厚生委員会速記録第三号

令和五年三月十四日(火曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長内山 真吾君
副委員長早坂 義弘君
副委員長中山 信行君
理事平田みつよし君
理事菅原 直志君
理事竹井ようこ君
上田 令子君
竹平ちはる君
たかく則男君
龍円あいり君
浜中のりかた君
藤田りょうこ君
山加 朱美君
白石たみお君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長西山 智之君
健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
次長雲田 孝司君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
理事谷田  治君
理事木村 健治君
理事小林 忠雄君
総務部長高野 克己君
企画部長山本 謙治君
指導監査部長坂本 尚史君
医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務遠松 秀将君
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務遠藤 善也君
生活福祉部長高橋 博則君
高齢社会対策部長山口 真吾君
少子社会対策部長奈良部瑞枝君
障害者施策推進部長中川 一典君
健康安全部長藤井麻里子君
感染症対策部長関口 尚志君
都立病院支援部長齋藤 善照君
企画担当部長大出  仁君
企画担当部長森田 能城君
医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務小竹 桃子君
医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務鈴木 和典君
事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務新田 裕人君
高齢者施策推進担当部長花本 由紀君
子供・子育て施策推進担当部長酸素・ 医療提供ステーション運営担当部長兼務西尾 寿一君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長中村 重信君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長
医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長加藤 みほ君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長藤井 達男君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長水野  剛君
東京感染症対策センター担当部長村本 一博君
新型コロナウイルスワクチン担当部長内藤 典子君
新型コロナウイルス検査事業推進担当部長抗体カクテル療法促進担当部長兼務及川 勝利君
酸素・医療提供ステーション担当部長小林 俊文君

本日の会議に付した事件
意見書について
福祉保健局関係
土地の信託に関する議案の調査
・第九十二号議案 土地の信託の変更について
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 令和五年度東京都国民健康保険事業会計予算
・第六号議案 令和五年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
・第七号議案 令和五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
・第八号議案 令和五年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算
・第百十号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 福祉保健局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十一号議案 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十二号議案 東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十三号議案 東京都子供・子育て会議条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案  東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例及び東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 東京都立療育センター条例の一部を改正する条例
・第九十四号議案 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可について
・第九十五号議案 建物の譲渡について
・第百十二号議案 東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第四号 東京都島しょ地域外の医療機関への通院に係る交通費等の補助に関する条例
・議員提出議案第五号 東京都補聴器の購入費の補助に関する条例

○内山委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○内山委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和五年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和五年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
厚生委員長 内山 真吾殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十六日(木)午後五時

(別紙1)
厚生委員会
 第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中
        歳出
        債務負担行為 厚生委員会所管分
 第五号議案 令和五年度東京都国民健康保険事業会計予算
 第六号議案 令和五年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
 第七号議案 令和五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
 第八号議案 令和五年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算
 第百十号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中
         歳出 厚生委員会所管分

(別紙2省略)

○内山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の土地の信託に関する議案の調査、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、土地の信託に関する議案の調査を行います。
 第九十二号議案を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。——発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、土地の信託に関する議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○藤田委員 土地の信託の変更について意見を述べます。
 この議案は、新宿区歌舞伎町二丁目の東京都健康プラザの土地の信託事業の期間を五年間延長するというものです。
 都民の財産である都有地は都民のために活用すべきであり、日本共産党都議団は土地信託には一貫して反対してきました。
 継続する理由として、今後も信託配当金が安定的に確保できることが見込まれるとされています。しかし、当初は二十年間で一千六百八十一億円という莫大な配当を見込んでいましたが、現状はそれとはかけ離れた実績になっています。
 これまで、二〇一三年に初めの延長をしてから五年ごとに延長を繰り返していますが、このまま延長を繰り返すのではなく、信託を終了し、建物は、都民の健康づくり、看護師養成、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの設置など、都民のために使う出口戦略を持つべきです。
 よって、土地信託の期間を延長する本議案には反対いたします。

○内山委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案は、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で土地の信託に関する議案の調査を終わります。

○内山委員長 次に、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 初めに、第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案から第八号議案まで、第五十号議案から第五十九号議案まで、第九十四号議案、第九十五号議案、第百十号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、福祉保健局所管分及び第百十二号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高野総務部長 去る二月十四日及び二十七日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 おめくりいただいたところに目次を記載してございますが、全部で五十二項目となっております。
 それでは、一ページをお開き願います。1、二次保健医療圏別NICU病床整備状況といたしまして、令和五年一月一日現在の病床数を都内十三の二次保健医療圏ごとに記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、療養病床を有する医療施設数及び療養病床数(医療保険適用・介護保険適用)の推移並びに介護医療院の施設数及び定員といたしまして、(1)に、令和三年から令和五年まで、各年一月一日現在の療養病床を有する医療施設数及び療養病床数の推移を医療保険と介護保険の適用区分ごとに、(2)に、令和五年一月一日現在の介護医療院の施設数及び定員を記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、地域密着型サービスの事業所数の推移といたしまして、平成十八年から令和四年まで、各年四月一日現在の事業所数を表側の区分ごとにそれぞれ記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、地域包括支援センターの設置状況といたしまして、(1)に、区市町村別の令和四年四月一日現在の設置数及び令和四年一月一日現在の六十五歳以上人口を、(2)に、職員の配置基準を記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、障害者グループホームの定員といたしまして、令和四年三月一日現在の定員を区市町村ごとに記載してございます。
 七ページをご覧ください。6、被爆者の子の健康診断受診票の交付者数及び健康診断受診状況の推移といたしまして、(1)に、健康診断受診票の交付者数を、(2)に、一般検査及びがん検診の種類別の受診者数をそれぞれ平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、都内障害者グループホームの国加算算定状況といたしまして、令和四年十一月に国の各種加算が算定された都内障害者グループホームの事業所数を加算の種類ごとに記載してございます。
 九ページをご覧ください。8、新型コロナウイルス感染症に関連した死亡者数の推移といたしまして、年代別の死亡者数の推移を令和三年一月から令和五年二月まで月別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、新型コロナウイルス感染症に関連した自宅療養者等の死亡者数の推移といたしまして、年代別の死亡者数の推移を令和三年一月から令和五年二月まで月別に記載してございます。
 一一ページをご覧ください。10、高齢者等医療支援型施設における施設ごとの延べ患者受入数の推移といたしまして、施設別の開設日、稼働床数並びに令和四年二月から令和五年二月までの患者受入れ人数及びそのうち救急受入れ人数を月別に記載してございます。
 一二ページをお開き願います。11、都立病院機構の病院における医師の診療科別現員といたしまして、令和五年二月一日現在の現員を病院別に記載してございます。
 二六ページをお開き願います。12、都立病院機構の病院における職種別現員といたしまして、令和五年二月一日現在の現員を病院別に記載してございます。
 三三ページをご覧ください。13、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移といたしまして、(1)に、都立病院、(2)に、公社病院における平成二十九年度から令和三年度までの推移を記載してございます。
 四〇ページをお開き願います。14、都立病院及び公社病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数といたしまして、令和三年の実績を病院別に記載してございます。
 四一ページをご覧ください。15、都立病院及び公社病院における研修医受入状況といたしまして、(1)に、初期臨床研修医、(2)に、後期臨床研修医につきまして、それぞれ令和三年度及び令和四年度の定数を病院別に記載してございます。
 四三ページをご覧ください。16、都立病院機構の病院におけるPFI事業に係る経費の推移及び累計並びに各事業の契約額といたしまして、(1)に、経費の推移及び累計、(2)に、契約額を事業別に記載してございます。
 なお、(1)の累計は、令和四年度六月末日までの決算額の累計でございます。
 四五ページをご覧ください。17、一般会計繰入金、運営費負担金、運営費交付金(施設整備関連経費以外)及び公社病院への運営費補助金の推移といたしまして、(1)から(3)に、一般会計繰入金、運営費負担金、運営費交付金のうち、施設整備関連経費以外の経費につきまして、(4)に、公社病院への運営費補助金につきまして、それぞれ平成三十年度から令和四年度までの推移を病院別に記載してございます。
 四九ページをご覧ください。18、一般会計繰入金、運営費負担金、運営費交付金の推移(施設整備関連経費)といたしまして、(1)に、一般会計繰入金及び運営費負担金、(2)に、運営費交付金と、それぞれこのうち施設整備関連経費につきまして、令和五年度までの推移を記載してございます。
 五〇ページをお開き願います。19、令和五年度予算案のうち都立病院機構への運営費負担金の項目における令和四年度の項目からの変更点の有無及びその内容でございますが、変更点等はございませんでした。
 五一ページをご覧ください。20、令和四年度予算のうち一般会計繰入金及び都立病院機構への運営費負担金の項目における令和三年度一般会計繰入金の項目からの変更点の有無及びその内容といたしまして、変更内容を記載してございます。
 五二ページをお開き願います。21、都立病院機構の病院における経営指標の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度までの都立病院における経営指標の推移を入院、外来別に記載してございます。
 五六ページをお開き願います。22、東京都から公社病院への診療科別医師派遣者数の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度まで、各公社病院ごとに記載してございます。
 六二ページをお開き願います。23、都立病院及び公社病院における看護要員の離職率(既卒・新卒別)の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで、既卒、新卒別に記載してございます。
 六四ページをお開き願います。24、都立病院機構の病院における専門看護師及び認定看護師の人数及び看護分野の内訳といたしまして、(1)に、専門看護師について、(2)に、認定看護師につきまして、それぞれ分野ごとの人数を病院別に記載してございます。
 六七ページをご覧ください。25、都立病院機構の病院における看護要員の夜勤回数の分布といたしまして、(1)に、三交代制勤務職場、(2)に、二交代制勤務職場につきまして、それぞれ令和四年十月の実績を病院別に記載してございます。
 六九ページをご覧ください。26、都立病院機構の病院における一直二勤務の実施病院及び実施科の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度まで実施病院ごとに実施科を記載してございます。
 七四ページをお開き願います。27、児童福祉法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十六号)の施行に係る都の取組といたしまして、保育士登録に関する事項、児童の安全の確保に関する事項の区分別に取組内容を記載してございます。
 七五ページをご覧ください。28、こども基本法(令和四年法律第七十七号)に関連する都の主な取組といたしまして、子供等の意見の反映に関する事項について取組内容を記載してございます。
 七六ページをお開き願います。29、東京都低所得者のひとり親世帯等生活支援給付事業補助金交付決定状況といたしまして、令和四年十二月末時点の決定状況を区市町村別に記載してございます。
 七七ページをご覧ください。30、東京都が認可した認可保育所並びに認証保育所の施設数及び総定員数の推移といたしまして、(1)に、認可保育所、(2)に、認証保育所の平成二十九年度から令和三年度までの五年間の施設数及び総定員数の推移を区市町村別にそれぞれ記載してございます。
 七九ページをご覧ください。31、廃止した認可保育所及び認証保育所の一覧といたしまして、廃止した認可、認証保育所の所在区市町村、設置主体及び施設数を平成二十九年度から令和三年度まで年度別に記載してございます。
 八四ページをお開き願います。32、心身障害者福祉手当の負担金確定額及び取消額といたしまして、(1)に、負担金確定額、(2)に、取消し額の平成二十九年度から令和三年度までの五年間の推移を市町村別にそれぞれ記載してございます。
 八六ページをお開き願います。33、ベビーシッター利用支援事業における指導・監督の状況等といたしまして、令和二年五月一日から令和三年十二月九日までの対応状況を記載してございます。
 八七ページをご覧ください。34、株式会社グローバルキッズが運営する保育所への整備費補助の実績といたしまして、平成二十九年度から令和三年度における補助額及び事業別内訳を施設ごとに記載してございます。
 九二ページをお開き願います。35、株式会社グローバルキッズが設置する保育施設への指導検査件数及び文書指摘施設数といたしまして、指導検査件数並びに文書指摘施設数及びそのうち改善済み数を施設ごとに記載してございます。
 九三ページをご覧ください。36、株式会社コスモズが運営する保育施設への整備費補助の実績といたしまして、平成二十九年度から令和三年度における補助額及び事業別内訳を施設ごとに記載してございます。
 九五ページをご覧ください。37、株式会社コスモズが設置する保育施設への指導検査件数及び文書指摘施設数といたしまして、指導検査件数並びに文書指摘施設数及びそのうち改善済み数を施設ごとに記載してございます。
 九六ページをお開き願います。38、都所管の児童養護施設並びに児童相談所及び一時保護所における人権教育・外部通報に係る取組状況といたしまして、各施設において令和三年度に実施した取組の内容を記載してございます。
 九七ページをご覧ください。39、児童相談所における措置、措置解除に係る不服申立て件数(審査請求等を含む)及びその裁決等内訳の推移といたしまして、措置及び措置解除の区分ごとの不服申立て件数及び裁決等の内訳の推移を平成二十四年度から令和三年度まで記載してございます。
 九八ページをお開き願います。40、児童相談所における親権停止審判の請求人数及び承認人数の実績推移といたしまして、平成二十四年度から令和三年度まで記載してございます。
 九九ページをご覧ください。41、養育家庭の認定取消件数の推移といたしまして、養育家庭からの辞退及び被措置児童等虐待該当の区分ごとに、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一〇〇ページをお開き願います。42、児童相談所長及び児童養護施設長の児童への治療・投薬の権限、法的根拠及び判断基準といたしまして、権限、法的根拠及び判断基準を記載してございます。
 一〇一ページをご覧ください。43、児童相談所が措置入院又は医療保護入院により精神科病院ヘ一時保護委託を行うまでの流れといたしまして、入院先医療機関に一時保護委託するまでの流れを記載してございます。
 一〇二ページをお開き願います。44、東京都児童相談所による医療機関への一時保護委託件数の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一〇三ページをご覧ください。45、東京都若年被害女性等支援事業における監査対象団体の監査に至る経緯並びに指摘に係る福祉保健局の見解及び対応状況といたしまして、令和四年十一月二日の住民監査請求受付から令和五年三月三日の講じた措置の公表までの経過、見解及び対応状況について記載してございます。
 一〇四ページをお開き願います。46、東京都若年被害女性等支援事業における受託団体との契約額の推移といたしまして、平成三十年度から令和四年度までの契約金額を記載してございます。
 一〇五ページをご覧ください。47、福祉保健局における補助金不正受給防止・適正化の取組状況といたしまして、当局における具体的な取組を記載してございます。
 一〇六ページをお開き願います。以降ご説明申し上げます五点の資料につきましては、令和五年度補正予算に係るものでございます。
 48、新型コロナウイルス感染症患者受入体制確保補助の積算根拠といたしまして、当該補正予算の積算根拠を記載してございます。
 一〇七ページをご覧ください。49、区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業の五月七日までの内容と五月八日以降の変更点といたしまして、(1)に、五月七日までの内容、(2)に、五月八日以降の内容をそれぞれ記載してございます。
 一〇八ページをお開き願います。50、新規陽性者数及び死亡者数の推移といたしまして、令和二年一月から令和五年二月までグラフで示してございます。
 一〇九ページをご覧ください。51、宿泊療養施設の稼働率の推移といたしまして、令和二年四月から令和五年二月までグラフで示してございます。
 一一〇ページをお開き願います。52、東京都PCR等検査無料化事業検査件数の推移といたしまして、令和三年十二月から令和五年二月まで週ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○内山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、私から質疑に入らせていただきたいと思います。
 まず初めに、新型コロナウイルスの対策についてであります。
 昨日の三月十三日からマスクの着用が個人の判断に変わり、徐々にコロナを乗り越え、日常に向かっているかと思います。この間、コロナが発生してから、福祉保健局をはじめ、医療関係者の皆さんや何より都民の皆さん、多くの方の努力でこのコロナを乗り越えることができそうだということは、本当に喜ばしい限りであります。ただ、油断することなく、二類から五類への変更ということでありますけれども、しっかり対応していきたいというふうに思っております。
 そこで、今、新型コロナウイルス感染症については、現在も感染状況は低く抑えられており、五月には節目となる感染症法上の位置づけが変更されます。私自身も、先日の本会議の一般質問において、コロナの五類への移行について、そして高齢者等へのワクチン接種について質問させていただきました。本日の厚生委員会では、これらの議論を踏まえて、政府の動向や都の方向性を確認していきたいというふうに思います。
 まずは、五類への移行についてお伺いいたします。
 先週の三月十日金曜日に、政府対策本部は五類移行後の医療提供体制について方針を示しました。その内容について確認をいたします。

○関口感染症対策部長 今般、国から示された方針では、五類移行後の医療提供体制は、入院措置を原則とする行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行することとし、新型コロナ患者への対応医療機関の拡大を図ることとされております。
 一方、地域の実情に応じて臨時の医療施設を当面存続できることや、入院調整本部等の枠組みを残すことを可能とするなど、五類に対応した医療提供体制に段階的に移行していく取組も認められております。

○浜中委員 今ご答弁いただきましたが、臨時の医療施設などは地域の実情に応じた対応が可能である点は、東京都が重ねて国へ提案をしていたものが実現したという面もあるかと思います。
 それでは、都は、政府の方針を受けて、どのように対応していくのかということを教えてください。

○関口感染症対策部長 都は、五類への移行に当たりまして、都民の不安や医療現場等の混乱を招かないよう、段階的に進めることとしております。
 具体的には、臨時の医療施設等を当面継続するなど、ハイリスク層を守る取組を進めてまいります。また、発熱患者の健康相談や自宅療養者の体調悪化時に相談機能を併せ持つセンターを設置するなどして、都民の不安に応えてまいります。
 これらの取組に合わせまして、今後、五類に対応した入院医療体制への移行に向け、新たな医療機関による軽症、中等症患者の受入れや病院間の入院調整の促進などを内容とする移行計画を策定し、五類への移行を円滑に進めてまいります。

○浜中委員 それでは、次に、ワクチンについてお聞きをいたします。
 先日の一般質問では、重症化リスクの高い方への接種について質問したところであります。
 国において、今いろんな議論がされているかと認識しておりますが、令和五年度の内容はどのようになっているのかをお尋ねいたします。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 令和五年度のワクチン接種について、三月七日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会での議論を踏まえ、国は、現行の特例臨時接種の実施期間を延長し来年度も無料で接種できることとするとともに、重症者を減らすことを目的に重症化リスクが高い方等に対して五月八日から春夏の接種を行うほか、九月以降五歳以上の全ての方を対象に秋冬の接種を行うとの方針を示しました。
 春の対象者は、六十五歳以上の高齢者、五歳以上六十四歳以下の基礎疾患を有する方、その他重症化リスクが高いと医師が認める方、重症化リスクが高い方が集まる場所においてサービスを提供する医療機関や高齢者施設等の従事者の方とされております。

○浜中委員 それでは、国の方針を受けて、令和五年の春開始の接種に向けた東京都の取組について教えてください。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 都は、高齢者等の円滑な接種を進めるため、ワクチンバスも活用して高齢者施設等での接種を進めるとともに、ワクチンチーム会議等を通じて国の最新情報や自治体の好事例を共有するなど、区市町村の準備を支援してまいります。
 また、基礎疾患を有する方については、基礎疾患の範囲を分かりやすく記載したリーフレットを作成し、東京都医師会、東京都薬剤師会等の協力を得て、診療所や薬局等での掲示を働きかけてまいります。
 さらに、今回新たに追加された五歳から十七歳の基礎疾患のある方については、障害児施設や特別支援学校等を通じた案内を行うほか、小児科医等による声がけを行うなど、接種対象者への周知に努めてまいります。

○浜中委員 今、大きく分けて、二類から五類への移行について、医療提供体制の方向性ですとかワクチンについて質問をさせていただきました。
 これが、昨日まさに皆さん体感されたというか、今日マスクをつけていくかつけていくまいか、どこでつけるかとかというので、いろいろ判断に迷われたかと思います。これが変わったからといって、コロナウイルスが別になくなるわけではなくて、また、例えば変異株が来るだとか、いわゆる流行期になったときにどうするのか、また恐らく難しい対応が迫られるのかなというふうに思います。
 そんな中で、今ご答弁にあったような形で、しっかりとした医療提供体制の推移でしたりとか、ワクチン接種も国と協力しながらしっかり方向性を決めて準備をしていくということは、とても大切なことであるかと思います。ぜひ、移行がスムーズにいくように、また、都民の方が混乱を来さないように、しっかり準備をして臨んでいただきたいと思い、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、介護分野、介護についてであります。
 二〇二五年には、都内で三万一千人の介護人材が不足する見込みであり、介護人材の確保は喫緊の課題であります。
 東京都は、こうした中でも持続可能な介護の体制を構築し、都民が安心して東京に住み続けることができるように取組を進めていく必要があるかと思います。そのためには、介護現場では限られた人材で質の高い介護サービスを提供することができるよう、介護ロボットなど次世代介護機器の導入を進め、業務の効率化や働きやすい職場環境づくりを進めていくことが重要であると考えます。
 都は、介護事業者等に対して、次世代介護機器の導入経費を補助しておりますが、本事業の来年度の取組についてお伺いをいたします。

○山口高齢社会対策部長 都は、介護従事者の負担軽減や介護業務の効率化、ケアの質の向上を図るため、介護施設、事業所を対象に、次世代介護機器導入促進支援事業により、パワーアシストスーツなどの移乗介護機器や見守り支援機器などの導入経費を補助しております。
 来年度は、補助対象となる事業所等の予算規模を今年度の百八十か所から二百四十五か所に拡大しておりまして、次世代介護機器の一層の活用促進を図ってまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 介護人材の大幅な不足が見込まれる中で、限られた人材で質の高い介護サービスを提供することができるよう、次世代介護機器の導入などによる業務の効率化が必要であるという趣旨で質問させていただきましたが、加えて、介護の現場においては、生産性を向上させる取組も必要だと考えます。
 生産性の向上というと、人員を減らして、働く人一人当たりの生産性を高めるイメージがありますが、介護分野においてはそれとは異なり、業務全体を見直して、専門職でなくても代わりにできる仕事は、いわゆる介護助手などにタスクシェアし、介護職が介護業務に注力できるようにすることだといわれております。
 都が来年度の新規事業に掲げている介護現場のDX・タスクシェア促進事業は、まさにそうした取組を進めるものであると考えますが、本事業の具体的な内容について教えてください。

○花本高齢者施策推進担当部長 介護現場のDX・タスクシェア促進事業は二つの事業から構成されており、一つ目は、分身ロボットを活用して介護業務の負担軽減を図るモデル事業を実施するもので、入所者が要介護三以上の特別養護老人ホームと入所者の介護度が比較的低い有料老人ホームで実施いたします。
 具体的には、傾聴ボランティアや介護職経験者など施設職員でない外部の人材が自宅等から遠隔で分身ロボットを操作し、入所者と定期的にコミュニケーションを図ります。分身ロボットが適宜声かけすることにより、入所者の自発的な活動をサポートするとともに、行動や心理面での安定化が図れるかなど、介護現場における分身ロボットの活用方法や効果を検証いたします。
 二つ目は、介護の周辺業務の負担軽減策として、掃除、配膳ロボットの導入経費を支援するもので、特養などの高齢者施設や認知症高齢者グループホームなど百か所を対象に、一施設当たり二百四十万円を上限に、補助率二分の一で支援いたします。

○浜中委員 介護現場においては、介護職は様々な雑務に追われて、入所者一人一人とゆっくり向き合う時間が取れないという声をしばし耳にいたします。本事業により、介護職の負担が軽減し、専門職として本当にやりたい介護ができ、そのことが仕事のやりがいにもつながれば、働く人も介護を受ける人にとっても、とてもいいことだと思います。
 分身ロボットを活用した見守り事業は、来年度、まず特養と有料老人ホームでモデル的に行うとのことですが、効果を見て、認知症高齢者グループホームなど、ほかの施設等でも活用が進めばなというふうに思っております。スケジュールと今後の展開についてお伺いいたします。

○花本高齢者施策推進担当部長 分身ロボットを活用したモデル事業については、四月に施設の公募を行い、五月中を目途に、協力施設として特別養護老人ホーム、有料老人ホームをそれぞれ四施設選定いたします。
 本事業の効果測定に際しては、福祉系大学の協力の下、国際的なアセスメント指標を用いて入所者への影響等を評価する予定であり、協力施設の決定後、職員向けに評価手法等の研修を行います。このため、分身ロボットによる見守りは、七月以降、準備が整った施設から順次開始いたします。
 モデル事業期間中に、分身ロボットによるコミュニケーションが効果的な高齢者像として、要介護度や認知症の程度、性格的な要素などを検証する予定であり、得られた知見を生かし、他施設等への拡大など、令和六年度以降の本格実施につなげてまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 介護の人材をどう確保していくか、これは首都東京にとっては本当に大切な話であるかと思います。介護保険はあっても、働く人がいないとサービスを提供できないということがあってはならないと思っております。
 そういう意味では、このロボットですとか、DXですとか、タスクシェアというのはとても先進的な取組でありまして、こういったことによって少しでも現場の負担が減ったりですとか、そういうことが、これはもう世の中として非常にいいことだと思うので、ぜひ促進をしていただきたいというふうに思って、次の質問に移ります。
 次に、自殺対策についてお伺いいたします。
 都の自殺者数は、平成二十三年をピークに減少傾向にありましたが、令和二年以降、増加に転じていることは、私もこの厚生委員会で何度も取り上げてきたとおりであります。
 自殺者数が増加した要因としては、コロナ禍において在宅時間が増えたことにより、家庭内の緊張が高まったことですとか、もともと困難を抱えていた方々が、コロナの感染拡大の影響により、困難の度合いが高まったことなどが指摘されております。
 自殺の要因となり得るものは六十九項目に上るとされており、自殺対策は、幅広い分野で、生きることの阻害要因を減らし、生きることの推進要因を増やす取組が求められているかと思います。こうしたことから、自殺対策は、福祉保健局のみならず、都庁全体で取り組むことが必要だと考えます。
 今月末に公表する次期東京都自殺総合対策計画における数値目標を伺うとともに、関係各局と連携し、どのように自殺対策を強化していくのかを伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 自殺の背景には様々な要因が複雑に絡み合っており、都は、今月末に公表予定の次期東京都自殺総合対策計画で、若年層の自殺防止など六項目を重点項目として位置づけ、生きることの包括的な支援として自殺対策を強化いたします。
 本計画の数値目標は、国の自殺総合対策大綱におけます全国の目標値に合わせ、令和八年までに平成二十七年と比べて自殺者数及び自殺死亡率を三〇%以上減少させることとし、自殺者数は千六百人以下、自殺死亡率は一二・二以下とすることとしております。
 また、福祉保健局のほか、産業労働局、生活文化スポーツ局、教育庁など七局九十七施策を計画案に盛り込み、今後、関係各局と連携しながら次期計画を着実に実施し、幅広い分野で自殺を防ぐための取組を推進してまいります。

○浜中委員 コロナ禍においては、女性、特に二十代の女性の自殺が大きく増加したことが特徴であります。女性の自殺の要因を仕事がある人とそうじゃない人で見ますと、仕事とかを持っている方の場合には勤務問題や男女問題、無職の方の場合には勤務問題や——これは就職とかそういうことだと思うんですけれども、学校の問題等が多く指摘されております。
 コロナの感染拡大は災害といってもよい事態だと思いますが、災害時において、社会的に弱い立場にある方々が、さらなる困難を強いられるということはよく知られているかと思います。
 困難な立場にある女性の支援を一層進めていくべきだと考えますが、次期計画における位置づけについてお伺いいたします。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 女性が自殺に至る背景は様々であり、学校関係の悩みや進路、進学問題、親子関係の不和、就労に関する問題、予期しない妊娠や産後鬱、子育ての悩みなどが指摘をされております。
 こうしたことを踏まえまして、自殺リスクにつながる悩みを抱える女性が、その内容に応じ適切な支援が受けられますよう、次期計画において、困難を抱える女性への支援をさらに充実することを六つの重点項目の一つに位置づけ、ユースヘルスケアの推進や産前産後のサポートなど十四の施策を盛り込んでおります。
 これらの取組を着実に実行し、様々な困難を抱える女性への支援を一層推進してまいります。

○浜中委員 社会的に弱い立場である方々という点では、自死遺族も同様であります。
 自殺対策基本法第二十一条には、自殺者の親族等の支援として、国及び地方公共団体は、必要な施策を講じるものと定められています。
 都はこれまで、自死遺族向けのリーフレットの作成や配布などを行ってきましたが、どちらかというと、自死遺族支援の分野は民間団体の活動により支えられてきたと思います。民間団体の活動内容を見てみますと、分かち合いの会の開催や運営が中心となっており、グリーフケアの観点からのものが多いように思えます。
 そこで、自死遺族は様々な問題に直面するとされており、遺族のニーズに応じた支援が必要だと考えますが、今後の取組についてお伺いをいたします。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 遺族の方は、身近な人の死を悼む余裕もなく、矢継ぎ早に手続や問題対応に追われ、自責の念や将来への不安から、遺族自身が希死念慮を抱くケースもあると指摘をされております。
 このため、都は令和五年度に、自死遺族のための相談窓口を新たに設置し、自死発生直後から遺族の心理状態に配慮しながら、行政上の手続や福祉、不動産、生命保険、相続等の問題に関わる総合的な支援を行うこととしております。
 こうした取組によりまして、遺族が直面する様々な課題や困難の解決を図るなど、自死遺族支援を強化してまいります。

○浜中委員 都においては、コロナ禍以降の自殺者数の増加を受けて、様々な対策を講じてきたことは理解をしております。一方で、先日の報道でもあったとおり、令和四年の全国の小中高生の自殺者数が過去最高になるなど、いまだに危機的な状況は続いているといえます。
 特に子供についていえば、教育庁との連携は必要不可欠ですし、子供政策連携室をつくりましたから、しっかりとまさに横串を刺していくという意味では、これは各局が子供政策を中心に共同した取組が求められていると思います。引き続き、自殺の動向を注視し、必要に応じた対策を強化することを求めて、次の質問に移ります。
 続いて、更生保護施設の建て替えについてお伺いをいたします。
 第三回定例会において、自民党、公明党、都民ファーストの会の三会派の議員が紹介議員となった更生保護施設の建て替えに関する請願は、全会派一致で採択をされました。
 さらに、その後の委員会質疑でも、私は東京都に対して、国との役割分担を踏まえて、都において補助金の交付制度の新設を進めるべきだということを求めたところであります。
 その後、東京都は、更生保護施設の建て替え補助の創設に向けて、どのように取り組んでいるのかをお伺いいたします。

○高橋生活福祉部長 都は令和四年十一月、国に対して、更生保護施設の建て替えについて、物価高騰分も含めて施設の建て替えに必要な財政支援を国の責任において行うよう提案要求をいたしますとともに、都内の施設の運営や建設年次等の状況を調査いたしました。その後、国は本年一月、更生保護施設の建て替えに関する補助単価を大幅に引き上げたところでございます。
 現在、これらの状況も踏まえて、都における更生保護施設の建て替えに関する補助事業の内容を検討しているところでございます。

○浜中委員 ありがとうございます。
 いただいた声を都議会厚生委員会の皆さんが力を合わせて東京都に伝えて、もちろんこれがあったから国が動いたのかというのはちょっと分からないんですけれども、結果として、国が大幅に単価を上げてくれたということは、これは本当に非常に喜ばしいことだと思います。
 更生保護施設は、本当に、あの現場を見ていただければお分かりになるかと思いますけれども、かなり老朽化していたりとか、ところが、社会にとって、再犯防止にとっては、絶対に大切な施設だと私は思っております。
 加えて、国の補助とかというのがどれくらいかというのが分からないけれども、状況に応じて困らないように、東京都としても何とか検討していくというご答弁をいただきました。本当にありがとうございます。
 もともと単価が非常に低かったところに、今、この物価高騰によりまして、建設費等も、解体費なんかも含めて、すごい上がっていると思います。社会的に大切な施設を守るために税金を入れるということは、これは理解を得られることであると思いますし、社会益にかなうことであるかと思います。ぜひ、状況を見て、しっかりとした制度の構築を要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、滝山病院での患者暴行事件についてであります。
 これは、恐らくこの厚生委員会でも、他会派の皆さんも取り上げられるかと思います。社会的に非常に反響の大きい事件であります。
 滝山病院での患者暴行事件について、二月十四日に看護師が逮捕されました。それ以降、都はこれまでどのように取り組んできたのかということをお伺いいたします。

○石黒障害者医療担当部長 都は本年二月十五日に、滝山病院における虐待が強く疑われる情報提供があったため、同日、同病院に対し、医療法と精神保健福祉法に基づく立入検査を行いました。
 その後、二月二十四日及び三月十日には予告なしの立入検査を行い、病院職員や患者からの聞き取り、カルテの確認、院内の巡回等を行い、詳細な事実の確認を進めております。

○浜中委員 ありがとうございます。
 今答弁で、新聞報道等なんかで二月二十四日ということは聞いていたんですけれども、三月十日にも検査をしたよということが分かりました。
 新聞報道等を見ると、実は過去にもこういうことがあったんじゃないか、自分の親戚の方とかお兄さんとかという方が、本当に普通にただ亡くなっちゃっただけなのかというふうに疑問に思うということが新聞報道等でも出ております。これは多くの方が見ても非常に心を痛めますし、こんなことが許されるのかというふうに思います。
 そこで、滝山病院における今回の事案に関して、都は今後どのように対応していくのかということを教えてください。

○石黒障害者医療担当部長 これまでの立入検査で把握した院内の状況、関係者の発言、関係書類等を詳細に確認するとともに、関係者、関係機関からのさらなる情報把握や必要に応じた追加の立入検査などを行い、法令等に基づき対応してまいります。

○浜中委員 福祉保健局として、この精神病院をしっかりと正常化させなきゃいけないというふうに思っております。
 また、精神病院の、ほかの病院の先生なんかに聞くと、この事件によって精神病院自体のイメージが悪くなっちゃうということもいわれております。全然ほかの病院とかはそういうことはないということですし、地域ともしっかりやっているということなんですけれども、一つこういう事案があると、そういうことがあるんじゃないかというふうに疑われてしまうということがとても悲しいということをおっしゃっておりました。何よりも中に入っている患者の方やその家族の方が、やっぱり病院に対して信頼関係がないとなかなか難しいんだなというふうに思っております。
 精神病院自体は、これはどの病院でもそうですけれども、入院できるところとかというのは本当に必要なんだと思います。しっかりと入院された方やその家族の方とかの人権が守られるというのは本当に当たり前の話でございますので、東京都としても、捜査にも協力をしながら、しっかりチェックをして、原因の究明と再発の防止に努めていただきたいというふうに申し述べまして、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、若年被害女性等支援事業について質問をさせていただきます。
 今定例会において、私が一般質問、また、予算特別委員会で同僚の川松委員や吉住委員が取り上げさせていただきました。質問するたびに大きな反響があるのが、この若年被害女性等支援事業であります。多くの都民の方の関心がSNSを中心に寄せられ、私たちも様々なご意見を頂戴しているところであります。
 私たちは、政治家として、若年被害女性に限らず、困っている人がいれば手を差し伸べることは大切であり、それは我々がやるべき仕事であります。一方で、都民から集めた税金の使い方をチェックすることは、二元代表制の議会議員にとって重要なことであります。
 今この問題をめぐって、東京都の事業の在り方と税金の使われ方に大きな注目が集まっております。我々は都議会議員として、公金の扱われ方、事業の在り方をしっかりチェックする必要があると考えております。その結果、この若年被害女性等支援事業がさらによいものになることを望みます。
 さて、この若年被害女性等支援事業の委託団体に対して、住民監査請求が平成二十八年八月一日以来、六年ぶりに受理をされ、その後、監査からの再調査の勧告を福祉保健局が受けて、その結果を三月三日に公表したわけであります。
 公表に先立った三月三日の小池知事の記者会見の中で、知事は、国の事業であって、私どもは委託を受けているということですという発言をされました。その後、インターネット上の知事の部屋で公開されている三月三日の記者会見の発言の後ろには、括弧書きで、正しくは、国の補助事業の仕組みに基づき都の委託事業として実施しているという注釈がついております。
 私は、二月二十二日の一般質問において、この問題について、都の責任者である小池都知事は、この事業を認識されていますでしょうか。認識をされているのであれば、事業の在り方についてどのように考えられているのかをお伺いいたしますと質問をさせていただきました。お答えいただけませんでしたが、その時点では、知事は国の事業であると考えていたのではないかと推測します。福祉保健局の皆さんが、知事にどういった報告をしていたのかという疑問が残ります。
 そこで、確認の意味も込めてお聞きいたしますが、三月八日の予算特別委員会での川松都議の質疑を受けて、黒沼副知事が答えていたように、三月三日の知事の記者会見で、国の事業であって、私どもは委託を受けているということですという知事の発言は間違いであり、東京都が事業主体であるということは間違いないのかということをお尋ねいたします。

○奈良部少子社会対策部長 本事業は、東京都が実施主体として、国の要綱に基づき民間団体に委託して実施しているものでございます。
 知事の発言は、国の補助事業の仕組みに基づき、都が民間団体に委託して実施していて、現在、補助事業化に向けて国と調整しているところでございまして、そうしたこと全体を踏まえたものと考えております。

○浜中委員 知事が、全体を考えて話したといっても、もういっていることがそもそも、だってこれ、聞かれていて、国の事業であって、私どもは委託を受けているということですということは、これ、全然違うじゃないですか。
 それはそれとして、とにかくこれ、東京都が実施主体であると思いますというか、実施主体なんですよね。知事の記者会見での発言に括弧で注釈がされているということは、知事に正確な情報が伝わっていなかったというふうにいわれても仕方のないことだと私は思います。
 国のモデル事業でスタートしているから、東京都は実施主体としての意識も薄かったのではないかなと思います。現在、東京都が事業主体になっているわけですから、国が決めた、国の委託を受けているというのは、これはもう明確な間違いであります。国が東京都に事業委託をしているのではなくて、東京都が民間の団体に事業委託をしているわけであります。
 そこで、現在委託契約をしている四団体を、本年度の令和四年度はどのように選定を行ったのかについてお尋ねをいたします。
 通常、公共事業等の契約は、地方自治法第二百三十四条において、一般競争入札、指名競争入札、随意契約またはせり売りの方法により締結するものとするとされております。大まかに分けて四種類の決め方があると思いますが、この四団体はどういう方法で選定されたのかを教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 本事業の受託団体の選定につきましてですが、まず、令和三年三月に事業者を公募いたしまして、外部委員を含めた東京都若年被害女性等支援事業委託先選定委員会におきまして、企画提案方式により審査し、四事業者を選定いたしました。
 令和四年度につきましては、外部有識者を入れた受託事業者評価委員会におきまして、本事業の目的及び期待される効果を十分に理解して事業を実施しているか、団体の強み、特徴等を生かして支援を行っているか、行政の各支援機関等と連携協力しながら実施しているかなどの観点から、この四団体につきまして事業の履行状況及び適格性を審議し、受託事業者として適格と判断したものでございます。

○浜中委員 ごめんなさい、私が聞いているのは、これは随意契約なんですか、どうですかということをお尋ねさせていただいております。
 それで、川松都議の予算特別委員会の質疑で、西山局長は、この契約は随意契約であると答弁をしておりました。仮に随契だとしたら、この若年被害女性等支援事業においての随意契約は、地方自治法施行令第百六十七の二の何号の理由に該当するのかということも併せて教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 先ほどは、ちょっとご説明が足らず申し訳ございませんでした。
 本事業につきましては、地方自治法第二百三十四条第二項及び同法施行令第百六十七条の二に基づき、随意契約で行っております。
 また、本事業は、民間団体が持つ若年女性支援のためのノウハウの有用性や遂行能力が必要であり、指名競争入札ではそれらを正当に評価することが困難な事業でございますことから、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項第二号、その他の契約でその性質または目的が競争入札に適しないものに該当すると認識しております。

○浜中委員 それでは、随意契約だということであれば、通常、随意契約の理由書というものがあるかと思いますが、それがあるのかないのかを教えてください。
 あと、ちょっとアクリル板で音が聞こえないので、少し大きくいっていただけると助かります。

○奈良部少子社会対策部長 本事業につきましては、受託事業者評価委員会におきまして、事業者の適格性を審査し、適格とされたことから、地方自治法に基づく随意契約の要件は具備していると認識しております。
 ただし、適格と判断されたことは、原議の方にも記載いたしましたが、随意契約の理由としては、記載が十分でなかったことにつきましては、改善の必要があると考えておりまして、今後は明記するよう徹底いたします。

○浜中委員 随意契約の理由書がない、まあないわけではないらしいんですけど、私が聞く限り、ではそれが随意契約の理由書なのかといわれると、どうなのかなというふうに思います。
 随意契約の理由書がない随意契約というのは聞いたことがありませんが、福祉保健局では随意契約の理由書がない随意契約というのがまかり通るのかということと、そんなことないと思うんですけど、それはどういう実態になっているのかというのを教えてください。

○高野総務部長 随意契約につきましては、随意契約をする理由を明確にした上で契約を締結するものでございまして、全ての随意契約におきまして、理由はございます。

○浜中委員 それはそうですよね。それはそうで、でも、私が今聞いているのは、随意契約の理由書というのが、通常、ちゃんとこうしたものがありますというのがありますけれども、私が書類を見た限りは、これ国会なんかでもやっていましたけれども、公法上の契約に類する契約という書類が一枚あったんだと思います。
 そうすると、財務局の規約では、例えば、特命随意契約の場合は、業者選定委員会を設置することが決まっております。福祉保健局にも、福祉保健局物品買入れ等指名業者等選定委員会要綱というものがあるかと思います。
 これを読んでいきますと、厳正かつ公平に選定等を行うために選定委員会をつくるという一般的な要綱で——これ福祉保健局のものです。その第三条の(2)には、一千万円以上の契約に係る随意契約業者の選定に関することというふうに書いてあります。
 今回の若年被害女性等支援事業は、この要綱の対象になっているのかいないのかということを教えてください。

○高野総務部長 特命随意契約を行う場合の適切な取扱いにつきましては、財務局により、合議制の委員会において、その必要性、特命理由について慎重に判定することと通知されてございます。
 福祉保健局では、厳正かつ公平に相手方の選定等を行い、随意契約等により契約を締結するため、合議制の委員会を要綱に基づいて設置し、審議を行うこととなっております。
 なお、本件につきましては、令和三年度は、この事業の委託先選定委員会で選定の判断を行っており、また、令和四年度につきましては、受託事業者評価委員会で事業の履行状況及び適格性を審議し、受託事業者として適格と判断をしております。いずれも合議制の委員会で公正に判断したものでございます。

○浜中委員 今ご答弁いただきました。
 これ、私が聞いているのは、令和三年はしっかり委託先選定委員会で選定の判断をして、六を四に絞ったということがあるかと思います。ところが、令和四年度は、受託事業者評価委員会で決めたと。
 これ何かといいますと、いわゆる事業評価の委員会と選定委員会って、私は全然別物だと思っております。通常、事業評価は事業評価、選定委員会は選定委員会で、随契の理由書が、客観的に聞いていると、まあないのかなと思います。かつ、いわゆる選定委員会も設置していないし、通していないと。今の質問と答弁を聞いていると、多くの方が、これは通常の随意契約じゃないんじゃないかと感じているのではないかなというふうに思います。通常、やらなければならない手続をしていないのはなぜかという疑問が残ります。
 ここでお伺いいたしますけれども、何でこの事業、令和四年度はそういう手続を踏まなかったのかということを教えてください。

○高野総務部長 福祉保健局では、地方自治法第二百三十四条に基づく契約であるものの、国の定める基準について、全国一律の内容で契約することが求められているものを公法上の契約に類する契約としております。
 契約の締結に当たっては、その根拠となる要綱、通知等の運用や具体的な事案の内容を熟知した事業所管部署におきまして事務処理を行うこととしております。
 本件につきましては、局の業者選定委員会を経由しておりませんが、令和三年度は、この事業の委託先選定委員会で選定の判断を行っており、また、令和四年度につきましては、受託事業者評価委員会で事業の履行状況及び適格性を審議し、受託事業者として適格と判断いたしております。いずれも合議制の委員会で公正に判断したものと考えてございます。
 なお、この事務手続につきましては、改めて精査し、改善に取り組んでまいります。

○浜中委員 今ご答弁いただいた話を聞いて、私は、この契約が随意契約というならば、しっかりした手続を踏んでいないのではないか、もしくは少し省略してしまっているのではないかというふうに、問題のある契約なのではないかなというふうに思います。
 また、先日までいわれていた公法上の契約に類する契約だというならば、地方自治法二百三十四条を無視していることになり、地方自治法に違反している可能性が極めて高いと考えます。
 また、同様に、東京都契約事務の委任等に関する規則があると思うんですけれども、これでは一千万以上の契約は財務局の所管にすることとの規則があると思うんですけれども、この契約は一千万以上なので財務局の所管にする必要があると思いますが、見解を伺います。

○高野総務部長 本事業につきましては、民間団体が持つ若年女性支援のためのノウハウが必要でございまして、そのノウハウの有用性や遂行能力などにつきまして、事業所管局での専門分野の知見に基づく審査が必要でございます。このため、個別協議により、局に委任を求めることが妥当な事業であったと認識しております。
 東京都契約事務の委任等に関する規則第十三条では、局長が必要と認める場合、個別協議により、専門性、迅速性など事業所管局が手続を行うことが適していると判断される場合には、一千万円以上の契約が可能とされておりまして、今後は、同様のことが生じないよう管理の徹底に取り組んでまいります。

○浜中委員 今の話を聞くと、東京都契約事務の委任等に関する規則にも違反しているのではないかなというふうに思います。
 福祉保健局の見解として、これは地方自治法や東京都福祉保健局の規則にのっとって、正当な手続をして四団体を選定したと、自信と責任を持っていえるのかどうか見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 本事業者につきまして、令和四年度の事業者選定に当たりましては、外部有識者を入れた受託事業者評価委員会におきまして、本事業の目的及び期待される効果を十分に理解して事業を実施しているか、団体の強み、特徴等を生かして支援を行っているか、行政の各支援機関等と連携協力しながら実施しているかなどの観点から、四団体につきまして事業の履行状況及び適格性を審議し、受託事業者として適格と判断いたしました。
 この手続は、地方自治法に基づく随意契約の要件を具備していると認識しております。

○浜中委員 今ご答弁いただきましたですね、これはもう適法で全く問題ないというようなお話をいただいたかと思うんですけど、普通に考えて、普通に随契が悪いという話をしているんじゃなくて、随契でやるんだったら、ほかの事業と同じように、ちゃんとした手続を踏んでしっかりやればいいと思うんですけど、何で令和三年にやったものを令和四年にやらなかったのかということをもう少し分かりやすく教えていただきたいんですけど、お願いします。

○奈良部少子社会対策部長 先ほども申し上げましたが、令和四年度におきましては、受託事業者評価委員会におきまして、令和三年度に受託している四団体について、事業の履行状況及び適格性を審議し、受託事業者として適格と判断いたしました。
 令和四年度につきましては、支援対象者との関係性の定着度など、事業の継続性を考慮いたしまして、令和三年度に委託した四団体に継続して委託したものでございます。

○浜中委員 ちょっと繰り返しになってしまうんですけれども、事業評価をする委員会と随契を決める委員会というのは、別に分けてもいいわけですよね。
 何でそれを分けないで一緒にやったんですかということを私は聞いているので、私の理解が足りないのかもしれないんですけど、それをちょっと分かりやすく、何でもともと別々でやっていたものを一つでやったんですかということを教えていただきたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 令和四年度の受託者の選定におきましては、令和三年度の事業の履行状況を審議するとともに、令和四年度についての適格性も併せて審査したものでございます。

○浜中委員 ごめんなさい、ちょっとかみ合わないのであれなんですけれども、そしたら、じゃ、この契約の判断というのは、誰がしたのかということを教えていただいてもよろしいですか。

○高野総務部長 福祉保健局では、地方自治法第二百三十四条に基づく契約であるものの、国の定める基準について、全国一律の内容で契約することが求められているものを局の判断におきまして、公法上の契約に類する契約としております。
 当該契約の内容、性質、目的等を考慮した上で、その根拠となる要綱、通知等の運用や具体的な事案の内容を熟知した事業所管部署において契約事務手続を行うこととしております。
 本事業につきましては、事業所管部署で地方自治法に基づく随意契約の要件を具備した事務処理を行っているものと認識しております。
 なお、この事務手続につきましては、改めて精査し、改善に取り組んでまいります。

○浜中委員 私、この契約は誰の判断で行ったんですかという質問をしているわけでございまして、こういうところでこの人が判断しましたというのを明確に教えていただけないでしょうか。

○高野総務部長 福祉保健局では、ただいまご答弁申し上げましたとおり、全国一律の内容で契約することが求められているものを公法上の契約に類する契約として、局の判断におきまして、事業所管部署において契約事務手続を行うこととしております。
 本事業につきましては、事業所管部署である少子社会対策部で、地方自治法に基づく随意契約の要件を具備した事務処理を行ったというふうに考えております。

○浜中委員 ごめんなさい、要するに、福祉保健局でこの一連の公法上の契約に類する契約なのか、もうこれは随契というしかないので随契と呼んでいますけれども、それを決めたということは分かったんですけれども、やはり多くの方が知りたいのは、なぜ普通の方法ではなくて、そういう方法を取ったのか。その四団体がしっかり令和三年度やっていたから、令和四年度もこの四団体にお任せしましょうというのは、随契であれば普通の話であるかと思います。ただ、そこに至るまでにちゃんとプロセスを踏んでいれば、こんな議会でわあわあわあわあいわれないと思いますし、何にもやましいことはないと思います。
 そこで、じゃあ、一回この話は置いておきまして、改めて聞きますが、この四団体がそのまま受託して、かつ金額も倍になったということの経緯について教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 先ほどもご答弁いたしましたが、四団体に決定いたしましたのは、受託事業者評価委員会におきまして、四団体につきまして事業の履行状況及び適格性を審議し、受託事業者として適格と判断し、また、支援対象者との関係性の定着度など、事業の継続性も考慮し、令和三年度に委託した団体に継続して委託したものでございます。
 また、本事業の令和四年度の予算につきましては、相談者の増加や困難ケースの増加などの実態がある中で、国の概算要求におきまして、職員の研修機会確保のための代替職員雇い上げ経費、居場所における生活支援員の増員や警備体制の確保などの経費が増額されました。
 これを踏まえまして、団体からのヒアリングなども行い、都としても、事業を取り巻く状況を勘案し、所要の経費を増額要求し措置されたものでございます。こちらをもちまして、四団体に継続して委託するものとしたものでございます。

○浜中委員 そしたら、ちょっと契約のことは置いておきまして、令和二年度の予算が三千二百十万円でモデル事業、令和三年度は約一億円、ここで六団体を四団体に絞りましたよね。令和四年度には倍の約二億円近くというふうになっております。
 それでは、来年度の令和五年度の予算額は幾らかを教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 令和五年度の予算額につきましては、国の概算要求等を踏まえまして要求しておりまして、現在、一億八千二百五十六万四千円を予算案として提出させていただいております。

○浜中委員 ヒアリングとか増額というので、だんだん倍々に増えていったんですけれども、何で来年度は一千万円減額になっているのかということを教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 まず、令和四年度の予算につきましては、国の概算要求額を踏まえまして要求いたしまして、予算化された金額が国の概算要求時の金額となっております。その後、国の予算案で金額が減少されたものの、都の予算は概算要求ベースで計上しております。ただし、四年度の予算につきましては、予算の執行に当たりましては、国の予算額を踏まえて執行しております。
 令和五年度の予算につきましても、国の概算要求等を踏まえまして、また今年度の執行の状況も踏まえまして、減額して予算要求しているものでございます。

○浜中委員 国の概算要求というのがあって、やっぱりこの事業は、国と密接な関係があるということが改めてよく分かりました。
 次に、監査請求を受けた団体事業についてお伺いをいたします。
 監査請求が通るというのは極めて珍しいことだと思うんですけれども、そもそも監査請求が出された団体、令和三年のこの団体の事業報告では、当初、二千六百万円ぴったりの実績でした。その後、監査請求が通り、監査が調査をしたら、その額が二千九百万円になりました。さらにその後、福祉保健局の再調査では、約二千七百万円になったわけであります。住民監査請求がなければ、様々な不適切な会計が表に出ることもなかったわけであります。
 今回の住民監査請求に対して、都はどのように捉えているのかということを、見解をお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 住民監査請求でいただいた勧告につきましては、必要な措置を取ることで、必要な措置を取ったものでございます。

○浜中委員 必要な措置を取ったから、必要な措置を取ったということなんですけれども、そうですかとしかいいようがないんですけど。じゃ、例えばですね、多くの人がそんなことがまかり通るのかと疑問に思って——この再調査の結果の中身の一例に、五万七千三百四十七円と台帳に記載するところを五十万七千三百四十七円と誤って記載をしたり、当初、事業報告書の中で、エアコン十五万円が、その後、監査においてはエアコン三十三万円となり、次に、福祉保健局の調査ではパソコン三十三万円と、一つの項目が金額も品目も変更されているということになったり、通常ではあまり考えられないような、ずさんといわざるを得ない多くのことが発覚した再調査結果であったというふうに思います。にもかかわらず、委託費の二千六百万円を超えていたから返金はなしだということは、都民の理解を得られるのかどうかということを私は疑問に思います。
 調査報告書の中では、令和四年度の四千六百万円の予算対応について、令和四年度の事業の履行状況や経理状況については、今後、外部有識者で構成する評価委員会で年度内に審査をする、令和四年度の精算に当たっては、支出の確認を徹底し、厳正に対処するとあります。
 例えばこれ、もう既に令和四年度はほとんど終わっちゃっていますから、令和三年度と似たような会計帳簿のミスがあっても、令和四年度は何のペナルティーとかっていうのもないのかどうかということを教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 令和四年度につきましては、今後、外部委員で構成する評価委員会で、まず事業の実施状況については厳正に調査いたします。
 精算に当たりましても、厳格に行いまして、もし返還が必要なものがあれば、返還を求めていく所存でございます。

○浜中委員 これは、そもそも、先ほどの契約の話もそうですけれども、何でみんながそんなに厳格にやっているかというと、やっぱり数字に対して、誰もがこれはしっかりやらなきゃいかぬというふうに思っているわけであります。
 監査請求が出て、実際調べてみたらおかしなことがいっぱいあったから、さらに厳しくしますということも分からなくはないんですけれども、そもそもそういうことがあるから監査請求を受けるんですけど、本来、東京都の委託を受けている事業でそんなことがあっていいのかということは、多くの都民の方が思うことだと思います。
 そこで、またこれもこの調査書の中にあったんですけれども、監査請求を受けた団体が領収書の開示を拒否したと調査報告書の中でありますが、これはどういった理由によることでしょうか。教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 本件につきましては、領収書の受領者について全てを開示するように求めたところ、本人の同意を得ていないことを理由に一部、開示を拒否されたものでございます。

○浜中委員 本人の同意を得ていないから領収書の開示ができないといったら、じゃ、例えば、私が事業をやっていて、タクシーの領収書とかそういったものとか個人名を出すのに、チェック機関とか、税務署が見るのに、本人の同意を得ていないから出せませんという話がまかり通るのかどうかというと、それはなかなか理解されないんじゃないかなというふうに思います。(発言する者あり)はい……(発言する者あり)何ですか。
   〔発言する者あり〕

○内山委員長 いや、委員が聞かれているので。続けるなら続けてください。

○浜中委員 はい。それでは、今、いろんなやじも飛んでいましたけれども、別に、例えばそこの部分の名前とかだって隠したっていいわけですよね。数字も見れないとかそういう話なんですか、これは。
 いずれにしても、若年被害女性等支援事業は匿名性が高いということは分かりますし、その方たちのプライバシーを侵害するつもりも、誰もないと思います。しかしながら、都の委託事業であり、公に公開されるわけでもない領収書の開示を拒否するということは、にわかに信じがたい話であると思います。
 そこで、福祉保健局は、当該団体に対して何か指導等を行ったのかということを教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 まず、一部を開示されなかった領収書につきましては、証拠書類としての証憑性がございませんので、私どもといたしましても、事業の対象経費から除いております。
 また、領収書の一部の提示がなされなかったことについては、仕様書の規定に反しておることから、団体に対し改善を指示したところでございます。

○浜中委員 今の答弁で、そこは経費として認められないし、団体に対して改善を指示したということは、これ普通の話であるかと思います。
 じゃあ、続いて、この事業は、都が実施主体で委託事業で行っていますけれども、特徴は、その委託料の払い方にあると思います。委託金額を全額事業者に事前に渡して、事後に精算するというのが概算払いといいますけれども、そこで、都の契約において、概算払いするために必要な手続について確認をいたします。
 これ、どういうときに概算払いができるのかということを教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 東京都会計事務規則第八十三条第一項第十三号では、概算払いにより支払いをしなければ契約することが困難であると認められる委託に要する経費につきまして概算払いを行うことができるとされており、本事業については、非営利法人等が担い手となることから、この規定に基づき概算払いをしているものでございます。

○浜中委員 今いわれたとおり、信頼できる団体であると判断した場合、概算払いはできることになっているかと思います。通常の補助金等は、事業を行った後に、何に幾ら使ったのか煩雑な事務手続を行った上で交付されるわけであります。いい換えれば、通常は後払いでございます。信頼できる団体であるからこそ、概算払いという、いわば先払いをしていることになります。
 しかしながら、たとえ信頼できる団体だからといって、概算払いの精算の際に、事業の実施状況や領収書の確認もなしでは、公金を使った事業の在り方として、都民の納得を十分に得られなかったのだと思います。だからこそ都民から住民監査請求がなされ、実際に監査につながり、様々行政としても対応せざるを得ない状況につながってしまいました。
 そこで疑問に思うのは、なぜ都は、この事業に関して、委託事業とはいえ、あまりにもチェック体制が、補助事業やほかの委託事業と比べてイレギュラーになっているのかということであります。都は、委託事業であっても、事業の内容の報告や領収書等のチェックの必要性については、初めは認識していたのではないかと思います。
 これはちょっと吉住委員の予特の質問とも重複いたしますが、二〇二三年一月二十五日付の夕刊フジによると、元都議が二〇一八年にColabo側から事業の円滑化の必要性などの訴えを受けたということで、この都議時代の私の行動が都の監査委員が指摘した問題につながった可能性があることは重く受け止めるということで、支援の事業には非常に意義があるから、徹底的な検証と適正化で本来の運営がされるようにということも語ったとされております。
 また、少し遡りますけど、二〇一八年十二月には、当該団体の代表がSNSにおいて、委託が決まった途端、無駄なやり取りや事務を増やされて活動に支障が出るほどで、女の子の人権や個人情報を無視して、関わった全ての子の情報を二週間に一度リストにして教えろと東京都からいわれたという投稿がされています。
 そこで、この事業開始の時期と現在までの間で、受託団体に対するチェック体制において、何が変化あったのかということを教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 若年被害女性等支援事業は、平成三十年度に国のモデル事業として国の補助要綱に基づき、都は民間団体に委託して開始いたしました。
 都は、仕様書で、事業実績について、四半期ごとに事業実施状況報告書により報告を求め、アウトリーチの実施回数、声かけ人数、相談人数などを確認しております。
 また、関係機関連携会議やケース会議等において取組状況を把握するとともに、必要に応じて現場の状況を確認しております。

○内山委員長 委員長より申し上げます。予定時間を過ぎております。あとどれくらいかかるか目安を教えていただいてもよろしいでしょうか。

○浜中委員 あれ、七十分じゃなかったですか。

○内山委員長 七十分。

○浜中委員 すみません。じゃあ、もうまとめます。申し訳ない。
 そしたら、もう最後、まとめさせていただきますが、何度もいうように、若年女性の支援の必要性は否定をしておりません。若年被害女性等に限らず、必要な場所に必要な支援を入れることは大変重要で意義のあることだと考えます。
 しかし、一方で、公金の在り方については、議員としてしっかりチェックすることは、私は都民に対しての責務であると考えます。公平かつ公正であるか。三月八日の川松都議の質疑やこれまでの担当局の対応、そして、仕様書に反する領収書の提示の拒否などの団体の対応、何の総括もない中で突然決められた委託事業から補助事業への切替えなどの対応を見ていると、現段階においては、残念ながら、本事業への都民からの信頼は完全に失われてしまっている状況だといわざるを得ません。
 今回、質疑の中心だった一団体以外の三団体にも監査請求が認められたと、監査請求を行った暇空茜氏はSNS上で発表しています。これからは他の団体の会計や事業についても多くの都民の目が向けられることであろうと思います。
 信頼回復のためにも、これまでの取組を総括するとともに、ゼロベースからの見直しに早急に着手することを求めるとともに、都議会においても、今後、事業構築に関しては、しっかりと議論を行い、一人でも多くの若年女性への支援が行き届く建設的な議論をしていきたいというふうに思います。
 最後に、局長の見解を伺います。

○西山福祉保健局長 国のモデル事業として開始をいたしました若年被害女性等支援事業につきましては、今年度で六年目を迎える事業でございます。
 この事業は、虐待や貧困などで家庭に居場所がないなど困難な問題を抱える若年女性の支援を行う重要な事業でありまして、都としても年々拡充を図りながら取り組んでまいりました。
 今年度、住民監査請求に基づく監査委員からの勧告につきましては、委員のご質問にもありましたけれども、これは真摯に受け止め、局として調査をした結果、勧告に対する措置としては、先般、監査委員に通知し終了したところでございます。
 また、来年度の補助事業化に向けましては、平成三十年度から令和二年度までの全ての団体の事業実績等について改めて検証し、それを踏まえ、事業の公益性、信頼性を担保できるよう、補助要件等を厳格に設定いたします。
 ただいまの質疑で様々なご指摘をいただきました契約事務手続をめぐる課題につきましては、私が先頭になって精査、点検し、必要な改善に向けて全力で取り組んでまいります。

○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 補正予算案として計上されております新型コロナウイルス感染症の後遺症対策について、まずは伺います。
 東京都は、早い時期からコロナ後遺症の解析や調査、また後遺症外来の周知に取り組んでまいりました。そのことは高く評価されるべきだと思います。
 現在、新型コロナについては、五類への移行に向けて様々な対応が進んでいますが、後遺症は新型コロナに罹患した全ての方に起こる可能性があることから、引き続き、都民や医療従事者の後遺症の理解促進に対応していくべきと考えます。
 そこで、今後、後遺症対策についてどのようなことに取り組んでいくのかを伺います。

○村本東京感染症対策センター担当部長 都はこれまで、東京iCDCの専門家から助言を得て、都立病院での症例分析等による後遺症の実態把握や、後遺症の理解促進に向けたリーフレットの作成に取り組むとともに、後遺症に対応する医療機関を分かりやすく公表してまいりました。
 今後は、現在行っている医療従事者向けの研修会の回数を拡充し、後遺症診療に係る最新の知見や情報を提供することで、後遺症への対応が可能な医療機関のさらなる増加を図ってまいります。
 また、現在、後遺症に対応している医療機関向けに、診療の課題や効果的な治療方法などを共有する事例検討会を開催し、診療レベルの向上につなげてまいります。
 さらに、後遺症により就業に支障が出ている事例も見られることから、企業に対しまして、後遺症に関する普及啓発に向けた取組を新たに実施いたします。

○菅原委員 感染力の強いオミクロン株が主流になった第六波以降、新型コロナに罹患する方が増えてきました。そして、後遺症に悩む方も多くなっています。今後、医療従事者同士の情報共有などを通して、治療の知見をさらに蓄積をしていただきたいと思います。
 また、企業への後遺症の普及啓発に向けた取組というのは重要です。後遺症の影響で以前にはできた仕事が思うように処理できないとか、また、集中力が低下したという声も聞いてまいりました。そのような状況を会社の上司や、また同僚が理解してくれないという話も聞いてまいりました。
 そこで、後遺症に関する企業への普及啓発に向けた取組として、具体的にどのようなことを行っていくのか伺います。

○村本東京感染症対策センター担当部長 後遺症は、いまだその原因や治療方法が明確になっておらず、症状が長期間継続する場合もあることから、仕事を続けながら適切な治療を受けるためには、企業の後遺症に対する理解促進が必要でございます。
 このため、今後、経営者や企業の人事労務担当者を対象に、職場で発生している具体的な事例や後遺症に悩む方に対する職場での支援のポイント等をまとめたリーフレットを新たに作成いたします。
 加えて、後遺症の症状に応じた就労上の配慮事例につきまして、東京iCDCの専門家が解説した動画を作成し、リーフレットと併せて企業へ広く周知してまいります。
 こうした取組を進めることで、後遺症に悩む方が治療と仕事を両立させることができるよう、後遺症に関する企業の理解を深めてまいります。

○菅原委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 厚生労働省は、新型コロナの教訓を踏まえて、各保健所が健康危機対処計画、これ仮称ですけれども、こういう計画を策定して、二〇二四年度から運用を始める計画を発表しました。平時から人員体制や業務の優先順位を決めておいて、新たな感染症の流行に備えることが目的です。
 また、保健所のOB職員などが登録されている人材バンク、これはIHEATといいますが、このIHEATなども活用する方向性を打ち出しています。また、地域の医師会との連携や業務委託なども、あらかじめ対処計画に書き込むことが予定されています。対処計画の策定は重要です。
 政府の方針などはこれから提示されていくようですので、都としては、情報を捉えて、多摩地域だけではなくて二十三区の保健所とも情報共有を行いながら、対処計画の策定を進めていただきたいと思います。これは要望をしておきます。
 さて、新型コロナ対策は、五月八日に感染症法上の位置づけが五類に移行することにより、節目を迎えることになります。新年度は、円滑な移行を実現しつつ、重症化リスクの高い方への支援や後遺症への対応など、施策を進める必要などがあります。
 ここで担当局長に、新しい年度に向け決意を伺います。

○佐藤健康危機管理担当局長 今、菅原先生のお話がございましたとおり、新年度の新型コロナ対策は、五月八日をもちまして位置づけの変更という大きな節目を迎えることになります。社会全体でこれまで新型コロナに特別な対応を行っていたものが、段階的な移行を経て他の疾病と同様の通常の対応になっていくということでございます。
 都は、この通常対応への移行に向けまして、まずは幅広い医療機関で新型コロナを診ていただくためのPCR等の検査機器の導入支援ですとか、設備整備の支援、対象期間拡大に関わる経費などを現在補正予算案として計上し、ご審議をいただいているところでございます。
 また、これまで非常に多くの方が新型コロナに感染をされておりました。昨日の国の審議会で数字がございましたけれども、約四割の方が、感染を主として抗体ができているということでございます。そういった状況の中で位置づけが変わっていくということでございます。
 そうなりますと、当然、今お話ございましたように、後遺症というのは、より重要な課題になってくると思います。特に、対応可能な医療機関を増やしていくことが大変重要だと思っておりまして、しっかりと対応してまいります。
 新型コロナ発生以来、三年を超える長きにわたり、多くの皆様のご協力を得まして都は対策を進めてまいりました。引き続き、都民のご理解、ご協力いただきながら、五類への円滑な移行に向けて全力で取組を進めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 がん対策に議論を進めていきます。令和五年度の予算概要には、がん対策として、がん治療と就労、アピアランスケアが計上されています。
 まずは、がん治療と就労について伺います。
 令和五年度の予算には、がん治療と就労の両立に向けた支援事業という名目があります。この事業の具体的な施策について、取組を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 がん治療と就労の両立に向けた支援事業は、大学研究者による事業提案制度により事業化されたものであり、提案の趣旨によりますと、頭頸部がん患者の治療と就労の両立を多角的に支援する体制モデルを構築することを目的として取り組んでいくものでございます。
 来年度は、放射線治療による障害を最小限に抑える取組や、治療と就労の両立のために患者が求める支援や課題を明らかにするための患者アンケートを実施いたします。

○菅原委員 次に、アピアランスケアについて伺います。
 がん患者は、その治療の中で外見が変化する場合があります。生活や仕事、または社会活動をする中で、外見の変化に対応して、患者のQOL、クオリティー・オブ・ライフをできるだけ維持することは重要です。
 アピアランスケアに関する新年度の取組について伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は来年度から、がん患者へのウイッグや人工乳房等の購入費用の助成に取り組む区市町村に対し、包括補助による支援を開始いたします。
 今後、多くの区市町村で取組が進むよう働きかけるとともに、アピアランスケアの理解促進に向け、がんポータルサイトの内容を充実するなど、がん患者ががんに罹患する前と変わらず自分らしく生活できるよう取り組んでまいります。

○菅原委員 アピアランスケアは重要ですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 在宅のみとりについて伺います。このテーマは、機会があるたびに伺っています。それだけ私の中では重要と捉えております。
 令和四年六月、厚生労働省は、がん対策推進協議会として、がん対策推進基本計画中間評価報告書というものを発表いたしました。この中の四五ページには、次のように書かれています。在宅で亡くなったがん患者の医療に対する満足度、これが七八・八%の方が満足だと答えておりました。がん患者が在宅、ご自宅で亡くなれるような取組について、その議論をさらに加速すべきだと思います。
 そこで、来年度に改定する東京都がん対策推進計画の中で、どのように検討が進められるのか、方向性を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 誰もが住み慣れた地域でその人らしく暮らし、希望に沿った最期を迎えられるようにするためには、地域における在宅療養体制の整備を進めることが重要でございます。
 東京都がん対策推進計画の次期改定に当たっては、みとりなど在宅におけるがん医療の推進も含めて、総合的に検討を進めてまいります。

○菅原委員 次に、HPVワクチンのことを伺います。
 HPVワクチンの接種については、女性を対象とした定期接種の積極的な推奨が今年度から再開されております。さらに、男性への接種も、国で定期接種化に向けての検討が開始されていると聞いています。
 男性の定期接種化に向けた検討が開始された背景について、海外の状況と併せて伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 現在、男性へのHPVワクチン接種は、四価ワクチンのみが承認されており、男性が任意接種として接種を希望した場合にも、四価のみ使用が可能となっております。
 HPVワクチンを男性が接種することで、男性から女性への感染を防ぐ効果、また、肛門がんや中咽頭がんなど、本人のがん予防効果があるとされております。また、米国や英国等の諸外国においては、男女共に定期接種の対象となっております。
 このような状況を踏まえ、国において、男性の定期接種化に向けた議論が進められていると認識されています。

○菅原委員 このHPVワクチンを男性が接種することの意義、定期接種対象者が男性へ拡大することについて、国の検討状況を踏まえての都の見解を伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 定期接種化に向けては、ワクチンの安全性や有効性などの知見をまとめたファクトシート作成や、国の複数の審議会での検討など、段階的に進めていくことになります。このような検討を国において迅速に進めていくべきと考えております。
 都は、国に対して、検討の促進を働きかけるとともに、今後の動向について注視してまいります。

○菅原委員 がんという病気は、自分の体の中で発生する場合と、外からウイルスが体の中に入って感染性のがん、大きく二種類あると思います。ウイルス性のがんというのは、ワクチンによって予防できるわけで、そのワクチンが医学的に効果が証明されて、日本医師会や国としても、改めて接種を推奨されてきたと。こういう経過がございます。都としては、国の検討状況を見つつ、そのときになれば素早く対応していただくことを要望いたします。
 話題を変えます。新生児マススクリーニングについてです。
 先日の都議会の本会議の中で、新生児マススクリーニングの項目に、重症複合免疫不全症、SCIDと脊髄性筋萎縮症、SMAの検査を追加することについての議論がありました。この場では、幾つか確認のため、質疑を行います。
 SCIDとSMAについて、新生児マススクリーニングに追加する目的と意義について答弁をお願いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 新生児マススクリーニング検査は、先天性の代謝異常等の早期発見、早期治療により、障害の発生を予防することを目的に、国の通知に基づいて実施しているものでございます。

○菅原委員 続けて伺います。
 全国では、幾つかの道府県で検査に追加されていると聞いています。これらの状況、背景と実施状況について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 重症複合免疫不全症や脊髄性筋萎縮症等につきましては、新しい治療法が開発されたことから、早期に発見し、発症前に治療へつなぐことが期待されるものの、現状では、国通知で検査対象疾患とはされていないため、検査は任意となっております。
 ただ、一部の民間検査機関等におきましては、こうした疾患を対象とした拡大スクリーニングを独自に実施している動きがございます。

○菅原委員 今年一月に報道がありましたが、この拡大スクリーニングが実施されている自治体の中でも、全ての新生児が受けられる体制となっていないという場合もあって、無料で実施している自治体は、四十七都道府県のうち三県とのことでありました。
 さきの代表質問では、都内では本年四月から、東京都予防医学協会が医療機関と連携して検査を試験的に実施する予定であることが分かりました。
 都として、新生児マススクリーニングに追加していないということも分かりましたが、その理由を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 重症複合免疫不全症や脊髄性筋萎縮症等につきましては、先ほどもお話ししたとおり、国通知の検査対象疾患ではなく、任意となっているため、現状では実施している医療機関が限られております。
 新生児マススクリーニングとして実施するには、全ての新生児が検査と治療を受けられる体制が必要となりますことから、関東知事会では、全国一律で対象疾患とするよう国に要望しております。

○菅原委員 世の中には、知的な発達が遅れたり、突然死になる病気などがたくさんあります。そのうち、幾つかではありますが、症状が出る前に病気を見つけて治療することで、知的な障害や突然死が防げるということです。この発見のための新生児マススクリーニングが行われている、こういうことなんです。
 答弁にありましたように、重症複合免疫不全症や脊髄性筋萎縮症などについては、新しい治療法が開発されました。発症前に治療することで、かなりの改善が見られるそうです。例えば、自力で階段の上り下りができるぐらいになるということを伺いました。
 脊髄性筋萎縮症、SMAの場合、十万人に一人の割合で発症するといわれております。ですので、東京都では毎年四人から五人生まれるという計算になります。
 治療に係る費用というのは、数千万円から一億五千万円ぐらいと聞きました。高額ですが、もし治療しなかった場合に係る費用や、また社会保障との比較を考えれば、経済的な効果は歴然としていますし、そもそも一人の人生の可能性を広げることになります。
 既に幾つかの道府県では、検査体制を整えて、新生児マススクリーニングに加えています。ぜひ、東京都でも検査対象を拡充していただきたいと思います。早く発見できれば、治療できる病気です。その発見する方法も確立しています。
 都は、検査のキャパシティーなどの課題を挙げています。ぜひ、課題を一つ一つ整理して、検査体制を整えていただくことを希望いたします。
 児童館の問題に移動します。
 子供たちの居場所の一つに、児童館があります。児童館は、十八歳以下の全ての子供を対象とした子供の味方です。反面、児童館の開設時間は、夕方十七時に閉館する施設、または二十一時まで開館している施設など、まちまちです。これらはそれぞれの基礎自治体が決定をしています。
 都は今年度、こどもシンポジウムを開催いたしました。私もこの中を見せていただきました。
 この中で、高校生などが自分たちの意見を表明する場面がありました。その発表内容を見ていくと、特に、放課後改造における児童館の可能性のプレゼンテーションは興味深く、説得力がありました。例えば、夕方以降を中高生の居場所にしてほしい、特に学習する場所として提供してほしいという意見がありました。
 児童館なら、お金もかからずに、安心した場所となります。学校と家との往復の生活の中、第三の居場所、サードスペースとしての価値があります。ただ、児童館の利用は、小学生が主流という印象があるようで、その点も改善してほしいと、こういう提案がありました。
 夕方以降の児童館を中高生の居場所、特に勉強する場所として提供するなど、子供たちのニーズに合わせた取組の検討が求められると思いますが、都の見解を求めます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童館は、子供が安全に安心して利用できる身近な地域における放課後の活動拠点の一つでございます。
 今年度、都が開催いたしました中高生によるこどもシンポジウムでは、発表のテーマの一つに放課後の居場所が取り上げられ、参加者からは、中高生向けイベントの開催や体育館や自習室の確保、部活終了後の利用など、児童館が利用しやすくなるよう具体的な提案がございました。
 これを受けまして、都は、児童館における中高生の居場所支援の取組事例を調査するとともに、都と区市町村で構成する協議会におきまして、スポーツやゲーム大会の実施、開館時間の延長等の事例を共有いたしました。
 今後、把握した好事例を取りまとめまして区市町村に紹介し、中高生が放課後に安心して過ごせる居場所づくりを支援してまいります。

○菅原委員 昨年の夏、私は自治会の仲間と共に、子供たちにお弁当を渡す、しもだキッチンという企画を行いました。給食のない夏休みに体重を減らす子供たちがいる現状を踏まえて、さらに、コロナ禍で厳しい経済状態の子供たちを想像して、地域の児童館と一緒に企画をしたものです。
 七十五食のお弁当を受け取りに来る子供たちの中には高校生もいました。児童館の職員が声をかけて来てくれた高校生たちです。児童館と高校生はつながっていると感じました。児童館の可能性について、ぜひ検討を加速していただきたいと思います。
 加えて、児童館へのWi-Fiの設置についてもご検討いただきたいと思います。中高生が集まる場所であり、お昼には子育て中の保護者も集まってきます。既にWi-Fiは社会的インフラといってもいい設備ですので、ご検討をお願いいたします。
 保育園のことを伺います。
 不適切な保育について保護者からの不安が高まっています。都内でも日野市、世田谷区、江戸川区などで不適切な保育があり、逮捕者も出ました。
 国会では、保育園の配置基準の見直しが議論されています。配置基準の見直しが決まった場合の対応について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 保育士の配置基準は省令に従うべき基準とされておりまして、都や区市町村は、国の省令を踏まえ、それぞれの議会等の審議を経て条例等で定めております。
 国が配置基準を見直す場合は、その内容に基づき、条例等を改正することとなります。

○菅原委員 子育て家庭の中で、共働きの家庭が増えてきました。一九八〇年には六百万世帯でしたけれども、最近は一千二百万世帯になっています。この四十年で共働き世帯というのは二倍に増えました。さらに、この十年では二割増えてきたと。急上昇しています。
 これに応える形で、保育園の受入れ枠を増やしてきた経緯があります。保育園の待機児童問題は、就労構造の変化が大きな要因として挙げられます。これまでは、増える保育ニーズに応えるために、保育士の確保や定員の拡充などを行ってきました。これからは量から質の時代になります。
 しかし、保育園などでの虐待事例が報道されて、次々と逮捕者が出る状況の中、保護者からの心配の声が上がっています。国の基準はあると思いますが、それを待たずに、東京都としての対応を進めるべきと考えます。
 先日の都議会一般質問の中でも議論されました、保護者の一日保育に参加する関心が高まっています。保護者が保育に参加することによって、保育園と保護者の相互理解も深まり、不適切保育などの防止にも役立つのではないかと思います。
 先進事例などを広く共有する取組が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、保育所における一日保育士体験の実施状況を調査し、本年一月時点の結果を待機児童対策協議会で共有するとともに、区市町村に対して取組を働きかけております。
 この調査結果では、以前は保育士体験を実施していたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う感染拡大防止のため、現在は休止している保育所もございました。
 保育士体験は、保育士が保育内容を保護者に直接説明することにより、保護者と保育所の相互理解を深めるとともに、保育士が保育内容を振り返る機会にもなることから、より多くの保育所等で取組が広まるよう、好事例を収集し、区市町村に働きかけてまいります。

○菅原委員 一日保育士体験というのは多くのメリットがあると思います。保護者にとっては、家庭以外での自分の子供を見ることで、その成長を実感できること、保育園がどのような保育をしているのか理解ができること、自分自身の子育てを見直すきっかけともなります。保育士という仕事そのものへの理解も進むことなどが挙げられると思います。
 保育園側には、保育士自身の質の向上にもなるといわれます。保護者との交流も深まることで、保育園に対する信頼が高まっていくということを伺いました。一日保育士体験が広がるよう、都としての情報提供などを進めていただくようお願いをいたします。
 保育園でのおむつのことをちょっと伺います。
 今までは園児一人一人のおむつを個別に管理して、帰りの際に保護者におむつを渡していた保育園のおむつ持ち帰り問題ですが、この数年で多くの保育園がおむつを保育園自身で処分するように変更されてまいりました。保育園でのおむつ処分は妥当な判断だと思いますが、その分、保育園の負担が増えます。その点を伺います。
 使用済みのおむつを保管する場合、数日間の保管が必要な保育園もありまして、支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 昨年十月、国が認可保育所における使用済みおむつの処分状況について調査を実施いたしましたところ、回答した認可保育所の約九割が自園において廃棄しているという結果でございました。
 本調査を踏まえまして、先般、国から、保護者の負担軽減等の観点から保育所等において使用済みおむつの処分を行うことを推奨する旨の通知がございまして、都も区市町村へ周知したところでございます。
 都は、保育所が使用済みおむつの保管スペースの確保や衛生面の課題等に対応できるよう、保管用ごみ箱を購入する場合等の経費を補助することとしております。

○菅原委員 児童相談所のことを伺います。
 都の一時保護施設では、令和元年度の第三者委員からの意見書を踏まえて、これまで支援改善に向けて着実に取り組んでおりまして、私物、私服の持込みや、個別学習の支援や外出の支援など、充実などを図っていると伺っております。
 一方で、一定の行動制限もある保護児童を通学させることについては、無条件に勧められないということも認識しているところですが、可能な場合は、通学を基本とした支援を進めていくべきではないかと思います。
 子供の人権への視点から、通学を含めて、一時保護施設における支援向上をさらに進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、一時保護所において、令和元年度から、私物、私服の導入など様々な支援改善に取り組んでおり、今年度からは、第三者委員も参画した委員会を立ち上げ、支援の向上に努めております。また、通学の支援など、各保護所におけます支援向上の取組を職員研修の場で発表し、課題や好事例等を共有しております。
 来年度は、家庭教師による個別指導や、体育、音楽等の外部講師の活用をさらに進めるなど、子供の教育を受ける権利を保障できるよう、保護所での学習環境を充実してまいります。

○菅原委員 私は、今までも幾つかの児童相談所の一時保護施設を視察させていただいてきました。現状も把握をしているつもりです。一時保護施設の子供たちは安全確保を最優先にすべきですが、同時に、人権に配慮した処遇とのバランスも議論させていただいてまいりました。
 都は、この数年で一時保護所の改革を進めることについては承知をしております。組織としての改革の難しさを超えて、子供の立場に立った判断を次々に進めていただいていると感じています。
 一方で、保護された子供たちの学びの保障の観点から、さらに改革を進めていただきたいと思います。安全が確保されているのなら学校に通えるようにするのが当然ですし、またはオンラインでの授業ということもご検討いただきたいと思います。
 この際、もう一つ要望をさせていただきます。
 社会的養護、里親や児童養護施設などの場合、担当する自治体の児童相談所ごとに提出する書類が微妙に違っているという指摘もあります。印鑑の有無も同様の状況と伺っています。この点は現在整備が進んでいると聞いております。里親家庭などから伺うと、ご自宅で事務処理をしている場合が多くて、できるだけシンプルで統一された書式が望ましいとの声もあります。この点も要望させていただきます。
 ケアリーバーのことを伺います。
 東京都では平成二十年度から、児童養護施設などの退所を控えた児童や、退所した児童、いわゆるケアリーバーに対して、社会に出た後に就労でつまずいたり、生活上の悩みを抱えた場合に、就労、就職などの相談ができる場や、同じ悩みを抱える者同士が集える場所、サロンの提供を実施することで、地域での生活を安定的なものにするよう支援するふらっとホーム事業を実施しています。
 相談件数はコロナ禍で増加をしており、悩みを抱えるケアリーバーが多いことがうかがえます。相談件数の増加を踏まえて、ケアリーバーへの相談支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 ふらっとホーム事業では、現在、新宿区の日向ぼっこと国分寺市のゆずりはの二か所におきまして、専門の相談員が、ケアリーバーの住まい、交友関係、将来への不安など、生活上の課題や就労問題など様々な相談に応じているほか、ハローワークや福祉事務所への同行支援など、ケアリーバーの自立に向けた様々な支援を行っております。
 ケアリーバーは、家庭による支援が得られないなど自立に当たって困難を抱える場合も多く、自立に向けた丁寧なサポートが必要でございます。このため、ケアリーバーがより身近な地域で気軽に相談ができるよう、来年度から実施箇所を増設し、都内三か所で支援を行ってまいります。

○菅原委員 令和二年度に都が実施した児童養護施設等退所者実態調査では、退所者の心療内科、精神神経科が前回調査からほぼ二倍に増加しておりまして、さらに、およそ五人に一人の退所者が法的なトラブルを抱えているということが報告されています。
 メンタル面での不安や法的なトラブルなど、ケアリーバーに対する相談を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 ケアリーバーには、児童期に受けた虐待などによりまして、メンタル面に不安を抱えている方も少なくないことから、ケアリーバーの悩みや課題に対応するため、来年度からふらっとホームに心理士や保健師など専門職を配置いたします。
 また、アウトリーチ支援や生活保護申請、ハローワークへの同行など、それぞれの状況に応じたきめ細やかな支援を行うため相談員を増員するほか、家賃滞納や借金など法的トラブルが発生した際に、弁護士による相談が受けられる取組も開始いたします。
 こうした取組を進めまして、今後とも、ケアリーバーが地域の中で自立した生活が送れるよう支援してまいります。

○菅原委員 私は、市議会議員の時代からケアリーバーの居場所を訪問して話を聞いてまいりました。今ご答弁のあった日向ぼっこさんも、新宿に引っ越す前から訪問して話を伺ってきております。
 今でも日野市内の児童養護施設には毎年数回は訪問し、また、地域の里親家庭とも毎年意見交換をする機会をいただいております。その中でも、ケアリーバーが抱える問題というのが話されます。本当に心配しているんだなということを感じます。
 ふらっとホーム事業の拡充を進めるという答弁もいただきました。当事者に寄り添った事業を進めていただくことを要望いたします。
 医療のことを伺います。
 電子処方箋サービスの運用について、これが令和五年一月二十六日からスタートしました。このことを踏まえて、電子処方箋の運用が始まりましたが、なかなか浸透していないというのが現状です。電子処方箋は、患者の投薬情報が一元管理できるなどのメリットがあって、都としても推進すべきと考えます。
 まず、都立病院が率先すべきと考えますが、現状と課題について伺います。

○齋藤都立病院支援部長 電子処方箋管理サービスは、他の医療機関や薬局で処方、調剤された情報を参照できるため、重複投薬等のチェックが可能となるほか、適切な服薬指導につながるなどのメリットがございます。本年二月現在、都内一か所の診療所と九十六か所の薬局で導入されております。
 電子処方箋を利用するためには、システム改修のほか、電子署名を利用するための医師一人一人の手続や院内の運用方法の整備、患者への周知等を行う必要がございます。
 来年度早期の都立病院への導入に向けまして、現在、都立病院機構で準備を進めており、今後とも病院DXの推進に努めてまいります。

○菅原委員 患者の投薬情報がデジタル化して一元管理できるということは、ふだんの生活の中でのメリットはもちろんですが、災害などのように緊急事態の場合にも大きな力を発揮すると思います。また、認知症のため記憶が曖昧になった状態でも、医療機関として適切な対応ができると思います。まずは都立病院が導入を進めて、東京都全体を引っ張っていただくように要望いたします。
 最後に、新しい年度に向けた福祉保健局長としての決意を伺います。

○西山福祉保健局長 福祉保健局の使命は、都民が生涯を通じて安全な環境の下で安心して暮らし続けることができるよう、都民の生命と健康を守るとともに、地域での自立を支える新しい福祉を実現することでございます。
 その実現に向け、これまで、子供を産み育てやすい環境づくり、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組、低所得者への支援、自殺対策、新型コロナをはじめ多様化する健康危機から都民を守る施策など、福祉、保健、医療サービスの充実に取り組んでまいりました。
 今年度は、病院や社会福祉施設への光熱費等の緊急支援、検索連動型広告を活用した自殺対策の拡充や、低所得のひとり親世帯への支援の充実など、社会経済状況に応じた様々な施策を時期を逸することなく実施をしてまいりました。
 来年度は、これまでの取組をさらに進め、妊婦健診の支援拡充や第二子保育料無償化などの妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援、要介護度等の維持改善に取り組む事業者への支援や介護現場のDXなど長寿社会の実現に向けた取組、医療的ケア児が利用できる日中の預かり先やショートステイの拡充、自死遺族への支援など自殺対策のさらなる強化、在宅医療体制の充実などを図ってまいります。
 新型コロナに対しましては、五類への移行後も都民の不安や医療現場等の混乱を招かないよう、必要な保健、医療提供体制を継続しつつ、段階的に移行するとともに、感染状況に応じて機動的に対応できる体制を維持してまいります。
 また、来年度は、高齢者保健福祉計画、障害者・障害児施策推進計画、保健医療計画、がん対策推進計画など、当局が所管する主要な行政計画の改定や見直しを予定してございます。
 さらに、本年七月には、子供、子育て支援や長寿社会への対応、さらなる感染症危機への万全の備えなど、高度化、複雑化する都民ニーズに対し、高い専門性と機動性を発揮するため、福祉保健局を福祉局と保健医療局へと再編をいたします。
 福祉保健局といたしましては、積み重ねてきた経験から得た様々な知見やノウハウを継承するとともに、デジタル技術も積極的に活用し、両局がしっかりと連携して、福祉、保健、医療施策の推進に向けて全力で取り組んでまいります。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時三十五分開議

○内山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中山委員 初めに、コロナ禍を踏まえました今後の医療体制の強化について質問します。
 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、五月に五類への移行が予定されているとはいえ、季節性として再拡大する可能性もあり、備えを今から講じておく必要があります。加えて、別の種類の新たな感染症への備えにつきましても、今回の経験を教訓として今後に生かさなければなりません。そのためには、ハード、ソフトの両面からの備えが必要であり、医療関係者との連携が不可欠です。
 私が参加した今年一月十三日の都医師会のシンポジウムにおきましても、パネラーとなった方々から、パンデミックによる医療需要の急増などの急激な変化に対応できる備えが必要、あるいは有事を想定した施設として、ふだんからやや余裕を持った医療における人材、施設、病床の確保をすべきなどの意見が出されました。都医師会の尾崎会長からも、一千床から二千床程度のコロナ専門病床のフレキシブルな開設を求めるご発言が改めてあったところであります。
 医療崩壊を防ぎながら、既存病院で通常医療と感染症医療の両立を図るためには、ある程度の数の感染症患者を集中して入院治療させられる医療施設を臨時的に開設し、都内医療機関全体の感染症対応力での余裕を確保するようにしておくべきであります。その点を都議会公明党としても繰り返し主張してきたところであります。
 しかし、大規模な臨時の専用病床の開設につきましては、平時での活用方法と医療スタッフの確保などの課題を解決する必要があります。パンデミック的な次の流行時には何らかの対応が可能となりますよう、今から人員確保の方法などについて都医師会などと意見交換を図り、調整を進めていくことを求めておくものです。
 なお、臨時の専用病床の開設場所につきましては、大規模災害の発生時に必要となる施設や平地の確保の問題として捉え、都庁全体でめどをつけていけるような取組を福祉保健局からも具申していくことを提案しておきます。
 その上で、コロナまたは新たな感染症の発生に備え、医療関係者と連携し、平時から病床の確保や緊急時の医療施設の整備など、医療提供体制の強化を図るべきと考えますが、見解を求めます。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都はこれまで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時に先手先手で病床確保レベルを引き上げたほか、流行するウイルス株の特性に応じまして、高齢者等医療支援型施設などを機動的に整備し、ハイリスク層を重点的に守るなど、戦略的に取組を進めてまいりました。
 新型コロナの五類移行後も、感染拡大時には新型コロナ対応に医療資源を重点化できるよう、来年度予算案に医療機関に対するコロナ患者の受入れ支援や休日の小児診療体制確保のための経費を計上いたしておるところでございます。
 また、昨年の感染症法改正を踏まえまして、今後、新興感染症等への備えといたしまして、医療機関と病床や外来の診療体制の確保等に関する協定締結を進めてまいります。
 これまでの新型コロナ対応の経験を踏まえますとともに、専門家や関係機関の皆様のご意見も聞きながら、医療提供体制を強化してまいります。

○中山委員 コロナの五類移行への対応はもとより、今後の新興感染症、または、かつて流行したことのある再興感染症の流行に備えるためには、大規模な専用病床の臨時的開設に加え、当面の具体策として、より多くの病院での感染症患者を受け入れられる整備が重要であります。
 例えば、入院病床の個室化や陰圧室の整備などの一定の感染管理対策を講じることを通し、通常医療を行いながら、より多くの病院で感染症患者の受入れが進みますよう、これまでは感染症患者の受入れを行ってこなかった医療機関も対象に含めて支援していくべきと考えますが、見解を求めます。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都はこれまで、感染症患者に対応する医療機関に対しまして、病室の個室化や患者の安全な動線を確保するための施設改修、HEPAフィルター付パーティションや簡易陰圧装置、PCR検査機器等の施設整備を支援してまいりました。
 来年度は、より多くの病院や診療所で感染症患者を受け入れられるよう、支援の対象をこれまで感染症患者を受け入れてこなかった医療機関にも拡大いたします。
 こうした取組を通じまして、通常医療と感染症医療との両立を図ってまいります。

○中山委員 施設の整備を進めますとともに、感染症に適切に対応できる医療スタッフの育成と確保が重要です。
 私の地元足立区では、診療所や介護や福祉の施設、訪問事業所等において、感染防止対策の徹底を図るため、医師会が中心となって、個人防護服の着脱方法など感染防止対策に係る研修を定期的に行い、私自身も、令和二年、二〇二〇年の七月十八日に足立区医師会館で実施された着脱訓練に参加させていただきました。
 ちなみに、この訓練のチームリーダーであり、足立区医師会としてPCR検査所の開設に陣頭指揮を執られていた阿部聡理事が、現在は足立区医師会の会長に就任されています。
 足立区医師会では、費用を全面的にご負担されてこの訓練を実施されており、その後、クラスターの未然防止や、発生したとしても大規模化させない効果につながったものと認識しております。足立区医師会は、その後もこの訓練を継続され、来年度も四月八日を皮切りに実施していく予定とのことであります。
 令和三年、二〇二一年の七月一日から九月三十日の九十二日間のコロナ感染の第五波におきましては、都内の病院で院内感染が拡大し、補助金を得て確保していた専用病床での入院の受入れが不可能になったりする事例や、コロナ患者や発熱患者の救急搬送の応需が困難になった事例が見られました。
 この点は、先ほど触れました今年一月の都医師会のシンポジウムでも、コロナ対応の総括ポイントの一つとして取り上げられておりました。再発を防がなければなりません。
 五類移行後は、より多くの医療機関で患者を診療していくことができますよう、こうした研修の実施など、地域の医療機関が適切に感染防止を図れる取組を推進していく必要があると考えます。見解を求めます。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都はこれまで、地域の医療機関が感染防止対策に取り組めるよう、個人防護具の着脱についての手順書や動画を作成し周知するとともに、クラスターが発生した医療機関には、専門知識を持つ医師や看護師等から成る感染対策支援チームを派遣いたしまして、保健所と連携してゾーニングなどの具体的な対策の指導助言を行ってまいりました。
 来年度は、こうした取組に加えまして、より多くの医療機関で感染症患者を受け入れられるよう、院内感染の防止に関する技術習得のための医療機関職員向けの動画を新たに作成いたしますほか、地域の医療機関等と連携いたしまして、医療従事者の方々に対する研修の実施を支援してまいります。

○中山委員 有名な話であり、改めて紹介するのは恐縮でございますけれども、自衛隊の医療班は、あのクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での対応におきまして、知事の要請によらない自主派遣の形で船に乗り込んでくださり、乗員と船客のPCR検査や生活、医療支援、下船の際の輸送支援に当たってくださいました。PCR検査では、延べ約二千二百検体、輸送支援では約二千名の方を搬送してくださいました。
 しかし、令和二年の一月三十一日から三月十六日までの四十六日間のあの活動に従事された延べ約二千七百名の隊員の中で、感染者の方はゼロでありました。自衛隊の医療班では、防護服の着脱などが基本どおり徹底して実践されていた成果といえます。
 こうした基本的な訓練などが、今後どの区市町村でも徹底して実践され、次の新興感染、再興感染症での流行拡大に生かされますよう、都は地区医師会や区市町村と連携し、費用面での支援の検討も含めて、取組の推進を図るよう要望しておくものであります。
 感染症対策の充実の後に、一般医療について質問します。
 まず、脳卒中と心臓病、その他の循環器病に対する都内医療の充実についてであります。
 こうした循環器病は、症状の増悪が発生した際には一刻一秒を争う迅速な対応が必要であり、速やかな救急搬送とその応需を含め、救急医療の不断の充実が必要であります。
 その上で、持病として疾患を抱える患者本人とそのご家族は、二十四時間三百六十五日、絶え間なく不安を抱え生活をしていらっしゃいます。その不安の軽減のためには、症状の増悪を起こさせないための日頃からの予防、そして症状の増悪の兆候を見逃さないための知識や、増悪の兆候を感知した時点での迅速な対応の仕方などにおいて、適切な知識を身につけることが極めて重要であります。
 都は、脳卒中、心臓病、その他の循環器病患者やその家族に対して、さらに積極的に情報提供できる方策を整えるべきと考えます。見解を求めます。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、症状や治療法、後遺症などといった病気に関することから、介護や障害の制度に関すること、就労支援といった生活に関することなどを分かりやすく提供できるよう、令和五年度、新たに循環器病に関する情報を一元化したポータルサイトを開設いたします。
 循環器病の患者や家族がポータルサイトにアクセスすることで、発症や入院時、退院後の地域での生活などといった各ステージに応じた必要な情報が速やかに得られるよう、内容の充実に努めてまいります。

○中山委員 基礎疾患のある方は、今回の新型コロナウイルス感染症の対応におきまして、一般の方々以上に不安を募らせ、感染防止に全神経を注がれてきたと思います。そうした意味で、私は、新たに開設される循環器病に関する情報を一元化したポータルサイトの効果に期待を寄せるものであります。
 加えて、その幅広い活用が迅速に進みますよう、医療関係者や介護事業者、関係者に向けた丁寧で急ピッチな周知をぜひとも実施してくださるよう要望いたします。
 次に、心不全対策について質問します。
 先ほどの循環器病のうち、脳卒中につきましては、東京都脳卒中地域連携診療計画書などの地域医療連携パスが整い始め、私の地元足立区でも、足立区医師会によります足立区脳卒中情報ネットワークの取組が開始されています。
 脳卒中につきましては、都は既に、地域内での医療連携や二次医療圏内での情報共有、さらには、早期発見、早期治療に向けた啓発活動に取り組んでいます。
 一方、脳卒中と同じく迅速な対応を要する心不全につきましては、まだそうした医療連携の体制が整っていません。心不全は容体が急変しやすく、都民の命を守るためには、感染症と同様に、診療所や訪問医などの地域の在宅医療機関と専門的医療機関との連携の促進が効果的であります。
 都内には、高齢者を中心に、心筋梗塞などが原因で慢性的な心不全を抱えている方が多く生活しています。慢性心不全の患者には、日常的なケアや生活習慣の改善に加え、初期症状の出た際の適切な医療提供が重要であります。例えば、心雑音に関する見解を訪問医がその場で専門医に求めたり、診療中に画像を共有しながら診断を検討し合うなどの取組も、今日では技術的に可能であります。
 慢性心不全患者が地域で安心して暮らし続けるために、切れ目のない医療連携体制の強化を図るとともに、デジタル先進都市を目指す東京にふさわしいDXを駆使した最新の医療連携を推進すべきと考えます。見解を求めます。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 心不全患者は、発症後、再発と寛解により入退院を繰り返すことから、病院と地域の医療、介護関係者が連携し、患者を支える体制が必要となります。
 このため、都は来年度から、区部と多摩地域に心不全サポート病院を設置し、多職種連携システムなどを活用した地域の医療、介護関係者との情報共有の強化や、心臓リハビリ等に関する研修会の開催、地域のかかりつけ医からの専門的な相談への対応などに取り組んでまいります。
 また、デジタル技術なども活用した診療所等への個別サポートの充実に向けた検討を進め、慢性心不全患者が地域で安心して療養生活を送れるよう、支援体制の確保を図ってまいります。

○中山委員 心不全では、今の答弁にありましたとおり、入退院を繰り返すという特徴があるそうであります。そのためにも、在宅や介護施設での情報共有や、医療と介護の壁を超えて、心不全に関する最新の知識の向上を図り、再発の兆候を見逃さないなどの対策の充実が必要であります。既に島部と都立病院との間では、光回線を利用した、そうした心電図やエコーなどを離れた場所にいる専門医と共有し合って、アドバイスを受けられる体制がこのたび開始されると聞いております。
 心電図の波長データの読み取りでも、専門医ならではの力量というものがあるそうでありまして、私のかつての同僚都議も、地元の医療機関では問題がないと判断されたデータを専門医が読み取ってくださった場合に、手術につながり、命を長らえることができたという事例がありました。早い時期での都内各地での取組の開始を強く要望しておくものであります。
 次に、都型放課後等デイサービスについて質問します。
 我が党は、さきの本会議代表質問で、都型放課後等デイサービス制度での課題を取り上げ、事業所において人件費に充てられる資金の充実が不可欠として質問したところであります。
 福祉保健局長からは、来年度は、コア職員の基準の柔軟化など運用をさらに工夫するほか、報酬水準の改善を引き続き国に要求するとともに、事業実施状況の検証や令和六年度報酬改定の動向なども踏まえ、補助の在り方についても検討してまいりますとの前向きな答弁を得ました。高く評価しております。
 私は、会派の加藤雅之都議と共に、当初は三か所でありました都内の都型放課後等デイサービスの事業所を訪問して調査を実施したほか、都型ではない事業所から構成される団体からも意見を聴取し、昨年十一月の私の事務事業質疑や、今年二月二十一日の我が会派の東村幹事長の代表質問につなげております。
 本日は、より詳細な質疑を行っておきたいと思います。都型放課後等デイサービス事業は、放課後等デイサービス事業の質の向上を目指す東京都独自の取組でありますが、クリアすべき要件が多く、ハードルが高いという見方もあるようであります。
 都はこれまで、改善にどのように取り組んできたのか、見解を求めます。

○中川障害者施策推進部長 都は、都型放課後等デイサービス事業に、より多くの事業者が取り組めるよう、令和四年四月の事業開始後も関係者との意見交換を重ねながら様々な工夫を行い、昨年九月と十一月に改めて事業の取扱いを事業者に周知いたしました。
 具体的な例として、十九時までのサービス提供時間については利用希望や送迎の必要に応じて設定できるようにしたほか、時間延長時の人員配置も利用人数に応じて柔軟な設定を可能といたしました。
 また、個別支援計画は都が求める内容が事業者で使用している様式で満たされている場合には代用できることや、コア職員については要領を改正し、常勤職員だけでなく非常勤職員二名で常勤換算一名以上となる場合も対象としております。

○中山委員 個別支援計画の書式の見直しなどは、かなり助かるといった声を私も直接伺っております。その上で、事業開始から間もなく一年がたちますが、都型放課後等デイサービスの実施事業所数はまだ六か所にとどまっています。私もさらなる改善の要望を承っており、懸命に努力をされている東京都の担当者の方にその内容を直接お伝えしてきたところであります。
 より多くの事業所で都型の認定の取組が進みますよう、一層の手だてを講じるべきと考えますが、見解を求めます。

○中川障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業は、サービスの質の向上を目的としており、今後、より多くの事業者が取り組めるよう、引き続き関係者との意見交換を行いながら、さらなる工夫を重ね、事業を進めていく必要があります。
 現在、コア職員に関して、児童福祉事業の経験のほか、学校等の経験も実務経験として考慮することや、事業所間でのノウハウの共有を目的とした事業所間評価は事業所間の意見交換に改め、より柔軟な対応を可能とするなどの検討を行っております。
 こうした検討を踏まえ、事業に関する情報発信や、オンライン、個別訪問による相談などを丁寧に行いながら、事業者の積極的な参画を働きかけてまいります。

○中山委員 放課後等デイサービスは、単に親の就労支援やレスパイトのためだけではなく、知的障害のあるお子さんの将来の社会参加に向けて必要な、有益な学びを得る大事な取組であります。西山局長の本会議答弁での内容や、今の答弁にありましたような改善の実現が進み、都型事業への参画に大いに弾みがつき、拡大が図られていくことを期待するものであります。
 次に、来年度予算案に計上されております送迎バスの安全装置対策について質問します。
 昨年、送迎バス等で子供の置き去り事故が立て続けに発生し、対策の強化を求める機運が社会的に高まり、都議会公明党は小池知事に対し、迅速な対応を求めたところであります。
 国におきましても、公明党などが中心になりまして、幼稚園や保育所、認定こども園などの送迎バスへの置き去りを防止するための安全装置の設置を義務づけることを柱とする緊急対策をまとめました。
 令和四年十二月二十日には、送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドラインが公表され、誰が運転、乗車しているかにかかわらず、バスの乗車、降車時に幼児等の所在の確認が確実に行えるようにするため、府省令等の改正により、幼児等の所在確認と安全装置の装備の義務づけがこの四月一日から施行されるところであります。義務づけでは、一年間の経過措置を設けた上で、違反の場合には業務停止命令などの対象事由となります。
 都は、保育所等における送迎バス等安全対策支援事業で、来年度は、安全装置の導入経費の補助を行うとしています。大前提として、置き去り事故を発生させないための取組が、まず全都の対象施設で徹底して実施されるべきであり、それを防ぐための安全装置の導入が取組の柱となるべきであります。その上で、例えば遮熱や断熱の塗料を塗布することでバス内部の温度上昇そのものを防ぐ取組も、不幸な死亡事故を防ぐ安全対策としては有効ではないかと考えるものです。
 こうした安全装置そのものではないけれども、バスの置き去り事故防止等に資する取組も本事業の対象とすべきと考えますが、見解を求めます。

○奈良部少子社会対策部長 安全装置そのものではなくても、保育所等が送迎バスの置き去りに係る安全対策のために要した経費で区市町村が必要と認めたものであれば、補助対象となります。

○中山委員 今ご答弁ありました内容を、ぜひ都内区市町村などに広く周知していただくよう求めておくものでございます。
 次に、育児に困難を抱える家庭への支援について質問します。
 都は、在宅子育て家庭の育児不安の軽減を図るため、来年度から、地域の子育て支援事業を開始します。この事業の担い手は地域の保育所です。保育所が育児に悩みを抱える在宅子育て家庭に対し保育相談等に応じた場合に、都の補助が実施されることになります。在宅子育て家庭への公的支援の拡大を求めてまいりました都議会公明党として、新規事業の開始を歓迎するものです。
 核家族化や地域の人間関係の希薄化が進む中で、若い子育て家庭が育児で悩む場合に、適切なアドバイスを得られる機会が少なく、そのことが育児放棄や虐待などにつながりやすい社会的要因の一つになっています。
 本事業では、地域の保育所からのアドバイスをご自分のお子さんを保育園に通わせていなくても利用できることを、多くの保護者があらかじめ知っていることがポイントになります。そのため、都は、保育所への補助の要件として、子育てに関する有用な情報を定期的に発信することを保育所に求めています。しかし、保育所が紙媒体で地域の家庭に情報を発信するとなりますと、保育所側の負担も大きくなります。
 地域の中で子育て家庭の親が立ち寄りやすい場所などに、目を引く形でQRコードなどを掲載したポスターを掲示するなど、より多くの在宅子育て家庭に情報を届ける工夫が必要と考えますが、見解を求めます。

○奈良部少子社会対策部長 都は、育児不安を抱える在宅子育て家庭等を支援するため、育児相談の場を設けるとともに、子育て情報を発信する保育所等への支援を来年度から開始いたします。
 情報発信につきましては、保育所のホームページに地域の子育て家庭向け情報を掲載することやSNS等を活用して発信するなど、保育所の実情に応じた取組が可能としております。本事業のQ&Aに情報発信の取組例を記載いたしまして、今後、区市町村に周知してまいります。

○中山委員 私は、集団保育などによる非認知能力の向上といったメリットを、親の就労の有無にかかわらず多くのご家庭で享受できますよう、提案を重ねてまいりました。このたび、都がこれに応え、来年度での新規事業の実施に結びつけています。親の就労の有無などにかかわらず、希望するご家庭に集団保育の効果を提供することが求められていますような優れた地域の保育所や、非認知能力の向上などの新しい取組に向けた研修などに積極的に参加する意欲的な保育所などにこそ、本支援事業に参画してもらえますよう、都としても進捗を図ることを提案しておくものであります。
 次に、障害福祉を担う人材の育成策について質問します。
 障害福祉の現場の担い手は、働き手人口の減少に伴い今も不足し、将来もさらに不足が進行することが懸念されています。しかし、高齢福祉や保育に比べますと、人材の育成や定着に向けた取組の重要性があまり注目されてこなかったと感じるところでもあります。
 例えば障害福祉の分野では、障害者の権利の擁護、障害者本人の意向や希望に沿ったサービスの提供が今後の重要な論点の一つになっています。しかし、そうした方向に沿ってサービスの質の向上を図っていく上では、各事業所の現場で、障害者の方々に支援を行っていただいている担い手の方々が頻繁に交代してしまうようなことがなく、安定して雇用され、長く寄り添っていただける環境の整備が重要となってまいります。
 都は、障害福祉サービス等事業所でサービス提供を行う人材を育成し、事業所に定着させていくため、今後、取組のさらなる充実を図るべきと考えます。見解を求めます。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害福祉サービス事業所等の職員の育成や定着を図るため、管理者層向けの人材マネジメント研修等を実施するほか、施設職員の支援力向上を指導する専門職の派遣や職員宿舎の借り上げへの補助などを行っております。
 今年度は、事業所や職員を対象に人材育成に関する効果的な取組や課題等を把握する調査を実施しており、今後、調査結果や好事例を公表して広く共有してまいります。
 また、来年度は、管理者層向けの研修の規模拡大に加え、今年度に実施した調査の結果を踏まえ、効果的な取組を研修のカリキュラムに反映させるほか、人材の育成、定着に向けたさらなる施策を検討してまいります。

○中山委員 管理者向け研修の規模拡大との答弁でございましたが、その具体的な中身について説明を求めたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 都は、サービスの質の向上に向けた事業所の組織づくりなどを目的として、平成三十年度から、都内の障害福祉サービス事業所等の経営者や管理者等を対象に、経営管理の基礎を学ぶ研修を実施しております。
 この研修は、労務管理、メンタルヘルス、新規採用職員の育成、人材管理の四コースで構成し、定員は各五十名、計二百名で実施しております。
 各研修は、事業者の受講ニーズが高く、申込みが定員を大きく上回ることから、来年度は、特に希望が多い労務管理コースの定員を五十名から四百六十名、その他のコースについても五十名から百名とし、全体で二百名から七百六十名に増やすことで、より多くの希望者が研修を受講できる環境を整えてまいります。

○中山委員 また、障害福祉の分野では、事業者や都民からの問合せが多く、特に処遇改善の案件につきましては、都庁の担当者のところに頻繁に問合せが集中すると伺っております。こうした場合に迅速に回答をしていただくことが、事業所やそこで働く方々の意欲の向上にもつながると思います。
 そこで、来年度、都はこうした対応に従事できる職員体制の充実を図るべきと考えますが、見解を求めます。

○中川障害者施策推進部長 現在、都は、処遇改善に関する加算の取得に向けた事業者への周知や申請手続のオンライン化、事業者からの相談対応などを行っております。
 今後とも、事業者の申請状況等を確認しながら、円滑に加算を取得できるよう周知を図るとともに、来年度からは職員体制を強化し、事業者からの相談等に引き続き丁寧に対応してまいります。

○中山委員 人員増、よろしくお願いしたいと思います。
 先ほど好事例についてのお話が答弁の中でありましたが、具体的に普及が図られますよう工夫を凝らすべきであります。見解を求めます。

○中川障害者施策推進部長 今年度、障害福祉サービスの事業所や職員を対象に実施している人材育成に関する調査の結果を踏まえ、良好な職場環境づくりや人材育成などに関する好事例を取りまとめ、こうした事業所の取組を動画によりオンライン配信することで、広く障害福祉サービスの事業者に還元してまいります。

○中山委員 障害福祉の分野で働く方々の処遇改善を図る都の取組につきましては、令和五年度に限らず、令和六年度以降に向けましても、補助金額等の予算の増強が最も肝要であります。この点を強く要望しておくものであります。
 次いで、高齢者福祉の現場で働く人々の負担の軽減につながるデジタル機器などのDXの推進について質問します。
 都政のあらゆる場面でDXの推進が求められており、介護現場も例外ではありません。少子高齢化の急速な進展により、今後、介護人材の不足が懸念される中、都としても介護現場のDXの取組を一層推進し、介護職員の負担軽減を図り、働きやすい職場環境を整備していくことが重要であります。
 都は、介護ロボットなどの次世代介護機器や業務の効率化に資するデジタル機器の導入について支援していますが、その効果の認識と導入支援の実績について見解を求めます。

○山口高齢社会対策部長 都は、介護職員の負担軽減や業務の効率化を図るため、介護施設、事業所に対し、ロボット技術の応用により、入浴や見守りなどを支援する次世代介護機器の導入を支援しており、これにより、職員の腰痛予防や巡回業務の効率化といった効果が発揮されております。
 また、記録作成から情報共有、介護報酬請求までの業務を一貫して行うソフトウエアやタブレット端末などのデジタル機器の導入も支援しており、書類作成の負担軽減や事業所内外の情報共有の円滑化が図られております。
 これらの機器導入経費補助の実績でございますが、令和元年度が延べ百八十四か所、令和二年度が延べ三百八十一か所、令和三年度が延べ七百九十一か所となっております。

○中山委員 ただいまの答弁によりまして、都内の介護事業所におきまして機器導入の効果が発揮され、補助実績も大きく伸びていることが確認されたところであります。
 介護現場のDXを一層進めていくためにも、さらなる取組の強化を図るべきと考えますが、見解を求めます。

○山口高齢社会対策部長 都は、次世代介護機器やデジタル機器の一層の活用促進を図るため、導入経費補助の予算額を今年度の十五億一千三百万円から、来年度は十九億二千九百万円に大幅に増額しております。
 これに加え、機器を体験利用できる展示スペースの運営や導入事例を紹介するセミナーの開催などにも引き続き取り組み、介護現場のDXによる働きやすい職場環境づくりを進めてまいります。

○中山委員 介護現場でのDXやロボットの活用となりますと、イメージは人によって大きく異なります。例えば高齢者の入所施設などでは、排せつの有無や排せつ物の状態などを記録する必要があります。しかし、日中だけでなく夜中にも記録する必要がありますし、ほかの入所者への対応などが重なり、多忙を極めているときなどは大変な負担であります。
 こうした場合に、デジタル機器を用いて介護職員の負担を軽減できる工夫を都内のおむつメーカーが開発し、既に他の道府県では国の補助事業の対象に認められております。
 こうした先端機器も都の事業の補助対象となるのか、確認をしておきたいと思います。見解を求めます。

○山口高齢社会対策部長 次世代介護機器導入促進支援事業では、移乗介助機器や入浴支援機器など、全部で六つのカテゴリーの機器を補助対象としております。その中の一つに介護業務支援機器というカテゴリーがございまして、そこでは、排せつ支援などの介護業務に伴う情報を収集、蓄積し、必要な支援に活用することを可能とする機器などが補助対象とされております。
 なお、個別の製品が補助対象となるか否かにつきましては、介護事業所からの具体的な申請に基づき、補助対象要件等に照らして審査することとなります。

○中山委員 あくまで一般論としての答弁をいただきましたが、論理的な認識が示されたところであり、それである意味十分な答弁であったかと思っております。
 都には、今後もそうした問合せが相次ぐと思います。私も区役所で介護保険の給付事務を担当しているときに、対象となるのかと問合せを数多く受けました。そうした場合に、申し訳ございませんが、役所的な回答に終始しておりますと、問い合わせた方々の方にストレスがたまりますし、寄り添わない回答となり、らちが明きません。
 個別の申請の当否は申請後に初めて判明するものであることを前提に、過去に申請が認められた事例の丁寧な紹介や、申請が認められる場合の基準の論理的な捉え方などをお示しするなど、導入に迷う事業者にとって、類推により十分に参考となり得る回答に努めていただくことを改めて要望しておきます。
 次に、高齢者分野で来年度の新規事業として予算計上されております要介護度の維持改善に向けた介護事業者の取組促進事業につきまして質問します。
 介護保険制度では、利用者の要介護度が改善しますと、介護に要する手間が減るという考え方から、事業者に支払われる介護報酬が下がる仕組みとなっており、これではリハビリの提供など、事業者による利用者の自立支援の取組へのインセンティブが働きにくいという制度上の課題がありました。
 先ほども触れましたが、私は、平成十二年の介護保険制度のスタート時に区役所で保険給付事務を担当しており、前々からこうした問題意識を抱いておりました。
 公明党は、制度施行当初からこの課題に取り組み、平成二十二年に公表した新・介護公明ビジョンの中では、要介護度を軽減させた介護事業所を介護報酬で評価する制度の導入を提言していたところであります。
 その後、国におきましては、公明党の提言を実現する形で、平成三十年度の介護報酬改定におきまして、通所介護事業所を対象に、自立支援、重度化防止の取組を評価する観点から、ADL維持等加算を創設しました。
 さらに、令和三年度からは、エビデンスに基づいた質の高い介護、いわゆる科学的介護を普及させる目的で、科学的介護情報システム、通称LIFEを稼働させています。介護事業所の方に個々の利用者の状態やケアの計画と実績などを入力してもらう取り組みを開始しています。これに合わせまして、ADL維持等加算につきましてもLIFEの活用を図るとともに、対象サービスの拡大や加算単位数の引上げなど、加算の拡充が図られたところであります。
 今回の都の事業は、利用者のADL及び要介護度が改善した介護事業者に対し、都独自の報奨金を支給するものと理解しますが、まず、この事業における報奨金の仕組みについて、介護報酬のADL維持等加算との関係を含め、簡潔に答弁を求めたいと思います。

○山口高齢社会対策部長 本事業は、介護報酬のADL維持等加算を取得している事業者を対象に、介護報酬とは別に、都独自に報奨金として一事業所当たり二十万円を支給することとしたものであり、さらに、当該事業所の利用者の平均要介護度が一定期間内で改善した場合には二十万円を加算、維持した場合には十万円を加算することとしております。

○中山委員 今答弁によりまして、報奨金の支給対象が介護報酬のADL維持等加算を取得している事業者に限られることを確認したところであります。
 そこで伺いますが、ADL維持等加算の対象サービスとそのサービス種類ごとの加算の取得割合はどうなっているのか、見解を求めます。

○山口高齢社会対策部長 介護報酬のADL維持等加算の対象サービスは、特別養護老人ホーム、通所介護及び有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護となっております。
 また、都が指定する事業者におけるサービス種類別の加算取得割合は、令和四年十二月現在で、特別養護老人ホームが約九%、通所介護が約一三%、特定施設入居者生活介護が約六%であり、全体では約一〇%となっております。

○中山委員 今の答弁によりますと、都の報奨金支給の前提となる介護報酬の加算の取得状況が全体で一割にとどまっているとのことであります。
 ADL維持等加算を取得するためには、事業者が国のLIFEというシステムに、全利用者のADLをはじめとする様々なデータを定期的に入力する必要があり、さらには、入力したデータにより、実際にADLの指標が改善または維持されていることが確認されて初めて加算が取得できる仕組みと伺っておりまして、とりわけ小規模な事業者にとってはハードルが高いといわざるを得ません。
 今回、せっかく都独自の報奨金という大きなインセンティブを用意したわけですから、より多くの事業者がその恩恵を受け、利用者の自立支援に向けて取り組んでいただくことが重要と考えます。
 そこで、単に報奨金を支給するだけではなく、事業者が介護報酬の加算を取得できるような支援も併せて行うことが重要と考えるものです。都は支援を実施するべきです。見解を求めます。

○山口高齢社会対策部長 本事業では、報奨金の支給に加え、広く事業者に対し、LIFEを活用した科学的介護の意義や取組のメリット等を分かりやすく解説する講習会の開催や、動画の配信を行うこととしております。
 これにより、ケアの質の向上につながる科学的介護の推進に努めてまいります。

○中山委員 LIFEの活用は、加算の取得や報奨金の支給にとどまらず、エビデンスに基づいた介護の実践である科学的介護を推進し、ひいては介護サービスの質の向上につながる重要な取組であります。報奨金の支給と併せて、科学的介護の普及促進に向けても、しっかりと取り組んでいただくことを要望します。
 介護度改善において成果を上げている事業者につきましては、報奨金だけでなく、その公表による誘導、普及効果も、都としては検討していくことを提案しておくものであります。
 最後に、民間の現場に寄り添った人事制度や人材育成について質問します。
 都議会公明党は、さきの代表質問で、福祉保健局の保健医療局と福祉局への分割について提案を行い、総務局の担当でありましたが、知事から前向きな答弁を得ていたところであります。
 我が党が都庁の再編に際して重要視している点の一つは、民間の事業者や都民、利用者に寄り添った執行体制への体質改善にあります。民間の最新の感覚を都政の計画立案や運用改善に反映させるためには、再編と同時に人事制度上の改善を進める必要があります。
 専門資格を有する人材は今でも都庁内で一定数働いていらっしゃいますが、専門資格を有しているからといって、必ずしも最新の現場の知見、特に今の現場で試行錯誤されている実態をつぶさに把握されているわけではないと思います。また、専門職の社会人選考の枠を広げることも大事ですが、それだけでは採用された方の知見が十年後も二十年後もその分野の最新とは限りません。
 一方で、今、民間の現場で現に活躍されている方を採用しようとしても、仮に数年間であっても民間の職を離れて公務に就いていただくことには、かなりの抵抗があるはずであります。兼業の禁止などの原則を整合性を持って見直す必要があります。
 この点では、総務局が既にモデル的な試行を実施しており、今後はその対象となる職種の拡大や、その職種の特性に応じた配慮が必要であり、福祉保健局も積極的に手を挙げ、提案を重ねていくべきと求めておきます。
 また、法への適合性の判断などを担う、いわゆる権力行政の職務では、民間人材の不用意な採用は公正性への疑念を招くおそれがあり、私も慎重を期すべきと考えます。
 その上で、様々配慮に努めながらも、これまでの審議会などのレベルにとどまらずに、都は今後、優れた民間人材の行政中枢への登用を、医療や保健、福祉など様々な分野で広げていくべきです。
 例えば福祉保健局では、民間の事業者の連絡会などや、先ほどの医師会のシンポジウムに限らず、都政と関連する専門家集団による研究会などに参加される際は、お一人ではなく数名、できれば分掌事務ごとに複数の方が参加されるようにした方がよいのではと提案するものです。その方が、せっかく得た知見を職務現場に持ち帰る際にも、上司や同僚の方に具申しやすいと思います。
 さらには、退職後の都庁の幹部の方が、都政と関連の深い団体等の中枢で活躍されている事例がありますが、私は、それはそれとして、民間との交流の効果という点では、若手人材こそ、都政を支える最前線の現場にできる限り多く派遣させた方がよいのではないかと考えます。
 医師会をはじめ、多くの福祉関係の団体や事業所などの民間との交流の機会を、特に若手人材を中心に進め、医療や保健、福祉の分野で我が国の民間部分が持つポテンシャルを大いに生かすことにつながる、将来の実り豊かな都政に向けた発芽を促す——芽生えですね、発芽を促すべきと考えますが、西山局長に見解を求めます。

○西山福祉保健局長 本年七月の福祉保健局の再編に当たりましては、福祉、保健、医療の専門性をより高め、都民や事業者のニーズに寄り添い、柔軟かつ機動的に対応できる組織へ変革していく必要がございます。
 都はこれまで、医療機関や社会福祉施設等を対象とした調査やヒアリングを通じ、コロナ禍においてはオンラインなども活用しながら、現場のニーズや課題を的確に把握するとともに、福祉、保健、医療のそれぞれの分野における行政計画の策定等に当たっては、医師会をはじめ関係団体や施設代表者などの現場の代表者にも委員として参画をいただき、貴重なご意見をいただいております。
 これに加えまして、今後は、職員が直接現場に足を運び、現場の状況等を直接把握する機会を積極的に設けるとともに、若手職員の現場感覚やニーズを把握する力をより一層伸ばすため、企画力や課題解決力向上のための講義形式での研修に加えまして、民間施設での業務体験や意見交換等を通じて、政策形成能力を高める研修を新たに実施をいたします。
 こうした民間施設との交流などの取組を通じて職員の知見を広げるとともに、専門性を高め、福祉、保健、医療を取り巻く状況が変化する中、高度化、多様化するニーズに柔軟かつ機動的に対応し、より実効性の高い施策をスピード感を持って展開できるよう取り組んでまいります。

○中山委員 西山局長、ご答弁ありがとうございました。
 大変でしょうけれども、実り豊かな再編となりますことを期待して、質問を終わらせていただきます。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 まず初めに、新型コロナ対策について伺います。
 政府は、昨日からマスクの着用を個人の判断に委ねるとしました。もっとも、もともとマスクの着用が義務づけられていたわけではありません。ニュースからは、脱マスクといった感じで、積極的にマスクを外そうというメッセージが伝わってきます。また、高齢者などへの感染を防ぐため、医療機関を受診する際などは着用を推奨するとしたり、電車など混雑する場での着用は効果的としています。
 しかし、新型コロナの感染力が強いということや、どういう場面でエアロゾル感染が発生しやすいかなど、科学的な情報発信がとても弱いのが現状です。マスクの着用を個人の判断にするというのであれば、判断するために必要な科学に基づいた情報提供が必要です。
 東京都からも、より積極的に発信することを我が党はこの間も申入れなどで繰り返し要望してきましたが、改めて強く求めておきます。
 知事は、五類に移行してもウイルス自体が変化するものではないと答弁しました。新型コロナは季節性インフルエンザよりはるかに感染力が強く、季節を問わず、年に何回も流行を起こします。これが新型コロナの科学的な知見です。
 一方、国の出した方針には、感染対策について、これまでの学会等のガイドラインの範囲内で最大限安全性を重視した対応から、ガイドラインに沿いつつ安全性だけでなく効率性も考慮した対応へと見直すとあります。
 しかし、ウイルスの性質が変わるものではなく、高齢者や基礎疾患のある方への感染を防ぐため、医療現場での感染対策を緩めることはできないのではないですか、伺います。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 今般、国の出した方針は、これまでの新型コロナウイルス感染症対策で培ってきた知見を踏まえまして、安全性と医療従事者の負担との両立を図りながら感染対策を目指す趣旨であると理解いたしたところでございます。
 都は、医療機関が必要な感染対策を講じることができますよう、引き続き、個人防護具の配布を行うほか、来年度、地域の医療従事者の皆様に対して行う研修の支援等をしてまいります。

○藤田委員 はっきりしないわけですけれども、医療機関は、高齢者や基礎疾患のある方など、重症化リスクの高い方が多く利用しています。そうした方々に感染させていいとはなりません。医療機関の職員は、引き続き強い緊張感を持って働かざるを得ません。そのことに心を寄せて、対策を強化する必要があります。個人防護服の配布にとどまらず、医療機関が必要な感染対策を講じることができるよう、より支援を強化するよう求めておきます。
 十日に示された診療報酬の見直し、病床確保料の縮小により、コロナ患者を受け入れる医療機関がかえって減るおそれがあるのではありませんか。認識と対応する医療機関を確保するためにどう対応するのかを伺います。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 国が出した方針では、五類移行後の医療提供体制は、限られた医療機関による特別な対応から、これまでコロナ病床を確保してこなかった病院を含む幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していくこととしております。
 都といたしましては、この国の方針を踏まえまして、院内感染対策の施設整備や備品購入など、より多くの医療機関が患者の皆様を受け入れられるよう支援してまいります。

○藤田委員 施設整備で支援といいますが、それで受け入れられる医療機関は、ほぼ既に受け入れてきています。都内の医療機関は九割以上が民間医療機関ですから、病床確保料が半額になるとなれば、空けておくよりも、一般の患者さんに入院してもらって確実に病床を埋めなければ経営困難になりますので、今までと同じような病床確保ができなくなる可能性は大いにあります。感染拡大のときでも、医療を必要とする患者が速やかに入院できるよう、医療機関での病床利用の実態把握に努め、必要な支援を行っていただきたいと思います。
 あわせて、感染症医療は不採算なものですから、行政的医療に責任を持つ都立病院でこそ、独法化前と同じように、十四病院で二千床の確保ができるよう努めていただきたいと思います。
 検査についても、公費負担が減ることによる懸念があります。無症状でも軽い症状でも、感染力が強いケースがあるというのが新型コロナの特徴です。だからこそ、これまでは、喉の痛みなど気になる症状があればすぐに検査をといってきたわけです。
 しかし、五月八日から医療機関での検査に自己負担が発生します。また、現在都が行っている抗原検査キットの配布がなくなります。
 検査にお金がかかるようになれば、積極的に検査しなくなると思うのですが、認識を伺います。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 新型コロナウイルス感染症の五類移行に伴って、今般、国が示した方針では、抗原定性検査キットが普及したことや他の疾患との公平性を踏まえて、自己負担分の公費支援は終了するとされているところでございます。
 これを踏まえまして、都は、発熱患者等の検査料の公費負担や検査キットの配布を終了いたします。
 一方で、医療機関における感染症への対応力を高めるため、施設整備やPCR検査機器等の整備を支援することといたしまして、季節性インフルエンザと同様に、新型コロナに対応できる医療機関の拡大に取り組んでまいります。

○藤田委員 医療機関の対応力を高めても、検査に来てくれなければ意味がありません。とりわけ、新型コロナ感染症は感染力が極めて強く、あっという間に広がるわけですから、早期発見することが大切です。また、基礎疾患がない方でも、発症から短い期間で急変するケースもありまして、これも新型コロナの特徴です。
 検査の自己負担が少しでも減って検査が受けやすくなるよう都として対応し、感染拡大を抑え、都民の命を守るための対策を行うよう改めて求めておきます。
 政府は、より多くの医療機関で新型コロナの診療ができるようにするために、都道府県に対してさらなる取組を求めています。しかし、幅広い医療機関で対応するといいながら、外来の逼迫回避のためとして、自己検査、自宅療養、つまり、受診抑制を呼びかけるとしています。
 実際は、対応する医療機関を増やすのは難しいということなのではないでしょうか。貸しビルの診療所などは患者の動線を分けることができず、発熱患者への対応が難しい場合が少なくありません。発熱患者の診療ができない、難しいと判断している医療機関について、よく実態や要望を把握し、対策を講じることを求めておきます。
 コロナ患者の入院医療費の自己負担については、高額療養費の自己負担限度額から二万円を減らすだけとなっています。これでは、高額な自己負担の発生を懸念し、入院をためらうケースが生じるおそれがあるのではありませんか。さらなる対応が必要ではありませんか。

○関口感染症対策部長 三月十日の政府対策本部におきまして、五類移行後、入院医療費は、ほかの疾病との公平性も考慮し、医療費や食事代の負担を求める方針が決定されました。
 都はこれまで、一定の公費負担を継続すべきと国に要望してきたところ、国は、高額療養費制度の自己負担限度額から二万円を減額する措置を講ずることといたしました。
 なお、入院医療費の公費負担につきましては、全国一律の方針に基づき実施していくべきものでございまして、都は、国の方針に合わせ適切に対応してまいります。

○藤田委員 これまで無料だったものが、七十五歳以上で所得区分が一般の方の場合、医療費は約四万円まで請求される可能性があるということです。加えて、食事代もかかるようになります。さらに、その対応でさえも九月末までの措置とし、その後は改めて検討としています。国の方針に従うというだけでは命は守れません。この対応によってどんな影響が出るのかを都として責任を持って把握し、国への再度の要望も含めて対応すべきです。
 感染拡大第八波の死亡者数は過去最高でした。一方、本日の要求資料の8と9にもありますが、それを分析いたしますと、第七波に比べて第八波では、自宅と高齢者施設での死亡者が減少していることが分かります。
 医療関係者や消防庁の職員からは、この状況について、高齢者等医療支援型施設での受入れが増えたということで、以前より逼迫具合が改善したと伺っています。要求資料、10を見れば、昨年十二月から高齢者等医療支援型施設が増え、受入れ数が増えたということが分かります。
 今後も高齢者等医療支援型施設は継続するとのことですが、より多く設置することが必要ではありませんか。

○小林酸素・医療提供ステーション担当部長 国が示した方針では、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく臨時の医療施設につきましては、五類移行に伴い廃止することが基本とされております。ただし、高齢者の受入れ等のため、都道府県が特に必要があると判断する場合には、医療施設として当面存続できるとされております。
 高齢者等医療支援型施設につきましては、特措法に基づく臨時の医療施設であるため、五類移行に伴い新たに設置することはできませんが、当面の間、現在設置している施設を運営してまいります。

○藤田委員 新たに設置できないということですが、第八波については、施設や時期によってほぼ満床になったと伺っています。資料でも分かるように、救急車の受入れもできているということですから、東京ルールの改善にもかなり貢献しました。
 都道府県が特に必要があると判断する場合には当面存続できるとされているのですから、医療機関の病床確保と併せて、感染拡大期でも命を守る役割が果たせる体制整備とするよう強く要望いたします。
 都内の高齢者施設、事業所では、クラスターの発生による受入れ停止や閉鎖が相次いでいます。
 減収も大きく、このままでは介護提供体制が守れなくなると職員の方は話されています。この意見をどう受け止めますか。

○花本高齢者施策推進担当部長 高齢者施設や事業所は、介護や支援が必要な高齢者の生活を支える役割を担っており、コロナ禍にあっても事業を継続していく必要がございます。
 介護報酬では、通所サービスにおいて、感染症等を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合に、基本報酬への加算などの措置が設けられております。
 これに加え、都は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時においても、感染防止対策等の徹底を前提とした継続的な介護サービスの提供ができるよう、様々な支援を実施しております。

○藤田委員 感染防止対策を徹底して、職員の方は皆さん頑張っていらっしゃいますが、そうであったとしても、ウイルスの感染力が強いために防ぎ切れなくて、各地でクラスターが発生しているというのが現状です。五類になってもウイルスの性質が変わるものではありません。コロナ禍にあっても事業を継続することが必要というのであれば、この声をちゃんと受け止めていただきたいと思います。
 東京商工リサーチの調査によると、昨年一年間の介護事業所の倒産件数は百四十三件で過去最高となりました。二〇〇〇年に介護保険制度が始まって、最も多かった二〇二〇年と比べても二割も増加しています。特に、小規模な事業所の倒産が目立っています。
 都内のある介護施設では、クラスターの発生によって新規入所を中止したり、通所やショートステイを中止したことによって、数百万から一千万円という大幅な減収となりました。この事業所の場合、介護報酬の加算分で賄えるのは減収の四分の一だということで、報酬で対応するというのは限界です。
 都として独自の支援を求めますが、いかがですか。

○花本高齢者施策推進担当部長 都は、高齢者施設等における感染拡大を防止し、事業を継続して実施できるよう、様々な支援を実施しております。
 具体的には、感染者を早期に発見できるよう、職員を対象に集中的、定期的検査を実施するとともに、入所者を対象とした検査費用についても都独自に補助しております。
 また、感染防止のための衛生用品の購入や、感染者や濃厚接触者が発生した場合の人材確保のための割増し手当の支給などを支援するほか、人員が不足する施設等に対し、応援職員を派遣する事業も実施しております。
 さらに、施設内での感染拡大を防止するため、多床室を個室化する際の改修費用や居室への簡易陰圧装置の設置など、環境整備に要する費用を補助しております。

○藤田委員 今お話しされた支援、様々、皆さん行っていらっしゃいますが、それでもクラスターが発生して、数百万から一千万円の減収になっているというものです。もうこれ、介護保険の中で対応するというのは限界だと思うんです。
 東京都が介護事業所に対して減収補填すべきではありませんか。いかがですか。

○花本高齢者施策推進担当部長 先ほど答弁しましたように、都は、介護施設や介護事業所がコロナ禍にあっても事業を継続できるよう、様々な支援を実施しております。
 なお、介護サービス事業は、サービス提供の対価として事業者に支払われる介護報酬等により運営されることが基本であり、国は、令和六年度の介護報酬改定に向けて、新型コロナウイルス感染症の影響も含め、介護事業所、施設の経営状況を調査しております。
 都は、国に対し、介護事業者が事業運営を安定的に行うことができる介護報酬とするよう提案要求しております。

○藤田委員 都が運営費補助を行う、つまり、介護報酬の外から東京都が補助を行うということ、これは制度上はできないことではないんです。一年先の報酬改定までは待っていられない状況です。地域的にも、都内の特に二十三区は、本当に運営が厳しいと聞いています。
 都が独自に、都内の介護事業者がどのような実態に置かれているのか、そうした状況を都として調査すべきだと思います。そして、どういう支援があれば事業が安定的に継続できるかについても把握し、都が独自に支援を行うこと、踏み出すべきだと申し上げ、次の質問に移ります。
 精神科病院に対する都の検査ということで、滝山病院について伺っていきます。
 先日、八王子市にある精神科病院、滝山病院の看護師が患者への暴行容疑で逮捕されました。NHKでは、病院での様々な問題が克明に報道されました。実態の徹底的な解明とともに、なぜこのような問題が起きたのか、なぜこれまで発見されなかったのか、再発防止のために何をするべきか考えていく必要があります。
 初めに、指導監査についてです。
 精神科病院の指導監督を行うのは都道府県です。よって東京都は、入院患者の安全と人権を守る立場で指導を行うことが求められています。
 都は、都内の精神科病院に実地指導を行っていますが、その目的を伺います。また、対象となる医療機関は幾つあるのかも併せて伺います。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 精神保健福祉法第三十八条の六の規定に基づき、精神科病院の管理運営や人権に配慮した患者の処遇が適正に行われているか等を実地に調査するものでございます。
 精神科病院の数は、東京都の精神保健福祉によれば、令和四年三月一日時点で百四病院でございます。

○藤田委員 実地指導の目的は、管理運営や人権に配慮した患者の処遇が適正かどうかを現場まで行って調べるというものです。とりわけ、精神科病院は、本人の意思に反して入院させられるという制度があることから、患者の人権を守るという視点が非常に重要です。
 医療機関への立入権限は都道府県が持っています。それを受け、東京都は、都内にある六百四十七病院全ての医療機関に対して三年に一回の立入検査と、百四病院ある精神科病院に対しては一年に一回の実地指導を行っているということです。
 都が実施する医療機関への立入検査と実地指導には、それぞれどういうメンバーが何人で行っていますか。その際、精神保健指定医がいない場合はあるのでしょうか。それはどういった場合ですか、伺います。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 立入検査と実地指導は、病院の規模や機能、設備、個々の病院の状況等に応じた必要な人員体制で実施しており、医療職と事務職が対応しております。また、状況に応じて精神保健指定医を同行しております。
 人数については、今年度の実績でいえば、医療法に基づく立入検査は三名から七名程度、精神保健福祉法に基づく実地指導は二名から十名程度であり、いずれにせよ、個々の病院の状況等に応じた必要な人員体制で実施しております。

○藤田委員 精神保健指定医について、指定医の同行は状況に応じてということなんですけれども、昨年度の実地指導で精神保健指定医が同行したのは何件ですか。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 件数については、公平、適正な実地指導の実施に支障を来すことからお答えできませんが、法に基づく措置入院や身体拘束の事例が多い病院や、直近で臨時立入検査を実施して法令上の不備が認められた病院などを中心に精神保健指定医を同行しております。
 実地指導に当たっては、個々の病院の状況等に応じ、必要な体制で実施しております。

○藤田委員 単に件数を明らかにするだけで、公平、適正な実施に支障を来すというのはなかなか理解しづらいところです。
 厚労省の精神科病院に対する指導監督等の徹底についての通知には、実地指導は、原則、精神保健指定医を同行させて実施することとなっています。全ての場合に同行するとなっていれば、公平、適正な実施に支障を来すという心配もないと思われます。
 なぜ、全件に指定医を同行させていないのですか。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都では、病院の規模や機能、設備、個々の病院の状況等に応じた必要な人員体制で実施しておりまして、状況に応じて精神保健指定医を同行しております。

○藤田委員 それでは、もう一つ伺いますが、東京都の実地指導を担当する中で、精神保健指定医の資格を持っている常勤の医師は何名でしょうか。非常勤の医師の人数も併せて教えてください。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 非常勤職員をはじめ関係機関の協力を得ながら、適宜精神保健指定医の確保に努めております。
 引き続き、個々の病院の状況等に応じ、適切に実地指導を行ってまいります。

○藤田委員 人数についてお答えいただけなかったんですが、精神科医療においては、本人の意思によらない入院や一定の行動制限を行うということがあります。そもそも病院への指導を行うのに、医師がいなければできることは限られてしまいます。医師の確保が困難などの課題はあるかもしれませんが、体制確保に努め、原則同行となるよう求めるものです。
 また、医療安全課の職員全体を見ましても、課長を含む二十七人で、これだけの人数で三年に一回の立入検査と百四の精神科病院を回るというのは、かなり大変なことだと思われます。計算してみますと、年間に二百八十五病院ぐらい実地指導と立入検査に行かなければいけない、そういう計算になります。指導監督のための体制の強化を求めておきます。
 都内の精神科病院に対し、抜き打ちで実地指導に行くのはどういうときでしょうか。昨年、一昨年は何回抜き打ちによる実地指導を行いましたか。また、八王子にある滝山病院へは、昨年は抜き打ちによる実地指導を行いましたか。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 実地指導に当たっては、精神科病院の管理運営が適正に行われているか、病院の実態を的確に把握するため、実地指導の際に、院長をはじめとして責任のある立場の者に対応してもらう必要があり、また、多岐にわたる膨大な検査資料など、あらかじめ病院に対し検査に向けた準備をしてもらう必要があることから、基本的には事前に日時を通告、通知しております。
 ただし、状況に応じ臨時で検査を実施することに加え、例えば入院中の者に対する虐待が強く疑われる場合など緊急性が高い場合については、予告なしで実地指導に入る場合もございます。なお、件数は、昨年一件、一昨年一件でございました。
 当該病院に対しては、昨年、定例の実地指導を実施しております。

○藤田委員 抜き打ちによる指導は年に一件ということで、滝山病院について、昨年は抜き打ち指導は行っていないということです。
 滝山病院について、都は昨年、どのような理由で、何回、どういった調査を行いましたか。その結果はどうだったのですか。その後、どう対応しているのか伺います。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 虐待事案についての事実関係を確認するため、昨年六月に実施した定例の実地指導、立入検査に加えて、再度の事実関係の確認や病院から運営についての報告を受けるなど、複数回調査を実施いたしました。
 虐待の事実は認められませんでしたが、令和五年二月に虐待行為が強く疑われる情報提供があったため、速やかに検査を実施いたしました。

○藤田委員 昨年は、虐待事案の事実関係の確認のためでしたが、抜き打ちではなかったということです。
 国の通知自体が、法律上適性を欠く疑いのある精神科病院に対して実地指導を行う場合も、事前に通告することとされておりまして、虐待が強く疑われる緊急性が高い場合などは、予告なしに実施できるというものになっています。抜き打ちで入ったとしても、虐待の事実関係を確認できないこともあり得るわけですが、今のようなやり方でいいのかは再検討が必要だと思います。
 また、調査のやり方についてですが、滝山病院について、都は昨年、実地指導に加えて再度の事実関係の確認を行ったということですが、どのような調査、確認を行ったのですか。職員や入院中の患者に直接聞き取りを行ったのでしょうか、伺います。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 昨年五月に虐待疑いの情報提供があったため、病院及び関係機関に事実関係を確認いたしました。
 六月の定例の実地指導においても、通常の検査に加え、虐待事案の有無についてヒアリングを実施するなど必要な検査を実施いたしております。
 その後も継続して、病院へ再度の事実関係の確認や、病院から運営についての報告を受けております。

○藤田委員 ヒアリング、事実関係を確認しに行ったということですが、そのヒアリングは、職員や入院患者の方にヒアリングを行ったということでよろしいですか。お答えください。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 個々の実地指導の詳細については、お答えはできません。

○藤田委員 具体は答えられないということでした。
 厚労省は、二〇二〇年七月一日に通知した精神科医療機関における虐待が疑われる事案に対する対応についてには、年一回実施する実地指導において、病院職員や入院患者に対して行われる人権の保護に関する聞き取り調査に併せて、虐待が疑われる事案についても聞き取りを行うなど、その把握の徹底に努めることとなっています。
 しかし、周囲に職員や管理者などがいれば、誰が告発したのかが知られてしまいますし、全ての人に聞き取りを行っていれば、そうしたことは起きないかなと思います。また、聞き取りの在り方も、具体に聞き取りを行うのか、アンケートで行うのか、把握の方法についても工夫をして行う必要がありますので、そうした工夫も行って、実態把握の徹底に努めていただきたいと思います。
 再発防止のためには原因究明が必要です。先ほどから取り上げられましたように、今年二月、滝山病院の看護師が患者への暴行容疑で逮捕されるという事件が発生しています。
 なぜこうした事件が起きたのか、都の認識を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 今回の滝山病院に関する事案については、現在、立入検査等を通じて事実の確認を進めております。

○藤田委員 事実の確認中ということです。深刻な事態に至った背景について、十分検証することを求めておきます。
 一方で、精神科病院での深刻な虐待事件というのは、今回が初めてではありません。滝山病院の院長は、もともと埼玉県の朝倉病院の院長でした。朝倉病院では、不必要な中心静脈栄養が行われるなど大きな問題になっていました。神戸市の神出病院での虐待事件も記憶に新しいところです。
 もちろん全ての精神科病院が問題だということではありませんが、日本において、精神科病院での虐待事件が繰り返される原因は、どのようなことにあると考えていますか。

○石黒障害者医療担当部長 国の報告書では、精神科病院について、管理者のリーダーシップの下、虐待行為の発生防止、早期発見等の取組を組織全体で推進し、より良質な精神科医療を提供することができるよう、虐待を起こさない組織風土を醸成していくための不断の取組が重要であるとされております。

○藤田委員 組織風土の醸成が必要だということです。
 しかし、深刻な問題が起きる病院は、その病院の組織に問題があるのは確かではありますが、だからといって、その病院が悪いといっているだけでは再発防止はできません。問題がある病院が出てくる背景に、どのようなことがあるのかを考える必要があります。
 東京精神保健福祉士協会が滝山病院での事件を受けて出した声明では、ここ数年、全国各地の精神科病院で同様の暴行事件が発覚している中、今回の暴行事件においても、精神医療審査会などの既存のシステムでは改善に結びつけることができませんでした、つまり、日本の精神科医療の構造には、人権擁護に関して決定的な欠陥があるということですと述べられています。
 そして、声明が求めていることの一つが、医療法のいわゆる精神科特例の撤廃です。精神科病院は心の健康問題を扱うため、患者の視点に立った医療、看護が行える人員体制が必要となりますが、精神科病院では、一般の医療機関に比べて医師、看護師が少ない配置になっています。
 いつからこのようになったのでしょうか。問題だと思いませんか。

○石黒障害者医療担当部長 精神病床の人員配置基準は、昭和三十三年の事務次官通知により特例が定められ、現在は医療法等において、大学病院等で一般病床と同じく医師は十六対一、看護師は三対一の配置が定められており、大学病院等以外の病院では医師は四十八対一、看護師は四対一の配置とされております。
 当該基準は、精神病床では長期に入院する方が多いことにも着目し、療養病床と同等のものとされており、その上で、診療報酬に関する施設基準では、患者の症状に応じた適切な医療が行われるよう医師及び看護職の配置基準が定められているものと認識しております。

○藤田委員 昭和三十三年、一九五八年ということで、戦後直後から六十五年という長年にわたって少ない医療体制が温存されているということです。そもそも、なぜ精神科特例がつくられてきたのか、歴史の背景を見る必要があります。
 日本は、戦争によって精神科病院をはじめ多くの医療機関が焼失し、終戦時に精神科病床は約四千床まで減少しました。その後、政府が行った全国精神障害者実態調査では、入院を必要とする患者は全国で三十五万人と推計されたことを受けて、急速に精神病床を増加させるために、少ない人員でも病院建設が進むよう、厚生事務次官通知により、精神科特例の規定を設けたというものです。
 答弁では、患者の症状に応じた適切な医療が行われると述べられましたけれども、患者の症状は療養病床に入院している方と同じではなく、むしろ一般病床よりも手厚い配置が必要となります。
 この基準は、政治が精神科病院を治療する場所ではなく、収容を目的とした場所だと位置づけたものといっても過言ではありません。六十五年前のこの基準では、患者の視点に立った医療、看護を行うというのは困難であり、そのことが、人権が軽視される病院が生まれる原因の一つとなっていると考えます。国に対し、精神科特例の廃止を要請するよう求めるものです。
 滝山病院の場合、精神身体合併症の患者の受皿ともなっていました。精神身体合併症の中でも、血液透析が行える医療機関は限られています。こうした医療は都立病院が積極的に受け入れるべきだと思いますが、いかがですか。

○齋藤都立病院支援部長 松沢をはじめ、広尾、豊島、墨東、多摩総合の各都立病院で、精神疾患の入院患者の透析に対応しております。

○藤田委員 五つの病院で対応しているということでした。
 私の地元では都立荏原病院がありまして、これも総合病院ではありますが、今日の要求資料の一七ページに、精神科の医師がどうなっているのか見てみましたところ、しっかり配置はされているものの、透析には対応していない、今の答弁の中には荏原病院は入っていないということです。
 精神科医療も、現在の診療報酬では採算を取るのが非常に難しくなっています。都立病院の精神科のある病院でさえも、全部透析をやっているわけではないということが分かりました。精神身体合併症への対応はもっと大変になります。行政的医療に責任を持つ都立病院でこそ、東京都の責務として、こうした医療を必要とする方への対応を強化するよう求めておきます。
 そして、精神疾患の患者が地域で生活していけるようにしていく必要があります。精神疾患は長期入院が多く、地域で生活するための福祉資源を抜本的に増やすことが必要と思いますが、都の認識を伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害者の地域生活への移行を進めるとともに、障害者が地域で安心して暮らせるよう、障害者グループホームや短期入所など、地域生活基盤の整備を進めております。
 また、精神科病院から地域生活への移行を促進するため、都内六つのブロックに地域移行コーディネーターを配置し、病院と地域の関係者との調整などを行っております。

○藤田委員 グループホーム、短期入所の整備などに取り組んでいるということですが、十分ではありません。先日の予算特別委員会で清水都議が取り上げた保健所の体制の強化やアウトリーチの充実、精神障害者への障害者福祉手当の支給など、支援の大幅な強化を求めておきます。
 今回の滝山病院の事件では、多くの方に衝撃を与えました。この間、様々な権利保障が法律や条例によってつくられてきましたけれども、極めて差別と偏見の根深いのが精神疾患です。そして、こうした精神疾患の患者さんが病院の中に入院していると、世間から見えにくい状態となってしまい、権利が侵害されている人がたくさんいるという実態もあると思います。
 昨年九月に、障害者権利条約の日本への総括所見が公表されましたけれども、この中で、自立した生活と地域社会への参加、第十九条の中には、精神科病院に入院している患者の全てのケースを見直し、無期限の入院をやめ、インフォームド・コンセントを確保し、地域社会で必要な精神保健支援とともに自立した生活を育むことと指摘をされています。
 こうした指摘を受けて、入院中の精神障害がある患者さんの人権を守る立場に、国と東京都は、その責務があります。そうした人権を守る立場で、全力で取り組んでいただくよう強く求めまして、質問を終わります。

○竹井委員 よろしくお願いいたします。
 必要な人に必要な支援が届いているのか、都内どこでも支援が受けられるのかということを主眼にお聞きをしてまいりたいと思います。
 まず、産後ケアについて伺います。
 産後の母親の心身のケアや育児サポートなど、きめ細かい支援を行う産後ケアの取組が重要であると考えます。産後ケア事業については、母子保健法の改正により、市区町村の努力義務として法定化され、令和六年度末までの全国展開を目指すこととしていると思います。
 産後ケアの実施方法としては、ショートステイ型、デイサービス型、アウトリーチ型の三つの類型がありますが、都内における産後ケアの実施自治体数と類型ごとの内訳を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 産後ケア事業は、病院等の空きベッドを活用するショートステイ型、利用者が施設に来所するデイサービス型、支援者が利用者の自宅に赴くアウトリーチ型の三類型がございまして、区市町村が地域のニーズ等を踏まえて実施しております。
 今年度は、五十自治体で実施されておりまして、それぞれショートステイ型が四十三自治体、デイサービス型が四十一自治体、アウトリーチ型が三十一自治体となっております。

○竹井委員 今年度は五十自治体で実施しているとのことですけれども、三つのサービス類型全てを実施している自治体もあれば、アウトリーチだけ、ショートステイだけというように一類型のみ実施、あるいは全く実施をされていない自治体もあるようです。
 出産後、周囲の援助がなく孤立してしまう母親、産後鬱に陥る母親も少なくありません。二〇一五年から二〇一六年度の二年間において、妊娠から産後一年までに亡くなった母親三百五十七人のうち、自殺が百二人で最も多かったとのことです。また、初めてのお産に限れば、二五%に産後鬱の症状が見られるとの報道もありました。三類型が設定されているのは、そんな母親たちの個々の悩みにきめ細かく対処するためだと考えますが、今は都内でも、子育てする自治体によって使えるサービスにばらつきがあるのが現状です。
 都内であれば、どこでも同水準のサービスが受けられるようにすべきであるというふうに考えていますが、都は、実施自治体の拡充とともに、サービス類型ごとの実施自治体数の拡充も図られるよう市区町村を支援していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、区市町村における産後ケア事業の取組を促進するため、令和二年度から区市町村の負担分を全額支援しております。また、区市町村に対しまして、説明会や研修等の機会を通じて、事業の案内や実施自治体での好事例、サービス類型ごとの実施手法等について周知しております。
 今後とも、より多くの自治体が産後ケア事業の充実に取り組むよう活用を働きかけてまいります。

○竹井委員 自治体によっては事業を委託できる医療機関、あるいは助産所がないというケースもありますし、医療機関の中には自治体からの補助があっても、人件費などが負担になるというケースがあります。委託料や利用者の自己負担額にばらつきもあるようです。実態を把握して適切なサポートをお願いいたします。
 六年度までは十分の十のサポートということですけれども、まだ先の話ではあるのですが、そこで終わりになってしまうとなかなか難しい自治体もあります。引き続き、手厚いサポートをお願いしたいと思います。
 次に、助産所、助産師について伺います。
 助産所については、令和五年度予算で、新規に分娩を取り扱う助産所に対する医療機器やオンライン相談のための情報通信機器等の整備のための補助のほか、助産所と嘱託医師や医療機関等確保のための相談窓口設置、あるいは連携促進の予算が計上されております。また、助産師会からもご要望のあった妊婦健診受診票の直接使用についても、予算特別委員会における審議の中で前進があったということが分かりました。
 コロナ禍では、自治体の両親学級などの集団指導が中止や縮小を余儀なくされる中、東京都助産師会が行った妊産婦向けの助産師オンライン相談事業は、妊産婦の強い味方となったと思います。本事業の開設期間が令和五年三月三十一日までとのことですけれども、コロナ禍が新たなフェーズを迎えても、本事業は継続して取り組むべきだと考えます。
 本事業の取組内容と実績、令和五年度の継続について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は令和三年一月から、産前産後の不安定な時期に不安や孤独感を抱いている妊産婦の方を支援するため、助産師によるオンライン相談を実施しております。
 現在、年末年始を除く毎週月曜日、水曜日、金曜日、土曜日に実施しておりまして、令和四年度の実績は二月末時点で千百八十六件でございます。
 こうした実績も踏まえまして、令和五年度は、毎月第二、第四日曜日を追加して実施いたします。

○竹井委員 平日と土曜日の四日間の実施を第二、第四日曜日にも拡充されるということが分かりました。引き続き、周知にも努めていただくようにお願いいたします。
 次に、重度身体障害者の方について、課題について伺います。
 重度障害者は、重度訪問介護の制度を利用してヘルパーによる生活全般の介助を受けておられますが、通勤や就労時間中は生活ではなく個人の経済活動とみなされ、ヘルパーの利用が認められていません。国は、二〇二〇年に重度障害者等就労支援特別事業を開始し、就労中のヘルパー利用の補助金が支給されることとなりました。
 本事業の実施主体は市区町村ですけれども、都内市区町村の現在の実施状況について伺います。

○中川障害者施策推進部長 現在、都内の自治体では三区が実施しているほか、一自治体が実施を予定しております。

○竹井委員 報道によりますと、昨年十月時点で、全国の利用者が当初想定されていた人数の約一割の九十二人にとどまっているとのことです。重度訪問介護の利用者は全国で一万二千人、就労者は八百人いるといわれていますが、本来適用される人の一割程度しか利用されていない。都内では、約二千人がこの重度訪問介護を利用していらっしゃるとのことですけれども、全国の市区町村のうち、ほとんどが需要があるか不明だとしているとのことで、動きが鈍いのが実情のようです。
 都内でも三区、予定が一区というご答弁ありました。まだ少ないのが実情ですが、私も以前、市議会議員時代に、この問題について市議会で質問したところ、国の制度ができる前でしたけれども、当時、重度訪問介護の利用者が市内で二十七名おられて、うち就労している人が五名との回答を得ました。私がヒアリングした方は、就労時間中は自己負担でヘルパーさんをお願いしているため、その負担額がお給料を上回るということでした。こういった実態と本事業のニーズを積極的に把握していただきたいと思います。
 実施主体は市区町村なんですけれども、都としては、今後どのように都内における取組を広げていくのかについて伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、区市との会議で実施の働きかけや意見交換などを行っております。今後、取組事例の共有を図ることとしており、現在、実績の把握を行っております。

○竹井委員 取組を広げていくというご答弁だったと思います。パラリンピックを見てみますと、少しサポートをすることによって、あるいは少しルールを変更することによって、ほかの人と同じ、あるいはほかの人以上に才能が発揮できる方が大勢いるということを実感いたしました。
 多様な働き方が進む中で、重度の障害があっても働きたいという思いのある方にとって、都内どの地域に住んでいたとしても、その人らしく働くことができる東京都であってほしいというふうに思います。
 次に、精神保健医療について伺います。
 東京つくし会の調査によりますと、東京都心身障害者福祉手当支給状況は、昨年四月現在で、精神障害者に手当が支払われているのは、十五の区と、多摩では奥多摩町のみということ、十五の区においても、手当額が四千円から一万五千五百円まで区々だということです。
 同じ東京都に住みながら、このように格差があるということは本来望ましくないというふうに思うんですけれども、都として、精神障害者を対象とした福祉手当を支給するべきだと、私自身も、我が会派でも訴えてまいりました。
 私も地元の当事者や親の会の皆さんからのご要望をいただいています。障害者団体はじめ、特別区長会などからも要望が出ていると思いますが、残念ながら、来年度も予算には入っていないようです。どうぞ、当事者の皆さんの思いを真摯に受け止めていただきたいというふうに思います。
 精神保健医療の分野では、一点、アウトリーチ支援事業について伺います。
 アウトリーチ支援事業は、都道府県、政令指定都市、東京都特別区、中核市が実施することになっていますが、東京都では三か所の精神保健福祉センターのほか、複数の市区が実施しているのみです。
 地域には精神保健福祉につながらない方がまだたくさんいると考えられるため、アウトリーチ事業をさらに進めていくべきだと考えますが、都の見解について伺います。

○石黒障害者医療担当部長 精神保健福祉センターでは、精神科の未受診や治療中断の精神障害者等を対象に、医師、看護師等から成るアウトリーチチームが、区市町村等と連携して訪問で支援を実施しており、支援者数は令和三年度で延べ八十七人となっております。
 また、区市町村が地域の実情に応じてアウトリーチ支援を実施できるよう、職員への研修や助言などを行っており、実施自治体数は事業を開始した平成三十年度の四から令和三年度は十四に増加しております。

○竹井委員 ありがとうございます。
 続きまして、重層的支援体制整備事業について伺います。
 令和三年四月に重層的支援体制整備事業が創設されました。介護、障害、子育て、生活困窮など、支援を一体的に行うというものですけれども、住民の悩みや福祉のニーズは区々であります。市役所でも、複数の担当窓口を行きつ戻りつしていらっしゃるような姿もお見かけすることがあります。
 これまで都内で事業実施した市区町村、令和五年度に開始希望している市区町村はどうなっていますでしょうか、伺います。

○高橋生活福祉部長 令和三年四月、社会福祉法の改正により、区市町村において、高齢分野、障害分野、子供分野、生活困窮分野における既存の相談支援等の取組を生かしつつ、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、重層的支援体制整備事業が創設されました。
 令和四年度までに、都内では、墨田区、世田谷区、中野区、八王子市、立川市、狛江市、西東京市の七区市が取り組んでおりまして、来年度は、これらの区市を含めて十二区市が取り組む予定となっております。

○竹井委員 実態を教えていただきましたが、現在、見えてきた課題について、お願いいたします。

○高橋生活福祉部長 本事業は、事業の実施を希望する区市町村の任意事業でございますが、属性や世代を問わない重層的なセーフティーネットを構築するために、相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施するものでございます。
 実施に当たりましては、既存の支援関係機関の専門性や積み重ねてきたノウハウなど、各分野の地域資源の強みを生かす体制となるよう、体制構築や具体的な工程などについて、地域住民や支援関係機関との意識の共有を図ることが重要でございます。
 そのため、区市町村において、庁内の関係部局との一層の連携を図り、支援関係機関をはじめとした幅広い関係者との丁寧な合意形成を図ることが必要となっております。

○竹井委員 ありがとうございます。
 この実施主体は市区町村ですけれども、その市区町村の取組に対して都の役割は何か、都はどのように支援していくのかについて伺います。

○高橋生活福祉部長 都は令和三年度に、第二期東京都地域福祉支援計画の策定に向け、地域の実情に応じた包括的な相談支援体制の整備を進めるため、ヒアリング等により、区市町村の実態を把握し、包括的な相談支援体制に取り組む区市町村の好事例を同計画に盛り込み、情報提供してまいりました。
 また、昨年十月には、既に重層的支援体制整備事業に取り組んでいる区市の事例等を区市町村や社会福祉協議会の職員に対する地域福祉の推進に向けたシンポジウムで取り上げてまいりました。
 引き続き、区市町村が円滑に事業を実施できるよう支援してまいります。

○竹井委員 様々な取組について分かりました。よろしくお願いいたします。
 次に、梅毒の流行について伺います。
 昨年来、梅毒患者が急増しており、過去最多となったとのことです。まず、近年の都内の梅毒患者の発生動向と男女別の傾向について伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都内の梅毒報告数は、二〇一二年には二百九十七件でありましたが、二〇二二年には三千六百七十七件になり、この十年間で約十二倍になっています。特に二〇二一、二二年には、前年比約一・五倍で急増し、一九九九年の調査開始以降、最多を更新しております。
 男女別に見ますと、男性は二十代から五十代、女性は二十代が多くを占めています。

○竹井委員 梅毒は、感染後一か月で発疹、しこりなどができますが、治療しなくても数週間で症状が消え、そのため気づかないうちに病気が進み、気づかないうちに他の人に感染させていくという特徴があるとのこと。また、何度でも感染する、もし妊婦が感染すると胎児も感染し、死産や早産、生まれた子が障害を負うというようなこともあるようです。しかし、治療を受ければ治る病気なので、パートナーと一緒に検査、治療を受けることが肝要だといわれています。
 傾向として、男性は二十代から五十代まで幅広い年代で感染が見られるのに対し、女性では二十代が九百五十一人と突出して多くなっているとのことでした。
 男性にも女性にもしっかりと周知啓発を行って、もしも陽性となれば、確実に治療につなげることが肝要だと思います。啓発について今年度の取組と来年度の予定について伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 梅毒が若年層を中心に増加していることを踏まえ、今年度は、東京都性感染症ナビでの情報発信、若年者向けポスター、リーフレット作成のほか、今月、緊急対策として、感染経験者の体験動画の配信、SNS、地下鉄での広告、医療従事者研修を行います。
 来年度は、今年度の取組成果を踏まえるとともに、専門家の助言を得ながら、さらなる普及啓発を行ってまいります。

○竹井委員 先ほども申し上げましたけれども、梅毒は気づかないうちに、ピンポン感染といわれるようなものを繰り返すおそれがあるということで、梅毒の流行を止めるためには、集中的に取り組んで、早めに周知、治療につなげることが肝要だと思いますけれども、来年度の梅毒の対策について伺ってまいります。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 今年度は、保健所での梅毒、HIV検査をコロナ禍前の水準に戻すなど体制を整えるほか、今月、即日検査などの緊急対策を実施しております。
 今後は、今回の緊急対策の成果を踏まえるとともに、専門家の助言を得ながら積極的に梅毒対策を取り組んでまいります。

○竹井委員 前年比で一・五倍というように急増しております。三月に四か所、即日検査を用意していただいたんですが、すぐに予約が埋まってしまって、三日間の追加実施が決まったということです。
 加えて、保健所でも無料で、匿名で検査ができるということ、それから、東京都性感染症ナビというホームページも効率的に活用していただくことで、タイムリーな周知をお願いしたいと思います。
 続きまして、自殺対策です。
 報道によりますと、令和四年度の全国の小中高校生の自殺者数が過去最高となり、特に高校生が増加したとのことです。
 都においても若年層の自殺者数は増加傾向にあって、こうした動向を踏まえて取組を速やかに講じていくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 コロナ禍において若年層の自殺者数が増加したことを踏まえまして、都は、令和三年度及び令和四年度に補正予算を編成し、自殺予防に関するポケットメモを小学校五年生から高校三年生までの全学年に配布するとともに、教員向けに普及啓発資材を作成いたしまして、都内小中高校に配布するなど、対策を強化してまいりました。
 来年度は、都における大学生等の自殺者数が高水準にありますことから、メンタルヘルスやゲートキーパーの役割等をはじめとする動画コンテンツを作成し、大学の講義等での活用を促すなど、大学等における自殺予防対策を支援することとしております。
 引き続き、自殺者数の動向を踏まえまして、必要な対策を講じてまいります。

○竹井委員 ありがとうございます。
 先ほど来の質疑でも、様々な対策が講じられていくということがよく分かりました。
 次に、路上生活者について伺います。
 昨年度ですが、従来、私たちも要望しておりました夜間の路上生活者の調査をしたと、概数調査をしたというふうにお聞きしたんですけれども、どのような結果になったのか、また、今後も継続して調査を続けていくのかについて伺います。

○新田事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 路上生活者の夜間の概数調査については、昨年一月、二十三区内の道路、公園、国河川を除く河川敷などで実施し、確認された路上生活者は六百四十五人であり、日中と比べて多いことを把握しました。
 今年度につきましても、経年で状況を把握するため、継続して実施しております。

○竹井委員 こういった調査結果を踏まえまして、ホームレスの皆さんの自立支援に向けて、特別区と連携をしてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○新田事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 特別区と共同で設置している自立支援センターでは、公園や道路など施設管理者からの情報も参考に、日中及び夜間に巡回相談を実施し、声かけや面接などを行っております。
 引き続きこうした取組を通じて、ホームレスの方を支援していきます。

○竹井委員 今後とも、ホームレスの方々も、特に長期化している、そして高齢化していくというところ、支援をお願いしたいというふうに思います。
 日本のホームレスの定義とは、都市公園等、公園とか河川等を居住の場として、日常生活を営んでいる者というようなことなんですけれども、ホームレス支援団体さんによれば、この定義というのは各国で異なっていて、イギリスでは、家があっても経済的な理由で維持できない人とか、友人の家に居候している人とか、二十八日以内に家を失う可能性のある人とか、そういった不安定な居住の状態にある人とか、住宅喪失リスクのある人も、路上で寝起きする人と同様に、ホームレス支援の対象としているとのことです。
 また、加えて、虐待で家にいたくてもいられない人とか、アパートを出てネットカフェなどで転々としている人なども、見えないホームレスともいえる人々について、今後、実態を把握し、必要なサポートを行うべきであるというふうに考えていますので、よろしくお願いをいたします。
 最後に、質問ではなく意見になりますが、今回、〇一八サポートについて、所得制限をなくしてということについては歓迎をいたしますが、代表質問でも申し上げましたけれども、子供の医療をはじめ、とりわけ障害児支援の分野でも、親の所得で制限があって、障害児を育てる家庭の負担が重くなっております。そのため、所得制限について、今後の見直しを求めておきます。
 意見の二つ目として、こういった福祉分野におきましても、様々スキルやノウハウのある外部団体に委託をするということが行われていると思います。公金の支出について、透明で公正であることが求められるというふうに思いますし、加えて、委託ということですから、本来は都が取り組むべきことをお願いしているわけですので、事業の推進、達成状況など、主体的に捉えていただきたいというふうに思います。
 先ほど質疑のあった若年被害女性等支援事業では、虐待や貧困などで家に居場所がない女性を支援するという目的ですという局長のお話がありました。女性の自殺が増えたり、困難を抱える女性が増えていることは、我々の質疑の中でも度々取り上げていることです。
 最も回避すべきことは、本来支援すべき人々に支援が行き届かなくなることだというふうに思います。事業者と連携をしていただきまして、最大の効果が得られるように取組をお願いしたいと思います。
 以上で終わります。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十二分休憩

   午後五時五十分開議

○内山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○上田委員 少子化対策についてです。
 二〇二二年、出生数が八十万人の大台を割ってしまいました。
 小池知事は、チルドレンファーストを高らかに掲げ、未曽有の子育て支援策に予算を投じているところでございますけれども、これまでの政府による制度と東京都の少子化対策の歴史的背景を踏まえた経緯をご説明ください。

○奈良部少子社会対策部長 国は一・五七ショックを契機に、子供を産み育てやすい環境づくりに向けた対策の検討を始め、平成六年にエンゼルプランを策定いたしました。
 平成十五年に制定された次世代育成支援対策推進法を受けまして、都は、次代を担う子供たちが健やかに生まれ、かつ育成される社会の形成を目指して、平成十七年に次世代育成支援東京都行動計画を策定いたしまして、認証保育所の整備や先駆型子供家庭支援センターの整備などを進めてまいりました。
 平成二十七年に、子ども・子育て支援法に基づきまして、東京都子供・子育て支援総合計画を策定し、見直しや改定を経て、現在は第二期計画の中間見直しを行っております。

○上田委員 都は、計画だけではなく、国に先駆けて認証保育所をつくっていただき、大変助かったと記憶しております。
 これらを検証した上で、子供政策連携室の設置、〇一八サポート事業開始に至ったと思料しますが、小池知事就任以来、残念ながら、都の出生数は減少し続けております。
 これまでの取組と、いかに都として少子化に歯止めをかけていくのか、出生数、率を上げる数値目標など、具体的な所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都はこれまで、安心して子供を産み育てることができる環境を整備するため、子供・子育て支援総合計画に基づき、施策を展開してまいりました。
 引き続き、計画に掲げる地域における妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の仕組みづくりや、乳幼児期における教育、保育の充実など、五つの目標に沿って多様な取組を推進してまいります。

○上田委員 その目玉の〇一八サポートですが、事業を決定するまでの経緯や決裁までの過程や重ねられた議論があったと思いますので、その詳細と期待する効果、事業の永続性、今後の財源の担保をどうするかについてご説明ください。

○奈良部少子社会対策部長 先ほどから申し上げておりますが、都はこれまで、安心して子供を産み育てることができる環境を整備するため、施策を展開してまいりました。
 〇一八サポートにつきましては、本年一月四日に子供政策連携室が発出した少子化対策に係る新規事業の構築についてを踏まえまして、来年度予算案に盛り込んだものでございます。子供一人一人の成長をひとしく支えるため、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供に月額五千円を給付することとしております。
 今後、その時々の社会情勢を踏まえつつ、子供と子育て家庭を支援するため、様々な施策に取り組んでまいります。

○上田委員 法人二税はジェットコースターでございます。しっかりと財務とを確認しながら、財源の担保をお願いしたいと思います。
 本年四月に、こども基本法、改正児童福祉法が施行されるに当たりまして、東京都こども基本条例、子供への虐待の防止等に関する条例及び関連都事業にどのような影響や変更事項があるのか、確認いたします。

○奈良部少子社会対策部長 令和五年四月に施行されるこども基本法の第十一条では、地方公共団体において、子供施策の策定等に当たり、子供等の意見を反映させるために必要な措置を講ずることを規定しております。
 都は今年度、東京都こども基本条例や法の趣旨を踏まえまして、第二期東京都子供・子育て支援総合計画の中間の見直しにおきまして、子供の意見を聴取したほか、子供の意見表明、参加の促進に取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
 また、児童福祉法の一部改正により、児童にわいせつ行為を行った保育士の資格管理が厳格化されたため、基準や具体的運用方法等を明示するよう国に求めるとともに、実施体制を整備するための人員、予算を確保いたしました。
 児童福祉施設の運営基準につきましては、条例で定めるべき事項として児童の安全の確保が追加されたため、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正し、規定を新設する予定でございます。

○上田委員 児童福祉法改正で示された子供家庭センター、困難を抱える妊婦等の支援、社会的養護経験者の自立支援、子供の意見聴取の仕組み、一時保護に際しての司法審査、実務者の専門性の確保などについて、都はどう取り組み、あるいは支援していくのか、具体的にご説明ください。六点です。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童福祉法改正に対応した取組でございますが、子供家庭センターにつきましては、令和六年度の創設に向け、母子保健部門と子供家庭支援センターが連携し、妊娠期から切れ目のないサービスを提供できるよう、都は区市町村を支援しております。
 困難を抱える妊婦等の支援につきましては、支援の必要性の高い妊産婦の居場所について検討してまいります。
 社会的養護経験者の自立支援につきましては、都は、ケアリーバーが相互に交流し、スタッフに悩みが相談できるふらっとホーム事業を、現在、新宿区の日向ぼっこと国分寺市のゆずりはの二か所で実施しております。ケアリーバーをよりきめ細かく支援するため、来年度は、実施場所を一か所拡大し計三か所で実施してまいります。
 子供の意見聴取の仕組みにつきましては、本年一月の児童福祉審議会の提言を受けまして、来年度、検討会を設置し、意見表明等支援員について検討してまいります。
 一時保護に際しての司法審査につきましては、令和七年度までに導入される予定であり、現在、国が手続等を検討しておりまして、都はこれを踏まえ、今後適切に対応してまいります。
 実務者の専門性の確保につきましては、令和六年度の導入に向け、現在、国が新たな認定資格を検討しており、都はこれを踏まえ、今後適切に対応してまいります。なお、今年度、都はトレーニングセンターを設置し、専門職の研修を実施しております。

○上田委員 中でも、子供家庭センターについてですが、区市町村では既に、子供家庭支援センターや母子保健事業、区児相など、地域に特化した子育て家庭への支援の充実に向けた取組も物理的な施設もあります。
 屋上屋を重ねることとはならないのか、都としては、どのように子供をど真ん中に関与していくのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童福祉法の改正によりまして、令和六年度から区市町村において、児童福祉部門と母子保健部門の機能を有します子供家庭センターの設置が努力義務とされております。
 来年度の子供家庭センターの設置に向け、妊娠期から切れ目のないサービスを提供できるよう、人材を配置する区市町村を支援するとともに、専門的な研修を実施いたします。

○上田委員 各自治体のやり方があると思うので、そちらの方を支援する形でお願いしたいと思います。
 また、児相と要保護児童対策地域協議会と子供家庭センターの、現時点、どのような協働を検討しているのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 現在、都内全ての区市町村では、児童相談所をはじめ、子供家庭支援センター、保健センターなど、地域の関係機関が参画する要保護児童対策地域協議会等のネットワークを構築しておりまして、各関係機関が子供やその家庭の状況などについて情報共有を図りながら援助方針を確認し、児童や家庭への支援を行っております。
 区市町村において、児童福祉部門と母子保健部門の機能を有する子供家庭センターの設置が努力義務とされる令和六年度以降におきましても、引き続き、協議会等において、同センターを含めた地域の関係機関が緊密に連携しながら、児童虐待防止に取り組んでまいります。

○上田委員 都は、自治体の虐待、ハイリスクアプローチ、母子保健、ポピュレーションアプローチのコンシェルジュとして貢献することを期待します。
 一時保護の適正性の確保や手続の透明性の確保のため、一時保護開始の判断に関する司法審査を導入するとのことですが、都児相における今後の検討状況と課題を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入につきましては、現在、国が実務者作業チームを立ち上げ、手続や運用等について検討中でございます。
 都は、国に対しまして、自治体の意見を十分に聞きながら検討を進めるよう提案要求しております。

○上田委員 親権停止、これは資料、40なんですけれども、あまりにも少ないので、リーガルサポート体制の拡充を着実にしていただきたいと思います。
 重複するので、次の質問は飛ばしますけれども、退所者把握は一〇〇%を目指してほしいということを申し上げます。
 アドボケートにつきまして、児童福祉審議会で活発な議論がなされ、完成したところです。
 各委員から的を射た指摘も得たところで、福祉保健局としての受け止め、課題認識と今後の児童相談所運営にどう反映していくのか、意見表明等支援員の人材育成をどうしていくのか、具体的な所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 児童相談所が関わる子供が様々な場面で意見を表明できる環境を整えることは、子供の権利擁護を一層推進する観点から重要でございます。
 児童福祉審議会からは、子供が意見を表明するためには、子供自身や周りの大人に意見表明等の重要性について理解促進を図ることや、子供の意見表明等を支援する仕組みを整えることが必要との提言をいただきました。
 都は、児童相談所職員等に対して、子供の意見表明等に関する理解促進を図るほか、来年度、検討会におきまして、意見表明等支援員の研修などについて検討してまいります。

○上田委員 支援員の研修、期待するところです。
 赤ちゃんポストについてです。
 私は、二〇一三年、初当選以来、地道に都立病院と児相が強固な連携を図ってサポートしてほしいと訴えておりましたけれども、ほかの都議会議員は、ほとんどこうした質疑をすることもなく、置き去りにされてきた大切な視点でした。
 ところが、医療法人社団モルゲンロート、小暮裕之理事長による、いわゆる赤ちゃんポスト開設構想が去年九月末に突如報道され、あまりに計画性を欠き、拙速かつずさんではないかと昨年の事務事業質疑と一般質問でただしております。急ぎ確認したところ、江東区、江東区医師会、福祉保健局も全く関知していなかったことが判明し、この点も指摘させていただいております。
 これまで、赤ちゃんポスト設置にあまりほかの会派さんは関心がなかったようですが、同僚委員により、突如として、事務事業質疑のときにモルゲンロートとの連携支援を求める質疑が飛び出し、発言した委員が小暮理事長に同行し、知事へ実施を求める要望書を手渡したことには、びっくり仰天しました。
 当然のことながら、山崎江東区長は、今をもって難色を示し、二月十日には、都内に赤ちゃんポスト難航と報道されております。
 長年、持ち出しも覚悟の上で事業を継続してきた慈恵病院は、ゆりかごに至る前の相談事業に注力されてきました。助産師が二十四時間体制で妊婦からの相談を受け付け、二一年は四千七百十八件もあったそうです。
 一方の小暮理事長は、全国からのアクセスしやすい東京に設置することで、一つの逃げ道として、赤ちゃんを応急避難させる仕組みが必要とするも、一番大切な相談事業については、東京では人件費や地価が違うから、行政から助けてもらおうと思っているとのことです。
 つまり、赤ちゃんを受け取ることだけはするが、その前の一番つらい思いをしている妊婦さんに寄り添うことは外注、つまり、丸投げしたいということではないでしょうか。妊娠相談に乗っているNPOも、外部に任せるのは、信頼関係を築くのには疑問が残ると指摘しています。
 都は、モルゲンロートから産科医療を提供するために十八床の病床を設置する計画書の提出を受け、病床を設置した場合、届けをするよう通知し、計画書には不動産の賃貸借に関する合意書が添付されていたとのことですが、報道によれば、昨年末までに用地契約を終える予定であったが、地権者側と協議が難航、計画地を区内の新たな場所に移すことを検討しているとのことで、その後、動きもあったことから、現状の詳細をご説明ください。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 医療法人社団モルゲンロートからは、現時点では、新たな計画地が決まったという報告は受けておりません。

○上田委員 私は、この事業については、病床を持って妊婦さんと赤ちゃんに寄り添い、妊娠、出産の多数の長年の実績、経験値、時に赤字や持ち出しを覚悟で命を救うという強い使命感があることが大前提であり、リスクも請け負って行政を動かす粘り強さが大切だと感じます。慈恵病院は、それがあって今があるのです。
 病床を持つのはこれからで、通常の妊娠、出産に係る実績もなく、最も大切である相談事業は外注、最初から行政頼みの医療法人に赤ちゃんポスト事業を任すわけにはいかないと考えるものですが、相談事業を外注して赤ちゃんポストは成り立つのか伺った上で、モルゲンロートに事業を任すことができるのか、都の所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 医療機関などが匿名で新生児を受け入れる、いわゆる赤ちゃんポストにつきましては、その利用に至る前に妊産婦を支援することが重要でございます。
 都は、妊娠相談ほっとライン等により、妊娠や出産に悩みを抱える妊婦等への相談に対応し、特に継続的な支援が必要な場合は、区市町村の保健センター等につなげております。
 今後、都内で医療機関が取り組む場合には、区市町村など関係機関と連携し、対応を検討してまいります。

○上田委員 法改正に当たっては、困難を抱える妊産婦の支援も組み込まれていることから、もうそろそろ都立病院と児相との積極的な対策を講じる準備に入ったかと思いますので、具体的な取組と所見を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院を受診する特定妊婦につきまして、保健所や児童相談所などの関係機関と連携しながら、養子縁組や乳児院等への入所に関することを含めた育児相談などに対応してございます。

○上田委員 丁寧に進めてください。
 医療保護入院措置についてです。
 資料にもありますが、一時保護から医療保護入院に至るまで、措置の判断基準、国家法や条例などに基づいた流れ、手順についてご説明ください。同様に、養護施設におけるフローも確認いたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 一時保護が必要な子供や児童養護施設に措置中の子供が、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十三条に基づき、医師により医療保護入院が必要であると判断され、親権者等の同意がある場合には、児童相談所は所内の協議を経て、入院医療機関に一時保護を委託しております。

○上田委員 保護について、児童の意見表明をちゃんと聞くような機会が用意されているのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童相談所長は、子供の意見を尊重しながら一時保護を判断しております。
 ただし、児童虐待などにより、子供の安全を迅速に確保する必要がある場合には、児童福祉法第三十三条に基づき、子供の最善の利益を最優先に考慮して、一時保護を速やかに実施しております。

○上田委員 二〇一八年二月、当時十三歳だった男性が、本人の同意なく医療保護入院措置で強制入院させられたことは違法、違憲だとして、児相を設置する東京都や母親などを相手取り、本年一月十七日、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしております。
 その後、その男性は——当時少年です、病院から逃げ出して、父のいる祖母宅の生活を条件に一時保護も解除され、自宅へ帰ることも許可されたとのことですけれども、誤った児相判断による強引な措置入院は、あってはならないことです。当該病院では閉鎖病棟に入れられていたとのことです。
 かねてより私は、拘束、隔離については抑制を求め、厳しく指摘をしたところであります。今般のこの医療的判断は正しかったのか、記者会見の様子を見る限りは、ご本人は閉鎖病棟に入れるほどの病状が出ていたようには見受けられないように思います。
 都は、措置後の要保護児童の心身の健康や人権擁護については関知しないのでしょうか。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 子供を医療機関に一時保護委託した場合には、監護権を持つ児童相談所長が院内での治療状況や生活について把握し、医療機関と連携しながら対応しております。

○上田委員 ですが、ひきこもり支援をうたう業者に無理やり連れ出され、強制的に五十日間入院させられた三十代男性が、入院先の成仁病院に五百五十万円の損害賠償を求め、裁判で病院側に三百八万円の支払いが命じられました。社会的に支援や養護が必要な方々に対して、あり得ない仕打ちをする精神病院の問題が、近年、大きく明らかになってまいりました。
 経緯や苦情など、当該病院の、今回の一時保護をした、医療措置をした病院の話は答えられないとのことなので、一般的な医療保護入院の対応、考え方、所見をお答えください。

○石黒障害者医療担当部長 医療保護入院は、精神保健福祉法第三十三条により、精神保健指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ医療及び保護のため入院の必要がある者であり、任意入院が行われる状態にないと判定され、その家族等のうち、いずれかの者の同意がある場合等に認められております。

○上田委員 その家族の同意というのが意外にネックでして、虐待している等、課題のある保護者や家族の同意で医療保護されることがあるのではないかと懸念をしております。
 客観性をどう担保するのでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 医療保護入院は、精神保健福祉法第三十三条により、精神保健指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ医療及び保護のため入院の必要がある者であり、任意入院が行われる状態にないと判定され、その家族等のうち、いずれかの者の同意がある場合等に認められております。
 なお、令和四年十二月に公布された改正精神保健福祉法では、令和五年四月から、DVや虐待の加害者を医療保護入院の同意をする家族等から除くこととされております。

○上田委員 いい改正がなされております。
 成仁病院の医療保護入院をめぐる裁判では、東京地裁が、原告男性は指定医の診察を受けていなくて、医療保護入院の基本的要件を満たせていないということを違法判断しております。
 都は、定期の立入検査によって、各精神科病院における強制入院の手続が適正であるか把握していると承知しております。しかし、定期の立入検査では、このような違法な医療保護入院の実態を把握していなかったことになりますまいか。
 立入検査では限界があるというのであれば、どのように、この点、改善できるのでしょうか。所見を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 入院届等の書類については、東京都精神医療審査会において適切に審査しております。

○上田委員 従来どおりということですね。それで発生したのですから、しっかりと改善に向けて取り組んでください。
 一時保護所や児童養護施設における向精神薬投与や薬物治療を受けている入所者の人数と割合について、都は把握しておるのでしょうか。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 一時保護または児童養護施設に措置中の子供の向精神薬投与、薬物治療を受けている人数につきましては、集計しておりません。

○上田委員 私は、養護施設とか一時保護所のバックヤードで、向精神薬がすごくたくさんあって、驚いて質疑を重ねております。
 把握していない中で、児童相談所長や施設長が子供の治療、投薬の権限の行使の適正性をどうしているのか、手がかかる子供を静かにさせる等、大人のための投薬になっていないか、どう検証しているのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 一時保護または児童養護施設に措置中の子供の治療、投薬につきましては、子供の意向に配慮するとともに、親権者の同意を得て対応しております。
 しかしながら、子供の生命または身体の安全を確保するため緊急の必要がある場合には、児童相談所長または児童福祉施設の施設長等が、児童福祉法第三十三条の二及び四十七条による監護権に基づきまして判断し、対応しております。

○上田委員 課題がある保護者、家族は除くという改正精神保健福祉法についても、加味していただくようお願いいたします。
 アドボカシーについてであります。
 一時保護所、児童養護施設においての子供の意見表明が、子供が自分でできるような施設の配慮や対策が必要だといい続けております。SOSも、いつになったら役所や学校を通さずに、警察でも、ほかのNPOでも、ほかの大人に伝えられるようになるのでしょうか。
 児福法も改正されました。権利ノート以外の今後の具体的取組について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 一時保護所や児童養護施設では、子供が意見を伝えるための仕組みといたしまして、第三者委員が施設等を訪問し児童からの相談に対応するとともに、施設内に児童が要望などを伝えられるよう意見箱を設置しておりますが、第三者委員の活動の頻度や意見箱の開封頻度には差がございます。
 都は、今後、施設等に対しまして、これらの仕組みをより有効に活用するよう働きかけてまいります。

○上田委員 意見箱、タブレットの時代に意見箱ですね。タブレットからのSOS発信を求めます。今、もう子供たち、タブレットを持っていただきたいと思います。
 今度は、意見箱、権利ノート以外のSOSのことを聞きたいと思います。取りあえず、SOSのDX化をお願いいたします。
 児相の一連の措置について、子供が自分で現状を把握し、自分で判断をして意見表明ができる環境をいかにつくっていくのか、所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 児童相談所のケースワークにおきましては、児童福祉司及び児童心理司が直接子供の意見を聞き、その意向を尊重した上で、子供の最善の利益の観点から援助方針を決定しております。
 来年度は、措置決定の過程での子供の意見表明等を支援するため、意見表明等支援員の活動内容などについて検討してまいります。
 なお、一時保護所では、第三者委員が児童の生活上の相談等に対応しております。

○上田委員 一方で、相変わらず児相の措置につき大変不満を持つ保護者から、毎月のように相談の連絡が私のところに寄せられております。
 措置せずともよかった家族を分断することのないよう、今後の保護者への支援や説明責任、適正な判断による適正な措置対応の構築について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童相談所は、援助方針案を子供や保護者に伝え、その意向を確認した上で、子供の最善の利益を最優先に援助方針を決定しております。

○上田委員 多くは接遇が悪くてこじれるようなことが多いので、仮に措置することになっても、親御さんへの接遇と説明責任を丁寧にお願いしたいと思います。
 民間事業者を活用し、一時保護児童を受け入れる事業を実施することになりました。二月二十日の公表から三月末日の選定まで期間が短く、企画提案方式で選定とのことですが、実際は事業者が決まっていて、形だけ選考手順を踏むように思えてなりません。
 事業者の条件や判断基準をお示しください。このところ、民間事業者の不正が発覚していることからも、どう質の担保とチェックをするのかも併せて回答願います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 運営事業者の選定に当たりましては、企画提案方式により募集を行い、外部委員を含めた審査委員会におきまして、知識、経験や業務遂行力、研修の実施体制等を審査いたします。
 また、事業開始後は、一時保護所と同様に、第三者委員である弁護士が訪問し入所児童から相談を受けるほか、事業者に対しましてサービスの質の向上に係る助言を行ってまいります。

○上田委員 どこかで聞いた企画提案方式。しっかりチェックさせていただきたいと思います。
 かねがね私は、虐待情報の警察との全件共有を目黒区五歳女児虐待死事件前から求めており、その後も凄惨な虐待死事件が日本中で後を絶ちません。
 警察庁の統計によりますと、虐待の疑いがあるとして警察が児童相談所に通告した十八歳以下の子供の人数は十一万五千七百六十二人で、過去最多となりました。
 虐待通報は警察が半分以上で、警察が発した情報は全て児相に提供しているにもかかわらず、相変わらず児相や福祉保健局からは、深刻と思われるものと判断した場合ということで、そこに裁量権が発生し、子供の命がこぼれ落ちていきます。
 児童虐待の危険度を四十八のチェック項目で四段階に自動分類するシステムを、昨年、警察庁が開始していますが、連動状況につきご報告ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 現在、都内全ての区市町村は、児童相談所、警察、子供家庭支援センターなど、地域の関係機関で構成する要保護児童対策地域協議会等のネットワークを構築しておりまして、各関係機関がリスクアセスメントの結果など、情報の共有を図りながら援助方針を確認し、児童や家庭を支援しております。

○上田委員 今、都もDX化を旗印に、巨額の予算が投じられております。社会実験とかよりも命の方が大事じゃないでしょうかね。
 DX施策を活用して、この際、警察と児相の虐待情報全件共有を爆速で進めるべきと考えますが、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、警察との情報共有につきまして、虐待非該当、警察による通告及び助言指導としたものを除きます身体的虐待、ネグレクト、性的虐待があると考えられる全ての事案、四十八時間以内に児童の安全確認ができない事案、他県との移管ケースをその範囲といたしまして、リスクが高いと認められる全てのケースについて共有をしております。

○上田委員 随分予算規模が、大分小さい。大阪府では、もうデータベースを共有しているんですよ。
 さっき、都がリスクが高いと判断するとおっしゃっていましたけど、その基準、その判断を誤って、過去に多くの子供の命が失われてきたことも念頭に、判断を誤ることの想定はしていないのか、誤った場合の責任は誰がどう取るつもりなのか所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 今後とも、警察をはじめ、子供家庭支援センター、保育所、学校、医療機関など、地域の関係機関と緊密に連携しながら、児童虐待防止に取り組んでまいります。

○上田委員 責任の所在が分かりませんので、全件共有を求めます。
 このところ、各会派において、CDR対策要望が活発でございます。
 都立病院と監察医務院は、日頃から連携し、知見の共有を図っているとのことですが、これまでの実績と今後の予定などお聞かせください。

○齋藤都立病院支援部長 令和二年度以降、監察医務院が実施する検案業務研修に参加した都立病院の医師は十一名で、解剖見学に参加した初期臨床研修医は十六名でございます。
 また、都立病院の検査技師を中心にした病理に係る検討会に参加した監察医務院及び都立病院の臨床検査技師等は延べ三百五十七名でございまして、引き続き連携を図ってまいります。

○上田委員 命が、どんどん成長していく子供が死ぬというのは、それだけでもちょっと不自然を疑わなければならないと思います。ぜひ都立病院のドクターは、虐待死のケースを共有していただきまして、できればというか、私は監察医務院での、子供に関しては悉皆の検案を求めてまいりたいと思います。
 クリニックドクターメンタルについてです。
 診療報酬の不正請求により、今年の二月、保険医療機関の指定の取消し及び保険医の登録の取消しとなりました。自立支援医療の指定機関となっていたことから、都の責任も重大ではないでしょうか。
 かねてより、自立できない自立支援医療の問題を指摘してきましたが、自立支援医療費の不正分を確認して返還を求めるのか、自立支援医療の指定医療機関の取消処分をするのか、はたまた刑事告発をするのか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 クリニックドクターメンタルについては、国が令和五年二月十七日付で保険医療機関の指定を取り消しており、国から都に対して指定取消しの通知がございました。
 都道府県が指定する自立支援医療機関は、障害者総合支援法の規定により、保険医療機関であることが要件とされているため、都は、法令等に基づき、取消処分に向けて手続を行っており、返還等についても適切に対応することとしております。

○上田委員 取消しと返還、前向きなご答弁、ありがとうございました。
 歌舞伎町にある東京クリニックです。
 院長が患者に対する傷害と別の患者に対する名誉毀損罪で起訴されていましたが、ようやっと先月の二月、実刑判決が東京地裁でいい渡されました。
 クリニックの所管は、特別区である新宿区であることは承知しておりますが、同クリニックは過去にも問題を起こし、二〇〇七年には、医療法に基づいて都と新宿区が合同で、新宿区は立入検査をしました。当時は医師法違反が発覚。その後、二度目の医師免許停止の行政処分が下されています。
 このような問題ある医師が再び歌舞伎町で開業し、運営していたことについて、都は把握、監視していたのでしょうか。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 医療法において、医師が診療所を開設したときは、診療所の所在地の保健所に届け出ることとされております。
 医療法上における当該診療所の管轄は、新宿区保健所でございます。

○上田委員 それでは、都の医療安全課に同クリニックに関する苦情や相談は来ていなかったのでしょうか。都の管轄ですよね。来ていたら、どんな対応をしたのでしょうか。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 診療所に関する相談への対応、医療法に基づく報告の徴収等は、診療所の所在地を管轄する保健所が担当しております。
 診療所に関する相談等が都に寄せられた場合は、必要に応じて保健所へ情報提供を行っております。個別の医療機関に関する相談件数等については、お答えができません。

○上田委員 今後、院長が仮釈放され、今回の刑事事件で医師免許の停止、あるいは剥奪の行政処分が出る前に再び医業を再開する可能性があるのですが、保健所や都に、その再開を拒む権限はあるのでしょうか。確認させてください。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 医師法第七条に基づき、医師に対する行政処分は厚生労働大臣が行うこととされております。
 医療法では、医師が診療所を開設したときは、必要な書類等をそろえて診療所の所在地の保健所に届け出ることとされております。
 なお、医療法上における当該診療所の管轄は、新宿区保健所でございます。

○上田委員 人ごとのようなんですけれども、過去に向精神薬の不正処方や不正譲渡などでもかなり問題を起こした医師であります。都には薬務課がありますし、指定自立支援医療機関における不正についても調査する権限があります。
 実態解明や再発防止に向けて、都にもできることがあると思われますが、いかがでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 都は、障害者総合支援法に基づき、指定自立支援医療機関に対して適切に指導監督を行っております。

○上田委員 都が関わるところを網目のようにチェックをしていただきたいと思います。
 滝山病院の件です。
 八王子の滝山病院で五十歳代の看護師の男が暴行容疑で逮捕されました。詳細については、ほかの委員の皆様も説明したので、説明は割愛しますが、令和三年一月、厚労省の通知を受けて、都道府県においても精神科医療の実地指導を強化、職員や患者に聞き取りをするなど、患者に対する虐待の有無を確かめるようにしてきたはずです。
 都も、その通知に基づいてしっかりと精神科病院を指導するよう、この事件が起こる前から何度も、事務事業だ何だって私は質問していましたが、まるで問題がないような回答ばかりでありました。であるのに、複数の精神科病院が患者側から現在訴えられております。
 滝山病院においても、都は、実地指導で虐待を見つけられなかったばかりか、報告書では、人権侵害について四段階評価で上から二番目のB判定、身体拘束など入院患者の生活状況については、多くがA判定であったとも報道されています。
 結局のところ、虐待や不当な入院や拘束など、状況を見つけ出すことについて、精神科病院に対する実地指導が全く機能していなかったということではないでしょうか。そこで、都の責任を重く感じていただきたく、以下について質問します。
 滝山病院には、どれだけの精神保健指定医が常勤していたのでしょうか。また、朝倉重延院長自身は、精神保健指定医の資格を持っていたのでしょうか。資格があったとしたら、過去の経緯、朝倉病院事件でありますよね、それなのに、なぜ取得ができたか。理事長に資格がなかった場合は何名資格者がいたのか、確認します。

○石黒障害者医療担当部長 医師個人の精神保健指定医資格の有無は、個人情報のため回答を差し控えます。

○上田委員 国の精神保健福祉資料調査によれば、令和四年六月三十日時点で一名いるというふうに私の方は把握しているところでございますが、従来の実地指導では、虐待も違法拘束も見つけられないことを図らずも実証してしまったわけであります。
 今後、精神科病院の実地指導についてどのようにしていく方針でしょうかというのは、ほかの委員さんもしていましたけれども、抜き打ち検査をもっと積極的に実施すべきだと私は思っております。その点についてお答えください。

○石黒障害者医療担当部長 都は、関係法令等に基づき、定期の立入検査に加え、例えば入院中の者に対する虐待が強く疑われるなど緊急性が高い場合については、予告なしで実地指導に入る場合もございます。

○上田委員 強く疑われるのは、どうやって知ることができるのか。またちょっと課題をいただきました。
 都の医療相談などで滝山病院につなげたケースはありますか。確認します。

○石黒障害者医療担当部長 都では、相談者の症状やニーズに応じて、相談に対応しております。

○上田委員 滝山病院を紹介した事例はあったのか、なかったのか、どうなんでしょうか。
 死亡退院の数や割合が大きく、高齢者のみならず、比較的若い年齢の患者の死亡も報道されております。過去四年間で、四十六人中三十一名が死亡退院です。松沢病院での過去三年間の死亡退院は約二%ですが、この滝山病院の数字は異常だと思います。
 重要なのは、長期入院の末に亡くなったのか、入院して間もなく亡くなっているかの傾向を明らかにすることです。死亡退院のうち、精神科の全退院者の何%が死亡退院なのか、年齢と入院期間、入院して何か月後の死亡かの内訳についてご説明の上、都の所見を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、精神科病院における全退院者の情報は保有しておりません。

○上田委員 ぜひ把握に努めていただきたいと思います。
 私が昨年、事務事業で取り寄せた資料、57、59、60、精神科医療機関の立入検査、虐待件数についてはゼロ件、同通知を受けて実地指導したのは、たった一件でした。
 実地指導は滝山病院だったのでしょうか。確認します。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 具体的な病院名につきましては、お答えは差し控えさせていただきます。

○上田委員 それでも、私が資料要求して都が把握した数字には上がっていないのに、患者から訴えられたり、逮捕者が出る法人が連発しております。
 精神科病院における虐待や不正について看過した福祉保健局の責任は重く、七月から福祉局と保健医療局に分割されるに当たって、再発防止、虐待根絶と実地指導の徹底について、深い反省を踏まえた局長の見解を求めます。

○石黒障害者医療担当部長 今般、滝山病院で、虐待が強く疑われる情報提供があったため、速やかに立入検査を実施し、事実の確認を進めております。
 引き続き、立入検査、実地指導も含めた指導監督を適切に実施することとしております。

○上田委員 今後は、マスメディアに先に報道される前に東京都が見つけて、患者さんたちを救ってください。もうそれ以上でも以下でもありません。よろしくお願いします。
 不正受給や不適切事案についてです。東京都若年被害女性等支援事業についてです。
 昨年秋頃から、Colabo問題として、同法人の事業委託費の使途について、一般男性が法人の会計報告に経費の過大申告があるとし、監査請求をされました。
 私ども自由を守る会が一昨年十二月に、無免許、当て逃げ都議の報酬の都への全額返金を求め、板橋区民と共に監査請求するも、監査を実施しないとあっさり棄却。が、それとは対照的に、今回、主にSNSで批判が殺到し、国会議員まで巻き込む異例の事態に発展したことを受けて、監査委員は慌てて動き始めます。法人の経費処理に不当な点が認められたとして、所管する都の福祉保健局に再調査を求めることになったのです。勧告をした事例は、前都知事の公用車の使用について、平成二十八年以来で、その前は平成十五年とのことです。
 私は、二〇一八年十月の東京都若年被害女性等支援モデル事業の開始直後の十二月に、同事業について少し心配なことがあって文書質問をしておりました。というのは、同じ会派の元都議が、同団体の、要するに、事務処理が大変で困るというような陳情を受けて、都に柔軟な対応を求めたことにちょっと違和感を抱いたのと、夜間巡回バス事業において、都職員や出入りした国会議員の態度や対応に不快に思うことがあったようで、Colabo代表がSNSで発信し、当時話題になったからでした。
 確かに、役人仕事という言葉もあるとおり、接遇などには私も時々クレームを受けることもあります。ゆえに、本来どちらかというと都政事業は機能しているのかという観点から質疑をするのですが、それにしても、代表の発言を読んだところ、これは一方的、過剰的な反応とも取られかねず、客観的に私も判断したいと気になったところから、また、先行き大丈夫なのという観点から、課題はありませんかという質問をした次第でございます。
 回答は、団体自らが公募に企画提案した——あれ、企画提案、さっきも何か出てきたような気がするんですけど——内容により、Colaboも含め、各団体と創意工夫を生かして行っているとのことでした。
 課題については、都と団体の連携について試行錯誤をしているということが正直あったようで、現時点での認識を述べるのは難しいとの説明を受けていました。要は、当初から波乱含みであったなということです。
 そして、四年の歳月がたち、ネットを超えた大きな関心を国民から抱かれてしまう事態に、大変発展した事態です。私のところへも、疑義を呈す声も多数届いておりますし、一方、若年被害女性等支援は大切なことであり、団体ではなく女性本人を救わなければならない、事業にしなければなりません。
 そこで伺います。若年女性の自立の推進に資する目的をこの四年間でこの事業は果たしたのでしょうか。モデル事業開始以来の実績を踏まえ、団体ごとの成果をご報告ください。また、数字だけではなく、実際どれだけの女性が、警察や福祉事務所等から成る関係機関と連携会議を開催するなど、具体的な支援内容——これ、都がいっていたんですね、これに結びついたのか、把握しているのかも伺います。

○奈良部少子社会対策部長 本事業は、平成三十年度から令和二年度は三団体に委託、令和三年度からは四団体に委託して実施しております。
 現在委託している一般社団法人Colaboと特定非営利活動法人BONDプロジェクトは平成三十年度から、特定非営利活動法人ぱっぷすと一般社団法人若草プロジェクトは令和三年度から委託しております。
 それぞれの令和三年度までのアウトリーチ回数と保護の実績は、Colaboが百十七回三百五十五人、BONDが百六十回百三十人、ぱっぷすが八十二回十人、若草プロジェクトが三百一回十七人となっております。
 具体的な支援内容の例といたしましては、ネットカフェで寝泊まりしていた女性を団体のシェルターに保護し、その後、生活保護の申請を行ったケースなどがございます。

○上田委員 人数と回数の把握をさせていただきました。コロナもありましたけれども、やはり数字的にどうなのかなということを勉強させていただきたいと思います。
 四団体の選考をしたのとその決裁者については、浜中委員がいろいろ質疑されても明快な答弁がなかったことから、この質問も私も割愛させていただきます。
 これまでの各年度ごとの予算づけと積算根拠が知りたいです。
 予算委員会では、川松議員が二千六百万円から四千五百万円に増額されたことを指摘されていたんですけれども、それについても先ほど質問がありましたが、私が聞きたいのは、そもそもの事業の具体的な増額も含めた積算根拠を各団体ごとにご説明いただければと思います。

○奈良部少子社会対策部長 令和四年度の予算の増額理由といたしましては、アウトリーチ支援では職員やアルバイトの人件費、相談対応職員の研修費用などで九百五万円の増、居場所の提供では夜間における一時的な保護に対応するための支援員や支援対象者の生活費など九百十二万円の増、自立支援では利用者の自立に向けた支援を行うための職員やアルバイトの人件費で三百二十九万円の増となっております。
 若年女性の自立支援を推進するため、合計で一団体当たり二千百四十九万七千円の増となっております。

○上田委員 各団体ごとというふうに質問させていただいたんですけれども、資料でも、四団体に、全額とはなりますけれども、五年間で約四億円の事業となっております。足りなくて持ち出ししているたくさんの学童クラブや発達障害支援施設もある中、随分と、ある意味支援が手厚く、結果が出せているのかなというふうに思ったところでございます。
 住民監査請求受領から再調査、報告、それを受けて、福祉保健局の今後の対応について、Colaboの会計管理体制に係る都の課題認識、小池知事にはどのような報告がされていたのか、小池知事に忖度して問題を隠そうと動かず、なかったことにしようとしなかったかを含めて、時系列で詳しく、浜中委員も指摘をされておりましたけれども、ご報告をいただければと思います。

○奈良部少子社会対策部長 令和四年十一月二日に、請求人から監査委員に対し、監査請求が行われました。
 その後、令和四年十二月二十八日に、監査委員から知事宛てに監査結果が通知されました。若年被害女性等支援事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定することなどを求める勧告がなされたため、これに基づき調査を実施いたしまして、その結果を令和五年二月二十八日に、知事名で監査委員に通知いたしました。
 なお、調査の過程で団体側から領収書の一部が提示されなかったことは、仕様書の規定に反しており、団体に対し開示を指示しております。

○上田委員 監査報告をしたということは、知事は、これは国の事業じゃないということが読めば分かると思いますね。都が選んで委託をしているということ、お分かりになっていたと思うんですが、その後の記者会見はやっぱり謎でしかありません。
 勧告には、監査対象局は、本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なものにすることとのことですが、これ、どのようなことで、具体的にどう対応するのでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 勧告では、団体の台帳に記載されている二千九百五万七千円について、実績額を再調査することとされておりました。都は、管理台帳に記載された全ての項目につきまして、領収書等を突合するなどして調査を行いました。
 その結果、本事業の実施に必要な経費の実績額は二千七百十三万一千円と特定いたしまして、このうち、委託料の上限額の範囲内である二千六百万円を委託料として確定いたしました。

○上田委員 その中でも、やはり領収書の一部の提示を拒んだことが、多くの都民どころか国民に関して、疑義を、求められております。
 これについては質問が重複しますけれども、もちろん被害者女性やシェルターの身元が分かるようなことは、当然開示しちゃいけません。ただ、その分を東京都お得意なノリ弁にすればいいわけでありまして、この点におきましては、しっかりと団体に説明をしていただきまして、対応をお願いしたいと思います。
 福祉保健局における委託事業者の管理体制に問題はなかったのか、今後どうするのか。まずは再調査となったColaboについてご説明の上、ほかの三団体についてもどうするかご説明ください。

○奈良部少子社会対策部長 本事業では、Colaboを含めて全ての受託団体に、四半期ごとにアウトリーチの実施回数、声かけ人数、相談人数、関係機関との連携状況、年齢別の保護人数や事業実績額などにつきまして事業実施状況報告書の提出を求め、履行状況を確認しております。
 これに加えまして、関係機関連携会議やケース検討会議等において取組状況を聞き取るなどして、事業の実施状況等を把握しております。
 令和四年度の事業の履行状況や経営状況につきましては、外部有識者で構成する評価委員会で審査することとしております。

○上田委員 しかしながら、結果的には再調査となっていったことでありますので、おっしゃるような体制をどう構築しているのか、都民、国民も見守っているところだと思います。
 個別の高額な食事代においても指摘されておりますが、これも悪いのかいいのかというところも難しいところであります。判断基準はありますか。遠隔地での宿泊代とは、どういったものなのでしょうか。保護を必要とする、この事業の共通判断基準というのがあるとしたらばお示しください。

○奈良部少子社会対策部長 監査で指摘された食事代につきましては、支援対象者との面談など、自立に向けた意識づけを目的としたものでございました。支援対象者の自立を図るための会食等は、事業実施上、必要性が認められることから、本事業の対象経費といたしました。
 また、遠隔地での宿泊代につきましては、生活習慣の立て直しのための合同宿泊訓練を目的としたものなどでございました。支援対象者の自立を図るための宿泊は、事業実施上、必要性が認められることから、同じく本事業の対象経費といたしました。

○上田委員 情報化社会の時代ですので、理解が得られるような形での適正な使用を、私も、要らぬ批判が及ばぬような対応をしていただきたいというふうに思います。
 夜間巡回バス事業の稼働率なんですけれども、どうなっていたのでしょうか。モデル事業開始以来、これまでの稼働率と実績をお示しください。

○奈良部少子社会対策部長 バスカフェ事業では、新宿区役所の敷地などにバスを停車させ、若年女性の相談支援を行っております。平成三十年度のモデル事業開始以降、バスカフェ事業は原則として週一回実施しております。
 平成三十年度から令和三年度までのバスカフェの実施回数は、コロナ禍による休止などもございましたが、百十七回実施しております。

○上田委員 百十七回ということでありました。本当に、若年女性の支援のために稼働率がもう少しアップをして、救っていただければということを願ってやみません。
 自主事業の中長期シェルター保護女性の給食費はどのようにすることが、ご批判もありましたので、望ましいと考えるのか、所見をお聞かせください。

○奈良部少子社会対策部長 自主事業につきましては、都の委託料の範囲外でございますので、各団体がそれぞれの財源で実施しております。

○上田委員 キッズラインの経沢社長はベビーシッター事業で認定を受けながら都の女性ベンチャー促進事業、いわゆるAPTの一期生であると、公平、公正性に欠けるものではないかと指摘を長年していました。結果的に子供への性犯罪が発生し、さらには事務処理の不備も発覚するに至りました。
 都の委託事業者、関係者が、若年被害女性の支援活動の厚生労働省の審議会に名を連ねていることに関して、同じく利益誘導とも取られかねず、私は違和感を持っていましたが、政府関係審議会に関係することから、同団体のチェック機能が緩むなどのようなことはなかったのか、国の審議会などに関係する団体に委託して、都の事業の健全性が保たれるのか、都の所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都では、外部有識者も加えた審査会におきまして、実施団体等の強み、特徴的支援を行う上で優位と思われる事項があるか、適切な実施体制や必要な人員が確保できているかなどを審査した上で、事業者を選定しております。

○上田委員 それは何か都の意見なんですが、やっぱりおかしいと思う方が多いので住民監査請求になって、様々指摘をされていることでございます。こうした審査会において決めたから正しいんだという姿勢ではなくて、謙虚に受け止めて、いま一度検証していっていただきたいと思います。
 いろいろなこれまでの声を受けましたか、本事業は令和五年度から補助事業化することになったそうであります。
 経緯や理由と、補助事業化することで本当に若年女性の真の支援につながるのか、補助事業とした場合の四団体の取扱い、それぞれの来年度予算の金額とその根拠、今後、定期的に審査や公募をして適正に団体を入れ替えるなど、健全な事業者の参入機会を担保するのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 今後、事業効果を高めるため、規模にかかわらず、より多くの団体の活動を支援できるよう、補助事業化するものでございます。
 令和五年度の予算は、国の概算要求や事業実績などを踏まえまして、一団体当たり四千五百五十八万五千円を計上しております。
 補助事業化に当たりましては、事業の公益性、信頼性を担保できるよう、対象事業者の要件などを厳格に設定してまいります。

○上田委員 適正に新規参入の機会をつくるということを確認させていただきました。
 この件については、最後の質問になります。
 Colaboに支援を求めて避難してきた女性らを沖縄基地問題の政治活動に参加させていたのではないかということも報道されております。また、共産党のユーチューブにも出演され、比例は共産党と、投票行動をColaboの代表が促しています。一般の市民団体であれば大いに政治参加をして結構ですが、政治的中立が問われるはずの血税が投入される委託事業が、かくも堂々と投票依頼をしていいものなのでしょうか。
 税金を納めてくれる都民は、様々な支持政党を持ち、また、支持政党もない無党派層が大部分を占めております。憲法二十条では政教分離が掲げられています。政治の介入なく信教の自由を保障するものであり、その逆もあってはならないのに、行政事業への政治介入は厳しくいさめられるものと思料します。
 委託団体や補助金交付団体における政治活動、投票依頼、利用者を特定国政政党への投票行動や政治活動に促すことに関する都の所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 選挙運動につきましては公職選挙法の各規定の適用を受けますが、選挙運動期間中にウェブサイトやSNS等を利用する方法や、電話等の方法で投票を呼びかけることにつきまして、都事業の委託先の団体やその代表者を除外する規定はございません。

○上田委員 委託も含め、補助金団体の政治的な活動は、明確な規定で除外されているわけではないにしても、基本的には好ましいものではないという社会的コンセンサスがあるわけです。
 よって、例えば町内会や消防団の役員が政治的な活動をする際にも、あくまでも、それは団体の活動ではないということを何らかの形で明確にして行っているのが通例です。いい換えるのならば、基本的には好ましくないと思われることには踏み込まないという、ある種の社会的な常識がこれまで働いてきたわけでございます。
 一方で、今回の事案においては、Colaboさんの共産党への投票依頼、このようなエクスキューズがあるわけでもなく、露骨な形で政治活動が行われている事実が批判を受けているわけなのではないでしょうか。
 要するに、本来であれば、市民の良識がこのような仕組みを守ってきたわけでありますが、良識が十分に共通理解になっていない事案がある以上、補助金を出す側、東京都から、ある程度の注意喚起があってしかるべきではないかと私は考えるものであります。でなければ、いわゆる行政と政治活動の癒着が問われても、いい逃れができなくなるわけではないでしょうか。
 例えば、医師会は政治活動はしませんが、医師連盟が政治活動を行っています。メンバーは、ほとんど同じではないかなんていう批判も、あるにはありますが、あえて医師会ではなく医師連盟が政治活動を行うところに、このぎりぎりの線があるわけです。
 背景にあるのは、補助金団体は政治活動をしないという良識なわけでございまして、このような先人が積み重ねてきた努力を、ぜひとも都として十分にしんしゃくし、注意喚起、補助金団体の政治活動に関する注意喚起をしていただきたいものでございます。
 次の質問に移ります。グローバルキッズでございます。
 補助金不正受給についてでございますが、補助金不正受給に係る現時点の区市町村からの報告、こうした事案に対する今後の指導監督について、都の所見を求めます。

○坂本指導監査部長 都は昨年一月から、本事業者に対しまして特別指導検査等を実施いたしまして、十六か所の認可保育所等で、勤務実態のない保育士を在籍していたかのように虚偽の報告を行っていた事実を確認したところでございます。
 その後、本事業者に対しましては、責任者を都庁に呼びまして、特別指導検査等の結果を通知し、速やかに是正するよう厳しく指導を行うとともに、関係自治体に適切な対応を行うよう依頼いたしまして、給付費の返還の対象となる十一区から、給付費等の所要額の返還等の対応を行ったとの報告を受けているところでございます。
 引き続き、不適正な事案につきましては、区市町村と連携し、厳正に対応してまいります。

○上田委員 資料を見ていただければ分かるように、34ですね、二十九億円でございます、これまでの新設園にかかった経費、それから補助がですね。
 また今後グローバルキッズから新規保育園開設の申請があった場合、受けるのかについて、都の対応をご説明ください。

○奈良部少子社会対策部長 保育所の設置認可の申請があったときは、条例で定める基準及び児童福祉法第三十五条第五項で定める基準に適合するか審査の上、適合していれば認可することとなります。

○上田委員 情熱ある私の知っている事業者さんは、もうどんなに条件をそろえてもなかなか承認取れなくて、グローバルキッズなのという話も届いている中、このようなことがありましたから、ちゃんと、ここを厳しくというのではなくて、もっとフラットに、一生懸命やっているところの評価もやっていただきたいというふうに思っております。
 株式会社コスモズについてです。
 小金井市に本拠を置き、都内に二十一園展開するコスモズは、三鷹、小平にて、保育所開設に当たり二千万の補助金を不正受給した疑いがあることが明らかになりました。系列の保育園では、昨年八月に園長が、汚い、ティッシュで拭けと子供への暴言、虐待についても判明しています。
 さらに、二十五年前に、当時は小金井市議であった同社理事長の関わる福祉団体の、補助金の還流疑惑に係る百条調査報告書が同市議会で議決されました。
 かなり前とはいえ、都は、これらの問題を把握していなかったのか、なぜ再発防止に生かされなかったのかも含め、コスモズに対する補助金不正受給についての経緯と対応状況をご報告ください。また、同社が江戸川区にも進出しようとしていると聞きましたが、現状をご説明ください。

○奈良部少子社会対策部長 現在、両市が事案の詳細について調査を進めているところでございます。両市に対しましては、都から交付を受けた施設整備費補助金につきまして、過大交付となった場合には都に返還するよう依頼しているところでございます。
 また、同社が江戸川区内で小規模保育事業を開始予定であることは、認可権者である江戸川区を通じて把握しております。

○上田委員 また、三月八日、江戸川区は、ほほえみ保育園で園児の腕を引っ張り、左肘を脱臼させるなど、同じ保育士による五件の不適切保育があったことを公表しました。
 この件についても、都にどのような報告があり、法人における再発防止策、現状の対応がどうなっているのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 当該法人が都内で運営する認可保育所は当該保育所のみでございまして、この保育所の認可権限は江戸川区にございまして、本件については区が対応しております。

○上田委員 一応、他区市にも出ることもありますので、情報を把握しておいてください。
 小池都政となり、待機児童解消が進んだことは評価いたしますが、事ほどさように、粗製乱造、安易な認可で、虐待が頻発しているのではないか危惧するものでございます。被害を受けるのは、物いえぬ乳幼児です。経営難での閉園や撤退、保育事業の売買など、今後想定されますベンチャー保育株式会社なんかはそうですよね。
 法改正で、さらに子供の人権擁護も強化される新年度となりますことから、民間事業者の相次ぐ虐待や不正受給を今後根絶し、質の担保と安定した経営維持に向けての都の対策と所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、保育所が質の高い保育を展開できるよう、キャリアアップ研修の受講機会の確保や施設間交流などにより、保育所職員の資質や施設長のマネジメント力の向上に取り組む区市町村を支援しております。また、保育サービス推進事業によりまして、保育サービスの向上に取り組む区市町村を支援しております。
 保育施設における虐待について通報があった場合は、保育の実施主体である区市町村と連携し、必要な調査、指導等を実施しております。

○上田委員 引締めをよろしくお願いします。
 キッズラインについてです。
 再三再四にわたって、認定の取消しを求めてきております。この件を追い続けているジャーナリストの最近の記事に震撼しました。事件から一年たって被害児童が小学生になり、忌まわしい記憶がよみがえってきたそうです。
 あの人、嫌だったな、お尻触ってくる人。だってね、お尻出してっていってきてね、すごく嫌だったけど出したんだけど、こうやってこの辺、こういう手つきで触ってきた。キッズラインには改めて、子供からこのような発言があったことについて、あまりにもリアルでショッキングで、うちの子も完全に被害者だったのだと確信しましたと連絡をしました。しかし、キッズラインからは、内容を確認いたしました、サポートが必要な際にはご遠慮なく申しつけてくださいといったメッセージが届いただけだった。
 これ以上の説明は不要と思います。こうした法人に認定を続けて血税を費やさず、一旦ゼロベースにしていただきたい。所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は令和二年六月、当該事業者に対しまして、認定基準等の遵守状況を確認するため、サービス提供約款に基づく立入調査を実施しております。その結果、認定基準等に適合しない事実を確認したため、改善を指導し、同年十二月に改善されたことを確認しております。
 また、令和三年十一月から十二月には、全ての認定事業者に対し立入調査を実施いたしまして、認定基準等に適合していることを確認しております。仮に、都が認定しているベビーシッター派遣業務において重大な事故等が発生した場合は、事故を起こした事業者に立入調査等を実施し、運営状況が基準に適合しない事項について改善指導を行います。
 指導を行っても改善されない場合は、認定取消しも含め、厳正に対応してまいります。

○上田委員 被害児童が、やっとアドボカシー、意見表明をしたんですね。それに対する対応は、やっぱり私はひど過ぎると思います。引き続き、次、契約更新を認めないようにお願いしたいと思います。
 動物愛護についてです。
 愛護センターですが、新施設の整備に向けて、都は令和四年度に、有識者による検討組織を設け、新施設の基本計画策定のための予算が来年度盛り込まれますが、二〇一七年に立ち上がっていた板橋区において新設するはずだったのに、なぜか頓挫してここまでずれ込んでしまいました。なぜなのでしょうか。
 あれから六年もたちましたが、板橋区での計画が立ち上がり、頓挫した経緯も含め、また頓挫することはないのか、今後の計画についてご説明ください。

○藤井健康安全部長 都は平成二十九年、動物愛護相談センター整備基本構想を策定し、センターに求められる役割や必要な機能、施設等の整備の在り方を取りまとめました。
 令和三年には、動物愛護管理推進計画を改定し、センターは、動物愛護管理施策を推進するために必要な機能を整えるとともに、都民や関係者との協力等を視野に入れた利便性や、業務の効率性等についても十分に考慮した都民に開かれ、より親しみやすく身近な施設とすることといたしました。
 今年度は、ボランティアや獣医学の専門家等で構成する検討会を設置し、具体的な機能や施設等について検討を行いました。
 来年度は、検討会でいただいた意見も活用し、新たなセンターの基本計画を策定することとしております。

○上田委員 地域住民の理解も大事ですけれども、声の大きい住民ばかりではなく、全体益を進めて、基本計画の方を進めていただきたいと思います。
 センターでは、犬、猫、イエウサギ、鶏及びアヒルが保護の対象となっておりますが、昨今は多様なペットを飼う都民がたくさんいます。結構ユーチューブにも上がっております。
 対象以外の虐待対応と、また、対象ではない動物の動物愛護政策をどのようにしていくのか伺います。

○藤井健康安全部長 都は、動物の飼い主に対し、動物の遺棄、虐待の防止、終生飼養の責務及び動物の適正な取扱いについて、普及啓発を実施しております。
 また、負傷した犬、猫、イエウサギ、鶏及びアヒルについては、動物愛護管理法及び条例に基づきまして、動物愛護相談センターが受入れを行っております。
 虐待が疑われる事例を探知した場合には、動物の種類を問わず、飼い主等へ聞き取りや現地調査によって事実を確認した上で、区市町村や警察とも連携して対応しております。

○上田委員 門前払いとなっていないことを確認しました。
 コロナ対策です。
 仮称東京都新型コロナウイルス感染症相談センターの委託事業者と、選考基準や今後の過程、どう進んでいくのかについて、また、様々な機関が一体化するということで、ご説明いただければと思います。

○加藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 現在の各センターの運営事業者につきましては入札で選定しておりまして、発熱相談センターは株式会社阪急交通社、SCSKサービスウェア株式会社、ギグワークスアドバリュー株式会社、株式会社NTTマーケティングアクトProCXの四社、自宅療養者フォローアップセンターは東武トップツアーズ株式会社、株式会社メディカル・コンシェルジュの二社、うちさぽ東京は株式会社NTTマーケティングアクトProCXの一社に委託しております。
 これらのセンターにおきましては、発熱等の症状のある方への地域の身近な医療機関の案内や自宅療養中の方からの健康相談に二十四時間体制で応じるなど、安心して療養できる環境を確保してまいりました。
 今般、補正予算に計上いたしました仮称東京都新型コロナウイルス感染症相談センターにつきましては、令和五年五月八日より運営開始予定でございます。運営事業者につきましては、今後、入札によって選定してまいります。

○上田委員 健全な過程を経ての入札決定を要望いたします。
 また、モニタリング検査、本当にコロナ発生以来、ご尽力、各現場の皆様にいただいたと思います。
 これは今後の大きな、対策について寄与するものと思いますので、感染防止、抑止効果への検証につきまして、ご報告いただければと思います。

○及川新型コロナウイルス検査事業推進担当部長抗体カクテル療法促進担当部長兼務 都は、感染の予兆を早期に探知するため、令和三年三月から、繁華街など様々な場所で約八十八万件のモニタリング検査を行い、市中の感染状況の変動を観測してまいりました。
 医療機関から報告される患者数の増減傾向など、他のモニタリング指標と併せてホームページで公表することによりまして、専門家や都民の方々の感染動向の把握に寄与してきたと認識しております。

○上田委員 今後も、各自治体、ひいては海外とも共有をしていただきたいと思います。
 また、ワクチンを接種した回数とコロナの罹患率の関係性について注目しておりました。この間、把握、研究、調査にて得た分析結果などをご報告くださいませ。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 都は、昨年四月のモニタリング会議において、ワクチンの接種回数と新規陽性者の発生割合との関係性について、都の調査に基づいた三回目接種までの分析結果を報告しております。
 ワクチンの接種歴別の感染者の発生割合については、ワクチン三回目接種者は未接種者の約五分の一、二回接種者と比べても約三分の一と、接種を重ねるごとに低下しております。
 また、昨年七月のモニタリング会議では、都内各年代の感染率と三回目接種率の関係について、ワクチンの三回目接種率が高いほど感染率が低い傾向が現れていることを報告しております。

○上田委員 ワクチン接種は個々の考えがあるので、難しいところもありますけれども、このデータは、打つ打たないの客観的な根拠になったと思います。すばらしい分析結果だと思っています。どっちがどうだではなくてですね。
 ただ、地域医療の最先端を担います開業医の先生方は、時に、やはり患者さんを思って説得をされることもあるかと思いますので、それが一つの、地元の先生方の根拠になるのかな、自分がやってきたことが正しかったかどうなのか、逡巡しながら、日々、コロナ患者さんとか、あるいは高齢者、接種が必要かなと思う地域の人と接していたということで、こちらもぜひ、やっていらっしゃると思いますけれども、医師会を通じて、開業医の先生方にも共有していただきたいと思います。
 そして、これまでの検査体制、施設職員や医療機関、無料券、キット配布等、多岐にわたる検査体制の実績評価、課題をご報告ください。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都はこれまで、新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じまして、必要な方が適切に検査を受けられる体制を整備してまいりました。
 第七波における検査実績は、医療機関等における行政検査が一日当たり最大で六万二千件、有症状者などが自宅で検査をするための検査キットの配布は一日当たり最大で五万四千個、合わせると、発熱患者等、約十二万の検査需要に的確に対応することができました。
 このほかにも、高齢者施設等の職員を対象とする集中的検査の実績が七日間平均で最大五万八千件、感染不安を抱く方等への無料検査の実績が七日間平均で最大五万四千件となってございます。
 五類への移行後も、高齢者等のハイリスク者を守るため、集中的検査の取組を継続して実施してまいります。

○上田委員 資料、52の無料検査、PCRの検査件数の推移ですけど、延べ八百七十三万件ということで、一千三百万人としますと半分以上、延べですけれども、利用したということでございました。
 次は、医療従事者——当初いろいろとご苦労があったと思います。処遇の改善、差別解消などのこれまでの取組を振り返って、改善できたことと今後の課題についてご報告ください。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都はこれまで、新型コロナウイルス感染症患者の診療に携わる医療従事者等に特殊勤務手当を支給する医療機関などを支援してまいりました。
 オミクロン株に変異してから、発生初期と比較して重症度が低下していることなどから、今般我が国が、新型コロナを五類に位置づけることといたしました。
 今後の五類移行に伴いまして、引き続き、感染防止のための防護具の配布を行うほか、より多くの医療機関で新型コロナ患者の診療に対応できるよう、必要な支援を行ってまいります。

○上田委員 都立病院の勤務手当も、本当にすぐに改善されて、私もそこら辺を指摘させていただきまして、ほっとしたところであります。
 訪問医療、在宅医療、訪問看護、ファストドクターの需要が顕在化しております。
 私も、SNSの時代なので、東京、首都圏の患者さんからSOSが入って、地元の訪看さんや、また、在宅医療をしているドクターに駆けつけていただいたりしたこともありました。
 地元医師会、区市町村、東京都のこれまでの連携実績、その経験値によって新たに構築した体制、今後の新たな感染爆発時に備えた対策を伺います。

○加藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都は令和三年四月から、東京都医師会や地区医師会等と連携し、体調が悪化した自宅療養者に対しまして、往診や電話、オンライン診療事業を実施しております。
 また、令和三年八月からは、東京都訪問看護ステーション協会と連携し、在宅でのケアが必要な自宅療養者に対しまして、地域の訪問看護師が健康観察を実施しております。
 本年五月八日の五類移行後は、都民の不安や医療現場の混乱を招かないよう、段階的に移行を進めることが重要でございまして、高齢者等を守る取組などの経費を来年度予算案に計上しております。
 高齢者施設で療養している陽性者に対しましては、往診、遠隔での診療が可能となりますよう、地区医師会や広域に往診可能な医療機関と連携して取り組んでまいります。

○上田委員 着実に制度化していることを確認させていただきました。
 資料、51ですけれども、宿泊療養施設のピーク時から減少時の過不足ない確保に向けた努力、毎回確認させていただきました。ありがとうございます。
 実績評価、課題点等ありましたらば、ご報告ください。

○水野新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都は、宿泊療養施設につきまして、第八波に向けて、第七波並みの宿泊需要に対応するため、三十施設、約一万一千室を確保しました。
 一月中旬以降、新規陽性者数が急速に減少するとともに、ホテルの需要が増えてきたことから、二月中旬に一部施設を休止するとともに、事業者と協議の上、期間満了を待たずにホテルの返還を進めるなど、段階的に施設規模を縮小してきました。そして、本年四月からは、九施設、約四千室を確保することとしております。
 こうした取組によりまして、第八波の宿泊需要に十分に応えるとともに、現在の宿泊需要の減少にも適切に対応しております。

○上田委員 ぜひ皆さんも、51の資料を見ていただきまして、過不足なく対応してきたということ、分かっていただけるかと思います。
 そして、宿泊療養施設等を中心とした、ほかの部署の都職員の派遣について、職員のモチベーションや過度の負担などなかったのか、課題解決へ向けて実施したこと、経験値を持って今明らかになったことなどの所見を伺います。

○関口感染症対策部長 都は、新型コロナウイルス感染症対策に当たりまして、全庁的な応援体制を構築し、その時々で変化する感染状況に柔軟に対応してまいりました。
 特に宿泊療養施設の運営につきましては、交代制勤務を伴い、継続的な体制の確保が必要なため、指揮命令系統の一貫性や運営の一体性を持って行えるよう、施設ごとに対応する局を指定して対応してまいりました。
 宿泊療養事業の開始当初は、職員が施設運営を全面的に担ってまいりましたが、施設運営の全て、あるいは一部の業務運営の委託の導入、人材派遣の活用などを順次進め、職員の負担軽減を図ってまいりました。

○上田委員 状況に応じて対応してきたことでありました。
 iCDCの果たした役割、実績、課題、今後の存在意義はあるのか。保健所機能の強化の方が、私は個人的に重要と考えますが、所見を伺います。

○村本東京感染症対策センター担当部長 東京iCDCは、効果的な感染症対策を一体的に担う司令塔としての役割を担っており、都はこれまで、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症へ対応するため、専門家ボードから助言を得て、先手先手で様々な対策を講じてきております。
 今後も、公衆衛生人材の育成や、国内外の自治体、関係機関等とのネットワークの形成、都民への普及啓発を行うとともに、東京iCDCの専門家の知見や意見に基づき、感染症全般に関する政策立案や調査分析、情報発信等を的確に実施するなど、感染症に強い都市の実現に向け、司令塔としての機能を果たしてまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症に関しましても、オミクロン株と病原性が大きく異なる変異株の発生可能性等も念頭に、引き続き、感染状況に応じて専門家の助言をいただきながら、危機管理への対応を適切に行ってまいります。

○上田委員 いずれにしろ、東京都の公衆衛生医師の職員の皆様が大きく寄与していくものと思いますので、ぜひ、保健所との連携の要として奮迅していただきたいと思います。
 最後になります。
 これまで、本当に五月八日から五類になるということで、賛否はありましたけれども、二〇一九年の年末からこの三年、その間、知事選もあったり、私たちも改選もありまして、地域住民に我々地方議員は近いですから、本当に泣き笑いをしながら、職員の皆様にも緊急の対応をしてもらったり、うちだと江戸川区の職員とも連絡を取りながら、一人一人の命を何とか救いたいと奮迅してきました。
 感慨無量の思いで、令和五年度の補正予算を見させていただいたものでございます。この補正予算については、本当に過不足なく堅実で、未来の感染症に向けた大きなステップを痛感した次第でございます。
 最後に、これまで福祉保健局が投じましたコロナ対策の総予算を挙げた上で、全体を通しての反省というか、もっともっと、こうしたらよくなるんじゃないか、これまでの闘いの評価、殊に福祉保健局の職員全員の奮迅、未来へつなぐ東京の感染症対策と局長の所見を伺いたいと思います。

○佐藤健康危機管理担当局長 まず、ご質問にございました感染症対策費の予算の話ですけれども、令和二年度の決算額は三千五十四億円、令和三年度は四千三百六億円、また令和四年度の予算額は八千九百二十七億円ということでございます。
 その上での話ということになりますけれども、この間、三年にわたりまして、コロナ対策に取り組んでまいりました。
 令和三年の夏の重症化リスクが高いデルタ株では、とりわけ呼吸器の症状が悪化した方の受入先が課題となりました。そこで、青山と築地に酸素・医療提供ステーションを整備いたしました。
 その後、冬には、感染力が強くて、オミクロン株に置き換わりまして、高齢者の受入れが課題となりまして、高齢者の医療支援型の施設の整備を進めました。
 また、あわせて、酸素・医療提供ステーションについても、自宅療養者の短期受入れや高齢者の受入れに機能を変えながら対応し、また、感染者数が増えたので、うちさぽ東京など、自宅療養者の充実というのを取り組んでまいりました。
 その波ごとにやはり課題はございまして、後から考えれば、こうすればよかったなという点もございますけれども、我々としては、その時々に必要な施策というのを講じてきたつもりでございます。
 それからまた、コロナ対策にございまして、例えば宿泊療養施設、酸素・医療提供ステーション、高齢者等の臨時の医療施設、ワクチン接種会場などは、本務の仕事もしながら各局の職員が対応しており、一例を挙げますと、例えば築地の酸素・医療提供ステーションは建設局、それから都庁の北の展望室のワクチンの接種会場は行政委員会、あとペット同伴施設の宿泊療養については交通局といった形で、各局の職員が対応をしてございます。
 また、他局からの転入職員が、福祉保健局の本務という形でもやっています。私自身も、夏にオリンピック・パラリンピック準備局から、兼務でいたんですけれども、途中から本務という形で切り替わっております。このように、全庁で乗り切ってきたわけでございます。
 新型コロナ感染症は、本年五月八日に五類への移行になる予定でございます。これまで重点化してきた体制が、通常の体制に段階的に移行するわけですけれども、引き続き、円滑な移行に向けてしっかりと取り組んでまいります。

○上田委員 もう本当に、感慨無量な思いでございます。
 二〇二〇年の最初、ロックダウン、ハンマー・アンド・ダンス、三密、五つの小、虹色ステッカー、二〇二一年お正月、突然の、神奈川、埼玉、千葉県知事にも虚偽の説明をしての、首相官邸に乗り込んだ緊急事態宣言と、場当たり的に見える小池知事の発言、言動によって振り回されていたと私は福祉保健局を見ておりました。
 しかしながら、そうした知事を支えながら、都民の命と健康を守るために、予算やコロナ医療対策に矛盾が生じないよう制度化をされました。
 不当な人事で飛ばされても、くさらず、逃げず、奮闘された歴代の福祉保健局長、局職員の皆様、また、他局で現業をこなしながらも療養施設で勤務した全ての都庁職員を高く評価するものであります。残念ながら力尽きて退職された部長や幹部職のことも、私は忘れておりません。多くの助けられなかった命もありました。
 これまでの経験を生かされ、五月八日以降の対応、新たな感染症対策に尽力いただくことを希望し、そして、これまでの奮迅を高く評価させていただきまして、私の質疑を終わります。
 以上です。

○平田委員 冒頭、先ほど我が会派の浜中委員が質問いたしました若年被害女性等支援事業に関連しまして、私もちょっと一言申し上げます。
 質疑を承っていますと、委託は適法、適切に行われていたというふうに承るわけなんですけれども、その一方で、事務手続に関しては改めて精査し、改善に取り組むというような答弁も何度かありました。そうすると、改善の余地があったのかなといって、ちょっとつじつま合わないんじゃないのかなというふうにも聞こえてしまいます。
 最後に、局長答弁もいただいたわけなんですけれども、その中にも、監査委員の勧告を真摯に受け止め、全ての実績を検証し、公益性、信頼性を担保するであるとか、私が先頭に立って、契約事務手続の精査、点検を行うというお話もございました。
 そうすると、聞き方によっては、やっぱり現状では、公益性、信頼性の担保が十全とはいえなかったんじゃないのかな、あるいは精査、点検に穴があったんじゃないかなというふうな聞き取り方もしてしまいます。
 浜中委員も繰り返し強調していましたけれども、若年被害女性の支援は大変重要です。重要だからこそ、都民から疑いの目を向けられることのないよう、公正、明確に取り組んでいただくよう改めて申し入れさせていただきたいと思います。
 それでは、予定していた質問に移ります。
 ワクチン接種については、様々な質問ありましたけれども、私は、副反応という点に絞って少々伺いたいと思います。
 厚労省は今月十日、新型コロナウイルスワクチンを接種した後に亡くなった四十代の女性について、接種との因果関係は否定できないという初めての認定を行いました。
 報道によれば、これは愛知県の女性ということだったわけなんですけれども、都内では、こういう事例は幸いなことに確認されていませんけれども、新型コロナウイルスワクチンは、メッセンジャーRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンといった新しい仕組みのワクチンということもありまして、ワクチン接種の副反応に対する都民からのご心配の声も多く寄せられました。各種の報道など見ても、様々な議論が呈され、専門家同士でさえ意見が分かれるなど、都民の間でも、ご心配、ご不安が広がったと認識しております。
 このような声に応えるために、都は令和三年三月から、接種後に副反応の症状が見られる場合、看護師、保健師等に相談のできるコールセンターを開設し、対応してきました。
 そこで、この東京都新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターの実績及び寄せられた相談内容について伺います。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 東京都新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターは、二十四時間三百六十五日、接種後の副反応に関する都民の相談を受け付け、保健師、看護師などが専門的立場から助言を行っております。
 令和二年三月から令和四年十二月までに、副反応相談センターに寄せられた相談件数は二十七万二千二百四十件であり、ワクチン接種後に症状があるという相談が約七〇%、不安相談が約一五%となっております。
 最も相談件数の多かった月は令和三年七月であり、五万七百五十九件の相談が寄せられました。

○平田委員 一番多い月では約五万件の問合せがあったというお話でした。やっぱり副反応に戸惑った都民の皆様がいかに多かったかということの表れであろうと思います。
 そこで伺いますけれども、ワクチンの総接種回数及びそのうち副反応疑い報告、また重篤な副反応のある方の件数をお伺いします。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 これまでの都民のワクチン総接種回数は、三月七日時点で約四千万回となっています。
 医療機関から国に対して報告された都民の副反応疑い件数は、三月七日時点で三千二百四十四件であり、総接種回数に対する割合は〇・〇〇八%、そのうち重篤と報告された件数は八百二十八件で、総接種回数に対する割合は〇・〇〇二%でございます。

○平田委員 全体に対する比率としては大変低いということが分かったわけなんですけれども、そもそも予防接種は、極めてまれではあるものの、それが原因で病気になったり障害が残ったりする、いわゆる健康被害が起こることがあります。
 予防接種と健康被害との因果関係が認定された場合、医療費等を給付する予防接種健康被害救済制度があるわけですが、東京都におけるこの救済制度の申請数及び認定された件数、また、そのうち死亡に至った件数を伺います。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 健康被害が生じた場合は、住民票のある区市町村に申請し、区市町村の健康被害調査委員会を経て、国の審査会において因果関係が審査されます。
 接種開始からこれまでの都民の健康被害申請数は、三月六日時点で六百三十六件であり、うち国の審査会で認定された件数は七十九件、そのうち死亡した件数はゼロ件でございます。
 なお、否認された件数は十件、その他は国において審査中となっております。

○平田委員 都のワクチンポータルサイト、新型コロナワクチンの有効性・安全性というところのページを見ますと、そこには、本ワクチンは新しい種類のワクチンのため、これまで明らかになっていない症状が出る可能性があります。接種後に気になる症状がある場合は、接種医あるいはかかりつけ医に相談してくださいというふうに、ワクチンの本来のメリットと、そしてデメリットというかリスクについても、ややえんきょく的な表現ですが、言及があります。
 しかしながら、この健康被害とワクチン接種の因果関係というのは、もとより慎重な検証が必要で、時間もかかります。ですから、副反応を自覚しても、自分の体調が優れないという状況をもうとにかく受け入れて、何らかの救済を待つというより、自分で何とかしているというのが多くの現状なんじゃないかというふうに考えております。
 ワクチンの接種は、最終的には個人で判断する以上、ワクチンの副反応や健康被害は、当然、リスクとして個人の責任に帰するという考え方もあります。
 しかしながら、行政による接種勧奨や、社会やその時々の環境や風潮によって、いわば接種せざるを得ない状況にあったという方もおられるということも、間違いのない事実だと思います。
 そうした不幸を少しでもなくしていくためにも、ワクチンを接種することによって出現する副反応について、都民の皆さんに周知することや、その支援を充実させていくことが都の責務であると考えますけれども、ご見解を伺います。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 都は、ホームページ等において、ワクチンの効果や、副反応として頭痛や発熱、アナフィラキシー等が起こる可能性があること及びその出現率、また、極めてまれではあるものの健康被害が起こる可能性があることについて周知しております。
 また、都民の相談や必要に応じて医療機関を案内する副反応相談センターを来年度も引き続き設置するとともに、地域の医療機関からの紹介により受診できる十三の専門的な医療機関を確保しております。
 さらに、ワクチンチーム会議等を通じ、健康被害の申出があった際には迅速な調査を進めるよう、各区市町村に働きかけております。
 今後とも、副反応等に関する分かりやすい情報発信を行うなど、都民に寄り添った対応に努めてまいります。

○平田委員 引き続き、適切な対応をお願いいたしまして、副反応についての質問を終わります。
 次に、救命救急体制について伺います。
 我が会派では、高齢化社会にあって、救急医療は今後ますます重要であり、特に生命の危機が切迫している方に一刻も早く医療を提供するためには、救命救急センターのさらなる整備が必要との考えから、昨年の第二回定例会の代表質問で、都における救命救急センターの位置づけと今後の取組について伺ったところであります。
 その際、都からは、救命救急センターへの搬送件数は増加していること、コロナの拡大や、また災害時に重症患者を受け入れるなど担うべき役割が増加していること、そのため、今年度新たに二つの施設を救命救急センターに指定するとの答弁がありました。
 そこで、新たに指定される救命救急センターについて、指定に向けた現在の進捗状況を伺います。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 救急医療の需要や医療資源の状況等を踏まえ、昨年八月から、東京慈恵会医科大学附属病院と順天堂大学医学部附属練馬病院の二施設を新たな救命救急センターの候補として、施設や設備の実地調査や重症患者の受入れ実績の確認など、指定に向けた手続を進めてきました。
 今般開催した救急医療対策協議会の意見を踏まえまして、この二施設を今月二十日付で救命救急センターに指定いたします。

○平田委員 今回、慈恵と、そして順天堂大学医学部附属練馬病院が指定されるということでございます。この順天堂大学医学部附属練馬病院は、我が会派の本委員会委員である山加朱美先生のご地元でございまして、練馬区の皆様のご期待も大変大きいものと拝察しております。
 ところで、今回の追加指定によって、都内の救命救急センターは二十六から二十八施設となりますけれども、では、今回、この二つの施設を救命救急センターに指定することで、都の救急医療がどのように充実されると考えるのか、ご見解を伺います。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 近年、救命救急センターへの搬送件数は増加傾向にあり、令和四年は過去最多となりました。
 また、救命救急医療を提供しながら、新型コロナウイルス等の感染拡大時や災害時に緊急性の高い重症患者を受け入れるなど、その担うべき役割は増加しております。
 今回指定される二施設が、地域の中核的な救急医療機関として、重症、重篤な患者を積極的に受け入れることで、救急医療体制のさらなる充実が図られるものと認識しております。

○平田委員 ぜひ期待しておりますので、よろしくお願いします。
 ところで、その練馬と、あともう一つの方の救命救急センターに指定される東京慈恵会医科大学附属病院は、私の地元である葛飾区に、関連施設である葛飾医療センターを有しています。
 かつては青戸病院といわれまして、戦後間もない頃から葛飾区の医療を担っていただきました。ちょうど平成二十四年に全面改築されて、東京慈恵会医科大学葛飾医療センターと名前が変わり、区民に親しまれ、また、頼りになる施設となっています。救急医療対策協議会におきましても、この慈恵の本院と葛飾医療センターとが密接に連携することが重要だという指摘があったと伺っております。
 そこで、東京慈恵会医科大学附属病院と葛飾医療センターはどのように連携され、また、それによってどのような効果があると考えるのか、見解を伺います。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 東京慈恵会医科大学附属病院では、葛飾医療センターとの症例検討会の実施や同センターから転院搬送の積極的な受入れを行うなど、連携強化に努めております。
 また、救命救急医療に従事する医師や看護師等の医療従事者が育成されることにより、東京慈恵会医科大学附属病院と葛飾医療センターの救急医療体制が一層充実するものと考えております。

○平田委員 ただいまの答弁、葛飾区に住む者にとっては大変心強い内容であります。
 葛飾区は区東北部医療圏に位置しておりまして、三次救急がなく、救急車で搬送するにも川で囲まれた地形であることから、災害時に橋梁の通行ができない場合などに不安があるなど、区民の方からも救急救命に関する様々な声が寄せられておりました。今般の都の取組は、救命救急に関する葛飾区民の要望に一定程度応える内容であると評価しております。
 慈恵の本院と葛飾医療センターとの連携は、葛飾区にとって、もちろん大変有益なんですが、区東北部医療圏はもとより、東京都全体の救命救急医療環境の向上に資するものと思いますし、また、そうした取組をぜひ継続していただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分休憩いたします。
   午後七時三十二分休憩

   午後八時開議

○内山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○龍円委員 よろしくお願いいたします。
 東京都八王子市の滝山病院で、看護師が患者に対する暴行の容疑で逮捕された事件の報道は、知的障害のある子を育てている私、母親としまして、胸ぐらをつかまれたような息苦しさを感じて、日常生活をそのまま続けることが難しいと感じるほど、私の心にも暗い影を落としています。
 実は、文字によるニュースは見たんですけれども、動画による報道は、あまりにもつらい気持ちになるため、見る勇気がいまだ出ておりません。
 障害のある子の親にとって、親亡き後問題というのは深刻な課題です。グループホームや病院といった施設で過ごすことになるのだろうかと想像したりすることがありますが、もしもそこで子供に対して人権が尊重されなかったり、虐待や暴力があったりする可能性があったらと考えると、あまりにも恐ろしいことで、心が凍りつくような思いでありました。身内に障害のある人がいる方々は、多かれ少なかれ私と同じような強い不安な気持ちを、このニュース報道を受けて感じていると思います。
 このニュースを見てすぐ想起されたのが、去年の国連の障害者権利委員会で日本に対して出された改善勧告の内容でありました。日本に対して大きく二点、強い改善勧告が出されました。
 一つ目は、私が以前から取り組んでいる分離された場所での特別支援教育に対してで、もう一つは、日本の精神医療についてでありました。
 勧告では、強制入院は自由の剥奪であり、障害を理由とする差別だと断定しまして、これらを認める全ての法律の廃止が要請されました。精神科病院における身体的拘束や強制投薬などの治療を合法化する法律があることや、虐待を防止するための独立した審査機関がないことに懸念が示されました。また、残虐で非人道的または品位を傷つける取扱いを報告するための、利用しやすい効果的な救済策を設けることも勧告されました。
 これらの勧告に対して、日本政府が、この後どのように対応するのかというのが注目されている中で、このような事件が起こってしまったということが、この国連による勧告の重みが一層増したというふうに感じているところであります。
 日本の精神科病床の数は、OECD加盟国全体の何と四割を占めていて、平均入院日数が突出しています。過去には四十年も強制入院させられた男性の報道もあり、退院した後の受皿がないことから、状況、症状が回復しても退院できない社会的入院といった実情もあることも課題になっています。
 この滝山病院の看護師の起こした事件を通して、日本における精神科医療の在り方そのものについて見直していくべきであり、そもそも、このようなことが起きない、起きにくい社会にしていくということが重要だと考えます。
 また、東京都としてすぐにできることとしては、ここだったら絶対大丈夫と、安心して精神障害や精神疾患がある方やその家族が利用できる、セーフティーネットとしての都立病院を確実にしていくことであると考えました。その観点から、今日は質問させていただきます。
 今回の事件を受けて、精神疾患や精神障害のある家族らがいる人や支援活動をしている方々から、お話を聞かせていただきました。
 その方々のお話によりますと、家族らの間では随分前から、この滝山病院には悪い評判が絶えずあったというようなことが話されていました。それでも、精神科病院で、透析などの身体的な治療を併せて入院治療を行うことができる病院が限られていることから、利用せざるを得ない状況もあったようだということでありました。滝山病院のホームページを見ますと、確かに、人工透析器や透析医が常勤でいることが大きく表示されております。
 あわせて、精神科では、いわゆる精神科特例といわれる、医師の数がほかの科に比べて三分の一で、看護師が三分の二でいいという特例が国で認められているため、ほかの治療と併せて日常的な治療が必要な場合には、医療従事者への負担も大きく、患者へのケアが粗雑になってしまう可能性がありまして、滝山病院のような虐待事件を引き起こす要因の一つになったのではないかという推測のご意見もいただいたところであります。
 逆に、家族の間で評判のいい病院はどこなのというふうに聞きましたら、それは都立松沢病院と、もう即答でいただきました。そこで、松沢病院で人工透析は受けられるんでしょうかと聞いたところ、それは知らないというふうに答えておりました。
 もし松沢病院で入院中の人工透析治療が受けられるのであれば、そのことがもっと広く知られることによって、評判が悪くて不安を感じながらも選ばざるを得ない病院を利用せずに、安心できる松沢病院を利用するという選択肢を持つことができるのではないかと思いました。
 また、このことから、精神疾患や障害がある人が入院する際に、身体的な治療が継続的に必要な場合、利用できる病院がかなり限られてしまうという課題があるのだなということを知りました。
 そこで、松沢病院では、透析治療などの身体的治療が必要な精神疾患や障害のある患者に対して、入院中にどのように医療を提供しているのかお伺いするとともに、医療従事者については、精神科特例といわれる医療法施行規則に基づく基準の数に対して、どの程度配置しているのかお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院は、精神科急性期医療を中心に、精神科救急医療、精神科身体合併症医療、アルコール等依存症の専門医療などを提供するとともに、地域医療機関で対応困難な患者を受け入れ、精神科医療のセーフティーネットとしての役割を果たしております。
 そのため、精神科スーパー救急病棟では、診療報酬上の施設基準で、医師を患者十六人に一人以上、看護師を患者十人に一人以上配置するなど、病院全体の医療スタッフ数は、医療法施行規則に基づく標準数と比べ約三倍となってございまして、令和三年度の新入院患者数は三千二百九人、新来患者数は六千六百九十五人でございました。
 精神科身体合併症医療は、身体科、精神科双方が主治医として診療に参加し、骨折や各種がん治療、糖尿病等の内科疾患のほか、入院患者に対する透析などに対応してございます。

○龍円委員 松沢病院では、精神科に入院している患者が透析治療も受けられることが分かりました。そのほか、外科や内科の治療についても、精神科の医師と、それから身体的な部門の医師が、それぞれ主治医となって診療に当たっているということでした。また、精神科特例の三倍にもなる医療従事者を配置しているということで、患者への丁寧な対応が可能になっていることも分かりました。
 ホームページを拝見しましたら、かなり見やすいホームページだったんですけれども、身体的治療及び精神疾患や障害に関する治療も、同時並行で入院中も受けられる病院であるということが、ぱっと見では分かりにくいものだったかなと思いました。
 今回、インターネット検索で、精神障害、透析、入院というワードで検索してみたんですけれども、そうするとトップの方に、透析中の精神疾患は見捨てるでいいですかという恐ろしいタイトルの記事が出てきて、透析できるとしている病院で検索に最初に出てきた病院は秋田県にありました。その次に、精神障害のある女性が透析を断られて死亡した事件についての記事が出てきました。
 そこで、三つのキーワードの次に、東京というふうに足してみたら、ようやくこの松沢病院が表示されて、少し安心したところであります。松沢病院で、こういう対応についてもっと知ってもらうために、院内に掲示しておくですとか、ホームページでもすぐ分かるような場所に掲載しておいていただけるよう、ご検討いただけたらと思います。
 さて、都立松沢病院が優れた精神科のある病院であっても、東京都は広いので、誰もが松沢病院を利用できるわけではありません。ほかの都立病院においても、精神疾患や障害のある人が、身体的治療についても安心して受診し、治療を受けられることが重要だと考えます。知的障害のある方も、病院での受診や治療では困難に直面することが少なくありません。
 松沢病院以外の都立病院においても、精神障害や知的障害などがある人についても、適切な配慮の下に診療を受けることができることが重要だと考えます。都立病院での対応についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 障害者差別解消法においては、障害者への合理的配慮が責務とされておりまして、都立病院では、障害を持つ方が円滑に受診できるよう対応を進めております。
 例えば、障害者等用駐車スペースや点字ブロックなどの整備を進めるほか、職員が患者一人一人の障害に応じた配慮を行えるよう、都と同一教材を用いた障害者への接遇に関する研修を行っております。精神科身体合併症患者の受入れの際は、患者や家族から症状などを丁寧に聞き取り、身体科と精神科が連携して診療に当たっております。
 今後とも、患者が安心して診療を受けられる環境を整備してまいります。

○龍円委員 都立病院では、精神科で身体的な治療が必要な患者の場合には連携して診療に当たるなど、合理的配慮を提供しているとのことでした。
 精神疾患や障害がある人、知的障害がある人など、治療を受けることそのものに困難さや配慮が必要となる患者が、ほかの民間の病院では治療が難しいと断られてしまったとしても、都立病院だったら必ず診てもらえるという保障があることは、公立の病院として非常に重要なことだと考えます。
 ただ、繰り返しになりますが、都立病院のホームページを見ても、そういう取組について発信があまりされていないんです。スペシャルニーズ、特別な配慮のニーズがある、障害がある人が、より安心して医療にアクセスできるよう、今後、こういった発信について、より一層積極的にしていただきますよう要望させていただきます。
 冒頭で社会的入院について触れましたが、滝山病院にもこのような側面があったというふうにいわれています。令和二年の厚生労働省の資料によりますと、精神療養病棟では十年以上の入院が三割を超えていることもあるということが示されています。
 先ほどの家族の方と話していましたところ、地域で暮らしながら通院すること、地域で暮らせるようになることが重要とのお話がありました。国でも入院治療から地域ケアへと進めていることで、過去十年で、精神病床は、ほぼ横ばいながらも少しずつ病床数が減っているようであります。
 松沢病院は救急医療ですので、入院期間が何十年もということはないかと思いますが、入院期間の推移についてお伺いするとともに、患者の方をどのように地域へ移行するようにしているのか、その取組についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院の精神科病床の平均在院日数は、平成二十三年度の百二十・七日に対して、令和三年度は七十一・一日と十年間で四十九・六日間短縮してございます。
 また、地域移行しやすい環境の構築のため、高い専門性や知識を持つ専門人材を地域の医療機関に派遣し、技術支援や人材育成を行っております。
 地域移行に向けましては、医師や看護師、精神保健福祉士など多職種の退院促進チームが、患者やその家族、地域関係者などを交えた退院支援カンファレンスを行うほか、各病棟にこのチームと連携するリンクナースを配置するなど、退院促進を強化してまいりました。
 今後とも、関係機関と連携を図りながら、患者の社会復帰と地域を支えるための取組を進めてまいります。

○龍円委員 松沢病院では入院期間を大幅に短縮しているほか、地域の医療機関への支援をしている、そして地域に戻っていくための関係者とも連携するなどの取組をしているとのことでありました。
 繰り返しになってしまうんですけれども、こういうよい取組について、ぜひホームページ等で説明することで、入院する患者や家族が安心して病院を利用できるようにしていただけますようお願いいたします。
 都立病院が、精神疾患や障害のある人やその家族にとって、悪い評判ばかり聞くけどほかに選択肢がないから、あの病院に頼るしかないかなというようなことがなくて、セーフティーネットとして、都立病院を安心して利用できるということを広く周知していただけますよう、改めて要望させていただきます。
 今回の滝山病院の事件をきっかけとして、改めて、十年以上の入院を続けていて地域に戻る場所がないがゆえに社会的入院が行われている現実を目の当たりにし、そのゆがみの中で、虐待のような事件が起きたり、もしかすると、それ以上のことが行われていたんじゃなかろうかと思わせるような報道がされるのを見て、繰り返しになりますが、本当に愕然といたしました。
 どうしたらいいのか、国も東京都もしっかりと考えていく段階にあるのではないかなと思います。地域の中で暮らせない、地域に戻る場所がないという理由は様々あると思いますし、何か一つを変えたら劇的に変わるということはないと思います。国連の勧告を受けて、国の法整備など、どうするのかも注目する必要があると思います。
 しかし、それを待たずとも、一緒に暮らしたいと思っているけど、一緒に暮らす選択肢が得られないでいるご家庭については、東京都も支援をしていけると思いますし、さらに、それを強化していくことを考えることから始めたいと考えました。家族で一緒に過ごせない理由も様々でしょうが、まずは、それを相談することができて、その相談内容が実際に助けになるということが重要かと思います。
 以前、こちらの委員会でお話しさせていただいたことがありますけれども、アメリカで出産をして、息子にダウン症があると診断を受けた日に、行政の電話番号をお医者さんから手渡されました。その電話番号に一本電話をかけただけで、翌週には、自宅にケアマネジャーがアセスメントができる専門家と一緒に来てくださいまして、あっという間に、療育、そして将来通うことになる学校の担当者、医療とつないでくださいました。
 生後三か月の頃には、同じゼロ歳の障害のある子供たちが十五人ぐらい通う集団療育に週一回通って、そこで、PT、OT、ST、摂食障害、コミュニケーション、音楽療法などの専門家と毎週顔を合わせるとともに、たくさんのママ、パパ友ができました。
 あまりにも支援が向こうから怒濤のようにやってくるので、最初はちょっとツーマッチだと思ったほどだったんですけれども、とにかく安心して子育てができましたし、気がついたら楽しい子育てになっていたわけなんです。
 一方で、日本に帰国しますと、どこに相談しても欲しい情報がもらえないという声をたくさん耳にします。様々な障害の種別のどの年代の方に聞いても同じことをおっしゃいますので、この分野が日本では弱いのかなというふうに感じています。
 そこで、精神疾患や障害のある人やその家族が地域で安心して生活できるための相談体制として、都として、現状どのように対応しているのかお伺いいたします。

○石黒障害者医療担当部長 精神障害者が地域で安定して生活するためには、本人やその家族に対して、身近な地域における相談対応や情報提供などの支援が必要であり、区市町村や保健所では、精神保健福祉に関する様々な相談に応じております。
 都内の精神保健福祉センターでは、区市町村等と連携し、地域の複雑な事例や困難な事例を扱うとともに、思春期、青年期の問題や依存症など、精神疾患に関する専門的な相談を受けており、精神障害者や家族からの多様なニーズに対応しております。

○龍円委員 ありがとうございます。都内に三か所ある精神保健福祉センターで、専門的な相談を受けているとのことでした。
 相談体制があることは確認できたので、次には、聞きたい内容が提示されているのか、相談したことで必要な支援につながったのか、助かったのかというところに、今後確認して、必要な体制の充実を図っていただきたいと思います。
 次に、家庭で一緒に暮らしたいと思っている家族にとって、レスパイトも重要です。これは高齢者の介護でも必要なことだと思います。また、ご本人の病状の悪化等を未然に防ぐための休息を目的としたショートステイが利用できることも必要だと考えます。
 これらのことについて、都としてどのように取組を行っているのかお伺いいたします。

○石黒障害者医療担当部長 都は、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを定め、家族のレスパイトなどを目的とした障害者総合支援法に基づく短期入所の整備を進めております。
 また、これに加え、本人の病状や心の状況等の様々なニーズに対応するため、精神障害者グループホームの専用居室を活用したショートステイ事業を独自に実施し、精神障害者の退院後における地域生活のイメージづくりや病状悪化の防止などを行っております。
 こうした取組により、精神障害者が安心して地域で生活できる環境の確保に取り組んでおります。

○龍円委員 レスパイトを目的とした短期入所の整備や本人のショートステイなどをやっているということでした。
 これらが十分足りているのかどうかということと、また、ほかの施策で補う必要があるのかなど、今後また検討していく必要があるのではないかなと考えます。
 あと、精神障害だけではなくて、ほかのスペシャルニーズのある人全体に感じていることなんですけれども、学齢期までは、学校があったり保育園だったり放課後クラブなど、親の就労支援もあるんですが、それ以降の親や家族の就労支援等については足りていませんし、また、障害のある本人の、仕事もしたりとか、余暇活動したりする機会や場所も足りていないように思います。
 今後、例えばソーシャルファームの拡充ですとか、障害のある人の余暇活動を増やすというよりは——私の地元では渋谷ユナイテッドという活動があるんですが、地域の様々な年代の方が活動を共にするというものなんですが、そこの中にスペシャルニーズ、障害のある方も一緒に参加できるようなことで、地域コミュニティをつくり出すような取組も推進していくといいのではないかなというふうに思います。
 入院生活を終えて地域に戻っていくときには、様々な押し戻すような力が働いているのかなと思うんですけれども、都においても、精神科病院入院患者の地域移行を進めているとのことですが、都の見解をお伺いいたします。

○石黒障害者医療担当部長 都は、退院後の精神障害者の生活を支えるため、精神科病院と地域援助事業者等との連携体制の整備や、病院と地域との調整を広域的に行うコーディネーターの配置などの取組を行っております。また、精神科病院に対して、精神保健福祉士の配置を促進し、精神障害者の早期退院を支援しております。
 今後とも、精神障害者が地域で安心して暮らせるよう、支援体制の整備を進めてまいります。

○龍円委員 今後とも、精神障害者が地域で安心して暮らせるよう、支援体制の整備を進めていくとの答弁がありました。私も、今後もこの課題に腰を据えて、継続的に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、私としてはかなり高い課題意識を持って取り組んでいる、スペシャルニーズ、障害のある子の親にとって、小学一年生が断崖絶壁である問題についてでございます。
 特に医療的ケア児や重症心身障害児の親にとって、就学後の就労継続は困難を極めておりますが、東京都では複合的に様々な取組を進めてくれており、高く評価しております。
 令和四年度からは、在宅レスパイトを就労目的にも利用できるようにしてくれたことが大きなことでありましたが、時間数が少ないとのお声を頂戴しておりました。これを受けて、令和五年度からは、時間数をこれまでの九十六時間から百四十四時間に増やすことは、予算特別委員会の代表質問で確認させていただきました。これはかなり大きな喜びの反響をいただいております。ありがとうございます。
 次に、大きな期待とともに関係者が注目しているのが、新たに東京都が独自事業として準備を進めている医療的ケア児日中預かり支援事業です。未就学期の医療的ケア児については預かってもらえる体制が整いつつあるものの、就学期についてはまだまだ足りていない実情があります。
 医療的ケア児の保護者が就労等を行うに当たって、預かり先の確保の課題について、どのように取組を行うのかお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 医療的ケア児の日中の預かり支援は病院等で実施しており、国は、人工呼吸器による呼吸管理や喀たん吸引などの医療行為を複数必要とする医療ニーズの高い医療的ケア児を報酬の対象としております。
 医療技術の進歩により、現在、多くの医療的ケア児が在宅で生活を送っており、医療的ケア児の保護者の子育てと仕事の両立を支援するため、都は来年度から、医療ニーズの比較的軽い医療的ケア児に対する日中の預かり支援に対する独自の補助を行います。
 実施に当たっては、報酬対象のサービスを実施している病院等の取組事例を情報提供しながら、事業者の積極的な取組を働きかけてまいります。

○龍円委員 学齢期の医療的ケア児について、放課後の預かり先が全く足りていない中ですので、この事業に、都が独自事業として立ち上げられることを高く評価いたします。
 比較的軽い医療的ケア児が対象だということなんですけれども、動ける医療的ケア児の中にも、一見、点数が高い子たちもいるので、できれば点数でばしっと切らずに、なるべく多くの預かりを必要としている子を受け入れてくださるとありがたいです。
 また、親の就労を可能にするためには、ほぼマストで必要なのが送迎になりますので、制度設計に入れていただけますよう、ここで要望させていただきます。よろしくお願いいたします。
 医療的ケアのあるお子さんを迎えた保護者は、妊娠中からいろいろとあることもあると思いますけれども、出産直後から様々な心配事がありまして、子供や育児との向き合い方、どんな支援があるのか分からなかったり、今後の見通しも想像がつかないことが多いことから、大きな不安を感じることもありますし、身の回りに相談できる人がいなくて孤独に感じることもあります。
 その中で、先ほどのアメリカのような相談体制があることは、とても大きいことでした。また、同じくらい助けになったのが、同じスペシャルニーズ、障害のある少し先輩のママ、パパとつながって、リアルな話を聞くことでありました。
 不思議なものなんですけれども、どんなに親切に寄り添ってくれる専門家よりも、同じスペシャルニーズのある子を育てている親の言葉の方が、胸の奥まですっと入ってきまして、心を落ち着けて前向きになれたり、励みになることがありました。
 医療的ケア児は人数が少ないことから、出かけることも簡単ではないことから、先輩ママ、パパとつながることが、初めのうちは簡単ではありません。また、多くの医療的ケアの支援をしている団体によりますと、学校に上がる前頃になると、少し上の両親たちがどうしたのかという話を聞きたいというニーズもあるということなんです。
 ということで、こういった親の悩みに共感して、寄り添いながら就学などの相談などに対応していくことが重要だと考えますけれども、都の取組をお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 医療的ケア児とその家族が在宅で生活していくためには、就労を希望する保護者が安心して働き続けられる環境を整備する必要があります。
 このため、都は来年度から、医療的ケア児を育てた経験を持ち、相談支援のトレーニングを受けたペアレントメンターが、自らの体験を生かして、保護者の様々な相談に応じる取組を開始いたします。
 ペアレントメンターは、医療的ケア児支援センターなどと連携しながら、働き方に関する助言のほか、育児の悩みに関する相談や活用できるサービスに関する情報提供など当事者の立場に立って行い、医療的ケア児とその家族を退院後から切れ目なく支援してまいります。

○龍円委員 ペアレントメンターはとてもいい事業になると思います。医療的ケア児の親は出かけるのが簡単ではないので、オンラインですとかSNSなどでもメンターとお話ししたり、相談できる体制を取ってくださいますようお願いいたします。
 さて、質問の順番を少し入れ替えさせてもらいますが、次は、医療的ケア児コーディネーターについてお伺いいたします。
 先ほど、相談体制も重要というふうに挙げさせていただきました。医療的ケア児の場合は、医療的ケア児支援センターの相談力の期待というのが大きいものなんですけれども、医療的ケア児コーディネーターに対するニーズも高いものです。
 しかし、保護者からいただいた要望の中で、医療的ケア児コーディネーターについて、その養成が進む一方で、養成後、地域の社会資源とのつながりが薄かったり、活動が限定的で定着が進まず、家族が相談できる環境は依然として十分とはいえないということのようなんです。
 医療的ケア児コーディネーターが、地域で家族に寄り添った支援を行うことが必要であると考えますけれども、今後のコーディネーターの育成や定着促進に向けてどのように進めていくのか、取組をお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 医療的ケア児や家族が抱えるニーズは、子育てをはじめ、福祉、医療、教育、就労など多岐にわたるため、地域において様々な相談に対応し、関係機関との連携の中核を担う医療的ケア児コーディネーターの役割が重要でございます。
 このため、都は来年度、コーディネーターの養成規模を増やすほか、コーディネーターの活動のうち、例えばNICUから退院する前の相談対応や関係機関との連絡調整など、国の報酬の対象とならない業務に対しても広く支援を行います。
 こうした取組により、コーディネーターを中心とした地域のネットワークの構築を進め、医療的ケア児の相談支援体制の充実を図ってまいります。

○龍円委員 コーディネーターを中心とした地域ネットワークをつくるということは、もう本当に相談してよかったとなる上で最も重要なことだと思いますので、しっかり進めていただけたらと思います。
 さて、医療的ケア児の家族の皆様にお話をお伺いしていて、たくさん要望としていただいていたのが、短期入所の充実でもありました。
 医療的ケア児やその家族の在宅生活を支える上での家族へのレスパイト、行事への参加などで介護ができない場合などの短期入所の充実も必要だし、重要だと考えますが、都の取組についてお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害児の家族の一時的な休養等のため、病院や重症心身障害児の入所施設などで、重症心身障害児を主な対象とする短期入所の体制整備を図っております。
 来年度からは、医療的ケア児に対応できる短期入所を拡充するため、病院のほか、医療機能を有する福祉施設などを対象として、福祉職の配置や人工呼吸器などの医療機器の整備に対して支援を行います。
 今後、開設時のポイントなどを紹介する説明会や個別相談などを行い、事業実施を広く働きかけてまいります。

○龍円委員 短期入所の拡充を進めるということで、ご家族の声に寄り添ってくださってありがとうございます。
 令和五年は、医療的ケア児とその家族への支援に、重層的な支援が進められていくことが分かりました。今後も、家族や関係者の声を聞きながら進めていただけますよう、よろしくお願いいたします。
 さて、日本は、二〇二二年の出生数が八十万人を切りまして、想定よりも相当速いペースで少子化が進んでいることが明らかになったところです。
 都民ファーストの会東京都議団では、希望する人数の子供を持つことができる東京を目指して、提案や質疑や要望を続けておりますが、今回、予算要望もさせていただいた第二子の保育料無償化が令和五年度に盛り込まれたことは重要なことであります。
 改めて、第二子の保育料無償化について、その事業の趣旨について教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 第二子以降の保育料を軽減する国の仕組みは、対象施設が認可保育所等に限定されており、世帯収入や第一子の年齢によっても支援の対象外となる場合がございます。
 このため、都は令和元年から、対象施設を認証保育所等に拡大するとともに、収入や第一子の年齢にかかわらず、第二子の保育料を半額、第三子以降の保育料を無償化する独自の取組を開始いたしました。
 この間、少子化が一層進行しておりまして、子供を二人以上育てたい方の経済的負担を一層軽減するため、来年度から、第二子の保育料を無償化することとしたものでございます。

○龍円委員 ありがとうございます。
 この事業のスタートに合わせて、都では来年度から、児童発達支援事業所を利用する第二子以降の利用者負担についても無償化するとのことなんですが、その目的と事業の概要についてもお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 就学前の障害児が利用する児童発達支援事業所等の利用者負担については、令和元年度から開始した国制度により、三歳から五歳までは無償となっているほか、ゼロ歳から二歳までの第二子以降については軽減措置が取られております。
 都は、障害児を育てる多子世代の育児を支え、経済的負担の軽減を図るため、令和五年十月から、児童発達支援事業所等を利用するゼロ歳から二歳までの第二子以降の利用者負担を無償化していきます。

○龍円委員 児童発達支援事業所等を利用するお子さんに兄弟がいると無償化されるとのことで、こちらも併せて事業化してくださったことを評価いたします。
 私は、スペシャルニーズのある子を育てる家庭は、お子さんが将来自立しない可能性もあることから、介護や医療等で出費が長きにわたって多い可能性もあることから、希望するご家庭については、両親共に就労が継続できることが重要だと考えて取り組んでまいりました。
 この観点から考えますと、スペシャルニーズのあるお子さんは、保育所も利用しながら児童発達支援事業所も利用していることが多くて、それが可能になるべきだと考えております。
 ただ、ご家庭からすると、保育料に児童発達支援事業所を利用する金額が上乗せされての出費になります。上限の自己負担額が設定されているのは大変ありがたいんですけれども、所得による自己負担額がかなり段差が激しくて、非課税世帯はゼロ円、収入がおおむね八百九十万円以下の家庭は四千六百円なんですが、その上が急に飛んで三万七千二百円になるんです。
 この自己負担額が、一般の家庭よりはプラスアルファでの出費になってしまうため、子供にとって療育は必要であると認識はしているんですけれども、利用を控えてしまう家庭も少なくありません。一般のご家庭で考えてみても、子供に三万七千円の習い事をさせるというのは、かなりのぜいたくなんじゃないかなと思います。兄弟がいる場合に、支援は大変ありがたいものですが、こういう事情を鑑みた支援策についても、今後検討いただけると大変ありがたいです。
 次に参ります。
 東京都では、介護職員や障害福祉サービス等職員の宿舎借り上げ支援事業について、令和四年度から、福祉避難所の要件を満たすことが厳しい、難しい事業所でも、支援できるよう制度が拡充されました。
 これは、前職で介護現場の事業に従事していた同じ会派の後藤なみ都議が、とても重要なことだとして、昨年度の会派の重点要望に入れさせていただいたものでありました。
 都がこの事業に乗り出してくれたことで、介護職員のベースアップにつながることが期待され、また、報酬改定で大幅に収入が減っている放課後等デイサービスにとっても重要な事業だと考えております。
 そこで、新たに対象となったこれらの事業所の本事業の活用実績についてお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 介護職員や福祉サービス等職員の宿舎借り上げ支援事業は、職員の住居費負担の軽減等による働きやすい職場環境の確保と災害時の運営体制の強化を図るため、福祉避難所の指定を受けた施設や事業所に対して対象経費の八分の七を補助する事業であり、平成三十年度に開始いたしました。
 今年度から、この取組をさらに進めるため、利用者の安否確認などの災害時協力協定を区市町村と締結した事業所等も補助対象とするほか、その他の事業所等にも二分の一の補助を実施しております。
 今年度の対象拡大部分の実績は、災害時協定の締結に基づく補助が、介護サービスは三十七事業所六十九戸、障害福祉サービスは三十二事業所六十五戸、その他の事業所等への補助が、介護サービスは五十九事業所百五戸、障害福祉サービスは五十六事業所九十七戸となっております。

○龍円委員 放デイなどを含む障害福祉サービスについても、かなり活用されているという印象があります。報酬改定によって事業継続が厳しい状況にある事業所がある中で、こういう取組が重要でありましたし、また、いざというときに何ができるかという、考えるきっかけにもなったと思いますので、大変意義があると思います。
 一方で、区市町村側が災害時の協定を結ぶことに否定的なため、事業者が利用したくとも利用できない場所もありました。
 災害時におけるサービス提供の実施等に関する事業者と区市町村との協定の締結に向けて、都は、区市町村の取組をどのように促していくのかお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 都は、区市町村への説明会で制度の拡充内容の説明や協定書の参考例の紹介を行うほか、事業所との協定締結について検討を求めております。
 今後も、取組状況や課題を把握しながら、協定締結や本事業のさらなる活用を区市町村に働きかけてまいります。

○龍円委員 区市町村へ働きかけて、利用を促進していくということでありました。ありがとうございます。ぜひしっかり進めていただきたいです。
 なお、区市町村が、かたくなにどうしてもこの事業を事業者に利用させないというような場合があった場合は、救済策として柔軟な活用方法についても必要があれば検討いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 さて、次です。一般質問や委員会質疑で、スウェーデンのユースクリニックのような取組を東京でも取り組みたい旨について、質疑を続けてまいりました。
 福祉保健局では去年、わかさぽが立ち上がりまして、大変うれしく期待していますので、去年の事務事業質疑に続きまして、現状と今後について確認させてください。
 都が今年度、中高生等の若者が健康や性に関して相談できる窓口を開設した、わかさぽの実績、そして来年度の取組についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は今年度、とうきょう若者ヘルスサポートを開設いたしまして、十月に電話相談を、十一月に対面相談を、十二月にメール相談を開始いたしました。また、対面相談の日に合わせてワークショップも開催しております。
 これまで、妊娠の不安や体型の悩み、性自認など、様々な相談に対応しておりまして、相談実績は二月末時点で、電話相談が二百三十四件、対面相談が八件、メール相談が七件、ワークショップの参加人数は二十七名でございました。
 来年度は、固定の相談場所を区部に設置する予定でございます。

○龍円委員 ワークショップ、私も見に行ったんですけれども、小池都知事が視察に訪れて、高校生、大学生と直接対話をしたことでも注目されました。都知事からは、自分の体を大切にしてほしいというメッセージもユースに向けてありました。そして、参加者同士のつながりもあって、すごくいいものになったなというふうに思っております。
 来年度は、固定の相談場所を設置するということなんですけれども、これまで何回かお伺いしたところなんですけれども、ふだんユースがいるところではない場所で開催してしまいますと、そこにユースに来てもらえるようにするのが簡単ではないというふうに感じました。
 ユースクリニックの存在がスウェーデンのように認知度がもうほぼ一〇〇%に近いというところであれば、そういう場所でもいいのかなと思うんですけれども、まだまだユース世代に知ってもらえて、そして安心して利用いただけるのが一般的になるまでは、ユース世代がふだんいるような場所に、わかさぽが固定的にあるといいなというふうに感じておりますので、そういう点も鑑みて、場所について設定していただけたらと思います。よろしくお願いします。
 東京都のこども未来アクションには、骨子にユースヘルスが掲げられました。福祉保健局、都教委、子供政策連携室が連携して、ユース世代の健康に取り組んでいくことはとてもすばらしいことだと思います。今年度の事業を通して、この政策の重要性を都としても全体で確信して、進めてくれているのかなというふうに思っております。
 スウェーデンでは八割くらいのユースがこのユースクリニックを利用したことがあるそうです。東京都においても、健康や性に関して悩みを抱えるユースは少なくないと考えています。
 こうしたユース、若者が相談窓口にたどり着くために、さらに広報の充実が必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、わかさぽの周知用カードを作成いたしまして、都内の中学校、高校を通じて生徒に配布するほか、保健所、保健センターや産科医療機関等にも配布しております。併せてポスターも作成し、カードと同様に学校等に配布しております。また、ツイッター等のSNSを活用した周知も実施しております。
 来年度は、広報用動画を作成いたしまして、ユーチューブ等に掲載していく予定でございます。

○龍円委員 ありがとうございます。
 若者世代が見ているような媒体を使って広報していくということでありましたけれども、見てもらえなきゃ意味がないので、ぜひユース世代に支持されているような方を起用していただくなどの工夫をしていただけたらと思っております。
 さて、この東京都の取組なんですけれども、実はこれを見て、いろんな区市町村の方や議員の方、そしていろんな活動をしている方からご連絡をいただいて、私たちのまちでもこういうのをつくりたいとか、つくろうとしているといった声もいただいているところであります。
 区市町村でも健康や性に関する相談支援に取り組めるように、都が後押しすべきだと考えますが、見解についてお伺いします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、思春期における健康上の悩みなどに関する相談支援、健康教育、普及啓発などに取り組む区市町村を支援しております。
 今年度は、相談支援の取組が一層進むよう、相談支援を実施する場合の補助率を従来の二分の一から十分の十に拡充いたしまして、十三自治体に交付決定をしております。

○龍円委員 区市町村が同様の相談体制を実施する場合、何と東京都が十分の十補助するということなので、ぜひ来年度は、区市町村にもこの東京都のわかさぽについてもっと知ってもらえる機会を設けていただきまして、区市町村での取組についても後押しいただきますようお願いいたします。
 次です。東京都が卵子凍結の助成制度について取り組んでいくよう、私たちの会派で予算要望や代表質問で要望してきて、福祉保健局で取組を進めてくれようとしていること、評価しております。多くの都民も、このニュースなどを見て事業に期待をしているようであります。
 都は、調査をするとの答弁をこれまでいただいておりますけれども、調査に当たっては、対象者、年齢、職種や働き方など、卵子凍結を利用しようとされる女性の傾向や実態も調査内容に踏まえていただきまして、今後、卵子凍結の社会的適応の裾野を広げて、女性が取れる選択肢を増やすために、本事業に向けて検討していただきたいと思います。
 また、対象施設が医学的適応だとART施設に限るとのことなんですけれども、社会的適応にART施設を横引きしてしまうと実施できるクリニックは限られてしまいますため、助成制度の構築に当たっては、医師会、産婦人科学会などの意見も踏まえて、丁寧に制度構築に当たっていただきたいです。
 来年度に実施する卵子凍結への支援について、改めて都の取組をお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、女性のライフプランの選択肢を増やす取組といたしまして、来年度、卵子凍結の制度構築に向けた調査を実施いたします。
 医療機関を通じて患者に協力を依頼し、協力をいただいた方に凍結費用を助成する予定でございます。調査につきましては、今後、学会等の関係機関や有識者等とも丁寧に意見交換をしながら進め、その結果を踏まえまして、助成制度の詳細を検討してまいります。
 また、医療保険が適用されず全額自己負担となっております凍結卵子を用いた妊娠のための治療につきましても、新たに支援してまいります。

○龍円委員 都としては、女性のライフプランの選択肢を増やす取組として、この事業に取り組んでいくことの答弁がありました。とても重要なことだと思います。また、学会や有識者とも意見交換をしていくとのことですので、期待したいと思います。
 この制度の実施に向けては、産業労働局ともぜひ密に連携をして、効果的な取組を進めていただきたいと思います。
 また、AMH検査、プレコンセプションケア、不妊治療などの事業が東京都で進められていますけれども、女性の選択肢を増やすという意義がある事業ですので、それぞれがばらばらというよりも、連携しながらパッケージのように進めていただけますようよろしくお願いいたします。
 なお、ついついユースクリニックも、わかさぽも一緒にとなりがちなんですけれども、ユースについては女性の生殖についての選択肢を増やすものではないので、連携する部分はあるかもしれませんが、切り離して考えていただきますようお願いいたします。
 また、私個人的には、NIPT、出生前診断が十分な相談体制が整備されないまま、どんどん普及していることに懸念を持っております。今後、妊娠したい、妊娠した女性やパートナーへの相談やサポート体制についても議論をしていく中で、こういう命の選別につながるような場面での支援についても取り上げていきたいと考えております。
 次です。都は、戸籍上同性のパートナーの二人の里親認定について、今年度から、同居状態の安定性や継続性を考慮した上で、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められるときには、双方を里親として認定できるよう基準を改正しました。
 これについて、昨年の決算特別委員会で、実際に里親登録して委託も受けていることを確認いたしました。その後、そのことが新聞の一面で大きな取り上げられ方をされまして、都の取組の重要さが改めて認識されたところだと思っております。
 都ではそもそも、家庭的養育を推進するに当たって、里親を増やしていく方針だと認識しております。レインボーフォスターケアという団体にお話を聞きましたところ、多様なお子さんがいる中で、里親も多様な人がなることが子供にとっても最善の利益になるとのことでした。
 また、同性パートナーの場合は、異性同士の夫婦や事実婚カップルに比べて、里親になろうと考える年齢が若い傾向にあると聞きまして、多様な里親の成り手を増やすために期待できることは多くあるのかなと思っています。しかし、東京都では、まだまだ里親登録している同性パートナーは少なくて、当事者にも里親登録できることは知られていないという課題があります。
 去年十一月には、東京都パートナーシップ宣誓制度もスタートしました。例えば、総務局と連携してこの制度を利用する、またはしようと考えている皆さんに、東京都で里親として活躍いただけることを周知したり、ホームページにて同性カップルの方も里親になることができることを積極的に呼びかけていくなどの工夫をしていくべきだと考えますが、見解についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、里親制度を普及啓発するために開設しておりますホームページにおきまして、同性カップルの方も里親になれることを周知しております。
 来年度、里親制度を紹介する冊子を見直すこととしておりまして、同性カップルの方の里親認定を含め、都の里親認定基準が分かりやすく伝わるよう内容を工夫してまいります。さらに、他局とも連携しながら、様々な機会を通じまして広く周知してまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。
 四月には、渋谷区の代々木公園で国内最大のLGBTQ、性的マイノリティーの方々が集まるイベント、東京レインボープライドが開催されます。今年初めて東京都がブース出展するとのことですので、ぜひこういう場も活用して、里親制度の周知に努めていただけますようお願いいたします。
 さて、次です。私は、ひとり親でもあります。このコロナ禍でのひとり親の生活が困窮する様は様々聞いていて、本当に心配してまいりました。
 都は今年度から、ひとり親家庭就業推進事業を実施していますが、これまでの実施状況についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 本事業では、就職や転職を希望するひとり親を対象に就業コーディネーターが個別に面談し、一人一人の希望や適性に応じて就労を支援しております。
 今年度は、二百一名が家事代行や建築施工管理、賃貸不動産経営管理士養成などのコースをいずれか一つ選択し、資格や知識の習得に取り組んでおります。現時点で百六十四名がコースを修了しており、四十三名の就職が決まっております。
 今後、マッチングの成果については検証を行いまして、その結果を来年度の事業実施に生かし、一人でも多く就業につなげてまいります。

○龍円委員 四十三人の就職が決定したということでありました。
 そして、来年度はどのような内容で実施するのかお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 来年度は、定員二百名で実施することとしておりまして、スキルアップ訓練としては、宅地建物取引士や販売士等の資格取得を目指すコースや、介護職員初任者研修コースなど五つのコースを設定する予定でございます。
 希望者にはパソコン等を貸与するほか、オンラインでの訓練等を実施するなど、就労中の方や来所が難しい方も受講できるよう配慮しております。
 早期に参加者を決定し、スキルアップ訓練や就職活動、その後のアフターフォローに十分な期間を確保できるよう、三月中に募集を開始する予定でございます。

○龍円委員 今月から募集を開始していくとのことでありました。
 ひとり親の人は、学齢期のお子さんがいることが多いと思います。学校では、一方で、一人一台のタブレットが配布されまして、ICT支援員の配置が進められていますが、人材が足りていないという現状もあるんです。
 シングルマザー支援協会では、子供がちょうど学校に行っている時間帯に働けるということで、シングルマザーにICT支援員のスキルを身につける講座を実施するなどしています。また、マッチングした後もフォローアップしていくことで、仕事を続けていくという支援も重要だというふうに話を聞きました。
 都の事務でも、こういうシングルマザーのニーズに合ったきめ細やかな支援を続けていってくださいますよう要望させていただきます。
 以上です。ありがとうございました。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。初めに、妊婦健診事業について質問いたします。
 妊婦健康診査は、妊娠期間中の妊婦と胎児の健康状態を確認するとともに、胎児の成長を確認するためのものであります。適切な時期に健康状態を把握し、検査や保健指導などが行われることで、より安全な出産へとつなげることができることから、妊婦健診はとても重要であります。
 現在、都内全区市町村では、妊婦健診について十四回まで公費負担を実施されており、胎盤や羊水の量、胎児の成長などを確認する超音波検査についても、各市区町村が公費負担をしていると聞いております。
 そこで、各区市町村の妊婦健診の超音波検査に関する公費負担の状況についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 令和四年四月一日現在で公費負担が二回以上の自治体は、二回が千代田区、港区、台東区、足立区、葛飾区、檜原村、三回が新宿区、文京区、四回が新島村、神津島村となっておりまして、他の自治体は一回となっております。

○竹平委員 国は、妊婦健康診査に係る超音波検査の望ましい基準では、四回としております。時期と回数の目安については、妊娠初期から妊娠二十三週までの間に二回、妊娠二十四週から三十五週までの間に一回及び三十六週から出産までの間に一回の計四回を国は推奨しております。
 国が望ましいとする四回の公費負担を行っているところは、ご答弁によりますと六十二自治体のうち二自治体のみということです。三回のところが二自治体、二回のところが六自治体あるということが分かりました。
 そこで、公費負担を拡充することとしている新年度の都の取組についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 妊婦健康診査の超音波検査につきましては、望ましい基準が四回である一方、都内自治体における公費負担の対象は原則一回となっております。
 都民がより安心して出産できるよう、都は来年度、公費負担を拡充する区市町村の取組につきまして、二回目から四回目までを独自に支援いたします。
 具体的には、二回目以上につきまして、都内共通単価の公費負担額を十分の十、支援してまいります。

○竹平委員 分かりました。この超音波検査が四回実施されれば、既に実施されている十四回の妊婦健康診査と血液型、また感染症等の検査、子宮頸がん検査など、国が望ましいとする基準全てを都内全区市町村で実施されることとなります。
 このような検査の拡充は、より安全で安心した出産につながる大変重要な取組であり、都の取組を高く評価いたします。
 そこで、この事業の対象の考え方についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 本事業は、令和五年四月一日から開始いたします。
 区市町村では、妊婦健診の受診票を妊娠届を提出した妊婦に交付しているため、令和五年四月一日以降に妊娠届出をした妊婦を対象にすることとしております。

○竹平委員 これは十分の十、都の予算の事業でありますが、例えば区市町村が独自に取り組む場合には、令和五年四月よりも前に妊娠届を提出した妊婦も対象となるのか、お聞かせください。

○奈良部少子社会対策部長 令和五年四月一日よりも前に妊娠届を提出した妊婦につきまして、区市町村が独自に公費負担することは可能でございます。

○竹平委員 本事業の開始前、事前に妊娠届を出している方にも、四回検査を受けられるようにしたいという自治体もあるかと思いまして、お聞きをいたしました。
 この妊婦健康診査の実施主体は区市町村であります。検査の受診票は各区市町村で準備し、配布していくため、区市町村や医療機関への事業の周知を早急に行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 区市町村の課長会等で、本事業の概要や具体的な実施方法等について説明、周知を行っております。あわせて、医療機関の関係団体に対しまして、事業説明を実施いたしました。
 今後は、区市町村の事務担当者向けの説明会を開催するとともに、医療機関へ個別に周知してまいります。

○竹平委員 全ての自治体で四回の超音波検査ができるように働きかけることはもとより、四月一日に妊娠届を提出した方に四回分の超音波検査の受診票を配布する、そういうことができますように、実施主体である区市町村、そして検査を行う医療機関に対し、事業の周知を速やかにしていただきたく要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、不妊治療と不育症への支援について質問をいたします。
 都は、都議会公明党の要望を受けまして、令和四年度より、不妊治療の保険適用とならない先進医療への費用助成をスタートいたしました。
 まず、この東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業の都の取組状況についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、保険適用と併せて実施した先進医療につきまして、患者が自己負担した費用の一部を助成しておりまして、令和五年一月から申請を受け付けております。
 令和五年二月末時点で、先進医療を実施している都内の医療機関は六十九か所となっており、承認件数は百二十一件でございます。

○竹平委員 今年の一月から申請が開始され、既に承認件数、百二十一件あるということが分かりました。
 不妊治療は、精神的にも身体的にも負担がかかる上、何といっても治療費の負担が大きいわけです。昨年の四月から保険適用になったこと、さらに、都の先進医療への費用助成がスタートできたことで経済的な負担が軽減され、都民から喜びの声をいただいているところであります。都の取組を高く評価いたします。
 さて、不妊治療の先進医療として認められているのは、九あると聞いておりますが、先日、PGT−Aと呼ばれる着床前検査の新たな技術を先進医療として実施できるよう大阪大学が申請し、三月二日に厚生労働省の専門家会議で了承されたとの報道がありました。
 正式に実施されることが決まってからになりますけれども、今後新たに実施される先進医療については、速やかに医療機関や、また区市町村へ周知するとともに、常に最新の情報を都のホームページに掲載するなど、都民への情報提供を行い、都民が利用できるよう要望したいと思います。
 一方、不育症についてお伺いしたいと思います。
 不育症には、流産、死産を二回繰り返す反復流産と、三回以上にわたって流産、死産を繰り返す習慣流産があります。妊娠全体の約四・二%で発生をし、四から五%のカップルが不育症で悩んでいるというふうにもいわれております。不育症検査でリスク因子を特定し、リスク因子によっては治療を行うことで約八〇%まで出産率が改善されるともいわれております。
 そこで、都が実施しております不育症検査助成事業の直近三年間の実績についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は令和二年一月から、不育症検査に要した費用につきまして、五万円を上限に助成しております。
 直近三年間の承認件数は、平成三十一年度が二百六十七件、令和二年度が千百六十六件、令和三年度が千二百五十六件となっております。

○竹平委員 今お聞きいたしまして、不育症への検査費用助成も多くの方にご利用されているということが分かりました。
 不育症においても、検査や治療の多くは保険適用されるようになりましたけれども、保険適用外で高額な検査や治療もあります。そういった中で、この不育症検査助成事業では、保険診療と併用する形で行われる先進医療の検査を助成対象となりました。
 現在、不育症の検査でも先進医療となるのは流産検体の染色体検査のみでございますけれども、今後、他の検査も先進医療に指定されれば助成対象となるため、不育症についても最新の情報を都民の皆様にも発信をしていただきますよう要望をいたします。
 さて、不妊治療や不育症の支援においては、女性だけではなく男性にも理解促進を図っていくことは必要であります。
 不妊症というと女性の問題と勘違いしている男性は多く、女性が一人で抱え込んでしまうケースは少なくありません。男性側に要因がある場合もあります。そういったことから、男性への理解を図ることは重要でございます。
 また、どちらかに要因があっても自分に要因があったと分かれば、自分自身を責めたり、また心が不安定になったりいたします。そんなときに一番支えになるのはパートナーかなというふうに思います。
 実は私ごとでございますが、私も不妊で悩みました。また、二回の流産を経験したわけです。周りからの何げない一言に心が深く傷ついたり、妊婦さんや子供連れの親子を見ると自分を責めたりしたことを覚えています。そんなとき一番支えてくれたのは夫でございました。やはり男性の理解はとても重要だなと私も感じた一人でございます。
 そこで、不妊治療や不育症の支援においては、女性だけではなく、男性にも理解促進を図っていくべきと考えますが、都の取組について見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、若いときから男女を問わず、妊娠、出産に関して正しい知識を持てるよう、不妊の原因や妊娠、出産の適齢期などを紹介したパンフレットを作成し、大学、専修学校などで配布しております。このパンフレットでは、男性にも不妊につながる要因が存在することを詳しく説明しております。
 今年度はさらに、不育症についての解説記事や専門家によるメッセージを追加しておりまして、電子書籍でも配信しております。また、妊娠支援ポータルサイト、東京都妊活課におきましても、男性不妊等も含めたコンテンツを掲載し、普及啓発を行っております。

○竹平委員 パンフレットやサイトも、私も拝見させていただきましたが、不妊症や不育症のこと、治療費のことなどがとても分かりやすく紹介されており、内容も充実しておりました。また、女性だけでなく男性の声もこのサイトには掲載もされてございました。男性の理解促進の取組を一層進めていただきたいというふうに思うところでございます。
 また、いうまでもなく、流産や死産を経験したカップルへのグリーフケアも大変重要だというふうに思います。検査や治療費助成の経済的支援だけではなく、心のケアへの支援を強化していただくことを要望いたします。
 そして、次に、プレコンセプションケアについて質問させていただきます。
 あくまでも妊娠を希望するかは個人の自由になりますけれども、プレコンセプションケアにより早い段階から適切な知識を得て健康で質の高い生活を送ることは、人生の選択肢を広げ、妊娠、出産時や次世代の子供のリスクを下げることにもつながります。そのため、プレコンセプションケアを進める意義は大きいと考えます。
 そこで、プレコンセプションケアに対する都の認識と併せ、現在の取組状況について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 若いときから妊娠、出産の正しい知識を身につけ、将来のライフプランを考えることは重要でございます。
 都は、先ほどお答えいたしました不妊の原因や妊娠、出産の適齢期などを紹介した小冊子を作成、配布するほか、こうした情報を一元化し、ポータルサイトで幅広く発信しております。
 また、妊娠適齢期等に関する相談支援や健康教育、普及啓発等に取り組む区市町村への支援につきまして、相談支援を実施する場合の補助率を従来の二分の一から今年度は十分の十に拡充いたしまして、十三自治体に交付決定しているところでございます。

○竹平委員 区市町村への支援、これはプレコンセプションケアの普及啓発も含まれます。今、都の補助を活用しているのが十三自治体ということでございましたけれども、そういったことで、これから多くの区市町村にも取り組んでいただいて、再度この事業の周知をしていただきたく要望いたします。
 さて、来年度は、都として新たにプレコンセプションケアの普及啓発事業を行うとしていますが、先ほどの不妊治療や不育症の支援と同様に、男性の理解促進への取組も必要と考えますが、見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は来年度、若い世代向けに妊娠や出産に関する動画を作成し、ユーチューブ等で発信いたします。
 また、妊娠や出産を検討しているカップルを対象に、七月以降、プレコンセプションケアに関する講座を定期的に開催する予定でございます。
 これらの実施に当たりましては、男性にも不妊につながる要因があることなど、男性にとっても自身の健康管理のきっかけとなるような内容を盛り込んでいく予定でございます。

○竹平委員 来年度、AMH検査を行う予算も計上されております。
 先ほどもご質問、他の委員からもございましたけれども、私も懸念しているのが、血液検査でAMHの値を調べたところ、値が低くショックを受け、かえって心配になってしまわないかということでございます。
 健康や将来の生活のきっかけづくりに役立てる目的が、かえってマイナスになってしまう場合もあるのではないかと心配しています。そのため、本事業の十分な理解を得ることと検査の結果後のフォローがとても重要だというふうに思います。
 そこで、AMH検査の概要や方法などと併せ、検査結果後のフォローについての見解を求めます。

○奈良部少子社会対策部長 AMH検査は、卵巣にどれくらいの卵子が残っているか把握するためのものでございます。
 検査は、先ほどお答えしました講座の受講を要件としておりまして、講座において検査の内容や効果も説明した上で、希望者が指定する医療機関において無料で検査を受けられるようにする予定でございます。また、講座では、不妊・不育ホットライン等の相談窓口や妊娠支援ポータルサイトについても情報提供してまいります。
 検査を実施した後は、結果を正しく受け止められるよう、結果通知と併せまして説明と助言を丁寧に実施してまいります。

○竹平委員 ぜひ事前の説明と、それから検査後のフォロー体制、十分整えていただきますよう要望いたします。
 次に、がん対策について、私からも質問させていただきたいと思います。
 がんになっても治療を受けながら仕事を継続していくためには、事業者側の職場環境づくりが必要であります。
 都は今年度、治療と仕事の両立支援のための企業向けハンドブックや研修用映像教材を作成するとともに、今月二十四日には、企業向けに両立支援に関するセミナーを開催すると聞いております。こうした取組を継続していくことが、両立支援を促進させるためには重要であります。
 そこで、仕事と治療の両立支援に向けた今後の取組について伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、実際に両立のための職場環境づくりを行った事例を紹介するなど内容の充実を図りながら、引き続き企業を対象とした両立支援セミナーを開催いたします。
 また、来年度からは、患者の依頼により、医療機関と企業との間で調整を行う両立支援コーディネーターの対応力向上を目的に、事例検討会や意見交換会を実施するとともに、コーディネーターが患者と企業との間でその役割を発揮できるよう紹介カードを作成するなど、両立支援に向けた新たな取組を進めてまいります。

○竹平委員 コーディネーターによる新たな取組、とても大事だというふうに思います。しっかりと仕事と治療の両立支援を進めていただくよう要望いたします。
 私は、昨年第一回定例会一般質問で、AYA世代のがん患者への医療用ウイッグ等の支援をすべきということで求めさせていただきました。我が党としても要望も重ねてきたところでございまして、来年度予算案にがん患者へのアピアランスケア支援に取り組む市区町村への支援が今回盛り込まれました。大変高く評価しているところでございます。
 今後、積極的に活用するよう区市町村に促すとともに、それぞれの地域住民に対し事業についての周知を図るべきでございます。見解を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、がん患者へのアピアランスケア支援事業の実施に当たり、区市町村に対して、事業趣旨や概要を説明していきますとともに、補助に当たりましては、区市町村に対し、事業の趣旨の広報やアピアランスケアに関する正しい知識の普及啓発等を条件としてございます。
 また、東京都がんポータルサイトにおいて、区市町村が実施するアピアランス支援事業の概要や問合せ先等を掲載し、都民に対し周知するとともに、がん診療連携拠点病院等に設置されているがん相談支援センターに対しても情報提供を行っていきます。
 今後、多くの区市町村で取組が進むよう働きかけるとともに、がん患者や家族に対し、より分かりやすい情報提供に取り組んでまいります。

○竹平委員 がん患者の方々が、職場や地域での日常生活が前向きに、そして生き生きと過ごしていただきたい、そういった意味でQOLを向上させるアピアランスケア、しっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思っているところでございます。ぜひ、本事業が多くの区市町村で取り組めるよう働きかけをお願いいたします。
 もう一点は、私、AYA世代のがん患者への在宅療養支援を去年の一定で質問させていただきました。
 さきの参議院予算委員会で我が党の矢倉参議院議員がこのことを取り上げておりまして、終末期を含め、自宅で家族と過ごせるよう在宅療養支援の必要性を主張したところ、加藤厚生労働大臣が、二〇二三年度から実態把握を行った上で体制整備について検討するなど、必要な対応を行うと答弁されました。
 ぜひ、都の次期がん対策推進計画に盛り込んでいただき、早急に支援の構築を進めていただきますよう、これは要望しておきたいと思います。
 次に、医療分野のDXに寄与する都の事業について質問します。
 新型コロナ感染拡大を契機として、病院間の機能に応じた役割分担や急性期から回復した患者の円滑な転院や地域への退院などの医療連携の重要性が再認識されました。また、医療のDX、デジタル技術を活用した患者情報の共有が、円滑かつ迅速な連携に不可欠であることも改めて示されました。
 都は、新型コロナ前の平成三十年度から、東京都医師会による東京総合医療ネットワークの構築を支援してきたと聞いております。
 まず、確認の意味で、東京都医師会の東京総合医療ネットワークというものがどういうものかお聞かせください。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 東京都医師会の東京総合医療ネットワークは、東京の広域的な患者の受療動向に応じ、都全域を対象といたしまして、異なるベンダーの電子カルテの相互参照を可能としたネットワークシステムでございます。
 患者情報が相互参照できることで、病院と病院間、病院と診療所間の連携が推進されるものと考えてございます。

○竹平委員 今ご答弁がありましたように、東京総合医療ネットワークは、医療資源や患者の状況など、東京の地域性に合った取組である一方、現在、東京総合医療ネットワークに参加する病院は、都内に六百余りある病院のうち三十病院との説明をせんだってお伺いをいたしました。割合的には五%になるんでしょうか。東京総合医療ネットワークが有効に機能するためには、より多くの医療機関に参加してもらうことが重要と考えます。
 事業主体である東京都医師会が主導して取り組むべきことではありますが、都としても東京総合医療ネットワークの参加医療機関を増やすための取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、医療機関から要望の高い画像の相互参照を可能とする機能の追加について支援を行っております。それとともに、医療機関に対しては、東京総合医療ネットワークへの参加に向けた取組を進めることを条件といたしまして、電子カルテシステムの導入、更新などの環境整備を支援しております。
 来年度も、こうした支援を通じて、東京総合医療ネットワークへの医療機関の参加が拡大し、医療機関間の連携が進むよう取り組んでまいります。

○竹平委員 分かりました。
 一方、都立病院が、やはり率先してこの東京総合医療ネットワークに参加していくべきと考えますけれども、現状と、それから今後について見解を求めます。

○齋藤都立病院支援部長 現在、豊島病院と多摩総合医療センターが東京総合医療ネットワークに参加しております。
 そのほかの病院では、電子カルテの更新に合わせてネットワークに参加するためのシステムを導入しておりまして、令和五年度には、松沢病院を除く全ての都立病院で導入が完了する予定でございまして、順次、ネットワークに参加してまいります。

○竹平委員 都立病院での整備が進んでいることが分かりました。ぜひ、都立病院から他の医療機関にも広がっていきますよう支援し、協力の推進を要望いたします。
 今、病院と病院の連携、それだけではなく、地域の医療や介護等に関わる方々ともデジタル技術を活用した連携を進めるべきと考えていますが、現状と今後の取組についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院と地域医療機関や在宅療養関係者等が、退院後の療養計画や在宅時の問診及び投薬の状況などの患者情報を共有するため、医療介護専用SNSを五病院で導入しております。
 例えば、令和四年二月に導入いたしました神経病院では、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所などと連携いたしまして、在宅療養に移行した神経難病患者をきめ細かくフォローするとともに、患者の状態に応じて円滑に病院へ受け入れることなどを目的に、情報を共有しております。
 デジタル技術を活用いたしまして、在宅療養生活を支える地域の関係者との連携を強化し、患者が住み慣れた身近な地域で安心して医療、介護を受けられるよう支援してまいります。

○竹平委員 デジタル技術の活用は遠隔医療の推進にも役立てられていることから、医療資源の少ない島しょ地域での活用が重要であると考えます。
 そこで、都立病院におけるICTを活用した島しょ医療の充実に向けた取組について見解を求めます。

○齋藤都立病院支援部長 広尾病院ではこれまで、画像伝送システムによりまして、エックス線やCTなどの静止画像を島しょの医療機関から受信いたしまして、島しょの医師に対して、疑われる疾患や推奨される治療、処置内容を助言するなどの診療支援を実施しております。
 今月下旬からは、リアルタイムに大容量データの送受信が可能な5G通信を新たに活用いたしまして、町立八丈病院から広尾病院へ高精細なエコー検査動画などの伝送を開始して、広尾病院の専門医が的確に助言することで病気の早期発見や治療につないでまいります。
 引き続き、島しょ医療のさらなる充実に向けて貢献をしてまいります。

○竹平委員 今後、東京の高齢化がさらに進展をしまして高齢者の医療の需要が増える一方で、課題なのは、医療、介護に従事する現役世代の労働力が減っていく中で、より少ない労働人口で、より効率よく医療を提供していくためには、医療のDXは必要不可欠であります。
 都民の命、そして健康、療養生活を守るために、都としても、今後一層、医療DXの進展に向けた取組をされることを要望したいと思います。
 今日は、病院の話、それから地域とのということでございましたけれども、一方で、多職種連携とかということで、区市町村でも進めております。
 江戸川区でもネットワークを組みまして、皆さんで情報共有しながらやっているわけですけれども、これが本当に地域でしっかりと根づきながら、また先ほど電子処方箋もございましたけれども、こういった形でさらに進むことで、よりよい医療、効率のいい医療が受けられるようになってまいりますので、しっかりとDXにも取組をお願いしたいと思います。
 次に、HPVワクチンのことについてお伺いをいたします。
 今年度からHPVワクチンの積極的勧奨が再開をされまして、積極的勧奨が差し控えられていた期間に接種機会を逃した人を対象に、キャッチアップ接種も開始をされております。さらに、先ほどもありましたけれども、来年度からは、九価ワクチンの定期接種ワクチンへの追加や接種回数の変更など、制度上の変更があると聞いております。
 接種対象者が十分に理解し、安心して接種を検討していただける環境を整えていくことが改めて重要となりますけれども、対象者への周知、情報発信を進めていくことに対する都の考え方をお聞かせください。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 HPVワクチン定期接種は、今年度、小学六年から高校一年の女子へ積極的勧奨が再開され、さらに、平成九年度から平成十七年度生まれの方のキャッチアップ接種も令和六年度まで三年間実施されます。
 来年度から、従来の二価、四価の二種類に加えて、新たに九価ワクチンによる定期接種が可能となり、さらに、九価ワクチンは原則三回接種いたしますが、十四歳以下には二回となる見込みでございます。
 また、同じ種類のワクチンで接種完了をすることが原則となりますが、既に二価あるいは四価で定期接種の一回目、二回目を終えた者が残りの回数を行う場合には、九価ワクチンを選択しても差し支えないとされています。
 都は、医療機関や区市町村と連携し、対象者が安心して接種を検討、判断できるよう、ワクチンの安全性、有効性、そして接種時期など、ホームページ等で丁寧に情報提供をしてまいります。

○竹平委員 今、キャッチアップの話がありましたけれども、令和四年度から実施されていますHPVワクチンのキャッチアップ接種の接種状況についてお聞かせいただきたいと思います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 キャッチアップ接種について、都は、区市町村から実績報告を受けており、四月から九月分までの上半期の速報値では、一回目一万七千七百四十人、二回目六千三百九十四人、三回目三千三十八人となっています。
 今後、上半期分の数値について、他県での接種分の整理等の精査を行った上で、下半期分の実績を加え、年間実績を確定させることにしております。

○竹平委員 あと、ほかもちょっとお伺いしようと思いましたけれども、他の委員と伺っていたのが重複してしまいますので、これでHPVワクチンは終わります。
 続きまして、帯状疱疹ワクチンについて質問をいたします。
 都は、都議会公明党の要望を受けまして、来年度の予算案に帯状疱疹ワクチン任意接種補助事業を盛り込んだことを改めて高く評価いたします。
 この帯状疱疹ワクチン任意接種補助事業について、補助対象となるワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンの二種類を考えているとのことですが、それぞれの接種方法や効果の持続性などの特徴、接種費用の違いについてお聞きいたします。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 生ワクチンは、子供の水ぼうそう定期予防接種でも使用されており、二〇一六年三月、五十歳以上の帯状疱疹の予防の効果、効能が追加承認され、任意接種が可能となりました。一方、不活化ワクチンは、二〇二〇年一月から、五十歳以上の帯状疱疹予防として任意接種が可能となっております。
 生ワクチンは、皮下注射で一回、効果は五年程度持続、接種費用は約一万円となっています。一方、不活化ワクチンは、筋肉注射で二回、効果は九年以上、費用は二回接種で合計約四万円となっています。
 接種の際には、医師と相談してどちらかのワクチンを選択していただきます。

○竹平委員 分かりました。
 さきの第一回定例会の我が党の代表質問に対し、都は、本事業について、より多くの希望者に接種いただけるよう、区市町村が被接種者の希望に柔軟に対応できるよう制度を構築するとのことですが、どのような制度を予定しているのか、見解を求めます。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 帯状疱疹ワクチン任意接種補助事業は、区市町村が負担した接種費用の二分の一を都が補助し、薬事承認されている五十歳以上を対象年齢とするものでございます。
 制度の構築に当たっては、当初申請時に区市町村が想定した件数を超える接種の希望があった場合にも対応できるよう、年度途中に変更申請による増額の機会を設けます。さらに、事業周知に必要な事務費等も助成対象とするなど、区市町村の負担を軽減いたします。
 都は、本事業を通じて、帯状疱疹ワクチン接種を推進してまいります。

○竹平委員 希望する区市町村全てが助成されるよう、事業の周知を速やかに行い、帯状疱疹ワクチンの接種助成について、また、都民に十分理解が図られ、支援が着実に推進することを要望したいと思います。
 次に、高齢者肺炎球菌ワクチン定期接種補助事業についてお伺いしたいと思います。
 都議会公明党は、高齢者の健康を守るために、この肺炎球菌ワクチンの接種が進むよう都に求め、都の接種費用の上乗せ補助も図ってまいりました。
 来年度は、六十五歳以上から百歳までの方を対象とする経過措置が終了となるとのことですけれども、助成対象の年齢の方でまだ接種したことがない方の接種率の向上に向けまして、補助事業のより一層の周知が重要と考えますが、都の取組について見解を求めます。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都はこれまで、区市町村が事業周知のため対象者に送るチラシやポスター等を事例集として作成し、担当者会で共有するなど、区市町村がより丁寧な案内を行えるよう支援してきたところでございます。
 来年度は、平成二十六年度から実施されてきた経過措置の最終年度となることから、区市町村や関係団体等と連携した高齢者施設への重点的な周知など、様々な機会を捉え、対象者への積極的な情報発信を行ってまいります。

○竹平委員 最後の質問とさせていただきます。
 次に、高齢者や障害者など、災害時に自ら避難することが困難で支援を必要とする方の個別避難計画作成の取組について質問させていただきます。
 令和元年の東日本台風など近年の自然災害において、多くの高齢者や障害者などの方々が被害に遭われている状況を踏まえ、令和三年の災害対策基本法の改正により、避難行動要支援者ごとの個別避難計画の作成が区市町村の努力義務となりました。
 私は、災害時の避難行動に支援が必要な方への対策として、区市町村における計画作成の取組に対する都の支援が重要だと考え、昨年の第一回定例会や本委員会の事務事業質疑において質疑を行ってきました。
 まず、区市町村における個別避難計画作成の取組を支援するため、今年度都が行った取組について、改めて伺います。

○高野総務部長 都はこれまでも、自治会等の地域の支援関係者との連携体制の構築や福祉避難所の運営訓練の実施など、災害時要配慮者の支援体制の整備に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 さらに、今年度から、個別避難計画作成のための情報システムの整備や、計画作成に向けた福祉専門職への研修会の実施など、個別避難計画を効果的、効率的に作成する区市町村の取組を包括補助で支援しておりまして、十六の区市が包括補助を活用することとしております。
 また、本年一月には、区市町村の防災主管部署、福祉保健主管部署の担当者を対象に、災害時要配慮者対策の研修会を開催いたしました。
 研修会では、区市町村の担当者に災害時要配慮者対策への理解を深めていただくとともに、今後の取組の参考とするため、国の個別避難計画作成モデル事業に採択された板橋区の取組を紹介したほか、内閣府個別避難計画作成モデル事業アドバイザリーボード委員を務める有識者による頻発する風水害から学ぶ個別避難計画の重要性をテーマとした講演会を実施いたしました。

○竹平委員 ありがとうございました。
 今、補助事業のところでは十六とおっしゃっていたかと思いますが、前回、私、事務事業質疑のときにお伺いしたら十五といっていましたので、一つ増えたということでございまして、また、いろいろ研修会ですとか行っておられるということで、皆様にしっかり働きかけを行っていただいていることが分かりました。
 さて、昨年五月に、都は、首都直下地震等による東京の被害想定報告書を公表しました。
 この報告書は、東京で発生が想定される直下地震等の被害想定を十年ぶりに見直したものですが、新たに、地震による津波や火災から要配慮者の避難について、逃げ遅れ等のリスクが指摘されております。
 実際に災害が発生した際の避難支援を実効性のあるものとするためには、地域特性や発災時の被害想定等も踏まえた計画の作成や、作成した計画を活用した避難訓練などの取組を行うことが求められております。
 そこで、実効性のある個別避難計画作成に向けた取組を進めるためには、区市町村の取組に対する支援の充実を図ることが必要と考えますが、来年度の都の取組についてお伺いいたします。

○高野総務部長 都が昨年五月に公表した新たな被害想定においても、高齢者や障害者等の避難行動要支援者を中心に逃げ遅れが発生する可能性が指摘されておりまして、区市町村において、実効性のある個別避難計画の作成に向けて取組を進めることが必要でございます。
 都は来年度、区市町村による計画作成を支援するため、新たに個別避難計画作成支援事業を実施いたします。新たに実施する事業では、区市町村の事務担当者向けに災害時の避難行動を時系列で記載できる個別避難計画のひな形や、要支援者本人や支援者に計画作成を働きかける勧奨資材等を盛り込んだ計画の作成、活用に関するガイドライン等を作成することといたしております。
 こうした取組により、区市町村における計画作成の取組を支援してまいります。

○竹平委員 来年度、新たな事業を実施するとのことですけれども、区市町村が事業を積極的に活用し、計画作成等の取組を推進していくよう、都が区市町村にしっかりと働きかけていくことを要望して、終わります。ありがとうございました。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後九時四十分休憩

   午後九時五十五分開議

○内山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○白石委員 日本共産党の白石たみおです。
 若年被害女性等支援事業について質問いたします。
 この若年被害女性等支援事業を受託している一般社団法人Colaboが、事業について行った会計報告に不正があると主張する住民監査請求が出されました。それを受けて、監査委員は昨年十二月に、福祉保健局に対し再調査の勧告を出し、福祉保健局は帳簿等の再調査を行って、今年二月末に調査結果を通知するという流れになっております。
 本定例会でも、本会議、予算特別委員会、今日も厚生委員会で、先ほども質疑が行われております。で、まあそうですが、事業の具体的内容はきちんと議論されない、専ら会計面のことが主に議論をされております。
 そもそも監査請求人が主張した事実のほとんどは、監査委員が認定しておりません。さらに、福祉保健局の調査結果により、違法なことも不正に交付金を受け取った事実もなかったことが、改めて、読まれた方は分かると思いますが、明確になりました。
 例えば、監査結果では、あくまで妥当性が疑われると述べるにとどまっていた一回当たりの食事代などが比較的高額だとされたことなどに対し、福祉保健局は再調査されましたね。
 初めにお聞きしたいんですけれども、監査で指摘のあった一回当たりの支出が比較的高額なレストランでの食事代について、再調査をした結果はどういう結果、どういう目的があったかというふうに、結果を教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 高額なレストランでの食事代につきましては、一回当たり二万円を超えるものについて確認を行いました。
 これらの使途を確認したところ、支援対象者との面談や支援対象者間の交流を促進し、自立に向けた意識づけを目的としたものでございました。
 支援対象者の自立を図るための会食等は、事業実施上、必要性が認められるものであることから、本事業の対象経費としたものでございます。

○白石委員 今の答弁でも分かりますように、目的も必要性も認められるというものであったということです。
 一回当たりの食事代が比較的高額となった理由、Colaboは次のように説明しております。Colaboに関わる女性たちの多くは、生育環境に複雑な問題を抱えており、誕生日や進学、就職などを祝われるという経験がこれまでなかった若年女性もいます。そのようなことも踏まえると、時に親しい人とお祝いの気持ちを分かち合う食事の席を経験する機会を設けることも、重要な若年女性支援事業の一環であると考えているとしております。
 後ほど事業の内容についても議論はいたしますが、事業の対象となる女性というのは、虐待など苛酷な生育環境にある方が少なくないんです。家庭に居場所がない、まちをさまよい、性暴力や性搾取にさらされている、そのような少女たちに声をかけてつながるというのがこの事業だということです。
 誕生日などのお祝いというのは、皆さんもそうだと思いますが、多くの家庭で行っていることですが、そうした経験がない、これもちろん本人の責任じゃありません。そういう複雑な家庭環境などがある少女たちが、人と喜び合ったり祝い合ったりする経験をつくることは、特別なことではなく、当たり前の日常を取り戻すことにもつながるんです。
 また、この事業は、当事者と伴走し、少女たち自身が主体的に生活をつくっていくことにつながっております。そうした関係性をつくるのは並大抵のことではないと思います。そして、事業の目的とも合致すると思います。都と都議会がこうした活動を支援することが必要だと強く申し上げたいと思います。
 次に、勧告への福祉保健局の再調査の結果では、一千三百六十七万四千七百四十円については、本事業の管理台帳に記載されていなかったため、対象経費には含めないと書いてあります。
 この約千三百六十万円というのは、事業を実施する上でかかった人件費だという意味でよろしいでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 賃金台帳及び振込履歴を確認したところ、本事業に従事している職員の給与は総額で二千二百四十七万九千五百七十六円でございましたが、うち一千三百六十七万四千七百四十円については、本事業の管理台帳に記載されていなかったため、対象経費には含めないものといたしました。

○白石委員 ちょっと分かりにくいですね。約千三百六十万円は、若年被害女性等支援事業でかかった人件費という理解でいいですかと質問をいたしました。ちょっと分かりやすく答弁してください。

○内山委員長 部長、数字もあるので、大きくちょっとゆっくりしゃべってもらえると聞き取りやすいと思います。お願いします。

○奈良部少子社会対策部長 申し訳ございません。
 繰り返しになりますが、賃金台帳及び振込履歴を確認したところ、本事業に従事している職員の給与は総額で二千二百四十七万九千五百七十六円でございましたが、うち一千三百六十七万四千七百四十円については、本事業の管理台帳に記載されていなかったため、対象経費には含めないものといたしました。

○白石委員 繰り返しでしたが、聞けば分かると思います。事業を実施する上で必要な人件費であったんです。ただ、台帳に書いてあれば対象経費としたと。書いていなかったから、この約一千三百六十万円というのは対象経費には含めない、こう書いてあります。
 つまりですよ、再調査の結果、総事業費は二千七百十三万一千円と現在特定がされておりますが、二〇二一年度にかかった総事業費は、実質的には——先ほど抜かれていますから、台帳に入っていれば本来かかった人件費ですから、だけど台帳に書いていないから抜いたんだと。だったら実質的には、現在特定されている二千七百十三万一千円、それプラス約一千三百六十万円、これを合わせれば約四千万円以上であったということなんです。
 この事業は委託事業です。もう当たり前ですね、皆さん分かっています。委託事業というのは、本来、東京都が行うべき仕事を民間にやってもらい、その対価として委託料を支払うというものですから、本来は受託する団体が費用を持ち出すということ自体、本当はあり得ないはずなんです。しかし、この事業の場合は、東京都が行うべき仕事を、例えば四団体のうちの一つ、Colaboが行った上に、そして、今いったように多額の費用の持ち出しまで団体側がやっているんです。
 ここから見てもですよ、先ほど来から質問を聞いていると、何か不正があったかのような、そんなことをいっていますが、不正受給どころか大幅な支出超過になっていた、これ、誰が見たって分かるじゃないですか。
 改めてお聞きしたいと思います。監査委員からの勧告により、福祉保健局が行った再調査で過払いの事実は認められましたか。

○奈良部少子社会対策部長 本事業の実施に必要な経費の実績額は二千七百十三万一千円と特定いたしました。このうち、委託料の上限額の範囲内である二千六百万円を委託料として確定したものでございます。

○白石委員 私が聞いたのは、部長、いいですか、過払いの事実がありましたかと。皆さんが再調査されたんですから。
 もう一回お答えください。過払いの事実は認められたんですか、いかがですか。

○奈良部少子社会対策部長 繰り返しになりますが、本事業の実施に必要な経費の実績額は二千七百十三万一千円と特定いたしまして、このうち、委託料の上限額の範囲内である二千六百万円を委託料として確定したものでございます。

○白石委員 すっきりしないと。監査事務局が公表したプレス資料では、委託料に過払いはないとして受託者への返還請求は行われませんでしたと記載がされています。つまり、過払いはなかったんですかとお聞きしました。いかがでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 監査事務局が公表したプレス資料では、委託料に過払いはないとして受託者への返還請求は行われませんでしたと記載してございます。

○白石委員 今答弁聞いて、がを強調したんですが、皆さんが再調査をして、過払いの事実はありませんでしたと何ではっきりいえないんですか。自分たちが調べた結果について、なぜ自分たちの言葉できちんと説明できないのかと。監査事務局の公表したプレス資料を引用して、記載されていますというのは、私、違うと思うんです。だって皆さん調べたんですから。過払いはなかったからこそ、返還請求も行われなかったんですよ。
 福保の再調査した結果は、違法な行為も不正に公金を受け取った事実も一切なかったし、一円たりとも過払いはなかったことをこの再調査で明らかにしたんです。それが監査事務局のプレスの一文にも端的に述べられているように、委託料に過払いはないとして受託者への返還請求は行われませんでしたと記載がされたんです。この事実をですよ、誰もゆがめることなんかできないんですよ。
 再調査の結果には、何の脈絡もなく唐突に、委託事業から補助事業化すると記載がされています。私、これ見たときにちょっと違和感しかないなと思っております。
 そこでお聞きしたい。本事業を委託事業として行う場合と補助事業として行う場合のそれぞれの実施主体は誰でしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 委託事業につきましては都が実施主体でございますが、補助事業の場合は事業を実施する各事業者となります。

○白石委員 今ご答弁あったとおり、委託事業の実施主体は東京都です。まあ当たり前ですね。それを補助事業にすれば事業者側が実施主体となる、こういうご答弁です。
 都が主体となって、居場所のない少女、夜の繁華街などをさまよう少女たちなどの背景を知り、被害実態を自らつかむ、責任を持って対応することは、私は本当にとても重要だと思うんです。本来は行政が行うべきであり、補助事業化して事業者側の責任へと移行すれば、公的責任の後退といわざるを得ないと思うんです。
 私たちは、都が実施主体として直接責任を持つ委託事業としてやることがふさわしいと考えております。加えて、都自身が直接事業を行うことも検討すべきだと、これは要望しておきたいと思います。
 質問を進めたいと思います。
 この間の若年被害女性等支援事業をめぐった質疑の特徴——今日もありました。先ほどもいいましたけれども、これまでの質疑の特徴はどういう特徴か。お金の管理や手続の在り方には触れるんだけれども、若年女性の被害実態や被害に陥ってしまう背景、事業の中身にはほとんど触れられないんです。お金の管理だけの話なんです。手続論なんです。つまり、その実態が置き去りになっているんです。(発言する者あり)いや、そんなことないという、今、声がどっかからありましたけれども、そうなんです。実態や背景、実際に取り組まれている活動について、本当に今日この場で、私たちは知ることから始めなければいけないと思いますよ。
 そこでお聞きします。若年女性の被害とはどのような被害で、被害に対しどういうことが必要とされ、この支援事業を行っているのか、都の認識を具体的に伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 本事業における様々な困難を抱えた若年女性といたしましては、性的な被害、家庭の状況等の様々な事情により、日常生活または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱え、結果として、性暴力や虐待等の被害に遭った、または被害に遭うおそれのある若年女性を想定しております。
 本事業では、家に居場所がなく帰ることができない若年女性などに対しまして、夜間見回りや声かけなどによるアウトリーチ支援、一時的な安全・安心な居場所の提供、就労支援などの自立支援を行っております。

○白石委員 ご答弁ありがとうございます。
 背景には、貧困、虐待、いじめ、障害、病気など理由は様々あります。その理由だけで、全ての少女たちが夜の繁華街や路上に向かうものではありません。そこに至るまでには、保護者、教員、スクールカウンセラー、公的相談機関などの大人への相談をしているんです。それだったり、家出や自暴自棄の行動を繰り返す、または鬱になるなど、様々な形でこの少女たちはSOSを出しているんです。
 しかしながら、学校、行政、施設、医療機関、警察などから適切に対応してもらえず、受け止められず、大人への諦めを感じながら助けを求めることをやめ、路上へと向かうんです。そんなとき、「どうしたの、一人?おなかすいていない?」と次々と声をかけてくるのは、スカウトや買春者、つまり、女性をお金で買って支配しようとしている人たちばかりなんです。
 女性をお金で買うということは、最も手っ取り早い支配の方法であるということです。買春は本能ではなく、金銭を介して女性を買い、支配することなんです。買春者たちは、お金を払うことで女性たちに対し何をしてもいいと思い、元を取ろうとする。金銭を介さない関係ではできないことを女性たちにさせ、自分たちが力を持っていることを確認しようとする。こういう買春許容社会は、女性の尊厳、いいですか、女性の尊厳を否定する社会だと、このことを私たちは理解しなければならないと皆さんに訴えたいと思います。
 例えば、新宿歌舞伎町でバスカフェのアウトリーチに参加したメンバーは、本当に次から次へと少女の体を目当てに大人や業者が執拗に声をかけてくる、それが普通の景色として歌舞伎町では存在していると話します。
 Colaboにつながる少女たち自身が話します。十七歳の少女は、行くところがないとき声をかけてくれるのは男の人だけ、体目的の男の人しか自分に関心を持たなかったし、頼れるのはその人たちだけだった、ほかにご飯を食べさせてくれる人も、泊めてくれる人もいなかったと話します。
 こういう実態を、先ほど質疑をされた方も含めて、皆さんご存じかと。いかがでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 事業を委託している実施主体としては、そうした状況は十分承知しております。

○白石委員 いや、本当に部長、ありがとうございます、しっかり受け止めていただいて。
 行くところがない、どこにも居場所がない、こうした少女たちに声をかけてくれるのは、圧倒的に買春者であり、性売買業者のスカウトです。しかし、買春するおそれのある男性や少女を違法に搾取しようとする大人たちへの対処は、何もないといっても過言ではありません。こうした中で当事者と伴走していく立場で声をかけていく活動は、本当にかけがえのないものだということです。
 少女たちに必要なのは特別な支援なんかじゃありません。困ったときに相談できる、信頼できる大人との関係性なんです。少女たち一人一人の背景を知り、それぞれが自立して生きていくための伴走を大人がしなければならないと私は思います。そういう実態に向き合い、つくられたのが若年被害女性等支援事業なのではないでしょうか。はっきりいって、これまでの質疑を聞いていて、ここがすっぽり抜けている、私はそう思います。
 改めてお聞きしますが、東京都が若年被害女性等支援事業を委託している四団体が、アウトリーチ支援として具体的にどのような活動を行っているのか伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 本事業では、支援対象者の状況に応じまして、各団体はそれぞれの強みを生かしながらアウトリーチ支援を実施しております。
 具体的な活動といたしましては、夜間の繁華街などでの声かけや相談カードの配布、常設の相談場所や臨時の相談場所での相談事業の実施などでございます。

○白石委員 四団体がそれぞれの強みを生かしてアウトリーチ活動を行っております。そのどれもがかけがえのない活動です。本来、東京都が事業の実施主体なのですから、その活動から多くのことを学んで、事業や制度にも一層生かしていく必要があると私は思うんです。
 そこで伺いたいと思います。アウトリーチを行っている現場に、東京都の職員が視察に行ったことはこれまで何回あるでしょうか。また、どのような立場の職員が行ったのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 日中や夜間帯に、新宿、秋葉原などに少子社会対策部の職員や女性相談センターの職員などが現場に赴いております。

○白石委員 現場の職員が行っていると。ぜひそういうところから、やはりいろんなものを学んで、本来、事業や制度、ここに本当に実態に寄り添った制度の改善、拡充が、私は求められていると思います。補助事業じゃないと思いますよ。
 Colaboが行っているアウトリーチ活動は、バスカフェという夜の新宿歌舞伎町や渋谷にバスとテントを設置し、まちをさまよう少女に安心していられる場所を提供し、無料で食事ができ、必要な物品や衣類を提供するものです。バスに来た少女と困っていることを話してもらえる関係をつくりながら、支援につなげる取組を行っております。
 それでは、Colaboが行っているバスカフェの時間帯は、その時々で状況は違いますけれども、どのような時間帯に行われているのか伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 十七時から二十三時頃を基本としておりまして、必要に応じて二十六時頃まで延長して対応しております。

○白石委員 夕方から夜十一時ぐらいまでが基本だと。必要に応じて夜中の二時頃まで延長して対応というご答弁でした。
 明け方までやっていることもあるんです。朝の五時とか、そういうところまでやった、そういう時期もあります。とても負担が重いんですが、それぞれの時期のまちの様子、必要性に応じてColaboは取り組んでいるんです。
 先ほどもいいましたけれども、夜のまちには、買春者、性搾取業者にあっせんする人があふれています。渋谷や新宿などの繁華街では、毎晩百人以上のスカウトたち、百人以上の買春者が少女たちに声をかけているのが今の実態です。この活動に参加したメンバーは、少女たちを次から次に買おうとする大人たちや業者が声をかけてくる現場に直面し、それに対抗するアウトリーチの重要性を再確認したと、こういいます。
 バスを拠点に、買春者や性産業が集中する新宿歌舞伎町などを活動範囲にして、夜のまちで少女たちへの声かけ活動を行っているんです。そのバスカフェの活動は、夜の新宿歌舞伎町や渋谷で若年女性に積極的に声かけをしながら相談支援に結びつけております。やっぱりこの声かけの活動、これが大事なんです。
 この声かけ活動は、どういう理由でどうやって行われているのか、また、相談はどのようなことを大事にして行っているのか、具体的に伺います。

○奈良部少子社会対策部長 バスカフェ事業などのアウトリーチは、性的な被害、家庭の状況等の様々な事情により、日常生活や社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱え、結果として、性暴力や虐待等の被害に遭った、または被害に遭うおそれのある若年女性を支援しているものでございます。

○白石委員 先ほど、都として現地に行っていますよという答弁でした。都として現地に行っているわけですから、活動を見ているんですから、やっぱり答弁は——法律の条文と都の要綱ですよ、今。それをなぞって答弁するんじゃなくて、実際に行われている活動から答弁をしてほしい、これ改めて要望しておきます。
 Colaboが出会う少女たちの多くは、自分から助けてといえない状況があります。自分は助けを求めていい存在なんだということを知らなかったり、大人は信用できないと諦めていると話します。
 そもそも自分が何に困っているかも分からない状況が少なくありません。そのため、早い段階でそうした少女たちにつながるために、声かけ、アウトリーチをしていく必要があるんです。
 よく聞いていただきたい。その活動が今、重大事態になっております。ネット、SNSでのデマや誹謗中傷によって、現場は本当に、卑劣な妨害が現在行われています。
 一部紹介します。よく聞いていただきたい。バスカフェの前でライターを片手に、火をつけたろかとつぶやく、陰から望遠レンズで撮影をする、バスをのぞき込んでカメラを向ける、撮影したものをネットに投稿し中傷する、バスカフェの利用者や関係者を特定するなどの常軌を逸した嫌がらせ、卑劣な妨害行為などにより、アウトリーチ活動が現在できない、こういう重大事態になっているんです。できないんですよ。
 いいですか。相談している少女がいても、バスをのぞき込んでカメラを向ける。怖がって相談や居場所の提供にならないですよ。当たり前ですよ。アウトリーチのメンバーを大勢で囲むんですよ。いいですか。アウトリーチのメンバーには、Colaboでつながった当事者のメンバーたちも参加しているんです。つまり、当事者たちですよ。そんなところに大勢の男性が取り囲んで暴言突きつける。絶対に許されない。
 しかもこの攻撃の結果が生み出しているのは、いいですか、少女が夜の繁華街をさまよい続けるしかなくなるんですよ。だって、ないんですから。性的な搾取につながること、少女たちの相談や居場所を奪う行為ですよ。これね、軽い話じゃないんですよ。少女たちの命に関わる問題なんですよ。
 今日、東京地裁で、この妨害者に接近禁止命令が出ました。妨害活動を禁止する仮処分が本日出ました。そこまで来ているんですよ。そうせざるを得ないんですよ。
 私ね、局長に改めてお聞きしたい。こういう卑劣な妨害を放置するわけにはいかないと思います。少女たちの相談や居場所を奪ってはならないと私は思います。若年被害女性等支援事業の重要性も含めて、局長自らの言葉で、ぜひ答弁をお願いしたい。いかがでしょうか。(奈良部少子社会対策部長発言を求む)私、局長に聞いているんですよ。

○奈良部少子社会対策部長 本事業は、様々な困難を抱えた若年女性を支援し、自立に結びつける非常に重要な事業だと認識しております。

○白石委員 私は局長に聞いたんです。今こんなに深刻な事態になっているんですよ。もうアウトリーチの活動が新宿歌舞伎町で今できない重大事態だと。それぐらい卑劣な攻撃にさらされていると。そういうときに、安全な相談場所、居場所をつくる、これ都の事業なんですから。
 局長に改めてお聞きしたい。こういう卑劣な妨害を放置するわけにはいかないと思います。少女たちの相談や居場所を奪ってはならないと思います。局長、この支援事業の重要性も含めて、いかがでしょうか。

○木村理事 この事業につきましては、先ほど来お話もございますように、虐待や貧困など家庭に居場所がないなど、非常に困難な状況を抱える若年女性への支援を行う大変重要な事業でありまして、私どもとしても、その重要性を非常に認識をしているところでございます。
 この事業が円滑に進むように我々としてもやっていく責任がございますし、今お話がございました部分につきましては、安全に関わる問題ですので、今、そこは団体の方にも話をして、安全を確保するように伝えているところでございます。

○白石委員 私ね、局長に聞いたんです。今、理事が、団体に安全の確保と。団体にいうんじゃないんですよ。やってきているのは向こうなんですよ。だから私、この場で局長に聞いているんです。こういう妨害を絶対許しちゃいけないと本当に思うんですよ。だって都の事業ですもの。
 こういうことによって、今、アウトリーチの活動ができない、そういう状況になっていると。局長、いかがですか。局長、いかがですか。

○西山福祉保健局長 虐待や貧困など家庭に居場所がない、様々な困難を抱える若年女性の支援は重要であり、来年度は補助要件を厳格に設定をし、今後とも、困難を抱える若年女性を支援してまいります。

○白石委員 この事業は重要だと。今後も若年女性の支援は続けていくんだという決意を語っていただきました。私も同じ立場ですよ。今の局長の答弁、本当に大事だと思うんです。
 Colaboの活動は少女たちと共にあると。少女たちが人権侵害被害を受けることなく、安心・安全に生きられるように共に動くとColaboはいっています。自分の人生を生きられる社会になるように共に闘うとも書いてあります。
 今、少女たちの居場所を奪われかねない卑劣な攻撃がかけられています。攻撃のターゲットは、単純にColaboなど若年女性を支援する民間団体にとどまりません。困難を抱える女性への攻撃となっております。
 この攻撃の根っこには何があるのか。女性差別と性搾取や性産業を維持したいとする逆流なんです。今こそ共に、私は声を上げるときだと思います。そして、この卑劣な攻撃には、私は毅然と立ち向かうことが求められているんだと。
 ネットでは自分の匿名性を生かして——攻撃する側というのは根拠がなくていいんですよ。何でもかんでも、あることないこと、デマもフェイクニュースも並べて攻撃をかけてくる。そして、今、そのデマやフェイクニュースや中傷によって、現場ではとんでもないことが起こっている。じゃあ、誰に最後にしわ寄せが行くのか。少女たちですよ。本当に都議会で、私、これ受け止めなければいけないと。
 最後に、私は皆さんに本当に呼びかけたい。こういう社会を変えようじゃないかと。少女たちが安心して暮らしていける社会をつくろうじゃないかと。共に声を上げる、これを私、この場で決意もいたしまして、この質問、終わりたいと思います。

○早坂委員 私からは、食品安全、少子化対策、そして防災対策の三つのテーマでお伺いをいたします。
 まず、食品の安全について伺います。
 冬の味覚といえばフグでありますが、フグは猛毒を持っていることで知られています。毒にあたると命に関わることになるため、未処理のフグは、食品衛生法で原則として販売が禁じられています。これに違反すると、三年以下の懲役または三百万円、法人の場合は一億円以下の罰金が科せられることになります。
 しかし、専門知識を持つ人が有毒部位を完全に除去すれば無害になることから、都道府県知事が認めた有資格者に限って、フグを扱うことができる仕組みになっています。
 ところで、料理屋さんが扱うフグには、大きく分けて、丸と呼ばれる未処理のものと、身欠き、すなわち身、内臓を欠く身欠き、毒のある内臓を取り除き、皮を剥いだ加工品の二種類があります。フグの毒は主に内臓に含まれていますが、フグの種類によっては皮に毒を持つフグもあります。フグの毒は塩もみや加熱などでは無毒化されず、確実に身欠く必要があります。
 フグの取扱いについては先ほど申し上げたとおり、国の免許制度ではなく都道府県がそれぞれの基準を定めており、東京都はその中で最も厳しいとされています。
 では、フグの調理を行う人の認定に関して、都道府県によってどのような違いがあるのか伺います。

○中村食品医薬品安全担当部長 平成三十一年度に国が四十七都道府県を対象といたしまして実施いたしました調査によりますと、試験での認定が、都を含めまして三十一、一方で、講習会での認定が十六でございます。

○早坂委員 フグ調理を行う資格を得るためには、試験に合格しなければならない県と、単に講習会に出席すればよい県があることが分かりました。
 ちなみに、フグを取り扱える資格の名称も各都道府県で異なっており、例えば東京都ではフグ調理師と呼びますが、他県ではフグ包丁師、フグ処理師などと呼ぶところもあります。
 ところで、平成二十年頃から、他の道府県で処理された内臓を取り除き皮を剥いだ加工品の身欠きの流通量が増えるようになり、通信販売などによって一般家庭でも身欠きフグが食べられるようになりました。
 しかしながら、料理屋さんでは、フグを扱ってよいのは依然として身欠きであるか丸であるかを問わず、フグ調理師のいる料理店に限られていました。そうした矛盾を解消するための条例改正が平成二十四年になされました。
 それまで、なぜ身欠きまでフグ調理師でなければ扱ってはいけないという制度を設けていたのか伺います。

○中村食品医薬品安全担当部長 都が昭和六十年に築地市場で実施をいたしました調査では、内臓や皮を取り除いたいわゆる身欠きフグの中に、一定数有毒部位が残ったものが認められました。
 そのため、身欠きフグであっても、フグ調理師でなければ扱えない制度としておりましたが、平成二十二年に行った調査では不適切なものの割合が減少してきたことから、平成二十四年に条例を改正し、安全に処理された旨を表示で確認できる身欠きフグであれば、保健所に届け出ることで、フグ調理師のいない飲食店でも扱える制度といたしました。

○早坂委員 ご答弁では、身欠きといっても、その中に一定数有毒部位が残ったものがあったから、それまでは、料理屋さんで扱うフグは、フグ調理師でなければならないとの制限を緩めなかった。しかし、平成二十四年の条例改正により、身欠きのうち、安全表示があるものに限って、保健所に届ければ、料理店ではフグ調理師でなくても扱えるようにしたとのことでありました。
 その後、全国的に処理技術が向上して身欠きに有毒部位が付着していることが認められなくなったことで、今度はまた別の矛盾が生じました。それは、一般家庭で身欠きを買って家で食べる際に届出は要らないのに対して、同じ身欠きを料理屋さんで出すには届出が必要だったということです。
 それもおかしいということになって、令和四年から届出制度は廃止されたのです。つまり、料理屋さんでも一般家庭でも同じように、身欠きを提供できるようになったのであります。
 さて、来年度、令和五年度から、東京都におけるフグ調理師試験が大きく変わります。その概要について伺います。

○中村食品医薬品安全担当部長 これまでのフグ調理師試験は、調理師免許の所持と従事経験を受験資格とするとともに、有毒部位の除去など、フグの安全性確保のほか、刺身の調理などの技術も試験科目として実施をしておりました。
 国は令和元年度、フグ処理に関する資格の全国平準化を目的といたしまして、有毒部位の除去など安全性確保に関する事項に特化した認定基準を策定し、その基準に適合した試験を実施するよう各自治体に通知をいたしました。
 都は、こうした国の方針を踏まえ、来年度から受験資格を緩和し、調理技術を試験科目から除外する一方、水産食品の衛生に関する知識を学科試験の内容に加えるとともに、名称もフグ調理師から、フグ取扱責任者と改めたところでございます。

○早坂委員 全国で最も厳しいとされている東京都のフグ調理師試験に関しては、これまで十分な専門知識と高度な調理技術の両者が求められてきました。十分な専門知識とは、端的にいえば、毒がどこにあるかということと、それを身欠く知識です。もう一つの高度な調理技術とは、フグのお刺身を時間内に二十四枚にさばくことまでが求められていました。しかし、来年度の試験内容の変更では、高度な調理技術は求められないこととなりました。
 そこで、念のため、来年度、試験内容が変わることで、フグの食品としての安全性確保について変更があるのかお伺いをいたします。

○中村食品医薬品安全担当部長 実技試験では、調理技術に関する科目を除外いたしますが、除毒処理や種類鑑別など、安全性に関する科目に変更はございません。また、学科試験では、受験資格の緩和に合わせ、水産食品の衛生に関する科目を追加いたします。
 試験内容の変更後におきましても、フグ処理に必要な知識や技術を確認できる内容とし、引き続き、フグの食品としての安全性を確保してまいります。

○早坂委員 今回の条例改正は国の指導によるものであります。フグの資格が都道府県によってばらばらであり、それを同一基準に持っていこうとする厚生労働省の方針がありました。
 行く行くは国家資格に変わっていくのではないかと私は思います。というのも、かつては都道府県免許だった美容師、理容師の資格が、平成十年から国家資格に変わったという前例があるからです。全国同一基準になると安全レベルも担保され、国内流通が促進され、さらには海外輸出も促進されると思います。
 都庁福祉保健局におかれましては、これからも食品の安全に十分留意しながら、我が国の文化であるフグ料理の発展に向けて応援していただきますようお願いをいたします。
 二つ目のテーマ、少子化対策であります。
 少子化対策のうち、卵子凍結について伺います。
 日本生殖医学会によると、妊娠が成立しやすいかどうか、妊孕性という面からは、妊娠するのは若ければ若いほどよいとされます。ただし、初潮を迎えてから数年間は排卵が起きていないことも多く、妊娠が成立しやすいとは一概にはいえません。
 一方で、分娩するためには成人女性としての成熟した体になっていることが必要です。そうした観点からすると、十代の女性の体は発育途上にあるので、出産に適しているとはいえません。
 他方で、高齢になると産道の弾力性が失われていくことや子宮の疾患の頻度が高くなり、妊娠、分娩にリスクを伴いやすくなります。また、三十五歳以上になると卵子の染色体異常などの理由で、流産が増えるとされています。
 したがって、妊娠、分娩に最もふさわしい年齢は二十代で、遅くとも三十代半ばまでに第一子を出産するのが望ましいとしています。
 これらは生物学的な条件でありますが、そもそも結婚しているかどうか、あるいはご自身や旦那さんの仕事や就学、さらにはご家庭の高齢者の介護など、様々な事情でその時点での妊娠、分娩がかなわないということも考えられます。そうした場合に備えて、若いうちに卵子を採取して、将来の妊娠、分娩に備えておこうというのが卵子凍結であります。
 東京都は来年度、令和五年度、卵子凍結に対する支援に向けた調査を実施するため、一億円の予算案を計上しています。その内容について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 将来の妊娠に備えた選択肢といたしまして、女性の間で卵子凍結への関心が高まっております。こうしたことから、都は、卵子凍結への助成制度の構築に向けて、来年度調査を実施いたします。
 医療機関を通じまして、卵子凍結を希望する患者に調査への協力を依頼し、協力をいただいた方に凍結費用を助成する予定でございます。

○早坂委員 都庁のご担当者に事前に伺ったところによると、再来年度からの本格実施に向けて、まずは来年度、卵子凍結を行う方の理由や経緯、その年齢層などについて調査をしたいとのことでありました。
 卵子凍結は一回三十万円程度かかりますので、仮に三百人の卵子凍結を行うと九千万円になります。募集や報告書の作成の事務経費も考えると、一億円という予算ではそんなに多くの方々の支援ができるわけではなさそうであります。
 これまで東京都内で、あるいは我が国全体で年間に何件くらいの卵子凍結が行われたかを伺うと、そんな統計はないとのことでありましたので、来年度の調査項目にそれを含めることも提案をいたします。
 一方で、卵子凍結にはリスクもあり、その支援に関しては慎重に進めるべきだとの意見もあります。どのようなリスクがあるのか、そして、卵子凍結助成に向けた東京都のお考えを伺います。

○奈良部少子社会対策部長 女性が卵子凍結に関する正しい知識を持ってライフプランを考えることが重要でございます。そのため、都では、卵子凍結の流れや、メリット、デメリット等を記載したパンフレットを作成し配布しております。
 卵子凍結のデメリットといたしましては、排卵誘発剤による副作用の可能性があることや、医療行為であるため、実施に当たっては体調等に十分に配慮する必要がございます。また、妊娠や出産が必ずしも保証されるものではないこと、複数回の通院が必要なこと等にも留意する必要がございます。
 都といたしましては、学会など関係機関の意見も伺いながら、卵子凍結に関する正しい知識を持てるように配慮して、調査を実施してまいります。

○早坂委員 仮に二十歳代で卵子凍結を行ったからといって、それが将来の妊娠、分娩を保証するわけではありません。また、卵子凍結を行う時期と実際の妊娠、分娩の時期にはかなりの時間的隔たりがあろうかと思います。若い頃の卵子であるからといって、それは高齢出産のリスクを減らすことになりませんし、また、副作用もあり得るとのことでありました。そうした事実を冷静に都民の皆様に理解していただくことが大切だと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、三つ目のテーマ、防災対策について伺います。内容は、災害医療です。
 防災で最も大切なことは命を守ることにあります。そうした観点から、過去の大災害を振り返ると、それぞれに際立った特徴があることが分かります。
 今から十二年前の二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災での一万八千人の死者、行方不明者のうち、九〇%が水による被害、すなわち水死でありました。
 一方、今から二十八年前の一九九五年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災での六千四百人の死者のうち、八〇%が建物の下敷きになっての圧死、窒息死でありました。
 他方、今から百年前の一九二三年九月一日に発生した関東大震災での死者十万五千人のうち、九〇%が火災による焼死でありました。
 つまり、ここ百年間の大震災の被害を犠牲者の死因から見ると、命を奪った原因は、水か建物か火かとそれぞれ異なります。つまり、一口に大震災から命を守るといっても、何が主たる死因だったかで、当然、震災対策は異なるわけであります。
 そうした観点から、発生が切迫している首都直下地震を見てみましょう。昨年、二〇二二年に東京都が発表した被害想定によると、一都三県での死者は一万七千人、うち東京都は六千人だとされています。そして、東京都での死者六千人のうち、六〇%が建物の倒壊による圧死、窒息死、残りの四〇%が火災による焼死だとされているのが、この被害想定を読み解く最大のポイントであります。
 これに対する備えは、建物の耐震補強と家具の転倒防止、そして不燃化と初期消火であります。そして、発災後の医療は、とにかく外科的処置が求められるということになります。
 しかし、そうした私たち防災の専門家の常識を覆したのが、今から七年前の二〇一六年四月十六日に発生した熊本地震であります。
 熊本地震での死者は、当初、建物倒壊による五十人だとされました。それが、地震の一撃は免れたものの、その後の避難生活の中で体調を崩して亡くなる、いわゆる災害関連死が二百人も発生したのであります。つまり、これまでの命を守る震災対策は、水か建物か火の直接死の対策だけを考えていればよかったのが、熊本地震以降は、それらに加えて、避難生活で体調を崩して亡くならないようにすることが求められるようになったのであります。
 発災後の災害関連死を防ぐのに必要な医療は内科的処置であります。その内科的処置に不可欠なのが医薬品です。
 したがって、現在、東京都地域防災計画に定められている災害医療コーディネーターに加え、災害薬事コーディネーターを計画にきちんと位置づけ、医薬品の供給調整を行うことが、災害から都民の命を守るという観点からは極めて重要であります。ご見解を伺います。

○中村食品医薬品安全担当部長 災害時には、医療救護所等で活動する医療救護班等のニーズを集約し、適切に医薬品を供給する必要がございます。
 都は現在、災害対策本部の下に、都全域の医薬品供給など医療救護全体の調整等を担う医師の災害医療コーディネーターを置いておりますが、薬剤師の災害薬事コーディネーターを新たに置くことといたします。
 今後、東京都薬剤師会等と発災時の具体的な業務手順の検討を行うとともに、来年度修正をいたします地域防災計画に位置づけるなど、確実に機能するよう取り組んでまいります。

○早坂委員 熊本地震以降、命を守る震災対策の在り方が大きく変わりました。福祉保健局におかれましては、そのことを十分理解して、今後、首都直下地震対策に臨んでいただきたいと思います。
 終わります。

○たかく委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 最初に、障害者施設での工賃アップに向けた取組について伺います。
 以前より私は、障害者施設に伺い、現場の声をお聞きして、障害者雇用の促進であるとか、また、工賃向上に向けた取組などを世田谷区議会で取り組んでまいりました。障害のある方の工賃水準を引き上げることは、障害年金をはじめとする社会保障給付等による収入と併せて、自立した生活を実現するという観点からも非常に重要なことでありますが、障害者施設では、生産活動によって生じる工賃収入が、まだまだ依然として低い水準にあります。
 特に、三年前から起きた新型コロナウイルス感染症の影響では、イベントの開催がほとんど中止となってしまい、そこで、今まで売り上げていたものが大幅に減少して、いわゆる工賃の収入と併せてこういったイベントの収入が、販路が拡大できない、大変厳しい状況に陥っているわけでございます。
 この都内事業者の工賃アップに向けた令和元年度の実態調査では、多くの事業者が抱えている問題意識としては、一つに利用者の高齢化、また重度化、そして販路の開拓、新商品の開発、また利用者と仕事のマッチング、こういったことが挙げられておりました。
 また、必要な支援策としては、区市町村のネットワークや地元企業との連携、官公庁におけるいわゆる優先調達の拡大といった販路開拓に関することが挙げられておりました。
 そこで、最初にお聞きいたしますが、東京都の障害者優先調達方針に基づき、優先調達の拡大を通し、事業所の安定的な作業量を確保していくために、具体的に東京都としてどのような取組を行っているのかお聞きいたします。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害者が就労する事業所等の仕事を確保し、経営基盤の強化を図るため、事務用品等の物品や印刷、清掃などについて、事業所等から優先的に調達する方針を策定し、全庁で取組を進めております。
 これまで各局による調達を促すため、発注可能な物品等の内容や受注実績を定期的に情報提供するほか、発注事例や受注可能な事業所を紹介する専門窓口を設け、相談に対応してまいりました。
 今年度は、各局の取組状況や課題などに関する調査を行っており、この結果を踏まえ、来年度は、発注のさらなる拡大に向けた具体的な対応等について各局と意見交換を行うなど、優先調達の取組を一層推進してまいります。

○たかく委員 優先調達の推進には、各局のお取組がベースとなりますけれども、まずは福祉保健局など、キーとなる局が中心となって、各局が目標をしっかり達成できるように強く働きかけることを求める次第です。
 以前、私も地元の障害者施設に伺った際には、そこで自家焙煎コーヒーをつくる新しい設備を導入しておりました。そこでドリップコーヒーの販売を行っておりました。新しい機械を導入して、売上げも順調に進んでいたとお聞きしました。
 新たな商品開発で、その事業者で設備投資をしていく、そこから新たな販路拡大につなげていく、時代に合った設備投資で、事業所自らが新たな事業に挑戦していくことは、事業所の活性化にもつながり、ひいては工賃アップにもつながっていくものと考えます。
 こういった取組を都として積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 障害者が働くことの喜びや達成感を得ながら生き生きと働き続ける環境を整備するには、事業所が積極的に工賃向上に取り組むことが重要でございます。
 このため、都は、就労継続支援B型事業所の管理者などを対象に、工賃向上や新商品の開発、販路開拓などのノウハウを学ぶセミナーを開催しております。
 また、生産性の向上や受注機会の拡大などを目的に、生産設備を整備する事業所に補助するほか、工賃向上に向け、経営改善のためのコンサルタントを事業所に派遣する区市町村を支援しております。
 今後、事業所による工賃向上の取組がさらに進むよう、こうした事業の周知を一層図るとともに、より丁寧に事業者からの相談に応じながら、多くの事業所で生産活動の活性化を図ってまいります。

○たかく委員 今のお話では、セミナーの開催であるとか、コンサルタントの派遣、設備整備費補助などを行っているということでありますけれども、まだまだ周知が足りないところもあります。しっかり周知をして工賃向上につながるように、事業者へのさらなる支援をお願いいたします。
 そして、事業所の状況に応じて仕事を受注できるように、地元企業と事業所の間で仕事のマッチングができる環境を構築することが、先ほど述べた実態調査でも必要とされておりました。
 このような取組を東京都としても積極的に推進すべきと思いますが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、複数の就労継続支援B型事業所が、地域の企業や公共機関からの仕事を共同で受注する窓口の設置を支援しております。
 来年度からは、事業所と企業間のマッチング強化のため、区部と多摩地域に配置するコーディネーターが、事業所の受注能力等を把握した上で、発注企業等のニーズに応じて個別にマッチングを行うとともに、発注促進に向けた企業等への働きかけなどを行う取組を新たに開始いたします。
 また、これらの取組で得られた受発注に関する情報等を掲載するため、専用サイトを開設するなど、事業所における受注機会の一層の拡大を図ってまいります。

○たかく委員 来年度から、事業所と企業間のマッチング強化のために、コーディネーターが個別にマッチングを行って、企業等への働きかけを新たに行い、また、専用サイトもつくっていくということで、非常に、これから障害者施設での受注がさらに増えることを期待して、次の質問に移りたいと思います。
 それでは、次に、TOKYOシニア食堂推進事業について何点か伺います。
 令和二年から新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、ステイホームであるとか黙食など、これまで多くの人が外出や交流に制限を受けるようになったのが、この新型コロナ感染症の流行からであります。
 この三年間、例えば私の地元の高齢者クラブなどでは、お誕生日会など会食の伴う行事は大半が中止となってしまいました。その間、人と会わなくなり、会話も少なくなって、また、外出する機会も減り、運動することも少なくなって認知症となられた方や、フレイルの進行されてきた高齢者の方も増えてきたことを実感した次第です。
 五月に新型コロナウイルスは感染症法上の五類への移行が決定しました。これから緩和が進む中、感染対策に気をつけながら交流を再開していくことが重要と考えます。
 東京都は来年度、都民からの提案事業として、TOKYOシニア食堂推進事業を実施すると聞いておりますが、まず、事業の目的、概要について伺います。

○山口高齢社会対策部長 コロナ禍の長期化により、高齢者の外出機会が減少する中、孤立や閉じ籠もりを防止し、介護予防、フレイル予防を推進するために、都は来年度、新たにTOKYOシニア食堂推進事業を実施いたします。
 本事業は、高齢者の交流機会の増加を目的として、区市町村や地域住民等が主体となって実施する高齢者が気軽に立ち寄り、会食できる居場所づくりを育成支援するものでございます。

○たかく委員 この事業は、高齢者が気楽に立ち寄って、飲食をしながら様々な交流をすることができる取組を推進するということで、高齢者の交流機会の増加を実現することを目的としているとのことでした。
 高齢者の会食の場を設けることは重要と考えますが、会食だけではなく、会食をきっかけに地域の住民との交流に発展させるなどの工夫も必要かと考えます。具体的な内容について伺います。

○山口高齢社会対策部長 本事業では、会食の場を活用して、地域住民や子供たちとの交流機会を確保する取組や、簡単にできる体操教室、特殊詐欺等の被害に遭わないための防犯教室などの取組を行った場合に、補助を加算して支援することとしております。
 これにより、高齢者同士の交流にとどまらず、多世代との交流や生きがいの増進、心身の健康増進や日常生活の安全・安心を支援してまいります。

○たかく委員 多世代交流ということで非常に大事なことだと思いますし、また、そういった中で今行われている、例えば子供食堂などの事業とのタイアップであるとか、今行われている社協の事業とか、またいろいろな事業ともタイアップして行うということも可能ではないかというふうに思っております。
 いずれにしましても、高齢者同士の交流にとどまらず、多世代との交流や生きがいの増進、心身の健康増進や日常生活の安全・安心を支援できるよう、新たな事業で取り組んでいただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
 医療的ケア児の支援について、一点お伺いさせていただきます。
 先ほどもお話ありましたように、医療的ケア児に対する支援法は、平成二十八年に児童福祉法の改正で第一歩がスタートしました。そして、二〇二一年六月には医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が制定され、二〇二一年九月より施行となった次第です。
 この法律によって、医療的ケア児の日常生活、また社会生活を社会全体で支援していくこと、そして、そのため、国や地方公共団体としての責務、また保育所の設置者、学校の設置者等の責務が明確に示されたわけでございます。この法律によって、今、新たに東京都でも、新たな施策が生み出されてきているわけでございます。
 そんな中で、医療的ケア児の保護者は、お子様のケアで毎日大変なご苦労をされているのを私も現場で伺っております。そんな中、就労を希望される保護者がお子様を預けて安心して働き続けられる環境を整備していくことは、ご家族にとっても非常に重要な政策であります。
 医療的ケア児の保護者の方が安心して就労できる環境を整備すべきと考えますが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 医療的ケア児とその家族が在宅で生活していくためには、就労を希望する保護者が安心して働き続けられる環境を整備する必要があります。
 都はこれまで、医療的ケア児等の家族の休養や就労等を支援するため、訪問看護師が家庭を訪問し、家族の代わりに医療的ケアを行う在宅レスパイト・就労等支援事業を実施しており、来年度からは、保護者のニーズ等を踏まえ、利用上限時間を年間九十六時間から百四十四時間へ引き上げます。
 また、医療的ケア児の育児経験のあるペアレントメンターが、自らの体験を生かして就労や子育て等の様々な相談に応じる取組を開始するとともに、医療ニーズの比較的軽い医療的ケア児に対しても、日中預かりのサービスを拡充するなど、医療的ケア児の保護者の就労を支援する取組をさらに進めてまいります。

○たかく委員 先週の予算特別委員会でも私は質問をさせていただきましたが、今回、令和五年度予算案では、医療的ケア児コーディネーターの活動に要する経費の補助であるとか、また人材育成のための研修実施など、医療的ケア児の支援体制の整備を促進することに予算が盛り込まれました。
 また、ショートステイなど受入れ促進についても、より多くの医療的ケア児を受け入れるための費用補助や、受入促進員である看護師等の配置に関わる経費を支援することになり、大変評価するものであります。
 今後、医療的ケア児の保護者の就労支援についても、しっかりと来年度推進していただきますよう強くお願い申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○内山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、予算案及び知事提出の付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○内山委員長 次に、議員提出議案第四号及び第五号を一括して議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○白石委員 東京都補聴器の購入費の補助に関する条例について説明をいたします。
 高齢者の二人に一人は難聴であると推計されており、高齢化が進む中で、聞こえの支援は極めて重要な課題となっております。
 難聴は生活の質の低下につながり、認知症のリスクを高めることも明らかになっております。尊厳ある生活を送れるようにするために、聞こえの支援の充実が必要です。
 しかし、日本補聴器工業会が行った調査によると、難聴者のうち、補聴器を所有している方の割合は一四・四%にとどまっております。これはほかの先進国の同様の調査と比較して、三分の一から二分の一程度の割合です。
 そうした中、都内では独自に補聴器購入費助成等の支援を行う区市町村が増えております。二〇一九年度には九自治体で実施をしておりましたが、今年度は二倍の十八自治体が実施をしております。
 一方で、実施自治体の大半は二十三区となっていることや、補助額は、多くが二から三万円台となっており、自己負担が大きく、断念する方もいるなどの状況もあり、さらなる拡充が求められています。
 東京都は、補聴器の購入費助成等を行う区市町村への補助を行っておりますが、二分の一となっている補助率の引上げなど、都の支援をさらに充実させて、区市町村の取組を後押しし、より多くの難聴者が補聴器を使用できるようにするために、本条例案を提案するものであります。
 条例案の概要について説明をいたします。
 補聴器購入費の助成を行う区市町村に対して、東京都が補助を行います。補助率は十分の十といたします。
 対象者の要件は、十八歳以上の東京都民であること、聴力レベルがおおむね四十デシベル以上で、耳鼻咽喉科の医師が補聴器が必要と認める方であること、補装具費支給制度の対象となる聴力ではない方であることです。
 なお、十八歳未満の場合は、中等度難聴児に対する補聴器購入費の助成が行われております。
 補聴器を新規に購入する費用と耐用年数経過後に更新する費用等を助成対象とすることを考えております。
 両耳分の補聴器が助成対象となり、一台につき六万八千五百円まで助成をいたします。
 さらに、東京都は、補聴器が効果的に使用されるための調整が適切に行われるよう努めるものといたします。
 施行日は、二〇二三年十月一日です。
 所要経費は、初年度五十三億円、平年度で百六億円を見込んでおります。年間約八万人が利用することを見込んでおります。
 ご審議のほど、よろしくお願いをいたします。
 続きまして、島しょ通院交通費助成等条例案についてご説明をいたします。
 東京都島しょ地域外の医療機関への通院に係る交通費等の補助に関する条例についての提案説明を行います。
 島しょ地域では受けられる医療が限られるため、必要な医療が受けられない場合は島外の医療機関へ通院する必要があります。島外への通院のためには、船などの交通費と現地での宿泊費を払わなければなりません。急速な物価高騰が進む中、負担はますます重いものになっています。
 多くの町村が通院に係る交通費などの助成制度を実施しておりますが、東京都からの財政支援はありません。制度を拡充していくためにも、都の支援が非常に重要です。
 したがって、東京都として町村への補助制度を創設するため、本条例案を提案いたします。
 条例案の内容は、島しょ地域の住民が島しょ地域外の医療機関に通院するために係る費用への支援を行うものです。町村が行う助成制度に対して、東京都が補助を行います。
 助成の対象となるのは、島しょ地域外の医療機関に通院する必要があると町村長が判断した方の交通費、宿泊費となります。通院に付き添う方の交通費、宿泊費も助成対象といたします。
 交通費は半額を助成いたします。ただし、客船の部屋の等級は、特二等までを助成対象といたします。
 宿泊費は半額を助成いたします。ただし、宿泊費が一泊当たり一万六千円を超える場合は八千円を助成いたします。
 町村が助成を行った額の全額を東京都が補助いたします。
 施行日は、二〇二三年十月一日です。
 所要経費は、初年度二億円、平年度四億円を見込んでおります。
 以上で条例案の提案説明を終わります。ご審議のほどよろしくお願いをいたします。

○内山委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時十二分散会

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