厚生委員会速記録第十三号

令和五年十一月七日(火曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長磯山  亮君
副委員長斉藤やすひろ君
理事関口健太郎君
理事原 のり子君
理事内山 真吾君
北口つよし君
上田 令子君
浜中のりかた君
山加 朱美君
里吉 ゆみ君
高倉 良生君
伊藤 大輔君
鈴木  烈君

欠席委員 なし

出席説明員
保健医療局局長雲田 孝司君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務村本 一博君
医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務遠藤 善也君
都立病院支援部長齋藤 善照君
健康安全部長藤井麻里子君
感染症対策部長加藤 みほ君
政策推進担当部長宮澤 一穂君
地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務大出  仁君
医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務岩井 志奈君
食品医薬品安全担当部長早乙女芳明君
感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長
健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
感染症対策調整担当部長内藤 典子君
感染症対策調整担当部長藤井 達男君
感染症対策調整担当部長及川 勝利君
感染症対策調整担当部長高橋 葉夏君

本日の会議に付した事件
保健医療局関係
事務事業について(質疑)

○あかねがくぼ委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、保健医療局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○雲田保健医療局長 それでは、説明に先立ちまして、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員を紹介いたします。
 感染症対策調整担当部長の内藤典子でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○あかねがくぼ委員長 紹介は終わりました。

○あかねがくぼ委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○船尾総務部長 去る十月十九日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、裏面の目次をご覧ください。当委員会で要求がございました資料は、全部で四十九項目となってございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移でございます。
 二ページにかけまして、加入世帯、被保険者資格証明書及び短期被保険者証につきまして、区市町村ごとに令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
 三ページをお開き願います。2、国民健康保険料(税)率の推移でございます。
 四ページにかけまして、基礎賦課及び後期高齢者支援金等につきまして、それぞれ所得割、資産割、均等割及び平等割の区分別に、区市町村ごとに令和二年度から令和五年度まで記載してございます。
 五ページをお開き願います。3、国民健康保険料(税)の減免件数の推移でございます。
 減免件数につきまして、区市町村ごとに令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 六ページをご覧ください。4、国民健康保険における一部負担金減免件数の推移でございます。
 一部負担金減免件数につきまして、区市町村ごとに令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 七ページをお開き願います。5、国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移でございます。
 対象世帯数、滞納世帯数及び収納率につきまして、区市町村ごとに平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 八ページをご覧ください。6、国民健康保険料(税)の滞納に対する新規の差押件数、差押額及び差押物件の内訳の推移でございます。
 一〇ページにかけまして、(1)に、区市町村ごとの新規差押件数及び差押額を、(2)に、特別区、市町村別の新規差押物件の内訳を、それぞれ令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 一一ページをお開き願います。7、国民健康保険への東京都支出額の推移でございます。
 (1)に、特別区への、(2)に、市町村への都の支出金を、(3)に、東京都国民健康保険事業特別会計への繰出金を、それぞれ平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一二ページをご覧ください。8、病院の耐震化状況でございます。
 令和四年九月一日時点の病院の耐震化状況を記載してございます。
 一三ページをお開き願います。9、保健医療局所管の政策連携団体及び地方独立行政法人における障害者雇用人数及び障害者雇用率でございます。
 障害者の雇用人数及び雇用率につきまして、団体ごとに令和二年から令和四年まで記載してございます。
 一四ページをご覧ください。10、熱中症による死亡者数の推移並びに死亡場所及びエアコンの使用状況でございます。
 (1)に、熱中症による死亡者数の推移を特別区と多摩・島しょ地域に分けまして、平成二十四年から令和三年まで記載してございます。また、一枚おめくりいただきまして、(2)に、令和三年における死亡場所の内訳と屋内のうちエアコンの使用状況を区市町村ごとに記載してございます。
 一七ページをお開き願います。11、都立病院機構の病院におけるがん患者数でございます。
 令和四年十月十九日に実施いたしましたワンデー調査におけるがん患者数につきまして、病院別に記載してございます。
 一八ページをご覧ください。12、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師の定数及び現員の内訳の推移(診療科別)でございます。
 二九ページにかけまして、令和二年度と令和三年度は定数及び現員を、令和四年度と令和五年度はフルタイム、フルタイム以外などの区分別に、それぞれ診療科別に病院ごと、記載してございます。
 三〇ページをお開き願います。13、都立・公社病院及び都立病院機構の病院におけるPFI事業に係る経費の推移及び累計並びに各事業の契約額でございます。
 (1)に、経費の推移及び累計を、一枚おめくりいただきまして、(2)に、各事業の契約額を、それぞれ対象となる病院別に記載してございます。
 三二ページをご覧ください。14、都立病院機構の病院における心身障害者医療費助成制度等を利用した障害者の入院患者数及び有料個室使用者数でございます。
 令和四年十月十九日に実施いたしましたワンデー調査における入院患者数及び有料個室使用者数につきまして、区分別に記載してございます。
 三三ページをお開き願います。15、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師及び看護要員の採用者数の推移でございます。
 三六ページにかけまして、(1)に、常勤職員の、(2)に、非常勤職員の医師及び看護要員の採用者数を平成三十年度から令和四年度まで病院別に記載してございます。
 三七ページをお開き願います。16、都立病院機構の病院における病棟休止状況でございます。
 令和五年十月一日現在の病棟休止状況を病院別に記載してございます。
 三八ページをご覧ください。17、特別区及び多摩・島しょ地域における検案・解剖実績の推移でございます。
 検案、解剖実績につきまして、特別区と多摩・島しょ地域に分けまして、令和元年から令和三年まで記載してございます。
 三九ページをお開き願います。18、東京都監察医務院における妊産婦の自殺検案数の推移でございます。
 妊産婦の自殺の検案数につきまして、令和元年から令和三年まで記載してございます。
 四〇ページをご覧ください。19、医療法人に対する指導・監督の実施件数の推移でございます。
 指導監督の実施件数につきまして、令和二年度から令和四年度まで区分別に記載してございます。
 四一ページをお開き願います。20、患者の声相談窓口への相談件数及び内訳の推移でございます。
 相談件数及び内訳につきまして、令和二年度から令和四年度まで区分別に記載してございます。
 四二ページをご覧ください。21、令和三年一月十三日の厚生労働省通知を踏まえた、精神科病院に対する実地指導を通じて発見された虐待の件数と内容でございます。
 虐待の件数と内容につきまして、令和三年一月十三日から令和五年九月三十日までの実績を記載してございます。
 四三ページをお開き願います。22、保健医療局における障害者の採用、配置、業務、業績評価に係る合理的配慮の取組状況でございます。
 合理的配慮の取組内容につきまして、区分別に記載してございます。
 四四ページをご覧ください。23、旧福祉保健局における障害者就労施設等からの優先調達の契約件数、金額の推移でございます。
 障害者就労施設等からの優先調達の契約の件数、金額につきまして、平成三十年度から令和四年度まで区分別に記載してございます。
 四五ページをお開き願います。24、都内における動物の引取り及び収容数の推移でございます。
 動物の引取り及び収容数につきまして、区市町村ごとに令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 四六ページをご覧ください。25、都内における動物の致死処分数の推移でございます。
 動物の致死処分数につきまして、処分に至った区分別に令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 四七ページをお開き願います。26、第一種動物取扱業者に対する勧告及び命令の実施実績でございます。
 勧告及び命令の実施件数につきまして、令和二年度から令和四年度まで区分別に記載してございます。
 四八ページをご覧ください。27、医療保健政策区市町村包括補助事業を活用した飼い主のいない猫対策の実施状況(令和四年度)でございます。
 補助事業の内容別に令和四年度に実施した区市町村を記載してございます。
 四九ページをお開き願います。28、旧福祉保健局が所管する事業のうち事業者に対して行った不利益処分件数の推移でございます。
 不利益処分の区分別の件数を平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 五〇ページをご覧ください。29、旧福祉保健局への公益通報の事由別件数の推移でございます。
 公益通報の受理件数及び事由につきまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 五一ページをお開き願います。30、都内の公衆衛生医師の配置状況等の推移でございます。
 公衆衛生医師につきまして、(1)に、各年度四月一日現在の都、特別区、八王子市、町田市における配置数を、(2)に、採用者数及び退職者数を、それぞれ平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 五二ページをご覧ください。31、旧福祉保健局の職員の自殺、病気休暇及び病気休職、定年退職を除く退職、公務災害件数の推移でございます。
 (1)に、自殺者数を、一枚おめくりいただきまして、(2)に、病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数を男女別、年齢区分別に、(3)に、定年退職を除く退職者数を男女別、年齢区分別に、また、一枚おめくりいただきまして、(4)に、公務災害の認定件数を男女別、年齢区分別に、それぞれ年度または暦年を単位として記載してございます。
 五六ページをご覧ください。32、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における分娩件数の推移でございます。
 分娩件数につきまして、令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 五七ページをお開き願います。33、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における誤嚥に係る報告件数の推移でございます。
 誤嚥に係る報告件数につきまして、令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 五八ページをご覧ください。34、小児総合医療センターにおける死亡退院患者数の推移(疾病分類別、年齢別)でございます。
 死亡退院患者数につきまして、(1)は、疾病分類別に、一枚おめくりいただきまして、(2)は、年齢別に、それぞれ平成三十年から令和四年まで記載してございます。
 六〇ページをご覧ください。35、松沢病院における死亡退院患者数の推移(疾病分類別、年齢別)でございます。
 死亡退院患者数につきまして、(1)は、疾病分類別、(2)は、年齢別に、それぞれ平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 六一ページをお開き願います。36、松沢病院における再入院率でございます。
 令和四年度の退院後一か月以内及び退院後三か月以内の再入院率を記載してございます。
 六二ページをご覧ください。37、松沢病院における入院期間別入院患者数の推移でございます。
 入院期間別入院患者数につきまして、平成三十年度から令和四年度まで区分別に記載してございます。
 六三ページをお開き願います。38、都立病院機構の病院における精神疾患による入院患者数及び入院形態別内訳でございます。
 令和四年度の入院患者数及び入院形態別内訳につきまして、病院別に記載してございます。
 六四ページをご覧ください。39、松沢病院における患者の退院時の状況でございます。
 患者の退院時の状況につきまして、令和二年度から令和四年度まで区分別に記載してございます。
 六五ページをお開き願います。40、松沢病院における行動制限実施患者数及び保護室数の推移でございます。
 (1)に、平成三十年度から令和四年度までの行動制限実施患者数を、(2)に、保護室数をそれぞれ記載してございます。
 六六ページをご覧ください。41、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医事関係訴訟件数及び事由でございます。
 医事関係訴訟件数及び事由につきまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 六七ページをお開き願います。42、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師の兼業件数等でございます。
 医師の兼業件数、人数及び主な内容につきまして、令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 六八ページをご覧ください。43、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における職員の自殺、病気休暇及び病気休職、定年退職を除く退職、公務災害等の件数の推移でございます。
 (1)に、自殺者数を、一枚おめくりいただきまして、(2)に、病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数を男女別、年齢区分別に、(3)に、定年退職を除く退職者数を男女別、年齢区分別に、また、一枚おめくりいただきまして、(4)に、公務災害等の認定件数を男女別、年齢区分別に、それぞれ年度または暦年を単位として記載してございます。
 七二ページをご覧ください。44、都立病院及び都立病院機構における障害者優先調達の契約件数・金額の実績(契約種類別)でございます。
 障害者優先調達の契約件数及び金額につきまして、平成三十年度から令和四年度まで契約種類別に記載してございます。
 七三ページをお開き願います。45、都立・公社病院における障害者の雇用状況でございます。
 平成二十九年及び令和四年における六月一日時点の障害者の雇用状況につきまして、区分別に記載してございます。
 七四ページをご覧ください。46、都立病院機構の病院における病児・病後児保育の取組状況でございます。
 令和五年十月一日現在、病児、病後児保育を実施しております病院につきまして、開設時期及び定員を記載してございます。
 七五ページをお開き願います。47、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における電気けいれん療法の実施件数の推移でございます。
 電気けいれん療法の実施件数につきまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 七六ページをご覧ください。48、都立・公社病院及び都立病院機構における懲戒処分の件数及び内訳でございます。
 (1)に、都立病院、一枚おめくりいただきまして、(2)に、公社病院、(3)に、都立病院機構におけます件数及び内訳を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 七九ページをお開き願います。49、都立病院機構の病院における研究活動に係る利益相反に関する自己申告書の提出者数、申告額の最高額及び総額でございます。
 令和四年度の実績を区分別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、当委員会で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あかねがくぼ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○内山委員 私からは、大きく三点、質問をさせていただきたいと思います。また、本日は長時間の質疑が予定されておりますので、私、トップバッターということで重複質疑がありませんが、できるだけ端的に質疑をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初は、この東京都健康推進プラン21、こちらの中から健康づくりの施策についてお伺いをしたいと思います。
 こちらですけど、平成二十五年三月から十か年、プラス一年ということで、今年度が改定年度ということになっていますが、通常であれば、この十年プランというのは機能すると思いますし、また、五年をめどに中間評価を行うというのも理にかなっていると思うんですが、その後半の五年間、六年間というんですかね、特にコロナ禍ということで、社会的な大きなインパクト、特にこの健康づくりという意味においては、かなり大きなイレギュラーがあったのではないかなというふうに感じています。
 その中で、そこをしっかりと把握をして、分析をして、次のプランにつなげていかなくちゃならないのではないかなと思っておりますが、新型コロナウイルス感染症の健康づくりへの影響について、どのように把握をされているかお伺いしたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 令和三年三月に都が実施いたしました新型コロナの拡大に伴う健康意識への影響を把握するためのインターネット調査では、食生活の変化について尋ねたところ、外食機会が減ったとする方が約八割、体重の変化については、増えた方が約四割などとなってございます。
 また、同年六月の健康に関する世論調査では、新型コロナの拡大による心と体の健康への悪影響につきまして、ストレスを感じることが増えた、運動などの体を動かす機会が減少したとした方がいずれも四割以上などとなってございまして、心の健康や食生活、身体活動、運動などの生活習慣に影響を与えることが示唆される結果となってございます。
 なお、高齢者につきましては、令和二年度に区市町村に対して実施した調査によりますと、新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛下におきまして、通いの場などの実施が困難となりまして、活動量の減少による高齢者の心身の機能低下や他者との交流機会が減少した事例が報告されております。

○内山委員 ありがとうございます。
 我々の感覚と同じように、やはり新型コロナウイルス感染症の様々な自粛だとか行動変容によって、このプランに対する影響というのはあると思いますので、そこをしっかりと踏まえた上で、次期プランの策定に向けて動いてもらいたいなと思います。
 その中で、ウオーキングマップのサイト、これはコロナの前から作成しているものでありますが、これを活用したりとか、こういった新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた健康づくりのサイトを開設しているというふうに伺っていますが、効果的な啓発に向けてどのように取り組んでいるのか、その効果検証というか、それがどれぐらいの人たちにリーチできているのかも踏まえて、答弁をお願いします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、日常生活におけます身体活動量を増やすため、区市町村等が作成したウオーキングマップを紹介するポータルサイトを平成二十八年度に開設いたしました。
 現在までに五十一区市町村、五百を超えるコースを掲載しておりまして、今年度のアクセス数は十月までの月平均で約七万件となってございます。
 また、新型コロナの流行によりまして外出機会が減少した中でも、家の中で気軽に取り組める健康づくりを紹介するウェブサイトを令和四年三月に開設いたしました。開設からの累計アクセス数は三万件を超えてございます。
 今年度は、都民のふだんの生活の中での健康づくりを一層促進するため、JリーグのFC東京と連携し、選手等が実践する運動や食生活、心の健康づくりを紹介するコンテンツを掲載するなど、本ウェブサイトの充実を図ってございます。
 健康推進プランでは、身体活動、運動、食生活など、各分野での指標を設定し、目標の達成状況を評価しておりまして、サイトのアクセス数の動向などを把握しながら、指標改善に向け、効果的な情報発信に取り組んでまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 今、二つの施策をご紹介いただきました。このトーキョーウォーキングマップは、先ほどご答弁がありましたとおり、今、月平均七万件のアクセスということで、かなりご利用されているんだろうなというふうに思います。私も実際見てみたところ、これは本当に実際ウオーキングするのに役に立つなとか、このルートを歩いてみたいなというふうに思うすばらしいサイトかなと思いますので、引き続き、広報、啓発、お願いできればと思います。
 また、一方、この健康づくりを紹介するサイト、こちらですかね、こちらは、先ほどが月平均七万アクセスというのに対して、累計アクセス三万という、一年半かけて累計アクセスが三万という中で、月で割ってみると千五百から千六百アクセスということで、こっちはなかなか厳しいのかなというふうに思います。
 その中で、ご答弁にもありましたFC東京さんとの連携がスタートしたという中で、FC東京さん、例えばX、旧ツイッターでは約二十六万人フォロワーがいる、それだけ発信力のあるところですので、ここをぜひ活用していただいて、この選手の動画も、先ほど見たら、公開から三週間弱で今百五十一回再生ということで、これはぜひ、このFC東京さんのXでリンクつきで紹介していただいたりして、そういった方々にどんどん発信しながらリーチ数を増やしていただく。そうしないと啓発動画というのは意味がないと思いますので、ぜひそういったところをご検討いただきたいなというふうに思っています。
 この分野の最後に、健康づくりの施策について、他の部や局、もう、もはや福祉局も他の局になってしまいましたから、他の部や局とも連携して様々取組を進めると考えますが、対応状況を伺いたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都民の健康づくりを推進するには、保健医療分野のみならず、様々な分野と幅広く連携、協働した取組が重要でございます。
 このため、身体活動、運動の分野におきまして、当局が開設したポータルサイト、トーキョーウォーキングマップに、区市町村が作成したコースのみならず、建設局が作成したコースを掲載するほか、交通局の広報誌でサイトの紹介を行ってございます。
 また、高齢者の交流機会の増加等を目的とした区市町村の会食事業に対して補助を行います福祉局のTOKYO長寿ふれあい食堂推進事業につきましては、高齢者の健康増進に資すると考えられることから、今後、当局が区市町村向けに実施している研修で事業を紹介し、活用を促すこととしてございます。
 都民の主体的な健康づくりを支援していくため、庁内各局とも幅広く連携しつつ、現在改定を進めている他の計画との整合も図りながら、次期健康推進プランの検討を進めてまいります。

○内山委員 ありがとうございます。
 続きまして、この健康推進プランにも書かれている禁煙、受動喫煙対策についてお伺いしたいと思います。
 改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例で、受動喫煙をなくすことを目指して制定されている中で、令和二年の四月から飲食店など多くの人が集まる施設について、原則屋内禁煙となりました。
 ただ残念ながら、私も一般質問で取り上げさせていただいたとおり、厚労省、国の基準というものが本当に曖昧で、ある意味、これは本当に意味があるのかというような批判も出ている中で、東京都としても、何度も国にそういったしっかりとした基準を設けてくれというふうな話がありますが、一方で、私の肌感覚では、とはいいながらも、受動喫煙の機会というのは減っているのではないかなというふうに思っているんですが、その辺りの調査がありましたら、現状を伺いたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、令和元年度以降、毎年度、都内在住の三千名を対象に受動喫煙に関する意識調査を行ってございます。
 改正健康増進法や東京都受動喫煙防止条例の全面施行前の令和元年十月の調査におきましては、過去一年間に受動喫煙を経験したことがあると回答した方の割合は、飲食店での経験が約四〇%、職場での経験が約一〇%でございましたが、昨年度の調査では、それぞれ約一八%と六%となってございます。
 受動喫煙を経験する機会は減少しておりまして、今後とも、受動喫煙をなくすことを目指し、対策を推進してまいります。

○内山委員 飲食店の受動喫煙が四〇%から一八%で、職場では一〇%が六%ということで、確実に減ってはいるということでありました。
 受動喫煙ということに関しては、もうゼロを目指していくということが一つの目標だと思いますので、これは大きく国がキーを握っているような気もしますが、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 そういった中で、禁煙希望者への支援というものも充実をさせていくことも必要だと思いますが、取組についてお伺いしたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 喫煙は様々な疾患のリスク因子であることから、都は、喫煙の健康影響の普及啓発を行うとともに、区市町村の行う禁煙治療費助成等の取組を支援するなど、喫煙率の減少に取り組んでございます。
 二十歳以上の都民の喫煙率は減少傾向にございまして、令和四年度の国民生活基礎調査では、男性が二〇・二%、女性が七・四%で、全体では一三・五%と全国平均を下回ってございます。
 今年度は新たに三か年を事業期間といたしまして、四区市の協力を得て、禁煙希望者への支援のモデル事業を開始してございます。
 具体的には、特定健診受診者で喫煙習慣のある方を対象に、禁煙支援プログラムへの参加を勧奨し、アプリでの保健指導や禁煙継続フォロー等により禁煙を支援するもので、参加した方の属性や参加理由、禁煙の成否などのデータ分析によりまして、効果的な禁煙支援方法を検討するものでございます。
 事業の成果は、区市町村などにも提供し、禁煙支援事業の検討等に活用していただくこととしてございます。

○内山委員 ありがとうございました。
 最後に、動物の殺処分ゼロについて伺いたいと思います。
 動物の殺処分ゼロは小池知事の公約でもありまして、目標よりも一年早い平成三十年度に達成をしたというふうに認識をしています。
 一方で、様々な、特にネットなんかで見てみると、いや、この数字はまやかしなんだとか、実際殺処分はあるんだみたいな発信を見ることがありまして、これは一体全体どういうことなのかなというふうに私も疑問に思うことがしばしばあります。
 そこでまず、動物の殺処分ゼロの考え方について伺いたいと思います。

○藤井健康安全部長 都では、動物愛護相談センターに引取り収容した動物の致死処分のうち、苦痛からの解放が必要、著しい攻撃性を有する、または衰弱や感染症によって生育が極めて困難と判断される動物について動物の福祉等の観点から行うもの及び引取り収容後に死亡したものを除いたものを殺処分としております。この対応は、国の考え方にも合致しているものでございます。
 令和三年に改定した東京都動物愛護管理推進計画におきましても、殺処分ゼロの継続を目標としており、令和四年度まで継続しております。

○内山委員 ありがとうございます。
 引取り後に処分したのではなくて、亡くなってしまった動物がいる、または動物福祉の観点から、獣医師等が判断をして苦痛からの解放、もろもろの理由で——これは殺処分とはいわないんですが、行ったケース、それ以外がゼロだという、こういうことが分かりました。
 こういったことは極めて私、重要だと思っておりまして、継続をしていくためには、まずはペット、動物を飼って終生飼養というのと、あとは、とはいいながら、様々な環境が変わる中で、譲渡の促進、こういったことが重要だと思いますが、都は今後どのような取組をしていくのか、最後にお伺いしたいと思います。

○藤井健康安全部長 都はこれまで、飼い主が責任を持って動物を最後まで適正に飼うことができるよう、飼い方に関するパンフレットやポスターなどを作成し、イベントや動物病院で配布するなど、様々な機会を通じまして普及啓発を行ってまいりました。
 子供の頃から命の大切さを学べるよう、小学校等で動物教室を実施するとともに、適正飼養講習会の開催や東京都動物情報サイト、ワンニャンとうきょうによる情報発信などを実施しているところです。
 また、動物愛護相談センターに保護された動物の譲渡を進めるため、離乳前の子猫や負傷動物等の譲渡の際には、ミルクや保護用具等の物資を提供しているところです。
 今後もこうした取組を通じまして、動物の殺処分ゼロを継続してまいります。

○内山委員 よろしくお願いします。
 もちろんその殺処分ゼロを継続していくということも重要ですが、終生飼養だとか譲渡の促進だとか、そういったものをしっかりと継続していくことによって、先ほど出てきた動物福祉等の観点から行うものや、もしくは引取り後の死亡というものも結果的には減らしていくことができると思いますので、ぜひ引き続きの取組をお願いしまして、私からの質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

○磯山委員 まず初めに、国民健康保険について伺います。
 平成三十年度の制度改革により、都は、国保の財政運営の責任主体となり、市区町村が保険料改定の参考とする事業費納付金の算定や、都と市区町村の統一的な方針である国保運営方針の策定を行うこととされました。
 今年度は国保運営方針の改定年に当たり、都の国保運営協議会に改定案が諮問されたところであります。今回の改定では、保険料水準の平準化、いわゆる保険料の統一について、統一に向けた目標年度を記載することとされましたが、区市町村にとって大きな影響があります。
 保険料水準の統一について、都としての方針と市区町村とどのような協議をしてきたかお伺いいたします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国は、保険料水準の統一につきまして、各区市町村の納付金に医療費水準を反映させない納付金ベースの統一と、同一都道府県内におきまして同じ所得水準、同じ世帯構成であれば同じ保険料となる完全統一の二つの手法があるとしてございます。
 完全統一は被保険者に公平感があり、小規模な区市町村の財政リスクを緩和できるメリットがございますが、現在は、区市町村間におきまして医療費水準や保険料、税、収納率に差異があるなどの課題がございまして、直ちに完全統一とすることは困難なことから、現在の東京都国民健康保険運営方針におきましては、第一段階として納付金ベースの統一を目指すとしているところでございます。
 都は、都と区市町村等との代表者で構成される連携会議におきまして、課題整理や影響のシミュレーション等を行っておりまして、昨年度は連携会議の下にワーキンググループを設置し、納付金ベースの統一やその年次、共同負担する項目、医療費適正化の取組につきまして区市町村と議論を行い、工程表案として改定案に示したところでございます。

○磯山委員 今回の改定案では、令和十二年度までに納付金ベースの統一を目指すとしているんですけれども、その具体的な内容について伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国は、保険料水準の統一を進めることについて、医療費水準を区市町村単位で保険料に反映させるのではなく、都道府県単位で保険料に反映することによりまして、医療費水準の変動をより平準化して保険料に反映でき、国保財政の安定化につながるとしてございます。
 現在、都では、医療費水準、所得水準、被保険者数等に応じて、区市町村ごとの国民健康保険事業費納付金を算定してございます。
 今回の運営方針の改定案では、区市町村との協議を踏まえまして、区市町村の納付金算定における医療費水準の反映を段階的に減らし、令和十一年度までに原則として所得水準、被保険者数のみを用いて区市町村ごとの納付金算定を行うほか、現在、区市町村ごとの状況に応じて加減算している審査支払い手数料や高額医療費負担金等につきまして、令和六年度から都全体の収入費用として共同負担化し、令和十二年度に納付金ベースの統一を目指すこととしてございます。

○磯山委員 都は、市区町村と協議の上、保険料水準の統一に向け、具体的な目標年次を設定していくとのことでありますけれども、現在でも国保の保険料負担は重いという声がございます。
 私の地元小平市の今年度の保険税率で給与収入四百三十四万円、大人二人と小学生二人のモデル世帯の保険税を試算してみると、医療、介護、後期分を合わせて年額約四十五万四千円、都が保険料統一の目安として示している標準保険税率だと約六十六万円と、約一・五倍の開きがございます。また、中小企業の健康保険である協会けんぽの場合、同じ家族構成で保険料の本人負担は年額二十五万五千円。
 特に子育て中の現役世代にとっては、世帯の人数に応じて保険料が賦課される国保は、会社員などに比べ、現在の保険税と比較しても本人の負担は約一・八倍の開きがございます。厚労省の資料によると、組合健保、共済組合は、協会けんぽより本人負担は軽いことが分かります。
 以上のことから、今回のケースでは、国保は国保以外の加入者と比べて、本人負担がかなり重いといえるわけであります。
 会社員や公務員も退職すると国保に加入することになり、国保は、いわば国民皆保険制度の最後のとりでであり、皆で守っていかなければならないものであります。
 国保は、低所得者や高齢者の加入者が多く、構造的な問題を抱えております。保険料の負担を抑え、持続可能な制度とするためには、歳出である医療費の伸びを抑えることや歳入の確保が重要だが、改定案ではどのような方向性が示されているのか伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 今回の改定案では、区市町村が地域の健康課題や取組状況を把握して、効果的に保健事業を実施できるよう、都内共通の評価指標を設定して健康水準の向上に向け支援をすること、関係機関と連携しながら、後発医薬品の使用促進等の医療費適正化の取組を推進することなどを盛り込んでございます。
 また、都内区市町村の収納率は全国と比較すると低い水準にあることから、都はこれまで、収納対策の研修や徴収指導員による実地支援のほか、都繰入金を活用した滞納整理業務のデジタル化の支援等を行ってきてございまして、今回の改定案では、こうした取組を進めるとともに、現年分収納率につきまして全国平均を目標とするなど、一層の収納率向上を図ることとしてございます。
 これらの取組によりまして、歳出の伸びを抑え、歳入の確保を図り、国保財政運営の安定化を図ってまいります。

○磯山委員 改定案では、国保財政運営の安定化を図っていくとのことでありますが、国保制度改革のときに想定されていなかった新型コロナの流行や物価高騰など、国保を取り巻く状況は一層厳しくなっております。
 こうした中、法定外繰入れの解消や保険料水準の統一を図っていくことで、国保加入者の負担増となることを懸念しております。
 そういった中、歳出の伸びを抑えるための取組である保健事業や後発医薬品使用促進などの効果をしっかりと示していかないと、加入者の納得感が得られないのではないかと思っております。
 また、国保は、ほかの健保組合等から交付金が出ているので、サラリーマンの負担が一番大きい等の意見も散見しますが、先ほどのモデル世帯のような中間層の負担を見ても、正しいとは到底思えません。むしろ、国民皆保険を守るためには、このような言説は分断のみを生み、納付意欲をそぐなど社会保障の基盤を大きく揺るがすものではないかと危惧しております。
 そもそも社会保障制度を支える現役世代の減少により、国保の構造的な課題が一層深刻になっており、国でグレートリセットを訴えるのであれば、まず初めに取り組むべき分野であると考えます。
 医療保険制度そのものの抜本的見直しも含め、財源の確保など国民健康保険制度が安定的に運営されるよう、都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国民健康保険制度は、医療費が高い高齢者や低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難など構造的な問題がございます。
 都は、制度設計者である国に対しまして、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の強化を図っていくこと、また、必要な財源を確保するとともに、地域の特性にも十分配慮するよう提案要求してございます。
 あわせて、医療保険制度が将来にわたり安定的で持続可能なものとなるよう、制度全般の具体的な将来像と、そこに向けた道筋を示すよう国に求めてございます。

○磯山委員 構造的な課題の解消に向けて、都としても引き続き取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
 感染症予防計画改定について伺います。
 新型コロナへの対応を踏まえ、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれのある新興感染症の発生に備えるため、感染症法が改正されました。法改正に伴い、都道府県が策定する感染症予防計画においても、新興感染症の発生に備えた医療提供体制整備の取組について、記載を充実することとされております。
 予防計画の実効性を担保し、新たな感染症危機に的確に対応するためには、平時からの取組が重要と考えますが、都の見解を伺います。

○加藤感染症対策部長 昨年の感染症法改正によりまして、新興感染症等の発生に備え、感染症予防計画に保健医療提供体制の確保に向けた数値目標を設定するとともに、あらかじめ医療機関等と医療提供体制や検査等に関する協定を締結いたしまして、平時から備えておくこととなりました。
 このため、都は、医療機関等との協定締結に向けた協議や、関係団体、保健所設置区市等で構成する連携協議会等におきまして、感染症予防計画の改定に向けた検討を進めております。

○磯山委員 今後の感染症危機への備えとして、計画の改定や協定締結など、しっかり準備を進めていただきたいと思います。
 それと同時に、計画や協定をより実効性のあるものとしていくためには、医療機関の体制整備を進めていくことが重要であります。
 協定締結により、必要な医療提供体制を整備するためには医療機関への支援が必要と考えますが、都の対応を伺います。

○藤井感染症対策調整担当部長 都は、新型コロナ対応におきまして、より多くの医療機関で感染症患者の方を受け入れられるよう、病室の個室化や患者の安全な動線確保のための施設改修、簡易陰圧装置などの設備整備に要する経費を支援してまいりました。
 新たな感染症に迅速に対応するためには平時からの体制整備が重要でありますことから、都は国に、協定締結医療機関に対しまして、設備整備や人材育成などの必要な財政支援を要望しております。
 今後、国の動向も踏まえまして、必要な対策を検討して、新たな感染症に備えた医療提供体制を構築してまいります。

○磯山委員 関係者の皆さんとしっかりと意見交換を行いながら取組を進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、新型コロナウイルスワクチンについて質問いたします。
 令和五年度のワクチン接種は、重症化予防を目的としており、現在は、生後六か月以上の方を対象とした秋開始接種が行われております。秋開始接種ではコロナワクチン接種七回目という方もおり、今まで大変多くの方がワクチンを接種してまいりました。
 ワクチン接種は、重症化予防などに関し、これまで一定の効果を上げてきた一方で、ワクチン接種後に高熱などの激しい副反応に悩んだり、長期の倦怠感に苦しむなど、少なからず健康被害が生じております。実際に私の知人でも、ワクチンの副反応で苦しんだ人がいます。
 そこで、ワクチンの副反応に関して伺います。
 改めて、ワクチンの副反応疑い報告と健康被害救済制度の概要と、新型コロナワクチンに関するそれぞれの都内の実績について伺います。

○高橋感染症対策調整担当部長 予防接種の副反応疑い報告制度は、ワクチンの安全性の評価や管理、国民等への情報提供のための制度であり、国が医療機関に報告を求め、事例を収集し、専門家による評価を受けて、結果を公表しております。
 令和五年十月三十一日までに国に報告された新型コロナウイルスワクチンの東京都分の副反応疑い報告件数は三千二百八十三件であり、そのうち重篤とされた件数は八百五十件でございます。
 また、予防接種健康被害救済制度は、予防接種により健康被害が生じた場合に医療費等の給付が受けられる制度であり、申請は区市町村に行い、国の疾病・障害認定審査会で接種と健康被害との因果関係が審査されます。
 新型コロナウイルスワクチンに関して、令和五年十月三十一日までに都内区市町村から国へ申請された件数は九百七件であり、そのうち認定が三百八十九件、否認が七十一件、その他は審査中となっております。

○磯山委員 ワクチン接種後の副反応についてご答弁いただきましたが、そもそもワクチン接種に不安を抱く方もいらっしゃいます。世の中にはワクチン接種に関する様々な情報が散漫しており、誰もが容易に情報を発信でき、また、誰もが知識を得ることができます。しかし、そうした中には、何が正しい情報なのか判別できなかったり、誤解してしまう人、故意ではなく間違った情報を流してしまう人も少なくありません。
 そのため、都民がワクチン接種をするしないを判断した際の納得感を高めることが重要であると考えます。都民にとって、正確な情報を知った上で判断することが、納得感を高めることにつながると考えます。ですので、都は、正確な情報を提供すべきであると思っております。
 そこで、新型コロナウイルスワクチンの安全性等の情報提供について、都の取組について伺います。

○高橋感染症対策調整担当部長 都では、新型コロナウイルスワクチン接種に関する情報発信を行うホームページとして、東京都新型コロナウイルスワクチン接種ポータルサイトを開設し、ワクチン接種の目的や接種対象者、有効性や安全性などに関する情報を掲載しています。
 あわせて、副反応の相談に対応する新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターや、予防接種健康被害救済制度についても情報提供しております。
 こうした内容については、SNSやデジタルサイネージ等も活用し、広く都民へ普及啓発を行っています。
 引き続き、ワクチンに関する最新情報を踏まえ、都民が安心してワクチン接種をできるよう取り組んでまいります。

○磯山委員 今答弁があったように、都では、情報を分かりやすく伝えるため、新型コロナワクチン接種専用のサイトを開設し、ワクチン接種の基本情報に加え、ワクチン効果や副反応など都民の関心が高い情報を、リスクコミュニケーションの観点も踏まえ、啓発をしています。
 また、広く都民に認知いただくため、ホームページをはじめ、SNS、デジタルサイネージなど多様な媒体を活用し、全世代に届くよう努めているわけであります。
 引き続き、都民が安心して接種できるよう、都民ニーズの高い情報を都民に分かりやすく伝えていただきたいということを要望させていただきまして、最後の質問に移りたいと思います。
 最後に、臓器移植の現状と支援について伺います。
 臓器移植とは、重い病気や事故などにより臓器の機能が低下した人に、他者の健康な臓器を移植して機能を回復させる医療であり、善意の第三者に支えられております。
 平成九年に臓器移植法が施行され、脳死となった方からの臓器提供が可能となり、提供は千件となりました。
 しかし、日本で臓器移植を希望して待機している方約一万六千人に対して、移植を受けられる方は年間およそ四百人となっており、臓器移植を待っている方が多くいらっしゃいます。
 日本の臓器移植件数は、アメリカ、ヨーロッパの諸外国と比べ、格段に少ない現状にあります。臓器提供の意思表示が広がらないことや、移植医療の体制整備が不十分であることが一因と考えられております。
 臓器移植の推進については、令和四年第四回定例会の一般質問で、福祉保健局長から、推進に向けて新たにウェブサイトを立ち上げ、院内体制整備に関するマニュアル等を共有するなど、今後も一層取り組んでいくとのご答弁をいただいているところであります。
 そこで、臓器移植の推進について、その後の都の取組について伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、臓器移植を推進するため、東京腎臓病協議会との共催でイベントを実施するなど、意思表示に関する普及啓発を行ってございます。
 また、都内二か所の医療機関に配置した臓器移植コーディネーターは、臓器提供者が現れた場合に医療機関等との連絡調整を実施するほか、都民への正しい知識の啓発や、ウェブサイト等を通じて関係機関に必要なマニュアルなどを提供してございます。
 今年度は、臓器提供発生時の具体的な手順に関する研修会を、都内の脳死下での臓器提供が可能な医療機関も参加できるようにするなど、臓器移植を円滑に進められるよう支援してございます。

○磯山委員 関係者へのウェブサイトでの情報提供など、少しずつ取組が進んでいることがよく分かりました。
 都の人口当たりの臓器提供数は全国平均に位置しておりますが、高度な医療機関が集積していることを考えると、さらに推進できると思っております。
 十分な臓器移植コーディネーターを確保し、引き続き一層の取組を進めていただくことを要望し、私の質問を終わります。

○斉藤委員 久しぶりの厚生委員会の質問になります。コロナ前は、委員長を仰せつかったこともあり質問ができずに、その間に起こった様々な感染症を踏まえての今の体制を考えますと、隔世の感がございます。
 改めて、原点も確認しつつ、これから未来に向かっての保健医療体制について、理事者と共にしっかり歩んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。
 まず最初に、回復期リハビリテーション病床と在宅への移行支援について質問したいと思います。
 私は二〇〇九年、初当選なんですが、我が会派を含めまして、一員としまして、一貫して、この大都市東京における地域包括ケアの実現、実効性のある在宅療養の在り方などに関しまして質問を重ねてまいりました。
 高齢者の方が安心して長寿社会を楽しんでいただくためには、医療と介護の連携が極めて重要だと痛感する事態に、初当選のとき、選挙中にも様々遭遇してきたこともございます。
 例えば、脳や心臓の急性疾患で倒れまして、救急搬送されます。懸命な医師のご努力によりまして、医療機関のご努力でせっかく助かった命、喜びもつかの間、すぐに退院を求められてしまうようなご相談もございました。
 誰もが元の生活に戻りたいと願うのは、これはもう本当に当たり前の気持ちだと思いますが、ご高齢のご夫妻、あるいは一人暮らしの方、誰が在宅介護できるでしょうかというテーマでございました。
 目黒区などは地価が高く施設数が少ない上、費用も高く介護施設を地元で見つけるのは大変難しく、慣れ親しんだ地域から離れて、友人のいないところでその後を暮らされるような方々を送ってまいりました。こうした高齢者や家族の悲しみなども含めまして、何とか住み慣れた地域で再び生活できないだろうかという、そういった思いで質問を重ねてまいりました。
 そうした観点から、今日は回復期リハビリテーション病床のことなんですが、実は在宅療養へ移行する意味で、極めて重要な医療環境だと思います。急性期病院での治療を終えて、原因となる疾患が安定してから、理学療法、そして作業療法、言語療法などを集中的に実施する回復期リハビリテーション病床は、重要な役割を担っております。
 そこで、都内の回復期リハビリテーションの病床数でございますけれども、平成二十七年の厚生委員会で過去に確認したことがありますが、当時は、平成二十六年時点で五千四百十床というご答弁をいただいておりました。
 あれから八年がたったわけでございますが、都内の現在の回復期リハビリテーション病床、どういった状況なのかを最初にお伺いしたいと思います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都内の回復期リハビリテーション病床数は、令和五年一月一日現在で八千七百五十四床であり、平成二十六年の五千四百十床と比べまして大きく増加しております。

○斉藤委員 当時は、このリハビリ病床が少ないというお声が大変多かったんですが、今ご答弁ありましたように、大きく増加していることが分かります。
 平成二十年代では、在宅療養に至る前にできるだけ機能回復を図るため、病床を増やしてほしいというお声、東京以外の地域からも多くの法人も来られましたけれども、病床を増やしてほしいとの要望を受けまして、その設置推進施策を求めてまいりましたが、確実に増加しているということを評価したいと思います。
 そこで、この回復期リハビリテーション病床の整備促進、ここまで進んできた理由というか、ご努力の内容を伺いたいと思います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都では、回復期リハビリテーション病床や地域包括ケア病床の整備及び病床機能の転換を行う医療機関に対しまして、施設整備等の補助を行っております。
 また、開設に当たり必要となる人材の確保や育成への支援を行うとともに、経営コンサルティングの専門家による転換後の経営分析や助言などを行う事業を実施してございます。
 こうした取組によりまして、ハード、ソフト両面から、回復期リハビリテーション病床の整備促進を図っております。

○斉藤委員 今、ハードだけじゃなくてソフト面も重要だということで、確かに今度は質が問われる、そういった質の確保も重要でございます。
 東京は高齢化が進んでおりますけれども、今後、急な症状の悪化によって急性期病院へ入院され、在宅に戻ることを繰り返すなど、医療機関と在宅の行ったり来たりも多くなってくると思いますけれども、病院と在宅を行き来するようなことに応える意味でも、在宅療養への円滑な移行に向けた都の取組が重要になってくると思いますが、伺いたいと思います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、病院が地域のかかりつけ医やケアマネジャー等と連携し、患者の在宅療養時の情報をデジタル技術も活用しながら共有して、切れ目のない支援が行えるよう、病院と地域の医療、介護関係者を対象とした入退院支援に係る実践的な研修を実施しております。
 また、入退院支援に取り組む看護師等を配置する中小病院への支援を行っており、こうした取組により、病院から在宅療養への円滑な移行を一層推進してまいります。

○斉藤委員 DX、デジタル技術を活用しながら、様々な切れ目のない医療と介護の関係者の連携も重要でございますが、人材育成、そういったことも重要であるというご答弁がございました。
 私は、かつて大変話題になって、テレビでも報道されましたけれども、世田谷記念病院の副院長であって、現在は、ねりま健育会病院で院長を務められている攻めのリハビリで有名な酒向正春先生から、回復期リハビリがその後の在宅療養にいかに重要かということを教えていただいた一人でございます。
 リハビリというのは大変痛みを伴うというか、つらいわけですよね。本当は、病気ですからゆっくりして、本当に優しくという感じだと思うんですが、攻めのリハビリ、本人の意思にかかわらず、本当にこういうことが大事なんだということを医学的に、科学的にサポートするわけでございますが、廃用症候群というんでしょうか、病気とけがの治療のために長期間安静にしていたことで、心身の機能が大幅に低下する病態があるというふうに伺っております。
 その後、ずっと寝たきりにならずに、また、QOL、日常生活に戻っていただくためにリハビリは非常に重要だということですが、そういったことの知見がないために寝たきりになってしまった例も多く存在するのも事実だと思います。
 寝たきりにならずに、また戻れる可能性があるということであれば、こういったリハビリについては、しっかりと知識も皆さんで共有していただいて、今後も在宅療養の観点から逆算していく発想、バックキャスティングというんでしょうか、退院支援と併せまして、質の高い回復期リハビリテーション病床の設置の支援を要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次は、実は私の会派に遠藤守都議会議員という勇退された議員がおりました。大変にAYA世代のがん対策に熱心に取り組んできた同僚議員でございましたが、二〇一六年度、平成二十八年度三月に、その支援の必要性を最も早く議会提案をした、このAYA世代のがん対策について質問をしたいと思います。
 AYA世代とは、思春期、青年、成人世代のことと皆さんご存じだと思います。十五歳から三十九歳の世代のがん対策が重要だということです。
 あれから七年がたっております。AYA世代のがん対策については、都は二年前の二〇二一年度より、生殖機能温存治療費の助成を行っております。これによりまして、がん患者が生殖補助医療を受ける際の負担の軽減につながっていると考えますけれども、患者の方が適切な医療を受ける体制を構築することも重要であります。
 そこで、小児やAYA世代を対象とした、がん生殖医療の充実に向けた体制構築や普及啓発について、現在の都の取組を伺いたいと思います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、卵子や精子等を凍結保存する妊孕性温存を希望する患者が円滑に治療を受けられる体制を構築するため、がん・生殖医療連携ネットワークを設置しており、今年度からは、構成施設に妊孕性温存療法を行うクリニックを追加しまして、施設間の連携体制を拡充いたしました。
 また、新たに、がん生殖医療に携わるMSW及び看護師等を対象とした研修会や、医師等を対象に専門的な知識や技術の習得を図るセミナーを開催するほか、都民が安心して治療を受けられるよう、患者、家族等を対象に公開講座を開催することとしております。

○斉藤委員 難しい言葉でございますが、説明していただきました。妊孕性温存療法という、生殖機能を温存する、そういった療法が分かるクリニックを追加して、連携の体制を取っているということもございました。
 妊娠、出産は、AYA世代における大きなライフイベントでありまして、ある面では本当に将来に対する希望でございます。その体制を整えることは大変重要と考えますので、ぜひ、さらに取組を進めるよう要望しておきたいと思います。
 さて、このAYA世代の方にとっては、がんの治療と仕事を両立させることも重要であります。がん研究の成果とともに、がんと一緒に生きる方が増えているのは事実でございます。
 そこで、治療と仕事の両立を希望する患者の方への支援に当たっては、専門人材の活用なども進めるべきと考えますけれども、都の取組について伺いたいと思います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、がん診療連携拠点病院に設置されたがん相談支援センターが治療と就労の両立に関する相談に適切に対応できるよう、社会保険労務士や産業カウンセラー、キャリアコンサルタント等の就労に関する有資格者を配置する場合に必要な経費を補助しております。
 また、患者の依頼により、医療機関と企業との間で復職に向けた調整等を行う両立支援コーディネーターの対応力向上を目的に、事例検討会や意見交換会を今年度新たに実施することとしております。
 あわせて、実際に治療と仕事を両立している患者の経験談などを紹介するセミナーを開催するなど、今後とも、がん患者が治療を受けながらその人らしく働き続けられるよう、就労支援の取組を進めてまいります。

○斉藤委員 ご答弁ありがとうございます。
 がんに罹患されても、希望を持って仕事を続けていく、そのためには周りの方のご理解、ご支援も必要で、家族は当然でありますけれども、会社の雇用主の方にも理解いただくことも重要です。
 今日は産業労働局に対する質問じゃありませんので、雇用就業的な観点は一部分になりますけれども、就労支援の観点から、社会保険労務士会の協力は非常に重要だと考えます。私も懇談を重ねてまいりました。勉強会も大変熱心にされている団体であります。
 一方で、雇用する側、つまり経営者は、社会保険労務士の方と顔の見えるつながりが若干弱いというところがございます、働く側の応援団ということもございますので。
 そこで、がん治療に当たる雇用されている側、従業員とともに、会社を運営する経営者の方には、ぜひ、お付き合いのある金融機関の支店長や税理士など、そういった方々が経営者の周りに、大体、話し相手として多く存在していますけれども、こうした方々にも、ぜひ保健医療局の進めている治療と仕事の両立支援についても理解を深めていただけるように啓発をしていただきたいなと思います。
 次に、がんの検診について、関連で質問を続けたいと思います。がん検診受診率の向上の取組についてであります。
 がんは、早期発見と早期治療が最も重要な疾患と認識しております。二〇二一年に行われた日本対がん協会のアンケートによりますと、二〇二〇年に比べてV字回復はしているものの、二〇一九年、コロナ前との比較では一〇・三%、まだ減ということでありました。
 都民のがん検診受診率は、子宮頸がんのみが東京都がん対策推進計画第二次改定の目標値である五〇%に達成しておらず、若い世代に向けた、がんに関する正しい知識の普及啓発による、さらなる受診率の向上が重要と考えます。
 そこで、子宮頸がん検診の受診率向上に向けた都の取組について伺いたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、女性の健康を支援するポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部におきまして、子宮頸がんをはじめとした女性特有の健康課題につきまして分かりやすく解説したコラムを配信するなど、がんに関する正しい知識を啓発してございます。
 また、毎年三月の女性の健康週間におきましては、子宮頸がんの受診促進のための啓発を集中的に展開しておりまして、今年度は、企業と連携した定期的な検診受診の普及啓発や、若い女性に訴求力のある著名人を起用して、子宮頸がんをテーマとした動画を作成するとともに、SNSを用いて動画の視聴を呼びかけるなど広域的なキャンペーンを実施し、子宮頸がん検診の受診率向上に一層取り組んでまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 公明党は、毎年度末三月の女性の健康週間、全国的に一生懸命取り組んでおります。あわせて、様々な運動も展開してまいりました。今年度は、子宮頸がんをテーマとした動画を現在作成している最中ということでございます。まだできていないんですよね。——ええ。早速、公明党の女性局にも情報提供をしてまいりたいと思っております。
 次に、退職世代についてちょっと考えてみたいと思うんです。
 今までは若い方々、AYA世代などの話をしてまいりましたが、この退職世代について見ますと、働く世代が退職いたしますと職場でがん検診を受けられなくなることもありまして、退職後は区市町村が実施する検診を受けてもらうことが重要と考えます。
 そこで、退職世代の受診率向上に向けた都の取組について伺いたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都が実施しました令和二年度健康増進法に基づくがん検診の対象人口率等調査によりますと、がん検診につきまして、おおむね四十歳代から五十歳代をピークに、年代が上がるにつれて受診率が低下してございます。
 この要因の一つとして、定年退職後に職場での検診受診機会がなくなった場合でも、区市町村で受診できることが十分に周知されていないということが考えられます。
 そこで、今年度は、新たに六十歳代向けに、定年退職といったライフステージの変化に合わせ、区市町村が実施するがん検診の受診を促進する動画を活用した啓発を実施し、受診率の向上に取り組んでまいります。

○斉藤委員 やはり人生の中で、職場でいろんな機会を得て、上司からもしっかりと健康診断に行ったかと、我が会派も幹事長からよくいわれます、忙しさにかこつけて健診を受けないのは最もいけないことだということで、そういう方がいらっしゃる環境と、そういう環境から変わって、地域に戻って、今度は独りぼっちみたいな状況の、特に男性ですね、おられます。
 健康診断をめぐっては、職場での健康診断と地元の市区町村——健康保険の方も大事なんですけれども、健康診断の連携が重要であると考えます。健康保険証の廃止の問題、大変話題になっております。マイナンバーカードへの移行の問題など、実は、健診、その人の情報をどのように職場と地域で結ぶかということでは大変重要なツールであるんですが、個人情報のプロテクトとか、どこまで見せるのかとか、いろんな課題がありますが、この移行問題については今日は取り上げずに、次回、機会をまた見て質問をさせていただきたいと思っております。がんに関しては以上でございます。
 次に、自殺対策について質問したいと思います。
 大変大きな柱として保健医療局で位置づけられているのが自殺対策でございます。新型コロナウイルス感染症の流行に伴う自殺リスクの高まりを受けまして、都においては、自殺を防ぐための相談支援など、この取組を拡充したと伺っております。
 そこでまず、都の現在の取組内容を伺いたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、新型コロナウイルス感染症の流行等に伴う自殺リスクの高まりや相談ニーズの増加を受けまして、自殺総合対策東京会議などの意見を踏まえた上で、相談体制等の拡充を図ってございます。
 まず、SNSと電話による自殺相談につきましては、順次、相談時間の拡大や相談員の増強を図りまして、現在は、SNS相談は毎日十五時から二十二時三十分まで、自殺相談ダイヤルにつきましては毎日十二時から翌朝五時三十分まで相談を受け付けてございます。
 また、SNS相談と電話相談を同一の業務スペースで一体的に実施することで、より円滑な引継ぎができる体制としてございます。
 さらに、民間団体が実施する自殺防止に関する相談事業の拡充等に関しまして、令和二年度から、国の補助率に都が独自に補助率を上乗せして支援してございます。

○斉藤委員 大変具体的にご答弁いただきまして、ありがとうございます。
 この相談というのは大変時間が重要でございます。私どもも、夜、そして明け方にかけてご相談されたい方がいらっしゃるということを伺っておりましたが、こういった時間を考慮して、時間の幅を拡充していただいているというお話でございました。ぜひ皆さんにしっかり利用いただけるように啓発をしていきたいと思っております。
 また、相談事業を実施する民間団体に対しましては、補助率を引き上げて支援してきたことがありました。今年度もこの取組を継続していくわけですけれども、コロナが終息していろいろ変化がありますが、しっかりと都独自の対応を今後も検討していくことを要望しておきたいと思います。
 令和四年も自殺者数は全国的にも東京都でも増加しているほか、大学生等の若年層の自殺も多く、引き続き自殺リスクの高まりは憂慮すべき状況がございます。
 都は、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を踏まえて、令和五年三月に新たな自殺総合対策計画を策定されました。前期の皆さんが質問を様々されてきたと思います。
 令和五年度は計画策定後の初年度に当たるわけでございますが、そこで、この計画に基づく今年度の取組について伺っておきたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 本年三月に策定した東京都自殺総合対策計画におきましては、コロナ禍の影響等を受けた近年の現状等を踏まえ、若年層の自殺防止、自殺未遂者支援、自死遺族支援等の六項目を今後五年間の計画の重点項目として取組を進めることとしてございます。
 今年度は、若年層の自殺対策として、メンタルヘルスやゲートキーパーの役割等に関する大学生向けの動画コンテンツを作成し、大学の講義等での活用を促すことで、大学等における自殺予防対策を支援することとしております。
 また、自死遺族への支援として、遺族等の気持ちに寄り添いながら各種手続への対応に関するアドバイスや、困り事に応じた専門の相談機関へのつなぎなどを行うとうきょう自死遺族総合支援窓口を先月一日から新たに開設いたしました。
 このほか、検索連動型広告の充実などデジタル技術を活用し、自殺のリスク要因を抱える方を早期に適切な相談窓口につなげる取組の強化等も進めておりまして、今後とも、計画に基づきまして生きることの包括的な支援としての自殺対策をより一層推進してまいります。

○斉藤委員 この六項目ですか、今後五年間の重点項目とされておりますが、私も自死遺族の方とお会いして、もう一度会いたいという小冊子を片手に、本当に亡くなったお子様のことを語られるようなお姿でございました。お話を傾聴することしかできないんですけれども、そういったご遺族に対する支援も大変重要であります。そこの視点から施策を進めていくというお話もございました。
 また、先ほどAYA世代の質問、答弁の際にもございましたが、女性の健康を支援するポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部というんでしょうか、私も夜な夜な見てみました。何で壮年部がないのかなと思ったんですけれども、大変すばらしい、何ていいますか、漫画を使ったり、親しみやすいような構成になっておりましたが、何と、女性の心の健康課題については、認知行動療法で大変有名な大野裕先生が監修されておられます。大変質の高い内容となっております。心の健康度や鬱病の自己チェックリストなどもございます。
 都民の皆様につきましては、結婚、妊娠、出産、育児、介護などライフイベントが、本当に大きく環境が変わってまいります。そういった中でご自身の役割など、また体の変化など、私たち男性とはまた違った気づきにくいストレスもあるのではないかと思いますが、ぜひこのポータルサイトのご利用をしていただきたいと思います。救える命を本当に一人でも救っていきたい、このような願いから質問をさせていただきました。
 続きまして、最後に、個別の疾病について、二つの病気について話をしたいと思います。
 まず、これは、私がさきの委員会でも取り上げた、本会議でも取り上げましたが、一型糖尿病患者支援についてでございます。
 一般的に糖尿病というと、肝臓の働きが弱いためにインシュリンが不足したり、十分に分泌されないため、血液中の血糖値が下がりにくくなる生活習慣病というイメージが強いと思うんですが、一型はそうではなくて、インシュリンが欠乏してしまう、なくなってしまうということで、これはもう、生活習慣病の対応と違った治療が、また対処が必要となる、非常に希少性のある病気であります。
 一型糖尿病の患者数は、十万人当たり百人前後といわれておりますけれども、発症から数か月でインシュリンが急激に欠乏する急性型とか様々なタイプがある中で、私は、半年から数年にかけて徐々にインシュリン分泌が低下していく緩徐進行型という、徐々に進行していく、その患者の方とお会いしました。
 最初は一型糖尿病ということが分からずに、生活習慣についての指導を受けたり様々ある中で、どうもそれがうまくいかないということで、よく精密に検査してみましたら、インシュリンが欠乏していくような緩徐進行一型糖尿病だったという診断があって、大変ショックを受けられたお話でございました。
 こうした方々は、常に自分の血糖値を管理しながら暮らしておられます。これは難病指定もされていませんので、国からお金が支援される治療費も補助もありません。そうした中で、高い医療費を抱えながら、毎日そういった血糖値とにらめっこしながら暮らされている方々がおられるということを知りました。
 この緩徐進行型は、初期症状が二型糖尿病と似ているためということのお話がありましたが、医療従事者の方にも、ぜひ多くの方にやっぱり知っていただいて、知らないということはないと思うんですけれども、できるだけとにかく知っていただいて、そういった状況がある患者の方にいち早く、早期発見、早期治療につなげていただきたいと思うわけでございます。
 そこで、都は、医療従事者や都民に啓発し、早期発見や早期治療、患者家族への情報提供など支援策を講じるべきであるということを質問したわけでございますが、一型糖尿病につきまして、今年度行っている医療従事者や都民に対する普及啓発の取組について伺いたいと思います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 一型糖尿病は、インシュリンを分泌する細胞が破壊される自己免疫疾患であり、生活習慣等の要因からインシュリンの分泌量が減少すること等により発症する二型糖尿病と比べて患者数が少なく、その病態はあまり知られておりません。
 一型糖尿病の中でも緩徐進行一型糖尿病は、発症時の症状が二型糖尿病と似ており、診断までに時間を要する場合があることから、早期発見、早期治療に向けて、医療従事者や都民に広くこの疾患について理解を広げていく必要がございます。
 都は、本年七月に開催した糖尿病医療連携協議会におきまして、一型糖尿病の一層の理解促進に向け、医療従事者への研修や都民への普及啓発の必要性及び今後の取組について検討を行いました。
 現在、二次保健医療圏ごとの圏域別検討会で具体的な啓発方法等について検討を進めておりまして、今年度は三つの圏域で都民講座等を実施することとしております。

○斉藤委員 こういった議会でご答弁いただいてやり取りすること自体が、都民の皆様に啓発というか、知っていただくことにもなります。今後は、全ての医療圏域での都民講座等を開催していただきたい、このようにも思いますし、インシュリンポンプというんでしょうか、自動的に血糖値が調整できる、そういった機器があるようです。しかし、これは非常に高額であって、なかなかこれは全ての方がインシュリンポンプという、自動的にインシュリンを投与する、コントロールしてくれるような機器を利用することができない現状があるようであります。
 今日は、それを支援してほしい、財政的に応援してほしいという質問はしません。しませんけれども、こうしたものがあれば仕事もできるわけです。医師の方で、一型糖尿病でありながら、自ら罹患しながら、医師としてほかの方を救っていらっしゃるようなすばらしいお仕事をされている方もおられます。ぜひともこのインシュリンポンプというものも皆さん知っていただいて、誰もが利用できるような負担軽減策を考えていただきたいと要望して、最後、次の質問に移りたいと思います。最後でございます。
 最後は、私、毎回毎回これを取り上げさせていただいているので、もううるさいなと思う方はちょっとお許しください。そんなことないんですよ。MTBIです。軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIについて質問を最後にしたいと思うんです。
 このMTBI、略してMTBIといいますが、マイルド・トラウマティック・ブレーン・インジャリーというんでしょうか、その略称です。
 この普及啓発事業に関しましては、過去に何度か私も質問させていただいた結果、大分理解が各自治体では進んでまいりました。都は、我が党の提案を受けまして、このMTBI理解促進事業を区市町村へ包括補助事業の対象として推進していただいていることを評価させていただきたいと思います。
 その結果、この包括補助を活用して、各市区で啓発用のパンフレットを作成することができております。また、都からは、この事業が多くの区市町村で取り組んでもらえるように積極的に働きかけていくという答弁をいただいております。
 そこで、都は、区市町村にどのような働きかけを行っているのかを伺いたいと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIは、交通事故やスポーツなどで頭を強く打ったり、強く揺さぶられたりする衝撃により発症する脳損傷の一つでございます。
 事故直後の検査等において異常がなくても、時間が経過してから、集中できない、記憶ができないといった症状が出ることがあるため、都民に広くこの疾患や脳を守ることの重要性についての理解を広げていくことが重要でございます。
 都は令和元年度から、MTBIの理解促進に向けリーフレットを作成し、保健センターやスポーツ施設に配布する取組等を行う区市町村を包括補助で支援をしており、こうした取組が一層進みますよう、毎年開催しております包括補助の説明会におきまして事例集を作成し、先駆的な自治体の取組を紹介しております。
 また、都立のスポーツ施設や都立病院、保健所などで普及啓発のリーフレット配布に協力をするなど、区市町村の取組を積極的に支援をしてまいります。

○斉藤委員 遠藤部長にご答弁いただいて、大変感慨深いものがございます。遠藤部長は大変にMTBIにご理解がある部長であるというふうに一方的に思っております。下を向かないでいただきたいと思います。
 ここにですね、医療保健政策の区市町村包括補助事業の事例集、私も拝見いたしました。私はこれを実際に使ってやっている現場にはまだ立ち会っていないんですが、大変丁寧に、なぜそういったものを取り上げるかという理由から、そして先駆的な、横展開していったらどうでしょうかというような、進んでいる地域のリーフレットなんかも掲載されております。
 こういったことを毎年実行する中で、現場はそれぞれの区市町村、生活の中にあるわけですけれども、こういったMTBIは、なかなか画像で判断しにくい、脳を守るために重要な啓発でありますけれども、MTBIについて、今回は品川区の事例を紹介していただいております。
 品川区は、保健センターだけではなくて、区内の小中——品川は小中義務教育を合体させている地域でございますが、小中義務教育学校の新入生に広く配布することで区内のMTBIの認識率向上に貢献しているという、重層的に取り組んでいることが紹介されています。
 私は、交通事故でMTBIを受傷した佐曽利麗子さんという方が代表を務めるMTBI友の会と共に、山口代表も大変熱心ですけれども、啓発運動を支援してまいりました。
 MTBIは、交通事故のほかに、アメリカンフットボールやラグビー、私はラグビーの経験者ですが、タックルなどを本当に勢いよくやっている中で、私も頭を相当打ってきましたが、大変ちょっと忘れ物も多くて、その傾向があるというふうに指摘もされたりしております。分からないんです、どういうふうに脳に影響が出ているかが。
 また、高所からの転落や暴力、あるいは、最近冤罪ではないかということで話題になりましたが、乳幼児の強い揺さぶり、喜んでくれていると思って子供を揺さぶってしまうんですが、乳児の脳は非常にまだ軟らかくて、また回転に弱い臓器でありますので、頭蓋骨にそれが非常に、大変に悪い影響が出るということが医療的にいわれております。揺さぶりで発症することもございます。
 港区では、乳幼児期の健診時にリーフレットを配布することもやっているというふうに区議会議員から伺ってまいりました。
 今後、都は、当局の医療政策部から子供・子育て支援部を擁する福祉局にも、この情報を提供していただきまして、乳幼児から子供の脳を守るよう、母子健康手帳にMTBIのことを掲載するなど、これは他局の話ですけれども、さらなる啓発を支援していただきたいと考えます。
 また、東京消防庁ですね、危険業務であります。人の命を救うために、自らの危険を顧みないで、いろんな瓦礫の中に飛び込んでいかれる職員の脳を守るよう、東京消防庁にも啓発を訴えていきたいと思っております。
 市区町村と連携を一層強化することも大事であります。足立区の東京武道館、目黒区、世田谷区の駒沢のオリンピック記念競技場、調布市の味の素スタジアム、江東区の有明アーバンスポーツパークなど、様々、新旧新しいものも含めまして、都内のスポーツ施設の場所にリーフレット、パンフレットが届くように、各自治体が作成したリーフレットを置く場所を提供するなど、局としてもご協力をいただきたいということを要望いたしまして私の質問を終わります。
 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○原委員 それでは、大きく分けて四項目について質問します。
 最初に、保健所について伺います。
 まず、感染症対応を踏まえた都保健所のあり方検討会後の都の取組についてです。
 あり方検討会後、都ではどのような検討を行っていますか。都は今後の方針を決めたのか伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 公衆衛生等の学識経験者や医療機関、医師会、市町村の代表等で構成します都保健所のあり方検討会におきまして、都保健所と市町村等との連携強化を図ることなどが重要とのご意見をいただいているところでございまして、都保健所の体制強化については、こうしたご意見等を踏まえて検討しているところでございます。

○原委員 検討しているということで、方針を決めるのはこれからということだと思います。
 現在、各保健所と市町村の間での話合いが行われているようですけれども、その目的と内容はどのようなものですか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 検討会報告書の説明を行うとともに、意見交換等を行ってございます。

○原委員 まだ方針化される前に、市町村の意見を聞くということですよね。
 方針化されてはいないんですけれども、具体的にはその中で、保健所と市町村の間での人事交流を行うと聞いています。どういう内容ですか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 あり方検討会では、市町村委員より、平時からの人事交流等の要望をいただいているところでございまして、こうした意見等を踏まえ、人事交流を行う場合の内容や実施期間等を含めまして、保健所と市町村で意見交換を行っているところでございます。

○原委員 実施期間等も含めて検討している、意見を聞いているということです。ですから、人事交流については、これでやるという固まったものには今なっていないということを確認しました。
 人事交流について考える前提として確認したいんですけれども、市町村は保健師の確保に非常に苦労しています。この状況についてはどのように認識していますか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 市町村職員の確保につきましては、それぞれの状況に応じまして市町村が対応するものと認識してございます。
 なお、都保健所におきましては、定期的に市町村と意見交換を行うとともに、市町村の意向等を踏まえながら、管内市町村の保健師の人材育成等を目的とした研修を実施しているところでございます。

○原委員 市町村の保健師の体制は、もともと余裕があるわけではありません。保健師を増やさずに、都と市町村の間での人事交流は成り立つと考えていますか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 東京都と区市町村との相互の職員の派遣研修につきましては、双方の合意に基づき実施してございまして、職員の派遣研修を行おうとする自治体が派遣希望先の自治体に申出を行い、その申出を受けた自治体が承諾するという手続によって行ってございます。

○原委員 双方の合意に基づいてということを確認しました。
 問題は、市町村の保健師の仕事と両立できるかということだと思います。ふだん市町村の保健師が行っている仕事というのは、感染が拡大したからといって必要なくなるわけではありません。必要性が高まる場合もあります。
 そのことを踏まえないといけないと思いますが、市町村の保健師はどのような仕事をしていると認識していますか。どれも大事な仕事だと思いますが、いかがですか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 市町村は、法令等に基づきまして、健康増進や母子保健事業など住民に身近な保健サービスを実施してございます。

○原委員 今おっしゃっていただいたように、最も住民に密接した大事な仕事をしているわけです。この大事な仕事をしている人を長期間、感染症対策のために都の保健所に派遣するということの市町村の仕事への影響、これは考えなければならないのではないかと思います。
 やはり体制強化をどうするかという話がまずないといけないと思います。様々な分担で人事交流をするというのは、あり得ることだと思いますけれども、そのためには余裕のある体制づくりが必要だというふうに思います。
 では、精神保健の分野での人事交流などはやられているのでしょうか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 現在は、都保健所におきまして市町村との人事交流は行ってございませんが、精神保健の分野におきましては、事例検討会や同行訪問の機会等を通じまして、市町村と連携しながら対応しているところでございます。

○原委員 精神保健の分野は、一般相談が市町村に移管され、重度の方への対応などは保健所が担当しています。まさに市町村との連携が大事な分野であり、交流と十分な体制強化が求められていると思います。
 感染症対応などの緊急の場合だけでなく、平常時を考えても、都の保健所増設、都の保健師の増員などの体制強化を進めるべきです。どのような検討がされていますか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 繰り返しになりますが、公衆衛生等の学識経験者や医療機関、医師会、市町村の代表等で構成する都保健所のあり方検討会におきまして、都保健所と市町村等との連携強化を図ることなどが重要とのご意見をいただいているところでございまして、都保健所の体制強化につきましては、この検討会のご意見や市町村との意見交換等の内容も踏まえまして検討しているところでございます。

○原委員 つまり、あり方検討会の意見ももちろんあります、同時に、併せて市町村との意見交換の内容も踏まえて検討されるということです。そのことを今ご答弁で確認しました。
 私の地元は清瀬、東久留米なんですけれども、かつて保健所があったわけですが、今はなくなって多摩小平保健所が担当する五市のうちの二市を構成しています。この多摩小平保健所は七十四万人を超える人口ということになっていまして、保健所の復活、体制強化は地域の重要課題というふうになっています。
 都の保健所の在り方については、十分に市町村の意見を聞くということを重ねて求めておきたいと思います。
 次に、保健所での障害者健診について伺います。
 それぞれの保健所ごとの今年度の対応を伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 全ての都保健所におきまして、障害者施設等の利用者を対象とした健康診断を実施してございます。

○原委員 今年度、全ての保健所でということで、それは本当によかったと思います。コロナの中で障害者健診が休止して、事業所からも、要望も保健所に出されていました。
 コロナが五類になった下での判断ということで、年度途中からの実施になりましたけれども、希望する事業所の障害ある人たちが全員受けられる仕組みになっていますか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 障害の有無にかかわらず、疾病の発症や重症化の予防等のため、高齢者の医療の確保に関する法律や労働安全衛生法等に基づきまして、健診が実施されているところでございます。
 都保健所におきましては、障害者施設等の利用者が、各保険者等が実施する地域の医療機関や健診機関等での健診の機会を確保できない場合、管内の施設からの依頼を受けまして健診を実施しているところでございます。

○原委員 これまでも保健所の健診を依頼して受けていた事業所を対象に、今年度希望するかどうかを尋ねて受けられるようにしたということです。ただ、受ける人数の上限が決められていて、実施も半日でやってくださいというようなことなんかも、制限があったということを聞いています。
 障害の有無にかかわらず健診は重要で、障害者も健診の機会を確保できるように実施をしているわけですけれども、なぜ人数の上限を決めるなど制限するような対応になったんでしょうか、伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 安全・安心に健診を受診していただけるよう、新型コロナ等への感染リスクを考慮しまして、集団での健診実施に伴う感染対策を講じるため、受入れ規模等を設定してございます。

○原委員 保健所から出されている通知を見ますと、希望多数のためというふうにも書かれています。一般的な健診では、上限設定が理由で、そもそも、あなたは今年は受けられませんよなどということはないと思うんです。それなのに障害者健診は希望しても受けられない人が生じるということは、これ人権問題にならないかということを私は心配をしています。
 例えば、事業所の人数がありますよね、定員数があって、それよりも上限数が低かった、そういうケースもありまして、三人の人が対象外になってしまうと。この人たちにどうやって説明したらいいんですかという、そういう声も伺いました。
 私は、この上限設定、今年は年度途中で実施をするということもあって、いろいろ日程的にも制約をされる中で、苦労されて実施をされているということは理解をしますけれども、来年度以降実施するときには、この上限を決めるというやり方は是正をすべきではないかなというふうに思うんです。
 ぜひ今年実施した状況も聞き取って、改善、対応していただきたいと思いますが、そのことは検討していただけますでしょうか、伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都保健所におきましては、障害者施設等の利用者が、各保険者等が実施する地域の医療機関や健診機関等での健診の機会を確保できない場合、管内の施設からの依頼を受けまして健診を実施していくこととしてございます。

○原委員 私の是正してほしいということに直接応える答弁ではなくて、ちょっと残念なんですけれども、重ねて求めておきたいと思うんですね。
 来年度以降、希望する人が、今おっしゃったとおり、ほかの健診では受けられない方たちを受けられるようにするために保健所で実施をしているわけだから、保健所の健診も受けられないという人が出ないように、これはぜひ是正していただきたいというふうに思います。
 それで、改めて伺いたいんですけれども、これは保健所でという意味ではなくて、全体的な考え方で伺うんですけど、障害者が健診を受ける意義、必要性、また健診を受ける難しさについて、どのような認識を持っていますか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 健診は、高齢者の医療の確保に関する法律、労働安全衛生法等の個別法に基づきまして、医療保険者や事業主が実施してございます。
 この健診につきましては、障害の有無にかかわらず、疾病を早期に発見し早期治療につなげること、健診結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導を行うことによりまして、疾病の発症及び重症化の予防並びに生涯にわたる健康の増進に向けた自主的な努力を促進する観点から実施されているところでございます。

○原委員 保健所の障害者健診は、事業所の職員がマンツーマンに近いような形で同行して、みんなで行くわけですけれども、そこで、不安で落ち着けない人もいらしたり、また、暴れてしまう人もいらっしゃる。そこにも対応しながら、看護師さんや保健師さんと協力して採血なども行っているんです。
 もしこれを高齢のお母さんやお父さんが、自分よりも体がずっと大きい障害を持ったお子さん、成人をしているお子さんを連れて、健診、自分で受けなさいといわれてしまったら、とてもできないという声もあるんです。ですから、保護者の方々からも、保健所での障害者健診は本当にありがたいという声がたくさんあります。
 今年度は参加できなかった事業所や、また、障害者を排除することなく、今後もきちんとこの健診については案内をしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都保健所におきましては、地域の医療機関や健診機関等での健診の機会が確保できない場合に健診を実施してございます。対象となる施設等とは個別に調整してまいります。

○原委員 障害のある人が誰一人取り残されることなく健診を受けられるようにするために、その一つの大きな役割を担っているのが、この保健所の障害者健診で、これはとても重要だと、大切だと思います。ぜひ今後とも、この大事な事業を継続することを強く求めておきたいと思います。
 次に、二つ目の柱です。多摩北部医療センター及び都立病院機構について伺います。
 多摩北部医療センターの改築についての多摩北部医療センター整備基本構想が今年三月にまとめられています。基本構想検討委員会の報告書を踏まえ、改築後の病院に必要な医療機能が示されました。
 これを踏まえ、基本計画を策定していくことになりますけれども、現在どのように検討が進められているのでしょうか。スケジュールはどうなっているか伺います。

○齋藤都立病院支援部長 現在、都立病院機構で、基本計画策定に向けた作業を進めているところでございます。

○原委員 それはそうなのだと思いますけれども、具体的にどういうテンポでいつまでにというのは、なかなか今の段階でよく分からないわけです。
 基本計画策定の後には、基本設計、実施設計、そして工事に入るということになりますから、運用開始までにはまだかなりの時間を要するのではないかというふうに思われます。
 心配なことが大きくいって三つあります。その一つは、その過程で市民の意見を聞く機会は、いつどのように持つのかということです。いかがですか。

○齋藤都立病院支援部長 基本計画を策定する中で都立病院機構が判断するものと認識してございます。

○原委員 多摩北部医療センターの改築の問題については、市民からも強く声が出されていたのが産科の設置です。東村山と清瀬では、お産をできる病院がなくなってしまったことから、多摩北に設置してほしいという声は非常に切実です。
 そうした中、基本構想にも産科の設置が盛り込まれました。しかし、今後、それが基本計画や実施計画に具体的にどう盛り込まれていくのか、市民が願う形になっていくのか、やはりこの先も市民の意見を聞くことが欠かせないというふうに思います。都立病院機構の病院がどういう機能を持つのかは東京都にとっても重要なことですから、東京都からも機構に促していただきたいと思います。
 心配なことの二つ目は、現在の深刻な物価高騰の影響です。物価高騰の中でも、改築に当たって産科など必要な医療機能は整備し、そのための予算を十分確保できるようにすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○齋藤都立病院支援部長 多摩北部医療センター整備基本構想では、改築後の病院に必要な医療機能等を示すとともに、工期の短縮化やコスト縮減を図れるよう、病院の整備に最適な整備手法を基本計画の中で検討することとしておりまして、整備費は基本計画の中で検討するものと認識してございます。

○原委員 物価高騰自体は、病院機構の責任で何とかできるものではもちろんありませんから、基本構想で示された必要な医療機能がきちんと確保されるように、東京都として十分な支援を行うことを強く求めておきたいと思います。
 そして、心配なことの三つ目ですけれども、改築までに時間を要する中での対策です。
 改築されるまでの間も、必要な医療充実を図っていくことは欠かせません。改築待ちにならず、必要な対策は取っていくということが求められています。
 例えば小児外科については、今どのような体制になっていますか。

○齋藤都立病院支援部長 小児外科医は、全国的に見ても人材が限られておりまして、医療の質を確保しながら患者の多様な症状に適切に対応していくためには、医師を様々な医療機関に分散させるのではなく、集約化していくことが必要でございます。
 多摩北部医療センターは、子供の救命救急医療を担う小児総合医療センターと密接に連携しながら適切に医療を提供しております。

○原委員 小児総合医療センターとの密接な連携ということをいわれましたが、もう少し具体的にどのような内容なのか伺いたいと思います。
 多摩北に週何日かでも医師の派遣が行われているのでしょうか。

○齋藤都立病院支援部長 小児総合医療センターの小児外科は、胎児、新生児期からAYA世代まで幅広い年代を対象に、先天奇形、腫瘍、外傷、急性炎症など様々な疾患に対して高度専門治療を提供するため、院内の各診療科と連携しながらチーム医療を推進しております。
 例えば手術の際には、複数の小児外科医をはじめ、小児外科に精通した看護師など様々な多職種の職員が参加することで、医療の質の担保や安全性を確保しながら、チームとしての力を発揮してございます。
 限られた医療資源を最大限有効活用するためには集約化が必要であることから、小児総合医療センターから多摩北部医療センターに小児外科医を派遣してはございませんが、多摩北部医療センターと小児総合医療センターは密接に連携いたしまして、適切に医療を提供してございます。

○原委員 今、多摩北に小児外科医は派遣していないということで、かつて多摩北に、例えば小児の整形外科の先生などが配置されることが必要じゃないかとか、現に週何日間かいらしたときもあったというふうに伺っているんです。現在は、小児総合からのそうした派遣はないということです。
 清瀬小児病院廃止後、地域の小児医療を後退させないということが地域との約束にもなっているわけですけれども、実際には、市民は不自由な面もあるわけです。同じ多摩地域とはいっても、北多摩北部地域から府中というのは交通の便がよくないこと、意外と遠いんです。タクシーで行けば相当お金がかかるということで、これまでも私たちは指摘をしてきました。特に、けがや病気、障害を持っている子供たちが通院し続けるには非常に困難があります。小児総合の近くに引っ越しを余儀なくされた方もいらっしゃるんです。
 今回の基本構想では、改築における整備の視点と整備方針の中で、こういうふうにいっています。北多摩北部医療圏で求められるニーズに対応できる小児医療の提供体制整備、これを位置づけているんです。
 これをぜひ具体化していただきたいというふうに思っているのと、また、多摩北に産科を設置していく方向で進んでいるということはよかったんですけれども、多摩地域で不足しているNICUをどうするのかという問題が課題として残っています。
 この基本構想の中では、こうもいっています。自院で出生した低出生体重児などについて、可能な限り院内で診療する体制を構築すると位置づけられているんです。どのように具体化をしていくのかということがここでも課題になっています。また、母体の安全に十分対応できる施設となるか、これも非常に重要だということです。
 このほかにも、この地域は都の平均よりも高齢化率も非常に高い地域であることも踏まえての高齢者医療の充実や、障害者歯科をはじめ障害者医療の充実なども求められてきています。東京都としても支援を強めることをこの場では求めておきたいというふうに思います。
 それで、都立病院機構において、事業の目的としてこういうふうに書かれています。東京都の医療政策として求められる行政的医療の安定的かつ継続的な提供をはじめ、高度専門的医療等の提供及び地域医療の充実への貢献に向けた取組を推進し、もって、都民の健康の維持及び増進に寄与するというふうに書かれています。
 知事は、独法化に当たって、医療の充実を図るといってきました。しかし、今日出していただいた資料でも、十月一日時点で休止病床数が、工事中の分を差し引いても九病院、五百四十床あって、こういう状況の中、地域の住民の方からも心配の声も上がっています。私は、都立病院機構が、都民の病院としてどれだけ都民の声をきちんと聞いていくのか問われていると思っています。
 そこで伺いたいんですけれども、都として休止病床について、機構にどのような働きかけをされていますか。

○齋藤都立病院支援部長 病棟運営をはじめまして、機構の運営状況につきましては、日常的に情報を共有しております。

○原委員 情報を共有しているということですけれども、私は都としても、本当に共有にとどまらず、働きかけをしていただきたい、早急に職員の確保を進め、再開できるように、東京都の支援も必要だと、そのことを求めておきたいと思うんです。
 それで、今、都民の声を聞いていくことが大事だという話をしましたけれども、日常的に利用者、市民の声を聞いていくためにも、運営協議会に市民が参加することが必要だと思っています。
 現在、都立病院機構の病院で運営協議会の設置はどうなっているか、その中に市民は参加をされているのか、現状を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、地域の関係者の意見を聞きながら病院運営を行うため、全病院で運営協議会等を設置してございます。
 運営協議会等の委員は、各病院で選任をしておりまして、豊島、荏原病院では住民の方を委員とするとともに、その他の病院でも地元の自治体職員を委員とし、地域の意見を伺っています。

○原委員 市民が入っているのは豊島と荏原ということで、ぜひどこの病院でも、やはり市民が入れるように求めるとともに、運営協議会の議事録などを公開していただきたいというふうに思います。ぜひ東京都から病院機構に働きかけるよう求めます。
 それでは、三つ目の大きな項目に移ります。次に、感染症対策について伺います。
 まず、現在のコロナ、インフルエンザ、プール熱の状況と分析、今後の見通しを伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 新型コロナについては、都内定点医療機関からの一週間当たり患者報告数は、八月下旬から九月上旬を頂点として減少傾向が続いており、最新の報告数は定点当たり一・八四人となっております。
 インフルエンザにつきましては、九月中旬から注意報レベルの定点当たり十・〇人を超える状況が続いており、最新の報告数は定点当たり十九・九一人となっております。
 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱については、十月中旬から警報基準を超える状況が続いており、最新の報告数は定点当たり二・六三人となっています。
 いずれの感染症についても、引き続き注視していく必要があると考えております。

○原委員 いずれの感染症についても、引き続き注視していく必要があるという状況だということです。
 コロナに関していえば減少傾向が続いているけれども、定点医療機関当たりの患者数は、五類移行前の最低までには下がっていないと思うんです。また、全国的な傾向を見ると、十月二十三日から二十九日までの一医療機関当たりの平均患者数が、全国でですけど二・八六人、前の週の〇・八八倍というふうにいわれています。厚労省も、引き続き感染対策を続けてほしいというふうにいっています。
 都道府県別に見ると、一番多いのが北海道の七・〇八人、東京は下から五番目で一・八四人です。これを東京は少なくなっていて安心というふうに見るわけにはいかないのではないかというふうに思っています。
 過去の波を考えても、沖縄で感染が猛威を振るい、医療逼迫となった後、東京でも感染の波が来たように、全国の傾向も捉えて対策を取っていくことが必要です。
 インフルエンザだと診断された方がコロナも疑いがあるというふうになっていたり、検査を気軽に受けられなくなっているため、多少具合が悪くても検査をせずに仕事をしているなどの状況も指摘をされています。また、病院によっては検査キットが不足してきたという声もあります。冬に向けての対策が、今、非常に必要になっていると思っています。
 それで、厚労省は、今シーズンのインフルエンザ総合対策についてを発表しました。この内容を踏まえて、都の対策は更新をしているのかどうか、九月十四日付で感染症対策部長から出された通知は更新をしているか、しているとすれば、どういう内容か伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、本年九月十四日付で、インフルエンザが今年度のシーズン当初から流行開始基準を上回ったことから、都内関係機関に対し注意喚起を行いました。
 また、第三十七週、これは九月十一日から十七日までの定点当たり患者報告数が、注意報基準十・〇人を超えたことから、九月二十一日付で改めて関係機関に注意喚起を行いました。
 さらに、厚生労働省から本年十月十三日付で発出された今シーズンのインフルエンザ総合対策の推進について、こちらの通知についても、都は、この内容を関係機関に情報提供したところでございます。

○原委員 九月二十一日付で改めて通知を出して、十月十三日付の厚労省の発表についても関係機関への情報提供を行っているということを確認させていただきました。
 厚労省では、この中で、マスク着用の効果についても具体的に示しています。コロナに対する基本的感染対策がインフルエンザ対策にも効果があると呼びかけていますが、都としての見解を伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 マスクは、せきやくしゃみによる飛沫や、そこに含まれるウイルスなどの病原体が飛び散ることを防ぐ効果があることから、マスクの着用は、飛沫感染やエアロゾル感染に対する基本的な感染防止対策の一つとされております。

○原委員 都の九月二十一日付の通知でも、新型コロナウイルス感染症にも引き続き注意が必要です、基本的な感染防止対策はインフルエンザと同様になりますので、対策の周知について、併せてご協力いただけますようお願いしますと書かれています。この点は大事だというふうに思います。
 ただ、別添の報道発表文の初めに対策のポイントが書かれているんですけれども、ここでは、着用が効果的な場面でのマスク着用というふうにあって、これちょっと抽象的だなというふうに思うんです。人によって判断が違うので、着用が効果的な場面というのはどういう場面か明確に示すことが大事だというふうに思ったんです。
 それで、ずっと読んでいくと、一番最後に、インフルエンザ対策に関するお知らせ、東京都という中に、着用が効果的な場面でのマスク着用というのが一番に書いてあって、人混みに行くときや会話をするとき、せき、くしゃみが出るときはマスクの着用をと書かれています。私は、この内容を分かりやすく周知徹底していただきたいと思っています。
 マスクについては、もちろん任意ですし、体質的に着用できない方もいらっしゃるので、そこはもう十分な配慮が必要だともちろん思っています。だからこそ、感染を広げないためにも、着用できる人が適切に必要な場面で着用するということが、この冬に備えても非常に大事だというふうに思いますので、推奨すべきなのではないかと思います。
 特に、本当にコロナについては、まだまだ侮れない状況ですから、しかも治療薬もインフルエンザほど使いやすくなっているわけではありませんので、それだけに基本的な感染防止対策はやはり重要だというふうに思います。
 それで伺いますけれども、コロナ第十波への備えはどのように考えていらっしゃいますか。

○加藤感染症対策部長 都は、この冬に新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した場合に、都民の命と健康を守るために必要な保健医療提供体制を確保してございます。
 具体的には、医療機関の受診や療養中の体調不安などの相談に応じる新型コロナ相談センターや、介護度が高い高齢者等を受け入れる高齢者等医療支援型施設の運営などを継続しております。
 また、感染拡大により、入院患者の受入れ、転院の促進などが必要となった場合への備えといたしまして、医療機関等に対する支援を機動的に行うための体制を維持しております。

○原委員 東京医科大学の濱田篤郎特任教授によると、インフルエンザは年末頃がピークになるのではないか、例年よりも大規模になる可能性があると指摘をされています。
 コロナについても毎年冬に拡大しており、今年も冬に再燃し、ツインデミック、インフルとコロナの同時流行ですよね、これが起きるおそれが強いというふうに指摘をしています。
 先ほど都立病院機構の質問でも触れましたけれども、頼みの綱の都立病院に休止病床が多いという状況は、第十波への備えとしても大変心配をされます。検査体制や病床確保、薬の負担軽減などを進めることを求めておきたいと思います。
 また、改定される感染症予防計画で、障害児、障害者への医療提供体制を明確に位置づけ、病床の確保などについて具体的に定めるべきではないかと考えますけれども、いかがですか。

○藤井感染症対策調整担当部長 都は、新型コロナ対応におきまして、障害者児が感染した場合、その症状や障害の程度、基礎疾患の有無のほか、個々に配慮すべき点などを把握いたしまして、かかりつけ医の意見なども参考にしながら、確保病床や高齢者等医療支援型施設等への入院受入れを進めてまいりました。
 今般の感染症予防計画の改定に際して、国の手引にも、病床確保など新型インフルエンザ等感染症等の入院医療に関する事項のほか、障害者児や妊産婦、透析患者等、特に配慮が必要な患者の方への医療提供体制等についても記載することとされておるところでございます。
 こうした点を踏まえまして、現在、関係団体、保健所設置区市等で構成する連携協議会等において検討を進めておるところでございます。

○原委員 今、実際に連携協議会等で検討を進めているということですので、障害の分野についていえば、障害特性にも配慮した改定がなされるように求めておきたいというふうに思います。
 それで、この感染症のところでちょっと最後に聞きたいのは、後遺症の問題なんです。この間、コロナ後遺症で苦しんでいる方々にお話を伺ってきています。その中で最もつらいこととして、大きくいって二つ挙げられる方が多いです。医療機関になかなかかかることができなかったということ、もう一つは、周りの人や職場に理解をしてもらえないということです。病院に行ったけれども、後遺症は診られないと断られる、そういう話もありました。
 現在、どのぐらいの医療機関が対応できているのか、また、都として対応医療機関の数と対応力の向上を進めるためにどういう取組をしているのか、あわせて、理解啓発の取組をどのように進めているのか伺います。

○内藤感染症対策調整担当部長 都は、後遺症に悩む方が身近な医療機関で受診できるよう、後遺症に対応可能な医療機関をホームページで紹介しておりまして、令和五年九月末時点の数は五百五十九機関となっております。
 後遺症対応医療機関の対応力向上に向けましては、医療従事者等を対象とした最新の知見等を提供するオンライン研修会を定期的に開催しますとともに、その際、医療機関の登録について周知を行いまして、登録数の増加を図っております。
 また、都民向けや企業の経営者及び人事労務担当者向けにリーフレットを作成するなど、広く後遺症の理解促進を図っております。

○原委員 ホームページなども、またリーフレットも含めて、すごく努力をされてきているというふうに思っています。
 後遺症のお話を聞く中で、ある方の例ですけれども、一年前にコロナに感染して、症状はようやく十日間で治まって仕事に復帰した、体力が落ちているからと運動もしていた、すると一週間で起き上がれなくなってしまって、トイレにもはって行くような状況になって、二か月以上もお箸も持てない、座っていることができない、ひどい倦怠感で苦しんだというふうにいっていました。
 それで、そのちょうど同じ時期に家族も倒れて、家族の介護もしなければいけないということが重なり、大変な状況で、かかりつけのお医者さんに行って薬を出されたけれども、後遺症の対応はできないということで薬は効かなかった、効果はなかったと。そのときはまだ後遺症と分からなくて、いろいろ自分で調べていって、もしかしたら後遺症ではないかと思い当たってクリニックを必死で探して、ここにかかりたいと思ったところに連絡をしたら四か月待ちという状況だったと。たまたまほかの病院のオンライン診療でキャンセルが出て、そこでようやく後遺症だと診断が下りて治療が始まったということでした。それでもいつ回復するのか不安で鬱状態になって、生きていくのがしんどいと毎日思っていたということです。
 この方の場合は、幸いにして職場で理解があって、休職をして焦らず治療を続けていこうというふうになっていますけれども、話をいろいろ聞いていくと、後遺症に苦しんで、結局職場を辞めざるを得なかったという方々もたくさんいらっしゃいます。
 皆さんからお話を伺うと、とにかくきちんと休まなければ回復しないということを、もっと社会に認知してほしい、また、誰もがなり得るということを周知してほしいというふうにおっしゃっていました。本当にコロナは全く終わっていないということを、後遺症の皆さんのお話を聞くと実感をするところです。
 厚労省の研究班が十九万人を対象に行った調査がありますけれども、五万三千人余が回答して、二か月以上、倦怠感など症状が続いたという成人が、全体の一割から二割になるという結果を発表していました。東京の品川では一一・七%ということでいわれていました。
 また、無症状感染だった方が後遺症を発症しているという事例もあるというふうに聞いています。相当の割合で後遺症が出るということだと思いますので、今後とも、後遺症対策をさらに強化するということを求めておきたいというふうに思います。
 最後に、薬務行政について伺います。
 まず、市販薬オーバードーズ、過剰摂取の問題です。
 市販薬ODについて、都では、その内容と背景、人数や推移をどのように認識していますか。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 国の全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査によりますと、十代、二十代の若い世代を中心に市販薬のオーバードーズが広がっております。
 市販薬の購入や所持等は違法ではないため、市販薬をオーバードーズしている人数の把握は困難でございます。
 オーバードーズで主に使用される市販薬は、誰でも購入できることが市販薬オーバードーズ増加の一因として考えられますが、国の告示で、乱用等のおそれのある医薬品として指定され、薬局やドラッグストアでの販売ルールが定められているところでございます。

○原委員 都としての対策、注意喚起、また、悩んでいる人たちに対する働きかけはどのように行っていますか。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 国は本年四月、乱用等のおそれのある医薬品の範囲を拡大いたしました。
 薬局等が乱用等のおそれのある医薬品を販売するに当たっては、原則一人一包装とするなど販売方法が厳格化されており、都は、特別区や保健所設置市と連携し、販売方法について重点的に監視指導を実施しております。
 悩んでいる人たちに対する働きかけにつきましては、市販薬のオーバードーズによる危険性をホームページやSNS等で広く都民に周知し、併せて公的な相談機関を案内しております。

○原委員 今ご答弁にあったように、薬局での販売方法について、乱用等のおそれのある医薬品について制限をするなど、今年度から始まっているわけです。この効果がどうかというのは今後になると思いますけれども、根本的に大事になってくるのは、市販薬ODをするに至っている一人一人の背景、苦しさをどう見るかだと思います。
 市販薬ODについて悩んでいる人に寄り添ったパンフレットを作り、啓発していくということが必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 啓発につきましては、リーフレットを作成し、不安や悩みを匿名で相談できる専門機関を案内するとともに、早期の相談を進めております。

○原委員 薬務課で作られている、今こそストップ!薬物乱用というリーフレットもあるんですけれども、このリーフレットは、違法薬物を所持するだけでも犯罪になるものについてが中心です。ここに市販薬の問題も出てくるんですけれども、十代の薬物依存症になる多くは、違法薬物ではなく市販薬を使っているということが分かっています。ですから、ここに市販薬について並べて書くのは違和感があると私は感じています。市販薬については、リーフレットを別にして、正しい理解を広げ、啓発していくということも考えられるのではないかというふうに思います。
 市販薬ODについては、薬務課のホームページでも丁寧なホームページが書かれています。これをベースにしたり、あるいは都立の精神保健福祉センターで出されている市販薬・処方薬の乱用・依存というリーフレットを薬務課でも共有したらどうかなというふうにも思います。
 このリーフレットでは、正しい知識を伝えながら、依存からの回復は可能だということを述べているんです。実際に、市販薬ODから回復した方々ももちろんたくさんいらっしゃるんですね。誰でも市販薬ODになる場合もあるし、同時に、回復も可能だということがメッセージとして伝わっていくというのがとても大事だというふうに思いますので、ぜひ、こういう問題こそ、局の連携で対応していただきたいというふうに思います。
 また、ちょっと要望したいのは、リーフレットは、繰り返し改善もされながら発行されていると認識していますけれども、また次、いろいろ改定をするときには、違法薬物の問題についてもですね、違法薬物の問題というだけではないんですが、このリーフレットを見た方々からご意見を聞くと、一回手を出したら人生が終わるというように感じてしまい、回復のビジョンが見えないという、そういう声もあります。そういう声も聞きながら、相談先は確かに書いてあるんですけれども、リーフレットを見れば安心して相談しようと思えるような、ぜひ改定も進めていただきたいというふうに思います。こういうリーフレットは大事だというふうに思いますので、お願いします。
 次に、薬局でのプライバシー保護について、最後に伺いたいと思います。
 処方箋による薬を受け取る際に、症状や薬の内容を確認されるんですけれども、周りの人に聞こえてしまうということを気に病んでいる方が実は非常に多いと感じています。プライバシーへの配慮については、薬局にどのような指導が行われていますか。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 国は、薬局業務運営ガイドライン等に基づき、患者のプライバシーに配慮した薬局業務を行うことを求めています。
 都は、特別区、保健所設置市と共に、都内の薬局への立入調査の際には、必要に応じて、患者のプライバシーに配慮して薬局業務を行うよう指導を行っております。

○原委員 このプライバシーを保護するために、パーティションや別室の確保などの工夫をする場合、東京都からの何か支援のようなものはありますか。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 現在、都からの支援はございません。

○原委員 先ほどの市販薬ODの話もそうですし、また、処方薬のODもあるんです。こういう問題で薬剤師さんの役割というのは非常に重要だと思っています。薬の飲み合わせなどをよく聞き取りをしながら助言をする専門家ですので、非常に役割は大きいと。
 お話を伺った中で、市販薬ODをしていた若い女性が話してくれたんですけれども、信頼できる薬剤師さんと出会って相談できるようになったことで、ODを手放すきっかけになったといっているんです。通院していた病院の処方箋の薬を出してもらいながら、実は市販薬ODなんだと、悩んでいるという、そういうSOSを出せたといっていました。もしこの薬剤師さんが、市販薬ODをしていることを頭から非難したり、駄目、絶対やめてってすぐにいってしまっていたら、手放すことにはならなかったかもしれないということですけれども、非常に薬剤師さんの役割は重要だというふうに思いました。
 同時に、話をするときに周りに聞こえないかということがとても不安だったということもいっているんです。薬剤師さんの力量はもちろん一番大事なんですけれども、安心して話せる環境を整備していくということは欠かせないというふうに思いました。特に、市販薬の販売の制限などをしていくということになっている中で、困ったことがあったら相談できるということを大事にしていかないと、周囲の目は厳しくなる一方で、背景にあるつらさのケアは進まないという、そういう対応になってしまうかもしれません。
 その環境整備をすることに対する支援を検討することも私は必要ではないかと考えます。そのことを指摘して、質問を終わります。

○あかねがくぼ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十七分休憩

   午後三時四十五分開議

○あかねがくぼ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○関口委員 よろしくお願いします。
 都立、公社病院が独法化されて一年がたちました。我々都議会立憲民主党は、都立、公社病院の独立行政法人化に対して、現場に不要な不安を招き、都民サービスの低下につながりかねないということを指摘してまいりました。
 コロナを契機に医療体制が大きく一変した今やらなくてはならないのが、行政的医療における感染症医療や公衆衛生の立ち位置を検証すべきであり、都立病院の独立行政法人化は拙速な判断であるということをこの間指摘をしてまいりました。
 独法化された直後、東京では第七波がやってきておりました、ちょうど八月の頃でありますけれども。病床が逼迫する中、全確保病床の三割近くを占める東京都立病院機構、計十四病院の稼働率が低迷しているのではないかということを、ちょうど一年前の第三回定例会の厚生委員会で指摘をさせていただきました。
 質疑を通して、都内全体の病床使用率が約六〇%であるのに比べて、都立病院機構の計十四病院だと病床使用率三六%であり、あまりにも都内の平均よりも低い実態というものを確認したところであります。
 都立病院は、重症、中等症の患者や重い基礎疾患のある方、介護度の高い方などを積極的に受入れをしていたことを考慮したとしても、あまりにも低い病床使用率だということを申し上げたところであります。行政的医療や感染症医療を担保するためのさらなる取組を要望したところであります。
 新型コロナウイルスは、その後、五類に移行されました。当時に比べれば落ち着いてきたように考えられますけれども、確認の意味も踏まえて、何点か質問したいと思います。
 まず初めに、都立病院における行政的医療の担保、これは先ほどから申し上げておりますが、重要であります。
 独法化後に新型コロナウイルスの患者の受入れはどのようにされたのか、独法化前と独法化後では、患者の受入れという観点でどのようなプロセスの変化があったのか、また、確保病床についても伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院は、コロナ対応を最優先といたしまして、独法化後も、独法化前と同様に、重症、中等症患者、コロナが軽症でも基礎疾患のある方、認知症など介護度の高い方などを積極的に受入れをしてまいりました。
 その際、都の入院調整本部や保健所、地域の医療機関等からの要請に基づくこととしておりまして、コロナ患者の受入れについては、独法化の前後で変化はございません。
 また、確保病床は、コロナの五類移行前まで、臨時の医療施設を除き、最大二千五十床を確保し、救急医療などの通常医療との両立を図りながら、感染状況に応じ、柔軟に病床を運用して患者を受け入れておりまして、独法化後も変わりなく、新型コロナに積極的に対応をしているところでございます。

○関口委員 感染症医療、行政的医療、こうしたものを念頭に、引き続き、これからコロナ以外にも大きなパンデミックがやってくるかもしれません。そうしたところの対応をお願いしたいと思います。
 また、都立、公社病院の独法化に伴って、コロナ禍を経験した貴重な人材が流出をするということを指摘してまいりました。特に独法化に伴って、看護要員の流出については懸念をしておりました。
 そこで伺いたいと思いますが、都立病院の独法化前と独法化後の職員の退職状況を伺うとともに、どのような理由で退職をされたのかについても伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 令和四年度の都の常勤職員に相当する職員の退職者数は千二百二十九名で、独法化前後で人事制度が異なるため単純な比較はできませんが、令和三年度の一千十四名と比べ、二百十五名増加しております。
 これは、令和四年六月末の看護要員の退職者が、独法への転籍同意が必要な旧公社病院で大幅に増加したためでございまして、退職の理由は、転職や進学、家事都合など様々でございますが、大多数を失業給付の優遇措置がある転籍不同意による会社都合退職が占めているところでございます。
 なお、独法化後の令和四年七月から令和五年三月の看護要員の退職者は、前年度同期とおおむね同水準でございます。

○関口委員 コロナ禍を経験した職員は大変貴重だと考えております。次にやってくるパンデミックも、先ほど申し上げましたが、あるかもしれません。あるいは災害などももちろんやってくる。そうしたところで、新型コロナを経験した職員が、次なる危機の際に最大限経験値が発揮される環境構築、これをぜひ求めていきたいと思います。
 次に、精神科医療について伺ってまいります。
 厚生委員会ということで、精神科医療について総括的な質疑をしようと思っていたところでありますが、保健医療局と福祉局にまたがっており、そのすみ分けについて考えさせられたところでもあります。
 保健医療局と福祉局における精神医療の所管事務について伺います。また、縦割り行政になるのではなく、両局の柔軟な連携が重要だと考えますけれども、見解を伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 保健医療局は、医療全般を所管する立場から、精神保健医療を所管する福祉局と相互に連携し、事業を実施しております。
 例えば、地域精神科身体合併症救急連携事業では、精神障害者が身体疾患に罹患した際の相談や受入れに関しまして、地域において一般救急医療機関と精神科医療機関とが連携する体制の強化を図っております。
 また、精神科病院に対する立入検査は、適切な病院管理という観点から、両局が連携して実施をしておりまして、組織再編後も引き続き両局が緊密に連携し、医療サービスの質の向上を図り、都民が安心・安全で満足度の高い医療を受けられますよう、医療安全対策を推進してまいります。

○関口委員 かなり包括的な答弁をいただいたのかなと思いますけれども、私の認識としては、保健医療局は主に医療に関してはもちろんですけれども、立入検査については、定期立入検査を保健医療局が所管をしていると。臨時の立入検査においては福祉局が担当しているということだと思っております。そして福祉局がかなり大まかな部分、精神医療については担っているという認識であります。
 しかし、この立入検査については、定期の立入検査と臨時の立入検査で所管の局が違うということについては、かなり複雑だなという印象を受けております。
 一方で、各立入検査に関しても、それぞれの局の職員が入ってやっているということでは伺っておりますけれども、そうした複雑さを感じるところでもあります。
 そこで伺いたいんですけれども、そもそも保健医療局としての主な所管事務である定期立入検査について、定期立入検査とはどういうことをするのか、どのような点に留意しながら検査をするのか伺いたいと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、医療法に基づき、都内全ての病院に対して、また、精神保健福祉法に基づき、精神科病床を有する病院に対して立入検査を実施しております。
 医療法に基づく立入検査は、医療法及び関連法令により規定された人員及び構造設備を有し、かつ、適切な管理を行っているか等を検査し、指導を行うものでございます。
 また、精神保健福祉法に基づく立入検査は、精神科病院の管理運営や人権に配慮した患者の処遇について適正な運用が図られているか等を検査し、指導を行うものでございます。
 立入検査では、法令等に定められた多岐にわたる項目を検査するため、医療従事者名簿や診療録等の書類を確認するとともに、病院職員等へのヒアリングや院内巡回を実施いたしまして、必要な指導を行うことにより、病院の適正な管理運営の確保に努めております。

○関口委員 今ご答弁をいただきました、まさにこの定期立入検査でありますけれども、今年の初めに滝山病院において大きな事件が起きたわけであります。
 もちろんこの滝山病院についても、定期立入検査を毎年行っていたわけでありますけれども、そもそもこの滝山病院については、定期立入検査の段階で疑義は生じなかったのでしょうか、伺いたいと思います。
 また、定期立入検査の中で滝山病院をどう分析していたのか、また、滝山病院は極めて高い死亡退院率が指摘をされておりましたが、その点をどう定期立入検査において確認をしていたのか伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、当該病院に対する毎年の定例立入検査におきまして、法令等に対する不適合が認められた場合には、病院管理者に対して、改善のために必要な指導を行ってまいりました。
 当該病院での虐待事案につきましては、昨年五月、虐待疑いについて情報提供がありましたため、定例立入検査に加え、病院職員等への聞き取りを複数回実施をいたしましたが、病院管理者が虐待の事実を認めず、その時点では事実関係を確認できませんでした。
 虐待が強く疑われる情報提供がありました本年二月以降、臨時の立入検査を複数回実施し、病院管理者が虐待の事実を認めたため、四月に関係法令に基づく改善命令を発出いたしました。
 なお、死亡退院者の割合につきましては検査項目に含まれていないため、立入検査では確認をしておりません。

○関口委員 答弁でもございましたが、定期立入検査に加えて、病院職員等への聞き取りを複数回実施したということであります。病院管理者が虐待の事実は認めなかったということで、事実関係を確認できなかったということでありました。
 ただ、今、私の方で、極めて高い死亡退院率について確認をしているのかということで伺いましたが、立入検査の中では確認をしていないということでありました。二〇二一年六月の一か月に退院した患者十四人のうち死亡による退院は九人と、六四%という高い死亡退院率でありました。前年においても八〇%、さらにその前年の二〇一九年においても、退院患者七人全員が死亡で退院をしているということで、滝山病院はかなり高い死亡退院率というものが問題視をされているわけであります。
 一方で、都内七十の精神科の病院の平均は三%であり、高い死亡退院率というのは明白であると思っております。
 そこで、この定期の立入検査では死亡退院率を把握していないということでありますけれども、福祉局の実施する国の定例調査における退院数や、その中における死亡退院数は把握をしているのか伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 福祉局では、国の依頼に基づき、毎年実施をいたします精神保健福祉資料調査などにより、都内の精神保健福祉に関する状況について把握をしております。福祉局と保健医療局では、退院患者に関する状況をはじめ、必要な情報の共有を行っております。

○関口委員 ちょっと真正面からご答弁いただけていないのかなということを残念に思うんですが、福祉局では把握をしている、それはそうですよね、福祉局の所管で国の定例調査についての数は把握をしていると。
 福祉局と保健医療局では、退院患者に関する状況をはじめ、必要な情報を共有という答弁だったんですが、ちょっともう一回伺いたいんですけれども、これは、死亡退院率、つまり、退院している患者さんのうち、死亡してしまった患者さんの数というものは、ちゃんと保健医療局で把握しているということでよろしいんですか、ちょっともう一回伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 福祉局では、精神保健福祉資料調査などによりまして、都内の精神保健福祉に関する状況について把握をしており、その中にございます退院患者に関する状況につきましては、福祉局と保健医療局で情報の共有を行っております。

○関口委員 さっきの答弁と同じだったので、あまり私もその答弁を聞いて、数が把握されているのかどうなのか、ちょっと分からないんですけれども、これ以上やっても結果が変わらなさそうなので、進めていきたいと思います。
 保健医療局における定期立入検査というのは、国の法定受託事務であります。法定受託事務における検査項目は定まっているということで、何を聞いていくかということは国の中で決まっているということだと把握をしております。
 一方で、都においては、今回の滝山病院を機に、法定受託事務の検査項目以外にも独自の検査項目を定める必要があるのではないかと思っておりますけれども、見解を伺いたいと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、法令違反の疑いがある情報を得た際には、必要に応じ立入検査を実施することとしております。
 なお、重症患者を多く受け入れる病院や、高齢の患者が多数入院している療養病床など、都内の医療機関の状況は様々でありますことから、退院患者に関する状況により、入院患者の処遇を一律には判断できないと考えております。

○関口委員 今ご答弁をいただきましたけれども、退院患者に関する状況により、入院患者の処遇を一律には判断できないということでありました。
 ただ、一方で、私は法定受託事務でありながらも、こうした独自の検査項目をしっかり設けながら、東京都の精神科医療について、しっかり担保していくことが重要だと思います。
 特に、福祉局がされるような臨時の立入検査というのは、これは相当な覚悟を持ってされるものかと思いますし、ある種、相当な証拠がそろわないと踏み切れないものだと思います。つまり、都内七十の精神科医療の質を担保するためには、保健医療局がされている定期の立入検査、これにかかっているといっても過言ではございませんので、しっかりとそういったところを確認していただきたいと思います。
 そして、今、精神医療の現場をチェックしていくことが重要だということで申し上げました。この定期立入検査なんですけれども、事前通告制であります。医療機関はしっかりと準備をした状態でお出迎えをするということになっております。
 定期立入検査においても、緊張感と実効性が伴う検査にしていくことが今後重要だと考えますけれども、見解を伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 立入検査は、病院の管理運営状況を的確に把握するため、院長ほか関係部門の責任者に対応を求めるとともに、多岐にわたる検査資料などの準備が必要でありますことから、原則として事前に日時を通知しております。
 立入検査では、安全管理体制をはじめ、法令等に定められた多岐にわたる検査項目を調査するため、書類の確認や病院職員等へのヒアリング、院内巡回を実施いたしまして、不適合があるときは、管理者に対して改善のための必要な指導を行うことにより、病院の適正な管理運営の確保に努めております。

○関口委員 定期の立入検査も、臨時の立入検査も駆使をしながら、ぜひ、緊張感と実効性のある検査というものをしていただきたいと思います。
 また、ここについての質問は、精神科医療について、この後、松沢の話をしますけれども、あえて最後に申し上げれば、やはり、今までは福祉保健局として、定期の立入検査と、そして臨時の立入検査というのは、部が違ったということで、いずれにしても縦割り行政的なところはあったといえども、これで局が分かれたことによって、今後、より連携を、今まで以上に連携をしていくという覚悟を持たないと、連携がしづらくなっていくのではないかなということを懸念しております。
 そういった観点からも、私は、最終的にはやっぱり精神科医療というのは、同じ局の中で収めていく、それぐらいの覚悟が必要ではないかと思っております。保健医療局の定期立入検査の部分を福祉局に入れていくとか、そういった柔軟な対応というものは今後必要だと思いますので、そちらは要望とさせていただきたいと思います。
 そして、精神科医療の話、続きますけれども、都立松沢について伺ってまいります。
 都立松沢病院においては、身体拘束ゼロというものを掲げておりまして、前院長の齋藤名誉院長が非常に、身体拘束はしないで頑張っていこうということで、松沢病院の中の士気も上げながら、かなり先進的な取組をしております。そういった観点からも、私は大変その取組に敬意を表しているところでもありますし、非常に多くの病院が、いい方はあれですけれども、見習うべきところがあるのではないかなというところを思っております。
 そこで確認をしたいと思いますが、松沢病院における身体拘束ゼロにおける基本的な考え方について伺うとともに、先進的な取組についても併せて伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院では、患者の個人としての尊厳を尊重し、その人権に配慮しておりまして、患者の安全と適切な医療の確保のため、身体拘束を必要最小限にとどめるよう努めております。
 やむを得ず拘束を行った患者につきましては、毎日実施する多職種のカンファレンスにおいて、その必要性を検証しているほか、行動制限最小化委員会を設置いたしまして、病院全体の取組状況や個別事項を共有しております。

○関口委員 拘束を行った患者が、本当に必要だったのかということを毎日検証しているということで、現場としては大変な苦労があるんだろうなと思いながらも、身体拘束をゼロにするための取組、最小化委員会というものも設置をしているということで確認をいたしました。
 先ほど申し上げましたが、やはり都立松沢病院における取組は、東京都だけではなくて、全国を見渡しても先進的な取組だと思っております。それと同時に、多くの医療機関が参考にすべきものがあるのではないかと思っております。公立病院だからできるんだ、そういう意見もあるかもしれませんが、都内の精神医療を底上げするためのハブになるべきだと考えております。
 そこで、松沢病院が精神医療の質の向上のために、精神医療について情報発信を強めたり、都内の精神医療機関から相談を受けた際には助言をしたり、都内の精神医療機関からの研修の受入れなどを実施することは重要であると考えますけれども、見解を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、地域の医療機関等に対し、医師、看護師等による技術協力や、地域の医療従事者の研修受入れ等を積極的に行い、地域医療を支える人材の育成を支援することとしております。
 松沢病院では、高い専門性や知見を生かして、広報紙の発行や公開講座の実施により情報発信をしているほか、専門看護師や認定看護師による出張ゼミナールの開催、各種教育機関への講師派遣、精神科領域を学ぶ研修医等の受入れなど、地域医療機関等への技術支援や人材育成を積極的に行っております。
 今後とも、地域の精神科医療の水準向上に貢献してまいります。

○関口委員 現段階でやっていただいているところも多々あるかと思いますけれども、やはり、この滝山の問題を契機に、改めて都立松沢の取組というものを多く広めていく必要があるかと思います。
 今まで以上に多くの医療機関と連携をしながら、地域医療、地域の精神医療の底上げに都立松沢が尽くしていただけること、そして、その取組をさらに広げていくことを最後に要望いたしまして、私の質疑といたします。

○上田委員 福祉局と保健医療局に分かれての初めての事務事業質疑ということで、私も幾つか、福祉局に重複するということで、福祉局の方に質疑を分けるみたいなことがあったんですが、今の関口委員もおっしゃったように、やっぱり、そんなに簡単に縦割りにはできないようなことが、いろいろ重複しているなというふうに思った次第でございます。
 まず、重複をしているものの一つとして、赤ちゃんポスト制度について、去年の十一月の事務事業質疑、突如として、あまり見たこともない、聞いたこともない医療法人さん、モルゲンロートと、そして特定のNPO法人が突如として赤ちゃんポストをやるということで、江東区内に開設するということで、都議会では、赤ちゃんポスト、全く質問、ほとんどしていなくて、ほとんど私、議事録検索しても、私しかしていないんですが、突如として都民ファーストの都議が質問をして、知事に要望を、医療法人と共に渡して、私は拙速過ぎるということで、この一年指摘を続けていき、前の山崎江東区長も非常に疑義を呈しまして、赤ちゃんポストを高らかに掲げた新しい江東区長が辞職をするというようなことになっていて、やはり前々から問題を投げかけていたように、ちょっと問題点があるのではないかということで、早くから指摘をしてきた次第でございます。
 やっぱりこのくらいセンシティブなものです、赤ちゃんの命と若いお母さん、あるいは体を、やっぱり命がけで赤ちゃんを産むわけですから、女性の子宮も大切にしなきゃいけないということで、私は身元を明かしたくない出産、出産後育てられないという女性の支援を率先して都立病院が行うべきと、提案をずっとし続けて、特定妊婦の出産も含めて求めておりました。
 令和二年度は都立、公社で六十件、令和三年度の未受診妊婦の受入れ件数は合計三十七件、公社病院を含めますと三十九件でしたけれども、それ以降の状況と支援体制をお示しください。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院での令和四年度の未受診妊婦受入れ件数は七十五件でございました。
 都立病院では、これまでと同様に、保健所や児童相談所などの関係機関と連携しながら、特定妊婦の育児相談などに対応しております。

○上田委員 ちゃんと対応しているということですが、児相と福祉局と連携を図って、イニシアチブを持って、いわゆる赤ちゃんポストの積極的設置を、まずするのであれば、都立、公社病院を中心として、各病院への協力依頼をすべきと指摘と要望をしております。
 独法化もし、保健医療局となりましたことから、現時点の都立病院におけます予期せぬ妊娠の対応、孤独な妊産婦の支援、連携、相談体制について伺います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、保健所や児童相談所などの関係機関と連携しながら、育児相談などに対応しております。

○上田委員 児相や関係機関と連携しながら、養子縁組等を含めた特定妊婦の育児相談など、対応していた実績がおありということですが、具体的事例などあればご説明ください。

○齋藤都立病院支援部長 特別養子縁組を希望していた妊婦が、出産後、子と対面して養育の意志を持ち、退院直前に乳児院への入所を希望されたことから、児童相談所と連携して入所調整を行った例などがございます。

○上田委員 やはりこれ、都立病院だからかなりスムーズにいったと思います。引き続きまして、都立病院が中心となりました赤ちゃんポスト事業を開始するのであれば、まずは民間に任せずに、区児相、都児相で、お願いを強くさせていただきたいところでございます。
 監察医務院でございます。
 監察医制度のある都は、異状死体数が二万一千五百九十四体、司法解剖が百六十五体、調査法解剖が五百九十三、その他監察医制度あるいは行政解剖、これが二千九百五十二、解剖率が一七・二%、コロナ前の数値を取ってきたんですが、二〇一九年の警察庁、都道府県の死体取扱状況のデータであります。解剖率が全国で四位なんです。
 三五・二%、解剖率の高い神奈川県は一見いいようで、遺族から解剖費を受け取って莫大な解剖数を事実上一人のドクターがこなす神奈川問題もあるようです。
 改めて、検案、解剖等にかかる費用の平均実費について、特別区と多摩・島しょに分けてお示しください。死体格差ということがありますが、コスト負担の格差についての所見を伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 令和三年度の監察医務院の管理運営費の決算額は約九億二千七百万円でございまして、令和三年の検案数は一万四千二百四十一件、解剖数は二千二件でございます。
 また、令和三年度の多摩・島しょ地区の検案解剖業務の決算額は約四億五千百万円でございまして、令和三年の検案数は六千八百七件、解剖数は八百十八件でございます。
 なお、東京都では遺族から検案及び解剖に関わる費用の徴収は行っておりません。

○上田委員 遺族からの費用等の徴収は行っていないというのは、これは本来のスタンダードなんですね。本当に他府県は違うということを、改めて、皆様ここで共有させていただきたいと思います。
 監察医務院のホームページでは、令和二年四月に死因究明等推進基本法が施行され、国及び地方公共団体は死因究明等に関する施策を総合的かつ計画的に推進することとされました。また、東京都死因究明推進協議会においては、令和元年九月に、都における持続可能な死因究明体制の推進として報告書がまとめられ、監察医務院の体制強化、多摩地域の検案、解剖体制の確保、死因究明によって得られた情報の収集と発信について今後の方向性が示されましたとあり、都は国に対し、監察医務院制度が都内全域に適用されるよう政令の改正を繰り返し求めている点も踏まえて、詳細についてご説明ください。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、東京都死因究明推進協議会におきまして、令和元年九月に、東京都における持続可能な死因究明体制の推進について報告書を取りまとめております。
 この報告書では、常勤監察医の計画的な採用や監察医等の育成事業の充実、多摩地域の検案精度向上のための取組や、監察医務院多摩班、二大学による検案、解剖体制の充実、死因究明によって得られた公衆衛生情報の効果的な分析、発信等の取組が示されております。
 死因究明体制は、本来、国が必要な法整備を行い、地域を限定せずに整えるべきものでございまして、都は国に対し、監察医制度が都内全域に適用できるよう政令の改正を繰り返し求めているところでございます。

○上田委員 国の厚生労働委員会でも、この点については課題や議題になっているようで、死因究明等における問題点が知事部局の視点から見て必ずしも明らかではなく、死因究明等の推進のためにどのような取組を行ってよいのか不明確となっており、都道府県における死因究明の施策やその目的もはっきりしないと。これ、総務省の行政評価局の資料からちょっと抜粋させてもらったことでございますので、何か明確じゃないと国の方もいっているので、具体的な、私はやはり——監察医務院は特別区、二十三区だけの解剖になりますので、本当に一メートルでも市側の方に行って変死をされると監察医務院ではなくなるし、その逆もまたしかりというところでありますので、まずは、三多摩地区においても監察医制度が適用されることを繰り返し求めていっていただきたいと思います。
 とはいえ、やっぱり国内屈指のレベルも人材体制も誇る監察医務院であります。人材もありますし、件数もこなしております。そのためには、監察医の確保、人材育成の状況も大切でございますので、現状についてご説明いただければと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 監察医務院では、全国的に法医学教室の医師が少ない中、監察医を確保するため、自ら養成教育のための研修を行っておりまして、研修修了者を監察医として採用するほか、大学医学部等の協力を得て非常勤医師を採用しております。
 また、全国の医師や医学生を対象に、実際の検案や解剖の実習を行うとともに、警視庁及び各都道府県警察の検視官等を対象とした実務研修等を実施しております。

○上田委員 今のところは、人は足りているという理解で、遠藤部長、人は足りているという理解でいいんですよね。——はい。そのように伺っておりますので、今、各会派も、私も常に注目しておりましたチャイルド・デス・レビューにおいても、監察医務院は非常に大きな役割があります。
 子供がコンニャクゼリーとか、おもちゃを誤嚥して亡くなっているようなデータも実は非常に持っていて、何か監察医務院は暗いイメージがあるんですけれども、誤嚥防止の勉強会なんかも開かれていたりというところでありますので、その辺のPRもしていただきたいという、まあ福祉局になるんだと思うんですけど、チャイルド・デス・レビューで、資料、34の方も、小児総合医療センターの死亡退院の方のデータもそろえておりますので、これも両局で、チャイルド・デス・レビューについて、力を合わせていってもらいたいなというふうに、今後、非常に注目される都政事業だというふうに思っております。
 監察医務院のホームページなんですけど、院長挨拶とか、監察医務院とはという説明のところが、年間検案数や開始以来の累積検案数が平成三十年で集約されておりまして、もう令和五年ですので、直近データに更新していただけるとありがたいなというふうに思いました。
 政令で求められていない多摩・島しょでございますけど、先ほどの件ですけれども、適切に死因の究明ができるよう、東京都医師会や大学等の協力を得ながら検案医を確保する、環境整備を進めているということですが、近年の取組はどうなっているのでしょうか、お示しください。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、東京都医師会や大学等の協力を得て、多摩・島しょ地域の検案体制を確保しております。
 また、検案の精度向上を図るため、東京都医師会や東京慈恵会医科大学及び杏林大学の協力の下、症例検討等を取り入れた研修会を実施しております。
 島しょ地域では、自治医科大学卒業医師や地域の医師を対象に監察医務院による研修を行っております。さらに、新たな検案医等を確保、育成するため、医学生等を対象に法医学への関心を高めるためのセミナーを開催しております。

○上田委員 よく、マリコでしたか、有名な女優さんがやっている、法医学というのはテレビとかドラマや映画には出てくるんですけど、なかなか成り手がないということで、でも公務員でもありますし、やりがいもあると思いますので、ぜひ人材確保の方を、三多摩地区の方、何とぞ多摩・島しょ、力を入れていただきたいと思います。
 資料、19でございます。滝山病院については福祉局の方になったと思いますので、そちらの方で細かいことは質疑をしますが、先ほど指摘ありましたけど、私もずっと、滝山病院が問題になる前から、毎回毎回、事務事業で指導監査の実施件数を重ねてきました。いつも問題ない、大丈夫だといって、結局、滝山病院のことが起こっちゃったわけですよね。
 報告徴収が令和二年度一件、令和三年度六件とか、資料のとおりとなっておりますが、母数が約七千法人もあって、この状況で果たしていいのかな、いいとは思いませんので、今後の指導監督の在り方の所見を伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、医療法人から毎会計年度終了後に提出されます事業報告書等で、事業内容や経営状況等を確認しておりまして、法令違反の疑いがある場合や、その運営が著しく適正を欠く疑いがある場合には、医療法第六十三条第一項に基づき、当該法人に業務または会計の状況に関し報告を求め、必要に応じ立入検査を実施しております。
 また、改善に向けた指導を繰り返し行っても改善が図られない場合や、運営が著しく適正を欠く場合には、同法第六十四条第一項に基づき改善命令等を行っており、今後とも、医療法人の適正な運営の確保に努めてまいります。

○上田委員 伝家の宝刀は抜くためにあるので、ずばずばとやっていただきたいと思います。
 やはり、情報提供というのが大事でございまして、患者さんが一番現場を知っていらっしゃいます。
 資料、20を見ますと、一番多い相談は健康や病気に関する相談です。受けた後は、患者の声相談窓口の相談ですね、こちらは東京都が開設しております。受けた後はどのように不安を解消したり、必要な医療に結びつけているのか、事例を挙げてご説明ください。
 そして、次に多いのは医療従事者の接遇です。都立病院の場合、またその他の病院の場合に分けて対応して現場の改善にどうつなげているのかも伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 患者の声相談窓口は、医療法第六条の十三に基づき、患者やその家族、都民からの医療に関する相談や苦情に対応し、助言や情報提供を行っております。
 相談窓口が受けた健康や病気に関する相談につきましては、その相談内容に応じ、医師や看護師等の専任の相談員が対処方法の提案や助言を行うほか、医療機関の選択の支援等を行っております。
 また、患者と医療機関等の間にあって、中立的な立場から問題解決に向けた双方の取組を支援するよう努めておりまして、個人情報の保護に留意しつつ、都立病院を含め、医療機関に患者の要望などを伝えることによって、双方の関係構築を支援しております。

○上田委員 都立、公社は現職も出向しているわけですので、情報も取りやすいはずですので、より丁寧な対応を求めるものです。
 また、資料、21なんですけど、令和三年一月十三日の厚労省通知、精神病院に対する実地指導をしてくださいと、虐待が発見されたら即やってくださいよというような通知があって、二年半で六件ということでございますが、こちら同一病院という理解で構わないでしょうか、それとも複数ということでしょうか。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 厚生委員会要求資料、21の件数につきましては、複数の精神科病院の合計で六件となってございます。

○上田委員 先ほども申し上げましたように、この六件も多いと取るか、少ないと取るかというところでございますけれども、積極的にこの通知の活用を直ちに行っていただきたいと思います。強く疑われるというよりは、疑いがあったら直ちに行っていただきたいと思います。
 資料、22と23です。障害者の採用と採用したことによる職場環境の変化、障害者施設等からの優先調達の現状への評価を伺います。

○船尾総務部長 旧福祉保健局では、局再編前の一年間で、障害を有する職員を十名採用してございます。こうした職員が働きやすいよう、障害特性に応じた就労支援機器の導入や、研修等を通じて、周囲の職員の障害者雇用に対する理解促進を図るなど、職場環境の整備に努めているところでございます。
 配属された職場では、障害特性や能力に応じた業務を選定し、活躍してもらっておりまして、職場全体の活性化につながっている事例もあると認識しております。
 また、契約でございますけれども、東京都による障害者就労施設等からの物品等の調達方針、この方針に基づきまして、障害者就労施設等からの優先調達を行ってございます。直近三年間の優先調達の契約総件数は増加傾向にございまして、この間の取組は進んでいるものと認識しております。

○上田委員 障害者の皆様もモチベーションに通じると思いますので、引き続き、この増加傾向を続けていっていただきたいと思います。
 さて、小池知事の七つのゼロで、唯一といっていいぐらい、達成した事実上の殺処分ゼロについては、実際は違うとの意見もありますけど、まあまあ評価するものです。ただし、貢献したのは知事ではなく、持ち出しもいとわず奮迅したボランティア団体と高く評価するものであります。
 里親探し、譲渡活動に協力いただいている都内ボランティアの地域や、団体の件数や、連携状況や、譲渡数について詳細をご報告ください。同じく区市町村も包括事業等を活用し殺処分ゼロに貢献されたと思料しますが、その評価についても伺います。

○藤井健康安全部長 都は、動物愛護相談センターの譲渡事業に協力するボランティア団体を登録譲渡団体としており、現時点で四十八団体と連携して譲渡を行っております。令和四年度のセンターからの譲渡実績は、個人への譲渡も含め、犬四十八頭、猫百十二頭の計百六十頭でございます。
 令和四年度の区市町村の包括補助事業につきましては、飼い主のいない猫対策は四十九自治体が、地域における動物の相談支援体制整備事業は十三自治体が実施しておりまして、地域の実情に応じた動物愛護の取組を進めていただいていると考えております。

○上田委員 資料、27です。江戸川区も飼い主のいない猫対策促進事業の方、手を挙げてしっかりとやっているようでございます。殺処分ゼロには、譲渡が多数あるということが確認できました。センターや都だけではなく、ボランティア、区市町村の連係プレーが肝だと思います。ボランティアには有形無形の支援をお願いすると希望させてください。
 資料、26です。第一種動物取扱業者への勧告が久々に一件出た模様です。動物虐待とのことで、どのような経緯で把握をし、勧告に結びつけられたのか、その後改善をしたのでしょうか。
 錦糸町の猫カフェも、相当私も手を焼いて一年ぐらいかかりましたけど、結局、業務停止命令に至り、事実上廃業に追い込みました。結局、この経営者、コロナ給付金を不正取得して逮捕されるというてんまつとなりましたことからも、勧告だけで大丈夫なのか懸念することから、確認します。

○藤井健康安全部長 都に対しまして、当該動物取扱業者が飼養する動物の健康状態や飼養頭数、逸走等に関する苦情が寄せられておりました。動物愛護相談センターは施設に立ち入りまして、飼育施設や動物の管理などについて指導を行ってまいりましたが、改善が見られないため、令和四年九月、勧告を行いました。
 その後、この事業者は、第一種動物取扱業を廃業いたしましたが、状況の改善が見られず、動物が虐待を受けるおそれがあるため、令和四年十二月、廃業した元事業者に対し改善命令を行いました。改善命令にも従わなかったため、令和五年一月、都は警察に告発をいたしました。

○上田委員 勧告から三か月で改善命令、そして、警察に告発、四か月ということで、エクセレントだと思います。取るべき手はずを講じられたと評価します。今後も、厳しく管理監督、指導をよろしくお願いします。
 また、指導を受けたり業務停止を受けると、問題ある事業者に動物がそのまま残っちゃっているような状況、預かっているような状況になる場合は、事業者に対し新たな飼い主への譲渡を働きかけるとともに、警察が虐待事案として対応する場合は、当該動物の保管に協力するとのことですが、この勧告については、このような状況になっているのかについてもお願いします。

○藤井健康安全部長 都は、地元の自治体と連携いたしまして、元事業者に対し、新しい飼い主への譲渡を働きかけまして、動物の譲渡に協力してもらえるボランティア団体への譲渡を行いました。

○上田委員 事後対応も大変よかったと思います。日頃の協力体制のたまものだと評価させていただきます。
 資料、30です。公衆衛生医師ですが、コロナ前後も退職者数が採用者数を上回っております。
 慢性的に足りない状態が続いておりますが、労働環境などが起因するものなのか分析されていると思料いたしますので、その点も含めた人材確保、あるいは現状人材での打開策などの所見を伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、公衆衛生医師の安定的な確保が必要なことから、令和三年に実施しました公衆衛生医師に関する医学生の意識調査の結果も踏まえまして、採用案内ホームページのリニューアル等によるPRの強化、オンライン形式の業務説明会の実施のほか、公衆衛生医師のための民間住宅の借り上げなどを行ってございます。
 また、毎年度、都本庁におきまして、都内の全ての公衆衛生医師との個別の意見交換を実施するなど、相談体制も整えております。
 引き続き、公衆衛生医師の安定的な確保と働きやすい環境の整備に取り組んでまいります。

○上田委員 都民や都内病院、都立病院も含めて、公衆衛生や医療の要となるお医者様としても、本来やりがいのある職務と思います。使命感を持っている各人の個性や能力が生かされて、白い巨塔とかドクターXじゃないですけど、いたしませんみたいな感じじゃ、ああいう縦社会のイメージがどうしても強いんですけれども、よもやパワハラとかは、多分、この都庁内ではないと思いますけれども、ソフト面での環境整備も求めまして、次の質問に移ります。
 都立病院での分娩件数は激減しているわけでもなく、四千件台で、資料を見ますと、とどまっております。ハイレベルな周産期医療を都立病院は担っているところではありますが、通常分娩出産を担う地域医療の産婦人科は充足しているのか、都の連携体制も併せて伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 人口動態統計による都における平成二十九年の出生数は十万八千九百九十人、令和二年は九万九千六百六十一人でございます。
 また、医療施設調査による平成二十九年九月中に分娩を実施した病院及び診療所の数は百六十三施設、令和二年は百四十五施設でございます。
 都は、地域でお産を支える産科医等に対し、分娩手当等を支給することによりまして、産科医療機関等の確保を図っております。
 また、都内を八つの周産期搬送ブロックに分け、周産期母子医療センターを中核といたしました一次から三次までの医療機関によります周産期医療ネットワークグループを構築し、リスクに応じた役割分担と連携を進めており、分娩を実施する都立病院も、このネットワークに参画をしております。

○上田委員 地域で出産して、産前産後を支える道先案内として都立病院の果たす役割は大きいと思いますので、ご対応のほどお願いします。
 資料、33です。都立病院及び公社病院における誤嚥に係る報告件数の推移でございますが、資料要求するときお願いすればよかったのですが、診療科別内訳をお示しの上、たしか、これまでは精神科が誤嚥が多かったようなので、なぜ精神科が多いのかの説明と防止策をお示しください。

○齋藤都立病院支援部長 令和二年度から四年度の都立病院の誤嚥件数は四十六件で、診療科別の内訳は、精神科が十九件、内科が四件、外科、整形外科、脳神経外科がそれぞれ三件、循環器科、脳神経内科、総合内科がそれぞれ二件、その他八件でございます。
 例えば、松沢病院の合併症病棟に他の精神科病院から転院してくる患者の中には、高齢化の影響もあり、嚥下障害を持つ方も一定数含まれており、摂食・嚥下障害看護認定看護師及び歯科衛生士を中心に、患者の誤嚥性肺炎のリスクの軽減に取り組んでおります。

○上田委員 こちらの方は、また引き続き注目させてください。
 利益相反マネジメントをどう機能していくのか確認してきましたが、従前は開示請求すれば各都立病院のドクター、確認ができましたが、今も都民が確認することはできるのでしょうか。
 資料、42でも兼業が見られます。製薬会社のサイトを見れば、お医者さんに幾ら報酬が払われたのか確認することができまして、その医師が利益相反自己申告書を出しているか照会したい場合は、可能なのかどうか確認させてください。

○齋藤都立病院支援部長 東京都情報公開条例に基づきまして、東京都立病院機構にも開示請求が可能でございます。

○上田委員 資料、49によりますと、最高額は二百万円という、二百万何がしというところでございました。
 資料、35、松沢病院における死亡退院患者数の推移について、毎度のことですが、死亡退院の中には自殺は含まれているのか、含まれているのであれば何件か。身体拘束中、あるいはその直後の突然死はあったのでしょうか、あれば、肺感染症のケースはあったのか。二十代、三十代の死亡原因も伺います。

○齋藤都立病院支援部長 平成三十年度から令和四年度までの松沢病院における死亡退院患者のうち、自殺をした方は五名でございます。
 身体拘束中に亡くなった患者は一名で、肺塞栓症の疑いがあったものでございます。
 二十代、三十代の死亡原因は、がんや肝不全など様々でございます。

○上田委員 身体拘束中に亡くなった患者は一名ということで、肺、何でしたか、これは何と読むんでしたか。——すみません、肺塞栓症の疑いありとのことでした。
 私が何か聞くのは、身体拘束することによって、何らかのアクシデントが体内で起こって、そこで亡くなることを危惧していると聞いております。
 松沢病院では、身体拘束中の患者の安全についてどのように取り組まれているのか伺います。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院は、拘束を最小限にし、適切な薬物療法と十分な心理的対応を行う方針を掲げて取り組んでおります。
 また、肺塞栓予防のため、入院時に患者のリスク評価を行い、早期の離床や拘束解除、注意深い観察を行うほか、患者には積極的な下肢の運動、十分な水分補給を促しております。

○上田委員 毎回、松沢の死亡退院を私は確認しておりますが、必ず呼吸器の死因が多いんですが、本来、がんですよね。ちょっと違和感があるので、呼吸器の死亡退院の要因について伺います。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院の呼吸器疾患の死亡退院患者が多い要因につきましては、合併症病棟に他の精神科病院から転院してくる患者の中には、高齢化の影響もございまして、嚥下障害を持つ方も一定数含まれているためと考えております。
 松沢病院では、患者に対する嚥下力強化のトレーニングや唾液の分泌を促進する口腔内のケアを実施しているほか、嚥下力が弱い患者に対しては、内視鏡か嚥下機能検査を行うなど、摂食・嚥下障害看護認定看護師及び歯科衛生士を中心に、患者の誤嚥性肺炎のリスクの軽減に取り組んでおります。

○上田委員 ここまで何かずっと質問しているのは、やはり、オーバードーズの問題がありました、過去に多量多剤で、もう寝たきり状態に若くてもなってしまう、そこで拘束をされる、そして、呼吸器で、誤嚥で亡くなるというようなリスクがあるのではないかということを、実際、今、滝山でも指摘をされているところでありますので、ここは確認をさせていただいたところでございます。
 再入院率なんですけれども、全国平均より一ポイント低いとのことです。診療報酬については、一般に再入院日が前回退院日から三か月以上経過している場合は、三か月未満の場合と比較して診療報酬は高額ということになるので、三か月以内に再入院しようという経済的インセンティブが動いてしまうのではないかと感じております。
 患者の症状に合わせて判断されていると思料いたしますが、伺います。

○齋藤都立病院支援部長 一般に、医師が患者を診察し、個々の患者の状況や必要な治療により、入院治療が必要と判断した場合には医療機関へ入院となります。

○上田委員 その判断を下すお医者様の方なんですが、松沢病院は、昨年は配置は上回っているとのことですが、松沢を含めて精神科入所病棟のある都立病院全体の現状はいかがでしょうか。

○齋藤都立病院支援部長 精神病床を有する都立七病院では、令和五年三月三十一日現在、医療法施行規則に基づく配置必要医師数は計二百四十・二名でございますが、これを上回る計一千二百七十八・六名を配置しております。

○上田委員 東京都のメンタルヘルスの要でございますので、重要なところだと思いました。
 診療報酬制度上、入院基本料は入院期間が短いほどより高く点数が加算されるため、長期入院患者の増に伴い、収益が向上するとは一概にいえないということでしたので、収益優先で入院期間を決めていないという理解でよろしいでしょうか。
 また、国や都は、精神科病院からの地域生活への移行を促進中です。松沢病院は地域の関係機関と連携し、長期在院患者の退院促進に取り組んできたとのことで、直近の平均在院日数は、令和四年度上半期には六十四・三日、これよりも短縮されたのでしょうか、伺います。

○齋藤都立病院支援部長 患者の症状等に応じて入院や退院を決定しております。令和四年度一年間の平均在院日数は六十七・四日、令和五年度上半期は六十六・四日と、おおむね同程度となっております。

○上田委員 統計的には全国的な退院後三十日の再入院がやっぱり異常に多いので、この点も注目していきたいと思います。先ほど答弁いただきましたが、患者さんのクオリティー・オブ・ライフ、経営については、また予算でいわせていただきますけれども、そっちも大事なんですけれども、やっぱり病院でございますので、そちらを最優先されているか確認をさせていただいたところでございます。
 さて、資料、40の身体拘束、隔離ですが、これゼロにはなっていないんです。七百九十四、六百七十二と、一番近くても七百六十四、隔離が二千二百三十五というふうになっておりまして、それでも減少傾向はあるわけでございます。滝山病院も発生しましたことから、都立病院においては、今後さらに改善していくものと、していってほしいと期待するものです。
 現在、院内で行われている具体的な取組、今後の方向性を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院では、患者の個人としての尊厳を尊重し、その人権に配慮しておりまして、患者の安全と適切な医療の確保のため、身体拘束や隔離を必要最小限にとどめるよう努めております。
 やむを得ず拘束や隔離を行った患者については、毎日実施する多職種のカンファレンスにおいて、その必要性を検証しているほか、行動制限最小化委員会を設置いたしまして、病院全体の取組状況や個別事項を共有しております。

○上田委員 身体拘束最小化を実現した二十五の方法、「精神看護」二〇一九年の五月号に載って大変好評を得ていたと聞いております。二〇二〇年は松沢病院でプロセス本を出版されておりますので、その実行をぜひ行っていただきたいと、七百から本当のゼロに近づけていただきたいと思います。
 また、世界的には非常に指摘もあります資料、47の電気ショックといわれる電気けいれん療法も、一応、平成三十年度二千五百から令和四年度は千七百ということで、減少傾向となっておりますが、これもやっぱり四桁なんですけれども、所見を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院における電気けいれん療法につきましては、統合失調症のうち、通常の薬物治療では十分な効果が得られない治療抵抗性統合失調症に対する治療薬の導入によりまして治療の選択肢が増えたことや、適用となる患者が減ったことにより、実施件数が減少しているものと認識しております。

○上田委員 日本初の公営精神病院ですので、強いリーダーシップを取って健全な精神医療の実現をお願いします。
 資料、41です。都立病院における医事関係訴訟について、それぞれの病院、あるいは診療科の内訳をお示しの上、裁判については答弁できないと思いますが、医療訴訟はよほどのことがない限り患者もしないと思います。これらを受けて、謙虚に受け止め、日頃の医療にどう生かされているか、ご所見を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 平成三十年度から令和四年度の都立病院における医事関係訴訟件数は計二十二件でございまして、小児総合医療センターが四件、多摩総合医療センター、多摩北部医療センター、東部地域病院がそれぞれ三件、墨東病院、駒込病院、豊島病院がそれぞれ二件、その他三件でございます。
 医療事故を未然に防止するためには、事故発生の要因を分析し、情報の共有化を図るなど、安全な医療環境を組織として整備することが重要でございまして、各都立病院では、医療安全対策推進委員会及び医療安全対策室、専任リスクマネジャーが中心となって、インシデント・アクシデント・レポートの検証、再発防止策の立案など、様々な対策を行っております。

○上田委員 技術的な確認ができましたが、患者さんへの接遇についても、ぜひよろしくお願いします。
 資料、48です。令和元年から令和四年度までの都立病院及び公社病院における懲戒処分について、処分理由の内訳をお示しください。

○齋藤都立病院支援部長 令和元年度から令和四年度までの懲戒処分理由の内訳は、わいせつ行為等が八件、手当の不正受給が五件、窃盗等が三件、不適切な事務処理が三件、コンピューターの不適正利用が二件、無許可の営利企業等従事が二件、その他が四件でございます。

○上田委員 今、わいせつ八件は困ったものでございます。綱紀粛正の方をよろしくお願いします。
 46の資料です。病児、病後児保育については、各病院ともに利用されているのでしょうか。
 昨今は職場の理解も進みまして、保護者も休みやすい労働環境になっていることから、こちらの事業が、そろそろ卒業なのか、まだ必要なのか確認させてください。

○齋藤都立病院支援部長 駒込、墨東、多摩北部、東部、小児総合医療センターの五病院で自治体からの委託を受け、病児、病後児保育を実施しておりまして、五病院合計の一月当たりの利用者数は、令和三年度で七十五・三人、令和四年度は七十八・〇人でございました。

○上田委員 病児保育は各自治体もやっているので、連携を図りながら引き渡していくということもありなのかなというふうに思っております。
 最後の質問は、私大の運動部の大麻乱用問題が大きな話題となっており、都は長年薬物乱用防止運動を手がけてきました。これ、答弁は要りません、重なってしまうので。先ほど委員の質問がありましたので。
 昨今、問題視されているトー横キッズにも薬物が蔓延をしております。今、韓国芸能界で薬物疑惑が浮上しており、特徴としては、医者が深くこの薬に関与しているということが判明しております。
 インターネットや繁華街で薬物を容易に入手できてしまうことへの取組は、もう進めていらっしゃるようですけれども、過去でも新宿の歌舞伎町で東京クリニック、女性への暴行で逮捕された医者なんですけど、リタリン百二万錠も処方をして、こちらでも処分がされております。
 平成二十五年、監察医務院では、既にちゃんと調べていまして、監察医務院における異状死にみられる薬物乱用・依存等の実態に関する調査研究を行っておりまして、異状死のまず三割が薬物——私は何となく麻薬であったりとか、あとは覚醒剤と思っていたんですが、ほとんどお医者様が処方した薬なんですね、薬で亡くなるということで、これ、自殺でもないんですよね、薬物で異状死をしてしまうということが非常に多いので、こちらの、医師による処方によって薬物が非常に蔓延しないように、反社会の方は警察にお任せするとして、医療機関にもいろんなドクターがおりますので、保健医療局におきましても、こうした東京クリニックみたいなところもありますので、しっかりと目を光らせて、適宜適正な指導監督をお願いしたいということを申し上げて、私の質疑を終わります。

○伊藤委員 大きく二点、質問をさせていただきます。
 まず、一点目です。PFASについて伺います。
 東京都は、平成十六年の調査に始まり、これまでも独自に水質検査を行っておりまして、例えば、水道局においてはTOKYO高度品質プログラム、こうしたことに見られるように、国の基準を大きく上回る水質検査を定期的に実施をされるなど、水道水の安全管理に努めてこられました。
 また、暫定目標値を超えた井戸の飲用を控えるよう助言をするなど、こうした対応をしてこられているということを承知しております。
 一方で、本件については明確な基準が示されない、こうした状況が続いています。いまだ基準や人体への影響が判明をしない中、飲用水はもちろん、水を利用するご商売の方々への風評被害、こうしたことも心配をされています。
 そこでまず、現在までに市民団体でありますとか、マスコミ等が発表していることを含めまして、現状について何点か質問をします。
 まず最初に、市民団体等でPFASの血中濃度について調査をしているというところがございます。血液検査をすると、どういったことが分かるのか、この点について伺います。

○藤井健康安全部長 国の専門家会議は、現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかは明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査の結果のみによる健康影響の把握は困難であるとしております。

○伊藤委員 PFASの血中濃度の検査だけでは、健康影響の把握自体が困難であるということなんですが、時折、比較に出るのが、この血中濃度が、米国アカデミーのガイダンス、この値を超えている人が多いといったような報告があります。
 この評価については、どのように考えるべきでしょうか。

○藤井健康安全部長 血中濃度の評価値につきまして、国の専門家会議は、外国において血中濃度の評価値を設定している例もあるが、この数値を超過した場合に各個人の健康障害を引き起こすということを意味するものではなく、主に集団としての状況を把握し、暴露低減等の対策の参考として設定されているものとしております。

○伊藤委員 そうすると、健康被害に対して直接的に証明されているということは、現時点においてはないということだと理解をしますが、一方で、報道等において都民の中にも不安を抱えていらっしゃる方もいます。こうした方々への不安解消のために、どういったことを都としては行われているのか伺います。

○藤井健康安全部長 本年五月一日から、都民の安心に資するよう、独自に専用電話による相談を実施しております。

○伊藤委員 今ご説明のあった相談電話には、PFASについてのどのような相談が多くあるのか、また、相談を受けられる件数の傾向というのは、どういった状況になっているのか伺います。

○藤井健康安全部長 現在の水道水中のPFOS、PFOAの値に関する相談が多くございまして、お知りになりたい地域をお聞きして、水道局ホームページに掲載されている値をお伝えしているところです。
 この相談につきまして、十月一か月間の相談件数は三十一件となっております。

○伊藤委員 今、るるいただいたご答弁を伺っていますと、必ずしも直ちに人体への影響があるということが明らかになっているわけではないということは分かりました。
 とはいえ、これ明確な基準がない上に、一般的には詳しい知識がないということもありまして、やはりどうしても不安が先行してしまう、あるいは、先ほども申し上げましたが、ご商売で水を利用する方々への風評被害というものも、この影響が心配をされています。
 今後、環境局において、令和六年に予定をしていた地下水の検査を前倒しして進めるということを伺っています。こうした検査を含めて、数値だけが独り歩きしないように、影響などについて正しく理解をしていただくことが重要になると考えます。
 これまでの検査結果を掲載した都の各局のホームページを拝見しますと、様々数値ですとか、そういった情報が掲載をされているんですけれども、例えば、それぞれの分野でページの掲載方法が異なるですとか、掲載内容が知識を持っていない方にとってはとても難しい内容になっているということを感じます。
 こうした点からも、知識がない方が、一般的に調べたいと思うような方が見ても分かるような掲載方法でありますとか、あるいは、その公表の仕方並びに科学的見地について無用な心配が増幅しないように、こうした観点からも十分に配慮して行っていただきたいと考えますが、この点について見解を求めます。

○藤井健康安全部長 先ほど申し上げました専用電話による相談窓口に加えまして、保健医療局ホームページには、関係局と協力して都民向けのQ&Aを掲載しているところです。
 また、十月には都の取組を取りまとめた資料を作成し、ホームページの方に掲載いたしました。
 今後も引き続き、都民に分かりやすい情報発信に努めてまいります。

○伊藤委員 いずれにしましても、国が基準を明確化しないということには、対策の施しようがないということが、まず基本であると思います。
 既に、東京都の方からも国に対して意見を伝えてくださっているということは、いずれも承知をしておりますが、都民の不安解消に向けた、さらなる要請を強力に行っていただきたいということを求めたいと思いますが、この点についての見解を求めます。

○藤井健康安全部長 都は国に対しまして、健康影響及び環境に関する評価につきまして、科学的根拠に基づいた知見を示すように要望しているところです。
 国は現在、PFASに関する科学的知見等の充実を図ることとしており、今後とも国の動向を注視してまいります。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 本件については、先ほども述べましたように、飲用水はもちろんですが、ここにとどまらず、地下水を利用する、こうした商売をされている方々への風評被害というものも心配がされています。
 自治体によっては、井戸水の利用にフィルターをつけるというような取組もしているところもあるようですが、ただ、そもそもこれ自体が、まだ効果があるのかないのかということも明らかにはなっていないということも伺っております。
 ですので、とにかく正しい理解をしていただくための対策、そうしたことのための対策を講じるためにも、繰り返しになりますが、情報提供の方法については、さらなる改善をお願いしたいということと同時に、現場で起きていること、こうした様々な事実に対して把握をしていただいて、寄り添った対応をしていただきたいということをお願いして、二点目の質問に移ります。
 二点目は自殺対策についてです。
 全国の状況を見てみますと、令和二年以降、自殺者数が増加をしており、令和四年の自殺者数は二万一千二百五十二人、その中でも、令和四年には、小中高生の自殺者数が過去最多の五百十四人であるということがデータとして示されています。
 東京都においても同様に、令和二年以降、増加に転じており、四年で二千百九十四人、前年より増加をしています。小中高生につきましては、若干減少したとはいえ、五十四人の若者が自ら命を絶つという深刻な状況が続いています。
 自殺の要因としては、様々な要因の連鎖によるものであり、特効薬のようなものはないのかもしれませんが、だからこそ、継続的かつ幅広い取組が求められます。
 また、要因を解決するための取組は、自殺に至らないまでも、様々な環境の中で生きづらさを抱えている方々への支援にもつながるものと考えます。
 そこで、自殺者数を減少させるためには、自殺の要因について分析を行い、効果的な対策につなげていく必要があるということです。要因分析の基となる警察庁の自殺統計について、より詳細な分析に向けて、令和四年に見直しが行われたということを伺いました。今後、この統計の内容を踏まえ、東京都の対策に生かすことが必要であると考えます。
 警察庁の見直したこの統計の概要、そして、東京都の対応について伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 警察庁の自殺統計は、各都道府県の警察が死因を自殺と判断したケースについて作成した自殺統計原票を取りまとめたものでございます。
 自殺統計原票につきましては、令和四年一月に見直しが行われ、自殺の原因、動機として記録される選択肢が五十二種類から七十五種類に拡充され、例えば、勤務問題では解雇、雇い止め、性別による差別といった項目の追加などが行われました。また、選択可能な原因、動機の項目が三つから四つに変更されるなど、より多くの情報が把握できるようになってございます。
 今後、都におきましても、見直し後の統計データの分析を進めるとともに、関係機関にも情報共有し、効果的な対策につなげてまいります。

○伊藤委員 ありがとうございます。大分詳細に出てくるということですので、ぜひ、今後の対策に期待をしたいと思います。
 そして、もう一つの支援対策として、相談体制の拡充について伺います。
 これまでも東京都の方では、複数の部署が連携をしながら対応されてこられているということを伺っています。現在行われている相談ダイヤルなどが、例えば一つ相談者にとっての助けとなるよう、さらに体制を整えていくことが求められています。
 私は、同じ会派の内山議員が、令和三年の予算特別委員会で、この相談ダイヤルの体制強化について質疑を行いまして、その後、対応時間の延長——これは受付が多い、集中をする時間帯というふうに伺っていますが、こうした時間帯の延長であるとか、あるいは回線の増設、こうしたものが実現をしたということを伺っています。
 苦しみながら助けを求めて電話をかけたところがつながらないという事態は、これは利用者にとっては絶望につながりかねない、こうした事態になってしまいますので、最大限そうした事態を回避するためにも、最後のセーフティーネットとして、できる限りの体制をしいていかなければなりません。ただ、いろいろとお聞きをしていると、実態としては応答率が低いということが、今、課題で上がっているというふうに伺っています。
 令和四年度の相談ダイヤルの対応件数、また応答率の状況、そして都の体制強化に向けた取組について伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 令和四年度の自殺相談ダイヤルの相談対応件数は二万六千二百六十二件、全架電件数に占める応答数の割合は二四・四%でございまして、特に相談の多い午後七時から午後十時までの時間帯につきまして、先月から回線数を二回線から三回線に拡充いたしました。
 また、今年度は、新たに通話音声のテキスト化や着信時に着信番号とひもづけて過去の相談記録の表示等ができるシステムを導入することで、相談員業務の効率化や対応の質の向上を図っていきます。
 こうした回線拡充及びシステム導入後の状況を踏まえまして、今後、必要な相談体制について検討してまいります。

○伊藤委員 これまで、いろいろとお話を伺ったり、自身でも調べてまいりますと、この相談ダイヤルの拡充というところでは、特に人員面で、専門的な知識を持った方を、職員さんを配置しなければならない、そういった難しさがあるんだということは理解をしております。
 とはいえ、増加傾向にある自殺者数を減少させていかなければならない、守れる命を守っていかなければならないという点においては、やはりこれも越えていかなければいけない課題だというふうに思いますので、また、新しい取組も今後スタートするということでご答弁いただきましたので、さらなる体制充実に向けた努力をお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○山加委員 ご苦労さまでございます。ちょうど私が折り返しの時間になるかと思います。
 去年の事務事業を考えますと、午前零時をはるかに回っておりましたので、局が二つに分かれたといっても、体力的には少しは楽かなと思います。一年に一度の事務事業でございますので、多岐にわたっておりますけれども、私は、委員会の中では時間が限られておりますので、委員会以外でもお呼び立てをするかもしれませんが、そのときは快く、力強くお答えをいただきたいと思います。
 後輩の早坂都議が、以前、大塚病院の大規模改修工事についてお伺いをしたことがございます。八年前、平成二十七年度、基本計画を策定しました。早坂都議は、大塚病院の強みを生かして、さらなる充実を図ることを当時求めておりますが、その後八年間、整備に向けて着実に取組が進められていると思います。長い工事も、令和六年、間もなく工事の完了と伺っておりますので、本日は、工事の進捗状況などについて、四点ほどお伺いさせていただきたいと思います。
 まずは、確認の意味で、大塚病院の大規模改修工事の目的、医療の充実についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 大塚病院での工事は、老朽化した施設や設備を改修することで、より安心かつ快適に医療が受けられる環境を整備することを目的としてございます。
 また、行政的医療である周産期医療につきまして、分娩室を二室から四室へ増やすほか、ハイリスク妊娠対応を強化するため、母体胎児集中治療室、いわゆるM-FICUを六床から九床に増床することとしております。
 あわせて、狭隘化していたNICUのスペースを拡張するなど、医療機能の充実に向けて整備を進めているところでございます。
 工事は、診療制限を最小限に抑えるべく、病棟全体を大きく四つのブロックに分けまして順番に進めており、令和六年度には完了する予定となっております。

○山加委員 いうまでもなく、都立病院の施設設備は都民の重要な財産であります。行政的医療を将来にわたって提供していくためには、時期を逸することなく、今後も更新していくことが大切であります。今回の工事、老朽化対策が中心とのことでございましたが、周産期医療を充実させるための強化を図るということも、ただいまの答弁で確認をいたしました。
 また、今回、工事途中で新型コロナ対応が発生しました。私はSARS、MERS、そのときから人獣共通感染症、これの対策が大変重要であること、お亡くなりになりましたが、当時、石原都知事にも度々質疑をさせていただきました。
 その後、陰圧病床の都立病院が増えたりいたしましたが、もともと大塚病院は感染症指定医療機関ではありませんでしたので、そのような中、多くの医療機関と共にコロナの対応に当たっていただきましたことに、まずは大きな感謝とねぎらいを申し上げたいと思います。
 令和元年十二月、中国で最初の新型コロナウイルス感染症が確認をされ、瞬く間に数か月で全世界がパンデミックになったわけでありますが、感染症医療が行政的医療の最たるものであること、行政的医療が本当に大切だということを多くの人々が実感することになったと思います。今後、また新たな感染症、蔓延してほしくはないですが、でも、これは環境の問題の中で、いつどうなるか、いつまたパンデミックが起こるか分からないことであります。
 今回のコロナ対応と同様に、感染症への迅速な対応が求められますが、こうしたことから、新型コロナ対応を踏まえ、感染症対策の強化にどのように今回取り組んだのか、検証の意味でお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 大塚病院では、各病棟に一か所の共用トイレを設置してございますが、新型コロナ患者は感染対策上、移動が困難でございまして、ベッドサイドのポータブルトイレを使用せざるを得ない状況でございました。患者、医療従事者双方からの強い要望もございまして、感染対策や療養環境向上の観点から、病室内に個室トイレと洗面台を設置することといたしました。
 また、感染拡大時に陰圧室として対応可能な病室を十五室新設するなど、新型コロナへの対応を踏まえた感染症対策の強化を図っているところでございます。

○山加委員 ありがとうございます。患者さんの療養環境向上につながり、大変いい取組だと思います。
 私も人生で六回ほど大変大きな病気やけがで入院をいたしておりまして、このトイレ、大変大切であります。入院いたしますと、ベッドとトイレと食事しかありませんので。真の共生社会の実現という言葉が、私も度々、皆様方にお願いをいたしておりますけれども、あらゆる場面でのバリアフリーが不可欠でありますが、特に病院においては、障害をお持ちの方、また、それ以外の配慮が必要な方、そんな方たちが、さらに手術をして配慮がもっともっと必要になる。つまり、ダブル、トリプルで本当の意味で病院内のバリアフリー、今後もますます求められると思います。
 そういう意味においては、今までバリアフリー、少しユニバーサルデザインに基づくバリアフリーという意味では、私が入院したときも、都立病院ではありませんでしたが、トイレが和室であったり、また、手術後、歩行器を使って、そしてまた、車椅子で動いたりいたしますと、引き戸でないとトイレは大変入りにくいんですが、大変苦労したことを思い出します。
 病院には、障害を有する患者など、様々な方が入院されていることから、こうした障害を有する方々にも配慮したトイレの設置となっているのか、確認したいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 今回設置を進めております個室トイレでは、開閉が容易な引き戸を採用するとともに、便座から立ち上がる際などに力を入れやすいようL字型の手すりを設置するなど、障害を有する方を含めて安心してご利用いただけるよう配慮しております。
 また、車椅子をご利用の場合には、一定の広さが必要であるため、各病棟の中央部分にある車椅子使用者が利用可能なトイレをご案内するほか、感染症などで病室から出られない患者は、看護師の介助の下で病室内のトイレを利用していただくこととしております。

○山加委員 今後、ほかの都立病院でも建て替え、大規模改修が進められることと思います。その際には、今回のコロナ対応もしっかりと踏まえながら、感染対策など不測の事態への備えも十分に検討していただきたいと思います。
 また、施設整備の影響を受けやすい障害を有する方にも十分に配慮をしていただきたい、このことを重ねてお願いを申し上げたいと思います。
 さて、今の答弁で、病室にトイレが設置されますと、その分だけベッドが置けなくなる、もしくは少なくなるわけですから、病床数への影響もあろうかと思うんですが、工事後の病床数を伺い、そしてまた、心配なのは今後病床数が減った場合、患者受入れに影響がないのかどうかお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 個室トイレ及び洗面台の設置に伴いまして、工事後の医療法許可病床数は、改修前の五百八床から四百十三床へと変更を予定してございます。
 内訳といたしまして、一般病床は減少となるものの、医療機関では手術前検査の外来移行が進むなど、平均在院日数の短縮が進んでおりまして、大塚病院でも、令和四年度の平均在院日数は十・七日となっておりまして、平成二十五年の四分の三程度になっております。
 病床数は五分の四程度となる予定でございますが、それを上回る平均在院日数の短縮で、より多くの患者を受け入れられることから、改修前と比べても、十分な新入院患者の受入れが可能でございます。
 一方で、特別な施設基準が設けられているICUやNICUといった集中治療室や、GCUと呼ばれる新生児回復期治療室は、改修前と同数を確保するとともに、M-FICUを六床から九床へ増床して機能強化を図るほか、各病棟にございました二床室を一床室に改修いたしまして、プライバシーの確保など、療養環境の向上に向けて取り組んでいるところでございます。

○山加委員 ありがとうございます。
 東京都地域医療構想等では、地域の医療機関、医療関係団体、行政などが役割分担や連携を図りながら、地域に不足する医療機能を確保することとしています。
 答弁を伺い、改めて思います。各病院で病床数を確保し続けること、これ自体が重要なのではなく、現在の医療水準における適切な入院期間の下で、患者一人一人のクオリティー・オブ・ライフ、QOL、生活の質の向上を図りながら、各病院がその専門性を発揮して、東京全体でよりよい医療を提供していくということが求められているのだと思います。
 先ほどの答弁、病床数五百八から四百十三という数字だけを取り上げますとマイナス九十五床ですから、大変不安を感じる方もいらっしゃると思いますので、どうかしっかりと中身の説明をして、部分的な、この数字の部分だけで減ったという、そこだけを取り上げて不安を感じることがないよう、安心を提供していただきたい、このことを強くお願いしたいと思います。
 大塚病院が患者の療養環境向上を図りながら、周産期医療などを中心にその求められる医療を果たそうとしていることは高く評価ができることと思います。今後とも、地域の医療機関などとも十分に連携を取りながら、そして連携を図り、都民のための医療を提供していっていただきたいと思います。お願いを申し上げ、質問を終わります。よろしくお願いします。

○北口委員 それでは、私からも様々質疑をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、難病対策について質問をさせていただきます。
 難病対策は、昭和四十七年に国が難病対策要綱を策定して以来、法整備や指定の拡大など、今日まで様々な対策が進められてまいりました。特に、平成二十七年に施行された難病法によりまして、難病患者への支援が大きく前進をし、現在では、指定難病の数は三百三十八というふうに伺っております。この間、我が党は難病患者に寄り添いまして、党を挙げて声を聞き、一貫して支援の拡充を求めてまいったところでございます。
 難病につきましては、その希少性によりまして、発症から確定診断までに長期の時間を要する場合も多いというふうに伺っております。希少な疾病を含め、できる限り早期に発見をし、治療につなげることが重要であるというふうに考えておりますが、都の取組についてお伺いをいたします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、早期の正しい診断、適切な疾病管理のための治療継続及び良質な療養生活の確保を図るため、難病診療連携拠点病院及び難病医療協力病院を指定し、地域のかかりつけ医も含めたネットワークを構築しております。
 難病診療連携拠点病院は、極めてまれな疾病を含め、難病全般について早期診断、専門治療を行い、難病医療協力病院は、主要な難病の診断、標準治療を行っております。
 また、都は、患者の療養生活を支える医療従事者の資質向上を図るため、難病医療費助成制度や、代表的な疾患の診断方法等につきまして、難病診療に係る医療従事者を対象とする研修を年五回開催し、難病に関する総合的な知識の普及に取り組んでおります。
 引き続き、難病患者が早期に正しい診断を受け、住み慣れた地域で療養生活を送れるよう、医療提供体制の充実に向けて取り組んでまいります。

○北口委員 聞くところによりますと、難病、発症から診断までに数年、または十年以上かかったという話もよく耳にします。少しでも早く難病者の皆様が、自分の病気の確定診断がなされて治療が開始できるように、今後ともご尽力いただきたいというふうに思います。
 さて、本年の十月一日より、改正難病法が一部施行されました。難病患者が医療費助成を受けられるのが、今までは助成申請時からだったのが、診断確定時に、原則一か月遡って助成を受け取れるようになりました。
 また、来年四月には、難病患者であることを証明し福祉サービスなどを受けやすくする登録者証も発行されるというふうに聞いております。こうした取組が、難病患者の皆様に広く周知をされて、少しでも負担が軽減されることが望まれております。
 この難病法の改正について、漏れなく難病患者の皆様に伝えることが重要だというふうに思いますけれども、広報についてどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 今回の法改正の内容を難病患者へ効果的に伝えるためには、主治医を通じて患者に周知するなど、日頃から患者の診療を行う医療機関の協力を得ることが重要でございます。
 本年十月に施行された医療費助成開始時期の前倒しに合わせまして、都では、リーフレットに加えてポスターを作成し、都内約六千二百か所の難病指定医療機関へ配布するとともに、東京都医師会等の関係機関を通じて周知いたしました。
 さらに、医療費助成の対象者へ毎年送付する更新手続の案内や、難病ポータルサイトに改正内容を記載するなど、あらゆる機会を活用し、丁寧に周知してまいります。

○北口委員 ぜひ今後も、難病患者に寄り添った対応を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、大規模災害時の医療体制について質問をさせていただきます。
 大規模災害時には、多数の負傷者が発生することが想定され、限られた医療資源を効率的、また効果的に運用し、負傷者の収容、治療を行わなくてはならないというふうに思います。より多くの命を救うためには、首都直下地震等の発生に備え、平時から、都と区市町村がそれぞれの役割に基づき、連携して体制を整備しておく必要があるというふうに考えます。
 都全域で広域的に傷病者を受け入れるために行ってきた取組の内容について、まずはお伺いをいたします。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、救急医療を担う医師から都内全域を統括調整する東京都災害医療コーディネーターを指定するとともに、二次医療圏ごとに地域の実情を踏まえながら、医療資源の効果的な配分、患者搬送等の調整を行います地域災害医療コーディネーターを指定しております。
 また、区市町村では、地域で活動する医師から区市町村災害医療コーディネーターを指定しております。傷病者の受入れ調整は、区市町村災害医療コーディネーターが行うこととなっておりまして、その区市町村内の医療機関で受入れが困難な場合には、地域災害医療コーディネーターが受入先を調整することとしております。
 さらに、広域的な対応が必要な場合には、地域災害医療コーディネーターと東京都災害医療コーディネーターが連携をいたしまして、都全域で受入れ医療機関を調整する体制を整備しております。

○北口委員 医療コーディネーターを、医療圏ごと、また区市町村ごと、また、さらには東京都ということで配置をして、適切に連携しながら、傷病者の受入れを広域的に行うということでありました。ぜひよろしくお願いいたします。
 また、緊急時に、区市町村では緊急医療救護所を開設することとなっておりますけれども、救護所でのトリアージの結果、重症者の収容、治療が可能な病院への傷病者搬送が必要な場合もあると思います。
 区市町村が地域の状況に応じて緊急医療救護所設置の準備を進めるには、傷病者の搬送体制確保を含めた区市町村への支援が必要というふうにも考えますが、見解を伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 病院の近接地等に区市町村が設置をいたします緊急医療救護所では、傷病者のトリアージや応急処置等を行うこととなっており、都は、緊急医療救護所の設置準備や訓練に取り組む区市町村を包括補助事業により支援をしております。
 また、災害時における傷病者搬送の必要に備えまして、消防、警察、自衛隊等関係機関や民間事業者と連携をいたしまして、救急車、ヘリコプター、船舶等により、重症度、傷病者数及び搬送距離に応じた搬送手段を確保しております。
 災害時には、都や区市町村が設置をする災害医療コーディネーターが中心となって搬送手段の調整を行うこととしておりまして、区市町村と連携して、地域の実情に即した体制の整備を進めてまいります。

○北口委員 ぜひ、こうした取組が緊急時にスムーズに発揮されるように、日頃の訓練等も含めまして、何とぞよろしくお願いいたします。
 そしてまた、緊急医療救護所の設置につきましては、区市町村ごとに医療資源に差があります。地域ごと様々な事情があろうかと思います。例えば、墨田区にある東京都リハビリテーション病院、これは、現在災害医療支援病院に位置づけられておりますけれども、耐震化された建物や設備、備蓄品などを考慮すれば、災害時には、支援病院以上の役割を受け持つことが可能だというふうにも考えます。
 都は、災害時の地域医療の対応力を向上させるために、各区市町村に寄り添った支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、依存症治療についてお伺いをいたします。
 以前、摂食障害を患う娘さんを育てるお母様からご相談を受けたことがございます。摂食障害で入院をし、体を治療しても心の治療がままならないと、結局、自宅に戻っても、また同じことを繰り返してしまうというふうな悲痛な訴えをいただきました。
 摂食障害やアルコール等の依存症は、身体疾患を治療しても、精神疾患の治療を行わないと根本的な解決にはつながりません。また、地域に帰っても治療が継続できるよう、地域の医療機関との連携も図りながら治療を進めることが重要だというふうにも考えます。
 そこで、摂食障害や薬物、アルコールといった依存症治療に率先して取り組んでいる都立病院での取組や、地域の医療機関との連携についてお伺いをいたします。

○齋藤都立病院支援部長 摂食障害について、小児総合医療センターでは、こころの電話相談室で本人や家族、関係者からの相談を受け付けているほか、地域医療機関からの紹介を受け、精神科や内科の医師、看護師、心理士、管理栄養士等が専門性を発揮して治療に当たっております。
 また、薬物、アルコール等の依存症について、松沢病院では、依存症病棟での入院治療や専門外来での診療、依存症デイケアを柱として、急性期症状の対応から依存症の回復、社会復帰まで、地域の医療機関等と連携しながら、切れ目のない治療を提供しております。
 令和五年三月には、専門医による入院治療等の選定基準を満たした医療機関でありますアルコール健康障害の東京都依存症専門医療機関に選定されるとともに、地域の医療従事者を対象とした研修等を実施いたします依存症治療拠点機関にも選ばれておりまして、地域の依存症治療の向上に取り組んでおります。

○北口委員 なかなか精神治療と依存症の治療、連携して一体的に専門的な治療が受けられる施設が少ないというお声も届いております。ぜひ、地域の依存症治療の質と量の両面での向上に、今後も取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、関連をしまして、精神科病院での取組について、ちょっと私、伺いたいと思います。
 精神科病院では、興奮して攻撃的な状態にある患者への対応などもあり、対応に苦慮されるケースが多いということを聞いております。現場で難しい対応を迫られている中で、質の高い精神科医療との両立は、とても難しいというふうにも思いますけれども、松沢病院での職員の対応力向上に向けた取組について、お伺いをいたします。

○齋藤都立病院支援部長 病状により、不穏な状態にある患者に寄り添い、患者の尊厳と安全を守りながら必要な医療を提供するため、令和四年度は、延べ約二百名の看護師等が包括的暴力防止プログラムの各種研修等を受講いたしました。
 研修では、例えば暴力防止の基本原則や理論のほか、心理学的知見を基に、言語的、非言語的なコミュニケーション技法によって、怒りや衝動性、攻撃性を和らげ、患者をふだんの穏やかな状態に戻す手法などを学んでおります。
 また、行動制限最小化委員会を設置いたしまして、身体拘束ゼロに向けて取り組んでおりまして、患者の視点に立った看護を実践するための研修を実施するほか、身体拘束をしないことに伴うリスクについて、病院として責任を明らかにし、職員が安心して身体拘束をしない環境を整えております。

○北口委員 現場職員の皆様のご努力に、改めて敬意を表したいというふうに思います。患者さんの安全と安心の確保はもちろんでございますけれども、日々難しい対応を迫られる職員の皆様が、心身ともに健全で安心して職務を遂行できるよう職員の皆様への支援も、引き続きどうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、保健所のデジタル化についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年に発生しました新型コロナウイルス感染症のパンデミックでございますが、日本全体のデジタル化の遅れを浮き彫りにいたしました。そして、このコロナ禍の中で必要に迫られ、あらゆる分野でデジタル化が大きく進んだことも、また事実でございます。
 保健所においても、新型コロナ発生当初は、医療機関からファクスなどで患者の発生届が届いたりと、大変煩雑な作業になったと仄聞をしておりますけれども、様々な変遷をたどりながらも、現在では、国で開発した、国と区市町村が共通で患者を管理できるシステムも稼動しているというふうにも聞いております。
 そこで、コロナ禍における都保健所での都のデジタル化の取組について、お伺いをいたします。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、令和三年夏の第五波における保健所業務の逼迫を踏まえ、デジタル技術の活用により、保健所職員の負担軽減や業務の効率化を図ってまいりました。
 具体的には、従来、紙やホワイトボードで行っていた患者対応の進捗管理について、一元的なデータ管理が行えるシステムを構築いたしました。
 また、電話で行ってきた患者への連絡や問合せ対応をショートメッセージサービスやチャットボットに切り替えるとともに、電話音声の自動テキスト化等の技術を新たに導入いたしました。
 こうした技術を新型コロナ感染症の五類移行後も一部で継続して活用するとともに、紙の帳票の電子化を図るなど、引き続き業務のデジタル化を推進してまいります。

○北口委員 デジタル化の推進は現場の負担軽減になるだけではなくて、新たな価値を創造する可能性を秘めております。国のシステムとも連携をし、効率的に運用できるように取組をぜひお願いいたします。
 また、区部の保健所におきましても、当然ながら都との連携が不可欠でございます。都が開発したシステムを区部でも運用するなど、プラットフォームの共用化、ここもぜひ念頭に置きながら取組を進めていただきたいというふうに思います。
 最後に、山間部の救急搬送体制についてお伺いをさせていただきます。
 都は、多摩地域においてドクターヘリを運航しておりまして、多くの都民、特に大きな病院まで行くのに時間がかかる山間部の住民には、安心感の大きな向上につながっております。
 一方で、ドクターヘリが患者を収容するランデブーポイントは、山間部では山の上にある場合もあり、緊急時の使用について心配をする声も聞かれております。山間部では特に場所の確保が難しいとは思いますけれども、緊急を要する患者の搬送には、利便性の高い場所にランデブーポイントがあることが望ましいというふうに考えております。
 ドクターヘリをより効果的に運用するためには、ランデブーポイントの確保が欠かせませんけれども、都はどのような取組を行っているのか伺わせていただきます。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 ドクターヘリは、ランデブーポイントで救急車から患者を引き継ぎ、現場や機内で治療を行いながら医療機関に搬送するものでございまして、より効果的な運用を図るためには、ランデブーポイントの確保が重要でございます。
 ランデブーポイントには、平たんな広い場所で、周囲の建物等から一定の距離があり、ドクターヘリの離着陸の動線上に高圧電線など障害物がないことなどの条件がございます。ランデブーポイントの登録に当たりましては、候補地を選定し、地権者、関係者との交渉を行った上で、運航会社等における現地確認や近隣の住民及び施設利用者等への説明を行っております。
 令和四年三月の運航開始時におけますランデブーポイントは九十九か所でございましたが、その後の取組により、令和五年三月時点では百九十五か所となってございます。

○北口委員 都は、適時ランデブーポイントの確保に向けて、適地の選定や地権者との交渉を行っているということでございました。
 都の山間部においては高齢化も進んでおり、救急の需要は高まっているというふうにも感じております。なるべく集落の近くにランデブーポイントを設置できることが望まれております。
 学校や民間駐車場などの活用も見据えながら、ぜひ今後も、取組を推進していただくことを要望しまして、質問を終わらせていただきます。

○あかねがくぼ委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十五分間休憩いたします。
   午後五時四十分休憩

   午後六時五分開議

○あかねがくぼ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。よろしくお願いいたします。
 私からは、発がん性など健康への悪影響が指摘される有機フッ素化合物、PFASについて質問いたします。
 PFASについては、保健医療局、環境局、水道局、産業労働局、そして横田基地を所管する都市整備局と担当が多岐にわたっていますが、本日は、保健医療局の質疑ですから、都民の健康への影響が心配されている問題として、その解決のために何が必要か、都として何ができるのかという観点で質問してまいりたいと思います。
 皆さんご存じのことと思いますが、有機フッ素化合物、PFASは、熱に強く、水や油をはじく性質から、フライパンや化粧品、衣類や包装紙、泡消火剤など、幅広く使用されてきました。人工的につくり出されたPFASは自然界ではほとんど分解されないため、一旦環境中に出されると、いつまでも、何十年、何百年もの間、残留し続けるという特徴があります。そのため、永遠の化学物質と呼ばれてきました。
 世界各国で規制が強まり、日本でもようやくPFOSとPFOAの暫定目標値が五十ナノグラム・パー・リットルと定められました。現在、都内では六市四十本の水源井戸の取水を止めるなどの対応が取られています。
 そこで、まず伺いますが、保健医療局は、これまでPFAS汚染問題にどのように取り組んできたのか、また、今後どのような姿勢でこの問題に取り組むのか、お答えください。

○藤井健康安全部長 都は、飲用井戸等につきまして、設置者の協力を得ながら水質等の状況を把握するための検査を実施しております。検査の結果、国が定めるPFOS等の暫定目標値の超過が確認された場合には、施設の設置者に対し、飲用に供さないことなどの助言を行っております。
 また、本年五月一日から、都民の安心に資するよう、独自に専用電話による相談を実施しております。
 国に対し、健康影響及び環境に関する評価につきまして、科学的根拠に基づいた知見を示すよう要望しております。今後も、国の動向を注視してまいります。

○里吉委員 先ほども少し質疑でありましたけれども、東京都は十月に有機フッ素化合物に関する東京都の取組というものを発行、ホームページに出されています。これはどのような経緯、理由で発行したのでしょうか、伺います。

○藤井健康安全部長 都民にPFOS等について理解を深めていただき、安心につながりますよう、情報発信を目的として作成いたしたものでございます。

○里吉委員 安心につながるように、情報発信することを目的として作成されたということでした。
 私もこれを読ませていただきましたが、まず、一ページめくると、都の水道水は国の定める暫定目標値を大幅に下回っており、水道水の安全性を確保していると書いてあります。
 しかし、今年、アメリカの環境保護庁は、PFOS四ナノグラム・パー・リットル、PFOAも四ナノグラム・パー・リットルと、日本に比べて圧倒的に厳しい基準に引き上げる案を発表しています。昨年出した健康勧告値、これが望ましいという数字ですけれども、これはPFOSが〇・〇二ナノグラム・パー・リットル、PFOAは〇・〇〇四ナノグラム・パー・リットルとなっています。
 こうした動きを見ておりますと、暫定目標値を大幅に下回っていても、それで安全性を確保しているなどといえるのか大いに疑問です。これだけ読んでも、とても安心などできないと私は思います。
 先ほどもいいましたように、PFASは自然界でほとんど分解されません。蓄積されていくため、永遠の化学物質といわれています。その汚染された水道水を何年も飲み続けてきた多摩地域の皆さんが、健康への影響はないのかと心配の声を上げるのは当然だと思います。
 そこで、確認したいのは人体への影響です。PFASの人への健康影響については、どのようなことが分かっていますか。

○藤井健康安全部長 PFOS、PFOAにつきましては、どの程度の量が体に入ると影響が出るのか、いまだ確定的な知見はないところでございます。

○里吉委員 保健医療局のホームページの中にPFASへのQ&Aというのがあるんですが、そこに健康影響という項目がありまして、そこのトップに、PFASの人への健康影響についてどのようなことが分かっていますかという項目があります。
 そこには幾つかの健康への影響が書かれているんですが、そこについてお答えいただきたいと思います。

○藤井健康安全部長 ホームページの記載についてでございますが、人に対して、免疫系、血清中コレステロール、肝臓、生殖、腎臓がん、精巣がん、甲状腺ホルモンなどへの影響が指摘されていますが、どの程度の量や濃度でどのような影響を及ぼすかについては現時点で必ずしも明らかになっておりませんと記載しております。
 なお、国によれば、国内においてPFOS、PFOAの摂取が主たる要因と見られる個人の健康被害が発生したという事例は確認されておりません。

○里吉委員 ですから、まだ分からないということですよね。分からないということで、しかし、PFOSもPFOAも暫定の数値が決められて、それ以上の水はもう止めるという対応を取っていると。なぜなのかといったら、健康に影響がある可能性があるからだと。まだ国内では知見がはっきりしていないので、国に対して意見をいっているけれども、ここ、最初から読まないというのは大変不誠実だと思いますよ。今、読まれましたけれども、そういうことがこちらには書いてあるんです、ホームページには。しかし、こちらの有機フッ素化合物に関する東京都の取組には一切そのようなことは載っていませんでした。
 もう皆さんご存じのことだと思いますが、アメリカでは、大手化学薬品メーカー、デュポンの工場周辺住民による裁判がきっかけで七万人の調査が行われ、少なくとも六つの疾患と確実な関連性があることが確認されています。六つとは、腎臓がん、精巣がん、潰瘍性大腸炎、高コレステロール血症、甲状腺疾患、妊娠性高血圧症と、これが明らかになっています。
 それから、二〇二二年には、アメリカの学術機関、全米アカデミーズが世界各国から出版された五千以上の論文を分析し、PFASについて、腎臓がんのリスクの増加、脂質異常症、抗体反応の低下、胎児・乳児の成長阻害、この四つについての関連性、これの十分なエビデンスがあるとした内容などを指針書、ガイダンスとしてまとめました。
 このガイダンスの中では、健康影響を書いただけでなくて、日常診療をする先生方に、日常診療をどのように行うかということも指針として示しているんです。それが、血清中濃度が二十ナノグラム・パー・ミリリットルを超えた場合、脂質代謝異常症のスクリーニングを行いましょうとか、来院時には甲状腺機能の評価を行いましょうとか、いろいろそういうことが奨励されています。
 血中濃度を図ったことで、既に体内にPFASが取り込まれているということが分かったわけですから、それを知った上で、特にかかりやすい病気などに注意を払う、リスクを少しでも減らすために医師が取り組む、これは本当に大事な取組だと思います。
 今、民間で血液検査に取り組まれておりますけれども、その理由は、健康被害のリスクがあることが、こうしてアメリカなどで明らかになっているからです。このことについての認識を伺います。

○藤井健康安全部長 血液検査についてですが、国の専門家会議は、現時点の知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかは明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査の結果のみによる健康影響の把握は困難であるとしております。

○里吉委員 今、確認しますけれども、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかは明らかでないということです、そうおっしゃいましたよね。これは、健康影響がないということとは違いますよね。確認したいと思います。

○藤井健康安全部長 繰り返しになりますが、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるのか明らかでなく、血液検査の結果のみによる健康影響の把握は困難であるというふうにいわれております。

○里吉委員 そうしますと、アメリカやドイツで、血中濃度でこれ以上は危険という数字が示されていますよね。それはご存じですよね。日本はそれがないわけです、そういう研究がされていないので。なので、今現時点で日本では、どの程度の血中濃度以上だと危ないとか、どの程度だったら大丈夫でしょうとか、そういう線引きはないということなんですよね。
 水については、やっとPFOSとPFOAで五十ナノグラム・パー・リットルという暫定目標値ですけれども、できました。血液はまだありません、確かに日本では。しかし、水の中にPFOS、PFOAがあるからといって、すぐにそこに住んでいる方の健康に影響が出るかといえば、そんな単純な話ではありませんよね。
 やっぱり、そこの水をどれだけ使ったのかとか、何年住んでいたのかとか、また、水以外にもいろんなところから体の中に取り込む可能性があるわけですから、そういうことを考えたときに、血中濃度が、血液の中にPFOSが入っているということと健康影響は関係がないということはないと。
 どれぐらいの関係があるかとか、そういうことは分からないと思うんですけれども、関係がないとはいえませんよね。それはちょっと確認させていただきたいんですけど、大事なところですので。

○藤井健康安全部長 今、国の専門家会議が示しておりますのは、先ほども申し上げたとおり、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかは明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査の結果のみによる健康影響の把握は困難であるということとなっております。

○里吉委員 それはもう何回も聞いたので分かっているんですけれども、これ、実は国会でも議論があって、国会でも議論の中で大臣が、高ければ相対的には健康影響のリスクは高いんだろうと、そういうことだろうと思うけれども、でも、この基準を下回っていれば安全だとか、超えていたら必ず健康影響が出るとか、こういった基準を設けることはなかなか難しいんだということをいっているんです。
 だから、それはまだ日本に、それだけの検査がされていませんし、議論が、研究が進んでいませんから、今いったことを私は否定しているわけではありません。ただ、自分の体の中にそういうものを、永遠の化学物質ですよ、それ出ていくかもしれないし、それを取り込んだ人がみんな病気になるといっているわけではありません。
 健康リスクが高まる可能性があるんじゃないかと、そのことについて否定するのかどうかと、否定はできないんじゃないですかという質問なんですが、最後にもう一度だけお答えください。

○藤井健康安全部長 都は国に対しまして、健康影響及び環境に関する評価について、科学的根拠に基づいた知見を示すよう要望しているところです。

○里吉委員 国に対して、きちんとそういう基準を設けてくださいと東京都がいっているのはよく分かりました。
 それがないと、なかなか、それを東京都としてどう取り組んだらいいのか分からないという答弁だと思うんですけれども、少なくとも化学物質が体の中に取り込まれているということが血液検査で分かっているのに、そのことについて、健康に影響がないなんていえないと思うんです。そこをきちんと答弁していただけなかったというのは本当に驚きです。厳しく指摘しておきたいと思います。
 その上で、過去の公害、アスベストなどでもそうですけれども、対策が遅れれば遅れるだけ健康被害が広がるおそれがあるわけです。深刻になるおそれがあるわけです。ですから、対策強化に取り組むことが求められているわけです。
 これまで、保健医療局は、飲用井戸等での水質検査や電話相談窓口での相談対応を実施してきましたし、Q&Aなんかも作成して健康影響への質問に答えたりしています。
 しかし、今住民の皆さんが求めているのは、その一歩先を行く、健康リスクを下げるための対策を求めているんです。
 多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会の皆さんが行った血液検査は、七百九十一名中、多摩地域三十市町村の参加者で七百八十九名となりました。この結果、北多摩を中心に多くの多摩地域の住民の皆さんの血中PFAS濃度が高い、特に国分寺市、立川市の居住者は、相当の割合でPFAS濃度が高い状況にあることが示されました。
 この血液検査に一緒に取り組んだ立川市にある病院、健生会、ここでは、今年五月に血液検査を受けた住民の皆さんを対象にPFAS相談外来、全国で初めてだそうですが、これを開設いたしました。
 血液検査では、米国アカデミーの健康被害のおそれがある指針値を超えた住民が国分寺で九三%、立川で七四%、武蔵野で七〇%、国立市六三%、こういう皆さんが検査を受けた後、健生会で、米国アカデミーのガイドラインなども参考にPFAS診断基準、PFAS診断手引を作成されていて、ここで診断を受けているわけです。
 PFASの健康リスクとして現在挙げられている腎臓がんや甲状腺疾患、脂質異常症などを念頭に問診して検査を行い、必要があれば専門医に紹介する、こういうことをやっているわけです。さらに、独自に作成したPFASガイドブックを手渡して、健康リスクや新たな暴露を避ける方法なども伝えています。
 ここで診察している青木医師は、日本では証拠がないといって規制や対策を後回しにする傾向があるが、実際に健康被害が出てからでは遅い、先行する欧米の規制や対策にも学びながら、職員や住民と一緒に地域の健康を守りたい、こうおっしゃっているんです。
 行政がやるべきことは、まだまだたくさんあると思います。こうした健康影響への心配に応える保健医療局に対しては、今回行った血液検査の結果が深刻だった地域のほかの住民の皆さんに対しても、血液検査を行ってほしい、この要望は繰り返し出されています。これ検討すべきではありませんか、改めて伺います。

○藤井健康安全部長 国の専門家会議は、現時点の知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかは明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査の結果のみによる健康影響の把握は困難としております。
 都は国に対しまして、健康影響及び環境に関する評価について、科学的根拠に基づいた知見を示すように要望しているところです。

○里吉委員 国が早く対策を取らなくちゃいけないことは私も十分分かっています。その上で、今、多摩地域では、先ほどの米国アカデミーなどの知見も踏まえて、地域住民と民間の医療機関が頑張っているわけです。しかし、民間の取組には限界があります。都として血液検査などに取り組む、これも一つの仕事だと思います。そして、それがすぐにできないのであれば、現在行っている民間の検査などを支援することはできないか、ほかに都として何かできないのか、本気で考えていただきたいと思います。
 十一月三日の沖縄タイムスの報道で、横田基地で今年一月、PFASが含まれた消火薬剤に汚染された水が二日連続で漏れていたことが明らかになりました。濃度は、日本の暫定指針値の五万四千四百倍に達していたと。消火用スプリンクラー設備の部品が凍結によって破損して内部のPFAS汚染水が漏れ出したということなんですが、原因はいまだ不明だということです。漏れ出した後、PFAS汚染水の処理が適切に行われたのか、また同じように事故が起きるのではないかと本当に心配になります。
 この現場は、民間地との境界から百メートルしか離れていない場所なんです。これを米軍がなぜ公表しなかったのかと、こんなことは本当に許されるものではないと思います。
 まだこういうことが起こっているわけです。ですから、改めて都民の健康への不安に応えるということが仕事であるというのであれば、本気の対策を保健医療局として取り組んでいただきたい、このことを求めて、質問を終わります。

○鈴木委員 鈴木烈と申します。私からもPFAS問題について質問をさせていただきたいと思います。
 複数の委員が既に触れていらっしゃいますけれども、現在、PFASは発がん性が疑われて、国際的にその利用の制限、禁止が進んでいます。先ほどからご説明をいただいていますとおり、私も本来、PFAS問題とは、現時点では国の問題だと思っています。しかし、国の対応は残念ながら後手後手で、いまだに規制すべきPFASの範囲や正式な基準値の設定すらできていない状況です。
 基準ができないから調査ができない、調査ができないから基準ができない、調査ができないから汚染の原因究明も汚染の状況も分からない、健康被害も分からない、何も分からない、こういう状況が続いてしまっていると思います。
 その一方で、横田基地や嘉手納基地での米軍基地、もしくは、旧デュポンの清水工場等の民間工場周辺から高濃度のPFASが検出され、多くの周辺住民が不安を感じています。
 健康不安だけでなく、例えば都内の多摩地域では、多くの水源で暫定目標値を超えるPFAS汚染が発見をされ、取水が停止になってしまっています。民間の井戸でも多くの井戸がPFAS汚染を理由に利用できなくなり、代わりに水道水を利用せざるを得ない、多額のコスト負担を強いられています。国の対応を待っているうちに様々な被害がさらに拡散しかねない、そんな状況だと私は認識をしています。
 国にまずは、PFASの範囲や基準値の設定を求めつつも、都独自の立場で都民の健康を守るための実態把握と原因究明に努めていくべきだという立場から、以下、質問をさせていただきたいと存じます。
 まず一つ目の質問でございます。保健医療局のPFAS問題に対する基本的な姿勢を簡潔にご説明ください。

○藤井健康安全部長 都は、飲用井戸等につきまして、設置者の協力を得ながら水質等の状況を把握するための検査を実施しております。検査の結果、国が定めるPFOS等の暫定目標値の超過が確認された場合には、施設の設置者に対しまして、飲用に供さないことなどの助言を行っております。
 また、本年五月一日から、都民の安心に資するよう、独自に専用電話による相談を実施しております。
 国に対して、健康影響及び環境に関する評価について、科学的根拠に基づいた知見を示すよう要望しておりまして、今後も国の動向を注視してまいります。

○鈴木委員 次の質問に移ります。
 先ほど里吉委員からもご指摘がございましたけれども、ちょうど先週の金曜日の沖縄タイムスで、非常に残念なニュースが報じられたところでございます。そのニュースによると、今年の一月、PFAS入りの消火剤に汚染された水が二日連続で漏れ出ていたことが分かったと。その汚染水のPFAS濃度は、日本の暫定目標値の五万四千四百倍、量は七百六十リットル、これが二日間にわたって横田基地内部で漏れ出したということでございます。
 多くの専門家が指摘をされていますけれども、多摩地域の地下水脈というのは南南東の方向に流れておりまして、この横田基地で流れ出したPFASの汚染水が、そのまま私の地元でございます立川市やお隣の国分寺方面に広がっているのは明白でございまして、事実、各種調査によって、同地域ではPFASによる高濃度の汚染が確認をされているところでございます。
 PFAS汚染水の事故が繰り返されてきたのは非常に残念でございますが、日米の力関係や地位協定という高いハードルがある以上、東京都としてできることが限定されているということは私も理解しているつもりです。しかし、それでも東京都として、もう少しできることがあるんじゃないのかなというふうに考えているところでございます。
 例えば、私の地元でございます立川市には、横田基地のすぐ近く、基地外なんですけど、基地外の南南東部分に保健医療局管理のモニタリング井戸がございます。二〇〇八年度から二〇一八年度まで過去四回の水質調査を行っておりまして、四回とも暫定目標値の五十ナノグラム・パー・リットルを大きく超えるPFASが検出をされています。特に直近の二〇一八年度調査では、千三百四十ナノグラム・パー・リットル、目標値の二十六・八倍の数値が検出をされてしまっているんです。非常に深刻な状況であると思います。
 ただ、さらにここでご指摘をしたいのは、こんな深刻な数値が出ているにもかかわらず、福祉保健局は、このモニタリング井戸の調査を二〇一八年度を境にやめられてしまっているんです。何でやめてしまったのかなと。続けていれば、例えば今年やっていれば、今年一月の横田基地の漏えい事故の結果がどう出てくるのか、そういったことがモニタリングできて、その結果を国に伝えて、国から横田基地に防衛省を通じて交渉してもらうと。いろんなことができたと思うんですけど、なぜかこのモニタリングを東京都はやめてしまったと。
 やめてしまった経緯と理由をご説明いただきたいと思います。

○藤井健康安全部長 都は、飲用井戸等について、設置者の協力を得ながら水質等の状況を把握するための検査を実施しているところです。
 二〇一九年一月に検査した井戸につきまして、飲用していないものについては、その後、検査をしておりません。

○鈴木委員 つまり、飲用をやめてしまったから、もうモニタリングもやめたという理解でよろしいんでしょうか。

○藤井健康安全部長 二〇一八年度までの検査に関しましては、PFAS——PFOA、PFOSの測定を目的としたものはございませんで、別の目的によって検査していたものなんですけれども、二〇一九年度以降につきましては、その井戸に関して検査をしていないという意味でございます。

○鈴木委員 ちょっと確認をしたいんですが、飲用をやめたからなくしたんじゃなくて、別の目的でやっていたから、PFASは出たけどやめましたと。恐らく、その別の目的というのは、横田基地のジェット燃料の漏出事故のモニタリングだと思うんですけれども、そういう理解でよろしいですか。

○藤井健康安全部長 もともと、その漏出事故に関するモニタリングとして実施していたところでございます。

○鈴木委員 押し問答をしてもしようがないので、ここら辺でこの点は終えたいと思うんですけど、ジェット燃料の漏出事故のモニタリングの目的もあったんだろうと思うんですけど、PFASについても調査をしていたということは、PFASについての何らかの問題意識があったからだろうと思うんです。これがですね、異常値がずっと出ていて、特に二〇一八年度には基準値の二十六・八倍という高い数字が出ているのにやめてしまうと。あまりにちょっと消極的な姿勢にすぎないかなと。モニタリングを続けていれば、いろんなことに使えたんじゃないかなと残念に思います。今からでも、ぜひ再開をご検討いただきたいというふうに思います。
 次の質問に移りたいと思います。
 都民の健康を守る保健医療局として、再三のPFAS汚染水漏えい事故を起こしている横田基地に抗議と再発防止を求めるべきだと思いますけれども、環境局や都市整備局等の関係部局とは、どのような抗議を行っていらっしゃるんでしょうか、ご説明をお願いします。

○藤井健康安全部長 国に対しまして、健康影響及び環境に関する評価について、科学的根拠に基づいた知見を示すよう関係局と連携して要望しております。

○鈴木委員 ごめんなさい。今の質問は、国に対して何を行っているかじゃなくて、関係部局とどんな話をしているのかという質問なんですけれども。

○藤井健康安全部長 国に提案要求をするに当たりまして、関係局と連携しております。

○鈴木委員 国に、もっとPFAS問題をしっかり取り組めというお話合いを関係部局とやっていただいているんだと思うんです。その話合いの中で、まさに先ほどのモニタリングの結果なんかをしっかり取りながら、保健医療局として、健康を守るためにもっと頑張らなきゃいけないという連携をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。
 先ほど里吉委員から、血液調査をやるべきだというご指摘がありまして、私も全くの同意見でございます。ドイツにはガイドラインの数値が既にあるそうでございますし、アメリカのガイドラインでも数字が出ているわけで、全く基準がないとはいえないんじゃないのかなというふうに思います。
 ただ、確かにご答弁にありましたとおり、どれぐらいの血中濃度があると健康上危ないのか分からないと、それは事実なんだろうなと思うんです。
 ただ、私、ちょっとこれを別の観点から血液調査の必要性を申し上げたいんですけれども、水質調査のみに隔たって、現状を把握するということがちょっと偏っていて、現状の把握自体が間違ってしまう可能性があるんじゃないかなということを指摘したいんです。
 というのは、PFASの暴露というのは、必ずしも水道水とか飲んでいる飲料水から起こっているだけではなくて、土壌汚染があって、その後に土壌汚染で育った農作物を経由して体内に入るケースもあれば、アメリカのデュポン工場で問題になったように、PFASの関連工場とか軍事施設等で直接そのPFASに暴露してしまって汚染が広がるというルートも考えられるわけで、水の基準だけを追って調査をしていても、一体どういう環境汚染が広がっているのか、どんな健康被害が行われているのか、これは分からないと思うんです。
 実際、アメリカでは、在外米軍基地も含めて、希望者を対象に米軍基地内勤務者への血液検査は行っているそうです。横田基地でも同様の検査が行われているというふうに聞いています。ただ、これはアメリカ兵限定でございまして、横田基地内で働く日本人労働者は、その対象に含まれないというふうに聞いています。
 アメリカ人は、アメリカにも基準はないんですけど、やっぱり基地等ですね、危ない施設では血中濃度の調査をやっているんですよ。やっぱり私も、アメリカの米兵はやっているのに日本人の職員はやってもらえないのかと。かつ、横田基地の周辺の方々はどうなのかと。
 やはり不安があるという以前に、本当に安全なのかという問題がございますので、これが本当に安全なのかを調査するために、どれぐらいの汚染が広がっているかを確認するためにも、東京都としてPFASの血液検査を実施していくべきだというふうに考えますけれども、ぜひお考えを聞かせていただきたいと思います。

○藤井健康安全部長 国の専門家会議は、現時点の知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかは明らかでなく、血中濃度に関する基準の設定や血液検査の結果のみによる健康影響の把握は困難であるとしております。
 都は国に対し、健康影響及び環境に関する評価について、科学的根拠に基づいた知見を示すよう要望しているところです。

○鈴木委員 先ほどからの答弁で、血中濃度で健康に対する影響が分からないというのは私も分かっているんです。ただ、暴露がどういう形で広がっているかが分かるはずなので、調査を検討していただきたいというのが私の趣旨なんです。
 多分もうこれ以上いっても答えは変わらないんだと思うんですけど、健康被害は分からなくても、暴露がどの程度広がっているかは分かるはずなので、ぜひ血中濃度の調査をやっていただきたいというふうに思います。
 最後の質問に移りたいと思います。
 今までの討論で触れた点を除いて、保健医療局として、今後、PFAS問題について都民の健康を守るために検討している、もしくは準備している事業があればご教示をいただきたいと思います。

○藤井健康安全部長 都は、飲用井戸等について、検査の結果、国が定めるPFOS等の暫定目標値の超過が確認された場合には、施設の設置者に対し、飲用に供さないことなどの助言を行っております。
 また、本年五月一日から、都民の安心に資するよう、独自に専用電話による相談を実施しております。
 引き続き、こうした飲用井戸等の対応や専用電話相談を継続してまいります。

○鈴木委員 今やっている取組を粛々と続けていかれるという趣旨なんだと思うんです。今やられていることはどれも大切なことだと思うので、ぜひ続けていただきたいと思うんですけど、こういう問題って、よく安全と安心が重要だといわれると思うんです。
 確かに、さきに伊藤委員がご質問されたように、このPFAS問題によって風評被害が起こってしまったり、過度な健康不安が起こってしまうというのは避けるべきだなというふうに思うんです。
 ただ、私、ここで強調させていただきたいのは、このPFAS問題は、安心も重要なんですけど、まだ安全が確認されていないということを忘れちゃいけないと思うんです。
 水道水の問題でいえば、アメリカはもっと基準を厳しく見直すべきだという指摘をされていますし、アメリカ軍の基地には、多分、恐らくまだまだたくさんの泡消火剤があって、これからも漏えいが続いていってしまうかもしれない、まだまだ安全が確保されていない問題だというふうに思っておりまして、安心対策も重要なんですけれども、まず安全をしっかり守るんだという心持ちで、来年度以降の予算編成に当たっていただきたいというふうに思います。
 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○浜中委員 それでは、質問をさせていただきたいと思います。
 張り切っていっぱいつくってきたんですけど、時間もありますので、端的に行きたいと思います。また少し早口になっちゃうかもしれませんけど、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず最初に、インフルエンザについてであります。
 今、インフルエンザが非常に猛威を振るっております。例年よりもピークが早くなるんじゃないかとか、結構学級閉鎖なんかも増えてきて、私たちの周りでもインフルエンザのことをすごい聞かれることがあると思うんですけど、今シーズンのインフルエンザの感染状況と東京都のインフルエンザ対策の取組について教えてください。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都内の定点医療機関からのインフルエンザ患者報告数は、九月中旬から注意報レベルの十人を超える状況が続いています。最新の報告数は十九・九一人となっており、引き続き注意が必要でございます。
 基本的な感染防止対策は、新型コロナと同様に換気や手洗い等であり、都は、ホームページやSNS等で周知しています。
 また、ワクチン接種について、特に定期接種の対象となる高齢者等に、かかりつけ医などへの早期の相談を呼びかけております。

○浜中委員 今ご答弁もありましたけれども、インフルエンザを適切に治療していくためには、まずしっかりと検査を行って、それがインフルエンザなのかどうか、陽性の判定を行うということが必要であるかと思います。
 今シーズンのインフルエンザは例年より早く流行が始まっており、医療現場では発熱患者が増えて抗原検査キットが不足しているとの声もあります。
 東京都では昨年、我が党の要請を踏まえて、新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えて、同時検査キットも備蓄しております。
 そこで、都では、備蓄している抗原検査キットの今年度の活用状況について伺います。

○加藤感染症対策部長 都では、新型コロナの五類移行後も、夏の感染拡大や秋冬のインフルエンザとの同時流行に備えるため、昨年度に引き続き、新型コロナ検査キット及び新型コロナとインフルエンザの同時検査キットの備蓄を行ってまいりました。
 今夏におきましては、新型コロナの感染拡大に伴い、一部検査キットが入手しにくい状況がありましたことから、七月中旬から希望する医療機関に対し、検査キットの有償配布を開始いたしました。その後、例年より早くインフルエンザの流行が始まりましたため、十月下旬まで有償配布を継続いたしました。
 この間、延べ約二千の医療機関に対しまして、同時検査キット約二十二・七万回分と、単独キット約五・三万回分、合計で約二十八万回分の検査キットを配布いたしました。
 この冬に向けましても、新型コロナやインフルエンザの感染状況や検査キットの需給状況に応じ、必要時には速やかに備蓄キットの有償配布を行ってまいります。

○浜中委員 これから冬に向けて本格的な感染拡大のシーズンが訪れると、患者の増加が見込まれます。医療機関においては、検査キットが不足して診療、検査に支障がないように、必要に応じて検査キットの配布をお願いしたいというふうに思います。
 今いわれているのが、いわゆるツインデミックといわれまして、新型コロナもはやるし、インフルエンザもはやると。そうなると、診る現場は困っちゃうわけです。だから、東京都が持っている同時検査で——熱が出ているんだけれども、コロナなのかインフルなのかで対応が変わってくるかと思います。五類になったとはいえ、みんなそれは非常に気を遣っている話だと思いますので、しっかり対応の方をお願いいたします。
 続いて、当然、インフルにしてもコロナにしても、薬は欠かせないというふうに思います。日本医師会が八月から九月にかけて行ったアンケート調査では、六千七百七十三の医療機関から回答があり、院内処方を行っている医療機関に入手困難な医薬品の有無を聞いたところ、入手困難であると回答した割合が九〇・二%と、全国で医薬品が困窮している状況にあり、また、卸に発注した医薬品の納入状況についても、発注しても納品されない状況が四九・七%あったということでございます。不足している薬としては、せき止めや、たんを出しやすくする薬——たん切りですね、鎮痛解熱剤などとのことです。
 現時点においても必要な薬が不足し、困っているとの医療現場の声を聞いております。厚生委員会でも度々いろんな人がいっているかと思います。
 そこで、東京都として、治療薬の供給不足に対してどのような対応を行っているのかということをお伺いいたします。

○及川感染症対策調整担当部長 都民の健康を守るためには、必要な医薬品等が医療機関や薬局に確実に行き渡ることが重要でございます。
 このため、都は、本年九月に厚生労働大臣宛てに、製造メーカーに対するせき止め薬、鎮痛解熱薬の増産や、卸売業者等に対する供給調整の働きかけを行うよう要望いたしました。
 先般、厚生労働大臣が会見におきまして、医薬品メーカーに増産を要請し、供給量が九月末時点よりもさらに一割以上増える見通しになったと発言したものと承知しております。

○浜中委員 この薬の話は、ジェネリックの大手とかで不正があったりとかして供給不足だと、もう何年か前から、この問題が起きたときからいわれてはいるんですけれども、今、非常にこれが表面化していて、みんな、せき止めがないとかというので困っていると。
 ただ、これ国の話でございますので、東京都が一番薬を使いますから、やっぱりしっかりいっていただいた結果、国も動いたということはあるんですけれども、ただ、引き続き、やっぱり薬がないとどうにもこうにも困りますから、しっかり要望を続けていただきたいというふうに思います。
 続きまして、東京都の保健所についてお伺いをいたします。
 今回の新型コロナ対応を契機として、健康危機管理の拠点である保健所の存在は大きくクローズアップされました。これまでは、あまりなじみがなかった保健所という存在が、感染症有事において重要な役割を果たすということが、改めて都民に広く認識されたと思います。
 都保健所の過去を振り返ってみますと、かつては、今よりも身近な地域に複数設置されており、例えば私の地元の西東京市には、田無に保健所が、保谷に保健相談所が設置されておりました。
 現在、都保健所は二次保健医療圏に一か所設置されているわけですが、現行の体制となった経緯について教えてください。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 平成六年に地域保健法等関係法令が改正されまして、住民に身近な保健サービスは市町村が、より専門的なサービスは保健所が実施することとされ、平成九年度に母子保健事業が市町村に移譲されるのに伴いまして、多摩地域の保健所を、十七保健所、十四保健相談所から十二保健所に再編いたしました。
 それ以降も、精神保健福祉事業の一部事務の市町村への法定移譲などが行われ、平成十六年度には都保健所を七保健所に再編し、その後、平成十九年度に八王子保健所、平成二十三年度に町田保健所がそれぞれ八王子市、町田市に移管され、現在は、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点として、二次保健医療圏に一か所の計五保健所となってございます。

○浜中委員 ただいま答弁にありましたけれども、単に保健所の数を減らしたのではなくて、法改正に伴って、保健所が行っていた身近な保健サービスが市町村に移譲され、保健所の役割は、市町村に対する技術的支援とともに、感染症対策や食品衛生対策など専門的な役割にシフトしたということだと思います。こうした体制の中で、今回は、かつて経験したことのない規模の感染症に対応してきたわけであります。
 八月末に報告書が取りまとめられた感染症対応を踏まえた都保健所のあり方検討会では、保健所の対応についてどのような意見があったかということを教えてください。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都保健所のあり方検討会におきましては、入院調整本部や自宅療養者フォローアップセンターの設置などの都による業務の一元化、委託化や、市町村、医療機関との連携した取組が保健所の負担軽減に効果があったことを踏まえまして、新たな感染症発生時には、業務の一元化等のタイミングや、市町村、医療機関等との役割分担を整理しておくことで、疫学調査やハイリスク者対応など、保健所が担うべきコア業務にいかに迅速に特化できるようにするかが重要とのご意見をいただいているところでございます。
 また、多摩地域の都保健所につきましては、感染症対策上、重要な役割を担う保健師などの専門職が集約化されていたことで、三年超の期間にわたりまして、多岐にわたる専門的な対応が可能だったというご意見もいただいたところでございます。

○浜中委員 新型コロナ対応を継続する上で、保健師などの専門職が集約化されてメリットがあったということだと思います。
 ちなみに、再編前の田無保健所と保谷保健相談所の保健師の職員定数は何名だったのか、また、これに対して、現在の多摩小平保健所の職員定数が何名なのかということを教えてください。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 平成八年度まで設置されておりました田無保健所の保健師定数は六名、保谷保健相談所は五名でございまして、現在は市町村に移譲されている母子保健事業や精神保健福祉事業等を含めて、対応していたところでございます。
 現在、多摩小平保健所は、田無市、保谷市合併後の西東京市に加えまして、小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市の五市を管轄しておりまして、令和五年度の保健師の定数は三十名でございまして、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点としての役割を担ってございます。

○浜中委員 保健所の役割がそもそも変わっているので、一概には比較できませんが、今回のコロナのような感染症に対して、五、六名の保健師の配置では、土日も含めた二十四時間三百六十五日の対応を継続するのは困難だったのではないでしょうか。そういった意味でも、保健所の集約化のメリットが一定程度あったというのが、あり方検討会での意見につながったのだと思います。
 感染症対策の強化策として、保健所を市ごとに再度設置すべきだという意見もありますが、都保健所が健康危機管理の拠点として、しっかりとその役割を果たしていくためには、こうした集約化のメリットを生かしつつ、保健所の機能を強化していくことが重要だと考えます。
 一方で、新型コロナは、これまで前例のないパンデミックであり、保健所職員の頑張りはもちろんありましたけれども、それだけでは対応困難であり、都による入院調整や相談対応業務などの一元化、委託化などの取組が行われ、市町村でも生活用品の配布や、現場の保健師等が保健所に代わって自宅療養者の安否確認を行うなど、様々な取組をしてきたわけであります。
 そこで、先ほどの保健所再編の経緯についての答弁で、身近な保健サービスは市町村の役割となったとの説明がありましたが、これを受けて市町村側の保健師の体制も強化されてきたのではないかと思いますが、再編前の田無市と保谷市の保健師の数が何名だったのか、これに対して、現在の西東京市の保健師数が何名だったのかを伺います。また、多摩小平保健所管内の五市全体の保健師数についても併せて伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国の調査におきましては、平成八年末時点の常勤保健師数は、田無市五名、保谷市六名となってございまして、令和五年五月一日時点の西東京市の保健師数は三十六名となってございます。
 多摩小平保健所管内五市の常勤保健師数の合計は、平成八年末時点で三十八名でございまして、令和五年五月一日時点では百十四名となってございます。

○浜中委員 多摩小平保健所の保健師数は三十名ですが、管内五市には合計で百名を超える保健師がいるということで、再編以降、各市で保健師の配置を充実させ、住民に身近な保健サービスを適切に実施できるような体制を、これは市町村と、多摩小平の場合は市ですけど、市と体制を整備してきたんだというふうに思います。
 今回の新型コロナのような感染症は、これはある意味、本当に災害級といえますので、保健所はこうした市の保健師等の協力も得ながら、地域の関係機関が総力を挙げて取り組むことが必要だと思います。
 そこで、あり方検討会では、市町村としっかりと議論をするために複数の市町村に参加をしてもらったと聞いていますが、市町村委員から、都保健所と市町村との連携についてどういう意見が出ているのかということをお伺いいたします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 検討会におきましては、市町村委員から、保健師等の配置に余裕があるわけではないため、有事の際の保健所と市町村の役割分担や応援体制をあらかじめ決めておき、どのタイミングで応援職員を出すのかなどを事前に調整し、市町村のBCPに反映しておくことが必要とのご意見をいただいたところでございます。
 また、住民に身近な市町村からの情報発信が充実すると住民の安心につながるため、市町村が正しい情報を迅速に発信できるよう、保健所から正確な情報を直ちに市町村に提供してもらえるとよいといったご意見や、保健所から市町村に提供する情報の内容について、平時からすり合わせをしておくことが必要などのご意見をいただいたところでございます。

○浜中委員 私はこの間、一般質問や厚生委員会なんかでもお話しさせていただいていますけど、とにかくコロナ禍で何が起きたのか、それは市町村によっても対応が違ったと思いますし、その振り返りをしっかりして、その教訓をしっかり引き継いでいくことが大切であるということを再三お願いをして、今実際にそのようにやっていただいているというふうに聞いております。
 いずれにしても、次の新興感染症有事を見据え、市町村からも、今後の都保健所との連携については様々な意見があるということがよく分かりました。新たな感染症が発生しないことにこしたことはありませんが、いつどこで感染症が起こるか分かりませんし、起こったら全世界に広がっていくということであるかと思いますので、まずは、いざというときに備えて、平時から準備していくことが重要であります。
 とりわけ都民の命を守るためには、地域の拠点である保健所と住民に身近な市町村の連携こそが重要だと考えます。
 そこで、検討会の報告書を踏まえて、都保健所と市町村との連携強化について都として検討していくこととなると思いますが、検討に当たっては、先ほど冒頭申し上げましたが、市町村の意見を丁寧に酌み取っていただくことも必要と考えます。
 第三回の定例会の一般質問でも取り上げましたが、改めて、今後、都保健所と市町村との連携強化をどのように進めていくのかをお伺いいたします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都保健所が感染症の発生時に的確に対応するには、住民に身近な市町村と平時から協力関係を培い、有事の際に緊密に連携して取り組むことが重要でございます。
 協力関係の構築につきましては、検討会において市町村委員より、平時から保健所と市町村との人事交流や市町村職員向けの感染症研修の実施等のご要望をいただいたところでございます。
 検討会報告書の公表後におきましては、保健所から管内の市町村に対し、報告書の内容について説明するとともに、今後の連携強化等について意見交換を行ってございます。
 今後、こうした検討会や市町村のご意見も踏まえ、都民の安全・安心につながるよう、都保健所と市町村との顔の見える関係づくりの推進に向けた具体的な取組を検討し、連携強化を図ってまいります。

○浜中委員 今回、保健所を取り上げさせていただいたのは、二十三区と多摩は保健所の在り方が違うということで、多摩から見ると、一つの区に一個ある保健所のような形で、一市に一個あった方がいいんじゃないかという議論が今までされてきたと思います。
 ただ、今日の質疑で分かったことは、集約化しても、それなりに規模も大きかったりだとか、健康保険とかに関しては市町村がやっていますよという役割分担をして、今までこういう歴史で来ているわけですから、あり方検討会の中でいろいろ議論されていることというのをしっかり反映をしてもらって、要は、一つの市に一個あった方がいいのか、広域で一個あった方がいいのか、それは住民から見れば恐らくどちらでもよくて、大切なことは、地域の住民の健康だとか感染のときに、どのようにその地域の人たちを守るかということだと思います。
 いきなり新たな仕組みで全部やるというのは不可能なので、今、検討を重ねていただいて、しっかり地域住民が安心できるような体制というのを強化していただきたいというふうに思います。
 例えば、多摩小平保健所であれば、人口当たりで、五市で大体七十四万人ですかね、ただ、中には百万人を超えている地域とかもあります。その分、保健師さんが多いとか、仕組みの話とかというのもあると思うんですけど、いろんな意見を吸い上げていただいて、きめ細かく地域住民に対して東京都として対応していくことを望みまして、有事を見据えた保健所の体制強化をしっかりと検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。保健医療計画についてであります。
 今回、保健医療計画の改定をしているかと思うんですけれども、検討をどのように進めているのかということをお伺いしたいと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は現在、学識経験者、医療関係団体、区市町村、保険者等で構成する保健医療計画推進協議会の下に改定部会を設置いたしまして、計画の改定を進めております。
 これまで、循環器病、救急医療、災害医療など、各疾病事業分野ごとに設置をしております協議会で具体的な施策の在り方を議論した上で、先月まで計七回、改定部会を開催いたしまして、検討を重ねているところでございます。
 年内には計画素案を取りまとめ、関係団体への意見照会や都民へのパブリックコメントを実施いたしまして、東京都医療審議会への諮問、答申を経た上で計画を改定いたします。

○浜中委員 ありがとうございます。
 保健医療計画の記載事項の中の一つに、災害医療があるかと思います。
 先ほど少し質問も出てきましたけれども、いろいろあるんですけど、少しはしょりまして、東京都はこれまで、首都直下地震等の発生に備えて、都内の病院の体制整備を進めてきていると思います。改めて、その内容についてお伺いをいたします。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、都内全ての医療機関を災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院、診療所等に区分をいたしまして、機能に応じて役割分担を明確化しております。
 主に重症患者の収容、治療を行う災害拠点病院や、災害拠点病院を補完し、主に中等症患者等の収容、治療を行う災害拠点連携病院に対しましては、多数の傷病者の受入れに必要となる資器材や、機能維持のために必要なライフライン設備の整備等を支援しております。
 さらに、未耐震の病棟等を有する病院の耐震化支援や、都内全ての病院を対象としたBCPの策定等のためのアドバイザー活用支援など、病院の診療機能維持のための取組を行っております。

○浜中委員 被害想定が変わったわけでありまして、例えば、多数の傷病者をどうするんだとかという、いろんな議論があるかと思います。
 そこで、新たな被害想定を踏まえて様々な事態の発生も考慮して、災害時の医療体制を万全なものにしていくべきと考えますが、都における検討状況についてお伺いをいたします。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、有識者や医療関係者等で構成する災害医療協議会の下に災害医療体制検討部会を設置いたしまして、新たな被害想定を踏まえた体制等について議論を行っております。
 検討部会では、主に、発災直後においては医療従事者自身が被災者となることで災害拠点病院への参集に時間を要し病院の収容力が十分に発揮できない可能性や、病院収容後に重症の方の一定数が亡くなってしまう状況等を考慮し、傷病者の受入れ体制の検討を行う必要性が指摘をされております。
 こうした意見を踏まえながら、重症者を確実に受け入れられますよう、最も多くの被害が発生する都心南部直下地震や多摩東部直下地震を想定した災害医療体制について検討を進め、今年度改定する東京都保健医療計画に反映をしてまいります。

○浜中委員 続きまして、私は、第三回の定例会の一般質問でも、東京都のがん対策推進計画の次期改定に向けて、具体的にどのような検討を進めているのかについてお伺いをいたしました。その際、答弁では、現在、テーマごとに取組の方向性等の議論を行っているとのことでしたが、がん対策の重要なテーマの一つが緩和ケアであります。
 がん患者が切れ目のない緩和ケアを受けられるように、住み慣れた地域の医療機関で適切に緩和ケア等を受けられる体制を確保することが必要であると考えますが、都のこれまでの取組について教えてください。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 患者が、がんと診断されたときから切れ目のない緩和ケアが提供されるよう、がん診療連携拠点病院が中心となり、地域の医療機関や介護事業者等とカンファレンス等を開催するほか、国の指針に基づき、がん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得できるよう研修会を実施しております。
 こうした拠点病院の取組に加えまして、都は、がん患者が住み慣れた地域で安心して療養生活を送ることができるよう、拠点病院等で初期治療を終えた患者の在宅移行を支援する病院におきまして、緩和ケアに必要な機能、人材や、地域との連携の在り方を検証するモデル事業を実施いたしました。
 この事業では、多職種が協働することの必要性や、緩和ケアの実践等において専門資格を有する看護師の育成に係る課題が明らかとなりました。

○浜中委員 モデル事業によって、地域の病院で緩和ケアを提供するに当たっては、今答弁にあったとおり、緩和ケアに関わる医療従事者の育成が重要であるということが明らかになりました。
 そこで、こうした課題を踏まえて、人材育成についてどのように取り組んでいるのかということを教えてください。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は今年度、地域の薬剤師、リハビリ職、MSW、栄養士等を対象に実施している研修会につきまして、各職種の専門分野に係る緩和ケアの技術や知識の向上が図れるよう、研修内容を充実いたしました。
 また、地域で緩和ケアに取り組む病院に対しまして、がん緩和ケアの専門看護師や認定看護師などの専門資格の取得支援を新たに実施するなど、人材育成に取り組んでおります。

○浜中委員 今ご答弁ありましたとおり、地域における緩和ケアの提供に当たっては、関係する多職種の連携や育成が非常に重要であり、ぜひ進めていただきたいと思います。
 最後に、緩和ケア提供体制の充実に向けた東京都がん対策推進協議会における検討状況を教えてください。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 東京都がん対策推進協議会の下に設置いたしました緩和ケアワーキンググループにおいて議論を行っておりまして、診断時からの緩和ケアの必要性や、地域の病院におけます緩和ケア提供体制の一層の強化、都民に対する緩和ケアの正しい理解の促進等に関する意見がございました。
 こうした意見を踏まえまして、今年度策定する東京都がん対策推進計画に、緩和ケア提供体制の充実や人材育成の強化に向けた取組等を盛り込み、地域における緩和ケアのさらなる推進を図ってまいります。

○浜中委員 がん対策、引き続きよろしくお願いいたします。
 次の質問に移りたいと思います。続いて、難病患者在宅レスパイト事業についてであります。これは本当にいい事業だというふうに思います。
 そこでまず、事業の概要と実績について教えてください。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都では、在宅で人工呼吸器を使用している難病患者に対しまして、家族等の介護者の病気治療や休息等の理由によりまして一時的に在宅で介護等を受けることが困難となった場合に、患者宅に看護人を派遣する事業として、令和四年度から難病患者在宅レスパイト事業を実施しております。
 令和四年度の実績は、延べ利用人数五十三人、総利用時間数百十三時間でございます。

○浜中委員 さらなる利用促進が必要だと考えますが、都の考え方を教えてください。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、難病患者在宅レスパイト事業のチラシを作成し、対象患者に対して、都保健所や区市町村、医療機関、訪問看護ステーション等の関係機関を通じまして周知するとともに、在宅難病患者支援事業の一覧を毎年送付します難病医療費助成更新のお知らせに同封することで当事業を案内しております。
 また、SNSや「広報東京都」などでも周知を図っておりまして、今年度の実績は、九月末時点で延べ利用人数は百三人、総利用時間数は二百二十三時間となっております。
 今後も、様々な機会を捉えまして、難病患者在宅レスパイト事業の利用促進を図ってまいります。

○浜中委員 在宅で人工呼吸器を使用している難病患者の介護をしている家族の方というのは、いろんな状況の方がいるかと思うんですけど、公的なサービスの時間とか、訪問看護とかも決まっていると思うんですけど、それが少なかったりとかすると、やっぱり家族にすごい負担がかかって、結構みんな大変に追い詰められちゃったりとかということもあるので、ぜひこの事業は、本当にいい事業だと思うので、さらなる利用促進をお願いして、次の質問に行きたいと思います。
 続きまして、東京都健康推進プラン21の改定についてであります。
 都は、平成二十五年三月に健康増進法に基づく都道府県健康増進計画として、東京都健康推進プラン21(第二次)を策定し、都民の健康づくりを支援してきました。現在、本計画の最終評価や計画改定に向けた検討を進めていると伺っておりますが、平成三十一年に目標の進捗状況等を検証し、中間評価を行っております。
 まずは、中間評価以降の都の取組についてお伺いをいたします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 中間評価では、飲酒や身体活動、運動等が性別や世代ごとに異なる達成状況であったことから、ライフステージや生活、労働環境等の特性を踏まえた望ましい生活習慣の重要性を普及啓発していくことを取組方針に位置づけました。
 飲酒に関しては、節度ある適度な飲酒量や健康への影響が男女で異なることなどを、ビール酒造組合と連携し、普及啓発を行っております。
 また、働く世代への取組につきましては、区市町村等が作成したウオーキングマップを紹介するポータルサイト、トーキョーウォーキングマップに、通勤時や昼休みに活用できる十分程度のショートコースを掲載し、日常生活の中で身体活動量を増やせるよう啓発を行っております。
 さらに、睡眠に関する正しい知識や野菜摂取量を増やす工夫についての啓発など、生活習慣の改善を促す取組を推進しております。

○浜中委員 健康づくりの基本となる生活習慣の改善を促す取組は重要であると考えます。
 現在、都は、中間評価以降の取組や目標の進捗状況を検証し、今年度で計画期間が終了する東京都健康推進プラン21(第二次)の最終評価を行っているところでありますが、最終評価の状況を伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 東京都健康推進プラン21(第二次)では、健康寿命の延伸と健康格差の縮小の二つの総合目標を掲げ、生活習慣病の予防、生活習慣の改善など、三つの領域について十四分野にわたり指標を定めておりまして、現時点での達成状況やこれまでの取組状況等を勘案しながら最終評価を行っているところでございます。
 健康寿命は、指標の六十五歳健康寿命が男女とも延伸しており改善、健康格差につきましては、区市町村別の六十五歳健康寿命の最大値と最小値の差により評価しておりまして、男女共にプラン策定時から同程度の差で推移していることから不変と評価してございます。
 また、がんなどの生活習慣病の予防の領域につきましては、改善した項目が多い一方で、生活習慣の改善の領域につきましては、飲酒や歩数など、性別、世代によって改善が見られなかった項目もございました。

○浜中委員 今年度予定している次期計画策定に向けた都の取組について、お伺いをいたします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 最終評価では、生活習慣の改善の領域につきまして、他の領域に比べて改善が見られなかった項目が多かったことから、自身の健康に関心を持つ余裕のない方を含めまして、誰もが負担なく取り組めるよう、望ましい生活習慣の実践を促進していく必要がございます。
 このため、生活習慣改善につながる環境づくりの推進や多様な主体の取組促進など、都民一人一人の健康づくりを支え、守る社会環境の整備が必要であります。
 次期計画では、引き続き健康寿命の延伸と健康格差の縮小を総合目標に位置づけるとともに、誰一人取り残さない健康づくりを推進していく観点から、社会環境に関する新たな分野などを設定する考えでありまして、保健医療計画などの関連する計画との整合を図りながら、年度内に策定する予定でございます。

○浜中委員 次期計画は、都民の健康づくりのさらなる推進に向けた重要な計画となるため、都民の健康増進につながるよい計画を策定するように求めて、次の質問に移ります。
 続きまして、東京都では、感染症対策全般について、常設の司令塔である東京iCDCを設置し、新型コロナ対策においては感染症の様々な分野の専門家の知見を対策に生かしてまいりました。今後は、動物由来の感染症の脅威が高まる中で、獣医学の専門家の知識というのも必要ではないかなと考えております。
 そこで、東京iCDCの専門家の構成メンバーについて、改めてお伺いをいたします。

○内藤感染症対策調整担当部長 東京iCDCは、疫学・公衆衛生、感染制御、リスクコミュニケーションなど、感染症に関わる様々な領域の専門家から構成されます専門家ボードと、感染症に関する特定の事項に関して検討を行うタスクフォースを設置しております。
 構成メンバーの専門領域は、医学に加え、獣医学、農学、工学などとなっておりまして、様々な立場から感染症対策につながる助言をいただいております。

○浜中委員 東京iCDCは幅広い分野の専門家から構成され、メンバーには獣医学の専門家も含まれているという答弁でありました。
 昨年から今年にかけては、主にアフリカに生息するリスなどの齧歯類のウイルスを保有する動物との接触により人に感染するとされるサル痘の——現在はエムポックスというそうなんですけれども——流行も見られたところであります。
 動物由来感染症については、東京iCDCではどのように取り組んでいるのかということをお伺いいたします。

○内藤感染症対策調整担当部長 動物由来感染症への対策につきましては、人、動物、環境の衛生に関わる者が、連携して取り組むことが重要でございます。
 このため、東京iCDCでは、エムポックスの海外での感染拡大を機に、昨年七月、医学、獣医学、公衆衛生学、研究機関等の専門家で構成するワンヘルス・アプローチ推進タスクフォースを設置いたしました。このタスクフォースでは、エムポックスの世界における発生状況や疫学的特徴、病気の特性等に関する情報共有を行いますとともに、都での対応について助言を行いました。
 今後も、都では、動物由来感染症を含む感染症全般への対策において、東京iCDCの幅広い専門家の知見を活用いたしまして、感染症に強い都市東京を実現してまいります。

○浜中委員 また後ほど取り上げますけど、ワンヘルスの考え方はとても大切であります。人と動物と環境が一体になって健康を守っていこうという話であります。
 東京iCDCには、専門の獣医学の方は入っているんですけど、臨床の獣医師さんが入っていないということでございますので、ぜひタスクフォース等でご検討いただければというふうに思います。
 続きまして、次の質問であります。
 動物愛護センターの整備についてであります。
 現在、都内には動物愛護センターが三施設ありますが、世田谷にある本所は築四十年以上経過するなど、いずれの施設も老朽化が進んでおります。
 都は、平成二十九年に動物愛護相談センター整備基本構想を策定し、これらのセンターに求められる役割等を示すとともに、三施設の中で特に老朽化が進み、狭い本所を早期に整備を行うこととしております。
 また、令和三年に改定された東京都動物愛護管理推進計画においてもセンターの機能を強化していくとしており、昨年度は機能や施設像を検討する整備検討会が開催されました。
 新しいセンターでは、多くの都民が集い、適正飼養の啓発や動物の譲渡会などが行われることが望ましいと考えますが、センターの整備に向けた今後の進め方についてお伺いをいたします。

○藤井健康安全部長 都内三か所にございます動物愛護相談センターは、普及啓発や動物譲渡、事業者の監視指導など様々な役割を持っており、都の動物愛護管理施策を進める上で中核を担っているものでございます。
 センターを都民に身近な動物との共生推進拠点とするには、動物福祉に配慮した飼養環境の向上やボランティアとの合同譲渡会の開催など、昨年度の整備検討会での意見も踏まえ、さらなる機能強化が必要でございます。
 今後、今年度策定する基本計画の中で、センターの機能の在り方を示してまいります。

○浜中委員 今、今年度センター機能をどうしていくかという話があるんですけれども、いろんな声があると思いますので、例えば動物と触れ合えるようにだとか、場所の問題等々あると思うんですけど、いろんな声を聞いていただいて、よりよいセンターを目指していただければというふうに思います。
 続きまして、ワンヘルスについてであります。
 ワンヘルスは、先ほど少しお話ししましたけど、人、動物、環境というのが一体となって、みんなの健康を守っていこうという話でありますが、福岡県や徳島県が条例を制定したりとかということをしております。
 そこで、東京都としてもワンヘルスに取り組むことが必要であると考えますが、見解を求めます。

○藤井健康安全部長 新興、再興感染症の多くが動物を感染源としていることから、人、動物、生態系の健康を一つと捉え、関係者が連携して課題解決に取り組むべきとするワンヘルスの考え方が広がっております。
 都は、動物の病原体の保有状況の調査や、動物及び河川等における薬剤耐性菌の調査のほか、動物の取扱いや感染症の正しい知識についての普及啓発などの動物由来感染症対策等に取り組んでおります。
 人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向けて、ワンヘルスの考え方も踏まえ、関係者と連携協力して施策を実施してまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 人と動物との調和の取れた共生社会というのは非常にいいことだと思いますし、先ほど少しお話ししましたけれども、新型コロナとかも動物由来の話とかというのもあると思うので、ワンヘルスにこれからどういうふうに取り組んでいくのかというところを、獣医師会等の関係機関なんかとも相談をしながら、政策としてしっかり、私も含めて政策提言もしていきたいというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。子供の自殺対策についてであります。
 近年、児童生徒の自殺数は増加しており、令和四年、全国では過去最多の五百十四人でありました。都民に関しては、令和四年は前年よりは減少したものの、近年、増加傾向にあります。
 一人でも多くのお子さんを自殺という悲しい結果に至らないように支援をする必要があると考えます。都における取組状況を伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 近年、児童生徒の自殺者数が増加したことを踏まえまして、都は対策の強化を図ってまいりました。
 まず、令和三年度には、悩みに応じた相談窓口を紹介するポケットメモの配布対象を小学校五年生から高校三年生までの全学年に拡大するとともに、教職員向けに、自傷行為や自殺未遂等のリスクのある子供たちへの対応方法等を掲載した普及啓発資材を新たに作成し、全ての小学校、中学校及び高校等に配布いたしました。
 さらに、令和四年度は、自殺未遂者などの自殺リスクの高い方を地域の支援機関と連携して継続的な支援につなげる事業でありますこころといのちのサポートネットにつきまして、区市町村教育委員会を通じて周知いたしまして、学校における自傷、自殺リスクのある子供たちへの対応の支援に取り組んでおります。

○浜中委員 ただいま答弁にありましたこころといのちのサポートネットで、自殺リスクの高いお子さんの支援にも取り組んでいるとのことでありますが、これまでの実績はどのようなものかということを教えてください。
 また、国が今年の六月に発表したこどもの自殺対策緊急強化プランでは、自殺未遂歴や自傷行為の経験等がある若者など、市町村等で対応が困難な場合に助言等を行うこども・若者の自殺危機対応チームの全国展開を目指すとしております。
 都としても、お子さんへの支援の拡充が必要と考えますが、見解を伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 こころといのちのサポートネットにおきましては、精神保健福祉士や公認心理師等が関係機関等からの相談対応や本人への支援を行っており、必要に応じまして精神科医等から専門的な助言を受けながら、これまで、子供も含め多くの事例に対応してきてございます。
 子供の支援に関しましては、学校やスクールカウンセラーなどからも相談を受けておりまして、令和四年度は、十代以下の若者について、新規に三十五件の支援を行っております。
 引き続き、学校等の関係機関に対し、支援事例や本事業における支援体制の紹介などを行い、サポートネットの活用を一層促すとともに、子供への支援充実に向けた取組を検討してまいります。

○浜中委員 これは親としてというか、子供の自殺ほど本当に悲しいことってないと思います。ちょっとこれ、局が分かれちゃったので、あれなんですけど、例えばいじめとか虐待とかというのも含めて、これは絶対に私は防がなきゃいけないと思いますし、子供に限らず、今までずっと自殺についても扱ってきましたけれども、しっかり引き続き対応して、大人も子供も一人も自殺をしないという社会を目指していきたいというふうに思います。
 最後になります。局再編後の連携推進についてお伺いをしたいと思います。
 本年第二回定例会の当委員会において、福祉保健局の再編に向けた局長の決意を伺ったところ、当時の佐藤福祉保健局長から、福祉局と保健医療局に再編された後も、各分野の計画間の整合性を図りながら、両局が密接に連携した取組を進めていくとの答弁をいただきました。
 福祉保健局として培った経験やノウハウを生かして、さらに政策を推進していくために、福祉局と十分に連携を図ることが重要であると考えます。
 雲田保健医療局長の決意を最後に伺いたいと思います。

○雲田保健医療局長 改めてでございますが、都は、少子高齢化の進展や社会経済情勢の激しい変化などを背景に、高度化、複雑化する課題に対し、高い専門性と機動性を発揮できるよう、本年七月に組織再編をしたところでございます。
 保健医療局が発足いたしまして四か月がたちましたが、福祉分野と保健医療分野、これはもう密接不可分でございまして、例えば、福祉保健局時代に、毎週部長会というのをやっておりました。これ、実は両局発足後も一緒になって、今、毎週やっております。特に両局が共有すべき情報につきましては各部長が説明をして、みんなで情報共有をしている状況がございます。
 それからまた、第一本庁舎の二十七階、ここはもともと福祉保健局の総務部と企画部があったんですけれども、両局発足後も、両局のそれぞれの総務部と企画部を配置しておりまして、実はこれまで他局のこうした部門が同じフロアに入るというのは、今までなかった初めての取組でございます。
 特に両局の企画部を隣同士、隣り合わせにいたしまして、例えば、すぐ共有すべき情報が出たら、すぐに伝わるように、また、打合せができるようなそういう体制をしてございます。
 それから、各事業部間におきましても、これも局と局というよりは、福祉保健局時代と同様に部と部、例えば保健政策部と障害者施策推進部、医療政策部と障害者施策推進部、また、感染症対策部と高齢者施策推進部、あるいは障害者施策推進部というように、関連する事業を所管する部同士が連携をして、一緒に仕事をしているというのに変わりはございません。
 例えば、事業面で申しますと、今ご質疑いただきました自殺対策でございますが、相談事業ですとか普及啓発、これは福祉局の事業とも連携をしながら総合的な取組を推進しているところでございまして、十月から、様々な問題に直面する自死遺族を自死発生直後から支援するための相談窓口を開設いたしまして、施策の充実を図っているところでございます。
 また、感染症対策では、新型コロナの経験を踏まえまして、七月に作成をいたしました高齢者施設あるいは障害者施設向けのガイドブック、こちらを福祉局と連携して各施設に周知をいたしまして、活用を促しております。
 また、看護師で構成する即応支援チームを施設に派遣いたしまして、実践的な研修を実施するなど、両局で連携して次なる感染症への備えに取り組んでおります。
 それからさらに、こちらのご質疑もいただきましたが、今年度予定しております保健医療分野の基本的かつ総合的な計画でございます保健医療計画の改定に当たりましては、当局所管のがん対策推進計画ですとか健康推進プラン21、あるいは感染症予防計画などに加えまして、福祉局所管の高齢者保健福祉計画ですとか、障害者・障害児施策推進計画、これともしっかりと連携を図りながら、この施策も取り込んで保健医療計画というのを作成することになってございまして、こういうことを踏まえて、施策の充実強化に向けた検討を現在進めているところでございます。
 都民の命と健康を守る、このことが福祉、保健医療分野を担う両局に課せられた使命と考えてございます。その使命を全うするため、今後とも、両局でお互いの顔が見える関係、こういった中でより一層連携いたしまして、福祉、保健、医療サービスのさらなる充実に取り組んでまいります。

○高倉委員 それでは、初めに、子宮頸がん等を予防するHPVワクチンのキャッチアップ接種の実施状況についてお伺いしたいと思います。
 小学六年生から高校一年生相当の女子を対象にしまして、定期接種として公費による無償接種が行われております。これまでの二価、四価ワクチンに加えまして、今年四月から、子宮頸がんの原因の八〇%から九〇%を防ぐ九価ワクチンも公費接種が行われているわけであります。
 そうした中で、過去にHPVワクチンの接種を逃した方がおり、改めて無料での接種機会を提供する、いわゆるキャッチアップ接種が行われております。
 まず、現在の実施状況についてお伺いしたいと思います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 キャッチアップ接種は、平成九年度生まれから平成十八年度生まれまでの女性のうち、合計三回必要なHPVワクチン接種が完了していない方を対象に、令和四年度から令和六年度までの三年間実施されております。
 都内区市町村における令和四年度キャッチアップ接種の実績は、一回目の接種を受けた方が三万五百八十五人、二回目の接種を受けた方が二万四千二百二人、三回目を受けた方が一万四千七百十三人となっております。

○高倉委員 今、都内の接種実績についての答弁があったわけであります。
 この実績が、どの程度の進捗状況になっているのかといったことは、やはりしっかりと把握していくということは重要なことではないかとは思いますけれども、なかなか、いわゆる分母となるところは把握が難しいと。こういった状況もあるのも事実であろうというふうに思います。
 しかしながら、今答弁でありましたように、令和六年度までの、つまりあと一年ということでしょうか、来年度までがキャッチアップの、無償で接種ができる期間ということであります。したがって、この接種を逃した方々に情報が本当に行き届いているのかといったことが、大きな課題であるというふうに思います。
 そこで、令和七年三月三十一日、つまり令和六年度で無料接種期間が終了するキャッチアップ接種の対象者に対して、様々な形での個別勧奨が必要と考えますけれども、答弁を求めます。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 キャッチアップ接種の対象者は、十代後半から二十代半ばまでの学生や社会人など、生活環境は多様でございます。そうした方々に確実に情報を届け、実施期間内に接種していただくには、区市町村が行う個別の勧奨通知に加え、SNSの活用や他事業と連携した周知など、様々な工夫が必要でございます。
 このため、都は、区市町村に未接種者への接種勧奨の通知を改めて依頼するとともに、都からもSNS等によりキャッチアップ接種に関する情報発信を広く行うなど、取組を通じ接種率の向上を図ってまいります。

○高倉委員 今答弁の中で、区市町村に未接種者への接種勧奨の通知を改めて依頼するとともにと、こういうお話がありました。
 接種の実施主体は区市町村でありますので、そこにしっかりお願いするということは極めて重要であるというふうに思いますけれども、やはり、できる限りのことは都としてもするべきだというふうに思っております。今、いろんな情報提供、SNSのお話もありましたけれども、様々なことをしっかりやっていただければというふうに思います。
 例えば、これ茨城県の事例ですけれども、先ほど答弁があったのと同じように、市町村、あそこは区はありませんから、市町村に対して個別に要請をしているわけですけれども、郵送での通知を出せるように案内文書も県で作成をして要請をしていると、こういうお話がありました。
 内容は、一つには、令和六年度末で無料接種の公費助成が終了すること、二つ目として、その期間を過ぎると八万円から十万円程度の費用がかかってしまうこと、それからもう一つは、令和六年度内に接種を完了するには令和六年九月三十日までに一回目の接種が必要であることは、極めて本当に大事な情報だというふうに思います。
 こうしたものを県の方で作成をして、その上で市町村に郵送のお願いをしているというんでしょうか、こういうことをされているわけであります。やはり、できる限りこちらから情報をしっかりと届けていく、そういう思いでやっていただくことが重要であると思います。
 もう来年度いっぱいということになりますので、これを逃しますと、実費はすごい高額なわけでありまして、なかなか接種をするというところまで行かないんじゃないかと思いますので、ここは、ぜひしっかりとお願いをしたいというふうに思います。
 そして、このHPVワクチンの接種は男性への接種にもメリットがありまして、私の地元中野区では、八月から公費によります接種が行われております。これはかなり先駆的に行われているわけであります。
 男性がHPVに感染することで引き起こされる咽頭がん、あるいは肛門がん、そして性感染症などを予防する効果があるわけであります。男性から性交渉を通じて女性に感染する可能性もあるわけでありますけれども、ワクチン接種によりまして、こうしたリスクを減らすことができるわけであります。
 中野区は、小学六年生から高校一年生の男子を対象として、八月から接種費用を公費で助成をしているわけでありますが、八月は百件の申請を見込んだということでありますが、七十件の申請があったということであります。九月、十月は、ちょっとまだ数字が出ていないということでありました。
 現在、厚生労働省も男子へのHPVワクチンの無料接種を検討しているわけであります。男性への接種について、都は、早期にその取組を進めるべきであるというふうに思いますけれども、先ほど中野の例を挙げましたけれども、なかなか、実際始めてみても、何というんでしょうか、その理解というか周知というか、接種率というか、いきなりは上がらないわけでありまして、やはり低いというのが現実であるというふうに思います。
 したがって、この実施に当たっては、接種の有効性や安全性に関する情報の周知、広報を丁寧に丁寧に行って、都民の理解を得ることも重要と考えます。その点について答弁を求めたいと思います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 HPVワクチンは、男性のがん予防にも効果があるとされており、また、男女共に接種することで集団免疫の効果も期待できます。
 国は、男性の定期接種化に向けた検討の中で、有効性や安全性、費用対効果に関する最新の情報を整理しており、都は国に対して、この検討の促進を働きかけております。
 都は、国の検討状況や先行自治体の動向を総合的に勘案し、HPVワクチンの男性接種に係る区市町村への支援について検討しております。
 今後、HPVワクチンについて、都民の理解をより深められるよう、最新の知見も含め、丁寧に情報発信を行ってまいります。

○高倉委員 ぜひ、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 もう一つ、ワクチン接種について、高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種補助事業についてお伺いしたいと思います。
 私ども都議会公明党は、二年前の都議選の重点政策チャレンジエイトの中で、高齢者の健康を守る取組としまして、肺炎球菌ワクチン接種の無償化を掲げ、これまでも都議会で強く推進をしてまいりました。
 それに応えて、都は独自の支援策を実施し、国の接種経過措置に上乗せをする形で負担軽減を図っているということについては、評価申し上げたいというふうに思います。
 この経過期間が今年度で終了しまして、それ以降は、六十五歳時の定期接種となるわけであります。
 高齢者にとりまして、この肺炎球菌ワクチンは、いわば一生に一度の接種、一回の接種でいいわけですけれども、一生に一度の接種でありまして、無償化するなど高齢者が接種しやすい環境をつくるべきであるということを私どもは訴えてきたわけであります。
 高齢者肺炎球菌ワクチン定期接種補助事業の現在の状況、そして今後の取組について答弁をいただきたいと思います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種対象者は、厚生科学審議会での議論を踏まえ、令和五年度末までの経過措置として対象年齢が拡大されています。
 都は、経過措置期間中の高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率向上のため、区市町村を通じて、定期予防接種に係る自己負担額の一部を軽減する取組を令和三年十月より実施しております。
 六十五歳以上の接種実施率は、補助事業開始前の令和二年度には二二・六%、補助事業開始後の令和三年度には二五・四%、令和四年度は速報値ですが二三・一%となっています。
 令和六年度以降については、定期接種を受けていない高齢者に対する接種機会を継続して確保するよう、国に対して提案要求しております。

○高倉委員 令和六年度以降が、まだはっきりしていない、都としても、国に対して提案要求をしているということでありますけれども、もう令和六年度は目の前に来ていますから、都としても十分な検討をしていただきたいというふうに思っています。
 これについては、引き続き、私どもも要請を皆さんの方にしていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、新型コロナの治療薬についてお伺いしたいと思います。
 新型コロナについては、もう発生から大分期間は過ぎておりますけれども、思い返すと、大変感染が厳しい状況の中で、当初はなかなか対応する方策というのはなかったわけでありますが、そうした中で待たれたのがワクチン接種であり、そして、治療薬の実用化というんでしょうか、これが待たれたわけであります。ご承知のように、ワクチン接種はもう相当に進んできたという状況があって、今は治療薬も使えるようになってきているというわけであります。
 今、新型コロナは五月から五類に移行しております。感染者数の増減には波がありますけれども、現在は減少傾向の局面にあるということであります。
 新型コロナの治療薬については、国が、利用者というんですか、服用する感染者の負担軽減を図った上で、十月から一部負担ということになりました。軽減が図られてはおりますけれども、やはり心配されているのが治療薬の服薬控えという課題でありまして、民間の調査を見ましても、治療薬の処方が低下をしているのではないかと、こういう指摘もされております。
 また、感染症の専門家からも、冬に向かって懸念される新型コロナの再流行の中で、リスクの高い感染者で治療薬の服用をしない人が増えると医療負荷が大きくなるのではないかと、こういった見方も示されているわけであります。
 新型コロナは、五類に移行はしておりますけれども、引き続き心配をされるのが、重症化リスクの高い高齢者の方、そしてまた基礎疾患を有する方々、こうした方々は、やはり引き続き心配をされている状況があると思います。
 そして、治療薬の服用ということについて、こうした方々の中でも特に収入が十分でない高齢者の方でありますとか、あるいは、今申し上げましたけれども、基礎疾患のある方、こうした方が、経済的なことが原因、理由で治療薬の処方を控えるというようなことがないように、国は国として負担の軽減を図ったんだと思いますけれども、今申し上げたような、さらにきめ細かな配慮、対処、対応というんでしょうか、こうしたことを都としても冬の感染拡大に備えて、負担軽減策というのを図ってもいいのではないかと、このように思いますけれども、答弁をいただきたいと思います。

○加藤感染症対策部長 本年十月以降でございますけれども、新型コロナ治療薬につきまして、国は、他の疾病との公平性を考慮しつつ急激な負担増を回避するため、医療費の自己負担の割合に応じまして、三割の方は九千円、二割の方は六千円、一割の方は三千円の窓口負担としているところでございます。
 これまでも、都は、高額な自己負担の発生によりまして治療薬の活用をためらうケースが生じないよう、薬価が一定程度の水準に引き下げられるまでの間、投薬医療費の公費負担を継続することなど、国へ要望を行ってまいりました。
 治療薬の公費負担につきましては、国の責任において全国一律の方針を定めるものでございまして、引き続き国の動向を注視してまいります。

○高倉委員 今、引き続き国の動向を注視していくという答弁がございました。
 現在、やはり先ほど申し上げましたように、感染の波はかなり下になってきていて、もう一回波は来るんだろうかというような感じに、それぐらい下がってはいますけれども、これまでの状況を見れば、やはりまた波が来るということは当然ながら想定をされるわけであります。
 今は、そういうことで感染者が少ないですから、薬を服用するという必要性に迫られる方も少ないわけでありますが、やはり次の感染の波が来るということを想定もして、そのときに慌てて何かをするのではなくて、今こうした、いわば余裕があるときに準備をしておく、こういった、いってみれば心構えみたいなことも重要ではないかと思いますので、引き続き、またよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次いで、災害時も含めた医療支援についてお伺いしたいと思います。
 都議会公明党はこれまで、災害時の医療支援や日常的な救急医療について、陸から、そして空から、さらに海から、可能な限り医療提供の取組をすべきだということを訴えてまいりました。
 海からの医療支援については、国会で超党派の議連がございまして、そこと連携をして、日本に病院船を導入すべきであるということを、私もそういった方々に協力する形で推進に取り組んでまいりました。
 民間船でありますとか、あるいは自衛隊の護衛艦を活用した実証実験というのを、これまで実は東京港で行っておりまして、私もそういったところに参りました。国会の議連の方々とも連携をして、協力をさせていただきました。
 またさらに、今東京にはない救急艇——消防艇というのはあるんですけど、救急艇ってないんですよね。こうした導入ということも訴えてまいりましたし、あるいは空からの支援については、今日、北口委員からも質問をさせていただきましたけれども、全国展開型のドクターヘリの運航というのを強く訴えてまいりまして、都として、今それは実現をしていただいたわけであります。
 陸からの支援については、さらにドクターカーの有効性でありますとか、あるいは移動薬局というんでしょうか、モバイルファーマシー、こうした導入に向けた調査もこれまで進めてきているわけであります。
 そこで、ドクターヘリについてお伺いをしたいと思います。
 高齢化による救急患者が増加する中で、このドクターヘリの導入、もともと東京は、東京型ドクターヘリというのを、ある意味では全国に先駆けてやってきているわけですけれども、全国で展開をしているドクターヘリというのは、東京はずっと導入してこなかったわけであります。
 全国展開型のドクターヘリは、小型で機動性があって、お隣の県でも同じようなものを同じようなシステムで導入していますので、実は連携がしやすいといったメリットもあるわけです。
 このドクターヘリは、今、都において常時一機で運用しておりまして、これはほかの県でも同様であります。そのために、災害発生時のほか、複数の重篤患者が同時に発生した場合など、緊急の事態に備えて近隣県との連携体制を早期に構築すべきであるというふうに思っております。
 ドクターヘリの昨年度の運航実績と近隣県との連携に向けた取組の状況について答弁をいただきたいと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 ドクターヘリは、医師がヘリコプターに搭乗して速やかに患者の下に行き、現場や機内で必要な治療を行いながら医療機関に搬送するものでございまして、昨年度の都におけますドクターヘリの運航実績は、出動が六百八十三件、うち診療した患者数は百五十人でございました。
 また、近隣県との連携につきまして、国は、大規模災害時におけるドクターヘリの運用体制として地域ブロックを定めており、都は、神奈川県、山梨県及び静岡県東部と同一のブロックとして、平時から連携強化に努めることとしております。
 都は昨年度、神奈川県と協議の場を設置いたしまして、運用方法の違いや出動範囲などの課題について話合いを進めてまいりました。
 今年度は、山梨県とも同様の協議を開始しており、今後、ドクターヘリの運航時の安全確保を最優先としながら、連携体制の構築を図ってまいります。

○高倉委員 それからもう一つ、先ほどちょっとお話もしましたけれども、移動薬局、モバイルファーマシーについてお伺いしたいと思います。
 災害時に備えて、避難場所等には薬も備蓄をされているわけであります。しかしながら、災害時には、場所によっては薬が不足するというようなことも想定をされまして、その際には、迅速な機動力といったものも重要ではないかと思います。
 私ども都議会公明党はこれまで、大分県など他県で導入されたモバイルファーマシーの活用状況を調査してきました。大分のモバイルファーマシーは、二〇一六年の熊本地震にも出動しまして、被災者に対する医薬品提供に貢献をしたわけであります。
 また、このモバイルファーマシーは、日常的には薬剤に関する様々な啓発活動にも力を発揮できるのではないかと、このように思います。
 都においても、関係団体の意見を聞きながらモバイルファーマシーの導入を進めるべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○早乙女食品医薬品安全担当部長 災害時には、各区市町村は医療救護所の中に医薬品等保管場所や調剤所を設け、薬剤師班が調剤を行い、被災者に必要な医薬品を提供する体制を整備しております。
 モバイルファーマシーは、被災地における医療支援活動で一定の成果を上げている一方で、その維持管理には様々な課題もあり、導入については様々な観点からの検討が必要でございます。
 今後、関係団体と意見交換を行い、引き続き、都内の状況に即した災害時の医薬品供給体制の充実に取り組んでまいります。

○高倉委員 今、関係団体と意見交換を行いというご答弁がありましたので、ぜひ、しっかりそうした意見交換も行いながら、可能性についても追求していっていただきたいと、このように思います。
 最後に、動物施策についてお伺いしたいと思います。
 今日も様々な質問がほかの委員の方から出ておりますので、一点だけお伺いしたいというふうに思います。
 今、東京が殺処分ゼロを続けているということは、今日もいろいろな形で質疑がありました。実際は、やはり助かる見込みのないというんでしょうか、こういう動物は、残念ながら殺処分が行われている、こういう現状があるわけでありますけれども、しかしながら、新しい飼い主が見つかれば、そういう殺処分はもうしないという状況の中で、殺処分ゼロということを、今、都は進めてきていると思います。
 その中で重要な役割を果たしていらっしゃるのが、やはりボランティア団体の方々だと思うんです。この方々なくしては、まさに行き場を失った動物たちが殺処分をされないで済むということにはやっぱりならないんです。
 東京都だけが、完結して、そうした行き場を失った動物に対する対処をしていたのでは、それは実際難しい、無理なわけでありまして、これはもうボランティア団体の方々がしっかりと、いってみればバックアップといっていいんでしょうか、協力といっていいんでしょうか、していただいている結果として、まさにこの殺処分をしないという環境ができてきているというふうに思うんです。
 ただ、ボランティア団体の方々もいろんな団体の方々がいらっしゃると思いますけれども、実際に動物を引き受ける、引き取るわけです。都から引き取るということもあろうかと思っています。
 実際にその団体の会員の方々が手分けして、自分のおうちで新しい飼い主が見つかるまで、これはずっと飼っているわけです。それは一匹とかじゃなくて、何匹も増えちゃっているという状況の中で頑張ってやっているんです。したがって、それはやはり負担があるんです、経費の負担があります。餌代一つとっても大きな負担だと思うんです。
 今日は斉藤副委員長がいらっしゃいますけれども、斉藤さんとは、私、食品ロスじゃなくて、動物の餌の食品ロス、こういったことを、今、調査研究を進めているところでありますけれども、ここで餌代とか、あるいは飼育するのに必要な様々なもの、そして、一旦、また病気になれば、これはボランティア団体の方の持ち出しになってしまっているんです。非常にお金がかかります。
 したがって、東京都が、今、殺処分をずっと減らしてきている、この中においては、こういうボランティア団体の方々の存在というのは欠かすことができないんです。
 そのことを十分承知はしていらっしゃると思いますけれども、そういう方々が、本当にまた都に協力をして、しっかりと活動ができるような意味で、やはり私は、こうした東京に協力してくれているボランティア団体にしっかりと支援をしていくべきだというふうに思うんです。この点について答弁をいただきたいと思います。

○藤井健康安全部長 動物愛護相談センターで保護した犬や猫等のうち、負傷等により譲渡後も継続的な治療等が必要な場合に、ボランティア等に対して保護用具やペットシーツなどを提供いたしております。また、離乳前の子猫を育成し、譲渡するボランティアに対しては、ミルクや哺乳瓶などを提供しております。
 ボランティアと協力し、飼い主への相談支援や動物の一時保護、譲渡等の取組を行う区市町村を包括補助により支援しており、令和四年度は十三自治体が実施しております。さらに、飼い主のいない猫対策に取り組む四十九自治体についても、包括補助で支援しております。
 今後も、区市町村に対し包括補助事業の好事例等の情報提供を行うなどにより、ボランティアと連携した取組を推進し、ボランティアの活動を支援してまいります。

○高倉委員 今答弁をいただきました。これで最後にしたいと思いますけれども、今、ミルクボランティアのお話なんかがありましたが、都は直接支援をしているということであると思います。
 その一方で、包括補助のお話があったんです。確かに包括補助ということで、いろんな支援をしているということはもちろん承知はしているんですけれども、実際に包括補助でいいのかどうかということも、今日はちょっと申し上げておきたいと思うんです。
 自治体が、この包括補助を使って支援をしているのが十三団体であるということ、これは多いのか少ないのかということはあるかもしれません。あるいは、実際どういうことに使われているのかということがあるかもしれませんので、一概に多いとか少ないとかはいえませんけれども、やはり自治体それぞれが、地域の特性も当然ありますから、そこの中でいろんな支援策を考えるということと同時に、今申し上げたように、まさしく都の動物施策をしっかりとバックアップし、協力し、担っていただいているのがそういうボランティアの団体の方々ですから、こうした方々に、いわば直接の支援といったことの充実策を今後も考えていただきたいと、このように思います。
 以上を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○あかねがくぼ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あかねがくぼ委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で保健医療局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時八分散会

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