厚生委員会速記録第十四号

令和五年十一月十六日(木曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長磯山  亮君
副委員長斉藤やすひろ君
理事関口健太郎君
理事原 のり子君
理事内山 真吾君
北口つよし君
上田 令子君
浜中のりかた君
山加 朱美君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君
伊藤 大輔君
鈴木  烈君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長佐藤 智秀君
次長小林 忠雄君
理事浅野 直樹君
総務部長関口 尚志君
企画部長DX推進担当部長兼務山本 謙治君
指導監査部長坂本 尚史君
生活福祉部長中川 一典君
子供・子育て支援部長西尾 寿一君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
障害者施策推進部長鈴木 和典君
政策推進担当部長森田 能城君
事業調整担当部長渋谷 恵美君
子供・子育て施策推進担当部長新倉 吉和君
高齢者施策推進担当部長梶野 京子君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
障害者医療調整担当部長新田 裕人君

本日の会議に付した事件
福祉局関係
事務事業について(質疑)

○あかねがくぼ委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより福祉局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○関口総務部長 十月十九日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 おめくりいただいたところに目次を記載してございますが、全部で五十五項目となってございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、特別養護老人ホームへの入所申込者数の推移といたしまして、厚生労働省が全国調査を行った平成二十八年度、令和元年度及び令和四年度における入所申込者数を区市町村ごとに記載してございます。
 四ページをお開き願います。2、認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、令和元年十月一日現在から令和五年四月一日現在までの六つの時点の人数について、区市町村ごとに記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。3、認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 一一ページをご覧ください。4、認可保育所における設置主体別、職員の平均経験年数別施設数といたしまして、令和四年度の施設数を記載してございます。
 一二ページをお開き願います。5、重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、(1)に、令和二年度から令和五年度までの都立施設における看護師の定数及び現員を、(2)に、令和二年度から令和五年度第一・四半期までの短期入所の運用状況を、(3)に、令和元年度から令和四年度までの重症心身障害児(者)入所待機の状況を記載してございます。
 一三ページをご覧ください。6、社会福祉施設等の耐震化状況といたしまして、社会福祉施設等の調査回答数及びそのうち耐震済みの棟数を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。7、保育所等利用待機児童数調査における申込児童数及び認可保育所等利用児童数の推移といたしまして、平成三十一年から令和五年まで、それぞれ四月一日現在の児童数を区市町村ごとに記載してございます。
 一九ページをお開き願います。8、福祉局所管の政策連携団体及び地方独立行政法人における障害者雇用人数及び雇用率の推移といたしまして、各団体ごとに令和二年から令和四年まで記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。9、介護保険料の滞納件数及び収納率の推移といたしまして、区市町村ごとに平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 二二ページをお開き願います。10、介護保険料の滞納に対する新規の差押件数及び差押物件の内訳の推移といたしまして、(1)に、区市町村ごとの新規差押件数を、(2)に、特別区、市町村別の新規差押物件の内訳を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 二五ページをご覧ください。11、都型放課後等デイサービス事業所数の推移といたしまして、令和四年四月から令和五年九月まで月別に記載してございます。
 二六ページをお開き願います。12、高齢社会対策区市町村包括補助事業を活用した高齢者への補聴器の支給又は購入費助成の実施状況といたしまして、(1)に、区市町村における令和四年度の事業内容を、(2)に、過去五年間の支給等対象者及び補助対象経費の推移を区市町村ごとに記載してございます。
 二八ページをお開き願います。13、乳児院退所後の措置先の推移といたしまして、記載の区分別に平成三十年度から令和四年度分まで記載してございます。
 二九ページをご覧ください。14、里親委託等、乳児院及び児童養護施設の児童数と割合の推移といたしまして、記載の区分別に令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 三〇ページをお開き願います。15、児童養護施設退所者等の進路等把握状況といたしまして、(1)の児童養護施設、(2)の里親等について、記載の区分別の人数及び割合を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 三一ページをご覧ください。16、都内の児童養護施設退所者に対するアフターケア施設の活動状況及び補助額の推移といたしまして、実施箇所数、相談実績、サロン参加者数及び決算額を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 三二ページをお開き願います。17、妊娠相談ほっとラインの相談実績の推移といたしまして、全相談件数及びその対応内容の内訳を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。なお、令和五年度につきましては、八月までの五か月分の件数となっております。
 三三ページをご覧ください。18、新生児等の新規措置先の推移といたしまして、措置時の年齢別、措置先別の人数を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 三四ページをお開き願います。19、児童相談所が里親に委託した児童に係る特別養子縁組の成立件数の推移といたしまして、平成二十五年度から令和四年度まで記載してございます。
 三五ページをご覧ください。20、児童養護施設等措置変更数の推移といたしまして、記載の区分別の人数を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 三六ページをお開き願います。21、養育家庭委託の解除理由別内訳の推移といたしまして、解除理由別に令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 三七ページをご覧ください。22、児童相談所一時保護所の入所定員及び入所期間、事故件数、職員の研修状況並びに心理専門職の配置状況といたしまして、(1)に、令和四年度の入所定員、新規入所児童数及び入所期間等を、(2)に、令和二年度から令和四年度までの事故件数を、(3)に、児童相談所職員の研修状況を、(4)に、令和五年度の心理専門職の配置状況を記載してございます。
 四〇ページをお開き願います。23、都所管の児童養護施設への指導検査における文書指摘数の推移といたしまして、文書指摘の内訳別の件数を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 四一ページをご覧ください。24、重症心身障害児(者)施設の待機者数の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 四二ページをお開き願います。25、都外の障害児入所施設の入所者数の推移といたしまして、平成三十一年から令和五年まで記載してございます。
 四三ページをご覧ください。26、社会福祉法人が運営する都内の高齢者施設及び障害者施設において入院・死亡に至った事故件数等といたしまして、(1)の高齢者施設は、アに、入院、死亡に至った事故件数、イに、新型コロナウイルス感染症の陽性者数について、(2)の障害者施設につきましても、アに、入院、死亡に至った事故件数、イに、新型コロナウイルス感染症の入院、死亡者数について、それぞれ令和四年度のものを記載してございます。
 四五ページをお開き願います。27、障害者グループホームの定員の推移といたしまして、区市町村ごとに平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 四七ページをお開き願います。28、重症心身障害児(者)施設の入所定員及び待機者数並びに通所定員の推移といたしまして、令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 四八ページをお開き願います。29、有料老人ホームにおける事故件数・実地検査実施状況といたしまして、(1)に、内容別の事故件数を、(2)に、実地検査実施状況を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 四九ページをご覧ください。30、自立支援医療費(精神通院医療)受給者証所持者数及び死亡・病状改善を理由とする受給者証返還数の推移といたしまして、(1)に、自立支援医療費(精神通院医療)の受給者証所持者数を、(2)に、死亡・病状改善を理由とする受給者証返還数を平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 五〇ページをお開き願います。31、自立支援医療費(精神通院医療)の公費負担額の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 五一ページをご覧ください。32、都が所管する社会福祉法人への指導検査における文書指摘数の推移といたしまして、総数及び指摘内容別の内訳を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 五二ページをお開き願います。33、精神科医療機関における虐待が疑われる事案の件数及び内訳の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 五三ページをご覧ください。34、旧福祉保健局における障害者の採用、配置、業務、勤務評価に係る合理的配慮の取組状況といたしまして、記載の区分別に取組状況を記載してございます。
 五四ページをお開き願います。35、旧福祉保健局における障害者就労施設等からの優先調達の契約件数及び金額の推移といたしまして、記載の契約区分別に平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 五五ページをご覧願います。36、区市町村別年齢別待機児童数の推移といたしまして、平成三十一年から令和五年まで、それぞれ四月一日現在の年齢別の申込児童数、待機児童数及びその割合を区市町村ごとに記載してございます。
 六〇ページをお開き願います。37、家庭的保育事業の区市町村別実施状況、家庭的保育者数、保育児童数及び保護者負担額といたしまして、家庭的保育事業における国制度及び都制度の実施状況、令和三年度から令和五年度までの認定家庭的保育者数及び保育児童数、都制度における保育料額につきまして、区市町村ごとに記載してございます。
 六一ページをご覧ください。38、区市町村による認証保育所等利用者負担軽減制度の実施状況といたしまして、令和四年四月一日現在の事業名、内容、対象者及び月額の補助額を区市町村ごとに記載してございます。
 六六ページをお開き願います。39、とうきょう保育ほうれんそうの受付実績の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 六七ページをご覧ください。40、旧福祉保健局が所管する事業のうち事業者に対して行った不利益処分件数の推移といたしまして、記載の区分別の件数を平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 六八ページをお開き願います。41、旧福祉保健局への公益通報の事由別件数の推移といたしまして、受理件数及びその事由を平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 六九ページをご覧ください。42、旧福祉保健局の職員の自殺、病気休暇及び病気休職、定年を待たない退職、公務災害件数の推移といたしまして、(1)に、平成三十年度から令和四年度までの自殺者数を、(2)に、平成三十年から令和四年までの病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数を、(3)及び(4)に、平成三十年度から令和四年度までの定年退職を除く退職者数及び公務災害の認定件数を記載してございます。
 七三ページをお開き願います。43、ベビーシッター利用支援事業における指導・監督の状況等といたしまして、令和二年五月一日から令和五年九月六日までの対応状況を記載してございます。
 七四ページをお開き願います。44、赤ちゃんポスト開設構想に係る医療法人社団モルゲンロートへの対応状況といたしまして、令和四年十一月二十二日から令和五年五月二十九日までの対応状況を記載してございます。
 七五ページをご覧ください。45、東京おこめクーポン事業の実績及び申込率といたしまして、記載の区分別の実績及び申込率を記載してございます。
 七六ページをお開き願います。46、株式会社グローバルキッズが設置する認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設への指導検査件数、文書指摘施設数等の推移といたしまして、記載の区分別の件数を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 七七ページをご覧ください。47、株式会社コスモズが設置する認可保育所及び認可外保育施設への指導検査件数、文書指摘施設数等の推移といたしまして、記載の区分別の件数を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 七八ページをお開き願います。48、株式会社コスモズが運営する認可保育所に係る整備費補助金の区市への返還状況といたしまして、各施設への補助額及び令和五年四月から同年十月までの各施設から区市への返還額を記載してございます。
 七九ページをご覧ください。49、滝山病院の令和五年二月十五日以降の死亡者数及び死因、入院、退院と地域移行の状況といたしまして、(1)に、十月三十一日現在の区分別の人数を、(2)に、死因について記載してございます。
 八〇ページをお開き願います。50、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び生活保護法に基づき、都が行った指定医療機関数並びに取消件数及び理由といたしまして、(1)に、指定医療機関件数を、(2)に、指定医療機関の取消し件数及び理由を、記載の区分別に令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 八一ページをご覧ください。51、精神医療審査会の審査件数の推移といたしまして、(1)に、入院届等書類、(2)に、退院請求、(3)に、処遇改善請求のそれぞれの審査件数を、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 八二ページをお開き願います。八二ページ及び八三ページの52、53につきましては、滝山病院と成仁病院における、それぞれの任意入院以外の入院形態による在院者数、身体拘束、隔離、死亡退院の件数の推移を記載の区分別に、国の精神保健福祉資料調査による平成三十年から令和四年までの各年六月三十日現在の人数及び件数を記載してございます。
 八四ページをお開き願います。54、生活保護法に基づく指定医療機関数の推移といたしまして、平成二十七年度から令和四年度までの各年度末の指定医療機関数を記載してございます。
 八五ページをご覧ください。55、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定医療機関数の推移といたしまして、平成二十五年度から令和四年度までの各年度末の指定医療機関数を、(1)の精神通院医療、(2)の更生医療、(3)の育成医療の種類ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○磯山委員 国が、賃金構造基本統計調査を基に作成した職種別平均賃金によると、十年前の平成二十五年と令和三年の月収を比較したところ、全産業では五千円のアップにとどまっていますが、保育士は五万円アップとなっており、保育士の処遇改善は、ここ数年着実に上がってきております。
 しかしながら、それでもまだ全産業においては三十五・五万円、保育士は三十・九万円、月収にはいまだに大きな差があります。
 都は、平成二十七年度から独自に保育士の処遇改善を図るため、保育士等のキャリアアップ補助を実施しております。キャリアアップ補助については、事業者の方々からも、お一人一人の処遇改善と雇用の安定にもつながっていると伺っており、人材確保策として非常に重要な事業であります。
 そこで、キャリアアップ補助金はどの程度の処遇改善の効果を見込んでおり、年間どの程度の人数を対象に実施しているのかについて伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、保育士が専門性を高めながら、将来を見通しやりがいを持って働くことができるよう、キャリアパスの仕組みを導入する事業者を対象に、保育士の処遇改善の取組への支援を実施しております。この取組によりまして、保育士一人当たり月額四万円程度が賃金改善に充てられております。
 賃金改善の実績について、保育所からは月ごとに集計した合計の人数の報告を受けており、令和三年度は、常勤職員、非常勤職員を含め、年間で延べ百十二万人、月平均にすると約九万三千人の賃金改善を実施しているところでございます。

○磯山委員 一人当たり約四万円の処遇改善の効果を見込んでいるとのことでありますが、一方で、この処遇改善が確実に保育士の賃金に反映されるようにすることが極めて重要であります。
 国の公定価格評価検討委員会においても、処遇改善を行うに当たっては、国民の保険料や税金が効率的に使用され、一部の職種や事業者だけでなく、現場で働く方々に広く行き渡るようになっているかどうか、費用の使途の見える化を通じた透明性の向上が必要という議論も出ております。
 そこで、この補助金を交付するに当たり、都としてどのように透明性の確保を図り、その確認を行っているのか、対応について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本事業では、事業者に対し、職責や職務内容等に応じた賃金体系などの提出や、賃金改善の実績などの提出を求めております。
 また、施設運営の透明性を確保するため、保育所における財務情報等の公表などを補助の条件としておりまして、施設ごとの情報をとうきょう福祉ナビゲーションにおいて公表しているところでございます。

○磯山委員 保育士のさらなる処遇改善を、ぜひ今後も公正かつ効率的な支援によって、引き続き取り組んでいただくよう要望をし、次の質問に移ります。
 次に、保育士宿舎借り上げ補助について伺います。
 この事業は、月額八万二千円の家賃補助を実施しており、一人当たり年間約百万円の処遇改善の効果が見込まれる事業であります。保育事業者からも、保育士の人材確保に有効に機能し、より保育士を確保しやすくなるとともに、保育士の待遇向上につながっているとの声も聞いております。
 また、都では、国の補助要件に加え、独自に対象等を拡大していますが、国は、この保育士の宿舎借り上げ事業について、段階的に縮小しようとしていると聞いております。
 そこで、本事業に対する今後の国の方向性と都が上乗せ補助をしている内容について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 国は、令和三年度以降、本事業の対象となる常勤保育士の採用年数を一年ずつ縮小し、令和七年度までに対象職員を採用後五年以内とする方針を示しております。
 都は、対象職員の採用年数の制限を撤廃しているため、国事業の縮小分を含めて独自に支援しているほか、国事業では対象外となっている認証保育所などの施設や、看護師、調理員などの職員にも対象を拡大しております。

○磯山委員 都内の事業者において、今後、ニーズの多様化に対応していく中では、人手不足の状況は相変わらず続いているといったお声を伺っております。保育の質を確保していくため、今後も宿舎借り上げは欠かせないということであります。引き続き、都として継続していただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、都がこれまで実施してきた保育所等に対する物価高騰対策について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、物価高騰に直面する保育事業者の負担軽減を行う区市町村の取組を支援するため、令和四年十月から令和五年九月までの期間における食費及び光熱費高騰分に係る経費を補助しております。
 対象施設は、利用者から高騰分を徴収することが困難な認可保育所や認証保育所などとしておりまして、今年度の補助基準額は、認可保育所や認証保育所等については児童一人当たり月額七百十九円、一時預かり事業や病児保育事業等については児童一人当たり日額二十九円としているところでございます。

○磯山委員 現実、今もまだ物価高騰の状況は続いているわけであります。今後も引き続き、物価高騰対策については、保育に加え、介護や障害児者など、本年九月までに措置してきた各福祉分野においても、十月一日以降の分の追加の支援を強く要望をし、次の質問に移ります。
 認証保育所はこれまで、地域において保育サービスの提供の上で重要な役割を担ってきていただきました。しかし、待機児童も解消されつつある中、認証保育所はそれぞれの特色を生かして、子育て家庭のニーズに応えることが求められているのではないかと思っております。
 都は、このような課題に対し、どのように支援していくのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、認証保育所について、短時間利用への対応や学齢児の受入れを行える仕組みを設けるほか、医療的ケア児の受入れや、障害児保育、アレルギー児対応などの取組も支援をしております。
 また、今年度からは、認証保育所に看護師を配置するための加算や児童相談所が継続的な見守りが必要と判断した児童を受け入れた場合の支援を開始いたしました。
 今後とも、認証保育所が子育て支援の拠点として、地域の多様なニーズに対応できるよう、区市町村と連携しながら支援してまいります。

○磯山委員 令和五年一月、国から保育所等における使用済みおむつの処分について、処分を行うことを推奨する通知が出ております。おむつの持ち帰りがなくなることによって、保護者の負担軽減や保育士の負担軽減が図れると指摘されております。
 しかしながら、私の地元小平市を見てみても、大都市特有の多様な保育ニーズに応えるために、都独自の認証基準を満たして設置された保育施設である、いわゆる認証保育所において、一部の園においてはおむつの持ち帰りが行われている現状がございます。
 認証保育所は、少子化や認可保育園の増設により、通園児の確保が厳しくなるなど経営状況が逼迫しているとのお声をいただくことも多くございます。おむつの自園処理に移行したくても、さらなるコスト増に対する負担感や、保護者負担増による園児募集への影響を考えると、実施に踏み切れないといったお声も伺っております。
 都は、認証保育所の使用済み紙おむつの状況について調査を行ったとのことでありますけれども、調査結果の概要と市区町村への周知状況について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都が本年七月、認証保育所における使用済み紙おむつの処理状況を調査したところ、回答した保育所の約九五%が自園において廃棄しており、その処分費用については、運営費の中で負担しているが最も多い回答でございました。
 また、自園で廃棄しているほとんどの保育所で、子供の体調把握の観点から排便回数や便の状態を保護者に情報提供しておりました。
 一方、自園で廃棄をしていない保育所において、おむつを持ち帰ることとしている理由は、子供の体調把握のためが最も多い回答でした。
 こうした調査結果について、九月の待機児童対策協議会において説明するとともに、個々の保育所の状況をそれぞれの区市町村へ情報提供したところでございます。

○磯山委員 調査結果では、九五%が自園での処理を行っているとのことでありますが、三〇%の認証保育所がこのアンケート自体に未回答であることや、自園処理しているうち、八五%の認証保育所は運営費の中からその処理代を支出している一方、四%ではありますが、自治体からの補助を活用しているなど、地域によって支援についてはばらつきがございます。
 認証保育所の物理的規模や経営規模は様々であること、また、それは地域によっても偏りがあることなどを考えれば、この調査結果をもって問題が解決しているとはいえないと私は考えます。
 一方で、認可保育園の状況はどうか。支援策として、さきの国の通知の中には、自園処理へ移行するために、保育環境改善等事業により、使用済みおむつの保管用ごみ箱の購入等の費用の補助を行うことは可能であり、積極的に活用してほしいとの記載もございます。また、対象範囲や支援内容はそれぞれですが、各市区町村で独自に補助をしているところであります。
 以上のことから、認証保育所への支援は、現段階では十分とはいえないと私は思っております。保育環境改善等事業が利用できないことや、処理代への直接的な補助がないことなどを考えると、むしろ格差すら感じております。
 都独自の認証基準を満たした保育施設において、一刻も早くおむつの自園処理が進むよう、都の支援について、ぜひともご検討いただくことを強く要望し、次の質問に移ります。
 介護人材対策の様々な取組の中でも、他県に比べ、特に家賃の高い東京において重要となってくるのが、介護職員の処遇の改善にもつながる宿舎借り上げ支援であります。
 まずは、本事業の昨年度の利用実績を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化を目的に、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施しております。
 令和四年度の補助実績は、四百十事業所千九百八戸であり、令和三年度と比べ、百三十事業所五百二十戸増加しております。

○磯山委員 我が会派には、高齢協からの要望など、一戸当たり四年間の補助期間制限を撤廃してほしいという声が多く届いており、また、外国人人材の確保に活用している施設も多いと伺っております。
 今後も介護事業者が必要な人材を確保し、安心して運営できるよう、宿舎借り上げ支援を充実していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護職員宿舎借り上げ支援事業については、令和二年度に事業所当たりの補助上限戸数を四戸から最大二十戸まで拡大しております。
 さらに、令和四年度からは補助対象を福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加え、区市町村と災害時協力協定を締結した事業所や、その他の在宅サービス事業所等にも拡大しております。
 今後とも、さらに多くの事業所で活用されるよう、介護現場の意見も聞きながら、制度の見直しを検討してまいります。

○磯山委員 現場の声にしっかりと耳を傾けていただき、必要な見直しを行い、介護現場での人材確保に、より有効な事業となるよう検討を進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 最後に、精神科病院における虐待防止への取組について伺います。
 八王子市の精神科病院、滝山病院において、看護師による入院患者への暴行、虐待事件があったことに衝撃を受けたのは、私だけではないはずであります。
 本来、安心して治療が受けられるべき精神科病院ですから、患者への虐待は絶対にあってはなりません。患者への虐待事件は、全国で見れば数年ごとに起きています。記憶に新しいところでは、二〇二〇年に起きた兵庫県の神出病院での看護師らによる患者虐待事件であります。
 相次ぐ虐待事件を受け、厚生労働省はこのたび精神保健福祉法を改正し、来年四月から施行されます。東京都としても、精神科病院における虐待防止にしっかり取り組む必要があります。精神保健福祉法が改正され、虐待通報窓口の設置と精神科病院における虐待防止に向けた取組が強化されます。
 改正精神保健福祉法の施行を受けて、都として具体的にどのように対応をしていくのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 令和六年四月の改正精神保健福祉法の施行に向け、都は、精神科病院で虐待を受けたと思われる患者を発見した方や、虐待を受けた患者、その家族からの通報、相談に対応する窓口を設置し、虐待が疑われる事案の早期発見と速やかな立入検査等につなげていくための準備を進めております。
 また、精神科病院において、職員による入院患者への虐待を防止し、虐待を早期に発見することができるよう、患者の人権擁護に対する職員意識の向上を支援するための取組等について検討を進めております。

○磯山委員 精神科病院における虐待事件が再び発生することがないよう、都として着実に取組を進めていくことが求められております。
 最後になりますが、局長の決意を伺います。

○佐藤福祉局長 入院患者への虐待行為はあってはならないものでありまして、改めて行政として、精神科病院における虐待防止に向けて、しっかり対応を進めていかなければならないと思っております。
 本年四月に、滝山病院に対して、医療法としては東京都としては初めて、また、精神保健福祉法としては平成十四年以来の改善命令を発出いたしました。その後も予告なしを含めまして八回の立入検査を実施し、改善への取組を確認してまいりました。
 本年十一月、この間に確認できた状況を踏まえ、改善の取組をさらに実効性のあるものとするため、異例ではございますが、行政手続法に規定する行政指導を行いました。今月末以降に予定されております第三者による虐待防止委員会での提言を併せまして、改善計画を改めて再提出させまして、自律的に実効性の高い取組が進むよう、今後も状況をしっかりと確認をしてまいります。
 先ほど先生からもお話ございましたが、来年四月には、改正精神保健福祉法が施行されるわけでございまして、先ほど部長からも答弁ございましたように、虐待等に関する通報や様々な相談に対応し、寄せられた情報を的確に判断をして立入検査につなげていくための窓口、通報相談窓口の整備や患者の人権擁護に対する職員の意識向上に向けた取組の実施について、具体的に議論を進めております。
 また、次期の保健医療計画におきましても、審議会の意見を踏まえながら、虐待防止に向けた取組の推進を新たに重点課題として位置づけたいと考えております。
 今後、滝山病院での今回の事件を契機に、保健医療局とも連携をしながら、これまで以上に虐待の未然防止、早期発見の取組を進めるとともに、虐待が疑われる事案が発生した際には、予告期間なしの立入検査を迅速かつ効果的に実施するなど、行政の権限も駆使しながら、精神科病院における虐待防止に向けた取組を組織一丸となって一層進めてまいります。

○磯山委員 精神科病院における虐待防止に向けた力強い答弁を局長からいただけたと思っております。
 精神科病院に入院されている患者の皆様、そしてこれから精神科病院で精神医療を受けようと思っている患者の皆様、さらにはその家族のためにも、虐待防止に向けた取組、今、局長のおっしゃった意気込みで、都庁一丸となって前に進めていただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

○内山委員 本日も長時間の質疑が予定されておりますので、私も予定時間六十分ではありますが、できるだけ簡潔に質問をしていきたいと思いますので、ご答弁の方もご協力のほど、お願いできればと思っています。
 私からは、子供、子育て支援というテーマで質問をさせていただきたいと思います。
 子供、子育て支援といっても、〇一八サポートがありますが、これは伊藤委員に質疑は譲りますけど、ゼロ歳よりもっと早い段階から、もう子供、子育て支援というのは私は始まっているのではないかなと思っておりまして、さらにいえば、十八歳で終わることなく、二十代、三十代という若年層まで、その支援というものはつながっているんだなというふうに実感をしています。
 そういった中で、まず最初は、プレコンセプションケアについてお伺いをしたいと思います。まさにゼロ歳よりも前の段階の子供、子育て支援じゃないかなと思っています。
 まずは、AMH検査についてです。
 こちらですが、正しい情報の提供はもちろんのこと、十分なカウンセリングの体制の構築というのが肝になっていると思っておりますが、そちらについて、まずは都の見解を求めたいと思います。また、高い効果が期待できる若年層からの検査の状況というものも併せて教えてください。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 AMH検査、これは卵巣内に卵子がどの程度残っているのかを調べる検査でございますけれども、このAMH検査への支援は、プレコンセプションケアに関する講座の受講を要件としており、講座では、検査の内容やその効果も丁寧に説明をしております。
 講座を受講した上で検査を希望する方は、医療機関を自ら選択し、検査を受け、検査後は検査結果を正しく受け止められるよう、都が指定する医療機関において、検査結果についての説明と助言を受けることとしております。
 先月末までに、二十六人が検査結果についての説明と助言を受けており、内訳は、二十代が十二人、三十代が十四人となってございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 今答弁の中にありました講座の対象でありますが、当初はカップルのみだったところ、我が会派の要望によって、十月からシングルにも拡大をしたということでありますが、この拡大後の申込み状況についてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本講座は、当初妊娠、出産を検討しているカップルを対象に、七月から月一回、各回二十五組を定員として開催してきましたが、十月からは、対象をシングルにも拡大をしております。
 シングルの方の講座への申込み状況は、各回の定員二十人に対し、十月は百四十七人、十一月は百四人でございました。

○内山委員 ありがとうございます。シングルへの拡大というのは、ニーズもあり、大きな効果があるというのは今の答弁でよく分かりました。
 今年度の拡大という、この二十人の拡大というのはなかなか厳しいというようにも聞いておりますので、次年度以降に関しましては、より多くの希望者がAMH検査を受検できるように、定員の拡大についても検討していっていただきたいというように思います。
 続きまして、卵子凍結についてです。
 卵子凍結、いよいよスタートしたわけですが、説明会の開催状況と事業への申込み状況の進捗についてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本事業では、女性が安全かつ安心な環境で卵子凍結を行えるよう、助成に当たっては、卵子凍結に関する正しい知識を身につけるための説明会への参加を要件としております。
 説明会は本年九月に開始し、当初約千人の定員を設定しておりましたが、申込み状況を踏まえ、定員を順次拡大しており、これまでに約五千人の方から申込みをいただいております。
 また、説明会に出席した方のうち、昨日時点で八百四十六人の方が事業への参加を申し込んでいるところでございます。

○内山委員 ありがとうございます。千人の定員に対して五千人の申込みということで、こちらも、かなり都民の皆さんの関心というか、ニーズが高いということが読み取れたような気がします。
 当初は、初めての事業ですから、様々なご意見等があったように記憶をしていますが、必要な方々にしっかりと届いていくということが重要だと思いますので、引き続き、丁寧に進めていっていただきたいなと思っています。
 その上で、今聞いたところ、人数を見ると、参加申込者数が、既に令和五年度の当初の想定を超えているわけですから、予算額を超えることが、ほぼ確実なんじゃないかなというふうに思うんです。
 そういった場合に、さらに進捗、今の状況ですから、まだ何か月も申込みが、見込みがされる中で、都として、今予算はこうだけど、想定もこれだったけど、そこからもう何倍もの今申込みが来ているという中において、これどうしていくのか、見解を伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 卵子凍結は子供を産み育てたいと望んでいるものの、様々な事情により、すぐには難しい方にとって将来の妊娠に備える選択肢の一つでございます。
 事業への参加を申し込まれた方の希望に確実に応えられるよう、申込者数や助成申請などの状況を踏まえながら対応を検討してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。先着順だとか抽せんだとか、そういうことではなくて、しっかりと支援ができるように検討したいという心強い答弁をいただきました。
 そこをしっかりとお願いするとともに、先ほども初めての事業なので、賛否両論含めた様々な声があったというふうにお話をさせていただきましたが、当然いろんなケースが出てくると思うんです。想定できた部分と想定できなかった部分というのがあると思います。
 そういった意味では、対象者の皆さんの声をしっかりと聞きながら、柔軟に進めていくということが重要だと思いますけど、その辺りをどのように進めていくのか伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本事業では、卵子凍結に関するニーズの把握や事業の効果検証等を行うため、都が実施する調査に協力することを助成要件の一つとしてございます。
 今後、調査を通じて事業に対する意見等を把握しながら、卵子凍結への支援に取り組んでまいります。

○内山委員 期待も大きい事業ですので、注目も大きい事業でもありますので、着実な実施を求めておきたいと思います。
 続きまして、妊娠相談ほっとラインについてお伺いをしたいと思います。
 ホットラインというか、相談窓口に必要な方々がしっかりと相談につながるというのが、アクセスしやすくなるというのが極めて重要だというように思っています。
 私も第一回定例会の一般質問において、支援、相談が必要な方にしっかりリーチできるようにすることが重要だということで、チェーン薬局でのPRというものを求めました。妊娠検査薬のところにカードですかね、を置くことができれば、もちろんそれが必要ない方々は普通に検査薬を買えばいいと思うんですけど、ちょっといろいろと、何ていうんですかね、複雑な状況を抱えている方にとっては、それを見たときに、一緒に取っていこうかなという、そういうリーチしやすい場所というのは必要なんじゃないかというふうに思います。
 これに対して、相談窓口のPR用のカードの配布に当たって、今申し上げた薬局などの関係団体に一層の協力を求めるという前向きな答弁がされたと思いますが、その後の進捗についてお伺いをしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、妊娠相談ほっとラインやチャットボット、妊娠したかも相談@東京により、妊娠や出産等の相談に対応しております。
 相談窓口の周知に当たりましては、PR用のカードを作成し、保健所、高校、大学、ドラッグストア等で配布しております。
 今年度は、薬局などの関係団体にさらなる協力を求めるとともに、薬局のチェーンストアに直接働きかけを行いました。その結果、ドラッグストアについては、カード設置に協力いただける店舗が、昨年度の約百四十店から今年度は約九百店に増加する予定でございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 様々な、今、PR用のカードの配布状況というか、配布場所についてご答弁もいただいて、そのうちドラッグストアでご協力いただいて、百四十店舗から九百店舗ですから、約五倍の設置というのが見込めるということで、やはり、どうやってアウトリーチをしていくかであるとか、必要な方が必要な支援、まずは支援の窓口につながることが極めて重要だと思いますので、ここも引き続き、取組を進めていただきたいと思います。
 妊娠相談ほっとラインに様々な相談が寄せられると思うんですが、そのときに継続的な支援が必要だと思われるような相談があった場合、どのような対応を行っているのか、その実績と併せて伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 妊娠相談ほっとラインにおいて、特に継続的な支援が必要な場合は、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげております。
 区市町村への引継ぎの実績は、令和四年度が百三十七件、五年度は八月までで百二十八件でございます。
 また、区市町村への相談をためらう人等を把握した場合には、民間団体を活用したメール相談や、産科等医療機関への同行支援等を実施しております。その実績は、令和四年度が十六件、五年度は八月までで八件でございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 こういった相談窓口というか相談ダイヤル――今、東京都は、福祉局だけでもいろんなダイヤルがあると思うんですが、これがしっかりと必要な方々に周知できているかどうか、または周知した際に、リーチできた後にそこでちゃんとその声を拾えているかどうかというものを測る一つの指標とした、そのダイヤルが何回線あるのか、もしくはその回線が応答率がどれくらいなのか、その数字があった上で、大体、年間もしくは月間どれくらいの相談件数があるのかというものを見ていくと、これは十分応答できているから、もっと告知を増やしていこうだとか、もしくは応答率が低ければ、告知を増やしても取れない人を増やすだけですから、そういう意味では、回線数を増やしていくだとか、そういったいろいろな対応ができると思います。
 ぜひ、妊娠相談ほっとラインについても、今後そういったところもしっかりとデータを取りながら、実際どれぐらいのニーズがあるのか、こういったことも把握をした上で、対策を進めていっていただきたいというふうに思います。
 続きまして、こうのとりのゆりかご事業、通称赤ちゃんポストといわれる事業についてお伺いをしたいと思います。
 こうのとりのゆりかご事業は、妊娠相談、赤ちゃんの受入れ、これセットになっていまして、やはり実際に慈恵病院さんに伺ってみると、赤ちゃんの受入れというよりは、様々な相談というものが一番の肝なんだと、こういうことでありました。
 そんな中で、内密出産の場合につきましては、行政機関の職員が同行しての説得や将来的な出自を知る権利に対する個人情報の保護など、多くの課題があります。
 都内で、こうのとりのゆりかご事業として、妊娠相談や赤ちゃんの受入れ、内密出産がスタートする場合に想定される課題についてお伺いしたいと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 いわゆる赤ちゃんポストや内密出産につきましては、法令上の定めがなく、医療機関における保護者等の相談支援の体制や、新生児等を安全に受け入れるための体制の整備、特別養子縁組や乳児院など、社会的養護における受入れ体制の確保、子供の出自を知る権利を保障するための仕組みの整備など、様々な課題がございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 先ほど申し上げました熊本の慈恵病院のこうのとりのゆりかご事業を受けて、都内でも設置する声が上がってきています。
 都福祉局としても、その動向を踏まえて対応すべきと考えておりますが、見解をお願いします。

○西尾子供・子育て支援部長 今後、医療機関から相談支援の体制や新生児等の安全確保、児童相談所や地元自治体との連携体制、出自を知る権利をはじめとする児童の権利の確保などに関します具体的な考え方や事業内容を確認する必要がございます。
 まずは、その内容を聞き取った上で、地元自治体と連携して対応を検討してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 先ほど、最初の質問の中で、様々想定される課題についても答弁をいただきましたが、やはり何といっても行政との連携というのが、慈恵病院さんも一つ大きな肝じゃないかということをおっしゃっていましたので、こういったことが想定されるケースでは、ぜひ連携を取りながら想定される課題についても取組を進めていっていただきたいというように思います。
 続きまして、ベビーシッター利用支援事業についてお伺いをしたいと思います。
 ベビーシッターに関しては、当初は日本の風土としてなじまないんじゃないかというようなご意見もありました。私も正直、どうなのかなというふうに思っていたんですが、局の皆さんの、もちろんご努力もあり、また認知が増えていったことによって、これは本当に使いやすいんだなと、そう思われた自治体だとか、利用者の保護者の方々が多く出てきたのではないかなと思っています。
 そういったことが、先ほどの卵子凍結もそうですけど、初めは、どうなんだということがありながら、かなり東京都としては、率先して育ててきた事業ではないかなというふうに思っています。
 ベビーシッター利用支援事業の一時預かり利用支援は、利用者が大幅に増え、都内の子育て家庭への支援策として浸透しつつありますが、障害のあるお子さんを育てている家庭では、保護者の負担が大きく、利用できる時間をもっと増やしてほしいという、こういう声が上がっています。
 こういったことにもしっかりと対応していくべきであると思いますが、都の対応についてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、日常生活上の様々な事情による一時的な保育やベビーシッターと一緒に育児を行う共同保育を必要とする保護者に対し、ベビーシッターによる保育を提供する区市町村を支援しております。
 児童一人当たり年間百四十四時間まで利用でき、一時間当たり二千五百円の補助を行っております。
 本事業における障害のあるお子さんへの対応についてでございますが、今後、認定事業者や区市町村へのヒアリング等により、まずは状況を把握してまいります。

○内山委員 ベビーシッター利用支援事業というか、ベビーシッター、もうニーズが多過ぎて、シッターさんが足りないというような、こういうようなお声もある中で、障害のあるお子さんに対しての支援を拡充してどうなのかという、こういうところで考えれば、ニーズだとか、その枠組みを増やしても、いろんなところに影響があるかないかというのは、これ、かなり綿密に調べなければいけないと思いますので、ぜひ今の答弁にありましたように、ヒアリングだとか取組状況をしっかりと把握した上で、検討を進めていただきたいというように思います。
 続きまして、多様な他者との関わりの機会の創出事業について伺いたいと思います。
 都は今年度から、就労の有無にかかわらず保育所等で児童を預かる取組を開始しておりますが、事業の概要及び現在までの状況についてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は今年度から、乳幼児期から多様な他者との関わりを持ち、子供が健やかに成長できるよう、就労等の有無にかかわらず、幼稚園や保育所等で子供を定期的に預かる取組を開始しております。
 今年度は、十五自治体六十八施設で実施予定でございまして、主な施設の内訳は、認可保育所十四施設、認証保育所七施設、幼稚園二十七施設などでございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 多様な他者との関わりの機会の創出事業の対象に居宅訪問型保育を含め、集団保育が難しい障害児や医療的ケア児が保育の必要性認定がなくても利用できるようにすべきとの意見もあり、その点について、都の見解を伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本事業では、子供が定期的に保育所などに通園し、多様な他者と関わり、様々な学びや経験ができる場を提供することとしております。
 障害の有無にかかわらず、できるだけ多くの子供に他者と関わる機会を提供できるよう、障害のあるお子さんへの対応につきましては、今後、事業者や区市町村へのヒアリング等により、状況を把握してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 こちらもまずは、区市町村の状況だとか、そういった様々な現状を把握してということが第一歩だと思いますので、ぜひ前へ進めていただきたいと思います。
 ここから一気に年齢が上がります。受験生チャレンジ支援貸付事業についてお伺いをしたいと思います。
 令和四年度には、対象となる世帯の収入要件を引き上げるなど、多くの世帯に利用してもらいやすい制度に拡充したことを評価したいと思います。
 本事業は、進学等をした場合には、貸付金の償還が免除されるものとなっており、この対象世帯が低所得世帯が多いということを考えると、進学以外にも、本人や家庭の事情に応じてきめ細かく免除が適用される運用が望ましいというふうに考えます。そうでないと、何かあったときに、ある種、借金として残ってしまうという、こういうことがありますので、そういった意味で、この件数、対応というのは極めて私は重要だと思っています。
 そこでまず、令和四年度の貸付決定件数と免除件数、併せて免除の理由、この内訳についてお伺いしたいと思います。

○中川生活福祉部長 令和四年度の貸付決定の件数は一万一千二百七十一件、そのうち償還免除となった件数は一万一千百五十一件でございます。
 償還免除の理由別内訳は、受験生が対象の学校に入学したことによる免除が一万八百十二件、受験に向けた取組を行ったものの志望する学校に合格できなかった、または体調不良等で受験できなかったなどの理由で個別に免除したものが三百三十九件となってございます。

○内山委員 貸付けの決定をしたのが一万一千二百七十一件で、免除となったのが一万一千百五十一件ということで、受験生が対象の学校に入学できたとか、もしくは受験に向けて真摯な頑張りをしたものの合格できなかった、もしくは体調不良だった、まあ様々な理由で、きめ細やかに、頑張りを認めて償還免除にしているという、こういうご答弁でありました。
 しかし、これ引き算をしてみると、百二十件、一万一千二百七十一件のうちの百二十件は、免除になっていないということだと思います。
 どういった理由で免除となっていないのか、内訳を教えてください。

○中川生活福祉部長 貸付決定を行ったものの、償還免除とならなかった百二十件の内訳は、貸付金の入金前に塾をやめたなどによるものが四十一件、世帯収入の増加などによるものが三十二件、貸付金を使用しなかったことによるものが六件でございまして、貸付け後に連絡がつかない、連絡がついたものの必要書類の提出がないなど、手続が行われていないものが四十一件となってございます。

○内山委員 ありがとうございます。
 百二十件のうち、そもそも塾に通わなかったという、入金の前に通わなかったのが四十一件、あとはそもそも世帯収入が増加してしまって、支給要件にならなかったというのが三十二件と。あとはそもそも貸付金を使用していないというのが六件ということで、ここまでの件数は、しようがないかなというか、ここで免除しちゃうと、そもそもの制度が破綻しますので、ここは引くべき一線かなと思っています。
 ただ一方で、最後の貸付け後に連絡がつかない、もしくは連絡がついたものの必要書類の提出がない、手続が行われない云々というこの四十一件については、少し精査、丁寧な検証が必要なんではないかなというふうに思います。
 中には窓口からの助言に従わなかった方もいると思いますが、本事業では、免除の申請は受験後に手続を行う必要があるため、その間に領収書類、こういった必要書類を紛失してしまう世帯もあるかと思います。
 免除要件を満たす方には可能な限り丁寧に対応をしていくべき、要件を超えてしまったとか不正があったとか、そうではない方に関しては、丁寧に対応するべきだと考えますが、都の対応、見解を伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 都は、事業の実施主体である東京都社会福祉協議会と連携し、窓口となる区市町村が利用要件や手続などを適切に案内できるよう、事務手続の流れなどを詳細にまとめた相談員マニュアルを作成し、周知を図っております。
 また、東京都社会福祉協議会では、このマニュアルに基づき、区市町村の担当者を対象といたしまして、年度当初に事務手続の流れなどに関する基本的な検証を行い、繁忙期を迎える年度後半には、償還免除の具体的な手続を含め、実践的な研修を実施してございます。
 償還免除の申請に必要となる領収書等を紛失した場合の対応につきましても、マニュアルで詳細な手続や様式を定めるとともに、担当者の研修でも取り上げておりまして、相談者一人一人の状況に応じて、丁寧に対応できるよう取り組んでおります。

○内山委員 ありがとうございます。
 所得の要件があったり様々な要件がある中での、その中での一万一千二百七十一件、その中でもさらに四十一件という、こういうものでありますので、本当に様々なご家庭や保護者の方の環境、もしくは子供たちの環境があると思います。
 中には、今ご答弁があったように領収書を紛失してしまっても、それをちゃんと聞き取ることができれば丁寧な対応をしているということで、これは可としたいと思いますが、その時点で、僕は、私はちょっともう連絡できないとか、そういった一つ一つのちょっとしたミスや思い違いで連絡を絶ってしまったり、もしくは必要な期日までに様々手続を終えられないとか、こういった方がいらっしゃるというのも想像できると思いますので、ぜひこの四十一件に関して、先ほど申し上げましたように、不正だとか収入要件を超えたとか、明らかなものに関してはしっかりと線を引いてもらいたいと思いますが、そうではない、特にしっかりと要件を満たして、塾にも通って、やったのに、そこから先の手続論というところであれば、ここは丁寧に、ぜひ引き続き、引き続きというか、今まで以上に、ここにこそ誰一人取り残さないという要素が詰まっていると思いますので、ご対応いただきたいというように思います。
 最後のテーマに移りたいと思います。ちょっと早足で来ましたけど、女性相談センターについてお伺いをしたいと思います。
 女性相談センターといわれて、あまり私は、つい数年前まではぴんと来ませんでした。さきの数年前の予算特別委員会でも話をさせていただきましたが、児童相談所に当たるものの女性版、十八歳以上の女性版というのが女性相談センターというと分かりやすいかなというふうに私は思っているんですが、児童相談所、児童相談センターに一時保護所があるように、女性相談センターにも一時保護所があります。児童養護施設があるように、婦人保護施設というのがあります。こう考えると少し分かりやすいのかなというふうに思います。
 この女性相談センター、要するに子供でいえば児童相談所ですね、ここで様々な婦人相談に関する相談事業というものを行っているわけですが、電話、来所による相談件数は、近年横ばいとなっているということが、コロナ禍での質問の答弁でありました。私がそもそも、コロナ禍で女性関係の相談だとか、こういったものは増えているんじゃないかと思ったんです。ところが答弁では増えていないと、こういう話でした。
 先ほどの話と同様なんですが、じゃ実際、電話回線だとか応答率はどうなんだということを尋ねたところ、応答率が三〇%前後だったと、こういう答弁でした。応答率が三〇%だったら、もうキャパ全体、キャパぎりぎりまでずうっと電話相談を受けているわけですから、この件数って変わらないわけですよ。もうこれが、そこの相談所の受入れマックスですから。
 ここの中で、たくさん申請が来れば応答率が下がって、あまり来なくなれば応答率が上がってと、ここで吸収されるので、よく相談件数で、あまり増えていないですねというのを見ても、ここってあまり実態を反映していないのではないかなというふうに思います。
 そういった中で、以前、女性相談センターを私、視察をさせていただいた際に、電話相談の応答率が低いというのはかなり課題じゃないかということで指摘をさせていただきました。
 その後の取組についてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 女性相談センターでは、休日や夜間の電話相談の体制強化を図るため、令和四年七月から外部委託を導入し、平日の受付時間を一時間延長して午後九時までとしたほか、休日の相談対応も開始いたしました。
 その結果、応答率は、令和四年四月から六月までの平均が約三割だったのに対し、五年四月から六月までの平均は約五割となってございます。
 また、年間の電話相談件数は、令和三年度が約三万件、四年度は約四万件であり、一万件増加いたしました。

○内山委員 ありがとうございます。
 すなわち、応答率が上がったことによって、相談件数が年間で一万件増えたということで、これは先ほど私が申し上げたような応答率と相談件数の相関というのを見事に表しているというように思います。
 五〇%まで上がってきましたから、ここをしっかりとさらにてこ入れをして、まあ一〇〇%って難しいと思うんですよ。ただ、それを上げていくことによって、必要な方の相談にしっかりと乗ることができるという体制というものは、整えていただきたいというふうに思います。
 一方で、女性相談センターの一時保護所について、こちらも以前、予算特別委員会で質疑をさせていただいたことがありましたが、女性相談センターの一時保護所で、携帯電話が一律に使えないという、こういう運用であったため、入所を諦めてしまう女性が少なくないということが指摘をされてきました。
 確かに十八歳以上の女性で、様々な世代の方がいると思いますけど、やっぱり携帯電話が使えないって大分ハードルが高いと思うんですね。そういった中で、昨年の予算特別委員会において、令和四年度から携帯電話の使用については、個別に使用の可否を判断していくという答弁がありました。
 すなわち、GPSだとか――様々な女性の置かれている環境においては、携帯を使うと、女性相談センターの一時保護所の場所とかは秘匿になっていますから、一般公開はされていませんから、様々な難しさがあるから一律には使えるようにならないよと、こういうことは私も理解をするんです。
 一方で、じゃあ一律に使用を禁止するということが適切かどうかということに関しての疑問について指摘をさせていただいたわけですが、令和四年度の取組状況についてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 女性相談センターの一時保護所では、入所者の居場所が特定されないよう、携帯電話等の通信機器について入所する際は預かるなど、一定のルールで運用しております。
 入所者の利便性の向上を図るため、昨年度からはアセスメントシートを活用し、追跡のリスク等を踏まえ、個別に携帯電話の使用の可否を判断する取組を開始いたしました。
 この取組により、令和五年四月から九月末までの間に携帯電話等の使用を希望した二十七人のうち、十五人が使用可能となりました。また、自身の通信機器を使用できない方などのために、インターネット検索などに使用できるタブレット型端末の貸与も行っております。

○内山委員 ありがとうございます。
 一部といっても、申請された方の半数以上の方が利用ができるようになった、また、今まではなかったタブレットの貸与もするようになったと、これも本当に大きな一歩ではないかなというふうに思います。
 一時保護が必要な女性の方が、これは児童相談所も同じことがいえると思うんですが、その環境によって保護を選ばないということは、かなり大きなリスクを伴うと思いますので、引き続き改善に努めていただきたいのと、タブレットもまだ台数に限りがあるということだったようなので、タブレットの台数なんかも増やしながら、より保護された環境が、生活しやすいというか、そういった環境にしていっていただけるよう、取組を進めていっていただきたいというように思います。
 もう一つは、今、女性相談センターの一時保護所の話をしましたけど、ここから婦人保護施設、子供でいえば児童養護施設ですね、婦人保護施設に入所という措置があるわけなんです。措置というか、そういう流れがあるわけなんですが、婦人保護施設に入所するためには、一旦女性相談センターの一時保護所に入所するというのが原則になっていて、これが大きなボトルネックになっているんではないかという質疑をさせていただきました。
 というのは、婦人保護施設の入所率は大体二割、三割だったという、要するに、七割ぐらいは空いている、空いていたわけです。コロナ禍で、こういったものが必要な女性がかなり増えたというふうにいわれているにもかかわらず、何で都内の婦人保護施設は入所率が二割、三割なんだという、こういう質疑をさせていただきました。
 その一つの原因として思われるものが、女性相談センターの一時保護所に一旦一時保護されないと婦人保護施設に入れないという、そういうルートがあるというのが一つネックじゃないかと。
 ちなみに、女性相談センターの一時保護所の定員は三十名ということですから、東京都内で三十名ですから、子供が一緒に来ると子供も一人と数えられちゃうということで、かなりここが狭き門になっていて、ボトルネックになっているんではないかという、こういう指摘をさせていただきました。
 そういった中で、都は昨年度から、一時保護所を経由せずに、婦人保護施設に一時保護委託をした女性を直接入所につなげる取組――これ、どういうことかというと、婦人保護施設でも一時保護委託を受けているわけです。ここで一時保護委託を受けて一時保護されても、本入所しようとすると、一旦女性相談センターの一時保護所に行かないと入れないという、こういう仕組みがあったので、そこでつまずいてしまうケースがかなりあったということなんです。それをやめて、せっかくここで一時保護委託しているんだから、そのままそこで本入所にすればいいじゃないかと、こういう中で、こういった取組が始まったというふうに聞いていますが、一時保護委託までに時間がかかってしまう、もう二週間も三週間もかかってしまって、その間には様々な環境に置かれている女性ですから、入所をやめてしまうという、こういうケースもあるというふうに伺っています。
 婦人保護施設、私はもっと活用していくべき、二割か三割しか入所率が当時はなかったわけですから、ここをもっと活用していくためには、入所のハードルを下げて円滑にしていくべきだというふうに考えていますが、見解を伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は昨年度から、婦人保護施設に一時保護委託した女性が女性相談センターの一時保護所を経由せず、直接施設に入所する取組を試行してございます。
 福祉事務所の婦人相談員が本人の意思の確認を行うとともに、事前に施設の見学を実施し、一時保護委託を経て措置を決定し、婦人保護施設の入所につなげてございます。
 本格実施に向けては、より円滑に施設への入所につなげられるよう、関係機関と連携してまいります。

○内山委員 初めての取組ということで、関係各所の調整だとか、そういったことが必要だということは理解をします。ここがなかなか円滑にいかないと、関係各所が多いものですから、二週間、三週間かかってしまうということがあったんだという、そういう答弁だと受け取りました。
 ここから先は、これをどんどんどんどん円滑に行っていくことによって、長くても一週間ぐらいで、こういった、まあ一時保護ですからね、委託のところまでつなげられるようにしていっていただきたいというように要望させていただきたいと思います。
 こういった様々な保護が必要な女性の中には、精神疾患を抱えていたり、またオーバードーズだとか、希死念慮を持っている方もいると思います。こういったものもかなりグラデーションがあって、精神科病院に入院しなければいけないレベルから、そうではないレベルといういい方がいいのかどうか分かりませんけど、かなりグラデーションがあるというように思います。
 そういった中で、婦人保護施設では、そのグラデーションのいかんにかかわらず、オーバードーズの経験があったりとか、そういった少しでも自殺に対するリスクがあると、入所を断ってしまうというようなことがあるというふうに聞きました。
 そういったことが、例えば若年の被害女性の支援をされている方々の施設で預かるんだけど、よっぽどそっちの方が婦人保護施設と比べれば、医療体制だとか様々なものが脆弱なのに、これはどうにかならないのかという、こういう声も届けられているところであります。
 こういった婦人保護施設でしっかりと保護していくということも重要ですし、そこだけではなくて、全体の枠組みとして、このようなハイリスクな人への支援というものが極めて重要だと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 一時保護などが必要な女性の中には、暴力被害を受けている方や精神的な課題を抱えている方が多くいらっしゃいます。
 都は、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく基本計画の策定を現在進めておりまして、その中で、被害からの回復が必要な方や精神的な課題を抱える方への支援の充実についても検討を行ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 婦人保護施設の活用というのは、まだまだ私、伸びしろがあると思っています。幾つもある中で、例えばそういったハイリスクな方々が入りやすいような体制を整える、そういった少し役割分担をするような特性があってもいいと思います。ぜひ、今答弁にありましたとおり、様々な形をしっかりと検討していっていただいて、婦人保護施設の活用だけではないですけど、女性相談センター全体の業務についても、しっかりとブラッシュアップをしていっていただければと思います。
 本日は、先ほど申し上げました子供、子育て支援についてということで、卵子凍結、プレコンセプションケアから女性支援というところまで、時系列に子供の育ちを追いながら質問をさせていただきました。
 本年七月一日の組織改正によって、少子社会対策部が子供・子育て支援部に改められました。子供や子育て家庭に寄り添う姿勢が、名は体を表すといいますから、より鮮明になったというふうに思います。
 少子化において、子供たちの数が減ってきている、もちろんそこに、希望する方々が希望する子供の数を持てる、こういった支援というものも必要であります。一方で、生まれてきた子供たちを大切にするということも、私は極めて重要だと思います。
 改めて、局長の子供、子育て支援に対する取組の決意を伺いまして、私の質問を終わりとしたいと思います。

○佐藤福祉局長 子供や子育て家庭への支援につきましては、望む人が、誰もが子供を産み育てやすい社会を実現するため、妊娠から出産、子育てまで様々な施策を講じることが重要でございます。
 都はこれまで、安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めるために、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援、保育所の待機児童解消に向けた集中的取組、児童虐待防止のための児童相談体制の強化など、様々な子供、子育て支援施策の充実に取り組んでまいりました。
 今年度からは、子供を産み育てたいと望む女性が選択肢を広げられるよう、新たに卵子凍結の支援を行うほか、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供の育ちを切れ目なく支援する〇一八サポートを開始いたしました。
 先ほど質疑の中にありましたように、卵子凍結の事業につきましては、五千人近い方から説明会の参加申込みをいただいております。先ほど部長からも答弁しましたけれども、希望に確実に応えられるよう努力してまいりたいと思います。
 先ほど先生から、少子社会対策部が子供・子育て支援部に改められ、子供や子育て家庭に寄り添う姿勢が鮮明になったというお話をいただきました。
 子供や子育て家庭を取り巻く社会課題は、高度化、複雑化をしておりまして、こうした課題に迅速かつ的確に対応するためには、何よりも大事なことは、今、名前の変更にもありましたけれども、これは福祉行政全てにいえることですけれども、都民に寄り添うことでございます。
 そして、机上の空論ではなくて、現実の世界に根差した実効性のある施策、今、先生からもいろいろ現実のお話ございましたけれども、現実の世界に根差した実効性のあることをやっていかなければならないと思っております。
 今後とも、子供政策連携室などの庁内はもとより、区市町村、関係機関とも連携して、出産、子育てを希望する全ての人たちが安心して子供を産み育て、子育ての喜びを実感できる社会の実現に向けて、強力に施策を推進してまいります。
 引き続きのご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

○内山委員 ありがとうございます。
 やはり全ての子供たち、もしくは誰一人取り残さないというものには例外があってはいけないと思うんです。よくちまたでの議論を伺うと、そういいながら、一方で、これはしようがないよね、こうなっちゃったらしようがないよねというような、そういった、ある種の理由があると、そこは置き去りにされてもしようがないんだというような議論を受けることがあります。
 誰一人取り残さないというのは、先ほども申し上げたように、例えば一万人以上の申込者の中で、たった四十人でも、もしかしたらたった四人でも、たった一人、二人でも、この環境を何とかしなきゃいけないんだという、そこを例外にしないというのが重要なんだと思います。
 九割が大丈夫だから、九割五分、九九%が大丈夫だから、しようがないでしょうというのは、誰一人取り残さない社会というものではないと思いますので、今、局長の決意をしっかりと承りましたので、私も大きな流れの中での子供、子育て支援の在り方の提言、流れというものも議論をさせていただきながら、一方で、その中で取り残されてしまう、ともすると社会では、この子は取り残されてもしようがないよねといわれかねない環境においても、しっかりと取り残さないということを、私も大きな対極から、または本当に重箱の隅をつつくような議論になってしまうかもしれませんが、そういったことも引き続き進めてまいりたいと思います。
 私からの質問は以上です。ありがとうございました。

○斉藤委員 私も久しぶりの厚生委員会でございまして、十三年、十四年という全体を俯瞰した中で、事務事業質疑に臨みたいと思っております。
 まず、在宅療養について伺います。
 都議会公明党は、これまで一貫して地域包括ケアシステムの構築のために、様々な場面で医療と介護の連携強化を訴えてまいりました。介護施設に入るよりも、住み慣れた自宅で、家族と共に暮らす時間をできるだけ長く取りたいという願いを実現するためには、医師の指示の下、住まいを訪問して医療行為を行う訪問看護師の確保が必要不可欠ということも訴えてまいりました。
 訪問看護ステーションの設置、非常に重要な施策でございます。その結果、このグラフを見ても分かるんですが、この十年間近くで大変な、三倍以上の、人数的には増加を見ているわけですが、そういった中でも訪問看護の質もまた重要であるというふうに考えます。
 そのために、都は、教育ステーション事業というものを起こしまして、身近な地域で訪問看護人材の育成を図っておりまして、訪問看護の質の向上のために、ますますその存在が重要となっていると考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 教育ステーション事業は、規模が大きく人材育成のノウハウを有する訪問看護ステーションが、都からの指定を受けて地域の小規模な訪問看護ステーションを支援する事業で、現在十三か所が活動しております。
 教育ステーションでは、指導力のある訪問看護師に新任訪問看護師等が同行する実地研修や、地域の医療機関などとの相互研修などを実施しており、実践的なケア技術の向上や多職種連携の推進につながっております。
 近年の訪問看護ステーションの増加により、教育ステーション一か所当たりが支援する対象が増加しており、よりきめ細かな支援を行えるよう、都として対応を検討してまいります。

○斉藤委員 私も訪問看護ステーションの皆様とお話を伺うときに、やはりなかなか新人からいきなりというのは難しい、一度病院に、大きなところでスキルをアップしてから現場に入るという方が多いんですが、教育ステーションのカリスマ看護師の方のお話を伺いますと、気持ちが大事だと。決意、気持ちが大事だということで、ぜひとも、そういった非常にスキルのある方にしっかりと指導を受けながら、できるだけ多くの新しい新人の方も挑戦していただきたいと思っております。
 地域包括ケアシステムの構築に当たっては、今後も在宅療養の推進はますます重要になってくると思います。その担い手は、今、多職種との連携もございましたが、多職種間の連携、そして訪問看護師はその要であると思っております。
 また、今日は時間の関係で省略しますけれども、介護事業者の方から、介護職員の宿舎借り上げ支援というものがありますと。大変に好評なんですけれども、訪問看護師、看護師の方は対象外だということが入ってきました。
 ぜひ将来的には、こういった既存の制度を拡充するのか、新しくつくるのかはあれですけども、訪問看護に勤める看護師のインセンティブ向上のためにも、ぜひ看護師にも、宿舎借り上げの事業の対象にしてほしいという声を届けておきたいと思います。
 また、看護師という方は、皆さん流動性が高いとか、非常にスキルをアップしていく、いろんなところに、病院を移動していくという傾向もあるようでありまして、定着性との問題というのは、仕事の内容からいってなかなか難しい部分があるかもしれませんが、そうしたことも踏まえながらも、地域に非常に愛を持って、在宅大事だと、地域で私、頑張ると、そういうような訪問看護師が増えることを望んでおります。ぜひよろしくお願いします。
 続きまして、認知症対策に移りたいと思いますが、第三回定例会の代表質問で、我が会派から指摘したとおり、厚生労働省が九月に承認したアルツハイマー病の抗体薬、レカネマブの投与の対象は、日常生活に支障がない早期段階の比較的症状の軽い患者に限られていることから、軽度認知障害、MCIや早期の段階での発見がより一層望まれるということになります。
 こうした状況を踏まえまして、都は、認知症の早期診断につながるよう、認知症検診推進事業について、現在七十歳以上としている対象の年齢を、より若い年代まで引き下げるなど、本事業の充実について検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 認知症検診推進事業では、希望する対象者が無料の問診や認知機能検査を受け、検査の結果、認知症の疑いがある場合には、さらに認知症疾患医療センター等で鑑別診断を受けることで、軽度の方を含め、アルツハイマー病による認知症であるかどうかなどを確認できます。
 今後、抗体薬の実用化の状況も踏まえ、早期診断、早期対応の推進に向けた取組について検討してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。ゆっくりの移動で結構でございますので。
 ただいま、そのような早期診断、早期対応の推進向けた取組をしっかり検討していくということでございます。
 認知症の症状には、中核症状と行動、心理症状という症状の分類があるようですが、妄想や怒りやすくなる、介護を拒否するなどの行動、心理症状である、BPSDといわれますが、本人の生活の質に影響を与えるほか、介護に当たる家族にとっても大きな負担となっていることは、これはもう皆さん共有できていると思います。
 そこで、都は平成三十一年度から、私もかねて評議員をやらせていただきましたが、東京都医学総合研究所が開発した日本版BPSDケアプログラムの普及に取り組んでいると聞いています。
 その取組の内容と今後の目標について伺いたいと思います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 日本版BPSDケアプログラムでは、介護保険サービスの利用者の症状等をプログラムに沿ってシステムに入力し数値化をしたデータを基に、症状の背景にある利用者のニーズやケアの視点を職員間で共有して、その人に合ったケアを実施いたします。
 都は、ケアプログラムの普及を図るため、介護保険事業所でのケアプログラムの実践者であるアドミニストレーターの合同フォローアップ研修などを実施しているほか、区市町村が実施するアドミニストレーター養成研修の経費や、事業所への導入経費の補助などを行っております。
 令和四年度末時点では、四十一区市町村五百九十四か所の事業所がケアプログラムを利用しておりまして、令和七年度までに都内全域でのケアプログラムの普及を目指してまいります。

○斉藤委員 BPSD、これは私も今回の委員会で質疑するに当たって勉強してまいりましたが、いわゆる介護というのは、目に見えない部分が大事だということで、例えば、本当に家族、これは男性なんか特有ですけど、奥様に介護するときに、なかなか何で僕がこんなに気持ちを込めてやっているのに理解してもらえないんだみたいな、そういう気持ちと、相手に対するコミュニケートというか、うまく合致しないときに、自分が納得しないわけです。
 ましていわんや、やっぱり介護のプロの方々がいろんな方々をケアするときに、これほど丁寧に気持ちを込めてやっているのに、どうしてなかなか分からないのかなという、介護する側も大変負担も大きいと思うんですけれども、そういったことを解消するのは非常に、介護の質の見える化というか、される方も、する方が非常に納得していく、しかもそれをみんなで共有していけば、チームで介護を、より質の高い介護に至っていくということで、非常にすばらしい、私はプログラムであるというふうに思いました。
 人間としての尊厳、人間らしさを大切にする認知症ケア技法として、私はユマニチュードというものを、これフランスで生まれたということで、地元の区議会議員、公明党の区議団と一緒に勉強させてもらっているんですが、これもまた、コミュニケーションとして非常に重要なものですが、組合せもあるのかなと思って拝聴しておりました。
 ユマニチュードは、四十年以上前に、病院、施設、家庭での経験から生まれたケアコミュニケーションの技法だということでありますが、あなたを大切に思っていることを相手に伝わるように伝える技術としていわれておりまして、目を見る、そして話す、触れる、立つ、この四つの柱を重視しているようであります。
 区議団が視察した福岡市では、市を挙げて市民と共に協働して、認知症の人やその家族が生き生きと暮らせる、認知症に優しいまちというものを福岡市を挙げて、認知症フレンドリーシティを目指すということで取り組んでいるようでございます。
 ユマニチュードの普及に取り組んでいく福岡市に、目黒区も、ぜひ学んでいきたいと思っておりますが、東京都としても、ぜひこういった取組なども含めまして、BPSDの普及と併せて、ユマニチュードの紹介などもしていただければなと思っております。
 本年六月に成立いたしました共生社会の実現を推進するための認知症基本法、いわゆる認知症基本法ですが、基本理念の第一に、全ての認知症の人が、基本的人権を享有する個人として、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにすることを高らかに掲げております。
 お互いに尊重し合うことで、認知症の人との信頼関係を構築するユマニチュードの技法、それだけではなく、いろんなものがあると思いますが、この基本法の下、都においても、さらに様々なケアの取組が広がっていきますように、都と一緒になって頑張っていきたいと思っております。認知症については、以上でございます。
 次に、障害者グループホームについて、ちょっと気づいた点が一点ありましたので、今日は簡単に一問、質問させていただきたいと思うんですが、高齢化の問題です。
 親と一緒に家庭で過ごしている障害者も、いつかは親の高齢化に伴い、病気や介護で一緒に暮らせなくなることになります。これは親の高齢化というものもあるわけです、先にですね。親の方からは、私がいなくなったらどうなるんだろうという、親亡き後のことを心配する声をたくさん私も伺っております。
 そのときに、親御さんたちが期待を寄せているのが、地域で頑張っているグループホームの存在であると思います。障害者の地域居住の場の一つである障害者グループホーム、住まいですね、実際に比較的年齢層の高い、例えば四十歳以上のグループホームの利用者だと、親御さんも七十代、八十代の方が多いのではないかと想像されます。
 こうした年齢層の利用者はどのくらいいるのかを最初に伺いたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 東京都国民健康保険団体連合会の統計データによりますと、令和四年度末、グループホームの利用者一万四千八百六十六人のうち、四十歳以上の方は九千三百二十六人、全体の六二・七%となってございます。

○斉藤委員 今の数字だけでは、実態はなかなかぱっと分かりませんが、六二・七%になっている、いわゆる高齢者といわれる方、今のは、四十歳以上ということでありますが、比較的年齢層の高い利用者が六割を超えているということで、やはり親御さんもかなり高齢の方が多いことが想像されます。
 一方で、地域全体を見渡すと、元気に活躍されている高齢者の方も、シニアの方も大変増えている実相があります。そうした中におきまして、そうした方々にグループホーム利用者を支える側に入っていただくようなことも大事じゃないかなと思っております。
 そこで、ちょっと話題変えますが、グループホームにおきまして、高齢者の利用者が多くなるにつれまして、必要な支援も増えてきております。こうした中で、今まで家族がやっていたような支援がなかなかできなくなるというケースのご相談がありまして、散歩とか買物とか、ちょっとしたそういう同行だったりするんですが、そうしたことをグループホームの職員の方が代わりにやっているということなんです。
 ますますグループホームにおいて、持続可能な支援というものが課題になってまいりますが、職員の方の負担軽減を図ることや、グループホーム同士の連携強化、それはもう一つで悩むんじゃなくて、いろんなところで協力し合っていくことが重要だと思いますが、こうした課題に対して、都はどのような取組を行っているのかを伺いたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、グループホームの事業者が様々なノウハウを活用し、質の高い支援ができるよう、地域においてグループホーム同士のネットワークを構築し、支援体制の強化を図る区市町村の取組を包括補助で支援しております。
 また、事業所の経営者等に対して研修を行い、マネジメント力の向上を図るとともに、経営者同士、顔の見える関係の構築につなげております。あわせて、福祉、介護業務の負担軽減のため、デジタル機器の購入費等に対する補助を行っております。
 今後もグループホームのニーズに応えていくために、支援の充実を図ってまいります。

○斉藤委員 コロナ禍を乗り越えまして、各施設でもイベントをやったり、バザーに行けば、皆さんもいろいろ、皆さんがつくられたものを買ったり、触れ合う機会が増えておりますが、地域で顔を合わせて知っていくことがとても大切だと思います。
 私の定期券の、スマホのパスは、障害のある方がつくったやつを十年以上使っております。見事な模様を使って円をつくってくれているデザインなんですけど、かっちゃんというんですけど、そういう方を一緒に、共に地域が知り合っていくということで、職員の方だけに任せるだけでない、障害者の方のおうちともいえるようなグループホームをしっかりと持続可能なものにしていくことが必要だろうと、このように思って質問させていただきました。
 続きまして、医療的ケア児の支援について質問をしたいと思います。
 都議会公明党は、東京都医療的ケア児親の会の皆様から、毎年、予算ヒアリングの時期にお話を伺っております。
 医療的ケア児者と家族の支援について、様々な要望を承り、そして、提案を都に公明党もしてまいりました。公明党の推進によりまして、令和三年には、国において、医療的ケア児支援法が規定されまして、国や地方公共団体の責務が明確にされまして、都の政策も大きく前進していることを評価したいと思います。
 都では、都議会公明党の提案を受け、令和四年には、医療的ケア児支援センターを区部は都立大塚病院、そして多摩部には東京都立小児総合医療センター内に設置をしております。また、今年度は多くの新規事業を立ち上げるなど、施策が令和五年度も前進していることを評価して、応援していきたいと思います。
 その中で、医療的ケア児に対応できる訪問看護の担い手の確保などを目的に、訪問看護ステーションの看護師を対象とした研修を実施すると聞いています。これまで集合研修で実施したものを、現在はオンラインなどを活用して医療的ケア児の看護や対応などの知識を習得するための基礎的な研修を実施していることは、より多くの方が受講する機会を得ますので、担い手の裾野を広げる役目を果たしていると思います。
 今後、地域における医療的ケア児に対応できる訪問看護ステーションのさらなる充実に向けて、どのように取り組んでいるかを伺いたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は令和五年度から、初めて医療的ケア児の訪問看護を行う予定の訪問看護ステーションの看護師を対象に、呼吸管理や姿勢の補助などの基礎的な看護技術を学ぶ実技研修や訪問看護に同行する実践的な研修を新たに開始いたしました。
 また、研修を受講した職員が所属する訪問看護ステーションに対し、吸引器や小児用のパルスオキシメーター、聴診器など、医療的ケア児の対応に必要な物品の購入経費等の補助を実施いたします。
 こうした取組により、医療的ケア児に対応できる訪問看護ステーションのさらなる拡充に取り組んでまいります。

○斉藤委員 医療的ケア児の方も、また健常な方も、障害のあるなしにかかわらず、地域でしっかりと、そういった方々が暮らせていける環境をつくることはとても大切だと思いますが、そのためにも訪問看護師の方が増えていくことは、とても私は大事だと思います。
 また、今ご答弁にありましたように、予算をつけて、吸引器、それから小児用のパルスオキシメーター、聴診器など、こういった機器を支援することは大変喜ばれているというように伺っております。今後とも、ぜひ応援していただきたいと思います。
 私の地元目黒区では、特別支援学校がないんですね。隣接する世田谷区には、光明学園というすばらしい拠点があるんですけれども、この学区域に、目黒区は光明学園の中に入っているんですけれども、通学している知的障害のない、非常に頭の活発な、勉強大好きな医療的ケア児の有名な方がおられます。
 移動支援用の通学バスを、公明党の提案でも、また、都が一生懸命手配していただいておりますけれども、これは教育庁の話ですが、学校看護師が不足していて、バスは用意したものの、看護師が手配できないので乗れないんだということを伺っています。今は、中学部に行って、元気に通えるようになっているようですけれども、そうした担い手がいないことによって、学びの機会などが失われないように、これは局をまたがっておりますけれども、ぜひとも特別支援教育も理解のある訪問看護ステーションが増えるように取り組みを要望しておきたいと思います。
 次に、親の会から大変強く拡充を要望されてきておりましたが、医療的ケア児の保護者の休養や就労等の支援を行う在宅レスパイト・就労等支援事業の取組と、現在の実施状況について伺いたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、重症心身障害児者や医療的ケア児を介護する家族の休養や就労等を支援するため、家族に代わって一定時間医療的ケア等を行う訪問看護師の派遣を行う区市町村に対し、在宅レスパイト・就労等支援事業で支援しております。
 本事業の利用上限時間につきましては、令和五年度から年間九十六時間から百四十四時間に引き上げまして、保護者のニーズに対応できるように拡充いたしました。
 令和五年度は三十五自治体で取り組んでおり、保護者の休養を目的として実施している自治体は十五、休養と就労を目的としている自治体は二十となっております。

○斉藤委員 大変に喜ばれておりまして、先ほどの親の会の方からイの一番にいわれたのは、百四十四時間に引き上げていただいたこと、大変にありがたいというお声でございました。
 そして、実施している自治体を水平的に横に展開していただけるように、しっかりと取り組んでいる自治体の情報をお互い知っていくことが非常に重要だと思います。目黒は、休養と就労、両方目的としている自治体に入っておりまして、ほかの区ともしっかりと情報交換してまいりたいと思います。
 医療的ケア児について随分質問させていただいたんですが、それ以外の障害児の支援についても、一つだけお伺いしておきたいと思います。
 先日、ダウン症のお子様を授かったお母様から、現在から未来に至るまで、これからいろんな困難なことが自分に来るんだろうと、それはもう分かっているんですと。個々の状況に応じた相談を聞いてほしいんですけれども、なかなか窓口がいろいろ多岐にわたっていて、大変苦労していますというお話がございました。
 大変に私は責任を感じたわけですが、サービスがあってもそれが相手に伝わっていない、使えないと意味がない、先ほどの内山理事のお話も、そういうお話でございましたが、そういったサービスをどうやってお伝えしていくかが重要であります。
 このような、障害のある子供を授かった方のご相談を地域で受けられるような体制が必要であります。
 そこで、障害児の地域の相談体制の整備について伺いたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、各区市町村に一か所以上を目標に、地域の障害児支援の中核的施設である児童発達支援センターの設置を促進しており、整備費補助を行っております。
 また、発達が気になる段階から複雑な専門相談まで、障害児やその家族からの相談対応、事業所に対する研修の実施など、センターの取組を支援しております。
 今後も区市町村と連携し、地域における障害児支援体制の強化を図ってまいります。

○斉藤委員 まず、その拠点、センターがあることをお伝えし、そこにつながっていただくことが、まず第一だと思います。
 また、子供の成長段階に必要だとされる行政サービスをワンストップで知るといっても、地域間でいろんな差もあります。差はない方がいいんですが、各地域ごとに頑張っている実態がありますので、各基礎自治体などとも連携を取りながら、例えばハンドブックとか、一覧とか、そういう欲しいというお声がありますが、工夫しながら取り組んでいきたいと思います。障害のある方については、以上でございます。
 次に、私もベビーシッター利用支援事業について伺いたいと思いました。
 先ほどの他の委員とダブってしまうところが一部ありますので、数的なものについては、伸びているということの確認をさせていただいております。
 二つの事業、大きな事業がある中で、待機児童などを対象とするベビーシッター利用支援事業の実績を見ますと、令和二年、三年、四年と見ますと、そんなに大幅に増えていない、二百九十七名、二百九十八名、三百十二人ということで、三百人前後ということでございました。
 それに比較しまして、非常に多く利用実績が上がっているのが、先ほどあった一時預かり利用支援なんですが、令和二年度が二区市で四十四人、令和三年度は九区市に広がり千二百七十三名、そして令和四年度が十五区市で六千三百二人ということで、非常に大きな増え方をしていることが数字から分かります。
 そこで、利用している方々からのお声をちょっと紹介いただければと思うんですが、いかがでしょうか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本事業の利用者からは、子供が慣れた環境で一対一の手厚い保育をしてもらえることが魅力だと思うという声や、保育所の一時預かりだと準備をして子供を連れていくのが大変だったが、ベビーシッターだと家に来てもらえるので、短い時間でも気軽に預けることができ、とても助かっているなどの声をいただいております。

○斉藤委員 大変ニーズとマッチングしていると、こういうふうに変化していくんだなというふうに実感をする事業でございますが、大変、ウクライナの方々にも分かるように、ホームページを見たんですけど、ウクライナ語で案内が書いてありました。非常に私は丁寧だなと思いました。
 ベビーシッター利用支援事業は、全体としては横ばいの印象があったんですが、いやいや、一時預かり利用については、年々実績が増えている、著しい増え方をしているということで、利用増の理由も、今、様々伺ったところでございます。
 多分これは、保育園に預けるよりも時間が非常に短縮して、自分の家に来てくれるわけですから助かるなとかいろいろあると思うんですが、今日の資料の七三ページにございますように、監督の在り方も非常に問われているわけです。質の問題です。
 したがいまして、ベビーシッターの保育の質の確保が重要と考えますが、取組状況について伺っておきたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本事業におきましては、ベビーシッターの質の向上を図るため、事業者の管理責任者向けの研修を行うほか、事業者による保護者宅への巡回訪問やウェブカメラの活用への支援を実施しております。
 今年度は、全ての認定事業者を対象に、認定基準等の遵守状況を確認するため、立入調査を実施いたします。
 今後とも、保育の質の確保、向上に取り組んでまいります。

○斉藤委員 一部質問を割愛いたしましたけれども、ベビーシッターも質が非常に大事だと。せっかく信頼がここまで獲得されているので、一時預かりをぜひ来年度もしっかりと増やしていく方向で、ご努力いただきたいと思います。
 続きまして、MTBIについて質問します。
 またかと思われる委員の方もおられると思いますが、実は乳幼児についても、脳を守ることはとても重要でございまして、乳幼児期の子供の脳を守る観点から、軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIは、保護者の理解が非常に重要であります。
 保護者への啓発にどのように取り組んでいくのか、都の取組を伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIは、頭を強く打ったりする衝撃により発症する脳損傷の一つであり、交通事故やスポーツ外傷のほか、乳幼児を激しく揺さぶることも原因の一つでございます。
 区市町村は、母子健康手帳や国の母子健康手帳情報支援サイトなどを活用いたしまして、乳幼児揺さぶられ症候群について、保護者に注意喚起を行っております。
 都は、医療保健政策区市町村包括補助事業において、MTBIの理解促進に向けた普及啓発等を行う区市町村を支援しております。
 今後、母子保健事業担当者連絡会等の機会を通じまして、この疾患や脳を守る、このことの重要性と併せ、自治体の取組事例を紹介するなど、補助事業の活用を働きかけてまいります。

○斉藤委員 乳幼児の脳は非常に軟らかくて、成人期の脳も非常に回転に弱い臓器といわれていまして、スポーツなどでも、ヘディングなどでも国際的な活躍している選手が出られなくなるとか、あれもまさしく脳の外傷がはっきりしないんですけど、中は大変な状況というのは脳振盪の怖さでもあるんですが、揺さぶりというのは、喜んでいるかと思ってやっているお父さん、お母さんもいると思うんですね。
 知らないことがいかに怖いかということであり、また、冤罪として、実は裁判でも問題になるのが、そういった子供の脳に対するダメージの問題がございます。
 先ほどのベビーシッターの方にも、事業者もぜひ、そういう乳幼児に対して、やっぱり脳が非常に大事なんだということも、ぜひ啓発の中に、そういった事業者も入れていただきたいと思うわけであります。
 保育の在り方は、長らく待機児童の解消に向かって全力を挙げて、都を挙げて知事を先頭に、会派も頑張って先頭に、頑張ってやってきましたけれども、いろんな多様な保育というものが出てまいります。そうした意味でいえば、子供政策連携室とよく連携しながら、今までの既存の、当たり前だと思っているものの壁を打ち破って、例えば年齢の違う子供と一緒にしたらどうなのかとか、非認知能力の話も重要であります、今日は質問しませんけども。
 そういった子供を取り巻く環境は、ますますいろんな多様性を持ってきていますので、子供の脳を守るという点でも、母子健康手帳など、そういったものを通じながら、啓発を行っていきたいと思っています。
 続きまして、ひきこもりについて質問します。
 ひきこもりにつきましても、長らく都議会公明党は取り組んでまいりました。かつては、青少年・治安対策本部ということで、治安対策という言葉とひきこもりの問題が結構イメージ的にセットされて、ひきこもりに入っている方は危ない方、危ないことをするような人たちなんじゃないかというような、非常に二重に心に傷を受けているような声をたくさん伺ってまいりました。
 その後、ひきこもりの長期化や、親の高齢化問題と併せて、八〇五〇問題が顕在化してまいりました。こうした様々な、過去数年にわたる流れの中で、都議会公明党は青少年問題として捉えるだけじゃなくて、対象年齢を引き上げるように提案し、それをすぐ実行いただきましたが、もっと重要なことは、地域の担い手と連携しやすい環境に結びつけられたということで、機構改革の中で、福祉部門と密接に連携できるよう所管を変えていただきました。大変に感謝しております。
 当時の青少年・治安対策本部から、今は福祉局に移管されているわけですけれども、大変に地域とのつながりが深くなってまいりました。
 その結果において、様々、中高年を含めた全世代を対象としたひきこもり当事者や家族への支援が行われていることを高く評価するものであります。
 また、特筆すべきことは、東京都に設けられていますひきこもりに係る支援協議会の中に、当事者の方の声が入りやすくなっているということで、経験者が、その経験を乗り越えた側として、きめ細かい視点を指摘され、非常に重要な提言もなされているところでございます。全国的にも、東京都の提言は画期的であるということで注目されています。
 都はこの提言に基づいて、様々なひきこもり支援、理解啓発の支援体制の充実などを行っているところでございます。
 こうした中、ひきこもりが社会的な問題と認識され、ますます、ひきこもりは誰でも起こり得るものであり、相談してよい悩みなんだという意識については、徐々に都民に浸透してきていることを大変にありがたく思っております。
 しかしながら、一方で、これ、私の区でもそうなんですが、当事者や家族の中には、地元では自分に合った居場所や相談先がないという方がおられまして、これは様々な気持ちがあります。周囲の目を気にされる方もおられます。それは当然です。また、地元では支援を受けたくないというお声を聞いておる現状があります。
 そこで、こうした方々が、地元以外で居場所などにも安心して参加できる支援体制を整備すると考えますが、都の取組を伺いたいと思います。

○中川生活福祉部長 都は、区市町村における地域の支援体制の整備を進めるとともに、都が策定したガイドラインに沿って、都内各地で活動を行う十九の団体と本年四月に連携協定を締結し、これらの団体とも連携しながら、ひきこもりの当事者や家族の支援を行うよう、区市町村に対して働きかけております。
 また、協定を締結した十九団体以外で活動を行っている家族会などの情報を区市町村等から収集し、新規の連携団体を開拓する取組を今年度開始いたしました。
 今後、当事者や家族がそれぞれの状況に応じて、身近な地域はもとより、地元以外でも適切にサポートを受けられるよう、新たな団体との連携に向けた取組などをさらに進め、ひきこもりに係る支援体制の一層の充実を図ってまいります。

○斉藤委員 プライバシーはしっかりと守っていただきながら、そういった相談ができる環境をつくっていくご努力について、ぜひとも共に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、二問だけあるんですが、簡潔に、一つ、まちづくりに関して、お聞きしたいと思います。
 インクルーシブデザインという考え方がありますが、私はずっと取り組んでまいっております。全ての人が円滑に施設を利用できるようにするためには、施設の改修を行う場合、計画段階、企画段階からも、高齢者や障害者等の当事者の意見を伺いながら、利用者の視点に立った整備を検討、実行していくことが求められるわけであります。
 東京二〇二〇大会、オリ・パラ大会のときに、各種競技を行う競技場の建築に当たっては、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえるだけでなく、アクセシビリティ・ワークショップで様々な障害のある方、当事者の方から意見を聞きながら施設整備を進めてきたこと、これは記憶のあるところでございます。大事なことです。
 東京二〇二〇大会を契機として進展したハード、ソフト両面からの様々な取組を都市のレガシーとして発展させるためにも、当事者参画によるバリアフリー整備をより一層進める必要があると考えます。
 当事者参画によるバリアフリー整備をさらに促進するために、今どういう取組をしているかを伺いたいと思います。

○渋谷事業調整担当部長 都は、地域の公共施設、道路、公園が、誰もが使いやすいものとなるよう、東京二〇二〇大会に向けて、ユニバーサルデザインのまちづくり緊急推進事業を創設し、区市町村によるバリアフリー化の取組を支援してまいりました。
 この事業は、施設整備の計画段階から高齢者や障害者などが参加して、使いやすさなどを点検することを条件としており、平成二十九年度から令和三年度までの五年間で十四自治体に補助を行いました。
 令和四年度からは、この成果も踏まえ、区市町村が包括補助を活用して実施する身近な建築物等のバリアフリー化について、当事者点検等を補助の条件として、取組をさらに進めております。
 現在、当事者の意見を設計等に反映する際のポイントやメリット、効果的な先行事例などをまとめたハンドブックを作成しているところでありまして、今後、区市町村との連絡会議などの機会を通じて広く周知し、当事者参画によるバリアフリー化の取組を一層推進してまいります。

○斉藤委員 ソフト面では、情報バリアフリーの話も議論も進んでおりますし、二〇二五年にはデフリンピックが東京で開催されます。
 私の地元目黒、世田谷の駒沢競技場が大きな会場になるわけですが、今つくっているハンドブックには間に合わないと思うんですけれども――私、あえてインクルーシブデザインと申し上げました。ユニバーサルデザインとインクルーシブデザインは違うというふうにたくさん出てくると思うんですが、何が違うかは、ここでやると大変長くなりますので、うんちくは申し上げませんけれども、ぜひともハンドブックの中に、インクルーシブデザインというのは、より障害のある方が実は一番のメインなんですね、ニーズをその方から伺うと。例えば、ジッポーというものが開発されたのは、片腕の方の軍人が、戦争で腕を失って、マッチのように擦らなくてもいいように、片手で火を求めたことがきっかけでできたデザインなんです。
 ユニバーサルは全ての方に役に立つと思ってつくられるんですけど、インクルーシブデザインって、強烈なニーズをいってくれるリーダーがいて、その人のためにやるとみんなが助かるという、その手法がちょっと違うんです。
 ここではいいませんけれども、ぜひ、せっかくハンドブックを作るんでしたら、米印でインクルーシブデザインとちょっと入れていただくなど、お願いしたいと思います。
 最後でございます。子供ホスピスについて、最後、一問だけ伺いたいと思います。
 昨年の制度要望の重点要望として、がん対策の充実を掲げております。その中で、小児がんや難病などの子供とその家族が笑顔でいられる居場所として、東京こどもホスピスの設立に向けて、関係団体等と連携し、都として支援策を図ることを要望しております。知事宛てに団体からご要望もあったと思います。内山理事、ありがとうございました。我が党も頑張って応援しています。
 都は、運営意向のある団体と適宜意見交換を実施しているということですが、現在の検討状況を伺いたいと思います。これで最後の質問でございます。

○山本企画部長DX推進担当部長兼務 いわゆる子供ホスピスは、在宅で療養している子供や家庭に居場所を提供する施設でありまして、病院や療育施設等と異なり、法令等に基づく施設の位置づけがございません。
 都は、都内で施設を運営する意向のある事業者と提供を予定しているサービス内容や支援対象、執行体制、事業課題等について適宜意見交換を行っております。
 今年度、国において、子供ホスピスへの支援や施策の在り方を検討するための実態調査を実施することとしており、引き続き、都内で運営意向のある事業者から話を伺いながら、国の動向を注視しつつ、必要な対応を検討してまいります。

○斉藤委員 検討していくということを最後結んでいただきまして、ありがとうございます。
 しかしながら、その前提として、国の実態調査を行うということですので、国との連携が非常に重要であると。我が党は、竹谷とし子参議院議員が超党派に呼びかけまして、子供ホスピスに向けての法整備についての推進力となっております。その要に、公明党は頑張っております。
 当然、東京都に対してもしっかり頑張ってもらいたいという声が高まってまいりますが、今後も公明党のネットワークを十分に発揮いたしまして、我が党では伊藤こういち都議会議員が中心となっておりますけれども、病気とともに生きる子供たちの願いに応えることを決意申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いします。
 今日は、大きく三つのテーマで質問いたします。まず、介護現場の問題について二点質問します。
 物価、光熱費高騰対策についてです。
 先ほども議論がありました。私は特養ホームなどからお話を聞いてまいりました。特養ホームなどでは、この間の物価高騰、光熱費の高騰の影響を受けて、経営状況はとても厳しい状況です。
 この状況に対するため、東京都は、六月の補正予算で、食費や光熱費への補助として、特養ホーム等物価高騰緊急対策支援金の支給を決めました。
 まず最初に、対象となる施設、対象者、支給金額をお示しください。

○梶野高齢者施策推進担当部長 高齢者施設の中には、食費や居住費について国が利用者の所得に応じた負担限度額を設定している施設や、低所得者が利用する施設としてあらかじめ都や区市町村が利用料の上限額を定めている施設がございます。
 本事業は、これらの制度上、物価高騰分を利用者に価格転嫁できない施設に対し、令和五年四月から九月までの六か月間を対象期間として、物価高騰分に相当する額を支援金として支給するものでございます。
 具体的には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、軽費老人ホーム、養護老人ホームに対し、低所得の利用者の人数に応じて、一人一日当たり百二十八円を交付いたします。

○里吉委員 支援対象期間は四月から九月末までということですが、この支払いの手続、進捗状況について伺います。
 また、なるべく早く支払いをしていただきたいと思いますが、支払いはいつぐらいになるのか、併せて伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 まず、支払いの手続でございますけれども、支援金の申請期間は本年十月下旬から十二月下旬までとなっておりまして、現在、受け付けた申請内容の審査を行っております。
 また、支払いの時期についてでございますけれども、申請内容の審査を完了したものを毎月末に取りまとめた上で交付決定をして、順次交付することとしております。

○里吉委員 支給する人数も、月ごとに人数をきちんと出さなきゃいけないということで、六月に補正予算が組まれましたけれども、九月末までの期限が済んでから、今まさに申込みされていて、これから支払いということです。なるべく早く支払いができるように、ご努力いただきたいと思います。
 しかし、それよりも問題は、九月分までしか支援がないことなんです。食費や光熱費の高騰は続いておりまして、十月以降の支援も必要です。ぜひ検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 本事業は、国の通知に基づき、緊急対策として国の臨時交付金を活用して実施したものでございまして、引き続き国の動向を注視してまいります。

○里吉委員 国、東京都は九月に補正予算を組みませんで、この事業は九月までです。今後も国次第というご答弁でした。
 当然ですけれども、物価高騰が九月で解決したわけではありません。地元の世田谷区の状況を聞きましたけれども、世田谷区内の特養老人ホームでは、二〇二一年度に比べて、二〇二二年度は平均七百五十四万円の光熱費高騰の影響を受けている、中には一・八倍になった施設もあると、そういう深刻な状況です。
 そうした中で、十月以降の支援がなければ、本当に運営は苦しくなってしまいます。もともと特養老人ホームの経営は厳しい状況の中で、光熱費の高騰は続いているわけですから、十月以降も支援は必要ではないかと思うんですね。
 少なくともその必要性について、東京都は認識していると思うんですけれども、そういう認識はあるのかどうかだけ、お伺いしたいと思います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 都は、国の通知に基づき、緊急対策として国の臨時交付金を活用して本事業を実施したものでございます。引き続き国の動向を注視してまいります。

○里吉委員 やっぱり国任せで、東京都としての認識すら示していただけなかったというのは本当に残念です。
 私の地元世田谷区では、区の予算も合わせて計上して、九月にも補正予算を組んでいます。多くの自治体がそうだと思うんですね。広域型特養ホームも地域密着型施設も対象に、年間を通じて支援するそうです。東京都としても、国待ちにするのではなくて、東京都として、物価や光熱費高騰対策の予算を、対象も広げて準備することを求めます。
 先ほど答弁にもありましたけれども、都の事業の対象には、地域密着型施設などは入っていません。また、対象者も低所得者に限られており、入居者全員が対象にはなっていません。
 それ以外の人には値上げをすればよいというお話なのだと思いますが、東京都が行った調査でも、特養ホームで、最近の物価高騰で利用者負担を増額した、または増額を予定している施設数は、三百九十五施設中三十九施設で九・九%、水道光熱費は七施設で僅か一・八%です。値上げは、そうそうできるものではありません。
 さらに、予算は全額国の臨時交付金だけで、都の予算は一円も入っていません。四月から九月の物価高騰対策支援も、はっきりいって全く不十分だと思います。
 東京都は九月の補正予算すら組みませんでした。今回は特別養護老人ホーム等物価高騰緊急対策事業を取り上げましたが、高齢分野だけでなく、障害者の施設や保育園など子供の施設など、どこでも物価高騰の影響を受けていますから、これらの施設へ、東京都として物価高騰対策への財政措置を改めて行うことを強く求めます。
 次に、介護職員の処遇改善について質問します。
 介護職員、介護支援専門員、どちらも今後不足が見込まれています。今も大変厳しい状況が続いていますけれども、そうした中で、処遇改善は本当に大きな課題です。
 東京都は国に対して介護報酬改定について緊急提言を行っていますが、具体的にどのような改善を求めているのか、まず伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は十月に、国に対して介護報酬改定に関する緊急提言を実施いたしました。
 その中で、介護職員の処遇改善について、介護事業者が長期的な視点で介護人材の確保、定着を図れるよう、介護報酬の基本部分に組み込むなど恒久的なものとすることを求めるとともに、介護支援専門員の安定的な確保に向けて、その業務の専門性に見合った給与となるよう、処遇の改善を図ることを求めております。

○里吉委員 私もあの提言を読ませていただきましたけれども、これを読みますと、過去のマイナス改定の影響も大きなものになっている、また、全国の高齢者人口が二〇四三年にピークを迎えるとされる中、東京都においては、二〇五〇年まで高齢者人口が増加し続けると推計されており、そうした高齢者を支える介護人材の確保は、全国と比較しても深刻な課題となっているとありました。私も全くそのとおりだと思います。
 ところが、厚生労働大臣は、介護職員の賃上げについては月六千円程度が妥当と発言し、一桁足りないという批判が上がっています。こうした状況ですから、私は、やはり東京都独自の対策も考えるべきと申し上げたいと思うんです。
 東京都として、独自に介護職員の賃金引上げにつながる支援の検討をすること、また、宿舎借り上げ事業については一戸当たり四年間の上限を撤廃すること、延長することや、対象職種を拡大するなどの改善が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護職員の人件費を含め、介護サービス事業は介護報酬等により運営されることが基本であり、都は国に対して、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、先ほど述べました緊急提言を含め、繰り返し要望しております。
 今月決定された国の総合経済対策では、医療、介護、障害、福祉分野における人材確保に向けて、賃上げに必要な財政措置を早急に講じるとされております。
 また、介護職員宿舎借り上げ支援事業についてでありますが、都は、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化を目的に実施しており、令和四年度からは、補助対象を福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加え、区市町村と災害時協力協定を締結した事業所やその他の在宅サービス事業所にも拡大しております。

○里吉委員 宿舎借り上げ支援事業については、一歩一歩改善が進んできたのは重要だと考えます。しかし、最も使いやすい保育分野の宿舎借り上げ支援事業と比べると、実績にはまだかなり差がありますので、さらなる改善も求めておきたいと思います。
 また、グループホームなど地域密着型サービスについては、包括補助で二分の一補助を東京都として出していますが、取り組んでいる自治体は、昨年度九区市だったと伺っています。
 今年度は伸びているのかどうか伺います。

○花本高齢者施策推進部長 認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービスについては、宿舎借り上げ支援に取り組む区市町村を包括補助により支援しておりまして、今年度は十一区市が申請しております。

○里吉委員 十一区市に、少し数が増えているということなんですが、先ほど来お話ありましたけれども、この宿舎借り上げ支援事業、介護職の処遇改善としても本当に喜ばれている事業です。
 一方で、地域密着型サービスについては、二分の一補助となっているため数が少しずつ、今増えていますけれども、中身を見させていただきますと、多摩地域ではほとんど取り組まれていないのが実態です。
 また、同じ介護の現場で働いているのに、事務職などの方はその対象にならないなど、さらなる改善が求められると思います。ぜひご検討していただきたいと思います。
 そして、根本的には、やはり賃金の引上げも含めた処遇改善がないと、介護職員も介護支援専門員も深刻な人手不足を解消することはできないと思います。
 厚生労働省の雇用動向調査によりますと、二〇二二年には離職した人が新たに働き始めた人を上回った、就業者が前年より一・六%減ったとありました。東京都も緊急提言で触れていましたけれども、他の職種の賃金と比べて介護分野では値上げが進まず、よりよい待遇を求めて転職する人が増えているのではないかと思います。
 厚生労働省の集計でも、第八期介護保険事業計画に基づいて、二〇二〇年度までの状況のまま推移した場合の介護職員不足の数、このトップは断トツ東京都であり、東京都として、直接賃金引上げにつながる支援を検討することを改めて強く求め、次の質問に移ります。
 次に、失語症のコミュニケーション支援について伺います。
 高次脳機能障害の皆さんには、様々な目に見えない障害があります。その中の一つ、失語症について今日は質問してまいります。
 失語症とは、脳卒中や頭部外傷などが原因の脳の機能障害で、症状は様々で、全国におよそ五十万人いるとされています。話す、聞いて理解する、書く、読むなど、言葉に関わる機能が失われ、周囲とのコミュニケーションを取ることが困難となる、見た目では分かりにくい障害です。
 聴覚障害の方のコミュニケーション支援として手話通訳者や要約筆記者がいるように、失語症の方々が日常生活や社会活動を行うには、意思疎通支援者の方が必要です。
 どこで暮らしていても支援が受けられるようにしてほしいというのが、当事者や家族の皆さんの当然の願いです。しかし、現在は、地域格差が大きく、自分の住む自治体で意思疎通支援事業が実施されていなければ、このサービスは受けられないのが現状です。
 現在、東京都が失語症の方への支援を行っていることは重要ですが、速やかに都内のどこに住んでいても必要な意思疎通支援が受けられるようにと、さらなる支援を求めて、今日は質問したいと思います。
 まず、失語症の方のコミュニケーション支援の必要性についての都の認識と、現在、都はどのような失語症への取組を行っているのか伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 失語症を有する方の社会参加促進のためには、意思疎通支援が必要であり、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業におきまして、区市町村は失語症者向け意思疎通支援者の派遣事業、都は意思疎通支援者の養成事業を行っております。
 都は、これに加え、失語症者向け意思疎通支援モデル事業において、会話支援等を行うサロンを試行的に設置してございます。

○里吉委員 意思疎通支援者を東京都が養成する、区市町村は、まだ一部ですが、派遣を行っているということが分かりました。
 そこで、まず大切なことは、どれだけの支援者が養成できたのかということですが、東京都の取り組んでいる失語症者向け意思疎通支援者養成事業、ここでは、これまで何人の失語症者向け意思疎通支援者の養成ができたのか、研修を終えた支援者の皆さんはどのような活動に取り組んでいるのか伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 失語症者向け意思疎通支援者養成講習会の修了者数は、令和四年度までに、必修基礎コースが百二十三名、応用コースが三十九名となってございます。
 講習会の修了者は、区市町村における派遣事業や、都が試行的に設置しているサロンにおいて意思疎通支援者として活動しております。

○里吉委員 応用コース受講者の方は、多分必修基礎コースの受講者の方と重なっていると思いますので、今のご報告ですと、実際に支援者として活動できる方は、百二十三名が最大数だと思います。
 しかし、なかなかこれが皆さん活動できているかというと、そうでもないんです。意思疎通支援者として活動している方に、私、お話を聞きました。都内で実施しているのは、今、自治体ごとにありますけれども、今年度開始含めても、自治体の中で僅か八区市町にすぎません。八つの自治体でしか、これをやってないんですね。ですから、せっかく意思疎通支援者、これを受講したんだけれども、地元や近隣の自治体で派遣事業をやっていないために活動の場がないと、こういう方もいらっしゃると聞きました。
 派遣事業の実施が広がらない中で、東京都がモデル事業を行っていることは本当に大事だと思いました。当事者の方や支援者の方が参加できるのが、都がモデル事業でやっている失語症サロンです。
 失語症者向け意思疎通支援モデル事業、この都の失語症サロンは、どのような目的で取り組んでいるのか、実際の取組内容、参加人数、また、同行支援事業も行っているということを伺いましたが、内容と実績について伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、会話支援等を行うサロンを試行的に設置し、そのノウハウを区市町村とも共有することで、区市町村における失語症者向けの意思疎通支援の取組を促しております。
 会話サロンでは、設置したコーディネーターが、失語症当事者の障害特性に合わせて適切な意思疎通支援者をマッチングし、意思疎通支援者が失語症当事者の個別ニーズを把握した上で、外出同行支援に結びつけております。
 会話サロンの参加人数は、令和三年度が延べ二十三名、令和四年度が延べ百五十七名、令和五年度が十月末時点で延べ百七名、外出同行支援の実績は、令和四年度が一名、令和五年度十月末時点が延べ七名となってございます。

○里吉委員 これ、資料も読ませていただきましたけれども、二十三区と多摩地域でそれぞれ一か所ずつ、毎月一回行っていますから、年間、単純計算で年二十四回の失語症サロンが開催されているということになります。
 私がお話を伺った意思疎通支援者の方も、ここに参加すれば学んだことが生かせるということで、ご自分の地元では派遣事業をやっていないんですけれども、できる限りこの失語症サロンに参加しているというふうに伺いました。
 失語症当事者の方も、お住まいの自治体で派遣事業が実施されていなくても、ここに来れば意思疎通支援者の方に出会うことができますし、ここでうまくマッチングできれば、その後、外出同行支援も経験されるということができて、今年度はこれまで延べ七名の方がいらっしゃるということで、これ、本当に進めてほしいなというふうに思いました。
 ここで、東京都の方でもいろいろつかんでいらっしゃると思うのでお伺いしたいんですけれども、この意思疎通支援者養成講座を受けられた方のお声や、失語症サロンに参加した方から寄せられている感想など、東京都がつかんでいるものがあればお伺いしたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 講習会を受講された方からは、失語症者の現状やコミュニケーション支援の必要性を学ぶことができた等の感想が寄せられております。
 また、会話サロンの参加者からは、話をじっくり聞いてもらえる、意思疎通支援者がいれば買物に行けるということが分かったなどの感想が寄せられております。

○里吉委員 どちらからも本当に喜ばれているということが、今、少ない感想でしたけれども、私もよく分かりました。
 支援者派遣事業では、お買物以外にも、スマホ教室に行ったり、病院に利用されていると伺いました。当事者の方とご家族で病院に行くと、お医者さんはご家族の方とばかりお話をしてしまうということなんですね。しかし、支援者の方と当事者の方が行くと、意思疎通支援者の方を通じてご本人の話を先生に伝えることも支援してくれるし、自分の病気のことで自分が知りたいことを聞けると。これ、本当に喜ばれているそうです。
 東京都のモデル事業も一部外出同行支援を行っていますが、ぜひ目指していただきたいのは、目指すべきは、東京都の失語症サロンに参加しているかどうかにかかわらず、やっぱり地域で派遣事業を利用して、こういうことができるようにすることだと思います。
 当事者の方にとって一番困るのは、自分の住む自治体で派遣事業をやっていなければ、この支援を受けられないということなんです。先ほど、モデル事業の目的についての答弁でも区市町村における取組の促進とありましたが、本当にこれを一日も早く進めていただきたいと思うんです。
 お伺いしますけれども、失語症サロンや意思疎通支援者の派遣などは各地域に広げるべきものですが、今、今年度開始見込みも含めて八自治体にとどまっているということで、これ、区市町村を支援して、早く全地域に広げる必要があると思いますが、都の取組について伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、区市町村職員を対象とした失語症サロン見学会の実施をはじめ、区市町村向け失語症連絡会の場で事例紹介や意見交換を行うことにより、区市町村における失語症者向けの意思疎通支援の取組を促しているところでございます。

○里吉委員 都としても、頑張っていただいていると思うんですが、私がお話を聞いた支援団体の方は、自治体の担当者の方に要請に行っても、うちの自治体に失語症の方がいるかどうか分からない、こんなことをいわれたこともあるという話も聞きました。
 東京高次脳機能障害協議会の方々からは、都内何か所かの総合的な派遣事業所をつくるという提案も出されています。つまり、全自治体にすぐには広げられないから、幾つかの自治体で一か所でもいいから、自分の住むところの近くでつくってほしいということだと思うんです。取り組む自治体を増やすための特別の手だても取っていただきたいと思います。
 また、失語症となった方に、病院で必ず、都の失語症サロンや各自治体で意思疎通支援者派遣事業が取り組まれているということも話していただいているということなんですが、これ、本当に徹底していただいて、支援に結びつくようにしていただきたいと思います。
 そして、この事業をさらに進めるためには、やっぱり意思疎通支援者を東京都の責任で増やしていくことが重要です。
 東京都の取組、毎年必修基礎コースの募集が四十人程度と聞いていますが、申込みの数を聞きますと、結構二倍を超えている年もたくさんありました。少なくとも希望者全員が講習会を受講できるようにしていただきたいと思います。
 東京都として、さらに多くの支援者を養成する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木障害者施策推進部長 本講習会は、質の高い意思疎通支援者の養成に向け、受講生が実際に失語症者と接する機会を設けているほか、専門職である言語聴覚士に講師を依頼するなど、様々な方々の協力を得ながら、丁寧に事業を実施しているところでございます。

○里吉委員 質の高い支援者を養成するために、実習を行ったり、丁寧に取り組んでいることはよく分かりました。しかし、さらに多くの支援者を養成する必要については、お答えがありませんでした。
 さらに広げるために、クリアすべき課題はあると思いますけれども、やはり支援者養成、この数を増やしていく必要性はあると思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木障害者施策推進部長 繰り返しになるところもございますが、本講習会は、質の高い意思疎通支援者の養成を目的としてございます。
 そのため、研修の実施に当たっては、実際に失語症の方に来ていただいて接してもらう機会を設けているほか、仕事をお持ちの言語聴覚士の方に講師をお願いしたりなど、様々な方々の協力が必要でございます。
 引き続き、丁寧に事業を実施してまいります。

○里吉委員 今、途中だと思うんですよね。一生懸命申し込んで支援者になった方、でも、自治体では派遣事業をやっていないので仕事できない、支援事業できないという方がいて、もう一方では、自分は支援を受ける対象だと分かっているのに、自分の自治体ではやっていないので支援を受けられないと。
 こういう状況ですから、どっちを先にするかという問題はあると思うんですけれども、派遣事業が全ての地域で行われるようになれば、潜在的に失語症でこの派遣事業を使いたい、必要としている人たちが増えてくることは自明の理です。多くの意思疎通支援者の方が絶対に必要になってくるわけです。ですから、そうした先のことも想定して、ぜひ養成を進めるためのいろいろな工夫、ご努力していただきたいと思います。
 それから、この問題の最後に、東京都の失語症サロンが行われていて、これ、全域から参加できて大変喜ばれているんですが、身体障害者手帳を持っている失語症の方が対象になっています。高次脳機能障害の方の中には、こういう手帳を持っていない方もいらっしゃいますし、手帳を持っていなければ参加できないというのはおかしいと思うんです。
 身体障害者手帳を持たない失語症の方も、都の失語症者向け意思疎通支援につなげるべきだと思います。対象にすべきだと思いますが、見解を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 失語症は脳の損傷等によって生じる症状であり、一人一人症状が異なっているため、身体障害者手帳によって障害特性を正確に把握しております。
 事業の対象者拡大につきましては、引き続き慎重に検討すべきと考えてございます。

○里吉委員 脳の障害だということが分かることは大事なのかもしれないんですが、身体障害者手帳を持っているかどうかということと、その方が意思疎通支援を必要としているかどうかというのは、やっぱり別問題だと思うんです。
 日本失語症協議会の方々からも、手帳認定のない軽度な失語症者も公的な用件や通院など込み入った会話には意思疎通が困難な場合も多く、病院での誤診や役所での混乱等、事例が発生していますと、こんな話も伺っています。
 障害者権利条約に基づいて人権保障を進めるのであれば、今現に困難に直面している、こういう方々の支援をするというのがあるべき姿だと思うんです。ですから、今、慎重に検討ということでしたけれども、ぜひ身体障害者手帳を持っていない失語症の方も支援が受けられるように、改めて検討していただくように要望いたしまして、この質問を終わりたいと思います。
 最後に、家族会について質問します。
 要介護者や障害者など、ケアの必要な家族を支える方々、ケアラーと呼ばれますが、このケアラーを支えること、ケアラー支援がいかに大切かということを、私は様々な家族会の活動を通じて学ばせていただくことがたくさんありました。
 無償の家族介護者であるケアラーは、家族が介護することが当たり前といった考え方が社会に根強く存在する中で、家庭内の問題を外部に相談しにくい方もいます。また、どこに相談してよいか分からない問題や、もやもやした不安などを抱えていることも多いんです。
 そんな中、同じような境遇にあるケアラーが情報交換したり、悩みを出し合うことで支え合うことができる、その一つの形が家族会だと思います。
 私も、ひきこもり家族会や認知症家族会、様々な家族会の方々のお話を聞いてきましたけれども、こういう皆さんが様々な障害ごと、そのカテゴリー、いろいろありますけれども、皆さん家族会をつくって活動しています。どの家族会の活動も、当事者に寄り添って伴走する家族の皆さんにとって、かけがえのない存在となっています。
 そんな中で、今日は精神障害者の家族会について取り上げたいと思います。
 都内には各地に精神障害を持つ方々の家族の会、家族会をつくって活動していますが、この精神障害者の家族会の活動の意義について、まず、東京都はどのように認識しているのか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 家族会は、精神障害者の家族としての思いや悩みを共有し、様々な情報を交換することで、障害当事者本人やその家族を支える役割を担っていると認識しております。

○里吉委員 精神障害者の家族としての思いや悩みを共有でき、本人や家族を支えてくれる、本当にそれが家族会だと思うんです。
 私の地元世田谷区には、さくら会という精神障害者の家族会があります。そのホームページを見ますと、こんな文章が載っているんですね。とてもすてきな文章なので、ちょっと紹介したいと思います。
 眠れない、昼夜逆転している、周りから悪口をいわれていると感じている、音や周りに過剰に過敏になっている、今まで優しかったのに急に攻撃的になった、何といっていいか分からないが今までと明らかに様子が違う、もしかしたら精神の病気かもしれない、医療につなげたいがどうしていいか分からない、精神の病気かもしれないが周りに誰も相談できる人がいない、医療にはつながったが、家族としてどう対応したらよいか分からない、こんなに大変な思いをしているのは自分だけだと思ってつらいなど、こんなときは、ぜひさくら会にご相談ください、同じ体験をしてきた家族があなたと共に歩んでいきます、こういうメッセージがトップ画面の方に載っているんです。
 家族会ならではのメッセージだと思いました。精神障害者の方にとって、もちろん医療とつながることや行政の支援も欠かせませんが、日常の生活の上で起こる様々な困り事やもやもやを解消するのに、本当に家族会は大切な役割を果たしていると思います。行政では代わることのできない役割を果たしていると思います。
 都の精神福祉行政の中でも、家族会の皆さんと協力して取り組んでいる事業が幾つもあると伺っていますが、どのような事業に取り組んでいただいているのか、その目的や実績について伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、精神障害についての正しい知識の普及が進むよう、都全域で活動している家族会に、講演会の開催、本人や家族に対する個別相談や地域巡回相談等を委託し、実施しております。
 また、当事者や家族の声を施策に反映するため、都の精神保健医療に関する様々な会議の委員として、家族会からも参加していただいております。

○里吉委員 精神障害とは何かという、そういうことの普及から、相談活動、都の精神保健医療に関わる会議の委員まで、幅広く活動していただいているということが分かりました。精神障害の当事者や家族が生きやすい社会をつくっていく上で、かけがえのない、準公的な役割も担っているということが分かりました。
 この精神障害者の家族会は、地域ごとに幾つもの家族会があって、今ホームページを見ますと四十七あると書いてありましたが、この中核となるのが都道府県の家族会です。
 大変頑張って活動しているんですが、この家族会が活動していくのには、当然様々な苦労もあって、現在、東京都の家族会の皆さんからは、こんな相談が寄せられています。会員による会費で家賃を賄っている、今、民間のアパートを借りていますが、事務所維持が大変厳しいということなんです。
 そこで、いろいろ調べてみますと、例えば、神奈川県家族会は神奈川県の精神保健福祉センター内に事務所がある、埼玉県家族会も障害者交流センターというところに事務所があるということが分かりました。こういうところだと、多分、家賃がかからないと思うんです。
 東京都として、こういう東京都の中核となる家族会が事務所を維持するために、何らかの支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 家族会が障害当事者本人やその家族を支える役割を担っていることは承知しておりますが、自主的な活動を行っていただいている団体でもありまして、事務所維持に関する特段の支援については、予定しておりません。

○里吉委員 事務所維持について特段の支援は予定していないと、大変残念な答弁ですが、これまで質疑してきましたように、東京都の精神保健行政の一端を担っていただいている家族会ですから、活動が困難となれば、東京都としても困るのではないかと思うわけです。ですから、事務所維持のために東京都として何ができるか、ぜひ考えていただきたいと思います。
 その一つとして、今、事務所を維持するために、皆さんから会費を集めている、実際には、精神障害者を抱えている方の家族で家族会の存在を知らない方もたくさんいらっしゃると思いますから、家族会の会員を増やすということは、精神障害者を抱える当事者やご家族の方にとっても、そしてこの会にとっても大事なことだと思うんです。
 私も区議会議員時代から精神障害の家族の方の相談に乗ってきましたけれども、意外とこの家族会の存在を知らない方が多いんです。四十七ある都内の家族会は、電話相談はじめ様々な活動をしていますが、はっきりいって、十分な広報ができているとはいえない状況なんです。
 東京都としても、この家族会の存在を広く皆さんにお知らせする広報に取り組んでいただいていると思いますが、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後の取組についても伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 都が作成している冊子に、相談機関として家族会が電話相談等を実施していることを紹介するとともに、家族会一覧表を掲載しておりまして、都のホームページにも掲載しております。
 また、家族を対象とした講演会や相談の機会を捉えて、家族会の役割等を周知し、案内しております。

○里吉委員 都が作成している冊子に家族会の一覧が載っていると。多分、保健所や保健センターなどに置いていると思うんですが、冊子ですから、これ、限られた場所にしか置いていないと思うんです。
 東京都のホームページにこの冊子の中身を載せているということなんですが、私も昨日からずっと東京都のホームページをいろいろ探したんですけど、見つけられませんでした。多分どこかに載っているんだと思うんですが、見つからないんですね。これでは広報しているというふうにはいえないと思うんです。
 それから、最近は情報をネットで調べることが多いので、例えば、精神障害者、家族会、東京とたたいたら東京都のホームページのところに行くような、それぐらいのことはぜひしていただきたいと思います。
 さくら会さんは本当にすてきなホームページをつくっていて、精神障害者、家族会、世田谷区とたたいたらすぐに出てくるんですけれども、そうやって探してみましたら、ホームページを持っていないところもありますし、本当に様々な活動をやられている大事な会なんですが、皆さんの目になかなか触れないということです。
 ですから、ぜひ東京都としてできること、それくらいはぜひ、すぐできると思いますので、やっていただきたいと思います。
 本当に、精神障害者の当事者や家族の方が病院や行政以外に障害のことや日常のことなどを相談できる場所として大切な役割を果たしていますから、必要な方に情報が届くような都の取組を改めて求めまして、質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間の休憩をいたします。
   午後三時四十四分休憩

   午後四時開議

○あかねがくぼ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○鈴木委員 私からは、大きく四点、ご質問させていただきたいと思います。
 まず、東京おこめクーポン事業についてでございます。
 こちらは、物価高の影響を受けやすい低所得者に対して、お米や野菜などの食品と引換えのできるおこめクーポンを配布した事業です。既に終了した事業でございますが、どうしても気になることがございますので、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この事業、そもそもなんですけど、何で現金を給付するのではなく、お米を給付されたんでしょうか。ご説明をお願いします。

○中川生活福祉部長 本事業は、物価高の影響を特に受けやすい低所得世帯を食品の面から支援するものであり、食品を配送することで、必要とする方に適切な生活支援を行うこととしたものでございます。
 また、お米を中心とした食品を自宅に配送することで、高齢者等の買物に係る負担の軽減を図ることとしたものでございます。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 お金を配れば食品も買えますし、買物に係る負担というのも、これだけネット販売が盛んな時代に、ちょっとよく分からないなという気もするんですけど、次の質問に行きたいと思います。
 現金ではなくお米という現物を支給することで、どの程度の事務コストが余計に発生したのか、聞かせていただきたいと思います。

○中川生活福祉部長 本事業の予算額は約二百九十六億円でございまして、このうち事務費については、申込み受付業務などの都の委託業務費と区市町村の事務経費を合わせて約四十八億円でございます。

○鈴木委員 質問は、現金給付との比較でご質問させていただいています。

○中川生活福祉部長 現金給付については検討していないため、当該経費については試算を行ってございません。

○鈴木委員 これだけお金をかける事業ですから、現金給付なり、ほかの方法論を検討してから最善の方法を選ばれるべきだと思うんです。正直、検討すらしていないということをとても驚きました。
 現金給付の場合でもそれなりにコストがかかるんだと思うんですけれども、比べられないので残念なんですけど、とはいえ四十八億円、全体の総事業費の二割弱が手続のコストとして消えてしまったというのは非常に残念で、本当に費用対効果に適した方法だったのかなと、強い疑問を感じているところでございます。
 加えて、地元でもいろんなお声をいただいています。例えば、一人ではお米二十五キロも食べ切れないよとか、水煮の野菜パックがまずい、他県のようにお米券にしてほしかったとか、支援対象者のニーズに合わない部分もあったんじゃないのかなと。これ、今回のサービスが悪かったというよりも、現物にこだわる以上、こういうフィードバックはやっぱり避けられないんだろうなというふうに思うんです。加えて、お米事業者に対する民業圧迫なんじゃないかというお声もいただいています。
 こういうことを考えると、現金給付に比べて費用対効果が著しく劣ると思うんですけれども、担当部門としては、今回のこの現物給付という手法をどのように総括されていらっしゃるんでしょうか。

○中川生活福祉部長 この事業は、食品を配送することで物価高の影響を特に受けやすい低所得世帯の生活を支援するとともに、買物に係る負担も軽減するものでございまして、多くの方に利用していただいたものと考えてございます。

○鈴木委員 多くの方にご利用いただいたからオーケーというお話なんだと思うんですけど、それだとあまりにも進歩がないんじゃないのかなというふうに思います。
 実際、ネットでの評判を見てみると、私が実際地元で聞いた声とほとんど同じでございまして、もちろんよいお声もあるんですね、東京都からおこめクーポンの支援物資が届いた、ありがとう東京みたいな、そういう書き込みも散見されます。
 ただ、これは現金を配布した場合も同じフィードバックがいただけたはずで、悪い評判については、これ、現物給付だから起こってしまう評判ばかりだなというふうに感じました。
 物価高に苦しむ低所得者世帯を応援したいと、目的は非常に私も正しい、賛同できることでございますが、方法論が問題があったんじゃないのかなというふうに思います。限られた資源の中で最大限の効果を狙うんだという意識を持って政策立案からやっていただければ、こんなことにならなかったんじゃないかなと、以後の教訓にしていただければと思います。
 続いて、〇一八サポートについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 こちらもさきのおこめクーポン事業と同様の疑問を持っておりまして、こちら現金給付の事業なんですけど、費用対効果の観点から、果たして、これ方法論として正しいのかなという思いを持っているところでございます。
 まず一つ目の質問でございますが、そもそも本事業の目的は何なんでしょうか。どのような具体的な効果を期待されているんでしょうか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 〇一八サポートは、少子化対策の一環として、子供一人一人の成長をひとしく支えるため、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を支給するものでございます。

○鈴木委員 これだけのお金を使う事業の割に、ちょっと目的が曖昧だなという感想を持ちました。
 この本事業、子育て支援、応援したい、負担を減らしたい、目的には大いに賛同できるものでございます。しかし、東京都が基礎自治体と連携せずに独自に事業を行うために、莫大な事務コスト、都民の申込み手続が煩雑になる等の問題が現在進行形で起こっているところでございます。
 国の児童手当に上乗せするとか、基礎自治体に事務手続を行っていただく、広く連携をして事務手続をシェアしていただく等の方法は検討されなかったのでしょうか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 〇一八サポートは、子供の保護者等が受給する児童手当とは異なり、子供本人を対象とした施策であり、給付金は子供本人の収入となります。
 本事業はゼロ歳から十八歳までの全ての子供を対象としており、都が実施主体として、区市町村の意見も聞きながら実施しております。

○鈴木委員 何度もそのご説明を伺っているんですけど、正直、ささいな違いにこだわって、なぜそこまで東京都が独自でやることにこだわって多くのコストをかけようとされているのか、理解できないところでございます。
 最後、〇一八サポートについてご質問なんですけど、これ、二〇二四年以降も継続されるかどうか未定ということなんですけど、もし一年だけの事業ということだと、子育て世代のマインドを変えることができずに、全くこう、まあ目的が曖昧なのでよく分からないんですけど、子育て支援政策としての効果を期待できないんじゃないかなというふうに感じます。その点、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都としては、引き続き、子供一人一人の成長を支えていく観点から、国の動向などを見定めながら予算編成の中で検討することとしております。

○鈴木委員 費用対効果を考えて、これだけのお金を投じるのであれば、都はこの事業をこれからずっとやっていきますから、皆さん安心して子供を産んでください、子育てしてください、そう打ち出すのが一番費用対効果の高い方法だと思うんです。
 もし、この事業、始めたんだけど、始めてすぐに打切りになってしまったということになってしまうと、私、正直もう逆効果になるだろうなと、やらない方がよかったという事業になりかねないなというふうに思っているところでございます。手法についてはいろいろとこれから改善を進めていっていただきたいとは思うんですけれども、ぜひ、始めた以上は恒久化されることを求めていきたいと思います。
 続きまして(発言する者あり)いや、だから方法論なんですよね。費用対効果の高い方法を、やっぱりしっかり求めていくべきだと思います。
 三つ目です。介護施設の経営支援についてお伺いをしたいと思います。
 地元の介護施設の経営者の方々から、こういうお声をよくいただきます。介護施設は、サービス価格が法律で決められている上に、従業員の人件費が総売上げの七割程度を占めるため、従業員の給与を上げる余地がほとんどない、そもそも他業界に比べて給与も雇用条件も悪い上に、昨今の日本全体の人件費上昇を考えると人材確保は困難で、廃業を考えざるを得ないという声を、ご指摘をいただいているところでございます。
 本日の多くの方々の質疑にもあった同様の問題意識が含まれていたというふうに理解しているところでございます。
 本来であれば、国が介護報酬を見直すなどして構造的な改革に取り組むべきと思いますが、それが進まない中で、東京都が独自に介護職員就業促進事業や宿舎借り上げ支援事業によって介護施設をサポートしていることについては、一定の評価をさせていただいているところでございます。
 まず一つ目の質問でございますが、東京都としては、上述のような事業者の声をどのように受け止めていらっしゃるのか、率直なお考え、方針を聞かせていただきたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 介護サービス事業は、介護報酬等により運営されることが基本であり、都は、介護現場の声も受け止め、国に対し、先月、介護報酬の改定に関する緊急提言を行い、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とすることを要望しております。
 また、都は、介護人材の確保、定着、育成に向け、職場体験や資格取得支援のほか、働きながら資格取得をすることを支援する事業者や、介護職員の宿舎借り上げを行う事業者への支援など、様々な取組を行っております。

○鈴木委員 要するに、こういった事業者の声をほぼ共有していただいているのかなというふうに理解をさせていただいております。
 都の様々な取組の中でも、介護職員就業促進事業は、未経験者の雇用を進める上で重要な役割を担っている事業であると認識をしております。私も、地元の事業者の方々からのよい評価をいただいているところでございます。
 ぜひ本事業を今後も強化していっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

○花本高齢者施策推進部長 都は、介護サービスを担う多様な人材の参入促進を目的とした介護人材確保対策事業の一つとして、介護職員就業促進事業を実施してきました。
 主に介護の仕事の未経験者が、有期雇用契約の下で働きながら介護職員初任者研修等を受講することを支援しております。
 引き続き、この事業をしっかりと行っていきたいと思っております。

○鈴木委員 ぜひ引き続き推進をしていただきたいと思います。
 未経験者の方々にこの業界に入っていただく、とても大切なことだと思うんですけれども、やはり一番大切なのは、現場の介護職員の方々の実質的な給与、待遇を他業界に劣らない水準まで引き上げていくことだと思います。都には、ぜひそのための取組を今まで以上に注力をしていただきたいと思います。
 最後に、滝山病院についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 滝山病院の虐待事件につきましては、我が会派からも様々な提案をさせていただいているところでございます。
 まずは、虐待事件発覚後に転院を希望される患者の方々が多くいらっしゃったと思うんですが、その方々へのケアについてお伺いをしたいと思います。
 事件発生後から現在まで、転退院を希望する患者への対応はどのように行われ、その結果、何名の患者が転退院し、現状、何名の患者が残っているのか、教えてください。

○新田障害者医療調整担当部長 滝山病院では、虐待事件が発覚した本年二月時点で百四十五名いた患者のうち、十月末までに四十名が転院や退院をしております。
 また、都は、東京精神保健福祉士協会の協力を得て、身寄りがないなど自ら転退院先を見つけることが困難な入院患者の転退院の支援を行うこととし、本年五月以降、福祉事務所が面談等を行っている方を除く約七十名の方を対象に、転退院に関する意向調査を行いました。
 このうち、約半数の方が転院や退院を希望し、現時点で十名が転院し、二十六名が入院を継続しております。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 あれだけの虐待事件が続いてきた中で、なかなか発覚しなかったと。その背景には、患者の方々の立場の弱さの問題があるというふうに理解をしています。
 そういった中で、なかなか自分の希望を伝えにくい、いいにくいという状況もあるかというふうに思うんですけれども、患者の意向の確認というのは具体的にどのように行われていらっしゃるんでしょうか。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、東京精神保健福祉士協会の協力を得て、自ら転退院先を見つけることが困難な患者に対して個別に面会を実施しまして、転退院に関する意向の調査、意向の確認を行っております。

○鈴木委員 ぜひ、自ら転退院を希望するというところ、どうやって線引きされているのか分からないんですけど、なるべく広く多くの、漏れのないように、そういった思いを心に持たれている方を見逃さないように、しっかりと面談をやっていただきたいなというふうに思います。
 最後に、転退院の意向が確認された場合、どのように具体的に対応されているのか、教えていただきたいと思います。

○新田障害者医療調整担当部長 滝山病院には長期の入院の患者も多く、心身の状況等からも直ちに地域で暮らすのは難しいことから、都は、東京精神保健福祉士協会の協力を得て、本人の意思を確認し、まずは地域移行支援に取り組んでいる病院への転院を進めております。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 繰り返しになるんですけれども、なかなか自分の思いをいいやすい方々ばかりではないというふうに理解をしております。私の地元からも入院されていらっしゃる方が何名かいらっしゃいまして、心配されるお声を多くいただいているところでございます。
 ぜひ十分なケアを続けていただきますこと、ご希望を伝えさせていただいて、私の質問を終了させていただきたいと思います。

○上田委員 すみません、資料の方を配らせていただきました。滝山病院です。
 立入検査が少な過ぎると上田が鳴らし続けた警鐘が無視された結果、滝山事件が起きました。NHKの報道でようやく全国的な問題になったものの、軽々に組織風土が改善するわけがないことは骨身にしみて分かっておりますことから、油断することなく伺います。
 資料、49、52で確認しました。今の滝山病院に病床が何床あるかを明示の上、事件発生の二月から直近までの月ごとの入退院患者数、現時点の転退院、地域移行希望者数、実際に何人が、希望かなわず残っている患者さんは何名なのか、病床稼働率、転院や地域移行がかなった場合の行き先について伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 滝山病院の医療法に基づく許可病床数は、精神病床二百五十五床、療養病床三十三床、合計二百八十八床です。
 滝山病院において、令和五年二月十五日以降、令和五年十月末日までの新規入院患者数は八人、転院及び退院者は四十人であり、十月末時点における許可病床数に対する入院患者の割合は約二九%です。
 退院や転院後の行き先は、自宅や他の精神科病院等です。
 なお、都が転退院の希望を確認した入院患者のうち、十月末時点で滝山病院に入院している患者は二十六人です。

○上田委員 希望がかなっていない患者さんへの即時対応をお願いします。
 資料、52によれば、これは六三〇調査なんですけど、その年の六月一か月だけの調査なので、毎月死亡退院平均は七・七名と推測できます。今年に入って、死亡者数は二十九名ということです。
 高齢、慢性腎不全を理由としていますけれども、年代別に死亡原因の内訳を明示の上、滝山の死亡退院数が多過ぎないのか、所見を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 死亡された方二十九名は、五十歳代から九十歳代までであり、高齢な方が多かったことに加え、慢性腎不全などの疾患を抱えた方が多かったことを把握しております。
 なお、精神科病院の退院者の合計に占める死亡退院者の状況は、病院の規模や機能、入院患者の状況によってそれぞれ異なっております。

○上田委員 引き続き注視したいと思いますけれども、精神病院は病床稼働率が八割を切ると経営が危ないといわれておりますけれども、先ほどの答弁では二九%です。
 経営的な課題はないのかあるのか、伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 病床の稼働率は、病院の規模や機能、患者の状況によって様々であり、経営の状況が患者の処遇に影響していないかなど、病院の運営状況については、立入検査等で確認しております。

○上田委員 朝倉院長のかつての朝倉病院は廃院となりました。頑張って経営のてこ入れをしてほしいという意味ではなくて、そういった選択肢もぜひ視野に入れていただきたいと思います。
 医療保護入院は適正に行われていたのでしょうか。保護入院に至るまでの流れを時系列でお示しください。

○新田障害者医療調整担当部長 医療保護入院は、精神保健指定医の診察により、精神障害者であり、かつ医療及び保護のために入院が必要であるが、本人の同意が得られない場合において、家族等の同意により入院が決定されます。
 家族等がない場合またはその家族等の全員がその意思を表示することができない場合は、その者の居住地を管轄する市町村長の同意があるときは、本人の同意がなくても入院させることはできます。

○上田委員 問題となったのが滝山なんですけれども、都内全精神病院における医療保護入院につきまして、局も福祉保健局から福祉局へ変わったことから、滝山病院事件を受けて、修正したり、新たに内容を加えたものはあるのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都はこれまでも、精神科病院に対して、予告なしを含む立入検査を行い、法令に基づいた対応が行われているかを確認するとともに、精神医療審査会を設置し、医療保護入院の入院届等に関する審査を継続して行っております。
 なお、令和六年四月の改正精神保健福祉法の施行に向け、都は、精神科病院で虐待を受けたと思われる患者を発見した方や、虐待を受けた患者、その家族からの通報、相談に対応する窓口を設置し、虐待が疑われる事案の早期発見と速やかな立入検査等につなげていくための準備を進めております。

○上田委員 法改正も受けまして、虐待事件発覚後の都の滝山病院への立入検査の詳細につき、具体的な日時を明確にした上で、立入検査のたびに得た課題や問題を踏まえた時系列での報告をお願いいたします。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、本年二月から三月までの間に四回の立入検査により、虐待の事実を確認し、改善命令を発出しました。
 その後、本年六月から十月までの間に計八回の立入検査を行い、改善計画の取組状況の確認を行ってきました。
 本年十一月には、この間に確認できた状況を踏まえ、行政手続法に規定する指導を実施しました。

○上田委員 動き始めていることですけれども、事件発覚後一年間、事前予告なしに立入検査を実施した件数は何件あるのか、改めて伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、事前予告なしの立入検査を令和五年二月十四日以前の一年間で一回、令和五年二月十五日以降、現時点まで十七回実施しております。

○上田委員 滝山から変わっていくんだと思います。引き続き、抜き打ち、伝家の宝刀を抜いてください。
 令和三年一月十三日厚労省通知に基づき、改めて、事件を受けた後の、虐待が強く疑われ緊急性が高い場合及び録音、録画によらず虐待が強く疑われ緊急性が高いと判断できる通報を例示ください。録音、録画が届いた場合は適法と都は考えるのか、その扱いはどうするかも伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 病院からの通報、相談等の内容は様々であり、録音、録画の有無等によらず、事案ごとに個別に判断して、入院患者に対する虐待が強く疑われ緊急性が高い場合等は、事前の予告なしで立入検査を実施しております。
 録音、録画が届いた場合においても、事案ごとに個別に判断して、入院患者に対する虐待が強く疑われ緊急性が高い場合等は、事前の予告なしで立入検査を実施しております。

○上田委員 NHK、このたび早稲田大学のルポ、大賞を取りましたけれども、あのドキュメンタリーですね、あれが盗撮でけしからぬと日精協と東精協の会長がいっていることから、たださせていただいております。録画が届いてもちゃんとやっていただけると理解しました。
 一生懸命、命がけで内部通報した人ですけれども、調査に入る場合の当該通報者の保護についてはどのような施策を取っているか、きっちり守られているのか、具体策をご説明ください。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、虐待に関する通報または届出を受けた場合、当該通報または届出をした者が特定されることのないよう対応しております。

○上田委員 現在行われている研修及び啓発活動は、絶対に虐待を防止できると考えているのか、所見と課題を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 医療機関の管理者は、障害者虐待防止法に基づき、虐待防止に必要な研修などを行うこととされており、現在、各精神科病院において、虐待防止に向けた取組が進められています。
 また、都では、精神科病院に対して立入検査を毎年行い、虐待防止に向けた取組が法令等に基づき行われているか、確認しております。

○上田委員 一方、令和四年九月二十六日には、転院を希望してもかなわない患者の代理として、福祉保健局担当者に要請書が弁護士より届いております。結果として、答弁に反して、適正に運用されないケースがあることが明らかになりました。
 依頼者は完全に外部と遮断され、一切の救済手段を断たれるという、法治国家にとって到底看過できない事態となり、それが現在進行形で行われているのが事実と代理弁護士が述べています。驚きです。
 その件も含めて、面会制限につき、何らの問題もないとの認識に変わりはないのか、当事者救済のためにほかに何か手だてを検討しているのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 面会の制限については、精神保健福祉法第三十七条第一項の規定に基づき、厚生労働大臣が基準を定めており、立入検査で法令に基づいた対応が行われているか確認しております。

○上田委員 問題ない、法律のとおりにやったからという見解というふうに理解させていただきますけれども、そうでもないと考えております。
 同様に、相原弁護士はじめ福祉関係者によって、八月二十九日に公開質問状が提出されました。どのように対応され、滝山病院を受けてですよね、受けて改善したことがあればご説明ください。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、東京精神保健福祉士協会の協力を得て、本年五月以降、転退院を希望する滝山病院の入院患者への支援を続けており、患者が転院後に地域での生活を希望される場合には、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを活用して、地域での生活につなげていく取組を進めております。
 また、本年四月の改善命令発出後も、都は立入検査などを継続して実施しており、確認された事実に基づき、本年十一月には、滝山病院に対し、行政手続法に規定する指導を行いました。

○上田委員 滝山病院に残っている患者の心身の健康、命、人権が守られ、虐待が続いていないのか、多分、委員の皆さん全員も懸念し続けているところであります。現在は、東京精神保健福祉士協会以外の支援者にはつないでいないんですね。これは患者の面会権や通信権を侵害しているおそれがあると思われます。
 この件について、都としては、退院等の希望のあった患者全員について、同協会以外の外部支援者との面会や通信を希望しない旨を強要していないか懸念するものでありますが、実際どうなっているのでしょうか。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、東京精神保健福祉士協会の協力を得て、身寄りがないなど自ら転退院先を見つけることが困難な入院患者に対して、個別に面会し、意向調査を行った上で、患者の様々な状況を踏まえ、丁寧に転退院支援を行っております。
 患者が転院後に地域での生活を希望する場合には、患者の意向を確認した上で、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを活用して、地域での生活につなげる取組を進めております。
 患者の面会権や通信権を侵害しているおそれがあるという指摘は当たらないと考えております。

○上田委員 そもそも滝山にはPSWがいなかったというふうに、たしか記憶しております。いずれにしろ、協会以外にも相談の選択肢を広げていただければと思います。
 十一月九日、福祉局、保健医療局から、滝山病院における改善計画の取組状況及びさらなる改善に向けた指導の実施についての報告で、患者からの相談に内部の職員のみが対応、患者が相談しづらいことが考えられる、より相談しやすい仕組みとなるよう、第三者の体制も整備と指摘していること、これ、とても重要なんですけど、通知手段は、公衆電話前及び看護師勤務室前に掲示としてあるんですね。
 院内で、患者は携帯電話を自由に使えないのでしょうか。よもや内部の状況を撮影されることを恐れて、スマホを禁止などにしていませんよね。スマホを持っていなければ、患者自身が通報などできるわけがございません。
 公衆電話はどこにあるのですか。まさか、看護師勤務室や医療機関が監視できるような場所に設置されていませんよね。看護師はじめ職員に電話をかけてもらうなどということはありませんか。児相の一時保護所も養護施設もそうなんですけれども、職員に虐待されているかもしれないのに、職員を通じて、職員の受付の電話など、SOSの手段があっても、恐ろしくて使えるわけがないんですよね。そもそも、滝山の患者さんたちは精神疾患も抱えていらっしゃいますから、お一人でかけられるのでしょうか。
 職員に知られることもなく、障害、疾病を抱えながらも速やかな虐待通報、退院希望、SOSを伝える手段があるのか伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 精神科病院に入院中の患者は、精神保健福祉法第三十七条一項に基づき、国が定める基準において、医療または保護の上で合理的な理由がある場合を除き、電話や面会など、様々な方法で外部との連絡が可能となっております。携帯電話につきましても、この基準に基づき、各病院で運用がなされております。
 また、都は、立入検査の際にも、患者からヒアリングを行うなど、病院における処遇の状況について、患者から直接確認をしております。
 なお、滝山病院に対しては、本年十一月に行った指導において、患者が相談しやすい仕組みとなるよう、外部の第三者による相談体制も整備するよう指導しております。

○上田委員 ややこしいことではなくて、全員スマホ、携帯オーケーということにしていただきたいと思います。
 滝山病院においては、第三者委員による虐待防止委員会が五回ほど開催されておりますけれども、先ほどいった、盗撮といっていた東京精神科病院協会会長の平川淳一先生が名を連ねていることから、患者中心に公正、公明に議論が交わされているのか、都として何らか、助言を求めたり協力していることはあるのか、都の所見を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 滝山病院では、弁護士を委員長として、精神保健医療の専門家、家族会代表などの委員により構成された虐待防止委員会が、本年六月以降、毎月一回、これまで計五回開催され、改善計画の取組状況の確認、虐待防止・対応マニュアルの内容の検討、院内組織体制の在り方などについて、精力的な議論が進められております。
 都は、本年十一月に都が行った指導事項と今後虐待防止委員会から報告される検証結果等を踏まえ、現在の改善計画を見直すよう、病院に対して指導しております。

○上田委員 踏み込んでやっていらっしゃることは分かっておるんですけれども、滝山病院の背景には、人工透析を必要とする精神科患者の入院施設がほとんどなくて、そのために、滝山の評判が悪くても送らざるを得なかったという声を耳にします。
 しかし、都の資料によれば、都内に人工透析施設を併設した精神科病院が三十施設あるとのことです。とすると、そもそも滝山にしか送る場所がないと思われていたケースの多くが、そのような情報がないために誤解していた可能性があります。最初からほかの選択肢があったのであれば、入院せず、虐待されることもなく、死亡退院することもなかったかもしれません。競争原理が働かないことも、滝山の患者への尊厳意識、医療、看護レベルの低下、虐待の蔓延につながった一因とも考えられます。
 これらを防止するため、人工透析施設のある精神科病院について、リスト化して公表し、各医療機関に周知することで、一定の割合でやむを得ず劣悪と思われる精神病院に患者を送るケースを減少させることができると思われますが、そのような施策を取る意思はありますか。費用対効果の面からも適切であると考えますが、所見を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 人工透析施設のある精神科病院については、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」により、都民にご案内をしております。

○上田委員 その「ひまわり」ね、見つからないんですよ、なかなかね、一般のね、特に、当事者も家族も見つからないんですよ。ぜひ、窓口の職員が、区市町村まで全部広めていただきたいと思います。
 資料、50ですけれども、生活保護法指定医療機関が、ここ二年間、指定取消し四件、三件とのことです。
 二万四千か所と照らし合わせると少な過ぎると指摘したところ、都は、指定取消しは行政処分で実施とのこと、生活保護法に基づいて実施していると答弁になっていなかったんですよね。
 取消しの理由は、今回、厚生局が先に不正認定しているからだけです、厚生労働省がということですね。本当は、調査権限のある都が先に不正を見つけて処分すべきではないでしょうか。
 改めて、件数が少な過ぎないかに係る所見と、厚生局よりも都の所見が先行した事例があるか、都が不正を先に見つけて動く責務を感じないのか、所見を伺います。

○中川生活福祉部長 生活保護の指定医療機関に対する処分は、国が行う保険医療機関の処分に伴い行うもの以外にも、都が福祉事務所からの情報提供等により事実を確認して、単独で処分を行い、国に情報提供するものがございまして、それぞれ適切に対応してございます。

○上田委員 都単独もあるということですので、どんどん進めてほしいと思います。
 資料、51、精神医療審査会審査件数ですが、平均的に退院を認めないのが半数で、その後の取下げも多く、処遇は適当だったという判断も半数もあり、患者や家族の意思が尊重されているのか、このデータでは感じることができません。
 処遇を不適当とした場合、どんな理由だったのか、内訳や詳細をご説明ください。また、審査請求したことで病院から脅されたり待遇が悪くなったりすることもありますことから、退院や処遇改善を請求したことで病院から何らか嫌がらせを受けるという苦情は把握しているのかも伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 精神医療審査会は、精神障害者の人権に配慮しつつ、その適正な医療及び保護を確保するために、精神科病院に入院している精神障害者の処遇等について、専門的かつ独立的な機関として審査を行っております。
 過去五年間について、入院患者またはその家族等からの請求を受け、精神医療審査会において処遇が適当ではないと判断された内訳は、身体拘束に関するもの、隔離に関するもの、外出等の制限などです。
 なお、退院請求や処遇改善を請求したことで病院から嫌がらせを受けたという苦情は確認しておりません。

○上田委員 都は、生活保護法に基づいて行政処分、指定の取消しとかを行うことができたはずだということをるる確認してきました。なのに、なぜこれまで滝山病院に行政処分が下されなかったのか、本当に不思議でなりません。
 都としては、答弁されたように、関係法令に基づき厳正に対処していたにもかかわらず、滝山病院事件の発生を防止できなかった理由をどう徹底分析されていますか。
 二度と劣悪病院を看過しない強い決意と体制強化が不可欠です。深い反省に立たれ、改めまして、局長に、今後の取組への所見、精神病院における虐待、不適切医療根絶に向けての意気込みを伺います。

○佐藤福祉局長 入院患者への虐待行為はあってはならないことでありまして、今回の件を受け、しっかり対応を進めていかなければならないと考えております。
 医療法としては都としては初めて、精神保健福祉法としては平成十四年以来となる改善命令の発出など、この間の経緯につきましては、これまでるるご答弁申し上げてきたとおりでございます。
 先般、異例でございますが、今、中間段階ということで、行政手続法に規定する指導を行いまして、今後予定されております虐待防止委員会の提言とも併せまして、改善計画を改定させるなど、滝山病院における自律的な実効性の高い取組が進むよう、状況を確認してまいります。
 四月には改正精神保健福祉法が施行されますけれども、都では、虐待通報窓口の整備、患者の人権擁護に対する職員の意識向上に向けた取組などについて議論を進めておりまして、次期の保健医療計画におきましても、虐待防止に向けた取組の推進を重点課題として位置づけることを検討しているところでございます。
 これらによりまして、虐待の未然防止、早期発見の取組を進めるとともに――精神保健には、治療という側面と障害者福祉という両方の側面がございます。従前では、衛生局のときには治療ということが優先されていて、精神保健というのは衛生局というところにございましたけれども、今、私ども福祉局であります。ただ、一方において、やはり治療というのは非常に大事でありまして、引き続きそういった側面からも、保健医療局ともしっかりと連携をして、行政の権限を効果的に使いながら、精神科病院における虐待防止の取組を一層進めてまいりたいと思います。

○上田委員 予告期間なしの検査も含め、立入検査を迅速かつ効果的に実施をしていただきたいことを、お願いを重ねて申し上げる次第でございます。
 赤ちゃんポストです。
 内密出産制度を独自に導入している熊本市の慈恵病院で、病院に寄せられる妊娠、出産に関する悩み相談件数は年間百件、内密出産に至ったのは、二〇二一年の十二月以来、九例に及ぶとのことです。
 福祉局において、今後、内密出産にどう取り組むのか否か、今の所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 国は昨年度、何らかの事情により、医療機関において妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにして出産せざるを得ない場合、いわゆる内密出産の取扱いにつきまして、現行制度下における対応等を改めて整理し、通知をいたしました。
 通知では、内密出産を推奨するものではないとした上で、医療機関における必要な対応として、相談支援の実施や児童相談所等との連携、妊婦の身元情報の保存等に関する規定の明文化等が求められております。
 今後、都内で医療機関が内密出産の実施に取り組む場合には、まずはそれらに関する具体的な考え方や事業内容を聞き取った上で、区市町村など関係機関と連携し、対応を検討いたします。

○上田委員 慎重であることを読み取れました。
 昨年九月末に、突如として医療法人モルゲンロートが、赤ちゃんポストを二〇二四年秋に開設する構想発表があり、仰天しまして、去年の十一月八日の事務事業質疑で急ぎ質疑しました。
 赤ちゃんポスト設置については、私しか質疑をしてこなかったというのに、突如として都民ファーストの都議が支援をすべきと質問をし、さらに、MXテレビで質疑が取り上げられ、その直後、小池知事の下へ同法人理事長と満面の笑みで要望書を届けるというエピソードが展開されたのは、驚きを通り越して失笑するしかありませんでした。
 その後、山崎元江東区長が強い難色を示し、江東区では土地の確保ができなかったことを確認しておりますが、その後、江東区同様、東京都へも資料、44にあるように、都有地の提供を求める要望書が提出されているのですけれども、現状どうなっているのか、今後どう対応するのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 当該法人から、診療所の開設に当たっての都有地の提供等について、都に要望書の提出がございました。
 都は、要望への対応はできない旨、既に当該法人に回答しております。

○上田委員 毅然とした回答、ありがとうございます。
 その後、山崎元区長が急逝し、同法人とNPOと連携を図ることを隠しもしない、赤ちゃんポストを政策に掲げ、木村弥生区長が当選されましたが、半年で公選法違反を懸念し辞職されております。
 先回りしてなのか、NPOフローレンスが、江戸川区の私が長男を出産したまつしま病院等で無料出産事業を開始したんです。その先には養子縁組事業があります。フローレンス保育園の顧問医などをモルゲンロートの法人理事長が務めています。
 出産前後、養子縁組においては、児相、母子保健と行政が関わります。母子の尊厳や命をもてあそぶような、子宮と赤ちゃんの命を利用するような、母子、児童福祉に名を借りた福祉ビジネスとならないか、大きな懸念を持っております。高い関心を持って積極的に調査を、確認していただきたいと、私の地元江戸川区にもお願いしているところです。
 そこで、現在、予期せぬ妊娠、内密出産、赤ちゃんポストとフローレンスの始める無料出産事業をどう把握しているのか、何かフローレンス、あるいは連携組織などから相談など来ているのか、私の懸念を払拭するために、今後どう管理監督をしていくのか、都の所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 個別の相談の状況につきましては、回答を控えさせていただきます。なお、当該法人が医療機関と連携し、無料産院事業を実施していることは承知しております。
 必要な対応につきましては、児童福祉法などの法令に基づき行ってまいります。

○上田委員 しっかり監視のほどお願いします。
 社会的養護です。妊娠中からの相談を受け、特別養子縁組を進めるべきだということをお願いしていましたが、こちらについても特定NPOに委託しようと、辞職した前江東区長は想定していました。非常に危機感を持っております。
 これまで統計を取っていなかったとのことですが、現在もまだ同じなのか、台頭してきたNPOに危機感を持っていただくべく、今後、何か検討すべきかと考えますが、所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 妊娠中から相談を受けて、出産後、乳児を特別養子縁組とすることとなったケースの人数及び実績につきましては、把握してございません。

○上田委員 ベビーライフ事件では、海外に赤ちゃんが行ってしまったので、しっかり把握をお願いいたします。
 新生児委託推進事業開始以来、令和三年度までに三十二名を委託しております。先ほどいったように、都の対応が遅れているから特別養子縁組を安易かつ拙速に進める民間事業者が台頭し、大きな危機感を抱いており、前述のように訴えております。無料出産事業を強力に推し進め、その先に養子縁組事業があるのは火を見るより明らかです。
 この観点から、民間任せにせず、都が把握して責任を持って早期の特別養子縁組及び里親委託を率先して行うべきと考えますが、資料、13の令和四年度の乳幼児は、退所後、六十七名中四十名が施設養護、また、資料、18では、生後一か月未満は一〇〇%、二歳未満の赤ちゃんは七割が施設、資料、19の養子縁組成立数は平均年三十件なんですね。
 それを受けて、多寡を含めた所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所は、妊娠中の親から子供の養育が難しいという相談を受けた際には、特別養子縁組のほか、親族による養育や養育家庭、施設入所等の選択肢を示した上で、養育の意思を丁寧に確認しております。
 親が特別養子縁組を希望する場合には、出産後に改めて養育の意思を確認し、その上で、子供の最善の利益にかなうと判断した際には、早期に特別養子縁組ができるよう新生児委託の候補児童とし、退院直後から里親との交流を開始することとしております。

○上田委員 その里親なんですけど、委託率が伸び悩んでいます。日本の施設養護の異常な高さについては、度々国連でも指摘されているところです。
 都の目指す中長期的家庭養護率割合をお示しください。その取組の一環として里親制度を推進しているようですが、江戸川区児相でも独自に里親養成事業も活性化しており、かなり浸透してきたと体感しております。これまでの行政の取組は功を奏したと思料しますが、一方、要望してもなかなか子供たちを受け入れられないという里親さんの声も一定あります。
 現状の実績、成果と課題についてご報告ください。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、令和元年度に策定いたしました東京都社会的養育推進計画におきまして、令和十一年度における里親委託率の目標を三七・四%と設定しております。
 里親委託率を上げるためには、里親登録家庭数の拡大や里親への支援の充実が必要であることから、令和二年度よりフォスタリング機関事業を開始し、里親のリクルートや委託後のフォローなど一貫した里親への支援を実施しております。
 里親委託率は、令和二年度は一六・六%、四年度は一七・二%となっております。

○上田委員 達成まであと二〇%ということですし、区児相とかになると非常に住民に近いので、ぜひ区児相とも連携強化をお願いいたします。
 資料、17の妊娠相談ほっとラインですけれども、開始以来、利用が伸び悩んでいることを指摘してきました。これについても特定NPOが区から委託をしようとする動きがあります。私が懸念するのは、相談を受けて無料出産に誘導し、養子縁組に結びつける福祉ビジネスなんです。
 せっかくの相談機関が福祉ビジネス窓口として利用されないか、都としても危機感を持って事業連携をしていただきたく、所見を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、妊娠や出産に関する様々な相談に対応するため、平成二十六年度から妊娠相談ほっとラインを実施しており、令和二年度からは、チャットボット、妊娠したかも相談@東京も開始をしております。
 妊娠相談ほっとラインでは、特に継続的な支援が必要な場合は、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげております。
 区市町村では、各家庭の状況に応じた必要な支援を実施しており、出産後の子供の養育が難しいという相談の場合には、児童相談所が連携して対応しております。
 なお、民間団体への委託に際しましては、相談者の個人情報は他の用途に使用してはならないこととしております。

○上田委員 行政がしっかり関わっているということです。
 昨年までとは逆の意味で確認します。予期せぬ妊娠について児相につながった事例、区市町村への相談をためらう人においては民間団体を活用して産科等医療機関への同行や、福祉事務所や児童相談所などの関係機関との調整、次の支援につながるまでの緊急一時的な居場所の提供なども実施しているので、こうした事例について、さっきの私の危機感も含めての現状のご報告をお願いします。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、妊娠相談ほっとラインを通じて区市町村への相談をためらう人などを把握した場合には、民間団体を活用してメール相談や産科等医療機関への同行等を行っており、その実績は、令和四年度が十六件、五年度が八月までで八件でございます。
 この合計二十四件のうち、本人から医療機関を受診したと連絡があったものが五件、妊娠していなかったと連絡があったものが五件、本人からメールの返信等がなかったものが六件、区市町村へ引き継いだものが八件となってございます。引き継いだ八件のうちの一件は、相談内容から児童相談所での対応も必要と判断したため、児童相談所にも連絡しております。

○上田委員 ありがとうございます。民間丸投げにしていない状態が分かりましたけれども、引き続き、行政を絡めていただきたいと思います。
 これまで要保護児童がどれだけの期間、施設にいるのか確認したく質疑を重ねてきたのですが、都は統計はないとのことですが、児童福祉法も改正されました。子供の意見表明についても重要視されているのに、施設にずっといるのかいないのか、都は把握しないでいいのでしょうか。
 国連勧告の趣旨も受けまして、ご説明いただければと思います。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所は、児童福祉司及び児童心理司が子供の年齢や発達状況に応じてその意向を丁寧に確認しながら、子供の最善の利益の観点から、施設入所や里親委託などの援助方針を決定しております。
 また、施設に入所後におきましても、児童相談所は、子供の意向や個々の状況を踏まえまして、家庭養護への移行に向け、援助方針の再検討を行っております。

○上田委員 援助方針は分かったんですけど、どのぐらいの期間いるのかというのは把握していない、しないという理解でよろしいでしょうか。――よろしいですね。大丈夫ですね。統計はないということでありますので、今後、統計を取っていただきたいということを希望いたします。
 一時保護所の入所期間ですが、児相の一時保護所は基本的には九十日以内を目安としているはずが、九十日以上いる子供たちは三百五十六名となり、昨年の二百八十六名より増えております。
 この点に関する分析と改善に向けた対応状況、長期化した場合の保護中の子供への支援につき所見を求めていましたが、入所期間短縮、職員の子供への接遇、虐待防止、アドボカシーなど、その後、子供の環境改善は進んでいますか、肝腎の子供の評価はいかがでしょうか、一時保護所は、より居心地よい環境になっておりますか、伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 一時保護所の入所期間が長期になった理由といたしましては、ケアニーズの高い子供の施設入所の調整に時間を要したことや、保護者の同意を得られず家庭裁判所への申立てを行ったことなどが挙げられます。
 都が一時保護所第三者委員の意見書を受け、令和元年度から支援の改善に着手し、児童に対する支援力の向上や児童が安心を実感できる環境づくりなど、八項目について取組を進めております。
 児童からの評価についてでございますが、一時保護所の外部評価における入所児童へのアンケート調査では、児童の半数以上から、一時保護所での生活におおよそ満足との回答を得ております。
 また、児童の声を聞くための意見箱を設置し、一時保護所の職員が内容を確認し、児童から要望があった際には対応するなど、支援の改善に活用しております。

○上田委員 平成三十一年三月の一時保護所の意見書の反響が大きかったので、大分取組が進んだのかなと思いますが、引き続きまして、子供たちが居心地のいい一時保護所となるような取組をお願いしたいと思います。
 足立児相が今度開設、新しくしましたけれども、仮設一時保護所における民間事業者による一時保護受入れ事業が本年七月から開始されているはずですが、課題など発生していませんか。状況と所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、本年七月から民間事業者に委託し、足立児童相談所の仮設一時保護所を活用して、保護児童の受入れを開始しております。
 事業開始後は、外部の評価機関が児童及び職員に対するアンケートを実施するとともに、施設運営状況の確認を行っており、今年度末に報告が行われる予定でございます。

○上田委員 外部の人が入るので、また今までと違う風が入ってくるといいなというふうには思っております。
 さて、児童養護施設への指導なんですけれども、三件ということでしたが、総数は減っておりますが、養護施設での深刻な虐待事案、なかったでしょうか。改善指導はできているのでしょうか、伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 令和四年度の児童養護施設への指導検査における文書指摘数は三件でございます。その内容は災害対策に関することでございました。
 各児童養護施設では、毎年受審している第三者評価を通じて把握した入所児童の要望や意見等を踏まえまして、積極的にサービス改善に取り組んでおります。
 また、外部の弁護士等で構成される第三者委員が定期的に施設を訪問するなどいたしまして、児童からの相談を直接受け、支援に係る改善が必要な場合には、施設に対して助言等を行っております。
 さらに、施設において事故等が発生した場合には、施設はその概要を都に報告することとしており、都は、各施設から提供される事故報告を確認した上で、必要に応じて施設に対し、原因究明や再発防止策の徹底などを指導しております。

○上田委員 施設の虐待事件もるる報道されていて、動き始めているところと思料いたします。
 高齢児の受入れですが、児童養護施設が断るなどの課題は解消されましたでしょうか。実際に断られた人数など把握していますか。お示しください。そして、その児童たちは恐らく里親委託となったと思料いたしますが、その後の対応を数値を挙げてご説明ください。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所は施設への入所が児童の最善の利益にかなうと判断した場合には、児童の状況や保護者の意向などを踏まえながら、受入れ施設を検討し、入所の依頼を行っております。
 児童相談所から入所の依頼を受けた児童養護施設では、定員の範囲内で児童の受入れを検討しており、検討に当たりましては、入所可能な居室及び既に入所しているケアニーズの高い児童の状況と入所依頼のあった児童の性別や年齢などを考慮し、受入れの可否を決定しております。

○上田委員 苦労しながらも、受入先を確保しているようでございます。
 里親子のサポートネットで終結した事案について、里親さんは増えてほしいので、相談機関もちゃんとあるので、具体的に改善した事例などお示しください。

○西尾子供・子育て支援部長 里親子のサポートネットにおける主な相談内容は、子供の養育に関すること、子供の自立に関すること、措置解除後の交流などがございます。
 本事業で終結した事案につきましては、事例の経過や支援のポイントを児童相談所長会等で共有し、これらを踏まえ、各所において児童福祉司が里親子に丁寧な説明を行うなど、里親支援の充実に生かしております。

○上田委員 里親さんも苦労しながらやってくださっていることも、私も個人的にも相談に乗ってきたので、引き続き手厚くよろしくお願いします。
 信頼関係をこうしたことで構築した子供と里親、せっかく双方が家庭養育を求めても、親権者が拒否をして実現しないまま何年も歳月が流れている事例を何とかしたいと九年いい続けております。
 要保護児童がフレンドホーム制度を知り、自ら利用できていますか、そのためにどのような運用がされているか、子供自身からの申込みが実際にあったのか、子供の願いと実親の意思と食い違ったとき、子供の最善の利益をどう確保したか、子供が法的措置を求めた事例はあったのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 フレンドホームのマッチングにつきましては、施設職員が子供の状況を考慮し本人に意向も確認した上で、候補児童として決定後、各フレンドホーム登録家庭の希望条件等を踏まえまして実施しております。
 児童相談所におきましては、児童福祉司等が子供の意向を確認した上で、児童相談所長が、子供の最善の利益の観点から援助方針を決定しております。
 なお、その方針が保護者の意に反している場合は、児童相談所長が、児童福祉法第二十八条に基づき、家庭裁判所に申立てを行っております。

○上田委員 その家裁申立てが、九十日以上になるというような原因になるということも先ほど伺いました。
 都では、施設入所者や児童等に対する学習を支援するため、令和二年度から特別育成費を拡充してきましたが、それ以降の活用状況をお示しいただきたいのと、一方、資料を見ると、里親に育てられた子供たちの大学進学率に比べて、施設育ちの子供たちの進学率は低い傾向にありましたが、児童養護施設における進学、就職指導は、その後進化していますか。
 その他のカテゴリーの子供たちは、具体的にどのような退所後の人生を歩んでいるのでしょうか。よもやトー横キッズのような寄る辺ない人生を歩んでいまいか、施設の子供たちの未来は開けたのか、進捗と成果を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、児童養護施設の入所児童等の学習を支援するため、学習塾や家庭教師に係る費用を国の措置費に上乗せして支援をしておりまして、令和四年度は、児童養護施設入所児童で六十四名、里親委託児童で二十八名が活用しております。
 次に、令和五年度の児童養護施設退所者の進路でございますが、大学等が五五%、就職が三六・一%、その他が八・九%でございました。
 児童養護施設退所後の状況につきましては、生活状況や支援ニーズ等を把握するため、五年ごとに実態調査を実施しております。

○上田委員 私が確認したときは、施設は四割切っていた中、もう五五%ということで、ここは大いに評価したいと思います。
 施設を退所したケアリーバーのよりどころとなる二か所のアフターケアサロンですが、現在、実質的な支えとして機能しているのか、類似事業として若年被害女性等支援事業、他局になりますけれども若ナビなんかもありますよね、そうした若者支援事業と連携、連動は必須と考えておりますが、状況と現状の実績と課題を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、ケアリーバーが気軽に集まって交流し、専任のスタッフに悩みを相談できるふらっとホーム事業を実施しておりまして、今年度からは心理士や保健師等の専門職を新たに配置し、精神面に不安を抱える方の相談にも応じております。
 事業の実施に当たりましては、児童養護施設や関係機関と連携しながらケアリーバーの自立を支援しております。
 令和四年度の相談実績は、延べ五万八千三百十九件となっております。

○上田委員 ぜひ退所時に、ケアリーバーのアフターケアサロンもそうですけれども、若者支援事業のパンフレットを渡して、福祉局だけではなくて東京都のメニューを渡してください。
 障害児の代替養育について、現状の数値をお示しの上、障害があるがゆえに措置や要保護となることはないのか、代替養育と措置が保護者と子供にとって最適な選択なのか、施設か里親なのかも含めた課題と所見、今後の支援策をお聞かせください。

○西尾子供・子育て支援部長 国は、児童養護施設に入所している児童のうち、身体障害、知的障害、精神障害のある児童の状況について調査しており、障害のある児童の割合は、令和二年三月一日時点で、児童養護施設で一五・六%、里親等で六%でございました。
 また、都が把握している令和五年三月三十一日時点の障害児施設の入所児童のうち、措置入所児童の割合は五〇・二%となっております。
 都は、社会的養育が必要な児童につきまして、家庭環境や親子関係、年齢、発達状況、障害の有無など、個々の児童の状況等を踏まえながら、子供の最善の利益の観点から施設入所措置等の援助方針を決定しております。

○上田委員 障害を持ったお子さんの保護者のまあ数字がやっぱり大きいなというふうに思っております。親たちに押しつけちゃいけないんですけれども、本当、母子保健事業で支えることもあるのかなというふうに思いましたが、一応受入れをいただいているということでありました。
 チャイルド・デス・レビューにつきましてですが、保健医療局の事務事業資料の34の都立病院の子供の死亡退院の状況などを調べさせていただきまして、こちらを今後活用されることを願うものです。
 現時点の取組や課題、都立病院、保健医療局、監察医務院と連携した福祉局の果たす役割について所見を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、チャイルド・デス・レビューの実施に向け、本年三月に医療や警察等の関係機関との連絡会議を開催いたしました。
 今年度は、国のモデル事業に参画し、関係機関と共に検証等の取組を実施いたします。現在、医療関係者の意見も伺いながら、情報収集や検証の具体的内容について検討を進めております。

○上田委員 あわせて、児童養護施設で亡くなった子供のチャイルド・デス・レビューについての検証を求めてきております。
 令和四年度以降の自殺を含めた児童養護施設の入所中に亡くなった児童の状況とその後の検証状況、あるいは把握状況、それを受けての取組を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 令和四年度から現在までの間に、児童養護施設の入所中に自死を含め事故等で亡くなった子供は四名でございます。
 都は、そうした事案が発生した際は、現地を確認するほか、発生前の子供の生活状況などについて施設職員からの聞き取りを行うなど、状況把握を行っております。

○上田委員 ちょっと残念ながら、施設の中で亡くなった子供たち、四名の内訳がちょっと分からないという状況なんですが、今年八月、歌舞伎町で施設在籍中の少女が飛び降りて自殺をしたということも仄聞をしているところでございます。
 施設入所中に自殺に至った場合、るる私も確認してきましたが、その後、自殺防止につながっているのでしょうか、伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 入所児童が死亡する事案が発生した場合には、施設において、第三者による検証委員会などで状況や原因等を検証しております。
 検証結果は施設内で共有し、入所児童の支援の改善につなげるなど、同様の事案を発生させないための取組を行っております。

○上田委員 施設にて亡くなると、親が骨すら引き取らないという場合もあって、小平のこどもの碑ですか、名前が刻まれるので、折につけ確認しに行っているんですけれども、施設にいるからこそ、病気なら別ですけれども、自殺で失ってはいけないというふうに思います。自殺ゼロになるようにお願いいたします。
 児童相談所が関わっていながら、平成十九年度以降、虐待死した子供の数、虐待が特定されなかったものの虐待が疑われ死亡した子供の数、そのほか、理由を含めた死亡者数をお示しの上、重大虐待事案についての最近の傾向と所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 死亡事例等の検証を開始した平成十九年度以降、令和四年度までの十六年間に、東京都または区市町村が関与しながら虐待により死亡した事例は二十四人、虐待と特定されないが虐待が疑われる事例は三十四人、その他は六人でございました。
 事例といたしましては、ゼロ歳児が多い傾向にございます。そのため、都は、虐待の未然防止に向け、子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、定期的な面談や家庭訪問など、継続的な支援を行う区市町村を支援しております。

○上田委員 条例も制定されておりますが、やっぱりちょっとこの数は看過できないというふうに思っておりますので、これも虐待ゼロ、小池都知事の政策にはなかったですけれども、ぜひ局の方で進めていただければと思います。
 一時保護について、子供の意見表明を尊重しているか確認しておりました。その後のお取組を具体的にご説明ください。

○西尾子供・子育て支援部長 児童相談所長は、子供の意見を尊重しながら一時保護を判断しております。
 ただし、児童虐待などにより、子供の安全を迅速に確保する必要がある場合や児童の心身の状況を把握する必要がある場合は、児童福祉法第三十三条に基づき、子供の最善の利益を最優先に考慮して一時保護を速やかに実施しております。

○上田委員 ちゃんと説明をしているのかなということであります。
 一時保護所、児童養護施設の子供のSOSや意見表明が、子供が自分でできるような施設の配慮や対策が必要だといい続けております。SOSも、いつになったら役所や学校を通さず、警察でも、ほかのNPOでも、ほかの大人でも伝えられるのか確認してきましたが、相変わらず基本的にスマホは取り上げ、第三者委員が施設等を訪問しながら児童からの相談に対応するとともに、施設内に児童が要望などを伝えられるよう意見箱を設置している、権利ノートもその一つでしょうけれども、それらで成果は出ておりますでしょうか。今のやり方で子供の声を外部にレスできるとお考えでしょうか。
 また、改めて、なぜスマホを取り上げなければならないのか、例えば、児相や養護施設管理下において携帯を貸し出すなど工夫すべきと考えますが、これ、滝山病院と一緒なんですけれども、所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、子供の意見表明を支援する仕組みを充実させるため、第三者委員制度や意見箱の活用を促進するための具体策について検討を進めております。
 一時保護児童の外部との連絡につきましては、国の一時保護ガイドラインに基づきまして、子供の福祉の観点から、一人一人の人権に十分配慮しつつ、個別的な方針の下に実施しております。
 また、児童養護施設におけるスマホの利用につきましては、各施設が子供の状況に応じて判断をしております。

○上田委員 今タブレットで何かいろいろ教育もしていると思うので、タブレットで、例えば第三者の弁護士の先生に直接メールができるとか、そんなふうな工夫をしていただきたいと思います。
 児相の一時保護所における医療保護入院措置についてです。
 これは報道なんですけど、二〇一八年の二月、当時十三歳だった男性が、本人の同意なく医療保護入院措置で強制入院させられたことを違憲、違法だとして、児相を設置する都や母親などを相手取り、損害賠償を求める訴訟を今年一月に東京地裁に起こしており、私は予算調査で確認をしました。
 一般的なこととして、都は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十三条に基づき、入院医療機関に一時保護を委託しているとのことであります。
 まず、過去五年における精神科病院に一時保護が委託された件数と、その後、入院措置となった児童の入院形態――任意入院、医療保護入院、措置入院の数の振り分けができていたらありがたいです。
 そうした児童の年齢等の詳細、個々の事案で児童福祉法上求められている児童の意見表明の尊重は全てのケースで行われているのか、行われていないとして、今後どのように児童の意思を確認するのか、一般論としてご説明ください。

○西尾子供・子育て支援部長 精神科病院への一時保護委託の件数につきましては、統計を取ってございません。
 次に、児童相談所長は、児童の意見を尊重しながら一時保護を判断しております。ただし、児童虐待などにより、児童の安全を迅速に確保する必要がある場合や児童の心身の状況を把握する必要がある場合は、児童福祉法第三十三条に基づき、児童の最善の利益を最優先に考慮して一時保護を速やかに実施しております。

○上田委員 精神病院の一時保護委託は、今後も件数は把握していただきたいと思います。
 一般的に医療保護入院においてもスマホを取り上げているのでしょうか、虐待当事者以外の家族とのコンタクトについては、どういう扱いにしていますか、子供の意見表明や具体的な伝達手段がどうなっているのか、併せて伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 精神科病院に入院している患者における外部との電話や面会につきましては、精神保健福祉法第三十七条第一項に基づき、国が定める基準において原則として自由とされておりますが、患者の病状の悪化を招き、あるいは治療効果を妨げるなど、医療または保護の上で合理的な理由がある場合には、医師の判断により、患者の医療または保護に欠くことのできない限度で制限できることとされております。
 一時保護児童の外部との連絡につきましては、児童福祉法第三十三条の二に基づき、児童相談所長が児童の最善の利益を考慮して対応しております。
 医療機関に一時保護委託を行っている児童の状況は、面会を行った児童相談所の児童福祉司等が、電話や家庭訪問等により、適宜保護者に報告しております。

○上田委員 一般的に本人が不同意のまま入院させられ、ほかの家族ともコンタクトが取れず隔離されている状況に、今このとき子供が陥っていないのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 精神保健福祉法に基づく入院には、任意入院、医療保護入院、措置入院があり、このうち医療保護入院、措置入院については、本人の同意がなくても入院させることができるとされております。

○上田委員 私も、医療保護ではないんですけれども、急に里子さんが施設措置されちゃって、奇跡的に施設から里親の下に逃げ出してきて、どちらも弁護士がついて、無事再統合ができて、今は十八歳を過ぎて、一緒に家族として暮らしているという事例に当たったので、どこかしらで、やはり子供の本当の意見が聞けるように医療保護入院の方もよろしくお願いしたいと思います。
 今日配らせていただきました、居場所のない子どもたち、その不安にふれる、木村一優多摩あおば病院発達精神医学研究所紀要という論文を拝読しました。皆様にも配布しています。特にマーカーのところをご覧ください。
 児相からの依頼が結構多いです、児相からの依頼のほとんどが、児童養護施設あるいは一時保護所で見られないから見てくれるというようなことの依頼です、面倒を見切れないからと無理やり引っ張ってこられて、車に押し込められてやってくる、もういるところがないからみたいな感じで、そんなことをしていいのかと思っちゃうんですけれど、ぐいぐい病院まで引っ張ってこられ、我々もそれに加担してしまうわけですと記されております。
 これを読む限り、一時保護委託に限らず、その後の入院措置についても児童相談所の意向が強く反映しているように感じますが、一般的に児相は精神科病院に対して一体どのような依頼を行っているのでしょうか。児相や養護施設で手に負えないからといって、よもや子供の人権と意見表明の権利を無視した違法な措置などしていないのか懸念するものです。
 ついては、今まで一時保護委託において、意見表明の尊重だけではなく、都が不適切である、あるいは違法と評価した事例は過去五年間において何件あるのか。不適切、違法と評価した事例について、その後の指導監督、どのような対応をしているのか伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 一時保護は、児童福祉法第三十三条に基づき、児童相談所長が児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、または児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため行うことができるとされております。
 医療保護入院は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十三条に基づき、精神科病院の管理者が、本人の同意がなくても、その家族等の同意があり、精神保健指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ医療及び保護のため入院の必要がある者を入院させることができるとされております。

○上田委員 できる方のご説明だったので、事例があったか何かは答えていないというところですが、違法はないというふうに理解をします。
 不当な処遇や違法と思われる強制入院や拘束をめぐり、同病院は患者から訴訟されていますが、偶然とは思えない状況です。
 この病院への適切な指導や監査などなされているのでしょうか。していないのであれば問題ですので、所見を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 現在係争中の事案に係る内容であり、お答えできません。

○上田委員 一般論として、一時保護委託となっている精神科病院が一時保護中の児童に対して医療保護入院を行う場合、その医療保護入院は公権力の行使に当たるか確認させてください。
 その上で、もし公権力の行使に当たるのであれば、一般論として、一時保護委託先の精神科病院が一時保護中の児童に対して医療保護入院を行う場合、公権力の行使として、公務員に準じて、憲法尊重擁護義務の範囲内で行わなければならないとの理解でよいか確認いたします。

○西尾子供・子育て支援部長 お尋ねにつきましては、現在係争中の事案に係る内容であり、回答を控えさせていただきます。

○上田委員 一般論と聞いたのに、ちょっと残念なあれでございますが、引き続き、その係争中の内容についても確認してまいります。
 待機児童解消に向けてですけれども、資料、36から38で、成果が上がり、私は待機児童で区議から都議になったので、感無量でございます。
 ただ、保育園の定員余剰問題と保育資源の活用と適正配分の取組をされているのか懸念しており確認してきましたが、成果は上がっておりますか、ご報告ください。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、保育所等がゼロ歳児の空き定員を待機児童の多い一歳児の受入れに活用できるよう、定員変更を行う取組を支援するほか、空きスペースを活用し、保護者の外出やレスパイト等のために、在宅子育て家庭の子供を一時的に受け入れる取組を支援しております。
 今年度からは都独自に、他者との関わりの中で子供の健やかな成長が図られるよう、保育所等が空きスペースを活用して、保護者の就労等の有無にかかわらず、児童を定期的に預かる取組を開始しております。
 また、今年度から一部自治体におきまして、国の誰でも通園制度、仮称でございますけれども、これに向けたモデル事業を実施しております。

○上田委員 誰でも通園制度、保育園は課題がいっぱいでありますし、これも本当、私は幼稚園がやってほしいということで、生活文化スポーツ局にも文書質問をしているところでございます。ぜひ福祉局だけで抱え込まないで、幼稚園さんにもやっていただけるように、局内での取組をお願いしたいと思います。
 グローバルキッズの不正請求事案です。
 その後の状況と保育園全体への指導や通知など、なさっていればご報告いただければと思います。

○坂本指導監査部長 都は昨年、認可保育所等で勤務実態のない保育士を在籍していたかのように装い、虚偽の報告を行っていた事案を確認したため、都内全区市町村に対しまして、今回の事例につきまして情報提供し、管内保育施設の適切な運営の確保に向け、指導監督を図るよう通知したところでございます。
 今後とも、保育施設におけます不適切な事案につきましては、区市町村と連携し、厳正に対応してまいります。

○上田委員 大田区の事業者さんから、二園目、三園目出したくても、グローバルキッズが決まっちゃったんだよというようなご相談も受けております。意欲があって、しっかりとした、また、園を選べるような、しっかりと区市町村と、また、管理監督は東京都ですので、厳しくお願いしたいと思います。
 ベビーシッター利用支援事業です。
 現在の自治体と利用者の活用状況と、キッズライン、ポピンズファミリーケアへの対応を含めて、現状と所見を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 待機児童などを対象とするベビーシッター利用支援事業の令和四年度の実績は、二十区市三百十二人となってございます。また、ベビーシッター利用支援事業の一時預かり利用支援の令和四年度の実績は、十五区市六千三百二人となってございます。
 都は、認定事業者に対しまして、管理責任者向けの研修、事業者による保護者宅への巡回訪問等の支援を実施しております。
 今年度は、全ての認定事業者を対象に、認定基準等の遵守状況を確認するため、立入調査を実施いたします。

○上田委員 本当にキッズラインの性的虐待事件は、もう震撼と保護者もしたと思います。こうしたことがもう二度と起こらないように、私はもうキッズラインさんにはご遠慮いただきたいなということを思っておりますことをお伝えさせてもらいます。
 小金井市に本拠を置き、都内に二十一園を展開するコスモズの補助金不正受給事件です。
 不正受給総額と迷惑を被った区市の返還状況は資料、48で分かりましたが、よくまああちこちの自治体で行ったものです。法人に確信犯的なノウハウがあったとしか思えません。
 都への返還状況と、この法人への指導監督が不正受給が明らかになるまで適正だったのか、事件以降はどのような対応に改まったのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 認可保育所の施設整備費補助金につきましては、都は毎年、区市町村に対して説明会を実施し、内容等を周知しております。
 株式会社コスモズに係る施設整備費補助金に関しましては、関係区市に対し、都から交付を受けた補助金について過大交付となった場合には都に返還するよう依頼しており、現在、関係区市と返還額等について調査を行っております。
 このほか、都は、関係区市との情報交換会を開催し、それぞれの調査状況等を自治体間で共有しております。

○上田委員 コスモズについては、一九九八年から小金井市議会で百条調査がありました。長年、私の政調を務めてくれた高木章成さんは、去年のちょうど十一月に小金井市議になりまして、今回も何かと理由をつけて区市への報告を遅らせており、区市の調査に不誠実極まりない対応を繰り返しているそうです。コスモズの機関紙の広告料として補助金を還流させるのは、二十五年前と変わらない手法なのではないでしょうか。
 地域政党自由を守る会といたしましても、本件につきましては、高木章成小金井市議と共々、引き続き厳しく真相解明を進めてまいりたいと思います。
 ヤングケアラーです。
 市区町村の任意事業である重層的支援体制整備事業では、ダブルケア、ヤングケアラーも対象となっています。
 二〇二三年時点では都内十二市区で進められておりますが、今後、都として、全区市町村における事業参入に向けた周知啓発をどのように行っていくのか伺います。

○中川生活福祉部長 都は、介護、障害、子供、生活困窮などの相談支援を一体として実施する重層的支援体制について、現行の地域福祉支援計画の中で国が示した概念を紹介するほか、先行自治体の取組内容を紹介しております。
 また、体制整備に取り組む区市町村に補助を行うとともに、実施自治体をさらに増やすため、取組に関する情報共有や必要な助言などを行っております。

○上田委員 その都の取組を受けて、江東区では今年、実態を把握し支援を充実するための調査を行ってくれました。
 ただ、区市町村で調査体制にばらつきはあるようです。全体を把握していなければ支援もできませんことから、二十三区二十六市の把握状況と、今後、都が悉皆調査と把握についてどうされるのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、令和三年度国が実施したヤングケアラーに関する実態調査の都内分を独自に集計したほか、区市町村や学校へのヒアリングを通じまして、具体的な事例等の実態を把握いたしました。
 なお、令和五年九月一日時点では、二十九の区市町村においてヤングケアラーに関する実態調査が行われております。

○上田委員 悉皆の方、把握の方、やっていらっしゃるということでございました。
 若年被害女性等支援事業についてです。
 令和四年十一月二日に監査請求が行われて、SNSを中心に非常に批判、指摘が今日も続いております。
 その後、補助事業化となり、申請に当たって申請書の提出を求めるなど、制度の見直しがなされたと思料いたしますが、監査請求からその後の補助事業者の申請から事業者決定に至る経緯についてご報告ください。また、開始以来の委託事業者で申請をしなかった事業者もありましたら、その点の見解も伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、様々な困難を抱えた若年女性の自立を支援するため、若年被害女性等支援事業を実施しており、民間の創意工夫を生かし個々の状況に応じた柔軟な対応ができるよう、今年度から補助事業化いたしました。今年度は九団体から申請があり、そのうち五団体を補助事業者として決定しております。
 補助金の申請については、要綱の内容を踏まえ、各団体が判断しているものと認識しております。

○上田委員 トー横キッズの問題と若年女性が悪質ホストクラブに高額な売掛金を支払うために風俗で働いたり、違法な売春行為を行っている問題が国会でも取り上げられて、今、非常にホットな話題となっております。様々な困難を抱えた若年女性について、この事業は大いに貢献すべきと考えます。
 今後、どのようにこうした若年女性をこの事業に結びつけていくのか、既に結びついているのか、前からやっているBONDプロジェクト、ぱっぷす、若草プロジェクトのこれまでの具体的実績も併せてご報告ください。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 様々な困難を抱えた若年女性については、自ら悩みを抱え込み公的な支援につながりにくいといった側面があることから、本事業では、民間団体によるSNSを活用した相談や見回り等のアウトリーチなどを実施しております。
 団体ごとの事業開始から令和四年度までのアウトリーチの回数と居場所を提供した人数の実績は、それぞれ、BONDプロジェクトが二百八回二百六人、ぱっぷすが百八十八回四十二人、若草プロジェクトが六百三十三回二十五人となってございます。

○上田委員 警視庁と本当に横串で、力を合わせて、こうした若年女性の支援を、そして、この数がどうなのかな、多いのか、少ないのかなというふうに思いますので、より活用できるようにブラッシュアップしていただきたいと思います。
 委託団体や補助金交付団体における政治活動、投票依頼、利用者を特定国政政党の投票活動や政治活動に促していたことを指摘しておりましたが、宣誓書も提出されているとは思いますが、今後、決定した事業者にはそのようなことはないか、確認いたします。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本補助事業の交付申請を行うに当たっては、申請者から誓約書を徴取しております。誓約書には、宗教活動または政治活動を主たる目的とした団体ではないこと、また、本事業の実施に当たり、宗教活動や政治活動は行えないこと等を記載しております。

○上田委員 この申請書の方は、本当に私の指摘に対応していただきまして、ありがとうございます。
 調査に対し、領収書の一部の提示を拒んだため、改善を求めたということがありました。高額な食事代、遠隔地での宿泊についても問題視されました。この経験値を受けて、管理体制も改まったと承知しております。
 新たな補助事業者への管理体制はどう改善されたのか、住民からの情報開示などあった場合、白塗りで出すなど不誠実な対応はないのか、各団体ごとに確認いたします。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都では、本事業の補助金交付要綱を制定するとともに、補助金交付に関するQ&Aを作成いたしまして、適切に補助金が活用されるよう、各団体を指導しております。
 また、各団体に関する公文書の開示請求に対しましては、東京都情報公開条例の規定に基づき対応しております。

○上田委員 李下に冠を正さずということもありますので、本当に公明正大な事業をして、理解をいただければと思います。
 障害者及び高齢者施設の事故、法人指導についてですが、資料を見ますと、令和四年度は入院、死亡に至った事故件数が増えております。
 昨年の答弁も踏まえ、事案も発生していることから、その後の再発防止の取組強化もなされたと思われますので、所見を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 都は、高齢者施設や障害者支援施設において重大な事故が発生した場合には、条例等に基づき、施設種別に応じて、都または区市町村への速やかな報告を求めております。
 高齢者施設等における事故については、法令に基づき施設から報告を受けた区市町村が対応することとしておりますが、事案によっては都も同行し事実調査等を行うとともに、施設の改善計画の確認やその後の指導について協力して行うなど、常に区市町村と連携して対応しております。
 また、都は、事故報告等により収集した情報を基に事故発生の要因等を把握し、毎年度実施している集団指導など様々な機会を通じて、事故防止対策の取組強化を図っております。

○上田委員 あわせて、虐待防止の方の強化もお願いしたいと思います。
 資料、27では、順調に障害者グループホームが増えており、高く評価いたします。
 一方、開設に当たって、平成二十八年にバリアフリー関係基準の弾力的な適用に関する通知が示されており、主たる利用者が知的、精神障害者等に限定され、上下階の移動が困難な者が利用しない場合には、車椅子使用者が円滑に利用できる空間の確保に関する基準や、移動等円滑化経路に関する基準等は適用しないということを確認していますが、福祉事業者ご自身や区市町村の福祉部門や建築部門の担当者が理解しておらず、申請事業者は無理難題に相変わらず苦しめられているようなんですね。
 都への相談はありますか、この緩和について周知徹底を求めるものですが、所見を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 建築物バリアフリー条例第十四条では、障害者等が円滑に利用できると認められる場合または建築物等の形態上やむを得ないと認められる場合において、エレベーターの設置等による移動等円滑化経路を確保する基準等を適用しないことができるとしてございます。
 その基本的な考え方については、特定行政庁の建築部門や各区市町村の福祉部門に通知を出し周知しており、各施設の実態等を踏まえ、特定行政庁が個別に判断しているところでございます。
 なお、通知の内容は都のホームページにも掲載しており、問合せがあれば随時説明を行っております。

○上田委員 答弁まで来ると本当に懇切丁寧に説明してくれるんですけれども、区市町村が、無理よとか、精神なのに自動ドアをつけなきゃ駄目といって、そうすると出て行っちゃうので大変だというご相談も受けているので、ぜひ折につけ、区市町村に指導をお願いしたいと思います。
 自立支援医療です。
 令和二年度の受給者証所持者が、前年と後年と比較して極端に減っているのは、統計ミスではないと思うんですけれども、コロナ禍が関係しているのでしょうか。その減少の割には、公費負担は令和二年度は減っていないのはなぜなのか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 新型コロナウイルス感染症の発生の状況に鑑み、厚生労働省通知により、令和二年三月一日から令和三年二月二十八日までの間に有効期間が満了する自立支援医療(精神通院医療)の受給者証について、有効期間を一年間延長することとなりました。
 そのため、この期間に申請手続を行った認定者数が減少しましたが、公費負担額は例年と同水準でございました。

○上田委員 理解しました。受給者数も公費負担額も増加の一途をたどる一方、本当に三百億だったのがもう四百億近くなっちゃっていますね、調べ始めてから。
 病状改善による返還が数えるほどしかないという事実は、本来の自立支援に結びついていないのではないかと思うんですが、所見を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 病状が改善し有効期間が切れて返還しないケースもあるため、返還数と病状改善とは必ずしも一致いたしません。

○上田委員 なるほど。ほかの自治体では自立支援医療費の公費負担額について、医療機関ごとの金額を算出し、議会質問で公表しているところもあるんですね、東京都はいかがでしょうか。
 極端に多いところは私は把握しておりますけれども、都内で。この極端に多い医療機関に対して何か指導や特別の検査をしているのでしょうか、お尋ねします。

○石黒障害者医療担当部長 都では、保険者が実施する各医療機関からのレセプト請求の審査と併せ、自立支援医療費の個々の請求内容について、精神通院医療の内容として妥当かを点検し、過誤請求の疑いがあれば、医療機関に確認を行っております。

○上田委員 私もこの次の予算のときの資料請求で、医療機関ごとの金額が出せてもらえるのかなというふうに勉強になりました。
 抗精神病薬など精神科で使える薬剤の副作用によって、嚥下障害を引き起こされると伺っております。
 誤嚥で死亡した事例と服飲した薬の関係について、問題意識を福祉局はお持ちでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 薬の効果や副作用の現れ方は、年齢や基礎疾患等により違いがございまして、一概にはいえません。

○上田委員 これ、保健医療局、都立病院でも、嚥下と精神医療の問題は確認しておりますので、今後も指摘させていただきたいと思います。
 埼玉県内の精神病院で看護師の配置基準を満たしていないにもかかわらず、過大に診療報酬を請求した事実が判明した件で、入院患者には国保の被保険者や生活保護受給者が含まれていたため、近隣の自治体が返還を求めて提訴に踏み出したと聞いております。埼玉県吉川市は訴訟を提起し、東京都後期高齢者医療広域連合と足立区の訴えの提起については議決したとのことです。
 この件について、自治体が不当に使われた国民健康保険保険給付費や生活保護医療扶助費を取り戻すための支援をするなど、都は何らかの形で関わっているのか伺います。

○中川生活福祉部長 他県に所在する医療機関において、生活保護の医療扶助に係る診療報酬等に過誤が認められ、都が他県等から通知を受けた場合は、都内の関係区市等に返還などの手続を取るよう通知をすることとしております。

○上田委員 滝山もそうですけれども、精神病院では一体何が起こっているのかということですね。
 東京地裁判決二〇二二年十一月十六日及び東京高裁判決二〇二三年九月二十一日では、精神保健指定医ではない医師が医療保護入院を決定したこと、そもそも医療保護入院させられた人は精神障害者ですらなかったことが認定されております。
 これは重大な精神保健福祉法違反ですが、これを受けて、都は何らかの指導を当該医療法人にしたのでしょうか、改善命令を出したのでしょうか。対応とこの事案への所見を求めます。

○石黒障害者医療担当部長 都は、当該病院に対して、昨年十一月に立入検査を実施し、医療保護入院の手続について、診療録上、精神保健指定医による診察が行われたことが確認できず、精神保健福祉法で定める医療保護入院の要件を満たしていないため、文書により指導を行い、再発防止に向けた取組を含め、改善報告を求めました。
 本年二月に病院からの改善報告を受け、診療録記載に関するマニュアルの周知徹底などの再発防止策を確認いたしました。
 今後とも、立入検査等により、改善状況を確認してまいります。

○上田委員 この病院はいろいろ情報が来ますので、部長、抜き打ちで、立入検査で改善状況を確認する、ぜひ抜き打ちをばんばんやっていただきたいと思います。
 発達障害者支援ハンドブック二〇二〇について、二〇一五年に続き、利益相反自己申告違反で退陣した元顧問医が、また執筆をしております。また質問します。
 ハンドブックを新たに改定する予定はないと伺っていますが、五年ごとに刷新すると思料され、二〇二五年度版に向けた準備が始まる前に、元顧問医に再依頼しないことを求めます。所見を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 発達障害者支援ハンドブックは、発達障害の理解促進等を図るため、様々な分野の方のご意見をいただき、具体的な支援の実践例や知見を取りまとめたものでございます。
 現時点では、ハンドブックを新たに改定する具体的な予定はございません。

○上田委員 改定するときは、様々なほかの先生のコメントをいただいてもらいたいと思います。
 おこめクーポンです。
 先ほどすばらしい議論がありましたけれども、物価高対策とした東京おこめクーポン事業、低所得者層の救済につながらず、地元の米穀店にも全く寄与せず、農協が利するだけの駄目駄目ばらまき事業になることを指摘し、予算にも補正予算にも即反対をしていました。
 案の定、希望コースが選べない、食品が届かないという苦情が殺到した上に、お米がインターネットで転売され、国産ブレンド米二十五キロを買っても百七十四億円で済むのに、JA全農と契約した金額はそれよりはるかに高い二百六十八億円。
 さらに、先ほどの鈴木委員の質疑では、事務経費が四十八億円。私もずっといっていました。現金試算はしてもいなかったということで、資料、45の申込率が六七%ということなんですね。
 希望コースは選べない、ネットでも転売される、もう何か泣き面の蜂状態でして、これ、本当に物価高の影響を受けやすい低所得者救済に寄与していたのでしょうか。
 十月三十日をもって終了したということですが、この事業を分析した評価、今後、新たな生活困窮者への支援事業に、課題や反省も含めてどう生かすか伺います。

○中川生活福祉部長 この事業は、食品を配送することで、物価高の影響を特に受けやすい低所得世帯の生活を支援するとともに、買物に係る負担も軽減するものであり、百万を超える世帯の方にご利用いただき、家計が苦しいので助かったという声などが寄せられております。
 また、生活に困窮する方に対しては、生活困窮者自立支援制度や生活保護制度などがあり、必要に応じて対応しております。

○上田委員 しつこく、もし次やっちゃうなら現金でということをお願いしたいと思います。
 中国残留邦人に対する身元引受人制度は昭和六十年度以降、中国帰国者援護体制の整備は昭和六十二年度に事業開始しております。
 江戸川区にも受入れ施設がありました。対象要件と現在の対象者の人数について年代別にお示しください。今既にお子さん、お孫さん、下手すればひ孫さんという、世代も進んでいると思いますが、家族の支援体制なども伺います。

○中川生活福祉部長 中国残留邦人等に対する支援は、国による日本語教育や生活指導、就労支援などを行う中国帰国者支援・交流センター事業や都道府県で実施する支援給付制度などがございます。
 支援給付制度につきましては、老齢基礎年金を受給してもなお世帯収入が一定基準に満たない者を対象としておりまして、都内の受給者は、令和五年三月末時点で約千四百名、年代別では多い順に、八十代で約七百四十名、七十代で約五百四十名、九十代以上で約八十名となっております。
 また、中国残留邦人等と同伴して帰国した二世等につきましては国制度の対象となりますが、後から永住帰国した二世や三世といった、いわゆる呼び寄せ家族につきましては、都独自に民間団体等が実施する日本語指導事業に対して助成を行うほか、生活相談員による日常生活等の諸問題に関する相談、助言等を行っております。

○上田委員 長年の取組によって、自立に向けて貢献を果たしたというふうに理解させていただきます。
 組織風土です。公益通報についてです。
 福祉局の職員は組織改編によって二千八百四十五名となりました。これまで公益通報が極端に少ないと指摘しておりましたが、資料、41ですと、令和四年度はたったの一件でした。
 これは環境が改善したのか、物をいえば唇寒しという環境になったのか、現状の所見を伺います。

○関口総務部長 公益通報制度では、通報者の氏名、住所、連絡先等、個人が特定される情報の秘密は保持されること、通報者や相談者は、通報等を行ったことを理由に不利益な取扱いをされることはないことが定められておりまして、当局においても適切に対応しております。
 また、当局では、局のコンプライアンス推進研修で、今申し上げました公益通報制度の内容について全職員に周知するとともに、毎年のコンプライアンスについて自己点検を行っておりまして、公益通報制度もチェック項目を設定し、職員の意識啓発に取り組んでおります。
 近年、通報件数が減少しておりますが、必ずしも通報件数のみをもって環境の悪化や改善を表すものではないと考えておりまして、職員が適切に職務を遂行できるよう、引き続きコンプライアンスの推進に取り組んでまいります。

○上田委員 職員目安箱制度と一緒に、犯人捜しがされないような、本来に機能すべきような環境をつくって、ぜひ職員のために、本当に上田令子への公益通報なんてあったりしちゃって、困ったものでございますので、ぜひ組織内でお願いしたいと思います。
 資料、42なんですが、残念ながら令和四年度は三名も自殺者が出てしまいました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 病気休暇、休職も、定年を待たぬ退職も増加しております。局長に女性を大抜てきするなど、小池知事の目立つ部分の女性登用は話題になっていますが、実際には女性の長期休職や定年を待たない退職、公務災害が多い状況です。半数以上を精神疾患関連が占めていることは把握されているようです。
 安全衛生委員会やメンタルヘルス対策推進会議など、取組は、るるご報告いただいているものですが、この数字は正直です。福祉局は、都民の命と心と体の健康を守る東京都庁の最も重要な局です。その福祉局が職員の命と心身の健康を守らなくては、存在意義も意味もないように思います。
 最後の質問です。ここは本腰を入れて、知事や副知事に忖度せず、福祉局の職員を守り、機動的に動くソフト面の組織改編が可及的に求められます。
 一人の自殺者も出さない、職場環境によるメンタル不調者を出さない、局長の所見と意見と決意を伺います。

○佐藤福祉局長 まず、都の福祉行政の目的は、都民の生命と健康を守り、都民が生涯を通じて安全・安心に暮らし続けることであります。福祉局は、執行機関である知事の補助機関として、その目的実現のために、知事の下、日々職務を遂行しております。また、都におきましては、人事面での登用につきましても、男女を問わず能力に応じて行われていると考えております。
 その上での職員のメンタルヘルスについてのご答弁でございますが、福祉局がその役割を果たすためには、職員が安心して働くことができる職場環境、これは一般的にそうだと思いますけど、必要だと思います。安全衛生委員会、メンタルヘルス対策の推進会議、また産業医とも連携をして、職員の健康状態の把握、改善に取り組むほか、職場及び管理監督者の研修やストレスチェックなどを行っております。
 福祉局は、先ほど申し上げたことが組織の目的ゆえに、都民生活との関わりが深いわけで、そのため、都庁組織の中でも忙しい職場が多く、多くの職員は時に心理的、肉体的にも非常にハードな部分があると思います。
 同時に職員も一個人でありますので、当然、家族のことですとか、介護のことですとか、様々な悩みなど、それぞれの事情というのがありまして、時に仕事と私生活の折り合いをつけながら毎日生活を送っていると思います。
 そうした部分をケアしていくことが大事で、先ほど申し上げた制度的なフォーマルな取組のほかにも、ここにいる管理職、私もそうですけれども、課長代理級の監督職が、日々の付き合いの中で部下によく目を配ったりですとか、あるいは部下との人間関係づくりみたいなことを、また、縦だけでなく横同士の協力みたいなものをつくっていくことが必要と思います。
 当然、仕事への甘えというのは許されない中にも、寛容さを持ちながら職員同士が相互に支え合う、そういう相談しやすい組織風土をつくっていく必要があると思っています。
 いずれにせよ、今後とも引き続き、職員一人一人が生き生きと働くことができるよう、私自身も自戒しますけれども、職員の心と体の健康を配慮して風通しのよい職場づくりに努めてまいります。

○上田委員 局長の力強いご答弁をいただきまして、生き生きと福祉局の職員の皆様が働いていただきまして、生き生きと都民の健康と安心と、そして命を守っていただきたいとお願い申し上げて、私の質疑を終わります。

○山加委員 佐藤局長、力強いリーダーシップを発揮していただきまして、大変多岐にわたる幅広い都民福祉、そしてまた幸せの向上に、それぞれの担当部署の皆様が全力で汗をかいていただいておりますことに、心から敬意を表したいと思います。
 今日は、私も二〇〇一年に初当選、この厚生委員会が一番長いんですが、私自身も様々な角度から発信をし、また提案をさせていただきました。
 私自身は、人生の中で中途障害を体験いたしております。そんな中から、不慮の、そして、納得のできない不条理な事故や病気によって大きな機能欠損を抱えたり、また、高齢になれば誰もが多かれ少なかれ機能欠損を抱えるわけでありますけれども、やはり、生涯誰もが一生涯福祉、それぞれの環境の中で自分自身の幸せの向上を図りながら、そして、自分自身のことですから、自助努力は、最大限の自助努力でありますが、そして、社会に出たときにみんなが支え合う共生社会、真の共生社会の実現、そして最後は、公助が支えていただかなければなりません。
 そんな中から、この委員会におきまして様々な発信をさせていただいてまいりましたが、先ほども斉藤副委員長がインクルーシブ、みんなで支え合う共生社会、そしてまた、障害当事者からの発信が大変力強いという意見もございましたけれども、私も障害当事者の立場の中から、外からは分かりにくい、また配慮の必要な、これを(実物を示す)二〇一二年にヘルプマークを予算特別委員会から発信をさせていただきました。
 昨年の事務事業でもこの質疑をさせていただきましたけれども、二〇一七年、これが日本の新しいJISのマークに追加をされまして、そして、現在では四十七都道府県、日本全国に広がり、そして、この商標登録を持つのが東京都であります。
 今日は少々厳しいことも申し上げるかもしれませんが、ぜひ前向きな答弁をいただきたいと思っております。
 まず、今申し上げましたヘルプマーク、人々に必要な福祉ツールのマークの一つとして、二〇一七年、国家標準規格である日本産業規格、JISの福祉マークに追加をされ、現在は四十七都道府県で導入をされ、繰り返しになりますが、その商標登録は東京都が有しているわけであります。
 確認の意味で、再度ヘルプマークの取組についてお伺いをいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 ヘルプマークは、令和五年九月末までに累計で約五十七万六千個を配布いたしました。
 都はこれまで、ホームページでヘルプマークを広く周知するほか、駅や公共施設等へのポスターの掲示、電車やバスでの優先席やホームドアにおけるステッカーの表示、イベントやチラシの配布などを通じて普及啓発を行ってまいりました。
 また、ヘルプマークの普及に取り組む区市町村を支援するため、包括補助におきまして、ヘルプマークの製作、配布等に関する経費の二分の一を補助しております。

○山加委員 令和五年九月現在、五十七万六千個の配布ということでありますが、紛失した方もいらっしゃると思うんですけれども、それにいたしましても、数十万人の方が、配慮が必要だということを自分自身が発信をしながら、また、何かがあったときは助け合う共生社会の実現を信じながら、社会参加をしているわけであります。
 一年、事務事業、昨年からたちました。この一年間の中で、さらなる普及啓発に取り組んでいただいたと思いますので、東京都がどのような新たな取組をこの一年間でしてきたのか、改めてお伺いいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 昨年度末には、主要駅の既存ポスターの貼り替えを行いました。今年度は、テレビドラマとのタイアップポスターによる周知のほか、二か年にかけて都民から集めたヘルプマークを身につけた方への支援の内容を記載したポスター等を作成いたしました。
 今後とも、ヘルプマークの理解促進に向けた取組を積極的に推進してまいります。

○山加委員 私もそのポスターをちょっと入手いたしました。様々な、このヘルプマークを身につけている方の、どんな配慮が必要なのか、そんな声が詳しく、これが全てではありませんけれども、ただ、ちょっと心配いたしますのは、ヘルプマークの認知度がまだ一〇〇%ではありませんので、やはり一〇〇%の認知があれば、このポスターですぐまた結びつくかも分かりませんが、シンボルマークの、このヘルプマークのメインのポスターとともに二枚掲示をしていただくと、さらに分かりやすいのかなと、また、認知一〇〇%に向かっても、さらに上に上がっていくのかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 今申し上げましたけれども、真の共生社会の実現を目指すためには、ヘルプマークの認知度一〇〇%を目指すことが必須であると思っております。取組の推進、重要性も昨年申し上げましたけれども、そのための取組、改めてお伺いいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 令和三年度に実施したインターネット都政モニターアンケートによりますと、ヘルプマークについて意味も含めて知っていた方は六四・九%でございました。
 全ての都民が共に暮らす共生社会を実現するためには、障害のある人もない人もお互いに尊重し支え合う心のバリアフリーの考えが広がることが重要でございます。
 今後とも、都営交通等、局を超えた連携をはじめ、区市町村へのきめ細かな協力依頼、また事業者団体への周知など様々な機会を捉えて、お示しいただいたポスターなどの媒体も活用しながら、より具体的、効果的な普及啓発に取り組みまして、ヘルプマークの認知度向上に努めるとともに、社会に定着させてまいります。

○山加委員 令和三年度の数字が六四・九%ですから、もう少し上がっているかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、都政モニターのアンケート調査結果は、まだきちんと意味を理解していないという方は四割であります。
 恐らく、このマークを見たことがある、知っている、深い意味まではまだ理解をしていないけれども、ポスターを目にしたことがある、そんな方を含めれば八割方という数字が出てくると思いますけど、ヘルプマークを身につけている人が助けを求めたとき、適切な支援をしていただくには、周りの人々がヘルプマークの意味まで理解をしていることが重要であります。
 私は、まだまだ理解促進の普及啓発が足りないと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、支援の手法について、障害に関するシンボルマークであるこのヘルプマークの裏に、私は、人工股関節、そして変形性膝関節症を有しておりますので、股関節財団が無料で発行しているこのヘルプマークに合わせたシールを作ってくれています。これは無料配布されていますので、誰でも入手できますが、そのシールを貼っていることがあります。
 同じくJISになっているマークの中で、障害者のマークであったり、二〇二五年には、聴覚に障害のある方たちが社会参加をするに当たって不自由な思いをすることがないように、JISに入っている聴覚の不自由なマークを貼る、そんなのも、それぞれの区でも単独でやっているところがあると思うんですが、やはり商標登録を持つ東京都として全体につながる、そんなシールを改めて貼れるように、これもJISのマークであるわけですから、JISに追加されているマーク等をここに貼っていくと分かりやすいのかなというふうに思いますので、ぜひ工夫をした取組も検討していただきたいと思います。
 また、一方で、ヘルプマークの転売等の問題については、商標登録を持っている都が無償で配布していること、このことを正しく啓発していくとともに、しっかりと監視もしていくべきことを毎回申し上げておりますが、重ねてお願い申し上げます。
 また、転売だけでなく、様々なヘルプマークの使用許可についても同様であります。私も時々見るんですが、チラシの中に東京都の許可をいただいておりますという一行が入っているんですが、やはりそれは一つのステータスになっているようでありますが、許可をした後、その団体が悪質な寄附金集めや物品販売を行っていないかどうか、許可をした以上はしっかりと見守っていただき、商標登録を持つ都としての重責を果たしていただきたいなと思います。
 いい換えれば、厳しいいい方かもしれませんが、安易なヘルプマークの使用許可をすべきではないと申し上げております。
 また、ヘルプマークは、冒頭申し上げましたようにJIS記号の一つであります。JISには、国際標準化機構、ISO、国家基準に準じ公共の福祉の増進に寄与することを目的とし、事業者間の国際標準化の促進に向けた努力義務規定も含まれております。
 ぜひ、二〇二五年デフリンピックを控えて、真の共生社会実現のために、所管局としてさらなるご努力をご期待申し上げたいと思います。
 次に、優先駐車区画の拡充について伺います。
 バリアフリー法による整備が進められている車椅子使用者等、障害手帳を有する方が利用することのできる少し幅の広い障害者優先の駐車場というのがあります。これは、私も障害手帳を有しておりますので、この障害手帳を有している方が、所管の、自分が住んでいる居住区の警察に行きまして申請をいたしますと、この駐車禁止除外指定証、歩行困難者使用中という、この証書を発行していただけます。
 これは四年間有効でありますけれども、また四年たったら更新をするわけでありますが、大体機能欠損を持っていますと、自分の機能がよくなるということはあまりありません。大体は継続になってしまうと思うんですが、障害者の駐車場というのは車椅子マークで知られていますが、あれは障害者用の駐車場ですが、そこは障害手帳を有する、そしてこの使用許可を持っている方が優先的に必ず止められるということではありません、空いていない場合もありますので。
 そういう駐車場でありますけれども、なかなか必要としている人が止めようとしたときに、そこにぽっと健康な方が止められている場合もありますので、真に必要な人が利用できない状況が発生していること、適正利用について、私は長年問題に思ってまいりました。
 先ほど申し上げた車椅子マークで知られる障害者優先駐車区画、そしてまた、移動に配慮が必要な人も広く対象とした優先駐車区画というのがあります。これ、ちょっと紛らわしいんですが、これは、妊産婦、障害手帳を有しないけれども移動に配慮の必要な方々、ヘルプマークを所有している方などが利用しやすい駐車区画ですが、この優先駐車区画を、これも増やしていく必要があると考えております。
 そこで、さきの三定、我が党からの代表質問で、優先駐車区画について伺わせていただきました。これは、磯山副委員長も答弁調整で努力をしてくれましたが、その際、局長からは、車椅子使用者等の駐車区画の適正利用に向けた普及啓発や、優先駐車区画を推進する取組の方向性について力強い答弁があったところでございます。
 本日は事務事業質疑でありますので、具体的にお伺いをさせていただきます。
 まずは、優先駐車区画の設置を促進するため、これまでどのように取り組んできたのか伺います。

○渋谷事業調整担当部長 都は、法令で設置が義務づけられております車椅子使用者等の駐車区画とは別に、通常の区画も活用しながら、車椅子使用者ほど広いスペースを必要としない、歩行に配慮が必要な方が利用できる優先駐車区画の設置について、都独自の望ましい整備基準として、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルで定めております。
 また、生活に身近な公共施設等において、マニュアルに沿った設置が進むよう、包括補助により優先駐車区画の設置に取り組む区市町村を支援しております。
 さらに、民間事業者等の施設においても広く設置が進むよう、障害者等用駐車区画の適正利用に向けたガイドラインの中で、効果的な取組事例の一つとして、優先駐車区画を設置した事例を周知しております。

○山加委員 これまでの取組については理解をいたしました。それでも、優先駐車区画の数は、私から見ますと依然、本当に少ないです。今後一層増やしていく必要があると思います。
 優先駐車区画の拡充に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、今年度の取組の具体的な内容も含めて教えていただきたいと思います。

○渋谷事業調整担当部長 都は、障害者や高齢者、妊産婦等移動に配慮が必要な方が駐車施設を利用しやすくするよう、今年度、さきに質疑のありましたヘルプマーク等を明示した優先駐車区画用の標識を作成いたしまして、都有施設のほか、区市町村等に広く配布する予定でございます。
 公共施設等の管理者が、この標識をカラーコーン等に貼りつけて、駐車施設等の状況に応じて設置することによりまして、優先駐車区画であることを施設利用者等に明らかにすることが可能になるものと考えております。
 今後、東京二〇二五デフリンピックの開催も見据え、移動に配慮が必要な方が円滑に施設を利用できるよう、区市町村や事業者等の連絡会議等を通じて、優先駐車区画の設置をさらに働きかけてまいります。

○山加委員 力強い答弁をいただきありがとうございます。優先駐車区画、ぜひともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、カラーコーンの置き場所、これも障害当事者からいたしますと、車でないと現地まで行けない、また行きづらいという方が自分で運転をして現地まで行って、そして、優先的に止められれば障害者用の駐車場、もしくはこの優先駐車場の区画に止めるわけでありますが、大体は公共施設、八割方はカラーコーンが真ん中に置かれているんです。つまり、車椅子、また松葉づえ、つえ、自分で運転されれば目的地まで行けるわけでありますが、目的地に着いたときに一度下りて、そのカラーコーンを外して、もう一度乗り込んでというのは、これは健康なときに考える以上に、大変、体に負担がかかるものであります。
 大体、訳を聞きますと、そこにカラーコーンがないと関係ない人が止めてしまうからだという、そういう言い訳が非常に多いです。しかし、そこに止めないように管理者がいるわけですから、止めてしまったら、そこできちんと啓発をして、次から止めることのないように、その繰り返しが、やはり真に必要な人がそこに止められる、安全・安心に社会参加ができるということにつながっていくと思いますので、このカラーコーンの取組は大変すばらしいと思いますが、そのカラーコーンを置く場所、このようなささいなこともしっかりと皆様方のご努力によって、お願いをしたいと思っております。
 最後になります。加齢性難聴について、最後の項目をお伺いしたいと思います。
 加齢性難聴、これは特定の方が持つ障害ではなく、年齢を重ねれば誰にでも起こり得ることであります。今後、人生百年といわれる長寿社会を迎える中で、障害の有無にかかわらず、繰り返しになりますが、お互いを尊重し支え合う共生社会を推進していくためには、こうした高齢者の方々への援助や配慮がさらに必要になってまいります。
 都として、高齢者の聞こえのコミュニケーションを支援していくことは非常に重要だと考えますので、都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 高齢者や障害者をはじめ、全ての人が必要な情報を容易に入手できる環境を整備することは重要でございます。
 このため、都は、情報伝達の際に障害特性等に応じた必要な配慮等について記載した情報バリアフリーガイドラインを策定し、区市町村や事業者が、聴力の弱い方々にとって聞こえやすい環境を整備する取組を促進しております。

○山加委員 加齢とともに聴力が徐々に低下をし、小さな音が聞こえにくくなったり、言葉の聞き取りに影響が出てくることで日常での事故につながるおそれ、周囲とのコミュニケーションが取りにくくなることによる不安や孤独感による精神面にも悪影響が出てくると思います。
 加齢性難聴には、今のところ根本的な治療法はないということであります。補聴器装着などの適切な対応を早期に取ることが一番の方策であります。都は現在、高齢者への補聴器の支給など、加齢性難聴への対策に取り組む区市町村を包括補助で支援をしています。
 取り組んでいる区と取り組んでいない区があるようでありますが、さらに施策の充実を図り、加齢性難聴の早期発見と適切な補聴器利用を推進、行うべきと考えますが、見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう包括補助により支援をしており、補助実績は、平成三十年度の二自治体から、昨年度は十五自治体へと増加しております。
 補聴器を希望する方が必要な支援を受けられるよう、都は本事業を実施していない区市町村に対し補助制度の活用を働きかけるとともに、区市町村や専門家など関係者の意見も聞きながら、効果的な施策を検討してまいります。

○山加委員 加齢とともに聴力が低下し生活に支障が生じてくる加齢性難聴は、年を重ねれば誰もがなり得る可能性があります。
 また、難聴は加齢性難聴だけでなく、年齢の有無にかかわらず環境によって生じる突発性難聴、生活環境によって平均より早く聴力低下が訪れる場合があります。生まれつきの聴覚障害と異なり、中途での難聴になりますと手話によるコミュニケーションの方法の取得もなかなか難しいと思います。
 真の共生社会実現に向け、いついかなる体の変化があろうとも、安心して社会参加のできるよう、加齢性難聴が高齢者部、難聴は障害部という、そういうことではなくて、福祉の施策支援充実に、担当部局の垣根を越えてご尽力をいただきたいと申し上げ、質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十五分間休憩いたします。
   午後六時十四分休憩

   午後六時四十一分開議

○あかねがくぼ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊藤委員 大きく三点について質問をさせていただきます。
 まず、〇一八サポートについてです。
 この事業は、地元で子育て世代の方々とお話をしても大変よい評価をいただいています。また、当初から比べても確実に、申請したよという方も増えているというのが実感としてございます。
 子育て世代にとって、日々かかる食費、学費、こうしたもののほかにも、部活動の遠征費ですとか、なかなか表には出ない、そういった出費もございまして、給付そのもの、これももちろんのことなんですが、社会全体で子育てを応援しようというメッセージ、こうしたことは、子育て当事者にとってとても心強い取組であるというふうに考えています。
 一方で、申請にまだ慣れていらっしゃらない方からは、申請が難しいというお声ですとか、事業自体の周知がまだ行き届いていないという、こうした方々がいるというのも、一方で事実であります。
 じゃあ駄目だということではなくて、足りないところがあるのであれば、さらによくしていくためにどういう改善が考えられるのか、ぜひ、こうした努力をしていきたいというふうに私自身も考えています。
 そうした前提で何点かお伺いをしたいと思いますが、全ての子供たちの成長を切れ目なく支えていく、これが、この事業の趣旨の中に書かれております。この趣旨を踏まえれば、制度が必要なのに申請ができないという方々へは、確実に制度を届けて救っていかなければなりません。そのためにも、最初から最後まで一連の申請手続が分かりやすくスムーズに行えるようにすることが重要と考えます。
 昨今、ホームページでの説明画面、説明の内容等が追加されるなど一部改善が図られてきましたが、都民ファーストの会の先輩方がこれまでも求めてきたシステム改善について、改めて、こうした幾つかの今残っている課題への取組でありますとか、申請が難しい方々への対応、また、現段階において準備をしている取組があれば伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 〇一八サポートの申請手続が円滑に進められるよう、手続開始からの手順を整理し、申請サイトの表示を改善いたしました。また、申請手続の最初から最後までの一連の流れを紹介する動画や解説ページを新たに作成しました。システムの改善については、引き続き様々な意見を聞きながら取り組んでまいりたいと思っております。
 また、申請方法についてお困りのことがある場合は、コールセンターで問合せを受け付けておりまして、コールセンターでは通話をしながら申請サイトでの入力を完了まで案内するなど、丁寧に対応しております。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 次に、収入認定の件について伺います。
 生活保護世帯がこの〇一八サポートを受給した場合、当初、収入認定とされておりましたが、その後、収入として認定されないことが決まりました。対象者の皆さんにとっては大きな改善だと思います。
 そこで、この変更について、対象となる生活保護世帯への周知はどのように進めているのかという状況を伺いたいと思います。あわせて、本事業の情報の浸透と、確実に申請につなげていただくというためにも、様々な媒体を活用して徹底した周知をする必要があります。申請締切りまでの取組について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 生活保護世帯の方に対しましては、福祉事務所を通じて、〇一八サポートが世帯の収入として認定されない旨を個別に周知しているところでございます。
 本事業を対象となる都民の方に広く周知し、申請を確実に行っていただけるよう、「広報東京都」への掲載やSNSでの配信等による広報を実施しております。
 今後も様々な広報媒体を活用し事業周知を図ってまいります。

○伊藤委員 続いて、受給後の対応について伺います。
 期限までに申請を終えて、一月に一括で支給をした後、例えば急な転居などで年度内、期間内に都外への転出が発生した場合、こうしたことがケースとしては考えられるのかなと思いますが、そうすると支給対象外となる期間が生じてまいります。
 この場合、どのようにして対象者を把握して返還を求めていくのか、この点について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、保有する情報を用いまして、支給した方の毎月一日時点の都内在住状況を確認することとしております。
 その中で、都外に転出するなど支給対象外の期間が生じた方に対しましては、法令等に基づいて返還を求めてまいります。

○伊藤委員 分かりました。続いて、申請の締切りとその後の対応について重ねて伺います。
 現状、一旦の申請の締切りは十二月十五日ということになっています。この期日までに申請をされた方に対しては、一月に一括で支給をするという流れになっています。
 仮に、この時期に間に合わなかった場合、十二月十五日に間に合わなかった場合、その後も受付を継続するということでお聞きをしていますが、最終の申請の締切りはいつになるのか、また一月の支給に間に合わなかった、二月、あるいはそれ以降となる場合、支給時期はどのようになるのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 令和六年一月支給分の申請締切りは十二月十五日としておりますが、十二月十六日以降も引き続き申請を受け付けいたします。この分の支給については、別途行うこととしております。

○伊藤委員 制度としては、十二月の締切り以降となる二月中や、三月一日までに転入、生まれた方も受給対象となるということに制度上なっています。
 ただ、本年度内が最終の申請の締切りとなっているので、そうなりますと、仮に三月一日から数えた場合、一か月弱しかないので、期間が短いということで申請漏れになってしまう方が出るおそれがあります。要件は満たしているのに受給できないというような方が決して出ないように、そうした状況を十分考慮して申請可能な期間、周知の期間、こうしたことを十分に設けていただくことを要望として求めたいと思います。
 次に、未申請者の方への対応について伺います。
 一旦の申請の締切りとなるのが、先ほど申し上げました十二月十五日になりますが、一月一括支給の申請を締め切った後、例えば事業を知らなかった、あるいは様々な理由により申請ができなかった、間に合わなかったといった未申請者の方に対して、どこにどれだけそうした対象者がいるのかを把握し、そうした方々へ積極的にアプローチをしていくということが重要であると考えています。
 この点についてどのように対応していくのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 十二月十五日までに申請いただいた方に対しましては一月に支給できるため、できるだけ早く申請いただけるよう、現在、様々な方法で事業周知や申請の促進を図っております。
 今後、申請状況を確認しながら、より多くの方が申請、受給できるよう、引き続き取り組んでまいります。

○伊藤委員 繰り返しになりますが、いわゆる情報弱者といわれる層の方々であったりとか、様々な理由によってなかなか自力で踏ん張り切れない、こうした支援が必要である方々に対して、ぜひ十分に光を当てていただくように努力をお願いいたします。
 続いて、二点目の質問に移ります。高校生等医療費助成事業について伺います。
 この事業についてですが、子育ての家計負担軽減の観点から、それまで未就学児から中学生までだった対象者に加え、高校生世代についても医療費助成の対象となりました。子供の医療費助成制度の拡充が図られたことによって、経済的負担の軽減はもちろんのこと、子育て家庭の安心にも大きく寄与されるものと評価をいたしております。
 実際、多くの方々からも歓迎の声をいただいています。いつ何どきけがをしたり、熱を出したりするか分からない、これが子供であります。家庭の経済状況によって医療へのアクセスが制限されるといったようなことを起こさないためにも、安心して医療を受けられるための大切な事業であると理解をしております。子育て中の当事者としても、また地域の代弁者としても、本事業をよりよくしながら、継続していけるように努力をしていきたいと考えております。
 そこでまず、改めてになりますが、高校生等医療費助成制度の概要、それから、区市町村の現在の実施状況についてお伺いをいたします。

○渋谷事業調整担当部長 都は、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期である高校生等について、自らの健康をコントロールし改善できるよう支援することは重要であることから、令和五年度より、高校生等を対象としました医療費助成事業を開始いたしました。
 本事業は所得制限や一部自己負担を設けた上で、都と区市町村との負担割合を二分の一とすることを基本的な枠組みとしており、早期の事業開始を促進するため、令和五年度から三年間は都の負担割合を十分の十としているところでございます。
 本年四月から都内全区市町村において本事業を開始しております。

○伊藤委員 今、一部ご説明をいただきましたが、区市町村の実施状況の中身について伺いたいと思います。
 今いただいたご答弁では、全区市町村で実施されているということでありましたが、所得制限等自己負担分、これは都の補助の対象にはなっていないので、その点については実施主体である区市町村の判断ということになっています。
 この点について、先日拝見をした資料では、令和五年十一月現在において、二十三区では所得制限、自己負担ともに全ての区で撤廃しています。これに対して、市町村においては所得制限が残っているのが十三自治体、撤廃したのが二十六、自己負担については、残っているのが二十二自治体、撤廃したのが十七自治体となっており、所得制限と自己負担の扱いについて、現実としてばらつきが出ているということです。
 私自身も立川というまちで働いてきましたが、毎年、行政も議会も数十万、数百万の予算を絞り出すために必死になって努力を重ねているという、こういう実情がありますが、二十三区のように所得制限も自己負担もなしで実施したいというふうに思っても、やはりここは財政力の弱い自治体ではどうしても、もう一歩、そこは踏み切れないという一つの課題になっています。
 もう一点は、事業が三年間の時限措置であるという点です、今の形では。先ほどご答弁いただいたように、市区町村に対して早期に事業を開始してもらえるようにということで、当面は三年間、十分の十補助をするということになったことは分かりましたが、先ほども一部触れましたけれども、四年後から都の補助率が減るとなれば、市町村、基礎自治体によっては相当大きな財政負担になるということが想定をされます。市町村としては、一度下げたものをまた上げるというのは、なかなか避けたいなというのが本音だというふうに思います。
 こうした点について、自治体からはどのような声が上がっているか、都として、どのように把握をされているかお伺いしたいと思います。

○渋谷事業調整担当部長 区市町村からは、令和六年度の予算要望などの場におきまして、高校生等医療費助成事業に対し、所得制限や一部自己負担を撤廃することや、令和八年度以降も都が財源を負担することなどの要望を受けております。

○伊藤委員 分かりました。都の補助によってこうした事業が立ち上がったということについては、これはもう本当にありがたいことだというふうに思っています。
 ただ、一方で、今申し上げたように子供たちの健康に対してのことなので、やはりここで自治体間の違いというものはできる限りつくるべきではないというふうに考えます。
 先ほど答弁をいただいてご説明いただきましたが、こうした自治体からも八年度以降の予算案でありますとか、負担率等々の要望、出ているということなんですが、こうしたことを受けられて、都としては、今後どのように取り組んでいかれるのか伺います。

○渋谷事業調整担当部長 高校生等医療費助成事業に関する令和八年度以降の財源や、所得制限及び一部自己負担など財政面の取扱いにつきましては、区市町村との間で昨年度設置いたしました協議の場で検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひ、十分に地域の声を、現場の声をお聞きいただいて、議論を進めていただきたいと思います。
 先ほどからご説明もいただいているとおり、制度上、現状、自治体によってのばらつきが生じているというのは、もうこれは一面では仕方のない、制度上、仕方のないことだというふうに思いますが、繰り返しになりますが、それでも、やっぱり子供の健康のことが住んでいる自治体の財政力であるとか、首長の考えで差が生まれてしまうということは、最大限、私は避けるべきというふうに考えます。
 まずは、せめて都内だけでも子供たちが安心して医療にアクセスできる環境を整えられるように、ぜひ、現場の声を受け止めて議論を進めていただくことを強く要望して、この質問は終わりたいと思います。
 三点目です。TOKYO長寿ふれあい食堂推進事業について伺います。
 地域での触れ合いの機会創出や高齢者の外出の促進に資するという面でも、多くの区市町村で事業を行ってもらえるよう、推進をしていっていただきたいというふうに考えております。特に、コロナ禍で減少してしまった地域活動を復活させる足がかりとしても期待できる事業ではないかと、私個人的にも期待をしているところです。
 そこでまず、事業の概要と今年度の利用状況について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 TOKYO長寿ふれあい食堂推進事業は、高齢者の交流機会の増加、心身の健康増進、多世代交流の促進を目的として、区市町村や地域住民等が主体となって実施する、高齢者が気軽に立ち寄り会食できる居場所づくりを育成、支援するものでございます。
 今年度、第一回の募集において三自治体から申請をいただき、交付決定したところでございますが、十月には第二回目の募集を行い、現在、二自治体から事前協議を受けているところでございます。
 本事業の開始以降、他の自治体からも問合せがあることから、今後改めて第三回目の募集を行うなど、区市町村に対し本事業の活用を呼びかけてまいります。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 私も事業概要を自身でも見させていただきましたけれども、今伺った限りでも、そんなに複雑な内容ではないと思いますし、うまく進められれば、末永く利用していただける制度になるのではないかなというふうに思っています。
 ご存じのとおり、コロナ禍の約三年半で、地域によっては自治会員数の減少などで地域活動の準備ですとか、活動自体がもうできなくて、私の地域でも、今年の夏祭りも見送ったというようなところがあるように、こうした影響というのは、今でも影響を引きずっているというのが地域の実情です。
 実際に地元でこの事業について話をしてみると、既に今でも定期的に会合を持っている、そうした地域ですとか自治会、こうした方々からおおむね好評をいただいているんですが、ただ当然のことながら、これは自治体が手を挙げなければいけないので、自治体が手を挙げていないところの地域は当然知らないんですよね、情報が下りてきていないので、事業自体を知らないという状況です。
 これは都民提案事業という制度で始まった事業ですが、一年間という期限で考えていくと、今申し上げたように地域に浸透する時間自体も足りないと思いますし、区市町村も、やっぱりこの一年の中でということだけでは取り組みにくいんじゃないかなというふうに思います。申し上げるまでもないんですが、こうした点も、先ほど、今協議中を含めて五団体ですか、こういった数字にとどまっている一つの要因ではないかなというふうに考えています。
 このTOKYO長寿ふれあい食堂について、今年度で終了ということではなくて、来年度も、ぜひ引き続き事業を実施していただきたいというふうに思いますが、最後、この点、認識を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 高齢者人口が増加していく中で、一人暮らしや高齢者のみの世帯も増加すると予測されております。
 このような中、高齢者の交流機会の増加、心身の健康増進、多世代交流の促進は重要であり、それに資する本事業は意義があると認識しております。
 こうした高齢者の居場所づくりが進むよう、支援策を検討してまいります。

○北口委員 私からは、まず初めに、高次脳機能障害の障害者とそのご家族に対する支援についてお伺いをさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 高次脳機能障害は、事故とか病気により、脳に重大なダメージを負って、全身に様々な障害が起きるというふうに理解をしております。
 先日、高次脳機能障害の専門医の方の講演会を聞く機会がございました。ポイントとしては、三つお話をされておりました。高次脳機能障害を適切に診断、治療する医師を増やすこと、それから二つ目が、患者、家族に対して必要な行政支援等の情報をしっかりと伝えていくということ、そして、医療関係者だけではなくて、保健師、理学療法士、作業療法士など、チームを組んで自立支援にしっかり取り組んでいくこと、こういったことをお話を聞いてまいりました。
 患者や家族の立場から見れば、急性期や回復期に応じて治療やリハビリテーションのサポートが受けられるように、まずは医療機関で高次脳機能障害の適切な診断、評価を受ける必要があります。
 都は、患者や家族等が高次脳機能障害に対応できる医療機関について、必要な情報へアクセスできるようにするために、どのような取組を行っているのか、現状をお伺いいたします。

○石黒障害者医療担当部長 都においては、東京都心身障害者福祉センターが支援拠点となり、高次脳機能障害者に対する理解と支援の充実を図るため、高次脳機能障害の診断、評価、リハビリテーションを行っている医療機関について調査を実施しております。承諾が得られた医療機関については、冊子やホームページに掲載し広く周知しております。
 また、二次保健医療圏域における取組といたしまして、高次脳機能障害者のリハビリテーションにおける中核医療機関に、専門的リハビリテーションの充実事業を委託しておりまして、区市町村や医療機関等からの相談を受けて、圏域内医療機関の高次脳機能障害の診療体制などに関する情報提供や評価対応可能な医療機関の紹介を行っております。

○北口委員 都では、診断、リハビリ等を行っている医療機関を冊子やホームページで広く周知しているということでありました。また、二次医療圏ごとに、中核医療機関を中心に知識の共有を図っているということでございました。
 こうした取組で患者やご家族を支援する関係機関の対応力を上げていくことは、大変重要だというふうに思っております。引き続き、取組をぜひお願いしたいと思います。
 しかしながら、患者、そして家族からは、そもそも自分が、もしくは発症した身内が高次脳機能障害だという認識がない、もしくは高次脳機能障害という言葉を聞いたことがない、医師からは、例えば脳梗塞ですと病名は告知されるものの、それだけであって、専門医や行政の適切な支援にアクセスする機会を失っているケースがあるというふうにも仄聞をしております。
 特に、患者が高齢者の場合、高次脳機能障害とは明確に告知されずに、身体障害や精神障害の申請をすれば、障害者認定されて各種の支援が受けられるのに、その機会を逸しているケースがあるというようでございます。
 高次脳機能障害を発症した患者及びその家族へのサポート体制づくりを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 高次脳機能障害者及びその家族を支援していくためには、身近な地域で相談や支援を受けられる体制を確保することが重要でございます。
 都は、東京都心身障害者福祉センターに専用電話窓口を設置し、高次脳機能障害者とその家族に対する専門的な相談支援を実施しております。また、高次脳機能障害者やその家族が必要な支援サービスにつながることができるよう冊子やパンフレット等を作成するとともに、ホームページにも掲載しております。
 今後、掲載しているホームページのURLを毎年関係機関に周知するなど、保健医療局とも連携し、さらなる普及啓発に向けて取り組んでまいります。

○北口委員 ぜひ、保健医療局ともしっかり連携をしながら、取組の推進をお願いしたいというふうに思います。
 続きまして、介護現場における外国人人材の育成についてお伺いをさせていただきます。
 昨今、介護現場では人材不足の一つの対応策として、外国人の介護職員が増えております。介護現場の人手不足の解消方法の一つの方策として多くの介護施設で雇用され、都の高齢者介護施策の一翼を担ってくれております。しかしながら、当然、日本語に堪能な方ばかりではなく、中にはスムーズな意思疎通が難しい場合があるとも聞いております。
 私ごとで恐縮ですが、私の父も今現在、介護施設に入所しておりますが、外国人職員とのコミュニケーションがお互いに難しく、もどかしいというふうにいっておりました。また、上司や同僚などとも、お互いの文化や生活習慣の理解不足から困っているというケースも聞いております。
 今後さらに増えると見込まれるこの外国人の介護従事者に対する教育、育成をどのように行い、介護の質の確保につなげるのか、都の見解を伺います。

○花本高齢者施策推進部長 都は、介護施設等で外国人介護従事者の受入れが円滑に進むよう、介護施設等を対象に受入れに必要な知識やノウハウを提供するセミナーや、指導担当者に対する研修を実施しております。
 セミナー等においては、コミュニケーションの取り方や信頼関係の構築方法、異文化理解の促進等について講義や事例紹介を行うほか、グループワークを実施し、介護施設等の受入れ体制の整備を図っております。
 さらに、外国人介護従事者の受入れ後の支援として、円滑なコミュニケーションを促進するための日本語学習や異文化理解の学習等に関わる経費や、介護技能の学習に関わる経費を補助しております。
 今後とも、質の高い介護サービスを提供できるよう、外国人介護従事者を受け入れる介護施設等の受入れ環境の整備を積極的に支援してまいります。

○北口委員 今後、ますます外国人介護職員、増えてまいりますので、どうかこうした取組、継続をし、また、さらに支援が強化されますようにお願いをいたしたいというふうに思います。
 次に、聴覚障害者への支援についてお伺いをいたします。
 二〇二五年、東京都でデフリンピックが開催をされます。パラリンピックと同様に、この大会を契機に聴覚障害者への理解促進と、そして、あらゆる意味でのバリアフリーのさらなる発展につなげていかなければなりません。
 都は、令和四年九月一日に施行された東京都手話言語条例の制定を踏まえ、手話の普及啓発に取り組んでまいりました。この機を捉え、さらに手話を使用しやすい環境整備が重要と考えますが、その取組及び強化策についてお伺いをいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 都はこれまでも、都民の手話への理解を深めるため普及啓発に努めるほか、専門人材の育成に向け、手話通訳者等の養成にも取り組んでまいりました。
 令和五年度からは、手話通訳士の継続的な手話技術の質の維持や専門性向上の支援のため、手話通訳士ブラッシュアップ研修を新たに開始するとともに、地域の子供たちが手話に関する理解を深められるよう、学校での出前授業や教材の作成等を行う区市町村の取組を包括補助により支援しております。
 今後もこうした取組を進め、手話を必要とする方が手話を用いて意思疎通できるよう環境の整備に努めてまいります。

○北口委員 何とぞよろしくお願いいたします。
 一方で、全ての聴覚障害者が手話を使えるわけではありません。手話以外での情報保障の在り方を検討することも大変重要だと考えております。
 例えば、デジタル技術を活用し、音声を速やかに文字に変換してパネルに表示するような機器とか、スマホで使用できる音声文字変換アプリなど、聴覚障害者の情報保障の方法は多様化をしております。
 さらに、こうしたデジタルでの情報保障は、単に聴覚障害者のためだけではなく、言語の壁を越え、外国人とのコミュニケーションにも力を発揮することも期待をされます。また、健常者にとっても、最近のユーチューブ動画などでテロップが多用されるように、音声と同時に文字情報を得られることは大変有用でございます。
 全ての人に情報保障を進めていくために、様々な情報手段によるコミュニケーションを推進するとともに、デジタル技術等を活用することも重要と考えますが、都の見解を伺います。

○鈴木障害者施策推進部長 都は、情報バリアフリーの充実に向け、手話通訳者や要約筆記者、盲ろう者向け通訳介助者、失語症者向け意思疎通支援者の養成、点訳や朗読ボランティアの指導者養成などに取り組んでおります。
 また、デジタル技術等を活用した情報保障機器の利用を支援するため、東京都障害者IT地域支援センターを設置し、障害者からの利用相談を行うとともに、福祉機器を展示するイベントに出展し、様々な障害特性に応じた情報保障機器等の展示や活用事例の紹介を行っております。
 今後も障害のある方々への情報保障がより一層進むよう取り組んでまいります。

○北口委員 ICT機器の技術革新は目覚ましいものがございます。まずは東京都がこうしたICT機器を積極的に導入して、聴覚障害者への情報保障、利便性の向上に努めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 次に、精神障害者への支援についてお伺いをいたします。
 私の家の近所に小さい頃からよく知る二十代の青年がおりますけれども、ご両親とも親しく家族ぐるみでお付き合いをさせていただいております。その子が、高校に進学した頃から学校に行けなくなり、自宅に籠もるようになりました。医師の診断では統合失調症ということでございましたが、心療内科と服薬では状態が好転せず、複数の精神科病院にかかり、現在は入院をしております。
 この間、ご両親も当然ながら、我が子の将来をめぐり大変悩まれております。今後、退院しても当たり前の日常生活が送れるのか、仕事を持ち経済的にも自立できるのかなど、後の社会生活に大変大きな不安を感じておられます。
 こうした精神科病院から地域生活に移行する精神障害を患った方々を支援するためにも、日常生活から日中の活動先等について総合的に支援する体制を整備していくことは、大変重要だと考えます。
 都としてどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○鈴木障害者施策推進部長 障害者が地域での生活を継続していくためには、区市町村が地域の実情を踏まえ、相談や緊急時の受入れ、一人暮らし体験などの機能を備え、障害者の生活を地域全体で支えていく地域生活支援拠点の整備が重要でございます。
 そのため、都は、令和五年度末までに各区市町村に少なくとも一つ以上整備することを目標としており、拠点整備の課題となっている緊急時の受入れ対応機能の整備を進めるため、短期入所施設に看護職員等を配置する区市町村を支援しております。
 障害のある方が希望する地域で安心して暮らせるよう、地域生活支援拠点の整備や機能のさらなる充実に向け、今後も取組を進めてまいります。

○北口委員 都は、令和五年度末までに区市町村に少なくとも一つ以上整備していくということでありまして、また、緊急時の受入れ体制の機能、ここも強化をしていくということでございました。ぜひ、区市町村の体制づくり、支援を推進していただきたいということであります。
 現在は大変なストレス社会でございまして、鬱などの精神障害は誰でも患う可能性があります。こうした方々をしっかりと地域で支援していくことは大変重要でございますので、ぜひとも取組を推進し、また充実をさせていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 最後に、子供食堂について一点だけお伺いをさせていただきます。
 子供食堂については、現在、ボランティアやNPOの皆様のお力により、都内各所で設置運営をされております。その目的は単に食事を提供するだけではなくて、地域での居場所づくりや見守り、交流の場など様々な側面があることは、ご承知のとおりかというふうに思います。
 また、一口に子供食堂といっても運営形態も様々で、飲食店を活用するケースもあれば、新型コロナの影響で公園などを借りて持ち帰れる状態で食料を配布するのみというケースもございます。
 私の知り合いも子供食堂を運営されておりますけれども、食材や機材を保管する倉庫がない、自動車の荷台に荷物を積みっ放しにしていたり、自宅で管理したりとご苦労されている様子を話してくださいました。また、集まってくる子供たちの様子をよく観察しながら、異変がないか見守りをしているとも話しておりました。
 地域の子供に居場所や食事を提供し安全を見守る、こうした子供食堂の立ち上げや立ち上げ後の安定的な運営のために、都が行っている支援についてお伺いをいたします。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、子供食堂に対し、区市町村を通じまして、会食の開催や配食、宅食に係る経費を支援しております。
 また、昨年度から事業の立ち上げに必要な設備等の経費を補助しているほか、事業を開始する際に必要な手続や好事例を紹介する子供食堂スタートブックを作成し、運営のノウハウを提供しております。
 こうした取組により、区市町村と連携して、地域における子供食堂の安定した運営を支援してまいります。

○北口委員 ありがとうございます。
 来年度は、配食、宅食への加算の補助は、都の十分の十の事業から、区市町村二分の一、都二分の一の包括補助事業に変わります。運営が厳しい子供食堂もあると伺っておりますので、今後も区市町村と連携をして、取組が継続していただけるように、ぜひともお願いを申し上げて、質問を終わります。

○原委員 それでは、三つの柱で質問します。
 まず最初に、障害者医療費助成制度についてです。
 八月二十六日に行われた知的発達障害児者の六団体による第十七回東京大集会では、障害当事者の方々が暮らしや仕事、余暇などについて生き生きと発表され、たくさんのことを学びました。
 ある方の発言の最後に、健康で生きていきたいと述べられました。健康は、自分らしく生きていく土台です。コロナ禍が続いてきた中で、作業所の工賃も減ってしまったので受診回数を減らしている、あるいはコロナの中で体調を崩した娘が、一年間で医療費だけで十万円もかかった、私たち親も脳梗塞、がんと大病にかかり先行きが心配など、医療費助成制度の対象外になっている愛の手帳三度、四度の方をはじめ、医療費三割負担を強いられている方々、あるいは保護者から切実な声が寄せられています。
 障害者医療費助成制度の目的については、条例の第一条で、心身障害者に対し、医療費の一部を助成し、もって心身障害者の保健の向上に寄与するとともに、心身障害者の福祉の増進を図ることを目的とすると書かれています。この目的にふさわしく、障害者の実態を踏まえ、よりよい制度に絶えず見直していくことが大切です。
 それで、まず一点聞きます。医療費の負担が重いため受診を控えている障害者がいることについて、都は認識していますか。

○渋谷事業調整担当部長 心身障害者医療費助成制度は、心身障害者の保健の向上と福祉の増進を図ることを目的に、重度障害者の医療費の一部を助成する福祉施策として実施しております。
 対象要件は、本制度と趣旨を同じくする所得税の特別障害者控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ設定しております。

○原委員 質問には全く答えていない、そういう答弁だったと思います。私が聞いたのは、受診を控えている障害者がいることについて、都は認識していますかということなんです。
 もう一度伺います。障害者の受診控えについて、認識はありますか。

○渋谷事業調整担当部長 心身障害者医療費助成制度の対象については、医療に係る経済的負担が特に大きいことなども踏まえ設定しております。

○原委員 答えていただけないということは、実態を知らないということなのでしょうか。
 よりよい制度にしていくためには、実態を調査することが必要だと改めて思います。その点についてはいかがですか。

○渋谷事業調整担当部長 障害者の生活実態につきましては、五年に一度、福祉保健基礎調査により把握しております。

○原委員 この調査については、私も以前、文書質問も行いました。そのときに、調査の目的について、都は、生活実態を把握することにより、都における障害者施策の充実のための基礎資料を得ることと答弁しています。これで実態を把握という、今ご答弁ありましたけれども、これまでのこの調査では、受診控えの実態については特に調べてはいないんですね。
 新しい基礎調査がつい先日まで行われていましたけれども、障害者本人や家族の方々からは、医療費助成の対象外の方に対し、医療費の自己負担について聞いてほしいという要望、意見も出されていました。
 それで伺いたいんですけれども、今のお話だと、今回の実態調査で生活の実態がつかめるというお話だったんですけれども、五年に一度の今回の調査で、こうした医療費助成対象外の人たちの医療費の自己負担について聞いてほしいという要望についての新たな設問を設けたりとか、そういうことはあったんでしょうか。ちょっと確認させてください。

○渋谷事業調整担当部長 福祉保健基礎調査、障害者の生活実態では、障害の状況、健康医療、日常生活の状況、就労の状況、障害福祉サービスの利用状況等、都内に居住する障害者の生活実態を調査してございます。
 なお、医療費につきましては、プライバシーに関する事項であり、正確に把握することは困難と考えて、今回の調査項目に、医療費そのものは入っておりません。

○原委員 入っていないということなんですよね。それで、福祉保健基礎調査はとても大事な調査だと、もちろん思っています。ただ、医療費の負担実態に関していえば、残念ながらこの調査だけではよく分からない、そういう可能性が高いということだと思います。
 コロナ禍というこれまでにない状況の中で、障害のある方たちはたくさんの困難を強いられてきました。工賃は減ってしまう、仕事がなくなる方もいらっしゃった、また、体を動かす機会が減って、病気が進行してしまう、こういうようなたくさんの困難の中で、医療費の負担はこれまでになく重くなっているというのが実態だと私は思います。
 毎年、幾つもの障害者団体から、医療費助成制度の拡充、あるいはこの制度の中じゃなくてもいいから、医療費の負担を軽減してほしいなどの要望が出されています。この要望は、毎年ただただ出しているわけではなくて、本当に切実で、特に今年、今回出されているのはコロナ禍をくぐっての要望ですから、より切実だということを指摘したいと思うんです。
 ですから、福祉保健基礎調査とは別に、やっぱり実態調査、どれだけ医療費の負担が大変かという、受診控えが大変かという、そういう調査をしていただきたい、このことは検討してほしいと思います。
 それで、私が実態把握が必要だと思うもう一つの理由は、障害の重さだけで医療費の負担の軽重を量ることはできないと思うからです。中度や軽度の障害の方であっても、年齢を重ねる中で、たくさんの医療機関にかかる方はとても多いです。また、障害者の方は高齢化のスピードも速いといわれています。さらに、認定を受けている障害以外に、体に弱い部分を持っているケース、そういう方々もたくさんいらっしゃいます。
 障害者権利条約に対する国連障害者権利委員会の勧告では、日本の障害者認定制度は機能障害と能力の評価に基づく医学モデルであり、これを見直して人権モデルに変え、全ての障害者が必要な支援を受けられるようにすることを求めています。
 その方向性に立って、都としても必要な人が受けられる制度に改善することを検討すべきと思いますが、いかがですか。

○渋谷事業調整担当部長 国は、障害者の医療費について、医療保険制度のほか、障害者総合支援法による自立支援医療費の支給等により、負担軽減措置を講じております。
 加えて、都は、心身障害者の保健の向上と福祉の増進を図ることを目的に、所得税の特別障害控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ、重度の障害者の方の医療費の一部を助成する心身障害者医療費助成制度等を実施しております。

○原委員 これも正面からは何も答えてもらえていないんですけれども、障害の中度、軽度の方が医療費の負担が軽いわけではないんだということを私は本当に強調したいと思うんです。
 ですから、この勧告でも、その人に必要な支援は何かという実態から考えていくことの大切さを強調しているんです。そのことを都が認識して検討する必要があるということを指摘します。こういう制度というのは、実態を踏まえて、絶えず、よりよくしていくことが求められていると思います。
 それで伺いますけれども、国連の勧告のことをいいましたが、この勧告を受け止めて施策に反映する都の責任についてどう考えていますか。

○鈴木障害者施策推進部長 令和四年九月の障害者権利委員会の勧告については、今後、国において、その対応を検討していくものと認識してございます。

○原委員 都の主体性というのはないんでしょうか。国が動かなければ都は何もしないというわけではないはずだと思うんです。
 条約締約国の責任の中には、地方公共団体も位置づけられています。条約を批准しているのは国ですけれども、社会的なバリアを解消していくという、その条約の実現に向けて、国が取り組まなければならないのは当然ですけれども、都道府県も区市町村も取り組んでいく主体です。条約に関係する施策の多くは地方自治体が主体になっていて、国と共に都道府県や区市町村が取り組まなければ、条約や勧告の内容を実現することはできません。
 障害者医療費助成制度を含めて、都として実施している施策を進めていくのに当たっては、勧告の内容を踏まえて改善していくという、そういう立場に東京都が立つのは当然ではないでしょうか。いかがですか。

○鈴木障害者施策推進部長 今後、国の動向を注視しながら対応していきたいと考えております。

○原委員 主体性を持って取り組んでいただきたいというふうに思いますし、もう一つだけ聞きたいんですけれども、では、今勧告のことを聞きましたけれども、障害者権利条約そのもの、この条約は、都としても障害者施策を進める上での大事な指針だという認識はありますか。

○鈴木障害者施策推進部長 条約云々にかかわらず、障害者が安心して暮らせる地域をつくっていくのは東京都の責務だと認識しております。

○原委員 条約云々にかかわらずというのは、ちょっと大丈夫でしょうか、答弁として。やっぱり憲法があり、こうした批准した条約があり、そういう中で、本当にこう施策を充実させていく、都民の暮らしを守っていく、障害者の皆さんの暮らしを守っていくということが大事だというふうに思うんです。
 それで、国際人権規約の自由権規約第二条に関する一般的意見というのがありますけれども、そこでは、政府の全ての部門及び他の公的もしくは政府機関は、全国、地域、もしくは地方といかなるレベルにあっても、締約国の責任を引き受ける地位にあると述べています。ですから、障害者権利条約についてもこれが当てはまると考えるべきであり、条約と勧告を踏まえて、医療費助成を拡充するということを私は強く求めたいと思います。
 先ほども述べましたけれども、障害者団体等からは毎年、医療費の負担を軽減することについて都に要望が出されています。それらはどのような検討がされているんですか。

○渋谷事業調整担当部長 障害をお持ちの方が地域の中で生活を送る上で、医療費をはじめとする負担が大きいことなど様々なご意見があるということは承知しております。
 都は、所得税の特別障害者控除との整合性や、重度心身障害者の医療に係る経済的な負担が特に大きいことを踏まえ、平成三十一年度からは、身体障害者手帳一級、二級及び内部障害三級、愛の手帳一度及び二度の方に加え、精神障害者保健福祉手帳一級の方も心身障害者医療費助成制度の対象としております。

○原委員 障害をお持ちの方が生活していく上で、医療費をはじめとする負担が大きいなど様々なご意見があるということは承知していますというご答弁でもあり、また、精神障害の一級の方を新たに対象にするなど、必要に応じて改善もされてきているわけです。
 都議会では、障害者医療費助成制度の拡充を求める陳情が継続審査になっていますし、障害者団体は、それぞれ医療費助成制度の拡充や医療費の負担軽減を都に要望し続けています。医療費をはじめとする負担が大きいなどのご意見があることは承知していると先ほどもおっしゃっていただきました。実際に、そうした困難を解決していくための検討を進めることを強く求めたいと思います。
 共産党都議団としては、この間、都内区市町村に調査を行い、その結果、都内で三自治体が制度の上乗せを実施しているということが分かりました。これらについて把握していますか。

○渋谷事業調整担当部長 都内の一部の区市において、自主事業として、都の制度に上乗せして心身障害者を対象とした医療費助成を実施していることについては承知しております。

○原委員 都内三自治体ですので、やはり少ないわけですけれども、例えば杉並区では、都が制度化する前年、一九七三年に障害者医療費助成をスタートしていて、翌年、都制度ができたときに、その制度の中では対象になっていなかった愛の手帳三度の方と脳性麻痺、進行性筋萎縮症の方を引き続き対象にするということになって、それが継続しているそうなんです。二千四十五万円ほどの予算と聞いています。
 また、府中市も、都制度でカバーできていない所得制限の緩和を行ってきて、また、武蔵村山市は、愛の手帳三度、四度と、それから身体障害者手帳六級までの十八歳未満の子供たちを対象にしてきたということです。
 でも、それぞれ住民のために必要だということで助成を行っているわけですが、しかし、他の自治体に住んでいる方にとっても同様の支援は必要だというふうに思います。もし杉並のように愛の手帳三度の方などを対象にした場合、これを東京全体で実施をしたらどうなるかと、ざっくりと計算をしてみると、七億円ぐらいでできるのではないかと私は想定しています。
 東京都は、広域自治体として、都内どこに住んでいても医療費負担が軽減されるように検討する必要があると思いますが、いかがですか。

○渋谷事業調整担当部長 心身障害者医療費助成制度は、都が条例を制定し実施しておりまして、重度心身障害者の医療の困難性と、その経済的な負担が大きいことに着目し、その医療費の一部について助成を行っているものでございます。

○原委員 子供の医療費助成制度については、十八歳まで対象になりました。医療は命に関わることですから、とても大事な拡充だと思っています。まさに広域自治体として、重要な判断を東京都はしたと思っています。もちろん、多摩格差をどうするかとか、都としての財政負担の継続など、課題はいろいろありますけれども、それにしても踏み出したことは重要です。
 そうであれば、常に医療と切り離せない障害者についての医療費助成制度も拡充すべきではないでしょうか。毎年、各障害者団体から要望が出ているということは、それだけ切実だということです。都は、障害者医療費助成制度は重度障害者が対象だと繰り返しますが、私が冒頭に引用したように、条例の第一条の目的、ここに照らして必要な拡充を行うべきです。
 先日、知的障害の青年、成人の方たちの余暇支援の場に伺いました。自分の体の不調や変化について学び、医療の必要性や医療費のことを自分たちで勉強して理解をしていく連続学習の取組を行っていました。障害者ご本人が権利の主体として、自ら理解をした上で医療を受けられるようにしていく、とても大切な取組だと思いました。ぜひこうしたところにも足を運んでいただいて、話を聞いていただく、こういうことをやっていただけるように求めておきたいと思います。
 それでは、二つ目の柱の質問に移ります。依存症対策について伺います。
 まず、先日、保健医療局の事務事業質疑で質問した市販薬ODについて伺います。
 昨年、精神保健福祉センターでは、市販薬・処方薬の乱用・依存というリーフレットを発行していますけれども、どのぐらい、どこで配布、活用されているのか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 令和四年三月、リーフレットを一万部発行いたしました。
 区市町村や学校関係者に送付するとともに、来所者等に配布して普及啓発を進めております。

○原委員 このリーフレットは、理解しやすいように工夫されていると同時に、大事だと思ったのは、回復できるということを打ち出しているという点だと思っています。ぜひ普及をしていっていただきたいというふうに思います。
 国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦薬物依存研究部長らが行った全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査によると、薬物依存の十代の六五%が市販薬だということが明らかになっています。そうした状況から考え、十代、二十代の若者の苦しさに着目してリーフレットをさらに充実をさせ、広く普及することを求めますが、いかがですか。

○石黒障害者医療担当部長 十代や二十代の若者に対して、今後も保健医療局と連携しながら、普及啓発、相談等を実施してまいります。

○原委員 十代、二十代の人たちにアプローチするには、今出されているリーフレットをさらに充実させるのがいいのか、それとも別に作るのがいいのか、どのようにすれば届きやすいか、ぜひ検討していただきたいと思います。また、今を生きる若者の苦しさに寄り添った発信をする場合、SNSを活用するなどの工夫も一層必要だというふうに思います。鍵は、どうしたら安心して相談できるところへつながるか、信頼できる人と出会えるかだと思います。
 保健医療局の質疑のときに、薬剤師さんとの出会いで市販薬ODについて相談でき、手放すことができた二十代の方のケースを話しました。そして、乱用のおそれのある薬の規制が進められている中、悩んでいる十代、二十代の人たちが薬局やドラッグストアに行ったときに、相談に乗れるような対策が大事であること、そのために、人目を気にせず話ができるような環境づくりも必要ではないかと指摘をしました。
 ぜひ、市販薬ODについて正しい理解を広げ、回復はできるということを伝え、そして、安心して相談できる連絡先をチラシなどにして、薬剤師さんから渡すなどの取組を局連携で取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

○石黒障害者医療担当部長 市販薬・処方薬の乱用・依存について、引き続き保健医療局と連携し、保健所や保健センター等、相談先の周知等、取組を進めてまいります。

○原委員 ぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。
 次に、依存症対策全般と精神保健福祉センターに関わる問題について伺います。
 まず、依存症の種類及び定義について伺います。

○石黒障害者医療担当部長 厚生労働省の資料によりますと、特定の物質や行為、過程に対して、やめたくてもやめられない、程々にできない状態を依存症とされております。代表的なものに、アルコール、薬物、ギャンブル等がございます。

○原委員 特定の物質や行為、過程といわれたように、依存症の幅は非常に広く、一つだけではなく幾つも抱えている人も多いです。依存するものが変わりながら、何とか生きているという方も多いです。
 先ほど触れた松本俊彦医師は、依存症の人は上手に依存できない人だと指摘をされています。人は誰でも誰かに頼ったりしながら生きているものです。でも、それが上手にできないということです。学校でいじめに遭っていても、親を悲しませてはいけないと考えて、休まず、薬を飲んででも登校する、親からは期待が強く、そのことを裏切れないから、家でも本当の自分を出せず、甘えられないなどの状況の中で、依存症が悪化していくケースなども指摘をされています。
 競争社会、格差社会の中で、今を生きる子供たちの困難さは厳しさを増しているともいえると思います。依存せずに強く生きていくことを求めるようなメッセージではなくて、本人、また家族が安心して相談できる環境を整えていくということがとても重要だと思います。
 そのためにも、重要な役割を果たす精神保健福祉センターの充実について質問をしていきたいと思います。
 まず、センターがどのような役割を果たしているかについて確認をしたいと思います。都の精神保健福祉センター三か所それぞれでの依存症についての相談件数、その推移、特徴を伺います。また、誰からの相談なのか、内訳を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、都内三か所の精神保健福祉センターで、電話や面接等により依存症の相談を受けており、令和四年度の相談実績は、中部総合精神保健福祉センターで二千百六十件、多摩総合精神保健福祉センターで九百九十二件、精神保健福祉センターで千二百三十五件でございます。
 相談件数の合計は四千件から五千件で推移しておりまして、依存症の種類別では、アルコールは横ばい、薬物関連は減少傾向にある一方で、ギャンブル等は増加傾向にございます。
 相談は本人や家族からのものが多く、このほか保健所や福祉関係者からの相談も多いです。

○原委員 ありがとうございます。状況が分かりました。
 精神保健福祉センターでは、相談だけではなく本人や家族を直接支援していますけれども、その主な事業についても伺いたいと思います。
 まず、依存症回復支援、再発予防のプログラム、依存症家族教室の利用人数の推移はどうなっていますか。

○石黒障害者医療担当部長 都内三か所の精神保健福祉センターにおける依存症再発予防プログラムの延べ参加者数は、令和四年度千八人でございます。依存症家族教室の延べ参加者数は、令和四年度千九十九人でございます。
 いずれも令和二年度以降、増加傾向にございます。

○原委員 増加傾向だということです。
 また、センターでは、依存症に関すること以外にも大事な活動をしています。その一つとして、ひきこもり支援として実施をされている思春期、青年期本人グループ、家族教室の利用人数、その推移、特徴を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都内の精神保健福祉センターにおける、思春期、青年期本人グループの参加人数は、令和四年度延べ二百三十九人でございます。家族教室の参加人数は、令和四年度二百三十八人でございます。
 参加人数は、いずれも二百人から三百人台で推移しております。

○原委員 センターでは、ほかにもデイケアや、また公開講座など、大事な活動を行っています。市町村や保健所への支援なども行っています。その中で、本人や家族が通う必要があるものについては、アクセスのしやすさが重要になってくると思います。
 そのことに関して伺いますが、デイケアの利用者数が多い市町村の上位三か所それぞれの利用者数を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 デイケアの利用者数が多い市町村は、令和四年度の実績で多い順に、八王子市、多摩市が各十三人、町田市十一人でございます。

○原委員 今ご答弁にありましたこの三市で、多摩のセンターのデイケア利用者数の六割近くになります。やはり実施しているセンターのそばの人たちが多く利用しているということだと思います。多摩地域の場合は地域が広く、しかも保健所も少ないです。センターに気軽に通える距離ではない地域も多くあります。
 多摩総合精神保健福祉センターの支所を西多摩地域につくることを、共産党都議団としてはこれまでも提案してきました。検討を求めますが、いかがですか。

○石黒障害者医療担当部長 精神保健福祉センターは、精神保健福祉法等の規定に基づき、都道府県及び政令指定都市が設置をしております。都を除く道府県及び政令指定都市では、全て一か所設置している中、都では、区部の二か所と多摩地域には多摩総合精神保健福祉センターを設置しております。
 今後とも、保健所及び市町村とも連携をしながら、精神保健福祉に係る業務を行ってまいります。

○原委員 区部に二か所、多摩に一か所ということですけれども、やっぱり多摩の広さを考えれば、本当にセンターに行って相談したくても、またデイケアなどを利用したくても、距離がその行動しようと思う場合の障害になっているんじゃないかと思うんです。センターの支所の設置、また保健所の増設や体制強化は、やはり真剣に検討すべきではないかというふうに考えます。
 その検討を進めつつ、今、現時点でもできる改善を進めていただきたいと思っています。センターがやってくださっている事業の内容によっては、可能なものはオンラインで参加できるようにするなどの工夫はできないでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 相談等を対面で行うことにより、本人または家族の状況等をより正確に把握し、実態を踏まえた相談等を行うことができることから、対面実施を基本としております。
 なお、依存症支援者研修や依存症対策普及啓発フォーラムについては、オンラインで実施しております。

○原委員 オンラインで実施をしている部分もあるわけです。公開講座なども行われていて、参加したくても現地までは行けないという声もあります。申込み制になっているんですよね。
 それで、やっぱり現地まで行かなくても、例えば講師の講演をオンラインで見れるようにするなどの工夫はできないのかなというふうに思うんですが、検討していただけないでしょうか。いかがでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 相談等を対面で行うことにより、本人または家族の状況等をより正確に把握し、実態を踏まえた相談等を行うことができることから、そのため対面実施を基本としております。
 なお、依存症支援者研修や依存症対策普及啓発フォーラムについては、オンラインで実施しております。

○原委員 ちょっと同じ繰り返しだったんですけれども、ぜひ検討してくださいとお願いをしておきたいと思います。本当にいい内容の講座もあって、これがそこまでは行けないけれども、オンラインで見ることができたらという声が寄せられていますので、ぜひお願いします。
 そして、同時に、十代、二十代の人たちが相談しやすくするためには、LINE相談なども実施をするというような検討も必要になってきているのではないかというふうに思います。
 依存症の正しい理解を広げることが、早く治療につながる助けになります。そうした啓発資料の充実についても検討すべきと思いますが、いかがですか。

○石黒障害者医療担当部長 これまでも、依存症に関するリーフレットを作成、適宜更新するとともに、こころの健康だよりにおいても依存症の特集記事を掲載してまいりました。
 また、都ホームページにおいても最新の情報を掲載するなど、普及啓発に努めております。

○原委員 依存症のリーフレットも、とても分かりやすいものだというふうに思っています。ただ、依存症の背景にある生きていく上での苦しさを抱える方に働きかけるという点では、改善の余地もあるのかなというふうに思います。
 特に、十代、二十代の悩んでいる人たちに届くもの、これがやっぱり必要だなと、この点でも思っています。それを別に作る必要があるのか、また検討が必要なのではないかと思います。また、先ほどもLINE相談のことをいいましたけれども、やっぱり十代、二十代の人たちが相談の一歩を踏み出せるような、いろんな形でのアプローチを考えていくことが必要だということを指摘しておきたいと思います。
 最後に、摂食障害治療支援について伺います。
 摂食障害の相談は、精神保健福祉センター三か所と保健所六か所で受けていると聞いていますけれども、昨年度はそれぞれ何件でしたか。

○石黒障害者医療担当部長 都は、都内三か所の精神保健福祉センターや六か所の保健所で、電話や面接等により摂食障害の相談を受けており、令和四年度の相談実績は、それぞれ二百四件、二百二十件でございます。

○原委員 昨年の四定の文書質問で聞いたときには、二〇二一年度の実績を聞きましたけれども、おおむね、そのときと同じぐらいの相談件数で推移しているということが分かりました。ニーズがあるということです。
 摂食障害とともに、アルコール依存症や薬物依存症、自傷行為などが合併しやすいともいわれ、現に苦しんでいる若い人たちがたくさんいます。
 摂食障害についての正しい理解を広げることが必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○石黒障害者医療担当部長 都は令和五年一月に、都民向けの摂食障害に関するリーフレットを発行いたしました。
 都内の保健所、保健センター等に配布するとともに、ホームページに掲載し、摂食障害の種類と症状や治療などについて、広く普及啓発を行っております。

○原委員 先ほどいった文書質問をしたときにも、やはり啓発する資料などを作っていくことが大事ではないかということをそのとき質問もしましたけれども、摂食障害に関する新しいこのリーフレットは、私も読ませていただきました。これを本当にみんなが目につくところでPRしていただきたいんですよね。なかなか、できましたといっても、先ほども里吉議員の質問でも、ホームページのどこにあるかという話がありましたけれども、本当に必要とする人がすぐに手に取れるような、そういう工夫、改善をしていただきたいというふうに思っています。
 今年度は、摂食障害の支援拠点病院の指定、また摂食障害対策推進協議会の設置について検討を進めるということで、今進められていると思うんですけれども、現時点でどこでどのように検討が進められているのか、どこまで来ているのか、その点について伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 都は令和五年度から、摂食障害支援拠点病院の設置に向け検討する摂食障害治療支援体制整備事業を開始しております。
 本事業において、摂食障害治療支援体制整備検討委員会を設置し、都内医療機関を対象とした実態調査の調査項目や、拠点病院を中心とした支援体制の在り方などについて検討を行っております。

○原委員 摂食障害は、誰でもかかり得る疾患であるにもかかわらず、死亡率が約五%と非常に高いんですね。ですから、適切な支援、また治療が行える機関に、なるべく早くつながるということが大事ですけれども、そういう機関が非常に少ないということが大きな問題になってきています。
 今、拠点病院の指定や、また対策推進協議会についても検討を進めているということですけれども、本当に着実に検討を進めていただいて、一日も早く支援の体制を確立することを期待したいというふうに思います。
 そして、摂食障害は本当に誤解が多くて、ただ痩せたいだけでしょうみたいな、そういうような世間のまだ見方がある中で、本当にその背景にある一人一人の苦しさをちゃんと分かって対策を取るということが今求められていると思います。
 摂食障害の人自身、あなたは悪くないんだという、そういうメッセージをしっかり送って、都民の正しい理解が広がるように、都の取組を強めることを求めて、質問を終わります。

○関口委員 よろしくお願いします。
 まず初めに、〇一八サポートについて伺った後、精神障害、精神福祉について伺ってまいります。
 先ほど鈴木委員の方から、会派として〇一八サポートの大枠については質問させていただいたところでありますけれども、私からは、少し細やかな話、伺えればと思っております。
 まず初めに、〇一八サポートを実施したことは大変高く評価をしております。私自身、当選直後に初めて行った一般質問(発言する者あり)まあまあ、初めて行った一般質問で、子育て世帯を支えるための給付を求めたところでありました。当時は国で児童手当の見直しがされている中で、年収が一千二百万円以上の世帯が不支給となるということが議論されておりました。都内の子育てや住居費は他自治体と比べ高額であることを考慮し、子育てを社会で支援する観点から、児童手当は国の枠組みであることは理解をしているものの、都として独自の取組が必要であると、そして、所得制限を撤廃すべきだということを一般質問でさせていただきました。
 その後、国においては児童手当の所得制限が撤廃をされ、来年の十月から支給が始まるということでありますけれども、この国の議論も牽引してきたのは、都の〇一八サポートが社会全体で子育てをしていくんだ、そして、所得制限は撤廃をして社会全体で支援していくんだということが、国の児童手当の所得制限撤廃につながったのではないかなということも思っております。
 そういう観点では、〇一八サポートは私の問題意識と合致をしておりまして、いろんな意見はあるものの、応援をしていきたいと思っております。
 しかし、あまりにも当時の初動の遅れであったり、郵便物の誤送付であったり、申請の煩雑さであったりという様々な課題、本当の本質的なところとは違うところの課題が随分と露呈したんじゃないかなと思っております。事業はいい取組であるけれども、ちょっと詰めが甘かった、そのように思っております。
 先日、福祉局の予算要求におきましては、今年度とほぼ同額の予算要求、〇一八サポート、されておりますけれども、本日の事務事業で来年以降の質疑をしますと、予算審議の先取りになってしまいますので、現状を確認する形で、そして、その中で問題意識を要望させていただく、こういった質疑にさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 まず初めに、大きなつまずきでありました大規模な誤送付の件です。
 申請の案内チラシを既に都内に在住していない方に誤って送付したという事故が起きましたけれども、まず、原因を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 〇一八サポートの案内チラシの誤送付は、給付金支給対象者の抽出及びチラシ送付先リスト作成の受託事業者である地方公共団体情報システム機構が作成した住民基本台帳情報における対象者抽出プログラムの仕様に不備があったため、本来は支給対象外の方が送付先リストに含まれていたことが原因でございます。

○関口委員 この誤送付におきましては経費が発生をしております。委託先のミスであることから、そこにさらに都民の税金が使われることは理解を得られにくいと考えております。
 誤送付にかかった経費の負担先について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 誤送付によって生じた経費につきましては、地方公共団体情報システム機構に対し、費用負担の調整を行っております。

○関口委員 委託先に対して費用負担の調整を行っているということで、厳しい姿勢でぜひ臨んでいただきたいということと、この誤送付によって失われたものを都民の税金で負担をしていく、これはやはり理解が得られにくいと思いますので、ぜひしっかりとした調整をお願いしたいと思います。
 さて、〇一八サポート、私も申請を自分でやりました。当初の、いわゆる申請がしづらい、しづらいといわれた後、その後アップデートがされましたけれども、十月ぐらいに私は申請をしましたので、いってしまえば、申請のバージョンツーぐらいの段階で私自身も申請をしたということになります。
 それと同時に、様々なアップデートがあったとは思うんですが、アンケートも実施をされました。申請者がアンケートに答えることがバージョンツーではなされたわけであります。
 十月から申請を行った方へのアンケートを実施しておりますけれども、〇一八サポートをどこで知ったかという問いの結果はいかがでしょうか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 アンケートの十一月十四日時点の集計結果によりますと、自宅に郵送されたチラシで知った方が四六%と最も多く、次いでニュースで知った方が二三%でございました。

○関口委員 自宅に郵送されたチラシで知った方が四六%と最も多いんですけれども、裏を返せばそんなものかというところでもあります。様々、郵送については遅れがあったと思いますので、まだ見ていないという方もいらっしゃるのかもしれませんけれども、若干少ないなという印象を受けるわけであります。
 次に、申請サイトのデザイン、申請に必要な書類の案内は分かりやすかったかという問いの結果はいかがでしょうか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 申請サイトのデザインにつきましては、分かりやすかった、とても分かりやすかったが合わせて三九%、普通との回答が四〇%、分かりにくかった、とても分かりにくかったが合わせて二一%となってございます。
 申請に必要な書類の案内については、分かりやすかったと、とても分かりやすかったが三四%、普通が三七%、分かりにくかった、とても分かりにくかったが二九%となってございます。
 また、自由意見では、デザインが親しみやすかったとの声や、最初に説明の画像を載せてほしかったなどがございました。

○関口委員 答弁、今いただきましたが、サイトのデザインとか書類に関しては、私自身もあまり、何か不満を感じることは正直ありませんでしたし、デザインも親しみやすかったんだろうなと、そのように思っております。
 ただ一方で、この後なんですけれども、申請の操作方法や必要事項の入力方法は分かりやすかったかという問いであったりとか、申請にどのくらい時間がかかったかという結果はいかがでしょうか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 申請の操作方法や必要事項の入力方法については、分かりやすかったと、とても分かりやすかったが二八%、普通が三二%、分かりにくかった、とても分かりにくかったが四〇%となってございます。
 申請にかかった時間につきましては、十五分から三十分が三〇%で最も多く、次いで三十分から一時間が二七%、その次が十五分以内というのが二四%でございました。

○関口委員 チラシのデザインであったり、あるいは書類のデザイン、こういったものに対しての評価よりも、大分厳しい評価が出ているんじゃないかなと思っております。特に分かりにくかったと、とても分かりにくかったが四〇%ということで最多であります。
 あるいは、申請にかかった時間については、十五分から三十分が三〇%で最も多いということでありましたが、三十分から一時間が二七%もいる、十五分以内二四%というのは、これは私も申請した身からすると、すごい早業だなと思いますけれども、とはいえ、スマホに向き合って申請を行う、その中で、三十分から一時間それにかけているというのは相当なことだと思います。特に今の時代、スマホで申請するのにそんな時間かけるってそうそうありませんから。十五分から三十分ということで三〇%ということで、これも大変長い時間なんじゃないかなと思います。
 私も自分で申請をするときに、十分ぐらいで終わるんだろうなということを思っておりました。大分甘く見積もっていたなということで、その後、後悔をしましたが、私の場合は二人子供がいますので、大体二人分やって二十五分か三十分ぐらいだったなと思っております。結構、こういうの強い方だと思っているんですが、それでもそれぐらいやっぱりかかりました。
 そういう観点では、やはり申請の手続というのが大変煩雑で、長い時間かかった。しかもこれ、バージョンツーのアンケートでこれですから、バージョンワンのときはアンケートという結果は出ていないけれども、もっとひどい状況だったんじゃないかなと思っております。
 様々な指摘をすればもういろいろあるんですけれども、私がその申請をしている中で非常に疑問を持ったことがあります。それは、マイナンバーの申請であると、TRUSTDOCKというアプリを別途ダウンロードしないといけないということでありました。行政の申請を行うに当たっては、行政のサイト内で完結することが私は望ましいと考えています。
 また、そもそもマイナンバーを使う方であれば、マイナポータル、マイナンバーのアプリを大体の方がダウンロードしているでしょうから、マイナポータルを活用するという手もあったはずなんですよね。
 そういった意味では、なぜ本人確認のためにTRUSTDOCKアプリを取得するかということを伺いたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 対象者の状況に応じた申請フォームの提供が必要だったため、今回、マイナポータルではなく、都独自に申請サイトを構築したものでございます。
 このサイトでの申請におきましては、マイナンバーカードを使用した公的個人認証を希望する場合は、先ほどお話のあったTRUSTDOCKアプリの取得が必要となるものでございます。

○関口委員 私はこのアプリをダウンロードして、アプリを開いたときに申請のサイトとなかなかうまく連携がされなくて、大分時間がかかったというか、いらいらした記憶があります。そういう意味では、マイナポータルであれば国との協力なんかも多分必要になるかと思うんですけれども、せっかくマイナンバーカードを使って早く申請しようというのにもかかわらず、そこでまごついてしまうって、非常に残念なところだなと思いました。
 一方で、先ほど内山理事と休憩時間、たまたま話をしましたら、内山理事は、マイナンバーカードじゃなくて、運転免許証とかそういうので申請をされて、その場合はTRUSTDOCKのダウンロードは要りませんから、随分簡単だったという話を聞きまして、マイナンバーカードを使って楽をしようと思っているのに、マイナンバーカードを使うことによって時間を損してしまったというのは(発言する者あり)まあ比較していないから分からないですけどね、大分私はそこにちょっと、よりいらつきを感じたところでもあるわけです。
 私は、先日まで総務委員会に所属をしておりまして、デジタルサービス局におきましても様々な議論をしてきました。ユーザーフレンドリーなデジタルの活用をしていくことは、大いに期待をしております。
 ところで、宮坂副知事の東京新聞のインタビューを先日拝見しました。その中では、インタビューの中で質の高いデジタル化とはどのようなものかという問いかけに、最近だと、〇一八サポート事業の申請サイトは質が高いといわれたことはないですねとインタビュー内で答えております。小池知事は、私の周りではさくさく申請できているということをいっていましたが、宮坂副知事はこの視点を持っているんだなということで安心をしたところであります。
 そういう意味では、〇一八サポートの申請に当たっては、デジタルサービス局との連携はあったのか、改善はどのようにされたのか伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 デジタルサービス局からの助言等を踏まえまして、申請用ホームページの案内の充実を現在行っているところでございます。

○関口委員 宮坂副知事もこういう問題意識を持っているのであれば、もっと当初に相談をしておけば、多くの方がこれほど大変な思いをすることはなかったんじゃないかと思いますので、そういった都庁内には様々な組織がありますので、そういったところとの連携をぜひ、より深めていただきたいと思います。
 最後に、この〇一八サポートの事業、申請が九月一日から始まって、今、二か月半たっております。
 申請の締切りが十二月十五日ですから、約一か月後ということになりますけれども、現在の申請率を伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本日現在、申請者数は約百十七万人で、申請率は約五九%でございます。

○関口委員 申請者数が百十七万人で、申請率五九%ということで、私は、ちょっとこの数字を見まして、大変低いんじゃないかと。というのは、率直にいえば、子供一人当たり六万円が振り込まれるという、非常に子育て世帯にとっては大変にありがたい事業なわけです。その申請率が、あと一か月後の申請、一応期限というのは一か月後ですけれども、五九%、この受け止め、いかがですか。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 まず、来年一月の一括支給分の締切りが十二月十五日でございまして、それに間に合うよう、まず、できるだけ多くの方に申請いただきたいと、周知など取り組んでまいりたいと思っております。

○関口委員 ぜひよろしくお願いします。
 未申請者に対しての働きかけはもちろんですし、なるべくバージョンアップ、バージョンアップを重ねていって、まだ五九%という現在、今日時点で五九%ということは四一%の方がこれから申請をするわけですから、また徐々に徐々に新しい、そして分かりやすいものにバージョンアップしていくことを求めていきたいと思います。
 それでは、次に、精神医療、精神障害について伺ってまいります。
 先日の保健医療局では、精神障害について総括的な質疑をしようといったところ、そのすみ分けについて考えさせられたということを申し上げました。特に、精神科病院についての立入検査は、定期立入検査は保健医療局で、臨時の立入検査は福祉局が担当しているということで、大変複雑ではないかということを申し上げました。
 そこで、保健医療局にも同じことを聞いたんですが、もう一回、福祉局にも同じことを聞きたいと思います。
 精神科病床を有する病院に対しては、福祉局と保健医療局の二局が分かれて立入検査を行っていると。精神科病院の立入検査については両局が連携して行うべきであり、さらには組織統合もすべきであると私は考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○新田障害者医療調整担当部長 精神保健医療行政は、障害者福祉と医療の双方の観点が必要なことから、それぞれ専門性を強化しながら、福祉部門と保健医療部門とが連携して取り組んでおります。
 精神科病院への立入検査につきましても、適切な病院管理という観点から、組織再編後も引き続き、福祉局と保健医療局とが緊密に連携して対応しております。

○関口委員 これから精神医療と滝山病院について聞いてまいるわけですが、ちょっとほかの議員とも重なるところがありますので、絞って質問したいと思います。
 本年十一月でありますけれども、都がこれまでに立入検査等で確認できた状況を踏まえて、滝山病院における改善に向けた取組をさらに実効性のあるものとするため、行政手続法に規定する指導を実施したところであります。
 この指導でありますけれども、具体的にどのような指導をしたのか伺いたいと思います。

○新田障害者医療調整担当部長 都は、滝山病院の改善に向けた取組を実効性あるものとするため、虐待防止・対応マニュアルについて、虐待と思われる事例が発生した際に職員がどう行動すべきか理解できるようにするなど実践的な内容とすること、患者からの相談体制について外部の第三者を入れた相談体制を整備することなどについて指導を行っております。また、虐待防止に向けた病院の方針や取組等について、全職員に周知することについても指導しております。
 こうした都の指導事項と虐待防止委員会から報告される検証結果等を踏まえ、改善計画を見直すことを病院に求めております。

○関口委員 今答弁ありましたように、ちゃんと現場の職員が理解して、具体的な行動が取れるようにしていく、こういう視点は非常に大事だと思いまして、その視点が欠けてしまっているんじゃないかということで指導したということは、率直に評価をしたいと思います。
 そして、滝山病院の再発防止も大事なんですが、やはりもっと大きなところに目を向けて、都としてしっかり、この事件を契機に精神医療を変えていく、そういったことが大事だと思っております。
 来年四月の精神保健福祉法改正によって、精神科病院における虐待防止に向けた取組が強化をされますけれども、この事件を契機に、都内の精神科病院における虐待防止に向け、都としてさらに力を入れるべきと考えますが、今後の都の取組を伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 来年四月の改正精神保健福祉法の施行に向けて、都は、虐待を受けたと思われる患者を発見した方などからの通報相談窓口の設置や、患者の人権擁護に対する職員の意識向上に向けた取組等について準備を進めております。
 今後とも、虐待の未然防止や早期発見、虐待が疑われる事案が発生した際の迅速な立入検査の実施などに取り組んでいきます。

○関口委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 そして、精神医療、最後の質問でありますけれども、虐待の防止であったり、今ご答弁もありましたが、通報相談窓口、こういったものはもちろん大事ではあるんですけれども、やはり今やらなくてはいけないのは、精神障害者の地域移行、これに尽きると思っております。
 日本は他国に比べても、人口に対して精神科病院、病床が多いと度々指摘をされておりますけれども、病院で暮らすことから、地域で暮らすために地域の受皿をしっかりつくること、そして地域の理解を得ること、これが最も重要であると考えております。
 精神科病院に入院している精神障害者の円滑な地域移行、地域定着を進めていく必要があると考えますが、今あるこの課題と今後の方向性について伺います。

○新田障害者医療調整担当部長 精神科病院からの地域生活への移行、地域生活の定着を進める際は、医療や障害福祉部門、高齢福祉部門等が連携した支援が必要となります。
 都は、精神科病院と地域援助事業者等との連携体制の構築や、地域の関係者間の調整を広域的に行うコーディネーターを配置することなどを通じまして、引き続き、区市町村における精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を支援してまいります。

○関口委員 よろしくお願いします。
 滝山病院の件で、どうしても虐待防止とかという方に目が行きがちなんですが、滝山病院を契機に精神医療を変える、精神福祉を変えるという意味では、やはり地域移行、そして地域の受皿をつくることで初めて変わると思っておりますので、その地域移行の取組をさらにさらに進めていただくことを要望しまして、私の質問といたします。
   〔委員長退席、斉藤副委員長着席〕

○浜中委員 東京都では、二〇二五年に都内で三万千人の介護人材が不足する見込みであるといわれております。
 実際、日本社会全体で人手不足が課題となっており、今後は、未経験者や外国人の方なども積極的に採用するほか、介護職員の負担軽減や生産性の向上などに、これまで以上にしっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、都の見解についてお伺いをいたします。

○花本高齢者施策推進部長 都はこれまで、職場体験や資格取得支援のほか、外国人従事者の受入れや、デジタル機器の導入を行う事業者への支援など、様々な取組を実施してまいりました。
 今年度は、介護施設等と外国人介護従事者とのマッチングを支援するため、介護施設等が複数の受入れ調整機関と相談できる合同相談会を初めて開催したほか、外国人介護従事者の受入れ施設等への補助事業について、補助対象の拡充や補助率引上げ等を行いました。
 また、介護現場における生産性向上の取組を促進するため、デジタル機器導入促進支援事業の補助対象経費にコンサルティング経費を追加するなど、支援の充実を図っております。
 今後、介護人材の確保、定着、育成を一層推進するため、次期高齢者保健福祉計画の策定に向けた議論も踏まえ、介護人材対策の強化について検討してまいります。

○浜中委員 介護業界で長く働き続けてもらうためには、職員の処遇を改善することが重要であります。
 現在、国では、来年度の報酬改定に向けた議論が進められており、都としても、介護職員の処遇改善が着実に進むように支援をするべきだと考えますが、都の取組について伺います。

○花本高齢者施策推進部長 介護職員の人件費を含め、介護サービス事業は介護報酬等により運営されることが基本であり、国は、平成二十一年度から令和元年度までの介護報酬における処遇改善加算等の段階的な拡充に加え、令和四年二月から収入の三%程度を引き上げる措置を講じております。
 都は令和二年度から、社会保険労務士の訪問による助言等により、処遇改善加算等の取得を支援しているほか、処遇改善加算等に関する専用の窓口を設け、加算の計画書等の作成方法や加算取得の要件などの問合せに対しても、きめ細かく対応しております。
 また、国に対しては、先月、介護報酬の改定に関する緊急提言を行い、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とすることを要望しております。
 今月決定された国の総合経済対策では、医療、介護、障害福祉分野における人材確保に向けて、賃上げに必要な財政措置を早急に講ずるとされており、さらなる処遇改善に向けて必要な対応を行ってまいります。
   〔斉藤副委員長退席、委員長着席〕

○浜中委員 ありがとうございます。これずっと、私に限らず皆さんが取り上げていることだと思うんですけれども、介護の人材をいかに確保していくか、大きな問題であります。保険はあります、サービスもあるんですけど、人がいませんということになりつつあるというお話であります。
 国の方では、一応、賃金を六千円アップしようということでやっておりますけれども、現場の人だとか業界の人なんかに聞くと、それじゃ、とてもじゃないけど足りないと。また、新聞報道なんかを見ていても、施設の運営も、これ介護保険の報酬単価でやっていますから、みんな赤字になっちゃったりとか、この物価高騰に対応できなくて非常に困っているという話を聞きます。
 今日、同僚委員の磯山委員からも質問ありましたけれども、そういった中で、宿舎借り上げですとか、東京都としてできる支援というのは、この六千円のつなぎなんかもやっていくと思うんですけれども、ぜひ働く側の賃金を上げないと、他業種と比べても介護業界のお金が安いので、ほかの業界に働く人が行ってしまって、なかなか人材確保が難しいということと併せて、介護施設とかを運営していく中でも運営費もきついということもありますので、ぜひ、その点を含めて来年度の予算に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続きまして、特別養護老人ホームについてであります。
 特養は、入所対象者がいる一方で、一部の施設からは空床がなかなか埋まらないとの声も聞きます。
 特別養護老人ホームの入所申込者数や入所状況の現状について教えてください。

○梶野高齢者施策推進担当部長 都が昨年度実施した都内の特別養護老人ホームへの入所申込みの状況に関する調査では、令和四年四月一日時点で入所の申込みをされている方は二万三千六百九十四人となっております。
 このうち、病院や社会福祉施設等にいる方を除いた在宅の要介護三以上の方は一万二十九人、その中で、各区市町村の入所基準により入所の必要性が高いと判断された方は三千十六人でございます。
 一方、都内の特別養護老人ホームの定員は、令和五年八月末時点で五万三千百二十二名、入所者数は五万二百十七人でありまして、差引きの空床数は二千九百五人、入所率は九四・五%となっております。

○浜中委員 ただいまご答弁をいただきまして、入所の必要性が高い入所希望者数と空床数は、それぞれ約三千人と、ほぼ同数であり、優先度の高い方は施設を選ばなければ、ほぼ入所が可能な状況ともいえます。
 こうした状況を踏まえて、本年の第三回都議会定例会の都議会自民党、我が会派の代表質問において、入所希望者の円滑な入所に向けて取り組むように求めたところであります。
 東京都としてどのように具体的な取組を進めているのかということをお伺いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームは、入所の必要性が高い方を優先的に入所させる仕組みとなっておりますが、一部の区では空床があるにもかかわらず、入所者を住民に限定したり、住民以外が入所可能な定員数を制限するなどの運用が行われておりました。
 このため、都は、本年九月の特別区の担当課長会において、こうした運用を是正するよう求めるとともに、施設における入所事務に遅れや支障を生じさせないよう、適切な頻度で入所申込者名簿の更新等を行うよう改善を求めております。
 また、入所を希望する方が居住地以外の施設の空き情報を確認できることも重要でございますので、十月に開催された高齢者施設団体の総会において、介護保険法に基づく介護サービス情報公表システムの空床情報を速やかに更新するよう働きかけを行い、これにより施設の空床情報の入力も進み始めております。
 今後も、区における改善状況や施設における情報更新状況等を踏まえて必要な働きかけを行うなど、入所希望者の円滑な入所に向けた取組を進めてまいります。

○浜中委員 この議論をするときに、私も驚いたんですけど、我が西東京市ではあんまり空床数というのがなくて、特養に入るということは難しいというふうにずっと私は思っていたんです。
 ところが、東京都全体で見ると意外に空いているところもありますとかという議論になっていて、そんなことがあるのかなと思ったら、今ご答弁いただいたとおりであるわけであります。
 これ一概に、空いているから何でもかんでもそこに入れるかといったら、そういう話ではないとは思います。ただ保育園と違って、特養はついの住みかというか、皆さんそこに住んでということもありますから、家族も大人ですから、会いに行く頻度とかというのを考えてみても、少なくとも都内とかであれば、入る入らないはその家族や本人が決める話であって、少なくとも税金でやっている話なので、需給に合わせて、それをちゃんと情報公開をしっかりして、入りたいところを希望して、ここなら入れるなとかというところであれば、希望して入れるのであれば、それはマッチングしていった方が、事業者にとっても利用者にとっても、誰にとっても、いい話なんだと思います。
 ただ、いきなりそれが新しい仕組みをつくるというわけにはいきませんから、この特養の制度とか介護保険の成り立ち、生い立ちがあって、それぞれの区市町村のやり方とかというのがあるので、ここは今こそ、東京都がしっかり指導力を発揮しながら、DXなんかも使いながら、何がネックになっているのかということを整理しながら、しっかり住民ですとか利用する利用者さんのために最適な仕組みというのを再構築していただきたいなというふうに思っております。
 次の質問に移りたいと思います。先ほどの答弁で、特養で生活されている方は五万人を超えるとのことであります。特養の整備については、高齢者保健福祉計画で整備目標を設定し、新たな施設の整備が進められてきたわけでありますが、既存施設の環境整備も重要な課題であると考えます。
 現在、特養に入所している方に安心して快適な環境で生活していただくためには、必要な改修や改築が適切に行われる必要があると思いますが、老朽化した施設に対する支援の状況についてお伺いをいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 都は、建て替えが必要な特別養護老人ホームに対し、改築及び改修の補助を行っております。
 例えば、ユニット型個室の改築については、定員一人当たり六百万円の基準単価に加え、建築費の高騰に対応するための加算を上乗せ補助しております。
 今年度は、この高騰加算を増額し、定員一人当たり二百四十万円を加算しておりまして、補助額は基準単価と合わせて、定員一人当たり八百四十万円となっております。
 また、経年劣化により建物の一部や附帯設備の改修が必要となった施設に対する大規模改修につきましても、今年度、補助額の増額を行い、一施設当たり六千万円を上限として補助をしております。

○浜中委員 東京都が今年度も補助や加算の額を増額するなどして、既存施設の改築や改修を支援していることは、ただいまの答弁で理解をさせていただきました。
 ただ、昨今の急激な物価高騰と賃金上昇の影響により、また、働き方改革なんか、人手不足なんかもありますけれども、これまでにないほどの建築費が高騰しておりまして、入札の不調など、改築や大規模修繕の計画、改修の計画を、計画どおりに実施することが困難な状況になっているのではないかと懸念をしております。
 東京都としても一層の支援が、現状に合わせて柔軟な支援が必要だと考えますが、見解を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 令和五年一月一日現在、都内の特別養護老人ホーム五百八十か所のうち、築年数が三十年を超える施設が九十六か所ございます。
 入所者の安全性の確保や居住環境の改善を図る観点から、こうした老朽化した施設の改築や改修を促進していくことは重要と考えておりまして、建築費の高騰による影響も踏まえ、事業者が必要な改築や改修を着実に進められるよう対応を検討してまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 柔軟に対応していただくということと、これは特養に限らず、ハードにしても何にしても、この物価高騰がもろに直撃しておりまして、いろいろ困っている人とかというのがたくさんいると思いますので、柔軟に対応していただければと思いまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、児童相談所についてであります。
 都内の児童相談所における令和四年度の虐待相談対応件数は二万七千七百九十八件と、増加の一途をたどっております。こうした状況に対応するために、都は毎年、児童福祉司や心理司の専門職を増員しておりますが、経験の浅い職員も多いと聞いております。
 虐待相談の内容が複雑化、深刻化する中で、職員の専門性を強化するためには、実践的な研修の実施など、人材育成を充実させるべきと考えますが、都の取組についてお伺いをいたします。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、児童福祉司、児童心理司など、児童相談所職員の専門性の向上に向け、困難ケース対応において職員に助言指導等を行う専門課長を配置するほか、指導員によるOJTを実施しております。
 また、昨年度開設したトレーニングセンターでは、新任職員向けに、児童や保護者との面接スキルの向上を図るロールプレーイングやゼミ形式の事例検討などの実践的な研修を実施しており、さらに今年度からは、新規採用職員に加えて採用二年目職員も研修の対象といたしまして、面接スキルのさらなる習熟を図る研修などを開始しております。
 こうした取組によりまして、専門性の高い人材の育成を図ってまいります。

○浜中委員 児童相談所の職員が増加する虐待相談に迅速かつ的確に対応するためには、人材育成による専門性の強化を図るとともに、デジタルを活用した児童相談業務の効率化を進めることも重要であると考えます。都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て支援部長 都は、児童相談所業務の効率化、省力化につながる取組といたしまして、オンライン面接による施設入所児童等の状況確認や、会議資料の電子化によるペーパーレス化など、デジタル化を進めております。
 昨年度からは、一部の児童相談所において、AIを活用して電話での相談内容をリアルタイムでテキスト化するシステムを導入しておりまして、相談記録の作成や確認にかかる時間が短縮され、職員の負担軽減が図られております。
 また、困難な案件を対応している際に、指導役の職員がそのやり取りの状況をテキストで把握し、その場で助言を行うなど、人材育成にも効果を発揮しておりまして、今後、各所に導入を拡大してまいります。
 加えまして、現在、児童福祉司が家庭への訪問や記録作成に活用している業務用スマートフォンにつきましても、児童心理司に配布を拡大してまいります。

○浜中委員 児相の職員が、まさに子供の育ち、育てを担っている、担っているというか、要は、困難な子供たちのためには、もう絶対なくてはならない存在であると思います。
 これからの時代は、質と量が求められるんだと思います。何で量が求められるかというと、ずっと厚生委員会で議論していますけど、今度、多摩地域に直営で、武蔵野市、三鷹市、小金井市、国分寺市に新規で一つ、西多摩、福生だとか青梅のところにもう一つ、町田で一つと、今度三つ新しく、これからつくっていきましょうと。また、区児相が独立したりとか、区でもつくりましょうとなったときに、やっぱり大切なのは人材なわけであります。
 人がいないとどうにもならないという中で、今、どんどんどんどん増えていて、困難な事例がある中で、人を採用しながら、そういうところにもこう行けるように、どんどん拡充していくためには、今いわれたこととかというのを丁寧にやりながら、やっぱり人を育てる文化だとか、そういうスキルアップとかというのをどんどんやっていっていただくということが、東京都の責務なのかなというふうに思っております。
 私も一生懸命応援したいと思いますので、ぜひ、人材育成に力を入れていただければと思います。
 続きまして、〇一八サポートについてであります。
 もう〇一八サポートは、この委員会でもいろんな、ありとあらゆる議論が出てきているわけでありますが、私の方もちょっと幾つかお話をしたいと思います。
 先ほど来、お話があるとおり、私の方でも、三定では、申請を済ませた方へのアンケートを実施して、システムの改善を図っていくという答弁がございました。アンケートも、実際に取ってやっているということであります。
 利用者の声を反映した取組について教えていただければと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は十月六日から、申請を行った方へのアンケートを実施し、十一月十四日現在、約十四万人の方から回答をいただいております。
 アンケートでは、案内に沿って入力していくだけで簡単に申請ができたという意見があった一方、申請を中断したらログインが切れてしまい最初から入力し直した、また、生年月日を入力する際、月ごとにカレンダーを遡ったため非常に時間がかかったなどといった意見もいただいたところでございます。
 こうした声なども踏まえ、申請途中からの手続を再開するボタンの追加や、生年月日等の入力方法をスクロール形式に変更するなどの改善を行っております。
 引き続き、ご意見を踏まえながら、より多くの方に円滑に申請いただけるよう取り組んでまいります。

○浜中委員 一月支給の申請締切り十二月十五日までに、今日の段階で、まだ四一%の人が申請をしていないということであります。
 まだ申請が終わっていない方々一人一人に、情報をしっかりと届けることが重要であると思いますが、事業の周知の取組状況について教えてください。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 多くの方に申請いただけるよう、来週から都内の小学校、中学校、高校や特別支援学校等で案内チラシを配布いたします。
 また、申請完了時に配信しているメールにおきまして、周囲の方に申請を呼びかけていただくよう依頼をしております。
 さらに、申請サイトに登録を一回したけれども、手続が完了していない方に対しましては、個別にメールを送付し、申請を促してまいりたいと考えております。

○浜中委員 ありがとうございます。
 ちょっと〇一八サポート全体についての話なんですけれども、この取組は本当に、私はいいことだと思います。
 これ私の持論なんですけど、全ての子育て政策から所得制限の撤廃をということを、私は常にいわせていただいております。困っている人に手を届けるのもそうだし、お金持ちの人でも、子供にはやっぱりお金がかかりますし、少子化を本当に反転させていくんだというのであれば、こういうところにどんどんお金を使っていくことはいいことだと思います。
 私も、この〇一八サポートに関しては、会う方だとか地元の人に、申請しましたかということを聞きます。すると、ほとんどの人が、申請しましたとか、お知らせを見ましたとかというので、これからやりますとかという話になって、ほかの都議の先生たちと同じような形で、申請、どうでしたかと聞くと、面倒だった、時間がかかったと。
 ただ、私、はたと気づいたのが、いわれて確かにそうだなと思ったのが、でもね、浜中さん、時給六万円の仕事ってないでしょう、一時間で六万円もらえるんだったらいいじゃないといわれたときに、ああ、なるほどと。
 多分、ここで大切なのは、この手続の改善というのはとても大切なことだと思います。ただ、もっと大切なことは、対象者全員に誰一人漏らすことなく行き届くということが、私は大切だと思います。
 これ史上最大の作戦だと思うんです。ばっとプッシュ型でやる。これも、いろいろあった経緯で、児童手当であれば、最初に生まれたときに申し込んで、六月とかに現況届を出せばそれでいいわけですけど、これはゼロ、一、今まで何もないものを一にする過程の中でやらなきゃいけないと。これはいろんな国との話とか市区町村との話があって、皆さん、全員対象者の方は申し込んでくださいと。こういう仕組みを取ったからには、やはり広報だとか周知徹底をして、やっぱり一〇〇%行きたいですよ。これ、やっぱりやらなきゃいけないと思います。
 そうした中で一つ要望なんですけど、まず、これ一〇〇%を都庁全体で、まず目指すべきだと思います。やりましょうよ、これ。みんなでやるしかないんです。
 その上で、来年度予算の概要でもやりますといっていますけど、これ一度始めたら当然やめられないし、みんな、これを子育て世帯は期待しているんだから、来年度もとなったときに、二回目以降の手続は簡単にやるべきだと思うんです。
 現況届みたいな形で、もう一回、保険証をマーキングしてとか、何かAの何番を選んでとかじゃなくて、現況届のような形で、来年度以降の手続というのはしっかり、利用者の方が一時間かからないように、さくっとできるような形で必要最低限のことでやっていただければと要望いたしまして、もちろん来年度も、今年度しっかりやって来年度も継続してくださいと。その上で、現況届のような形で手続は簡単にしてくださいということを申し述べて、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてであります。
 これも同僚議員の皆さんが聞いておりますけれども、ベビーシッター利用支援事業は、平成三十年度に事業を開始して以降、東京の多様な保育ニーズにきめ細かく対応するために拡充してきたと認識しております。
 これまでの取組について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 平成三十年度に本事業を開始した当初は、ゼロ歳児から二歳児の待機児童や育児休業明けの児童を対象にしておりましたが、令和二年度から一時預かりの実施など、対象の拡大を図ってまいりました。
 令和四年度からは、対象児童を五歳児までに拡大したほか、夜間にも安心して保育サービスを利用できるよう、午後十時以降の保育にも対応したところでございます。
 また、保育所に比べ開所時間が短い学童クラブが終了した後に子供を預けられるよう、一時預かりの対象児童を小学三年生まで拡大したものでございます。

○浜中委員 一時預かりの利用支援については、利用者が年々増加しております。
 本事業を保護者と子供が安心・安全に利用できるようにするためには、保育の質の確保が重要であると考えます。
 これまでの取組と今後の展開について伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、ベビーシッター利用支援事業に参画する事業者を独自の基準で審査、認定するとともに、全てのベビーシッターに対し、都が実施する研修の受講を義務づけております。
 また、事業者の管理責任者向けの研修を行うほか、事業者による保護者宅への巡回訪問やウェブカメラの活用への支援を実施するなど、ベビーシッターの質の向上を図っております。
 今年度は、全ての認定事業者を対象に、認定基準等の遵守状況を確認するため立入調査を実施いたします。
 今後とも、保護者が安心して本事業を利用できるよう、保育の質の確保、向上に取り組んでまいります。

○浜中委員 このベビーシッター利用支援事業も、どんどん進めていくべきだと思います。
 資料なんかも見ましたけれども、これでどういう事件が過去にあったかというのを見ると、もう本当に見るのも嫌になっちゃうぐらい、本当にあってはならないことなんかもあるので、しっかりそうしたところも、今ご答弁にあったように、しっかり対応していただいて推し進めていただきたいと思います。
 ところが、この事業なんですけれども、我が市でも使えるのかなと思って見ると、一時利用も使えないんですね。これはどういうことかというと、資料なんかを見ますと、使える区と市があって、これも三多摩格差というか、二十六市では武蔵野市と狛江市以外は、今のところ使えないんです。
 これ何でだろうというふうに、いろいろちょっと聞いたりとかすると、結局、まず一時利用でいえば、一時保育が必要ですという届出をする、ここまでは別に問題ないと思うんですけど、その後、請求書とかが来て、それを申請してとかというふうにやると、恐らく使う自治体、市区町村の、区は大丈夫だと思うんですけど、市の事務量が増えちゃうので、十分の十だといっていても、市とかが、ちょっとやり方が分からないし、ベビーシッター、そもそもうちにいないしとかというので、ちゅうちょしちゃう、事務量が増えちゃうので、できませんみたいな話になって、使えないわけですよね。
 じゃあどうすればいいんだという話になったときに、その事務とかも、例えばパッケージでやったりだとか、これこそまさにDXで、フォーマットとかをつくってもらって、GovTechとかありますから、各市区町村が使いやすいようにやってもらえれば、せっかくいい事業で、来年度の予算も増えてというふうになって、二十三区はみんな使えるようになると思うんですけど、二十六市とかだとなかなか使えない、なぜなら我が市で採用していないからみたいな話になっちゃうと、同じ都内にもかかわらず、格差ができちゃう話になると思います。
 したがって、DXとかを活用して、事務負担とか、そういったところを緩和していただければ、よりよい制度になるのかなと思います。
 その先には、例えば、待機児童だけじゃなくて、狛江市なんかがそうですけど、学童ですよね、学童に入れない子とかにも使えたりだとか、いろんな使い勝手だとか可能性のある事業だと思うので、ぜひその点も留意して進めていただければと思います。
 続きまして、多様な他者との関わりの機会の創出についてであります。
 これも、同僚議員から質問がありましたけれども、都は今年度から、多様な他者との関わりの機会の創出事業を開始しました。
 事業の概要及び補助の具体的な内容について、改めて伺います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は今年度から、乳幼児期から多様な他者との関わりを持ち、子供が健やかに成長できるよう、就労等の有無にかかわらず、幼稚園や保育所等で子供を定期的に預かる取組を開始しております。
 実施に当たっては、保育所等の取組を支援するため、運営費のほか、備品整備や改修等を行うための開設準備経費も支援しております。
 また、低所得世帯等に対しての利用者負担の軽減策を講じるほか、在宅子育て家庭の中には育児不安を抱える家庭もあることから、この事業を通じて支援が必要な家庭を関係機関につなぐ取組を行う区市町村を補助しております。

○浜中委員 本事業、これもすごいいい事業なんですけど、各市とかの保育園とか幼稚園が使ってくれないと利用者さんは使えないので、子育て世代が使えないので、本事業を広げるために、都の取組と今年度の実施状況についてお伺いをいたします。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、区市町村に対しまして、本事業の実施を働きかけるため自治体と個別に意見交換を行うほか、本年九月に実施しました東京都待機児童対策協議会におきまして、本事業を先行して実施している自治体の取組を紹介したところでございます。
 その結果、今年度は十五自治体六十八施設で実施予定であり、主な施設の内訳は、認可保育所十四施設、認証保育所七施設、幼稚園が二十七施設などでございます。
 引き続き、本事業の実施が進むよう、事業者や区市町村へのヒアリングを行うなど、様々な機会を通じ、区市町村に働きかけてまいります。

○浜中委員 私はすごい、この事業はいい事業だと思います。何でいい事業なのかというと、これはもう皆さんがずっと議論されていることだと思いますけど、ゼロ歳から保育園に預ける家庭と家で見ている家庭とというので、税金の投入のされ方が違うわけです。
 例えば、零歳児でいえば、自治体によって違うと思うんですけど、零歳児一人当たりに三百万とか税金を使うような計算なんかもあるわけであります。ところが、家で見ているとその分は使わないわけですから、例えば、こういう事業をして、保育所だとか幼稚園の空き定員をやって、保育サービスの基盤というのは、これは国を挙げて東京都も一生懸命頑張ってやった社会インフラですから、これをしっかり使っていきましょうということと、やっぱり子育てしていく意味では、ゼロ、一、二を家で見るという家庭でも、ずうっと子供といたら、やはり疲れてしまうというのもあるので、週に一回でも二回でも、こういうものがあると非常に子育て世帯は助かるというふうに思います。
 また、この仕組み自体もそうなんですけど、既に幼稚園とかでは、プレだとかというので、それに類するようなのを週一とか週二でやっているところなんかもあるので、恐らく既存のものに対して、この接続とかというのをうまくやってあげたりとか、保育所も定員が空いてどうしようとかというところがあれば、しっかり接続を、国もそうですし、東京都のこの事業もそうですけど、しっかりやってあげて、各子育ての保育所だとか幼稚園とかというのが、しっかりその受皿をできるようにしてあげることが、子育て世代の保護者の人たちにとっても非常にプラスになるというふうに思っております。
 先ほどとお話が重複してしまいますけど、制度はあったけど、我が市は採用していませんとかということがないように、ちょっと使いやすくしていただいて、全部の東京都内ではみんな使えるよという仕組みにしていただければと思いまして、私の質問を終わります。

○高倉委員 それでは、今日最後の質問になると思います。
 初めに、高齢者のことについてお伺いをしたいと思います。
 高齢者が健康を維持して、積極的に社会参加などをしながら、いつまでも元気で生活していくということは、高齢化が進む中で大変重要なことであると思います。そのために、地域活動ですとか、あるいは社会貢献、あるいはまたスポーツなど、様々な活動に参加できる環境づくりを支援していくということは大変重要であるというふうに思います。
 私の身近なところでは、例えば、区の生涯学習のカリキュラムを卒業した方々がICTのチームをつくりまして、オンライン会議を開いたり、高齢者同士でスマホ、PCなどの使い方を教え合うといったようなことを非常に生き生きとして頑張っております。
 また、これも中野の例ではありますけれども、高齢者用の公共施設でもって、脳トレにつながるようなカラオケがあるんですね。我々が歌うとき、カラオケというのは大体、歌詞が出てくるので最後まで歌えるわけですが、途中で、何ていうんですか、字が抜けるんですよ。思い浮かべながら歌うとか、そういう非常に面白いプログラムがありまして、こういうカラオケの事業者の協力を得て楽しんでいる、非常にこれは好評だというふうにお伺いをしてきております。
 私ごとになりますが、これは社会参加とはいえないかもしれませんけれども、東京の還暦野球リーグのチームのプレーヤーとして、私もずっと楽しませていただいていると。最近は、eスポーツといったような、体が丈夫であるかどうかということにかかわらず楽しめるような、そういったものもあるわけであります。
 都は、元気な高齢者の社会参加や健康維持を推進するため、高齢者を対象とした様々な活動への支援を進めるべきというふうに思いますが、見解をお伺いします。

○花本高齢者施策推進部長 高齢者が元気で心豊かに暮らすには、健康維持の取組や社会とのつながり、外出や人との交流の機会を持ち続けることが必要であります。
 このため、都は、高齢者を対象とした文化、教養、スポーツや地域コミュニティに関する講座など、生きがいづくりや自己実現につながる多様な活動の実施等に取り組む区市町村への支援を行っております。
 また、eスポーツの実施など、区市町村が地域の実情に応じ、独自の創意工夫を凝らして実施する事業への支援を包括補助によって行っており、今後も区市町村の主体的な取組を支援してまいります。

○高倉委員 今ご答弁で、区市町村への支援のお話がずっとありました。区市町村への支援を行うだけでなくて、都自らも事業として取り組んでいく、そういう必要もあるのではないかと思います。
 都は、高齢者の幅広い社会参加活動への、この参加を促進をするために、人生百年時代社会参加マッチング事業といったものを開始しているわけであります。
 この取組を早期に都民が活用できるようにし、高齢者と様々な活動のマッチングを積極的に進めるべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 都は令和四年度に、有識者等で構成する委員会を立ち上げ、シニア、プレシニアの方々と社会参加活動との広域的なマッチングのためのオンラインプラットフォームを構築することといたしました。
 構築に当たっては、高齢者本人の特性を踏まえたマッチングができるよう、対面での相談支援も可能な仕組みとするなど、シニア、プレシニアの方々にとって使いやすいデザインや機能の検討を進めております。
 本年九月からは、令和七年度からの本格実施に先駆けて、既存のサイトを改修し、プラットフォームの一部機能を持たせた地域参加のトビラを開始しております。

○高倉委員 今、取組を始めてきていて、そして、令和七年度から本格的に実施をすると、こういうご答弁でありました。
 こうした取組については、多くの方々に参加をしてもらうということが大変重要であると思います。
 多くの人に知ってもらい、活動に参加する人を増加させるために、どういうふうに取り組んでいくのか、見解をお伺いしたいと思います。

○花本高齢者施策推進部長 本取組を通じて活動に参加する人を増加させるためには、都内各所の様々な活動情報を収集し、プラットフォームに掲載した上で、シニア、プレシニアの方々へ効果的に取組を周知することが重要でございます。
 都は、区市町村や社会福祉協議会、シルバー人材センターなどと連携しながら活動情報の充実を図るとともに、ホームページや「広報東京都」等を通じて、シニア、プレシニアの方々へ広く取組を周知しております。
 実際に地域参加のトビラを通じてイベントに参加した人からは、地域活動への参加のハードルを下げるよい取組であるという声や、自分の関心に合うものを見つけるのは大変なのでありがたいといったご意見をいただいております。
 今後、先行実施で得られる知見等を活用し、シニア、プレシニアの方々の社会参加をより一層促進するプラットフォームを着実に構築してまいります。

○高倉委員 高齢者の方々と一くくりにしても、いろんな方々がいらっしゃいますけれども、いわば元気な方々というのが非常に圧倒的に多いわけでありまして、こういった方々が、私が冒頭申し上げましたように、元気でずっとお過ごしがいただけるように、ぜひ、すばらしい取組を進めていただきたいというふうに思います。
 次いで、産後ケアについてお伺いしたいと思います。
 私ども都議会公明党は、フィンランドのネウボラを紹介しながら、産後ケアをはじめとする出産、子育て応援を推進してまいりまして、平成二十七年度からですけれども、都のゆりかご・とうきょう事業を具体化してまいりました。さらに、それが今のとうきょうママパパ応援事業へと引き継がれてきたというわけであります。
 この中で、特に産後ケアについては、これも私の地元の中野の話になりますけれども、都からの財政支援の下、ショートステイ、それからデイサービス、それからアウトリーチ、この三つを私は三点セットと呼んでおりますけれども、これを組み合わせまして、先駆的な取組といったものを進めてきているわけであります。
 この産後ケア事業ですけれども、区市町村がそれぞれの地域に応じて、今申し上げましたショートステイ、これは宿泊型ですね、それからデイサービス、日帰りのです、それからアウトリーチ、これは訪問型ですけれども、この三類型でもって、それぞれ実施をしているわけであります。
 先ほど申し上げた、この三つとも全部やっているという自治体もあれば、その中の幾つかをやっている、あるいは、ちょっと残念ながらまだできていないと、こういったような自治体もあるわけでありますが、実はもうかなり進んできているということは事実でありまして、これまでの都の取組を評価申し上げたいと思いますけれども、こうした各類型についての区市町村の実施状況についてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 都は、とうきょうママパパ応援事業におきまして、出産後の母子等に対して心身のケアや育児のサポート等を行う産後ケア事業を実施する区市町村を支援しております。
 本事業の実施方法は、今、委員お話のあったとおり、病院等の空きベッドを活用するショートステイ型、利用者が施設に来所するデイサービス型、支援者が利用者の自宅に赴くアウトリーチ型の三類型がございます。
 今年度の類型ごとの実施予定自治体数は、ショートステイ型が四十七、デイサービス型が四十五、アウトリーチ型が三十六自治体でございます。

○高倉委員 今ご答弁いただきましたけれども、実は表にしたものがあって、これをちょっと見せていただいているんです。これを見ると非常によく分かるんですが、今、数字で聞いただけだとあまりよく分からないのかもしれませんが、いずれにしても各類型で実施状況にばらつきがまだあるということは事実であります。
 区市町村によって実施が進まない理由と、区市町村の取組を進めていくための今後の都の対応についてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 本事業の実施主体である区市町村からは、産後ケア事業を実施する上で、財源や委託先の確保も課題と伺っております。
 そこで、都は令和二年度から、産後ケア事業の区市町村負担分について、運営費の全額を補助しております。
 また、事業の委託先の確保につながるよう、今後、都内医療機関等における産後ケアの取組状況を把握し、その結果を区市町村向けの説明会や研修等の機会を通じて周知するなど、産後ケア事業のさらなる推進に取り組んでまいります。

○高倉委員 ご答弁の中で、委託先というお話がありました。まさに、この事業の担い手といえると思います。
 三類型の産後ケア、これを進めていくためには、それに取り組んでいただける、今、委託先という答弁がありましたけれども、そうした民間の担い手の方々が不可欠なわけであります。
 私、先ほど地元の中野のお話もしましたけれども、実は、松が丘助産院という助産施設がありまして、助産師の方々が非常に産後ケアについては早くから課題意識を持って、なおかつ積極的に自分たちで取り組んでいきたいと、こういう思いを持って、そういうお考えを持っていたと。これとこの事業が極めてマッチングというんですか、マッチして、非常に早く進んだというようなことがあったというふうに思います。
 したがって、今日は実施状況のお話をご答弁いただきましたけれども、この事業の推進に欠かすことのできない担い手となって頑張っていただける方々、こうした方々が活動しやすい、あるいは、ぜひやっていこうというふうに思っていただけるような環境づくり、これを具体的に進めていただくように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから、子育てについてもう一つお伺いしたいと思います。
 東京都出産・子育て応援事業についてであります。
 この事業については、私ども公明党が国において推進をしてきました国の出産・子育て応援交付金を取り込みまして、広域連携によって経済的支援を実施しております。
 少々国の仕組みと、それから、まさに都の仕組みと、これをきちっと組み合わせているので、若干複雑な仕組みにはなっているんですけれども、今年度の事業内容について、財源構成と併せてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 東京都出産・子育て応援事業では、国の交付金を活用し、妊娠時に五万円分、出産後に都独自の五万円分と合わせて十万円分、合計で十五万円分の経済的支援を実施しております。
 本事業では、専用のウェブサイトを通じて育児用品や子育て支援サービス等を提供する仕組みを広域連携スキームとして展開しておりまして、区市町村と連携して事業を実施しております。
 事業の負担割合は、都独自の五万円分は都の全額負担、国の交付金による経済的支援の十万円分は、国が全体の六分の四、都が六分の一、区市町村が六分の一でございますが、広域連携スキームへ参画する等の要件を満たす区市町村につきましては、区市町村負担分の六分の一を都が全額支援をしているところでございます。

○高倉委員 今、詳細に説明をしていただきましたけれども、一回聞いただけでは、初めて聞くと、あるいは一度聞いたことがあるんですけど、どんな感じだったかなというのがちょっと分かりづらいんですね。
 簡単な表がありますと、とても分かりやすいんだというふうに思いますけれども、いずれにしても、東京都出産・子育て応援事業の十五万円というふうに今お話があったわけであります。
 また、ここに、とうきょうママパパ応援事業における妊娠時の育児パッケージの一万円と、それからバースデーサポートの六万円を合わせて、合計しますと二十二万円の支援ということになるわけでありますけれども、この事業は経済的な支援だけではなく、妊娠、出産、子育て期に大変重要となる支援策につなげていくという意味が、単に経済的な支援だけではなくて、不可欠な支援策にしっかりとつなげていくという大変重要な意味を持っているわけでありまして、利用者が漏れなく支援を利用できるように対応していくということは極めて重要でありますけれども、どう取り組んでいくのかについてお伺いしたいと思います。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 区市町村は、妊娠時、出産後、また一歳または二歳前後の各段階で、面接や家庭訪問、アンケートの実施などによりまして、対象家庭の状況を把握するとともに、経済的支援を受けられるよう申請方法等を案内しております。
 この取組を通じて支援が必要な家庭を把握した場合には、産前産後の相談支援や、先ほどお話にありました産後ケア事業などの子育て支援サービス等につなげるなど、切れ目ない支援を実施しております。

○高倉委員 今ご答弁いただきましたけれども、昨今の物価高騰の状況の中で経済的な支援策になっているということも、そういう意味合いを持っているということも事実でありますけれども、大変重要な妊娠、出産、子育て期の具体的な支援にしっかりとつなげていくという意味では重要な事業でもありますので、ぜひ漏れなく対象となる方々が活用していただけるように、よろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、障害者の、特に重度の障害者の住まいの確保についてお伺いしたいと思います。
 障害のある方やそれを支える家族にとりまして、生活の場所の確保は重要であります。特に住む場所については、ご自身ができる限り自由な選択ができるようにする配慮、これが大変に必要だというふうに思います。
 そのために様々な取組があるわけでありますが、ここでは、グループホームについてお伺いしたいと思います。
 都では、令和三年度から令和五年度を計画期間とします障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、障害者のためのグループホームの整備を進めておりまして、定員二千五百人増の一万四千三百七十六人分を確保するという目標に対しまして、二千百七十五人増の一万四千五十一人まで確保できたというふうなことをお聞きしております。
 しかしながら、当事者あるいは家族の方々からは、高齢であること、あるいは重度の障害のある方々への対応を求める声が非常に強く出ているわけでありまして、重度の障害のある方が利用できるグループホームを増設してほしいと、こうした要望が私のところにも寄せられております。
 そこで、重度の障害者に対応できるグループホームを増やしていく必要があると思いますけれども、都の取組についてお伺いしたいと思います。

○鈴木障害者施策推進部長 近年では、お話のとおり、医療的ケアが必要な方や強度行動障害を有する方など、重度の障害者であっても、本人が希望する地域で安心して暮らせる社会の実現が求められているところでございます。
 このため、都は、看護職員や福祉職等を配置し、医療的ケアが必要な障害者を受け入れるグループホームに助成を行う区市町村を支援しており、今年度から、看護職員を配置した場合の補助単価を引き上げるなど、支援を拡充しております。
 また、身体や行動の特性上、特別な支援を必要とする重度障害者を受け入れるため、国基準以上に手厚く職員を配置しているグループホームの事業者に対し、補助を実施しております。
 今後も、こうしたグループホームに対する取組の充実を図ってまいります。

○高倉委員 施策の充実を図っているという答弁であったと思います。
 重度の方々、そのご家族からの要望には、まだまだお応えができていないという状況があるのは現実であると思います。東京都は、グループホームとしまして都営住宅の活用というものも進めてきておりまして、都営住宅でもってグループホームとして使っているという事例があるわけでありますが、実は今、その活用が、私はちょっと止まっているんじゃないかと思っていますが、実は進んでいないんですね。
 ただ、住宅政策本部の方にお伺いをしましたところ、要請があれば対応するというようなお話もしておりましたので、もっとこういったことも活用していくべきじゃないかと思います。
 重度の障害者が利用できるグループホームの設置につきまして、さらに整備が進むように、都営住宅のほかに空き家など既存建物の活用も推進すべきと思いますけれども、見解をお伺いします。

○鈴木障害者施策推進部長 都はこれまで、障害者グループホームを整備する事業者の負担を軽減するための特別助成を行い、空き家などを活用したグループホームの整備も進めてまいりました。
 また、整備に当たり、利用者の重度化、高齢化に対応するために特殊浴槽などの設備を設置した場合の加算も設けてございます。
 今後も区市町村と連携を図り、空き家などの既存物件も活用しながら、重度の障害者の方が利用可能なグループホームの整備を進めてまいります。

○高倉委員 今答弁で、区市町村と連携を図りながらという答弁がございました。
 先ほど、都営住宅の活用につきまして、住宅政策本部のお話をさせていただきましたけれども、より具体的には、区市町村からの要請が強くあれば対応していきたいと、こういうお話だったわけでありまして、ぜひ都は、区市町村とも連携をよく取りながら、様々な取組を進めていただきたいと思います。
 それから、三か年プランのお話をしましたけれども、今年度が最終年度であります。したがって、来年度から、恐らく新しいプランといっていいんでしょうか、これが策定をされて取組が進んでいくと思います。
 グループホームの目標の話を、先ほど、私させていただきました。目標を持って、今、ここまで進んできていますと、こういうことなんですね。
 ただし、このグループホームも、私が今回この質問をしているのは、単にといったら変ですが、グループホームということではなくて、重度の方が安心して入れるような、これが実はちょっと足りないわけです。
 したがって、グループホーム全体の目標というのは当然あってしかるべきだと思いますけれども、単にその数を何とか目標として、進捗が進んでいればいいということだけではなくて、ぜひその中でも、さらに重度の方が安心して入れるようなグループホームの数も、ぜひ次期計画の中では明確にしながら、それがどの程度進んでいるのか、今日も様々な取組、支援策のお話もいただきましたけれども、その支援策が本当に効果を上げているのかどうかというのは、目標があって、それに対してどれぐらい進んでいるのかというのが分からないと、本当にそういう支援策でいいのかどうかということも、実はあるわけなんですね。
 もちろん、大変厳しい環境にあるということは重々承知の上で申し上げているわけですけれども、ぜひ、そうした点をよく考慮しながら取組を進めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時二十二分散会

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