厚生委員会速記録第三号

令和四年三月十五日(火曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長おじま紘平君
副委員長伊藤こういち君
副委員長小松 大祐君
理事関口健太郎君
理事やまだ加奈子君
理事桐山ひとみ君
かまた悦子君
上田 令子君
うすい浩一君
浜中のりかた君
藤田りょうこ君
菅原 直志君
小宮あんり君
白石たみお君

欠席委員 なし

出席説明員
病院経営本部本部長西山 智之君
経営企画部長谷田  治君
サービス推進部長西川 泰永君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務藤本  誠君
計画調整担当部長船尾  誠君

本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出 病院経営本部所管分
・第八号議案 令和四年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算
・第十九号議案 令和四年度東京都病院会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十五号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構に係る地方独立行政法人法に規定する重要な財産を定める条例
・第七十六号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構に係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
・第七十七号議案 東京都立病院条例を廃止する条例
・第九十九号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構中期目標について
・第百号議案 地方独立行政法人東京都立病院機構に承継させる権利を定めることについて
報告事項(質疑)
・「広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業実施方針」の策定について
・地方独立行政法人東京都立病院機構第一期中期計画(案)について
請願の審査
(1)三第四七号 都立病院・公社病院を都立直営病院として継続することに関する請願
(2)三第五二号 都立病院を廃止する都立・公社病院の地方独立行政法人化の中止等に関する請願

○おじま委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 令和四年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
厚生委員長 おじま紘平殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時

(別紙1)
厚生委員会
 第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 厚生委員会所管分
 第五号議案 令和四年度東京都国民健康保険事業会計予算
 第六号議案 令和四年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
 第七号議案 令和四年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
 第八号議案 令和四年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計予算
 第十九号議案 令和四年度東京都病院会計予算

(別紙2省略)

○おじま委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、病院経営本部所管分、第八号議案、第十九号議案、第七十五号議案から第七十七号議案まで、第九十九号議案及び第百号議案並びに報告事項、「広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業実施方針」の策定について外一件並びに請願三第四七号及び請願三第五二号を一括して議題といたします。
 初めに、請願について理事者の説明を求めます。

○谷田経営企画部長 それでは、お手元の資料、厚生委員会付託請願審査説明表を二枚おめくりいただき、一ページをお開き願います。
 整理番号1、請願三第四七号についてご説明申し上げます。
 この請願は、国分寺市のいのちと都立病院を守る国分寺の会代表の卯城公啓さん外千六百七十六人から提出されたものでございます。
 請願の要旨は、都において、都立病院、公社病院を都立直営病院として継続していただきたいというものでございます。
 現在の状況を説明させていただきます。
 独法化の目的は、医療環境が大きく変化する中においても、感染症医療をはじめとする行政的医療の安定的な提供や地域医療の充実への貢献などの役割を将来にわたって果たし続けることでございます。
 都立病院、公社病院は、コロナ対応において、感染状況に応じて確保病床を順次拡大し、他の医療機関で対応が困難な患者等の受入れに率先して取り組んでおり、この役割は独法化後も変わるものではありません。
 引き続き、行政的医療の提供や地域医療の充実への貢献をはじめ、都民に必要な医療を確実に提供するため、独法化の準備を着実に進めてまいります。
 三ページをお開き願います。整理番号2、請願三第五二号についてご説明申し上げます。
 この請願は、豊島区の人権としての医療・介護東京実行委員会事務局の窪田光さん外四万八千四百八十一人から提出されたものでございます。
 請願の要旨は、都において、次のことを実現していただきたいとしまして、全二項目から成るものでございます。
 このうち、第二項につきましては、去る二月十五日の委員会において福祉保健局より説明がございましたので、私からは、第一項、都立病院を廃止しないこと、都立、公社病院の地方独立行政法人化−−以下、独法化という−−を中止することについて、現在の状況を説明させていただきます。
 都立病院、公社病院は、コロナ対応において、感染状況に応じて確保病床を順次拡大し、他の医療機関で対応が困難な患者等の受入れに率先して取り組んでまいりました。
 独法化の目的は、医療環境が大きく変化する中においても、感染症医療をはじめとする行政的医療の安定的な提供などの役割を将来にわたって果たし続けることでございます。
 今後も、感染状況に応じたさらなるコロナ対応が必要であり、新たな感染症の発生にも備えていかなければなりません。また、超高齢社会が本格化する中、医療環境の変化に迅速に対応する必要がございます。
 引き続き、行政的医療をはじめ、都民に必要な医療を確実に提供するため、独法化の準備を着実に進めてまいります。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 次に、予算案、付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○谷田経営企画部長 去る二月十五日の本委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料を一枚おめくり願います。資料は、目次にございますように、合計二十八件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員でございます。
 (1)は都立病院、次のページの(2)は公社病院における令和四年二月一日現在の医師の診療科別定数及び現員を記載しております。
 三ページをご覧ください。2、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員でございます。
 都立病院と公社病院における令和四年二月一日現在の職種別職員定数及び現員を記載しております。
 四ページをお開き願います。3、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
 都立病院と公社病院における看護要員の採用者数及び退職者数について、平成二十八年度から令和二年度までの推移を記載しております。
 五ページをご覧ください。4、都立病院及び公社病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数でございます。
 令和二年における看護要員の年次有給休暇平均取得日数を病院別に記載しております。
 六ページをお開き願います。5、都立病院及び公社病院における研修医受入状況でございます。
 (1)は初期臨床研修医について、七ページの(2)は後期臨床研修医について、それぞれ令和二年度及び令和三年度の定数を病院別に記載しております。
 八ページをお開き願います。6、都立病院におけるPFI事業に関わる経費及び内訳の推移及び累計並びに各事業の契約額でございます。
 都立病院におけるPFI事業に関わる経費につきまして、(1)は推移と累計、(2)は契約額を病院別に記載しております。
 なお、累計は、令和二年度までの決算額の累計でございます。
 九ページをご覧ください。7、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
 一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費について、平成三十年度から令和四年度までの推移を病院別に記載しております。
 一〇ページをお開き願います。8、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
 一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、平成三十年度から令和四年度までの推移を記載しております。
 一一ページをご覧ください。9、都立病院における経営指標の推移でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
 一二ページをご覧ください。10、公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
 一三ページをご覧ください。11、東京都から公社病院への診療科別医師派遣者数の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの診療科別医師派遣者数の推移について、このページから一八ページにかけまして、各公社病院ごとに記載しております。
 一九ページをご覧ください。12、都立病院における看護要員の離職率の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの都立病院における看護要員の離職率の推移を、既卒、新卒別に記載しております。
 二〇ページをお開き願います。13、都立病院における専門看護師及び認定看護師の人数及び分野の内訳でございます。
 (1)は専門看護師について、二一ページから二二ページにかけての(2)は認定看護師について、それぞれ分野ごとの人数を病院別に記載しております。
 二三ページをご覧ください。14、新型コロナウイルス専用医療施設の医師及び看護要員配置状況についてでございます。
 令和四年三月一日現在の医師及び看護要員の配置人数を記載しております。
 二四ページをお開き願います。15、都立病院及び公社病院における看護要員の夜勤回数の分布でございます。
 (1)は三交代制勤務職場、二五ページの(2)は二交代制勤務職場の看護要員の夜勤回数について、それぞれ令和三年十月の実績を病院別に記載しております。
 二六ページをお開き願います。16、小児総合医療センター児童・思春期精神科における入退院患者数の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの小児総合医療センター児童・思春期精神科における新入院患者数及び退院患者数の推移を記載しております。
 二七ページをご覧ください。17、小児総合医療センターにおけるデイケア年間登録者数の推移及びプログラム内容でございます。
 (1)は平成二十八年度から令和二年度までのデイケア年間登録者数の推移を記載しております。(2)は令和三年度のプログラム内容を記載しております。
 二八ページをお開き願います。18、小児総合医療センター児童・思春期精神科における入院患者への心理検査・面接等実施件数の推移でございます。
 心理アセスメント検査、心理面接及び心理相談について、それぞれ平成二十八年度から令和二年度までの実施件数の推移を記載しております。
 二九ページをご覧ください。19、小児総合医療センター児童・思春期精神科における入院患者の相談等実施件数の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの相談等実施件数の推移を記載しております。
 三〇ページをお開き願います。20、小児総合医療センター児童・思春期精神科における入院患者の接遇等に係る苦情件数の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの苦情件数の推移を記載しております。
 三一ページをご覧ください。21、小児総合医療センターにおける虐待対応に係る児童相談所等との連携状況でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの通告件数を記載しております。
 三二ページをお開き願います。22、都立病院における行動制限実施患者数の推移でございます。
 (1)は身体的拘束、(2)は隔離について、それぞれ平成二十八年度から令和二年度までの実施患者数の推移を病院別に記載しております。
 三三ページをご覧ください。23、都立病院における電気けいれん療法の実施件数の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの電気けいれん療法の実施件数の推移を病院別に記載しております。
 三四ページをお開き願います。24、都立病院における措置入院件数の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの措置入院件数の推移を病院別に記載しております。
 三五ページをご覧ください。25、都立・公社病院に対する医療法・精神保健福祉法に基づく指導等の状況でございます。
 平成三十年度から令和二年度までの医療法、精神保健福祉法に基づく指導件数を事由別に記載しております。
 三六ページをお開き願います。26、多摩総合医療センター及び松沢病院における精神保健指定医の資格失効に関する指導等の内容と対応でございます。
 (1)は都が両病院に対して行った指導等の内容、(2)は両病院における再発防止の対応について記載しております。
 三七ページをご覧ください。27、都立病院における精神保健指定医資格の失効の有無とその確認状況でございます。
 令和四年二月十五日現在における精神保健指定医資格の失効者数とその確認状況について記載しております。
 三八ページをお開き願います。28、松沢病院における患者・職員の新型コロナウイルスの感染状況でございます。
 令和四年三月十一日までに報道発表を行った松沢病院における新型コロナウイルスに感染した患者及び職員の数について、それぞれ月別に記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより予算案、付託議案、報告事項及び請願に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○やまだ委員 私からは、広尾病院の整備事業について伺いたいと思います。
 昨年十一月の事務事業質疑において、島しょ医療、災害医療、感染症医療及び外国人医療などで、実施方針公表前の整備事業の検討状況を確認させていただきました。
 こうした点でも、都の医療提供において極めて重要な役割を果たしている広尾病院の整備は、着実に進めていくことが重要だと考えています。実施方針に関連して、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 まず、今回公表されました実施方針の概要、位置づけなどについて確認したいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本事業の対象となる施設は、広尾病院、職員宿舎、患者家族宿泊施設及び広尾看護専門学校でありまして、広尾病院は、現在行っている診療を継続しつつ、既存の建物を解体しながら敷地内に段階的に整備を進めてまいります。
 整備はPFI手法で行うことを想定しており、事業者は、解体、設計、建設、維持管理、運営の各業務を一括して性能発注方式で契約します。
 PFI法では、特定事業の選定を行う前に、公平性及び透明性を確保する観点から、当該事業に関する情報を早くかつ広く周知することになっているため、今回、実施方針を公表しております。

○やまだ委員 広尾病院の整備は、診療を行いながら現地で建て替えのため、本当に極めて複雑な整備になることが想定されます。
 PFI事業を想定していますが、今回の整備において、このPFIのメリットがどのように生かされるのか、具体的に伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本事業では、現地建て替えのため、全ての工程をシームレスに管理し、計画的かつ円滑に工事を進める必要があります。
 従来方式では、解体、設計、建設の各業務を順次発注し、各業務の完了後に次の業務を発注します。また、建設工事は、建築、電気、機械等の区分ごとに契約手続が必要になります。このため、契約の件数が増えることから契約の不調が生じる確率も高くなり、事業が遅れるリスクが発生します。
 PFI方式による整備では、解体、設計、建設の各業務を一括発注するため、業務の同時進行が可能となることから工期の短縮も期待でき、契約不調によるリスクを避けることなどが期待できます。

○やまだ委員 整備において、解体、設計、建設、維持管理、運営業務を一括発注して、一体的に事業を進めるこの手法、メリットがあることはよく理解しました。都民の期待に応えるためにも、工期の短縮化を十分図っていただき、できるだけ早く開設していただくよう求めておきたいと思います。
 先ほどの答弁の中にもありましたが、PFI事業においては、従来の仕様発注とは異なる性能発注となるとのご答弁でした。
 このPFI事業における性能発注はどのようなもので、具体的にどのような効果が期待できるのか、改めて見解を伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 性能発注とは、従来のような詳細な仕様を定めるのではなく、都が求めるサービスの水準を示した要求水準を満たしていれば手法は問わない発注方式になります。
 この手法により、民間事業者が新たなアイデアに基づく提案を行うことが可能となるなど、民間の持つノウハウや創意工夫を発揮することで、効率的な業務運営が期待できます。
 例えば、設計時に物流や清掃、警備等の事業者による現場目線からの発想も、施設整備に反映が可能となります。具体的には、物流面では搬送の多い部門間に専用の搬送設備を設置すること、清掃面では床材にワックスなしでメンテナンス可能な素材を採用すること、警備面では警備員の巡回を補完するような監視カメラをあらかじめ設置することなどが想定されます。

○やまだ委員 性能発注によって、民間のノウハウや創意工夫で、工事や業務運営について一定の効果が期待できる具体的な事例を挙げていただきまして、理解をしたところですが、仕様を定めないということで、要求水準の内容をどのように確保していくかということが課題になるかと思います。特に、広尾病院整備事業は困難な事業であるため、事業者に都が求める要求水準の趣旨を十分に理解していただく必要があると思います。
 仕様を定めないで要求水準の内容をどのように事業者に理解をしてもらうのか、その見解について伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年十二月の実施方針公表後、実施方針や要求水準に関して事業者からの質問や意見を受け付け、三月末までにホームページに全ての質問と回答を掲載することとしており、都の求める要求水準等の内容について、広く事業者への浸透を図ってまいります。
 とりわけ広尾病院の整備事業は困難であるため、整備手法やスケジュールに関しまして設計や建設の事業者との個別意見交換会を実施し、都が求める要求水準を具体的に説明するとともに、整備等に関する意見の聴取を行いました。
 今後、必要に応じて、特定事業の選定までに実施方針の内容を見直してまいります。

○やまだ委員 事業者に、よりよい提案をしてもらうためにも、性能発注における要求水準の内容を、事業者が十分に理解を深めてもらう−−先ほどのご答弁の中にも、個別意見交換会などの実施もお話ありました。丁寧に事業者との理解を共有していくこと、引き続き対応を求めておきたいと思います。
 そして、昨年の事務事業の質疑でも確認をさせていただきましたが、島しょの方々から、より充実を求める声もあり、患者家族の宿泊施設について、今回の広尾病院の整備事業においてどのように充実を図っていくのか、見解を伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在の患者家族宿泊施設については五室で運用しておりまして、コロナの影響前の利用率は六五%程度でしたが、申込みが集中する時期には満室となる場合もございました。
 今回の整備事業におきましては、患者家族宿泊施設の建物を解体し、新たに建設するまでの期間においても、敷地内で現在と同数の部屋数と機能を維持します。
 整備後の部屋数につきましては、事業者の提案に基づき詳細な設計協議により決定することになりますが、職員宿舎と同じ建物に七室以上を整備するよう求めていきます。

○やまだ委員 ありがとうございます。
 これまで満室になる時期もあったということで、この間の部屋数五室から七室以上の整備を求めていくというご答弁をいただきました。患者家族宿泊施設については、部屋数を増やしてアメニティーの充実を図るなど、島しょの方々の期待に応えていただけるよう整備をお願いしたいと思います。
 広尾病院の整備については、都民の期待も大きいことから、スケジュールも前倒しをしていく、そのような強い気持ちで着実に進めていくことを、要望を改めてしておきたいと思います。
 そして最後に、島しょの救急搬送について一点伺いたいと思います。
 島しょの急患搬送については、自衛隊機、救難機のUH60J、この機器、救難機を利用して、救急搬送の一定の役割を果たしていると聞いています。一方で、自衛隊のこういった救難機の配備状況が、変更に伴って広尾病院への急患搬送に影響が出る可能性も想定できると考えています。
 そこで、今後広尾病院を整備するに当たりまして、こうした影響にも十分対応ができるよう、ヘリポートの整備も重要だと考えておりますが、見解を伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院の屋上ヘリポートにつきましては、運航の安全性や近隣に与える騒音等の影響に配慮し、東京消防庁の大型、中型ヘリコプターの離着陸が可能な面積及び耐荷重を確保することとしています。
 今後、屋上ヘリポートの運用等に関しましては、総務局や福祉保健局など関係部局と十分に調整を図りながら、迅速な救急搬送受入れ体制の確保に努めてまいります。

○やまだ委員 広尾病院の整備に当たっては、重点医療の一つである島しょ医療について、自衛隊や消防庁等の状況も考慮しながら、より一層、充実に向けて取り組むこと。
 あわせて、赤坂プレスセンターのヘリポートも島しょ救急搬送には利用されています。こちらについても、広尾病院と同じように、自衛隊機の対応も含め周辺住民の方々の理解を十分に求めるなど、島しょ医療の充実に向けた取組を関係機関である福祉保健局と搬送体制についても協議をしながら、整備を進めていただきたいと思います。
 この点について強く要望いたしまして、私からの質疑を終わりたいと思います。

○桐山委員 それでは、私からは、まず都立病院の独法化について質問させていただきたいと思います。
 都立病院の独法化につきましては、これまで様々な議員より、課題に対して質疑もされ、本委員会をはじめ様々な場で議論をされてきたかと思います。
 我が会派からも、高齢化の進展などによります医療環境の変化に対して、柔軟、迅速に対応できる病院運営を行うために独法化をする必要があること、また、独法化した後も、一般の医療機関で対応が困難な行政的医療は引き続き都立病院が担っていくことなど、確認をさせていただいたところです。また、独法化に対し、不安の声や反対のご意見なども出される中で、丁寧な対応をするよう求めてまいりましたし、要望もしてまいりました。
 本定例会では、本年七月の法人設立に向けて、中期目標等の議案が出されております。これに関連して、質疑の中で幾つか確認をさせていただきます。
 まず、行政的医療の提供と財源措置について伺います。
 行政的医療は不採算であるため、その役割を担い続けるためには、都から財源措置が不可欠であるということです。
 独法化後も、行政的医療に関わる財源措置につきましては、現在と変わらないことはこれまでも確認をしてまいりましたが、今回の中期計画案には、収支計画として四年九か月の運営費負担金の金額も示されております。また、令和四年度予算にも、独法化後の運営費負担金が計上もされております。
 そこで、今回の中期計画案におけます運営費負担金の考え方についてお伺いをしておきます。

○船尾計画調整担当部長 中期計画案における収支計画は、行政的医療をはじめとした医療を着実に提供していくための計画となっておりまして、現在の都立病院と公社病院の医療提供実績をベースに、各病院の医療機能強化による人員増や患者増などを加えて積算し、作成をしております。
 その行政的医療の提供に必要な経費につきましては、独法化後も、都が運営費負担金として負担することが法定されており、都が確実に措置をしてまいります。
 このため、中期計画案におきましては、行政的医療等に必要な経費として、現在の都立病院に係る一般会計からの繰入金と公社病院に係る運営費補助金との合計額と同規模の金額を計上しているところでございます。

○桐山委員 中期計画案では、現在と同規模の運営費負担金を計上しているんだと、ただいま答弁がありました。
 毎年度、運営費負担金につきましては、都の予算審議の中で、議会としてしっかりチェックしていくこととなるかと思います。必要な財源はしっかり措置していただき、また、行政的医療を確実に提供できるよう、議会としてもチェック機能を果たせるよう取り組んでまいりたいと思います。
 次に、法人の組織体制について伺っていきます。
 法人の特徴といたしましては、自律性、機動性の高い病院運営を行って、また、現場の医療ニーズに迅速に対応することが挙げられます。そのためには、理事長や院長がリーダーシップを発揮し、彼らを支える法人の組織体制が整備をされていることも重要だと考えております。
 これまで我が会派は、法人のトップである理事長の重要性も訴えてきたところでありますが、理事長や院長がリーダーシップを発揮して、また効率的な病院運営を行うことができるよう、サポートをする組織体制についても確認をしておく必要があるかと思います。
 そこで、改めてお伺いをさせていただきますが、独法化後の法人組織が、理事長や院長のリーダーシップの下で効率的、効果的な業務執行を行う必要がありますが、都の見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 医療環境の変化に対応し、行政的医療を安定的、継続的に提供していくためには、理事長や院長がリーダーシップを存分に発揮し、医療課題や医療ニーズ等に機動的に対応することが重要でございます。
 このため、理事長や院長が、人員配置や医療機器の整備など必要な対応を強いリーダーシップを発揮しながらタイムリーかつ効果的に行えるよう、トップを支える組織体制の構築が必要であると認識をしてございます。

○桐山委員 ただいまのご答弁の中では、トップを支える組織体制の構築が必要だということのご答弁でしたが、理事長や院長のリーダーシップを支える組織体制とはどのようなものなのか伺っておきます。

○船尾計画調整担当部長 新たな都立病院では、理事長のトップマネジメントを支え、医療ニーズや患者ニーズ等の分析や対応力等を強化し、トップの迅速な判断を支援する部署を設置することを検討しております。
 一方、各病院の給与や旅費などの定型的な業務を集約し、ICTを活用しながら効率的に処理する部署を設置することで、マンパワーのシフトを図っていくこととしております。
 こうした組織体制によりまして、必要な情報やデータを迅速に集約、解析して、トップの判断に役立て、医療環境の変化に迅速に対応してまいります。

○桐山委員 効率的、効果的な業務執行を行う組織体制の重要性、そして組織体制の検討状況についても、ただいまのご答弁で理解をさせていただきました。
 法人の組織体制は、地方独立行政法人制度のメリットである機動的、これまでも申し上げてきておりますが、課題の対応、そして密接に関わりますので、引き続き着実に検討を進めるよう要望しておきたいと思います。
 次に、人事給与制度についても伺っておきます。
 現場の職員が働きがいを持って患者サービスの向上に取り組むためには、多様な視点で練られた人事給与制度の構築が不可欠だと思います。よい制度をつくるためには、実際に現場で働く職員の意見を踏まえて制度を構築していくことが何よりも大切です。この点に関しましては、過去の答弁において、職員の意見を聞きながら制度を検討していくとの答弁もいただいたところです。
 そこで、法人の人事給与制度について、これまでどのように制度構築を進めてきたのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 法人の人事給与制度の構築に当たりまして、令和二年六月に、職員に対して人事給与制度の理念案を示した上で、職員や職種代表者に対する聞き取り調査を行ってまいりました。
 この調査の結果を踏まえまして、欠員等に応じた迅速な採用の実施や夜勤回数に応じた手当等の制度の設計を行い、同年八月に、人事給与制度案を職員に説明するとともに、職員から意見を受け付けて修正を図ってまいりました。
 これまでに職員から寄せられた質問や意見は九百件を超え、適宜、制度の修正を加えるとともに、相談会の場なども活用して、質問に対して丁寧に説明を行ってまいりました。さらに、先週からは夜間の個別相談を開始しており、より多くの職員の声を聞く機会につながるものと考えております。
 引き続き、職員の意見を聞きながら、より一層の働きがいにつながる制度構築に努めてまいります。

○桐山委員 ただいまのご答弁でも、約二年間にわたりまして職員の声に耳を傾けていただき、また、丁寧に人事給与制度の構築を進めてきていただいていることも理解させていただいたところです。また、先週から夜間の個別相談なども開始され、より多くの職員の声を聞く機会ということで、大変期待するところです。
 今後も、しっかりと職員の声を聞いていただいて、職員が有する能力を最大限発揮できる人事給与制度を構築していっていただきたいと思います。
 本年七月に独法化が行われた後には、独法化のメリットであります人事や予算の弾力的な運用、また、十四病院一施設というスケールメリットを生かした費用の節減が期待をされます。このことは、中期目標においても都から法人に示され、また明記もされております。
 中期計画案でうたわれております効率的、効果的な法人運営体制の構築に向けて、独法化を契機として行われる取組について、こうした質疑の場でも明らかになりました。また、都民の独法化に対する理解が深まることは大変有意義であると考えます。
 そこで、この中期計画案の達成に向けまして、調達、購入においては、どのように費用の節減に取り組んでいかれるのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 行政的医療の提供などの法人の役割を将来にわたり果たし続けていくためには、安定的な経営基盤の構築が重要であり、独法化のメリットを生かした費用節減に取り組んでいく必要がございます。
 例えば、調達、購入におきましては、都立病院、公社病院がそれぞれで実施している医薬品の共同購入を一体化することができるため、大量購入することにより、価格をより安く抑えていくことができます。
 また、これまで地方自治法等の制約により実施できなかった入札後に価格交渉を行う交渉権入札、これを導入するとともに、長期継続契約の対象範囲を物品の買入れ等に拡大するなどによりまして、費用節減に取り組んでまいります。

○桐山委員 従来の制約等を乗り越えて、様々な取組を行っていく、独法化による経営基盤の安定化が図れることは大変重要です。ぜひ、引き続きこの取組を進めていっていただきたいと思います。
 ここまでは、法人の組織体制、また人事給与制度など、さらに、そうした基盤の上に行われる効率的、効果的な取組について、質疑もさせていただきました。
 法人が医療を提供する主体である以上、独法化によって行政的医療をさらに充実した医療機能の強化を図っていくこと、都の医療政策に貢献をしていくことが最も重要だと考えております。そこで、独法化によって強化される医療機能について幾つか伺ってまいりたいと思います。
 まず、分娩リスクの高い三十五歳以上の母親による出産件数の割合ということで、全国より都内の方が高い。また、ハイリスク妊婦に対しても対応していくことは大変重要であると考えております。
 医療面だけでなく、経済的な問題や、また家族の支援を受けられないなど、様々な理由があると思いますが、社会的な支援を必要とする妊婦に対応していく必要がこれからもあります。
 そこで、独法化後に、多様なリスクを抱えた妊産婦に対応して、安心して子供を産み育てられる環境をつくるために、周産期医療の一層の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 周産期医療を着実に提供し、出産に伴う多様なリスクに対応していくことは、都立病院の重要な役割でございます。
 このため、独法化のメリットを生かし、仕事と育児や介護と両立可能な働きやすい勤務制度等を構築して、ハイリスク妊産婦に対応した専門人材を確保し、周産期医療の提供体制を強化してまいります。
 具体的には、大塚病院におきまして看護師等を増員するとともに、M-FICU、いわゆる母体胎児集中治療室でございますが、こちらを増床し、ハイリスク妊産婦の受入れ体制を一層強化していくこととしております。
 また、ソーシャルワーカー等を増員して、地域の産婦人科や自治体等との連携を一層強化し、社会的なリスクを抱える妊産婦に対し、入院から産後まで、きめ細やかな相談支援を提供していくこととしております。

○桐山委員 ハイリスク妊産婦に対応した専門人材をしっかり確保していただいて、また周産期医療の提供体制を強化する。民間医療機関だけではなかなか受入れが難しいハイリスク妊産婦に、着実に対応していただくということ、これはこれまでも都立病院の大きな役割だったと思いますし、独法化後も継続した対応をしていただきたいと要望もさせていただきたいと思います。
 次に、難病患者に対する取組についても伺っておきたいと思います。
 高齢化の進展に伴いまして、誰もが住み慣れた地域で安心して療養生活を送るための環境整備が求められているところです。
 こうした中でも、ALSなどの難病患者は、適切な管理が継続できれば日常生活や就労生活も可能な場合がある一方で、患者によっては症状が様々であることから、地域における難病医療の対応力を充実させる必要性も高まっております。
 そこで、独法化後、地域全体で神経難病に関する知識や技術をより一層高めていくことが必要であると考えますが、見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 難病患者の安定した療養生活を支えていくため、地域における難病医療の充実に都立病院が貢献していくことは重要でございます。
 このため、独法化のメリットを生かし、民間医療機関等との柔軟な人材交流が可能となる人事制度を構築して、地域の難病医療の技術力向上に貢献してまいります。
 例えば、都における神経難病医療の拠点である神経病院におきまして、看護師を増員し、地域の医療機関や訪問看護ステーションに一定期間派遣し、同行訪問するなどにより、難病患者に多く見られる摂食・嚥下障害や呼吸障害などに関する技術支援を行うこととしております。

○桐山委員 難病患者に対する取組を、ただいま確認もさせていただきました。独法化によって、さらにきめ細かい取組を着実に行っていただきたいと思います。
 本日は、独法化におけます法人組織や制度、それから土台の上に行われる独法化のメリット、それらを生かした取組についても質疑をさせていただきました。
 中期計画にうたわれた目標に向けて、各病院の職員一人一人、そして患者中心の医療に向き合っていただき、また、先ほどの質疑でも取り上げましたハイリスク妊産婦、こういった社会的に必要とされる方々、難病患者だけでなくて、都民の誰もが安心して質の高い医療を受けられますよう、そして、また独法化のメリットが享受されるかと思いますので、これからも都民に還元できるような医療機能強化、それらをしっかりと着実に進めていただくことを期待いたしまして、独法化に対しての質問を終わらせていただきたいと思います。
 次に、広尾病院の整備事業について質疑を進めていきたいと思います。
 これまで私からは、広尾病院の整備基本計画案の際に質疑をさせていただきまして、大都市における災害医療のリーディングホスピタルとしての体制を整備し、都心部唯一の基幹災害拠点病院としての災害医療の機能を強化していくとのことで、災害時の強化についても質疑をさせていただいたところです。
 このたび、広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業実施方針が策定されました。
 まず、今回の広尾病院整備事業におけます医療機能強化について、基本的な考え方を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年に策定しました広尾病院の整備基本計画では、基幹災害拠点病院として、災害時には平時の二倍の八百床を確保し、外来待合や講堂などに酸素配管を整備するとともに、広尾看護専門学校の施設も活用することとしています。
 災害ともいえる新型コロナウイルス感染症の対応を受けまして、今回公表した実施方針には、新たに全ての病棟、病室に加え、日帰り初療室を陰圧化するとともに、感染患者の動線分離や専用エレベーター整備によるゾーニング化を図り、さらに、会議室や廊下等にも酸素配管を整備します。
 こうした感染症対応力の強化の取組により、基幹災害拠点病院としての機能をより一層向上させ、都民の期待に応えてまいります。

○桐山委員 この間、コロナ対応などを受けまして整備をされ、当初の基本計画の内容をさらに向上させた、将来の広尾病院の医療機能の強化となっていることについて、ただいまご答弁をいただきました。
 都は、本事業をPFI方式により実施することと想定をされておりますが、整備スケジュールによりますと、診療を行いながら、いわゆる玉突き方式といわれるように、順次整備を行うこととなっております。
 病院のグランドオープンが令和十三年五月、看護専門学校が令和十五年四月と十年近く、長期間の間、この敷地内で工事を行うこととなっております。完成までの間、適切に病院運営を継続することも重要です。
 PFIを導入するメリットについて、どのように認識をされているのか、見解を伺っておきます。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在想定しているPFI事業におきましては、既存の広尾病院等の維持管理業務をPFI事業の対象とすることを想定しています。
 PFI事業に参加する二十社以上の協力企業を統括管理するSPCは、各企業をフル活用することで、整備期間中の病院運営がこれまでと同様に継続できるよう、各企業を調整し、効率的、効果的、安定的にサービスを提供します。
 具体的には、整備期間中の患者や病院職員の安全確保につきまして、患者にとってスムーズな動線の確保や、案内板の設置、適切な警備員の配置等、安全確保を図るために、SPCが各企業の業務を取りまとめ、都と協働して取り組んでまいります。

○桐山委員 この十年近く、長期にわたるPFI事業におきまして、単なる委託業務統括機能だけでなくて、質の高いサービスを維持するために、SPC、特別目的会社といわれているものですが、その統括の管理機能を十分に活用することを要望しておきたいと思います。
 次に、実施方針では、業務範囲が、これまでPFIを導入している四病院と比較しても、縮小されている業務もあれば、また新たに対象としている業務もあると思いますが、その理由についての見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでPFIを導入している病院と比較しますと、施設整備や、施設整備と関連が深い維持管理、運営業務につきましては、PFI事業の対象としております。
 一方で、診療報酬上の上位の施設基準を取得でき、かつ専門性の高い人材を育成するなどの観点から有効な検査業務や、医療技術の進歩等に応じて病院の収益に大きな影響を与えるために、病院が自ら対応した方が望ましい医薬品等の調達業務などは、PFIの対象外としております。
 また、広尾病院の整備事業は解体、建設を繰り返すことから、PFI事業の業務範囲に解体業務を含めるとともに、頻繁に発生する資器材や備品等の移転業務を新たに追加しております。

○桐山委員 これまでの病院と比較をする中では、今回は、広尾病院の整備事業は解体、建設を繰り返すということで、業務範囲に解体業務を含める、そして、頻繁に発生する資器材や備品等の移転業務を新たに追加されたということでした。
 PFIの導入メリットをしっかりと生かした中で、円滑な業務運営が図れるよう要望しておきたいと思います。
 続いて、多摩メディカルキャンパスの整備事業について伺っておきたいと思います。
 都は先月、多摩メディカルキャンパスの整備等を進めるPFI事業者を決定しました。今回のPFI事業の落札に関する資料を見ますと、総合評価一般競争入札により、性能評価点と価格点の合計点で事業者を決定したとのことでした。
 都の意向を十分に浸透させ、入札における客観性を確保しながら、どのように事業者を決定したのか、見解を伺っておきます。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の意向を十分に踏まえた提案を事業者が行えるよう、要求水準書を含む入札説明書等につきまして、書面による質問の機会の確保や、病院見学会、対面での対話の実施を通じて、事業者と十分な意思疎通を図ってまいりました。
 また、事業者の決定に当たっては、PFI分野、建築分野、危機管理分野等、様々な専門性を有する六名の外部有識者を含む審査委員会におきまして、まず、事業者の提案を評価する項目や基準、配点割合等を盛り込んだ落札者決定基準を策定しました。
 事業者の提案書を審査する際には、事業者へのヒアリングや審査委員同士の議論等を通じて、落札者決定基準にのっとり、客観的に性能評価点を決定しました。最終的に、事業者が提案した価格を基に、点数化した価格点と性能評価点を合計した総合評価点により、事業者を決定しました。

○桐山委員 価格競争方式のように価格だけということではなくて、技術力のある事業者を高く評価することを目的とした総合評価一般競争入札ということで、様々な取組によりまして本PFI事業の落札者が決定したことを確認させていただいたところです。
 今後、いよいよ整備事業が本格化していくことになりますが、PFI事業の実施に当たりましては、公的財政負担の縮減、そして公共サービスの水準の向上が重要だと考えております。
 公的財政負担の縮減、VFM、バリュー・フォー・マネーですけれども、ワイズスペンディングの観点から、落札の結果として、このVFMがどうなったか、今後しっかりと公表していただくよう求めておきたいと思います。
 また、あわせて、公共サービスの水準の向上に関しては、モニタリングによるチェック機能を十分に働かせ、また、事業者の創意工夫を十分に発揮してもらうことで、患者や施設を利用する全ての方に、よりよいサービスを提供していただくよう要望しておきます。
 最後に、他の都立、公社病院の施設更新についてお伺いをしておきたいと思います。
 七月には、都立、公社病院は独法化をされますが、医療を安定的に提供するためには、現在更新を進めている病院以外の施設更新を適切に進めていく必要があるかと思います。
 今後、都立、公社病院の施設更新についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院の施設設備は都民の重要な財産であり、将来にわたり都民に安心・安全な医療を提供できるよう、計画的に更新していくことが重要です。
 一般的に、病院施設につきましては、施設の躯体はおおむね四十年、配管等の設備はおおむね二十年を目安に、改築、修繕を行っております。
 この考え方を基に、現在、大塚病院では大規模改修工事を行っており、また、多摩北部医療センターは改築に向けた基本構想の検討を進めております。
 さらに、財務局が平成二十七年に策定した第二次主要施設十か年維持更新計画においては、東部地域病院の維持更新を検討することとなっております。
 その他の病院につきましても、各病院の施設設備の状況や医療課題等も踏まえ、施設の長寿命化を含めた施設更新を進めてまいります。

○桐山委員 施設の更新につきましては、それぞれの建物の躯体耐用年数や配管等の設備の更新等、病院の設立時期から、更新時期が同時に来る病院もあるかと思います。今後、計画的に進めていく必要があります。
 都立、公社病院が独立法人化しても、設備の更新や建物に関わる費用については、引き続き東京都が負担していくべきものとなっているかと思いますので、病院機能を維持していくためにも、独立行政法人後のさらなるメリットを生かして、着実に施設更新を進めることを要望し、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○伊藤委員 私からは、都立病院機構第一期中期計画案について質問させていただきます。
 都立病院機構の役割は、都の医療政策として求められる行政的医療の安定的、継続的な提供、高度専門的医療の提供及び地域医療の充実へ向けた取組の推進などによって、都民の健康と命を守り、安心して暮らせる東京の実現に貢献していくことであります。
 このため、中期目標として知事から示された目標を達成するため、法人は、議会の議決を経て知事が認可した中期計画に従って業務を実施することとなるわけであります。
 これを踏まえて、昨年の第四回定例会の厚生委員会で中期目標が報告をされた際、私は、中期目標の達成に向けて、中期計画の中で、様々な医療課題について具体的に前に進めるよう検討すべきと求めました。例えば、がん医療においては、医療の高度化に合わせて、高度専門的ながん医療をさらに充実していくことを求めました。
 本委員会では第一期中期計画が報告されておりますので、そのときに求めたことについて、一つ一つ確認をしていきたいと思います。
 まず、がん医療についてでありますけれども、昨年の第四回定例会厚生委員会の議論を踏まえて、中期計画案には、がんの遺伝子情報に基づいた最適ながんゲノム医療を提供することが盛り込まれておりますけれども、独法化後は、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 高齢化の進展に伴い、がん患者が増加しておりまして、患者ごとに最適な治療薬や治療法を探るがんゲノム医療の患者ニーズが高まっております。
 このため、独法化のメリットを生かし、柔軟な人事給与制度を構築して専門人材を確保し、がんゲノム医療の強化に取り組んでまいります。
 具体的には、駒込病院におきまして、医師を増員するほか、遺伝子解析などを行うバイオインフォマティシャンを新たな職として設定して専門人材を確保し、がんゲノム医療提供体制を充実して、がんと向き合う患者さんに最適ながんゲノム医療を提供していくこととしております。

○伊藤委員 今いただいた答弁の中に、バイオインフォマティシャンという、あまり聞き慣れない言葉が出てまいりましたけど、どんなものかちょっと私なりにも調べてまいりましたけれども、生命情報学を基に遺伝子検索や配列解析、分析などを行って、がんと向き合う患者に最適ながんゲノム医療を提供するために重要な役割を果たす専門人材のことであるそうでございます。後ほど申し上げますけれども、機構になることで、こうした人材確保ができやすくなるということは、大変に喜ばしいことではないかというふうに思います。
 また、私は、中期目標の素案では、がん医療についてはAYA世代のがん患者への対応も重要であることから、ライフステージに合わせた支援が必要であることも主張いたしました。
 このたびの中期計画案には、AYA世代のがん患者に適切な医療と必要な療養環境を提供するとともに、患者のライフステージに応じた相談支援を着実に実施するということが盛り込まれておりますけれども、独法化後、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 AYA世代のがん患者は、就学や就労、結婚など、様々なライフイベントと治療とが重なることから、個々の患者の状況に応じた支援が重要でございます。
 このため、独法化後は、ニーズに応じて柔軟、機動的に医療人材を確保して、AYA世代のがん患者に対する支援の充実に取り組んでまいります。
 具体的には、小児総合医療センターにおきまして、専門医やソーシャルワーカー等を増員し、多摩総合医療センターとの連携を一層強化しながら、AYA世代のがん患者の医療を充実することはもちろんのこと、学習支援、就労支援など、患者が抱える不安や悩みに対応した多様な相談支援を実施していくこととしております。

○伊藤委員 ここまで、がん医療について質問してまいりましたけれども、独法化することで、これまで採用ができなかった、先ほどのような新たな職種を確保するなど、ニーズに応じた機動的な人材確保によって、医療や相談支援を充実していくということであります。独法化のメリットを最大限に生かして、機能強化に取り組んでいただきたいと思います。
 また、中期計画案の中のがん医療のところには、初期から終末期まで全体にわたってサポートし、患者や家族に寄り添うがん医療を提供するという大事なことが書き込まれておりました。
 私は、昨年の第一回定例本会議一般質問で、小児がんの子供への治療がなくなると、その子供は家庭のほかに居場所がなくなってしまうことから、子供ホスピスの創設を求めました。近い将来には、都立病院機構と関係機関が連携して、こうした子供たちへも対応できるよう取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 関連して、次に、小児医療について伺いたいと思います。
 小児医療においては、小児から成人期への移行期医療の提供について求めてまいりました。
 中期計画案には、患者の成長に合わせた移行期医療を提供すること等が盛り込まれておりますけれども、独法化後は、どのように取り組むのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 医療技術の発達により、小児期に発症した疾患を抱えたまま成人期を迎える患者が増加しており、患者の成長に合わせながら適切な医療が受けられるよう、小児医療から成人期の医療へ円滑な移行を支援することが求められております。
 このため、独法化後は、心と体の成長に合わせて患者の自立をサポートする専門人材を確保して、移行期医療の強化に取り組んでまいります。
 具体的には、小児総合医療センターにおきまして、看護師を増員し、不安なく成人期の医療に移行できるよう、個々の患者の病気や状況に合わせて治療の決定等をサポートするとともに、多様な相談支援等を実施し、シームレスな移行を支援していくこととしております。

○伊藤委員 私は、以前、小児慢性特定疾病があって在宅療養している家族から、子供が二十歳を超えて成人医療への切替えをいわれているけれども、治療や薬のことなどで、慣れている小児科の先生でないことがとっても心配であるというお話を伺いました。都立病院機構では、ぜひとも継ぎ目のない移行期医療を丁寧に進めて、安心を与えていただきたいと思います。
 また、中期目標の質疑では、小児医療においての医療的ケアを必要とする子供の増加に対して、円滑に在宅療養できる体制の構築について検討していくことを求めました。
 中期計画案には、地域における医療的ケア児の在宅療養への円滑な移行を支援することが盛り込まれておりますけれども、独法化後は、どのように取り組むのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 在宅での医療的ケアを必要とする子供が増加しており、地域で専門的なケアを受けられる体制整備が求められております。
 このため、独法化後は、そのメリットを生かし、民間医療機関等との柔軟な人材交流が可能となる人事制度を構築して、医療的ケア児の安定した療養生活の支援に取り組んでまいります。
 具体的には、小児総合医療センターにおきまして、地域の訪問看護ステーション等に看護師等の専門人材を一定期間派遣し、同行訪問や研修などにより、地域におけるケア技術の向上を支援していくこととしております。

○伊藤委員 高度専門的な医療の提供だけでなくて、移行期医療など新たな医療課題に先導的に取り組むことも法人の重要な役割の一つであります。その時代時代のニーズを的確に把握して、率先して取り組んでいっていただきたいと思います。
 小児の患者だけでなく、様々な患者が退院後も安心して地域で生活を続けていけるよう、それぞれの地域の実情に合った医療、介護、生活支援等が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けた取組も重要であります。
 今後、地域包括ケアシステムの構築を支援するため、現在の患者支援センターを患者・地域サポートセンターとして再構築していくということでありますけれども、独法化後は、このセンターの機能の向上を図れるよう検討することを求めてまいりました。
 中期計画案には、患者・地域サポートセンターの機能の充実が盛り込まれておりますけれども、独法化後は、どのように取り組むのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 地域包括ケアシステムの構築に向けまして、住み慣れた地域で安心して療養生活が継続できる環境整備に都立病院が貢献していくことは重要であり、新たな都立病院では、地域医療の充実への貢献が大きな柱の一つであることから、その核となる患者・地域サポートセンターの充実強化に取り組んでまいります。
 例えば、墨東病院におきまして、地域の診療所等に看護師等の専門人材を一定期間派遣して、在宅療養に必要なケア技術の向上を支援することとしております。
 また、治療やケアに必要な情報をリアルタイムに共有できる医療、介護用SNSを活用し、地域の医療機関等との間で診療情報の共有を推進して、円滑な在宅移行や安定した療養生活を支援していくこととしております。

○伊藤委員 私は都議会議員にさせていただいて、都民からの相談で最も多い相談の一つが、病院に入院してしばらくすると、病院側から患者や家族に、次に移る病院を探しておいてくださいといわれて困っている方の相談であります。
 こうしたことから、都議会公明党は、都立、公社病院をはじめ全ての入院医療機関にメディカルソーシャルワーカーを配置し、患者、家族が惑わないよう支援をすべきだと訴え、それが進められてまいりました。
 今、答弁にもありましたけれども、このたびは、都立病院がSNS、ICTを活用して、地域医療のネットワークを通じた診療情報の共有を推進して、地域の医療機関との連携を強化することで、スムーズな転退院や患者が住み慣れた地域で安心して適切な医療を受けられる環境整備に貢献していくということに大変期待をしたいと思います。
 日々の病院運営において、地域の医療機関等と都立病院が連携を深めていくとともに、安心して地域での療養生活が送れるよう都立病院が支援していくことは重要であり、そうした取組の積み重ねが、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組につながっていくものと考えます。地域包括ケアシステムの構築に向けて、それぞれの地域におけるニーズに的確に対応しながら取り組んでいっていただきたいと思います。
 こうした取組状況等をチェックしたり、地域等のニーズを吸い上げる仕組みについても、昨年の厚生委員会において質疑を行った際、法人独自の取組として、外部有識者から成る会議体を設置して、様々な関係者からの意見を聞きながら改善を図っていくことを検討しているという答弁がありました。これに対して、どのような関係者から意見を聞くのかも重要なことなので、その構成もしっかりと検討しておいてほしいということを求めたところでございます。
 中期計画案には、有識者会議を設置し、外部からの助言、提言等を得ながら法人運営を行うことが盛り込まれておりますけれども、有識者会議の構成と進め方について、検討状況を伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 医療の質や患者サービスを向上させ、効率的、効果的な病院運営を実現するためには、外部からの助言、提言等を得ることは重要でございます。
 新たな都立病院では、外部有識者として、医師会、歯科医師会、薬剤師会などの代表に加え、患者団体の代表や区市町村などの代表等で構成される有識者会議を設置することを検討しております。
 こうした多様な委員からの助言、提言等を得て、行政的医療等の提供に関する課題や地域医療ニーズ等をきめ細かく把握して、法人運営に反映させていくこととしております。

○伊藤委員 我々議員も、また議会もチェックをしていかなければなりませんけれども、こうした外部の方々による有識者会議を設置して、チェックや助言、提言等を得ながら法人全体の運営を行うということでございました。
 有識者会議によって多様な意見を酌み取り、地域の医療機関等との連携を強化することで、地域包括ケアシステムの構築にも寄与していただくことを期待したいと思います。
 また、各病院に設置される運営協議会等も大事な会議体となるわけでございます。地域の医療機関や医師会等の関係者の意見に耳を傾けながら、適切な役割分担の下で、しっかりと地域ニーズを捉えた病院運営を行っていくことも期待をして、質問を終わりたいと思います。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 報告事項の広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業実施方針についてお聞きします。
 都立病院では、既に多摩総合医療センター、小児総合医療センター、駒込病院、松沢病院の四病院でPFI事業が実施されています。そして、新たに神経病院を建て替えるに当たって、PFIを導入しようという事業の入札が行われ、先日、落札者が決まりました。
 今回の報告事項は、それに加えて、広尾病院と広尾看護専門学校にもPFIを導入しようというものです。私たちは、これまでに実施してきたPFI事業の検証を行うよう求めてきましたが、VFMの実績が示されていないことをはじめ、必要な検証が行われているとはいえない状況の中で、今回のPFIの実施方針が示されました。都民の税金の使い方として、こうしたやり方で納得が得られるのかは甚だ疑問です。
 東京都は、これまでに行ったPFIは基本的にうまくいっているという立場で説明をしてきましたが、今回示された方針には、現在四つの病院で行っているPFIとは異なる点もあります。
 そこでお聞きします。広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業実施方針で、病院給食が事業者が行う業務に含まれていないのはなぜですか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 実施方針の策定に当たりまして、病院現場の職員と数多く意見交換等を行うなど、病院の実情も踏まえて業務の範囲を検討してきました。
 病院給食は、入院患者の年齢や病状、宗教上の理由による食事制限など、入院患者の状況に応じて業務量等に変動が大きく見込まれることから、今回、対象外としております。

○藤田委員 今の理由は、特段、広尾病院に限った話ではありません。業務量に大きな変動があるというのは初めから分かっていることで、これまで行ってきたPFIで業務の範囲に含めて、今回は含めない理由として、今のお話は説得力はありません。これまでのPFI事業で給食を行ってきたことは、うまくいっているように説明してきましたが、やはり実際はそうではなかったということなのではないでしょうか。
 一方で、病院現場の職員と数多く意見交換等を行ったというのは重要です。病院現場の実情を踏まえるのであれば、給食業務をPFIの業務範囲に含めない方がよいということになったのだと思います。
 私は、二〇二〇年の第一回定例会で、当時、小児総合医療センターで食事の提供についてインシデントが多発しているという状況を取り上げました。インシデントはある程度起こり得るものではありますが、それをきちんと報告して改善される、再発を防ぐ必要があります。
 ところが、PFIを導入して食事の提供をSPCの協力企業に委託をしている小児総合医療センターでは、インシデントがなかなか改善されないという状況が繰り返されていました。我が党が情報開示請求で入手した資料によると、病院の定期モニタリング委員会でも、食事の提供について、インシデントは相変わらず続いている状況と問題になっていました。
 また、同じく定期モニタリング委員会で、他院−−ほかの都立病院ということですが、他院では都としての委託なので、栄養科が直接委託業者を指導し申入れをして対応してもらえることがあるが、当院はPFIなので、SPCからレベルダウンではないかという点について、協力企業を厳しく指導してもらいたいという発言もありました。
 今回、広尾病院では給食をPFI事業の範囲に含めていませんが、だからよいということにはなりません。PFI事業そのものの是非を含めた検証が必要だと思います。
 次の質問です。広尾病院及び広尾看護専門学校整備等事業実施方針で、病院での洗濯が事業者が行う業務に含まれていないのはなぜですか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 実施方針の策定に当たりましては、病院現場の職員と数多く意見交換等を行うなど、病院の実情も踏まえて業務の範囲を検討してきました。
 洗濯業務につきましては、新型コロナなど医療環境の変化により、業務量等に変動が大きく見込まれることから、対象外としております。

○藤田委員 これも、単に変動が大きく見込まれるというだけでは分かりやすい説明にはなっていませんが、やはり病院現場の職員と数多く意見交換などを行ったとのことです。
 意見交換の内容は貴重な情報ですから、今後、どのような意見交換があったのか、洗濯についてこれまで何か問題があったのかなど、詳細に説明することを求めておきます。
 東京都は二〇一九年に、都立病院で行ってきたPFI事業をばら色に描いた報告書を出しましたが、その中でさえ、新たな業務内容の追加等に対し、協力企業間の業務調整が困難となる場合があると書かれていました。
 病院運営の前提となる医療環境は非常に変化が早く、さらに、新型コロナのような新興感染症のパンデミックなど、災害なども起きることもあって、先々を想定することが非常に困難です。あまりに長期の十年以上にわたる契約を一括で結ぶPFIは、病院事業にはとりわけなじまないのだと思います。
 病院の場合、もともと医師や看護師などが行う業務はPFI事業の対象にできないのですが、今回示された方針では、それだけでなく今回質問した給食や病院の洗濯もそうですし、さらに、検体検査、医薬品や医療機器の調達、経営支援など、多くの業務を対象外とせざるを得なくなっています。
 東京都は、包括して委託することでPFIのメリットが生まれると繰り返し説明をしますが、むしろ包括しない方がよいという判断が次々されているということです。
 今回、病院現場の職員と数多く意見交換などを行い、病院の実情を踏まえて検討した結果、多くの業務を対象外とせざるを得なかったということに至りました。これはつまり、いかにPFIが病院事業に合わないかということの表れだと思います。
 ほかの分野ならPFIを導入してよいということではありませんが、都立病院については、PFIの業務範囲の縮小にとどまらず、実施自体を取りやめるよう強く求めるものです。
 次に、今回示された方針では、病床数を四百七床まで減らすとしています。これは、コロナの前に決めた縮小の方針をそのまま具体化したものです。
 しかし、コロナ対応の教訓を踏まえて、広尾病院の病床数を減らす計画は見直すべきではありませんか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院の病床数は、現在の四百二十六床から四百七床とする計画でございます。これは、一般病棟の三十床をHCU十二床に改修するためでございます。
 コロナ対応に当たりましては、現在の広尾病院ではHCUを有していないため、重症患者等を一般病床でも工夫して対応しており、今後、HCUを整備することで、適切な医療提供が可能となります。

○藤田委員 あたかもHCUを増やすから病床数が減るかのような答弁ですが、HCUを増やしたからといって総病床数を減らさなければならない理由にはなりません。そして、これまでも病床数の削減は、HCUを増やすからと説明されてきたわけではありません。
 東京都は、二〇一七年の広尾病院整備基本構想で、病床は四百床程度が適正だとして、当時の四百七十八床から大きく削減する方針を示しましたが、そのときに理由にしていたのは、医療需要は少なくなるということや病床利用率が低下しているということでした。
 この医療需要の減少というものも根拠が薄弱なものでしたが、新型コロナ感染症への対応で明らかになったのは、コロナのような危機に対応するには、ふだんから医療体制に余裕が必要だということです。
 全国自治体病院協議会の邉見名誉会長は、新型コロナの感染拡大を受けて次のように話されています。
 本来、医療には、緊急時のための余裕がないといけません。しかし、国は効率至上主義で、病院のベッドを常に入院患者でいっぱいにしないといかぬかのような診療報酬にしてしまいました。特に、国は、自治体病院に投入している税金は無駄だみたいなことばかりいって、地域医療構想などで自治体病院をさらに減らそうとしています。こういう緊急時になると頑張れといいますが、いつも手足をくくられて仕事をしているような状況です。消防や警察はいざというときのためにあります。医療や教育も同じです。公がきちんと支えるべきものなのです。
 新型コロナの経験を経てもなお、医療需要の減少や病床利用率の低下を理由に出された病床削減の方針をそのまま続けることは間違いです。医療の充実のために都立、公社病院を独法化するのだといいながら、あくまで病床は削減するというのも全くの矛盾だといわざるを得ません。
 病床削減の方針は撤回し、広尾病院は都立直営を堅持して充実することを強く求めて、質問を終わります。

○関口委員 よろしくお願いいたします。
 私、東京都議会立憲民主党は、都立、公社病院の独立行政法人化の提案というものに対して、現場に不要な不安を招き、都民サービスの低下につながりかねないということを再三指摘してまいりました。
 二〇一九年十二月の都議会第四回定例会におきまして、知事は所信表明において、都立病院と公社病院の独法化の方針を示しました。独法化への移行が検討され、計画されていたのは新型コロナの前でありました。本来であれば、医療体制が大きく一変した今やらなくてはいけないのが、行政的医療における感染症医療や公衆衛生への立ち位置を検証し、ポストコロナの医療を再考することが必要であるということを再三指摘してまいりました。そうした観点から、都立病院の独立行政法人化は拙速な判断であるということを、さきの委員会質疑においても申し上げてまいりました。
 本委員会の質疑では、まず、独法化移行するに当たっての検証や議論について、また、コロナ禍を経験した貴重な職員の人材流出を懸念する立場から伺ってまいりたいと思います。
 また、昨年の第三回定例会におきましては、地方独立行政法人東京都立病院機構の定款が可決をされ、独立行政法人への移行を控える中で、いかにして都立病院のエッセンスを残していくのか。こうしたことも念頭にしながら、中期目標や計画案について質疑をしてまいりたいと思います。
 まず、独法化における検証、議論についてであります。
 冒頭申し上げましたが、本来であれば、医療体制が大きく一変をした今やるべきは、行政的医療における感染症医療や公衆衛生への立ち位置を検証し、ポストコロナの医療を再考することです。第六波という今までにない大きな波を経験したわけでありますが、現在ももちろん予断を許さない状況であると考えております。
 まず初めに、拙速な判断であると私たちは考えますが、都の見解を伺います。また、第六波を経て、都立、公社病院の独法化への移行について、内部での検証や議論をされたのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 都立病院は、今後、超高齢社会の本格化などにより、医療課題がさらに深刻化していく中でも、行政的医療の安定的、継続的な提供などの役割を将来にわたって果たさなければなりません。
 また、コロナ対応におきまして、この先、感染状況に応じた、より機動的な対応を行う必要があり、新たな感染症にもまた備える必要がございます。
 このため、医療の状況に機動的に対応できる体制を早期に整備する必要があり、独法化の準備を進めているところでございます。

○関口委員 今、第六波を経て、都立、公社病院の独法化への移行について、内部での検証や議論はされたのかということを伺ったわけなんですが、答弁をいただいていないかなということを私は思うんですが、もう一度ご答弁いただけますでしょうか。内部での検証、議論をされたのかという部分についてです。

○船尾計画調整担当部長 この間のコロナ対応におきましては、これまでのコロナ対応を踏まえますと、この先、感染状況に応じた、より機動的な対応を行う必要があり、また、新たな感染症にもしっかり備えていく必要があるというふうに考えております。

○関口委員 先に進みたいと思います。続いて、これまでも指摘をしてまいりました人材の流出、そして職員体制についてであります。
 先ほどから、冒頭からずっと申し上げておりますが、独法化されるに当たって、職員が流出をする、コロナを経験した貴重な人材が流出をするということであります。昨年の厚生委員会では、知事が都立、公社病院の独法化移行を表明した後の都立、公社病院の退職者の推移について伺ってまいりました。
 現時点では大きな退職者の推移はないというご回答だったかと思いますが、昨年や今年中の退職者はどのような状況か、まず、現在の状況を伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 今年度の退職者数の見込みは、都立病院六百四十四名、公社病院二百九十一名となっており、昨年度と比較しますと、都立は五十二名の増加、公社は二名の減少の見込みでございます。職員の退職は、定年退職のほか、家事都合や転職、病気療養など様々な理由によるものであると認識しております。
 なお、病院を運営するに当たりまして必要な人材につきましては、採用により確保しているところでございます。

○関口委員 今ご答弁をいただきましたが、昨年度と今年度の見込みを比較すれば、都立病院の退職者は五十二名増加ということであります。
 職種別に見ると、看護要員が昨年度に比べて四十三名退職者が増加をしているということで、ここ五年間の退職者数を見ても多い数字であると考えております。
 さらにいえば、今年度末までの退職者の数値で今ご答弁をいただきましたが、独法化に移行するタイミングで退職をする職員もいらっしゃるのではないかということはもちろん推測できるわけでありまして、既に多くの方が辞めている、そういった現状があるのではないかと考えています。
 また、現在の段階で、独法化された後の意向確認、これが取れていない職員がいらっしゃるのも事実でありまして、今回質疑をしたいと思っていたところでありますが、労使交渉の中にあるということで質疑は控えました。人材の流出という面で私たちが指摘をしてきた懸念があると思っております。
 先ほどご答弁をいただきました中に、病院運営をするに当たり必要な人材については、採用により確保するというご答弁がありました。
 都立病院、公社病院の職員は、コロナ患者の受入れ実績から考えれば、行政的医療、そして感染症医療を担った極めて重要な経験を積んでいる、ノウハウを持っていると考えております。
 私は、そうした新型コロナにおける大きな山場を経験した職員が流出することが問題であると考えております。必要な人材を新たに採用すればいいという安易な考えではならないと考えますけれども、都の見解を伺います。

○谷田経営企画部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、職員の退職と申しますのは、定年退職によるもののほか、家族の介護等の家事都合であったり、あるいはキャリアアップのための転職であったり、病気療養などによるものというふうに認識をしております。
 都立病院における令和三年度の離職率の見込みを見ますと、例えば医師が一九・二%、看護要員が八・九%でございまして、過去十年間で見ますと、医師が六番目、看護要員が四番目の値となっておりまして、年々の変動があるというようなものでございます。
 引き続き、独法化に向け、職員の専門的知識、能力や業績をきめ細かく評価に反映させられる人事制度や多様な人材が働きやすい柔軟な勤務時間制度など、職員が働きがいを感じ、安心して働き続けられる環境整備を図ってまいります。

○関口委員 今ご答弁の中で離職率について触れられておりました。十年間の中では真ん中ぐらいの数値だよということだと思うんですが、私が指摘しているのは、コロナ禍を経験した人材が流出をするのではないかということでありますので、離職率という意味では、確かに今ご答弁をいただいたとおりかもしれませんが、やはりそれを経験した職員が流出するということに懸念を私たちは置いておりますので、少し認識の違いがあるのかなというところでもあります。
 独法化へ移行するに当たり、職員からすると給与面の変更は大きな関心事項だと考えております。人材流出に対して懸念をしている立場でありますが、仮に独法化のタイミングで給与面の一定の保障を行ったとしても、人材流出の懸念があると考えております。
 今後の独立行政法人の職員の給与に関しては、どのように決定をされるのか伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 一般地方独立行政法人の職員の給与につきましては、地方独立行政法人法第五十七条の規定によりまして、法人が定める給与規程等の基準に基づき支給されるものでございます。
 現在、職員が高い意欲を持ち続け安心して働き続けられる制度を目指しまして、その構築を行っているところであり、法人化後も、法人がその使命を果たし続けるため、職員にとって魅力ある給与制度であり続けるよう、労働組合の交渉なども経ながら、法人においてその給与が決定されるものというふうに認識しております。

○関口委員 現在の都立病院、公社病院における人件費と独立行政法人化後の人件費、どのような変化があるのか伺います。

○谷田経営企画部長 法人化後の人件費は、現在の都立、公社病院の人件費に対して、各病院の機能強化により増員となる職員に係る費用が加わるほか、新たな手当の創設など給与制度の変更や法人で新たに採用する職員数の動向など、様々な要素が影響するものというふうに認識しております。

○関口委員 今ご答弁にありましたが、機能強化により増員となる職員に係る費用が加わるというところで、そういった面については、もちろんメリットがあるかもしれませんが、しかし、様々な給与制度の中で、現場の職員が不安に思うところがある、そして今後の人生について考えるところがある、それはしっかり、今の段階でも、ぜひ職員に対しての誠意を見せていただきたいと思うところでもあります。
 今定例会の代表質問におきまして、私たちの会派は、都立、公社病院で働く職員への説明などがほとんど進んでいないというふうに聞いており、説明資料を送付しただけでは説明したとはいえないということを指摘してまいりました。都立、公社病院で働く職員への説明はどのようになっているか、見解を伺ったところであります。
 その際、都からは、本年一月からは、多忙な職員向けに制度のポイントを短時間で解説した音声付資料の公開をしたとの答弁がありました。
 音声付資料ではどのようなことを職員に説明をしたのか、具体的に伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 本年一月に職員向けに公開した人事給与制度案の説明資料では、これまで職員から問合せ等を受けた中で関心が高いと思われる内容を中心に説明を行いました。
 具体的には、法人の職員に移行する際の給料の決定方法、退職手当の取扱いなど給与制度に関することのほか、育児と仕事の両立のために利用可能な勤務時間、休暇等の制度に関する内容や、定年の取扱いを含む高齢期雇用制度など、解説音声つきの資料で、ポイントを絞って分かりやすく説明を行いました。

○関口委員 音声付資料で簡易的に説明をすることは、重要ではあるとは思うんですが、さらなる取組が必要であると考えております。
 また、これは一つの現場の声でもありますが、都立病院で働く職員、今はコロナ対応に追われ、日々多忙であり、心身ともに疲弊をしているという声を伺います。コロナに感染をしないために、防護服をつけ、冬であるものの汗だくになって医療に当たられているというところであることを聞いております。そうした中で、独法化への移行を控える中で、職員自身の身分であったりとか、あるいはキャリアプランを考える上で、そういったところをですね、日々忙しい中で、熟慮する時間がまだまだ足りていないということを伺いました。
 そういった中で、この熟慮する時間、まだまだ足りていないというところに対しての都の見解、まず伺いたいと思います。また、あわせて、そうした環境にある職員が説明を受けることができるよう、さらなる取組というものを求めていきたいと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 人事給与制度案を作成いたしました令和二年八月以降、約一年半の間、多くの職員がその内容を確認するとともに、職員から寄せられた疑問や意見等に対しましては丁寧に対応してまいりました。
 また、本年一月からは個別相談の機会も設けまして、一人一人の状況に合わせた説明も行っており、それぞれの相談者の理解、納得は得られたものと認識しております。
 より多くの職員が法人の人事給与制度について一層理解を深めることができますように、夜間の個別相談、こちらも開始したところであり、今後も工夫を図りながら職員への説明を尽くしてまいります。

○関口委員 今ご答弁の中にもありましたが、夜間の個別相談を開始されたということで、今までの体制とは、また様々な角度で、そういった相談をされていただくということは重要だと思っております。
 もちろん、夜間の個別相談ですので、説明する側も説明を受ける側も、それぞれの職員が疲弊をしないようにというところを懸念するものでありますが、様々な角度で職員の不安に応えていただきたいというところを思います。
 運営費負担金について伺う予定でありましたが、先ほど桐山理事の方からも話がありましたので、質問の方はカットしたいと思います。
 続きまして、中期目標、そして中期計画案についてであります。
 中期目標を昨年の厚生委員会で審議をいたしました。今回、当時の中期目標案から幾つかの変更点などがありますが、具体的にどのような点が変更されたのでしょうか。また、どのようなプロセスを経て変更されたのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 評価委員会では、新型コロナへの対応のような行政的医療を引き続き提供していくことや、多様な症候に対応する総合診療の重要性、地域の医療機関との連携の必要性、十四病院が有する診療データの集積、活用のほか、外部の意見等を取り入れることの重要性などについてご意見がございました。
 また、本委員会におきましては、がん医療や島しょ医療をはじめとした行政的医療の機能強化や、コロナのような緊急事態への対応の重要性のほか、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組や、DXの推進の必要性などについてご意見がございました。
 今回ご審議いただく中期目標につきましては、こうしたご意見を踏まえまして作成をしているところでございます。

○関口委員 次に、中期計画案について伺ってまいります。
 これは毎回委員会で聞いておるんですけれども、二月二日には地方独立行政法人評価委員会都立病院分科会の第四回目が開催をされました。そこで中期計画案が示されたところでもあります。
 分科会ではどのような議論がされ、どのような指摘がされたのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 第四回都立病院分科会におきましては、第三回分科会における各委員からの意見を踏まえた修正案を基に、第一期中期計画案の審議を行いました。
 各委員からは、総合診療医や地域の医療人材の育成の必要性のほか、未収金対策の重要性などに関するご意見等がございました。

○関口委員 では、中期計画案の中身について伺ってまいりたいと思います。
 第一期中期計画案では、感染症医療について、感染症専門医を確保するとともに、他の医療機関等と連携して、感染症や合併する症状に対応できる総合診療医を育成するという記載があります。
 感染症専門医の確保や総合診療医の育成というものは極めて重要であると考えておりますけれども、具体的にどのような取組をされるのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 今回のコロナ対応では、呼吸困難以外にも、不整脈など多様な症状を来すことが多く、感染症専門医の安定的な確保はもちろんのこと、多様な症候に対応できる総合診療医の確保、育成も重要でございます。
 このため、独法化後は、そのメリットを生かし、働きがいにつながる人事給与制度等を構築して、安定的に感染症専門医等を確保していくこととしております。
 また、診療科の枠を超えた総合的、包括的な診療を行う総合診療医につきまして、大学や民間医療機関などの柔軟な人材交流を通じて、連携を強化しながら指導育成体制を整備し、計画的に育成していくこととしております。

○関口委員 続いて、同じく中期計画案についてでありますが、都や保健所等の関係機関との連携を強化し、定期的な患者受入れ訓練の実施や職員を派遣しての感染管理に関する指導助言を行うなど、地域ニーズに応じた地域の感染症対応力の強化に貢献するという記載があります。
 定期的な患者受入れ訓練の実施などは、次にやってくるであろうまた新しい感染症へ向けての機能を果たすと考えるが、具体的にどのような想定をされるのか伺いたいと思います。また、地域の感染症対応力の機能強化をうたっておりますけれども、現在の都立病院と独法化後の都立病院では、どのような機能の変化があるのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 都立病院では、これまで駒込病院などの感染症指定医療機関におきまして、消防庁等と連携して患者受入れ訓練を行ってまいりました。
 独法化後は、今回のコロナ対応を踏まえ、他の都立病院におきましても地区医師会や地元の民間医療機関等との連携を強化し、地域の医療機関や介護施設等を対象とした合同訓練の実施に向けて検討することとしております。
 また、独法化後は、柔軟な人材交流が可能となる人事制度を構築して、感染症対策のノウハウを有する専門人材を地域の医療機関等に一定期間派遣し、感染症予防対策などに関する指導助言等によりまして、地域の感染症対応力強化に貢献していくこととしております。

○関口委員 今ご答弁の中にもありましたが、地域の医療機関、介護施設を対象とした合同訓練を実施していくということで、今回、コロナで経験をして、様々なところに、医療であったり、あるいは感染症のひずみというものがやってきたんだなということを感じるわけでありますが、そうした都立病院含め、医師会や地元の民間医療機関、様々な連携を図りながら、そうした訓練をしていくことは重要だと考えておりますので、そういったものの地域の感染症対応力の強化というものに努めていただきたいと思います。
 続きまして、第一期中期計画案で、また中身でありますが、災害や公衆衛生上の緊急事態への率先した対応という中では、新型コロナウイルス感染症等の新興、再興感染症への緊急対応が生じた場合は、取組を検証する体制を構築し、求められる取組について法人全体で検討を行うと記載がされています。
 緊急対応が生じた場合の取組の検証は重要であると考えますが、具体的な取組を伺います。また、法人全体で検討を行うということでありますが、都は、どのように関与していくのか伺います。

○船尾計画調整担当部長 今回のコロナ対応を踏まえ、さらなる感染症対応力の強化を図るため、各病院が培ってきたノウハウや対応上の課題などにつきまして検証することを検討しております。
 また、検証の内容は、都の感染症対策との連携が必要なことから、適宜、都と情報共有しながら進めてまいります。

○関口委員 続いても中期計画案についてでありますが、災害や公衆衛生上の緊急事態への率先した対応の中では、新型コロナウイルス感染症等の新興、再興感染症の治療後や療養後の息苦しさ、呼吸機能をはじめとした後遺症の相談に着実に対応するという記載があります。
 私たちの会派としても、後遺症窓口は重ねて要望してまいりましたが、機能継承というものはどのようにされるのか、また、後遺症窓口のさらなる充実や後遺症に悩む方々に向けた研究などをしっかり実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西川サービス推進部長 現在、都立、公社病院の八病院に設置しておりますコロナ後遺症相談窓口は、新たな都立病院においても継続して相談に対応してまいります。
 また、東京iCDCが実施する後遺症の調査分析に相談窓口のデータを提供するなど、後遺症の実態把握や今後の都の後遺症対策に寄与してまいります。

○関口委員 今ご答弁ありましたが、東京iCDCは福祉保健局との連携が重要だと思いますし、そういったところの情報提供はぜひしていただきたいと思うわけでありますが、都立病院の大きな役割というのは、やはり病院の先生が研究をしていくということも非常に重要な役割を持っていると思います。
 今後、都立病院の先生方が、コロナを経た後に、何かその研究であったり実績というものをぜひ都の方に還元いただく、そういった機会をつくっていただきたいと思うところであります。
 続きまして、広尾病院及び広尾看護専門学校の整備等について伺う予定でありましたが、かなり他の委員からも様々な指摘がされておりましたので、質問はカットしたいと思います。
 ただ、地元の方の意見として要望を申し上げれば、この計画自体をまだご存じでない地域の住民の方が非常に多くいらっしゃるということであります。長期の整備計画でありますので、地域住民の方々への説明、これはぜひ行っていただきたいということと、あと広尾病院は、目の前に慶應義塾大学の幼稚舎があったりですとか、あるいは裏手には渋谷同胞幼稚園などの児童が登下校する場所でもあります。子供たちへの安全対策、これについても、ぜひしっかりと担保していただきたいと思います。
 最後になりますが、自民党の政調会長の高市早苗さん、今は政調会長をされておりますが、その方のブログを先日読みました。一部引用させていただければと思います。
 タイトル、無駄と批判されても必要な備え、公立病院の機能維持というタイトルで、ブログの中身は、ご自身が総務大臣のときに公立病院についていろいろとされてきた中身などがうたわれているわけでありますが、最後に、少し文章を引用して読ませていただきます。
 仮に日本国内で新型コロナウイルス感染症患者数がゼロになったとしても、毎年のように、WHOからはエボラ出血熱をはじめ様々な感染症に関する注意喚起が発出をされています。平時には無駄に見えていたかもしれない感染症病床も、感染症の専門知識と技術を有する医療関係者も、皆がコロナ禍に苦しむ今、絶対に必要な、大切な存在だという認識が広がってきていると感じています。観光立国を掲げている日本ですから、感染症リスクへの備えは重要です。何が起きてもゆとりを持てる医療体制の構築はもとより、検疫体制の強化についてもさらに推進をしていかなくてはなりません。また、日本全国どこに住んでいても必要な医療や福祉が受けられる環境をつくることは、国民の皆様の命を守り抜くという国の究極の使命を果たすことにもつながりますということで、これは引用させていただきました。
 他党の政調会長でありますが、現在、与党の政策を取りまとめる政調会長であります。私は立憲民主党ですので、共感するところもあれば、少し考え方が違うなという個人個人のあれはありますけれども、このブログに書かれていることは、私は今の状況を見て、極めて誠実な、そして非常に的を得ているブログであると考えています。
 そういった考えからも、私は今回、都立の独法化、公社の独法化ということに関して、批判的な立場で向き合ってきたわけであります。私たちの立場としては、都議会立憲民主党としては、この独法化というものを大きく否定するものではない。しかし、再度の都直営に戻すことはできないということは、この間の委員会質疑でも明らかになっているところであります。ゆえに、今のこのコロナの中で独法化をすることは拙速であるということは申し上げたい。
 そして、これは再三、先ほどから申し上げていますが、今やるべきというのは、ポストコロナの医療体制と感染症医療というものをしっかり検証しようじゃないかということであります。
 さらに心配すべきは、コロナを経験した貴重な人材というものが流出するのではないか、そのことも、今の都立病院にとって、公社病院にとっても、極めて私は重要な観点であると思います。
 しっかりと、第三回の定例会で定款が通っているという中で、独法化が進んでいく、この流れを止めることは難しいと思いますが、しかし、独法化された後に、議会の一員としてしっかりチェックをしていくということを申し上げまして、私の質疑を終わりといたします。

○おじま委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十四分休憩

   午後三時十一分開議
○おじま委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○上田委員 まず最初に、一番大切な患者の権利擁護についてからです。
 これまで活用してきた都立病院、患者と子供の権利章典について、これまでどうこの理念を病院事業、日々の患者への接遇と援助、ホスピタリティーに生かしてきたか、具体的な取組を伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院の子ども患者権利章典を踏まえた具体的な取組といたしましては、例えば小児総合医療センターでは、治療内容等を絵や模型などを使って子供に理解できるよう説明しております。
 また、病院のベッドサイドへの机の設置など、入院中の学習にも配慮をしております。

○上田委員 独法化するときにはそれをどう継承し、独法化により効率的な運営となり、改善が図れると度々説明を受けておりましたことから、さらなる進化ができるのか、具体の取組の方向性を伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院の子ども患者権利章典は、患者中心の医療を築き上げていくための倫理的な規範でありまして、その理念は新たな都立病院におきましても変わることなく引き継がれてまいります。

○上田委員 そしてですね、入院患者、家族の苦情窓口体制については、これまでも指摘したところでございます。
 これまでは都の職員であったから、都から直接指導、指摘、改善が図れてきましたが、七月以降、苦情受付から問題解決まで、どのようなフローで行っていくのか、具体的に説明ください。

○谷田経営企画部長 病院に対する患者等からの苦情や要望については、全病院に設置されている患者の声相談窓口において、電話や窓口で受け付けております。
 窓口では、病院の職員が一人一人の申入れに迅速かつ誠実に対応し、内容に応じて関係部署につなげるなど、問題の解決を図っております。また、病院に寄せられた苦情等の状況は、各病院のサービス向上委員会等に報告を行い、必要に応じて病院としての対応策を検討し、病院業務の運営等の改善につなげております。
 こうした流れは、独法化後も変わるものではございません。

○上田委員 福祉保健局の患者の窓口制度との強固な連携を望むものです。
 そして、入院中の子供の保育、教育について従前から確認しておりますが、その後、政府においても児童福祉法が改正され、都ではこども基本条例も制定され、環境は改善されていると思料します。
 子ども患者権利章典7には、あなたは、入院していても、勉強したり、遊んだりすることができますとあり、これに基づく病院経営本部の取組については確認しております。
 現在の看護師や保育士、心理士が、家族に密接に関与しているという具体的な取組や対応、親子の接触や交流の機会の状況についてご説明ください。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターにおきましては、多職種の職員が連携して患者と家族の支援を行っております。
 具体的には、病気や障害を持って生まれた子供の親に対して心理士がカウンセリングを行うなどの支援を実施しているほか、医療的ケアが必要な状態で退院する患者さんのご家族には、看護師が在宅療養の相談に対応しております。また、保育士は、医師、看護師と連携しながら、手術等についての事前説明により、患者、家族の不安の軽減を図っております。
 また、感染対策として面会を制限する中におきましても、両親のどちらか一名は面会を可能とするなど、親子の触れ合いを大切にしております。

○上田委員 小児がんや白血病の子供たちもいらっしゃると思うので、柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 都立武蔵台学園府中分教室が設置されていますけれども、教育は権利もあって義務もあるということです。受験期の子供もいると思います。
 それぞれの能力や進路希望に基づき、どのように学習権を担保しているのか、進路指導、在籍校との連携も含めて、本部がどう教育委員会等と連携を図っているのか、つまびらかにご説明ください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センター内の分教室では、主治医等と教員が緊密に連携し、患者の状態に配慮した学習活動を行っており、進路指導に当たっては、分教室の教員が患者の希望等を踏まえ、在籍校とも学習の習熟度等の情報を共有しながら指導を行っていると聞いております。

○上田委員 さて、資料、21で、虐待との連携状況です。児童虐待事案の通報システム、連携体制の進捗について伺いたいと思います。
 かねてより申し上げておりますとおり、虐待が疑われる子供の診察、見立てには、幅広い知識や経験値、専門性、事例の蓄積と分析という小児科医師の高い能力とその情報共有、育成が必要とされております。
 都立病院においては、小児総合医療センターなどでは、開院当初から、精神科医、小児科医師、心理士、精神保健福祉士、看護師等から成る児童擁護委員会を設立し、取り組んできたところであります。
 具体的に、小児科医の虐待の見立ての技術促進、小児科医育成が図れているのか、その知見を都立児童相談所、開業医、民間病院と連携がなされているのか、具体的な取組を伺います。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターにおきましては、年一回、院内の職員だけではなく、地域の関係機関にも参加を呼びかけ、児童虐待の早期発見につなげるための研修会を開催しておりまして、医療機関が診療の中で虐待に気づくためのポイントをお伝えしております。
 なお、令和二年度と令和三年度は、新型コロナウイルス感染拡大により、開催を見送っております。

○上田委員 コロナだから仕方ないんでしょうけれども、国立成育医療研究センターが実施した調査では、コロナ流行前に比べて神経性食欲不振の患者数が増加していたとの結果であったそうです。引き続き、関係機関との連携を進め、子供の心の問題について、私に提言していただいたように、普及啓発活動を行っていただきたいというふうに思います。
 さて、CDRが、このところ盛んに各会派委員から質疑があるところですが、そもそも監察医務院を東京都は持っています。この検案結果にこそ、古くからあるCDRであると、当選以来、福祉保健局、病院経営本部、各病院と情報共有や研修をして、生きている子供の命を救うために役立てるよう求めてまいりましたが、実のところ、強固な連携状態にはないと思料します。
 監察医務院における子供の不審死の検案研究の共有を都立病院はしているのか、死んでからでは遅く、チャイルド・デス・レビュー、死ぬ前に、虐待にさらされている子供を真っ先に発見して救えているのかという観点から確認させてください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 子供の症例も対象としている監察医務院が行っている研修に都立病院の医師が参加しており、また、都立、公社病院と監察医務院において、検査技師を中心に、医師も含めた病理に係る検討会を開催するなど、都立病院と監察医務院は日頃から連携し、知見の共有を図っております。

○上田委員 七月以降も当然のことながら行っていただきたいと。一応、年々、毎回質疑のたびに連携の強化、確認をさせていただいておりますけれども、お願いいたします。
 児童擁護委員会と虐待に対応するための院内委員会を設置し、虐待ケースごとにアセスメントを行い、組織的に対応されていますが、どのようなメンバーで構成し、どのように組織的に対応しているのか、虐待発見から解決までのフローをご説明ください。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターにおきましては、虐待の早期発見と対応方針決定のため、児童擁護委員会を設置しております。
 委員会の構成は、副院長、関係する診療科の医師、看護担当科長、心理士、ソーシャルワーカーなどとなっております。
 診療の中で子供の虐待などが疑われる所見が得られた場合、本委員会においてアセスメントを行い、対応の方向性を決定した上で通告等を行っております。

○上田委員 やっぱり医師の見立てって、すごく児相も動きやすいと思うので、よろしくお願いします。
 都と児相、警視庁との協定も見直され、連携強化もされています。子供の命を救うために、迅速な見立てから入院、警察や児童相談所との連携について、フローを含めて具体的にご説明ください。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターにおきましては、児童虐待が疑われる事案を発見した場合、患者やその家族からの聞き取りのほか、保健所等から情報収集を行った上で児童擁護委員会を開催し、対応方針を決定しております。
 本委員会で通告を行うことを決定した場合は、速やかに児童相談所等へ通告を行います。そして、その後児童相談所等を中心に、他の関係機関も交えて、今後の対応等について協議を行っております。また、当該事案について事件性が疑われる場合には、必要に応じて警察へ通報することもございます。

○上田委員 都児相は、弁護士も医者も常勤というのはないんですよね。その児相と小児総合医療センターのリソースを中心とした小児科医の強固な連携が必要と考えますが、例えばリモートでの見立てもありかなと思うんですが、可能性を確認します。また、こうした都立病院小児科医と都児相の連携体制は、七月以降どう担保するのか伺います。

○西川サービス推進部長 虐待が疑われる場合には、触診や全身のエックス線撮影、眼底検査などを行うため、リモートで虐待の有無を判断するのは困難でございます。
 また、都立病院と児童相談所との連携につきましては、児童虐待の防止等に関する法律及び東京都子供への虐待の防止等に関する条例に基づいていることから、新たな都立病院においても変わるものではございません。

○上田委員 児相は、四十八時間とかいろいろ時間的な制約もあります。また案件も多い。AI、DXといっているので、ここは推進していただきたいというふうに考えております。
 資料、16から27、子供と向精神薬について、従前より、投薬よりアセスメントという答弁をいただいており、安心しているところです。国連子どもの権利委員会の勧告や総括所見では、日本において、異常な乳幼児、小児へのADHD薬について強く戒めております。
 小児総合医療センターにおいて、未就学児に対する向精神薬の投与はどのぐらいあるのか、処方件数、あるいは処方患者の状況を伺います。

○西川サービス推進部長 向精神薬には、抗鬱剤、抗精神病薬のほか、睡眠薬なども含まれます。
 令和二年度に小児総合医療センターにおきまして、これらの向精神薬を処方した六歳未満の患者さんは、手術後の疼痛への対応が必要な患者さんのほか、児童・思春期精神科の患者さんも含めまして、約千五百人でございました。

○上田委員 十八歳未満の抗鬱薬投与は、どの薬がどんな適応症に対して出されているのでしょうか。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターにおける十八歳未満の患者への抗鬱薬の投与は、例えばセルトラリンの鬱病や不安障害等に対する処方などがございます。

○上田委員 小児総合医療センターについて、安全性が確かめられていない年齢の幼児に向精神薬は投与されていないか危惧するものです。
 具体的には、五歳未満に対するリスパダール、六歳未満に対するストラテラ、コンサータ、エビリファイ、墨東で治験され承認されてしまったビバンセなどの処方が適正になされているのか、まず伺います。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターにおきましては、心理的支援などを十分に行った上でも精神症状や問題行動が認められる患者さんにつきまして向精神薬を用いており、その場合は医師が慎重に検討し、適正に処方をしております。

○上田委員 これら安全性や有効性が確かめられてない向精神薬の処方に当たり、どのように本人や保護者に説明をして同意を取っているのか、適応外処方がないかも伺います。

○西川サービス推進部長 小児患者に向精神薬を投与する際は、最小限にとどめるとともに、患者や家族に対し、投薬の内容や効果だけではなく、副作用についても十分に説明を行い、理解と同意を得た上で処方しております。
 投薬に当たっては、定められた用法、用量や適応に基づいておりますが、心理的、社会的アプローチなどを十分に行った上でも精神症状や問題行動が認められる患者につきましては、適応外であっても治療上有効であると医師が判断したときは、必要最小限の向精神薬を用いることもございます。投与後は、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察し、その効果や副作用を見極め、適切に対応しております。

○上田委員 適応外があるということです。
 事務事業質疑にて、小児に対する精神科医療は、処方、薬物療法については適切に対応していると認識とのことを確認しておりますが、保護者への説明不足及び安易な診断による投薬によって−−何でこんなに私が質問しているか、依存症や離脱症状に苦しむ、朝起きられなくて学校行けない、不登校、そのまま、ひきこもり、未来の八〇五〇になっていくことを見てきました。
 保護者の相談、子供の相談が後を絶たないんです。この点に関しての問題意識は、都は持っていらっしゃるのか伺います。

○西川サービス推進部長 繰り返しのご答弁になりますが、小児に対する精神科医療は、心理的、社会的アプローチが第一でございまして、投薬は慎重かつ最小限にとどめております。
 また、患者やご家族に対しては、投薬の効果だけではなく、予想される副作用などについても十分に説明を行い、ご理解を得た上で適切に処方を行っております。

○上田委員 江戸川区も発達相談・支援センターができましたが、理解も進んで、投薬よりもアセスメント、今おっしゃったとおり、地域の支援という潮流になっている現在の病院経営本部、都立病院小児精神医療における考え方や今後の具体的取組を伺います。

○西川サービス推進部長 小児精神科医療におきましても、成人の精神疾患と同様、患者とその家族が地域での生活を継続できるようにすることが重要でございます。
 小児総合医療センターにおきましては、発達障害の患者の特性に応じて、子供家庭支援センターや学校等との情報共有により、患者とその家族に対する支援体制について調整を行っており、今後も引き続き取り組んでまいります。

○上田委員 十八歳未満の大鬱病性障害に対しては−−まあ鬱病ですね、抗鬱薬は有効性が確認できないという注意喚起が二〇一三年三月二十九日に厚生労働省から指示が出ていますが、都はその指示を臨床に反映されていますか。十八歳未満に対して、どの程度、抗鬱薬が必要とされているのか、確認します。

○西川サービス推進部長 今お話のありました厚生労働省の通知は、六種類の抗鬱剤について、小児等への投与は慎重に検討する必要があることを、その添付文書の使用上の注意に追記するよう、日本製薬団体連合会に指示したものでございます。
 都立病院におきましては、抗鬱剤の投与に当たっては、改定された添付文書に従い、用法、用量を守って適切に処方をしております。小児総合医療センターにおいて、令和二年度に抗鬱薬を投与した十八歳未満の患者は約四百人でございました。

○上田委員 安易な発達障害のレッテル貼りの問題が、近年ようやく指摘されるようになってきました。少しやんちゃで扱いづらい子供を支援する手間を惜しみ、すぐに精神医療、投薬につなげて、教室からいなくなってほしい、薬を飲んで静かにしてほしいという教育現場の思惑も透けて見える気がしてなりません。
 症状が出ている子供たちの治療をする医療現場を有する病院経営本部として、発達障害の正しい判断と支援について、日々の診察から感じられていることがおありかと思います。子供の人権、憲章にのっとった医療者としての見解を求めます。

○西川サービス推進部長 発達障害は、様々な症状が現れることから、個人の特性を包括的に評価し支援することが重要でございます。
 発達障害の患者の生きづらさを軽減するため、地域の関係機関が連携を取りながら個々の特性に合わせたサポートを行うことで、子供の自己肯定感を育み、安心して過ごせる環境をつくることができると考えております。

○上田委員 薬より自己肯定感、大変すばらしいと思います。
 そのような状況について、独法化により、どういう影響があり改善され得るのか、根拠を示して見通しをご説明ください。

○西川サービス推進部長 地方独立行政法人東京都立病院機構の定款には、法人の業務といたしまして行政的医療の提供が示されており、小児精神科医療は、新たな都立病院におきましても現在と同様に行政的医療として提供してまいります。

○上田委員 一方、コロナ禍にあり、自殺者も急増しております。
 自殺未遂で救急で運ばれ、死に至らなかった患者さんに対して、都や区市町村、民間等の支援事業のうち、どのようなものをどのように、入院中、退院後の支援につなげているのか伺います。

○西川サービス推進部長 自殺未遂で都立病院に搬送された患者への対応につきましては、個々のケースにより異なりますが、精神科の医師やソーシャルワーカーが自殺を考えた理由に応じて支援を行っております。
 具体的には、退院後も継続的な支援が必要と判断された場合は、患者及びご家族の了解を得た上で、区市町村の保健センター等に対応を依頼するなどの対応を行っております。

○上田委員 監察医務院の不審死の薬物中毒って、実は向精神薬、お医者さんが出したものが最も多いんですね。処方された向精神薬をオーバードーズしているケースについて、処方の適正さを確認したり、処方した医療機関に対して情報共有や注意喚起はされたりしないのか伺います。

○西川サービス推進部長 患者さんがお薬手帳をお持ちの場合は、薬剤師が処方量、処方内容を確認しております。
 患者さんに対しては、正しい薬の服用について指導するとともに、その患者さんが通院している医療機関に対しましては、必要に応じて診療情報提供書を作成しております。

○上田委員 お薬手帳で確認ということでしたが、自殺未遂患者において、命に別状はなかった場合の対応策の一つとして、措置入院など精神科につながるケースはあるのか、その場合、どのようなフローとなるのかご説明ください。

○西川サービス推進部長 自殺未遂の患者が救急搬送されてきた場合は、精神科の医師が診察を行った上で、緊急性が高い場合は精神保健福祉法に基づく緊急措置入院となる場合がございます。
 また、緊急性は高くないものの、精神疾患の治療が必要と医師が判断した場合は、本人の同意による任意入院または家族等の同意による医療保護入院となる場合もございます。

○上田委員 一律に精神病院に入院させるということはないのか、確認させてください。

○西川サービス推進部長 個々の患者さんの状況や必要な治療により判断いたしますため、一律に精神科に入院となるようなことはございません。

○上田委員 文科省の令和三年度児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議によると、令和二年における児童生徒の自殺では、鬱病を含む様々な精神疾患の影響を要因、動機とする者の割合が増えており、その傾向は、特に中学生年代以上の女子で顕著であったとしており、それらのケースに関して、自殺した児童生徒は既に精神科治療歴があり、遺族から診断名などの情報を得ることができたからこそ、このような判断がなされているとされています。つまり、精神科受診につながっているにもかかわらず、自殺しているということであります。
 そこで確認したいのは、精神科受診につながりながらも自殺に至ってしまった児童生徒について、都としてはどのように分析しているのか、特に治療が適正であったかどうか検証しているのか、今後どう検討するか伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院におきましては、精神科の受診が終了した後に自殺に至った児童生徒の情報を知る仕組みはございません。

○上田委員 治療は継続中で、突然来院しなくなるケースは確かに珍しくないと思いますけれども、児童生徒が自殺して亡くなっていたとしても、病院は把握していないということなのでしょうか。

○西川サービス推進部長 通院中の患者さんが院外で自殺をし、警察等からの情報で事案を把握することはございますが、こうしたケースにおきましては、必要に応じて治療内容について確認を行っております。

○上田委員 検証もせずに、受診促進だけを強調するのは問題はないのか、所見を伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 福祉保健局が平成三十年六月に策定した東京都自殺総合対策計画によれば、自殺の原因、動機で四五%を占める健康問題のうち、最も多いのは精神疾患によるものでございまして、鬱病等の精神疾患が疑われる人が適切に精神科医療を受けられるようにすることは必要であるとされております。

○上田委員 ぜひ学校や地域の関係機関等と連携して、支援をしていただきたいと思います。
 事務事業質疑にて、コロナ禍における都立松沢病院の対応と虐待防止対策につき、通報及び通告義務について確認をさせていただきました。
 公務員の告発義務、刑事訴訟法二百三十九条二項を踏まえ、対応されたのは何件あったのでしょうか。また、この告発義務について職員教育はなされているのでしょうか。

○西川サービス推進部長 昨年度、松沢病院におきまして、職員が刑事訴訟法第二百三十九条第二項に基づき告発を行った事例はございません。
 虐待が疑われる事案を発見した場合の通報や告発の義務につきましては、院内の全職員を対象とした研修を実施しております。

○上田委員 日野市の精神科病院、七生病院に入院した患者が、去年三月、院内でコロナに感染した際、和室に移され外から鍵をかけられ、治療を受けられないまま十日間にわたって閉じ込められ、精神的損害を受けたとして病院や運営法人を訴えたというニュースが、今年二月十九日、NHKで報道されました。部屋には陽性患者ばかり六人いて、排せつは部屋の中央に置かれた簡易トイレで行う劣悪な環境だったと女性は主張しているようです。
 都立松沢病院では、他院で不適切な処遇をされた患者を受け入れたということで、NHKで称賛されました。しかし、松沢病院でも資料、28のようにクラスターは発生しております。
 そこでお尋ねしたいのは、クラスター発生時に松沢病院の感染症対策、特に入院患者に対する処遇は問題はなかったのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院では、感染予防策を定めた新型コロナウイルス感染症対策指針を令和二年三月に作成し、入院時のPCR検査、個人防護具の着用等の感染予防策を実施しています。
 二月に入院患者で陽性者が発生した際には、陽性者をコロナ対応病棟に移動させるなど感染拡大を防止するとともに、患者の処遇も適切に行いました。

○上田委員 それでは、松沢が受け入れた精神科病院患者で同様な不適切な処遇が発覚した実態と対応、あったのかなかったのか伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院は、民間の精神科病院でクラスターが発生した際、福祉保健局の依頼により、積極的にコロナ患者の受入れを行っていますが、他の民間精神科病院から受け入れたコロナ患者に関して、不適切な処遇があった事実は確認しておりません。
 また、松沢病院では、転院患者に不適切な処遇等があったことが判明した場合、虐待対策検討委員会を開催するとともに、区市町村等に通報することとしております。

○上田委員 二〇二一年から、虐待をチェックするよう精神科病院への実地指導が改正されているのに、七生病院のことは把握されていないようなんですけれども、入院した方の処遇について把握していない一方で、それが報道によって指摘されたり、民事裁判になっているのであれば、都立病院の医療行政は、本当にこうした方の支援をしているのかどうか、所見を伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院は、七生病院からコロナ患者の転院を受け入れており、受入れに際して患者のこれまでの治療の状況は把握しておりますが、七生病院の状況は把握しておりません。
 松沢病院は、福祉保健局の依頼により、民間の精神病院から治療の必要な患者を積極的に受け入れるなど、都立病院の役割を果たしていると認識をしております。

○上田委員 措置入院とか、さっきの自殺未遂の患者さんを精神科に入れると、いろいろ判断をするのが精神保健指定医ですけれども、資料、26、一度取り消された医師が再度取得して都立病院で勤務していないのか、確認させてください。

○谷田経営企画部長 都立病院では、精神保健指定医資格の取消し後に再取得した医師は勤務をしておりません。

○上田委員 厳しい運用を確認させていただきました。
 特定妊婦についてですけれども、都立、公社病院での令和二年度の未受診妊婦の受入れ件数は六十件ということです。
 去る二月十八日、熊本市長が、慈恵病院が独自に取り組む内密出産で生まれた子供の戸籍について、職権で作成する意向を示されました。病院側が匿名を希望する母親の十代女性の意向を改めて確認した上で、手続を開始することになっています。
 都立病院は、地域医療の担い手として、これまで多種多様な支援を展開してきたはずです。特定妊婦が内密出産を望めば、それを実現するために、民間病院が様子見する中、都立病院こそが率先して受け入れ、都や区市町村と連携し、戸籍作成の一助となるべきと考えますが、見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 いわゆる内密出産に関し、国においては、様々な課題があり慎重に議論を深める必要があるとの認識が示されております。
 今後も国の動向を注視してまいります。

○上田委員 七月以降、独法化、効率化でサービスが向上するということを常におっしゃっていますが、だったら、弾力的な運用ができるのであれば、この実施こそが独法化のメリットになると考えますが、やるのかやらないのか伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国の動向を注視してまいります。

○上田委員 熊本市は、国の動向をまつまでもなく、機動的に妊婦と子供の命を守るために動いております。慈恵病院は民間病院だからできたのかもしれませんが、独法化するに当たり、独自判断で動くこともできるのではないでしょうか。重ねて所見を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 様々な課題があり、国会でも議論等をされていることから、国の動向を注視してまいります。

○上田委員 虐待死で一番多いのはゼロ歳児なんです。産み捨てちゃう、そうすると、お母さんは犯罪者になる、お父さんが分からない場合もあって、若い女性が犯罪者になってしまうんです。内密出産がもうあることを認めて、しっかりと受皿を東京都が進めていかない限りは、チルドレンファーストなんていえないというふうに強く申し述べたいと思います。
 地域包括ケアシステムの中に都立病院を受皿として組み入れていることから、都立病院は、都立病院新改革実行プラン二〇一八において地域包括ケアシステム構築への貢献を掲げており、地域医療機関への技術支援、地域医療を支えるモデルとなる取組を実施してきたことは高く評価いたします。
 しかし、七月以降新体制となった場合、これまでの連携をつつがなく継続し、事務方の職員も順次入れ替わることから支障を来さないのか、どのように対応することで、最低限、現在の体制を維持できるのか、具体的にどう対応するのか、そのためのバックアップを都がどのように進め、連携先に説明や協力を求めるのか伺います。

○船尾計画調整担当部長 独法化後は、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組といたしまして、患者・地域サポートセンターの人員体制を充実強化し、地域の医療機関や介護施設等との連携を強化することとしております。
 また、独法化後の取組等につきまして、引き続き、地域の医療機関等への説明を行ってまいります。

○上田委員 言葉どおりにいくのか、しっかり見守ります。
 広尾病院整備方針が具体的になってきました。ハードの改築、独法化というソフトの改編と、一度に多くの課題を解消しないとなりません。不採算及び困難事案の対応は評価するものの、そもそも患者数が漸減傾向にある中で、新型コロナに特化する現時点はよいとしても、中長期的に地域需要のある病院づくりが求められます。
 再整備には現場の医療従事者の声も反映されていると仄聞しておりますが、具体的にどうコミットしているのか、医療現場の声を生かし、どのような病院にしていきたいのか、確認します。また、七月以降は、そうした職員は入替えになって士気が失われないのか、確認をさせてください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 実施方針の作成に当たりましては、病院経営本部から広尾病院の各部門の責任者に実施方針案を説明しており、各部門の責任者は、実現可能性を踏まえて職員の意見を集約し、その内容を病院経営本部と検討するなど、実施方針は現場の声を踏まえた内容となっております。
 また、七月以降につきましては、職員は引き続き病院に勤務する予定です。

○上田委員 次に、財政状況です。
 さきの事務事業、資料、13の一般会計繰入金の推移における各病院の状況について、それぞれ特徴があっての結果と思料いたします。原因と課題と今後の対応を伺います。

○谷田経営企画部長 一般会計繰入金のうち、行政的医療については、当該医療に要した給与費、材料費等の関係費用から、入院、外来収入等の関係収入を差し引いて算定しており、各病院が提供する行政的医療が異なることや毎年度の収支状況により、金額が変動いたします。
 例えば、駒込病院におきましては、がん医療の高度化による診療単価の増により、収益が増加したことなどに伴い、結果として一般会計繰入金が減少しております。
 一般会計繰入金の算定基礎となる収入は、診療報酬改定や物価上昇、消費税率など、様々な影響により変動するため、一層のスケールメリットを生かした医薬品等の調達による費用節減を図るなど、引き続き経営努力を行ってまいります。

○上田委員 都立病院改革推進プラン実施計画追録版では、令和二年度の計画値を七六・二%としていましたが、都立病院新改革実行プラン二〇一八では、医療環境の変化や経営改善を推進することを踏まえ、七七・二%と見直されました。実際は、新型コロナウイルスの感染症の影響で、入院、外来収益は減少したものの、コロナ病床を確保したことにより、自己収支比率は八四・八%とのことです。
 いよいよ七月も迫り、収支計画の指標となる自己収支比率の目標をいかに具体的に達成されるのか伺います。

○谷田経営企画部長 今年度は約十五億円の収支改善を目標に定め、コロナ以外の診療においても、都内のコロナ感染症患者の状況に応じて病床の運用を工夫しながら積極的に患者を受け入れるとともに、会議資料のペーパーレス化や委託業務の範囲、内容の見直し等を進めております。
 引き続き、収益、費用の両面から経営改善に取り組んでまいります。

○上田委員 ペーパーレス、涙ぐましい取組、よろしくお願いします。
 超高齢社会の本格化により、医療、介護需要がさらに増加することが見込まれる中、都は、地域医療構想を策定しております。団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年に向け、住み慣れた地域で医療から介護まで提供できる体制の構築を進めているところであります。
 独法化によりまして、地域が抱える多様な医療課題にも的確に対応するということをるるおっしゃっていますけれども、どのように具体的に的確に対応するのかお示しください。継続性は保たれるのかも伺います。

○船尾計画調整担当部長 地域医療の充実への貢献は都立病院の役割であり、独法化後は、民間医療機関等との柔軟な人事交流が可能となる人事制度を構築し、専門人材を一定期間派遣することにより、地域の医療水準向上に向けて貢献していくこととしております。
 例えば、多摩北部医療センターにおきましては、看護師や薬剤師等の専門人材を地域の医療機関や介護施設等へ一定期間派遣し、在宅ケア等に必要な地域の医療人材の技術力の向上に貢献していくことを検討しております。

○上田委員 実行プラン二〇一八は、平成二十七年三月に総務省が作成した新公立病院改革ガイドラインにおいて、地方公共団体に策定を求められている新公立病院改革プランとしての位置づけも有しているということなんですけれども、七月以降の体制では−−本当にガイドライン、たくさんあるんですけれども、ガイドラインやプラン、これをどう継承していくのか、確認させてください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新公立病院改革ガイドラインでは、地方独立行政法人が法に基づき中期計画を策定している場合には、本ガイドラインにおいて要請している事項のうち、不足している部分を追加等することで足りると定められております。
 新法人の中期計画には、ガイドラインが要請する事項が全て記載されているため、新法人では、中期計画を新公立病院改革プランとして位置づけてまいります。

○上田委員 改革実行プラン二〇一八ですけれども、経常収支比率は各年度一〇〇%が一応目標とされていたんですが、令和二年度は、コロナ病床の確保に伴う国庫補助金を受け入れたことにより、一〇六・〇%ということになったのでございますけれども、本来、独法化することで機動的な病院運営ができるとされているのに、国庫補助金頼みというのも矛盾するように思われます。
 今の有事で致し方ないことはありますけれども、新型コロナウイルスの感染症の影響で入院、外来収益が減少したため、六八・八%という現実をどう七月以降解消していくのか、見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 独法化後は、機動的な人材確保が可能となることから、地域ニーズ等に応じて医療提供体制を強化するとともに、地域の医療機関との連携を一層強化して、紹介患者を受け入れていくこととしております。
 患者や地域の医療ニーズへの機動的な対応によりまして、受入れ患者が増加をし、それに伴って医業収益が増加していくことで、医業収支比率が改善していくものと考えております。

○上田委員 今年度は十五億円の収支の改善という数値が出てきたんですが、具体的な数値目標等があまり出てこなくて、どうやって解消するのか、ちょっとイメージが残念ながら湧きません。
 財源措置において、感染症医療や災害医療など、民間医療機関だけでは対応困難な行政的医療の提供は公的な病院が担うべき役割であり、採算の確保が困難であることから、独法化も、そのために必要な経費は、法に基づき運営費負担金として都が負担するということですが、私も先ほど来いっているように、独法化するからには、医業収入を維持しながらも経営効率化の努力を進めるべきものと考えます。
 都から変わらず繰入れしてもらえるからいいということでは、独法化する意味もなく、仏作って魂入れずになりますまいか。この点の所見と今後どう独立採算的な運営を実現していくのか、具体的な見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 現在の都立病院は、地方公営企業法に基づきまして、行政的医療など採算の確保が困難な経費を除き、独立採算の原則により運営することとされており、これまでも不断の経営努力を行ってまいりました。
 新たな都立病院におきましても、地方独立行政法人法によりまして同様の内容が規定されており、行政的医療の提供に必要な経費は都から運営費負担金として措置を受けながら、スケールメリットを生かした費用節減などの経営努力も行い、引き続き、最少の経費で最大のサービス提供を目指してまいります。

○上田委員 官民の悪いところ取りにならないかということを、懸念を申し上げておきます。
 コロナ対策についてです。
 第五波においては、都立、公社病院は、新型コロナの発生当初から、妊婦や小児、精神疾患等の合併症患者など、ほかの医療機関では対応困難な患者を積極的に受け入れる一方、コロナ対応が長期化しているため、コロナ病棟で働くスタッフのメンタルヘルスの維持が重要とされていました。
 今現在、第六波にあって現場がどのような状態か、少ない選択肢、リソースの中で、どう都民の命を守るために対応されているか、関係各機関と連携体制、課題解決への提案も含めたご報告をください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、第六波におきましても、妊婦や小児、精神疾患等の合併症患者など、他の医療機関では対応困難な患者を積極的に受け入れております。
 コロナ対応がさらに長期化していますが、職員が医療従事者としての使命感を持って医療を提供しており、あわせて、職員共済組合の相談員が病院を訪問するとともに、精神科医師等によるメンタルヘルスを維持するための支援を行っております。
 重症化リスクの高い高齢者や不安を抱える妊婦のコロナ感染者の増加に対応することが課題であるため、国や福祉保健局とも連携しながら、高齢者や妊婦を受け入れるための臨時の医療施設として百六十床を開設しました。

○上田委員 同じく第六波にあって、都立、公社病院で、がんなどのコロナ以外の疾患で治療が必要な患者や緊急に治療が必要な患者については、各病院での対応はいかがでしたでしょうか。地域医療機関との連携を図りながら、医師会、開業医等と、軽症、中等症、重症患者の受入れの役割分担をいかにされ、通常医療の負荷を下げて、コロナ以外の医療を必要としている患者に必要な医療を提供できていたのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第六波でも、都立、公社病院で、がんなどのコロナ以外の疾患で治療が必要な患者や、脳卒中、心臓病など、緊急に治療が必要な患者については、各病院で治療を行っております。
 一方、他の医療機関での治療が可能な場合には、患者に丁寧に説明した上で、地域医療機関や患者の希望する病院などに転院をお願いしております。
 コロナ患者の入院につきましては、福祉保健局の入院調整本部からの入院依頼に対して、各病院の特性に応じて患者を受け入れております。

○上田委員 では、都立病院での児童のいる家族感染、子供の感染対応の実例について、具体的状況と今後への課題を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第六波でも、都立病院では、親及び未就学児が共にコロナ感染した際には、別々の病院に入院することに不安を抱えるご家族に配慮し、小児総合医療センター等において親子で同じ部屋に受け入れるなど、安心してコロナの治療を受けていただける環境を提供しております。
 さらに、小児総合医療センターでは、令和四年一月に四十八床から七十四床にコロナ病床を拡大し、受入れ体制を強化しております。
 民間では受け入れる医療機関が少ないため、都立、公社病院で積極的に対応をしております。

○上田委員 重要なことですね。民間では受け入れる医療機関が少ないため、都立、公社で積極的に対応できたということであります。これが、私は自治体医療の原点だというふうに思っております。
 また、六波の人員派遣及び受入れ体制について、都立、公社病院のドクターたち、医療従事者の状況を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、これまで宿泊療養施設における健康観察を担う医師、看護師等を派遣しており、現在も医師一名がリモートによる健康観察を実施しております。
 臨時の医療施設につきましては、独立行政法人国立病院機構等から、都立、公社病院に医師、薬剤師、看護師が、これまで実員で計二十八名派遣されており、現在六名が派遣されております。

○上田委員 医療人材の質と量がいかに大事かということを確認いたしました。
 二〇二〇年十月一日に東京iCDCが立ち上がって以降、合計四波のコロナ禍に見舞われました。
 本部としては、東京iCDCに、都立、公社病院のコロナ後遺症相談窓口のデータを提供し、コロナ後遺症に関するリーフレットの作成に貢献したとし、また、都立、公社病院では、モニタリング会議から発信された情報等を活用しつつ、都内の最新の感染動向に応じた病床の確保を実施したということでありますが、これまでのiCDCとの連携による取組と成果はあったのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京iCDCが病院や高齢者施設等での感染拡大を防止するため設置した感染対策支援チームへ都立病院の医療従事者を派遣するなど、東京iCDCと連携して、これら施設のゾーニング等に取り組み、感染拡大の防止に貢献しております。

○上田委員 iCDC、どちらかというと、都立、公社病院の方が貢献をしたということが分かりました。
 独法化です。東京新聞の二月二十四日の記事では、都側は職員向けに相談会などを十六回行い、約二百人の参加を得たと報道されておりました。
 相談会の形態、正式名称と主催した部署と責任者をつまびらかにしてください。また、十六回開催の日時、時間、場所も知りたいです。職員はみんなコロナ対応で忙殺されている中、相談会案内はどのような形で行ったのでしょうか。職員の勤務中や勤務外で行ったのか、説明会参加者には手当等を加味されたのか、職員身分変更についてはどのように説明したのか、説明会で使った資料は誰が作成して、どのようなものであったのか等、時系列でつまびらかに説明をしてください。

○谷田経営企画部長 職員課が主催した個別相談会は、これまで職員に説明を行ってきた中で分からないことや疑問のある職員に対して、その理解を深めてもらうように行ったものであり、本年一月十二日から二月四日の間、全都立病院において二回ずつ実施しております。
 案内は、各病院と日程調整の上、病院の事務局に院内周知を依頼いたしました。初回の大塚病院では現地での説明会と併せて実施いたしましたが、その後の感染状況を踏まえ、以降十五回はオンライン形式の相談会といたしました。実施時間は、時間内に各回一時間から二時間程度でございました。参加者に対し、特段の手当等の支給は行っておりません。
 身分移行については、これまで職員に提示している制度案で説明をしてきたほか、上司との面談の場などでも説明をしてきたところでございます。
 また、職員課が作成した今回の説明会資料では、給与や勤務時間等のポイントを短時間で理解できるよう、まとめ直したものとしたところでございます。

○上田委員 参加人数なんですが、いつの時点で記者に答えた数字なのか不明なことから、二百人は延べ人数か、個々の参加者なのか、正確な参加人数をご報告ください。

○谷田経営企画部長 参加者約二百名は実人数でございますが、入退室自由としていたこともございまして、正確な人数は把握してございません。

○上田委員 把握していないことを把握しました。
 六千八百人近くの公務員の身分移行が対象と思われるんですけれども、この時点で二百人の職種別の参加者を示していただきたいと思います。二百人ということは、正確な人数ではないようですけれども、果たして多いのか少ないのか、これらをもって全体への説明をしたとするのか、本部はどのように総括しているのか、所見を伺います。

○谷田経営企画部長 二百名と申し上げておりますが、これまで説明をしてきた中で分からないことについて説明をしてきたということでございますが、職種別の正確な内訳を示すことは難しいんですけれども、看護師やコメディカルの参加が多く、医師は少ない傾向でございました。
 今回の相談会は、これまで職員に説明を行ってきた中で分からないこと、疑問のある職員に対して、その理解を深めてもらうように行ったものでございまして、身分移行の件だけを対象としたものではございませんが、質問や意見を有する相談者一人一人に丁寧に対応し、それぞれの理解、納得を得たものと認識しております。
 なお、職員への説明は、本相談会に限らず、これまでの説明資料、Q&Aの公開などを通じて行ってきたものでございまして、引き続き職員の理解が深まるよう、丁寧に説明を行ってまいります。

○上田委員 これまでも丁寧にやったということですが、少なくとも二百人とする参加者の反応はどうだったのでしょうか。最終的な判断などを確認されましたか。身分移行を了解ないし同意したと本部は理解しているのかしていないのか伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 相談会等の参加者は、これまで説明してきた制度案の内容を一定程度理解した上で参加しており、その上で自身の勤務条件の不明な点の確認などを行う職員が多く、参加後は、疑問が解決したことや不安が軽減されたことに対する感謝の意が示されたなどがございました。
 今回の相談会等は、これまで職員に説明を行ってきた中で分からないこと、疑問のある職員に対して、その理解を深めてもらうよう行ったものでございまして、移行についての質問や相談があった場合は丁寧に説明することで、それぞれの相談者の理解、納得は得られたものと認識しております。

○上田委員 では、手続論です。改めまして、職員移行や職員同意はどのような手続に即して行われているのか、確認させてください。

○谷田経営企画部長 地方独立行政法人法第五十九条第二項の規定に基づきまして、都立病院の職員は、自動的に法人の職員に引き継がれるものでございます。

○上田委員 相談会ですけど、理解、納得が得られたものと認識されているということですが、三年前の松沢病院では、一応十六時半から、集合、対面の説明会があったそうです。しかしながら、看護師職場では、その時間帯では十六時に夜勤者との引継ぎがある等で行けなくて、五時半に行ったときには終了していたとのことです。
 その後、コロナとなったため、説明会はリモートになったようですが、これは資料はサイボウズで見ることになっているようですが、これ、ログインできるパソコンは限られており、特にコロナ禍前でも後でも忙しい看護職現場はなかなか見ることができないし、事務職員でさえも印刷すると膨大なページになると思料し、どう考えても全体に伝わっていたとは考え難いです。重大な身分変更の案件に、あまりにも不誠実な対応と思います。
 都民に対して新聞や都の広報に掲載していますが、都として情報提供した、見ていないのは職員、都民でしょうという口実づくりのそしりを免れない不誠実な対応、判断と考えます。
 六千八百人の職員に対し、参加者、まあ把握はしていないんですが、二百人でよしとする本部の判断基準をちょっと伺いたいと思います。都の所見を伺います。

○谷田経営企画部長 令和二年八月以降、職員に説明してきた人事給与制度案は、都立病院の常勤職員約七千人のうち約六千人が確認しておりまして、寄せられた九百件を超える質問や意見にも丁寧に対応してきたところでございます。
 今回の相談会等は、これまで職員に説明を行ってきた中で分からないことや疑問のある職員に対して、その理解がより深まるよう実施したものでございます。
 また、資料につきましては、適宜、紙資料の配布により閲覧してもらっているほか、今回作成した説明資料は、多忙な職員向けに制度のポイントを短時間で解説する音声付資料とするなど、工夫を行っているところでございます。

○上田委員 小池知事は、年末の忙しい中、おととしになりますけれども、子供たちに医療従事者に感謝をとか、ワンチームでといっているんですけれども、ちょっと伺っている話では、本当に都立、公社病院の医療従事者の皆さんは、ワンチームでこの独法化に向けて動いているとはとても思えないなというふうに思っております。
 さて、地方独立行政法人法五十九条の、別に辞令がない限り新法人の職員となるという規定のとおりということなんですが、その場合、地方公務員法二十七条、二十八条等で、意に反して免職できないという規定とどう整合するのかにつき、示してください。

○谷田経営企画部長 法人への身分移行は、地方独立行政法人法第五十九条第二項の規定により、法人に職員を引き継ぐものでございまして、これは地方公務員法による分限免職や懲戒免職とは異なるものでございます。

○上田委員 となりますと、地公法二十九条の二の適用除外という解釈なのでしょうか。法的争点が残る地方公務員身分移行の課題を、本人の同意、あるいはその公開性、公平性、不利益変更がないという担保も強く進められる事案と都は考えているのか、所見を伺います。

○谷田経営企画部長 地方公務員法第二十九条の二の規定は、条件付採用期間中の職員及び臨時的任用職員に係る分限処分に関する規定でございますが、法人への身分移行は地方独立行政法人法第五十九条第二項の規定により、法人に職員を引き継ぐものでございます。
 移行する職員の同意は法律上不要でございますが、移行後の職員の勤務条件について、職員団体との間で意見交換を重ねているところでございます。
 法人で働く職員が安心して働き続けられる勤務環境の整備に向け、引き続き制度構築を進めてまいります。

○上田委員 勤務条件、環境、重要なところでございます。
 「週刊女性」で、病院経営本部の担当課長がインタビューで、看護師の昇給は十一年目からどうなるかということに関し、独法の人事賃金制度は働きがいがある制度にする、職員団体と協議中なので中身はいえないとお答えになっています。
 職員団体と協議中ということは、人事賃金制度等の中身は職員組合との交渉事項という理解でよろしいでしょうか。そうであるのであれば、交渉事項であるならば、その日時、双方の参加者をご報告ください。

○谷田経営企画部長 現在行っている職員団体との意見交換は、地方公務員法に定める交渉ではないと認識しております。

○上田委員 交渉事項ではないとしたら、職員への説明という趣旨の異なる職員協議ということでございましょうか。

○谷田経営企画部長 法人への移行準備として、設立前に関係者が事実上の話合いを行うことは、法人の円滑な運営開始のために有用であることから、現在、職員団体との意見交換を重ねているところでございます。
 また、国会における地方独立行政法人法案の附帯決議におきましても、職員の労働条件について、関係職員団体と十分な意思疎通を図るものとされており、その趣旨も踏まえながら対応をしております。

○上田委員 となりますと、先ほどの相談会に二百人という記事と職員協議とどちらが優先されるのでしょうか。身分問題は説明会、人事給与制度は組合協議という分担なのでしょうか。それとも、両項目とも組合交渉が優先なのでしょうか。それとも、個々の説明会参加者の判断が優先なのでしょうか。
 これらの相談会、説明会、協議について、おのおのの説明とその優先順位とそれぞれの役割について、都の所見と説明を求めます。

○谷田経営企画部長 職員への対応と職員団体への対応は優劣をつけることではなく、両者の意見を踏まえながら制度を構築するとともに、いずれに対しましても丁寧な説明を行い、理解、納得を得ていくことが重要であると認識しております。

○上田委員 担当課長は、独法の人事賃金制度を働きがいがある制度にするとお答えになっていますが、職員のモチベーション堅持、退職者防止のためにも大変重要な視点だと思います。
 その制度の中身について、今議案である都立病院条例の廃止審議等に関わることなので、明らかにしていただきたいと思います。また、職員の働きがいのある制度とは、給与、待遇面では具体的にどのようになるのか、ご説明をお願いします。

○谷田経営企画部長 法人の人事給与制度の構築に当たりましては、職員が働きやすさや働きがいを感じ、安心して働き続けられる環境整備が重要でございます。
 具体的には、例えば、職員の持つ専門的知識、能力や業績をきめ細かく評価に反映する仕組みや、専門性に着目した手当の創設、職員のニーズに合わせた柔軟な勤務制度などの検討を行っております。
 こうした内容につきまして、職員に丁寧に説明を行っているところでございます。

○上田委員 今年の二月十六日付の病院支部が発行する支部ニュースによりますと、病院支部は、衛生局支部と共に一月二十五日に提出した再度の解明要求について、八日、経営本部からの回答を受け取ったと。一番の焦点になっている十年間の経過措置について、新法人において、都から移行する職員に関する措置として規定するとの回答でしたとありますが、給与面は新法人の策定事項だから、都としては策定できないと読めなくもありせん。これは同時に、都議会での審議事項にも当たらないともなりますまいか。
 明治以降、都民の健康を支えてきた都立病院の大きな転換期に当たって、しかもコロナ禍に強引に進める独法化に当たり、いかにも説明不足、説明責任の放棄といわれても仕方がないのではないでしょうか。審議事項の前提についての本部の所見も伺います。

○谷田経営企画部長 職員の給与面等、労働条件については、国会における地方独立行政法人法案の附帯決議において、関係職員団体と十分な意思疎通を図るものとされており、その趣旨を踏まえながら対応しております。
 現在、法人への移行準備として、職員団体との間で意見交換を行っているところでございまして、引き続き丁寧に説明をしてまいります。

○上田委員 くしくも独法化された病院をめぐって、二月、三月と、大津市民病院、各委員からも指摘がありましたけれども、パワハラによる大量退職ではないかということや、国立病院機構の中では、盗撮があったなかったということで、いろいろもめていることが報じられております。
 独法化されたことで業績評価を競うことが、同時にパワハラ、セクハラの温床になっているのではないかという事実が起きているのではないかと思料します。従前、私も健康長寿医療センターの植え込み型心臓手術で何名か亡くなったこと、また、独善的な理事長の運営について指摘させていただいたこともあります。
 新たに発生した大津市民病院の事案とこれまでの私の疑義、質疑も踏まえて、いかにしてあらゆるハラスメント及びその温床となる独善的な運営、独善的なトップの暴走を阻むことができるのか、所見を伺います。

○船尾計画調整担当部長 法人が適正な業務運営を確立し、理事長をはじめ全役職員が法令等を遵守していくことは重要であることから、中期計画案にコンプライアンスの推進を事項として掲げており、法人として内部統制の仕組みを構築するとともに、必要な規定等を整備し、適正な業務運営を行っていくこととしております。

○上田委員 そもそも理事長の人選はどのように決めて進めるのか、手順につき説明してください。また、理事長を解任できる手続についても伺います。

○船尾計画調整担当部長 法人の理事長は、法令上、高度な知識及び経験を有する者のほか、法人を適正かつ効率的に運営することができる者のうちから知事が任命することとされております。
 また、役員の解任につきましては、法令や定款において、職務上の義務違反等がある場合について規定をされております。

○上田委員 じゃあ、解任規定は定款十二条と理解していいのでしょうか。知事しか解任できないということでしょうか。そうでないなら、具体的に解任する方法またはどのような手順なのか、ご説明ください。

○船尾計画調整担当部長 理事長の解任につきましては、定款第十二条に規定しておりまして、知事が解任することになります。

○上田委員 知事の任命と解任が、私はすごく不安なんですね。野田数特別秘書、今は東京水道の社長に任命、そして澤章さん、これは退陣に追い込まれてしまっていて、非常に危機感を持ちました。
 理事長が解任に至るというケースの責任の所在はどこにあるのか、任命した知事に責任があるという理解で間違いはありませんか。

○船尾計画調整担当部長 法令上、理事長は法人を代表し、その業務を総理することとされており、理事長が法人運営の責任を有するものと認識しております。

○上田委員 ちょっと、日本語なんだけど、分からないような分かるような。まあ結局知事が解任するんでしょうから、知事に責任はあるというふうに解釈します。
 手順について伺いましたが、既に七月に予定されているようですから、具体的に理事長は誰を候補に挙げているのか、決まっていない方がおかしいと思いますが、現状についてご説明ください。その際、理事長選任については、何らか都側の審議が必要と思料しますが、所見を伺います。

○船尾計画調整担当部長 理事長は、トップとしてのリーダーシップのほか、公的病院の役割を理解していること、地域ニーズを酌み取り行政的医療をはじめとする医療提供体制に迅速に反映できることなどの様々な要素を総合的に勘案しながら選定し、知事が任命することになります。

○上田委員 知事の任命ということです。
 読売新聞の昨年末の記事によりますと、国際ハッカー集団が都立病院を照準にし、身代金を引換えにして、実際二病院、墨東、松沢を標的にして、職員アドレスがチャットに大量掲載された事実が明らかになりました。二〇一六年以降、判明しただけでも国内で十一件の事件になっております。
 病院を統合する独法化により、新法人設立は、こうしたサイバー攻撃という危険性と隣り合わせが予測されます。現在の都立病院での在り方を、なぜこうした危険性の加速を意識しながら変更を急がなければならないのでしょうか。
 しかも、つい先日、トヨタの関連会社も同様にサイバー攻撃で業務停止する状況に見舞われる中、都庁もウクライナカラーで照らしていますけれども、サイバーテロの攻撃にならないのか、本当に危惧するわけです。
 コロナの終息が見えず、現場は混乱している中、独法化や手続システムが変わっていくのは大変な負荷となり、疲労などで注意力も落ちますことから、悪意のないミスも発生するわけで、どのような対策を講じて入院患者と都民の健康を守り抜くのか、七月前と後に分けて具体的に説明してください。

○西川サービス推進部長 これまで、都立病院におきましては、サイバー攻撃に対する人的な対策として、職員に対する研修や訓練を行っており、誤って危険なサイトにアクセスした場合の対処法などについて理解を深めてきております。
 新たな都立病院におきましても、こうした対策を継続して実施してまいります。

○上田委員 日経新聞の十二月の記事では、民間扱いの公社病院から都立病院に長期派遣するには、公務員になってもらう必要があります、二〇二〇年末、都保健医療公社理事長は都の説明に耳を疑った、都が整備したコロナ専門病院に、公社の豊島病院から感染症専門医を三か月間派遣しようとしたところ、公務員でなければ受け入れられないという、理事長は退職金やボーナスの算定で不利にならないかを確認した上で、やむを得ず三か月限定で公務員になってもらったと振り返るということを取り上げていました。
 現在の都立病院条例や地方公営企業法の下でも、コロナ対応をめぐり、専門医療施設が都立病院を準拠としているために、公社病院からの公務員派遣を含め柔軟な対応が行われてきたにもかかわらず、都は、地公法、公務員では限界があると繰り返し説明されてきました。
 都立病院条例の廃止を行う合理的な理由とはにわかに考え難いですが、柔軟な対応と限界のそごについての説明を求めます。

○船尾計画調整担当部長 コロナ対応におきましては、専用医療施設の開設など、感染状況に応じてコロナ病床を確保してきたところでございます。
 こうした中、例えば会計年度任用職員である医師の勤務日数を状況に応じて柔軟に増やすことが任用制度上の制約により困難であった事例があり、柔軟な人材の確保等に課題がございました。

○上田委員 事例の一つだったということを確認いたしました。
 今年度三月末時点での勧奨退職、定年退職、一般退職の数ですが、見込みですが、勧奨退職が四十六、定年退職九十一、一般退職が五百七人の見込みです。過去十年の推移と比較して多いのでしょうか、傾向を分析してご説明ください。

○谷田経営企画部長 令和三年度の退職者数の見込みは六百四十四名で、職員の退職は定年退職のほか、家事都合や転職、病気療養など様々な理由により、年度によって増減が生じますが、過去十年で六百人を超える退職は四回目でございます。

○上田委員 ちょっと多いということです。
 公務員でなくなる予定の医師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、薬剤師、理学療法士、作業療法士の内訳をご報告ください。

○谷田経営企画部長 医師は百八十四人、看護師は三百八十二人であり、医師、看護師以外の職種は四十四人でございます。

○上田委員 言語聴覚士や心理療法士、保育士等、公務員のままで福祉現場に異動となることもあると仄聞しておりますが、そのような方々の待遇についてもご説明ください。

○谷田経営企画部長 法人への派遣終了後に、都の職場へ配置することを想定しております。

○上田委員 例えば栄養士は、勤務先が学校職場しかなく、職務内容が全く違ってくると思うんです。病院では一般食に加えて、腎臓病食や糖尿病食の病人食、または患者さんの嚥下機能に合わせた食事提供など、かなりの知識と想像力が必要で、入院患者さんの一番の楽しみとして工夫と努力を重ねています。そういうことから、やっぱり身分が変わることに対するお悩みも出ているのではないかというふうに思っております。
 また、精神保健福祉士は、松沢病院では担当患者との信頼関係も築かれており、さっき松沢のこともるる確認して、ご対応しているじゃないですか。そうして異動になった場合、患者が不安定にならないかも私個人は危惧するものであります。
 職員も患者も意思のある人間で、机上の想定ではなかなかいかないということは、心理職員も同様だということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、独法化に伴う公の施設としての位置づけについて確認させてください。
 独法化に伴って、入院、通院患者に不利益が及ぶことはありませんか。仮に不利益が生じたときには、どのような不服申立てや救済措置が想定されますか。地方自治法二百四十四条各項に抵触することにはならないのか、ご説明をお願いいたします。

○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人法では、法人の施設の設置及び管理は、地方自治法第二百四十四条第二項及び第三項の規定を準用することとされておりまして、独法化に伴って入院、外来患者に不利益が及ぶことはございません。

○上田委員 過日、三・一一から十一年となりました。災害医療について、東日本大震災で、都立病院の経験として、福島第一原発後の六日後の三月十八日、松沢病院では、南相馬市にある二百床の精神科病院から依頼を受け、五十八名の患者さんを受け入れました。
 大型バス数台で到着した患者さんは、ストレッチャーや車椅子で、統合失調症以外に認知症の方も多く、ご家族が遠く東京に転院することを了解された方々でした。一人一人の患者さんに受持ち看護師を一名配置、診療放射線技師が放射線量をチェックし、薬剤師が薬を預かり、診察、入院時の検査、精神保健福祉士が患者の周辺情報を把握し、昼前には五十八名全ての患者さんはあらかじめ決められた病棟に入院できたといいます。昼食も、事前に得ていた一人一人の患者さんに合わせて準備されたといいます。
 通常診療や入院患者さんの看護等を行いながら滞りなく完了できたのは、院長を筆頭に、全幹部や責任者、事務職が総出で準備してきたからではないでしょうか。このときほど都立病院に誇りを持たれたことは、職員、そして本部の皆さんもなかったのではないでしょうか。
 また、震災後、すぐにこころのケアチームを派遣し、二年にわたって陸前高田に派遣されてきた実績もあります。こうした取組も、人材的にも財政的にも、また経験値もあって、人材もあった、余力があった自治体病院の使命との認識からだと思います。阪神大震災でも、墨東や広尾からも医師が派遣されていたはずでございます。
 何度も申し上げますが、自治体病院というのは、中低所得の住民に安価に医療を提供する目的として設立されてきた歴史があります。知恵とお金を出し合い、地域や職場というつながりで、万一病気になったときに低負担で医療サービスを受ける、相互の信用と社会連帯を基盤とし、貧しい人にも医療を提供することを目指し、平等を意識した世界に類を見ない日本の医療制度の礎だと、本当に高く、私も評価してまいった次第でございます。
 また、自治体医療が充実しているその自治体は、やっぱり罹患率も低いと。このコロナ禍に当たってはまさに重要で、決して小池都政のパフォーマンスのために、この医療の歴史と文化と礎を壊されてはなりません。
 コロナ対策と通常医療に今は専念すべきであり、拙速な独法化に疑義を強く唱え、反対をすることを申し上げ、私の質疑を終わります。
 以上です。

○小松委員 私からは、サイバーセキュリティについて伺いたいと思います。
 先日の予算特別委員会におきましても、東京都全体のサイバーセキュリティ対策について質問させていただいたところであります。本日は、都立、公社病院におけるサイバーセキュリティ対策について、二、三伺いたいと思います。
 いうまでもありませんが、病院の医療を支えるシステムは社会的インフラという側面を持っています。一日たりともこの稼働を止めることは許されないわけであります。そのためには、システムをしっかりと構築するということはもちろん、サイバーセキュリティ対策の取組が重要です。
 このセキュリティに関して、医療機関を取り巻く環境は厳しさが増していると思います。先日も新聞報道にもありましたが、昨年の十月、徳島県の病院がサイバー攻撃を受けて、ランサムウエアに感染して、電子カルテシステムが利用できなくなる、そのことによって新規の患者が受け入れられなくなる、こういった診療に大きな影響が出たというふうな報道もありました。
 行政的医療を提供する都立、公社病院において、そのような事態が起こることがないよう、ハード面、人的な面、また体制面など、総合的な対策を実施することが肝要と考えますが、まずは、都立、公社病院におけるサイバーセキュリティ対策について、具体的な取組を伺います。

○西川サービス推進部長 都立、公社病院におきましては、患者さんに安心・安全で質の高い医療を継続して提供するため、様々なサイバーセキュリティ対策を実施しております。
 具体的には、まず、ハード面の対策といたしまして、病院の基幹システムである電子カルテシステムにつきまして、インターネット環境から分離するほか、端末へウイルス対策ソフトを導入するなど、技術的な防御策を実施しております。
 また、人的な面の対策といたしましては、セキュリティ研修や標的型メール訓練などを実施して職員の意識向上を図るとともに、手順どおりのシステム運用が行われているか、あるいは緊急時の対応フローが十分に整備されているかなどにつきまして、システムの管理者や利用者に対する点検を定期的に行っております。
 さらに、体制面の対策といたしましては、重大なセキュリティインシデントが発生したときには、都庁全体のセキュリティを統括する東京都CSIRTや警視庁サイバー攻撃対策センターと連携して迅速に対応できるよう、二十四時間連絡可能な体制を整備しております。

○小松委員 今、都立、公社病院における様々な対策についての確認ができたところであります。
 ただ、私からいうまでもありませんが、どこまでいっても完璧な対策というのはありません。そのためにできることを存分にやっていくと、ここにかかってくるコストというのも大変大きなものになるわけであります。
 日々、高度化、多様化するサイバー攻撃に備えるために、多額のセキュリティ対策費用というものが必要になり、実際、二〇二一年からの五年間で、グーグルであれば一兆円、マイクロソフトであれば二兆円を投資する、そうした計画があるという報道も先日あったところであります。実際に、じゃあ都立、公社病院でこういった対策ができるのかといったら、現実的ではないと思います。
 そこで、サイバーセキュリティに関するコストについて確認したいのですが、都立、公社病院においても必要なサイバーセキュリティ対策を講じるために、今後多額のコストも必要になると思われるんですが、こうした状況にはどのように対応するのか伺います。

○西川サービス推進部長 サイバー攻撃から病院のシステムを守り、安定的に稼働させるためには、システムを構成するサーバーやネットワーク機器及びソフトウエア等につきまして、最新のセキュリティ機能を採用することが重要でございます。
 そのため、都立、公社病院では、サイバー攻撃やセキュリティ技術の動向、システムの更新時期などを踏まえながら必要な投資を行い、最新のセキュリティ機能を持つ製品の導入に努めてまいりました。
 今後、サイバー攻撃が一層巧妙化、複雑化することに伴い、それを防御するための技術もより高度なものが求められますことから、セキュリティ対策にかかるコストも増加するものと考えております。
 病院経営本部といたしましては、都立、公社病院のスケールメリットを生かしたコストダウンや費用対効果の高い製品を導入するなど、コストの増大をできるだけ抑制しながら、必要なセキュリティ対策は着実に実施してまいります。

○小松委員 ご認識のとおり、今後必要となる対策に要するコストの増加、これは避けて通ることはできないものだと思います。必要な対策というのは、しっかりと実施していただかなくてはなりません。一方で、必要だからといって無尽蔵にコストを費やしていけるということでもないというふうに思います。
 こうした中で、効果的な投資を行っていくためには、システムをはじめとするデジタルに関連する経費の見える化というものが重要だと思います。このことを、まず一番今日伝えたいというふうに思っています。こうした経費の総額や内訳を把握することで、新法人の効率的な経営にも役立つのではないかなと思うからであります。
 そこで、都立、公社病院が独立行政法人へ移行した後、デジタル関連経費の見える化を進めていくべきと考えます。先日の予算特別委員会でも、都政全体でのお話をさせていただきましたけれども、本日は、病院経営本部さんの見解を伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 新法人、新たな都立病院におきまして、システムやネットワーク、AIを活用した医療機器など、デジタルに関連した経費を可視化することは、効果的な投資や経営管理を進めていく上で重要と認識しております。
 例えば、病院ごとにデジタル化の費用対効果を把握し、時系列で分析することで、法人の経営管理に活用していくことが考えられます。
 今後、デジタルサービス局の取組も参考にしながら、新法人におけるデジタル関連経費の可視化の具体的な内容について検討してまいります。

○小松委員 当然のことながら、これからも都立、公社病院の医療サービスの向上というのを目指していくんだと思います。その中の多くは、デジタル化とやはり連なるものであるというふうに思います。
 となると、こうした攻撃にさらされるリスクというのも上がってくるわけでございまして、健全な対策、また適正な対策というものがどういったものかということをコストの面からもしっかりと見極めていけるように、可視化についても全庁を挙げて取り組むのと併せて、病院経営本部、次の機能になっていくのかもしれませんが、こうしたことを要望させていただきたいと思います。
 最後になりますが、都立広尾病院では、今後、島しょの医療機関から画像伝送システムを通じて送られてくるレントゲン写真などを専門医が読影されて、島しょの医師に対して助言するなどの診療支援を行っております。
 今年度、病院経営本部では、5Gを活用し島しょ地域への遠隔医療の実証実験を進めており、具体的には、エコー検査の動画などをリアルタイムで八丈島から広尾病院へ伝送すると聞いています。
 こうした取組は非常に有効なものだと思いますが、5Gを活用した島しょ医療への支援については、平常時だけではなく、例えば島しょ部の中で、以前から指摘もありますけれども、南海トラフ地震などの大規模な災害の発生する場合、こうした災害時にもしっかりと機能するのかどうか、機能させるために必要なことは何なのか、こうしたことをぜひ視野に入れておくということが必要だというふうに考えます。
 例えば、災害によって同時多発的に多くの方がけがをされた場合、医療資源が限られている島しょ部では、例えば誰を優先して都立病院へ搬送しなければならないのか、こうしたトリアージに5Gを活用できることもあるのではないかと考えます。
 八丈島で実施する遠隔医療の実証実験について伺うとともに、災害時も想定した内容も加えるべきと考えますが、この点について併せて見解を伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院では、島しょへの遠隔医療の実装に向けて取組を進めておりまして、本年一月に八丈島に5Gの基地局が設置されましたことから、八丈町のご協力の下、今月の二十四日、二十五日の予定で、広尾病院への画像の送信実験を実施いたします。
 具体的には、町の体育館をお借りいたしまして、町立八丈病院の医師に模擬患者のエコー動画を撮影していただき、同時に広尾病院の医師が伝送された映像の画質や速度などを確認いたします。
 また、令和四年度は、場所を体育館から町立八丈病院へと移しまして、医師、看護師、放射線技師も参加する、より実践的な取組を進めていく予定でございます。その際、災害時の救急医療における5Gの活用についても検討してまいります。

○小松委員 災害時の救急医療における5Gの活用についても検討というご答弁をいただきました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 先日の予算特別委員会の中で、これは病院経営本部ではなく総務局さんの方に質問しましたけれど、災害時の通信確保ということを既に東京都の中でも全庁的に、また国とも連携しながら取り組んでいるということは確認できているんですが、以前、昨年の秋ぐらいになるんだろうと思いますけど、例えばテレビでやっていたんですけど、静岡県、また清水市で−−やはりあそこの地域というのは南海トラフ地震の大規模な被害が想定されるという中で、動画配信の実証実験、やられていたんです。基本的には、理論値的には十分動画がスムーズに伝送されるはずだったのに、実際にはそうじゃなかったり、必要な画像の画質に圧倒的に足らなかったり、そうしたこともあったそうでございますので、やはり平常時のときにそうしたことも想定しながら、また、こうした新たな実証実験の成果をさらに上げていただきたいなということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

○かまた委員 それでは、私からは、不妊治療についてお伺いをいたします。
 国では、公明党が長年取り組んできました不妊治療の保険適用拡大が、いよいよこの四月より開始されることとなりました。
 都議会公明党は、これまで都に対しまして、都立、公社病院が不妊治療に取り組むよう何度も求めてまいりました。そして、さきの我が党の代表質問では、都立、公社病院において、四月から不妊治療の相談窓口を開設するとのことでした。不妊治療の取組の第一歩として、都民の不妊に対する様々な悩みや不安に対応していただけるすばらしいこととして、私も評価をいたしております。
 しかしながら、この保険適用に向けては様々なご意見や情報が流れておりまして、厚生労働省からは、採卵から胚移植に至るまでの一連の基本的な治療は全て保険適用され、患者の状態等に応じ追加的に実施されることが考えられる治療等のうち、先進医療に位置づけられたものについては保険診療と併用可能と発表されているものの、一部の方からは、保険適用に入らなかった治療を行う場合には保険適用の部分も含めて全てが全額自費になってしまうのかなど、正しい認識が届いていないがゆえの不安の声が寄せられております。
 そこで、治療されるお一人お一人の状況によってケースが異なることから、必要な情報が必要な方に正しく届くためにも、不妊治療に関して様々な不安を相談できる支援体制の存在を広く周知することも相談体制の整備の重要な取組の一つと考えますが、都の見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 不妊治療の相談窓口を多くの方に利用していただくためには、広く周知をすることが重要であると認識しております。
 このため、相談窓口に関する情報について、ホームページやSNSなどで広く発信するとともに、福祉保健局や区市町村など関係機関と緊密に連携しながら、多くの都民に周知を図ってまいります。

○かまた委員 不妊治療に悩みや不安を持つ多くの方々に対して、都立、公社病院の相談窓口の存在を知っていただくことは本当に重要ですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 また、さきの代表質問では、体外受精や顕微授精など新たに保険適用となる不妊治療については、果たすべき役割などを検討するとのことでしたけれども、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和四年度に本部の職員や現場の産科医等で構成するPTを設置し、都立、公社病院で取り組む不妊治療の方向性について検討していきます。
 具体的には、都民のニーズを把握するとともに、不妊治療に関わる専門家へのヒアリングや他県の状況などを調査し、民間医療機関との役割分担も踏まえながら、不妊治療の範囲を検討していきます。
 その際に必要となる専門人材や専用設備につきましては、独法化のメリットを生かしてまいります。

○かまた委員 不妊治療に対する病院経営本部の来年度の取組が分かりました。どうぞよろしくお願いいたします。都内でも不妊治療に対応できる医療機関は限られておりますので、ぜひ都立、公社病院で、新たに保険適用となった不妊治療に取り組んでいただきたいと思います。
 また、今の答弁で、必要となる専門人材や専用設備については、独法化のメリットを生かしていくとありましたけれども、どのように生かしていくのか、見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新たに保険適用となる不妊治療を実施する場合には、人材面では、生殖医療専門医、胚培養士、生殖看護認定看護師などの専門知識を有する人材の確保は必要になります。
 また、設備面では、クリーンベンチ等を配備する培養室やプライバシーに配慮した専用の外来ブースなどの整備が必要となります。
 新たな都立病院として、専門性に着目した手当の創設や新たな職の設定に加え、予算単年度主義の制約を受けない機動的な予算執行が可能となる独法化のメリットを生かしながら、不妊治療に取り組んでまいります。

○かまた委員 不妊治療の支援拡充につきましては、該当する方々から長年求められておりました待望の取組でもありますので、ぜひ独法化のメリットを生かしながら、迅速かつ的確に対応していただくことを要望して、私の質問を終わります。

○おじま委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後四時四十九分休憩

   午後五時十分開議
○おじま委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○白石委員 日本共産党の白石たみおです。都立、公社病院の独法化について質問をいたします。
 質問に先立ちまして、先日、予算特別委員会代表総括質疑で本部長が答弁されたことについて幾つか確認をしたいというふうに思います。本部長、よろしいでしょうか。
 まず、本部長は、都立、公社病院の独法化について、都民の理解と合意は得られたかと、私の質問に対して、今後とも、都民をはじめ様々な関係者の理解が進むよう、丁寧に説明していくと答弁されました。
 本部長、丁寧に説明するとの答弁は、今も変わりありませんか。本部長、いかがでしょうか。(船尾計画調整担当部長発言を求む)何で、本部長でしょう。本部長。委員長、本部長に質問しているんだから本部長を指してください。

○船尾計画調整担当部長 都民の合意を得られたのかという問いでございますが、独法化に関しましては、これまで独法化の意義や目的について広報紙やホームページなど様々な広報媒体を活用して広報に取り組んでまいりました。
 独法化の目的は、超高齢社会の本格化など医療課題がさらに深刻化していく中でも、行政的医療の安定的な提供等の役割を将来にわたって果たし続けることでございます。
 東京都立病院機構の設立に当たりましては、議会の議決を経て定款を定める必要があり、第三回定例会で議会の議決をいただき、重く受け止めているところでございます。
 こうしたことも踏まえまして、今後とも、都民をはじめ様々な関係者の理解が進むよう、丁寧に説明してまいります。

○白石委員 本部長に質問しています。丁寧に説明するというふうなことに今も変わりはありませんね。本部長、いかがでしょうか。(船尾計画調整担当部長発言を求む)本部長でしょう。何でこれが本部長じゃないのよ。

○船尾計画調整担当部長 独法化に関しましては、引き続き、都民をはじめ様々な関係者の理解がより進むよう、丁寧に説明してまいります。

○白石委員 いや、予算特別委員会で知事が立たない代わりに、ずうっと本部長が答弁していたと。何でこの委員会になったら急に立たなくなるんですか。
 本部長、丁寧に説明するということは今も変わりありませんか。本部長、いかがでしょうか。本部長です。本部長、いかがですか。(西山病院経営本部長、船尾計画調整担当部長発言を求む)はい、本部長、いかがですか。

○西山病院経営本部長 東京都立病院機構の設立に当たりまして、第三回定例会では、都民の代表である都議会におきまして定款のご議決をいただきました。このことは大変重く受け止めてございます。
 こうしたことも踏まえまして、独法化の意義、目的を、都民をはじめ様々な関係者に真摯かつ丁寧に説明してまいります。

○白石委員 いやね、今の姿勢でも、本当に許されないと思いますよ。何でこんな簡単な質問が、今度はいきなり答えられなくなるのかと厳しく追及したいと思います。
 丁寧に説明していくということは都議会にも同じですか。本部長、いかがでしょうか。本部長、いかがですか。(船尾計画調整担当部長発言を求む)本部長に聞いています。本部長に聞いています。

○船尾計画調整担当部長 これまでも、ビジョンの素案を出したときですとか、定款の議案を出したときですとか、そういったものも含めまして、本委員会の場で様々ご説明を申し上げ、議論をしてきたところでございます。
 引き続き、丁寧な説明、議論をしていきたいと考えております。

○白石委員 私、本部長に聞きました。都議会にも同じく丁寧な説明をするという認識でよろしいですか。本部長、いかがでしょうか。本部長。(船尾計画調整担当部長発言を求む)いや、部長じゃないんです。

○船尾計画調整担当部長 都議会は、都民の代表の場でございますので、引き続き丁寧に説明してまいります。

○白石委員 どこが丁寧な説明をする姿勢かと。本部長が全くこのことについても答弁しようとしないと。
 そもそも独法化について、知事や病院経営本部の説明責任のあることなんて当たり前なんですよ。しかも都民に対しては丁寧に説明する、説明するといいながら、都議会のこの質問で、説明をするんですねと確認をしても、一切立とうとしない。本当に許されないと思います。
 予算特別委員会の代表総括質疑での私の質問に、知事はほとんど答弁に立たず、さらに、政策企画局長が丁寧な説明どころか聞いたことに違うことを述べる、答弁といえるのか不明な答弁を繰り返しました。このやり方というのは議会を本当に軽視する姿勢です。しかも、今の質問でも答えられない。あり得ないと思います。断じて許されない。
 それで、質問に入っていきたいと思います。本部長、しっかりと立って、自らの答弁は自らの責任で答弁をしていただきたい。よろしいでしょうか。
 都立病院を廃止する都立・公社病院の地方独立行政法人化の中止等に関する請願、人権としての医療・介護東京実行委員会の事務局窪田光さん外四万八千四百八十一人から提出されました。昨日も署名が積み上がっていると伺っております。
 また、都立病院・公社病院を都立直営病院として継続することに関する請願、いのちと都立病院を守る国分寺の会代表の卯城公啓さん外千六百七十六人の方から請願が提出されています。
 先ほどから、私聞いていますと、独法化前提の質問が出されております。私は、都民の必要な医療を低下させる独法化は、コロナ禍でやるなんて断じて許されない、止めるために全力を尽くすことを改めて表明したいと思います。そのために、二つの請願は採択をすべきという立場から質問を行います。
 予算特別委員会の代表総括質疑で、独法化によって、都立、公社病院の統廃合など行政的医療の後退などが進む危険性について、事実をもって質問をいたしました。ところが、知事は核心となる質問には答えない。本部長はまともに質問に答えようとせず、あえて的外れな答弁を繰り返しました。
 先ほど、部長も丁寧な説明をすると。そして本部長も述べられたと。だったら、しっかりと都民を代表するこの都議会の場で、質問に対して誠実に正面から答えていただきたいと改めていっておきたいと思います。
 そこで本部長に伺います。独法化後、将来にわたり病院の統廃合はないといえるかどうか。本部長。本部長に聞いております。(船尾計画調整担当部長発言を求む)委員長、本部長に聞いております。本部長に聞いています。

○船尾計画調整担当部長 昨年の第三回定例会で新法人の定款を議決いただいており、現在、行政的医療の安定的な提供を効率的、効果的に行うことのできる独法化に関する議案をご審議いただいておりまして、準備を進めているところでございます。

○白石委員 いや、代わりに部長が出てきて、正面から答弁するのかといったら、全く的外れな答弁をすると。一体どうなっているんですか。私が聞いたのは、独法化後、将来にわたって病院の統廃合はないんですかと予算特別委員会でも聞きました。この場でも聞いております。
 改めて本部長に伺いたい。独法化後、将来にわたって病院の統廃合はないとはっきりといえるか。本部長。本部長、こちら見てください。(船尾計画調整担当部長発言を求む)本部長、手を挙げてください。

○西山病院経営本部長 予算特別委員会でご答弁申し上げましたとおり、昨年の第三回定例会で新法人の定款を議決いただきまして、現在、行政的医療の安定的な提供を効率的、効果的に行うことができる独法化に係る議案をご審議いただき、準備を進めているところでございます。

○白石委員 委員長ね、注意してください。質問に全く答えていないじゃないですか。将来にわたって統廃合はないといえるんですかと聞いています。本部長、ぜひお答えいただきたい。本部長。(船尾計画調整担当部長発言を求む)本部長に聞いているんです。今の答弁を受けて本部長に聞いております。委員長、本部長を当ててください。本部長を当てて。

○西山病院経営本部長 ただいま答弁申し上げたとおりでございます。

○白石委員 これが丁寧な説明という実態ですよ。これのどこが丁寧な説明か。将来にわたって統廃合はないのかと何度聞いても答えられない。結局、統廃合はあり得るということなんですよ。ないというんだったら、はっきりないといえばいい。だけれども、絶対口が裂けてもいえない。それはそうだと思います。
 これ、私が不安をあおっているわけじゃないんです。憶測で話しているわけでもない。根拠があるものです。統廃合や行政的医療を含む業務の廃止、民営化を含め五年ごとの定期的見直しが求められる、これが独法化の法律です。皆さんだってご存じだと思う。理解していると思います。だからいえないんです。今と変わらないなんていうことじゃないんです。五年ごとの中期目標の期間ごとの見直しで、明確に統廃合などが位置づけられるんです。これが独法法です。
 そして、その方向に引っ張る発言が既に独法化前からされております。予算特別委員会でも紹介をいたしました。先月に開かれた独立行政法人評価委員会の都立病院分科会では、評価委員から、病床機能の見直しとか、急性期病床などの適正化とか、再編統合とか避けられないと、このように評価委員が発言をされています。この発言、知事が知っているかを予特で尋ねました。これほどシンプルな質問にも知事は答えない。
 そして、何と質問が進んでから突然、病院経営本部長、中期目標に民営化、統廃合は入っていないと、またもや的外れの答弁をここでも本部長はされました。それを聞きたい、本部長に伺いたいと思います。よろしいですか、本部長。この委員の病床機能の見直しとか、急性期病床などの適正化とか、再編統合は避けられないという発言は、間違いだということですか。本部長、私は本部長に聞いております。(船尾計画調整担当部長発言を求む)本部長に聞いています。委員長、本部長に私は聞いています。

○船尾計画調整担当部長 お話の評価委員会の委員のお話でございますが、評価委員会の中では、議論の過程で多様なご意見をいただいているところでございますが、評価委員会の意見聴取を経て作成した中期目標案には、再編統合は入ってございません。

○白石委員 私は本部長に、この委員の発言、病床機能の見直し、急性期病床などの適正化、再編統合は避けられない、いいですか、再編統合は避けられないという発言は、これは間違いなんですかと私聞いているんです。本部長、いかがですか。本部長に聞いています。本部長に聞いています。

○船尾計画調整担当部長 評価委員会の中では、議論の過程で多様なご意見をいただいているところでございます。

○白石委員 間違いだといえないんです。それもそのはずなんです。そもそも、先ほど部長が中期目標には入っていない、統廃合も入っていないといっておりました。中期目標の期間というのは五年間なんです。五年過ぎた後のことは、初めの中期目標にどう書いても保障されるなんてことは全くないんです。
 五年たつと廃止や民営化を含めた定期的見直しが求められる、それが独法の制度なんです。それを知っておきながら説明をしない。あたかも中期目標には入っていないから、今後も将来にわたってないかのような印象で答弁をすると。全く私許されないと思います。
 改めて伺いたい。五年以降も将来にわたって統廃合はないと。本部長。本部長は制度を理解しているはずです。この中期目標の一期目の五年以降ですよ、それ以降も統廃合はないとちゃんといえるかどうか。(船尾計画調整担当部長発言を求む)いや、本部長に私聞いているんです。本部長、本部長に聞いています。

○船尾計画調整担当部長 中期目標の五年ごとの見直しでございますけれども、これは法三十条に基づいて内容を検討するものでございますが、この条文の規定は、中期目標期間の終了時までに設立団体の長が評価委員会の意見を聞いて、地方独立行政法人の組織、業務の検討を行い、必要があれば業務の廃止、移管などを行うものを定めるものでございますが、この三十条の規定は、廃止、民営化のみを前提とした見直しを行うという趣旨ではございませんで、この趣旨につきましては、法人がPDCAサイクルを有効に機能させる観点から規定されているものでございます。

○白石委員 何で本部長、答えられないんですか。これが、丁寧な説明をすると繰り返し答弁しますけれども、実際にはされないと。五年ごとに中期目標は見直されるんです。三十条に位置づいているんです。皆さんだって逐条解説読んでいるでしょう。そのPDCAサイクルの中に、しっかりと統廃合、民営化、それから行政的医療も含む業務の廃止というのは位置づけられるんです。それが独法法なんです。本当許されないと。
 しかも、今、部長は立ってきて、評価委員会の意見を聞くと、これははっきり述べられました。じゃあその評価委員会、先ほどいいました、統廃合は避けられないといっているんです。
 東京都地方独立行政法人の中期目標の策定に関する指針では、中期目標の策定や変更に当たっては、独法法三十条の第一項に定める業務及び組織全般の見直し−−つまりこれは、行政的医療を含む廃止や民営化、統廃合なども含めた見直しのことです。この見直しの検討結果を反映させると書いてあるんです、東京都の指針に書いてあるんです。そして、この検討結果には評価委員会の意見も含むことが明記をされているんです。
 評価委員会の位置づけというのは、次期中期目標の策定時の重要な意見となるんです。その評価委員が、独法化前から病床機能の見直しとか、急性期病床などの適正化とか、再編統合は避けられない、その指標は非常に重要になると、今後の指標を、重要な指標を述べたことは、これは重大なことなんです。
 評価委員会の発言の重みを分かっておきながら、多様な意見の一つでしたとわざと過小評価をする、これこそ都民を欺く答弁だと、これは厳しく指摘したいと思います。丁寧な説明をするんだったら(西山病院経営本部長発言を求む)今さら手を挙げないでください。後で機会ありますから、そのとき挙げてください、質問しますから。独法化した全国の病院で廃止や統廃合は実際に起こっているんです。架空の話じゃないんです。
 例えば宮城県の独法病院。独法化後の人手不足により、循環器・呼吸器病センターが二期目の中期目標期間が終わるタイミングで廃止がされました。それだけでなく、現在、新たな統廃合方針が出されております。
 こういう事実があるにもかかわらず、それを覆い隠して本部長は立たない、そして的外れな答弁を繰り返す、だけれども、丁寧な説明はやっていくと、これしかいえないと。こんなことで独法化を強行することなど断じて許されないと厳しく指摘したいと思います。
 さらに、職員の処遇について質問を進めます。
 昨年十一月に開かれた第一回独立行政法人評価委員会の都立病院分科会での公務員の看護師は新陳代謝がない、長く働いて、年を取っても辞めない、人件費の制約をつけるのかと、こういう発言について、これも予算特別委員会で知事に尋ねましたが、知事はだんまり、本部長は関係のないことをいうということです。
 その後、質問が進んだ関係のないところで、また突然本部長が、独法化というのは給与引下げですとかおっしゃっておりますけれども、人事給与面においては、これまで議会でも何度もお話ししておりますとおり、職員の専門知識や働きがい、働きやすい給与水準を保つというものと、このように質問の進んだ関係のないところでいいました。
 人事給与面について何度も議会で説明をしてきたと答弁されたんですから、職員の給与の具体的な資料を示して、議会に説明をしたのはいつされたんですか。本部長、どうぞお立ちください。本部長。(船尾計画調整担当部長発言を求む)何で本部長じゃないんですか。

○船尾計画調整担当部長 人事給与制度につきましては、職員団体との交渉に当たる資料でございまして、この議会への説明というのは、まだ成案を見ない段階ではふさわしくないというふうに考えております。

○白石委員 じゃあ部長でいいですよ。いつ具体的な説明を資料をもって説明したんですかと。あるかないかお答えいただきたい。今度、部長ですよ。あるかないかですよ。あるかないかですよ。−−じゃあ本部長答えればいいじゃない。(船尾計画調整担当部長「評価委員会の」と呼ぶ)違うよ。具体的な給与体系について、一度でも議会にそれを用いて説明したことありますかって聞いているんです。

○船尾計画調整担当部長 先ほど申し上げたように、まだ成案を見ていなくて、職員団体と交渉中の内容でございまして、今の段階ではお見せをしていないというものでございます。

○白石委員 一度もないんですよ。本部長が職員の専門知識や働きがい、働きやすい給与水準を保つのが独法化だと必死で説明されています。だったら具体的に、賃金カーブの資料など根拠を用いて都議会に説明すべきじゃないですか。いかがですか。本部長、いいですよ。

○船尾計画調整担当部長 職員の人事給与制度、勤務条件等につきましては、まずは職員の代表である職員団体と交渉して内容を決めていくという必要があると考えております。

○白石委員 結局、根拠を持って説明できないということなんです。
 議会に対して具体的な説明をせずに、抽象的に都合のいいことだけをいって、働きやすくなるんですとか、安心して働ける環境をつくるんですなんて、誰がそれを聞いて理解や納得できるのかと。そうやって説明するなら、ちゃんと根拠を持って説明をする、これ当たり前じゃないですか。
 だって、全ての会派が心配しているんですよ、独法化になったらどうなってしまうのか、人材が流出しちゃうんじゃないか、本当に給与は守られるのかと。説明をするなら、しっかりと具体的に資料を提示して本来説明すべきだと。それをやっていないということなんです。
 実際に、独法化後に給与体系を見直した法人の例を見れば、勤続年数による昇給は抑えて、昇格しなければ給与は上がらないようにするのが一般的です。もはや明らかなんですよ。
 ぜひ本部長、お答えいただきたい。具体的に、給与は昇格しなければ上がらないようになる、そんなことはないんだというふうにいえますか。

○西山病院経営本部長 先ほど来、部長が説明しておりますように、まず、給与水準につきましては、現在、労使交渉中の事項でございますので、この場ではつまびらかにはご説明をいたしませんけれども、本定例会に提案しております中期目標案には、前向きに職務に取り組むことができる環境整備や多様な人材が働きやすい職場づくり等を推進することを明記してございます。
 また、本定例会に報告事項として提案しております中期計画につきましては、育児、介護と両立できる短時間勤務など働き手のニーズに合わせた柔軟な勤務制度を構築していく、また、こうした制度の構築により、職員が高い意欲と働きがいを持ち続け、安心して働き続けられる環境を整備していく、こういうことを明記してございます。私の予特での答弁は、それを踏まえての発言でございます。
 また併せまして、先ほど発言を止められましたものですから、併せて申し上げたいと思いますけれども、これは、法三十条の解釈につきましては、委員ともう四定以来ずっとお話をしてございますけれども、三十条の規定に関しましては、これはあくまでも設立団体の長が中期目標終了時に、組織全体にわたることを明示的に行うことを定めまして、業務を含めて所要の見直しを講じることを定めるものでございまして、廃止のみ前提とした見直しを行うものではございません。
 また、行政的医療だけではなくて、法人の行う全ての医療に関してPDCAサイクルを回すと、そういう趣旨でございます。ご理解いただければと思います。

○白石委員 やっと答弁してくれたんですから、じゃあ聞きます。将来にわたって統廃合はありませんか。本部長。本部長、どうですか。(船尾計画調整担当部長発言を求む)何で答えられなくなるんですか。

○船尾計画調整担当部長 先ほど来申し上げていますように、現在、第三回定例会で定款を議決いただいたことを踏まえまして、行政的医療の安定的な提供を効率的、効果的に行うことのできる独法化に係る議案を今ご審議いただいて準備を進めているところでございます。
 なお、ちょっと前段で行政的医療のお話もございましたけれども、第三回定例会の方で定款を議決いただいたその中にしっかり明記をされております。行政的医療というのは都立病院の重要な役割で、存在意義そのものでございまして、独法化後も確実に行政的医療をしっかり提供していくということでございます。

○白石委員 いや、だから、将来にわたって統廃合はないんですかというこの核心には、一切答弁ができない、これが実態です。
 何か、これまで中期目標には書かれていないって、中期目標は五年間の期限ですからね、そんなことぐらい皆さん理解していますよね。しかもPDCAサイクルの中に位置づくんですよ。それすらも答弁をごまかそう、ごまかそうとして、核心の質問には、急に本部長は立たなくなる、これ実態です。明らかですよ。
 そもそも、国が独法化を推進する理由の一つは、地方公務員の数を減らすことだと思いますけれども、本部長、だったら伺いたい、もう一回いいますよ。国が独法化を推進する理由の一つは、地方公務員の数を減らすことだと思いますが、本部長、いかがですか。(船尾計画調整担当部長発言を求む)本部長に聞いています。

○おじま委員長 船尾(西山病院経営本部長発言を求む)
○白石委員 いいよ、本部長、今手を挙げたんだから、本部長を指してくださいよ。本部長どうぞ。はい、本部長。

○西山病院経営本部長 国において、地方独立行政法人法が制定された目的は、地方自治体が公立病院の新たな経営形態を効率的、効果的に行うための選択肢の一つを提示したものだと認識してございます。

○白石委員 まず、今日は資料を配布したいと思います。委員の皆さんに見ていただきたい。行政改革推進法で、独法化は公務員の削減のために推進すると明記されております。資料をお配りいたしますので、ご覧いただきたい。
 この行政改革推進法は、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革は、行政に要する経費を抑制して、国民の負担の上昇を抑えなければならないという趣旨を基本理念としています。ちょっと長いです。要するに何か。行革というのは財政支出を抑える、これが趣旨で、行うんだと。この行革推進法、基本理念で定めております。
 じゃあこの行政改革推進法、行政改革の具体的な内容として、この法でどう位置づけられているか。五十五条を見ていただきたい。地方公務員の職員数の純減としているんです。つまり、地方公務員の削減を位置づけた上で、その上で何て書いてあるか。それを実行するために地方公共団体は独法化を推進するものと明記されているんです。今、本部長答弁されたけれども、よほどそんな目的じゃないと。法律にちゃんと書いてあるんですよ。そんなことも理解せずにやっているんですかと。こういう問題なんです。
 本部長に改めて伺いたい。独法化は公務員の削減を目的としている、これは間違っていますか。いかがでしょうか。本部長です。

○船尾計画調整担当部長 先ほど本部長もお答えいたしましたけれども、地方独立行政法人法で、法人についての目的を記載しておりますけれども、法人は、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねる場合には必ずしも実施されないおそれ−−ですので、行政的医療のようなことだと思いますが、これを効率的、効果的に行わせるための制度でございます。

○白石委員 私がいったのは行政改革推進法でいいました。この行革推進法、ご存じでしたか、本部長いかがですか。

○船尾計画調整担当部長 先ほど来、職員を減らすのが目的だというお話で、法律のことを述べられておりますけれども、独法化によって、職員につきましては、別に辞令が発せられない限り、法人の設立の日において、法人へ原則全員、身分移行するということになりますので、身分が変わるということで人の数は減らないというところでございます。

○白石委員 いや、意味不明の答弁です。行政改革推進法を知っていますか、ここには何と書かれているか、地方公務員の職員数の純減をするんだと。そして、それを実行するために地方公共団体は独法化を推進するとはっきり位置づけられているんですよ、法律で。職員を減らすものじゃないなんて話にならないんです。国はこうやって独法を進めているんです。それも全く理解せずに、都民に対してばら色を描いていく、職員に対してばら色を描いていく、断じて許されないと。
 本部長ね、現場の職員の声、どういう声が上がっているか、ぜひお聞きいただきたいと思います。都立病院で働いているというのは誇り。いいですか、本部長。それなのに、公務員じゃなくなるということは、誇りが剥がれるという感じがする。コロナで現場はひっちゃかめっちゃかだけど、公務員という看護師として責任を持って働いている。だけど、これまでの苦労がたった一日で、法人になって終わる気がする。定年まで公務員として全うしたい。
 こういう現場の職員に支えられて、都立、公社病院というのは全国で最も機動的、柔軟にコロナ病床を確保して、必死でコロナ対応できているんです。知事も東京都も本部長も、このように誇りを持って働く現場の職員に対し、表面的には感謝を述べながら、やっていることは公務員としての誇りを奪おうという独法化なんです。こういう声を本当に私、正面から受け止めなければいけないと改めて強く指摘したい。
 患者負担も同様に大きな不安が広がっております。私たちのところにも、差額ベッドが増やされるのではないかとの心配の声が寄せられております。独法化後に差額ベッドは増やさないといえるかどうか。これは本部長、お答えできると思います。本部長、いかがでしょうか。

○船尾計画調整担当部長 有料個室の使用料につきましては、患者自らが個室の利用を希望した場合にのみ徴収するもので、医師が治療上の必要があると判断した場合などは個室料を徴収してございません。
 患者サービスを向上していく上で、個室やアメニティーの充実を希望する患者さんの声もあることから、建て替え等の際は患者ニーズを踏まえて適切に対応してまいります。
 この考えは、直営でも独法化後も同様でございまして、直営時代、以前、駒込病院におきましては、建て替えのときに、患者の療養環境向上のため個室を増やしておりまして、そういった形で運用をしております。

○白石委員 私は、独法化後に差額ベッドは増やさないかと質問したんです。これもまた、ごまかす答弁を繰り返すんですね。
 健康長寿医療センター、私、指摘しました。健康長寿医療センター、これ旧老人医療センターの独法化と建て替え、二〇〇八年に出された板橋キャンパス再編整備基本計画に基づいて一体的に行われました。そして、都立病院の差額ベッドは二割以内としているのが、健康長寿医療センターは百四十一床となる、二五%まで−−いいですか、都立病院では二割以内、おおむね一割前後で推移しています。それが、健康長寿医療センターは独法化によって二五%まで、差額ベッドを増やされたんです。明らかに都立病院以上に増えたのは、まさに独法化が原因であると指摘せざるを得ないと。
 患者が希望した場合に差額ベッドは徴収すると、このようにいわれました。今日、パネルを持ってきました。見ていただきたい。独法化した国立病院である成育医療研究センターのホームページです。何と書かれているか、ぜひ見ていただきたい。
 次のようにしています。大部屋や希望のタイプの部屋に入れない場合でも、実際に入っていただくこととなった部屋の料金は減免いたしませんので、ご承知くださいますようお願いいたします。ご了承いただけない場合には、入院をお待ちいただいているほかの患者さんの入院を優先させていただきます。これ、国立独法です。びっくりですよ、これ。病室の空きがなくて有料個室に入った場合も、差額ベッドは徴収しますと書いてあるんです。了承しない場合は、ほかの患者、つまりお金を払える患者を優先するといっているんです。これ本当にびっくりしました。
 さっき船尾部長が、希望する人にと。普通はそうですよ。だけれども、実際に国立独法でこんなことをやられていると。独法化が採算性を重視した経営形態である象徴ですよ、これは。あり得ないと思います。
 そもそも独法化すべきと提言した都立病院経営委員会では、経営形態はどこの部会でそもそも議論がされたのか、これは部長に伺いたい−−もう一回いいますよ。要するに、独法化すべきと提言した都立病院経営委員会、経営形態、独法化の検討というのはどこの部会で議論がされたか。二つありますね。その一つです。(船尾計画調整担当部長「部会ですか」と呼ぶ)部会でいいです。

○船尾計画調整担当部長 都立病院経営委員会における今後の都立病院の経営力向上に向けた部会でございます。

○白石委員 独法化の議論がされたのは、都立病院経営委員会、ここが先導役となって独法化を提言し、そして、それを都が受けて今の現在に至っていると。
 そもそも都立病院経営委員会でどこの部会が独法化を議論をしたのか。今ご答弁ありました。経営力向上に向けた取組に関する検討部会なんです。病院の経営をいかに効率的に行うかという視点で経営力向上部会で議論がされて、独法化が望ましいと経営形態として結論づけられたと。そして、二〇一八年一月に提言が出されたんです。
 そもそもですよ、医療の内容ではなく経営の方を中心にして議論がされたんです。これが独法化なんです。皆さん、医療の質の向上とか結構いわれるんですけれども、そもそも独法化が議論されたのは、この経営委員会の経営力向上に向けた検討部会なんです。経営の分野でやられたんです。そもそも最初から、医療の質の向上とか行政的医療をどう守るかとか、そういうところが中心で、議論になっていないんです。
 病院経営本部が設置した都立病院経営委員会の提言によって独法化が本格的に動き出し、現在に至ります。つまり、都立病院経営委員会こそが、独法化を本格化させた機関となります。
 では、この都立病院経営委員会はどういう機関なのか、改めて明らかにする必要があると。よろしいでしょうか。要するに、都立病院経営委員会というのは、長きにわたって独法化をしようと、こういう議論がずっと繰り返されておりました。そして、都立病院経営委員会が二〇一八年一月に、都立病院は独法化が望ましいと。一番望ましいんだという提言に基づいて、東京都はそれを受けて調査を行って、独法化しようと方針が決定される。つまり、都立病院経営委員会の存在、どういう存在なのかというのを明らかにする必要があると思います。
 経営委員会は法的根拠を持った附属機関ではないと、これは確認しております。東京都が都の重要施策について意見をまとめてほしいと求めたり、法的に根拠を持った附属機関ではない経営委員会は−−まず、この経営委員会に東京都が、例えば都の重要施策について意見をまとめてほしいと求めることができないんです。その求めに経営委員会が応える、これもできないと地方自治法では定められております。
 委員の意見の取りまとめについては、個々の委員の意見表明、いいですか、個々の委員の意見表明の形を取り、機関意思の表明と紛らわしい諮問や答申の形を取らないことと東京都総務局長通知でも定められております。
 なぜそのように法律で定められるのか。一部の専門家などによる恣意的な行政への介入を防ぐために、明確に法的な根拠がある附属機関とそれ以外の機関とは分ける、そしてそれ以外の機関というのは、諮問や答申は駄目ですよと。なぜかと。一部の専門家などによる恣意的な行政への介入を防ぐためです。法律や条例による設置根拠を持たない組織が、機関意思の表明と紛らわしいことをしたら、これは明確に自治法違反であり、そして、裁判の判例も幾つも確定されています。
 この独法化すべきと提言した経営委員会、これは附属機関ではない、その他の機関になると。当時の病院経営本部長は、都立病院経営委員会からの提言は、十二人の委員で構成する合議体の結論として、平成三十年一月に報告を受けたものと答弁をしております。
 合議体の結論として報告を受けたというのは、つまり、個々の委員の意見や意見交換とは明らかに違います。取扱通知、総務局通知、それから自治法違反、明確に違反しているんじゃないですか、本部長、いかがでしょうか。

○船尾計画調整担当部長 当時の病院経営本部長の答弁でございますけれども、当該委員会が報告書として取りまとめたことを合議体の結論として述べたものでございます。
 しかしながら、報告書は、附属機関と区別して、地方自治法で認められている行政運営上の意見聴取、情報や政策等に関して助言を求める場として設置された都立病院経営委員会において専門的知識を有する委員が意見交換を行った結果、取りまとめたものでございます。
 なお、先ほどのお話の中で、部会のお話がございましたけれども、これは経営を検討する部会の以前に、医療機能の充実に関する部会を設けておりまして、その中で様々、今後の高齢化を踏まえて対応していかないといけないという内容になっておりますけれども、そういったことをやっていく上でも、都立病院の経営力、経営基盤の強化、これが必要だということで、先ほど申し上げた部会を設置することになったわけでございます。

○白石委員 質問に明確に答えていただきたいと。経営力を向上するために議論がされたっていう話でしょう。違反ではないといいますが、実態は明確に自治法違反なんですよ。総務局長の通知違反でもあります。
 当時の病院経営本部長は、経営力向上に向けた取組について、都立病院経営委員会に検討を付託すると、このようにいたしました。今日、私持ってきました、その通知書を。これですね。貴委員会のご意見を賜りたく、下記の事項の検討について付託いたします。病院経営本部長。一、今後の都立病院の経営力向上に向けた取組について。二、その他必要な関連事項。ちゃんと印鑑まで押してあります。こうやって付託をしたということになります。
 経営委員会の委員長は、じゃあ、どうだったかと−−先ほどからちょっと難しい議論ですけれども、つまり、法的な根拠がない附属機関というのは、諮問、答申は駄目なんですと、こういうふうにはっきりと法律では明記されていると。で、そうはなっていないから違反ではないと。じゃあ実態はどうなのかと。まずは、病院経営本部長から、ぜひ経営力向上に向けた取組について皆さんの意見をまとめて結論を出してくださいと付託されました。
 そして、病院経営委員会の委員長、何といったか。経営委員会の委員長は、経営委員会が諮問された問題だと二〇一八年一月の経営委員会で明言しています。幾らね、言葉を使っていないから違反ではないんですと、こんなこと、ごまかしをいったって駄目なんですよ。実態は諮問を受けたと思って、そして、経営委員会の独法が望ましいという提言がつくられていくんですよ。そういうことも、本当に私ね、厳しく指摘しなければならないと。
 都立、公社病院の独立行政法人化は、このようにその出発点から地方自治法違反のやり方で進められてきたものなんです。出発点から間違っているんだから成り立たないと。都立病院条例の廃止条例など、独法化の議案は全て撤回して白紙に戻すべきだと改めていいたいと思います。
 これまでの質疑でも明らかだと思うんです。委員の皆さんだって分かると思います。丁寧な説明なんか一切されていない。核心の部分に、統廃合は将来ありませんねといったら、そこに対しては全く答弁しない。だけれども、ごまかすようなことは毎回毎回やると。一体どこに丁寧な説明があるのかと。もう明らかだと思います。
 これまで振り返ったって、そういうことを多くやってきたんですよ。先ほど本部長、私と一緒にずっと論戦してきたと振り返りました。その中で何やってきたかと。独法化は行政的医療を将来にわたって提供するためといいながら、地独法法の法律上も、評価委員会の委員の発言からも、全くでたらめだったと明らかになっていると。都立直営では制度的制約があると、このようにもいってきました。でも実は、採用も兼業も予算も、本当に必要であれば可能であるということがこの間だって証明されていると。
 そして、独法化するためには−−何でしなければいけないんですかといったら、医師に兼業ができないからですと一度答弁したことがあったんです。じゃあ、それは一体何件あるんですかといったら、一件しかないと。この一件で十四病院を独法化なんて断じて許されないと。
 独法化反対の声を取り上げたのに対して、アンケートなどにおいても、医療機能の充実を求める都民の声も多く出ていると病院経営本部はいいましたが、そのアンケートというのは、独法化への賛否を聞くものじゃないんですよ。こうやってかいつまんで都合よく都合よく、この間、ごまかしごまかしをやって、独法化をばら色にしてきたというのが実態なんです。
 医療ツーリズムは検討していないとしながら、開示資料では医療ツーリズムと明記されていると。これまでにだって数々のごまかしがやられてきたと。根拠なく、東京都は独法化を押し通してきたと、これがこれまでの実態です。
 今日を見れば分かるんですよ。正面から答えようとしない、都民の声も受け止めようとしない、本当にそれでいいのかと私は訴えたいと思います。そして、全ての会派の皆さんに、本当にこのままでいいのかと。そして、この質疑を傍聴している全ての皆さんに改めて呼びかけたいと思います。こんなコロナ禍の状況で、都立病院の条例を廃止すれば後戻りできないんです。少なくともコロナ危機の中でやることではない。
 そして、この質疑の中で明らかになったとおり、将来にわたって統廃合も民営化も行政的医療の廃止も、全く否定することができないことも明らかになったと。私、本当にここは、皆さんに正面から受け止めてもらいたい。本当にこのまま進めていいのかと。
 改めて声を皆さんにご紹介したいと思います。都立病院のおかげで、たくさんの患者の医療費の負担額が私立病院に比べて軽減されています。実際、都立駒込病院で父親ががんの治療に当たり、専門性の高い治療を都立病院で受けることができました。高齢者にとっても、その介護する家族にとっても、医療費負担は一般庶民の我々にとって切実な問題なんです。病気になった患者が、医療費負担によって命の選択を迫られるようなことはあってはならない。独立行政法人化は断固反対です。重い言葉です。医療費の負担によって命の選択を迫られるようなことはあってはならないと。
 先ほど差額ベッドの件、見ました。実際にお金を払える人しか患者を受け入れないように、国立独法のホームページだってあると。そして、健康長寿は独法化を機に、都立病院では二割以内と定めていたのが二五%まで、百四十一床まで有料個室、差額ベッドが増やされる。こんなことをやったら命の選択を迫られるようなことになってしまうんだと、正面から皆さん受け止めるべきだと思います。
 ほかの方。都立病院は東京都の宝です。公立であることにその意義があります。これ私、紹介しました。私はかつて都立病院で医師として働いていました。その間にはSARSもありました。ホームレスの患者さんも毎日搬送されてきました。常に損得ではなく、必要な医療を必要な人に差別することなく提供できる、そんな都立病院が好きでした。都立病院で働いた経験は今も私の誇りです。都立でなくなったとき、失った宝の価値に気がついてももう遅いのです。都立、公社病院を守らなければなりません。元医師の方ですよ。失った宝の価値に後から気づいても、もう時既に遅しだと。今止めるべきなんだと切実に訴えている。
 本日も、都庁前で独法化中止の声を都民の方々が上げました。この間だって声を上げている。その皆さんの声というのは、都立、公社病院は都民の命のとりでなんだと、このように訴えて、今こそ中止をしようと大きく広がっています。都議会や東京都に対して請願なども含めてもう三十万を超えております。都民の納得も理解も得られたなどと口が裂けてもいえない状況です。
 日本共産党都議団は、この都立、公社病院の独法化、中止をさせるために全力を挙げると、この決意を表明して、質問を終わりたいというふうに思います。

○浜中委員 都立、公社病院の独法化については、本定例会に中期目標等の議案が提出されており、着実に準備が進められているところであると認識をしております。本日は、改めて確認すべきところを伺いたいと思います。
 現在も新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている中でも、現在の都立、公社病院の現場においては、日夜、医療スタッフが奮闘されているかと思います。今後、今回のコロナ禍のような感染症や災害などの有事が起きた場合に備えて、法人が都と連携を強化しながら必要な医療を提供する必要性については、これまでも我が党が質疑を行ってきたところであります。
 今回の中期計画案の中でも、感染症医療における緊急事態への対応や災害医療における緊急事態への対応の項目を設け、独法化後も有事の際には、法人が都の方針の下で感染症医療や災害医療の必要な対応をしっかり行うことが明記されております。これらについては、都民の一番の関心事だと思われるので、改めて確認をさせていただきます。
 感染症等の緊急時への対応について、中期計画案の達成に向け、どのように臨んでいくのかを教えてください。

○船尾計画調整担当部長 独法化後も、新たな感染症や災害などの有事の際は都立病院が率先して対応を行い、その役割を着実に果たすことが重要でございます。
 このため、今回の中期計画案では、緊急事態において、都の方針の下、感染症指定医療機関を中心に、法人全体で感染症患者を積極的に受け入れるなど、求められる感染症医療を確実に提供することとしております。
 法人がこうした医療を的確に提供するに当たりまして、日頃から専門スタッフの確保や専用の設備、医療資器材等の体制整備を行うことが重要でございまして、法人本部と病院現場のコミュニケーションを十分に取りながら、法人全体で必要な準備を行い、災害などに備えてまいります。

○浜中委員 今ご答弁にありましたとおり、有事の際に各病院が迅速に対応するために、日頃から法人本部と病院が連携を図っていくことが、法人全体で様々な事態を想定した検討を行うことは大変重要でありますので、着実に取組を進めていただきたいと思います。
 ただいまの答弁では、法人本部と病院の役割について、日頃からコミュニケーションを十分に取って、有事に備えて準備を進めるとありました。これについて、独法化後の法人本部、都庁内の法人管轄組織が連携をして、都の医療政策の推進、医療ニーズの変化への迅速な対応、患者サービスの向上といったことを着実に図っていくべきであると思います。
 そこでまず、独法化後の法人本部、都庁内の法人管轄組織のそれぞれの役割がどのようになるのか教えてください。

○船尾計画調整担当部長 都立病院機構では、十四病院一施設の管理監督を担う法人本部を置きまして、法人の運営方針の策定や中期計画の進捗管理などの役割を担うこととなります。
 また、法人を管轄する都庁組織といたしまして、福祉保健局に都立病院支援部、こちらは仮称でございますが、これを設置いたしまして、法人が行政的医療の安定的な提供など、都の医療政策と連携し、その役割を確実に果たせるよう、各種調整など運営支援を担っていくこととなります。

○浜中委員 独法化後は、法人が福祉保健局と連携して、確実にその役割を果たしていくということであります。今後も、先ほど名前が出ました都立病院支援部、仮称でございますけれども、これが法人本部と密接に連携をし、議会とも意見交換を行っていくことが望ましいと考えます。
 そこで、法人本部はどこに設置をする予定なのかを教えてください。

○船尾計画調整担当部長 新たな都立病院が行政的医療を提供する役割を着実に果たしていくためには、都の医療政策との密接な連携が不可欠でございます。
 このため、都庁組織である都立病院支援部の近くに所在することが望ましいと考えておりまして、法人本部を都庁舎内に置く予定でございます。

○浜中委員 今後も行政的医療の提供を継続的に行っていくために、しっかり法人と管轄する都庁組織が連携できるように取組を進めていっていただきたいと思います。
 次に、独法化のメリット、これは何度も聞いておりますけれども、確認をさせていただきます。
 独法化を契機に、十四病院一施設の一体化がなされ、大規模な医療組織が誕生することにより、医療の面でスケールメリットを生かした新たな取組に挑戦できる可能性が高まるものであると認識をしております。
 これについては、各病院の持つ医療機能を十分に活用しながら、独法化による一体化がきっかけとなって、どのようなことが充実をしていくのか。都民だけでなく、地域の医療機関の期待も大きいと思われます。
 そこで、独法化による一体化のメリットを最大限発揮し、各病院の機能を充実させていくべきであると考えますが、見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 都立病院、公社病院を一体的に独法化することで、高度専門的医療と地域医療のノウハウを共有し合いながら相乗効果を高め、医療を充実させるとともに、人材交流の活性化によりまして、高度専門的医療から地域医療まで多様な経験を有する人材を確保、育成するなどのメリットが生まれるものと認識しております。
 例えば、公社病院の多摩南部地域病院と都立病院の神経病院との人材交流等によりまして、神経病院の持つ神経難病の緩和ケアのノウハウを共有いたしまして、多摩南部地域病院で慢性心不全や慢性肺炎などの慢性疾患患者の緩和ケアを充実させていくことを考えてございます。
 また、小児総合医療センターとの人材交流によりまして、小児総合の持つ医療的ケア児へのケアノウハウを共有いたしまして、多摩南部地域病院の対応力を強化する取組の検討も進めているところでございます。

○浜中委員 独法化による一体化のメリットを生かした具体的な取組についても検討されているということが分かりました。こうしたメリットを生かして、都民ニーズに機動的に対応できる法人の運営体制が重要であります。
 病院だけでなく、顧客ニーズ、患者さんのニーズに迅速に対応してサービスを向上させるためには、現場に裁量を与えて柔軟に動けるようにすることが大事であります。
 都立病院の現場でも、医療環境や医療技術が絶えず変化する中、日々、現場の医療課題にスピーディーに対応し、患者に適切な医療を提供するためには、各病院において、院長の裁量で迅速な経営判断ができるようにすることが必要であるかと思います。
 そこで、今回の中期計画案には、病院長に適切な権限を設定するとしておりますが、具体的にどのようにしていくのかをお伺いいたします。

○船尾計画調整担当部長 各病院が医療課題に迅速に対応していくためには、病院現場の権限を適切に構築する必要がございます。
 このため、独法化後は現場の判断で迅速に対応ができるよう、病院のマネジメントを行う病院長に予算執行や職員採用等の権限を適切に付与していきます。
 例えば、医療機器等の整備につきまして急を要する場合など、病院長の判断で購入できるようにするほか、一定の範囲で予算の流用を認めるなど、病院現場でも弾力的に予算執行できるようにしていくこととしております。
 また、急な欠員が生じた場合など、病院長の裁量で中途採用の看護師等を随時採用できるようにするとともに、専門性や採用困難性に応じた手当の上乗せ支給を可能にして人材を確保しやすくすることで、年度途中でも必要なタイミングで柔軟に人材を確保できるようにしていくこととしております。
 こうした取組によりまして、現場ニーズに即した質の高い医療を提供してまいります。

○浜中委員 現場の課題に迅速に対応するために病院長に権限を付与することは必要であり、各病院を取り巻く課題を熟知している病院長が、それぞれの裁量で機動的に対応方針を打ち出すことは望ましいことであると思います。病院長に適切に権限を設定し、自律性、機動性の高い病院運営を実現する体制をぜひ構築していただきたいと思います。
 次に、独法化後の都議会の関与、チェック機能については、改めて確認をさせていただきます。
 独法化は、法人の自主性、自律性を高めることで、効率的、効果的な病院経営を実現するための制度でありますが、その状況を都議会がチェックすることは非常に重要であります。
 そこで、独法化後も行政的な役割を担う病院として、議会のチェック機能を受けながら運営されることになるかと思いますが、どういったお考えなのかということを教えてください。

○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人法におきましては、法人に取組を指示する中期目標や中期目標を達成するための法人の中期計画など、法人の業務運営に関する様々な議会の議決が規定されているほか、都が措置する運営費負担金の予算の議決もございます。
 都立病院機構の重要事項につきましては、議会のチェックを受けながら運営されることになり、都民ニーズを的確に反映した法人運営を行ってまいります。

○浜中委員 都民の代表である都議会によるチェック機能が十分に働くことが再確認できました。議会の関与の下、法人が都民ニーズを十分に踏まえた運営を行うとともに、各病院が与えられた権限を最大限に活用して、個別の課題を機動的に解決する体制を整えることが重要であると考えるので、権限の付与による自律性の高い病院運営と議会による適正なチェックのバランスが取れた体制の構築に努めていただきたいと思います。
 次に、独法化後の地域との連携について伺います。
 独法化後の地域の医療機関との連携については、本委員会における我が党の質疑において、都立病院における地域の医療機関などへの医師や看護師等の専門人材の派遣や、在宅療養患者の急性増悪時の受入れ体制の強化などを図る旨の答弁があり、評価しているところでもあります。
 独法化後も地域に求められる取組を法人が確実に実施していくことが重要であります。そのためには、各病院が地域の意見を酌み取り、求められるニーズを適切に把握していく仕組みづくりが必要であると考えます。
 そこで、地域の医療機関との役割分担の中で、十四病院それぞれが地域から求められる医療をより一層提供するために、実効性のある仕組みを構築するべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 各病院が地域のニーズを的確に把握し、地域医療の充実に一層貢献していくことは重要でございまして、これまで墨東病院などの地域医療支援病院を中心に、病院幹部と地域の医療機関の代表者等で構成される運営協議会を設置いたしまして、地域の医療ニーズの把握に努めてまいりました。
 独法化後は、この運営協議会を全病院に拡充いたしまして、定期的に地域の医療機関や地区医師会などの意見を聞きながら、地域のニーズを的確に踏まえた病院運営を行う仕組みを導入いたします。
 こうした仕組みを活用いたしまして、独法化後も各病院が地域の医療機関等との役割分担と連携を強化し、お互いに顔の見える関係づくりを行いながら医療の充実に貢献してまいります。

○浜中委員 地域の医療機関は、独法化により、都立病院、公社病院が地域の医療機関、介護施設、自治体等との連携が一層強化され、地域包括ケアシステムの構築につながっていくことに期待をしているかと思います。
 そうした期待に応えるためには、各病院が日頃から地域の医療機関等と密にコミュニケーションを取り、地域のニーズをきめ細かく酌み上げる体制を整えていくことが重要であると思います。今後、そうした取組を加速していっていただきたいと要望をいたします。
 次に、独法化のメリットである医療機能の強化についてお伺いをいたします。
 今回の中期計画では、医療課題ごとに法人全体での取組が記載をされております。その中でも、超高齢化社会を迎える中で総合診療の分野はますます重要性を増しております。
 さきの第四回定例会の本委員会では、これまでのプランでの五疾病五事業に加え、総合診療を中期目標に盛り込んだ考え方について質疑をさせていただきました。中期計画では、総合診療の充実や総合診療医の確保、育成に取り組むことが記載をされております。
 そこで、総合診療科の充実に関して、具体的にどのような取組を行うのか教えてください。

○船尾計画調整担当部長 高齢化の進展に伴いまして、複数の疾患を有するなど、特定の診療科だけでは対応が難しい患者の増加が見込まれ、多様な症候に対応できる総合診療科の充実が課題となっております。
 多摩北部医療センターでは、医療圏内に総合病院が少なく、診療科が特定できない救急患者や紹介患者を数多く受け入れていることから、大学や地域の医療機関と連携して総合診療医を確保、育成し、診療体制を強化していくこととしております。
 具体的には、大学から指導医等の派遣を受けまして、指導育成体制を整備するとともに、地域の医療機関の臨床フィールドも活用し、総合診療医を計画的に育成することとしております。
 今後は、地域医療におけます総合診療のニーズが高まっていくことから、こうした取組の状況を見ながら、他の都立病院にも取組を拡大してまいります。

○浜中委員 総合診療医は、まだまだ数が足りないと思いますので、育成が重要であるかと思います。地域と連携しながら、ぜひ取組を進めていただきたいと要望をいたします。
 中期計画案では、医療ごとに法人全体の取組が記載をされておりますが、各病院の医療がどう充実するのか、自分の地元の病院がどう充実するのかということが都民の関心のあるところだと思います。
 独法化後の各病院の医療機能の強化については、これまで患者や地域の医療ニーズを分析しながら検討してきたと聞いております。高齢化の進展に伴い増加する病気や新たな治療技術への対応が求められる現在、地域の医療機関との役割分担の中で、地域で必要な医療が提供されるようにすることが重要であります。
 特に、高齢化の進展に伴って、がん患者が増加することが見込まれていることから、身近な地域で早期に検査や診断を行い、安心して治療を受けられる体制整備が重要であると考えます。
 そこで、体に負担が少なく、早期回復や早期退院が可能となる内視鏡手術などの低侵襲な治療のニーズが高まっており、充実させていくことが必要と考えますが、独法化後、どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○船尾計画調整担当部長 高齢化の進展によりまして、がん患者の増加が見込まれますことから、早期発見、早期治療とともに低侵襲な医療を受けられる体制の整備が必要となっております。
 このため、独法化のメリットを生かしまして、患者や地域のニーズに応じまして、必要な人員体制や医療機器の整備を機動的に行い、がんの検査や治療体制の充実を図ってまいります。
 例えば、墨東病院におきまして、消化器内科の医師、看護師を増員し、内視鏡センターの体制を強化して、内視鏡検査や治療の件数増に対応するとともに、見落としのリスクを減らし、検査をサポートするAIシステム等を導入することとしており、精度が高く、高度な内視鏡検査や治療を提供してまいります。

○浜中委員 高齢になると、遠くの病院まではなかなか通えないという方も多いので、地域の中で必要な検査や治療が受けられる体制づくりが重要であると考えます。それぞれの地域のニーズを踏まえて、各病院の体制を充実させていっていただきたいと思います。
 本日の質疑によって、新たな感染症や災害などの有事には、都の方針の下で必要な医療を確実に提供することや地域の医療機関との連携を強化することなど、これまでの都立病院が守ってきた重要な方針を堅持する一方で、総合診療科の充実や内視鏡医療の取組など、新たな取組に挑戦していく都立病院機構の姿勢を見ることができました。
 これらの取組の全てが、患者、都民の目線に立った患者中心の医療の推進につながるものであると理解をし、信じております。
 独法化の実現により、多くの都民に質の高い医療が届くことを期待して、私の質問を終了いたします。

○うすい委員 私で、今日最後ですので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
 独法化に関しては、私も昨年の事務事業質疑で、人材確保や勤務制度等について質疑を行いましたが、その後の第四回定例会等においても、様々な議論がなされてきたわけでございます。
 今定例会では、独法化に向けた関係条例が提出されるなど、法人設立に向けた準備が進んでいると思います。厚生委員会でも繰り返し議論されてきたところでありますが、独法化は、現在の直営の経営形態での課題を解決し、よりよい病院運営を目指すものであると考えます。
 そこで私からは、改めて独法化のメリットについて、病院現場を支える働く人の視点から確認をしておきたいと思います。
 まず、独法化によって、人材確保や職員の働き方といった面では、どういった点にメリットがあるのか、見解を伺います。

○谷田経営企画部長 現行の経営形態では、自治体としての定数管理の仕組み等により手続に時間を要することや、地方公務員法に基づき職員の勤務時間は国や他団体等との均衡が求められることなどの制約がございます。
 独法化は、こうした制約にとらわれず、法人独自の制度構築が可能となる点にメリットがございます。
 例えば、人材確保の観点では、定数管理の仕組みに縛られず、法人独自の採用が可能となるため、医療ニーズに沿った迅速で機動的な対応が可能となります。
 また、職員の働き方の面でも、現在認められている育児短時間勤務以外に、例えば、介護の事情を有する職員、進学、資格取得等の自己研さんを希望する職員などにも短時間勤務を認めることで、職員個々のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能となります。

○うすい委員 医療ニーズに対して、より機動的な人材確保ができるようになることや、様々な事情を有する職員が公務員では実現できなかった柔軟な働き方が可能となることを改めて確認したところであります。
 また、スピーディーな人材確保や働き方の多様化も大事ではあるのですが、給与面での適切な処遇がなされていないと安定的に人材を確保することができないと考えます。
 そこで、独法化での給与制度についてはどのような点にメリットがあるのか、見解を伺います。

○谷田経営企画部長 現状では、職員の給与は、地方公務員法において国や他団体等との均衡が求められることや、地方自治法上、支給できる手当が限定されていることによりまして、専門性に応じた柔軟な給与体系の設定が困難でございます。
 独法化後は、こうした制約にとらわれることなく、法人独自の給与制度を構築することで、例えば、職員の持つ資格等の専門性に着目した手当の創設などを検討しております。
 これによりまして、現行制度に比べ、職員の持つ専門的知識や能力、業績をきめ細かく処遇に反映できることから、より働きがいを感じ、高い意欲を持って働き続けられる給与制度が実現できるものでございます。

○うすい委員 改めて、人事や給与に関する独法化のメリットを確認しました。
 病院運営は、医師や看護師をはじめとした数多くの医療人材に支えられており、職員がやりがいを持ち、安心して働き続けられる環境が非常に重要であります。答弁にあったような独法化のメリットを生かした制度構築を進め、多様な医療人材を柔軟に確保、活用することで、各病院の医療を充実強化していってほしいと思います。
 また、四月から保険適用になる不妊治療についても、先ほどかまた議員から質疑がありましたとおり、独法化のメリットを生かした人材確保をしていただき、都民の安心のために取組をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、独法化後の行政的医療について確認をしておきたいと思います。
 都民に必要な医療を提供するために、行政的医療の個々の医療課題については、これまでも時代や医療環境の変化、都民の医療ニーズなどに応じて見直しを図ってきたと思いますけれども、独法化にすると不採算となる行政的医療が縮小して、都民のための医療が後退するのではという声もあります。
 行政的医療などの役割を果たし続けるための独法化であることは、これまでの議会での議論でも何度も確認をしてきたところでありますけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 行政的医療は都立病院の重要な役割であります。独法化後も、その時々のニーズを踏まえながら、確実に提供する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との適切な役割分担と密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることは都立病院の基本的役割でございます。
 行政的医療の個々の医療課題につきましては、これまでも、例えば平成三十年度に、新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療として移行期医療を追加したことや、都内における回復期リハビリテーション病床の増加に伴い、平成二十五年度にリハビリテーション医療を行政的医療から除くなど、社会的なニーズや他の医療機関のサービス提供体制等の変化などを常に見極めながら行政的医療の見直しを行ってまいりました。
 感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療の提供は都立病院の重要な役割であり、このことは独法化後も変わることはございません。
 地方独立行政法人制度は、都が担うべき行政的医療を効率的、効果的に提供するための制度でありまして、独法化後は新たな都立病院として、機動的かつ安定的な人材確保などによりまして、将来にわたって行政的医療を確実に提供してまいります。

○うすい委員 都立病院は、高齢化の進展や医療の高度化等に伴い、医療ニーズが変わればそれに合わせて柔軟に対応しなければならないし、また、新たな医療課題が生じれば機動的に対応しなければならない。また、行政的医療の医療課題については、その時々の社会ニーズを踏まえて見直すこともあるが、行政的医療そのものは、引き続き都立病院がしっかり提供していくということでございました。
 今回の中期目標、中期計画案でも、行政的医療の提供についてはしっかりやっていくことが記載されています。また、都からの財源措置についても、運営費負担金として、現在の繰入金と同規模の額で計上されていることも確認させていただきました。ぜひ独法化のメリットを生かして、行政的医療の充実強化を図っていただきたいと強く要望しておきます。
 また、行政的医療の中でも、今回のコロナのような緊急事態に率先して対応することは都立病院の重要な役割であります。独法化すると都から離れてしまうので、今のコロナのような対応ができなくなるのではないかとの声もあるわけですが、コロナ禍の中で令和三年四月に独法化した埼玉県立病院機構では、独法化前と変わらずにコロナ対応をしております。
 調べてみましたけれども、埼玉県の独法化ですが、令和二年二月の定例会において、地方独立行政法人埼玉県立病院機構の定款の議案が全会派一致で議決され、令和二年十二月定例会においても、関係議案がいずれも全会派一致で議決され、令和三年四月に独法化となりました。
 国の検討会資料によれば、埼玉県の循環器・呼吸器病センターでは、独法化前の令和二年二月の当初からコロナ患者の受入れを行い、一昨年の冬の第三波から、独法化した後ですが昨年の夏の第五波では、埼玉県最大の百一床を確保し、重症患者を多く受け入れ、重症患者が約二三%を占める受入れをしております。
 また、がんセンターでは、がん専門病院としての役割を果たしながら、一昨年の冬の第三波から五十四床確保し、夏のピーク時には重症患者の受入れにも対応しております。
 また、高齢者ワクチン接種センターや酸素ステーションに医師等を派遣し、県のコロナ対策への協力をしていることも報告がなされております。独法化の前も後も感染症対策をきちっと頑張ってやっているところであります。
 独法化後の新たな都立病院も、先ほど確認したように、機動的な人材確保ができるメリットや公社と一体となるメリットなどを生かして、やりやすくなる面もあると思いますので、感染症医療の対応力もしっかりと強化をしていただきたいと思います。
 また、独法化になると差額のベッド代で収益を上げるようになり、患者負担が増えるのではないかとの声も一部にあります。今回の中期計画案の中では、料金に関する事項として、個室使用料が明確に記載をされておりますので、その設定の考え方について見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 現在の都立病院におきましては、個室料については、部屋の面積や附帯設備の整備状況等により設定しておりまして、独法化後もこうした基本的な考え方の下、適切に料金設定していくものでございます。
 このため、第一期の中期計画案におきましても、現在と同様の考えの下、料金設定をしており、個室使用料につきましては、現行の都立病院条例と同一の内容としてございます。

○うすい委員 独法化後も現在と同様の考え方で料金設定していくということで、料金設定の考え方も変わらないということでございました。
 先般、今回の定例会で、我が党のかつまた議員より個室使用料の質問をしまして、病院の都合で患者さんへ負担を求めてはならないことも確認をしておりますが、患者さんの中には、より静かな環境で、あるいはほかの患者さんに気を遣うことなく入院生活を送りたいという方もいらっしゃいます。こうしたニーズに応えるために、設備の整った療養環境を整備していくことは必要と考えますので、独法化後も、あくまでも患者ニーズに応じて適切に対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 また、独法化については、安定的な人材確保などメリットがあるから多くの自治体が進めているのだと思います。しかし、独法化は目的ではありません。手段であります。
 いかに効率的、効果的に都民に必要な医療を提供していくのか、医療を充実させていくのかが根幹であります。最も大事な視点でありますので、新たな都立病院が行政的医療の提供や地域医療の充実への貢献などの役割が十分果たせるよう、法人を運営していただきたいことを強く要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○おじま委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案、報告事項及び請願に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時四十二分散会

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