厚生委員会速記録第十五号

令和四年十一月九日(水曜日)
第五委員会室
午前零時十分開議
出席委員 十四名
委員長内山 真吾君
副委員長早坂 義弘君
副委員長中山 信行君
理事平田みつよし君
理事菅原 直志君
理事竹井ようこ君
上田 令子君
竹平ちはる君
たかく則男君
龍円あいり君
浜中のりかた君
藤田りょうこ君
山加 朱美君
白石たみお君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長西山 智之君
健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
理事谷田  治君
理事木村 健治君
理事小林 忠雄君
総務部長高野 克己君
企画部長山本 謙治君
指導監査部長坂本 尚史君
医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務遠松 秀将君
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務遠藤 善也君
生活福祉部長高橋 博則君
高齢社会対策部長山口 真吾君
少子社会対策部長奈良部瑞枝君
障害者施策推進部長中川 一典君
健康安全部長藤井麻里子君
感染症対策部長関口 尚志君
都立病院支援部長齋藤 善照君
企画担当部長大出  仁君
企画担当部長森田 能城君
事業推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務岩井 志奈君
医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務鈴木 和典君
高齢者施策推進担当部長花本 由紀君
子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務西尾 寿一君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長中村 重信君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長
医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務播磨あかね君
新型コロナウイルスワクチン担当部長内藤 典子君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)

○内山委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 お手元に配布してあります会議日程の十一月八日とあるのは、十一月九日に読み替えることとご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 昨日に引き続き、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○平田委員 まず、都立病院のコロナ対応についてお伺いします。
 直近の第七波において、都立病院がどのようなコロナ患者を受け入れてきたのか伺います。

○齋藤都立病院支援部長 第七波では、都立病院は、都民の生命を守る観点から、重症、中等症の患者や、複数の診療科を持つ総合病院の強みを発揮し、新型コロナによる症状が軽くても重い基礎疾患のある方、認知症など介護度の高い方、障害のある方など、マンパワーを要する患者を積極的に受け入れてまいりました。
 例えば、介護度が高く常時全面的な介助が必要な方や、認知症があり職員の発言をなかなかご理解いただけない方、徘回される方、精神疾患のある方などを受け入れ、一人一人の症状に合わせて適切に対応いたしました。
 また、他の医療機関では受入れが困難な小児、妊婦、透析患者等のコロナ患者も積極的に受け入れました。
 さらに、熱中症患者等の増加や救急医療機関でのクラスター発生等の状況を踏まえまして、多くの救急患者を受け入れるなど、地域の医療ニーズに臨機応変に対応してまいりました。

○平田委員 ありがとうございます。
 さて、昨今の報道では、第八波の入り口などという言及も散見しております。
 そこで、第八波に向けて、都立病院でどのように職員体制を強化するのかお伺いします。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、独法化後に病院の裁量で常勤看護師を採用することが可能となっておりまして、七月以降、着実に職員を採用しております。
 また、柔軟な単価設定により、非常勤の看護師を迅速に確保するとともに、人材派遣等により、介護業務を担う看護助手を各病院で機動的に増員するなど、看護師のタスクシフトに取り組んでおります。
 また、冬に向けて増加する救急医療のニーズに対応するため、救命処置等に関するノウハウを持つ救命救急士を救急外来に配置しまして、救急隊と円滑にコミュニケーションを取ることで、より多くの救急患者の受入れに努めてまいります。
 さらに、こうした患者の受入れ体制を確実に維持できるよう、職員に対する五回目のワクチン接種に迅速に取り組んでまいります。
 今後想定されます冬の感染拡大時に、重症、中等症患者に加え、新型コロナが軽症でもマンパワーを要する患者を多く受け入れられるよう、独法化のメリットも生かしながら職員体制の強化を図ってまいります。

○平田委員 感染拡大に備えて、速やかに取組を進めていただくことを要望いたします。
 次に、高齢者の対応について伺います。
 都は、高齢者等医療支援型施設を設置したとのことですが、その概要についてお伺いします。

○関口感染症対策部長 オミクロン株が流行した第六波におきましては、高齢者施設でクラスターが発生し、高齢者の入院先の確保が課題となったことから、令和四年二月から五月までの間、荒川区内に高齢者等医療支援型施設を開設いたしました。この施設では、クラスターが発生した高齢者施設等から高齢者を受け入れ、治療や介護に加え、退所後に元の生活に戻れるよう、リハビリテーションを実施してまいりました。
 また、より症状の重い方が病院に入院することができますよう、病院から症状が軽快した下り患者を受け入れ、転退院を促進するとともに、五月に開設した赤羽の施設では透析患者を受け入れまして、また、七月には世田谷玉川と渋谷の施設を開設するなど、受入れ体制を強化してまいりました。

○平田委員 大変需要の高い施設ではないかと思っております。
 この高齢者等医療支援型施設におけるこれまでの受入れ状況、そして、現状を踏まえた今後の取組の方向性についてお伺いいたします。

○関口感染症対策部長 高齢者等医療支援型施設では、令和四年十月末までに四施設合計で二千七百三十九人の高齢者等を受け入れてまいりました。
 第七波におきましては、介護度が高い高齢者の救急対応の必要性が認識されましたことから、令和四年十二月に、青山の酸素・医療提供ステーションを高齢者等医療支援型施設に機能転換いたしまして、二十四時間三百六十五日、救急要請に対応いたします。
 さらに、新たな高齢者等医療支援型施設の開設を検討するなど、高齢者が安心して療養できる体制を一層強化し、次の感染拡大への備えを万全にしてまいります。

○平田委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次に、老人クラブ活動継続支援事業について伺います。
 老人クラブという言葉が、若干ちょっと違和感を感じるほど、高齢者の社会における位置づけや都民の意識は時代の進展に伴って大きく変化しております。
 こうした老人クラブを取り巻く変化を東京都はどのように認識して、どのように施策に反映させているのか、まずは伺います。

○山口高齢社会対策部長 身近な地域における高齢者の自主的な取組である老人クラブ活動は、高齢者の社会参加の促進や介護予防に有効であるとともに、地域の見守りや支え合いに資するものであり、人生百年時代を迎え、一人暮らしや高齢者のみの世帯が増加する中にあって、その役割は一層重要になっていくものと認識しております。
 このため、都は、各老人クラブへの活動費の補助に加え、介護予防等の取組において指導的役割を担う健康づくりリーダーの養成や、地域の高齢者宅を訪問して安否確認や孤独感の解消を図る友愛活動の実践事例を共有する講習会の開催など、老人クラブ活動の充実を図るための様々な支援を実施しております。

○平田委員 いずれにせよ、高齢の方が増えているというのは間違いない事実でございますので、このクラブ活動の充実は大変重要だと思っております。
 都は今年度から、老人クラブ活動継続支援事業を始めたわけですけれども、この事業の背景や目的についてお聞かせください。

○山口高齢社会対策部長 老人クラブでは、新規加入者の減少や会員の高齢化、また、それに伴う役員等の後継者不足が進んでおり、会計帳簿の作成など事務作業の担い手の確保が課題となっております。
 今年度から開始した老人クラブ活動継続支援事業は、区市町村が企業退職者など事務手続や広報活動等に詳しい人材による事務お助け隊を組織し、各クラブのニーズに応じて、会計事務の臨時的支援や新入会員獲得のための助言等を行うものであり、これにより、老人クラブの活動継続を図ることを目的としております。

○平田委員 老人クラブの活動継続を図ることが目的というお話でしたけれども、具体的な取組について、もう少しお聞かせいただければと思います。

○山口高齢社会対策部長 現在、三区市で本事業が活用されており、その具体的な取組内容としては、老人クラブの補助金申請事務等を支援するため、自治体が雇用する会計年度任用職員を老人クラブ連合会に派遣して事務処理を行う方法や、外郭団体に事務処理を委託する方法などが取られております。
 今後、こうした取組事例を他の区市町村にも紹介し、本事業の活用を働きかけてまいります。

○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 最後に、人生百年時代社会参加マッチング事業について伺います。
 ご高齢の方が健康を維持し、生きがいを持って暮らし続けるためには、社会に参加して様々な活動をすることが重要であると考えます。
 東京都は、高齢者の社会参加を促進するために、今年度から、人生百年時代社会参加マッチング事業を開始しました。そこで、この事業を始めた背景について伺います。

○山口高齢社会対策部長 人生百年時代において、高齢者がいつまでも元気で心豊かに過ごすためには、一人一人が介護予防、フレイル予防に取り組むとともに、自らの希望に応じた仕事や学び、趣味、地域活動等に取り組める機会を確保することが重要でございます。
 都が実施した調査によれば、リタイア後に地域活動等への参加を希望する方が約八割であるのに対して、実際に参加している高齢者は約五割にとどまっており、参加していない理由としては、きっかけがない、活動の情報がないといったことが挙げられております。
 一方で、区市町村を対象とした高齢者の社会参加施策に関する調査によれば、老人クラブ会員やボランティア等の地域活動の担い手が高齢化し不足しており、新たな担い手の確保が課題となっております。
 こうした状況を踏まえ、社会参加の意欲がありながら活動に参加できていないシニア、プレシニアと新たな担い手を必要としている地域の団体等とをつなぐことを目的として、人生百年時代社会参加マッチング事業を開始したものでございます。

○平田委員 事業概要を拝見しますと、この事業、高齢者の社会参加を促進するために、委員会の設置ですとか、あるいは区市町村への支援をその内容としていると認識いたしました。
 最後に、現在の取組状況についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○山口高齢社会対策部長 都は、社会参加に関するきっかけづくりやマッチング等の効果的な事業実施の在り方を検討するため、高齢者の社会参加に造詣の深い研究者や有識者、区市町村の代表者などで構成される検討委員会を本年五月に設置いたしました。
 検討委員会ではこれまでに、自治体や民間での先行事例の収集、分析や区市町村における関連施策の現状調査等を踏まえ、都におけるマッチング施策の在り方や区市町村との役割分担などの基本的な方向性について議論しております。
 今後、シニア、プレシニアを対象とする意向調査を実施するなど、さらに議論を重ね、年度末に向けて検討結果を取りまとめる予定となっております。
 一方、高齢者の社会参加を促進するためには、身近な地域に相談窓口が開設され、希望や適性に合った団体や活動の紹介を受けられることも重要でございます。
 このため、都は、高齢者の相談支援や社会参加活動の掘り起こしを行う区市町村の取組を支援することとしておりまして、今年度は五区市に対し補助しております。
 今後、都における広域的なマッチングの仕組みづくりと区市町村の相談支援等の取組を連携させ、人生百年時代にふさわしい事業を構築してまいります。

○たかく委員 私の方から、最初に、養育支援訪問事業について伺います。
 全国の児童相談所における虐待相談対応件数は、一貫して増加を続け、令和二年度には二十万件を超えております。また、虐待により死亡する事件は後を絶たず、かけがえのない子供の命が失われております。
 国では平成二十六年度より、子育て家庭において適切に養育が行われるよう、支援が必要であると区市町村が判断した家庭に対し、専門的相談や育児、家事援助を行う養育支援訪問事業を開始したところです。
 昨年、ある民間団体が養育支援訪問事業について、都内の各自治体宛てに本事業における育児、家事援助についての調査を実施しました。その調査を通して、多くの課題が見えてきました。
 例えばこの事業では、不適切な養育状態にある家庭への支援は、中長期支援型による支援を想定しているにもかかわらず、アンケートの結果では、三か月未満で終了する自治体は全体の二一%、一年未満で終了する自治体は五一%となっていることも判明しました。
 また、各自治体での育児、家事援助の実施数や専門的相談支援実施数にも、かなり自治体間のばらつきがあることなども指摘されております。
 さらには、各自治体で本事業に必要な予算の確保が十分できていない、訪問支援員の確保ができていない、そして訪問支援員への研修が不十分であると、アンケートの結果で浮き彫りになってまいりました。
 調査結果によりますと、各自治体の養育支援訪問事業の実施状況には、かなりのばらつきがあるとのことですが、区市町村の取組の現状について、まずはお聞きいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 養育支援訪問事業につきましては、令和三年度交付決定ベースで、五十二自治体が実施しております。
 事業の実施に当たりましては、区市町村がそれぞれの判断により要件を定めておりまして、訪問支援の利用回数や利用期間の上限等は様々でございます。

○たかく委員 今回の民間団体の調査では、関係する自治体職員のほぼ全員が、養育支援訪問事業の育児、家事支援は、不適切な養育下にある子供たちにとっては有効、そしてまた極めて有効な事業と回答しておりました。子供の虐待防止の取組として、この養育支援訪問事業が重要な施策となっていることは間違いないと思います。
 国においては、今年六月の改正児童福祉法の令和六年度の施行に向け、乳幼児だけではなく、家事、育児等に対して不安や負担を抱える子育て家庭、妊産婦やヤングケアラー等がいる家庭を訪問支援する事業を立ち上げたところであります。
 こうしたことから、訪問支援員には、これまで以上に幅広い家庭の支援ニーズに対応する多様なスキルが求められると考えます。
 東京都としても、区市町村の養育支援訪問事業における訪問支援員の確保、そしてまた育成をしっかり支援すべきと考えますが、東京都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は昨年度、児童相談体制等検討会の下に子供家庭支援センターの体制等検討ワーキンググループを設置し、きめ細かな相談体制の構築や在宅サービスの量の確保と質の向上等につきまして議論を行っております。
 その中で、養育支援訪問事業につきましては、複雑な課題を抱える家庭が増加し利用ニーズが増えている反面、サービスを提供できる事業者や支援に必要な専門性を持つヘルパーが少ないなど、人材確保や育成などに課題があるとの意見が出ております。
 国は、改正児童福祉法の令和六年度の施行に向け、本事業の見直しを進めておりまして、都は、ワーキンググループでの議論や国の動向を踏まえまして、対応を検討してまいります。

○たかく委員 児童虐待の相談件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化している状況で、さらなる子育て世帯に対する包括的な支援の体制強化を行うために、改正児童福祉法が今年六月に国会で可決され、令和六年度に施行されることになりました。
 改正児童福祉法の改正に向けて、子育てに困難を抱える世帯への支援をしっかりと進めていくこと、また、子供政策連携室と連携した支援体制を整備していくことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、自殺対策です。
 平成十八年に自殺対策基本法が施行されてより、国を挙げての自殺対策が総合的に推進された結果、自殺者数は三万人台から二万人台に減少してきました。
 令和二年には、コロナウイルス感染症拡大の影響等で、自殺の要因となり得る様々な問題が悪化したことなどにより、自殺者総数が十一年ぶりに前年を上回りました。
 先月、自殺総合対策大綱が閣議決定されました。この自殺総合対策大綱では、新型コロナウイルス禍で自殺者が増えた女性への支援が初めて重点施策に加えられ、また、子供の自殺を防ぐために地域と学校が連携する仕組みを整えることとなりました。
 一方、東京都では、先月、自殺総合対策東京会議を開催し、自殺総合対策計画の骨子案を示しました。骨子案の中では、コロナ禍で増加している女性の自殺対策などを強化する方針を示し、DV被害や妊産婦への支援が盛り込まれました。
 最初に、ゲートキーパーについて伺います。
 ゲートキーパーの役割は、心理社会的問題や生活上の問題、健康上の問題を抱えている人など、自殺の危険を抱えた人々に気づき、適切に関わることといわれております。
 また、ゲートキーパーには、地域のかかりつけのお医者さんや保健師などをはじめ、行政などの相談窓口やボランティア、家族や友人といった様々な人たちが、ゲートキーパーの役割を担うことが期待されております。
 昨年、公明党の世田谷青年局で実施したアンケート調査では、ゲートキーパーについて約八〇%の方が知らないと答えた一方で、ゲートキーパーになるための研修があれば参加したいと答えた方は約七〇%いらっしゃいました。ゲートキーパーの周知とともに、拡充につながる研修等の受講機会の工夫をし、活動につなげていくような取組が重要と考えます。
 最初に、ゲートキーパーの必要性についての認識と東京都の取組を伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 自殺の背景には様々な要因が複雑に絡み合っていることから、困難を抱える方の周囲の方々がゲートキーパーとして悩みに気づき、声をかけ、必要な支援につなぐことが重要でございます。
 このため、都は、ホームページやSNSを活用いたしまして、ゲートキーパーの役割を周知するとともに、令和四年八月及び九月には、電車やタクシー、理美容店等での動画放映等を行い、集中的な広報に取り組んだところでございます。あわせまして、若年層が多く利用する音楽配信サービスを通じた普及啓発も新たに実施をいたしました。
 こうした普及啓発を進めるとともに、令和四年度からは新たに、自殺ハイリスク者と接する機会の多い医師や薬剤師、看護師等の医療従事者を対象としたゲートキーパー養成研修を実施することとしております。
 今後とも、悩みを抱える方を必要な支援につなげ、自殺予防の取組を推進してまいります。

○たかく委員 今答弁にありましたように、自殺の背景には様々な要因が複雑に絡み合っております。今後とも、悩みを抱える方を必要な支援につなげ、自殺予防の取組を推進していくことを求めます。
 小中高生の自殺者数は、自殺者数の総数が減少傾向にある中においても増加傾向となっており、令和二年には過去最高となりました。令和三年は過去二番目の水準となり、極めて深刻な事態が続いております。
 都ではどのような対策を講じているのかお聞きいたします。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 コロナ禍におきまして、若年層の自殺者数が増加したことを踏まえ、都では対策を強化してまいりました。
 具体的には、令和三年七月に、若年層の相談ニーズに合わせSNS自殺相談の相談時間を延長するとともに、自殺予防に関するポケットメモの配布対象を小学校五年生から高校三年生までの全学年に拡大し、夏休み前に学校を通じて配布しております。
 さらに、令和四年三月には、教職員向けに、自傷行為や自殺未遂等のリスクのある子供たちへの対応方法につきまして、新たに普及啓発資材を作成し、都内全ての小学校、中学校及び高校等に配布をいたしました。
 あわせまして、今年度から新たに区市町村教育委員会を通じまして、自殺未遂者対応地域連携支援事業、東京都こころといのちのサポートネットを周知し、学校における自傷、自殺リスクのある子供たちへの対応を支援することとしております。

○たかく委員 今の答弁ですと、今年度から新たに区市町村教育委員会を通して、自殺未遂者対応地域連携支援事業、東京都こころといのちのサポートネットを周知し、学校における自傷、自殺リスクのある子供たちへの対応を支援していくということであります。
 小中高生だけではなく、都内においては、大学生、大学院生の自殺も深刻であります。
 自殺総合対策東京会議では、大学が実施する自殺予防教育への支援の必要性について意見が出ておりましたが、こうしたことも踏まえ、大学生の自殺防止に向けてどのように取り組んでいくのかを伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、若年層対策といたしまして、SNS自殺相談を平成三十年から実施をし、相談受付時間や体制を順次拡充をしてまいりました。
 あわせまして、自殺対策強化月間の九月には、若者自身が悩みにどう対応していくかを考えられるよう、大学と連携した講演会を毎年開催しております。
 また、令和三年度には、大学生等が自らの心身の不調に気づき必要な支援につながるよう、大学の保健管理センター等に配架する普及啓発カードを新たに作成し、都内大学等に配布をいたしました。
 今後、大学生等の自殺防止の取組をさらに進めるために、自殺総合対策東京会議におきまして、大学を通じた取組について議論をしてまいります。

○たかく委員 SNSを通した自殺相談については、平成二十九年度、三十年度にモデル実施をし、令和元年度から本格実施して以降、受付時間と体制を順次拡充してきたと聞いております。
 近年では様々な団体が自殺防止に関わるSNS相談を開設していること、また、都内には多様な相談窓口が用意されていることも踏まえれば、今後は、悩みを抱える方を早期にこれらの窓口につなげる取組がさらに重要と考えますが、見解を伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都では、悩みを抱える人を早期に適切な支援につなげるため、インターネットの検索連動広告を用いて、相談窓口等の情報に誘導する取組を平成二十七年度から実施をしております。
 また、令和三年十二月には、悩みに応じた相談窓口を検索できるよう、自殺総合対策ホームページ、東京都こころといのちのほっとナビを改修いたしまして、当該ホームページには月間五万件程度のアクセスがあるなど、多くの方にご利用をいただいております。
 今年度は、新たに検索連動広告におきまして、悩みを抱える人へ効果的に訴求できるキーワードや広告閲覧者の相談行動を促すための広告文などを明らかにするための調査研究を実施しており、研究結果を今後の取組に活用してまいります。

○たかく委員 都では、悩みを抱える人を早期に適切な支援につなげるために、平成二十七年からインターネットの検索連動型広告を用いて、相談窓口等の情報に誘導する取組を実施している、今後さらに取組を推進するとのことであります。
 さて、先日、SNSで自殺願望をほのめかしていた横浜市の女子中学生の自殺を幇助したということで、会社員の男性が逮捕されるという大変に痛ましい事件が発生いたしました。このように、SNSに自殺願望や悩みを書き込んだ十代の若者が事件に巻き込まれるケースが後を絶ちません。
 今回の事件を受けて、若者支援を行っているある団体が、その団体の相談者に対してどんな支援や救いを求めているのかアンケート調査を実施しました。その調査では、相談者は自分の居場所を求めていて、その居場所がないためにネット上に助けを求めているというようなことが出ておりました。
 自殺対策は自殺を防止するということではなく、自殺対策基本法の目的にもあるように、国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与するように進められなければならないと考えます。
 そうしたことから、家庭に居場所のない子供たちや行き場のない若者たちに、自殺対策に資する居場所を確保していくことが重要と考えます。都としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、東京都地域自殺対策強化補助事業によりまして、都内において民間団体が実施する自殺対策の取組を支援しております。
 令和四年度におきましては、十八歳までの子供たちに対し安心の場を家に代わって保障する家と施設の中間的な場所を提供する事業や、十代及び大学生に対しコミュニティスペースを提供する事業などに対し補助を行う予定でございます。
 新たな自殺総合対策大綱におきましても、地域における心の健康づくり推進体制の整備といたしまして、居場所づくりを進めることが記載されており、現在、自殺総合対策東京会議において議論をしております。

○たかく委員 今回の大綱の中でも、生きることの阻害要因を減らす個別的な支援と生きることの促進要因を増やす居場所活動を通じた支援とを連動させる包括的な生きる支援を推進するとしております。自殺対策を進める上での居場所の確保を要望して、次の質問に移ります。
 次は、日常生活用具給付等事業と補装具費支給制度について伺います。
 障害者などの方が使用する福祉用具には、義手や車椅子などの補装具と入浴用椅子やストーマ装具などの日常生活用具があります。補装具は国が定めた品目や基準などに基づいて支給され、日常生活用具は区市町村が品目、基準額、要件などを定めて支給をしております。
 日常生活用具給付等事業は、区市町村が行う地域生活支援事業のうち、必須事業の一つになっております。障害者の日常生活の便宜を図り、その福祉の増進に資することを目的としておりまして、障害者の日常生活上の困難を改善するとともに、自立を支援して、かつ社会参加を促進する役割を担うとされております。
 先日、都議会公明党の予算要望で、日本オストミー協会の方々から要望いただきました。
 排せつ機能に障害のある方にとって、ストーマ装具等の使用は毎日の生活において必須なものでありますが、二十七年間にわたってこのストーマ装具の基準額の見直しがなされていないということで、支給基準額の見直しをそのとき求められました。
 現在、ロシアのウクライナ侵略による原油高、また物価高騰の影響も大きく、いろいろな資材、物が値上がりしている中で、支給基準額の見直しは急務と考えます。
 社会情勢の変化に伴い、日常生活用具給付等事業の給付対象となる品目の価格も変動が生じていることから、支給基準額についても時代に合わせた見直しをすべきと考えます。都の見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 日常生活用具の給付は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業に位置づけられており、障害者の日常生活の便宜を図ることを目的に、区市町村が地域の実情に応じて給付しております。
 国は、一部の市町村で長年にわたって日常生活用具の種目、基準額、対象者の見直しがなされていないことを踏まえ、令和三年三月、自治体に対し、定期的に当事者の意見を聴取する等により、ニーズを把握した上で、実勢価格の調査などを行い定期的に見直すことを要請いたしました。
 都におきましても、区市町村との会議の場などを活用し、国が示した見直しの留意点などを周知しており、今後とも、区市町村による日常生活用具の給付が適切に行われるよう働きかけてまいります。

○たかく委員 難病指定の色素性乾皮症という難病があります、XPというふうにも呼ばれておりますが、先日、色素性乾皮症の難病の方からご要望をいただく機会がありました。
 この難病は、日光に当たると露光部の皮膚に染みがたくさん生じ、皮膚が乾燥し、皮膚がんが普通の人の数千倍多く生じる病気で、半数以上の患者さんで神経症状が現れるという難病であります。この団体の方からは、日常生活用具給付で皮膚を紫外線から守るための防護服であるとか、紫外線を測る測定器などの購入費補助についての要望をいただきました。
 また、障害を持つ児童のご父兄からは、学習補助器具について、新たなデジタル機器が次々と今出ていることを踏まえて、この事業におけるデジタル機器の見直しをできないかと求められております。
 日常生活用具給付等事業では、対象品目の選定において障害者のニーズの変化や製品の開発状況等も踏まえるべきと考えますが、こうした対応は区市町村により異なるということも聞いております。都は、この状況をどのように捉えているか伺います。
 また、東京都は、利用者のニーズを踏まえ、区市町村でより効果的な給付が行われるよう、障害ごとの対象品目の見直しを区市町村と連携して進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 日常生活用具は、種目や基準額等を定期的に見直すことが求められておりまして、特に障害者の日常生活を支えるデジタル機器につきましては、技術の進歩が目覚ましいことから、最新の情報を得ながら適切に対応していく必要があります。
 このため、都は今年度、福祉機器を展示するイベントを活用いたしまして、情報取得や意思疎通などを支援するデジタル機器に関する区市町村との情報共有や意見交換を実施いたしました。
 今後とも、利用者のニーズの変化や技術の進歩などを踏まえ、日常生活用具の品目、基準額、要件などの見直しが区市町村において適切に行われるよう、様々な取組により支援してまいります。

○たかく委員 次に、補装具費支給制度についてでありますが、補装具は、障害者総合支援法に基づいて支給され、障害者等の失われた身体機能を補完または代替するための更生用の用具で、国が定めた品目や基準などに基づき支給されております。
 日常生活用具給付等事業と同様に、都は、補装具費支給についても、利用者に合ったより効果的な給付が行われるよう国に働きかけ、また、区市町村と連携していくようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 補装具は、障害者総合支援法に基づき、区市町村が支給しており、都は、区市町村からの依頼を受け、心身障害者福祉センターで専門的な判定を行っております。
 補装具の種目や費用等に関する基準は国が定めておりまして、補装具費の基準額に係る実態調査や関係団体等へのヒアリング等を踏まえまして、必要に応じて見直しが行われております。
 都は、他の自治体と連携しながら、補装具の種目の追加や基準額の改善などを国に要望するとともに、区市町村には補装具に関する研修や情報交換等を実施しておりまして、今後とも、障害者の日常生活を支える補装具の支給が適切に行われるよう取り組んでまいります。

○たかく委員 補装具の種目や費用等の基準は国が定めているとのことでありますけれども、現場の利用者の声、その声をしっかり聞いて、それを形にしていくというのは、やはり基礎自治体の責務であると思います。
 東京都としても、利用者に合った効果的な給付がちゃんと行われるように、しっかりと方向性を持って国に働きかけていくなり、また区市町村と連携していく、こういったことをしっかりすべきであることを要請して、次の質問に移ります。
 次は、医療的ケア児への支援についてです。
 現在、東京都では、重症心身障害児者や医療的ケア児等の在宅レスパイト事業を行っております。この事業は、自宅に訪問し、家族が行っている医療的ケアを訪問する看護師が行うものであります。
 最初に、医療的ケア児の保護者の在宅支援を行う在宅レスパイト・就労等支援事業の実績について伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、重症心身障害児者や医療的ケア児を介護する家族の休養や就労等を支援するため、家族に代わって一定時間医療的ケア等を行う訪問看護師の派遣を行う区市町村を在宅レスパイト・就労等支援事業で支援しております。
 令和四年度は三十三区市町村で取り組んでおりまして、保護者の休養を目的として実施している自治体は十九、休養と就労を目的としている自治体は十四でございます。

○たかく委員 新たに就労を目的とする自治体が増えてきたとのことでありました。
 この在宅レスパイト・就労等支援事業は、年間九十六時間であります。さらなる、こういった時間数の拡大をしてほしいとのお声も現場ではいただいております。
 医療的ケア児の保護者の支援は大変重要であり、さらなる支援を求めるところでありますが、都の見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、保護者のニーズ等を踏まえ、令和三年度に、これまでの休養を目的とした在宅レスパイト事業を拡充し、保護者の就職や復職などの活動のため訪問看護師の派遣を行う場合も事業の対象に追加いたしました。
 この在宅レスパイト・就労等支援事業に加え、今年度からは、医療的ケア児に対応できる放課後等デイサービスや児童発達支援の事業所を増やすため、事業所での受入れのポイントや留意点を学ぶ研修も実施いたします。
 今後とも、こうした取組を進め、医療的ケア児とその家族を支援してまいります。

○たかく委員 時間数の拡大を含め、医療的ケア児とまたその家族へのさらなる支援を求め、次に、最後の質問に移ります。
 最後に、移動支援事業の拡充について伺います。
 先日、医療的ケアの必要な方の両親からご相談をいただきました。医療的ケアの必要な障害のある方が、余暇活動での社会参加や医療機関への通院など、社会生活上必要な外出においての移動支援について、看護師の同行訪問ができるようにしてほしいとの要望でした。
 現在、区市町村の移動支援事業では、外出が困難な障害児者が充実した日常生活を営むことができるように、ヘルパーを派遣して、社会参加や余暇活動に必要な外出等の支援を今行ってはおります。
 地域生活支援事業に位置づけられているこの移動支援事業においては、看護師の同行訪問を追加するためには、看護師確保に向けて、通常の単価に上乗せを行う対応が必要になると考えられており、現実問題、なかなかそこに手を挙げて行っている自治体も少ないと聞いております。既に地域生活支援事業の財政負担が大きくなっている区市町村においては、対応がなかなか難しいとの話を聞いております。
 こういった状況下で、地域生活支援事業の中でサービスの拡充を図っていくのは難しい状況でありますが、東京都としての見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 障害者総合支援法に基づくサービスには、国が内容や基準を示した個別給付や補装具の支給などのほか、地域の特性や利用者の状況に応じて実施する地域生活支援事業があり、区市町村が実施する地域生活支援事業には、日常生活用具の給付や障害者の移動支援などがございます。
 国は、国庫補助対象となる地域生活支援事業のメニューを自治体に示しているものの、財源確保が不十分なことから、自治体に大きな超過負担が生じております。
 このため、都は、国に対して十分な予算措置を講じることを求めるとともに、移動支援については個別給付化を求めており、今後とも、実態に即した円滑な運用が図られるよう、必要な働きかけを行ってまいります。

○たかく委員 今お話ありましたように、国の方では、国庫補助対象となる地域生活支援事業のメニューを自治体に示しているけれども、財源確保が不十分なことから、自治体で大きな超過負担になっていると。私も聞いたところではそういった回答でした。
 しっかりと、東京都においては、区市町村に対して財政的にバックアップできるような体制をつくっていただきたいこと、そういったことを要望して、私からの質問を終わらせていただきます。

○早坂委員 時刻は間もなく午前一時でございます。理事者の皆様には、遅い時間まで都民の福祉と保健向上のためにお働きくださいまして、誠にありがとうございます。
 昨日今日に限らず、この準備のために、恐らく数日間同じような状況なんだろうと思います。ここのお部屋にいらっしゃる幹部の方はもちろんでありますけれども、そのバックヤードには、それを支える大勢の皆さんがいらっしゃるんだろうと思います。このことに敬意を表して、また、遅くなっておりますことにおわびも申し上げたいと思います。
 私からは、初めに障害者支援、二つ目に医療人材、三つ目にはワクチン、四つ目に防災に関してお伺いをいたします。
 最初に、障害者支援です。耳の不自由な聴覚障害者支援のための電話リレーサービスについてお伺いいたします。
 聴覚や発話に困難がある方は、電話でお話しすることができません。したがって、例えば耳が聞こえて話すことができる人なら、簡単に電話で済ますことができる病院やレストランの予約に関して、電話を使うことができません。そこで、通訳者を介して電話をするというサービスがこの電話リレーサービスです。
 聴覚障害者は、スマートフォンやパソコンのアプリである電話リレーサービスを使い、通訳者であるオペレーターに対して、チャットか手話を用いて用件を伝えます。そして、通訳オペレーターがそれを音声言語に通訳して、相手先に電話で内容を伝えます。
 例えば、こんな感じです。こちらは電話リレーサービスです。耳の聞こえない方からのお電話を通訳しております。双方のお話を全て通訳いたします。よろしくお願いいたしますという案内が最初にあり、案内後、通訳オペレーターを介して、聴覚障害者と相手先が通話を開始します。私はニシヤマと申します。私の患者番号は何番です。整形外科の予約をお願いしますといったように、聴覚障害者のニシヤマさんが、通訳を介して、会話の主体として相手先と話をいたします。
 二十四時間三百六十五日、いつでも利用できるサービスで、一日当たり全国で一千件の利用があります。
 この利用料は幾らかというと、利用者は電話の通話料だけを負担し、通訳費用はかかりません。では、その通訳料は誰が負担しているかというと、固定電話や携帯電話に加入している全ての人が、二か月に一円、年間六円を払うことで成り立っています。
 毎月の電話料金の明細を見ると電話リレーサービス料という項目があり、二か月に一円が請求されていることが分かります。その二か月に一円の負担が積もりに積もって、サービスを支えているのです。
 それがどれぐらいのボリュームかというと、固定電話と携帯電話の我が国での契約総数は、一人当たり約二台、現時点で二億五千万件だとされていますので、年間十九億円の予算で回すという巨大な仕組みが構築されました。自助、共助、公助のうち、共助に当たるといえるでしょう。
 サービスを自助で賄うには高額になり過ぎる。かといって、税金を使うことなく、みんなが少しずつ負担し合って聴覚障害者のための電話リレーサービスを支えるという共助の仕組みを構築したのは、極めて優れたことであると思います。私たちが知らないうちに、誰か困った人の役に立っている。私は、この仕組みに深い感銘を受けました。
 この電話リレーサービスは、最初から共助の仕組みで運営されていたわけではありません。サービスの提供当初は、公益財団法人日本財団がサービスに係る費用を全額負担することで成り立っていました。ただ、日本財団のあらゆる助成の仕組みは、未来永劫助成を続けるというものではなく、特定のサービスが軌道に乗るまでの数年に限ってお手伝いするというものです。
 電話リレーサービスに関しては、制度の維持発展のための費用負担をどうしていくかが最大の課題でしたが、ある事件をきっかけに事態は進展いたしました。二〇一七年、平成二十九年、三河湾沖で聴覚障害者のグループが乗るボートが転覆し、電話リレーサービスを使って救助されるという事件が起きたのです。
 このことが、電話という公共通信網は、障害のない人のみならず、聴覚障害者を含むあらゆる人に提供されなくてはならないという議論になりました。それは、公共交通である鉄道が、障害がない人のみならず、車椅子ユーザーを含むあらゆる人に提供されなくてはならないという議論から、鉄道駅にエレベーター設置が進んだのと同じ考えです。
 そこで、電話リレーサービスの提供が各電話会社の義務として定められ、その費用、すなわちオペレーター通訳料を、電話提供事業者が自ら負担してもよいし、そうでなければ、全ての契約者に転嫁してもよいということになりました。その結果、ほとんどの電話提供事業者が契約者負担という仕組みを選択したのです。
 大変優れた仕組みだと思いますが、現状には課題があります。すなわち、こうした電話リレーサービスの存在が社会にはほとんど知られていないため、通訳オペレーターが電話をかけても、その要件先の相手が不審に思い、電話を切られてしまうことがかなりあるということであります。
 東京都は、この電話リレーサービスの利用が広まるよう、聴覚障害者のみならず、社会全体に対して普及啓発に取り組むべきと考えます。ご見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 電話リレーサービスは、聴覚障害者等の方と聴覚障害者等以外の方との会話を、通訳オペレーターが手話、文字、音声にそれぞれ通訳することにより、電話で双方向につなぐサービスであり、聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律に基づきまして、昨年七月から全国でサービスが開始されました。
 都は、このサービスが普及するよう、都民や区市町村、聴覚障害者関係施設などへの周知を図るとともに、庁内の職員向けの説明会でサービスの概要を紹介し、都民対応などでの利用を促しております。
 電話リレーサービスは、電話の利用が難しい聴覚障害者等が自立した日常生活や社会生活を送る上で必要な公共インフラでございまして、今後、さらに利用が広がるよう、様々な機会を捉えて普及啓発に取り組んでまいります。

○早坂委員 さて、今の電話リレーサービスの内容は聴覚障害者支援の取組でしたが、次に、目の不自由な視覚障害者支援のアイコサポートについてお伺いいたします。
 これもスマートフォンを利用しての案内であります。スマートフォンにはカメラとGPS機能がついていますので、それらをオペレーターに音声で読み上げてもらうという仕組みであります。
 それが室内であれば、例えば、うっかり落としてしまった指輪を探してもらうとか、自分宛てに届いた郵便物を読み上げてもらうといった場面で利用されています。コロナ禍では、コロナに罹患した際に、パルスオキシメーターの読み上げや支給品の確認にも利用されました。世の中には民間ボランティアによる同様のサービスもありますが、部屋の中を見せることに、個人情報の観点から不安を持たれる方もいらっしゃいます。
 また、屋外であれば、道に迷った際の道案内を頼むことがあります。スマートフォンのグーグルマップの音声機能があるのではないかとお考えの方がいらっしゃるかと思いますが、それを基に行き先にたどり着いても、最後の部分で入り口がどこにあるかが分からないときの案内役を頼むといった利用方法もあります。
 公共交通機関の標識や案内板を見る、横断歩道での信号の有無や色の確認、お店や病院の受付カウンターの位置を確認するなど、多くの人が当たり前に享受している、ちょっとした、しかし重要な情報へのアクセスに役立ちます。
 あるいは、コンビニなどのお店の棚から自分の買いたいものを見つける際のお手伝いをしてもらうという利用方法もあるようです。やや細かい話になりますが、視覚障害者が、例えばコンビニでジュースを買いたいと思った場合、店員さんに頼めばレジに持ってきてくれます。ですが、私たち健常者がジュースを買う場合、オレンジジュースといっても様々なブランドがありますし、そのほか、アップルジュースやマンゴージュースなど数多くの品ぞろえの中から、その日の気分や値段で商品を選びます。ですが、視覚障害者は、そんな細かいことまでを店員さんに尋ねることにはちゅうちょが芽生えます。したがって、これまではジュースを買うという最低限度の目的を果たすだけだったものが、このアイコサポートを利用することで、格段に生活の質が豊かになったと伺いました。
 さて、その利用料、すなわちオペレーターガイド料でありますが、一か月に二時間以内で五千五百円の利用者負担となっています。サポートは一分単位で利用することができます。利用時間は朝の九時から夜の九時までで、SOMPOグループのプライムアシスタンスという会社がこのサービスを運営しています。
 視覚障害者が外出する際に、一般的にはガイドヘルパーに同行援護支援をお願いするということが行われています。ですが、ガイドヘルパーは、あらかじめ時間と場所を決めて待ち合わせ場所に来ていただく必要があるということと、個人の居室には入らないという制約があります。また、ヘルパーの交通費や食事代も利用者負担となるところもありますし、一度お願いするのに最低何時間以上という時間の取決めがあるところもあります。
 一方で、一回当たりの最低利用時間に制限がなくても、わざわざ来てもらうのに申し訳ないという思いから、長時間を依頼する方もいらっしゃるようであります。場所によっては、ヘルパーの絶対数が少なく、マッチングがうまくいかないということもあります。タクシーに乗りたくても乗車位置が分からない、音響効果がされていないため渡れない信号がある、そんな一瞬の困り事に備えて、数時間のガイドを依頼する人がいると伺いました。
 そうしたことを考えると、一分単位で利用が可能なスマートフォンを利用した遠隔ガイドは、かなり便利だという評価になります。先ほどの電話リレーサービスは、電話会社にサービス提供の義務を課し、その費用は全契約者が二か月に一円払うことで制度が維持されていると申し上げました。
 一方で、このアイコサポートは、そもそも電話回線を使いませんので、電話会社やその利用者に費用負担を課すわけにはいかず、現時点では、一か月二時間五千円は完全な個人負担です。完全な個人負担といっても、その料金だけで制度を維持できるはずがなく、SOMPOグループのプライムアシスタンスが社会的課題の解決という思いでサービスを提供しています。しかしながら、持続的なサービス提供の観点での仕組みづくりが必要であります。
 私は、このアイコサポートも、電話リレーサービスのような共助の仕組みで制度を支えるようにしたらよいと考えていますが、現時点ではそうなっていません。このアイコサポートも大変優れた仕組みであり、視覚障害者支援に大きく役立つものでありますので、ぜひ東京都にはできる限りの応援をしていただきたいと思います。
 ところで、アイコサポートのオペレーターは、基本的に視覚障害者の同行援護従業者研修を受けています。例えば、全くの素人だとスマートフォンから送られてきた映像を見て、階段がありますとだけ説明しますが、視覚障害の同行援護従業者は、上り階段があります、下り階段がありますと、最初から誤解の余地がない案内をします。
 アイコサポートのオペレーターにも、リアルな同行援護をなさるガイドヘルパーにも、同行援護従業者研修が必要です。東京都には、研修が受講しやすくなるような支援など、研修受講者が増えるような努力をしていただきたいと思います。ご見解を伺います。

○高橋生活福祉部長 同行援護従業者養成研修は、視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者の方に対し、外出時に必要な援助を行うことに関する知識及び技術を習得した従業者の養成を図ることを目的として実施しております。
 都は、本研修に関し、事業者からの申請に基づき指定事務を実施するとともに、開講日程等についてホームページ上で広く周知しております。また、都内の障害福祉サービス事業所等で働く職員が研修を受講する場合、受講期間中の代替職員を派遣することで、福祉介護職員の研修の受講を促進しております。
 今後とも、研修受講者が受講しやすいよう、取組を継続してまいります。

○早坂委員 さて、車椅子ユーザーの外出支援について伺います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが残したレガシーの一つに、ジャパンタクシーがあります。まちで多く見かけるようになった背高のっぽのタクシーのことです。
 この車種は、環境性能のよいハイブリッド車という利点と車椅子のまま乗れるユニバーサルデザイン車という利点の二つを兼ね備えています。ジャパンタクシーの価格は、それまでのタクシー専用車両であるクラウンコンフォートより百万円高いという現実があります。
 そこで、二〇一六年、平成二十八年から、オリ・パラに向けて、国が六十万円、東京都が四十万円、計百万円の差額分を助成して普及に努めてきました。その結果、東京都予算では累計で百五十億円を使い、都内の法人タクシー三万台のうち、二〇二二年、令和四年三月現在、半数がこれに切り替わりました。ジャパンタクシーは、オリ・パラの掲げる理念である共生社会の実現に大きく寄与したヒット作であるといえます。
 ところが、いざ車椅子の方がこのジャパンタクシーに乗ろうと手を挙げると、空車だったのが、なぜか突然に回送に切り替わる残念なケースが頻繁に起きているように感じます。
 それは、私が車椅子ユーザーのお友達と一緒にタクシーをつかまえようとしたときに強く感じました。想像するに、車椅子用スロープを出すのに不慣れだと十分以上かかることに、ドライバーさんがちゅうちょするからだと思います。降ろすときにも同じ時間がかかりますから、合わせて二十分となりますが、その二十分間の料金はどこにも請求できません。
 ところで、タクシーには障害者割引という制度があります。個人タクシー、法人タクシーを問わずどのタクシーに乗っても、障害者手帳を見せると何回でも一〇%が割り引かれます。タクシーの料金は国の認可の下に決められる仕組みですが、一九九〇年、平成二年の値上げ改定に合わせて、この障害者割引という制度が導入されました。
 では、その一〇%の割引額を最終的に誰が負担しているかというと、実は各タクシー会社、個人タクシーならドライバーさん本人なのであります。
 コロナ前の二〇一八年、平成三十年の統計によると、都内の法人タクシーの障害者割引総額は、年間で十億円に達しました。しかし、コロナ以降、人流は著しく減り、都内法人タクシーのドライバーさんの平均年収は三百三十万円まで下落しています。東京都内の全産業の男性労働者の平均年収は五百八十万円ですから、それを二百五十万円も下回ります。
 タクシーの乗車拒否は道路運送法で禁じられています。ですが、こうした環境下で車椅子のお客さんを見つけた際、できればお乗せしたくないという感情がドライバーさんに湧くことも、タクシー会社がそれを積極的にはとがめない気持ちも、人情としては理解できます。
 タクシーの乗車拒否が公式に認められれば、ドライバーさんは一か月の営業停止、会社には一か月間の当該車両の運行停止という重たいペナルティーが科せられます。ですので、簡単に車椅子ユーザーに対する乗車拒否が起きているなどというべきではありませんし、ドライバーさんやタクシー会社を責めることが私のいいたいことでもありません。
 移動の自由は、基本的人権の一つに数えられる重要なものです。その大切な移動の自由を保障することに、タクシーの障害者割引は大きく寄与してきたといえます。
 制度発足当初は、車椅子ユーザーでタクシーに乗ろうとする人は少なく、またジャパンタクシーもありませんでしたので、障害者割引の一〇%分は、タクシー会社が十分のみ込める金額でありました。しかし、車椅子ユーザーの外出が劇的に増え、タクシーの利用も増えた現在、制度発足当初の美しい気持ちでスタートしたタクシー会社の自己負担は、コロナで売上げが半減した現在、極めて大きな負担になっているという現実があります。
 そこで、タクシーの障害者割引という制度の持続可能性を考えた場合、その一定部分あるいは全てを、先ほどの電話リレーサービスのように、あらゆるタクシー利用者に、例えば一回十円ずつ負担してもらい、社会全体で支える仕組みをつくることが私はよいのではないかと考えます。そうしたお金が、お客さんに請求できないスロープの出し入れ時間の料金や障害者割引の一〇%分に回り、かつ車椅子用のスロープのさらなる改良が進めば、私が感じたような車椅子ユーザーに対する乗車拒否のようなことはなくなるだろうと思います。
 ちなみに、今年、令和四年八月、都内二十三区と武蔵野、三鷹、この一日当たりのタクシーは何件乗ったか、何搭乗あったかということをご想像いただければと思います。とても想像がつきませんが、調べてみますと一日当たり四十二万五千件の搭乗があったそうであります。単純にこの一日に三百六十五日を掛けると年間分になりますが、掛け算をすると、一億五千五百万搭乗があったということになります。もし仮に、ここに十円をお願いをするとなると、この費用は十五億円がそこに生まれてくるという皮算用ができるわけであります。
 なお、鉄道や航空機に関しても障害者割引制度があり、いずれも全額を事業者が負担しています。こちらとの整合性を考えるべきだという意見がありますが、鉄道も航空機も、お客さんが乗っていようといまいと定時運行するものなので、ドライバーさんがお客さんを選ぶという仕組みにはなっていません。
 加えて、タクシーのドライバーさんは、鉄道や航空機のドライバーさんと異なり、その収入の六割ほどが歩合制であるということも忘れてはなりません。
 オリ・パラの残したレガシーであるジャパンタクシーが、せっかく車椅子のまま乗れるユニバーサルデザインで造られ、東京都の税金を百五十億円投入して世に出たにもかかわらず、乗車拒否のようなことが起きているようでは、あまりにも切ない。ドライバーさんやタクシー会社が車椅子のお客さんを喜んでお乗せするような制度設計が必要だと考えます。
 美しい気持ちに頼るだけでは、世の中はよくなりません。オリンピック・パラリンピックは、開催すること自体がゴールではなく、開催をきっかけに社会をさらによくしようということがスタートであったはずであります。だからこそ、スポーツ大会に多額の税を投入してきたのです。
 であるならば、環境プラスユニバーサルデザインという二つの利点を兼ね備えたジャパンタクシー一つ取ってみても、現在の状態のままでよしとしてしまってはなりません。オリ・パラの残したレガシーをいかに維持発展させていくかが、大会終了直後の今こそが勝負だと考えます。
 ところで、現在、区市町村では、福祉タクシー券の配布など、障害者のタクシー利用に対して支援を行っています。その内容について伺います。

○中川障害者施策推進部長 障害者の移動支援を目的としたタクシー利用に関する助成は、各区市町村がそれぞれ実施しているため、実施方法や助成限度額、助成方法等については、自治体によって異なっております。
 助成限度額は年額や月額などで設定しており、助成方法はタクシー券の配布や利用後の償還払いなどがございます。

○早坂委員 各区市町村が発行している福祉タクシー券は、百円券、五百円券の二種類を発行しているところが多いですが、そのほかに、初乗り相当額とするものや三百円券、四百円券などたくさんの種類があります。
 タクシー車内で受け取られた福祉タクシー券は、会社ごとに、東京無線のような協同組合に持ち込まれます。それを品種ごとに仕分して、その現物をさらに区市町村別に仕分をして、それぞれ送り返すという膨大な作業を一枚一枚、手作業で行っています。もしそこにバーコードさえついていれば、そうした手間はうんと省けます。
 福祉タクシー券は区市町村事業ですので、バーコード化もそれぞれの区市町村が行うべきものであります。しかし、そのためのシステム開発には多額の費用がかかるため、現時点では、区市町村にそうした動きはありません。
 東京都には、業界団体と協力して、福祉タクシー券のバーコード化を支援していただきたいと思います。もちろん、その先にはIC化も求められます。
 ここまで私は、主に共助という観点から、聴覚障害者の電話リレーサービス、視覚障害者のアイコサポート、そして車椅子ユーザーのジャパンタクシーと障害者割引について申し上げてまいりました。障害者自身による自助、そして税金を使う公助を超えて、みんなが少しずつ支え合う共助という仕組みがもっと広がればよいなと私は考えています。
 そして、もう一つ申し上げたいことがあります。それは、電話リレーサービスは、国の厚生労働省の事業ではなく電話会社、すなわち国の所管でいえば総務省の所管であり、ジャパンタクシーは、東京都の福祉保健局の事業ではなく環境局の事業であるということです。
 つまり、実質的には障害者施策であるものを厚生労働省や福祉保健局ではない別の省や局が、その事業として行っているということが、公共政策立案の深化、深まりであり、大いに注目に値する手法だと考えます。そうした省庁あるいは局を超越した政策形成が国民、都民にとって有効であるならば、今後もどんどん積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 二つ目の医療人材について伺います。
 高齢化が進み、医療を必要とする人が増加しています。都民の健康を守るための医療を提供するには、医療人材の確保は重要な課題です。
 まず、医師と看護師の確保について、東京都の取組を伺います。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、医師の確保が困難な地域や診療科等に従事する医師を養成するための奨学金制度や、僻地医療機関及び市町村公立病院へ医師を派遣する東京都地域医療支援ドクター事業などにより、東京の特性を踏まえた医師確保対策を推進しております。
 また、看護職員の確保に向けては、修学資金貸与制度を運用するとともに、東京都ナースプラザにおきまして各種研修や無料職業紹介事業を行うなど、養成、定着、再就業などのライフステージに応じた総合的な看護職員確保対策を推進しております。
 今後も、将来にわたって安心できる医療の基盤を確保するため、地域医療を支える医師や看護師などの医療人材の確保に努めてまいります。

○早坂委員 医療の現場で活躍する医療人材は、医師や看護師以外にも多くの職種があります。それぞれの職種ごとに抱える課題がある中で、歯科衛生士会や柔道整復師会、鍼灸師会などをはじめとする多くの職能団体が、人材確保のため尽力されています。
 東京都としても、保健医療を担う様々な職種の人材確保に取り組む必要があると考えます。ご見解を伺います。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 医療技術の高度化や専門化、保健医療ニーズの多様化などに対応するためには、様々な専門職種が連携し、その専門性を発揮していく必要がございます。
 都は、職種ごとの特徴や課題を踏まえた人材の確保や資質向上を図るため、お話の歯科衛生士会や、ほかにも医療ソーシャルワーカー協会などの職能団体に委託し、復職支援や新しい専門知識等を習得するための講習会を実施しております。
 引き続き、各職能団体と連携し、より効果的な講習会の実施方法を検討しながら、医療人材の確保や資質の向上に取り組んでまいります。

○早坂委員 さて、要求資料でお示しいただいたとおり、都庁福祉保健局の政策決定の部署、すなわち本庁には、医師四十人、薬剤師四十一人、保健師三十一人など、大勢の医療専門職が働いていらっしゃいます。
 専門的知見を都庁の福祉保健政策に生かすことは大変重要なことだと思います。しかしながら、現在は、福祉保健局の本庁に、例えばリハビリの専門職である理学療法士、作業療法士、視能訓練士もいませんし、口腔衛生の要である歯科衛生士も歯科技工士も一人もいらっしゃいません。今後は、それを可能な限り多くの職種に広げて、都庁の福祉保健政策に厚みを増すことを、ぜひともお願いをしたいと思います。
 次に、三つ目のテーマ、ワクチンについて伺います。
 昨日ではなくて、日にちが変わりましたのでおとといになりますが、私は、帯状疱疹ワクチンの予防接種を受けてまいりました。帯状疱疹にかかると、とても痛くとにかく大変だと聞いていたので、かかりつけ医と相談して、ワクチン接種をお願いしたのであります。
 この帯状疱疹ワクチンの発症予防効果は何と九七%。五十歳以上の方は、ぜひ打った方がよろしいかと思います。この帯状疱疹ワクチンについて調べたところ、任意接種という位置づけで、二十三区では唯一、文京区だけが接種費用の助成を行っていることを知りました。
 ワクチンの予防接種については、国が制度を定め、区市町村が主体となって実施されています。具体的にはどのような仕組みで実施されているのか伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 ワクチンの予防接種は、予防接種法に基づき区市町村が主体となって実施する定期接種と希望者が各自で接種する任意接種の二つに大きく分けられます。
 定期接種が対象とする疾病にはA類とB類があり、A類の疾病は、主に集団防衛に重点を置き、国が積極的な勧奨を行い対象者には接種の努力義務が課されております。具体的には、麻疹、風疹、日本脳炎などがございます。
 B類の疾病には、主に感染のリスクが高い方の個人防衛に重点が置かれ、国の勧奨はなく接種の努力義務も課されておりません。具体的には、高齢者の肺炎球菌感染症などがございます。
 接種費用の負担については、定期接種のうち、A類は、ほとんどの自治体で本人負担はなく自治体が全額を負担している一方、B類については、個人防衛であるため一定の自己負担がございます。そして、任意接種については、全額自己負担が原則となってございます。

○早坂委員 任意接種の費用は、全額自己負担が原則ということでありましたが、区市町村によっては、今回の帯状疱疹ワクチンのように、独自に費用を助成する事業を行っています。ちなみに、おとといの私の支払い額は二万二千円でございましたが、もし私が文京区民だったら、支払い額は四千円でありました。
 こうした区市町村の取組に対して、東京都としてどのような支援を行っているのか伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 任意接種については、感染予防や健康増進の観点から、地域の実情に応じて接種を促進するため、独自に接種費用の助成を行っている自治体がございます。
 都は、こうした自治体の取組を踏まえ、都としても接種の促進が重要と考える任意接種について費用助成を実施する自治体に対し、区市町村包括補助事業を通じて支援を行っております。
 包括補助事業の対象となっている任意接種については、風疹やおたふく風邪等が挙げられます。

○早坂委員 予防接種については、接種の後に一定の割合で接種部位の痛みや発熱などの副反応が出現されることが知られています。一部の方は、こうした副反応を忌避して接種をためらう場合があります。
 こうした懸念を取り除き、必要な方が安心して予防接種を受けられるよう、普及啓発を行うべきと考えます。東京都の取組を伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 予防接種については、対象となる方が、感染予防の効果と併せて、副反応として生じる可能性がある症状等を十分理解した上で接種を受けることが重要でございます。
 このため、都は、副反応が疑われる事例が発生した際に、医療機関から国に対し報告を行う制度や、接種により健康被害が生じた場合の救済制度、接種を受けた方が相談できる区市町村の予防接種担当部署等について、ホームページ等を通じて情報提供を行っております。
 さらに、予防接種の実施主体である区市町村がワクチンの接種を促進することができるよう、都の包括補助事業において、普及啓発に係る費用も支援してございます。
 都は、今後も予防接種の対象となる方が安心して接種を受けられるよう、普及啓発に積極的に取り組んでまいります。

○早坂委員 最後のテーマ、防災について伺います。
 資料要求に基づき、災害時用に東京都はどんなものを備蓄しているかをご提示いただきました。資料の六ページ、七ページであります。これらのものは、第一義的には基礎自治体、すなわち区市町村が用意をし、それが足りなくなったときに初めて広域自治体、すなわち東京都がそれを補うという役割分担になっています。
 防災対策で最も大切なことは、災害から命を守ることであります。そうした観点から過去の大災害を振り返ると、東日本大震災の死者、行方不明者の九割が津波による水死、すなわち水の被害で命を失いました。一方で、阪神・淡路大震災の死者の八割が倒壊した建物の下敷きになって圧死、窒息死、すなわち建物の被害で亡くなりました。他方で、関東大震災の死者の九割が地震により発生した火災による焼死、すなわち火の被害で犠牲となりました。
 つまり、過去の大震災で私たちの大切な命を奪われた原因は、水か建物か火によるものであり、このことは、私たちが先入観として抱いている、防災対策といえばまず食料備蓄という観念は、実は大震災から命を守るための本質的なことではないということを示しています。
 食料が必要になるのは災害の一撃から命が守られた後の話であって、大震災発生直後に起きる津波や建物倒壊や火災からいかにして身を守るかということこそが、私たちの生死を分けるのであります。
 私たちの生活実感からしても、食料がない状況はしばらくの間なら我慢できます。一方で、いっときも我慢ならないのが、便意、すなわちトイレであります。このトイレが、今日の最後のテーマであります。
 我が国が世界に誇るべきことはたくさんありますが、そのうちの一つは、快適なトイレ環境です。シャワー式トイレは、もはやぜいたく品ではなく、駅のトイレに設置されているところもあるなど、ごく一般的なものになりました。
 話は少し脱線しますが、海外に旅行してシャワー式トイレがないと、何だかお尻がむずむずした感じになります。一度快適な生活に慣れてしまうと、それが失われたときに生活レベルを元に戻すことはなかなか大変だということが分かります。
 しかし、大災害が発生すると、シャワー式トイレに限らず、普通のトイレも使えなくなる可能性があります。水道、下水道、電気のどれか一つでも止まると、そのトイレは使えません。電気というのは、例えばマンションの上層階の水道タンクに水をくみ上げるためのポンプを動かすには電気が必要だからです。
 水道や下水道の機能維持といえば、それは水道局や下水道局の仕事ですが、それはあくまで公道の下の話であって、民地、すなわち各家庭やマンションの建物あるいは敷地内の配管が駄目になってしまうと、水が来なくなったり流せなくなったりしますから、それでトイレが使えなくなってしまいます。つまり、都庁水道局や下水道局が発表する断水率をはるかに超えて、そして停電した電気が復旧したとしても、トイレは使えないという可能性があります。
 先ほど申し上げましたが、食べ物は一日かそれ以上我慢できるかもしれませんが、トイレは半日すら我慢することなどできません。そう考えると、災害時のトイレ問題は、緊急かつ深刻な問題です。
 そうした観点から、先ほどの六ページ、七ページの災害備蓄の一覧を拝見すると、食事には十分な配慮がなされています。例えば食料は、クラッカー、アルファ米など二千八百万食が用意されていると書いてあります。
 しかしながら、トイレに関しては、八千基が用意されているとされています。トイレに関する備蓄は、甚だ脆弱だといわざるを得ません。一覧に記載されているトイレの備蓄は、いずれも健常者用のものに見受けられます。車椅子ユーザーがそれを使えるか、視覚障害者がそれを使えるか。おむつも準備されていますが、実際に使う場面では、おむつを取り替えるスペースも考えておかなければなりませんし、おむつを使うのは子供に限りません。都立公園などが広域避難場所に指定されていますが、大勢の方々が避難されてきたときのトイレはどうするのか。
 もちろん、あらゆる備蓄は、健常者か障害者かを問わず、まずは自分で用意する自助、それが足りないときは区市町村、さらに足りなければ東京都、すなわち公助という順番です。
 ですが、熊本地震での死者の八割が災害関連死でありました。つまり、大震災の一撃、すなわち津波や建物や火災からは命を取り留めたものの、その後の不自由な避難生活の中で体調を崩し亡くなっていった方々が、直接死の四倍であったのであります。
 トイレを我慢することが体によいわけがありません。つまり、都民の命と健康を守るために、災害時においても都庁福祉保健局が積極的な役割を担うべきなのです。
 福祉保健局は、災害用備蓄物資にトイレ関係のものを大幅に増やすとともに、都庁総務局総合防災部や区市町村はもとより、広く都民の皆様を対象に、災害時のトイレ問題に関しての議論をリードすべきと考えます。ご見解を伺います。

○高橋生活福祉部長 大規模災害時のトイレの確保について、都は、避難所管理運営の指針において、避難所の最大想定避難者数を確認し、既設トイレの状況も踏まえて、災害用トイレの必要個数を計画し、備蓄するよう、区市町村に示しております。
 また、発災後に区市町村の備蓄トイレが不足した場合には、広域応援が要請されることを想定して、都は、組立て式の段ボール製等の災害用トイレを約七千九百基、備蓄しております。今般、国から災害用トイレの備蓄数の確認及び不足分の確保を求める通知があったため、改めて区市町村へ周知したところでございます。
 今回の地域防災計画震災編の改定に向けて、関係各局で構成された住民の安全確保・生活安定部会において、避難の長期化も見据え、自助、公助、共助一体となった災害用トイレの確保策について検討しているところでございます。

○早坂委員 災害時のトイレ対策は極めて地味なテーマですが、私たち都民の健康問題に直結する大切な問題です。これまで申し上げましたとおり、発災直後から直面する深刻な問題です。
 今回、このトイレ対策を伺うに当たり、福祉保健局のご担当と何度かやり取りをさせていただきました。その中で、はっきりとは明言されなかったものの、この種の問題は総務局総合防災部が中心になって考えるべきで、我々の問題ではないと私には感じられる話しぶりでありました。それは私の誤解かもしれませんが、私はそういうふうに感じました。
 先ほど私が申し上げたのは、電話リレーサービスは厚生労働省ではなくて総務省、要するに管轄違いの、電話担当だからということで、障害者担当ではない総務省が管轄している。一方で、ジャパンタクシーは、これも福祉保健局ではなくて環境局が担当している。思わぬところが思わぬことをやっている、福祉をやっている。
 そうしたときに、このトイレの話も、第一義的には総合防災部が頑張るべきだという話は、それはごもっともですが、今日の話はそれを超えて、あらゆる都庁マンは、私たち都議会議員もそうですけれども、都庁のあらゆる課題に責任を持って、自分の今できる範囲で何ができるかと、そういう観点から常に都政に臨んでいただければと思います。私の誤解であったら大変申し訳ないことでありますが、ぜひ、今日の質問を機に、そうしたお考えをお持ちいただければと思います。
 本日は誠にありがとうございました。

○内山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午前一時四十二分散会

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