厚生委員会速記録第十五号

令和五年十二月四日(月曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長磯山  亮君
副委員長斉藤やすひろ君
理事関口健太郎君
理事原 のり子君
理事内山 真吾君
北口つよし君
上田 令子君
浜中のりかた君
山加 朱美君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君
伊藤 大輔君
鈴木  烈君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長佐藤 智秀君
次長小林 忠雄君
理事浅野 直樹君
総務部長関口 尚志君
企画部長DX推進担当部長兼務山本 謙治君
生活福祉部長中川 一典君
子供・子育て支援部長西尾 寿一君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
障害者施策推進部長鈴木 和典君
政策推進担当部長森田 能城君
事業調整担当部長渋谷 恵美君
子供・子育て施策推進担当部長新倉 吉和君
保健医療局局長雲田 孝司君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務村本 一博君
保健政策部長感染症保健政策担当部長兼務小竹 桃子君
医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務遠藤 善也君
都立病院支援部長齋藤 善照君
政策推進担当部長宮澤 一穂君
地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務大出  仁君
医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務岩井 志奈君

本日の会議に付した事件
保健医療局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
・集中的検査に用いる新型コロナウイルス抗原定性検査キットの買入れ(単価契約)について
・地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
請願陳情の審査
(1)五第一二号 現行の健康保険証の廃止を中止することに関する請願
(2)五第一三号 誰もが利用しやすい介護・医療制度を求めることに関する請願
(3)五第一六号 現行の健康保険証の存続に関する請願
(4)五第三三号 現行の健康保険証を廃止しないことを求める意見書の提出に関する陳情
(5)五第三七号 現行の健康保険証の存続を求める意見書の提出に関する陳情
(6)五第四四号 現行の健康保険証の存続を求める意見書の提出に関する陳情
(7)五第五〇号 ケア労働者の賃上げ及び人員増等を求める意見書の提出に関する陳情
福祉局関係
請願陳情の審査
(1)五第一〇号 保育士配置の最低基準の引上げと保育予算の増額を求める意見書の提出に関する請願
(2)五第一一号 東京おこめクーポン事業に関する請願
(3)五第一三号 誰もが利用しやすい介護・医療制度を求めることに関する請願
(4)五第一四号 子どもの医療費助成の拡充に関する請願
(5)五第四七号 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づく基本計画に関する陳情

○あかねがくぼ委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、保健医療局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに保健医療局及び福祉局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○雲田保健医療局長 令和五年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております保健医療局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回審議をお願いいたします議案は、事件案二件、諮問一件の合計三件でございます。
 初めに、事件案の概要でございますが、東京都リハビリテーション病院の管理運営を行う指定管理者の指定を行うもの及び集中的検査に用いる新型コロナウイルス抗原定性検査キットの買入れを行うものでございます。
 次に、諮問についてでございますが、地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問でございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○船尾総務部長 それでは、令和五年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
 初めに、事件案についてご説明申し上げます。
 令和五年第四回東京都議会定例会事件案の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。整理番号1、東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定についてでございます。
 公益社団法人東京都医師会を指定管理者とするもので、指定期間は令和六年四月一日から令和十一年三月三十一日までの五年間でございます。
 続きまして、整理番号2、集中的検査に用いる新型コロナウイルス抗原定性検査キットの買入れ(単価契約)についてでございます。
 重症化リスクの高い高齢者、障害者等が利用する施設の職員を対象とする集中的検査に用いるため、新型コロナウイルス抗原定性検査キットを買い入れるものでございます。
 種類、数量上限及び価格でございますが、検査キットにつきまして、数量上限は三百三十万個、単価は一個当たり百四十一・三五円でございます。総額は四億六千六百四十五万五千円となります。
 次に、諮問についてでございます。
 お手元の資料、令和五年第四回東京都議会定例会諮問の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。今回提出を予定しております諮問は、地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問でございます。
 二ページに審査請求の趣旨等を記載してございますが、本諮問は、東京都立看護専門学校長が行った授業料減額、免除の審査決定処分の取消しを求める審査請求に対するものでございます。
 三ページをお開き願います。諮問の詳細につきましてご説明いたします。
 一及び二に、請求人氏名及び請求年月日を記載してございます。
 三の(一)に、審査請求の趣旨を、(二)に、審査請求の理由を記載してございます。
 請求人は、授業料については本件処分の申請前に既に納付済みでありましたが、納付した事実をもって請求人が学則で規定されている納入が極めて困難と認められる者に当たらないとした本件処分は、合理性がなく著しく妥当性を欠く違法な処分であるというものでございます。
 四、授業料の徴収猶予または減額もしくは免除の概要でございます。
 (一)でございますが、東京都立看護専門学校条例は、授業料は、知事が特別の理由があると認めるときは、減額し、または免除することができるとしております。
 これを受けて、学則では、校長は経済的困窮、災害、疾病その他の理由により納入期限までに授業料の納入が極めて困難と認められる者に対し、授業料を減額し、もしくは免除できるとしておりまして、授業料の減免を受けようとする者は、納入期限までに校長に申請しなければならないとしております。
 四ページをご覧願います。(二)及び(三)でございますが、取扱要綱では、授業料の減免の対象者について規定してございます。具体的には、対象者一として、生活保護受給世帯の者、対象者二として、住民税非課税世帯等の者、対象者三として、授業料納付期限前六月以内に天災等の災害を受けた世帯の者、対象者四として、授業料納付期限前六月以内に生計維持者が死亡等のため学資の負担が困難となった世帯の者のいずれかに該当し、かつ納付期限までに授業料の納付が困難と認められる者としております。
 また、授業料の減免の対象者二及び対象者四は、その世帯の減免額算定基準額によって決定することとしておりまして、世帯員それぞれの収入等から記載の算式により算定するとしております。
 五ページをお開き願います。五、経緯でございます。
 請求人が審査請求するに至るまでの時系列を(一)から(四)まで記載してございます。
 六、審査請求に対する見解でございます。
 (一)でございますが、請求人は、請求人の離職は自己の意思に反するものであり、納入期限において収入がなかった事実を判断の基礎としないことは、減免額算定基準の規定の適用に誤りがあること、また、授業料を納付したことをもって減免しなかったことは、著しく妥当性を欠き、違法である等としております。
 (二)でございますが、請求人世帯は、減免額算定基準額の算式により算出した額が授業料の減免の対象となる基準額を超えており、また、請求人は、雇用保険被保険者離職票・資格喪失確認通知書において、事業主の都合による離職以外の離職とされること等から、授業料の減免の対象者一から対象者四までのいずれにも当たりません。
 加えて、請求人は、授業料を納付期限までに納付しておりますので、授業料の納付が困難であったとは認められませんが、特段の事情が存することを裏づけるに足りる適格な証拠資料はございません。
 六ページの(三)でございます。処分庁は、請求人が授業料を納付した事実のみをもって本件処分を行ったのではなく、請求人が授業料の減免の対象者一から対象者四までのいずれにも該当せず、納付期限までに授業料の納付が困難と認められる条件を満たさないとしたものであることから、本件処分に違法または不当な点は認められません。
 以上により、本件審査請求には理由がないことから、棄却が相当でございます。
 以上で提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○上田委員 コロナ抗原定性検査キットの買入れ対象施設の分かるものと、病院経営本部、福祉保健局に寄せられた現保健医療局事業に申し立てられた審査請求、過去五年分とおのおのの概要。
 以上です。

○あかねがくぼ委員長 ほかにありませんか。――ただいま上田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○あかねがくぼ委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願五第一二号、請願五第一六号、陳情五第三三号、陳情五第三七号及び陳情五第四四号は、内容に関連がありますので、一括議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 一ページをお開きください。整理番号3、請願五第一二号、現行の健康保険証の廃止を中止することに関する請願は、豊島区の東京社会保障推進協議会会長吉田章さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、次の事項を実現していただきたいというものでございます。
 第一項として、現行の国民健康保険証の交付を継続すること。
 第二項として、都議会において、現行の健康保険証の廃止を中止することを求める意見書を国に提出することというものでございます。
 次に、五ページをお開きください。整理番号6、請願五第一六号、現行の健康保険証の存続に関する請願は、新宿区の人権としての医療・介護東京実行委員会田村彰宏さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、次の事項を実現していただきたいというものでございます。
 第一項として、都民の医療保険資格が正確に確認され、誰もが安心して受療できるよう、現行の国民健康保険証の存続などの手だてを取ること。
 第二項として、都議会において、現行の健康保険証の存続を求める意見書を国に提出することというものでございます。
 次に、七ページをお開きください。整理番号7、陳情五第三三号、現行の健康保険証を廃止しないことを求める意見書の提出に関する陳情は、山梨県の小池裕敏さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都議会において、現行の健康保険証を廃止しないことを求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 次に、九ページをお開きください。整理番号8、陳情五第三七号、現行の健康保険証の存続を求める意見書の提出に関する陳情は、新宿区の東京歯科保険医協会代表坪田有史さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都議会において、現行の健康保険証の存続を求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 次に、一一ページをお開きください。整理番号9、陳情五第四四号、現行の健康保険証の存続を求める意見書の提出に関する陳情は、新宿区の東京保険医協会会長須田昭夫さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都議会において、現行の健康保険証の存続を求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 以上、請願二件、陳情三件につきましては、まとめて現在の状況をご説明いたします。
 国は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化につきまして、患者本人の健康や受診記録、薬剤服用歴等に関するデータに基づいたより適切な医療を受けることが可能となるなど、様々なメリットがあるとしておりまして、こうしたメリットが早期に広く享受されるよう、現行の健康保険証を令和六年秋に廃止するとしてございます。
 廃止に当たりましては、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律、令和五年法律第四十八号におきまして、発行済みの健康保険証を最大一年間有効とみなす経過措置が設けられているほか、健康保険証として利用登録されたマイナンバーカードであるマイナ保険証の非保有者等には、原則、本人の申請に基づいて、各保険者が資格確認書を交付するとしております。
 なお、国は、当分の間の運用といたしまして、マイナ保険証非保有者やその他保険者が必要と認めた方につきましては、申請によらず各保険者が資格確認書を交付するとしてございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 それでは、今の五件の請願陳情について意見を申し上げます。
 五本の請願陳情に共通するのは、都議会として、国に対し、現行の健康保険証を存続することを求める意見書を提出してほしいということです。
 マイナンバーカードと健康保険証を一体化し、二〇二四年秋には健康保険証を廃止することが決まっていますが、他人の情報がひもづけされていたケース、資格無効と表示されたケースなど、トラブルが続き、多くの患者さん、国民が不安を抱いております。
 東京保険医協会が今年五月から六月に行った調査では、オンライン資格確認を行っている医療機関で回答を得られた五百三十五か所のうち、三百五十一か所でトラブルが発生し、一旦十割負担した例が五十一例ありました。また、診察を受けずに帰宅してしまった人もいました。他人の医療情報がひもづけされていたケースなどは、命に関わる危険があり、絶対にあってはならないことです。
 また、医療機関では、オンライン資格確認が義務化され、対応できなければ閉院、廃業が迫られる事態になっています。地域のかかりつけ開業医がいなくなるなど、地域医療の後退にもつながりかねません。
 現在は保険証を預かっている高齢者施設では、マイナ保険証になったら暗証番号の管理までできないと頭を悩ませています。これを受けて、暗証番号が不要な顔認証マイナンバーカードが導入されることになりましたが、利用のための手続で新たな負担と責任が生じます。
 現在、自治体や保険組合などが責任を持って交付している保険証ですが、マイナンバーカードと一体化されると、マイナンバーカードを持たない人は、五年ごとに、有効期間ごとに原則として資格確認書の申請が必要になります。マイナ保険証、五年ごとの更新が必要ですから、申請、更新を忘れたり、できなかった場合、保険料を払っていても無保険扱いされ、保険医療が受けられなくなってしまう。これは国民皆保険制度の変質につながります。
 さらに、国は、資格確認書を申請なしでマイナ保険証を持っていない人にも送付するとしていますが、あくまで当面の間とされています。そもそも、それならこれまでどおり保険証を存続すればよいだけです。
 厚労省の調査によれば、マイナ保険証で保険資格を確認する利用率は、六か月連続で減少しています。ピークだった四月の六・三%から、十月には四・四九%まで落ち込みました。もともとマイナンバーカードの取得は任意であり、健康保険証と一体化させて取得を進めるために、現行の健康保険証を廃止するというやり方は許されません。
 よって、都議会として、現行の健康保険証の存続を求める意見書を国に提出してほしいとの請願陳情を採択すべきであると表明し、意見とします。

○上田委員 同内容の陳情請願が出されているので、健康保険証制度の現状の全体について確認させてください。
 認知症の高齢者や知的障害者施設において、マイナンバーカード導入となりますと、悪意ある職員や第三者により、個人情報の流出があったり、それを防ぐために施設側の負担も非常に大きいと現場の皆様から仄聞をしているところでございます。
 マイナンバーカードは、健常者でも手続が非常に煩雑で、私もちょっと実況中継でもないんですけれども、自身も区役所へ行って申請をしたんですけれども、皆さん本当に四苦八苦されて、区の職員も対応に追われていました。ですので、この請願者それぞれの主体的なところは同じだと思うんで、危惧もごもっともだと思うものです。
 この観点から、健康保険証を廃止するメリット、デメリット、自分で申請が困難であったり、管理が困難であったりする、こうした対象者に対応するための現時点の次善策について伺いたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化につきまして、患者本人の医療に関するデータに基づいた、より適切な医療を受けることができるようになるなどのメリットがあるとしてございます。
 国は、健康保険証の廃止に当たり、発行済みの健康保険証を施行日から最大一年間有効とみなす経過措置を設けるほか、マイナンバーカードを持たないなどマイナ保険証を保有しない方等については、当分の間、申請によらず資格確認書を交付する運用とするとしてございます。
 また、国は、福祉施設・支援団体の方向けマイナンバーカード取得・管理マニュアルを作成し、関係団体等に周知しております。

○上田委員 障害者、高齢者の施設の運営者、理事長とか、施設長とか、複数聞いてみたんですけど、福祉施設・支援団体の方向けマイナンバーカード取得・管理マニュアルがにわかに出てこなくて、えっ、そんなのもらったかしらというような状況になっておりまして、これ、都道府県から直接届くのではなくて、国からということであると思いますので、しかしながら、施設を管理や指導や支援しているのは東京都福祉担当だと思いますので、問合せ等あったら丁寧にしていただきたいなと思うんですよね。
 導入については、今、様々な、ほかの委員からもご指摘あったように、トラブルが発生をしていますので、混乱を来さないように、福祉局とも連携をしながら助言などをされていって、そちらが固まってきてから導入をすることに関しては、私も前向きにしたいというふうに思っておりますが、現時点では、陳情者の願意はごもっともだという見解を述べまして、私の質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第一二号、請願五第一六号、陳情五第三三号、陳情五第三七号及び陳情五第四四号は、いずれも不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、請願五第一三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○齋藤都立病院支援部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 三ページをお開き願います。整理番号4、請願五第一三号、誰もが利用しやすい介護・医療制度を求めることに関する請願は、豊島区の新日本婦人の会東京都本部会長佐久間千絵さん外六千二百六十四人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都立病院において、無料低額診療事業を実施していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、無料低額診療事業は、社会福祉法に基づき、生計困難者が経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で診療を行う事業でございます。
 都立病院では、経済的な理由を問わず、患者の症状に応じた適切な医療を提供しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言願います。

○原委員 本請願は、六千二百六十四人の方々の署名とともに提出をされています。誰もが利用しやすい介護、医療制度を求める上で、都立病院での無料低額診療事業の実施を求めていることについて、重要だと受け止めています。
 まず、都として、無料低額診療事業の意義についてどのように認識しているか伺います。

○中川福祉局生活福祉部長 無料低額診療事業は、社会福祉法に基づく第二種社会福祉事業であり、生計困難者に対して、医療受診の機会を提供する上で一定の役割を果たしていると認識しております。

○原委員 生計困難者などに対して、医療受診の機会を提供する上で一定の役割を果たしているということでご答弁がありました。
 現在、無料低額診療をやっている医療機関は、都内でどのぐらいあるでしょうか。教えてください。

○中川福祉局生活福祉部長 令和五年四月一日現在、都内で無料低額診療事業を実施している医療機関は、五十七か所でございます。

○原委員 この医療機関はホームページに一覧で載っていますけれども、古くは一九五一年頃から実施をしている機関も多くあり、最新では二〇二一年に事業を開始した法人もあります。
 都としては、医療機関等から本事業の開始の届出があった場合には受理をしているということだと思います。改めて、こうした事業を続けてくださっている医療機関に敬意を表したいと思います。
 実際にフードバンクに並んでいた方のお話ですけれども、コロナで給与が三万円ほどになってしまって、国保料も家賃も払えず、路上生活になってしまったという方がいらっしゃいます。不正出血でおなかが痛いという状況で、だけれども生活保護は絶対に嫌だといって、結局、無料低額診療を紹介されてそちらに行ったという話でした。
 困ったときは生活保護を活用していい、権利だということも、もっと共有していかなければならないという課題がある一方で、まずは命をつなげるために、どういう状況であっても支えることのできる最後のとりでが無料低額診療だと思います。この無料低額診療を都立病院でも実施すべきではないかということが本請願の求めていることです。
 都立病院機構の中期目標では、患者中心の医療を推進し、都民の誰もが安心して質の高い医療を受けられる東京の実現に向けた取組を進めるとしています。中でも、独法化後も行政的医療は後退させないということを約束してきました。
 そこで、改めて伺います。行政的医療とはどういう内容ですか。

○齋藤都立病院支援部長 感染症医療など法令等に基づき対応が求められる医療や、精神科身体合併症医療など社会的要請から特に対策を講じなければならない医療、小児がん医療など新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療でございます。

○原委員 都立病院機構の中期目標では、まず最初に、行政的医療の安定的かつ継続的な提供として、今ご答弁にあった内容をより詳しく書いています。
 その中で、社会的要請から特に対策を講じなければならない医療として、こう書かれています。都民ニーズ、患者ニーズと比較して、一般医療機関等のサービス提供が質的、量的に不足する医療分野について、都の医療政策を推進する上で担うべき医療を提供すること。
 さらに、一般医療機関での対応が困難な医療とは何かということも説明しています。難病医療や島しょ医療など、多様なマンパワーの確保や特別な対応が必要で、採算の確保が難しいことなどから、民間の取組が困難な医療を提供すること、このように書かれています。
 先ほどの答弁にあったように、都内で無料低額診療を行っている医療機関は五十七か所しかありません。区市町村でいうと、実施している医療機関がないところの方が多数になっています。まさに量的に不足をしているということです。
 その理由の一つは、減免した患者の医療費負担の補填がないため、経営的には負担になることです。税制上の優遇措置はありますが、対象になる法人の種類が限られています。そのため、民間の取組が難しいのです。そうした中でも取り組んでいる医療機関の方々には頭が下がる思いですけれども、それでもまだ少ないのが現状だと思います。
 私は、こうした観点から、無料低額診療は行政的医療そのものであり、民間の医療機関に委ねるだけでなく、都立病院でも実施を検討していく必要があると思うのです。
 先ほど、この請願の説明のところでお話がありましたが、都立病院では、経済的な理由を問わず、患者の症状に応じた適切な医療を提供しているという説明がありましたが、無料低額診療が実施をされていなくても、全ての患者さんを受け入れることができるという認識でしょうか。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、他の医療機関等との適切な役割分担と密接な連携を通じて、経済的な理由を問わず、患者の症状に応じた適切な医療を提供しております。

○原委員 都立病院が患者さん本位で医療を提供する努力を重ねてきていることは理解をしています。ただ、都立病院が無料低額診療を実施するというふうにしてくれることで、ほかに助ける手だてのない方たちがつながることができます。窓口負担が払えないと思って、初めから医療機関に行くのを諦めてしまう人も、無料低額診療を行っているということが分かれば、受診できると思って自分から行くこともできる、そういう効果もあると思います。都民の命を支えている都立病院だからこそ、実施をしてほしいのです。
 昨年の第四回定例会での福手ゆう子議員の一般質問で、都立病院での実施を求めています。これに対して都は、都立病院における実施については、都立病院の役割や地域医療機関との医療連携の在り方や機能分担など、課題があると答弁をしています。しかし、そのときと比べても、今、無料低額診療の役割はさらに重要になってきており、実施医療機関を増やしていくことが求められていると思います。
 都立病院機構での実施を進めるべきだと考えますが、見解を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 無料低額診療事業は、社会福祉法に基づく社会福祉事業として位置づけられておりまして、都立病院における実施につきましては、都立病院の役割や地域医療機関との医療連携の在り方や機能分担など、課題があるものと認識しております。

○原委員 都立病院として、最も困難を抱えている人を受け止めていく役割をさらに発揮をしていただきたいと思います。
 ご答弁にあった都立病院の役割の発揮を強めていくためにも、実施に向けての検討を求め、本請願は採択すべきと主張して、質問は終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、本件につきましては、福祉局所管分もございますので、決定は福祉局所管分の審査の際に行い、ただいまのところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認めます。よって、請願五第一三号は継続審査といたします。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情五第五〇号を議題といたします。
 なお、本件については、関連のある福祉局の理事者にもご出席いただいております。ご了承願います。
 理事者の説明を求めます。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 一三ページをお開き願います。整理番号11、陳情五第五〇号のケア労働者の賃上げ及び人員増等を求める意見書の提出に関する陳情は、東京地方医療労働組合連合会執行委員長の嘉瀬秀治さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨についてご説明します。
 都議会において、次の事項について、国に意見書を提出すること。
 1、医療現場や介護現場で働く全てのケア労働者の賃上げと人員増につながるよう、診療報酬と介護報酬を抜本的に引き上げる臨時改定を実施すること。
 2、全ての医療機関や介護施設に行き渡る物価高騰支援策を拡充することというものでございます。
 現在の状況について、項目に沿ってご説明させていただきます。
 項番1についてご説明します。国は、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、令和四年二月から同年九月まで補助金により処遇改善のための措置を講じ、同年十月には収入を三%程度引き上げるための措置として、診療報酬において看護職員処遇改善評価料を新設しました。
 また、介護職員等については、平成二十一年度から令和元年度までの介護報酬及び障害福祉サービス等報酬における処遇改善加算等の段階的な拡充に加え、令和四年二月から収入の三%程度を引き上げる補助金により職務改善のための措置を講じており、同年十月以降は臨時の報酬改定で創設した福祉介護職員等ベースアップ等支援加算により、その措置を継続しております。
 都は、国に対して、令和五年六月に看護職員、福祉介護職員等の処遇改善について提案要求しております。これに加え、同年十月には、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の改定に関する緊急提言を行い、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とすることを要望するとともに、同年十一月には、診療報酬改定等に関する緊急提言を行い、診療報酬による看護職員等の処遇改善について、対象となる医療機関を拡大することや、医療機関の実情に応じて、看護補助者、理学療法士、作業療法士等のコメディカル職員を処遇改善の対象とした場合に必要となる財源についても確実に措置することを要望いたしました。
 項番2についてご説明します。都は、物価高騰の影響が長期化していることから、高騰分を価格に転嫁できない診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬により運営されている医療機関、介護事業所、施設、障害福祉サービス事業所、障害者支援施設等を対象に、令和四年十月から令和五年三月まで対象施設を拡大して、同年四月から九月まで緊急対策を実施いたしました。
 具体的には、国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、病院、有床の診療所及び助産所並びに介護保険施設、障害者支援施設等に対しては食費及び光熱費高騰分を、無床の診療所及び助産所、歯科診療所、施術所に対しては光熱費高騰分を、訪問、通所系の介護サービス事業所に対しては燃料費高騰分を、障害福祉サービス事業所に対しては燃料費及び光熱費高騰分を支援金として支給いたしました。
 しかしながら、当該交付金は臨時的なものとされており、本来は国において制度的な対応が必要であることから、国に対して、令和五年六月に、物価高騰の影響を踏まえ、診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬を適切に見直すことを提案要求しております。
 これに加え、同年十月に、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の改定に関する緊急提言を行い、事業所、施設等が安定的、継続的に事業運営できるよう、報酬や介護保険施設等の食費、居住費の基準費用額に適切に反映することを要望するとともに、同年十一月には、診療報酬改定等に関する緊急提言を行い、食費及び光熱費の高騰の影響を踏まえた診療報酬の見直しを改めて要望いたしました。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いをいたします。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いします。
 この陳情は、都議会に対して、医療現場や介護現場で働く全てのケア労働者の賃上げと人員増につながるよう、診療報酬と介護報酬を抜本的に引き上げる臨時改定を実施することと、全ての医療機関や介護施設に行き渡る物価高騰支援対策を拡充することを求める意見書を国に提出してほしいというものです。陳情を採択し、都議会で意見書を国に提出することを求める立場から質疑を行います。
 コロナ禍で自らの感染リスクや様々な行動制限に耐え、国民の命と健康を守るために必死に奮闘してきたケア労働者の皆さんですが、苛酷な労働に比べ、賃金、報酬は見合ったものになっていないことは、これまでも繰り返し議論されてきました。
 国は、令和四年、二〇二二年十月から診療報酬と介護報酬の臨時改定を行い、看護職員処遇改善評価料と介護職員等ベースアップ等支援加算を新設しましたが、まず、この目的について伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 看護職員処遇改善評価料は、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、令和四年十月以降、収入を三%程度引き上げる処遇改善の仕組みとして創設されたものでございます。

○花本福祉局高齢者施策推進部長 国は、令和三年十一月に策定した経済対策において、新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く方々の収入の引上げのため、令和四年二月から収入を月額九千円相当引き上げるための措置を講じており、令和四年十月からは介護報酬等の加算を行っております。

○里吉委員 それぞれに対し、国が処遇改善の必要性を認め、対策を行ったということだと思います。
 看護職員に対しては三%程度の引上げ、介護職員等へは収入を月額九千円程度引き上げる措置が取られ、昨年十月からは介護報酬等の加算に組み入れられたということです。
 そのことについては一定の評価をする一方で、陳情では、賃上げの対象を限定してしまったことで、本来チームワークが強く求められる医療現場や介護現場に差別を持ち込んでしまったことが、不団結を生み出していると指摘しています。
 実際には、都内で賃上げの対象となったのは、医療現場、介護現場、それぞれどの程度の割合だったのか、実際に賃上げされたのはどれくらいだったのか伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 看護職員処遇改善評価料を届け出ている病院の割合は、令和五年八月時点で、都内六百三十四病院のうち二百十七病院であり、三四・二%となっております。
 また、国の調査結果では、看護職員等への賃金改善の実績は、一人当たり月額一万一千三百八十八円となってございます。

○花本福祉局高齢者施策推進部長 介護職員等ベースアップ等支援加算の取得率は、令和五年十月一日時点で、都内対象事業所一万一千五百四十一か所のうち九千八百八十四か所であり、八五・六%となっております。
 また、国の調査結果では、加算を取得している事業所における介護職員の基本給等について加算の取得前後を比較すると、月額一万六十円の増加となっております。

○鈴木福祉局障害者施策推進部長 障害分野におきます福祉介護職員等ベースアップ等支援加算の取得率は、令和五年十月一日時点で、都内対象事業所一万三千八百八か所のうち一万三百八十か所であり、七五・二%となってございます。
 また、国の調査結果では、加算を取得している事業所における福祉介護職員の基本給等について加算の取得前後を比較すると、月額一万一千七百十円の増加となってございます。

○里吉委員 それぞれご答弁いただきましたが、看護職員の処遇改善の対象となったのは都内病院の三分の一程度だったということでした。診療所なども含めれば、さらに割合は大きく低下します。
 さらに、この対象は看護職員の分となっていますので、医療機関の判断で、ある程度ほかの職種にも広げることはできますが、そうすると一人当たりの引上げ額は少なくなります。そのため、医療機関で働くケア労働者のうち、賃金が引き上がったのは本当に全体の一部といわざるを得ません。
 高齢者施設や障害者施設等の介護職員への処遇改善については、実際に加算を受けたのが八五%、七五%程度と、病院よりは広いですけれども、一〇〇%とはなっていません。
 特に小規模の事業所では事務作業を行う人手が確保できず、加算申請できないという話も伺っています。職種間の賃金のバランスが取れなくなることが懸念されるためですとか、利用者負担が発生するためという理由も一定数あります。働く人全体の賃金を引き上げられるようにすることが重要です。
 賃金の低さはケア労働者全般で問題になっていますが、特に介護職員の処遇改善は緊急課題です。厚生労働省の二〇二二年賃金構造基本統計調査によりますと、介護職員の平均所定内給与は二十六万五百円、訪問介護員は二十六万一千百円。一方、全産業では三十七万五千五百円でありますから、介護労働者の所定内給与は、全産業平均と比較すると、十万円以上も低いということになります。賞与なども含めますと、差はさらに広がります。
 介護職員については、月額六千円程度の賃上げの方向で厚生労働省が調整に入ったと報道されていますが、現場からは一桁違うと怒りの声が上がっています。本当にそのとおりだと思います。
 東京都は月額六千円が妥当だと考えているんでしょうか。都の見解を伺います。

○花本福祉局高齢者施策推進部長 介護職員の人件費を含め、介護、障害福祉サービス事業は介護報酬等により運営されることが基本であり、都は国に対して、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、緊急提言を含め、繰り返し要望しております。

○里吉委員 六千円が妥当だと考えているかということには直接ご答弁はありませんでしたけれども、事業運営を安定的に行うことができる報酬にしてくださいと国に繰り返し求めているということですから、この緊急提言、私も読みましたけれども、東京都としても月額六千円が妥当だとは認識していないというふうに私は理解いたしました。
 東京都は、医療現場、介護現場での処遇改善の必要性について、また、必要な賃上げの水準についてはどのように認識しているのでしょうか。伺いたいと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、看護職員等の処遇改善が適切に行われるよう、国に対し、繰り返し提案要求を行っております。

○花本福祉局高齢者施策推進部長 繰り返しになりますが、介護職員の人件費を含め、介護、障害福祉サービス事業は介護報酬等により運営されることが基本であり、都は国に対して、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、緊急提言を含め、繰り返し要望しております。

○里吉委員 どちらも、さらなる処遇改善を繰り返し求めているというご答弁でした。
 ケア労働者の処遇改善を進めるためには、本当に国の責任は大きいわけです。東京都として、今ご答弁ありましたように、それぞれ緊急提言を行ったということでしたけれども、これ、直接国に申入れを行ってきたのか、内容も含めてそれぞれお答えをいただきたいと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 看護職員等の処遇改善について、都は、令和五年十一月十日に厚生労働省を訪問し、看護職員処遇改善評価料の対象となる医療機関を拡大することなどの緊急提言を行っております。

○花本福祉局高齢者施策推進部長 介護報酬等に関しては、令和五年十月十日、厚生労働省を訪問し、大都市にふさわしい介護報酬及び施設基準の見直し、介護職員等の処遇改善について緊急提言を行っております。

○鈴木福祉局障害者施策推進部長 障害福祉サービス等の報酬に関しても、令和五年十月三十一日に厚生労働省及びこども家庭庁を訪問し、大都市の実情等に応じた報酬の見直し、介護職員等の処遇改善につきまして緊急提案を行いました。

○里吉委員 それぞれ、厚生労働省の担当部局に緊急提言を持っていき、お話もしてきたということで、今、三人の部長さんにご説明いただきましたけれども、本当にこれ喫緊の課題ですので、引き続き、繰り返しあらゆる機会を捉えて国への要請も行っていただきたいと思います。
 そして、保健医療局や福祉局のそれぞれの所管の皆さんが出かけていって訴えてくるのは重要だと思いますけれども、処遇改善が喫緊の課題となっていることを考えれば、ぜひここは知事にも先頭に立って求めていただきたいということも、この場で求めておきたいと思います。
 次に、物価高騰対策についてです。
 病院も、高齢者施設や障害者施設なども、どこでも物価高騰分を価格に転嫁できません。診療報酬や介護報酬、障害者福祉サービス等報酬で運営しているということで、ここは本当に影響が深刻だということが続いています。
 そこでまず、現在の物価高騰の影響について、東京都はどのように認識しているのか伺います。

○村本企画部長DX推進担当部長兼務 物価高騰の影響が長期化する中、現行の診療報酬等には現下の物価高騰が反映されておらず、医療機関や介護事業者等の経営環境に影響を与えております。
 このため、都は、国に対して緊急提言等を実施し、光熱費などの高騰の影響を踏まえ、医療機関や介護事業者等が安定的、継続的に事業運営できるよう、診療報酬等を適切に見直すことを要望しております。

○里吉委員 コロナ禍の影響に加えて物価高騰が続く中で、介護事業者等の廃業が増えてきたり、病院もこのままでは経営が厳しいという話も聞いております。
 少なくとも一年前と比べて高騰した分――光熱費ですね、そこに当たる金額程度の支援策はどうしても必要ではないかと思いますが、これについての東京都の見解を伺います。

○村本企画部長DX推進担当部長兼務 都は、医療機関や介護事業者等に対する物価高騰への支援につきまして、国の臨時交付金を活用し緊急対策を実施してまいりました。
 また、光熱費などの高騰の影響を踏まえ、医療機関や介護事業者等が安定的、継続的に事業運営できるよう、診療報酬等を適切に見直すことを国に要望しております。

○里吉委員 国の交付金を活用した緊急対策では、はっきりいって必要な光熱費には全く不十分だったわけです。例えば、都内のある中小病院からお話を伺いましたけれども、電気代とガス代で一千六百万円以上、半年分だと八百万円以上負担が増えたそうです。
 しかし、今年度前半分の物価高騰対策の光熱費分の交付額は三十一万円ということで、全く足りないと。国の交付金の額は今の深刻な物価高騰に見合ったものにはなっていないということなんです。
 そして、さらに根本的な問題は、それぞれの制度の報酬が低く抑えられてきたことです。光熱費などの高騰は一時的なものではなく、安定的に経営するためには、診療報酬などを適切に見直すことも必要だと考えます。
 これまで東京都として国に様々要請を行っていることも確認してきました。陳情にありますように、これを本当に実現していくために、問題解決していくために、都議会としても、都内のケア労働者の賃上げや、病院や福祉施設の安定運営のために、この機会を捉えて国への意見書を提出すべきと考えます。
 以上、陳情の採択を求めて、質疑を終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第五〇号は不採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で保健医療局関係を終わります。

○あかねがくぼ委員長 これより福祉局関係に入ります。
 請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願五第一〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、請願五第一〇号は、新宿区の公的保育・福祉を守る東京実行委員会の代表丸山麻利子さん外百八十五人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都議会において、国に対し、保育士配置の最低基準の引上げと国民の負担増を伴わない保育予算の大幅な増額を求める意見書を提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、保育士の配置基準は、国が省令で定め、都や区市町村はそれらを踏まえ、それぞれの議会等の審議を経て条例等で定めております。
 都は、国に対し、保育をはじめとした子供、子育て支援施策の強化、推進を図るため、恒久的、安定的財源を十分に確保するよう提案要求しています。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 請願五第一〇号、保育士配置の最低基準の引上げと保育予算の増額を求める意見書提出に関する請願を採択し、意見書を提出すべきとの立場から意見を述べます。
 本請願は、百八十五人の署名とともに提出をされています。請願理由に書かれていますが、政府が閣議決定したこども未来戦略方針では、職員配置基準について、一歳児は六対一から五対一へ、四歳、五歳児は三十対一から二十五対一へ改善するとしました。しかし、最低基準を引き上げるわけではなく、配置をした施設に対し、運営費の加算をして支給するという範囲です。
 保育士の配置基準の重要性については、今年の第一回定例会で白石都議が厚生委員会で質問したことに対して、都は、一定の水準を確保する上で重要と認識していると答弁しています。また、予算特別委員会では、大山とも子都議の締めくくり質疑において、全国知事会、市長会、町村会も、改善を緊急に要望していることを指摘しました。
 そして、四、五歳児の国の配置基準は七十五年間、一、二歳児は五十六年間変わっていません。保育士の配置基準を引き上げることについては、子供たちの安全・安心な保育の実施のために必要不可欠です。緊急に意見書を上げるべきです。
 同時に、都としても、かつてはゼロ歳児などへの保育士配置を国より手厚くしていたことも、大山都議から指摘をしました。国の改善待ちにならず、独自に上乗せをすることを検討すべきです。
 子供たちの保育を充実させていくためには、保育士の処遇改善も待ったなしです。都内の保育士の所定内給与は、全産業平均より月八万円低い状況です。専門職であり、コロナ禍でも途切れることなく子供と家庭を支えているにもかかわらず、それに見合った給与になっていない実態です。
 一日も早く改善すべきであると指摘し、意見といたします。

○上田委員 同じく保育士の配置基準についてです。
 このところ、ようやく保育園待機児童解消が進んできたところであります。私の一丁目一番地の政策として十七年間取り組んでまいりまして、中長期的保育需要については事務事業でも確認をさせていただきました。
 まずは、現在の基準で子供たちにとって最適な保育環境が整えられているのか、課題と所見を伺い、それで整えても、定員割れの問題も指摘させてもらったんですが、だんだん、将来に定員割れも想定される中、現在の保育士の需給バランス不足状況、人材確保したところ、将来的には定員割れなどで解雇になるようなことはないのかなど、保育人材確保、また、福祉局として平均的な保育士年収金額はどの程度であれば是とするかについての所見を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 保育サービス等の基準は、国が社会保障審議会等の議論を経て省令等で定めており、都や区市町村はそれらを踏まえ、議会等の審議を経て条例等で定めております。
 都は、障害児への対応やチーム保育体制の整備など、施設の保育実態に応じた職員の増配置への給付等を行うほか、保育サービス推進事業により、地域の実情に応じた区市町村の取組を支援し、保育サービスの質の向上を図っております。
 また、国の公定価格における処遇改善等加算に加え、都独自に保育士等キャリアアップ補助を実施し、保育士の確保、定着を図っているところでございます。

○上田委員 かつて私の質疑で、認証保育所の障害児受入れについて加算をいただいたという背景もありまして、また、逆に、こうして加配になることで、人材不足で、そこがまた人も決まってしまうとそこを満たさなきゃいけないので、人件費及び人を手配するのが大変だというような声も聞いております。
 一応、当然、保育環境はよい環境でなくてはならないわけではございますが、制度で決めると、まだまだちょっと現場の方も混乱があるようでございますので、趣旨は賛同するものの、今回のこの請願に関しては、全ては賛同できないということとさせていただきたいと思います。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第一〇号は不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、請願五第一一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中川生活福祉部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、請願五第一一号は、八王子市の西東京米研代表田倉裕史さん外二百八十九人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、東京おこめクーポン事業について、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一項として、大阪府と同じようにクーポン券方式にしなかった理由を示すこと。
 第二項として、配給された複数原料米の産年、産地、品種、使用割合を公表すること。
 第三項として、営業妨害とも取れる今回の米のばらまき政策による米穀店の売上げ減少や、それによる在庫の負担等に対し、救済措置を取ることというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 第一項につきまして、東京おこめクーポン事業は、物価高の影響を特に受けやすい低所得者世帯の生活を支援するため実施したものでございます。本事業では、高齢者等の買物に係る負担軽減を図るとともに、迅速に支援を行うため、お米や飲料等と引換え可能な都独自のクーポンを配布し、申込みのあった世帯にこれらの食品を自宅に配送する方式といたしました。
 第二項につきまして、本事業は、多くの世帯に食品を着実にお届けするため、お米は全国の産地から調達し、複数原料米として順次配送いたしました。配送時点での調達状況により品種や産地等が異なることからパッケージには記載せず、情報を希望される方にはコールセンターで個別に対応いたしました。
 第三項につきまして、本事業で配送したお米約二万トンのうち、七千トンを都内に所在する米穀の小売販売事業者で構成する団体を通じて調達いたしました。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○内山委員 それでは、私からは、この請願が出されている中で、おこめクーポン事業のそもそもの背景から少し確認をしていきたいと思います。
 まず、この東京おこめクーポン事業を実施した背景について伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 本事業は、物価高騰の影響により、経済的な影響を受けやすい世帯に対する緊急対策として、米等の食品と引換え可能な東京都独自のクーポンを配布し、申込みのあった世帯へ食品を配送することにより、生活の支援や買物に係る負担の軽減を図ることを目的として実施いたしました。

○内山委員 ありがとうございます。プッシュ型で発送はするものの、申込みがあった世帯に対する配送と、確認できました。
 次に、事務事業質疑でもあったかと思いますが、現金給付やお米券ではなく、都独自のクーポンとした理由について伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 一般的に現金給付は目的以外の使途に使用されることがあり、お米券についても米穀小売店以外にスーパーやドラッグストアなどで使用することもできます。
 一方、現物給付は使途が限定されるが、目的に合わせたものやサービスが給付されます。
 本事業は、事業目的を踏まえ、様々な方策を総合的に検討し、都独自のクーポン方式といたしました。

○内山委員 ありがとうございます。
 現金給付というのが全ての政策で比較されるとなると、おっしゃるとおり、政策的な目的だとか事業の目的というものと合致しなくなるということは十分理解できると思います。また、お米券も同等の、まあリスクではありませんが、懸念があるということで、都独自のクーポンとしたということ、ここに関しては理解をしました。
 本事業の対象世帯が百七十四万世帯と見込まれていましたが、まず、食品の調達方法について伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 本事業では、短期間で大量の米を確保する必要があることから、通常の流通に与える影響も考慮し、特定の産地に偏らず、全国から調達することが適切と考え、全国規模で安定的、定量的かつ柔軟に食品調達が可能であり、調達から配送までの一連のネットワークを有する全国農業協同組合連合会と契約を締結いたしました。
 なお、全国農業協同組合連合会が調達し配送した約二万トンのうち、七千トンは平成二十八年時点で都内の米穀小売販売事業者の約九七%が加盟する団体を通じて調達いたしました。

○内山委員 都内の米穀小売販売事業者で構成する団体から七千トンを調達したということでありました。
 この七千トンというのはどのように算出したんでしょうか。

○中川生活福祉部長 事業を実施するに当たり、都内の米穀小売販売事業者で構成する団体から意見を聞き、米穀小売店への影響も考慮して対応策を検討いたしました。
 事業実施期間が約半年であることを踏まえ、都内の米穀小売店の年間売上高約一万四千トンの半年分に相当する七千トンといたしました。

○内山委員 都内の人口が一千四百万人で、世帯数でいうと約七百万世帯、それぞれの都民は、米穀小売店だけではなくて、どちらかというとスーパーやネットなどでお米を買っている方々がほとんどだというふうに聞いて、ほとんどというか、多数だというふうに聞いています。このうち、小売店から買う量の半年分を小売店の団体から調達したという、ここは配慮がされているのかなというふうに思います。
 一方で、この事業は可及的速やかに実施する必要があったという事情も理解しますが、東京都の事業は予算規模も大きく、一つ一つの政策の効果というのは多様な分野に影響を与えるため、丁寧な事業実施が必要というふうに考えています。
 今回のように、七千トンのお米というものをお渡しするわけですから、それは一定の配慮だけでは様々なところにハレーションが起きるということは、これは想像に難くないと思います。そういった意味に合わせてですね、加えて、事業を実施する上では、都民の多様なニーズに応えていくということも必要だと思います。
 そういった中で、今回の事業は、一世帯当たりお米二十五キロ相当の食品を自宅で受け取ることができるというものでありましたが、対象者には高齢者の方々も多く、一度に二十五キロも食べられないのではないかという指摘もあったかと思います。これに対して、都はどのように対応したのか伺います。

○中川生活福祉部長 今回の事業では、対象世帯の様々なニーズに対応するため、米を中心としつつ、パックご飯、乾麺、緑茶等の飲料などを組み合わせ、九種類のパッケージから選択できるようにいたしました。
 また、食品の配送に当たっては、いずれも一括配送ではなく、二回または三回に分割して配送するなど、できる限り対象世帯の状況に応じて選択できるようにいたしました。

○内山委員 ありがとうございます。
 なぜ一世帯二十五キロかという算定式の中で、私が聞いた中でいうと、年間の一人当たりのお米消費量が約五十キロという中で、半年分で二十五キロで、世帯数の平均が二名弱ということで、掛ける二の半額負担ということで、大体、一世帯二十五キロというこの算出があったかというふうに思います。
 ただ、一世帯当たりの平均値というのは、あくまで平均値ですから、必ずしも二名弱というのが一世帯にいるというわけではないので、そこはもう少しきめ細やかな部分が必要だったのではないかなというふうに思います。
 食品の配送についても、分割配送を行ってきたということでありますが、それでも高齢者世帯、例えばそこが単身世帯であればもちろんですけど、二人だとしても、平均、じゃあ本当に年間五十キロのお米を食べているかというと、これはなかなか世帯にもよるというふうにも思います。
 一方で、とはいいながら、九つあるコースの中で、第一希望の一位、二位は、お米のみのコースだったというふうに聞いていますので、そもそも外してもいないんだろうなというふうに思います。ですから、配送回数を選べたということは評価いたしますが、一方で、お米のボリューム、例えば二十五キロも要らないよという方には、例えば十キロ、十五キロという選択肢があってもよかったかなと思いますし、また、お米券だけだと、先ほどの政策的にちょっとぶれるんじゃないかというところがあったかと思いますが、お米券もセットになるような選択肢というものもあると、なおよかったのではないかなというふうに思います。
 そういった意見も私たちも様々お受けをしながら、こういったことも踏まえて、様々、事務事業を実施する上では、対象者のみならず、関連する地域の事業者の理解や協力が得られるように、さらに丁寧に意見を聞いていくことが必要かと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 東京おこめクーポン事業は、急激な物価高騰に対する緊急的な対策であることから、迅速な事業実施に努めると同時に、都内の米穀小売店への影響を考慮し、都内の米穀小売販売事業者で構成する団体の意見も丁寧に伺いながら実施いたしました。
 事務事業の構築に当たりましては、今後とも関係者の意見を丁寧に聞きながら、幅広い視点から検討を重ね、取り組んでまいります。

○内山委員 今回の事業は、これまで厚生委員会でも度々質疑がありましたが、十月末の事業終了までに対象世帯の約七割、約百六万世帯が利用したとのことで、低所得者世帯の生活の支援に一定の寄与があったというふうには推察できます。
 ただ、できれば、こういった事業の性格というか、どうしても批判的なというか、もしくは注文がつくような意見が目につきがちなんですが、一方で、いや、これがあったから助かったんだとか、感謝の声というものもあってもいいのかなと思うんです。
 あったかどうかが今のところ分からないということなので、ぜひこういった政策的な評価をするに当たっては、そういったアンケート、今、〇一八サポートなんかでもアンケートを取っていると思いますけど、ぜひそういったものも取ってもらえると、ネガティブなものだけではなくてポジティブな声も拾うことができるかなと思いますので、ぜひそこは、今後、こういった事業をする際にはご検討いただきたいと思います。
 また、質疑でも今明らかになりましたように、都内米穀店に対しては一定の配慮が行われたことも分かりました。我が会派としては、本請願には不採択としたいと思いますが、本事業に限ったことではありませんが、事業を実施する上ではスピード感というものは極めて重要ですが、一方で、実施効果や課題を検討し、絶えず工夫や改善を行っていっていただきたいというように要望したいと思います。
 また、一つ、我々の下にもご意見として届いたのは、例えば、仮に十分な貯蓄があったとしても前年度の所得が少なければ住民税非課税世帯となるわけでございまして、一定の資産を持つ方への支援は不公平ではないかという、こういったご意見も寄せられました。
 制度の構築や事業の実施に当たりましては、関係者の意見をより幅広く、さらに丁寧に聞きながら進めていっていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いいたします。
 東京おこめクーポン事業についてです。
 東京おこめクーポン事業は、物価高騰の影響を受けやすい低所得者世帯の生活を支援するために実施したものです。我が党は、低所得世帯に心を寄せるなら現金が一番助かると繰り返し要望してきましたが、結果は、お米を中心とした食料支援となりました。
 同時に、お米を直接配布することになったときに考慮しなければいけなかったのは、まちの米穀店の商売に、いかに影響が出ないようにするかということです。都内米穀小売販売事業者の団体から調達したことで、対策ができたかのような説明でした。
 しかし、今回の請願は、都内の米穀店のグループからであり、売上げが減少し、在庫の負担等に対し、救済措置を求めています。都の対応では、都内米穀店への影響を出さないような対策にならなかったということだと思います。
 まず、具体的な米穀店から寄せられている声について伺います。
 請願にもありますが、都内の米穀店からは、定期的に購入してくれていたお客さんが来なくなってしまった、特養老人ホームなど定期的な大口の納品先から半年も注文がなかった、売上げが大幅に下がったなど、たくさんの苦情が寄せられています。
 東京都には、こうした声は届いていますか。届いていたとしたら、どう受け止めているのか伺います。

○中川生活福祉部長 本事業は、平成二十八年時点で都内の米穀小売販売事業者の約九七%が加盟する団体と調整し、配送するお米のうち、七千トンを団体から調達して実施いたしました。
 事業実施期間中は、コールセンター等において約三十四万件の問合せを受けてまいりました。そのうち、米穀店からの問合せは数件でございまして、事業内容自体に関する問合せであったと承知しております。

○里吉委員 米穀店からどんな問合せだったのか、事業内容自体に関するものというだけで、内容はよく分からなかった、数件だったということです。
 この制度、おこめクーポン事業ですが、そもそも米穀店への影響というのは予算が成立する前から心配の声が出されていました。先ほどから、九七%が加盟するところと調整したんだという話がありましたけれども、都内の米穀店への対応として、米穀小売販売事業者の団体を通じて七千トンを調達して、組合員への還元は、組合員さんに直接伺いましたけれども、八年間にわたって毎月の組合費を千円値引きするということなんだそうです。
 しかし、今売上げが下がって困っているのに、八年かかってしまうということなんです。組合員さんからも、八年の間にどれだけの米穀店がもつだろうかと、八年間もつだろうかという思いもあるという話もありました。
 都内米穀店の組織率、九七%というご説明もありましたけれども、調べた数字は七年前の二〇一六年度のものと伺いました。今、組合の加入率は年々下がっているというお話も直接伺いました。この請願をしてきたグループの皆さんの加入率は半分ぐらいなんです。そういう意味では、ここと調整したからそれでよしというふうには、残念ながらならないといわざるを得ません。
 皆さんのところには直接声が行っていないようなので、お伝えしたいと思いますが、この請願を出された十数軒のお米屋さんの皆さんに、自分たちのお店の売上げを調べてもらいました。皆さん計算してくださいましたが、お米が配布されていた頃の一般家庭への販売量は五%から一五%の減少、特養老人ホームなど業務部門の販売は一〇%から二〇%の減少だったそうです。私が直接お話を伺った方は、売上げが百万は減ったというお話も聞きました。本当に大きな影響を受けて困っているという声が寄せられているんです。
 こういうことですから、東京都がいろいろ工夫をされたということは今伺いましたけれども、小売の団体に七千トンを調達してきちんと話し合ったというやり方で、都内の米穀店の営業に悪影響は与えなかったというふうにいえるのか、率直にこの点についてお答えいただきたいと思います。

○中川生活福祉部長 事業実施に当たりましては、団体とは、米穀店への影響を考慮して丁寧に調整をしてきました。

○里吉委員 丁寧に調整したといいますけれども、その結果が、残念ながら全く個別の米穀店に対しては、多大な悪影響を加えてしまったということを、今私、お話ししました。
 このことについての率直な感想をぜひ伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 繰り返しになりますが、事業実施に当たりましては、団体とは、米穀店への影響を十分考慮して丁寧に調整を行ってまいりました。

○里吉委員 今、あまりお電話が届いていないようだったので具体的なお話をしましたけれども、都内の米穀店の深刻な状況を示しましたが、本当によくそんなことがいえるものですねと思ってしまいます。
 幾ら丁寧に調整しても、実際に都内のお米屋さん、営業に大きな影響が出ているわけです。私も幾つものお米屋さんからお話を聞きましたけれども、おこめクーポン事業で仕事が来たというところは一軒もありませんでした。本当にこれが実態なんですよね。米穀店への影響を考慮したものには到底なっていません。結局、それぞれの米穀店に悪影響が及ばないという担保のないまま、知事が事業を進めてしまったと考えざるを得ません。
 それから、売上げが減少したために米穀店が大量の在庫を抱える事態も起きています。有機農法などで育てたお米を農家から直接買いつけるなど、お米屋さんは本当に一生懸命、差別化を図っているわけです。こういうお米屋さんは増えています。こうしたお店で前年の在庫を抱えてしまうと、今年の新米を例年どおり仕入れることができないということで、このお米屋さんいわく、その結果、農家さんにも影響が出ていると伺いました。
 こうした影響について、東京都はどのように認識していらっしゃるのか伺います。

○中川生活福祉部長 団体との調整は、流通量への影響なども踏まえ、丁寧に行ってまいりました。

○里吉委員 丁寧に行ったのかもしれませんが、私が質問したのは、在庫を抱えている米穀店がある、困っているという事態を東京都は把握していますか、それに対してどう認識していますかということだったんです。
 少なくとも在庫を抱えて困っている米穀店があるという事態、東京都は把握しているのかどうか伺います。

○中川生活福祉部長 繰り返しになりますが、流通量また販売量などへの影響も踏まえ、丁寧に調整を行ってまいりました。

○里吉委員 今、繰り返し米穀店への影響を考慮してだとか、流通量への影響なども踏まえてとおっしゃいましたけれども、そういうことを考えて対策をしたというのであれば、その対策が本当にうまくいったのか把握して検証するのが当然ではないかと思うんです。
 私、お話を聞いて、なるほどと思ったんですけれども、直接消費者に販売する分以外に、それ以外の影響もあったと。米穀店がデパートなどを通じて販売するケースもあるそうなんですが、そこでも売上げが落ちて被害が出ているということも伺いました。団体と調整しても、流通量への影響が実際にこうして出ているわけです。
 そもそも一千トン単位でお米を配って、流通や一つ一つの米穀店に悪影響が出ないようにするような、今までやったことがないようなことですから、これを短期間で行うというのはどう考えても無理だったのではないかと思います。無理なものを、できなかったことを調整の問題で、やったんだというふうにするのはやっぱり厳しいというか、それは東京都の責任を果たしたことにはならないと思います。調整の問題ではなくて、知事が決めた事業のやり方自体に原因があったのではないかというふうにいわざるを得ません。
 昨年の議会でも、お米をもらって困るとか、調理できないとか、いろんな議論もあって、パックご飯や乾麺も選べるようにするなど、変更しましたけれども、日本共産党都議団は、それよりも一番困っているところへ手を差し伸べるなら現金がよいと繰り返し求めてきました。そういう中で、本当にお米屋さんへの被害というのもきちんと今考えていただきたいと思います。
 先ほど述べましたように、組合に入っている方は八年間にわたって多少の還元、これで十分だとはとても思いませんけれども、あるんですね。しかし、組合に入っていなければ、組合費を値引きしてもらうという制度も使えませんから、全く何の恩恵も、何の対応もしてもらえないわけです。こうしたところへは何らかの救済策が必要だというふうに思います。本事業はそういうところも考えて取り組むべきだと思います。
 改めて、小売販売事業者で構成する団体に加入していない米穀店には、特に何の恩恵もないわけですから、救済策、措置を取るべきだと思いますが、見解を伺います。

○中川生活福祉部長 本事業は、物価高の影響を特に受けやすい低所得世帯の生活の支援を目的として実施したものでございます。

○里吉委員 聞いていることに答えていないです。それは分かっています。
 今回の請願は米穀店から出ているんですね。皆さんがやった事業がどういうものであれ、結果としてこれだけ被害を受けている方がいらっしゃるわけです。低所得者への支援が目的だということと悪影響を受けた事業者への救済が必要だということに何の関係があるんでしょうか。
 救済措置は団体に加盟していないところだけでよいとは思いませんけれども、そこに入っていないところについての必要性は、本当に否定できないと思います。
 今回お話を伺った方は、スーパーやドラッグストアでお米が売られるようになって、年々まちからお米屋さんが減っていく、でも、市場の競争だから、それは仕方がないと思っている、でも、自分たちはそんな中で、まちのお米屋さんとして個別化を図り、頑張って生き残ってきた、営業妨害とも取れるような東京都のやり方には納得がいかない、このようにおっしゃっているわけです。
 私がお話を聞いたあるお米屋さんは、まちのお米屋さんを三店舗経営しているそうですが、従業員が五人いらっしゃるそうです。今回のおこめクーポンの影響で売上げが減って、今年は冬のボーナスを出すのが厳しいと、本当に困っていらっしゃいました。
 物価高騰の影響を特に受けやすい低所得者への生活を支援する目的というなら、やはり現金の方がよかったと思いますし、知事の行ったこの事業によって、都内の米穀店の営業に悪影響が出てしまった事実は明らかです。何らかの救済措置を行うべきです。
 以上の理由から、請願の採択を主張して、私の質問を終わります。

○上田委員 おこめクーポン事業です。
 これは、令和四年十月二十八日、財務局より各局へ四定の補正予算の編成を指示して、十一月四日に福祉保健局より財務局に対して金額などを登録し、同月十七日までに補正予算編成に係る調整、査定がなされて、十八日に補正予算案が公表されました。
 私は、去年の十二月の補正予算で、現金給付の方が適当だ、物価高、原油高で、ほかの生活必需品や光熱費へ充てたい選択の需要は、なぜ現金給付じゃないのかと確認したところ、何度も皆さん説明していますけれども、本事業は物価高の影響を受けやすい低所得者世帯を食料品の面から支援するものであり、食料品を届けることで必要とする方に適切な生活支援を実施するもので、また、米を中心とした食料品を自宅に配送することで、高齢者の買物に係る負担の軽減を図るものということでしたが、私からすれば、ちょっと意味が分かりませんでした。
 そこで、都民ニーズはどう測ったのかと確認していたんですね。米は多くの人が主食としている食料品であり、米を中心とした食料品を自宅に届けることで、必要とする方に適切な生活支援を行うということで、科学的根拠も集計も全くしないまま踏み切ったことが読み取れたわけでございます。
 さきの事務事業質疑でも、鈴木委員の質問にて、事務経費が四十八億円もかかり、しかも、現金支給想定の換算もされずに踏み切っていたと、二度驚愕してしまったわけです。
 十一月十六日の事務事業質疑で、お米が転売されるというようなことも指摘させてもらいました。百万を超える世帯に利用いただき、家計が苦しかったので助かったという声などが寄せられていると、百万を超える百万を超えるといっているんですけれども、申込率は六七%だったんですよね。これは需要に沿っていなかったのではないかといわざるを得ません。
 世帯、百七十四万のうち、申込率が六七%ということも、前回指摘させていただいているんですけど、今後、ニーズ調査や現金支給積算を行い、真の需要に沿った生活困窮者支援策を行うつもりはないのか、六七%を多く捉えているのか、少ないと、どう捉えているのか、転売されてしまった実態についてどう考えているのか、反省、課題認識を踏まえた所見を伺います。

○中川生活福祉部長 本事業は百万を超える多くの世帯にご利用いただきました。
 転売に関してでございますが、本事業で届けた食品は転売禁止としておりまして、フリマサイト等運営事業者に対して、文書により削除を要請いたしました。
 本事業は多くの国民が主食としている米を自宅に届け、生活を支援するものでございまして、緊急対策として迅速な事業実施に努めるとともに、都内の米穀小売店への影響も考慮し、都内の米穀小売販売事業者で構成する団体の意見も伺いながら実施したものでございます。
 事業内容の構築に当たりましては、引き続き関係者の意見を丁寧に聞きながら、幅広い視点から検討を重ね、取り組んでまいります。

○上田委員 転売禁止としても、私の子供食堂にも、あらかじめいわれた方には断りましたけど、そっと置いてあったらば、やっぱりそれは転売のお米だったということが結果的にありますし、転売するということはキャッシュが欲しいんですよね。だから、やっぱり現金が欲しかったということの証左なんですね。それは違法行為だ、おまえが悪いじゃなくて、現金で配らなかった方がもっと悪いというふうに思っておるところでございます。
 当初は、委託事業者の選定についても、補正予算成立後、契約に係る規定に基づき、適正に対応としか答えていらっしゃらないで、本年六月の令和四年度一般会計予算繰越審査において、どうなったかと、また、どう適正に審査されたのか、入札の詳細、どのくらいの事業者が参加したのかも含めて、事業者決定から事業施行までのプロセス、区市町村への連携状態も含めて、時系列で具体的にしつこく確認したところ、補正予算成立後、契約に係る規定に基づき手続を進め、令和五年一月三十日に全国農業協同組合連合会と食品の調達、受付、配送等を一体的に行う委託契約を特命随意契約により締結したということでした。
 百歩譲って、お米券であれば、地元の米穀店でお米も買えれば、コンビニでビールも買えるし、ほかの飲食の分も買えるという自由度が増したわけです。実際に希望のコースがもうなかったから、だから申し込むのをやめたという声も届いております。それが三割も申請しなかったことの表れではないかと思料する次第です。
 請願にもあるように、なぜ大阪府と同じようなクーポン券方式にせず、農協の特命随意契約だったのでしょうか。その理由と、改めて東京、大阪両事業の差異についてご説明ください。
 私も前回いいましたけど、国産ブレンド米二十五キロを買っても百七十億円、農協と契約しては、それよりもはるかに高い二百六十八億円でした。このように、事務経費、いろいろ含めてかかる費用と実際のお米、商品の品質、価格、実際にかかったお金と届いたお米と、また、商品の品質の落差についての所見も伺います。

○中川生活福祉部長 東京おこめクーポン事業は、低所得者世帯の生活を支援することを目的としたものでございまして、高齢者等の買物に係る負担軽減を図るとともに、迅速に支援を行うためクーポンを配布し、申込みのあった世帯に対し、食品を自宅に配送する方式といたしました。
 なお、大阪府は子供や妊婦を対象に、米穀店など指定する店舗にて米に交換できる券、または米と食料品の給付のいずれかを選択する方式と承知しております。
 事業実施に当たりましては、百万を超す対象世帯からの食品の申込みに対しまして、全国規模で安定的、定量的かつ柔軟に食品調達が可能であり、調達から配送までの一連のネットワークを有する全国農業協同組合連合会へ委託いたしました。
 また、本事業は産地や銘柄を限定せずに広く全国の産地から調達し、それに要する必要経費を基に契約したものでございます。

○上田委員 大阪の同じクーポンでも、地元のお米屋さんに少しは寄与するような視野が入っているということです。量がたくさんだから、ネットワークを有する事業者としてJA、そこしか、特命随意契約をするしかなかったということですが、そもそも送らないでいいの、現金でよかったわけですよね。お米券ならば紙ですから、もっと安く済むわけですよね。
 もう謎でしかないんですが、そういうような事業ですから、コールセンターには、一日、多い日で三千件程度、少ない日で千件程度の問合せが寄せられたと。その多くは申込書の記入方法や食品がいつ届くのかといった内容となっていたことが私の調査で分かっております。質疑でもそうですね。
 希望に沿えなかった件数、クーポン券や商品の遅配、誤送などは結局どのくらい発生したのでしょうか、伺います。

○中川生活福祉部長 対象世帯からの申込みに対し、第一希望のコースを送付した世帯は約六十八万世帯で全体の約六五%、第二希望のコースを送付した世帯は約十五万世帯で全体の約一四%、第三希望のコースを送付した世帯は約十五万世帯で全体の約一五%でございまして、全体の九三%の世帯が当初希望したコースとなりました。
 在庫の状況で、残り約七万世帯全体の約七%の世帯に対しましては、希望コース以外となりました。これらの世帯に対しましては、コールセンターから電話で個別に連絡し、そのときに発送可能なコースをご案内の上、選定いただきました。
 また、食品の誤配送に関しましては、ほとんどが対象世帯の転居によるものであると承知しております。

○上田委員 誤送がこの間もたしかありましたよね、十七万件でしたっけ、例の小池知事鳴り物入りの五千円の〇一八サポートですか、誤送するということはコストが損失しちゃうということなので、区市町村との住所のいろいろなこともあるかと思いますけれども、そういったこともあったということでございました。
 請願で指摘されているような米穀店の売上げ減少は、当然想定されたと考えたいですが、現金送付の想定もしていないような状況ですから、しているのかしていないのか分かりませんけれども、これについても現金支給積算やニーズ調査同様、何も想定していなかったのか、していなかった場合の理由、想定しているとすれば損失の積算は幾らぐらいであるとしていたのか、ご説明ください。

○中川生活福祉部長 米穀小売店への影響も考慮し、都内の米穀小売販売事業者で構成する団体の意見も聞きながら、都内の米穀小売店の年間売上高約一万四千トンの半年分に相当する七千トンを、団体を通じて調達いたしました。

○上田委員 小池都政では、中小企業支援とか耳触りのいい、何とかファーストとか、たくさんあるんですけれども、地元のお米屋が売上げが減少しちゃって大変だ、三割は使わない、お金が欲しいから転売してキャッシュにしちゃうということ、前回もいいましたけども、これは理事者のせいではなくて、鶴の一声の政策であったと、〇一八サポートもそうだと把握しております。
 やっぱり小池知事は、こういった奇をてらったような、思いつきのようなことをやらずに、局は違いますけれども、〇一八サポートだって間違いなく生活保護の家庭の収入認定になるに決まっているのは、私は決まったときから気づいていましたけれども、そこを理事者にちゃんと相談していれば、理事者はちゃんといったと思うんですよね。もうとにかくキッシーよりも早くというので、今年の一月二日にやっちゃったわけですから、午前中に。
 そのとき、福祉保健局は知らなかったというところも私は確認しておりますので、首長にいわれたら従わなきゃならない定めなのも本当に気の毒に思いますけれども、我々議員も職員の皆様も、都民の利益をお守りして支えることが私たちの使命なので、これはあまりいい事業ではないということをしっかりと局長や部長、そして知事に伝えて、よく精査した上で、ばらまきにならないような生活困窮者支援を強く申し上げまして、私の質疑を終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第一一号は不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、請願五第一三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○花本高齢者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 五ページをお開き願います。整理番号4、請願五第一三号、誰もが利用しやすい介護・医療制度を求めることに関する請願は、豊島区の新日本婦人の会東京都本部の佐久間千絵さん外六千二百六十四人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、介護保険料、利用料の軽減を実施する区市町村への財政支援を行うとともに、都として介護保険料、利用料の減免制度などの支援を行うことの実現を求めるものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 六十五歳以上の方の介護保険料は、所得に応じて段階的に設定されており、低所得者の保険料軽減に要する費用について、都は応分の負担をしているほか、区市町村においては著しい収入減少等の場合に減免措置を講じております。
 また、利用者負担については、月々の自己負担額が一定額を超えた場合に払い戻される高額介護サービス費や、施設等における食費、居住費等の負担額を軽減する特定入所者介護サービス費の仕組みのほか、生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度が設けられており、都は、負担額軽減対象サービス等を独自に拡大して実施しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 念のために申し上げます。本件中、保健医療局所管分に対する質疑は既に終了しております。
 それでは、本件について発言を願います。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いします。
 誰もが利用しやすい介護・医療制度を求めることに関する請願、ここの部分は、介護保険料、利用料の軽減を実施する区市町村への財政支援を行うとともに、都として介護保険料、利用料の減免制度などの支援を行うことという願意です。今回は六千二百六十四名の署名とともに提出をされています。
 介護保険をめぐっては、ちょうど国で見直しの議論が行われています。大きな反対世論で昨年は見送られた介護保険の負担増、利用料二割負担の対象拡大ですとか、括弧つきですが、高額所得者の保険料の引上げ、老人保健施設の多床室の有料化など、審議会で決めようとしています。
 しかし、介護保険をめぐっては、現在もお金がないので、月額この金額でケアプランをつくってほしいといわれて困っているというケアマネジャーさんからのお話ですとか、物価高騰や年金引下げなどの影響でデイサービスを週一回減らしたなど、必要な介護が受けられているとは到底いえない話を幾つも聞いています。
 介護保険は、これまで制度の持続可能性のためといいながら、そういう理由で給付を削減、縮小、保険料の負担増を繰り返してきました。介護保険料は発足時の二倍にもなっています。請願では、こうした深刻な現状を少しでも解決するために、介護保険料や利用料の軽減の支援を求めています。
 そこでまず、現行の介護保険制度で国や東京都が行っている介護保険料の軽減や利用料の軽減制度は、どのような目的で行われているのか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護保険制度においては、経済的な理由により必要な介護サービスを利用できないということがないよう、利用者の負担が軽減される仕組みが設けられております。

○里吉委員 それでは、どのような方が利用料の軽減制度の対象となるのか、また、どの程度の軽減策なのか、具体的に伺います。

○花本高齢者施策推進部長 利用者負担については、高額介護サービス費や特定入所者介護サービス費の仕組みのほか、生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度が設けられております。
 高額介護サービス費は、月々の負担額が一定額を超えた場合に超えた分が支給される制度であり、上限額は所得区分に応じて決定されております。
 特定入所者介護サービス費は、市町村民税非課税世帯等の所得が低い方について、所得に応じて、施設等における食費、居住費等の負担額を軽減する制度でございます。
 生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度は、区市町村が生計が困難であると認めた利用者について、介護サービスの一割負担や食費、居住費の自己負担を約四分の三等に軽減する制度でございます。

○里吉委員 それでは、具体的に、東京都の軽減制度の対象人数と金額の実績について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 高額介護サービス費の実績については、全国一律で毎年度四月支出決定分から翌年三月支出決定分で把握しており、令和三年度については、件数は二百五万五百五十五件、給付費は二百九十四億七千五百四十五万六千円でございます。
 特定入所者介護サービス費の実績については、全国一律で毎年度三月サービス分から翌年二月サービス分で把握しており、令和三年度については、件数は、食費が五十六万四百七件、居住費が五十五万六千四百六十二件で、給付費は計百八十四億四千八百五十三万一千円でございます。
 生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度の利用人数については、区市町村からの報告により把握しており、令和四年三月時点で延べ千五百九十一人であり、都の令和三年度の決算額は七千六百七十四万九千円でございます。

○里吉委員 今、具体的な金額、件数を答えていただきましたけれども、それぞれ十二で割って数えたりですとか、それから、都内全域ということを考えると、これで十分な数字なのかというのは議論が必要なところだと思います。
 それぞれ重要な制度だとは思っています。これは、介護保険制度が始まるときに、家族だけの介護から社会全体で介護を担う介護の社会化だといって制度化されたのに、保険料や利用料が高くて、これではとても利用できないのではないか、保険あって介護なしとなるのではないか、さんざん議論されて、本当に不十分ながら、やっとこの軽減制度が導入されました。
 また、特定入所者介護サービス費、いわゆる補足給付は、二〇〇五年の介護保険法の改定で施設の食費、居住費を保険給付の対象外としてしまったときに、全額自己負担としたのでは低所得者は施設を利用できないということで創設されたものです。ところが、それさえも縮小が繰り返されてきました。国の介護保険制度は対象が狭くなったり、負担が増えたりなどの改悪が本当にずっと続いてきたという状況です。
 三つご紹介いただきましたけれども、一つ目は、介護利用料が一定金額を超えたときに超えた分が戻ってくるというもので、これ大事な制度なんですけれども、この制度を使えるのは、それだけ介護利用料を支払って介護を受けている方なんですね。
 私の両親も高齢者二人暮らしだったので、毎日ヘルパーさんに来ていただいていましたが、負担の上限を超えて、さらに給付の限度額も超えて、一部十割負担となったこともありました。でも、そうやって介護生活を支えてきたのですが、はっきりいって、そこまで負担できないという方、少なくないと思います。
 介護事業所の方にお話を聞きましたら、毎日デイサービスに来られる方の中に高齢者のみ世帯の方がたくさんいらっしゃるそうですが、本当は、夜、ヘルパーさんが入るべきなんだけれども、そこが入らないので、夕方帰ったときの紙おむつそのままで、ぱんぱんになった状態で朝来る、そういう方は珍しくないとおっしゃっていました。負担の限度額に達しなくても、一割という利用料の負担が重たくて利用を控えざるを得ないという方は本当にたくさんいらっしゃる。
 先ほども紹介しましたけれども、ケアマネジャーさんが必要な介護のプランを策定したいと思っても、経済的な理由でそうできないケースは本当にたくさんあるとおっしゃっていました。
 また、三つ目の利用者負担額軽減制度なんですが、この利用は、昨年三月分で、全都で延べ千五百九十一人に過ぎません。利用負担軽減では、まだまだ必要な介護が経済的理由で受けられないという方に届いていないのではないかと思います。請願にある利用料負担軽減の拡充は、どうしても必要だと考えます。
 次に、介護保険料について伺います。
 現在の介護保険料の滞納件数は何件でしょうか、伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護保険料の滞納件数は区市町村からの報告により把握しております。
 令和四年五月時点で、人数で把握している五自治体の合計は五千九百三十五人、件数で把握している五十七自治体の合計は、累計で八十万七千七百九十七件となっております。

○里吉委員 介護保険料が高くて困るという声はよく聞きますが、年金が年に十八万円以上の場合は年金から天引きされるので、払うと生活が苦しいということはあっても、払わないということはほぼありません。ですから、介護保険料の滞納のほとんどは年金額が年額十八万円未満という方だと思います。
 かなり低収入の方が多いのは明らかで、それでも保険料を払わないといけない苛酷な制度です。しかも、滞納していたら厳しいペナルティーがあって、必要なときに介護を受けるための利用料を払うのは極めて困難になります。介護保険料は自治体ごとで決めていますが、区市町村任せにせず、介護保険料を軽減するために都の独自支援が必要です。
 そこで改めて伺いますが、介護の社会化を掲げスタートした介護保険制度ですが、利用料が払えないために介護の利用を制限している、または必要な介護サービスを使わない都民がいる、この実態を都はどのように認識していますか、伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護保険制度は、加齢に伴う病気などにより、介護を必要とする状態になっても尊厳を保持し、できる限り自立した日常生活を送れるよう、利用者の選択に基づいて必要なサービスを総合的かつ一体的に提供する仕組みでございます。
 経済的な理由により必要な介護サービスを利用できないということがないよう、利用者の負担が軽減される仕組みが設けられており、本来一〇%の自己負担を四分の三の七・五%に軽減しております。
 都は、生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度について、対象サービス等を都独自に拡大して実施しております。具体的には、対象サービスを国制度の十五種類のサービスに加え、訪問看護など十種類の在宅サービスで拡大するとともに、事業主体についても社会福祉法人以外の株式会社などに対象を拡大して実施しております。

○里吉委員 聞いたことにぜひ答えていただきたいんですね。都民の実態を認識しているかという質問をいたしました。私も幾つか紹介しましたけれども、都ではこうした実態はつかんでいないというお答えなんでしょうか。
 介護保険計画の改定に当たって、皆さん、区市町村から聞き取りなどを行ってきたと思いますけれども、こうした深刻な実態は全く聞いていらっしゃらないでしょうか。お答えください。

○花本高齢者施策推進部長 利用料が払えないために介護サービスの利用を制限することがないよう、先ほど説明しました生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度が設けられておりまして、この制度の利用人数を東京都区市町村から報告を受けておりまして、都として実態を把握しております。

○里吉委員 その制度が不十分だから、こういう請願が出ているわけですよ。介護を必要とする状態になっても尊厳を保持し、できる限り自立した日常生活を送れるようとか、経済的な理由により、必要なサービスを利用できないということがないよう、こんな状況には全然なっていないわけです、二十三年前から、介護保険制度ができたときから。
 いろんな議論があって、多少の軽減制度はできました。でも、全然足りないわけです。だから、毎回の見直しのときにすごい議論になるわけですよね。保険あって介護なしと、この介護保険制度は生まれたときからそういう状態を抱えながら、見直しのたびに、よくしよう、よくしようと関係者の皆さん、運動してきました。
 でも、実態は、改定のたびにどんどん対象は狭くなる、利用料は高くなる、低所得の方は使いにくくなる、これが実態なんです。
 お答えいただけませんでしたけれども、心ある職員の皆さんでしたら、ご自身の周りですとか、いろんなところからお話を聞いていらっしゃると思うんですね。答弁は、もう求めませんけれども、保険料だけは年金から天引きされる、しかも、改定のたびに値上げされてきたのに、いざ必要になったら、利用料が払えないから、施設が不足しているから利用できない、こういう状況がずっと続いてきたわけです。
 もちろん制度ができて、いろんな事業所が増えました。介護の選択肢も増えました。そういう部分もあります。ですから、私自身も、こうして議員の活動ができるのは介護保険制度のおかげだと思っています。
 しかし、それは経済的な裏づけがあるから介護保険制度を使ってこういうことができている。ここでいっている経済的な理由により必要なサービスを利用できないということがないよう、この言葉が本当になっているのかといったら全然なっていないから、こういう請願が出ているわけです。このことについては、都としてもちゃんと受け止めていただきたい、重く受け止めていただきたいと思います。
 東京は特に高齢者のみ世帯も増え、老老介護ですとか認認介護ですとかいう状況があって深刻な事態が起きています。残念ながら、いまだに介護殺人という悲しい事件も起こっています。この背景にはいろいろな問題があると思いますが、少なくとも経済的な理由で必要な介護が受けられないという現状は解決していく必要があります。
 東京都として、さらなる介護保険料、利用料軽減のために独自の支援を行うべきではありませんか。都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 先ほどもご答弁いたしましたが、都は、生計困難者等に対する利用者負担額軽減制度について、対象サービスや事業主体を都独自に拡大して実施しております。

○里吉委員 正面から答えてもらえずに、本当に残念です。
 もう追加で質問はしませんけれども、今、年金が下がり続けている中で、また介護保険料も上がり続けています。物価高騰もあって生活が厳しい中で、高齢者の方が介護が必要になっても、尊厳を持って生きていくために誰もが安心して利用できる介護保険制度にすることが本当に大切です。
 経済的理由で介護保険が使えないということにならないよう、改めて、都としてさらなる介護保険料、利用料の負担軽減の独自支援を行うことを求めます。
 以上、請願の採択を求め、質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第一三号は不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、請願五第一四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○渋谷事業調整担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号5、請願五第一四号は、豊島区の新日本婦人の会東京都本部会長佐久間千絵さん外五千八百八十三人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一項として、十八歳までの子供の医療費助成について、所得制限と窓口負担を撤廃すること。
 第二項として、自治体に対する医療費助成の補助を無期限で継続すること。
 第三項として、子供の医療費助成を二十二歳まで対象とするなど、さらに拡充することというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 第一項及び第二項につきまして、都は、市町村が実施する子供の医療費助成事業に対し、子育てを支援する福祉施策の一環として、所得制限や一部自己負担など、一定の基準の下で補助しており、具体的な実施内容は、実施主体である自治体がそれぞれの地域の実情を勘案しながら定めております。
 また、高校生等医療費助成事業については、所得制限や一部自己負担を設けた上で、実施主体である区市町村との負担割合を二分の一とすることを基本的な枠組みとし、早期の事業開始を促進するため、令和五年度から七年度までの間は都の負担割合を十分の十としております。令和八年度以降の取扱いなどについては、都と区市町村との間で協議する場を設けており、各区市町村における事業実施の状況や課題等も踏まえ、検討することとしております。
 第三項につきまして、高校生の世代は、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であり、自らの健康をコントロールし、改善できるよう支援することは重要であるため、都は、高校生等医療費助成事業を令和五年度から実施しております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 本請願は、五千八百八十三人という多くの方々の署名とともに提出されています。請願は、十八歳まで対象が広がったことが喜ばれていると述べた上で、問題を指摘しています。二十三区が完全無料になったことに対し、多摩地域では所得制限や自己負担が残っている自治体があるが、どの自治体に住んでいても無料になるように自治体への支援をしてほしいということを切実に求めています。
 そこでまず、現状について伺います。
 乳幼児、義務教育就学児、十八歳までの、いわゆるマル乳、マル子、マル青と呼ばれていますけれども、それぞれの区市町村での実施状況を伺います。

○渋谷事業調整担当部長 本年四月現在、都内六十二全ての区市町村で十八歳までの子供の医療費助成を実施しております。
 乳幼児医療費助成は、所得制限を設定している自治体は一、設定していない自治体は六十一でございます。自己負担は全ての自治体で設けておりません。
 義務教育就学児医療費助成は、所得制限を設定している自治体は十二、設定していない自治体は五十、通院時一回当たり二百円の一部自己負担を設定している自治体は二十三、設定していない自治体は三十九でございます。
 高校生等医療費助成は、所得制限を設定している自治体は十六、設定していない自治体は四十六、自己負担を設定している自治体は二十五、設定していない自治体は三十七でございます。

○原委員 それでは、二十三区、それから二十六市、そして町村それぞれの実施状況はいかがでしょうか。

○渋谷事業調整担当部長 乳幼児医療費助成は、二十三区及び二十六市は全て所得制限なし、町村部は十三町村中、所得制限ありが一村、所得制限なしが十二町村でございます。
 義務教育就学児医療費助成は、二十三区は全て所得制限なし、自己負担なし。市部は二十六市中、所得制限ありが十一市、所得制限なしが十五市、自己負担ありが二十市、自己負担なしが六市。町村部は十三町村中、所得制限ありが一村、所得制限なしが十二町村、自己負担ありが三町村、自己負担なしが十町村でございます。
 高校生等医療費助成は、二十三区は全て所得制限なし、自己負担なし。市部は二十六市中、所得制限ありが十五市、所得制限なしが十一市、自己負担ありが二十二市、自己負担なしが四市。町村部は、十三町村中、所得制限ありが一村、所得制限なしが十二町村、自己負担ありが三町村、自己負担なしが十町村でございます。

○原委員 詳しく答弁していただきましたけれども、やはり二十三区と二十六市の間で格差があるということは歴然としているわけです。
 先ほどの説明では、所得制限や一部自己負担について、それをどうするのかは地域の実情を勘案して区市町村が判断しているとの説明でした。地域の実情とは何なのか伺います。

○渋谷事業調整担当部長 子供の医療費助成の実施主体は区市町村でありまして、それぞれの議会において様々な審議を経て実施しているものと認識しております。

○原委員 地域の実情というのは多くが財政問題ではないでしょうか。
 財政的に厳しいので、やりたくてもやれないと自治体が判断することも、それも地域の実情というのでしょうか。お答えください。

○渋谷事業調整担当部長 繰り返しになりますが、子供の医療費助成については、それぞれの自治体が地域の実情を勘案しながら実施しているものでございます。

○原委員 だから、その地域の実情というのは多くが財政問題ではないですかと。財政が厳しいから、やりたくてもやれないと自治体が判断することも、それは地域の実情だということで済ませていいのですかということを私は聞いているんです。
 それで、自治体の財政力というのは、住民にとって医療費助成が必要かということとは違う問題なんですよね。そういうことで格差が生じてしまっている現状は、改善する必要があるというふうに思うんです。
 東京都は、〇一八サポートでは全ての子供を対象にしました。これは大事な判断だと思っています。
 しかし、一方で、なぜ子供の医療費には所得制限を設けたままにしているのでしょうか。

○渋谷事業調整担当部長 〇一八サポートは、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に都が直接給付するものでございます。
 一方、都の子供の医療費助成に関する事業は、保護者に対して子供の医療費を助成するものであり、子育てを支援する福祉施策であることから、所得制限を設けてございます。

○原委員 〇一八サポートは子供を支えるものだから所得制限がない、子供の医療費助成は保護者の子育て支援だから所得制限があるという説明だったのかと思いますが、それは説得力がないというふうに思います。医療を受けるのは子供自身です。これを子供への支援だと考えるのは当たり前のことではないでしょうか。
 知事は、〇一八サポートの所得制限を設けない理由について、子供は生まれ育つ家庭にかかわらず、ひとしく教育の機会、育ちの支援を受けるべきだと述べています。これは本当にそのとおりだと私は思います。そして、十八歳までの医療費助成にも、そのままこれは当てはまると思います。やはり全ての子供をひとしく支援するという立場で所得制限はなくすべきだというふうに思います。さらに、医療費というのは命に直結する問題です。僅かの差で所得制限にかかってしまって苦労している現状があることを見過ごすことはできません。
 子供の医療費が十八歳までに広がったので対象になると思ったら、僅かの差で所得制限にかかり、受けられずにがっかりしたと話してくれたお母さんがいます。特別支援学校に通う子供さんがいますが、障害者医療費助成も所得制限で受けられません。医療費は三割負担のため、年間五万五千円以上、医療費がかかったといっていました。そのほかにも放課後等デイサービスなどの利用負担も重く、日数を減らさざるを得ない状況だと話しています。また、上に大学生の兄弟もいて、家計は本当に大変だという状況だそうです。だけれども、お母さんは、障害のあるお子さんのサポートのために仕事を辞めざるを得なくなっています。こういう状況があるということを本当にしっかり受け止めていただきたいというふうに思います。
 また、知事と区市町村の意見交換においても、二十六市の市長から、今回、改善の声がかなり出されていました。ちょっと質問に当たって幾つか紹介したいと思います。
 立川市長は、立川市では、今年十月より独自に所得制限なく無償化を実施することとしたが、財政的には大きな負担を抱えることになるということを述べて、都が積極的にこの格差の是正をしていただきたい、子供の医療費助成制度の所得制限及び自己負担の撤廃について、ぜひともご検討をお願いいたしますと求めています。
 また、稲城市長は、要望を子供の医療費助成、一点に絞って話をされていました。それだけ重視をしているということだと思います。特別区と多摩地区の格差の象徴みたいな形でいわれてしまってきていると述べ、子供の医療費助成全体の所得制限の撤廃を求めています。
 また、狛江市長は、同じ東京都民でありながら医療費の助成を受けることに地域格差が生じていると述べて、都の子供の医療費助成全体について所得制限撤廃を求めています。
 また、清瀬市長も、所得制限や一部自己負担について、結果として、同じ都内でありながら居住地によって助成内容が異なるという地域格差を助長するようなことになっていると述べて、検討をお願いしたいと述べていました。
 さらに、日野市長は、医療費助成などについて、自治体の財政状況によって対応に大きく違いが出ていると述べ、所得制限や一部負担金の撤廃などを求めています。
 こうした声をどのように受け止めていますか。多摩格差の解消を広域自治体として検討すべきではないでしょうか。

○渋谷事業調整担当部長 都は、子供の医療費助成事業について、子育てを支援する福祉施策の一環として、所得制限など一定の基準を設けた上で実施しており、具体的な実施内容は、実施主体である区市町村がそれぞれの地域の実情を勘案して定めるものと認識しております。
 区市町村からは、令和六年度の予算要望などにおいて、高校生等医療費助成事業に対し、所得制限や一部自己負担を撤廃すること、令和八年度以降も都が財源を負担することなどの要望を受けております。
 なお、高校生等医療費助成事業に関する令和八年度以降の財源や所得制限の取扱い等については、区市町村との間で昨年度設置しました協議の場で検討していくこととしております。

○原委員 今また、地域の実情という言葉が出てきましたけれども、今紹介した市長さんのそれぞれの言葉の中に、まさに地域の実情ということでは片づけられない財政の格差が、こういう形で子供たちが受けられるサービスに差が出るという状況になっているわけです。本当にこれは重く受け止めていく必要があると思います。
 多摩地域では、十八歳までのマル青の部分だけではないんですね、課題は。先ほど紹介した市長の話でも、義務教育就学児についても、まだ完全無料になっていない、その実情を訴えているわけです。
 今ご答弁にもありましたけれども、二〇二六年度以降の都の負担割合等については、区市町村との協議を行っているということです。この協議はどこまで進んでいるのか、検討状況を伺います。

○渋谷事業調整担当部長 高校生等医療費助成事業は、所得制限や一部自己負担を設けた上で、都と区市町村の負担割合を二分の一とすることを基本的な枠組みとしており、早期の事業開始を促進するため、令和五年度から三年間、都の負担割合を十分の十といたしております。
 高校生等医療費助成事業に関する令和八年度以降の財源や所得制限の取扱い等については、区市町村との間で昨年度設置した協議の場で検討していくこととしております。

○原委員 この協議の場は、二十三区と、それから市町村とそれぞれで持たれているわけですけれども、二十六市は先ほどいったように、十八歳までの医療費助成、このマル青の部分ですね、そこだけではなくて、義務教育就学児医療費助成においても全てが無料になっていない、できないという大きな課題があるわけです。そうした状況の中での切実な意見も、きちんとこの協議の場で議論されるように強く求めておきたいと思います。
 また、併せて要望したいのが、高校生等医療費助成事業という呼び名についてなんです。高校在学中か否かは、これは問わないということになっています。十八歳までで高校に行っていない人たちも対象なわけです。ですけれども、高校生等としていることで傷つく子供たちもいるのではないかと私はとても気になっています。
 高校生に、など、等とつければよいというものではないのではないかと思います。略称もマル青としているのですから、例えば青年医療費助成とか、何か考えられるのではないかというふうに思います。
 やっぱり全ての子供をちゃんと対象にしているという、そういう事業名にすべきではないかということをここでは提案をし、検討を要望しておきたいというふうに思います。
 最後に、請願でも求められている二十二歳までの医療費助成についてですけれども、何らかの形で実施している自治体を把握していますか。

○渋谷事業調整担当部長 国が実施しました調査では、全国千七百四十一の市区町村のうち、二十二歳になる年度末まで通院に係る医療費を助成する自治体は、本年四月現在で三自治体でございます。

○原委員 大学や専門学校、予備校など、経済的負担は非常に大変です。
 例えば京丹後市では、市民税非課税世帯の十九歳から二十二歳までの学生を対象に助成を行っていましたが、今年七月から来年三月の診療分を対象に、住民税課税世帯も対象にして医療費支援を行うとしています。その理由に、電気、ガス、食料品等の価格高騰が続いているということを挙げ、緊急に対策を取りました。
 また、答弁にあった三自治体以外に、入院について二十四歳まで助成をしている自治体が四か所あります。都としても検討するべきではないでしょうか。
 また、そもそも若い世代の検診、健康診断については、実施自治体が多いとはいえません。そのため、いつでも病院にちゅうちょなくかかれるようにすることは大事です。実際にお金がかかると思うと、歯科や眼科、婦人科などにかかりたくてもかかれないという声もあります。その後の人生にも関わる重要な問題でもあります。
 そして、この請願でも指摘していますけれども、若い世代のコロナ後遺症など、治療に時間を要する新たな課題も生まれています。
 本請願は、ぜひ採択をして、子供の医療費助成の一層の拡充をすべきとの意見を述べて、質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第一四号は不採択と決定いたしました。

○あかねがくぼ委員長 次に、陳情五第四七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号10、陳情五第四七号は、八王子市の鈴木富江さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一項として、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく基本計画は、女性の人権を守ることが基本となるものにすること。
 第二項として、基本計画をつくるに当たり、支援対象となる当事者にヒアリングを行うこと。
 第三項として、第一項及び第二項を踏まえ、都や都内自治体の公的支援を充実することという内容でございます。
 現在の状況でございますが、第一項につきましては、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律には、基本理念の一つとして、人権の擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすることが明記されております。
 都は、法に基づき、困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画を策定することとしています。
 第二項につきましては、都は、基本計画の策定に向け、女性相談センターで一時保護した方や婦人保護施設に入所している方、婦人保護施設を退所した方を対象にヒアリングやアンケート調査を実施しています。
 第三項につきましては、都は、基本計画の策定に向け、区市町村や婦人保護施設等の意見を聞きながら、女性への支援について検討しています。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 本陳情は、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく基本計画については、女性の人権が守られるものにすること、そのためにも、支援対象となる当事者のヒアリングを行うこと、そして、都や都内自治体の公的支援を充実することを求めています。
 まず、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律制定の意義、目的、都としての役割をどのように認識しているか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律では、困難な問題を抱える女性への支援のための施策を推進し、もって人権が尊重され、及び女性が安心して、かつ自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とするとされております。
 また、国及び地方公共団体は、法の基本理念にのっとり、困難な問題を抱える女性への支援のために必要な施策を講ずることとされております。

○原委員 今答弁にあった法の基本理念ですけれども、この法の基本理念には非常に大事なことが書いてあります。
 一つ目は、女性の抱える問題が多様化するとともに複合化し、そのために複雑化していることを踏まえ、困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重されながら、抱えている問題及びその背景、心身の状況等に応じた最適な支援を受けられるようにすることにより、その福祉が増進されるよう、その発見、相談、心身の健康の回復のための援助、自立して生活するための援助等の多様な支援を包括的に提供する体制を整備することとあります。
 二つ目は、困難な問題を抱える女性への支援が、関係機関及び民間の団体の協働により、早期から切れ目なく実施されるようにすること。
 三つ目は、人権の擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすること。
 これまでの売春防止法での要保護女子の保護更生から法律上の位置づけは全く変わることになります。この新しい理念に基づいて政策をアップデートし、充実をしていくということが重要です。
 そして、これまで支援が届いていなかった方が対象にならなければ、新法をつくった意味がなくなってしまうと思います。
 そこで伺います。実効性のある基本計画にするためには、何より支援対象者や婦人保護施設――法律施行後の女性自立支援施設ですが――など現場の声を把握することが大切です。
 現在、ヒアリングを行っているとのことですけれども、女性相談センターで一時保護した方、婦人保護施設を退所した方、婦人保護施設、民間団体、区市町村など、それぞれどのぐらいのヒアリングを実施しているのか、その内容についてはいつ議論されるのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は現在、女性相談センターが一時保護した方、婦人保護施設に入所している方や婦人保護施設を退所した方、婦人保護施設、民間団体、区市町村などを対象にアンケート調査やヒアリングを実施しております。
 今後、その結果を取りまとめ、検討委員会で報告することとしております。

○原委員 検討委員会で示されているスケジュールによれば、次の委員会、予定では十二月の第四回検討委員会ということになるのだと思います。
 共産党都議団としては十二月一日にこの計画についての申入れを行いましたが、この中でも、ヒアリングについては区市の婦人相談員に相談した方なども対象にしてほしいと求めました。ぜひ検討することをこの場では求めておきたいと思います。
 検討委員会で確認された各団体に対するヒアリングシートがありますけれども、このヒアリングシートでは、支援内容として、LGBTQや外国人、身体障害者など、支援から取りこぼされやすい方々への支援実績があれば、内容や課題をお答えくださいという項目が入っています。重要な視点だと思います。
 都としても、支援から取りこぼされやすい方を取りこぼさないようにするということを基本計画に位置づけることが大事だと認識していますか、伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 法では、困難な問題を抱える女性を、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により、日常生活または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性と規定しております。
 都は、法に基づく基本計画の策定に向け、民間団体等から意見を聞きながら、様々な事情により困難な問題を抱える女性への支援について検討しております。

○原委員 若年女性、セクシュアルマイノリティー、障害のある方、外国人など、新法による計画の中できちんと対象にしていくことが求められていると思います。
 性自認女性で戸籍上は男性の方で、家庭内の暴力、虐待から逃れてきた方が、PTSDも抱えながら安心して過ごせる場がないという問題が現に起きています。婦人相談員の相談支援指針にも、トランスジェンダーの人は、親からの暴力や虐待、養育拒否などで親との関係が悪い場合、学校でもいじめを受けて不登校になったり、職場でも人間関係がうまくいかず社会的孤立を深める場合がある、また、自殺念慮を有し、リストカットなどの自傷行為に及ぶ場合も多い、また、保護された宿泊所などの施設でいじめや性被害に遭い、病院でも戸籍上の性別で扱われるため違和感が強くてなじめず、公的支援や医療機関に不信感を抱いている人もいると、婦人相談員の支援指針の中にも詳しく書かれています。こうしたことを配慮しながら相談を進めていくということが位置づけられているわけです。
 このような困難に直面している方々の行き場がないということはあってはならないことです。重い人権の課題として取り組むことを求めておきたいと思います。
 支援が必要な方を誰一人取り残さない取組を進めていくためには、幾つか課題が出てきます。一つは、施設の問題です。
 現在、婦人保護施設は相部屋が多いですけれども、個室化を進め、環境を改善する必要があります。都としての見解を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 令和六年四月に施行されます女性自立支援施設、これは現在の婦人保護施設のことでございまして、法の施行に合わせ、名称変更されるものでございますけれども、この女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準では、施設における居室の定員は原則一人とされており、経過措置として、既存の施設は、改築までは原則四人以下という従前の基準によることができるとされております。
 都は現在、基本計画の策定に向け、婦人保護施設等から意見を聞きながら、施設における支援の在り方や体制などについて検討しております。

○原委員 昨年の知事の予算ヒアリングでは、東社協の婦人保護部会、今の女性支援部会ですけれども、その方々が具体的な要望を一点に絞って話されていました。それが、個室を基本とする施設設備及び運営費の充実です。
 新しい法律では、利用者の個の尊厳を大事にした支援を推進しており、個室化は必須だとされています。施設などの意見をよく聞いて進めていくことを改めて求めます。
 計画の検討委員会の資料によると、婦人保護施設の入所者数は減少傾向だったが、近年は横ばいの状況とのことです。
 しかし、今後、新しい法律を踏まえて支援を充実していくことによって、入所者数が増えていくことも考えられるのではないかと思いますが、いかがですか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、様々な困難を抱える女性の自立に向け、婦人保護施設における支援が必要な方が円滑に入所できるよう、今後とも適切に対応してまいります。

○原委員 利用者の減少傾向は国の方針にも書かれています。そこで大事なのは、利用者が減っていることがニーズがないことを意味しているわけではないということだと思います。
 全ては読み上げませんけれども、国の方針では、減少の背景として、女性自身がそもそもこれらの支援策の存在を知らないこと、支援を必要としていながら女性相談支援センター等における支援対象として十分に発見されていない女性が一定数存在すること、一時保護所への入所のハードルが高いことなどが挙げられていて、課題となっている点を検証し、支援を必要とする者に確実に支援が届く体制をつくることが重要であると書かれています。
 東京都でも、日本共産党の米倉都議が二〇二〇年の第一回定例会で、婦人保護施設の利用率が低い理由の一つとして、利用するには、原則、一時保護所に入所しなければならず、その間スマホも使えず、仕事や学校などの外出もできないということを指摘しました。そして、施設への直接入所について提案をしました。その後、直接入所がモデル実施として始まっていまして、本格施行していくことが求められていると思っています。
 ほかにも、充実、見直しを進め、支援の必要な人が漏れなく入所できるようにしていけば、入所者、利用者が増えることは十分考えられます。
 今は定員に対して利用者は少ない状況ですが、個室化などの環境改善や、必要な方が女性自立支援施設を利用できるための取組を進める中で、施設の定員が足りなくなりそうになれば、新たに増やすことも検討していかなければならないと思います。適切に対応していくということですので、この場では強く求めておきたいと思います。
 そして、加害者追跡遮断が必要なDV被害者支援等、中長期の困難な課題を抱えている女性等の支援が同じ場所で行われるということについても対応が必要だというふうに思っています。
 課題を整理して、それぞれに対応できる施設を別々に確保することを検討するなど、支援の在り方を検討する必要があると思いますが、いかがですか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 婦人保護施設は、様々な困難を抱える女性の自立に向け、中長期的な支援を行うとともに、加害者からの追跡があるDV被害者の一時保護委託先ともなってございます。
 都は現在、基本計画の策定に向け、婦人保護施設等から意見を聞きながら、施設における支援の在り方や体制などについて検討しております。

○原委員 ぜひ十分検討していただきたいというふうに思っています。
 今は、婦人保護施設は全て住所が秘匿となっていますけれども、これはDV防止法をつくったときに、そのための社会資源を行政がきちんと増やさない一方で、既存の婦人保護事業を活用するということにしたためです。そして、そのために地域に開かれた活動ができなくなるなど、支援を行う上で困難が生じました。
 地域に開かれた生活ができるということは重要なことで、それが可能な方はできるように検討を進めることが必要だと思います。求めておきます。
 また、検討委員会の議事要旨を読みますと、婦人保護施設退所者にヒアリングを行っていて、その中で、その退所者の方が、入所している間に若い入所者が増えた、若い人に向けたサポートがあるといいのではないかと感想を述べられていました。こうした一つ一つの声を大事にして、それぞれの状況に応じた対応を充実させていくことが求められていると思います。
 困難を抱える方たちに寄り添った支援を行う上で大事なのは、もう一つ大きい問題として、関係機関との連携だというふうに思います。総務委員会に提出をされた資料によると、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の相談件数は、昨年度五千六百四十三件ですが、今年度は九月末までで、もう既に五千百八十九件と大幅に増えています。ワンストップ支援事業は、困難を抱える女性を支える大事な連携機関ですけれども、この相談件数からすると、現状では一か所では足りないのではないでしょうか。
 基本計画策定に当たっては、ワンストップ支援事業の強化についても検討されるべきではないかと思いますが、いかがですか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 国が示した困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針では、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター等の支援機関とも早期に連携し、心的外傷の被害回復支援に取り組みながら、日常生活の回復の支援等につなげていくことが重要とされております。
 都は、これも踏まえ、基本計画の策定に向け、困難な問題を抱える女性への支援について検討しております。

○原委員 ワンストップ支援事業の相談の電話もフリーダイヤルになり、相談のハードルが低くなりました。また、緊急の相談だけでなく対応されることや、女性に限らないことなども少しずつ浸透してきているというふうに思います。そのため、過去の被害の相談などや、また、不安を抱えて何度も連絡するケースも増えていると聞いています。被害からの回復を図るための支援を充実することはとても重要です。
 東社協の女性支援部会が提案し続けている性暴力被害回復支援センターなどの設置が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 国が示した基本的な方針では、性暴力や性的虐待、性的搾取等の性的な被害により、尊厳を著しく傷つけられた女性には、これらの搾取等の構造から離れ、安心できる安定的な生活を確立し、心身の健康の回復を時間をかけて図っていくことが必要とされております。
 都は、これも踏まえ、基本計画の策定に向け、困難な問題を抱える女性への支援について検討しております。

○原委員 先ほどいったように、今、ワンストップの相談が物すごく増えているということで、ワンストップ支援事業が広く認知をされてきているということはとてもいいことで、その分、相談件数が増えている中で、中長期にわたって、本当にこの性被害からの回復をきちんと進めていくという、安心してそうした支援を受けられるという体制をつくっていくことは、やっぱり必要なのではないかと強く思っています。ぜひ検討されることを期待したいと思います。
 最後になりますが、いわゆる同伴児童への支援についてです。
 このことについて、今検討がされているということは大変重要だと受け止めています。検討を進めるに当たっては、子どもの権利条約やこども基本条例を踏まえ、子供自身を権利の主体として尊重することが重要だと考えますが、いかがですか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 国が示した基本的な方針では、同伴児童への支援は、一人の児童として尊重されるようにすることが求められるとされております。
 なお、東京都こども基本条例では、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供を権利の主体として尊重することを基本理念として掲げております。

○原委員 大変大事な視点だというふうに思います。
 国の方針でも、同伴児童等への支援という見出しで取り組むべきことが書かれていますが、当然のことですけれども、子供は大人に附属しているということではなく、子供自身が権利の主体です。その立場で権利を保障する取組を行っていくことを求めます。
 今日、議論し切れなかったこともたくさんありますけれども、陳情でも述べているように、これまでの施策を見直し、アップデートする計画になるよう期待し、陳情は採択をすべきと呼びかけて、質問を終わります。

○上田委員 困難な問題を抱える女性の支援についてでございます。
 東京都困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画検討委員会は三回ほど開催されておりました。願意の中にあるヒアリングも行っているようです。ほかの委員の指摘もありましたけれども、資料によりますと、二十代未満は親の暴力、それ以降は配偶者の暴力と、女性が本当に暴力にさらされ続けていることが読み取れます。
 若年被害女性等支援事業もありますが、旧来から実施している婦人保護施設などは充足しているのでしょうか。入所数は減少傾向だったようですが、近年、低年齢化して横ばいということです。
 従前は、狭かったり相部屋など通用したかもしれませんが、令和の時代はプライバシーの確保など、また、老朽化など施設整備の難点も感じております。江戸川区の母子施設も利用者は減少傾向でありました。
 どのように分析して対応策など検討しているのでしょうか。また、若年被害女性等支援事業との連動も気になるところです。計画においては、区市町村との連携も不可欠と思いますが、所見を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、様々な困難を抱える女性の自立に向け、婦人保護施設における支援が必要な場合、適切に入所措置を行っており、入所した方の中には、若年被害女性等支援事業の支援からつながった方もいらっしゃいます。
 現在、基本計画の策定に向け、区市町村や民間団体、婦人保護施設等から意見を聞きながら、施設における支援の在り方や体制などについて検討しております。

○上田委員 私もこの計画検討委員会、かなり資料も充実していて、委員の方々もかなり最適といいますか、適正な方々が配置されております。もうしばらく、この検討委員会の方の様子を見たいと思います。
 願意は十分理解するところではございますけれども、ちょっと私の方は不採択となりますけれども、引き続き、こうした女性の支援については、都が取り組んでいただきたいというふうに思っております。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○あかねがくぼ委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第四七号は不採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時五十分散会

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