厚生委員会速記録第九号

令和五年九月二十九日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長内山 真吾君
副委員長早坂 義弘君
副委員長中山 信行君
理事平田みつよし君
理事藤田りょうこ君
理事菅原 直志君
上田 令子君
竹平ちはる君
たかく則男君
龍円あいり君
浜中のりかた君
山加 朱美君
竹井ようこ君
白石たみお君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉局局長佐藤 智秀君
次長小林 忠雄君
理事浅野 直樹君
総務部長関口 尚志君
企画部長DX推進担当部長兼務山本 謙治君
子供・子育て支援部長西尾 寿一君
高齢者施策推進部長花本 由紀君
政策推進担当部長森田 能城君
子供・子育て施策推進担当部長新倉 吉和君
高齢者施策推進担当部長梶野 京子君
保健医療局局長雲田 孝司君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務村本 一博君
政策推進担当部長宮澤 一穂君

本日の会議に付した事件
意見書について
福祉局関係
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第十一号 東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの令和四年度業務実績評価結果の報告について
・地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの第三期中期目標期間業務実績評価結果の報告について
保健医療局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十九号議案 東京都保健医療局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百七十号議案  興行場の構造設備及び衛生措置の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十一号議案 旅館業法施行条例の一部を改正する条例
・第百七十二号議案 プール等取締条例の一部を改正する条例
・第百七十三号議案 東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
・第百八十四号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買入れについて
・第百八十五号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
・第百八十六号議案 集中的検査に用いる新型コロナウイルス抗原定性検査キットの買入れ(単価契約)について
報告事項(質疑)
・地方独立行政法人東京都立病院機構の令和四年度業務実績評価結果の報告について

○内山委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○内山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局及び保健医療局関係の付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
 これより福祉局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○佐藤福祉局長 過日の委員会を公務により欠席いたしました幹部職員を紹介させていただきます。
 高齢者施策推進部長の花本由紀でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○内山委員長 紹介は終わりました。

○内山委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 議員提出議案第十一号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○白石委員 日本共産党の白石たみおです。東京都シルバーパス条例の改正案についてご説明いたします。
 シルバーパスの発行に必要な費用負担額は、住民税非課税または所得百三十五万円以下の方は千円、それ以外の方は二万五百十円となっております。
 本条例案では、第一に、この費用負担額を所得に応じた額とするよう条例に定めることによって、負担を軽減いたします。具体的には、住民税課税で所得百三十五万円超二百十万円以下の方を対象に、三千円パスを発行することを考えております。
 第二に、利用できる交通機関を拡大し、新たに多摩都市モノレール、「ゆりかもめ」でも利用できるようにいたします。
 第三に、都県境のバス路線で利用できるようにいたします。現在の制度では、民営バスに乗る場合は乗車、降車の両方が都内の停留所である必要がありますが、これを乗車、降車の一方が都内の停留所であれば利用できるように改めます。
 施行日は、二〇二四年十月一日です。
 次に、提案理由についてご説明いたします。
 シルバーパス制度は、七十歳以上の都民が負担金を支払ってパスの発行を受けることで、都営交通と都内のほとんどのバス路線を利用できるようになるもので、都の調査でも幅広い世代から評価されていることが確認をされています。
 一方で、課題もあります。シルバーパスの負担額は、住民税課税で所得が百三十五万円を超えると、千円から一気に二万五百十円に上がるため、負担軽減を求める声が大きく広がっています。実際に、二万五百十円のパスの発行枚数は低迷しております。東京都が都民を対象に行ったアンケート調査でも、二万五百十円の利用者負担金に対する考えは、高いと思うが最も多くなっていました。そのため、負担軽減を行う必要があります。
 また、多摩都市モノレール、「ゆりかもめ」は東京都の第三セクターによる公共交通機関ですが、シルバーパスは利用できません。沿線の住民からは適用を求める声が根強くあり、都の調査でも、シルバーパスのこれからの在り方に対する考えについて、七十歳以上の方の回答の第二位が、鉄道やモノレール等で利用可能にするでした。より使いやすい制度とするため、条例を改正して、多摩都市モノレール、「ゆりかもめ」で利用できるようにする必要があります。
 さらに、東京都と他の県の境の近くに住む都民は、生活圏が都外に及ぶことが少なくなく、日常的に利用する駅が都外にあるためにシルバーパスで行くことができないなど、多くの不便が生じております。そのため、少なくとも乗車または降車の一方が都内であれば利用できるようにする必要があります。
 以上の理由から、シルバーパス条例の改正を提案するものです。
 ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○内山委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。——発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終わりました。

○内山委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○関口総務部長 九月十三日の当委員会で要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただき、裏面の目次をご覧ください。当委員会で要求がございました資料は、十項目となってございます。
 一枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。1、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別職員数の推移といたしまして、各年度四月一日現在の職種別の職員数につきまして、一ページに常勤職員を、二ページに非常勤職員を、それぞれ令和元年度から五か年にわたり記載してございます。
 三ページをご覧ください。2、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの診療科別医師数といたしまして、副院長のほか診療科別の医師数につきまして、令和五年四月一日現在の常勤職員数を記載してございます。
 四ページをお開き願います。3、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの経営指標の推移といたしまして、入院と外来の経営指標につきまして、平成三十年度から五か年にわたり記載してございます。
 五ページをご覧ください。4、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターのその他医業収益の推移と内訳といたしまして、その他医業収益の決算額とその内訳につきまして、平成三十年度から五か年にわたり記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに対する運営費負担金及び運営費交付金の推移といたしまして、運営費負担金と運営費交付金の決算額につきまして、平成三十年度から五か年にわたり記載してございます。
 七ページをご覧ください。6、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける個室使用料の推移といたしまして、八ページにかけまして、個室の区分、金額、室数の推移を記載してございます。
 九ページをご覧ください。7、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの人材紹介会社への職種別支払金額の推移といたしまして、医師と看護師に係る人材紹介会社への支払い金額につきまして、平成三十年度から五か年にわたり記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。8、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの新卒者、経験者別看護師採用者数の推移といたしまして、常勤看護師の採用者数につきまして、新卒者と経験者別に令和元年度から五か年にわたり記載してございます。
 一一ページをご覧ください。9、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの看護師の夜勤回数別勤務者数といたしまして、三交代制勤務と二交代制勤務それぞれにおける各年七月一日から同月三十一日までの常勤看護師の夜勤回数別の人数につきまして、令和元年から五か年にわたり記載してございます。
 一二ページをお開き願います。10、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別年次有給休暇平均取得日数といたしまして、一人当たりの年次有給休暇の平均取得日数につきまして、職種別に平成三十年から五か年にわたり記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、当委員会で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○内山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、質疑に入らせていただきます。
 まず初めに、令和四年度は、健康長寿医療センターの第三期中期目標の期間の最終年度であり、平成三十年度から始まった五年間の取組を総括する必要があるのだろうというふうに思います。
 そこで、今年度から始まっている第四期中期目標期間の運営に向けて、第三期中期目標期間中の業務実績を東京都としてどのように捉えているのか、評価のポイントをお伺いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 今回の業務実績評価では、平成三十年度から令和四年度までの第三期中期目標期間の業務実績について、優れた業務の達成状況にあると評価しております。
 センターの三つの部門のうち、まず、病院部門では、三つの重点医療である血管病、高齢者がん、認知症について、高齢者の特性に合わせた医療の提供に努めるとともに、救急患者を積極的に受け入れ、高齢者の専門病院としての役割を果たしたことを高く評価いたしました。
 研究部門では、病院と研究所とを一体的に運営する法人の特徴を生かした研究を進め、新たな治療法開発等への活用が期待される研究成果を上げるとともに、高齢者の地域生活支援に資する研究に取り組み、成果を普及、還元したことを高く評価いたしました。
 そして、経営部門では、コロナ禍において、地方独立行政法人として機動的な経営判断や弾力的な予算執行を推進し、院内のPCR検査体制の迅速な整備や、宿泊療養施設等への看護師等の派遣など、公的医療機関として都の施策に貢献したことを高く評価いたしました。

○浜中委員 ご答弁ありがとうございました。
 健康長寿医療センターのコロナ対応については、昨年度の厚生委員会における我が会派の質問に対して、PCR検査体制を迅速に整備し、地域の急性期の患者を積極的に受け入れたこと、地域の連携医療機関からの検査の依頼にも幅広く対応したことなど、地域医療体制の確保への貢献については答弁があり、一生懸命やっていたということは聞き及んでおります。
 ただ、そうしたコロナ対応に限らず、公的な医療機関として、地域における中核的な役割を果たし、地域の医療機関との連携をさらに進めていくべきだと考えますが、具体的な取組についてお伺いをいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターでは、地域の医療機関からの検査依頼に速やかに対応できるよう、主治医が直接オンラインでかかりつけ患者のCTやMRIなどの検査予約ができる地域医療連携システムを運用しております。
 令和四年七月からは、このシステムを活用して、主治医からの初診予約の受付も開始いたしました。システムの利用促進に向けて、センターの医師等が地域の医療機関を個別に訪問し説明するなど、きめ細かい働きかけを行った結果、システムの利用登録をした医師は、令和五年八月末時点で約一・六倍に増加しております。
 また、脳卒中患者等について、近隣の医療機関と連携し、回復期リハビリテーション病院への円滑な転院支援を行うとともに、転院後に体調変化があった患者を速やかにセンターで受け入れるよう調整を図るなど、地域連携を推進いたしました。

○浜中委員 先日、我が党では、健康長寿医療センターへの視察を行い、これ、私も一緒に行かせていただいたんですけれども、老化に関連した疾患の原因究明とその解析に活用するために、人の死後の脳、脳みそを蓄積した高齢者ブレインバンクを見学するとともに、最先端の認知症予防研究の話を伺ってまいりました。
 そこで、最後に、健康長寿医療センターが、こうした最先端の研究成果の都民、社会への還元に向けて、どのように取り組んでいるのかをお伺いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターでは、研究を推進する基盤の強化を目的として、平成三十年度に研究支援組織であります健康長寿イノベーションセンターを立ち上げ、病院と研究所との連携の推進、外部研究資金の獲得支援、また、知的財産の管理、活用等に取り組んでまいりました。
 その結果、特許の新規申請件数や外部獲得資金が増加し、令和四年度には、科研費新規採択率を伸ばすとともに、過去最高額となる競争的外部資金を獲得いたしました。
 また、研究成果を広く都民に普及するための公開講座を感染対策に配慮しながら集合形式で開催するとともに、ユーチューブを活用した動画配信も積極的に実施しまして、令和四年度末のチャンネル登録者数は前年度に比べて約一・五倍に増加いたしました。
 今年度から開始した第四期中期目標期間においても、都における高齢者医療研究の拠点として、これまで培ってきた知見や病院と研究所とが一体化した強みを生かし、高齢者の健康長寿と生活の質の向上を目指す研究を推進し、研究成果のより一層の普及、還元に取り組んでまいります。

○龍円委員 こんにちは。東京都健康長寿医療センターの実績評価についてお伺いいたします。
 高齢者がコロナにおけるハイリスク層である中で、ほかの医療機関ですとか、関係機関と連携しながら役割を果たしてこられたことに頭が下がる思いでございます。
 さて、私たちの会派では、健康寿命を延ばしていくための施策について、代表質問や要望を重ねてまいりました。そのためには、デジタルデバイドの解消だったり、日常的な運動、コミュニティに属してやりがいのあることに取り組むことなど、様々な施策が複合的に必要だと思います。そして、何よりもフレイル対策も重要であることは、もちろんのことでございます。
 そこでまず、令和四年度の業務実績評価において、特に高く評価された東京都健康長寿医療センターの取組のうち、フレイル予防に配慮した病院部門の取組についてお伺いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターの病院部門では、設立以来、高齢者専門病院として、血管病、高齢者がん及び認知症の三つの重点医療について、検査や手術の痛み、出血などをできるだけ少なくした治療など、高齢者の特性に合わせた医療の提供に努めております。
 また、高齢者に特有な疾患に対応しましたフレイル外来などの専門外来を実施するとともに、入院患者には、入院時から退院を視野に入れた治療の提供とスムーズな在宅移行に向けた退院支援を実施しております。
 令和四年度は、医療現場における実践やノウハウを生かしまして、医師がフレイルの全体像を理解し診断、治療していくための知識をまとめたフレイルサポート医のための疾患治療マニュアルを出版いたしました。
 こうした取組により、フレイルに配慮した高齢者医療モデルの確立、普及に努めております。

○龍円委員 ありがとうございます。高齢者に特化した医療機関ならではの取組は、東京都全体にとって重要、そして貴重なことだと思います。
 次に、令和四年度の業務実績評価において高く評価されました東京都健康長寿医療センターの取組のうち、フレイル予防に向けた研究部門の取組についてお伺いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 研究部門のうち、自然科学分野では、細胞内の小器官の一つであり、筋肉のエネルギー源を生み出すミトコンドリアの内部に存在し、たんぱく質群が結合することでより多くのエネルギーをつくり出すミトコンドリア超複合体、こちらにつきまして、世界で初めて生きた細胞で可視化、定量化に成功し、筋肉の運動持久力を高める新規化合物を発見するなど、筋肉の疾患への予防、治療法への応用に寄与いたしました。
 また、骨格を動かす筋肉の機能維持にはビタミンCが不可欠であり、不足すると筋肉の萎縮や身体機能の低下をもたらし、また、再投与により回復するということを明らかにいたしました。
 一方、社会科学分野では、普通に歩行するという以上の中高強度の身体活動、多様な食品の摂取、社会交流行動の三つについて、どれか一つを実施するよりも組み合わせて実践するほど要介護化リスクが大きく低減することを明らかにするなど、フレイル予防をはじめ、高齢者の地域での生活を支えるための研究を推進いたしました。

○龍円委員 ミトコンドリア超複合体について、世界で初めて生きた細胞で可視化して、定量化に成功して、それが筋疾患への予防とか治療法につながっていくということで、高齢者にとっては、筋肉の衰えというのは非常に重要な課題になってくると思いますので、そういう意味でも、超高齢化社会を迎える東京において、世界初となる研究成果を上げているというのは、非常に意義があることだと思います。
 今後とも、どうぞ東京都健康長寿医療センターの取組を進めていただけますようにお願いしまして、質疑を終わります。ありがとうございます。

○たかく委員 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの業務実績評価についてお聞きいたします。
 初めに、新型コロナ対策について伺います。
 二〇二〇年から始まったコロナ感染症との闘いにおいて、同センターでは、公的医療機関として、コロナ専用病床の確保をはじめ、近隣の公社病院である豊島病院からの重症患者を受け入れ、ECMO治療を実施するなど、重要な役割を担ってきたとのことであります。
 新型コロナ感染症への対応において、東京都をはじめ、地域の医療機関など関係機関と連携し、法人一丸となって公的医療機関の役割を果たしてきたとのことですが、新型コロナ感染症への取組の総括をお聞きいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターでは、東京都の要請に基づき、新型コロナ入院重点医療機関として、コロナ患者の受入れ病床を確保するとともに、ECMOなどの医療機器を充実させることにより、重症、中等症患者の受入れ体制を迅速に整備いたしました。
 また、病院と研究所の連携により、PCR検査体制を迅速に整備することで、入院前や転院時の患者を対象とする検査に加えまして、地域の連携医療機関からの検査依頼にも幅広く対応し、積極的な患者受入れを実施いたしました。
 さらに、一部の病棟を休止し、休止病棟から看護師など医療従事者を都が設置運営する都内各地の宿泊療養施設や大規模ワクチン接種会場等にいち早く派遣し、長期間継続して派遣するなど、都のコロナ対策の一翼を担い、公的医療機関としての役割を果たしてまいりました。

○たかく委員 東京都のコロナ対策の一翼として重要な役割を果たしてきたことは理解しました。
 新型コロナ感染症は、今年五月に二類から五類へ移行しましたが、まだまだコロナ感染者数は減少していない状況でもあります。最近ではインフルエンザの患者数も増加してきており、今後とも、高齢者の健康を守る上で、新型コロナ感染症対策を着実に進めていただきたいことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、業務実績評価について伺います。
 令和四年度における二十項目の項目別業務実績評価では、一つに救急医療、二つ目に高齢者に特有な疾患と老年症候群を克服するための研究、そして三つ目に研究推進のための基盤強化と成果の還元、この三項目がS評定となりました。
 S評定とした理由について伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 令和四年度業務実績評価で最上位のS評価となりました三つの項目のうち、一つ目の救急医療については、新型コロナウイルス感染症の流行下において、病床の一部を休止しながらも地域の関係機関との連携体制を強化し、救急患者の積極的な受入れを行ったことを高く評価しております。
 また、二つ目の高齢者に特有な疾患と老年症候群を克服するための研究については、エネルギーを生み出すことに関わるたんぱく質群の集合体でありますミトコンドリア超複合体を増やし、筋肉の運動持久力を向上させる新規化合物を発見するなど、高齢者に特有な疾患と老年症候群の克服に向けた研究を推進したことを高く評価しております。
 そして、三つ目の研究推進のための基盤強化と成果の還元については、研究支援機関であります健康長寿イノベーションセンターにおいて、外部評価委員会による評価に基づいて効率的、効果的な研究活動を推進したこと、また、科学研究費助成事業の新規採択率を伸ばすとともに、過去最高となる競争的外部資金を獲得するなど、研究成果の実用化や社会への還元に向けた取組を一層推進したことを高く評価しております。

○たかく委員 今の答弁で二つ目なんですが、二つ目の答弁の研究部門において、高齢者に特有な疾患と老年症候群を克服するための研究では、ミトコンドリア超複合体について、世界で初めて生きた細胞で可視化、定量化に成功し、この技術を活用して超複合体形成を促進し、筋肉の運動持久力を向上させる新規化合物を発見するなど、高齢者に特有な疾患と老年症候群の克服に向けた研究を推進してきたとのことでありますが、具体的にどのような研究のことで、また、この研究は今後どのように展開していくのかお聞きいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 ミトコンドリアとは、筋肉が十分に力を発揮し運動を行うために必要なエネルギーの生産工場として機能する細胞内の小器官でございまして、その内部にありますたんぱく質群同士が結合してできるミトコンドリア超複合体、こちらを増やすことによって、より多くのエネルギーを生み出すことが可能となります。
 健康長寿医療センターでは、理化学研究所等との共同研究により、世界で初めて生きた細胞の中でこのミトコンドリア超複合体の見える化に成功するとともに、この見える化の技術を用いまして、超複合体を増やすことができる新しい薬物を発見いたしました。
 この薬物をマウスに与えると、筋肉細胞内のミトコンドリア超複合体が増えまして、筋肉の運動持久力を高めるということを確認しております。
 この発見は、加齢等に伴う筋肉量や筋力の低下でありますサルコペニアなどの筋肉の疾患の予防、治療法への応用が期待されるものでございます。

○たかく委員 ありがとうございます。
 平均寿命よりも健康寿命が大事だといわれる中で、自分自身が健康で自立した生活を長く続けていくことが大事だと考えます。
 ささいな身体の衰えが要介護状態まで悪化することがあります。筋肉の衰えなどが生じるサルコペニアは健康寿命を阻害するものであり、同センターの研究成果を早く都民、社会に普及、還元できるようにしていただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、認知症対策について二点伺います。
 認知症は、脳の病気や障害など、様々な原因により認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
 日本における六十五歳以上の認知症の人の数は、二〇一二年には四百六十二万人、高齢者の七人に一人といわれておりましたが、二〇二五年には約六百五十万から七百万人に増加すると予測されており、六十五歳以上では五人に一人が何らかの認知症になる時代となっております。
 認知症は誰でもなり得ることから、認知症への理解を深め、認知症になったとしても希望を持って日常生活を過ごせる共生社会をつくっていくことが重要なことと考えます。そこで、健康長寿医療センターでは、令和二年度に認知症未来社会創造センターを立ち上げ、認知症予防に取り組んできたとのことであります。
 ここで、認知症未来社会創造センターの役割と具体の成果についてお伺いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 認知症未来社会創造センターでは、健康長寿医療センターが臨床及び研究を通じて蓄積してきた膨大なビッグデータを活用し、AIを駆使した新たな認知症予防の研究等を推進するために設置されたものでございまして、現在、三つの研究事業を実施しております。
 一つ目の認知症研究のプラットフォームとなりますデータベースの構築については、健康長寿医療センターがこれまで蓄積してきた生体試料や診療情報、検査画像等のデータを統合するとともに、新たなデータ等の収集を進め、令和四年度からは共同研究を行う研究機関や企業等への提供を開始いたしました。
 二つ目のAIを活用した認知症診断システムにつきましては、脳疾患の診断システムや認知症の鑑別診断システムの開発を進め、一部の機器では既に薬事承認を取得するとともに、患者の負担が少ない検査方法であります体液のバイオマーカーの開発にも取り組んでおります。また、認知機能の低下などをAIが会話から分析し、検知するチャットボットについては、臨床現場でのトライアルを実施しております。
 三つ目の生活習慣や病歴等が認知機能に及ぼす影響を視覚的に捉えることができるリスクチャートの作成については、健康長寿医療センターが保有するデータを活用し、認知機能低下をスクリーニングできる試作モデルを開発いたしました。
 こうした実績を踏まえ、研究成果の実用化に向けた取組をさらに推進してまいります。

○たかく委員 今の答弁ですと、当センターでは、AIを駆使して、医療、研究、そしてまた生体などの情報を一元的にまとめ、今、他の研究機関や企業等にも情報提供しているとのことです。このセンターでの研究成果が実用化に向かっていくようにしっかりと進めていただきたいことを要望して、最後の質問に移ります。
 我が党が一貫して推進してきた認知症基本法が本年六月に成立し、都道府県や市区町村は努力義務とされました。
 今定例会の都議会公明党の代表質問でも、認知症施策の推進について取り上げてきたところでありますが、今後、認知症医療、研究の知見が豊富である健康長寿医療センターとさらに連携し、認知症施策の充実につなげていくべきと考えますが、局長の決意をお聞きいたします。

○佐藤福祉局長 都は、第八期高齢者保健福祉計画におきまして、認知症施策の総合的な推進を重点分野の一つに位置づけまして、認知症の方が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう、区市町村をはじめとした関係機関と連携をして、認知症施策を推進しているところでございます。
 また、都が健康長寿医療センターについて定めております今年度からの第四期中期目標におきましても、認知症との共生、予防を重点分野の一つに位置づけておりまして、センターは、その中期目標の達成に向けまして、都と緊密に協力連携いたしまして、認知症の予防、あるいは認知症との共生に向けた研究というのをさらに推進していくということが求められているというふうに思います。
 ちょうど国では、おとといになりますけれども、認知症の人やその家族を支える方策を話し合う新たな会議の認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議というのが開催をされましたけれども、その意見も踏まえまして、認知症基本法に基づく基本計画の策定などを進めるということと、今なっております。
 基本法では、都道府県は認知症の人に関する理解の増進、あるいは研究等の推進、認知症の予防等の施策を講じるものとされておりまして、都としては、こうした国の動きを踏まえつつ、健康長寿医療センターが、今までるる答弁してまいりましたけれども、先駆的に取り組んできた認知症の医療、研究の知見、そのノウハウというのをしっかりと生かしながら、次期高齢者保健福祉計画の策定に向けた議論の中でしっかり取り組んでまいりたい、共生社会の実現、認知症施策の充実について取り組んでまいりたいというふうに思っています。

○たかく委員 引き続き、都内高齢者の健康の維持及び増進の実現に向けて取り組んでいただきたいことを要望して、質問を終わります。

○藤田委員 私からも、東京都健康長寿医療センターの令和四年度業務実績と、あと、第三期中期目標期間の業務実績評価結果の報告について質問をいたします。
 今年五月八日から、新型コロナ感染症が五類に引き下げられ、政府は十月以降、コロナ対策をさらに縮小する予定です。
 一方、病院経営は非常に厳しく、病床確保料をはじめとしたコロナ補助金によって、何とかコロナ医療と一般医療を両立させてきているという状況です。十月以降、補助金が縮小されれば、コロナの入院患者を受け入れるのはますます困難になります。
 その中でも、健康長寿医療センターは、公的医療機関として、引き続き都民に必要な医療を提供していくことが求められます。
 コロナ患者の入院受入れについて、今後の健康長寿医療センターの考えについて伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターでは、新型コロナウイルスが五類移行後も、これまで同様、通常医療との両立を図りながら、必要な感染対策を実施した上で、新型コロナ患者や急性期患者等を積極的に受け入れ、地域の医療機関等と連携を図りながら、引き続き高齢者医療の充実に努めてまいります。

○藤田委員 今後も、これまで同様、新型コロナ患者や急性期患者などを積極的に受け入れていくとの答弁でした。
 縮小はしないということなので、少なくともその水準は守っていただきたいと思います。公的医療機関としては、特に受入れ困難な患者の対応で役割を果たすことが重要です。
 行政的医療は健康長寿医療センターの役割であり、新型コロナに感染した高齢者や認知症の方、透析患者を今後も健康長寿医療センターで積極的に受け入れていくことを求めますが、いかがですか。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターでは、公的医療機関として、今後も高齢者等医療支援型施設等の関係機関と連携しながら、新型コロナウイルスに感染した高齢者や認知症の方、透析患者等を積極的に受け入れてまいります。

○藤田委員 コロナに感染した高齢者や認知症の方、透析患者などを積極的に受け入れるということですので、積極的に役割を果たしていただきたいと思います。
 そのために必要なのは、看護師の確保です。ところが、本日の委員会資料の1、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別職員数の推移をご覧ください。これによりますと、看護師数は昨年度よりも十八人減ってしまっています。
 健康長寿医療センターでは、看護師など、定数という位置づけは計画数という呼び方をしておりまして、計画数は、令和三年度では看護師は四百八十一人でした。今年度も四百八十一人というふうに伺っています。
 これまでは計画数よりも十人から二十人ほど多い体制で来ていたんですが、今年度は計画数ぎりぎりぐらいの体制になっているということで、状況によっては、産休や育休、退職などによって、年度途中で計画数を下回るという可能性があります。
 健康長寿医療センターの今年度の看護師数が昨年度より十八名減っているというのはなぜですか。

○梶野高齢者施策推進担当部長 令和五年四月一日採用に向けました令和四年度中の募集については、前年度であります令和三年度の退職者数である五十四名と同程度の退職者数を見込んで、結果として五十一名を採用いたしました。
 また、令和四年度途中に三名を採用いたしましたが、実際の退職者は七十二名と想定を上回りましたため、結果として十八名の減となったというものでございます。

○藤田委員 今の答弁では、十分な説明にはなってはいないのではないでしょうか。看護師の退職がなぜ増えたのかということや、独法化すれば職員を柔軟に採用できるといってきていましたのに、今年度中で退職者数の見込みを把握して補充するということがなぜできなかったのかということが分析されないと、今後も同様のことを繰り返しかねないと思います。そもそも、前年の退職者数を翌年に採用できればいいということではありません。
 今年度第一回の地方独立行政法人評価委員会の健康長寿医療センターに関する分科会の議事録では、センターで働く看護師の実態について、センター長がこのように話されています。
 健康長寿医療センターは、独法化してから十五年なんですけれども、独法化が始まって、若い看護師さんをどんどん採っていったのですね、そうすると、その看護師さんたちが、今、結婚、それから、出産、あるいは出産後の育休、これで約五百数十名いる看護師さんの中で、やっぱり七十名ぐらいが、夜勤ができないとか、そういうことで、コロナプラス産休、育休、働き方の改善の中で、十分病床の利用が伸びていないと発言をされています。
 しかし、産休、育休や夜勤免除というのは、当然、権利として認められるべきであって、そのことを前提に、より多くの看護師を配置するということがされてこそ、体制が維持できて、病床の利用も伸びるんだと思いますが、それがされないということこそ問題だと思います。病床利用を伸ばしたいというのなら、看護師を大幅に増員し、働きやすい職場をつくって、看護師が辞めない職場をつくるということこそ必要です。
 看護師数は、病棟の休止にも影響します。先ほどの議事録では、センター長は病床についても発言されています。
 基本は五百五十床ベースなんですけれども、第八波あたりまでは、看護師さんがホテル療養の方にかなり行っておりまして、二ユニットぐらい閉じていますと発言しています。つまり、病棟を二つ分ぐらい閉じていたということです。
 そこで伺います。健康長寿医療センターでは、今、何床の病床を休床にしていますか。また、その理由もお答えください。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターにおいて、本日現在、休止している病床数は五百五十床中八十一床でございます。
 休止の理由といたしましては、健康長寿医療センターでは五類移行後も多くのコロナ患者を受け入れておりまして、手厚い看護体制を整備するため、各病棟の一部を閉鎖していること等によるものでございます。

○藤田委員 現在でも八十一床、病棟ならば大体一病棟四十床程度ですので、引き続き二つくらいが閉じたままになっているということです。
 また、理由は、コロナ患者を受け入れて、手厚い看護体制を整備するためだということでした。新型コロナは、五類に移行した後も多くの人手を必要とするということには変わりないということがいえると思います。
 また、コロナは短期間で終息するということはありませんでしたし、これからも感染者数は増減を繰り返すことが想定されます。そうであれば、コロナ対応が続くということを前提に、看護師を抜本的に増やし、病棟を休床にせず、コロナ対応もできるというふうにしていくことを求めていきたいと思います。
 しかし、実際は逆の方向で議論が出ています。昨年九月三十日の厚生委員会で我が党の白石たみお都議が質問したことについて伺いたいと思います。
 二〇二一年三月十九日の財界オンラインのインタビュー記事で、健康長寿医療センターの理事長、鳥羽理事長は、このように述べています。
 コロナ前が五百五十床で、現在の運用が四百六十一床ですと述べて、その後に、十年後ぐらいに急性期ベッドがすごく余るというのがこのコロナによって先取りされたのではないかと思います、ですから、私たちの健康長寿、私たちの病院も、今回のコロナが収まっても五百五十床には戻しませんと話をされています。
 昨年の質問では、この発言を取り上げました。この発言の事実確認は行いましたか。

○梶野高齢者施策推進担当部長 理事長によりますと、病床数については、コロナ禍における病院運営の現状等を踏まえ、一つの考え方を述べたものとのことでございました。

○藤田委員 コロナ禍における病院運営の現状を踏まえての一つの考えということで、そうはいっても実際に考えられているということが確認できました。
 昨年の答弁では、五百五十床は様々な要素を勘案して定めたものだ、センターから病床数について相談は来ていないという答弁でしたが、では、健康長寿医療センターの鳥羽理事長は、病床を元の五百五十床には戻さないとの意向を撤回されていますか、それとも撤回はしていませんか、具体的に伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 先ほどお答えいたしましたとおり、理事長によれば、病床数の発言はあくまでも一つの考え方として述べたものということでございました。
 病床数五百五十床は、都が策定しました板橋キャンパス再編整備基本計画に基づくものでございまして、センターが所在する二次医療圏の医療需要の動向や、病診連携、病病連携の状況などを勘案して決定したものでございます。
 なお、センターから病床の変更の意向はこれまでに示されておらず、また、都としても、病床数を変更する状況にはないと考えております。

○藤田委員 都としても病床数を変更する状況にはないとのことでした。しかし、一つの考えとして述べたということで、撤回はしなかったということです。今後、具体化されていく可能性があります。
 今後、高齢化が進む中で、医療需要は増えていきますし、無料低額診療事業の実施など、センターは、より積極的に都民の必要とする医療を提供するべきです。病床の削減ではなく、職員の増員を進めることを求めるものです。
 さらに、白石都議は昨年の厚生委員会で、ほかにも発言をしております。
 健康長寿医療センターの理事長は、松本市立病院建設専門者会議で、今私は都の独立行政法人の理事長ですが、都立病院に比べて、独立行政法人の方が大体一割以上給料が安いです、その分独立行政法人なので、大学独法と同じように週に半日アルバイトに行ってよろしい、そういうことで安く抑えられていますと。この発言について、厚生委員会で質問し、事実確認を求めました。
 これは理事長に確認はされましたか。また、事実確認はいつしたのか伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 昨年の十一月に発言の趣旨等について理事長に確認したところ、他病院の経営改善に向けた助言の一環としての発言であるとのことでございました。

○藤田委員 助言の一環としての発言ということですが、都立病院に比べて独立行政法人の方が大体一割以上給料が安いとの発言の根拠について、私たちは昨年の厚生委員会で確認しました。
 また、引き続き確認をされたのか、具体的に伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 理事長によりますと、医療関係者と意見交換をした際に医師の給料に関する話題があり、その記憶に基づき発言をしたということでございました。

○藤田委員 記憶によるものということですが、昨年の質疑でも述べたように、地方公営企業年鑑のデータから考えても、独法の方が都立より大体一割以上給料が安いというのは、現実離れした話ではありません。
 兼業を認める理由は、都立病院の独法化について説明してきたことと明らかに違いますので、都立病院機構で行われている兼業が何のためなのか、検証していく必要があります。
 また、独法化について、働きやすい給与水準を持つと東京都はいってきたのですから、都立病院に合わせて健康長寿医療センターの給与を引き上げていくことこそ必要だと指摘しておきます。
 新型コロナ感染症のパンデミックは、東京の医療が脆弱であることを浮き彫りにしてきました。医師も看護師も、体制強化こそ必要です。新型コロナは、五類に移行したとしても、季節性インフルエンザよりはるかに感染力が強く、無症状の方からも感染が広がって、今後もしばらく感染拡大を繰り返すと専門家は分析をしています。
 そうなると、再び高齢者やリスクの高い方への感染も広がります。東京都健康長寿医療センターにおいても、行政的医療を確実に提供していくという公的病院の使命を果たすために、医療体制の抜本的な強化を行う必要があります。
 そのため、職員の増員をすべきであると改めて求めまして、質問を終わります。

○上田委員 まず、私債権の放棄に関して伺います。
 女性福祉資金の貸付実績と金額について、昨年度の要求資料では令和二年度まで出していただいておりました。令和三年度の件数と金額をご報告ください。同じく、東京都母子及び父子福祉資金貸付金の過去五年の件数と金額もお示しください。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 女性福祉資金の令和三年度の市町村分の貸付件数は三十件、貸付金額は二千三百七十八万七千円でございます。
 また、母子及び父子福祉資金の過去五年間の区市町村分の貸付件数と貸付金額についてでございますが、平成二十九年度は五千二百六十七件、二十九億二千三百六十万五千円、平成三十年度は四千七百七十六件、二十七億八千百八十一万六千円、令和元年度は四千五十二件、二十四億七千二百八十八万九千円、令和二年度は三千三百三十七件、二十億二千百九十四万一千円、令和三年度は二千五百八十九件、十五億一千二百六十万三千円でございます。

○上田委員 女性福祉資金は三十件ということで、これまでとほぼ横ばいということであります。
 今回ちょっと明らかになったのは、平成二十九年度は約三十億円、令和三年度は十五億円に半減しちゃっていますよね。ひとり親家庭は母親が十一万世帯ですか、合わせて十四万世帯というふうに理解しておりますので、かなり頑張って、なるだけ行政のお世話にならないで頑張っているひとり親家庭が浮き彫りになりましたが、半減したことについては、また、私なりにも吟味して事務事業質疑等で確認をさせていただきたいと思います。
 事ほどかように、貴重な税源が根拠となっておりますことから、これらの実績を踏まえて、私債権放棄に至った件数、金額と照らし合わせました事業の評価についての分析をお願いいたします。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 母子及び父子福祉資金と女性福祉資金とを合わせました平成二十九年度から令和三年度までの過去五年間の一年当たりの平均は、貸付件数が四千三十九件、貸付金額は二十三億六千五百七十五万六千円となってございます。
 また、同様に、私債権放棄の一年当たりの平均は七件、百三十五万六千円となってございます。
 この二つの貸付制度は、ともに対象者の経済的自立と生活意欲の助長を目的としておりまして、多くの方に活用いただいております。

○上田委員 本当に多くの方が活用しているということですし、ちょっと債権放棄は残念なことでありますが、生活が困窮しているからこそ利用したわけで、この三百万の中には、それぞれの皆さんの返済し切れない状況があったと思料するところであります。
 免除申請状況なども踏まえて、対象都民が置かれている状況なども把握していると思われますので、この観点からの所見を求めます。

○新倉子供・子育て施策推進担当部長 二つの貸付制度とも、貸付実績を見ますと、全体のうち修学資金及び就学支度資金の割合がおおむね九割を占めてございまして、多くの方が教育に係る資金として活用しております。
 なお、借受人が死亡したとき、または精神もしくは身体に著しい障害を受け貸付金を償還することができなくなった場合などに申請できます償還免除につきましては、平成二十九年度から令和三年度の過去五年間、実績はございません。

○上田委員 先ほどいったように、対象世帯よりも利用していただいているのかなということを常に見ているところであります。なかなか私のところに相談に来て、この制度を紹介するという事例もありますので、困っている世帯が、なるだけ貸し渋りをすることなく、何というんですか、周知もしてほしいですし、また、しっかり返せるような支援もまたしていただきたいと思います。
 〇一八サポートでは、結局、生活保護世帯こそ一番困っているのに収入認定になっちゃうって、そこら辺の制度設計も具体にしないまま決まっちゃったのというところで、ちょっと都政で、この子育て支援が絵に描いた餅米、餅にもなっていないのではないかというふうに思っておりますので、そこら辺、一番困っている人が一〇〇%利用できるような形に、また、この返済不能な状況に置かれるまでも、いろいろお困りのこともあったと思うんですけれども、そこに対しての寄り添いをお願いしたいと思います。
 次は、健康長寿医療センター令和四年度の業務実績評価でございます。
 平成二十九年に、六月から一年近くの間に人工心臓をつける手術を受けた患者五人のうち三人が亡くなりまして、そのうち、二十代の若者も、健康長寿医療センター、いわゆる高齢者病院で五人のうち三人も亡くなって、立入検査があったことをずっと確認をさせていただいております。
 この心臓植え込み人工手術、この件につきまして、その後、五例のほかには、平成二十九年度中に二例実施、患者の年代は五十代と二十代、いずれの患者も術後の経過に問題なく退院ということになっておりました。
 これらの死亡事例については、外部有識者を加えた事例検討会で検証し、手術の実施体制や患者管理は適切であったことなどを確認した上で、当該手術は平成三十年以降は実施していないそうですが、その後、いかがでしょうか、無事退院された方のその後はどうだったのでしょうか、伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターでは、平成三十年度以降、植え込み型補助人工心臓手術は実施をしておりません。
 平成二十九年度に当該手術を受けて、その後、退院された方の退院後の経過につきましては、特定の患者の方の個人情報となりますので、ご答弁は差し控えさせていただきます。

○上田委員 無事健康であることをお祈りしたいと思いますし、毎度確認させていただいておりますけれども、その後、植え込み型補助人工心臓手術、この病院には全くなじまない手術はされていないということで安心しました。引き続き監視をさせていただきます。
 私、項目別にこちらの方、本当精読させていただきまして、大変興味深く読みました。
 項目7です。在宅介護施設の褥瘡等の皮膚トラブルは常について回ります。殊に介護施設での放置事例は、ちょっと写真がひどく、褥瘡がもう本当に痛そうだということで、滝山病院でも報道されていましたよね。こういうのが報道されて、いつもトラブルのもとになっております。
 センターにおいても研修などを実施して貢献しているということですが、区市町村やほかの機関との連携と、具体的な事例とその成果について、つまびらかにご説明ください。
 あわせて、回復期リハビリテーション実施医療機関と連携をされ、退院後もサポートをしているということですので、その事例、成果も関連してくると思いますので、ご説明をお願いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターでは、センターの認定看護師や専門看護師と地域の訪問看護師が連携することを目的に連絡会を開催しておりまして、勉強会や意見交換会、シンポジウムなどを通じて、在宅療養を支える人材の育成や在宅復帰に向けた連携を推進しております。
 また、褥瘡の処置等の特定行為についての研修を修了した看護師が、在宅療養患者や介護老人保健施設等における皮膚トラブルの相談に応じるなど、在宅療養の質の向上に貢献しております。
 回復期リハビリテーション病院との連携については、センターの医師による巡回診療により、センターから転院した患者を継続的に支援をするとともに、転院後に体調変化があった場合には、センターへの受入れ調整を速やかに実施をしております。

○上田委員 在宅療養を支える人材の育成は本当大事ですし、また、回復期、こちらの方も重要でありまして、退院された患者さんにも継続的な支援をされているとのことで安心しておりますが、その一環でありましょうか、クローバーのさとや地域の関係機関と連携ということです。
 同施設を事例に挙げている経緯と連携状態、その他の関係機関を具体的に例示の上、どのように家族と患者に対して、医療から介護まで切れ目のないサービスをどのように地域で提供しているのか、具体的にご説明ください。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターは、隣接する高齢者施設であるクローバーのさととの協力連携体制について定めた協定書に基づき、患者の受入れや施設の入所、再入所を円滑に行っております。
 また、地域の訪問看護ステーションの訪問看護師等とセンターの専門看護師や認定看護師との連携強化を目的に、在宅医療に関する勉強会等を開催し、人材育成や患者の在宅復帰に関する連携を図っております。

○上田委員 訪問看護ステーションは本当に頼りになる地域の存在で、コロナのときも大活躍を江戸川区でもしていただきました。
 次は、医療安全対策の徹底、項目8です。事故を未然に防ぐための取組を継続するとのことですが、転倒、転落なども、ほかの病院よりも極めて低いと評価をされています。
 この知見を東京都全体の高齢者医療に生かすべきと考えますし、実際に行われていると思料いたしますので、現状と所見を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターでは、インシデント、アクシデント事例を収集、分析しまして、再発防止に向け、必要な事項はマニュアルに反映させるとともに、入院患者向けの転倒に関する説明書を改定して活用し、転倒予防に努めるなど、医療安全管理体制の強化に取り組んでおります。
 また、連携医療機関と相互に医療安全対策に関する評価を行い、各病院の好事例を積極的に取り入れるとともに、都立病院機構とも連携し、それぞれの取組を共有しております。

○上田委員 昨年の事務事業の資料でも、有料老人ホームにおけます、高齢者施設の方の件数を確認しましたところ、大体千二百件、千三百件平均で、骨折、また切傷、打撲、捻挫、脱臼などが、ほとんど半分以上を占めているような状況でありました。平均、昨年は千三百件ということであります。
 こちらの知見を今後クローバーのさとの事例も踏まえまして、有料高齢者施設との連携、民間のところとも連携を図っていただきたいとお願いいたします。
 医療事故調査制度についてですが、厚労省に医療過誤として報告された過去三年の件数と内訳をお示しください。それらを受け、内訳ごとの対応も違うと思料いたしますので、どのような再発防止策を講じたかも併せて伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 令和二年度から令和四年度の三年間におきまして、医療過誤として報告をした事案はございません。

○上田委員 医療過誤はなかったということであります。
 この資料の二〇七ページにあるんですけれども、医療過誤の前段であります医療の実践、患者サービスの向上、項目9ですけれども、カルテ開示請求対応件数が、令和四年度は平成三十年度の倍以上となっております。なぜ急増したのか分析されていると思いますので、ご説明をお願いします。
 一方、セカンドオピニオンについては、年間、平成三十年度から令和四年度までですと二十三万人、二十三万人、二十万人、二十一万人、二十一万人と非常に大きな分母となりますが、それに比べて、割り返しますと三件平均と少ないように思われるのですが、こちらについても同様にお願いいたします。

○梶野高齢者施策推進担当部長 まず、カルテ開示請求対応件数が増えた要因としましては、地域の医療機関に転院するケースが増加したことなどが考えられ、それに伴い、主治医による診療情報提供書だけでなく、カルテ開示請求により、検査画像等の開示を受ける件数が増えたものと推測されます。
 一方、セカンドオピニオン件数については、高齢者の白血病等に対する臍帯血移植治療等を行っている医療機関が少ない中で、健康長寿医療センターはそうした移植治療を行っている医療機関として認識をされておりまして、当該治療に関するセカンドオピニオンを希望する患者が中心であることなどが背景にあるものと考えられます。

○上田委員 今後、私としては、積極的に患者も家族も気軽にカルテ開示やセカンドオピニオンを利用すべきと考えておりますので、増えたということは、何か疑われたんじゃないのと疑っているんではなくて、非常によいことだと思っております。
 センターでの積極的な周知も求められるものですが、現在そのような取組が行われているのか、状況と所見を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 カルテ開示は、患者が病気や診療内容を十分に理解し、医療従事者と患者が共に病気を克服するなど、両者のよりよい信頼関係を構築するためのものでございます。
 一方、セカンドオピニオンは、現在治療を受けている主治医以外の医師の意見を聞くことで、患者が自分の疾患をよく理解し、適切な診療を選択するためのものでございます。
 センターでは、こうした制度の目的を踏まえ、制度の趣旨についてホームページや病院内での掲示を行うほか、広報誌でセカンドオピニオン外来の紹介を行うなど周知を図っております。

○上田委員 多くの患者さんは、疑うというよりも、医療というのはよく分からないので、今受けている治療が大丈夫かどうかの本当保険といいますか、確認だと思います。それをした上で、やっぱりここでよかったと思っていただけるような対応をされているように思料いたしますので、引き続きお取組をお願いします。
 独法化を生かした業務改善、効率化、項目16です。
 職員アンケートを常勤、非常勤職員のほか、委託先の職員も対象とし、職員の人材育成や職場環境の改善を目的として回収箱をセンター内に複数か所設置し、無記名で投函することにより、職員が率直な意見を記入できるよう配慮して実施されていると思いますが、令和四年度はいかがだったでしょうか。それを受けてどう対応したか、改善、改革できた事例なども伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 職員アンケートにつきましては、実施結果を踏まえて、資格取得支援や研修内容の充実を図るなどの業務改善を行ってまいりましたが、その後、職員提案制度の仕組みが定着してきたことから、現在は職員提案制度の方に一本化いたしまして、業務の改善に取り組んでおります。

○上田委員 東京都も職員目安箱ってあって、安全性が私もちょっと懐疑的なんですが、やっぱり目安箱的な無記名のものというのは、いつでもあった方がいいのかなというふうに思っておりますが、職員提案制度、いいと思います。
 それの、職員提案制度ですが、集計開始の平成三十年から減少傾向にあったものの、少し今回は件数が伸びました。個人またはグループで応募することが可能とのことですが、傾向としてはどちらが多いのでしょうか。
 また、職員提案に基づく改善の取組実績については、平成三十年度二件、元年度三件、令和二年度は五件と年々微増しているとのことですが、その後の状況と具体的な取組をご報告ください。

○梶野高齢者施策推進担当部長 センターの職員提案制度は、全ての職員を対象に平成二十五年度から実施をしておりまして、患者サービスの向上や業務及び執務環境の改善に資する取組の提案につきまして、個人またはグループで応募することが可能でございます。
 令和三年度は個人で一件、グループで十五件、令和四年度では個人が十件、グループで六件となっておりまして、二年間を合わせますとグループでの応募の方が多くなっております。
 職員提案に基づく改善の取組実績は、令和三年度は五件、令和四年度も五件でございました。
 令和四年度の主な取組事例としては、医療機器等の修理履歴情報を活用して、更新が必要な機器を効率的に把握する仕組みの構築、また、各病棟の採血管管理を徹底して廃棄を削減することなどで経費削減を図る取組などがございました。

○上田委員 職員提案も、医療機器の修理履歴の情報を活用し、更新が必要な機器を効率的に把握する仕組みの構築などは、やっぱりぱっと上からは気がつかなくて、非常にこれを具体的に、日々働いている医療従事者の皆さんが、本当に忙しい中、お昼休みにきっと話し合いながら提案していったんだなという姿が目に浮かぶようでございます。
 やっぱり現場の声は大切ですので、この制度、私も毎年、見守ってまいりたいと思いますので、引き続き取組のほどお願いいたします。
 適正な法人運営、項目17です。法人の内部統制に関わる監査には、監事監査、会計監査人監査に加え、職員による内部監査があるとのことです。
 令和四年度に発見された問題、課題と内部統制の強化の具体例について、ご例示ください。

○梶野高齢者施策推進担当部長 令和四年度の内部監査では、契約に関する事案を重点項目として実施をした結果、同一の消耗品の購入について複数回にわたり契約していた案件がございました。
 年間を通じて使用が見込める物品でありましたので、契約方法を見直し、年間契約に切り替えることで事務の効率化等を図っております。

○上田委員 同一の消耗品の購入、複数回ではなく年間契約ということも、これもやっぱり大切なことだと思います。東京都でも、昔、一か月で定期を出していたところを六か月に変えて、年間三十四億円、すごい金額ですよね、コストの削減に至った経緯もありますので、どうぞよろしくお願いします。
 収入の確保、項目18です。過去の答弁では、医業収支比率については目標の八四・一%に対し七四・六%、経常収支比率については目標の九六・六%に対し一〇〇・九%、収支改善に努めたことは評価するが、今後、医業収入の一層の確保が求められているとの答弁を得ております。
 その後、医業収入の一層の確保はかなったのか。令和四年度の経常収支比率、医業収支比率、公費投入、独法化になりましたので、ちょっと方法は変わりましたけれども、そちらにおきます経営状況、収入増加、コスト削減が、軽減ができているのかの評価を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 まず、医業収支比率については、コロナ禍においても新規患者の獲得や診療報酬における新たな施設基準の取得等により、医業収入の確保に努めたほか、医薬品、診療材料費用の抑制など収支改善に努めたものの、社会情勢に伴う光熱水費の増など、やむを得ない費用の増加により、目標の八五・一%に対し八一・四%となりました。
 経常収支比率については、医療機器の契約方法の見直し等による経費節減に加え、新型コロナウイルス感染症対応に係る国や都からの補助金の受入れ、また、外部研究資金の積極的な獲得などにより、目標の九六・七%に対し一〇八・五%となっております。
 これらを踏まえて、令和四年度の業務実績評価では、アフターコロナを見据えた医業収入の一層の確保や、物価高騰の影響を踏まえたコスト管理の体制強化に向けたさらなる取組が求められるとしております。

○上田委員 医業収支比率はやっぱりちょっと厳しいようです。不測の事態は常に起こるようですので、知事も、備えよ常にといっていることでございますので、心がけお願いしたいというのと、やっぱり、今回は国や都からの補助金があったということで、おっしゃるとおり、その補助金がなくなる部分のアフターコロナを見据えた収入の確保をお願いするところでございます。
 コスト管理の体制強化、項目19です。かねてより不要不急の高額医療機器等の新規購入の抑制、購入する際の減価償却、コスト回収の考え、報告にあるコスト削減を果たしているのか等、確認をしておりましたが、医療機器の購入に当たっては、センター長をトップに各部門の責任者で構成する病院運営会議において、当該機器の必要性やメリットのほか、減価償却費とランニングコストに対し、保険請求点数や年間症例数を踏まえた増収見込みなどを審議し、購入可否を決定、また、購入に当たっては、競争入札を基本とし、製品指定により随意契約を行う場合にも徹底した価格交渉を行うなど、コスト削減に努めているとのことです。
 令和二年度に購入した主な医療機器としては、老朽化した放射線治療装置の買換えやコロナ治療のためのECMOの増設などがあり、いずれも緊急性、必要性が高いものだったようでございますが、令和四年度についての所見を伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 令和四年度に購入した主な医療機器でございますが、老朽化したエックス線撮影機器の買換えやコロナの治療、検査に必要な検査機器など、緊急性、必要性が高いものが多くを占めております。

○上田委員 なかなか収支が難しい中でありますので、必要最低限で、不必要なものはやはり抑制をするようにお願いをしたいと思います。
 最後に、コロナ対策です。
 センターは、都の要請に基づきコロナ専用病床を確保し、感染拡大動向を踏まえ病床を拡大するほか、宿泊療養施設に看護師を派遣するなど、公的医療機関としての役割を適切に実施されてきました。
 また、コロナ禍においても、高齢診療科を開設して、老年症候群を主訴とする紹介患者を積極的に受け入れるとともに、インターネット予約サービスを開始するなど、診療体制の充実や患者サービスの向上を図り、在宅医療への支援については、センターの在宅医療・福祉相談室の看護師と地域の訪問看護師とが連携し、退院患者宅への訪問を実施するなど、コロナ禍においても入院から在宅療養まで切れ目のない支援を実施されてきましたが、コロナ五類移行後の新たな課題と課題解決に向けた今後の高齢者医療対応における現時点の取組をご報告ください。

○梶野高齢者施策推進担当部長 健康長寿医療センターは、コロナ禍におきまして、一部の病棟を休止し、休止病棟から看護師などの医療従事者を都が設置運営します都内各地の宿泊療養施設や大規模ワクチン接種会場等にいち早く派遣するなど、公的医療機関としての役割を果たしてまいりました。
 五類移行後も、これまでと同様、必要な感染対策等を実施した上で、新型コロナ患者、また急性期患者等を積極的に受け入れ、地域の医療機関と連携を図りながら、引き続き高齢者医療の充実に努めてまいります。

○上田委員 このところ、認知症治療薬も日本で開発されて販売されるというような大きな動きになっております。
 そしてまた、超高齢化社会も目前とする中、東京都の高齢者医療のまさにフロントランナーとしての位置づけが、非常にセンターに期待するものでございますので、趣旨を鑑みながらも、引き続き区市町村、高齢者施設、訪問看護ステーションですか、しっかりとやっているということでありますので、強固な地域高齢者医療の実現を求めまして、私の質疑を終わります。

○平田委員 先ほど浜中委員からもお話ありましたとおり、先日、我が会派では、板橋区の健康長寿医療センターへの視察を行いました。特に、認知症未来社会創造センターにおける認知症予防研究事業につきましては、我が会派としても高い関心を寄せております。
 国においても、先ほど、たかく委員の質疑の中でもちょっと言及ございましたけれども、岸田総理は認知症対策を国家プロジェクトと位置づけておりまして、視察を重ねるなど精力的に動いています。
 アルツハイマー病の新たな治療薬が国内承認されたことも大きな話題となりました。二年後には六十五歳以上の五人に一人が認知症になるとの予測もある中、認知症と共生していくことも重要ですが、予防や治療に都民の期待は高まっております。
 高齢者ブレインバンクには、全国でもトップレベルの規模で献体された人間の脳が保管されていました。私は寡聞にしてこの事業について現地に伺うまで知りませんでしたし、まだ多くの都民の皆様にも知られていないのではないかなというふうに感じました。
 こうした健康長寿医療センターが保有する生体試料や画像等のデータを統合し構築するTOKYO健康長寿データベースは、貴重なデータであると考えます。
 こうした貴重なデータを認知症研究に生かしていくことは、都民、社会にとって非常に有益と考えますが、この進捗状況について改めて伺います。

○梶野高齢者施策推進担当部長 TOKYO健康長寿データベースは、認知症の新たな治療法や治療薬の開発などに向け、健康長寿医療センターの保有するビッグデータをオープンデータとして活用する仕組みを構築するものでございます。
 この事業では、センターがこれまで高齢者ブレインバンクの運営や研究事業を通じて蓄積してきました心臓や脳、血液などの生体試料や外来入院患者の診療情報、MRIなどの画像データ等を統合するとともに、新たなデータ等を収集しておりまして、令和四年度からはセンターが共同研究を行う研究機関や企業等へのデータの提供を開始いたしました。
 今年度は、データ等の一層の充実を図るとともに、運用ルールの検討を進めまして、広く民間企業や研究機関に提供するための環境を整備してまいります。

○平田委員 ぜひよろしくお願いします。
 先ほど、これもお話ありましたけども、今年度から五年間の法人の中期計画が始まっております。視察に行った際には、さらなるインフラ整備の必要性についてもお話がありました。我が会派といたしましても、今申したこの五年間の法人の中期計画、進捗状況を引き続き確認してまいりたいと考えます。
 局におかれましても、取組状況の報告や充実など、我が会派から働きかけてまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

○内山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。

○内山委員長 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 齋藤都立病院支援部長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 次に、付託議案の審査を行います。
 第百六十九号議案から第百七十三号議案まで及び第百八十四号議案から第百八十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。——発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○内山委員長 次に、報告事項、地方独立行政法人東京都立病院機構の令和四年度業務実績評価結果の報告についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○船尾総務部長 九月十三日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただき、裏面の目次をご覧ください。当委員会で要求がございました資料は、六項目となってございます。
 一枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。1、都立病院機構の病院における医師及び看護要員の退職者数でございます。(1)に、医師の退職者数を、(2)に、看護要員の退職者数を、令和五年三月三十一日付、同年六月三十日付に分けまして病院別に記載してございます。
 三ページをご覧ください。2、都立病院機構の病院における医師及び看護要員の採用者数でございます。(1)に、医師の採用者数を、(2)に、看護要員の採用者数を、令和五年四月一日付、同年七月一日付に分けまして病院別に記載してございます。
 五ページをご覧ください。3、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師及び看護要員の現員の推移でございます。(1)に、医師の現員の推移を、(2)に、看護要員の現員の推移を、令和元年度から令和五年度まで、各年度四月一日、七月一日、三月三十一日に分けまして病院別に記載してございます。
 七ページをご覧ください。4、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師及び看護要員の退職者数の推移でございます。(1)に、医師の退職者数の推移を、(2)に、看護要員の退職者数の推移を、平成三十年度から令和四年度まで、各年度六月三十日、三月三十一日に分けまして病院別に記載してございます。
 九ページをご覧ください。5、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師及び看護要員の採用者数の推移でございます。(1)に、医師の採用者数の推移を、(2)に、看護要員の採用者数の推移を、平成三十年度から令和四年度まで、各年度四月一日と四月二日から三月三十一日までに分けまして病院別に記載してございます。
 一一ページをご覧ください。6、都立病院機構の病院における特性のある新型コロナ患者の受入状況でございます。令和五年七月一日から同年八月三十一日までの間に入院調整本部から受け入れた新型コロナ患者数の特性ごとに病院別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、当委員会で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○内山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、都立病院についてお伺いをいたします。
 本定例会では、この委員会では独法化した都立病院の令和四年度の業務実績評価が報告されて、都の示した中期目標の達成に向けて、どのように事業を進めてきたのかを確認して、議論の上で、より一層業務の改善を都民のために進めていただきたいと考えております。
 まず、令和四年度の都立病院機構の経営状況とその分析について教えてください。

○船尾総務部長 都立病院機構の令和四年度決算につきましては、令和四年七月から令和五年三月までの九か月間の実績でございまして、収入の総額は一千九百七十八億八千五百万円で、うち医業収益は一千二百六十四億六千六百万円、運営費負担金収益は三百六十四億六千三百万円、運営費交付金収益は三十一億二千八百万円、補助金を含んだその他の収益は三百十八億二千八百万円となってございます。
 また、支出の総額は一千九百一億五千七百万円、うち給与費や材料費、経費、減価償却費等を含む医業費用は一千七百九十六億三千三百万円となってございます。
 この結果、収入から支出を差し引いた純利益は七十七億二千九百万円の黒字となってございます。
 これは、新型コロナ対応に伴う患者数の減少で医業収益が影響を受けましたものの、コロナ病床の確保によりまして、コロナ関係の補助金等二百三十六億一千八百万円が交付されたことが主な要因でございます。

○浜中委員 黒字決算ではあるものの、経営が厳しい状況であるということは確認ができました。多くのコロナ補助金収入があったことは、コロナに積極的に対応した結果であり、適正であるというふうに考えます。
 一方で、コロナの五類移行に伴い病床確保料は減額されており、今後、補助金に頼った経営はできません。もちろん、コロナ自体が急にあった話なので、都立病院のふだんの話ではなくて、ちょっと今は変わった状態にあるということもそうなんですけれども、いずれにしても、コロナが終わりましたから、これからどうするのかということは考えていかなければいけないと。
 そのために、通常医療を早期に立て直していく必要がありまして、各病院で自律的に医業収入の増加を図るなど、継続的な経営改善を進めることが必要であると考えます。
 そこで、令和四年度の収入確保に向けた具体的な取組についてお伺いをいたします。

○船尾総務部長 都立病院では、令和四年度診療報酬改定に対応いたしまして、医療の質を高める診療報酬の新規加算の取得など収入確保に取り組んでまいりました。
 具体的には、地域の医療機関と合同でカンファレンスや新興感染症等の発生を想定した訓練を実施するなど、診療報酬における感染対策向上加算、これを全病院で取得いたしました。
 また、看護補助者と共同して、看護師の業務負担を軽減するための研修を院内で実施し、九病院で看護補助体制充実加算を取得いたしました。
 加えまして、広尾病院で土曜日のリハビリテーションの提供を開始したほか、墨東病院で金曜日の通院治療センターの運用時間を二時間延長するなど、収入確保と併せて、患者サービスの向上にも取り組んでまいりました。
 さらに、こうした取組や適切なコスト管理を自主的に推進できますよう、病院の職員に対しまして、診療報酬の確保や支出の適正化に関するオンライン勉強会を四回開催するなど、各病院の経営意識の醸成を図ったところでございます。

○浜中委員 ありがとうございます。
 それでは、今ご答弁をいただいたんですけれども、あわせて、令和四年度の費用削減に向けた具体的な取組と今後の経営改善についての見解をお伺いいたします。

○船尾総務部長 都立病院機構では、医薬品等につきまして、本部で一括して契約する共同購入を開始するとともに、国立大学病院や地域医療機能推進機構、JCHOと呼ばれておりますが、こちらの病院と連携をいたしまして、全百十一病院での診療材料の共同調達について合意をするなど、共同購入の取組を進めてまいりました。
 また、長期継続契約を医事業務等へ拡大するとともに、入札後に価格交渉を行う交渉権入札によりまして計七十九件で一千七百万円削減するなど、費用節減に努めたところです。
 さらに、医療機関間で医薬品や診療材料等の価格比較が可能となるベンチマークシステムを導入するとともに、診療材料の価格交渉について専門家の支援も活用するなど、必要な物品をより適正な価格で購入する取組を推進いたしました。
 行政的医療の提供など、都立病院の役割を将来にわたって果たせるよう、引き続きこうした支出に関する取組や収入確保に努めまして、経営改善に着実に取り組んでまいります。

○浜中委員 コロナ禍で経営面でも多くのダメージを負ったと思いますが、だからこそ、独法化で可能となった様々な手法を活用して、しっかりと経営改善に努めていただくことを要望したいというふうに思います。
 もちろん、営利のためだけにやっているわけではなくて、都民のために、行政的な医療の提供だとか、都立病院にしかできないことというのがあるので、そのためにもしっかり経営改善をしていくということが大切だろうというふうに私は思います。
 次に、都立病院の組織運営についてお伺いいたします。
 独法化によって医療のニーズの変化に機動的に対応する病院運営が可能になったと思われますが、令和四年度の取組について、具体的にお伺いいたします。

○船尾総務部長 各病院の特徴を生かしました機動的な病院運営のため、現場のマネジメントを行う病院長等に採用や予算執行等の権限を適切に付与するとともに、内部統制に関する各種規定の整備や委員会の開催等を通じましてガバナンス体制を確立いたしました。
 また、十四病院、センターに共通する給与や旅費、研修等の事務や各種システムの運用等の業務を集約するなど、業務執行体制の効率化を図りました。
 さらに、看護要員やコメディカルについて、新たに資格手当を創設し、職員の持つ専門的知識や能力をきめ細かく処遇に反映する給与制度を構築したところでございます。

○浜中委員 今ご答弁いただきまして、令和四年度は、独法化のメリットを生かした組織体制を構築したということを確認いたしました。
 一方、体制をつくっても、どのように運用をしていくのかが大事であります。
 その際、組織運営には多角的な視点が必要でありますが、地域医療機関などの外部の意見を都立病院の組織運営にどのようにして取り入れているのかということを教えてください。

○船尾総務部長 都立病院機構では、医療の質や患者サービスの向上、効率的、効果的な病院運営の実現を目的といたしまして、学識経験者や都医師会などから成る有識者会議を設置いたしました。
 会議では、委員から、コロナ患者受入れの対応は評価できる、地域医療機関との役割分担により、地域に求められる医療を提供してほしい、スケールメリットを生かした事務職員の組織横断的な育成による病院運営の改善が重要などの意見をいただいております。
 また、全ての病院で運営協議会等を開催いたしまして、コロナ対応や各病院の重点医療、地域との連携に関することなど、学識経験者や地元の医師会、自治体等の委員から意見を頂戴しております。
 引き続き、こうした多様な委員からの助言等を得まして、行政的医療の提供に関する課題や地域医療ニーズをきめ細かく把握いたしまして、法人や各病院の運営に取り組んでまいります。

○浜中委員 ぜひ、地域の声をしっかりと聞いて、地域にとって求められる医療を提供していただきたいというふうに思います。
 続いて、島しょ医療についてお伺いをいたします。
 島しょ地域では医療資源が少なく、これまで我が党は、独法化後も島しょ地域への医療支援の強化充実を求めてまいりました。
 そこで、島しょ医療の項目がA評価となった理由について教えてください。

○船尾総務部長 都立病院では、島しょ医療の基幹病院であり、屋上ヘリポートを二十四時間運用する広尾病院を中心に、島しょ地域からの救急患者の約九割を受け入れました。
 また、島しょ地域の患者や家族等が利用できる患者家族宿泊施設につきまして、広尾病院での運用に加え、新たに本年二月、多摩総合医療センターに設置をしたところでございます。
 さらに、5G通信を活用いたしまして、町立八丈病院の医師が撮影するエコー動画を広尾病院の医師がリアルタイムに確認し、助言を行う取組を開始したほか、島しょ地域の医療従事者延べ八十九名にウェブ研修を行うなど、医療連携や人材育成を推進いたしました。
 こうした取組を高く評価いたしまして、A評価としたところでございます。

○浜中委員 ただいまご答弁があったとおり、都立病院機構は、独法化後も、多摩総合医療センターに患者家族の宿泊施設を設置したり、遠隔医療については5Gを活用した取組を開始したり、島しょ医療の充実に取り組んでいるということがよく分かりました。
 こうした取組のさらなる充実を図るとともに、我が会派の第二回定例会の都議会の代表質問でもご答弁いただきましたけれども、まさにこの島しょ医療の拠点となっている広尾病院の整備については、独法化後も迅速かつ着実に進めていくことを改めて要望したいというふうに思います。
 それでは、最後になりますけれども、これまで令和四年度の経営状況や組織運営について確認をしてきました。
 いうまでもなく、都立病院は都の医療政策の要であり、引き続きしっかりと業務運営を進め、都の施策に貢献してもらうことが重要であります。これは都民のためにも一番核となる、とても大切なことだと思います。
 都立病院との連携について、局長の見解をお伺いいたします。

○雲田保健医療局長 都は、東京都保健医療計画に基づきまして、がん医療、救急医療、災害医療、周産期医療、小児医療など、疾病別、事業別に施策を展開し、医療体制の確保に努めております。
 今回、都立病院と公社病院が独立行政法人化されまして最初の業務実績評価をご報告させていただきました。
 都立病院は、いうまでもなく、行政的医療ですとか、高度専門的医療の提供などを役割としておりまして、独法化のメリットを最大限生かしながら、こうした都の医療政策に率先して取り組むことは極めて重要と認識をしてございます。
 都は、今後とも都立病院の取組を支援いたしますとともに、緊密に連携して医療課題の解決に当たりまして、都民の誰もが安心して質の高い医療を受けられる東京を実現してまいります。

○龍円委員 これまでの委員会質疑で、都立小児総合医療センターについては何度も質問をさせていただいております。その際に、合併症も多く、医療的にお世話になることが多いスペシャルニーズ、障害のある子とその家族にとって、小児総合はとってもありがたい病院だという話をしてまいりました。
 私自身も、ダウン症がある我が子が外来でも、そして入院でも何度もお世話になってきておりまして、そのたびに、本当に信じられないほどのレベルの医療と、そしてサービスを提供してくれている病院だと感じております。
 うちの子はアメリカ・カリフォルニア州のオレンジカウンティというところで生まれたんですけれども、スペシャルニーズのある子供の療育、教育、社会的な支援については、残念ながらアメリカの方が圧倒的に先進的で、アメリカの方が暮らしやすいなと感じるところなんですが、小児総合医療センターの経験が、とはいってもやっぱり日本で暮らしたいと思った最大の要因だったんです。本当に世界に誇れる小児病院なのではないかなというふうに感じているところです。
 今回の評価で小児総合がS判定というのは、とても納得のいくものであります。私個人的にはSプラスと、さらに高い評価をつけたいところです。それを踏まえまして、さらによくしていくために気がついた課題について、質問をしながら確認していきたいと思います。
 まずは、長期入院しているお子さんと家族への支援という観点からお伺いさせていただきます。
 小児総合は、重い病気やスペシャルニーズのある子が何か月にもわたって入院していることも少なくないと思います。私の子供も三回ほど入院させてもらいましたが、その際に、病棟内でいろんな症状のお子さんが、もはや暮らしているという感覚に近い状態で過ごしている様子を見てきました。
 そんな中、ある長期入院していたお子さんのお母さんからいただいた声なんですが、部屋にWi-Fiがないという点に非常に困ったそうです。
 そのお子さんは、ふだんはとっても活発なんですけれども、身体的な症状があることから寝返りを打ってはいけないという状況で、ベッドの上で安静に過ごさないとなりませんでした。とはいっても子供ですので、ベッドでただ天井を見ながら何か月も過ごすというのは不可能ですので、やはりタブレットなどを活用しながら安静に過ごせるようになることが重要だというふうに感じております。
 私の子が入院したときは二週間だったんですけれども、それでも、携帯のテザリング機能を使ってタブレットを利用させましたところ、数万円の通信費用がかかりまして、かなり痛い出費となりました。
 さらに、今では学校で一人一台のタブレットが配布されるようになりましたので、Wi-Fi環境さえあれば、お子さんによっては、オンラインで授業に参加したりですとか、自習をしたりすることで学びを継続していく可能性も広がっていくと考えております。
 計画を見ますと、患者中心の医療の項目に、病院内でのWi-Fiの導入を推進して、患者のニーズに応えられるネットワーク環境を整えるというふうに記載されております。
 このお母様から相談があったのが数か月前で、当時、確認させてもらったところ、AYA世代の患者がいらっしゃる七階とプレールームの一部だけにWi-Fiが整備されていて、ほかの病室では未整備だったということなんですけれども、今後、ぜひ全ての病室にWi-Fiを拡大していくことが必要だと考えております。
 また、これまで、我が会派の菅原都議からは、一般質問などで都立病院全体の病室のWi-Fi整備について要望をさせていただいたところです。
 そこで、お伺いいたします。現在の小児総合医療センターの入院病棟の病室におけるWi-Fi整備状況について伺いますとともに、都立病院全体で一〇〇%のWi-Fi整備を進めるために、ほかの都立病院も含めた今後の整備計画についてお伺いいたします。

○船尾総務部長 小児総合医療センターでは、令和三年度までに、コロナ患者にオンラインで面会ができるよう二病棟の全病室で、また、AYA世代がん患者など長期入院が多い一病棟のプレールームで先行して患者用Wi-Fiを整備しており、今年度、ほかの全ての病室等について患者用Wi-Fiを整備する予定でございます。
 また、都立病院全体では建物改修の時期に合わせて整備するなど、病院ごとに計画的に進めており、建て替え予定の病院を除く十病院を対象に、令和七年度までに院内のあらゆる場所で利用可能な患者用Wi-Fiを整備する計画でございます。
 なお、暫定措置といたしまして、Wi-Fi環境のない病院には、令和四年度までに全ての病院の病棟食堂などで利用ができる簡易Wi-Fiを設置してございます。

○龍円委員 今年度中に小児総合医療センターの全ての病室などで患者用のWi-Fiを整備することが分かりました。これは、利用者にとってはかなりの朗報で、クオリティー・オブ・入院ライフが格段に変わると思います。
 また、広尾病院など、今後建て替えをする病院以外の十病院については、再来年度までにWi-Fiを整備することも分かりました。大変明るいニュースになったと思います。
 さて、先ほどの小児総合医療センターで長期入院しているお母さんは、同じ病棟に、やっぱり同じように長期入院している親御さんたちがいらっしゃって、交流をしていたそうなんですけれども、お話を伺ってみますと、お子さん自身がもちろん一番大変なんですけれども、それぞれのご家族の身体的、そして心理的な負担も大きいということが分かりました。
 保護者は仕事をやりくりしながらも毎日のように長時間にわたって付添いをしていることが多く、疲弊していきます。私も二週間の入院の付添いでしたけれども、一緒に泊まり込んで片時も離れることができず、本当にぼろぼろになりました。ほかの保護者の様子を見ていますと、心理的にも病室でつらそうにしている方の姿を見かけました。そういう保護者さんはほかの保護者と口を利くこともなく、殻に閉じ籠もっている感じで、見ていてとても心配になりました。
 一方で、お子さんが、帰らないでというふうに泣き叫んでいるにもかかわらず、どんなご事情があるのかはもちろん分かりませんけれども、ほとんど面会にいらっしゃらないご家庭もありました。お話を伺ったお母様も、面会に全く来ないところもあるんだよね、その子たちがすごく泣いていてつらかったというふうにおっしゃっていました。
 そこから、お子さんの病気や障害に向き合うことが難しいと感じているご両親もいらっしゃるのではないかなというふうに推測いたしております。アメリカでは、保護者への支援というのがすごく充実していたので、どのご家庭も比較的前向きに向き合えていたと思うんですけれども、日本では、その面での支援がまだまだ不十分だというふうに感じているところであります。
 また、さきに触れたお母様によりますと、入院中の子も心配なんですけれども、毎日一人で遅くまで留守番しながら一人で食事をしている小学生の兄弟児も心配だったというふうに話しておりました。兄弟への支援策について、その後、いろいろ調べてみたんですけれども、今のところ公的な支援がないということがその際に分かりました。
 そこで、小児総合医療センターにおいて長期入院するお子さん、保護者、家族への支援をどのようにしているのかお伺いいたします。

○船尾総務部長 小児総合医療センターでは、新型コロナの感染対策のため制限しておりました家族等の面会を、五類移行に伴い、コロナ前と同様のルールに戻しまして、両親や小学生以上の兄弟姉妹等の面会も可能としておりますが、感染予防のため、患者と面会できない未就学の兄弟姉妹には、ボランティアが一時的に見守るキッズルームを設けております。
 また、今年度整備する患者用Wi-Fiによりまして、病室や待合室等で経済的な負担を気にせずインターネットが利用できるようになり、患者や家族が過ごす院内環境の向上につなげることができるようになります。
 さらに、付添いの家族に向けまして、シャワー等を利用できるリフレッシュルームなどを院内に設けているほか、同一敷地内に公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが運営いたします宿泊施設を設置してございます。

○龍円委員 ありがとうございます。
 物理的な支援ということでは充実を図っているということが分かりました。今後、心理的に参ってしまっている保護者や家族に対するメンタルケアについても、充実をしていただけますようお願いいたします。
 また、家族になかなか会えず、不安な思いをしているお子さんへの支援、兄弟児への支援についても、今後考えていきたいと考えております。
 今回は、たまたま小児総合医療センターの長期入院するお子さんの家族にお話を伺って、入院中の課題はいろいろあることが分かりました。
 今回の評価を見ますと、入院患者の満足度が達成できなかった病院が十四施設中十一施設だったようです。この背景にはどのような原因があるのかお伺いするとともに、それを今後どのように改善につなげていくのかお伺いいたします。

○船尾総務部長 令和四年度の患者満足度調査は、コロナ前の令和元年度等の実績を目標値として設定し、実施をいたしました。令和二年度から令和四年度にかけまして、病院や年度ごとに増減はあるものの、全体的な傾向として満足度が低下してございます。これは、新型コロナの感染対策のため、面会制限など制約のある入院生活となったという背景もあったと思われます。
 患者満足度調査の結果のほか、退院時のアンケート、投書などの患者の声を踏まえまして、各病院のサービス向上委員会で改善策を検討し、患者サービスの向上に向けて取り組んでまいります。

○龍円委員 満足度を下げていた大きな原因は、コロナ禍による制限によるものだったということでした。この点については納得がいくものです。今後もしっかりとアンケートに寄せられた声などを精査して、サービスの向上に取り組んでいただけますようにお願いいたします。
 次に、小児病院から一般の病院への移行についてです。
 継続的に治療や経過観察が必要な病気やスペシャルニーズのある子供の場合、様々な病歴があることなどから、切れ目なく継続して受診を続けながら大人に移行していくことが求められております。保護者同士で集まりますと、どうやって大人の病院に移行したらいいんだろうという点については、悩みとして、よく話に上がります。
 計画には、大人向けの医療を提供している多摩総合医療センターと併設している小児総合医療センターが連携して、患者の成長に合わせた移行期医療を提供することが記載されています。これは非常に重要な取組だと思っています。
 そこでお伺いしたいのが、どのくらいの人数の方が移行期医療を利用しているのか、そして、実際にどのような取組をしているのでしょうか。また、スペシャルニーズ、障害のある患者については、特にどのような配慮をしているのかお伺いいたします。

○船尾総務部長 令和四年度に小児総合医療センターから成人診療科のある病院へ転科をした患者さんは八十四名でございました。転科に向け、小児総合医療センターの移行期看護外来におきまして、患者が自分の病気を理解し、自分で治療を選択することができるよう、自立支援移行プログラムにのっとった支援を行っております。発達障害等の障害のある患者で健康状態の説明や薬などの管理が難しい場合には、精神科医師や心理士とも連携し、患者の保護者も交えながら移行を支援してございます。
 また、複数診療科が関わる患者や希少疾患を有する患者などが多摩総合医療センターの成人診療科に移行する場合には、関係する医療従事者が出席する合同の移行支援委員会におきまして、患者の状況等について情報共有などを行ってございます。

○龍円委員 昨年度は八十四名の方が移行できたということでした。その際にこんなに丁寧に移行を支援してくださっているということは、非常にすばらしいことだと思います。この制度をもっと知ってもらえるように院内等でお知らせいただくなどして、家族にとってはそれが安心につながると思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、医療的ケア児支援センターについてです。
 これまでの委員会でもこのセンターについては質問をして、実際に利用した医療的ケア児の保護者の方々からもお話を伺ってきました。まだ創設から間もないため、体制整備にまだまだ取り組んでいるところだというふうに理解しています。
 これまでに延べ何人くらいからの相談を受け、どのような支援につなげてきたのかお伺いします。また、効果的な支援には区市町村との連携、教育委員会との連携が重要だと以前の委員会質疑でお話ししたところでありますが、その取組についてもお伺いいたします。

○船尾総務部長 都は令和四年九月に、大塚病院と小児総合医療センターに東京都医療的ケア児支援センターを開設し、令和四年度は延べ二百五十九件の相談を受けました。
 センターでは、医療的ケア児の家族から保育やレスパイトなどに関する相談を受け付け、地域の相談支援事業所等と連携しながら対応するとともに、区市町村に対して、看護師を派遣している訪問看護事業所に関する情報の提供や、保育所と地域の小児科医との連携方法に関する助言などを行ってございます。
 また、教育委員会からの求めに応じまして、教員や教育委員会の職員を対象とした受入れに関する研修開催に向けて講師を紹介するなど、教育委員会等とも連携をしてございます。
 引き続き、医療的ケア児とそのご家族が適切な支援を受けられるよう取り組んでまいります。

○龍円委員 徐々に取組を充実させているということが分かりました。区市町村や教育委員会に対して、どちらかというとアウトリーチの支援ということで連携していることも分かってきました。
 親としては、ワンストップで解決というのが望ましいので、医療的ケア児支援センターで全ての相談に対応できるような、さらなる連携の強化をしていただけますようお願いいたします。
 次に、LGBTQ等の性的マイノリティーの患者と医療について伺ってまいります。
 今年、ある著名人が、ご本人は明確には述べていませんがトランスジェンダーとして自分らしく生き始めたと思っていたところ、自死したというニュースがありました。まずは心からご冥福をお祈り申し上げます。
 もちろん、自死に至った理由については明らかにされておらず、また、明らかにする必要もございませんし、ご本人のセクシュアリティーと自死の関係についても分かりません。ただ、その生き方に救われ、希望を得ている方も多かったことは事実です。この訃報は私にとっても本当につらく、重く感じています。よく性的マイノリティーの方々が、これは命の問題ですとおっしゃるのですが、それが事実であるということを改めて思い知らされました。
 東京都では、東京都人権尊重条例が施行され、基本計画が実施され、パートナーシップ制度も創設されたところです。しかし、それではまだまだ性的マイノリティーの方々の困難さは解決されていないのが現実であります。
 あの訃報以降、ずっと、何ができたんだろう、何ができなかったんだろう、何をしなくちゃいけないんだろうと考えてまいりました。その中で今特に強く感じていることが、性的マイノリティーの方々と医療について、本腰を入れて東京都で取り組んでいく必要があるということです。
 その性的マイノリティーと医療について考える際に、四つの視点があると思っています。
 一つ目は、性的マイノリティーの方々は、そもそも医療へのアクセスが悪いという点です。
 二つ目は、トランスジェンダーや性分化疾患など、実際に治療を必要としている方々にとって安心・安全な、適切な医療体制は、この日本でまだまだ十分に整備されていないということです。
 三つ目は、性的マイノリティーの方々は精神疾患を患い、自殺のハイリスク層にあるということです。
 四つ目は、特に十代の性的マイノリティーの子供、若者が、精神疾患や自殺において突出してハイリスクにあるということです。
 一つ目の性的マイノリティーの方々は、そもそも医療へのアクセスが悪いという点です。認定NPO法人ReBitは、LGBTQ医療福祉調査二〇二三を実施して、千百三十八名から回答いただいて、そのうち、有効回答九百六十一名の回答を分析した結果を発表しています。
 この調査によると、LGBTQは精神障害を経験する割合が高いこと、自殺におけるハイリスク層であることが分かりました。また、医療サービスを利用した際にLGBTQの約七割、そしてトランスジェンダーの約八割がセクシュアリティーに関連した困難を経験しているそうです。そして、その結果、トランスジェンダーの四二%は体調が悪くても病院に行けなくなり、さらに二五%は自殺したいと感じたり、自殺未遂を経験したということであります。この調査結果は、かなり深刻なものだと私は捉えております。
 今年度の第二回定例本会議の代表質問で、都立病院における性的マイノリティーの患者への配慮についてお伺いしたところ、都立病院では、原則として、診察室等への誘導は番号で案内していて、名前で案内する場合は、戸籍上の氏名と自身の性表現との間に違和感がある方の場合は希望に応じて呼び方を工夫するなど、柔軟に対応していること、そして、面会の範囲や手術の同意についても親族に限定せず、パートナーシップ関係の相手も含めて患者自身に決定していただいていることなどなど、適切な医療従事者の対応をしているという話がありました。
 都立病院において取組が進んでいることを確認したところではありますが、さらに広く医療従事者にLGBTQ、性的マイノリティーの患者への適切な対応を都立病院から周知していくことや、ほかの医療機関に啓発を進めていくことが必要だと感じています。
 二つ目のトランスジェンダーや性分化疾患など、実際に治療を必要としている方々にとって安心・安全な、適切な医療体制がまだ十分に整備されていないことについてなんですけれども、トランスジェンダーのこの治療というのは極めて個人的で繊細なことでありますので、これまで当事者の方々に踏み込んでお話を伺うことはしてきませんでした。
 しかし、今回改めてお話を伺わせていただきました。その結果分かったのが、日本国内においてトランスジェンダーの方々への治療は、非常に限定的であることが分かりました。
 これは国の議論を待つしかないんですけれども、戸籍を変更するための手術要件があるため、健康への不安があったり、手術が命にも関わることから、臓器を摘出することに恐怖を感じて、手術をしたいと必ずしも思っていない方もいらっしゃる現状があったり、非常につらい決断の中で手術をしていらっしゃる当事者もいらっしゃいます。
 しかも、ホルモン治療を先に始めている場合は、その手術が保険適用されないということから、非常に高額な治療費を捻出する必要もあるため、海外で治療を受けざるを得ない人がほとんどのようです。また、ホルモン治療自体も保険が適用されないことから、特に若い人にとっては負担が大きいということも分かりました。
 それから、恐らく違法なことをやっていると思われる悪質な医療機関があることですとか、トランスジェンダー男性専用の入り口に、なべ専用入口というふうに貼り紙がされているなど、信じ難い人権意識に欠けた医療機関があることも分かりました。それに傷つきながらも、そこを利用せざるを得ない当事者がいることも知りました。また、海外からホルモンを取り寄せて、正しい用量や用法が分からないまま、自己流で治療している当事者もいらっしゃることが分かりました。
 三つ目の性的マイノリティーの方々は精神疾患を患い、自殺のハイリスク層にあるということなんですけれども、ReBitの調査結果でもLGBTQは精神疾患を患うハイリスク層にあるということは出ていましたが、日本財団が今年の四月に発表した全国の男女約一万四千人を対象にした第五回自殺意識全国調査では、この一年間で死にたいと願い、自殺を考えた経験をした人は、トランスジェンダーとノンバイナリー等の当事者は五二%に上っていることが分かっています。
 そして、四つ目に挙げた特に十代の性的マイノリティーの子供、若者が、精神疾患や自殺において突出してハイリスクにあるということなんですけれども、ReBitが二〇二二年に、LGBTQ子ども・若者調査をして二千六百七十人から回答があり、そのうち二千六百二十三人の有効回答を分析した結果があります。
 十代の性的マイノリティーのお子さんは、過去一年間に、四八%が自殺念慮、そして一四%が自殺未遂、三八%が自傷行為を経験したそうです。これは二十代以上の当事者よりも特に多くなっています。また、さきの日本財団の自殺意識全国調査の四回目の二〇二一年の結果と比較しますと、つまり、全ての年代の全てのジェンダーの方々の平均と比べると、十代のLGBTQの自殺念慮は三・八倍高くて、自殺未遂経験は四・一倍高いという状況にあるそうです。
 私は、子供、若者の性の健康を守るユースクリニックという政策を推進しております。特に十代の子供、若者は、自身の性に関して悩んだり困ったりしても、そもそも身近な人に相談することができないでおります。十代の性的マイノリティーの子供はなおのこと医療機関につながることは極めて難しさがあると思われます。また、仮に精神疾患を患って医療につながったとしても、自身のセクシュアリティーについては話さない可能性が高いと思っております。
 前置きが長くなりましたけれども、都立病院は行政的医療を担っております。都立病院のホームページによりますと、行政的医療には採算確保は難しいことなどから、民間の取組が困難な医療のことや時代に応じた新たな医療課題に対して、一般医療機関の医療提供体制が確立するまでの間、対策する医療というのも含まれております。また、計画では、誰もが安心して適切な医療を受けられる環境整備に取り組むことが掲げられております。
 行政的医療を提供する都立病院において、LGBTQ等性的マイノリティーの方々が安心して医療にアクセスをできるという保障をすること、トランスジェンダーの方々に適切な医療を提供すること、また、同時並行的にメンタルケアをできるようにすること、都立病院全体でLGBTフレンドリーな取組を進めること、特に子供、若者の当事者については、早期のメンタルケアや治療につなげていく必要があると考えております。
 第二回の定例本会議においては、東部地域病院にトランスジェンダー外来を創設したことをご答弁いただきました。東部地域病院のトランスジェンダー外来の現状について、まずお伺いします。

○船尾総務部長 令和五年二月に東部地域病院に設置いたしましたトランスジェンダー外来では、これまでに数名の患者が受診しており、年齢や戸籍上の性別を問わず、性別違和や性同一性障害に関する医療の相談等を行っております。
 性同一性障害の診断と治療に関する様々な検討は、十分な知識と経験を有する精神科医、泌尿器科医、産婦人科医等から成る医療チーム等によって行うことが学会のガイドラインで定められており、外来に受診した患者で医療介入を必要とする方には、外部の適切な専門機関等を紹介することとしております。

○龍円委員 ありがとうございます。
 こちらのトランスジェンダー外来を視察させていただきました。婦人科への強い思いを持って立ち上げた方がいらっしゃって、年代を問わず、全てのジェンダーの相談を受けるほか、MTFの手術の実施、それから、ほかの医療機関へつなげるなどの対応をしているということでありました。行政的医療を担う都立病院において、すばらしい一歩を進めてくれたことに感謝申し上げます。
 ただ、FTMの治療ですとか、継続的なホルモン治療などについては行っていないということでありました。また、入り口が婦人科となっていますので、そこに足を踏み入れることにちゅうちょする可能性もあるのかなというふうに感じたところであります。
 また、トランスジェンダーの方々は精神疾患のハイリスクもあることから、こういう場所で同時にメンタルのケアにもつながるなどといった今後の対策についても考えていけたらというふうに思っております。
 また、専門家から話を伺いましたところ、この分野の医療というのは医師の思いに結構左右されるところもありまして、なかなか進みにくいという話も伺ったところであります。
 今後、都立病院において、この分野の取組を計画的に進めていく必要があると感じております。ぜひ東京都が主導して性的マイノリティーの方々を安心な医療につなぎ、精神的なサポートと併せた治療を提供するなどしながら、この分野において日本の現状を牽引していただきますよう要望させていただきます。
 さて、評価書の精神疾患医療において、児童、思春期の精神疾患に対して、発症や重症化の予防に向けた早期の介入、早期支援に取り組んだとありました。具体的にどのような取組をしたのでしょうか、お伺いします。

○船尾総務部長 小児総合医療センターでは、医療の必要性が高い患者については、特に待機期間の短縮を図るなど早期の診療につなげております。
 また、入院に至らない患者に対しましては、幼児、学童や思春期など、年齢別のデイケアにおいて患者の状態に応じたプログラムを提供するなど、早期から支援する環境を整えております。
 さらに、東京都子供の心診療支援拠点病院事業におきまして、教育関係者などを対象とした啓発活動を行い、学校における早期介入や早期支援につなげております。

○龍円委員 ありがとうございます。
 東京つくし会の皆様も、早期の段階から治療につなげていくということが非常に重要であるということをおっしゃっていましたので、すばらしい取組だと思っております。先ほども触れましたけど、性的マイノリティーのお子さんたち、若者たちもハイリスク層にありますので、その上、医療や相談につながりにくいということもありましたので、ぜひそこの点も踏まえて、この分野の政策、進めていただけますよう要望させていただきます。
 さて、前回の厚生委員会において精神障害のある患者への適切な医療提供と虐待防止について質疑をして、火曜日の代表質問でも触れたところです。
 この評価の中にも、身体疾患を有する精神疾患患者に対して、精神科とほかの専門診療科が協働して治療に当たるとともに、各病院との連携により、最適な治療を提供してきたということが記載されております。
 これらの評価をするに当たって、どのような実績があったのかお伺いいたします。

○船尾総務部長 都立病院は、都内の精神科患者に対しまして、迅速かつ適正な身体医療の確保を目的とする精神科患者身体合併症医療事業におきまして、令和四年度は、夜間及び休日に身体疾患を併発した方の九四%に当たる六十四名を、また、精神科病院の入院患者で迅速な対応が必要な身体疾患を併発し、転院が必要となった方の七五%に当たる四百十五名を受け入れてございます。
 また、松沢病院では、精神症状のために一般病院では入院が困難な患者や、身体疾患のために精神科病院での入院が難しい患者、精神疾患か身体疾患か鑑別が難しい患者などを受け入れ、身体科、精神科双方が主治医として診療に参加し、骨折や各種がん治療、内科疾患などに対応いたしました。

○龍円委員 この結果を聞きまして、都内において、都立病院がこの分野においては非常に重要な役割を担っていることが分かりました。
 精神疾患のある方の地域への移行を支援するリカバリー松沢を立ち上げたということですけれども、具体的にどのような支援体制を構築したのか、その利用実績についてお伺いいたします。

○船尾総務部長 松沢病院は令和四年四月、長期入院患者の退院と地域移行を推進いたしますリカバリー松沢を立ち上げました。
 具体的には、入退院調整看護師や精神保健福祉士が中心となりまして、患者や家族、介護事業者等と調整し、長期入院患者のグループホームや自宅への地域移行を進めております。
 令和四年度は社会復帰病棟から百十名が地域に移行しており、引き続き、精神疾患を持つ患者が早期に退院して、安心して地域で暮らせるよう、地域の関係機関との連携を図りながら取組を進めてまいります。

○龍円委員 松沢病院で組織的に地域移行を支援する体制も立ち上がっていると聞きまして、非常に重要な取組だというふうに考えております。
 前回の厚生委員会で、この分野についてはたくさん聞いてまいりましたので、深くは話しませんけれども、都立病院においてこそ、この精神疾患、精神障害のある方々が安心して治療を受けられる体制というのも、引き続き取り組んでいただきますようお願いいたします。
 これまでの質疑から、長期入院する子供や家族、医療的ケア児、LGBTQ等性的マイノリティーの方々、精神疾患患者など、様々な困難さやニーズがある方々に対して、安心・安全な医療を提供しようと都立病院で行政的医療の充実を進めていることが確認できたと思っております。
 今後も行政的医療をより一層充実していくべきだと考えますが、最後に局長に見解をお伺いします。

○雲田保健医療局長 都は、今年度行いました保健医療計画の改定に当たりまして、同時に改定する感染症予防計画と整合を図り、地域における医療機関相互の役割分担や連携体制などについて検討し、通常医療との両立を含め、機能する体制を確保してまいります。
 都立病院は、独法化後も新型コロナ対応の最前線に立ち、通常医療との両立を図りながら、コロナが軽症でも基礎疾患のある方や、小児、妊婦、透析、精神疾患のある患者さんなども積極的に受け入れるなど、行政的医療を積極的に提供してまいりました。
 また、昨年度、るるご質疑いただきました小児総合医療センターと、それから大塚病院に、東京都医療的ケア児支援センターを開設いたしまして、医療的ケア児やその家族への支援などの充実に取り組んでおります。
 都と政策実行組織でございます都立病院機構が一丸となりまして、誰もが安全・安心で質の高い医療サービスを受けられる体制を構築し、都民の生命と健康を支えてまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。誰もが安心・安全で質の高い医療サービスを受けられる体制を構築するとのご答弁をいただきました。
 今日、ご提案させてもらったことなども含めて、今後も行政的医療における役割と責任に応えるため、取組をしっかりと進めていただけますよう要望いたしまして、質疑を終わります。ありがとうございました。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十分休憩

   午後三時四十分開議

○内山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○たかく委員 私の方から、地方独立行政法人東京都立病院機構の令和四年度業務実績評価について伺います。
 最初に、新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。
 新型コロナウイルス感染症が二〇二〇年から国内で感染発生して以降、都立病院では最前線で新型コロナに対応してきており、これまでコロナに罹患した多くの患者を受け入れてきたことには感謝するものであります。地方独立行政法人化の初年度となる令和四年度においても、新型コロナ感染症対策に着実に取り組んでこられてきたと聞いております。
 今回、新型コロナ感染症への対応を含んだ災害や公衆衛生上の緊急事態への率先した対応についてはS評価として、年度計画を上回る実施状況とされました。
 独法化移行後、都立病院の新型コロナ感染症への対応は、どのように取り組んできたのかお聞きいたします。

○船尾総務部長 都立病院は、感染症医療等の行政的医療の提供を役割としてございまして、新型コロナ対応では、重症、中等症の患者や、軽症でも重い基礎疾患のある方、妊婦、小児、透析患者などを積極的に受け入れてまいりました。
 また、オミクロン株の流行に対応するため、令和四年十二月に旧府中療育センターを活用した新型コロナ専用医療施設を高齢者等医療支援型施設に転換し、介護度の高い高齢者等を受け入れてまいりました。
 さらに、地域の医療機関のニーズに応じまして、合同カンファレンスや防護具の脱着訓練、研修会等を実施するとともに、クラスターが発生した病院等に対しまして、保健所と連携しながら看護師等を派遣し、感染管理の助言指導を行うなど、地域の感染症対応力の強化に貢献してまいりました。

○たかく委員 感染状況を踏まえながら、適切に対応してきたことは確認いたしました。
 五月に二類から五類へ移行しましたが、まだまだコロナ感染者は発生している状況です。最近ではインフルエンザの患者報告数も増加してきている状況でもあり、同時流行が懸念されるところです。
 インフルエンザの感染増加の中でコロナ対応も求められますが、都立病院ではどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○船尾総務部長 都では、インフルエンザの定点当たりの患者報告数が流行注意報基準の十・〇人を超えておりまして、注意が必要な状況にございます。
 都立病院では、新型コロナとインフルエンザの流行が懸念された昨年の冬には、年末年始の発熱患者に対応するため、豊島病院でプレハブを迅速に設置したほか、各病院で医師、看護師等の外部人材を柔軟に雇用するなど、発熱外来の体制を強化いたしました。
 また、この夏、RSウイルスやヘルパンギーナ、インフルエンザ等の小児患者が増加した際には、個室管理や感染症ごとの病室分離を行うとともに、一般患者との動線分離や感染症の症状に応じて消毒や清掃を行うなど、適切な感染管理対策を実施いたしました。
 今後、インフルエンザが流行する中、コロナにも対応する場合には、こうした経験も生かしながら適切に医療を提供してまいります。

○たかく委員 都立病院機構の中期計画では、新興、再興感染症への対応など、都の医療政策に率先して取り組むとされております。行政的医療を担う都立病院として、関係機関と連携しながら法人全体で感染症患者を積極的に受け入れられるよう、感染症医療を確実に提供できるように求めて、次の質問に移ります。
 次は、財務内容の改善についてです。
 都立病院機構の決算について伺います。
 今回の業務実績評価では、多様な収入確保や適切な支出の徹底に取り組んできた結果、財務内容の改善に関する目標を達成するために取るべき措置はA評価とのことですが、都立病院機構の令和四年度決算について、経常収支比率や医業収支比率の実績と、それに対する見解を伺います。

○船尾総務部長 都立病院機構の令和四年度決算は、令和四年七月から令和五年三月までの九か月間の実績でございまして、経常収益は一千九百七十七億三千五百万円、経常費用は一千八百九十九億七千九百万円で、その結果、経常収支比率は一〇四・一%でございました。また、医業収益は一千二百六十四億六千六百万円、医業費用は一千七百九十六億三千三百万円で、その結果、医業収支比率は七〇・四%でございました。
 経常収支は、新型コロナ対応に伴い、コロナ関係の補助金等が交付されたことなどにより、黒字になってございます。一方、医業収支につきましては、コロナ対応に伴う患者数の減少や物価高騰の影響を受けたものと認識しております。

○たかく委員 今回、都立病院の財務内容はA評価とのことでありますけれども、物価高騰の影響なども受けていることで、今後の経営状況は厳しくなると思われます。コロナの補助金交付等で令和四年度決算の経常収支が黒字であるものの、今後、これらのコロナ関連の補助金も減ると考えられます。しっかりと財務内容改善の取組を進めることを求めます。
 また、併せて、独法化後の、いわゆる行政的医療を担う都立病院の役割をしっかりと果たしていくために、独法化のメリットをより一層活用しながら経営改善を着実に進めるよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、人材の確保、育成について伺います。
 独法化のメリットとしては、柔軟な雇用形態や勤務時間設定を導入し、職員一人一人のライフステージに合わせた働きやすい環境を整備することができるとのことでありました。
 まず、独法化により、人事給与制度や働きやすい環境整備はどのように変わったのかお聞きいたします。

○谷田次長理事兼務 行政的医療をはじめとした質の高い医療を安定的、継続的に提供するため、都立病院機構では、職員が能力を最大限に発揮し、組織が活性化するような人事給与制度を構築いたしました。
 例えば、地方公務員法等の職員の勤務時間に関する法令にとらわれることなく、柔軟な雇用形態や勤務時間設定等を導入し、職員がそれぞれのニーズに合わせて機構独自の短時間勤務制度を活用するなど、職員一人一人のライフスタイルに合わせた働き方を可能としております。
 また、独法化前の都立病院にはなかった緊急呼出しに備えて自宅等で待機した場合に支給する緊急時呼出し待機手当などを創設したほか、看護師等が夜勤を行う際に支給する手当を回数に応じた支給に見直すなど、病院現場の実情に合った給与制度となっております。
 そのほか、専門人材の確保に向けて、がんゲノム医療の遺伝子解析等を行うバイオインフォマティシャンや、手術、処置、検査などにおいて患者の年齢や発達段階に応じた説明や配慮、心理社会的支援等を担う子ども療養支援専門員等の職種を新たに設定いたしまして、令和四年度はそれぞれ一名を採用したところでございます。
 今後とも、安心して働き続けられ、高度専門的医療の提供に必要な専門人材を確保すること等を通じまして、医療課題や患者ニーズに対応してまいります。

○たかく委員 職員の勤務環境の向上に向けて取組を進めていることは確認できました。
 一方、令和四年度は、第七波、第八波とコロナ対応が求められる中、緊急医療などへの対応も必要であり、職員の方々には様々な負担がかかったのではないかと推測いたします。こうした背景の中で、職員の採用等の状況を伺いたいと思います。
 独法化により、当初は都立病院の職員の離職が増えるのではないかということでありましたが、独法化によって都立病院の職員の離職が増えたのかどうかお聞きいたします。

○谷田次長理事兼務 令和四年度の都の常勤職員に相当する職員の退職者数は一千二百二十九名で、独法化前後で人事制度が異なるため単純な比較はできませんけれども、令和三年度の一千十四名と比べまして、二百十五名増加をしております。
 その主な要因は、医師の任期満了を除きまして、看護要員の退職者の増加でございます。令和四年六月末の退職者が、旧公社病院は解散をして法人に移行をしたということのため、独法への転籍の同意が必要になる仕組みでございまして、その旧公社病院で大幅に増加をしたところでございます。その退職の理由は、転職や進学、家事都合など様々でございますが、大多数を、いわゆる失業給付の優遇措置がある転籍不同意による会社都合退職が占めたものでございます。
 独法化後の令和四年七月から令和五年三月の看護要員の退職者数は、定年退職を除きまして五百二十五名でございまして、前年と同じ時期の五百二名とおおむね同水準でございました。
 これらのことから、独法化を理由として離職者が増えたものではないというふうに認識しております。

○たかく委員 今の説明では、独法化を理由とした離職者は増えていないということは確認させていただきました。
 それでは、都立病院の医師、看護要員、コメディカルの令和四年度の独法化後の採用実績はどうなっているのかお聞きいたします。

○谷田次長理事兼務 都立病院の令和四年七月から令和五年三月までの採用者数は、医師が百十六名、看護職員が百五名、コメディカル職員が四十七名で、前年同期の採用者数と比較いたしまして、医師が四十五名、看護要員が六十四名、コメディカルが二十八名増加をいたしました。
 また、令和五年四月一日付の採用者数でございますが、医師が二百二十九名、看護要員が五百七十四名、コメディカルが九十九名、令和四年四月一日の採用者数と比較いたしまして、医師が四十五名、看護要員が五十六名、コメディカルが四十九名増加をいたしました。
 引き続き、法人本部で採用選考を追加実施するなど採用活動を強化するとともに、病院長の裁量による看護師や助産師等の着実な採用を行うなど、職員の確保に取り組んでまいります。

○たかく委員 今、一連の質問では、今回、都立病院機構での人事給与制度や働きやすい環境などが整備されていることを確認するとともに、職員確保に向けた採用活動の強化も着実に行っていることを確認させていただきました。
 病院は、そこで働く多様な人材を確保し、その有する専門性を発揮できる環境整備が必要と考えます。独法化により、法人独自の制度構築が可能となりましたので、ぜひ、そのメリットを十分に生かし、よりよい病院経営に役立てていただきたいと思っております。
 次に、AYA世代のがん患者への支援について、一点質問させていただきます。
 今回の中期計画においては、がん治療については、様々な治療法を組み合わせた最適な医療を提供するとともに、先進的な医療機器を活用した手術や放射線治療、患者、家族のQOLを高める緩和ケアなど、質の高い医療を提供するとしております。
 AYA世代のがん患者に対しては、適切な医療と必要な療養環境を提供するとともに、ライフステージに応じた相談支援を着実に実施すると掲載されております。
 独法後の取組は、どのような取組であったのかをお伺いいたします。

○船尾総務部長 AYA世代のがん患者は、就学や就労、結婚など、様々なライフイベントと治療が重なるため、個々の患者の状況に応じた支援が重要でございます。
 そのため、小児総合医療センターは、都内二か所のAYA世代がん相談情報センターの一つとして、患者や家族の様々な悩みや疑問に対応した相談支援等を行っているほか、オンライン学習や、同世代の患者が集まり交流ができるAYAルームを設置しております。
 また、駒込病院では、がん患者同士が個別の病院や患者会を超えて話合いや情報交換することを目的に、令和五年二月から、精神腫瘍科医師や心理士、看護師によるAYA世代がん患者向けのオンラインピアサポートを実施しておりまして、引き続き、AYA世代のがん患者の治療や相談支援に取り組んでまいります。

○たかく委員 我が党では、AYA世代のがん患者への支援について、がん患者に応じたがん治療の提供だけではなく、患者の就学や就労など、ライフステージに応じた多様な相談支援を実施することを求めてまいりました。引き続き、さらなる支援を要望して、次の質問に移ります。
 次に、医療的ケア児への支援について、一点伺います。
 小児医療については、小児がんや小児救急、アレルギー疾患のほか、希少疾患や難治性疾患など幅広い疾患に対し、専門的な医療を着実に提供してきたとのことです。
 地域において、医療的ケア児が円滑に在宅療養に移行することは重要であります。都立病院では、在宅における医療的ケア児とその家族が、住み慣れた地域で安心して療養生活が送れるよう、具体的にどのような支援を行ってきたのかお伺いいたします。

○船尾総務部長 都が令和四年九月に開設いたしました東京都医療的ケア児支援センターは、区部は大塚病院が、多摩地域は小児総合医療センターが担っておりまして、医療的ケア児や家族が、児の心身の状況に応じた適切な支援を受けられるよう、相談支援等を行っております。
 また、小児総合医療センターでは、訪問看護ステーションを対象とした医療的ケア児看護技術研修を開催いたしまして、地域に対する技術支援を推進したほか、地域の訪問看護ステーションの医療的ケア児への訪問に同行いたしまして、地域におけるケア技術の向上を支援しております。
 このほか、小児科を有する各都立病院で、医療的ケア児の急変時やレスパイト入院の受入れを積極的に行うなど、医療的ケア児の在宅療養に向けた支援を行っております。

○たかく委員 我が党では、令和三年六月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が制定されており、いち早く医療的ケア児支援センターの開設を提案するなど、医療的ケア児への支援の推進を求めてまいりました。今後、より一層取組を進めるよう要望し、次の質問に移ります。
 次は、サイバー対策についてです。
 昨年の報道で、大阪の八百床の急性期の総合病院が、身の代金要求型のウイルスであるランサムウエアに攻撃されていました。
 都立病院が攻撃を受けた場合には、都民や地域の医療機関等に大きな影響を及ぼすことになるために、未然防止への対策はもとより、セキュリティインシデント発生後の対応を改めて検討し、法人全体として、復旧、バックアップ体制を強化していくことが重要と考えます。
 公的病院へのサイバー攻撃に対する未然防止の対策はどのように進めているのか、また、大阪の事件を踏まえて、どのような対応をしてきたのかお聞きいたします。

○船尾総務部長 都立病院では、患者に安全・安心で質の高い医療を継続して提供するため、サイバーセキュリティ対策を実施してございます。
 ハード面では、病院の基幹システムであります電子カルテシステムについて、インターネット環境から分離するなど技術的な防御策を実施しているほか、人的な面では、セキュリティ研修や標的型メール訓練等を実施して、職員の意識向上を図っております。
 委員ご指摘の大阪の事件ですが、給食事業者が運営する給食システムの外部接続点の脆弱性を突いた不正アクセスによりまして、電子カルテシステムに侵入されランサムウエアに感染した事案であり、その対応として、機構本部のICT推進センターから各病院に、部門システムの外部接続点の緊急点検を行うよう通知をいたしまして、問題がないことを確認しております。
 巧妙化するサイバー攻撃から医療情報システムを守るため、外部接続点の管理強化など、着実にセキュリティ対策を進めてまいります。

○たかく委員 万が一、都立病院が診療を中止するようなことになれば、都民や地域の医療機関等に大きな影響を及ぼすために、ぜひアンテナを高く張って情報を収集し、対策を進めていただきますようお願い申し上げます。
 最後に、今後とも、独法化によるメリットを生かした人材の確保、育成の取組を推進していくべきと考えますが、局長の見解を伺います。

○雲田保健医療局長 都は、医療の高度化、専門化ですとか、患者を取り巻く社会環境の変化などに伴いまして医療需要の一層の増加が見込まれる中で、都民ニーズに的確に応えるため、医療人材の確保と資質の向上に取り組んでおります。
 都立病院は、独法化することで、ご質疑いただきましたが、これまで以上に働きやすい勤務環境を整備し、機動的に医療人材の確保が可能となりまして、医師や看護師等を地域の医療機関等に派遣し技術支援を行いますほか、地域と連携した研修などに積極的に取り組み、大都市東京を支える医療人材の育成を進めております。
 今後も、独法化のメリットを生かしまして、都は、都立病院のフィールドを活用した東京全体の医療人材の確保、育成を一層推進いたしまして、将来にわたって都民が安心できる医療基盤を確保してまいります。

○たかく委員 以上で終了させていただきます。

○白石委員 日本共産党の白石たみおです。地方独立行政法人東京都立病院機構業務実績評価について質問をしたいというふうに思います。
 医療現場や都民の多くの反対を押し切って、小池都政が全ての都立病院、公社病院を独法化してから一年がたちました。都立病院の使命である行政的医療などが縮小、後退していないかが、やはり厳しく問われるというふうに思います。
 また、この業務実績評価そのものが、都立病院が果たす役割を適切に評価するものなのか、やっぱり明らかにしなければいけないと思います。
 初めに伺いたいと思いますが、都立病院機構の業務実績評価を議会に報告する目的、伺いたいと思います。

○船尾総務部長 地方独立行政法人法第二十八条第五項におきまして、業務実績の評価を行ったときは、議会に報告することが定められております。
 評価結果が公表、議会報告されることによりまして、手続の透明性が確保されるとともに、設立団体の長による評価と地方独立行政法人の業務実績等報告書の内容を比較すること等によりまして、設立団体の長が専門的かつ厳格な評価を行っているかを住民や議会がチェックすることが可能となります。

○白石委員 今答弁で、知事の評価と法人の自己評価を比較することが、チェックすることだと。そうじゃないと思いますけどね。病院の現場実態と比較して、正しい評価がされているのかが問われているんだと思います。知事の評価と自己評価がどうかなんて、そこじゃないんです。
 そうはいっても、答弁では、議会に報告することにより、住民と議会のチェックが可能ということなので、それに見合った対応が、私必要だと思うんです。
 そこで伺いたい。評価委員会で議論された業務実績評価の議事録は、昨日になってやっとホームページに公表されました。なぜ質疑がある委員会の前日まで公表しなかったのか、理由を伺います。

○船尾総務部長 必要な事務や委員の確認等に時間を要したため、委員会の前日の公表となりました。

○白石委員 議会のチェックを可能とするために報告をするのに、評価委員会で業務実績評価を議論した議事録が、委員会の、昨日に公表されたと。これはやっぱり改善しなければいけないと思うんです。
 例えば、福祉局所管の健康長寿医療センターの業務実績評価、今日やられましたね、報告質疑が本日ありました。
 健康長寿の評価委員会の議事録、第一回が八月三十日にホームページで公表されています。第三回は九月十五日に公表されています。今回の都立病院の方は、第一回、第三回とも昨日です。
 福祉局に聞いたんですけれども、厚生委員会で質疑を受けるため、定例会前にホームページに公表して、評価委員会の議論の経過も分かるようにしたと、このように説明されていました。
 今回、厚生委員会の質疑前日に公表となってしまったのは、私、担当する職員の責任じゃないとはっきりといっておきたいと思います。
 もっと根本的な問題は、病院経営本部の時代には職員百人ぐらいの体制だったんです。一方で、全ての都立病院と公社病院、独法化したことによって、新たに独法制度特有の仕事、今回もそうだったんですけど、生じるなどしていると。それにもかかわらず、職員体制は七割以上が減りました。三十名弱という状況です。
 これでは、やっぱり負担が増えるのは当たり前だと。だから昨日になってしまったというところだと思います。職員の自己責任などは、絶対にしちゃいけないというふうに思います。
 局長に伺いたい。対象病院が減ったわけでもないのに、職員は七割以上減ったと。これでは、やっぱり職員の負担、増えるばかりだと思うんです。これ局長、どのように認識しているか伺いたいと思います。

○船尾総務部長 都立病院支援部でございますけれども、都立病院が役割を確実に果たせますよう、その運営を支援するための人員、これを適正に配置しているところでございます。

○白石委員 部長ね、いつから局長になったんですか。私、局長に聞いたんですね。
 今、やっぱり業務がすごく大変になっている、三十名弱になっている状況だと。そういう中で、職員はあっぷあっぷしているんだと。やっぱりそういうところには、思いを寄せるというのは当たり前だと思うんです。
 局長、もう一回お聞きしたいと思います。対象病院が減ったわけじゃない、職員も七割以上減っているんだと。やっぱりこれでは職員の負担がある、増すばかりだというふうに思うんです。
 局長の認識でいいですから、しっかり伺いたいと思います。いかがですか。局長、いかがですか。局長、いいですか。

○雲田保健医療局長 改めて申し上げます。独法化前の都立病院の管理運営でございますが、これは都の病院経営本部が、都立病院全体の人事や財務、患者サービスの向上などを担っておりました。
 都立病院機構となった後は、機構の組織として法人本部が設置されまして、この本部が、旧公社病院も含めた都立病院全体の管理運営を担う組織体制となってございます。
 ただ、一方、行政的医療の安定的な提供など、都の医療政策との密接な連携等を図るためには、日頃から都と機構を適切につなぐことが必要と考えてございまして、保健医療局に都立病院支援部を組織立てし、機構の本部と同じ第一本庁舎二十四階に配置いたしまして、所属する職員は機構の職員と日常的に打合せを行うなど、職務に精励をしております。
 引き続き、都立病院支援部が役割を的確に果たせるよう取り組んでまいります。

○白石委員 局長、今答弁されたけれども、少なくとも、やっぱりこういうふうに、今職員だって必死になってやっていると。先ほどから議論あったように、都立病院はやっぱり命のとりでなんです。そういうところで、職員の負担もしっかりと局長としても見て、私は、この命のとりでである都立病院を担当する部署の体制を強化すべきだというふうに思います。強くそれを求めておきたいというふうに思います。
 本日の議会の質疑が、形ばかりで都立病院の運営に何ら反映されないとしたら、毎年行われる業務実績評価の報告と質疑の意味がないものになると思います。小池知事は、議会からの意見を法人の病院運営に的確に反映させることは都の役割なんだと、このように議会の中でも答弁されています。
 やっぱり独法化によって、一年に一回ですから、それ以外、五年に一度の中期目標や中期計画、ここでしか質疑ができないと。さらに、事務事業とかいろいろありますけれども、基本的にはこういうふうな状況で、独法化によってそがれた議会の関与は、ただでさえ少なくなっています。
 議会の質疑が、形式的なものじゃなくて、きちんと病院運営に反映されるように、都が責任を持つことを強く要望した上で、質問を進めたいというふうに思います。
 この業務実績評価は、先ほどいいましたが、本当に医療現場の実態を踏まえたものなのか、私、非常に疑問なんです。
 そこで、率直に伺いたいと思います。この業務実績評価は、病院現場の実態を十分に反映された評価となっていると思いますか、いかがでしょう。

○船尾総務部長 今回ご報告差し上げています業務実績等報告書ですけれども、後ろの方に法人からの自己評価、これを掲載しておりまして、そちらにしっかり四年度に取り組んできた内容を記載してございますので、しっかりそういった運営のところが反映されたものだというふうに認識をしております。

○白石委員 この後ろですね、自己評価があるから実態が十分に反映された評価だということでよろしいですか。もう一度、確認。

○船尾総務部長 後ろをご覧いただきますと、かなり具体的に取組等も記載させていただいておりまして、十分にそういった実績が反映したものだというふうなものと考えております。

○白石委員 実態を実績といい換えて、ちょっとはぐらかしているんですけれども、今の部長の答弁だと、しっかりと反映されているんだ、令和四年度が、実態も含めて反映されているというような趣旨の答弁でした。
 この業務実績評価は、最も基本的なことが、私、抜け落ちた評価だというふうに思います。
 例えば、項目19です。働きやすい勤務環境の整備の中ではというところです。職員の業績や専門性を適切に評価する人事考課制度を構築して、意欲を持って業務に取り組むことができる環境を整備するという、こういう計画に対して、職員が能力を最大限に発揮し、組織が活性化する人事給与制度を目指し、職員から意見を受け付けて医療現場に即した人事考課制度を構築したというふうに書いてある、評定はAです。
 ここで伺いたいと思いますが、東京都として、この人事考課制度で意欲が上がったのかについて、職員から意見を聞いたことがありますか。

○谷田次長理事兼務 法人の人事考課制度につきましては、先ほど委員の方からもお話がありましたように、東京都時代とは異なりまして、医療の現場に即した人事考課制度にするということで、法人化する前にそうした案を職員の方にもお示しし、また、そういう説明会も開催し、それについて意見を聞きながら制度構築をしてきたところでございます。
 今後も、必要に応じまして、それは独立行政法人の機構と、それからまた職員の間、あるいは組合との関係の間、それぞれの関係があると思いますが、適切に運営なされていくものというふうに考えております。

○白石委員 私は、人事考課制度が構築された、その後に、職員の意欲が上がったのかということで、都として意見を聞いたことがありますかと伺いました。いかがですか。

○谷田次長理事兼務 独立行政法人化された後、こうした制度運用を法人の方で適切に運用していっているというふうに聞いております。

○白石委員 要するに、聞いていないということです。
 なぜ職員の意見を聞かないんですか。

○谷田次長理事兼務 機構の人事制度につきましては、先ほども答弁申し上げましたけれども、制度設計時に意見を聞きながら進めております。
 その後の人事給与制度、その他の運営につきましては、労使の関係になりますので、機構の方で適切に運営がなされていくものというふうに考えております。

○白石委員 でも、これ、業務実績評価には載っているんですね、労使の関係だけじゃなく。要するに意見を聞かないということは、本当ね、まとまりようないんですよね。
 例えば組合が、成績率の導入によって職員が前向きに業務に取り組めるかとアンケートを行ったんです。そうしたら職員の何と七割以上が、モチベーションは向上しないと回答されています。そもそも人事考課制度などの導入が、意欲を持てる環境整備とはならないと示されています。
 そうじゃないというんだったら、聞けばいいんですよ、意見を。構築した後に、どうですかと。それを法人の問題だ、労使の問題だといって、そういうところから、都は、要するに責任を持って意見を聞こうとしない。でも、この業務実績評価には、ここにはちゃんと評価がされている。私、本当にひどい答弁だなというふうに思います。
 職員からの意見を聞かずに、働きやすい環境整備なんてできるわけないんです。本当にそう思っているんだったら、私は意見を聞くべきだと思います。法人がやるべきものだとかいって、都の責任をどんどんどんどん形骸化すると。
 それだけじゃない。休止病棟数なども評価対象になっていないんです。伺いますけど、全ての都立病院の休止病棟数と病床数、それぞれお答えいただきたいと思います。

○谷田次長理事兼務 本年九月の時点でございますが、工事を理由とするものを除いた休止病棟数は十四病院全体で十六病棟、病床数は五百四十床でございます。

○白石委員 都立病院全体で十六病棟、五百四十病床が休止状態となっているということです。
 先日、私、代表質問で伺いました、十六病棟、五百四十病床の休止の理由。そうしたところ、現在の職員体制に応じた病床運用と答弁されました。
 ちょっとよく分からないんで、この職員体制に応じたとはどういう意味か、分かりやすく説明していただきたいと思います。

○谷田次長理事兼務 現在の職員体制に応じた病床運用でございますが、医師の退職に伴い、当該診療科が運用する複数病棟の一部を休止しているものや、看護師の現員数で対応可能な規模の病床運用等のことでございます。
 なお、委員の方からお話がありました先日の代表質問での答弁でございますが、今お話にありました現在の職員体制に応じた病床運用のほかに、新型コロナ病棟への看護師の応援等もご答弁をさせていただいております。

○白石委員 質問したことに答えてくれればいいんです。非常に分かりにくい、また答弁でした。
 そもそも、どんなときでも、現在いる職員数で対応可能な病床運用をするに決まっているんです。対応不可能な規模で病床運用するわけありません。
 しかも、病棟休止の理由は、医師や看護師が退職したからだけじゃありません。退職者というのは毎年出ます。要するに、これ、答弁でも非常に分かりにくくしているわけです。簡単にいえば、医師や看護師の退職に対して、欠員となった職員を確保できず人手が足りていないから、十六病棟、五百四十床を休止せざるを得ないということなんです。当たり前なんです。
 この深刻な状況に拍車をかけたのが独法化なんです。今日、私、持ってきましたが、豊島病院の令和五年度の事業概要を紹介します。後で見ていただければいい。この事業概要の看護部の概要では、何と書いてあるか。新型コロナの重点医療機関としての対応と地方独立行政法人への組織移行により、令和四年度は病院全体が常に走り続けていたことから、職員の疲労感や徒労感は限界であったと事業概要に書いてあるんです。
 また、退職者は、令和四年七月の地方独立行政法人移行へのタイミングで例年よりも増加した、新型コロナへの対応も退職者増加の影響があり、結果、退職率は一九・三%で、令和四年度後半は例年より厳しい人事管理となった、就職応募者も減り、退職者数分を補うほどの補充ができなかったと。
 さっきごまかしの答弁ありましたが、人員不足により、年度途中から3A病棟及びHCU病棟を休止せざるを得なくなり、令和五年度まで再開のめどは立っていない、このようにつづられております。
 先ほど次長が、違う委員への答弁で、独法化の理由で辞めたんじゃない、自己都合ですと。いろんな数字を多分計算したんだと思うんです。
 でも、そういう計算をする前に、まず現場を見て実態を見た方がいいです。職員の意見だって聞いた方がいいです。ここにちゃんと書いてあるんですから。限界だった、コロナと独法の移行で。事業概要に書いてあるんです。
 そういう実態や現場を見ずに、計算をして、いろいろ計算をこねくり回したのでしょう、独法が理由じゃないと。辞める理由というのはいっぱいあるんです。でも、実際に事業概要では、こうやってつづっているわけです。そして、人員不足で3A病棟及びHCUも休止せざるを得なかったと書いてあるんです。私、正面から受け止めるべきだと、本当にそう思います。
 委員会で要求した資料によれば、見てください、独法化前の二〇二一年七月一日と今年七月一日の看護師現員を比較すると、直営のときより独法化した後の方が約百五十人少ないんです、現状は。
 コロナ禍で独法化を強引に推し進めたというのが、現場でどういうことが起こったのか、私は直視するべきだと思います。現場の負担は限界を超え、退職者も増えたことは紛れもない事実なんです。
 それを、いろんな何か計算をいろいろこねくり回して、独法が理由じゃないんです、自己都合なんですみたいなことを現場の職員のところに押しつける答弁こそ、私は許されないと思います。
 質問をさらに進めます。次に、小児総合医療センターの事例に沿って、幾つか質問したいと思います。
 小児総合医療センターの小児精神科の二つの病棟は、医師が確保できず休止状態となっております。ところが業務実績評価では、小児精神を含む小児医療は、年度計画を大幅に上回って実施しているとして最高評価です。Sランクとされました。
 これ、不可解なことに、よく見ると、評価項目で児童思春期の精神疾患の治療が明記されているのに、実際の評定にはそのことが一切触れられていないんです。
 実績はどのようになっているかというのを見ました。令和四年度病院機構業務実績等報告書、これ見ますと、年度の目標値、いいですか、児童・思春期精神科新規入院が目標三百四十人、新規外来が七百二十人、独法化後の年度計画になっています。
 一方で実績値というと、新規入院は三百八人で、達成度は九〇・六%、新規外来の実績値は四百八十七人で、何と達成度は六七・六%と大幅に下回っています。
 目標値も達成していない状況で、なぜ年度計画を大幅に上回って実施している、最高評価のSランクになるのか伺いたいと思います。

○船尾総務部長 今回ご報告しております業務実績等報告書の中にも記載しておりますけれども、小児医療、個々いろいろございますけれども、昨年度、コロナもかなり波があった中で、都立病院として、ほかの病院では受け難いような疾患の患者さん、小児もその中に入ってきますけれども、そういった方々をしっかり受入れをしてきたというところも含めまして、全体として、かなり取組をしっかりやられたということですので、S評価という形になってございます。

○白石委員 ちょっとよく分からないです。だって、目標値達成度だって低いんですから。
 小児総合医療センターのホームページ、何と書いてあるか。初診外来の申込みが非常に増えており、初診までの待機時間が長期化している、医師の減少のため、初診受入れを制限せざるを得ない状況と公表しています。早期介入は困難な状況になっているんです。
 独法化前には、独法化によって行政的医療は守られるとか、ばら色に描いて、宣伝をさんざんやられてきました。独法化されれば人が増えるんだと。
 でも、実際私たちの目の前にあるのは、一体どういうことになっているか。まさに小児精神なんて行政的医療です。それが今や、初診までの待機時間が長期化していると、医師がいないからなんですと、受入れを制限せざるを得ないという状況。実際に、本当に職員の確保ができず、行政的医療など医療水準が縮小、後退している、これが実態なんです。
 ところが、この業務実績評価書、全く触れられていない。これまでの質疑を聞いていても、実態が反映されていないと、私、強く思いました。
 これ、小児総合だけじゃありません。広尾病院、行政的医療である救急外来の小児科や外科が、医師不足によって受診制限がかけられている。
 ホームページに書いてあります。何と書いてあるか。医師不足のため受診できない場合があると書いてあります。本当に今、現場は深刻なんです。
 先ほど船尾部長が、個々にはいろいろありますと。まさにそうなんです。少なくとも十四病院ごとの評価がなければ、現場の実態なんか見えるわけないんです。
 今回の業務実績評価というのは、法人全体、一つとして評価しているわけであって、それぞれの個々の病院の状況というのは全部包含されているんです。それで、先ほどいったSランクになってしまうと。
 ところが、小児総合医療センターは、実際には受診制限がかけられている、しかも、精神科の病棟も、二つ病棟を休止しているという状況です。
 そこで伺いたいと思いますけれども、十四病院ごとの業務実績評価、しない理由はなんですか。

○船尾総務部長 都では、中期目標を設定した項目を基準といたしまして評価単位を設定し、評価を実施することとしております。
 都立病院機構の中期目標では、評価対象は法人全体であるという考えの下、病院ごとの項目を定めておらず、したがって、病院ごとの評価を行っていないということでございます。
 先ほどの小児精神のお話ですけれども、発達障害の方とかですね、かなり増えているという中で、予約の電話をいただいて、しっかりトリアージをして、緊急性の高い方、早く診ないといけない方というのを早期に診るような、そんな体制も組んでおりますので、お話しさせていただきます。

○白石委員 だからいいなんて話にならないじゃないですか。ホームページで、医師の減少のため初診受入れを制限せざるを得ないと。制限なんです。先ほど、ほかの委員から、早期介入が大事なんだ、大変な人からじゃない、早期から介入できるように受入れをしっかりとやると。これが行政的医療でもあって、都の責任でしょう。
 今ご答弁ありました、要するに、都が定めた考え方で評価していると。中期目標を設定した項目、これを基準として、中期目標では、それぞれの病院でやっているわけじゃないから、法人全体でやっているから、だから法人全体の評価しかしないんだというご答弁でした。
 じゃ、聞きますけれども、十四病院ごとに業務実績評価をしてはいけない、そういうルールはありますか。

○船尾総務部長 委員おっしゃるような、そういった規定は特にございません。
 先ほど申し上げたような、都では、中期目標を設定した項目を評価基準として評価単位を設定して、それでもって評価するということとしております。
 中期目標には、病院ごとではなくて、例えば医療ごとに、法人全体のものを目標として掲げておりますので、それに沿った評価をしているというところでございます。

○白石委員 ご答弁あったように、十四病院ごとに評価してはいけないというルールはありません。
 本当に病院現場の実態を踏まえた評価をしようとすれば、やっぱり各病院ごとで、足を運んで職員などの意見を直接聞いて、病院ごとの特徴に沿って考えなければ、十分な評価など、私はできるはずがないというふうに思うんです。
 今日も質疑をやりましたけれども、実際に、小児総合の問題、広尾病院だってそうだと。行政的医療が縮小、後退しているわけです。
 やっぱりそういうところを直視して、本当にこれ評価しようと思ったら、実際、皆さん足を運ぶんです。法人任せにするべきじゃないと私は思いますよ。
 しかも評価の観点も、都民、患者の立場に立ったものになっていない。先ほどの答弁からも、その姿勢、表れていると思います。
 さらに加えていいますと、十四病院ごとで必要な人員数も明らかにされていないんです。今まで定数というのがありましたけど、独法になったらなくなりました。じゃ、必要な人員数は一体どれぐらいなんですか、各病院。今、明らかになっていないんです。
 ということは、各病院に必要な人員が配置できているんですか、それとも不足しているんですかと、全く評価できないんです。これでどうやって業務実績を評価しろというのかと強く指摘したいと思うんです。だって、実際分からないわけですから、足りているのか足りていないのか、必要人員数が分からないんですから。そんな状況なんです、今。
 業務実績評価では、必要な人員が足りているのかいないのか、それから病棟の休止状況がどうなっているのか、現場の職員の意見を直接聞くことなど、全く反映をされていない。医師や看護師など医療の質に関わる職員の充足という、職員の充足という最も基礎的な指標が、そもそも評価対象になっていないというのが今の現状なんです。
 一方で、先ほど来からありましたけれども、経常収支比率や費用の節減、これはもっと進めることを促す業務実績評価となっているんです。ここにも書いてあります。四ページに、収支目標について、病院ごとに目標値を設定して、その達成に向けて取り組んでほしいと。
 結局、これまで私たち指摘してきましたけれども、採算性や経営効率を重視するのがこの事業評価であると。医療の質を向上することを第一にした評価ではないということは、もう既に明らかだと思います。
 やはり都立病院は、都が責任を持って運営する都立病院に、都立直営に戻すことを改めて訴えて、質問を終わりたいと思います。

○竹井委員 地方独立行政法人東京都立病院機構の令和四年度業務実績評価結果の報告について、私からも何点か質問をさせていただきます。
 二十一項目ございました。そのうち、年度計画を大幅に上回って実施しているというSが三項目、年度計画を上回って実施しているAが十項目、年度計画をおおむね順調に実施しているBが八項目、年度計画を十分に実施できていない、あるいは業務の大幅な見直し、改善が必要であるというC、Dは、ともになしという結果だったということです。
 まず、項目16にあります患者中心の医療の推進のうち、患者満足度について伺います。
 私は、患者満足度は非常に重要な指標であると考えています。今回、全病院で患者満足度調査を実施したとのことでありまして、一四三ページには、参考資料のところに満足度の数字が出てきています。
 ここで各病院の目標値があって、実績値があって、目標値に対する達成度ということで掲載をされているんですけれども、どこにも目標値をどうやって定めたかということが書いていないんです。各病院で目標値はばらばらです。
 まず伺いたいのは、この病院ごとの目標値というのは、どのように定めたのかということです。お願いします。

○船尾総務部長 令和四年度の患者満足度調査の目標値でございますが、コロナ前の令和元年度等の実績に基づきまして定められたものでございます。

○竹井委員 まず、この表では、このまとめのところで、入院調査では目標値に到達した病院は十四病院中三病院だが、外来調査では十四病院中九病院が目標値をクリアした。そして、入院、外来それぞれの調査において、ほぼ全ての病院で目標達成率九〇%をクリアしたとまとめてあります。
 何かとてもいいように思うんだけれども、でも、今伺ったところ、目標値は令和元年度の実績値ということでありまして、となると、つまり入院調査では十四病院中十一病院が、また、外来調査では十四病院中五病院が、令和元年度の満足度を下回ったということですよね。
 目標達成度が九〇%をクリアしたといえば、ちょっと聞こえはいいんだけれども、でも、それが一〇〇%未満であったら、令和元年度の満足度を下回っているということなんです。これは大分印象が違うと思います。
 先ほど、ほかの委員の質問の中に、理由を述べておられた、コロナがあったからということだったと思います。そうだったかもしれない。そうだったとしたら、そのことも書けばいいじゃないかと思うんです。そういうことを明確に示して、その後の改善に役立てていくということが大切だというふうに思います。
 まず目標値について、ほかの指標でもそうなんですけれども、なぜその目標値になったのかということも、これ分かるように示していただきたいと思います。
 この満足度の指標でいけば、前年度というか、今回は令和元年度だったけれども、前年度の実績値を目標にしている、つまり、前年度の数値を上回っていくことを目標にしているということだというふうに理解したんです。毎年少しずつでも向上していくことを狙っているんだと思うんです。
 だとすれば、その経年での様子も、これ、ぜひ見せていただきたいと思いますし、本来は、この中期計画の期間中、令和八年度までに各病院の満足度が一〇〇%になるように取り組んでいくべきで、そこに大きな目標を置くべきだというふうに私は考えますが、今後、そこに向かって、各病院でどのような取組を行っていくのかについて伺います。

○船尾総務部長 都立病院では、患者満足度調査の結果のほか、退院時のアンケート、投書などの患者の声を踏まえまして、各病院に設置しておりますサービス向上委員会で改善策を検討し、患者サービスの向上に向けて取り組んでおりますし、これからも取り組んでまいります。

○竹井委員 しっかりと取り組んでいただきまして、ぜひ満足度——ばらばらですね、今。いろいろ難しい問題もあるかもしれませんけれども、ぜひ一〇〇%になる、その目標に向かって、頑張っていただきたいなというふうに思います。
 次に、職員の満足度調査について伺います。
 患者さんも大切なステークホルダーであれば、従業員もまた重要なステークホルダーです。その声を聞くことも非常に大切です。
 今回の業務実績評価書においては、患者満足度は指標に入っていますけれども、職員の満足度は入っていないんです。これ、入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○谷田次長理事兼務 令和五年度、今年度でございますが、今年度の年度計画には、職員満足度が目標値として定められております。

○竹井委員 ありがとうございます。では、これからはその指標も出てくるんだということが分かりました。
 となると、職員さんの満足度調査は既に行われていると思うんです。でも、これ公表されていないんですが、ぜひこれも公表していただきたいと思います。
 先ほどご答弁の中で、議会や都民がチェックできるようにということをおっしゃっていました。いろんな数字を私たちは見せていただきたいですし、しっかりと明らかにするということ、クリアにするということも取り組んでいただきたいと思います。
 お伺いしたいのですけれども、その満足度調査の中で、職員のやりがいについてはどのような結果が出ているのかについて伺います。

○谷田次長理事兼務 令和四年度の職員満足度調査では、六一・一%が都立病院機構の一員として働くことにやりがいを感じているとのことでございました。

○竹井委員 ありがとうございます。令和五年度の調査の目標値というのは、もう公表されていると伺っているんですけれども、満足度調査では七〇%かな、これを目標にするということでした。
 それに向かって頑張っていただきたいと思いますし、この六一・一%というのがどれぐらいの——これ、何か低いような気もしますし、かつ、これ全部の病院の平均値だし、そしてその職種も、全員の職種の満足度の平均だというふうに思うんです。ですから、これ全職種の平均ということで、いろんな凸凹があるんじゃないかなと思うんです。
 私は、特に現場の看護要員、看護師さんから聞く実情というものに危機感を持っています。後でお聞きするのですけれども、若い看護師さんが辞めていく中で、踏みとどまっている、夜勤も重なって限界を感じている、その中で、この調査、この看護師さん、やりがいの数字、六〇%もあると思えないとその方からはお聞きをいたしました。こういった項目も、ぜひ公表していただきたいというふうに思います。
 お聞きいたしますけれども、独法化前後での満足度の変化をどのように捉えておられるでしょうか。

○谷田次長理事兼務 独法化を機に調査項目を一部変更したため、単純な比較は困難でございますが、コロナ対応の影響により低下したと考えられる項目がある一方で、例えば能力の向上の支援など満足度が向上している項目もございます。

○竹井委員 単純な比較は困難ということでありました。
 これは、ぜひとも私は、独法化前後で、どういった形でもいいですから比較をして、検証していただきたいと思うんです。先ほどの質疑でもありましたけれども、多くの反対の声を押し切って実行に移した独法化です。大切なことは、検証して、課題を抽出して、今後の改善に生かしていくということだと私は思います。
 この報告書は、全体的に課題の抽出という視点がないんです。少ないんです。というか、ほぼ、何々をやりました、できました、やれましたということしか書いていないんです。
 本当に私も、長引くコロナ禍の中で、医療の最前線で対応していただいた職員の皆様には感謝しかありません。感謝申し上げます。
 でも、その中で苦労して業務を推進していただいたということは大変理解をするものですけれども、でも、やはり独法化という大きな節目を経て、病院がどう変わっていったのか、よい面もあれば、そうでない面もあると思うんです。だから、それらを公表して、検証して、今後につなげていく、そのことが重要だと思います。
 次に、看護師の離職、項目19に、人材の確保、育成とあります。その中の看護師さんの離職について伺いたいと思います。
 新卒の看護師の離職率が一六%でありました。これ、目標は九%以内と置いていらっしゃるんです。そこから見てもかなり高い。全国の離職率というものもあるのかな、それが、全国の離職率が一〇・三%、そして東京都の離職率というのが一二・三%だそうです。
 ここから見ても高いんですけれども、この理由について、どのように捉えているかについて伺います。

○谷田次長理事兼務 都立病院の令和四年度の新卒看護師離職率、お話にありましたように一六・〇%でございまして、独法化前の令和三年度と同水準でございました。
 日本看護協会の病院看護実態調査結果では、令和三年度の看護職員の離職率が対前年度比で全国的に増加している背景として、新型コロナの影響が一定程度考えられるというふうにしてございます。
 都立病院の新卒看護師離職率は、コロナ以降の令和二年度から増加傾向にございまして、コロナ対応に特に注力したことから、離職率にもその影響が出ていると認識をしております。

○竹井委員 離職率を低下させるための今後の取組について伺います。

○谷田次長理事兼務 東京看護アカデミーによります一人一人の習熟段階に応じた研修、支援を行うことで、質の高い看護職員の確保、育成及び定着を図ってまいります。

○竹井委員 看護要員の中で、様々な理由で休職をしていらっしゃる方がいらっしゃると思います。
 今どれぐらいの方が休職していらっしゃるのか、その割合とともに伺いたいと思います。

○谷田次長理事兼務 都立病院の看護要員の令和五年七月一日時点の休職、休業者は、病気休職が三十四人、育児休業が二百十四人、学術休業が一人でございまして、全体の約四%に当たります。

○竹井委員 では、全体の四%が休んでいらっしゃる中で、稼働が、今働いている方に集中しないように、どのような工夫がされているのかについて伺います。

○谷田次長理事兼務 看護助手を各病院で機動的に増員するなど、看護師のタスクシフトに取り組んでおります。
 また、病院長の裁量による常勤看護師の採用や、柔軟な単価設定による非常勤看護師等の採用を機動的に行うことで、職員の確保に努めております。

○竹井委員 全体の四%が何らかのお休みを取っていらっしゃる中で、人員をしっかりと手当てしていくということは非常に肝要だと思っております。
 病気休暇、育児休暇、あるいは時短といった勤務は労働者の権利でありますので、しっかりと取っていただきたいのですけれども、取得することで、同僚に、あの人が休んでいるから私の仕事が大変だというような思いを抱かせないように、休みが取りにくくなるということがないように、職員全体のライフ・ワーク・バランスを考えていただきたいというふうに思います。
 病棟の閉鎖について伺います。現在閉鎖されている病棟が何棟か、その理由についても教えてください。

○谷田次長理事兼務 本年九月時点の都立病院の休止病棟でございますが、十四病院全体で二十二病棟でございまして、そのうち六病棟が工事によるもの、そのほかにつきましては、新型コロナ病棟への看護師の応援や、現在の職員体制に応じた病床運用などによるものでございます。

○竹井委員 この話は先ほどの質疑にもございましたので、繰り返しはいたしませんけれども、しっかりと今後の動向を把握していただいて、入院したくてもできないという、都民の不利益にならないようにしていただきたいというふうに思います。
 評価制度です。独法化に伴って、評価制度はどう変わったのかについて伺います。

○谷田次長理事兼務 法人独自の人事考課制度を構築いたしまして、職員の持つ専門的知識、能力や業績をきめ細かく評価に反映するため、例えば看護師であれば、主事、主任級の考課項目の一つに看護の実践力を設定するなど、医療現場に即した制度となってございます。

○竹井委員 東京都全体の評価制度という、都庁かな、全体の評価制度というよりは、医療現場に即した制度になったということなんですが、私のところに届いている声として、都の評価を踏襲するのか、昇任基準がどうなっているのかが分からないといった声もいただいているところです。
 コロナ禍でありましたので、多分イントラネットで周知をしていただいても、なかなか伝わっていないとか理解されていない面もあるかもしれませんし、また、ちょっとお話を伺ったのが前の話ですので、今は改善されている面もあるかもしれませんけれども、そういうお声もあるということをご紹介しておきます。
 それから、東京都では、いわゆる三百六十度評価のような、部下が上司を評価するような手法も取り入れていらっしゃるということを仄聞しますけれども、機構においても、そういった制度も導入を検討していただく、人材育成やモチベーションの向上等にも努めていただきたいということを要望しておきます。
 最後に、私も何人かの方からお話を伺いましたけれども、ある看護要員の方の言葉をご紹介しておきます。今回の評価を、私、一緒に読みました。これを見たら、とてもよいことが書いてある、自分の仕事が認められてうれしいと思う反面、計画を大幅に上回って実施していると書いてあるんだけれども、その裏には、少ない人数で頑張っている、疲弊している職員がいるということも忘れないでほしいというメッセージを預かっておりますので、ぜひとも、そういった観点もしっかりと今後は忘れずに、職員、そして都民のための病院であっていただきたいということを重ねて要望させていただきます。
 今後の業務実績評価書には、ぜひ私たちが申し上げた、私も申し上げたような内容も反映をさせていただきたいということを改めてお願いをして、質問を終わります。ありがとうございます。

○上田委員 東京都立病院機構業務実績評価書について質問させていただきます。
 項目19、効率的、効果的な法人運営体制の構築ということで、定数管理は行わず、病院の実績に応じて採用活動を実施することが可能となり、人材の機動的な確保ができたとのことですが、一五〇ページにあります令和四年度採用実績の評価、医師、歯科医が百二十人、看護師、助産師が約百十人と書いてありますけれども、評価と所見を伺います。
 先ほどから定数を確保しているのかという議論がありますので、そこについても、この人数で、何というんですか、事足りていると、充足しているかどうかについても、お答えいただけるとありがたいです。

○谷田次長理事兼務 令和四年七月から令和五年三月まで、医師百十六名、看護要員百五名を採用いたしまして、前年度の同期と比較していずれも増加するなど、職員の確保に取り組んできたところでございます。
 あと、今お話ございましたけれども、今の現員の中で、先ほど来、お話をさせていただいておりますけれども、コロナの中でのコロナ対応も含めまして、あるいは通常医療との両立ということも含めまして、その中での最適な人員の配置をしているというふうに思っております。

○上田委員 通常時のような状況にはなっておりませんが、コロナを乗り越えて、取りあえず切り盛りして、これからしっかりと確保していくというふうに受け止めますけど、それでよろしいですか。
 ちょっと一五〇ページには、医師、歯科医が百二十名、看護師、助産師が百十名ですけど、今のご報告だと医師百十六名、看護要員百五名ということは、助産師と歯科医師を除いた数ということでよろしいでしょうか。

○谷田次長理事兼務 大変失礼いたしました。
 先ほど私がご答弁申し上げた方は医師百十六名で実数、そちらの実績の報告書の中は百二十名ということで、概数ということになります。

○上田委員 失礼しました。ありがとうございました。
 契約締結権限や、医師、看護師(有資格者)などの採用選考の権限を院長等へ付与することで、診療報酬改定や病院運営上の課題に迅速に対応できる体制を整備した、予算の流用における手続の簡略化等、弾力的な予算執行を可能としたことにより、病院運営上の課題に迅速に対応できる体制を整備したとのことなのですが、これ、ちょっと逆から見ると、逆に権限を逆手に取り、独善的な采配をしてしまうのではないかということを懸念しているところであります。
 結構、特に医大というのは学閥とかいうのもありまして、母校のところに監査が入るとなると、前もって部長クラスが電話しちゃったりして、あした行くわよなんていうことがあったかなかったか、私もずっと議論してきましたので、母校等の縁故採用、医局とかもありますけれども、あるいは特定事業者の癒着、まさに白い巨塔じゃないんですけれども、こういうのは排除して権限性を担保するように、どのような対策を取られているのか伺います。

○谷田次長理事兼務 職員の採用につきましては、各病院での採用選考におきまして、各専門職と事務の幹部職員の複数名によりまして面接試験を実施しております。その上で、試験による得点を総合的に判断いたしまして、合格者の決定を行っております。
 また、契約に関しましては、各病院の診療材料委員会で診療材料の採用の適否を図るとともに、業者選定委員会で一定金額以上の契約について業者の選定を行うなど、病院内で契約の適正性を担保する仕組みを構築しております。
 さらに、機構全体の取組といたしまして、業務運営の公共性、透明性等を確保するため、独自に内部統制委員会を設置しており、令和四年度は、全病院で汚職防止に関する研修を合計六十八回実施するなど、コンプライアンスの推進に取り組んでおります。

○上田委員 がんセンターでしたか、お医者様の汚職も報道されているところでありますし、総合的に判断をして人事採用するということが——大体、官僚というか、知事もそうなんですけど、総合的に判断というときは、ちょっと玉虫色のように受け止めかねませんことから、独法化しちゃっていますから、我々が人事になかなか口出せないような状況になっておりますことから、ここは極めて健全な運営を局の方からも見守っていただきたいと思います。
 令和五年度採用に向けて、独法化に対応した採用パンフレットの作成や、スムーズに採用選考を実施できるよう勤務条件等について各病院と情報共有や連携を図り、例年規模の採用者数(百三十人)を確保したとのことですが、例年規模が定員を満たしたのかどうか、この人数でよしとしているのか、先ほどとも関連しますが、実際はもっと採用したかったのか、ちょっと状況を教えていただきたいと思います。

○谷田次長理事兼務 医師の地域や診療科偏在の解消を目的にして、日本専門医機構が定めます採用数の上限などの制約はございますけれども、令和五年度採用では、令和三年度採用の百二十四名、令和四年度採用の百三十五名と同規模の百三十四名を採用しておりまして、必要とする採用者数を確保しております。

○上田委員 人材は確保しているということです。
 また、その人材の方ですけれども、アカデミーの到達目標というのは、各分野の専門医受験資格を取得、総合診療能力を身につける、国内外の派遣、最先端技術取得で専門性をさらに高める、教育指導力を身につけるとされていますけれども、都政事業であることからも、都民に寄与する喫緊の目標としては、都立病院内の人材確保及び人材育成であると考えるところです。
 東京医師アカデミーによって、この目標は達成されていますか、課題とともに伺います。

○谷田次長理事兼務 東京医師アカデミーは、東京の医療を担う医師を確保、育成するため運営をしております。
 令和四年度の九十九名の修了生のうち、四十五名が都立病院、十九名が都内の医療機関等を進路先とするなど、高い専門性と総合診療能力を兼ね備えた医師を確保、育成しております。

○上田委員 約半分近くは都立病院に、勤務につながったということを確認させていただきました。
 先ほど来指摘されております職員のライフ・ワーク・バランスです。
 一般的には、公務員の方が労働環境に恵まれておりますことから、独法化して本当にそれが実現したのか気になるところであります。
 地方公務員法の勤務時間にとらわれることなく、ライフステージに合わせた働き方は、どのように具体的に可能となったのでしょうか。過労死ラインのチェックは当然しているとは思いますが、柔軟な雇用形態や勤務時間設定の事例を挙げて、説明もお願いします。

○谷田次長理事兼務 独法化後の都立病院では、柔軟な雇用形態や勤務時間設定等を導入しておりまして、例えば、職員から要望の高かった育児に限定しない短時間勤務の常勤職員や、地域と医療人材を共有するための週四日勤務の常勤職員等を制度化してございます。

○上田委員 そうした利用状況なんかについても、今後もチェックしてまいりたいと思います。
 令和三年度の事務事業質疑答弁では、収支計画の指標となる自己収支比率については、都立病院改革推進プラン実施計画追録版では、令和二年度計画を七六・二%としていましたが、実行プラン二〇一八では、医療環境の変化や経営改善を推進することを踏まえ、七七・二%と見直したと。
 実際は新型コロナウイルス感染症の影響で、入院、外来収益は減少したものの、コロナ病床を確保したことなどにより、自己収支比率は八四・八%、医業収益は、入院収益、外来収益及び一般会計繰入金のうち、緊急医療や感染症医療に要する経費に充てられる一般会計負担金で構成、また、この医業収益に対する一般会計負担金の比率は、十年前の平成二十三年度は一六・四%であったが、令和二年度は一五・一%と一・三%減少したということです。
 独法化した際の財源措置をどうするかという私の問いへは、感染症医療や災害医療など、民間医療だけでは対応困難な行政医療の提供は公的な病院が担うべき役割であり、採算の確保が困難であることから、独法法人においても、設立団体が運営費負担金として負担することが決定している、都立病院は、独法化後も行政的医療を将来にわたり安定的に提供していくこととしており、そのために必要な経費は、法に基づき、運営費負担金として都が負担とのことでした。
 法に基づいているからと都負担に依存していては、財政的な改善が図れないのではないかと思料しております。
 本年度の経常収支比率、医業収支比率、公費投入における経営状況、収入増加、コスト減ができているのか、改善に向けての評価を伺います。

○船尾総務部長 都立病院機構の令和四年度決算では、経常収支比率は一〇四・一%、医業収支比率は七〇・四%となってございます。また、経常収益に占める運営費負担金及び運営費交付金の割合は二〇・〇%となっております。
 また、診療報酬の感染対策向上加算や看護補助体制充実加算を取得するなど、収入確保に取組をいたしました。さらに、支出につきましては、医薬品等を本部で一括して契約する共同購入を開始するとともに、入札後に価格交渉を行う交渉権入札を実施いたしまして、計七十九件で一千七百万円を削減するなど、財務内容の改善に向けた取組を進めてきたところでございます。

○上田委員 また、事務事業、予算審査の方でも状況を、一括契約などの共同購入などについても掘り下げてまいりたいと思いますけれども、一応、独法化をしたことで改善に向けて進めているということを、現時点、確認させていただきました。
 最後の質問になります。
 DX推進を図るようですが、拙速、急速な導入は、現場職員の負担や混乱、トラブルのもととなり、目指すQOSとは逆に、患者様に迷惑がかかりかねないこと、あるいは職員の負担が増えないかということを懸念しております。
 実際に問題は発生しなかったのか、この点を鑑みた問題解決については、どのような対応を講じているのか、今後講じるのか伺います。

○船尾総務部長 都立病院では令和二年度から、入院患者の声に応えまして、病棟における患者用Wi-Fiサービスの提供を開始したほか、外来では、患者のスマートフォンにおいて診療の順番を確認できるアプリを導入するなどの取組を進めております。
 さらに、駒込病院では本年四月から、事前登録したクレジットカード情報に基づき、会計を待たずに帰宅できる診療費の後払いサービスを開始するなど、患者サービスの一層の向上を図っております。
 引き続き、新しい患者サービスを円滑に導入できるよう、患者や病院現場の職員の意見を踏まえながら、患者への丁寧な案内や職員への操作研修などを実施し、病院運営におけるDXの取組を推進してまいります。

○上田委員 そうですね。患者様や職員の意見を踏まえながらというところが、非常に重要であります。
 職員提案等も、どちらでしたっけ、健康長寿医療センターでも採用しているということでありますので、ぜひ、この点を丁寧に聞いて進めていただきたいと思います。
 こちらの業務実績評価書なんですけど、こっちのいわゆるデータの方は文字検索ができなくて、ちょっとDX化で、今度GovTechもできましたし、独法の都立病院の方は、前の方のは文字検索がホームページではできたんですね。でも、残念ながら健康長寿の方は、これはちょっと福祉局になるんですけれども、文字検索ができなくて、この資料、皆様の局のサイトのところ、こうした小さなところから、やっぱり利便性というのや、神は細部に宿るじゃないですけれども、ぜひDX化の一つとして、ちょっと私も検索するのが、厚い資料ですので、ちゃんと調べて質問しないと失礼にも当たるということで、私が検索できないということは、都民もそうなので、そこだけちょっとお願いを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

○内山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で保健医療局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十分散会

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