委員長 | 斉藤やすひろ君 |
副委員長 | 菅原 直志君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 木下ふみこ君 |
後藤 なみ君 | |
やまだ加奈子君 | |
斉藤れいな君 | |
藤田りょうこ君 | |
伊藤こういち君 | |
たきぐち学君 | |
岡本こうき君 | |
小宮あんり君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 吉村 憲彦君 |
健康危機管理担当局長 | 初宿 和夫君 | |
次長理事兼務 | 後藤 啓志君 | |
次長総務部長事務取扱 | 雲田 孝司君 | |
技監医療改革推進担当部長事務取扱 | 田中 敦子君 | |
医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 | 矢沢 知子君 | |
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 | 成田 友代君 | |
生活福祉部長 | 坂本 尚史君 | |
高齢社会対策部長 | 村田 由佳君 | |
少子社会対策部長 | 高野 克己君 | |
障害者施策推進部長 | 藤井麻里子君 | |
感染症対策部長 | 武田 康弘君 | |
企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 齋藤 善照君 | |
企画調整担当部長 | 奈良部瑞枝君 | |
医療政策担当部長 | 鈴木 和典君 | |
地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 | 池上 晶子君 | |
事業調整担当部長 | 山口 真吾君 | |
高齢者施策推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 | 山本 謙治君 | |
障害者医療担当部長 | 石黒 雅浩君 | |
感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 | 杉下 由行君 | |
感染症対策調整担当部長 | 中川 一典君 | |
CDC準備担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 | 加倉井祐介君 | |
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 | 遠藤 善也君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 谷田 治君 | |
サービス推進部長 | 西川 泰永君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 藤本 誠君 | |
計画調整担当部長 | 船尾 誠君 |
本日の会議に付した事件
議席について
陳情の取り下げについて
病院経営本部関係
報告事項
・私債権の放棄について(説明)
・契約の締結について(説明・質疑)
福祉保健局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・令和二年度東京都一般会計補正予算(第十号)中、歳出 福祉保健局所管分
・東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
・令和元年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について
・都立障害者支援施設の民間移譲について
請願陳情の審査
(1)二第七号の一 ハンセン病元患者・家族の人権回復及びハンセン病問題の全面解決に関する請願
(2)二第五〇号 東京都有料老人ホーム設置運営指導指針による指導の強化に関する陳情
(3)二第五二号の一 自殺対策を更に推進することに関する陳情
○斉藤(や)委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、議席についてお諮りいたします。
本日及び令和二年第三回東京都議会定例会における議席は、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○斉藤(や)委員長 次に、陳情の取り下げについて申し上げます。
お手元配布のとおり、陳情二第五一号、障害に配慮した新型コロナウイルス感染症対策に関する陳情につきましては、議長から取り下げを許可した旨の通知がありました。ご了承願います。
○斉藤(や)委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項の聴取並びに福祉保健局関係の請願陳情の審査を行います。
なお、病院経営本部関係の報告事項、契約の締結については、説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件及びその他の報告事項については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより病院経営本部関係に入ります。
理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
初めに、私債権の放棄についての報告を聴取いたします。
○谷田経営企画部長 東京都債権管理条例第十三条に基づき、病院経営本部が令和元年度に実施しました私債権の放棄についてご報告させていただきます。
お手元配布の資料、厚生委員会報告事項1、私債権の放棄についてでございます。
資料1の一ページをお開き願います。令和元年度に放棄した私債権は、東京都立広尾病院診療料等でございます。
恐れ入りますが、一四ページをお開き願います。放棄した私債権は合計三百十七件、金額は一千五百六十五万九千九百八十八円でございます。
当該債権は、広尾病院を初めとする都立病院を受診した際にかかった診療料や分娩料等でございまして、平成四年度から平成二十八年度までに発生し、債務の履行が滞っていた債権でございます。
債務者に対し、催告、交渉、各種調査など、徴収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、これまでの徴収努力の状況を踏まえますと、実質的に回収不能であります。
また、当該債権の消滅時効に係る時効期間が経過したことから、時効の援用が見込まれますが、債務者につきましては行方不明などの状態で、援用の確認を得ることができないため、令和二年三月に債権の放棄を実施したところでございます。
以上、私債権の放棄についてご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。
○斉藤(や)委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○斉藤(や)委員長 次に、契約の締結についての報告を聴取いたします。
○谷田経営企画部長 お手元にお配りしてございます資料2、契約締結報告書に基づき、動産の買い入れ契約につきましてご報告申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。本日ご報告申し上げます契約一件の総括表でございます。
二ページをお開き願います。本契約は、都立広尾病院において使用いたします高精度放射線治療システムの買い入れでございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は四億二千八百四十九万四千円で、契約の相手方はグリーンホスピタルサプライ株式会社でございます。
簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、報告事項、契約の締結についてに対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○斉藤(や)委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、福祉保健局長より紹介があります。
○吉村福祉保健局長 それでは、説明に先立ちまして、このたびの人事異動によりまして当局幹部職員の交代等がございましたので、新任幹部職員を紹介させていただきたいと存じます。
健康危機管理担当局長の初宿和夫でございます。次長理事兼務の後藤啓志でございます。次長総務部長事務取扱の雲田孝司でございます。技監医療改革推進担当部長事務取扱の田中敦子でございます。新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長を兼務となりました医療政策部長の矢沢知子でございます。新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長を兼務となりました保健政策部長の成田友代でございます。事業推進担当部長を兼務となりました企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務の齋藤善照でございます。医療政策担当部長の鈴木和典でございます。新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長を兼務となりました地域保健担当部長の池上晶子でございます。新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長を兼務となりました高齢者施策推進担当部長の山本謙治でございます。感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務の杉下由行でございます。感染症対策調整担当部長の中川一典でございます。CDC準備担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務の加倉井祐介でございます。新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務の遠藤善也でございます。
なお、理事の岩瀬和春につきましては、病気療養中のため、本日の委員会を欠席させていただいております。
以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○斉藤(や)委員長 紹介は終わりました。
○斉藤(や)委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○吉村福祉保健局長 令和二年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
今回ご審議をお願いいたします議案は、令和二年度九月補正予算案一件、条例案一件の合計二件でございます。
初めに、補正予算案についてでございますが、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策や、経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットの強化充実を図るための施策等について、時期を逸することなく実施するために必要な経費を補正するものでございます。
次に、条例案についてでございますが、東京都立川児童相談所の移転に伴うものでございます。
なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○雲田次長 それでは、令和二年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
初めに、令和二年度九月補正予算案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料、令和二年度九月補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
今回の補正は、一般会計歳入歳出予算の補正でございます。
左側の(1)、歳入予算の補正予算額欄をごらんください。国庫支出金で九百四十二億二千九百七十一万九千円の増額、繰入金で百五十億三千七百九十二万五千円の増額により、補正後の歳入合計は七千九十二億七千八百五十五万八千円となります。
右側の(2)、歳出予算の補正予算額欄をごらんください。福祉保健費で千九十二億六千七百六十四万四千円増額補正でございます。これにより、補正後の歳出合計は一兆七千六百五十九億八千四百八十四万七千円となります。
二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、新型コロナウイルス感染症緊急対策でございます。
経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットの強化充実に要する経費として、生活福祉資金貸付事業補助について、生活福祉費で二百十億三千二百三十九万七千円を計上してございます。
三ページをごらんください。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、在宅要介護者の受入体制整備事業や高齢者施設における新型コロナウイルス感染症対策強化事業について、高齢社会対策費で二十九億五千七百八万円を計上してございます。
四ページをお開き願います。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、養育困難児童の受け入れ体制を整備する区市町村への支援について、少子社会対策費で四千六十万円を計上してございます。
五ページをごらんください。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、養育困難児童の医療機関における受け入れ体制の整備事業について、こちらも少子社会対策費で千八万円を計上してございます。
六ページをお開き願います。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、在宅要介護者の受入体制整備事業や障害者支援施設等における新型コロナウイルス感染症対策強化事業について、障害者施策推進費で二億九千五十二万円を計上してございます。
七ページをごらんください。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、相談体制の確保や診療体制の確保支援などについて、健康安全費で七百七十億九千二百九十四万八千円を計上してございます。
九ページをお開き願います。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、民間検査機関等に対するPCR検査機器の導入支援や医療機関に対する設備整備補助について、施設整備費で七十八億四千四百一万九千円を計上してございます。
続きまして、条例案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料、令和二年第三回東京都議会定例会条例案の概要をごらんください。
表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。整理番号1、東京都児童相談所条例の一部を改正する条例でございます。
東京都立川児童相談所の移転に伴いまして、位置を改めるものでございます。
この条例の施行日は、令和二年十一月二十四日を予定しております。
条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、令和二年第三回東京都議会定例会条例案をごらんいただきたいと存じます。
以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○白石委員 資料要求させていただきます。
民間検査機関等の購入希望検査機器及び台数。
PCR検査機器の導入支援予算の補正予算による増額により達成可能な検査能力の規模。
十月から十二月末までの保険適用によるPCR検査等の実施件数の見込み数約八十万件の根拠。
これまでに都内で在宅の高齢者や障害者の介護者や子供の保護者が新型コロナウイルスに感染したことが判明した件数とその際の対応の内訳。
東京版CDCの専門家ボードの概要(人数、開催頻度等)。
以上です。
○斉藤(や)委員長 ほかにございますか。--ただいま白石副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
○斉藤(や)委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○齋藤企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都債権管理条例第十三条に基づき、福祉保健局が令和元年度に実施いたしました私債権の放棄についてご報告させていただきます。
お手元の資料、厚生委員会報告事項の表紙をおめくりいただき、一ページ及び二ページをごらんください。
当局におきまして令和元年度に放棄いたしました私債権は合計十七件で、金額は七百六十六万四千九百三十三円でございます。
表の番号1から4までの東京都看護師等修学資金でございますが、この制度は、保健師や看護師及び准看護師等を養成する学校または養成所に在学し、将来、都の区域内にて看護業務に従事しようとする方に修学資金を貸与することで、看護職員の確保や質の向上に資することを目的としております。今回放棄する案件は、昭和六十年度、平成二年度、平成六年度及び平成七年度に貸与したものでございます。
次に、番号5の東京都同和生業資金貸付金でございますが、この制度は、歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域等に居住している方に対し、同和問題の解決に資することを目的として資金を貸与しているもので、今回放棄する案件は、平成四年度に貸与したものでございます。
次に、番号6から17までの東京都母子及び父子福祉資金貸付金でございますが、この制度は、母子、父子家庭に対して経済的自立、扶養されている子供の福祉の増進を図ることなどを目的に資金を貸与しているもので、今回放棄する案件は、昭和五十二年度、昭和五十三年度、昭和五十五年度、昭和六十一年度、平成七年度及び平成十一年度に貸与したものでございます。
これら十七件のいずれも、債務者や連帯保証人等に対しまして催告を行うなど、回収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、死亡や行方不明等により、実質的に回収不能となったものでございます。
また、これらの債権は、消滅時効に係る時効期間が既に経過しておりますとともに、債務者等が死亡や行方不明等の状態で時効の援用の確認を得ることができないことから、令和二年三月に債権の放棄を実施したものでございます。
以上が私債権の放棄についての報告でございます。
○村田高齢社会対策部長 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの令和元年度の業務実績評価につきましてご報告を申し上げます。
お手元の資料、厚生委員会報告事項、三ページ、令和元年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価の概要をごらんください。
まず、資料を一枚おめくりいただきまして、五ページをお開きください。地方独立行政法人制度の概要でございます。
1、地方独立行政法人の定義でございますが、地方独立行政法人法に基づき、地方公共団体の対象事業のうち、民間の主体に委ねては確実な実施が確保できないおそれがあるものを効率的、効果的に行わせるため、地方公共団体が設置する法人でございます。
2、地方独立行政法人制度の仕組みと議会との関係でございます。資料右側の括弧にありますように、議決事項、条例事項及び報告事項の三つに分類して列挙しております。今回は、このうち、〔3〕、目標による管理及び評価の三つ目の項目、知事が法人の業務実績を評価という事項について、議会に対しご報告するものでございます。
三ページにお戻りください。1、評価制度の概要でございます。
知事は法人の業務実績について、地方独立行政法人法及び東京都地方独立行政法人評価委員会条例に基づきまして、十七名の外部有識者で構成される東京都地方独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で評価を行うこととなっております。健康長寿医療センターにつきましては、この評価委員会に置かれた三つの分科会の一つである高齢者医療・研究分科会に意見を聞いております。
続きまして、2、評価方針と手順でございます。
法人が作成しました中期計画の事業の実施状況を確認すること、法人の業務運営の改善、向上に資することなどを評価の基本方針とし、法人から提出された業務実績等報告書をもとに、法人に対するヒアリング等を実施するとともに、評価委員会から意見を聴取しております。
3、評価結果の概要でございます。
評価は、項目別評価と全体評価について実施をしております。
まず、項目別評価につきましては、高齢者の特性に配慮した医療の確立、提供と普及、高齢者の健康長寿と生活の質の向上を目指す研究などの分野における計二十項目について、事業の進捗状況、成果を五段階で評価をしております。
その結果は、資料下段の枠内に、(1)、項目別評価としてお示しをしております。全二十項目のうち、評定S、年度計画を大幅に上回って実施しているとしたのは二項目でございまして、高齢者に特有な疾患と老年症候群を克服するための研究及び研究推進のための基盤強化と成果の還元でございます。
評定A、年度計画を上回って実施しているとしたのは八項目で、血管病医療、高齢者がん医療、認知症医療、生活機能の維持・回復のための医療、救急医療、高齢者の地域での生活を支える研究、老年学研究におけるリーダーシップの発揮及び医療と研究が一体となった取り組みの推進でございます。
評定B、年度計画をおおむね順調に実施しているとしましたのは、地域連携の推進、地方独立行政法人の特性を生かした業務の改善、効率化及び収入の確保などの十項目、評定C、年度計画を十分に実施できていない及び評定D、業務の大幅な見直し、改善が必要であるとした項目はございませんでした。
続きまして、四ページをお開きください。(2)、全体評価でございます。全体評価は、項目別評価を基礎とし、法人の中期計画の進行状況全体について評価をしたものでございます。
ア、総評として、全体として年度計画を順調に実施しており、おおむね着実な業務の進捗状況にあると評価しております。
具体的には、病院事業については、三つの重点医療である血管病、高齢者がん、認知症医療において、高度な技術を活用した鑑別診断や低侵襲な治療の提供に努めるとともに、救急医療から在宅医療に至るまで、地域の医療機関等との連携に基づき、高齢者が地域で安心して生活できるよう医療体制を強化したこと、研究事業については、病院と研究所を一体的に運営する法人の特徴を生かした研究が進められ、臨床応用や実用化につながる成果を上げるとともに、高齢者の地域生活への支援に関し、さまざまな視点から研究に取り組み、成果を普及、還元したこと、また、研究支援組織、健康長寿イノベーションセンターの基盤を強化したことにより、知的財産活動の一層の推進が図られ、特許新規申請件数を大幅に増加させるなど、成果を迅速に出したことを高く評価すべき事項としております。
なお、改善充実を求める事項としまして、経営分析の結果を活用した業務の効率化や収支の改善に取り組むとともに、人材の確保、育成に努めるなど、組織全体で経営基盤の強化に取り組んでほしいとしております。
イ、都民に提供するサービス及びその他の業務の質の向上に関する事項として、血管病医療について、ハイブリッド手術室を活用し、低侵襲な治療を確実に実施するとともに、急性期脳卒中患者に対して、より適切な医療を提供するため、脳卒中ケアユニット、SCUの活用を推進するなど、高齢者の多様な症例に対して低侵襲で効果的な治療を提供したことなどを評価しております。
また、ウ、法人の業務運営及び財務状況に関する事項としまして、病院部門における新入院患者の確保や新たな施設基準の取得、研究部門における積極的な外部資金の獲得などにより収入の確保に努めたこと、また、材料費や医薬品費の抑制に向けた取り組みや診療科別原価計算の分析による収支改善に努めたことなどを評価しております。
エ、中期目標・中期計画の達成に向けた課題、法人への要望としまして、医療、研究を取り巻く社会状況を踏まえながら、都における高齢者医療、研究の拠点として、その役割を着実に果たすとともに、目標達成に向けた一層の発展を目指して、職員一丸となって取り組むことを期待するなどとしております。
以上が評価結果の主な内容でございますが、詳細は、お手元の冊子、令和元年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価書をごらんいただきたいと存じます。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○藤井障害者施策推進部長 都立障害者支援施設の民間移譲につきまして、今後の取り組みについて資料に基づきご説明させていただきます。
お手元の資料、厚生委員会報告事項の七ページをごらんいただきたいと存じます。
今回、民間移譲を行いますのは、資料の1、対象施設にございますとおり、障害者支援施設である東京都清瀬喜望園でございます。施設の所在地、定員及び開設時期につきましては、記載のとおりでございます。
2の経過でございますが、平成二十九年度に公募を行い、運営法人を決定しておりましたが、令和二年四月に当法人が辞退したため、今回改めて運営法人を公募するものでございます。
3の目的でございますが、社会福祉法人の自主性や創意工夫を生かした、より弾力的かつ効率的な施設運営を行い、利用者サービスの向上を図ることでございます。
4の現在の運営形態につきましては、指定管理者により管理運営を行っております。
5の運営法人の選定につきましては、選定基準を定め、公募により適切な社会福祉法人を選定し、同法人による運営といたします。
6の財産上の取扱いでございますが、建物につきましては、運営法人が新たに建設することとし、土地につきましては、都有地を無償貸付することとしております。
7の今後のスケジュールにつきましては、令和二年度中に公募により運営法人を選定いたします。令和三年度から運営法人が新施設を建設し、竣工後の令和六年度に移譲する予定でございます。
なお、移譲前年度の令和五年度に、東京都障害者支援施設等に関する条例の一部改正を提案させていただく予定でございます。
移譲に当たりましては、入所者が引き続き安心して生活できるよう十分な引き継ぎを実施したいと考えております。
以上、ご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。
○斉藤(や)委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○白石委員 資料要求させていただきます。
健康長寿医療センターの職種別職員数の推移、常勤、非常勤別。
健康長寿医療センターの診療科別医師数。
健康長寿医療センターの経営指標の推移。
健康長寿医療センターのその他医業収益の推移と内訳。
健康長寿医療センターに対する運営費負担金及び運営費交付金の推移。
健康長寿医療センターの個室使用料の推移。
健康長寿医療センターの人材紹介会社への職種別支払い金額の推移。
健康長寿医療センターの新卒者、経験者別看護師採用数の推移。
健康長寿医療センターの看護師の夜勤回数別勤務者数(各年七月実績)。
健康長寿医療センターの職種別年次有給休暇平均取得日数の年次推移、五年分。
健康長寿医療センターが二〇一九年度に見直しを行った手当等の概要と見直しの内容。
清瀬喜望園の待機者数。
清瀬喜望園の現在の収支の状況と民間移譲後の収支のシミュレーション。
以上です。
○斉藤(や)委員長 ただいま白石副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
○斉藤(や)委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
請願二第七号の一を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
整理番号1、請願二第七号の一、ハンセン病元患者・家族の人権回復及びハンセン病問題の全面解決に関する請願は、ハンセン病首都圏市民の会代表の森元美代治さんから提出されたものでございます。
請願の要旨は四点ございます。
まず、一点目としまして、国に対し、補償のほか、ハンセン病元患者、家族が安心して暮らせる差別のない共生社会の実現に向け、必要な予算措置を講じるよう要請すること。
二点目としまして、ハンセン病問題の解決のために、これまで都が行ってきた施策を明らかにし、その実績及び問題点の検証、分析を行うこと。
三点目としまして、ハンセン病元患者、家族への差別、偏見をなくし、真の意味での共生社会を実現するため、地域社会における啓発を進めること。
四点目としまして、差別、偏見の被害を受けたハンセン病元患者、家族が、補償の対象者であるにもかかわらず、その被害ゆえに請求を諦めるなどといった事態が生じることのないよう、国の相談窓口の周知徹底を図ることというものでございます。
次に、現在の状況についてご説明させていただきます。
都では、東京都出身のハンセン病療養所入所者に対し、毎年二回慰問を行い、見舞金及び見舞品をお渡しするほか、元患者家族に対する生活援護を行うなど、長期にわたる療養生活を慰安し、その生活を支える取り組みを行ってございます。
また、ハンセン病元患者の名誉回復及びハンセン病に関する差別、偏見の除去に向けて、らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日である六月二十二日を中心に、ハンセン病問題を題材としたパネルの展示や映画の上映を行うなど、都民に対するハンセン病についての正しい知識の普及啓発に取り組んでございます。
元患者家族への補償につきましては、令和元年十一月二十二日にハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律が公布、施行され、同法に基づく国の補償金の支給が行われることとなっております。
都におきましても、ハンセン病に関するホームページに補償金の支給にかかわる国の相談窓口や、法の施行から五年以内とされている補償金の請求期限などの情報を掲載し、広く周知を図っているところでございます。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○たきぐち委員 それでは、請願二第七号の一、ハンセン病元患者・家族の人権回復及びハンセン病問題の全面解決に関する請願について伺いたいと思います。
昨日、国立ハンセン病資料館、そして多磨全生園に行ってまいりました。改めてこれまでの歴史を確認し、認識を新たにしたところであります。
小池都知事も二〇一七年に多磨全生園を訪問し、昨年も百十周年の式典に出席をされています。都議会においては、我が会派の岡本議員、また公明党の谷村議員も、ハンセン病患者の差別と偏見の歴史や、療養所とは名ばかりの苛酷な生活実態などについて言及されているので、きょうは詳細を述べることはいたしませんが、明治四十年にらい予防に関する法律が制定され、昭和六年の癩予防法成立で始まった全患者に対する強制隔離政策は、平成八年に法律が廃止されるまで六十五年にわたって続き、ハンセン病患者やご家族を苦しめてきたわけであります。
そこでまず、ハンセン病は感染力は極めて弱い感染症であることがわかっておりますが、法律上の位置づけについて伺います。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 ハンセン病は、らい菌によって引き起こされる慢性の細菌感染症で、感染力は弱く、発病もまれであり、医学の進歩により、発病した場合でも適切な治療により治癒する病気となっています。
本感染症の扱いは、らい予防法に位置づけられていましたが、本法律は平成八年に廃止されたところであります。また、平成十年に制定された感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律においても位置づけられてはおりません。
このため、本感染症に罹患したとしても、医師による届け出や療養所への入所といった対応が法律上求められるものではありません。
○たきぐち委員 例えば、同じ抗酸菌の仲間である結核菌は二類感染症に指定されていますけれども、ハンセン病については、今ご答弁がありましたとおり、感染力が弱く、発病もまれで、適切な治療で治癒するということで、感染症法には位置づけられていないということでありました。
ちなみに、感染症法が制定される以前は伝染病予防法があって、伝染病の中でも特別な対応が求められるものについて個別に法律があって、それがハンセン病についてはらい予防法だったわけであります。そのらい予防法が廃止された二年後に感染症法が制定されたという時間的な経緯があろうかと思います。
らい菌の感染力の弱さは早くからわかっておりまして、昭和二十二年には、治療薬プロミンの日本での試用が開始されたにもかかわらず、昭和二十八年のらい予防法改正でも強制隔離が続けられたことに大きな問題があったと認識をしております。当時の激しい抗議運動の状況は、資料館の展示でもうかがえるところでありました。
平成十三年に、長きにわたる国の政策を誤ったものとして、元患者の訴訟判決を受け入れ、補償や名誉回復など全面的解決に向けた転換が図られました。ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律には、ハンセン病患者への耐えがたい苦痛と苦難の継続に対して、悔悟と反省の念を込めて深くおわびし、いわれのない偏見を根絶する決意を新たにするとあります。
昨年十一月には、偏見と差別の中で望んでいた家族関係を形成することが困難だったことへの認識と取り組み不足に対して、元患者家族に対する補償金の支給にかかわる法律が公布、施行されました。
そこで、今回の請願には、ハンセン病元患者と家族が差別なく暮らせる共生社会の実現に向けて、補償のほか、必要な予算措置を国に求めてほしいとありますが、都の見解を伺います。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 ハンセン病患者の強制隔離や外出制限などを定めていたらい予防法の存在自体が、差別、偏見を生み出していたことから、ハンセン病元患者と家族が差別なく暮らせる共生社会の実現は、国の責任において対応すべきものであり、都は国に対して必要な対策を講じるよう求めてまいります。
○たきぐち委員 国の責任が極めて重いということはいうまでもありません。
都としてはこれまで、療養所入所者や元患者ご家族への慰問、元患者ご家族への生活援護のほか、普及啓発活動として、写真パネル展やDVDの上映会などを実施されてきたと、先ほどご説明がありました。
請願では、こうした都の施策について、その実績と検証、そして地域社会での啓発を求めているところでありますが、これまでの事業の成果と課題を検証した上で今後の施策展開を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 都は、ハンセン病に対する正しい知識の普及啓発を図るため、毎年、らい予防法による被害の名誉回復及び追悼の日である六月二十二日を中心に啓発活動を行っております。
具体的な内容としては、ハンセン病問題の歴史や背景、近年の動向などを解説したパネル展の開催や、ハンセン病療養所に入所していた元患者が受けた差別や偏見を題材にした映画の上映等となります。
映画上映前に行っているハンセン病資料館学芸員による講演会は、ハンセン病に関する理解が深まったという声を多くいただいております。
今後もこうした声を踏まえ、効果的な普及啓発を継続して実施してまいります。
○たきぐち委員 上映会の作品の一つである「あん」、これは樹木希林さんがハンセン病患者を演じるものでありまして、私も見ましたけれども、多くのことを感じさせてくれる映画だということで、ぜひ多くの方に見ていただきたいと思っております。
こうした上映会には、近年は百名から二百五十名ぐらいの参加数だと、岡本議員の質疑の中で答弁をいただいているところでありますけれども、平成十三年からパネル展示等々を実施されているということで、延べ二千人から三千人、あるいはそれ以上の方々が参加されているのかなというふうに思います。
上映前には、ハンセン病資料館の学芸員による講演会も実施されていると、今ご説明がありました。地元の関野議員から、東村山市においては、小中学生が定期的に資料館、全生園を訪問して当事者のお話を伺うなど、熱心に取り組まれていると聞いているところでもあります。
ぜひ都としても、引き続き多くの方々にハンセン病の理解が深まるよう普及啓発に取り組んでいただきたいと思います。
ハンセン病の患者数は、平成八年の時点で、在宅患者、新発見患者を含めて五千九百六十一人というデータがありますけれども、らい予防法の廃止によって、先ほどご答弁がありましたけれども、届け出がなくなったということから、現在は療養所入所者数のみ正確な人数が把握されているのが実態だと思います。
全国十四カ所の療養所に、ことしの五月一日現在で一千九十五人が入所されていて、多磨全生園には百四十四名の方が入所されていると、これは資料館のパネルにそういった展示がありました。
そして、厚労省は、ご家族まで含めた補償金支給の対象者数を約二万四千人と想定をしております。八月十四日現在で、親、子、配偶者や兄弟姉妹など、合計で三千八百四十九件を認定していると公表されています。これは対象者の約一六%に当たるわけであります。
請願では、法の施行から五年間という請求期限において、補償の対象でありながらも、差別、偏見の被害から請求を諦めることがないように周知徹底を図ってほしいと求めております。これは、ハンセン病元患者の家族であることを、配偶者や子供に隠して生きてきた方々の存在があります。
ある報道番組においては、家族に迷惑をかけないようにと、療養所を退所した後も何十年も孤独に生きてきた元患者さんが、国の政策転換と法律の施行を受けて家族に会う決心をして、お兄さんに対して、補償の申請ができるけれども、申請をすることが障害にならないか、迷惑がかからないかということを確認しながらお話をするという様子が取り上げられておりました。そこには、我々の想像を超える苦悩の大きさと問題の深さがあることを感じるところでもあります。
こうした実態を踏まえ、ハンセン病元患者家族に対する補償金については、さまざまな機会を捉え、相談窓口の周知徹底を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 ハンセン病の元患者、回復者、そのご家族においては、申請をきっかけに周囲に知られてトラブルとなることへの不安から、相談に至らないこともあると聞いております。
このような当事者の心情も踏まえ、並行して、差別や偏見を取り除く政策を進めることが肝要であることから、引き続き普及啓発活動を実施しており、今後とも、さまざまな機会を捉えるとともに工夫を凝らし、国の相談窓口の周知徹底を図ってまいります。
○たきぐち委員 ハンセン病の歴史を知ることは、ただこの病気に対する理解を深めるということだけではなくて、現在も横たわるさまざまな差別、人権課題に通底する問題への取り組みだと私は考えております。
今般の新型コロナウイルス感染症においても、感染者に加えて、医療従事者や保育士のご家族や子供が差別を受けるということが、現実的に生じているのが日本の社会の実態であります。
ハンセン病は、都の人権指針において個別的人権課題として掲げられておりまして、人権教育、啓発の総合的な推進を図るとともに、感染症を正しく理解する、正しく恐れるためのリスクコミュニケーションによる医学的、多角的、多面的なアプローチも重要だと考えます。
都の人権施策との連携のもと、感染症に対する正しい理解を深め、今後も発信し、偏見と差別を生み出さないための取り組みを進めることが、請願にある真の意味での共生社会の実現に近づくものと考えますが、吉村局長の考えを伺います。
○吉村福祉保健局長 感染症法の前文には、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要であると記載されております。
本法律の理念を踏まえ、今後とも、感染症の患者等の人権を尊重し、誰もが安心して平穏に暮らすことができるよう、感染症全般に関し、差別や偏見をなくすため、正しい知識の普及啓発を行ってまいります。
都として、引き続き人権施策とも綿密に連携しながら、偏見と差別を生み出さないための取り組みを実施、実践してまいります。
○たきぐち委員 ご答弁ありがとうございました。
当事者ではない方々、社会が関心を向けるというのは、本当に難しいことだと思います。私も今回質疑をするに当たって、昨日、全生園等々お伺いをしたわけでありますけれども、日本財団の調査、二〇一五年の調査でありますけれども、ハンセン病を知っているという認知率は六四%あるということですが、このうち約七割の方は少し知っているというふうに回答しておりまして、ハンセン病の存在は知っているけれども、実際にどういった歴史があって、どういった偏見や差別で、苦しまれてきたことを知っている人は多くないというふうに思います。
私自身、きのう足を運ばせていただいて、大変天気がよい午前中でありまして、のどかで緑豊かなこの場所が、今は開放されていて、ちょうど保育園児が保育士さんと散歩をされているところに出くわしたわけでありますけれども、お祭りのときには、東村山市やその周辺の地域から多くの方々が集う場所になっているということを関野議員からも聞きました。
同時に、約三十五ヘクタールという広大な敷地を歩きながら、この場所で隔離されてきたその情景を想像すると、私が軽々に論ずることはできない、そんな気持ちにもなったところでもあります。
きのうときょう、熊本の療養所において、人権を軽視する遺体解剖が行われていたということが新聞でも報じられているところであります。これまでの歴史から目をそらすことなく、そして、今なおいつでも起こり得る差別、人間の弱さというものを認識しながら、さまざまな機会を通じて、都として、感染症への理解や人権意識の醸成を図っていくことを強く求めまして、本請願に採択を表明して、質疑を終わります。
○小林委員 私からは、端的に二点、お伺いをさせていただきます。
このたびの請願において、厚生委員会に付託されている願意は四点ありますが、ハンセン病の患者の皆様が今日まで筆舌に尽くせぬ苦しみと闘ってこられた歴史を学ぶとき、いずれも重要な、今後もしっかり取り組んでいかなければならない課題であると思います。
公明党は今日まで、ハンセン病の問題に党を挙げて取り組んでまいりました。
国立療養所に強制入所させられた入所者の方が、平成十年に国に賠償を求める初の訴訟を熊本地方裁判所に起こしました。平成十三年の判決では、隔離政策は憲法違反として原告が勝訴いたしました。政府は控訴する構えを見せていましたが、当時の公明党の坂口力厚生労働大臣が辞表を忍ばせて首相官邸に行って、小泉純一郎首相に控訴断念を直談判し、また、公明党は党を挙げて政府に要請をして、小泉首相は控訴断念を決断されました。
坂口元大臣は、後に当時の心境を、ハンセン病に対しても人権無視があれば正すべきだという思いが強かったことが当時の私を突き動かした、首相が控訴するといったら、辞表を出す覚悟だったと振り返っています。
都議会においては、平成二十八年の第一回定例会の一般質問で、都議会公明党の谷村孝彦議員が、ハンセン病の歴史をひもときつつ、ハンセン病療養所の一つである多磨全生園への都知事の来訪を求めました。
東京都知事が多磨全生園に訪問したのは、昭和三十四年、当時の東知事が最後となっておりました。翌平成二十九年の一般質問においても、谷村議員が再度、都知事の再訪を求めました。
小池知事は、できるだけ早期に入所者の皆様とお会いして、長年の労苦をねぎらいたいと考えておりますと答弁され、その年の四月一日、五十八年ぶりに現職都知事の多磨全生園の訪問が実現をいたしました。
そこで、改めて、小池知事が多磨全生園を訪問した際の入所者との面談の内容についてお伺いをいたします。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 知事は、多磨全生園を訪問し、納骨堂において献花した後、一般介護棟において、全国ハンセン病療養所入所者協議会事務局長や入所されている方々と面談を行いました。
面談の中において、入所者から、偏見や差別解消への取り組み強化について要望を受け、面談後に、都として人権という観点から、いまだに残る偏見、差別の解消に努めていきたい、差別を繰り返さないということが大切であるとの発言を行っております。
○小林委員 現職の都知事が約半世紀ぶりに訪問し、都として、偏見や差別の解消に取り組んでいくという決意を述べられた歴史的出来事であると思いますので、今後も、この事実を大切に引き継いでいっていただきたいと思います。
願意の一つに、ハンセン病元患者、家族への差別、偏見をなくし、真の意味での共生社会を実現するため、地域社会における啓発を進めることとあります。
ハンセン病問題を解決していくために、今後も不断の取り組みを進めていかねばなりませんが、都としてもさまざまな普及啓発活動に取り組んでいると思いますが、ここ最近の取り組み状況、実績についてお伺いをいたします。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 まず一つ目として、パネル展示がございます。パネル展示は、ハンセン病問題について解説したパネルを都庁第一本庁舎一階の展示スペースに設置し、都庁を訪れる多くの方々にごらんいただいております。
また、映画の上映も行っております。映画は、ハンセン病に関する理解を深めてもらうために、上映前にハンセン病資料館学芸員による講演会も実施いたしております。映画の内容は、ハンセン病療養所に入所していた元患者が受けた差別や偏見を題材にした作品を上映し、平成二十九年度は約二百名、平成三十年度は約百十名、令和元年度は約百二十名の方に来場いただきました。
映画上映後のアンケートでは、講演会の話がとてもまとまっており、おかげで映画をより深く理解することができたという声や、映画を見て、多磨全生園に行ってみたい、元患者の人に会ってみたいと思ったなどの声が寄せられています。
○小林委員 全国ハンセン病療養所入所者協議会の藤崎事務局長が、ハンセン病という感染症で今日に至るまで人権侵害に苦しんだ歴史から、今日の新型コロナウイルス感染症における差別や誹謗中傷に対して、新聞のインタビューに答えている記事を目にいたしました。
新型コロナウイルス感染者らへの差別をどう見るかとの問いかけに対し、感染者が苦しい闘病を経て無事に退院できても、商店の利用を断られたり、インターネット上で中傷されるケースが相次いでいる。病気が治ったとしても偏見の目で見られ、社会に快く受け入れてもらえない。これはハンセン病も同じだ。療養所から社会復帰できたものの、世間の風当たりに耐えられず、再び療養所に戻る人は多い。その悲しみはどれほどか。新型コロナとハンセン病は、病気そのものは違うが、いわれのない中傷や差別を受ける点で重なる部分がある。特に私が憤っているのは、新型コロナに対応する看護師の子供が保育所の利用を拒否された事例だ。ハンセン病の医療従事者も白眼視され、かつては地域で職業を明かせないケースが少なくなかった。最前線で患者の治療に当たってくれる医療従事者への差別は、根拠を欠いた過剰な反応であり、絶対に許せないと述べておられます。
また、自粛を強要するため他人へ嫌がらせをする、いわゆる自粛警察の問題については、ひどい話だが、差別や嫌がらせをする人は、悪意ではなく正義感から動いていることもある。ただし、正義感が全て正しいとは限らない。ハンセン病では、患者を徹底的に見つけ出し、強制的に療養所に入所させる無らい県運動が官民挙げて行われ、患者や家族は地域に住み続けることができなくなった。これも罪の意識なく行われたものだ。自粛が足りないと非難する前に、一度立ちどまってもらいたいと警鐘を鳴らされ、最後に、ハンセン病の人権侵害は、もし自分が病気になったらどうするかという視点が社会に欠けていたことが問題を長引かせた一因だ。これは、新型コロナの問題でも当てはまる。自分がなったならとの視点を常に持ち、感染者や医療従事者に思いやりの言葉をかけてほしいと結ばれています。
病気の違いこそあれ、感染症というものに私たちはどう向き合っていくか。今まさに起きている問題は、ハンセン病患者の皆様の歴史から反省し、教訓を得て生かしていかねばなりません。
だからこそ、さきの小池知事の発言にもありましたハンセン病患者への偏見、差別を解消する取り組みを、都としても一層推進していただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。
○白石委員 私からも、ハンセン病元患者・家族の人権回復及びハンセン病問題の全面解決に関する請願について質問をいたします。
国の誤ったハンセン病隔離政策によって患者の家族が深刻な差別被害を受けたとして、五百六十一人が国に謝罪と損害賠償を求めた集団訴訟は、二〇一九年六月、国の責任が認められ、その判決を国は受け入れました。
その後、ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律の成立、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の改正へと結びつき、ハンセン病元患者の方々、そしてその家族の方々が歴史を動かしたと、画期的なものとなりました。
そこで、都の認識を率直に伺いたいと思います。ハンセン病への差別、偏見が長年にわたり行われてきた原因は何であり、何が過ちであったのか、都はどのように認識しているでしょうか。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 昨年六月に熊本地方裁判所におけるハンセン病家族国家賠償請求訴訟判決があり、国は、患者、元患者のみならず、家族に対しても社会において極めて厳しい偏見、差別が存在していたという事実を受けとめ、同判決を受け入れることを閣議決定しました。
国は、ハンセン病への差別、偏見が長年にわたり行われてきたことに対し、我が国において、かつてとられたハンセン病患者に対する施設入所政策が、多くの患者の人権に対する大きな制限、制約となったとしており、都においても同様の認識であります。
○白石委員 国の強制的な隔離政策によって、家族の方々もこの政策によって差別被害があった、受けたということは、都も同じ認識だということです。
判決では、隔離政策によって生み出され、また助長された偏見、差別により、元患者の家族が被害をこうむったことに対する国責任が認められ、さらに隔離政策が廃止された一九九六年以降も、偏見、差別を取り除く国の対策義務違反も認定がされました。この判決の意義というのは、ハンセン病患者のみならず、その家族についても、国の政策により差別被害を受けたことが初めて認定されたということです。
しかし、これによりハンセン病差別が全面解決したのかというと、そうではありません。差別をなくすために取り組む義務を果たしてこなかったことを反省し、全面解決に向けた取り組みを本気で行うことが求められているというふうに思います。今回の判決は、ハンセン病元患者や家族、関係者の皆さんの闘いと運動の成果であり、これから国も都も、そして議会も、真の全面解決に向けた具体的な取り組みが求められていると強調したいというふうに思います。
先ほども述べましたけれども、ハンセン病差別一掃のスタートラインに立ったという、この到達点に立って、都のこれまでの取り組みを振り返り、何を強化すべきなのか考えて、具体的に取り組むことがやはり必要だというふうに思います。家族の方への偏見、差別の実態がどうだったのかという、ここの出発点も大事だと思います。
ハンセン病家族訴訟を通じて、生の声がまとめられている、こちらですね。ハンセン病家族訴訟原告からのメッセージ、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいというふうに思います。
その一部、抜粋して読み上げます。原告番号百六十九番、関東在住七十代女性。五歳のときには父が、小学校二年のとき兄も療養所に収容されました。私は一時、一人故郷に残され、小学校で、おまえもらい病だろう、寄るな、さわるな、うつすなといじめを受けました。私は耐え切れなくなって担任の先生に相談をしたのですが、先生からは、仕方ないでしょう、本当のことだから、いつまでここにいるのといわれました。それ以来、ハンセン病のことは決して人に話してはいけないと、心に決めました。でも、男ばかりの兄弟で育った父は、最初に生まれた女の子である私をとてもかわいがってくれました。そして父が療養所に収容された後、母が療養所によく連れていってくれたことなどから、私は父のことがとても好きでした。私は毎回、熊本の法廷に傍聴に通いました。そこで多くの原告が国の間違った政策のために人生を変えられてしまったことを知り、私もその中に含まれていることを強く感じ、眠れなくなりました。同時に、裁判傍聴で知ったことは、大勢の支援者の方々がいて、家族訴訟を応援してくださっていることでした。私たちの声を上げなければ、社会は国の間違った政策により、私たちが苦しみ悩んでいることを知らないままです。しかし、私が声を上げれば、夫や子供、そして子供たちの家族に迷惑をかけるのではないかという思いもあり、その中で揺れています。大好きな父への思いと、その父を隠さなければならない思いとの揺れを含め、このような苦しみ、葛藤から一日でも早く解放されたいと思っています。私は、間違って人を排除したままにする信頼できない裁判所、国、そして社会ではないと信じたいと思います。これ、原告の方のメッセージが、これだけじゃありません、多く載っております。
そこで伺いたいと思います。都は、ハンセン病元患者や家族が受けた差別、偏見をどのように受けとめているのか伺います。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 かつてのらい予防法を中心とする国の隔離政策により、長年にわたりハンセン病元患者、家族の方々の尊厳を傷つけ、多くの痛みと苦しみを与えてきたと考えております。
○白石委員 今ご答弁ありました。これは、国の誤った政策により引き起こされた、やっぱり差別であり、人権問題です。
遺族訴訟で本名を名乗り、マスコミに顔を出したことから、周囲が私の父のことを知るところとなり、四人の子供たちのうち三人が離婚ということになったというふうなことも、このメッセージの中に書かれております。
差別被害はハンセン病患者だけではなく、家族へと広がり、それがさらに新たな世代にまで及んでいるんです。過去の問題ではないということです。ハンセン病差別は過去の問題ではなく、現在の問題であると、改めてこの差別被害の深刻さを、都も、そして私たちも重く受けとめるべきだというふうに思います。
そこで、これまで都は、ハンセン病問題解決のためにどのようなことを行ってきたのか伺いたいと思います。また、差別、偏見は人権問題でもあることから、総務局などとも共同して、ハンセン病問題の解決とともに、人権条例に基づいた差別解消のための実効性ある取り組みを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 都は毎年、らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日である六月二十二日を中心に、パネル展示や映画上映等の啓発活動を行ってきました。
引き続き、人権施策の所管局である総務局などとも協力しながら、啓発活動に取り組んでまいります。
○白石委員 ここでご紹介したいと思いますが、ある原告の方は、学校でハンセン病を扱った映画の上映後、以前よりいじめが激化したという体験談を話しています。形だけの政策は要らないと、私たちの話を聞いて啓発を考えてほしいと訴えております。
正しい知識に基づく啓発、何より当事者の方の話抜きに効果的な啓発はないというふうに思います。また、逆効果になることすら、今の紹介した声からもあり得るということです。
ハンセン病元患者や家族への差別の実態を、都としても、直接聞き取るなどして、元患者や家族がどのような差別、偏見を受けてきたのか実態を把握するとともに、当事者の声から効果的な取り組みを行うべきだと改めて私たちも考えていますが、いかがでしょうか。
○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 ハンセン病元患者、家族への差別や偏見の実態を把握することは重要であり、都は、定期的に多磨全生園等のハンセン病療養所を訪問し、慰問を実施しております。
引き続き慰問を実施し、入所者の要望等を把握してまいります。
○白石委員 ハンセン病元患者、家族への差別や偏見の実態を把握することは重要との認識を示されました。ぜひとも、都としても、直接家族を含めた当事者からの話を聞くということを求めておきたいというふうに思います。元患者だけではなくて、家族も含めて、やっぱり当事者から話を聞いてほしいということです。
当事者からも、私もちょっといただきましたけれども、本当にこの差別というのがどういうことだったのかと、先ほどこっちの原告からのメッセージのところで紹介いたしました。
さらに今回、本人が書いた直筆の気持ちもあります。これも読ませていただきますが、七十代の方です。私の一生と青春返せと大声で叫びたい。私の父がハンセン病気になり、岡山療養所に入ることになり、それから村八分にされ、毎日毎日泣いて暮らしていた。父がいなくなったころから母親も病気になり、働き手のない家の家計は火の車となり、親の残した家を売り、土地を売り、その金で毎日毎日やっと暮らしてきました。そして昭和二十七年十二月、とうとう母親までも死んでしまいました。残った姉妹二人きりとなり、私が十八歳、妹十四歳、どうすることもできず、ただ泣くばかりでした。この病のために学校にも行けず苦しい毎日が続いたこと、字を書くことも読むこともできず、これも皆差別のせいだと思いますと、本当に必死に書かれています。
これが差別の実態であり、過去の問題ではなく、今も続いているということを改めて強調したいと思います。
都は、被害を受けた元患者家族が補償の対象でありながら、その被害ゆえに請求を諦めるなどといった実態が生じないよう、やはり安心できる相談窓口を、都として、国だけではなく開設することも改めて要望しておきたいというふうに思います。
以上、本請願を採択することを求めて、質問を終わりたいというふうに思います。
○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認めます。よって、請願二第七号の一は採択と決定いたしました。
○斉藤(や)委員長 次に、陳情二第五〇号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○村田高齢社会対策部長 お手元にお配りをしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
整理番号2、陳情二第五〇号、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針による指導の強化に関する陳情は、文京区の政治団体みんなでみんなのまちづくり代表の屋和田珠里さんから提出をされたものでございます。
陳情の趣旨は、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針--以下、指針といいます--の2、(6)について、以下の実現を求めるというものでございます。
第一に、地元住民に説明する内容を具体的に規定をし、事業者等の説明責任を明確化すること。
第二に、地盤調査や工事車両の通行等が、住環境、子育て環境並びに子供及び高齢者の安心・安全に与える影響とその対応策を、説明すべき項目として規定し、事業者等に対して計画段階から指導を強化できるようにすること。
第三に、地元住民にとって、有料老人ホームは、運営面や管理面だけが問題なのではなく、既存施設や設備の解体、撤去作業が住環境、子育て環境及び生活環境に影響を与えることも問題であるため、説明すべき項目として規定し、事業者に対して計画段階から指導を強化できるようにすること。
第四に、指針2、(5)に基づく事前協議の手続に入る前に、事業者等は地元住民への説明会を開催し、理解を得た上で説明会を終了しなければならない旨を規定し、事業者等に対する指導を強化できるようにすることというものでございます。
現在の状況についてご説明をさせていただきます。
都は、老人の福祉を図ることを目的とする老人福祉法及び有料老人ホームの設置運営に関して遵守を求める事項を定めた指針に基づき、有料老人ホームを設置する者に対して指導を行っております。
指針では、2、基本的事項、(6)において、計画段階から市場分析、調査に努め、地域の特性やサービスの需要、充足状況等を考慮した上で、地元区市町村福祉所管課と十分な調整を図ること、また、地域住民、特に隣接地の居住者に対して、説明会を開催するなど事業について理解を得ることとし、工事中に当たっては時間帯や工事車両の出入りについて十分配慮することと定めております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○白石委員 政治団体みんなでみんなのまちづくり代表屋和田珠里さんから提出された東京都有料老人ホーム設置運営指導指針による指導の強化に関する陳情について質問いたします。
この陳情が出された背景は、文京区の西片一丁目地域に、地下一階、地上三階建ての介護つき有料老人ホームを新たに建設する計画が突然持ち上がったことです。
そもそも文京区は、区内に土砂災害防止法に基づいて、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンが六十四カ所、土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンは百六カ所が、昨年九月時点で指定をされています。危険地域の指定が、二十三区で三番目に多い区が文京区ということになります。
この西片一丁目という地域は、レッドゾーン、イエローゾーンが指定されている地域となっています。つまり、崖崩れのおそれがある危険な地域に有料老人ホームの建設計画が突然浮上したと。周辺住民の方々が危険な区域に建設することに不安を抱いて、計画を改めるよう文京区に請願が繰り返し出されているという背景もあります。
初めに、西片一丁目地域に計画されていた有料老人ホームの建設計画について、文京区は都に対してどのような意見を提出されているのか伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 文京区は都に対し、平成三十年度から三十二年度までを期間とする第七期介護保険事業計画で予定している定員数に達する見込みのため、特定施設入居者生活介護の指定を認めないと回答しております。
○白石委員 つまり、地元自治体である文京区は、この西片一丁目地域に計画されていた有料老人ホームの建設について、区内では既に有料老人ホームの定員数は満たしているということから、有料老人ホームの設置を認めないとはっきりと回答したということが、今答弁されました。周辺住民はもとより、地元自治体も、有料老人ホームの建設そのものに必要性がないと、このようにしているということです。
周辺住民の反対の声などもあり、現在の状況をいいますと、事前相談自体が取り下げられている、建設計画自体が凍結されているというのが、今の現状だということです。
今回の陳情は、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針について、事業者が住民への説明責任をさらに果たすために指針を強化充実してほしいということを願意としています。
なぜこのようなことを陳情者は求めているかといえば、例えば、当時有料老人ホーム設置予定者だった事業者が、住民の反対があるにもかかわらず、地域住民からの反対の声等は上がっていないと都に説明するなど、住民の不信を一層広げるやり方で計画を押し通そうとした背景があったからです。
これについて、都の指導員が事前相談の際に、事業者に対して、住民の反対があることを指摘し、住民への説明責任を果たすよう指導が行われて、事業者に住民説明会を改めて開催させたという対応がとられました。そのことからも、指導員の役割というのは非常に大きいというふうに私は思っております。
そこで伺いたいと思うんですが、専門性を持った指導員を都は配置をしておりますが、その指導員とはどういう資格を有している人たちか、また、都では何名配置されているのか伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 東京都有料老人ホーム運営指導員は、介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉士のいずれかの資格を保有する者であり、現在九名を配置しております。
○白石委員 続いて質問しますが、指導員の役割の重要性について、都はどういう認識を持たれているでしょうか。
○村田高齢社会対策部長 都は、有料老人ホームの適切な運営を確保するため、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針を策定するとともに、運営指導を実施しております。
入居者の福祉を重視する観点から、運営指導において、指導員は、有料老人ホームにおける介護サービスの向上等について、現地指導を含め助言指導を実施しております。
○白石委員 ちょっと、今の答弁はなかなかわかりにくいんですけれども、入居者の福祉を重視するために資格を持った指導員を配置していると、つまりこういうことですね。
入居者の安心・安全や老人ホームの適切な運営がされているかということを事業者に指導することは当然だというふうに思っております。地域の理解や協力を得ることも、また同時に、やはり指導員のところから指導するということが重要であると思います。そのために都も専門性を持った指導員を配置しているんだというふうに、今の答弁からも受けとめております。
事業者から有料老人ホーム設置について、事前相談というのは一体年間どのぐらいあるのかというところを伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 令和元年度でございますが、百件受け付けております。
○白石委員 相談件数の五年間の推移というのを事前に資料としていただきました。この五年間で相談件数は二五%ふえております。
先ほど指導員は九名配置しているというふうに答弁されました。その九名全員が非常勤という状況です。相談件数は増加傾向にあるということは先ほどもいいました。また、指導員というのは、先ほどいったように事前相談の対応だけでなく、有料老人ホーム設置後も適切に運営がされているかなど、現地の確認、指導を行う重要な役割を担っております。だからこそ、非常勤ではなく常勤採用することを求めておきたいというふうに思います。
次に、住民の理解を得ることの重要性をどのように都は考えているのかということを伺いたいと思います。また、事前相談では、住民の理解を得ることの重要性を事業者にどのように指導しているのか、あわせて伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 有料老人ホームは、安定的かつ継続的な事業運営の確保が必要であることから、住民の理解を得ることは重要でございます。
都は指針において、地域住民に対して説明会を開催するなど事業について理解を得ること等を定めており、事前相談の際に自己チェック票の提出を求め、住民から反対の声が上がっていないかについて設置予定者に確認をしております。
○白石委員 地域住民との信頼関係や連携などなくして施設の安定的な運営はないと思います。だからこそ、確認にとどまらず、どんな場合でも地域住民への理解を得るために、事業者が説明責任を果たすよう、都として適切に指導していただきたいなというふうに思っております。
事前相談の件数も、先ほどいいましたように、この五年間で二五%ふえているということからも、これからも、今の傾向でいけば、さらにふえていくであろうという見込みもあります。
そういうことから、ますます事業者に、住民の理解や合意を得る指導を充実させていくということが求められていると思いますが、そこについて都の見解を伺いたいというふうに思います。
○村田高齢社会対策部長 有料老人ホームは、安定的かつ継続的な事業運営の確保が必要であることから、住民の理解を得ることは重要でございます。
引き続き指導指針に基づきまして、指導を実施してまいります。
○白石委員 先ほども指摘をしたように、周辺住民の反対があるにもかかわらず、事業者は反対の声はないと都に説明し、有料老人ホームの設置計画をしようとした事例がありました。こういうことも踏まえて、住民への理解など、指導指針の充実や強化を必要に応じて改定していっていただきたいというふうに思っております。
また、今後の事前協議においても、住民の理解を得ることの重要性を踏まえて、しっかりと事業者に相談対応や指導をしていただきたいと改めて要望させていただきます。
以上のことからも、本陳情の趣旨採択を求めて、質問を終わりたいというふうに思います。
○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○斉藤(や)委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二第五〇号は不採択と決定いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時二十七分休憩
午後二時四十五分開議
○斉藤(や)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
陳情二第五二号の一を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
整理番号3、陳情二第五二号の一は、大田区の藤井美智子さんからご提出されたものでございます。
陳情の趣旨は、都において、自殺対策をさらに推進するため、次のことを実現していただきたいというものでございます。
第一に、自殺対策を総合的に行うこと。
第二に、心、鬱、多重債務、SNSに関する相談事業を拡充すること。
第三に、不眠対策を進めること。
第四に、若者や妊産婦への自殺対策を進めること。
第五に、ゲートキーパーの育成を進めること。
第六に、自殺企図者への対応を進めること。
第七に、自死遺族を支える活動を支援することというものでございます。
現在の状況についてご説明させていただきます。
第一についてですが、自殺の背景には、健康問題や経済問題、就労や働き方の問題など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているため、都は福祉、医療、経済、教育等の関係機関や区市町村から成る自殺総合対策東京会議を設け、各分野の関係者が連携しながら施策を推進しております。新型コロナウイルス感染症の影響により自殺リスクの高まりが懸念されていることを踏まえ、感染症による影響や具体的な対応を検討するため、定例的に行っている区市町村連絡会に加え、本年六月、臨時で自殺対策東京会議の計画評価部会と重点施策部会や、こころといのちの相談・支援東京ネットワーク連絡会を開催いたしました。
第二についてですが、心の不安や悩みに関する相談については精神保健福祉センターや都保健所で、多重債務に関する相談につきましては東京都消費生活総合センターや東京都生活再生相談窓口で応じております。さらに、九月と三月の自殺対策強化月間中に、東京都消費生活総合センターでは特別相談、多重債務一一〇番を実施しております。
また、都は、自殺相談専門の電話相談とSNS相談を実施するとともに、区市町村や民間団体が地域の特性に応じて実施する相談事業を支援しております。本年六月からは、感染症の流行に伴う心理的不安に対応するため、SNS相談と深夜、早朝時間帯などにおける電話相談の回線数や相談員をふやしております。
第三についてですが、十分な睡眠をとり、ストレスと上手につき合うことは心の健康に欠かせない要素であるため、都は、よい睡眠のためのヒントや睡眠障害についてホームページや企業向け会報誌に掲載し、普及啓発を行っております。また、不眠等も含めた心の健康にかかわる内容については、保健師等の専門職による精神保健福祉相談を実施するとともに、夜間の電話相談も実施しております。
今年度は、睡眠の重要性について普及啓発を一層推進するため、心の健康の問題を初めとした不眠症状の原因や、生活習慣、年代等に応じた適切な睡眠のとり方、望ましい生活習慣による睡眠の質の改善等に関する啓発資材の作成を進めております。
第四についてですが、都は若年層の自殺対策を強化するため、令和元年度からSNS自殺相談を本格実施しております。また、学生等を対象に大学等と連携した若年層向け講演会や、企業の経営者や人事担当者を対象に、若手社員をテーマに取り上げた講演会を実施しております。
悩みを抱える妊産婦を支援するため、都では、妊娠届け時の面接等を通じて妊婦の状況を把握し、必要な支援につなげる区市町村を支援しており、今年度は、産前産後の支援を大幅に充実した、とうきょうママパパ応援事業を開始して、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援体制の整備を進める区市町村への支援を強化しております。
第五から第七についてですが、都は、ゲートキーパーの養成、自殺未遂者への支援、自死遺族への支援など、区市町村や民間団体が地域の特性に応じて実施する自殺対策を支援しております。
また、都の相談窓口職員等にゲートキーパーとしての役割を担ってもらうため、ゲートキーパー養成研修を実施するとともに、都のゲートキーパー手帳や国のゲートキーパー研修用動画などの関連情報を提供しております。
救急医療機関等に搬送された自殺未遂者等を地域の支援や精神科医療につなぐ相談調整窓口を設置するとともに、医療機関や地域の保健関係者等を対象に、自殺未遂者へのケアや支援に関する研修を実施しております。自死遺族等に必要な情報を提供するため、リーフレットを作成しております。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○菅原委員 委員長のお許しをいただきましたので、質疑をさせていただきます。
九月十日から九月十六日は、自殺予防週間です。都庁も自殺予防週間に合わせてライトアップをしております。ちょうど、この自殺予防週間の最終日となるきょう、厚生委員会での自殺問題についての議論をすることになりました。
小池都知事は、平成三十年三月十五日の都議会において、次のような発言をされています。平成二十七年と比較いたしまして、自殺死亡率や自殺者数を十年間で三〇%減少させると。これを目標として、都の現状を踏まえて、若年層対策や職場の自殺対策を進めることを重点施策として位置づけると。また、心の悩みや就労問題、多重債務の問題など、さまざまな悩みに対しての相談、支援の充実を図る、そのほか、高齢者の見守り、産後鬱予防に取り組む区市町村を支援するなどなど、関係機関と連携した取り組みを盛り込んでいると、このような発言をされています。
コロナという大きな変動要素の最中ではありますが、東京都が進める自殺対策の大きな指標として数字も捉えていくことは重要だと思いますので、冒頭で紹介をいたします。
平成二十七年の東京都の自殺者数というのは二千二百九十人と伺いました。これを三割減とすることは千六百人ということになります。この千六百人を目標として、今、東京都は動いているということ。しかしながら、残念ながら、警察庁の数字によりますと、平成三十年での自殺者数は二千二百四十四人です。昨年、令和一年だと二千百七人ということで、なかなかその目標値には近づきにくいなというのも感想としてあります。
九月十日、先日、厚生労働省は八月までの自殺者数の速報を発表いたしました。自殺者数を毎月発表するようになったのも、自殺対策基本法の検討の中で、毎月のデータがないんだと、これでは議論もできないという声がきっかけで始まりました。それまでは一年間で一本で数字が報告されていたということでございます。
この発表では、昨年の八月とことしの八月の自殺者数、これが比較されております。例えば、昨年、全国では千六百三人の方が八月に自殺をされた。じゃあ、ことしはどうかというと、一カ月の間、千八百四十九人です。二百四十六人ふえました。一五・三%の増ということになります。
東京都はどうなのかというと、令和元年の八月が百四十五人です。ことしの八月は二百十人です。六十五人ふえました。増加率でいうと四四・八%。これは急増という表現をしてもいいかと思います。
失業率の問題がございます。失業率を見ても、昨年は二・四%だった失業率ですけれども、四月には二・六%になりました。七月には二・九%になりました。これが一番新しい数字です。八月の数字はまだ出ておりません。
失業者というのは、昨年の七月に比べて四十一万人ふえて、今、百九十七万人となっているということでございます。失業率と自殺率には相関関係があることは常識ですから、今、自殺リスクが急上昇しているということは、共通認識できるのではないかと思います。
本日は、この陳情の願意に沿って、東京都の施策の課題と今後の取り組みを中心に質疑を進めてまいります。
まずは、相談事業についてです。
心の不調に気づいたら、まずは相談機関に相談するということは重要です。心の不安や悩みを相談する都の窓口としては、精神保健福祉センターや保健所がございます。
そこで、都の精神保健福祉センターと保健所の精神保健福祉相談の実績について伺います。お願いします。
○石黒障害者医療担当部長 都立総合精神保健福祉センターにおける精神保健福祉相談の実績は、平成二十九年度が三万五百三十六件、平成三十年度が三万一千七百八十九件、令和元年度が三万一千二百四十件となっております。
同じく都保健所における実績は、平成二十九年度が二万二千八百十一件、平成三十年度が二万一千百三十五件、令和元年度が二万一千八百五十四件となっております。
○菅原委員 自殺に関する相談には、多重債務一一〇番というのもあります。多重債務の相談は生活文化局が担当していると伺いました。ここでは答弁できないということですので、私から発言します。
第十七回、東京都の多重債務問題協議会という団体がありまして、その資料を見てみますと、多重債務に対する相談件数というのは、二〇一五年に比較して三割程度の増加をしているんだということです。今の答弁では大体横ばいぐらいの感じの数字で答弁されましたけど、多重債務については三割ぐらいふえているということがわかります。
この多重債務一一〇番というのは、今年度は九月七日、八日の二日間行われました。昨年度は九月二日、三日の二日間プラス三月四日、五日の二日間の合計四日間。それ以前の開催を見ても、大体年に四日間ぐらいということだと思います。
コロナ禍での特別対応として、通常の相談に加えて、さらに多重債務一一〇番の相談日をふやす必要があるとは思います。これは提言しておきます。
さて、この事業ですが、福祉保健局と生活文化局がそれぞれ取り組んでいるんだなということはわかりました。残念なのは、それぞれのホームページが相互乗り入れをしていないということです。せっかくの事業なので、お互いの事業を、福祉保健局と生活文化局で連携して表示することを提案いたしますが、見解を伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都では、毎年九月と三月を自殺対策強化月間に位置づけまして、区市町村や関係団体と連携し、自殺防止東京キャンペーンを実施しております。
お話の多重債務一一〇番は、このキャンペーンの取り組みの一つでございまして、チラシやホームページへの掲載により、生活文化局と連携して都民に周知しております。
引き続き、生活文化局と連携し、自殺防止東京キャンペーンの取り組みをより効果的に都民に周知できますよう検討してまいります。
○菅原委員 ぜひ、せっかくの事業ですので、連携できるような相互乗り入れも考えていただければと思います。
コロナ禍を踏まえて相談体制の拡充を求めてまいりました。福祉保健局は相談体制の拡充の方向を打ち出しておりまして、そのことは高く評価をしたいと思います。
コロナ禍の中で、現時点での拡充の体制について確認をさせていただきたいと思います。また、必要があればさらなる拡充も求められると思いますが、都の見解を伺います。お願いします。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う心理的不安に対応するため、本年六月から実施している電話相談における深夜、早朝時間帯などでの回線数と相談員の拡充の取り組みについて、本年度末まで継続してまいります。
また、SNS自殺相談につきましては、電話相談と同様に、六月から実施しております回線数と相談員の拡充の取り組みを本年度末まで継続いたしますとともに、これまで自殺対策強化月間である九月と三月に実施しておりました相談時間の延長を、九月以降も継続いたします。
加えて、これまでも民間団体が実施する相談事業を支援してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による相談ニーズの増加を受けまして、民間団体が実施いたします相談事業の拡充に要する経費を補助率十分の十で支援いたします。
今後の相談体制につきましては、相談ニーズや専門家の意見等を踏まえながら検討してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
実のある対応、そして見える対応をしていただいているんだろうなと思っております。東京都の素早い対応に、まずは感謝を申し上げたいと思います。
さて、不眠対策の項目が陳情の中にございました。不眠対策について伺います。
鬱病の九割以上に睡眠障害があるといわれております。自殺対策の一つとして、不眠対策を進めることは重要だと思います。
鳥取県では自死対策、眠れてますか睡眠キャンペーン、これを展開しております。内閣府では二〇一〇年にキャンペーンを大々的に行いました。また、静岡県、秋田県、沖縄県、東京都の中央区などでもこの不眠対策というのを行っています。
例えば岐阜市では、自殺対策キャンペーンの中心の施策として睡眠キャンペーンを行っている。これもホームページを見ればわかります。例えば、図書館での自殺予防コーナーを設置すると。駅前での啓発活動、そして市の庁舎の横断幕には、「ちゃんと眠れてる?二週間以上の不眠はお医者さんへ」、こういう言葉が書かれた横断幕が掲示されている。これも写真がございました。
東京都の施策展開では、不眠はさまざまな症状の一つとして扱っています。しかし、私は不眠を一つの柱として、つまり、ワン・オブ・ゼムではなくて、一本の柱として不眠対策を位置づけるべきではないか。この位置づけの違いは、見解というか、立ち位置の違いかもしれません。ぜひご検討いただきたいと思っております。
千代田区にMSD株式会社という会社がございます。二〇一六年八月三十日に調査結果を発表しました。不眠症治療に関する意識と実態、こういう調査でございます。全国の四十歳以上の男女四万五千八百十一人--結構な数字ですね、四万五千人以上を対象にして一次調査をして、不眠症状がある、または不眠治療薬の服用経験があるとした九千四百人に対して二次調査を行った。この調査結果です。
これによりますと、都道府県別の不眠症の疑いがあるのは、東京都が四五・六%と一番高いということがわかりました。東京都というのは、不眠に悩む人、その傾向がある人が日本で一番リスクが高い、こういうことがわかるんです。
日本医師会も、鬱病の中で最も自覚をしやすいのは不眠だと定義しておりまして、睡眠の問題を切り口として、鬱のサインを本人や家族に気づいてもらうことが重要なんだと、このように訴えています。
東京都としても、不眠対策を自殺対策の柱に据えて取り組むことを提案いたしますけれども、ご見解をお願いします。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 不眠は自殺の危険を示すサインの一つでございます。都は、ホームページや研修等で不眠が自殺の危険を示すサインでありますことを周知しております。
引き続き、不眠と自殺の関連につきまして、効果的に啓発できますよう検討してまいります。
○菅原委員 東京都として不眠対策を進めるに当たって、区市町村との連携というのも大事だと思います。都内の自治体では、自殺対策として睡眠キャンペーンを行っている自治体としては、先ほども申し上げました中央区などが挙げられます。基礎自治体の取り組みをほかの基礎自治体に周知すること、これは東京都の仕事ではないかと思います。
東京都は、地域の特性に応じた自殺対策を行う区市町村の取り組みを支援しているということですが、具体的にどんな事業を支援しているのかご紹介をいただきたいと思います。そして、今後、区市町村との連携をどのように進めていくのか見解を伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、区市町村が実施するリーフレットの作成などの普及啓発、対面相談やSNS相談などの相談事業、ゲートキーパー等の自殺対策にかかわる人材育成など、地域の特性に応じた取り組みを支援しております。
今後、区市町村連絡会等で不眠が自殺の危険を示すサインであることを示すリーフレットの作成と好事例を紹介するなど、区市町村と連携して取り組みを促進してまいります。
○菅原委員 ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
次のテーマに移ります。若者や妊産婦への自殺対策の問題でございます。
若者の自殺対策は以前から取り上げてまいりました。日本全体の自殺者数は減ってきました。一時期は三万人を超えていたのが、今二万人前後に、昨年度はなりました。でも、若者の自殺は変わっていないということは、この委員会の場または議会全体の場でも何度も申し上げてまいりました。少子化も踏まえていくと、若者の自殺リスクというのは逆に高まっているんだということもいえると思います。
東京都は、若者向けの講演会なども行ってまいりました。そのことは評価いたしますが、残念ながら、この講演会に参加できるというのは、どうしても一握りの方だけというのも物理的な問題としてございます。
若者の自殺、特に学校に通っている世代の自殺の場合は二学期の開始前後が多いなど、一定の傾向がわかっております。
都として改めて自殺リスクが高まる時期を見据えた取り組みが重要と考えますが、東京都の取り組み、今年度の取り組みなどを伺えればと思います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 十八歳以下の若年層の自殺は、夏休み明けなど長期休業明けに増加する傾向がございます。本年は八月下旬から新学期を開始する学校が多かったため、都は、八月二十日からLINE相談の相談時間を延長いたしました。
また、自殺の予防に関するさまざまな相談窓口の情報を掲載した常時携帯可能なポケットサイズのメモを作成し、今月初めに都内の小学校、中学校、高等学校等を通じて児童生徒に配布いたしました。
○菅原委員 ありがとうございます。
総体的な啓発というのは大事ですけれども、自殺リスクに応じた個別の対応というのも大事だと思います。個別の対応には教育委員会との連携というのも必要となります。若者の自殺対策として教育委員会との連携を図るべきだと思います。
若者の自殺、特に学校に通っている子供たちの自殺については、幾つかの自治体が独自の取り組みを行っております。例えば、長野県は未成年者の自殺対策として、子どもの生きていく力サポートプロジェクトというのを立ち上げました。例えば多職種の専門家による危機対応チームを立ち上げるんだと。そして、精神科医や弁護士、保健師など専門家によるオンライン相談窓口を設置する、そして、子供のSOSを受けとめるための研修会などを行っている、これらが長野県の取り組み。特筆すべきは、二二年度までに未成年者の自殺をゼロにするんだと、この強い方針を示しているということだと思います。
東京都として、長野県の事例を研究するなど、ほかの先進自治体の取り組みを研究することを提案しますが、都の見解を求めます。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都は、全国と比較して三十歳以下の若年層の人口割合が高く、都内自殺者の約三分の一を三十歳以下が占めている現状を踏まえまして、東京都自殺総合対策計画では、特に強化すべき施策の一つに、若年層対策の推進を位置づけ、自殺総合対策東京会議等で検討しております。
都では、若年層に対する自殺防止対策を強化するため、昨年度から臨床心理士や精神保健福祉士等の専門的な知識や経験を有する相談員が対応するSNSを活用した自殺相談を本格実施いたしますとともに、自殺予防小冊子の配布や若年層を対象としたゲートキーパーの養成等、区市町村や民間団体の取り組みを支援するなど、それぞれのライフステージに応じた施策を教育機関と連携し推進しております。
引き続き、福祉、医療、経済、教育等の関係機関等から成る自殺総合対策東京会議で、他の自治体の取り組みを共有しながら、若年層における自殺防止対策を推進してまいります。
○菅原委員 少し角度を変えて、就労している若者にポイントを絞りたいと思います。
就労している若者の場合は、その就労先でのカウンセリングが重要となります。大きな企業ではカウンセリングをしっかり対応しているというふうに聞いておりますが、都内の多くの中小企業ではなかなかそこまで対応が難しいということも伺います。
そこで、中小企業向けの自殺対策カウンセリングなどの強化が求められますが、都の見解を求めます。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、職場全体で自殺対策に取り組む必要性等の理解促進を図るため、企業の経営者や人事担当者等に対する講演会を実施しております。
昨年度は、若手社員をテーマに講演会を実施いたしまして、延べ百四十二名の参加がございました。今年度は、新型コロナウイルスの影響の視点から、オンラインで講演会を実施する予定でございます。
○菅原委員 ありがとうございます。
もう一つ、ひきこもりの問題があるかと思います。
学校や企業に所属していない、そういう若者も当然おりまして、例えば、ひきこもりと自殺の関係に焦点を当てて自殺対策を行っている、こういう自治体もあります。例えば名古屋市や、または和歌山県、または愛知県などがそういう自治体として挙げられます。名古屋市は、精神保健福祉センターの通信を発行しておりまして、その第一号の特集がひきこもりと自殺としております。
東京都として、ほかの自治体の事例なども参考にして、都の事業の充実のための研究を進めるべきと考えますが、見解を伺います。特に、ひきこもりや生きづらさを抱えている若者へのアプローチは難しいと思いますが、この層のアプローチについて、東京都の見解を伺います。お願いします。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、若年層の自殺対策を強化するため、昨年度からLINEを活用したSNS自殺相談を本格実施しております。
この相談につきまして、学校や企業を通じて周知することに加えまして、三月と九月の自殺対策強化月間では、インターネットの検索サイトで自殺の関連した検索と連動してLINE相談などに誘導するウエブ広告を展開しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により、仕事や収入を失った、暮らす場所がないなどの問題を抱えた方を対象に実施する電話相談など、若年層対策に取り組む民間団体を地域自殺対策強化交付金事業により支援しております。
さらに、自殺の背景となる多重債務、失業、いじめ、過労、健康問題、家庭問題などへの相談に的確に対応するため、相談窓口の一覧を掲載したリーフレットを区市町村や関係機関に配布しております。
引き続き、学校や企業に属していない若者に効果的にアプローチできますよう、他の自治体の取り組みを共有しながら、効果的な手法を検討してまいります。
○菅原委員 コロナで、社会で一番弱いところの問題があぶり出されたともいわれております。多分、今の答弁のあった層もそういう部分になるかと思います。そして、東京都は、この層の問題に直面して、この春から対応しているのも重々承知しております。ぜひ、取り組みをさらに進めていただければと思います。
少し角度を変えます。妊産婦の自殺対策です。
妊産婦の場合の問題というのは深刻です。東京都二十三区の妊産婦の異常死の実態調査によりますと、妊産婦の異常死の半数以上が自殺だということです。
とうきょうママパパ応援事業の中で妊産婦への対応を強化するとしておりますが、この中で自殺対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○高野少子社会対策部長 都は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して、継続した支援を行う区市町村の取り組みを、とうきょうママパパ応援事業を通じまして支援しております。
また、この事業による妊婦への面接等とあわせて、自殺とも関連する産後鬱の予防にも資する産後ケアを実施する場合には、今年度から区市町村負担分を都が全額補助することとしております。
さらに、一歳未満の子供を持つ家庭の育児負担を軽減するため、産後の母子に寄り添い、家事、育児を行うサポーターの派遣に取り組む区市町村への補助を開始するなど、産後の支援の充実を図っております。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、区市町村における妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制の整備を支援してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
少し個別のことになりますけれども、大阪府の取り組みも紹介をさせていただきたいと思います。
大阪府では、妊産婦こころの相談センターを設置しております。ここでは、一〇%から二〇%の母親が産後鬱になると、こういう前提での取り組みをしております。妊産婦の自殺予防やメンタルヘルス対策を目的にしてワンストップ窓口を展開、必要があれば専門機関や支援機関への情報提供も行っているということです。
東京都の施策を充実するためにも、大阪府のこの取り組みも研究することも提案いたしますが、見解を求めます。
○高野少子社会対策部長 都は、妊娠相談ほっとラインで妊娠や出産に関するさまざまな相談に看護師等の専門職が電話やメールで助言等を行っております。
この窓口では、相談内容に応じまして、医療、保健、子育て支援などの関係機関を紹介するとともに、特に継続的な支援が必要な場合には、区市町村の保健所や保健センターへの相談につなげております。
また、区市町村では、妊娠届け出時の面接等、さまざまな機会を通じて悩みを抱える妊婦を把握し、関係機関と連携しながら支援につなげる取り組みを行っており、都は、とうきょうママパパ応援事業や包括補助により支援を行っております。
今後とも、区市町村と連携し、他の自治体の取り組みも参考にしながら、悩みを抱える妊産婦への支援に取り組んでまいります。
○菅原委員 少しまた角度を変えたいと思います。今度は、自殺企図者、自殺未遂をされた方々への対応です。
救急医療機関に搬送された自殺未遂者などを地域の支援や精神科医療につなぐ相談調整窓口を設置するとともに、医療機関や地域の保健関係者などを対象にした自殺未遂者のケアや支援に関する検証を実施しているということを伺っておりますが、昨年度の実績を伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、救急医療機関等から連絡を受けた自殺未遂者を、ご本人の状況やニーズを確認した上で、保健所や医療機関等と調整し、地域の必要な支援につなぐ取り組みとして、自殺未遂者対応地域連携支援事業を実施しております。
この取り組みについて、令和元年度は新規相談支援件数が二百九十四件、継続相談支援件数は千百六十三件ございました。
また、自殺未遂者への精神的ケアや支援を効果的に行うため、医療機関や地域の保健関係機関等の従事者に対しまして実施した研修の令和元年度の受講者は延べ百八人でございました。
○菅原委員 自殺未遂者の状況やニーズを確認して必要な支援につなぐ取り組みを行っているということが確認できました。
そもそも、自殺未遂者の定義は、狭くも、そしてまた広くも定義をできますので、議論は難しいのですが、一般的に、自殺未遂者は自殺者の十倍程度はいるといわれております。そう考えると東京都の中で自殺未遂者は二万人程度いるということがいえます。
日本財団が二〇一六年に行いました自殺意識調査では、自殺未遂者は自殺者の二十倍いるというデータが明らかになりました。そうなると年間四万人が都内で自殺未遂をしているということになります。その計算からいくと、毎日百人以上の方が未遂を起こしているのが、この東京都なんだということになるんです。
同じく日本財団が二〇一八年の冬に行いました第三回の自殺意識調査によりますと、若者の三割に自殺念慮がありまして、その十人に一人が自殺未遂を経験していることがわかってまいりました。
東京都として自殺未遂者に対する事業の充実、そして強化を進めるべきと考えますけれども、見解を伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、自殺未遂者対応地域連携支援事業のあり方について検討いたしますため、有識者や医療機関、警察、区市町村の関係者から成る自殺未遂者対応連携支援事業検討委員会を設置しております。
引き続き、この検討委員会で事業実績や具体的事例を共有し、よりよい支援方法や多様な関係機関の連携を促進する方法などを検討してまいります。
○菅原委員 ぜひ進めていただきたいと思います。
少しまとめたいと思います。山梨県の取り組みを報告させていただきたいと思います。
山梨県自殺対策推進計画、平成三十年三月改定の五〇ページでは、一命を取りとめた自殺企図者に対して、緊急搬送された病院での支援や関係機関の支援を充実させることにより、自殺の再企図を防ぎますとして、医療機関、警察、消防職員を対象とした、ハイリスク者への対応に関する研修などを実施するということが行われています。
大阪市では、こんな事業を進めています。
警察署と連携して自殺未遂者相談支援事業というのを行っている。この事業の特徴は、二十八ある市内の全ての警察署と連携しているということで、警察署は自殺未遂者のうち、対象となる場合に行政機関に連絡をする。行政機関では、本人や家族に電話連絡をして、面接や相談の日程を調整する。必要があれば精神科医療にもつなぐし、必要があれば相談機関への同行支援もする。この事業は平成二十五年から大阪府内全ての警察署に広がっていったということを教えていただきました。
東京都も自殺未遂者への対応マニュアルを早い段階で作成していたということは確認しております。自殺未遂者の取り組みを進めてきた自治体の一つだと思います。とはいえ、一般論として、ほかの自治体の取り組みと比較検討することで見えてくることもあると思いますので、今後の研さんをお願いしたいと思います。
自死遺族を支える活動について伺います。
自死遺族を支える活動、いわゆる自助グループの活動は、都内でもさまざまに展開をされてまいりました。コロナもあって自死遺族や自殺企図者への自助グループ活動を支える施策展開が必要と考えますが、見解を伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、遺族の方が必要な時期にニーズに応じた支援を受けられますよう、相談窓口や遺族の集いなどの情報を掲載したリーフレットを作成しております。
また、地域自殺対策強化交付金事業により、自死遺族関係団体等が実施している取り組みを支援しておりまして、今年度は新型コロナウイルス感染症予防として、パーティションの設置や消毒液の購入などに関する経費も補助対象としております。
○菅原委員 今まで地域自殺対策強化事業の中で、自殺遺族支援に対する取り組みを支援してきたという答弁もいただいてまいりました。
具体的にどのような支援を行っているのか、特に、自死遺族支援に対する取り組みについてご紹介をいただきたいと思います。お願いいたします。(成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務発言を求む)ごめんなさい、もう一つ。新たな団体を組織したいという声もあると思うんですね。そういう希望があった場合はどのように支えていくのか伺いたいと思います。お願いします。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、地域の実情に応じて自殺対策に取り組む民間団体を、地域自殺対策強化交付金事業により支援しておりまして、この事業の中で、自死遺族の方が参加できます分かち合いの会や相談事業などの取り組みを支援対象としております。
また、新たな団体を組織したいなどのご相談があった場合におきましても、このような交付金事業による支援についてご案内をいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。
それでは、項目をずっと挙げてきましたけど、一番先頭にあった項目で、総合的に自殺対策を進めてほしいということがありましたので、そのことについて議論を進めていきたいと思います。
今回の質疑の冒頭で触れました、東京都は、年間の自殺者を平成二十七年に比べて十年で三割減らしていくと、こういう目標を立てています。この目標のために一定の目標管理をされていると思うんです。都として、どのように目標数値の管理をされているのか伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都自殺総合対策計画では、自殺死亡率について、二〇一五年の一七・四から二〇二六年までに一二・二以下に、自殺者数について、二〇一五年の二千二百九十人から二〇二六年までに千六百人以下にすることを目標に設定しております。
昨年度、計画に掲げる目標の評価、検証等を行いますため、自殺総合対策東京会議に計画評価部会を設け、部会では、二〇一八年の自殺死亡率が一五・二であり、二〇一五年に比べまして二・二減少していたことを報告いたしますとともに、目標達成に向けた観点から、今後の取り組みについてご意見を伺いました。
○菅原委員 そうやって目標管理を進めてきたところで、このコロナがやってきたということです。既にもう何度もお話をしているように、このコロナによって自殺リスクが高まって、例えば、この目標管理も少し揺れるということがあるかと思います。今回のコロナの影響を受けて、東京都としてどのような課題認識を持っているのかを伺いたいと思います。お願いします。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の影響は、健康問題にとどまらず、失業や休業等による就労環境の変化や生活の不安定化等による心身面の不調など、都民生活のあらゆる面に拡大しており、自殺リスクの高まりが懸念されております。
○菅原委員 厚生労働省はこんなことをいっています。地域自殺対策緊急強化基金--これは平成二十一年から二十六年の間に行われた、それと自殺死亡率の比較をして、大まかな傾向として、基金事業総額が多いほど、その間の自殺死亡率が大きく低下をしていることがわかると、このように総括をしております。
今回の質疑では、東京都の取り組みを評価しながらも、ほかの自治体の取り組みを紹介しながら、さらなる取り組みを求めてまいりました。東京都の自殺対策はまだまだ拡充できるんだと思います。
都として、自殺対策への取り組みを予算規模も含めて強化すべきと考えますが、見解を求めます。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の影響により自殺リスクの高まりが懸念されておりますことから、電話相談やSNS、自殺相談の相談体制を拡充するとともに、民間団体等の取り組みを支援する経費として、本年七月に四千八百万円の補正予算を計上いたしました。
また、本年六月から七月にかけ、福祉、医療、経済、教育等の関係機関や民間団体、有識者から成る自殺総合対策東京会議の計画評価部会と重点施策部会を臨時で開催いたしまして、感染症の影響も踏まえた具体的な対策を伺っており、現在、これらの意見も踏まえながら、今後の取り組みを検討しております。
引き続き、区市町村や関係団体と連携した自殺対策を推進してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
予算はぜひ確保して、さらなる広がりを持たせていただきたいというふうに思います。
そしてまた、その下支えとなるのは、やはり、例えば自殺対策の条例って東京都はありませんけれども、条例の検討というのも大事だと思うんですね。
東京都として、自殺対策の条例の制定をするなど、総合的な施策展開を推進していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、総合的、効果的な自殺対策を推進するため、福祉、医療、経済、教育等の関係機関や民間団体、有識者から成る自殺総合対策東京会議の議論を経て、平成三十年六月に東京都自殺総合対策計画を策定いたしました。
また、地域での実践的な取り組みを推進するため、東京都自殺対策推進センターを設置し、対策を支える人材の育成や区市町村の取り組みを支援しております。
引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を把握しながら、庁内、区市町村や関係団体と連携した自殺対策を推進してまいります。
○菅原委員 ことし新しい団体が東京都内で、民間団体というんでしょうか、設立されました。厚生労働大臣指定法人いのち支える自殺対策推進センターという団体が、それでございます。
この団体は、自殺対策を進めるために国が定める指定調査研究等法人として、我が国の自殺総合対策の牽引役を担う団体だと伺いました。四十七都道府県にあります地域自殺対策推進センターをさまざまな形で支える役割がある、先進的な取り組みなどの情報が集まっていくと思うんですね。東京都の取り組みに対する助言、または援助が期待されると思います。
この団体との連携のあり方について見解を求めます。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 本年度新たに設置されました、いのち支える自殺対策推進センターでは、自殺対策に関する調査研究や自治体職員に対する研修などが実施されております。
都は、七月に開催されました、いのち支える自殺対策推進センターが主催する連絡会に参加し、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた取り組みなどについて、情報共有、意見交換を行っておりまして、引き続き、いのち支える自殺対策推進センターと連携した自殺対策を推進してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
ぜひ、一緒に前に進めていただければというふうに思います。
自殺対策の取り組みというのは、精神保健福祉相談、または多重債務の問題、または若年層の対策、妊産婦の支援、または自殺未遂者の支援など、福祉保健局や都庁内のさまざまな分野がまたがる取り組みだと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響によって自殺リスクが高まっておりますが、さまざまなこの課題に対して、今後、福祉保健局としてどのように取り組むのか、局長の見解を伺いたいと思います。お願いします。
○吉村福祉保健局長 自殺対策についてご質問いただきました。私ごとで恐縮でございますが、自殺対策につきましては、私自身、大変に思い入れの深い事業の一つでございます。
というのは、今回、十三年ぶりに福祉保健局に戻ってきたわけでございますが、企画課長であった当時、全国で年間約三万人の方がみずから命を絶っていたという中にあって、平成十八年に自殺対策基本法が施行されました。
東京都でも本格的に自殺対策に取り組まなければならないということで、当時なかなか所管が決まらない中にあって、私の企画課の方で新規事業を立ち上げるということになりまして、本当に、まだ民間団体に補助をする事業があった程度で、まったく手探りの事業の中で、先ほど来お話にありましたが、例えば他県の取り組みなども参考にするというお話がございましたけど、係長に調査に行ってもらって参考にした記憶がございます。
そして、民間団体とかNPOの方々、あるいは有識者のご意見も伺いながら、相談事業とかゲートキーパー養成事業などの新規事業を立ち上げた思い出がございます。
自殺の背景でございますが、健康問題にとどまらず、経済問題、就労や働き方の問題など、さまざまな要因が複雑に絡まっており、大変難しい問題でございます。福祉、医療、経済、教育等の関係機関、区市町村などが幅広く連携して、総合的に進めなければいけないというふうに考えてございます。
また、ご質問にございました新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、先ほど部長も答弁いたしましたが、健康問題にとどまらず、休業や失業等による就労環境の変化、休校や休園等の影響で生活の不安定化など、心身面の不調など、都民生活にあらゆる面で拡大しておりまして、自殺リスクの高まりが指摘されているところでございます。
東京都の自殺総合対策東京会議でも、こうした新型コロナウイルス感染症の影響による自殺の未然防止策について、強化についてご意見をいただいているところでございまして、本年六月から電話相談やSNSの自殺相談の体制を強化したところでございます。
引き続き、この会議などで専門家の方々からご意見を頂戴するとともに、他の自治体の取り組みも参考にさせていただきながら、東京の実情にふさわしい対策を検討し、庁内各局、区市町村、関係団体と連携した効果的な自殺対策を推進していきたいというふうに考えてございます。
○菅原委員 ありがとうございます。
局長の立ち上げのときのご苦労を想像しながら答弁を聞きました。
私も日野市で議員をやっていたときに自殺対策の条例をつくりました。全国で二番目の早さで、東京ではどこも条例がなかったんですよ。ゼロの状況で、そこからどうやって自殺対策を行政としてつくるのかということは、かなり議論をしました。ゼロから一、そして、見えないものをつくるということは大変だったと思います。その活動に敬意を表したいと思います。
最後、まとめたいと思います。
小池都知事は、七月の都知事選挙の際に、二期目の選挙公約に位置づけられる東京大改革二・〇を発表しました。この中で、セーフティーネット機能の強化の項目に自殺対策の強化が明記されております。本日の質疑の冒頭でも、コロナ禍での自殺リスクが高まっていることを挙げました。東京都としても、自殺リスクの高まりを受けて、従来の対応をさらに強化しております。
自殺対策基本法のその基本理念というのがありまして、その中でも、自殺が個人的な問題としてのみ捉えられるものではなくて、社会的な取り組みとして実施されなければいけないと書かれています。もう一つ、自殺対策は、保健、医療、福祉、教育、労働そのほかの関連施策との有機的な連携が図られ、総合的に実施されなければいけないと、このように書かれております。
都議会では福祉保健局を所管する厚生委員会での議論が中心となりますが、教育の分野でも、今回議論はされております。さらに、産業労働局や生活文化局、交通面では交通局など、それぞれが自殺対策を進めることが求められます。施策展開を進めるためには、東京都の条例化も含めた、都としての施策の検討を進めることを求めたいと思います。
以上で私の質疑を終わります。ありがとうございます。
○藤田委員 私からも、自殺対策を更に推進することに関する陳情について質問いたします。
新型コロナウイルスの感染拡大及び緊急事態宣言のもとでの急激な経済活動の縮小によって、ことし四月から六月期の国内総生産は、年率換算で実質マイナス二八・一%という戦後最悪の落ち込みとなりました。緊急事態宣言解除後も、感染拡大防止対策などのために、都民生活は多くの影響を受けています。
陳情者は、失業者の増減と自殺者の増減には相関関係があり、新型コロナ感染症の対策が長くなればなるほどそのリスクが高まることや、経済的な理由以外でも、多くの命が自殺によって失われてきたとして、コロナ関連死をふやさないためにも、都として、自殺対策をさらに進めてほしいと要望されています。
私は、この陳情を採択すべきとの立場から質問させていただきます。
初めに伺うのですが、これまで都内での自殺における原因、動機はどのようなものが多くなっていますか。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 自殺の要因となり得るものは六十九項目あり、亡くなった人は平均四つの要因を抱えていたという民間団体の調査結果もございまして、原因を単純化することはできないといわれております。
警察庁の統計によれば、平成二十八年の東京都の自殺の原因、動機は、健康問題が最も多く、次いで経済、生活問題、家庭問題の順となっております。また、この健康問題の内訳を見ますと、鬱病に関する悩み、影響が最も多くなっております。
○藤田委員 さまざまな要因が重なっているということですが、原因や動機では、最も健康問題が多く、中でも鬱病などの心の問題が多いということです。
六月の第二回定例会で相談の主訴について伺った際も、自殺相談ダイヤル、SNS相談ともに、ことし三月から五月の相談では、精神症状や心理的問題についてのものが増加していると答弁していました。こうした実態からも、今後、自殺者が増加する可能性を示唆しているものと思われますし、やはり一層の自殺防止対策が必要だと思います。
一方、SNS相談は、学校や進路に関する相談が減ったと答えられていたのですが、SNS相談では、その後、学校や進路に関する相談はどう推移しているのでしょうか。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 本年三月から五月のSNS相談では、学校や進路に関する相談が前年の同時期と比べ減少いたしました。
一方、学校の再開に伴いまして、六月以降、学校や進路に関する相談が本年の三月から五月と比べまして増加しております。
○藤田委員 SNSの相談で、学校や進路に関する相談は六月以降増加したということです。いただいた資料では、二十歳未満の自殺者でも、三月から五月に比べて六月が大幅にふえています。長い休校の末、緊急事態宣言が解除されて間もなく学校が再開されたことが影響しているのではないかと思われます。守れなかった命があったことが非常に悔やまれますし、都として、二十歳未満の自殺が増加した要因を分析すべきです。
都内三カ所の精神保健福祉センターへの相談では、六月の委員会では三月までの実績しか出ていない状況でしたが、その後の相談件数はどうなったのか伺います。あわせて、多摩地域の保健所にある相談件数はどうだったのでしょうか。
○石黒障害者医療担当部長 都立総合精神保健福祉センターで実施しております精神保健福祉相談の相談件数は、令和二年四月が二千九百五十九件、五月が二千七百八件、六月が三千百四十九件となっております。
なお、昨年同時期の相談件数は、平成三十一年四月が二千七百五十件、五月が二千五百五十四件、六月が二千八百二件となっておりまして、ことし四月から六月までの各月の相談件数は昨年と比べて増加しております。
また、都保健所で実施しております精神保健福祉相談の相談件数は、令和二年四月から六月までで五千百二件となっております。
なお、昨年同時期の相談件数は、平成三十一年四月から六月までで五千五百三十九件となっておりまして、ことし四月から六月までの相談件数は昨年と比べて減少しております。
○藤田委員 電話相談でも、SNS相談でも、精神保健福祉センターでの相談もふえたけれども、都の保健所の相談件数は減ったということです。
これは不思議なのですが、都の保健所の体制や電話回線など、物理的な制約などがあったのでしょうか。
○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都保健所におきましては、都民からの相談を代表電話で受け、相談内容に応じて適切な担当部署に案内しております。
感染拡大の一時期に保健所の電話がつながりにくい状況が発生いたしましたが、応答率を把握することができないため、精神保健福祉相談への具体的な影響は把握できておりません。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に適切に対応しながら、精神保健福祉相談などの業務を継続できるよう、各保健所におきましては、所内の連携体制の構築、庁内各局からの事務職等の応援職員の配置、保健師等の非常勤職員の活用などを行っております。
○藤田委員 都の保健所は新型コロナの受診相談も同時に受けており、多摩地域では、都の保健所に百回かけても電話がつながらなかったという声も聞いています。そのような状況で、職員の体制面では業務を継続できるようにしたとのことですけれども、代表電話でコロナ相談と精神保健福祉相談を同時に受けていたのであれば、結果として物理的な制約はあったといえると思います。
今回の新型コロナ感染拡大のようなパンデミックなどの緊急事態のときこそ、保健所においても不安を抱える方が安心して相談できることが重要だと考えるのですが、都の認識を伺います。
○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 感染症の拡大や災害発生時などは心理的不安を生じやすいことから、適切に対応することは重要であります。
このため、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況におきましても、感染症対策以外の業務を継続できるよう応援体制の構築や非常勤職員等の活用により、体制の確保や負担軽減に取り組んでまいりました。
今後も、健康危機管理発生時に相談業務等が継続できるよう、必要な体制の確保に努めてまいります。
○藤田委員 応援体制や非常勤職員について述べられていましたが、都の保健所の仕事は専門性の蓄積が求められるものが多く、非常勤職員で補うというのも限界があります。本来、平時からの常勤職員の体制の強化こそ最も必要なことです。
パンデミックや災害発生時などに都民の暮らしや健康状態にどのような変化が生じるのか、その際にどのような相談体制が求められているのか、相談等へのアクセスは容易なのかなど、あらゆる場面を想定して、自殺防止対策という観点からも、ボトルネックが生じることのない体制強化をしていただきたいと思います。
さらに、そうした体制などの強化のためには、都民生活などの実態をリアルにつかむ必要があります。新型コロナ感染症の影響を受け、都民の暮らしの状況や心の状況をどう認識し、どう受けとめていますか。
○齋藤企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症は、休業や事業の縮小等による収入の減少、学校の休業等で子供たちが長期間自宅で過ごすことを余儀なくされたことによる子供や保護者の負担の増大、外出自粛による人との交流や体を動かす機会の減少など、都民生活にさまざまな影響を及ぼしております。
こうした状況を踏まえ、生活福祉資金貸付の推進や、ひとり親家庭に対する臨時給付金の支給、児童虐待や自殺に関する相談体制の強化、自宅でできる体操動画の作成、周知等に取り組んでおります。
新型コロナウイルス感染症による影響が今後も続くおそれがある中、都民の暮らしや安心を支えるため、引き続きこうした支援に取り組んでまいります。
○藤田委員 新型コロナ感染症の影響がさまざま及ぶときだからこそ、都民の実態をリアルに把握し、どのように自殺を防止していくかが東京都に求められています。世界保健機構は、自殺はその多くが防ぐことのできる社会的な問題だと明言しています。
実際、都内で新型コロナ感染症が拡大して以降、自殺者はどう変化したのか伺います。都内の昨年までの自殺死亡者数の傾向はどうなっていましたか。また、ことしの自殺死亡者数は、昨年と比べてどのような変化がありますか。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都の自殺者数は、平成二十三年をピークに減少傾向に転じ、平成二十九年には二千人を切りましたが、平成三十年には約二千人がみずから命を絶っておりまして、依然として深刻な状況でございます。
また、警察庁の統計によりますと、本年五月までの都における自殺者数は昨年度より減少しておりましたが、六月から八月までの自殺者数は昨年度より増加しております。
○藤田委員 自殺者が六月から増加しているということです。割合では、六月は昨年同月の一・二倍、八月では一・四倍と著しく増加しています。
新型コロナ感染症の影響により、確実に自殺のリスクは高まっていると思われますし、実際に直近の自殺死亡者数は増加しています。こうした中、都として、自殺対策を行う重要性をどう認識していますか。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の影響は健康問題にとどまらず、失業や休業等による就労環境の変化や生活の不安定化等による心身面の不調など、都民生活のあらゆる面に拡大し、自殺リスクの高まりが懸念されております。
自殺の背景には、健康問題や経済問題、就労や働き方の問題など、さまざまな要因が複雑に絡み合っておりまして、引き続き、多様な分野が幅広く連携して自殺対策を推進することが重要と考えます。
○藤田委員 多様な分野で幅広く連携するということですが、この間、都民の暮らしがどう変化しているのか、積極的な把握が必要だと思います。
例えば、行政が把握している統計や実績など、また民間支援団体から寄せられる実態、そして都民の声などです。それらをもとに多角的な分析が必要だと思います。また、八月までの三カ月間、自殺者はふえているのですから、今後どのような問題が発生する可能性があるのか、先を見越した対応が求められます。
そこで、生活困窮者支援の実態について伺います。
現在、都と区市町村により、住居確保給付金を実施していますが、これは二年以内に離職した方に加え、国がことし四月には六十五歳未満という年齢制限を撤廃、さらに新型コロナの影響を受け、四月二十日に給与を得る機会が減少して離職や廃業と同程度の状況にある者を対象に加え、活用しやすくしました。
私の地元大田区では、住居確保給付金の申請は例年一カ月に一桁程度だったということですが、この五月からは急増し、月に百件から二百件程度になったということです。また、八月に支給期間が終了した方のうち、五、六割が更新したそうです。
しかし、これは最長で九カ月が支給期間の限度ということですから、ことしの年末年始あたりで支援が終了するという方が多数に上るということだと思います。
都内全体での住居確保給付金の四月以降の申請件数と決定件数は何件ですか。あわせて、昨年同月の実績も教えてください。
○坂本生活福祉部長 委員のお話ございました住居確保給付金でございますが、生活困窮者自立支援法に基づく事業の一つでございまして、各区市町村からの報告による都内におけます同給付金の四月から六月末の申請件数でございますが、計、昨年度が二百三十八件であったのに比べまして、今年度は本年四月に支給対象要件が拡大されたこともございまして、二万六千三百五十一件と増加しております。
また、同時期の決定件数でございますが、昨年度が二百二十二件に対しまして、今年度は一万九千三百一件と、それぞれ大幅に増加しているところでございます。
○藤田委員 昨年同月と比べ、実に百十八倍にも上っています。従来の要件がいかに狭過ぎるものだったのかということだと思います。
同時に、都内でも失業や廃業、収入減により、月の支出で最も多い家賃の支払いができなくなるという方が非常に多くなっているということです。
住居確保給付金の支給期間は原則三カ月となっていますが、それはなぜですか。また、どういった場合に期間の延長ができ、最長期間は何カ月なのか教えてください。
○坂本生活福祉部長 住居確保給付金でございますが、生活困窮者自立支援法に基づきまして、離職等により住居を喪失した方などに対しまして、住居及び就労機会等の確保に向けた支援を行い、生活困窮者への自立の促進を図るため、家賃相当分の住居確保給付金を支給する事業でございまして、同法令の定めによりまして支給期間は原則三カ月となっております。
また、支給期間の延長につきましては、最初の支給申請時と同様に、収入、資産、求職活動などの支給要件に該当する場合には、三カ月ごとに二回の延長、最長九カ月までの支給が可能となっております。
○藤田委員 事業の概要を見ますと、求職活動等を誠実に行っている場合は三カ月延長可能と記載されています。しかし、どんなに誠実に求職活動を行っていても、社会や経済面に新型コロナ感染症の影響がある以上、なかなか仕事は見つかりませんし、期間内に就職先が決まらないということで、精神的に追い詰められるということも考えられます。
三カ月で区切る根拠については答弁はありませんでしたが、今のままだと期限切れで深刻な事態が相次ぐことになると考えられます。
支給要件どおり誠実かつ熱心に求職活動を行っていても、住居確保給付金の支給期限である九カ月を超える可能性は大いにあります。
こうしたことについて、都はどう対応するのですか。
○坂本生活福祉部長 住居確保給付金の支給期限であります九カ月を過ぎてもなお困窮状態が続く場合につきましては、最後のセーフティーネットでございます生活保護制度へつなげるなど、各区市の自立相談支援機関が個々の方の状況に応じた対応を行っていくということになります。
また、本制度につきましては、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大などの状況を踏まえまして、本年四月に支給対象者の拡大などの要件の見直しが行われておりまして、都としても引き続き国の動向を注視し対応してまいります。
○藤田委員 現場を持つ自治体として、ただ国を注視するのではなく、支給期間の見直しを強く国に求めていただきたいと思います。
こういった支援に結びついている方であっても、多様な分野で幅広く連携していかなければ、支援を受けることができない方と同じように追い詰められていく可能性があります。
先日、日本共産党都議団に相談があったケースです。今回の新型コロナの影響でネットカフェを追われ、都の確保するビジネスホテルに滞在し、都のチャレンジネットを利用されていた方のお話です。
その方は利用以前から鬱傾向にあり、抗鬱剤を内服していました。コロナの影響で、今回、TOKYOチャレンジネットのホテルを利用していましたが、ホテル利用者への食事提供がなくなると、所持金がほとんど食事などでなくなってしまいました。本来であれば、最初から生活保護につなぎ、医療機関に行くことができるようにすべきでした。しかし、所持金が底をつきようとしてしまい、死にたいと思うほど行き詰まったご本人がこころの電話相談に電話したところ、相談員から、医師のいる炊き出しが行われている支援団体を紹介され、支援団体の方から共産党にも相談がありました。
このケース以外にも、自治体を通じてホテルを利用している方であるにもかかわらず所持金がなくなり、食事がとれず、何人も民間団体の炊き出しに相談に来る方がいらっしゃいます。
行政が委託する窓口の相談員は、経済的にも精神的にも行き詰まった方に対応する可能性は高く、そこでの対応次第で要支援者をさらに追い詰める可能性があるということです。相談者の立場に立った丁寧な支援を進めるよう求めるものです。その上で、多様な分野で幅広く連携できる体制整備にも努めていただくことを要望いたします。
最後のセーフティーネットである生活保護について伺います。
生活保護の申請数及び決定した件数は、三月以降どう推移していますか。
○山口事業調整担当部長 本年三月以降の都内における生活保護の申請及び開始決定の件数でございますが、三月は申請が二千五百九十二件、決定が二千四百二十件、四月は申請が二千七百八十一件、決定が二千七百五十五件、五月は申請が二千四百四十九件、決定が二千三百九十件、六月は申請が二千百二十三件、決定が二千百三件となっております。
申請件数につきましては、四月は前年同月と比べ三七%増と大幅にふえましたものの、そのほかの月はおおむね前年並みに推移しております。
○藤田委員 四月のみ大幅にふえているということです。
実際、生活困窮者に対する炊き出しや生活医療相談等の支援を行っている民間支援団体の現場でも、変化があらわれ始めたのは三月末からだということです。支援を求めて訪れる人の数がふえ始め、若い方の姿が目立つようになったといいます。相談者からは、派遣の仕事が切られ、アパートの家賃が支払えないとか、日雇いの仕事が急に減って生活ができないなどの相談が寄せられています。
さらにその支援団体では、七月の下旬から生活が困窮しているという相談が急増しているということですから、再び生活保護の申請が増加する可能性があります。同時に、生活も人生も行き詰まる方がふえるということでもあります。
生活保護は受けるべき経済状況であっても、窓口でふるいにかけられる水際作戦がとられたり、政治家によるバッシングや、そこから生じる誤解、偏見などがあります。そのため、生活保護を受給することをためらわれている方も多くいらっしゃると思います。
厚生労働省の生活保護のリーフレットは、最近、文言が追加されたのをご存じでしょうか。どのような文言が追加されたのか説明をお願いします。
○山口事業調整担当部長 厚生労働省のホームページにおきまして、新型コロナウイルス感染症に関連した生活を支えるための支援策の一つとして、生活保護制度が紹介されております。
その制度概要の説明のところに、また、生活保護の申請は国民の権利です、生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに自治体までご相談くださいという一文が加えられたものと承知しております。
○藤田委員 生活保護の申請は国民の権利だから、ためらわずに相談をというものです。生活保護を受けることは国民の権利です。ぜひとも生活に困った都民にきちんと情報が届くように制度の活用を訴えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○山口事業調整担当部長 生活保護の実施機関である各福祉事務所におきましては、リーフレット等により制度の周知に努めております。
また、都は福祉事務所に対しまして、生活困窮者自立支援制度の相談窓口など関係機関と十分連携し、適切な保護を実施するよう通知しております。
引き続き、必要な方には確実に保護を実施するという生活保護制度の基本的な考え方に基づき、適切に対応いたします。
○藤田委員 適切に対応ということです。
五月二十六日の緊急事態宣言解除時に示された国からの事務連絡では、生活保護業務等における対応で、適切な保護の実施や現下の状況における保護の弾力的な運用など四項目について生活保護担当課へ依頼しています。しかし、この通知以降にも、生活保護の窓口申請では、若い人は受けられない、仕事を探すことが条件、住民票がなければなどの不適切な対応が報告されています。
それらの実態を受けてか、厚生労働省は九月十一日に再度、相談者が申請をためらうことのないよう、必要な配慮に努められたいという事務連絡が出されています。
最後のセーフティーネットからも排除される人が、生きることに希望が持てるでしょうか。生活保護を受けることは国民の権利です。生活保護制度はまさに生きるための支援です。
自殺防止対策では、相談体制のさらなる拡充とともに、こうした生活困窮から都民の暮らしを守る取り組みについても、さらに利用できるよう強く要望いたしまして、質問を終わります。
○斉藤(れ)委員 私からも、東京都の自殺対策をさらに推進することについての陳情に関係して幾つか質問させていただきます。
厚生労働省の自殺防止対策事業として、本年、とある民間団体が行ったアンケート調査の結果を送っていただきましたので、そちらもご紹介をさせていただきながら質疑を進めたいと思います。
この団体は、ふだんは十代、二十代女性からの相談を受けておられますけれども、コロナ禍において、さまざまな状況にある女性たちがさらに困難な状況に陥っている実態を把握されているということです。
このアンケートは、十代、二十代女性における新型コロナ感染症拡大に伴う影響についてのアンケートというものです。
コロナに伴う外出自粛や休業要請により、家庭が安心できる場所ではない若年女性に関しましては、逃げ場がなくなり、深刻な苦しさを抱えていたことも多くあったとされています。
内容を見ていきますと、家族やお金のこと、SNSや学校のことなど多岐にわたる項目で困ったことがあったかどうかを聞かれていますけれども、体や心のことで困ったことがあったかという設問では、九六%の方が困ったことがあったと答えていらっしゃいます。不安感が増したというのが一位で七五%でしたけれども、消えたい、死にたいと思ったという方も六九%と大変高い割合となっております。実際に体を傷つけることがふえたという方も三六%と高く結果が出ております。
また、望まない妊娠、予期せぬ妊娠をしたかもしれないという不安を持つ方は、回答者のうち九%に上るということも明らかになっております。これは特に感染の状況が深刻であった都市部、東京都のような都市部の方が、困った人の割合が高いという結果も出ておりまして、相手につきましては、交際相手のほかには、その他知人、援助交際やパパ活の相手、また泊めてくれた人、知らない人、そして父親や親族というふうに続いております。
家庭環境に悩みや不安を持つ若年女性にとって、コロナの外出自粛や休業要請は、居場所や経済的な援助を求めて、予期せぬ妊娠のきっかけとなる行為へつながる可能性もございます。また、家庭の中で親族や家族の知人から行為を促されてしまっている場合もございます。このような状況をしっかりと認識した上で、適切な支援が行われなければならないと常々感じている次第です。
実際に、このような若年女性につきましては、安心して過ごせる居場所の提供などをさらに拡充する必要があるんですけれども、今はこういった支援は民間団体等がご尽力くださっていることもあります。まずは、東京都には幅広くお悩みを聞き取りまして、寄り添いの支援を行っていくことが求められていると考えております。
そこでまず、東京都の予期せぬ妊娠の不安を持つ方への支援として、妊娠相談ほっとラインのさらなる普及啓発に取り組むべきであると考えますが、見解を伺います。妊娠相談ほっとラインの四月以降の相談対応件数の状況についても伺います。また、この中で予期しない妊娠についての相談がどれほどあるか伺います。
○高野少子社会対策部長 都は、妊娠や出産に関する悩みを抱える女性の相談に対しまして、看護師等の専門職が電話やメールで匿名の相談に応じる妊娠相談ほっとラインを実施しております。
この妊娠相談ほっとラインを広く都民に周知するため、インターネット広告を実施するほか、区市町村や大学等でのリーフレットや普及啓発用カードの配布などに取り組んでおります。
本年四月から七月までに、この妊娠相談ほっとラインに寄せられました相談の件数は千七百一件でございまして、そのうち、予期しない妊娠に係る相談は九十九件でございます。
○斉藤(れ)委員 ありがとうございます。
昨年比を伺わせていただいたんですけれども、昨年同時期の相談件数は千二百九十六件ということで、今年度は千七百一件、かなり、大変ふえているということがわかります。
予期しない妊娠に係る相談件数は昨年同時期は百二件で、今年度は九十九件ですので、ほぼ横ばいで変わりがないんですけれども、こちらの数字はやや時差を経て出てくるという可能性もあると考えられています。
妊娠相談ほっとラインの普及啓発は、今現在、都内大学及び区市町村等で配布されているということなんですけれども、ぜひこれはもう少し低年齢の、例えば高校生、都立高校生であったりとか、区市町村の小学校、中学校の方にも、ぜひ周知をしていただきたいというふうに考えております。
今現在、この事業は三年間で委託をされていて、まだ今年度二年目でありますから、途中で事業のあり方を変更することは難しいということがあろうかと思います。けれども、今現在は若年女性にとっての緊急事態とも呼べる状況ではないかと考えております。予期しない妊娠をしたかもしれないと相談をする時点で、そのときに、例えば適切な緊急避妊薬の情報や未成年でも相談できるクリニックの情報等があれば、当事者はどんなに助けになるかわかりません。
この事業では、さまざまなお困り事を実際に聞いてくださっておりまして、実際に未受診妊婦への同行支援なども開始され、セーフティーネットとして大変大きな役割を担っている事業であると考えておりますけれども、今こちらに届いている声というのは、今後救っていくことができる可能性をはらんだものも多くあるということをいま一度ご認識をいただきまして、ここにある相談のうち、特に若年女性の予期しない妊娠相談については、その方々が具体的に必要としている支援は何なのか、家でも学校でもない第三の居場所なのか、それとも保証人がいなくても就職できる就職先なのか、そういったことを検証していくことも、ぜひ今後東京都にはお願いをしたいと考えております。
次に、妊産婦への支援について伺います。
妊産婦への支援について、国立成育医療研究センターなどのチームによると、二〇一五年から二〇一六年の妊産婦の死因の一位は自殺とのことです。実は最近、身近に産後鬱となった方がいるんですけれども、福祉保健局が推奨しているエジンバラ式産後鬱質問票に答えていく過程で、問い詰められているような印象を受け、かえって追い込まれるような状況だったということを伺っております。
これはスクリーニング調査ということですので、早期に発見することが目的の一つなんだと思いますが、その実施に当たっては慎重な対応が必要だと感じております。
また、自分に子育てができるんだろうかという不安を抱えている方にとっては、行政や病院、場合によっては家族からのサポートには本音で答えにくいといった精神状況もあると伺っております。
こうした状況に鑑みると、友人やそれに近い第三者のかかわりが非常に重要でありまして、妊産婦同士のコミュニティづくりなどを支援していくというのも一つの支援のあり方だと思いますけれども、見解を伺います。
○高野少子社会対策部長 区市町村では、妊産婦等が抱える悩みへの相談支援を、子育て経験者等が利用者の居宅を訪問する方法や、仲間づくりを目的に妊産婦等が気軽に参加し交流できるよう、グループワーク等の方法で実施しております。
都はこうした区市町村の取り組みを、とうきょうママパパ応援事業を通じまして支援しているところでございます。
○斉藤(れ)委員 ご答弁ありがとうございます。
この質問の意図は、もともと町田市の奥澤都議の方からなんですけれども、行政などの公的機関が実施する取り組みが、かえって妊産婦を追い詰めてしまうこともあるんですよというアンチテーゼとともに、民間の取り組みもアナウンスをするなどして、多様な支援を築いていただきたいとの主張があったということで、少し、済みません、私の方とすれ違ってしまった感があるなというのは感じているんですけれども、大変申し上げにくいんですけれども、行政の支援は困っている当事者の方にとっては受け取りづらい、受け取りたくない、または受け取ることが自己肯定感を阻害することにつながってしまうという可能性も往々にしてあるものが多いというふうに感じております。
実際に女性を支援する民間団体等にお話を伺いますと、何か問い詰めたり質問攻めにするようなことよりも、まずはその方の状況に寄り添って、その方の対面で、会うということを目的にして支援を開始されている、相談を受けているということがあるというそうです。
行政の支援は、公金を使うことへの妥当性、公平性などを常に図られることもありまして、行政職員の方々も、大変いろいろな指摘や質問に常に答えられるように適正な事業執行を心がけておられることが、こうした民間の支援との違いにつながっているんだと想像しますけれども、支援やコミュニティづくり、サービス提供が得意な民間団体等があるのであれば、ぜひ連携や情報共有などを行いながら、課題の解決に取り組んでいっていただきたいということを強く要望しまして、次の質問に移らせていただきます。
一転しまして、男性からの相談の体制についてでございます。
東京会議における東京都のSNS相談の検証結果などを拝見させていただきましたが、女子は、女性は相談につながっているんですけれども、特にSNS相談は、男性の数、男子の数が極端に低くなっております。
男性からの相談をふやすことについて、東京都はどう捉えているか伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は昨年度から、SNSを活用した自殺相談を本格実施しており、昨年度は年間で約八千件の相談に対応いたしました。
昨年度の相談件数の男女別の内訳は、女性からの相談が七六%、男性からの相談が二一%となっておりまして、女性からの相談が多数を占めている一方で、自殺者は男性の方が多くなっております。
引き続き、男性を含め、不安を抱えている方がSNS相談を利用していただけますよう、さまざまな手段を活用して周知してまいります。
○斉藤(れ)委員 なかなか周知の具体的な解決策というのが見つからないところが悩ましいなと私も考えておるんですけれども、厚生労働省の研究班が自殺未遂者等、亡くなられた方の遺族たちに聞き取り調査をしたところ、自殺をする人の八割は相談をしないという結果が出ております。
また、女性の約三四%が家族や知人、または精神科医などに相談をするのに比べまして、男性は約二二%のみしか相談をしなかったということがあるそうです。
また、日本財団の二〇一七年自殺意識調査によりますと、最も自殺念慮のリスクが高い年代は二十歳から三十九歳の若者層でありまして、この世代の自殺未遂経験者が直面していたライフイベントは何かと申しますと、女性では精神疾患や家族関係の問題、男性では進路の悩みや家族関係に加えて、職場、学校の人間関係の不和などが大きく上がっております。
男性特有の相談のしづらい状況や社会的孤立などの状況がある場合は、単に相談窓口を開いておくことのみならず、各所と連携してこちらからリーチをしていく必要があるのかなというふうにも考えております。
男女ともに共通することですけれども、同じ調査で、一年以内に自殺未遂をした人で思いとどまった理由に、相談をして思いとどまることにしたと答えた人はわずか一・六%でした。まだ自殺を思いとどまっていない、まだ自殺をしたいと考えているという方が最も多く、また、思いとどまった理由では、家族や知人が悲しむからという理由が一五・二%で最大でございました。
自殺念慮があり、本気で死にたいと思ったけれども相談をしなかったのは七三・九%で、自殺未遂の経験者でも五一・一%が相談をしなかったと答えています。これを見ていますと、相談窓口を充実させるだけでは、自殺念慮のある方の命を守ることは難しいという現状が見えてくると考えています。
相談に加えまして、教育の場における対策や就労の支援、また、家族や知人の変化を気づくことができる周知啓発に取り組むなど、社会としてさまざまな分野の関係者が連携して総合的に対策を行う必要を感じています。個人的には、自殺企図者など、ご本人への直接の支援に加えまして、その方を支えられる周囲の人間をふやす、支える社会をつくっていくということが重要ではないかなというふうに考えております。
自殺に至るまでには平均で四つの複合的な要因が重なっていることは既に多く知られているところです。失業や借金、職場での人間関係などの働くこと、子育てや介護、DVなどの家庭のこと、いじめや成績不振などの学校のこと、心身の健康に関すること、あるいは自身の性に関することなどさまざまな要因が挙げられます。
東京都ではゲートキーパー養成講座や、電話、LINE相談、その他啓発事業を実施していることは評価をしていますけれども、まだまだ不足であるとも考えております。
九月十日、厚生労働大臣からは、生きづらさを感じている方々へというメッセージを出しておりますけれども、東京都ではどのようなメッセージを発出しているのか伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、毎年九月と三月を自殺対策強化月間に位置づけ、自殺防止東京キャンペーンを実施しております。
本年九月は、新型コロナウイルス感染症の影響により、自殺リスクの高まりが懸念されているため、話してみよう糸口見つかるからというメッセージを掲載したポスター、チラシを作成するなど、区市町村や関係団体と連携した啓発を行っております。
また、九月十日から本日十六日までの自殺予防週間では、都庁舎で、命を支えるという決意が込められた四色のライトアップを新たに実施しております。
さらに、若者が抱えている悩みや、その悩みにどのように対応していくかを若者みずから考えることを目的に、十月にオンラインによる講演会を実施する予定でございます。
○斉藤(れ)委員 さまざまな手段で啓発をしていこうという意図について理解させていただきました。
東京都の自殺防止キャンペーンやチラシは、それでも私からいわせていただきますと、まだまだ漢字が多く、文章が長く、難しい表現に感じてしまいます。
例えばこの、話してみよう糸口見つかるからっていうことなんですけれども、糸口という言葉も、じゃ百人の人に聞いてみて、全ての方が、糸口っていうことがぱっと意味がわかるかというと、ちょっと難しいんではないかなと。
こういうことをお伝えしていくときにいわれますのが、本当に相手が小学生、一年生だったりとか幼稚園児だったりしてもわかるような表現を使って伝えていくことが、すごく重要であるというふうにも伺っております。
SNS、ツイッターなどでは平仮名や片仮名で、ただ、しにたい--もう平仮名ですね、本当に平仮名でしにたいだとか、疲れた、消えてなくなってしまいたい、家出したいなどの書き込みが日々多数入っております。ここに複数の反応が入って、話を聞いてあげるよ、うちに来ていいよという誘いのようなものも複数見られます。
都庁のライトアップも、意味を知ると本当にすばらしいものなんですけれども、何よりも今、一日一日を生きることに必死で、溺れる中で何かをつかもうとしている人がつかみたくなるような情報を、ぜひ東京都からは発信をしていただきまして、今後より一層、必要な方に届ける努力を続けていただきたいと考えております。
さて、警察庁の発表によると、八月の東京都の自殺者数は、去年の同じ時期より六十五人ふえて二百十人とのことで、国は新型コロナの影響について分析を始めるということです。
デヴィッド・スタックラーとサンジェイ・バスの著書である、経済政策で人は死ぬかによると、経済不況と自殺率は必ずしも相関するものではなく、十分な失業者対策を実施することで自殺率の上昇に歯どめをかけられることを示唆しております。
こうした観点から、産業労働局などと連携し、自殺対策を講じていくべきであると考えますが、見解を伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、自殺の背景となる多重債務、失業、健康問題などへの相談に的確に対応するため、相談窓口の一覧を掲載したリーフレットを区市町村、関係団体のほか、相談窓口等を設置している都の関係部署に配布いたしますとともに、ホームページやSNSを活用して窓口を案内しております。
また、相談機関に対しまして、国や都が実施する新型コロナウイルス感染症に関連する各種支援策を情報提供しておりまして、相談者の悩みに応じた支援策の案内に活用できるようにしております。
○斉藤(れ)委員 相談窓口の案内や支援策の案内という意味での連携を図っておられるとのことですが、危機感を共有できているのかという点で疑問が残る部分があると感じております。
実際に就労支援や債務の件では、相談窓口はあるけれども、さまざまな事情や状況を理由にして、問題が解決しないまま帰されてしまったという声も幾つも伺っているものがございます。
相談窓口を伝えておしまいではなく、そこで果たして問題が解決されたのか、解決されていないとすればそれはどうしてなのか、解決するために何が必要で行政には何ができるのかといったような点を重ねて検証を行っていただきまして、今後の対応へと生かしていただきたいということを強く要望をいたします。
続いて、若者の自殺対策についてです。
若者の自殺について、その数にも注目が集まりますが、その数を減らしていくには原因にしっかりと目を向けていかなければなりません。
先ほどもお伝えしたとおり、自殺を図るまでには複合的な要因があり、そのどこかで歯どめをかけることができれば自殺を食いとめることができる可能性もございます。
若者の自殺の動機を見てみると、親子、家族関係、学業不振、進路の悩み、クラスメートとの関係性やいじめ、そうしたことから発生した精神疾患などが挙げられます。このどこかで歯どめをかけようと考えれば、やはり学校教育の果たす役割が非常に大きいと考えます。
自殺総合対策東京会議の議事録を見ると、SOSの出し方についての取り組みを強化しているように感じますが、そもそもSOSを出さなければならない背景にある部分に光を当てなければ、改善へと向かうことはないかと思います。
東京都自殺総合対策計画には、命の大切さを実感できる教育の推進が掲げられておりまして、その取り組み状況を聞こうと思ったんですけれども、これは教育庁が所管のため答えられないということですので質疑は割愛しますが、連携につきましては現時点で不十分であるというふうに感じている次第です。
続いて、相談事業におけるアンケート調査について伺います。
先ほど、男性につながることができていないという現状について触れましたが、こうした傾向を改善していくためには、その検証を行っていくことが非常に重要です。
東京都が実施するLINE相談におけるアンケートシステムについて、どのような目的で、どのような質問項目で実施をしているのか、今後どのように生かしていくのか伺います。
○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、若年層の自殺対策を強化するため、昨年度からLINEを活用したSNS自殺相談を本格実施しております。
本年六月からは、利用者の相談理由や心の変化等を相談直後に尋ねるアンケートシステムを導入しておりまして、今後、利用者からの回答を専門家の意見も踏まえながら分析し、相談員のスキルアップに活用する予定でございます。
○斉藤(れ)委員 相談員のスキルアップに活用するとのことで、具体的にどのような回答が寄せられているのか確認をしたいところですが、まだ結果を収集できていないとのことですので、今後も探らせていただきたいと思います。
なお、大手ソーシャルメディアのフェイスブック社では、AIを活用して利用者の投稿や動画をスキャンし、自殺の可能性を示唆するものを抽出し、必要に応じて各地域の自殺防止対策組織に連絡するという取り組みを発表しています。単にアンケートにとどまらず、危険を察知するために先端技術を活用すること、これまでに得られているデータの解析なども行っていく必要があると考えております。
先ほど専門家の意見という話がありましたが、自殺対策の専門家という意味合いだけではなく、ビッグデータ解析の専門家にも参画していただいて、今後の取り組みを行っていただくよう提案をいたします。
今回、東京都の自殺対策について、改めてさまざまな観点から意見交換をさせていただきましたが、組織間の連携という部分で非常に問題が多いと感じております。福祉保健局による自殺対策は最後の歯どめの意味合いが強いと思いますが、自殺を防ぐためには希死念慮、つまり死にたいと思うことを減らしていくことが重要であり、そのためには、産業労働局や教育庁の取り組みが重要なことはいうまでもありません。
ほかにも区市町村や民間支援団体、病院など、さまざまな主体とのさらなる連携が必要という意味で、総合的に自殺対策を進めていくべき、とりわけ若年者と妊産婦の支援をより一層講じるべきとの内容に賛成、その他の項目に趣旨採択として、私の質問を終わります。
○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二第五二号の一は趣旨採択と決定いたしました。
以上で請願陳情の審査を終わります。
以上で福祉保健局関係を終わります。
なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時二十七分散会
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