厚生委員会速記録第五号

令和三年三月十七日(水曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長のがみ純子君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長白石たみお君
理事柴崎 幹男君
理事谷村 孝彦君
理事もり  愛君
森澤 恭子君
やまだ加奈子君
藤田りょうこ君
小宮あんり君
まつば多美子君
鳥居こうすけ君
岡本こうき君
伊藤 ゆう君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長吉村 憲彦君
健康危機管理担当局長初宿 和夫君
次長理事兼務後藤 啓志君
次長総務部長事務取扱雲田 孝司君
技監医療改革推進担当部長事務取扱田中 敦子君
指導監査部長本多由紀子君
医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務矢沢 知子君
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務成田 友代君
生活福祉部長坂本 尚史君
高齢社会対策部長村田 由佳君
少子社会対策部長高野 克己君
障害者施策推進部長藤井麻里子君
健康安全部長高橋 博則君
感染症対策部長武田 康弘君
企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務齋藤 善照君
企画調整担当部長奈良部瑞枝君
医療政策担当部長鈴木 和典君
地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務池上 晶子君
事業調整担当部長山口 真吾君
子供・子育て施策推進担当部長西尾 寿一君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務杉下 由行君
東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務加倉井祐介君
新型コロナウイルスワクチン担当部長村本 一博君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長
新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務
花本 由紀君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長
新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務
遠藤 善也君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 令和三年度東京都国民健康保険事業会計予算
・第六号議案 令和三年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
・第七号議案 令和三年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
・第百一号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 福祉保健局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十六号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第四十七号議案 東京都福祉・健康安心基金条例を廃止する条例
・第四十八号議案 東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十号議案 東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十一号議案 東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十二号議案 東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十三号議案 東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十五号議案 東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十六号議案 東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例及び東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第六十三号議案 東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第六十四号議案 東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例及び東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第六十五号議案 東京都障害者支援施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 東京都地域活動支援センターの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第六十七号議案 東京都福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第九十号議案 港区の児童自立支援施設に係る事務の受託について

○のがみ委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案から第七号議案まで、第四十六号議案から第六十七号議案まで、第九十号議案及び第百一号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、福祉保健局所管分を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○雲田次長 二月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんください。
 資料は、目次にございますように全部で七項目となっております。
 目次をおめくりいただきまして、一ページをごらんください。1、二次保健医療圏別NICU病床整備状況といたしまして、令和三年一月一日現在のNICU病床数を都内十三の二次保健医療圏ごとに記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、療養病床を有する医療施設数及び療養病床数(医療保険適用・介護保険適用)の推移並びに介護医療院の施設数及び定員といたしまして、(1)に、平成三十一年から令和三年まで、それぞれ一月一日現在の療養病床を有する医療施設数及び療養病床数の推移を医療保険適用と介護保険適用に区分して記載しますとともに、(2)に、令和三年一月一日現在の介護医療院の施設数及び定員を記載してございます。
 三ページをごらんください。3、地域密着型サービスの事業所数の推移といたしまして、表の中ほどにございます認知症対応型共同生活介護(グループホーム)につきましては、平成十七年から令和二年まで、その他の地域密着型サービスにつきましては、創設された年から令和二年まで、それぞれ四月一日現在の事業所数の推移を記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、地域包括支援センターの設置状況といたしまして、五ページにかけまして、(1)に、区市町村ごとの令和三年二月一日現在の地域包括支援センターの設置数及び令和二年一月一日現在の六十五歳以上の人口を、(2)に、地域包括支援センター職員の配置基準を記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、障害者グループホームの定員といたしまして、令和二年三月一日現在の障害者グループホームの定員を区市町村ごとに記載してございます。
 七ページをごらんください。6、被爆者の子の健康診断受診票の交付者数及び健康診断受診状況の推移といたしまして、(1)に、健康診断受診票の交付者数を、(2)に、一般検査及びがん検診の種類別の受診者数をそれぞれ平成二十七年度から令和元年度まで記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、都内障害者グループホームの国加算算定状況といたしまして、令和二年十一月に国の各種加算が算定された都内障害者グループホームの事業所数を加算の種類ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○のがみ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桐山委員 それでは、質疑をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、とうきょうママパパ応援事業についてということで質疑をさせていただきたいと思うんですけれども、この間、決算委員会を通しましても−−このとうきょうママパパ応援事業というのは、平成二十七年度より、ゆりかご・とうきょう事業を実施されてきていて、かなり多くの会派からも大変評価の高い事業であったということで、五年間の事業を終えましたけれども、その後を引き継いだような形で、事業名を変えて、新たにとうきょうママパパ応援事業として、産後の家事、育児支援等を加えて、区市町村が子育て世代をさらに応援できるような事業の継続ということで、今回の事業があるかというふうに認識をさせていただいております。決算委員会のときにも申し上げたんですが、ゆりかご・とうきょう事業を、私は、多くの自治体に、この補助金を使っていただいて、より多くの支援につながるようにしていただきたい大きな事業であるということを申し上げてきました。
 そこで、とうきょうママパパ応援事業につきまして、昨年度から今年度にかけて増加した自治体数と、このうち追加の育児パッケージの実施自治体というものをお伺いしていきたいと思います。

○高野少子社会対策部長 都は、とうきょうママパパ応援事業におきまして、育児パッケージの配布等を行う区市町村を支援しており、今年度は、補正予算により、追加の育児パッケージとして、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、タクシー移動に使えるチケットなどを配布する取り組みを支援しております。
 本事業の実施自治体数は、令和元年度は四十六、今年度は九自治体が新たに開始いたしまして、現在五十五自治体となってございます。
 今年度開始いたしました九の自治体のうち、新型コロナウイルス感染症感染防止のための追加の育児パッケージを配布した自治体は八自治体でございます。

○桐山委員 ありがとうございます。
 引き継いだ形でということなんですが、これまでも、ゆりかご・とうきょう事業の中で包括的支援拠点ということで、妊娠期から子育て期にわたる総合的相談支援を提供することを基本事業ということで、育児パッケージも必須の条件だったというふうに思います。
 そこで、あわせて今回、今年度の補正予算によって、追加の育児パッケージの中に、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、タクシー移動に使えるチケットなどを配布する取り組みということで、とうきょうママパパ応援事業、いわゆるゆりかご・とうきょうから実施していない、補助金を使っていない自治体については、タクシーチケットが使えるということで、隣の自治体は使えるんだけど、うちはないのかみたいな問い合わせが結構あったというふうに聞いておりまして、それで、手を挙げて、とうきょうママパパ応援事業を積極的に活用させていただいて、また、それに伴って、子供包括支援センターの設置に向けて準備をされているという自治体がふえたというふうに聞いておりますので、こういったきっかけといいますか、そういうことを盛り込まれたことに対しましては、非常に、この九自治体が新たに開始をされたということについては、大変うれしく思いますし、評価をさせていただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、昨年の決算委員会の分科会の質疑の中でも、この未実施の自治体に対しては、今後、実施意向や実施に向けた課題などの確認を行って、より多くの自治体で取り組みが進むよう働きかけていくというようなご答弁をいただいております。
 そこで、区市町村からどういった意見が上がり、今後どのように対応されていくのかお伺いいたします。

○高野少子社会対策部長 未実施の自治体からは、地理的な理由等により、妊婦全数面接を実施するための専門職の確保等が課題との意見を伺っております。
 妊婦全数面接は対面で実施することが原則でございますが、今年度は、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点からオンラインによる面接も可能としており、来年度からは、専門職の確保が困難な場合につきましても、代替手段としてオンラインによる面接を可能とする予定でございます。

○桐山委員 ありがとうございます。
 やはり、そもそものゆりかご・とうきょう事業の目的の一つとしては、虐待とか支援を要する人たちを早期にすくい上げるというような形で、妊婦との面接、全戸面談というんですけれども、そういったことを実施するということで、大変実効性のあるものだというふうに思っておりますが、やっぱり、なかなか保健師の確保ができないというところで、これまでも課題があったかなというふうに思っておるんですが、こういった今回コロナ禍において、オンラインで面接ができるような仕組みがつくられるということで、改めて、例えば島しょ地域ですとか、そういったところというのは、そういう人材を確保するとか専門職を確保するというのが非常に難しいということも聞いております。
 これから、まだこういう事業を取り組んでいない自治体も、積極的にオンライン活用というところで、妊婦さんと−−本当は対面の方がいいとは思うんですけれども、少し今の状況を考えまして、こういったオンライン事業をぜひ進めていただきたい、また働きかけてもいただきたいということを強く要望させていただきたいというふうに思います。
 これで、ママパパは終わります。
 次に、東京都出産応援事業についてなんですけれども、これは、我が会派の提案によりまして予算化をされた大変大きな事業だというふうに認識をさせていただいております。
 そして、これまでも、代表質問やさまざまな委員会の中でも質疑をさせていただいております。そこで、私は、少しサービスのところについて質問を何点かさせていただきたいというふうに思います。
 この東京都の出産応援事業の中では、育児用品のほかに、子育て支援サービスや家事支援サービスを提供するということを、この間も答弁をいただいておりますが、具体的にどのようなサービスがあるのかお伺いいたします。

○高野少子社会対策部長 本事業で提供するサービスは、掃除、洗濯などの家事代行サービス、ベビーシッターや沐浴サポートなど育児支援サービス、チャイルドシートやベビーカーなど育児用品のレンタルサービスなどを予定しております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 今、ご答弁のあったサービスが提供されることが予定されているということがわかりましたが、この支援サービスや育児サービスというものは、提供できる地域が限定される可能性もあると思います。
 いわゆる二十三区では、例えば、支援、そういった育児サービスを選んでも、この地域は行けるけれども、例えば多摩の奥地はちょっととか、島しょ地域も厳しいとか、多摩地域と二十三区で、もしかすると差があるといけないのかなというふうにも考えておりまして、そういった懸念の声も、自治体の方からも上がっております。
 サービスの選定に当たっては、多摩地域も含めまして、できる限り広範囲で提供できるサービスを取りそろえてほしいと考えますが、見解を伺います。

○高野少子社会対策部長 先日、専用サイトの構築や、育児用品、子育て支援サービスの提供を委託する事業者を選定したところでございます。
 現在、委託事業者と提供する育児用品や子育て支援サービスの具体的内容などを調整しておるところでございます。例えば、家事代行など、一つのサービスメニューにおきましても、提供に当たっては、複数の家事代行業者と連携するなど、各サービスをできる限り広範囲で提供できるよう準備をしてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 今回、予算特別委員会の中で、個々の商品等の申し込みに当たっては、対象家庭が一定期間、十万円の範囲内で複数回申し込みができるという仕組みということを答弁があったところでございますが、この子育て支援サービスや育児用品は、いつまで申し込みができるのかお伺いしておきます。

○高野少子社会対策部長 対象家庭は、専用サイトを初回に利用する際に利用者登録をしていただくこととしており、この登録期限は、令和四年度に子供が生まれた方の登録期間を考慮しまして、令和五年十月一日とする予定でございます。
 また、提供するサービスや育児用品等の申し込みの期限は、資金決済法の規定を考慮しまして、利用者登録から六カ月以内とすることとしております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 この登録期間は、令和四年度に子供が生まれた方の登録期間を考慮して、令和五年の十月一日までということがわかりました。そして、提供する期間というのが、ID登録をした段階から六カ月までにいわゆる十万円ですけど、いわゆる十万円を使い切るというようなご説明だったと思いますので、その点については理解をさせていただきました。
 よりよいサービスの提供、そういった事業者をしっかりと支援をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 次に参りますが、虐待防止の普及啓発についてお伺いいたします。
 東京都では、体罰等によらない子育ての推進ということで、条例に定めまして普及啓発も行っております。
 住民に向けての、区市町村と連携した活発な啓発の活動というのが非常に重要かと思いますが、都の取り組みについてお伺いしておきます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都では、児童虐待防止推進月間である十一月を中心に、児童相談所と子供家庭支援センターが連携しながら、街頭において啓発グッズ等を配布するなど、地域住民への普及啓発を実施しております。
 また、昨年度、保護者向けに作成いたしました体罰等によらない子育てを啓発するハンドブックや動画を区市町村を通じまして関係機関に配布するとともに、今年度は、地域で子育て支援に携わる方向けにハンドブック等を作成しております。
 今後、体罰等によらない子育てをテーマにした講演会や、SNSによる情報発信など、各区市町村の取り組み事例を全ての区市町村に情報提供するほか、都のホームページ等を活用して広く周知を行うなど、区市町村と連携いたしまして、児童虐待防止の普及啓発を進めてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 この体罰等によらない子育てというものは非常に重要かと思います。各区市町村の自治体の中でも、こういった両親学級ですとか、そういったところで積極的に、今いっていた体罰等によらない子育てハンドブック等も活用していただきながら、積極的に、たたかないとかどならない子育て、マルトリートメント、脳に影響があるんだよという、そういったことを普及啓発をしていくことって大変重要かと思います。
 両親学級で、生まれる前もそうなんですけど、生まれた後も一回で終わらず、二回も三回も、こういったことを親になる保護者の方々に、しっかりと普及啓発していただけるとありがたいかなと思いますので、その辺も市区町村と連携をして、よろしくお願いいたします。
 次に、子供家庭支援センターの体制強化について伺います。
 都はこれまで、子供家庭支援センターの体制強化を支援してきましたけれども、区市町村における虐待対応件数は、近年増加しています。また、東京ルールに基づきまして、児童相談所から区市町村に送致される事案も増加してきております。
 また、虐待の未然防止のために、住民に身近な子供家庭支援センターは、予防的支援の機能が求められておりまして、こうした状況を踏まえた中で、子供家庭支援センターのさらなる体制強化が大変重要かと思いますが、見解を伺っておきます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、子供家庭支援センターへの虐待対策ワーカーや虐待対策コーディネーターの配置等を進めるなど、区市町村の虐待対応力の強化を支援してまいりました。
 また、子供家庭支援センター職員の専門性向上のため、児童相談所への派遣研修の受け入れや、児童相談所との合同研修を実施しております。
 昨年十二月の東京都児童福祉審議会の提言では、児童虐待への対応力の向上や予防的支援の強化を図るため、子供家庭支援センターの体制強化、機能強化を支援すべきとの内容をいただいております。
 これを受けまして、都は来年度、区市町村と連携して、予防的支援のモデル事業を開始いたしますとともに、都と区市町村のメンバーで構成いたします東京都児童相談体制等検討会のもとにワーキンググループを設置いたしまして、子供家庭支援センターの強化に向け必要な体制等の検討を行ってまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 子供家庭支援センターは、地域にとって身近な子供家庭支援センターとして、民生児童委員の皆さん、児相から一時保護を解除された後の見守りですとか、かなり多くの件数を、ケースを抱えているというのが今の現状です。
 今、地元の子家センの中でも、うちの自治体は、自殺、中学生の自死事件とかがあった関係から、虐待死の関係から、予防的支援というのは非常に敏感になって、それぞれ早く早期にキャッチするという体制ができています。
 しかしながら、今コロナ禍において、いわゆるDVの、警察からの通報が児相に送られてきたものを、今度はそれが子家センにおりてきて、DVのご家庭の調査をせよとかですね、まあ非常に虐待に抱える問題と、さらにDV家庭の調査まで、ケースを抱えていることが多くて、非常に人的配置ですとか、あとは虐待コーディネーターとか、そういった専門性の高い人、そして人が足りない、そういったことの悲鳴が上がっている現状です。
 そういったところの子家センの体制整備ということを、ぜひこれからも、予防的というのも大変重要な事業だと思います。特に、やはり子家センの体制強化ということを、特に多摩地域は、児童相談所が東京都なものですから、そこの部分で都児相が持っているわけではない関係から、やはり、さらに重要視をしておりますので、そのところをよろしくお願い申し上げます。
 最後に、フレイル対策について伺います。
 来年度は、都のフレイル予防関連に対する予算というので、総額八億円規模になっています。新しい日常における介護予防・フレイル予防活動支援事業−コロナに負けない!−は、コロナ禍においても地域住民の取り組みの継続を支援するものとして重要だと考えています。
 昨年度、答弁いただいておりますが、都は今年度から、東京都健康長寿医療センターの専門的知見を生かして、地域の介護予防活動にフレイル予防の視点を加えるとともに、多様な通いの場の普及を進めるとのことでありました。
 どのような取り組みを行っていたのかお伺いいたします。

○村田高齢社会対策部長 都は今年度、東京都健康長寿医療センターに、介護予防・フレイル予防推進支援センターを設置し、フレイル予防の観点を踏まえた通いの場の拡大、充実を図るため、区市町村に対し、人材育成や相談支援等の取り組みを行っております。
 具体的には、通いの場を立ち上げまして円滑に運営するための手法や、筋力運動などの効果測定の方法について、区市町村職員を対象としました研修を行うとともに、個別の事例に対応した相談支援を行っているところでございます。
 また、今年度から、栄養、口腔面での活動の定着や、喫茶店、フィットネスクラブ等、企業との連携による活動の多様化など、高齢者の健康状態や関心に応じて参加できる通いの場づくりを推進しているところでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。
 数多くのフレイル事業をやっていただいているということで評価をしたいと思います。フレイル予防の推進に取り組む区市町村に対しまして、健康長寿医療センターのエビデンスを生かした支援を行っているということがわかりました。
 これまで、私の西東京におきましても、先進自治体ということで、フレイル予防、フレイルチェック、フレイルサポーターが大活躍して、この事業の仕組みのように、集いの場を気づきの場として、住民主体の活動を推進していくことが重要だということをたびたび申し上げてまいりました。
 フレイル予防を進めるためには、身近な地域において住民同士で取り組めることが非常に大切であるということだと思います。
 きめ細かい支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○のがみ委員長 済みません。ちょっと大き目の声で答弁ください。

○村田高齢社会対策部長 住民同士のフレイル予防の取り組みを進めるためには、地域の通いの場等において、住民みずからが取り組みの重要性や実践方法を伝え、継続していけることが重要でございます。
 このため、都は、健康長寿医療センターが今年度作成したフレイル予防スタートブックを活用し、介護予防・フレイル予防推進支援センターにおいて、運動、栄養、口腔プログラム等の進め方などの具体的な実践方法を伝える研修を行っております。
 今後とも、住民同士で取り組むフレイル予防の活動が広がるよう、効果的な取り組みや工夫した事例を周知するなど、フレイル予防の普及に向けて取り組みを強化してまいります。

○桐山委員 ありがとうございました。
 このフレイルは、たびたび申し上げてきております。私も都議会議員になりまして、このフレイルに、局の中で横断的に−−フレイルという言葉も、事業もですけれども、やはり、まだ軽微なものだったところから、予算もかなりな大きい額にふやしていただきました。これからも、このコロナ禍においても非常に重要な施策の一つでございますので、引き続き、しっかり、こういったエビデンス、パンフレットもすばらしいものができています。こういったものを十分活用していただいた中で、区市町村に働きかけをさらに進めていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。

○やまだ委員 私からは、大きく三項目について質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、児童相談所情報標準化・人材育成事業について伺ってまいりたいと思います。
 虐待対応件数が急増する中、児童相談所の課題となっているのは、やはり職員の確保と育成であると考えます。虐待に対応する児童福祉司の政令基準数が、人口四万人に一人から三万人に一人となり、都としても、二〇二二年には定数五百五十三名までふやす計画となっており、今年度、現段階では三百五十名と、人員としては不足している状況だと思います。
 また、職員数がふえても、経験年数がゼロから二年以下という経験年数の浅い職員の割合が全体の約五割を占めていく、実務経験の少ない人員構成に課題が残ると考えます。
 このことから、職員確保とともに、その育成、実践的な人材育成が重要になってくると考えます。特に、リスク判断に必要な情報収集と情報から対応決定の判断は、職員の経験値で大きく差があらわれることから、ベテラン児童福祉司の経験に基づく判断や対応を共有化していく、その取り組みが必要となってくると思います。
 そこで、今年度から実施されている事業提案制度である大学提案事業で、児童相談所情報標準化・人材育成事業について、その目的と現在の取り組み状況を伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 児童相談所情報標準化・人材育成事業は、大学研究者による事業提案制度によりまして採択された事業でございまして、児童福祉司が相談対応に必要なポイントを容易に入力できるよう、情報収集項目等を標準化するとともに、収集した情報から虐待のリスクを予想できる情報システムの仕様を作成し、経験が浅い児童福祉司の情報収集能力やリスク判断能力を向上させ、人材育成を図るという取り組みでございます。
 本事業は、令和二年度から四年度までの三年間を予定しておりまして、令和二年度は研究調査として、現在、相談対応のポイントやリスク判定に必要な項目の抽出、相談記録の分析等を行っております。
 さらに、三年度は抽出した項目からリスクを予想するプログラムを開発し、これらをもとに、四年度は情報システムの仕様を作成するとともに、リスク判定の情報収集に係るマニュアルの作成や職員研修等を行う予定でございます。

○やまだ委員 リスク判断に必要な項目を標準化し、経験の浅い児童福祉司も十分な聞き取りが行える、また負担も軽減される、どのような視点で状況を判断することが必要かを学ぶことができる、この取り組みは非常に重要だと、大切だと考えています。
 令和三年度は、緊急度や重症度などのリスクを予測するプログラムを開発、職員へのトレーニングマニュアルを作成するなどとご答弁でした。そして、この事業の最終年度の取り組みは、情報システムの仕様を作成とのご答弁でした。
 現行の児相情報管理システムを、今回の事業で作成された仕様のシステムに改修をし、運用していくことが大切だと思います。
 そこで、三カ年の事業終了後、どのように成果を活用していくのか、都の見解を伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 本事業の最終年度となります令和四年度に作成予定の情報システムの仕様につきましては、その有用性などを踏まえまして、お話のように、現行の児童相談所情報管理システムの改修等への活用を考えております。

○やまだ委員 改修し、運用していくとのご答弁をいただきました。
 三カ年で、そのシステムの仕様を作成するまでです。作成したものをどのように現場で活用していくのか、子供家庭支援センターを初め、関係機関との十分な聞き取りや連携を図った上で、仕様を作成し、運用につなげていただきたいと思います。
 そして、このシステムは、人材の育成、技能の底上げを行う、個人個人のスキルをアップしていくという支援システムであります。
 児童虐待への対応や未然防止の取り組みは、一人一人のスキルアップとともに、やはり職員の方々の強いプロ意識の上に初めて生きてくるものだと思いますので、社会的使命感の意義を持って務めていただいている各専門職、皆様の意識啓発と、そして、それを支える仕組みづくりを引き続きお願いしまして、こちらの質問を終わりたいと思います。
 次に、けんこう子育て・とうきょう事業について伺いたいと思います。アプリ、もしプリの事業ですね。
 厚生労働省で行った調査によりますと、未就学児の親の約八割の方が、育児の悩みや不安があると答えられています。子供への食事や健康について、子供とのかかわり方がわからない、しつけに関する悩みや子供の成長に関する悩みと、さまざま抱えている方が多いとの結果となりました。
 特に孤立しやすい時期である乳幼児期の就学前の子育てに関する不安や負担感が大きいことから、自分の子育て環境や、自分の性格やタイプ、思考パターンなどを把握し、対処できる知識も重要になってくると思います。
 そこで、昨年度から三カ年で開始されていますけんこう子育て・とうきょう事業について、事業内容と取り組み状況、また今後の活用について伺いたいと思います。

○高野少子社会対策部長 本事業は、大学研究者による事業提案制度に基づき採択されたものであり、年齢や職業、家族構成など、妊娠届け出時の情報から妊婦をさまざまなタイプに分類し、それぞれのタイプに必要と考えられる子育てスキルを学ぶことのできるアプリを開発しているものでございます。
 事業期間は、お話のとおり、令和元年度から三年間としており、今年度は、アプリを活用するためのマニュアルを作成し、モデル事業としまして、二つの自治体でアプリを活用するほか、アプリと連携した支援を行えるよう、モデル実施自治体の母子保健システムの改修を支援しているところでございます。
 今後、モデル事業の実施状況を踏まえ、効果検証を行い、他の区市町村への展開を検討してまいります。

○やまだ委員 妊婦さんや家族構成、妊娠届け出時のさまざまな情報から、タイプごとに子育てスキルを学ぶアプリということで、例えば、周りの人とのつき合い方や、赤ちゃんとの接し方−−この接し方については動画でも説明が出ておりました。産後の女性の体についてなど、さまざまな観点、視点から学ぶことができるアプリ、私も試してみましたが、わかりやすく見やすい内容になっていたなというふうに感じております。
 一方で、各区市町村では、電子母子手帳など子育てアプリを独自に導入している区市町村も多くあります。
 このアプリのタイプ別子育てスキルを伝えていく内容とともに、各区市町村で現行導入しているアプリとの統合など、このアプリの展開だけではなく、現行のものとあわせて改修していく、また、ここで得たデータを母子保健事業につなげていく。改修の中では、母子保健システムを活用していくとの内容もございました。
 現行のアプリと自治体が使っているアプリ、そして母子保健システムをそれぞれ統合して活用し、虐待未然防止策に、連携していくことが必要だと思っています。
 モデル事業を実施している自治体では、母子保健システムの改修も行っているとのご答弁でしたが、来年度は、この内容も含めて効果検証した上で、他の区市町村に還元してほしいと考えています。見解を伺います。

○高野少子社会対策部長 母子保健システムを改修した自治体では、システムにおける虐待リスクに関する情報の入力を支援する機能を付加して、アプリの使用の有無と虐待リスクの関連性を検証することとしております。
 来年度は、この改修の内容も含めまして効果検証を行い、その結果は、他の区市町村に情報を提供してまいります。

○やまだ委員 効果検証を行い、他の区市町村に情報提供をしていかれるとのご答弁でした。
 このモデル事業を初めとして、各区市町村で行われている事業、システム改修は特に、それぞれ区市町村で導入しているものに柔軟に対応していただきまして、ぜひこの事業が、子育てをするママ、パパの不安解消とともに、やはり虐待防止、虐待未然防止につながる事業へと、この三カ年の事業後も展開していただけるよう要望したいと思います。この質問については終わらせていただきます。
 最後に、こちらも大学の提案政策事業になりますAIとIoTにより認知症高齢者問題を多面的に解決する東京アプローチの確立事業について伺いたいと思います。
 都の総人口に占める六十五歳以上の高齢者人口は、二〇二五年には三百二十八万人と、四分の一が、四人に一人が高齢者となる推測となっています。あわせて、都の認知症高齢者は、約五十五万人に達すると推測されており、認知症高齢者の増加が深刻な社会問題となっています。
 また、このコロナ禍において、外出自粛などの生活の変化で、妄想や鬱ぎみの症状が出たり、着がえなどの日常生活動作が衰えるなど、認知機能の低下、症状の悪化が認知症の方の約四割弱に影響しているとの調査結果も出ています。
 これらを背景に、テクノロジーで認知症に関する課題の解決に挑む大学提案事業で、AIとIoTにより認知症高齢者問題を多面的に解決する今回のこの東京アプローチ確立事業、これについて大変期待するところであります。
 この事業の意義と今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○村田高齢社会対策部長 本事業は、AIとIoTを用いてBPSDの予兆を探知するシステムを開発するため、認知症高齢者の生体、行動データをAIで分析し、その分析結果から対処方法を提示することで、家族や介護者の負担軽減を図ることを目的としております。
 今年度は、電気通信大学の研究チームがシステムの開発に向けた全体設計を行うとともに、システム開発に必要となる心拍、呼吸、体温、表情といった生体、行動データの収集を試行的に行っております。
 来年度以降は、介護施設や施設を利用する認知症高齢者の方を選定の上、生体、行動データを収集しAIを活用して分析をするとともに、専門家による分析結果の検証を積み重ねシステムの精度向上を図ってまいります。
 また、この研究事業を提案してきた電気通信大学は、研究成果を取りまとめまして、認知症高齢者問題を多面的に解決するための提言を行うこととしております。

○やまだ委員 ありがとうございます。
 このシステムによって、認知症当事者の方とともに介護を行うご家族の方の負担が軽減できるような仕組みとなっているということは大変期待するところでありますが、一方で、この事業そのものの最終的なところは、提言を行っていくというふうにご答弁でもありました。
 今回の研究、そしてパイロット事業の試行で、ぜひ、東京都としての高齢者の課題の解決に向けた施策展開につながるように、この三年間で、しっかりと大学とも連携をして、成果につなげていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 今回、大学提案事業について三点質問させていただきました。
 都政課題の解決につながる事業展開に、それぞれつなげていただきたいと思いますし、大学からのご視点ということで新たな取り組みとなるのですが、この研究とともに、実際、現場で実用される事業に展開されることをそれぞれ求めて、質問を終わらせていただきたいと思います。

○まつば委員 昨年からの新型コロナウイルス感染症へのご対応につきまして、福祉保健局の皆様方におかれましては、大変なご尽力をいただいておりますことに、まず心から感謝を申し上げます。
 初めに、医療提供体制について質問いたします。
 第三波では陽性患者が急激に増加し、患者を受け入れる医療提供体制に大きな負荷がかかる中、病床の確保など、さまざまな課題が顕在化をいたしました。
 新型コロナにも対応しつつ、通常の医療との両立を図る必要もある中で、限りある医療資源をいかにして確保し有効に使うかが、第四波への備えの点でも重要であると思っております。
 都議会公明党は、定例会での質疑や知事への要望を通して、重症患者さんを受け入れる病床の確保、病床を有効に活用するための転院支援などについて具体的提案をし、その対応を求めてまいりました。
 まず、重症患者の受け入れについて、今年度の事業内容と来年度どのように再構築するのか、具体的にお伺いをいたします。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都は、医療機関が新型コロナの重症患者等を確実に受け入れられるよう、病床の確保に対する補助として、重症者を受け入れるICU病床については、一日一床当たり最大で四十三万六千円を補助してまいりました。
 また、都の単独事業として、重症患者の受け入れ体制確保のため、ICU等での医療従事者の確保にかかわる経費として、一施設一日当たり十七万一千四百円を上限に補助しております。
 本事業は、重症者を多く受け入れても補助金額が変わらないことから、医療機関が重症患者の受け入れをふやすインセンティブにはつながりませんでした。
 そのため、来年度は、重症者の受け入れ人数に応じた支援を行う事業に再構築することとし、具体的には、新型コロナの入院患者を受け入れた医療機関に対し、受け入れ人数に応じて二万円から最大で三万円支払う謝金に、重症患者を受け入れた場合は、さらに十万円を加算いたします。
 これにより、医療機関に対し、重症患者の積極的な受け入れを促進するとともに、入院時に中等症だった患者が重症化した場合も対象としていく予定でございます。

○まつば委員 重症患者の病床や受け入れ体制を確保することは、都民の命を守る上で最も重要な対策であると思っております。
 入院中に中等症だった患者が重症化した場合でも重症患者として病院の支援を行うなど、柔軟な仕組みに見直されるとのことであり、引き続き、しっかりと対応していただきたいと思っております。
 続いて、転院支援についてお伺いをいたします。
 感染者が治療を終えて国の退院基準を満たしても、入院による虚弱など、さまざまな理由で退院できないケースが発生し、新たに受け入れるベッドがあかないということが病床逼迫の一要因となりました。
 その解消に向け、都は、転院支援事業を開始しております。患者の転院には、受け入れる側の病院、スタッフ等に、国が示す退院基準をしっかりと理解してもらうことが重要だと思います。
 都は、事業を円滑に進めていくための前提となる退院基準の周知にどのように取り組んだのか。また、今大変に心配されておりますが、変異株に感染した患者の場合の対応もあわせてお伺いをいたします。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都は、転院支援事業の実施に当たり、都内の全ての病院に対し、国の退院基準である発症日から十日間経過し、かつ症状軽快後七十二時間を経過した場合、退院可能とすることなどを事業案内のリーフレットに記載し、周知をしております。
 また、変異株に感染した患者の退院基準については、当面の間、一般の退院基準は適用されず、二十四時間以上あけた二度のPCR検査で陰性が確認された場合等とされており、当該基準についても、都内各病院に通知を行い、周知を図っております。
 これら退院基準を満たし、新型コロナから回復した後も引き続き入院が必要な患者の転院を受け入れる病院に対しましては、一人当たり十八万円を支援する事業を本年二月から開始しております。

○まつば委員 国の退院基準を満たし、新型コロナから回復後も引き続き入院が必要な患者を受け入れていただく回復支援病院の確保が非常に大事であると思っております。
 そうしたことから、円滑に転院が進むよう、都として、広域的な転院調整に取り組むことが必要であることを指摘してまいりました。
 新たなネットワークの構築について、都はどのように仕組みづくりに取り組んだのかお伺いいたします。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 新型コロナ患者を受け入れている病院からは、地域でネットワークのある病院を除けば、どこで転院患者を受けてもらえるかの情報がないとの声がありました。
 このため、都は、国の退院基準を満たす患者の転院を受け入れる意向がある回復支援病院を募集しており、先週末、三月十二日時点で、リハビリ病院など百九十九の病院から申し込みを受けております。
 募集に当たりましては、転院元となる病院が患者の状況に応じて、より適切な医療機関を転院先として選択できるよう、回復支援病院で提供する診療科や提供しているリハビリ、人工透析などの保健、医療、介護サービスの内容のほか、入院調整に要する日数、強みとする事項などの情報提供を依頼しました。
 これらを集約し、リスト化した情報を入院重点医療機関等に提供したほか、回復支援病院に対しても、新型コロナ患者を重点的に受け入れている入院重点医療機関のリストを提供し、転院等の情報を病院間で共有する都の転院支援システムの活用を促すことで、病院相互で転院調整が進むよう支援しております。

○まつば委員 転院を進める上で、新型コロナの患者さんを受け入れる病院と回復患者さんの転院を受け入れる病院同士がリストを相互に共有することは、転院調整のスタートラインであると思います。転院調整には、患者の情報を効率的に共有して進めていくことが必要であります。
 ただいまも答弁がありましたが、都は、さきの本会議でも我が党の質疑に対し、転院の支援のためにシステムの活用を促すとともに、調整が進まない場合は、都の入院調整本部で対応するという答弁をいただいております。
 そこで、このシステムでどのような調整が可能なのか、また、どういった場合に、都の入院調整本部で支援するのかお伺いいたします。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都が提供する転院支援システムは、都内全ての病院が利用可能であり、ウエブ上で転院元の医療機関と転院先の医療機関とが患者の転院についてマッチングを行うシステムであり、令和二年九月から稼働しております。
 具体的には、転院元の医療機関が患者の状態や転院を希望する地域、患者に必要な病床の種別や必要なリハビリ、転院希望日等の要件を設定し、要件に該当する病院を検索し、候補を絞り込んだ上で、システム上で候補となる複数の病院に受け入れの依頼を行うことができるようになっております。
 依頼を受けた病院では、患者の情報を確認し、受け入れの可否を回答することでマッチングが成立し、転院に向けた詳細な調整を開始することになっております。
 今般、新型コロナの対応として、転院支援システムを利用しながら転院調整が進まないケースについては、病院からの依頼等により、都の入院調整本部において転院に向けた調整を実施することといたしました。
 こうした対応について、都は、二月九日には転院先となる回復支援病院に、そして、二月十五、十六日には転院元となる特定機能病院など百を超える医療機関に、システムの活用等についてウエブで説明会を実施するなど、きめ細かく周知を行った上で実施しております。

○まつば委員 新型コロナの患者さんの転院に向けた支援につきましては、一部の区市においても先行的な取り組みが行われております。私の地元杉並区でも、新型コロナ患者さんを受け入れている地域の拠点病院での病床確保のために、回復期の患者さんを受け入れる区内の病院を確保し、転院を進めています。
 第四波への対応も視野に医療提供体制を強化するために、こうした地域の医療機関同士が、機能や役割に応じてネットワークを構築しておくことが必要であると考えております。
 一月には、我が党から小池知事に対し、先行して取り組む自治体への財政支援等、要望を行っておりますが、自治体の先行事例をさらに広げていくための取り組みを伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都は来年度から、区市町村が地域の医療機関と連携して、新型コロナ患者の病態に応じた転院調整の強化に取り組む際の支援を開始いたします。
 具体的には、地域の医療機関の役割に応じたネットワークの構築や、地区医師会等と協力した転院調整の体制整備を行う場合に要する経費等について、一千万円を上限に助成を行うこととしております。
 また、お話の先行する自治体の取り組み事例につきましても、都内の区市町村にも情報提供することで事業の活用を促していく考えでございます。

○まつば委員 医療機関の役割に応じたネットワークの構築、また、転院についてマッチングを行うシステムの稼働など、取り組みが進んでいることを確認させていただきました。
 今後も、病床確保のため取り組みを進めていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 続きまして、不妊治療、不育症治療について質問をいたします。
 平成三十年、二〇一八年十二月に、小池知事に対しまして五項目から成る妊娠支援についての要望を行いました。
 都単独事業である不妊検査等助成事業の対象者について妻の年齢要件を三十五歳未満から四十歳未満に引き上げること、また、特定不妊治療費の助成につきまして所得制限の額を引き上げることなど要望をいたしました。
 さらには、平成三十一年第一回定例会の一般質問におきましては、妊娠はするものの、流産や死産を繰り返す不育症への検査費の助成制度の創設について提案をさせていただきました。
 それを受け、事業の拡充や新たな事業の実施が行われております。
 そこでまず、都が実施している不育症検査助成事業、特定不妊治療費助成事業、不妊検査等助成事業について、令和二年度における助成実績をお伺いいたします。

○高野少子社会対策部長 不育症検査助成事業は、妻が四十三歳未満の夫婦等を対象に不育症のリスク因子を特定する検査に係る費用の一部を助成するものでございまして、今年度の実績は、先月末までで一千四十九件でございます。
 特定不妊治療費助成事業は、保険適用とならない体外受精や顕微授精等に係る費用を助成するものでございまして、昨年度から、所得制限の額を夫婦合算で七百三十万円から九百五万円に緩和しており、今年度の助成実績は、先月末までで延べ一万八千六百十六件でございまして、そのうち、所得制限の緩和により新たに対象となった件数は延べ三千八百四十五件でございます。
 不妊検査等助成事業は、不妊検査や一般不妊治療に係る費用を助成するものでございまして、昨年度から、検査開始日における妻の年齢要件を三十五歳未満から四十歳未満に緩和しており、今年度の助成実績は、先月末までで九千三百五十二件であり、そのうち、年齢要件の緩和により新たに対象となった件数は三千二百七件でございます。

○まつば委員 今お話を伺っておりましても、非常に、都民の方に利用していただいているということがよくわかるものでございました。
 この不育症検査助成事業については、令和二年一月より開始をされたわけでありますけれども、国においても、令和三年度より制度が創設されることになっております。
 来年度の不育症検査への助成について、国制度、都制度、それぞれの違いを踏まえ、都民が利用しやすい事業とするべきであると考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

○高野少子社会対策部長 国は来年度から、現在研究段階にある不育症検査のうち先進医療として実施されるものを対象に、自治体に対する助成を開始するとともに、エビデンスを集積し、将来の保険適用を目指すこととしております。
 これは、都が現在行っている独自の助成事業とは対象等が異なっており、来年度、都としましては、都事業を継続して実施するとともに、国事業につきましては、今後示される事業の詳細を踏まえて適切に対応し、不育症の方々への支援に取り組んでまいります。

○まつば委員 来年度、都としては、都事業を継続して実施、国事業については、今後示される事業の詳細を踏まえて適切に対応していくということでございました。不育症の方々の支援ということで、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、特定不妊治療費助成についてでありますが、これも拡充を図ってまいりましたが、国におきましても、公明党も推進をさせていただき、令和三年一月より、特定不妊治療費助成の所得制限が撤廃をされ、助成額も拡充されております。
 特定不妊治療費助成について、都としても、助成内容を充実させ出産を望む方々への支援を強化すべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○高野少子社会対策部長 都はこれまで、国制度に上乗せした助成や所得制限の緩和、事実婚の方への対象拡大などを行うとともに、国に対しましては、全国の治療状況等を考慮した上で、治療の標準化を図り、医療保険の適用対象とするよう繰り返し提案要求してまいりました。
 こうした中、お話のとおり、国は、令和四年四月からの保険適用に向けた検討を開始するとともに、本年一月から助成額の増額や所得制限の撤廃を行うなど、現行の助成制度を拡充いたしました。
 都は、国制度に合わせて助成内容を充実し、本年二月十五日から申請受け付けを開始しておりまして、今後とも、不妊治療の経済的な負担の軽減を図り、子供を産み育てたいと望む方々の気持ちに寄り添った支援を実施してまいります。

○まつば委員 次に、情報発信についてでありますけれども、平成三十一年第一回定例会一般質問において、月経の仕組みや妊娠についての一般的な知識、不妊治療や不育症の電話相談窓口、医療機関検索、助成制度の説明、申請の仕方、また両立支援の企業の紹介ということも私は申し上げましたが、これは産業労働局になりますけれど、一元化した情報を発信するポータルサイトの立ち上げについて提案をさせていただきました。既に、現在このポータルサイトが運用されております。
 また、民間の女性の方向けの健康情報サービスアプリ、これとの連携についても、私も提案させていただいて、進めていただいているところであります。
 都民の皆様に情報を届けるための工夫や周知の仕方、またポータルサイトへのアクセス数等についてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 都は、妊娠に関する基礎知識や、不妊検査、不妊治療、不育症に関する情報等を一元化し、幅広く発信する妊娠支援ポータルサイトを開設し、SNSを通じて周知を行っております。
 また、昨年十一月には、民間事業者と連携協定を締結し、お話のとおり、女性向け健康情報サービスアプリの中に東京都妊活支援特設ページを開設しておりまして、この中で、お尋ねの妊娠支援ポータルサイトを紹介しております。
 ポータルサイトの一月当たりのアクセス数は、サイトを開設した昨年二月は約二万件でございましたが、本年一月は約三万七千件となっております。

○まつば委員 いろいろ工夫をしていただいて、情報発信にも努めていただいているということでございます。
 さらに、より利用される方が必要な情報が速やかに得られるというような工夫も進めていただきたいと、このように思っております。
 次に、出産応援事業について質問をさせていただきます。
 東京都の出産費用は、全国平均額を十万円以上上回っておりまして、都道府県の中で最も高い状況にあります。
 昨年十二月の知事への予算要望や、本年一月十二日にも要望させていただきまして、出産応援事業につきましては、本年の一月一日より、お子さんが生まれたご家庭にも対象を広げ、来年度予算案、また補正予算案に計上されております。
 また、本会議や予算特別委員会でも、制度の具体的内容について要望し、その概要の答弁をいただいてきたところであります。コロナ禍で、不安の中で出産される方々をしっかりと応援をする事業となるよう、本日も質疑をさせていただきたいと思います。
 都は、今年度の補正予算で、とうきょうママパパ応援事業におきまして、妊婦の感染への不安に寄り添う取り組みとして、育児パッケージとして、タクシー移動に使えるチケットや衛生資材を配布できる区市町村を支援されました。
 コロナの不安を減らす観点から、来年度実施する東京都出産応援事業で配布する品物の中にも、タクシー移動に使えるチケットや衛生資材も加えるべきと考えますが、現在の検討状況についてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 先日、専用サイトの構築や、育児用品、子育て支援サービスの提供を委託する事業者を選定したところでございます。
 現在、委託事業者と、提供する育児用品や子育て支援サービスの具体的内容や、事業の周知方法などを調整しているところでございます。
 提供する日用品等は、都民のさまざまなニーズに応えられるよう幅広く取りそろえる予定でございまして、例えば、おむつであれば、複数メーカーの品物を用意し、メーカーごとにサイズ、容量など、さまざま取りそろえることとしております。
 この中には、お話のタクシー移動に使えるチケットや、マスクなど衛生資材も含めることとしております。

○まつば委員 事業の周知方法を調整しているということでございますが、妊娠され出産の準備をされている方には、当然ながら、東京都は子育てを応援しているんだと、東京都はそういうまちなんだということ、そういうメッセージにもなると思います。そういった意味では、多くの都民の皆様に知っていただけるように、幅広く周知をすることが必要だと思います。
 どのように事業を周知していくのかお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 本事業の広報につきましては、これから出産される方、出産した方に広く周知を行うため、区市町村の妊娠届の受付窓口や母子保健部門、都内産科医療機関等を通して、リーフレットを配布する予定でございます。
 また、インターネットの検索広告や屋外広告等を通じまして幅広い周知を図るほか、女性向け健康情報サービスアプリや、出産、育児に係るウエブメディアへの広告など、ターゲットを絞った周知も検討しており、複数の手法を組み合わせまして効果的な広報を実施してまいります。

○まつば委員 最後に、災害用に備蓄する生理用品の活用について質問をさせていただきます。
 公明党女性委員会では、三月一日から八日の女性の健康週間、また三月八日の国際女性デーに関連をいたしまして、三月二日に、#みんなの生理の谷口歩実共同代表を講師に、生理をめぐる課題を伺い、深刻な現状に対して私も課題解決を決意させていただきました。
 今、世界各国で、女性の月経に関する生理の貧困という問題について動きがあります。生理の貧困とは、生理用品を買うお金がない、また利用できない環境にあることを指しております。
 イギリスでは、二〇二〇年から全国の小学校、中学校、高校で生理用品が無償で提供されており、フランス、ニュージーランド、また韓国などでも同様の動きがあります。
 この問題は、日本でも無関係ではないわけでありまして、日本の任意団体が行ったアンケート調査によりましても、日本でも五人に一人の若者が、金銭的理由で生理用品を買うのに苦労したという結果が出ております。
 そうしたことから、三月四日には参議院の予算委員会におきまして、我が党の佐々木さやか議員が質問をさせていただきまして、丸川珠代男女共同参画担当大臣から、文部科学省や厚生労働省と連携しながら、今後何ができるか検討したい、こういう答弁がありました。
 また、私も三月九日の予算特別委員会におきまして取り上げさせていただきまして、小池知事からは、都としても、関係する局の中で何ができるか今後検討していきたいとの答弁をいただいたところであります。
 私も、このとき申し上げましたが、関係する局というのは、福祉保健局や教育庁、また生活文化局等ではないかということでお話をいたしました。そうしたことから、その後、三月十二日には、藤田教育長に対し、都立高校のトイレにトイレットペーパーと同様に生理用品を備えつけるなど、無償提供について検討することなどを申し入れたところであります。
 きょうは福祉保健局ということでございますので、災害用に備蓄をしている生理用品の活用について質問をさせていただきたいと思っていますが、まず、現在の備蓄状況についてお伺いをいたします。

○坂本生活福祉部長 都は、災害救助用物品といたしまして、地域防災計画に基づき、食料品及び生活必需品などを備蓄しているところでございます。
 今お話しの生理用品でございますが、平成二十七年度から災害救助基金運用計画におきまして、新たに備蓄を開始いたしまして、令和二年四月一日現在で約七十一万五千枚を備蓄していたところでございます。
 平成二十七年の購入時点から、メーカーの使用推奨期限でございます五年間を経過したことから、今年度、順次買いかえを行っております。令和三年三月十五日時点での買いかえ前のものでございますが、約二十七万三千枚となっております。

○まつば委員 この買いかえるという予定になっている生理用品につきましては、必要とされる方が使えるよう廃棄をしないで有効活用すべきだと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○坂本生活福祉部長 今年度の買いかえに当たりましては、区市町村を通じまして約二十万一千枚につきまして、民生児童委員に寄附するなどの有効活用を図ってきたところでございます。
 今、お話ございましたが、今後買いかえ予定としてございます二十七万三千枚でございますが、改めまして、有効な活用に向けまして関係各局とも連携し、早急に検討を進めてまいります。

○まつば委員 ありがとうございます。
 関係各局と連携しということでもございますので、ぜひ教育庁の方とも連携をしていただきたいと思います。
 豊島区なんですけれども、防災備蓄品の生理用品を必要な人に配布すべきということを公明党が提案させていただいて、既に防災用に備蓄をしていた七百三十パックを、区男女平等推進センターや区役所内の女性相談窓口などを配布場所とし、生理用品を袋詰めにして提供を始めております。窓口に設置された専用のカードを提示することで、声を出さないで、生理用品をちょっと欲しいんですといわないで受け取れるような配慮もされたそうであります。初日に五十六パック配布したということでありました。
 豊島区においては、防災備蓄品がちょうど更新という時期ということも踏まえながら活用ができたわけでありますけれども、区によっては、対応したいんだけれども、防災備蓄品の生理用品を更新したばかりであるというような理由から、使用できるものがないという、こういう話も聞いているところでございます。
 先ほどのご答弁で、都の備蓄で二十七万三千枚が活用可能であるということでありました。
 そういう意味では、住民に配布したいけれども備蓄品の在庫がないという、こういう区市町村にも活用していただけるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○坂本生活福祉部長 ただいまお話ございました豊島区の事例についても、私ども承知しております。支援物資が実際に困っている方に届くよう、きめ細やかな活用を図ってまいりたいと考えておりまして、そのためには、住民に身近な区市町村と連携するなど、丁寧に対応していくことが重要と考えております。
 生理用品の備蓄につきましては、お話がございましたように、区市町村ごとに状況が異なっております。今後、区市町村に対して意向などを調査、確認するなど、関係機関と連携し、速やかな活用を図ってまいります。

○まつば委員 非常に重要なご答弁をいただきました。
 区市町村側からということではなくて、都の方から区市町村に意向調査、意向確認をしていただいて、速やかにその活用が図れるようにしていくということでございましたので、ぜひとも、ご対応をお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○藤田委員 緊急事態宣言が再延長され、これまでの対策の何が問題であったか、三月二十一日までにどのような対策を強化するのかが東京都に問われています。
 初めに、新型コロナワクチンについて伺います。
 今月から、都内の一般の医療従事者に対して新型コロナワクチンの接種が開始されました。ある感染症に対して免疫を持っている人が多ければ多いほど、免疫のない人への感染も防ぐことができる集団免疫を確立していくことや、重症化を防ぎ医療体制を維持することなどが目的となりますが、地域の方にお話を伺うと、ワクチンを打った方がいいのかどうか悩んでいるという方が結構いらっしゃいます。
 ワクチンの安全性、有効性、副反応などについて、迅速、徹底的な情報提供を行うべきと考えますが、いかがですか。

○村本新型コロナウイルスワクチン担当部長 都は、先月二十六日にワクチン接種に関するポータルサイトを立ち上げ、今月から都内での接種の開始や実施状況を簡潔にお伝えする動画を東京動画やウエブCMで配信しており、今週にはテレビCMも開始いたしました。
 さらに、今月一日から開始いたしましたワクチン相談センターや、三月八日からスタートいたしましたLINEのチャットボット等を通じまして、都民からの問い合わせにもきめ細かく対応しており、さまざまな広報ツールを活用し、ワクチンに関する情報をわかりやすく提供しております。

○藤田委員 医療従事者への接種の次は、高齢者や基礎疾患のある方への接種になります。
 答弁のあった情報提供の方法は、テレビCM以外は高齢者がアクセスするにはハードルがあると思われます。必要なのは、ワクチンを打つかどうかが自分で判断できる情報が行き渡るということですので、情報を伝える手段についても徹底して行っていただくよう要望いたします。
 ワクチン接種について、移送手段や医療体制でも特別な対応が必要なのが島しょ地域です。
 ワクチン接種の計画については、確実な内容を早期に島しょ地域の自治体に連絡するとともに、医師が一人しかいない島もあるため、接種する際は、医師や看護師の派遣を行うことを求めますが、いかがですか。

○村本新型コロナウイルスワクチン担当部長 都は、国から新型コロナウイルスワクチンの出荷に関する通知等を受けた際は、速やかに都内全ての区市町村等に連絡するとともに、国からのワクチンの供給量を踏まえ、区市町村や医師会などと先月立ち上げましたワクチンチームで、区市町村へのワクチンの配分数や配分のスケジュールに関する調整を速やかに行っております。
 また、島しょ地域におけます医療従事者等へのワクチン接種の円滑な実施に向け、地元の町村との意見交換などを通じまして、交通事情を考慮したワクチンの輸送体制や、島への応援体制などについて検討をしております。

○藤田委員 東京都のモニタリング会議での専門家のコメントでは、ワクチン接種は感染しても重症化しにくい効果は期待できるが、現時点では感染そのものを防ぐ効果については明らかではない、引き続きワクチン以外の感染予防策が重要となると述べられています。
 ワクチン頼みではなく、PCR検査などワクチン以外の感染対策は並行して力を入れるべきだと思いますが、いかがですか。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 都民や事業者の方々の協力により、新規感染者数はこれまで減少してまいりましたが、引き続き感染拡大防止に向けた取り組みなど、ワクチン以外のさまざまな対策を進めてまいります。
 検査体制についても、民間検査機関等の検査機器導入の支援を行い、一日最大約六万八千件の処理能力を確保しております。

○藤田委員 緊急事態宣言が再延長される中、この一週間は感染が下げどまっているというよりも、やや増加しているという判断の方が正しいのかと思われます。
 一日最大約六万八千件の検査能力についても、今までに、その最大だけでなく、平常時の約三万七千件についても実施したことがありません。改めて、この能力を生かした検査戦略を早急に実施すべきです。
 検査戦略として、我が党は、予算特別委員会の代表質疑で、攻めの検査と守りの検査を提案いたしました。
 初めに、守りの検査についてお聞きします。
 東京iCDC専門家ボードの提言によれば、医療機関、高齢者施設等でのクラスター発生予防のための検査を検討するとしています。
 この中に、入院重点医療機関や療養病床が対象となった意義について伺います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 都は、提言を踏まえ、入院重点医療機関や療養病床を有する医療機関等を対象に、試行的に実施することを検討しております。

○藤田委員 試行ということではありますが、医療機関への定期的なPCR検査を行うことは重要です。試行実施による効果についても、ぜひ公表していただきたいと思います。
 また、戦略的検査として、葛飾区から試行される定期的スクリーニング検査は、医療機関全体、少なくとも入院医療機関は全て対象とすべきと考えますが、いかがですか。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 PCR等検査については、提言を踏まえ、試行的に実施することを検討しております。

○藤田委員 これも試行的に実施することを検討ということですが、全ての医療機関に対して定期的なPCR検査を行うよう求めておきます。
 また、昨日の参議院予算委員会では、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身会長は、重症化リスクの高い場所への社会的検査は、感染対策の上で非常に意味があるとして、今は高齢者施設でやっているが、福祉施設や医療機関などにも同じようにやっていけばいいと主張しています。ぜひとも、医療機関とともに、福祉施設にも広く実施していくことを要望いたします。
 定期的スクリーニング検査は、一回だけではなく頻回に行う必要があると思いますが、いかがですか。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 昨年九月十五日に発出された国の通知では、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院、入所者全員を対象に、必ずしも検査の頻度などを決めて機械的に実施するものではなく、必要としたタイミング、頻度で、一回に限らず検査することを求めており、都は、こうした国の考え方に基づき、適切に対応してまいります。

○藤田委員 必要としたタイミング、頻度について、国は、一回に限らず検査することを求めているということです。定期的スクリーニング検査は、実施頻度が多いほど、ウイルスの施設内への持ち込みを防止することができます。
 昨日の国会で、尾身会長は、この検査は一回だけやるのではほとんど意味がない、定期的に続けてやるのが極めて重要だとも述べられています。ぜひ科学的根拠に基づいた頻度のあり方を示し、必要な財政支出を行うことを求めます。
 東京iCDC専門家ボードの提言では、医療機関、高齢者施設でのクラスター発生予防のための定期的スクリーニング検査は、三月中旬から試行し、下旬以降に順次拡大としていますが、早期に東京都全体へと広げていくべきではありませんか。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 PCR等検査については、提言を踏まえ、試行的に実施することを検討しております。

○藤田委員 早期に広げることへの認識は示されませんでしたが、三月十二日のモニタリング会議でのコメントでも、病院や高齢者施設で数十人規模のクラスターが複数発生していると指摘されていますので、早期に東京全体へと定期的スクリーニング検査を実施していくことを求めます。
 次に、攻めの検査について質問いたします。
 攻めの検査では、感染の広がりの端緒をつかむための検査であり、主には、市中感染の状況をモニタリングするというものになります。
 三月十二日の東京iCDC専門家ボードの提言では、繁華街、特定の地域等でのモニタリングといわれていますが、この繁華街、特定の地域などでのモニタリングはどのように実施する予定ですか。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 都は、東京iCDC専門家ボードから、感染拡大の防止に向け、さらなる取り組み強化を図るための戦略的検査として、繁華街、特定地域等でのモニタリングによる感染者の早期探知について提言を受けており、対応については、現在検討を進めているところでございます。

○藤田委員 実施内容は現在検討中ということですが、緊急事態宣言が解除された栃木県では、いち早くモニタリング検査を実施しています。ウイルスの広がりを早期探知するためにも、検査自体も早期に実施するよう要望いたします。
 これまでモニタリング検査を行ってきた広島県、栃木県などでは、検査を行う場所や人の体制、検査機関との連携など、ハード面、ソフト面、両方の準備が必要になっています。
 そこで、全自動PCR検査機器を搭載した移動が可能なコンテナ式のPCR検査機器が開発され、導入が行われています。
 事業所、学校、駅周辺などへのモニタリングを行うためには、コンテナ式のPCR検査機器が有効だと思いますが、都の見解を伺います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 モニタリングの検査手法については、東京iCDCの専門家からの意見も踏まえ、さまざまな選択肢について検討しております。

○藤田委員 こちらも検討中ということですが、コンテナ式PCR検査機器はとても効率的だと思いますので、ぜひ導入していただきたいと思います。
 さらに、国が示している検査件数は全国で一日一万件というものですが、これでは到底十分なモニタリングはできません。
 モニタリングのための検査は、都内で一日一万件の桁で実施すべきではありませんか。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 現在、検査数も含め、対応については検討を進めております。

○藤田委員 検査数についても、対応自体も検討中ということですが、必要な場所、集団を特定することを優先し、モニタリングになり得る検査数を実施するよう求めます。
 また、規模が少ないことによって地域や集団が小さくなることで、あえて風評被害を恐れて検査への協力が進まなくなる可能性があります。
 昨日の国会で、宇都宮で大規模検査などに積極的に取り組むインターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長は、十万件の余力を持つことは第四波への備えにもなると述べられています。都としても、プール式の導入を検討している民間検査機関への積極的な支援も求めて、都の検査能力をさらに拡充していくよう要望いたします。
 東京iCDC専門家ボードの提言では、地域感染拡大の予兆が見られた際の積極的な検査が提言されています。
 これを具体化し、大規模、集中的な検査を行う計画を検討すべきではありませんか。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 地域感染拡大の予兆が見られた際の積極的な検査については、保健所が管内の流行状況を踏まえ、感染が生じやすく、感染があった場合に地域へ拡大しやすい場所や集団に対し実施を検討するものでございます。
 都は、健康安全研究センター等でのPCR検査などにより、保健所が集中的な検査を実施する際の業務を支援してまいります。

○藤田委員 保健所の判断により支援するという答弁ですが、保健所業務はどこも逼迫しています。また、都が広域的な視点で感染拡大地域を把握することが重要です。
 東京都があらかじめ大規模、集中的な検査の計画を示していることで、感染拡大の予兆が見られた際には速やかに検査を行うことができますので、ぜひとも都として計画していただくよう要望いたします。
 東京iCDCから戦略的検査の実施について、三月十二日に提言されたわけですが、どちらの内容についても、試行するかどうか自体、検討しているということでした。
 また、リバウンド防止のための体制強化として、基本的対処方針等諮問委員会から七つの提言が出されたのは三月六日です。再延長された緊急事態宣言は三月二十一日までですので、あと四日です。二十一日までに、どのような対策を強化するのかが東京都に問われています。
 長期間に及ぶ自粛や時短営業によって都民生活は大きな影響を受けていて、暮らしは甚大な被害を受けています。感染症が再拡大するようなことがあれば、再び都民の命と都内の医療体制が大きく影響を受けるわけですから、早急に取り組みの強化を行うよう求めます。
 次に、変異株についてです。
 変異株のスクリーニング検査について、民間検査機関でのスクリーニングをできる限り拡大するとしていることは重要です。
 民間検査会社とは、現在どういう委託契約になっているのでしょうか。さらに、検査機関の拡大を求めますが、いかがですか。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都は、変異株の感染状況を把握するため、国とも連携し、昨年十二月から東京都健康安全研究センターで、変異株の有無を確認するスクリーニング検査をいち早く開始し、二月からは民間検査機関を活用した検査も開始いたしました。
 都が民間検査機関や国との調整を行ってまいりましたが、変異株の感染状況の把握は全国的に共通する課題であることから、委託契約は国が一本化して行っております。
 今後とも、引き続き国と連携し、民間検査機関に個別に働きかけ、検査規模の拡大を図ってまいります。

○藤田委員 都は、変異株スクリーニング検査をいち早く開始しているということですが、変異株が確認された後には、その検査割合を上げるべきところ、現在でも、全体の陽性検体に対して、五%から一〇%しか検査が実施できていません。四月までに累計四千という目標も引き上げが必要です。
 また、現在は、国が一本化して委託契約をしているということですが、契約できている民間検査機関は一社にとどまっています。
 神戸市では、一年前から市内の医療機関に対して、市の地方衛生研究所に検体を送ってもらうよう依頼していたという経緯があり、多い時期で陽性となった検体の六割以上について、変異株のスクリーニング検査を実施しています。
 そうした取り組みによって、一月から二月にかけてスクリーニング検査数をふやしたところ、比例して変異株による陽性者が増加しました。変異株スクリーニング検査は、できるだけ割合を上げて検査することが傾向を知る上でも非常に有効だということです。
 都の健康安全研究センターでは、全ての陽性検体の変異株スクリーニングを行っているということで、それは重要です。
 さらにスクリーニング検査をふやしていくためには、健康安全研究センターでのスクリーニング検査をふやすことが有効と考えます。都の見解を伺います。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 昨年十二月から開始いたしました健康安全研究センターにおけるスクリーニング検査では、センターでのPCR検査で陽性となった検体を全てスクリーニング検査の対象としております。
 さらなる検査規模の拡大のため、保健所に対し、健康安全研究センターへの検体搬入に引き続き協力を求め、監視体制のさらなる強化を図ってまいります。

○藤田委員 健康安全研究センターへの検体搬入に対する協力を求めていくということです。
 既に健安研では、陽性となった全てを対象にスクリーニング検査が実施されているということですから、もっと検査を多くするためには、検体そのものが多く集まる必要があると思います。また、引き続き都としても、医療機関や民間検査機関へも協力を求めるよう要望いたします。
 今後、行政検査として変異株のスクリーニング検査が広がることも想定し、プール式も含め、健安研の検査能力を上げていくべきだと思いますが、いかがですか。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 健康安全研究センターは、通常のPCR検査や変異株のPCR検査を行うだけではなく、国に先んじて変異株の有無を確認する検査方法を開発してきたことなど、重要な役割を担っております。
 変異株のスクリーニング検査の規模拡大につきましては、健康安全研究センターだけではなく、民間検査機関の活用を行い、監視体制のさらなる強化を図ってまいります。

○藤田委員 健康安全研究センターが重要な役割を担っているという認識は大切なのですが、であるならば、その能力を上げることは、新たな開発にも貢献できるものになります。健康安全研究センターの検査能力を積極的に上げていただきたいと思います。
 繁華街、特定の地域等でのモニタリング検査についても、都の検査能力を使って変異株のスクリーニング検査が行えるようにすべきですが、いかがですか。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 感染拡大の予兆の早期探知のためのモニタリング検査は、緊急事態宣言が解除された地域等におきまして感染状況をモニタリングするため、繁華街や駅等、比較的リスクの高い場所を中心に、国が実施するものでございます。

○藤田委員 国の事業では、どの程度検査数をふやしていけるのかは明らかではありません。また、せっかく検査するのですから、コロナ陽性が確認された場合には、変異株のスクリーニング検査についても実施していけることが望ましいと考えます。
 ぜひ、モニタリング検査と変異株のスクリーニング検査が実施できるような仕組みとしていただくことを要望いたします。
 次に、後遺症について質問します。
 東京iCDC専門家ボードの大曲貴夫医師は、公表した後遺症に関する疫学調査によると、二カ月で四八%、四カ月たっても二七%の患者で、何らかの後遺症を認めるとしています。
 特に、呼吸困難、倦怠感、嗅覚障害は、四カ月たっても約一〇%の患者で認められました。さらに二四%の患者で脱毛があり、調査の時点で改善していないと答えた患者は六四%に上ったとしています。
 新型コロナ感染症は、重症化する方の割合は高齢者が多く占めていましたが、後遺症については、若い世代でも高い割合で認められていました。
 新型コロナウイルスに感染した患者の後遺症の深刻な実態について、どのように認識していますか。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の後遺症の実態は現段階では明確になっておらず、まずは、その現状を把握する必要がありますため、東京iCDCの専門家ボードにおいて調査に取り組んでまいりました。
 その調査結果によりますと、多様な症状が月単位で長引き、発症から四カ月経過した後にも後遺症を有する方が一定数いることや、若い方にも臭覚障害や味覚障害などの後遺症に苦しんでいる方がいることなどが明らかになっております。

○藤田委員 こうした後遺症について、適切に相談や診療を受けられるようにしていくべきではありませんか。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の後遺症の実態は現段階では明らかになっておらず、また確立された治療法もないことから、まずは、その現状を把握する必要がございます。
 こうした状況下において、新型コロナの後遺症の相談窓口の設置の取り組みが始まっております。
 今後、こうした取り組みにより、実態把握を進め、後遺症に悩む方への対策を検討してまいります。

○藤田委員 新型コロナウイルス感染症の後遺症への対応を検討するに当たって、これまでに感染した方が検査を受けられず感染者とされていない方がいらっしゃいます。
 そうした方の中にも、後遺症に苦しんでいる方はいると考えられることを考慮すべきではありませんか。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都は、東京iCDCの専門家らとの意見交換を通じまして、PCR検査を受けていない方やPCR検査で陽性が出なかった方の中にも、新型コロナウイルス感染症による後遺症を訴える方がいるということは承知しております。
 こうしたことも踏まえて、実態の把握を進めてまいります。

○藤田委員 PCR検査を受けていない方の中にも、後遺症を訴える方がいるということを踏まえるのは大事だと、重要だと思います。そうした方が取り残されることなく支援が行われるよう要望いたします。
 コロナ対策では、最後に、自宅療養者への支援について伺います。
 十一月から年始にかけて感染した方が急拡大し、一日に二千人以上の新規陽性者が発生した際には、入院も宿泊療養にも速やかに措置することができず、やむを得ず自宅療養する方が多数発生いたしました。中には、自宅で急変して亡くなるという痛ましい事態も起きてしまいました。
 東京iCDC専門家ボードからは、自宅療養者の容体急変時の対応などフォローアップ体制の強化が提言されています。どのように具体化していくのか伺います。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都は、昨年九月にLINEを活用した健康観察を、十一月には二十四時間対応の医療相談を多摩地域の都保健所の管内でそれぞれ開始し、本年一月には、この取り組みを都内全域に拡大をいたしました。
 また、自宅療養者の容体の変化に対する不安に対応するため、本年一月よりパルスオキシメーターを保健所設置区市に約七千二百台配布するとともに、都の自宅療養者フォローアップセンターにおきましても、これを活用した健康観察を開始いたしました。
 自宅療養者の容体急変時の対応につきましては、三月十二日に東京iCDC専門家ボードから出された提言も踏まえ、現在検討を進めております。

○藤田委員 フォローアップセンターを立ち上げ、その取り組み、地域を拡大したことは重要です。こうした体制をつくってきたのは、都民の命を守るためであり、あわせて、自宅療養者の健康観察を担う保健所の負担軽減という目的と感染症の蔓延防止のためであると認識しています。
 変異株の増加など、第四波へのさらなる備えが必要です。東京都医師会は、新型コロナウイルスに感染した自宅療養者に対し、地域の医療関係者が往診を行うなどして支援する仕組みをつくっていこうとしています。
 東京都としても、こうした仕組みづくりを推進し、取り組む医療機関、医療従事者に対する支援も行っていくべきと考えますが、いかがですか。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都は、本年一月に都内の新規陽性者数が大幅に増加した状況等を踏まえ、今後の感染の再拡大に備えるため、地域の医療機関等との連携も含めて検討を行っております。

○藤田委員 新宿区では、保健所と在宅療養を行う医療機関との連携で、自宅療養者への相談や往診、採血などを行っています。
 私たち共産党都議団が聞き取りを行った在宅医療を行っているクリニックでは、夜間にも電話相談や、場合によっては往診もできる体制を整えていました。自宅療養者へは、病状への対応と不安などの精神的な部分への対応も必要だと述べられていました。しかし、いざ往診を行うとなると、専用の往診器材や防護服、特別な診療記録の方法など、片手間に行うには費用がかかり過ぎることが課題であると話していました。
 在宅医療を行う体制は地域によってさまざまですが、保健所や入院医療機関などとの連携をとっていくためには、体制整備に係る経費などで支援を行うことが必要です。ぜひ、現在検討中の医療機関等との連携については、東京都としても、具体的な支援を構築していただくよう要望いたします。
 緊急事態宣言下においても新規陽性者がふえてきており、警戒が必要です。今までのように、都民や事業者への要請中心ではなく、都として実効性ある対策を早急に行うことが必要です。
 医療機関への財政支援を初め、保健所体制の抜本的強化など課題は多くありますが、これまでの経過から学ぶことは多々あったと思います。再び医療体制が逼迫するようなことがないように、今こそ大規模な検査を実施して、感染を抑え込んでいただきますよう強く求めまして、次の質問に移ります。
 特別障害者手当制度について質問します。
 特別障害者手当制度は、認定されると月に二万七千三百五十円が支給されます。しかし、支給対象となる方でも、制度の利用が進んでいないという問題があります。
 初めに伺いますが、特別障害者手当に関して、都はどのような役割を行っているのですか。

○藤井障害者施策推進部長 特別障害者手当は国制度でございまして、区市が法定受託事務として受給資格の認定及び手当の支給を担っており、町村部に関しましては、東京都が法定受託事務として同様の役割を担っております。
 また、都は支給事務に関しまして、国要綱に基づいて区市等に対する指導監査を実施しております。障害判定に疑義があるとして区市から協議があった場合には、必要な助言を行っているところです。

○藤田委員 東京都は、みずから事務を行っている町村以外は、指導監査や必要な助言を行うことが役割となっているということです。
 それでは、特別障害者手当の意義と対象者について伺います。

○藤井障害者施策推進部長 特別障害者手当は、精神または身体に著しく重度の障害を有する方に手当を支給することによりまして、福祉の増進を図ることを目的としております。
 対象者は、二十歳以上であって、国が定める程度の著しく重度の障害の状態にあるため、日常生活において常時特別の介護を必要とする方となっております。

○藤田委員 目的は、福祉の増進を図ることであり、対象者は、著しく重度の障害があって、常時特別な介護を必要とする方ということです。
 重度の障害、特別な介護というと、限られた方しか対象とならないような印象があるのですが、障害が一つでも対象となりますか。また、身体障害者手帳がなくても対象となるか、ちょっとあわせて伺いたいと思います。

○藤井障害者施策推進部長 特別障害者手当の対象となる障害の程度は政令で定められておりまして、身体障害、知的障害、精神障害の重複は要件とされておりません。
 また、身体障害者手帳の所持は要件とはなっておりません。

○藤田委員 重複障害でなくても、身体障害者手帳がなくても受給される、対象となるということです。こうしたことが、特別障害者手当の対象となる方に、制度についてしっかり伝わる必要があります。
 ある訪問診療を行っている医師からお話を伺いました。その医師は、たまたまリハビリの専門医に制度のことを教えてもらう機会があったので、特別障害者手当の対象者がわかっていました。しかし、自身が往診している方のご家族で制度を知っている人はほとんどおらず、対象となるような重度の障害がある方でも利用していませんでした。
 名称が特別障害者手当ということもあり、東京都では、障害者施策推進部が所管しています。私の地元大田区の窓口も障害福祉課が扱っていましたが、介護保険事業所や医療機関には周知していないと話していました。
 往診の医師から伺ったような要介護の方は、どんなに介護度が重たくても、ふだん利用するのは医療機関か介護保険サービスだけという方が多く、医師やケアマネジャーなどが制度を知らないと、なかなか利用まで結びつかないという状況です。
 特別障害者手当について、要介護の方にも伝わるように、介護支援事業所や医療機関などへも周知ができるようにすべきと思いますが、いかがですか。

○藤井障害者施策推進部長 国は、令和三年三月十二日の厚生労働省障害保健福祉主管課長会議資料におきまして、広報紙やホームページでの周知に限らず、各自治体の組織内での連携や関係機関、団体との連携による周知も有効と考えられることから、例えば、自治体の介護保険に関する窓口などで特別障害者手当制度について紹介し、説明の求めがあれば、特別障害者手当の担当部門に案内していただくなどの取り組みが考えられるとしております。
 都は、区市町村の障害福祉主管課に対しまして、三月十五日に、特別障害者手当制度について関係機関への周知を図るよう通知をしております。

○藤田委員 三月十五日というので、おととい通知をしていただいたということです。今回の国からの資料では、介護保険に関する窓口などという例示もあって、同様の文書を区市町村に通知したということです。
 また、国からの資料にも、都が出した通知にも、本制度の対象となる方に広く周知されることが重要であるので、広報の充実のための取り組みをより一層推進していただくようお願いするという内容も盛り込まれています。
 であるならば、ぜひ医療機関に対しても、制度が周知されるようにしていただきたいと思います。
 先日、厚生労働省の障害保健福祉部企画課に問い合わせを行いました。今回なぜ広報の充実を盛り込んだのか伺うと、厚生労働省への電話での問い合わせで、制度について知りたい、どこの窓口で受け付けているのか教えてほしい、対象となる障害について教えてほしいなどの基本的な情報が不足しているということがよくわかったと話していました。
 同時に、医療機関への周知について確認したところ、今回は、認識からは漏れていたというようなお話でした。主管課長会議は年一回の開催ということで、来年度の資料には掲載していただくように要望いたしましたので、東京都としては、ぜひ独自に周知が進むよう、区市へ指導などしていただくよう求めます。
 最後に、もう一つ、都が特別障害者手当制度の紹介を行っている東京都心身障害者福祉センターのホームページには、対象となる方について、このように記載されています。
 二十歳以上の方で、おおむね身体障害者手帳一、二級程度及び愛の手帳一、二度程度の障害が重複している方、もしくはそれと同等の疾病、精神障害を有する方というものです。
 先ほどの答弁でも、重複していることが要件ではないとしていながらも、東京都の自身のホームページも、重複障害が対象の要件であるかのような誤解を与える表現になっていると思われます。
 こうした表現で記載されている自治体はほかにも複数ありましたので、都としても、誤解を与えないような表現に変えていただくとともに、区市に対しても是正を求めていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

○のがみ委員長 議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十四分休憩

   午後三時十分開議
○のがみ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○森澤委員 まず初めに、刻一刻と変わるコロナの状況、そして国の対応なども変わっていく中で、日々、都民のためにご尽力いただいていること、心より敬意と感謝を申し上げます。
 コロナ対応において、医療提供体制の強化とともに重要な保健所の体制強化について、まずお伺いいたします。
 私たちは、保健所の業務整理、外部委託や外部人材の活用の必要性について、たびたび要望を訴えさせていただいてきております。
 まず、保健所の負担軽減について伺います。
 保健所支援において、可能なものは外部委託やシステム化をするといった対応が必要であると考えますが、取り組み状況についてお伺いをいたします。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 都はこれまで、保健所の業務負担の軽減を図るため、検査業務や夜間入院先医療機関調整業務などの外部委託を進めるとともに、区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業により、保健所設置区市の業務委託経費等を支援してまいりました。
 さらに、保健所が入院や療養の調整等を都に依頼する際の入力の負担を軽減し、情報共有を効率的に行うため、新型コロナウイルス感染症患者入院・宿泊等調整システムを構築し、本年三月から運用を開始いたしました。

○森澤委員 都の保健所、また区市保健所の負担軽減についての取り組みをご答弁いただきました。ぜひ、今後も業務の外部委託や、さらなる効率化を積極的に進めていただきたいと思います。
 感染拡大の抑え込みには積極的疫学調査は不可欠であり、新規陽性者数が年末年始と同様に高まったとしても、積極的疫学調査を縮小することのないように準備を進めていくことも大事であるという視点から伺います。
 新たに活用する積極的疫学調査等を担う会計年度任用職員の数と配置の内訳についてお伺いいたします。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都は、昨年九月以降、積極的疫学調査等の業務を担う保健師や看護師等をトレーサーとして三回にわたって採用いたしました。現在、都保健所や保健所支援拠点等に六十六名を配置しております。
 今般、感染の再拡大防止に向けまして、積極的疫学調査等を強化するため、トレーサーとして新たに保健師や看護師、准看護師、事務職、計四十名の採用に向けた募集を開始いたしました。
 具体的な配置先等につきましては、今後の感染状況や応募状況を踏まえながら調整をしてまいります。

○森澤委員 これにより積極的疫学調査が着実に進められることを願うものですが、実際にお答えいただいたトレーサー班の配置などは、都の直営の保健所、多摩地域などの保健所に配置をされるものだと認識をしております。
 会計年度任用職員を、区部や八王子市、町田市など独自に保健所を設置している地域の積極的疫学調査を行うために送ることは制度上はできないということですけれども、都におけるトレーサー班の配置により、結果として、都から区部への保健所の人的支援が引き続き行われ、区市の保健所での積極的疫学調査がなされることも期待します。
 一方で、今後、都内において積極的疫学調査を幅広く推進するため、区市の保健所も含めてトレーサー班の活用や民間人材活用を強化する必要があると考えますが、見解を伺います。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都はこれまで、各保健所へ職員を派遣して業務支援を行うほか、積極的疫学調査等の業務を担う保健師や看護師等をトレーサーとして採用しております。
 今般、先ほどご答弁させていただいたとおり、新たに四十名を募集いたしまして、都保健所等の体制をさらに強化をしてまいります。
 また、保健所設置区市に対しましては、区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業によりまして、看護師等の雇い上げ経費や業務委託経費等を支援しております。
 来年度は、四月から六月の三カ月間を対象といたしまして、約二十五億円を予算案に計上しており、区市町村実務者連絡会などを通じまして積極的な活用を働きかけてまいります。

○森澤委員 看護師等の雇い上げ経費や業務委託経費等の支援をされるということでした。抑え込みに重要なポイントとなる積極的疫学調査の推進のために、各区市町村がこの事業を活用し、さらなる人材活用を進めるよう働きかけをお願いしたいと思います。
 次に、ワクチン接種について伺います。
 まず、確認です。現在行われている優先接種の医療従事者の対象には、医師や看護師、救急隊員や自衛隊員に加え、消防隊員、薬局の薬剤師等は含まれているのかお伺いをいたします。

○村本新型コロナウイルスワクチン担当部長 優先接種の医療従事者等の範囲には、新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する機会のある医師、看護師、薬局の薬剤師のほか、新型コロナウイルス感染症患者を搬送する救急隊員や、救急隊員と連携して出場する警防要員、自衛隊職員等が含まれております。

○森澤委員 優先接種の医療従事者等の対象に含まれている範囲を確認させていただきました。
 特に優先度の高い対象から順に接種を行うことについては理解されるべきものと認識しておりますが、実際にコロナ患者との直接の接触や対面での対応が業務の中で必須となりがちな救急隊員や警防要員についても、着実に接種がなされるよう進めていただきたいと思います。
 次に、医療従事者優先接種のうち、緊急事態宣言下、十都道府県のうち七府県はコロナ受け入れ病院を優先する方針を明らかにしていましたが、現在の都の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○村本新型コロナウイルスワクチン担当部長 医療従事者等の優先接種に向け、国から第一弾として都に割り当てられましたワクチン供給量は、都内医療従事者の六分の一の約十万人分にすぎないことから、接種施設への配分に当たりましては、ディープフリーザーを設置している基本型接種施設のうち、新型コロナウイルス感染症入院患者を多く受け入れている施設を優先しております。

○森澤委員 都内医療従事者の中でも、特にコロナ患者との直接の接触が多い施設等で従事する職員等については、優先接種されているということを確認させていただきました。
 一方で、本日の報道にもありまして、私も事実を確認させていただいたところ、コロナ患者を重点的に受け入れている都立、公社病院十四カ所の半数で、まだ接種が始まっていないということで、引き続きワクチンの確保に努めていただくとともに、やはり、特にコロナ入院患者を多く受け入れている医療機関の従事者から、優先的に接種がしっかりと行われるよう、柔軟かつきめ細やかな対応、調整を望みます。
 次に、四月以降に開始する高齢者の優先接種と同時に、数多くクラスターが発生している高齢者施設の職員も優先接種の対象とすべきと考えますが、考え方、見解についてお伺いいたします。

○村本新型コロナウイルスワクチン担当部長 今月十二日に厚生労働省が各都道府県宛てに示しました最新の手引では、高齢者施設の従事者における優先順位の特例といたしまして、施設内におけるクラスター対策のより一層の推進のため、区市町村及び施設等の双方の体制が整う場合など一定の要件を満たす高齢者施設におきまして、当該高齢者施設内で、入所者と同じタイミングで従事者の接種を行うことも差し支えないとされております。

○森澤委員 国が、区市町村と施設の双方の体制が整えば、同じタイミングで従事者の接種を行うことも差し支えないと示していることが確認できました。
 高齢者施設において、無症状の陽性者が職員として従事している場合、施設利用者である高齢者に感染が拡大した際には重症化するリスクも大変高いこともあり、職員の皆さんが日々の介護業務に従事する中で、入所者の方々の生命の安全を確保するためにワクチンの優先接種が有効であると考えます。
 施設に勤める職員の方々は、若い世代や一人暮らしの方も少なくなく、日々、仕事以外の時間に日用品や食品を買いに出ることや、飲食店等に出入りすることもあり、入所者のリスク低減のためにも、都内高齢者施設従事者らのワクチン優先接種が進むよう、必要な体制の整備の重要性について、区市町村、また施設等にも周知を行っていただきたいと思います。
 さきの予算特別委員会でも、住民接種、高齢者の優先接種に向けては、区市町村と緊密に連携しながら、ワクチンを適切に配分、接種会場としての都有施設の活用意向に応えるなど、広域的な立場から、都として区市町村をしっかりとサポートするという旨が示されていました。
 私たちからも、日々、国からの通知など、ワクチンの確保状況なども変わっていく中で大変だとは思いますけれども、区市町村のサポートをしっかりしていただくことをお願いし、次の質問に移ります。
 予防的支援東京モデルについてお伺いいたします。
 児童虐待の未然防止の重要性について、私たちも繰り返しその重要性を訴えてきましたけれども、来年度から、予防的支援推進とうきょうモデル事業が始まることに期待をしています。
 虐待が起きた後の事後対応から起きる前の未然防止へと転換するもので、新しい取り組みであり、先日の一般質問では、子供家庭支援センター等の関係職員のスキルアップの必要性について質疑をさせていただきました。
 さらに、中長期的な視点で社会全体の子育てに関する考え方を変えていくような取り組みになると考えており、成果検証を行いながら改善を繰り返し、全都的に広げていくことが重要だと考えます。
 そこで、モデルとなる地域だけでなく、そして、事業終了後だけではなく、随時全ての区市町村と得られた知見などについて共有を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は来年度、区市町村と連携いたしまして、支援が必要な家庭を早期に発見し、継続して予防的な支援を行うモデル事業を開始いたします。
 事業開始後の取り組み状況につきましては、都と区市町村のメンバーで構成いたします東京都児童相談体制等検討会や、区市町村の児童福祉主管課長会等の機会を活用し、適宜情報提供してまいります。

○森澤委員 適宜、区市町村に情報提供をしてくださるということで、この未然防止の取り組みが広がっていくことを期待します。
 また、児相設置の準備や検討を行っている区も、このモデル実施について希望がある場合は、可能性を排除せずご検討いただきたいと申し述べておきます。
 次に、産後鬱がふえています。昨年出産された方から、コロナ禍で親に手伝ってもらうこともできない、出かける機会もほとんどなく家に閉じこもるしかなく、話し相手もおらず、精神的につらいといった声を伺います。
 もちろん、都が助産師によるオンライン相談などに取り組んでいることは重要ですが、子育てのちょっとしたことを雑談する、わかり合うといったコミュニケーションが意外と大事だったりするものです。
 産後鬱、メンタルの悪化を防ぐためにも、感染防止対策をとりながら外出する機会、その場があることは必要だと考えます。
 そういった意味で、子育て広場は乳幼児及びその保護者が身近な地域で交流を行う場であり、大切な役割を果たしています。コロナ禍で外出を自粛せざるを得ない状況が続く中でも、子育て中の保護者が不安を抱えて孤立してしまわないよう、地域の子育て広場を開いておくことは非常に重要だと考えます。
 そこで、子育て広場の運営継続について支援をすべきであると考えますが、どう取り組んでいるのか見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 区市町村では地域に子育て広場を設置し、育児に対する不安解消や親子の孤立化防止を図っておりまして、都はこうした区市町村の取り組みを支援するため、広場の整備費や運営費の補助を行っております。
 また、コロナ禍におきましても、子育て広場を継続的に開催できるよう、国の交付金制度により施設内の消毒を行うなど感染拡大防止に係る経費や、マスクや消毒液等の衛生用品の購入経費等を補助しておりまして、今後とも、子育て広場の運営に取り組む区市町村を支援してまいります。

○森澤委員 今後もどのような状況になろうとも、引き続き感染対策を行った上で運営が行われるよう支援を求めます。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてお伺いいたします。
 在宅子育て支援も含めて、多様な保育サービスの提供は非常に重要だと考えています。一方で、一時預かり施設は、必要な荷物をまとめてそういった施設に連れていくだけでも大変ですし、地域の一時預かりの施設の枠には、あきがない場合も多いと考えます。
 今年度、ベビーシッター利用を待機児童対策の文脈だけでなく、一時預かりへと広げたことは大事なことだと考えます。
 来年度のベビーシッター利用支援事業の一時預かり利用支援について、拡充内容と活用推進に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 都は、ベビーシッター利用支援事業の一時預かり利用支援が保護者にとってより利用しやすい制度となるよう、来年度から、対象児童の年齢、利用時間の上限及び利用可能な時間帯を拡大してまいります。
 具体的には、対象児童をゼロ歳児から二歳児までとしているところを未就学児までにするとともに、一年間の利用時間の上限を九十六時間から百四十四時間に拡大いたします。
 また、利用できる時間帯につきましては、月曜日から土曜日の午前七時から午後十時までとしていたところを、三百六十五日二十四時間利用できるようにいたします。
 さらに、午後十時から午前七時までの夜間、早朝に利用する場合の一時間当たりの補助基準額を千円上乗せし三千五百円といたします。
 こうした内容につきましては、既に区市町村に情報提供しておりまして、引き続き区市町村との協議会等におきまして活用を働きかけてまいります。

○森澤委員 利用可能な時間帯が三百六十五日二十四時間へと拡大したということで、例えば保育所の閉所後、どうしても勤務をしなくてはいけない場合などにも活用できるということと認識します。
 ベビーシッター利用については、来年度、巡回支援やカメラの導入などにより、認定事業者の保育の質の向上などにも取り組むということですので、あわせて多くの区市町村でこの一時預かり利用が進むよう働きかけをお願いしたいと思います。
 次に、児童発達支援センターについてお伺いいたします。
 二〇二〇実行プラン、地域で安心して暮らせる社会の実現に向けた支援の充実を見ると、児童発達支援センターを全区市にて展開する目標に対して、二〇一九年度末現在では二十五区市にとどまっています。
 早期に適切な療育と結びつくことは、児童本人にとってもご家族にとっても有意義であり、人生の選択肢を広げる非常に重要なことだと考えます。
 都としては、児童発達支援センターの設置目標が達成できずにいる理由をどのように捉えているのか、来年度の取り組みとあわせてお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 児童発達支援センターは、地域における障害児支援の中核的施設として幅広い役割を担う必要がございます。
 そういった中で、自治体ごとに事情は異なっておりますが、設備、人員面の課題等があることによりまして、令和三年一月末現在、三十三区市の設置にとどまっております。
 全国的にも設置が進んでいないことから、国は、令和三年度からの第二期障害児福祉計画の基本指針におきまして、児童発達支援センターを各市町村に一カ所以上設置するとの成果目標を引き続き設定することとしております。
 現在、改定中の都の計画におきましても同様の目標とする予定でございまして、未設置地域に整備する際の補助基準額を来年度から上乗せする等により、児童発達支援センターの設置を促進してまいります。

○森澤委員 着実な設置の促進をお願いしたいと思います。
 昨年の決算特別委員会で奥澤高広議員が触れましたが、障害があっても地域で安心して暮らせる社会の実現に向けては、児童自身も、周囲も、幼少期からともに過ごすことを当たり前にするということが重要であり、その意味で、児童発達支援センターの地域連携は重要です。
 来年度はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 都は令和元年度から、児童発達支援センターが障害児やその家族等を支援する理学療法士等の専門職を配置する場合や、障害児を預かる保育所などの職員等に対しまして、障害特性に応じた療育の方法などの研修を実施する場合の支援を行ってまいりました。
 本事業の実施によりまして、保育所等の職員や障害児の保護者が障害特性などについて理解を深めるなど、児童発達支援センターの地域支援の取り組みに寄与いたしております。
 来年度も、障害児やその家族が地域で安心して生活できるよう児童発達支援センターに本事業の活用を促し、地域支援の取り組みを引き続き支援してまいります。

○森澤委員 次に、医療的ケア児が年々ふえていく中で、保健、医療、福祉、子育て、教育等の必要なサービスを総合的に調整し、医療的ケア児等とその家族に対しサービスを紹介するとともに、関係機関と医療的ケア児とその家族をつなぐといった重要な役割を担う医療的ケア児等コーディネーターの存在は、より重要度を増しています。
 都は平成三十年度から、障害児者のサービス利用計画の作成等を担う相談支援専門員等を対象に、医療的ケア児コーディネーター養成研修を実施しています。令和元年度までに、百六十六人が修了したと認識をしています。一方で、ある自治体からは、養成の枠を広げて欲しいといったような声も聞いています。
 今年度の取り組み実績と、オンラインなども活用し、さらに多くのコーディネーターを養成できるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○藤井障害者施策推進部長 医療的ケア児コーディネーター養成研修は、国の要綱に基づき、講義内容やグループディスカッションによる演習などのカリキュラムが定められております。
 令和二年度の研修実施に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を鑑み、国と調整の上、従来の集合形式からオンライン形式に変更し、五十六名を養成したところです。
 来年度も、オンラインの活用を含めた効果的な研修実施方法を検討しまして、医療的ケア児コーディネーターを着実に養成してまいります。

○森澤委員 着実な養成、本当にお願いしたいと思います。
 先ほど枠を広げてほしいという声があるというふうにお伝えしましたけれども、実際に医療的ケア児のご家庭や作業療法士などの方からも、医療的ケア児コーディネーターにまだ会ったことがない、いろいろ相談できればいいんですがというお声を、いろんな地域からいただいているところもあります。養成したコーディネーターが着実に必要な方とつながるよう、地域での活躍の後押しも、ぜひお願いしたいというふうに思います。
 保護者の就労継続、また、インクルーシブな環境で子供が育っていくという中で、保育園で医療的ケア児を受け入れていくことは重要です。
 また、医療的ケア児には、重度な方から動くことができる軽度な方までいらっしゃり、それぞれの状況に合わせた支援は重要です。
 国の医療的ケア児保育支援モデル事業及び都の子供家庭支援区市町村包括補助事業で実施している医療的ケア児支援事業の今年度の活用状況についてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 都は、保育所等における医療的ケア児の受け入れ体制を整備するため、平成二十九年度から国の事業である医療的ケア児保育支援モデル事業を実施するとともに、都の子供家庭支援区市町村包括補助事業におきまして、医療的ケア児支援事業を実施し、区市町村の取り組みを支援しております。
 国の医療的ケア児保育支援モデル事業では、区市町村が看護師等を雇用して保育所等へ派遣する経費や、医療的ケア児の受け入れについて検討する関係者会議を設置する経費等を支援しており、今年度、八区市で実施しております。
 都の医療的ケア児支援事業では、事業者が保育所等に看護師等を配置し、医療的ケア児を受け入れる取り組みを支援しておりまして、今年度、五区市で実施しております。

○森澤委員 来年度、さらに取り組む区市町村、保育所がふえるよう取り組んでいくべきだと考えますが、来年度の都の取り組みについてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 都は来年度から、都の医療的ケア児支援事業につきまして、複数の医療的ケア児を受け入れるために、看護師等を複数配置する場合の補助を拡充いたします。
 また、区市町村との協議会等におきまして、それぞれの自治体が受け入れ対象としている医療的ケアの内容や、先進的な事例等につきまして情報共有を図っており、引き続き医療的ケア児の受け入れが進むよう区市町村に働きかけてまいります。

○森澤委員 拡充内容も大事だと思いますし、そして、先進的な取り組みの事例等を今も情報共有していただいているということなので、しっかりと引き続き進めていただき、積極的に医療的ケア児の受け入れに取り組む保育所、区市町村がふえるよう取り組んでいただきたいと思います。
 次に、ひとり親支援についてお伺いいたします。
 ひとり親世帯の厳しさは増しています。都は本年度、補正予算で児童扶養手当を受給しているひとり親家庭等を対象に、食料品など生活に必要な物品を入手できるようカタログを作成し、区市町村を通じて配布を行っております。
 実際にどのようなものが必要とされたのか、その実績についてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 本事業では、ひとり親家庭のさまざまなニーズに対応するため、米、レトルト食品、缶詰、調味料などの食料品や、洗剤、おむつ、おもちゃなどの生活や育児に必要な物品など合計で十品目、二十四点を用意し、ひとり親家庭はその中から四点を選択することとしております。
 昨年八月から十一月までの実績で申し込みが多かった品目は、米が最も多く全体の三七%、次がレトルト食品で一三・二%となっております。

○森澤委員 お米とレトルト食品が多かったということで、本当に食べ物に困っているという現状がかいま見られます。こういった状況、ニーズを踏まえて、今後の施策に反映していただきたいと切に要望いたします。
 次に、法務省が十二日に公表した未成年時に親の離婚や別居を経験した成人一千人に行った意識調査では、四割強が親の離婚や別居後に生活が苦しくなったと感じていて、ひとり親世帯の多くが貧困に陥っているとされる現実が子供の意識からも明らかになったとしています。
 別居親が支払う養育費については、取り決めは約三割がなかったと答え、取り決めと支払い状況についてわからないという人もそれぞれ四割を超えたということです。
 このように、そもそも養育費の取り決めを行わず離婚する場合も多く、離婚前や離婚時に、養育費の取り決めについての意義や重要性について理解を広げるべく周知するべきだと考えますが、見解を伺います。

○高野少子社会対策部長 都は現在、ひとり親家庭向けのポータルサイトや、離婚前から養育費の意義などについて学ぶ講習会で、養育費の取り決めの重要性や方法等について啓発を行っており、引き続き、養育費の取り決めが適切に行われるよう取り組んでまいります。

○森澤委員 実際には、離婚後ひとり親となってから初めて、養育費の取り決めを行うべきだったと後悔されることなどもあり、また、離婚前に都が行ってくださっているような講習会に足を運べる方というのは限定的だと思いますので、あらゆる形で周知の強化をお願いしたいと思います。
 先ほどの調査では、支払い状況について、きちんと支払われていたのは一六・八%に対し、全く支払われていなかったは一八・九%、次第に支払われなくなったも一四%いたということです。
 都は、養育費が支払われないなどの状況について、養育費の立てかえ保証を実施する区市町村を支援する養育費確保支援事業を今年度から実施していますが、現在の区市町村の取り組み状況と来年度の取り組みについてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 都は今年度から、元配偶者等からの養育費が不払いになった場合に備え、民間保証会社と連携し、養育費の立てかえ保証等を行う区市町村を支援しており、三区市が本事業を活用しております。
 来年度は、この事業を拡充し、養育費の取り決めを行うに当たっての公正証書の作成や、裁判によらない紛争解決手続でございますADRの利用等につきましても、新たに支援の対象に加える予定でございます。

○森澤委員 事業の拡大、大変重要だと思います。取り組む区市町村がふえるよう働きかけをお願いいたします。
 ひとり親家庭に確実に行政支援が届くよう、ひとり親家庭支援センターが行っている事業などについても引き続き周知していくことが必要であり、離婚届の提出、受理の際に、区市町村の窓口でも周知に努めていただけるよう働きかけを行うべきと考えますが、見解を伺います。

○高野少子社会対策部長 都は現在、ひとり親家庭向けのポータルサイトにおいて、ひとり親家庭支援センターを初めとする行政機関や民間団体が行っているさまざまな支援の情報を提供しております。
 また、ひとり親家庭支援センターやポータルサイトを紹介するリーフレットを区市町村等を通じて配布しており、引き続き周知への協力を働きかけてまいります。

○森澤委員 ぜひ、周知への協力の働きかけをお願いしたいと思います。
 経験者に伺いますと、婚姻届や出生届の提出時にはたくさんのパンフレットや周知啓発のリーフレットなどが配られるのに対して、離婚届の提出時には医療や手当についての必要最低限の資料しか渡されず、そこで必要な養育費や面会交流等についての情報は、まだ周知をされていないというような現実があるというふうにも耳にします。
 例えば、区市町村の窓口に離婚届を提出する際にお渡しできるパンフレットの周知徹底をお願いすること、そしてひとり親家庭支援センター「はあと」の存在を知っていただけるようにすること、また、今ポータルサイトのこともありましたけれども、すごく見やすいサイトになっていると思います、シングルママ・シングルパパくらし応援ナビ、このサイトが必要な人に届くよう引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 次に、SNSの自殺相談についてお伺いをいたします。
 コロナ禍で自殺相談は非常に重要になっていますが、ただ話を聞いて終わりというわけにはいきません。相談を受け、何かしらの解決の道筋へと導く必要がありますし、顔の見えないコミュニケーションであるという特性から、一方通行にもなりがちです。
 そのような面で、SNS自殺相談に臨む方々の質の担保や対応力の向上、相談を受ける側の心理的負担の軽減、システムの改善は重要だと考えます。
 自殺相談は、大変重い相談が寄せられることから、相談を受ける側のメンタルヘルスにも注意する必要があると考えます。見解を伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 平成三十年から実施しておりますLINEを活用したSNS自殺相談では、相談の質の向上と自殺相談特有の心理的不安を軽減いたしますため、相談員への助言を行うスーパーバイザーを配置しております。
 また、これまで蓄積した対応事例等をもとにマニュアルを作成し、相談者へのアンケート結果を分析しながら研修を実施するなど、相談員の育成を図っております。
 さらに、今月からは、継続支援が必要な相談者に対しまして、相談が途切れた場合などに相談員からも連絡できるよう、新たな機能を相談システムに追加いたしました。
 こうした取り組みにより、相談事業のさらなる充実を図ってまいります。

○森澤委員 新たな機能が追加されることは非常に重要だと思います。
 また、かねてから指摘をさせていただいておりますが、特に男性は、そもそも相談窓口につながらないという方も多いということから、どうしたらこの窓口につながっていただけるのか、この窓口の周知をどこで行っていけばいいのか、それは学校なのか、駅なのか、コンビニなのか、薬局なのか、SNSなのか、ぜひ検討して実施していただきたいと要望をいたします。
 次に、依存症対策についてお伺いをいたします。
 これまで再犯防止の観点などからも、地域と連携しながらの依存症対策の重要性について質疑をさせていただいております。
 依存症の方々については、医療機関での治療はもちろんのこと、回復に向けて地域で生活をしながら継続的に福祉的支援を受けられるよう体制を構築していく必要があると考えます。
 そこで、依存症対策において、地域での支援がさらに進むよう取り組んでいくべきと考えますが、来年度の取り組みについてお伺いをいたします。

○石黒障害者医療担当部長 都は、都内三カ所の精神保健福祉センターを依存症相談拠点として位置づけ、専門相談や普及啓発等を実施するほか、地域の関係機関との連携を強化するため、医療機関や行政機関、民間団体等で構成する会議を実施しております。
 依存症の方が飲酒や薬物使用等をしない生活を継続するためには、精神保健福祉センター等の専門的な機関からの助言のほか、自助グループ等の民間団体とつながり、同じ問題を抱えた本人同士でミーティング等を行うことも必要でございます。
 令和三年度は、関係行政機関等と民間団体が連携して支援を行っている事例を紹介する事例集を作成し、区市町村等へ情報提供を行うことで、地域での連携の取り組みを促進してまいります。

○森澤委員 地域での連携の取り組みを促進していただけるということでお願いいたします。
 区市町村だけでは支援する人材や活動している団体に限界がある場合もあります。都として、広域的な連携や調整、情報提供に努めつつ、依存症のある方が地域の中で孤立しない、地域に戻っても安定して暮らしていけるよう、地域の側がつながりを持ちやすい場へと変わっていけるような仕組みづくりについても検討をお願いし、最後の質問に移ります。
 動物愛護についてお伺いをいたします。
 動物愛護管理法等の改正によって、本年六月からケージの数値規制やいわゆる八週齢規制が施行されます。この周知、指導、遵守の徹底をまずしっかり進めていっていただきたいところですが、その上で一点懸念があります。
 中小事業者の中には、こうした法改正についていくことができずに廃業したり、業態転換するケースも考えられますが、その場合に動物遺棄が発生する可能性があります。
 こうした状況を生み出さないためにも、法改正の内容について早期に正しい情報を周知するとともに、適正飼養を促す取り組みも強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○高橋健康安全部長 都は、ペットショップ等の事業者に対しまして、事業者がみずから策定した犬猫等健康安全計画を遵守し、販売が困難になった犬猫の終生飼養の確保や適正な飼養管理を行うよう指導いたしますとともに、動物愛護管理法の改正の概要につきまして、今年度、リーフレットや動画の配信により周知しております。
 国は、今月中にも飼養管理にかかわる具体的な遵守基準を定める改正省令等を交付する予定というふうに聞いております。
 省令の改正等を踏まえ、都は来年度、犬猫の販売日齢に関する規制や遵守基準等につきまして、新たに作成するリーフレット等で周知いたしますとともに、動物取扱責任者の研修において詳細に解説してまいります。
 また、重点的な監視が必要な事業者に対しましては、きめ細かな指導を行い、適正飼養、終生飼養の確保を図ってまいります。

○森澤委員 適切な周知ときめ細やかな指導をお願いしたいというふうに思います。
 これは産業労働局の所管になるかもしれませんが、これを機にいわゆる生体販売をやめて、保護犬、保護猫の譲渡を中心に、ペット用品へと業務転換するような事業者がいれば、そういったこともぜひとも後押ししていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

○もり委員 コロナ禍は、さまざまな社会課題をあらわにしました。都民の命と暮らしを守るセーフティーネット施策の最前線である福祉保健局の皆様のご尽力に、心から感謝を申し上げます。
 制度と制度のはざまで困っている方に光を当て、政策にすることが、政治、議会の役割であるとの思いを込め、令和三年度予算について、セーフティーネットの拡充、医療、福祉施策の課題、合理的配慮の推進、障害者雇用、保育、子育て支援について質問をさせていただきます。
 まず初めに、災害時要配慮者対策の推進について伺います。
 コロナ禍において、地域のつながりが持ちづらくなっている中、災害時要配慮者の方の個別計画の策定の必要性は、さらに高まっていると考えます。
 災害時要配慮者対策の推進に関する事業について、来年度予算の内容をお伺いいたします。

○雲田次長 都は、東京都社会福祉協議会や職能団体等と災害福祉広域支援ネットワークを平成二十九年度に構築いたしまして、災害が発生した際は、福祉避難所の設置状況や派遣可能職員を把握した上で、区市町村からの要請に基づき、福祉避難所に要配慮者をケアする専門職を派遣することとしております。
 また、個別計画の策定事務等を担っております区市町村の福祉保健、防災部門担当者等を対象といたしまして、研修を実施しているところでございます。
 来年度、こうしたネットワークの事務局運営費のほか、研修に要する経費を計上しております。

○もり委員 ありがとうございます。
 対面での研修等の開催が難しいコロナ禍において、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○雲田次長 都は、各区市町村の担当者を対象といたしました研修会を毎年開催し、福祉避難所の設置運営訓練や要配慮者への支援を担う人材の育成などの先行事例を紹介しております。
 今年度、新型コロナウイルス感染症の感染状況を勘案いたしまして、書面による開催としており、来年度の実施方法につきましては、今後の感染状況を踏まえまして判断してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 各区市の担当者を対象とした研修会を開催していただき、福祉避難所の設置運営訓練ですとか要配慮者の支援を行う人材育成など、ぜひそういった先行事例を各区にも適宜周知をしていただき、本当に、いざ災害が来たとき、民生委員の方など、名簿を持っていても個別計画を策定しないとなかなか命を守れないという現場の課題を伺っておりますので、一層取り組みの推進をお願いいたします。
 地域における包括的な支援体制構築に向けた実態調査として、来年度、九百九十三万円の予算が計上されておりますが、今年度に比べ予算が半減をしております。
 ダブルケアとともにヤングケアラーの課題も顕著であり、複合的な課題をたらい回しすることなく、包括的な支援体制と相談体制の構築が求められると考えます。
 都のこれまでの検討状況と次年度はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○齋藤企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 お話の実態調査は、ダブルケアやヤングケアラーなどの複合的な支援ニーズに対応する包括的な相談支援体制の構築に向けた課題を抽出するため、地域の資源や連携状況等を把握するとともに、先進的な取り組み事例を調査するものでございます。
 調査は、今年度一年間で実施する予定でございましたが、コロナ禍で地域の見守り等の活動が縮小、休止を余儀なくされている状況を踏まえまして、来年度も引き続き実施することといたしました。
 今年度は、区市町村の地域福祉計画の策定状況や包括的な支援体制の整備状況を調査いたしました。
 来年度は、新型コロナウイルス感染症に対応した地域の相談支援体制の状況や先進事例を調査いたしまして、複合的な課題等に対応する区市町村への支援のあり方を検討してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 都は、それぞれの地域において、地域福祉を進めていくための調査と課題の抽出も行っていただいております。
 今、挙がったダブルケア、ヤングケアラー、またひきこもりの八〇五〇問題など、複合的な課題に対し、局横断的に、取り組みを一層支援していただきたいと要望して、次の質問に移ります。
 生活困窮者の支援について伺います。
 東京都では、コロナ禍が長期化し、生活に困窮する方がふえている現状を鑑みて、昨年末より、ネットカフェ難民、仕事と居住を失った方への緊急措置として、緊急事態宣言下におけるビジネスホテル借り上げ事業を行い、緊急事態宣言の延長を受けて、またその事業についても延長していただいていることを高く評価しております。
 一方で、そもそもネットカフェ難民状態にある方は、日雇いで稼いだお金が、月額で換算すれば家賃相当以上の支払いをしている方も多く、貧困状況から抜け出せない原因ともいわれております。無料低額宿泊所が貧困ビジネスの温床になっているとの指摘もあります。
 昨年四月、国の改正社会福祉法が施行され、劣悪な施設に対する改善命令の制度が創設をされました。都として、生活困窮者が安心して入居できるよう、またコロナ禍における感染対策も重要です。
 無料低額宿泊所の質の担保をどのように行っているのか、都の取り組みをお伺いいたします。

○山口事業調整担当部長 社会福祉法の改正に伴い、都は、利用者の自立を助長する適切な支援環境を確保するため、東京都無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例を制定し、昨年四月から施行しております。
 また、同法改正により、無料低額宿泊所は、昨年四月以降に改めて届け出を行うこととされ、都は、届け出の際に条例で定めた基準に適合しているか確認し、適合していない場合には文書により指導しております。
 さらに、定期的に指導検査を行い、条例で定めた基準に適合しないと認められる場合には、事業者に対して指導を行い、これに従わないときは法に基づく改善命令を行うこととしております。
 また、都は、無料低額宿泊所が新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として行うマスクや消毒液などの衛生用品の購入や、建物、設備の消毒などに要する経費に対して補助しております。
 引き続き、無料低額宿泊所の適正な運営の確保に努めてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 定期的に指導検査を行っていただくということで、ぜひこれからも質の担保をしっかりと行っていただくようお願いをいたします。
 次に、オンライン診療の推進についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症が急激に拡大する中、令和二年四月に、国は、時限的、特例的な対応として、初診からのオンライン診療を認めました。コロナ禍で受診控えもあり、かかりつけ医等によるオンライン診療を推進することが求められると考えます。
 都は、オンライン診療に取り組む医療機関へ、支援として、オンライン医療相談・診療等環境整備補助事業を開始いたしました。
 そこで、令和二年度の本事業の実績をお伺いいたします。

○鈴木医療政策担当部長 都は、オンライン診療に取り組む医療機関を支援するため、パソコン等情報通信機器の初期導入に係る経費の補助事業を、昨年四月、都独自の取り組みとして創設いたしました。
 今年度は、五百三十三の医療機関に対し補助を行いました。

○もり委員 ありがとうございます。
 昨年で五百三十三、都内で約二千五十の施設が実施をしているということで、さらに進むことを願っています。
 オンライン診療は、電話や通信機器を用いて診療を受けることができるものであり、患者の利便性が高いものの、いまだこの制度が十分に活用されていないと考えます。
 オンライン診療に関する都民への情報提供を行うべきと考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。

○鈴木医療政策担当部長 都は、オンラインによる受診が可能な医療機関を都民がご自身で検索できるよう、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」を通じて、医療機関の対応可能な時間帯や予約方法などの情報を提供しております。
 また、オンライン診療を受ける手順などの情報を記載した国のリーフレット等を都のホームページに掲載いたしまして、都民に対して周知をし、オンライン診療を受けやすい環境づくりに取り組んでいるところでございます。

○もり委員 ありがとうございます。
 令和二年度の都の取り組みについて理解いたしました。
 さらにオンライン診療を普及させる必要があると考えますが、来年度の取り組みについてお伺いをいたします。

○鈴木医療政策担当部長 国は、オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会におきまして、医療機関からの実績報告に基づき、実用性や実効性の確保、医療の安全性の観点から、改善のための検証を行っております。
 都は、事業を継続するとともに、こうした国の検討状況を踏まえ、東京都医師会とも連携を図りながら、今後とも、オンライン医療相談、診療等を推進してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 ぜひ本当に、かかりつけ医の先生方の理解と取り組み促進が欠かせないと考えますので、引き続き推進の方、よろしくお願いいたします。
 次に、東京都では、在宅難病患者療養支援の予算を計上し、難病患者に対する支援を行っております。
 都民ファーストの会東京都議団では、日々現場で苦しんでいる方の声を伺ってまいりました。その中で、筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群の当事者のご家族、支援者の皆様の声を伺い、病気の理解が進んでいないため、三百六十五日高熱が続いても、原因不明として二十九年間もの間、病名がつかなかった方もいると切実な現状を伺いました。
 この病気、ナイチンゲールも三十七歳で心臓病で倒れた際に発症し、以後、この病で五十年間も寝たきりであったと聞きます。誰にでも起こり得る深刻な難病でありながら、指定難病ではないため、診療体制が整っておらず、専門外来は全国で十カ所ほどしかないとのことです。
 全国の保健所と難病相談センターに対して行った調査によれば、知っているとの回答は二九%という数字から見ると、この病気について、相談や支援を行うことが困難な保健所及び難病相談・支援センターの割合が非常に高いものと思われます。
 筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群のように、指定難病ではない疾病に苦しんでいる患者やそのご家族が相談できる体制が求められると考えます。都の見解をお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、難病相談・支援センターにおきまして、指定難病に限定することなく難病全般について、保健師や看護師が電話等による相談を行っております。
 保健所等におきましても、医師や保健師が、さまざまな理由で健康に不安を抱える都民の相談に幅広く対応しております。

○もり委員 ありがとうございます。
 都では、指定難病に限定することなく相談に当たっていただいているとご答弁をいただきました。難病相談・支援センター、保健所は、支援の入り口である大変重要な役割だと考えますので、よろしくお願いいたします。
 都内で子供が発症した方は、ずっと謎の高熱が続くも理由がわからないので、仮病として、強く深く傷つき、ご家族も虐待を疑われるなど、適切な支援につながらないことは本当につらい日々であったと思います。
 また、重くだるい虚脱状況が続くため、鬱病だと診断されることもあり、本来必要のない向精神薬の投薬も懸念をされます。
 そういった中で、厚労省が四万人を対象に疫学調査を行い、全国で十万人から三十万人、都の推計でも一万人以上いると推計をされますが、日本では医学部の教科書にも載っていないというようなことで、この疾病を理解する医師も少なく、難病に指定されていないということです。
 また、マイコプラズマやインフルエンザがきっかけで発症する方もいるとのことで、今の見解では、ウイルスが残っていることにより脳が誤作動して体調不良となる、誰にでもかかり得る病気だと伺いました。これは、今回の新型コロナウイルスにおける後遺症にも通じると感じました。
 どんなに体調が悪くても、病院ではどこも悪くないと診断されるため、長期にわたり病名がつかない方も多いと聞きます。
 この筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群に対しての理解促進に取り組むべきであると考えます。都の見解をお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、東京都難病ポータルサイトに、指定難病に限らず、さまざまな疾患の医学的情報を掲載するページを設けまして、その中で筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群についても掲載しております。
 現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構におきまして、当該疾患に対します診療研究ネットワークの構築及び血液診断法の開発についての研究が行われており、今後もこうした研究班の動向を注視してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 都では、難病ポータルサイトに掲載をしていただき、情報提供を行っていただいているとのことで、原因不明の不調と不安を抱える当事者の方が、専門医療機関や支援ネットワークとつながることができるように願います。
 早期に専門家につながることができれば、仕事復帰できる方もいるとのことです。多くの方が支援につながっていない状況があるということですので、都民への一層の理解、啓発が重要だと考えます。
 五月十二日は、慢性疲労症候群世界啓発デーとして、青森県議会では全会一致で疾患に対しての周知に向けた決議が行われ、青森、盛岡、静岡、また大阪では大阪城などで、ライトアップやパネルセミナーが実施されているとのことです。
 五月十二日に東京都としても、都庁をシンボルのブルーでライトアップする等、都民への周知啓発に取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、コロナ禍の合理的配慮の提供について伺います。
 先週末は、二〇二五年デフリンピックを招致する大会が開催され、超党派での大会招致の実現を願うものです。
 また、デフサッカー疑似体験に私も参加してまいりました。実際に耳栓をつけて音のない世界を体験し、伝えることの難しさを体験することで、情報バリアフリーの大切さを実感いたしました。
 特に現在は、コロナ禍において多くの方がマスクを着用していることで、口の動きを読むことができず、コミュニケーションにとても苦労すると伺いました。
 また、コロナに感染した聴覚障害者の方から、宿泊療養時に電話での連絡ができなかったと苦労を伺いました。
 コロナ禍において、視覚障害者の方からは、キャッシュレス等の非接触型サービスがあふれており、アクリル板に頭をぶつけたり、これまでのように目のかわりに手でさわって確認することができずとても苦労するとのことです。
 障害者差別解消条例を制定した東京都として、合理的配慮の推進に取り組むことが求められます。
 コロナ禍において、情報のバリアがより深刻になっている状況に対して、都は普及促進にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 都はこれまで、障害特性や配慮すべき事項をまとめたハンドブックやパンフレットを作成するほか、動画の制作やシンポジウムの開催など、さまざまな普及啓発を実施してまいりました。
 また、ただいまお話がありましたマスクの着用により聴覚障害のある方がコミュニケーションをとりづらくなるなど、障害者にはコロナ禍での過ごしづらさがあるとの声を受けまして、昨年十二月の知事の記者会見におきまして、障害の特性や障害者への理解を深め、配慮をするよう呼びかけを行いました。
 都は今後、障害当事者を初め、行政や企業等の関係機関から成る障害者差別解消支援地域協議会におきまして、コロナ禍での新しい日常も踏まえて、合理的配慮の提供に係る具体的な事例を取りまとめるなど、引き続き普及啓発を図ってまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 ぜひ合理的配慮の行き届いた東京の実現に向けて、引き続きよろしくお願いいたします。
 コロナ禍において、障害の種別によっては重篤化のリスクが高いと懸念され、当事者とご家族もコロナ禍の自粛が長引き、不安の声が聞かれます。
 障害のある方がコロナに罹患した際の障害特性に応じた医療提供体制について、受け入れ体制はどのようになっていますか。都の取り組みについてお伺いをいたします。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都では、患者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合には、診察した医師の判断や患者の症状等を踏まえ、保健所が入院勧告や療養場所の確定を行っております。
 障害のある方の場合、障害の程度や基礎疾患の有無など、個別の状況に応じた対応が必要であることから、個々のケースごとに配慮すべき点などを把握し、かかりつけ医の意見も参考にしながら、入院先や療養施設の調整等を実施しております。
 都立、公社病院を含め、重点的に患者を受け入れる入院重点医療機関等において、障害のある感染症患者の状況を把握した上で、受け入れを行っております。

○もり委員 ありがとうございます。
 障害の程度や基礎疾患に応じて、個別に配慮しながら入院先の確保を行っていただいているとご答弁をいただきました。都立、公社を含めて、入院重点医療機関等において受け入れを行っているとのことで、現場の医療従事者の皆様には改めて感謝を申し上げます。
 環境が変わることで不安になる障害者の方もいるため、介助者の随行を求める声もあります。感染防止策の観点から難しいこともあると思いますが、入院に当たっては、引き続き、当事者とご家族の不安に寄り添った対応をお願いいたします。
 また、都は、住民参加による点検やバリアフリー改修に取り組む区市町村への支援を行っています。
 身体障害者、また高齢者の介助も含め、大人用折り畳みベッドの設置を要望する声が多く寄せられております。
 とうきょうユニバーサルデザインナビで情報の一元化を行っておりますが、東京都としてどのように設置促進に取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○坂本生活福祉部長 都は、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルにおきまして、望ましい整備といたしまして、トイレ内に設置する大型ベッドについて掲載いたしまして、その設置を推進しているところでございます。
 本施設整備マニュアルの内容につきましては、これまでも東京都福祉のまちづくり区市町村連絡会議などを通じまして周知を図っておりまして、引き続き、大型ベッドの整備が進みますよう、こうした会議などの機会を通じ、公共施設などの設置者に対し働きかけを行ってまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 ベビーベッドの設置は大変進んでいるんですけれども、障害者の高齢化、重度化に伴って、やはり大型ベッドを求める声が多く寄せられておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、障害者支援施設等支援力育成派遣事業についてお伺いいたします。
 施設における障害者の高齢化、重度化や、強度行動障害等の課題が顕著である中、東京都では対応力を向上させるため、各施設に専門職を派遣する支援力育成派遣事業の予算が計上されております。
 利用者の特性に応じた専門的な支援スキルの向上が求められておりますが、福祉現場での職員の定着、育成には困難という課題があります。
 東京都では、こうした課題に対し、これまでのモデル事業ではどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 障害者支援施設等におきましては、利用者の高齢、重度化等に対応して、適切に支援していくことが課題となっております。
 このため、都は、平成三十年度から令和二年度までの三年間、モデル事業を実施しまして、先駆的に専門的な支援を行う施設の理学療法士、言語聴覚士、経験豊富な支援員等による支援チームを施設に派遣する取り組みを進めております。
 具体的には、各施設を定期的に訪問し、リハビリや日中活動のメニューの充実、食事介助の指導など、実践的なアドバイスなどを行っております。
 その結果、利用者の特性に応じた専門的な支援スキルの習得や、多職種連携によるチームアプローチ、職員の意識改革などが進み、職員の定着、育成の面でも成果が上がっております。

○もり委員 ありがとうございます。
 大変成果が上がっているということです。都内で多くの施設が抱えている課題だと考えますので、モデル事業の成果を生かし、全都的な取り組みとしていただきたいと考えます。
 今後、この事業を拡大していくために、支援チームをどのように充実させていくのかお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 令和三年度からの本格実施に当たりまして、さらに東京都全体で施設における課題を解決し、支援力を底上げするための仕組みを構築するには、支援チームの充実が重要でございます。
 モデル事業では、支援チームを一法人に事業委託してまいりましたが、令和三年度からは、事業者団体に事業委託をし都内各施設から幅広く専門人材を確保できるようにすることで、支援チーム体制の充実強化を図ってまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 次に、商品開発等業務改善支援モデル事業について伺います。
 障害者就労を推進する上で、多くの障害者の方が工賃のみでは生活できない実態もあり、工賃向上の取り組みはとても重要です。
 新年度、都は、就労継続支援B型事業所を対象として、平均工賃以下の事業所において、モデル事業として工賃アップを目的とした商品開発等業務改善支援モデル事業を開始するとのことで、障害者の方の雇用と生活の安定が期待をされます。
 本事業のターゲットである都平均工賃以下の事業所は、都内にどれぐらいあると把握されているのかお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 令和元年度の工賃実績調査によれば、就労継続支援B型事業所の令和元年度の一カ月当たりの平均工賃は、一万六千百五十四円となっております。
 調査対象となりました八百四十八カ所のうち、平均工賃未満の事業所数は五百六十カ所と、全体の六六%となっております。

○もり委員 ありがとうございます。
 全体の半数以上が対象となっているということで、ぜひ多くの事業所に対しても取り組んでいただきたいと考えます。
 今事業によって、商品開発とともに、障害のある方の特性に応じてその方のできることを伸ばし、仕事の習得につなげる支援員の存在がとても重要であると考えます。
 事業に当たっては、商品開発の視点とともに、経営的目線での業務改善支援が求められると考えますが、どのような専門家を想定されているのかお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 就労継続支援B型事業所の工賃向上における課題といたしまして、利用者の特性に配慮した作業環境の整備や生産性の改善、販路開拓、商品開発等が挙げられます。
 そのため、事業所の課題に応じて、改善までのプロセスを支援できるコンサルティング事業者などを専門家として想定しております。
 こうした専門家と個々の事業所が一体となって課題を検証し、商品開発等のプロセスを通じまして、業務改善に実践的に取り組めるよう支援してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 都庁には、KURUMIRUに都内の就労支援施設のすばらしい作品が多く販売されており、私も友人のプレゼント等に利用させていただいております。
 販路拡大においては、より多くの方に作品の魅力を知っていただきたいと考えます。今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 KURUMIRUでは、商品が一般市場で受け入れられる品質を確保するため、商品の安全性や品質表示などの出品基準を設けております。
 また、流通分野の専門家が各事業所の状況を踏まえた商品企画に関する丁寧なアドバイスを実施し、魅力ある商品づくりを進めております。
 今後は、商品をKURUMIRU以外の販路につなげることが必要であると考えておりまして、事業所の販売方針や生産量、商品特性を踏まえまして、新たな販路とのマッチング、開拓、営業ノウハウの提供などを行い、事業所の販路開拓を支援してまいります。

○もり委員 大変質の高いすてきな作品が多いので、より多くの都民の方に手にとっていただけるよう、一層の販路開拓に向けてもよろしくお願いいたします。
 次に、デジタル技術を活用した重度障害者に対する就労支援事業について伺います。
 こちらは、令和二年第二回定例会、私の一般質問で、重度障害者の方がICTとテレワークにより、東京都から働き方の新しい当たり前を示す遠隔操作が可能な分身ロボット、OriHimeなどを活用し、雇用促進を求め、質疑と要望をさせていただきました。
 今回、コロナ禍においてその必要性はますます高まっていると考え、新年度予算に新事業として予算が計上されたことを高く評価いたします。ぜひ、重度障害者の方が社会参加につながるモデル事業となるよう期待するものです。
 都は、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○藤井障害者施策推進部長 現在、外出が困難な在宅の重度障害者の就労は難しい状況にございます。
 一方、民間では、遠隔操作を行う分身ロボットやパソコンを操作できない障害者の意思伝達システムなどの開発が進んでおります。
 都は来年度、自治体や民間企業における新たな技術を活用した障害者就労の実例などを調査し、デジタル技術を活用したモデル事業の構築を目指し、重度障害者の就労支援に向けた事業スキームを検討する予定でございます。

○もり委員 ありがとうございます。
 さきの定例会でも要望いたしましたが、ぜひ総務局や産業労働局とも連携をしていただきながら、都庁の非常勤職員として採用するなども検討していただき、雇用促進に取り組んでいただきたいと要望いたします。
 コロナ禍において、子育て家庭の孤立が懸念をされる中、昨年の児童虐待数が過去最高となり、地域全体で子供を見守る体制強化が急務です。育児不安や不適切な養育が疑われる家庭へのきめ細やかな相談、助言体制の推進が求められます。
 保育所等における要支援児童等対応推進事業の目的と活用状況についてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 今年度から開始いたしました保育所等における要支援児童等対応推進事業は、保護者にとって身近で日常的に利用する保育所等におきまして、要支援児童等の対応を強化し、児童虐待の未然防止を図ることを目的に、保育士や社会福祉士等の専門性を有する地域連携推進員の配置を促進するもので、一自治体で実施しているものでございます。

○もり委員 ありがとうございます。
 現在実施している自治体の取り組み内容を紹介し、他の自治体にも取り組みを広げていくべきと考えます。来年度の取り組みについてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 今年度、事業を実施している自治体では、自治体内の地域を五つに分け、それぞれの地域に基幹となる保育所を設定し、保育経験の豊富な保育資格を有する職員を地域連携推進員として、基幹となる保育所に配置しているものでございます。
 地域連携推進員は、地域内の他の保育所や小規模保育事業所、認証保育所等を巡回し、発達の気になる子供や育児不安を抱える家庭への対応方法等について、保育士等へ助言などを行うとともに、巡回で得た情報をもとに、地域の子育て家庭を訪問し、保護者の育児の悩み等の相談に応じております。
 こうした取り組みを通じて把握した情報は、必要に応じまして、子供家庭支援センターへ提供するとともに、要保護児童対策地域協議会の個別ケース検討会議に参加し、支援方針や具体的な支援内容の共有を行っております。
 今後、区市町村との協議会等におきまして、実施自治体の取り組み事例を共有し、本事業の活用を働きかけてまいります。

○もり委員 保育経験の豊富な保育資格を有する地域連携推進員の配置により、子育て家庭の育児の悩みや不安に寄り添うことは、虐待等を未然に防ぐ支援体制の強化に資する事業であると期待されます。
 ぜひ、子供家庭支援センターとも連携しながら、要支援児等への支援の体制強化をよろしくお願いいたします。
 最後に、ベビーシッター利用支援事業の安全・安心対策の強化についてお伺いをいたします。
 ベビーシッター利用支援事業は、令和三年度では、待機児童対策の保護者への支援が拡充され、また、これまでゼロ、一、二歳に限られていた一時預かり事業の対象を未就学児まで延長されたことは、コロナ禍で孤独な子育てに困窮しているご家庭の支援とともに、多胎児のご家庭のニーズにも寄り添うものであり、希望する方がより利用しやすい制度となるよう期待され、自治体での事業導入が進むよう、一層の働きかけが求められると考えます。
 一方で、ベビーシッターマッチングサービス大手で、登録による派遣先の子供に対するわいせつ罪で逮捕される等の事件が起こり、ベビーシッター制度を安心してご利用いただくためには、子供を性被害から守るための対策強化が求められます。
 イギリスなど先進国では、DBS、無犯罪証明書といわれる子供や高齢者など弱者にかかわる仕事につく人に無犯罪証明書の発行を義務づけており、性犯罪の再犯率は八四%と高く、一人が三百八十四人に同様の犯罪を繰り返すとした深刻なデータもあります。
 学校や保育所等、見えない場所での犯罪を繰り返さないためにも、都として子供たちを性被害から守るための取り組みの強化が求められます。
 以前、国会の方でも、教育現場に性犯罪歴がないことを示す証明書をできるだけ早く具体化するとの答弁があり、教員免許法の改正が期待をされます。性犯罪歴のある保育士については、国の動きも見据え、子供たちのいる現場に戻ることのないよう、都としての対策強化を求めます。
 我が会派では、さきの定例会でも、子供を性被害から守る安全・安心対策の具体的な取り組みの改善を求めてまいりました。
 我が会派の要望を受け、新規事業として認定事業者による巡回支援とウエブカメラ設置費用の支援により、保護者がベビーシッターをより安心して利用できる環境整備を高く評価いたします。
 そこで、新年度事業のウエブカメラ活用への支援の内容についてお伺いをいたします。

○高野少子社会対策部長 都は来年度から、ベビーシッター利用支援事業の認定事業者が、ウエブカメラを活用してベビーシッターの実際の保育内容を確認し、必要な指導や助言を行えるよう、カメラの購入費や録画した映像をクラウドに保存する費用の補助を開始いたします。
 このウエブカメラは、ベビーシッターが保護者宅への訪問時に持ち込み、保護者もリアルタイムで子供の様子を見ることができるようにするとともに、録画した映像は事故等があった際の確認にも活用できるよう、六カ月以上保存していく予定でございます。

○もり委員 ありがとうございます。
 保護者もリアルタイムで子供の様子が見られるということは大変安心だと考えます。
 また、六カ月以上保存をしていただくということで、ぜひ、こういった事業によって、保護者が安心して利用できるよう、新年度事業の活用に対して、保育の質の向上を推進していただくよう要望し、全ての質問を終わります。ありがとうございます。

○柴崎委員 私からは、東京iCDCについてお伺いしたいと思います。
 まず初めに、来年度予算、これは二億五千万円が計上されておりますが、来年度新たに調査研究を行うというふうにしておりますけれども、どのような取り組みを行うのか、まずお伺いしたいと思います。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 東京iCDCでは、専門家の知見を感染症対策全般に生かせるよう専門家ボードを設置し、疫学・公衆衛生、感染症診療、微生物解析、リスクコミュニケーションなど、幅広い分野の専門家の方々に参画いただき、その知見を生かした取り組みを進めてまいりました。
 来年度は、専門家ボードにおいて、新たに調査研究として感染症に関する調査やデータ分析などにより、専門家の知見を活用した活動を一層展開してまいります。
 こうした取り組みにより、効果的な感染症対策をさらに進めてまいります。

○柴崎委員 小池知事肝いりの施策でもあるわけですから、効果的にこの感染症対策を推進されることを期待するところであります。
 こうした中で、二月二十二日なんですけれども、東京iCDCから緊急提言が初めて出されたわけなんです。なぜこのタイミングで出てきたのでしょうかということが、非常に疑問なんです。
 本来であれば、年末年始の感染拡大期、ここに提言が出されて、そして感染防止に向けて、都民の心を一つにするべきだったと思うんです。この点について、ご見解を伺いたいと思います。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 東京iCDCの専門家ボードからは、最新の科学的知見やエビデンスに基づいて、政策につながる提言をいただくこととしております。
 本年二月二十二日にいただいた専門家ボード座長名の緊急提言は、新規陽性者数の減少速度が低下しており、リバウンドの発生や変異株の広がり、ワクチン接種時期が不透明であることなど懸念されるため、都民に対し、不要不急の外出を控えるなど、現在実施している対策の徹底を改めて呼びかける内容となっております。
 これは、緊急事態措置の期間終了となる予定だった三月七日まで残すところ二週間を切る中で、都に感染防止対策の徹底を促すために出されたものと認識しております。

○柴崎委員 今ご答弁をいただいたわけなんですけれども、やはり緊急提言が出されるタイミングが、どうしても我々とすると感染拡大期であったように思えてならないんですね。ですから、ちょっとタイミングがずれているんじゃないかなと、そんなふうに感じるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この辺、やはりタイミングというか、そういうところも非常に大事だと思いますので、ぜひこの点について、今後の取り組みの中でご検討いただければなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、次にお伺いしたいのは、宣言を延長するか解除するか、大きな判断材料の一つとなるのが東京iCDCからの意見だというふうに小池知事がよく議会の場で述べられているんです。この判断というのは、医療を守る側からも、あるいは経済を守るそちらの側からにとっても、大変重たいものであると思います。
 そこでお伺いしたいのですが、三月七日の日曜日に、政府の有識者である尾身会長や賀来座長が知事室に来られたそうであります。
 知事や理事者はどんなことをお聞きしたのか、まずお伺いしたいと思います。そしてあわせて、ここに同席されました方、他の局の方も含めて、いらっしゃれば教えていただければと思います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 三月七日の面会においては、基本的対処方針等諮問委員会の見解として、モニタリング検査の実施や高齢者施設への対応などの七つの提言についてお話をいただきました。
 同席者は、多羅尾副知事、梶原副知事、総務局長、福祉保健局長及び私のほか、関係職員でございます。

○柴崎委員 今、済みません、関係職員というふうにいわれたんですけど、関係職員の方というのはどなたなのかは、お名前は出せるんであればお伺いしたいんですが。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 関係職員につきましては、福祉保健局ほか関係する部署の職員となっています。(柴崎委員「いえないのね」と呼ぶ)ちょっとあの、詳細については、申しわけございません。

○柴崎委員 いえない方がいらっしゃったんですか。ちょっとその辺はわかりませんけれども、いずれにしても、今ご答弁いただいた中に、担当局長であります健康危機管理担当局長が、出席者の中に入っていなかったんですね。関係職員の方は入っているんですね。
 なぜ、今後の都政の方向性を決める重大局面におきまして、担当局長さんが同席されていなかった、なぜですか、教えていただければと思います。

○吉村福祉保健局長 この七日の会合というのは、お話があったのがたしか金曜日だったと思うんです、副知事の方からいただいて、ご趣旨はというので、コロナに関して、全般に関してざっくばらんな意見交換がしたい、しかも少人数で、かた苦しくないようにやりたいというお話で、人数は絞ってくれというお話だったので、局を代表して私が参加させていただきました。

○柴崎委員 今、局長からご答弁いただいたんですが、であればですよ、であれば、関係職員の方じゃなくて、やはり担当局長が出席するのが筋じゃないですか。極めてですね、今後の都政の方向性を決める大変重大な局面のときですよ。それは、確かに大勢で集まるのはよくないとかいろいろあるかもしれません。
 これは、やはり担当局長さんがいらっしゃるというのが筋じゃないですか。担当局長、どうですか。

○吉村福祉保健局長 あくまでも意見交換というお話でしたので(発言する者あり)済みません、現実にお話のあったのは、既に紙で出ていた七項目のご説明が尾身先生からあって、こういうことをお願いしたいんですという話が尾身先生からありました。
 当然、終わってからみんなで情報共有しておりますので、その辺はそごがないかなと思っていますけど−−はい。

○柴崎委員 もうこのぐらいにしておきますけれども、この重大局面で、三月七日ですよ、しかも尾身会長がお見えになって、そして賀来座長もお見えになってというこの席に、担当局長がいらっしゃらないのはおかしいですよ。担当局長、どうですか。

○初宿健康危機管理担当局長 ただいま吉村局長が申し上げたとおりでございます。

○柴崎委員 きょうのところは、ここまでにしておきますけれども、私としては、どうしてもその点については理解できないところであります。やはり担当されている局長さんが、そこには当然いてしかるべきだと思います。その点については、強くご指摘を申し上げたいと思います。
 いずれにいたしましても、今後解除するかどうかは別にいたしましても、東京iCDCという組織が名ばかりのものではなくて、やはり専門家ボードにせっかくご参画をいただいた先生方、これでは大変失礼なことになってしまいます。
 したがいまして、今後、東京iCDCを発展させていくための対策はどのようにお考えになっているか、そして、どんな権限を持たせていこうとしているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 東京iCDCの専門家ボードでは、来年度、賀来座長のもと八つの専門家分野ごとのチームが整いますので、それぞれの分野の専門家がその知見に基づく活動をさらに充実させてまいります。
 また、引き続き、医療提供体制やゲノム解析などの課題に応じまして、おのおのの専門分野の専門家が検討する体制を構築してまいります。
 東京iCDC専門家ボードの座長は、都の感染症対策に関し、知事及び担当局長に対しまして、助言、提言を行うものとなっておりますので、都はこうした活動を踏まえまして、専門家ボードからの提言を受け、効果的な感染症対策を推進してまいります。

○柴崎委員 今ご答弁いただきました、ぜひその点、お願いしたいと思います。
 専門家ボードの座長から知事や局長に対しまして、やはり的確に、そしてタイムリーにご提言をいただけますよう、そんな環境をぜひつくってもらいたい、こういうふうに思います。
 そして、その提言を受けまして、やはり迅速に対応することが極めて重要だと思いますので、このことを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

○白石委員 私から、生理の貧困について質問させていただきます。
 コロナ禍のもと、女性の貧困や直面する困難が、この社会の中で浮き彫りとなっております。働く場では、多くの非正規雇用の女性が雇用の調整弁とされ、職を失っております。また、家庭内でのDV被害、虐待にさらされている女性も少なくありません。
 もともとあった構造的な問題が、コロナ禍のもとで表面化しているのは明らかだと思います。その一つに、生理の貧困という大切な課題、これも見えてきました。この間も、幾つか質問がされております。
 生理の貧困とは、十分に生理用品や生理に関する教育にアクセスできない状態にあることをいいます。生理のある方にとって、生理用品は生活必需品であり、なくてはならないものです。
 けれど、かえずに我慢している、切り詰めている、支援が必要だという声が世界中で上がっております。日本でも、#みんなの生理という団体の方々が行った調査では、回答した方の二割が金銭的理由で生理用品を買うのに苦労したとアンケートに答えております。
 生理のときは個人差があります。体がだるくなる、腹痛、頭痛がある方も多くいらっしゃいます。それに加えて生理用品を買うという金銭的な負担がのしかかってくると、こういうことです。
 また、買うことができなければ外出もできなくなる、友達と図書館に勉強に行くこともできないなど、自由が制限されるという若者の声も上がっております。
 この生理の貧困の問題について、先日、NHKが報じておりますが、その中でこの団体、#みんなの生理共同代表の谷口歩実さんは、基本的な人権、尊厳にかかわる部分だと。そして、当事者だけに声を上げることを強要してはいけないと、このように話されております。この問題、非常に重要で、取り組むことが必要だと思います。
 そこで伺いたいと思います。生理の貧困の問題に福祉保健局としてはどう取り組むのか、取り組んでいるのか伺います。

○坂本生活福祉部長 新型コロナウイルス感染症の影響などによりまして、経済的に厳しい状況に置かれている方への支援でございますが、都は生活福祉資金の特例貸付への対応や住まいを失った方へのビジネスホテルの提供など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 災害救助用品として備蓄しております生理用品につきましても、買いかえの際、区市町村を通じて民生児童委員に配布するなどの活用を図っているところでございます。

○白石委員 生理用品は女性にとって、避難先でも安心して過ごすためにも欠かせないものの一つです。
 災害救助用物品の中に備蓄されているのは、大切な取り組みだというふうに思います。先ほど答弁ありました。また区市町村へ買いかえの際は配布しているということで、生理用品を無駄にせず、困っている方へ届けることができるのは重要だというふうに思います。
 それでは、災害のための生理用品の備蓄について具体的に質問を進めていきたいというふうに思いますが、災害のための生理用品の備蓄は、いつからどのような経過で始めたのか伺います。

○坂本生活福祉部長 都は、地域防災計画に基づきまして、災害救助用の物品を備蓄しております。
 お話の生理用品につきましては、平成二十七年度災害救助基金運用計画におきまして、新たな対象物品として必要量を購入して備蓄を開始したものでございます。

○白石委員 備蓄は約七十万枚と、このようになっておりますが、どのような根拠でこの数になっているのか伺いたいと思います。

○坂本生活福祉部長 都は、地域防災計画におきまして、災害発生時の避難生活者を最大で二百二十万人と想定いたしまして、都と区市町村で発災後三日間に必要な災害救助用の物品を備蓄しているところでございます。
 生理用品につきましては、平成二十七年度の災害救助基金運用計画におきまして、新たに対象物品として加えましたことから、その時点におけます性別、年齢の人口比などを考慮しまして、約七十万枚程度を必要な備蓄量といたしました。

○白石委員 三日分という考え方をもとに、女性の比率や年齢層を加味して必要枚数を決めていると、こういうことです。
 ただ、私たちが事前にお聞きしたところ、生理用ナプキンは、一番標準的でシンプルなものを一種類用意されていると、こういうことでしたけれども、それでよろしいでしょうか、確認です。

○坂本生活福祉部長 現在、備蓄しているものでございますが、通常、今お話ございましたように、一種類の標準的なものを備蓄しているところでございます。

○白石委員 今ご答弁あったとおり、備蓄では一種類のナプキンということです。
 この一種類しか備蓄していないということについて、どういうふうに考えるのか、どういうふうに思うかということで、何人かの方から意見をお聞きいたしました。
 日ごろ使っているサイズのものや、ナプキンのサイドに羽根がついている羽根つきなのか羽根なしなのかで選ぶことができればありがたい、当たり前のことだと、このようにも話しております。
 今後の検討課題として、ぜひともこういう声、一種類ではなくて、羽根つき羽根なし、それぐらいは、ぜひとも備蓄で、種類をふやしてほしいというふうな声があったんですけれども、この点についていかがでしょうか。

○坂本生活福祉部長 私どもでただいま備蓄しているものでございますが、あくまで発災時におきます、避難所におきます当面の三日間のものでございまして、三日後につきましては、区市を含めて調達するような計画でございます。
 したがいまして、基本的には今の現状を含めて対処していきたいというふうに考えております。

○白石委員 一種類だということですが、やはりこういうときに、ナプキンのことについても、発災時でもしっかりと安全・安心に避難できたりとか、そういうふうな観点からも非常にこの生理用品、大事だということです、欠かせないものですから。
 女性にとっては、特に夜、就寝時にも不安があります。避難所だとなおさらその不安は大きくなるということでした。夜には夜用の大き目のナプキンがあり、受けとめる面が大きいので睡眠時も安心して眠ることができると、こういうことでした。
 もし避難所に夜用のナプキンがなく、昼用の小さなサイズしかなければ、寝ている間に寝具を汚してしまうかもしれないと。そうなったときに、どうやって洗濯をすることができるのかと不安になると話しておりました。
 避難所であっても夜用のナプキンを使うことは当然のことであり、必要です。必須です。女性の健康を守るためにも、夜用のナプキンは用意していただきたいと強く要望しておきたいというふうに思います。
 次に、更新の状態についてお聞きしたいというふうに思います。
 生理用品の備蓄の更新はどの程度進んでいて、今後の更新予定はどうなっているのか、またその際の入れかえ対象となる生理用品はどうしているのでしょうか。

○坂本生活福祉部長 生理用品でございますが、令和二年四月一日現在で約七十一万五千枚を備蓄しております。
 購入からメーカーの使用推奨期限の五年間を経過しておりますので、今年度、順次買いかえ作業を進めております。買いかえに当たりましては、先ほども申し上げましたが、区市町村を通じまして約二十万一千枚を民生委員に寄附するなど、有効活用を図ってきたところでございます。
 令和三年三月十五日時点での買いかえ前でございますが、現在、約二十七万三千枚となっております。

○白石委員 これまでも約二十万枚を有効活用したことは重要だというふうに思います。しかし、使い切れなかった分もあると、このように聞いてもおります。
 今後入れかえのものが二十七万三千枚あるということでしたが、さらなる活用を図る必要があると思います。学生が、コロナ禍で生理用品が買えずに困っているという声も上がっております。
 学校で無料配布をすることを含めて、東京都の持っている備蓄を生理の貧困問題への対策のためにより広く活用すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○坂本生活福祉部長 今年度の買いかえに当たりましては、区市町村を通じて民生委員等に寄附するなどの有効活用に努めているところでございまして、今後買いかえ予定の物品についても、活用に向けて検討してまいります。

○白石委員 今後買いかえ予定の物品についても、活用に向けて検討していくということでした。五年ごとに買いかえをして、民生児童委員の方に渡して、活用してもらっているということだというふうに思います。
 確かに生理用品にお困りの方の手にも渡っていくのだと思います。そういった取り組みも大事だというふうに思っております。
 ごめんなさい、ちょっと、さっき答弁がよく聞こえなかったんです。もう一度確認なんですけれども、要するに私が質問したのは、東京都の持っている備蓄を生理の貧困問題の対策のために、より広く活用すべきじゃありませんかというふうに質問したんですけど、改めて、もう一回答弁してもらえますか。

○坂本生活福祉部長 備蓄品の活用につきましては、これまでも区市町村を通じて民生児童委員に寄附するなどの有効活用に努めてきたところでございます。
 現在買いかえ予定の物品についても、活用に向けて検討していくところでございます。

○白石委員 ちょっと確認なんですけど、今年度の買いかえに当たっては、例えば区市町村の民生児童委員に対して寄附するとか、そういうふうな有効活用というのは、やられているということでよろしいんでしょうか。

○坂本生活福祉部長 今のご質問でございますが、ことし買いかえ予定でしたものについては、順次買いかえ作業を進めておりまして、その中で二十万枚については、もう既に民生児童委員等に寄附するなどの対応を行っているというところでございます。

○白石委員 ちょっと聞こえにくいんです。もう少しゆっくりと、ごめんなさい、答弁してもらっていいですか。

○坂本生活福祉部長 済みません、マスク越しで聞こえづらかったようで申しわけございません。改めて申し上げます。
 今年度買いかえしております物品につきましては、もう既に民生児童委員などを通じまして、二十万枚は有効活用しているというところでございます。

○白石委員 部長、ありがとうございます。済みません、ちょっと聞こえにくかったもので。五年ごとに買いかえをして、今ご答弁あったとおり、民生児童委員の方に渡して活用してもらっているということでした。
 非常に大事な取り組みだなというふうに思います。ぜひ、学生を対象にもしてほしいなと思っております。
 昨日、私たちの会派の斉藤議員も、文教委員会にて学校における生理の貧困について質問が行われております。
 女子児童や生徒が生理のために学校に登校することをためらったり、困ることがないようにすることが、学習の機会を保障する道につながるとお話をしておりました。
 具体的に、学校のトイレで生理用品を無償配布することはどうか、備蓄用のものを有効活用することも考えられると、このようにも斉藤議員の方も提案をしております。教育庁の担当者は、関係する局の中で何ができるのかを検討しながら、引き続き適切に対応していくと、このように答弁もされております。
 ぜひ福祉保健局としても前向きに、先ほども、民生児童委員のところでも活用しているし、ただ、まだほかにもあるということですので、ぜひとも前向きに検討して実現していただきたいと、このことを要望しまして、この質問は終わりたいと思います。
 次に、児童相談所について伺いたいというふうに思います。
 児童虐待の相談件数は増加が続き、児童福祉司を初めとした児童相談所の職員の方々は、対応のために日夜奮闘をされております。
 また、職員数を急速にふやすことが求められ、経験年数の少ない職員の割合も高くなる中、職員の育成を進めながらふえ続ける児童虐待相談に対応していくことも、あわせて課題となっております。
 体制強化が引き続き大きな課題となっている児童相談所ですが、夜間、土日祝日の対応についても、強化が求められていると思います。
 土日祝日の相談対応の体制は、管理職一名を含めて八名、児童相談センターで対応が行われております。また夜間は、連絡調整員を二名置いているという体制です。連絡調整員には、特に資格要件はないということです。
 通報件数もふえる中、対応には限界があります。緊急に対応してほしいと思って通報しても、例えば、土日祝日だと休み明けに来てくださいという対応になってしまうこともある、また、夜間でも翌朝になってしまうこともあるということです。緊急であれば警察に通報をという対応になることもあります。今、やっぱりこの体制の強化が、本当に求められていると思います。
 そこで伺いたいと思いますが、二十四時間三百六十五日の開所を目指し、児童相談所の夜間、休祝日の体制を強化すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、土日祝日における児童虐待相談に迅速に対応するため、児童相談センターに児童福祉司、児童心理司を輪番で配置し、緊急ケースに対応する通年開所の相談窓口を設置しております。
 また、夜間帯における虐待の通告、相談につきましては、現在、全国共通の児童相談所虐待対応ダイヤル一八九で受け付けているほか、関係機関や相談継続中の方からの緊急連絡は、児童相談センターの夜間休日緊急連絡ダイヤルで受け付けております。
 今後とも、夜間や休日にも児童虐待相談に適切に対応できるよう必要な体制を確保してまいります。

○白石委員 先ほどお話ししたように、迅速な対応が必要な相談に十分対応することは、今の体制では非常に困難であると思います。土日祝日や夜間の体制を強化して、対応できるようにしていく必要があるなと思っております。
 一方で、先ほどお話ししたように、相談件数がどんどん大きくふえ続けている中で、今の児童相談所の現場は、逼迫した状況で仕事をしているのが実態だというふうに思います。夜間も含めて十分な体制をとるためには、職員体制の強化、やはり不可欠だと思います。
 夜間、休祝日の体制強化のためにも、職員数を大幅にふやしていく必要があると思いますが、どう取り組んでいくのでしょうか。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、深刻化する児童虐待に的確に対応するため、児童福祉司、児童心理司の増員を図っておりまして、来年度は五十九名増員する予定でございます。
 今後も国の配置基準等を踏まえまして、必要な児童福祉司等の増員を図ってまいります。

○白石委員 今ご答弁あったとおり、来年度は五十九名ふやしますということは、本当に重要だというふうに思います。
 一方で、事前にもお聞きしましたけど、先ほど答弁でも、国の配置基準等を踏まえというふうにいわれました。実際、事前にお聞きいたしましたが、五十九名を来年度増員しても、例えば児童福祉司、国の配置基準で考えますと五百五十三名が基準として必要だと。それに対して三百八十六人ですね。児童心理司は、国基準二百七十九人に対して百八十七人になるということです。
 引き続き国の配置基準も踏まえて増員を図っていくと、このように答弁されましたので、ぜひとも、引き続き抜本的な増員に努めていきますようにご要望しておきたい、求めておきたいというふうに思います。
 次に、一時保護所について伺います。
 一時保護所は、虐待などが理由で家庭などから保護を必要とする子供が入る施設となっております。
 それまで権利が守られていない状況にあった子供たちが保護される場となりますから、安心できる場所、権利が守られる場所であることが、とりわけ強く求められていると思います。
 しかし、この一時保護所で子供の人権が守られていない実態があるという指摘が、以前からされておりました。
 そして、一昨年に第三者委員の方々−−第三者委員というのは、一時保護所の子供の権利擁護のため、子供からの相談などに対応するために東京都が配置している方々になりますが、この第三者委員の方々から意見書が出されまして、大きく報道もされました。
 この意見書では、私たちが総じて感じたことは、子供の管理に重点が置かれており、子供の声を聞き、子供の自己決定を尊重し、子供に対する権利侵害をできる限り少なくするという視点に欠けていると、このような指摘がされた上で、さまざまな点での改善を求めております。
 こうした意見も受けて、改善が必要だということになって、その一環として、現在、一時保護所運営の手引の改定が進められていると思います。
 この一時保護所運営の手引の改定の経緯と、またポイント、検討状況がどうなっているのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、令和元年度一時保護所第三者委員からいただいた意見書におけます一時保護所の運営が入所児童の管理に重点が置かれ、子供の声を聞くという視点に欠けるとの指摘等を踏まえまして、入所時の髪の黒染めの取りやめや意見箱の設置など支援の改善に着手いたしますとともに、支援改善検討会を立ち上げ、一時保護所における支援のあり方について検討を行ってまいりました。
 この結果等を踏まえまして、昨年度末には暫定的に一時保護所運営の手引の一部を改定し、さらに現在全面的な改定作業を行っているところでございます。
 今回の改定に当たりましては、第三者委員の意見も聞きながら、児童の目線に立って、日常業務のよりきめ細かな対応を盛り込むとともに、職員の活用しやすいよう内容をコンパクトにまとめるなど、構成を含めて見直しを行っておりまして、今月末までに取りまとめる予定でございます。

○白石委員 何よりも子供は権利の主体であるということを踏まえて、その立場に立った改定を行うよう改めて求めておきたいというふうに思います。
 また、施設や職員配置の充実も重要です。これもあわせて求めておきたいというふうに思います。
 その上で、具体的にお聞きしたいことがあります。先ほど、子供の人権が守られていないという指摘が以前からあったと、このように私もお話をさせていただきました。その中に、一時保護所に入る際に裸にして調べられたという子供の声があります。
 現在の一時保護所運営の手引を公文書開示請求で出していただきました。
 その中でも、一時保護所への入所の対応について、学齢の児童については、職員の立ち会いの上で衣類の着がえを行うことが原則である。着がえの際、衣類、下着等の汚れやにおいに注意し、入所前の状況について尋ねるなどする。また、腕、足等への入れ墨、カッター彫りの跡、やけどの跡、虐待の傷跡がないかなども確認する。着がえに際して、児童が一時保護所にふさわしくないものを持ち込もうとする場合もあるので留意する、このように書かれております。
 これが先ほどのような子供たち、子供の訴えに該当する部分だというふうに読んでいても思いました。服を脱いで調べるということは、他の自治体でも問題になったことがあります。
 例えば相模原市では、二〇一五年の夏ごろに、意見箱の記入用紙が一枚なくなったため、入所している学童の女子に服を脱がせて持っていないか調べたということがありました。
 これについて、市のホームページで検証報告書が公表をされております。報告書では、この案件だけでなく、ふだんから入退所時に服を脱ぐのとあわせて、所持品検査を行っていたことも含めて検証し、衣類の着脱を伴う所持品検査は原則実施しないと、こういう対応策が示されております。
 具体的にどうしているのか私たちは市に聞いてみましたが、職員が立ち会って子供に着がえさせること自体行わないようにしたと説明をしておりました。
 そこで伺いたいと思いますが、一時保護所への入所時に、衣服の着脱に合わせて所持品の確認を行うことは、やはりやめるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都の一時保護所では、児童の権利を尊重し擁護することを基本方針としておりまして、入所時における所持品の確認に当たりましては、児童に丁寧な説明を行い、理解を得ることが前提となっております。

○白石委員 同意を得ることが前提ということでありますが、同意なく行ってはならないということはいうまでもないというふうに思います。
 相模原市の報告書を見ますと、所持品の検査は子供に説明をして了解を得た上で行うということになっていたという旨が書かれています。
 しかし、意見を聞いた有識者からは、所持品検査を目的に衣服を着脱させるということは、子供の同意を得たとしても、一時保護所に保護されている子供は検査を拒みづらいという状況を考えますと、子供の同意を得たことを根拠に所持品検査を行うことは肯定できない、子供の権利を侵害しているといわざるを得ないという意見が出されました。
 こうした視点から考えると、着がえることとあわせて所持品を調べるということはやめて、職員の立ち会いの上で衣類の着がえを行うことが原則であるという対応自体を改めるべきだというふうに思います。
 そのことを強く求めまして、児童相談所について、以上で質問を終わりたいというふうに思います。

○鳥居委員 現在、およそ二人に一人が一生のうちにがんと診断されると推計されております。都は、東京都がん対策推進計画第二次改定において、がんで亡くなる方を減らすことを目標に掲げております。
 一方、都においては、高齢化も背景に、昭和五十二年以降、がんは死因の第一位となり、平成二十八年以降、三人に一人ががんで亡くなると推計されております。
 都民の誰もががんにかかる可能性がある中、転移が起こっていない多くのがんについては、九〇%近くの患者様が診断後五年たっても生存しているというデータも示され、かつて不治の病とされていたがんは、現在では、がんになっても克服できるといわれております。そのためには、自覚症状がないうちから定期的にがん検診を受け、早期発見、早期治療につなげることが大切です。
 一方、がん検診は、精密検査が必要と判断された要精検者が精密検査を受診し、治療につながらないとその効果が発揮されません。
 このため、一次検診から精密検査までの精度管理、これが大変重要と考えますが、都の現状と課題について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 がん検診の精度管理におきましては、一次検診で精密検査が必要とされた要精検者の精検受診動向と受診結果を正しく把握することが重要でございます。
 国は、要精検者の受診の有無を把握できていない割合を示す精検未把握率の許容値を一〇%以下としておりますが、都内区市町村における平成三十年度の精検未把握率は、胃部エックス線一九・六%、肺がん三〇・四%、大腸がん二八・七%、子宮頸がん二三・九%、乳がん一三%と国の許容値を超えており、区市町村が受診動向を確実に把握し、要精検者を効果的な受診勧奨、再勧奨につなげていくための支援が必要と考えております。

○鳥居委員 ありがとうございます。
 精度管理においては、要精検者の精検結果の把握、これが重要です。
 要精検者の受診動向の結果把握に向けたこれまでの取り組み、そして今後の取り組みについて伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 これまで都は、区市町村が要精検者の受診動向を把握し、受診勧奨、再勧奨に取り組めるよう、包括補助等により支援してまいりました。
 また、精密検査を受診した医療機関から検査結果が確実に区市町村に報告されますよう、胃がん、大腸がん、肺がんについて精検結果報告書の統一化を図っており、来年度は、乳がんを新たに加える予定でございます。
 さらに、区市町村のがん検診の受診者データと都のがん登録データを照合することで、受診者の正確ながんの罹患状況を把握し、効果検証を行うモデル事業を来年度から実施いたします。
 この取り組みを区市町村や検診実施機関を対象とした説明会などで共有し、がん登録情報の活用や関係機関同士の連携した取り組みを促進することで、検診の質の向上につなげてまいります。

○鳥居委員 精検未把握率の許容値、これを一〇%以下としている中で、今回お示しいただきましたとおり、乳がん、胃部エックス線を初め、特に、子宮頸がん、大腸がん、また肺がんは、二〇%以上を超える高い数値であります。
 精密検査の受診促進により、たとえがんを発症しても早期に治療することで、心身への負担を和らげるとともに、治療法の選択肢がふえ、治る可能性も高まります。
 要精検者の正確な受診結果、これは検診の効果検証や実施体制上の課題を抽出する上で非常に重要です。精密検査の効果検証を行うモデル事業により、数値化されたデータをもとに、ファクトベースで精密検査の重要性が示されることと期待しております。
 要精検者を効果的な受診に導いていただくことは重要です。引き続き、さまざまな角度からの取り組みを要望します。
 次に、東京iCDC関連で一点質問いたします。
 東京iCDCは、感染症対策に特化して新型コロナウイルス感染症を初め、さまざまな感染症に対して対策を一体的に扱う司令塔でありますが、東京iCDCの情報基盤整備により、新型コロナウイルス感染症感染関連のデータ、これを集積、蓄積し、より高度な分析を実施するための予算案が示されております。
 そこで、東京iCDCの活動に資する情報基盤の整備について、この事業の取り組み内容と、そのほかの感染症へも活用が可能になるのかを伺います。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 東京iCDCの専門家ボードが、迅速かつ効果的に新型コロナウイルス感染症に対応していくためには、最新のデータやコロナ対策に有効とされる知見を集約し、そこから導かれる高度な分析を可能とする環境の整備が重要でございます。
 このため、都がこれまで蓄積してきた陽性者数や相談件数、患者情報など、コロナ関連の多くのデータを分析できる情報基盤について、東京iCDCの専門家との意見交換も行うなど、本年十月の本格運用を目指してまいります。
 なお、東京iCDCにつきましては、平時からインテリジェンス機能を強化し、危機発生時には、迅速かつ効果的に対応を図る緊急時オペレーション機能を発揮する役割を担っておりまして、今回整備する基盤も、その活動を支えていくものとして運用してまいります。

○鳥居委員 東京iCDCが常設の司令塔として、今回整備予定の情報基盤、これはその後も東京iCDCの活動を支えていくものとして運用されることを確認いたしました。
 データを一元管理し可視化する取り組み、これは今後の感染症対策を強化していく上でも重要な取り組みと考えております。今後も継続した運用を進めていくよう要望します。
 先月、都は、シン・トセイ戦略を打ち出し、都政の変革の鍵としてデジタルの力を挙げております。
 都は、DXの推進をてことして、制度や仕組みの根本までさかのぼった都政の構造改革、これを強力に推進していくこととしております。
 所管事業が広範にわたる福祉保健局におきましては、デジタル化の推進を積極的に推し進めること、これは将来的に都民や事業者に大きな利益をもたらすものと考えております。
 新規事業であるデジタル技術を活用した社会福祉施設等に対する指導検査の推進、これは福祉保健局がデジタル化の歩みを推進するための取り組みと認識します。本事業を介して成果を残していくことが重要と考えますが、本事業の目的と背景について伺います。

○本多指導監査部長 社会福祉施設等に対する指導検査は、検査員が事業所に赴き、実地において書類確認や職員への聞き取りを行うため、事業者に一定の負担が生じております。
 そのため、本事業は、事業者及び行政双方の負担軽減や利便性向上等を目的とし、民間企業に委託して、指導検査におけるデジタル技術の活用の可能性を探るための調査を主な内容としております。
 調査で得られた成果を踏まえ、今後の指導検査におけるデジタル技術の活用を検討していく予定でございます。

○鳥居委員 所管事業、これが二十九種別と多岐にわたる福祉保健局においては、多様な課題が浮き彫りになってくると想定いたします。
 今回は、まずは報告書として上げ、今後の解析を行い、方策を決めるとされております。この事業に限らず、将来的に都民や事業者のメリットにつながるように、しっかりとアウトカム、いわゆる成果、これを意識した取り組みを進めていただくことを要望し、次に移ります。
 地域医療構想の実現に向けた二〇二五年の東京都看護職員需給推計により、看護職員の不足が見込まれている中、看護職を一層確保していくために、これまでの確保対策である新規養成対策、定着促進対策、復職支援対策、この三本柱に加えて、新たにプラチナナース就業継続支援事業に取り組むと聞いております。
 この事業の目的と具体的な取り組みについて伺います。

○鈴木医療政策担当部長 お話のプラチナナース就業継続支援事業は、看護職員のキャリア継続を支援し、経験豊富な看護職員を確保するため、定年退職前からその後のライフプランを考え、看護職員の潜在化を防止するとともに、定着を促進する事業でございます。
 都は、定年退職前後の看護職員をプラチナナースと称しまして、本事業の対象とするほか、離職中の五十歳代の看護職員や介護施設で働く看護職員も対象にしております。
 来年度は、プラチナナースが退職前からライフプランを検討できるようセミナーを実施するとともに、雇用者の側に対しましても、職場環境改善のためのセミナーを実施することとしております。
 また、職場体験会や就職相談会を開催するなど、プラチナナースが多様な職場で活躍できるよう支援してまいります。

○鳥居委員 定年退職前後の看護職員等の希望によって、長く働いていただける選択肢、これを提供する、いわゆる定着促進対策と復職支援対策、この二つにまたがる取り組みと認識いたします。
 事業の周知を進めて、引き続き、多様な職場での活躍支援の定着を推進していただくことを期待しまして、次に移ります。
 超高齢化社会の進展に伴い、今後、介護ニーズの増加が見込まれる中、サービスを担う介護人材を確保するためには、家賃負担の重い東京の実情を踏まえた住環境の整備など、働きやすい環境づくりに取り組む事業者への支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○村田高齢社会対策部長 都では、住宅費負担の軽減による働きやすい職場環境の確保と災害時における福祉避難所の運営体制の強化を目的としまして、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施しております。
 今年度は、この支援内容につきまして、一事業所当たりの補助の上限戸数を利用定員に応じて最大二十戸まで拡充をしたほか、新規受け付け期間を令和五年度まで延長しております。
 さらに、来年度からは、福祉避難所の指定を受けた施設等の運営事業者が職員宿舎として使用するための施設の整備を支援することで、介護人材の確保、定着を図るとともに、災害時に備えた事業者の取り組みを支援してまいります。

○鳥居委員 介護職員宿舎借り上げ支援に加えて、今回、新たに施設の整備の支援、これを開始し、介護人材の確保や定着、災害時に備えた事業者の取り組みを支援するとされています。
 介護人材の確保に向けて、働きやすい環境づくりに努めていただき、さまざまな角度から支援を進めていただくことを求めて、次に移ります。
 最後に、東京都国民健康保険に関して伺います。
 平成三十年度の国民健康保険制度改革から、もうすぐ三年が経過します。制度の改正に伴って策定した東京都国民健康保険運営方針を、昨年の十二月に初めて改定しました。
 そこで、今回の運営方針改革の考え方と主な変更点について伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 現行の東京都国民健康保険運営方針の対象期間が今年度末で満了することから、これまでの取り組み状況等を踏まえ改定するものでありまして、引き続き、財政運営の安定化を図りつつ、赤字解消、削減、医療費適正化など、財政運営の都道府県化における課題について区市町村と議論を重ねながら、必要な取り組みを着実に実施していくとの観点から、記載の追加、修正を行っております。
 具体的には、区市町村が策定する国保財政健全化計画の公表に関する記載の追加や、区市町村が行う保健事業の適切かつ有効な実施を図るため、都道府県が必要な支援を行うよう努めることが法定化されたことなどに伴う記載の見直し、法改正等を踏まえた高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に関する事項の追加などでございます。

○鳥居委員 ご答弁の中に、財政運営の安定化や赤字削減、解消という言葉がございました。国民皆保険の基盤として重要な役割を果たしている国保制度、これを持続可能なものとしていくことが重要と考えます。
 国保制度は、原則として法定の公費負担と保険料で賄うこととされているわけであり、低所得者や特別な事情のある方には、保険料の軽減や減免などにより配慮しつつも、必要な保険料は適正に賦課徴収し、財政の健全化を図っていく必要があります。
 しかしながら、今般の新型コロナ感染症の感染拡大により、被保険者の生活にさまざまな影響を及ぼしております。
 区市町村が保険料率を引き上げられないこととなると、区市町村の一般会計からの法定外繰り入れを削減、解消していくための国保財政健全化計画、この進捗状況についても影響が出ると思いますが、都としてはどのように考えているのか見解を伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 決算補填等を目的とした法定外繰り入れを行っている区市町村は、国保財政健全化計画を策定し、計画に基づき、計画的、段階的に解消が図られるように取り組んでおります。
 その解消までの予定期間は、被保険者の負担水準に激変が生じないような時間軸を置きつつ、実現可能な削減目標値と具体策を十分に検討して設定しており、区市町村ごとに幅がございます。
 また、計画の実現が困難と見込まれる場合には、区市町村は都と協議の上で計画の変更を行うことも可能となっております。
 都は、区市町村の取り組み状況を把握し、必要な助言を実施するとともに、国に対し、保険者努力支援交付金の算定における評価指標の一つである法定外繰り入れの解消について、新型コロナウイルス感染症の影響を勘案するよう申し入れております。

○鳥居委員 区市町村への必要な助言や国への申し入れなど、今後もしっかりと行っていただきたいと考えます。
 一方で、国保制度を今後も持続可能なものとしていくためには、保険給付費の伸びの抑制、つまり医療費の適正化、これも不可欠です。我々は、これまでもレセプトデータ等の分析に基づき、データヘルスの重要性を訴えてきました。
 今回の運営方針改定に当たり、区市町村が行う保健事業に対する都道府県の支援が努力義務として法定化されたことを踏まえ、見直しを行った旨の答弁がございましたが、本年度より国の保険者努力支援制度が拡充され、各区市町村において、KDBデータを活用したより積極的な事業企画が可能となりました。
 そこで、区市町村においてどのような保健事業が実施されているのか、取り組み状況について伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 区市町村では、生活習慣病の予防対策や健康教育、健康相談、保健指導などの取り組みを実施しております。
 本年度から、国の保険者努力支援交付金が拡充され、区市町村が申請できる上限額が昨年度までの一・五倍となったことを踏まえ、都は、より積極的に保健事業を実施するよう課長会等を通じて働きかけを行うとともに、交付金の基準額を超える等の理由で交付申請しなかった事業のうち、被保険者の健康の保持増進につながるものにつきましては、都繰入金により支援をしております。
 本年度、この国の交付金を活用し、多くの自治体において、糖尿病性腎症重症化予防の取り組みや、特定健診の受診率向上に向けた対策、特定健診の結果を踏まえた医療機関への受診勧奨などが実施されております。

○鳥居委員 区市町村における取り組み状況をお示しいただきました。
 生活習慣病の中でも糖尿病は、重症化すると人工透析や失明などの患者のQOLの低下につながり、医療体制への影響も大きいことから、この重症化予防は重要です。
 そこで、区市町村における糖尿病重症化予防の取り組み状況について伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 区市町村では、平成三十年三月に策定した東京都糖尿病性腎症重症化予防プログラムに基づき、レセプトデータや健診データ等から糖尿病の重症化リスクが高い方を抽出し、地区医師会等の関係機関と連携して、医療機関への受診勧奨や生活習慣の改善につなげるための保健指導を実施しております。
 本年一月現在、受診勧奨は五十五自治体、保健指導は五十四自治体で実施されております。
 都は、区市町村における糖尿病重症化予防の取り組みが進むよう、効果的な受診勧奨の方法など、事業実施上の工夫を報告書にまとめ、情報提供しております。
 また、糖尿病の重症化予防には、区市町村が医療機関と連携して取り組むことが重要であることから、その好事例を自治体職員や医師等を対象とした講演会で紹介しております。

○鳥居委員 各区市町村がKDBデータを分析し、地域の健康課題に合った保健事業を実施していくためには、都が広域的な立場から支援することが重要です。
 我々は、事務事業質疑において、都はKDBデータを活用した健康課題の抽出や課題に応じた保健事業の進め方等について、区市町村に助言する事業を開始したことを確認しましたが、こうした支援をさらに進めていくべきと考えます。
 そこで、区市町村におけるKDBデータを活用した保健事業の促進に向け、今後どのような支援を行っていくのか、都の取り組みを伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 区市町村が効果的に保健事業を実施していくためには、データヘルス計画の評価や見直しを適切に行うことが重要でございます。
 このため、都は今年度から、東京大学及び国保連合会と連携してデータヘルス計画支援事業を開始し、計画策定済みの十二自治体と計画未策定の七自治体の合わせて十九の自治体に支援を行っております。
 計画策定済みの自治体に対しましては、地域の健康課題に対応した事業が設定されているか、目標や評価指標が明確化、効果的に事業を実施できる体制となっているかなどの観点から助言を行いました。
 計画未策定の自治体に対しましては、データ分析による健康課題の抽出方法や目標設定の考え方等について助言し、各自治体では計画の策定を進められていることを確認しております。
 本事業を通じて把握した区市町村の健康課題の実態や事業実施上の工夫等の好事例をほかの自治体への支援に活用してまいります。

○鳥居委員 都は、関係団体と十分な連携を図りながら、区市町村に対する必要な支援を実施し、今後も安定的な制度運営となるように取り組んでいただくことを要望し、質疑を終わります。

○のがみ委員長 議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時三十六分休憩

   午後六時五分開議
○のがみ委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小宮委員 児童相談所の区設置の状況ですけれども、令和二年四月に世田谷区と江戸川区で設置、それから七月に荒川区で児童相談所が設置されております。この三区の運営状況につきましては、現在、全区市町村が参画する東京都の児童相談体制等検討会で共有をしているというふうに伺っております。
 その検討会におきましては、世田谷区の状況として、児童相談所に職務経験があって地域をよく知っている職員が配置をされているため、地域との連携がとりやすいという利点がある。その一方で、児童相談所と子供家庭支援センターがそれぞれ別々に運営をしているということで、役割分担に応じた職員の専門性の向上について課題があるというふうに伺っております。
 また、江戸川区と荒川区におきましては、児童相談所と子供家庭支援センターとを一体的に、これはハードにおいても組織においてもというふうに聞いておりますが、一体的に運営をしているということによって連携が図られる一方で、経験の浅い職員、知識や経験の蓄積、そうした点に課題があるというふうな報告を受けております。
 一時保護所であるとか、児童養護施設等に関しては、東京都とそうした児相を設置した区で広域利用をしておりますが、その状況や課題について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都と区の児童相談所間では、一時保護所や児童養護施設、児童自立支援施設、里親等につきまして、行政区域にかかわらず広域的な利用を行っております。
 こうした広域利用におきましては、一時保護所の入所状況の確認や里親委託の調整等の際に、行政専用のネットワークでございますLGWANの電子掲示板や電子メールなどを活用し、都区間で情報を共有しております。
 また、広域利用を進める中で、児童養護施設等の入所に関する書類の統一や措置費の支払い事務の簡略化等が課題として挙げられており、都と区、児童養護施設等との実務者会議などにおいて、協議をしながら必要な改善を図っているところでございます。

○小宮委員 広域利用において必要な調整等に当たっては、既にある行政専用のネットワークを活用して電子掲示板を作成したりという取り組みをしていると同時に、児童養護施設の方にとっては、今まで東京都に対してのみ、書類であるとか支払いの事務、こういったものが生じておりましたけれども、これが、今度は児童相談所を設置している区からも、そうした事務をしなければならないということで、施設の負担がふえているというふうな声を聞いております。
 今、ご答弁にありましたけれども、請求書などソフト化するというような取り組みもやっていただいているようですが、今後も必要な改善というものを引き続き進めていっていただきたいと要望しておきます。
 先行の三区以外の状況について確認したいと思います。他の区の検討状況についてお示しください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 令和三年度に開設を予定している港区につきましては、昨年十月、国から児童相談所設置市として政令での指定を受け、この四月に児童相談所の開設を予定しております。
 このほか、現在三年度に児童相談所の設置を計画しております中野区、四年度に計画しております板橋区につきましては、設置計画案の確認を行っております。
 その他の区につきましては、計画を公表している区や設置時期を見直す区、設置計画が未定の区、子供家庭支援センターと都の児童相談所の連携を強化する区があるなど、その状況はさまざまでございます。

○小宮委員 港区と中野区と板橋区については、計画が決まったり確認ができているということですが、その他の区に関しては、計画を公表していたり、見直す区であったり、設置が未定の区であったり、子家センとの連携を強化しようというような区があるということで、状況はさまざまだというふうな認識をいたしました。
 区によって検討の状況は、そうしたことでさまざまであるわけですけれども、まだ具体的な検討が進んでいない区もあります。千代田とか、中央とか、杉並とか、目黒、こういったところだと思いますけれども、それに対して、東京都と区の連携のあり方は、今後さまざまな形が考え得るんであろうと思います。
 各区の状況も踏まえて、東京都としてそうした区などと連携強化や体制強化をどう図っていくのか、考えを伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 東京都児童相談体制等検討会では、さまざまな連携方策を検討し取り組みを進めております。
 具体的には、区市町村からの研修派遣の受け入れ数の拡大や合同研修の充実など、人材育成に共同で取り組むほか、練馬区の子供家庭支援センター内に都の児童相談所のサテライトオフィスを設置するモデル事業を実施しております。
 来年度は、二カ所目のサテライトオフィスの設置や、新宿区の施設を借り上げて都の一時保護所として活用するほか、共通で虐待リスクを評価できるアプリを導入するなど、さらなる取り組みを推進いたします。
 今後とも区市町村と緊密に連携しながら、東京全体の児童相談体制を強化してまいります。

○小宮委員 必ずしも全ての区が、それぞれの児相を設置するだけでない方策もいろいろと今進んでいる、検討もされているということです。
 各区の児童相談所の設置に関する方法も考え方もさまざまであるわけですけれども、そもそも区が設置できるようになった、その際には、課題とされたのが人材の確保でした。
 きょうも議論が出ていたと思いますけれども、東京都の配置状況はというと、令和三年度には管轄人口三万人に一人の配置が必要になりますよという国の配置基準がありますが、東京都においては五百五十三人ですね、その基準に照らすとそれだけの人数が必要になると。それに対して、三年度の児童福祉司の定数は三百八十六人ということで、百六十七人の増員がまだまだ必要になってくるということがわかります。
 現状、東京都の児童相談所においては、一人の児童福祉司が担当しているお子さんが百人を超える程度だという話、こうしたことに比べて、先ほどから聞いてまいりましたが、先行の三区に関しては、江戸川区や世田谷区は一人で四十人から五十人程度を担当しているというふうに聞いています。また、荒川区については十一人程度、担当として受け持っている、そんな状況があるというふうに聞いているところです。
 国の配置基準に対して、まだ大幅に不足している東京都として、今後、児童相談所の人材確保に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は来年度、優秀な人材を継続的に確保できるよう児童相談センターに採用活動を担当する専任チームを新たに配置いたします。
 専任チームは、大学や福祉人材の養成機関を訪問し、ゼミナールでの出前講座や児童相談所職員との座談会などを通じまして、児童相談業務の魅力ややりがいを教員や学生に直接伝えるPR活動を実施いたします。
 また、児童相談所の現場で実習生を積極的に受け入れられるよう調整役を担うとともに、実習中の学生のニーズ把握やフォローなどを行ってまいります。
 さらに、採用内定者に対しましては、児童相談所の現場見学や懇談会を企画するなど、合格から実際の就職に至るまで、きめ細かくサポートを行うこととしておりまして、人材確保に向けて、さまざまな取り組みを進めてまいります。

○小宮委員 今までは、来る人を待っていますよというような状況であったと思いますけれども、今後は、アウトリーチをするような形で積極的に人材を確保する、こういう姿勢で臨んでいっていただきたいと思うところですが、令和三年度までに児童福祉司の配置を管轄人口三万人に対して一人とするとか、それから令和六年度までにフォスタリング機関、これを全ての都児相に設置を目指すというふうにしています−−全ての都児相というと十一ですか、今。そうしているわけですけれども、現在、東京都のフォスタリング機関の状況としては、十月に設置した多摩児相でモデル的に事業が始まったばかりということです。
 そもそも、区の児童相談所の設置が、今後、形もさまざまあるということもありますが、進んでいくと、東京都の児童相談所としての管轄も、それから仕事の量も変化をしていくことになると思います。
 今後は、各区の取り組みをともに考えていきながら、東京都の児童相談所の担う役割についても、また枠組みについても−−これ、近い将来的になると思います、検討していく必要があるということを指摘しておきたいと思います。
 さて、コロナ禍で長い自粛生活が強いられている中ですけれども、この影響というのは、特に高齢者にとって後々の要介護度が高まるのではと深刻に受けとめています。
 しかし、四月の緊急事態のときとは異なりまして、コロナへの感染対策で気をつけることも皆さんよくわかってこられております。そうした中で、地域の中では、高齢者の方が気をつけながらできることを再開している、そんな状況があります。みずからの、そして、高齢者お互い同士の健康づくりに皆さん励んでいるという実態もあります。
 中でも大事なのが、介護予防やフレイル予防につながる取り組みとして、国も目標を定めてきた通いの場、この高齢者の参加割合を、二〇二五年までに八%にするということになっているわけですが、まず、この通いの場の定義と東京都における箇所数、それから高齢者人口に対する参加率、また都としてどのような支援を行ってきたのか、まとめて伺います。

○村田高齢社会対策部長 まず、通いの場の定義でございますけれども、通いの場とは、住民が主体となって体操や趣味活動等を行い、介護予防に資すると区市町村が判断するものでございまして、月一回以上の活動実績があるものをいいます。
 都内の通いの場は、令和元年度の区市町村の報告によりますと九千四十四カ所、高齢者人口に対する参加率は六・一%となっております。
 また、これまでの通いの場に対する支援でございますけれども、介護予防、フレイル予防を推進するには、身近な地域の中で高齢者が集い交流しながら、興味や関心、健康状態等に応じて参加できる多様な通いの場をふやすことが必要でございます。
 このため、都は、住民主体の通いの場の拡大や機能強化を担う介護予防・フレイル予防推進員を配置する区市町村を支援しており、今年度は二十六区市町に四十一人が配置されております。
 また、健康長寿医療センターの専門的知見を生かし、多様な通いの場づくりを進める区市町村職員等を対象に、栄養、口腔など、フレイル予防の観点を踏まえた取り組みの定着や、企業等との連携により活動の多様化を図るための研修を実施しているほか、個別の事例に対応した相談支援を行っているところでございます。

○小宮委員 しかし、現在コロナの影響でこうした通いの場は中止を余儀なくされているというところもあれば、先ほど申し上げたように、感染対策をしながら、何とか形を変えて、例えば倍の広さの会場を確保するとか、それから時間を延長することによって参加者数を分けて、密にならないような形で実施するなど、現場ではさまざまな、通いの場においては、工夫や苦労をしながら開催をしているという実態があるわけです。
 東京都としては、コロナへの影響、対策として、通いの場に支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○村田高齢社会対策部長 高齢者が健康的な生活習慣を保つには、適度な運動や十分な栄養摂取とともに人との交流の維持が重要でございます。
 都は、来年度から、感染症対策を講じて集合形式で行う予防活動において、必要な衛生用品の購入経費や、三密を避けグループを小規模化するための会場借り上げ経費などについて、区市町村を通じて補助をいたします。
 また、オンラインツールを活用した非対面での活動を支援するため、参加する高齢者に対するデジタル機器の貸与や操作方法に関するサポートの提供に係る経費などを補助いたします。
 新しい日常においても、高齢者がフレイル予防に取り組めるよう区市町村と連携して支援を強化してまいります。

○小宮委員 みんなで集う通いの場、共助の場、そういったところへの支援も必要ですけれども、一人一人の高齢者に対して要介護状態となることを防ぐ、あるいは要支援や要介護状態になっても、それ以上悪化させないための支援というものが必要です。
 そのため、区市町村には、効果的な介護予防ケアマネジメントというものが求められていまして、特に、介護予防・生活支援サービス事業というものの中の一つなんですが、短期集中予防サービスというのがあります。
 これは生活機能の低下が見られる高齢者に対して、保健や医療の専門家が短期的かつ集中的に関与することによって、生活機能の改善やセルフケアの促進、こういったものにつなげるというサービスです。
 平成二十七年から実施されているこの事業なんですけれども、まず、直近の都内の区市町村における短期集中予防サービスの実施状況について伺います。

○村田高齢社会対策部長 令和元年度の実績では、都内の短期集中予防サービスを実施する区市町村数は三十七となっており、訪問型については二十六自治体、通所型については三十二自治体が実施しております。

○小宮委員 今の話ですと、全区市町村の約六割程度が実施をされていて、どれぐらいの高齢者がこれを受けたんでしょうかと聞きましたら、実績数は令和元年のみとられているということでしたけれども、訪問型は二百二十二人、通所型は千六十五人の方が、この短期集中のサービスを受けられているということでした。
 この短期集中予防サービスを活用した方が、そもそもこの事業のサービスの対象として当てはまる方なのかという判定が難しいという話も伺っていますし、短期集中というだけあって三カ月から六カ月にわたる支援サービスになるんですけれども、そのサービスが終了した後、改善したその状態をみずから継続する環境というのが地域の中にあるのか、そういったことが、今、新たな課題として区市町村からも東京都が伺っている、そういうところであると思っております。
 この生活機能の低下が見られる要支援者等への短期集中予防サービスを、もっとより効果的なものとするために、区市町村の取り組みに対して都の支援が必要と考えますけれども、見解を伺います。

○村田高齢社会対策部長 高齢者が可能な限り自立した生活を継続できるよう、短期集中予防サービスを効果的に活用して、要支援者等の状態を早期に改善するとともに、改善した状態を維持するためのセルフケアの継続的な取り組みが重要でございます。
 このため、都は来年度、短期集中予防サービスに先駆的に取り組む区市町村に対し、有識者を中心としたアドバイザーチームによる個別的な支援を実施いたします。
 具体的には、定期的な訪問や助言等を通じ、短期集中予防サービスに係る事業の立ち上げ、または再構築の支援を行うほか、地域ケア会議や一般介護予防事業など他事業との連携についても支援を行います。
 また、年度末には取り組み報告会を開催し、モデル自治体の成果等に係る情報提供を行うなど、都内区市町村へ取り組みの横展開を図ってまいります。

○小宮委員 高齢者が住みなれた地域で元気で長生きできるように、区市町村への支援や連携を今後も各事業において都として深めていただきますように、よろしくお願い申し上げまして、終わります。

○岡本委員 最後の質問者になりました。岡本こうきです。よろしくお願いします。私、四年目の、この厚生委員会での予算の審議となります。改めてよろしくお願いします。
 まず、コロナ関係です。
 三月九日、予算特別委員会におきまして、伊藤ゆう議員が我が会派を代表しまして、新型コロナのワクチン、変異株、後遺症対策について伺いました。また、子供一人当たり十万円分支給の東京都出産応援事業−コロナに負けない!−についても質問しました。
 そして三月十一日、おじま紘平議員が、積極的疫学調査、保健所のデジタル化、ワクチン、コロナ回復後の転院調整、転院支援、イベルメクチン、海外から入国の水際対策などについて質問をいたしました。
 本日は、本会議や予算特別委員会や、また本日の質疑で取り上げられていない点を中心にお聞きをしたいと思います。
 まず、疑い救急患者の東京ルールについて伺います。
 昨年、発熱や呼吸器症状等の新型コロナウイルス感染症を疑う症状を呈している救急患者の搬送先の選定に時間を要する事例が発生したため、都は、救急患者について、六月三十日から救急患者を円滑に受け入れる仕組みを構築しました。
 そして、この仕組みは、新型コロナ疑いの救急患者を受け入れる新型コロナ疑い救急医療機関及び新型コロナ疑い地域救急医療センターを指定し、速やかに医療機関に搬送するという仕組みになっています。
 そこで、それぞれの指定数を伺うとともに、運用状況について伺います。

○鈴木医療政策担当部長 都は、発熱などの新型コロナウイルス感染症を疑う救急患者を積極的に受け入れる新型コロナ疑い救急医療機関を七十六カ所、必ず受け入れる新型コロナ疑い地域救急医療センターを三十カ所指定しております。
 また、これらの医療機関が円滑に患者を受け入れられるよう院内感染を防止するために必要な資器材への補助を行うほか、地域救急医療センターに対しては、受け入れ調整を行う医師確保のための経費を支援しているところでございます。
 昨年六月の運用開始以降、約千三百人の患者を受け入れておりまして、新型コロナウイルス感染症を疑う救急患者の医療提供体制の確保を進めております。

○岡本委員 積極的に受け入れる機関と、必ず受け入れるセンターを両方設置していただいているということで、必ず受け入れるというところは大変頼もしいと思います。都民の安全・安心のために、ありがとうございます。
 次に、自宅療養について伺います。
 我々の議員提案条例の五条の三の必要な生活物資の供給及び健康管理を行うための体制の整備にも関連するテーマであります。
 まず、必要な生活物資の供給について、自宅療養者へ送付している食料品パッケージの、これまでの事業開始時期及び品目について伺います。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都は、自宅療養をされる方々の生活面を支援するために、食料品の配送を昨年十一月から多摩地域の都保健所管内で開始をいたしまして、本年一月からは保健所設置区市の区域にも拡大をいたしました。
 現在、二十二区及び保健所設置市二市からの依頼を受けまして、自宅療養者への食料品の配送を行っております。
 食料品パッケージの内容は、主食、副菜のほか、栄養補助食や野菜ジュース、飲料水等で、栄養バランスを考慮するとともに、療養者が飽きにくいメニュー構成といたしまして、一週間分をまとめて配送しております。
 また、食物アレルギーを持つ療養者への対応といたしまして、特定原材料を含まない食品をメニューに入れるとともに、食品に含まれますアレルギー物質一覧表を同封し、療養開始時には、フォローアップセンターから食料品のセット内容やアレルギーについて説明を行っております。

○岡本委員 次に、健康管理としまして、自宅療養におけるパルスオキシメーターの現在の確保台数と今後の確保予定台数と、その根拠について伺います。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都は、自宅療養者の容体の変化に対する不安に対応するため、本年一月から酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターを配布することといたしまして、保健所設置区市に対する配布希望調査に基づきまして七千二百台を配布いたしました。
 また、自宅療養者フォローアップセンターにおきましても、パルスオキシメーターを活用した健康観察を開始しております。
 確保台数の考え方でございますが、全ての自宅療養者に対してパルスオキシメーターを貸与できますよう、本年一月の感染拡大期に自宅療養者が九千名を超える日もあったことや、自宅療養者へパルスオキシメーターを貸与してから、療養終了後に回収し、その後消毒を行い、次の療養者へ貸与するまでに約四週間程度を要すること等を踏まえまして、次の感染拡大への備えとして、計約四万台を確保することとしております。
 こうした取り組みによりまして、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に備え、安心して自宅療養できる環境の整備を進めてまいります。

○岡本委員 パルスオキシメーターについては、なかなか入手も困難だというふうに伺っておりますが、しっかりと四万台確保していただけるということで、これも都民の安全・安心につながるというふうに思います。
 食料品の配送を都の保健所管内に限らず全区市に拡大することや、また、都がさらにパルスオキシメーターを確保していくということについて、我が会派は賛同いたします。
 そして我々は、一昨日も述べましたが、議員提案条例の制定によって、中長期的な観点でそうした取り組みを行うことに条例上の法的根拠を与えて積極的に支持し、政策の安定化を図りたいと考えております。
 次に、PCR等の検査について伺います。
 高齢者、障害者施設で働く人に、無症状者も含めて集中的に検査することについて、二月十六日にも質疑をさせていただきました。昨年十一月二十四日の事務事業質疑で我が会派のもり愛議員が質問をし、七月補正予算の区市町村との共同による五十億円の事業は小規模施設や通所施設における検査が対象となっており、九月の補正予算における高齢者、障害者施設等の三十億円の事業は広域的な施設が対象であるということを伺いました。
 これに関連しまして、令和三年度の区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業は、四月から六月末分の三カ月分の予算として二十五億円となっておりますが、各自治体のニーズをどのように予算に反映させたのか伺います。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 令和二年度の区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業では、協力金の支給、PCR検査等に要する経費、保健所の体制強化経費、普及啓発経費等への支援といたしまして、約四十九億円を概算交付しております。
 区市町村からの申請が多かった事項は、PCR検査等に要する経費に五十区市町村から申請があり約三十七億円、保健所の体制強化経費に二十区市から申請があり約七億円を概算交付しております。
 令和三年度の同事業の予算編成に当たり、各区市町村のニーズを把握するために、昨年十二月に区市町村へ意向調査を実施いたしました。区市町村からの回答では、PCR検査等に要する経費と保健所の体制強化経費についてのニーズが高く、また、高齢者や障害者を対象とした訪問系のサービス事業所の職員へのPCR検査費用につきましても、区市町村からの要望を踏まえまして、新たに補助対象としてまいります。

○岡本委員 当初は、歌舞伎町での検査ということもいわれた制度でありますけれど、現在は、重症化リスクの高い高齢者施設への感染対策に重点が移っているということで理解をいたしました。
 七月補正予算では五十億円でしたが、今回は三カ月分で二十五億円ということですので、年間に直すと百億円にもなり得るということで、倍増するものだということを理解いたしました。
 高齢者と若年者で、新型コロナのCOVID-19の死亡リスクが全く異なるということは、この委員会で何度も取り上げてまいりました。
 改めて、第三波における新型コロナウイルス感染症の死者の平均年齢について伺います。また、死者の感染経路について、院内感染と推定される者の割合、高齢者施設での感染と推定される者の割合、感染経路不明者の割合について伺います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 昨年十一月一日から十二月八日までに確認された新型コロナウイルス感染症の死亡者は六十八名であり、その平均年齢は、七十八・一歳であります。
 推定される感染経路は、院内、施設内感染が四三%となっており、そのうち院内感染は三〇%、福祉施設での感染は一三%であります。また、経路不明の者は四八%となっております。

○岡本委員 六月五日や七月二十日の厚生委員会でもお聞きしました。これらを改めて整理いたしますと、死者の平均年齢はおおむね七十九歳や七十八歳ということです。
 第一波におきましては、一月から六月の死亡例として、三百二十五例のうち、医療機関内での感染が推定される方が四三%、高齢者施設での感染が九%というご答弁をいただいておりました。
 今、第三波についてご答弁いただきましたけれど、十二月八日までのデータしか今のところご答弁なかったので、それ以後に死者が非常に急増して、この三カ月の間に千人以上の死者がふえていますので、今のご答弁の内容というのは、あくまで暫定的なものというふうに見なければなりませんけれど、これをもとにしますと、院内感染の割合は、第一波のときの四割に比べれば少し減っていますが、依然として三割近い大きな割合ということになります。そして施設内の感染の割合は、若干増加傾向で一割強だということがいえると思います。
 この院内感染と施設内感染を防ぐことができれば、死亡数の四割を減らせるという可能性があるという意味では、非常に大きなものだというふうにいえます。
 次に、こうした高齢者の死亡と若者の感染との因果関係について議論を深めたいというふうに思います。
 例えば、ちょっとご紹介したいと思いますが、永江一石さんという方が、コロナについてデータに基づいた発信をしています。その中には、若者は高齢者にコロナをうつしているを完全否定するとか、若者が高齢者にコロナを感染させるのは大うそであったことが証明されてきた、二月二十二日といったようなブログを発信しておられます。
 以前、私はこの委員会で、罰則条例が必要であるという議論をする際に取り上げましたコロナはただの風邪とか、コロナ実在は証明されていないとか、そういう人たちと今いった方は全く異質でして、そういうことはちょっと医学的に基づいていない、えせ科学的、えせ医学的な話でしたけれど、この永江さんという方は、ある程度、かなりのデータに基づいて、一定の説得力があるというふうに思われます。
 その中でどういうことを書いておられるかというと、東京都は高齢者と同居している若者は一・八%しかおらず、高齢者は単身世帯が四割以上、介護職の深刻な高齢化が調査で判明し、二十代の職員はわずか一%、五十代以上が七三%を占めるという結果になっている。同居率の低い日本では、若若感染、若者は若者同士で感染する、老人は老人、老老感染に真っ二つに分かれて、この二つはまじり合わない。若者の行動を制限する必要がどこにあるんだ。それから、基礎疾患のある高齢者を守るために、次々と、サービス業、流通、生産者は死んでいき、進学や将来の夢を諦める若者たちがふえ、医療崩壊を防ぐために日本が崩壊していくとか、それから、コロナ死者よりずっと多くの自殺が出ます、次世代を担う人たちが自殺してしまう方がずっと心配といった内容や、日本の過去三十年のデータから、失業者数と自殺増の相関関係から、高齢者が助かるより自殺者数が多いというようなブログを書いておられる。都政に対しても批判的なコメントを多数されています。
 それから、同様の論調として、衆議院議員で弁護士の青山雅幸さんという方も類似の内容を書いておられます。日本中がここまで恐れて社会生活を抑制するのは、幾ら何でも均衡を欠くだろう。日本の状況で、リスクは本来ほとんどない若者の楽しみを奪い、サービス産業に壊滅的打撃を与えるような緊急事態宣言をとる必要はない。これは三月十六日に、昨日書いておられるものですけど、新型コロナで死亡することはほぼ考えられない女性や若い世代の自殺者がふえ続けていることから目を背けてよいのか。懸命に働いて世の中に楽しみを与えてくれる飲食店を初めとするサービス産業や関連産業を軒並み苦境に陥らせる政策を継続するのか。東京都における三世代同居は一・八%なので、若者が幾ら外を飛び回っても高齢者に感染させる機会はない。だから、若者に無駄な自粛をさせるより、高齢者が自粛したり、高齢者施設の従事者に毎日抗原検査をした方が−−PCRよりも安くて簡易だと思いますけど−−毎日抗原検査をした方がよほど医療を守ることには効果的。社会的距離政策は、次の政策をやり尽くしてからだ。医療体制を拡充させること、介護施設、慢性期病院への徹底した検疫。
 こうした発言を多数しておられます。それなりに影響力のある立場の方がこういうことをコメントしておられる。それから、医療体制を逼迫させる重症者に若者は皆無だ。ある程度データに基づいているので、これらの発信や発言も一定の説得力を備えていますし、影響力が非常にあるというふうに思います。
 もともと私自身も、昨年七月二十日の厚生委員会で、その当時の東京都医師会の世代別メッセージ、四十九歳までは経済活動を通常に戻していくというメッセージや、国際政治学者の三浦瑠麗さんや京都大学の藤井聡教授の発言を引用して、若者や働く責任世代については経済を回していくべきだということを私も以前主張しておりました。
 一方、小池知事は、二月二日の記者会見において次のように発表されました。二十代、三十代の皆さんへ、歓送迎会や仕事の打ち上げもなし、会食、飲食なし、カラオケ、ゲームセンターも控えて、追い出しコンパや謝恩会はなし、卒業旅行もなしと。これが、なしなしを連呼したということで、非常に批判的に捉えられ、また、反発の声が見受けられました。
 緊急事態宣言中に飲み会を自粛していただくべきだということは、私も理解しておりますけれど、この若者、二十代、三十代を特に特出しして、このように呼びかけをしたことについては、一定の反発も見られるというところであります。
 そこでお聞きしたいんですけれど、実際に若者から高齢者への感染が起きているのか、その根拠について伺います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 令和二年十二月二十三日に開催された国の新型コロナウイルス感染症対策分科会における専門家の分析では、これまでの感染拡大の特徴として、海外からの輸入感染、会食等による感染、家庭、職場における感染、医療、介護施設関連の感染という順に、ピークが推移していると分析されております。
 今般の感染拡大についても、都のモニタリング会議において、専門家からは、職場、会食等から家庭に感染が持ち込まれている、同居する人からの感染等により高齢者層への感染が続いているといったコメントをいただいております。

○岡本委員 今、ご答弁いただいたんですけど、ちょっと私としては、根拠が十分に示されているとは、まだいいがたいんじゃないかなというふうに思っています。
 若者同士の感染、若若感染や、高齢者同士の高齢感染がそれぞれ起きているだけということを考えたとしても、矛盾はしないように思いました。
 もちろん、若者から高齢者への感染がゼロだというふうには思いませんけれど、少ない、あるいは対策の優先順位としては低いという論理も、成り立ち得るというふうに思われてしまうわけです。
 先ほどご答弁いただきました海外からの輸入、〔1〕輸入、〔2〕会食による感染、〔3〕家庭、職場における感染、それから、〔4〕医療、介護施設という段階的な広がりについて、これはそれぞれについて、〔1〕から〔4〕について因果関係はあるように思われます。あるように思われるんですが、それが高齢者の間で〔1〕から〔4〕に起きていて、若者の間で〔1〕から〔3〕について起きている、それぞれ別々に同時に起きているというふうに考えたとしても、矛盾はしないというふうに思います。そうすると、〔4〕の医療、介護施設に至るのは、若者からではなくて高齢者からではないかといった先ほどの論理も、一応、成り立ち得るわけです。
 それから、これも何度かこの委員会で取り上げていますけれど、昨年四月十八日の日本感染症学会の特別シンポジウムでの厚労省クラスター対策班の東北大学の押谷仁教授の発表では、中高年や高齢者の方が、青少年に比べると、より感染のウイルスを多く出す、ウイルス排出量が多い、なので、高齢者からの感染の方が多いといったデータも示されていました。
 これを前提にすると、家庭内感染も高齢者から若者向きに起きていて、若者、子供から高齢者に行く向きは限定的であるのではないかというふうにも考えられるわけです。
 そうすると、先ほどのように発信をしておられる方からすると、若者の方は、これはもう感染が広がっているのは高齢者が昼カラオケをするからだ、高齢者が悪いんだというふうに思って、他方、高齢者の方は、いやいや小池知事がいうように若者がウイルスを運んでいるんだというふうに思って、お互いに批判と、分断と捉えて、互いに批判してしまうというようなことも起きている嫌いも見受けられます。
 知事がこうした要請をする以上は、ぜひ、福祉保健局として説得力ある根拠を用意していただきたいというふうに思います。説得力が乏しい状態の要請では、もう現状としては共感を生まず、かえって反発を生みかねないというふうに思います。
 要請の仕方としては、若者全般ではなく、例えば、高齢者と同居の若者、高齢者や疾患がある人と接する職業にある若者、そうした高齢者、基礎疾患の方と接する機会の多い若者に限定して要請をするということも考えられます。若者全般にというのであれば、ぜひ説得的な例を示していただきたいというふうに思います。
 先日、都立墨東病院で、二十代の医師、看護師五名が飲み会で感染をしたというニュースがありました。三月十三日付の病院経営本部の発表でありました。医療従事者において、そうした感染が起きたということは極めて残念に思います。
 他方で、こうしたことがニュースになるというのは、既に医療従事者や介護関係の仕事の若者は、もう飲み会に行かないということが、ある程度、社会的に定着していて、定着しているんだけれど、それが緩みつつあるというふうにも考えられます。
 私自身も、緊急事態宣言下において一切飲み会には行っておりません。知事の要請を実直に守っております。ただ、高齢者と接する医療従事者の方や介護関係者の方には、職業の性質上、緊急事態宣言終了後も、引き続き感染リスクの高い行動については、自粛をお願いする必要があるように思います。
 他方、高齢者と何ら接点のない若者については、これ以上自粛継続を要請することはそろそろ限界に来ているんじゃないか。また、過剰な要請に関しては、むしろ弊害があるんではないかというふうに思います。
 次に、飲食店についてですが、上場企業で二十六店の飲食店を経営しているグローバルダイニングが特措法四十五条二項に基づく東京都の時短要請に従わず、それに対する弁明書を公開して現在話題となっています。
 SNS上で多数シェアをされておりますし、また、昨夜もきょうもテレビのニュースに社長が出ておられました。非常にファンも多い社長で、他の飲食店や飲食店利用者にも影響のある方だというふうに思います。
 その弁明書の一部を読みますと、このような内容が書かれています。COVID-19のような弱毒性のウイルスを完全に封じ込めるのは不可能であると考えております。この感染を克服するには感染して免疫を得る、もしくはワクチン接種によって免疫を得ることにより、人口約六割が免疫を持ち、集団免疫を確立するしかないということは自明の理だと考えております。コロナで亡くなられた方々の約八一・五%が七十歳以上の高齢者の方々といわれており、高齢者で一定の基礎疾患をお持ちの方々、重い基礎疾患をお持ちの方々は、リスクが高く感染させてはいけない方々です。これは我々とも共通認識だと思います。
 ハイリスクの方たちを守るためには、ハイリスクの方が住む家庭内での感染を防ぐ必要があります。高齢者世代やハイリスクをお持ちの方と若い世代の分離は、行政のサポートで対応できたのではないでしょうか。また、介護施設内感染やクラスターを防ぐ必要もあります。介護スタッフを徹底して管理、隔離するなどの施策も行政主導でできたのではないかと考えます。これは、今、重点的な検査をやっているところだというふうに思います。
 ハイリスクの方々を守ることができれば、リスクの低い若い世代の方の家庭での感染については、それほど恐れることはありません。同様に当社の顧客もローリスクの年代の方が大半です。必要なはずのハイリスクグループの命を守る具体策を実行せずに、感染を低減、低減といって緊急事態宣言を要請、発出して、経済活動に対して二回にわたりブレーキを踏み、さらに延長するのは、経済を心肺停止状態に近い状態にするのに等しいといわざるを得ません。これを例えれば、指の先が化膿したので腕を肩から切断するような、あり得ない愚策だと思います。
 この例が妥当かどうかはともかくとして、飲食業界の人たちの気持ちとしては、このように捉えているということは、我々も受けとめる必要があるというふうに思います。
 特措法六十三条二には、当該影響を受けた事業者を支援するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を効果的に講ずるものとするとあります。東京都は特措法六十三条の義務違反をしているといわざるを得ません。新型コロナ対策や経済対策制度に大きな不備がある中、民間、特に飲食店を狙い撃ちにした経済的我慢を強いる緊急事態宣言と時間短縮要請については不信しかありません。本弁明書に書き切ることのできない当社の考え、飲食業界の思いは、ほかにもたくさんあります。可能であれば直接ご面談させていただき、ご説明させていただきたいと考えております。
 これを、弁明書を公表している。これに対して、都は面談をすることなく、昨日十六日に命令の事前通知を送り、あす十八日からを対象とする命令を発出すると予告しています。いよいよ罰則に裏づけられた命令が発動されようとしています。
 今述べたとおり、ローリスクの若者の行動制限について、飲食店が納得していないという状況があることを福祉保健局としてもしっかり受けとめていただいて、その上で、先ほど述べたとおり、実際に一般の若者から高齢者への感染が起きているんであれば、そうした感染例をぜひ説得的に示していただきたいというふうに思います。
 国立感染研の八月十三日のクラスター事例集を拝見させていただきました。(発言する者あり)高齢者から高齢者への感染は、この中にたくさんあります。また、若者から若者への感染はあります。しかし、若者から高齢者への感染というのは、この中では示されておりませんでした。ぜひ、福祉保健局において、こうしたクラスター事例集をつくっていただきたいというふうに思います。
 さて、この罰則を伴う命令を都が発動すべきか否かについて、これは総務局の所管事項でありまして、厚生委員会のマターではありませんけれど、しかし、一昨日に答弁した我々の罰則条例案とも関係する話なので、私の見解を述べておきたいと思います。
 質問がなかなかなくて、長く演説しておりますが、発言をお許しいただきたいと思います。
 特措法の四十五条三項は、正当な理由がないのに要請に応じないとき、特に必要があると認めるときに、知事は命令をできるとされておりまして、命令違反には三十万円以下の過料に処するとされています。他方、我々が提案した罰則条例は、事業者が要請に従わない、かつガイドラインを守らない、かつ実際にその店で感染が発生したという、かなり要件を絞った上で過料五万円としていました。
 我々は、憲法上の営業の自由にも十分に配慮して、罰則発動の要件にかなり縛りをかけていました。国が定める要件は、特に必要があるという定めのみで、具体的な内容は不明確で、補償なしにこれを安易に適用するということは、憲法違反にもなりかねないんじゃないかというふうに私は考えています。
 裁判で争われるときには、法律自体は違憲ではないけれど、特に必要があるという解釈を自治体が誤っていないか、適用が違憲でないかということが裁判所で慎重に判断されることになると思います。何がいいたいかというと、我々の罰則条例案は、憲法上の営業の自由も十分配慮し、熟慮に熟慮を重ねたというものでありました。都が現在の状況下でこのような形で命令を発動するとすれば、私としては不本意で遺憾に感じています。
 私は、都民ファーストの会に対して、罰則の中身を理解せずに、罰則案を提案したことのみをもってコロナに対して過剰反応だとか、罰則イコール人権侵害だとか、非常に表面的、表層的なレッテル張りをする意見も見られましたけれど、真相は全く真逆で、むしろきちっとした要件の罰則を設けることが、かえって行動の自由の保障や都民の予見可能性を高めるというふうに考えたわけです。
 具体的かつ限定的な要件を定めることで、行政裁量の幅を明確化して人権保障に資すると、(発言する者あり)これは人権と人権のバランスの、ちょっと難しくてわからないですかね、調整を図ると、(「もうちょっと簡潔にお願いします」と呼ぶ者あり)はい。
 ということで、一昨日述べましたように、この法改正によって罰則条例の議論は決着しまして、現在、現時点では、我々は罰則条例の制定は考えておりません。が、我々の条例案と国の法律とを比較した場合に、我々の案の方が国の法律の内容よりも妥当性を有する面もあったということを法律家としては考えております。むしろすぐれた内容もあったというふうに考えております。(「出し直した方がいいんじゃないの、納得いかないんだったら、罰則規定」と呼ぶ者あり)現時点では決着したというふうに考えておりますけれど、私としてはそう思っていると。(「そのまま続けて」と呼ぶ者あり)はい。
 次に、後遺症について伺いたいと思います。
 今まで死亡リスクについて話をしましたけれど、死亡のことを主に念頭に議論していたわけですが、後遺症が若者自身にも生じるとすれば、また少し捉え方も変わってくると思います。
 そこでお伺いをいたします。新型コロナウイルス感染症の後遺症に関して、都が把握しているデータについて、入院した者における後遺症がある者の割合、陽性者における後遺症がある者の割合及び年代ごとでの後遺症がある者の割合に差があるかについて伺います。

○加倉井東京感染症対策センター担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の後遺症の実態は現段階では明確になっておらず、まずは、その現状を把握する必要があるため、東京iCDCの専門家ボードにおいて調査に取り組んでまいりました。
 東京iCDC専門家ボード大曲先生の報告によりますと、コロナ陽性から回復した元入院患者で調査に協力していただいた六十三名のうち、後遺症を認めた者は七六%となっております。また、同報告によりますと、年齢別の差異は認められず、二十代、三十代でも後遺症を認めている割合は高いものとなっております。
 今後もさらに詳細なオンライン調査を実施するなど、後遺症の実態把握を進めてまいります。

○岡本委員 私は、この七六%という数字を最初に聞いて、えっと非常に驚いた数字でありました。ただ、この七六%の中身をよく見ますと、後遺症の定義が、十四日間を超えて続く咳や倦怠感も対象にしておりまして、ちょっと一般的にいわれる後遺症の定義とは若干違和感があるというふうに感じました。
 それから、入院患者を対象とした数字でありますので、症状がある患者全体で見るとどういう割合になるのか、あるいは陽性者全体のデータで見るとどうなるのかということについても、ぜひ知りたいというふうに思っております。この点は、情報の収集をお願いしたいと思います。
 あと、それから、このデータの資料を拝見して、特に気になるのは、むしろ二十代に味覚障害や嗅覚障害の割合が比較的高いという点は気になりました。それから、脱毛が二四%の患者に見られたという点も非常に気になるものであります。
 このあたりは若者にとっても、捉え方として非常に影響がある点だというふうに思いますので、ぜひ詳しいデータを収集して発表していただきたいというふうに思います。
 三月九日の伊藤議員の質疑でも、また昨日の病院経営本部への質疑でも、都立、公社病院のコロナ後遺症相談窓口の件がありましたけれど、ぜひ、福祉保健局と都立、公社病院でしっかり連携をして情報を収集して、それを都民にわかりやすく発表していただきたいというふうに思います。
 先ほどいろいろとブログ等で、引用しましたけど、自殺者が増加傾向にあるということは大変憂慮すべき事態だというふうに思います。自粛要請が過剰であるならば速やかに要請を終わらせる必要がありますし、また同時に、既に打撃を受けた経済や雇用の状況を踏まえて、自殺対策に力を入れていかなければならないというふうに思います。
 これまでの質疑におきまして、現状認識として、女性や若者の自殺が大きくふえているという懸念や各種の取り組みについて、知事及び局長にご答弁をいただきました。
 そこで、これらも踏まえまして、自殺総合対策の令和三年度予算案について、令和二年度予算との主な増減理由について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 自殺総合対策の推進に関する令和三年度予算案は約四億一千百万円でございまして、本年度の当初予算と比較して約七千九百万円の増額となっております。
 主な増減の内訳は、東京都自殺相談ダイヤルとSNS自殺相談につきまして、本年度から実施しております相談体制の強化を来年度は年間を通じて実施することとしており約四千二百万円の増額、コロナ禍の影響を踏まえ相談事業を拡充する民間団体を対象といたしました支援の規模を拡大することとしておりまして約二千九百万円の増額、ゲートキーパー養成などの啓発資材等の経費で約六百万円の増額となっております。

○岡本委員 ありがとうございます。金額面も含めてご答弁いただきました。
 この自殺対策に関して、一部に二回線しかない中でかなり多くの方がつながらないといった指摘も見られました。ぜひ、電話がつながらない場合に、他の支援先の電話番号をアナウンスするような、そういったこともご検討いただければなというふうに思います。
 では次に、コロナ以外の事業について伺います。
 まず、受動喫煙対策について伺います。
 先日、三月十一日に当委員長ののがみ純子委員が、受動喫煙について質問をなされました。のがみ先生は、その中で、ライフワークとして禁煙教育や受動喫煙防止について、都議会一期生の時代から取り上げてきましたというふうにおっしゃいました。
 まさにそのとおりで、私が都議会議員になるずっと以前から、私自身、議員になるとは夢にも思っていなかったんですけれど、そうした以前から、のがみ先生とは交流をさせていただいておりました。そして、受動喫煙防止のご活動をしてくださっていることに感謝をしておりました。改めてこの場をおかりして、のがみ先生に大変感謝をしているということをお伝え申し上げたいと思います。そして、のがみ先生の三月十一日の質疑も踏まえた上で、さらに追加でお聞きをしたいと思います。
 受動喫煙防止対策の令和三年度予算案について、令和二年度予算との主な増減理由について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 受動喫煙防止対策の推進に関する令和三年度予算案は約六億九千万円でございまして、今年度予算と比較して約十四億七千四百万円の減額となっております。
 主な増減の内訳につきましては、東京都受動喫煙防止条例の全面施行から二年目となりますことから、区市町村が実施する都民や事業への啓発等に対する補助のメニューを再構築し約五億七千百万円の減額、区市町村が地域の実情に応じて設置いたします公衆喫煙所の整備に関する補助につきまして、対象をオリンピック開会までに整備を完了したものとし約五億二千八百万円の減額となっております。

○岡本委員 去る九月三十日の私の一般質問や、十月二十三日の決算特別委員会第二分科会で、私は次のようなことを提言しました。
 近隣住民の反対運動を招いた区の喫煙所設置、喫煙所での新型コロナウイルス感染事例、都税収入、都財政が厳しくなるということを理由に、市区町村の公衆喫煙所への補助に関してはマイナス予算にすべきだということを提言し、質問いたしました。
 先ほどのご答弁で、この点について、対象をオリンピック開会前、すなわち七月二十三日開会式の前日である二十二日までに整備を完了するものに限定したということで、約五億二千八百万円の予算減額をし、ほかに有効活用できる予算を捻出していただいたということでありますので、その判断を高く評価したいと思います。
 なお、都政新報が私の一般質問に対して、コスト削減効果はスズメの涙などと批判的な記事を書いていましたけれど、五億円というのは決して小さな金額ではありませんし、我々は、都民の貴重な税金をお預かりする立場として、しっかりとワイズスペンディングの視点で都政に当たらなければならない、一事が万事、非常に重要なことだというふうに決意を改めて表明しておきます。
 次に、区市町村包括補助の禁煙治療費の補助の実績と来年度の取り組み予定について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、区市町村が禁煙を希望する住民に対しまして医療機関等での禁煙治療の費用を助成する場合に、包括補助により支援しております。
 令和二年度は十八自治体からご申請がございまして、前年度実績の十五自治体から増加しております。
 来年度も、引き続き区市町村に対しまして包括補助により禁煙治療費の助成を行いますとともに、課長会や担当者連絡会等の場におきまして、本事業の活用を働きかけてまいります。

○岡本委員 毎年、事務事業質疑や予算質疑でお聞きしてまいった点でありますが、年々、自治体数が拡大、増加しているということを大変喜ばしく受けとめております。
 引き続き、市区町村への本事業の活用の働きかけをお願い申し上げるとともに、これまでも繰り返し申し上げておりますけれど、各自治体への補助上限百万円というのを引き上げていただきたいということを要望申し上げます。
 決算委員会でも述べましたけれど、公衆喫煙所をつくるということの補助に関しては一カ所一千万円で、予算については億の金額であります。他方、今述べた禁煙治療に関しては一市区町村当たり上限が百万円で補助率二分の一で、交付決定の決算額は六百三十万円でした。億の金額と六百三十万円の金額を比較して、私としては、後者にもっと補助を投じていただきたいと。禁煙を希望する人への支援、これが根本的に重要であり、禁煙を望む喫煙者自身も救えますし、受動喫煙自体も抜本的、根本的に解消するということで、この点の重要性を訴えているところでありますので、ぜひお願いをいたします。
 そして、のがみ委員長も、予特におきまして次のようにおっしゃいました。本当は禁煙したいんだけど、どうしても禁煙できない人に対してしっかり支援をすべき、私からも重ねて要望を申し上げます。
 それから、岡山県が県民の喫煙率の低下につなげようということで、従業員の禁煙治療を支援する企業や団体への補助制度を二〇二一年度に創設するということであります。私もまだ詳細の資料、ないんですけれど、そうした報道も出ております。こうした取り組みも参考にして、新たな仕組みについても検討していただきたいということを要望申し上げます。
 次に、予算特別委員会での答弁の中でありました今年度中に新たに作成する禁煙を促すリーフレットというものについての具体的な内容と、今後の活用策について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、喫煙率の高い三十歳代から四十歳代で、今後、子供を持つ父親等をターゲットに、喫煙、受動喫煙の悪影響を解説するリーフレットを今年度中に新たに作成いたします。
 このリーフレットには、喫煙による健康影響に加え、妊娠や子供に対する受動喫煙の影響、禁煙治療、喫煙と新型コロナウイルスとの関係、卒煙した先輩からのメッセージ等を掲載することとしております。
 今後、本リーフレットを区市町村や医療機関等を通じて両親学級等で配布し、喫煙率の減少に向けた取り組みを推進してまいります。

○岡本委員 今のご答弁の中に、喫煙と新型コロナウイルスとの関係について言及がありました。喫煙によって新型コロナが重症化する、コロナ肺炎と強い関連性があるということについては、一年前の二〇二〇年三月十八日の当委員会においても、その時点で既にある程度のエビデンスが出ていましたので、私も引用して詳しく述べました。
 その一方で、新型コロナと喫煙のパラドックスという説もいわれておりました。
 元喫煙者とか喫煙者がコロナ感染して発症した場合に重症化したり、重くなるというリスクが高くなる、これはもう明らかでありまして、パラドックスはありません。
 他方で、現在進行形で喫煙している人は、新型コロナにかかりにくいんじゃないかとか、感染しにくいんじゃないかとか、入院するような状態になりにくいんじゃないかというような説が一部に流れていたということがあります。
 しかし、これについては、いろいろとバイアスがあったり、誤分類があったりということで、医療崩壊が起きた国においての臨床現場が混乱していて、当初、誤った説がつくられてしまったんではないかというふうにいわれております。
 結論からいいますと、今では生涯非喫煙者と現在喫煙者を比べると、現在喫煙者の方が新型コロナの症状を起こすリスクが高いという常識に沿う新たな知見が積み重なりつつあり、やはり喫煙者の先ほどのパラドックスというのは、崩壊しつつあるということであります。
 日本語でわかりやすく読める、かつ医学論文のエビデンスの参照がしっかりされているものとして、二月二十八日のヤフーニュースの石田雅彦氏の新型コロナ「タバコ・パラドックスの崩壊」という記事をここで紹介させていただきました。
 次に、三月三日に公表された郵送での飲食店の実態調査について伺います。
 本年三月三日の実態調査が公表されました。この調査では、飲食店での受動喫煙防止対策を尋ねていますけれど、従業員がいる飲食店といない飲食店での調査結果について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、昨年十一月下旬から本年一月上旬にかけて一万店の飲食店を対象に、受動喫煙防止対策の取り組み状況等を調査いたしまして、三千四百三十一店から回答を得ております。
 回答がございました飲食店では、受動喫煙防止対策について、約六二%が屋内禁煙、約二一%が喫煙可能室を設置したとの回答がございました。
 また、従業員の有無で分析いたしましたところ、従業員のいる飲食店千四百八十九店では約七八%が屋内禁煙としており、家族経営を含む従業員がいない飲食店千九百二店では約四九%が屋内禁煙で、約三四%が喫煙可能室を設置したとの回答がございました。

○岡本委員 昨年七月の一回目の調査と、一見異なる傾向も見受けられましたので、そこで従業員がいる店といない店とに分けてお伺いをしました。
 なぜ、従業員がいない飲食店のアンケートの結果がこんなに多いのかというのは、ちょっと理由が思いつかない−−もともと東京都では従業員がいない飲食店というのは一六%と予測していたんですけれど、今回のアンケートの回答では半分以上だったということで、なぜか理由が思いつかないんですけれど、その結果を見ますと、従業員がいない飲食店にしては、比較的よく禁煙化が進んでいるなというふうにも評価できると思います。
 それから、加熱式たばこというものの席が、私が危惧していたよりは少ないなというふうに感じました。
 今、コロナで飲食店の営業自体が非常に厳しい、また流動的な側面もありますので、そうした状況や推移も見守っていきたいなというふうに思います。
 次のテーマに入ります。子供についてです。
 児童虐待防止や児童相談所、一時保護所などについて、これまで、私としては継続的に取り上げてまいりました。コロナ禍において児童虐待もふえているということは、もう皆さん共通の認識だと思います。改めて取り上げますが、時間短縮の観点から既に出ている点については、なるべく割愛しようというふうに思います。
 まず、児童相談所の弁護士配置について伺います。
 二年前の二〇一九年二月二十八日の本会議の一般質問や、三月十八日の当委員会、また昨年の二〇二〇年三月十八日の当委員会でも詳しく述べましたように、常勤弁護士の配置、または非常勤弁護士の常駐配置を求めるものであります。
 なお常勤弁護士の配置については、それによって現行の非常勤弁護士や協力弁護士の体制を減らすのではなくて、むしろ両立し、両制度とも拡充すべきだということを求めるものです。
 その上で、これまでの弁護士配置の体制強化について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都では、児童相談所が日常的に弁護士と相談できる体制を確保するため、全ての児童相談所に非常勤弁護士を配置いたしますとともに、副担当となる協力弁護士を登録しております。
 昨年度からは、複雑困難化する虐待ケースへの法的対応力を強化するため、非常勤弁護士の勤務日数を月二日から四日に拡大しております。
 具体的な配置状況といたしましては、平成二十八年度が非常勤弁護士十一名、協力弁護士二十八名の計三十九名、令和二年度は非常勤弁護士十七名、協力弁護士三十六名の計五十三名となっております。
 また、三年度は非常勤弁護士二十二名、協力弁護士三十四名の計五十六名となる予定でございまして、こうした体制で法的手続への対応や専門的見地からの助言を実施してまいります。

○岡本委員 ありがとうございます。
 引き続き、日常的な弁護士の関与による法的対応の強化に取り組んでいただければと思います。
 それから、昨年の当委員会でも、また、先ほどこの委員会中においても、児童相談所情報標準化・人材育成事業についてご説明をいただきました。これは、質疑はもう割愛しますけれど、来年度はその二年目ということで、引き続き期待をしております。
 次に、一時保護所について、これについても既にある程度出ていますけれど、二〇一九年十月二十九日の厚生委員会や、昨年三月十八日の当委員会で、一時保護所の第三者委員の弁護士の意見書について取り上げまして、改善の取り組みについて伺いました。
 この一時保護所の改善について、先日の三月十一日の予特において、我が会派の内山真吾議員からの質問に対して、知事の答弁で、一時保護所においてさまざまな支援改善の取り組みを進めているということについて答弁をいただきましたけれど、これまで具体的に取り組んだ内容について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、令和元年度一時保護所第三者委員からいただいた意見書におけます一時保護所の運営が入所児童の管理に重点が置かれ、子供の声を聞くという視点に欠けるとの指摘等を踏まえまして、入所時の髪の黒染めを取りやめるとともに、児童の声を聞くための意見箱を設置するなど支援の改善に着手をいたしました。
 二年度には支援の改善をさらに進めるため、児童に対する支援力の向上や児童が安心を実感できる環境づくりなど八項目について、保護所ごとに項目を決め、創意工夫を凝らしながら取り組んでまいりました。
 具体的には、児童が抱えるトラウマなどの課題に着手したアセスメントシートの導入や、心理教育を活用した個別支援の実施、私物の持ち込みや私服の着用の実施のほか、過ごし方を子供たち同士で話し合う子供会議の開催、自由な会話や楽しい雰囲気の中での食事時間や余暇時間の充実、クラブ活動の実施などに取り組んでおります。
 こうした取り組みの成果といたしまして、現場からは、例えばアセスメントシートの導入により支援が困難な児童に対する職員一人一人の理解が深まるとともに、職員間での支援の方向を共有しやすくなり、よりきめ細かな支援が可能となった、音楽をかけるなど楽しく食事をしたいという子供会議での意見を取り上げ、児童が安心できる生活環境の改善に資することができたなどの意見が挙げられております。

○岡本委員 ありがとうございます。
 二年間かけて、東京都はかなり改善してきているというふうに評価をしたいと思います。
 改めて、この弁護士の意見書を読み返しますと、次のようなことも書かれています。
 職員の皆さんは本当に一生懸命に働いています。子供への十分なケアがなされず不適切な対応がなされる現状の一番の原因は、職員の疲労感にあると指摘しています。職員にゆとりをということも提言しています。職員の疲労感の改善という点を決して忘れてはならないということで、改めてお願いをいたします。
 さて、先日、私は弁護士会の子どもの権利委員会のメンバーと一緒に世田谷区の一時保護所を視察いたしました。また、田の上いくこ議員とともに江戸川区の児相及び一時保護所を視察いたしました。
 江戸川区の一時保護所では、新しくて非常にきれいな建物で、個室が多く設けられておりまして、使い勝手のよい、工夫された施設でありました。そして、希望する高校生には原則通学を認めていることや、さまざまな生活の場面において、なるべく禁止などの抑圧を避けて、できるだけお互いが気持ちよくなる、こうしましょう、ありがとうとか、そういう気持ちよくなる言葉、挨拶とか、そういうのを集めた言葉を掲示されているということが非常に印象に残りました。
 また、世田谷区の一時保護所においても個室を基本として、また、懲戒的な個別指導は一切行ったことがないという説明が非常に印象に残りました。区児相、区一時保護所の取り組みについても、ぜひ情報交換をしていただき、参考にすべき点は参考にしていただきたいというふうに思います。
 次に、職員にも子供にもストレスや疲労感が蓄積する原因として、一時保護所への入所期間が長期化し、定員がオーバーしているということが挙げられます。そして、その原因は委託先の不足があるというふうに思われます。
 入所期間の長期化や定員オーバーを改善するには、委託先の里親をふやすということが重要です。委託先の里親の開拓、フォスタリング機関については、もう既に質疑でかなり出ておりますので割愛をいたします。ぜひ、引き続きよろしくお願いします。
 また、里親に関する新たな事業として、三月九日の予特において、里親養育専門相談事業、里親子のサポートネットについて伊藤ゆう議員の質疑がありました。私も、この制度については非常に期待をしております。
 具体的に、突然措置変更がなされて、愛着形成が無理に剥がされて、泣く泣く別れたという里親さん、里子さんの話をこれまでに複数聞きました。
 そして、なかなか児相にいいたいこと、思うことがあっても萎縮してしまってそういうことがいえなかったという里親さんや里子さんの思いもお聞きしました。こうした思いをしっかり酌み取って、子供の最善の利益を実現するケースワークに生かしてほしいというふうに思います。
 次に、自立援助ホームについて伺います。
 令和元年第三回定例会九月十日の我が会派の内山議員が一般質問しました。自立援助ホームの入居に関する実態把握について、その調査結果を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 令和元年十二月に都が実施いたしました自立援助ホームの入居に関する実態調査は、平成三十年四月から令和元年十一月末までに、自立援助ホームに入居を打診した百二十件を対象に行ったものでございます。
 そのうち、実際に入居したケースは八十九件、全体の七四%であり、入居の打診から実際の入居までに要した期間は二週間から一カ月未満が最も多く三十五件、次に一カ月から二カ月未満が二十六件でございました。
 一方、入居に至らなかったケースは二十八件、全体の二三%でございまして、その主な理由としては、児童本人が入居を辞退したものが最も多く十三件、次に、ホームにあきがなかったというものが七件でございました。

○岡本委員 ありがとうございます。
 単純な施設の入所定員に対する入所率のみで判断するべきではなくて、多面的な情報収集をしていただいて、実情を把握してご検討いただきたいというふうに思います。
 自立援助ホームの方からは、次のような声をいただいております。職員の配置基準がぎりぎりで余裕がなく、多くのホームは法人内の他事業所からお金を借りたり、職員の給与を下げたりして、基準よりも多く配置している。それから、特別な配慮が必要な利用者、障害を有していたり非行傾向があったりという方の、子供の入居が難しい、厳しい。もしくは入居している際には、他の利用者の受け入れが厳しいと、そうした実情があるということです。
 職員は、入居してくる若者たちのために精いっぱいのことをしたいと思ってやっているけれど、財政難によって、定員まで受け入れる体力がないというのも実情だということであります。真面目にやると赤字になる事業だというふうにもおっしゃっています。そして、新たな法人の参入も厳しいということであります。このような意見をいただいております。
 コロナの拡大などで、自立していく子供、児童の環境は、さらに厳しさを増しておりますけれど、自立援助ホームの重要性は、より一層高まっているといえます。このため、自立援助ホームに対してさらなる支援が必要と考えますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は現在、自立援助ホームに対しまして、国基準を上回る職員配置などに係る経費や、児童の就労定着を促進いたしますジョブトレーナーの配置に要します経費を独自に支援しております。
 また、今般、国制度により、自立支援を担当する職員を一名配置した場合に、支援対象者数など一定の要件を満たせば、運営費を増額して支援することが可能となってございます。
 こうした取り組みに加えまして、来年度からは、自立援助ホームで従事する職員の確保、定着を支援するため、職員宿舎の借り上げに係る新たな補助を開始する予定でございます。

○岡本委員 ありがとうございました。
 次に、養育費について、これももう既にいろいろと質疑が出ておりますので割愛いたしますが、一年前の二〇二〇年三月十八日の当委員会で、私は明石市の例や泉房穂市長の思いなども紹介しながら質疑をさせていただきました。
 昨年の七月からは、明石市は保証会社ではなく、市が直接立てかえをする制度を実施しているということであります。こうした場合も、都の補助メニューとなるようにご検討いただきたい、求めておきます。
 この養育費の取り決め、そして、養育費の確実な履行というのは、親子の非常に重要なテーマであるということを申し上げておきたいと思います。
 予定していた質疑は一応以上なんですけれど、先ほど罰則条例についての私なりの思いを述べさせていただきました。ちょっと一番聞いていただきたい方が、お忙しかったということもあったと思いますので、ちょっと一言だけ簡潔に。あと一、二分(「時間ないです。そろそろまとめてください。」と呼ぶ者あり)はい。

○のがみ委員長 あと二分です。

○岡本委員 私は、罰則とか責務規定というのは、人権と人権のバランスの調整の規定だというふうに考えております。そして、この調整をするということは、法律家として、政治家として非常に重要な、最も重要な仕事であろうと。これはまさに利益と利益、そして権利と権利が、生存権と営業の自由、こうした相対する権利を調整するということは非常に大事な仕事であります。そして昨年三月十八日の委員会で述べました。私はそのことは一貫しております。
 過剰な対策ということは、それによってデメリット、非常に不利益もある。ただ、必要な調整については、政治家として積極的にやらなければならないという、このスタンスは変わらず、そして、それが今まで述べた議員提案条例でもあるということを申し述べて、私の発言を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

○のがみ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○のがみ委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時三十六分散会

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