委員長 | うすい浩一君 |
副委員長 | 桐山ひとみ君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
理事 | 細田いさむ君 |
理事 | 柴崎 幹男君 |
理事 | もり 愛君 |
森澤 恭子君 | |
やまだ加奈子君 | |
藤田りょうこ君 | |
栗林のり子君 | |
小宮あんり君 | |
鳥居こうすけ君 | |
つじの栄作君 | |
後藤 なみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 吉村 憲彦君 |
健康危機管理担当局長 | 初宿 和夫君 | |
次長理事兼務 | 後藤 啓志君 | |
次長総務部長事務取扱 | 雲田 孝司君 | |
技監医療改革推進担当部長事務取扱 | 田中 敦子君 | |
少子社会対策部長 | 高野 克己君 | |
企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 齋藤 善照君 | |
企画調整担当部長 | 奈良部瑞枝君 | |
地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 | 池上 晶子君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 谷田 治君 | |
サービス推進部長 | 西川 泰永君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 藤本 誠君 | |
計画調整担当部長 | 船尾 誠君 |
本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
報告事項
・都立病院・公社病院の地方独立行政法人への移行に向けた検討状況について(説明)
・「多摩メディカル・キャンパス整備等事業実施方針」の策定について(説明)
・契約の締結について(説明・質疑)
福祉保健局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・令和二年度東京都一般会計補正予算(第十二号)中、歳出 福祉保健局所管分
・東京都東村山福祉園(二)改築工事請負契約
・東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その四)について
・東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
・東京都立心身障害者口腔(くう)保健センターの指定管理者の指定について
・東京都船形学園の指定管理者の指定について
・東京都八街学園の指定管理者の指定について
・東京都勝山学園の指定管理者の指定について
・東京都片瀬学園の指定管理者の指定について
・東京都七生福祉園の指定管理者の指定について
・東京都八王子福祉園の指定管理者の指定について
・東京都千葉福祉園の指定管理者の指定について
・東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
陳情の審査
(1)二第七三号の一 児童の権利に関する条約等を遵守するための法整備と支援に関する陳情
(2)二第八二号 後期高齢者の窓口における医療費の自己負担割合の現状維持を求める意見書に関する陳情
○うすい委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び病院経営本部関係の報告事項の聴取並びに福祉保健局関係の陳情の審査を行います。
なお、報告事項、契約の締結については、説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件及びその他の報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより病院経営本部関係に入ります。
理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
初めに、都立病院・公社病院の地方独立行政法人への移行に向けた検討状況について外一件について報告を聴取いたします。
○船尾計画調整担当部長 都立病院・公社病院の地方独立行政法人への移行に向けた検討状況につきまして、お手元に配布してございます資料1に基づきご報告申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。目次でございます。
本日は、これまでの検討状況について、お示しの項目に沿ってご説明させていただきます。
二ページをごらんください。1、これまでの検討状況でございます。
本年三月、独法化の方針として、新たな病院運営改革ビジョンを策定し、令和四年度内の地方独立行政法人への移行を目途に、法人の運営体制や各種制度を検討しているところでございます。
三ページをお開き願います。2、目指す医療の方向性でございます。
(1)、行政的医療等の充実・強化でございます。
超高齢社会の本格化など医療環境が大きく変化する中でも、行政的医療の充実強化を図り、安定的、継続的に提供することで、都民の安全・安心を支えていきます。
特に、災害、感染症等の緊急事態の発生時には、十四病院が一体となって機動的に対応することで、都のセーフティーネットの役割を果たしてまいります。
また、地域に不足する医療への着実な対応など、都民の医療ニーズに応えていきます。
次に、(2)、地域医療の充実への一層の貢献でございます。
地域医療機関等と連携協力しながら、相談支援の充実、民間医療機関等との人材交流などにより、地域包括ケアシステムの構築を推進していきます。
次に、(3)、定款への明記でございます。
行政的医療の提供や地域医療の充実への貢献について、法人に確実に実施させるため、定款に法人の役割として明記するほか、災害、感染症等の緊急時の対応について、都として求められる医療を迅速、機動的に提供させるため、知事の指示のもとで対応する旨を定款に記載することを検討しております。
四ページをごらんください。3、法人の基本的事項でございます。
(1)、法人化の範囲でございますが、都立八病院と公社六病院、がん検診センターを一つの法人で運営いたします。
(2)、法人名称・病院名称でございます。
都立病院という名称は広く都民に親しまれていること、また、新たな都立病院として役割を果たし続けていくことをわかりやすく発信するため、法人名は、東京都立病院機構とし、病院名は、各病院の現行名称に東京都立をつけた名称といたします。
(3)、法人本部でございます。
都の医療政策と緊密な連携を図るとともに、法人への安定的な移行のため、設立時、法人本部を都庁舎内に置くことを検討しております。
(4)、法人の種別でございますが、いわゆる一般地方独立行政法人といたします。
(5)、中期目標の期間でございます。
法人の自主性、自律性を発揮させるため、五年といたします。
五ページをお開き願います。4、法人の運営体制等でございます。
(1)、法人の運営体制といたしまして、四項目ございます。
初めに、ア、役員体制でございますが、法人の役員として、理事長、副理事長、理事及び監事を置きます。理事については、病院長からも登用することを検討しております。
イ、法人の意思決定のしくみでございますが、理事長のリーダーシップのもと、意思決定を迅速に行うため、理事会を設置いたします。
ウ、法人本部の組織でございますが、理事長等のトップマネジメントを支援する組織を検討しております。
エ、外部の意見を聞くしくみでございます。地域の関係機関等から意見を聞き、よりよい病院運営につなげるため、仮称となりますが、有識者会議を設置することなどを検討しております。
(2)、都の財源措置でございます。
法人における運営費負担金は、これまでの都立病院における一般会計からの繰入金と同趣旨でございます。現在の公社病院も含め、都から必要な財源措置を受けることで、行政的医療を安定的、継続的に提供してまいります。
六ページをごらんください。5、地方独立行政法人化のメリットを活かした各種制度でございます。
初めに、(1)、人事給与制度でございます。
職員が能力を最大限に発揮し、組織が活性化する新たな人事給与制度について、職員の意見を聞きながら検討しております。
(2)、財務会計・契約制度等でございます。
一つ目の丸ですが、地方独立行政法人会計基準に準拠した財務会計制度を構築し、効率的な会計業務等を遂行するため、業務手順などを検討しております。
二つ目の丸ですが、交渉権入札など柔軟な契約手法を導入すること等を検討しております。
三つ目の丸ですが、法人の財産的基礎を確立するため、必要な土地建物等の財産について検討しております。
恐れ入りますが、七ページをお開き願います。6、医療機能強化の方向性でございます。
(1)、医療機能強化の方向性でございます。
高齢化の進展等に伴い、質的、量的に変化する医療ニーズに的確に対応するため、働きがいのある人事給与制度など独法ならではの制度を構築することにより、必要な医療人材を機動的に確保するなど、行政的医療を初めとする医療を充実強化していきます。
初めに、ア、行政的医療等の一層の充実でございます。
(ア)、行政的医療の充実・強化といたしまして、医療環境の変化への対応に必要な、取り組み例に記載したような機能の充実強化を図り、行政的医療を安定的、継続的に提供していきます。
八ページをごらんください。(イ)、地域に不足している医療の充実でございます。
地域に不足している専門的な医療や高齢化に伴い増加が見込まれる疾患に対応する医療について、地域の状況に応じて、取り組み例に記載したような取り組みによって充実し、地域ニーズに着実に対応していきます。
イ、地域医療の充実への貢献でございます。
(ア)、地域包括ケアシステム構築の推進でございます。
地域医療機関等と連携協力しながら、取り組み例に記載したような取り組みにより、在宅療養生活の支援充実を図り、地域包括ケアシステムの構築を推進していきます。
九ページをお開き願います。(イ)、「患者支援センター」の機能強化でございます。
患者支援センターの機能強化を図り、取り組み例に記載したような取り組みにより、退院後も見据えた一貫した支援を実施し、地域包括ケアシステムの構築を推進していきます。
一〇ページをごらんください。(2)、各病院の取組例でございます。
各病院の専門性や地域の医療ニーズ等を踏まえ、必要な人材を機動的に確保するとともに、訪問看護ステーション等に職員を柔軟に派遣するなど、行政的医療等の一層の充実と地域医療の充実への貢献の視点から、病院ごとに具体的な取り組みを検討しております。
このページのア、広尾病院から、二三ページのセ、豊島病院まで、具体的な取り組み例を病院ごとに記載しております。後ほどご参照いただきたいと存じます。
以上で報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカル・キャンパス整備等事業実施方針の策定についてご報告申し上げます。
お手元に、資料2、「多摩メディカル・キャンパス整備等事業実施方針」の策定について(概要)、資料3、多摩メディカル・キャンパス整備等事業実施方針及び資料4、多摩メディカル・キャンパス整備等事業要求水準書(案)をお配りしてございます。
それでは、資料2の概要によりご説明させていただきます。
一ページをごらんください。都は、平成三十一年三月に策定した多摩メディカル・キャンパス整備基本計画に基づき、整備手法等の検討を進めております。
このたび、多摩メディカル・キャンパス整備等事業に関し、実施方針を策定いたしました。
まず、1、実施方針についてをご説明いたします。
本事業の実施方針は、PFI法第五条に基づき、事業者等に対して、本事業の事業概要等を早期にかつ広く周知するために公表するものでございます。この公表により、事業者に対し、準備期間を提供することができます。
続きまして、2、実施方針の概要についてご説明いたします。
(1)、対象となる公共施設の種類でございます。
本事業の対象となる施設は、表のとおりでございます。
二ページをお開き願います。(2)、本事業の概要でございます。
本事業では、東京都がん検診センターについて、がん医療の提供体制を強化するため、精密検診部門に重点化の上、多摩総合医療センターに統合し、その別館として、外来がん検査・治療センターを整備いたします。また、キャンパス内の難病医療を集約化し、機能を強化するため、神経病院を難病医療センターとして整備いたします。
新設する外来がん検査・治療センターと難病医療センター、既存の多摩総合医療センター及び小児総合医療センターにつきましては、四施設一体的に維持管理、運営業務を行う予定でございます。
続きまして、(3)、事業者が行う業務でございます。
それぞれの施設において、対象となる業務に丸を付しております。
詳細は、四ページの別紙、事業者が行う業務一覧をご参照ください。
なお、具体的な業務内容等につきましては、病院が求めるサービス水準を記載した資料4の要求水準書(案)に示しております。
次に、(4)、事業方式でございます。
新設する外来がん検査・治療センター及び難病医療センターについては、事業者が設計、建設を行い、その所有権を都に移した後、維持管理、運営において都の求めるサービスを提供するBTO方式により実施いたします。
また、既存の多摩総合医療センター及び小児総合医療センターについては、維持管理、運営において都の求めるサービスを提供するオペレート方式、いわゆるO方式により実施いたします。
次に、(5)、事業期間でございます。
事業契約を締結した翌日から令和二十六年三月三十一日までとなっております。
次に、(6)、特定事業の選定に当たっての考え方でございます。
都は、本事業について、財政負担の縮減やサービス水準の向上などが見込まれ、PFI事業として実施することが適切と判断した場合には、PFI法第七条に基づく特定事業に選定いたします。
三ページをお開き願います。3、今後のスケジュール(予定)でございます。
特定事業の選定結果は、VFMの算定などとともに、令和三年二月の第一回定例会においてご報告する予定でございます。
特定事業に選定する場合は、債務負担行為の設定につきましても付議させていただく予定でございます。
説明は以上でございます。詳細は、資料3と4をごらんください。
簡単ではございますが、報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○うすい委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○白石委員 資料要求させていただきます。
まず、都立病院・公社病院の地方独立行政法人への移行に向けた検討状況についての資料要求です。
有識者会議(仮称)の構成、一点、お願いします。
続きまして、多摩メディカル・キャンパス整備等事業実施方針の策定についての資料要求をさせていただきます。
多摩メディカル・キャンパス整備等事業実施方針の検討経過。
次に、現在の多摩総合医療センター及び小児総合医療センターで行っているPFI事業と多摩メディカル・キャンパス整備等事業実施方針の業務範囲の比較。
次、多摩メディカル・キャンパス整備等事業のVFMの計算方法とこれまでに都立病院で行ったPFI事業のVFMの計算方法。
四点目が、多摩メディカル・キャンパス整備等事業実施方針において、点検保守業務の対象となる医療器材、器具の範囲。
五点目が、現在の神経病院と改築後の難病医療センターの患者負担額ごとの有料病床数。
以上です。
○うすい委員長 ただいま白石副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○うすい委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
○うすい委員長 次に、契約の締結についての報告を聴取いたします。
○谷田経営企画部長 お手元にお配りしてございます資料5、契約締結報告書に基づき、動産の買い入れ契約につきましてご報告申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。本日ご報告申し上げます契約一件の総括表でございます。
二ページをお開き願います。本契約は、都立多摩総合医療センターにおいて使用いたします高精度放射線治療システムの買い入れでございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は六億四千九十七万円で、契約の相手方はグリーンホスピタルサプライ株式会社でございます。
簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○うすい委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○うすい委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○うすい委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○うすい委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○吉村福祉保健局長 令和二年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
今回ご審議をお願いいたします議案は、令和二年第四回定例会補正予算案一件、契約案一件、事件案十一件の合計十三件でございます。
初めに、補正予算案についてでございますが、年末年始期間を含め、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制及び経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットの強化充実など、万全の対策を実施するために必要な経費を補正するものでございます。
次に、契約案についてでございますが、東京都東村山福祉園の改築工事を行うものでございます。
最後に、事件案についてでございますが、東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申し立てを行うもの、当局が所管いたします公の施設の管理運営を行う指定管理者の指定を行うものでございます。
なお、詳細につきましては、次長からご説明申し上げます。
以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○雲田次長 それでは、令和二年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
初めに、補正予算案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料、令和二年第四回定例会補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
今回の補正は、一般会計歳入歳出予算の補正でございます。
左側の(1)、歳入予算の補正予算額欄をごらんください。国庫支出金で千八百十三億二千百四十二万九千円の増額、繰入金で百五十一億三百十七万円の増額により、補正後の歳入合計は九千五十七億三百十五万七千円となります。
右側の(2)、歳出予算の補正予算額欄をごらんください。福祉保健費で千九百六十四億二千四百五十九万九千円増額補正でございます。これにより、補正後の歳出合計は一兆九千六百二十四億九百四十四万六千円となります。
二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、新型コロナウイルス感染症緊急対策でございます。
経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットの強化充実に要する経費として、生活福祉資金貸付事業補助や住居喪失不安定就労者・離職者等サポート事業について、生活福祉費で六百五十六億五千七十八万二千円を計上してございます。
三ページをごらんください。医療提供体制等の強化充実に要する経費として、医療機関等従事者への慰労金支給事業や診療体制の確保支援などについて、健康安全費で千二百九十六億九千七百九十九万八千円を計上してございます。
四ページをお開き願います。医療提供体制等の強化充実に要する経費として、新型コロナウイルス感染症重点医療機関等設備整備事業について、施設整備費で十億七千五百八十一万九千円を計上してございます。
続きまして、契約案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料、令和二年第四回東京都議会定例会契約案の概要をごらんください。
今回の福祉保健局関係の契約案は、工事請負契約でございます。
表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。東京都東村山福祉園(二)改築工事でございます。
都立施設である障害児施設について、建物の老朽化等を踏まえ、改築工事を行うものでございます。
工事場所は、2に記載してございますとおり、東京都東村山市萩山町一丁目三十五番地一でございます。敷地面積は、3に記載してございますとおり、二万五千八百八十六・四二平方メートルでございます。
一枚おめくりいただきまして、二ページに施設の案内図を、三ページに配置図をそれぞれ記載してございます。
四ページをお開き願います。今回ご審議いただきます工事請負契約の概要をお示ししてございます。
契約の方法は一般競争入札で、契約の相手方は安藤ハザマ・大勝建設共同企業体でございます。工期は、契約確定の日の翌日から令和五年二月二十八日まででございます。契約金額は、三十二億四千三百九十万円でございます。
最後に、事件案につきましてご説明申し上げます。
初めに、お手元の資料、「東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解のあっせんの申立て(その四)について」関係資料をごらんください。
二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。本件は、平成二十三年三月十一日に発生した東京電力株式会社、現在の東京電力ホールディングス株式会社ですが、福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故に伴う損害について、都は、相手方に賠償するよう求めましたが、一部賠償に応じないことから、原子力損害賠償紛争解決センターに対してあっせんを申し立てるものでございます。
この申し立ての内容ですが、福祉保健局分といたしましては、ページの一番下に記載してございますとおり、合意に至っていない放射線測定に係る費用、被災ペットの救出、保護及び受け入れのための費用並びに児童福祉施設等の給食食材の放射性物質測定検査のための費用、総額三億九千九百三十万五千八百三十二円について、申し立てを行うものでございます。
二ページをお開き願います。申し立て事項につきまして、1、放射線測定に係る費用といたしまして、(1)に事業概要、三ページの(2)に東京電力との協議結果を、一枚おめくりいただきまして、右側五ページの(3)に申し立て額をそれぞれ損害費目ごとに記載してございます。
同様に、一枚おめくりいただきまして、六ページの2、被災ペットの救出・保護及び受入に係る費用、七ページの3、児童福祉施設等の給食食材の放射性物質検査に係る費用といたしまして、事業概要、東京電力との協議結果及び申し立て額をそれぞれ記載してございます。
なお、都と東京電力ホールディングス株式会社との間で引き続き協議を進めるため、議決後、あっせん申し立てまでの間に、東京電力ホールディングス株式会社から任意に賠償される可能性がございます。
その場合には、あっせん申し立て額から賠償受領額を除いた額について申し立てを行うこととしております。
次に、お手元の資料、令和二年第四回東京都議会定例会事件案の概要をごらんください。
表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。整理番号1から、一枚おめくりいただきまして、三ページの整理番号10までの十件の事件案でございますが、全て地方自治法の規定に基づきまして、公の施設の指定管理者の指定につきましてお諮りするものでございます。
それぞれ、公の施設の名称及び所在地、指定管理者の名称及び主たる事務所の所在地、指定の期間を記載してございます。
まず、一ページをごらんください。整理番号1の東京都リハビリテーション病院は、公益社団法人東京都医師会を指定管理者とするもので、指定期間は三年間でございます。
整理番号2の東京都立心身障害者口腔保健センターは、公益社団法人東京都歯科医師会を指定管理者とするもので、指定期間は五年間でございます。
整理番号3の東京都船形学園、整理番号4の東京都八街学園、一枚おめくりいただきまして、二ページの整理番号5の東京都勝山学園、整理番号6の東京都片瀬学園、整理番号7の東京都七生福祉園、整理番号8の東京都八王子福祉園及び三ページの整理番号9の東京都千葉福祉園の七件は、いずれも社会福祉法人東京都社会福祉事業団を指定管理者とするもので、指定期間は五年間でございます。
整理番号10の東京都清瀬喜望園は、社会福祉法人東京アフターケア協会を指定管理者とするもので、指定期間は一年間でございます。
詳細な内容につきましては、お手元の資料、令和二年第四回東京都議会定例会事件案をごらんいただきたいと存じます。
以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○うすい委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○うすい委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○うすい委員長 次に、陳情の審査を行います。
初めに、陳情二第七三号の一を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○高野少子社会対策部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
整理番号1、陳情二第七三号の一は、東京都新宿区の金本秀一さん外一名から提出されたものでございます。
陳情の趣旨は、都において、離婚後も実効性のある共同養育、共同親権及び面会交流が可能となるよう、速やかに運用、法整備を講ずるよう国の関係機関に意見書を提出すること、他自治体の取り組みを参考に、別居、離婚後の面会交流に対する公的支援策の実施及び相談体制の整備を行うこと、以上の二点を実現していただきたいというものでございます。
現在の状況でございますが、離婚後の面会交流等については、平成二十四年四月一日に施行された改正後の民法第七百六十六条に、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父または母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならないと規定されております。
これを踏まえ、都では、東京都ひとり親家庭支援センターにおいて、養育費相談や面会交流支援、離婚前後の法律相談等を無料で実施しており、今年度からは、離婚前後の親支援講座も開始いたします。
また、区市町村では、ひとり親家庭等の身近な相談窓口である母子・父子自立支援員が、離婚前からの相談、支援を行っております。
現在、法務省では、父母の離婚後の子育てに関する法制度に関し検討を行っているところであり、令和二年四月には、海外二十四カ国の法制度の調査結果を公表しております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○うすい委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○後藤委員 私からは、陳情二第七三号の一、児童の権利に関する条約等を遵守するための法整備と支援に関する陳情について質疑を行います。
今回、陳情者の金本さんは、二つの趣旨で本陳情を提出しております。
一つ目は、離婚後に、共同養育、共同親権と面会交流が可能になるような法整備を求めるということ、そして二つ目は、別居、離婚後の面会交流に対する公的支援を充実させてほしいという趣旨の陳情でございます。
まず、一点目の共同養育及び共同親権についてでありますが、現在国では、離婚後の単独親権制度というものが見直しを検討しておりまして、共同親権の導入について検討が進められているところであります。
現在の民法では、離婚後は父母のどちらかを親権者とする単独親権というものを採用しておりまして、しかし、親権を失った親が養育にかかわりにくくなるとか、あるいは子供との交流が断たれることなどを根拠に、離婚後の共同親権というものを立法すべきという声が、ここ数年、非常に活発化しているというのが現状であります。
子供の親権者については、戦前は原則父親が持っていたものでありますが、現在は子供の親権の九割が母親であるというのが現状です。
現在、日本の離婚件数は年間二十万件を超えるというふうにいわれておりまして、未成年人口の十人に一人が離婚家庭の子供ということになります。こうしたことからも、親権についての制度や法律がどうなっていくのかというのは、両親にとっても、そしてその子供にとっても、本当に大きな問題になるのではないかなと思います。
そこで、まずお聞きしたいんですが、離婚後の親権について、法律上定められている具体的な親権の内容について伺っていきたいと思います。
○高野少子社会対策部長 親権の内容として、民法では、監護及び教育の権利義務、居所の指定、懲戒、職業の許可、財産の管理及び法定代理が規定されており、親権は、父母の婚姻中は共同して行い、離婚をするときは父母の一方を親権者と定めることとされております。
○後藤委員 ありがとうございました。
ちょっと難しかったんですけれども、監護及び教育の権利や財産管理権等々があるというご答弁がありました。
これは何かというと、一緒に同居をして子供のしつけをしたりとか、子供が仕事やアルバイトをするときに親がそれを許可することであったり、あるいは、結婚や養子縁組など子供の身分行為を代理することや、所有している現金や子供の名義の預金、こういった資産管理をすることまで、幅広い権限が親権によって定義をされているということがわかりました。
これが、離婚後、どちらかが親権者でなくなったとすると、監護権がまず一つなくなるということから、実の子供と自由に会う機会が制限されるということです。
現在は、親権を持たない親が子供と交流する面会交流権というものが、先ほどご説明でもあったように、民法で保障されておりますので、離婚前に面会交流の頻度などを両者で取り決めをして、定期的に会える仕組みにはなっています。
しかし、実際には、親権者が子供と面会交流をさせたがらないなど、トラブルも増加しているというふうに聞いています。現在の単独親権から共同親権になることで、こうした子供にかかわる親同士のトラブルが減るということや、子供と同居しない親が交流しやすくなるというメリットがあるというふうに考えます。
しかし、一方で、子育て支援団体などからは、共同親権に対して、慎重を求める声も上がっているというふうに認識をしております。
そこで、離婚後の共同親権について、現在の都の見解を伺いたいと思います。
○高野少子社会対策部長 離婚後の共同親権について、国は令和元年十二月、離婚後の親権のあり方に関する質問主意書に対しまして、一般に、父母の離婚後も父母が共に親権者となることを認める制度を導入した場合には、父母が離婚後も子の養育に積極的に関わるようになることが期待される一方で、子の養育について適時に適切な合意を形成することができないときは子の利益を害するおそれがあるとされていると答弁しております。
共同親権については、さまざまな意見があり、また、現在国では、父母の離婚後の子育てに関する法制度に関して検討しておりまして、都としましては、引き続き国の動向を注視してまいります。
○後藤委員 ありがとうございます。
メリット、デメリット、どちらもあるので、国の動向を注視していくというようなご答弁でありました。
この議論については、賛成、反対、いろいろな意見があるのは承知をしておりますけれども、私自身は、現段階において子供の最善の利益ということを考えると、離婚後の共同親権の導入というのは慎重になるべきだというふうに考えています。
共同親権についての論点の一つとなっている面会交流というものについては、虐待やDVがある場合については対象外とされておりますけれども、現状は、精神的なDVやモラハラといった、なかなか表に出にくいDV等については、その対象外と認められずに、面会を余儀なくされることもあるというふうなケースがあるというのが現状であります。
さらに、共同親権が進んでいくと、住む場所や学校の選択など、こうした親権の持つ選択というものも、相手方の同意をその都度その都度とらなければいけないとなったとすれば、DV、こうした被害を受けている側からすると、加害者側に事あるごとにお伺いを立てていかなければいけないということで、子育てが続く限りは、このDV被害者はその相手におびえ続けなきゃいけないということがあります。
共同親権自体のメリットは、重々承知をしているところではありますけれども、この議論というのは、こうした問題というのがしっかりクリアして初めて議論の俎上にのるのではないかなというふうに思っています。
また、共同親権を求める方々の大きな一つである面会交流というものについては、現在の単独親権でも、事前にしっかりと取り決めを行うことで実施することができるということでありますが、都内では、面会交流を行っていない家庭というのが母子世帯の約六五%に上っているということで、実際は、なかなかこの面会交流というのが進んでいないという実態もあるというふうに考えます。
子供の健全な育ちの観点からも、同居していない親との面会交流というのは、さっきのDVのようなケースを除いては必要なことだというふうに考えております。
そこで、都としても、離婚後の面会交流を支援する取り組みが非常に重要だと考えますが、都の面会交流支援の取り組みについて伺います。
○高野少子社会対策部長 都は、子供が安心して親と円滑に交流できるよう、ひとり親家庭支援センターにおきまして、面会交流支援事業を実施しております。
具体的には、親双方と事前に面談を行い、面会交流の方法や回数のほか、親同士が互いに守らなくてはならないルールなどを調整し、実施までの連絡調整、当日の子供の送り迎え、面会交流時の付き添い等の支援を行っております。
○後藤委員 既に面会交流支援事業というのが行われているというお話がありました。
この制度自体も、当時、全国初の取り組みであったというふうに認識をしておりまして、面会交流の仕組みであったり養育費の支援であったり、都のやっている支援というのは、非常にここの点に関しては充実をしているのかなというふうに思っているんですけれども、なかなかこの面会交流をしていない親が多いという事実を見ると、その対象となる方々へのより積極的な普及や啓発というのを行っていただきたいというふうに思います。
そして、重要なのは、こうした議論の起点になるのは、あくまでも子供にとっての最善の利益、子供が主体であるべきだということだというふうに思います。
私自身も、現在進められている共同親権に関する議論を見ていると、親の権利ばかりが先行しているような感じがしておりまして、どんな理由で離婚をしたとしても、子供にとっては、どちらも親であることには変わりはないわけです。そして、そうした実の親と離れ離れになるということは、子供にとっては本当に大きな傷を心に負うわけですし、ストレスになるということです。
こうした子供たちの気持ちに、ぜひ東京都としても寄り添っていただいて、心のケアを行うということであったり、安心して面会交流ができる場所を提供するであったり、こうした子供の立場に立った施策というのを、ぜひ今後も都として取り組んでいただきたいということを要望し、私の質疑を終わります。
○白石委員 私からも、児童の権利に関する条約等を遵守するための法整備と支援に関する陳情について意見表明をいたします。
現在の日本では、離婚後は父母のどちらかを親権者とする単独親権が採用されておりますが、本陳情は、共同親権を法整備するよう国に求めることを趣旨としております。
DVや児童虐待の被害者、支援者から、共同親権の法制化について懸念する声が上がっています。それは、DVや虐待があり、離婚に至るケースがあるからです。子供の利益を最優先にして考慮すると、別居の親との面会は、子供にとって精神的あるいは肉体的に必ずしもよい影響を与えないという場合があり、共同親権の法整備については慎重にするべきです。
したがって、本陳情は不採択にすることを表明します。
以上です。
○うすい委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○うすい委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二第七三号の一は不採択と決定いたしました。
○うすい委員長 次に、陳情二第八二号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
整理番号2、陳情二第八二号は、豊島区の東京高齢期運動連絡会会長、杉山文一さんから提出されたものでございます。
陳情の趣旨は、都議会において、後期高齢者の窓口における医療費の自己負担について、現状維持を求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
現在の状況についてご説明させていただきます。
後期高齢者医療制度において、患者が医療機関等で支払う自己負担の割合は、現役並み所得者は三割、それ以外は一割となっています。
令和元年十二月十九日の全世代型社会保障会議中間報告では、後期高齢者の自己負担のあり方について、現役並みの所得の方を除く七十五歳以上の後期高齢者医療の負担の仕組みについて、負担能力に応じたものへと改革していく必要がある、これにより、二〇二二年にかけて、団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となり、現役世代の負担が大きく上昇することが想定される中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築するとされました。
具体的には、現役並み所得者を除く七十五歳以上の後期高齢者であっても、一定所得以上の方については、医療費の窓口負担割合を二割とし、それ以外の方については一割とするという方向が示され、施行時期や所得基準は社会保障審議会医療保険部会において検討が行われることとなりましたが、令和二年九月十六日の医療保険部会では、年末までに取りまとめていくとされています。
都は、国に対し、現行制度の見直しに当たっては、地方自治体や保険者などの関係団体等と十分協議するとともに、被保険者に十分に配慮し、丁寧な説明と周知を図ること、特に後期高齢者の自己負担のあり方については、制度設計者である国の責任において、必要な医療への受診抑制につながることがないよう、低所得者に十分配慮した制度のあり方を検討することを提案要求しています。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○うすい委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○藤田委員 後期高齢者の窓口における医療費の自己負担割合の現状維持を求める陳情について質問をいたします。
七十五歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担は、現在、年収約三百八十三万円以上の人は現役並みだとして三割負担となっていますが、そのほかの方は一割です。
本陳情は、現在でも保険料が支払えない方が二十万人もいる中で、これ以上負担がふえれば受診抑制をさらに加速させるため、現在の窓口負担を現状のままにするよう、都議会から国に対して意見書を出してほしいという趣旨のものです。
後期高齢者の医療を受ける権利の保障の観点から、本陳情は採択すべきとの立場で、私から質問させていただきます。
ここで重要なのは、今の都内の高齢者がどういう状況に置かれているのか、実態をリアルに把握することです。
そこで伺います。高齢者が必要な医療を受けることの重要性について、都の認識をお聞きします。
○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 高齢者は、加齢に伴い、慢性疾患により治療を受けることが多くなる、複数の疾病にかかりやすくなるなどの特徴を有しております。
高齢者も含め、全ての都民が住みなれた地域で安心して生活していくためには、都民が必要とする保健医療サービスを必要に応じて適切に受けることができるようにすることが重要であると認識しております。
○藤田委員 高齢者の特徴は、慢性疾患での受診がふえること、複数の疾患にかかりやすいということです。東京都も、都民が必要とする保健医療サービスを適切に受けることができるようにすることが重要であると認識しているということです。
こうした加齢に伴う特徴があるからこそ、高齢者が必要とする保健医療を受けられるための仕組みは、高齢者の生活実態を踏まえたものとすべき必要があるということです。
一方、政府が検討しているのは、今回の二割負担の導入です。今月十九日、厚生労働省は、所得に応じて引き上げる対象を五つの案で示しました。そのうち最も広いケースは、年収百五十五万円以上の方というもので、全国では六百五万人が対象となります。都民も、数十万人規模の方が一割から二割負担になる、倍になるという可能性があるということです。
対象となり得る方の現在の医療費がどうなっているのか、八十代の方に、ご自身の医療費について伺いました。
その方は厚生年金で、年間の収入は約二百万円、月々にすると約十六万円です。内科や整形外科など複数のご病気があり、六種類の薬代やリハビリなど、月の医療費は一万六千円以上になります。医療費の窓口負担は、収入の一割以上にも上っているということです。
その方はおっしゃいます。年金収入は変わらないどころか、介護保険料など引かれるものの料金がふえ、所得税も年金から天引きされて、むしろ減る一方。私にとってみると、病院に行って薬をきちんと飲むことは、治るためではなくて、これ以上悪くならないために必要なことなのであって、ずっと続くやめられないものなんです。もし医療費の自己負担が二割になったら、食費や唯一の娯楽である読書などを削らなければならなくなる。しかし、それは生きていくために、生活から切っても切れないものなのです。絶対に二割へ値上げはしないでほしい。切実に話されていました。
日本医師会は、後期高齢者の患者負担割合に関して、一人当たり医療費は年齢とともに上昇し、逆に年収は低下していく。そのため、患者一部負担が年収に占める割合は上昇していき、特に後期高齢者の患者の一部負担は、現状の一割負担でもかなり重いと見解を述べています。
都は、この見解をどう受けとめますか。
○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 後期高齢者医療制度は、国民皆保険制度の一環として、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために設けられた制度と認識しております。
後期高齢者の自己負担のあり方について、都は国に対し、制度設計者である国の責任において、必要な医療への受診抑制につながることがないよう、低所得者に十分配慮した制度のあり方を検討することを提案要求しております。
○藤田委員 国の責任でということですが、東京都としても、後期高齢者の自己負担割合のあり方については、低所得者への配慮が必要という認識に立っていますので、これは重要です。
先ほどの方のお話でも、医療費の負担は現状でも大きいことがわかりますが、全日本民主医療機関連合会が毎年発表している手おくれ事例では、そもそも病院に行かなかった、行けなかったというケースも多く報告されています。
ある方は、家賃の支払いを優先し、体調が悪くても病院に行かず、ぎりぎりになって検査したときには進行がんとなっていました。入院せずに療養している間に、そのまま自宅で亡くなっているのが発見されました。
私も、臨床で働いていたときは、なぜここまで我慢してきたのか緊急入院してきた方に伺うと、お金がなくて病院に行けなかったというお話はよく聞かれました。中には、一カ月分の薬を二カ月に分けて内服していたという方もいらっしゃいます。
こうした切実な実態がある中で、現在一割負担である方が、二割に引き上がれば、さらに医療費の負担が大きくなり、病院に行かずに我慢する方がふえると思います。
社会保障審議会医療保険部会の全国老人クラブ連合会の委員からも、応能負担をいうなら、低所得者ほど負担が重い消費税の増税や大企業の法人税減税の道を改めるべきだという意見も出ています。
また、日本医師会は、後期高齢者の患者負担割合のあり方について、次のような考えを示しています。後期高齢者は一人当たりの医療費が高いので、年収に対する患者の一部負担の割合は、既に十分高い。患者一部負担割合の引き上げによって、受診控えのおそれがある。また、たとえ受診したとしても、患者負担が重荷となって、必要な医療を遠慮される懸念がある。また、新型コロナウイルス感染症禍での受診控えによる今後の健康への影響が懸念されるところである。さらなる受診控えを生じさせかねない政策をとり、高齢者に追い打ちをかけるべきではないというものです。
新型コロナウイルス感染症が広がる中、行うべきことは高齢者への負担増ではなく、急速に陽性者が増加している地域や集団への面的、集中的な検査や、医療機関への大幅な財政支援です。
以上、都内高齢者の命と健康を守るためにも、都議会として国に対し、後期高齢者医療における窓口負担の現状維持を求める意見書を上げるべきと委員の皆さんに呼びかけまして、質問を終わります。
○うすい委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○うすい委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二第八二号は不採択と決定いたしました。
以上で陳情の審査を終わります。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後一時五十六分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.