厚生委員会速記録第十四号

令和四年十一月八日(火曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長内山 真吾君
副委員長早坂 義弘君
副委員長中山 信行君
理事平田みつよし君
理事菅原 直志君
理事竹井ようこ君
上田 令子君
竹平ちはる君
たかく則男君
龍円あいり君
浜中のりかた君
藤田りょうこ君
山加 朱美君
白石たみお君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長西山 智之君
健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
理事谷田  治君
理事木村 健治君
理事小林 忠雄君
総務部長高野 克己君
企画部長山本 謙治君
指導監査部長坂本 尚史君
医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務遠松 秀将君
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務遠藤 善也君
生活福祉部長高橋 博則君
高齢社会対策部長山口 真吾君
少子社会対策部長奈良部瑞枝君
障害者施策推進部長中川 一典君
健康安全部長藤井麻里子君
感染症対策部長関口 尚志君
都立病院支援部長齋藤 善照君
企画担当部長大出  仁君
企画担当部長森田 能城君
事業推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務岩井 志奈君
医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務鈴木 和典君
高齢者施策推進担当部長花本 由紀君
子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務西尾 寿一君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長中村 重信君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長
医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務播磨あかね君
新型コロナウイルスワクチン担当部長内藤 典子君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)

○内山委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る十一月二日付をもって、伊藤ゆう議員が本委員会から文教委員会に変更になり、新たに、龍円あいり議員が文教委員会から本委員会に所属変更になった旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の龍円あいり委員をご紹介いたします。

○龍円委員 龍円あいりと申します。よろしくお願いいたします。

○内山委員長 紹介は終わりました。
 次に、議席についてお諮りいたします。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○内山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 雲田次長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高野総務部長 十月二十日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただいたところに、五ページにわたりまして目次を記載しておりますが、全部で九十三項目となっております。
 それでは、一ページをお開き願います。1、ヘルプマークに関する取組状況といたしまして、平成二十四年度から令和三年度の主な取組を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、ヘルプマーク・普及啓発ポスター等作成実績の推移といたしまして、ヘルプマーク及びポスター等の作成実績を平成二十四年度から令和三年度まで記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、区市町村における福祉タクシーの限度額等及びタクシー券の電子化の状況といたしまして、五ページにかけまして、区市町村ごとに令和三年度の状況を記載してございます。
 六ページをお開き願います。4、災害に備えた物資の備蓄状況といたしまして、七ページにかけまして、(1)から(4)に、令和四年四月一日現在の食料、調製粉乳等、生活必需品等、医療資器材・応急用資器材の備蓄状況を、(5)に、都における備蓄内容の見直し状況を記載してございます。
 八ページをお開き願います。5、福祉保健局(本庁)における医療技術系職員定数といたしまして、令和四年七月一日現在の定数を職種別に記載してございます。
 九ページをご覧ください。6、国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、一〇ページにかけまして、区市町村ごとに令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 一一ページをご覧ください。7、国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、一二ページにかけまして、基礎賦課及び後期高齢者支援金等について、それぞれの所得割、資産割、均等割及び平等割を区市町村ごとに令和元年度から令和四年度まで記載してございます。
 一三ページをご覧ください。8、国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、区市町村ごとに令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一四ページをお開き願います。9、国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、区市町村ごとに令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一五ページをご覧ください。10、国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、区市町村ごとに平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一六ページをお開き願います。11、国民健康保険料(税)の滞納に対する新規の差押件数、差押額及び差押物件の内訳の推移といたしまして、一七ページにかけまして、(1)に、区市町村ごとの新規差押件数及び差押額を、(2)に、特別区、市町村別の新規差押物件の内訳を、それぞれ令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一九ページをご覧ください。12、国民健康保険への東京都支出額の推移といたしまして、(1)に、特別区、(2)に、市町村への都の支出金の推移を、(3)に、東京都国民健康保険事業特別会計への繰出金を、それぞれ平成二十八年度から令和二年度まで記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。13、特別養護老人ホームへの入所申込者数の推移といたしまして、二二ページにかけまして、厚生労働省が全国調査を行いました平成二十五年度、二十八年度及び令和元年度における入所申込者数を区市町村ごとに記載してございます。
 二三ページをご覧ください。14、認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、二七ページにかけまして、区市町村ごとに、(1)、令和元年十月一日現在から、(5)、令和四年四月一日現在までの五時点のものについて、それぞれ記載してございます。
 二八ページをお開き願います。15、認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 二九ページをご覧ください。16、認可保育所における設置主体別、職員の平均経験年数別施設数といたしまして、令和三年度の施設数を記載してございます。
 三〇ページをお開き願います。17、重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、(1)に、令和元年度から令和四年度までの都立施設における看護師の定数及び現員を、(2)に、令和元年度から令和四年度第一・四半期までの短期入所の運用状況を、(3)に、平成三十年度から令和三年度までの重症心身障害児(者)入所待機の状況を記載してございます。
 三一ページをご覧ください。18、社会福祉施設等及び病院の耐震化状況といたしまして、(1)に、社会福祉施設等の耐震済みの棟数を、(2)に、病院の耐震化状況を記載してございます。
 三二ページをお開き願います。19、保育所等利用待機児童数調査における申込児童数及び認可保育所等利用児童数の推移といたしまして、三五ページにかけまして、(1)から(4)に、平成三十一年から令和四年まで、それぞれ四月一日現在の児童数を区市町村ごとに記載してございます。
 三六ページをお開き願います。20、福祉保健局所管の政策連携団体及び地方独立行政法人における障害者雇用人数及び雇用率の推移といたしまして、各団体ごとに令和元年から令和三年まで記載してございます。
 三七ページをご覧ください。21、介護保険料の滞納件数及び収納率の推移といたしまして、三八ページにかけまして、区市町村ごとに平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 三九ページをご覧ください。22、介護保険料の滞納に対する新規の差押件数及び差押物件の内訳の推移といたしまして、(1)に、区市町村ごとの新規差押件数を、(2)に、特別区、市町村別の新規差押物件の内訳を、それぞれ平成三十年度から令和二年度まで記載してございます。
 四二ページをお開き願います。23、窓口負担割合が二割となる後期高齢者医療の被保険者数といたしまして、令和四年十月一日時点の速報値を区市町村ごとに記載してございます。
 四三ページをご覧ください。24、熱中症による死亡者数の推移並びに死亡場所及びエアコンの使用状況といたしまして、(1)に、熱中症による死亡者数の推移を特別区と多摩地域に分けて、平成二十三年から令和二年まで記載してございます。また、(2)に、令和二年における死亡場所の内訳と屋内のうちエアコンの使用状況を区市町村ごとに記載してございます。
 四六ページをお開き願います。25、都型放課後等デイサービス事業所数の推移といたしまして、令和四年四月から十月まで月別に記載してございます。
 四七ページをご覧ください。26、高齢社会対策区市町村包括補助事業を活用した高齢者への補聴器の支給又は購入費助成の実施状況といたしまして、(1)に、区市町村における令和三年度の事業内容を、(2)に、過去五年間の支給等対象者及び補助対象経費の推移を、それぞれ区市町村ごとに記載してございます。
 四九ページをご覧ください。27、都立病院及び公社病院におけるがん患者数といたしまして、令和三年十月二十日に実施いたしましたワンデー調査におけるがん患者数につきまして、(1)に、都立病院、(2)に、公社病院の実績を病院別に記載してございます。
 五〇ページをお開き願います。28、都立病院及び公社病院における医師の定数及び現員の推移といたしまして、(1)に、都立病院、(2)に、公社病院につきまして、平成三十年度から令和四年度までそれぞれ診療科別に記載してございます。
 五二ページをお開き願います。29、都立病院におけるPFI事業に係る経費の推移及び累計並びに各事業の契約額といたしまして、(1)に、経費の推移及び累計、(2)に、各事業の契約額を、それぞれ病院別に記載してございます。
 五四ページをお開き願います。30、公社病院に対する運営費補助金の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで病院別に記載してございます。
 五五ページをご覧ください。31、公社病院における看護職員の固有・都派遣職員数の推移といたしまして、各年度四月一日現在の定数及び固有、派遣職員別の現員を平成三十年度から令和四年度まで病院別に記載してございます。
 五六ページをお開き願います。32、都立病院及び公社病院における心身障害者医療費助成制度等を利用した障害者の入院患者数及び有料個室使用者数といたしまして、令和三年十月二十日に実施いたしましたワンデー調査における人数につきまして、区分に記載の事項別に、(1)に、都立病院、(2)に、公社病院の実績を記載してございます。
 五七ページをご覧ください。33、都立病院及び公社病院の医師及び看護要員の採用者数の推移といたしまして、六〇ページにかけまして、(1)に、常勤職員、(2)に、非常勤職員の採用者数を、平成二十九年度から令和三年度まで配属病院別に記載してございます。
 六一ページをご覧ください。34、乳児院退所後の措置先の推移といたしまして、他の乳児院、児童養護施設、養育家庭等、その他の区分別に、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 六二ページをお開き願います。35、里親委託等、乳児院及び児童養護施設の児童数と割合の推移といたしまして、区分ごとに令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 六三ページをご覧ください。36、児童養護施設退所者等の進路等把握状況といたしまして、(1)に、児童養護施設、(2)に、里親等に分けて、それぞれ進路区分別の人数及び割合を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 六四ページをお開き願います。37、都内の児童養護施設退所者に対するアフターケア施設の活動状況及び補助額の推移といたしまして、実施箇所数、相談実績、サロン参加者数及び決算額を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 六五ページをご覧ください。38、妊娠相談ほっとラインの相談実績の推移といたしまして、全相談件数及びその対応内容の内訳を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。なお、令和四年度につきましては、八月までの五か月分の件数となっております。
 六六ページをお開き願います。39、新生児等の新規措置先の推移といたしまして、措置時の年齢別、措置先別の人数を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 六七ページをご覧ください。40、児童相談所が里親に委託した児童に係る特別養子縁組の成立件数の推移といたしまして、平成二十四年度から令和三年度まで記載してございます。
 六八ページをお開き願います。41、児童養護施設等措置変更数の推移といたしまして、措置解除、措置変更及び退所児童数の合計を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 六九ページをご覧ください。42、養育家庭委託の解除理由別内訳の推移といたしまして、理由別に令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 七〇ページをお開き願います。43、児童相談所一時保護所の入所定員及び入所期間、事故件数、職員の研修状況並びに心理専門職の配置状況といたしまして、(1)に、令和三年度の入所定員、新規入所児童数及び入所期間等を、(2)に、令和元年度から令和三年度までの事故件数を、(3)に、児童相談所職員の研修状況を、(4)に、令和四年度心理専門職の配置状況をそれぞれ記載してございます。
 七三ページをご覧ください。44、都所管の児童養護施設への指導検査における文書指摘数の推移といたしまして、内容別の内訳を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 七四ページをお開き願います。45、重症心身障害児(者)施設の待機者数の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 七五ページをご覧ください。46、都外の障害児入所施設の入所者数の推移といたしまして、平成三十年から令和四年まで記載してございます。
 七六ページをお開き願います。47、社会福祉法人が運営する都内の高齢者施設及び障害者施設において入院・死亡に至った事故件数等といたしまして、(1)の高齢者施設につきましては、アに、入院、死亡に至った事故件数、イに、新型コロナウイルス感染症の陽性者数を、(2)の障害者施設につきましては、アに、入院、死亡に至った事故件数、イに、新型コロナウイルス感染症の入院、死亡者数を、それぞれ令和三年度の人数等を記載してございます。
 七八ページをお開き願います。48、障害者グループホームの定員の推移といたしまして、区市町村ごとに平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 八〇ページをお開き願います。49、重症心身障害児(者)施設の入所定員及び待機者数並びに通所定員の推移といたしまして、令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 八一ページをご覧ください。50、有料老人ホームにおける事故件数・実地検査実施状況といたしまして、(1)に、事故件数を、(2)に、実地検査実施状況を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 八二ページをお開き願います。51、自立支援医療費(精神通院医療)受給者証所持者数及び死亡・病状改善を理由とする受給者証返還数の推移といたしまして、(1)に、所持者数を、(2)に、返還数を、それぞれ平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 八三ページをご覧ください。52、自立支援医療費(精神通院医療)の公費負担額の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 八四ページをお開き願います。53、都が所管する社会福祉法人への指導検査における文書指摘数の推移といたしまして、総数及び指摘内容別の内訳を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 八五ページをご覧ください。54、特別区及び多摩地域における検案・解剖実績の推移といたしまして、特別区と多摩地域に分けて平成三十年から令和二年まで記載してございます。
 八六ページをお開き願います。55、監察医務院における新型コロナウイルス感染症陽性者の検案実績といたしまして、既に新型コロナウイルス感染症の陽性が判明していたご遺体、監察医務院における検査で陽性が判明したご遺体に区分し、令和四年七月から同年九月までの検案実績を記載してございます。
 八七ページをご覧ください。56、監察医務院における妊産婦自殺の検案数の推移といたしまして、平成三十年から令和二年まで記載してございます。
 八八ページをお開き願います。57、医療法人に対する指導・監督の実施件数の推移といたしまして、令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 八九ページをご覧ください。58、患者の声相談窓口への相談件数及び内訳の推移といたしまして、令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 九〇ページをお開き願います。59、精神科医療機関における虐待が疑われる事案の件数及び内訳の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。なお、当該期間における該当案件はございませんでした。
 九一ページをご覧ください。60、令和三年一月十三日の厚生労働省通知を踏まえた、精神科病院に対する実地指導を通じて発見された虐待の件数と内容といたしまして、令和三年一月十三日から令和四年九月三十日までの実績を記載してございます。
 九二ページをお開き願います。61、福祉保健局における障害者の採用、配置、業務、勤務評価に係る合理的配慮の取組状況といたしまして、採用、配置、業務、業績評価の区分別に取組状況を記載してございます。
 九三ページをご覧ください。62、福祉保健局における障害者就労施設等からの優先調達の契約件数及び金額の推移といたしまして、印刷、物品購入、委託の区分別に平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 九四ページをお開き願います。63、区市町村別年齢別待機児童数の推移といたしまして、区市町村ごとの年齢別の申込児童数、待機児童数及びその割合を、九七ページにかけまして、(1)から(4)に、平成三十一年から令和四年まで、それぞれ四月一日現在のものを記載してございます。
 九八ページをお開き願います。64、家庭的保育事業の区市町村別実施状況、家庭的保育者数、保育児童数及び保護者負担額といたしまして、国制度及び都制度の実施状況、令和二年度から令和四年度までの認定家庭的保育者数及び保育児童数、都制度保育料月額について、区市町村ごとに記載してございます。
 九九ページをご覧ください。65、区市町村による認証保育所等利用者負担軽減制度の実施状況といたしまして、一〇三ページにかけまして、令和二年四月一日現在の事業名、内容、対象者及び補助額について、区市町村別に記載してございます。
 一〇四ページをお開き願います。66、とうきょう保育ほうれんそうの受付実績の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一〇五ページをご覧ください。67、都内における動物の引取り及び収容数の推移といたしまして、区市町村ごとに令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一〇六ページをお開き願います。68、都内における動物の致死処分数の推移といたしまして、処分に至った事由別に令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一〇七ページをご覧ください。69、第一種動物取扱業者に対する勧告及び命令の実施実績といたしまして、令和元年度から令和三年度まで記載してございます。なお、当該期間における該当案件はございません。
 一〇八ページをお開き願います。70、医療保健政策区市町村包括補助事業を活用した飼い主のいない猫対策の実施状況といたしまして、補助事業の内容別に令和三年度に実施した区市町村を記載してございます。
 一〇九ページをご覧ください。71、福祉保健局が所管する事業のうち事業者に対して行った不利益処分件数の推移といたしまして、不利益処分の区分別にそれぞれの件数を平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一一〇ページをお開き願います。72、福祉保健局への公益通報の事由別件数の推移といたしまして、受理件数及びその事由を平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一一一ページをご覧ください。73、都内の公衆衛生医師の配置状況等の推移といたしまして、(1)に、各年度四月一日現在の都、特別区、八王子市、町田市における配置数を、(2)に、採用者数及び退職者数を、それぞれ平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一一二ページをお開き願います。74、福祉保健局職員の自殺、病気休暇及び病気休職、定年を待たない退職、公務災害件数の推移といたしまして、(1)に、自殺者数を、(2)に、病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数を男女別、年齢別に、(3)に、定年退職を除く退職者数を男女別、年齢別に、(4)に、公務災害の認定件数を男女別、年齢別に、それぞれ平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一一六ページをお開き願います。75、都立病院及び公社病院における分娩件数の推移といたしまして、令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一一七ページをご覧ください。76、都立病院及び公社病院における誤嚥に係る報告件数の推移といたしまして、令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一一八ページをお開き願います。77、小児総合医療センターにおける死亡退院患者数の推移といたしまして、(1)は、疾病分類別、(2)は、年齢別に平成二十九年から令和三年まで記載してございます。
 一二〇ページをお開き願います。78、松沢病院における死亡退院患者数の推移といたしまして、(1)は、疾病分類別、(2)は、年齢別に平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一二一ページをご覧ください。79、松沢病院における再入院率といたしまして、令和三年度の退院後一か月以内、退院後三か月以内の再入院率をそれぞれ記載してございます。
 一二二ページをお開き願います。80、松沢病院における入院期間別入院患者数の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一二三ページをご覧ください。81、都立病院及び公社病院における精神疾患による入院患者数及び入院形態別内訳といたしまして、(1)に、都立病院、(2)に、公社病院における令和三年度の患者数及び内訳を、それぞれ病院別に記載してございます。
 一二四ページをお開き願います。82、松沢病院における患者の退院時の状況といたしまして、区分ごとに令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一二五ページをご覧ください。83、松沢病院における行動制限実施患者数及び保護室数の推移といたしまして、(1)に、平成二十九年度から令和三年度までの行動制限実施患者数、(2)に、保護室数を記載してございます。
 一二六ページをお開き願います。84、都立病院における医事関係訴訟件数及び事由といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一二七ページをご覧ください。85、都立病院における医師の兼業件数等といたしまして、令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一二八ページをお開き願います。86、病院勤務職員の自殺、病気休暇及び病気休職、定年退職を除く退職、公務災害等の件数の推移といたしまして、一三一ページにかけまして、(1)に、自殺者数、(2)に、病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した職員数、(3)に、定年退職を除く退職者数、(4)に、公務災害等の認定件数について、平成二十九年度から令和三年度までそれぞれ都立、公社病院別に記載してございます。
 一三二ページをお開き願います。87、都立病院における障害者優先調達の契約件数・金額の実績といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで契約種類別に記載してございます。
 一三三ページをご覧ください。88、都立病院及び公社病院における障害者の雇用状況といたしまして、平成二十八年及び令和三年における六月一日時点の障害者の雇用人数について記載してございます。
 一三四ページをお開き願います。89、都立病院における病児・病後児保育の取組といたしまして、令和四年十月一日現在、病児、病後児保育を実施している病院について、開設時期及び定員を記載してございます。
 一三五ページをご覧ください。90、都立病院及び公社病院における電気けいれん療法の実施件数の推移といたしまして、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一三六ページをお開き願います。91、都立病院及び公社病院における懲戒処分の件数及び内訳といたしまして、(1)に、都立病院、(2)に、公社病院における件数及び内訳を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一三八ページをお開き願います。92、研究活動に係る利益相反に関する自己申告書の提出者数、申告額の最高額及び総額といたしまして、令和三年度の数値を都立、公社病院別に記載してございます。なお、提出者数には利益相反がない申告も含んでおり、寄附、経済的利益の受入れ実績がある研究については、認定臨床研究審査委員会の承認を受けております。
 一三九ページをご覧ください。93、令和三年度医療保健政策区市町村包括補助事業の予防接種促進事業の実績といたしまして、一四〇ページにかけまして、区分の事業、ワクチン種ごとの接種件数及び事業費を区市町村別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○内山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、事務事業の質疑に入らせていただきます。多岐にわたりますので、なるべく簡潔に、少し早口になってしまいますけれども、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策の現状について聞いていきたいと思います。
 まず、第八波の対応についてでございます。夏の第七波では、一日最大四万人の感染者が発生しました。東京都では、都民一人一人の命と健康を守る体制を事前に充実させ、リスクに応じたフォロー体制を確立するなど様々な対策を進め、大きな波を乗り切ったというふうに理解をしております。
 その後、幸いにも感染者数は減少しましたが、ここ最近になり、感染者数の増加傾向が見られております。これから次の波が来るのか、もう一度感染者数が減るのか、現時点では不明であります。
 先日のモニタリング会議では、今後の急激な増加に注意を払う必要があるとされております。二年前、そして昨年度も冬に感染拡大が見られており、事前の備えが必要であることは間違いありません。
 まず初めに、その第八波へどのように取り組むのか、方針についてお伺いをいたします。

○関口感染症対策部長 この冬を迎えるに当たりましては、新型コロナ対策につきまして感染拡大に向けた万全の備えを期すとともに、季節性インフルエンザとの同時流行を見据えて、医療提供体制を整備していく必要がございます。
 このため、都は、九月のモニタリング会議におきまして、今冬の感染拡大に向けた課題と対応の方向性の骨子を公表し、今後の方向性として、診療・検査医療機関の拡大や陽性者登録センターの能力引上げ、ワクチン接種の推進などを示しました。
 この同時流行の具体の備えに当たりましては、診療、検査フローなど、都内の医療現場における状況や課題を踏まえた実践的な検討が必要でございまして、現在、専門家の意見も伺いながら検討を行っております。

○浜中委員 ただいまの答弁で、現場の意見を踏まえ、また専門家の意見も伺いながら対応を検討しているということで、いつもそうなんですけれども、第何波という波が来る前にどれだけ準備できるかということがとても大切だと思いますので、個別に確認をさせていただきたいと思います。
 続きまして、陽性者登録センターについてであります。
 九月二十六日以降の全数把握の見直しを受け、陽性者登録センターの役割が変わってから一か月以上が経過しました。
 陽性者登録センターの現在の運営状況について伺いたいと思います。また、第八波へはどのように対応していくのかも併せてお伺いをいたします。

○関口感染症対策部長 陽性者登録センターでは、九月二十六日の全数把握の見直し後、二十歳代から四十歳代までとしておりました対象年齢を、六十五歳未満までを対象として拡大いたしまして、発生届の対象外となる患者につきまして、患者登録を行っております。あわせて、十月二十日からは、申請フォームでの受付を二十四時間受け付けることといたしました。
 また、全陽性者のうち、おおむね四割が医療機関を受診し陽性者登録センターへ登録した方でございまして、おおむね二割が抗原検査キット等による自己検査で陽性となり陽性者登録センターで診断した方でございます。陽性者登録センターにおける登録者数につきましては、直近の十一月七日には約四千三百件でございました。
 現在は、一日最大八千件を受け付けられる体制を整備しておりますが、第八波に備え、今後、陽性者登録センターの体制を強化し、さらなる対応能力の向上を図ってまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 現在、一日最大八千ということでございますけれども、第八波というのが来ましたら、万単位でこれは対応していかなきゃいけないことだと思いますので、しっかりとした、ギアを入れ替えていくということで対応をお願いしたいというふうに思います。
 あわせて、先日、陽性者登録センターで、運営事業者による個人情報の誤送信がございました。これ、プレスリリースも出ているかと思うんですけど、その際に東京都が行った対応、また、受託事業者へはどのような再発防止の指示をしたのかということを教えてください。

○関口感染症対策部長 このたびの個人情報の誤送信により、多くの方にご心配をおかけしたことを心からまずおわび申し上げます。
 陽性者登録センターでは、登録完了後に、ご本人様の氏名のほか、受診した医療機関名、発症日、陽性判明日、検体採取日を記載したメールを送付しております。
 本件は、陽性者登録センターから登録完了メールを送信するに当たりまして、申請システムからメール配信ソフトに個人情報を移し替える際、個人情報の並べ替え作業におきまして、申請者と宛先の組合せが異なることに気づかないまま作業を進めたことで発生した事案でございます。
 都は、十月二十三日に報告を受け、十月二十四日、対象となった百十一名の方におわびと相談窓口の設置についてメールを送付するとともに、電話で連絡を差し上げたところでございます。
 都はこれまでも、事業者に対しまして、個人情報を厳重に管理するため、業務マニュアルにも盛り込ませ、複数の職員による確認を指示してまいりました。今回の誤送信を受けて、間違いが発生しやすい作業における複数職員の確認を一か所から三か所に増やしたところでございます。
 また、今月一日からは新たな申請フォームに切り替えておりまして、新しいフォームでは、システムから直接登録完了メールを送付できるようにいたしました。
 引き続き、個人情報の取扱いにつきまして、事故のないように努めてまいります。

○浜中委員 今ご答弁にありましたけれども、要は、コロナになったから陽性者登録センターにメールを送ったら、登録できましたよというふうに、あなたはどこどこの誰々でというメールが来るんだけれども、どうもそれが違う人のが来ちゃったということだと思います。
 やはりこういうのは、あってはならないことだと思います。しかしながら、これは人がやることですので、起こってしまったことをこれからどう起こさないようにするのかということが大切でございまして、一日から新たなシステムを入れて、そういうふうなことがないようにするということでございますから、いずれにしても、今の答弁を聞いても、都が迅速にしっかりとした対応を取っていただいたということはよく分かりました。
 今後、これから第八波が来る中で、ますます陽性者登録センターの役割が重要なものになってくるかと思います。ただでさえコロナになって不安になっているときに、また、これ何だろうというふうに、さらに不安になっちゃってもそれはしようがない話だと思いますので、システム上、起きないとは思うんですけれども、やはり人がやることですからミスもあろうかと思いますので、くれぐれも今回のことがないように、引き続き適切な運営に尽力していただきたいというふうに申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、発生届の限定化に伴う保健所の業務についてであります。
 発生届の限定化により、保健所における発生届の登録業務は効率化されたというふうに考えております。その分、リソースを今後どのように活用して、都民の生命を守っていくのかということを教えてください。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都はこれまでも、保健所業務の負担軽減や効率化を図るため、診療・検査医療機関におけるHER-SYSへの入力促進、業務のデジタル化の推進、フォローアップセンターや医療機関等と連携、分担した健康観察体制の構築等に取り組んでまいりました。
 さらに、今般の発生届の限定化により、若年者等が届出の対象外とされたため、保健所では、高齢者施設等に対する感染対策の指導や重症化リスクのある患者一人一人への対応に、より注力することが可能になっております。
 都は、この冬に予想されている感染拡大に備え、引き続き、保健所と連携しつつ、患者の症状や重症化リスクに応じて必要とされる医療に速やかにアクセスすることができるよう、全力で取り組んでまいります。

○浜中委員 今いただいたように、今までと次の第八波というのはやはり方式が変わりまして、これは三定でも質問させていただきましたけれども、要は、全ての人が保健所に届け出なくてもよくなったと。先ほど質疑にもありましたけど、陽性者登録センターだとか、在宅療養だとか、お医者さんとの連携も必要になっていくと。むしろ保健所の方は、ハイリスクの人たちの病院だとか、老人ホームだとかというところも含めてしっかり対応するということで、次の波が初めてということでございますから、そこの対応をしっかりしていただきたいと申しまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、年末年始の医療体制の確保についてであります。
 私の選出の西東京市では、内科の診療所の約四分の三、七六%ぐらいが、新型コロナウイルス感染症の疑いがある発熱患者等が診療及び検査を受けられる診療・検査医療機関に指定されております。
 しかしながら、地元の方からは、医師会の方は皆さん頑張っていただいているんですけれども、やっぱりみんな疲れているんですよね、コロナの対応をずうっとやっていましたから。年末年始には開院しているところが少なく、発熱したときなどに受診できる病院が少なくて不安との声も聞いております。もちろん発熱外来なんかもあるんですけれども、仕組みが変わりましたから、近くで行けるならいいなという声もあります。
 昨年は、年明けから急速に感染拡大したことから、正月の三が日明けの診療体制がどのようになっているのか、そして、この冬は、新型コロナウイルス感染症と季節性のインフルエンザの同時流行、これも危惧されております。
 年末年始の医療体制の確保に向けて、東京都はどのように取り組んでいくのかということを教えてください。

○関口感染症対策部長 これまで発熱などの患者様が適切に診療、検査を受けられるよう、東京都医師会の協力も得て、多くの医療機関に診療・検査医療機関へのご登録をいただき、ウェブを通して都民の皆様に情報を発信してまいりました。
 この冬は、オミクロン株の感染再拡大と季節性インフルエンザとの同時流行が危惧されることから、ご指摘のとおり、医療機関が休診となる年末年始等の医療体制の拡充に向けた取組を講じてまいります。
 具体的には、医療機関への協力金の対象期間の延長や募集開始の前倒しを検討しております。東京都医師会とも連携しながら、年末年始に、より多くの診療・検査医療機関に診療いただくよう働きかけてまいります。さらに、かかりつけ患者のみを対象としている医療機関に対しましても、かかりつけ以外の患者も診るように呼びかけてまいります。
 これらの取組を通じまして、年末年始に地域の方が安心して診療を受けられる機会を確保してまいります。

○浜中委員 やはり地域で、年末年始であっても速やかに受診できることは、早期治療につながることであり、都民の方々も安心して暮らせるかと思います。より多くの医療機関が当該事業に参加するように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 本当に地域のお医者様は皆さん、医師会の先生たちをはじめ大きな病院もそうですけど、このコロナで本当に一生懸命やってくれて、もうHER-SYSの入力をしたくないよとか、もうこの事務がというのであったんですけど、それも終わって、次のステージに移ったという形で、ただ曜日の並びとかであれば、長めに正月は取ろうという方もいるんですけど、そこを何とかお願いしますということで、年末年始の医療体制が組めるような仕組みというのをお願いしたいというふうに思います。
 では、次の質問に移らさせていただきたいと思います。インフルエンザでございます。
 新型コロナの蔓延以降は、手洗い、うがいもしますから世界的には低水準であったインフルエンザが、今年の六月から七月に南半球で流行したそうでございます。日本でも、外国からの旅行客も含めて、人の移動が再開しておりますから、十分な警戒が必要であるかと思います。
 インフルエンザが次第に流行の兆しが出てくると、一気にコロナとインフルの同時検査可能な検査キットの需要が高まり、医療機関によっては手に入りにくい状況が生じる可能性もあります。今年の年末年始は、社会経済活動が活発になることで、感染拡大のリスクが高まる中で、医療機関への検査キットが十分に行き渡るのか、生産面、流通面も心配でございます。
 そこでお尋ねしたいのが、医療機関におけるコロナとインフルの同時検査可能な検査キットの確保が重要であると。これあのちょっと三定でもいったんですけれども、東京都では、今どのように取り組んでいるのかということを教えてください。

○関口感染症対策部長 本年夏の第七波では、急速な感染の拡大で医療機関において検査キットが不足を来したことから、緊急対応といたしまして、都の検査事業で確保していたキットを活用し、申込みのあった延べ約二千四百の医療機関に対しまして、約二十六万回分のキットを有償で配布いたしました。
 こうしたことを踏まえまして、今後の冬の感染拡大に伴う検査需要の増加を見越し、医療機関でのキット不足への備えといたしまして、都で検査キットを備蓄することといたしまして、六十万回分の検査キットを調達してまいります。
 このうち、季節性インフルエンザとの同時流行も想定し、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時検査が可能な検査キットを三十万回分見込んでおります。
 今後の感染状況に応じて、コロナとインフルエンザの同時検査可能な検査キットのさらなる増量も検討いたしまして、冬の感染拡大に向けて万全の備えをしてまいりたいと思っております。

○浜中委員 お医者さんも、コロナなのかインフルなのかが分からないということは大変困りますので、ぜひ、これを東京都でやっていただけるとありがたいと思います。
 続きまして、ワクチンでございます。
 感染を抑えるためには、ワクチン接種が重要であります。接種呼びかけも二年目となり、都民の皆様にはワクチン接種疲れが見えるかと思います。副反応がつらいですとか、ワクチンの効果に疑問があるので接種するか分からないとのアンケートの結果もあります。また、一度新型コロナウイルスに感染したから大丈夫だとの声もあります。
 オミクロン株対応のワクチンの効果や今ワクチンを打つ必要性について、都民に理解してもらうために、東京都としてどのように取り組んでいるのか、見解を教えてください。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 今回のオミクロン株対応ワクチンは、重症化予防効果とともに、持続期間が短い可能性があるものの、感染予防効果や発症予防効果が報告され、従来型ワクチンを上回る効果が期待されております。
 都は、これらの効果をホームページで分かりやすく発信するとともに、ポスターやチラシを新たに作成し、駅の構内や電車内ビジョン、渋谷駅スクランブル交差点等の大型ビジョンなど、様々な広報媒体やイベント等の機会を活用し周知を行っております。
 また、第七波では多くの方が感染されましたが、専門家によりますと、ワクチン接種は自然感染より強い免疫効果があるとのことであり、新型コロナウイルスに感染したことのある方に対して、感染で獲得した免疫の減衰を訴え、早期のワクチン接種を促してまいります。

○浜中委員 現在、新規感染者が増えつつあり、年末に向けて人流が増加し感染が拡大すれば、都市活動に影響が出ることは間違いございません。
 東京都は、市区町村や企業など様々な主体と連携し、一丸となってワクチン接種を促進するべきであるというふうに考えますが、どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 都は、接種の主体である市区町村とワクチンチーム会議を毎週開催し、課題や好事例を共有するとともに、ワクチン接種をPRする広報素材を提供するなど、一体となって接種を推進しております。
 また、企業、大学、業界団体等に対して、職域接種の実施やワクチンバスの活用等により接種を促しているほか、都職員に対しても、都の大規模接種会場において警察や消防等エッセンシャルワーカーへの接種を進めるなど、早期の接種を働きかけております。
 さらに、市区町村や企業等と連携し、虎ノ門ヒルズをはじめオフィスビルや駅地下等の利便性の高い場所に、予約なしで接種ができる臨時の接種会場を設け、メディアも活用しながらワクチン接種を呼びかけております。
 引き続き、東京の都市活動や社会経済活動を維持するため、東京で活動する様々な主体と力を合わせ、ワクチン接種を進めてまいります。

○浜中委員 ありがとうございました。
 いずれにしても、第八波にどれだけ今の期間で備えられるかということが大切だと思いますので、ぜひ皆さんの力を結集して、またコロナを乗り越えていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 続きまして、児童虐待の防止について質問をさせていただきます。
 まず、令和三年度に都内の児童相談所が対応した虐待の件数は二万六千四十七件で、この十年間で約六倍となり、毎年増加し続けております。また、幼い命が奪われる痛ましい事件も後を絶たない状況であります。
 体罰がエスカレートして重篤な虐待に至るともいわれており、体罰によらない子育ての啓発が必要であると考えますが、東京都の取組についてお伺いをいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、東京都子供への虐待の防止等に関する条例におきまして、保護者による体罰等の禁止を明記し、体罰等によらない子育ての啓発を進めております。
 具体的には、体罰が及ぼす影響や子供への接し方を伝える保護者向けのハンドブックを作成し、区市町村を通じて配布するとともに、都の児童虐待防止サイトに、体罰等によらない子育てのポイントを示したコンテンツなどを掲載しております。
 また、体罰等を繰り返してしまう保護者への接し方などを掲載いたしましたハンドブックを作成し、保育士、教員、子供家庭支援センター職員などに配布しております。
 さらに、幅広い年齢層の都民に周知するため、SNS等、様々な手法により広報を展開しておりまして、今後とも、区市町村と連携いたしまして、体罰等によらない子育ての普及啓発を積極的に進めてまいります。

○浜中委員 体罰によらない子育ての普及啓発に加えて、関係機関と連携をして、広く虐待防止に関する啓発を集中的かつ効果的に実施することも有効であるかと思います。
 十一月は児童虐待防止推進月間でもありますので、関係機関と連携した都の普及啓発の取組について教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、JリーグのFC東京と連携いたしまして、今月五日に行われた試合の来場者に虐待防止啓発グッズを配布するとともに、児童虐待防止推進キャラクター、OSEKKAIくんによるアトラクションの実施や、スタジアム内の大画面によります普及啓発動画の放映を行っております。
 また、児童虐待防止のたすきリレーを開催する民間団体の協力を得まして、リレー会場において虐待防止啓発グッズを配布するなどのキャンペーンを実施いたしました。
 さらに、各児童相談所におきましても、区市町村と連携いたしまして、児童虐待防止に関する普及啓発のキャンペーンを駅頭などで実施しております。

○浜中委員 平成二十八年の改正母子保健法でも、母子保健事業が虐待の早期発見、早期対応に資するとのことが明記されるなど、母子保健における虐待の未然防止に向けた取組の重要性はますます高まっていると考えております。
 市区町村が、妊娠期、出産、子育ての切れ目ない支援体制を整備するために、都はこれまでどのような支援を行ってきたのかをお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を区市町村が行えるよう、保健師等による全数面接と育児パッケージの配布等を行いますとうきょうママパパ応援事業を実施しております。
 今年度、全数面接等の実施に取り組む自治体は六十区市町村の予定でございます。

○浜中委員 そうしたものも含めて、今、国にこども家庭庁ができて、市区町村でも子供家庭センター、東京都は子家センがあるんですけれども、そのすみ分けなんていう話もありますけれども、子供家庭支援センターの創設に向けて一体的な支援に取り組んでいくことについて、市区町村をどのように支援していくのかということを教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、令和三年度から予防的支援推進とうきょうモデル事業によりまして、四区市の子供家庭支援センターに専任のケースワーカーを配置し、子育て家庭に対し効果的に支援を行えるよう、母子保健部門と一体となったチーム体制を構築しております。
 今年度からは、とうきょう子育て応援パートナー事業を開始しておりまして、現在ワーキンググループにおきまして、母子保健部門に置く人材の専門性や子供家庭支援センターとの今後の連携の在り方について検討をしております。
 これらによりまして、令和六年度から施行されます子供家庭センター制度に、区市町村が効果的に取り組めるよう支援してまいります。

○浜中委員 それに合わせて、東京都でも、とうきょう子育て応援パートナー事業では、妊娠期から様々な支援をコーディネートする人材を母子保健部門に置くことを検討しているとのことであります。
 この人材はどういうスキルが必要になるのか、また、人材育成について都はどのように取り組む予定なのかも教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 とうきょう子育て応援パートナー事業を担う人材には、妊産婦の多様なニーズを的確に把握する手法や、保護者との関係性を構築するための面接技術の取得が求められます。
 このため、今年度中に検討ワーキングにおきまして養成プログラムを作成し、令和五年度からは区市町村の人材育成等への支援を開始いたします。

○浜中委員 児童虐待は、いろんな理由、いろんなケース、どうやって防ぐかと、いろんなことあるんですけれども、やっぱり今質疑をさせていただいたように、零歳児が一番多いんですよね。
 そうすると、妊娠から出産まで切れ目ない支援をしながら、いわゆる産後鬱とかも本当に多いですから、そこをどういうふうにケアしていくのかということが大切でございますので、部門を超えた連携なんかもしながらやっていただければなというふうに思います。
 続きまして、児童虐待相談も増加し続けて、児童福祉司の業務負担も増大しております。一人当たりの持ちケースの数も多いと聞いております。
 多忙で困難な児童相談所業務において、児童相談所業務の効率化を図るために、DX化が必要であると考えます。都の取組について教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、児童相談所業務の効率化、省力化につながる取組といたしまして、デジタル化を進めております。
 具体的には、昨年度から国の情報共有システムを活用し、移管ケース等につきまして他の自治体と情報を共有しているほか、オンライン面接による施設入所児童等の状況確認や会議資料の電子化によるペーパーレス化などに取り組んでおります。
 今年度は、AIを活用して電話での相談内容をリアルタイムでテキスト化するシステムを導入することとしておりまして、記録作成の負担軽減を図るとともに、指導役の職員がそのテキストを閲覧しその場で助言するなど、人材育成にも活用してまいります。

○浜中委員 効率化をして一人の人ができる作業量が増えるということもとても大切なんですけれども、そもそも人が足りないという現実もあろうかと思います。
 そこで、多摩地域の児童相談所についても質問をさせていただきたいと思います。
 児童虐待に関する相談件数が増加している中で、児童相談所の体制を強化していくこと、これは重要であります。先ほどのDXなんかも含めて、効率化をしていくということも大切ですし、とにかくその先には子供がいますから、その子供をどう守っていくのかということが私は一番大切だと思います。
 昨年七月には、国は児童福祉法施行令を改正し、児童相談所の管轄区域の人口を政令によりおおむね五十万人以下として、併せて発出した通知で、管轄人口の目安は二十万から百万までの範囲とするなど参酌基準を示しましたが、まずは多摩地域の児童相談所の管轄人口を教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 多摩地域の市町村を管轄いたします児童相談所の管轄人口は、それぞれ八王子児童相談所が約百十八万人、小平児童相談所が約百十五万人、多摩児童相談所が約八十二万人、立川児童相談所が約七十五万人、武蔵野市と三鷹市を管轄いたします杉並児童相談所は約九十一万人となっておりまして、多摩地域では二か所の児童相談所におきまして管轄人口が百万人を超過している状況となっております。

○浜中委員 国の基準が全て正しいとは思いませんが、やはり五十万という基準が出ていて、一応二十から百までであると。都市部なんかもありますからそういう目安が出ているというのは分かりますけど、多摩地域において百万を超えている、八王子もそうですし、小平児相、これ私、地元ですけれども、超えているというのは、まあなかなかというのがあろうかと思います。これはやっぱり何とかしなきゃいけないなというふうに思います。
 特別区は各区の児童相談所の設置計画を踏まえる必要があるかと思いますが、多摩地域は市において児童相談所を設置する計画がなくて、東京都として児童相談所の新たな設置や管轄区域の見直しを考えていくべきだと考えますが、見解を教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 昨年七月に公布されました児童相談所の設置基準の政令等を踏まえまして、都は今年度、施設規模や設置場所、設置形態等に関する調査を実施しております。
 この調査結果等を踏まえまして、都として新たな児童相談所の設置や多摩地域における管轄区域の見直しを検討してまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 児童相談所の管轄区域を検討する上で、管轄人口以外にも管轄の市区町村や警察署とより緊密に連携できる体制や、相談者の移動の利便性の向上などにもつながることなども念頭に置く必要があるかと思いますが、東京都の見解を教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 昨年七月に公布されました国の政令等では、人口のほか、管轄区域内の市町村等との緊密な連携を図るため地理的条件を考慮することや、速やかな一時保護の対応、住民の利便性の観点から交通事情等も勘案することとされております。
 多摩地域におけます児童相談所の管轄区域につきましては、こうしたことを総合的に考慮し、検討を進めてまいります。

○浜中委員 今、話としては、とにかく児童相談所で見る、カバーする人数が多いので、これを新設した方がいいんじゃないですかと。特別区は特別区に移管したりとかしていますけど、恐らく市においてそれができるところというのは限られていたりとか、場所の話だったり人材の話だったりとかというのもあろうかと思います。
 しかしながら、各市と連携をして協力を得て、東京都が主導で分割したりとか新設したりとかということをしていただければ、それは子供にとってもいいことなのかなというふうに思います。
 時代が変わってきましたから、そういう虐待をされている子だとか困っている子が、とにかく一人でも減るようにやっていくということが我々の責務だと私は思っておりますので、ぜひそのことも念頭に踏まえて、児童虐待の話、多岐にわたって、まあ時間も限られているのでまた今度にしますけれども、少しでもそういう嫌な思いをする子供がいない社会を実現していただきたいと、私も一生懸命頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、東京都における待機児童の解消についてであります。
 これ昨年も質問をさせていただいたんですけれども、東京都は、平成二十八年の緊急対策以降、待機児童対策に重点的に取り組んでまいりました。その成果について教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 都は、待機児童の解消に向け、平成二十八年九月から、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱として、市区町村や事業者の整備費の負担軽減や、都有地活用の推進、宿舎借り上げ支援の充実など、様々な取組を進めてまいりました。
 その結果、保育サービス利用児童数は、平成二十八年四月は二十六万一千七百五人であったところ、本年四月は三十二万三千八百七十九人となっております。
 また、待機児童数は、平成二十八年四月は八千四百六十六人であったところ、本年四月は三百人となっております。

○浜中委員 私は、十二年前から市議会議員をやっておりまして、当時待機児童の相談というのは、皆さんも経験あるかと思いますけど、すごいやっぱり多いんですね。だけどこれしようがないんですという話をしていたんですけれども、安倍政権が、この世の中から待機児童という言葉をなくすという掛け声をかけて、東京都も先駆的に取り組んだりとかして、当時、八千四百六十六人であった待機児童が本年四月では三百に、まあ、またこれ減ったり増えたりすると思いますけど、なっていると。これはもう皆さんが政策も含めて一生懸命やってきたということで、大いに評価をすることだと思います。
 私も子育て世代でございますけれども、やっぱり預かってもらえるというのは本当にいいことだと思います。
 一方で、これ二問目なんですけれども、待機児童が急激に減る中で、今度は空き定員が発生してきております。定員の充足率と東京都の対応についてお伺いをしたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 令和四年四月一日時点で、認可保育所の定員に対する利用児童数の割合は九〇・五%となっておりますが、保育所の利用児童数は、年度途中の入所により毎年四月以降増加する傾向にはございます。
 都は、空き定員や余裕スペースを有効に活用して緊急的に一歳児を受け入れる認可保育所の取組を支援しておりますほか、今年度からは、ゼロ歳児の空き定員を一歳児の受入れに活用できるよう定員変更を行う取組についても支援しております。

○浜中委員 今、定員に対して九〇・五%ですよといわれておりましたけれども、これは途中で生まれたりとか、入れるようになるとかというのがあるので、当然このパーセンテージは上がってくるかと思います。
 ただ、やはりこれは地域によって、先ほど資料にもありましたけれども、待機児童が多いところもあればそうじゃないところもあって、今何が起きているかといいますと、要は急速に増やしたので、これ次の質問になりますけれども、例えば小規模保育園、民間でマンションとかでやっていて定数が少ないところでゼロ、一、二を見ますとかというのも結構参入をしたわけであります。そうすると、待機児童が急激に減る中、空き定員が発生して、特に小規模保育園等は影響が大きいという話を聞いております。
 こうした園に対する対応について、都の考えを教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 都は、保育所等が空き定員等を活用して、保護者の外出やレスパイト等のために在宅子育て家庭の子供を受け入れる取組を支援しております。
 今年度からは、兄弟利用や学童クラブ終了後の預かり等のニーズを想定いたしまして、認証保育所が余裕スペースを有効に活用して、学齢児の居場所を提供できる仕組みも整備いたしました。
 今後とも、保育の実施主体である市区町村と連携し、現場の実情も踏まえながら、小規模な保育施設も含めた保育所等の取組を支援してまいります。

○浜中委員 私は、恐らくもうポスト待機児童に来ているかと思います。というのは、国策、政策でもって待機児童ゼロだということで、この十年でばあっと増やしたわけであります。
 ところが、子供の数は減っていくわけであります。そうすれば、それは需給の話でございますので、空き定員が発生すると。そうすると、この小規模の人たちからいうと、十人にも満たないところで一人、二人、三人、四人と空きが出ると、もう経営が成り立たなくなっちゃうという声も聞いております。
 またほかにも、公立、私立の話があったりとか、認可、認証の話があったりとかということで、先ほどの答弁にもありましたけれども、また社会の仕組みも変わりましたから、育休とか産休が取りやすくなったというようなことで、なるべくゼロ歳はお家で見るんだけれども、一歳から受け入れるから一歳が足りないとかというのがあるので、それを柔軟に変えましょうとかというような話もあるとは思います。
 ただ、これからそういうところも含めて、総合的に待機児童の解消の話と、それから質の担保の話もあるかと思います。また、そこに学童とかの待機の話とかもあろうかと思うんですけれども、やっぱりリソースは限られていますから、せっかくこういうふうにインフラ整備したものに対して、どうやってそのサービスをうまく転用したりとかしながら、逆に定員は足りているのであれば、今度、質だったりだとか、足りていないところをどういうふうに面倒を見ていくのかということが、これから問われていくのかなというふうに思います。
 したがいまして、今日はこういう話がありますということをご披露させていただきましたけれども、またこれからしっかり取り組んでいきたいというふうに思いますので、東京都としても、ポスト待機児童の話を少し検討していただければと思いまして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 続きまして、都型放課後等デイサービス事業についてであります。
 障害のある子供たちの放課後の居場所となる放課後等デイサービスは、学校や家庭とは異なる環境で生活能力の向上や社会との交流を図る場として重要な役割を担っております。
 令和三年四月の障害福祉サービスの報酬改定では、児童指導員等加配加算の見直しが行われ、都の調査では、約七割の事業所が減収となりました。
 一方、都には現在、千を超える放課後等デイサービスの事業所があり、単に預かりをしている、これちょっと適切かどうかというのはあれなんですけれども、預かりだけをやっている人もいれば、そうじゃなくて手厚い人材を配置して、すごい一生懸命、適切な発達支援を行っている業者も現実にあろうかと思います。一言でいえば、サービスの質にばらつきがあるというふうにも聞いております。
 我が自民党は、減収によって事業所の運営ができなくなり、放課後等デイサービスに通う児童が困ることのないように、東京都に対応を求めてきたところであります。これは小宮前幹事長や、やまだ加奈子都議等が一生懸命質疑をされていたかと思います。
 そうした中で、都は、新たに都の独自の支援策として、都型の放課後等デイサービス事業を開始いたしました。今年度、都がサービスの質の向上を目指すために事業を開始した都型放課後等デイサービスについて、まず教えてください。

○中川障害者施策推進部長 放課後等デイサービスは、障害児の基本的な日常動作に関する訓練を実施する事業所がある一方、学習支援、運動など、特定の活動に偏った事業所も見受けられるなど、支援の内容は事業所によって様々でございます。
 こうした状況や令和三年度の国の報酬改定を踏まえ、都は今年度から、放課後等デイサービスの質の向上を図るため、国のガイドラインに基づく四項目の基本活動やコア人材の配置、第三者評価の受審など、都が定めた基準を満たす事業所を支援する都型放課後等デイサービス事業を開始いたしました。

○浜中委員 ありがとうございます。
 いざ都型の放課後等デイサービス事業を開始したところ、ハードルが高く、都型放課後等デイサービス事業を実施する事業者は三か所であるというふうに聞いております。千を超える放課後等のデイサービスの事業所があるんだけれども、これは三か所という、さっき資料にもありましたけど、書いてあると。
 であれば、このような状況に対してどう対応してきたのか、また、今後どのような取組をしていくのかということをお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 事業開始に当たりましては、事業者団体などの関係者と意見交換を行うとともに、事業開始後もこうした意見交換を続けまして、より多くの事業所が取り組めるよう工夫しながら事業を進めております。
 現在、事業実施を具体的に検討している事業所や関心を示している事業所もございまして、こうした事業所に対して、来庁による相談のほか、訪問やオンラインによる個別説明も実施してまいります。
 また、今後、事業所全体への情報発信もさらに強化いたしまして、サービスの質の向上に向けた事業所の取組を促してまいります。

○浜中委員 今ご答弁にあったように、このように事業者に寄り添い、運営の見直しがされて、これまでの独自の取組が生かされるだけではなくて、質の向上を目指す事業所が増えていくことは喜ばしいことであると思います。引き続き、子供たちにとってよりよいサービスが提供できるように取り組んでほしいと思います。
 まさにこれをやっている人たちから、今こういうことで困っていますというようなヒアリングの場に私も同席をさせていただいたんですけれども、本当に一生懸命真面目にやっている、もうこれでもかというぐらいに一生懸命やっているんだけれども、なかなかそういうところは人が足りなかったりとかして、株式会社みたいな形で大きく資金とかお金があるわけでもないから、なかなか難しいと。
 ただ、都がやっぱりこういう仕組みをつくってくれて、こうすればどうですかということはとてもいいことだと思います。そもそも、報酬改定で七割の事業所が減収になっちゃったということは、国の責任でもあるわけだと私は思います。
 その至らざる部分を、質の向上ということもありますから、都が手を差し伸べてあげて、この放課後デイの先には子供たちがいますから、ちょっとそこを見ながら、事業者の声を聞いて、皆さんが使いやすいような形にしていただきたいなというふうに申しまして、次の質問に移らさせていただきます。
 続きまして、強度行動障害についてであります。
 強度行動障害を有する障害者については、自傷、他害行為など、危険を伴う行動を繰り返す、示すことによって日常生活に困難が生じることも多く、適切な支援をしていくためには、障害特性に応じた専門的な知識と技術が求められます。
 強度行動障害を有する障害者など、主に重度の障害者が入所している障害者支援施設の職員は、より専門的な支援スキルを身につけることが必要だと考えますが、都の取組について教えてください。

○中川障害者施策推進部長 障害者支援施設では、利用者の高齢、重度化が進んでおりまして、一人一人の特性に応じた専門的な支援スキルの習得や、多職種連携によるチームアプローチなどの取組がさらに重要となっております。
 このため、都は平成三十年度から、専門的な支援を先駆的に行っている施設に勤務する理学療法士、言語聴覚士、経験豊富な支援員等を他の施設にチームで派遣いたしまして、リハビリや日中活動のメニューの充実、食事介助の方法などを具体的に指導し、施設の支援力を強化する取組を実施しております。
 令和三年度からは、強度行動障害を有する障害者への支援技術の指導についても取り組んでおりまして、利用者の行動分析や支援方法等の見直し、生活環境面の改善に関する実践的なアドバイスを実施しております。

○浜中委員 障害者本人が安定した日常を送ることや虐待を防止する観点からも、強度行動障害に関する専門的知識と技術を有し、適切な支援ができる支援者の養成をさらに進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 自傷行為や他害行為など、危険を伴う行動を頻回に示す強度行動障害は、周囲の環境や関わりにより現れる症状とされておりまして、障害特性の理解に基づく適切な支援を行うことでこうした行動が減少し、安定した日常生活を送ることができるとされております。
 このため、都は、事業所等のサービス管理責任者、サービス提供責任者、支援員などを対象といたしまして、行動特性や適切な支援方法などを学ぶ強度行動障害支援者養成研修を実施しております。
 本研修では、強度行動障害の基本的理解を深め行動特性の把握や適切な対応方法等を習得する基礎研修と、アセスメントの方法や支援手順のほか関係機関との連携方法等の知識を習得する実践研修を設けておりまして、今後とも、強度行動障害に関する支援ニーズ等を踏まえながら支援者の養成をさらに進めてまいります。

○浜中委員 強度行動障害については、昨日、読売新聞の全国版でも特集をされておりまして、世の中にこういう障害があるんですよということと、なかなか難しいですよ、それを支援する人の養成だとか理解が足りないですよということが、全国版に載っておりまして、これ非常にいいことだなというふうに思っております。
 一方、東京都では、この施設でいわゆる殺人事件が起きてしまったりとか、本当に痛ましい事件が起きてしまったと。これは、この障害を持っている本人も困るし、保護者や家族も困るんだと思います。
 であれば、やはり先ほどいわれたように、研修で支援できる人の養成を進めていって、環境だとかこういうふうにやっていけば大丈夫じゃないかということの理解と、人を増やしていくことは大切なことであるかと思います。
 なかなか光の当たる分野ではないかもしれませんが、しっかりと東京都として取り組んでいただきたいと申しまして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 続きまして、障害児の入浴支援についてであります。
 重度の身体や知的の障害を持つ障害児の年齢が大きくなるにつれて、大人になるにつれて、自宅での保護者の入浴介助が大きな負担となります。
 市区町村における支援策、実施状況について教えてください。

○中川障害者施策推進部長 障害児への入浴サービスは、障害者総合支援法の地域生活支援事業として、区市町村が地域の実情に応じて、看護師や介護職員が障害児の居宅を訪問して実施しておりまして、令和三年度は四十八区市町が実施しております。
 また、都の調査では、二十四区市が福祉センターや福祉施設等を活用した障害児者への入浴サービスを独自の取組として行っております。

○浜中委員 私がなぜこの質問をしたかといいますと、身体、知的の障害児の保護者の方と意見交換をする場がありました。都の特別支援学校の方とかもいたんですけれども、その人たちが何に困っていますかというときに、やっぱりお風呂に入れるのにすごい困るんですって。小さいうちはいいんだけれども、だんだん大きくなると、なかなかお風呂に入れるのが大変だと。ただ皆さん、お子さんが障害を持っているわけですから、いろんな障害の福祉だったりとか、いろんなサービスは知っているわけです。
 例えばこういうケースがあって、その子が通っている障害児の施設は高齢者の施設も一緒になっていて、高齢者の方では入浴を介助する施設だとかなんとかって人もいるんだけれども、そもそもその仕組み、制度が違うから、障害児の方ではこっちは使えませんって話になるわけであります。その保護者の方とかはそういうのを見ていて、同じ建物の中に施設も人もいるのに、お風呂が使えないと。
 いろいろ調べてみたら、やっぱり障害児の保護者の方は、お風呂、入浴サービスというのが、手伝いとかそういうのをもっとしてくれればいいのになというニーズがあったということが分かったわけであります。
 先ほど答弁でいただいたように、市町村がやっていたりだとか、それはそれであるんですけれども、例えば通っている施設とかでそういうのが柔軟に対応できたりとか、どうしてもこれ制度でやっていますから、その制度を飛び越えて施設があるからできるとかという話でもないんですけれども、やっぱりそこを何とかしていくというのが、障害児の支援だとかというところにこういうニーズがあって、入浴支援って結構大きな問題なんだなということが分かりましたので、ちょっとその現状の確認と、またこれからもさせていただきますけれども、そういったものに対して、都としてどのように支援をしていくのかと。やっぱりそこに困った人たちがいるのであれば、いろいろな制度はありますけれども、そこを超えてどう手を差し伸べるのかということが私は大切だと思いますので、ぜひ今後、いろいろどういう支援ができるのかということを一緒に考えていただきたいなと思い、次の質問に移らさせていただきます。
 続きまして、更生保護施設への支援についてであります。
 これは第三回定例会において請願審査がございまして、私も質疑を行いまして、全会一致で更生保護施設の建て替え補助の創設について採択されました。
 更生保護施設は、刑務所などの矯正施設を退所したものの、その後住居がなかったり頼るべき人がいなかったりするなどの理由で、すぐに自立することが難しい方を宿泊させ、食事を提供するほか就労援助や生活指導等を行うことで社会復帰を支援する施設であり、現在、都内には十九の更生保護施設があります。
 私は、請願の質疑に先立って、都内の更生保護施設を訪問して視察をさせていただきました。実際に現場を見てみると、老朽化に伴う耐震の不安があったりだとか、居住空間は相部屋が中心であって、今日的な課題として感染対策への不安も感じましたし、当時バブルのときにですね、かんぽか何かの寄附金で、多分カプセルホテルがはやっていたときに−−部屋の中にカプセルホテルみたいなものがあって、そこで寝泊まりをする、プライベートな空間が確保できるという意味でそういうのを入れたと思うんですけど、三十年以上前のものがあったりとか、これは建て替えはしなきゃいけないんだなというふうに思いました。
 更生保護事業は、そのときの質疑でもいいましたけれども、基本的に国の責任において実施されるものであると私は考えます。
 しかし、現在、全国の二〇%に当たる十九の施設が都内に設置されて、地域の再犯防止に一定の役割を果たしていることを考えると、更生保護施設の建て替えに当たり、東京都としても支援を実施していってもよいのではないかと考えます。
 そこで、更生保護施設の建て替えについて、国との役割分担も踏まえて、都において補助金交付制度の新設を進めるべきであると考えますが、取組についてお伺いをいたします。

○高橋生活福祉部長 更生保護施設の設置及び運営並びに施設整備に関する補助は、更生保護事業法等の関係規定に基づき、法務大臣をはじめ、国の関係機関の関与の下に行われております。
 このため、都は、更生保護施設の建て替えに関する請願が採択された本年十月に、法務省及び東京保護観察所を訪問し、都内の更生保護施設の状況、国が行っている施設整備に関する補助事業の概要及び近年の建て替え実施状況など聞き取りを行いました。
 さらに、今後は、国に対して物価高騰分も含めて施設の建て替えに必要な財政支援を国の責任において行うよう提案要求をするとともに、都としての対応策を検討してまいります。

○浜中委員 もう早速動いていただきましてありがとうございます。
 ただ結論的には、国がお金を出すという話ではございますが、国にも国の事情がありますでしょうから、やはり東京都としても再犯防止ですよね、犯罪を犯しちゃった人の大半がまた再犯をしてしまう、刑務所に入っていた人が出てもちゃんと更生できないと再犯率というのが−−これは社会的な問題ですよということがあって、法律もあって、東京都にもそういう計画もあると。であれば、やっぱり東京都としても、ここにしっかり力を入れることが、皆さんの公共の福祉、公共の利益にかなうことでありますから、そういうふうに力を入れていただいてもいいのかなというふうに思います。
 ぜひ国としっかり調整をしていただいて、善意でやっている皆さんに過度な負担、本当に寄附とかで成り立つといっても、やっぱりこれは世のため人のためにやっていることなので、税金を入れても私はおかしくないというふうに思いますので、引き続きしっかり対応をしていただきたいとお願いをしまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、自殺対策についてお伺いをいたします。
 東京都の自殺者数は、平成二十三年をピークに減少傾向にありましたが、平成二十八年頃から横ばいが続いていると。そうした中で、コロナ禍以降については、令和二年、令和三年と自殺者数の増加が続いており、特に若年層と女性の自殺が増えていることが指摘されております。
 また、ここのところ自殺念慮に−−これは死にたいという思いですよね−−SNS上で近づき、重大な犯罪に発展するという事件も相次いでおります。これらの事件では、被害者が大学生や中学生という若年者であることに私は心を痛めております。
 これあれですよね、ツイッターとかで死にたいという人、札幌とかでもあったと思うんですけど、じゃあ殺してあげるよということで殺しちゃう、こんなことがあるのかと思うんですけど、現実的にあるんですよね。
 この死にたいという言葉は死にたいほどつらいという意味であり、私たちは自殺の念慮者の心情や背景への理解を深めることが重要であると感じております。
 また、自殺のリスクとなり得るものは多岐にわたるといわれており、死にたいという直接的な言葉ではなくとも、自殺リスクとなる生活課題を抱え、その悩みに関する言葉を検索している方は多いのかと思います。
 そこで、都は平成二十七年度から、検索連動広告を運用しているとのことですが、その内容と検索連動広告により実際の相談行動を起こした件数についてお伺いをいたします。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都では、悩みを抱える方を早期に適切な支援につなげるため、インターネットの検索連動広告を用いまして、相談窓口等の情報に誘導する取組を実施しております。
 現在、グーグルとヤフーにおいて広告を掲出しており、自殺に関する直接的なキーワードを検索したグループ、虐待、DV、性被害に関するキーワードを検索したグループ、鬱病など様々な悩みに関するキーワードを検索したグループという三つのグループを設け、それぞれにキーワード及び広告文を設定しております。
 令和四年度上半期におきまして、広告が閲覧され、かつ実際に相談行動につながった件数は、速報値で八千二百八十九件でございました。

○浜中委員 検索連動広告の運用実績は、東京都福祉保健局のホームページ上でも公開されており、私も令和三年度の実績については確認をしましたが、今答弁のあったグループの間では、実際に相談行動を起こした件数はかなりばらつきがあるようだったかと思います。
 当然ながら、キーワード群によってはそもそも検索される件数自体が少ないということも考えられますが、より効果的なキーワードや広告文を設定することも重要であると考えます。
 都は、令和四年第二回定例会に補正予算を計上し、私も質疑させていただきましたけれども、検索連動広告の効果的な運用に関する調査研究を実施していると聞いております。
 この研究の進捗状況と当該研究成果の今後の活用についてお伺いをいたします。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 当該研究は、インターネットを用いた自殺予防活動に深い知見を有する研究者の協力を得て実施をしております。
 民間団体の調査によれば、自殺の背景となり得るものは六十九項目あるとされておりますが、その中から特に危険性が高いと考えられる鬱病など六項目を抽出し、効果的なキーワード及び援助希求性を高める広告文の内容について検討を行っております。
 報告書は令和四年度末に取りまとめる予定でございまして、この結果を踏まえ、令和五年度以降、検索連動広告を一層効果的に運用するとともに、研究結果は、庁内関係部署や区市町村、民間団体などへも提供することとしてございます。

○浜中委員 自殺の背景には様々な要因が複雑に絡み合っていることから、福祉、医療、経済、教育等の多様な分野が連携して自殺対策を推進することが重要であります。検索連動広告の研究結果は、自殺対策部署だけではなく、広く活用できるものだと思います。
 こうした課題を抱える方々に、どのようなキーワードや表現を用いれば相談につながるのかが分かれば、早期に自殺リスクとなる生活課題を摘み取ることが可能になり、ひいては自殺者の減少に資するものだと考えております。都には引き続き、自殺対策の総合的な推進を要望いたします。
 ゲートキーパーなんかもそうですけれども、私、すごいなと思ったのが、自分の議事録を検索しようと思って、東京都自殺って調べたら、ちょっと思いとどまってくださいみたいなのがグーグルとかで出てくるんですよね。つまり、自殺とか、つらい、死にたいみたいなのを検索すると、大丈夫ですか、こういう電話ありますよとかというのが出てくるような仕組みになっていて、この質疑だけを聞いていると、何いっているんだか分からないのかなというふうに思うんですけど、実際にやってみると、これはすごいなというふうになっておりまして、インターネット上でも検索する人とかがいれば、それを思いとどまらせる、これ非常に効果的なことであるかと思います。
 それに限らず、やっぱり自殺をする本人もつらいですし、周りの家族や友人とかみんなもつらいと。これはもう社会的にもよくないことであるというふうに思いますので、ぜひ東京都として、ここに力を入れていただきたいというふうに申しまして、次の質問に移ります。
 最後の質問でございます。これは介護人材の確保についてであります。
 東京都では、二〇二五年には、もうすぐあと三年後ぐらいですよね、三万千人の介護人材が不足すると見込まれており、介護人材対策は喫緊の課題となっております。
 介護人材対策については、都ではこれまでも様々な取組を実施しておりますが、今年度からは、新たに介護の仕事就業促進事業を実施しております。
 そこで、介護の仕事就業促進事業の狙いや事業の特徴について教えてください。

○山口高齢社会対策部長 今後、高齢化の進展により介護ニーズが増大し、一方で、生産年齢人口が減少していく中、介護人材の確保に向けて多様な人材の参入を図っていく必要がございます。
 今年度から開始した介護の仕事就業促進事業は、介護分野が未経験の求職者等を対象に、インターンシップによる介護の仕事の体験から、本人の意向や適性に応じた就業先のマッチング、就業後の相談や資格取得までを一貫して支援するものでございます。
 また、求職者だけでなく、介護事業者も併せて支援しており、インターンシップの受入れを通じた介護の魅力の発信や、効果的なOJTの実施などのノウハウを提供し、未経験者の円滑な採用と定着を支援しております。

○浜中委員 ただいまの答弁で、介護分野の未経験者を主なターゲットとしている点や、またインターンシップから就業までを一貫して支援する点、そして求職者だけでなく受入れ事業者に対する支援も併せて行う点など、この事業の特徴を理解することができました。
 そこで、求職者や事業者に対して、具体的にどのような支援を行うのかをお伺いいたします。

○山口高齢社会対策部長 本事業では、求職者一人一人にキャリアカウンセリングを行い、どのような働き方をしたいか、どのような事業所で働きたいかなどを明確化した上で、事業者との間でミスマッチが生じないよう適切なインターンシップ先を提案、紹介いたします。
 一方、介護事業者に対しては、インターンシッププログラムの作成セミナーを実施するとともに、インターンシップの受入れ決定後は、求職者の希望等に沿ったプログラムの作成を個別に支援しております。
 また、インターンシップ終了後には、担当カウンセラーが求職者、事業者の双方に振り返りを行い、就業の意思や雇用条件などを確認、調整し、就業につなげております。
 さらに、就業後もカウンセラーによる個別相談や資格取得のための研修受講経費の補助を行うとともに、事業者に対しては働き続けたい職場づくりのためのセミナーを実施するなど、定着に向けた支援を行っております。

○浜中委員 求職者と事業者の双方に対して、きめ細かな支援を行っていることが分かりました。この事業を通じて、これまでの介護分野の経験がない方などを含めて、多様な介護人材の確保につながっていくことを期待したいと思います。
 いずれにしても、地域の介護事業者等の声を聞きますと、人を紹介してくださいとか、誰かうちで働いてくれる人いませんかということ、恐らく皆さん聞かれているんだと思います。
 先ほど、二〇二五年には三万千人介護人材が不足するというふうにいわれており、人はいないんだけれども介護をしなきゃいけない人は増えるという状況が続いてきたわけであります。保険はあっても人がいないから使えないという事態になっちゃうと困るので、やっぱりこうしたものを通じて、掘り起こしたりとか、介護で働いてもらう。
 また、AIとかも含めてですけれども、現場の効率化を求めていくこととかというので、東京都の福祉をつかさどる福祉保健局でございますから、介護をどうしていくのかということは大きな課題であります。人材の確保、またその効率化も含めて、これからしっかりと議論をしていきたいというふうに思います。
 多岐にわたりましたけれども、ちょっと時間の関係もあり、少し短めにお話をさせていただきましたので、また別の課題については、引き続き質疑をまた別の機会にさせていただきたいと思います。
 私の質疑を終わります。

○龍円委員 改めまして、龍円あいりです。よろしくお願いいたします。
 私が生まれ育ったスウェーデンなんですけれども、一九五五年に世界で初めて義務教育の指導要領に性と共生教育を導入した国であります。
 私が子供の頃、一九八〇年から九〇年頃の話なんですけれども、スウェーデン出身なんだという話をしますと、性について開放的で奔放な国なんでしょうなんていうふうにいわれることが多かったのを覚えています。性に関して乱れているというようなニュアンスを含んだ発言でありました。
 しかし、私がスウェーデンに抱いている印象は真反対です。スウェーデンは、性に関してオープンではありますが、とても健全だというふうに感じております。
 学校では、いわゆる包括的な性教育が実践されています。日本の性教育ですと、体の発達だったりとか二次性徴、そして性感染症の話などが主流なんですけれども、スウェーデンでは、体の話だけではなくて、ジェンダー平等、性の多様性への理解、人間関係において自分の意見が尊重されることや他者の意見を尊重すること、差別や暴力など、社会的な規範の是非、リスクに直面したときにどうするべきかなどなど、幅広いテーマが扱われています。
 また、これらが性教育という授業の中だけで行われているだけではなくて、ほかの教科の中にも混ぜ込まれているというのがすごく特徴的だと思います。私が聞いて印象に残っているのが、例えば算数みたいな全く関係のないような教科のテストの設問に、そこにゲイのカップルが来ました、部屋の中には何人になりましたでしょうかみたいな感じで、性の多様性についてごく普通のこととして盛り込まれているそうです。
 これらの教育を通じて、子供の幸福に生きること、ウエルビーイングの学びにもつながっているということです。この効果を数字で見てみますと、スウェーデンは、世界ジェンダーギャップ指数二〇二二では五位です。二〇〇六年以来ずっとトップファイブにランクインし続けているということです。また、世界幸福度ランキング二〇二二というのもあるんですけれども、スウェーデンは七位です。
 このジェンダーギャップ指数ランキングと幸福度ランキング見比べてみますと、ジェンダーギャップ指数トップテンのうち、五か国が幸福度ランキングのトップテンにも入っているということなんです。つまり、ジェンダー平等を大切にしている国は、幸福度も高い傾向にあるということがこのことからも分かると思います。
 これに対して日本はどうかというと、世界ジェンダーギャップ指数は百十六位、そして幸福度ランキングでも五十四位と、どちらも高くはないという現状です。
 日本はなんですけれども、性産業先進国とも呼ばれているようで、ポルノは世界シェアの六割が日本で制作され、アダルト向け市場産業規模は六十四兆円といった試算もあるというふうに聞いております。なので、世界から見れば、日本こそが断トツで性に関して奔放な国というふうに見られている可能性があると思っています。
 この現状を子供、若者目線で見てみますと、性に関する正しくて安全な頼れる情報や人や機関が非常に限られている中で、アダルト向けの偏りや誤りがある情報が、インターネットやコンビニなど身近な場所に氾濫しているという、こういうアンバランスさの中で子供たちが成長しているということになります。
 東京都として、幸せに生きることができる次の世代を育成していくために、昨年度、東京都版のユースクリニックの創設について会派として要望し、第一定例本会議の代表質問でも提案させていただいたところです。
 都からは、スウェーデンのユースクリニックも参考にしたユースヘルスケア事業の立ち上げをするとの答弁があり、今年度は、福祉保健局と都教委、そして子供政策連携室の三つの部署が行政の垣根を超えて連携して準備してきてくれたことは、大変異例なことではありますが、それこそ東京は本気で取り組んでくださっているということで、大きな希望と期待をしているところであります。
 私、先週までは文教委員会に所属していたこともありまして、文教委員会の事務事業質疑で、都立高校におけるユースヘルスケア事業について質疑をさせていただいたところであります。
 都教委の方は、思春期特有の健康上の悩みに対応するため、新たに産婦人科医を学校の校医さんとして任用して、ヘルスケアに関する専門的な相談を十月から開始したところです。現在、都立高校とそして特別支援学校の十校で実施しているということでありました。
 さて、福祉保健局においても、東京版ユースクリニック、ユースヘルスケア事業の立ち上げに向けて、丁寧に有識者へのヒアリング、それから国内、そして海外の事例などを調査しながら準備してくださっていると認識しています。
 まずは、子供や若者が性の健康に関する困り事や悩みについて相談することができる場として、電話相談が十月から、わかさぽとしてスタートしたのは大変喜ばしいことだと思っております。
 この電話相談、わかさぽの概要とこれまでの相談実績についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応するため、先月十月二十六日から、主に中学生以上の十代を対象に電話相談を開始いたしました。
 この相談は、毎週水曜日の十五時から二十時と日曜日の九時から十四時に実施しておりまして、看護師等の専門職が対応しております。
 これまで四回実施いたしまして、相談件数は二十六件となっております。

○龍円委員 四回の実施で二十六件の電話相談を受けたということで、かなり好調な滑り出しだったのかなというふうに思います。
 私もこれまで様々な有識者の方からお話を伺ってきたんですけれども、若者の性のことも含めた相談に対応するには、保健、医療、福祉、思春期の若者に関する幅広い知識が求められるばかりか、子供や若者が安心して利用できるということが重要なのかなというふうに感じています。子供、若者は、安心できないと感じた瞬間に、たとえ困っていたとしても相談をしなくなってしまうということなんです。
 ここで一つ参考となる資料をご紹介させていただきたいと思います。こちらです。これはWHO、世界保健機関が出している青少年に優しいヘルスサービスのための国家品質基準であるユースフレンドリーなヘルスサービスの実現に向けたガイドラインということになります。この日本語訳ということになります。
 ヘルスサービスを含む青少年の健康とウエルビーイングを守り、改善するために必要なヘルスサービスを入手しやすくするための公衆衛生における論理的根拠について述べたものだそうです。
 これは後半の方にガイドラインが出ていまして、大きく五つの方針が示されております。この五つの方針がとっても分かりやすくて、ぜひ少しだけ触れさせていただきたいと思っております。
 このガイドラインの一つ目は公平であること。全ての青少年がヘルスサービスを制限されることなく提供されるということが示されています。
 二つ目が利用しやすいこと。サービスが無料または入手可能な価格であるということ、そして受付の時間帯が子供が利用しやすいということ、ヘルスサービスの存在について周知されていることなどが挙げられています。
 三つ目が受け入れやすいことということで、これが最も重要だというふうに考えています。秘密を保持するということとプライバシーを保障していること、そして、これが一番重要だと思うんですが、子供、若者に対して、叱ったりとか評価を押しつけるようなことがないノンジャッジメンタルであること、情報や教育を提供すること、サービスの設計や評価に青少年が積極的に関わることが挙げられています。これは非常に重要だというふうに、いろんな方からお話を聞いてきて感じているところです。
 四つ目は適切であること、五つ目は効果的であることと続いております。とても分かりやすいガイドラインなので、オンラインでも公表されていますので、ぜひ興味がある方はご覧いただけたらと思います。
 このガイドラインを読んでいきますと、たとえ専門的な知識が豊富な産婦人科医や助産師であったとしても、対応を一歩間違えてしまうと、子供が口を閉ざしてしまって利用をやめてしまったり、本当に困っていることについては相談してもらえなかったりするということが起こることは分かっています。このガイドラインに沿った対応ができることがとても望ましいと思うんですよね。
 東京都の電話相談、わかさぽや、これから立ち上げる、実際に場所を設けて相談を受ける東京版のユースクリニックともいえるような場所で対応する職員の皆様においては、このWHOが定義するユースフレンドリーなヘルスサービスの要素を満たすことが重要だというふうに考えています。
 これらのことを踏まえて、相談員の対応力が重要と考えますが、それをどう確保しているのかお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 この事業では、相談支援等の経験を有する看護師等が対応いたしておりますが、電話相談の開始に先立ち、有識者等に講師を依頼し、二日間にわたり、対象となる中高生等の特性や想定される相談内容等に関する研修を実施いたしました。
 具体的には、思春期の男子や女子からの相談に対応する際の注意点や、思春期のメンタルヘルスについて小児科医師等が、また、虐待等で傷ついた経験のある子供やLGBT当事者への対応について専門家が講義を行いました。
 また、若者にとって受け入れやすいこと、利用しやすいことなど、ユースフレンドリーな相談対応について、WHOの出版物を活用し、説明を行っております。

○龍円委員 ありがとうございます。
 こういう相談事業って、ついつい若い女性のためのものになってしまったりとか、将来、妊娠、出産するために、その準備みたいな雰囲気になりがちなんですけれども、福祉保健局では、男子ですとかLGBTQ等の性的マイノリティーのお子さんも含めて、そしてその可能性があるお子さんも含めた全ての子供、若者が相談しやすい環境としてくれようとしていることが分かりました。
 また、このWHOのような世界基準を参照して、ユースフレンドリーな相談窓口としてスタートしたことが分かりました。大変丁寧な準備をありがとうございました。
 この研修事業なんですけれども、あまりに内容がすばらしいので、お金を払ってでも受講したいという人が今後出てきそうなレベルだなというふうに感じております。
 都教委では、先ほどもお伝えしましたように、都立学校での事業が始まったところなんですが、今後、研修を実施する機会がもしあるのであれば、ぜひ都立高校の養護教諭さんも、この研修の対象に入れていただけたら大変ありがたいので、ご検討をよろしくお願いいたします。
 スウェーデンでは、学校の課外教育の一環でユースクリニックを訪れることが多いそうです。そうすることで、相談したいとき、困ったときに安全に利用できる機関があると、ユースクリニックを利用する若者が多いそうです。
 そこで、福祉保健局と都教委との連携ということで、福祉保健局のわかさぽや、実際に相談窓口となるユースクリニックの周知ということでも、しっかりと連携していただきたいと思います。相談窓口の実施に当たっては、教育庁との連携が不可欠だと思いますが、見解をお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、この相談窓口を広く知っていただくため、周知用カードを作成しておりまして、教育庁等の協力を得て、都内の中学校、高校を通じて生徒に配布しております。
 あわせまして、教員等からもこの相談窓口を紹介していただくようにお願いしています。

○龍円委員 都内の中学校、高校を通じて、生徒にカードを配布したということで、このカードを見て相談に、電話をかけられたお子さんもいらっしゃるというふうに伺っておりますので、ありがたいことです。
 WHOの先ほどのガイドラインを翻訳した有識者からお話を聞いたところによりますと、この表紙を見てもらえるように−−ユースにすごく興味を持ってもらえるデザインというのがあるそうなんですよね、そのこともあって、こういうデザインにしたということなんですけれども、今後、福祉保健局で実際の窓口の告知などをされる際には、ユースに興味を持っていただけるようなデザインにしていただくこともいいのかなと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 このWHOのガイドラインにも触れられておりますし、都民ファーストの会の代表質問や私の一般質問でも触れてまいりましたが、子供、若者が安心して利用しやすいサービスを提供するには、子供、若者たち自身が主体的にサービスの在り方に意見を述べ、それが尊重されていくことがとても重要です。
 都知事から、その一般質問に対して、若者が当事者目線で主体的に関われますよう、福祉部門と教育部門が連携して、若者の意見を聞く様々な場や機会を用意いたしますという答弁をいただいたところでした。
 これまで都では、先ほど触れましたが、都立高校でのアンケートですとか大学生との意見交換をしているというふうに伺っています。こうした若者の意見を聞いて取り入れる取組は今後も実施するべきだと考えますが、見解についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 今後実施いたします対面相談の場では、相談者にアンケートを実施する予定でございます。
 こうしたアンケートや、今月の二十三日に開催いたしますこどもシンポジウムで発表される研究成果、相談対応を通じて把握した若者の意見等を活用し、この事業が若者に、より受け入れられやすいものとなるよう実施方法を工夫してまいります。

○龍円委員 十一月二十三日に、こどもシンポジウム、ティーンズ・アクションの研究結果が発表されるそうですが、その中に、思春期の健康や性について相談したいときというテーマがあります。子供たちが数か月にわたって研究してきた結果が発表されることになっていますので、私としても大変注目しております。
 ぜひ今後も継続的に子供や若者の意見を聞きながら、来年度以降は、例えばSNS相談ですとか、常設のユースクリニック、そのユースクリニックでは、感染症の検査や治療、緊急避妊薬の提供など、子供、若者のニーズに寄り添った事業として、将来的に育てていってくださいますよう要望させていただきます。ありがとうございます。
 さて、私は、ダウン症のある子を育てている親として、当事者やその家族の視点から都議会で質疑を続けてまいりました。二〇一七年に都議会議員になった頃は四歳だった息子も、今は九歳、小学校三年生になりました。元気に学校に通っております。
 ただ彼が就学する際、小一の壁というのを経験いたしました。地元の教育委員会からは、通常の学級は知的障害児の学びの場ではないため、知的障害児が存在していないことになっている、だから支援がそもそもないんだという説明を受けたり、学校からは、付き添って支援をしてもらえなければ受け入れられないということもいわれました。
 私のように、シングルマザーで都議会議員という特殊な仕事であったとしても、仕事を辞めて付き添わないことには、希望する学びの場での学校に通うことも許されないというような状況から始まりました。保育園時代まではすごくスムーズだったので、この状況に大変驚きました。
 そこで、身の回りのスペシャルニーズのある子供たちの保護者さんにヒアリングをしてみたところ、障害の種別にかかわらず、また、特別支援学校でも特別支援学級でも通常の学級でも、全てのお子さんの保護者が就労の継続に困難さを抱えていることが分かりました。
 特別支援学校や支援学級所属のお子さんは、学校のある時間帯は問題が比較的少ないんですけれども、放課後は、地域の学童クラブで受け入れられなかったり、放課後等デイサービスは、そもそも親の就労支援のための施設ではないということもあって、終了が午後四時とか五時とか早かったり、夏休み中は三時に終わっちゃうということもよく聞く話ですし、そもそも都心部では、施設の数が足りていないということから、週五日利用できているお子さんも少ないため、ともかく親がフルタイムで就労する難しさがあるということが分かりました。
 また、医療的ケアのある児童生徒について見てみますと、保護者の学校付添いがまだまだある状況ですし、体調が不安定なことから、学校をお休みすることもあります。そして、放課後の居場所は極端に限られているということから、保護者が就労を継続するのは不可能に近いような状況でありました。スペシャルニーズのある子にとって、小一は壁ではなく断崖絶壁なのだと、そのときに知りました。
 このことから、スペシャルニーズのある子供の親、特に母親が就労を継続できるようにしてほしいと東京都に要望させていただきました。都では、医療的ケア児や重症心身障害児の放課後の居場所づくりをする区市町村を支援する事業というのを立ち上げてくださいましたほか、学童クラブでも独自の障害児支援を始めてくださいましたこと、高く評価しております。
 放課後等デイサービスは、親の就労を支援するための施設ではないものの、こういう小一の断崖絶壁のような事情も踏まえて、親の就労継続にもなり得るような対策を盛り込んだ都型の放課後等デイサービスについて期待を寄せているところです。
 福祉保健局では、この事業を通じて、浜中委員も触れられておりましたけれども、放デイの質の向上についても目指しているというふうに伺っております。
 都議会議員としても、そして一保護者としても、様々な施設をこれまで見て回りました。例えば、名前を挙げちゃいますけど、足立区にあるうめだ・あけぼの学園のような、もう本当に超一流と感嘆してしまうような施設もあれば、床のタイルがめくれ上がっていて、会議室に長テーブルとパイプ椅子が置いてあるだけみたいな場所もあって、療育に物すごく熱心に取り組んでいる施設もあれば、そうでないと感じられるところもあって、様々な施設があるなというふうに、これまで見ていて感じました。
 そこで、放課後等デイサービスについて、都としてはどのように実態について把握しているのでしょうか、お伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 就学中の障害児の居場所を提供する放課後等デイサービスは、児童や保護者のニーズが多様でございまして、支援の内容は事業所ごとに様々であります。
 具体的には、障害児の基本的な日常動作に関する訓練などに重点を置く事業所がある一方で、学習支援や運動など、特定の活動に偏った事業所も見られます。また、経験のある専門職による多様なサービスを提供する事業所がある一方で、職歴が短い職員が多い事業所も見受けられます。

○龍円委員 都としては、事業所によって様々な違いがあることや、質においてもばらつきがあることを認識しているということが分かりました。
 これらについて、保護者としては、安心して我が子を預けることができるようになること、そして、都議会議員としては、子供の療育の部分についてもクオリティーの高いサービスがどこの事業所でも可能となるような、ボトムラインを引き上げるような取組を進めていただきたいと考えております。
 現状を踏まえて、今年度から都型放課後等デイサービス事業が開始されたというふうに認識されていますが、各事業所では、どのような取組がされているのかお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業を実施している事業所では、国がガイドラインで示し、この事業でも要件としております四つの基本活動である自立支援と日常生活の充実のための活動、創作活動、地域交流の機会の提供、余暇の提供を組み合わせた療育に取り組んでおります。
 具体的には、発達段階に応じて協調性や自主性を育てる集団活動や、コミュニティカフェでの高齢者や地域の子供との交流など、それぞれの事業所で工夫を凝らしながら、質の高い支援を行っております。

○龍円委員 都型放課後等デイサービスになった事業所では、工夫を凝らした質の高い支援につながっているとのことでした。
 ぜひ多くの事業所に都型に登録していただきたいと思いますが、事業所の皆様にお話を聞いてみますと、登録に積極的ではなかったり、都型についてはまだ周知が十分されていない面もあるように感じております。
 放課後等デイサービス事業が保護者の就労支援としても機能し、同時に質の向上もしていくためにも、都型放課後等デイサービス事業に取り組む事業者数を増やしていくことが重要だと考えますが、今後、都はどのように取り組んでいくのでしょうか、お伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 障害児とその家族が身近な地域で安心して生活していくためには、適切な療育の提供や障害特性に応じた支援体制を整備する必要があり、都は、放課後等デイサービスの質の向上を図るため、都型放課後等デイサービス事業を実施しております。
 今後、事業実施を具体的に検討している事業所などに対して、訪問やオンラインによる個別説明を実施するほか、事業所全体への情報発信をさらに強化し、事業の理解促進に努めてまいります。

○龍円委員 都としては、今後、積極的に事業所に訪問したり、オンラインによる個別説明をしたりすることなどを通して、登録を増やしていく方針であるということが分かりました。
 国の報酬改定によって、多くの放課後等デイサービスの報酬が大幅に減って苦しんでおりまして、就労したい保護者としては、とてもありがたい時間の延長が難しかったり、送迎などがネックになっているとも伺っております。
 この事業は、スペシャルニーズのある子供本人とその家族のために存在していることもありますので、都には、子供や家庭のニーズに寄り添っていただきたいと思いますが、そのニーズに応えていくのは事業者の皆様でもあります。福祉保健局としては難しい面も多々あるとは思いますが、子供や保護者に寄り添いながらも、事業者の皆様が生き生きと質の高いサービスが実現できるよう対話を続けながら、事業をブラッシュアップしながら進めていただけますようお願いいたします。
 次に、医療的ケア児支援についてであります。
 国では去年の六月に、当事者、家族や支援団体にとっては念願だった医療的ケア児支援法が施行され、都道府県には医療的ケア児支援センターの設置が望まれています。
 これを受けて、今年の九月、都では医療的ケア児支援センターを区部と多摩地域に二か所設置いたしました。大変迅速な対応だったと思います。これまで存在していなかった施設を立ち上げるというのは、模索しながらも、ご苦労もあったと思います。
 九月の開設以降の相談支援の状況についてお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 都は、医療的ケア児やその家族からの様々な相談への対応や、区市町村など地域の関係機関との連絡調整などを行う拠点として、本年九月、都内二か所に医療的ケア児支援センターを開設いたしました。
 センターでは、医療的ケア児の家族から保育やレスパイトなどに関する相談を受け付け、地域の相談支援事業所等と連携しながら対応するとともに、区市町村に対して、看護師を派遣している訪問看護事業所に関する情報の提供や、保育や地域の小児科医との連携方法に関する助言などを行っております。
 九月から十月末までの二か月間で七十五件の相談を受け付けており、今後とも、医療的ケア児とその家族が適切な支援を受けられるよう、関係機関と連携しながら、専門性を生かした支援を行ってまいります。

○龍円委員 二か月で七十五件の相談があったということでありました。医療的ケア児の絶対数がそんなに多くはないので、それを鑑みても、この相談件数は保護者からの高いニーズがあったんだなということが分かりました。
 この期間の医療的ケア児支援センターにおける相談支援を通して把握できた課題とか対応策があれば教えてください。

○中川障害者施策推進部長 センターでは、医療的ケア児に関する様々な相談を通じて課題の把握を行っておりまして、医療的ケア児とその家族が適切な支援を受けるためには、区市町村の支援体制の充実が必要であると考えております。
 このため、今月実施いたします区市町村との連絡会では、医療的ケア児の支援に関する課題の共有を図るとともに、関係機関との協議の場の立ち上げや、家族への情報提供の方法などに関する地域での具体的な取組について情報共有を行いまして、区市町村のさらなる体制整備を働きかけてまいります。

○龍円委員 区市町村の支援体制の充実のために課題を共有したり、協議会の立ち上げなどの働きかけを行っているとのことでありました。
 私は、アメリカでダウン症のある息子を出産したんですけれども、カリフォルニア州独自の制度で、リージョナルセンターという機関がありました。このリージョナルセンターには、行政側のケアマネジャーがそこについてくださいまして、ゼロ歳の段階から、法律に定められた個別の教育支援計画というのを立ててくれたり、療育ですとか医療機関とつないでくれました。
 また、将来お世話になることになるであろう小学校の教育担当者ともゼロ歳からつながって、どのように学校に就学するのかみたいなのが話合いとして始まっていまして、こういう行政と教育と療育機関がチームを組んでくださいまして、総合的にサポートしてくれました。
 これは本当に安心して子育てできましたし、三歳になるとプレスクールというのがありまして、学校に行く前の幼稚園みたいなところなんですけれども、そこに接続するための準備もすごく、ゼロ歳から走り始めていましたので、親が情報を探し求めて走り回る必要がなかったり、必要な地域支援と結びつくことができまして、本当にこのシステムが日本にもあったらいいなというふうに願っているところであります。
 医療的ケア児はというと、医療、そして福祉、教育などが切り分けられない状況にあることもあります。医療的ケア児支援センターにおいても、このようにお子さんと家族と総合的に、かつ、できれば継続的に支援していただける機関となってほしいと思っております。
 そういう意味ですと、学校という要素が関わってくる学齢期における支援についても重要であると考えますが、今後、どのように進めていくのか、取組についてお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 学齢期における医療的ケア児とその家族を取り巻く課題は、就学、通学手段、学校への付添い、放課後の活動など、それぞれの場面で多様な課題があり、放課後等デイサービスなどの充実のほか、地域において保健、医療、福祉、教育等の支援を総合的に調整する医療的ケア児コーディネーターの役割が重要でございます。
 このため、都は、地域において障害児のサービス利用計画の策定等を担っております相談支援専門員などを対象にいたしまして、コーディネーターの養成研修を実施し、相談支援体制の整備を進めております。
 今後、医療的ケア児の支援を担う関係機関で構成する医療的ケア児支援地域協議会での議論も踏まえながら、コーディネーターの育成や定着、果たすべき役割などについてさらに検討を進め、医療的ケア児の成長に応じた支援体制の充実を図ってまいります。

○龍円委員 医療的ケア児コーディネーターの育成を軸に、教育機関を含めた関係機関における支援を総合的に調整していく体制を整えていくとのことでありました。
 先ほどの小一の断崖絶壁問題もありますので、就学した後のことをとっても不安に感じている未就学の親も多いですし、また、就学した後に、実際に学校とのやり取りや交渉に疲弊し切っている保護者さんもいらっしゃいます。
 都教委ともぜひ連携をしていただきながら、具体的な通学のための不安や困り事にも相談対応できるような体制をしっかりと構築していってくださいますようお願いいたします。
 次に、小児総合医療センターについてお伺いいたします。
 以前、こちらの厚生委員会で何回か質問させていただきましたが、アメリカから帰国して日本で一番驚いたのが、この小児総合医療センターでありました。本当にたった一日で、遺伝科、循環器科、眼科、耳鼻科など、必要な検査をしていただいた上で、医師にも診ていただけて、これらの情報を全ての医師が共有した上で対応に当たっていただきました。
 また、救急でお世話になった際も、それらの今までの情報を踏まえて治療してくださるのは、本当に夢のようで、ありがたかったです。
 その上で、日本では、子供の場合は経済的な負担が少ない、ないというのは信じ難いことでもありました。二泊三日の検査入院だけで二万五千ドル、二百五十万円以上の請求をアメリカで受けたことがありましたので、医療にこれだけアクセスがスムーズで、その上、医療にかかるときにちゅうちょさせるような費用的な心配がない、もうこれだけで日本に住む理由があるというふうに思ったほどでありました。
 二〇二〇年の都議会本会議の一般質問では、スペシャルニーズのある子の親は、本来であれば、誕生や成長を祝福してくれる存在であるはずの母子手帳で傷つく方が多いということをお話しいたしました。
 それは、例えば、成長曲線から、ついていけませんですとか、発達にもう絶対的に遅れていることが分かっているのに、発達チェックの項目の全てに、できません、できませんというふうに答えて、あなたのお子さんは異常ですというのを突きつけられるということがあるからだと思っています。
 これに対して、福祉保健局では、東京版の母子手帳モデルというのを改定してくださいまして、スペシャルニーズのある子たちへの配慮を盛り込んだことは、大変大きな意義がありました。
 また、日本ダウン症協会が発行していますような子育て手帳、しあわせのたねといったニーズに合わせた手帳を区市町村が配布できるような支援を始めてくださったことも、ありがたいことでありました。
 このしあわせのたねには、例えば、ダウン症のあるお子さんを育てているご家庭のリアルな声とか、漫画とか、読んでいると子育てに前向きになれるような情報があるほか、療育や医療の情報を書き込めるスペースがあったり、それから発達については、チェック式ではなく記入式になっているなどの配慮があります。
 都立小児総合医療センターに話が戻りますが、ダウン症のある赤ちゃんを迎えたご家族に、このしあわせのたねを手渡ししていただきたいと要望させていただきましたが、その後、配布が始まったというふうに伺っております。
 そこで、現在、小児総合医療センターでのしあわせのたねの手帳の配布の取組についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 日本ダウン症協会の「+Happyしあわせのたね」は、ダウン症の子供を持つ保護者のメッセージが掲載され、子供の発育に合わせて成長を記録できる子育ての手帳でございます。
 小児総合医療センターでは、検査結果の開示等の際に、ダウン症と診断された患者の家族のうち、手帳を必要とする全ての方に提供しているところでございます。

○龍円委員 ありがとうございます。
 こういう手帳は、成長を祝福されていると感じることが精神的にもとても重要なことですので、ご家族に医師らから手渡しでお渡しいただいているようで、大変ありがたいことだと思っております。今後も必要な方にぜひ行き届くよう、引き続き配布のほど、よろしくお願いいたします。
 ダウン症のある赤ちゃんを迎えたご家族にお話を伺うと、どこに行っても、誰に相談しても、必要な情報が得られないんだという情報難民になっていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。
 私がアメリカで経験したリージョナルセンターでは、そういった情報の提供をしてくださったこと、そして実際に支援に結びつけてくれたこと、そして何よりも、ゼロ歳のダウン症のあるお子さんを育てているほかのご家庭と横のつながりをつくってくれたことが救いとなりました。
 たくさんのダウン症のあるお子さんが利用している小児総合医療センターだからこそ、そういった情報提供ですとか、友達づくりといった面での機能にも期待したいところです。
 小児総合医療センターにおいて、ダウン症のあるお子さんを育てている家族への支援について、現在の取組についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 小児総合医療センターでは、ダウン症患者が罹患しやすい疾患をいち早く診察につなげるため、定期的な健康管理のための通院を推奨し、健康面をフォローしております。
 また、ダウン症患者の家族が安心して育児できるよう、主に六か月から二歳までを対象といたしました、遺伝カウンセラーや医師等から基本的な医療、療育情報や社会福祉情報を提供するグループ勉強会を開催しております。

○龍円委員 我が家もその推奨どおり、定期的な受診をさせていただいております。成長の段階に合わせて、そろそろ首のチェックをしましょうとかという感じでおっしゃっていただけるのは大変ありがたいことですし、ダウン症のある子を物すごくたくさん診てきている先生方ということもありまして、順調な成長ですねというふうに声をかけていただけると、とてもほっといたします。
 ほかの場所だと、いつも順調ではない側に入れられてしまうので、こういう声がけ一つを取っても、小児総合医療センターが保護者らにとって、いろんな面で支えになっていることをうかがい知ることができます。
 今もご答弁にありましたグループ勉強会に私の友人家族も参加しておりましたが、そこで病院のスタッフと仲よくなったり、お友達が増えたりしたというふうに伺っております。こういう取組はとても重要だと思います。
 小児総合医療センターでは、病気や違いがあるお子さんがたくさん利用していますので、ダウン症だけに限らず、こういう情報提供ですとか横のつながりが生まれてくるような取組を進めていただきますようお願いいたします。
 さて、病気やスペシャルニーズがあるお子さんや家族が、地域において安心して過ごせることも重要であります。そのためには、地域の小児在宅医療の充実と療養を支える家族へのサポートも必要です。
 そこで、小児総合医療センターにおいて、地域の小児在宅医療の向上のための取組と患者家族への支援についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 小児総合医療センターでは、地域の小児在宅医療を支える医療従事者等を対象とした勉強会を開催するとともに、地域で医療的ケア児の支援を総合調整するコーディネーターの育成研修などに取り組んでおります。
 また、病気や障害を有する患者の家族を支援するため、民間団体と連携いたしまして、同様の子育て経験を生かして相談活動を行うピアサポーターを紹介しております。

○龍円委員 小児総合医療センターでも、医療的ケア児コーディネーターの育成ですとか、ピアサポート団体などとの連携をしているとのことであります。
 多くの病気やスペシャルニーズのある方々の支えとなっている病院です。今後も医療の充実とともに、こういう本人と家族への支援を広げていってくださいますよう要望させていただきます。
 都立病院つながりとなりますが、私の地元には広尾病院がございます。長年、地域の方々の健康を支えてきてくださり、愛されてきた病院でもあります。再整備を予定しておりますが、そういう意味でも、さらなる地域貢献についても期待が寄せられております。
 そこで、広尾病院の地域貢献の取組についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 広尾病院では、患者が円滑に受診できるよう、地域医療機関との連携を推進しておりまして、地元の渋谷区医師会や近隣の港区医師会などと医療連携に関する協定を締結し、令和四年十月末現在、七百二十一か所の連携医療機関にご登録をいただいております。
 また、退院後に円滑な地域生活を送ることができるよう、入院中の段階から診療所や訪問看護ステーション等の職員とウェブカンファレンスを開催いたしまして、患者の症状等の情報共有のみならず、療養継続のために必要な対応について意見交換しております。
 さらに、広尾病院内や地域医療機関等での急性期の治療後、受入先決定までの間、回復のためのリハビリテーション等の治療が必要な患者に活用いたします地域貢献病床を令和二年一月から三十床確保しております。
 こうした取組を通じまして、地域から求められる役割に的確に対応してまいります。

○龍円委員 地元の医師会とも連携しながら、シームレスに、患者が地域医療と広尾病院を必要に応じて利用できるようなサポート体制を組んでいるとのことでありました。
 これは、直接大型病院に行くべきなのか、それとも地元のクリニックに行くべきなのかと悩んだときなどに、まずは、いつものクリニックにかかってみようというふうになることもありますし、必要なときには大型病院につながるという安心感も生んでいるかと思います。
 再整備に向けて動き始めていることと思いますが、今後、こういう地域の医療との連携などについても、引き続き取り組んでいただけたらと思います。
 同じく、私の地元であります旧こどもの城、都民の城についてでございます。
 これまで、酸素・医療提供ステーションとして使用されてきましたけれども、先日、高齢者等医療支援型施設に機能転換されることが発表されました。
 コロナに感染した場合、スペシャルニーズ、障害のある人についても、入所施設でのケアが困難であったりすることから困ってしまうというふうな相談をいただいてまいりました。
 都民の城では、スペシャルニーズのある人も受け入れることは可能なのかお伺いいたします。

○関口感染症対策部長 昨年開設いたしました酸素・医療提供ステーション、都民の城は、重症化リスクの高い高齢者の医療提供体制を強化するため、本年十二月に高齢者等医療支援型施設、青山へ機能転換をいたします。
 酸素・医療提供ステーション、都民の城では、介護が必要な要介護二までの高齢者等を受け入れてまいりましたが、高齢者等医療支援型施設、青山では、施設を改修し、寝たきりの方や認知症の方など、要介護五まで受け入れることとしております。
 ご質問にございました障害のある方の受入れについてでございますが、高齢者等医療支援型施設におきましては、高齢者だけではなく、身体障害はもちろん、知的障害の方や精神障害の方も受け入れてきた実績がございます。
 高齢者等医療支援型施設、青山におきましても、基礎疾患や障害の状況などを踏まえ、可能な限り、障害のある方の受入れを行ってまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。
 スペシャルニーズのある方も受入れ可能と伺いまして、安心いたしました。
 高齢者やスペシャルニーズのある方においては、コロナの治療以外にも日常生活において医療的なケアが必要な場合もありますが、この青山の施設では、そのような方も受け入れることができるのでしょうか、お伺いいたします。

○関口感染症対策部長 障害のある方の場合、障害の程度や基礎疾患の有無など、個別の状況に応じた対応が必要であることから、個々のニーズごとに配慮すべき点などを把握いたしまして、かかりつけ医のご意見なども参考にしながら、入所先や療養施設の調整等を行っております。
 高齢者等医療支援型施設では、新型コロナ感染症の治療のほか、入所者に対しましては、常駐している看護師が防護服を着用いたしまして直接健康観察を行うとともに、たんの吸引や経管栄養など、必要なケアを実施しております。
 今後とも、高齢者や障害のある方など、介護や医療的ケアを必要とする様々な方にきめ細かな対応ができるよう努めてまいります。

○龍円委員 ありがとうございました。
 スペシャルニーズのある方も対応ができ、そして、医療的ケアもできるということで大変安心しました。
 さて、話は替わります。次に、社会的養護についてでございます。
 これまでの一般質問やこちらの厚生委員会の質問で、子供自身が意見を表明することを、児童相談所でもなく、親でもなく、第三者が手伝ってくれるアドボカシー制度の創設が必要だというふうに訴えてまいりました。
 厚生労働省では、都道府県社会的養育推進計画の策定要領が示され、その中でも、子供の権利擁護の取組、意見聴取、アドボカシーについて取組を進めることや、社会的養護の施策を検討する際にも、当事者の子供の複数の参画を求め、第三者による支援により、適切な意見表明ができるような取組を行うことというふうに示されておりました。
 これを受けて、東京都では、令和二年からの十か年を期間とした東京都社会的養育推進計画において、国の検討の動向を踏まえ、子供アドボケートの仕組みの導入に取り組みますと表明されたことは、大変重要なことだと考えております。
 そこで、子供の意見表明等支援に関するこれまでの取組についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 令和三年五月に子供の権利擁護に関する国のワーキングチームの取りまとめが提示されたことなどを踏まえまして、都は昨年十一月に、児童福祉審議会に専門部会を設置いたしまして、児童相談所が関わる子供の意見表明を支援する仕組みの在り方について検討を開始いたしました。
 専門部会では、児童相談所や児童養護施設、養育家庭等における意見表明等支援の状況を踏まえまして、検討の範囲や方向性について議論したほか、児童相談所が関わる子供や社会的養護の関係者へのヒアリングを実施いたしました。
 現在、意見表明等支援に係る既存の仕組みの有効性を高める方策や、新たな仕組みの在り方について検討を進めておりまして、本年十二月に提言案を取りまとめる予定でございます。

○龍円委員 子供ら自身も含めてヒアリングをしているということは、国の方針にも即したものだと思います。
 子供や関係者へのヒアリングについて、どのような対象者にどのような意見を聞いたのか、その内容についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 専門部会におきましては、当事者参加の機会の確保や現状把握等を目的に、今年度、児童養護施設の入所児童や社会的養護の関係者等へヒアリングを実施いたしました。
 入所児童等につきましては、一時保護所、児童養護施設、児童自立支援施設、障害児施設の入所児童や里子を部会委員が直接訪問いたしまして、相談相手となる大人に望むことや相談しやすい方法、意見を聞いてほしいと思う場面などについて意見を聴取いたしました。
 また、児童養護施設の退所者、一時保護所や児童養護施設の第三者委員、子供の支援に携わっている弁護士から意見表明等支援における課題や支援者に必要な資質、専門性等について意見を聴取しております。

○龍円委員 現在、社会的養護の下にある子供らにもヒアリングをしてくれているということ、そして、専門家からも話を聞いているとのことでした。
 アドボカシー制度が重要なのは、児童相談所や施設や里親、そして実親からも独立した立場の人が、権利擁護の観点から意見表明することを手伝えることにあると思います。今年の十二月に専門部会で提言案が取りまとめられるということですので、注視していきたいと思っております。
 私の友人に、ゼロ歳から十九歳まで乳児院と児童養護施設で育った若者がおります。彼女がブログを書いているんですけれども、そこにつづられていた言葉から、児童養護施設の職員が安定的かつ継続的に働ける環境が求められていることを知りました。ちょっとブログの一文を読ませていただきます。
 私の一番古い記憶は、施設の門を出る職員を泣きながら追いかけた記憶。この世の終わりかのように泣き叫びながら追いかけた。そんなことが一度や二度ではない。辞めていく職員の背中を何度も追って、そのたびに泣いて、行かないでと追いかけた。だが、人間の慣れとは恐ろしいもので、次第に追いかけなくなった。同時に、私の中で、職員は、いつかはいなくなる人という位置づけになっていった。きっと自分なりの諦めだった。きっとこの人もいなくなる。度が過ぎる喪失体験は、私の自己肯定感を下げ、信用する力すら奪っていき、信頼という概念をなくした。救いの手が差し伸べられても、その手を取ることができなかった。握り返さなかったどころか、むしろ、その手を振り払ってきた。職員が日々替わるというのは、母親が日替わりだということ。実家に帰ったら家族が丸々替わっていましたなんて、一般家庭ではあり得ないことが日常と化していて、それが児童養護施設だと思っている。家庭復帰が望めなかった私にとっては、職員の入れ替わりは、絶望、裏切り、不安でしかなかった。職員は、いつも忙しそうだったということを書いた上で、でも、進路や悩み、よかったことも悪かったことも聞いてほしかった。もっと時間をつくってほしかった。あと一人職員がいてくれたら、きっと少しでも変わっていたのかな、我慢しなくてよかったのかなと今は思うというふうにつづられていました。
 ふだん接しているときにはこういう話はしなかったので、知らなかったんですけれども、ブログを拝読して、職員が辞めていくという喪失体験を繰り返していたことが、彼女の成長に影を落としていたことを知りました。児童養護施設の職員の方々がいつも忙しくて、話を聞いてもらえたりする時間がなかったことも、このブログの中から明らかになりました。
 児童養護施設をこれまで幾つか視察させていただきましたが、夜勤などがあることから、出産を機に離職する女性も少なくないというふうにお伺いし、人材の確保や定着が課題になっているとも伺いました。
 都として、児童養護施設の職員が安定的に働き続けられやすい環境を支援していくことが大変重要だと思いますが、どのように支援していくのか、見解をお伺いします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、人材確保や運営力に課題を抱える民間児童養護施設に対しまして、組織運営力の向上を支援する取組を今年度から開始いたしました。
 具体的には、組織運営に関するアセスメントなどを行った後、巡回指導などを通じて施設長等にコンサルテーションを実施し、その後、職員の早期離職など施設が抱える運営面での課題に対しまして、改善策を提案することとしております。現在、二つの児童養護施設を対象にコンサルテーションを実施しております。

○龍円委員 都では今年度から、課題がある施設に対してコンサルティングを始めて、職員の早期離職防止や改善策を提案するという事業を始めたということでありました。とても重要な事業だと思いますので、ぜひ継続的に進めていただきますようお願いいたします。
 さて、民間に目を向けてみますと、チャイボラという団体があります。この団体は、児童養護施設の職員を確保し、安定的に就労を継続してもらえる支援活動を行っております。
 このチャイボラさんにお話を伺いますと、児童養護施設は職員が不足していても、求人広告を出したりとか、施設の魅力を外部に向かって発信して働く場所として選んでもらえるような力については、著しく足りていないということなんですね。
 そこで、チャイボラでは、個々の施設の発信について助けたりとか、職員が相談できる窓口を設けたり、職員向けの研修などの実施をしながら、安定的な就労の継続を支援しているということでありました。
 ただ、NPO法人で、寄附を頼りながらの活動ということなので、都としても、こういう団体などの力も活用することなども検討しながら、今後さらに児童養護施設の職員が潤沢に確保ができ、そして、安定的に働ける職場となりますよう、支援を拡充していただきますよう要望させていただきます。
 さて、先日の決算特別委員会では、児童養護施設のネット環境整備についてお伺いさせていただきました。
 施設出身の若者らにお話を伺うと、ネットが使えない環境で育ったため、自立した後、情報格差に苦しんだという話を伺いました。都では、全施設の調査をしてくださいまして、全ての施設でのネット環境が整っていることが先日の質疑で分かったところです。
 ただ、これらのネット環境を職員だけが使っていて、子供が使えていなかったら意味がありません。施設から自立をした後のことも考え、ネットを安全に使いながらも、必要な情報を得られるような支援が重要だと考えます。
 児童養護施設入所の児童などのインターネットリテラシーの向上について、都の取組の現状についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、施設入所児童等の退所後の自立を支援するため、社会で必要となる知識等を学ぶソーシャルスキルトレーニングの一環といたしまして、インターネットの活用等に関するセミナーを民間団体と連携して実施しております。
 具体的には、オンライン会議等の体験や様々な検索サイトの紹介など、社会に出て役立つ知識や情報を提供しております。令和三年度は十一施設、百三十二人がセミナーを受講いたしました。

○龍円委員 ネットの活用方法などを学ぶセミナーを開催しているとのことでした。より多くの施設で実施されるようにお願いいたします。
 学校では、一人一台の端末が普及し始めたところではありますが、こういうネット環境に日常的にアクセスできるか否かは、この現代においては、電気や水くらいの生活の必需品でありますし、就労する上でも基本的なスキルとなっていますので、児童養護施設でのさらなる取組をよろしくお願いいたします。
 さて、最後となりますが、都民ファーストの会の子育て議員の皆さんと一緒に要望させていただきました東京都出産応援事業、赤ちゃんファーストについてであります。
 コロナ禍での出産や育児を応援しようということで始まった事業ですが、驚くほどの喜びの声を日々頂戴しております。
 これまでの実績や、どのような品物のニーズがあるのか、どのような利用者の声があるのかお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 東京都出産応援事業では、令和四年八月末時点で約十五万世帯に専用ウェブサイトへのアクセス可能なIDカードを送付いたしまして、約十二万九千世帯が登録いただいております。
 これまでに、ミルクやおむつなどの消耗品や、空気清浄機やキッチン家電などの生活支援用品、ベビーチェアなど、育児に関わる様々な品物を提供しているほか、家事支援サービスなどもご利用いただいております。
 利用者の方々からは、都が育児を応援してくれてありがたい、カタログを眺めながら夫婦の会話も弾み本当にうれしかった、自分で買おうと思わなかったアイテムや知らなかった便利アイテムに出会えて新しい発見になったなど、数多くの感謝の声をいただいております。

○龍円委員 十二万九千世帯の登録があったということでありました。
 この赤ちゃんファースト事業のすばらしいのは、やっぱり五百点以上もある商品カタログなのではないかなというふうに思っております。ここから、そのご家庭に必要なものを選べるのがいいですし、このカタログ、眺めているだけで子育てにはこんなものが必要なんだなというのが分かるようなものになっております。
 都民ファーストの会では、来年度以降もこの事業を続けていただくよう要望してまいりました。 国の方では、十万円相当の支援が始まることが発表されましたが、国の事業ともうまく組み合わせながらも、現在のようなきめ細やかなニーズに応えられる体制を維持しながら継続していただけますよう、改めて要望させていただきます。
 私からの質疑は以上です。どうもありがとうございました。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十分休憩

   午後三時五十五分開議
○内山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中山委員 久しぶりの厚生委員会の質疑なので、多岐にわたりますけれど、私の狙いとするところは皆さんとの折衝の中でほぼ果たされましたので、あとは答弁をきちっとしていただくことが大事ですから、質問の方は、はしょらせていただきながらやらせていただきたいと思います。
 まず最初に、僣越ですが、局全体にわたる事項なので、西山局長に二点お伺いしたいと思います。
 最初に取り上げるのは、民間との連携、連動した政策形成に必要な局体質への転換という視点であります。
 ここ数年、福祉保健局の医療、保健、福祉の世界では、かつて経験したことがない未曽有の激変に直面しました。二つあるかと思います。一つはコロナ禍でありますし、もう一つは超高齢化ということであります。
 感染症自体は、これまでも人類を襲ってきたわけですが、これほどまでのグローバリズムが進んだ状況の中で、急激なスピードの感染爆発を経験するということは未曽有の出来事であります。
 また、超高齢化も、少子化こそ人類史の研究家によれば何回かあったらしいんですが、医療の発展があって初めて高齢化がもたらされるものですから、これほどの高齢化というのは初めての出来事、経験であります。
 そうした激変時にあって大事なことは、激変する最前線の現場に、初期対応とか、そういうところでは、権限と予算をもって多職種の連携ができる専門チームを派遣すると。また、そうした人たちから報告を待つんじゃなくて、別立てのチームで報告、専門、あるいは現場を手伝いながら、評価するところに情報を上げていく。そうしたところで仮説を立てて、実行して、検証していく。そうした取組を的確にしていかないと対応できません。
 ただ、これは特別な場合だけじゃなくて、ふだんから政策形成、立案、見直しということについては、現場との往復作業が必要でありまして、いざというときだけじゃなくて、ふだんから現場の感覚というものを取り入れていく体質というものを身につけていく必要があります。
 その意味で、民間で実績のある人に行政の政策立案に参画してもらうための工夫、これがいろいろ必要だと思いますけれども、あるいは、都の職員を一定期間内にいろんな事業をめぐる形で民間に派遣したり、団体や区市町村の事業者連絡会、そういうものがあります、そうしたところに、意見交換のその現場にいろんな形で勉強のために出席してもらったり、そうした形で現場の課題やニーズを直接把握する取組は有効と考えます。
 全く新しいステージに立った人材交流の取組を進めるべきと考えますけれども、福祉保健局長の見解をお伺いいたします。

○西山福祉保健局長 様々な社会環境の急激な変化に対応しながら、福祉、保健、医療施策を積極的に展開していくためには、現場のニーズや課題を的確に把握し、課題解決力を高めていくことは重要でございます。
 これまでも都は、調査やヒアリングなどを通じまして、コロナ禍においてはオンラインなども活用しながら、現場のニーズや課題を把握するとともに、福祉、保健、医療施策のそれぞれの分野における計画の策定に当たりましては、施設代表者などの現場の代表者も委員としてご参画をいただき、多様な意見をいただいているところでございます。また、区市町村や現場を持つ政策連携団体との人事交流も行ってございます。
 今後、感染状況などの推移を見極めながら、職員が直接現場に足を運び、現場の状況等を直接把握する機会を積極的に設けるとともに、人事交流を促進することなどによりまして、職員が現場のニーズや課題を的確に把握する力を高め、組織の課題解決力の向上に取り組んでまいります。

○中山委員 欧米などの海外と日本の大きな相違点の一つが、民間と行政の人事交流にあろうかと私は思います。この点を打破していかないと、第八波の問題もありますけれども、本当に次の対応という点で、同じことの繰り返しがなされていく可能性があると。
 その意味で、民間の人たちに行政に携わってもらうための様々な工夫が必要だし、抜本的には法律の改正も必要かもしれませんけれども、現制度の中でもできる点はいろいろあろうかと思いますので、ぜひご検討いただいて、次の課題が来るまでの間の時間はあまりありませんけれど、その中で、福祉保健局自ら答えを見いだしていく、そうした取組をよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、医療、福祉現場の中での人材不足の解消、これは大事な観点です。二十一世紀の日本の成長分野というふうに、医療、保健、福祉はいわれて久しい状況でありますが、実態としては、なかなかマンパワーに頼った状態というのが、もうずうっと続いている、そうした状況であります。生産性が低い状態にあります。
 そうしたものを転換していくために、また同時に、命、健康を守るお仕事ですから、サービスの質を下げるわけにはいかない。そういうものを通して、利用者へのサービスやパフォーマンスの質、量を落とさずに、安心してその効率化というものを果たしていかないと、この二十一世紀の成長分野といわれる分野で、日本は活躍することができない。これは、鉱物資源とかに頼らなくても、本当に技術があれば力を発揮していけるのがこの分野でありますので、そうした意味で、これからも期待したいと思っております。
 しかし、現状でも、医療、福祉の現場からは、職員配置基準以上の負担感を感じているという声をお伺いします。現場の業務負担を軽減し、働きやすい環境を整備し、賃金増をも実現していくためには、デジタル化やロボット等の活用は欠かせないと思います。
 都として、デジタル機器等を活用して、生産性の向上の取組、そして賃金増、この視点は非常に大事です。やっぱり最終的には、そこがある程度保障されていかないと、民間の現場で安定して人材を確保していくということは難しい。それを促していくための取組を福祉保健局は一層強化していくべきと思いますが、局長の見解をお伺いいたします。

○西山福祉保健局長 少子高齢化、生産年齢人口の減少が進む中、事業者が質の高い人材の確保、定着、育成に向けた処遇改善を図るとともに、一層の生産性向上により、限られた人的資源で質の高い医療福祉サービスを提供できるようにすることは重要でございます。
 都は、介護職員の処遇改善について、事業者が人材の確保、定着、育成ができる介護報酬とするよう国に対して提案要求を行うとともに、奨学金返済の支援、キャリアパス導入、宿舎借り上げなどの独自の取組を実施しております。
 また、令和三年度に、デジタル機器や次世代介護機器導入などの事業とセミナー開催や専門家による個別相談などの事業を統合いたしまして、職場環境の整備支援と組織、人材マネジメント支援を一体的に進め、介護事業者が現場の生産性向上に一層取り組めるよう積極的に支援をしてございます。
 現在、国においては、ケアの質を維持することを前提としつつ、介護、障害者福祉分野などにおける管理者などの人員配置基準の見直しや、医療、介護関係職のタスクシフトの推進などが議論をされております。
 今後、こうした国の動きも注視しつつ、一層の生産性向上と、より働きやすい職場環境の実現のため、取組の充実を進めてまいります。

○中山委員 入ってくる収入は、ある程度一定であります。その中で、やっぱり一対一・七を一対三にするとか、そういう工夫は、サービスの質を落とさずに、むしろ高めながら実現していく。そうしたことができないと、賃金増というのは物理的に難しい。そのためのデジタル化であって、職員の負担が減ったから賃金は減りますみたいなことになったら元も子もないので、そうしたものをしっかりと目指していっていただきたいと思います。
 次に、感染対策における今後の平時と緊急時の切り分け、その備えについてお伺いしたいと思います。
 コロナ対応では、今再び第八波、あるいはインフルエンザとの重複の流行感染、そうしたものが予想されております。経験値として、効果的な医療対応の整備、ワクチンの普及、ウイルス感染に関する一般の人々の知識の普及、そうしたこともありまして、オーバースペックな警戒はもはや不要かもしれませんけれども、今から着手可能な対策を着実に打って、医療逼迫に備えていく必要があります。
 感染症に対しては、平時より備えを進め、感染症が蔓延する危機に対応することが重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○関口感染症対策部長 新型コロナ対策に当たりまして、都は、事前の備えが必要であるとの認識の下、大きな感染の波が発生する前に、専門家のご意見を踏まえ、次の波への備えを先手先手で進めてまいりました。
 現在、感染症法改正が国会で審議されておりまして、本改正案には、都道府県と医療機関との事前協定、国による医療人材の派遣の仕組み等が規定されております。
 都内には多くの医療機関が存在し、また、複数の保健所設置区市が設置されているという特徴がございますことから、都は、関係機関としっかりと連携し、平時から、病床や外来医療の確保などに関する協定締結や医療人材の派遣の仕組みを整備し、感染症が蔓延した際には、速やかに医療を提供してまいります。
 都は、これまで培ってまいりました検査から入院、宿泊療養、患者のリスクに応じたフォロー体制など、いわゆる東京モデルを基にしながら、本法改正による仕組みも活用いたしまして、都民の健康と安全確保に向け、医療提供体制の仕組みをさらに発展させてまいります。

○中山委員 ありがとうございました。
 国の感染症法の改正に対応するのは大変なことですけれども、都民からすれば、ある意味当たり前のことなんですね。国対応を上回る都独自の取組が必要であります。
 平時はある状態で確保されていて一定の社会的役割を果たしている人員や施設が、緊急時には事態に応じた別の役割や分野で活躍できるなど、さすがは東京都だと称賛される取組を期待したいと思います。
 続きまして、具体的な問題になりますが、濃厚接触者となった介護従事者の業務従事についてお伺いしたいと思います。
 医療逼迫時の介護事業での人員確保対応というのは大事な問題でありまして、現場では大変悩んでおります。特に介護の現場では、医療現場と同様に、利用者と密着してサービスを提供する必要がありまして、その警戒心というのは想像以上に強いものがあります。
 濃厚接触者となった従事者の勤務継続につきましては、令和三年八月以前は、濃厚接触者となった場合は最終接触日から原則十四日間自宅待機、そして、令和三年八月に、医療従事者につきまして、無症状、ワクチン接種済み、業務従事前の検査で陰性確認、他の職員で代替不可能な職員に限り、業務従事が可能とされる取扱いに変更されました。
 そして、今年、令和四年三月には、医療従事者に加え、介護従事者、障害者施設等の従事者、保育等職員につきましても、無症状、ワクチン接種済み、業務従事前の検査で陰性確認、ほかの職員で代替不可能な職員に限り、業務への従事が可能とされております。
 そこで、濃厚接触者となった介護従事者が業務従事を継続できる場合の対応を再確認するとともに、その内容を都は積極的に周知するべきと考えますが、見解を求めます。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 高齢者施設において、入所者や職員で感染者が発生した場合、保健所が調査を行い、濃厚接触者を特定しています。
 濃厚接触者となった介護従事者でありますが、外部からの応援職員を確保することが難しい、また、ほかの介護従事者では代替ができない介護従事者については、ワクチン接種済み、かつ無症状で、毎日業務前に行う検査で陰性であることを確認できた場合、業務従事が可能でございます。
 業務前の検査につきましては、陽性者との最終接触日をゼロ日目として三日目まで行っていただき、検査期間の終了後も七日間が経過するまでは、検温など本人の健康状態を確認するとともに、感染させるリスクが高くなる場所の利用や会食の機会等を避けること、基本的な感染防止対策を講じることが必要となります。
 都は、濃厚接触者となった介護従事者の業務従事について、適切な対応が行われるよう、保健所や高齢者施設等に対し文書で通知するとともに、ホームページに情報を掲載するなど周知を行っております。
 今後も、介護従事者が業務従事を継続できる場合の対応等について、様々な機会を捉えて周知してまいります。

○中山委員 ありがとうございました。
 今から見通しを持って関係者が対処できますよう、早めに周知をよろしくお願いしたいと思います。
 職場での感染拡大を防ぐためには、職場内だけでの警戒だけじゃなくて、家庭での感染防止という点にも視点を払う必要があります。家庭内で感染者が出てしまった場合に、濃厚接触者となる同居者の対応について確認をしたいと思います。見解を求めます。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 同一世帯内で感染者が発生した場合については、全ての同居者が濃厚接触者に特定され、五日間の待機が必要となります。
 待機期間の算定については、感染者の発症日または当該感染者の発症等により住居内で感染対策を講じた日のいずれか遅い方をゼロ日とした場合の五日間とされておりまして、その翌日、六日目に解除となります。
 また、抗原定性検査キットを用いて待機期間の二日目と三日目にそれぞれ濃厚接触者が自身で検査を行い、陰性が確認された場合には、三日目に待機を解除することも可能でございます。
 いずれの場合においても、待機の開始から七日間が経過するまでは、検温など自身で健康状態を確認するとともに、重症化リスクの高い高齢者などとの接触や感染させるリスクが高くなる会食等の機会を避け、マスク着用などの感染対策を行う必要がございます。

○中山委員 今ご答弁がありました点も、周知のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、児童相談所業務の効率化についてお伺いさせていただきます。
 福祉保健局が大きく期待に応えていくためには、眠れる宝となっているようなビッグデータ、これの活用というものを図っていかなければなりません。
 本日は、その手始めとして、児童相談所業務について考えたいと思います。虐待等の要対応案件は、増加の一途をたどっておりまして、複雑かつ困難な事案が増えております。
 こうした児童相談所で受け付けている全ての相談情報や保護者に請求する費用に関する情報などは、システムで一元的に管理していると聞いておりますけれども、データは膨大でありまして、とても貴重な情報であります。
 しかし、現状では、様々な相談情報と対象家庭の特徴とのクロス集計を行おうとすれば、手作業、CSVなどの形で抜き出して対応しなければならない状況とお伺いしておりまして、もともと業務が多忙なんですから、事実上は、そんなクロス集計というのは非常に難しい状況だと聞いております。
 私は、児童相談所が保有するビッグデータを活用した様々な分析や、区児相の設置が進んでいる中、ケースの移管作業にも円滑に対応し、職員の業務負担を軽減できるよう、現行のシステムの改善を図ることが必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童相談所情報管理システムは、平成十四年度の導入からこれまで、児童福祉法の改正等、環境の変化に対応するため、改修を重ねてまいりました。
 しかしながら、近年の虐待件数の急増やケースの複雑化に的確に対応するためには、業務の効率性をさらに高めていく必要がございます。また、現行のシステムでは、児童相談所業務のほか、里親に関する業務や措置費の費用徴収業務などに係るデータを一元管理しておりますが、各データ間をひもづけた上での検索や参照を行うことが困難となっております。
 こうしたことから、今回、システム内容を抜本的に見直し、新しいシステムに再構築することといたしました。令和八年度の新システムの導入を目指しまして、今年度は、問題点の抽出やデータの集積、分析等に係る改善の方向性などを盛り込みました基本構想を策定する予定でございます。

○中山委員 令和八年度を目指すという明確な目標を定めての取組ということで、評価したいと思いますし、期待しております。もちろん、前倒しが可能であればこしたことはないので、ぜひご努力をお願いしたいと思います。
 職員の方々の負担も減り、虐待の防止、早期発見、適切な事態の改善につながる情報の分析が可能となりますよう、様々なニーズによる分析に柔軟に対応できるシステムとしていただきたいと思います。
 続きまして、放課後等デイサービスについて質問します。
 この制度のスタートは二十四年度で、当初年度は都内全体でも百十二か所でありましたが、令和四年四月一日現在は千四十八か所、令和三年は同じ時点で九百五十八か所、令和二年は八百九十八か所でありましたから、着実に増えている。充足率も、令和二年度時点で九六・五%とお伺いしております。
 まず確認したいのは、この充足率の分子、分母はどんな数字で、この九六・五%というのはどういうものをイメージして、どういった状況を物語るものなのかということが一点。
 そして二点目といたしまして、都内全体では九六・五%かもしれませんが、地域的に偏在がある可能性もあります。中には、行政の方で仕切っちゃって、あなたは週に何回にしてくださいとか、月に何回にしてくださいとか、そういうふうに割り振っちゃっている場合がありますので、全く利用できていない人はあまりいないかもしれませんけれども、本当の保護者のニーズという点からすれば、一体幾ら足りないのかというのがなかなか分からない。そうした点を都としてどういうふうに認識しているというのかが二点目。三点目は、あ、ごめんなさい、地域ごとに偏在しているデータを持っているかどうかということが二点目。
 三点目は、今申し上げました保護者の充足感というものを満たすための取組について、どういうふうに考えているのかということが三点目です。合わせて三点、見解を求めたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 障害福祉サービスの支給見込み量は、区市町村が国の指針を参考として、障害者の心身の状況やサービスの利用意向などを踏まえて三か年計画で決定いたしまして、都の見込み量は、区市町村の見込み量の集計値を参考として定めてございます。この見込み量に対する実績が充足率となります。
 放課後等デイサービスは、平成二十四年度に児童福祉法に基づくサービスとなってから各地域で設置が進んでいるものの、利用者のニーズも急速に増えておりまして、現状では、地域によって充足率にばらつきがございます。
 都全体の放課後等デイサービスの充足率は、令和二年度末現在で九六%でございますが、利用者ニーズに適切に対応するためには、各地域において充足率を達成することが必要であると認識しております。
 都は、放課後等デイサービスの事業者指定を行っておりまして、指定に当たりましては、区市町村から当該地域の充足状況を随時確認するとともに、必要に応じて給付実績等からも確認し、必要な助言等を行いながら指定事務を進めております。
 都は、事業者指定や人材育成を行う立場から、開設に向けた事業者の様々な相談に丁寧に応じるとともに、サービス提供を担う人材の養成などを一層推進し、計画で定めた見込み量の達成に向けた環境整備を進めてまいります。

○中山委員 九六・五%ですけれども、ニーズもどんどん増えているので、安住することなく、どんどんこれからもやっていかないと、九六・五が九〇を切っちゃったりとかになりかねないので、そういう点、よろしくお願いします。
 次いで大事なのは、量だけではなくサービスの質の向上。その点で、都型デイサービス事業は、一定のサービス水準の履行を条件に、補助金を上乗せで支給する制度として今年からスタートをしたとお伺いしておりますが、ご存じのとおり、まだ三か所にとどまっていると。スタートしたばかりなので、今後の進捗を見守る必要があると私も思いますが、それにしても、一応、千四十八に呼びかけておいて僅か三か所というのは、ちょっとあまりにも少ない。
 その点で、私のところに届いている声としては、その基準に合うために努力をしても補助金が満額もらえないんじゃないかという声がありました。しかし、実際に都型放課後等デイに手を挙げている三か所が受給されていらっしゃる補助金の月額のデータを頂戴しましたけれど、それを見ると、ほぼ満額ということが分かりました。
 そうであれば、疑問を感じて手を挙げることをためらっている事業者の方々に対して、丁寧に説明を行っていくことに加えまして、よりよく制度を改善できる要望とか指摘とかがありましたら、これは速やかに運用改善を実施して、どんどん手を挙げていただくべきだというふうに思いますが、見解を求めます。

○中川障害者施策推進部長 都は、都型放課後等デイサービス事業の取組を推進していくため、今後、事業の実施について具体的に検討している事業所の検討の助けになる情報を発信していくとともに、申請をためらっている事業所等に対しましては、オンラインや訪問等による個別の説明会を実施してまいります。
 また、より多くの事業所で都型放課後等デイサービスの取組が進むよう、事業者団体や関係者の意見を丁寧に聞きながら事業を進めてまいります。

○中山委員 都型放課後等デイの考え方は、当然−−私は委員会におりませんでしたけれども、議会にも説明があったと思うんですが、実際の補助要綱とか、そういうものは議会が目を通して承認するわけじゃありませんので、今回、私も初めてその要綱を頂戴しました。こうしたものにつきまして、もし改善する点があれば、皆さんも一生懸命取り組んでいらっしゃいますので、私の方でも力を惜しまず頑張りたいと思っております。
 その上で、先ほども話がありましたけれども、単価の改定が行われて、実際に報酬が下げられてしまったと。七割減収になったというご指摘がありました。
 これは、業界として平均値で利益率を見た場合に、もうかっているんじゃないかということで下げられちゃったんですけれども、もし仮に、良質なサービスの事業所は比較的に利益率が低くて、何といいますか、経営優先で取り組んでいるところは利益率が高いという実態があるとすると、単価の引下げは、サービスの質をより一層悪くしてしまう方向になりかねないんですね。
 今回趣旨採択になりました陳情につきましては、いろんなご要望があったと思うんですけれども、もともと都型放課後等デイサービスは、決して国の単価改定を補填するためのものじゃありませんよ、サービスの質を上げるためのものですということなんですけれども、先ほど申し上げましたような現状がもしあるとなると、それを放置したまま改善せずにいると結果的にサービスの質の低下を許すことになってしまいますので、やはり良心的に取り組んでいるところが経営がよくなっていくような、そういう求めるサービスの水準と、よって得られる補助金とのバランスというものをしっかりと取っていただきたいというふうに思います。
 その上で、私は、神奈川県横浜市の青葉区あざみ野南というところに立地しておりますぶーけあざみ野南というところを見てまいりまして、かつて見学したことがあります。
 それは、発達障害等のある女性のお子さん、女児に、そこの施設は特化されているんですが、性被害などから自分を守ることや、あるいは成長に伴ういろんな心身の変化というものを細かく見る、丁寧に自覚していただくためのいろんな対処をする、そうしたことに力を入れております。
 男性であれ女性であれ、発達障害や知的障害のあるお子さんが社会の中で順調に参画していくためには、性衝動を含めていろんなことをうまくコントロールして、あるいは周囲の人に被害や誤解を与えず、自らも被害から自分の身を守れるように配慮していく術を身につけていく必要があると思います。
 実際に就労できても、その点から行き詰まってしまって、結果的にまた引き籠もってしまうという事例があるということも、都の職員の方からお伺いしたことがございます。
 また、最近では、キャッシュレス決済などによりまして、現金以上に、詐欺や誤認に伴う被害額が増えてしまうという傾向性がありまして、契約や代金の支払いをめぐるトラブルというものからも、お子さんたちを守っていく必要があります。
 そうした意味で、特別支援学校や学級だけでは教え切れない、より生活に密着して、お子さんが社会参画していく上で必要な知識、そういうものを身につけられる効果を発揮できる放課後等デイを選択肢として保護者に示していくことは、行政の役割ではないかと思います。押しつけちゃいけませんけれども、選択肢として示せるようにしていくということが大事じゃないかと思います。
 ただ、それはほっておくと、無為自然にはなかなか育ちません。その意味で、都は、こうした特定の効果を持った放課後等デイを保護者の選択肢となるよう育てていく必要性をどう認識して、そのために、今後どういうふうに積極的に取り組もうとしているのか、この点について見解をお伺いします。

○中川障害者施策推進部長 障害児や障害者が社会に出たときにトラブルに巻き込まれないよう、良好な対人関係や金銭管理、マナーなどを身につけるソーシャルスキルトレーニングは、現在、一部で診療報酬の対象となっているものや発達障害の支援で取り入れているものがあり、障害福祉サービスへのさらなる活用の可能性などについて把握する必要があると考えております。
 このため、都は今年度、障害福祉サービス事業所や医療機関、学識経験者、障害者団体等を交えて検討会を行っておりまして、障害児のソーシャルスキルに関する課題やトレーニングへのニーズ、現在実施している内容などを踏まえながら、今後の支援の在り方を検討してまいります。

○中山委員 私は地元に、先ほど話が出ましたけど、うめだ・あけぼの学園、加藤先生のところがすぐ裏にありまして、仲よくしているんですが、ぶーけあざみ野南は、足立区から夏休みもお子さんを横浜に通わせている保護者から、ぜひ見てくださいということで勧められまして、見させていただきました。
 いろんな必要性があると思うんですけれども、ぜひ、そうした保護者の方々が待ち望んでいるような役割を発揮できる放課後等デイを育てていただけるように、工夫をお願いしたいというふうに思います。
 続きまして、知的障害者などを対象にした意思決定支援について質問したいと思います。
 以前、私は厚生委員会質疑で、都外施設を都内施設と同じように扱うようにということを求めて質疑をさせていただいたことがありましたけれども、今、保護者などの団体の会合に行かせていただくときに、最大の危機感というのは、日本の入所施設が囲い込みという、世界的に非難の対象になっているということでありますが、実際には、入所施設は海外にもありますので、その運営の仕方、特に地域社会との交流の仕方という点をもっと日本はアピールをして、また、改善すべきは改善して日本の姿というものをよりよく示しながら、国際的なルールの点でも、ルールメーカーにむしろなっていくべきだというふうに思っておりますが、それと同時に、大事なことは本人決定という点であります。
 在宅、施設にかかわらず、重要な様々な選択をご本人が決定していけるという、障害者本人の意向や希望に沿ったサービス提供の推進に向けまして、まずは都としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 障害者の意思を尊重した質の高いサービスを提供するためには、サービス提供の各プロセスにおいて、適切に意思決定を支援することが必要でございます。
 このため、都は、相談支援事業所で障害者や家族からの相談に応じる職員や、事業所でサービスの提供の責任を担う職員等を対象に、国の意思決定支援ガイドラインなどを活用しながら研修を行っております。
 現在、障害福祉サービス事業所等における人材育成などの実態や課題を把握するためのアンケート調査を実施しておりまして、障害者の意思を尊重した支援スキルの向上など、事業所の人材育成策を広く還元し、障害者本人の意向に沿ったサービス提供を推進してまいります。

○中山委員 知的障害者の方々の、ご本人の意思の尊重を大前提としつつ、親亡き後の子供の幸せを心配する保護者の方や日常的に寄り添うことが困難なご家族からすると、成年後見制度の今後の行く末に大変な関心があるわけであります。持たざるを得ないというところです。
 その点で、これまでもしばしば、後見人等が本人の意思決定支援を重視しない、そうした事例が、問題点として社会的に報道されることがありました。利用者の不安や不満につながっているという指摘もあります。
 そうした意味で、本人の意思の尊重という大前提を遵守する成年後見制度の創出に向けまして、都の取組の現状と今後の方向性をお伺いしたいと思います。

○高橋生活福祉部長 令和四年三月に閣議決定されました第二期成年後見制度利用促進基本計画では、都道府県が意思決定支援に関わる研修等を行うことや、家庭裁判所による適切な後見人等の選任、交代の推進が期待されるとされております。
 都は、区市町村が設置する推進機関の職員等に向けた研修を実施しているほか、判断能力が十分でない方の状況に合った後見人候補者を推薦するマッチング機能の強化を図る区市町村を包括補助で支援しております。
 また、区市町村、家庭裁判所等との意見交換会の場として、地域連携ネットワーク会議を実施しており、今年度からは、この会議を第二期基本計画に基づく都道府県協議会と位置づけ、当事者団体にもご参加いただき、被後見人のお立場からの意見をいただくことで、意思決定支援の確保を推進してまいります。

○中山委員 当事者団体にも参画していただくという点を高く評価したいと思います。
 その上で、裁判所人員のほかにも、役割が果たせます後見人候補者を推薦するマッチング機能、これはやはり区市町村の人材育成をしながら進めていく必要があると思いますので、ぜひ区市町村に働きかけていただいて、水準を上げていただくよう、よろしくお願いいたします。
 続きまして、精神障害の視点に立ちました若者向けの相談支援についてお伺いします。
 精神疾患に伴う社会的損失は世界的に強調されておりまして、早期の段階で支援につなげていくことが重要視されています。
 また、精神疾患を抱える方の多くは二十五歳までに発症するといわれておりますが、若者は、不調を自覚しても相談する場所が分からなかったり、一人で悩み込んでしまったり、医療機関への受診もハードルが高いなと感じてなかなか踏み切れない、そうした傾向が見られます。
 このような課題につきまして、都の認識をまずお伺いしたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 精神疾患は、できるだけ早くその症状に気づき、正しい対処や治療が速やかになされれば、回復も早く、軽症で済む疾患とされております。
 精神疾患を最も発病しやすいのは十代から二十代の若年者とされており、対人関係能力や生活能力を発展させる重要な時期である若年者の精神的不調や障害を早期に発見し、必要な治療や支援につなぐ取組は重要であると考えております。

○中山委員 私の地元では、関係機関の協力を得まして、若者向けのワンストップ相談センターSODAを開設し、精神科医等の専門スタッフが対応しております。
 SODAでは、スタッフが心理的なサポートや、ご家族、地域の支援機関との連携を図るなど直接支援を行いながら、適切な社会資源に円滑につながるよう橋渡しを行っています。
 このような地域における精神保健福祉相談の様々な取組につきまして、都が支援をしていくことは重要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○石黒障害者医療担当部長 心の不調や生活上の悩みは多くの若年者が経験するものであり、身近な地域で容易に専門家に相談できる体制が確保されることは有効でございます。
 都は、区市町村が地域の実情に応じて実施する取組を包括補助で支援しており、こうした創意工夫による区市町村の取組を積極的に支援してまいります。

○中山委員 SODAは、東京足立病院という足立にございます病院が母体となって人員が整えられまして、先行して実施されておりました厚労省のモデル事業の期間中の取組が生かされて、今、運営されているところであります。テレビなどのマスコミ媒体にもたくさん取り上げられておりまして、その社会的ニーズの高さがうかがえます。
 私は、モデル事業に取り組む前の段階から、足立区当局と病院との間の連携の仲立をさせていただいて、近藤やよい足立区長の英断もありまして、三年間の国モデル事業の期間終了後も、区市町村による若年者の精神治療につながる垣根の低い、相談機関としては全国の自治体の中でも一、二の早さだと思いますけれども、先駆けて実施されているところであります。北千住の駅の近くで、古民家風ないで立ちの、モダンなしゃれた外装を施しまして、相談機関とは感じにくい、しゃれた雰囲気を醸し出しております。
 ぜひ、その働きを都内に広く周知していただいて、多くの地域で、悩みを抱えているご本人やご家族が早い段階でその存在を認識し、活用して、問題の解決や改善の兆候をつかんでいくことを期待したいと思っております。
 現在、足立区は単独で補助をしておりまして、都が、その安定実施に向け、財源などの点でも足立区を応援することは、事業の安定継続につながるという意味で望ましいと期待しているところではございます。
 このような先進的な取組は、他の区市町村へも広がっていくことが望ましいと考えますが、都の認識をお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 地域での先進的な取組が他の区市町村全体に広がることは、都全体のサービス水準の向上につながるものであり、都はこれまで、区市町村への説明会などを通じてこうした取組を紹介するとともに、包括補助等も活用しながら取組を促してまいりました。
 若年者の専用相談窓口であるこの取組は、国の研究事業である地域特性に対応した精神保健医療サービスにおける早期相談、介入の方法を実践するための事業として開始された経緯がございまして、今後、都としても事業の詳細を確認し、取組の周知の方策を検討してまいります。

○中山委員 ぜひ、いろいろな地域でこうした取組が早い段階で始まっていけるように、ご準備あるいは周知方をお願いしたいというふうに思います。
 また、そうしたものが、なかなか人員、スタッフを整えるという意味からも、簡単に、すぐ実現するというわけではないと思いますので、それまでの間は、SODAが一定の役割を果たさなければいけない機関の一つだと思いますので、ぜひ安定して運営できるように、支援のほどをご検討いただければと思っております。
 続きまして、高齢者施設の一つでありますケアハウスについてお伺いをしたいと思います。
 あるケアハウスの運営事業者が、入所者の方が退所される際に居室のリフォーム代を請求しようとしましたところ、リフォーム代は施設側が負担すべきだというふうにいわれてしまったことがあったということで、ご相談がありました。もともとケアハウスは、福祉施設なのか民間賃貸住宅の一部なのかという点がなかなか分かりにくいという点があって、困惑するところでもあります。
 民間賃貸住宅では、国交省が敷金を故意または過失に基づく損害にしか充当できないとガイドラインで定めておりまして、貸主側と敷金の充当の仕方を個別に定めて合意する場合を除いて、この国交省のガイドラインが適用されます。
 あくまでも借主が合意する場合に限って、経年劣化の修繕にも充てて問題がないというだけのことでございまして、借主側が国のガイドラインの適用を主張すれば、貸主にそれに異を唱える制度上の論拠はないことになります。この点を、ケアハウスにつきましても、改めて確認しておきたいと思います。
 ケアハウスでも、民間住宅の敷金に当たる保証金を取ることができるとされておりますけれども、保証金から充当させることができるのは、入所者が故意に破損、毀損した場合だけであるというのは本当でしょうか。通常利用による損耗の修繕費は、保証金から出してはいけないという見解なのかお伺いしたいと思います。

○花本高齢者施策推進担当部長 都は、ケアハウスの退去時の原状回復の費用負担については、国土交通省が策定した原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを参考にするよう要領に定めており、同ガイドラインでは、退去に際し、通常利用により生じた損耗の原状回復に要する費用については、賃貸人が負担すべきものと定めております。
 ケアハウスは、都の要領で、利用料が滞納された場合や退去時の居室の原状回復に備え、入所者から利用料の三か月分、かつ三十万円を超えない範囲で保証金を預かることが認められておりますが、原状回復のために保証金から支払うことができるのは、入所者が故意に破損した場合などに限られております。

○中山委員 ご答弁ありがとうございました。
 それでは、ケアハウスの事業主の方が、通常利用によります損耗や経年劣化による修繕費をどこから捻出していけばよいのか、そのお考えをお聞かせください。

○花本高齢者施策推進担当部長 施設が原状回復を行うための費用については、施設が入所者から徴収しているサービス提供に要する費用や居住に要する費用から充当できる仕組みとなっております。
 具体的には、サービス提供に要する費用は、施設職員の人件費のほか修繕費を含んでおり、都は、この費用と所得に応じた利用者負担額との差額を補助しております。
 また、居住に要する費用は、国の指針で、施設の老朽化に伴う修繕費、改築等に要する費用も踏まえ、施設が必要な額を設定できることとしております。

○中山委員 一般的にケアハウスは、低所得者の方が利用する施設であり、家賃が安いというふうに認識されています。日本語でいえば、軽費老人ホームということになるんでしょうか。
 この項目の質問の冒頭で、相談があったことを紹介しました事業者の方は、私が思うにはですけれども、大変良心的な事業者で、安い入居費の設定を維持しつつ、しかも清潔な住環境というものを常に提供されているところだと思います。しかし、保証金で経年劣化の修繕が行えないということになれば、新たな解決策、すなわち入居費の設定を見直すということに着手せざるを得ません。
 この点、今のご答弁では、居住に要する費用には上限がないということでありますが、一般の民間賃貸住宅と同様に、ケアハウスの事業主が改修、改築に備えて積み立てておくための原資とするべく高い家賃を設定しても、都は今後認めていくのか、その点を確認したいと思います。

○花本高齢者施策推進担当部長 ケアハウスの居住に要する費用については、上限額は定められておりませんが、国の指針において、施設整備費や修繕費などを勘案して設定しなければならないとされております。
 都は、入所者から徴収する費用については、施設の設置主体に応じて届出または許可申請を求めており、居住に要する費用についても、設定根拠を確認した上で、受理または許可しております。

○中山委員 設定根拠となる積算に不当性がない限り、高い居住に要する費用を設定したとしても差し支えないという趣旨のご答弁になるのではないかと思いますけれども、まさにそうなると通常の民間賃貸住宅とあまり変わりはありません。やがては建て替えということは、どうしても訪れてくるわけでありまして、そうなりますと、ケアハウスは次第に、軽費という名前に値することを守ろうとすると、消滅していってしまうか、あるいは軽費老人ホームという呼び名に値しないと思われる程度の家賃設定というものに踏み込まざるを得ないということになってしまいます。
 そこでお伺いいたしますが、ケアハウスという施設を東京都は今後も存続させていく必要があるという認識で臨んでいるのかどうか、この点を教えていただきたいと思います。

○花本高齢者施策推進担当部長 ケアハウスは、身体機能の低下等により自立した生活に不安があり、家族による援助を受けることが困難な六十歳以上の方が、低額な料金で食事の提供、入浴の準備、相談、援助等を受けられる施設となっております。
 都は、高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択できるようにするとともに、身体状況等に応じて必要なサービスを受けられるよう、安心して居住できる住まいの充実を図っており、ケアハウスもそうした選択肢の一つとして必要と認識しております。
 なお、今後の高齢化の進展による介護ニーズの増大を見据え、都は、要介護者に介護サービスを提供できる介護専用型特定施設のケアハウスの整備を推進しております。

○中山委員 ケアハウスが選択肢の一つとして必要なのであれば、特定施設とならなくても、今後も存続していくために簡単な修繕から大規模な改築までを含む費用を施設が今どのように捻出しようとして計画しているのか、この点をまず把握して対策を練ることにつなげていくべきと思いますが、調査などは行っているのでしょうか。その点をお伺いします。

○花本高齢者施策推進担当部長 都は、東京都高齢者保健福祉計画の策定に合わせ、三年に一度、ケアハウスも含めた全ての施設等を対象に、運営状況の調査を実施しております。
 今年度は次期計画の策定に向けた調査の実施年度に当たっており、今月から調査を実施する予定でございます。この調査の中で、施設の建て替えや修繕のための積立金の状況についても把握することとしております。

○中山委員 今ご答弁でありました調査という視点がとても大事でございます。都の役割というのは、国の法律や制度がかくかくしかじか、こうなっておりますと説明するだけではないと思います。都民の幸せのために、どういう事業者が伸びていくべきなのか、どうあるべきなのか、そのことの方向性というものをきちっと持って、そのために必要な制度に、いろいろなものを整えていく、場合によっては国に要求していく、そしてまた、議会とも意見交換を図って、取組を変えていくということも必要かと思っております。
 その意味で、まずは調査をしていただきまして、事業者の経営が安定し、雇用も安定するよう、補助制度の点を含めまして経営の視点を持って対処していただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
 続きまして、更生保護施設の建て替えについてでありますが、先ほどご答弁がありました。私の方としては、一つは、既に十二県では建て替えに関する補助金の交付制度が設けられているという点を指摘させていただきたいと思います。
 先ほどの答弁と重なる点は省いていただいて結構ですけれども、我が党の加藤議員や当委員会所属の早坂義弘副委員長などもこの請願の紹介議員となって、全会一致で採択されたところでありますが、採択を受けたばかりでありますけれども、補助金制度の創設は前々から寄せられていた都民の要望でありまして、福祉保健局は、十分こうした都民の声の高まりを認識してきたところかと思います。
 そこで、他の自治体の状況を参考にするなどして取り組むべきと考えますが、今後の取組の方向性をお伺いしたいと思います。

○高橋生活福祉部長 今後の取組でございますけれども、国が平成二十六年度以降に建て替え補助を行った更生保護施設が所在する自治体に対しまして、当該自治体における独自の補助の実施の有無及びその内容等の調査を行い、その結果も踏まえまして、都としての対応策を検討してまいります。

○中山委員 我が党はさきの第三回定例会の代表質問で、物価高騰対策としての公共工事の契約制度の見直しというものを訴えまして、あわせて、契約制度だけじゃなくて、様々な補助金など都庁の全業務にわたって東京都が物価高騰に対する率先垂範の対策を練るようにということを知事に求めて、小池知事からは大変前向きなご答弁もいただきました。政策連携団体とも協調していくということでございました。
 残念ながら、この更生保護施設の点は、まだ補助制度すらない状況であります。でも、お話があったかもしれませんが、建て替えようとすれば、物価高騰ということは、今後大事な課題として直面することになりますので、ぜひ補助制度の新設に向けて真剣にお取り組みいただきたいというふうに思います。
 続きまして、ユニバーサルデザインの推進につきまして質問させていただきます。
 まず、オストメイトの方々から、人工肛門となったためパウチを身につけて生活されていらっしゃるんですけれども、前広便座というものを普及してもらいたいと要望を受けて、かねてから私は、その推進に当たらせていただいてまいりました。
 多様な利用者のニーズに配慮したユニバーサルデザインのトイレづくりハンドブックというものは作成されておりますけれども、残念ながら、そこには前広便座に関する記載がございません。
 私の力不足を反省するばかりでございますが、改めて求めますが、都は、このハンドブックにおきまして前広便座の記載を加筆表記していくべき、またその普及を図るべきと考えますが、見解を求めます。

○高橋生活福祉部長 東京都福祉のまちづくり条例の整備基準では、不特定かつ多数の者が利用する施設等で新設または改修を行う際は、パウチ等を洗浄するための汚物流し、いわゆるオストメイト用設備のあるトイレを一つ以上設けることとしております。
 整備に当たりましては、既存のトイレの改修等の際など、構造上やむを得ない場合には、便器に水栓をつけた簡易型水洗器具を設置することを認めるとともに、オストメイト用設備の各種設備機器は、今後の技術革新や製品開発の進捗によって適宜導入を図ることも、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルに掲載しております。
 便座に座ったままパウチ処理がしやすいよう前広形状となった便座を設けることの有効性や安全性等につきましては、当事者や専門家の意見を聞きながら、今後検証してまいります。

○中山委員 当事者や専門家の意見も聞きながら今後検証ということで、今後の取組について期待したいと思います。
 前広便座を広めることに伴うデメリットというのは、健常者の方が使用される場合も含めて、あまりないんじゃないかなと思います。ただ汚物流しというのは高さが所定されている。あれが自由に変えられたらいいんですけれども、なかなかそれは、届かない方もいらっしゃるので、ぜひ腰かけてやりたい、あるいは、女性の方の検尿とかにも大変役に立つという話もお伺いしておりますが、よく調べていただいた上で、必要な場合には標準化していただいて、プラスアルファの、合理的配慮を要する方々向けにさらに上乗せの次の機能の整備を図るという形で、前広便座をむしろベースにしていただくということも選択肢の一つに、ご検討いただきたいと思います。
 その上で、新規施設におけるバリアフリーということだけじゃなくて、既存施設のバリアフリーということも大変大事なことだと思います。今後も、合理的な配慮を必要とする方々にとりまして、安心して出かけられる社会環境をつくるためには、新規施設だけにこだわっていたのでは、なかなかそういう環境はつくれません。
 その意味で、既存の民間施設のバリアフリー化が進むよう取り組むべきと考えますが、見解を求めます。

○高橋生活福祉部長 都は、誰もが円滑に施設を利用できるよう、福祉のまちづくり条例において、多数の者が利用する施設を所有し、または管理する者に対し、整備基準への適合努力義務を定めております。
 また、バリアフリー化を進めるための施設整備マニュアルやガイドライン等について、事業者団体等を通じて民間事業者に周知するとともに、包括補助によりまして、民間施設のバリアフリー化に対し補助事業を実施する区市町村を支援しております。
 今後も、事業者団体等や区市町村との連絡会議等で改めて周知を図るなど、民間施設でのバリアフリー化を促進してまいります。

○中山委員 続きまして、我が党の小磯善彦都議が第三回定例会の一般質問で求めました、つえホルダーの設置の取組についてお伺いしたいと思います。

○高橋生活福祉部長 都は、高齢者や障害者等が円滑に施設を利用できるよう、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルに、利用者に配慮した望ましい整備項目を掲載しております。
 その中で、カウンターや店舗内のレジ前等につえをかける場所を設けた例や、車椅子使用者対応トイレや一般トイレにつえをかけるフックを設置した例を示しております。
 今後も、つえホルダーの設置など利用者に配慮した対応につきまして、区市町村や事業者団体等の連絡会議等で改めて周知をしてまいります。

○中山委員 連絡会議等での周知ということですので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 この項目の最後に、聴覚障害者支援、バリアフリーについてお伺いいたします。
 デフリンピックの二〇二五年、東京開催が正式決定されました。聴覚障害の点でも、東京のまち並みが大きくバリアフリー化されることが望ましいと考えます。
 役所などをはじめとする民間の各窓口での接客におけます聴覚障害者向けのバリアフリー、このためには、口述筆記だけに頼らない、IT化を使いました、そうした取組というものも注目されております。今朝のテレビ報道でもございました、鉄道機関で、音声が窓口に設置されたアクリルボード的なところに文字化されて表示されるということが、外国人対応も含めまして必要だということでございまして、紹介されておりました。
 こうした点の推進に関します都の見解というものをお伺いしたいと思います。

○高橋生活福祉部長 都は、カウンターで障害者や外国人等とのコミュニケーションが円滑に行えるよう、ICT機器の活用も有効であると認識しておりまして、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルにおいて、利用者に配慮した望ましい整備項目の一つとして記載しております。
 また、包括補助におきまして、コミュニケーション支援のための機器等の導入を図る区市町村を支援しており、引き続き情報バリアフリーの充実に努めてまいります。

○中山委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、受験生チャレンジ支援貸付事業についてお伺いいたします。
 かつて私は、勇退しました目黒区の東野秀平議員、先輩が最後の一般質問を行う際にこの問題を取り上げまして、ぜひ、合格したら返還不要にしてもらいたいという質問原稿をつくって、局の方とも折衝させていただきました。当時の安藤福祉保健局長が前向きな答弁をされまして、歴史的な第一歩がしるされたわけでございます。
 その後、大きく制度が、対象者は拡大しました。大変喜ばしいことであり、長年の私どもの要望が実ったと思っております。ただ拡大されたということで、その利用率が下がってしまったのでは、拡大されたことをまた後戻りするようなことになりかねません。その意味で、私どもは、しっかりと周知をして利用していただけるようにということを要望させていただきました。
 この点の取組についてお伺いしたいと思います。

○高橋生活福祉部長 貸付けの利用要件につきましては、今年度から、収入要件を生活保護基準の一・五倍に引き上げるとともに、連帯保証人を廃止するなど、支援が必要な方が利用しやすいように見直しを行いました。
 このため、都は、案内リーフレット等の周知対象を、中学三年生、高校三年生だけでなく、中学二年生、高校二年生にも広げ、区市町村や都内全ての中学、高校に配布しております。また、学習塾にも周知の協力を求めております。
 九月には、専用のウェブサイトを開設し、動画による概要説明や利用要件などのよくある質問を分類別でまとめ、利用者が知りたい情報を発信しております。
 現在、都内三か所で順次開催されている都立高校の合同説明会においても周知を行っており、進路が決まってくる十一月から十二月にかけては、キーワード連動広告やSNS広告等を充実させることとしております。

○中山委員 取組、ありがとうございます。
 私は、かつて足立区内で、家庭の中で居場所を感じられない、そういうお子さんたちがいるための施設、キッズドアという団体が運営されていましたけれども、そこを視察したことがあります。おうちの中ではなかなか前向きに進学等が考えられなかったお子さんが、同じような境遇のお子さんたち同士の中で励まし合いながら、大変にぎやかでわいわいとした施設なんですけど、その中で勉強を始めているんですね。
 担当した足立区の部長さんから、ここのお子さんたちは、全て全員が受験生チャレンジ支援貸付制度を使って進学の夢を果たしています、東京都はすばらしい制度をつくってくれましたと、私が感謝の言葉をいただいて、そのことは福祉保健局の職員の方々にしっかりとお伝えしたいと思って、今日、お話しさせていただきます。
 私が感動したのは、受験生チャレンジを利用して進学していったお子さんが、その施設にちゃんと卒業後も帰ってきて、後輩たち、血がつながっていないんですけど、弟や妹みたいな子たちの面倒を見ているんですね。
 やっぱり、現代という社会ですけれども、行政の制度にちゃんと魂が入っていけば、社会が自分を応援してくれた、今度は自分は応援していく側に回ろうと、そういうような気持ちが自然と、恐らく芽生えていくことにつながっているんじゃないかなというふうに思いましたので、ぜひこれからも、様々な事業で、皆様のお仕事に感謝される方がいるはずですので、そうしたことも念頭に置いて、これからお取り組みいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、介護保険の住宅改修給付について質問したいと思います。
 私は、全日本ISO畳振興協議会、現在は一般社団法人日本畳産業協会といいますけれども、そこの皆さんと一緒に、転んでも骨折しない衝撃緩和型の畳の開発と活用について協力連携しまして、我が党の国会議員とも連携しながら、JIS規格の取得や、介護保険の住宅改修でフローリングだけじゃなくて衝撃緩和型の畳に改修することも保険給付にするという変更を勝ち取った経験がございます。
 残念ながら、高齢者の方が、段差解消のためにつくられたフローリング、結構堅い床材、そのフローリングで転倒して骨折してしまう、そういうことがあります。私の母親も、ベッドから落ちて骨折したことが原因で、そのまま病院から戻れず、最後は残念ながら亡くなってしまいましたけれども、段差解消はもちろん大事なんですが、お年寄りはいろんな事情で倒れますので、そうしたときに倒れても骨折しないような状態にするということは大変大事なことであります。
 今日、理事会でご了解いただきましたので、その衝撃緩和型の畳床というもののモデルを、随分前の話ですけど、借りてきましたので、ちょっとこれ回していただいていいですか。お手に取って見ていただければと思います。
 残念ながら、この改正は、当時も、そしてまた今年になってからも、繰り返し周知されているんですけれども、なかなか区市町村の現場の職員の方には理解されていない、滑らない材質にするとか、フローリングとか、そういうものがもう固定観念的にあって、なかなか理解されていない現状にあります。
 そうした点で、しっかりと周知を図っていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○山口高齢社会対策部長 介護保険の住宅改修で、衝撃緩和型機能が付加された畳への変更について対象となることにつきましては、平成二十九年七月に国から区市町村に対し通知が出ておりまして、また、本年三月にはJIS規格に該当する等の適合する製品例を示すなど、より詳細が通知されております。
 住宅改修には区市町村をはじめ多くの関係者が関わりますことから、お話のとおり、こうした関係者が最新の正しい情報を共有することが重要でございまして、今後、区市町村の主管課長会等を通じて、改めて周知を図ってまいります。

○中山委員 質問が後先になって申し訳ございませんが、これが介護保険の住宅改修ということだけではなくて、区市町村事業、そうした点でも適用されているという状態であるかと思うんですけれども、ただその制度を、実際に補助制度を設けている、給付の対象として制度を設けている自治体が、どのぐらいあるのかということ等を含めてご答弁いただければと思います。

○山口高齢社会対策部長 要介護、要支援の認定を受けた方につきましては、介護保険給付の対象ということで、先ほどご答弁したとおりでございますが、一方で、介護認定が非該当の高齢者につきましても、都は、独自に介護保険の住宅改修と同内容で助成する区市町村に対しまして、包括補助のメニュー事業の一つでございます住宅改善事業によりまして支援しており、現在、四十八区市町村において実施されております。

○中山委員 包括補助事業でも対象としている自治体が多いということなんですが、対象となっているんだけれども利用されていないということがありまして、具体的に、通知とかを見ながら窓口業務をしているんじゃなくて、それをまとめた絵図のイラスト、そうしたものを見ながら窓口業務をしている職員の方が多いということ、私も区役所で介護保険の仕事をしておりましたので、そういうことを実感します。そういう形で、分かりやすい形で周知をしていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、タクシー券についてお伺いしたいと思います。
 これは、私の地元の足立区の水野議員という方からもご相談がありまして、高齢者の方、あるいは妊婦の方、あるいは障害者の方、様々なタクシー券事業が区市町村で展開されておりますが、今日頂戴しました要求資料にもございましたけれども、電子化というものが進んでいない。これが、例えばPASMOやSuicaとか、そういう形に組み込まれたりするだけでも電子化できるかもしれませんし、もちろんスマートフォンのアプリという形でできることもあるかもしれません。
 ただ、これは一つの自治体だけでやるというよりは、広域で取り組んだ方がいいのではないかということのご意見も、足立区からはいただいております。
 こうしたことについて、東京都はどういうふうに協力していけるのか。この点について見解をお伺いしたいと思います。

○山本企画部長 都内の多くの区市町村では、障害者等が福祉タクシー等を利用して移動や外出ができるようタクシー利用券を交付しており、そのほとんどは紙による交付となっております。
 都は今後、タクシー料金のデジタル化などに向けた区市町村の取組状況や課題認識について把握をしてまいります。

○中山委員 課題をしっかりと把握して、区市町村がもしそういう声が多いということになりましたら、ぜひ前向きに取り組んでいただくことをよろしくお願いしたいと思います。
 また、物価高対策についてお伺いしたいと思います。
 都が九月補正で計上しました各物価高対策事業でございますけれども、早くも都内の区市町村は補助要綱などの準備に着手し始めています。
 多くの自治体が関心を寄せているのは、都の補助と区市町村の補助は、併用や上乗せ、横出し、そういった対応は可能なのかという点であります。
 物価高は、今も多くの福祉施設などの福祉保健局が関係している事業所を苦しめております。都は、急ぎ補助を開始するとともに、区市町村補助との併用もできる限り可能にするなど、補助を活用できる幅を可能な限り広げていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本企画部長 物価高騰に直面する医療機関や福祉事業者等の負担軽減に向けた緊急対策として、さきの定例会におきまして物価高騰対策の補正予算を提案し、予算成立後は、対象となる区市町村や事業者等に対しまして、事業の概要を速やかに周知いたしました。
 補正予算のうち、区市町村を通じた補助は、自治体の意見も聞きながら、自治体が国の臨時交付金や都の事業を有効活用し、補助内容の充実に柔軟に取り組めるよう支援を行います。
 また、事業者への直接補助に当たりましては、電子申請や委託方式による審査の活用などによりまして事業者の事務負担の軽減等に配慮しながら、円滑に申請や交付が行えるよう工夫することとしております。
 現在、各事業ごとに要綱の発出を進めておりまして、年内に申請受付を開始し、順次補助金を交付することで、区市町村の取組や事業者を支援してまいります。

○中山委員 今ご答弁ありましたけれども、基本的には、区市町村補助なのか、事業主体への補助なのかという点で、事業主体への補助であれば、都が事業主体に補助するのであれば、区市町村の補助制度とどっちを選ぶかという問題になると。区市町村補助であれば、東京都が区市町村補助をしているものであれば、それは区市町村において、さらなる上乗せ、横出し的なものを検討することも可能であるということかと思います。
 ただそれはいろいろな、事業主体向け補助なのか、区市町村補助なのかという点が、違いがあるので、その点をきちっと説明していただいてご理解いただくように、ご答弁結構ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、がんゲノム治療などを含めましたがん対策についてお伺いしたいと思います。
 一つは、私も国立がん研究センターの間野先生とも連携させていただいて、がんゲノム治療の遺伝子解析の必要性というものを都議会でも訴えさせていただいたことがございますが、まずは、医学総合研究所におけますがんゲノム治療に関する貢献ということについてお伺いしたいと思います。

○岩井事業推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 東京都医学総合研究所では、二〇二〇年四月にゲノム医学研究センターを設立しております。
 当センターでは、大学、理化学研究所をはじめとした他の研究機関との共同研究を通じまして、疾病の原因となる分子機構の解明、ゲノム解析研究など幅広い医学研究の推進や、医薬品開発に貢献するデータベース構築などに取り組んでおります。
 今年三月には、日本医療研究開発機構の支援を受けて実施しましたカニクイザルのゲノム配列データの精度向上研究の成果が、米国国立生物工学情報センターに遺伝子研究における標準データとして登録されました。
 これは、がん等の疾患に特徴的な遺伝子配列を標的とする核酸医薬開発におきまして、適切な安全性評価の実現へと結びつく成果でございます。

○中山委員 これで最後の質問にさせていただきます。
 がん教育におきましては、ドクターが担うことが大変好評といわれておりますけれども、なかなか医師会等で確保できないという実態があるかと思います。
 ぜひ都教育委員会と連携していただいて、福祉保健局としても後押しをしていただくよう、見解を求めたいと思います。これで終わります。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 あらゆる世代の都民が、がんを正しく理解し、患者に適切な支援がなされるよう、学校におきまして、がん教育や健康教育に取り組むことは重要でございます。
 教育庁におきましては、東京都医師会やがん診療連携拠点病院等に依頼し、学校に外部講師を派遣する仕組みを整えております。具体的には、講師の派遣に対応可能としている団体等の窓口リストを作成し、学校等へ外部講師の活用を促してございます。
 今後とも、若い世代から、がんに関する知識やがん患者に対する理解が進むよう、教育庁と連携いたしまして、医師会や拠点病院に協力を求め、がん教育の推進に取り組んでまいります。

○白石委員 日本共産党の白石たみおです。
 まず最初に、てんかんについて質問をしたいというふうに思います。
 てんかんとは、発作を起こす脳の病気です。てんかん発作は、全身のけいれんや体の一部がぴくぴくしたり、ぼんやりして呼びかけに反応しない状態など、人によって発作の特徴は様々だということです。また、乳幼児から高齢者まで、どの年齢層でも発症する可能性がある珍しくない病気というのが、てんかんということになります。
 てんかんは、現在、使用できるどの薬や治療法を用いても発作が止まらない難治性てんかんというのは、二割から三割いらっしゃいます。ですが、一方で、七割以上のてんかん患者は、薬や外科治療などにより発作を抑制することができます。てんかんというのは一生治らない不治の病と思われてきましたが、てんかんは治療可能な病気だというのが現在の到達点です。現在、てんかんがある人は百人に一人の割合でいるといわれておりまして、全国では百万人と推定がされております。
 初めに伺いたいと思いますが、東京都では、てんかん患者は何人いらっしゃるか。そして、自立支援医療受給者証を取得しているてんかん患者は、何人いるか伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 国が平成二十九年度に行った調査では、都において、てんかんにより精神病床へ入院している患者は一万五十一人、外来で継続的に精神療法による治療を受けている患者は八万一千二百六人でございます。
 また、令和三年度の自立支援医療(精神通院医療)受給者証の認定者のうち、てんかんを主たる原因疾患とする方は一万四千四百二十九人でございます。

○白石委員 自立支援医療は、通院による精神医療を受け続ける必要がある方の通院医療費を通常の三割負担から一割負担に軽減するなどの支援制度であるということです。もちろん、多くのてんかん患者がこの自立支援医療の対象となるという制度です。
 てんかんの患者さんにお話を伺いますと、この自立支援医療の受給者として認定されたことによって、例えば医療費、通常五万円ぐらいだったのが、自立支援医療の受給者と認定されて一万円ぐらいまで負担軽減されるということで、本当に助かっているというお話も、私、伺っております。
 ところが、この制度を利用しているてんかんの患者、今の答弁だと一万四千四百二十九人ということですが、二〇一七年度の国の調査で、先ほどの答弁で比較しても、通院患者数の二割に満たないというのが現状です。百人に一人の割合でてんかん患者がいると想定すれば、一割程度しか認定されていないというのが今の答弁ではっきりしたと。現状であるというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますけれども、てんかん患者が地域で安心して暮らし、住み続けるためには、都としてどのような課題があるか、その課題認識を伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 てんかん患者は、適切な診断、手術や服薬等の治療によって症状を抑えることができ、または治癒する場合もあり、社会で活動しながら生活できる場合も多いです。
 そのため、てんかんに関する正しい知識を普及するとともに、患者を適切な診断、治療、服薬につなげるため、てんかんに対応できる医療機関について情報提供することが重要でございます。

○白石委員 てんかん協会の方にお話を伺いました。てんかんという病気を漠然としか知らない方も、当事者の中にはいるんです。自分の病気が何なのかという相談も、てんかん協会にはあると、このように話します。また、自立支援医療や精神保健福祉手帳など、様々な支援制度を知らず、何年も過ごしてきたという当事者の方もいるんだと、このように話をしていただきました。
 先ほどの答弁でも明らかとなったように、てんかん患者の中でも支援制度に結びついていない当事者が多くいるということです。
 都では今年九月に、国立研究開発法人の国立精神・神経医療研究センターをてんかん支援拠点病院として指定しました。そして、てんかん対策の拡充の一歩を踏み出したということだと思います。だからこそ、てんかんの正しい診断と適切な治療、それとともに、てんかんに関わる支援制度の周知徹底が重要であると改めて強調したいと思います。
 また、都が当事者や家族、関係団体の声に耳を傾けて連携を強めていくことが何より重要であるということを改めて強調したいと思います。
 てんかん治療の主体は、薬物治療になります。治療は、まず薬剤の選択に始まり、試行錯誤を経て、患者に合った薬剤の種類と用量を決めます。そして、長期にわたって、決められた用量、それから用法を守って欠かさず服用し続けなければならないと。つまり、てんかんの薬物治療において、薬の種類、それから用量というのは、治療の要ということになります。
 抗てんかん薬の中でも薬物治療の第一選択薬として位置づけられているのが、カルバマゼピン、それからバルプロ酸という、いわば抗てんかん薬です。この薬、現在も多くのてんかん患者が服用している薬ですが、現在、供給が不安定となっております。
 このカルバマゼピン、バルプロ酸の抗てんかん薬がなぜ供給不安定となっているのか、理由を伺いたいと思います。

○中村食品医薬品安全担当部長 医療用医薬品につきましては、一部の後発医薬品製造販売企業が、製造管理及び品質管理体制の不備により、医薬品医療機器等法による業務停止や承認取消しなどの行政処分を受け、製品の製造や出荷を長期間停止または縮小したことを発端といたしまして、全国各社による製品の出荷調整が広範に実施されております。
 お話にありました、てんかんの治療に使用されておりますカルバマゼピン製剤及びバルプロ酸ナトリウム製剤につきましても、供給不安定となりましたのは、一部の製剤の出荷停止や出荷調整が行われていたことによるものでございます。

○白石委員 私、厚労省に直接聞き取りを行いました。供給が不安定になったのは、今ご答弁あったとおり、抗てんかん薬を製造する製薬会社が薬機法違反をしたことです。これNHKとか、テレビでも相当報道になりました。かなりひどい違反です。これが発覚をして行政処分となって、抗てんかん薬の出荷停止や、全国的に出荷調整がされたことが原因だと。それが今の供給の不安定な状況を生み出していますよという答弁でした。そのとおりだと思います。
 薬というのは病気を治しますが、製造方法やルールなどを守らなければ命に関わる問題となるため、法違反を犯した製薬会社は厳しく罰せられてしかるべきだと思います。しかし、そのペナルティーが、結果的に当事者や家族にしわ寄せが行くことにならないようにすることは、行政や政治の役割であり、責任だと思います。
 この抗てんかん薬は、先ほどいったように第一選択薬ですから、多くのてんかん患者が服薬している薬なだけに、患者や家族への影響というのは甚大であると思います。
 実際に供給が不安定となって薬が入手できなかったという声も、私も聞きました。服薬して三年間、発作がなくて、薬の量を減らしたら発作が再発した、こういう声も出ています。
 薬物治療において、薬の種類や用量の変更は、発作の再発や悪化につながりかねないという問題なんです。てんかん患者にとって、薬や用量を安易に変えるということは、場合によっては命に関わる事態になると。こういう深刻な問題であるというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますが、てんかん患者がふだんから使用する薬が服用できなくなるかもしれないという、こういう不安について、東京都はどういう認識をされているか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 薬剤の切替えや変更は、血中濃度の変化によって発作の再発や副作用の発現を誘発するおそれがあるとされており、こうした当事者団体からの声は受け止めております。

○白石委員 受け止めているということです。本人に合った抗てんかん薬が、何度もいいますが、入手できないということは、発作の再発や悪化につながる、命に関わる重大な問題なんだと、こういう認識を持っていただきたいと思います。
 厚労省は、安定供給されるまでの対応への協力依頼として、通知を各都道府県などに発出をしています。発作が抑制されている患者の薬の変更は、原則推奨されません、このように書いてあります。
 また、日本てんかん学会、小児神経学会も合同で、薬の切替えにより、発作の悪化や副作用の出現が報告をされている、したがって、発作が抑制されている患者で、服用中の医薬品を切り替えるのは推奨されないと、はっきりと提言を出しております。
 それだけに、東京都が適切な情報提供を行って、当事者や家族、団体と連携して、具体的に不安や実態に寄り添った対応をすることが必要であると思います。
 そこで伺いたいと思います。これまで都は、厚労省の通知や先ほど触れました提言などに基づいて、患者や家族、関係者団体に、直接情報提供を行ったことがあるのか、また、当事者、家族、関係団体などと具体的に対応の協議をしたことがあるか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 医療用医薬品の安定供給の確保については、国が対応しており、都は、本年九月の関係団体からの要望を受ける場において、抗てんかん薬を変更することへの不安から供給不安定の解消を求める意見に対し、供給が不安定な理由や国の対応を説明しております。

○白石委員 当事者や家族、関係団体に、都として積極的に情報提供を行うとともに、当事者や家族などの不安の声や実態を積極的に聞き取って、当事者や関係者に寄り添った対応を改めて求めたいというふうに思います。
 すぐにでもできることとして、都として国や製薬会社に対し、抗てんかん薬の供給を当事者などの不利益にならないよう早急に改善すると、直接都からも求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 国は、製薬企業や業界団体に対して、医薬品の安定供給体制が早期に再構築できるよう求めており、その動向を注視してまいります。

○白石委員 動向を注視していくという答弁でした。
 私、国が対応しているからといって、都が何もしなくていいということではないと改めて訴えたいと思います。都として当事者や関係者の不安と実態を直接伝えるということは、国や製薬会社のさらなる増産などの動機に当然なると思います。結果的に早期の改善につながる、こういう力になると。私は、東京都が直接やれば、それぐらいの力を持っているというふうに思います。とりわけ東京都というのは、てんかん対策を強化していこうというふうにしているんですから、当事者や関係者の立場に立ってこの問題に取り組んでいただきたいということを改めて私からも要望したいと思います。
 質問を進めたいと思います。ピアサポートについて質問を進めます。
 そもそもピアサポートとは、同じような悩みを持つ人たち同士で支え合う活動のことです。医師などには話しづらいことも、同じ立場の人だからこそ相談できることがあって、不安な気持ちを理解して、共感してくれるのがピアサポートといわれております。
 てんかんのピア相談は、日本てんかん協会東京都支部に委託をして、障害者福祉会館で週一回、行われております。
 そこで伺いたいと思いますが、ピアサポートの目的と重要性について、東京都はどのように認識をしているでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 ピアサポートは、自ら障害や疾病の経験を持ち、その経験を生かしながら他の障害や疾病のある障害者のための支援を行うものでございまして、地域生活の支援に有効なものであると考えております。

○白石委員 効果があるんだというご答弁です。
 ピアサポートの重要性については、てんかん協会の方に私もお話を伺いましたけれども、相談に来る方、相談者は、本当に困った人が相談できる場所を探し続けて、やっとたどり着いてくる人が多いんだというお話でした。相談内容というのは、家族、学校、職場の人間関係、それから、病院では教えてくれないてんかん患者が受けられる支援制度のことなど、多岐にわたるということです。
 また、てんかんになり、これからどう生きていったらいいのかという悩みを持つ方や、自分の病気を隠して生きてきた方も、てんかんの患者さんは多くいらっしゃいます。だからこそ、同じ立場の相談員が患者の目線で話を聞いて、自分の体験談も交えて、共感し、相談に乗り、その人が求めている情報を伝えることが、相談者の安心感また希望につながると、ピアサポートの重要性、てんかん協会の方もお話をしていただきました。
 そこで伺いますが、東京都は、東京都障害者福祉会館においてピアサポートを行っておりますけれども、この事業というのは、どのような目的で行われているのか、また、開催頻度はどのくらいか、具体的に伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 東京都障害者福祉会館では、障害者や家族からの様々な相談に応じるため、同じ障害を持つ相談員が対応しておりまして、てんかんは原則週一回実施しております。

○白石委員 今答弁で、週一回と。やはり週一回では限界があると思います。
 てんかんのことで困っている人、不安なまま暮らしている方はまだまだ多くいると、てんかん協会の方も話しているとおり、ピア相談の重要性に鑑みて、相談回数を増やすことをはじめ、多摩地域や、それから拠点病院でピア相談が受けられるように、都として取り組むことを強く求めておきたいというふうに思います。
 次に、自立支援医療受給者証について伺います。
 先ほども述べましたけれども、自立支援医療というのは、通院による精神医療を受け続ける必要がある方の通院医療費を通常の三割負担から一割に軽減するというふうなことが支援制度の中身になります。
 自立支援医療受給者証のサイズについて、当事者や団体から改善をしてほしいという要望が東京都に出されていると思いますが、いかがでしょうか。また、都は、当事者などの声をどのように受け止めているのか、それぞれ伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 自立支援医療受給者証のサイズ変更に関する当事者団体の要望があることは承知しております。

○白石委員 要望は承知をしているということです。
 私も当事者の方から、今の都が発行しているサイズというのは病院に通院する際に不便なので、お薬手帳のサイズに変更してほしいという要望なんですね。つまり、お薬手帳に入らないサイズ、大きいサイズだと。お薬手帳はいつも携帯しているものだから、お薬手帳のサイズに変更してほしいという要望なんです、簡単にいえば。
 受給者証は、医療機関に受診するときに必ず提示をいたします。例えば、低所得者は所得に応じて自己負担額の上限額が決まっていますので、上限額管理票に医療機関名やかかった医療費の自己負担を医療機関で書いて記録すると。こういうものも併せて持っていかなければいけないということです。
 ちなみに、自己負担の上限額を超えた場合というのは、それ以降の医療費は免除されるということになるんですね。つまり、通院時や薬を処方してもらう際に必要になるため、常時、行くときには携帯しておく必要があると。通院時に必要なものですから、携帯しやすいように改善するということは重要だと私は思います。
 そこで伺いたいんですが、当事者の声に基づいて、現在の受給者証や上限額管理票をお薬手帳に収まるサイズに変更するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○石黒障害者医療担当部長 自立支援医療制度の運用の見直しは、様々な障害者団体や医療機関の意見などを聞く必要がございまして、慎重に対応すべきと考えております。

○白石委員 慎重に対応していただいて、サイズ変更していただきたいと思います。
 自立支援医療受給者証は、てんかん患者だけが取得しているわけじゃないということです。てんかん以外の方も携帯しやすいように改善するというのは、誰からも歓迎されるものだと思います。
 例えば、横浜市では、受給者証などをお薬手帳に収まるB7サイズにしています。なぜB7サイズにしているんですかと、私は横浜市の担当者に直接問合せいたしました。横浜市の担当者は、B7サイズにしているのは、利用者が携帯しやすくするためと説明してくれました。まあ当然でしょうね。
 ちなみに、お薬手帳に収まるサイズにしたからといって、特段、当事者に不都合があるわけではないということです。横浜市でお薬手帳のサイズに収められるのに、東京でサイズ変更をしたら不都合が起きるということはないと思います。ぜひ当事者の声に基づいて改善を図るよう、私からも要望いたしまして、次の質問に移っていきたいと思います。
 次に、病弱児の教育を充実するために、都立病院への高等部の分教室の設置について質問をしたいというふうに思います。
 特別支援学校には、一般的に小学部、中学部及び高等部が設置され、一貫した教育が行われております。病気などにより、継続して医療や生活上の管理が必要な子供に対して、学校と離れた病院においても、病院内に教室となる場所などを確保して分教室を設置するなどして、必要な配慮を行いながら教育が行われているということです。
 病院に教員を派遣する訪問学級というのもありますけれども、生徒一人につき週六時間程度の授業しか、訪問学級というのはできないんですね。一方で、分教室の場合は、教員が常駐をしているため、週二十五時間から三十時間程度、授業ができるといわれております。
 しかし、高等部は、義務教育ではないため、各自治体の判断に委ねられていると。全国的に見ても、圧倒的に病院での高等部の分教室というのは不足をしているというのが現状だと思います。
 初めに、基本的なことを伺いたいと思いますが、都立病院で分教室は何校ありますか。また、都立病院には高等部の分教室は何校あるか、それぞれお答えください。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院内に設置されている分教室は、小児総合医療センターに設置されております武蔵台学園府中分教室の一校でございまして、高等部は設置されておりません。

○白石委員 今答弁あったとおり、小児がんの拠点病院である都立小児総合医療センター内には、武蔵台学園の府中分教室があります。しかし、小学部と中学部はあるんですけれども、高等部は設置されていないということです。
 次、伺いたいと思います。都立病院の分教室には何人の子供たちが在籍をしているか、年代別の内訳も併せて伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 令和四年十月の在籍児童数は、小学部二十五人、中学部二十三人、合わせて四十八人でございます。

○白石委員 小中学生合わせて四十八人が、病気を抱えながらも分教室に通っているということです。
 例えば小学部の分教室に通っている子供たちは、病室からランドセルを背負って通って、病気を感じさせないほど楽しそうに学んでいるというような姿、我が党のアオヤギ都議も質問で取り上げました。
 現在、都立特別支援学校の病院内分教室は五つあります。都立墨東特別支援学校の国立がんセンター内にあるいるか分教室、光明学園の国立成育医療研究センター内にそよ風分教室、北特別支援学校の東京大学医学部附属病院内のこだま分教室、小平特別支援学校の国立精神・神経医療研究センター病院内の武蔵分教室、そして武蔵台学園の都立小児総合医療センター内の府中分教室、五つあります。それぞれ特別支援学校と国立や都立の病院が連携して分教室を開設しております。
 ところが高等部というのは、都立小児総合医療センター以外の全ての病院には、四つ高等部というのは設置をされています。都立小児総合医療センターだけ高等部が設置されていないというのが今の現状です。改めて、都立小児総合医療センターに高等部を設置するべきだと強く要望したいと思います。
 そこで、高等部の分教室は、小児総合医療センターに必要がないのかについて、一校だけないですから、何でないのかという疑問、皆さんも多分生じると思うんです。高等部の分教室、小児総合医療センターに必要ないのかどうなのか、やっぱり明らかにしなければならないというふうに思います。
 そこで伺いたい。小児がんなどで長期入院し、令和三年度中に退院した十五歳から十八歳までの子供は何人いるか、明らかにしていただきたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 令和三年度に小児総合医療センターを退院した患者のうち、連続して三か月以上入院した十五歳から十八歳までの患者は、身体疾患が四人、精神疾患が十五人、合わせて十九人でございます。

○白石委員 退院した人数で聞いたのは、小児総合医療センターでは、年齢別で現在入院している子供たちが整理されていないということだったので、昨年度中に退院した人数だったら出せるというふうになりましたので、だからそういうふうに伺ったということです。
 これ要望しておきたいと思いますが、今後、分教室に通う十五歳から十八歳の子供たちが、どのぐらいの人数がいて、入院期間はどのくらいなのか、こういうふうな統計を取るように改善していただきたいというふうに思います。これから資料要求でも求めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 先ほどの答弁でも明らかなように、昨年度中に高等部が対象となる長期入院患者は少なくとも十九人いたという答弁です。それでは、もう一個聞きたい。再入院した十五歳から十八歳の子供は何人いるでしょうか。

○齋藤都立病院支援部長 連続して三か月以上入院した患者のうち、退院後再入院した患者は、身体疾患で三名、精神疾患で三名、合わせて六名でございます。

○白石委員 再入院も六人いたという答弁になります。
 対象となる子供たちが、小児総合医療センターには多くいるということが、今それぞれの答弁で明らかになりました。関係者の方々も、教育を求めている高等部対象の年齢の子供たちは、小児総合にたくさんいると訴えております。
 中央区にある国立がんセンターにある分教室、いるか教室で高校教員として働いていた佐藤比呂二先生、この分教室で見てきた高校生たちの体験談を子ども理解と特別支援教育という本でまとめております。今日、私、持ってきましたけれども、ぜひとも後で皆さんも読んでいただきたいと思うんです。
 そこには、病気になった子供たちにとって、学びが治療に向き合う重要な役割を果たしていることがリアルに書かれております。ぜひ局長も含めて、これから紹介しますので、聞いていただきたいというふうに思います。
 この佐藤比呂二先生、病弱教育一年目、初めて担任した高校生の慶太君、仮名です、この慶太君との出会いです。慶太君は小児がんを抱える高校生です。再発もあり両足を切断している。肺に転移があり予後が厳しいという大変厳しい病状が慶太君です。しかし、慶太君は、病気と闘う仲間みんなにとって分教室は笑顔があふれる楽しい場でなければならないと、いつもそう考えている高校生だったそうです。出会って半年がたとうという頃、病状は深刻さを増し、視力を失い始めました。社会見学の日、慶太君は、行っても見えないから行かなくていいや、残るという、そういう慶太君と比呂二先生、二人で教室で過ごしていたとき、慶太君が次のことをいいました。比呂二先生、俺、昨日で余命一年を超えたんだぜ、すごくない!?と慶太君がいいました。それから一か月足らずで、慶太君は寝たきりになり、ご家族も病室に寝泊まりして残された時間を共に過ごす毎日となりました。そんなとき、授業の合間を縫って比呂二先生が病室に行きます。慶太君が寝たままの状態で酸素マスク越しに言葉を発しました。どういう言葉を発したか。くぐもって聞き取りにくかったと比呂二先生、書いてありますが、はっきりとその後聞こえました。皆さん、さようならと、比呂二先生に慶太君はいいました。しかし、比呂二先生は心が受け止められず、えっと聞き返しました。すると、慶太君はもう一度繰り返しました。皆さん、さようなら。その三日後に慶太君は亡くなりました。慶太君の最後の言葉は、皆さん、さようならとなりました。慶太君は、自分の命が燃え尽きるのを覚悟し、いるか教室のみんなへのきちんとした別れの挨拶を託したかったのだと比呂二先生は著書で振り返っております。後日、慶太君の母親からは、余命は一年じゃなかったんです、一年前に医師からは、君のこの状態で三か月生きた子はいないよと告げられていたということが明らかになりました。それでも慶太君は、じゃあ、先生、俺は一年頑張る、だから、俺のデータ全部取ってくれよ、そして、これからの子に役立ててくれよと。一年を超えたというのは、自分で決めた余命の一年を超えたということです。
 私はこれ読んで、慶太君が余命幾ばくもないと知りながら、明るく前向きに過ごしたのは、そこに仲間がいて、一緒に学びがあったからだと思います。それが彼の人生を豊かにしたのだと思います。たとえ短い人生であったとしても、彼は立派に生き抜いたんだと、読んで思いました。その環境をつくっているのが分教室、高等部です。いるか教室です。
 そこで伺いたいと思います。こども基本条例に、子供の学ぶ権利とはどのように位置づけられているかお伺いしたいと思います。

○山本企画部長 東京都こども基本条例は、子供を権利の主体として尊重することを理念として掲げ、都が取り組むべき施策の基本となる事項を定めたものでございます。
 条例第八条では、都は、子供の学ぶ意欲や学ぶ権利を尊重し、子供の可能性を最大限に伸ばすことができるよう、一人一人の個性に着目し、自立性や主体性を育むために必要な環境の整備を図るとともに、子供に寄り添ったきめ細かな支援に取り組むものとすると規定しております。

○白石委員 ご答弁ありがとうございます。
 子供の権利を定めたこども基本条例では、学ぶ権利が位置づけられています。答弁どおりです。第八条です。病弱であっても、全ての子供に学ぶ権利があることを東京都は条例で位置づけたんです。これは議員提案で、全会派が一致してつくられました。
 この学ぶ権利、こども基本条例に照らしても、やはり小児総合医療センターに私は高等部分教室、つくられていないんですから、つくるべきだと。それは教育庁が中心になるかもしれない。でも、病院サイドからだっていうべきだと。福祉保健局からいえばいいと、改めて訴えたいと思います。
 最後に、改めて伺いたいと思います。都立病院における分教室があることの重要性、どう認識しているか、お答えいただきたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 治療のために入院せざるを得ない児童が、病気に向き合う気持ちを育てながら学ぶ意欲に応え、学習の遅れを防ぐとともに、退院後の学びに円滑につなげられるよう、小児総合医療センターでは、都立武蔵台学園が運営する小学部及び中学部の分教室を設置する教育庁に病院内のスペースを貸与いたしまして、入院中の子供の学習環境に配慮してございます。

○白石委員 今答弁で、病気に向き合う気持ちを育てながら学ぶ意欲に応えるという答弁でした。
 いるか教室の別の高校生は次のように話しています。いるか教室がなかったら、もし共に過ごす仲間がいなかったら、もしカーテンを閉め切ったベッドの上でひたすら天井を見詰める入院生活だったら、つらい治療を乗り越える体力も意思も、全くなくなってしまったのではないかと当事者が話します。比呂二先生は、院内学級は誰一人望んで来る子はいない場である。だからこそ、病気によって失われた生活を補うという発想ではなく、病気によって始まった新しい生活をできるだけ輝かせることに力を注ぎたいと。院内学級は、仲間と出会い、つながる大切な場であります。治療に向かうエネルギーを生み出す場でもあると、このように比呂二先生、つづっております。
 医療という観点からも、分教室や院内学級が果たす役割というのは、今、私この間紹介してきたとおり、重要性があるんだと私たちに教えてくれているんじゃないかと改めて思います。
 その立場で、教育庁と都立小児総合医療センターに高等部の分教室を設置するよう、福祉保健局からも積極的に働きかけを行っていただきたい、これを改めて強く要望いたしまして、質問を終わります。

○竹井委員 よろしくお願いいたします。ちょっと駆け足になります。
 まず、女性特有のがん対策について伺います。
 乳がんや子宮頸がんなど、女性に特有のがん対策を推進するために、がんに関する正しい知識の普及啓発によって検診受診率を向上させていくことが必要と考えます。
 女性特有のがんの検診受診率のさらなる向上に向けた都の取組について伺います。

○播磨新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務 都は、毎年十月の乳がん月間や三月の女性の健康週間におきまして、乳がんや子宮頸がん検診の受診促進のための啓発を集中的に展開しております。
 今年度は、乳がん月間の取組といたしまして、専門医が乳がん検診の重要性を伝えるオンラインセミナーを実施するとともに、女性の健康週間に合わせて、若い女性に影響力のある著名人と専門医による子宮頸がんをテーマとしたオンライントークイベントを開催いたします。
 また、女性の健康な生活や女性特有の病気に関する情報を発信するポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部におきまして、乳がんや子宮頸がんなど、女性の健康課題について分かりやすく解説したコラムの定期的な配信も開始しており、今後とも、女性特有のがん検診の受診率向上に向けて取り組んでまいります。

○竹井委員 ありがとうございます。
 一方で、地域のがん患者の中にも、先ほどもお話のあったピアサポーターを養成して、患者に配慮した寄り添いのできる体制を整えたい、がんになっても安心して暮らしていけるまちづくりの一助としたいという思いで、がんサロンを当事者の方が立ち上げられるような動きも私の地元でもございます。
 このような地域のがん患者のコミュニティサロン、こういった創設に向けて、都としてサポートすることへの見解を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 共通する患者経験を持つ人たちが集まり、お互いの悩みや不安の共有、情報交換、交流などを行うことは、がん患者や家族の心の支えとなっております。
 がん診療連携拠点病院や都が設置しているAYA世代がん相談情報センターにおいては、患者同士の交流の機会を確保するため患者サロン等を実施するなど、患者や家族の不安や悩みに応える取組を行っておりまして、今後とも、こうした支援を継続してまいります。

○竹井委員 地域では当事者自身が立ち上がっています。がんの死亡率は低下をしていますけれども、がんになっても治療しながら生活することが可能な時代です。
 しかし、治療が終わったとしても、再発のおそれも感じながら暮らしている人は大勢います。そのような悩みを話し合ったり情報交換をする場所として、当事者が立ち上げるサロンは大変有効だと思っています。東京都としても、ぜひサポートをしていただくように要望いたします。
 それから、今お話のありましたAYA世代のがん患者への支援について伺います。
 がん患者の多くは経済的な問題に直面します。特に子育て中の患者の経済的負担は大きく、高額療養費制度を利用しても苦しい状況となります。治療のために食費や被服費を削減したり、レジャー、外食などを控えたり、または貯蓄を切り崩す方も多いということです。治療費以外にもウイッグなどの経費も負担となってまいります。
 千葉市では、若年のがん患者が自宅で安心して療養生活を送れるよう、介護保険の対象ではない四十歳未満のがん患者が介護サービスを利用する際の費用も助成をしておりますが、このことについて都の見解を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業の実施やAYA世代がん相談情報センターの設置など、AYA世代がん患者の多様なニーズに応えた支援に取り組んでおりますが、AYA世代のがん患者は介護保険の対象外であるため、在宅で介護サービスを利用する費用は全額自己負担となっていることから、都は国に対し、介護保険制度と同様の支援が受けられる仕組みの構築などを提案要求しております。

○竹井委員 AYA世代、働く方が多い一方で、貯蓄額も少なく、医療、がん保険も未加入者も多いという経済的な困窮のリスクが高い、そういった特徴があります。先ほどの介護保険の対象外のため、もし終末期を迎えることになって、在宅で介護サービスを利用したいと思っても、全ての費用を自費で負担することになってしまいます。
 ご答弁では、国への提案要求とのことでしたが、これはぜひ都としても取り組んでいただきたいと思います。先ほどは千葉市の例を挙げましたが、和歌山県、鹿児島県等で県単位でも始まっています。都内では江戸川区のみの実施です。
 がん患者の二・二%がAYA世代とのことです。制度のはざまに陥っているこの世代に手を差し伸べること、都として取り組むことの意義は大変大きいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、小児がん患者への支援について都の取組を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、小児がん患者の相談支援や普及啓発の充実に向け、東京都小児・AYA世代がん診療連携協議会の下に相談情報部会を設置し、議論を進めております。
 相談支援につきましては、小児がん患者や家族の相談に的確に対応できるよう事例検討を行い、事例への具体的な対応方法などについて、小児がん拠点病院や診療病院間で共有をしております。
 また、普及啓発につきましては、患者、家族に向けまして、安心して治療に専念し、より充実した生活を送ることができるよう、毎年リーフレットを作成しており、都内で小児がんの診療を行っている医療機関や患者団体に配布をしております。

○竹井委員 大阪府では、入院中あるいは退院後復学していない小児がん患者が、学校のクラスメートと遠隔でコミュニケーションを取るための機器や通信費、復園、復学の支援事業などを行っておりますので、ぜひ参考にしてほしいと思います。
 がん対策についての最後に、建設国保組合から毎年要望のあるがん対策費用への財政支援についてですが、建設業事業者では、特にアスベストによる肺がんや悪性中皮腫を発症する人が増加しております。がんのリスクが高い建設労働者への財政支援を重ねて要望いたします。
 次に、障害者施策について伺います。
 初めに、聴覚障害。
 本年九月に手話言語条例が施行されました。六月の条例制定以降、福祉保健局として取り組んだことについて伺います。

○中川障害者施策推進部長 本年六月に手話言語条例が制定したことを受け、ポスターやリーフレット、ホームページなどにより、条例の意義や内容の周知を図っております。

○竹井委員 都は、都庁舎や事業所で導入しているQRコードを活用した遠隔手話通訳について、本年九月からサービス提供時間を拡充したということですけれども、これまでの利用実績と今後の普及について伺います。

○中川障害者施策推進部長 都庁舎等で実施しております遠隔手話通訳の利用実績は、令和二年十一月の開始以降、令和四年九月までで延べ七十七件でございます。
 本年七月に実施いたしました庁内職員向けの手話言語条例の説明会におきまして、遠隔手話通訳を改めて周知しており、今後さらなる利用促進に向け、使い方を紹介する動画も作成することとしております。

○竹井委員 手話を使わない聴覚障害者もいらっしゃいますけれども、要約筆記による情報保障が有効であると考えております。
 都のイベントにおいて手話通訳や要約筆記をつけることについて、各局にはどのように働きかけをしているのか伺います。

○中川障害者施策推進部長 聴覚障害者が参加する会議や説明会、イベントなどを開催する場合は、本人の希望に応じて手話通訳者や要約筆記者などの配置が必要であることを各局に周知しておりまして、本年七月の庁内職員向けの説明会でも、改めて取組を促しております。

○竹井委員 我が会派の斉藤議員とイベントに出席した際に、動画を使った演出があったにもかかわらず、画面に字幕がつけられておらず、情報保障が得られず大変残念な思いをしたことがあります。
 手話を使わない聴覚障害者には、動画であれば字幕、また要約筆記などによって情報保障をすることが必要であると思いますので、重ねてお願いをいたします。
 また、都の関連施設において、耳マークを含めた障害者に関するマークの普及にはどのように取り組んでいるのか伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害や障害者について知り、身近な問題として考える機会となるよう、毎年十二月の障害者週間におきまして、耳マークなどの障害者に関するマークを紹介するポスターを作成しており、庁内各局にも配布し、周知を図っております。

○竹井委員 先日、我が会派の代表質問においては、ほじょ犬マークを車椅子対応トイレにつけることについて要望させていただきまして、過日、都庁の車椅子対応トイレに掲示をされたところです。これは、訓練された補助犬は、トイレ内においてシーツやベルトつきの袋などにきちんと排せつすることが可能であって、その意味で車椅子対応トイレを使用することがあるということを知っていただく意味もあり、当事者の皆さんからのご要望で実現したものです。今後とも、それぞれの当事者の意見を聞き取って、普及に努めていただきたいと思っております。
 次に、雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業について伺います。
 テレワーク等であれば就業できる障害者も、就業時間中の公的介護ヘルパーの利用が認められずに就労できない現状があることから、国が雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業を創設したことは大変重要です。
 そこでまず、本事業の概要について伺います。

○中川障害者施策推進部長 本事業は、令和二年度に創設され、現在、国の地域生活支援促進事業に位置づけられているものでございます。
 職場やテレワーク等における重度障害者等の介助や通勤の支援について、雇用施策と福祉施策が連携して実施する区市町村の事業でございます。

○竹井委員 実施主体が市区町村とのことだったんですけれども、都内ではどれぐらいの市区町村に取組が広がっているのかについて伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 都は、区市との会議等を通じて本事業の実施を働きかけており、現在、都内の自治体では一区が実施しているほか、新たに三つの自治体が今年度中の開始を検討しております。

○竹井委員 承知をいたしました。自治体間で格差につながることがないように、全ての自治体で取り組んでいただきたい事業というふうに考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。
 次に、発達障害におけるペアレントメンター養成・派遣事業について伺います。
 都では、発達障害のある子の養育経験を持つメンターの養成、派遣を平成二十九年から開始しております。心配なのは、コロナ禍においても途切れることなく事業が進められてきたかどうかということなんですが、ペアレントメンター事業をどのように進めてきたのかについて伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、発達障害者支援センターにおいて、発達障害のある子供を持つ親が、自らの子育ての経験を生かして子供への関わり方の助言などを行うペアレントメンター養成・派遣事業を実施し、地域の取組を支援しております。
 コロナ禍においても必要な養成を行うとともに、ペアレントメンターの派遣についても、感染症対策に十分留意した上で、地域の依頼に基づき適切に対応しております。

○竹井委員 コロナ禍においても、途切れることなくということで理解をいたしました。ありがとうございます。
 次に、失語症について伺いたいと思います。
 失語症者向け意思疎通支援者養成講習会の規模とその実施内容について伺います。

○中川障害者施策推進部長 失語症者向け意思疎通支援者養成講習会は、必修基礎コースが定員四十名、応用コースが定員二十名で実施しております。
 必修基礎コースは、一対一のコミュニケーションを行うために必要な技術などを身につける内容、応用コースは、コミュニケーション技術の向上を図る内容となってございます。
 必修基礎コース、応用コースとも、講習会場で講義と合同実習を九日間実施するほか、必修基礎コースでは、失語症者が集まる各地域の当事者の会で実習を行っております。

○竹井委員 この関係は、ぜひ多摩地域でも開催するべきだというふうに思っておりますけれども、ご見解を伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 講習会場は、実施内容や受講規模等を踏まえて決定しております。サロンでの実習は、多摩地域でも実施しております。

○竹井委員 はい、分かりました。
 コロナ関連について伺いたいんですけれども、新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えての取組について伺いたいと思います。

○関口感染症対策部長 南半球のオーストラリアでは、季節性インフルエンザが三シーズンぶりに流行が拡大し、日本でも、この冬の新型コロナとの同時流行の可能性が指摘されてございます。
 このため、この冬はオミクロン株とインフルエンザの同時流行を見据えまして、医療提供体制を整備していく必要がございます。
 都は、九月のモニタリング会議におきまして、今冬の感染拡大に向けた課題と対応の方向性の骨子を公表いたしました。
 同時流行に備えた検討に当たりましては、例えばインフルエンザ患者とコロナ患者は一見見分けがつきにくいなど、医療現場における課題を踏まえ、実践的な検討が必要でございまして、専門家の意見を伺い、検討を実施しております。

○竹井委員 ここで、インフルエンザとの同時流行に備えて、コロナとインフルの同時検査可能な検査キットを確保すべきですがという質問をしたかったのですけれども、先ほどと重複をいたしますので割愛をさせていただきます。
 ご用意をいただくということで、安心をしておりますが、もう一点、先日発生した陽性者登録センターにおける個人情報の誤送信についても、再発防止策について伺いたかったのですが、これも重複いたしますので割愛をいたします。どうぞ再発防止に努めていただきたいとお願いをしておきます。
 それから、認知症施策について伺ってまいりたいと思います。
 コロナ禍が認知症施策の取組に与えた影響を踏まえて、どのように対応しているかについて伺いたいと思います。

○花本高齢者施策推進担当部長 都は、認知症疾患医療センターを設置し、専門医療を提供するとともに、認知症カフェや家族相談会の開催などを支援しておりますが、コロナ禍では対面での活動が困難となったため、認知症カフェ等の取組や面談による相談支援をオンラインで実施するなど、本人、家族等への支援に継続して取り組んでおります。
 また、都民の認知症に対する理解を深めるためのシンポジウムやセミナーは、集合形式からオンラインに切り替えて実施するほか、医療従事者や介護従事者等への研修についても、eラーニングやライブ配信を活用して実施するなど、普及啓発や人材育成の取組を継続して実施しており、コロナ禍においても、認知症の方とそのご家族が地域で安心して暮らすことができるよう、認知症施策を推進してまいります。

○竹井委員 それでは、東京都認知症施策推進会議専門部会、この最近の取組について伺いたいと思います。

○花本高齢者施策推進担当部長 都は、認知症になっても地域で安心して暮らせるまちづくりを推進するため、平成十九年度から、学識経験者、医療、介護関係者、都民等から成る東京都認知症施策推進会議を設置し、認知症の人と家族に対する支援体制の構築に向けた方策について検討しております。
 推進会議では、必要に応じて専門部会を設置することとしており、これまでに認知症疾患医療センターの在り方や若年性認知症の方への支援体制についてなど、七つの部会を設置してきました。
 直近では、認知症ケアに携わる医療従事者等の人材育成の在り方について検討するために設置した認知症医療支援体制検討部会で、令和二年六月に報告書を取りまとめ、それを踏まえて認知症サポート医に対する研修カリキュラムを見直すなど、施策の充実につなげております。

○竹井委員 地域でも認知症サポーターをどのように増やしていくかということ、これについては課題になっていますが、都としては、どのように増やし、より一層活動を促進するように、どのように取組をしているのかということについて伺いたいと思います。

○花本高齢者施策推進担当部長 都は、認知症の方を地域で支えるため、認知症サポーターの養成に取り組む区市町村を包括補助で支援するとともに、サポーター養成講座の講師の育成を実施し、令和四年九月末時点で、都内で約九十五万人の認知症サポーターを養成しております。
 また、養成したサポーターの活動促進に向け、認知症の人や家族の支援ニーズと認知症サポーター等をつなぐ仕組みであるチームオレンジを令和七年度までに全区市町村に整備することとしており、都はその中核となり、立ち上げや運営支援を行うコーディネーターの養成研修を実施しております。
 今後とも、区市町村と連携して、認知症サポーターの養成や活動の促進に取り組んでまいります。

○竹井委員 チームオレンジ、令和七年度までに全区市町村にということで、三年度末は十区市というふうにも伺っております。今、鋭意取組をしていただいていると思いますけれども、この促進について、七年度までにということですので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから、次に、多摩地域の都の保健所について伺ってまいりたいというふうに思います。
 新型コロナの感染拡大を受けまして、いうまでもなく、保健所の感染症業務が逼迫しました。こうした状況を改善するために、どのように対応してきたかについて伺いたいと思います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都はこれまで、都保健所における応援職員の配置や会計年度任用職員等の活用、業務の委託化などの体制強化や負担軽減に取り組み、感染状況に応じた体制を確保してまいりました。

○竹井委員 多摩地域の保健所ですね、所管の人口が多くて面積が広いという課題があります。二次医療圏における複数の保健所の設置など、体制強化を検討すべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 住民に身近な保健サービスは市町村が、より専門的なサービスは保健所が実施するという地域保健法の考え方に基づき、都保健所は二次保健医療圏に一か所設置をしておりまして、広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策の重要な役割を担っております。
 なお、今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組を検証した上で、改めてその在り方を検討していくこととしております。

○竹井委員 コロナ禍での取組の検証を行って、在り方を検討していくということでしたので、少し安心をしておりますが、今年立ち上げ予定というふうに伺いました。多摩地域では、このことも多摩格差の一つだというふうにもいわれております。ぜひ、取組に期待をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、アルコール依存症について伺います。
 ずっとこの間、質問の中でコロナ禍の影響というところを伺ってまいりましたけれども、アルコールについては、アルコール依存症の症状悪化、新たに依存症と診断されるケースが増えているともいわれておりますが、都としては、コロナ禍がアルコール摂取に与えた影響をどのように捉えているかについて伺います。

○石黒障害者医療担当部長 長引くコロナ禍において、様々なストレスに対処するため、飲酒量が増え、アルコール依存症と診断されるケースが増えていることが、一部の海外で報告されていることは承知しております。
 都の依存症相談拠点である精神保健福祉センターにおいても、在宅勤務等による生活スタイルの変化やコロナ禍で職を失ったなどの理由で飲酒量が増加したという相談が一定数寄せられております。

○竹井委員 それでは、女性について、女性のアルコール摂取の傾向についてはどのように捉えているか、見解を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 過去三回の健康に関する世論調査における飲酒をする人の割合の推移を見ると、男性は、平成二十四年七〇・九%、平成二十八年六八・五%、令和三年六八・七%とほぼ横ばいであるのに対し、女性は、平成二十四年四六・五%、平成二十八年四四・一%、令和三年五〇・一%となっており、前回と今回の調査との比較では増加しております。

○竹井委員 女性のアルコール摂取について、ちょっと増えているのではないかということでした。
 アルコール依存症については、今、アルコール健康障害対策基本法やそれに基づく基本計画が作成されるなど、依存症対策の取組が求められているところですけれども、都におけるアルコール依存症を防止するための施策について伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、アルコール依存症に関するリーフレットの作成や啓発フォーラムの開催などにより、依存症への正しい理解を図ることで、予防も含めた啓発を行うほか、生活習慣改善の点からも適切な飲酒のポイントを紹介しております。
 また、保健所では、依存症の基本的な知識の普及や相談窓口の周知を図るとともに、地域の実情に応じて講演会などの普及啓発を行っております。

○竹井委員 アルコール依存症もそうなんですけれども、各種依存症のメンタルケアのために、相談窓口を拡大していく必要があるのではないかというふうに考えておりますが、その取組について伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、依存症対策の強化を図るため、平成三十一年から、都内三か所の精神保健福祉センターを都の依存症相談拠点に位置づけております。
 依存症相談拠点では、アルコールによる健康障害や薬物依存症、ギャンブル等依存症に関する専門相談を行うとともに、当事者、家族を対象として、正しい知識や対応法を学ぶプログラム等を実施しております。

○竹井委員 次に、ひきこもり支援について伺います。
 またコロナ禍の影響ですが、コロナ禍でさらにひきこもりは孤立化リスクが高まっていると思いますが、いかがでしょうか。

○高橋生活福祉部長 東京都ひきこもりに係る支援協議会の提言では、新型コロナウイルス感染症の影響により、保健師等の訪問活動の減少や居場所の運営の中止等が懸念される一方、オンラインの活用により、当事者やその家族の相談へのハードルが下がる可能性があるとされております。
 このため、都は今年度、補正予算により、インターネットや新聞広告による普及啓発を強化するとともに、同じ悩みを共有できる元当事者やその家族が関わるピアオンライン相談を拡充しており、こうした取組を通じて当事者やその家族の孤立を防ぎ、支援につなげていくこととしております。

○竹井委員 こういった支援には、自治体による実態把握が不可欠ですけれども、市区町村との連携について伺いたいと思います。

○高橋生活福祉部長 都は令和二年度に、区市町村の協力も得て支援の現状等に関する調査を実施し、その結果を区市町村にも提供いたしました。
 また、都と区市町村によるひきこもりに係る支援推進会議におきまして、支援対象者の実態やニーズの把握につきまして、江戸川区、豊島区、足立区の取組を共有するなど、各区市町村が地域の事情に応じた方法で実施するよう促しております。

○竹井委員 分かりました。
 相談窓口設置についての支援はいかがでしょうか。

○高橋生活福祉部長 都は、支援推進会議におきまして、施策や好事例を区市町村と共有しているほか、東京都ひきこもりサポートネットにおいて、地域の実情に応じた連携づくりを支援しており、現在、都内全ての区市町村で、ひきこもりに関わる相談窓口が設置されております。

○竹井委員 全ての市区町村での窓口が設置済みということを確認いたしました。
 次に、動物愛護につきまして伺います。
 動物の殺処分ゼロということも、ずっとこの間、掲げておられたかと思いますが、まずは、動物の引取り数、それから致死処分、返還、譲渡率の目標とその実績について伺いたいと思います。

○藤井健康安全部長 都は、平成二十六年三月に改定した東京都動物愛護管理推進計画におきまして、動物の致死処分数のさらなる減少を目指した取組に関しまして、平成二十四年度実績値に対する平成三十五年度の数値目標を設定いたしましたが、全ての項目につきまして、令和元年度に前倒しで目標を達成しております。
 その目標値と令和元年度における実績につきましては、動物の引取り数では一五%削減という目標に対しまして実績は八四・〇%減少、動物の致死処分数は二〇%削減という目標に対しまして実績は八七・二%減少、犬の返還、譲渡率は八五%以上に増加するという目標に対しまして実績は九七・七%増加、猫の返還、譲渡率は二〇%以上に増加するという目標に対しまして実績は四四・〇%増加となっております。

○竹井委員 非常に前倒しで、目標が達成できているということです。致死処分も、けがを減らしていく等の取組で非常に実績が上がっていまして、猫は返還が少ないというところは、犬に比べて特徴的なところがあると思うんですけれども、実績が上がっているということで確認をさせていただきました。
 殺処分ゼロは、平成三十年にゼロになったのかなというふうに思っているんですけれども、その継続に向けた都の取組について伺いたいと思います。

○藤井健康安全部長 都は、動物の引取り、収容数を減少させるため、飼い主が責任を持って最後まで適正に飼うことができるよう、イベントや東京都動物情報サイト、ワンニャンとうきょうなどにおきまして普及啓発を実施するとともに、地域における飼い主のいない猫対策を推進する区市町村を支援してまいりました。
 また、保護された動物の譲渡を進めるため、離乳前の子猫や負傷動物の譲渡の際には、ミルクや保護用具等の物資を提供するとともに、都独自に動物譲渡促進月間を定めて広報を実施しております。
 今後もこうした取組を通じて、平成三十年度に達成した殺処分ゼロを継続してまいります。

○竹井委員 健康上の理由で飼い主が飼養を継続することが困難となった場合には、身近な地域で相談や支援が受けられる体制づくりを推進する施策が必要ですけれども、その進捗状況について伺いたいと思います。

○藤井健康安全部長 都は令和二年度から、区市町村包括補助事業といたしまして、地域における動物の相談支援体制整備事業を開始いたしまして、令和二年度は一区が、令和三年度は三区が本事業を活用した取組を実施しております。
 取組に当たりましては、区市町村が動物愛護のノウハウを持つボランティア団体の協力を得て、飼い主等への相談支援や動物の一時保護、譲渡などを行うこととしておりまして、都はこれに係る経費を補助しております。

○竹井委員 次に、附属機関等の女性委員の比率について伺いたいと思います。
 福祉保健局の附属機関等における女性委員の比率は、全体の任用率が三四・四%です。どちらの性も四〇%以上とする目標に達していない附属機関等もあるかと思いますが、現状の分析と今後の取組について伺います。

○高野総務部長 福祉保健局の附属機関等は、審査の鑑定を目的とするものも多く、その性質上、委員は特定の専門分野に精通した医師等の専門職となるため、専門分野によりましては女性委員の確保が困難な場合もございます。
 そのため、改選期に合わせまして、現職の委員に次代を担う女性候補者の推薦や、委員の推薦団体となります医師会、歯科医師会、薬剤師会等に、都の制度に沿った候補者の推薦等を依頼することとしており、引き続き改選期を捉え、専門性を確保しながら附属機関等の女性委員比率の目標達成に向けまして、委員の選任を行ってまいります。

○竹井委員 女性委員の比率の目標達成ということでしたけれども、もちろん男性の比率の目標達成もお願いをしたいと思います。
 最後に、病院についてです。
 独法化して給料が減額されたという相談があったんですけれども、どうなっているのかについて伺います。

○齋藤都立病院支援部長 独法への移行に伴います一時的な対応といたしまして、特殊勤務手当等の実績給について分割支給がございましたが、独法化前後で同水準の基本給を維持してございます。
 新たな都立病院では、職員の専門性に着目した手当や看護師の夜勤回数に応じた手当など、能力、勤務実績を適切に反映する人事給与制度を構築しております。

○竹井委員 地域手当が廃止された結果、地域手当に反映されていた扶養手当の分が減額になっているので、少し減額となる人が出てきたということだと理解をしています。
 これについては、能力や勤務実績を適切に反映する人事給与制度を構築していくとのご答弁でしたけれども、しかし、中には子育てや介護で夜勤もままならず、いっとき実力が発揮できない方もいらっしゃると思います。
 エッセンシャルワーカーとして、この間、コロナ禍、感染リスクとも闘ってきた皆さんですので、金額の多寡ということではなくて、不利益の出ないように取組をお願いいたします。
 以上で終わります。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時三十七分休憩

   午後七時五分開議
○内山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○上田委員 まず、社会的養護についてお尋ねしたいと思います。
 乳幼児里親委託についてです。
 かねてより要保護児童の施設在所期間が長いと指摘してきました。日本が批准している子どもの権利条約二十条やそれに基づく総括所見で、明確に施設養護を否定しております。
 昨年、事務事業質疑では、ゼロ歳児、一か月未満の赤ちゃんを養育家庭などに委ねていなかった理由について明確にお答えいただけず、都としては、できるだけ早期の交流開始に努める、二年度に委託した十二件は、全て生後一か月未満で交流を開始しているということでした。私は交流ではなくて、すぐに縁組をと思っています。
 愛着障害の視点から、出産直後にでも委託すべきであり、なぜ実現できないか、改めて理由を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、特別養子縁組が児童の最善の利益にかなうと判断した場合には、新生児のうちに里親委託を行います新生児委託推進事業を実施しております。
 委託に当たりましては、乳児院への通所交流や里親宅での外泊交流などを通じて里親子の関係性を丁寧に構築する必要があり、委託が決定するまで二か月程度の交流期間を要する場合もございます。
 都としては、できるだけ早期の交流開始に努めておりまして、令和三年度に委託した八件は、全て生後一か月未満で交流を開始しております。

○上田委員 施設の在所期間が長いということが問題なんですけれども、厚労省の調査の簡略化で今回は在所期間別児童数が出せないということで、要求資料についていません。ぜひ独自の調査を都にはお願いしたいと思います。
 そして、事前に里親育成、事前の研修、やり取りなど、実現できると思いますけれども、東京より予算の少ない愛知県名古屋方式は赤ちゃん縁組ができて、なぜ東京では、人材も予算も多いというのにできないのか、お答えいただければと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童福祉法では、子供が家庭において健やかに養育されるよう保護者を支援することを原則とした上で、家庭における養育が困難または適当でない場合には、里親等への委託を進めることとされております。
 特別養子縁組を前提とした里親委託に当たりましては、まずは実親と実子の関係を最も重視すべきであるとの観点から、妊娠中だけでなく、出産後改めて実親に養育の意思を丁寧に確認することが重要でございます。
 実親の意思を確認した後も、養子縁組に当たりましては、里親の養育力や里親子の関係を慎重に評価する必要があることから、都では、乳児院を活用して一定期間、里親子の交流支援を行い、交流の状況を確認した上で手続を進めております。

○上田委員 新生児委託推進事業、もう進めていると思いますが、二十九年度の事業開始以来、昨年十月まで二十八名委託ということですが、現時点では何名であり、全児童の年齢を教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 新生児委託推進事業開始以降、昨年度末までに三十二名の児童を委託しておりまして、全てゼロ歳での委託となっております。

○上田委員 一期目のときは、なかなかゼロ歳委託が珍しかったので、一歩前進というふうに受け止めております。しかし、妊娠中から検討していただきたいという特別養子縁組、こちらの方、現在も進めていないのか、今後検討するのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 妊娠中から相談を受けて、出産後、乳児を特別養子縁組することとなったケースの人数及び実績につきましては、把握しておりません。

○上田委員 ぜひ把握をお願いします。
 平成二十六年から実施している妊娠相談ほっとラインですが、開始以来、利用者が伸び悩んでいるように資料を見ると見受けられますが、このほっとラインで、出産後子供を育てられないなど継続的な支援が必要と思われる相談があった場合には、区市町村につないでいるとのことですから、若年層への浸透、活用などの実績と課題、伸び悩んでいることへの課題認識についてお答えいただければと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、妊娠や出産に関する様々な相談に応じるため、妊娠相談ほっとラインを実施しております。
 過去三か年の相談実績は、令和元年度が四千百二十四件、二年度が四千六百八十五件、三年度が四千二百二十七件でございます。このうち十九歳以下は、令和元年度が五百七十三件、二年度が五百十一件、三年度が三百五十八件となっております。
 また、令和二年十一月から、若者が利用しやすいようLINEを活用したチャットボットを導入しておりまして、友達登録数は令和四年九月末日時点で約二万六千人でございます。これらを広く周知するため、PR用のカードを保健所、保健センター、高校、大学、ネットカフェ等に配布するほか、インターネット広告も実施しております。

○上田委員 いろいろなツールをご用意しているようですけれども、若者が集まりやすい、いろいろな場所に置くことも提案させていただきます。
 予期せぬ妊娠について、特別養子縁組につなげるためにも、児相につながった事例などあればご報告ください。区市町村への相談をためらう人たちについては、民間団体を活用して産科等医療機関などへの同行や、福祉事務所や児童相談所など関係機関との調整、次の支援につながるまでの緊急一時的な居場所の提供など実施もしているので、こうした事例についてもお願いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、妊娠相談ほっとラインを通じて、区市町村への相談をためらう人等を把握した場合には、民間団体を活用して産科等医療機関への同行支援等を行っておりまして、その実績は、令和三年度が十八件、令和四年度は八月までで五件となっております。
 このうち、メール相談や産科医療機関への同行等を行い、区市町村へ引き継いだものは八件、そのうち一件は、相談内容から児童相談所での対応も必要と判断したため、児童相談所にも連絡しております。
 これに加えまして、本人からメールの返信等がなかったものが七件、本人から医療機関受診を行ったと連絡をいただいたものが四件、その他が四件となっております。

○上田委員 一件一件に、赤ちゃん、そして若者の悩みが込められている件数だと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
 乳幼児の家庭養育についてですが、事務事業質疑の資料要求の中で、先ほどいったように、乳児院及び児童養護施設の在所期間を今年も求めたところ、国の方でしっかりと求めていないということでございますが、今回の資料から落としたということは説明させていただきました。
 現在、乳児院で育ち、そのまま児童養護施設に上がり、長期間あるいは最後まで施設にいる子供たちが何名いるのか把握していると思いますので、ご報告ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童養護施設に入所している児童のうち、乳児院から継続して施設に措置されている児童に関する統計はございません。

○上田委員 やっぱり赤ちゃんからずうっと施設にいるって、すごく大変な状況だと思います。国連の勧告も受けていますことから、しっかりとここは都独自で把握していただきたいと強く要望をいたします。
 そして、乳幼児期は、家庭養育が原則だということは申し上げるまでもないことです。そのような子供たちが存在していることに対して、東京都はどのような見解を持っているのか、所見をお示しください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、社会的養護の充実を推進するため、東京都社会的養育推進計画を令和二年度に策定いたしました。
 計画では、家庭における養育の困難な場合は、家庭と同様の環境における養育を優先し、里親等への委託を推進することとしております。また、虐待の影響による心身の傷や障害を持つなど、ケアニーズが高い児童に対しましては、施設において専門的なケアを実施できる体制を整備することとしております。

○上田委員 家庭養育を引き続き強く推進していただきたいと思います。
 一方、高齢児の受入先についても憂慮しております。児童養護施設が高齢児を断るので、里親へ高齢児の預かり要請が来ていることも把握しております。この件は大きな問題ではないでしょうか。
 高齢児の受入れ体制について現状はどうなっているのか、児童養護施設が断ることは本当にあるのか、その場合どうしているのか、ご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童相談所は、施設への入所が児童の最善の利益にかなうと判断した場合には、児童の状況や保護者の意向なども踏まえながら、受入れ施設を検討し、入所の依頼を行っております。
 児童相談所から入所の依頼を受けました児童養護施設では、定員の範囲内で児童の受入れを検討することとしておりまして、既に入所している児童の性別や年齢構成などを踏まえまして、受入れの可否を決定しております。

○上田委員 高齢児で、ちょっと里親さんだと、体も大きいし、やはりこの場合は施設にならざるを得ないこともありますし、その子に合わせて里親さんに過度の負担のないような形でのコーディネートをお願いいたします。
 私は、身元を明かしたくない出産、出産後、育てられないという女性の支援を率先して都立病院が行うべきと提案をし、特定妊婦の出産を都立病院に求めてきました。令和二年度は六十件、令和三年度の未受診妊婦の受入れは、何だかちょっと減ったんですけど三十七件、公社病院を含めると三十九件でした。
 内密出産制度を独自に導入している熊本市では、慈恵病院で身元を伏せての出産を望んだ妊婦の対応につき、新たに制度を利用した事例が八月から九月に二例あったと公表されています。いずれも西日本在住の成人女性とのことで、同病院が公表済みの制度を利用した出産は七例とのことです。
 東京都及び児相、福祉保健局について、イニシアチブを持って、いわゆる赤ちゃんポストの積極設置を都立、公社病院を中心とし、各病院への協力依頼をすべきと、私は指摘と要望をしてまいりました。
 都は、区市町村の支援窓口につなげるとうきょうママパパ応援事業等で支援する、妊娠相談ほっとライン等を活用する、養子縁組が最善と判断した場合は、でき得る限り新生児のうちに委託できるよう実施をしているということですけれども、都での妊娠中、出産直後の養子縁組の実績は、先ほど来、実績はないということです。
 熊本と比較しますと、これでは何もやっていないのではないかと、そしりも受けざるを得ないことになります。熊本にできてなぜ東京にできないかという機運は高まる中、東京の医療法人モルゲンロートが赤ちゃんポストを都内に設置する構想を進め、二〇二四年秋に産婦人科医院を開業してポストを併設する計画であることが報道されました。内密出産について検討するともいわれているようです。
 まず、都ではこの医療法人としっかり連携を図っていたのかいなかったのか、経緯も含めた現時点までの状況を時系列で詳細にご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 現時点におきまして、当該医療法人からの相談は受けておりません。

○上田委員 福祉保健局も関知しないままに報道発表があったということを確認させていただきました。
 本来、私は、赤ちゃんポスト設置は大歓迎なんですけど、ベビーライフにおいても、児相や都による養子縁組が進まない批判が高まる中で、安易に民間参入を促した結果、海外に赤ちゃんが渡ってしまった上に、会社は解散、一時社長は行方不明になるという、あってはならない事態となってしまいましたことから、新進気鋭の事業者には危機感を抱くものです。キッズラインもそうでしたし、前からいっていました、私は。
 慈恵病院、私も何度も視察しましたけれども、病室もあって、産婦人科施設の長い実績があって、何よりも理事長、院長、看護師長をはじめ、深い子供への愛情と実績、福祉の精神がある法人と今回手を挙げた法人は明らかに異なる医療的実績、背景を持っていると思料いたします。
 熊本と慈恵病院の連携状況を見れば分かるように、行政と赤ちゃんポストを実施する医療法人との連携は不可欠です。都には、この法人の事業開始を是とするのか、どのように対応していくのか、同法人の所属医師会や法人のある自治体とは、都は何かしら確認作業をしているのかも含め、お答えください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 医療機関などが匿名で新生児を受け入れる、いわゆる赤ちゃんポストにつきましては、その利用に至る前に妊産婦を支援することが重要でございます。
 都は、妊娠相談ほっとライン等により、妊娠や出産に悩みを抱える妊婦等への相談に対応しておりまして、特に継続的な支援が必要な場合には、区市町村の保健センター等につなげております。
 今後、法人から申出があった場合には、熊本市と慈恵病院との取組等も参考にしながら、区市町村などの関係機関と連携し、対応を検討してまいります。

○上田委員 私が別途調べたところ、平成十九年からの児相が関わりながら乳児の死体遺棄事件は二件ありました。妊娠中じゃなくて、その前からあそこに駆け込めばという場所は、私は、ここはもう強く、都立あるいは公的医療機関が関わっていくべきと、引き続き強く求めるものです。
 予期せぬ妊娠、特定妊婦の出産、特別養子縁組に向けての対応策について、都立病院がサポート、アフターケアをすべきと考えているところですが、これについては児相との連携が不可欠であることから、現状の連携体制及び現時点の特定妊婦に関しての都の所見は昨年も確認しておりますが、こうした民間病院も出てきましたことから、都立、公社病院も積極的に対応すべきと考え、所見を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院は、保健所や児童相談所などの関係機関と連携しながら、養子縁組や乳児院等への入所に関することを含めた特定妊婦の育児相談などに対応しております。

○上田委員 区市町村に移管された児相にも期待したいと思います。
 以前、文書質問で確認しましたところ、子供一人当たりの施設養護が、児童養護施設が約四百万、グループホームが二百六十万、乳児院が六百八十万となります、年間です。家庭養護は、ファミリーホームが二百八十万で、養育家庭は百八十万と、このぐらいコストが違うということです。
 コスト面を見ても、格段に里親委託の方が低いということです。しかも、養育家庭の方が子供の進学率が高いということも、さきの委員会質疑でも明らかにしたところです。
 喫緊の対策が求められるところですが、資料によると、養育家庭等の家庭養育は伸び悩んでいます。都は、里親制度をより多くの都民に知っていただくために、社会的養育推進計画等を推進して、リーフレット、保育園を通じての啓発、普及に努めていらっしゃいますが、今までの取組は功を奏したのか、里親さんは本当に増えたのかなと思料いたしますので、実績、成果と課題についてご報告ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、毎年十月、十一月の里親月間を中心に、区市町村や民間団体と連携いたしまして、都内各地において養育家庭体験発表会を開催するほか、出前講座を行うなど、里親制度の普及啓発に関する様々な取組を実施しております。
 養育家庭体験発表会の参加者からは、里親経験者の話を聞いて、自分ができることを始めてみたいという思いが強くなった、社会的養護について理解が深まったなどの意見をいただいております。
 引き続き、地域の関係機関等と連携を図り、里親制度に関しまして都民に広く周知を図ってまいります。

○上田委員 一方、里親さんからは、手を挙げてもなかなか子供たちを預けさせてもらえないという声も届いております。また、せっかくお預かりしても、都の硬直した対応に大変苦慮されていることも、指摘し続けております。
 資料、41、42にあるように、都に指摘やクレームを入れると里親を措置解除されてしまうのではないかという恐怖感から、我慢せざるを得ない状況です。
 資料、42の養育家庭委託の解除理由別内訳を見ても、措置変更が三十八件あります。このうち、児相所管の三十一件の内訳を確認したところ、児童養護施設に入所した者が二十一名、ほかの里親委託が十名とのことです。
 フラットな−−里親さんと都ですよね、立場で子供を中心とした協力体制は不可欠と思われますが、対応状況を確認いたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は令和二年度より、里親の開拓や研修、児童と里親のマッチング、児童の委託後の支援に至るまでの一貫した里親支援を民間機関に委託いたしますフォスタリング機関事業を実施しております。
 フォスタリング機関では、里親家庭からの相談に応じる専任職員を配置するほか、定期的な家庭訪問や面談、里親サロンの開催等によりまして、里親委託児童が気軽に相談できる環境を整備しております。
 こうした取組によりまして、里親や委託児童と継続的な信頼関係を構築するとともに、児童相談所や関係機関と連携しながら、里親家庭のニーズに寄り添った支援を実施しております。

○上田委員 都では平成三十年から、里親が地域で孤立することなく子供を養育できるように、児相や関係機関がそれぞれの役割に応じた支援を行うチーム養育体制を整備、里親の方々からは、児相の支援が十分に行き届いていない、悩みを相談しにくいといった意見も寄せられていることから、去年七月から新たに里親子のサポートネットも開始しております。里親から相談を受け付け、弁護士や公認心理師などの専門相談員が、子供、里親、児相それぞれの意見を聞き、調整を行っているとのことですが、子供、里親それぞれの相談件数、児相や都職員の接遇への不満などなかったかなど、内訳をお示しください。内訳にはなくとも、里親から都の接遇についての苦情や相談はどのぐらいあるのか、真摯に対応しているのかも確認させてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 令和三年七月の事業開始以降、里親子のサポートネットでは、昨年度末時点で、里親から八件の相談を受理しております。
 主な相談内容といたしましては、子供の養育に関すること、子供の自立に関すること、措置解除後の交流などでございます。
 サポートネットでは、子供や里親、児童相談所それぞれの意見を丁寧に聞いた上で、専門相談員が子供の最善の利益を確保するという視点から調整を実施しております。

○上田委員 それらの結果を受けて、都は、今後どう家庭養育推進事業に反映されていくのか、どう都は対応したか、ご報告ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 サポートネットで終結した事案につきましては、里親と委託児童それぞれの担当する児童相談所におきまして振り返りを行うとともに、その結果を取りまとめまして、児童相談所長会等で共有し、里親支援に活用しております。

○上田委員 思春期というのはどうしても反抗期になりますから、里親子でも親子げんかなんかもあったりします。それがこじれたりして、里親解除、あるいは最悪の場合、認定取消しになるというような事例に私も巡り会ってきました。早め早めの相談に乗っていただいて、解決に向けて、子供もそのまんま引き離されてもう二度と会えなくなっちゃうというのは、大変これは胸の痛い話ですから、実親子だったら大げんかしても翌日仲直りができて、生涯離れ離れになるというのはちょっとあり得ないことだと思いますので、そこら辺も柔軟な支援をお願いします。
 子供自身がフレンドホーム制度の利用を希望したときの支援体制、保護者との関係調整につき、どのような取組がなされているのか、具体的なプロセスをご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 フレンドホーム制度は、児童養護施設等の入所児童を対象として、学校の休業期間などに、施設では体験することのできない家庭での生活を体験させるものでありまして、その利用に際しまして、施設は児童相談所の了解を得ながら調整を行っております。
 具体的には、施設職員が児童の状況を踏まえ、本人の意向も確認した上で、候補児童として決定いたします。その後、施設では、各フレンドホーム登録家庭の希望条件等を踏まえましてマッチングを実施しております。保護者に対しましては、児童相談所が必要に応じて説明を行っております。

○上田委員 その制度を利用して、せっかく里親さんと相性がよくて、一緒にですね、家庭養護を求め、来てほしい、行きたいといっているのに、実親が拒否して、大体こういう親に限って一度も会いに来ないんですけれども、実現しないまま、何年も歳月が流れている事例を何とかしてほしいと七年間いい続けております。
 今般、児童福祉法が改正されて、子供の意見表明、アドボカシーについて、ようやく本腰を入れた体制が、国を挙げて構築しつつあります。児福審でも、傍聴に行っておりますが、活発な議論がなされています。
 一方、民法の親権改正については据置きのままで、子供が幾ら里親さんの元へ行きたくても、会いにも来ない実親が拒否をすれば、子供はずっと寂しい思いを抱えて施設養護となり続けます。これは子どもの権利条約違反でもあり本末転倒です。
 裁判所の判断を待たず、養育家庭の委託に当たりましては実親の同意が必要なことから、児童福祉司が面接等を通じまして、家庭的環境が児童の成長を促すこと、そのため養育家庭が望ましいことなどを実親に対して丁寧に説明しておりますと、都も悠長なことをいっていないで、できることがあるはずだと思うんです。
 まず、子供の願いと実親の意思と食い違ったとき、いかに子供の最善の利益を確保していくか、都の親権についての考え方も含め、手順を追ってご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童相談所のケースワークにおきまして、児童福祉司及び児童心理司が直接子供の意見を聞き、その意向を尊重した上で、子供の最善の利益の観点から援助方針を決定しております。
 また、児童福祉法において、養育家庭への委託等は親権者等の意に反して行うことができないとされていることから、児童福祉司が面接等を通じて、家庭的な環境が子供の成長を促すこと、そのため養育家庭が望ましいことなどを実親に対しまして丁寧に説明しております。
 その上で、養育家庭への委託等について、実親が異を唱える場合には、児童相談所長が児童福祉法二十八条に基づく申立てを家庭裁判所に行っております。

○上田委員 どうすれば子供の最善の利益を最優先し、親権を児相が踏み越えて、司法手続を行使するのか、強く求めております。あまり積極的な答弁と思えないことから、今後の児童福祉法の法改正に伴いまして、都が率先して伝家の宝刀を、二十八条、ばんばん抜いていただきたいということを申し上げます。
 司法判断を求める、すなわち提訴しなければならないと判断するには、どんな条件があるのか、運用はどうなっているのか、実態を踏まえてご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童相談所長は、子供の最善の利益の観点から、親権者等の意に反して養育家庭への委託等の措置が必要と判断した場合には、必要に応じて児童福祉審議会に諮問した上で、児童福祉法二十八条に基づき、家庭裁判所へ申立てを行っております。

○上田委員 どんどん申立てを行っていただきたいと思います。
 都では、施設入所者や児童等に対する学習を支援するため、令和二年度から特別育成費を拡充し、昨年は入所児童で四十九名、養育家庭に委託されている子供で二十八名が活用されたと聞いております。
 一方、資料、36を見ますと、里親に育てられた子供たちの大学進学率は約半数であるのに比べて、施設育ちの子供たちの大学進学率は四割を切っており、昨年その分析をただしました。
 都の答弁は、一人一人に寄り添って対応していくというような包括的な答弁をいただいていることですが、一年たって、進学、就職などに関して、施設の子供たちの未来は開けたのか、進捗と成果を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 令和四年度の児童養護施設退所時の進路は、大学等が約五割、就職が約四割、その他が約一割でございました。

○上田委員 大学は一割増えたということで、評価したいと思います。
 施設を退所したケアリーバーたちのよりどころとなるアフターケアサロンですが、参加者数は伸び悩む中、相談件数は増えており、潜在需要を読み取ることができます。
 都は、専任スタッフによる相談支援やサロンなどの居場所の提供を行うふらっとホーム事業を、国制度を活用して都内二か所で実施していますが、二か所でニーズに対応できているのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 本事業は、ケアリーバーが就職先でつまずいたり、生活上の悩みを抱えた場合などに相談や同じ悩みを抱える者同士が気軽に利用できる集いの場として、区部と多摩地域の二か所で実施しております。
 昨年度は、コロナ禍の影響により就業支援のニーズが高まったことから、ハローワーク等への同行訪問の回数を増やすなど、その時々の相談ニーズに柔軟に対応しております。

○上田委員 また、退所者は保護者もおらず、いきなり世の中に放り出されるわけですので、反社会勢力や性産業が近づいていることも危惧されます。
 どのような相談内容が多く、どう対処されているのか、具体的な個々のニーズへの対応状況につきご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 ふらっとホームへの相談といたしまして、メンタル面の不調や妊娠など健康に関する相談や、生活保護の受給に関すること、離職、停職等に関する就業上の問題などが寄せられております。
 具体的な支援といたしましては、精神科や産婦人科への通院同行や入院手続の支援、住居の物件探しから不動産契約の手続に係る支援、ハローワークへの同行などを実施しております。

○上田委員 生活保護などは区市町村となりますことから、そちらの連携もお願いいたします。
 資料、43の一時保護所の入所期間ですが、児相の一時保護所は、基本的には九十日以内を目安としているはずですが、九十日以上いる子供たちは二百八十六名になり、去年より増えています。
 この点に関する分析と改善に向けた対応状況、長期化した場合の保護中の児童への支援につき所見を求めていましたが、入所期間短縮、職員の子供への接遇、虐待防止、アドボカシーなど、その後、子供の環境改善は進みましたでしょうか、取組を伺います。また、今後、平成三十一年三月に調査した一時保護所への意見書を再度実施しないのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、一時保護所の第三者委員からの意見書を受けまして、令和元年度から保護所における支援の改善に着手しております。
 具体的には、児童に対する支援力の向上や児童が安心を実感できる環境づくりなど、八項目につきまして支援改善を進めており、例えば虐待等による深い傷を抱えた児童への支援の強化に向け心理職を増配置するなど、心理ケアの充実を図る取組を行っております。
 また、第三者委員が毎月一時保護所を訪問し、保護児童からの相談を直接受け付けるとともに、職員と意見交換を行っているほか、年に数回、全ての第三者委員と児童相談所長で構成いたします検討会を実施し、年間の活動結果を取りまとめた上で、ホームページで公表しております。

○上田委員 まあ毎月ちゃんとやっているということですけれども、いずれにせよ、第三者委員というと大人を通すことになっちゃうんですね。いろいろ私、DX化が急速に進むのは、ちょっとブレーキをかけているという、これこそDX化してですね、子供に直接アンケート、タブレットでも渡して、職員にこんなことをいわれた、あんなこと、毎日毎日、きっと抱えていると思うので、大人を通さず、子供の生の声のアンケートの実施、公表を求めるものでございます。
 次に、資料、44の指導検査でございますけれども、養護施設におけます改善指導も同じようにできているのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 各児童養護施設では、毎年受審している第三者評価を通じて把握いたしました入所児童の要望や意見等を踏まえまして、積極的にサービス改善に取り組んでおります。
 また、外部の弁護士等で構成されます第三者委員が定期的に施設を訪問するなどして、児童からの相談を直接受け、支援に係る改善が必要な場合には、施設に対して助言等を行っております。
 さらに、施設において事故等が発生した場合には、施設はその概要を都に報告することとしておりまして、都は各施設から提出される事故報告を確認した上で、必要に応じて、施設に対し原因究明や再発防止策の徹底などを指導しております。

○上田委員 令和元年が十四件、二年が十件で、令和三年が二件で、これちょっとあまりにも少ないんじゃないのかなというふうに思っておりますので、こちらについても徹底的な調査をお願いしたいと思います。
 障害児の代替養育です。
 児童養護施設には軽度の子まで受け入れていますけれども、中度以上になりますと、障害のある子供は障害児施設に入所すると思料いたします。里親等家庭養護にも中度、重度のお子さんがいることも気になっているところです。
 障害の種類や段階、級なども踏まえた入所基準や該当する施設、里親等家庭養護等、入所状況、障害児施設にいる代替養育の子供の割合はどのくらいかにつきご説明ください。あわせて、障害児の代替養育に関しての都の見解、所見、課題認識を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 社会的養育が必要な児童につきましては、障害児を含め、個々の児童の状況等を踏まえながら支援内容を決定しております。
 令和二年三月一日時点の身体障害、知的障害、精神障害のある児童の割合は、児童養護施設で一五・六%、里親等で六%となっております。また、令和四年三月三十一日時点の障害児施設の入所児童のうち、措置入所児童の割合は四九・七%でございます。

○上田委員 半分が要保護児童であったということが、ちょっと私も意外で、これもしっかりと私も身にしみて、また見守ってまいりたいと思います。
 障害のある子も家庭で育つのが大切といった見解で、障害児も積極的に、今後、里親委託していくというような意向があるのかどうか、確認させてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、令和元年度に策定いたしました東京都社会的養育推進計画に基づき、実の家庭における養育が困難な場合は、家庭と同様の環境における養育を優先し、里親等への委託を推進しております。
 障害児等の里親委託に当たりまして、専門的ケアを必要とする場合には、専門養育家庭を活用するなど、個々の児童の状況に応じて支援を行っております。

○上田委員 次に、CDRについて、都は令和四年、チャイルド・デス・レビューの実施に向け、国のモデル事業に取り組んでいる自治体の実施体制等について調査するとともに、有識者から意見を聴取するとしています。
 また、医療機関、保健所、警察との情報共有の可能性、手法等について意見交換を行い、これらを踏まえ、都における実施手法等を検討するともしております。ぜひ進めていただきたい事業ですが、児童養護施設におけるCDRについてもお願いしたいところです。
 施設入所中の子供の死亡状況について、過去三年について、まず報告ください。その際に、死亡事例の検証はしているのかも伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 令和元年度から三年度までの間に児童養護施設の入所中に事故等で亡くなった児童は二名でございます。
 都は、事故が発生した現地を確認するほか、事故発生前の児童の生活状況などについて施設職員からの聞き取りを行うなど、状況把握を行っております。

○上田委員 施設入所中に自殺に至った場合は、その前兆を把握できなかったのか、検証などしているのか、入所している子供たちのために生かされているのか、懸念をするものであります。
 入所児童に対し、日頃から複数の職員が協力して生活支援を行う、心理職員を配置する、プレーセラピーなどのメンタルケアを行う、第三者による検証委員会などで事故に至った原因を検証しているということですが、専門職を配置すればよいということではありません。それらの専門職が子供のそれぞれの抱えている課題を捉え、SOSに早く気づき、施設生活の中でどのように解決し、よりよい生活をしていけるかと、成果を上げなくては意味がないと考えます。
 第三者委員会について、構成メンバーと基準などについて詳細な説明をした上で、施設生活をどう改善していくのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 入所児童の死亡事故が発生し、施設において第三者検証委員会が設置される場合には、各施設は、個々の事例に応じて構成メンバーを選定しております。
 事故の状況や原因など検証委員会で検証した結果は施設内で共有し、再発防止策を講じるなど、その後の支援の改善に生かしております。

○上田委員 既に発生している自殺事案について、どう取組がなされたのか、なされなかったとしたらなぜなのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 入所児童の死亡事故が発生した場合には、施設におきまして、第三者による検証委員会等を設置し、事故に至った原因等を検証しております。施設では検証結果を踏まえまして、再発防止など必要な対策を講じております。

○上田委員 自殺や事故など不慮の死を遂げた子供の場合、施設側の一方的な説明をうのみにせず、よもやかばい立てせず、公益通報や状況確認をしようとした職員等に不利益な扱いなどすることもなく、子供の尊い命、人権の立場に立ってどう検証しているのか、確認いたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、施設に入所する児童の死亡事故が発生した際には、施設を訪問し、事故の現地を確認するほか、事故発生前の児童の生活状況などについて施設職員から聞き取りを行うなど、状況の把握を行うこととしております。
 また、仮に施設内での不適切な対応等が疑われる場合には、別途調査を行うこととしております。

○上田委員 自殺についてですけど、私は、特定できているんですけど、ちょっと明言を避けているように思います。その子に向き合って受け止められなかった施設の責任は重いと思っております。
 子供の遺体の引取りがない場合は、施設または児相が引き取って葬儀を行い、火葬の上、小平霊園のほか施設近隣の墓地に納骨するとのことですが、保護者がいない場合、こどもの碑に納骨することはやむを得ないと思うんですが、保護者がいるのに引き取らない場合、引き取ってもらうよう粘り強く対応していくことが大切と思料いたします。
 この点についての所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童養護施設や一時保護所に入所している児童が死亡した場合には、職員が保護者に連絡し、状況を説明するとともに、遺体引取り等の対応について相談をいたします。
 保護者が遺体の引取りを拒否した際には、保護者以外の親族等の引取り者がいないかを確認し、いない場合には施設または児童相談所が引き取り、葬儀を行い、火葬の上、小平霊園や施設近隣の墓地等に納骨をしております。

○上田委員 過去三年、入所者死亡者二名ということですが、六月に小平霊園で確認したところ六名の名前が刻んでありました。十月にはまた一名増えていました。なぜ亡くなったのか、またお骨を引き取ってもらえないのか、もうちょっとこれから児相は、寄り添っていっていただければと思います。
 児相が関わっていながら、平成十九年度以降、虐待死した子供は二十名、虐待が特定されなかったものの虐待が疑われ死亡した子は十七名、その他を含めると四十三名の子供が亡くなっています。毎回、大丈夫と判断、善処したが事件が起こってしまった等の弁解を全国的に児相は続けております。
 目黒区の五歳女児虐待死事案の反省も踏まえ、児相が関わっていながら、大田区では結果的に重体と昨年はさせてしまったわけでございます。
 局長も替わられましたことから、児童虐待防止、根絶に向けまして、改めて局長の決意を伺います。

○西山福祉保健局長 児童相談所が深刻化する児童虐待に迅速的確に対応するためには、専門性の高い人材を確保するなど、体制強化を図る必要がございます。
 都はこれまでも、児童福祉司や児童心理司を増員してきており、昨年度は専任チームを設置し、大学や養成機関への訪問など採用活動を積極的に展開し、成果も出てきてございます。
 今年度は、トレーニングセンターを開設し、ロールプレーイングやゼミ形式の事例検討など、実践的な研修を実施しており、人材育成にも注力をしてございます。
 さらに、都全体の児童相談体制の強化に向け、全区市町村が参加する合同検討会において情報共有を図るとともに、都と区が連携したサテライトオフィスの取組などを進めてございます。
 今後とも、児童相談所の体制を強化し、子供の最善の利益を実現するため、児童虐待防止の取組を全力で推進してまいります。

○上田委員 不退転の決意で、何とぞよろしくお願いをいたします。
 63から66、待機児童解消に向けてですけれども、資料を見ると、成果が上がっていると大いに評価させていただきます。
 一方、定員割れについての危惧の声も大きくなってまいりました。江戸川区でも、現在、待機児童ゼロです。
 近い将来に必ず発生するであろう保育園の定員余剰問題と保育資源の活用と適正配分について、今後どう取り組んでいくのか、所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、保育所等が空き定員や余裕スペースを活用し、保護者の外出やレスパイト等のために、地域の子育て家庭の子供を受け入れる取組を支援しております。
 また、今年度から、ゼロ歳児の空き定員を待機児童の多い一歳児の受入れに活用できるよう定員変更を行う保育所の取組を支援しております。
 さらに、兄弟利用や学童クラブ終了後の預かり等のニーズを想定し、認証保育所が余裕スペースを有効に活用して学齢児の放課後の居場所を提供することもできるようにいたしました。
 今後とも、保育の実施主体である区市町村と連携しながら、保育所の取組を支援してまいります。

○上田委員 先ほど局長の決意も聞きましたが、これは確かに虐待防止にも関連すると思いますので、連携をよろしくお願いします。
 グローバルキッズの不正請求事案が明らかになりました。
 都による特別指導検査について、発覚から処分等に至るまでの時系列のご説明をお願いします。また、こうした事案の今後の対応について、都の所見も求めます。

○坂本指導監査部長 グローバルキッズが豊島区内で運営する認可保育所に対しまして、令和三年七月に区が実施した一般指導検査において、保育士の在籍状況に疑義が生じているとの情報提供がございました。
 都は本年一月から、本事業者が運営する認可保育所等百四か所を対象に特別指導検査等を実施し、認可保育所等十六か所において、施設での勤務実態のない保育士を在籍していたかのように虚偽の報告を行っていた事実を確認したところでございます。
 本年二月認可保育所一か所、本年五月に認可保育所十五か所に対しまして、特別指導検査の結果を通知いたしますとともに、事業者に対し、速やかに是正するよう指導を行ったところでございます。併せて区市に対しましては、給付費の返還など適切な対応を行うよう依頼いたしました。
 現在、都は、事業者から報告された改善状況の確認をしておりまして、また、八区からは、給付費の返還等の対応を行っているとの報告を受けております。
 引き続き、職員配置偽装等の不適正な事案につきましては、区市町村と連携し、厳正に対応してまいります。

○上田委員 このグローバルキッズ、十年で爆増しておりまして、全国でもいろんな問題が明らかになっております。また、新規園については、さらに厳しく見ていっていただきたいというふうに思っております。
 赤ちゃんファースト事業ですけれども、都議会での、何というんですかね、自分たちの評価というか、我が党がとか、いろいろやっている、いってくれる人いますけど、驚くほど私のところには苦情が届いております。
 現金がいいという声が多く届くんです。私は、現金支給が公平で費用対効果も高いと考えます。なぜこのようなコストがかかるカタログ方式になったのか、保護者のニーズをどのように把握したのか、どのようにその事業者を選定したのか、入札は公正、公明に行っているのか、具体的プロセスについて詳細をお答えください。
 また、ハーモニックに丸投げ委託するのではなく、やるならば、例えばクーポン券等で各自治体の地域振興券などとして、区市町村の地域産業振興にせめて寄与する形であってもよかったのではないかなと思料いたしますが、都の見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 東京都出産応援事業では、これからの子育てに役立ててもらうため、現金ではなく、十万円分の子育て支援サービスや育児用品等を提供しておりまして、専用ウェブサイトにおいて希望するサービス等を選択する仕組みとしております。
 また、利用者に対して商品アンケート等を実施し、対象家庭のニーズに合わせて品物等の入替えを行っております。
 委託事業者につきましては、都から出捐を受けた公益財団法人東京都福祉保健財団が企画コンペ、プロポーザルにより選定しております。
 本事業は、令和三年一月一日以降に子供が生まれた都内に住民登録がある全ての子育て家庭を支援することを目的としておりまして、都内全域で同一のサービスを確実に提供できるよう都が実施しております。

○上田委員 外郭団体から再委託って、またこれ税金がかかっちゃうんですよね。ログインする際に、子育て支援施策にアンケート回答を必須とすること自体が子育て支援と逆行してストレスだというご意見もいただいております。
 また、一通り育児用品を持っている第二子以降の子育てニーズをどのように捉えているのか。カタログを見ても、買うもの、もうそろっているよということなんです。見解を伺います。
 カタログ内の小池知事の直筆サイン入りメッセージに嫌悪感を抱く保護者もいます。税金事業であって知事のポケットマネーじゃないんですよね。あたかも知事の独自事業のような表記、直筆サインが必要なのか、所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 本事業では、子育て家庭の状況を把握し、今後の施策検討に活用するため、利用登録の際に、世帯の状況のほか、都の子供、子育て施策の利用状況、意見や要望などについてアンケートを実施しております。
 第二子以降の子育て家庭など、都民の様々なニーズに応えられるよう、提供する品物はおむつやミルクなどの消耗品や家電等の生活支援用品、子育て支援サービスなど、幅広くご用意しております。
 本事業は社会全体で子育てを応援することを目的としておりまして、その趣旨を知事名で発信しているところでございます。

○上田委員 知事名じゃなくて、福祉保健局名でお願いいたします。
 また、ログインする際のデータが流出しないか、その声も上がっております。また、集約された保護者の個人情報は適正に管理され、破棄されて、ほかの事業に転用されないのかも懸念されているところです。よもや目的外使用や外部提供に−−ビッグデータとかですよ、活用されないか、ご説明ください。

○奈良部少子社会対策部長 本事業の実施に当たりましては、都及び公益財団法人東京都福祉保健財団並びに委託事業者との間で協定書を締結しておりまして、その中で個人情報について都の取扱いを遵守する旨を規定しております。
 また、公益財団法人東京都福祉保健財団と委託事業者との契約や、利用登録時の利用規約等におきましても、個人情報の管理や目的外使用の禁止等について規定しております。委託事業者はプライバシーマークを取得しておりまして、収集した個人情報について暗号化処理を行うなどにより、セキュリティに十分配慮し、適正に管理しております。

○上田委員 しっかり適正管理、お願いします。漏えいしたことについても後で質問したいと思いますけれども。
 茨城、そして埼玉と、ヤングケアラーの条例制定の動きが活発になっております。
 特にヤングケアラーは、学業を諦め、また将来の進路を変えざるを得ないことにもなり、人格形成などにも大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
 都として条例制定に向けた方向性などはあるのか、現時点の取組を確認します。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 昨年度に策定いたしました第二期東京都地域福祉支援計画におきまして、児童、介護、医療、障害、教育分野の様々な支援者が、ヤングケアラーについての認識を向上させ、ヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援につなげていくという取組の方向性を盛り込んでおります。

○上田委員 条例制定についてはどうするのか、ちょっと分からないところですが、案外、議会提案がいいのかなというふうにも思ったところでございます。
 また、今年度、都教委の主催によるヤングケアラーの理解と支援に関する講演が行われた際に、区市町村教育委員会、教職員から何らか具体的な連携要望や、学校生活においてどうすべきなどの相談や提案を受けたでしょうか。学校現場における理解促進が形骸的なものになっておりますから、福祉保健局に伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 教育庁が教育施策連絡協議会におきまして講演会を実施し、その中で福祉部門との連携について説明したことは聞いております。

○上田委員 聞いているだけではなく、福祉、教育のはざまで子供を取りこぼしてはなりませんことからも、福祉部局と教育部局の連携協力の体制、取組状況、課題についても確認いたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 今年度、有識者や関係機関等のほか、教育庁をはじめとする関係各局が参画いたしますヤングケアラー支援検討委員会を設置しております。
 検討委員会では、ヤングケアラーを取りこぼさずに必要な支援につなげられるよう、区市町村の子供家庭支援センターや学校等の関係機関向けに、ヤングケアラーを把握するポイントや、各機関の役割、連携方法などを盛り込んだマニュアルの作成を進めております。

○上田委員 よろしくお願いいたします。
 介護予防、フレイル予防について充実した施策を都は展開していますが、家族が幾らいっても承知せず、結局、症状が進み、多大な負荷が介護者にかかるということが、本当に事案を多く見てきました。
 そもそも意欲ある高齢者は、歩いたり筋トレしたり、努力していまして、本来この施策は、意欲が低い高齢者にどう普及させ、実際に受けていただくかが重要です。
 この点に関して、どのように利用者を増やし、予防を実施し、家族の負担軽減、解決に向けてやっているのか、どのような対策を取っているのか伺います。

○山口高齢社会対策部長 都は、高齢者がいつまでも心身ともに健康に暮らし続けられるよう、介護予防、フレイル予防の重要性について、ホームページやリーフレット等を通じて広く都民に普及啓発を行っております。
 また、身近な地域で介護予防、フレイル予防に取り組めるよう、介護予防・フレイル予防推進員を配置して、住民が主体となって体操や趣味活動等を行う通いの場の拡大や、フレイル予防に効果的なプログラムの導入を図るなどの機能強化に取り組む区市町村を支援しております。
 さらに、本年三月には、介護予防、フレイル予防に興味関心が低い高齢者にも気軽に取り組んでいただけるよう、具体的で実践的な啓発動画を作成し、ホームページで公表しており、こうした取組を通じて、より多くの高齢者が介護予防、フレイル予防に取り組めるよう支援してまいります。

○上田委員 ホームページね、じいさんは見ないんですよね。妻や嫁のいうことは聞かなくても、お医者様のいうことは聞くので、高齢者受診のときにでも、ぜひこれを伝えていただき、普及するよう、地域医療機関との連携を強くお願いいたします。
 障害者、高齢者施設の事故、法人指導についてです。
 昨年の質疑から、また痛ましい高齢者事案が都内で発生しております。資料、47、50ですが、自由を守る会に届いた情報は、数字から比べると桁が一つ違うように感じます。事故報告をしないどころか、事故報告書すら作らない、金を払えなんていう法人が常態化していることを指摘したのに、残念なことです。
 昨年の答弁を踏まえ、事案も結果的に発生していることから、その後の再発防止の取組強化もなされたと思いますので、所見を伺います。

○花本高齢者施策推進担当部長 都は、高齢者施設や障害者支援施設において、重大な事故が発生した場合には、条例等に基づき、施設種別に応じて、都または区市町村への速やかな報告を求めております。
 高齢者施設等における事故や苦情については、法令に基づき、一義的には区市町村が対応することとされておりますが、事案によっては、都も同行し事実調査等を行うとともに、施設の改善計画の確認や、その後の指導について協力して行うなど、常に区市町村と連携して対応しております。
 また、入所者家族や職員から都に寄せられた施設に関する苦情等についても、区市町村と共有しながら必要な指導を行っております。
 こうした中で、本年九月に都内の特別養護老人ホームで発生した二件の暴行事件については、都は、地元自治体から報告書の提出を受け、必要に応じて施設へのヒアリングにも同行しており、今後、事故の原因分析等の詳細な報告を待って、必要な指導を行う予定でございます。
 都は、こうした個別事案も含め、事故報告等により収集した情報を基に事故発生の要因等を把握し、毎年度実施している集団指導をはじめ、様々な機会を通じて、引き続き事故防止対策の取組強化を図ってまいります。

○上田委員 資料、48ですが、住まいの場としての障害者のグループホームの促進につき、三か年プランほか推進状況を確認したいと思います。

○中川障害者施策推進部長 第六期東京都障害福祉計画では、障害者グループホームについて、令和三年度から令和五年度までの三か年で二千五百人分増の整備目標を掲げ、初年度の令和三年度は千二百三十二人分の整備を行いました。

○上田委員 着実に成果を出しているんですが、開設に当たってバリアフリー法がネックになって、知的障害者施設なのに自動ドアが義務づけられちゃって、勝手に出ないように終始電源を切って手動で開けている、車椅子の方やオストメイト利用者は、その施設にはそもそも入らないというのに、全部それも設置しなきゃいけないというような設置に対する、苦慮する事業者から悲鳴に近い声も届いておりまして、対応について伺います。

○中川障害者施策推進部長 障害者グループホームにつきましては、平成二十八年にバリアフリー関係基準の弾力的な適用に関する通知が示されておりまして、主たる利用者が知的障害者、精神障害者等に限定され、上下階の移動が困難な者が利用しない場合には、車椅子使用者が円滑に利用できる空間の確保に関する基準や、移動等円滑化経路に関する基準などは適用しないこととされております。

○上田委員 設置に係るあらゆる区市町村から、建築に関する窓口、また事業者にもぜひこれを周知していただいて、グループホーム事業者に要らぬコストがかからないようなグループホームづくりに、ぜひ福祉保健局が貢献していただきたいと思います。
 資料、51、52を見ていただければ、結局、自立支援医療費受給者は、亡くなってやっと受給証を返還する状況で、年々公費負担が増えて、三百六十億円に膨れ上がりつつあります。自立しない自立支援医療の在り方は、八〇五〇問題、ひきこもり問題にも長期的にはつながっており、まずは地方自治体から抜本的に見直すべきと考えます。
 状況も毎年変わりましたことから、現時点の取組と所見を求めます。

○石黒障害者医療担当部長 精神疾患は再発を繰り返しやすい特徴があることから、多くの精神障害者は継続的な医療を必要とします。
 自立支援医療制度である精神通院医療は、精神障害者の経済的負担を軽減し、通院医療を継続することで、病状の悪化の防止や障害の軽減などを図るための総合支援法に基づく全国一律の制度でございまして、今後とも適切に運用してまいります。

○上田委員 何とか自立できるようにお願いいたします。
 監察医務院です。同じ都民で不審死した場合の検査体制においても三多摩格差があることを長年指摘しています。
 原因究明の体制は、本来、国が必要な法整備を行うもので、地域を限定せず整えることが必要であり、都は、国に対し監察医制度が都内全域で適用されるよう政令の改正を繰り返し求めてくださっていますが、その後、整備の方は進んでいますか。都の取組を含めて確認します。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 死因究明の体制は、本来、国が必要な法整備を行い、地域を限定せずに整えることが必要でございます。
 監察医を置くべき地域は、政令により、東京二十三区、大阪市、名古屋市、横浜市、神戸市の五つの地域と定められているため、都は、国に対し、監察医制度が都内全域に適用されるよう、政令の改正を繰り返し求めているところであります。
 政令で定められていない多摩・島しょ地域におきましても、適切に死因の究明ができるよう、東京都医師会や大学等の協力を得ながら検案医を確保するなど、環境整備を進めております。

○上田委員 すぐに法整備は進まないと思いますが、特に三多摩の方ですね、現行の中で最大限の効力が発揮できるように支援をお願いいたします。
 患者の声相談窓口ですが、毎年一万件もの声が寄せられていますが、法人への指導はほぼない状況を指摘しております。
 独法化したわけですので、改めて、どうこの膨大な患者の声を受け止め、各医療法人や医師会に徹底した指導啓発をはじめとする実効的なフィードバックにつなげているのか、具体的な事例を想定した対応状況をご説明ください。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 患者の声相談窓口では、医療法第六条の十三に基づき、患者やその家族、都民からの医療に関する相談や苦情に対応し、助言や情報提供を行っています。
 相談者のプライバシー保護に十分留意しつつ、患者、都民と医療従事者や医療提供施設との間にあって、中立的な立場から問題解決に向けた双方の取組を支援するよう努めています。
 また、患者の声相談窓口の役割や主な相談内容等について、関係団体への情報提供等を実施しています。
 なお、病院に対しましては、医療法に基づく立入検査を定期的に行っており、これ以外にも医療法に抵触するおそれがある情報が提供された場合には、必要に応じて病院等に調査を行い、指導を行っております。

○上田委員 これも情け容赦なくといったらあれですけれども、患者の立場に立って、病院側をかばうのではなくて、しっかりと伝家の宝刀を抜いていただきたいと思います。
 動物愛護については、ほかの委員の方からも、殺処分についての取組について改善していることを確認できましたので、こちらの方は飛ばさせていただきまして、第一種動物取扱事業者において、このところは大きな問題も発生していないようで安心しているところです。
 都民などからの苦情を受けた等、現状の実態と対策についてご説明ください。また、指導を受けたり業務停止を受ける等問題のある事業者に、動物をそのまま預けられるような状況ではない場合は、動物の扱いをどうしているのか。犬、猫、ウサギ以外にも、最近は鳥類のカフェも増えておりますことから、対応を種別に分けてお答え願います。

○藤井健康安全部長 都は、第一種動物取扱業の事業者に関し、都民等から苦情を受けた場合は、原則として立入検査を実施しております。その結果、問題のある事業者に対しては、重点的に監視指導を実施し、改善が図られない場合は、動物の愛護及び管理に関する法律に基づき、勧告や命令を行っております。
 その際、動物虐待が疑われる事例を探知した場合は、動物の種類を問わず区市町村や警察と連携して対応しており、事業者に対し、新たな飼い主への譲渡を働きかけるとともに、警察が虐待事案として対応する場合は、当該動物の保管に協力いたします。

○上田委員 動物が所有物というのもまだどうかと思うんですが、所有権が壁となっていることは思料しております。適正指導で根気強く業者から動物の引取り等をお願いしたいと思います。
 公益通報についてです。
 福祉保健局の職員は四千六百名もおり、福祉に係る部署であるから様々な現場を抱えているにもかかわらず、極端に少ないと資料を見て指摘しておりました。部署が増えたり細分化したり、人事異動も、首をかしげるようなことも私から見ると散見されており、労働環境が心配です。
 その後、コンプライアンスにのっとっていらっしゃるのか、対応実績をご説明ください。また、公益通報制度の普及啓発の取組についても併せて伺います。

○高野総務部長 局のコンプライアンス推進研修で、通報対象や通報方法、通報者の保護など、公益通報制度について全職員に周知するとともに、毎年のコンプライアンスに係る自己点検において、公益通報制度もチェック項目を設定し、職員の意識啓発に取り組んでおります。
 公益通報として受理した事案は遅滞なく調査を実施し、通報対象事実がある場合は、必要な指導監督や関連規定の周知徹底など、是正措置及び再発防止策を速やかに講じております。
 過去五年間の対応実績は、法令等違反に当たらないものが十一件、是正措置を行う必要があるものが六件、現在調査中のものが一件でございます。

○上田委員 また、職員の退職の度合い等々もいろいろと調べさせていただいております。
 今後も不調者や不調に関連する問題の早期発見、早期対応に努めていくということですが、その取組状況について確認いたします。また、定年を待たない退職の理由についてもお伺いをしたいと思います。

○高野総務部長 局の安全衛生委員会やメンタルヘルス対策推進会議におきまして、産業医や精神保健相談員と共に、職員の健康状態の把握、改善に取り組むほか、セルフケア研修、管理監督者向けメンタルヘルス対策研修、ストレスチェックを行い、職員の不調の未然防止を図っております。
 また、新型コロナ感染症の長期化を受け、心の健康度チェックやセルフケアの啓発、管理監督者による不調サインリストを活用した部下職員の状況把握などに取り組んでおります。
 さらに、職員自身が不調を感じる場合や管理監督者が職員の不調を確認した場合には、精神保健相談員による相談窓口の利用を案内するとともに、精神保健相談員による事業所への訪問相談等の対象を拡大して実施するなど、職員の不調の早期発見や必要なケアの促進を図っております。
 定年を待たない退職の理由につきましては、家事都合や勧奨退職が多くを占めております。

○上田委員 退職者の六割が女性ということです。安定している公務員なのに、ちょっと違和感があります。
 また、令和二年、三年と自殺者が二名ということであります。また、令和三年は女性職員の退職が過去最多となっておりますので、背景をよく把握した支援をお願いしたいと思います。
 高額の医療機器導入について、使いこなせるドクターがいなければ宝の持ち腐れになってしまうことは、かねてより指摘してまいりました。例えばダヴィンチなど、、使えるのは三人しかいなかったなんてことが明らかになっています。
 独法化に当たって、こうした超ハイスペック機器の導入と価格の妥当性、入札、調達の健全性、公平性をどう担保するのか、所見を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院は、これまでと同様に、高額医療機器を導入する際には、医療ニーズや稼働見込み件数などを精査するとともに、複数の見積書を徴取するなど、適切な契約目途額を積算することとしております。
 また、都道府県等が設立いたしました地方独立行政法人には、政府調達に係る規定が引き続き適用になるほか、入札、調達の際には、都の電子調達システムに代わりまして、官民の調達情報を一元的に集約した受発注取引のマッチングサイトを活用しておりまして、事業者に対し、公平かつ公正な参入機会の提供に努めております。

○上田委員 また、そうすると高度機器を退職や転職によって使える人材がいなくなった場合にどうするのか、そうならないためにどうされているのかも伺います。

○齋藤都立病院支援部長 いかなる経営形態の医療機関でありましても、技術の向上に向けた医師の研さんは必要でございます。
 例えば医師は、手術支援ロボットであるダヴィンチを使った手術に携わるため、関連学会のガイドラインに基づく研修やメーカーの操作訓練等により、専門的な技術を身につけております。
 引き続き、こうした人材育成を進めるとともに、必要に応じて、大学医局等に専門的な技術を有する人材の提供を求めることとしております。

○上田委員 また、今度は接遇です。ソフトウエアの方ですけれども、独法化に当たり、今後、患者の権利章典に則したホスピタリティーの維持をどう実現するのか、患者の声相談窓口に寄せられた意見や相談についても、今後の対応について伺います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、独法化後も引き続き、職員が患者の人格や価値観等を尊重し、相互の協力関係の下、医療を提供することとしております。
 また、全ての病院に患者が直接相談できる患者の声相談窓口を設置しているほか、退院時アンケート等を実施しておりまして、寄せられた相談等は、引き続き院内で共有し、業務運営の参考や接遇の改善など、人材育成にも活用しております。

○上田委員 次に、発達障害者支援ハンドブック二〇二〇について、二〇一五年に利益相反自己申告で退陣された元顧問医が、また執筆をしている件です。
 なぜ依頼をしたのか、今後、ハンドブックを刷新する場合にまた依頼をするのか、確認をいたします。

○石黒障害者医療担当部長 発達障害者支援ハンドブックは、発達障害の理解促進等を図るため、様々な分野の方のご意見をいただき、具体的な支援の実践例や知見を取りまとめたものでございまして、お話の医師に関しましても、発達障害者への医療や支援団体での活動等の実績を踏まえまして、令和元年度のハンドブック改定に当たって執筆を依頼いたしました。
 現在、ハンドブックを新たに改定する予定はございません。

○上田委員 しっかり確認してまいります。
 独法化した場合、利益相反マネジメントは、この点につきまして、どういうふうに機能していくのか、現時点の進捗を確認いたします。

○齋藤都立病院支援部長 東京都立病院機構では、地方独立行政法人法に基づき、業務の適正を確保するための体制やコンプライアンス等に関する規定を整備しているほか、内部統制に関する職員研修を実施することとしております。

○上田委員 次に、旧軍人等の資料に対する電子化事業ですが、発注先、入札決定までの経緯をご説明ください。

○高橋生活福祉部長 地方自治法附則第十条により、都道府県が旧軍人等に関わる事務を処理することとされており、都が保有する兵籍資料や戦時名簿等の情報を活用し、恩給や年金等の請求に必要な軍歴証明書の発行等を行っております。
 旧軍人等の資料の電子化は、紙資料の経年劣化による損傷を防ぎ、適切に保管及び永続的な活用を図るため、今年度、都が保管する原本をスキャニングして画像データとして電子化し、インデックスを作成することにしたものでございます。
 契約については、財務局において、令和四年三月九日に希望制指名競争入札を行い、四者が参加し、株式会社マイクロフィッシュが落札しております。

○上田委員 元の紙の資料も廃棄しないことは当然ですが、劣化防止、保管場所、メンテナンスなどの管理はどうなっているのか、確認します。

○高橋生活福祉部長 これまで、昭和六十三年度に一部資料の電子化を行い、電子化された紙資料は、特定歴史文書等として東京都公文書館において東京都公文書等の管理に関する条例のガイドラインに基づき適切に保管しており、劣化により全く判読不可能で保存する意味がなくなった場合以外は、永久保存することとなっております。
 現在、民間倉庫に保管している紙資料につきましても、今般の電子化後には、同様に公文書館に引き継ぐ予定としております。

○上田委員 また、誤入力の回避はどのようにしているのか、検索性の高さやアクセスレベル制限など、仕様等はどうなっているのか、ご説明ください。

○高橋生活福祉部長 今回の委託は、先ほどご答弁したとおり、紙資料をスキャニングして画像データとして電子化し、インデックスを作成することとしております。
 事業者には、個人情報の取扱いに関する特記事項や電子情報処理委託に係る標準特記仕様書を遵守させるとともに、業務履行中に作成、活用されたデータ等については、廃棄方法も含めて報告させることとしております。

○上田委員 また、厚労省は遺骨収集の業務がありまして、連携不可欠に思料しますことから、その状況を確認させていただきます。

○高橋生活福祉部長 都の保有する旧軍人等の資料については、旧陸軍の一部の書類であり、旧海軍資料につきましては厚生労働省が保管しており、必要に応じて厚生労働省と連携しております。

○上田委員 確認できました。
 陽性者登録センターによる個人情報記載メールの誤送信についてですけれども、これ九月三十日に、ちゃんと選んでいる、大丈夫なのといったら、大丈夫です、立派な業者です、唯一無二ですといっていたのに、結局こういうことになってしまいました。
 再発防止案も説明いただいているので、これまで二件事故があったと思います、ワクチン接種予約システムの不具合もありました。
 この反省を踏まえた所見のみ、お答えいただければと思います。

○関口感染症対策部長 事業者の選定に当たりましては、引き続き、福祉保健局物品買入れ等指名業者等選定委員会で厳正な手続を経た上で対応していくとともに、受託事業者に対しましては、個人情報の取扱いをはじめ、事業の適正化を行うように指導してまいります。

○上田委員 昨年の予約不要ワクチンに若者が殺到しちゃって、八月二十七日の暑いさなかに、予約時刻に打ち切るみたいなことが、制度のエラーもありますので、ここも気をつけていっていただきたいと思います。
 また、都立、公社病院におきます誤嚥による報告事項の件数について、その内訳、都立病院の各件数別、診療別にお答えください。

○齋藤都立病院支援部長 令和元年度から三年度の都立病院の誤嚥件数は三十三件で、診療科別の内訳は、精神科が十八件、整形外科が三件、脳神経外科、脳神経内科、内科、総合内科がそれぞれ二件、その他四件でございます。
 また、公社病院の誤嚥件数は五件で、診療科別の内訳は、内科、精神科がそれぞれ二件、整形外科が一件でございました。

○上田委員 高齢者が多いと思うんですけれども、その中には、不適切看護も介在しているかと思いますので、ぜひ注視していっていただきたいと思います。
 松沢病院におけます死亡退院患者の推移について、死亡退院の中に自殺は含まれているのか、含まれているのであれば、何件でしょうか。身体拘束中、あるいはその直後の突然死はあったのか、あれば、肺塞栓症のケースはあったのか。二十代、三十代の死亡原因は何か、お答えください。

○齋藤都立病院支援部長 平成二十九年度から令和三年度までの松沢病院における死亡退院患者のうち、自殺した方は七名でございました。
 身体拘束中に亡くなった患者は一名で、肺塞栓症の疑いがございました。
 二十代、三十代の死亡原因は、がんや肝不全など様々でございます。

○上田委員 自殺念慮を快方に向かうため入院して自殺をしてしまうというのも、ちょっと胸の痛い話でございますが、しっかりとケアをお願いしたいということと、やっぱり身体拘束中に亡くしてはいけないと思います。ここについても、もう本当に慎重にしていただきたいと思います。
 79の資料、再入院率は、ほかの精神科病院と比較して多いのか少ないのか。退院してからの期間の長さと診療報酬にはどういう影響があるのか。松沢は、入院収益全体は下がり傾向にありますが、単価は増加していると聞いております。再入院率とこれらには因果関係があるのでしょうか、お答えください。

○齋藤都立病院支援部長 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターが公表している平成二十九年度の全国の精神病床における退院後三か月時点の再入院率は二〇%で、同年の松沢病院の約一九%と比較いたしますと、一ポイント高くなっております。
 一般に、再入院日が前回退院日から三か月以上経過している場合は、三か月未満の場合と比較いたしまして、診療報酬は高額となります。
 また、松沢病院の入院収益全体の減少は、入院患者数の減によるものでございますが、単価増は、平均在院日数の減少やコロナ患者の増が寄与しているものと考えております。

○上田委員 減少が地域移行に進んだというならいいんですけれど、松沢は精神科特例の影響により、ほかの病院と比較しても、病床当たりの精神科医師数が少なく、一人の精神科医が取り扱う患者は多いと聞いています。
 また、現在の診療報酬の体系においては、病院稼働率が下がると収入が減るため、退院を早めないで遅らせた方が、収入面でも仕事面でもよいという理屈になり、長期在院患者が減らない理由になっているのではないでしょうか。
 このような現状に関して、令和二年度まで同病院院長を務めた名誉院長は問題提起をしていると仄聞していますが、この点についての後任の方や現場の意識はどうなっているのでしょうか。

○齋藤都立病院支援部長 医療法施行規則に基づく精神病床に必要な医師数の算定は、一般病床の三分の一でございます。
 令和四年三月三十一日現在、松沢病院のこの規則に基づく配置必要医師数は、精神科と普通科を合わせ二十二・一名でございますが、これを上回る七十四・三名を配置しておりまして、精神科救急等の行政的医療に対応しております。
 また、診療報酬制度上、入院基本料は入院期間が短いほど、より高い点数が加算されるため、長期入院患者の増に伴い収益が向上するとは一概にいえないものと考えております。
 国や都は、精神科病院から地域生活への移行を促進しております。松沢病院は、地域の関係機関等と連携いたしまして、長期在院患者の退院促進に取り組んでおりまして、平均在院日数は、前院長就任前の平成二十三年度の百十五・一日から、退任時の令和二年度は七十四・一日となりまして、令和四年度上半期には六十四・三日に短縮しております。

○上田委員 82の資料ですが、治療終了は治癒と捉えていいのか、そうだとしたら、二年度、三年度は一人も治癒していないのか、確認します。

○齋藤都立病院支援部長 令和元年度の四件は、整形外科の入院患者でございまして、退院時には治療が終了したものであり、令和二年度と三年度には、同様の症例はございませんでした。

○上田委員 隔離は減少したんですが、身体拘束が増加しています。
 原因はあるのでしょうか。松沢病院行動制限最小化プロジェクトを打ち出した前院長が交代したことで、対象は変わったのか、確認します。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院は、これまでと変わらず、隔離や拘束を最小限にし、適正な薬物療法と十分な心理的対応を行う方針を掲げて取り組んでおります。
 ただし、令和二年度以降、コロナ患者を含む身体合併症患者を受け入れる中で、例えば患者が点滴器具を自己抜去することを防ぐため、患者の安全と適切な医療の確保を目的といたしまして、必要最小限の範囲で身体的拘束を実施するケースが増加いたしました。

○上田委員 医事関係訴訟について、それぞれの病院、あるいは診療科の内訳をお示しください。

○齋藤都立病院支援部長 平成二十九年度から令和三年度の都立病院における医事関係訴訟の件数は計十三件でございまして、小児総合医療センター、多摩総合医療センターがそれぞれ四件、墨東病院が三件、駒込病院が二件でございます。

○上田委員 そして、令和元年度から三年度までの都立病院及び公社病院における懲戒処分について、病院の内訳と処分理由の内訳をお願いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 令和元年度から令和三年度までの懲戒処分理由の内訳は、都立病院では、わいせつ行為が四件、窃盗等が三件、不適切な事務処理が二件、その他が四件でございます。
 また、公社病院では、コンピューターの不適正利用が二件、手当の不適正受給が二件、わいせつ行為等が二件、その他が二件でございます。

○上田委員 わいせつ六件で目まいがしていますけれども、この件を受けての福祉保健局の人事管理部門の受け止めと対応、同じく都立、公社病院での指導や現場の研修など、具体の対象や対策についてご報告ください。

○高野総務部長 職員一人一人が自覚を持ち、服務に係る事故を起こさないよう福祉保健局コンプライアンス推進委員会で事案を共有し、職員への周知や意識啓発、管理監督者による適切な指導監督の徹底など、非行、事故の防止に取り組んでおります。
 また、都立病院におきましても、臨時の事務局長会を開催し、服務規律の徹底を行うとともに、コンプライアンスについての研修を行っております。

○上田委員 患者さんというのは弱者なので、全幅の信頼をお医者様に、病院に寄せているわけですから、ここは徹底的に、再発防止じゃなくて撲滅をお願いしたいと思いますし、医事訴訟もハードルが高い中、毎年のように行われているということに関しても、重く受け止めていただきたいと思います。
 今年の秋、国連障害者権利委員会が初めて日本の障害者政策を審査しまして、精神医療と障害者教育につき、改善勧告が九月に出されました。
 精神医療の病床については、OECDの四割を日本の病床が占めまして、平均入院日数も突出している状況でございます。二〇〇四年に政府は地域移行を打ち出すも、成果が出ない中、医療保護、強制入院制度に原因があると強く指摘をされております。
 また、子供のADHD、発達障害の治療薬の乱用も、二〇一〇年に同じく勧告を受けており、もうこれずうっと指摘をさせていただいております。こちらの勧告、当然福祉保健局は受け止めているところでございます。
 これは教育庁、教育委員会のマターではありますけれども、障害者教育も父権主義的で、やってあげると上から目線のパターナリズムの偏りも指摘されております。
 医療、福祉現場におきまして、児童養護施設にいる子供たち、自殺をしたり、施設で亡くなった子たちのことも、都も把握しているとは、私からするととてもまだ、もう少しやっていただきたいなというところで、医療、福祉現場の人権意識、一人一人の患者さん、子供たち、障害者を大切にするという、こうした人権の確立を、都事業にのっとりまして徹底的に確立することを強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○山加委員 大分お疲れと思いますが、私の常識の範囲で、テーマを一つに絞って質問させていただきますが、後ほど、委員会以外のところでお聞きしたいことは伺おうと思いますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 私がこのヘルプマークを提案いたしましたのは、(実物を示す)ちょうど十年前、二〇一二年でありました。
 私は三十代の半ばで、たった一日を境に、納得のできない不条理な事故によって機能欠損を持ちました。先ほど、どなたかの会派、白石委員でしたね、ベッドで動けないまま天井をじっと見ている、そんな話で、私は自分自身の動けなかった、全く身動き一つできなかった七か月の大変苦しい時間を思い出してしまいました。その後、私は、不条理によって機能欠損を持つ、事故や病によって機能欠損を持つ、それは誰にでも起こり得ることであり、明日は我が身だなと思いました。
 でも、明日は我が身と思ったその私が、数年後に余命二年かな、三年かなという不条理な、また、がん告知を受けました。しかしながら、十年のがんサバイバーの壁を越えました。しかし、壁を越えたからといって、不安がなくなるわけではありません。想像を絶する大変厳しい抗がん治療がありました。恐らく経験者でなければ分からないと思います。
 そんな自分自身の体験の中から、私は十年前、外から気がつかない、分からない、そんな援助や配慮を必要とする方のマーク、東京都はもちろんですが、日本にはまだそういうマークがないということで、このマークを提案いたしました。所管の福祉保健局がこの提案を受け、その年の十月に、実際にこの形を作っていただき、製作をしてくださいました。
 思い出に残っているのは、元東京都知事、石原慎太郎知事が退任をなさるとき、各会派にご挨拶に回られ、自民党にもお越しをいただきました。私の前を通るとき、今月の「広報東京都」、最終ページの一面はヘルプマークだよ、そんな温かな言葉を思い出します。
 そして、このマークを提案してから五年後、このマークは見事にJISの新しい福祉のマークに追加をされました。このときには、国の安倍晋三元総理が、必要な方がつけていても、それを見る周りの方が一〇〇%このマークを認知しなければならない、啓発が必要であると、そんな温かな言葉をくださいました。
 今年、お二人とも同時に逝去されました。このマークを大きく後押しくださった偉大なこの二人の政治家に、心からの哀悼の意と、そして感謝と御礼を込めて、私は今日、自分自身が提案した、そしてちょうど十年の節目となるこのヘルプマークについて、皆様方にお伺いをさせていただきたいと思っています。
 先ほど中山副委員長も、聴覚の不自由な方に、言葉が文字になって出てくる、そんな提案をなさいました。実は私は、ヘルプマークを提案したときは聴力に異常はなかったんですが、現在は、補聴器を外すとほとんど自分の声が取れません。このようにデジタルといった機械の進歩によって、声が言葉になって出てくる、それを見て助けられております。
 どんな機能欠損を持っても、やはり自分自身の人生ですから、最大限の自助努力をしなければなりません。それは当然のことであります。しかし、ちょっと社会参加をして、助けが欲しい、配慮が必要だ、そんなときにこのマークを見て助けてくださる、そのことによって、どんなに生き生きと、また明日への希望を持って生活のできる方がいらっしゃるか、そのことをぜひ心の中に置いていただきたいと思っております。
 このマークは、皆様も恐らく私が提案したとき、私自身もそう思っていませんでした、全国に広がるとは、恐らく所管局、福祉保健局の皆さんも、そう思っていなかったと思います。
 でも、このマークを提案してしばらくたって、若い方が、私はこんな障害を持っている、だけれども、このマークが必要なマークである、だから一生懸命啓発しています、そんなSNSが届きました。
 若い方がこのマーク、今までと違う、つまり障害や不自由さを持つと、どうしても自分がこんな障害がある、こんな不自由さがあるということを表に出すのは、ちょっとためらうときがあるんですが、でも、皆さん堂々と明るく、そして、自分自身が持っている、抱えている、配慮の必要な、そんな生活の中で、このマークの啓発に努めてくれている。このことが、私は、この福祉のマーク、ヘルプマークが十年かけて全国に広がり、そして、昨年の秋でしたか、最後の一県、熊本県が導入を決めてくれ、全国四十七都道府県全て、このマークが広がったわけであります。
 皆様方のお力添え、心から感謝をしたいと思います。そして同時に、全国でこのヘルプマークの啓発に携わってくださった一般の国民、都民、そんな人たちの心のつながりにも感謝を申し上げたいと思っております。
 さて、五年前、平成二十九年、JISに入りました。このJIS、日本産業規格、日本の国家規格、国家の標準の一つでありますJIS、新しい福祉のマークに、この東京都から発信をされたヘルプマークが追加をされました。
 JISにはISO、これは全世界で統一された規格を制定している国際標準化機構ですが、ISO、国際規格に準じ、公共の福祉の増進に寄与することを目的とし、事業者等の国際標準化の促進に向けた努力義務規定も含まれていると認識をしております。
 JISに採用されたことで、先ほど申し上げました全国の都道府県が追従をし、時間がかかりましたけれども、全国でヘルプマークが導入をされたわけであります。
 確認の意味で、現在のヘルプマークの認知度をお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 都が令和三年度に実施いたしましたインターネット都政モニターアンケートにおいて、ヘルプマークを知っているか聞いたところ、意味も含めて知っていたが六四・九%、見たことや聞いたことはあるが、詳しい意味は知らないは二三・〇%、知らないは一二・一%でございました。
 ヘルプマークの意味も含めて知っていた人については、二年前の前回調査から約六ポイント増加し、見たことや聞いたことはある人も含めると、ヘルプマークを知っている人は約九割となっており、前回調査から約五ポイント増加しております。

○山加委員 ありがとうございます。
 ヘルプマークの認知度が約九割に高まったことは、数字としては評価をしたいと思います。しかしながら、ヘルプマークを身につけている方が、いつでもどこでも必要としているときに支援を受けられ安心して社会参加するためには、やはり一〇〇%の認知度が必要であります。
 ぜひとも東京都から発信されたこのヘルプマークが、全国共通の福祉マークにまで育ったわけですから、東京の意地と誇りを見せていただきたいと思います。提案者として心から切望いたします。
 また、ヘルプマークの所管は福祉保健局ですが、当時、このヘルプマークの連携、一番頑張ってくださったのが、私は交通局だと思っております。都営交通、どの駅にもヘルプマークのポスターが掲示をされていました。
 ちょっとそれますが、ポスターができたとき、私の手で一番最初に届けた事務所、つまりヘルプマークを提案し、ヘルプマークのポスターができましたと最初に見せに伺ったのが、練馬区で当時、自民党の衆議院議員として私としっかりと連携を取っていた現在の東京都知事、小池百合子事務所でありました。私が一枚目に届けた場所がそこであります。
 ちょっと横にそれましたけれども、多くの人に知ってもらうためには、区市町村の窓口など、地域住民にとって身近な場所に啓発ポスターを貼るなどの啓発活動をさらに進めていただきたいと思います。
 そこで、区市町村が包括補助事業を活用して、庁舎等にヘルプマークのポスターを貼るなどの普及啓発にさらに取り組むように、都としてもっと積極的に働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、ヘルプマークの普及に取り組む区市町村を支援するため、包括補助において、ヘルプマークの製作、配布、地域の公共施設やコミュニティバス等へのステッカーの表示、広報媒体での普及啓発に関する経費の二分の一を補助しておりまして、令和二年度までに三十一区市町村で取り組んでおります。
 ヘルプマークに関する区市町村の取組が一層進むよう、包括補助の事業説明会や区市町村との会議などの場を活用し、今後とも積極的に働きかけてまいります。

○山加委員 ぜひ今後とも区市町村と連携をしながら、ヘルプマークの一層の普及に取り組んでいただきたいことをお願い申し上げます。
 また、JISに追加をされてからは、辞書にもヘルプマークと調べますと記載があります。教科書の福祉マークにも、このヘルプマークが載っております。次の世代につなげるためにも、子供たちの理解を促進することも大切なことだと思います。
 実は、数年前には、私がヘルプマークを提案し、JISに入ってその後すぐですが、三重県から中学生の三人の学生さんが担任の先生に引率されて、練馬の私の事務所に、ヘルプマークをテーマにしたいので提案者にインタビューをさせてくださいという、大変かわいらしいインタビュアーが事務所にお越しになられました。
 その後も、学生さんがよく、このヘルプマークをテーマにしたいので、どういうことでこのヘルプマークを提案するに至ったのか、提案者として聞かせていただきたいと。私も昔、インタビューする側の仕事をしていた時期がありましたが、逆にインタビューを受けて少々緊張しながら、かわいいお子様たちがこのマークに対して理解を深め、そしてすばらしい社会をつくっていただきたいなと、本当に温かな気持ちになるところであります。局の皆さんが感じている以上に、若い世代の皆さんが、このヘルプマークに関心を示していることをぜひ忘れないでいただきたいなと思うところであります。
 次の時代を担う子供たちがヘルプマークを正しく理解し、まち中でヘルプマークを使用している人を見たら必要な手助けができるように、局の垣根を超えて、まさに心のバリアフリーにもつながる啓発を行ってほしいと思いますが、そこで、都は、子供たちがヘルプマークを正しく理解できるよう、どのように普及啓発を行っているのか伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、ホームページでヘルプマークを広く周知するほか、駅や公共施設等へのポスターの掲示、電車やバスの優先席やホームドアにおけるステッカーの表示、イベントでのチラシの配布などを通じて普及啓発に取り組んでおります。
 また、子供たちが障害や障害者について知り、身近な問題として考える機会となるよう、毎年十二月の障害者週間におきまして、ヘルプマークや障害者に関するマークを紹介するポスターを作成しておりまして、都内全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等に配布し、理解促進を図っております。
 令和二年度には、ヘルプマークを見かけたときの具体的な対応方法を紹介した分かりやすい啓発動画を作成し、都のホームページやイベント等で公開するなど、子供も含め、広く都民がヘルプマークを正しく理解してもらえるよう様々な取組を行っております。

○山加委員 ぜひとも、未来を担う子供たちがヘルプマークを正しく理解し、援助が必要な人へ手を差し伸べることができるように、関係各局が連携しながら、繰り返し繰り返し積極的に啓発を行っていただきたいと思います。
 次に、ヘルプマークの普及が進むにつれまして課題もあります。その一つが、必要な方には全国で無料配布されているはずのこのヘルプマークが、フリマサイト等で有料で転売をされているということであります。転売は一向に減らずに増えていると聞きます。
 もう皆さんの耳にも入っていると思いますが、このヘルプマークの商標権、著作権は東京都が有しているはずであります。都は、このヘルプマーク、耳に入っていると思いますが、その転売について、どのように認識をし、対応しているのか伺います。

○中川障害者施策推進部長 ヘルプマークの転売につきましては、都としては、あってはならないというふうに考えておりますが、その転売につきましては、商標権を有する都でありましても、法律上規制することは難しいというものでございます。
 このため、都は、ヘルプマークの正しい普及を推進するため、ホームページ上で無料で入手できることを強調して情報発信をしております。昨年度からは、フリマサイト等での売買を控えるよう、ホームページで告知するとともに、全国の配布場所を紹介し、転売者からの購入を控えるよう促すなど、対策を強化しております。

○山加委員 ぜひ、必要な方が無料で入手できるということを徹底的に啓発、広めていただきたいと思います。
 正しい理解が必要だと思うのは、先日もこんな一件がありました。芸能界のある有名なミュージシャンが久しぶりに作った限定アルバムに、ヘルプマークに似たグッズを付録としてつけたんですね。それが発売前から大変な問題となりました。
 私のところにはフェイスブック等のお友達やLINEのお友達から、こういうことがあるけれども、ヘルプマークに似たマークが付録につくということは、ヘルプマークの提案者としてどう思いますかという、私の方にかなり多くの問合せがありました。
 一件ずつは個別にお答えをしておりませんが、所管局には、芸能界のことではあるけれども、これだけ大きく世間を騒がせているので、注視をしてほしいと申入れをしたところであります。
 早速、大変タイムリーに、所管局は相手のレコード会社に指導を入れてくださいました。そして、指導を受けたレコード会社も大変真摯に対応してくださり、ヘルプマークを知らなかったということが出たわけであります。そして、知らなかったがゆえにこういうことになった、ですから、グッズの変更と、そして、大変申し訳なかったというおわびをホームページに上げていただきました。まさに迅速な東京都の対応に敬意を表したいと思っております。
 外見から分からなくても、援助や配慮の必要な方が真に困っていたら、周りの人々が自然と声をかけたり、手を差し伸べられる社会、そのような温かな共生社会に向けて、ヘルプマークがさらなる心のバリアフリーのきっかけになってほしいと私は願っております。
 そして、このヘルプマークを日本国内だけでなく−−福祉のジャンルで日本から発信をされて世界に通用しているのに、点字ブロックがあります。ぜひ、二つ目の日本から発信される福祉のマークとして、世界に通用する福祉のマークに育てていただきたいと願います。
 そのためにも、ヘルプマークのさらなる正しい理解、啓発のために力を入れていただきたいと願いますが、最後に、ヘルプマークの普及に対する西山局長の強い決意を伺い、私の質問を終わらせていただきます。局長、よろしくお願いいたします。

○西山福祉保健局長 ヘルプマークは、義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助が必要な方が、周囲に配慮を必要とすることを知らせることで、援助が得やすくなることを目的に作成したマークでございます。
 平成二十四年に都営大江戸線で試行を始めまして、翌年には都営地下鉄全線の優先席に導入をいたしました。その当時から委員には、ヘルプマークを推進する立場から、議会においても重ねてこの事業を取り上げていただいているところでございます。
 都営地下鉄の導入後、都として様々な普及啓発を重ねるとともに、多くの自治体や企業、鉄道会社などが賛同して取組が広がりまして、平成二十九年にはJIS規格の案内用記号として全国共通のマークに位置づけられ、令和三年には全ての都道府県で使われるようになったところでございます。
 全ての都民が共に暮らす共生社会を実現するためには、障害のある人もない人もお互いに尊重し、支え合う心のバリアフリーの考えが広がることが重要でございます。
 今後とも、ヘルプマークの理解促進に向けた取組を積極的に進めるとともに、ヘルプマークを身につけた方への援助方法など、より具体的な普及啓発にも取り組みまして、ヘルプマークの定着を一層進めてまいります。

○菅原委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症に関しては、国会でも継続的な議論が行われております。十一月四日には感染症法などの改正案が修正可決をされました。修正案は、公的病院など特定の医療機関に感染症医療の提供を義務づけた内容です。
 コロナ病床の確保について、東京都と医療機関があらかじめ事前協定を結ぶべきと考えますが、見解を伺う予定でした。既に中山副委員長からも同じような質疑がありましたので、この答弁は割愛をさせていただきたいと思います。
 この改正案には、感染症法上の分類を速やかに行うことや、コロナ後遺症治療、また予防接種の副反応などの在り方の検討も附則修正をされております。感染症の対応は、時には、あらかじめ準備をしておく必要があります。いざというときに備えて、コロナ病床の確保は準備を進めていただきたいと思います。
 次に、コロナワクチンの接種間隔についてです。
 コロナワクチンの接種間隔が五か月から三か月に短縮をされました。科学的知見を踏まえた判断だと思います。コロナワクチンの接種間隔の短縮を踏まえた対応について伺います。お願いします。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 現在、接種を進めているオミクロン株対応ワクチンは、従来型のワクチンを上回る効果が期待されており、忘年会や帰省シーズンを控え、対象となる方に対し、早期に接種するよう働きかけております。
 先月二十一日から接種間隔が五か月から三か月に短縮され、この結果、夏に四回目の接種を受けた高齢者や医療従事者などが新たに対象となり、都内の約一千八十万人が年内に接種可能となりました。
 都は、市区町村とのワクチンチーム会議等を活用し、接種対象者拡大に伴う接種券の発送や接種体制の整備などに迅速に対応するよう、各自治体に働きかけてまいりました。
 また、リスクが高い高齢者施設等の入所者については、施設に早期接種を働きかけるとともに、ワクチンバスを重点的に派遣し、接種を強力に推進してまいります。
 引き続き、社会経済活動との両立に向けて、接種間隔の短縮により対象となった方も含め、より多くの方に時期を逸することなく、オミクロン株対応ワクチンを速やかに接種いただけるよう取り組んでまいります。

○菅原委員 まだまだ正体不明の新型コロナウイルスですが、ワクチンによる感染予防や重症化予防の効果は、エビデンスがそろってきたと思います。社会経済活動との両立のためにも、さらに進めていただきますようお願いをします。
 孤独、孤立対策については一般質問でも取り上げて、小池都知事からは、人々の不安や困難に寄り添った包摂的な社会の実現に向け、全庁を挙げて取り組むとの答弁をいただきました。本日の質疑の根底には、孤独、孤立という課題をどのように解決していくのかという認識があります。
 まずは、自殺対策についてです。
 都は、来年度に東京都自殺総合対策計画を策定予定で、既に骨子案を示して議論がスタートしております。新たに策定する自殺総合対策計画骨子の概要について伺います。今までの計画から変化または進化した点をお示しいただきたいと思います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 令和四年十月に新たな自殺総合対策大綱が閣議決定されたことを受けまして、都は、自殺総合対策東京会議において、次期自殺総合対策計画の策定に向けた具体的な検討を進めております。
 次期計画におきましては、都におけるこれまでの取組とコロナ禍における女性の自殺者数の増加等の現状を踏まえまして、自殺未遂者支援、悩みを抱える人を早期に適切な支援窓口につなげる取組の強化、働き盛りの男性の自殺防止、女性への支援のさらなる充実、児童生徒、学生の自殺防止及び自死遺族支援の六項目を重点項目と位置づけますとともに、今後の取組の方向性と施策について十二の分野で取りまとめる予定でございます。
 これらにより、幅広い分野で自殺リスクの要因を減らすとともに、生きることの促進要因を増やし、生きることの包括的支援としての自殺対策を庁内各局や区市町村、関係機関と連携しながら推進をしてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 日本財団の自殺意識調査二〇一六では、過去一年以内に自殺未遂をした人が五十三万五千人いるということが報告されています。これは国民の二百人に一人というふうな数字になるわけです。そのうちの四人に一人が本気で自殺をしたいと考えていたことも報告されました。以前は、自殺未遂者は自殺者数の十倍といわれていたんですけれども、これが定説でしたが、調査では二十倍いるということが分かってまいりました。
 この五十三万人のうち、四回以上自殺未遂を経験したと答えたのが女性のうち四九%、半分ぐらいです。そして男性が三七%。また、自殺未遂者には若い人が多いことも調査で分かってきました。コロナ禍でこの傾向はさらに加速しているように思います。
 自殺未遂者への対応について伺います。自殺未遂者へのフォローアップをすると診療報酬が加算されて、今年の報酬改定でその金額がさらに上がりました。このことを踏まえて、医療機関と連携した未遂者支援について、どのように取り組んでいくのか伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 令和四年度診療報酬改定におきまして、こころの連携指導料が新設され、かかりつけ医等及び精神科医等が連携した精神疾患を有する患者等への診療が評価されますとともに、自殺企図患者等に対する効果的な指導に関わる評価を推進する観点から、救急患者精神科継続支援料の要件及び評価の見直しが行われました。
 都は、自殺未遂者への支援が地域で継続的に行われますよう、都内においてこれらの項目を届け出ている医療機関のリストを区市町村に提供するなど、医療機関と連携した自殺未遂者支援の推進を図ってまいります。

○菅原委員 次に、産業医の件を伺います。
 自殺される方々の中には、労働者が三〇%程度おります。特に休業明けで復職した方、また過重労働者、または大きな出来事を経験した後の労働者、健康障害によって就業制限を受けている労働者、さらに派遣労働者などが挙げられます。
 大企業であれば、産業医などの適切な対応も期待できますが、産業医のいない小規模事業者ではそれが難しくて、大企業とは違ったアプローチが必要と考えますが、東京都の見解を伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、職域健康促進サポート事業によりまして、東京商工会議所と連携して、メンタルヘルスケアなどをはじめとする従業員の健康に配慮した経営に取り組む企業を支援しております。
 また、職場でのゲートキーパー養成のためのデジタルパンフレット及び動画を作成いたしまして、困難を抱える方の周囲の人々が、ゲートキーパーとして悩みに気づき、声をかけ、必要な支援につなぐことができるよう支援をしております。
 加えまして、職場全体で自殺対策に取り組む必要性等の理解促進を図るため、企業の経営者や人事担当者等に対する講演会及び参加企業へのフォローアップを実施しておりまして、今年度は、東京都立中部総合精神保健福祉センターの医師を講師として招き、開催をする予定でございます。
 引き続き、これらの取組を通じて、職域における自殺対策を推進してまいります。

○菅原委員 いわゆる妊婦の自殺のことを取り上げたいと思います。
 平成二十九年一月、厚生労働省が行いました新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会、これの第三回において、愛育病院長の岡井先生から、妊産婦の自殺、これは東京都の集計が出されました。岡井先生からは、十年間の妊産婦の自殺者の分析から、妊娠二か月での自殺が突出しているという報告がありました。
 様々な理由があると思いますが、予期しない妊娠が背景にあることが予想されます。この状況、そして対応を伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 国の自殺総合対策の推進に関する有識者会議における報告によりますと、妊娠初期の自殺は、予期しない妊娠が大きな要因として考えられるとされております。
 令和二年において、女性の自殺者数が前年と比較して増加したことを踏まえまして、都では自殺対策の強化を図ってまいりました。
 具体的には、女性の相談ニーズに合わせ、自殺相談ダイヤルの受付開始時間を令和三年七月から、午後二時から正午に二時間前倒しをするとともに、女性向けの相談窓口等を掲載した自殺防止啓発リーフレットを作成いたしまして、母と子の保健バッグへの同封等を通じて配布をしております。
 また、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して、妊産婦の状況に応じて継続した支援を行う区市町村を支援するとともに、妊娠や出産に関する様々な相談に応じる妊娠相談ほっとラインを実施しております。
 さらに、令和四年度に、妊産婦の自殺予防に知見のある産婦人科医を自殺総合対策東京会議の委員として新たに任命し、対策の検討を進めております。

○菅原委員 どうぞよろしく、その点は進めていただきたいと思います。
 自死遺族への支援について質問させていただきます。
 自殺と自死の言葉の使い分けについては、NPO法人全国自死遺族総合支援センターが、「自死・自殺」の表現に関するガイドラインを発表しております。この中で、遺族、遺児に関する言葉は、自死を使うことが望ましいとされております。
 遺族への支援には大きく二つのアプローチがあると思います。一つは個別のアプローチ、もう一つは分かち合いの会などへのアプローチです。大切な家族を亡くした悲しみと同時に、遺族は、加害者の可能性として捜査対象になる場合があります。自宅が現場となった場合には、その場所の掃除を家族で行う場合もあります。これらの状況をサポートすることは難しいですが、検討課題ではないでしょうか。
 一般には、残された家族が支え合って生きていくという話も聞きますが、現実はもっと複雑です。悲しみの受け止め方は人によってそれぞれですし、時間とともに変化します。悲しみ、嘆く場合もありますが、無反応の状況もあります。家族の場合、これらの受け止め方の違いが許せないと嘆くケースもあります。
 自死遺族への支援は、一人一人に丁寧にが原則です。自死遺族などが直面する困難を踏まえた上で、自死遺族への支援の必要性について見解を伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 自殺総合対策推進センターが策定をいたしました自死遺族等の支援に関する手引によりますと、一人の自殺は、少なくても、周囲の五人から十人の人たちに深刻な影響を与えるといわれております。
 具体的には、感情面、身体面等での影響に加えまして、自殺についての周囲からの誤解や偏見等によって、人に話せず悲しみを分かち合えない、必要な情報が届かない、家庭内に問題が生じる、周囲の人たちの言葉や態度によって傷つけられたといった課題や困難に直面するとされております。
 都はこれまで、遺族の方が必要な時期にニーズに応じた支援を受けられますよう、相談窓口や遺族の集いなどの情報を掲載したリーフレットを作成いたしますとともに、東京都地域自殺対策強化補助事業によりまして、自死遺族関係団体等が実施をしている分かち合いの会や相談事業などの取組を支援してまいりました。
 遺族の方が総合的な支援ニーズを持つ可能性があることを踏まえまして、現在、自殺総合対策東京会議において、自死遺族支援の強化について検討を行っております。

○菅原委員 加えて伺います。自殺対策は、行政だけではなくて、市民団体との連携も重要だと思います。
 自殺に関する市民団体との連携とその支援について伺います。

○遠藤保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都では、地域の特性に応じた効率的な対策を後押しし、地域における自殺対策のさらなる強化を図ることを目的といたしまして、東京都地域自殺対策強化補助事業により、都内において民間団体が実施する自殺対策の取組を支援しております。
 令和二年度以降、新型コロナウイルス感染症の影響による相談ニーズの増加を受け、民間団体が実施する自殺防止に関する相談体制の拡充や感染防止対策等を支援するため、補助率を十分の十とし、支援を強化しております。
 また、これらの民間団体と、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを構成いたしまして、定期的に連絡会を開催するなど、各分野の関係者が連携しながら施策を推進しております。

○菅原委員 答弁にもありましたように、市民団体の支援としては、東京都地域自殺対策強化補助が軸になります。また、民間団体と定期的に連絡会を開催するなどの施策も重要ですし、計画の策定などに関わってもいただいてまいりました。
 当事者が集まる分かち合いの会も重要な活動です。十月だけでも、都内では十四回の分かち合いの会が開催をされています。二日に一遍ぐらいやっているということなんです。
 私も、日野市で開催している分かち合いの会は、第一回から関わってまいりました。自死遺族は、自分の住んでいる地域はもちろんですが、あえて住んでいない地域の分かち合いの会に参加する場合もあります。小規模でいいので、自分自身を認める居場所を提供できるように活動を支えていただきたいと思います。
 世界保健機構が二〇〇三年に国際自殺予防学会と共同で開催をいたしました世界自殺防止会議で、次のようなメッセージを出しました。自殺は、追い詰められた末の死であり、避けることのできる死である、つまり個人の問題ではなくて社会的な問題である、こんなメッセージです。
 今回は、未遂者や妊婦へのサポート、産業医や支援団体の存在などを取り上げました。コロナ禍で顕在した鬱の問題や、物価高騰によって厳しい状況に陥る都民の命を支えることなども進めるべき課題です。今後も、生きるための包摂的な社会の構築について取り組んでいただきたくお願いを申し上げます。
 CDRのことを取り上げます。
 私たちはかねてより、CDR、チャイルド・デス・レビューについて取り上げ、対応を求めてきました。それを受けて、都は、今年度の予算に予防のための子供の死亡検証として、初めて予算を計上しております。
 CDRは大変重要な取組であり、着実に進めていくべきものと考えています。そこで、これまでの検討の進捗を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、CDRの実施体制や検証対象等の課題について医療機関等にヒアリングを行うとともに、事故等の報告、検証制度に係る情報を収集いたしました。
 また、国のモデル事業に取り組んでいる自治体の実施体制等につきましても、調査やヒアリングを実施しております。
 現在、海外の取組状況について調査を進めているところでございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 海外の状況について調査を進めているという報告をいただきました。
 CDRを進めるためには、関係機関との情報交換の場を持つべきだと考えますが、見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 CDRを進める上では、今年度取り組んでいる調査やヒアリングの結果等も踏まえまして、関係機関と連携して、具体的な実施手法について検討する必要がございます。
 そのため、今後、検証の取組体制や対象の選定方法、収集する情報の範囲等につきまして、都内の医療機関や保健所、警察等の関係機関と検討する場を設けまして、意見交換を行う予定でございます。

○菅原委員 チャイルド・デス・レビュー、CDRは子供の死を詳細に検証する作業です。その意義は、予防可能な死を減らすということにあります。死ぬ蓋然性がない子供を死なせないことは社会の責任であって、不幸にして亡くなった場合に、その議論を尽くすことは、死亡した子供に対しての最低限の礼儀だと思います。
 死因究明は、最後の医療といわれます。その人の人権を守るために社会の責任として確立しなければならないと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 次は、こうのとりのゆりかごについて伺います。
 いわゆる赤ちゃんポストともいわれますが、この表現は関係者からも適切ではないという指摘があります。私もそう思います。そこで、今回の質問では、熊本市の慈恵病院の活動に敬意を表して、こうのとりのゆりかごという名称を使わせていただきます。お許しください。
 こうのとりのゆりかご事業は、様々な事情のために育てることのできない赤ちゃんを親が匿名で託すための施設及びそのシステムです。つい子供を預かるゆりかごの施設に注目が集まりますが、慈恵病院の場合、SOS妊娠相談がメインで、ゆりかご施設はその附帯施設と位置づけられていると説明をされております。
 慈恵病院の事業は、二〇〇七年に始まり十五年がたちました。近年の相談事業は、年間五千件から七千件で推移をしています。毎日十五件程度の相談があるという計算になります。
 対して、東京都の妊娠相談ほっとラインは年間四千件ぐらいです。つまり、東京都に集まる、それ以上の相談が熊本の一つの病院に集まっているということもいえます。
 また、こうのとりのゆりかごとして、今までに百六十一人の赤ちゃんを受け入れてまいりました。一番多い年は二〇〇八年の二十五人です。つまり、二週間に一人の赤ちゃんを受け入れたということになります。
 相談や赤ちゃんの預け入れは熊本県以外の方も利用しています。百六十一人の保護者のうち、熊本県在住者は十三人のみで、九割以上は県外からです。関東からは二十五人いました。北海道や国外からの事例もあります。
 この事業の目的は、あくまでも子供の命を守ることであり、社会的に孤立した女性が、新生児を殺人や遺棄する犯罪を選ばないようにすることにあります。海外ではベビーボックスともいわれるようですが、ドイツでは百か所、パキスタンでは三百か所、そのほか幾つかの国でも設置をされています。
 このこうのとりのゆりかご事業について東京都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 匿名で新生児を受け入れる、いわゆる赤ちゃんポスト、お話のように、熊本市の医療機関では、こうのとりのゆりかごと称して取り組まれておりますが、これにつきましては、その利用に至る前に妊産婦を支援することが重要でございます。
 都は、妊娠相談ほっとライン等により、妊娠や出産に悩みを抱える妊産婦等への相談に対応し、特に継続的な支援が必要な場合には、区市町村の保健センター等につなげております。

○菅原委員 九月に都内の医療法人社団が、こうのとりのゆりかごの事業化を検討いたしまして、二年後のスタートを目指しているという報道がありました。この事業が始まることを想定すると、東京都として相応の体制整備が必要になると思いますし、事業団体との信頼の構築が望まれます。
 報道ベースですが、北海道の民間団体が設置した事例では、北海道庁が現地を調査して運営自粛を要請していると、そういう事例もあるようです。
 こうのとりのゆりかご事業は、民間団体がいきなり始める可能性があります。善意での活動とはいえ、人の命を預かる事業ですので、関係機関との十分な連携は必要ではないかと思います。
 こうのとりのゆりかご事業は、人間の尊厳の一番大事な部分を支える事業です。どんな出自でも、その人の人生のスタートに最大限の愛情を注ぐ取組です。その活動を支えて継続性を保つためには、行政の取組が必要だと思うのです。
 都内の医療機関が設置を計画していますが、実際に設置をした場合に、都としてどのように対応していくのか検討を開始すべきではないかと思いますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 いわゆる赤ちゃんポストが設置され、医療機関から児童相談所に通告があった場合には、児童福祉法に基づき一時保護等を実施するなど、子供の福祉を第一に対応いたします。
 当該医療法人からは、現時点において相談は受けておりませんが、今後、法人から申出があった場合には、熊本市と慈恵病院との取組等を参考にしながら、区市町村などの関係機関と連携し、具体的な対応を検討してまいります。

○菅原委員 都内に、こうのとりのゆりかごが設置をされた場合、相談窓口、児童相談所、福祉の窓口はもちろんのこと、東京都民ではない都外からの方々の対応も想定して取り組むことになります。
 虐待による死亡例は年間五十人前後で推移をしています。これは、一週間に一人の子供が虐待によって命を落としているということになるんです。加害者の半分は実の母親です。ゼロ歳児の虐待死の四割以上が生後ゼロ日から一か月の新生児です。これらの悲しい事例には、自宅出産や車の中での出産など、医療にアクセスのない出産だったり、妊娠していることを知られたくなかったが、どうしていいか分からずに出産してしまったなどの背景があるようです。全ての出産を祝福できる社会をつくりたいと思っているんです。
 内密出産についても伺います。
 国は九月に、内密出産に関するガイドラインを通知いたしました。内密出産とは、母親が自身の身元を開示されることなく行われる出産のことです。日本では、今年になり七例の内密出産があります。
 子供の戸籍の作成、子供の出自を知る権利に対応できるよう、医療機関が母親の情報を管理することなど、行政と医療機関が行う手続を整理したのがこの通知でございます。
 国が都道府県宛てに内密出産に関する通知を発出しましたが、東京都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 内密出産に係ります国の通知は、子供の出自を知る権利の重要性や出産前後に母子が得られる支援等の観点から、本来は身元情報を明らかにして出産することが原則であることを明示するとともに、関係機関の連携など、現行制度下における対応等を改めて整理しております。
 現在、通知で示されております対応の詳細につきまして国に確認をしており、都としては、その回答も踏まえ、対応を検討してまいります。

○菅原委員 内密出産は、特定妊婦にもなれない母親が、それでも子供の人生をスタートさせたいという思いで、最後の選択になっている可能性があります。いわゆる嬰児殺しを防止するために、多くの国では法制化されてきた歴史もあります。様々な意見があるとは思いますが、国の通知を踏まえて、都としての対応を整理しておくことは重要です。ぜひ検討を進めていただきたくお願いをいたします。
 がん対策について伺います。
 現在作業が進んでおります東京都がん対策推進計画第三次改定について、その方向性とスケジュールを伺います。さらに、同じ時期に改定する東京都保健医療計画との関係についても伺います。お願いします。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は現在、東京都がん対策推進計画の改定に向け、患者や家族等に対する実態調査を実施しておりまして、その調査結果を踏まえ、がん対策推進協議会及びワーキンググループにおいて、専門家や患者の意見を聞きながら検討を進めてまいります。
 具体的なスケジュールといたしましては、令和五年中に素案を取りまとめ、広く都民、関係団体等に向けてパブリックコメントを実施し、令和六年三月には計画を策定する予定でございます。
 なお、がんは、東京都保健医療計画に定める五疾病の一つとされております。計画の改定に当たりましては、十分に整合性を図ってまいります。

○菅原委員 東京都が展開しているがん相談がありますが、これは多くの病院で行われています。しかし、電話と対面が主流です。
 コロナ禍でオンラインコミュニケーションへの理解が進んできましたので、この機会にオンラインのがん相談の実施が求められると思いますが、見解を求めます。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 がん診療連携拠点病院は、国の整備指針におきまして、がん相談支援センターの設置が義務づけられております。
 指針の改定によりまして、令和四年八月からは、電話や対面による相談のほか、必要に応じてオンラインでの相談を受け付けるなど、情報通信技術等も活用することとされ、各拠点病院におきましてオンラインによる相談の取組が進められているところでございます。
 都は、拠点病院に対し、必要な設備整備について支援しておりまして、がん患者や家族に対する相談支援が充実するよう、引き続き取り組んでまいります。

○菅原委員 オンラインのがん相談のほかに、最近ではLINEを使った情報交換も広がりつつあります。まずは、オンラインでのがん相談の整備を進めていただくようにお願いを申し上げます。
 次に、がん教育について伺います。
 都民へのがん教育や健康教育について、現在の取組及び今後について伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 がん診療連携拠点病院等におきまして、がんに関する公開講座などを開催するとともに、東京都がんポータルサイトにおきまして、がんに関する様々な情報を提供しております。
 公開講座は、今年度は最新の乳がん治療や緩和ケアとの上手な付き合い方などをテーマとした講座が開催されているところでございます。
 また、働く世代や子育て世代を対象といたしまして、がんの正しい知識を普及するため、がんに関する基礎知識、予防、検診に関する情報、治療と仕事の両立に役立つ情報などを盛り込んだ動画の作成に取り組んでおり、今後、インターネット配信をすることとしております。
 今後も、あらゆる世代の都民が、がんを知り正しく理解するよう、様々な媒体を活用し、ライフステージに応じた効果的な普及啓発の取組を進めてまいります。

○菅原委員 働く世代や子育て世代を対象とした動画の作成をしておりまして、インターネットでの配信をするという答弁をいただきました。
 せっかくの取組ですし、例えば、区市町村や企業での研修会での活用、内容によっては大学との連携も検討いただき、広く視聴されるように、取組に期待をいたします。
 東京都がん対策推進協議会のメンバーについて伺います。
 委員の皆さんはすばらしい方々ばかりですが、医療関係者と患者団体が中心です。今後は、がんとの共生を見据えた多様な方々に関わっていただくことが求められると思います。
 今後、がん対策の検討には、多様な背景を持つ多職種での構成が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 がん対策の推進に当たりましては、東京都がん対策推進協議会の下、緩和ケア、就労支援、AYA世代、三つのテーマごとにワーキンググループを設置し、より専門的、具体的な見地から検討を進めております。また、今後新たに、予防、早期発見、教育を一つのテーマとしたワーキンググループを設置することとしております。
 ワーキンググループのメンバーにつきましては、東京都がん対策推進協議会を構成する学識経験者、医療関係団体、区市町村の代表、患者団体等のメンバーだけでなく、例えば緩和ケアワーキンググループでは、在宅医療に取り組む医師や疼痛管理に関わる看護師、精神科医など、また、新たに設置する予防、早期発見、教育のワーキンググループでは、教育関係者や医療保険者の代表などを加え、より多様な見地から広く意見を求め、議論を進めてまいります。

○菅原委員 予防、早期発見、教育のワーキンググループの設置をするという答弁をいただきました。
 特に教育についての議論は重要です。国は、学習指導要領にがん教育を明記していますが、令和三年度におけるがん教育の実施状況調査では、外部講師を招いたがん教育というのは、小学校で八%、中学校で一〇%、高校で七%です。まだ足りないと思います。
 がん教育は、児童生徒自身の健康のためだけではなくて、家族ががんに罹患したときの受け止め方にもよい影響を与えると思います。ぜひ進めていただきたいと思います。
 手術により、人工肛門や人工膀胱を保有するオストメイトは、外出にはオストミー対応のトイレが必要です。当事者からは、私鉄やJR、都営地下鉄などではオストミー対応トイレが普及しているのに、都有施設、さらには災害時の避難所になる学校では普及していないという声をいただきました。
 実際、都営地下鉄は一〇〇%、JRと私鉄では九七%の設置であるのに対して、都有施設における普及率は五一%にとどまっています。都内の施設でのオストミートイレの拡充についての質疑も用意しておりましたが、これも中山副委員長と重なりましたので答弁は割愛をさせていただきます。
 東京都が、東京二〇二〇大会のレガシーでもありますユニバーサルデザインのまちづくりの視点で進めていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 次に、養育家庭の件です。
 通常、里親と児童相談所は緊密な連携を取っていると思いますが、これは委託をしている里子の個別の連絡が多くて、個別の対応となっていると認識をしています。通常の連絡とは別に、里親制度全体の方向性や、児童相談所と里親の信頼関係をさらに強めるための話合いなども必要ではないかと思います。
 これからの里親家庭の拡充に向けて、例えば里親団体と児童相談所の意見交換の場を持つべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都はこれまで、定期的に養育家庭の会の代表と意見交換を行い、支援に係る認識等を共有してまいりました。また、各児童相談所におきましても、行事などを通じまして、養育家庭の会の各支部との交流を行っております。
 加えまして、今年度は、養育家庭の会からの要望を受けまして、養育家庭の会と児童相談所の代表者が懇談する機会を新たに設定する予定でございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 次は、婦人保護施設です。
 婦人保護施設は、昭和三十一年の売春防止法、昭和二十六年の婦人保護施設に係る社会福祉法を根拠として設立、運営されています。古い法律ですので、現在に合わなくなっている点が指摘をされてまいりました。
 今後の新法の施行に向けて、都内に五か所あります婦人保護施設について、利用しやすい体制づくりなどについて、時代に合わせた運用の改善にどのように取り組んでいくのかを伺います。

○奈良部少子社会対策部長 令和六年に施行される困難な問題を抱える女性への支援に関する法律では、都道府県は、国が定める基本方針に即して、困難な問題を抱える女性への支援に関する基本的な方針や、施策の実施に関する事項などを定めた基本計画を策定することとされております。
 計画の策定に当たりましては、女性をめぐる課題が複雑化、多様化していることから、区市町村や民間団体などから成る会議体で幅広く議論する予定であり、その中で婦人保護施設の支援の在り方や体制などについても検討してまいります。

○菅原委員 難病対策について伺います。
 難病の患者に対する医療等に関する法律では、各地域に難病対策地域協議会を設置するよう努めるものとしています。難病対策地域協議会について、都内の設置状況を伺います。

○播磨新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務 都は、難病の患者に対する医療等に関する法律に基づき、東京都難病対策地域協議会を設置しており、多摩地域の五か所の都保健所においても、それぞれ難病対策地域協議会を設置しております。
 また、都内の保健所を設置する市及び特別区の設置状況については、毎年調査を実施しており、令和四年三月三十一日時点で、保健所設置市二市は設置済み、特別区は九区が設置済みでございます。

○菅原委員 法律に沿って、都内の各地域での設置を促進するよう取り組むべきと考えますが、東京都の見解を伺います。

○播磨新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務 地域における難病患者への支援体制に関する課題を共有し、地域の実情に応じた体制の整備を進めるためには、難病対策地域協議会の役割は重要であると認識しております。
 このため、都は、先行して協議会を設置した地域の準備内容等を取りまとめ、新たに設置する際の参考として各地域に情報提供しております。
 また、毎年度、各地域での協議会の開催状況について調査を行い、特別区保健予防課長会において、調査結果及び協議会の意義を説明するとともに、令和三年度からは、都内の協議会の設置状況について都のホームページで公表しております。
 今後もこうした取組により、各地域において協議会の設置が進んでいくよう働きかけを行ってまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 次は、学校で朝ご飯、こういうテーマで伺いたいと思います。
 文部科学省は二〇〇六年に、早寝早起き朝ご飯を提唱して、全国協議会を結成しました。国民運動として推進をしてまいりました。子供たちの栄養摂取の観点から、朝ご飯の必要性について伺います。

○播磨新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務 心身ともに健康的な生活を送ることができるようにするためには、毎日三食を取り、必要な栄養素を摂取することが重要でございます。
 そのため、朝食についても欠かせないものでございます。

○菅原委員 朝ご飯は、子供たちに栄養だけではなくて脳科学の面からもよい影響を与えるということが分かっています。都内には、子供たちの登校前に朝ご飯を提供する団体があります。私もこの団体の朝ご飯の様子を見て、実際に朝ご飯をいただいてまいりました。
 事業者は、地域の方々のつながりでスタッフを確保して、小学生や中学生などに対して、毎朝、朝ご飯を提供していました。様々な事情で朝ご飯を食べられない子供たちもいますが、友達と一緒に朝ご飯を食べることそのものがとても楽しいとして集まる子供たちもいるようです。この事業は、学校長や教員からも歓迎されているということです。
 さらに、地域のパン屋から、前の日売れ残ったパンが提供されるので、フードロス対策になり、パン屋さんからも歓迎されています。
 東京都は、子供食堂事業を推進し、地域での活動を支えてきた実績があります。区市町村との連携で、学校で朝ご飯の事業のように、子供に朝ご飯を提供する取組について、都として事業費の補助をすべきと考えますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、地域の子供たちに食事や交流の場を提供するとともに、子供や保護者の生活状況を把握し、必要な支援につなげる子供食堂に対しまして、区市町村を通じて支援しており、地域のニーズに合わせて、学校の始業前に食事を提供する場合につきましても、補助の対象としております。
 また、区市町村が地域の特性を踏まえまして、子供家庭分野におけるサービスの充実を目的として独自に企画して実施する事業につきましても、包括補助で支援をいたします。

○菅原委員 ありがとうございます。
 子育て支援の保育施設のことを伺います。
 子育て支援に関わる団体から、専業主婦家庭が共働き家庭に比べて孤独と孤立に陥りやすいこと、そして、結果的に虐待リスクが高まる傾向があるとの報告を受けました。
 都がまとめたチルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理のネウボラ的仕組みの項でも、養育者が孤独や孤立を感じるのは、子供と二人きりでいるときの割合が高いことが示されています。さらに、乳幼児期の集団生活の項では、ゼロ−二歳児の他者と関わることが非認知能力の育成につながるとされています。
 一方で、待機児童が解消されてきて、保育園の一部には空き定員が出ています。子育て支援のインフラ維持、そして保育園の経営の安定化の観点から、保育園の空き定員を活用して、未就学児または無園児の定期預かりを進めるべきだと考えます。
 保育園の空き定員を利用した都独自の事業である定期利用保育事業の概要及びその実施状況を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、パートタイム勤務や育児短時間勤務等、保護者の多様な働き方に応じた保育サービスを提供するため、保育所の空きスペースを利用した定期利用保育事業を実施しております。
 令和三年度は、交付決定ベースで二十六区市、百六十三か所で実施されております。

○菅原委員 都内全域への展開には至らないものの、それなりに普及していることが分かります。
 しかしながら、専業主婦家庭が使える仕組みではないという指摘もあって、保育施設の活用について、保護者の多様な就労形態に対応するだけではなくて、希望すれば、就労などをしていない全ての家庭も保育所を使えるようにすべきと考えますが、これに関連する事業の実施状況について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、在宅子育て家庭を支援するため、保育所等が空き定員や余裕スペースを活用し、保護者の外出やレスパイト等の際に子供を一時的に受け入れる取組を支援しておりまして、令和三年度は、交付決定ベースで千三百二十四か所で実施しております。
 また、地域の子育て家庭の育児不安を軽減するため、保育所等の生活を体験する保育所等体験や出産を迎える親の体験学習を保育サービス推進事業の補助項目の一つに設定いたしまして、これらを実施する保育所等を独自に支援しております。
 これらの取組を含め、令和三年度に保育サービス推進事業で補助を行った保育所等は、交付決定ベースで三千二百六十四か所となっております。
 引き続き、区市町村と連携しながら、地域の子育て家庭を支える保育所等の取組を支援してまいります。

○菅原委員 幾つか課題があるかもしれませんが、速やかに専業主フ家庭の−−専業主フのフというのは、女性も男性もという意味のフなのですが、定期利用の仕組みを整えることを要望いたします。
 障害者グループホームの設置についても伺います。
 令和三年度から三年間を計画期間とする第六期東京都障害福祉計画では、障害者グループホームの整備目標を二千五百人増やすとする目標を掲げております。
 第六期東京都障害福祉計画で掲げた整備目標に対して、現在はどの程度の進捗となっているのか伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害者が希望する地域で安心して生活できるよう、障害福祉計画で地域生活基盤の整備促進策を定め、障害者グループホームの整備を進めております。
 第六期計画では、令和三年度から令和五年度までの三か年で二千五百人分増の整備目標を掲げ、初年度の令和三年度は千二百三十二人分を整備しており、年度末時点で定員の合計は一万三千百八人分となってございます。

○菅原委員 障害者の地域居住の場である障害者グループホームを確保していくために、都市開発制度などを活用した整備についても、地域における選択肢としての認識を広げていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 障害者グループホームの整備に当たりましては、新規による設置のほか、都有地や空き住戸などの資源や都市開発諸制度などの仕組みを効果的に活用することが整備の促進につながります。
 このため、都市整備局等の関係部局とも連携を図りながら、区市町村や運営事業者等に対し、活用可能な制度や社会資源等について、さらに周知を図ってまいります。

○菅原委員 歯科衛生士の件、伺います。
 歯科衛生士の名簿登録者は二十八万人おります。実際に歯科衛生士として働いている人は十四万人、残りの十四万人は、資格を持ちながらも歯医者で働いていません。
 歯科衛生士は求人も多いのですが、なかなか就労につながらないということです。結婚や出産を機に一度歯医者を辞めた後、復職したくても、四七%の方が日進月歩の歯科医療に対して、自分のスキル不足を理由に復職していないということです。
 この歯科衛生士の復職のための研修会がありますが、コロナ禍でできませんでした。復職支援のために、技術を習得できる実習の機会が必要ですが、見解を伺います。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、歯科衛生士の定着や復職を支援するため、専門知識、技術の習得等の講習会を東京都歯科衛生士会に委託して実施しております。
 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、講義はオンライン形式に変更し、技術習得のための実習については中止としましたが、令和三年度以降は、感染状況が落ち着いた時期に感染対策を強化して、実習についても開催しております。
 離職中の歯科衛生士の復職のためには、専門知識、技術の習得等の機会が重要であるため、今後も東京都歯科衛生士会と連携し、コロナ禍においても開催の時期や方法を工夫しながら、歯科衛生士の定着や復職を支援するための講習会を実施してまいります。

○菅原委員 東京都は、身体、知的障害者に対して、心身障害者福祉手当として月額一万五千五百円を支給していますが、精神障害者は対象になっていません。一方で、一部基礎自治体では独自に手当を支給しています。
 心身障害者福祉手当について、身体障害者や知的障害者には月額一万五千五百円の手当が支給されていますが、精神障害者は支給対象としていない、その理由を伺います。お願いします。

○中川障害者施策推進部長 障害者の所得の保障に係る施策は、基本的に国の責任において実施するものと認識しておりまして、都は、他の自治体とも連携し、障害基礎年金など、障害者の所得保障の充実を国に要望するほか、グループホームなどの地域居住の場や通所施設などの日中活動の場を重点的に整備するなど、障害者が地域で安心して暮らせるためのサービス基盤の整備を促進しております。
 なお、精神障害者につきましては、その障害の特性から、医療を確保することの重要性を考慮し、低所得者に対して、都独自に精神通院医療の一割の自己負担分を無料としております。

○菅原委員 本日は、自殺、がん、孤立出産をめぐるこうのとりのゆりかご事業、養育家庭、婦人保護施設、学校で朝ご飯などについて取り上げました。これらの根底には、孤独、孤立の問題があります。
 孤独、孤立などの課題が顕在化をした東京の福祉、健康、医療施策を担当する福祉保健局の局長としての決意を伺って、質疑を終わります。

○西山福祉保健局長 社会経済状況の急激な変化やコロナ禍の影響により、あらゆる世代の人が孤独、孤立の状態に陥りやすい状況にあり、誰一人取り残さないセーフティーネットを構築することが重要でございます。
 福祉保健局はこれまでも、将来世代に確かな安心を引き継ぐため、福祉、保健、医療施策を総合的に展開してきており、コロナ禍におきましても、女性や子供、ひとり親家庭等に対する相談体制の充実、ひきこもりの方やその家族に対する理解の促進など、都民生活のセーフティーネットの強化に機動的に取り組んでまいりました。
 さらに、今年度も、生きることの包括的支援としての自殺対策の推進、妊娠や出産に関する様々な相談への対応、がん患者や家族に対する相談支援や、地域の実情に応じた難病患者への支援体制の充実、子供食堂への支援などに取り組んでございます。
 今後も、国や区市町村、関係各局とも密接に連携し、様々な悩みや不安を抱えた方に寄り添った、あらゆる施策を積極的に展開することによりまして、誰一人望まない孤独や社会的孤立に陥ることのないよう、全力を尽くしてまいります。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後九時五十五分休憩

   午後十時十分開議
○内山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 他の委員と重なっている質問もございますので、幾つかの質問は省かせていただきます。
 初めに、新型コロナ対策について質問をいたします。
 第七波では、感染者が急増し、発熱外来が逼迫し都民から診察が受けられないとの声や、また一方で、発熱外来を担っていただいた医療機関からも、HER-SYSの入力の負担が大きいなどの声をいただきました。
 都は、都議会公明党の要望を受け、濃厚接触の可能性のある方への無料検査のキットの配布の拡充や、陽性者登録センターを設置するなど対応されましたことを評価しております。現在は、国も発生届を見直し、感染者が減ったこともあり、発熱外来の負担は軽減されているとの現場からの声も聞いております。
 しかしながら、今後、冬の季節性インフルエンザとコロナの同時流行が懸念されております。第七波を上回る感染拡大をすれば、また医療が逼迫しかねます。
 そこで、コロナとインフルが同時流行した際、必要な方が適切に検査、医療が受けられるよう、都としてどう備えていくのかということを質問しようと思いました。しかしながら、先ほど来質問がありましたので、省かせていただきたいと思います。
 一応、要望だけさせていただきます。都としては、この第八波に向けまして、しっかり都民の命を守るために、診療、検査、この医療提供体制を整えていただきますよう、そしてワクチン接種のさらなる推進を要望したいと思います。
 一方で、都民の目線に立てば、コロナとインフルの同時流行は経験のない事態であり、初めて起こるかもしれない状況に対し、都民は不安を覚えているのではないかと思います。
 実際、都民は同時流行に備え、ふだんから何を準備しておけばよいのか、本当に熱が出たらどうしたらよいのか、療養が終わったら治癒証明書は必要なのかなど、都民目線に立って、具体的に分かりやすく伝えていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 コロナの感染再拡大やインフルとの同時流行に備え、都は、抗原検査キットや下熱鎮痛剤、食料品など、備蓄しておくべきものについて分かりやすくまとめたリーフレットを作成し、都民へ周知を図っているところです。
 また、発熱などの症状がある場合には、重症化リスクを有する方や症状が重いと感じ受診を希望する方等については、発熱外来等を受診していただき、それ以外の方は、検査キットで自己検査をしていただき、陽性の場合陽性者登録センターに登録し自宅療養、陰性であればかかりつけ医等を受診していただくよう、この点もしっかり広報してまいります。
 また、お話のあった療養証明や治癒証明については、職場や学校に対し提出を求めないよう、国から改めて通知が発出されています。
 このような取組を通じて、コロナとインフルエンザの同時流行に備え、都民がどのような行動を取るべきか、分かりやすい広報に取り組んでまいります。

○竹平委員 分かりました。都民の方の混乱がないように、しっかりと分かりやすい周知をしていただきたい、このように望みたいと思います。
 次に、がん対策についてお伺いいたします。
 初めに、がん検診の受診率向上についてでございます。
 がん検診は、がんの早期発見、早期治療によって死亡する可能性を減少させるため、極めて重要でございます。
 都は、東京都がん対策推進計画第二次改定に基づき取組を進めてきており、二〇一九年の都民のがん検診の受診率は、全体で五〇%でございました。
 しかし、コロナ禍に伴い、検診の一時休止や感染を恐れて受診を控えたことなどが原因で、二〇二〇年度の区市町村のがん検診の受診者は、二〇一九年度と比べて約一割減少したことが都の調査結果で明らかとなりました。
 都議会公明党は、コロナ禍であっても、命を守るため、がん検診が進むよう、区市町村と連携をし住民検診の対策強化を図ることや、企業等とも連携し職域検診の取組を拡充するよう求めてきたところでございます。
 そこで、がん検診受診率の向上に向けた都の取組について見解を求めます。

○播磨新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務 これまで都は、がん検診の受診率向上のため、啓発イベントやホームページ等を通じて検診の重要性を都民に周知してまいりました。
 また、検診の実施主体である区市町村に対して、受診率向上の手引の配布を通じて、取組の好事例などを共有するとともに、個別勧奨、再勧奨等の取組を包括補助で支援しております。
 さらに、企業に対して、従業員にがん検診受診を促す取組への支援や職域団体と連携した普及啓発を行っております。
 今年度は、身近な方にがん検診受診の大切さを伝えるキャンペーンを、例年実施している五月の母の日に加え、新たに六月の父の日や十一月のいい夫婦の日に合わせて実施するほか、都民向けがん検診啓発パンフレットを誰もが閲覧しやすいようデジタルブック化し、区市町村や職域団体等を通じて広く周知いたします。
 こうした取組により、がん検診の一層の受診率向上を図ってまいります。

○竹平委員 身近な方に、がん検診受診の大切さを伝えるメッセージカード、また画像と、とてもよい取組だというふうに思います。父の日、母の日に子供からメッセージが届くことで、子供のためにいつまでも元気でいられるよう、検診を受けようという気持ちになりまして、よい結果になるのではないかと思います。
 さらに今回、いい夫婦の日にちなんだカードを、先頃、都のホームページで拝見をさせていただきました。とてもすてきなカードでございまして、相手を大切に思う気持ちが伝わるなというふうに思いました。
 今後、例えば、バースデーカードのように誕生日バージョンもあったら、誰に対しても活用できるのかなというふうに思います。ご検討いただければと思います。
 公明党は、受診率向上を目指し、乳がん、子宮頸がん、大腸がん検診の対象者に、無料クーポンの配布を推進し、がん検診の個別受診勧奨、再勧奨の取組が各自治体に広がっております。
 私の地元江戸川区でも、区の広報紙やSNS、フェイスブック、ツイッター、LINEなどで検診を呼びかけているほか、個別勧奨通知として、乳がんや子宮頸がん、さらに大腸がんは胃がんとセットにして個別勧奨を行っております。コロナ禍もあって、がん検診全体の受診率が減る中でありましたが、個別勧奨したがん検診の受診率は微増しており、個別勧奨の効果が改めてあるということが分かりました。また、コルポ検診とがん検診を同日に受けられる工夫なども行っております。
 先ほど、区市町村に対し、取組の好事例を共有するとありましたが、今後も都は、区市町村の取組事例を把握し情報共有するなど、区市町村と連携し、住民検診のさらなる取組をお願いいたします。また、企業等に対しても協力を促し、職域検診が進むよう、さらなる取組を要望いたします。
 次に、AYA世代のがん患者の支援についてお伺いいたします。
 私は、本年第一回都議会定例会で、AYA世代がん患者の支援の強化を求めました。中でも、抗がん剤の影響で脱毛や手術による乳房の切除によって、ウイッグや乳房補整具等が必要となり、購入費用が負担となっていることから、市区町村が独自に費用を助成しているけれども、都としてもしっかりと支援すべきという質問をさせていただきました。
 その質問に対し、担当局長より、療養生活の充実に向けた支援体制を検討していくとの答弁がありました。
 そこで、その後の進捗状況について答弁を求めます。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、がんの治療による外見の変化を補うアピアランスケアに関する国の議論の動向を注視するとともに、がん患者に対するウイッグ等の購入費用の助成を行っている都内の区市町村や他県へのヒアリング調査、実際にアピアランスケアを行っている病院と意見交換を行ってまいりました。
 今後、患者、家族を対象とした実態調査を実施する予定であり、これらも踏まえ、療養生活の充実に向けたがん患者の支援体制について検討を進めてまいります。

○竹平委員 療養生活の充実に向けて、ウイッグ等の購入費用の助成が導入できますよう、また、在宅サービスの療養につきましても、これも一定のときに質問させていただきましたけれども、そういった整備がしっかりと前に進みますよう要望したいと思います。
 次に、がん治療について、二点お伺いいたします。
 都立駒込病院は、がんゲノム医療拠点病院として、患者の匿名性に配慮した上で、がん遺伝子パネル検査によって得られた検査データや診療情報を国のがんゲノム情報管理センター、いわゆるC-CATに提供していると聞いております。
 そこで、都立駒込病院がC-CATに提供する情報が、がんのゲノム治療の進展にどう貢献しているのか、見解を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 がんゲノム情報管理センター、C-CATは、患者一人一人のゲノム解析データや診療情報を集約、保管し、利活用するために国が設置いたしました。
 駒込病院をはじめ、がんゲノム医療を行う医療機関は、患者の同意を得まして、C-CATにデータを提供することで、患者一人一人のがんに適した治療法を選択するために役立つ情報を入手することが可能となっております。
 また、集約されたデータの一部は、大学などの研究機関や製薬会社などの企業で行われます研究開発等に用いられる予定となっておりまして、こうしたデータ提供を通じて、がんゲノム医療の質の確保、向上に寄与してまいります。

○竹平委員 駒込病院も、このゲノム解析、それ自体ではありませんが、ゲノム治療を用いた患者のがんの特性に応じた治療薬の選定という点で貢献しているということでありまして、評価したいと思います。
 次に、都議会公明党は、ゲノム治療の活用に限らず、これまで都立病院への重粒子線治療の導入も求めてまいりました。
 重粒子線治療を含む最先端がん治療の方向性に関する検討に当たっては、今年度は、地方独立行政法人東京都立病院機構で調査を実施しているとのことですが、調査の進捗状況についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 東京都立病院機構は、粒子線治療を含むがん治療関連業務のノウハウを有する事業者と調査業務委託契約を九月二十七日に締結いたしまして、調査を進めております。
 現在は、がん治療に豊富な知見を有する都立病院の医師へのヒアリングや、他の最先端がん治療施設への視察などを実施しております。がん治療法の現状や研究開発段階にある最先端がん治療法の詳細等を整理するほか、他の医療機関での導入状況を調査しております。
 今後、機構は、患者数見込みや事業採算性なども含めまして、調査内容を取りまとめ、年度内に都に報告することとしております。

○竹平委員 ありがとうございます。
 いよいよこの調査が始まったということが分かりました。しっかりとまとめていただきまして、ぜひ導入に向けて進めていただきたい、このように要望したいと思います。
 次に、女性専用外来についてお伺いします。
 女性が生き生きと充実した人生を送るためには、何よりも健康が一番大事でございます。女性は、思春期、妊娠、出産、子育て、仕事、さらには更年期、老年期などのライフステージにおいて、女性ホルモンの変動により、心身の変化に応じたきめ細やかな医療提供体制を整えていくことは、とても重要だと考えております。
 都議会公明党は、二〇〇二年第三回定例会で、女性の心身に現れる症状を総合的に診察する女性専用外来の設置を提案し、これまで一貫して推進してまいりました。
 そこで、二〇〇三年七月に、大塚病院で都立病院初の女性専用外来が開設されてから十九年がたったところでございますけれども、改めて、これまでの取組と今後の展望についてお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、女性特有の心身の症状に対し、女性医師が総合的な医療を提供いたします女性専用外来を大塚病院、大久保病院、墨東病院、多摩総合医療センター、多摩南部地域病院の五病院で設置しておりまして、昨年度は全体で七百九十一名の患者を受け入れました。
 また、令和元年十月、大塚病院では、女性のライフスタイルの多様化に伴う様々なニーズに対応するため、従来の女性専用外来を女性生涯医療外来として再構築をいたしました。
 ここでは、女性医師による女性総合外来をはじめ、様々な専門外来が緊密な連携を図り、幅広い疾患に対応するとともに、看護師による女性医療コンシェルジュを配置いたしまして、女性の不安に寄り添いながら相談に応じ、各専門外来につないでおります。
 今後、地域の医療機関との密接な連携を図りながら、性差を踏まえた心身の変化に応じた医療にとどまらず、患者一人一人のライフステージに応じた支援など、女性の医療ニーズに適切に対応してまいります。

○竹平委員 ただいまのご答弁で、大塚病院の女性専用外来が女性生涯医療外来となり、充実が図られてきたことが分かりました。
 昨今、女性のライフスタイルは多様化しております。女性の医療ニーズに対応できるよう、今後も、大塚病院をはじめ、他の都立病院の女性専用外来もさらに充実をさせ、地域の医療機関とも密接に連携を図り、一人一人の状況に応じたきめ細やかな医療提供体制を整えていただきますよう要望いたします。
 次に、妊娠、出産、子育て期の切れ目ない支援について質問してまいります。
 初めに、不妊治療についてであります。
 都議会公明党は、本年第一回定例会で、不妊治療の保険適用とならない先進医療への費用補助を行うべきとの求めに対しまして、都は、保険適用となった治療とともに行われる先進医療に係る費用の一部を助成することといたしまして、さきの第三回定例会で補正予算が成立いたしました。
 そこで、今後都民が利用しやすいようにするため、都民への丁寧な周知と相談体制が必要と考えます。助成制度の内容や申請手続についての周知などをどのように進めていくのかお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、令和四年四月からの治療を対象に、体外受精、顕微授精を保険診療で受診した際に、併せて行われる先進医療につきまして、自己負担の七割を、一回の治療につき十五万円を上限に助成することといたしました。
 本事業を周知するため、十月末に助成制度の概要を都のホームページで発信するとともに、事業案内用のチラシを作成いたしまして、医療機関宛てに配布しております。また、申請手続に関する問合せ等の増加を見込みまして、電話対応の体制も充実しております。
 来年一月の申請受付開始に向けまして、十二月上旬までに申請手続に関するリーフレットを作成し、医療機関や区市町村を通じて配布するなど、着実に準備を進めてまいります。

○竹平委員 本事業を待ち望んでいる方からは、喜びの声をいただいております。夫婦が安心して治療に臨めるよう、丁寧な周知と相談体制の充実が図られることを要望いたします。
 次に、とうきょうママパパ応援事業についてお伺いいたします。
 都は、我が党の要望を踏まえまして、平成二十七年度にゆりかご・とうきょう事業を創設し、妊婦への全数面接と育児パッケージの配布を行う区市町村への支援を開始してきました。
 この事業は、令和二年度に、産後の支援を充実したとうきょうママパパ応援事業となりましたが、平成二十六年度と現在における区市町村の取組状況や実績についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援を充実するため、平成二十七年度から、妊娠の届出をした全ての妊婦に対して、保健師と専門職による面接と育児パッケージの配布等を行う区市町村への支援を実施しております。
 事業開始以降、実施自治体は順調に増加いたしまして、令和四年度は都内全六十二自治体中六十自治体が実施する予定でございます。
 また、都における妊婦面接相談率は、事業開始前の平成二十六年度は一九・一%でございましたが、令和二年度は九六・七%へと大幅に増加しております。

○竹平委員 今ご答弁をいただきまして、平成二十六年度のときは一九・一%、そして令和二年度には九六・七%へと大幅に増加したということで、大変すばらしい取組だというふうに思います。
 都議会議員になる前は、私は区議会議員をしておりまして、妊娠期から出産、子育て期までの切れ目ない支援というのを一貫して区議のときはいってまいりました。そして、妊娠期のときに、保健師、専門職にしっかりと会って、それから関わりを続けていく、この大切さを訴えてきたわけでございます。
 東京都がこのような育児パッケージも進めていただいたおかげで、大変皆さん喜ばれているところでございまして、このような形で進んできたことを高く評価したいというふうに思います。
 やはり、例えば初めての妊娠でありますと、喜びの反面、大変不安も大きいというふうに思います。まして、今コロナ禍でありまして、様々心配になることも出てくるのではないかと予想をいたします。
 特に東京では、核家族化が進みまして、頼れる身内がいない場合も少なくありません。そこで、身近ですぐに相談できる、そういった関係を妊娠の初めからつくっておけば、安心であるというふうに思います。
 また、サポートをする保健師、そういった方々についてもメリットがあると思います。最初から関わることで、いろんな気づきがあったり、例えば、出産前の母親学級、そして産後の新生児訪問ですとか、また、やはり産後というのは鬱といった心配もございます、そういった早期の対応につなげていくためにも、この妊娠時から専門職が関わっていくことが本当に重要だというふうに思っております。
 また、一方で、東京都の方では、令和二年度から開始いたしましたバースデーサポート事業も行っているところでございますが、子育て支援にどのように取り組んでいるのかお聞かせください。実績状況をお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 都は令和二年度から、行政が関わる機会が少ない一歳前後の子供がいる家庭を対象に育児パッケージを配布するとともに、アンケート等による家庭状況の把握を行う区市町村を支援しております。
 令和四年度からは、育児パッケージ配布の対象を一歳前後または二歳前後に緩和したほか、新たに親同士の交流会や子育てセミナー、専門職による相談会等の開催に対する支援も開始いたしました。
 令和四年度は、三十五自治体が本事業を実施する予定でございます。

○竹平委員 このバースデーサポート事業は、本来、国が二分の一、区が二分の一を負担するという、そういったものでございましたが、都がこの区の負担分を全て補助するというものでございます。
 そのため、まだ実施をしていない、予定をしていない自治体もあるということでございますので、ぜひこの事業の周知を図っていただき、活用などしていただければというふうに思います。
 また、一方で、先ほど産後の鬱の話をいたしましたけれども、都議会公明党は一貫して充実を求めてきました産後ケア事業も、今は、通所、宿泊型、訪問型と充実も図られてきておりまして、現在、五十自治体まで広がっていると仄聞をしております。今後も、妊娠、出産、子育て期の切れ目ない支援のさらなる充実を要望したいと思います。
 一方、児童虐待を未然に防止する観点から、新たな取組として、都は令和三年度より、予防的支援推進とうきょうモデル事業を開始しておりますけれども、本事業の実施に当たっての経緯と現在の取組状況及び今後の展望についてお伺いしたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 令和二年十二月、東京都児童福祉審議会から、児童虐待を未然に防ぐ予防的支援の強化を図るため、子供家庭支援センターの体制強化を支援すべきであるとの提言がございました。
 これを受けまして、都は、区市町村と連携して、支援が必要な家庭を早期に発見し、支援を行います予防的支援推進とうきょうモデル事業を令和三年度より開始いたしました。
 昨年度は、モデル事業を実施いたします四区市の子供家庭支援センターに、人口規模に応じて専任のケースワーカー等を配置し人材育成を行うとともに、母子保健部門とチーム体制を構築いたしました。
 今年度は、母子保健部門と連携して作成した支援方針を踏まえまして、定期的な家庭訪問や電話などのアプローチにより、継続的かつきめ細かな支援を実施しております。
 令和五年度に本事業の検証結果を取りまとめ、六年度以降は、モデル事業で得られましたノウハウを各自治体へ展開してまいります。

○竹平委員 国は、児童福祉法の改正によりまして、令和六年度に子供家庭センターを創設し、児童相談部門と母子保健部門の連携を強化して、全ての妊産婦、子育て世帯等への一体的な相談支援体制の構築を目指すとしております。
 そこで、都は、予防的支援推進とうきょうモデル事業を実施する一方で、こうした国の動きに合わせ、令和四年度より、母子保健部門の体制を強化するとうきょう子育て応援パートナー事業を開始しております。
 現在、ワーキングで検討を進めていると聞いておりますが、検討状況についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 本事業の検討ワーキンググループでは、母子保健部門に配置いたしました人材が効果的な支援が行えるよう、支援ニーズ等を把握するためのアセスメント基準や支援プランの作成方法、人材育成プログラムなどについて検討しております。

○竹平委員 ここまで、妊娠から出産、子育て期の切れ目ない支援について質疑を重ねてまいりました。かなり重層的に都も支援体制を進めているということが分かりました。都民が安心して産み育てられる社会、東京を築いていかれることを強く要望し、次の質問に移ります。
 次に、AIを活用した児童相談所の業務の効率化について質問をいたします。
 長引くコロナ禍にあって、児童虐待件数も増加していることから、職員の負担が増大しているものと考えます。
 私の地元の江戸川区では、令和二年に児童相談所を設置いたしましたが、児童相談所の相談業務が増加しており、電話への対応や記録に割く時間が非常に多い状況にあり、令和三年度から電話対応にAIの技術を活用した通話音声分析・モニタリングシステムの導入を開始しました。
 具体的な機能としては、リアルタイムテキスト表示といって、通話内容が瞬時に画面に文字として表示され、ある程度要約も可能で、職員の電話の会話の内容を上司が画面で見ることができます。
 また、話している人の感情判定機能があり、声のしゃべり方などに応じて、対話の特徴から感情分析もできるものであります。
 さらに、ビッグデータを活用した虐待リスク評価などを総合的に行うことができる仕組みの構築も進めており、AIの活用により、着実に効果を上げていると聞いております。
 今年度、都でも導入する予定のAIを活用した音声マイニングシステムについては、既に江戸川区が導入しているものと同じシステムと仄聞しております。
 そこで、今回、都がシステムを導入する狙いについてお伺いします。また、全ての児童相談所で本システムを導入すべきと考えますが、都の見解を求めます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、児童福祉司等の記録作成の負担軽減を図るため、AIを活用して、電話の相談内容をリアルタイムでテキスト化するシステムを導入いたします。
 このシステムによりまして、電話で受けている相談内容のテキストを指導役の職員が閲覧し、その場で助言することが可能となるなど、人材育成にも効果が期待できるものでございます。
 今年度は、立川児童相談所で導入し、今後、段階的に全ての児童相談所に展開していく予定でございます。

○竹平委員 今後、このようなAIを活用することで、児童相談所の業務の効率化を図り、職員の負担を軽減することで、職員が子供や保護者に向き合うことに一層専念できるというふうに思います。職員のスキルアップにもつながると思いますので、ぜひ、全ての児童相談所にできるだけ早く導入できますよう要望いたします。
 次に、自立支援医療(精神通院医療)について質問をいたします。
 この自立支援医療については、多くの精神障害者が利用する重要な制度でございます。経済的な不安を軽くすることで、体調の安定や治療への専念につなげることができるものと考えます。
 そこで、改めて制度の内容や最近の実績についてお伺いいたします。

○石黒障害者医療担当部長 自立支援医療制度である精神通院医療は、精神疾患のため、通院による継続的な治療を要する方を対象とした障害者総合支援法に基づく給付でございまして、公的医療保険の自己負担を軽減する制度でございます。
 令和三年度の受給者証所持者数は、二十五万七千七百五十五人となっております。

○竹平委員 ただいまのご答弁で、多くの方が受給されているということが分かりました。
 ここで、自立支援医療費の助成の申請手続についてお伺いします。現在、自立支援医療費助成を申請する場合は、それぞれの自治体の保健所の窓口に申請書の用紙等を取りに行き、後日、申請書を記入の上、医師の診断書などの必要書類を添えて、改めて窓口で提出することになっております。
 せんだって、申請を考えている方から、外に出ることや人と会うのが苦手で、申請書を取りに窓口に行くのがつらいとの声をいただきました。自治体によっては申請書を郵送しているところもありますが、それには申請書を請求するための請求書を記入し、郵送してもらう申請書を入れるための封筒に郵便切手を貼って、保健所に送らなくてはなりません。
 そこで、多くの精神障害者が利用する制度であり、申請に関する不便さをできるだけ解消していけるよう工夫していくことが必要だと考えますが、都の見解を求めます。

○石黒障害者医療担当部長 精神通院医療の申請手続は、居住している区市町村の窓口において、手続の説明と併せて申請書様式を配布した後、医師の診断書や健康保険証、世帯の所得の状況を確認できる資料などを添付し、改めて区市町村の窓口に提出することとなっております。
 今後は、申請書様式を都ホームページからダウンロードできるようにするほか、申請書作成のポイント等を併せて掲載するなど、申請時の負担軽減に向けた工夫に取り組んでまいります。

○竹平委員 今、コロナ禍でもございます。来庁しないでも行政手続ができるようデジタル化を進め、さらなる利便性の向上に努めるよう要望いたします。
 次に、個別避難計画について質問をいたします。
 災害は待ったなしであります。私は、本年二月の第一回定例会本会議で、避難行動に支援が必要な方への対策として、個別避難計画の作成について質疑を行いましたが、その後の状況等について質問をします。
 令和三年に災害対策基本法が改正され、区市町村は避難行動要支援者ごとに個別避難計画を作成することが努力義務とされました。国は、法改正後の個別避難計画の作成状況等に係る全国の市町村ごとの取組状況について調査し、本年六月に公表したと聞いております。
 そこで、都内区市町村の取組状況について、まずお伺いいたします。

○高野総務部長 国は、全国の市町村の個別避難計画の作成等に係る取組状況等について調査を実施し、令和四年一月一日現在の状況を六月に公表いたしました。
 個別避難計画について、策定済みまたは一部策定済みとされている自治体数は、都道府県全体では千七百四十一市町村中千百六十七市町村となっており、都内の区市町村につきましては六十二区市町村中四十五区市町村となっております。
 都内の区市町村で個別避難計画が策定済みまたは一部策定済みとされている割合は約七二%で、全国平均の約六七%を上回っており、都内で未策定とされている自治体は十七区市町村となっております。

○竹平委員 個別避難計画作成に着手している区市町村が全国平均を上回っている一方、未着手の区市町村も一定数存在することが分かりました。
 計画の作成を区市町村の努力義務とした災害対策基本法の改正から一年が経過し、都内の各区市町村でも計画作成に取り組んでいるところであります。しかしながら、未着手の区市町村など、取組を一層進めるためには、都の支援が重要と考えます。
 そこで、第一回定例会の質疑では、福祉保健局長より、今年度から包括補助により区市町村を支援していくとの答弁をいただいたところでございます。今年度から始めた新たな都の補助の内容や区市町村の活用状況、さらに、今後の対応についてお伺いいたします。

○高野総務部長 都は今年度から、新たに個別避難計画を効果的、効率的に作成する区市町村を包括補助で支援しております。本年十月時点で十五の区市から包括補助利用の事前協議を受けておりまして、協議のあった自治体では、個別避難計画管理システムの構築、改修や、個別避難計画作成に向けた福祉専門職への研修会の実施等の取組を予定しております。
 また、昨年度に引き続きまして、本年度も区市町村の防災主管部署、福祉保健主管部署の担当者を対象とし、来年一月に災害時要配慮者対策の研修会を開催することとしておりまして、その中で、個別避難計画の効果的、効率的な作成を行う自治体の取組を好事例として紹介する予定でございます。
 引き続き、早期の計画作成に向けた区市町村の取組を支援してまいります。

○竹平委員 私の地元江戸川区は、比較的先行して取組を進めているということでございますけれども、都全域で見ると、そうした自治体はまだまだ少ないというふうに仄聞をしております。
 今年度はもちろん、来年度も区市町村が個別避難計画作成に着手し、その取組が進みますよう、都には個々の区市町村の課題にも着目し、一層の支援の充実を図っていただくことを要望いたします。
 最後に、東京都ドクターヘリについて質問をいたします。
 都は、我が党の提案を受けまして、令和四年三月三十一日にドクターヘリの運航を開始しました。ドクターヘリは、平時の救急医療体制に有用であるとともに、災害時においても有用であると考えます。
 そこで、災害時のドクターヘリの活用について、都の見解をお伺いいたします。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 ドクターヘリは、幹線道路が寸断され、救急車による救急活動が十分に行えない場合でも、その機動力を生かすことができることから、災害時における活用も有効であります。
 このため、都は、災害時のドクターヘリ活用を見据え、本年九月の総合防災訓練において、防災拠点から患者を病院にドクターヘリで搬送する訓練を実施し、指揮命令系統など、実際の運用に向けての課題の洗い出しを行いました。
 今後、こうした課題の整理を進めるとともに、救急医療対策協議会など、専門家や関係者の意見も踏まえながら、災害時におけるドクターヘリの運用について検討してまいります。

○竹平委員 限りある医療資源を有効活用できるよう、近隣県とのドクターヘリの連携体制の構築についても、本格的に進めていく必要があると考えます。
 具体的な取組について伺いたいと思います。

○遠松医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 ドクターヘリが同時に要請された際や都県境の患者からの要請時に、より効果的な対応ができるよう、効率的な広域連携体制を構築することは重要であります。
 都はこれまで、近隣の県と運航状況などについての情報共有や意見交換を行ってきましたが、連携に当たっては、各県の運用方法の違いや出動範囲など、解決すべき課題がございます。
 国は、大規模災害時におけるドクターヘリの運用体制として地域ブロックを定めており、都は、神奈川県、山梨県及び静岡県東部と同一のブロックとして、平時から連携強化に努めることとされております。
 こうしたことも踏まえ、まずは神奈川県と協議する場を設置し、今後、ドクターヘリ運航時の安全性の確保を最優先に、具体的な広域連携体制の構築に向けた調整を進めてまいります。

○竹平委員 先日、東京都ドクターヘリが待機する東京消防庁多摩航空センターを視察させていただきました。救急医療に必要な医療機器や医薬品などの装備が整ったドクターヘリの中も拝見をいたしました。
 そして、救急現場に向かうドクターから直接お話を伺いました。以前、被災地支援の際、他県でドクターヘリに乗られ、人命救助に当たった経験を通し、ドクターヘリの重要性とともに、救命医療にかける熱い思いをお伺いし、大変感動いたしました。
 優秀な医療スタッフと貴重なドクターヘリであります。多くの命を救うために、平時の救急医療はもとより、災害時の有効な活用や近隣県との広域連携の構築に向けて、調整を一層進めていただきますよう要望して、終わります。ありがとうございました。

○藤田委員 私からは、最初に、性感染症の梅毒が急増していることについて質問いたします。
 先週は、梅毒一万人超えという報道も相次ぎましたが、これは現在の方法で統計を取り始めた一九九九年以降、初めて一万人を超え、十月二十三日時点で、全国で一万百四十一人になったというものでした。
 加えて、今年は増加のスピードも早く、都内の梅毒の報告数は既に昨年を上回り、全国では東京がトップとなっています。しかも、東京は、二位の大阪より二倍以上も多いという状況です。
 梅毒とはどのような感染症ですか。それと、二〇一九年以降の報告数について伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 梅毒は、性行為で感染する性感染症であり、発疹やただれなどが出たり消えたりして病気が進行し、数年から数十年後には、心臓、血管、神経に異常が現れることがあります。また、妊婦が感染いたしますと胎児も感染し、先天性の障害を起こすこともございます。
 一方、早期の治療により完治する感染症でもあり、早期発見のための検査受診が重要となっております。
 都内の患者報告数ですが、二〇一九年は千七百十二件、二〇二〇年は千五百七十九件、二〇二一年は二千四百五十一件、二〇二二年は十月三十日時点で二千九百八十三件でございます。

○藤田委員 二〇一八年から二〇二〇年までは僅かに減少しましたが、二〇二一年から急激に増えています。早期治療で完治するということですから、早期診断、早期治療が重要だと思います。
 その点では、コロナ感染の対応もありまして、都の保健所での検査が休止していることは望ましい状況ではないと思います。もちろんコロナ対応もまだまだ必要ですから、ぜひ、保健所の体制をさらに強化して、匿名で受けられる保健所での検査を拡充するなど、早急に早期発見に必要な対策を行うよう求めておきます。
 また、なぜ都内で急増しているのか、原因の分析が必要です。昨年度に梅毒感染の報告があった方について、感染経路などの統計から、都内での増加の原因をどう分析し、都はどのように対応しているのか伺います。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 昨年、都内で報告のあった梅毒患者二千四百五十一件でございますが、こちら二十代から四十代の男性と二十代の女性が急増しており、推定感染経路別では、異性間性的接触が最も多くなっていることから、都は、発生動向をより詳しく把握し、今後の対策に役立てるため、今年九月から、国の届出様式に受診のきっかけや接触した相手の性風俗業への関わりなどの項目を加え、診断した医師による聞き取りを開始いたしました。
 引き続き、梅毒重点対策として、普及啓発の強化、検査、相談体制の強化、医療体制の確保を実施し、感染拡大防止に取り組んでまいります。

○藤田委員 増加している原因についてはご答弁されませんでしたが、届出様式に項目を加えたということです。
 見てみますと、パートナー等の情報について、金銭を対価とした関係、風営法に定められた性風俗関連特殊営業に従事していないというものがありました。これは、従来の発生届では把握できなかった部分です。性の売買が梅毒感染の大きな要因の一つだということです。
 先ほどの質疑でも、日本は性産業大国という話がありましたが、コロナ禍での梅毒の増加について、インターネットを通じた性売買があるのではないかという指摘もあります。
 また、従来から調査されている性風俗産業の女性の従事者と男性の利用者はどちらも四割に上っています。そもそも金銭を介して性を買うということは、人間の尊厳と価値、男女平等の権利を侵害するものであり、とりわけ女性の心身に危害を及ぼす危険が大きいものです。女性たちの健康と安全を守ることとともに、性売買、性的搾取自体をなくしていくため、取り組んでいくことを求めるものです。
 一方、日本では、性教育が圧倒的に不足していることも大きな問題です。
 日本では、小学校の学習指導要領で人の受精に至る過程は取り扱わないものとする、中学校の学習指導要領で妊娠の経過は取り扱わないとした、いわゆる歯止め規定があるために、科学的な知識がきちんと教えられておらず、世界から大きく取り残されています。性教育において、権利という視点も欠けています。こうした状況が性感染症のリスクを高めています。
 国連子どもの権利委員会は、日本に対して、十代の妊娠と性感染症の予防を含む性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツを思春期の子供に十全に知らせることを求めています。都としても取り組むべきではないですか。

○奈良部少子社会対策部長 都は、毎年、梅毒やエイズ予防のポスター等を作成し、若い世代を含め、広く啓発しております。
 また、妊娠相談ほっとラインや、妊娠や避妊に関する問合せに対応するチャットボット、妊娠したかも相談@東京を実施し、PR用のカードの配布やインターネット広告により周知しております。
 さらに、若い人たちが妊娠、出産、不妊治療等に関して正しい知識を持てるよう、小冊子を作成いたしまして、区市町村や大学等を通じて配布しております。

○藤田委員 NPO法人ピルコンが二〇一六年に実施した高校生の性知識、性意識、性の悩みに関する調査を見ると、全体の正答率は三割となっています。例えば、排卵はいつも月経中に起こるという問題では、正解はバツですが、この正答率は一八%でした。
 性と生殖に関する健康、リプロダクティブ・ヘルスは、性や子供を産むことに関わる全てにおいて、身体的にも精神的にも社会的にも本人の意思が尊重され、自分らしく生きることであり、性と生殖に関する権利、リプロダクティブ・ライツは、自分の体に関することを自分自身で決められる権利のことです。
 性に関する基本的な教育も、子どもの権利条約や子供の権利についての教育も、ほとんど受けていない子供たちや受けずに育った大人たちに対して、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツを知らせるツールを都としても研究し、取り組むことを要望いたします。
 とうきょう若者ヘルスサポートでは、十月二十六日から電話相談事業が開始されました。中高生等の思春期は、心身ともに大きく変化し、自分自身の体や性に関する悩みや不安を抱えることが増えてくる時期です。
 今回は、都は、相談に当たる職員等に対して、複数の専門家による研修を実施したということですが、研修内容に性と生殖に関する健康と権利は含まれていますか。

○奈良部少子社会対策部長 相談事業におきましては、相談者の気持ちを尊重することが重要でございます。
 とうきょう若者ヘルスサポートは、中高生等を対象としていることから、相談の開始に当たりまして、若者の相談を聞くに当たっての留意点や若者に優しい相談対応に関する研修を実施いたしました。
 その一環といたしまして、自分の体は自分のものであり自主性が尊重されること、性的な行動を取る場合はその時期を自分で決められることなど、性と生殖に関する健康と権利も取り上げております。

○藤田委員 性と生殖に関する健康と権利について、研修内容に取り上げているのは重要であり、性に関する相談活動を行うのであれば、不可欠の内容です。
 ユースヘルスケア推進事業に携わる職員だけでなく、児童相談所、一時保護所、社会的養護等の施設、保育園や学童など、子供たちが利用する施設等の職員に対しても、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについて研修が行われるよう求めておきます。
 あわせて、障害者権利条約に関する国連の権利委員会の九月の勧告でも、質の高い、年齢に応じた性と生殖に関する保健サービス及び包括的な性教育が全ての障害者、特に障害のある女性及び女児を包摂するものとなり、かつアクセス可能であることを確保することと指摘されています。障害者の利用する施設の職員においても、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツに関する研修が行われることを望みます。
 国会で五月に成立した女性支援新法には、女性の権利が明確に位置づけられました。特に女性支援に関わる職員は、どういう知識を持って支援に当たるのかが問われてきます。先ほどのとうきょう若者ヘルスサポートの職員同様に、性と生殖に関する健康と権利について学ぶ機会の保障が必要です。
 都の女性相談センターでは、困難な問題を抱える女性に対して相談と支援を行っていますが、それらの業務に当たる職員に対して、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについての研修は行っていますか。

○奈良部少子社会対策部長 女性相談センターでは、区市の婦人相談員、婦人保護施設職員、女性相談センター職員等の資質向上を図るための研修のほか、センター職員のみを対象にした研修も実施しております。
 これらの研修では、性と生殖に関する健康と権利に特化した内容とはなっておりませんが、センターの職員を対象とした研修では、個別事例の検討も含めまして、ジェンダーや性的指向、性自認など、その時々の課題を取り上げております。

○藤田委員 性と生殖に関する健康と権利に特化した研修は実施していないということです。
 困難な問題を抱える女性は、ジェンダーに関する暴力や性被害などの問題も抱えていることが多く、支援に当たる職員も、性と生殖に関する健康と権利について理解をしておく必要があります。
 女性相談センターの職員への研修にも位置づける必要があると思いますが、いかがですか。

○奈良部少子社会対策部長 近年、女性の抱える問題が多様化するとともに複合化していることも踏まえまして、女性相談センターでは、毎年、そのときの課題に応じた様々な研修を実施しております。
 具体的には、精神科医を招いて、女性の精神障害とその対応に関することや、学識経験者による今後の女性支援の在り方などの研修を行っておりまして、今後もニーズも踏まえて、必要な研修を実施してまいります。

○藤田委員 ニーズを踏まえてということですから、まさに新法が制定されたので、ぜひ、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについての研修を行っていただくよう要望いたします。
 あわせて、現在の女性相談センターの職員配置では、十分な研修の機会と困難な問題を抱える女性への支援は行き届きません。婦人相談員を常勤採用するなど、処遇改善を行うとともに、大幅に体制強化することを併せて求めておきます。
 十代の望まない妊娠の相談対応を行う職員についても、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについて知っている必要があります。
 東京都では、妊娠相談ほっとライン事業を行っています。妊娠、出産に関する様々な悩みについて、看護師などの専門職が電話とメールで相談に応じるというものです。
 妊娠相談ほっとラインでは、昨年度、望まない妊娠の相談のうち、十九歳以下は何%でしたか。

○奈良部少子社会対策部長 妊娠相談ほっとラインで、令和三年度に受けた望まない妊娠を主訴とする相談のうち、十九歳以下は一四・四%となっております。

○藤田委員 望まない妊娠を主訴とする相談のうち、十九歳以下は一四・四%ということです。
 都の母子保健事業報告を見てみますと、人工妊娠中絶のうち、二十歳未満の割合は、この十年程度ほとんど変わっていません。また、児童虐待による児童死亡の事例では、十代で出産したことのある女性の割合が高くなっており、ここでも相談や支援に関わる職員の知識が問われてきます。
 妊娠相談ほっとラインの相談対応に当たる職員に対し、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについての研修は行っていますか。

○奈良部少子社会対策部長 妊娠相談ほっとラインは、妊娠、出産に関する様々な相談に対応できる事業者を企画提案等により選定しております。
 相談業務従事者への研修は受託者が実施すること、また、都が情報提供する研修等に参加するよう努めることなどを仕様書に定めておりまして、都は、予期せぬ妊娠に対する支援や性と健康の相談に関する研修等を案内しております。

○藤田委員 要するに、性と生殖に関する健康と権利について、学ぶ機会を保障するものとはなっていないということです。
 妊娠相談ほっとラインは、とうきょう若者ヘルスサポートの電話相談事業同様、業者に委託して実施しています。委託であっても、直接東京都が研修で行えるというわけですから、ぜひ案内にとどまらず、確実に実施していただくよう要望いたします。
 日本のジェンダー平等は、大幅に立ち遅れています。SDGsの目標五、ジェンダー平等には、実現するための九つのターゲットが示されていて、その一つに、世界中誰もが同じように、性に関することや子供を産むことに関する健康と権利が守られるようにすることという目標があります。
 ジェンダー平等が進んでいる国では、国民全体に包括的セクシュアリティー教育が行われていますが、日本では、いまだに歯止めがかけられたままとなっています。
 本来ならば、学校教育の場で包括的性教育が実施されるべきですが、あわせて、全ての大人も性教育を受ける必要があります。その方法は、本で学ぶ、ウェブで学ぶ、講習会に参加するというものがありますが、都の職員など専門性が求められる職員については、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについての研修をぜひとも行っていただくよう重ねて要望いたしまして、次の手話言語条例についての質問に移ります。
 昨年、手話言語条例のワーキングチームが、都議会の一人会派を含む各会派が参加してつくられ、当事者団体や専門家の方からのレクチャーをワーキングチーム全員で聞いて、認識を共有して、条例案を策定し、今年の第二回定例会で手話言語条例が成立しました。
 当事者の皆さんからも、全国に誇れるすばらしい条例ができたと喜ばれました。当事者団体の皆さんが粘り強く求めてきたことが実を結んだ結果です。
 東京都手話言語条例が議員提案されて、全会一致で可決、成立し、九月一日から施行されたことの意義について、どのように認識していますか。

○中川障害者施策推進部長 条例は、手話を独自の文法を持つ一つの言語と定め、共生社会の実現に寄与することを目的として、手話の普及に取り組むものと認識しております。

○藤田委員 条例の前文にもあるように、独自の文法を持つ一つの言語であって、豊かな人間性を涵養し、知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産であります。
 しかし、かつては、ろう学校で手話が禁止されるなど、抑圧を受けてきた歴史があり、現在でも手話に対する理解が十分とはいえず、手話に関する権利も十分保障されていません。
 そうした中で、手話が独自の文法を持つ言語であることを明記した、独立した手話言語条例が東京都でできたことは画期的なことです。同時に、条例は、できてからどのように具体化していくかが重要です。条例の内容を踏まえ、手話について施策の充実を進めていくことが求められます。
 その一つとして、手話通訳者の派遣の二十四時間対応があります。
 現在、都内では、手話通訳者の派遣は主に区市町村が行っていますが、通訳者の公的派遣受付は、土日、夜間は行われていないので、聞こえる人との格差を埋められていません。電話リレーサービスはありますが、警察などに電話はできても、通訳の手配ができないと現場における情報共有が十分にできません。
 私たちも、聴覚障害者の皆様から、以前から要望を伺ってきました。手話言語条例の成立を踏まえ、以前から聴覚障害者の方々から要望が出されている二十四時間対応の意思疎通支援の受付体制を整備すべきではありませんか。

○中川障害者施策推進部長 国の通知では、意思疎通支援を行う者のうち手話通訳者及び要約筆記者の派遣は、市町村地域生活支援事業の必須事業であるため、原則、市町村が実施し、市町村相互間の連絡調整等を経てもなお、市町村が手話通訳者及び要約筆記者の派遣をできない場合等に手話通訳者及び要約筆記者の派遣事業を実施する必要があるとされております。
 また、この通知で示された都道府県のモデル要綱では、複数市町村の住民が参加する障害者団体等の会議、研修、講演、講義等や専門性の高い分野など、当該市町村では派遣できない場合等につき意思疎通支援者を派遣する業務や、市町村派遣事業に係る市町村相互間の連絡調整等、広域的な対応を行う業務などが役割と示されております。
 都は、こうした考え方や実施体制を踏まえまして、現在のスキームで手話通訳者の派遣を実施しております。当事者団体から、二十四時間意思疎通支援受付体制に関する要望があることは承知しております。

○藤田委員 当事者団体から要望があることは承知しているとの答弁でした。
 区市町村で対応するのは困難だからこそ、このような要望が出されているのだと思います。実際に考えてみても、区市町村がそれぞれ二十四時間の体制を取るのは、規模などを考えると現実的には難しく、今答弁された国の通知の内容に沿って考えたとしても、東京都として実施するべきだと考えます。
 また、今年四月の社会保障審議会障害者部会に厚生労働省が出した資料でも、意思疎通支援事業について、都道府県は、主として、市区町村域を越える広域的な派遣、市町村では対応が困難な専門性や緊急性の高い場合の派遣等を実施と書かれています。この考え方からも、東京都が役割を果たすことが重要であり、前向きに検討するよう改めて求めておきます。
 一方で、派遣事業において実働できる手話通訳者が常に不足しているという声も聞いています。さらに、手話言語条例の成立を受けて手話の普及を一層進めようとすれば、より多くの手話通訳者が必要となります。
 手話言語条例に基づいて施策を進めていくためにも、実働できる手話通訳者を増やしていく必要があると考えますが、都の認識を伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は毎年度、ニーズ等を踏まえながら講習会を実施して、手話通訳者の養成に取り組んでおります。

○藤田委員 ニーズ等を踏まえながら行っているという答弁ですが、手話言語条例ができたわけですから、従来の延長線上ではいけないということは明らかです。
 ニーズというのも、手話を必要とする者の意思疎通を行う権利を尊重しと明記した条例ができたことで、これまでよりも広く捉える必要があります。そして、より専門性が必要な場面での派遣も求められることになります。
 手話通訳者の養成や専門性の向上のための取組を充実させるべきと考えますが、いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 令和三年度からは、医療や法律等の専門分野に対応できる手話通訳者等の養成にも取り組んでおりまして、専門性の強化について検討しております。

○藤田委員 検討しているということです。ワーキングチームでも学術手話通訳のことなども話題に上がりましたが、当事者の意見も踏まえつつ、さらなる充実に努めることを求めるものです。
 手話通訳者の不足の原因として指摘されているのが、身分保障が十分でないことです。手話通訳者は、手話を必要とする方のコミュニケーションを支え、手話を使うことなどの権利を保障し、生活を支える重要な役割を担っています。ところが、手話通訳者の身分は、多くが個人事業主とされる登録型で、雇用されている方も非正規の場合が多い実態があります。
 手話通訳者の身分保障や待遇の抜本的な改善を進めていくべきと考えますが、いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 国は、よりよい手話通訳制度実現のための課題を明らかにするため、令和二年度に、雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態に関する調査研究を実施しておりまして、引き続き、国の動向を注視してまいります。

○藤田委員 今ご答弁された調査研究には、手話通訳者の実態を様々な角度から明らかにした上で、公的な手話通訳制度の強化、養成課程における専門性の確立、そして正規職員雇用の確立が論点として挙げられています。現在の手話通訳制度の根本にある手話通訳イコールボランティアの考え方の払拭がまず必要であることなど、重要な指摘がされています。
 しかし、答弁にあったとおり、調査研究は二〇二〇年度に行われたもので、報告書が出てから一年半以上が過ぎています。国の動向を注視するだけでは不十分だと思います。むしろ、東京都が率先して手話通訳者の身分保障の抜本的な改善を進め、国を動かすくらいの役割を果たすことを求めるものです。
 条例をつくる過程で、都議会の各会派の共通認識となったのが、乳幼児期からの手話の獲得、習得の保障の重要性です。
 乳幼児期から手話を獲得し、または習得するための切れ目ない学習環境を整備することが重要であり、大阪府のこめっこや京都府のにじっこの取組も参考にして、聞こえない乳幼児が手話を獲得する機会を保障するための取組を進めることを求めますが、いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 都立聴覚障害特別支援学校や一部の民間事業所で手話の獲得に向けた指導等を行っておりまして、現在、こうした支援につなげる情報提供や相談対応などを担う中核機能の在り方について検討しております。

○藤田委員 中核機能は重要ですが、同時に大切なのは、中核機能がつなぐ先の支援の充実です。都内には、手話言語を中心とした聞こえない乳幼児のための公的な事業所はない状態です。併せて検討を進めていくことを求めるものです。
 そして、今答弁にあった中核機能を検討している検討会に、難聴児とその保護者支援に関する調査が出されています。東京都が行った難聴児とその保護者支援に関する調査では、手話についての情報提供が足りなかったという内容の声が出されました。
 手話を含めた十分な情報提供が行われていくように取り組んでいく必要があると思いますが、いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 この調査結果も踏まえ、現在、難聴児と保護者への相談対応や情報提供などを担う中核機能の在り方について検討しております。

○藤田委員 アンケート調査に書かれている声の一部を紹介します。
 特にコミュニケーション方法について、難聴と判明してすぐ、補聴器と人工内耳とどちらか選べというのはおかしいと思う、手話という方法があって、補聴器も人工内耳もつけないという選択肢も提示してほしい、また、補聴器をしても人工内耳をしても、結局手話が必要というところは、当事者が痛感している部分、そこも併せて最初に説明すべき。
 重く受け止めるべきだと思います。療養機関、医療機関、行政から受けた保護者支援についての評価でも、手話についての説明、実際の活用についての支援は、支援を受けていないが二一・六%、役に立たなかった、もの足りなかったも合わせると約四割になります。手話という選択肢が適切に示されるように検討を進めることを求めます。
 当事者からも、内容が充実した実効性のある条例と評価されている条例ができたことは重要ですが、同時に、大事なのはこの条例をどう生かしていくかです。
 今日は、福祉保健局に関わる内容の質疑となりましたが、教育委員会などの果たす役割も重要ですし、条例の具体化は、全庁で進めていくべきものです。条例の所管局として、各局の取組を牽引する積極的な役割を果たすことを求め、最後の質問に移ります。
 盲ろう者支援について。
 盲ろう者通訳介助者の事業について伺います。
 初めに、盲ろう者とは、目、視覚と耳、聴覚の両方に障害を併せ持つ人のことをいいます。盲ろう障害は、目と耳という人間の主要な二つの感覚機能に障害を併せ持つため、情報入手、コミュニケーション、移動など、様々な場面で困難が生じます。
 したがって、視覚障害や聴覚障害といった単一障害に対する支援のみならず、盲ろう者という障害の独自性に応じた支援が必要になります。そのため、盲ろう者に対して、コミュニケーションや情報入手に関する支援を行う通訳介助者が必要になります。
 通訳介助者は、盲ろう者に対して、コミュニケーションや情報入手に関する支援をしつつ、自由に外出できるように移動介助を提供する人のことをいいます。
 盲ろう者通訳介助者は、その場にいる人たちの会話の内容だけでなく、話し手や周囲の状況などの言葉以外の情報も含めた総合的な情報保障を行うことが求められます。通訳介助者の存在によって、盲ろう者のコミュニケーションの自由と移動、外出の自由を保障しています。
 つまり、盲ろう者の尊厳を守るためには、通訳介助者は欠かせない重要な役割を担っていると思うのですが、都の認識を伺います。

○中川障害者施策推進部長 盲ろう者通訳介助者は、盲ろう者のコミュニケーション及び移動の自由を確保し、その社会参加を促進することで、盲ろう者の自立した日常生活及び社会生活を支える役割を担っております。

○藤田委員 この、「知ってください 盲ろうについて」というパンフレットの二ページ目、三ページ目に、こういうことが書いてあります。
 盲ろう者の前方には、永遠に続く静かな夜が広がっているだけなのです。盲ろう者は、光と音が失われた状態で生活しているため、独力でコミュニケーションや情報入手、移動ができない、あるいは極めて困難な状態に置かれています。
 こうした盲ろう者に対して、コミュニケーションのできる相手の存在を伝え、その相手がどちらを向いたのかなども含め、盲ろう者に関係する情報を伝え、そして、自由に安全に移動ができるための支援をするのが盲ろう者通訳介助者です。
 都は、重要だということは述べられませんでしたが、盲ろう者通訳介助者は、盲ろう者にとって欠かせない存在であり、重要な役割を果たしているのは明らかだと思います。
 通訳介助者が十分に派遣されることが、盲ろう者の人権を保障する上で重要です。盲ろう者の望むときに、望む時間、その方のコミュニケーションなどに必要なスキルを持った通訳介助者を派遣することは、東京都の責任だと思いますが、いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 派遣事業につきましては、都の委託事業として団体に委託しております。

○藤田委員 盲ろう者通訳・介助者派遣事業は、東京都の委託事業ということです。つまり委託事業というのは、東京都が責任を持ってその派遣を行っていく、そういう東京都の責任があると思いますが、いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 繰り返しになりますが、都の事業として団体に委託をしております。

○藤田委員 障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の意思疎通支援事業では、盲ろう者通訳介助者の派遣は、都道府県の役割であると明記されています。望むときに、望む時間、必要なスキルを持った方ということについては、はっきりお答えしませんでしたが、盲ろう者通訳介助者の派遣は、都道府県の役割だということなんです。
 先日、盲ろうの方からお話を伺いました。お話を伺った方は、会社通勤されている方でしたが、これまでは、一人もしくは会社の最寄り駅で同僚の方と待ち合わせをして通勤していたそうです。しかし、コロナ感染拡大防止の観点から同僚が在宅勤務になってしまい、駅からの道のりを何とか一人で通っているそうですが、徐々にそれも厳しくなってきたと話していました。そのため、駅から会社の間など、通勤のときに盲ろう者通訳・介助者派遣事業を利用したいということでした。
 こうした方が十分に利用できるようにする必要があると思います。現在の派遣時間はどうなっているでしょうか。盲ろう者通訳・介助者派遣事業は、都の委託事業となっています。この事業の都との契約時間数の過去五年間の推移を伺います。あわせて、盲ろう者の利用者数と通訳介助者の登録数についても、過去五年間の推移を伺います。

○中川障害者施策推進部長 盲ろう者通訳・介助者派遣事業、まず、契約額の根拠となる派遣の総時間数につきましては、平成二十九年度から令和元年度までは四万八千四百十二時間、令和二年度からは一三%増やしまして五万四千六百時間としております。
 盲ろう者の利用数は、平成二十九年度から令和三年度までの順に、百三十五人、百四十一人、百三十九人、百四十二人、百四十三人。
 通訳介助者の登録数は、順に、五百八十人、五百三十七人、六百十四人、五百十三人、五百二十三人となってございます。

○藤田委員 二〇一七年度から二〇一八年度にかけて六人利用者が増えたわけですが、そこで契約時間がすぐに増えるわけではなく、二〇二〇年度になって増えたということです。契約時間の範囲内で派遣を行うことが求められる契約になっています。
 具体的にどのようにしているかというと、盲ろう者通訳・介助者派遣事業では、一人が利用できる時間分のチケットを事前に利用者に渡しています。盲ろう者の方々は、このチケットを派遣された通訳介助者に渡して時間単位で利用しています。このチケットですが、配った数が契約時間ぴったりになるようにするわけではありません。なぜかというと、全ての方が目いっぱい使うわけではないため、ぴったりの数を配れば、チケットは大分余ってしまうからです。したがって、ぴったりの数よりも多く配ることになります。
 しかし、このチケットをどれだけ配るのかということで、盲ろう者友の会は苦労をしてこられました。チケットが少なければ年間の派遣時間が少なくなってしまい、本来ならもっと行えた支援が行えなかったことになってしまいます。コロナの前でも千時間単位で下回ったこともありました。
 先ほどお話ししたように、通訳介助者は重要な役割を果たしていますから、その点では、派遣を多くできた方がよいのです。しかし、一方で、チケットの数が多いと今度は実際の派遣時間が契約数の契約時間を上回ってしまいます。
 そこで、この上回ったことについて伺います。これまで盲ろう者友の会が通訳介助者を派遣した時間数が契約時間を超えた年度をお答えください。また、その各年度に契約時間数を何時間超過したのかも併せてお答えください。

○中川障害者施策推進部長 過去に実際の派遣時間数が契約上の派遣時間を超過していた年度があったことは承知しております。

○藤田委員 私たちが法人の方からお話を聞いたところ、二〇〇九年度以降で派遣時間数が契約時間数を超えたのは六回だということでした。
 具体的には、二〇一〇年度には千五百四十六時間超過したとのことです。同時に、二〇一一年度は千六百四十時間、二〇一二年度は四千百二十時間、二〇一三年度は四百四十七時間、二〇一六年度は二千二百三十七時間、二〇一八年度は三十七時間上回ったと話されていました。
 続けてお聞きしますが、盲ろう者通訳・介助者派遣事業について、補正予算などによる予算の確保や契約変更による時間数の引上げを行ったことはありますか。

○中川障害者施策推進部長 盲ろう者通訳・介助者派遣事業における補正予算の編成や契約変更はございません。

○藤田委員 ないとのことです。したがって、盲ろう者友の会が通訳介助者を派遣した時間数が契約時間を上回った場合、派遣にかかった費用は、盲ろう者友の会の持ち出しになってしまいます。委託の単価から計算すると、多い年は数百万円単位で持ち出しが生じていたことになります。
 したがって、派遣した時間が契約時間を超えないように、しかし、少なくなり過ぎないように事業を行ってきたのです。契約時間数を超えることにより、法人が費用を持ち出さざるを得ない事態は繰り返さないように、東京都が対応すべきです。
 一方で、制度を利用する盲ろう者の方々の立場からすれば、もっと利用したいという声があります。
 私がもう一人お話を伺った方は、もともと耳が聞こえなかったのですが、十年ほど前に失明されたそうです。以前はパソコンが使えていたのですが、失明後はディスプレーを点字用に変え、盲ろう者支援センターで専門的なソフトの使い方を習ったそうです。しかし、せっかくその技術を使って働こうと思っても、現在、生活のために使っている三、四時間の通訳介助者派遣の時間では足りないと話していました。契約時間が増えれば、一人一人が派遣を利用できる時間も増やせます。
 契約時間の決め方についてお聞きします。盲ろう者通訳・介助者派遣事業の契約時間はどのように決めているのですか。

○中川障害者施策推進部長 契約上の派遣時間につきましては、過去の利用状況と登録利用者数の見込みを勘案して定めております。

○藤田委員 過去の利用状況と登録利用者数の見込みを勘案して定めているということですが、先ほどお話ししたように、契約時間を超えないように事業を行っている状況で、過去の利用状況に基づいて契約時間を決めていては、なかなか時間が増えなくなってしまいます。
 二〇二〇年度に増やしたように、全く増やしていないわけではないのですが、時間を増やしてほしいという要望は、当事者の方々から継続して出されています。本当は皆さんがどのくらい使いたいと思っているのかを調べて、それを踏まえて、予算と契約時間を定めることが必要だと思います。
 ところで、なぜ、盲ろう者通訳・介助者派遣事業の契約時間で、年間の通訳派遣時間の上限を定める必要があるのですか。

○中川障害者施策推進部長 事業に要する予算は、利用状況を勘案して計上しておりまして、その予算の範囲内で契約上の派遣時間を定めております。

○藤田委員 答弁されたのは、どのように決めているのかということだと思います。
 通訳介助者は、盲ろう者の尊厳ある生活のために不可欠な存在ですから、契約上どのように定めるかということは考える必要があるとしても、契約時間が決められていることが原因で、盲ろう者が通訳介助者派遣の利用を控えることにつながることはないようにすることが重要だと思います。
 また、年度途中で派遣時間が契約時間を超えそうであれば、補正予算などによる予算の確保や契約変更による時間数の引上げなどの対応をすることが重要であり、今後はそのような対応を行うことを求めておきます。
 同時に、派遣時間が増えそうな要因があれば、先手先手で予算を増やしていく必要があります。そのことに関連して伺います。都は、二〇二〇年度まで、盲ろう者通訳・介助者派遣事業で派遣された時間が分単位の端数があった場合には、謝金の対象となる事業時間の計算を三十分未満切捨て、三十分以上切上げとしてきましたが、昨年度から、一分以上の端数は切上げという運用に変更しました。
 この変更を行うことによって、計算上の業務時間の総量は増えることはあっても減ることはないと思うのですが、いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 四捨五入よりも一分以上を切り上げた方が、契約上の業務時間の総量というのは増えるのは当然でございますが、切り上げてもなお、現在の契約金額の範囲内で対応できるものと考えております。

○藤田委員 増えるのは当然ということです。一方で、今のところ、契約時間、契約金額の範囲で対応できているということです。しかしながら、その理由を考える必要があると思います。
 一つ伺いたいのですが、事前にいただいた数字でも、二〇二〇年度以降の派遣時間数は、それ以前より少なくなっています。この背景には、新型コロナウイルスの影響があると思うのですが、これいかがですか。

○中川障害者施策推進部長 私たちも、新型コロナウイルスの感染の影響があるというふうに考えております。

○藤田委員 この間、派遣時間数が少なくなっているのは、コロナの影響があるというのは明らかだと思います。しかし、コロナの影響による減少は続く、このことを前提として予算を組むというのは正しくないと思います。
 コロナの感染状況がどうなっていくかは予断を許しませんが、盲ろう者がコロナの影響なく、通訳介助者の派遣を利用できるようになっても足りるように予算は組むべきです。
 盲ろう者友の会の試算でも、七千二百時間程度の増加が見込まれるとしており、少なくともそのような規模の増加に対応できるような予算とすることを要望するものです。
 そして、派遣時間を増やしていくためにも、通訳介助者をより多く養成する必要があると思います。二〇一八年度に、通訳介助者養成研修について、四十人から八十人に定員を増やしたことは重要です。
 一方、現在の通訳介助者養成研修は、コロナによって受講生が減ったと聞いています。通訳・介助者養成研修事業実施基準では、年間で八十人程度の養成を行うことを基準としていますが、この基準の根拠と定員を増やした平成三十年度、すなわち二〇一八年度以降の養成実績を伺います。

○中川障害者施策推進部長 養成者数の基準につきましては、利用者ニーズや養成実績などを踏まえ、団体とも相談しながら定めております。
 平成三十年度から令和三年度にかけての養成者数の実績は、順に、六十一人、五十九人、四十二人、二十四人ということになってございます。

○藤田委員 利用者ニーズや養成実績などを踏まえ、団体とも相談しながら定めているということ、その結果、八十人に増やしたということは重要だと思います。
 しかしながら、養成実績は減少しているということです。私たちが伺ったお話でも、今年度も、平日コース四十名定員のところ十名、日曜コース四十名定員のところ二十名と、コロナ前に戻っていないということです。これは、もちろんニーズそのものが減ったわけではなく、コロナの影響だと考えられます。
 通訳介助者の登録数も、先ほどの答弁にあったように、二〇一九年度が六百十四人に対し、昨年度は五百二十三人と減少している中であり、大変深刻な事態だと思います。
 そこで質問ですが、コロナなどの影響により、盲ろう者通訳介助者養成研修の受講自体が大幅に減っています。盲ろう者通訳介助者養成研修は、受講者にも一万円の自己負担があるのですが、都が予算を増やし、受講料を取らなくても実施できるようにするなど、通訳介助者養成研修について、より多くの方が受講できる仕組みとすべきです。いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 事業に必要な通訳介助者については、養成しているというふうに考えております。

○藤田委員 現在コロナの影響を受けて、さらに今年度についても受講者が減っているという状況で、このままでは通訳介助者がさらに減ってしまう可能性があると。利用したい方のニーズが満たされなくなる、危機的な状況だと思うんです。だからこそ、より多くの受講ができる仕組みについて、東京都と団体が、どうやったら受講者を増やせるか、養成できるか、ここに力を注ぐべきだと思いますが、いかがですか。

○中川障害者施策推進部長 ここ二年、受講者が減っております。それにつきましては、コロナの影響と我々も考えております。
 コロナ禍の影響と見られる受講者の減少を踏まえまして、周知の方法について、団体と相談することとしております。

○藤田委員 周知の方法について団体と相談ということで、ぜひとも、団体の方でも、やはり周知の方法だけではなくて、どうしたら養成ができるか、どのように増やしていけるのか、これなしには盲ろう者の権利と生活、安全は守れないわけです。そこに一緒に東京都も心を砕いて、周知の方法だけでなく、相談対応をしていただきたいと思います。
 コロナの第八波も懸念される厳しい状況ですが、盲ろう者の尊厳ある生活を支えるのに不可欠な通訳介助者の確保のため、手を尽くしていただきたいと思います。
 もう一つ要望ですが、通訳介助者の養成研修では、受講者だけでなく、実施している東京盲ろう者友の会にも負担が生じています。年間七百八十九万円の補助を受け取っていますが、受講料を徴収し、講師の謝金や職員給与も抑えても、年間百万円超えの自己負担が生じているということです。特定非営利団体です。こうした状況は続けるわけにはいきません。
 養成研修は、補助事業という位置づけになっていますが、障害者総合支援法の都道府県地域生活支援事業で必須事業に位置づけられており、都としても必要不可欠な研修だということになると思います。
 この通訳介助者の養成研修が安定して行われることは、都としても必要だということを踏まえて、実施主体である盲ろう者友の会の自己負担が発生することは避けられるようテーゼを取ることを求めて、盲ろう者支援についての質問を終わり、私からの質問を終わります。

○内山委員長 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○内山委員長 速記を始めてください。
 お諮りいたします。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、委員会を閉会するとともに、明日午前零時十分に委員会を開会し、質疑を続行いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認めます。よって、明日は午前零時十分から委員会を開会いたします。
 なお、ただいまご出席の皆様には改めてご通知いたしませんので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時五十一分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る