厚生委員会速記録第十三号

令和三年十一月九日(火曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長おじま紘平君
副委員長伊藤こういち君
副委員長小松 大祐君
理事上田 令子君
理事やまだ加奈子君
理事桐山ひとみ君
かまた悦子君
関口健太郎君
うすい浩一君
浜中のりかた君
藤田りょうこ君
菅原 直志君
小宮あんり君
白石たみお君

欠席委員 なし

出席説明員
病院経営本部本部長西山 智之君
経営企画部長谷田  治君
サービス推進部長西川 泰永君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務藤本  誠君
計画調整担当部長船尾  誠君

本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
事務事業について(質疑)

○おじま委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の事務事業に対する質疑及び報告事項の聴取を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○谷田経営企画部長 お手元にお配りしてございます契約締結報告書に基づき、工事請負契約及び動産の買入れ契約につきましてご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。本日ご報告申し上げます契約二件の総括表でございます。
 順次、契約の概要についてご説明いたします。
 二ページをお開き願います。多摩メディカル・キャンパス立体駐車場新築工事に係る請負契約でございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は十億六千二百三十八万円で、契約の相手方は新日本工業株式会社でございます。
 三ページをお開き願います。本契約は、都立墨東病院において使用いたします手術用支援ロボットシステムの買入れでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は二億二千四百三十四万八千二百一円で、契約の相手方は株式会社八神製作所でございます。
 簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○おじま委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑につきましては、事務事業に対する質疑と一括して行いますので、ご了承願います。
 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○谷田経営企画部長 去る九月二十四日の本委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料を一枚おめくり願います。資料は、目次にございますように、合計三十件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立病院及び公社病院におけるがん患者数でございます。
 令和二年十月二十一日に実施しましたワンデー調査におけるがん患者数につきまして、(1)は都立病院、(2)は公社病院の実績を病院別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都立病院及び公社病院における医師の定数及び現員の推移でございます。
 常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を、(1)は都立病院、次のページの(2)は公社病院につきまして、それぞれ診療科別に記載しております。
 四ページをお開き願います。3、都立病院におけるPFI事業に関わる経費及び内訳の推移及び累計並びに各事業の契約額でございます。
 都立病院におけるPFI事業に関わる経費につきまして、(1)は推移と累計、(2)は契約額を病院別に記載しております。
 なお、累計は、令和二年度までの決算額の累計でございます。
 五ページをご覧ください。4、公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
 公社病院に対する運営費補助金の推移につきまして、病院別に記載しております。
 六ページをお開き願います。5、公社病院における看護職員の固有・派遣職員数の推移でございます。
 公社病院における看護職員の各年度四月一日現在の定数及び固有、派遣別の現員の推移を病院別に記載しております。
 七ページをご覧ください。6、各都立病院の医業収支(令和三年度・月別)でございます。
 次のページにわたり、本年度八月までの医業収益、医業費用及び医業収支差額につきまして、病院別に記載してございます。
 九ページをご覧ください。7、都立病院及び公社病院における心身障害者医療費助成制度等を利用した障害者の入院状況及び有料個室利用状況でございます。
 令和二年十月二十一日に実施しましたワンデー調査における障害者の入院患者数及び障害者の有料個室使用者数につきまして、(1)は都立病院、(2)は公社病院の実績を医療費助成制度の区分別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。8、都立病院及び公社病院においてコロナ対応により新たに購入した医療機器(令和元年度以降)でございます。
 一六ページにかけまして、新型コロナウイルス感染症対応のために購入した医療機器について、それぞれの数量を年度別、病院別に記載しております。
 一七ページをご覧ください。9、都立病院及び公社病院における医師及び看護要員の採用者数の推移(過去五年分)でございます。
 次の一八ページにかけまして、医師、看護要員の採用者数の推移を、(1)は常勤職員、次のページの(2)は非常勤職員につきまして、それぞれ年度別に記載しております。
 一九ページをご覧ください。10、地方独立行政法人化に向けた検討状況・経緯でございます。
 都立、公社病院の地方独立行政法人化に向けた検討状況と経緯について、時系列に記載しております。
 二〇ページをお開き願います。11、都立病院及び公社病院における分娩件数の推移でございます。
 都立病院及び公社病院における分娩件数について、それぞれ推移を記載しております。
 二一ページをご覧ください。12、都立病院及び公社病院における誤嚥に関する報告件数の推移でございます。
 都立病院及び公社病院における誤嚥に関する報告件数について、それぞれ推移を記載しております。
 二二ページをお開き願います。13、都立病院における一般会計繰入金の推移でございます。
 都立病院における一般会計繰入金の推移について、病院別に記載しております。
 二三ページをご覧ください。14、小児総合医療センターにおける死亡退院患者数の推移でございます。
 同センターにおける死亡退院患者数について、(1)は疾病分類別、次の二四ページの(2)は年齢別に推移を記載しております。
 二五ページをご覧ください。15、松沢病院における死亡退院患者数の推移でございます。
 同病院における死亡退院患者数について、(1)は疾病分類別、(2)は年齢別に推移を記載しております。
 二六ページをお開き願います。16、松沢病院における再入院率(令和二年度)でございます。
 令和二年度の松沢病院の再入院率について、退院後一か月以内、退院後三か月以内の値をそれぞれ記載しております。
 二七ページをご覧ください。17、松沢病院における入院期間別入院患者数の推移でございます。
 各年度の松沢病院における入院期間別入院患者数について、その推移を記載しております。
 二八ページをお開き願います。18、各都立病院における精神疾患による入院患者数及び入院形態別内訳(令和二年度)でございます。
 令和二年度の精神疾患による入院患者数及び入院形態別内訳を病院別に記載しております。
 二九ページをご覧ください。19、松沢病院における患者の退院時の状況でございます。
 各年度の松沢病院における患者の退院時の状況について、事由別に記載しております。
 三〇ページをお開き願います。20、松沢病院における行動制限実施患者数及び保護室数の推移でございます。
 (1)は各年度の松沢病院における行動制限実施患者数、(2)は保護室数について、その推移を記載しております。
 三一ページをご覧ください。21、松沢病院における電気けいれん療法の実施件数の推移でございます。
 各年度の松沢病院の電気けいれん療法の実施件数について、その推移を記載しております。
 三二ページをお開き願います。22、都立病院における医事関係訴訟件数及び事由でございます。
 各年度の都立病院における医事関係訴訟件数とその事由について記載しております。
 三三ページをご覧ください。23、都立病院における医師の兼業件数等でございます。
 各年度の医師の兼業件数等を記載しております。
 三四ページをお開き願います。24、病院勤務職員の自殺、病気休暇及び病気休職、定年退職を除く退職、公務災害等の状況(過去五年分)でございます。
 三七ページにかけまして、病院勤務職員の自殺者数、病気休暇または病気休職を三十日以上取得した職員数、定年退職を除く退職者数及び公務災害等の認定件数について、それぞれ都立病院、公社病院別に記載しております。
 三八ページをお開き願います。25、病院経営本部における障害者の採用、配置、業務及び勤務評価における合理的配慮の取組状況でございます。
 病院経営本部における障害者の採用、配置、業務及び勤務評価について、それぞれ取組内容を記載しております。
 三九ページをご覧ください。26、障害者優先調達の契約件数・金額の実績でございます。
 障害者優先調達の契約について、その種別ごとに過去五年分の件数と金額を記載しております。
 四〇ページをお開き願います。27、都立病院及び公社病院における障害者の雇用状況でございます。
 都立病院及び公社病院における平成二十七年と令和二年の障害者の雇用人数について、それぞれ記載してございます。
 四一ページをご覧ください。28、病院経営本部管理施設における主な感染症対策設備及び対策状況でございます。
 病院経営本部管理施設における主な感染症対策及び当該対策を実施している事業所の数を記載しております。
 四二ページをお開き願います。29、都立病院及び公社病院等における新型コロナウイルス感染症の発生状況及び感染者数でございます。
 都立病院及び公社病院等において、令和三年十月三十一日までに報道発表を行った新型コロナウイルスに感染した職員及び患者の数について、それぞれ記載しております。
 四三ページをご覧ください。30、都立病院及び公社病院における病児・病後児保育の取組でございます。
 令和三年十月一日現在、都立病院及び公社病院において、病児、病後児保育を実施している病院について、開設時期及び定員を記載しております。
 簡単ではございますが、以上で資料の説明を終了いたします。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○おじま委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、質疑に入らせていただきます。
 都立、公社病院の地方独立行政法人化については、先般、第三回定例会で定款が議決され、厚生委員会でも様々な議論がされております。資料に検討状況ですとか、経緯も書いてあるかと思います。
 独法化は、少子高齢化の進展により医療ニーズが変化する中でも、都立、公社病院の担ってきた役割を引き続き果たし続けていくために、現行の経営形態における様々な課題を解決し、都民の医療ニーズに確実に対応する医療提供体制の確立を可能とするものであると思います。
 独法化のメリットを生かして、こうしたことが実現できるよう、様々な検討を現在行っており、そして、それを進めているところであるかと思います。
 そんな中、先週末には第一回の評価委員会分科会が開催され、中期目標の策定を進めているところであると聞いております。
 そこでまず、中期目標について、どういう位置づけで、どのような内容を定めていくものなのかということを教えてください。

○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人法では、中期目標につきまして、評価委員会の意見を聴いた上で議会の議決を経て、知事が法人に達成すべき事項を定め、法人に指示することとされております。
 中期目標には、中期目標の期間のほか、住民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、業務運営の改善及び効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項の五項目について記載することとなっております。

○浜中委員 今、ご答弁にもありましたように、中期目標は、住民サービスや業務運営に関する事項を定めて、知事が法人に指示をするものであるということであるかと思います。中でも、住民サービス、つまり、都民や地域が必要とする医療をしっかり提供することを定めて指示することが中期目標のポイントだと思います。
 民間医療機関だけでは対応が困難な行政的な医療をはじめ、都立病院や公社病院が今まで担ってきた役割以上のことをしっかりと果たせるように検討していただきたいというふうに思います。
 そして、特に感染症医療については、行政的医療の最たるものであるかと思います。三病院の重点医療機関化など、今回の新型コロナの対応も踏まえて、有事の際に都の対応方針の下で対応することが重要であると考えます。
 独法化後もこうした対応がきちんとできるのかどうか、独法化によってこれがどうなるのかということも、都民の一番の関心事であるのかなというふうにも思います。
 定款には、災害時の緊急時に、知事の指示の下で対応する旨の定めがありますけれども、都が法人に指示する中期目標にもその旨をしっかり盛り込み、いざというときに機能するようにしていくことが重要であると考えます。
 一方で、都としても、法人が的確に対応できるようサポートしていくことも重要であります。
 独法化後も、法人が緊急事態に的確に対応するために、都としてどのような支援を行っていくのか、考えを伺います。

○船尾計画調整担当部長 感染症や災害等の緊急時に、率先して多くの患者を受け入れていくことは都立病院の重要な役割であり、独法化後も変わることはございません。
 今後策定する中期目標には、今回のコロナも踏まえ、緊急時の対応を明記して指示していくことに加えまして、こうした対応の実効性を高めるために、都として法人を支援していくことが重要でございます。
 感染症医療や災害医療は、平時からの備えが必要でございます。これらの医療は不採算医療であるため、日頃から専門スタッフの確保や専用の設備、医療資器材等の体制を整備していくことができるよう、都が財源措置を確実に行ってまいります。
 また、緊急時に都と連携した取組が可能となるよう、法人を管理する都の組織が、法人と日頃から意見交換をしながら必要な支援を行ってまいります。

○浜中委員 いざというときに都の方針に基づいて対応できるよう、日頃から都と法人が連携をしていくことが重要であると考えます。
 また、有事の際に機動的に対応するためには、平時からの備えも重要でございますので、人材の確保や育成、施設、設備面の対応もしっかりやってほしいというふうに思います。
 さきの厚生委員会では、有事の際に即戦力となる人材を多数確保していくために、法人独自の人事給与制度を活用し、職員のモチベーションを向上させながら人材育成を図っていくとの答弁もいただきました。大変重要なことだと思いますので、さらに職員の声もしっかり聞いて、検討を進めていただきたいというふうに思います。
 また、今回のコロナでは、介護施設等でのクラスターもございました。地域の医療機関等の対応力の強化に向けての支援もお願いをしたいと思います。
 こうした地域医療の強化に向けて、地域の人材育成の支援など地域医療の充実への貢献も、行政的医療とともに新たな都立病院の重要な役割であります。高齢化の進展に伴い、病院完結型医療から地域完結型医療への転換が図られ、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築が求められております。
 こうした国の医療、介護政策の転換の中で、都は、平成二十八年に地域医療構想を策定し、その実現に向けた取組を推進しているかと思います。
 こうした中、都立病院は、公的な病院として地域に必要な医療体制が確実に整えられていくよう、率先して取り組む必要があります。独法化の方針として定めた新たな病院運営改革ビジョンでも、地域医療の充実への貢献に積極的に取り組んでいくこととしております。
 目指す姿を実現していくために、地域医療においては何が課題となっていて、都立病院としてどのような取組が必要なのか、改めて教えていただきたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 都民の誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築に向けまして、地域の医療機関や介護事業者など様々な関係機関が連携しながら、急性期治療から在宅療養まで切れ目なく提供できる体制整備が必要でございます。
 今後、高齢化に伴い、在宅療養ニーズは増加が見込まれるため、安心して療養するための在宅療養等の質と量の確保に向けまして、地域における担い手の育成や技術力の向上が課題となってございます。
 また、在宅療養中に病状が急変したときに速やかに入院できる後方支援体制の充実も求められております。
 このため、独法化後は、地域のニーズに応じまして、医師や看護師等の専門人材を地域の医療機関や訪問看護ステーション等に派遣し、ケア等の技術力の向上を支援していくとともに、在宅療養患者の急性増悪時の受入れ体制の強化を図るなど、地域医療機関等と連携協力しながら、地域包括ケアシステムの構築を推進してまいります。

○浜中委員 多くの医療や介護の関係者が関わって地域包括ケアシステムが成り立つので、それぞれの地域の実情を踏まえて、役割分担や連携を強化していくことが重要であると考えます。そのために、各病院において、地域の関係機関と顔の見える関係をつくりながら取り組んでいくことが必要だと思います。
 求められる取組を効果的に実施していくためには、地域ニーズを適切に把握していくことが大事であります。法人全体としても、地域の意見を聞くことが重要だと思いますが、独法化後にどのようにしていくのかを教えてください。

○船尾計画調整担当部長 医療環境が変化している中において、都立病院がその時々に担うべき医療や地域ニーズなどを的確に把握し、機動的に取組を進めていくことは重要でございます。
 このため、独法化後は、病院ごとに設置する運営協議会などにより、地域の関係機関から意見を聞く仕組みとともに、法人全体といたしましても、都が設置する法定の評価委員会とは別に、法人独自に外部有識者で構成する会議体を設置することを検討しており、医師会など地域の関係者も含め、委員の構成を検討しているところでございます。
 こうした仕組みを活用いたしまして、地域のニーズを法人運営に適切に反映してまいります。

○浜中委員 都全体の医療提供体制は、都立病院だけでなく多くの医療機関が支えているかと思います。
 特に地域医療の中心を担っているのは、地域の診療所や病院であるので、地域の医療機関や医師会の先生等の関係団体の意見もしっかり聞きながら、適切な役割分担の下で、しっかり地域のニーズを捉えた病院運営ができるように、地方独立行政法人化を進めていただきたいというふうに申し上げて、私の質問を終わります。

○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 本日は、病院の患者さんに向けたWi-Fiのこと、それと、がんと就労について、大きく二点伺いたいと思います。
 まず、病院のWi-Fiの件です。
 病院に入院した患者へのWi-Fiサービスの在り方なんですが、現状の都立病院の状況を知りたいと思います。
 病棟とか、また全ての一般病棟、待合室などがありますけれども、その整備状況について伺いたいと思います。お願いいたします。

○西川サービス推進部長 都立病院におけます患者さん用のWi-Fiの整備につきましては、各病院の整備の状況や患者さんのニーズなどを踏まえながら、平成二十九年度から病院ごとに進めております。
 現在、都立駒込病院では、患者用Wi-Fiが外来及び全ての病棟に導入されております。
 また、多摩総合医療センターや小児総合医療センター、神経病院におきましては、新型コロナウイルス感染症の患者さんが入院している病棟などに導入されているほか、松沢病院では、救急外来に導入されておりまして、都立八病院のうち五病院において、患者さん用のWi-Fiが全館または一部に導入されている状況でございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 都立病院は八つありまして、そのうち、駒込病院の患者用のWi-Fiは、全館整備されているという認識です。そのほかの四つの病院は一部が導入されていて、三つは患者用のWi-Fiの環境整備はこれからという整理だと思います。
 既に病棟全体に対してWi-Fi環境を整備した駒込病院の導入の経緯、そしてその成果について伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 都立駒込病院におきましては、外来における診察の待ち時間に、がんの治療などに関する情報を得るためにインターネットにアクセスしたいという患者さんからのご要望がございまして、外来エリアにおける患者用Wi-Fiの提供を平成二十九年度から開始いたしました。
 その後、病棟のWi-Fi整備を望む入院患者さんの声に応えるため、病棟におきましても患者用Wi-Fiサービスの提供を令和二年度から実施しております。
 病院全館において患者用Wi-Fiを利用できるようになったことで、駒込病院における患者さんの満足度の向上が図られたものと考えております。

○菅原委員 ありがとうございます。
 駒込病院は、全館患者用のWi-Fiもできて、満足度が上がっていると。当然のことで、これは令和二年度、昨年度の取組ということで、高く評価をさせていただければと思います。
 このコロナの中で、厚生労働省は次の補助金の制度をつくりました。読み上げますと、令和三年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金という補助金の制度です。この中には、様々なコロナ禍における設備などの整備の補助金があるんですけど、今回取り上げているWi-Fiの整備、これもこの補助金のメニューの中に入っていると思います。
 東京都は、この補助金の申請をしていると伺いましたが、Wi-Fiの整備も項目の中に入っておりますでしょうか、確認をさせてください。

○谷田経営企画部長 ご指摘の補助金でございますが、感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する経費を対象としておりまして、都立病院におきましては、看護師の負担軽減や院内感染防止対策に要した経費を優先して補助対象と位置づけたところでございます。
 具体的には、民間事業者に消毒、清掃、リネン交換等を委託した経費や新型コロナにより増加する感染性廃棄物を病棟から収集し搬出する委託に要する経費等で補助上限額を超えたため、患者用Wi-Fi整備に係る経費につきましては、当該補助金の申請には含めていないところでございます。

○菅原委員 今の厚生労働省の補助金については、Wi-Fi整備は、厚生労働省の方はWi-Fiの整備対象にしていると。しかし、東京都の方では、Wi-Fiは特に入れていなかったというやり取りかと思います。これは優先順位の中で、もう上限になったという説明ですから、それはそれで分かる話でありますけれども、少々残念だなという印象はあります。
 注目すべきは、厚生労働省も入院患者向けのWi-Fiの環境整備に、取組を始めたということだと思います。厚生労働省も、これは大事なんだということを改めて制度の中で示したということだと思います。
 病院の外来や入院患者向けのWi-Fiの整備を基本的な標準仕様というふうに考えるべきではないかと私は思っております。
 病院内のWi-Fiの整備が、患者に対して必要な社会的な要請であると考えておりますけれども、東京都の見解を伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 学識経験者や関係省庁、業界団体等で構成されております電波環境協議会の調査によれば、病院における患者用Wi-Fiの導入状況は、平成三十年度に一八・二%でございましたが、令和元年度には二七・三%、令和二年度には三〇・八%と年々増加をしております。
 このことは、アメニティーとしての患者サービスに対するニーズだけではなく、例えば面会に来ることが難しいご家族とか友人とコミュニケーションを取りたいなど、療養環境の改善に対する要望の高まりも背景にあるものと考えられます。
 病院経営本部といたしましては、こうした社会的な要請や院内のネットワークの整備状況などを踏まえながら、患者用Wi-Fiの整備を進めているところでございます。

○菅原委員 ありがとうございます。認識をいただきました。
 Wi-Fi環境の導入は年々進んでいるということです。患者はもちろん、家族や友人などからの要望も高まっていること、そしてこれらを受けて、病院経営本部としても患者用Wi-Fiの環境の整備を進めるという基本的な考え方をお示しいただいたと認識しております。
 それでは、少し個別の事例を通して都の見解を伺いたいと思います。
 様々な障害を持つ方々がいらっしゃいます。障害を持つ方々が入院される場合は、コミュニケーションができることが死活問題となる。東京都は、障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例、これを制定いたしました。平成三十年十月一日です。この条例の中で、行政の合理的な配慮は義務とされています。
 障害者への合理的配慮の観点からもWi-Fi環境の整備を急ぐべきと考えますが、いかがでしょうか。例えば、手話通訳者によります遠隔手話通訳などが挙げられますが、環境整備への見解を伺います。

○西川サービス推進部長 病院内におけます患者用Wi-Fiの整備は、障害者の方への配慮という観点においても重要であると認識しております。
 例えば、今お話のありました遠隔手話通訳ソフトなどのアプリケーションを使うことで、聴覚障害のある方がより円滑に医療従事者とコミュニケーションを取ることが可能となります。
 また、視覚障害のある方は、クラウド上のAIを活用した文字の読み上げアプリケーションを活用することで、自らの疾病などに関する情報をより容易に得ることができるようになります。
 今後、患者用Wi-Fiの整備に当たりましては、障害者を支援するツールの開発の動向なども十分注視しながら、着実に進めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 先ほどの答弁にもありましたように、都立病院は八つあります。この八つある都立病院の患者用Wi-Fiの環境というのはそれぞれ違うということです。さらに、建物の物理的な条件などもそれぞれ違っています。
 それだけに、大きな計画をつくっていくということが重要と考えますが、見解を伺います。

○西川サービス推進部長 病院に患者用Wi-Fiを設置する費用は、外来や病棟の数や面積、建物の構造、既存のインターネット回線の敷設状況などによって変わってまいります。また、建物の改修などの時期に合わせて整備することで、効率的な整備が可能となる場合もございます。
 こうしたことから、患者用Wi-Fiの整備は、病院ごとに計画的に進める必要があると考えておりまして、今後、患者さんのニーズや病院ごとの改修計画、整備費用などを踏まえながら、計画の策定を検討してまいります。

○菅原委員 担当の医師、お医者さんから、手術や治療計画の説明を受ける場合があります。また、退院などに関する説明なども受ける場合があります。これをオンラインで受けたいという要望もあるんだと思います。
 今までは、病院に家族などが同席をするということが行われてきましたが、離れていても受けられる場合もありまして、これは、患者また家族への利益が大きいのではないかと思います。
 都立病院は平成十三年七月、都立病院の患者権利章典を制定いたしました。この中でインフォームド・コンセントを明文化しております。これは、日本の国公立病院で初めての取組と伺っております。
 次は、オンラインでも提供できるよう環境整備を進めていただきたいと思っているんです。
 都立病院として、患者本人や家族に対して、治療などに関わる説明をオンラインで受けられるようにするなどのサービス提供を標準的な患者の権利として提供できないでしょうか、見解を伺います。

○西川サービス推進部長 医師から患者さんに病状や治療計画を説明するに当たりまして、患者のご家族に同席していただくことは、インフォームド・コンセントの観点や患者さんの不安を和らげるという面から重要であると認識しております。
 こうしたことから、オンラインにより、例えば遠方に住む患者家族が、医師から患者への説明に同席するようにする取組もまた必要と考えております。
 実施に当たりましては、必要に応じて院内のインターネット回線を整備するとともに、使用する通話アプリなどについて、患者家族のニーズを把握しながら運用方法を具体的に整理する必要がございます。
 今後、こうした点も踏まえまして、医師から患者への説明に際して、家族がオンラインで同席することについて検討を進めてまいります。

○菅原委員 もろもろありがとうございます。
 これらの様々な施策を進める上で、デジタルに強い職員というのも職員側に、病院経営本部の側には必要ではないかと思っています。デジタルに強い職員の配置や育成というのは、ワイズスペンディング、賢い支出を進めるためには重要だと思います。
 Wi-Fi環境整備に関わる職員、この活用をどのように進めるのか伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 都では、デジタルの力を活用しました都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスの向上を推進していくために、専門的な知識を有する人材をICT職や特定任期付職員、会計年度任用職員等の多様な方法で確保するとともに、職員のデジタルスキル向上に向けた様々な育成施策を実施しております。
 病院経営本部におきましても、民間企業等におけるICTの職務経験を有し、専門的な知識を備えた職員を配置することで、電子カルテや院内LAN、Wi-Fiなどのシステムに関連した多様なニーズに対応するなど、病院の情報システムを取り巻く環境変化に迅速に対応できる体制を確保しております。
 また、職務上必要となりました個別の情報システムの技術について、民間主催の研修を受講して、高度な知識を身につけられるよう支援しているところでございます。

○菅原委員 都立病院の患者向けWi-Fiの環境整備については、おおむね同じ方向性であるということを確認いたしました。
 コロナ禍で入院患者は孤独な闘病生活を強いられています。家族や関係者も同じだと思います。東京都は、DXの活用による患者のQOSの提供を進めているということもありますから、ぜひ加速をしていただきたいと思います。そして、都内のほかの病院や全国の医療機関を引っ張っていただければと思います。まずは、病院のWi-Fiの件は終わりたいと思います。
 次は、都立病院のがんと就労について進めたいと思います。
 基本的な認識として、がん対策基本法の改正を踏まえて、がんとの共生というのは既に共通認識となっていると思います。がんとの共生の上で、がんと就労を推進することは重要で、生活基盤を安定しながら、がんと向き合うための環境整備が求められております。
 都立病院での取組を再認識しつつ、コロナ禍で足踏みをしてしまった、がんと就労の取組を動かすための質疑となります。
 まずは、都立病院でのがんと就労の取組について答弁を求めます。お願いします。

○西川サービス推進部長 各都立病院におきましては、医療ソーシャルワーカーを中心として、がんも含め様々な病気で治療を受ける患者さんやそのご家族からの就労継続に関する相談に対応しております。
 また、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院におきましては、平成二十七年度からハローワークとの連携を図り、ハローワークの職員が病院へ出張し、就労に係る相談を実施しております。
 さらに、平成三十一年四月から、全都立病院におきまして、がんをはじめとする患者の就労継続を支援するため、社会保険労務士が、がん患者などから治療と仕事の両立について相談を受け、仕事を続けるに当たって必要な助言を行っているところでございます。

○菅原委員 コロナ禍で診療や相談が減少したということもあると思います。伴って、がん検診、また患者会、またがん相談などが低調となっております。
 例えば、がんと就労に関する相談事業などにも影響が出ているかと思いますが、現状はいかがでしょうか、伺います。

○西川サービス推進部長 社会保険労務士による治療と仕事の両立支援相談につきましては、令和二年度の相談実績は、全都立病院で六十三件となっておりまして、令和元年度の八十五件と比較して、二十二件、約二六%減少しております。
 これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言期間中など、対面による相談を実施することが難しい時期があったことなどが影響していると思われます。

○菅原委員 今後の方向性について伺って質問を締めたいと思いますが、がんと就労に関して、コロナの前に戻すだけではなくて、がんとの共生の観点から、さらなる取組が求められると思いますが、見解を伺います。お願いいたします。

○西川サービス推進部長 国立がん研究センターの統計によりますと、がんの罹患数は増加し続けております。その一方で、医療技術の進歩などにより、がんの生存率は上昇傾向にございます。
 そのため、がんに罹患した方々が本人のご希望により、それまでと変わらず教育や就業が継続できるよう、治療と社会生活との両立を支援していくことが今後も重要な取組であると認識しております。
 こうしたことから、都立病院では、これまで実施してまいりました就労支援に関する取組を社会保険労務士などの専門家と連携しながら引き続き実施するとともに、がんに罹患した方々が、治療しながら自分らしく働き続けることができるよう、治療と仕事の両立支援を充実してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 がん対策基本法というのは、国が、国会議員たちの議員提案でできた法律です。その後改正がされて、この改正の中で、がんとの共生という概念が強く入ってまいりました。
 それまでは、例えば検診を受けるとか、また治療を受けるという両刀の中でのがん対策に、少しこう、ステージがあったんですけれども、がんとの共生ということになると、がん患者の生活を守るというステージが大きく広がってきます。その中での就労ということが、今日取り上げたテーマでございます。
 ぜひ、がんとの共生、がんと共に生きる社会をつくるために、一つ大きなテーマががんと就労ですので、共に進めていければと思います。
 これで質疑を終わります。ありがとうございます。

○伊藤委員 それでは、私からは、都立、公社病院における新型コロナウイルス感染症対応について伺いたいと思います。
 この一年十か月の間、本当に、コロナに始まり、コロナに終わり、こうした日々を過ごしたわけでありますけれども、感染症医療や精神科医療など、行政的医療の提供を役割とする都立、公社病院は、約二年にわたって、新型コロナウイルス感染拡大に積極的に対応してきたというふうに思います。この間、各病院の医療従事者をはじめ、職員の皆様には心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 とりわけ、八月の第五波は、爆発的な感染拡大となって感染者数が激増し、民間病院も含めて、受入れ病床の逼迫が大きな問題となりました。
 そこでまず、都立、公社病院は、これまで五回にわたる感染拡大の波に、どのようにコロナ病床を拡大してきたのか、振り返って伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、令和二年一月末から二月にかけて、中国武漢市からチャーター便で帰国した在留邦人やクルーズ船での体調不良者を感染症指定医療機関である駒込病院、墨東病院、荏原病院、豊島病院の四病院の計四十六床を活用して受け入れてきました。
 その後、市中における感染の拡大に合わせ、四月末には、都立、公社の全十四病院でコロナ専用病床七百四十一床を確保し、他の医療機関で対応が困難な妊婦や小児、精神疾患等の合併症患者も積極的に受け入れてまいりました。
 さらに、十二月に、旧府中療育センターにコロナ専用医療施設を開設しました。当初の三十二床から段階的に拡大し、最終的には百床体制としています。
 第三波の感染拡大に対応するため、令和三年二月には千七百床、第四波に備えて、四月には二千床と順次病床を拡大し、第五波の感染拡大にも対応しました。
 病床の拡大に当たりましては、一般病棟への簡易陰圧装置を設置するとともに、汚染区域と清潔区域のゾーニング等を行うことで、コロナに対応できる病棟に転用し、患者を受け入れてまいりました。

○伊藤委員 答弁いただいたとおり、昨年一月の末、中国の武漢からのチャーター便で帰国した在留邦人やクルーズ船での体調不良者が、都立、あるいはまた公社病院に搬送される報道の画像が昨日のことのように思い出されるわけであります。
 いずれにしても、あの時点から今日まで、都立、公社病院が感染拡大の状況を踏まえながら、必要な病床を確保して患者の受入れに取り組んできたということでございました。
 また、都立の広尾病院、公社の荏原病院、豊島病院を新型コロナウイルス重点医療機関として重点的に受入れを行うとともに、妊婦や親子、透析等の合併症患者、精神病院からの転院など、民間の病院では対応が難しいコロナ患者を多く受け入れてきたと思います。
 都立、公社病院において、こうした民間で対応が困難なコロナ患者をどのようにして受け入れてきたのか、具体的な対応について伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院におきましては、各病院の有する機能や役割に応じて、民間病院では対応が困難なコロナ患者を積極的に受け入れてまいりました。
 具体的には、臨月のコロナ患者につきまして、周産期医療を担う大塚、墨東、多摩総に加え、荏原、豊島の各病院でも受け入れ、感染対策を講じた上で緊急分娩対応を行いました。
 また、親及び未就学児が共にコロナ感染した場合、小児総合医療センターなど都立、公社の九病院では、親子で同じ部屋への受入れを行い、安心して治療を受けられる環境を提供いたしました。
 さらに、コロナに感染した透析患者を受け入れるために、腎医療を担う大久保病院では、コロナ患者用の透析ベッドを確保するとともに、広尾、駒込、墨東、多摩総、豊島の各病院でも、転院依頼のあった患者を翌日までに受入れができるよう迅速に対応してきました。
 これらの対応のほか、都の精神科医療の中心的な役割を担う松沢病院では、コロナ専用病床を確保し、多摩総などの四病院も含めて、民間精神科病院などにおいてクラスターが発生した際には患者を率先して受け入れ、コロナ治療に加えて、統合失調症や認知症等の治療を行ってまいりました。

○伊藤委員 答弁いただいたとおり、本当に困難な患者さんを、都立、また公社病院が受け入れてきたと。各病院の有する機能や役割に応じて、民間の病院では対応が困難な患者を受け入れてきたということでございました。高く評価をしたいと思います。
 この夏の爆発的な感染拡大の際には、患者数の増加に伴って救急車の出動件数も増加をして、都内の病院では、コロナ患者の救急搬送依頼に対応できず、受入れまで救急車の中で五時間、六時間と長時間を要する事例も発生するなどの深刻な状況となりました。
 このとき、都議会公明党は、即座に小池知事に緊急申入れを行って、緊急搬送時に、受入先が見つからない救急隊からの要請があった場合に、必ず受け入れる病床を都立、公社病院に確保していただきたいと強く要望いたしまして、都は、搬送困難者対応入院待機ステーションの設置に動いてくださいました。
 搬送困難な患者に対して、どう取り組んできたのか、その実績も含めて伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、救急隊からの搬送困難なコロナ患者の受入れ要請に応えるため、各病院で宿日直の医師を増員するなど、人員体制を強化することで、十一の総合病院で常時三十六床の病床を確保しています。
 令和三年八月十四日から開始しておりまして、受入れ病院につきましては、東京消防庁と調整しながら、重症度と地域性を踏まえて決定しております。
 また、患者の受入れ後は、重症や中等症の患者につきましてはそのまま入院させ、軽症の患者は翌日に宿泊療養施設等へ搬送するなど、患者の症状に合わせて適切に医療を提供してきました。
 こうした取組の結果、民間医療機関では受け入れることができなかった搬送困難事例につきまして、事例が発生していた九月四日までに二百三十九件を受け入れました。

○伊藤委員 第五波の災害級の危機の時期に、搬送困難な状態の患者を、僅か三週間の間に二百三十九件受け入れてきたということでありました。民間医療機関では受け入れることができなかった救急搬送困難事例についても、都立、公社病院がしっかりと対応してきたということでありました。
 次に、島しょ地域における感染症の医療体制について伺いたいと思います。
 島しょ地域は海に囲まれており、内地との往来は一部飛行機や船に限られており、さらに島内においては、内地から島へ帰った島民や来島者などが感染している可能性もあって、島内で一たび感染が広がれば大変な事態となるわけであります。
 島しょには、町立八丈病院に感染症指定医療機関として二床が指定されているのみであって、感染症に対応できる病床数は限られております。また、他の島しょ地域には診療所しかないため、コロナ患者が発生しても入院することは非常に困難な状況であります。
 このような現状において、島しょ地域の方々にとっては、広尾病院をはじめ、都立病院に期待するところは大きいものがあるわけであります。
 都立病院が島しょ地域で発生したコロナ患者の受入れについて、どのように対応してきたのか伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 島しょ地域におきまして、疑い症例を含むコロナ患者が発生し、島しょの医療機関で対応ができない場合には、福祉保健局が受入れ病院を調整した上で、東京消防庁のヘリコプター等で救急搬送を行っています。
 令和二年三月から令和三年八月までの間、延べ三十四件、七十人の搬送が行われておりまして、うち三十三件、六十九人を都立病院で受け入れております。
 また、一刻も早い治療を要する患者につきましては、東京ヘリポートなどの通常のヘリポート経由ではなく、広尾病院の屋上ヘリポートで直接受け入れました。
 さらに、令和三年七月に大島町でクラスターが発生した際には、二十代から七十代の二十二人の全てのコロナ患者につきまして、広尾病院と駒込病院で受け入れました。
 島しょ医療は、都立病院が担う重要な行政的医療でありますので、引き続き、島しょ地域の安心・安全を支えるために、都立病院としての責務を着実に果たしてまいります。

○伊藤委員 島しょ地域の対応についても、広尾病院を中心にしっかりと対応してきたということで確認をさせていただきました。
 都立、公社病院は、行政的医療を安定的かつ継続的に提供するとともに、地域医療の充実に貢献することを基本的な役割としております。このたびのコロナ対応においても、この役割に基づいて、地域の医療機関と連携して地域医療を支えていくことが必要であります。
 都立、公社病院が、コロナ対応において地域医療機関等とどのように連携してきたのか伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、地域のかかりつけ医や連携医療機関等から紹介されたコロナ患者や疑い患者を受け入れており、とりわけ重症化した患者についても、できる限り対応してきました。
 また、クラスターが発生した医療機関や高齢者施設に対して、医師や感染管理認定看護師等が、施設のゾーニングや防護具の着脱等の感染管理対策について研修を行うなど、都立、公社病院が有する知識やノウハウを活用して地域の医療機関等を支援しております。
 さらに、重症患者の治療に当たる大学病院と連携し、大学病院で重症から回復した患者を積極的に受け入れ、重症病床の効率的な運用に協力をしております。
 このような取組を通じ、都立、公社病院は、地域の医療機関等と緊密に連携を図りながら、地域のコロナ対応に貢献しております。

○伊藤委員 現在、感染状況は少し落ち着いてきておりますけれども、この夏の第五波は、まさに災害級といえる状況であったわけであります。現場の最前線で働く医療従事者の皆様のご尽力によって、第五波の感染拡大に対応できましたけれども、今後来ることが予想されている第六波に対応するため、今から備える必要があるわけであります。
 そこで、都立、公社病院が今後の第六波の感染拡大に向けてしっかりと体制を整えていくことが重要と考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、第五波の終息に伴い、二千床あったコロナ専用病床を千七百床とし、がん医療や二次救急などの一般医療を再開しておりますが、感染再拡大の兆候が生じた場合には、速やかにコロナ優先の体制とすることとしております。また、今後の第六波の感染拡大に備え、院内協力体制のさらなる強化などを検討しております。
 こうした取組により、より迅速に患者を受け入れる体制を構築し、他の医療機関では受入れ困難な患者を積極的に受け入れるとともに、中和抗体薬の投与推進により、重症化の防止等を図ってまいります。
 さらに、今後使用承認される新薬など、新たな動きなどにも迅速に対応しつつ、関係部署とも緊密に連携を図りながら、医療を必要とする患者に適切な医療を速やかに提供することで、都民のニーズに対応してまいります。

○伊藤委員 ご答弁いただいたとおり、第六波の感染拡大に向けて、患者の受入れ体制の強化等に向けて、しっかりと取組を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、コロナ専用医療施設に関して伺います。
 新型コロナウイルス感染症専用医療施設の運営費については、先日の補正予算のときに議論をし、また議決をされたわけでありますけれども、十月にありました厚生委員会では、私からも、第五波のときの受入れ状況などについて質疑をさせていただきました。
 改めて、感染状況が落ち着いてきているこの現状の中で、多摩総合医療センターの一部であるコロナ専用医療施設は、今どのような状況になっているのか伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内のコロナ感染者数の減少に伴い、コロナ専用医療施設では入院患者数も減少をしております。
 一方、医療機器の保守点検や病棟内の消毒、清掃、食事や医薬品、その他必要な物品の搬送など、コロナ専用医療施設の円滑な運営を継続的に行うために必要な委託につきましては、補正予算に基づき適切に契約手続を行っております。
 着実に患者の受入れができるよう、次の感染拡大の到来に備え、滞りなく準備を行い、都民の安心を確保してまいります。

○伊藤委員 現在は感染状況が落ち着いてきているから閉じてしまうというのではなくて、今後の感染拡大に備えて着実に準備をしているということでございました。
 今後、第六波が来た際には、都のコロナ専用医療施設で一人でも多くの患者を受け入れて、他の医療機関の負担を少しでも軽減するとともに、都民の安心を確保していただくよう改めて要望しておきたいと思います。
 次に、コロナ後遺症相談窓口について伺いたいと思います。
 都議会公明党は、コロナ後遺症に苦しむ方々の声を受け止め、都に対し、相談窓口の設置や後遺症に関するリーフレットの作成を求めてまいりました。また、よく分かっていない後遺症の実態を把握するよう、相談窓口に寄せられた症例を蓄積、分析をして、患者の苦しみを少しでも軽減したり、治療に結びつけられるよう求めてまいりました。
 そこで、都立、公社病院で行ってきたコロナ後遺症相談窓口を利用した相談者の声から見えてきた特徴はどんなものがあるのか伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 本年三月から、都立、公社病院の八病院にコロナ後遺症相談窓口を順次設置しまして、新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩む方の相談に応じてきておりまして、令和三年十月十五日までに三千五百四件のご相談に応じました。
 相談は幅広い年代から寄せられておりまして、三十代以下の方からの相談が全体の約四割を占めるなど、若い世代であっても後遺症に悩まされている方が一定数いることがうかがえます。
 また、相談者が後遺症として訴える主な症状といたしましては、嗅覚異常や味覚異常、倦怠感、せき、発熱などでございます。
 さらに、陽性判明後一か月未満の方が相談者の約三八%を占めている一方で、約一三%の方が三か月以上経過しても後遺症に悩まされている状況もございます。

○伊藤委員 まだ完全とはいえないと思いますけれども、分かってきた特徴や症状をさらに分析をしていただいて、後遺症に悩む相談者が適切な医療を受けられるよう支援をしていくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 相談窓口におきましては、患者支援センターの看護師などが電話で症状などをお伺いして、症状に応じて医療機関の受診につなげるなどのご支援を行っております。
 具体的には、受診する診療科のアドバイスや、かかりつけ医などの受診勧奨のほか、継続する息苦しさや胸の痛み、しびれなどの症状が重い場合には、院内の適切な診療科の外来受診につなげるなどの対応を行っております。
 今後は、福祉保健局と連携いたしまして、コロナ後遺症に対応可能な医療機関の情報を集約して相談窓口で活用するなど、後遺症に悩む都民が、身近な医療機関でより適切な医療を受けられるように取り組んでまいります。

○伊藤委員 この後遺症で悩む人ということでありますけれども、私たちの身近なところにも結構いらっしゃいます。職員の皆さんの周りにもいらっしゃると思います。どうしていいか分からないという、本当に苦しんでいる方がいらっしゃいますので、どうぞこれからも、この後遺症で悩む方々に寄り添っていただきたいなと、このように思います。
 次に、子ども患者権利章典について、関連して伺いたいと思います。
 都議会公明党の提案から全会一致の賛成で成立した東京都こども基本条例が、本年の四月一日から施行され、あらゆる場面において子供の権利が擁護される大きな一歩を踏み出しました。
 一方で、都立病院では、子ども患者権利章典が制定されておりまして、子供の患者も一人の人として守られる権利が保障されていることが書き込まれております。病と闘う子供を、家族も医師も看護師も、みんなが力を合わせて守っていくというすばらしい章典であると私は思います。
 そこで、子ども患者権利章典の意義、目的と、実際にそれを子供たちに対してどのように伝えているのか伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 都立病院の子ども患者権利章典は、平成十三年七月に制定した都立病院の患者権利章典の理念を基本にいたしまして、よりきめ細やかに患者さんのニーズに対応するため、小児医療における特性等の要素を加え、平成十九年六月に制定いたしました。
 策定に当たりましては、子供にも分かりやすい言葉で簡素な表現に努めるとともに、小児患者や家族の権利と守るべき決まりを明確にいたしまして、医療提供者と患者さんが相互に協力しながら、患者中心の医療を築き上げていくための倫理的な規範と位置づけております。
 都立病院におきましては、都立病院の患者権利章典と併せまして、子ども患者権利章典を病院経営本部及び各病院のホームページに掲載しているほか、病棟や外来での掲示を行うなど周知をしております。
 小児総合医療センターにおいては、権利章典を踏まえ、子供中心の医療の提供を運営理念の一つといたしまして、患者である子供と家族の医療に参加する権利に配慮した子供目線の説明やファシリティードッグの導入などによる療養環境の改善に取り組んでおります。

○伊藤委員 毎年作成されるこの病院経営本部の事業概要の巻頭の黄色いページのところに、この子ども患者権利章典が記載されておりますので、ぜひ委員の皆様も一度目を通していただきたいなと、このように思います。
 子供といっても、その子供を取り巻く環境は一人一人みんな違うわけであります。家族環境が整っている子供もいれば、そうでない子もおります。経済的に裕福なうちもあれば、厳しい家族もあります。また、ひとり親など、どんな子供にもこの権利章典が及ぶよう、大人側が、病院側が配慮すべきだというふうに私は思います。
 この章典の中で私が注目したのは、この章典の6のところに、あなたは、入院しているときでも、できるだけ家族と一緒に過ごすことができますと書いてあります。また、7には、あなたは、入院していても、勉強したり、遊んだりすることができますと、非常に大事な視点が書いてあるわけであります。
 そこで、子ども患者権利章典の6、あなたは、入院しているときでも、できるだけ家族と一緒に過ごすことができますということに対して、どのような取組をしているのか、具体的に伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターにおきましては、新生児期から乳幼児期の入院により、親子が離れることで愛着形成に支障を来すことがないよう、看護師や保育士、心理士が家族に密接に関与いたしまして、親子の接触機会を確保するよう取り組んでまいりました。
 新型コロナウイルス感染症のため、現在は一時的に面会の制限を行っており、原則として、両親のいずれか一名までと現在はしておりますが、通常は、からだの病棟については、両親、祖父母及び小学生以上の兄弟姉妹の面会も可能といたしております。
 また、現在は感染症対策により、やはり休止しておりますけれども、家族が面会や付添いを行う際に、病室に入ることができない患者の兄弟姉妹を一時的に見守るためのキッズルームや付添いの家族がシャワー等を利用できるリフレッシュルームなどを設けております。
 さらに、入院が長期化した患者さんの付添者の負担を軽減するため、多摩キャンパス内に、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが運営する宿泊施設を設置しておりまして、このように入院中の患者さんと家族ができるだけ安心して一緒に過ごせるよう配慮をしているところでございます。

○伊藤委員 同じく、子ども患者権利章典の7には、あなたは、入院していても、勉強したり、遊んだりすることができますというふうに書かれております。
 これに対して、どのように取り組んでいるのかも具体的に伺えればと思います。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターでは、各病棟におもちゃや遊び場を設けているほか、ベッドサイドの学習机や個室の学習室を整備しております。
 また、保育士による病棟保育も実施しており、子供の年齢や病状等に応じた日常的な遊びの支援や、七夕、縁日など、季節や行事に合わせたレクリエーションの実施、学習の援助などを行っております。
 就学児童の教育につきましては、院内に東京都立武蔵台学園府中分教室が設置されておりまして、からだの病棟、こころの病棟、それぞれの入院患者を対象に、小学部と中学部が運営されております。
 こうした取組によりまして、入院中の子供の遊びと学習の機会を確保しているところでございます。

○伊藤委員 子供の患者が都立病院に入院しているときに、様々配慮されているということはよく分かりました。
 しかし、私は、本年の第一回都議会定例会一般質問で、小児がんや難病と闘う子供たちが入院治療のはざまにあるとき、あるいはまた、治療方法の限界にぶつかってしまって、もうこれ以上治療がない、こう宣言をされてしまう子供たちもいます。こうしたときにも孤独にさらされることがないように、子供とその家族が笑顔でいられる居場所として、東京こどもホスピスの設立に向けた都の支援を求めました。
 今後は、入院期間中のみならず、こうした福祉的支援と医療支援が連携した、まさに子供患者の権利を守り抜く都立病院としての活躍と発展に期待をして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 初めに、長期化する新型コロナ感染拡大の影響で、今年はさらに経済的に困窮する方が増加しています。
 厚生労働科学研究の新型コロナウイルス感染症流行下の自粛の影響、予期せぬ妊娠等に関する実態調査と女性の健康に対する適切な支援提供体制構築のための研究によると、二〇二〇年十月十五日から十一月十四日の間に人工妊娠中絶を受けた方へのアンケートで、中絶を選択した背景にコロナの影響があると答えた方は百五十二件でした。これは全体の七・七%でした。その中では、収入減少や失業などの経済的な理由を挙げたものが多いという結果でした。
 現在、日本では、妊娠から出産まで実に多くの費用がかかります。例えば、妊婦健診、自治体からもらう健診票を使っても自己負担が生じることが多く、私も、受診した際に、東京都の妊婦健診票初回時用を使った場合でも、初診時は二万一千円程度の自己負担、二回目以降も数千円の自己負担が生じました。こうした実態から、妊婦健診を受けられないとか、数回しか受けていないなどのいわゆる未受診妊婦となるケースも起きています。
 こうした経済的に困難な方の出産について、都立病院、公社病院が果たしている役割について伺います。
 分娩施設のある都立病院と公社病院では入院助産制度が使えますが、これは、経済的な理由で入院できない妊産婦への支援が、都立、公社病院の役割だからではないですか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 助産施設は、児童福祉法に基づき、保健上必要があるにもかかわらず、経済的な理由により、入院助産を受けることができない妊産婦を受け入れ、支援を行う施設であり、広尾病院などの都立、公社六病院と都内の複数の医療機関がその役割を担っています。
 なお、都立病院は、都立病院条例におきまして助産施設に定められておりまして、また、公社病院は、東京都から助産施設の認可を得ています。

○藤田委員 都内の複数の医療機関がその役割を担っているということですが、都立病院については、都立病院条例にきちんと位置づいているということが非常に重要だと思います。今後も、条例の定めによって、役割を果たし続けていただくよう要望いたします。
 正常分娩の出産費用の平均は、全国で五十万五千七百五十九円なのに対し、東京都では六十二万一千八百十四円と十万円以上も高く、全国一の高額となっています。出産育児一時金を使ったとしても約二十万円の自己負担が発生してしまいます。
 そうした中、都立病院では、ほぼ自己負担なく、出産育児一時金の範囲で分娩ができたと友人が話していました。これについても、都立病院条例で定められているということです。
 こうしたことからも、経済的な理由のある妊産婦に対して、出産費用の負担を最小限にできているのが都立病院であるということだと思います。ぜひとも、都立病院条例を今後も維持し、都民が必要とする医療の提供を維持充実していただくよう重ねて要望いたします。
 次に、都立病院と公社病院の地方独立行政法人化問題について伺います。
 小池知事は、来年七月に都立病院と公社病院の地方独立行政法人の設立を目指すとしています。
 さきの都議会では、多くの会派から、なぜこの時期に独法化なのかという質問が出されたのに対し、都はまともに答えられず、さらに、都立、公社病院のコロナ対応で、独法化しなければ解決できない重大な不都合が何かあったのかという我が党の問いに対しても、都は答えることができませんでした。
 にもかかわらず、東京都は十一月五日に、地方独立行政法人評価委員会の都立病院分科会を開催し、独法化に向けた準備は着々と進めています。私からは、改めて、独法化が都民医療の後退につながるという重大な問題について確認したいと思います。
 私は、二〇一八年六月の厚生委員会で、過去の都立病院経営委員会に出されていた独法化を進める上での課題について質問をしました。当時の答弁は、独法化した医療機関が全国で増えてきたから課題の検証は可能だというものでしたが、課題が解消されたかどうかについては答えがありませんでした。
 そこで、改めて確認したいと思います。平成十九年度都立病院経営委員会報告と第二次都立病院改革実行プログラムの経営形態見直しにおける課題では、制度面の課題として五つ、運営面の課題として二つ挙げられていました。
 初めに、制度面の課題について伺います。
 制度面の課題として、国の独立行政法人の運営を見ると運営費交付金の一律削減を課せられているなど、国の財政面からの効率化が前面に出ている例もある、設立団体の負担する経費の基本的な考え方は現行の一般会計繰出金と変わらないが、都の財政状況によっては影響を受けるおそれがあるといったものがありましたが、そのときの課題は解消されたのですか。解消したとするのであれば、それはどういった検証の下に行った判断なのですか。

○船尾計画調整担当部長 当時の課題でございますが、地方独立行政法人の導入事例が少なかったことに伴う課題というふうに認識をしております。
 その後、全国で病院を設置する地方独立行政法人の数が増加し、様々な事例検証が可能となっており、平成三十年一月の都立病院経営委員会からの提言を踏まえまして、都として、法や国の公開資料、他の地方公共団体における先行事例等の調査を踏まえまして、各経営形態の比較検証を行い、令和二年三月に、独法化の方針として、新たな病院運営改革ビジョンを策定いたしました。
 運営費負担金は、国の運営費交付金、これとは異なりまして、診療報酬では採算を取ることが困難な医療などにつきまして、地方独立行政法人法により、設立団体が負担するものというふうに定められており、各法人においては、毎年度の収入と支出の状況によって運営費負担金の金額が増減をしていることを確認しております。

○藤田委員 私が聞いたのは、以前の課題は解消されたのかどうかということです。解消したのであれば、どういった検証の下に行った判断なのかということです。聞いたことに答えてください。
 全国の独法病院が増加したから、都として先行事例の調査と比較検証ができるようになったということですが、この答弁は二〇一八年と同じです。
 ここで確認なんですが、事例が増えて比較検証ができるようになった結果、国の独立行政法人の運営に見られるような、運営費交付金の一律削減を行っている事例というのはあったのですか、なかったのですか。あったかなかったかでお答えください。

○船尾計画調整担当部長 様々な調査をいたしまして、まず、国独法なんですけれども、これは、地方独立行政法人とは根拠法ですとか財源措置の仕組みが全く異なっております。
 そういう中で、他法人の状況を確認していったというところでございますが、既に都で独法をしております健康長寿医療センター、この状況を確認いたしますと、毎年度の収入と支出の状況によりまして、負担金の金額が、やはりここも増減をしておりますが、運営費負担金は、国の繰り出し基準を踏まえた都のルールにのっとって措置されているものと確認をしております。
 都立病院の運営費負担金につきましても、行政的医療の提供に必要な経費は、都が確実に措置していくものと考えております。

○藤田委員 一律削減している事例があったのかなかったのかについては答えていただけませんでした。
 ほかの独法病院の運営費負担金が増減しているということなんですが、その減った理由が、行政的医療の範囲などが狭められた結果、あるいは、より機械的な削減が行われた結果ではないということを示すことができなければ、課題が解消されたとはいえないと思います。
 もう一点確認したいのは、法人への財政支援の削減という課題について、第二次都立病院改革実行プログラムでは、国の財政面からの効率化が前面に出ている例もある、設立団体が負担する経費の基本的な考え方は、現行の一般会計繰出金と変わらないが、都の財政状況によって影響を受けるおそれがあるとまで、当時、分析した結果について述べられています。
 それでは、ほかの自治体の運営費負担金の金額は公表資料で調べたようですが、設立団体の財政状況によって影響を受けているのかいないのか、ここについても、ほかの団体の事例を検証したのでしょうか。検証したのかしないのか、これについてお答えください。

○船尾計画調整担当部長 運営費負担金でございますけれども、まず、ルールといたしまして、毎年度、総務省が策定する繰り出し基準に準じまして、各設立団体が適切に負担すべきことということで、各自治体はそれぞれルールを定めまして、それで算定された運営費負担金を支出しているというところでございます。
 先ほど申し上げましたように、各法人によって、毎年度の収入と支出の状況によって運営費負担金が増減をしているというところでございますけど、都が設立した健康長寿医療センターの状況を見ますと、運営費負担金は、国の繰り出し基準を踏まえた都のルールにのっとって措置されているものと認識しております。
 都立病院につきましても、行政的医療に必要な経費は都が確実に措置していくものでありまして、全ての法人の聞き取りというのを行っているわけではございません。

○藤田委員 検証したともしていないともいっておりません。極めて無責任だと思います。
 ご答弁にあった総務省の繰り出し基準についても、繰り出し基準を総務省が定めているといいましたが、金額の具体的な計算方法は各自治体で決めていて、実態としては、かなり広い裁量を持って決められています。繰り出し基準があるから心配ないというものではありません。
 先ほど、いかにも検証したかのような答弁を行っていましたが、結局、ほかの自治体の独法で財政状況の影響を受けているのかの検証は行っていないということではないのでしょうか。
 先日の厚生委員会で、病院経営本部は、独法化は十年前から課題だったといっておりましたが、その十年前に自分たちで課題だといっていたことも、まともな検証もしていない、確認してみると、そうした課題自体をなかったことにしようとしている、そういうことではないのでしょうか。
 独法化しても必要な費用は都が負担していくと述べていますが、そのような説明で安心とはならないからこそ、課題として挙げていたのです。独法化に反対する意見に対して、ありもしないような不安をあおると攻撃する方もいらっしゃいますが、東京都こそ、東京都自身が課題としていたことさえ検証していないのです。
 現に、地方独立行政法人についても、自治体から運営費負担金が一律削減されている事例があります。資料を配布してください。
 二〇〇六年に地方独立行政法人法に基づいて独法化した大阪府立病院機構では、二〇一七年から二〇二〇年までの当初予算において、府からの財政負担が毎年度比一億円、一律に削減が行われています。
 都は、この事実を把握していますか。既に公になっている事実なので、把握しているかどうかを答えることには問題はないと思います。お答えください。

○船尾計画調整担当部長 大阪府立病院機構のお話でございますけれども、過去、私どもで、独法の運営状況のヒアリングで訪問しておりまして、職員の採用ですとか、予算執行等のほかに、運営費負担金につきましても聞き取りを行っておりますが、具体的な内容につきましては、公開を前提に聞き取りをしたものではございませんので、答弁の方は、この場では差し控えさせていただきたいと思います。

○藤田委員 聞き取り内容の具体を聞いているのではありません。そもそも、これは三月の予算特別委員会で我が党の白石都議が示したことですから、把握していないということはあり得ません。
 聞き方を変えますが、三月の予算特別委員会で示した大阪府立病院機構への運営費負担金を毎年一億円ずつ削減するというこの文書は、承知していますね。承知していますね。

○船尾計画調整担当部長 お配りいただいた資料につきまして、今、拝見しておりますけれども、私どもの方で直接このお話を聞いたわけでもありませんので、これがどういった趣旨で作成されたものなのかということは、分かりかねるというところでございます。

○藤田委員 見ているということなんでしょうかね。
 それなら、大阪府立病院機構への運営費負担金が一億円ずつ減らされたという事実は、把握しているということでよろしいですか。

○船尾計画調整担当部長 大阪府立病院機構に対して、私どもの方で確認を取っているわけではございません。

○藤田委員 これは、三月にも説明したように、開示請求で出された文書だということなんです。しかも内容は、読めば明らかですが、ここに、上にも大阪府立病院機構が開示したと書いてありまして、病院機構に開示を求めたものですから、病院が出したものです。
 これを正式な議会で私たちは示しました。にもかかわらず、事実上、無視をするようなことをすると。許されない、議会軽視だと思います。
 事実を事実として受け止めなければ、独法化後に東京都で同様の課題が生じないという証明もできないではないですか。この事実が示していることは、地方独法の運営費負担金も一律に削減されることがあり得ると。
 つまり、東京都自身が二〇〇八年度に挙げた課題は、こうやって事実としてありますから、課題は解決されていないということなんです。それを認めたくないから、大阪府立病院機構への負担金が毎年一億円ずつ減らされたという事実も認められないのではないでしょうか。
 我が党が昨年、大阪府立病院機構の視察を行わせていただいた際、運営費負担金が減った要因の一つは、負担金の額を落としてくださいという要請が大阪府からあったと話していました。
 都民が心配しているのは、国立病院やほかの自治体病院が独立行政法人となる中で、実際に医療の後退が起きているという事実に基づいたものなんです。東京都が、その問題について、都として検証しようとしてこなかった。こうした責任は非常に重大です。
 以上のことからも、都民医療の後退につながる独法化は中止すべきであると強調したいと思います。
 もう一つ、平成十九年度都立病院経営委員会報告と第二次都立病院改革実行プログラムの経営形態見直しにおける課題の中では、独法に移行する上での課題として、大きな現場環境の変化を挙げていました。
 現在は、新型コロナ感染症の対応で病棟全体をコロナ病棟に変えるなど、現場は過去に例のない事態に見舞われています。また、コロナが終息した後も、職員の体制ではチームを新たにつくり直したり、受診を控えていた患者さんに再び来ていただくなど、経験したことのない負担が想定されます。
 現場にとって、こうした事態は大きな変化であると思いませんか。

○船尾計画調整担当部長 平成十九年度当時は、PFI手法を活用した再編整備が本格的に実施され、新たな病棟が相次いで開設される予定がありまして、大きな現場環境の変化と申し上げたものと認識をしております。
 具体的には、当時は、平成十八年に事業開始をして平成二十二年に運営開始をしました多摩総合医療センターと小児総合医療センター、平成十九年に事業を開始して平成二十一年に運営を開始したがん・感染症医療センター、平成二十年に事業を開始し平成二十四年に運営開始をした精神医療センター、これらの整備が予定をされておりました。
 都立、公社病院は、感染状況に合わせて確保病床を順次拡大するなど、新型コロナの対応に全力を尽くしておりますが、今後、感染状況に応じてさらなるコロナ対応の必要があり、また、新たな新興感染症の発生に備えるためにも、感染症医療提供体制を一層強化する必要があることから、コロナ対応はもちろん、独法化の準備を着実に進めていく必要があると、このように考えております。

○藤田委員 またも質問に答えておりません。私が伺ったのは、こうした事態は大きな変化であると思いませんかということです。
 コロナ対応に全力を尽くすということは、都立病院や公社病院の現場にとって、どれだけ大きな変化になっているか。都としてそういう認識も示せないということは、コロナ対応がどれだけ現場の負担になっているかということを受け止めることもできないということです。独法化を何が何でも進めようとなっているから、現場の実態についても、認識も示せなくなっているのではないですか。
 都立、公社病院では、感染状況に合わせて病床を順次拡大ということでしたが、それが医療現場にとってどういう事態なのかということです。
 昨年五月で確保したコロナ病床は、都立、公社合わせて八百床です。第二波を受けて、八月には千床、第三波の今年二月には千七百床、そして四月には二千床ということで、最大時には、都立病院と公社病院でそれぞれ千床ずつコロナ病床を確保しました。
 都立病院での千床というのは、全体が約五千床ですから、病院全体の約二割ということです。公社病院に至っては、全体が約二千床ですから五割近く、半数の病床をコロナ病床に転換したということになります。
 さらに、コロナ病床に転換するために、感染症対応や重症化対応に必要な人員を集める必要がありますので、多くの休床病床、閉鎖する病床をつくることになります。
 今年二月に都立病院のコロナ病床を八百二十床にしたときには、そのほかの病床で約七百床を休床した、お休みをしたということでした。四月には千床を確保した、そのときには、そのほかの病床で約六百床お休みをしたということでした。つまり、確保した病床と同じか六割程度の病床を閉鎖せざるを得なかったということです。
 都立病院では、今年四月時点で千六百床、割合にすると三割以上の一般医療を縮小してコロナ医療に対応してきました。
 もう一つ確認したいのですが、これだけの病床の転換、一般医療の縮小というのは、これまで都立病院でやったことはあったのですか。そして、こうした病床の転換というのは、現場にとって大きな変化であるという認識はありますか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今ご質問のありました、これまで病床をこれだけ拡大したかということですけれども、過去に、ちょっとまだ調べてはおりませんが、恐らくなかったのではないかというふうに認識しています。

○藤田委員 質問の二つ目もあるんですけれども、過去にはないんじゃないかということですが、これが現場にとって大きな変化であるという認識はありますか。もう一回お願いします。

○船尾計画調整担当部長 病床の方は、コロナの対応に合わせて順次拡大をしていきまして、病院の医師や看護師をはじめ職員の方々には、非常に全力を尽くしていただいてきたということで認識をしております。
 ただ、やはり今後、こういった感染状況に応じて、さらなるコロナの対応が必要ですし、また、新たな新興感染症の発生にも備えるためにも、医療提供体制、さらに一層強化をする必要があるということから、コロナ対応とともに独法化の準備も着実に進めていかないといけないというところでございます。
 コロナは、東京都だけではなくて全国で対応しているということですけれども、お隣の埼玉県につきましては、今年の四月に独法化をしたというところでございます。埼玉県もコロナ対応を非常に積極的にされているという中での独法化というところでございますので、併せて申し添えをさせていただきます。

○藤田委員 質問にまともに答えられないということなんだと思います。コロナ対応に全力を尽くしていることは当然事実ですけれども、この状況がどれだけ現場に負担を与えているか、大きな変化なんだということを認められなければ、もっと大きな負担を与えてもいいのだと、そういう認識だということなんでしょうか。
 先ほどの、以前、独法化をする上で運営面での課題があるといっていたそのときは、四つの都立病院の再編整備計画のために、新たな病棟が相次いで開設される予定というものでした。
 今のコロナ対応も、経験したことのない大きな変化である上に、施設の整備と比べても、いつどのようなことが起きるかは予測がつかないわけです。現場への負担を考えれば、独法化することなどあり得ないことなんです。
 以前お話を伺った看護師は、第三波のときに、就職以来働いていた病棟を離れ、コロナ病棟に移って働かれていました。もともとやりたい看護もあって、これまではその職場で働けていたということですが、昨年、コロナ病棟に移ったということでした。最初は怖かったけれど、研修などが充実していたので、今はあまり不安なく働けているということでした。また、今まさに災害のような状況の中、感染症の病院のスタッフとして、即戦力として働けているということを誇りに思っているとも話されていました。一方で、辞めたいと思ったことは何度かあると、そういった話もされていました。
 本当に医療現場のことを真剣に考えているのかと、私は強くいいたいと思います。
 改めて申し上げますが、独法化の目的は、都の財政負担の削減です。先行して独法化した事例の検証もまともに行われてはいません。都民医療に不可欠な運営費への支援について、削られることが想定されれば、医療機関は、さらなる経営改善のために様々な努力が求められることになります。
 今回の質疑では、経済的な理由のある妊産婦でも、都立病院、公社病院では出産費用の負担を最小限にできることが分かりました。一方、大阪府立病院機構では、分娩代が独法化前の二倍になりました。
 訪問した際、機構の方は、料金設定については毎月の理事会で変えることができる、必要があれば臨時理事会も開くことができる、柔軟に機動的に料金の変更ができると話されていました。非常に驚きました。
 経営改善のために、どういう努力をするか。それは費用を削るか収益を上げるかのどちらかしか方法がありませんから、不採算医療を削減すること、医業収益の高い医療を優先すること、差額ベッド代や分娩代を値上げすることなどにつながるのです。
 私からは、改めて、都立病院と公社病院の独立行政法人化は直ちに中止して、一般医療の制限をしなくてよいくらいの人員確保に努め、医療の充実を図ることを強く求めて、質問を終わります。

○おじま委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時開議
○おじま委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○関口委員 よろしくお願いします。関口でございます。
 私たち東京都議会立憲民主党は、都立、公社病院の独立行政法人化の提案というものに対して、現場に不要な不安を招き、都民サービスの低下につながりかねないということを再三指摘してまいりました。
 二〇一九年十二月の都議会第四回定例会において、知事は、所信表明において都立病院と公社病院の独法化の方針を示しました。独法化への移行が検討され、計画されていたのは新型コロナの前でありました。
 本来であれば、医療体制が大きく一変した今、やらなくてはいけないのが、行政的医療における感染症医療や公衆衛生への立ち位置を検証し、ポストコロナの医療を再考することが必要であると考えております。そうした観点から、都立病院の独立行政法人化は拙速な判断であると、さきの委員会質疑においても指摘をしてまいりました。
 しかしながら、第三回定例会におきましては、地方独立行政法人東京都立病院機構の定款が可決をされました。しかし、現実にこうした形で、来年、独立行政法人への移行を控える中で、いかにして都立病院のエッセンスを残していくのか。こうしたことを念頭にしながら、質問してまいりたいと思います。
 まず初めに、都立病院の患者権利章典、子ども患者権利章典について伺ってまいります。
 先ほど他の委員からも質問がありましたが、都立病院においては、患者権利章典、そして、お子さん向けの子ども患者権利章典が制定をされており、私も大変中身に賛同するものであります。
 今回あえてなぜ質問するのかということに関して申し上げれば、やはり都立、公社の独法化移行に当たって、これらの章典というものを引き継いでほしいという思いがあるからであります。
 そこで、確認の意味も込めまして、都立病院の患者権利章典、子ども患者権利章典が設けられた背景について、まず伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 都立病院の患者権利章典は、平成十二年十二月に検討を開始いたしまして、平成十三年七月に制定をいたしました。
 当時の日本の医療におきましては、相次ぐ医療事故の発生や患者さんへの情報提供の不足などにより、医療に対する信頼が大きく揺らいでいた時期でございました。このため、患者との信頼関係をより一層緊密にして、患者、家族と病院職員が相互に協力しながら、よりよい医療をつくり上げていくことが求められておりました。
 こうした背景から、患者の基本的な権利と責務を明確にして、病院職員のさらなる意識改革を図るとともに、患者が医療に主体的に参加していけるように支援することを目的として制定したものでございます。
 都立病院の患者権利章典に続きまして、よりきめ細やかに患者さんのニーズに対応するため、平成十七年七月から小児医療の特性を踏まえて検討を行い、平成十九年六月に都立病院の子ども患者権利章典を制定いたしました。

○関口委員 ありがとうございます。
 今ご答弁にもいただいたように、経緯があるということでありますけれども、この権利章典が設けられていることによる都立病院の特色といったものは、どのようなものがあるでしょうか。

○西川サービス推進部長 都立病院の患者権利章典は、都立病院として、患者の権利等を具体的に明らかにし、医療提供者と患者が相互に協力しながら、患者中心の医療を築き上げていくための倫理的な規範でございます。
 都立病院では、患者の権利を実現していくために、患者からの相談や苦情に対応する窓口の明確化や患者の声を病院運営に反映させるためのアンケートの実施などの取組を行っております。
 また、新たな人権課題の一つである性自認及び性的指向に関して困難を抱える方への対応といたしまして、患者権利章典に基づき、患者本人の意思や価値観を尊重しております。具体的には、面会者の範囲や手術等の同意者につきまして、法的な親族に限定せず、患者さんご自身が決定することとしております。

○関口委員 今ご答弁の中にもありましたが、患者中心の医療を築き上げていくための倫理的な規範ということで、まさにそのとおりではないかなと思います。
 また、性的マイノリティーの方々に対しての配慮というものも、この権利章典の中のものを得て、実際に現場で行われているということで、そういった非常に極めて重要なものであると考えます。
 一方で、公社病院におきましては、患者権利憲章というものが定められております。
 内容に関しては、都立病院の患者権利章典と内容が似通っておりますけれども、ところどころ内容が異なるものはありますが、それはなぜか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、医療連携の推進を目的の一つとしております。
 このため、公社の患者権利憲章には、患者が適切な医療機関の紹介を受ける権利などが盛り込まれており、この点が都立病院の患者権利章典と大きく異なります。

○関口委員 先ほど申し上げましたように、私は、今後都立病院、公社病院が独立行政法人に移行するに当たっても、患者権利章典、子ども患者権利章典を引き継いでいただきたいと考えております。
 そうした観点から伺いますが、都立、公社病院が独法へ移行した際に、これらの都立病院の患者権利章典、子ども患者権利章典、あるいは公社病院の患者権利憲章などの枠組みがどのようになるのか伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院の患者権利章典、都立病院の子ども患者権利章典、そして公社病院の患者権利憲章は、患者中心の医療の理念の下に、患者が人間としての尊厳を有しながら医療を受ける権利を持っており、医療は、患者と医療提供者が信頼関係を築き、共同してつくり上げていくものという考え方に基づき、制定したものでございます。
 こうした現行の権利章典などの意義、重要性を踏まえ、独立行政法人化の後の権利章典などについて検討しているところでございます。

○関口委員 ぜひ、独立行政法人に移行した後も、こうした都立の章典というもののエッセンスをぜひ引き継いでいただきたいと思っております。
 それでは、視点を少し変えます。コロナが完全に終息はしていない中ではありますが、コロナによって得た知見を最大限に次に生かしていかなくてはならないと考えます。
 私は、そのために必要なのは、一つ目としては、まさに現場でコロナ対策に当たられた職員の皆さんの英知であると考えております。もう一つとしては、次世代に公的な記録を残すこと、すなわち公文書であると考えております。
 一つ目として、都立、公社病院が独立行政法人化されるに当たって、職員が流出するのではないかということを私は懸念をしております。
 そこで伺いますが、知事が、都立、公社病院の独法化移行を表明した後の都立、公社病院の退職者の推移、こちらについて伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 都立及び公社病院の一体的な地方独立行政法人への移行を表明したのは、令和元年十二月でございました。
 表明を行いました後の令和二年一月から十二月までの定年退職を除く一般退職者数は、都立病院四百四十七名、公社病院二百六十二名でございましたのに対して、表明を行う前の平成三十一年一月から令和元年十二月までの一般退職者数は、都立病院が四百六十八名、公社病院が三百二十一名となっておりまして、都立の退職者数はほぼ同規模で推移、公社の退職者数は表明後の方が減少しております。

○関口委員 現状のところは、退職者の推移として大きく変わっていないことを理解いたしました。
 一方、私は、先日の厚生委員会におきまして、都立病院が公社病院に移行する前年度に辞めた医療系職種は何名か、また、公社病院に移行した年度に辞めた医療系職種は何名かという質疑をしまして、大久保病院、多摩北部医療センター、豊島病院などの四つの病院を公社に移管する前年度に退職した医師、看護師、その他の医療系職種の人数が、合計で二百二十三名であったと。また、四病院を公社に移管した年度に退職した医師、看護師、その他の医療系職種の人数は、合計で五十五名との答弁をいただきました。
 公社に移行する前年度と公社に移行した年度の退職者に百六十八名の開きがあるということを指摘させていただきました。
 そうした観点から、独法化に移行する前年に当たる今年や、今年度の退職者が増えるのではないかという懸念がありますけれども、都の見解を伺います。

○谷田経営企画部長 職員の退職は、大学医局の人事等に伴います転職や家事都合、病気療養、結婚、転居など、様々な理由によるものでございまして、年度ごとに定年退職者数が異なるという実態もございます。こうしたことから、お話のありました公社移管前後の退職者数の変動についても、特定の要因によるものではないと認識しております。
 法人への移行に当たりましては、行政的医療や高度専門的医療の提供をはじめ、災害や公衆衛生上の緊急事態への率先した対応、地域医療の充実への貢献などの法人の役割を着実に果たせるよう、必要な人材の確保、定着に努めてまいります。

○関口委員 今後の動きとして、新型コロナを経験した貴重な人材を外部に流出させないためにも、あるいは、次にやってくるかもしれない感染症への対策や対応のためにも、現在在籍する都立病院や公社病院の職員に独法化後も継続して勤務いただけるような環境をつくることは重要であると考えますが、都の見解はいかがでしょうか。また、それに伴う取組や今後の取組について伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 コロナ患者への適切な対応や円滑な法人への移行に当たり、都民に対して必要な医療を安定的、継続的に提供し続けていくためには、人材の確保が重要でございます。
 こうした中、都立及び公社病院では、令和二年一月以降、コロナ患者の対応に当たってまいりましたが、例えば都立病院では、コロナ対応を担う職員への防疫手当の支給をはじめ、院内の繁忙状況等を考慮した柔軟な職員配置の変更や支援体制の構築のほか、メンタルヘルスケアや業務により帰宅が困難になった職員への対応等も行ってきております。
 法人への移行に当たりましても、こうした経験や取組などを踏まえるとともに、職員がやりがいを持って働き続けることができる人事給与制度を構築し、周知を図ってまいります。

○関口委員 かなり、職員の方々は、今後の労働環境であったりですとか、給与制度というものに、非常に心配を覚えている方も多くいらっしゃると思います。
 そうした観点からは、退職について個人の意思が尊重されるべきというものはもちろんのことでありますが、職員が懸念する労働環境、給与体制、こうしたものに対して丁寧に説明をすべきだと考えております。都の見解を伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 新法人の人事給与制度構築に当たりましては、職員が安心して働き続けられる環境の整備を念頭に、制度の検討を進めているところでございます。
 職員に対しては、新法人における労働環境や給与体系等を示した人事給与制度の原案を、昨年八月以降、順次説明をし、周知を図ってまいりました。また、職員団体とも適宜意見交換を重ねてきており、その声も踏まえながら、制度検討を行っているところでございます。
 引き続き、職員や職員団体に対して、その時々の現場の状況も踏まえながら、適切かつ丁寧に説明をしてまいります。

○関口委員 コロナ対応に当たられた職員の方々の経験とともに、先ほど申し上げましたが、公文書の取扱いというものも極めて重要だと思います。
 現在及び将来の都民に対する説明責任を果たすため、また、将来の都の感染症対策の教訓として生かすために、公文書を引き継いでいくことは極めて重要であります。
 都では、昨年の十月に新型コロナウイルス感染症対策に関する公文書の移管方針を定めました。現在の病院経営本部における取組について伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 新型コロナウイルス感染症対策に関する公文書の移管方針にございますように、新型コロナ対策に係る文書は、将来の都の感染症対策等の教訓とするため、文書の保存期間が満了となった場合でも、必要に応じて公文書館に移管することは重要でございます。
 そのため、これまで新型コロナ対応に当たって作成した文書等を適切に保管し、将来に生かしてまいります。

○関口委員 この公文書の移管方針、昨年の十月のものを私も拝見しましたが、どの文書を残していくのかとか、あるいは、どれぐらいの規模のものを残していくのかというのが、まだまだちょっと見えづらいところがあるかなと思っております。
 いずれにしても、行政の作る公文書の何を残し、何を破棄するのかというものは、どの分野においても難しい判断が求められるかと思うんですが、ただ、コロナ対策に係ったコロナの公文書に関しては、なるべく細かいものも含めて将来へのアーカイブとして残していく必要があるかと思いますので、ぜひ幅広い範囲をいただければと思います。
 また、今後、都立病院、公社病院が独立行政法人化された後の公文書についてでありますが、どのような取扱いがされるのかについて伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 東京都公文書等の管理に関する条例第二条によりますと、本条例の実施機関として、都が設立した地方独立行政法人も含まれているものでございます。
 独法化後も、公文書の管理、作成、整理等については、引き続き、東京都と同様の事務を行ってまいります。

○関口委員 ぜひ、引き続き独法化後もしっかりと公文書の管理というものをお願いしたいと思います。
 特に、都立病院という、ある種、都の直結というものから外れるというところでもあるかと思いますので、ぜひ、そこはしっかり東京都の方がイニシアチブを取って、公文書の管理というものを徹底していただきたいと思います。
 少し話題を変えます。十一月五日に、地方独立行政法人評価委員会の都立病院分科会が開催をされました。
 私も、当日会場に行きまして傍聴させていただきましたが、この都立病院分科会の概要について伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 東京都地方独立行政法人評価委員会は、地方独立行政法人法及び東京都地方独立行政法人評価委員会条例の規定によりまして、法人の中期目標の設定や業務実績評価等について、専門的知見に基づき、知事に対して意見を述べるため、知事の附属機関として設置をしており、法人ごとに専門的事項を所掌する分科会を設置してございます。
 今回、新たに東京都立病院機構を設立するに当たりまして、所掌する分科会として都立病院分科会を設置したところでございます。

○関口委員 委員の選定などはどのようにされたのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 法人の役割は、都の医療政策として求められる行政的医療の提供、地域医療の充実への貢献などでございます。
 このため、都の医療政策や公的病院の役割、都民、患者の医療ニーズを踏まえた地域医療や医療連携、また、持続可能な病院運営に必要な病院経営、財務会計などにつきまして、専門的な知見を有する方を選任してございます。

○関口委員 第一回分科会での議題はどのようなものでございましたでしょうか。
 また、私も含めて傍聴の方がいらっしゃったかと思いますが、傍聴希望者は何名でいらっしゃったでしょうか。また、分科会の開催のために、告知などがどのようにされたのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 第一回都立病院分科会の主な議題は、第一期中期目標についてでございます。
 分科会の開催につきましては、東京都及び病院経営本部のホームページにおいてお知らせをしたところですが、傍聴の申込者数は十七名でございました。

○関口委員 私も当日伺いましたけれども、かなり都民の関心が大きいことではないかなと思っておりますので、しっかり周知を行う必要があると思っております。分科会の開催については、東京都と病院経営本部のホームページでお知らせをしているということでありますが、もう少し幅広い周知と徹底をしていただきたいと思っております。
 第一回のこの分科会におきましては、先ほどご答弁もいただきましたが、地方独立行政法人東京都立病院機構第一期中期目標の骨子が示されました。
 その概要について伺いたいとともに、実際に委員の方々からどのような意見が出されたのか伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 第一回分科会では、第一期中期目標の骨子といたしまして、行政的医療の提供や地域医療の充実への貢献など都民に対して提供するサービスのほか、効率的、効果的な法人運営体制など業務運営や財務内容の改善などの事項をお示しいたしました。
 委員からは、独法化後も都の方針の下で新型コロナウイルス感染症への対応が必要なことなど行政的医療に関することや、医療の質に関する指標の活用などによる都民や患者に対する安全・安心な医療に関すること、また地域医療機関等との情報共有を進めるなど地域医療の充実に関することなど、中期目標に記載すべき内容についてご意見がございました。

○関口委員 多くの委員から、今ご答弁もありましたが、行政的医療について触れられておりました。
 やはり行政的医療をしっかり守っていくということが重要だと思っておりますし、委員の方々もそうおっしゃっているわけでありまして、一層の取組の強化をお願いしたいと思います。
 一方、医療の質に関する指標についての議論がありました。この医療の質の指標の活用、これは、現在の都立病院や公社病院ではどのような取組がなされているのか伺いたいと思います。
 どのような指標を用いてどのようなやり方で公表するのか、医学的、社会的観点から検討する必要があると考えますが、都としてどのように指標の選定がされているのか伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 都立病院におきましては、医療の質を客観的な数値で表す指標であるクオリティーインディケーターを導入しておりまして、各病院がその特性に応じたクオリティーインディケーターを設定し、自らの医療の質を見える化することにより、改善に向けた取組を推進しております。
 例えば、神経難病の拠点である神経病院では、ALS、筋萎縮性側索硬化症の患者さんに対する多職種チームによるサポートの介入率、これをクオリティーインディケーターの一つとして設定し、診療やケアの質の向上を図っております。
 また、公社病院におきましては、病院の機能や診療の状況などを様々な指標を用いて数値で示した臨床指標、クリニカルインディケーターを導入することで、医療の質の改善に努めております。
 都立、公社病院では、こうした取組について各病院のホームページで公表し、指標や数値だけではなく、指標の意義や効果などについての説明を加えるなどの工夫をしております。

○関口委員 医療の質の指標は、各病院によって、扱う診療であったりスケールが異なるなどバックグラウンドの違いにより、簡単に指標によって評価をすることが難しい側面があると考えております。
 そうした点は理解するものの、一方で、各病院の問題のあぶり出しであったりとか、それぞれの病院との比較分析、医療の質の向上といった観点で、医療の質の指標活用というものは重要だと考えております。
 例えば、公社病院であれば経営的な指標があったりですとか、あるいは都立病院であれば医療に関してかなり特化したような指標があったりとかいうことで、私も拝見をしましたが、それぞれの病院によって、かなり指標がばらばらであるなという印象を受けました。
 今後、都立病院や公社病院が独立行政法人化された際には、現在各病院で選定されている指標についてはどのような扱いになるのか。独立行政法人化された後、医療の質の指標については整理と精査をし、幅広く、都民に分かりやすく、開かれた医療の質の指標の活用とすべきと考えますけれども、都の見解を伺います。

○西川サービス推進部長 独立行政法人化の後も、それぞれの病院が継続的に医療の質の向上に取り組むことは重要であると認識をしております。
 独立行政法人化の後のクオリティーインディケーターの取組につきましては、現在検討を行っているところでございます。

○関口委員 ぜひ、医療の質の指標についての整理と精査については、引き続きお願いをしたいと思います。
 ただ一方で、矛盾をするようなことをいうかもしれませんが、あまり指標にとらわれると、目の前の患者さんが見えなかったりとか、目の前の医療環境が見えなかったりということもあるかもしれませんので、うまくそこのバランスを取るということが重要だと思っております。ぜひ、各病院の問題のあぶり出しに活用いただき、そして、今後の都立、公社病院のさらなる環境の向上のために活用いただきたいと思います。
 少し分科会の方に話題を戻しますが、都立病院分科会の際の議題に、一つは、新たな都立病院が担うべき医療等に関する都民アンケートが実施をされておりますけれども、この都民アンケートについての概要を伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 本アンケートは、独法化後の新たな都立病院が、行政的医療の安定的、継続的な提供や地域医療の充実への貢献といった役割を担うに当たりまして、都民に求める医療等をより一層提供していくために実施したものでございます。
 アンケートは、都内在住、在勤、在学者を対象に、病院経営本部のホームページで実施したほか、都内在住者三千人を対象にインターネットモニターアンケートを委託して実施いたしました。
 また、アンケートの内容は、新たな都立病院が果たすべき役割や担うべき医療、地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援の取組、患者サービスを充実させる取組についてでございます。

○関口委員 今ご答弁いただきましたが、都内在住者三千人を対象にインターネットモニターアンケートを委託して実施をしていると。それとともに、病院経営本部のホームページで実施をしたという、この二種類があるかと思います。
 一つは、このモニターアンケートに関しての結果と実際に病院経営本部にやってきてアンケートに答えた人の差というのは、少し差異があるんだろうなと思っております。そうしたところも一つにして、一つの報告書を作るのではなくて、別々に分析をしていくことも重要ではないかなと思います。
 病院経営本部にやってきた方が答えたアンケートというものも、興味、関心がある方々の率直な一つの意思かと思いますので、そういったところの分析もぜひお願いをしたいと思います。
 第二回以降の都立病院分科会のスケジュール、こちらを伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 中期目標の策定に当たりましては、法により、あらかじめ評価委員会の意見を聴くとともに、議会での議決を経ることとされております。
 今後、評価委員会の意見等を踏まえて中期目標案を策定し、しかるべき時期に議会でご審議いただく予定でございますが、スケジュールにつきましては現在未定でございます。

○関口委員 今後も、専門家の意見なども踏まえて、ぜひそれを真摯に受け止めていただきたいと思います。
 最後に、コロナの後遺症相談窓口について伺ってまいります。
 私たちの会派も、後遺症の相談窓口というものを設け、そしてしっかり活用するべきだということを訴えてまいりました。
 先ほど他の委員からも質問がありましたが、本年三月の窓口設置以降、令和三年十月十五日までに三千五百四件の相談に対応しているという答弁も伺っておりました。七か月で三千五百件というものは極めて大きな数字ではないかなと思っております。
 今、大阪などでは、後遺症の専門外来に患者が殺到して、数か月先まで予約が埋まっているという病院もあるそうです。また、後遺症の症状を和らげる薬や、リハビリ、改善を図る治療などが行われておりますけれども、患者の増加に追いつかず、受診できる病院が全国的に足りているとはいえないような状況があるわけであります。
 そうした観点からいっても、後遺症の相談窓口、これ自体を設けて、コロナに罹患された方々に案内をしていることは評価ができると思います。私も実際にコロナにかかりまして、宿泊療養施設を出るときにコロナの後遺症相談窓口の案内をいただいて、見た記憶があります。
 しかしながら、この後遺症というものは、分かりやすいような嗅覚や味覚の障害といったものは、確かに実際に体で分かりやすい症状かもしれませんが、なかなか後遺症であると気づかずに過ごしている方も多いのではないかと考えます。
 都として、さらなる創意工夫、この後遺症相談窓口についての創意工夫というものを求めていきたいと思いますが、伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 病院経営本部におきましては、相談窓口における相談実績をまとめた資料をホームページ上で公表し、定期的に更新しているところでございます。
 加えまして、東京iCDCがコロナ後遺症に関するリーフレットを作成する際には、相談実績のデータを提供するなど、後遺症の存在を都民に幅広く周知することに貢献をしております。
 今後も、福祉保健局と連携し、東京iCDCに対し、相談窓口などで蓄積したデータを提供することなどを通じまして、後遺症に関する理解促進に寄与してまいりたいと思います。

○関口委員 今ご答弁にもいただきましたが、ホームページで資料を公表しているということで、私も拝見をしました。年代別に訴える症状というものが結構違ったりとかして、若い世代はどちらかというと味覚、嗅覚の障害を訴える方々が多くて、年を重ねるごとに倦怠感というものが大きな比重を占めているというところがあるかと思います。
 先ほども申し上げましたが、なかなか倦怠感というのは分かりづらい症状でもあったりしますし、自分がコロナの後遺症なのかということに気づかずに過ごしている方も非常に多くいると私は考えております。
 まだまだ後遺症というものが社会に十分理解をされていないような側面もありますし、家族であったりとか、あるいは職場の上司や同僚などからは気のせいといわれてしまって、なかなか思うようにいかないようなところがあって、そうした後遺症に悩む当事者を追い詰めているような結果もあるようであります。
 そうした観点から、これは、病院経営本部の枠をもちろん外れてしまう話でありますが、先ほどご答弁もいただきましたが、福祉保健局との連携を図って、専門外来における後遺症の治療体制の確立、そして強化、こういったものをぜひお願いをしたいと思います。
 また、後遺症についても、先ほどご答弁ありましたが、幅広く周知する、これも重要だと思います。しかし、行政の方から、むしろコロナに罹患をされた方々に対して積極的に呼びかける、積極的な働きかけをしていく、こうしたことも極めて重要だと思います。
 後遺症に関してのさらなる取組を求めて、質疑を終わりたいと思います。

○上田委員 まず私は、契約締結案件からです。
 いわゆるダヴィンチですね、医療系のロボットのことで、手術用支援ロボットシステムです。この区分については百六十者が登録されていることと−−事業者ですね、対象事業者。
 今般の開札状況と経緯についてご説明いただければと思います。

○西川サービス推進部長 本件は、財務局において入札を執行しており、その入札経過調書によりますと、令和三年九月二十九日に開札し、株式会社八神製作所と株式会社イノメディックスの二者が応札をいたしました。
 入札価格は、税抜きで、株式会社八神製作所が二億三百九十五万二千九百十円、株式会社イノメディックスが二億一千万円であり、最低の価格をもって入札した株式会社八神製作所を落札者として決定をいたしました。

○上田委員 仕様書に定める性能や機器構成、販売開始時期、為替レートなどの条件によって価格が左右されて、職員による積算が困難なことから、複数のディーラーから見積書を徴取して契約目途額を設定されているということですが、今回、二億一千万、公正、公明、適正価格でなし得たのか伺います。

○西川サービス推進部長 今回の手術用支援ロボットシステムの購入におきましても、仕様書に定める性能や機器構成、販売開始時期、為替レート等の条件により価格が左右されることから、職員による積算は困難でございます。
 そのため、複数のディーラーから見積書を徴取することで、適正な契約目途額を設定いたしました。

○上田委員 九月の、多摩総でも買いましたけど、やっぱり一千万円ぐらい今回高くなっているんですよね。これも為替レートによるものなのかと思料しますけれども、今後も厳しく見ていっていただきたいと思います。
 医療機器の購入契約における仕様書については、病院が要求する性能や数量、納入期限等を要件として設定されています。
 公平性、競争性を確保するため、メーカー等から技術的な情報を収集した上で、可能な限り多数の製品が要件を満たすようにしているということですが、こちらも、今般、適正にできたのか伺います。

○西川サービス推進部長 今回の手術用支援ロボットシステムの購入契約におきましても、仕様書は、病院が要求する性能や数量、納入期限等を要件として定めております。
 仕様書の作成に当たりましては、公平性、競争性を確保するため、可能な限り多数の製品が要件を満たすように、メーカーなどから技術的な情報収集を行いました。

○上田委員 多摩総のときも確認しましたが、年間の機器メンテ費用は幾ら見込んでいるのか、手術別の診療報酬はどのぐらいか、年間稼働予定、導入経費及びランニングコストを計算した場合、赤字になるかどうか、国税庁における減価償却の耐用年数、どのぐらいなのか確認します。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 年間の機器メンテナンス費用は、一千五百万円程度と見込んでおります。
 本機器で手術をした場合、例えば、前立腺がんの手術一件当たりの診療報酬で見ますと九十五万円程度、大腸がんであれば八十四万円程度となっております。
 この機器を使用し、年間二百件程度の手術を行うことを想定しておりまして、試算した結果、ランニングコストも含め、機器の償却期間六年以内で導入コストを回収できるものと見込んでおります。

○上田委員 高額の医療機器があっても、使いこなせる医師がいなければ宝の持ち腐れになってしまうことはかねてより指摘してまいりました。ましてやダヴィンチは買っておしまいではなく、扱える外科医が不可欠です。
 健康長寿医療センターで相次いだ死亡退院事案を指摘させていただいたのは、難易度の高い植え込み型補助人工心臓手術でした。平成三十年以降、このオペは、私どもの指摘もありまして行われていないということで安堵はしましたが、導入した機器はどうなったのか懸念しているところです。
 僅か直径一、二ミリの血管同士を針と糸でつなぐ外科医は、手先が器用でなければならず、その技術の大前提があって、今般購入するダヴィンチを使ったロボット手術が成り立ちます。
 こちらの書籍、あなたのために我々がいますを出版された杉並区のニューハート・ワタナベ国際病院理事長の渡邊剛医師は、ロボットによる診療手術は医師に高度な技量が求められます、問題なのは、このロボットを使いこなせる医師があまりにも少ないということなのですと書かれています。
 そこで伺います。現在、何名の外科医がおり、そのうち、この機器を使いこなせる外科医は何人いるのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院では、泌尿器科、消化器科で運用を予定しておりまして、両診療科で常勤医師十一名が在籍をしております。
 このうち、本機器を使用できる医師は、現時点で三名でございます。

○上田委員 三名のドクターに二億円ということが確認できました。
 日々たゆまぬ研さんによって外科医の技術は担保されるものですが、その手術のシミュレーション等研修、人材育成体制について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 医師が本機器を使った手術に携わるためには、関連学会のガイドラインに基づく研修や操作訓練を受け、また、手術症例を見学することなどにより、技術を身につけることとなっております。
 墨東病院では、本機器を使用する手術に必要な技術を持つ医師を採用するとともに、手術を行う予定の医師は、他院で研修や操作訓練等を行っています。

○上田委員 そうして育てた人材、高度な技術を持った医師が退職することを懸念します。
 実際に都立病院の定年を待たない退職者では、医師は大半が大学医局の人事などによる転職という実情がありますが、退職や転職により、高度な外科手術のできる人材がいなくなった場合にどうするのか、そうならないためにどうされているのか伺います。

○谷田経営企画部長 医療機器の購入に当たりましては、その機器を活用しながら、安全かつ安定的に医療を提供できる人材を継続して確保、育成していくことを前提としております。
 今後も、こうした医療を担う人材がやむを得ず退職する場合に備えるとともに、高水準で専門性の高い医療の充実強化に資するため、引き続き人材育成を進めていくとともに、必要に応じて、大学医局等に対しても人材の提供を求めてまいります。

○上田委員 何か独法化する前の駆け込みお買物的なように私は見受けられます。
 独法化すると柔軟な人事体制になると何度もご説明いただいていますが、群れを嫌い、権威を嫌い、外科医の免許とそしてたたき上げの技術で、ドクターXのようなドクターが、独法化したらば三名確保し続けられるというようには、ちょっと思えないんですね。
 おっしゃったように、かなり人材研修をしなきゃいけないということが、このダヴィンチのような高額機器には必要だということを確認させていただきました。
 次もまだ購入予定ということで、しっかりチェックさせていただきます。
 では、事務事業質疑に入ります。
 病院はホスピタルですよね。ホスピタリティーが大切です。都立病院、公社病院におきます接遇、ホスピタリティーの確保について、まずお尋ねします。
 過去に、看護師の患者に対する暴力事案一件につき懲戒処分が下されたものの、患者、家族へのハラスメントに関する統計はないということでありました。加害事案の対応について、被害者の救済を第一とし、その経験を蓄積していくことが重要だと当時指摘しております。
 各病院では、患者の権利章典に関する研修ですとか、院内掲示、ホームページへの掲載等を行って、患者の権利を尊重する組織風土の醸成に努めているということですが、その後、ハラスメントの実態把握と新たな取組はされているでしょうか。現状を伺います。

○谷田経営企画部長 病院経営本部では、ハラスメントなど非行防止研修のほか、事故防止の点検を毎年実施し、職員の注意喚起をしております。
 新たな取組では、平成二十九年に、組織を挙げて事故発生を未然に防ぐことを目的として、病院経営本部職員のための汚職等非行防止対策ハンドブックを作成いたしました。その冊子にハラスメントの防止に関する内容を掲載し、全職員に配布を行っております。
 各病院において、患者が直接相談することができる窓口の設置や退院時アンケート等の実施を行っておりまして、その個別の内容においてハラスメントが疑われる場合には、事実関係を確認した上で適切に対応しております。
 令和二年度における職員の対応に関する患者からの相談等は、合計で一千八十三件でございましたが、ハラスメントが疑われ、対応が必要となった事案はございませんでした。

○上田委員 千件といいますと、一日三件というような計算でしょうか、把握していることを把握しました。
 福保の方でも患者の声相談窓口、私立などですね、活用しているのを常に確認しています。
 都立病院では毎月集計して、院内で情報共有し、業務運営の参考にするとともに、個別の事例に関し、その内容を確認し、問題等があった場合は職員に注意、指導を行うなど改善を図っているとのことですが、直近の状況とその内訳と対応、人材育成についてご説明ください。

○谷田経営企画部長 都立病院の患者の声相談窓口に寄せられた相談等の件数は、令和二年度において八千三百五十六件でございます。その内訳は、苦情、要望など多岐にわたっておりまして、例年と同様に、苦情については職員の患者対応に関するものが多く、要望につきましては病院食や設備に関するものが多くなっております。
 患者から寄せられた声につきましては、引き続き院内で共有し、業務運営の参考にするほか、接遇の改善など人材育成にも活用しております。

○上田委員 八千件ということで、これらの、クレームは宝といいますので、一つの知見になっていると思うんですね。福祉保健局におけます患者の声相談窓口事業や、都内の病院や診療所の相談対応に生かされているのか、生かされるといいと思うので伺います。

○谷田経営企画部長 病院経営本部と福祉保健局では、おのおので受けた相談等について、必要に応じて情報を共有しております。
 また、都立病院で対応した事例の一部につきましては、病院経営本部のホームページにおいてその内容を公開し、他の病院や診療所においても参考にできるようにしております。

○上田委員 共有の確認ができました。
 さて、精神疾患は、近年その患者数が急増しておりまして、コロナにもおきまして、二十五年度からの第六次東京都保健医療計画に新たに追加されてきました。自立精神医療についても、私が議員になってから毎年毎年三億円ずつ増加し、恐らく今、三百億円、今ちょっと福祉保健局へ資料請求をしているんですけど、まだ来ないんですが、恐らく三百億ぐらいになっているのではないか。財政負担がじわじわと広がっており、新たな取組が早急に求められると指摘してきております。
 二〇一五年から一六年にかけ、私は、小児総合医療センターの当時のI顧問が、二年間にわたって七百万円の報酬を製薬会社からもらっていたことを指摘させていただきました。
 当初は、顧問医であるから報酬をもらって構わないんだという答弁をいただいたんですね。しかし、よく調べたら、利益相反マネジメントというものがこの東京都にあって、自己申告を出さなきゃいけないんです。そこで私は、静かに都立病院の精神科のドクターたち全員、自己申告を出しているかどうか確認しておきました。その中にⅠ顧問の名前はなかったんです。つまり、その後の予算委員会で指摘をしたところ、七百万円の自己申告をこのドクターが出していなかったことが分かりました。
 でも、それだけじゃ駄目なんですよね。利益相反マネジメントの報告義務から免れる場合があります。それは、都立病院のデータを使っていない−−この先生はいろんなところに出ていましたので、しかし、丹念に調べたところ、十七項目にわたりまして、このI顧問が都立小児総合医療センターの患者を使ったデータを見つけることができました。そこで、自己申告違反ということで、その直後、I顧問はご勇退をされました。つまり、辞めたんですね、都立病院を。
 このI顧問は、日本発達障害ネットワークの理事長もいまだ兼任されておりまして、福祉保健局発行の発達障害者支援ハンドブック二〇一五にて、報酬を得ていた製薬会社二社の薬について、ADHD治療薬について、副作用としては、消化器症状、頭痛、不眠などありますが、一過性であることが多いようですと副作用を軽視するかのような表現にて投与に干渉する著述をしていることに対して、私は大きな疑義を持ちまして、二〇一六年の予算委員会で指摘をしたわけでございます。
 結局、I顧問は都立病院は辞めましたけれども、現在の最新の発達障害者支援ハンドブック二〇二〇は、立場を超えて、またコラムで薬物療法を担当し、副作用としては、消化器症状、頭痛、不眠などが出る場合がありますと一過性部分はカットされましたが、なぜまた採用しているのか疑問なんです。
 私が前回厚生委員だったとき、よもやI顧問は都立病院事業に関わることがないと思っていますけれども、このI先生との関係について検証を行うとか、何かさっきのようなコメントを出すとか、そういったことはないのか確認しますといったところ、既に都を退職しているから、病院経営本部としてですよ、都立病院との関わりはございませんと答弁されていたことと、今回の、またハンドブックに薬について講釈を述べていらっしゃるのは矛盾するのではないか、コラム及び執筆依頼した経緯をお尋ねいたします。

○西川サービス推進部長 お尋ねの発達障害者支援ハンドブック二〇二〇は、令和二年三月に福祉保健局障害者施策推進部が発行したものでございます。
 病院経営本部では、その執筆の経緯については承知しておりません。

○上田委員 患者の声相談窓口のデータは福祉保健局と共有しているんですから、こういった子供の健康に関わることこそ情報共有をお願いいたします。
 では、その後の利益相反につきまして、各都立病院では利益相反ポリシーや利益相反管理指針を策定して再発防止など図ってきたんですが、その後の対策につきましてご説明ください。

○西川サービス推進部長 今お話のありました元顧問の事案以降、利益相反手続に抵触する類似の事例はございません。
 都立病院におきましては、全病院で、研究活動に係る利益相反ポリシー及び利益相反管理指針、利益相反管理手順書を策定し、平成二十八年度から運用を開始いたしました。
 各病院では、院長の下、院内に利益相反委員会を設置し、倫理委員会等と連携しながら、利益相反を適切に管理するための体制を確立しております。
 さらに小児総合医療センターでは、これらの取組に加えまして、研究者に毎年受講を義務づけている倫理研修の中で、利益相反に関する項目を設定し啓発を行っているところでございます。

○上田委員 百歩譲っても、あってはいけないんですけど、都立病院である限りは、私のような議員がいればこうやってチェックができるんですけど、独法化したら利益相反マネジメントはどう機能していくんでしょうか。方法論を具体的にご説明ください。

○船尾計画調整担当部長 法人を適切に運営していく上で必要なルール、仕組みを整備することは重要でございます。
 このため、法令の遵守はもちろん、利益相反マネジメントなどに向けまして、業務運営に必要な各種規定を適切に整備するとともに、職員研修を充実させるなどにより、実効性のある内部統制などの仕組みをつくり、コンプライアンスの推進を図ってまいります。

○上田委員 まだそれだけじゃなくて、過去に精神保健指定医の不正取得で厚労省に取り消された事件がありましたけれども、その後、同じような事案は発生していないのか。都立病院が一番多かったんですね、不正取得が。再発防止やチェック体制、発生したとすれば患者への説明はあったのかについて伺います。

○西川サービス推進部長 お話の事案の後、同様の事案は発生しておりません。
 各病院におきましては、医師が申請するケースレポートの症例について、厚生労働省が定める事務取扱要領を遵守するよう周知徹底するとともに、診療科責任医師や事務局職員等によるダブルチェックを行うことで、症例管理を適切に行っております。

○上田委員 後ほど確認しますけど、精神保健指定医二名が措置入院をさせることができるので、不正取得は、もう絶対に今後繰り返さないでいただきたいと思います。
 そして、先ほどのI顧問はかなり投薬治療に熱心とお見受けしたものですから、児童・思春期精神科の入院及び外来患者、発達障害医療、特にADHDに関して、その症状に対し安易な投薬が行われることを危惧し、都の子供への向精神薬投与の考え方、家族や保護者並びに本人が投薬を拒否した場合についての対応と所見について確認したところ、投薬が必要な場合にも最小限にとどめているというような答弁をいただいておりました。
 二〇一九年の三月、国連子どもの権利委員会が日本に対して出した勧告の中でも、34では、精神刺激薬を原因とする児童の治療が増加している一方で、社会的決定要因及び非医学的形態の治療が軽視されていると。35においては、医療ではない代替的手段について適切に情報が行われることを確保するとともに、ADHDの診断及び精神刺激薬の処方が増加している根本的原因について研究を実施せよと、日本におけます子供への安易な向精神薬投与について指摘をされているところです。
 しかしながら、墨東病院を治験の場として、六歳から投与可能なビバンセが、この勧告と同じ二〇一九年三月に承認されてしまいました。二歳や三歳でも経口可能な液体向精神薬剤が、安全性が確かめられていないまま処方され、その後の離脱症状に苦しむお子さんと保護者の相談も相次いで私のところに届いております。
 まずは薬に頼らず、保護者を支え、子供への支援、ピアサポートなどが肝要と考えるものですが、都の小児、児童、思春期、青年期の子供たちへの薬物療法について、現在の対応の所見と見解を伺います。

○西川サービス推進部長 小児に対する精神科医療は、心理社会的アプローチが第一でありまして、心理的支援や環境調整を十分に行った上でも精神症状や問題行動が認められる患者さんについては、薬物療法を行っております。
 投薬が必要な場合は、これまでと同様に慎重を期し、最小限にとどめるとともに、患者さんやそのご家族に対して、投薬の内容や効果だけではなく、予想される副作用についても十分説明を行い、理解を得た上で処方をしております。
 このように、薬物療法については、適切に対応していると認識しております。

○上田委員 そして、資料、18ですが、小児総合の医療保護入院について、随分多いなという印象です。
 一般的に医療保護入院となる場合の状況、区市町村教育委員会、各学校、各保育園、各児童養護施設、各児童自立支援施設、児童相談所等、子供に係る関係各機関との連携も踏まえた入院から退院、その後の支援体制、人権擁護の対策も踏まえ、時系列でご説明ください。

○西川サービス推進部長 小児総合医療センターの児童・思春期精神科は、重症患者に対応するセンター機能を有しておりまして、急性期の患者さんを多く受け入れております。
 患者さんは、地域の医療機関等からの紹介により外来を受診し、精神保健指定医が診察をした結果、医療及び保護のため入院が必要であるが、患者本人に十分説明しても自ら同意して入院する状態にない場合、精神保健福祉法第三十三条に基づき、家族等の同意の下、医療保護入院となります。
 入院した後は、医師、看護師、精神保健福祉士、心理士など多職種によるカンファレンスを定期的に行うとともに、退院に向けて、地域の子供家庭支援センターや訪問看護ステーション、学校及び教育委員会などとの情報共有により、地域での支援体制を整えるための調整を行っております。
 退院された後も、小児総合医療センターが緊急時のバックアップ体制を整え、患者さんとそのご家族が地域での生活を継続できるよう支援をしております。
 なお、人権擁護については、精神保健福祉法にのっとり適切に対応しております。

○上田委員 この事業概要の最初の方にあるように、やっぱり子供の憲章に基づかれていただきたいと思います。
 自殺願望、虐待による精神的不安定、ひきこもり、不登校、問題行動など、小児精神医療と結びついた場合の、都立病院における、地域医療機関のみならず、学校、児相との連携、子供の情報共有について、地域の医療連携や研修、啓発をしているということです。
 コロナ禍を経て、虐待も子供の自殺も急増している中で、新たな取組や課題についてご説明とご所見を求めます。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターにおきましては、子供の心診療支援拠点病院事業における研修事業として、令和三年度におきましては、児童、青年期の精神科医療に関心を持つ小児科や精神科医師、医療従事者及び福祉、保育、教育関係者を対象にした児童青年期臨床精神医療講座を五回、応用講座を一回、それぞれウェブで開催しました。
 また、国立成育医療センターが実施した調査によりますと、コロナ流行前に比べて、神経性食欲不振の患者数が増加していたとの結果でございました。
 引き続き、関係機関との連携を進め、子供の心の問題につきまして普及啓発活動を行っていきたいと考えます。

○上田委員 関心を持つドクターではなくてですね、関心を持っているドクターはやってくれるんで、そうじゃないドクターが安易に薬を処方することを心配して、各議員も、委員もですね、一時保護所のバックヤードを見たことあると思うんですけれども、まあすごい薬が各子供に用意されているんですね。そういう意味でも、投薬に頼らないというようなことは視野として持っていらっしゃるので、オール関わるドクターと関係者に共有していただきたいと思います。
 さて、松沢病院においても保護入院が半分以上となっております。区市町村、保健所、警察など、関係各機関との連携を踏まえ、入院から退院、その支援体制、人権擁護の対策を踏まえ、こちらも時系列で説明ください。

○西川サービス推進部長 松沢病院は、一般の精神科病院では対応困難な専門性の高い急性期の精神疾患に対応しております。
 精神障害者であって、医療及び保護のための入院が必要であるが、自ら同意して入院する状態にない患者さんについては、精神保健福祉法第三十三条に基づき、精神保健指定医による診察の後、家族等の同意の下、医療保護入院となります。
 入院後は、リハビリテーションやデイケアなど、退院後の生活を見据えて治療を行っております。
 また、退院に向けては、社会復帰支援室のソーシャルワーカーを中心に、個々の患者の病状や本人及び家族の意向を踏まえた検討を行うとともに、区市町村等関係機関と必要な調整を行い、退院後の日常生活の実現に向けた支援を行っております。
 また、人権擁護につきましては、このような対応に加え、入院の必要性や治療内容等について患者本人及び家族等に十分な説明を行うとともに、病棟内と本館一階に公衆電話を設置するなど、外部との通信についても配慮をしております。
 さらに、入院や待遇に関する意見を申し出ることができる外部機関の連絡先を病院のホームページに掲載するなどの取組を行っております。

○上田委員 大分前進したように見受けます。
 さて、資料、15の死亡退院についてですが、精神病院の死亡退院の多さについて私も指摘し、国会でも取り上げられまして、現状把握の動きが出たものの、その後、バックフラッシュといいますか、精神保健福祉資料調査、いわゆる六三〇調査をしない状況がありました。
 厚生労働省における現状の調査体制、精神病院の死亡退院の数値の把握や問題認識を含めた所見を伺います。また、資料、19では、松沢病院の死亡退院は減少傾向ですが、その点についても所見を併せてお示しください。

○西川サービス推進部長 厚生労働省が実施する精神保健福祉資料に係る調査の内容が平成二十九年度に変更されたことは承知しております。
 松沢病院の死亡退院数につきましては、入院患者数の減少に伴い、減少傾向となっているものと認識しております。

○上田委員 死亡退院なんですけど、呼吸器が一番なんです。全国の精神科の病床数は、現在三十一万六千五百四十三床で、月千九百二十一人亡くなられ、年間計算いたしますと二万三千五十二人が亡くなっております。
 病床当たりの年間死亡退院数は、国の方は七・二%なんですが、松沢病院は一〇・八%で、かなり高いというような状況になっております。通常、日本人の死因は、トップががんで、三割がということなんですけど、かなり異質な状況ということを指摘させていただいたわけでございます。
 都は、誤嚥性肺炎や呼吸器疾患など、死亡退院が多い状況となっているとか、体の疾患を併発しているからこうなっているんだというような説明をいただいていますが、投薬、向精神薬の治療によって、若年にもかかわらず嚥下機能が低下する、あるいはもう臥位、寝たままでいることが多く、誤嚥性肺炎や呼吸器の何かを引き起こし、亡くなっているのではないか、これは本来防げるのではないかと考えますが、そのような対策が練られているのかご説明ください。

○西川サービス推進部長 松沢病院におきまして、呼吸器疾患を死因とする死亡退院患者が多い要因は、従前と同じく、患者の高齢化に伴い、精神疾患を持つ患者が身体の疾患を併発し、他の精神病院から松沢病院の合併症病棟に転院してくる事例が多いためでございます。
 松沢病院では、摂食・嚥下障害看護認定看護師及び歯科衛生士を中心に、患者に対する嚥下力強化のトレーニングや唾液の分泌を促進する口腔内のケアを実施しているほか、嚥下力が弱い患者に対しては内視鏡下嚥下機能検査を行うなど、患者の誤嚥性肺炎のリスクの軽減に取り組んでおります。

○上田委員 私も指摘して四、五年たつので、大分減ってきているのかなと思いたいです。
 電気けいれん療法です。松沢病院においては、二十八年度から半減しております。
 その理由をどのように分析しているのか、コロナ禍の影響がなかったのかご説明ください。

○西川サービス推進部長 松沢病院における電気けいれん療法につきましては、統合失調症のうち、通常の薬物治療では十分な効果が得られない治療抵抗性統合失調症に対する治療薬の導入により治療の選択肢が増えたことや、適用となる患者が減ったことにより実施件数が減少しているものと認識しております。

○上田委員 実施件数が減ったのはよかったです。
 施術に当たっては、丁寧に説明して実施されているようですが、医師と患者と家族では、情報の非対称性にさらされており、拒否もできないのではないかと懸念します。
 拒否できることも踏まえて、インフォームド・コンセントがどのようになされているのか確認します。また、施術後、改善が見られず悪化した症例などはどの程度あり、把握をし、対応しているかも伺います。

○西川サービス推進部長 松沢病院におきましては、電気けいれん療法について、患者や家族に対して治療内容等やリスクについて事前に丁寧に説明を行い、同意を得た上で実施をしております。同意を得た場合であっても、いつでもその投与を撤回できることをあらかじめ患者や家族に伝えております。
 電気けいれん療法については、薬物治療の効果が見られない場合や早急に状態の改善が必要な場合で、なおかつ治療効果が見込まれる患者さんに限って実施をしております。
 実施に当たりましては、精神科医師と麻酔科医師、看護師等が立会い、全身麻酔下で安全に行うこととしており、ほとんどの場合、自殺念慮や興奮が消失するなど、治療効果を上げております。

○上田委員 「カッコーの巣の上で」という七〇年代の映画があるんですけれども、ああいう世界から大分変わってきたというふうに思っております。
 電気けいれん療法もそうなんですが、行動制限については、世界的にはもうしない方向になっています。イタリアにおける地域移行、開放型病棟などが評価を受け、世界的に廃止の方向となっていますが、残念ながら、日本では微減の状況が続いております。
 このような先進事例について、都立病院はどの程度把握をしているのでしょうか、伺います。

○西川サービス推進部長 今お話のありましたイタリアの事例につきましては、一九七八年に公布された法律に基づき、新たな精神病院の設立と既存の精神病院の漸次閉鎖により、入院中心の医療から、地域、外来中心の医療への転換が図られたものと認識しております。
 松沢病院におきましては、行動制限については隔離や拘束を最小限にし、適正な薬物療法と十分な心理的対応を行う方針を掲げて取り組んでおります。
 また、治療経過に応じまして、開放的な病棟へと患者さんに移動していただくことで、患者さんにとって、よりよい療養環境を提供するとともに、早期の回復と退院を目指しております。
 また、社会復帰支援室を設置しておりまして、医師、ソーシャルワーカー、看護師等の多職種で、入院医療中心から地域生活中心へという基本理念の下、地域の医療、保健、福祉関係機関と連携し、患者さんの地域生活を支援しております。

○上田委員 地域移行の支援の時系列の流れが見えました。
 患者の権利憲章にうたわれているように、そもそも精神医療は、病床に縛りつけることなく地域移行を進めるべきではないでしょうか。
 都立病院における精神医療患者の人権擁護に基づく行動制限の是非、所見を伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院では、精神科の患者の人権の尊重については、精神保健福祉法の趣旨を踏まえ適切に対応しております。
 患者さんの地域移行につきましては、患者支援センターのソーシャルワーカーや看護師等を中心に、地域の関係機関等と連携し、早期の退院に向けた支援を行っております。
 例えば松沢病院におきましては、各病棟に精神保健福祉士を配置し、退院調整看護師などと共に多職種によるチームで、患者の地域移行と地域定着に向けた支援に取り組んでおります。
 また、精神科病棟におきましては、精神保健福祉法第三十七条に基づき、通信や面会等の配慮を行っているほか、身体拘束を必要最小限にとどめるよう努めております。
 具体的には、松沢病院におきましては、身体拘束ゼロの方針の下、行動制限最小化委員会を設置し、患者視点に立ったケア技術向上の研修や、医師、看護師、その他コメディカル職員が連携し、拘束しない場合の安全確保の取組を進めております。

○上田委員 そのような、何というんですか、土台の中、NHKの特集で、コロナ禍における松沢病院の奮闘が放映されていました。その際に、ほかの病院から運ばれた患者さんが、転院元でひどい扱いをされていた様子も放映されていました。虐待や違法隔離の疑いが強い事例なども見受けられました。
 そこで確認したいことがありまして、松沢病院の職員が、患者を通して、他人における虐待や、ほかの病院におけるですね、虐待や違法行為を把握した場合、公務員の告発義務を踏まえて、どのような対応をされているのか、また所見を伺います。

○西川サービス推進部長 松沢病院の職員が患者の診察等を通じて虐待が疑われる事案を発見した場合は、院内の社会復帰支援室に速やかに報告することとしております。
 社会復帰支援室では、ソーシャルワーカーを中心に、医師、看護師等、院内の関係職員及び区市町村や地域包括支援センターなど関係機関と連携して情報収集を進め、虐待対策チームにおいて対応を検討いたします。
 その後、精神科及び身体科の医師、看護師、ソーシャルワーカー、事務職員等、多職種で構成される虐待対策検討委員会を開催し、公務員としての通報や通告の義務があることを踏まえ、必要と判断した場合には、警察や区市町村などに通報、通告を行うなど、法令に基づき適切に対応しております。

○上田委員 そして院長も、これまでは、ほぼ東大病院の先生が院長に就任されていたんですが、今回、東邦大からおいでになった、多分慶應出身の先生ということで、ちょっと随分イメージが変わったようです。開かれた病棟を、今後も期待させていただきたいと思います。
 資料、11でございます。都立病院では、大塚病院、墨東病院及び多摩総合医療センター、小児総合医療センターが総合周産期母子医療センターに指定されておりまして、産科、小児科双方から一貫した総合的かつ高度な周産期医療を担い、それぞれの地域の医療資源の状況を踏まえ、産婦人科医療等と連携を図ってきていますが、少子化に当たって、都内に妊産婦が通いやすく、全て受け入れていただける周産期医療が、地域医療構想ほか、各種計画にのっとって実現達成できているのか、現状と取組、課題を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、大塚、墨東、多摩総、小児総が総合周産期母子医療センターとして、M-FICUを活用したハイリスク分娩に対する医療やNICUにおける新生児への高度な医療等を提供しています。
 また、墨東、多摩総、小児総は、救命救急センターと総合周産期母子医療センターの緊密な連携により、緊急に母体救命処置が必要な妊産褥婦を必ず受け入れる母体救命対応総合周産期母子医療センター、いわゆるスーパー総合周産期の指定を受けるなど、各種計画にのっとって適切に対応をしております。

○上田委員 連携の確認をいたしました。
 昨今、熊本、慈恵病院において、特定妊婦さんが身元を明かさず出産したいということで、病院側が市へ対応を求めたことが報道されたり、BSのNHKでは、韓国の赤ちゃんポストなども特集されていました。
 江戸川区児相では、既に、開設以来五名の妊娠中からの特別養子縁組の事例がもうできているんですね、一年しかたっていないんですけど。今後、都立病院でも対応が不可欠となると思料します。
 ついては、予期せぬ妊娠、特定妊婦の出産、特別養子縁組等に向けての対応策について、都立病院が積極的に支援、サポート、アフターケアをすべきと考えます。
 児相との連携は不可欠であることから、現状の連携体制及び現時点の特定妊婦に関しての都の所見と、都立、公社病院の対応を具体的に伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 特定妊婦に対しては、大塚、墨東、多摩総、小児総、荏原、豊島等で分娩対応を行うだけでなく、相談支援等を行っております。
 具体的には、都立、公社病院の患者支援センターが中心となって、保健所、児童相談所などの福祉関係施設と連携しながら、養子縁組に関することを含め、育児に関する相談への対応や療育施設への入所調整などを行っております。
 また、都立、公社病院での令和二年度の未受診妊婦の受入れ件数は六十件でございました。

○上田委員 実績を重ねていらっしゃるということで、今後の展開も期待します。
 コロナ及びワクチン接種後の死亡事案について、東京都監察医務院での剖検がなされていることが明らかになっております。
 病院経営本部は従前、監察医務院で行われている死亡究明の過程で得られた貴重な情報は、医学教育や臨床医学等に還元され、医学の進歩に貢献しているものと考えております、都立病院におきましても、同様に剖検や臨床研究に取り組んでおりまして、それぞれが医学の発展に貢献しているとされ、積極的な連携は、残念ながら図られていなかったなと四年前は確認しました。
 一方、都立病院では、死因の究明や実態の把握のため病理解剖を行う体制を整えていますし、入院中の患者さんが死亡した場合は、原則として病理解剖について遺族に説明し、承諾を得られれば病理解剖を行うと。遺族からの解剖の希望があった場合も同様の対応を取っていて、結果は、診療科を超えた臨床病理検討会等で検討し、医師の判断技術の向上など医療の質を高めているだけではなく、研修医、若手医師の教育に大きく寄与しているとのことです。
 コロナ禍にあって、都立病院の病理解剖や監察医務院の剖検の知見と治験、二つの「チケン」の共有は不可欠と思料しますが、現状の連携体制と情報共有の状況について所見をお示しください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都監察医務院では、事件性のない死体の検案及び解剖を行い、死因を明らかにし、その過程で得られた貴重な情報を医学研究、臨床医学、予防医学などに還元し、医学の進歩に貢献しているものと認識しています。
 一方、都立、公社病院では、死因の特定のほか、診断の妥当性や治療の効果を高めるため病理解剖を行い、その結果は臨床医学にも寄与しており、それぞれが適切に対応をしております。
 おのおのが有する知見を共有し、レベルアップを図るためにも、都立、公社病院と監察医務院において、検査科技師を中心に医師を含めた病理等に関する検討会を年一回開催し、情報交換を実施しております。

○上田委員 コロナワクチン関連死については、より共有を求めるものです。
 女性生涯医療外来コンシェルジュを設置し、ライフスタイルに合った医療を展開しているということですが、患者の利用状況を代表的な実例を挙げてご説明ください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大塚病院では、看護師などによる女性医療コンシェルジュを導入しており、受診に至らない段階から、若者や働く方なども含めた様々なライフスタイルの女性の不安等に寄り添いながら相談に応じ、各専門外来へつないでおります。
 令和二年度に、女性医療コンシェルジュへの電話相談件数は百二十九件ありました。具体的には、生理不順や不正出血などの生理に関すること、産後の心身の不調、発汗、不眠、気分の落ち込み等の更年期に関する相談が多く、また、他の医療機関では相談できずに大塚病院に相談したというケースもありました。

○上田委員 百二十九件は、もうちょっと頑張ってほしいなというふうに思った次第です。周知徹底をよろしくお願いします。
 また、性差に基づく専門的医療などの問題認識もあるようですが、FTM、MTFのトランスジェンダーの手術においては、海外手術が主流ですが、都民需要を捉えて積極的に都立病院でも実施すべきではないかと思料しますが、現時点の所見を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご指摘の手術につきましては、平成三十年度診療報酬改定が施行され、性同一性障害の手術療法に対する健康保険の適用は開始されていますが、保険適用となるためには施設基準を満たす必要があり、現在、都立病院では実施しておりません。
 施設基準を満たすためには、性同一性障害に関連する学会が認定する医師の確保や症例数の確保、実際に治療を行うに当たっての院内の医療提供体制の構築など、患者に安全な医療を提供できる仕組みを構築することが不可欠であり、現時点では、施設基準の取得は困難と認識しております。

○上田委員 現時点での独法化を私は反対した者ですけれども、独法化すると人材が流動的になるということであれば、施設基準を満たす学会認定の医師の確保ができるんじゃないかなとは思います。前向きにお願いしたいと思います。
 医療包括ケアシステムの中に都立病院も受皿として組み入れられていますが、現場からの視点から、現状の具体的な取組と課題認識及びこれまでの成果、評価を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院は、都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、地域包括ケアシステム構築への貢献を掲げており、地域医療機関への技術支援や地域医療を支えるモデルとなる取組を実施することとしております。
 例えば大塚病院は、地域医療機関の医師や看護師等の在宅療養に関わる関係者と患者に関する情報を共有するネットワークを運用しております。
 高齢患者の増加に伴い、在宅療養への支援や介護関係施設等との連携が重要でありまして、都立病院では、引き続き地域の関係機関等との連携を進め、地域包括ケアシステムの構築に貢献をしていきます。

○上田委員 高齢者や障害者は、入院中における治療以外の介護の需要があります。幸い死亡者は出ていないようですが、資料、12など誤嚥事案を防ぐためには、どのような現場対応をしているのか伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院におきましては、高齢者や障害者を含む患者さん一人一人について、飲食物を飲み込む力である嚥下力に応じて、誤嚥を防ぐための対応を実施しております。
 具体的には、院内での誤嚥を防止するため、患者さんが入院する際に、医師が検査等を行って嚥下力を評価した上で、その評価結果に応じたリハビリテーションを実施するなど、患者さんの身体機能の向上に努めております。
 また、医師、栄養士、看護師等が患者さんの嚥下力に応じた食事形態を検討するとともに、嚥下力が低い患者さんに対しては、食事中に看護師が声かけや見守りを行っております。

○上田委員 そして、退院後、介護が必要でありながらも受入れ体制が整っていない患者に対しての支援体制に、家族への相談対応、情報提供、区市町村、関係機関との連携体制など、医療ソーシャルワーカーの現場の取組状況を伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院では、医療ソーシャルワーカーを中心に、多職種で患者、家族からの様々な相談にワンストップで対応する患者支援センターを設置しております。患者支援センターでは、入院早期から患者の状況を把握し、退院後の療養環境についての検討を行っております。
 患者の退院に当たりましては、病状はもとより、家族の状況や地域の医療、介護資源の状況なども踏まえ、区市町村の保健福祉部門、地域包括支援センター、地域の医療機関、訪問看護ステーションなど、関係機関とのカンファレンスなどを通じて密接に連携し、必要な支援を行っております。

○上田委員 また、がん患者、難病患者への、患者及び家族の特別なニーズの把握、ケア、サポート、区市町村、関係機関との連携における取組を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がん患者や難病患者、またそのご家族に対して、都立、公社病院では、患者支援センターが中心となり、治療や療養に関する相談や就労相談、退院後の円滑な在宅療養移行への支援など、区市町村や保健所、福祉事務所、訪問看護ステーション等、関係機関と連携を図りながら、様々な相談支援に取り組んでおります。

○上田委員 さて、広尾病院に関する内部統制です。
 基本構想検討委員会での議論を経て、都として基本構想の策定過程を経て、本庁の間で情報共有、意見交換をするとともに、広尾病院では院長のマネジメントの下、適宜現場の職員と情報共有をしているとのことですが、近隣に民間病院も多く、利用者数の頭打ちの問題も含めて、現状の状況と課題について確認します。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院は、災害医療、島しょ医療をはじめ、小児科、産科、精神科医療などの不採算部門に加え、民間医療機関では対応が困難な事案に対しても、都立病院として積極的に対応しております。
 広尾病院は築四十年以上経過し、施設が老朽化するなどの課題はありますが、現在、新型コロナ感染症に重点的に対応する病院として、適宜現場の職員が集まって意思疎通を図りながら、重症、中等症などのコロナ患者の受入れを積極的に行っております。

○上田委員 次に、財政問題、こちら、広尾病院の経営もそうですけれども、資料、4と13の財政問題です。
 総務省が策定した新公立病院改革ガイドラインでは、改革プランを策定し、病院機能の見直しや病院事業経営の改革に総合的に取り組めといっています。
 東京都も、都立病院改革推進プランの追録版を策定して、必ず設定するとされた医業収支比率の目標を追加するとともに、各年度の収支計画を、新ガイドラインが求めている令和二年度まで引き延ばしていたはずなんですけれども、現状の計画と実施状況、コロナ禍の影響の有無についてお示しください。

○谷田経営企画部長 平成二十七年十二月に策定した都立病院改革推進プラン実施計画追録版では、新公立病院改革ガイドラインに基づき、令和二年度までの収支推計を策定しましたが、都立病院改革推進プランの計画期間が終了し、新たに平成三十年三月に策定しました都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、平成三十年から令和五年度までの収支計画を新たに策定するとともに、計画期間中の経営指標の目標を設定し、現在、目標達成に向けて取り組んでいるところでございます。
 収支計画の指標となります自己収支比率につきまして、都立病院改革推進プラン実施計画追録版では、令和二年度計画値を七六・二%としていたものを、都立病院新改革実行プラン二〇一八では、医療環境の変化、経営改善を推進することを踏まえ、七七・二%と見直しました。
 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で入院、外来収益が減少したものの、コロナ病床を確保したこと等によりまして、自己収支比率は八四・八%となったところでございます。

○上田委員 自己収支比率は八四・八%ということです。
 新ガイドラインでは、地域医療構想を踏まえた役割の明確化を新たに視点に加えていますけれども、平成二十八年七月に作成されている関係から、この部分については反映されていなくて、新ガイドラインでは、公立病院をめぐる状況は、その立地条件や医療機能などにより様々であり、改革に関わるプランの内容は一律のものではなり得ないとされていますが、役割の明確化は、構想、プランにも常にうたわれております。
 一律のものとはなり得ないとして、独法化も突如進むことなり、資料、10を踏まえて、地域医療構想を踏まえた役割の明確化と独法化との連関及び事業推進をどう並行し得るのか伺います。

○船尾計画調整担当部長 超高齢社会の本格化により、医療、介護需要がさらに増加することが見込まれる中、都は、東京都地域医療構想を策定し、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年に向け、住み慣れた地域で医療から介護まで受けられる体制の構築を進めております。
 都立病院は、公的な病院として地域医療構想の実現に貢献する役割があり、都立病院新改革実行プラン二〇一八において地域の医療提供体制が確実に整えられていくよう、地域医療機関との連携の推進や地域の医療水準向上に向けた役割を率先して果たしていくこととしております。
 こうしたことを実現していくためには、機動的な病院運営が必要であり、独法化により地域が抱える多様な医療課題にも的確に対応してまいります。

○上田委員 この点について、新公立病院改革ガイドラインと都立病院改革推進プランは連動しているのかお聞かせいただきたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院新改革実行プラン二〇一八は、平成二十七年三月に総務省が策定した新公立病院改革ガイドラインにおきまして、地方公共団体に策定を求められている新公立病院改革プランとしての位置づけも有しております。

○上田委員 新公立病院改革ガイドラインにおいては、経営指標に係る数値目標を設定することとしており、経常収支比率と医業収支比率につきまして、必ず定めてということになっております。
 都立病院改革推進プラン追録版において、経常収支比率については一〇〇%程度、医業収支比率については八六%程度とそれぞれ目標数値を設定したとのことなんですけど、達成はできたのでしょうか、ご報告をお願いいたします。

○谷田経営企画部長 経常収支比率につきましては、都立病院新改革実行プラン二〇一八においても、引き続き各年度一〇〇%を目標としております。
 直近の実績でございます令和二年度は、コロナ病床の確保に伴う国庫補助金を受け入れたことにより、経常収支比率は一〇六・〇%となりました。
 また、医業収支比率は、都立病院改革推進プランでは、各年度八六%程度としておりますが、急速な医療環境の変化を踏まえ、都立病院新改革実行プラン二〇一八では、目標を計画最終年度の令和五年度において八〇・六%と見直しました。
 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で入院、外来収益が減少したため、六八・八%となりました。

○上田委員 一二%以上落ちているということです。これを踏まえていただきたいと思います。
 医業収益の捉え方につきましては、各自治体によって必ずしも統一されているものではなく、経常収支比率及び医業収支比率につきましては、通常用いられる考え方によって計算しているとのことです。
 ゆえに一般会計繰入金、これ、資料、13の二二ページを見れば分かりますけれども、医業収支比率につきましては、都立病院では繰入金の依存度をより明確にする観点から、国の基準よりも厳しく見ているということから、都立病院改革推進プランの追録版には記載していないということですので、一般会計繰入金対医業収支比率のこの十年のトレンド、傾向についてご説明ください。

○谷田経営企画部長 医業収益は、入院収益、外来収益及び一般会計繰入金のうち救急医療や感染症医療などに要する経費に充てられる一般会計負担金等で構成をしております。
 この医業収益に対する一般会計負担金の比率は、十年前の平成二十三年度、一六・四%でございましたが、令和二年度は一五・一%と、一・三ポイント減少しております。

○上田委員 これらの状況を踏まえて、独法化した場合はどうされるのか、財源措置は解消できるのでしょうか、お尋ねします。

○船尾計画調整担当部長 感染症医療や災害医療など、民間医療機関だけでは対応困難な行政的医療の提供は公的な病院が担うべき役割であり、採算の確保が困難であることから、地方独立行政法人法においても、設立団体が運営費負担金として負担することが法定をされております。
 都立病院は、独法化後も行政的医療を将来にわたり安定的に提供していくこととしており、そのために必要な経費は、法に基づき、運営費負担金として都が負担するものと考えております。

○上田委員 やっぱり都が負担するんですよね。独法化しちゃって、都の負担金額はそんなに変わらないのに、チェック機能が、私からすると大分劣ってしまうのかなというところが、やはり懸念したところでございます。
 新型コロナ感染症についてです。
 昨年から今日に至るまでの、各都立、公社病院と本部の対応について時系列でご報告ください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、昨年の一月から二月にかけては、チャーター便やクルーズ船のコロナ患者を荏原病院や駒込病院等の感染症指定医療機関で受け入れました。
 その後、都内の感染状況に応じて、都立、公社全十四病院でコロナ病床を確保し、令和二年四月には七百四十一床、令和三年二月には千七百床、四月に二千床とコロナ病床を拡大し、コロナ患者の受入れに積極的に取り組んできました。

○上田委員 それらを実現するために、いかに福祉保健局、保健所、区市町村、医師会、民間医療機関等関係機関と連携を図っていたかのご報告と混乱状況をいかにして乗り越えコロナと闘ったのか、今後の課題と改善策につきご報告ください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院のコロナ病床につきましては、福祉保健局と連携しながら順次拡大してきました。
 また、コロナ患者の入院につきましては、福祉保健局の入院調整本部が、保健所と民間医療機関や都立、公社病院と連携を図りながら入院調整を行っており、病院経営本部の職員も入院調整本部に参加し、都立、公社病院での患者の受入れを進めてきました。
 この夏の感染拡大の際には、入院調整本部への依頼が急増したため、調整本部に参加する病院経営本部の職員も増員して対応をいたしました。
 感染者数の増加に応じて、対応する職員の増員が必要であると認識をしております。

○上田委員 それで、その後、結局第五波に見舞われるんですけれども、第五波は、殊に陽性者が急増して、自宅療養、待機を都民に強いて、自宅で亡くなる方もたくさんいらっしゃいました。現場を抱えた本部は逼迫した状況を目の当たりにし、日々対応し、たくさんの問題点に気づかれたと思います。
 現場がどのような状況であったのか、少ない選択肢の中でどう都民の命を守るために対応されたのか、時系列で報告ください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、新型コロナの発生当初から、妊婦や小児、精神疾患等の合併症患者など、他の医療機関では対応困難な患者を積極的に受け入れてきました。
 一方、コロナ対応が長期化しているため、コロナ病棟で働くスタッフのメンタルヘルスの維持が重要でございます。

○上田委員 民間病院とのすみ分けをされて、そして職員対応に心を砕いたということでございました。
 それを、ほかの部局といかに共有されたのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院におきましては、コロナ病床を適切に確保、運用するためには、継続的、安定的な職員の確保は重要でありまして、職員の安全衛生の点で職員共済組合と連携するとともに、精神科医師を中心とした相談など、引き続き職員をサポートしながら、コロナ対応について福祉保健局と緊密に連携をしていきます。
 また、患者の受入れについては、大学病院とも連携をし、重症から回復した患者を積極的に受け入れております。

○上田委員 そして、コロナ対応の中ですけど、難病、重病、急性期、事故、がんの早期発見、早期治療等、喫緊な治療への影響は出なかったのか。転院をしたり、されたりしたこともあったと思います。地域医療連携をいかに図ったかも含め、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院で、がんなどのコロナ以外の疾患で治療が必要な患者や緊急に治療が必要な患者につきましては、各病院で治療を行いました。
 一方、他の医療機関での治療が可能な場合には、患者に丁寧に説明した上で、地域の医療機関や患者の希望する病院などに転院をお願いしました。
 患者の症状に合わせた丁寧な対応を行い、地域医療機関とも連携を図りながら、医療を必要としている患者に必要な医療を提供しております。

○上田委員 中でも、子供のいる家族感染対応についてもされているということで、ほかの委員との質問がかぶるので、こちらは飛ばさせていただきます。都立病院が率先して行ったということでした。
 資料、28ですが、院内感染症対応、クラスター対応、ゾーニングの実証実例について伺います。
 また、その経験値をほかの医療機関と共有や公開などすれば、感染症対策の全体的な医療の、東京のスキルアップにつながると考えますが、現時点についての所見を伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院におきまして、新型コロナウイルスの院内感染が疑われる事案が発生した場合には、各病院の感染管理担当を中心に、院内における接触者の洗い出しと必要なPCR検査を行うとともに、濃厚接触者に該当した職員の自宅待機及び患者の隔離、また院内の消毒などを実施いたしました。
 また、同一の病棟などで複数の陽性者が判明した場合は、新規入院患者の受入れを原則中止し、病棟を再編成して、陽性者との接触者と非接触者を分けるなど、ゾーニングを徹底することで院内感染拡大防止を図りました。
 こうした取組につきましては、令和二年四月に院内で感染が発生した墨東病院では、病院のホームページに感染発生後に講じた主な対策を掲載しているほか、福祉保健局が都内医療機関向けに動画配信により実施しています東京都院内感染対策講習会におきまして、墨東病院の感染症科の医師が講師を務め、墨東病院の事例と対応についての説明を行いました。

○上田委員 事例共有、よろしくお願いします。
 現在、急速に感染症が減っておりまして、病床数を減らしているのはある意味現実的と考えますが、第六波に備えて、都立、公社病院が警戒し、準備している点についてご説明ください。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、千七百床体制とし、一部、一般医療を再開しておりますが、感染拡大の兆候が生じた場合には、速やかにコロナ優先の体制にすることとしております。

○上田委員 いみじくも先ほど、令和二年四月に院内で感染が発生した墨東病院ということですが、その前の三月に、実はマスクは一日一枚で替えないようにというような状況で、マスク不足が明らかになって、私の指摘、国会でも取り上げられる騒動となり、都立病院としては、反省を踏まえた体制を整えているとのことです。
 有事にあっては、調達先をより好みしたり排除してはならない点を指摘し、令和二年三月以降、過去に取引実績のない事業者も含め約三十社に取扱品目及び納入可否の照会を行い、サージカルマスクを約八十八万枚確保するなど、新たな調達先の確保に取り組んでいますとの答弁も得ましたが、その後、調達を含めたマスク、防護服などの感染症対策物品の充足及び調達の実績について確認いたします。

○西川サービス推進部長 令和二年三月以降、マスクなど感染防止に必要な物品の確保に努めまして、当時取引のあった業者に納入の可否について照会を行いながら、過去に取引実績のない、ただいまご指摘のございました業者約三十社にも照会を行いまして、四月以降、サージカルマスク約八十八万枚を確保したほか、ガウンを約二十八万枚、N95マスクを約四万枚調達いたしました。

○上田委員 マスクを持っている事業者さんが、実は都立病院に納品を断られて、私のところにも相談が来たというような状況でありまして、改善が図られているのかなというところでありました。
 宿泊施設活用事業について、医療従事者や東京都医師会や大学病院、都立、公社病院や健康長寿医療センターに依頼し、派遣してもらっております。
 都などの職員については、施設それぞれの規模や運営体制により異なりますが、日中は各施設十人程度が勤務しているとのことですが、状況が逼迫していた第三波、第五波等においては、人員派遣も厳しかったと思いますが、どのような支援を本部として行えたのか、具体的な取組と今後への教訓を伺います。

○谷田経営企画部長 コロナ宿泊療養施設については、令和二年四月に一施設でコロナ患者の受入れを開始して以降、都立、公社病院では、健康観察等を担う医師や看護師の派遣による運営支援を行っておりまして、令和二年度は延べ一千百六十五名を派遣いたしました。
 一方、この間、都立、公社病院では、都内の感染状況に応じたコロナ病床の確保や患者の受入れのほか、令和二年十二月からはコロナ専用医療施設、令和三年六月からはコロナワクチンの接種会場へ延べ二万九千三百二十九名の職員を派遣するなど、多岐にわたる都のコロナ対策事業に対応してまいりました。
 こうした中、本年一月から十月までの間、医師一名、看護師は最大五名を各コロナ宿泊療養施設に派遣をいたしましたが、現在は新規陽性患者数の減少に伴いまして、医師一名、看護師一名に縮小をしております。
 令和三年度の職員定数は、都立病院が六千八百五十四名、公社病院が二千七百九十七名であり、医療人材をはじめとする医療資源には限りがあることから、今後も各病院の一般医療も含めた人員体制を確保しながら、それぞれの事業に係る緊急度や優先度などに応じた効率的な応援体制を構築することで、今後もコロナ対策に着実に取り組んでまいります。

○上田委員 医療人材には限りがあるということでありました。
 資料、24です。女性の長期休職や定年を待たない退職、公務災害が多い状況が見てとれます。本部の分析と対策、所見を伺います。

○谷田経営企画部長 例えば、都立病院の女性職員の割合は、令和二年四月一日現在、医師二九%、看護要員約九〇%、その他職種約五六%、都立病院全体では約七六%でございまして、職場の特性上、女性職員が圧倒的に多いため、お話のような状況を反映しているものと認識しております。
 まず、病気休暇または病気休職を取得した職員のうち、半数以上を精神疾患が占めていることから、今後も、不調者や不調に関連する問題の早期発見、早期対応に努めるとともに、必要な対策を講じてまいります。
 次に、定年を待たない退職者では、医師は大半が大学医局の人事等による転職、その他の職種は転職、家事都合、病気療養などが主な退職事由となっております。
 今後も引き続き、育児短時間勤務制度の活用や院内保育室の充実等による育児と仕事の両立支援のほか、東京看護アカデミー等によるきめ細かな人材育成に取り組むことで、離職防止に努めてまいります。
 また、公務災害につきましては、使用済みの針を誤って自らに刺してしまうなど、いわゆる針刺し事故が最も多くなっておりまして、講習会の実施等により、公務災害の発生防止に取り組んでまいります。

○上田委員 ちょっと精神疾患が多いということと、あと針刺し事故も、うっかりしちゃうというのは、やっぱり疲れていらっしゃるのかなというふうに見てとれました。支援をお願いしたいと思います。
 ここで定年を待たない退職者、大学医局の人事による転職があるということで、これが、ダヴィンチを使える人が転職しちゃったらどうするのというふうに思った次第でございます。
 都立、公社病院では、医師、看護師の職員が、強い使命感や責任感の下で一丸となり新型コロナ対策に対応されていて、最前線で感染症に立ち向かう職員をサポートしてくださっていますけれども、全体的に退職者が多いのか少ないのか、医療業界だからこのようなことが、さっきご説明したようなことが起こるのか、独法化したらば解消されるのか、所見を伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 例えば、公益社団法人日本看護協会の病院看護実態調査によりますと、定年退職者を含む令和元年度の正規雇用看護職員離職率は、東京全体が一四・九%に対しまして、都立病院は七・一%、公社病院は一二・七%であるため、退職者は少ないというふうに認識しております。なお、令和二年度にコロナに関連する事由で退職した職員は、都立が一名、公社が一名、合計二名でございました。
 独法化後は、育児や介護等に合わせた勤務時間の設定など、柔軟な勤務制度の構築や看護職員をはじめとした医療職が本来の専門的な業務に専念し、他の業務を看護補助者等に移すタスクシフティングを推進するなど、引き続き働き方改革に取り組んでまいります。

○上田委員 つまり、現状の都立、公社であって、離職率は少ないということですね。それを確認させてもらいました。また予算等で確認させていただきたいと思います。
 ちょっと数日前、陽性者の妊婦さんの支援事業がプレスリリースとなったんですけれども、陽性となった場合、帝王切開の強制、誘導はされないか、自然分娩を希望したときにどのように支援していくのか。都としては、検査を希望する妊婦に関しては、検査の性質上、偽陽性や偽陰性が一定の割合で起こることや、結果が陽性になった場合、医師の判断により分娩方法が変更となる可能性があることなど、事前にかかりつけ医が丁寧に説明することが重要という見解を示していますが、都立、公社病院では徹底されているのか確認します。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナ陽性の妊婦は、都立病院では、大塚、墨東、多摩総、公社病院では、荏原、豊島病院にて受入れを行っております。
 分娩方法等が変更になる場合には、十分な説明を行い、患者の同意を得た上で対応をしております。

○上田委員 では、帝王切開の強制はないということと理解させていただきます。
 最後に、東京iCDC、モニタリング会議などの会議体が、本当に大変な現場を持っていらっしゃる都立、公社病院に、どのように貢献して寄与できたのか、具体的に伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京iCDCに、都立、公社病院のコロナ後遺症相談窓口のデータを提供し、コロナ後遺症に関するリーフレットの作成に貢献をしております。
 また、都立、公社病院では、モニタリング会議から発信された情報等を活用しつつ、都内の最新の感染動向に応じた病床の確保等を行っております。

○上田委員 むしろ、都立病院、公社病院がiCDCに貢献したということで、向こうが貢献してくれたというような感じじゃないように受け止めました。いずれにしろ現場最優先で、私は、無用な会議体をつくることは職員を疲弊させますし、皆さんの現場も非常に混乱するかなというふうに思っておりました。
 最後になりますけれども、今日の読売新聞で、東京医科歯科大の内田信一院長が、第五波のときに一日五十件前後の要請を断らなければならなかった、満床状態が続いていた重症患者用のベッドも八床から十二床にしたけど、これが限界、簡単にはやはりスタッフがいないので増やせないというふうに述べていらっしゃいます。
 また、私が今回質問したほかの難病の方々などについても、難しい病気の患者は専門的な医療に望みをつないでいて、命に関わる判断であり、転院先を見つけるのは簡単ではありません。一応、転院先をご案内するというふうなご答弁はいただいているんですけど、やはり一般の民間病院では厳しいということが分かりました。
 医療というのは全部つながっていて、どこかを増やせば、結局どこかにしわ寄せが行くと。コロナとコロナ以外の両立をめぐるジレンマは、大きなものだったと振り返っています。
 危機に備えて、完全にコロナだけを診るような専門病院を事前に造っておかない限り、ジレンマは永遠に解決されないという貴重なご意見を賜りまして、このジレンマを解消する貴重な鍵となるのが、病院経営本部及び都立、公社病院だということだと思います。
 独法化がもう急速に進んでおりますけれども、今は、何度も申し上げます、コロナ対策と通常の医療に専念をしていただきたいと申し上げまして、私の質疑を終わります。

○おじま委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後四時五十四分休憩

   午後五時十五分開議
○おじま委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○やまだ委員 お願いします。
 私からは、広尾病院の整備事業について伺ってまいりたいと思います。
 広尾病院の整備事業については、令和元年第三回定例会、令和三年第一回定例会の当委員会において、我が会派の小宮あんり議員より、現在の取組と検討状況や今後のスケジュールについて質疑を行い、工事期間中の周辺への配慮や、島しょや災害医療の継続などを求めてまいりました。
 現在は、実施方針の策定、公表に向けて、整備事業の詳細について検討を行っている段階と思いますが、現在の検討状況について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 広尾病院は、災害、島しょ、救急医療の拠点として、東京の医療体制において重要な役割を果たしています。
 まず、島しょ医療について伺います。
 広尾病院では、二十四時間運用可能なヘリポートで、島しょからの重篤な患者を救急搬送で受け入れ、島しょの方々にはなくてはならない病院であります。
 そこで、整備後の広尾病院のヘリポート運用について、どのような計画になっているのか伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在のヘリポートは、東京消防庁のヘリコプターが二十四時間救急活動に利用できる緊急離発着場として整備されており、東京消防庁が救急搬送に利用する全ての機種が離着陸できる広さと荷重に耐え得る強度を確保しています。整備後につきましては、こうした機能を引き続き確保してまいります。
 また、現状は、ヘリポートから院内の救命救急センターや手術室への患者搬送にはエレベーターを乗り換える必要がありますが、新病院では、屋上ヘリポートから直接に搬送できる救急患者専用エレベーターを整備する予定です。
 こうした取組により、円滑で迅速な患者搬送が可能になると認識をしております。

○やまだ委員 整備後は、救急患者専用エレベーターが整備される予定ということで、ヘリポートからの搬送体制も円滑、迅速になり、機能向上が図られることは、島しょの方々の安心・安全にもつながると思います。
 今回の整備は、現地での建て替えになりますが、工事期間中も継続して確実な運用が図られるよう、改めてお願いしておきたいと思います。
 広尾病院では、島しょ地域からヘリコプターでの救急搬送を毎年二百人程度受け入れていますが、島しょ地域は医療資源が乏しいため、退院後のケアを広尾病院が継続していくことが重要だと考えています。
 そこで、整備後における島しょ地域患者の退院後のケアをどのように行っていくのか、見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、広尾病院では、退院後に円滑な地域生活が送れるよう、入院中の段階から、診療所や訪問看護ステーション等の職員とウェブカンファレンスを開催し、患者の症状等の情報共有のみならず、療養継続のために必要な対応について意見交換を行っております。
 新病院では、こうした取組を継続するとともに、治療の終了後、回復期治療が必要となる患者や退院後に急変した患者を受け入れる地域貢献病床を新たに整備いたします。
 さらに、一つの病室を現状の六床室から四床室として整備することで、病室に十分なベッドサイドスペースを確保し、脳卒中や脳梗塞などの患者に対して、このスペースで急性期リハビリを実施することにより、患者の早期回復につなげてまいります。

○やまだ委員 これまでのウェブカンファレンスや意見交換の継続、それとはまた別に、新たな取組として、地域貢献病床の整備ですとか、また、一つの病室についても、六床室から四床室へと広めに取っていくということで、新たな取組の仕方として、病室の広さを活用したリハビリが行われる、新しい取組について大変期待をするところであります。
 広尾病院には、島しょ地域医療についてぜひとも幅広く支援を行っていただきたいと思います。病院整備中も継続して取り組んでいただくことを併せて求めたいと思います。
 次に、広尾病院には、入院している患者の付添いや面会の家族、外来通院中の方などを対象に、島しょ患者の家族宿泊施設が設置されており、島しょの方々からは好評を得ていますが、より充実を望む声も聞いています。
 そこで、整備後の広尾病院の患者家族宿泊施設について、島しょの方々のこうした声に応えていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在の患者家族宿泊施設は、平成二十八年度、三室から五室に増設し、平成三十年九月からはベッドを設置する部屋を設けるなど、島しょの患者、家族のニーズに応えてまいりました。
 患者家族宿泊施設の利用率は、令和二年度はコロナの影響で三〇・六%となっております。一方で、感染拡大前の平成三十年度と令和元年度は六五・四%となっていますが、申込みが集中する時期にはお断りする場合もありました。
 このため、部屋の増室等について検討するとともに、より快適で使いやすい施設となるよう目指してまいります。

○やまだ委員 三室から五室に増設をしていただいた後も、時期によっては大変集中する時期もあって、お断りする場合もあったとのご答弁です。これに合わせて、新病院では、部屋の増設について検討していくというご答弁もいただきましたので、ぜひ、実現の方向で検討をお願いしたいと改めて求めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、コロナの第五波は終息してきていますが、スペイン風邪や新型インフルエンザの大流行など、感染症がこれまで繰り返されてきた歴史を見ると、未知の感染症に備えておく必要は大変重要だと思います。
 そこで、新病院整備における感染症対策について、どのように計画しているのか伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、広尾病院は、コロナ重点医療機関として、簡易陰圧装置などを整備することで多くの患者を受け入れております。
 新病院におきましては、病室や救急外来診察室を陰圧化するとともに、感染患者との動線分離や専用エレベーターの設置によるゾーニングを図ります。
 また、陰陽圧切替え可能な手術室、心臓カテーテル室、分娩室を整備することで、感染症に感染した患者の手術や処置が可能となります。
 こうした取組により、今回のコロナのような感染症の拡大時には、一般患者やスタッフへの感染リスク防止の徹底を図りながら、重症、中等症等の患者に加え、妊婦、小児、親子、精神科患者等を受け入れる重点医療施設として対応していきます。

○やまだ委員 感染拡大時の事態に備えて計画されていること、その内容についても確認をさせていただきました。今考え得る対策について、しっかりとハード整備の点から対応を求めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、広尾病院は、区部唯一の基幹災害拠点病院として、大規模な災害発生時にも医療機能を維持することが求められています。
 そこで、基幹災害拠点病院としてどのような整備を行うこととしているのか伺ってまいりたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 災害時において、電気、水道等のライフラインの供給が停止した場合においても病院の機能を維持できるよう、三日分以上の非常用発電機の燃料や水の備蓄を行います。
 また、ライフラインの供給停止が長期化した場合に備え、災害時でも稼働するガスコージェネレーションシステムの導入や、地下水や雨水を利用する設備を設置することで災害拠点病院としての機能を維持できるよう整備していきます。
 さらに、会議室や外来待合等で酸素提供ができるよう、壁面に配管を整備することなどにより、平時の二倍の八百床程度まで患者の受入れを可能とします。
 加えて、広尾看護専門学校との間に連絡通路を設置し、看護学校の教室などにも患者を受け入れることで、災害拠点病院としての機能を果たしてまいります。

○やまだ委員 ライフラインの供給停止に伴う、長期化に備えた様々な仕組みを整備していくということ、それと併せて、平時の約二倍の八百床程度まで患者を受け入れることが可能となる様々な場所に、壁面に配管を整備することで、こういった工夫がされているんだなということが分かりました。また、看護学校の教室の活用、こういったことも含めて、災害拠点病院としての機能を最大限検討されている内容について伺いました。
 ぜひとも、区部唯一の基幹災害拠点病院としての機能を十分発揮していただいて、整備を進めていただきたいと思います。
 一方で、令和元年十月の台風十九号による多摩川の氾濫など、大規模な台風や集中豪雨などによる浸水被害が度々発生をしています。一たび浸水被害が生じると、病院機能を維持することができなくなり、医療提供体制にも甚大な影響を及ぼすことが懸念されます。このため、かねてから我が会派では、広尾病院における浸水対策の重要性を指摘してきました。
 そこで、広尾病院の整備において、浸水対策をどのように考えているのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 下水道の処理能力を超えた場合における内水氾濫の際に敷地の一部が浸水するおそれがあるため、現在の広尾病院におきましては、非常用発電機を屋上に設置するとともに、地下への流入を防ぐために、止水板等の設置による浸水対策を講じてきました。
 新病院の整備に当たっては、ご指摘の点を踏まえ、現在地下にある高圧変電設備などの基幹設備を浸水のおそれの少ない地上に機械棟として設置することで、浸水対策をより強固なものとし、浸水発生時にもライフラインの維持を図ってまいります。

○やまだ委員 これまで指摘をさせていただいておりました浸水対策について、しっかりとした対応がなされる、このことを理解いたしました。ぜひとも、どのような集中的な豪雨が起こるか分かりませんので、十分な想定を含めて対応をお願いしたいと思います。
 そして最後に、グローバル化の進展による外国人への対応について伺いたいと思います。
 国境を越えた人の往来は激しくなっています。現状、コロナの感染拡大により、訪日外国人は激減をしておりますが、感染が収まり、社会経済活動が正常化されると、今後さらなる増加が予想されます。
 そこで、外国人に対する医療提供体制について、これまでの取組と新病院整備に向けた取組について伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院では、在留外国人や訪日外国人に安心・安全な医療を提供する医療機関が認証を受ける外国人患者受入れ医療機関認証制度、いわゆるJMIPを平成二十八年度に取得をしています。令和元年度に更新を行い、言語だけでなく、文化や宗教にも配慮した医療提供体制の構築に率先して取り組んできました。
 新病院の整備におきましては、外国語の表記に加え、国際ピクトグラムを使用するなど、外国人の利便性の向上を図るほか、宗教の戒律により、毎日定期的に礼拝が必要な方のために、男女別の礼拝室を設置することを計画しております。
 また、新病院開設後には、世界標準の病院評価であり、医療の質と患者安全の継続的な改善を目的とした認定制度であるJCIの認証を目指すこととしております。
 JCIの認証は、世界中百か国以上の医療施設で認証を受けており、日本では、聖路加国際病院など三十一の医療機関が認証を受けております。広尾病院が取得することは、病院の国際的評価を高め、より一層の患者安全や医療の質の向上が図れるものと考えております。

○やまだ委員 非常にきめ細かい、礼拝室を設置するなどの計画もされているということでした。
 そして、JCIの認証、国際的な医療評価の認証は、広尾病院の整備後に施設や設備が新しくなっただけで容易に取得できるものではないと考えています。病院職員がより一層、患者の安全確保や医療の質の向上を目指して一丸となって取り組むことで実現ができるものと思います。
 整備後の病院において取得されることを期待しておりますが、やはり職員の方々がこのことで働きがいを感じ、そして、何より利用者の方々に還元されるサービスとして取組がされるよう求めて、質問を終わりたいと思います。

○桐山委員 それでは、私からは、AYA世代のがん、特に妊孕性温存についてお伺いしたいと思います。
 我が会派は、妊孕性温存治療の重要性について、これまで何度も都議会で取り上げてまいりました。AYA世代は、抗がん剤や放射線などのがん治療において、将来子供を持つことが難しくなる不妊の可能性があり、治療か、または子供かの選択の中で希望の光といわれているのが、治療前の卵子の凍結保存、管理ということでございまして、これがなかなか高額のために、やはり治療を先に、優先をしてしまうということもありまして、各都道府県もこういった助成の取組も進めていたところでございます。
 それらを受けまして、我が会派の要望にて実現をしました全国初の取組として、生殖機能温存治療から妊娠のための治療までを一体的に支援する助成事業も、福祉保健局で今年度九月より開始をされております。
 また、併せましてAYA世代のがん患者の方が必要な情報を得て、相談、交流のできる場として、AYA世代がん相談情報センターも開設をされております。
 この妊孕性温存は、AYA世代のがんにおいて大切なテーマであり、患者やご家族の悩みや不安に寄り添っていくことが大変重要です。都立小児総合医療センターでは、小児がん治療などの専門的な医療を提供しており、AYA世代がん患者への支援にも積極的に取り組んでいると伺っております。
 そこで、小児総合医療センターでは、AYA世代のがん患者支援、特に妊孕性温存についてどのように取り組んでいるのかお伺いをしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターでは、今年度、福祉保健局から、AYA世代等がん患者相談支援事業を受託し、本年九月には、新たにAYA世代がん相談情報センターを開設することで、多摩地域における相談等を実施しております。
 AYA世代がん相談情報センターでは、AYA世代がんの相談支援に関する情報等を集約し、患者やそのご家族、医療機関等に対し、妊孕性温存などを含めた様々な悩みや疑問等について情報提供等を行っております。
 また、がん患者の相談支援業務に従事する方を対象にした研修会を開催するとともに、治療の悩みだけでなく、就学、就労、結婚など、治療以外の悩みを抱えるAYA世代がん患者同士の交流会を開催するなど、様々な取組を行っております。
 さらに、区部での事業を受託している聖路加国際病院とも連携し、妊孕性温存に関する相談支援マニュアルを新たに作成していく予定です。
 こうした取組により、小児総合医療センターでは、小児がん拠点病院としてAYA世代のがん患者の支援に取り組んでおります。

○桐山委員 小児総合医療センターでは、今年度から、先ほど申し上げましたAYA世代等がん患者相談支援事業、これ、福保の事業ですけれども、そちらを小児総合医療センターで受託をして、事業をなさっているということでご答弁をいただいたところです。
 この九月から、このセンターと、そして聖路加国際病院の二か所で相談情報センターが開設をされているということで、今後、妊孕性温存に関する相談マニュアルも作成予定ということでした。
 AYA世代のがん患者等に、適切にこれらの情報提供がされていることも今のご答弁で分かったところです。今答弁がありました研修会や交流会の開催というのがご答弁の中にあったと思いますが、AYA世代のがん患者を支える上で極めて重要な取組だというふうに考えているところでございます。
 この研修会や交流会の具体的な内容についてお伺いをしたいと思います。あわせまして、コロナ禍での開催に当たり、工夫された点などにつきましても、ありましたらぜひお伺いをしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 研修会につきましては、本年九月二十五日に、Tokyo AYA Canネットワークを開催し、AYA世代がん患者を支える医師や看護師、MSWなど八十二名の方が参加をいたしました。
 本研修会では、小児総合医療センターと聖路加国際病院の医師などが講師となり、AYA世代がん患者にどのようなサポートが必要か、実際の相談事例等を例に取りながら、患者ニーズ等について学びを深めました。
 また、交流会につきましては、本年九月五日に、AYAキャンサーサバイバーズミーティングを開催し、二十八名に参加していただきました。本交流会は二部構成で実施し、がんの経験談やコロナワクチンに関する最新情報などを情報提供するとともに、四名から五名の小グループに分かれ、お互いが語り合うことができる機会を設けるなど、患者同士の交流促進につなげました。
 いずれもオンラインで実施することで、コロナ禍であっても、より多くの方が参加できるように配慮をいたしました。

○桐山委員 ありがとうございました。
 コロナ禍、交流会については九月五日、研修会も九月二十五日だということで、これも緊急事態宣言の真っただ中だったかと思います。
 そんな中でも、しっかりとオンラインで、サバイバーズミーティングということで執り行っていただいて、お互いが、オンライン上ですけれども、かなり、お互いの不安なことですとか、あと、冒頭にもありましたように、病気の治療以外の、いわゆる悩みですか、就学とか、就労とか、また結婚とか、こういった様々な悩みも、患者同士の交流会を通して語り合うことができる機会だったということで、非常に有意義な会だったのではないかなと思います。
 こういった取組を、今後もぜひ寄り添いながらの支援ということを引き続きお願いをしたいというふうに思いますし、また、AYA世代のがん患者に対する相談や支援というものも、引き続き充実をしていただくように要望をしておきたいと思います。
 それでは、次の質問に行きたいと思います。
 次は、都立病院における障害者対応の状況について質問をさせていただきたいと思います。
 本年五月、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、通称は障害者差別解消法が改正をされまして、事業者による社会的障壁の除去の実施に関わる必要かつ合理的な配慮の提供が、従前の努力義務から義務へと改められました。
 東京都においては、平成三十年十月に施行した東京都障害者差別解消条例、正式名称でいいますと東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例におきましては、国に先駆けて、この合理的配慮の提供については、行政機関、民間事業者とも義務としていたところでございます。特に、医療機関におけます合理的配慮の提供は、障害のある方にとって、受診の機会は決して少なくないと思われることから大変重要なことです。
 本日は、聴覚障害のある方への対応につきまして、焦点を当てて質疑をさせていただきます。
 聴覚障害者の受診に当たりまして、都立病院ではどのような対応を行っているのかお伺いしたいと思います。

○西川サービス推進部長 聴覚に障害がある患者さんが都立病院を受診する際、まず、外来診療の予約につきましては、ファクシミリ及びメールのほか、東京共同電子申請・届出サービスを利用したインターネットでの予約を受け付けております。
 また、院内におきましては、患者さんから配慮してほしいことを確認いたしまして、電子カルテに記載することで関係する職員があらかじめ共有をしております。
 さらに、患者さんのご希望に応じまして、筆談ボードや外来での呼出し、検査への案内などを振動や点滅で知らせる呼出し装置などを活用しております。
 加えまして、小児患者の場合は、絵が描かれたカードなどを説明に用いるなど、個々の患者さんの状況に合わせて対応をしております。

○桐山委員 都立病院において聴覚障害者が受診される際に、様々な対応や工夫がなされていることを理解させていただいたところです。
 一方で、聴覚障害者にとっては、手話が日常的に使用する言語であるということで、都内でも複数の区市町村においては、手話言語条例を制定しているということで、手話の普及や啓発を行っている状況かと思います。
 現在、都立病院では、手話通訳者というものは設置をしていない状況だとは思いますけれども、遠隔手話通訳のサービスというものもあることもありまして、ぜひ都立病院でも、活用を広げていっていただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。
 それから、我が会派の菅原委員の先ほどの質疑にもありましたように、患者用のWi-Fiの整備というものは、やはり社会的要請の中で、障害者への合理的配慮ということで整備をする必要があるということを改めて感じたところです。
 もちろん手話だけではなく、先ほど申し上げた手話の通訳者が置けないのであれば、やはり遠隔手話通訳サービスを利用するように、しっかりとWi-Fiの環境を整えていただきたいですし、これからアプリを使ってのコミュニケーションということで、ICTを活用した情報保障というものが今後期待され、多く、こういったことをしっかりと整備をしていかなければならないというふうに考えております。
 ぜひ、菅原委員の質疑にもありましたような都立病院におけますWi-Fiの整備というものも、きちっと進めて、早期に対応していただけますように、私からも要望をさせていただきたいと思います。
 次に、新生児の聴覚検査についてお伺いをしていきたいと思います。
 生まれながらにして聴覚に障害のあるお子さんは、千人に対して一人から二人いるといわれています。ただし、難聴は、早期に発見をして適切な治療や支援を受けることで、言葉の発達などへの影響が最小限に抑えられることも分かっております。
 都においては、福祉保健局の事業ではありますが、区市町村が新生児聴覚検査の費用を一部助成しており、多くの分娩取扱医療機関がスクリーニング検査を実施しています。しかし、検査の結果、もしお子さんに難聴の疑いがあって精密検査が必要といわれた場合に、親御さんの不安は大変大きいと考えております。
 そこで、新生児聴覚スクリーニング検査で精密検査が必要とされたお子さんに対して、都立病院ではどのような対応を行っているのか、また、精密検査の結果、難聴が明らかになった後の対応も含めてお伺いをしたいと思います。

○西川サービス推進部長 新生児聴覚スクリーニング検査で難聴が疑われたお子様に対する精密検査につきましては、原則として、一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会が指定する医療機関が実施することとなっておりまして、都立病院では、小児総合医療センターにおいて対応をしております。
 小児総合医療センターでは、精密検査の結果、難聴と診断された場合は、患者さんの状態に応じて関係機関等と連携いたしまして、手術治療や補聴器のフィッティング、療育先の紹介のほか、申請可能な手当の情報提供などを行っております。
 また、患者さんのご家族の不安が大きい場合は、医療ソーシャルワーカーや心理士が丁寧にお話を伺うとともに、患者さんのご家族の同意を得た上で地域の関係機関と情報を共有し、育児サークルなど地域のコミュニティをご紹介しております。
 また、成長に合わせて、療育機関やろう学校、聴覚障害特別支援学校のご案内も行っております。

○桐山委員 小児総合医療センターでは、高度な精密検査が可能で、また、お子さんと家族へのきめ細かい対応が行われていることが確認をできました。
 早期の治療と支援は、お子さんの成長と今後の人生に大きく影響します。乳幼児からの切れ目のない支援がこちらも重要です。乳幼児の難聴診断は慎重を要し、確定まで一年かかることもあるともいわれています。この間、保護者の方は不安を抱えながら、医療機関や療育機関を行き来される方も多いということも聞いているところです。
 今後も引き続き、こういった療育機関や、あるいはろう学校への連携、特に親御さんのやはり不安ということで、地域の乳児相談ですとか、あとは都立の聴覚障害特別支援学校の中にあります乳幼児教育相談など、積極的にご案内をしたり、紹介をしたりしてもらえるよう、こちらの方も対応していただきたいことも併せて要望させていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。次に、難病患者の相談支援について伺います。
 難病患者の相談支援につきましては、区部においては平成十六年度から福祉保健局により、東京都難病相談・支援センターとして運営をされています。平成二十九年度には都立神経病院に東京都多摩難病相談・支援室が設置をされ、多摩地域における難病相談等の取組も行っております。
 そこでまず、東京都多摩難病相談・支援室の取組についてお伺いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院にあります東京都多摩難病相談・支援室は、福祉保健局から東京都難病相談・支援センター事業を受託し、多摩地域唯一の拠点として平成二十九年十月に開設しております。
 本事業では、難病患者やその家族等を対象に、難病相談支援員が治療に対する不安や各種公的手続などについて対応する療養相談や、難病患者就労コーディネーターがハローワークとも連携しながら行う就労相談などを実施しております。
 療養相談と就労相談に関する令和二年度の実績は、合計で千三百二十一件であり、都全体の相談件数の約三割程度を占めております。

○桐山委員 難病患者の相談内容に真摯に耳を傾け、的確に応えていくことが重要です。神経病院は、令和十一年四月に新しく、仮称ですけれども難病医療センターとして生まれ変わる予定です。
 難病医療センターは、都の難病医療の拠点として整備されると伺っております。難病の不安を抱える患者や地域の関係機関などにとっては、大変心強い存在となります。現在取り組んでいる患者や地域の支援について、難病医療センター開設後も積極的に取り組んでいくことが重要です。
 そこで、今後、難病医療センターでは、患者、地域支援にどのように取り組んでいくかお伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院では、東京都多摩難病相談・支援室と患者支援センターが連携を図りながら、地域で生活する患者の日常生活における相談や就労支援、地域交流活動の促進など、患者の療養生活を多岐にわたり幅広く支援をしています。
 こうした取組を充実するため、今後、難病医療センターでは、患者、家族、地域からの相談体制や情報発信機能をより一層強化してまいります。
 具体的には、地域の関係機関が参加するカンファレンスの実施や、実習生の受入れによる人材育成、患者、家族等のケア力向上に資する講習会や公開講座の実施などに積極的に取り組み、患者が地域で安心して生活できるよう、様々な支援を行ってまいります。

○桐山委員 地域で生活する難病患者の日常生活における相談支援や難病情報の提供などの拠点ということで、東京都難病相談・支援センターともしっかり連携を取って推進をしていただき、患者、家族等への相談支援体制をぜひ強化していただきたいと思います。
 開設までは七年ほどありますけれども、ぜひ神経病院が培った様々な相談や診療のノウハウ、臨床研究、地域との連携関係を活用しながら、難病医療センターに継承していただきまして、難病患者や地域の関係機関を支える存在となるよう要望して、私の質問を終わります。

○うすい委員 よろしくお願いいたします。
 独法化について伺います。
 都立、公社病院の地方独立行政法人化について、先般、都議会第三回定例会において法人の定款が議決をされまして、準備が本格化していくことと思います。
 これまでの厚生委員会でも議論がなされましたが、集約をすると、独法化は現在の直営の経営状態での課題を解決し、柔軟な人材確保など医療ニーズに機動的に対応できるよりよい病院運営を目指すものであると思います。
 特に、病院は、医師や看護師などの様々な医療人材に支えられているため、その人材の確保や活用が医療サービスの充実に直結をしていくと考えております。
 東京都の病院経営本部の新たな病院運営改革ビジョンを読んでみましても、随所に人材のことが書かれておりますし、また、医療人材の確保、育成がしやすくなると書かれております。
 また、令和三年、今年の四月から独法化をしましたお隣の埼玉県の病院局の概要を読んでみましても、いわゆる地方独立行政法人化の利点として、人材面で、医療スタッフの迅速な増員、採用が可能となると書かれております。(資料を示す)ここに書かれておりますけど。
 そこで、独法化による人材の確保面でのメリットにつきまして、改めて都の見解を伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 現在、人員は、毎年度の要求、調整を経て、次年度の定数が措置されることから、ニーズが生じてから人員を配置できるまでタイムラグが生じ、求められる医療ニーズに迅速に対応することが困難となっております。
 独法化後は、法人の判断で迅速、柔軟な人材の確保や配置を行うことで、各病院の医療課題に対応したタイムリーな体制整備が可能となるほか、柔軟な勤務制度など病院現場に合わせた独自の制度構築によりまして、より働きやすく働きがいのある環境を整備することで、安定的な人材確保が可能となるものと考えております。

○うすい委員 今答弁いただきまして、安定的な人材確保が可能になるということでございます。
 それでは、もう一つ、独法化にすると柔軟な勤務制度になるということ、その考え方について伺いたいと思います。

○船尾計画調整担当部長 現在、都におきましては、常勤職員が利用できる短時間勤務は育児短時間勤務制度に限られております。
 新法人では、例えば育児以外に介護や自己研さんなどの事由でも短時間勤務が可能となるなど、法令等により一定の制約がある地方公務員の勤務制度にとらわれることなく、育児や介護など職員個々のライフスタイルに合わせ、柔軟に働くことのできる制度構築が可能であり、こうした柔軟な勤務制度を構築していくこととしております。

○うすい委員 独法化のメリットを生かして、多様な人材が働きやすい環境を整備することで、必要な人材を安定的に確保できるよう検討していただきたいと思っております。そして、こうした人材を効果的に活用し、各病院の医療を充実強化していくとともに、地域医療の充実にも貢献していただきたいと切に願っております。
 国は、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年を目途に、病気になっても、介護が必要になっても、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進しており、各地域において取組が進められております。
 その中で課題の一つとなっているのが、今まで別々に機能してきた医療機関、介護施設などをどのように連携させるのかということでございます。
 都立病院がこうした地域医療の充実に貢献していくための取組に対する東京都の見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 高齢化に伴いまして、医療、介護需要が増加する中、患者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築に向け、地域医療機関や介護施設等との連携を一層推進していくことが重要でございます。
 現在の都立病院は、地方公務員法により、民間の医療機関等での勤務に制約がございますが、独法化後は、法人独自の人事制度を構築することで、一定のルールの下、民間医療機関などへの柔軟な人材の派遣や人材交流が可能となります。
 このため、地域ニーズに応じまして、例えば地域の訪問看護ステーションとの人材交流を行い、病院の看護師が専門的ケアの技術協力を行うとともに、在宅療養の現場で幅広い知見を身につけ、病院に戻ることで、急性期の治療後の療養生活まで見据えたケアを行うことが可能となり、患者さんが地域で安心して療養生活を行うことにつながっていくものと考えてございます。

○うすい委員 独法化後は、これまで難しかった地域との人材交流なども可能となりますので、地域包括ケアシステムの構築に向けて、ぜひ積極的な取組を検討していただきたいと思います。
 また、各病院の役割や地域の状況も異なると思いますので、それぞれの地域において、関係機関と意見交換をしながら、各地域のニーズを踏まえて対応していくことが重要だと思っております。
 都立八病院については、都立病院新改革実行プラン二〇一八において、地域の医療資源や医療機能に着目をして、広域基幹型、大都市機能連携型、専門機能型の三つに分けられました。
 このように、行政的医療と高度専門的医療を担う中でも、それぞれ専門性や地域性も異なる都立の八病院があり、さらに地域医療を支えてきた公社六病院も、それぞれ地域性や重点医療が異なります。
 独法化後は、こうした特色ある十四病院が一体となって運営していくことになりますが、一体的に取り組むことによってどのようなメリットがあるのか、東京都の見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 都立病院、公社病院を一体的に独法化することで、高度専門的医療と地域医療のノウハウを共有し合いながら相乗効果を高め、医療を充実させるとともに、人材交流の活性化によりまして、高度専門的医療から地域医療まで、多様な経験を有する人材を確保、育成するなどのメリットがございます。
 具体的には、例えば、多摩南部地域病院におきましては、これまで、がん患者の緩和ケアのノウハウを有してまいりましたが、非がん患者の緩和ケアには対応してございません。
 そこで、神経難病の緩和ケアにおいて豊富な経験を有する神経病院との人材交流を行うことで、高齢化に伴い増加している慢性の心疾患、呼吸器疾患など、非がんの患者さんに対する緩和ケアも充実させていくことなどを検討しております。

○うすい委員 今答弁いただきまして、今後、都立病院と公社病院のそれぞれの強み、また十四病院それぞれの特色を生かして、地域の医療がより充実できるように取り組んでいってもらいたいと思います。
 また、こうした取組の検討に当たっては、少子高齢化が大きく進んでいる二〇四〇年代も見据えて進めていくべきでありまして、独法化は、こうした医療環境の変化に柔軟に対応していくための都立病院の改革であると思うわけでございます。
 医療環境は、二〇四〇年代に向けてますます厳しくなっていきますが、そうした中でも、都立病院がその役割をしっかり果たせるようにしていくべきだと考えております。
 そこで、設立に向けて策定する中期目標の考え方について、都の見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 二〇一五年の都の六十五歳以上人口の割合は約二三%でございましたが、二〇四〇年には約二八%となることが見込まれるなど、高齢化が一層進展し、医療需要の増加や医療の複雑化が進むとともに、生産年齢人口の減少によって、医療人材の確保がより困難になることが見込まれております。
 このため、限られた医療人材を柔軟に確保し、医療の質的、量的変化に機動的に対応できる体制を整備していく必要がございます。
 独法化後は、こうした二〇四〇年代の医療環境も見据えながら、都民に必要な医療が確実に提供できるよう、独法化のメリットを生かして、医療機能強化を図っていくことが重要でございまして、中期目標の検討に当たりましては、行政的医療等の一層の充実と地域医療の充実への貢献のこの二つの柱を基本として進めております。

○うすい委員 中期目標の検討に当たっては、二〇四〇年代という将来も見据えながら、少子高齢化に伴う様々な医療課題に対応ができるよう、しっかり検討を進めていただきたいと思います。
 独法化の準備については、これから各種制度の細かいところや運用などを決めていくと思われますが、都民や患者さんにとっては、今通っている都立病院の医療が変わってしまうのか、医療費などの負担が変わってしまうのか、そうしたところが一番心配になると思います。
 医療面については、これまで以上に充実強化していくと何度も答弁をいただいておりますが、患者負担についてはどうなのかということでありますが、医療保険が適用される部分については、国において診療報酬が定められているために、独法化しても患者負担が増えることはないと思いますが、独法化になると差額のベッド代で収益を上げるようになるとの一部声があります。
 独法化後、都立病院の有料個室はどうなるのか、見解を伺います。

○船尾計画調整担当部長 自治体病院等では、医療保険が適用されない自由診療部分などにつきまして、受益者負担の原則に基づき使用料を定めております。
 その設定に当たりましては、どのような経営形態でありましても、人件費や光熱水費、減価償却費などの原価計算等を基に算定することが基本でございます。
 現在の都立病院では、個室料につきまして、部屋の面積や附帯設備の整備状況等により設定しており、独法化後も、こうした基本的な考えの下、適切に料金設定していくものと考えております。
 なお、有料個室の使用料につきましては、患者自ら個室の利用を希望した場合にのみ徴収しており、医師が治療上の必要があると判断した場合等は個室料を徴収しておりませんが、この点も独法化後も変わるものではございません。

○うすい委員 独法化後も、現在と同様の考え方で料金設定していくとのことでございました。こうしたことも、きちんと都民や患者に丁寧に説明をしていっていただきたいと思います。
 独法化は、柔軟な人材確保など機動的な病院運営を実現し、都民に対する医療を充実させるために行うものと思うわけでございますが、経営改善が目的だから、不採算性医療が後退してしまうといった誤解や懸念の声が寄せられることもあります。
 実際はそうではなく、不採算となる行政的医療に必要な経費は、都が今と変わらずに負担をし、確実に提供していくということであります。こうしたことも、都民にきちんと伝わるよう、分かりやすく発信をしていくべきでございます。
 独法化については、令和四年七月設立を目指して準備を進めていくと思いますが、その中で、都民や患者に対して、独法化後の目的や意義、正しい情報を丁寧に、丁寧に発信していただくよう重ねて要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、重粒子線治療について伺います。
 がん治療には、手術療法、化学療法、放射線治療法があります。日本は、主要先進国の中で、放射線治療が極端に少ない状況にあるわけでございますが、さきの本会議の我が党の代表質問で、都立病院への重粒子線治療設備の導入について提案をさせていただきました。
 そこで、改めて、重粒子線治療のメリットについて、都の見解を伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 重粒子線治療は、がんに対する放射線治療の一種でありまして、がん病巣において線を最も強くすることが可能でございます。
 エックス線は体を通過する性質を持ちますが、粒子線は設定した深さで止めることができるため、粒子線はエックス線などに比べ、周囲の正常臓器への線量を低減し、がん病巣に集中的に照射することが可能です。
 さらに、従来の放射線治療より、がん細胞を殺す効果が高く、照射回数が少なくて済み、仕事や日常生活との両立も可能となるなど、重粒子線治療にはメリットがあると考えます。

○うすい委員 今ご答弁いただきまして、一般の放射線に比べて、病巣への線量を集中的に当てることと、がん細胞を殺す効果が高いという極めて有効な治療であるということの認識を伺いました。
 それでは、重粒子線治療一室当たりの一日の患者数はどれぐらい治療ができるのか、都の見解を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 他県にある重粒子線治療施設に確認したところ、実際の照射時間は一、二分程度ですが、この際、事前の準備や照射位置確認も必要となりますので、合わせると一回の治療時間は、おおむね二十分から三十分程度で、一室当たり一日最大で二十人の患者の治療が可能になるとのことでございます。

○うすい委員 今答弁いただきました重粒子線治療のメリットや、それから、一室当たりの治療患者数を伺いましたが、一室一日二十人ができますので、年間通して、かなりの患者さんの治療ができるものと思われます。
 本会議の我が党の代表質問の質疑の中で、施設の整備や運営には、マイナス面として多大なコストを要することや、保険適用となる疾患が前立腺がんや骨軟部腫瘍など一部に限定されているなどの壁があることなど、答弁をいただいたわけでございます。
 しかし、視野を広げて世界はどうなのか、主要先進国を含め、世界的には、この重粒子線治療についてどうお考えなのか、都の見解を求めます。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年二月の国の会議資料によりますと、日本、ドイツ、中国、イタリア、オーストリアの五か国、計十二の重粒子線治療施設が稼働しており、計画中、建築中のものも含めると十五か国三十施設にも及びます。
 また、ドイツで重粒子線治療を行っている大学病院によれば、特定のがん治療に用いられており、従来の放射線治療と比較して効果的に照射を行うことができることや副作用も少ないことなどのメリットがあるとされております。
 こうしたことから、海外においても重粒子線治療施設が導入されており、特定のがん治療に活用されていると認識をしております。

○うすい委員 今答弁いただいたとおり、海外の大学病院の例を紹介いただきましたけれども、世界的にも治療施設の導入がされていることが分かりました。
 重粒子線治療は、仕事と治療の両立が可能になるなど、都民にとっても治療のメリットがあると考えますし、しかも、副作用が少ないのが特色でございます。
 先日の第三回都議会定例会代表質問の場で、我が党の質問に対しまして、都は、施設を導入した他府県の状況等を調査し、検討していく旨、答弁がありました。重粒子線治療施設の導入に向けて、ぜひ検討していただくことを強く要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、患者サービスの向上の視点で、健康保険証のオンライン資格確認について伺います。
 国は、マイナンバーカードを健康保険証として利用することができるオンライン資格確認について、開始時期を当初の三月末から十月に延期しての運用となっております。マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、病院や薬局で保険資格や本人確認ができるようになり、時間短縮など病院も患者も利便性が高まることと思います。
 そこで、オンライン資格確認の本格運用が開始されたところですが、都立病院での対応状況について伺います。

○西川サービス推進部長 オンライン資格確認は、医療機関や薬局の窓口におきまして、専用のカードリーダーによりマイナンバーカードに記録された情報を読み取り、オンラインで直ちに医療保険資格の確認ができるものでございまして、国は、オンライン資格確認の本格運用を、今お話がありましたとおり、本年十月二十日より開始をいたしました。
 都立病院におきましては、配線工事やカードリーダーの受付窓口への設置などを三月末に完了した上、順次、国のシステムへの接続を行うなどの準備を進め、現在は、全ての都立病院においてオンライン資格確認を実施しております。
 このオンライン資格確認等システムでは、健康保険の資格確認を行うほかに、マイナンバーカードを提示した患者さんの同意を得た上で、院内の電子カルテにおきまして、特定健診情報や薬剤の処方履歴の確認を行うことができます。
 今後、患者さんへ閲覧の同意について、引き続き丁寧な説明を行うとともに、こうした情報を活用しまして、より質の高い医療の提供に努めてまいります。

○うすい委員 今答弁いただきまして、総務省が公表している令和三年十一月一日現在のマイナンバーカード交付率は三九・一%となっております。
 今後、交付率の増加に合わせまして、マイナンバーカードを健康保険証として利用する患者も増えてくると思われますので、都立病院においても、マイナンバーカードを健康保険証として使用できることを引き続き周知をしていただき、普及に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、患者の療養生活の支援について伺いたいと思います。
 病院経営本部では、今年度の新規事業として、オンライン相談環境の整備に係る予算を措置しております。新型コロナウイルス感染症対策として進めてきたオンライン会議やテレワークが浸透してきたところであります。その上で、病院においてもICTを活用し、患者がより一層安心して療養できるよう支援することが重要であると思います。
 入院中の患者等は、治療を続ける上での経済的問題や退院後の在宅療養をどのように受けるのかなど、様々な課題を抱えておりまして、コロナ禍であっても、こうした患者を支援する上で、オンライン相談は重要なツールであることから、時宜にかなった取組であると考えております。
 そこで、オンライン相談導入の経緯と現在の取組状況について都の見解を伺います。

○西川サービス推進部長 都立病院では、患者さんの様々な相談にワンストップ、多職種で対応する患者支援センターを設置いたしまして、医療ソーシャルワーカーを中心とした病院職員による医療福祉相談に加えまして、弁護士や社会保険労務士による専門相談を実施しております。
 しかし、昨年来の新型コロナウイルス感染拡大に伴いまして、対面による相談がしづらい事態となり、この間、必要に応じて電話などを用いておりましたが、こうした状況においても、これまでと同様に相談ができるよう、今年度、新たにオンラインによる相談環境を整備することといたしました。
 具体的には、都立病院の患者支援センターにタブレット端末とモバイルルーターを配布するとともに、ウェブ会議システムのライセンス契約を行い、本年八月からオンライン相談を全都立病院で開始したところでございます。

○うすい委員 ありがとうございます。
 全ての都立病院の患者支援センターにおいて、オンライン相談が開始されていることが分かりました。オンライン相談は、利便性は高いわけですが、しかし、患者さんの中にはパソコンなどの操作が苦手な方もいると思われます。
 このような患者に対しては対面での相談を実施するなど、そうした配慮も必要と考えますが、見解を伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 都立病院の患者支援センターのオンライン相談では、一般に広く普及しているインターネットを用いたウェブ会議システムを利用しております。
 入院中の患者さんと弁護士や社会保険労務士の事務所をつないで専門相談を実施する場合は、患者さんには病院のタブレット端末を使用していただきます。また、自宅等にいる患者さんやご家族が相談をする場合は、ご自身のスマートフォンやパソコンを用いてウェブ会議システムに接続をしていただきます。
 いずれの場合も、ウェブ会議システム上の会議室の設定は病院の職員が行い、また、例えばご高齢の患者さんがご自宅等から相談を行う場合は、パソコン操作に対応できるご家族に電話でシステムへの接続方法をご案内するなど、必要な支援を行うことといたしております。
 なお、オンライン相談が難しい患者さん等につきましては、これまでどおり対面による相談も実施をしております。

○うすい委員 ありがとうございました。
 これからも、患者さんのニーズを踏まえて適切な支援を行っていただくよう要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小松委員 第三回定例会で、都立病院独法化に係る定款が議決をされました。
 その定款には、別表で、都が出資する財産についての一覧が示されています。そこには、広尾病院や多摩メディカルキャンパス、松沢病院などの土地についての記載がありません。 つまり、法人の移行時には出資がされないということになります。
 そこで、改めて確認しますが、財産の出資に当たっての考え方について伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 法人の設立団体である都は、地方独立行政法人法に基づき、法人の財産的基礎となる財産を出資することとされており、病院事業の用に供している土地建物を出資対象といたしました。
 特に土地につきましては、法人設立後に大規模整備計画が予定されている広尾病院や多摩キャンパスの土地は出資範囲の特定が困難であることや、また、大塚病院、荏原病院の土地は独法移行時期をまたぎまして都が改修工事を行っていること、松沢病院の土地は広尾病院整備に伴い広尾看護専門学校の仮移転用地として引き続き都が使用することから独法移行時には出資が困難であり、いずれについても整備終了後に出資範囲を特定し、追加で出資をすることとしております。

○小松委員 ただいまのご答弁によりますと、広尾病院や多摩キャンパスは、病院の改築工事があり出資する範囲が確定できないということは大変理解しやすいんですが、松沢病院自体には整備工事が予定されていないのに出資されず、都に財産が残るということで非常に分かりにくくなっています。
 法人に出資されないとなると、どのような扱いに今後なっていくのか、地域の住民にとっても、またその一人である私にとっても大変関心の高いところであります。
 そこで、今回出資を見送った松沢病院の土地を出資するに当たっての課題について確認します。

○谷田経営企画部長 土地を出資するに当たりましては、都が所有していること、病院事業の用に供していること、出資範囲が特定していること等が必要となりますが、幾つかの課題がございます。
 例えば、松沢病院の敷地内には、世田谷区が所有する赤道(あかみち)などの法定外公共物が多数敷設されていることから、世田谷区との間で土地交換を行う必要がございます。また、広尾病院整備に伴いまして、広尾看護専門学校の仮設校舎を松沢病院敷地内に建設し、都が運営する計画であることから、仮設校舎としての運営中は、病院事業の用として使用することができないこと。さらには、周辺住民の方々から要望された事項につきまして着実な整備に努めているところでございますが、隣接する上北沢公園の拡張や八幡山駅前交差点周辺整備について、まだ具体的な整理がなされておらず、出資範囲の特定が困難であることから、これらの課題を整理した後、出資範囲を特定し、法人に出資することとしております。

○小松委員 今のご答弁の中に挙げられました課題の解決には大変時間がかかり、松沢病院の土地が出資されるのは随分と先になるのではないかなと感じているところであります。
 この出資財産が病院運営に必要な財産的基礎というのであれば、法人の財産の安定性の面からも、できるだけ早期に課題を解決するべきというふうに考えます。
 都は、これらの課題に対し、具体的にどのような対応をされているのか伺いたいと思います。

○谷田経営企画部長 まず、松沢病院敷地内の赤道(あかみち)等につきましては、権利関係の整理に向けて、交換する土地の範囲の確定や確定後の不動産鑑定評価の実施方法等、速やかに土地交換が行えるよう、財務局や世田谷区と調整を行っております。
 また、広尾看護専門学校仮設校舎敷地につきましては、広尾病院整備基本計画において、令和十五年度頃を予定している新校舎移転に合わせ、仮設での運用を終了し、法人での使用が可能となります。今後、広尾看護専門学校仮設校舎運営終了後の敷地の活用について、病院や関係局と意見交換を行っていくこととしております。
 さらに、上北沢公園の拡張等、住民の方々からの要望につきましては、世田谷区や財務局等の関係部署との協議を進めております。
 引き続き、関係部署との調整を進め、早期の課題解決に努めてまいります。

○小松委員 相手方もあり、実施時期を明確にしていくということは大変難しいこととは思うんですが、しっかりと、地域住民の方にとっても貴重な地域の資源でもありますので、時期を見据えて調整を行っていただきたいと思います。
 住民の方々にとっても、既に病院経営本部さんが、相当長い年月、幾つもの地域の要望を一つ一つ具現化していただき、八幡山の地域にとっても、上北沢の地域にとっても、大変、松沢病院を中心としたいいまちづくりになっているなというふうに思っていますし、地域の方々も大変評価をしているんですが、残りの懸案事項である八幡山駅前の広場の整備、これは八年前に都議会に来てから再三取り上げさせていただいているんですが、実はこれ、松沢病院の土地にありますけど、福祉保健局所管の中部総合精神保健福祉センターがあって、これとの兼ね合いもありますと。
 ただ、八年前から既に老朽化の問題は上がっていながら、まだスケジュールが具体的になかなかなっていないというのは、ぜひ、これはしっかりとセットで考えていただきたいなというふうに思っておりますし、地域にとっても大変大きな課題であるということを改めて申し上げたいと思います。
 また、この松沢病院の敷地というのは大変緑が豊かで、広大な敷地を有しています。実際、将軍池なんていうのはとても有名でありますけれど、世田谷の子供たちにとって大変愛されている多目的グラウンドもあって、これ、今後どうなっていくのかなという大変不安な声が上がっています。
 こうした面で様々に利用が可能である松沢病院、周辺住民にとっても必要な場所であります。
 改めて、今後、松沢病院の敷地がどのように整備されていくのかを最後に確認したいと思います。

○谷田経営企画部長 松沢病院は、今後、東京都災害拠点精神科病院の指定が予定されており、平時だけでなく、災害時におきましても、精神科医療体制の中核としての取組を一層推進していかなければなりません。
 また、独法化後は、地域の医療機関や訪問看護ステーション等に専門看護師等を派遣することや、地域の精神科分野で働く医療従事者を対象に精神科領域の専門技能についての研修の実施など、地域のケア等の技術力の向上を支援する取組を充実していく必要もございます。
 敷地の活用に当たりましては、こうした取組を推進するために必要なスペースを確保した上で、地元区や地域医療機関、近隣住民等の理解を得ながら、計画的に整備を行っていくことが重要でございます。
 こうした視点も踏まえまして、今後とも地域の皆様との協議を行いつつ、利用者の利便性向上、敷地や周辺環境の保全向上のための整備を進めてまいります。

○小松委員 先ほど取り上げた福祉保健局所管の中部総合精神保健福祉センター老朽化対応については、また、今後、事務事業質疑、福祉保健局が控えていますので、そこでも確認したいと思いますが、ご答弁いただいたとおり、地元区もそうですし、都庁の中の関係局とも緊密に連携を取っていただき、何より地域住民の声を丁寧に拾っていただきながら、計画的に整備を進めていただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。

○かまた委員 では、質問をさせていただきます。
 私からは、まず初めに、がん医療のAYA世代への相談体制について伺いたいと思います。
 がんと診断された患者さんは、治療による副作用や後遺症、また経済的な負担など、様々な不安に直面をいたします。特にAYA世代と呼ばれる若い世代の患者は、先ほど桐山理事からもありましたように、就学や就職、結婚、出産、子育てなど、多くのライフイベントと治療の両立が必要となり、手厚い支援が必要となります。
 そこで、都道府県がん診療連携拠点病院としての役割を担う駒込病院において、高度先進的ながん医療の提供に加えて、このAYA世代に対する支援についても、診療連携拠点としての役割を担っていくべきだと考えますが、駒込病院につきましては、AYA世代のがん患者に対する診療、相談の取組状況がどうなっているのかについて伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 AYA世代のがん患者は、学生から社会人、子育て世代へと、ライフステージが大きく変化する年代であることから、一人一人の個別の状況やニーズに応じた支援が必要とされます。
 駒込病院では、病棟、外来等でAYA世代がん患者のサポートに当たる現場対応グループと組織横断的な対応を担当するAYA世代支援チームを設置し、AYA世代のあらゆるがんに対応しております。
 現場対応グループは、医師、看護師、患者サポートセンター、リエゾンチームなど、様々な職種や組織が連携しており、支援が必要な患者への説明や情報提供、心理的ケアを行うとともに、患者同士が意見交換を行うピアサポートについても運営等を行っております。
 一方、AYA世代支援チームは、現場対応グループを支援するため、現場の実情を踏まえた診療体制等の具体的な企画立案のほか、国の関係機関やがん患者団体との連携など、現場対応グループと同様、多職種、多組織で対応をしております。
 また、来年一月には、AYA世代をサポートする医療従事者向けに講習会を実施する予定です。
 こうした取組を通じて、AYA世代のがん患者が適切な医療や支援を受けられるよう取り組んでまいります。

○かまた委員 駒込病院では、本当に多くの医療スタッフの方々がAYA世代の支援に取り組んでくださっているということが確認できました。
 また、さらに来年の一月には、AYA世代へのサポートについて、医療従事者向けの講習会も実施してくださるとのことで、本当にこの講習一つを取ってみても、連携拠点としての使命を果たしてくださっていることがよく分かります。ぜひ効果的な講習会になりますように、準備をよろしくお願いいたします。
 また、このAYA世代をはじめ、働き盛りの世代のがん患者にとって、就労の継続は重要な問題であります。先ほど菅原委員からも話がありましたけれども、我が党も、平成三十一年の第一回定例会一般質問におきまして、がん患者に対する治療と仕事の両立支援について拡充していただきたいと質問させていただき、駒込病院におきましては、就労支援等、幅広く丁寧に取り組んでいることのご答弁をいただきました。
 そこで、駒込病院においては、がん患者の仕事と治療の両立について、具体的にどのような支援を行っているのか伺います。

○西川サービス推進部長 駒込病院におきましては、多職種により構成される患者サポートセンターを設置いたしまして、医療ソーシャルワーカーによる療養生活や就労継続に関する支援や在宅療養についての看護相談、心理士による心の悩みの相談など、がん患者が安心して治療を継続できるよう、様々な支援を行っているところでございます。
 働き盛りのがん患者からの相談といたしましては、仕事を続けられるかどうか、収入に対する不安などに関するものが多く見られます。こうした相談に対しましては、病状や治療内容などを考慮の上、必要な助言を行っているほか、令和元年度からは、社会保険労務士による治療と仕事の両立支援相談を実施しております。
 また、都道府県がん診療連携拠点病院として、ハローワークと連携し、がん患者のための就労支援事業を実施しており、ハローワークの専門相談員が週一回来院し、患者さんから直接相談を受けるとともに、患者さんの希望や通院状況等を踏まえて、就職支援を行っております。
 これらの相談の具体的な事例といたしましては、退職するかどうか迷っていた患者さんと共に社会保険労務士が勤務先の規定や制度を確認し、就労継続のための配置転換の申請と傷病手当金受給をお勧めした事例や、ハローワークの就職支援を活用して就職した患者さんに対しまして、就業後も、医療ソーシャルワーカーが継続的に相談に応じるなどの支援を行い、患者さんからは、生きがいにつながり、うれしいという声が寄せられた事例などがございました。

○かまた委員 多職種による本当に手厚いサポート体制と、また、外部の専門家や関係機関との連携もしっかり組んでくださっていることが分かりました。また、事例の中でも、退職するか迷っていた方が就労が継続できてよかったという声もあって、本当に心強さを感じます。
 今後もぜひ、がん患者が働き続けながら安心して治療が受けられるように取り組んでいただくとともに、がん診療連携拠点病院として、治療と仕事との両立を支援していく点でも、ぜひリーダーシップを発揮していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、都立、公社病院における病児、病後児保育の取組について伺いたいと思います。
 新しい環境や気候の変化で体調を崩す子供が多い中、働く保護者にとって一番の心配事は、保育園や小学校からの急なお迎えの要請であります。特に、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、登園基準やお迎え要請の基準も厳格化してきております。
 また、保育園や小学校の側から見ても、体調が悪い中、保護者の仕事の都合で登園、登校してくる子供たちが少なくないことは課題の一つにもなっております。
 そのため、保護者が仕事を続けながら安心して子育てを行う上でも、子供の急な発熱など、いざというときに身近に頼れる病児、病後児保育室があることは大変心強いことです。また、さらに病院の敷地内に設置されているので、子供の急変時の対応という意味においても、利用者にとって大きな安心感があります。
 そこで、都立、公社病院における病児、病後児保育の取組状況と利用実績について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院では、地域の子育てを支援するため、地元自治体のニーズを踏まえ、小児科のある病院におきまして、地元自治体からの委託を受けて、病児、病後児保育を実施しております。
 現在、四病院で実施しておりまして、令和二年度の定員と利用実績は、多摩北部医療センターは四人で四・四%、墨東病院は四人で一・八%、東部地域病院は八人で六・三%、駒込病院は二人で二・四%となっております。
 令和三年度の上半期の利用実績で見ますと、多摩北部医療センターで三五・九%、墨東病院では一〇・〇%、東部地域病院では二二・〇%、駒込病院では三三・六%となっております。
 昨年度の利用実績は、コロナの影響で利用者が感染リスクを懸念したことや、またテレワークが進んだことなどが要因となり落ち込んでおりますが、今年度に入って、利用実績は上昇をしております。

○かまた委員 令和二年度の実績は低くなっていますけれども、アフターコロナの社会でも、依然として、このセーフティーネットの役割を果たす施設として、本施設に対する都民のニーズは高いと考えております。
 現在は、都立、公社病院の四病院が、地元自治体のニーズを踏まえながら、病児、病後児保育の取組を進めているとのことですけれども、十二月から新たに多摩メディカルキャンパスにある小児総合医療センターでも、病児、病後児保育を開始すると伺っております。
 そこで、小児総合医療センターで新たに開始する病児、病後児保育の取組について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターの病児、病後児保育室は、今年度に整備工事を完了し、十二月一日から病児、病後児保育を開始する予定です。
 本事業は、小児総合医療センターが府中市から事業を受託し、府中市と国分寺市と国立市が広域利用の協定を締結することで、三市の市民の利用が可能となります。また、生後五か月から小学校六年生までの児童を受入れの対象としております。
 病児の受入れ定数につきましては、最初は六名から開始し、利用者のニーズを踏まえ、最大十二名まで拡大する予定でございます。

○かまた委員 着実に病児、病後児保育を拡充していただき、本当にありがたいと思っております。
 この病児、病後児保育につきましては、季節的な要因とかインフルエンザの流行などによって利用者数に変動があるため、対応するスタッフの確保など運営が本当に難しいことも聞いておりますけれども、育児と仕事を両立している保護者にとっては、いざというときに頼りになる大事な施設です。
 また、その病児、病後児保育を公的機関が担っていくことの意味は本当に大きいと私は考えます。
 そこで、ぜひ様々な課題があることと思いますけれども、地元の自治体とも十分に連携を図りながら、地域のニーズに応じた運営を心がけていただくよう要望させていただき、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

○おじま委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おじま委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時四十一分散会

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