厚生委員会速記録第四号

令和四年三月十六日(水曜日)
第五委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長おじま紘平君
副委員長伊藤こういち君
副委員長小松 大祐君
理事関口健太郎君
理事やまだ加奈子君
理事桐山ひとみ君
かまた悦子君
上田 令子君
うすい浩一君
浜中のりかた君
藤田りょうこ君
菅原 直志君
小宮あんり君
白石たみお君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長中村 倫治君
健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
技監田中 敦子君
理事医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長事務取扱矢沢 知子君
理事早川 剛生君
総務部長高野 克己君
指導監査部長坂本 尚史君
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務成田 友代君
生活福祉部長高橋 博則君
高齢社会対策部長山口 真吾君
少子社会対策部長奈良部瑞枝君
障害者施策推進部長中川 一典君
健康安全部長藤井麻里子君
感染症対策部長武田 康弘君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務
齋藤 善照君
医療改革推進担当部長小竹 桃子君
医療政策担当部長鈴木 和典君
地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務池上 晶子君
事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務新田 裕人君
高齢者施策推進担当部長大規模接種施設企画調整担当部長兼務山本 謙治君
子供・子育て施策推進担当部長西尾 寿一君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長
新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務
杉下 由行君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長遠藤 善也君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務花本 由紀君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長徳弘 欣也君
東京感染症対策センター担当部長加倉井祐介君
新型コロナウイルスワクチン担当部長村本 一博君
新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務
河野 和久君
酸素・医療提供ステーション担当部長関口 尚志君
新型コロナウイルス検査事業推進担当部長猪倉 雅生君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 令和四年度東京都国民健康保険事業会計予算
・第六号議案 令和四年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
・第七号議案 令和四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十三号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第六十四号議案 東京都国民健康保険保険給付費等交付金条例の一部を改正する条例
・第六十五号議案 東京都国民健康保険事業費納付金条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第六十七号議案 東京都受動喫煙防止条例の一部を改正する条例
・第六十八号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・第七十号議案 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
・第九十七号議案 中野区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
・第九十八号議案 板橋区の児童自立支援施設に係る事務の受託について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 子どもの属する世帯に係る国民健康保険料又は国民健康保険税の補助に関する条例

○おじま委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 福祉保健局の雲田次長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 初めに、第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案から第七号議案まで、第六十三号議案から第七十四号議案まで、第九十七号議案及び第九十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高野総務部長 二月十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をご覧ください。
 資料は、目次にございますように全部で十八項目となっております。
 目次をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。1、二次保健医療圏別NICU病床整備状況といたしまして、令和四年一月一日現在のNICU病床数を都内十三の二次保健医療圏ごとに記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、療養病床を有する医療施設数及び療養病床数(医療保険適用・介護保険適用)の推移並びに介護医療院の施設数及び定員といたしまして、(1)に、令和二年から令和四年まで、それぞれ一月一日現在の療養病床を有する医療施設数及び療養病床数の推移を医療保険適用と介護保険適用の区分ごとに、(2)に、令和四年一月一日現在の介護医療院の施設数及び定員を記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、地域密着型サービスの事業所数の推移といたしまして、各年四月一日現在の事業所数の推移につきまして、平成十八年から令和三年までを表側の区分ごとにそれぞれ記載してございます。
 表側の区分、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、地域密着型通所介護、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)につきましては、制度が創設された年から令和三年までを記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、地域包括支援センターの設置状況といたしまして、五ページにかけまして、(1)に、区市町村別の令和三年四月一日現在の地域包括支援センターの設置数及び令和三年一月一日現在の六十五歳以上の人口を、(2)に、地域包括支援センター職員の配置基準を記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、障害者グループホームの定員といたしまして、令和三年三月一日現在の障害者グループホームの定員を区市町村ごとに記載してございます。
 七ページをご覧ください。6、被爆者の子の健康診断受診票の交付者数及び健康診断受診状況の推移といたしまして、(1)に、健康診断受診票の交付者数を、(2)に、一般検査及びがん検診の種類別の受診者数をそれぞれ平成二十八年度から令和二年度まで記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、都内障害者グループホームの国加算算定状況といたしまして、令和三年十一月に国の各種加算が算定された都内障害者グループホームの事業所数を加算の種類ごとに記載してございます。
 九ページをご覧ください。8、都所管の児童養護施設及び児童相談所一時保護所における人権教育・外部通報に係る取組状況といたしまして、各施設において令和二年度に実施した取組の内容を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、児童相談所における措置、措置解除に係る不服申立て件数(審査請求等を含む)及びその裁決等内訳の推移(過去十年分)といたしまして、措置及び措置解除の区分ごとの不服申立ての件数及び裁決等の内訳の推移を平成二十三年度から令和二年度まで記載してございます。
 一一ページをご覧ください。10、児童相談所における親権停止審判の請求人数及び承認人数の実績推移(過去十年分)といたしまして、平成二十三年度から令和二年度まで記載してございます。
 なお、親権停止審判は、平成二十四年度に制度が創設されているため、平成二十三年度の該当はございません。
 一二ページをお開き願います。11、養育家庭の認定取消件数の推移(過去五年分)といたしまして、養育家庭からの辞退及び被措置児童等虐待該当の区分ごとに平成二十八年度から令和二年度まで記載してございます。
 一三ページをご覧ください。12、令和三年一月十三日厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知「「精神科病院に対する指導監督等の徹底について」の一部改正について」に基づき、令和三年度に実施された精神科病院に対する実地指導の回数及び対象施設数並びに実地指導によって確認された精神科病院内での虐待件数、その詳細及び改善状況といたしまして、(1)に、実地指導の対象施設数及び回数を、(2)に、実地指導で確認された虐待件数、詳細及び改善状況をそれぞれ記載してございます。
 なお、(2)につきましては、令和四年二月一日現在において該当はございません。
 一四ページをお開き願います。13、医療政策部医療安全課所管の附属機関等委員の所属団体・職名、選定基準、在任年数等といたしまして、(1)に、東京都死因究明推進協議会、一五ページの(2)に、東京都衛生検査所精度管理検討委員会、一枚おめくりいただきまして、一六ページの(3)に、東京都医療安全推進協議会、一七ページの(4)に、東京都医療審議会医療法人部会につきまして、それぞれ記載してございます。
 一八ページをお開き願います。14、保育所等利用申込児童数といたしまして、令和三年四月一日時点の申込児童数及びそのうち保護者が育児休業中の者の数を区市町村ごとに記載してございます。
 一九ページをご覧ください。15、病児病後児保育施設の施設種別ごとの受入実績の推移といたしまして、病児対応型施設及び病後児対応型施設の延べ利用児童数を平成三十年度から令和二年度まで記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。16、マッチングサイトを介して利用したベビーシッターによるわいせつ事案を受けてのベビーシッター利用支援事業における対応といたしまして、ベビーシッター利用支援事業における都の対応状況を令和二年五月一日から同年十二月二十二日まで時系列で記載してございます。
 二一ページをご覧ください。17、新型コロナウイルス感染症による保育施設等の臨時休園等に対する支援事業の利用児童数及び執行額といたしまして、二二ページにかけまして、(1)に、利用児童数を、(2)に、執行額を、各支援事業の区分ごとに令和元年度から令和三年度まで、それぞれ記載してございます。
 二三ページをご覧ください。18、宿泊療養施設の開設状況一覧及び稼働率の推移(令和四年二月二十五日現在)といたしまして、(1)に、これまでに開設した宿泊療養施設の名称や開設期間、住所、客室数及び受入れ可能数を二六ページにかけて記載してございます。
 また、二七ページの(2)に、令和二年四月から令和四年二月までの宿泊療養施設の稼働率の推移をグラフでお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○やまだ委員 よろしくお願いします。
 まず私からは、初めに、都型放課後等デイサービス事業について伺ってまいりたいと思います。
 私たち自民党といたしまして、この間、代表質問、厚生委員会、それぞれの場を活用させていただきまして、国による報酬改定に伴う都内の頑張っている事業者の方々の支援を、影響を受けている事業者への支援を求め続けてまいりました。
 こういった取組を受けて、都として来年度、都型放課後等デイサービス事業、支援事業を予定していただいているということは、大変高く評価しているところであります。
 一方で、今回、この事業の内容が出されるにつれて、都内の事業者の方々からは様々な声が出されてきました。三月八日には、緊急要望として、障害児放課後グループ連絡会という事業者の方々のグループから緊急要望が出されました。この要望に基づいて何点か質疑をさせていただきたいと思います。
 今回の都型放課後等デイサービス事業について、予算規模については七十事業所と見込んでいる表記になっておりますが、この助成事業の要件を満たす事業者は全て支援していくという解釈でいいのか、まず、この点について伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業は、国がガイドラインで示している自立支援と日常生活の充実のための活動、創作活動、地域交流の機会の提供、余暇の提供といった四つの基本活動や学校との連携を実施することを要件としておりまして、今年度、都が実施いたしました事業運営状況調査では、これらの活動を全て実施していると回答した助成対象となり得る事業者は四十か所程度でございました。
 都型放課後等デイサービス事業の実施に伴い、これらの取組を行う事業者が増加することも考慮いたしまして、事業開始初年度である来年度は七十か所としておりまして、要件を満たす事業者は支援できるものと考えております。

○やまだ委員 要件を満たす事業者は支援できるものと考えているというご答弁がありました。
 ただ、都内事業所数は約千に上ります。その中で、見積りが四十、増加した想定でも七十か所という想定でありますので、基本的に今回の都型放課後等デイサービス事業は、頑張っている事業者を応援する、都の立場としての支援事業だと思います。
 そういった意味では、調査の中で対象となり得る事業者が四十であっても、この事業をきっかけに都内事業者が努力をされ、さらにこの支援事業を活用していく努力をされる可能性は十分あると考えますので、七十か所という限定ではなく、ご答弁にあったとおり、要件を満たす事業者については、しっかりと初年度、対応していただくことを改めて強く求めておきたいと思います。お願いします。
 次に、サービス提供時間、そして送迎についてのご要望について確認をさせていただきたいと思います。
 補助要件の中に、サービス提供時間を十九時まで、また自宅までの送迎を要件としているというふうに事業者の方々は解釈をされているという内容を伺いました。この点について、都としてどのように運用していくのか、確認させていただきます。

○中川障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業では、サービスの質の向上を図るため、十九時までの開所、送迎を要件としておりまして、利用希望者がいる場合に行うことを想定しております。
 したがいまして、十九時までの利用者がいない場合でも開所することなどを求めるものではなく、希望があった場合に実施できる体制が確保されていることを要件とする考えでございます。

○やまだ委員 全ての方々が十九時まで自宅までの送迎ということが条件ではないということを確認させていただきました。
 団体の方々からは−−希望する保護者の延長支援を実施するというような表記も含めて、希望者に対しての要件だということを分かりやすく表記すべきだと思っております。改めて、要件については、事業者にとっても、また利用者にとっても分かりやすい表記、表現をしていただくよう求めておきたいと思います。
 そして、次に、保護者による事業者評価について伺います。
 これまで、事業者評価は、保護者の方が事業所に提出をしていく形でありましたが、今回の要件の中では、直接都に声を届けるような仕組みに変更になることから、事業者からは不安に感じているという声が出ています。
 この件について、都の見解をまず伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 国のガイドラインでは、PDCAサイクルによる業務改善を進める上で、アンケート調査などで支援を利用する子供及び保護者の意向や満足度を把握することが必要としてございます。
 このため、事業者が自己評価等を行う第三者評価等のほか、保護者による事業者評価を実施する予定でございます。
 この取組は、事業者の努力によるプラスの評価や、より努力が必要な点を事業者に伝えることで、事業者の励みや動機づけにつながり、サービスの質の向上を促すものと考えておりまして、事業者に対してもこうした点を丁寧に伝えながら実施してまいります。

○やまだ委員 事業者にとって、この事業者評価のシステム、形が変わる、これは大きな変更だと思います。事業者に、しっかりと声を確認しながら、そして、保護者の方々の利用しやすい声が都に届き、それを事業者と一緒に、都として寄り添いながら対応していくことができるよい仕組みだということを今のご答弁の中では感じましたが、それがしっかりと事業者に伝わっているのかどうかということが心配に思います。
 この点については、引き続き、事業者と保護者の方々に説明をし、その都度、課題が生じた場合には対応していただくことを改めて求めておきたいと思います。
 そして、最後に、事業所間評価について伺いたいと思います。
 事業者からは、事業所間評価は負担であるという声が届いています。団体からは、団体が行う連絡会の機能の中で、例えば研修制度など、そういったものを置き換えるような形で活用できないかというご意見もいただいています。
 事業所間の相互評価の実施に当たって、配慮について伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 事業所間評価の実施に当たりましては、都が事業所間のマッチングを支援することや、一定の要件を満たす場合には事業所間で行っている既存の取組を事業所評価とみなすことなども検討しておりまして、事業所の意見も聞きながら、今後詳細を検討してまいります。

○やまだ委員 ご答弁の中で、事業所間で行っている既存の取組を事業所評価とみなすことも検討しているというご答弁をいただきました。
 団体として要望されています連絡会の中での研修、非常に熱心な取組だということも聞いています。そういった中身もしっかりと確認をしていただきながら、置き換えていくような評価ができるように求めておきたいと思います。
 これら事業所制度について様々伺ってきましたが、この支援制度の根本は、都内で障害者、障害児の方々を支援する事業者、特に真面目に頑張っている事業者を支えていくための仕組みづくりであります。この頑張っている事業者を支えるということは、障害者、そしてその家族の方々を支えるための仕組みでもあります。
 そういった意味で、この支援制度が、むしろ事業者にとって負担、そして負荷にならないような、応援するための制度として、しっかりと保護者、そして事業所とのコミュニケーション、意思疎通を図った上で、設計を引き続き続けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、障害者施設のBCP策定について伺いたいと思います。
 私は、昨年の事務事業質疑の中で、高齢者施設のBCP策定について取り上げてまいりました。今回は、障害者施設のBCP策定について伺いたいと思います。
 国は、多発する災害やコロナ等感染症流行時でも、必要な障害福祉サービスが継続的に提供されるよう、令和三年の報酬改定において、運営基準に業務継続に向けた計画、BCP等の策定や研修、訓練の実施を、令和三年から五年までの措置期間を設け、令和六年に義務化が発表されました。特に、施設やグループホームなど生活施設においては、事業、業務は大変重要であります。
 まず、現在の策定状況と課題について伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 今年度、都が実施した調査によれば、令和三年七月時点で、BCPを策定した障害福祉サービス事業所の状況は、障害者支援施設が八〇%、生活介護などの日中活動系サービスが五一%、グループホームが三八%などとなってございます。
 未策定の理由といたしましては、盛り込む内容が分からない、策定手順が分からないなどと回答した事業所が多く、一部には、BCP策定の必要性を感じないと回答した事業所もありました。
 BCP策定に向けたノウハウや情報の不足が課題と認識しておりまして、BCPの重要性に関する普及啓発も必要であると考えております。

○やまだ委員 策定の割合は施設ごとに大きく差があることが分かりました。
 特に、生活の場であるグループホームは策定率が大変低く、早期の策定が必要だと感じます。また、課題として挙げられた策定の必要性をしっかりと伝えていくこと、策定ノウハウを丁寧に伝え、行う都の支援が望まれるところであります。
 また、障害者施設は、区市町村において福祉避難所の指定を受けている施設もあります。指定施設では、利用者の福祉サービスの継続とともに、避難してこられた方々への対応も増えることから、対策と計画策定が大変重要であります。福祉避難施設指定の施設のBCP策定に当たっては、設置主体となる区市町村との連携や避難所の運営を加味する必要があります。
 そこで、BCP策定を支援するため、都の来年度の取組について伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 障害のある方やその家族の日常生活を支える障害福祉サービスは、災害や感染症などが発生した場合でも、必要な対策を講じながらサービスを継続することが求められます。
 都は、障害福祉サービスを提供する事業所のBCP策定を支援するため、来年度から、全ての未策定の事業所を対象に、策定の基本的な考え方や策定手順などを講義や演習方式で学ぶ講習を実施するほか、BCPの重要性をホームページなどで普及啓発してまいります。
 また、専門的なアドバイザーが訪問やウェブなどにより、事業者を個別に支援する取組も実施する予定でございまして、福祉避難所の指定を受けている事業所につきましては、区市町村と連携した災害時避難行動要支援者の把握方法や福祉避難所としてBCPに盛り込むべき内容などについて、事業者の状況に応じた具体的な支援を行ってまいります。

○やまだ委員 来年度の取組について、大変具体的かつ個別支援も含めた丁寧な取組が予定されていることは大変期待するところであります。事業者、区市町村と十分連携をしながら推進していただきたいと思います。
 あわせて、国で求めているのは、策定とともに研修や訓練までを位置づけています。策定の後は、策定にとどまらず、ぜひ研修、訓練まで行っていけるよう、生きた計画になるよう支援を継続していただきたい、そのようなことを要望させていただきたいと思います。
 次に、聴覚障害の方々について、まず、手話通訳者等養成講習会について伺っていきたいと思います。
 都として、手話通訳者等養成講習会をこの間ずっと行われています。令和三年は二百五名の方々が受講されたと聞いてもいます。コロナの中にあっても、講習の時期をずらしたりするなどして実施が、全て行われたと報告もいただきました。
 ただ、こういった養成講座について、様々な環境の中でも継続していけるよう、講習内容を工夫すべきと考えています。特に、オンライン化により、手話を学びたい人が学びやすくなる環境が整備できるとも考えています。
 また、社会のデジタル化は進展しておりまして、今後は、手話通訳者の方々が遠隔手話通訳など、オンラインを活用して通訳する場面も増えていくと思います。
 そのため、手話通訳者を養成する段階からオンラインの仕組みもしっかりと組み込んで、オンラインで学んでいただき、オンラインによる通訳ができるような養成も必要だと考えておりますが、都は、手話通訳者等養成講習会において、オンラインによる実施を積極的に導入すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 都は、手話通訳者等を養成する講習会を実施しておりまして、新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、今年度から新たにオンデマンド配信による講義やオンラインによる通訳演習を導入いたしました。
 また、社会のデジタル化が加速し、手話通訳に関してもスマホやタブレット端末等を活用した遠隔での対応が普及してきておりまして、今後、こうした状況も踏まえながら、講習会の内容等を検討してまいります。

○やまだ委員 ありがとうございます。
 今後、こうした状況も踏まえ、講習の内容を検討していただけるという前向きなご答弁をいただきました。
 聴覚障害者団体の方々からは、会議においてもオンラインを活用するなど、そういった努力も皆さんでされている、ぜひ講習の場においてもオンラインを活用していただきたいという声もいただいておりました。ぜひオンラインによる通訳、そして講習の推進を求めておきたいと思います。
 次に、中途失聴、難聴者の講習会について伺いたいと思います。
 中途失聴、途中で耳が聞こえなくなる、また高齢により難聴、耳が聞こえづらくなる方々への手話を学ぶ講習会です。
 途中で耳が聞こえなくなるということは、大変、心理的にもショックを受けるという話を伺いました。そういった中で、こういった講習会で、同じ環境、境遇にある方々が集い、交流を図りながら手話を学べることは大変有意義であるというお声も聞いています。
 しかし、コロナの状況でなかなか集まることができない、講習を受けることがしづらくなる中で、こちらについても中止はせずに延期などをしていただいたというふうにも聞いておりますが、やはりこういった環境の変化も踏まえて、様々なデジタル機器を活用できるようになることが、中途失聴、難聴者の方々へのコミュニケーション能力を上げるため、一層豊かになると考えています。
 都として、講習会で手話を学ぶ中途失聴、難聴者が、デジタル機器も活用してコミュニケーションが図れるように、活用方法についても講習会で情報提供をすべきと考えておりますが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 意思疎通に困難を抱える中途失聴、難聴者が手話を学ぶことで、同じ障害のある人との交流を深め、円滑に意思疎通ができるよう、都は、中途失聴、難聴者向けの手話講習会を実施しております。
 近年、デジタル技術の進歩に伴い、コミュニケーション支援機器も高性能化や多機能化が進んでおりまして、手話講習会受講者のニーズも把握しながら、デジタル機器の活用方法等について、この講習会の場でも新たに情報提供してまいります。

○やまだ委員 手話を学んでいただくこととともに、デジタルを、特に障害に応じた機器やアプリも様々出されておりますので、手法を活用して、コロナなどどのような状況でも多くの人たちとのコミュニケーションが図れるような、そんな支援をぜひとも進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、子育て支援について二点ほど伺いたいと思います。
 まず、とうきょう子育て応援パートナー事業について伺いたいと思います。妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援に対応するため、都は来年度、とうきょう子育て応援パートナー事業をスタートさせます。
 まず、この事業の立ち上げに当たっての課題認識と取組内容について伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 地域において、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援をより円滑に進めるためには、妊娠期から支援に関わる母子保健分野と子育て支援の核となる子供家庭支援センターの連携を強化することが必要でございます。
 こうしたことを踏まえまして、都は、妊娠期から就学前まで子供と家庭に寄り添いながら、関係機関と調整し様々な支援をコーディネートできるよう、とうきょう子育て応援パートナー事業を開始いたします。
 来年度は、有識者や区市町村職員等で構成いたします検討ワーキングを設置し、コーディネートを担う人材に必要なスキルや育成方法などを検討してまいります。

○やまだ委員 都の課題認識として、母子保健分野と子供家庭支援センター、子育て部門との連携強化が課題というご答弁でありました。
 まさに出産前の時期を担当する母子保健のセクションと出産後の時期を担当する子供家庭支援センターの両セクションの連携が大変大切になってくると思います。
 例えば、支援が必要な特定妊婦については、子の生まれる前は母子保健の担当者が、また生まれた後は子供家庭支援センターが担当するという行政組織上の役割分担で、支援も分かれています。そういった区市町村も多くあると聞いていますが、まず、セクションが分かれることによって、評価や分析、アセスメントの基準が明確でないために、ケースを引き継ぐことがなかなか難しくなっているという声も聞いています。
 事業の実施に当たっては、支援チームが組織間をしっかりとつなぎ、共通の認識を持てるよう、アセスメントの基準づくりが不可欠と考えますが、見解を伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 検討ワーキングでは、母子保健分野と子供家庭支援センターが緊密に連携して適切に支援が提供できるよう、個々のケースについて支援ニーズ等を把握するためのアセスメントの基準やそれに基づく支援プランの作成方法等について検討してまいります。

○やまだ委員 明確なアセスメントの基準を都として率先してつくっていただきたいと思います。お願いいたします。
 また、切れ目のない支援を行うには、ケースごとのアセスメント基準の確立とともに、重要になるのは組織間の共通認識を持つ体制づくりだと思います。両組織をつなぐ役割の人材育成が、そこで重要になるとも考えています。
 そこで、支援体制の在り方やどのような人材を養成していくのか、都の取組について伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 検討ワーキングでは、人材の具体的な役割や支援体制の在り方などについても検討してまいります。
 さらに、そうした結果を踏まえまして、養成プログラムを取りまとめ、保護者との関係性を構築するための面接技術や妊産婦を支える視点などを習得するための研修に活用し、区市町村の人材育成や体制整備を支援してまいります。

○やまだ委員 支援体制の在り方の検討、また、人材育成や体制整備を支援していくというご答弁をいただきました。
 乳幼児期、就学前までの子育て支援について重要になる母子保健分野と子育て分野の連携強化、組織間の連携体制と、そして、それをつなぐための明確な役割となる人材をつくり育成していくこと、この二点が重要になると思いますので、ぜひとも各区市町村の取組の状況を確認しながら、寄り添った形での支援体制強化を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 そして、子育て支援についてもう一点、産婦健診について伺いたいと思います。
 令和二年度、東京都内の児童相談所が受理をした虐待相談対応件数は二万五千七百三十六件でありました。増加の一途であります。また、厚労省の公表によりますと、令和元年度、全国の心中を除く虐待による死亡事例は五十七件あり、このうちゼロ歳児の死亡は約半数の四九・一%に上ります。産後間もない時期のケアが大変重要であることが分かります。
 国では、産後鬱の予防や新生児への虐待防止の観点から、平成二十九年、産婦健診事業を創設し、産後二週間と一か月の二回の産婦健診、健診費二分の一助成を開始いたしました。
 これを受け、都としても令和二年度から、とうきょうママパパ応援事業において、産婦健診を行う区市町村を支援しています。
 そこでまず、産婦健診の必要性について、都の見解と区市町村支援の実施状況について伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 産婦健康診査は、出産後間もない時期の産婦に対し、母体の身体的機能の回復や授乳状況及び精神状態の把握等を行うものであり、産後鬱の予防や新生児への虐待予防等を図る上で重要な取組でございます。
 都は、とうきょうママパパ応援事業におきまして、出産後二週間、一か月の産婦に対する健康診査を実施する区市町村を支援しておりまして、健康診査に係る費用について、一人当たり一回五千円を上限に二回分まで、区市町村負担分の二分の一を支援しております。
 令和三年度の実施自治体数は三区町村でございます。

○やまだ委員 都として、産後鬱の予防や新生児への虐待防止等にとって重要な取組だという認識をお持ちだということが分かりました。一方で、都の産婦健診支援事業は、実施をしている区市町村は三区町村にとどまっていることも今のご答弁で分かりました。
 私、地元の北区で、こういった産婦健診の支援事業について関係者との意見交換もしてまいりましたが、二十三区で、この産婦健診について必要性を認識し大変前向きに検討している区が多いということも伺ってきました。
 課題となることは、例えば北区だけで始めても、健診を実施している医療機関との契約が、例えば里帰り出産等も考慮すると、区内の医療機関だけでは対応できないことにあります。近隣、もっといえば二十三区、東京都内どこの医療機関でも産婦健診が受けられるよう仕組みづくりを開始する必要があると区の担当者はいわれていました。その対応に向けた打合せなども持たれているというお話もありました。
 産婦健診に係る助成事業が多くの区市町村で活用され、産婦支援の取組を推進していくことが必要と考えますが、こういった区市町村の取組、検討状況も確認をしながら、都がどのように働きかけていくのか伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、区市町村の保健師等を対象とした母子保健研修におきまして、産後鬱の予防について取り上げ、産婦健康診査の実施を促すとともに、区市町村への事業説明会等におきまして事業の趣旨を丁寧に説明しております。
 一方、現在多くの区市町村では、新生児訪問や三、四か月健康診査で母親の精神状態の把握等を行っている状況がございます。
 こうした区市町村の実施状況等も詳しく聞きながら、多くの自治体で産婦健康診査の取組が進むよう、来年度、より積極的に働きかけてまいります。

○やまだ委員 区市町村では、新生児訪問、これは法定の新生児訪問や、三、四か月の健診でのお母さんの健康状態を把握している取組が多いというご答弁でありました。
 法制化されている新生児訪問や三、四か月健診は、赤ちゃんの成長に関する点が中心でありまして、鬱傾向を測るエジンバラ産後鬱病質問票、いわゆるEPDSのやり取りが、確認していく作業が位置づけられてはいません。産婦健診ではこのEPDSが必須となっており、有効かと考えております。
 しっかりと区市町村がそれぞれ行っている、協議している内容も都として把握をしていただきながら、区市それぞれに対しての支援とともに、全体的な支援を見て、率先して行っていただきたいと思います。
 多分、医師会や東京都との協議が必要になってくるかと思いますので、そういったことも踏まえて、都として全体で行えるような仕組みを支援していただきたいと要望しておきたいと思います。
 そして、この点について、やはり本来であれば妊婦健診と同じ法的な位置づけを持たすことで、産婦健診も進むと思います。これは国に対しての要望になりますので、ここでは、ぜひ国との協議や意見交換の場を活用して、産婦健診の法制化も意見の中に出していただきたい、このことについては要望させていただきたいと思います。
 最後に、老人クラブの活動支援について伺いたいと思います。
 老人クラブは、地域を基盤に、高齢者が様々な趣味活動や地域貢献の取組をしている。高齢者が住み慣れた地域で元気で生き生きと暮らしていくに当たっては、こうした生きがいづくりや社会参加の場となる老人クラブの活性化を図ることは大変重要であります。特に、コロナの影響で外出がしづらい高齢者にとって、老人クラブの存在は大変大きくなっています。
 そこでまず、老人クラブについて、都の支援に係る取組の現状と課題について伺いたいと思います。

○山口高齢社会対策部長 身近な地域における高齢者の自主的な取組である老人クラブ活動は、地域の見守りや支え合いに資するとともに、社会参加を通じて介護予防にも有効でございます。
 このため、都は、ボランティアや健康づくりなど、地域における様々な老人クラブ活動に対して、区市町村等を通じて支援しております。
 一方、老人クラブでは、新規加入者の減少や会員の高齢化、また、それに伴う役員等の後継者不足などが進んでおりまして、会計帳簿の作成など事務作業の担い手の確保が課題となっております。

○やまだ委員 後継者不足、そして事務作業の担い手の確保が課題であるということでありました。
 近年、高齢者人口が増加しているにもかかわらず、老人クラブ数及び会員数は年々減少をしています。ただいまご答弁があったとおり、老人クラブの方々からは、決算帳簿の作成や補助金の申請手続といった様々な事務作業を担う役員の後継者不足が大変課題となっている、活動を継続していくことが難しいと、私たち自民党の会派にも要望が出ております。
 これまで自民党としても、老人クラブに対しての支援をこの間求めてまいりましたが、改めて伺いたいと思います。老人クラブのこうした実情を踏まえた都のさらなる支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○山口高齢社会対策部長 お話のような、老人クラブを取り巻く状況を踏まえ、活動継続への支援を強化するため、来年度から、老人クラブ活動継続支援事業を開始いたします。
 具体的には、区市町村が企業退職者など事務手続や広報活動等に詳しい人材による事務お助け隊を組織し、各クラブのニーズに応じて、会計事務の臨時的な支援や新入会員獲得のための助言等を行うことで、老人クラブの活動継続を図る取組を支援いたします。これにより、各老人クラブにおいて事務の負担等が軽減され、活動の活性化や後継者の確保につながることが期待されます。
 引き続き、老人クラブが安定的、継続的に活動できるよう支援してまいります。

○やまだ委員 ありがとうございます。
 事務お助け隊を組織して支援をしていただけるということでありました。この新たな取組に期待をしています。
 また、都は、DX化、デジタル化を推進しています。こういった老人クラブの中においても、DXの推進に協力いただけるような、そういった仕組みづくりもできるのかなとも考えております。
 社会を支える高齢者の方々、その社会参加が一層進むことを、都の支援において進むことを求めて、質問を終わらせていただきます。

○桐山委員 それでは、私から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、ワクチン接種の関係につきまして質疑をさせていただきたいと思います。
 コロナの感染拡大もやや落ち着きつつある中で、約二か月ぶりに、今週月曜日ですか、五千人を下回りました。蔓延防止等重点措置も二十一日で解除をする前提で国へ要望したとのことですが、まだまだ感染者数の動向を見ても、高水準であることは変わりはないかと思います。知事は、高止まりが続く現状の改善策ということで、武器はワクチンの接種ということで、これをより一層加速していくことが何よりも重要と考えていると述べております。
 さて、東京都においては、十四の大規模接種会場がありまして、大体一日最大件数、一万九千人程度の接種体制を準備もされています。
 先日なんですが、友人の引率で東京ドームの接種会場へ行きました。行った際に外で待っていようかなと思ったんですが、同伴者は一名入れるということだったので、少し中を見ることができました。
 この東京ドームは、入場いたしますと、ジャイアンツのマスコットのジャビットがお出迎えをしてくれたりですとか、スタッフ全体がオレンジ色のジャイアンツのベストを着られていて、たくさんいらっしゃったり、あるいは、飲料水と、あとはジャイアンツのマスクだったりとか、ステッカーですとか、そういったものも接種をされた方にはお配りをされていたりと、なかなかちょっとテンションが上がるかなというような取組環境だったなというふうに思います。
 また、そのときに感じたんですけれども、予約をするときに、少し大規模接種会場の空きが目立っているなということと、あわせて、現地に出向きました際も土曜日だったんですが、やはり若干、こんなに少ないのかなという印象も持ったところでございます。
 そんな中で、都の大規模接種会場の運営状況と来場者を増やすための取組について、現在どのように行われているのかお伺いしたいと思います。

○山本高齢者施策推進担当部長大規模接種施設企画調整担当部長兼務 都の大規模接種では、昨年十二月に医療従事者等から接種を開始し、会場を順次開設するとともに、接種対象を教育、福祉関係者などのいわゆるエッセンシャルワーカー、さらに、十八歳以上の都内在住、在勤、在学者へ順次拡大しながら、現在は十四会場において、一日当たり最大一万九千人程度の接種が可能でありまして、三月十四日時点での追加接種の実績は、計約十二万一千回となっております。
 より多くの方に接種いただくため、都はこれまでも、会場の開設時や接種対象の拡大時などを捉えまして、エッセンシャルワーカーの関係団体や職域による追加接種を実施していない企業、大学へ情報提供を行い、接種対象となる方への周知を図ってまいりました。
 さらには、多様な接種機会を用意するため、昨日から、行幸地下、立川高松、東京ドームの三会場におきまして、事前予約なしでの接種を開始いたしました。
 今後とも、こうした取組により、接種を加速してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 ただいまご答弁いただいたように、若干、平日ということで空きが少しある状況ということと、週末にかけて少しずつ埋まってくるのかなというような傾向があるというふうなご答弁だったかと思います。また、三会場で、昨日からですか、予約なしで接種も可能とされて、これらも含めて、よりよい接種の環境というものを引き続きつくっていただきたいなというふうに思います。
 また、今のワクチン大規模接種会場の空き状況といいますか、見てみますと、様々な要因があるとは思うんですね。以前、ファイザー、ファイザーで打っていらっしゃる方がモデルナ接種ということで、いわゆる交互、交差接種で受けられる方々の懸念されているということとか、あるいは、前倒しの接種が六か月になったことをまだ知らない方もいるのではないかということ。
 また、私もそうだったんですけれど、接種券が届いたときに、ああ、慌てて予約しなきゃなんて思ったときには、自分はまだ六か月たっていなかったみたいな、手元に届いているけどという、そういった状況で、まだ六か月を経過されていない方もまだまだいらっしゃるということで、これから増えていくことだと思いますので、今後も広報の内容等も工夫をしていただきまして、接種を加速する取組をぜひお願いしたいというふうに思います。
 また、予約なしで、今回この三会場、進めていますけれども、予約なしも、どういった時間帯で、どういった方々がこういったところにいらっしゃって接種を受けられているのかということもぜひ調査をしていただけたら、今後参考になるのかなというふうに思います。
 大規模接種会場ということで、一言申し上げたいことがあります。それは、昨日の東京ドームの一件です。
 昨日、都の大規模接種、東京ドーム会場におきまして、ワクチン接種に反対する団体が押しかけ、入り口を封鎖した結果、接種業務が一時間ほどストップする事態になったとのことです。警視庁も出動し対応されたとのことですが、明らかにエスカレートをしておりまして、今後ほかの会場でも同じことが起きる可能性も十分あるのではないかというふうに考えております。
 今回のことで、また、あるいは今後、そのようなことが起こる可能性があることで、接種会場から足が遠のくようなことがあってはならないと考えております。都民に安心して接種をしていただける環境を担保することも含め、都の責任でもありますし、再発防止に向けて毅然とした対応も必要です。
 昨日の今日の出来事ということで、今回質問はしませんが、被害届の提出、あるいは警視庁と連携して警備強化も含め、至急検討していただくように、これは強く要望をしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、小児ワクチンの接種のことについてお伺いをしていきたいと思います。
 小児ワクチンは、五歳から十一歳が承認され、接種がスタートをしたところであります。以前より、こちらは賛否いろいろな声がある中で、あくまでもこれは任意接種ということです。
 現時点での都内の新型コロナウイルスの感染状況を見ますと、全体的に減少傾向、先ほども申し上げましたが、まだまだ予断も許せない状況です。このうち約二割が十歳未満との報道もありまして、一方で、都内における五歳から十一歳の小児のワクチン接種というものも、二月二十六日に足立区で接種も開始をされ、現在では約四十八区市町村で接種が行われているとのことです。
 そこで、小児接種の接種体制については区市町村で構築をしていると聞いておりますが、実際の接種体制がどのようになっているのかお伺いをいたします。

○村本新型コロナウイルスワクチン担当部長 各区市町村では、地域の実情や地区医師会との調整状況などを踏まえて、個別接種や集団接種、区市町村間の連携などを組み合わせて、小児の接種体制を整備しております。
 具体的には、個別の医療機関のみでの接種が八自治体、集団接種会場のみでの接種が十七自治体、個別接種と集団接種を組み合わせての接種が三十六自治体、他の区市町村と連携して接種を行う自治体が一つとなっております。
 また、集団接種会場には基本的に小児科医が配置され、小児への問診は小児科医が直接行うなど、きめ細かな対応を行っております。
 あわせて、都も三楽病院におきまして、今週月曜日から、週二日接種日を設け、親子が同じ日に接種できる体制を用意しております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 最後のご答弁の中にもありましたように、先ほども大規模接種会場の質疑させていただきましたが、親子接種もスタートをされたということでございます。こちらの方もまた、どういった状況で来られているのかということも含めて、ぜひ調査をしていただきたいなというふうに思います。
 ただいまご答弁にありましたように、区市町村が地域の実情に合わせて、工夫を凝らして接種体制を構築していることを理解させていただいたところです。
 一方で、コロナのワクチンは副反応が懸念をされておりまして、大人はワクチン接種をして副反応というものが示されておりますけれども、子供がどういった副反応があるのかということも、まだなかなか分からないというような状況だと思います。
 それに伴いまして、接種に迷っている親御さんからの様々な声も私のところにも届いているわけでございまして、もうこれは全てにいえるんですが、やはりヘルスリテラシーを高めていくということが大変重要かなというふうに思います。
 情報収集が苦手な人にでも理解できるように、情報をこれからも提示をしっかりとしていく必要があると考えておりますが、そこで、小児接種に関する都民への情報発信はどのようになっているのかお伺いをいたします。

○村本新型コロナウイルスワクチン担当部長 都はこれまで、ワクチンの安全性、有効性のほか、副反応の症状の例や発現割合、対処方法など、必要な情報につきまして、ポータルサイト等を通じて分かりやすく発信しております。
 小児の接種に当たりましては、家族で話し合う際の参考になるよう、ワクチンの効果や接種当日の留意点など、接種のポイントについて簡潔にまとめたリーフレットを専門家の意見も踏まえ、都が独自で作成しております。
 また、副反応が心配で接種をちゅうちょされている保護者の方に向けて、接種前の準備として、副反応への具体的な備え方のほか、育児や家事支援サービスのリンク先などを記載したリーフレットの作成も行っております。
 こうしたリーフレットはホームページで広く発信するとともに、学校や子供に関係する施設等とも連携して周知を図ることで、接種のことを具体的に考えていただくきっかけづくりを行ってまいります。

○桐山委員 接種を予定している保護者向けのチラシも作成をされて、都のホームページでも確認することができるということです。副反応が出た際の相談先や必要な事前準備などが記載されていることも理解をさせていただきました。
 また、大人と違って、ワクチンの接種の記載ができるように、母子手帳の持参ということも持ち物の中に記載もされているということも−−個々、区市町村の接種券配布の際にも注意事項、持ち物ということでも書かれているかとも思います。そういったことで、結構、母子手帳を忘れていらっしゃる方も多いというふうに伺いますので、その辺りもしっかりと周知をしていただきたいと存じます。
 次に、接種の不安材料に挙げられているのが、小児用ワクチンと十二歳以上のいわゆる大人のワクチンとの違いについてです。
 小児の接種は子供用ワクチンを使用しますが、わざわざ小児用のワクチンを使用するということは、大人用のワクチンと比較しても効能が大きく違うことが想像できるわけです。できるなら、十二歳になる前に接種を終わらせたいという多くの意見も聞いているところであります。
 そこで確認ですけれども、一回目の接種を小児用のワクチンで接種した後に、二回目の接種をする前に十二歳になってしまった場合も考えられると思いますが、この場合は、小児用なのかそれとも大人用なのか、どちらを接種する方が望ましいのかお伺いしたいと思います。

○村本新型コロナウイルスワクチン担当部長 国の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会では、一回目を小児用のワクチンで接種し、二回目を十二歳以上のワクチンで接種した場合の有効性、安全性については明らかになっていないと示されております。
 また、一回目を小児用で接種し、二回目接種までの間に十二歳に達した者に十二歳以上用のワクチンを接種することとした場合、十二歳以上用のワクチンを取り扱わない医療機関では、当該小児の二回目接種に対応できず、現場の運用に支障を来す可能性があるとも指摘されております。
 これらを踏まえまして、国が先月二十一日に改正した新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種実施要領では、一回目の接種時に十一歳であった者に対し、五歳から十一歳用のワクチンを使用した後に当該者が十二歳になった場合につきましては、二回目も五歳から十一歳用のワクチンを使用することと定められております。

○桐山委員 一回目を小児用で接種した場合、二回目の前に十二歳に達しても小児用ワクチンを使用するということが分かりました。ありがとうございます。
 感染拡大を防止するには、多くの方にできるだけ早くワクチンを接種していただくことが重要かと思います。今後は、四月からですか、十二歳から十七歳の追加接種が承認された後、順次進んでいくかというふうにも聞いておりますけれども、そちらの方も、モデルナじゃなくてファイザーじゃないかという声もあるので、その辺の供給も非常に心配しています。今現場でもファイザーがないということで、モデルナにほとんど切り替わっているので、こういった声も柔軟に、ぜひ国に要望していただきたいと思いますし、こういった日々変わるワクチン業務もそうなんですが、非常に各区市町村が事務に追われている状況です。
 そんな中で、いわゆる誤接種、誤って打ってしまったという、先ほどの六か月ということがあったと思うんですが、たまたま六か月たっていないのに予約してしまって、受付ではね返されて、今日は無理です、お帰りくださいといってトラブルになっているケースや、あるいは双方が、打つ側もそうですけれども、予約する側も確認のミスで誤って六か月を持たずして打ってしまったというケースも中には報告が上がってきているかと思います。
 こういったことで区市町村もかなり事務量が、先ほどもいいましたように増えているので、できるだけこういった重大事故につながらないように、ぜひスムーズに行えるように、東京都といたしましてもぜひご支援、サポートの方もよろしくお願いをしたいというふうに申し上げておきたいと思います。以上でワクチン接種については終わります。
 次に、公衆衛生医師の確保についてお伺いをしていきます。
 新型コロナウイルスへの対応によりまして、業務が逼迫する保健所に対しまして、都はこれまでも人的支援を行ってきました。保健所の現場からは、公衆衛生医師の不足が深刻との声が上がっています。
 公衆衛生医師は、保健所の所長や感染症対策の課長を務める医師であり、感染症対策の要ともいえる存在です。コロナ禍において、感染対策の指揮官として、公衆衛生医師の重要性が改めて社会認識もされているところです。
 そこで、都内公衆衛生医師の充足状況とこれまでの公衆衛生医師確保に向けた都の取組について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都内の公衆衛生医師の配置数は、本年三月一日現在、都の定数に保健所設置区市の配置希望数を合わせた百七十四名に対しまして、六十八名少ない百六名となっております。
 これまで都は、公衆衛生医師の安定的確保に向け、SNSや医師求人情報サイトへの広告掲載のほか、医科大学での公衆衛生医師業務に関する講義や保健所業務説明会の開催など、様々な媒体や機会を活用し、公衆衛生医師の確保に向けたPRに取り組んでおります。

○桐山委員 都は、SNSや医師求人情報サイトへの広告掲載のほか、医科大学での公衆衛生医師業務に関する講義、保健所業務の説明会の開催など、様々な媒体、機会を活用しながら、公衆衛生医師の確保に向けたPRに取り組んでいらっしゃるということは理解をさせていただいたところです。
 しかし、都内で働く公衆衛生医師は、長い間、不足というものがなかなか解消されないままとなっています。これまで、我が会派として、代表質問や予算委員会、コロナ対策特別委員会などの機会を捉えながら、安定的な人材確保に向け、さらなる取組を求めてまいりました。そうした我が会派の働きに対しまして、都は、効果的な対策の検討に向けて、今年度、医学生を対象に意識調査を実施すると答弁をいただきました。
 そこで、今年度実施してきた医学生等に向けた意識調査の概要とその結果についてお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、さらなる公衆衛生医師の確保促進策の検討に向け、昨年十月から十一月にかけ、全国八百三十五名の医大生を対象に、公衆衛生医師業務の認知度や就職意識等に関する調査を実施いたしました。
 回答内容につきましては、現在詳細な分析を進めているところでございまして、単純集計となりますけれども、公衆衛生医師についての認知度については、約八割の方が知っている、またはある程度知っていると回答されている一方で、都の公衆衛生医師の業務内容等まで知っているという回答は一四%にとどまっております。
 また、都の公衆衛生医師の給与水準や休暇制度等を示した上で、就職先として意識できるかといった質問には、五割を超える方が意識できると回答し、その理由として、週休日等が確保されていることや育児と仕事の両立が可能であることなどが挙げられておりました。
 さらに、住宅借り上げ制度があった場合の活用意向についての設問では、借り上げ住宅に入居したいと貸与状況によっては入居するかもしれないという回答が合わせて約九割となっております。

○桐山委員 都内で従事する公衆衛生医師の実情をしっかりお示しをした上で、公衆衛生分野で働くということについて率直な意見を求められたことは評価をしたいと思います。
 また、ご答弁にありましたように、選択項目以外にもそれぞれの質問で自由意見ということで質問しているということ、それによりまして、多くの意見も受けているというふうに伺ったところです。そうした生の声をどのように施策に反映して、人材の確保という成果につなげるかだと思います。
 そこで、調査結果も踏まえ、今後も都は不足する公衆衛生医師の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 保健所が健康危機に迅速かつ機動的に対応するためには、公衆衛生医師の安定的な確保が必要不可欠でございます。
 先ほど答弁いたしました医学生等への意識調査の結果も踏まえまして、来年度予算案には、公衆衛生医師の業務の内容やその魅力をさらに分かりやすく周知するため、採用案内ホームページのリニューアルやSNS、医師求人情報サイトを活用したPRのさらなる強化を計上しております。
 また、これまで、保健所において集合形式で実施しておりました業務説明会につきまして、新たにオンライン形式も取り入れ、より多くの方に都の公衆衛生医師業務に関心を持ってもらえるよう取り組んでまいります。
 さらに、公衆衛生医師のための民間アパート等の借り上げを実施いたしまして、若手医師も安心して就職していただけるような環境を整備してまいります。
 こうした取組により、公衆衛生医師の安定的確保に向け、より一層取り組んでいく所存でございます。

○桐山委員 これからも様々に求人サイトを活用し、PRをしていただきながら、求人募集の強化を図っていただくということ、そして、今ご答弁にありましたように、民間アパート等の借り上げを実施されて、若手医師が安心して就職ができる環境を整えていただくということです。これは非常にいい取組だなというふうに思います。
 我々といたしましては、給与の引上げというところで、最終的に反映をしていただきたいところではありますけれども、入り口として、本当に不足する医師の確保に向けて、家賃補助的なアパートの補助という部分につきましては、非常に大きな取組ということで評価をしたいと思います。
 これからも、安定的な人材確保に向けて、どうぞ引き続きご努力をいただきますようよろしくお願いいたします。
 次に、障害者への情報バリアフリーについて質疑を続けていきたいと思います。
 コロナ禍におきまして、日々の日常生活の変化とともに困難を要している方も多く、対面してのコミュニケーションを取りたくても取れない状況などもまだまだあると聞いております。
 東京都は、都障害者差別解消条例の中で情報保障が明文化をされております。また、東京二〇二〇大会に向けて、ハード、ソフトの両面から、この条例の趣旨に沿ってこれまでも取り組んでこられたかと思います。
 先ほどもやまだ理事の方からも出ておりましたが、現在はデジタル技術ということを活用したコミュニケーション手段の普及、そして、国による電話リレーサービスの公共インフラ化などが非常に進みまして、障害者が必要な情報を容易に入手できるための取組は社会にとって必然的なものになりつつあります。今後、情報バリアフリーはさらに充実していく必要があると考えます。
 そこで、都は、現在どのように障害者の情報バリアフリーに取り組んでいるのか伺います。

○中川障害者施策推進部長 障害等により情報を得ることが困難な人が、手話や筆談、点字などの多様な手段により、円滑に情報を取得し意思疎通ができるよう、東京都差別解消条例は情報保障を基本的施策に位置づけております。
 また、東京都障害者・障害児施策推進計画では、情報バリアフリーの充実を掲げておりまして、点字録音刊行物の作成、手話、字幕入り映像の制作、手話通訳者、要約筆記者の育成のほか、東京都障害者IT地域支援センターに専門相談員を配置し、障害者等からのデジタル機器の利用相談などを行っております。
 東京都福祉のまちづくり推進計画におきましても、様々な障害特性等に配慮した情報バリアフリーの推進を基本的視点の一つとしておりまして、今後とも、障害者の情報保障の充実に向けた環境を整備してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 前回の事務事業の際は、聴覚障害者ということで絞らせていただきながら質疑もしたところです。このコロナ禍、前回の事務事業でも申し上げましたように、聴覚障害の方は遠隔手話通訳のサービスという、この導入があり、非常にコロナ禍においても活用のメリットを感じるということのお話もいただいているところです。
 また、先ほども申し上げました電話リレーサービスということの普及も、東京都の方からも、できるだけ多くの聴覚障害をお持ちの方に知っていただくということ、市区町村にもぜひ働きをかけて、国の制度ですけれども、しっかりと引き続き周知もしていただきたいというふうにも、併せてお願いをするところであります。
 情報バリアフリーをこれからも推進していっていただきたいんですけれども、その中で、今、東京都聴覚障害者連盟、これ、私ども議員もですけれども、あるいは局側にでもそうですが、毎年、手話言語条例を策定してくださいというのと併せて、デフリンピックを東京都で招致してくださいというような要望が上がってきているかと思います。
 現在、東京都聴覚障害者連盟や全日本ろうあ連盟の方々は、二〇二五年に国際大会であるデフリンピックを、東京都の招致に向けて活動し、様々要望、働きかけを行われていると伺っております。我々といたしましても、これまでも何度も質問の中で、国際スポーツ大会の誘致をぜひしてほしい、デフリンピックに向けて、招致をしてほしいというような内容のものも質疑をさせていただきました。
 所管は、スポーツとなるので、どうしてもオリ・パラ準備局が答弁をすることになっておりますが、先ほども申し上げましたように、やはり障害者への理解の促進とそして差別の解消、また情報バリアフリーの充実ということで、真の共生社会の実現に向けて、こういったことの後、オリ・パラもそうでしたけれども、しっかりレガシーということで築いていかなきゃいけないということだと思います。
 そういったことも含めて、今後とも、オリ・パラ準備局だけが考えるものではなくて、局としてもぜひ今後とも関わり合いを持ちながら、注視をしていただきたいこと、意見として申し上げておきたいと思います。
 次に、聴覚障害児の支援中核機能モデル事業についてお伺いをしていきたいと思います。
 これも以前、聴覚障害者に絞って質疑をさせていただいた中で、現在、聴覚障害児に対する協議会の設置ということで、来年度設置に向けて動いていらっしゃるとは思います。
 その中で、今回、中核機能モデル事業の中には、聴覚障害児支援の関係機関との連携ということと、家族支援の実施、巡回支援の実施など、協議会の設置の後に、いわゆる拠点を設けていかなければいけないということで、国は、令和五年度末までに設置を求めている事業であります。
 難聴児支援に関する中核機能の在り方につきまして、現在どのように検討をこれから行っていくのかお伺いしたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 難聴児を早期に発見し、早期療育などによる言語、コミュニケーション手段の獲得や、切れ目のない支援につなげるためには、保健、医療、福祉、教育の連携が必要であります。
 国は本年二月、難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針を策定し、都道府県の役割の一つとして、関係者が連携して難聴児支援を行う中核的機能の設置を掲げております。
 都は来年度、医療機関や療育機関、教育機関等の関係者などで構成する協議会を設置いたしまして、国において実施したモデル事業の成果なども踏まえながら、難聴児と保護者に対する相談対応や情報提供などを担う中核的機能の在り方について検討を進めてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 国の方は、中核機能のモデルのイメージとして、一体型、連携型、派遣型と三つ示されております。その中で、いわゆる一体型というのが特別支援学校の敷地内ということで想定イメージとして掲げられておりまして、連携型、それから言語聴覚士など専門職を派遣する派遣型、そういったものも具体的に示されております。
 令和五年度末というと、そんなに時間がないわけでございまして、大塚ろう学校に視察をさせていただいた際に、敷地内には乳幼児相談というものが現在、もう事業として、これ教育が実施しているんですけれども、ございます。これも大変好評です。
 そして、大塚ろう学校は手話も口話もバランスのいいろう学校ということで、教育についても、児童発達支援ということでの療育におけますそういった教育課程においても、非常にいい学校だなというふうに視察をしながら改めて思ったところです。
 こういった乳幼児相談というものが事業として実施をされているので、私は、一体型として、ぜひ、まずは大塚ろう学校の敷地内に児童発達支援事業等を設けていただけないかなというふうに考えるわけであります。これはあくまでも私の主観としてお話をさせていただいておりますが、時間がない中ではありますので、しっかりと様々なご検討のほどをお願いしたいというふうに申し上げておきます。
 次に、子育ての方から何点か質問したいと思います。
 まず、とうきょうママパパ応援事業についてです。こちらの方は、かなり代表質問や予算委員会、様々な機会で質疑があったところです。
 とうきょうママパパ応援事業は、区市町村において、妊娠、出産、子育てと切れ目ない支援体制を整備するために重要な取組です。このうち、必須事業である妊婦全数面接、また育児パッケージなど、多くの自治体で取り組んでいます。
 一方、産後の家事、育児を支援するサポーターの派遣事業などは、これは任意事業ということで、なかなか取組が進んでいない自治体も見受けられます。ぜひ取組を進めていただきたいと思います。
 都は、区市町村に対し、どのように働きかけていくのかお伺いしたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、産後の家事、育児を支援するサポーターの派遣など、とうきょうママパパ応援事業の任意事業についても取組を行う区市町村が増えるよう、説明会等におきまして、事業の趣旨を丁寧に説明しております。
 また、各自治体の取組状況を一覧にして提示するほか、実施自治体での取組事例を紹介しております。未実施自治体に対しましては、ヒアリングを実施し、各自治体の状況を確認しながら個別に働きかけるなど、事業の活用を促しております。
 引き続き、より多くの自治体に任意事業に取り組んでいただけるよう、積極的に働きかけてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 私もこの取組一覧というものを見させていただきますと、区市町村、本当に様々な取組を行っていただいておるところです。特に、任意事業でありますものは、やはり多摩地域での取組がやや少ないんじゃないかなというふうに感じるわけでありまして、我が西東京市も頑張ってやってほしいなというふうに思っているところです。
 現在では、十分の十、非常に補助率高いということで、取組を行いやすい仕組みづくり、財政支援を行っていただいている現状もある中で、非常に私も悩ましいなと思うんですが、財政的に厳しい区市町村にとりましては、三年後、五年後に補助率が下がってきて、そこを全額負担しなきゃいけない、半分でも負担しなきゃいけないとなったときには、やはりちゅうちょするのは当然あると思いまして、今後とも、こういった任意事業、なかなか手を出しにくい自治体があることを十分認識する中で、ぜひ引き続きしっかりとプッシュをしていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いします。
 さて、この任意事業の中の新規事業の中では、家事支援用品の購入支援の取組を行う区市町村を支援することとしております。併せて家事育児サポーターの派遣の取組が進むようにすべきと考えておりますが、見解を伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は来年度、家事育児サポーターの派遣を実施している区市町村を対象に、家事支援用品の購入支援の取組を支援いたします。
 一方、コロナ禍で家事育児サポーターとして活動可能な人材を確保できず、派遣事業を開始できない自治体があることが想定されております。そうした自治体におきましてもサポーター派遣の取組が進むよう、令和五年度の実施を要件に、来年度につきましては家事支援用品の購入支援のみの実施もできることといたします。

○桐山委員 ありがとうございます。
 コロナ禍で、家事支援ヘルパーが家庭になかなか入れない状況などもありまして、時短で便利に使えるスマート家電などの購入費助成支援ということの取組、この予算化は非常に評価をするところです。
 今回、この新規事業を機に、先ほど申し上げました任意事業にまだ取り組んでいない区市町村が、ぜひこれを契機に取り組んでいただくという策ということで、今回、五万円の補助事業だと思います。
 しかしながら、よく読み込みますと、令和五年から家庭支援事業、家事、育児支援の事業を、条件ですよということが明記されているわけです。派遣の業者、事業所がなかなか見つからないんだという声も聞いている中で、これまでもそういった声を受けて、区市町村の中にこの事業所一覧表を出していただいたりというご努力も聞いております。
 そんな中でもなかなか見つからない、そういった場合は人材育成ということで補助をつけているから、そっちで頑張って人材育成してほしいと、そういったことの補助をつけていただいていることも、私も十分承知をしております。
 引き続きそういった、踏ん張りながらでも悩ましくて、まだ、どうしたらいいんだってなっている区市町村があると思いますので、そちらの方も引き続き寄り添いながら、ぜひ後押しをしていただくように心よりお願いをして、この質問は終わりたいというふうに思います。
 次に、保育関係、少しさせてもらいます。認証保育所について伺っていきたいと思います。
 保育所の待機児童対策というものは、これまで知事の就任以降、最重要課題として取り組んできました。その結果、昨年四月の待機児童数は千人を切っている状況で、確実に効果も出ていることも分かるところです。
 一方で、待機児童が解消されてきますと、都独自の、特に認証保育所等に影響が出てきています。地域によっては、様々差はありますけれども、大きな空きが目立ってきて、事業運営が大変厳しくなってきたという声や、育児休業を長く取られる傾向があるので、特に認証保育については、ゼロ歳児というものは一人当たりの単価が高いということで、やはりゼロ歳児がいなくなってしまうと非常に経営が困難であるというような、そういった声も私のところにも届いておるところでございます。
 これまでも、認証保育所というものを存続させていくために様々な改善を図ってきていただいていると思います。改めて確認をさせていただきますが、これまでの認証保育所制度の見直しの内容について伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、認証保育所が、事業者の創意工夫により、様々な都民の保育ニーズに対応できるよう、社会状況等を踏まえまして制度の見直しを行ってまいりました。
 今年度から、より柔軟な施設運営が行えるよう、定員数ではなく在籍児童数に応じた職員配置を可能とするとともに、三歳児までとしていた認証保育所B型につきまして、保護者のニーズを踏まえ、補助対象を就学前児童まで拡大いたしました。
 来年度は、地域の保育ニーズに柔軟に対応できるよう、ゼロ歳児保育の必須要件をゼロ歳児または一歳児に変更するほか、運営費補助の対象となる利用時間を一月当たり百二十時間以上から四十八時間以上に見直します。
 また、放課後の居場所づくりに資するよう、小学生を受け入れる仕組みを整備することとしており、今後も認証保育所が地域の多様なニーズに的確に応えられるよう、区市町村と連携しながら支援してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 これまでも保育事業所からの要望の一つでありました定員数ではなく在籍児童数に応じた職員配置を可能とする、これは非常に大きいことだったなというふうに思いますし、また、来年度からは、保育ニーズに柔軟に対応していただく中で、ゼロ歳児または一歳児に変更したり、運営費補助対象となる利用時間というものを百二十時間以上から四十八時間以上に見直す、これも大きいことだと思います。ありがとうございます。
 最後にありましたように、来年度から、認証保育所においては小学生を受け入れる仕組みを整備するとのご答弁もあり、予算化をされているところですが、なぜ認証保育所なのか、その理由と概要について伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は来年度より、きょうだい利用や学童クラブ終了後の預かり等のニーズに対応するため、認証保育所が空きスペースを有効に活用して、小学生の放課後の居場所を提供する仕組みを整備いたします。
 認証保育所は、これまで地域の多様な保育ニーズに応えておりまして、こうした学齢児のニーズにも柔軟に対応し、学童クラブの待機児童の解消にも寄与していただけるものと考えております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 事業所からの多様な保育ニーズに対応できるように、柔軟に見直しをしてほしいというようなご要望もあることも、私自身も承知しているところです。
 認証保育所でも非常に大小ありまして、特に、ゼロ、一、二歳を扱っております小規模な駅前にあるような保育園につきましては、ゼロ歳児のスペースだと一人か二人かなというような声も聞いているところですけれども、なかなか学童クラブというような認識の中で運営をするというと、非常に厳しいのかなというふうに思っているわけであります。
 しかし、一方で、今ご答弁にありましたように、自分の保育所から卒園をした卒園児が帰ってきたり、あるいは、きょうだいで、まだ保育所に預けているけど、お兄ちゃんやお姉ちゃんが小学校に上がっちゃったとか、そういったきょうだいの利用ということで、こういったところも保護者の方が非常に安心できる環境になるのではないかなということでも、多様なニーズに応えられるのかなというふうに思います。
 こういった認証保育所を活用ということでも、引き続き取組を行っていただきたいと思いますし、こちらの方も区市町村がやるかやらないかを通して多分申請をするかと思いますので、区市町村次第かなというふうに思います。その辺りも、ぜひ柔軟な対応をお願いしたいというふうに思います。
 次に、学童クラブの方ですけれども、都は来年度より、学童クラブ待機児童対策提案型事業を創設いたしまして、区市町村が学童クラブ待機児童対策計画に基づいて実施する多様な取組を支援すると聞いています。
 そのうち、学童クラブ、新設、増設等の、まずはハード面での支援内容についてお伺いしたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、学童クラブの待機児童を解消するため、学校敷地内で午後七時以降まで開所する学童クラブを整備するなど一定の要件を満たす場合、区市町村負担分を全額補助し、整備促進を図ってまいりました。
 しかしながら、学校の敷地や余裕教室が不足しているなどの理由によりまして、補助要件を満たせない自治体もございました。
 このため、来年度から、待機児童対策計画を策定し、それに基づいて対策に取り組む場合は、これまでの要件にかかわらず、学童クラブの新設、増設等に係る整備費の区市町村負担分を都が全額負担することといたしました。

○桐山委員 ありがとうございます。
 これまでは、保育所の待機児童対策にすごく力を入れてきましたけれども、来年度からは学童、そこからやはり子供たちも年齢を重ねてまいりますので、今は学童クラブの待機児童が各区市町村に非常に増えてきているという状況を見まして、今回は学童クラブに非常に予算をつけられていることが分かるところです。
 そんな中でも、今ご答弁にありましたように、待機児童対策の計画を区市町村がしっかりと作成をして、いわゆる待機児童を解消してくださいよという計画なんですが、それに基づく場合は、要件にかかわらず、学童クラブのいわゆる新設、新たにつくっちゃうパターンと、増設、特に学校の敷地内の中によく学童クラブがありますけれども、その中に例えばもう一個増設したり、そういった関わる整備費の区市町村の負担分を都が全額補助するというのは、非常に注目すべき内容かと思います。
 こちらの方も、もう既に区市町村からのお問合せ等も多々あるかと思います。しっかりと、様々な取組事情があるかと思いますので、そちらの方も柔軟に話を聞いていただく中で取り組んでいただきたいと思います。
 次に、ソフト面ということでお伺いしたいと思いますが、区市町村に対するソフト面の支援内容について、補助基準額も含めてお伺いしておきます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 来年度から、待機児童対策計画に基づく取組であれば、整備費に加えまして、地域の実情に応じた創意工夫によるソフト面での経費につきましても、都が全額補助いたします。
 具体的には、放課後子供教室終了後の居場所や夏休みの預かりなど、国庫補助の負担にならない居場所確保の取組や保護者向けの広報、計画策定等に要する経費を想定しております。
 補助基準額は、一自治体当たり三千二百万円としておりまして、区市町村が待機児童対策計画に基づいた事業を提案し都が採択した場合には、全額補助を行う予定でございます。

○桐山委員 ソフト面におきましても、いわゆる具体的な例示を挙げていただきましたけれども、放課後子供教室終了後の残り二時間預けたいとか、あるいは夏休みだけ預かっていただくなど多様なニーズに応えられるように、学童クラブにこだわらずに、多様に−−解消ですよね、学童クラブの、どうしても預けたいのに預けられないというご家庭に対しての多様な子供の居場所、放課後の居場所づくりというところで、しっかりと区市町村が計画を立てて、もちろん学童の解消ということが最終目標にはあるわけですから、そちらの方にも整備費の補助があり、そして企画提案をしながら、例えば先ほどの認証保育所の学齢期の受入れもありましたけれども、そちらの方とも併せながら、保育所の方が、うちは預けられる、こんなに枠があるからここを使ってほしいというような声があったとしても、区市町村が計画に保育所を使うということを落とし込んでくれないと、保育所で預かる、この事業をすることができないという現状もあるかと思いますので、そういったことの説明とか、そういったものもしっかりと区市町村に周知をしていただいて、ぜひ学童クラブの待機児童解消に努めていただきたいというふうに思います。
 次です。それから、学童クラブの続きで、結構今でもそうなんですが、やはり二〇〇%超えとか、西東京も定員を設けていないので、全入制でどんどん入れるような形になっております。そういった中でもやはり保護者の声は、質は大丈夫、質を担保してほしいというようなお声も頂戴をしております。
 待機児童対策に向けた量の確保策だけではなくて、質の向上に向けた取組も重要だと思います。都の今後の取組について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、常勤職員を含めた二名の職員配置などを要件といたしました都型学童クラブ事業を実施し、質の向上に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 また、学童クラブの職員が必要な知識を習得するための研修に加えまして、昨年度より、この研修を修了した五年以上の勤務経験を有する職員を対象に、発達障害のある子供への対応や、保護者、学校との連携協力などに関する内容を盛り込みました資質向上研修を実施しております。
 さらに、来年度からは、第三者評価の受審を推進するため、都独自に補助率を引き上げ、区市町村の負担を軽減することとしておりまして、今後とも、学童クラブの量と質を充実する取組を推進してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 学童クラブということで、来年度から、第三者評価の受審を推進するための都独自の補助率も引き上げていただくということで、区市町村の負担が軽減される、こちらも非常に重要なことだと思います。ぜひ、質の担保ということでの取組、引き続きお願いをしたいというふうに思います。以上で学童クラブについては終わりたいと思います。
 次に、女性の健康支援について質問したいと思います。
 まず、更年期の女性特有の悩みや不安に対応する支援が大変重要かと考えます。都の見解と取組について、まず伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 更年期の症状は様々であるため、正しい情報の発信や気軽に相談できる環境整備は重要でございます。
 都は、女性の健康な生活や女性特有の病気に関する情報を集約したポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部におきまして、思春期から更年期にかけて女性ホルモンが心身に及ぼす影響について解説するとともに、女性のための健康ホットラインなど、悩みに応じた相談窓口を紹介しております。
 また、女性のための健康ホットラインにおきましては、思春期から更年期に至る女性の心身の健康に関する悩みに看護師等の専門職が電話やメールで対応しております。
 また、更年期特有の症状や婦人科の病気などに関する相談支援、健康教育、普及啓発などに取り組む区市町村を支援しております。

○桐山委員 ありがとうございます。これまでの取組についても確認させていただきました。
 都は来年度、東京ユースヘルスケア推進事業におきまして、思春期から更年期までの健康支援の取組を拡充するとのことですが、その内容を改めて伺っておきます。

○奈良部少子社会対策部長 先ほど申し上げましたとおり、都は現在、女性の健康に関する講座や動画作成、産婦人科医による相談等に取り組む区市町村を支援しております。
 来年度は、区市町村において、普及啓発に加え、女性の健康に関する相談支援の取組が一層進むよう、相談支援を実施する場合の補助率を従来の二分の一から十分の十に拡充することとしておりまして、思春期から更年期までの健康上の悩みを抱える方への支援を充実してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 東京ユースヘルスケア推進事業の中ですけれども、若年層には今までもかなり光が当たってきたかなというふうに思うんですけれども、やはり中高年世代の女性の健康というのが、これからクローズアップされていかなければならないのではないかなというふうに、私自身考えています。
 自分自身もそういった世代になっておりますけれども、私もずっとこれまで健康づくりということと、もちろん女性の特有のがんですとか、そういった支援の拡充をしてほしいということを述べてきましたけれども、いわゆる更年期世代というと、ホルモンの増減で非常に体調不良を起こすというような状況があるわけでありまして、なかなかそういった悩みや不安、これまでも事業としてやっていただいておりましたけれども、どこに相談したらいいの、まず自分の現在地を知ろうという、そういった取組も今少しずつ声が上がってきている状況だと思います。
 そして、女性活躍ということで推進がうたわれておりますけれども、女性活躍と並行して、女性の健康を支援していくということを同時並行でやっていかないと、途中でホルモンが急激に降下をする状況の中で体調不良を起こすことが多くなって、これは鬱病なのか、それとも私、何かほかの病気があるのかしらとか、そういった状況も分からないまま仕事を続けられないという現状の女性も増えてきています。
 やはり責任ある職に就く−−この局の中にも非常に女性の職員の方々が多いかと思います。隗より始めよじゃないですけれども、ぜひ局内でも、こういった更年期世代の対策というものも、本当は総務局を挙げてやっていただきたい話なんですが、ぜひそういったことも注視をして、支援の充実に努めていただくということと、また、周りがもっと、男性も更年期があるんですが、女性の方が、やはりなかなか知られていない、なかなかいいづらいという状況もありますので、そういったことの対策も、引き続き必要かなというふうに思います。
 岸田首相が予算委員会のご答弁の中でも、女性の更年期障害が日常生活に与える影響について、今後、調査研究をして、その研究成果を施策につなげていきたいということで、二〇二二年度、来年度から実施をするということも明らかにされ、包括的な支援の取組も今後進んでいくということであります。
 私は、非常にこちらにも期待をしているところでありますので、同時に、東京都といたしましても、今回十分の十で、区市町村においてはこれまで補助率二分の一だった女性の健康に関する相談支援の取組が進むということで、相談支援の充実での補助率を十分の十に引き上げていただいたこと、こちらの方もしっかりと市区町村にも働きかけていただきたいことを要望させていただきたいと思います。
 次に、健康長寿医療センターにおいて開始するデジタル機器の活用事業というものがあったと思いますが、その詳細な概要について、まずお伺いします。

○山口高齢社会対策部長 東京都健康長寿医療センターでは、来年度から、センターが実施する追跡健康調査等に参加する高齢者約千五百人に、スマートウオッチ等のデジタル機器を装着していただき、日常の血圧や脈拍といったバイタル情報のほか、身体活動量等のデータの自動計測を開始いたします。
 その後、追跡健康調査等の測定結果と自動計測により収集したデータとを比較分析し、センターの知見を生かし、フレイルや要介護、高血圧症、糖尿病、不整脈など、多様な健康リスクとの関係性を解明いたします。
 さらに、民間企業等とも連携し、高齢者が手軽に健康状態や病気の予兆を把握できるアプリの開発等につなげ、高齢者がこのアプリ等を活用することにより、体調や運動量、睡眠等に留意するなどの行動変容を促すとともに、不調のときは迅速にかかりつけ医等に相談することで、病気の早期発見や重症化予防にも資することが期待されております。

○桐山委員 新型コロナウイルス感染症予防のために外出を控えることで、体を動かす機会が減って、人と人との交流が少なくなるということでの健康への影響が心配されるということをこれまでも述べてまいりました。
 そんな中で、やはりフレイルに陥らないための施策、手助けというものも大変重要かなというふうに思っておりまして、今回、ただいまご説明がありましたように、高齢者医療の専門病院であります研究組織も併せ持っている健康長寿医療センター、フレイルの研究も同時にしていただいておりますが、そういった専門的な知見も活用しながら、今回のデジタル機器を導入しながら、本事業に取り組んでいくということを理解させていただいたところです。
 そこで、高齢者にとりましては、スマートウオッチ等のデジタル機器については操作に不慣れな方も非常に多いかと思います。使い慣れないデジタル機器によって、適切なデータ収集ができなくなったり、あるいは事業への協力意欲がそがれないようにきめ細かい支援が求められるかと思います。
 本事業に参加いただく高齢者への具体的な支援はどのように考えているのか伺います。

○山口高齢社会対策部長 本事業は、高齢者に一定期間にわたりスマートウオッチ等のデジタル機器を装着していただき、データを収集する仕組みとなっており、事業の円滑な実施のためには、ご協力いただく高齢者へのきめ細かな対応が不可欠でございます。
 具体的には、本事業にご協力いただく高齢者に対し、事業の趣旨、目的や協力いただく内容等について十分に説明し、あらかじめ同意をいただく手続を踏むこととしております。
 また、スマートウオッチなどのデジタル機器を初めて使用される方も多くいらっしゃるものと想定されることから、機器の配布時に操作方法等を分かりやすく説明するとともに、使用中のトラブルについても即時に対応できるようコーディネーターを配置するなど、相談支援体制を整える予定でございます。
 このように、本事業に参加される高齢者の方々に安心してご協力いただけるよう支援してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 これまでもフレイル対策をしっかりと位置づけてほしいということも申し上げてきたところです。今回、スマートウオッチ等を使った活用事業なんですけれども、ウオッチということなので、時計ですよね。ふだん時計をつけていない高齢者の方々が多いかもしれませんけれども、今、デジタル機器、非常に進んでおりまして、特に医療機器としての時計となると、かなり高額でなかなか手が出せなかったりします。
 血圧が測れたり、脈拍が測れたり、あるいは万歩計機能もついていたり、自分の健康管理が時計一個でできる、多分時計一個で自分の自己管理ができる時代は、もうすぐそこまで来ているかと思うんですけれども、ただ、二十四時間四六時中ずっと時計をつけるという煩わしさは多分あるとは思うんです。
 やっぱり寝ているときの睡眠の質とかも見るのであれば、つけて寝なくちゃいけないしとか、正確なデータを取っていくために、今ご説明いただいたように、しっかり使い方を指導していただかなければならないというふうに思います。
 そんな中で、多分これ、データを収集して三年後には結果が出るとは思うんですけれども、時計をつけていない人がまず時計をつけて、常に自分の脈拍だったり、自分の状態を知ることができれば、これは本当、行動変容にすぐつながると思うんですよね、慣れてしまうので。なので、明らかにつけることによって健康意識が高まるという効果は、私はもうすぐに出るのではないかなというふうに想像できるわけです。
 今後、デジタルヘルスというふうにいわれていて、いわゆるAIやチャットボットやウエアラブルデバイスとか、ビッグデータの解析とか、そういった最新のデジタルを活用して、医療といわゆるヘルスケアの効果を向上させるという意味であるデジタルヘルスなんですが、これ、総務局の方で、健康医療DXを推進、今はデジ局ですけれども、次世代ウェルネスソリューション構築支援事業というものも一方でやっているかと思います。
 これはKDDIと連携を取りながら、健康アプリを通じて、健康の活動が、促進が効果を示していくんだということだと思うんですけれども、デジタルを使った健康づくりとなると、これから、例えばデジ局があるわけですけれども、そちらの方としっかりと連携を取っていただいて、できるだけ、今後、日常的な記録ができることが非常に重要になってくるかと思いますので、デジタルを活用した健康づくり支援というところで、昨年ぐらいから予算化もしていただいているものもあるかと思いますが、これからも引き続き、そういったデジタルを活用したヘルスケア、健康づくり事業推進を、他局と別々にやらないで、ぜひ効果が上がるような仕組みづくりを連携していただいて行っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○かまた委員 それでは、私からは、初めに子育て支援について質問をいたします。
 妊娠期から就学前にかけての子供とその家庭に寄り添いながら支援を進めていくことは、子育てに奮闘するお母さんやお父さんの精神的な安定につながり、そのお母さんやお父さんの精神的な安定は、その家庭で育まれている子供たちが安心して成長していく際の心の土台となるため、我が党も子育て支援に全力で取り組んでまいりました。また、今後も、ここにいる全員で取り組んでいきたいとも考えております。
 先ほどやまだ理事の質問でもありましたけれども、とうきょう子育て応援パートナー事業を立ち上げる背景につきましては、先ほど確認をしましたので、質問を省かせていただきますが、先ほどの答弁にもありましたように、母子保健と子供家庭支援センターの連携強化、そして子供と家庭に寄り添う、そして様々な支援をコーディネートというこのキーワードは、これまで子育て支援に取り組んできた東京都だからこそ把握できている子育て支援の課題であり、出産、子育てに奮闘している方々の大きな支えになる大事な要素であります。
 これまで都は、多くの子育て支援対策を進めてきましたけれども、支援の実施主体が各区市町村ということで、地域によっては具体的な支援内容に若干の差が生じております。
 そこで、本事業を進める上でも、ぜひより一層各市町村との連携を強化していただき、必要に応じては区市町村への支援を進めることを私からも強く要望させていただきます。
 また、就学前の子供を育てている方々と私も様々お話をする機会がありまして、よく耳にする言葉で、私が気になっている話があります。その一つが、出産前から就学前まで同じ方に関わっていただけると、何でも安心して相談できると思うけれども、支援が変わるたびに担当が替わると、なかなか悩みを打ち明けられないという話があります。また、様々な子育て支援サービスがあるけれども、かゆいところになかなか手が届かないという、そういう印象があるという話もよく伺います。
 このような声が上がる背景には、各自治体によって支援内容に若干の差があることとか、また、そもそも都民のニーズの多様化があるということがあると思いますけれども、ぜひこのとうきょう子育て応援パートナー制度というすばらしい事業を検討している今だからこそ、都民や利用者の声をしっかりと伺って、この制度があって本当に助かったと思っていただけるような、そのような制度にすべきであります。
 そこで、とうきょう子育て応援パートナー事業創設に当たり、制度の内容を検討ワーキングで検討すると伺っておりますけれども、有識者や区市町村の意見だけではなくて、利用者の意見も聞くべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 とうきょう子育て応援パートナー事業につきまして、都は来年度、検討ワーキングを設置いたしまして、児童福祉分野や母子保健分野に造詣の深い有識者や、子育て支援の中心を担う区市町村からの意見を取り入れ、制度の検討を行ってまいります。
 また、利用者の視点から制度を検討するため、インターネットを活用したアンケートを実施し、子育て家庭のニーズを把握してまいります。

○かまた委員 ぜひしっかりと利用者の意見を聞いていただきまして、せっかく頑張っている都の政策が、皆さんによかったと思っていただけるようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、続きまして、ひきこもりに係る支援事業について伺います。
 公明党はこれまでも、家族会などからの切実な要望を受けまして、国会議員と地方議員が協力し合って、ひきこもり支援を充実させてまいりました。
 東京都でも、ひきこもりサポートネットが開設をされまして、これまでも福祉保健局の皆様が様々な支援拡充に取り組んでくださっております。私自身も、様々な子供たち、また様々なご家庭と関わる中で、ひきこもりの問題は最重要課題の一つであると認識をしております。
 このひきこもりに係る支援を進める際には、当事者の方々の生活を守る支援と、また、当事者の方々が自分らしく生きるための支援など、様々な視点からのサポートが必要だと考えております。
 また、当事者の方々が自分らしく生きていくためには、早期に必要な手だてを講じることが重要であり、私自身もひきこもり傾向にある方と共に東京しごとセンターや病院に行く中で、その方が自分の状況を客観的に認識をし、また、自分自身の状況を知ることで、その方の自信が取り戻され、苦手分野を意識しながら就職活動に向けて努力を始めようとしている姿を目の当たりにする中で、ひきこもりの当事者が自分らしく生きるための支援を進めるためには、医療や福祉、教育など、個別のケースに応じた専門家の存在が必要不可欠であると実感をしております。
 都は、さきの予算委員会での我が党の質問に対しまして、令和四年度からひきこもりに係る支援事業の新規事業として、東京都ひきこもりサポートネットに多職種専門チームの設置を行うとありましたけれども、この多職種専門チームの設置をすることにした背景とその必要性について伺いたいと思います。

○高橋生活福祉部長 東京都ひきこもりサポートネットでは、電話、メール、訪問による相談を直接受け付けるほか、区市町村への相談に対する助言等を行っております。
 相談の中には、複雑困難な課題や複合的な問題を抱えるなど、支援が困難な事例がございまして、東京都ひきこもりに係る支援協議会の提言におきましても、専門的な支援を行う必要があるとされております。
 こうした困難事例につきまして、サポートネット及び区市町村において、より専門性の高い支援を行うため、ひきこもりサポートネットに医療、法律、福祉等の多職種で構成するチームを設置し、個別ケースにそれぞれの専門家が適宜助言するほか、支援方針等について総合的なアドバイスを行うケース会議を定期的に実施してまいります。

○かまた委員 ありがとうございます。
 最初は、多職種専門チームによるケース会議等での助言が主な活動内容になると思いますけれども、その効果をぜひ検証していただきながら、多職種専門チームの方々が、必要に応じて当事者や、またご家族の方に寄り添いながら、ぜひ伴走的な支援に発展するように求めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、高齢者の健康づくりに資するスマートウォッチ等デジタル機器活用事業について私からもお伺いをしたいと思います。
 「未来の東京」戦略にも、都市のDXを進めて新しい価値の創出につなげていくと明記をされておりますけれども、このデジタル技術の活用によって行政が都民の生活をよりよい方向に導くことこそがDXであり、データの収集や有効活用が東京の今後のよりよい発展につながる鍵となると私は考えております。
 そこで、来年度から開始しますこの事業に関しましては、先ほど桐山理事からも事業の概要と、また今後の展望についてはご質問がありましたので、最初の質問は省かせていただきたいと思いますけれども、先ほどの答弁にもありましたように、この事業によりまして都民の行動変容を促すとともに、不調のときは迅速にかかりつけ医等に相談することができ、重症化予防に資することが期待されるとのことで、このデータを都民の生活改善に活用する、本当に画期的な事業になると私も考えております。
 本事業は、集めたデータを詳細に分析をして、都民の健康増進を図ることが目的でありますので、専門家や企業等としっかり連携して事業を進めていただきたいと思います。
 また、本事業を都民に資する事業にするためには、先ほどもありましたけれども、何よりもよりよいデータの収集が重要であり、そのためにも、協力をしていただく自治体との連携は不可欠だと考えますが、協力する自治体とはどのように協力連携をしていくのか伺います。

○山口高齢社会対策部長 本事業の協力連携先となる自治体、区市町村には、追跡健康調査のフィールドとしての協力や、本人同意の下、対象者の介護保険情報等の提供などを依頼することとなるほか、住民への事業周知やスマートウオッチ等を装着いただく高齢者の募集、選定への協力も求める予定でございます。
 一方、自治体側におきましては、本事業を通じて、高齢者の健康づくりの推進をはじめ、センターの知見を生かした様々な支援が得られるなど、高齢者福祉の向上が図られることが期待されます。
 今後、本事業の実施主体である健康長寿医療センターにおいて、こうした協力連携の図られる適切な自治体を選定し、事業実施することとなります。

○かまた委員 今ご答弁にありましたように、ぜひ本事業の価値を共有していただきまして、都民のために協力し合う体制構築を進めていただきたいと思います。
 私は先日、アクセンチュア・イノベーションセンター福島、センター共同統括であられました中村彰二朗氏のご講演を伺いまして、その話を伺う中で、私自身がデータの取扱いについてまだまだ古い感覚を持っていたなということを気づかせていただきました。
 データの取扱いやデータの価値につきましては、まだまだ共通理解が必要な現状であるというふうに認識をしておりますので、ぜひ本事業に協力をいただく自治体とは、共通認識、そして共通理解をしていただき、本事業に参加していただく都民の方々が安心と納得の下で参加をしていただけるよう、ぜひ連携強化を強めていただきたいと思います。
 最後にこれを要望しまして、私の質問を終わります。

○白石委員 日本共産党の白石たみおです。
 子供の意見表明権に関連して質問をしたいというふうに思います。初めに、こどもシンポジウムについてです。
 こどもシンポジウム、ティーンズ・アクションTOKYOは、子供の意見を聞く取組として昨年度から始まりました。二年目の今年度は五組のグループが発表を行い、例えばジェンダー平等と子育てについてですとか、外国にルーツを持つ子供が安心して生活ができる環境づくりについてなどのテーマについて、時間をかけて準備をして、昨年の十一月二十一日に発表いたしました。子供が意見表明を行う大事な機会になったと本当に思います。また、私たちとしても学ばされるものがありました。
 同時に、よいシンポジウムだったということだけにとどまらず、子供たちの提案を受けての対応について行政として検討して、応えられるものも当然応えていく、応えられないものについてもきちんと回答をするということが重要だというふうに思います。
 昨年行ったこどもシンポジウムで発表された意見について、今後どのように検討をし、子供たちに回答するのか伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 昨年十一月に開催いたしましたこどもシンポジウムでは、放課後の居場所や未来のまちづくりなど、子供、子育て施策に関わる五つのテーマについて、参加した中高生から意見が発表されました。
 これらの提案につきましては、先日開催いたしました東京都子供・子育て会議に報告しておりまして、今後、関係部局と対応を検討し、子供たちにフィードバックする予定でございます。

○白石委員 我が党の原のり子都議が二〇二〇年の第四回定例会で提出した文書質問でも、子供たちの提案への対応を質問いたしましたが、そのときの答弁、東京都子供・子育て会議等で、庁内関係部署や関係機関に情報提供しており、その結果等は、参加した子供たちに報告しますというものでした。こども基本条例の成立も受けて取組が発展していることは大変重要だというふうに思います。
 福祉保健局として行ってきた子供の意見を聞く取組はほかにもあります。東京都子供・子育て支援総合計画の改定に当たっては、子供の意見を聞く取組として七つの学校で出前授業を行って、都の取組について多くの子供たちから意見を発表してもらっております。
 こうした取組についても、今後さらに発展をさせて、子供たちへのフィードバックも含め実施していくことを求めますが、いかがでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 都は、来年度の子供・子育て支援総合計画の中間の見直しに当たりまして、都の施策について、子供たちから直接意見を聞く機会を設けることとしております。
 聴取した意見の内容やその対応等につきましては、第二期と同様、計画等で示していく予定でございます。

○白石委員 これについても、意見で反映できるものを反映するというのはもちろんだというふうに思いますが、反映できない場合も真剣に受け止めて検討して、その検討内容も含めて返していくことが重要であるというふうに思います。
 計画等で示す予定という答弁で、具体的にどのようにするのか、ちょっと詳しくは分かりませんでしたけれども、しっかりとした対応を改めて求めておきたいというふうに思います。
 また、前回、計画改定に当たって子供の意見を聞いたということは、第一歩という意味ではそれ自体重要だというふうに思いますが、残念だったと思った点もあります。小学校、中学校、高校、そして特別支援学校と行ったのはいいんですけれども、定時制高校は含まれていなかったということです。
 私も定時制高校の出身です。クラスには障害を持つ仲間、それからセクシュアルマイノリティーの仲間もいました。経済的困窮を抱えた仲間、いじめなどつらい過去を背負った仲間もいました。励まし合いながら勉強いたしまして、そういう中で育ってきた環境も年齢も違う仲間たちと四年間過ごしまして、やっぱり誰もが幸せになる権利があるということを、私自身学びました。
 今、東京都の皆さんも誰一人取り残さないということをよくいっておられます。先日、施政方針表明でも知事もいっておりました。そういうのであれば、子供の意見を聞くといったときに、定時制高校を対象に入れないということはあってはならないというふうに思います。
 もちろん新しいことを始めるときに、最初から完璧ということはないというふうに思っております。始めたことは、やはり重要だったと思いますし、しかし、今後どうやっていくのかということが問われるかというふうに思います。
 出前授業を行う場合、定時制高校を対象に含めることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 計画の中間の見直しに当たりましては、幼児から全日制や定時制の高校生など、様々な年齢や状況の子供たちの意見を聴取する予定でございます。

○白石委員 今答弁であったとおり、定時制高校も含めて意見を聞いていくということで、大事な姿勢だというふうに思います。
 日本が子どもの権利条約を批准してから三十年弱がたっております。子供を権利の主体として尊重するという取組はなかなか進んでこなかったですが、東京都政では、特にこの分野、これまで特に遅れてきた分野だというふうに思っておりましたが、今日取り上げたように、子供の意見を聞く取組が進み始めたのは重要だというふうに思います。
 今後大きく発展させていくということを求めて、質問を終わりたいというふうに思います。

○おじま委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時三十分開議
○おじま委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○関口委員 立憲民主党の関口健太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、生活保護の扶養照会について伺ってまいります。
 生活保護の扶養照会は−−申請者の意向に反している者などの扶養照会についてでありますが、生活保護の利用をためらう大きな要因となっております。
 生活保護の扶養照会について、私たち東京都議会立憲民主党は、本定例会の代表質問でも取り上げました。また、昨年第一回定例会の代表質問でも取り上げ、その後、昨年二月及び三月に厚生労働省から各自治体に対して、扶養照会は扶養義務の履行が期待できると判断される者に対して行うという旨の事務連絡がなされました。
 まず、この事務連絡について概要を伺いたいと思います。

○新田事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 令和三年二月二十六日の国の通知では、扶養の可能性調査における扶養義務履行が期待できない者の判断基準の明確化を行うとともに、改めて調査の手順と、期待できない者と判断された場合には個別に慎重な検討を行った上で扶養照会を行わないこととして差し支えない旨を示しております。
 さらに、令和三年三月三十日の国の通知では、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い、照会の対象となる扶養義務者が、扶養義務履行が期待できない者に該当するか否かという観点から検討を行う必要があることなどを示しております。

○関口委員 今ご答弁をいただきましたが、この厚労省の事務連絡というものは極めて重要なものだと考えております。
 そうした中、生活保護の扶養照会をしたくない方々に向けて、生活困窮者の支援活動を行ったりですとか、あるいは生活保護の同行支援を行うつくろい東京ファンドという民間団体が、扶養照会をしないでほしいという事由が書かれた書類というものを作成しました。
 都は、この書類というものを確認しておりますでしょうか。

○新田事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 当該団体のホームページに申請書類の書式が掲載されていることは承知しております。

○関口委員 このつくろい東京ファンドという民間団体が作成した書類なんですが、先ほどご答弁をいただきました昨年二月及び三月に厚生労働省が各自治体に対して扶養照会について通知をした事務連絡に沿って作成をされたものであります。
 この書類では、厚労省が通知をしているように、扶養照会をしたくない旨や扶養照会をしたくない理由について事細かにチェックリスト化されております。
 扶養照会をしたくない方が、この民間団体が作成した扶養照会をやめてほしい旨の書類を記入し、その理由が正当であれば扶養照会をやめるという理解でよろしいでしょうか。

○新田事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 先ほどの令和三年三月三十日の国の通知では、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い、照会の対象となる扶養義務者が、扶養義務履行が期待できない者に該当するか否かという観点から検討を行う必要があること、該当しない場合には扶養照会を行うこととされております。

○関口委員 今定例会の代表質問におきましては、国の事務連絡の内容を福祉事務所に徹底をし、民間団体が作成した扶養照会をしないでほしいという事由が書かれた書類を提出するなど本人が扶養照会を拒んでいる場合には、扶養照会をやめる対応を福祉事務所が行うようにすべきと考え、見解を伺いました。
 都としての答弁は、要保護者が、書面や口頭等の形式にかかわらず、扶養照会を拒否する意向を示した場合は、理由を確認した上で照会を一旦保留し、扶養照会が必要となる際は、理解を得るように努める旨を、都は各地域の福祉事務所に通知をしているというものでありました。
 答弁にもあるように、扶養照会を拒否する意向を示したにもかかわらず、扶養照会が必要な場合というものは、具体的にどのようなケースが想定されるのか伺います。

○新田事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 福祉事務所が国の通知等を踏まえながら、扶養義務者について職業、収入等に関して、要保護者からの聴取等の方法により扶養の可能性の検討を行い、扶養義務履行が期待できない者に該当しないと判断した場合は、扶養照会を行うこととされております。
 また、扶養の可能性調査に当たっては、金銭的な援助に限らず、要保護者に対する定期的な訪問、電話、手紙のやり取り、一時的な子供の預かり等の精神的な支援の可能性についても検討することとされております。

○関口委員 今答弁を求めました具体的なケースなんですが、なかなか答弁としては出てきませんでしたが、扶養照会を拒否する意向がある、かつ扶養照会をする必要がない条件が当てはまっている場合、そういう土壌があるにもかかわらず扶養照会が必要な場合というものは、私は厚労省の通知を見る限りだと相当レアなケースではないかなと考えております。
 といいますのも、何で今回この質問を取り上げたかといいますと、私の地元の杉並区におきまして、皆さんご存じの方も多くいるかと思いますが、五十代の男性が杉並区の荻窪事務所にて生活保護申請をしたと。その際に、家族への援助の可否を問う扶養照会をしないでほしいということを伝えたと。親族に援助ができる見込みがないことも説明をしたと。口頭の説明だけではなくて、今私がこの質問の中でも取り上げました民間団体が作成した書類、これを弁護士やあるいは研究者、そして同行支援をする支援者たち、そういった皆さんたちとも作成した申請書を提出したけれども、受け取りを拒否されてしまったと。つまり、公的な書類ではないから拒否をされてしまったということが、一つ大きなニュースにもなっておりました。
 今回の定例会におきましても、代表質問で、扶養照会をしないでほしいという事由が書かれた書類が提出をされたときに、その書類を受け取らず、扶養照会をしないでほしいという意向があるという事実をも受けないという判断は、都の通知に照らして適切ではないという認識でいいかということで見解を伺いました。
 都としての答弁は、扶養照会を拒否する意向が示された際は、都の通知に基づき、福祉事務所において適切に対応されるべきものと認識しているという答弁でありました。
 答弁の中にあるように、福祉事務所が適切に対応するということは、扶養照会をしないでほしいという事由が書かれた書類が提出されたとき、この書類を受け取り、扶養照会をしないでほしいという意向を受け止めるべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 そして、扶養照会をしないでほしいという事由が書かれた書類、この民間団体が作成をした書類を活用するということは、極めて私は有効であると考えております。
 これは他自治体でありますが、滋賀県議会では、この書類の活用方法について問われたところ、健康医療福祉部長が、自分の意思をうまく伝えられない方などが福祉事務所に対して、自分の意思を伝える上でこうした書類を活用することも一つの有効な手段と考えられるため、今後、各福祉事務所へ情報提供していきたいと思いますという答弁をしております。
 併せて伺いたいと思いますが、こうした書面は、都においても有効な手段と考えます。都の見解を伺いたいと思います。

○新田事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 要保護者が、書面や口頭等の形式にかかわらず、扶養照会を拒否する意向を示した場合は、理由を確認し、照会を一旦保留し、扶養照会が必要となる際は、理解を得るよう努める旨、福祉事務所には通知しております。
 また、扶養照会に関する書面の取扱いについてですが、扶養照会を拒否する意向が示された場合は、この通知に基づき、福祉事務所において適切に対応されるべきものと認識しております。

○関口委員 ということで、今ご答弁をいただきましたこと、これはまさに通知に基づいて答弁をいただいていると思いますが、まとめると、要保護者が書面で扶養照会を拒否する意向を示した場合は、しっかりその書面をその場で福祉事務所で受け取り、理由を確認し、照会を一旦保留するという理解でよろしいでしょうか。−−部長、今、うんということでうなずいていただきましたけれども、その理解でよろしいということで確認をいたしました。
 ということで、今後東京都としても、今、各地域の福祉事務所に実際に通知を出していただいています、しっかり書面での意向を受け取るようにという通知を出していただいていますので、ぜひ今後とも、そういったものの徹底をお願いしたいと思います。
 東京都の意向とどうしても各自治体の福祉事務所で対応が異なってくる、現場と東京都の温度感というのはあるかと思いますので、そこの温度感の差をぜひ縮めていただきますよう、重ねて要望したいと思います。
 続きまして、PCR等検査無料化事業についてであります。
 私たちは、PCR検査の拡大というもの、これをずっと重ねて要望してまいりました。
 昨年末の本委員会で、私はこの検査無料化事業において、検査場所が足りないのではないかということを質疑してまいりました。ワクチン・検査パッケージ等の定着促進事業、感染拡大時の一般検査事業では、実施主体として民間検査機関と薬局が掲げられておりました。そのうち、民間の検査数を伺ったところであります。
 都の答弁としては、十二月八日時点で、東京都内の民間検査機関をはじめとする検査機関は二百十一機関との答弁がありました。しかし、そのうちのほとんどは医療機関であり、医療機関を差し引いた民間の検査場についての実数が少ないということを指摘させていただきました。
 民間検査機関数が少ないという観点から、なるべく多くの薬局にご協力いただく必要があると考えており、そのための取組を強化すべきということも質疑を通して求めてまいりました。
 そこでまず、東京都PCR等検査無料化事業の利用者と事業者と件数の推移を伺いたいと思います。

○猪倉新型コロナウイルス検査事業推進担当部長 PCR等検査無料化事業の受検者数につきましては、週単位で集計しておりまして、事業を開始した十二月第五週は一日当たり平均約二千件、これまで最も受検者数が多かったのは一月第四週で一日当たり平均約一万一千件、直近の三月第一週は一日当たり平均約九千件となってございます。
 また、事業所数につきましては、事業を開始した昨年十二月二十三日時点で十か所ございまして、昨日三月十五日時点で約六百九十か所となってございます。

○関口委員 今ご答弁をいただきましたが、最初は十か所で、今は六百九十か所ということで、大分拡大をされたということを評価したいと思います。また、現在も、三月の第一週では一日当たり平均約九千件ということで、多くの方がこの事業を活用いただいているという状況だと思います。
 当初は、事業所に行っても検査が受けられなかったり、あるいは予約ができないといった大変な混雑がありました。事業者が少ないながら希望者は多いため、需要と供給のバランスが取れておりませんでした。
 都としてどのような改善をしてきたのか伺いたいと思います。

○猪倉新型コロナウイルス検査事業推進担当部長 検査場所の拡大に向けましては、これまで薬局や衛生検査所、医療機関等に働きかけを行いながら、検査場所の登録を進めた結果、先ほどもご答弁いたしましたが、昨日時点で約六百九十か所で検査を受けられる体制となってございます。

○関口委員 今、薬局や衛生検査所、医療機関ということでありましたが、今、スポーツジムですとか、地域の整体、接骨院、こういったところでも事業が実施されているということで、より地域の中で様々な事業所が協力いただいているかと思います。
 これは別の観点であるんですけれども、伺ってまいります。このPCR等検査無料化事業において、情報を入手するためにホームページにアクセスするが、知りたい情報にたどり着けないという声を大変多く伺いました。特に、検査会場の一覧を見たいにもかかわらず、アクセスができないという声を大変多くいただきました。実際に私自身もホームページにアクセスを当初しましたが、なかなか会場が分かりづらいなというのが実感でありました。
 現在、都のホームページは大分見やすくなりましたが、都へはどのような声が寄せられ改善をしたのか。また、今後都として、感染症の情報などを分かりやすく、見やすいページを心がけるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○猪倉新型コロナウイルス検査事業推進担当部長 PCR等検査無料化事業を案内するホームページにつきましては、事業開始時より、検査を受けられる場所や検査を受けられる時間帯等を一覧で公表するとともに、並行してシステム開発や検査事業者との調整等を進め、検査場所の地図表示や区市町村別の表示など、充実を図ったところでございます。
 これまで都には、検査場所の照会などにつきまして問合せをいただいておりまして、最新の検査場所を表示するよう日々更新するなど、今後とも適切にホームページを運用してまいります。

○関口委員 ぜひよろしくお願いいたします。マップ化されたということも一つ大きな評価だと思いますし、ぜひ利用者に寄り添った情報体制をつくっていただきたいと思います。
 そして、こちらもさらに重ねての質問でありますが、先ほども申し上げましたが、繰り返しになりますが、会場によっては混雑をして検査ができない場所、予約できない場所などが当初ありました。
 そうした中、比較的空いている場所を可視化することを望む声を多く伺いました。そして、私自身もその必要があるなということを考えておりました。
 台湾などでは、マスクが不足をしていたときにマスクの在庫を可視化したアプリというものをIT担当大臣が行ったりなど、そういった様々な取組というものが世界を見れば散見をされます。
 そうした中、今月の八日には都のホームページにおきましても、比較的検査が受けやすい検査場所について一覧化し、ホームページでアップされたことは評価をしたいと思います。
 しかし、本来であれば早期に掲載すべきだと考えますが、何がネックになっていたのか伺います。

○猪倉新型コロナウイルス検査事業推進担当部長 比較的検査が受けやすい場所の一覧につきましては、公表した検査場所に利用者が集中することで混乱等が生じることが懸念されたため、事業者と調整を重ねた上で、三月八日にホームページ上に掲載したものでございます。

○関口委員 一方で、高齢者をはじめとした情報弱者といわれる方々に対しても配慮が必要だと考えております。
 情報弱者といわれるような、なかなか容易にアクセスができない方々に対しての現在のこの事業の周知の取組を伺いたいと思います。また、今後さらなる情報弱者対策をすべきと考えますけれども、都の見解を伺います。

○猪倉新型コロナウイルス検査事業推進担当部長 PCR等検査無料化事業開始に当たりまして、プレス発表等を通じて都民に広く周知を図るとともに、コールセンターを設け、きめ細かな情報提供も行える体制を整えてございます。
 また、区市町村に対しまして、事業概要等を説明するとともに、都民から問合せがあった場合の案内先等についても周知を図っております。
 引き続き、都民に対する事業の周知に努めてまいります。

○関口委員 よろしくお願いいたします。
 特に現在は、これはいいことであるんですが、実施場所が増えたということもあって、どんどんどんどん検査場所については更新がされているという中で、しっかり基礎自治体と連携をしながらこの事業を広めていただきたい。特に、高齢者の方々も無料で受けたいと思っているけれども、なかなかその情報にたどり着けないんだという声を多くいただいていますので、ぜひ取組の強化をお願いしたいと思っております。
 続きまして、宿泊療養の食事についてであります。
 これもまたニュースになっておりますけれども、宿泊療養における食事代において、全国的に中抜きではないかと食事に関する苦情が多く寄せられているそうです。特に、全国で療養ホテルに指定されている某ホテル系列には苦情が行っていると。
 私自身、コロナになって、宿泊療養をさせていただきました。まさにこの某ホテル系列で、大変な感謝をしているわけであります。その大変な感謝をしている中で質問するのは何か大変恐縮ではあるんですが、ただ国民、都民の税金がいかに適切に使われているか、これはしっかり見ていかなくてはいけないということで質問してまいります。
 国から地方へ支給されるコロナ宿泊療養者の食事代は一食千五百円算定で、東京都では弁当価格が一食千百円、一日三食で三千三百円ということで計算がされているということで伺っております。
 本委員会でも、様々宿泊療養の際の食事については議論がされてきました。ご高齢であったりとか、あるいは症状が重い方にがっつり系のお弁当が出たりとか、その逆もしかりということで、なかなかそれぞれの皆さんに合わせた食事の体制というのは難しいことは重々承知をしています。
 今まで様々な議論がされてきましたが、どのような取組、工夫、改善がなされてきたのか伺います。

○徳弘新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 宿泊療養施設における食事提供の実態を把握するとともに、入所者の満足度を測り食事内容を見直すことを目的として昨年実施したアンケート調査では、ほとんどのホテルでおおむね良好との結果が出たところでございます。
 一方、満足度が低かったホテルにつきましては、業者に対し、メニューを増やす、味つけを変えるなどの改善を働きかけたほか、改善が見られなかったホテルに対しては、業者の変更を行いました。
 また、入所者への健康観察におきまして、きめ細やかな状況把握に努め、食欲がない入所者には、ゼリー飲料等を案内するなど、丁寧に対応しているところでございます。

○関口委員 都は、先ほども申し上げましたが、食事代千百円でありますけれども、この食事代で浮かせたお金をほかのコロナ関連事業に当て込むことは違法ではないそうです。
 しかし、厚生労働省のマニュアルには、食事提供費の交付金には、配送料は含まれないと明記がされています。配送費あるいは配膳代相当分は、別途国庫より支給される仕組みになっております。
 要は、お弁当の材料代はお弁当でちゃんと使ってくれということだと思うんですが、宿泊療養施設には、実際に東京都の職員や、あるいは看護師さんがいらっしゃるということで、あまりにも支給される食事と金額が見合わない場合があるなど、そういった際には、事業者への指導監督をすべきと考えておりますけれども、見解を伺います。

○徳弘新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 宿泊療養施設では、施設スタッフが食事の量や味つけ、見た目の彩りなど、入所者に提供する食事としてふさわしいかこれまで確認を行ってまいりました。
 その上で、改善が必要と判断した場合には、業者に対して指導を行っているところでございます。

○関口委員 ぜひお願いしたいと思います。
 このホテル療養、宿泊療養の食事代問題は、どちらかというと大阪なんかが随分クローズアップされております。東京都は、どちらかといえば、創意工夫をしていらっしゃると私自身思っておりますし、駅弁を出して少しエンターテインメント性を出したりということで、そういったところは高く評価をしておりますので、引き続き、宿泊療養の食事について現場の職員や看護師さんの声を聞きながら、しっかり事業者に対しての指導監督をいただきたいと思います。
 続きまして、受験生チャレンジ支援貸付制度について伺ってまいります。
 この貸付制度の過去五年間の件数と実績を伺います。

○高橋生活福祉部長 受験生チャレンジ支援貸付事業は、中学三年生と高校三年生等の学習塾代と受験料を貸し付けております。
 平成二十八年度は学習塾代と受験料を合わせまして、九千二百八十二件の貸付決定を行い、約十億五千万円の貸付実績でございます。平成二十九年度は九千百六十件で約十億一千万円、平成三十年度は八千二百六十件で約九億一千万円、令和元年度は七千八百六件で約八億五千万円、令和二年度は七千六百四十六件で約八億三千万円でございます。

○関口委員 今ご答弁いただいたように、件数と実績、金額、これが年々年々減少しているというところでありますけれども、その要因を伺いたいと思います。
 また、都としてこの事業についてどのように周知をしているのか。さらに、本事業を利用できる環境にある方が、制度を知らないで利用できていない方も多くいると思います。さらなる周知が必要だと思いますが、併せて伺いたいと思います。

○高橋生活福祉部長 受験生チャレンジ支援貸付事業の実績は年々減少傾向にあり、その背景といたしましては、子供の数の減少や子供を持つ世帯の収入増などがあると考えております。
 都はこれまで、区市町村の申請窓口やひとり親家庭支援センター等において、ポスターやリーフレットによる普及啓発を行いますとともに、中学校や高校等を通じまして、中学三年生、高校三年生への周知を行っているところでございます。
 これらに加えまして、来年度からは、新たにSNS等による普及啓発を行い、制度について広く周知を図っていく予定でございます。

○関口委員 今ご答弁の中にもありましたが、様々な周知をされているということであります。
 ただ中学校や高校を通じて、中三、高三への周知をされているということでありますが、これいろいろと話を聞くと、学校ごとに周知の仕方が違うということを伺いました。
 これは様々な考え方があるかと思いますが、該当するかもしれない親御さんにしっかりアプローチをするですとか、あるいはそうではないご家庭にももしかしたら利用できる家庭があるかもしれないということで、しっかりと保護者の方に届くような体制をつくっていただきたいと思います。
 例えば、学校で一律に子供たちに配ったとしても、なかなかその書類が親に届かないということはありますし、私自身もそういう子供でありましたし、そういうことで頭を悩ます親も見てまいりましたので、想像力を働かせて、なるべく多くの方にご利用いただけるような環境を構築していただきたいと思います。
 そして、この受験生チャレンジ支援貸付制度、要件緩和が生活保護世帯の一・五倍へ拡大をされたということは前向きに捉えていきたいと思いますし、私たちの会派も求めてきたものでありました。
 しかし、私たちの会派は、例えばですけれども、給付型奨学金など教育にお金がかからないような社会をつくっていく、これが重要だと考えております。
 そうした中で、私は、教育や子育てについての所得制限の撤廃というものをこの前の一般質問でも求めてまいりましたが、例えばですが、この受験生チャレンジ支援貸付制度、本事業のさらなる要件緩和、こういったものを求めていきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○高橋生活福祉部長 コロナ禍にあっても、より多くの子供たちが自立に向けて目指す道に挑戦できますよう、受験生チャレンジ支援貸付の対象となります世帯の収入要件を緩和し、貸付対象の拡大を図ることといたしました。
 対象拡大に当たりましては、貸付けの際の連帯保証人の見直しを検討し、利用を希望する方の負担軽減を図ってまいります。

○関口委員 ぜひ一・五倍を、さらなる高みを目指していただきたい、一・五倍を一・八倍と、そういったような徐々に徐々に多くの世帯を巻き込むような本事業というものを望んでまいりたいと思います。
 続きまして、介護職員宿舎借り上げ支援事業についてであります。
 介護職員宿舎借り上げ支援事業においては、介護事業者の補助対象者を拡大したということは評価をしたいと思います。多くの介護職員の待遇改善や暮らしの底上げになることに期待をしたいと思っております。
 今回の対象拡大においては、訪問や居宅介護事業者の主に在宅系の事業者が対象になっています。その中では、災害時の対応要件として、区市町村との災害時協定を結ぶことが条件となっております。
 私は前職、杉並の区議会議員をしておりましたが、災害時要配慮者についての質疑や要望というものを重ねて行ってきました。要配慮者の支え手となる方々が圧倒的に少なく、そのことを大変懸念しておりました。
 例えば、私の地元の杉並区は五十七万人都市でありますが、その中に占める避難行動要支援者名簿、約三万人います。
 さらに杉並区は、その要支援者名簿の中から、災害時に支援を必要とする方が事前に区に登録する地域のたすけあいネットワークというものがありまして、個別避難計画の作成や計画の実行というものをそのたすけあいネットワークでやっております。実際に、要支援者の方が支援を必要とし、ネットワークへ登録している方は約一万人と大変多くいます。
 しかし、個別避難計画をはじめとした災害時要配慮者の支え手がいないことは大変大きな課題だと感じておりました。警察、消防、そして消防団、民生委員、児童委員、地域の震災救援所運営連絡会など、支え手はいるもののそれでは足りない現状があります。このように、災害時要配慮者については、まだまだ課題が山積をしています。
 本事業の対象拡大により、災害時要配慮者への支え手が増加し、地域防災力が高まることを期待する観点から幾つか伺いたいと思います。
 まず初めに、区市町村との災害時協定は、具体的にどのようなものを想定するのか伺います。

○山口高齢社会対策部長 都はこれまで、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化を目的に、福祉避難所の指定を受けた介護施設等を対象に、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施してまいりましたが、来年度からは、対象事業所を在宅サービス等にも拡大し、その上で、区市町村と災害時の協力協定を締結した事業所には、福祉避難所の指定を受けた場合と同様に、補助率を八分の七といたします。
 この協力協定の内容につきましては、事業所と区市町村との間で災害時における利用者の安否確認や避難所等でのサービス提供など、地域における災害対応への協力について締結することを想定しております。

○関口委員 今ご答弁いただきましたが、利用者の安否確認ですとか、あるいは避難所等でのサービス提供も含め、やはり在宅系の方々は日頃からそういった仕事をされているということで、インクルーシブ防災といいますか、災害時の要配慮者に対してしっかりと対応ができるということを期待したいと思っております。
 今申し上げましたが、事業所と区市町村との災害時協定は、より効果的なものでなければならないと考えております。
 例えば宿舎借り上げをするのであれば、福祉避難所の近辺や事業所のある区市町村内に住み、迅速な対応ができるようにすること、ほかにも、災害時の初動の動きを明確にすることなど、より実効性のあるものにしなければならないと考えております。都の見解を伺います。

○山口高齢社会対策部長 介護職員宿舎借り上げ支援事業では、災害時の迅速な対応を推進するため、福祉避難所の指定を受けた施設や災害時協力協定を締結した事業所は、施設等の周辺で宿舎を借り上げるとともに、災害対策の業務に従事する者を入居させることとしております。
 また、区市町村と事業所が締結する協定については、災害時における利用者の安否確認や避難所等でのサービス提供を盛り込んだ上、これらに加え、地域の実情に応じた独自の内容を上乗せすることも可能となっております。

○関口委員 今、最後の答弁のところで、地域の実情に応じて独自の内容とすることができるという答弁がありましたが、まさにそれぞれの地域が抱える課題というものはたくさんあるかと思います。
 その地域の実情に応じて、この事業が地域防災力のしっかり高みになるようにということで、本事業を見てまいりたいと思いますし、ぜひ都としても、本事業のさらなる発展というものをいただきたいと思います。
 以上で質問終わります。

○上田委員 児童福祉についてです。
 まず、不妊治療と養子縁組について、ようやく都議会でも活発に議論されてきた体外受精や人工授精をはじめとした不妊治療への保険適用が四月から本格的に始まります。
 女性の社会進出により高齢出産も増えていく中、高額な費用負担が軽減されることは、少子化対策に貢献し、経済的負担に悩むカップルを支えるものと評価するものです。
 一方、不妊治療が適さない、出産可能年齢を超えてしまい可能性が低まるなどの場合もあり、保険適用となったからといってとめどなく公的支援をしていくべきなのか問われる部分もあります。
 厚労省が二〇二〇年秋、不妊治療を経験した夫婦約一千六百組に調査を行ったところ、里親、特別養子縁組を利用した、検討したと答えた夫婦が三割近くおり、潜在的なニーズがあることがうかがえました。治療をしても子供を授からなかった夫婦の中に、子供を育てることができる制度があることをもっと早く教えてほしかったという声もあったとのことです。
 一方、別の調査では、里親などの制度に関心を高めた夫婦の五割は、不妊治療を受けた医療機関から情報を得ていたものの、専門知識がないなどの理由から患者に情報提供していない医療機関も多く、取組にばらつきがあることも判明しております。
 治療開始前に、厚労省がこうした実態を踏まえ、不妊治療施設向けに新たに里親、特別養子縁組の情報提供に関する指針の作成を進め、都は、国の調査研究に協力して、不妊治療を開始する前の患者を対象とした特別養子縁組制度等の説明会を開催したほか、医療機関向けのガイドラインの作成などにも取り組んでいるとのことです。
 現在、この対象不妊医療施設、機関は都内に幾つあり、専門知識がないなどの理由から患者に情報提供していない医療機関を把握しているのか、医療者向けの説明会は行っているのか、対象施設のうちどの程度が説明を受けているか、開催実績、施設からの意見、要望も含めてご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 令和四年三月一日現在、医療費助成の対象となる特定不妊治療を実施する指定医療機関は、都内に百六か所ございますが、患者に対する里親や特別養子縁組の情報提供の有無につきましては把握しておりません。
 都は、里親制度の理解を深めるため、医療機関に対しましてスタッフ向けの出張講座を平成三十年度は二件、令和元年度は一件、令和三年度は一件実施いたしました。
 現在のところ、医療機関から特にご意見やご要望はいただいておりません。

○上田委員 把握していないことを把握させていただきました。
 では、これまで不妊医療施設から紹介等を受けて、里親、特別養子縁組を利用するに至った実績について、把握している範囲でお答えいただければと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 医療機関からの紹介を受けて、里親や特別養子縁組を利用するに至った件数は把握しておりません。

○上田委員 ぜひ今後は把握に向けて、積極的に動いていただきたいと思います。コロナ対策もあり、医療現場は多忙になっていることから、里親、養子縁組制度の周知や実施に向けての取組を行うことも難しいのかなとご報告を受けて思いました。
 また、治療を諦めるか諦めないか、非常にセンシティブな問題もはらむことから、説明者の力量にかかってくると思います。単なる制度の説明だけではなく、多面的な能力が必要となることから、その点の指針も都独自で示すことが肝要に思います。
 これらの点を踏まえて、今後不妊治療に悩んだり、年齢的、肉体的な限界を迎えてしまった場合の対象者に、里親、養子縁組の選択肢をどう示し、心身の負担軽減をし、要保護児童等を家庭環境に迎え入れるよい形をどう推進していくのか、課題認識と対応策を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、子供を育てたいと望む家庭に対しまして、里親や特別養子縁組について、子育ての選択肢の一つとして情報提供を行うこととしておりまして、不妊治療患者向けの雑誌に特別養子縁組を行った里親の体験談を掲載しているほか、子供を持つことに関する知識の普及啓発の一環として、二十代を対象にしたウェブサイトで里親制度を紹介しております。
 平成三十年度からは、不妊治療を行う都内医療機関に、特別養子縁組制度等に関するリーフレットを送付するとともに、出張講座も実施しております。
 また、国の調査研究に協力しておりまして、不妊治療を開始する前の患者を対象とした特別養子縁組制度等の説明会を開催したほか、医療機関向けのガイドラインの作成などにも取り組んでおります。

○上田委員 学会なんかへの働きかけも、今後必要になるのではないかと見ております。
 平成二十九年度から、新生児のうちに委託につなげる新生児委託推進事業をモデル事業で開始されて以来、先月まで三十一名を委託しているとのことです。五年でこの数字は、人口規模からすると明らかに少ないといえるのではないでしょうか。
 乳児院退所後の半数以上が養護施設に行くことは、家庭保育に欠け、施設から家庭へとされている世界の趨勢を受けても、明らかな子どもの権利条約二十条及び二十一条違反ではないでしょうか。
 この新生児委託推進事業を厚労省が進める不妊治療と養子縁組、里親の紹介の事業に結びつけていくことは相乗効果があると考えますが、四月以降何か検討されているのでしょうか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、先ほどお話しいたしました不妊治療を行う都内医療機関に送付しているリーフレットの中に、令和二年度から新生児委託推進事業に関する記載を盛り込むなど、不妊治療患者に対しまして事業を周知しております。

○上田委員 この件、事務事業質疑では、愛着防止のため可能な限り特定妊婦の内密出産で生まれた赤ちゃんを一日も早く里親へ委託してほしいと求めてきました。現在、交流期間や支援のため二か月程度を要し、生後一か月未満で交流を開始されているとのことです。
 その二か月程度の中身につき−−これ一番大事な二か月だと思います、赤ちゃんにとって。どのような場所で、誰がどう関わり、都の担当部署や担当施策は何に当たるのかも含めまして、時系列でフローをご説明ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 新生児委託推進事業の対象となった児童は、出生した病院を退院後、本事業を委託している乳児院に入所し、児童とのマッチングで選ばれた里親と乳児院内で交流を行います。
 その後、乳児院に専任で配置されている新生児委託推進員の支援を受けながら、里親の自宅において外泊交流を実施し、児童相談所がアセスメントを行った上で委託を決定しております。
 新生児担当児童福祉司や新生児委託推進員は、里親子の関係性を丁寧に構築するため、児童の出生前から委託に至るまで、個々の状況に応じながら継続的な支援を行っております。

○上田委員 やはり出産直後、そのまま里親さんに委託することが私はベストと考えているんですけれども、出産直後そのような、委ねられるように事前から支援していく方が利益につながっているというふうに思っております。
 今後の検討について所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 児童相談所は、妊娠中の親から子供の養育が難しいという相談を受けた際には、特別養子縁組のほか、親族による養育や養育家庭、施設入所等の選択肢を示した上で、養育の意思を丁寧に確認しております。
 親が特別養子縁組を希望する場合には、出産後に改めて養育の意思を確認し、その上で児童の最善の利益にかなうと判断した際には、早期に特別養子縁組ができるよう、新生児委託の候補児童とし、退院直後から里親との交流を開始することとしております。

○上田委員 出産直後そのまま里親に委託ということは、いまだなされていないということであります。
 妊娠相談ほっとラインから特別養子縁組に至った事例は把握していないということなんですけれども、厚労省もようやく動き始めましたことから、他の事業も漫然と進めるのではなく、生まれた赤ちゃんが最善の家庭環境で育つための窓口といたしまして、相談事業から養子縁組に結びつけるべきではないか、見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 妊娠相談ほっとラインでは、出産後子供を育てられないなど、継続的な支援が必要と思われる相談があった場合には、区市町村につないでおります。
 区市町村では、特別養子縁組を希望する場合も含め、それぞれの状況に応じた支援を行っております。

○上田委員 生まれた赤ちゃんをそのまま里親委託をします名古屋の赤ちゃん縁組の取組に、私、二〇一五年、七年前にいって、七年、まだ東京都で行われていないということで、ずっとこの質問を続けております。
 そして、もう中絶もすることができない十か月近くになってしまっているお母さんもいらっしゃいます。この特定妊婦に対しては、都立病院において分娩対応を行うだけではなく相談支援を実施して、都立病院、公社病院では、令和二年度の未受診妊婦の受入れ件数は六十件ということであります。
 児相、福祉保健局において、イニシアチブを持って、いわゆる赤ちゃんポストの積極的設置を東京都が中心として、各病院の協力依頼をすべきと求めたところであります。
 去る二月十八日、熊本市長は、慈恵病院が独自に取り組む内密出産で生まれた子供の戸籍について、職権で作成する意向を示されました。病院側が匿名を希望する母親の十代女性の意向を改めて確認した上で、手続を開始することになっております。さらに三月九日には、慈恵病院の内密出産について、熊本市長が法務大臣にガイドラインなどを要望いたしました。
 一方、都立病院は地域医療の担い手としてこれまで多種多様な支援を展開し、福祉保健局は事前の相談事業などは力を入れていただいていますが、実際に妊娠している、出産してしまったケースについては、明確な答弁をいただけませんでした。
 特定妊婦が内密出産を望めば、それを実現するために、民間病院を所管する福祉保健局は、各病院が様子見する中、受入れ体制の確保を促し、区市町村と連携して戸籍作成の一助となるべきと考えますが、見解を伺います。

○矢沢理事 いわゆる内密出産については、十分な議論や社会での合意形成がなされることが前提と考えております。
 また、我が国では、ドイツにおいて施行された妊婦支援の拡大と内密出産の規定のための法律に相当する法が整備されていないなど、様々な課題があると承知しております。
 こうした諸課題は、国の責任において検討されるものと認識しております。

○上田委員 熊本市長は進めています。そして、今このとき赤ちゃんは産まれているかもしれません。病院経営本部でもいいましたけれども、お母さんが産み捨ててしまって、ゼロ歳の赤ちゃんの死亡、虐待死はゼロ歳が一番多いということで、もう本当にこれは喫緊の対応を重ねて強く申し上げる次第でございます。
 都はこれまで、里親制度の普及啓発を図ってきましたが、令和元年度に実施した調査では、里親制度の内容を知る都民の割合が二一・四%ということから、啓発や区市町村と連携したリクルートを行っているとのことです。
 事務事業質疑では、措置解除が怖くて都と対等な関係が結べていないのではないかという、実際に里親さんの声も聞いて、資料の方も分析し、接遇改善を求めたところであります。
 養育家庭委託の解除理由内訳を前回も資料を要求しましたけれども、措置変更は四十二件あります。この内容を確認したところ、児童養護施設に入所した者が二十四名、ほかの里親に委託された者が十七名、一時保護中が一名でした。
 今回の資料によりますと、養育家庭からの辞退による取消しは半減し、毎年二、三件の虐待該当認定取消しということであります。
 要保護児童が里親、養育家庭で、また虐待に遭ってしまうことは最も避けなければならない一方で、家庭養育への転換は急がねばなりませんことから、里親、養育家庭の確保、特別養子縁組、養子縁組の推進は急務となっております。
 これらのデータを分析し、その実現に向けて新年度どう展開をするか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 東京都社会的養育推進計画では、里親が児童の特性を理解できず対応できないなどの理由から委託を中止する事例も見られることを踏まえ、支援の難しい児童の養育の仕方など、養育力の向上を図る研修に取り組むこととしております。
 また、被措置児童虐待事例も踏まえまして、子供の権利擁護への理解を深める研修を実施するとしております。
 都は、これらの研修を実施するとともに、来年度は民間機関に里親支援を包括的に委託するフォスタリング機関事業につきまして、実施箇所を一か所から三か所に拡大し、里親子のニーズをきめ細かく把握して、不調事例に至らないよう支援を充実してまいります。

○上田委員 子供への最善の利益についても確認します。
 児童福祉法、民法が改正され、子供への体罰、懲戒の禁止がようやく明文化されました。しかしながら、いまだ親権が強く、子供が自分で自分の居場所を決めたり表明する機会が奪われ続けています。
 事務事業質疑では、施設にいる子供が養育家庭を望んでも実親が拒否してかなわない件について、子供の希望を実現することを求めたところです。
 都は、まずは里親等への委託を検討しているものの、実親に対して丁寧に説明するにとどまり、子どもの権利条約第三条、子供の最善の利益、第二条、意見表明は後回しになっている感が否めません。
 まず、民法改正案を受けて、何を具体的に取り組むのか確認します。

○奈良部少子社会対策部長 社会全体で子供を虐待から守るため、都は平成三十一年四月に、東京都子供への虐待の防止等に関する条例を施行いたしました。
 条例では、保護者が体罰その他の子供の品位を傷つける罰を与えてはならないことを明記しており、都は、体罰が及ぼす影響や子供への接し方のポイントなどを伝えるハンドブックを作成し、区市町村を通じて、子育て家庭や出産前の家庭に配布するなど、体罰によらない子育ての普及啓発を進めております。

○上田委員 あくまで親への啓発ですけれども、子供がこれ法律違反だというふうに、子供への周知も併せて次段階ではお願いしたいと思います。多くの子供って虐待を虐待とか、殴られているのが虐待って知らない子供が被虐待児は多いということでお願いしたいと思います。
 基本的に今現在、施設や一時保護所にいる子供が里親のところへ行きたい、親のところへ帰りたくないと意見表明できるような環境になっているのか確認します。その上で、そういった場合、子供の意見は最優先に尊重されるのでしょうか。里親委託を諦めさせたり、嫌がっているのに親元へ返すことはありませんでしょうか、伺います。

○奈良部少子社会対策部長 児童相談所のケースワークにおきましては、児童福祉司及び児童心理司が直接子供の意見を聞き、その意向を尊重した上で、子供の最善の利益の観点から援助方針を決定しております。

○上田委員 最善の利益をどこの児相もやってくださっているんですけれども、このところまた、本庄市とか香川県でしたっけ、いろいろ事件が起こっていて胸が痛むところでございます。
 資料の8にあるように、教育や研修、外部通報の体制は整っていることは確認いたしました。
 何度もいい続けているんですけれども、一時保護所、養護施設にいる子供は、周りが全部行政関係の大人だけなんです。過日、江戸川児相を視察しましたが、本棚の陰やトイレに意見箱を設置して表明しやすい環境をつくってはいますが、結局、児相や施設の大人が見るんだろうなと子供たちは信頼できないこともあるかと思います。
 実際、平成三十一年三月に調査した一時保護所への意見書で明らかになった子供の扱いは震撼するものでした。東京もDX化を進め、タブレットも子供たちは持っていることから、要保護児童の子供たちはこれらを利用してSOSが施設や児相以外に届くような、第三者に届くシステムを用意してあげるべきだと考えます。
 もうノートやはがき、お手紙の時代ではありませんので、その観点から具体的かつ今日的なツールでのSOS相談、希望、要望、発信環境整備を求めるものですが、所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、児童相談所が関わる子供の意見表明支援の在り方を検討するため、東京都児童福祉審議会に専門部会を設置いたしまして、令和三年十二月から議論を開始いたしました。
 本部会では、当事者である子供や施設退所者など、様々な方の意見を伺い、子供の意見を酌み取るための環境整備等について具体的に検討していくこととしております。

○上田委員 私も児童福祉審議会の方は傍聴させていただきましたけれども、前回、五年前の厚生委員をやっていたときとは随分と進んで、中身が充実していることは評価したいと思っております。
 当事者高校生もちょうど私の隣の席で傍聴されていて、ぜひ今度は自分たちが中に入って審議したいというふうにいっていらしたので、そちらの検討もお願いしたいと思います。
 子供の要望、意見表明を保護者の親権より最優先にするため、この現状を一刻も早く解消するため、東京都から政府、厚労省へ提言するなど、ありとあらゆる方法で早期解決に向け、都は動いていくべきではないでしょうか。
 例えば内密出産の前例を残そうと熊本市長は国に働きかけています。東京都はどうされますか、所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 今般、児童福祉法等の一部を改正する法律案が閣議決定されました。その中では、児童の意見聴取等の仕組みの整備として、児童相談所は入所措置や一時保護等の際に、児童の最善の利益を考慮しつつ、児童の意見、意向を勘案して措置を行うため、児童の意見聴取等の措置を講ずることとされております。
 これまでは、児童から意見を聴取した場合、その意見を尊重すべきことのみを規定されておりましたが、今般の改正によりまして、意見聴取を行うことそのものが規定されたものでございます。

○上田委員 小池知事はこれまで、スピード感を持って政府に先んじた行動を行ってきました。この意見表明と親権の問題に都が取り組めば、日本全体が変わると思いますので、大きく期待するものでございます。
 また、当然子供を救うために一時保護所や施設への措置というのは大切なことですけれども、その見立てについては、いろいろと保護者のサイドから、私へも苦情も来ているところでございます。
 資料の9、10、11ですけれども、児相が行った措置については、例えば虐待などを認めていない保護者が、措置が不服として申し立てているのであろうということは類推できますが、措置に関する審査請求の申立ては一件も認められていないことが分かりました。
 これらのデータの示す状況について、詳しくご説明下さい。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 行政不服審査法に基づき、審査庁である東京都総務局が判断した結果であると認識しております。

○上田委員 ここに至る前の、やはり接遇の方が大切だと思います。
 ちなみに私も、江戸川区で保育園に落ちて行政不服審査法を行使した初めてのお母さんで、それが全国的に広まるためにネットで拡散した経験がありますので、一つのこれは、都民や区民が持っている権利行使でございますので、どうしても不服であれば、行使をできるような環境も必要だということは申し添えておきます。
 さきの質問と関連するのですが、子供の意見表明を尊重するためには、親権停止も辞さない体制整備が不可欠です。そのため、都度家裁に申立てできる機動的体制が求められております。
 現在、都は、弁護士は非常勤となっていますが、児相への弁護士配置または準ずる措置を法定化する改正児童福祉法が二〇一六年十月一日より施行されております。
 私は、各児相に一人とはいいませんが、都立児相は常勤の弁護士を担保すべきだと考えております。江戸川区は常設弁護士がおります。
 つきましては、今の弁護士配置状況で、子供の人権を守り、職員の事務作業の軽減をする法的支援がどうできる得るのか、確認をさせていただきます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都では、児童相談所が日常的に弁護士と相談できる体制を確保するため、全ての児童相談所に非常勤弁護士を配置するとともに、副担当となる協力弁護士を登録しております。
 令和三年度は、非常勤弁護士二十二名、協力弁護士三十四名の計五十六名を配置しており、こうした体制によりまして、法的手続への対応や専門的見地からの助言を実施しております。

○上田委員 大丈夫だ、問題ないということだと思うんですが、要保護児童は四千人いて、相談件数も過去最多の三万四千四百五十件となっている中、東京都の人口規模からしても、親権停止が、例えば令和二年度は、請求人数が三で承認人数が年度をまたぐんですけど三件とか四件とか、多くて八件だったり五件だったり、年によっては一件というような、あまりに数が少ないように思います。
 人員不足や法的行使、保護者との関係性悪化などを理由に、子供の権利擁護が後回しになっていないのか危惧するものです。
 僅か毎年数件という数字について、これで子供を守れているのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 国の児童相談所運営指針では、親権停止は、児童相談所や施設の指導にもかかわらず親権者が施設入所中の子を施設から強引に連れ戻そうと繰り返し試みる場合や、子に医療行為が必要であるにもかかわらず親権者がこの医療行為に同意しないことにより医療機関が医療行為を手控え実施できない場合、都道府県知事による保護者指導の勧告に従わず親権行使が著しく子の福祉を害する場合などに活用を検討することとされております。
 都は、この指針に基づきまして、子供の利益を最優先に考え適切に対応しております。

○上田委員 適切だったかどうかは、最終的には子供が決めるんだと思うんです。やっぱり表明は大事だというようなご答弁だったと思います。
 里親さんといわれる養育家庭の認定取消しです。年間多くて二件程度です。
 養育家庭は増やさなければなりませんし、また里親さんによる虐待も防がなければならない中、どうチェックと推進のバランスを取って事業拡充を進めているのか、所見を伺います。また、認定取消しについて不服申立てなどがあったか確認をします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、子供の権利擁護への里親の理解を深めるため、認定前や登録後、登録更新の研修において、子供の権利擁護等の講義やグループワークを行うほか、児童の受託後の研修においても、虐待を防ぐための研修を実施しております。
 なお、認定取消しの審査請求については、過去三年で一件でございました。

○上田委員 長年育てていた里親さんが突然措置解除にされて、東京都をはじめ各地で裁判になっているケースが増えております。正しい英断を下すために、前例踏襲型ではなくケースごとにご検討いただくようお願いしたいと思います。
 令和二年度の里親に委託された児童の進路等は、大学などが約六割、就職が約三割、その他が約一割、児童養護施設退所児の進路は、大学等が約四割、就職が約五割、その他が約一割ということが判明しております。
 このところどの会派もケアリーバーに熱心な関心を示しているところでありますが、まずは施設にいる時点での進路指導が肝要です。
 新年度に向けて、児童養護施設で一人でも多くの子供に教育や手に職をつける機会を確保するため、進学や就労に向けた細やかな支援の具体的な取組と数値目標を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、退所児童が自立し安定した生活を送ることができるよう、自立支援を担当する職員を配置する施設に対し支援をしております。
 また、十分な学習機会を確保するため、中学生以上の学習塾や大学進学等の経費の一部を支援するほか、高校生の塾代の上乗せや大学受験料に係る支援を都独自に実施しております。
 さらに、退所後の自立生活を支援するため、資格取得に関する費用や就職、就学の支度金について都独自に貸付けを実施しております。
 退所後の進路に対する数値目標につきましては、児童一人一人の意向や状況を踏まえて個々の進路を決定することから設けておりません。

○上田委員 初当選、一期目から、退所者等支援と、あるいはその退所の状況の調査をお願いしていたところですが、令和二年十二月から令和三年一月に児童養護施設等退所者の調査を実施し、一月二十五日に取りまとめが完了いたしました。
 退所直後の進路は、進学が四六・五%、就職が四二・八%、調査開始以来初めて進学が就職を上回りました。最終学歴は、高校が五七・五%で最多、四年制大学が九・四%で前回調査と比べて増加。現在の雇用形態は、正規雇用が四七・八%、非正規雇用者が四九・五%。退所後に就いた仕事で既に辞めている者のうち、四二・九%は就職から一年未満で辞めています。
 通院している診療科は、心療内科、精神神経科がともに四一・四%で最も多く、前回調査と比べて増加ということが判明しました。
 進学率が上昇したことは評価いたしますが、非正規雇用が多く、一年未満で仕事を辞め、精神疾患の割合の多さが気になるところです。
 調査結果を踏まえて、今後の要保護児童対策、退所者対策、ケアリーバー施策に反映するものと思料しますが、新年度に検討していること、調査を受け問題解決をしなければならないことの受け止めを伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 措置解除者の中には、就労や住まいなど、日常において困難や課題を抱えている方もおります。また、退所者の困ったときの相談相手は、施設の職員が最多となっております。
 都は、こうした実態調査の結果を踏まえまして、ケアリーバーに対するアフターケアを強化するため、十八歳で措置解除となった方にアパート等を借り上げる施設等に対し、必要な経費を来年度から独自に支援いたします。

○上田委員 退所者、措置解除者の若者たち、全員一人もこぼさず、せっかく東京都が始めた支援事業を頭に入るように、本当に工夫をしていただきたいと思います。彼らは、サポートをしてくれる親はいないので、東京が率先的に行っていただきたいというふうに思います。
 一時保護所の入所期間につき、期限とする九十日以上いる子供たちは二百四十九名に上ります。入所期間が長期になった理由としては、ケアニーズの高い子供の施設入所調整に時間を費やしたこと、保護者の同意が得られず家裁の申立てを行ったことなどが挙げられていますが、今回の資料で、調査では、親権停止は毎年数件でした。
 親権停止以外に家裁申立てをされて長期化したのでしょうか、確認をさせてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 一時保護所の入所期間が長期になった理由といたしましては、保護者の同意が得られず、児童福祉法第二十八条に基づき、家庭裁判所へ申立てを行ったことなどが挙げられます。

○上田委員 児相介入を拒む保護者対応に苦慮されているということが見えました。それを考えても一時保護所のキャパシティーを増やさなければ解決できないはずです。不要不急の新規事業をやめて、こちらに予算を向けるべきです。
 ほかの解決策の一つとして、特別区への移管を私は求めてきております。
 練馬を除く全ての区が移管した場合、一時保護所定員不足は解消されるのでしょうか。また、今後どう定員拡充を実現するのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は現在、一時保護需要の増加に対応するため、令和二年度まで使用していた立川児童相談所の一時保護所の改築に向けて準備を行っておりまして、今後とも必要な定員を確保されるよう取り組んでまいります。

○上田委員 この点については、しっかりと予算を担保していただきたいと思います。
 私が入れない予算特別委員会の資料では、児童福祉司の一人当たりの総相談件数は微減したものの、虐待相談は一人六十件平均が続いております。
 江戸川区児相では、先駆けてAIを活用した業務の効率化を推進しようと、通話内容をリアルタイムでテキストにする通話音声分析・モニタリングシステムの運用を開始しております。
 実際にそのシステムを視察しましたが、書類整理の手間を省き、数千時間でしたか、節約となり、ほかの仕事に職員を振り向けることで、大幅に負担を軽減することを数値で示してもらいました。
 このこともさることながら、相談者と職員のやり取りをリアルタイムで管理職がチェックすることができ、かねてから私が指摘してきた児相職員の接遇トラブルの未然防止にもつながり、舌を巻いた次第です。
 江戸川区は、システムをつくる前からどう運用したいか明確なビジョンを持って独自に開発をしました。一般質問でも確認しましたが、都は、お友達IT系事業者に丸投げでバグだらけ、おとがめなしで税金をどぶに捨てるようなものにはならないか心配しております。ただただAIを利用すればいいというものではなく、目的意識を明確にした児童福祉哲学、設計思想がなければなりません。
 強引に進めるDX施策の中で都児相のAI導入も時間の問題と考えますが、来年度の取組について伺います。この哲学と思想は誰が構築するのか。児相職員負担軽減、接遇改善、情報のデータ化で、区市町村、警察、他道府県との情報共有をどう構築、構想しているのか、所見を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、児童相談所業務の効率化、省力化を図るため、児童相談所のデジタル化を推進しております。
 来年度は、AIを活用いたしまして、電話での相談内容をリアルタイムでテキスト化するシステムを導入し、記録作成の負担を軽減するとともに、指導役の職員がその内容を閲覧し、その場で助言するなど、人材育成にも生かしてまいります。
 他の道府県や区市町村との情報共有につきましては、国が構築した全国統一の要保護児童等に関するシステムを活用しております。
 また、警察との情報共有の範囲につきましては、虐待非該当、警察による通告及び助言指導としたものを除く身体的虐待、ネグレクト、性的虐待があると考えられる全ての事案、四十八時間以内に児童の安全確認ができない事案、他県との移管ケースとしておりまして、リスクが高いと認められる全てのケースについて共有をしております。

○上田委員 リスク共有、大切なんですね。かねがね私は、虐待情報の警察との全件共有を目黒区五歳女児虐待死事件前から求めてまいりました。
 去年一年間に虐待の疑いがあるとして全国の警察が児相に通告した子供は十万八千五十九人と、これまでで最も多くなりました。警察庁は、コロナウイルスの感染拡大で外出の自粛が続き、虐待が潜在化しているおそれがあるとして対策を強化しています。
 警察庁によると、児童虐待の疑いがあるとして児相に通告した十八未満の子供は、去年全国で十万八千五十九人と前の年よりも千六十八人増えて、これまでで最も多くなったとのことです。
 警察が検挙した児相事件は二千百七十四、被害者は二千二百十九人で、いずれも過去最多で五十四名もの子供が虐待死しております。警察庁は、虐待の見落としを防ぐため、警察官が現場で確認した情報を基に、統一的に危険度を判断する仕組みを導入し、全国の警察で運用を始めています。
 虐待通報は警察が半分以上であるという実態は、福祉保健局は十分に把握していると思います。警察庁がこのように機動的な取組をしております。一方、児相においても、これまでのノウハウを生かし、虐待のリスク評価を行っています。
 こうした情報をお互いに共有し、協力しながら虐待防止に取り組むべきと考えますが、現状の取組状況をご報告ください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 現在、都内全ての区市町村は、警察をはじめとした地域の関係機関で構成いたします要保護児童対策地域協議会等のネットワークを構築しており、各関係機関がリスクアセスメントの結果など、情報の共有を図りながら援助方針を確認し、児童や家庭への支援を行っております。

○上田委員 チャイルド・デス・レビューもこの警察庁の取組もそうなんですが、亡くなってしまってからでは元も子もないんです。子供が深刻な虐待に遭ったり、死に至らしめられない前から対策をすることこそが、児童福祉の使命です。
 警察は、保護者の虐待の前科についても把握していますから、共有しない理由は全く見当たりません。実際に、都民は、残念ながら児相や一八九よりも一一〇番に連絡してくれているのです。
 AI導入で宮坂副知事鳴り物入りのDX化も進むのですから、まずは警視庁、警察署との全件共有を求めるものです。所見を伺います。また、共有しないのであれば、全件共有を実現せずして一人も取りこぼさず虐待死を出さないといい切れる都の自信の根拠をお示しいただければと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 警察との情報共有の範囲につきましては、虐待非該当、警察による通告及び助言指導としたものを除く身体的虐待、ネグレクト、性的虐待があると考えられる全ての事案、四十八時間以内に児童の安全が確認できない事案、他県との移管ケースとしておりまして、リスクが高いと認められる全てのケースにつきまして共有しております。
 今後とも、警察をはじめ、子供家庭支援センター、保育所、学校、医療機関など、地域の関係機関と緊密に連携しながら、児童虐待防止に取り組んでまいります。

○上田委員 決定的な根拠がないように思います。リスクが高いと認められるというのは、神様じゃない限り−−リスクが高いと児相や福祉保健局が認めて取りこぼさないか心配しているんです。
 本庄市の例も、児相はもう問題ないといって戻してしまっていて、いや、保育園はそうじゃないと、何かやっていますので、そういった場合はやっぱり全件共有していれば、いったいわないにならないというふうな思いで、これは、もうずっと求め続けてまいりたいと思います。
 さて、予特の議論によれば、認証保育所の定員は減少傾向にあるようです。
 これまでの待機児童解消施策も過渡期を迎えつつあることが読み取れました。このままでは大手の認可の定員割れも、地域によっては発生してくるのではないかと考えます。
 今から需要と供給のバランスを想定し、対策していくことが肝要ですので、現時点の所見を確認いたします。

○奈良部少子社会対策部長 区市町村は、地域における保育の利用状況や今後の利用希望を踏まえ、量の見込みを設定し、これに対応した保育の整備目標等の確保方策を、区市町村子ども・子育て支援事業計画に明記し、計画的に保育サービスを整備しております。
 都は、待機児童を解消し、その状態を継続できるよう、地域の実情に応じた取組を進める区市町村を支援しております。

○上田委員 一方で、現状、コロナ禍も終息しない中で、家庭の支援、地域の福祉資源として保育園を活用することは、それでも開所時間が長く、人材不足の保育園の大きな負担となり、通常保育に影響を与えるのではないかと考えます。
 殊に都がハンドリングできる認証保育所に対して、学童事業、一般児童の子供さんを預かる短時間保育など、新たな役割を担わせているように思料します。
 新たに医療的ケア児支援事業を展開するのは大変評価いたしますが、これも既存保育園に担わせる予定なのでしょうか。事業の決定と経緯と、事業者側の意見を受け止めていたのか確認させてください。

○奈良部少子社会対策部長 都はこれまで、区市町村が医療的ケア児の保育ニーズに応えられるよう、保育所等に看護師等を配置する経費や保育士を加配する経費等を支援してまいりました。
 令和三年九月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、都は区市町村や保育所等からの要望も踏まえまして、来年度、医療的ケア児の保育所等への送迎に要する費用を新たに支援することといたしました。
 保育事業者の状況も踏まえながら、区市町村が地域の様々な保育資源を活用して、医療的ケア児の保育ニーズに応えられるよう、引き続き支援してまいります。

○上田委員 いろいろと事業者も得意分野があるので、そちらの声を受け止めてほしいということなんですね。在宅子育て家庭支援は、通常保育の負荷の多い保育園だけではなく、施設の開所時間も短くて在宅子育て家庭が多く利用する幼稚園にも担ってもらうべきだと考えております。
 在宅子育て家庭の孤独な育児を支えるために、保育園の在り方も変化すべきと予算特別委員会で発言した委員がいましたが、私には、正直違和感しかありませんでした。
 保育園を所管する福祉保健局としての所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 保育所保育指針におきましては、保育所は入所する子供を保育するとともに、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、入所する子供の保護者に対する支援及び地域子育て家庭に対する支援等を行う役割を担うものと規定されております。
 保育所は、この指針に基づきまして、地域の子育て家庭に対する支援を行っていると認識しております。

○上田委員 子供には、文科省も厚労省も生活文化局も福祉保健局も関係ありませんので、適材適所で役割分担ができるような連携をお願いしたいと思います。
 さて、保育園の利用者負担軽減制度も各自治体で取組にかなり濃淡があります。都は、認証保育所に関して各種補助や予算を立ててくれているものの、自治体の采配でばらつきがあり、事業者も保護者もその格差に困難の声が届いております。都が十分の十を支援してほしいという事業者もいます。
 なかなか実現は難しいとしても、都が用意した子育て支援策の濃淡が居住する自治体で出てしまうことは問題がありますことから、よい意味で平準化するよう働きかけをすべきと考えますが、所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 保育の実施主体は区市町村であり、認証保育所等の利用者の負担軽減は区市町村が決定し、実施しております。
 都は、認証保育所等を利用している保護者を支援するため、保育料を独自に補助する区市町村の取組を支援しております。この事業につきましては、区市町村向けの保育事業説明会等の機会を捉え、周知しております。

○上田委員 昨今、住みたい街ランキングなどといって、要は住む人が自治体を決めるような事態になってきたと思いますので、その辺りも含めて、この説明会も生きてくるのではないのかなと、意識してくださるといいなと思っております。
 コロナで図らずもリモートも進み、保護者が休むことへの理解が深まっている中、病児、病後児保育の資料も拝見しましたけれども、何となく減っているのかなという傾向があるんですが、所見を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 令和三年六月に実施した調査によりますと、病児保育事業の利用児童数は、令和二年四月から六月までの間、大幅に減少しております。
 その後、利用児童数は増減を繰り返しながらも増加傾向にございますが、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準には達しておりません。

○上田委員 私もよく子供が調子悪くなると、夫とにらみ付け合ってどっちが休むんだってけんかをしたんですが、子供が大変なときにそういう状況にならないような環境が徐々に整っているのかなというふうに思料いたしました。
 さて、ベビーシッター支援事業です。
 資料の16は、キッズラインのわいせつ事案を受けて、どのように東京都が対応したかということになっておりますが、見れば見るほど啞然とするばかりです。
 私は、ここが決まったときから警鐘を促していましたけれども、結局二件もの小児に対するわいせつ事案が発生しました。なぜいまだに認定取消しにならないのか、全く理解ができないんですよね。
 マッチングサイトを行っている事業者はそもそも対象外にする、性犯罪を発生させた事業者は認定取消しをするくらいの厳しい運用を求めるものですが、所見を求めます。

○奈良部少子社会対策部長 都は、ベビーシッター利用支援事業に参画する事業者の認定基準を定めておりまして、個人間で契約するマッチングサイト事業者は本事業の対象外としております。昨年度発生したわいせつ事案は、本事業の対象外であるマッチングサイトで起きたものでございます。
 仮にベビーシッター利用支援事業におきまして重大な事故等が発生した場合は、サービス提供約款に基づきまして、事故を起こした事業者に立入調査等を実施し、運営状況が基準に適合しない場合は改善指導を行います。
 指導を行っても改善しない場合は、認定取消しも含め厳正に対処してまいります。

○上田委員 二度あることは三度あるといいますが、キッズラインが二度と同じような事件を起こさないとする根拠もお示しください。

○奈良部少子社会対策部長 繰り返し申し上げますが、ベビーシッター利用支援事業では、個人間で契約するマッチングサイト事業者は認定の対象外としておりまして、昨年度発生したわいせつ事案は、マッチングサイトで起きたものでございます。

○上田委員 対象者は都のベビーシッター事業にも派遣されていました。たまたま派遣される−−マッチングサイトと関係ないんですよ、マッチングサイトも派遣されていたし、都のベビーシッター事業にも派遣されていたんですね、犯人は。その犯人は、都の事業ではたまたま派遣されていない、また、犯罪を起こさなかっただけでは済まされないと思うんです。
 犯罪者を雇用している事業者に問題があり、マッチングサイトだ、都の事業だと区別がつかないから、これが危険なんだと私は申しているんで、その人、出たり入ったりしていたんですから。そういう事業者の認識が危ないということなんです。
 犯罪者が都の事業で派遣されていたことの反省と受け止め、所見を聞かせてください。

○奈良部少子社会対策部長 昨年度発生した事案は、都事業の対象外でございます。
 都は、ベビーシッター利用支援事業の保育の質の向上を図るため、認定事業者の監督職等を対象に、事故対応などの危機管理や人材育成等をテーマとする研修を今年度から実施しております。
 また、事業者が現場での保育内容を確認し、必要な指導や助言を行えるよう、保護者宅への巡回訪問やウェブカメラの活用についても支援しております。

○上田委員 保育園とか福祉施設は第三者評価制度があるので、自分から身を引き締められるんです。
 新たにベビーシッター事業の第三者評価が、もうここまで来たら不可欠と考えるんですが、今後設置に向けての所見を伺います。

○坂本指導監査部長 認可外保育施設の第三者評価でございますが、現在、ベビーホテル等の一定の場所で保育を実施している事業者を対象としているところでございます。
 今お話ございましたベビーシッター事業者への第三者評価でございますが、ベビーシッターお一人お一人の各家庭内での保育状況につきまして、評価機関が各家庭を訪問いたしまして、具体的なサービスの状況を確認の上、評価するなどの必要がございます。評価の実施方法でございますとか、評価者の確保など、整理すべき課題が多い状況にあります。
 都といたしましては、これまでもベビーシッター事業の安全確認、質の確保のため、法人のベビーシッター事業者に対しましては計画的に法人事務所への立入調査を、個人のベビーシッター事業者に対しましては立入調査に代えて集団指導を実施しているところでございます。
 また、不適切な保育等が確認された場合には、特別立入調査を実施することといたしておりまして、引き続き適切な保育の確保に向け取り組んでまいります。

○上田委員 各家庭のところに行くのはなかなか難しいというところなのは理解するんです。その点が課題となり、密室で性犯罪が行われちゃったんです。もちろん新しい保育として助かるサービスですが、もうこの問題をクリアする段階に来たと、キッズラインの事件で私は痛感しました。
 ご承知のとおり、第三者評価サービスも昔からあったわけじゃないんです。石原都知事のときに難産の末誕生しました。事業者さんは、子供を見てやっているという意識が強く、評価するなんて何事だという風潮だったからです。
 その頃、私は一保育園利用者の若いお母さんでした。横柄な保育園に悩み抜いて、親同士がつながって、いろいろ改善を願った活動をしている中、紹介されて二〇〇一年八月、東京都主催の第三者評価の事前検討会、第三者評価関連団体等連絡会に呼ばれまして、参加させていただいたんです。
 緊張しながら、そのとき初めて第一庁舎の会議室に行って、豪華な庁舎に目を見張りながら意見を述べたことを昨日のことのように覚えております。このときは本当にできるのとみんな思っていましたが、今やあって当たり前の評価事業となっております。
 ベビーシッターも当然そうなるべきなんです。子供の安全のために乗り越えるべき課題ではないでしょうか。できないこと探しではなくて、すぐにでは無理でも模索を始めて、できること探しをしていただきたいという強い思いの質問を続けているわけです。キッズラインの認定取消しを求めるのもそういう思いからなんです。
 甘いお沙汰では、キッズラインはもちろん、ほかの事業者も緊張感を持ち続けられないからです。書類の不備は許されるものではないですが、不正運用どころではなく、生涯、傷を子供の心に残す性犯罪だからです。免許でいえば一発免停に値します。
 政府も東京都もあまりにも子供の人権を軽んじていませんか。こども基本条例、制定しておしまいでは何にも子供に寄与しませんし、私の質疑の多くはこれまでにない必要なものへの提言です。
 行政だけでは気づかない都民のニーズを求めることこそ都議の仕事ですので、キッズラインの認定取消しと、少なくとも都が認定したシッターの第三者評価を強く求めて、次の問題に移らせていただきたいと思います。
 日野市の精神科病院、七尾病院に入院していた女性は、去年三月、院内でコロナに感染した際、人にうつされて外から鍵をかけられ、治療を受けられないまま十日間にわたって閉じ込められたなど、精神的被害を精神病院で受けたとして、病院や運営法人を訴えたということが二月十九日、NHKで報道されました。
 部屋には陽性者ばかり六人いて、排せつは部屋の中央に置かれた簡易トイレで行うなど、劣悪な環境だったと主張しているようです。
 都は、この七尾病院での不適切な処遇に関して把握していましたか。実地指導もしっかりと把握してやっていたのでしょうか。把握していなかったとしたならなぜか、また把握していたならなぜ公表しなかったのか、ご説明の上、再発防止に向けての個別指導及び全体の対策をお示しください。

○矢沢理事 都は、精神科病床を有する病院に対しまして、人権に配慮した患者の処遇等について適正な運用が図られるよう、精神保健福祉法に基づきます実地指導を毎年実施しております。
 当該病院につきましては、昨年十一月に実地指導を実施しておりまして、患者の通信面会に関する事項など不適切な事案について指摘し、その再発防止に向けた取組も含め改善報告を求め、今年二月に病院から改善報告を受けたところでございます。

○上田委員 お取組をされているということですが、資料で調べていただいたところ、虐待件数の認知はゼロということでした。
 今後、七尾の件はカウントされるのでしょうか。また、この事案は、令和三年一月十三日厚労省通知の対象施設であったのか、虐待に関する指導徹底についての通知の対象だったのか、今後対象となるのか、確認させてください。

○矢沢理事 ご指摘の通知では、実地指導の方法として、入所者に対する虐待が行われている事実がないか、そうしたことについて確認することとされております。
 都は、当該通知の内容も踏まえまして実地指導を行っておりまして、今年度実施した実地指導におきまして、虐待が確認された事案はございませんでした。

○上田委員 自立支援医療の予算が増加し続けている件につきまして、指摘を続けさせていただいておりますところです。
 都は、精神疾患は再発を繰り返しやすいことから、多くは継続的な医療を必要とし、自立支援医療は経済的負担を軽減し通院を継続することで、病状の悪化の防止などに寄与、この制度は法で認められており、都は、医療保険制度とも連携し、制度を適切に運用していくということですが、もう三百五十億円ぐらいになっちゃっているんです。ほとんど自立ができていない実態も明らかになっております。
 真に自立できる支援と薬漬けではない医療、そもそも精神疾患に罹患しない事前の取組が求められると思いますが、新年度に当たり所見を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、精神疾患に関する正しい理解を促進するための普及啓発に取り組むとともに、都民の心の健康の保持増進や精神障害の予防等を図るため、精神保健福祉センターにおいて、電話や面接による専門的な相談を行っております。
 また、精神疾患を早期に発見し、進行、慢性化する前に適切な治療に結びつくよう、一般診療科医師と精神科医師による一般診療科医療機関を対象とした精神疾患に関する研修等を実施しております。
 精神疾患の治療については、平成二十六年度等の診療報酬改定において、向精神薬を多種類処方した場合の減算措置等も設けられておりまして、医師が患者の病状に応じて精神療法や薬物療法などによる治療を適切に行っているものと認識しております。

○上田委員 先頃、里親になられることを表明して話題になった塩崎さんが厚労大臣になったときに、東京都は、こうした自立支援の対象者たちが貧困ビジネスで囲い込まれて、そうしたことに関して強い指摘を大臣から受けた過去は忘れていらっしゃらないと思います。
 こうした通所者を悪用した囲い込みや不正請求等の不適切な治療によって、特定の医療機関に自立支援医療制度が濫用されないように強く求めさせていただきます。過去にも、都内でも不正請求が発覚し、指定自立支援医療機関の指定をちゃんと取り消された事例もありますので、肝に銘じていただければというふうに思っております。
 さて、福保が発行します発達障害者支援ハンドブックは、多くのお母さんたちにも愛読されております。
 二〇一五年版において、製薬会社二社から二年にわたって七百万円もの報酬を得ていたその製薬会社のADHD治療薬について、副作用としては消化器症状、頭痛、不眠などありますが、一過性である方が多いようですと副作用を軽視するような表現で投与に干渉する著述をしていたこの顧問医は、小児総合医療センターの顧問医でありました。
 私は、それに大きな疑義を持ちまして、二〇一六年の予算特別委員会で指摘をしまして、二年間で七百万円も製薬会社から報酬をもらいながら、利益相反自己申告書を出していないことが判明いたしまして、私の調査によりまして、結局、I顧問は都立病院は辞めましたが、現在の最新のハンドブックは、また立場を変えて、同一人物、このIドクターが、副作用としては、消化器症状、頭痛、不眠などが出る場合がありますと一過性部分はカットされましたが、なぜまた採用しているのか、本当に疑問なんです。
 今回のハンドブックに利益相反手続違反を犯して退職した医師について、コラムを執筆依頼した経緯と問題意識をお尋ねいたします。

○石黒障害者医療担当部長 本ハンドブックは、発達障害に関わる地域の支援者におけるさらなる理解促進や支援機関の相互連携等を進めることを目的に、社会福祉に関する総合的企画、調査研究などの実績を有する東京都社会福祉協議会に委託して作成したものでございます。
 具体的な策定過程としては、委託先の東京都社会福祉協議会にて、学識経験者、各分野の支援機関、関係団体等で構成する委員会を設置して様々なご意見をいただき、保健、医療、福祉、教育、労働、司法などの様々な分野の具体的な支援の実践例や知見を取りまとめております。
 お話の医師に関しましても、長年発達障害者への医療や、本人及び家族に対する援護、育成を実施する団体での活動等の経験を有することから執筆を依頼したものであり、適切に策定されたものと考えております。

○上田委員 児童精神科医ってすばらしい方はたくさんいますし、東京都の病院で利益相反自己申告違反を犯した人が、とても適切とは思えないんですよね。次回、改定するときは、少なくともほかのドクターを選んでください。ずっとロックオンさせていただきます。
 先頃、元福祉保健局勤務の公衆衛生医師によりまして、「保健所の『コロナ戦記』」という著書が出版され、大変参考になりました。これほど苛酷な労働環境であったとは想像以上でした。
 事務事業質疑でも確認しましたところ、新型コロナの対応が長期にわたっていることから、公衆衛生医師を含む全職員に体のセルフケアについて、管理監督者に部下職員の心身の不調に対する支援について対応してくださっているということですが、現状の都庁及び都立保健所、区市保健所の公衆衛生医師の充足状況を伺います。また、日々都庁で奮迅されている公衆衛生医師が、どのような場合に保健所に異動になるか疑問に思っていたところもございますので、人事異動についての運用も伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都内の公衆衛生医師の配置状況は、本年三月一日現在、都保健所が定数二十名に対し現員十七名、保健所設置区市が区市の配置希望数百二十五名に対し現員六十九名、その他都本庁等が定数二十九名に対し現員二十名となっております。
 都、特別区、八王子市及び町田市相互間の人事交流は、東京都・特別区一般職員人事交流実施基準等に基づき実施しておりまして、具体的な公衆衛生医師の配置先につきましては、全ての公衆衛生医師との個別意見交換や福祉の人事所管部署との意見交換等を踏まえて総合的に判断しております。

○上田委員 特に区市保健所が百二十五名に対して六十九名しかいないという状況でありますが、都庁にもいらっしゃった士気の高いドクター、公衆衛生医師、例えば墨田保健所長などもう大活躍して、テレビで見ない日はないぐらいな感じであります。その所長さんも前は福祉保健局にいらっしゃいました。
 このような人材の士気をそぐことのない恣意的人事はされずに、大切に育て、そしてまた、対応、処遇をお願いしていただきたいというふうに思います。
 また、長期休職や定年を待たない退職、公務災害の状況の資料提出を受けましたところ、病気休暇または病気休職を取得した職員について、半数以上を精神疾患関連が占めるため、不調者等の早期発見、対応に努めることを確認していますが、かなり深刻な問題と考えます。
 第六波で、さらに福祉保健局職員の疲弊を懸念するものです。これまでも、公衆衛生医師の部長も突然退職されたことから、新年度からは新たな対策が望まれます。所見を伺います。

○高野総務部長 新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、局事業を着実に進めていくためには、職員が心身の健康を常に維持することが重要でございます。
 これまでも、局内に設置する安全衛生委員会におきまして、産業医と共に、職員の健康状況の把握、改善に取り組むほか、ストレスチェック制度を導入し、職員の不調の未然防止を図っております。
 また、新型コロナ感染症への対応が続いていることから、心の健康度チェックやセルフケアの啓発、管理監督者による不調サインリストを活用した部下職員の状況把握などに取り組んでおります。
 さらに、職員自身が不調を感じる場合や管理監督者が部下職員の不調を確認した場合には、精神保健相談員による相談窓口の利用を改めて案内しており、職員の不調の早期発見や必要なケアの促進を図っております。
 引き続き、職員の心身の健康の保持増進のため、必要な対応を行ってまいります。

○上田委員 よろしくお願いをいたします。
 東京都全体のコロナ対策として、小池都知事は蔓延防止等重点措置により、飲食店への営業自粛を求める一方で、約二万人が参加した東京マラソンが今月六日に実施されました。
 何をもって前者は感染のおそれがあり、後者は安全と考えたのか、iCDC、モニタリング会議等、医療的見地で感染症対策を所管し、庁内及び関係各機関に指導助言、連携を図ってきた福祉保健局として、感染症対策の有効性の観点から、科学的知見にのっとって具体的根拠を示してご説明ください。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 東京マラソン財団は、新型コロナウイルス感染症対策委員会を設置し、専門家の意見を聞きながら、感染症対策に留意した大会運営の方法について検討してきました。
 都は、この中で、適切な検査手法やスタート前の選手間の距離の取り方など、東京マラソンの安全な開催に向けた助言を行っております。

○上田委員 しっかり縦割りでなく助言をしたということが確認できましたが、この件、都民から何でなのというふうに、ご助言とご指摘もいただきました。全庁での整合性を求めるものでございます。
 さて、私は、この十億円の予算についてどうかということで、いつも疑義を呈しております。ワクチン接種をためらっている若者向けの接種を後押しするためのTOKYOワクションアプリについてですが、登録者は四十万人ですが、一千三百万人の都として、どういうふうな評価をしているんでしょうか。
 登録者の分析などを行って、都度、見直しなど行っていますか。実績と成果、来年度の取組を−−増やしてもらいたくていっているんじゃないので、重々、私の思いをお受け止めの上、ご説明いただければと思います。また、これまでの執行状況をご報告の上、新年度の執行を確認させていただきます。

○齋藤企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 本年三月十五日現在、TOKYOワクションの公式アカウントへの友達登録者は約七十万人、接種記録及び本人確認書類の登録が完了した方は約四十一万人でございまして、まち中での画面表示による特典の受け取り、アプリを通じた抽せん得点への応募、飲食店やイベント会場での接種記録の確認などに活用されております。
 また、多くの方にご利用いただけるよう、登録状況等を踏まえまして、飲食店やイベント主催者、学生、企業従業員等に登録、活用を呼びかけてまいりました。
 今年度の契約金額は税込みで約十億円であり、このうち事業開始当初は実施せず、ワクチンの接種状況等を考慮しながら実施を検討する普及啓発の経費が約四億四千万円となっており、契約期間終了後に実施内容を確認した上で一括で支払うこととしております。
 来年度予算案には、約二億円の事業経費を計上しており、引き続き、都民のワクチン接種や安全な社会経済活動等を推進するため、アプリを活用してまいります。

○上田委員 結局、この人数が多いか少ないのか、よく分からなかったんですけれども、こういうのが積み重なっちゃうと何十億にもなって、これを一時保護所の定員と児相の拡充にも向けていただきたいと思います。
 コロナ第六波で、オミクロンの重症化の低さが国内外での研究で示される一方、致死率が重症化率を上回っている点が二月末から顕著になってきております。
 都において、これらの傾向と現行対策を伺います。

○武田感染症対策部長 今回のオミクロン株の感染拡大においては、特に施設入所者など高齢者への感染が広がったほか、併存症の悪化によって集中管理が必要な患者が多くなっております。こうしたオミクロン株の特性に応じて、往診体制や臨時の医療施設を開設するなど、医療提供体制の強化を図っております。
 都といたしましては、全ての感染者の方が適切な医療や行政サービスにアクセスできるよう、引き続き適切に医療提供体制を維持してまいります。

○上田委員 また、おじま厚生委員会委員長が−−大阪の死者が断トツであることについて、大阪の吉村知事が、致死率は全国で真ん中ぐらいと反論していたが、これは医療体制が全国で平均程度といっていることにすぎない、むしろ大阪のような主要都市で真ん中というのはどうか、東京は全国で四十三番目と、札幌医科大の井戸川准教授がコメントしているように、やっぱり人口当たりの死者数が断トツで多いという現実を受け止めるべきで、感染者を減らす対策が有効に取れていれば、死者数は抑えられた可能性があり、東京も第六波の教訓を生かし、第七波対策に当たるべしという見解を示されていますことから、この致死率の受け止めと他道府県との比較について、因果関係を踏まえた科学的な説明と来るべき第七波にいかに備えるか、具体的な施策を伺いたいと思います。
 また、昨日、蔓延防止措置、蔓防の延長を要請しないことを小池知事が明らかにされ、今日の午前中は、知事は重症病床も落ち着きを見せながらも、今後は一般の診療者をどうするかなどなど、そういったことも総合的に考えながら検討しているところだと発言もされております。
 これが、致死率の課題認識もこの中である中で、延長は求めないという判断に至ったことについて、福祉保健局から我々厚生委員会委員への説明と知事発言の受け止めについて、併せて伺いたいと思います。

○武田感染症対策部長 新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数や死亡者数などにつきまして、様々な観点から分析や議論がなされているということは承知してございます。
 また、先ほどもお答えをいたしましたけれども、今回のオミクロン株の感染拡大においては、特に施設入所者など高齢者への感染が広がったほか、併存症の悪化によって集中管理が必要な患者が多くなってございます。
 都といたしましては、往診体制の強化や臨時の医療施設の開設など、専門家に助言をいただき医療提供体制の強化を図るとともに、ワクチンの三回目接種の加速など感染予防対策を進めてまいりました。
 今後とも、これまでの経験を踏まえて、感染状況に応じて必要な医療提供体制の整備など、コロナ対策に取り組んでまいります。
 なお、蔓延防止等重点措置に関する主管は総務局でございますけれども、昨日、国が示す蔓延防止等重点措置終了の考え方に基づく指標を全て満たしていることなどから、蔓延防止等重点措置を延長する状況ではない旨、国に伝えたところでございます。

○上田委員 ご報告をいただきました。
 iCDC、TOKYOワクション、区市町村や政府と競合する大規模ワクチン接種、家族で守ろう十の約束等、小池知事による奇をてらったコロナ対策が数々打たれてきましたが、結局第六波に見舞われ、今も医療体制は深刻な状況です。
 事務事業質疑でも確認しましたが、第六波を受けて、これまでの対策は功を奏しているのか甚だ疑問に思っているところであります。
 一昨年十月に立ち上げた東京iCDC専門家ボードは、効果的な感染対策を推進するため、最新の科学的知見を得たエビデンスに基づいた提言、助言を実施しているとのことですが、病院経営本部の質疑では、データを活用したリーフレットを使ったという答弁で、感染拡大抑止に具体的な効果が出たことが読み取れませんでした。
 iCDC専門家ボードを開催したことによる実績と成果、資料制作など、先ほどの公衆衛生医師の皆さんの負担増も鑑みまして、事務方の負担が増えていないか、これらを踏まえて何か改善していくのか、来年度の取組をご説明ください。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長 東京iCDCの専門家ボードでは、毎週開催されておりますモニタリング会議等で、感染症に関する様々な科学的知見やエビデンスに基づく助言を実施しておりまして、都では、これに基づいて先手先手で対策を講じております。
 また、医師や看護師などで構成する感染対策支援チームにおきまして、クラスターが発生した医療機関等に感染管理の指導助言を実施しておりますほか、自宅療養者向けのハンドブックや高齢者施設等の事例集の作成など、都民等への普及啓発を進めております。
 来年度も引き続き、東京iCDCの専門家による調査や都民等への普及啓発を行い、効果的な感染症対策に取り組んでまいります。
 なお、東京iCDC専門家ボードの運営につきましては、専任の職員を配置し対応しております。

○上田委員 最後になりますが、現在は異常事態ともいえる状況の中、コロナ対策は当然のことですが、いかに福祉保健局職員の士気がそがれぬ労働環境を担保しながら、急増する虐待対応、通常医療体制の確保、福祉、介護施設クラスターでサービスに支障が出ざるを得ない障害者、高齢者福祉等、多岐に分かれる福祉保健行政を今後どのように新年度に向けて進めていくのか、局長の所見を伺います。

○中村福祉保健局長 まず、新型コロナウイルス感染症対策でございますけれども、オミクロン株という非常に極めて感染のスピードが速い、こういうようなものに対応しまして、病床を増床していくこと、あるいは宿泊療養施設を確保していくこと、また、特に先ほど来ありましたように、高齢者への対応がなかなか厳しいということで、高齢者向けの往診ですとか、あるいは高齢者向けの医療施設の確保、さらには、保健所がかなり逼迫してきたという五波の教訓を踏まえまして、保健所に対してのサポート、フォローアップセンターですとか、さらに自宅療養者が増えるという中での、うちさぽ東京の開設とか、そういう形の総合的な保健医療体制の構築ということをやってまいりました。
 また、併せまして、やはり感染を抑えるという意味で、ワクチン接種の加速、こういうことにも取り組んでおります。また、保育所の休園時の子供の預かり先の確保、あるいは高齢者、障害者施設での感染拡大の防止など、こういったことに全力を挙げて取り組んでまいりました。
 来年度については、引き続き、いわゆるコロナ対策については、検査、あるいは診断、保健所機能、医療、療養体制等々で維持という形はしてまいります。一方で、新たな感染拡大ですとか、変異株というのを早期に察知して先手で対応していく、こういうことを行っていきたいと考えております。
 一方で、やはりコロナ禍が大変長期化してくる中で、多くの方が経済的、あるいは心理的な影響を受けていると、こういうことですので、自殺に関する相談体制の強化、生活福祉資金の特例貸付に必要な経費の確保、あるいは住まいを失った方への一時宿泊場所の提供などにも引き続き取り組んでまいります。
 また、安心して子供を産み育てることができる環境づくり、保育サービス、あるいは社会的養護の拡充、あるいは児童虐待の防止、ひとり親家庭への支援、母子保健の充実をはじめ、がん医療などの推進、救急災害医療体制の充実、介護人材の確保、定着、障害者や障害児が地域で安心して暮らせる基盤の整備、低所得者の生活の安定に向けた取組など、様々な経費は予算案にも盛り込んでおります。
 現下の社会状況に的確に対応するとともに、将来の課題にも備えて様々な工夫を凝らして、施策の充実を図っていくこととしております。
 また、職員に関するお話がございました。コロナが長期化する中で、職員の負担が大変増していると、こういうふうに痛感しております。都民の健康、あるいは暮らしを守るという高い使命感の下で日々尽力しております。大変、私としても感謝をしているところでございます。
 しかしながら、やはり健康の保持というのは極めて重要でございます。健康管理、あるいは業務の効率化、適正な配置など、十分対応してまいりたいと考えております。
 併せまして、児童虐待ですとか、保健所のお話ございました。児童福祉司や児童心理司、保健師を増員、体制強化をするとともに、児童相談所や保育所のDXを推進し、関係機関の連携強化に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 児童福祉司、児童心理司、宿泊療養施設などコロナ対応に当たる看護師等には、特殊勤務手当を支給しているところではございますが、来年度は、児童福祉司、児童心理司の手当を増額いたします。また保育士及び介護職員の宿舎借り上げ支援、また対象の拡大というのも来年度行いますが、二月からは、併せまして賃金面の処遇改善も行うところでございます。
 いずれにしましても、引き続き、都民の生命と暮らしを守るため、職員の心身の健康にも配慮しながら、職員一丸で福祉保健施策を推進してまいります。

○上田委員 職員の労働環境の方をしっかり担保していただくことを確認させていただきました。
 先ほど委員会中に、政府が大阪を含め、いわゆる蔓防を全面解除の方針を決定しました。昨日今日とコロナ対策を所管する厚生委員会が、実際開かれているのに、知事は報道先行で、一切正式な委員会報告もなされておりませんところです。
 去る二月一日に逝去された石原都知事は、かねがねこういったことがあると、都議会委員会にまだ報告していないからと、インタビューや報道への即答を常に慎んでいらした姿をふと思い出しました。
 先ほどの第三者評価もありますけれども、二〇〇〇年、私、石原知事と議論する会に呼ばれて、子育て支援について提言する機会を得ました。認証保育所を国に先駆けてつくったのも石原都知事でありました。この第三者評価も、先ほど私もいいましたけれども、民間に任すと保育の質が落ちるという批判を物ともしないで、民間参入、株式会社を促すと同時に、保育の質担保のため第三者評価を難産の末つくってくれました。排ガス規制をして、うちの息子もそうでしたけど、ぜんそく患者も減りまして、都民の健康も守ってもらったことを思い出しております。
 小池知事においては、何ら今時点、委員会の報告もなく、報道先行の姿勢は議会軽視も甚だしく、委員長をはじめ、委員会にて何らかこの点を正すべく、知事、福祉保健局理事者の皆様に指摘をさせていただきたいと思います。
 改めまして、石原慎太郎元知事のご冥福をこの場を借りて心よりお祈り申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○小松委員 私の方からは、東京都障害者IT地域支援センターについて伺いたいと思います。私の質問が終われば一度休憩が入りますので、もうしばらくお付き合いいただければと思います。
 デジタル化の波は、教育現場のみならず、障害者、また障害児の日常生活を支える様々なデジタル機器も生み出されているわけであります。
 これまで、この厚生委員会や本会議場でも質問させていただきましたけれども、例えば、こうしたデジタル機器というものの購入は、家族、ご本人にとっても大変大きな負担になることだったり、一方でまた、区市町村における日常生活用具の給付等の事業のメニュー、こちらについては、デジタル化の波に十分対応し切れていないなどの課題もあった、このことについては、これまで局の皆さんともやり取りをさせていただきましたし、また、知事からも、こうした機器を効果的に活用することで、障害者の日々の暮らしを支え、将来にわたり生活の質を向上させることが期待できる、こうしたことを踏まえて、今後も普及をさらに進めて、バリアが取り除かれた社会の実現を目指したいという決意もいただいたところでございます。
 まず初めに、この東京都障害者IT地域支援センターの概要について伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害者が日常生活で利用するデジタル機器に関する総合的な支援拠点として、東京都障害者IT地域支援センターを設置し、障害者やその家族、区市町村等からの各種相談に応じるとともに、ホームページで様々な情報を発信しております。
 また、センター内に機器を展示し、使い方の体験や機器を選択する際のアドバイスなどを行うほか、区市町村において、障害者のデジタル機器の利用支援に係る職員などを対象として、専門的な研修を実施しております。

○小松委員 このIT地域支援センターは、年間で二千名から二千五百名ぐらいの方が訪れられるということであります。多いのかなというふうにも思う一方で、実際に先日いただいた資料を見ますと、東京都内で身体障害者手帳の交付を受けられている方は四十八万九千名程度いらっしゃる。また、知的障害者児の方が持つ愛の手帳の交付を受けていらっしゃる方は約九万三千人ということを考えれば、まだまだ必要としているけれども、このIT地域支援センターさんの方に足を運べていない方もいらっしゃったりとかするのかなとも思うわけであります。
 この障害者IT地域支援センター、コロナ禍ということもあるので、この一、二年というのは、なかなか実際にセンターに足を運ぶことが難しくなった関係もあると思いますが、より相談支援を受けやすくするために相談の方法や開館日の工夫など、さらに利便性についても高めていただけないかなというふうにも考えるべきですが、都の見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 センターでは、来所、電話、メール、ファクスによる相談のほか、相談者から希望があった場合には、必要に応じて訪問による相談支援や休館日である土曜日の開館などを行っております。
 また、今年度からは、オンラインによる相談も行っておりまして、今後とも、利用者のニーズや事業効果等を踏まえながら適切に対応するとともに、センターの取組内容等について、さらに分かりやすく発信してまいります。

○小松委員 オンラインを活用されているということなんですけれども、ホームページを見る限り、なかなかオンラインで相談しようかなというふうにお見受けしにくい部分もありますので、そうしたことも改善のポイントとしてあるのかなというふうに思います。
 この地域支援センターの目的などをホームページとか様々ネットで検索すると、このセンターの職員の方がまとめられた研修の資料を拝見しました。IT地域支援センターの設置の目的としては、こうしたデジタル機器の情報提供や、今お話にあったIT利用の相談、加えて、こうした機器の指導者等の育成ということの目的も書かれてありました。
 事業を開始されたのは平成二十一年ということで、大分、こうしたデジタル機器が十分に障害者の方々にも行き渡る前から東京都として取り組まれたということは、大変先見の明があったのかなと思う一方で、まだまだ実際には多くの区市町村の自治体職員の方々の知識のところまで十分行き渡っていないということであります。
 そうした意味では、これ以上の、いわゆる、今後もますます多様化、高度化してくるわけで、やはり東京都の中で最もこうした障害者児の方へのゲートキーパーとして期待されるセンターでありますから、さらなる拡充も期待されるところであります。
 こうした動きもあったことも含めて、先日、予算委員会でも取り上げさせていただきましたけれど、練馬区さんなんかは独自に、規模はまだまだ東京都に比べれば小さいのかもしれませんけど、まずは来年一月オープンに向けて、今、準備をするといった報道もあったところであります。
 やっぱり都内の区市町村が、独自に障害者やその家族からの相談に適切に応じていけるよう、東京都としても、もっとこのお取組を進めていくべきではないかなと思うんですが、見解を伺います。

○中川障害者施策推進部長 障害者が必要なデジタル機器を適切に利用しながら、地域で安心して暮らしていくためには、身近な地域における相談支援体制の充実が必要でございます。
 デジタル機器の高性能化や多機能化にも適切に対応しながら、引き続きセンターでの相談支援や研修などを通じまして、区市町村の取組を支援してまいります。

○小松委員 これまで幾つかこのセンターについて伺ってきたところであります。こうして期待されるIT地域支援センターでありますから、これからまた、多摩地域であったりですとか、遠くから、なかなか通うのが難しいなという方も、例えば東京都がなのか分かりませんけれども、多摩地域の市町村さんの中で練馬区を参考にというような思いがあったときに、少しでも東京都の知見であったりとか支援があることで、より多くの障害者児の方々の、こうした環境の普及につながることを、ぜひ検討を始めていただきたいなというふうに思っているところであります。
 最後に伺いたいなと思うんですけれども、こうした様々な可能性とか、機能を持つ東京都障害者IT地域支援センターなんですけれども、当事者に果たして十分に周知されているのかなということも疑問であるわけであります。
 例えば、区市町村で日常生活用具の給付の事業の相談に来た方に、必ずこうしたリーフレットが配布されたり、障害者児が通院されている医療機関で置かれていたり、ご紹介されていたり、そうしたことが十分あるのかなというふうに思うわけです。ある種、プロモーションにおいては、もう少し改善の余地もあるのかなというふうに思うわけであります。
 資料等を見れば、そうした様々な自治体や医療機関、特別支援学校と協力、提携があるというふうには書かれてはいるんですけれども、果たして、どれだけ多くの当事者の方に伝わっているのかな、ご家族の方に伝わっているのかなと思うと、まだまだ改善の余地があるように思いますが、最後に、そうした点について、部長のお考えがあれば伺って終わりたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 東京都障害者IT地域支援センターは、障害者が日常生活で利用するデジタル機器に関する様々な事業に取り組んでございます。
 その取組内容等につきましては、都民をはじめ関係者や関係機関に対して、さらに分かりやすく発信をしていきますとともに、身近な地域で障害者やそのご家族の方からの相談支援を行っております区市町村に対しましても、よりセンターを利用していただけるよう、積極的に情報発信を図ってまいりたいと考えております。

○おじま委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十五分間休憩いたします。
   午後五時三十六分休憩

   午後六時五分開議
○おじま委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 介護人材の有効求人倍率が六・一五ということです。全部の産業の方は一・一四ですから、かなりの人手不足であることが分かります。令和七年度、二〇二五年度には三万一千人の介護人材の不足が起こるといわれております。
 超高齢化社会を迎える日本、東京都にとって、介護人材の確保は喫緊の課題といえます。介護職は、社会的な必要性などは認識をされているものの、人件費が安くて、気持ちがあっても長く続けられない職種ともいわれてきました。このたびのコロナ禍で、高齢者介護はエッセンシャルワーカーだということも認識が広がりました。介護職の賃金を上げて、就労環境を整備することは必須です。
 我が会派は、施設のデジタル化や在宅介護の拡充、災害時の福祉避難所としての在り方など、高齢者施策を社会全体で進めるための提言を行ってきました。とりわけ介護職員の処遇改善は、賃金だけではなくて、長く勤務できる環境整備も含めての提言を続けて、さらにキャリアアップの教育の必要性も訴えてまいりました。
 新年度には、介護職員の待遇改善としての報酬アップ、就業促進事業、職員の宿舎借り上げ支援事業などの施策が予算に盛り込まれたことを評価します。
 介護職員宿舎借り上げ支援事業について、来年度から、区市町村との災害時協力協定を締結した事業所が補助対象に加えられましたが、その狙いと具体的な内容について伺います。

○山口高齢社会対策部長 都はこれまで、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応等の強化を目的に、福祉避難所の指定を受けた介護施設等を対象に、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施してまいりましたが、来年度からは、対象事業所を在宅サービス等にも拡大し、その上で、区市町村と災害時の協力協定を締結した事業者には、福祉避難所の指定を受けた場合と同様に、補助率を八分の七といたします。
 協力協定の内容についてでございますが、事業所と区市町村との間で災害時における利用者の安否確認や避難所等でのサービス提供など、地域における災害対応への協力について締結することを想定しております。
 これにより、介護人材の確保とともに災害発生時における地域の高齢者への支援の充実を図ってまいります。

○菅原委員 この事業を進めるためには、基礎自治体の理解が不可欠でございます。特に、災害時協定も踏まえて、福祉保健関係と防災体制などの連携が求められます。
 都として、細やかな区市町村の担当部署への説明や連携、事業執行のための取組が必要と考えますが、見解を伺います。

○山口高齢社会対策部長 本事業がより多くの事業所に活用されるよう、事業所に対しては、拡充のポイントを分かりやすく周知するとともに、区市町村の福祉や防災部局に対しては、説明会等を通じて協定に盛り込むべき内容や既に協定を結んでいる自治体の参考事例の紹介などを行うこととしております。
 こうした取組によりまして、事業所、区市町村の双方に協定の締結を働きかけてまいります。

○菅原委員 新年度の取組は、介護人材の確保のための施策展開ですが、災害の場合の取組も強くするものでございます。区市町村の防災対策の部署と福祉関係の部署、そして地域の事業所の連携がスムーズに進むよう取組をお願いいたします。
 在宅医療体制について伺います。
 高齢化の進展や病床機能の分化に伴い、訪問診療の必要性が議論となっております。令和七年度の都全体の訪問診療の必要性は十四万三千九百六十八人、これ一日と試算されておりまして、これは平成二十五年度と比べて一・五倍となります。
 訪問診療の拡充のためには、人材の育成、地域の多職種連携の構築、デジタル化などの課題があります。さらに、主治医と患者をバックアップする医療従事者や訪問看護体制の整備、在宅で最期を迎えるみとりまで含めた社会基盤整備が必要です。
 新年度予算では、切れ目のない在宅医療体制整備支援事業として、二十四時間対応の支援体制を想定したプロトコルの策定が提案をされています。二十四時間の在宅医療の体制構築には、区市町村、医療関係者だけではなくて、多職種の連携を想定した多くの方々の参加が必要です。
 プロトコルの策定には多くの関係者の声が届く進め方が必要と考えますが、見解を伺います。

○矢沢理事 区市町村が地域におけます二十四時間対応の在宅医療体制を構築するためには、そのプロセスについて、医療、介護従事者など、多くの関係者の意見等を取り入れた実践的な手順書を作成し、地域における関係者の協働につなげていくことが重要でございます。
 このため、まず、東京都在宅療養推進会議での議論を踏まえ、手順書の素案を作成いたします。次に、複数の区市町村で素案に基づきモデル事業を実施いたしまして、二十四時間対応に必要な仕組みなどについて、在宅医療を担う医師、看護師、ケアマネジャー、介護士など、多職種からの意見を聞きながら手順書に盛り込み作成することとしております。

○菅原委員 在宅医療とともに、在宅でのみとりも今後の大きな課題となります。
 病院で亡くなられた方と、そして在宅で亡くなられた方の人数について、それぞれ現状を伺いたいと思います。さらに、都としての取組の現状と今後の取組についても伺います。お願いします。

○矢沢理事 令和元年、都の死亡数は十二万八百七十人でありまして、その約六七・六%に当たる八万一千七百六十三人が病院で、約一八・九%に当たる二万二千八百三十五人が自宅で亡くなっております。
 都は、自ら望む医療やケアについて、家族や医療、介護関係者とあらかじめ十分に話し合い共有するアドバンス・ケア・プランニング、ACPへの理解促進に取り組んでおります。
 今年度は、昨年度作成した都民向けのリーフレットを増刷し配布するとともに、医療、介護従事者を対象に、本人の意思確認、話合いや共有方法等の実践的な研修を実施し、七百人を超える参加がございました。
 今後は、こうした研修を充実するとともに、都民への普及啓発についても検討を進めてまいります。

○菅原委員 厚生労働省が平成二十五年に行った人生の最終段階における医療に関する意識調査というのがありまして、この中で、人生の最期について家族で話し合ったことがあるかという問いがあります。この問いには、四割の方があるとされております。この割合を高めていくことが重要だと思います。
 また、東京都生活文化局が平成二十八年に行った調査もありまして、これは健康と保健医療に関する世論調査というものですが、これの中では、長期の療養になった場合、自宅での療養を希望するのかという問いに対して答えた方が三二・二%だということです。
 もう一つ、東京都福祉保健局が同じ平成二十八年に行いました調査、高齢者施策に関する都民意識調査では、自宅で最期を迎えたいとする方が三八%いたということです。
 これからの日本は、多死社会、多くの方が亡くなる社会ということを迎えます。亡くなる場所は決して病院だけではなくて、選べる形、選べる環境整備が必要になってまいります。ACP、アドバンス・ケア・プランニングを進めることは、できるだけ望む形での最期を迎える、亡くなる場所を選べるということが必要です。ぜひ施策を進めていただければと思います。
 次は、放課後デイサービスの件です。
 平成二十四年、児童福祉法が改正されまして、障害児支援のためのサービス体系が再編されました。その中で、障害のある学齢期の児童が通う療育機能と居場所機能を併せ持つ放課後デイサービスが創設されました。行政が運営する子供たちの居場所は、保育施設や学童クラブなども同じですが、量と質の確保が必要です。
 放課後デイサービスは利用者が急増しておりまして、支援内容や開設時間もばらばらです。中には学習塾や習い事と変わらないと思われる施設もあると報告をされています。今後の需要増を見込みつつ、質の確保も並行して進めることが必要です。
 東京都は、令和三年度に放課後等デイサービス事業運営状況調査を行いまして、現状把握を進めました。来年度の新規事業として、都型放課後等デイサービス事業が創設され、運営経費の一部の補助が予算化されています。都独自の個別支援計画の策定や保護者による評価、送迎やサービス時間の延長なども含めて利用者目線での改革が進んでいます。
 厚生労働省は、障害児通所支援の在り方に関する検討会を開催しており、学校との連携、地域との連携、低年齢と高年齢の児童を同じ施設で受け入れられるかなどの課題の整理が必要とされております。インクルーシブな社会を構築するために、障害のある子供たちがそれぞれの個性を伸ばして居場所を確保することは重要です。
 新年度予算には、都独自の個別支援計画の策定、保護者による評価などの取組が始まります。指標を策定し、事業評価を進めることになります。これらの事業の進め方について、利用者目線を担保して、質の向上を進めるべきです。
 都として、具体的な施策展開の方向性をお示しください。

○中川障害者施策推進部長 国の放課後等デイサービスガイドラインでは、利用者の安心感を高めるため、事業者による保護者への丁寧な説明や積極的なコミュニケーションが重要であるとしておりまして、アンケートなどにより、利用者の意向を把握することを求めております。
 このため、都型放課後等デイサービス事業では、保護者と事業者が子供の発達の状況や課題について共通理解を図った上で個別支援計画を策定することや、保護者の意向を踏まえた事業改善を進めるための保護者による評価を条件としております。

○菅原委員 いわゆるわいせつ職員の問題もあるんだと思います。障害児などにわいせつ行為を働く職員についても課題となります。
 わいせつ行為は、性的虐待であり重大な権利侵害です。子供の権利擁護を確保するための取組について伺います。お願いします。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害者虐待防止法を踏まえ、障害者虐待防止、権利擁護研修を施設の管理者や従事者を対象に毎年実施しております。
 また、区市町村とも連携しながら、虐待の通報を受けた場合には、必要に応じて運営指導を行うほか、児童福祉法に基づく実地検査等において、虐待防止委員会の設置等の取組状況を確認しております。

○菅原委員 ありがとうございます。
 虐待の取組とわいせつの問題は似て非なるものでありますけれども、ぜひ同じ目線で考えていただく視点も必要かと思います。
 放課後デイサービスに関わる職員の資質向上は、都として積極的に進めていただきたいと思います。近年、子供に関わる職員、例えば学校教員や保育士などですが、いわゆるわいせつ行為を働く職員の問題が顕在化し大きな問題となっています。なかなか表面化しにくい問題でしたけれども、被害当事者や保護者の訴えを受けて大きく改善されつつあります。
 二〇二一年に議員立法によって教職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が成立して、六月に公布されました。これによって、児童生徒にわいせつ行為をして懲戒免職となった教員に対し、失効した免許を再交付しない権限が都道府県の教育委員会に与えられました。
 NPO法人性犯罪加害者の処遇制度を考える会の代表で精神科医の福井さんという方がいらっしゃるんですが、この方は次のようにお話をされています。人口の五%程度は先天的な小児性愛者であり、小児性加害依存には治癒はない、あるのは加害行為をしない回復の状況の維持だけだと、そのように話をされています。
 放課後デイサービスでもわいせつ犯罪が起こる可能性を否定できないと思いますので、今後の検討をぜひお願いいたします。
 子供食堂の件に移ります。
 東京都の「未来の東京」戦略の中には、子供食堂への支援を拡充し、身近な地域における子供の居場所づくりを一層推進すると書かれております。東京都の子供食堂施策は、個別の運営補助金の設定、拡充が展開されてきました。このたび、さらなる拡充の方針が示されたことを評価したいと思います。
 東京都が行ってきたこれまでの子供食堂の支援の概要と過去の実績、今後の取組について伺います。お願いします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、地域の子供たちに食事や交流の場を提供する子供食堂に対し、平成三十年度から支援を開始しておりまして、令和元年度からは新型コロナウイルス感染症の拡大に係る緊急対策として、配食、宅食に対しましても補助を実施しております。
 都の支援を受けた子供食堂の実績は、平成三十年度は百九か所、令和元年度は百七十四か所、令和二年度は二百七十三か所でございます。
 来年度は、配食、宅食の経費の補助を今年度と同様に年間六十万円としており、引き続き子供食堂の運営を支援してまいります。

○菅原委員 東京都は、子供食堂事業を通して支援の必要な家庭とのつながりの構築を期待していると伺っています。このこと自体は重要な視点です。
 一方で、子供食堂の主体は、大きな団体から地域の篤志家ともいえる小規模な取組など様々です。子供たちの家庭事情まで関わることにちゅうちょするケースもあると思います。
 そこで、子供食堂事業への補助事業を進めるに当たり、区市町村の子供家庭支援センターなどとの連携を視野に入れて事業構築を進めることを検討いただきたいと思います。都の見解を求めます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は今年度から、子供食堂が食堂の開催や配食、宅食を通じて、子供やその保護者に相談支援の窓口を周知するよう、区市町村を通じまして働きかけを行っております。
 また、子供食堂が地域の見守り機能を十分に果たせるよう、スタッフが支援スキルを身につけるための研修等を実施することを要件に、区市町村への支援を充実しております。
 今後ともこうした取組を進め、子供食堂が子供と子育て家庭を必要に応じて子供家庭支援センター等につなぐことができるよう、区市町村と連携して支援してまいります。

○菅原委員 子供食堂の運営のために行政が補助金を支出することは事業の持続可能性を高めます。先ほども触れましたが、子供食堂の運営主体は様々です。私自身も昨年の夏に子供たちにお弁当を配る事業に関わりましたが、都の求める形に少し高いハードルを感じるということも実感しました。
 緩やかに子供たちを見守って地域で子供たちを育てることとリスクの高い子供たちへのアプローチを両立するために、丁寧な説明と連携が必要だと思います。よろしくお願いします。
 子供の貧困対策です。
 子供の貧困対策は様々な模索が続いて、まだまだ施策のメニューが整理されているとはいえません。必要な施策が必要な都民に届いていない、当事者がサービスを知らないという課題も顕在化しています。
 東京都の「未来の東京」戦略では、区市町村における専任職員の配置や子供支援団体の事業立ち上げを支援とされておりますが、この点をそれぞれ詳しくご答弁をお願いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 専任職員の配置についてでございますが、都は、平成二十九年度に子供の貧困対策支援事業を開始し、関係機関と連携、情報共有して生活に困窮する子育て家庭を必要な支援につなげるための調整等を行う専任職員の配置や、関係機関の連携、情報共有を行う連携会議の設置等に取り組む区市町村を支援しております。
 昨年度は、九区市が本事業を活用して、専任職員の配置等に取り組んでおります。

○高橋生活福祉部長 子供支援団体の立ち上げ支援事業でございますが、都は、区市町村に対し、民間団体が生活困窮者世帯の子供に学習支援や居場所の提供等を行う事業の立ち上げを支援する場合や、自立相談支援機関等に民間団体の開拓や育成、団体間の連携を推進するためのアドバイザーを配置する場合に、包括補助事業により支援してございます。
 今年度でございますが、立ち上げ支援は二区、アドバイザーの配置は四区を支援することといたしております。

○菅原委員 子供の貧困対策総合計画は、国の法律と計画に沿って各都道府県が策定することになっています。東京都のように子育て支援計画の一部としている自治体が半分程度、私が要望しているように子供の貧困対策計画として独立した計画を策定している、こういう自治体が半分程度になっています。
 小池東京都知事は、二〇二〇年の都知事選挙の際、二期目の選挙公約、東京大改革二・〇を発表しました。その中に、子供の貧困対策が明記されています。国では、子供の貧困対策を担っているのは厚生労働省ではなくて内閣府です。子供の貧困対策は、福祉保健の分野だけではなくて、教育環境の整備や広い範囲に影響するために、あえて内閣府が担っていると考えられます。
 新年度からは、子供に関する政策を総合的に推進する子供政策連携室を設置する議論が進んでいます。小池都知事は、都政の政策全般を子供目線で捉え直して推進するとしており、私も期待をしております。
 子供の貧困対策に関わって感じるのは、子供自身はとても豊かな存在で、貧困なのはその子供の周りの環境なんだということなんです。子供の周りの環境を紡ぎ直してセーフティーネットを分厚くするのが子供の貧困対策ではないかと思います。その施策展開は決して福祉保健局だけが担うのではなくて、各部局が横断的に関わることが必要だと思います。
 子供の貧困の問題を東京都全体の課題として捉えて、子供・子育て支援総合計画から独立した計画策定をすることを、ぜひご検討いただきたいと思います。
 子供や子育てに関する情報が、必要とする当事者に届きにくいという問題があり、先ほども取り上げました。分かりやすい情報の周知は重要な課題です。東京都は、子育てに関する情報を分かりやすくまとめたとうきょう子育て応援ブックを発行しています。しかし、子育ての悩みは、それに対する支援策はたくさんあり、一人一人が必要な情報にアクセスするのは簡単ではありません。
 東京都が実施している子育て支援情報をより効果的に届けるべく、紙ベースだけではなくて、デジタルツールも活用すべきと考えますが、来年度の取組を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都や区市町村では、子育て家庭に対し、福祉、教育、就労など、様々なサービスを提供しておりまして、都は、目的や区市町村名、子供の年齢、家族の状況などを入力することで利用できるサービスを簡単に検索できるポータルサイト、とうきょう子育てスイッチを運営しております。
 また、来年度は、公立小学校一年生の保護者などに配布しております困り事別にサービスをまとめた冊子、とうきょう子育て応援ブックの情報を、キーワード等を使って、より簡単に入手できるようチャットボットを導入いたしまして、子育て家庭に対する情報提供の充実を図ってまいります。

○菅原委員 チャットボットは、都政のほかの分野でも既に導入されている事業があります。先行事例も参考にしながら効果的に活用していただければと思います。よろしくお願いします。
 受験生チャレンジ支援貸付事業についてです。先ほども議論がありましたけれども、私なりの切り口でお時間をいただきたいと思います。
 生活困窮世帯への支援として、子供たちの高校や大学への進学を支えるのが、受験生チャレンジ支援貸付事業です。各方面からの評価を受けて、特に子供や保護者からも支持されている事業です。
 この事業の課題は大きく二点あると思います。まずは、対象者が限定的だということです。
 現在は、生活保護基準一・一倍としています。しかし、区市町村の就学援助の九割が生活保護基準の一・五倍以内であることから、このチャレンジ支援貸付事業も対象者の拡充が求められてきました。新年度の予算では、事業の対象者が生活保護一・五倍程度まで拡充されていることを評価します。それに伴う増大する事務量への対応もされています。
 対象拡大によって告知する対象者も増えますので、今まで以上の広報が必要となります。広報の拡充についての取組を伺います。お願いします。

○高橋生活福祉部長 受験生チャレンジ支援貸付事業につきましては、来年度から対象世帯の収入要件を生活保護基準の一・一倍から一・五倍に引き上げることといたしまして、申請件数も令和二年度実績の約三・六倍を見込んでおります。
 都は、これまで区市町村の申請窓口や、ひとり親家庭支援センター等において、ポスターやリーフレットによる普及啓発を行いますとともに、中学校や高校等を通じまして、中学三年生、高校三年生への周知を行っております。
 これらに加えまして、来年度からは、大幅な対象拡大が見込まれますことから、新たにSNS等による普及啓発を行い、制度について広く周知を図り、必要な方が貸付けを受けられるよう取り組んでまいります。

○菅原委員 子供たちの挑戦を応援するという視点からいえば、スタディークーポン事業も必要です。スタディークーポン事業が始まって数年になりますが、現状の取組について伺います。お願いします。

○新田事業調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都は、生活保護世帯の子供を対象に、生活保護費の支給対象とならない学習塾の費用などを助成する区市に対し、包括補助で独自に支援しております。
 令和二年度からは、学生ボランティア等を活用した家庭訪問による学習相談と地域の学習塾等を利用できるクーポン券を給付する取組について包括補助の対象としており、令和三年度は一区一市で実施しております。

○菅原委員 東京都はこれまで、福祉事務所の所長会などを通じてクーポン券の方式の活用を働きかけてきました。
 チャレンジ支援貸付事業のもう一つの課題というのがあると思います。これは返済規定のハードルというふうにいわれております。
 チャレンジ支援貸付事業ですから、あくまでも借金です。高校や大学に入学したら返済免除となっていますが、子供たちにとって高いハードルと感じる場合があります。この規定があるために、応募することをためらう子供たちがいるのではないかと思います。
 東京都社会福祉協議会が報告している令和二年度実績では、九九・三%が返済免除となっております。ほとんどが返済免除になっているということなんです。子供たちの学びの無償化、給付型の奨学金の拡充など、近年の議論や社会制度の拡充を受けてチャレンジ支援貸付事業の在り方も議論の時期となっているのではないでしょうか。
 チャレンジ支援貸付事業は、先進的で効果的な施策だと思いますので、さらに子供たちの希望や夢が広がる形で検討していただきたく思います。これは要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 自殺対策に移ります。
 年間三万人を超えていた日本の自殺者数は、近年は二万人前後へ減ってきました。しかし、コロナ禍で、若者と女性を中心に自殺者が増え、全体としては下げ止まり傾向にあります。小中高生の自殺は、令和二年には過去最多の四百九十九人となりました。コロナ禍で在宅時間が長くなり、厳しい家庭環境の子供たちが追い詰められているという指摘もあります。
 自殺の原因の多くは、幾つかの複合的な状況によって追い詰められるということが報告をされています。複合的な状況の一つでも社会全体で支えることができれば、生き続けられることができるのかもしれません。自殺対策が生きる支援と定義されているのはそこに起因をいたします。
 小池都知事は、二期目の都知事選挙の公約、東京大改革二・〇の中に自殺対策を明記し、取組を進める姿勢を打ち出しました。東京都は、東京都自殺総合対策計画−こころといのちのサポートプラン−を策定し取組を進めてきました。来年度には、新しい計画を策定します。東京都の自殺対策は、LINE相談など相談業務を拡充してきましたが、さらに多様な取組が必要と考えます。
 コロナ禍では、若者と女性の自殺者増加が顕在化をしました。自殺未遂も同様です。自殺は本人も当然ですが、近しい人間関係の方々、最低五人に強い衝撃を与えるといわれています。特に、若者と女性の自殺によって近しい方々への影響が懸念もされます。自殺や未遂が起こった場合の初動体制の構築についての議論も始まったと聞いています。
 都として、自殺や未遂が起こった場合、早期介入できる仕組みの検討を進めるべきと考えますが、見解を求めます。お願いします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、自殺未遂者が再び自殺を企図することを防ぐため、救急医療機関等からの相談に対応いたしますとともに、ご本人を支援する自殺未遂者対応地域連携支援事業を実施しております。
 今月には、本事業に従事する保健師等を増員して支援体制を強化するほか、警察や消防、区市町村教育委員会等への本事業の一層の周知を図ってまいります。
 また、自死遺族の方が必要な時期にニーズに応じた支援を受けられますよう、相談窓口や遺族の集い等の情報を掲載したリーフレットを作成し配布しております。
 来年度は、自死遺族関係団体代表も委員として参画する自殺総合対策東京会議におきまして、自殺総合対策計画改定に向けた検討を行うこととしておりまして、自殺未遂者や自死遺族の方への取組の強化についても議論してまいります。

○菅原委員 私たちは、生きる支援としての自殺対策を進めて、例えば鬱病、また不眠対策、多重債務、就労支援、自殺企図者の対応、精神疾患の対策、SOSの出し方教育、ゲートキーパーの育成、自殺遺族を支える活動などが必要と常に訴えてまいりました。
 東京都として、これらの課題をどのように検討して進めていくのか、見解を伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、東京都自殺総合対策計画に基づきまして、自殺対策の取組を推進しております。
 この計画では、広域的な普及啓発、若年者対策の推進、自殺未遂者の再企図の防止など六項目を重点施策に掲げており、ゲートキーパーの重要性についての普及啓発や、小中高生に対する自殺予防に関するポケットサイズのメモの配布、自殺未遂者の支援体制の強化など、様々な対策を庁内各局や区市町村、関係機関と連携して実施しております。
 また、計画に掲げた目標の評価検討を行うため、自殺総合対策東京会議に計画評価・策定部会を設置し、各年度の取組状況を報告いたしますとともに、今後の取組につきましてもご意見をいただいております。
 令和二年度からは、コロナ禍における自殺防止策についても検討し、その結果も踏まえ、都民の心と命を守る緊急対策などを実施しております。

○菅原委員 ありがとうございます。
 東京都は、新たな自殺対策の総合計画の策定を計画しているという答弁もございました。この計画の策定に係る方向性などについて答弁をお願いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都自殺総合対策計画は、自殺対策基本法に基づき国が平成二十九年七月に決定した自殺総合対策大綱を踏まえまして平成三十年六月に策定し、令和四年度までの五年間を計画期間としております。
 国は、新たな自殺総合対策大綱の策定に向けて、昨年十一月から、自殺総合対策の推進に関する有識者会議におきまして議論を開始しており、本年三月に報告書案を取りまとめる予定と伺っております。
 都は、こうした国の動向やコロナ禍における自殺リスクの高まり等を踏まえ、東京会議において、都がこれまで取り組んでまいりました施策の検討、評価を行いますとともに、今後取り組むべき施策などについて議論し、令和五年度以降の次期計画について検討してまいります。

○菅原委員 この二年間のコロナ禍の中で、自殺リスクも高まってきたということが分かっています。東京都は様々な形で相談窓口を拡充してまいりました。そのことは評価をしたいと思います。
 ご存じのように、自殺対策は生きる支援です。そして、自殺は、幾つかの複合的な要素が関わって追い込まれて死に至るケースが多いということも分かってきました。総合的な施策展開が必要だということは共通認識だと思います。これから議論される新しい自殺総合対策計画の策定に注目をしていきたいと思います。
 次に行きます。かねてから、新型コロナ対策の重要な施策として、検査の重要性が議論され、第六波の中、発熱外来などに無症状の方も含めた患者が集中して、速やかに受診、検査を受けなければいけない症状のある方が受診、検査を受けられない状況がありました。
 このため、東京都では、発熱などの症状がある場合には、医療機関の受診を案内していますが、自宅待機をお願いしている濃厚接触者のうち、無症状の方には、症状が現れた場合に検査を受けてもらうよう、本来必要な方への無料の検査キットの配布を事業化しました。これによって、早期発見、早期対応、都民の不安解消、地域の医療機関の混雑緩和などの効果があったと思います。
 一方で、感染の急拡大に伴って検査需要が大きくなり、検査キットの在庫不足を訴える医療機関も発生しました。医療の最前線での検査キットの不足が起こる在庫の偏りがありました。
 抗原検査キットの無料配布は重要ですが、その反面、地域のクリニックでの抗原検査キットの不足という事態が起こった件について、都の見解を伺います。お願いします。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 感染急拡大に伴う検査需要の増加により、医療現場において抗原検査キットが不足しているとの声を踏まえ、都は、本年一月以降、検査キット等の安定的な確保と医療機関への優先供給について国に対して要請するとともに、医師会に情報提供いたしました。
 国がメーカーに増産要請するとともに、医療機関への優先供給が行われた結果、医療機関からは、現在、抗原検査キットは納品が遅れることなく調達可能な状況になったと聞いております。
 今後とも、検査キットの確保を国に求めるとともに、キットが不足するおそれがある場合には、行政検査の実施に支障が生じないよう、あらかじめ都の様々な検査事業について優先度に応じた調達を検討するなど、感染拡大時においても、行政検査等の必要性の高い検査が確実に実施できる体制の確保に取り組んでまいります。

○菅原委員 今回のように感染急拡大のときに検査キットの在庫の偏りが起こるのは仕方がない部分もあります。とはいえ、各関係機関の連携や事業の工夫で避けられる可能性もあるように思います。コロナ禍では最悪の事態を想定することも必要です。都として、医療の最前線への検査キットの優先配分の議論を進めていただきたいと思います。これは要望させていただきます。
 がん対策です。
 「未来の東京」戦略には、東京都のがん対策について書かれています。ここに予防、医療に加えて、共生が明記されていることも評価します。この共生の中から質疑をさせていただきます。
 まずは、治療と仕事の両立を取り上げます。
 百人のがん患者には百通りの治療方法があるといわれるように、がんの治療は人それぞれですし、生活の質、QOLを見極めながら、最終的には患者本人が様々な判断をします。この生活の質の維持には仕事との両立もあります。
 東京都は、平成二十七年にがんに罹患した従業員の治療と仕事の両立支援ハンドブックを作成しました。ほかの道府県に先駆けた取組だったと思います。先進的な取組としては、神奈川県は治療と仕事の両立推進企業を認定する制度を創設いたしました。プラチナ企業七十六社、ゴールド企業二十七社、スタンダード企業二社などを公表して、治療と仕事の両立を見える形で示しています。
 国の施策ではありますが、がん診療連携拠点病院などとハローワークが協定を結び、治療と仕事の両立を支える仕組みもあります。都内では三つの病院が協定を結んでいると伺いました。
 これらのように、治療と仕事の両立のための施策は、少しずつですが具現化しています。中小企業における治療と仕事の両立のためにどのような取組を行うのか伺います。

○矢沢理事 都は来年度、がんの治療と仕事の両立に向けまして、中小企業の経営者や人事労務担当者、産業医等を対象にオンラインセミナーを開催するとともに、終了後はその内容を広くホームページ上で発信いたします。
 セミナーでは、職場においてテレワークや多様な休暇制度が導入され働き方改革が進む中、がん患者への就労支援に関する意義や柔軟な働き方の活用方法についての講義、パネルディスカッション、がん罹患関係者による講演などを予定しております。
 開催に当たりましては、より多くの方にご参加いただけますよう、東京都がんポータルサイトに掲載いたしますとともに、がん診療連携拠点病院やハローワーク、関係団体を通じて周知をしてまいります。

○菅原委員 東京都の九九%は中小企業といわれます。中小企業の健康経営の観点からも、治療と仕事の両立に向けた啓発は必要です。来年度は、オンラインセミナーを開催される予定ということですので、多くの方々に見ていただけるように取り組んでいただきたくお願いをいたします。
 がんは情報戦という言葉もありますが、がんという病気を知ることも重要です。がんとの闘病は、本人だけではなくて、家族や仕事先、友人など、多くの方々が関わる場合が多いということです。文部科学省が正式に学習指導要領に明記したのもつい最近の話です。
 厚生委員会の場では、がんに関する都民への普及啓発の視点から質問をいたします。
 東京都のがんポータルサイトを見ると、民間団体や医療機関と連携をして様々なイベントやシンポジウムの情報が提供されています。私もオンラインで幾つか見させていただきました。少し残念なのは、視聴者や参加者が若干少ないのではないかということです。内容がすばらしいだけに、とても残念な印象も持っております。
 多くの都民ががんについて学ぶための積極的な施策展開が求められます。がんに対する都民への普及啓発の状況について伺います。

○矢沢理事 都は、東京都がんポータルサイトに、がんに関する各種情報を集約し発信するとともに、がん診療連携拠点病院等において開催されております様々ながんに関する公開講座などの情報を提供しております。
 令和四年度には、働く世代や子育て世代を中心に、がんの正しい知識を普及するため、治療に関する情報、治療開始に当たって確認すべきポイントや、治療と仕事の両立に役立つ情報、相談先などを盛り込んだ動画を作成しインターネット配信するなど、普及啓発の取組を進めてまいります。

○菅原委員 がん患者会については何度か取り上げてきました。患者会はそれぞれが独自の取組をしていると思いますので、東京都が一元管理する必要はないと思いますが、連携することは重要です。
 東京都のがんポータルサイトでは二十九のがん患者会が紹介されておりました。ちなみに、神奈川県のがんのポータルサイトでは三十一団体が紹介されています。京都府のホームページはさらに情報が盛りだくさんだという印象です。
 がん患者会の対応については、昨年の事務事業質疑でも答弁をいただきましたが、その後の進捗について伺います。

○矢沢理事 共通する患者経験を持つ人たちが集まり、お互いの悩みや不安の共有、情報交換、交流などを行うがん患者団体等の存在は、がん患者や家族の心の支えとなっております。
 都は、がん診療連携拠点病院等に患者団体等の対象疾患や活動内容などの情報を提供し、拠点病院等と団体等の連携に努めますとともに、東京都がんポータルサイトにもこうした情報を掲載し広く周知をしております。
 また、今年度設置いたしましたAYA世代がん相談情報センターでは、患者団体等とも連携しながら患者サロンなどを開催することとしておりまして、引き続き、がん患者や家族の様々な不安や悩みに応える取組を支援してまいります。

○菅原委員 がん医療の進展によって入院日数が短くなって、在宅でのがん治療のニーズが増えています。
 東京都医師会では、在宅医療塾を開催しておりまして、人材育成に努めています。在宅医療は、医師だけではなくて訪問看護師、訪問介護などの人材育成や、在宅医療の社会環境の整備が重要となります。これらは今後の課題だと思います。
 がん対策の一つの視点に在宅療養がありますが、この点についての今後の取組を伺います。

○矢沢理事 都は、がん診療連携拠点病院等での治療後において、引き続き在宅移行支援を行う病院を確保するとともに、患者及びその家族が必要な緩和ケアを受けられる体制を構築するためのモデル事業を実施しております。
 今後、がん対策推進協議会に設置いたしました緩和ケアワーキンググループにおきまして、こうした病院に必要な機能や人材、地域との連携の在り方を検討し、がん患者と家族が住み慣れた地域へ安心して移行することができる体制の構築に取り組んでまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 がん対策についても、この厚生委員会の場などで何度も取り上げてまいりました。AYA世代や、がんと就労の施策など、この数年間に東京都のがん対策は進んできたと思います。一つ一つの施策を積み上げて、東京都のがん対策を幅広く分厚いものにしていただきたいと思います。
 最後に局長に伺います。
 来年度の予算の中で、コロナの問題プラス、ウクライナの問題があると思います。そして、それに対して、新しく、今度の金曜日には議会も開かれるような話も聞いておりますけれども、特に福祉保健の分野で働きにくくなった方々、また生活に苦しくなった方々、そういう方々への対応も必要になってくると思います。
 来年度の予算全体を含めて、局長の見解を伺いたいと思います。お願いいたします。

○中村福祉保健局長 東京都としては、これまでも安心して子供を産み育てることができる環境づくり、あるいは高齢者、障害者児サービス基盤の整備、生活困窮者への支援、さらには予防をはじめといたしましたがん対策の推進、救急医療、在宅医療の充実など、誰もが安心して暮らし続けられるよう、福祉、保健、医療施策を積極的に展開してきております。
 新型コロナウイルス感染症に対しては、ご質問ございましたような検査、あるいは発熱外来、保健所、あるいは医療、療養体制の強化、在宅療養の支援強化など、全力で取り組んできております。
 来年度につきましても、やはりこういった総合的な体制というのは維持した上で、変異株、あるいは新しい感染拡大の兆候を早期に捉えて、そして先手で対応していく、こういうことを基本的な対応としていきたいと考えております。
 一方で、ご指摘のように新型コロナウイルスによる影響の長期化で、失業に伴う経済的困窮、あるいは心理的な不安の増大など、都民の生活には様々な影響が生じております。
 このため、都としては、保健医療体制の確保に加えまして、女性や子供、ひとり親家庭等に対する相談体制の強化、生活福祉資金の特例貸付に必要な経費の確保、住まいを失った方への一時宿泊場所の提供、動画等を活用した自殺防止対策の拡充や相談体制の強化、これらのことに取り組んでまいりました。
 来年度は、これらの取組に加えまして、より多くの生徒が自ら目指す目標に挑戦できるよう受験生チャレンジ支援貸付事業の貸付対象世帯の収入要件を引き上げ、対象拡大を図るとともに、区市町村への補助の拡充、あるいはそれらの十分な周知、こういったことを行ってまいります。
 また、ひとり親に対する就業支援及び相談体制を拡充して、コロナ禍における自立を支援するとともに、孤立を防ぎ適切な支援につなげるため一人一人の希望や適性に応じて、目標設定からスキルアップ訓練、就職直後のフォローに至るまでの一貫した支援を新たに実施してまいります。
 一方で、ご指摘ございましたが、ウクライナ危機の影響、これらにつきましては、今後、物価上昇、あるいは企業の業績悪化、こういったことが懸念されると考えております。こういった中で、仕事や住まいを失うおそれのある方の増加、これも懸念されると考えております。
 そのため、今月、TOKYOチャレンジネットに緊急的な相談窓口を設置し、電話や対面の窓口で生活に困っている方の相談を広く受け付け、福祉事務所や生活困窮者自立相談支援などにつないでおります。
 引き続き、都民が安心して地域で暮らしていけるよう、職員一丸となって、福祉、保健、医療施策の推進に全力を尽くしてまいります。関係機関とも十分連携をしてまいります。先手先手で対応してまいります。

○伊藤委員 私からは、まず初めに、社会的養護施設退所者等の支援について質問をしたいと思います。
 虐待や貧困など様々な事情から保護され、児童養護施設や里親家庭で暮らす子供や若者が、原則十八歳を過ぎると施設を離れ、いわゆるケアリーバーとして社会の第一歩を踏み出していきます。しかし、自立へ向けてスタートを切った後に、孤立や困窮に陥るケースが少なくありません。
 こうした背景を踏まえ、国は、支援を受けられる年齢の制限を撤廃して、自立が可能かどうかで判断し、大人向けの支援に引き継ぐまで継続的にサポートを受けられるよう、今国会で児童福祉法改正案が審議をされます。
 一方、都は、施設職員などによるケアリーバーへのアフターケアがより充実できるように、そして、安定した生活を送れるように、来年度は都独自の新しい取組として、家賃、居住支援を行うとしたことは高く評価したいと思います。
 そこで、まず初めに、この予算について確認をしておきたいと思います。福祉保健局の令和四年度当初予算概要には、この新規事業については、自立支援強化事業の中に予算計上されておりますけれども、令和三年度は約二億一千六百万円、令和四年度は逆に約一億二千万円と、約九千五百万円が減額されておりますけれども、これはどういうことなのか、説明を求めたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 自立支援強化事業費には、これまで都が独自に実施してまいりました自立支援コーディネーターの配置に要する経費を予算計上しておりましたが、令和二年度から国が自立支援を担当する職員を配置した場合の運営費を支援することとなったことから、令和四年度の予算編成に当たり実績を反映した結果、減額となっております。

○伊藤委員 自立支援コーディネーターの話が出ました。この自立支援コーディネーターは、子供たちが入所中から退所後まで、自立に向けて一貫した支援を行う大事な役割を担う専任の職員でございます。これまでは都独自に実施してきたことを、今度は国がやることになったという説明でありました。よく理解をいたしました。
 本年一月、都は、児童養護施設等の退所者の実態調査結果を公表いたしました。この調査は五年ごとに行われ、今回が三回目であると聞いています。
 そこで伺いますけれども、このたびの調査は、これまでの調査と比較して新たに見えてきた特徴やポイントは何だったのか伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 就労、進学の状況では、退所直後の進路は、平成二十二年度の調査開始以降初めて進学が就職を上回っております。また、退所後に就いた仕事で既に辞めている者のうち、約四割は就職から一年未満、約五割は一年から三年未満で辞めております。
 健康状態、医療サービスの状況では、通院している診療科は、心療内科、精神神経科がともに最も多く、前回調査と比べて増加しております。
 そのほか、退所者の困ったときの相談相手は、施設の職員が最多となっております。

○伊藤委員 答弁いただいたその特徴でありますけど、まず、今後は、進学を望む子供が育成環境によって進学を諦めることがないように、しっかりと支援していくことが必要だということだと思います。
 そしてまた、就職を望む子供は、意欲を持ってやりがいのある仕事とマッチングできるように支援をしていくことが大事なんだというふうに思います。また、仕事を辞めてしまって、不安定な生活に陥ったときには、支援の手を差し伸べる必要があるということだと思います。
 今、就職についてのお話の数字が出ましたけれども、この調査をして、回収率が一九・六%だったというふうに聞いております。まだまだ、恐らくこの数字に出てこない子供たち、若者たちがたくさんいるんだろうというふうに思います。
 また、今の答弁の中にありました診療科でありますけれども、十八歳で一人で施設から社会へ飛び出していくわけです。不安とストレスからメンタルが傷つくことも多いと思います。これは受け止める人が必要だというふうに私は思います。困ったときの相談相手は施設の職員が最多だった、こういう結果です。これも、本当にうれしい話でありますけれども、一方で、重く受け止めなければならない調査結果だと私は思います。
 実態調査報告書の中には、子供たちが退所する前に、退所に向けて不安だったこと、心配だったことは何だったのかという自由記述をする、意見を述べるところがございました。そこを読んでみますと、そこにはお金のこと、仕事のこと、住まい、生活のこと、一人暮らしへの不安、孤独感について、人間関係についてなど、ありのままの不安、心配の気持ちが述べられておりました。
 こうした声に応えるためにも、このたびの都の新規事業に期待を寄せておりますけれども、事業のスキーム、家賃の支援額など、具体的な取組を伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 本事業は、ケアリーバーのためにアパート等を借り上げる施設等に対し、必要な経費を補助するものでございます。補助額は一人当たり月額五万三千七百円で、支援対象期間は一年としております。
 都は、補助を受ける施設等に対しまして、ケアリーバーがアパート等に入居中は、施設職員などが少なくとも月一回程度は連絡するなど、アフターケアの実施を求めることとしております。

○伊藤委員 この新規事業の概要を伺いましたけれども、支援期間については、退所後の一年間の一人暮らしを応援して、円滑な自立につなげるということから、都議会公明党は、さきの予算特別委員会代表質問で、退所後三年未満に不安定な生活に陥ったケースが少なくないことを挙げて、補助の期間を一年ではなく三年に延長していくことを前提に、この政策をスタートすべきだと求めました。
 これに対し、福祉保健局長からは、柔軟な運用を検討していくと答弁をいただきました。ぜひ、退所後の三年間は支援できるようにしていただきたいと思います。
 そして、まずは来年度、令和四年度は本事業を成果あるものにしていただきたいと思いますけれども、この四月に退所していく若者だけではなくて、昨年や一昨年の退所者、つまり、退所後三年以内のケアリーバーも対象とすべきと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 本事業につきましては、来年度から、十八歳で措置解除となった方にアパート等を借り上げる施設等に対し、経費を独自に支援することとしております。
 事業の実施に当たりましては、措置解除直後に限らず、ケアリーバーが自立後に離職するなど困難な状況に陥った場合にも対応できるよう、今後の状況も踏まえながら柔軟な運用を検討してまいります。

○伊藤委員 答弁の中に、措置解除直後に限らずという前向きな答弁をいただきました。つまり、退所後三年以内の若者も対象にしていくという理解をさせていただきたいと思います。
 実態調査報告書の後半には、退所者が、国や東京都、施設に伝えたいことが同じように自由記述で述べられております。
 その中には、施設や職員の方に対して思いが込められた感謝の言葉とともに、措置解除後の支援について、退所後に安い家賃で住めるような場所を用意してほしい、あるいは、未成年や学生など体が不安定な間は金銭面や精神面のサポートが必要だと思う、もう少し施設を退所した人たちに対する生活面のサポートを充実させてほしい、年代を問わずできる限りコミュニケーションを取ってあげること、雑談でもいいので聞いてもらえるとストレスも少し軽くなりますなど、これも切実な願いであるというふうに私は受け止めたいと思います。
 都は今後、退所後の社会人も学生も一緒に励まし合って自立していけるよう、また、施設側も緩やかに関わっていけるよう、施設のそばに、グループホームやシェアハウスなどによる支援も視野に入れながら、ケアリーバーへの支援を拡充していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、都型放課後等デイサービスの支援事業について質問します。
 放課後等デイサービスは、通学中の障害児が放課後や夏休み、春休み、冬休みなど長期休暇中において、生活能力向上のための訓練等を継続的に提供し、障害児の自立を促進するとともに、放課後等の居場所としても大事な施設であります。
 しかし、昨年四月には、国によって障害福祉サービスの報酬改定が行われまして、放課後等デイサービスの運営状況に大なり小なり影響が出ております。
 子供にとっても保護者にとっても大事な施設である放課後等デイサービスは、今後も質の向上を図りながらサービスの提供に頑張ってほしいと思いますけれども、改めて、都内の放課後等デイサービス事業の現状と課題について伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 放課後等デイサービスの支援の内容は、事業所によって様々でありまして、都の調査結果でも、障害児の基本的な日常生活動作に関する訓練を実施する事業所がある一方、学習支援や運動など特定の活動に特化している事業所もあることが分かりました。
 また、職員の確保、定着に関しましては、常勤、非常勤合わせて、事業所での雇用年数が五年未満の職員が約七割、三年未満の職員が約五割を占めておりまして、経験豊富な職員の確保に苦慮している実態も明らかになりました。
 第三者サービス評価の受審に関しましては、現在も受審している事業所が約一割である一方、費用や準備に対する負担などから、これまで受審したことがないと答えた事業所は八割を超えておりまして、サービスの質を客観的に評価する取組については、必ずしも十分でないと考えております。

○伊藤委員 この調査結果の答弁をいただきましたけれど、まず、経験豊富な職員の確保に苦慮している実態が明らかになったという話でした。であるならば、人材バンクみたいな登録システムを構築したりして、都が支援をしてあげたらどうかというふうに私は思います。
 また、受審したことがないと答えた事業所が八割、それはなぜかというと、恐らく受審費用への負担が大きいからだと、このように思います。であるならば、受審について費用を補助したり、事務作業を軽減したりとか、そういう支援策を私は考えるべきだというふうに思いますので、要望しておきたいと思います。
 答弁の冒頭にありました都の調査、放課後等デイサービス事業運営状況調査の結果は昨年の十一月に公表されましたけれども、改めて見てみると、国の報酬改定によって、運営主体の形態にかかわらず、約七割の法人事業所が減収となったと感じているとのことであります。
 都議会公明党として、直接に、事業者からも状況をヒアリングしましたけれども、中には数百万円単位で減収になるという事業所もありました。
 先ほどの答弁にあった現状の放課後等デイサービスの課題は理解はしますけれども、一方で、現状にとどまらず一生懸命にサービスの質の向上に努力している事業所も少なくありません。中にはそうした事業所が苦しい状況に陥っていることも踏まえ、都は、具体策を示すとともに、財政的な支援も講じるべきであります。見解を伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業は、サービスの質の向上に取り組む事業所を支援することを目的としております。
 このため、本事業は、経験豊富なコア職員を配置し、事業所全体のサービスのコーディネートなどを行うとともに、障害児が自立した日常生活を営むために必要な支援を行うこと、第三者評価を三年に一回受審すること、事業者間評価や保護者による事業所評価を行うことを条件としております。
 本事業の実施に要する経費といたしましては、年間四百十六万六千円を基準額として補助を行うほか、これとは別に、第三者評価の受審費用として六十万円を支援いたします。

○伊藤委員 都型放課後等デイサービス事業は、答弁にあった具体的な支援策の全てをクリアしなければならないというふうに聞いております。私は、これはハードルが高いと感じています。いきなり全てはできないという事業所もあると思います。
 事業スキームをもう少し細分化して、事業所が着実に改善を図ったり、サービス向上に取り組めるようにしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 いずれにしても、私は、昨年の報酬改定の見直しは課題があまりにも多くあると感じています。都は、二年後の次期報酬改定に向けて、国に向けて提案要求をすべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○中川障害者施策推進部長 令和三年四月の報酬改定では、放課後等デイサービスの経営状況を踏まえて減額の見直しが行われまして、都は国に対して、サービス提供の実態に即した報酬水準とするよう提案要求を行いました。
 現在、国は、次期報酬改定に向け、放課後等デイサービスなどの障害児通所支援の在り方について検討を進めており、今後の国の検討状況を注視しながら、提案要求についても必要に応じて検討してまいります。

○伊藤委員 冒頭申し上げたとおり、放課後等デイサービスは、子供にとっても保護者にとっても非常に大事な施設でございます。どうか、この都型放課後等デイサービスの支援事業を実のあるものにしていただきたい、このように申し上げておきたいと思います。
 次に、CDRと子供の事故防止対策について質問をしたいと思います。
 都議会公明党は、昨年末の第四回定例会、そして先日の第一回定例会の代表質問で、チャイルド・デス・レビュー、いわゆるCDRについて質問をいたしました。
 CDRは、予防できる死から子供を守り、安全で安心な社会を構築するため、十八歳以下の子供の全死亡例を対象に詳細な死因究明をし、その結果をデータベースに登録し、それを基に要因や背景などを検証し、予防できる死から子供を守る社会を構築していくためのものであります。
 都は、都議会公明党との質疑を踏まえ、来年度、関係機関等との情報共有、連携、役割分担などの体制構築に向けた検討を進めていくといたしました。
 昨年は、都議会公明党が主導して、全会一致で東京都こども基本条例が制定され、間もなく、各局が連携して子供の目線に立った先進的な政策が進められる子供政策連携室が設置をされます。この中でも、社会全体で次代を担うかけがえのない子供の命を守る取組に全力を挙げていただきたいと思います。
 私は、以前、品川区の児童福祉施設、児童センターで指導員を約二十年務め、ゼロ歳の乳幼児から十八歳の青少年まで、子育て支援や青少年健全育成に様々に携わってまいりました。
 その時代、子供たちとの楽しい、輝かしい時間を過ごしましたけれども、一方で、成長過程の子供が痛ましい事故に遭ったり、小さなひつぎを見送るなど、悲しい場面にも幾度となく出会ってきました。
 そして、都議会議員にさせていただき、私は改めて子供の事故等について調べました。そこで驚いたことは、我が国においては、子供の死亡原因の第一位は、統計を取り始めて以来数十年にわたって、不慮の事故と書かれていました。
 思ってもみなかった事故で子供たちが命を失っている現実、そして、不慮の事故が発生するたびに、親がちゃんと見ていなかったからでしょうと責められる、矢面に立たされるのは母親が多いという現実でありました。
 不慮の事故と同じように、子供の死亡原因の上位に常にあるのが、小児がんなどの病気であります。しかし、こうした病については、どこかで研究しています。大人が一生懸命に研究をし、そして、がんにならないように、なってしまっても早く治療ができるようにやっている。しかし、一方で、この不慮の事故については、どこが研究しているのか、誰がその対策をやっているのか−−ありませんでした。
 私は、子供の事故の原因究明とともに、二度と同じ事故を起こさせない、子供の事故防止対策に取り組むことの重要性を何度も都に、福祉保健局に求めました。
 そして、子供の目線という言葉を使って、大人が子供の目線に立って、まちづくりや様々な政策をつくり上げていく大切さを訴え、東京都版チャイルドビジョンの作成、配布、普及、活用を提案しました。
 当時、その提案に一番反応してくださったのは、故石原慎太郎元都知事でありました。大事なことだ、すぐやろうといって補正予算をつけてくださり、そして、東京都版チャイルドビジョンが誕生をいたしまして、都内各所で、これが活用されるようになりました。
 よく横断歩道とかで、お母さんとちっちゃい子が手をつないでいる。お母さんが手を離しちゃったときに、子供がぴょんぴょん跳ねながら前に出ちゃう、お母さんが叱りつける、危ないでしょう、車が来ているでしょうと、怒っています。だけど、大人には見えていても、子供には見えていないものがある、このことを、私は社会全体で理解する必要がある、このことを訴えました。
 子供の視野は、六歳ぐらいまで、成長する過程の途中では、大人の約半分といわれています。左右は、大人は百五十度見えている、子供は約九十度ぐらいしか見えていない。上下には、大人は百二十度見えている、成長過程の子供は七十度ぐらいしか見えていない。この大人と子供の視野が違うことを、大人がこれをかけて、ああ、子供はこれしか見えていないんだなということを体験するための、このチャイルドビジョンであります。
 しかし、最近では、このチャイルドビジョンを知らないという保護者が多く、都は、いま一度、その周知と定期的な配布、普及、活用に努めていただきたいと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、大人が幼児の視界を体験できる東京都版チャイルドビジョンを作成し、区市町村や保育所、児童館等に配布しております。
 また、都のホームページ上で公開するとともに、保育事業者向けの講習会等におきましても活用しております。
 チャイルドビジョンを用いた安全対策の取組が一層進むよう、今後、健診の場での活用を区市町村に働きかけるなど、広く周知してまいります。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 新たに健診の場で活用していただくという答弁をいただきました。ぜひ、保護者の皆さんに伝えていただいたり、あるいは、ドライバー等、交通安全にもこういうものが活用できると思いますので、積極的に活用を図っていただきたいと思います。
 子供の事故防止について、東京都版チャイルドビジョンに続きまして、私が次に都に提案をし、求めてきたことは、これまでの子供の事故の情報を収集して、その要因となることが何なのかを広く周知して、子育てに関わる全ての人が事故防止について、気づいて、考えて、具体的な防止対策につながるよう、都の取組を求めました。
 そして、都は、事故防止ソフト「見つけて防ごう!子どもにとっての身近な危険」という事故防止ソフトをつくっていただきました。
 これはソフトなので、ここに持ってこられませんので。大変に優れたものでありまして、例えば乳幼児期、ゼロ歳の時期に、ベビーベッドに寝ている子の周りでどんな危険があるのかということを探して、そして、それをクリックするとそこに解説が出てきたり、今度は三歳ぐらいの子供のときにはどんなことが危険なのか、もっと大きくなったらどんなことが危険なのかということが分かるようになっている大変に優れたソフトであります。ぜひ皆様も、東京都、見つけて防ごうと入れるだけで、クリックするとこれが出てきますので、体験をしていただきたいと思います。
 これも重要な取組でありまして、使われなければもったいないということであります。現在の活用状況とともに、一層の周知と活用を求めたいと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、子供にとって身近な危険を大人が理解することで、日常生活の中での事故防止対策に生かせるよう、学習ソフトを作成しております。
 この学習ソフトでは、子供の成長段階に応じた事故の事例を紹介しておりまして、現在、都のホームページ上で公開し、都民に周知しております。
 今後は、この学習ソフトの情報を東京都出産応援事業の専用ウェブサイトに掲載するなど、子供の事故防止について普及啓発を一層進めてまいります。

○伊藤委員 答弁の中に、都議会公明党が提案をさせていただいた東京都出産応援事業、この専用ウェブサイトに、事故防止ソフトを載せていただけるということでございました。ぜひこれに限らず、先ほど申し上げたとおり、様々な場面で活用をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 冒頭で述べたとおり、都は、チャイルド・デス・レビュー、CDRの実施体制の構築に向けて、来年度検討を始めるということでございます。都においては、ぜひこの取組を成果あるものにしていただき、それが何より事故防止につながることが最も重要なことであると思います。
 CDRの検討に当たっては、事故防止対策の観点から、商品に起因する子供の事故情報等を紹介する生活文化局の消費生活総合センターと連携をしたり、あるいはまた、私が直接調査に行ってまいりましたけれども、子供の事故防止のポイント等をリアルに紹介して体験する施設があります。
 京都市の京あんしんこども館のような取組も、ぜひ参考にしていただきたいと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、チャイルド・デス・レビューの実施に向けまして、来年度、国のモデル事業に取り組む自治体の実施体制や情報共有の方法、実施上の課題のほか、検討の参考になる他自治体の事例等を独自に調査するとともに、有識者から意見を聴取してまいります。
 また、消費生活用製品の重大製品事故や子供虐待による死亡事例等の検証など、既存の検証制度の検証方法や予防策の取りまとめ方、再発防止に向けた関係機関等への働きかけ方などについても調査いたします。
 それらを踏まえまして、都内の医療機関や保健所、警察など、関係機関と意見交換をしながら、チャイルド・デス・レビューの実施手法等について検討してまいります。

○伊藤委員 参考になる事例等を調査するという答弁でありました。
 国の方のモデル事業でやってございます、私は、京都にあります、先ほど申し上げた京あんしんこども館、これをぜひご覧になっていただいて参考にしていただきたいなと、このように思います。本日の質問後半は、子供の命を守るための大事な質疑をさせていただきました。
 最後に、来年度から首都東京がチャイルド・デス・レビューに取り組むことを踏まえて、かけがえのない子供の命を社会全体で守ることの重要性について、福祉保健局長の決意を伺いたいと思います。

○中村福祉保健局長 子供の命はかけがえのないものです。残念ながら、毎年不慮の事故などで、病気以外の理由で命を落とすお子さんがいらっしゃいます。子供の周囲に潜む様々な危険を理解し、必要な対策を講じて子供を事故から守ることは、社会の責務と考えております。
 都ではこれまでも、子供の安全を守るため、転落、転倒、誤飲など、家庭内の事故防止に関する普及啓発や、保育所や学校等での交通安全教育などに取り組んでまいりました。
 来年度は、子供の死亡事故などの原因を明らかにし、同様の被害が再発しないよう予防策を措置するチャイルド・デス・レビューの実施に向け、検討を開始いたします。この事業は、死因の社会的背景や環境要因などを分析して、将来の子供の命を救う重要な取組と認識しております。
 しかしながら、一方で、分析、検証には、個人の尊厳に関わる情報の取扱い、あるいは、ご家族のご理解、また、医療機関のみならず、福祉、保健、教育、警察など、様々な関係する機関の連携協力が不可欠と考えております。こうした難しさもあるため、来年度の検討に当たっては、組織を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、子供の健やかな育ちを支えその未来を守るため、局長である私が先頭に立って、関係機関と連携しながら様々な施策を展開し、子供が安全・安心に過ごすことができる環境整備を推進してまいります。

○伊藤委員 局長の力強い決意を聞かせていただきました。
 大変にありがとうございました。終わります。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 初めに、高齢者の聞こえの支援について伺います。
 日本では、六十五歳以上の二人に一人が加齢性難聴といわれていますが、難聴者の補聴器保有率は一四・四%と、欧米諸外国の三分の一程度と低い状況になっています。
 一方、新型コロナ感染症の広がりによって、マスクの着用やアクリル板設置など、飛沫を遮るという感染防止対策があらゆる場面で標準装備となりました。こうした感染対策は、難聴がなくても相手の言葉を聞き取りにくい状況を生み、高齢者の孤立をより深刻にする要因にもなっています。コロナ禍において、難聴者への聞こえの支援は一層必要性を増しています。
 都は、高齢者に対し、補聴器の支給等を行う事業を独自に実施している区市町村を包括補助で支援していますが、難聴の方がその方に合った補聴器を使えるようになるには課題が多くあります。
 一つ目に、難聴を自覚するということです。
 慶應義塾大学医学部名誉教授の小川郁医師は、耳の老化は三十代から始まり高い音などから聞き取りにくくなる、言葉の聞き取りに支障が出るのは六十代から七十代で、徐々に進行するため本人が気づきにくいのも特徴と話されています。しかも、高齢者への健診を含め、自治体健診には、基本的に聴力検査は含まれておりません。
 都は、二〇一九年、我が党の本会議質問に対し、聴力低下が見られる方にとって、早期からの補聴器使用は、日常生活の質の向上を図る上で有効なものと認識していると答弁をしております。
 聴力低下が見られる高齢者が早期から補聴器の使用ができるためにも、健診などによって難聴を早期発見する仕組みをつくることが必要だと思いますが、認識を伺います。

○山口高齢社会対策部長 都は、区市町村が地域の実情に応じて行う高齢者に対する補聴器の支給等の事業を包括補助により支援しており、実施に当たっては、聴力検査結果により補聴器の必要性を確認する必要があるとの考え方を区市町村に通知しております。

○藤田委員 都の補助要件について説明いただいたようですけれども、私は認識についてお聞きしております。
 早期からの補聴器使用は有効だと認識をされているのですから、早期、つまり、聴力低下が軽度のうちに自分が難聴だと気づく仕組みをつくることが必要だと思います。改めて認識について伺います。

○山口高齢社会対策部長 先ほどの答弁に補足をさせていただきます。一般社団法人の日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会という耳鼻科等が専門の先生方の学会がございまして、そのホームページで一般に公開している情報によりますと、加齢に伴う難聴については、できるだけ早期から補聴器などを使って聞こえを改善し、言葉を聞き分ける能力を最大限に発揮することが大切だというふうにしています。
 また、加齢に伴う難聴は老化現象の一種なので、誰にでも起こり得ることであるとしておりまして、早期発見、早期治療のために定期的に耳鼻咽喉科の受診を呼びかけていることなどの記載がございます。
 これらは、専門家集団である学会が公にしている見解であるものと受け止めております。

○藤田委員 専門家の早期発見が重要だということについて受け止めを述べていただきました。
 東京都としても、早期発見、そして早期に補聴器が使用できるようにするためにも、早期発見の仕組みの健診を増やすような取組も進めていただきたいなと思っております。
 都は、五年に一回、高齢者の生活実態調査というものを行っております。この中で、日常生活動作の項目の一つとして、高齢者の聴力を調べていて、二〇二〇年の調査では、日常生活に多少支障があるという回答と日常生活に支障があるという回答を合わせた割合は一六・二%に上っていました。
 都が実施した調査結果でも、聴力に支障があるという方が多いのですから、やはり潜在的なニーズは大きいと考えられます。ぜひ難聴の早期発見を進める先頭に立っていただくよう要望いたします。同時に、より詳細な実態調査の実施を求めておきます。
 難聴者の早期発見には、聴力検査だけでなく、日常的に集まる通いの場などの活用も有効です。
 八王子市の館ヶ丘団地では、高齢者が立ち寄れて、雑談やいろいろな相談ができる場がつくられています。二〇一八年から、言語聴覚士が高齢者の聞こえに関する相談対応を行っており、市もサポートしています。
 自分が聞こえにくくなっているということに気づいてもらうきっかけとしているということで重要な取組だと思いますが、医療機関に急ぎ行った方がよいという方がいた場合でも、その後どうなったかというところまではフォローをしていないということで、医療機関との連携が課題となっています。
 難聴が疑われたとき、医療機関への受診勧奨ができるよう、耳鼻咽喉科との連携の仕組みを整えることは重要と考えますが、いかがですか。

○山口高齢社会対策部長 包括補助による補聴器の支給の実施に当たりまして、都は、補聴器相談医など補聴器に詳しい耳鼻咽喉科医の診察により、補聴器の必要性を確認する必要があるとの考え方を区市町村に通知しております。

○藤田委員 補聴器購入の助成を行う場合のことを聞いたのではなくて、難聴が疑われる高齢者に対する受診勧奨についてお聞きしました。
 そもそも、早期発見のための仕組みづくりの重要性の認識、先ほども質問いたしましたが、そうした認識なしには、医療機関との連携も進まないと思います。繰り返しになりますが、早期に補聴器が使用できるよう、難聴の早期発見を都として進めていただくよう、改めて求めておきます。
 補聴器を使いやすくする上で、最大の課題が価格の高さです。
 現在、都内の自治体で、高齢者に対する補聴器等の支給について助成額の上限を二万円から三万五千円としている自治体が多くなっています。一方、障害者総合支援法で補装具の費用を支給する制度では、補聴器のタイプによって四万円台から十三万七千円と幅が広く設定されています。
 難聴になった場合の聞こえは、一人一人違います。都は、補聴器をつけた状態での調整は重要との認識を示しています。
 その方の聞こえ具合に合った調整ができる補聴器を選べるようにすることは、聞こえの支援につながると思いますが、認識を伺います。

○山口高齢社会対策部長 包括補助による補聴器の支給の実施に当たりまして、都は、利用者ごとの調整が可能な管理医療機器である補聴器を対象とするとともに、一人一人の聞こえ方に応じて補聴器の調整を受けられることが大切であるとの考え方を区市町村に通知しております。

○藤田委員 難聴は、人により程度もタイプも違うため、専門家の下で補聴器を調整しなければ、うまく聞こえるようになりません。
 そのことと補聴器の値段との関係ですが、そもそも補聴器は公定価格ではないので、様々な値段のものがあります。そして、基本的な調整との関係では、高ければいいということではないといわれています。
 しかし、価格と全く関係ないかというと、先ほど紹介した慶應大学教授の小川医師に以前お話を聞いたところ、きちんと調整できるようにしようとすると、十万円から十五万円程度の値段になるという話を伺いました。
 なぜかというと、そもそも補聴器の調整というのは何をやっているのかというところなんです。音を一律に大きくするのではなく、その人にとって、より聞こえにくい音はより大きくし、逆に大きくするとうるさくなってしまう音はあまり大きくしないというように、不均一に音を増幅し調整しているとのことです。そして、その大きさ、増幅をきめ細かく設定するためには、補聴器についているアンプの数が多い方がよく、十分な数のアンプがあるものを選ぶと、ある程度の値段になるとのことでした。
 来年度、補聴器の購入費助成を始めようとしている港区では、助成金額の上限を十三万七千円とする予定で、補装具費支給制度と同額になっていますが、上限額の設定としては合理性があります。都として補助をする際にも、全額を補助対象とするよう求めておきます。
 我が党は、補聴器工業会や中途失聴・難聴者協会の皆さんからお話を伺い、二〇一九年には、慶應大学教授の小川先生の学習会を開催、都に対しても繰り返し高齢者難聴への支援を強化するよう求めてきました。
 一方、都は、高齢者への補聴器支給等に対する補助を高齢社会対策区市町村包括補助事業の要綱の三、対象事業、(二)、選択事業、その他に定める事業として選択した場合に、区市町村が支給した額の二分の一を補助する取組を行っていましたが、これが非常に分かりにくく、二〇一九年には、高齢者に対する補聴器等の支給を実施していたのは八自治体で、このうち、都の補助を活用していたのは半分の四自治体でした。
 現在、この包括補助を活用している自治体は幾つですか。

○山口高齢社会対策部長 令和三年度の包括補助における補聴器の支給等の事業の実施状況は、十二自治体に補助の交付決定をしております。

○藤田委員 都の包括補助を利用する自治体は、三倍の十二自治体まで増えたということです。
 包括補助を使っていない自治体を含めると、十六自治体まで補助制度が拡大しており、都内自治体の約四分の一が補助制度をつくっています。さらに、来年度からは、少なくとも二つの自治体が補助を始めると聞いています。
 私の地元大田区では、二〇一〇年から高齢者の補聴器購入費助成事業を行っていましたが、二〇一九年に、なぜ都の包括補助を使っていないのか伺ったところ、しばらくして返事が来まして、深くて見つけられませんでしたと話していました。
 都は、補助の考え方について問合せが複数寄せられているということで、二〇二〇年一月三十一日に、高齢者への補聴器支援等に対する補助の考え方についてを自治体宛てに通知をしました。こうした経過があり、大田区も都の包括補助が使えると分かって、今年度から活用しております。
 高齢者への補聴器支給等に対する補助は、現在、高齢社会対策区市町村包括補助事業のメニューではなく、その他事業です。高齢者への聞こえを支援したい自治体を後押しできるよう、都の補助制度や包括補助事業のメニューにすることを求めますが、いかがですか。

○山口高齢社会対策部長 現在、都は、区市町村が行う高齢者に対する補聴器の支給等の事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助の選択事業の対象として支援しております。
 これにより、事業の実施自治体数は、平成三十年度が二自治体、令和元年度が四自治体、令和二年度が七自治体、令和三年度は交付決定段階で、先ほど申し上げたとおり十二自治体となっており、年々増加しております。

○藤田委員 よく増えたなと思っております。先ほどもお話ししましたが、自治体が事業を活用するには深過ぎて見えないというものになっております。
 何せ高齢社会対策区市町村包括補助事業実施要綱の三、対象事業、(二)、選択事業、その他別に定める事業として採択するものになっているからです。補聴器補助という文字は存在しないので探せないのですが、先ほど紹介した通知などもあって増えてきたということです。
 補助対象として明確化することで、さらに取組を促進できると考えます。答弁では、地域の実情に応じて柔軟に実施できるようとされておりますが、補聴器支援の場合、その他事業の割には多くの要件があります。
 都が出した通知によると、要件として六つ挙げています。一、障害者総合支援法に基づく補装具としての補聴器の支給対象者を除くこと、二、年齢制限、所得制限など、対象者が限定されていること、三、管理医療機器としての補聴器本体費用など、補助対象経費が明示されていること、四、補聴器に詳しい耳鼻咽喉科(補聴器相談医など)の診察及び聴力検査結果により、補聴器の必要性を確認していること、五、補聴器購入前に区市町村が支給等の審査及び意思決定をしていること、六、一人一人の聞こえ方に応じて補聴器の調整を受けられることが大切であり、販売店の選定等についても区市町村が適切に関与することが望ましいというもので、所得制限など、なくてもよいと思う要件もありますが、合理的な要件だと思うものもあります。
 今も実質的に要件を定めて補助をしているのであれば、個別の補助事業として明確化した方が取組が進むと思います。さらに、聴力の低下した多くの高齢者が早期に発見でき、自治体が関与して耳鼻咽喉科や補聴器専門医を紹介し、一人一人に合った補聴器が選べて、購入後も継続して調整に通える環境を整備するまでを支援すべきだと思います。
 補聴器購入の一番の課題は、その価格の高さです。せっかく区市町村も東京都も、高齢者への補聴器購入費補助を推進しようというのであれば、やはり制度化やメニュー化することが必要だと思います。ぜひ、コロナ禍での高齢者の聞こえの支援を強化していただくよう求めて、次の質問に移ります。
 子供の医療費助成について質問します。
 東京都が再来年度から、十八歳までの医療費助成を実施するとしたことは重要です。具体化を進めていく上で検討すべき点は幾つかあり、これまでも本会議や予算特別委員会で取り上げてきましたが、今回の質問でも大事だと思うことを取り上げたいと思います。
 都内では、既に十八歳までの医療費助成を行っている区市町村が一定数あります。
 現在、都内で十八歳までの医療費助成を行っている区市町村では、本人が就職や婚姻をして保護者の扶養を外れている場合、どのように対応していますか。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 子供の医療費助成は、区市町村がそれぞれの議会における審議を経て条例を定めて実施しておりまして、就労等により親の扶養を外れていても助成の対象としている自治体と対象外としている自治体がございます。

○藤田委員 対象にしている場合と対象外にしている場合があるということです。それぞれの区市町村で判断しているわけですが、東京都としては、どちらかに決める必要があります。
 そこで、お聞きします。東京都こども基本条例における子供に関する施策の対象範囲の考え方について確認したいと思います。基本条例の基本理念と子供の定義について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 こども基本条例では、第三条に基本理念を定めておりまして、子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であるとの認識の下、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供を権利の主体として尊重し、子供の最善の利益を最優先とすることで、全ての子供が、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体で子供を育む環境を整備していかなければならないとしております。
 また、第二条において、子供とは、十八歳に満たない者とし、子供に関する施策の実施に当たっては、基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとすることを規定しております。

○藤田委員 分かりました。ありがとうございます。
 十八歳までの医療費助成の対象範囲を決める上でも、この条例の考え方を踏まえることが必要だと思います。条例では、子供に関する施策の実施に当たっては、基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとされています。基本理念では、子どもの権利条約の精神にのっとること、子供を権利の主体として尊重すること、全ての子供が健やかに育っていけるようにすることなど、重要なことが書かれています。
 子供は親の附属物ではなく、子供自体が権利の主体として尊重されるわけですから、保護者の扶養を外れていることを理由に対象外にするということにはなりません。
 また、保護者の扶養を外れている子供というのは、社会的には、より困難な状況に置かれている場合が多いわけです。したがって、全ての子供が健やかに育っていけるようにという理念からすれば、なおさら対象外にすべきではありません。
 保護者の扶養を外れた子供を対象外にするような規定は、もちろん条例にはありません。したがって、東京都としては、保護者の扶養から外れている子供を医療費助成の対象にするよう求めて、次の質問に移ります。
 次に、新型コロナ感染症対策について伺います。
 知事は、昨日政府に対し、今後の新型コロナウイルス感染症対策に関する要望を行い、新規陽性者数やワクチン接種、入院患者や重症者の状況を踏まえ、三月二十一日までとされている重点措置を延長する状況にないと判断しています。
 一方、年度末という時期や、より感染力の強いBA・2への置き換わりが進むなどの懸念も示し、現行の医療提供体制を当面維持するという方針を示しています。
 ここで大切なのは、第六波の教訓は何だったのか。第七波による影響を少なくするには、どういった対策が必要なのかということです。
 初めに、医療提供体制について伺います。
 先週の都のモニタリング会議では、入院調整本部への調整依頼件数は、三月九日時点で百七十件となったとする一方、透析、介護を必要とする者や、小児、妊婦等、入院調整が難航する事例もあり、翌日以降の調整への繰越しもいまだ発生している、また多くの転院依頼を受けているとコメントされております。
 それでは、第六波において、入院調整本部への入院調整の依頼が一番多かった時期と依頼件数について伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 第六波において、保健所から入院調整本部への依頼件数が一番多かった時期は二月の上旬であり、依頼件数は、おおむね七百件台となっております。

○藤田委員 現在でも入院受入れが困難な状況にあるのですが、二月上旬は、現在より四倍以上、入院調整が必要な方の依頼が来ていたということです。
 ある医療機関では、これまでならば、病院のベッドが空いていなくても、例えば、CTを撮って緊急性のある疾患がないことを確認したり、応急処置を行うなどの初期対応を救急外来で行うと、その後、受け入れてくれる病院も見つかりやすくなったといいます。
 しかし、とりわけ第六波では、その後の行き先が全く見つからないので、そうした初期対応もちゅうちょしてしまうということでした。そうすると、救急隊が次の救急要請に向かうことができず、救急隊が帰ることができないので悪循環となると話していました。
 ERで働く医師のお話です。ある患者さんは、救急車の中で採血し院内でCTを撮った後も再び救急車に戻って行き先を探した、都の患者受入れコーディネーターにも受入れ病院を探してもらったが、複数の患者が対応待ちになっていて見通しがなかった、医師が何件も電話をかけ、都内の医療機関で数日入院できるところをやっと見つけ、その後自分の病院で受けるということを約束して、やっと搬送ができたというお話、重症者や緊急性が高い人ほど受けられない、処置をしたら帰宅できそうな人の方が受けられるという矛盾があると話していました。中には、血圧が下がっていたり、酸素飽和度が下がっていたりすると、もう助けられないと諦めなければいけない。受けないという決断をするのは苦しい、言葉にならない、救急医療の危機ですと話していました。
 予算特別委員会でもお話ししましたように、医療の逼迫なんかではなくて、医療の崩壊といった方が正確な表現だと改めて強調したいと思います。
 救急搬送ができず(花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務発言を求む)あ、まだ質問しておりません。(花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務「今の発言に対して」と呼ぶ)えっ、今の。

○おじま委員長 いいですか。

○藤田委員 あ、でも、質問しておりません。すみません。(花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務発言を求む)いや、質問しておりません。
 救急搬送ができず、五つの医療機関に要請、または搬送先を探し始めてから二十分以上かかったという、いわゆる東京ルール事案のうち、不搬送となった件数は把握していますか。第五波のピークの八月と第六波のピークの二月で、それぞれ東京ルールが最も多かった日の件数と、そのうち不搬送となった件数について伺います。

○矢沢理事 昨年八月に東京ルール適用件数が最も多かった日は八月十日で、その件数は百八十五件、うち本人の辞退等によります不搬送は十七件でございました。
 今年二月に東京ルール適用件数が最も多かった日は二月十四日で、その件数は三百七件、うち本人の辞退等によります不搬送は五十二件でございました。

○藤田委員 東京ルール全体の件数は、第五波ピーク時の七割増となる中、不搬送は三倍以上になっているということです。
 ある高齢者施設で発熱と食思不振で救急搬送された方は、東京ルール事案となった末、来院時の検査でコロナ陽性と判明し、受入れ病院がなく、入院できなくなってしまいました。医師の判断で施設に戻ることになり、翌日、受診してもらいました。こうしたケースもたくさんあって、明らかに救急医療の崩壊状態だといえると思います。
 なお、本人の辞退による不搬送とのことですが、救急隊が不搬送と決めることはありませんので、形上は本人の辞退等となります。しかし、五つの医療機関に要請、または搬送先を探してから二十分以上たっているので、行き先が見つかっていれば搬送していたはずの方です。行き先が見つからなかったからこそ、不搬送となったのです。
 十四日時点では、東京ルール適用件数が、前の週より七日間平均で五十件減少し、約百六十件となりましたが、依然第五波のピークより多い状態が続いています。まだまだ非常に厳しい状況であると思います。
 高齢者施設で感染した方の入院は、引き続き厳しい状況になっています。都は、二月二十一日以降、旧東京女子医大東医療センターや都立病院、公社病院の空き病床を活用して、高齢者等医療支援型施設を開設しました。従来、こうした施設は、国からの医療従事者の派遣で運用を行う予定とされていました。
 都が二月二十一日以降開設した高齢者等医療支援型施設は、国から何人の医師、看護師が派遣されましたか。また、二月二十一日から開設した荒川区内の旧東京女子医大東医療センターを活用した百五十床と都立、公社病院の空床を活用して開設した百床は、それぞれ、現在何床が受入れ可能となっていて、現在までに何人の患者を受け入れてきましたか。

○関口酸素・医療提供ステーション担当部長 荒川区内の病院跡地を活用して開設いたしました高齢者等医療支援型施設には、国等から、一日当たり夜勤を含めまして医師二名程度、看護師二十名程度のほか、薬剤師二名程度、理学療法士三名程度を派遣されております。
 この施設は、二月二十一日に五十床で運用を開始いたしまして、医療人材の確保に努め、順次拡大していくこととしておりまして、三月十五日までに高齢者施設の陽性者を中心に百二十二名を受け入れております。
 都立、公社病院で開設いたしました高齢者等医療支援型施設につきましては、国等から、医師や薬剤師、看護師がこれまで計二十六名派遣されておりまして、現在は、薬剤師や看護師が計五名派遣されております。
 また、現在、六十床で運用しておりまして、三月十五日までに入院調整本部等での調整を経て百五人を受け入れていると病院経営本部からは聞いております。

○藤田委員 荒川区の病院跡地を活用した施設は百五十床のうち五十床を運用していて、都立、公社病院では百床のうち六十床を運用して受入れを行っているということです。
 病院跡地を活用した施設は順次拡大ということなのですが、人の確保は、今後できそうなのでしょうか。

○関口酸素・医療提供ステーション担当部長 国や運営を担います医療法人と連携いたしまして、引き続き医療人材の確保に努め、病床の順次拡大を図ってまいります。

○藤田委員 病床確保の一番の課題は、医療従事者の確保です。
 都立、公社病院では、コロナ病床に人を集中したために、看護師などの医療スタッフが足りないから空き病床になっているのですから、本来は、国からの人材派遣がなければ運用できるものにはならないと思います。そして、実際に、国からの派遣は少なく、病院内でのやりくりをしていると聞いていますが、フルオープンはできておりません。
 医療従事者が足りないため、コロナ病床をたくさん確保すれば、一般の医療が逼迫します。臨時の医療施設の設置も必要ですが、それにも限界があります。
 こうしたことからも、より多くの感染拡大が起きた際、より多くコロナ病床を確保すれば対応できるのかといえば、そうではないからこそ、重症化率がこれまでより低い変異株であっても、新規陽性者は急増させてはならないのです。
 医療体制を守るためには、陽性者を増やさないための徹底した対策が必要です。新規陽性者から追跡調査が難しくなると濃厚接触者の把握ができなくなり、感染拡大を抑えられなくなります。
 保健所が積極的疫学調査を継続できることも重要です。しかし、保健所は、第六波でも積極的疫学調査が困難となり、濃厚接触者を把握する対象が重点化されました。
 第六波の二月、保健所に勤務する保健師の残業状況で、過労死ラインといわれる月百時間以上の勤務を行った人数は何人ですか。また、八十時間以上百時間未満の人数についても伺います。加えて、最も残業時間の多かった保健師の時間数についても伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 本年二月の都保健所における一般職員の保健師の現員数は百五十三名でございまして、そのうち同月の超過勤務時間数が八十時間以上百時間未満の者は二名、百時間以上の者は三名でございました。
 また、同月におきまして、最も超過勤務時間の多かった者の時間数は百四十九時間でございました。

○藤田委員 二月に八十時間以上の残業を行っていた保健師は五名ということで、最高は百四十九時間ということです。
 これだけでも深刻ですが、二月の保健所の逼迫状況を考えると、実際はもっと多くの保健師が多くの残業を行っていたのではないか、労働時間が正確に把握されていないのではないかという疑問を抱かざるを得ません。保健所の労働実態については、正確な実態把握に努めていただくよう要望いたします。
 同時に、応援体制で乗り切れないことは明らかです。都は今年度、十一人の保健師を増員し、来年度は十人を増員する予定ですが、併せて、現在、四月以降の採用の会計年度任用職員も募集しています。
 しかし、感染拡大の波は既に二年の間に六回も繰り返しているのですから、抜本的な体制強化となるような増員が必要だと思います。この間も、精神保健や母子保健などの対応が縮小されるなどの影響を受けてきましたが、延期して対応できるものばかりではありません。保健師など、保健所職員の大幅増員を行うことを求めるものです。
 濃厚接触者への追及が保健所からできなくなり、都は、二月七日から濃厚接触者に対して、抗原検査キットの配布を始めました。この意義について伺います。

○河野新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 今般の感染急拡大に伴いまして、発熱外来などに患者が集中いたしました。有症状の方が速やかに検査を受けられない状況が生じました。
 このため、有症状の方が優先して受診いただけるよう、緊急的な混雑緩和策といたしまして、自宅待機となる無症状の濃厚接触者に症状が現れた場合に検査をしていただけるよう、抗原定性キットを配布してございます。

○藤田委員 目的は、医療機関の混雑緩和ということでした。しかし、そもそも保健所が濃厚接触者へ検査を促す場合は、PCR検査によって検査が行われていました。本来は迅速に検査ができるということが必要です。
 濃厚接触者への抗原検査をPCR検査にする場合の課題は何ですか。

○河野新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 今回の濃厚接触者への抗原検査キットの配布につきましては、感染の急拡大時に臨時に対応したものでございまして、実施に当たりましては、検査規模や実施体制を踏まえる必要がございました。

○藤田委員 発症した濃厚接触者が検査できるというのが今回の対応の目的だということで、PCR検査にするには体制などの課題があるというものでした。
 そうなると、自宅待機をしている濃厚接触者が無症状のまま感染力を持つ可能性もあり、気がつかないうちに同居する家族が感染する可能性があります。保健所の検査が追いついていればPCR検査を行っていたのですから、課題を解決して、PCR検査にできないか検討することを求めます。
 また、そもそも、今回の濃厚接触者への検査キット配布は臨時的な緊急対応として見るべきであり、医療機関での検査体制が改善した場合には、速やかに通常の対応に戻すことを求めておきます。
 発熱などの症状が出たときに、医療機関に行くことなく迅速に検査が行えた方がいいのは、濃厚接触者だけではありません。全ての世帯に配布できるくらいの検査キットを確保する必要があると思いますが、いかがですか。

○河野新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 発熱など症状のある方は、診療・検査医療機関を受診いただくことが原則でございます。
 今回の対応は、感染の急拡大時に発熱外来等に患者が集中したことから、自宅待機の濃厚接触者に臨時に配布したものでございます。

○藤田委員 感染が急拡大すれば、濃厚接触者だけでなく、症状のある方も外来に集中します。誰でも症状が出たときに自宅ですぐ検査ができることにより、その結果を見てから医療機関に受診できると医療機関の混雑緩和にもつながるし、そこで陽性と分かれば、改めて検査することなく、速やかに診断できるようになりますので、全ての世帯へ検査キットが配布できるくらい、都として確保することを要望いたします。
 仮に感染拡大を招いたとしても、急激に大きな波にしないことが医療体制を守る上で重要だと、以前、東京都医師会の尾崎会長からお話を伺いました。一日当たりの新規陽性者が急増しなければ、入院などの必要な対応を行うことができるからです。
 そのためには、必要な検査が迅速に受けられることが重要です。二月は、検査キットが不足したことと同時に、検査の予約がいっぱいで、その日のうちに検査が受けられない方が増加しました。
 さらに、ワクチン接種と陽性者への健康観察など、医療機関への問合せも殺到し、検査を減らす医療機関もありました。さらに、昨年末に検査の診療報酬が減らされたことが、医療機関には大きな打撃になっています。
 昨年十二月末の検査料の引下げによる診療及び検査方針への影響について、診療・検査医療機関からどのようなことについて意見を聞き、どのような回答があったのか伺います。

○おじま委員長 先ほどの件もあれば、併せて答弁してください。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 大丈夫です。すみません。
 都は本年一月、行政検査を実施している医療機関に行った調査の中で、検査料引下げによる診療及び検査方針への影響について質問いたしました。
 回答は、特に影響なしが約六割、取り扱う検査の種類を変更するは約二割、検査実施を取りやめるが約一割、その他が約一割でございました。

○藤田委員 都の調査結果では、検査実施を取りやめるといった回答が約一割ということですが、診療報酬引下げ後、診療・検査医療機関の登録数はどうなりましたか。また、診療のみ実施し、検査を行わない診療・検査医療機関もあると聞いていますが、そのような医療機関の数の増減について伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 都は、診療・検査医療機関の制度開始以降、東京都医師会とも連携しながら、働きかけや制度周知など登録を促進してきたことにより、診療・検査医療機関は着実に増加してきました。
 検査料に関わる診療報酬の引下げが適用になった昨年十二月三十一日時点では、診療・検査医療機関の登録数は四千七十一か所でありましたが、直近の三月十一日時点では四千二百四十九か所となっており、百七十八か所増加しております。
 また、内訳を見ますと、検査を他の医療機関等に依頼し、診療のみ実施する医療機関は百二十一か所減少する一方で、診療と検査の両方を実施する医療機関は二百九十九か所の増加となっております。

○藤田委員 検査ができる診療・検査医療機関が増加したという結果でした。
 これは、一月の調査では検査をやめると答えるほど苦しかったが、患者のこと、都民のことを考えると、苦しくても頑張って検査を続けているということだと思います。したがって、減らなかったからよかったで済ませるのではなく、医療機関の頑張りにきちんと報いることが必要です。
 同時に、検査を行う医療機関が増えたということであるなら、それでも追いつかなくなったのですから、やはり今回の感染の急拡大は、今の都内の検査体制では対応し切れなかったというのが実態ではないかと思います。
 医療機関等による検査体制の強化が必要という認識が必要です。例えば、民間検査会社の力を借りて、PCR検査センターを大規模に臨時に開設できる体制を整えたり、PCR検査ができるコンテナを都として確保したり、東京都健康安全研究センターの人員と検査機器の拡充を行い、濃厚接触者の検査を大規模に行えるようにするなど、あらゆる手だてで検査体制の強化を早急に進めるよう求めておきます。
 同時に、二月上旬では、PCR検査の結果報告が大変遅れました。
 都が実施している高齢者施設と障害者施設の職員への集中的検査の仕様書には、検査会社に対して、検体到着後、原則二十四時間以内に検査を行うよう記載しています。この根拠について伺います。

○中川障害者施策推進部長 高齢者施設や障害者施設への集中的検査は、国通知に基づきまして、週一回、PCR検査の方法で実施しております。
 陽性者を早期に発見すること、検査には数時間を要することを踏まえ、検体の到着後、原則として二十四時間以内に実施することとしております。

○藤田委員 陽性者の早期発見が目的なので、この根拠は重要です。
 二月上旬に障害者施設で実施していた集中的検査は、結果が施設に報告されるまで一週間程度かかったと伺いました。これは何が原因だったのでしょうか。検査結果を迅速に報告できないことは、検査によってクラスター発生を予防するという本来の目的が果たせないと思うのですが、認識を伺います。

○中川障害者施策推進部長 第六波の感染拡大により、障害者グループホームの集中的検査で、検査機関と施設とのスケジュールの個別調整が十分に行えず、結果として、検体が週の後半に集中したことや偽陽性が疑われる場合に再検査を実施したことなどから、一部の施設への検査結果の通知が一時的に遅延いたしました。
 このため、都は、受託者に申入れを行いまして、現在、迅速な対応が行われております。

○藤田委員 都として原因を調査し対応したということですので、再び感染拡大が起きた際にも遅れない対策を求めておきます。
 BA・2など、新たな変異株への対応が必要です。そして、本日も、高齢者施設での感染拡大防止対策が重要だという答弁や質問が多くありました。ぜひとも、高齢者施設におきましては、集中的検査、現在は週一回ですけれども、確実に感染拡大を防止していくという立場で、週一回の検査を週二回に増やす、こういうことも提案していきたいと思います。
 引き続き、医療体制、検査体制、保健所体制の強化に取り組み、都民の命と社会機能を維持するよう要望いたしまして、質問を終わります。

○おじま委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後八時十三分休憩

   午後八時三十分開議
○おじま委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、本日、最後から二番目ということでございましたので、ほぼ全ての質問項目が重なっておりますけれども、項目と角度が違いますので、順を追って質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、コロナ関係からお伺いをいたします。
 この間、コロナ対策に全力を挙げてきた現場の医療関係者の皆様、政策を担ってきた福祉保健局の皆様には、まず、感謝を申し上げたいと思います。
 第六波のピークは超えつつあると思いますが、新たな変異株等への予断は許さない状況にあります。第五波と第六波の間に、そこまでやるのかと、そこまで厚くやるのかというくらいの準備を東京都が行っていたことが、新型コロナウイルス感染症によって亡くなられる方や医療崩壊を防いだというふうに私は考えております。
 昨日、都知事は、国に七点の要望書を出しました。その点を踏まえて、国との連携をさらに強化し、この国難を乗り越えていく必要があるというふうに私は思います。
 来年度の予算審議に当たっては、今回の教訓を踏まえて、次の第七波に備える必要があります。既にコロナ対策については、代表質問、一般質問、予算特別委員会、厚生委員会、多くの質疑がされておりますので、確認の意味も込めて端的に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず初めに、PCR等検査無料化事業についてであります。
 この事業は、ワクチン・検査パッケージ制度と感染拡大時の一般検査事業で構成をされております。
 特に感染拡大時の一般検査事業のニーズは高く、私の地元の薬局でも、開店前から長蛇の列ができておりました。この事業の対象者は、無症状で感染している可能性に不安を抱える方、あらかじめ感染の不安を解消しておきたい事情がある方等に重宝されているのだというふうに思います。
 特に感染拡大時には、保健所が濃厚接触者の認定については細かく対応することがなかなか難しいため、念のため、ご自身で検査をされる方が多いようにも見受けられます。
 そこで、東京都のPCR等検査無料化事業の今年度の取組状況及び来年度の事業見込みについてお伺いをいたします。

○猪倉新型コロナウイルス検査事業推進担当部長 今年度のPCR等検査無料化事業につきましては、飲食、イベント、旅行等に際して必要な検査を無料化する定着促進事業を十二月二十三日から開始し、十二月二十五日からは、感染に不安を感じる方を対象とした一般検査事業を開始いたしました。
 三月十五日現在、検査場所は約六百九十か所となっており、これまで約六十七万人の検査を実施し、約四万人の陽性疑いの方が確認されております。陽性疑いとなった方に対しましては、個別に医療機関への受診を勧奨し、感染拡大の防止を図ったところでございます。
 現在、検査実施期間につきましては、定着促進事業については国の方針に基づき今年度末まで、一般検査事業につきましては新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく受検の要請に対応するため、三月二十一日までとしております。
 三月二十二日以降のPCR等検査無料化事業につきましては、国の方針や感染状況などを踏まえまして適切に対応してまいります。

○浜中委員 ありがとうございます。
 ただいま答弁でいただいたとおり、今日、新聞報道等にもありました濃厚接触者の特定が職場で不要になりますということが報道でされました。
 これはどういうことかといいますと、もちろん釈迦に説法ではございますが、感染拡大時には、保健所が全て、この人が濃厚接触者ですとかというのを把握するのが難しくて、老健だとか病院だとかというところに特化をしていくと。そうなったときに、基本的に職場で濃厚接触者だよという話であれば、職場等でやってくださいという話であったかと思います。
 それが不要になるよということであると、もし近くにコロナに感染したという人がいた場合に、自分もコロナではないかと不安に思う方が多いのではないのかなというふうに思います。
 そうすると、やっぱり、この普通の一般検査事業でPCRをしたいという方のニーズがあるということはあろうかと思います。特措法に基づく受検要請に対応するために、先ほどのご答弁では、三月二十一日までということでありました。
 しかしながら、感染者数が本日一万八百二十三人となり、一万人を超えている状況であります。年度末、年度初めは人が動きますから、当然、この一般検査事業への高いニーズがあろうかと思います。
 そもそも、これは国の事業でございますけれども、都が国に申出をして、国が認めれば延長ができるというふうに思っております。これから卒業式、入学式とかということもあったり、入社式等もあろうかと思いますけれども、ぜひニーズが高い事業でございますので、継続を要請して、次の質問に行きたいというふうに思います。
 続きまして、保健所の負担軽減、自宅療養者支援についてお伺いをいたします。
 昨年夏の第五波においては、保健所業務が逼迫し、陽性者への連絡に数日を要するケースや自宅療養中に死亡する事例が発生しました。
 新型コロナウイルス感染症対策においては、第五波の経験や現在のオミクロン株の特性を踏まえて、保健所を介さない支援の仕組みによる保健所業務の負担軽減や自宅療養者への支援を強化していくことが重要であると考えます。
 そこで、現在の第六波において、どのような対応をしているのか。また、今後の第七波の感染拡大に向けて、現在の取組をどう生かしていくのか、都の見解をお伺いいたします。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都は、第五波において保健所業務が逼迫した経験を踏まえまして、保健所への職員派遣の増強に加え、保健所を介さずに、患者自らが宿泊療養施設への入所申込みができます窓口の設置や、診療や検査を行う医療機関が発生届をHER−SYSに入力し、自宅療養者の健康観察を行う取組を推進しております。
 また、電話音声の自動テキスト化が可能な技術の導入や患者対応の進捗管理方法をデータ化するなど、都保健所の業務効率化を推進しております。
 さらに、自宅療養者フォローアップセンターの体制を強化いたしまして、これまで保健所が健康観察を行っていました重症化リスクのある方への重点的な健康観察を行う一方、自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京では、五十歳未満の軽症、無症状の方を支援対象とするなど、患者の重症度に応じた対応を行っております。
 こうした取組によりまして、保健所業務の負担軽減と自宅療養者支援の強化を図っておりまして、今後も、その時々の感染状況や新たに流行する変異株の特性などに応じ、これまで強化してまいりました取組を発展させながら、必要な対策を実施してまいります。

○浜中委員 ありがとうございました。
 保健所や自宅療養者支援に限らず、来年度は多くのコロナ関連の予算を見込んであり、第七波が来ることを想定しつつ、終息へ全力を尽くしていただきたいと思い、次の質問に移ります。
 続いて、切れ目のない在宅医療体制整備支援事業についてお伺いをいたします。
 このコロナ禍において、地域の医療連携が非常に重要であるということは、多くの人が実感したことだと思います。感染症に限らず、少子高齢化社会においては、医療資源の確保というのは大きな課題であります。
 そうした社会状況の中で、今後も、高齢者が安心して住み慣れた地域で暮らし続けていくためには、各地域の医療、介護関係者が連携した切れ目のない在宅医療体制の構築が必要であるかと考えます。都の取組についてお伺いをいたします。

○矢沢理事 都は来年度、地域の医療、介護事業者等が在宅患者の急変時にも二十四時間対応できますよう、区市町村と連携し、手順書を策定いたします。
 手順書には、区市町村が主体となり、地域の医療、介護従事者との議論の場を設定し、現状の分析、課題の検討などを踏まえながら、地域に目指すべき姿を明確にし、実現するまでのプロセスを記載いたします。
 今後とも、区市町村と連携し、地域の実情に応じた切れ目のない在宅医療体制の構築に向けた取組を進めてまいります。

○浜中委員 今ご答弁にありましたとおり、切れ目のない在宅医療体制の構築をモデル的に行い、これは恐らく、その手順書とかというのをつくって、こうするといいですよということをつくり上げていくんだと思います。
 そうした中でよくあるのが、病院と介護、地域を結びますとかという連携は、我が西東京市でもやっているんですけれども、恐らく各地域、病院だとか医師会との関係だとかというので、いろいろなモデルがあるというふうに思います。
 また、その中に、いわゆる多職種連携をどういうふうに行っていくのかということを、先進事例を各自治体で共有していくと。先進事例に学びながら、その手順書をつくって、いいものを共有していくということができれば、都全体で在宅医療体制の大きな向上になるというふうに大いに期待をして、私の質問を次に行かせていただきたいというふうに思います。
 これも同僚議員から多く質問があったものでございますけれども、高齢者の健康づくりに資するスマートウォッチ等デジタル機器活用事業についてお伺いをいたします。
 医療の分野では、昨年二月に、国内の大学病院がアップル社のスマートウオッチ、アップルウオッチ等を活用して、心房細動の患者を対象に日常生活のどのような場面で心拍の異常が出やすいかを解明する研究を開始しました。
 また、製薬業界においては、患者の診療データを創薬に生かす取組が広がっており、昨年六月には、国内の製薬会社が中国の企業と共同して、中国国内で腕時計型端末で糖尿病や高血圧症の患者の生活データの収集、解析を開始したという報道がございました。
 来年度から開始する健康長寿医療センターにおけるデジタル機器活用事業の概要と先行するこれらの研究との違いは何かということを教えていただければと思います。

○山口高齢社会対策部長 東京都健康長寿医療センターでは、来年度から、センターが実施する追跡健康調査等に参加する高齢者にスマートウオッチ等のデジタル機器を装着していただき、日常のバイタル情報のほか、身体活動量等のデータの自動計測を開始いたします。
 その後、追跡健康調査等の測定結果と自動計測により収集したデータ等を比較分析し、センターの知見を生かし、様々な健康リスクとの関係性を解明した上で、民間企業とも連携し、高齢者が手軽に健康状態や病気の予兆を把握できるアプリの開発等につなげていくこととしております。
 お話の大学病院や製薬会社における研究は、心疾患や糖尿病など特定の疾病の患者を対象とし、診断、治療方法の開発等を目指すものと理解しております。
 これに対しまして、健康長寿医療センターの研究事業は、自動計測データと追跡健康調査の結果を比較分析し、有意な関連性を解明する点に特徴がございまして、広く地域の高齢者を対象に、健康管理、健康増進を主な目的とするものでございます。

○浜中委員 ただいまご答弁があったように、本事業の成果というのは、デジタル機器を装着する千五百人の対象者だけではなくて、将来的には、広く都民へ還元することが望まれるというふうに思います。見解をお伺いいたします。

○山口高齢社会対策部長 本事業では、民間企業等と連携し、高齢者が手軽に健康状態や病気の予兆を把握できるアプリの開発等につなげることを目指しております。
 これにより、高齢者の健康への意識を高め、体調や運動量、睡眠等に留意するなどの行動変容を促すとともに、不調のときは迅速にかかりつけ医等に相談することで、病気の早期発見や重症化予防にも資するなど、研究成果が広く都民に還元されることが期待されております。

○浜中委員 まさに、今ご答弁いただいたとおり、東京都健康長寿医療センターによる研究の結果として、世のため人のために役立つ、民間企業じゃございませんから、利益というよりも、やっぱりその研究成果でもって、しっかりそれを都民に還元していく、世のため人のために使っていくということが、この事業のとても肝になる部分ではないかなというふうに思いますので、期待をさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 次に、介護現場、介護についてお伺いをいたします。
 まずは、介護現場改革促進事業についてであります。
 高齢化が進み、生産年齢人口が減少する中、今後一層の増加が見込まれる介護ニーズに適切に対応していくことは、介護サービスの担い手となる人員を確保することや、限られた人員でも対応できるように介護現場の生産性を高めていくことが重要であると考えます。
 介護現場改革について、都は今年度から、介護現場の改革につながる取組を支援するために介護現場改革促進事業を実施しておりますが、この事業ではどのような取組を行っているのか、事業の内容についてお伺いをいたします。

○山口高齢社会対策部長 都はこれまで、介護事業者に対し、限られた人的資源で質の高いサービスを提供できるよう、デジタル機器や次世代介護機器の導入を支援するとともに、人材育成の仕組みづくりへの支援や生産性向上の普及啓発を行うなど、様々な施策を個別に実施してまいりました。
 今年度からは、これらの事業の見直し、統合を図り、機器の導入など職場環境の整備と、専門家による個別支援など、組織、人材マネジメント能力の強化の取組を一体的に進めることにより、生産性向上に向けた介護現場の改革をより効果的に支援してまいります。

○浜中委員 次に、次世代介護機器についてであります。
 介護現場の改革を進めるに当たり、利用者の自立支援や介護者の負担軽減を図るために、介護ロボットなど次世代介護機器の導入を促進することは非常に重要であります。
 都は、介護現場における次世代介護機器の導入を促すために、普及に向けて一生懸命取り組むべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。

○山口高齢社会対策部長 都は、介護事業者に対し、移乗介護機器や見守り支援機器等の次世代介護機器の導入経費を補助するとともに、介護現場において効果的な活用や定着を図るため、具体的な導入事例を紹介するセミナーや施設見学会を開催しております。
 また、実際に機器を体験できる展示スペースや専門相談窓口を設置しており、今年度からは、オンライン上での疑似的な体験展示も開始しております。
 今後とも、次世代介護機器の普及と活用促進に取り組んでまいります。

○浜中委員 今伺いました次世代介護機器を活用した介護者の負担軽減をはじめとする生産性の向上の取組は重要であり、これはしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 これと同時に、介護サービスの担い手の確保も重要であり、都として取り組んでいく必要があるかと思います。
 一人当たりの生産効率を上げて、かつ人も確保する、こうした政策をしなければ、東京都では、二〇二五年に三万一千人の介護人材が不足すると見込まれており、今後、未経験者も積極的に採用していくなどとして、人材確保に一層取り組んでいく必要があるかと思います。都の取組について教えてください。

○山口高齢社会対策部長 都は、介護現場の業務改革や働きやすい職場環境づくりなど、介護人材の確保、定着に向けた様々な取組を実施しております。
 来年度からは、介護分野が未経験の求職者等を対象に、インターンシップによる介護の仕事の体験から、本人の意向や適性に応じた就業先のマッチング、就業後の相談支援等までの一貫した取組を開始いたします。
 併せて介護事業者に対しましても、介護の魅力を伝えるインターンシップの受入れや効果的なOJTの実施などのノウハウを提供し、未経験者の円滑な採用と定着を支援してまいります。

○浜中委員 都として人材確保の取組を新たに行うと伺い、これまで実施してきた施策と併せて、介護業界で働く人が増えていくことを期待しております。
 ただ、介護業界では、他の産業と比べて賃金が低いという指摘もある中で、介護業界で長く働き続けていただくためには、働く方の処遇の改善につながる支援を行うことということに大きな意味があるかと思います。
 来年度の新規事業であります介護職員処遇改善支援補助について、事業内容について伺うとともに、介護職員の賃金改善に確実につなげるために、都の取組をお伺いいたします。

○山口高齢社会対策部長 国における看護、介護、保育など、現場で働く方々の収入の引上げを含む新たな経済対策に基づき、都は、介護職員を対象に、収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を令和四年二月から九月までの間、実施いたします。なお、十月以降は、臨時の介護報酬改定を行い、同様の措置が継続される予定でございます。
 国は、これによる介護職員の賃上げ効果が継続されるよう、補助額の三分の二以上は基本給等の引上げに充てることを要件としており、事業者には、賃金改善に関する計画の作成及び賃金改善実績についての報告を義務づけております。
 都は、事業者からの賃金改善計画書を事前に確認するとともに、実績報告書に基づき、賃金改善の総額が受領した補助金の総額以上であることなど、介護職員の処遇改善が適切に行われていることを確認いたします。

○浜中委員 今、一連して、介護の人材不足、これからの介護についてどうするかということを質問させていただきました。
 生産性を上げて人材を確保していく、介護の現場の人たちがですね、人がいないという悲痛にも似た叫びを地元でよく聞きます。ぜひ都の政策として、国と併せてでございますけれども、しっかり引っ張っていっていただきたいと要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、ひきこもりに係る支援事業でございます。
 東京都ひきこもりに係る支援協議会の提言等も踏まえて、令和四年度には、新たにどのような取組を行うのかをお伺いいたします。

○高橋生活福祉部長 都は、当事者や家族が安心して相談支援を求めることができるよう、新たに家族向けパンフレットを作成するなど、普及啓発、情報発信の充実を図ってまいります。
 また、都の相談支援体制を強化するため、東京都ひきこもりサポートネットに多職種専門チームを新たに設置いたしますとともに、ピアオンライン相談を拡充いたします。
 さらに、区市町村による相談窓口の設置等への支援や民生児童委員向けに新たに研修を実施するなど、提言等を踏まえ、ひきこもりに係る支援のさらなる推進を図ってまいります。

○浜中委員 身近な地域における取組を進めるためには、ひきこもり、これは結構難しいお話でございますので、市区町村への支援が必要であるかと考えます。
 どのような取組を行うのかということをお伺いいたします。

○高橋生活福祉部長 都は、東京都ひきこもりに係る支援協議会の提言等を踏まえ、身近な地域での支援体制の充実に向け、昨年十月、都と区市町村による支援推進会議を設置いたしました。
 また、区市町村の相談窓口設置等への支援や、都のひきこもりサポートネットに新設する多職種専門チームが区市町村の取組に対し専門的な支援を行うことによりまして、身近な地域における相談体制のさらなる充実を図ってまいります。

○浜中委員 本日の新聞報道で、三重県が全国で初めて、ひきこもりに特化した計画を策定して、県を挙げてひきこもり対策を行っていくということを取り組んでいるという報道がございました。もちろん規模が違うというのがあるんですけれども、三重県では、今どれくらいひきこもりの方がいるのかというのを過去に調査をして、それに基づいてということであったかと思います。
 東京都においては、今、何人ぐらいいるんだろうかというような調査等はまだしていないかと思いますが、おおむね一億人に対して百万人ぐらいいるよと、大体一%ぐらいいるんですかね、いますというようなことがいわれていたりします。
 私の地元においても、この八〇五〇問題というのは、これは私の地元に限らず、結構いろいろな問題があって、例えば、その子がいるから経済的に困窮をするとか、高齢の親に対して、ずっと家にいる息子が暴言、暴力を使うとかというDVの話だったりとか、いろんな話が複合的にあるかと思います。
 先ほど、都が多職種連携に向けて、市区町村に相談窓口をという話もありましたけれども、相談も、結局年齢によってどっちに行くんだとかいう話になって、なかなか分からなかったりとか、市の中で共有されていなかったりとかということがあろうかと思います。
 そうした点も踏まえて、これは本当に大きな社会問題でございますので、特に地域包括支援センターとかで高齢の親とかがいたときに、あれ、何かおうちにまだ人がいるなというような話になって、民生委員の方なんかもそうなんですけど、結構、調査とかをかければ、どこにどういう人がいるとかということも分かるかと思いますし、アプローチの仕方等もいろいろあるかと思います。
 市区町村や多職種連携チームというのと連携をして、しっかり、効果的な取組を期待して、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、心と命を守るための支援についてであります。
 都の自殺者数は、平成二十三年をピークに減少傾向にありましたが、平成二十八年頃から横ばいが続いております。そうした中で、令和二年の東京都における自殺者数は二千十五名となり、前年に比べて増加をいたしました。
 自殺の背景には、複数の要因が複雑に絡み合っていると指摘されており、断言はできませんが、令和二年以降の自殺者数の増加の要因として、コロナ禍による生活環境の変化なども指摘されているところであります。
 こうした状況を受けて、都においては、令和三年度において補正予算を二回編成し、自殺者対策を強化してきました。
 こうした取組を単年度限りではなくて継続していくことが重要であるかと考えますが、令和三年度の取組を踏まえて、令和四年度はどのように取り組むのかをお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 コロナ禍におきまして、令和二年に、女性や若年層を中心に自殺者数が前年と比較して増加したことを踏まえまして、都では対策の強化を図ってまいりました。
 具体的には、令和三年七月から、自殺相談ダイヤル及びSNS自殺相談の相談体制を強化いたしますとともに、これまで小学五年生、中学一年生、高校一年生を対象に配布してまいりました自殺予防に関するポケットサイズのメモを小学五年生以上の全学年に拡大して配布いたしました。
 また、これまで九月と三月の自殺防止東京キャンペーンの一環として実施しておりました検索連動型広告等につきまして、令和三年八月以降、通年で実施いたしました。
 こうした取組を来年度も継続し、引き続き、庁内各局や区市町村、関係機関と連携しながら自殺対策を推進してまいります。

○浜中委員 これは補正予算でも質問をさせていただいたんですけれども、また、報道で、女性の自殺者数というのが二年連続で増えましたという報道が今日ございました。
 補正予算とかでは、鉄道の駅のトイレとかに、ちょっとこういうのがありますよというような相談のところのステッカーを貼ったりだとか、来年度も、今いわれたように自殺予防のポケットサイズのメモとかというのを小学校以上の子供向けとか、それぞれの年齢向けに、いろいろと対策をしているところであるかと思います。
 やはり同僚議員の質問でもお話がありましたけれども、自殺をするということに関しては複合的な要因があって、自殺によって周りの人も大きく傷つくということでございますので、この命を救う対策というのをしっかりと強化をしていただきたいというふうに要望して、次の質問に行きたいというふうに思います。
 続きまして、動物愛護事業についてであります。
 飼い主への普及啓発についてでございます。ワンちゃんや猫ちゃんなどの飼い主は、その動物の健康管理やしつけ、災害への備えをしながら、ペットでございますけれども、もう家族と一緒でございますので、最期まで飼い続ける責務があります。
 都は、こうした情報を飼い主に確実に届ける必要があると思われますが、どのような普及啓発を行っているのかを教えてください。

○藤井健康安全部長 命ある動物を飼うことは責任と負担を伴うものでございまして、都はこれまで、適正な飼育のために必要な情報をまとめたいぬ・ねこ手帳や防災対策に関するリーフレットなどを作成し、イベントや講習会等を通じて啓発を行ってまいりました。
 また、東京都動物情報サイト、ワンニャンとうきょうに、高齢の犬や猫との暮らし方など、飼い主に役立つ情報を分かりやすく説明したコラムを掲載するなど、情報を発信しております。
 令和四年度は、飼い主にこうした情報を確実に届けるため、新たにワンニャンとうきょうを周知するリーフレットを作成しまして、いぬ・ねこ手帳などとともに動物病院等で配布するなど、普及啓発の強化を図ってまいります。

○浜中委員 動物愛護のために、ワンニャンとうきょうを周知するリーフレットを作成して、動物病院等で配布するということで普及を強化していくということであります。
 動物を飼ったらこういう義務がありますよとかということだとか、そういった今まであるリーフレットのちょっとバージョンを上げるというようなイメージかと思います。
 最近、ACジャパンがテレビで日本動物愛護協会のCMをやっているんですけれども、これが結構衝撃的で、ワンちゃんを夫婦で飼おうとして犬に一目ぼれですといって飼おうとしたら、ワンちゃんから、その一目ぼれは迷惑です、命を軽く考えておりませんか、責任がありますよということをいわれるというCMがあって、私はそれを見て、結構はたとしまして、やっぱり動物も命ですから、それを飼っていくには責任があると。
 先ほど、動物病院でそれを配布するということだったんですけど、恐らく動物病院に来る人たちは、ワンちゃん、猫ちゃんをとても大切にされている方が多いかと思いますので、恐らく販売しているペットショップだとか、そういったところに対しても有効な対策をしていって、不幸なワンちゃんや猫ちゃんが生まれないように対策を、動物愛護をしっかり計画にのっとって進めていってほしいと要望して、次の質問に行きます。
 続きまして、予防のための子供の死亡検証、チャイルド・デス・レビューについてであります。
 先ほど、伊藤副委員長から質問がありまして、すごい思いの籠もったお話で大変勉強になったんですけれども、令和四年度予算案に、予防のための子供の死亡検証、いわゆるチャイルド・デス・レビューが計上をされました。
 国においても、二〇二三年度にこども家庭庁が創設される予定でありますが、都も各分野で連携しながら、効果的なチャイルド・デス・レビューの実施に向けて検討を進めるべきであると私は考えます。来年度の取組をお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 チャイルド・デス・レビューは、子供の死亡事例について、社会的背景や環境要因等を分析、検証することで、将来に向けた予防につなげるものでございます。
 都は来年度、チャイルド・デス・レビューの実施に向けまして、国のモデル事業を実施している自治体や海外の取組状況等を調査するとともに、有識者から意見聴取も行います。
 また、医療機関や保健所、警察等の関係機関に対しまして、子供の死亡に関する情報の取扱いの状況をヒアリングし、情報共有の可能性や手法等について意見交換を行っていく予定でございます。
 これらを踏まえまして、関係機関と連携しながら、チャイルド・デス・レビューの実施手法等を検討してまいります。

○浜中委員 ぜひ、国の動向等、先行事例を参考にしながら、有効な活用を目指してほしいと。これを何のためにするのかということがとても大切であると私は思います。これは、子供の死因第一位の不慮の事故というものを未然に防ぐために、やっぱり保護者、大人に啓発をしていかなければいけないのだろうというふうに思います。
 私も三児の父として思うのは、本当に思いがけないことというか、こんなに危ないことがあるんだというのが、はっとすることがたくさんあるわけであります。
 例えば、見つけて防ごう、子供のソフトというのが先ほどご紹介ありましたけれども、例えばそういったものも、私自身それは知らなかったですし、どんなにいいものをつくっても、例えばこれを検証したとしても、一人一人の、両親だとか子供を見る人に普及啓発をしなければ意味がないという形になってしまうと思います。
 不慮の事故を防ぐために何が必要かということであれば、やはりまず、そのデータを分析して、どういうものかというのをしっかりと可視化して、それを伝えていくということが必要であるかと思います。
 とりわけ、何ていうんですかね、母子手帳とかではないですけれども、例えばQRコードとかにそれがあって動画を見たりとか、アプリがあったりとかということがあれば、何かとセットだったら見るということがあるかと思います。
 まだ、この制度自体ができていないので、これからそれをして、しっかり具体化していく中では、そういった普及啓発にも、出口の方にもしっかりと力を入れて進めていっていただきたいというふうに思います。
 続きまして、社会的養護施設退所者支援についてであります。
 児童養護施設等の退所者は、十八歳で措置を解除され自立しなければならず、生活が不安定な方も多いと聞いております。
 昨年、都が実施した退所者の実態調査でも、退所後、最初に就職した仕事を既に辞めた方のうち、約四割が一年未満での退職となっている、こうした結果を見ても、退所直後、特に一年目の支援は重要であるかと考えます。
 都は、ケアリーバーの自立を支援するため、アフターケアを一層強化すべきであると考えますが、都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、児童養護施設の退所児童が自立し安定した生活を送ることができるよう、退所前から継続的な相談援助を行う自立支援担当職員を配置する施設に対しまして支援をしております。
 また、国の事業では、十八歳を超えて二十歳まで入所等の措置を延長した方に対し、アパート等を借り上げる施設等を支援しております。
 都は来年度から、独自に国の事業の対象とならない十八歳で措置解除となった方に対しましても、アパート等を借り上げる施設等に必要な経費を支援してまいります。

○浜中委員 この議論は各委員がそれぞれ扱われていたかと思いますけれども、今国会で、年齢を撤廃したりだとか、もう少ししっかりやっていこうというようなお話になっているかと思います。
 また、施設の近くで部屋を借りることができれば安心だという話もありますけれども、やはり先ほどの精神疾患の話ではないですけれども、アンケートの調査の率だったりだとか、進学するのか就職するのか、自立支援コーディネーターがいて、それが面倒を見ているよという話でございますけれども、やっぱり施設にいるときから、しっかり出口の教育だとかというものを自立的にやっていく必要があるのかなというふうに思います。
 困難にある状況の子供たちを社会全体としてしっかり見守って、自立を促していくということは、これは社会の責務であると私は考えます。ぜひ、こういう一歩を積み重ねて、そうしたことを実現していただければというふうに思っております。
 次の質問に移ります。ベビーシッター利用支援事業についてであります。
 これは、昨年同様八億円の予算がついているわけであります。ベビーシッター利用支援事業の概要及び来年度の拡充内容について教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 都は、待機児童対策を一層進めるとともに、多様な保育ニーズにきめ細かく対応するため、平成三十年度から参画する事業者を都独自の基準で審査、認定するベビーシッター利用支援事業を開始いたしました。
 当初は、ゼロ歳児から二歳児の待機児童や育休明けの児童を対象にしておりましたが、その後、一時預かりの実施など対象の拡大を図っております。
 来年度は、ベビーシッターの特性を生かし、地域に点在している三歳児から五歳児の待機児童に対応できるよう、対象児童を五歳児までに拡大するほか、夜間にも安心して保育サービスを利用できるよう、夜間帯保育にも対応いたします。
 また、学童クラブの閉所時間後に子供を預けられるよう、一時預かりの対象児童を小学三年生までに拡大いたします。

○浜中委員 私は、都議会議員になる前に市議会議員をやっておりましたので、この政策があるのを知らなかったんですね。これは何で知らないかというと、西東京市では、この事業を利用することができないと。そうすると予算書ですとか、そういったものに載っていませんから知らないんです。
 これ自体は非常にいい事業だと思います。より多くの自治体で活用すべきだと考えますが、本事業の活用状況と執行率及び事業推進に向けた都の取組についてお伺いをいたします。

○奈良部少子社会対策部長 現在、ベビーシッター利用支援事業は十九区市が、一時預かり利用支援につきましては九区市が活用しております。また、令和二年度決算におきます本事業の執行率は六〇・五%となっております。
 都は、保護者が安心してベビーシッターを利用できるよう、本事業に従事する全てのベビーシッターに対しまして、都が実施する研修受講を義務づけております。二月末現在、約二千人のベビーシッターを養成しており、事業推進に向けて、引き続き研修を実施してまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症による保育所の臨時休園等に対応したベビーシッターの派遣につきましては二十五区市が実施するなど、利用が進んでいることから、待機児童対策協議会などの様々な機会を捉え、区市町村に本事業の活用を働きかけてまいります。

○浜中委員 少し、これは市区に限った話なので恐縮ではありますけれども、二十三区と二十六市を足したら、東京都に区と市は四十九個あるわけであります。その中で、この事業が、待機児童のベビーシッター利用事業だと十九の区市しか使えないと。さらに、一時預かりだと、四十九分の九しか使えなくて、執行率が六〇・五%というふうになっているという結果がございます。
 これは令和二年度でございますので、今年度はまだ締まっていませんから分かりませんけれども、ただ予算は減らずに八億円ついているということですから、執行率が上がっているのか、何かそういった理由があるのかなというふうに思います。
 ここで、私が何がいいたいのかといいますと、先ほども申しましたけれども、どんなによい事業でも、知っていただいて使っていただかないと宝の持ち腐れになってしまうということであります。
 この事業自体、都が自信を持って、これをぜひ区市に使ってください、区市町村さんに使ってくださいということであれば、やっぱりこの十九区市だとか九区市とかというのは、もっと増えるべきであるというふうに私は思います。
 つまり、何がいいたいのかというと、よい事業だけど使ってもらえないということは、区市側に問題があるのか制度に問題があるのか、そのどちらかだというふうに思います。
 したがって、活用していただくために、何が原因なのかということをしっかり考えて、来年度の予算執行に入りますけれども、一人でも多くの人が使えるようにしていただきたいというふうに思います。
 これは私の問題意識として、例えば、近くの区に住んでいた人が市に越したでもいいですし、市から区に移ったでもいいですけれども、同じ東京都民にもかかわらず、サービスに差があるということは、この区では使えるけどこの市では使えない、この市では使えるけどこの区では使えないということがあるのは、なかなかよろしくないのではないかなというふうに思いますので、その点も含めて、ぜひ多くの人に使っていただける制度として、発展をしていっていただきたいと願い、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、高校生等医療費助成についてであります。
 高校生への医療費助成については、子育て世代にとっては歓迎すべき制度であります。私自身も実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと考える一方で、我が会派の代表質問や予算特別委員会でも指摘があったように、内容はよくても、政策の進め方をもう少し丁寧に行っていくべきであると考えております。
 特に、市区町村の声をよく聞いて調整を進めるべきであると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は令和五年四月に、高校生等への医療費助成制度を開始することを目指し、来年度予算に準備経費として、区市町村のシステム改修経費を計上いたしました。
 区長会等で予算案の概要を説明しましたところ、早期に都としての考え方を示してほしいとのご意見をいただいたことなどから、先日、制度についての基本的な枠組みをお示ししたところでございます。
 都としての考え方につきましては、区長会や市長会、町村会等において説明していくほか、実務担当者への説明や情報共有、意見交換等も行うなど、丁寧に調整を進めてまいります。

○浜中委員 代表質問等で、るる質疑があったところでございますから、なかなか答弁をするのは難しいというふうに思いますので、私の意見を述べさせていただければと思います。
 まず、高校生等への医療費助成を実現するためにシステム改修をするとのことですが、これは既にある義務教育就学児医療費助成制度に接続をする流れかというふうに思います。
 ここで、私が指摘しておきたいのは、この義務教育就学児医療費助成制度については、これは歴史的な経緯があり、財政的な仕組みも異なることから、二十三区全てにおいて、通院一回の二百円の自己負担も所得制限もないという状況になっております。これは本当にすばらしいことであります。
 一方で、同じ東京都民にもかかわらず、市町村においてはそれぞれ対応がばらばらで、一回二百円の通院費や所得制限があるなど、市町村によって対応が異なります。同じ東京都民にもかかわらず、子育てにおいて格差があることは容認ができないというふうに私は考えます。
 その点を踏まえて、新規に行う高校生等医療費助成においては、当初の三年間は、市区町村に十分の十で支援をすることでありますが、その後の四年目以降には、区部と市町村において格差が出ないように、制度設計時に市区町村の声をしっかり聞いて、丁寧な制度設計に努めていただきたいというふうに思います。
 この高校生等医療費助成制度については、すばらしい区においてはもう既にやっておりまして、所得制限もなければ自己負担もないというところがあるかと思います。そのように、いろいろ各区においても、今度はこれがばらばらになってしまうという可能性もあるかと思います。また、そういったことがないように、しっかり区市と話を合わせて進めていっていただきたいというふうに思います。
 また、義務教育就学児医療費助成制度についての地域格差を東京都の政策として是正をしていただきたい、全ての子育て世代の東京都民に同じ子育て環境を整えることは、広域自治体の責務であるというふうに私は思います。このことを強く要望して、私の質問を終わります。

○うすい委員 午後一時から長時間、本当にご苦労さまでございます。私が最後ですので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
 二〇二五年問題が叫ばれて久しいわけでございますけれども、高齢社会の医療や介護などの問題は、今や日本だけではなく世界の課題であり、先進国の中でも最も早く高齢化した日本でこの問題に取り組むことは、世界に先駆けてロールモデルをつくり上げることでもあると思います。
 日本の人口は、二〇一〇年を境に減少を続け、二〇二五年には、約八百万人いる団塊の世代が後期高齢者、七十五歳以上となり、国民の四人に一人が後期高齢者という超高齢社会を迎えます。また、認知症に罹患される方も、二〇二五年には、六十五歳以上の五人に一人が認知症になると、国の推計も出ております。また、医療、介護での働き手の不足も懸念されます。
 本日は、迫る二〇二五年まであと三年ですので、そうした視点を踏まえて、幾つか質疑をさせていただきます。
 まず初めに、認知症施策について質問をいたします。
 認知症は、早い段階から適切な治療を受けることで、改善が可能なものや進行を遅らせることができる場合があります。また、症状が軽いうちに本人や家族が認知症への理解を深めることで、今後の生活の準備をすることができるため、早期診断、早期対応が特に重要であります。
 私は、平成二十九年の一般質問で、認知症に対しての早期発見の重要性を訴えました。知事からは、早期発見に力を入れていくとの答弁があり、東京都では、平成三十一年度から認知症検診に取り組む区市町村を支援するなど、早期対応に向けた取組を進めており、高く評価をするものであります。
 一方で、検診や医療機関への受診をためらう方も少なくなく、認知症といわれるのが嫌だとか、認知症になったらおしまいだという声も、いまだに多く聞くわけでございます。
 そのため、認知症に関して正しい理解を促進するためには、認知症になっても、その人らしく生き生きと暮らしていける姿を発信することが効果的ではないかと考えます。
 そこで、都は昨年九月に、とうきょう認知症希望大使を任命しましたが、その目的と活動内容について伺いたいと思います。

○山口高齢社会対策部長 都は、認知症の方が自身の希望や必要としていることなどを自らの言葉で語り、認知症になっても希望を持って暮らすことができる姿を発信する機会を確保し、都民の認知症に対する理解をより深めることを目的として、昨年九月に、認知症のご本人である五名の方をとうきょう認知症希望大使に任命いたしました。
 この方々には、今年度、認知症シンポジウムにおいて座談会を実施し、日常生活の様子や心がけていることなどについてお話しいただき、その模様を動画で配信するほか、認知症施策推進会議におきましても、周囲の人や社会に期待することなどについてお話しいただきました。
 さらに、区市町村等からの依頼に応じ、地域で行われる会議や研修会のゲストスピーカーなどとしてもご活躍いただいております。
 今後も、都主催の会議等への参加やホームページへのメッセージの掲載、区市町村や関係団体が行う普及啓発イベントへの参加などを通じて、認知症のご本人からの積極的な発信を支援し、認知症に対する正しい理解を促進してまいります。

○うすい委員 早期対応の取組が進みやすくなるように、都民の方々が検診をためらうことなくできるよう、ぜひとも、認知症に対する理解が深まる取組をよろしくお願いしたいと思います。
 認知症の診断を受けた方々を地域で支えていくためには、医療、介護従事者や関係機関が連携して支援を行っていくことが重要であります。
 都では、都内五十二か所に認知症疾患医療センターを設置し、診断や治療の専門医療等に取り組んでおりますが、今後、認知症高齢者の増加に対応していくためには、認知症の人を支える連携体制を身近な地域で、より一層厚みのあるものとする必要があります。
 こうした地域における連携の推進役として、認知症サポート医がありますけれども、役割が明確になっていないのと活動状況にもばらつきがあるようにも思われます。今後、認知症サポート医の活動の一層の推進が必要になると考えております。
 そこで、都における認知症サポート医の役割を明確化するとともに、さらなる活動促進を図るための取組をぜひとも進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山口高齢社会対策部長 都は、認知症サポート医の役割を明確化し、その活動を一層促進するため、今年度、有識者による検討会を設置し、検討を行いました。
 その結果、都における認知症サポート医の役割について、本人や家族等を支えるチームの一員として継続的に関わりながら適時適切な助言と支援を行うことや、地域のニーズに応じて認知症検診や認知症カフェへの協力を行うことなどと整理いたしました。
 併せて認知症サポート医に対するフォローアップ研修のカリキュラムを見直し、令和四年度から新たに多職種連携をテーマに事例検討を行うグループワークを実施することとしておりまして、認知症サポート医が適切に役割を果たせるよう支援してまいります。

○うすい委員 住民の地域で支え合う体制整備が非常に大切であります。身近なところで検診ができるよう、さらなる取組をよろしくお願いしたいと思います。
 認知症の早期診断、早期対応に向けては、健康長寿医療センターに立ち上げた認知症未来社会創造センターの取組の成果が実用化されることも大いに期待をしているところであります。
 そこで、認知症未来社会創造センターにおける研究の進捗状況はどうなのか伺いたいと思います。

○山口高齢社会対策部長 東京都健康長寿医療センターでは、AI等を活用した認知症予防の取組を推進するため、令和二年度から認知症未来社会創造センターを設置し、三つの研究事業に取り組んでおります。
 一つ目の認知症研究のプラットフォームとなるデータベースの構築については、これまで蓄積してきた診療情報や生体試料、画像等のデータの統合を進め、センター内での試験運用を開始しております。
 二つ目のAIを活用した認知症診断システムについては、脳疾患診断システムのプロトタイプの作成や認知症鑑別診断システムの開発を進めるとともに、新たなバイオマーカーの開発に取り組んでおります。また、認知機能の低下や心身の不調をAIが会話から分析し検知するチャットボットについては、プロトタイプによる機械学習を進めております。
 三つ目の生活習慣や病歴等が認知機能に及ぼす影響を視覚的に捉えることができるリスクチャートの作成については、センターが保有している地域コホートデータを認知機能の変化や要介護度に着目して統合し、分析を開始しております。
 こうした実績を踏まえ、来年度以降、研究成果の実用化に向けた取組をさらに推進してまいります。

○うすい委員 新たなバイオマーカーの開発、そしてまた、AIを活用した会話から分析をし検知するチャットボット、大規模統合データなど、明るい兆しを伺いました。来年度以降、一日も早く、研究成果の実用化に向けた取組をぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 現在、研究機関や企業等で、血液から認知症やがんの兆候を把握する研究が進んでおります。もし血液などの体液から認知症の兆候を簡単に調べることができれば、認知症の早期診断、早期対応も可能となり、今後、急速に増加が見込まれる認知症高齢者に対し、適宜適切な支援を行う上で非常に有益であると考えております。
 そこで、先ほどの答弁のあったAIを活用した認知症診断システムの取組の一つである新たなバイオマーカーの開発について、その研究内容と現在の進捗状況、そして今後の展開について見解を伺います。

○山口高齢社会対策部長 現在、認知症の診断のために行われている脳髄液検査やPET検査は、高い診断精度が期待できる一方、身体的負担が大きく検査費用も高額であることから、低侵襲で低コストな診断方法の確立が求められております。
 このため、健康長寿医療センターでは、血液などの体液から認知症に関連したたんぱく質等を検出、分析する体液バイオマーカーの開発を進めており、現在、協力患者の血液などを収集し、バイオマーカーの候補となる物質の探索を行っております。
 今後、候補物質の絞り込みを行うなど、新たな体液バイオマーカーの実用化に向けて取り組んでまいります。

○うすい委員 今の答弁をいただきまして、こうしたことが一日も早く実用化されれば、患者さんの負担も少なくて済みますし、特定健診などで同時に行う体制が取れれば、スクリーニングが早くできることが可能になると思います。大いに期待をしております。ぜひとも頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、冒頭申し上げたとおり、二〇二五年には、団塊の世代が全て後期高齢者になるなど、介護需要がさらに増大をしていき、都内で介護人材三万一千人の不足が、先ほど浜中委員からも指摘されましたけれども、見込まれているわけでございます。超高齢社会の中で大変な問題であります。
 また、現在働いている介護職員には高齢の方も多く、介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化などの介護環境の軽減、改善が特に重要であります。
 都では、介護ロボットなどの、先ほど出ました次世代介護機器の導入支援事業を行っておりますけれども、こうした支援をさらに活用することにより、事業所における機器導入を進め、介護職員の負担の軽減を図るべきと考えております。
 事業内容については、先ほど浜中委員の質疑で答弁がありましたので、省略をさせていただきますけれども、私が地元の介護事業者に話を聞いたところでは、都が次世代介護機器の導入補助を行っていることをまだまだ知らない事業者も多いと感じております。
 より多くの事業所で次世代介護機器の導入が進むよう、積極的なアウトリーチも含めて、さらなる周知を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山口高齢社会対策部長 都は、次世代介護機器を実際に体験できる展示スペースや専門相談窓口を設置しており、今年度からは、オンライン上での疑似的な体験展示も開始いたしました。
 また、介護事業者向けのパンフレットを都内の介護施設、事業所を経営する約三千八百法人に送付いたしますともに、施設での導入事例を紹介する動画を配信するなど、事業周知に努めております。
 さらに、地域の介護関連のイベント会場等において実施する出張展示につきましては、新型コロナの感染状況等を踏まえつつ、区市町村とも協力連携して、開催時期や開催方法を工夫した上で実施することとしております。
 引き続き、次世代介護機器の普及に取り組み、さらなる活用を促進してまいります。

○うすい委員 冒頭申し上げました二〇二五年問題の中で、今後、介護人材が大幅に不足することが見込まれております。
 介護ヘルパーさんなども、今後できるだけ身体的な負担が減らせるように、また人材不足にならないように、地域の介護事業者が次世代介護機器などを導入しやすい環境を整備していただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、介助用大型ベッドについて質問をいたします。
 私は、二〇一九年の初めに、車椅子利用者で、車椅子から降りたときに座位が保てなく、横たわって用を足す障害がある方から相談を受け、多目的トイレに大型ベッドの設置をその方たちと共に知事宛てに要望書を出し、大型ベッドの設置の普及を要望させていただきました。また、昨年の第四回定例会においても、一般質問でその推進を求めたところでございます。
 今回、都は、都民提案もあり、公共トイレへの介助用大型ベッド設置促進事業を開始することを高く評価するものであります。
 そこで質問しますが、区市町村がこれまで設置されていない地域にも計画的に介助用大型ベッドの設置を進めるように、本事業を積極的に周知するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○高橋生活福祉部長 本事業では、公共トイレへの介助用ベッドの計画的な設置等に取り組む区市町村を支援することで、公共トイレのバリアフリー化をより一層推進するものでございます。
 実施に当たりましては、事業の活用が進みますよう、区市町村の福祉のまちづくり担当者との連絡会議の場などを通じ、効果的に周知を行う予定でございます。
 本事業によりまして、様々な地域で介助用ベッドの設置が進み、必要とされる方が安心して外出できるよう、今後とも区市町村に働きかけてまいります。

○うすい委員 本事業により、設置が進む介助用ベッドについては、昨年の定例会でも提案させていただきましたが、大型ベッド、大人用ベッド、ユニバーサルシートなど、名称が複数使われておりますし、ピクトグラム、図記号ともいわれますけれども、これも複数あります。
 普及啓発を図ることや使用したい方に分かりやすく案内するためには、名称とピクトグラムを統一するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○高橋生活福祉部長 利用する方に分かりやすい案内を行うため、現在作成中のトイレの設置管理等に関するハンドブックにおきまして、JIS規格で定めた介助用ベッドという名称とピクトグラムに統一することを記載する予定でございます。
 このハンドブックを施設管理者等に広く周知し、名称とピクトグラムの統一を促してまいります。

○うすい委員 介助用ベッドの設置を進めていく上で、ベッドが必要のない方の利用によって使いたい方が使えなかったり、待ち時間等が発生したりしないようにすることが大変に重要であります。どう取り組んでいくのか、見解を伺います。

○高橋生活福祉部長 介助用ベッドを必要な方が必要なときに使えるようにするためには、不適正利用を防止することが重要でございます。このため、本事業では、施設管理者による適正利用に関する普及啓発の実施等を補助の条件とすることを予定としております。
 また、先ほどのハンドブックの中では、トイレの機能の目的に沿った利用のためには、利用者に適正利用を呼びかけることが重要である旨を記載し、施設管理者等に広く周知していく予定でございます。

○うすい委員 介助用ベッドは、車椅子から降りて座位が保てない方が横たわり使用する場合もありますし、車椅子利用者の高齢者等の方が着替えやおむつ交換で使用される場合もあります。
 いうまでもありませんけれども、障害があるなしにかかわらず、外出の際のトイレの存在は大変に重要であります。目的地までの道すがら、トイレのあるなしによっては外出を妨げることにもなります。
 東京都福祉のまちづくり条例は、ユニバーサルデザインを基本理念としており、高齢者や障害者を含めた全ての人が、安全・安心、快適に暮らし、訪れることができるまちづくりを進めることを目的とする条例だと思います。
 であるならば、東京都は、区市町村と連携をして、計画的に、しかも継続して介助用ベッドを整備していくべきであります。ユニバーサルデザイン、そしてまたバリアフリーともに、世界に誇れる東京を目指していただくことを要望し、次の質問に移ります。
 さきの新型コロナウイルス感染症対策特別委員会におきまして、我が党の伊藤議員より質疑があり、区市町村の間でPCR無料検査の場所に偏りが生じていることを指摘し、早期に検査体制の強化を求めたところであります。それに対して、都は、区市町村と連携を図りながら、検査場所の確保に取り組むとの答弁がありました。
 私の地元の足立区でも、東京電機大学千住キャンパス内に無料検査場所が設置されておりますけれども、検査を希望する区民に大変に喜ばれております。
 無料検査を実施するに当たり、引き続き都が区市町村としっかりと連携を図っていくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○猪倉新型コロナウイルス検査事業推進担当部長 これまで一部の区市町村におきましては、公共施設の活用等を図りながら、検査場所の設置に向けて取り組むところもございまして、都は、その取組を支援してまいりました。
 具体的には、区民センターや運動施設、市民ホールなどを活用した区市町村主体の検査場所設置に向けまして、都も、制度の詳細や事例の紹介など、情報提供等を行いながら支援をしたところでございます。
 今後とも、区市町村に制度内容や都の取組状況等を適宜情報提供するなど、連携を図りながら対応してまいります。

○うすい委員 蔓延防止期間が今月の二十一日までとなっております。無料のPCR検査も三月二十一日までとなっております。また、イベントのパッケージの検査は三月三十一日までですが、蔓延防止期間というのは、感染症対策本部での合意の下、延長かどうか示されると思いますけれども、いずれにしても、まだ陽性者も出ているわけで、無料での検査も、引き続き要望している都民の方も少なくありませんので、無料検査につきましても継続も含めて、今後、十分検討していただきたいということを要望しまして、次の質問に移ります。
 最後に、国民健康保険について伺います。
 令和三年度は、一人当たり医療費の急増により、都の国民健康保険事業会計は初めて補正予算を組むことになったわけですが、国保財政の安定化のため、都道府県には財政安定化基金が設置されておりますけれども、現在の規定では、給付費の増加により基金を取り崩すと、原則三年間、区市町村の給付金に加算し積み戻すとされており、結果的には、加入者の保険料に影響が出てしまいます。
 昨年六月に法改正が行われ、令和四年度からは、年度間の納付金の急激な上昇を抑える財政調整の機能が新たに追加されることになりました。
 今後、この機能を有効に活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国民健康保険法等の改正によりまして、令和四年度から、都道府県が設置する財政安定化基金に、年度間の財政調整機能が付与されることとなりました。
 具体的には、都道府県の国民健康保険特別会計の決算剰余金を基金に積み立て、医療費の急増により、国民健康保険事業費納付金の著しい上昇が見込まれる場合などには、基金から取崩しを行い特別会計に繰り入れることにより、納付金の総額から差し引くことが可能となります。
 国のガイドラインでは、この財政調整事業の活用方法につきまして、区市町村と意見交換を行い決定する必要があるとされており、都としても適切に対応してまいります。

○うすい委員 今後、都は、区市町村と意見交換し、対応していくということであります。
 この財政調整事業は、決算剰余金を原資とすることから、取崩しをした際も、区市町村の負担は生じないわけであります。都は、今後、この事業を有効に活用していくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○おじま委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 異議なしと認め、予算案及び知事提出の付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○おじま委員長 次に、議員提出議案第一号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○藤田委員 国民健康保険の十八歳までの均等割保険料、税ゼロ円条例についてご説明いたします。
 初めに、条例案についてです。
 国民健康保険には、子供も含めて国保に加入する家族が一人増えるたびに、一定額ずつ保険料、保険税が増える均等割の仕組みがあります。
 この均等割のうち、子供に係る分の額を減免する区市町村に対し、補助を行います。減免した子供の均等割の全額を都が補助し、子供の均等割負担をゼロ円にするものです。
 次に、提案理由です。
 国保の均等割は、国保に加入する全ての家族に定額の負担がかかる人頭税のような仕組みです。そのため、国民健康保険料、保険税の負担は、子育て世帯にとってとりわけ重いものになっています。子供の均等割は、子供の貧困対策にも子育て支援にも逆行するものです。
 来年度、都内の国保料、国保税は、例年以上に大きな値上げとなることが懸念されていますが、値上げの影響も、人数の多い子育て世帯にとっては、より深刻なものになります。
 国は、来年度から、子供の均等割の負担軽減を始めますが、小学校入学前の子供に限って半額にするだけです。
 東京都は、二〇二三年度から、子供の医療費助成の対象を十八歳まで拡大するとしています。このことは重要ですが、子供に係る負担の軽減という点では、国民健康保険料、保険税の負担をなくすことも非常に重要な課題です。
 そのため、都として独自に十八歳までの子供の均等割の負担をなくすため、本条例案を提案するものです。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 異議なしと認め、議員提出議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時四十九分散会

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