれども、そこから栄養を、これから注入してお昼なんだということでテレビを見ていました。その中のあるお子さんは、顎がないために口から食べることはできないんだという、そういうお話なんかも聞きました。でも、生活リズムを大事にして楽しい時間を一緒に過ごそうという雰囲気とか、また、職員の皆さんの本当に温かい声かけがとても印象深かったです。
 ほかにも、ベッドサイドで学校の先生と勉強しているお子さんもいらっしゃいました。また、もっと重度になると、ずっとベッドで横になっている状態のお子さん方も多くいらっしゃいました。でもスタッフの方々が本当に声かけしながらサポートしていたんですけれども、理事長の先生が一人一人紹介をしてくださりながら、この子はとても成長したんですよということをいってくださるんです。
 私はどんなに重い障害を持っていても、一人一人の成長、発達を保障していく、本当に大切な場だというふうに思いました。ですから、この十人の子供たちがここの施設で受け止めてもらえて本当によかったなと、行き場がなかったら大変なことになっていたなというふうに思ったんです。
 どの子供たちにもふさわしい場所がきちんと用意されるべきで、都としても、どの子供も取り残さないように対応してほしいというふうに思います。医療型の施設でないと対応が難しい子供が、行き先がなくて困るようなことがあってはならないと思います。
 都は、こうした医療が必要な重い障害を持った児童に対し、今後どのように対応していくのか、見解を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、東京都障害者・障害児施策推進計画に基づき、どんなに障害が重くても必要とするサービスを利用しながら、障害児やその家族が希望する地域で安心して生活できるよう、引き続き取り組んでまいります。

○原委員 とすると、やはり都外施設への支援は、現状どうしても必要だというふうに思います。改善をしていただいて、こうした施設を利用することが必要だというお子さんがこの先も困ることのないように対応していただきたいというふうに思います。そのことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、社会的養護の施設等について伺います。
 現在、東京の児童養護施設のうち、専門機能強化型児童養護施設の設置数、また、その推移、役割について、まず伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、虐待などを受け、治療的、専門的ケアが必要な児童への適切な支援を行うため、専門機能強化型児童養護施設制度を実施しております。
 過去三年間の指定数は、令和三年度が四十一施設、令和四年度が三十九施設、令和五年度は同じく三十九施設でございます。

○原委員 専門機能強化型の施設とは、施設で生活する子供たちに対して、より専門的な支援を提供するために、生活単位の小規模化、それに伴う職員配置、精神科医や心理職員の配置、外部機関を活用した施設運営の向上の取組をするというふうになっていると思います。今、東京の多くの児童養護施設が専門機能強化型になっているという状況だと思います。
 しかし、児童養護施設では、児童相談所からの入所依頼について、既に入所中の児童と生活を共にすることが難しく、受入れが困難なケースも多いと聞きます。
 都としては、こうした状況を把握していますか。都としてどのような支援を行っていますか。

○西尾子供・子育て支援部長 児童養護施設には、虐待を受けた児童や発達障害など支援が必要な児童が多く入所しておりまして、都は、知的障害や発達障害等の個別的な援助が必要な児童のケアを行う施設を支援しております。
 さらに、精神科医と心理職を配置し、専門機能を強化した児童養護施設に対する支援も行っているところでございます。

○原委員 児童養護施設にお話を伺いますと、目が離せないような子供さんもいて、その分、元から入所している子供たちが不安定になってしまったり、落ち着かなくなってしまったケースなどもあるということを聞いています。児童心理治療施設に入ればよいのにと思うケースもあると話しています。
 また、一時保護委託を受けた施設でも、事前に子供の様子が十分分からない中で受けることもあって、入所児童との折り合いで難しいケースもあると聞きます。この場合でも、一時保護委託を受けるための条件整備の必要性とともに、児童心理治療施設に入ることが適切ではないかと思うこともあるということも伺っています。
 この児童心理治療施設とは、心理的困難や苦しみを抱え、日常生活の多岐にわたり生きづらさを感じて心理治療を必要とする子供たちを入所あるいは通所して治療を行う施設ですが、児童心理治療施設に入ること、活用することが適切だと考えられる子供の場合、現在、都ではどのように対応しているのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所は、子供の年齢や発達状況に応じて、子供の最善の利益の観点から施設入所や里親委託などの援助方針を決定しております。

○原委員 しかし、その結果、今日の要求資料にもありますけれども、都外の児童心理治療施設に入所する子供たちもいるわけですよね。
 児童心理治療施設を都に設置することが必要ではないかと思いますが、都として検討していないのかどうか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、知的障害や発達障害等の個別的な援助が必要な児童のケアを行う施設を援助しておりまして、さらに、精神科医と心理職員を配置し、専門機能を強化した児童養護施設に対する支援も行っております。
 また、入所児童が問題行動などにより集団での生活が難しくなった場合には、児童相談センター治療指導課におきまして、専任の医師や心理職による認知行動療法や心理教育などの専門的なケアを実施しております。
 来年度は、治療指導課の体制を強化し、児童養護施設等へのコンサルテーションを強化するなど、ケアニーズの高い児童に対する専門的支援の機能を拡充いたします。

○原委員 来年度、治療指導課、充実させていくというその方向性は大事だなというふうに思って聞きました。
 でも、一方で伺いたいのは、今ご答弁にあったような対応で、児童心理治療施設を東京都として設置しなくてもカバーできるというふうに考えているのかどうか、教えてください。

○西尾子供・子育て支援部長 繰り返しになりますが、都は、個別的な援助が必要な児童のケアを行う施設を支援しているほか、精神科医と心理職員を配置し、専門機能を強化した児童養護施設に対する支援も行っております。
 また、児童相談センター治療指導課において専門的なケアを実施しておりまして、来年度は体制を強化し、専門的支援の機能を拡充してまいります。

○原委員 またちょっと繰り返しなんですけれども、ということは、カバーできると考えているのかなというふうにちょっと想像するしかないんですけれども、ちょっと残念だなというふうに思います。実際には都外の施設も活用しているわけですから、本来都内にあるべきなのではないかというふうに思います。
 実際には都外施設も断られているケースもあると聞いています。首都東京において児童心理治療施設がないということは、理解しがたいという専門家の指摘もあります。これは検討を求めておきたいと思います。
 児童養護施設の職員の方々にお話を伺うと、本当に今、苦労されていまして、コロナ禍の中、生きる気力を失ったような子供たちが増えているという話、また、施設の子供たちの中に不登校が増えているということを話してくださった方もいらっしゃいました。一人一人に丁寧に向き合わないといけないと今まで以上に感じることが増えているといっています。
 その分、職員の負担が増しているわけですよね。子供たちの困難が増加、複雑化する中で、子供によっては職員に対して罵声を浴びせ続けるというような状況になっている子供さんもいて、そこに本当に胸を痛め、疲弊をしながらつらいと感じてしまう自分を職員の方は責めて、結局、自分自身がメンタルが不調になって辞めていくというケースもあると伺いました。ある施設でも、職員のメンタルケアが今大きな課題になっていると話していました。
 私は、そうした中で、今回、東京都の介護職員等の処遇改善のための居住支援特別手当がありますけれども、これ本当によかったと思っているんですけれども、児童養護の職員が対象になっていないということは本当に残念で、やっぱりケア労働者全体を支えるように改善してほしいという意見をこの場で述べておきたいというふうに思います。
 続いて、今の児童養護施設とも関連するんですけれども、多摩地域の児童相談所について伺いたいと思うんです。
 多摩地域の児童相談所が再編成され、増えることになりましたが、多摩児相だけは変わらず、八十二万人の管轄人口で、一番多くなってしまっています。
 なぜ変更がなかったのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 国の政令では、児童相談所の管轄人口は、基本としておおむね五十万人以下とされており、国の通知において、二十万人から百万人までの範囲が目安とされております。
 都はこれらの政令等に基づきまして、人口のほか、地理的条件、交通事情等を総合的に考慮し、多摩地域児童相談所配置計画を策定しております。

○原委員 大本の政令では、おおむね五十万人以下となっているわけですから、やはり八十二万人というのは多過ぎるというふうに思います。
 地元からも増設を求める声が出ていましたけれども、計画では多摩児相の地域はそのままとなってしまいました。
 策定に向けて都が行った調査の報告書では、児童虐待相談の対応件数が著しく増加した場合や、人口動態の状況により児童相談所の業務が逼迫した場合、多摩児童相談所の老朽化対策が必要となった場合等には、中長期的には多摩児童相談所の設置場所等を見直すことが想定されるとありますが、早い時期に再検討することを求めておきたいと思います。
 児童相談所が当面増えないとされた中で、せめてサテライトオフィスを設置してほしいという声も出されています。
 調布市からは、サテライトオフィスの設置を要望されていますけれども、進捗を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 現在、全区市町村が参加しております児童相談体制等検討会において、サテライトオフィスや子供家庭支援センター分室の設置など、都と区市町村との連携強化策について議論を行っておりまして、今後とも、地域の実情に即したよりきめ細かな児童相談体制の構築に努めてまいります。

○原委員 早急に検討を進めて、設置につなげることを求めておきたいというふうに思います。
 最後に、困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する東京都基本計画案について伺います。
 現在、基本計画のパブリックコメントが行われています。今後、どのようなスケジュールで進むのか、確認をします。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 困難な問題を抱える女性への支援のための基本計画案は、本日までパブリックコメントを実施しております。
 今後、パブリックコメントの結果を踏まえ、計画検討委員会において検討を行い、年度内に計画を策定する予定でございます。

○原委員 パブコメも踏まえて委員会で議論をした上で、計画が策定されていくということだというふうに思います。
 では、計画の進行管理はどのようにしていくのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 来年度、計画を推進するための委員会を設置して、施策の進捗状況を評価することとしております。

○原委員 その計画を推進するのが、仮称推進委員会ということだと思うんですけれども、この推進委員会はどういう構成で、どのような運営をしていくのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 委員会は学識経験者や区市町村等で構成いたしまして、施策の進捗状況を評価することとしております。

○原委員 分かりました。
 今回、五年間の計画ということですけれども、中間での見直しが必要ではないかというふうに思いますが、どのように考えているか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 国が示した困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針では、都道府県が策定する基本計画の期間は原則五年とされております。
 本計画については、委員会において、毎年施策の進捗状況を評価し、それぞれの取組について必要な見直しを行うこととしております。

○原委員 私は、最低限、中間での見直しは必要だというふうに考えていましたけれども、今ご答弁にあったように、推進委員会を設置して常に進捗状況を評価していく、毎年やっていく、必要な見直しをしていくということは大変重要だというふうに思います。
 都の役割として、区市町村への支援、また、格差が生じないように必要な取組の働きかけということが位置づけられた、このことも大切だと思っています。
 具体的に、区市町村との連携はどのように進めるのでしょうか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は来年度、都、区市町村、民間団体等で構成する支援調整会議を設置いたしまして、連携、協働を一層推進していくこととしております。

○原委員 支援調整会議の設置は努力義務ですけれども、これを実施すると位置づけたことはとても重要だというふうに思います。ぜひ有効な仕組みづくりを進めていただけたらというふうに思います。
 この計画において重要なのは、私たちも以前から指摘してきましたけれども、困難を抱えた人を誰も排除しないということだと思っています。これまで十分に対応できてこなかった人たちもきちんと対応できるようにすることは、必須だというふうに思っています。
 そこで伺いますけれども、一時保護所を必要としながら入れないという人が出ないようにする必要があると思っていますが、中学生以上の男子を同伴している人、これ例として計画案の中に書かれていましたが、そういう方や、また性自認女性のトランスジェンダーの方について、それぞれどのように対応するのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 女性相談センターの一時保護所では、配偶者からの暴力被害等に遭った女性を保護しておりますが、中学生以上の男児を同伴する方、また性自認が女性のトランスジェンダーの方の保護については、現在対応できていない状況でございます。
 計画案では、中学生以上の男児を同伴する方については状況に応じた一時保護先の確保に取り組むとともに、性自認が女性のトランスジェンダーの方については可能な支援を検討し、対応していくこととしております。

○原委員 一時保護所には、様々な困難を抱えた方々が来るわけです。その中にこうした、今、例として出した方たちもいらっしゃるわけで、当然対応されなければならないと思います。
 例えば、施設的に難しさがあるということも以前から指摘をされてきましたけれども、難しいから仕方がないとはならず、よく検討して、よく工夫して受け入れていくというのが基本だというふうに思います。
 以前も指摘しましたが、DVから逃れてきて安定した居場所がないトランスジェンダーの方もいらっしゃいます。性自認や性的指向により、仕方がないとするわけにはいかないと思います。
 国の基本方針にもこう書いてあります。トランスジェンダーであることに起因する人権侵害、差別により直面する困難に配慮ということが書かれているわけです。ですから、誰一人取り残さない計画になるようにしていく必要があると思います。このことは強く求めておきたいというふうに思います。
 なお、そのことと犯罪行為を一緒に論ずるべきではないと私は考えています。誰一人差別されることなく、困難を抱えた人たちが受け止められるように、ぜひ、今後計画にしていくときにも十分議論をしていただきたいというふうに思います。
 では、シングル女性への支援については、どのように計画に位置づけて進めていくのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 女性が抱える困難な問題は、配偶者等からの暴力や性犯罪、性暴力被害、予期せぬ妊娠、不安定な就労状況や経済的困窮など、多岐にわたってございます。
 また、障害のある方、若年、高齢者、外国籍の方、同居家族のいる方いない方など、様々な方がいらっしゃいます。
 計画案では、女性相談支援センターや女性相談支援員、女性自立支援施設は、障害の有無、年齢、国籍等、対象者の抱える困難な問題の背景などをアセスメントして、多様なニーズを踏まえた最適な支援を行うこととしております。

○原委員 ぜひしっかり位置づけていただけるように求めておきたいと思います。
 最後に、基本的な考え方について確認をしたいと思います。
 国の困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針、ここには、困難な問題を抱える女性への支援に当たっては、行政機関と民間団体は双方の特色を尊重し、補完し合いながら対等な立場で協働していくことが求められるとあります。
 これは重要な考えだと思いますけれども、見解を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は来年度、都、区市町村、民間団体等で構成する支援調整会議を設置いたしまして、連携、そして協働をより一層推進していくこととしております。

○原委員 双方の連携、協働をより一層推進するということですが、その際も、民間団体と対等な立場で協働していくという姿勢で計画に基づく施策の推進に取り組むことを求めて、質問を終わります。

○関口委員 よろしくお願いします。まず初めに、アルコール健康障害について伺います。
 この問題は大変難しい問題かと思いまして、私自身もアルコールを飲みますし、大分好きな方ではあります。
 この質問をする前に、まず自分を律しなさいということで妻にはいわれてしまうような気がしますが、そういった私自身もアルコールを飲む人間であるし、かなり飲んでしまう人間なので、その立場から改めて質問したいと思います。
 ちょうど本日まで、東京都アルコール健康障害対策推進計画というものが、パブリックコメントされております。
 このアルコール健康障害対策推進計画、第二期が策定されていますが、第一期の計画の期間は二〇一九年度から二〇二三年度でありました。
 まず初めに、どのような実績があって、どのような課題があったのか伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、平成三十一年度にアルコール健康障害対策推進計画を策定し、アルコール健康障害の発生予防や相談、治療、回復支援の体制整備に取り組んできました。
 具体的には、都内三か所の精神保健福祉センターを相談拠点とするほか、九か所の専門医療機関や治療拠点を選定し、本人や家族の支援体制の強化を図ってきました。
 第二期計画においても、飲酒に伴うリスクへの正しい知識の普及啓発や、相談から治療、回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備等の課題に引き続き取り組んでまいります。

○関口委員 今ご説明いただいた第一期計画ですが、それと比較をして、第二期計画はどのような方針の変更や取組の変更があるのか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 第二期計画においても、飲酒に伴うリスクへの正しい知識の普及の取組を継続しつつ、切れ目のない支援体制の整備に向け、依存症治療拠点において専門職員を配置し、相談拠点と医療機関や自助グループ等との連携体制の強化を図ってまいります。
 また、依存症専門医療機関についても拡充を目指すこととしております。

○関口委員 先日、厚生労働省は、国として初めて健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを発表いたしました。ガイドラインでは、お酒に含まれる純アルコール量、これに関して健康へのリスクを示しています。
 具体的に申し上げると、一日当たり男性は四十グラム、女性であれば二十グラムを超えると生活習慣病のリスクが増加するということで、約二十グラムというのはビールのロング缶一本ということでありました。それぞれ、この中では病気ごとのリスクというのも提示をされております。ここでは詳しくお話ししませんが。
 今回のこの厚労省の示したガイドラインは、本計画にどのように反映をされるのか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 国の健康に配慮した飲酒に関するガイドラインには、飲酒による身体等への影響について、年齢、性別、体質等による違いや、飲酒による疾病、行動に関するリスクなどを分かりやすく伝え、その上で、考慮すべき飲酒量や配慮のある飲酒の仕方、飲酒の際に留意すべき事項が示されており、取組を進める上での参考としてまいります。

○関口委員 取り組む上での参考としていくということでありました。
 私もこの厚労省のガイドラインというものは非常に重要だと思っておりまして、この純アルコール摂取量というところに着眼点を置いているということは重要だと思っております。
 先日、このガイドラインが発表されて改めて思ったのが、もっと行政として減酒支援、つまり減酒支援というのはお酒を減らす、減酒支援に力を入れていくべきなんじゃないかなということを改めて実感をしたわけであります。
 そこで、アルコール依存症対策として、医療機関との連携、つまり依存症対策、依存症の方の医療機関との連携や自助グループとの連携、これはこの計画の中にもございますし、第一期計画の中にも入っているということで、これ、もちろん重要なんですけれども、その前段階の減酒支援をすることが重要だと考えております。
 特に、依存症対策として医療機関に行くであったりとか、自助グループに行く、これ結構ハードルが高いかと思います。
 そういう意味では、ハードルが低く多くの方に取り入れていただけるような対策を強化すべきと考えますけれども、見解を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都では、依存症に関する正しい知識の理解促進に向け、都民向けシンポジウムの開催やリーフレットの配布を行っております。
 また、依存症相談拠点においては、減酒支援を含めた本人、家族向け支援プログラムを実施しております。

○関口委員 これが、東京都アルコール健康障害対策推進計画、原本でございますけれども、この中にAUDITという飲酒に関してのテストがございます。
 これは自分が丸つけると、それを点数化させていって、ゼロ点から七点だと特に飲酒に関しては問題がない、八点から十四点だと問題飲酒であるがアルコール依存症までは至っていない、十五点から四十点はアルコール依存症が疑われるということで、これ私もやりましたけれども、かなり衝撃を受けたところであります。ただ結果はもちろん申し上げませんが、というところなんです。
 なので、これかなり幅があるので、本当にそうなのかというところはあろうかと思いますが、一つの指標として重要だと思っています。
 コンビニとかスーパーに行きますと、かなりお酒の度数が高いものが非常に多うございます。ストロング何とかといういろんなサワーがあったりしますけれども、八%、九%、中には一〇%なんていうものもありますし、それよりも低いサワーを買おうとすると、三%とかのサワーが売っていたりとかということで、非常に選択肢が極端だなというのは実は思っていたところであります。
 そういう意味においても、厚労省の純アルコール摂取量というものに着眼を置くのであれば、私は、低アルコール飲料の推進の働きかけであったりとか、低アルコール飲料を導入することへのインセンティブ、こうしたものをつくるべきではないかと考えますけれども、見解を求めます。

○石黒障害者医療担当部長 アルコール依存症になる前の方では、健康に配慮した飲酒の仕方として減酒支援が有効な場合がありますが、低アルコールの飲料であってもアルコールが含まれており、例えば生活習慣病のリスクを高める量に着目し、一日当たりの純アルコール摂取量をより少なくする工夫や、一週間のうち飲酒をしない日を設けるなどの配慮が求められ、慎重に検討する必要がございます。

○関口委員 慎重に検討する必要があるということで、そのとおりだと思います。
 ただ一方で、これは減酒支援としては有効だけれども、依存症対策としてはなかなか難しいですよという話だったと思うんです。
 続けて、やはり私は、ノンアルコール飲料というものの導入、これも積極的に働きかける必要があるかと思いますけれども、こちらについても見解を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 アルコール依存症になる前の方では、健康に配慮した飲酒の仕方として減酒支援が有効な場合がありますが、断酒中の依存症の方では、ノンアルコール飲料でも再飲酒につながりやすく、医療機関等で個別に判断しており、慎重に検討する必要がございます。

○関口委員 こちらについても、減酒支援については有効なんだけれども、依存症対策としてはなかなか難しい側面がある、検討する課題があるということでありました。
 私は、今のこのやり取りの中で思ったのが、非常に、福祉局の中でのアルコール健康障害対策というのは、どちらかというとかなり依存症対策にベクトルがいっているような感じがします。
 先ほど私の問題意識の中で申し上げた減酒支援というのは、今後もっと重要になっていくのではないかということは申し上げたいと思います。
 今回、この福祉局のアルコール依存症のリーフレットがございますが、このリーフレットの中では、アルコール依存症は飲酒によって問題が発生しているのに自分ではどうにも止められず、健康や社会生活に支障を来してしまう病気ですということで定義づけられていて、病気という定義であるから、福祉局の中で、かつ障害者施策推進部の中にあるということだと思うんですが、なかなか福祉局だけでは低アルコール飲料とかノンアル飲料の普及啓発というのは難しい側面があろうかと思いますが、今後の取組として、ぜひウイングを広げた取組であったりとか、他局との取組を進めていく必要があるということを一言申し上げたいと思います。
 続けて、精神障害者、滝山病院などなどについて聞いてまいります。先ほど他の委員からも質問がありましたので、重なる部分はカットしてまいります。
 滝山病院から改定版の改善計画書が提出をされました。昨年の五月に、改善計画書を提出されましたが、東京都の方で再発防止のための取組が不十分ということで再提出をさせたものになりますが、今回出された計画書をどう受け止めるのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 令和六年一月、滝山病院から東京都に改定版の改善計画書が提出されました。
 改定版の改善計画には、東京都による行政指導の内容及び滝山病院が設置した虐待防止委員会からの提言を踏まえた虐待防止に向けた具体策が提示されているとともに、組織改善に向けた方向性が打ち出されております。
 滝山病院における自律的な取組を通じて改善が進んでいくことが重要であるため、取組状況について定期的な報告を求めていきます。

○関口委員 今回、改定版の改善計画が提出をされましたが、これがしっかり現場レベルで浸透していくかということをチェックしていくことが重要だと考えますが、都の見解と取組、伺いたいと思います。

○新田障害者医療調整担当部長 改善計画に基づいた滝山病院による自律的な取組が着実に進むよう、都は病院から取組状況について定期的な報告を求めるとともに、立入検査等で確認しながら指導していきます。

○関口委員 今ご答弁いただきました。
 しかし、私、一点気になる点がございまして、滝山病院の改定版の改善計画書におきましては、まず初めの一番最初のところに、理事長及び院長の監督責任を明確にするため辞任することとしているが、後任が見つかり次第、速やかに交代するということで書かれております。
 私、初めにこの計画書読んだときに違和感を感じたのが、本来であれば、この計画書が出された段階で、後任の理事長、そして院長が明確になっているべきではないかということを思ったわけであります。
 後任が見つかり次第、速やかに交代するということで読んでおったんですが、いまだにどうなんだということで、改めて確認ですが、現在、滝山病院の理事長及び院長は交代をしたのか、交代していないのであれば、なぜ後任が見つからないのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 令和六年一月三十一日に都が受領した改善計画書には、理事長及び院長は、後任が見つかり次第、速やかに交代すると記載されております。

○関口委員 これ、全く答弁になっていないと思うんですよね。
 一応念のため確認ですが、現在の理事長は朝倉孝二氏で、院長は朝倉重延氏という認識で構わないのか、確認の意味も込めて伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 委員ご指摘のとおりです。

○関口委員 ありがとうございます。
 いわずもがなですが、院長の朝倉重延氏は埼玉県の朝倉病院の院長であったと。入院患者への身体拘束や非人道的な行為が長年行われていて、それが公になって、二〇〇一年には保険医療機関の指定が取り消され、廃院となっております。理事長は朝倉重延院長の弟ということであります。
 先ほど、現場レベルでチェックをしていく必要があるということで、見解を伺いました。都の答弁は、改善計画に基づいた滝山病院による自律的な取組が着実に進むよう、都は病院から取組状況について報告を求めるとともに、立入検査等で確認しながら指導していくという答弁でありました。
 しかし、現場レベルどころか、もはやトップすら替わっていない、看板すら変わっていないというのは、本当に私は問題だと思っております。
 ちょうど一年前の三月に、民間の精神科病院でつくる日本精神科病院協会が−−これ病院でつくる協会です、朝倉重延院長に聞き取り調査をして、その中で過去に朝倉病院で問題を起こしながら、なぜまた院長になったのかという問いかけを協会の方から朝倉氏に尋ねたところ、家族内に成り手がおらず、話合いの結果、やむを得ず院長になったということで話しているわけです。このままだと後任の成り手が見つからなくて、話合いの結果、やむを得ず院長を続けているということをいいかねないと私は思っているわけです。
 この改善計画書、先ほど申し上げましたが、一番初めの法人ガバナンス、理事長と院長の責任のところには、先ほど申し上げたとおり、責任を明確にするため辞任することとし、後任が見つかり次第速やかに交代いたします。後任が見つかるまでの期間につきましては、その職責において第三者委員会及び虐待防止委員会の提言を基に、東京都の指導の下、しっかりと理事長及び院長がリーダーシップを発揮していきますって書いてあるんです。リーダーシップ発揮されちゃ困るわけですよ。
 ということで、私は改めて、いまだに朝倉理事長、朝倉院長がいるこの状況に対して、しっかりと都として強い姿勢を持つべきと思いますけれども、見解を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 滝山病院におきましては、改善計画に基づきました自律的な取組が着実に進むことが重要でございまして、都は病院から取組状況について定期的な報告を求めるとともに、立入検査等で確認を続けていきます。

○関口委員 ぜひ強い姿勢を持っていただきたいと思います。これ逆をいえば、いい方あれですけど、ちょっと病院から軽く見られているような可能性も私はあると思いますよ。そういったところをぜひ重く受け止めていただきたいと思います。
 続いて、精神科病院における虐待専用の通報窓口について伺います。
 この改正精神保健福祉法の施行によって四月から設置するところを、都は先行して開設をしたということで、先行して開設した理由を伺いたいと思います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、精神科病院における虐待が疑われる事案を少しでも早く発見して立入検査等へつなげていくとともに、令和六年四月一日からの法施行に確実に対応していくため、三月に虐待通報窓口を先行して開設しました。

○関口委員 四月からの施行に確実に対応していくためということで、先行して開設したというところ、大変評価をしたいと思います。
 一方で、この窓口の周知が肝だと思っております。虐待通報窓口の通報者は、精神科病院で職員による虐待を受けたと思われる精神障害者を発見した方、精神科病院で職員による虐待を受けたご本人またはその家族ということで、二つございます。
 それぞれどのような周知をしたのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は虐待通報窓口の開設に当たり、ホームページへの掲載のほか、報道発表を行うなど、広く都民へ広報いたしました。
 都内精神科病院には、病院職員向けチラシと患者向けチラシを配布し、ナースステーションや各病棟で患者が使用する電話ボックス等へ掲示するよう依頼しております。

○関口委員 では、この虐待通報窓口でございますけれども、ちょうど三月四日からですか、設置をしているかと思いますが、現在までの間に相談件数が何件だったのか伺います。そのうち支援につなげた件数が何件なのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 三月十五日までの電話受付件数は延べ七十三件です。現時点で立入検査等を行った件数につきましては、調査中のためお答えできません。

○関口委員 七十三件ということでありました。大体一日当たり七件ちょっとというところでございましょうか。
 ただ一方で、これから徐々に虐待通報窓口がいい意味で定着化していけば、多くの電話相談も来るかと思いますので、ぜひそこは慎重な対応と、通報をされた方の思いに寄り添うような形でしっかりと対応いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 精神科病院の職員の内部通報、これは大変重要だと思っております。この通報窓口の内部通報です。
 精神科医療における内部通報制度をより強化する必要があると思いますが、都の取組、伺いたいと思います。

○新田障害者医療調整担当部長 改正精神保健福祉法では、精神科病院で虐待を発見した者は通報しなければならないと規定されております。
 同法では、業務従事者は虐待を通報したことを理由に、解雇その他不利益な取扱いを受けないことが規定されております。

○関口委員 ぜひ、内部通報をしっかり徹底をしていく、このことに重きを置いていただければと思います。
 先ほど他の委員からもございましたけれども、実際に本当に虐待を受けている精神障害の方が電話ができるのかという、そういった現場の問題もあろうかと思いますので、内部通報をしっかり徹底する、このことに重きを置いて、東京の精神医療における虐待というものをゼロ件にするんだという、それぐらいの勢いを持っていただきますことを最後に要望しまして、質問を終わります。

○高倉委員 それでは、最後の質問になると思いますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、介護職員等によるたんの吸引等が必要な障害者のための研修、いわゆる第三号研修といわれている研修ですけれども、これについて質問をさせていただきます。
 この研修は、介護職員等がたんの吸引等が必要な障害のある利用者ごとに受講する必要のある研修とされています。研修は、都が東京都福祉保健財団に委託して実施しているほか、民間の指定登録機関でも実施されております。
 民間の研修機関での実施の状況はなかなか把握が難しいというふうに思いますけれども、都が委託している福祉保健財団による研修の実施状況は、都として把握していることと思います。
 そこでまず、都が委託して実施している福祉保健財団による研修の内容と規模について答弁を求めます。

○鈴木障害者施策推進部長 都では、介護職員等が医療や看護との連携を図りながら、安全、確実にたんの吸引が行えるよう、介護職員によるたんの吸引のための研修事業を実施しております。研修では、講義のほか演習を行い、喀たん吸引等を安全に実施するための技能の習得を図っております。
 この研修のうち、特定の者の対象の研修は、介護職員、利用者及び実施する行為を組とするもので、令和四年度は千二百七十一組が修了してございます。

○高倉委員 今、令和四年度は千二百七十一組が研修を修了しているという答弁がありました。これは都が福祉保健財団に委託している研修であります。このほかに民間の指定登録機関で実施している同様の研修があるわけであります。
 障害福祉サービスの事業者からは、この研修について、民間の指定登録機関が実施する場合と、先ほど答弁をいただいた都が実施する場合とで状況が異なるというお話をかねて伺っております。
 端的に申し上げますと、都が実施する研修は事業者の受講料負担がない一方、民間の指定登録機関の研修は事業者の受講料負担があるということであります。これは不公平ではないかというのが障害福祉サービスの事業者の声でございます。
 当然ながら、都は民間の指定登録機関にも支援をすべきという要望が出てくるわけでありますが、それでは、都として民間の指定登録機関が実施する研修に対して、どういう支援を行っているのか、答弁をいただきたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、障害者施策推進区市町村包括補助といたしまして、区市町村障害福祉人材確保対策事業を実施しており、この中で介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修に係る受講料の補助を行う事業も補助対象としてございます。

○高倉委員 今、都は研修に係る受講料の補助を行う自治体を支援しているという答弁がございました。
 先ほど、障害福祉サービス事業者からの声を紹介いたしましたけれども、問題はこの都の支援事業を活用している区市町村はどれくらいあるのかということであります。さらに、こうした受講料を補助する区市町村の取組を広げていくということが重要であるというふうに思います。
 補助を実施している区市町村の数を明らかにするとともに、今後都はどう取り組んでいくのか、答弁をいただきたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 たんの吸引等の実施のための研修に包括補助を活用しているのは、現在、一自治体でございます。
 来年度から、区市町村がより幅広く人材確保策に取り組むことができるよう、区市町村障害福祉人材確保対策事業を見直すこととしており、このことと併せまして、介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修への活用を呼びかけてまいります。

○高倉委員 研修の受講を支援しているのは、活用しているのはというんでしょうか、一自治体という、今答弁でございました。その前の答弁では、都の支援策は包括補助の形で実施をしているということでありました。
 本日の質問で、都の福祉保健財団に委託しての研修と民間の指定登録機関の研修について、支援の状況が異なっているということを指摘させていただきました。
 さらに、民間の指定登録機関に対し、都の支援事業を活用して受講料補助を実施している自治体が一つであるということが今答弁で明らかにされました。
 こうした状況を踏まえますと、今後、包括補助ではなく個別補助にしていくことも含めまして、都としての取組を進めていく必要があるというふうに思っております。このことを今日は強く要望いたしておきたいというふうに思います。
 この研修につきましては、研修の受講後、介護職員等がたんの吸引等を行う従事者としての認定を受けるための申請や、障害福祉サービス事業者が事業者としての登録を受けるための申請の手続があります。
 事業者からは、この手続に時間がかかるという声が寄せられてまいりました。担当部署には何度かその要望を伝えさせていただいているところでございます。
 事業者の負担を軽減できるよう、これらの申請手続について簡素化を図る必要があると思いますが、都の取組について答弁を求めます。

○鈴木障害者施策推進部長 喀たん吸引等に係る従事者認定及び事業者登録の手続につきまして、申請いただく事業者の利便性向上等を図るため、今年度、電子申請の開始に向けて準備を進めてまいりました。
 ちょうど本日から運用を開始しておりまして、先月から都や東京都福祉保健財団のホームページでお知らせをするほか、障害福祉サービス等事業所に電子メールで周知をしているところでございます。

○高倉委員 本日からスタートしたということでありますけれども、ぜひしっかりと周知に努めていただきたいというふうに思います。
 次に、子育て支援についてお伺いします。
 都議会公明党は、妊娠、出産、子育てに係る支援策の一つとしまして、ゆりかご・とうきょう事業などを積極的に推進してきました。そうした事業がさらに発展をしまして、また国の支援策も取り入れながら、都は、とうきょうママパパ応援事業の相談支援や出産・子育て応援事業の経済的支援を一体的に実施するなど、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援を進めてきております。
 これらの支援については、対象となる全てのご家庭が漏れなく利用することができるよう取組を進めていくことが重要であります。
 今後の取組につきまして、答弁をいただきたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、とうきょうママパパ応援事業や東京都出産・子育て応援事業につきまして、区市町村と連携し、ホームページを通じて事業の概要を周知しております。
 区市町村は、妊娠時、出産後、一歳または二歳前後の各段階で、面接や家庭訪問、アンケートの実施などにより対象家庭の状況を把握するとともに、利用できる子育て支援サービスや経済的支援を案内してございます。
 また、支援を必要とする家庭を把握した場合には、産後ケア事業や家事育児サポーター派遣等の支援につなげるなど、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援を実施しております。

○高倉委員 出産、子育てに係る支援事業の中で、産後ケアの取組は、母子の心身のケアや育児のサポートだけではなく、子供への虐待を防止するためにも重要な意味を持っていると思います。
 区市町村が地域の実情に応じて、ショートステイ、デイサービス、アウトリーチの三つの類型それぞれで実施をしておりますけれども、三類型全てそろった形、私は三点セットというふうに呼んでおりますけれども、そのそろった形で実施した方がよりきめ細かな支援になると考えております。
 都議会公明党は、この産後ケア事業につきまして、各区市町村においてしっかりと取組が進むよう都に強く求めてまいりましたが、区市町村における今年度の各類型の実施状況と、三類型全てを実施している区市町村の数の推移について明らかにしていただきたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、とうきょうママパパ応援事業におきまして、出産後の母子等に対して心身のケアや育児のサポート等を行う産後ケア事業を実施する区市町村を支援しております。
 本事業における令和五年度の類型ごとの実施自治体数は、ショートステイ型が四十七、デイサービス型が四十五、アウトリーチ型が三十七でございます。
 また、三つ全ての類型を実施する自治体数は、令和三年度が二十、四年度が二十六、五年度が三十二でございまして、年々増加しております。
 来年度も自治体における取組がさらに進むよう、産後ケア事業の積極的な実施を働きかけてまいります。

○高倉委員 今ご答弁で、かなり毎年毎年進んできているということがよく分かりました。
 産後ケア事業を含むとうきょうママパパ応援事業は、令和二年度に産後の支援を大幅に拡充してから、来年度で五年目を迎えます。令和六年度が事業の終期となっておりまして、令和七年度以降の扱いは未定というふうにも聞いております。
 各自治体からは、都の支援をしっかりお願いしたいという声が数多く届いておりますので、補助率も含めて、こうした財政支援の継続を強く要望しておきたいと思います。
 最後に、ヤングケアラーについて質問いたします。
 子供が親やきょうだいなど家族の介護等を行ういわゆるヤングケアラーは、家庭内の問題であることや、子供本人や家族に自覚がない場合があるなどの理由から、支援が必要な状況にあってもなかなか表面化しにくい構造にあります。
 このため、福祉や教育等の関係機関が早期にヤングケアラーと思われる子供の存在に気づき、必要な支援につなげていくことが重要であります。
 まず、これまでの取組状況について答弁をいただきたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、ヤングケアラーを早期に発見するポイントや各関係機関の役割などを盛り込んだマニュアルを作成しておりまして、今年度は、このマニュアルを活用して関係機関向けの合同研修やコーディネーターへの専門研修を開催いたしました。
 また、ヤングケアラーを把握した場合に、家庭の状況に応じて適切な福祉サービス等につなげられるよう、関係機関と連携して支援を行うコーディネーターの配置に取り組む区市町村を支援しております。

○高倉委員 ヤングケアラー支援の取組は、まだ緒に就いたばかりというふうに思います。今後、様々な知見を積み重ねながら拡充していくということが必要であるというふうに思います。
 特に、答弁にありましたコーディネーターは、ヤングケアラーと思われる子供の存在に気づいてから支援へとつないでいく取組において、核となる大事な人材であると思います。
 今後、区市町村においてコーディネーターの配置が進むよう、都として支援を強化すべきと考えますが、答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は来年度、各区市町村のコーディネーターがヤングケアラーの支援を行う上での課題や取組を共有する連絡会を開催いたします。
 この連絡会におきまして、コーディネーターが実際に支援したケースや課題などを共有し、支援のポイント等を取りまとめた事例集を作成した上で、区市町村に周知いたします。
 こうした取組により、区市町村におけるコーディネーターの配置を促進し、ヤングケアラーの支援体制を強化いたします。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時三十一分散会