厚生委員会速記録第六号

令和四年五月二十七日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長おじま紘平君
副委員長伊藤こういち君
副委員長小松 大祐君
理事関口健太郎君
理事やまだ加奈子君
理事桐山ひとみ君
かまた悦子君
上田 令子君
うすい浩一君
浜中のりかた君
藤田りょうこ君
菅原 直志君
小宮あんり君
白石たみお君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長中村 倫治君
健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
次長雲田 孝司君
技監田中 敦子君
理事木村 健治君
理事小林 忠雄君
総務部長高野 克己君
企画部長末村 智子君
医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務遠松 秀将君
少子社会対策部長奈良部瑞枝君
感染症対策部長関口 尚志君
企画担当部長森田 能城君
事業推進担当部長大規模接種施設企画調整担当部長兼務岩井 志奈君
医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務小竹 桃子君
医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務鈴木 和典君
地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務渋谷 恵美君
高齢者施策推進担当部長花本 由紀君
子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務西尾 寿一君
感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務杉下 由行君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務播磨あかね君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長保健政策推進担当部長兼務遠藤 善也君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長加藤 みほ君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長山本 謙治君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長蓮沼 正史君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長水野  剛君
東京感染症対策センター担当部長村本 一博君
新型コロナウイルスワクチン担当部長内藤 典子君
保健所デジタル化推進担当部長大規模接種施設企画調整担当部長兼務高橋 葉夏君
新型コロナウイルス検査事業推進担当部長徳弘 欣也君
酸素・医療提供ステーション担当部長山田 利朗君
抗体カクテル療法促進担当部長及川 勝利君
病院経営本部本部長西山 智之君
理事経営企画部長事務取扱谷田  治君
サービス推進部長齋藤 善照君
経営戦略担当部長竹中 雪与君
計画調整担当部長船尾  誠君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 福祉保健局所管分
・東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例
・備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
請願陳情の審査
(1)四第五号 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し国民のいのちと健康を守ることに関する請願
(2)四第一一号 こども家庭庁発足に先立つ子供の人権を尊重する改善策に係る意見書の提出に関する陳情
病院経営本部関係
報告事項
・広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業に係る特定事業の選定について(説明)
・令和三年度東京都一般会計予算(病院経営本部所管分)の繰越しについて(説明・質疑)
・令和三年度東京都病院会計予算の繰越しについて(説明・質疑)
・契約の締結について(説明・質疑)
請願の審査
(1)四第四号 都立病院の存続及び七月からの都立・公社病院の地方独立行政法人化中止に関する請願

○おじま委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、病院経営本部関係の報告事項の聴取並びに福祉保健局及び病院経営本部関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項、広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業に係る特定事業の選定については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、その他の報告事項については、説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、福祉保健局長から紹介があります。

○中村福祉保健局長 それでは、人事異動及び役職に変更のあった幹部職員を紹介させていただきます。
 技監で教育庁技監兼務の田中敦子でございます。理事で子供政策連携室理事兼務の木村健治でございます。理事の小林忠雄でございます。企画部長で政策企画局新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長、子供政策連携室子供政策調整担当部長兼務の末村智子でございます。医療政策部長で新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務の遠松秀将でございます。少子社会対策部長で子供政策連携室子供政策調整担当部長兼務の奈良部瑞枝でございます。感染症対策部長の関口尚志でございます。企画担当部長の森田能城でございます。事業推進担当部長で大規模接種施設企画調整担当部長兼務の岩井志奈でございます。医療改革推進担当部長で新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務の小竹桃子でございます。医療政策担当部長で新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務の鈴木和典でございます。地域保健担当部長で保健所デジタル化推進担当部長兼務の渋谷恵美でございます。高齢者施策推進担当部長の花本由紀でございます。子供・子育て施策推進担当部長で酸素・医療提供ステーション運営担当部長、子供政策連携室子供政策調整担当部長兼務の西尾寿一でございます。感染症危機管理担当部長で医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務の杉下由行でございます。新型コロナウイルス感染症対策担当部長で保健政策調整担当部長兼務の播磨あかねでございます。新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長で保健政策推進担当部長兼務の遠藤善也でございます。新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長の加藤みほでございます。新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長の山本謙治でございます。新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長の蓮沼正史でございます。新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長の水野剛でございます。東京感染症対策センター担当部長の村本一博でございます。新型コロナウイルスワクチン担当部長の内藤典子でございます。保健所デジタル化推進担当部長で大規模接種施設企画調整担当部長兼務の高橋葉夏でございます。新型コロナウイルス検査事業推進担当部長の徳弘欣也でございます。酸素・医療提供ステーション担当部長の山田利朗でございます。抗体カクテル療法促進担当部長の及川勝利でございます。最後に、当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の柳橋祥人でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○おじま委員長 紹介は終わりました。

○おじま委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中村福祉保健局長 令和四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、令和四年度六月補正予算案一件、条例案二件、事件案一件の合計四件でございます。
 初めに、補正予算案についてでございますが、ウクライナ危機を発端とする原油、原材料価格の高騰や円安の進行に伴う物価高騰等の影響を踏まえ、都民生活を守る取組や、さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組に加えまして、新型コロナウイルス感染症対策として、医療提供体制の確保や感染終息に向けた取組などを実施するために必要な経費を補正するものでございます。
 次に、条例案の概要についてでございますが、女性福祉資金の貸付事業の充実を図るもの及び宗教法人法の改正に伴い規定を整備するものでございます。
 最後に、事件案についてでございますが、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについてでございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単でございますが、提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高野総務部長 それでは、令和四年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
 初めに、令和四年度六月補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和四年度六月補正予算概要をご覧いただきたいと存じます。
 二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 今回の補正は、一般会計歳入歳出予算の補正でございます。
 左側の(1)、歳入予算の補正予算額欄をご覧ください。国庫支出金で二千四百七十五億三千四百三十四万四千円の増額、繰入金で四億円の減額、諸収入で一億六千二百六十四万円の増額により、補正後の歳入合計は七千九百二十七億二千七百八十万五千円となります。
 右側の(2)、歳出予算の補正予算額欄をご覧ください。福祉保健費で三千五百五十九億一千四百八十万四千円増額補正でございます。これによりまして、補正後の歳出合計は二兆五百二十二億二千三百四万九千円となります。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、原油・原材料価格・物価高騰等対策でございます。
 さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組、HTTに要する経費といたしまして、医療施設自家発電設備点検等支援事業について、医療政策費で三億五千二百万円の歳出を計上してございます。
 三ページをご覧ください。都民生活を守る取組に要する経費としまして、こころといのちの相談・支援東京ネットワークについて、保健政策費で二千五百万円の歳出を計上してございます。
 四ページをお開き願います。さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組、HTTに要する経費としまして、保護施設の停電時におけるBCP運用等支援事業について、生活福祉費で三千五百二十万五千円の歳出を計上してございます。
 五ページをご覧ください。都民生活を守る取組に要する経費としまして、デジタル機器導入による民生・児童委員活動支援事業について、同じく生活福祉費で十一億三千二百十万円の歳出を計上してございます。
 六ページをお開き願います。都民生活を守る取組に要する経費としまして、フードパントリー緊急支援事業やひきこもりに係る支援事業について、同じく生活福祉費で八千九百六十一万円の歳出を計上してございます。
 七ページをご覧ください。さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組、HTTに要する経費としまして、高齢者施設の停電時におけるBCP運用等支援事業について、高齢社会対策費で三億五千五百三十五万一千円の歳出を計上してございます。
 八ページをお開き願います。都民生活を守る取組に要する経費としまして、養育費確保支援事業やひとり親家庭就業推進事業などについて、少子社会対策費で一億三千五百万円の歳出を計上してございます。
 九ページをご覧ください。都民生活を守る取組に要する経費としまして、東京都就労継続支援事業所生産活動活性化支援事業について、障害者施策推進費で三億七千四百二十二万円の歳出を計上してございます。
 一〇ページをお開き願います。さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組、HTTに要する経費としまして、障害者支援施設等の停電時におけるBCP運用等支援事業について、同じく障害者施策推進費で四億四千百二十四万一千円の歳出を計上してございます。
 一一ページをご覧ください。さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組、HTTに要する経費としまして、医療施設自家発電設備整備事業について、施設整備費で十三億七千六百十八万一千円の歳出を計上してございます。
 一二ページをお開き願います。2、新型コロナウイルス感染症対策でございます。
 新型コロナウイルス感染症対策に要します経費として、東京都地域救急医療センター等の運営や医療機関における集中的検査の実施について、医療政策費で四十三億一千四百四十六万九千円の歳出を計上してございます。
 一三ページをご覧ください。新型コロナウイルス感染症対策に要する経費としまして、救護施設における集中的検査の実施について、生活福祉費で三千三百九十四万一千円の歳出を計上してございます。
 一四ページをお開き願います。新型コロナウイルス感染症対策に要する経費としまして、高齢者施設における新型コロナウイルス感染症対策強化事業や高齢者施設事業継続支援事業などについて、高齢社会対策費で七十一億四千九百三十三万三千円の歳出を計上してございます。
 一五ページをご覧ください。新型コロナウイルス感染症対策に要する経費として、新型コロナウイルス感染症の流行下における妊産婦総合対策事業や保育所等におけるPCR検査の実施について、少子社会対策費で一億四千七百六十一万六千円の歳出を計上してございます。
 一六ページをお開き願います。新型コロナウイルス感染症対策に要する経費として、障害者支援施設等における新型コロナウイルス感染症対策強化事業や代替職員の確保による障害福祉従事者の応援体制の強化などについて、障害者施策推進費で二十一億五千九百五万円の歳出を計上してございます。
 一七ページをご覧ください。新型コロナウイルス感染症対策に要する経費としまして、障害者支援施設等事業継続支援事業や障害者支援施設等への応援職員派遣などについて、同じく障害者施策推進費で三千十九万九千円の歳出を計上してございます。
 一八ページをお開き願います。一八ページから二一ページにかけまして、新型コロナウイルス感染症対策に要する経費としまして、検査試薬の購入等やPCR検査等の保険適用に伴う自己負担分の費用負担などについて、健康安全費で三千二百九十九億八千三百十一万六千円の歳出を計上するとともに、一部事業につきまして、その財源を更正してございます。
 二二ページをお開き願います。新型コロナウイルス感染症対策に要する経費として、救急・周産期・小児医療体制確保支援事業や感染症診療協力医療機関等施設・設備整備事業などについて、施設整備費で七十七億八千百十七万二千円の歳出を計上してございます。
 次に、条例案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、令和四年第二回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。整理番号1、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございます。
 女性福祉資金の充実を図るため、事業開始資金及び事業継続資金の貸付限度額を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、公布の日を予定しております。
 整理番号2、墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 国の宗教法人法の改正に伴い、引用箇所を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、令和四年九月一日を予定しております。
 最後に、事件案についてご説明申し上げます。
 一枚おめくりいただきまして、二ページをお開き願います。整理番号1、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについてでございます。
 都内での新型インフルエンザ発生時における医療に必要な医薬品の供給及び流通用として、あらかじめ売払いに当たっての条件を定めるものでございます。
 種類、数量上限及び予定単価でございますが、ラピアクタ点滴静注液バイアル百五十ミリグラムにつきまして、数量上限は十三万四千バイアル、予定単価は一バイアル当たり三千百七十七・九八円、予定単価の総額は四億二千五百八十四万九千三百二十円となります。
 条例案及び事件案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、令和四年第二回東京都議会定例会条例案及び事件案をご覧いただきたいと存じます。
 以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○藤田委員 八点の資料を要求いたします。
 一点目、都内の災害拠点病院、災害拠点連携病院以外の病院の自家発電設備の整備状況。
 二点目、高齢者等医療支援型施設の規模の推移と月別の延べ利用者数及び利用率。
 三点目、施設区分別集中的検査の実施頻度別施設数。
 四点目、高齢者施設等への理学療法士、作業療法士の派遣の実績と登録セラピスト数。
 五点目、高齢者施設内で発生した入所者の感染者数と、そのうち、隔離解除まで施設にて療養した方の人数、月ごと。
 六点目、集中的検査の対象施設におけるクラスター件数及び感染者数。月ごと、集中的検査の実施、未実施別、施設の種類別。
 七点目、新型コロナウイルスに関連した死亡者数の月別、年代別内訳。
 八点目、新型コロナウイルスに関連した自宅療養者の死亡者数の推移、年代別。
 以上です。

○上田委員 コロナ禍以降の自殺者数の老若男女別推移とコロナ以前との比較。
 民生児童委員の過不足、充足状況、過去十年。
 民生児童委員の選定条件が分かるもの。
 ひきこもり人口推移の過去五年。
 ひとり親家庭の養育費立替え保証、ADRの現状が分かるもの。
 低所得の子育て世帯とする条件と区市町村別対象世帯。
 東京都PCR無料検査の需給の状況が分かるもの。
 コロナ感染症疑いとされた救急患者のコロナ禍以降の人数の推移。
 コロナ対策に係る医療従事者の充足、過不足状況が分かるもの。
 酸素・医療ステーションの開設以来からこれまでの利用実績。
 宿泊療養施設の利用実績。
 高齢者、障害者施設におけるコロナ禍の人員不足状況の分かるもの。
 相談体制確保事業の公募入札の状況と実績が分かるもの。コールセンターとか発熱センターへの予算です。
 感染防護服数のコロナ禍直前からこれまでのストックと過不足状況の推移です。知事が中国へ寄附した数も含めてご報告ください。
 条例の方ですけれども、女性福祉資金貸付条例の方ですが、対象世帯の推移と貸付実績についてでございます。
 以上です。

○おじま委員長 ただいま藤田委員、上田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○おじま委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願四第五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、請願四第五号、安全・安心の医療・介護・福祉を実現し国民のいのちと健康を守ることに関する請願は、東京医療関連労働組合協議会の千葉かやとさんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都議会において、次の事項について、国に意見書を提出していただきたいというものでございます。
 第一項として、安全・安心の医療、介護、福祉の提供体制を確保するため、以下の事項を実施すること。
 一つ、医師、看護師、医療技術職員、介護職員等を大幅に増員し、夜勤などの勤務環境及び処遇を改善すること。
 二つ、公立、公的病院の再編統合や病床削減の方針を見直すこと。
 第二項として、保健所の増設、保健師等の大幅な増員等、公衆衛生行政の体制を拡充すること。
 第三項として、社会保障、社会福祉に関する国庫負担を増額し、七十五歳以上の窓口負担の二倍化を中止するなど、国民負担を軽減することというものでございます。
 次に、現在の状況についてご説明させていただきます。
 第一項の一につきまして、都は、医師奨学金制度等の取組を通じて医師の確保に努めるとともに、東京都ナースプラザにおける就業援助、教育研修、普及啓発等の取組などにより看護師の確保を図っております。
 医療従事者の勤務環境改善に向けては、東京都医療勤務環境改善支援センターで、アドバイザーの派遣や電話相談などにより医療機関の取組を支援しております。
 介護職員の確保については、育成研修や資格取得支援などを行っているほか、条例により、介護施設は、夜間及び深夜に入所定員等に応じた一定数以上の介護職員または看護職員を配置することとしており、基準を上回る職員配置については、介護報酬の夜勤職員配置加算により評価する仕組みとなっております。
 また、国に対し、看護職員の養成、定着、再就業に向けた十分な財源確保、小児科など不足する分野の医師の早急な確保、医療従事者の勤務環境改善に向けた診療報酬の一層の充実、介護事業者が介護人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる介護報酬とすることなど、実効性ある総合的な対策を講じるよう提案要求しております。
 なお、国は、介護報酬における処遇改善加算等の取組に加え、看護職員及び介護職員の収入を引き上げるための措置を令和四年二月分から実施しております。
 第一項の二につきまして、国は令和元年、公立、公的医療機関等を対象に診療実績データを分析しましたが、その分析手法は全国一律の基準を機械的に適用したものであり、分析結果をもって、各医療機関が将来担うべき役割やそれに必要なダウンサイジング、機能分化等の方向性を決めるものではないとされております。都内では九病院が具体的対応方針の再検証が必要な医療機関とされていましたが、この中には、僻地医療や特殊な疾病に対応する病院も含まれておりました。
 都は、これらを踏まえ、令和元年度、二次保健医療圏ごとに設置している地域医療構想調整会議で、国の分析だけでは判断し得ない地域の実情に関する意見を補いながら、対象病院の役割や医療機能について意見交換し、各病院はそれぞれの特色を生かして地域における役割を果たしているものと確認いたしました。
 また、令和四年三月、国から都道府県宛て地域医療構想の進め方についての通知があったことを受け、今後、地域医療構想調整会議で民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の検証、見直しについて議論していくこととしております。
 なお、この通知では改めて、地域医療構想の推進の取組は病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が地域の実情を踏まえ主体的に進めるものであると明記されております。
 第二項につきまして、地域保健法に基づく国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針で、都道府県が設置する保健所の所管区域は、二次医療圏とおおむね一致した区域とすることを原則として定めることが必要であるとされており、都保健所は、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点として、二次保健医療圏に一か所設置しております。
 都保健所の職員配置については、感染症対策に従事する保健師の定数を令和三年度に十一名、令和四年度に十名増員しております。
 今後、今回の感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組を検証した上で、改めてその在り方を検討していくこととしております。
 第三項につきまして、社会保障制度の枠組みについては、社会経済状況の変化を踏まえ、負担と給付のバランスに考慮して、国が定めております。
 後期高齢者医療制度の財源構成は、患者が医療機関等で支払う自己負担分を除き、約一割が被保険者からの保険料、約四割が現役世代からの支援金、約五割が公費となっております。
 患者が医療機関等で支払う自己負担の割合は、現在、現役並み所得者が三割、それ以外の者が一割となっておりますが、令和三年の通常国会で、七十五歳以上の後期高齢者医療の被保険者のうち、現役並み所得者以外であって、課税所得が二十八万円以上かつ単身世帯の場合年収二百万円以上である者の窓口負担割合を二割とする法改正が行われ、令和四年十月一日から施行されることとなっております。
 この施行に当たっては、二割負担への変更により影響が大きい外来患者について、施行後三年間、一月分の負担増を最大でも三千円に収まるような措置を導入するとしております。
 都は国に対し、今後、現行制度のさらなる見直しを行う場合は、制度設計者である国の責任において、必要な医療への受診抑制につながることがないよう、低所得者に十分配慮した制度の在り方を検討することを提案要求しております。
 また、介護保険制度の給付財源は、利用者負担を除いて、保険料と公費が五割ずつで構成されているほか、六十五歳以上の介護保険料は、所得に応じて段階的に設定されており、収入減少等に対する減免措置が講じられております。
 都は国に対し、介護保険の利用者負担の見直しに当たっては、低所得者に配慮し、利用者に過度の負担が生じないよう提案要求しております。
 また、生活保護基準について、国は現在、社会保障審議会生活保護基準部会で基準の評価及び検証を行っており、都は国に対し、基準の見直しに当たっては、大都市の生活実態を踏まえたものにすることなどを提案要求しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 新型コロナ感染症への対応が始まって二年以上が経過しました。国や東京都では、社会経済活動の促進を図ろうというところで、小池都知事も国に要望しているところです。
 一方で、医療、介護、福祉の現場では、感染防止対策の手をいささかも緩めることができない状況が、今もなお続いています。現場での対策はもちろんのこと、私生活でも家族と以外は会食禁止、お昼は一人で壁に向かって黙食など、厳しい制限が今も多くの施設で続けられています。
 コロナ終息が見えない中、国民、都民の命と健康を守るために昼夜を問わず献身的に働かれている医療、介護、福祉現場の皆さんに、心から敬意を表したいと思います。
 請願理由には、コロナ禍によって明らかになったことは、感染症対策を中心的に担う公立、公的病院の役割の重要性及び感染症病床や集中治療室の大幅な不足、医師、看護師、介護職員の人員不足、保健所、保健師の不足などであるとし、コロナ禍における教訓は、医療、介護、福祉をはじめとした社会保障の拡充の重要性ですと指摘をしております。
 コロナ対策の強化と再び新興感染症の流行が起きたときにも対応できる体制を目指して質問をいたします。
 都内では、感染が拡大した第三波、第五波、第六波において、入院が必要な方が入院できないという事態を生みました。都は、この間、都内のコロナ病床を確保する医療機関に対して、受入れができなかった理由について調査を行っていますが、どのような回答が得られたのですか。

○山本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 病床利用率が低かった医療機関に対して理由を調査したところ、重症者の受入れにより多くの人員を配置することから、受入れ人数に制限が生じたことや、医療従事者本人や家族が感染者や濃厚接触者となり、患者の受入れが困難になったことなどの回答がございました。

○藤田委員 今の答弁で挙げられた理由は、いずれも職員の体制がやむを得ない理由で確保できず、受け入れられなかったというものです。したがって、コロナのような感染拡大の際に、より多くの患者に対応できるようにしようとするのであれば、ふだんから職員をもっと多くすることが不可欠だということです。
 私たちは、請願を提出された皆さんからお話を伺いましたが、いずれの病院の看護師も、昨年八月、つまり第五波が一番大変だったと口々に話されていました。中でも、コロナ患者を受け入れている医療機関では、コロナ病棟に看護師を集中せざるを得ず、ほかの病棟は手薄になったと話しています。加えて、新人看護師がいるとき、年度初めなどは、育成担当の人が新人に付きっきりになるので、そのほかの看護師はさらに大変になるというお話でした。
 災害時や新興感染症の流行といった非常時では、都内の医療機関全体での対応が求められます。そのためには、本来、国や自治体が非常事態を想定して平時から備える医療政策を行うべきだと思います。
 コロナのパンデミックを受け、感染拡大期においても入院が必要な方が入院できるためには、医師、看護師の増員が必要という認識はありますか。

○山本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都は、感染状況に応じて病床確保レベルを引き上げたほか、臨時の医療施設等を活用し、医療提供体制を確保しております。
 感染拡大時には医療人材の確保が必要なことから、昨年十一月より、医師、看護師の方が都が要請する施設等で速やかに従事できるよう、東京都医療人材登録データベースを設置、運用しております。

○藤田委員 増員の必要については答えられませんでしたが、感染拡大時には医療人材の確保が必要ということですから、もともとの体制では足りないということです。
 しかし、感染が拡大してから急に増やすということはできないわけで、データベースをつくっても、各医療機関の体制を大きく変えるということはできません。ぜひ、都として、平時からの備えとしての増員が必要という認識を示していただきたいと思います。
 国が決めた現在の診療報酬で医療機関が経営を維持しようとすると、できる限り多く入院を受けて、常に満床になるようにしたり、長期入院になると報酬が下がりますから、一、二週間という短期間で退院できるよう調整し、次の入院予定を決めておくといった対応が求められます。
 つまり、コロナ以前から、医療現場はベッドをフル稼働させるために、職員はぎりぎりの体制の中で医療活動を行っていたということです。だから、いざ平時より多い医療体制が必要になったとき、そうした専門職はすぐに増やせませんから、今回のように、コロナの感染拡大期には治療が必要でも入院ができないといった事態を生んだのです。
 災害対策、感染症対策には、平時からの備えが必要です。改めて伺いますが、コロナのパンデミックを受け、感染拡大期においても入院が必要な方が入院できるためには、平時からの体制の確保、つまり、医師、看護師の増員が必要という認識はありますか。

○山本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都は、感染拡大に対応するため、医療提供体制の確保に向け、様々な取組を行ってまいりました。
 具体的には、先ほどご答弁いたしました東京都医療人材登録データベースに、現在多くの医療機関や医師、看護師が登録をしているほか、感染状況に応じ、病床の確保を進め、症状に応じた患者の受入れ体制を確保するとともに、高齢者の転退院の拠点として臨時の医療施設の整備を進めてまいりました。
 さらには、確保した病床を効率的に運用するため、新型コロナウイルス感染症から回復後も引き続き入院が必要な方の転院を受け入れる回復期支援病院の確保も進めてまいりました。
 今後とも、こうした様々な取組を組み合わせ、医療資源を有効に活用し、新型コロナ患者が必要な医療につながるよう取り組んでまいります。

○藤田委員 臨時医療施設や支援施設を例えば百床つくったとしても、そこには人がいなければ運用はできません。施設などで速やかに対応できるようにするためには、常に医療現場にいて専門性を高めておくということが必要になります。
 感染拡大期になぜ患者が入院できない事態を生んだのか、都としてしっかり検証していただきたいと思います。そして、非常時に対応できる体制の確保をふだんからしていけるよう、国に対して意見を出していただくよう要望いたします。
 また、感染拡大によって医療現場は非常に過重労働になっています。特に第五波では、看護師自身やその家族がコロナに感染したり、濃厚接触者になったり、子供が通う保育園や学校が一時的に閉鎖したりして、出勤できなくなる看護師が非常に多くなっています。
 ある医療機関では、常に一割程度の看護師がそうした理由で勤務できない状況になっていると話していました。特に病棟では、夜勤があって、その人数も患者数十人に対して一人という配置ですから、急な休みが発生したら、勤務直前であっても、夜勤中であっても、勤務変更して、必ず誰かが臨時で出勤して対応するということになります。
 そうした急な勤務変更が重なり、十六時間に及ぶ夜勤を一か月に七回も行わざるを得なくなったというお話も伺いました。合計の夜勤時間は一か月で百十二時間にもなります。
 災害対応や新興感染症の流行への対応など、都の医療政策を進める上でも課題の把握は重要です。都内の医療機関に対して、新型コロナへの対応で現場はどのような状況となったのか、夜勤回数なども含めて実態調査を行うことを求めますが、いかがですか。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、様々な会議の場を通じて医療機関と意見交換を行い、状況の把握に努め、取組を進めております。
 なお、医療法では、医療機関の管理者は、勤務する医療従事者の勤務環境の改善に努めなければならないとされており、都は、東京都医療勤務環境改善支援センターにおいて、勤務環境改善のための計画策定支援や労務に関する相談対応等を行っております。

○藤田委員 一部の医療機関の問題だけではありません。情報交換だけでは、具体的な実態やどのぐらい人が必要になるかといった細かいことも把握はできません。感染拡大によって多くの医療機関で起きていることです。
 そのような状況ですから、都内全体での救急車の受入れがなかなかできないとか、介護の必要な方は特に厳しいという事態になったのです。全体がどうなっていたか、調査をして調べるべきだと思います。
 先ほど百十二時間の夜勤を行ったお話をしましたが、夜勤の時間には診療報酬上の決まりがあります。一か月の病棟の平均夜勤時間を七十二時間以内にするという七十二時間ルールです。このルールは、夜勤や時間外勤務などの過重労働への対応、安全な医療提供体制の確保の観点から設定されたもので、東京都もこの厚生委員会で同様の認識を答弁しています。
 感染拡大や災害が起きたときに、命を守る現場の方たちが過重労働となってしまうようでは、都民の命は守れません。ぜひとも、コロナ禍での医療現場の状況を、夜勤回数など労働実態も含め、実態調査を行っていただきたいと思います。
 日本医労連は、毎年、夜勤実態調査を行っています。それによると、看護師確保法、基本指針に抵触する夜勤回数、三交代では月に九回以上、二交代勤務では月に四、五回以上となる割合が、二〇一九年度には前年から減少していましたが、二〇二〇年度以降、二年にわたって増加していることが分かりました。
 さらに、昨年度の調査は東京分の集計が行われていて、東京は全国調査と比較して回数オーバーの割合が高く、三交代で四一・五%、二交代で五七・三%に上ることが分かりました。
 つまり、ふだんからゆとりのない医療現場ですが、コロナ対応が加わって、もっと多くの人手が必要となったということで、一人一人の看護師の負担が増えたということです。
 日本看護協会は、看護職員の夜勤負担は、サービスの質の低下、医療安全リスクの高まりに直結するため、負担が過大となるのは望ましくないと指摘をしていますが、負担が過大とならないためには平時からの体制確保が必要です。
 ぜひとも国に対して、医師や看護師をはじめとした職員などを大幅に増員するよう求めることを強く要望いたします。
 次に、処遇改善事業について伺います。
 今年一月、政府は、看護職員等処遇改善事業の実施についてという通知を各都道府県宛てに行いました。
 今回の対象施設の条件は、救急医療管理加算を届け出ていて、かつ二〇二〇年度の一年間に二百件以上の救急車を受け入れた医療機関か三次救急を担う医療機関で、事業の対象期間は今年二月から九月までとなっています。十月以降は事業ではなく、診療報酬で対応するということになっています。
 この看護職員等処遇改善事業の目的について伺います。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 本事業は、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員等を対象に、継続的に収入を引き上げ、処遇を改善することを目的としております。

○藤田委員 継続的に収入を引き上げ、処遇を改善ということですが、しかし、実際には継続的に収入を引き上げにくいものになっています。
 対象となる施設は都内に何施設あって、申請を行った医療機関は何施設ですか。また、申請した医療機関で勤務する看護職員は何人ですか。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 本事業の対象となる医療機関の要件は、令和四年二月一日時点において、診療報酬における救急医療管理加算の算定対象となっており、かつ令和二年度一年間における救急搬送件数が二百件以上であること、または救命救急センターであることとされております。
 この要件を満たす都内の医療機関は二百四十八施設であり、そのうち交付申請を行った医療機関は百八十八施設でございます。
 また、申請した医療機関で勤務する看護職員は、常勤換算で約五万三千人でございます。

○藤田委員 対象施設の四分の一、六十施設は申請していないということです。事業自体は施設の持ち出しなどはなく、そのまま職員に支給できるものになっていますので、使い勝手はいいはずなのに、なぜ申請していないのか、課題があるということだと思います。
 一つは、十月以降の診療報酬の対応になったとき、果たして自分の病院で継続して支給できるだけの報酬が入るのか、現時点では分からないということです。もしかしたら、はしごが外されるのではないかと心配しているのです。
 もう一つは、同じ法人に勤務する看護職員、介護職員でも、訪問看護や介護施設などで働いている場合には対象とはなりませんので、病院で働く職員だけに支給するとなると、職種間や職場間での分断になりかねないというものです。
 そういった理由から、事業の実施をちゅうちょする医療機関も少なくないと伺いました。
 処遇改善事業は、看護職員を対象に四千円ということになっていますが、看護職員以外にも対象とできる職種が十八以上あります。しかし、医療機関に出される金額は、看護職員の人数分と決まってしまっているので、もし対象となるほかの職種に支給した場合には、支給額はさらに少なくなってしまいます。国による処遇改善事業は、対象者が限られていたり支給額が少ないことなど、現場の実態にかみ合ったものにはなっていません。
 都として、国に対し、基準の見直しや増額を求めるとともに、都としても看護職員等に対する処遇改善を行うべきと考えますが、いかがですか。

○小竹医療改革推進担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 看護職員等の処遇改善については、本年十月以降は診療報酬で対応することとされており、現在、中央社会保険医療協議会の分科会において仕組みの検討が進められております。
 都は、既に国に対し、医療機関の実情に応じて処遇改善が適切に行われる仕組みとなるよう、看護職員等処遇改善事業補助金の対象とならない医療機関についても広く対象とすることや、看護職員以外の職種を対象にした場合の財源措置について要望しております。

○藤田委員 つまり、東京都も、看護職員などの処遇改善がしやすくなるよう、国に対して要望しているということです。
 そうであるなら、医療機関が看護職員以外の対象となる職種への処遇改善も行いやすくなるように、ぜひとも、東京都としても財源措置を行うよう求めまして、質問を終わります。

○おじま委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○おじま委員長 起立少数と認めます。よって、請願四第五号は不採択と決定いたしました。

○おじま委員長 次に、陳情四第一一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、陳情四第一一号は、全国の児童相談所が行う子どもに対する人権侵害を阻止する会代表の江邑幸一さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、こども家庭庁の発足に先立ち、子供の人権を尊重する次の改善策を早期に実施するため、国に意見書を提出していただきたいというものでございます。
 第一に、民法改正により成人となる十八歳について、児童相談所の保護対象から外すこと。
 第二に、学校で行われる自殺願望、いじめ関係のアンケートに、児童虐待の有無に関する項目を追加すること。
 第三に、児童相談所が施設入所等の措置を要すると認めるときは、児童に弁護士を代弁者とすることを許可すること。
 第四に、児童相談所の職員による面談時は、カメラ及びボイスレコーダーでの記録を義務化するとともに、記録をしなかった場合は刑事的処罰を受けるものとすること。
 第五に、児童相談所が児童虐待があると思料するときは、刑事訴訟法第二百三十九条に基づき漏れなく告発すること。
 第六に、こども家庭庁の発足に当たっては、児童虐待対応のために文部科学省からの予算を流用せず、また同省の人員を配置しないことという内容でございます。
 現在の状況でございますが、児童福祉法第三十三条に基づく一時保護の対象は十八歳未満の児童ですが、同条第八項及び第九項により、特に必要があると認めるときは、一時保護が行われた児童については、満二十歳に達するまでの間、引き続き一時保護を行うことができるとされています。
 国の学校・教育委員会等向け虐待対応の手引きでは、学校、教職員は、日常の観察や健康診断、水泳指導、教育相談、アンケートなどにより、虐待の早期発見に努めることとされています。
 弁護士が子供の代弁者となることは、現在も措置の要否にかかわらず可能でございます。
 なお、今国会で審議されている児童福祉法等の一部を改正する法律案では、児童相談所等は、入所措置や一時保護等の際に児童の最善の利益を考慮しつつ、児童の意見、意向を勘案して措置を行うため、児童の意見聴取等の措置を講ずることとし、都道府県は、児童の意見、意向表明や権利擁護に向けた必要な環境整備を行うこととされています。
 国の児童相談所運営指針では、調査内容は正確、簡潔、客観的に児童記録票に記載することとされていますが、カメラ及びボイスレコーダーの使用については定められておりません。
 刑事訴訟法第二百三十九条第二項では、官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならないと規定されています。
 こども家庭庁の関係法案は、現在、国会で審議中でございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○桐山委員 陳情四第一一号、こども家庭庁発足に先立つ子供の人権を尊重する改善策に係る意見書の提出に関する陳情について、一点、確認のため質問させていただきたいと思います。
 ただいまの現在の状況のご説明の中で、もうほぼ理解をさせていただいたところなんですが、願意の3、4の理由の中の、大体、裏面の六行目なんですが、陳情書の中で、国連の子どもの権利委員会から日本政府に対して、児童相談所の一時保護措置を廃止するよう勧告されたとありました。
 この一文だけを見ますと分かりづらく、ただいまの説明の中でも触れられていなかったので、これに至った経緯ですとか、あるいは、これに関する国の見解についてお伺いをしたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 子どもの権利条約第二十条では、家庭環境を奪われた児童等に対しては、里親委託、養子縁組など、代替的な監護を確保することを規定しております。
 第二十条の実施状況として、国が平成二十九年に国連子どもの権利委員会に提出いたしました報告書では、小規模なグループ施設のような家庭型環境において児童を養護すること、または里親委託を推進することとしております。
 この報告に対し、国連子どもの権利委員会は、平成三十一年二月に、児童相談所における子供の一時保護の慣行を廃止することなどの措置を取るよう促しております。
 この点につきまして、国に確認しましたところ、国としては、児童相談所一時保護所での保護のみではなく、里親等への委託、一時保護についても推進するとの見解でございました。

○桐山委員 ただいまのご答弁の中で、一時保護措置そのものを廃止する方向性を示されたわけではなくて、国としても、この一時保護所だけではなくて、その他、里親ですとか、あるいは養子縁組、児童を養護するということでの家庭養育についても引き続き推進をしていくということで、国と同じ考えであるということで確認をさせていただいたところです。
 これまでも、国連子どもの権利委員会では、日本政府に対して、子供の権利に関する法の整備をはじめ、子供の意見を聞く場を設ける、あるいは救済措置についてまだまだ不十分であるというような、勧告ということでの措置を求めるなどのこともあったかと思います。
 それらの課題におきましても、今後、こども家庭庁が設置されるということで期待するところですが、東京都におきましても、条例に基づいて子供の権利を守っていく立場から、引き続き、子供の権利を守って子供の意見を聞く場を設けるなど、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 あわせて、一時保護所におきましては、劣悪な環境であってはならないということは大前提にありますが、度々、中での規制ですとか規律ですとか、そういった面で、改善を求める質疑も我が会派もさせていただいております。
 一時保護所の改善も少しずつされてきているとは思いますが、引き続き、子供の最善の利益を最優先に考えて取り組んでいただきますことを要望いたしまして、終わります。

○上田委員 陳情四第一一号、こども家庭庁発足に先立つ子供の人権を尊重する改善策に係る意見書の提出に関する陳情の願意2及び3につきまして、確認と意見を申し述べたいと思います。
 東京都においては、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律を受け、東京都人権施策推進指針を策定しております。
 子供と教育分野におきましては、人権教育プログラムを策定し、あとは福保関係ですと、こども基本条例等もありますが、人権尊重の理念を広く社会に定着させ、あらゆる偏見や差別をなくし、子供の心身の安全、命を守るための人権教育を全庁にわたって、教育庁だから関係ないとか、人権部だから関係ないということではなくて、人権教育を推進しているものと思料いたします。これらの指針やプログラムを踏まえて伺いたいと思います。
 この人権教育プログラムは全教員に配られておりまして、ちゃんと虐待を見立てるチェックシートがありまして、それは福祉保健局のチェックシートを横引きしていることを、これまで私、研究をしていて分かっている次第でございます。それですので、学校だけで虐待を発見しているわけではなくて、福祉保健局も協力しながら虐待の見立ての協力体制を築いているものと考えております。
 そこで、都内学校におきまして、児童虐待の把握、学校からの通告によります児童相談所対応状況、件数、過去三年につきましてご説明いただきたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都と区市町村では、児童虐待相談等の連絡調整について基本ルールを定めておりまして、学校からの通告につきましては、このルールに基づき、一義的には区市町村の子供家庭支援センターで受理し、ケースの内容に応じて児童相談所へ通告をしております。
 児童相談所が直接学校から通告を受けた件数は、令和二年度八百四十一件、令和元年度六百九十件、平成三十年度五百四十九件でございました。

○上田委員 ありがとうございます。
 それで、ちょっと私の方でも調べさせてもらった感じでは、児相と学校、虐待が確定したものでない場合は、令和二年度は千三十九件、元年度は七百十二件、三十年度は六百九十八件と、何がいいたいかといいますと、虐待が疑われるものは細かく情報共有をしている状況が、大分、目黒区の悲しい事件の後、見てとれるわけでございます。
 また、江戸川区は、児相が区に移管して、子家センはなくなって江戸川区児相になりましたので、今、子家センの方で一旦受理といいますけれども、やっぱり区に移管をすると、即児相ということで、動きが大分活発になるのではないかなと思った次第です。
 そこで、学校と児童相談所の連携教育の状況、成果と学校の連携が−−初動が遅れて、今いった目黒もありましたし、西東京では、お父さんに自殺を強要されてしまって、自殺を本当にしてしまった、これ、学校も把握していたのに、本当に私もあの事件は胸が痛むことで、しっかりこれも調査、質疑もさせていただいたわけでございます。
 こういったことと、あと江戸川区でも、二〇一〇年、学校が把握していながら岡本海渡君が義理のお父さんに撲殺されるという事件も起こっておりますので、さらなる連携強化、機動力のあることが求められると思いますし、過去に、今の西東京、目黒、江戸川区、いろいろなところで遅きに失した事態も、反省も含めて、課題認識についても伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童虐待につきましては、各関係機関がそれぞれの専門性を生かし、緊密に連携しながら対応することが重要でございます。
 学校からの通告を受けた場合、児童相談所は、学校と連携して子供の現状確認を速やかに行うとともに、子供家庭支援センター等の各関係機関とも役割を相互に確認し、情報共有をしながら必要な援助を行っております。

○上田委員 まあそうなんですけれども、野田市の事件も本庄市の事件も胸が痛むところでございまして、陳情者が二項でご提案されているように、学校でのアンケートについて、児童虐待について項目があるのかというのは、これもう、このところはマストだと思うんです。
 野田市の場合は、その項目はなくても子供が書いたということでありましたから、この項目について、教育庁だから知らないということもないとは思いますが、福祉保健局や児相が把握しているのか、作成に当たっては助言など当然されてしかるべきと考えますが、取組状況についてご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 国の学校・教育委員会等向け虐待対応の手引きでは、学校、教職員は、日常の観察や健康診断、水泳指導、教育相談、アンケートなどにより、虐待の早期発見に努めなければならないとされております。
 アンケートにつきましては、学校及び教育委員会の判断により実施しておりますが、児童相談所は、学校や子供家庭支援センター等が参画いたします要保護児童対策地域協議会におきまして、児童虐待の早期発見に向け、具体的な対応等について協議をしているところでございます。

○上田委員 要対協が形骸化されずに大分機能しているのだなというふうに理解させていただいております。
 先ほどの野田市の虐待死事件は、アンケートの自由欄に、被害女児が、お父さんに暴力を受けています、夜中に起こされたり、起きているときにたたかれたり蹴られたりしています、先生、どうにかできませんかと書き残しましたが、この市の職員が教育委員会に押しかけてきた父親に、あるまじきことなんですが、回答を見せてしまい、最悪の結果となるトリガーとなってしまいました。
 都内学校、児童相談所、関係機関においては、このようなことはよもやないと考えますが、虐待通報、虐待情報の収集、その利活用における被害児童や通報者の保護についての考え方をご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童虐待防止法第七条では、通告を受けた市町村、児童相談所の職員、その他の職員等は、職務上知り得た事項、当該通告をした者を漏らしてはならないとされております。
 また、児童福祉法第二十五条の五により、関係機関等で構成される要保護児童対策地域協議会で共有した情報について、協議会の各構成員は、職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないとされております。

○上田委員 全庁にわたって周知徹底をお願いするものでございます。
 虐待対応については、先ほど来のように、要対協を中心に関係各機関の連携が不可欠でございます。特に、何度も私は聞きましたが、児相と警察の虐待情報の全件共有を求めるものです。
 目黒のときは、お父さんが二度書類送検されているのを品川児相は結果的には見過ごしていて、しかも大麻も所持していて、警察へ行っていれば、別件で、がりがりにやせ細った女児を見つけることができたのではないかと、今も私は大変申し訳ない思いでいるんですけれども、こちらにつきまして、都における取組状況と課題、できないのであればなぜなのか、改めましてお答えいただければと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 現在、都内全ての区市町村は、警察をはじめ、地域の関係機関で構成いたします要保護児童対策地域協議会等のネットワークを構築しておりまして、各関係機関がリスクアセスメントの結果など、情報共有を図りながら援助方針を確認し、児童や家庭への支援を行っております。
 警察との情報共有の範囲につきましては、虐待非該当、警察による通告及び助言指導としたものを除きます身体的虐待、ネグレクト、性的虐待があると考えられる全ての事案、四十八時間以内に児童の安全確認ができない事案、他県との移管ケースとしておりまして、リスクが高いと認められる全てのケースについて共有しております。
 都では現在、警察をはじめ、子供家庭支援センター、保育所、学校、医療機関など、地域の関係機関と緊密に連携しながら、児童虐待防止に取り組んでいるところでございます。

○上田委員 本当に一歩一歩前進しているのは分かるんですけれども、リスクが高いかどうかというのは、そこは誰かの恣意的な判断によってしまうので、だから取りこぼしがないように、引き続き、全件を共有していただきたいということをお願いいたします。
 次に、児相におけます被虐待児へのリーガルサポート等の取組状況でございます。
 こちらにあるように、児童に弁護士を代弁者とすることを許可すると。理事者の説明では、ちゃんとそういった制度は整っているといいますけれども、保護児童が担当弁護士を呼んでちょうだいというとは、とても思えないんですね。
 そうした本当にアクセスを求めた場合、必要になった場合の支援ですが、アドボケートについて、子供がちゃんとリーガル的なサービスを自覚して利用できるような状況にあるのだろうかということなんです。
 子供の意見表明、要望を実現、不利益に心身ともにならないように、どのような手段、ルートがあるのか。乳幼児、幼児、小学生、中高生とアプローチは異なると思いますので、それぞれの対応を伺いたいと思います。また、これまでの運営においての課題もあると思料しますので、その取組を含めましてご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 一時保護所では、入所時に年齢に応じたリーフレットを活用し、児童自身が困っていることや不安などを相談できるよう説明しているほか、子供の権利擁護相談用紙を各児童に手渡しし、児童相談所職員、東京都子供の権利擁護専門員宛てに意見表明できるようにしております。
 また、児童の声を聞くための意見箱を設置するとともに、月に一度、第三者委員である弁護士が直接子供からの相談に対応しております。
 児童相談所が関わる子供の意見表明を支援する仕組みの在り方につきましては、現在、東京都児童福祉審議会の専門部会におきまして検討していただいているところでございます。

○上田委員 政策企画方面でできた子供何でしたっけ、新しい、東京都版こども庁みたいなのができましたので、そこにおいても活発に連携をして議論を深めていただきたいというふうに思っております。
 現時点で、弁護士資格者の配置の状況、児相ですね、成果と課題、私はかねてより非常勤ではなくて常勤の弁護士を登用してほしいといっておりますけれども、今後の展開につきご説明いただければと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、全ての児童相談所に計二十三名の非常勤弁護士を配置しておりまして、これに加えまして、副担当となる協力弁護士を三十六名配置しております。
 この非常勤弁護士と協力弁護士、総勢五十九名で、法的手続への対応を行うほか、児童相談所の求めに応じ専門的見地からの助言等を実施しておりまして、日常的に弁護士と相談できる体制を確保しております。
 今後とも、非常勤弁護士と協力弁護士を活用いたしまして、児童虐待に迅速的確に対応してまいります。

○上田委員 弁護士って、虐待の深刻な状況ではなくて、いつも、このときどの条例、法律を使ったらいいかなと、忙しい児相職員に機動的に応えられるということも、虐待の予防、根絶につながっていくと思います。そうした環境づくりの方をぜひお願いしたいと思います。だから、暴力的なものだったら警察、リーガル的なものだったらすぐに弁護士に相談できるというような体制を引き続き望むものです。
 願意の五項につきまして、刑事訴訟法、これにつき取組実績と課題、告発者への支援につき、現状をご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 陳情にありました刑事訴訟法第二百三十九条第二項につきましては、逐条解説によりますと、公務員の告発義務は、当該公務員の職務上正当と考えられる程度の裁量まで禁止するものではないとされております。
 児童相談所は、子供と保護者を含めた家族全体の援助を行うための機関であり、保護者に対しましても支援を行い、虐待のない家族関係の構築を目指すことを原則としておりますが、保護者の虐待行為について告発が必要な場合は、子供の最善の利益を考慮し、ちゅうちょなく警察に相談をしております。

○上田委員 刑事訴訟法もそうですし、親権停止も、やっぱり法律って子供と国民と都民を守る伝家の宝刀ですので、本当におっしゃっているようにちゅうちょなく、ばんばん抜いていただきたいと思います。
 最後の質問です。
 子供の権利擁護、特に児童虐待根絶に向け、福祉保健局の今後の機動的な対応を期待するものであります。前向きな政策展開について確認させていただきます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、都は、児童福祉司及び児童心理司を増員するなど、児童相談所の体制を強化しております。
 昨年度は、意欲ある人材を確保するため、専任チームを設置し、大学や行政機関の訪問や専門サイトの開設など、採用活動を積極的に展開しております。
 今年度につきましては、トレーニングセンターを開設し、ロールプレーイングやゼミ形式の事例検討など、実践的な研修を実施しております。
 今後とも、児童相談所の体制を強化し、子供の最善の利益の実現のため、児童虐待防止の取組を推進してまいります。

○上田委員 いみじくも現在、こども庁と私はいわせてもらいますが、国会で審議が進められておりまして、自由を守る会としては、こども家庭庁ではなく、こども庁にしていただきたいという請願をしっかりと提出させていただいて議論をしていただいたところであります。
 なぜ家庭を入れてほしくないかというのは、ご承知のとおり、家庭が虐待の場となりまして、結局、子供が被害者に−−子供を中心にした政策展開をお願いしたく、国へも、自由を守る会としても要望を届けていた矢先でございました。
 議事の都合上、賛同するところはたくさんありますけれども、今回はそういった形とはなりませんけれども、この願意はしっかりと受け止めていただきまして、機動的な児童相談所、子供へのリーガルサポート、意見表明を前もって、先んじて受け止めていく、東京都児相、また区に移管した後も、強固な連携を図って実現をお願い申し上げて、私の質疑は終わります。

○おじま委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 異議なしと認めます。よって、陳情四第一一号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。

○おじま委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、病院経営本部長から紹介があります。

○西山病院経営本部長 四月一日付で当本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
 理事経営企画担当で福祉保健局理事医療政策担当を兼務いたします経営企画部長事務取扱の谷田治でございます。サービス推進部長の齋藤善照でございます。経営戦略担当部長で子供政策連携室子供政策調整担当部長を兼務いたします竹中雪与でございます。当委員会との連絡に当たらせていただきます担当部長で福祉保健局担当部長特命を兼務いたします総務課長事務取扱の大出仁でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○おじま委員長 紹介は終わりました。

○おじま委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業に係る特定事業の選定についての報告を聴取いたします。

○竹中経営戦略担当部長 広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業に係る特定事業の選定につきましてご報告いたします。
 お手元に、資料1、広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業に係る特定事業の選定について(概要版)、資料2、広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業に係る特定事業の選定についてをお配りいたしております。
 それでは、資料1の概要によりましてご説明をさせていただきます。
 一ページをご覧ください。1、特定事業の選定についてでございます。
 広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業は、令和三年十二月に、PFI法第五条に基づき実施方針を策定し公表させていただきました。
 このたび、都が本事業を直接実施する場合とPFI手法により実施する場合について、定量的、定性的な観点で比較、評価した結果、PFI手法により本事業を実施することが適切であると判断いたしましたので、今後、特定事業に選定する予定でございます。
 続きまして、2、本事業の概要につきましてでございます。
 本事業は、広尾病院につきまして、病院運営の継続を確保しつつ現在地に新病院を整備するとともに、隣接する広尾看護専門学校につきましては、広尾病院と一体的に整備いたします。また、広尾病院及び広尾看護専門学校における維持管理業務、運営業務を一体的に実施いたします。
 続きまして、3、評価結果でございます。
 PFI手法により本事業を実施することで、次のようなメリットがございます。
 (1)、定量的評価でございます。
 設計、建設、維持管理、運営の四つの業務を包括して民間事業者に発注することで、従来の分離分割発注方式よりもコスト縮減を図ることが可能となります。
 従来の分離分割発注方式と比べまして、PFI事業として実施する場合の財政負担の縮減割合を示すバリュー・フォー・マネー、いわゆるVFMは二・二%になります。
 (2)、定性的評価でございます。
 PFI手法によりまして本事業を実施することで、次の定性的な効果が期待できます。
 具体的には、ア、包括契約による工期の短縮化、イ、統括マネジメント機能の発揮によるサービス水準の向上、ウ、災害時や緊急時における迅速かつ機動的な対応、二ページをご覧ください。エ、性能発注による民間ノウハウの活用がございます。
 次に、(3)、選定事業者に移転されるリスク評価でございます。
 民間事業者にリスクの一部を移転することで、将来発生する可能性のある都の財政負担を縮減するとともに、不測の事態におきましても、迅速かつ的確な対応が期待できます。
 次に、(4)、総合評価でございます。
 定量的、定性的な観点から、財政負担の縮減及びサービス水準の向上を期待できるため、本事業をPFI事業として実施することは適当であると評価いたしました。
 次に、今後のスケジュールでございます。
 令和四年七月一日に予定しております地方独立行政法人化に伴いまして、本事業を地方独立行政法人東京都立病院機構に引き継いだ後、入札公告を行い、落札者の決定を経て、令和五年四月に事業契約を締結する予定でございます。
 説明は以上となります。簡単ではございますが、報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○おじま委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○白石委員 資料要求をさせていただきます。
 広尾病院に関するPFI事業関係の予算及び決算の推移。
 二点目が、全国のこれまでの病院事業へのPFI導入事例における入札の最終応募者数。
 以上です。

○おじま委員長 ただいま白石委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○おじま委員長 次に、令和三年度東京都一般会計予算(病院経営本部所管分)の繰越しについて外二件の報告を聴取いたします。

○谷田理事 令和三年度予算の繰越しにつきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料3、令和三年度予算繰越説明書をご覧いただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。令和三年度病院経営本部予算繰越総括表でございます。
 一般会計予算について、繰越明許費繰越として四億二千七百六十四万余円、病院会計予算について、建設改良費繰越として四億一千三百五十四万余円、病院経営本部全体で八億四千百十九万余円を令和四年度に繰越しを行うものでございます。
 三ページをお開き願います。一般会計予算のうち、病院経営本部所管分の繰越しについてご説明申し上げます。
 1、繰越明許費繰越でございます。
 繰越明許費の予算議決額は四億二千七百六十四万余円、対象となりました事業名は施設整備でございます。
 工事の調整に日時を要したため、中ほどの翌年度繰越額の欄にございますように、四億二千七百六十四万余円を令和四年度に繰り越して継続実施することといたしました。
 五ページをお開き願います。病院会計予算の繰越しについてご説明申し上げます。
 1、建設改良費繰越でございます。
 対象となりました事業名は都立病院建設改良事業でございます。
 工事の調整及び物品の納入に日時を要したため、中ほどの翌年度繰越額の欄にございますように、四億一千三百五十四万余円を令和四年度に繰り越して継続実施することといたしました。
 以上、簡単ではございますが、令和三年度予算の繰越しにつきましてご説明を終わらせていただきます。
 次に、お手元にお配りしてございます資料4、契約締結報告書に基づき、PFI事業に係る契約につきましてご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。本日ご報告申し上げます契約一件の総括表でございます。
 次に、三ページをご覧いただきたいと思います。本契約は、多摩メディカル・キャンパス整備等事業に係る契約でございます。
 契約の方法は総合評価一般競争入札、契約金額は七百八十九億五千八百一万二千五百六十五円で、契約の相手方は本事業のために設立された特別目的会社、多摩メディカルキャンパス株式会社でございます。契約期間は令和二十六年三月三十一日までとなっております。
 簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○おじま委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○藤田委員 契約の締結、多摩メディカル・キャンパス整備等事業について質問いたします。
 PFIは、事業者のノウハウが生かされることによって建設費や運営費が削減できると、これまでもご説明されていらっしゃいました。しかし、この間の質疑を通じて、本当に経費が削減できるのかということや命を守る現場として問題はないのかという疑問があります。
 初めに、今回の契約状況について伺います。
 これまで、都立病院で行うPFI事業の入札は四回ありましたが、落札率は全て九六%を超えています。しかも、そのうち三回は九九・九%を超えていました。
 なぜ落札率がこんなに高いのか、説明をお願いします。

○齋藤サービス推進部長 四回のPFI事業者選定は、価格だけでなく、要求水準書等に沿って提案する内容も併せて総合的に評価いたします総合評価一般競争入札方式により実施しており、事前に予定総額やその内訳を参考価格として示しております。
 こうした仕組みの下、各民間事業者が予定総額の範囲内で都の求めるサービス水準を超える提案となるよう創意工夫したものと考えられまして、一連の入札手続は、法令等に基づきまして、適切に行われたものと認識してございます。

○藤田委員 私が伺ったのは、手続が適切だったのかということを聞いたわけではございません。なぜ落札率がこんなに高いのかについて説明を求めたわけですが、一切お答えにはなりませんでした。
 病院PFIを考える上で、城西大学経営学部の伊関友伸教授は、以前出された著書の中で、このように述べられています。PFIの公募に応募する場合、応募するSPCの負担は莫大なものとなる、実際の例では軽く一億円を超えたという。最近の病院PFIに応募するSPCの数は、応募コストが大きいこともあってか減少傾向にあるようだという内容です。
 また、みずほリサーチ&テクノロジーズによる昨年十二月に出された公立病院整備事業へのPFIの導入についてというレポートでは、事業者が選定された病院PFI先行事例十六事業のうち、半数の八事業において最終応募者数が一者となっていると指摘しています。
 都立病院で行うPFI事業の四回の入札でも、そのうち半数の二回は一者入札となっていて、今回も僅か二者です。入札手続が不適切ではいけないのは当然ですが、それだけではなく、一者入札が多いなどの実態があれば、競争性が働く仕組みになっているのかということを検証すべきです。
 PFIは、業務の範囲が広く、応募のための負担は大きく、応募のハードルは高いと考えられます。これで本当に経費削減につながっているのかなど、疑問を抱かざるを得ないものであると指摘しておきたいと思います。
 さらにPFI事業では、医療の質が保てるのかという問題に関わる情報公開の在り方についても伺いたいと思います。
 当然のことながら、病院は命に関わる業務を行っていますから、安全管理については特に神経を使わなければなりません。発注者である東京都が、PFI業者が契約した要求水準どおりに業務を行っているかを検証することは重要です。
 どのような仕組みで検証を行っているのですか。

○齋藤サービス推進部長 例えば、必要書類の作成、提出、保管は適切に行われているか、また感染予防対策を行っているかなど、毎月五百以上のチェック項目を、まず、受託者自らが評価いたしまして、次に、都が最終的に評価をすることにより、要求水準を満たすサービスの提供を確認してございます。

○藤田委員 二年前に、私は既にPFIで病院事業を実施している四病院、駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、松沢病院の定期モニタリング委員会−−先ほどの答弁では、東京都と受託業者自ら行った評価を最終的に評価する場である定期モニタリング委員会などの過去の資料を開示請求し、質問をいたしました。
 例えば、小児総合医療センターでの病院給食の提供に関して、同様のインシデントが繰り返されていることがモニタリング委員会で議論されていました。二〇一八年九月の定期モニタリング委員会で、都の栄養科長は、どのインシデントも協力企業のルール違反、問題は人の配置だと思っている、平成二十七年十月は、協力企業の総職員のうち、正規職員が五〇%だったのに対し、平成三十年十月は三〇%まで落ちていると指摘しています。
 その後、給食業務を行う協力企業の職員の配置はどのようになりましたか。東京都は把握をしているのですか。

○齋藤サービス推進部長 都は、委託業務におきまして、受託者側の人事に要望を行う立場にはございません。必要な場合は、受託者に対しまして、契約に定める業務を確実に遂行するよう求めております。
 なお、受託者による改善の取組の報告の中に配置人員数が含まれておりまして、平成三十年四月は四十二名、平成三十一年四月は四十七名とのことでございました。

○藤田委員 正規職員の割合は、伺ったんですけれども、分からないということ、人員数についても、三年前のものしか今の答弁では分かりません。都民や私たちが、病院の業務を安定して進められる体制をきちんと確保できているか知りたいと思っても、なかなか分からないわけです。
 そうした中でも、開示請求を行ったことで、当時、人員体制が大変な状況だったということは分かりました。しかし、その後の状況を知ろうと改めて開示請求をしたところ、黒塗りが増えていました。
 我が党は、前回は二〇一八年八月から二〇一九年七月までに開かれた一年分の定期モニタリング委員会の会議資料などを開示請求し、今年は二〇二一年四月から十二月に開かれた九か月分について、対象を一部絞った上で同様の資料を請求しました。
 前回の多摩総合、小児総合の二つの病院の開示資料では、個人情報と印影以外で非開示とされた箇所は五か所であったのに対し、今回は七十四か所と明らかに増えています。
 例えば、前回は指摘事項、対応策という項目の黒塗りは一か所もありませんでしたが、今回は多数黒塗りになっています。これはどうしてですか。今回の開示請求で開示しない範囲が多くなった理由について伺います。

○齋藤サービス推進部長 開示の範囲につきましては、東京都情報公開条例に基づきまして決定をしております。

○藤田委員 情報公開条例に基づき決定という答弁ですが、同じ性格の会議で、これほど黒塗りが増えるのでは、同じ基準で行われているのか疑問に思わざるを得ません。
 前回の開示資料で人員配置について見てみると、例えば小児総合の二〇一九年三月期での報告では、具体的に述べたものが開示されています。二十九業務中、十三業務で人員不足、食事は三名不足、からだ病棟の医療作業業務は九名不足、医療事務は十名程度不足などでした。
 ところが、今回開示された資料では、巡回モニタリング重要課題整理表の中の職員配置に関する項目では、指摘事項、対応策、その欄がことごとく黒塗りになっています。内容を見比べても、情報公開の在り方が後退したのではないかと考えざるを得ません。
 これまでも、VFMの実績を計算したにもかかわらず公表しないなどの問題がありましたが、これでは、都民が都立病院のPFIについて検証することがさらに困難になってしまいます。
 情報公開の在り方に問題があるのではないかということを厳しく指摘いたしまして、私からの質問を終わります。

○おじま委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○おじま委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願四第四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○谷田理事 それでは、お手元の資料5、厚生委員会付託請願審査説明表を二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 整理番号1、請願四第四号についてご説明申し上げます。
 この請願は、豊島区の人権としての医療・介護東京実行委員会事務局の窪田光さん外一万九千九百七十二人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいとしまして、第一に、都立病院を廃止しないこと、第二に、都立病院、公社病院の地方独立行政法人化を中止することというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 独法化の目的は、医療環境が大きく変化する中においても、感染症医療をはじめとする行政的医療の安定的な提供や地域医療の充実への貢献などの役割を将来にわたって果たし続けることでございます。
 地方独立行政法人においては、採算の確保が困難な医療について、運営費負担金として、都が現在と同様に負担することが法定されており、独法化後もこれまでと同様に都が確実に財源を措置することで、適切に医療を提供してまいります。
 また、独法化のメリットを生かし、より働きがいにつながる人事給与制度や働きやすい勤務制度などを構築することで、医療人材を安定的に確保していくこととしており、人事給与制度に関する個別相談の実施など、丁寧な説明により職員の疑問の解消に努めております。
 加えて、中期目標や中期計画の議会の議決、毎年度の業務実績評価の議会への報告などが法定されており、都や都議会の関与の下、都の医療政策の実現に貢献していくこととしております。
 引き続き、コロナ対応を機動的に行うとともに、都民に必要な医療を確実に提供するため、独法化の準備を着実に進めてまいります。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○白石委員 日本共産党の白石たみおです。
 都立病院の存続及び七月からの都立・公社病院の地方独立行政法人化中止に関する請願は、人権としての医療・介護東京実行委員会事務局窪田光さんをはじめ、約二万人から提出をされました。本請願を採択すべきという立場から質問をいたします。
 都立、公社病院は、コロナ医療の中核であり、全国で最も柔軟かつ機動的にコロナ対応を行っているのが都立、公社病院です。ところが、小池知事は、コロナ感染が終息もせず予断を許さない状況の中で、さきの第一回定例会で都立病院条例の廃止や東京都が都民に直接医療を提供する病院事業を廃止する条例などを押し通しました。
 そもそも地方独立行政法人化とは何か。採算性の確保など、病院の経営という視点が最も重視される経営形態です。不採算医療など、都民が必要とする医療の提供を使命としてきた都立、公社病院に全くなじまない経営形態が独法化です。これは都民の命に関わる問題です。都立、公社病院の独法化は直ちに中止を決断して、都立直営で医療提供体制を強化拡充することを改めて強く求め、質問に入っていきたいと思います。
 我が党は、独法化後、将来にわたって病院の統廃合はしないのかなど、都民の必要な医療に関わる問題について、この厚生委員会や予算特別委員会などで繰り返し質問してきました。
 三月の予算特別委員会の締めくくり総括質疑では、小池知事に質問いたしました。ところが、知事は答弁せず、知事に成り代わって病院経営本部長、この統廃合について、次のように述べました。都立病院ではこれまでも、小児総合医療センターなど再編整備を進め、医療機能の集約化による医療の質の向上とネットワーク機能の充実強化をしてきた。これにより、医療サービスの向上を図ったという答弁を行いました。
 要するに、何をいいたいか、統廃合したことによって医療サービスの向上が図られたと統廃合を評価する答弁を行いました。さらに、独法化後もこれまでと同様、不断に経営改革に取り組むと、このようにいたしました。
 改めて本部長、本部長に伺います。統廃合は医療の質を上げるものであり、独法化後も統廃合を含めた経営改革に取り組むと、こういうことでしょうか。本部長、きちんと説明していただきたい。

○西山病院経営本部長 私の予特での答弁につきましては、都立病院の運営に関する基本的な考え方をお答えさせていただいたものでございます。
 病院の運営につきましては、都民の医療ニーズの動向、都立病院の果たすべき役割、民間医療機関との役割分担や連携の在り方など、様々な要素を総合的に勘案しながら行っていくものでありまして、独法化後も、こうした基本的な観点に立ちながら運営し、これまでと同様に、不断に経営改革に取り組みながら、都民ニーズに的確に対応していくものでございます。

○白石委員 質問から、避けないでいただきたい。私が質問したのは、統廃合について、予特の締めくくりで質問をいたしました。本部長は、小児総合医療センターなど再編整備を進め、医療機能の集約化による医療の質の向上とネットワーク機能の充実強化をしてきたんだと、このように答弁されました。これにより、医療サービスの質の向上を図ったという答弁でした。
 つまり、統廃合を評価する答弁です。これに間違いないですか。

○西山病院経営本部長 ただいま申し上げました病院運営の基本的考え方に基づいて病院を経営しておりますけれども、その一例として、都民に対する総体としての医療サービスの向上を図るために、小児総合医療センターの整備を取り上げたものでございます。

○白石委員 大変分かりにくい答弁ですが、認めざるを得ないと。先ほどの答弁、統廃合を評価したと。
 さらに聞きたいんですが、独法化後も、この統廃合を含めて、経営改革というのは統廃合も含まれているかどうなのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 先ほど本部長が答弁しましたとおり、病院の運営でございますけれども、都民の医療ニーズの動向ですとか、都立病院の果たすべき役割、また民間医療機関との役割分担、連携の在り方など、様々な要素を総合的に勘案しながら行っていくものというものでございます。
 独法化後も、こうした基本的観点に立ちながら運営していくものでございます。

○白石委員 私、答えていただきたいのは、独法化後も統廃合を含めた経営改革に取組むと答弁されたんです。で、これは本当に間違いないかどうか聞いているんです、本部長、いかがですか。

○西山病院経営本部長 繰り返しの答弁になりますけれども、予特での私の答弁に関しましては、都立病院の運営に関する基本的な考え方をお答えさせていただいたものでありまして、小児総合医療センターの整備を一例として挙げたものでございます。

○白石委員 本当に分かりにくい、ごまかすような形でいいますけれども、要するに、統廃合を否定することはしないんです。
 本部長が評価した統廃合、全国で僅か二か所しかなかった小児精神医療専門病院の梅ケ丘病院と一分一秒を争う小児救急やNICU、新生児集中治療室など、子供の命を救う拠点であった清瀬と八王子の三つの都立小児病院が廃止をされ、府中市の小児総合医療センター一か所になったと。これが統廃合です。
 これ、石原知事が二〇〇〇年に設置した当時の都立病院改革会議で、実質的な議論がされております。その小委員会での記録を遡って読みました。小委員会の記録によれば、委員からは、八王子小児病院は離れたところにあり、これを府中と一緒にするのは少し無理がありますという声、八王子は残すべきだと思います、本当に清瀬がなくなっていいのでしょうか、梅ケ丘病院の小児精神科は置いておいた方がいいのではないですか、ないと困るのではないですかなどの意見が続出、この小委員会の議論でされました。
 ところが、こうした意見を抑え込んだのは、この改革会議小委員会の委員長代理の発言です。何といったか。何分にも財政問題から発しているものですから、何かしないことにはという発言です。つまり、医療の質を上げることが出発点で統廃合はされたんじゃないと。財政支出の削減をするための統廃合であることは、この小委員会の議論でも明らかなんだと。実際に八王子に分院を残すという案が当時あったんです。それを出されましたが、お金がかかるという理由で採用はされなかったと。
 本部長が、小児総合医療センターの再編整備、統廃合、医療の質を向上させる総体だといいましたが、実際そんな議論じゃないんですよ、出発点は。財政の支出の削減をするための統廃合だったということなんです。
 この統廃合による影響は今も深刻です。小児病院が廃止された八王子市に住むあるお子さん、一歳四か月のときに四十度の発熱で意識を失い、心肺停止となりました。救急隊員がAEDで蘇生し、近くの大学病院へ搬送されましたが、そこでは小児の専門的な治療ができず、数時間待った後、小児総合医療センターへと搬送され、一命は取り留めたものの、重度の障害が残り、医療的ケアが必要となりました。お母さんは、都立八王子小児があったならと切実に訴えております。
 本部長、この声を聞いても、統廃合は医療サービスの向上だったと、このようにいえますか。本部長、お答えください。

○谷田理事 今、委員の方からお話ありました小児総合医療センターの設立に当たっての統廃合ということでございますが、財政削減が目的ではないかというふうなお話でございました。
 私たちは、都立病院改革マスタープランから始まって、都立病院改革を行ってまいりましたけれども、それにつきまして、やはり、医療資源、先ほども申し上げましたけれども、本部長の方も申し上げましたけれども、医療ニーズの動向、それから果たすべき役割、それから民間医療機関との役割分担等々、そういったことを総合的に勘案して考えていくものでございます。
 当時、今もそうですけれども、特に小児科の医師の不足というものは、非常に大きなものがございます。今、私たち病院を取り巻く状況においては、高度な医療をどういう形で提供するか、それが分散している方がいいのか、どういう形で東京都全体の医療を考えるべきか、そういった観点で、最終的にマスタープランの中で三病院を統合して、その上で、小児総合医療の拠点を東京都としてつくるといったもので取り組んできたものでございます。
 それから十年以上たって、そういった意味では、様々な形で拠点化をすることができました。特に救命の関係においては、当時の清瀬あるいは八王子といった関係では、なし得なかったことだと思います。それで、地域医療とそうした拠点とをきちんと連携をさせるということで、様々な取組も進めてまいりました。八王子の、今お話がありました地域であれば、大学病院との連携ということも、しっかりとやっていくというようなことで、私たちもそのための努力を続けてきたものでございます。
 ちょっと、そこら辺のところを、全体の状況の流れがどうであったかということを、ぜひ委員にも、ご理解いただければというふうに思っております。

○白石委員 だから、先ほど小委員会の議論の経過をいったじゃないですか。残した方がいいという声がいっぱいあったと。その当時の案だって、八王子に分院をつくろうという案だってあったと。だけれども、お金がないからと、そういうふうになったんですよ。
 しかも、今、何か大学病院が近くにあるからといいましたけれども、この八王子のお子さんの例をよく聞いていただきたい。一歳四か月のときに四十度の発熱で意識を失って心肺停止になったと。救急隊員がAEDで蘇生して、近くの大学病院へ搬送されたが、数時間待たされたと。そして、その後、小児総合医療センターへと搬送されたと。そして、重度の障害が残った。お母さんからは、都立八王子小児があったならと、このような切実な声が上がっているんだと。
 この三病院の廃止によって、こういう形で今もなお、この地域やお母さんたちの切実な声を聞いても、統廃合は医療サービスの向上だったといえるのかと。本当にこういうところを正面から受け止められないというふうなこと、廃止された地域の切実な実態を見ることもしないで、そもそも行政的医療を語る資格などないと、私は断じざるを得ないというふうに思います。今の切実な声に対して、近くに大学病院があると、こうやっていいのける、本当に私は許されないと思います。
 そもそも独法化とは、廃止を含め定期的に検討することが義務づけられている制度なんです。行政的医療を将来にわたって安定的に提供するための独法化だと、全くのでたらめです。そんな保証はどこにもありません。統廃合しないのかと、何回もいっても否定しない。今後、統廃合を含めて検討されていくんだという、こういう姿勢、許されない。
 公立病院の統廃合ありきで進めてきた総務省でさえも、公立病院改革ガイドラインを見直して、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインにするに当たって、公立病院がコロナ禍で果たした役割は重要だったと再評価を行って、従来の統廃合ありきのガイドラインを軌道修正しています。
 そこで伺いたいと思いますが、都立、公社病院を独法化する東京都の方針は二〇二〇年三月に取りまとめられた新たな病院運営改革ビジョンだと思いますが、これに間違いありませんか。

○船尾計画調整担当部長 令和二年三月に新たな病院運営改革ビジョン、これを発出いたしましたけれども、こちらは独法化の方針として策定したものでございます。

○白石委員 間違いないということです。この文章は、二〇一九年十二月に素案が出されて、その後の修正を含めて、コロナの対応や経験については一切触れられておりません。
 このビジョンの発表以降、都立、公社病院がコロナ禍で果たした役割や対応などについて、再検証を行ったことはありますか。あるのであれば、その報告書であったり、まとめた資料、どこにあるのか、具体的に伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 都立、公社病院でございますが、専用医療施設の開設等によりまして、感染状況に応じてコロナ病床を確保し、他の医療機関で対応困難な患者等の受入れに率先して取り組んでまいりました。
 それで、このビジョンの中に、そういった感染症の対応というのを、当然、記載をしてございまして、ビジョンの中には、新興感染症の都内への流入など、東京が直面する様々なリスクの増大に伴い、災害や感染症に対する医療提供体制の確保、強化、これが重要だということを課題として掲げまして、独法化後の医療の充実といたしまして、新興感染症などへの体制を充実し、新たな課題にも着実に対応していく、こういった旨をビジョンの中に記載しているものでございます。

○白石委員 改めていいますが、新たな病院運営改革ビジョンで、都立、公社病院を独法化する東京都の方針が取りまとめられたと。これ、素案が二〇一九年十二月です。このビジョンの中に、都立、公社病院のコロナ対応の評価は、加えられてビジョンが策定されたんですか。

○船尾計画調整担当部長 ビジョンの素案を出した令和元年十二月の段階におきましては、現在起こっている、このコロナ感染症というのが、まだ日本には入ってきていないと、そういう状況でございまして、その内容というのは、当然に具体的には書いていないんですけれども、広く新興感染症の危機というのは、これは今に限らず、当時にも限らず、危機管理が必要だということは課題としてございましたので、そういったことを、ビジョンの中には総論として記載をしているというものでございます。

○白石委員 皆さん分かるとおり、今いろいろいいましたけれども、要するに独法化のビジョン、独法化の方針を決めるときに、コロナ感染症は、日本にはまだ感染確認をされていないと、そういう状況ですので、コロナ対応についての評価なんかされていないんです。その中で独法化が決定されたんです。
 総務省のガイドラインの見直しには、多くの問題は残されておりますけれども、少なくとも、この総務省でさえも、コロナ禍で果たした公立病院の役割を、自治体への聞き取りや検討会を積み重ねて評価をした上で、従来の統廃合ありきのガイドラインを軌道修正したんです。これまで統廃合ありきだった総務省や国の姿勢が、このコロナ禍で、改めて公立病院を再評価しようということで、自治体に聞き取りをやったり、検討会を積み重ねて、そして、従来のガイドラインを見直さなければいけないといって軌道修正したんです。
 ところが、小池知事、そして病院経営本部の皆さん、東京都は、その検証すら行わず、コロナを踏まえずに決めた方針のまま独法化に突き進む、こんなことは許されませんよ。
 私、本当に、この間も独法について質疑を行ってきましたが、いろいろ理由を聞くんですけれども、例えば独法化したら、コロナ対応のために独法化するんだと、こんなことを平気でいうんですけれども、これまで、方針を決定する際にコロナ対応なんて、都立、公社病院の評価なんて、一度もされていないんです。そのまんま突き進もうとしているんです。本当に許されないと思います。
 質問を進めます。これまで本部長も、独法化にデメリットはないと答弁されてきましたが、例えば五年前に独法化された滋賀県の大津市民病院では、医師の大量離職が問題となっております。
 大津市民病院での医師の大量離職について、都はどういう認識を持っていますか。

○船尾計画調整担当部長 お話の大津市民病院の事例についてでございますけれども、詳細については把握しておりませんが、どのような経営形態でありましても、患者さんに必要な医療を提供するために人材を安定的に確保して、病院を運営していくことが重要だと考えております。

○白石委員 詳細は把握をしていないというご答弁ですが、大量離職の要因は一つではないと思いますが、少なくとも発端は業績不振を理由にして医師に退職を求めたことが、第三者委員会の報告で明らかとなっております。
 大津市民病院など全国の独法病院で起こっている問題を、病院経営本部として早急に、私は調査すべきだというふうに思いますが、いかがですか。

○船尾計画調整担当部長 他独法の事例につきましては、これまでも必要に応じて情報収集をしたりとか、そういったことをしてきたところでございます。

○白石委員 質問で、私は、全国の独法病院で起こっている問題を病院経営本部として早急に調査すべきですが、いかがですかというふうに問いました。
 今のご答弁は、早急に調査するという理解でよろしいですか。

○船尾計画調整担当部長 独立行政法人、これは、都が先行して設置しております東京都健康長寿医療センターがございまして、そういった中で、毎年の業務実績評価、これが出されておりますけれども、都の先行の、健康長寿医療センターでは、おおむね着実な業務の進捗状況にあるというふうに評価を受けておりまして、独法法人がその使命をしっかり果たしているということの証左だと考えております。

○白石委員 いや、何いっているかよく分からないんですけれども、全国の独法病院で起こっている問題、調査するんですか、しないんですか。

○船尾計画調整担当部長 これまで独法を検討している中で、全国の独法法人の状況は、様々調査をしてきたという中におきまして、都の中でも先行して独法化している健康長寿、これを事例として、やはり参考にすべきものだというふうに考えておりまして、今、全国を調べるということは考えておりません。

○白石委員 いや、本当に、こういう全国で起こっていることを、これから独法化しようと曲がりなりにもいっている人たちが、調査しませんなんてあり得ないと思いますよ。
 先行して独法化された健康長寿医療センター、これが適切に運営されていると評価されました。じゃあ、私、いいますけれども、医師の大量離職は、東京都が先行して独法化した健康長寿医療センターでも起こっています。二〇一八年から二〇一九年にかけて十四名もの医師が減っております。
 これにより、二〇一九年度は約十億円の当期総損失で、とりわけ医業収益が減った理由について、福祉保健局は何といったか。主な要因は、常勤医師の欠員が生じたことによると説明がされております。このことは、病院経営本部、認識していますか。

○谷田理事 医師の退職ということにつきましては、それぞれの病院の事情の中で起こってくるものでございまして、それは経営形態ということに関わるものではないとは思っております。
 今お話のありました健康長寿医療センターの状況、そこにつきましては、その都度、その情報については収集をしているものでございます。

○白石委員 いや、本当に都合いいですよ。先ほど調査するんですかといったら、健康長寿でやっています、ちゃんとやっているんです、それが証左なんです、だから独法は大丈夫なんです。しかし、東京都の健康長寿医療センターで、一年間で十四名もの医師が減っている、とんでもない事態になり、そして、損失も十億円もの当期損失が出ていると。この理由は何か。福祉保健局は、常勤医師の欠員が生じたことだと説明しているんです。
 そういうことをまともに調査もせず、こういう場で簡単に答弁する、本当に許されない。しかも、健康長寿医療センターの医師の大量離職後、三年経過した昨年の十月の時点でも、常勤の医師の確保については、年間を通じて様々な方法で採用活動を行っているが、以前の水準まで回復していないと答弁しております。
 独法化によって柔軟に人材を確保できると宣伝をしておりますが、三年たっても穴埋めができていなかったのが実態なんです。しかも、なぜ健康長寿医療センターで十四名以上もの医師が突然大量に離職したのか、なぜ起こったのかも原因はまともに説明されておりません。こうやって議会の関与も弱まるのが独法化の特徴なんです。
 以前も指摘していますが、地方独立行政法人法成立時の国会審議が行われた二〇〇三年六月の質疑で、当時の副大臣が明確に次のように述べております。議会の関与は、制度設計としては低くしている。さらに大臣は、議会の関与を少なくすることがメリットだとも述べております。いいですか。結果的に議会の関与が弱まるということじゃないんです。議会の関与を極力少なくすることを狙ってつくったのが独法の制度なんです。
 そこで伺いますが、知事は、独法化に伴い、議会の関与についても今後在り方を検討するとしていました。議会の関与について、特別な手だてが取られる検討はどのようになっておりますか。

○船尾計画調整担当部長 議会の関与でございますけれども、独法化後は、中期目標や中期計画の認可等の議決、また業務実績の評価結果の議会への報告、こういったものが法定されておりますとともに、行政的医療などの経費について、都が行う財政措置についての予算の議決があるなど、法人の重要事項につきまして議会の関与がなされる、そういった制度でございます。

○白石委員 今のご答弁だと、特別に議会の関与を強めるとか、そういう手だての検討は行っていないということでよろしいですか。

○船尾計画調整担当部長 法律等で定められております議会の関与につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

○白石委員 知事は、我が党の質問じゃないですけれども、独法化に伴って、議会の関与についても今後在り方を検討すると、何か特別なことをやるようなことを答弁していましたけれども、今の答弁で明らかとなりました。別に何の検討もされていないと。特別な検討がされていないということが明らかとなりました。
 質問を進めていきたいと思います。中期計画案では、計画期間の平均病床利用率は八〇・三%としております。年度ごとの病床利用率はどのように設定されていますか、伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 中期計画案におけます病床利用率の目標値でございますけれども、これは、都立病院新改革実行プラン二〇一八、それと、公社の第四次中期経営計画における病床利用率の目標値、こういったものを踏まえて策定をしてございます。
 都立病院では一般病床で九〇%以上、公社病院では八〇%以上を目標として、これまで取り組んできておりまして、法人化後の令和八年度に八五%を目指すこととしております。
 令和八年度のそういった目標の達成に向けまして、令和四年度は七二%、五年度は七七・五%、六年度は八三%、七年度は八四%をそれぞれ目指すこととしております。

○白石委員 二〇二六年度、病床利用率の目標は平均で八〇・三%と、これは中期計画案で出されているんですね。年度ごとでは出されていないので、今、数字をいってもらいました。年度ごとにいいますと、今答弁されたとおり、二〇二二年七二%、二〇二三年七七・五%、二〇二四年八三%、二〇二五年八四%、そして、二〇二六年度には八五%まで上げるということが求められているということです。
 今も目標ありますけれども、独法化をすれば、経営上の独立性がさらに強く求められていきますので、何としても達成しなければならないという目標になってまいります。
 しかし、都立松沢病院の齋藤前院長は、これまで松沢病院は満床になったことはない、八割ぐらいだった。だからコロナ対応で急いで一病棟を丸々空けることができた、独法化したら経営は改善するかもしれないが、それで病床を急に空けて対応できるのかと、このように話しております。
 コロナの経験から明らかになったことは、災害や感染症のような危機に対応するためには、ふだんから医療体制に、ゆとりです、ゆとりが必要だということなんです。しかし、独法化すれば、経営改善、効率化が強く求められ、ゆとりのある体制を確保することは難しくなると、厳しく指摘したいと思います。
 本日の請願だけでも、約二万人から独法化の中止を求めて提出されております。署名を集めれば、どういう声があるかというと、例えば、こんな大事なことをちゃんとどうして説明してくれないのかと街頭からも声が上がり、署名に協力してくれる人がいます。公立病院はいざというときに絶対に必要です、そして公立病院の公正な運営が必要です、このような重要なことに、コストの削減を考えるよりも、もっと検討することはたくさんあるでしょう、私たちの声を聞いてほしいなどなど、都立、公社病院を守ってほしい声、今も広がっております。
 本部長に伺いたいと思いますけれども、都民や病院現場の職員から、独法化は、理解と合意、現時点で得られていると、そういう認識ですか。

○西山病院経営本部長 独法化の目的、意義やメリットにつきましては、これまで独法化の準備を開始することを表明いたしました令和元年第四回定例会、新たな病院運営改革ビジョンの素案をお示しいたしました令和二年第一回定例会、定款の議決を提出いたしました昨年の第三回定例会、そして、さきの第一回定例会、それぞれの場で説明し、議論を深めてまいりました。
 また、その意義、目的については、広報誌やホームページなど様々な広報媒体を活用して広報にも取り組んできております。
 せんだって、昨年、定款について議決をいただき、一定において予算等にも議決をいただき、これは都民の代表である議会のご議決をいただいたものでございます。
 こうしたことも重く受け止めまして、今後とも、都民をはじめ様々な関係者の理解がより進むように取り組んでまいります。

○白石委員 理解が進むようにと、要するに理解と合意が得られたと、これは口が裂けてもいえないんですよ。
 都立病院条例の廃止などが議決された三月以降も、都立、公社病院の独法化中止を求める運動は広がっております。都議会などへの署名数、累計四十万人を超えました。今日も都庁前で、雨の中でも、都立、公社病院、独法化中止を求める行動がされておりました。この声に、本当に知事も病院経営本部も、正面から受け止めるべきだと思います。
 全ての会派、そして皆さんに改めて呼びかけたいと思います。都立病院というのは、明治初期に大流行したコレラやチフスなど感染症の流行に伴い開設がされ、これまで百四十年、長い歴史を持っております。時代の移り変わりとともに変化する都民の必要な医療の確保を使命として、かけがえのない役割を担ってきました。そして、今、新型コロナ感染が猛威を振るう下で、全国の医療機関の中でも、新型コロナ患者専用の病床の確保数は、都立、公社病院が最も多く確保しております。
 百年を超える歴史を脈々と受け継ぎ、都民の命の最後のとりでとして、かけがえのない役割を今も果たしております。独法化する理由、どこにもありません。私たちは今、この都立病院百数十年の歴史の岐路に立っているんです。そもそも独法化しなければ解決できない問題など、どこにもありません。東京の医療を大後退させる七月からの独法化は中止をすべきです。
 よって、本請願を採択することを強く呼びかけて、質問を終わりたいと思います。

○上田委員 令和四年予算審査、これまでの様々な陳情やいろいろな計画で質疑を重ねてきましたけれども、それに係るご答弁を踏まえて確認させていただきます。
 まず、安易な発達障害のレッテル貼りの問題が近年ようやく指摘されるようになってきたということ、これ、長いこと私の課題でしたけれども、かねてより小児精神医療の多量多剤投与をいさめることを求め、都は、慎重、最小限かつ心理的、社会的アプローチが第一ということを明確に回答いただき、言質を取らせていただいた状況でございます。
 これは維持するのかどうか、独法化によりどのような影響があるのか、改善され得るのか、投薬についての効果、副作用、成長への影響についてのモニタリング体制について変わりがないのか懸念するものでございますので、根拠を示して見通しをご説明いただければと思います。

○齋藤サービス推進部長 小児精神科医療は、独法化後も現在と同様に行政的医療として提供してまいります。この独法化によりまして、診療内容が変わることはございません。

○上田委員 変わらないかどうかというモニタリングが、独法化すると議会モニタリングができなくなっちゃうことを憂慮して、ずっと、るる議論してきたわけでございます。
 そして、収支計画の指標となる自己収支比率目標達成においてただしたところ、経営の方も診療と同じく大事ですから、独法化により地域が抱える多様な医療課題にも的確に対応する、収支、費用の両面から経営改善するとの回答を得ているんですけれども、もう五月も終わろうとする中で、より具体的な収支改善目標、そして、経営改善についてご説明をいただきたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 法人化後は、引き続きコロナに対応しながら、コロナ以外の診療におきましても、積極的に患者の受入れを行うとともに、スケールメリットを生かした共同購入の推進などによりまして、収入の確保と適切な支出の徹底に取り組んでいくこととしております。
 これにより、中期目標期間の合計で、総利益一億六千五百万円を目指すこととしております。

○上田委員 単年度ではなく、期間合計という理解でいいんでしょうかね、一億六千万という数字が出たところでありますけれども、一方で、サービスの方です。
 地域が抱える多様な医療課題は待ったなしの状況にあるわけでございまして、その解消のために、独法化後は民間医療機関との柔軟な人事交流が可能となる人事制度を構築とのご答弁をいただいているんですけれども、この人事制度について、もう具体的になってきたのだと思うので、説明をいただきたいと思います。

○谷田理事 例えばでございますが、法人の新たな兼業制度や多様な勤務形態を活用し、法人で育成した専門的なスキルを持つ医師や看護師が地域の民間医療機関等において一定期間勤務できる仕組みや、地域の医療人材を法人で受け入れる仕組みなどを整備することで、地域における医療技術や看護技術の向上にこれまで以上に貢献することが可能となるものでございます。

○上田委員 ということを、多分、健康長寿医療センターでやっていたと思うんですけれども、大分辞められているということであります。新公立病院改革ガイドラインでは、地方独立行政法人が法に基づき中期計画を作成している場合には、本ガイドラインにおいて要請している事項のうち、不足している部分を追加等することで足りるとの定めのことを私の方で確認させていただきましたが、過不足は実際にあるのかないのか、不足していれば、それはどのような対応を取るのかを伺いたいと思います。

○竹中経営戦略担当部長 新法人の中期計画案には、新公立病院改革ガイドラインで要請しております地域包括ケアシステムの構築や、医業収支比率などの数値目標、医療人材等の確保、育成など、過不足なく記載されております。

○上田委員 中期計画は過不足ないということでございますが、現状、新型コロナウイルス感染症の影響で、入院、外来収益が減少したため、六八・八%であるということ、医業収支比率につきですね。現時点、患者や地域の医療ニーズへの機動的な対応について、具体的にご説明いただければと思います。

○船尾計画調整担当部長 独法化後は機動的な人材確保が可能となることから、地域ニーズ等に応じて医療提供体制を強化し、紹介患者をこれまで以上に受け入れていくこととしております。
 例えば、墨東病院におきましては、地域において、高齢のがん患者さんの増加が見込まれるということから、消化器内科の医師や看護師を増員いたしまして、低侵襲な検査や治療が受けられる体制整備を行い、内視鏡検査や内視鏡治療の増加に対応していくこととしております。

○上田委員 新規顧客開拓と民間の言葉ではいうとは思うんですけれども、それで解消していこうというところでありますけれども。
 最後の質問になりますけれども、独法化後も、行政的医療を将来にわたり安定的に提供していくこととされていて、そのために必要な経費は、法に基づき運営費負担金として都が負担するということですけれども、私、やっぱり独法化するからには、独立採算性を目標とするぐらいのシビアな経営感覚が必要だというふうに思っておりまして、もちろん行政的医療というのは、全部、収支きっちりとできるものではないんですけれども、基本的には経営改善のために独法化をするんだということであれば、その経営効率化の努力を進めるべきと考えているものでございます。
 都から変わらず繰入れしてもらえるからいいというのでは、独法化する意味もなく、現状のままでいいんじゃないか、仏つくって魂入れずとなります。
 この点の所見と、今後、どう独立採算性、シビアな経営状況をしっかりと実現していくのか、具体的な見解をかねがね求めていたところ、スケールメリットを生かした費用削減などの経営努力も行い、引き続き、最少の経費で最大のサービスを提供ということでありますが、もう本当に五月も終わろうとしている、度々いいますけれども、具体的な説明を伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 現在、都立病院、公社病院におきましては、それぞれ様々な工夫により、費用節減など不断の経営努力を行っておりますが、独法化後は、十四病院一施設のスケールメリットを生かした取組を進めていくこととしております。
 具体的には、医薬品の共同購入、医療機器の保守一体での購入、競争入札により交渉の相手方を選定して契約締結前に減額交渉を行う−−これは交渉権入札といいますけれども、こういった契約手法の導入など、費用節減に向けて取り組むこととしておりまして、引き続き、最少の経費で最大のサービス提供に努めてまいります。

○上田委員 入札の改善をするのもいいんですけど、独法化しちゃうと、私たち、入札について私もいつも質問させていただいていますけれど、できなくなっちゃうわけですよね。
 最後になりますけれども、全国的に第三セクターとか官民共同でやるとかいった失敗事例が、病院だけでなくて、これは事欠かないわけで、こうした歴史から行政も地方政治も学ばなければならないと思います。よく愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶといいますが、経験からも、やっぱり学んでいただきたいと思います。
 大津市民病院の問題、私も例示させてもらいましたけれども、それだけではなくて、健康長寿医療センターのドクター及び事務局トップの独善的な経営については、指摘し続けてきた者といたしまして、官と民の悪いところ取りになるではないかという大きな危機感を持っているものでございます。
 何かあったときに、多分知事も替わっていて、皆様方、病院経営本部の決断を下した私たち都議会議員も代わっていると思うんですけれども、そのときに、非常に実害を被るのは都民の健康や命だったりするということで、重大な危機感を持って、二万人もの民意を尊重しまして、請願書に賛同し、質疑を終わらせていただきます。

○おじま委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○おじま委員長 起立少数と認めます。よって、請願四第四号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十七分散会

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