厚生委員会速記録第七号

令和二年六月五日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長斉藤やすひろ君
副委員長菅原 直志君
副委員長白石たみお君
理事小林 健二君
理事小松 大祐君
理事木下ふみこ君
後藤 なみ君
斉藤れいな君
藤田りょうこ君
伊藤こういち君
たきぐち学君
岡本こうき君
小宮あんり君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長内藤  淳君
次長松川 桂子君
技監矢内真理子君
理事後藤 啓志君
総務部長雲田 孝司君
医療政策部長矢沢 知子君
保健政策部長成田 友代君
生活福祉部長坂本 尚史君
高齢社会対策部長村田 由佳君
少子社会対策部長武田 康弘君
障害者施策推進部長藤井麻里子君
健康安全部長高橋 博則君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務齋藤 善照君
企画調整担当部長奈良部瑞枝君
事業推進担当部長遠藤 善也君
医療改革推進担当部長田中 敦子君
高齢者施策推進担当部長保家  力君
子供・子育て施策推進担当部長西尾 寿一君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長花本 由紀君
感染症危機管理担当部長吉田 道彦君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務杉下 由行君
病院経営本部本部長堤  雅史君
経営企画部長谷田  治君
サービス推進部長西川 泰永君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務藤本  誠君
計画調整担当部長船尾  誠君

本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十四号議案 令和二年度東京都病院会計補正予算(第三号)
・第百二十八号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十三号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第六号)中、歳出 福祉保健局所管分
・第百二十三号議案 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・第百二十四号議案 東京都食品安全条例の一部を改正する条例
・第百二十五号議案 食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
・第百二十六号議案 食品製造業等取締条例を廃止する条例
・第百二十七号議案 東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例
・第百四十号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
・第百四十一号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
・第百四十二号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤)の買入れについて
・第百四十三号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和二年度東京都一般会計補正予算(第五号)の報告及び承認について中、福祉保健局所管分
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した新型コロナウイルス感染拡大防止に係るマスクの買入れ(その一)についての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した新型コロナウイルス感染拡大防止に係るマスクの買入れ(その二)についての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した個人防護具(ガウン等セット)の買入れについての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したゴーグルの買入れについての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したフェイスシールドの買入れについての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したインナー手袋(天然ゴム製)外三点の買入れについての報告及び承認について
報告事項(質疑)
・新型コロナウイルス感染症への対応について

○斉藤(や)委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の付託議案の審査並びに福祉保健局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百十四号議案及び第百二十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○小林委員 それでは、私の方からは、東京都立病院条例の一部を改正する条例について、何点か確認をさせていただきます。
 このたびの条例改正の目的は、都立病院において患者申し出療養を実施することに伴い、患者申し出療養にかかわる使用料の規定を設けるものでありますが、この患者申し出療養制度については、国内で未承認の医薬品などをいち早く使いたいという患者さんたちの思いに応えるために、患者さんからの申し出を起点として、保険がきかない診療と保険がきく診療を併用する、いわゆる保険外併用療養の仕組みとして、平成二十八年四月に創設され、保険適用を目指すことを前提としていると聞いております。
 患者申し出療養として実施できる治療法は、国が承認し告示することとされていますが、現在、患者申し出療養は何種類あり、どのような治療法が承認されているのか、また、都立病院では、具体的にどのような患者申し出療養を行うのかをお伺いいたします。

○西川サービス推進部長 患者申し出療養の制度は、健康保険法等の改正に基づき、平成二十八年四月から開始されたものでございます。
 患者申し出療養で実施する治療法は、厚生労働省に設置されました臨床医や薬学に関する有識者などで構成される、患者申出療養評価会議が臨床研究中核病院から提出された治療の実施計画につきまして、当該治療における一定の有効性や安全性、当該計画の妥当性などの観点から審査をした上で承認をすることとなっております。
 令和二年四月一日現在で実施が承認されている治療法は六種類でございます。具体的には、抗がん剤の投与など、がんの治療に関するものが四種類でございまして、このほかに重症心不全に対する植え込み型補助人工心臓、皮膚疾患である難治性天疱瘡に対する薬物療法がございます。
 今回、都立駒込病院において実施を予定している治療法は、このうちがんの治療に関するものの一つでございます経皮的乳がんラジオ波焼灼療法でございます。
 その治療内容は、腫瘍の直径が一・五センチメートル以下の早期乳がんで他臓器への転移がないものにつきまして、全身麻酔のもとで電極の針を刺して腫瘍を焼灼するものでございます。
 この治療法は侵襲性が低く、乳房の形を崩すことがないため、患者さんの身体的、心理的な負担の緩和につながるメリットもございまして、複数の医療機関で実施をされております。

○小林委員 今回の条例改正により、既に患者申し出療養の一つとして認められている経皮的乳がんラジオ波焼灼療法、これを駒込病院で実施をする予定であるということでございますけれども、今回駒込病院でこの治療法を実施されようとした理由についてお伺いいたします。

○西川サービス推進部長 乳がんの分野におきましては、検診の受診率向上に伴いまして、早期の段階で発見されることがふえており、早期の乳がんにおきましては、侵襲を軽減する治療が期待されております。経皮的乳がんラジオ波焼灼療法は、切除ではなく、針を穿刺することにより乳房の傷を最小限にとどめることで、乳房の形を崩さず、手術時間も短くできるものでございます。
 したがいまして、この治療法の対象となる患者さんにとりましては、現在の標準治療である外科的切除術以外の治療法が選択でき、切除に伴う苦痛を緩和することが可能となることから、QOLの改善が期待できます。
 こうしたことから、当該治療を開始することで、患者さんの治療法の選択肢を広げるとともに、患者申し出療養は、将来の保険適用につなげるためのデータなどを集積することも目的としておりますことから、そのために貢献したいというふうに考えております。
 なお、駒込病院では、既に保険収載となっている肝臓がんに対するラジオ波焼灼療法を実施していることから、今回の経皮的乳がんラジオ波焼灼療法に対応できる機材を備えております。
 また、乳腺を専門とする医師の体制も整っており、速やかにこの治療法に対応することが可能でございます。

○小林委員 患者申し出療養は、保険外併用療養として入院料などが保険給付の対象となり、患者負担の軽減が図られるものであるとはいえ、技術に関する治療費は全額自己負担になります。
 患者申し出療養はその名のとおり、患者さんの申し出を起点として治療が始まるものでありますが、治療の内容だけでなく多額の費用も予想されるわけで、患者さんにはそうしたことも含めて、十分納得の上、治療を受けることが何より重要であると考えます。
 そこで、経皮的乳がんラジオ波焼灼療法の実施に要する費用の額、また、治療の実施に関して、患者さんの同意を得る手続についてお伺いいたします。

○西川サービス推進部長 経皮的乳がんラジオ波焼灼療法を実施するための費用は、約四十二万円でございます。
 その内訳といたしましては、医療機器の使用料や材料費、治療に当たる医師等の人件費のほか、当該患者さんにこの治療を実施することに関する臨床研究中核病院の審査などに要する費用となっております。
 また、治療に当たりましては、四日間の入院が必要でございますが、入院基本料、手術に必要な麻酔や薬剤等の費用には保険が適用されますので、自己負担が三割の場合で約九万円となりますことから、合計で概算の費用は五十一万円でございます。
 患者申し出療養に同意する手続といたしましては、患者さんはまず、申し出に至った理由を記載した申出書、次いで、実施する治療法の有効性や安全性、費用などについて説明を受けたことの同意書を作成いたします。最後に、この治療法の実施に同意をして申し出るための同意書を提出するといった手続になってございます。
 一方、医療機関側では、患者との面談記録をつくり、面談した担当医師とその上司が署名押印した上、患者さんが作成した書類とともに、臨床研究中核病院の審査に付すこととなっております。
 このように、患者申し出療養につきましては、患者さんが十分納得、同意した上で実施することとなっております。

○小林委員 この治療法に関係する医療機関が協力して症例を蓄積することで、保険適用への道が開かれ、患者さんの費用負担軽減につながるものと思いますので、今回駒込病院において、この治療を実施していく意義も重要ではないかと思います。
 通常であれば、治療を実施する際は、医師から患者に対して治療法を提示することが多いかと思いますけれども、この患者申し出療養は、患者の申し出を起点として治療を実施するものであります。
 現在では、患者さんがインターネットなどを通じて自分で情報収集することも多くなっておりますが、患者さんやその家族などが、患者申し出療養制度という制度を正しく理解し、治療の選択肢を知っていただいた上で治療を受けてもらうことが大切であると考えます。
 そこで、駒込病院で経皮的乳がんラジオ波焼灼療法を実施するに当たり、その周知をしっかり行っていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

○西川サービス推進部長 本定例会で条例の改正が可決、成立した後は、速やかに条例の施行規則を改正するなど、実施に向けた準備を進めてまいります。
 患者申し出療養を実施できる体制が整備され次第、駒込病院のホームページや病院が発行する情報誌に、駒込病院がこの治療法の申し出を受けることや、治療の内容や制度の仕組みについて掲載することなどにより、患者さんや地域の医療機関への周知を図っていく予定でございます。
 また、患者さんからこの治療に関する申し出や相談があった場合には、制度や治療法を詳しく説明してまいります。
 申し出のない患者さんに対しても、医師が診察をして、この治療法の適用が認められると判断した場合には、治療の選択肢の一つとしての提案も行ってまいります。
 なお、いずれの場合でありましても、患者申し出療養の趣旨に十分鑑みまして、患者さんが納得して治療を選択できるよう、時間をかけて丁寧に対応してまいります。

○小林委員 今回、駒込病院が経皮的乳がんラジオ波焼灼療法を開始することにより、駒込病院を受診する早期乳がんを患う患者さんにとって、治療法の選択肢がふえることは大変望ましいことであると思いますが、あくまで治療法の選択は患者さんでありますので、患者さんの理解、納得につながる取り組みは丁寧に進めていただくとともに、今後この治療が保険適用されるためには、医療機関において治療の実績を積み重ねることが必要でありますので、都立病院としてもその一翼を担う取り組みを進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○白石委員 都立病院条例に患者申し出療養制度を条例に盛り込む改正について質問したいというふうに思います。
 まず初めに、患者申し出療養は、これまで都立病院で認められていなかったけれども今回入れるということで、どのような理由と、そして目的でやられるのか、導入しようとしているのか、考えを伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 今回、患者申し出療養として導入を予定しておりますものは、経皮的乳がんラジオ波焼灼療法でございます。
 検診の受診率向上に伴いまして、乳がんが早期の段階で発見されることがふえており、早期の乳がんにおいては、侵襲を軽減する治療が期待されております。経皮的乳がんラジオ波焼灼療法は、乳房の傷を最小限にとどめ、手術時間も短くできるものでございます。
 この治療法の対象となる患者さんにとっては、標準治療である外科的切除術以外の治療法を選択することができ、切除に伴う苦痛の緩和が可能となり、QOLの改善が期待できます。
 こうしたことから、治療に必要な設備や医師の体制が整っている駒込病院におきまして、早期乳がんの治療の選択肢を広げるとともに、データなどの集積により将来の保険適用につなげることに貢献したいというふうに考え、条例改正により、患者申し出療養を導入しようとするものでございます。

○白石委員 この患者申し出療養は、保険のきかない国内未承認薬、また医療技術の利用を認めるということで、原則禁止をされている混合診療の実質的解禁になると、これは国会でも大きく問題になっております。
 この制度を法律に盛り込もうと政府がしたときにどういう声が上がったかといいますと、例えば医師会、それから当事者である患者団体などから、懸念、そして反対の声が相次いだというふうなことも調べれば多く出てきます。
 例えば当時、日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表理事、何といったかといいますと、医療が一部の国民、経済的に豊かな者だけが利用できるものであってはならないと述べ、混合診療の実質的な一部解禁になると、このように指摘もされております。
 また、全国がん患者団体連合会理事長と副理事長は、インタビューで次のようにお話もしております。
 患者申し出療養制度は、現在、原則的に禁止されている混合診療の全面解禁につながりかねない制度です。我々が危惧しているのは、患者申し出療養制度によって未承認の医薬品や医療機器を使うことが、保険承認されるまでの一時的なものではなく、通常の状態になってしまうことです。その結果、金銭的に余裕のないがん患者がいつまでたっても新しい薬剤や治療法にアクセスできなくなることにつながりかねない。患者申し出療養制度が導入されることで、薬剤や医療機器の保険適用がおくれたり、保険適用されない薬や医療機器がふえたりするのではないかといった危機感があると、このようにもいっておられます。
 また、次に何といったか。患者申し出療養制度は、一見患者のために考えられた制度のように思うかもしれませんが、この制度の導入が混合診療の解禁、国民皆保険制度のなし崩しにつながったら、私たちがんの患者だけではなく国民全員が困ることになると、当事者である患者団体からも厳しい指摘がされたのが、今回改正で提案されている患者申し出療養です。
 治療の安全性などはどのように確保されると都は考えているのか、伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 経皮的乳がんラジオ波焼灼療法は、臨床研究中核病院である国立がん研究センター中央病院が作成した治療の実施計画を、臨床や薬学に関する有識者などで構成する厚生労働省の患者申出療養評価会議が、一定の有効性や安全性などの観点から審査をした上で実施が承認されたものでございます。
 今回、駒込病院がこの治療法を行うに当たっては、病院の実施体制などを記載した届け出書を国立がん研究センター中央病院へ提出し、治療の実施体制が審査される仕組みになっております。
 こうしたことから、患者申し出療養として実施する上での治療の安全性は確保されるものと考えております。

○白石委員 今、聞きますと、国立がん研究センター中央病院が実施計画を作成、厚労省も審査をして、それで認められるというふうな仕組みであるということで、そういう手続を踏んでいるから、治療の安全性は確保されていると考えているというふうな理解だと思います。
 今、聞いていますと、安全性があたかも確保されるかのように答弁されていますけれども、治療法の安全性や有効性は保険適用が現段階ではされていないというもとですから、確認される前の治療法ということになります。保険適用に向けて、これから安全性や有効性を検証するという段階の治療法だということです。
 そこで伺いたいと思いますけれども、経皮的乳がんラジオ波焼灼療法が適用されたのはいつで、これまでどのぐらい実施をされているのでしょうか。

○西川サービス推進部長 経皮的乳がんラジオ波焼灼療法は、患者申し出療養として平成三十一年三月に適用が開始となっております。
 国立がん研究センター中央病院がこの治療の実施状況を取りまとめ、患者申出療養評価会議に提出した報告によれば、適用開始から一年が経過した時点で治療が実施された患者さんは、三十例でございます。

○白石委員 事前に、症例、どのぐらい臨床試験必要なんですかというふうに聞きましたら、三百症例ぐらい臨床試験をしていきたいというふうにも考えているということも私も伺っております。
 それからいいますと、三十症例ですから、現時点で一割程度という状況です。臨床試験の段階でも、初期の段階というふうな状況です。よほど安全性が確認されるなどといえる状態ではないと、そもそも保険適用前ですから、これから臨床試験をして、安全性、それからこの治療法の有効性なども検証されていくというふうな段階だということだと思います。
 さらに、私問題だなと思っているのは患者負担の問題です。
 実際に、保険適用の場合の乳がん手術に要する自己負担分の医療費というのはどのぐらいなのか、また、患者申し出療養を受けられるとしたら、患者の負担の医療費、どのぐらいになるのか伺いたいと思います。

○西川サービス推進部長 現在、ほかの臓器へ転移がない早期乳がんに対する標準治療として行われる乳房の部分切除の手術に要する医療費で申し上げますと、平均の入院日数を四日間で計算いたしますと、自己負担が三割の場合で約十九万円でございます。
 一方、経皮的乳がんラジオ波焼灼療法を実施するための費用は約四十二万円でございます。治療には四日間の入院が必要でございまして、保険が適用される入院基本料などの費用は、自己負担が三割の場合で約九万円でございまして、患者さんの負担額は合計で約五十一万円となります。

○白石委員 今ご答弁あったとおり、費用は五十一万円かかるということです。経済的に豊かな者だけが利用できるような制度を都立病院で導入するということは、やはり私はあってはならないというふうに思います。
 あたかも患者申し出療養、患者が申し出る制度なんだというふうに名前はついていますけれども、これも国会で議論されて、そんなことはないんだと。やはり患者の皆さんの団体からもいわれているとおり、混合診療の解禁、そして患者のために考えられた制度かのように思うけれども、国民皆保険制度のなし崩しにつながりかねないというふうな警鐘も、そして懸念も、声が上がっているといったところで、やはりこういうふうな制度を都立病院で改正して行うということは、私は反対です。
 都立病院というのは全ての都民のための病院であり、東京都の医療を守るのが一番の使命だというふうに思います。その都立病院で、お金のあるなしで医療を受けられる差があってはならないというふうに、改めて申し上げたいというふうに思います。
 よって、患者申し出療養は反対を表明して、質問を終わりたいというふうに思います。

○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○斉藤(や)委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百十三号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第六号)中、歳出、福祉保健局所管分、第百二十三号議案から第百二十七号議案まで、第百四十号議案から第百四十三号議案まで及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和二年度東京都一般会計補正予算(第五号)の報告及び承認について中、福祉保健局所管分外専決六件並びに報告事項、新型コロナウイルス感染症への対応についてを一括して議題といたします。
 付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○雲田総務部長 五月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんください。
 資料は、目次にございますように全部で十一項目となっております。
 目次をおめくりいただきまして、一ページをごらんください。1、都内の地域外来・検査センター(PCR検査センター)の設置状況といたしまして、区部及び市町村部において、令和二年五月二十二日現在、地域外来・検査センターを設置している自治体につきまして記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、地域外来・検査センター(PCR検査センター)への国及び都の補助内容といたしまして、(1)、運営に係る経費への補助制度として、補助対象、対象経費、基準額及び負担割合について、国制度及び都制度に区分して記載してございます。また、三ページに、(2)、設備整備に係る経費への補助制度(国制度)として、対象経費、基準額及び負担割合を記載してございます。
 四ページをお開き願います。3、サージカルマスク及び消毒液の受入(寄付及び購入)及び提供の推移といたしまして、(1)において、サージカルマスクについて、五ページ下段の(2)において、消毒液について、それぞれ受け入れ及び提供の推移を記載してございます。
 六ページをお開き願います。4、防護服等の受入数及び提供数の推移といたしまして、(1)において、個人防護具等の受け入れ数の推移を、七ページの(2)において、個人防護具等の提供数の推移を一〇ページにかけて記載してございます。
 一一ページをお開き願います。5、都保健所、健康安全研究センター及び福祉保健局健康安全部の職種別超過勤務時間の平均と分布(令和二年三月及び四月分)といたしまして、都保健所、健康安全研究センター及び福祉保健局健康安全部における令和二年三月及び四月の超過勤務時間の平均及び分布を職種ごとに区分して記載してございます。
 一二ページをお開き願います。6、新型コロナウイルス感染症による入院者、宿泊療養者及び自宅療養者の日別の推移といたしまして、新型コロナウイルス感染症により入院、宿泊療養及び自宅療養となった方々の人数を五月十二日から五月二十二日までの日別に記載してございます。
 一三ページをごらんください。7、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるための病床の使用状況といたしまして、新型コロナウイルス感染症による入院者数、患者を受け入れるための病床確保数、病床の利用率を五月十二日から五月二十二日までの日別に記載してございます。
 一四ページをお開き願います。8、新型コロナウイルス感染症の軽症者等を受け入れる宿泊療養施設の使用状況(稼働状況、利用率)の日別の推移といたしまして、新型コロナウイルス感染症の軽症者等を受け入れる宿泊療養施設ごとに、入所者数、退所者数、在所者数及び利用率を施設の開所日から五月二十二日までの日別に一八ページにかけて記載してございます。
 一九ページをお開き願います。9、宿泊療養施設の契約内容並びに医療従事者及び都職員の配置状況といたしまして、新型コロナウイルス感染症の軽症者等を受け入れる宿泊療養施設ごとに、東京都との契約内容並びに令和二年五月二十二日現在の医療従事者及び都職員の配置状況を二三ページにかけて記載してございます。
 二四ページをお開き願います。10、感染経路別の死者数の推移といたしまして、新型コロナウイルス感染症による死者数につきまして、感染経路別に区分して月ごとに記載してございます。
 二五ページをごらんください。11、新型コロナコールセンター及び新型コロナ受診相談窓口への相談件数並びに回線数といたしまして、(1)におきまして、新型コロナコールセンター及び新型コロナ受診相談窓口への相談件数を相談開始日から五月二十二日までの日別に記載しておりますとともに、(2)におきまして、回線数を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○木下委員 昨日の新たな新型コロナ感染症患者は二十八名と発表されまして、累計五千三百二十三名となりました。都庁の最前線の立場で、福祉保健局の皆様及び病院経営本部の皆様が日々努力をされてきていることに、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 また昨日で、死者累計三百七人となりました。お亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げます。
 さて、ひとり親支援についてお伺いをしたいと思います。
 コロナ禍で浮き彫りになりましたひとり親の厳しい現状に対しまして、七月に発表される国の第二次補正予算では、一家庭当たり五万円の補助が決まる見込みでございます。
 我が会派は、知事への要望などを通して、このひとり親家庭への支援の充実を何度も訴えてまいりました。
 六月二日の我が会派の代表質問に対して、知事より、児童扶養手当を受給する全てのひとり親家庭を対象に、食料品など必要な物品を入手できるよう支援すると答弁いただきました。都が我が会派の要望を受け、ひとり親家庭のために、一家庭当たり一万円相当の食品及び生活必需品等の支援十四億円を計上したことを、高く評価をさせていただきたいと思います。
 しかしながら、現在都においては、感染拡大防止協力金の申請、支給におきまして、受け付けサイトの不備、また手続の煩雑さ、わかりにくさ、事務処理のおくれなどで、中小事業者にとっては事業存続の命綱ともなる大切なお金であるにもかかわらず、結果、十万六千件余りの申請に対して、本日六月五日、やっと半数に当たる五万件の支給が完了する見込みとの状況でございます。
 四月二十二日から受け付けを開始していたにもかかわらず、休業措置期間終了を待っての支給開始とはいえ、事前に審査などを進めることができた部分はあったはずで、ここまで支給がおくれたことは大きな課題であるといわざるを得ません。
 そこで、ひとり親家庭への支援事業について、同様のことがあってはならないと考えております。一刻も早く必要な支援を届けるために、タイミングを逸することなく工夫を凝らすべきと考えますが、都の見解をお伺いします。

○武田少子社会対策部長 都は区市町村と連携し、児童扶養手当を受給する全てのひとり親家庭を対象に、食料品など必要な物品を入手できるよう支援することとしてございます。
 具体的な提供方法については、米などの食料品や洗剤などの生活必需品二十点以上を掲載したリーフレットを作成いたしまして、区市町村を通じてひとり親の家庭に配布させていただきます。
 早期にひとり親家庭に配布するため、リーフレットをあらかじめ各家庭への送付用封筒に封入、封緘をするなど、区市町村が効率的に作業を行える方法を検討してございます。また、リーフレットの作成等の業務は、民間事業者に委託する予定でございます。
 予算成立後、速やかに契約できるよう、指名競争入札に向けた準備も進めているところでございます。

○木下委員 ありがとうございます。
 今回対象となるひとり親家庭は約八万世帯弱とお伺いをしておりますが、各家庭のニーズや状況に合わせた工夫というのも必要となると考えます。都の見解をお伺いいたします。

○武田少子社会対策部長 本事業は、ひとり親家庭のさまざまなニーズに対応するため、都独自に食料品や生活必需品二十点以上を掲載したリーフレットを作成するとともに、ひとり親家庭は、その中から四つの商品を選択していただくこととしてございます。
 具体的な品目につきましては、米、レトルト食品、缶詰、調味料などの食料品や、洗剤、おむつ、おもちゃなどの生活や育児に必要な商品を検討してございます。
 また、各家庭からの申し込みにつきましては、はがきとウエブサイトのどちらでも選択可能とし、スマートフォンからのアクセスを容易にするため、リーフレットにQRコードを掲載する予定でございます。

○木下委員 ありがとうございます。
 四つの商品群ということで、一つ当たり二千五百円相当ということで、選びやすい形で工夫をされているということが確認できました。
 ひとり親家庭、本当にお困りになっているという声、たくさん伺っておりますので、しっかりと、できるだけ素早くこの支援が届くように、引き続き努力を続けていただくことをお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 思い起こせば二月の二十七日、政府の突然の方針で全国一斉休校になって以来三カ月余り、学校の再開がままならない中で、子供たちの学びをとめないための代替手段として、オンライン学習の試みが都内各地でなされています。
 私立学校では、しっかりオンライン学習が実施されているとの保護者の喜びの声が耳に入ってくる一方で、公立学校においては、学校間格差、地域間格差が顕在化している実態が見えてまいりました。
 五月十六、十七日の土日、私は独自に板橋区立の小学校、中学校の生徒、保護者及び先生方に緊急アンケートを実施させていただきました。
 そういった中から、オンライン学習とは名ばかりで、保護者に頼った運用、大量のプリントがネットで配布されただけ、また先生方による素人動画には期待をしていない、工夫をしてほしいなど、保護者からの厳しい意見が数多く寄せられました。
 区市町村の教育委員会幹部や学校長、副校長、また教務主任などの幹部が、本気でオンライン学習に取り組んでいないところでは、名ばかりのオンライン学習導入に終わっているなどの声を受けて、我が会派での代表質問、一般質問でも教育庁の対応の強化を求めたところであります。
 その中で、小学生の特に低学年においては、一人で端末に向かって学習するというのは大変厳しく、難しく、ひとり親の方々や共働きで出勤を余儀なくされているご家庭からは、学童保育にお子さんを預けて仕事に出るんだけれども、子供が学童保育でみずから学習を進めているということはなく、帰宅後、子供の横についてオンライン学習させざるを得ないという状況が続いているというお声が集まっています。日々、限界だという声が、せっぱ詰まった声が多く寄せられました。
 そこで、今後もオンライン学習が取り入れられていく中で、学童クラブに通う子供たちに対して、オンライン学習を利用できるよう都は支援すべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 学童クラブは、保護者が昼間働いている家庭の子供たちが、日中を安全・安心に過ごすことのできる居場所として重要な役割を担っております。
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、臨時休業となっていた学校の再開に際しまして、学校の学習とオンラインを活用した家庭学習を組み合わせた教育活動が求められており、日中、児童が生活の場とする学童クラブにおきましても、利用児童のオンライン学習への対応が求められております。
 都は、今後区市町村を通じまして、学童クラブにおけるオンライン学習への支援の取り組み状況を把握するとともに、好事例を紹介するなど、学童クラブの活動を支援してまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 学校休校に伴い、学童クラブでは感染リスクを押しての開所を続けてきています。
 板橋区では、民間委託で五十一の区立の小学校全てで学童保育を開所しており、この間、一カ所も閉所することなく子供たちのケアに当たりました。
 平時であれば午後の学校終了の後から、夏の期間は大体十七時までの開所を、今回の措置の期間においては朝八時から、また十九時までに延長して開所を続けてきたということでございます。
 平時であれば、放課後等デイサービスに通っていた要支援児のケアなど、新たな負担も生まれており、春休みの時期に毎年期待されていた大学生のアルバイトが、親に危険だからやめておきなさいといわれたなどで集まらなかったり、また、戦力としてこれまでは期待をしてきた地域の高齢者の皆さんが、感染リスクを恐れてこういう指導員としてのお仕事を休んだりと、人員確保に大変苦労してきているというふうなお話も伺っております。
 人をふやすための補助など、活用できるスキームがあることはお伺いしておりますけれども、人を集めることは容易なことではございません。コロナ禍で負担がふえた学童保育の運営者や指導員の方々への手厚い支援を引き続き求めておきたいと思います。
 今後、コロナとともに歩む新しい日常の中で、オンライン学習が学びの手段として当たり前になっていくことを見据え、例えばオンライン学習支援員を学童でも活用できるような仕組みの導入や、例えば大学生をこの分野で積極的にアルバイト雇用することで、学費に困る大学生とのマッチングを積極的に支援するなどを含め、学童クラブでも必要なオンライン学習を含めた学習支援が行われるよう、子供たちの間に学びの格差がこれ以上広がらないよう、しっかりと支援を考えていってほしいと要望いたしまして、次の質問に移ります。
 動物愛護条例改正を受けてのご質問でございます。
 今回の動物愛護条例改正案では、昨年の動物愛護管理法の改正に伴い、動物愛護推進員の委嘱の努力義務化などが盛り込まれました。
 あわせて、今回の法改正では、このほかにも、出生後五十六日を経過しない犬または猫にかかわる販売等の制限及びマイクロチップ装着の義務化など、さまざまな施策が盛り込まれています。
 法改正に盛り込まれましたこれらの動物愛護管理施策について、都は確実に推進すべきと考えますが、見解をお伺いいたしたいと思います。

○高橋健康安全部長 今回の動物愛護管理法改正では、お話のあった動物取扱業が遵守すべき犬猫の販売日齢の規制や具体的な基準が令和三年六月までに、マイクロチップ装着、登録の義務化等が令和四年六月までに、それぞれ施行されるところでございます。
 国は本年四月に、これらの動物愛護管理施策を総合的に推進するための基本指針を示し、現在、動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会で具体的な遵守基準等について検討しているところでございます。
 都では、このような国の動きを踏まえながら、東京都動物愛護管理審議会で都における今後の動物愛護管理行政のあり方について検討を進めており、今後、審議会でのご意見等も伺いながら、東京都動物愛護管理推進計画の中間見直しを行います。
 なお、法改正の内容につきましては、昨年度開催した動物取扱責任者研修で説明するとともに、啓発用のチラシを今年度新たに作成し、ペットショップ等の第一種動物取扱業者に配布し、周知しているところでございます。

○木下委員 ありがとうございます。
 今回の法改正に伴いまして、みだりに犬猫等を殺傷した場合の罰則の上限が懲役五年または罰金五百万円へ、また、虐待や遺棄の場合の罰則が懲役一年または罰金百万円へと、それぞれ強化をされました。
 犬猫等の殺傷や虐待、遺棄については、警察との連携が欠かせないというふうに考えております。
 警察との連携をより強固にし、動物に危害を加える例を極力少なくしていくべきと考えますが、警視庁における令和元年度の動物遺棄、虐待の送致件数の実数とあわせて、都の見解をお伺いしたいと思います。

○高橋健康安全部長 都はこれまでも、動物の虐待等、動物愛護管理法違反が疑われる事例を探知した場合、飼い主等への聞き取りや現地調査によって事実を確認した上で、警察等とも連携して対応しており、警察からの情報提供依頼や法解釈についての疑義照会に対応するなど、捜査にも協力してまいりました。
 また、動物の遺棄、虐待の防止を目的として、区市町村、警察署等にポスターを配布し、関係機関と連携した啓発を行っており、今年度、身近な保健所や警察署の連絡先が表示されるQRコードを刷り込んだ新たなポスターを作成いたしました。
 なお、令和元年度の動物遺棄、虐待の送致件数についてでございますが、警視庁によりますと、遺棄ゼロ件、虐待一件一名でございました。
 今後とも、動物虐待等の事案に対し、警察を初めとする関係機関と連携するとともに、飼い主等に対し、動物の遺棄、虐待の防止、終生飼養の責務及び動物の適正な取り扱いについて普及啓発を実施してまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 昨年度は一件だということで、これはいいことなのかどうなのかというのは、私、ちょっとご担当の方にも説明を求めました。
 結局、警視庁の方でも、今回こういった形で検挙をすることについては前向きであるという中での少ない件数であるということを確認させていただきましたので、引き続き、動物が遺棄、虐待されない社会づくりということを続けて、支えていただきたいというふうに思います。
 また、今回の動物愛護の改正法案については、動物の愛護を考える多くの皆様の長年の努力、そして要望が前に進む形となった大切な改正案でございます。ここに書かれている事項がしっかりと都で実現していくように、引き続きのしっかりとした取り組みを求めておきたいと思います。
 さて、この四月、国に先駆けまして、医療状況の逼迫に対応し、宿泊療養ホテルを準備されたということは、大変評価に値するというふうに私は考えております。
 都の動きが先駆けとなりまして、厚労省の方が後からそういったことをオーケーにするという形で通知が出たというふうにも認識しております。やはりこのコロナ禍においては、医療提供体制をしっかりと確保し続けることが一にも二にも大切なことだというふうに考えております。
 この宿泊療養施設の件でございますけれども、この間、都は、ペットホテルやふだんの預け先がある方にはその利用、預け先がない方には動物愛護相談センターで預かるというご案内をされていました。それで、宿泊療養をなぜ選択されないのかなというところの理由の一つには、やはり家族のケアの問題と、多くはペットのケアの問題があるということが明らかになっておりました。
 そこで、ペットを動物愛護相談センターに預けて宿泊療養を選択した件数及び今後、第二波、第三波に備えた都の取り組み、対応についてお伺いをしたいと思います。

○高橋健康安全部長 都は、本年五月から、新型コロナウイルス感染症による入院、宿泊療養時のペットに関する相談専用ダイヤルを設け、預け先がなくお困りの場合には動物愛護相談センターでの一時預かりを実施しているところでございます。
 センターでは、昨日までに五件九頭のペットを預かっておりまして、預かったペットについては、個々に隔離して感染防止を図るとともに、給餌、給水、その他必要な処置を講ずることにより、動物の健康状態に配慮した飼養管理を行っております。
 センターでの一時預かりにつきましては、引き続き実施していくこととしておりまして、今後の流行状況等を注視しながら適切に対応してまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 ペットは家族でございます。やむにやまれず、自分が陽性になって預けざるを得ない方々にとっては、この動物愛護相談センターでの一時預かりが最後のとりでであります。
 しっかりとこの動物たちのケアを行っていただきたいということと、また第二波、第三波が起こったときに、都民の多くのペットを飼っていらっしゃる方々が、もし万が一陽性になったときも、しっかりとちゃんとケアをされて、動物たちが幸せにこの愛護センターにおいてケアされているということ、こういった手段があるということも、しっかりとさらに周知をして安心感を与えてさしあげてほしいということを要望いたします。
 さらに、今年度の四月に、一昨年度に引き続き、昨年度ペット殺処分ゼロを引き続き達成したというふうにお伺いをいたしております。
 これも非常に重要なことでございまして、動物と人が共生できる東京をこのまま続けていくためにも、引き続きこのペット殺処分ゼロを続けていけるように、皆様のご努力を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○伊藤委員 それでは、私からは、五月に行われました専決処分によります補正予算、そしてまた、このたびの定例会に提案をされております補正予算、福祉保健局分について、関連をして質問させていただきたいと思います。
 緊急事態宣言は解除されたものの、三日連続東京アラートが発令されるなど、予断を許さない状態が続いております。
 こうした中、いまだ新型コロナウイルスという目に見えない敵と直接勇敢に闘ってくださっている医療従事者の方々がいらっしゃいます。この方々への感謝とエールを送るメークイットブルーの運動が世界中に広がり、先日は航空自衛隊のブルーインパルスが、感謝と真心で東京の空を駆け抜けていただきました。こうした感謝やエールは、きっと医療従事者の方々に届いているというふうに私は確信をいたします。
 一方、医療機関関係者の方からは、コロナ患者を受け入れることによって、また、受け入れてきたことによって、他の患者の不急の手術を延期したり、外来や救急の受け入れを制限せざるを得なかったりしたために、病院の経営に影響が出ているとの声が、地元の地域中核病院や、ほかにも都内各地の病院から寄せられております。
 とりわけ、新型コロナ感染者が急激に増加していった二月から三月にかけては、感染症指定医療機関ではない医療機関でも、病院の総力を挙げて必死の対応をしてくださいました。
 こうした医療機関に対し、都は矢継ぎ早に補正予算を編成し、支援策を打ち出していることは評価いたしますが、このたびの都の補正予算は今年度会計のため、先ほど申し上げた、一番厳しかった二月、三月は前年度会計となるため、特殊勤務手当などの支援策が及ばないことを、都議会公明党は先日の本会議代表質問で指摘をいたしました。
 この質問に対し、小池知事は、実態を十分に踏まえて、医療従事者に対する支援について、実際に対応を行っていただいた時期にさかのぼって支援の対象とするなど、都民の生命を守る医療機関をしっかりと支えていくという前向きな力強い答弁をいただいたところであります。
 そこでまず、今回の補正予算に計上されている医療機関、従事者に対する支援について、武漢からのチャーター便を受け入れた一月二十四日時点にさかのぼって措置される支援事業を具体的に明らかにしていただきたいと思います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 四月以前に遡及して支援する事業として、まず、感染症が疑われる者が医療機関を適切、確実に受診できるよう、新型コロナ外来の運営にかかわる支援、そして、感染者等への診察や治療などに携わる医療従事者の危険手当の支給にかかわる支援、また、感染者等への診察や治療などに携わる医療従事者の深夜勤務や一時休息のために行う宿泊先確保支援、これらの三つの事業を予定しております。

○伊藤委員 ご答弁いただいた三つの事業については、受け入れた時点にさかのぼって支援対象とするということでありました。
 一方で、重症者等受入体制確保支援事業などは、さかのぼっての支援はできないということでありますけれども、第二波、第三波への備えも含めて、今後どのように支援をしていくのか、見解を伺いたいと思います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 重篤、重症患者の受け入れのため、医療機関が集中治療室等での医療従事者の確保にかかわる経費として、医師やその他の医療従事者の経費を支援しております。
 また、患者受け入れ用の病床をあらかじめ確保する際の補助なども行い、医療提供体制の確保を図っております。
 現在、国の第二次補正予算において、医療機関への支援が充実される予定であることから、都は国の動きを注視してまいります。

○伊藤委員 既にさかのぼって支援すると答弁をいただいている特殊勤務手当についてでありますけれども、この特殊勤務手当については、医療従事者に対しとなっておりますけれども、感染者、感染患者を積極的に受け入れた病院では、本来ならば委託業者が病室を清掃していただけるように委託をしているわけでありますけれども、やっぱりコロナ患者の、陽性者の患者の部屋等を、この委託業者の人はもう入れないということでお断りがあったということで、そのまま放置するわけにいきませんので、その病院では病院事務職員がかわって清掃を行ったりとか、あるいは発熱等の来院者に対して最前線で対応する病院の受付職員なども、防護具をつけて対応したりということを聞いております。
 恐らく、こうした一般の職員の方々も医療従事者と同じように、感染の恐怖と、またそれ以上に、病院の従事者であるという使命感を持って従事されたことだというふうに私は思います。
 そこで、特殊勤務手当は、実態に即して、こうした病院職員も対象にすべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 本事業は、新型コロナウイルス感染症患者等の診察や治療に携わる医療従事者を対象としております。
 しかし、医療機関からは、医療従事者以外でも患者搬送などで患者に接して業務に当たった事例があるとの話を聞いております。
 これらの事例を踏まえ、補助の対象とするよう、前向きに検討してまいります。

○伊藤委員 前向きに検討していただけるという答弁でありました。どうぞ局長、よろしくお願いいたします。
 補正予算案には、休業となった医療機関に対する継続、再開支援というふうにありますけれども、この支援事業の具体的な内容について伺いたいと思います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 本事業は、地域において必要な診療機能を維持するため、新型コロナウイルス感染症の院内感染により、休業または診療の縮小を余儀なくされた医療機関に対し、医療機関の継続や再開に必要な経費を支援するものであります。
 具体的な支援策としては、HEPAフィルターつき空気清浄機の購入にかかわる整備費補助や施設の消毒経費に対する補助となります。

○伊藤委員 休業した医療機関といえば、開業医のドクターが自分の病院を休業して、地域に設置されたPCRセンターへ出向いて検査に当たってくださったという事例が多くあります。
 病院によっては、お医者さんの休憩時間があるわけであります。午前の診察と午後の診察、そこの休憩時間にPCRセンターに駆けつけて、全く休憩なしでまた戻って、再び自分の病院のところで診察をされる、こうした先生もいらっしゃったということであるわけでありますけれども、休業した医療機関への支援ということで、こうした場合は、今、私が申し上げた場合は、支援策というのは何かあるんでしょうか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 都は、地区医師会等が設置するPCRセンターについて、運営等にかかわる経費の支援や設置に必要な設備整備費補助を行っております。
 ご質問のあった診療所を休業した場合の支援策ですが、PCRセンターの運営等にかかわる経費の中には、既に医師、看護師の人件費分が含まれております。

○伊藤委員 答弁にも、運営費の中で補助しているということでありましたけれども、地区医師会が設置したPCRセンターへの支援は都が行っていると。一方で、区市が設置したPCRセンターへの支援は区市町村が行うというふうに聞いております。今後は国の動向も見ながら、都が区市町村も支援をしていくことをぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 さて、先ほどもチャーター便を受け入れた日にさかのぼってというお話をいたしましたけれども、この時点から、都内で初の感染者が出てから五月二十五日に都の緊急事態宣言が解除されるまでの約四カ月間、都民の誰もが、そして医療機関、医療従事者、保健所の皆さん、そして福祉保健局の皆さんも、本当に大変な長い闘いであったわけであります。しかし、昨日の東京の感染者数は二十八人であり、東京アラートが継続をしております。
 こうした中で、今後はウイズコロナの中、第二波、第三波の懸念が続きながら長期戦が見込まれ、次に向けた対策は急務の課題であると考えます。
 この四カ月の間に私たちが思い知ったことというか、教訓にしなければならないことの一つは、最前線の医療現場で新型コロナと闘う医師や看護師の方々にとって、感染防護具はなくてはならないものであるということであります。
 他の自治体では、不足が生じて、雨具やごみ袋を代用するようなことが報道されておりましたけれども、都は引き続き、十分な感染防護具用品の数を提供できるように体制を整えておくべきというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、今回の第一波で、都はどれだけの防護具を都内の医療機関に提供したのか、とりわけピーク時はどうだったのか、そして、今現在在庫はどうなっているのか伺いたいと思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 都は、新型コロナウイルス感染症患者への対応を行う十二カ所の感染症指定医療機関を初め、新型コロナ外来を開設した東京都感染症診療協力医療機関九十二カ所、実際に患者を受け入れた指定二次救急医療機関や東京都感染症入院医療機関など計百十カ所、そして三十一カ所の保健所等に、累計で防護服を約百十八万六千着、N95マスク約七十万枚、ゴーグル約十五万四千個を配布しております。
 また、感染が拡大した四月には、防護服を一カ月で約五十一万五千着払い出しております。
 本日現在の在庫量でございますが、防護服約百八万着、N95マスク約百二十四万枚、ゴーグル約八千個となっております。

○伊藤委員 ピーク時は四月の一カ月だったということでありますけれども、この一カ月で、都が確保できた防護服全体の約半数の五十一万五千着を提供しているということは、もし今回の感染拡大が、この勢いがもっと長引けば、非常に厳しい状況だったんだなというふうに思うわけであります。
 都は、五月の初めに知事の専決処分で、個人防護具セットを八十万セット、ゴーグルを三十九万個、フェースシールド百十八万個などを前倒しで買い入れをしているということでありますけれども、それに加えて、今回二定の補正で、防護服百八十万着分の予算を計上しております。
 これらの対応で、第二波、第三波に向けての対策は十分であるのかなというふうに思うわけでありますが、その点いかがでしょうか。

○花本食品医薬品安全担当部長 第一波と同様の感染拡大が起こると仮定した場合、第二波、第三波と合わせて、防護具約二百四十万着分が必要となります。専決処分で買い入れる八十万着に二定補正の百八十万着を加えると計二百六十万着となり、現在の在庫量も含めますと、総量としては十分対応が可能であると考えております。
 ただ、先月専決処分で買い入れを契約した防護具の中には、実際の納品まで半年近くかかるものもあります。そのため、二定補正分につきましては、納品までの期間を考慮し、短期間で調達可能な防護具を数万単位で随時買い入れをしていく予定でございます。

○伊藤委員 第二波、第三波に備えてということでありますけれども、ある方は秋から冬にかけてという方もいらっしゃいますし、油断をすればもう目の前まで来ているという方もいらっしゃいます。
 本当に目に見えない敵だと思うわけでありますが、今回の第一波は、とにかく経験したことがない、得体の知れないウイルス、そしてそのウイルスの勢いのおかげで医療崩壊や医療資器材の枯渇など、本当に常に緊張状態が続いたわけであります。
 都は、コロナとの闘いの次なるステージに向けて、あらゆる観点から備えておかなければならない。とりわけこの防護具、用品、こうしたものを、備えを万全にしておいていただきたいと求めておきたいと思います。
 次に、コロナ禍における放課後等デイサービスについて質問をいたします。
 都議会公明党には、障害がある子供の放課後活動、放課後等デイサービス事業を行う事業者から要望が届いております。この要望は、福祉保健局にも三度にわたって出されているものだというふうに聞いております。本日は、私から、この要望に関連して何点かお伺いをいたします。
 まず、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、緊急事態措置の延長等に伴う対応を迅速に実施するため、都は、先月の五月五日に補正予算を編成して、専決処分を行ったところでありますけれども、その中の臨時休業に伴う放課後等デイサービスの支援について、この支援事業の概要について伺いたいと思います。

○藤井障害者施策推進部長 特別支援学校等が臨時休業を実施した場合には、放課後等デイサービスの利用の増が見込まれることなどから、追加的に生じたサービス提供に係る利用者負担等を免除するための補助に係る経費につきまして、予算を計上したものでございます。

○伊藤委員 特別支援学校等が臨時休業を実施した場合に、通常では放課後から開始される放課後等デイサービスでありますけれども、保護者のお仕事等の関係で、午前中から子供たちがこのサービス事業所に来るということで、人員配置のことなど、追加的に生じるサービスに係る負担が利用者にかかってしまうことがないように、免除するための補助に係る経費だということでありました。
 次に、子供が新型コロナウイルスの感染を心配して欠席したときの報酬算定の書式についてでありますけれども、この放課後連からは、都は子供が家庭で行う課題や教材を保護者に示して、その結果を評価するといった高いハードルを設けた提出書類の書式であって、国が示しているように、児童の健康管理や相談支援等を行うことや、ストレスの緩和やコミュニケーションを継続するなどの内容を記入する書式に改めてほしいというふうに求めております。
 このことについて、都はどのように対応していくのか伺いたいと思います。

○藤井障害者施策推進部長 放課後等デイサービス事業につきまして、新型コロナウイルス感染症対策のために利用児童が欠席する場合でも、事業所において、居宅への訪問、電話その他の方法で児童の健康管理や保護者への相談援助など、可能な範囲で支援の提供を行い、区市町村が認めた場合は報酬の算定対象となっております。
 そうした代替的サービスにつきまして、区市町村が認める判断にばらつきが生じないようにと区市町村からの依頼もあり、都において参考として都独自様式を作成したところで、それについては三月四日に通知をしております。
 それ以降、都としましても、放課後等デイサービス事業を運営する事業者から、様式の記載が負担であるなどの意見を伺っておりまして、そうした意向も踏まえた上で、より業務の簡素化、効率化ができるよう改善した新たな様式を作成し、五月二十九日に各区市町村、事業者に対しまして、様式の変更を周知したところでございます。

○伊藤委員 要望者の意向を踏まえた書式の様式を変更したということでありましたけど、きょうこの委員会室に向かってくる直前にこの方々からお電話をいただきまして、きょう届きましたということでありました。早速に手を打っていただきまして、大変にありがとうございました。
 新型コロナウイルスの感染を心配して子供が欠席をする場合、もう一点の角度からの質問です。
 放課後デイの事業所の方が、子供のお住まいの自宅に訪問をしたり、あるいは電話やメールとかその他の方法で、児童の健康管理や保護者への相談、援助など、可能な範囲で支援の提供をした場合は、報酬の算定対象となるということであります。しかし、そのことによって保護者の利用料負担も生じてしまうということになるわけであります。
 このたび、国が補正予算において、こうした場合の利用料金の増額となってしまう部分に対して補助を行うということでありますけれども、具体的な連絡がなくて、事業所、そしてまた保護者も混乱をしているということでありますけれども、このことについて、都の対応について伺いたいと思います。

○藤井障害者施策推進部長 この補助につきましては、新型コロナウイルス感染症対策の影響によりまして、放課後等デイサービス事業の利用者負担増となった部分等につきまして、国が二分の一、都道府県四分の一、区市町村四分の一の補助率で実施するものでございます。
 その具体的な補助の実施に必要な利用者負担額の増分の算出方法や複数の事業所間での上限額等の調整方法につきまして、都は国に対して、早期に詳細を示すよう求めておりましたが、六月三日に国より示されたところでございます。
 都では、区市町村や事業者の混乱を避けるために、内容についての確認を行っているところで、今後、速やかに周知を図ってまいります。

○伊藤委員 六月三日にということは、おととい、国から示されたということでございます。三日に示された国からのものでありますが、ちょっとスキームを見させていただきましたけど、非常に難しい書き方になっております。
 どうか都がその国の示したものについてそしゃくをして、事業所、あるいはまた保護者にわかりやすく周知をしていただきたいし、また、先ほどの申請についてもできるだけ簡略化をしていただきたいということを求めておきたいと思います。
 最後に、本当にこの未知のウイルスとの闘いのさなかにあって、福祉保健局の皆様には敬意と感謝を申し上げるわけであります。
 今後も、アラート中でありますけれども、第二波、第三波に備えて、局長を中心に一致団結して、都民の生命、健康、安全を守っていただきたいと切に申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

○小松委員 先般の記者会見で、小池知事の方からウイズコロナ宣言というものがありました。その大分以前から、既に著名人などの間でも、このウイズコロナという言葉が会話の中でも頻繁に使われてきたことは承知をしております。小池知事の好きそうな言葉だなというふうに思っていたわけですが、案の定、今回宣言まで出されたわけであります。
 しかし、気になるのはその解釈がおのおので曖昧である点、このことを危惧していると、まず指摘をしておきたいというふうに思います。
 例えば時間軸も、この数カ月という短いスパンでの認識から、数年、数十年先のスパンで、このウイズコロナという言葉を使っているケースもありますし、今回のこのCOVID-19のみを指して語る方もいれば、広くこのウイルスとの共存、パンデミックがより日常化する、身近なものになってくる世界があるんだという広義の解釈の、一つの象徴とするワードとして使われている方もいらっしゃるわけであります。
 この辺のところの定義をとてもしっかりとしておかないと、東京都としてのこのウイズコロナというものの考え方や対策が大きく影響するものと思いますので、まず、このウイズコロナという言葉、都としてはどのような定義をなされているのか、内藤局長に伺います。

○内藤福祉保健局長 国の緊急事態宣言は解除されたものの、有効な治療薬やワクチンが実用化されない限り、新型コロナウイルス感染症との闘いが続くことが見込まれております。
 こうした中において、都民の命と暮らしを守るためには、感染症の防止と経済活動との両立を図りながら、新しい日常が定着した社会を構築していく必要があると考えております。この状況を避けられない現実として、都民や事業者の方々とともに受けとめ、コロナとともに新しい日常をつくっていく、そのことがウイズコロナであると認識しております。
 あともう一つ加えますと、この間、未知のウイルスということもございました。一般の、私どもも含め、都民の方々もその恐ろしさなり、対応方法がわからないときがございました。
 そんな中で、罹患された方々、また、その治療に当たった医療従事者、その家族に対するいわれなき、区別されるというか、言動、こういったものが一部報道でも見られました。こういったことがなくなっていくことも、一つウイズコロナの中に入るのかなと考えております。
 引き続き、都民や事業者の方々に対しまして、感染状況等について正確な情報を迅速に発信できるよう努めるとともに、第二波への備えとして、検査体制の拡充や医療提供体制の強化など、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○小松委員 内藤局長のこのウイズコロナに対する考え方、思いを受けとめさせていただきながら質問を進めさせていただきたいというふうに思います。
 今ご答弁の中にもありましたが、コロナの避けられない現実をしっかりと受けとめつつ、都民の命と暮らしを守るために、感染症の防止と経済社会活動、この両立を図りながら社会を構築するということが確認されました。
 これがウイズコロナの中での進め方なんだろうと思いますが、こうした前提の中で都政運営をされていくということを改めて確認したところであります。
 さて、第二波が懸念をされているわけであります。どの程度の状態になることが第二波と呼ぶものなのかはわかりませんが、やはりこの短期間のうちに都の医療体制のキャパシティーを超えるようなおそれがある、こうした状況になることは、何としても避けなくてはいけないということは共通認識だと思います。
 そのために、今回、特にこの三月の半ばごろから二カ月近くの間に起きた経験を、しっかりと、今こそ形式知化しておくことが重要だと思います。都政においては、その中心は福祉保健局さんが担うものというふうに思いますので、こうしたあたりを踏まえつつ、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、五月ごろに報道で指摘されましたけど、東京都のホームページに掲載されていた入院者数が実際よりも多かったというような指摘がありました。その原因と対応について、改めて伺っておきたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 今般の新型コロナウイルス感染症の流行においては、患者数が急増する中で、保健所と都の双方の業務が増大し、情報の確認や共有が滞る状況も生じておりました。
 また、患者情報に関する国のデータベースのシステムには--NESIDと申しますが、入院先や転院、退院等の情報項目はない、退院等の情報を病院から保健所に連絡する仕組みがないなどの課題もございます。
 このため、自宅療養者数や退院者数が明確になっておらず、ホームページに注釈を加えた上で、それらを含めた数を掲載しております。
 このような状況を解消するため、都と保健所で情報を共有し、患者情報を発症から療養まで一元管理する患者情報管理センターを四月三十日から立ち上げまして、入院患者数を初め、患者情報の精査を行っております。
 これにより、五月十二日以降、入院患者数、宿泊療養者数、自宅療養者数、退院者数等の把握が可能となったところでございます。

○小松委員 あわせて、陽性者の方や死亡者の方の公開された情報が他の県に比べて少ないんじゃないかといった声、指摘もあります。これは都独自の基準のためなのか、それとも、国や都道府県との基準との違いがどうなっているのか伺っておきたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 新型コロナウイルス感染症の発生に関しましては、個人情報等に配慮し、一定の基準に基づいた情報を発信していくことが重要でございます。
 国は、一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表にかかわる基本方針を示しまして、新型コロナウイルス感染症についてもこれを参考にしつつ、適切な情報公開に、公表に努めるよう、各自治体に通知をしております。
 都は、地方自治体による感染者情報の公表に関して、各自治体の判断に任せるのではなく、統一的な公表基準等を示し、広く周知することを国に対して要望してございます。
 今後、都といたしましても、第二波に備え、感染状況に応じて区市町村が公表する際の参考になるよう、公表内容について整理をしてまいります。

○小松委員 聞くところによりますと、東京都からの発表では、患者、陽性者の方の国籍の情報がないというふうにいわれています。一方、何か補足している県もあるようでありまして、今後、コロナの耐性、いわゆるコロナにかかりやすい人種とそうでない人種があるんじゃないかとか、そうしたことの意味も含めて、その辺の補足が必要だったんじゃないかみたいな指摘もありますので、今、厚労省の方も含めて、確認しているところであります。このことはあくまで共有をさせていただければと思います。
 あわせて、先ほどご報告いただきましたけれども、東京都が四月三十日に設置をされました患者情報管理センター、これの役割について改めて伺いたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は、従来の発生届だけでは把握できない、発症から療養終了まで個々の患者の状況をトータルに把握するデータベースを構築しております。
 また、これを運用するための組織といたしまして、患者情報管理センターを立ち上げ、各保健所にも都職員を派遣し、情報収集を行っております。
 今後、第二波に備えまして、本データベースを活用して、患者の最新動向を把握するとともに、患者数に応じた保健所業務の負担軽減や、入院、転院調整、宿泊、自宅療養の支援等を円滑に実施してまいります。

○小松委員 また後ほども述べさせていただきますが、医療体制の安定運用のためにも、立ち上げていただいた目的、役割がしっかりと実効性あるものになるように、大いに期待をさせていただくところであります。
 今回、要求資料の中でご提出をいただきましたが、五月二十二日現在で死者数が合計二百六十三名ということでありました。先ほど木下さんから、きょう時点では三百七名ということだったんですが、この資料のとおりでちょっと確認しますけど、この二百六十三名のうち、院内感染と経路が特定されているものが百十六名の方だということであります。約四四%が院内感染による死亡ということが確認されました。
 やはり院内感染対策を万全に期することが、死亡者の方や重症者を今後抑制することにつながるのかなと思うんですが、その対策の見通しについて伺いたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 委員ご指摘のように、令和二年五月二十二日現在、報道発表いたしました死亡者数は二百六十三名、平均年齢は七十九・四歳となってございまして、このうち院内感染と推測されるものは百十六件、四四%となってございます。
 こうしたことから、医療従事者等を含め、感染予防対策を徹底し、疑いのある患者の受け入れに留意することや、環境整備を行うことが重要でございます。
 院内感染対策といたしまして、国や関係する専門家が所属する学会がガイドライン等を示しております。都は、医療機関向けの専用ホームページを開設いたしまして、ガイドライン等を周知するとともに、集団感染が発生した場合には、対応を行う保健所を支援しております。
 今後とも、このような取り組みを継続いたしまして、院内感染の抑制に努めてまいります。

○小松委員 ありがとうございます。
 このほかにも、重症化されやすいとされている高齢者の方の施設や、障害者の方が多く利用される施設も大変リスクが高いものと考えられますので、こうした施設もあわせて優先的に対策を講じていただくよう要望をしたいと思います。
 最近では、夜のまちという言葉を知事が連呼されることで、定義が大変曖昧、広域、広範囲なので、都民からもクレームや批判が出ているようであります。
 これから講じるさまざまな対策には、やはり科学的根拠、裏づけみたいなものをもう少し示していかなければ、なかなか納得をしていただけないんじゃなかろうかというふうに思います。
 そうした意味で、先ほどの四月三十日に設けられたセンターでしっかりと感染経路の分析を行っていただくのかなと思うんですが、こうした検証結果はいつごろ示されるのか、そしてこの分析はどこが行うのか、検証、分析を進めるについても、国や基礎自治体や保健所とさまざまな方が絡んでくるわけで、その役割分担はどうなっているのか、あわせて伺いたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 感染症法上、保健所設置自治体は、個々の患者の感染経路の解明にかかわる調査等を行う役割を担ってございます。
 都は、都内の患者発生にかかわる情報を集約いたしまして、国に報告するとともに、疫学的分析を行い、対策に資する情報を各保健所へ還元してございます。
 また、国は、全国の情報を集約し、専門的な観点から、感染の場となりやすい集団や業務形態について分析するとともに、その結果を自治体に還元し、国民への幅広い啓発を行っているところでございます。

○小松委員 先ほど局長からウイズコロナの定義を説明いただきましたが、ウイズコロナの生命線というのは、やはり都内の医療キャパシティー、医療崩壊に至らないようにするための閾値はどの辺なのかということが、明らかであるということがとても重要になると思います。
 やはり一日当たりの感染者数がわかりやすいので、毎日これで一喜一憂しているんですが、同じ人数であっても、大変憂慮しなければいけない状態と、いやいや、まだまだこれからしっかり見きわめていける、そうした状況というのは、その数字だけではわからないものだと思います。
 そのためには、医療キャパシティーというものをしっかりと明らかにし、また、日々刻々と変わるこうしたものもタイムリーにちゃんと押さえておく必要があろうかと思います。だからこそ、経済社会活動を継続しながら、コロナと向き合っていけるんだろうというふうに思います。
 そうした中、初期段階の都内の新型コロナウイルス感染症に対するキャパシティーというのは一体どの程度のものだったんだろうか。また、その後、福祉保健局さんはもとより、医療機関のさまざまな尽力で体制強化というのが常々図られてきました。現在のキャパシティーの状況はどうなっているのか、あわせて伺いたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 新型コロナウイルス感染症の発生当初は、感染症指定医療機関及び都立病院を中心に入院患者を受け入れてまいりました。
 患者数の増加を踏まえまして、その後、都立、公社病院を中心に民間医療機関の協力を得て、約三千三百床の病床を段階的に確保し、感染症患者を受け入れる体制を整備してきたところでございます。また、このうち重症者用には約四百床を確保してございます。
 現在は、患者数が減少傾向でございまして、約千床を確保するため、医療機関に要請を行っております。
 今後、感染拡大の状況に応じた病床確保を行うとともに、患者の重症度や特性に応じた受け入れ体制の強化を図ってまいります。

○小松委員 ただいま、医療キャパシティーの中で病床にフォーカスしてご答弁いただきました。このキャパシティーは病床だけではないことは釈迦に説法なので、特段いいませんけど、やはり欧米で死亡者の方が急増したという時期は、人工呼吸器やECMOといった生命をつなぐ医療器材、これのキャパシティーを超えてから急激に死亡者数というのがふえたのが実態だと思います。
 そこで、都内の医療機関の人工呼吸器やECMOの状況は現在どうなっているのか伺いたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 本年四月に都内の全病院を対象に行った調査では、これまで回答が得られた三百八十八病院のうち、患者に対応することが可能な人工呼吸器は、成人、小児、新生児用を合わせて一千六百二十九台、ECMOは百十六台となってございます。
 また、都独自のポータルサイトにおきまして、人工呼吸器等の日々の使用状況については連日把握をしているところでございます。
 第二波に備えまして、重篤、重症患者に対し、適切な医療を提供できるよう、医療機関における人工呼吸器やECMO等の整備に要する経費を、現在支援しているところでございます。

○小松委員 ありがとうございます。
 今回の三月から五月にかけての大変混乱したさなか、都内の医療機関の皆様方の大きな善意の中で事に当たっていただきながら、何とか最悪の事態を防いできた、免れてきたんだろうというふうに思います。
 一方で、コロナの患者さんへの対応をされた医療機関の中には、さまざまな影響--例えばスタッフの感染リスクを抱えたり、また、ほかの患者さんへの感染リスクを抱えてしまうために、かなり抑制をされたり、また、救急患者の受け入れを控えたり、そうした対応をする中で、大幅な収入減が見られている医療機関もあるように聞いております。
 経営状況が著しく悪化しているわけでありまして、今後のいわゆる第二波といわれるような次の感染拡大の際に、そうした医療機関がしっかりと今回と同じようなキャパシティーで受け入れていただいたり、治療に当たっていただけるかどうか、このことは、医療キャパシティーの話の中では大変重要なことなのかなというふうに思っています。
 こうした影響を都としてどのように認識をされているのか、今後、コロナの第二波の可能性が十分予見される中で、医療体制というのは、考えているとおりしっかり保持ができると考えてよいのか伺っておきたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 新型コロナウイルス感染症の受け入れに当たりましては、医療機関からさまざまな課題が報告をされているところでございます。
 都は、新型コロナウイルス感染症対策にかかわる医療提供体制を強化することも目的といたしまして、病床確保や重症患者等の受け入れに必要な経費を支援してございます。
 また、国に対しても、医療提供体制が確実に維持されるよう、医療機関に対する支援を行うことを要望しております。

○小松委員 三月の半ばぐらいから相当な期間、保健所の業務量が大変過剰になっていたということは周知の事実だと思います。
 保健所運営について幾つか確認させていただきたいと思います。
 新聞報道によりますと、都内の保健所の職員の方の超過勤務が平均で百時間を超えたような保健所もあったやに伺っております。今後も含めて考えますと、都内保健所の負担軽減を、今しっかりと考えておかなければいけないなと思います。
 具体的に、今回の支援はどのように行われたのか、また、超過勤務が実態としてあった、このことを踏まえて、今後どのような負担軽減の方策を講じていくのか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は、この間、都区市保健所への都庁各局等からの応援職員の派遣、都区市で合同設置いたしました新型コロナ受診相談窓口の委託化、病院調整本部の設置による患者の入院調整など、保健所の負担軽減や支援に取り組んできたところでございます。
 今後も、第二波に備えまして、このような経験を踏まえまして、保健所が関係機関と連携して的確に対応できるよう支援を行ってまいります。

○小松委員 あわせて、この間、中でも感染症に精通された一部の職員の方に、業務負荷が集中したとも聞いています。
 都は、各会派からも要請があって、職員の方を、保健所にしっかりと人員を補強するようにという、そうしたことを受けて、早急に対応していただいたことは十分承知をしておりますが、果たして、そうした派遣された方々が十分機能したのかどうか、このことについては検証していただきたいなというふうに思います。
 人員補充、このことも必要だと思うんですが、物理的に限界もあろうかと思います。システムの活用、業務フローの見直しを進めて平準化をしておくことなども必要であるということはいうまでもないと思います。
 感染拡大期を見据えて、保健所業務の見直し、こうしたことを都が行っていくことの難しさは想像にかたくありませんが、今後どうやって検討して改善につなげていくのか、見解を伺っておきたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は平成二十四年度より、毎年、都内保健所の保健師や医師等を対象にいたしまして、感染症発生時の調査手法や患者指導などを適切に行うための研修を実施してまいりました。
 また、集団感染事例に対しましては、医師や保健師等を中心とした東京都実地疫学調査チームを派遣いたしまして、速やかに原因究明を行ったところでございます。
 あわせて、都は、都内の流行状況や対応のノウハウについて、毎週ウエブ会議を活用して情報を共有しております。
 今後も、経験の浅い職員でも感染症に対応できるよう、保健所への技術的支援を継続いたしますとともに、地域の流行状況に応じまして保健所のニーズを的確に把握し、新型コロナウイルス感染症対策に必要な情報やノウハウを提供してまいります。

○小松委員 保健所業務の大変な負荷の一つが、感染者の方が急増したその時期に、相談、問い合わせ、こうした電話が大変多く殺到したこともあったと思います。一方で、電話が、都民の方からすれば全くつながらない、こうしたクレームが相次ぎました。我々議員の方にも、そうした問い合わせがあったのは、私だけではなかったと思います。
 実際、詳細、わかるわけではないですが、新聞によると、世田谷区で、ある建設会社の社員の方が寮で亡くなられた際も、世田谷区の保健所になかなか電話がつながらなかったと、こうしたことで対応がおくれたんじゃないかといった話も聞きます。
 そこで、感染者の方や人口が多い区部や一部の市と、そうでない地域と、こうした電話のつながりにくさ等についての差みたいなものというのがあったのかどうか確認したいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 今回の新型コロナウイルス感染症の流行におきましては、患者数が急増する中で、各保健所の帰国者・接触者電話相談センターに受診相談が集中し、電話がつながらない状況も生じたということでございます。
 都といたしましては、保健所を支援し、夜間、土日に対応できるよう、特別区、八王子市、町田市と合同で新型コロナ受診相談窓口に電話を設置いたしまして、より多くの相談に対応できるよう、五月十七日まで最大五回線、その後、回線数を倍増いたしまして、五月十八日からは最大十回線としているところでございます。
 各保健所においても、自治体ごとの工夫により、電話の回線をふやす、あるいは相談員を委託するなど、体制の整備が進んでいると聞いております。

○小松委員 コロナに感染しました後、闘病されて、その後に社会復帰がどのくらいの期間でできるようになるのか、こうしたことも気になるところであります。
 ともすれば、多くの場合は、退院したらすぐにもとの生活に戻っているやに思いがちなんですが、一方で、退院後も肺の状態が回復されずに職場復帰が難しいケースや、倦怠感などの後遺症が残されて、なかなか社会復帰、職場復帰ができない方もいると、こうした記事もニュースで非常に多く見受けられるようになってきたなというふうに思います。
 これは、一定程度、感染者の急増期からその後の回復期に至る中で見られる兆候なんだろうと思うんですが、これはこれで、コロナ対策の中では今後重要になってくることなのかなと思います。
 というのは、昨日、一昨日ですかね、二十三区内の生活保護者の方、四割増みたいな記事もありました。今後、働けなくなってきたりとか、そういうふうになってくると、こうした方々がふえてくる可能性もあるので、大変気になるところであります。
 そこで、退院までにどのくらいの日数を要しているのか、その後、どのような経過をたどっているのかなど、患者の方のその後の情報についても把握し、分析や検証が可能なのかどうか、その点について伺っておきたいと思います。

○吉田感染症危機管理担当部長 先ほどご説明申し上げました患者情報管理センターでは、日々発生する新型コロナウイルス感染症の患者の発生から療養終了までの個別情報を収集しております。
 これによりまして、患者の入院から退院までの経過や、宿泊療養の有無などの状況把握が可能となっているところでございます。
 今後は、このように蓄積されたデータを分析しながら、第二波に備えてまいりたいと考えております。

○小松委員 先日の我が会派の代表質問の方でも取り上げさせていただきましたが、四月に国の方から、改めて、コロナ禍における避難所運営ということでの要請がありました。
 今、総務局さんの方で避難所の拡大策についての検討を進められているというふうに伺っております。この避難所運営における東京都の役割について、改めて確認をしておきたいと思います。

○武田少子社会対策部長 都は、災害発生時に区市町村が避難所を円滑に運営できるよう、避難所管理運営の指針を作成するとともに、区市町村における避難所管理運営マニュアルの作成や改定を働きかけるなど、区市町村における取り組みを支援しているところでございます。

○小松委員 コロナ禍における避難所運営の検討というのが進められている、また、これから進めていく中で、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインも作成すると聞いているんですが、都の取り組み状況を伺います。

○武田少子社会対策部長 都は先月、避難所における新型コロナウイルス感染症対応に関する留意事項を区市町村に通知し、区市と意見交換を行うとともに、区市町村からの要望等も踏まえて、現在、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを作成しているところでございます。
 このガイドラインでは、避難所内における感染拡大防止のためのゾーニングに関することのほか、マスクですとか非接触型体温計、消毒液など、新型コロナウイルス感染症対策に必要な物資の例なども盛り込むこととしてございます。

○小松委員 今、必要な物資の例を盛り込むこととしていますというご答弁もありました。
 今、国の方でもこうした避難所のあり方についていろいろと協議されているようでありまして、これから自治体の方にもいろんな宿題や要請もあろうかというふうに思います。
 区市町村が一義的には避難所運営を責任を持って担うんだろうと思うんですが、今から急に変わってくるわけであります。今まで使っていた、例えば学校の体育館ではなくて、教室を使うことになってみたり、これまで使ってこなかった小さな公民館のスペースを使ってみたりとなってくると、やはりそれの住民への周知も必要ですし、さまざまな備蓄ができるところとできないところと分かれてくることもあろうかと思います。
 また、コロナ禍になってソーシャルディスタンスを踏まえた避難所運営となってくると、時にはパーティションみたいなものが必要になるんだろうということもあるのかなと思います。
 となると、区市町村だけで日ごろから備蓄できるものと、なかなかそれが難しくて、どこか都内の幾つかのセンターみたいなところから送ってもらうような対応も必要になることもあるのかもしれません。それを今から詰めてくるんだろうというふうに思うわけであります。
 それを踏まえて、昨日、一昨日ですかね、一般質問の中で知事が、必要な全ての区市町村に職員を派遣できる体制を整え、初動対応に備えるというようなご答弁がありましたが、非常に安易な答弁だったなということをいわざるを得ないというふうに思います。都の職員を送り込まれたところで何ができるのか、実効性とセットでなくては支援とはいえないと思うんですね。
 そうした意味で、大変耳の痛いお話かもしれませんが、区市町村の長の方や幹部職員の方と話をすると、都知事を初め、都の対応については、非常に不安と不満の声を持っていらっしゃるということを常に気にとめた上で、この避難所運営の検討には当たっていただきたいなということを思うわけであります。
 今回、聞くところによりますと、区市とも既に避難所のことについてさまざま意見交換を行っていただいている、このことについては伺っておりますし、大変ありがたいことだと思います。
 どういう経緯でこの意見交換が行われ、また、どのくらいの区市が参加されているのか確認したいと思います。

○武田少子社会対策部長 都は、全ての区市町村に対して、東京都・区市町村防災連絡調整会議を通じまして、避難対策に係る留意事項を周知しているところでございます。
 その後、区市町村の実際の取り組み状況を把握するため、防災担当課長会の地域ごとの幹事自治体のうち、参加可能な自治体、四区三市とテレビ会議によりまして意見交換を行ったところでございます。
 また、この意見交換会で議論した課題ですとか都への要望などにつきましては、参加していない自治体とも情報共有をしているところでございます。

○小松委員 もう釈迦に説法なので、細かくいいませんが、やっぱり区市の地形等によって、災害に対する危機感の差というものもありますし、恐らくこれまでの歴史の積み重ねの中で、そうした体制が割と整っている自治体と、まだまだ不十分な自治体もあろうと思いますし、人口の変動も当然あるわけであります。
 こうしたことも踏まえていくには、今、四区三市の方とテレビ会議により意見交換をされたということでありますけれども、より緊密にやっていく必要があろうかと思いますし、一番気になることは、この避難所の話をすると、総務局さんと福祉保健局さんでボールがキャッチボールされることが多々あったり、また、都と各区市町村でもキャッチボールが続くことが多々あります。
 これは、やはりどこかで決めなければいけない部分も今後出てくるわけで、少なくとも、どこで誰が決めるのかということぐらいは、明らかにしていかないと、一つ一つ、そのお立場でおっしゃることは至極ごもっともでありますが、どこかで決めていかないと、ずるずるしちゃうんじゃないかなということを大変危惧しているんです。
 台風、水害が昨年の秋もありました。地震のこともありますし、避難所のことについては、今住民の方、都民の方の大変関心が高い。区市町村だけでやるには物理的にも難しい側面がある中で、都に対する期待が大きい分、それが歯がゆさと不安や不満につながっているということを申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 まず冒頭に、要求資料、5に保健所、健康安全研究センター及び福祉保健局健康安全部の職種別超過勤務時間の平均と分布がありまして、これを見ますと、福祉保健局健康安全部の皆さんが、本当に超過勤務をいつもされていると。特に、医師においては百三十九・六時間、平均で四月に超過勤務をしていたという実態からも、本当におさまったとはいえ、五月にもデータを修正するという作業が夜中にも及んでいるんだなということがよくわかります。
 改めまして、健康安全部の皆さんのご奮闘に心から敬意を申し上げます。福祉保健局の皆さんも奮闘されていることに敬意を申し上げます。
 さらに、皆さんが、職員みずからも健康が守られることが、都民にとっても命と暮らしを守ることにつながると思いますので、ぜひとも体制整備を初めとした取り組みを行っていただきたいと思っております。
 では、報告に対して質問をしていきたいと思います。
 三月から四月にかけて、新型コロナ感染症の急拡大が発生しました。当時は、三月二十四日に二十九名の陽性者が発生した後、約一週間で三桁の陽性者が発生するようになりました。そのため、急激な増加に検査体制も医療体制も追いつかない状態だったのではないかなと思われます。
 昨日の陽性者は二十八人ということで、この数日は大きな増減なく推移していますけれども、現在が三月のときのように、急激に感染拡大する直前であるならば、来週には三桁の陽性者となる可能性もあると見なければいけないと思います。
 一方、都のロードマップには、東京アラートの発動前から必要な医療提供体制の準備に着手と記載されていまして、レベルを三段階に分けて、早期に病床を確保できるように見直しをしていますけれども、今はどのレベルに相当するのか、ロードマップの表からは理解することができませんでした。
 先ほどの質疑では、今、千床ということなので、レベルは一だなということが先ほどわかりました。四月前後の感染拡大した当時を振り返り、今の感染拡大に対してどのように病床確保を進めていけばよいのか検討すべきと思い、質問します。
 そもそも新型コロナ感染症の患者は、どういった機能が備わった医療機関または病床で入院措置を行うのが妥当なものなのでしょうか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 指定令及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律において、新型コロナウイルス感染症の患者または疑似症患者については、原則感染症指定医療機関における感染症病床に入院させなければならないとされております。
 しかし、緊急その他やむを得ない場合は、感染症指定医療機関における感染症病床以外に入院させること、または感染症指定医療機関以外の医療機関に入院させることは可能となっております。

○藤田委員 やむを得ない場合には、感染症指定医療機関医療病床や感染症指定医療機関以外にも入院させることができるということです。
 では、四月に陽性者がピークとなった際、医療提供体制確保のためにどのような取り組みを行ったのでしょうか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 三月下旬以降、感染拡大に伴い、入院を要する患者が増加しました。
 これを受け、都は、重症者等の病床を確保することを目的に、四月七日から宿泊療養を開始し、入院医療から宿泊療養への移行を進めるとともに、医療機関に対しては病床の確保要請を行い、入院医療提供体制の確保を図っております。

○藤田委員 病床の確保要請とはどのように行ってきたのですか。要請すれば、確実にその人数が入院できるというものなのでしょうか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 都はこれまで、都内の感染症対策の中核を担う感染症指定医療機関のほか、都立、公社病院や公的医療機関、特定機能病院、指定二次救急医療機関等に対し説明会を定期的に開催するなど、患者の受け入れ体制の確保を働きかけてまいりました。
 四月以降は、医療機関の空床確保に要する経費を補助するなど、医療機関を支援し、医療機関の機能や役割に応じて必要になると想定される病床数を割り当て、病床確保を要請しております。
 また、都独自のポータルサイトを通じて、患者の入院状況や受け入れが可能な空床情報を把握し、その情報をもとに個別に医療機関に連絡し、入院調整を実施してまいりました。
 患者が増加した時期は入院調整に時間を要することがありましたが、確実に入院を調整、実施をいたしまして治療につなげております。

○藤田委員 患者数が増加した際は、入院の調整に時間を要したことがあったということでした。
 四月末には、入院まで自宅療養となっている方が少なくありませんでした。患者の状態によっては治療が手おくれとなる場合もあるため、確実に入院ができる体制整備が重要です。
 日本医師会の有識者会議が設置したCOVID-19集中治療体制にかかわるタスクフォース中間報告書でも、四月半ばから後半にかけて、東京では重症患者の受け入れ要請に応じる医療機関が少なかったこと、現実の需給バランスは逼迫していたことが指摘されています。
 新型コロナ感染症患者が入院するための病床を確保する際、病院はどういった基準で選んで要請をしていたのですか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症患者を感染症指定医療機関における感染症病床以外に入院させる場合の基準として、国の事務連絡では、個室に入院させることが望ましいが、新型コロナウイルス感染症の診断が確定している患者においては、同一の病室で治療することも差し支えないこと、入院患者が使用するトイレが他の患者等とポータブルトイレ等の使用により共同使用ではないことなどが挙げられております。

○藤田委員 個室以外で新型コロナ感染症の患者を受け入れた病院では、病室ごとの区切りだけでなく、病棟ごとに新型コロナ感染症の患者専用病棟にして、かつ可能な限り、入り口には前室を設けるなどして、空気の流出をとめるような対策をとっています。
 こうした対策は、感染症が増加してから行うのでは遅いわけで、備えが必要です。また、こうした病床を民間病院でできるかといえば、経営的にも困難ですし、指定病床として空床確保してもらわなければ、いざというときにすぐ使える病床ではなくなってしまいます。
 第二波に備えて、公的、公立医療機関を中心に準備を進める必要があります。新型コロナ感染症のような新興感染症の対策には、平時の備えが必要です。
 都内の感染症指定病床は百十八床ということですが、病院が病床を維持するための補償はどのようになっていますか。また、この病床の数について、都の見解を伺います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 感染症指定医療機関においては、国が示す配置基準を踏まえ、病床が確保されているところであります。
 この感染症指定病床については、感染症法に定める患者の入院のためのものであり、それ以外の理由で病床利用は制限されています。
 都は、感染症患者に対する良質かつ適切な医療の提供を図るとともに、指定医療機関の運営の安定化を図ることを目的として、自衛隊中央病院及び都立病院を除く感染症指定医療機関に対し、維持管理的経費、常勤職員費、研究研修経費に係る運営費を補助しております。
 一床当たりの年間維持管理経費の基準額は、一種で約六百七万円、二種陰圧ありで約二百万円、二種陰圧なしで約百五十二万円となっており、実際に支出した額がこれを下回る場合は、その額を限度として補助することとなっております。

○藤田委員 一種の病床は都内に八床だけであり、感染症としては、エボラ出血熱やペストなど、感染した際の危険度が極めて高い感染症の管理を行う病床です。ほかの九割が二種の感染症指定病床で、今回の新型コロナ感染症は指定感染症となったために、当初はこの二種以上の基準を満たしている病床に隔離する必要があるとされてきました。
 また、都内の感染症指定病床のうち、都立病院と公社病院では八十床持っていて、全体の約七割を占めています。
 公的病院、とりわけ都立病院、公社病院に感染症病床が多いのはなぜですか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 感染症対策においては、確実に病床を確保する観点や公的な役割の観点から、良好な交通アクセス、昼間人口や海外渡航者が多いことなどを踏まえ、二次医療圏の圏域を超えて患者を受け入れることを想定し、基準を満たしていた公的病院から指定し、配置基準を踏まえて確保してきたところであります。

○藤田委員 感染症患者を受け入れるために病床を整備していたはずであって、基準を満たしていたから指定したというのは、順番が違うのではないかと思います。
 実際には、都立病院には病床を維持するための補助金は出ていませんが、補助金が出たとしても、二種では、陰圧設備があっても、一床当たり年間に二百万円に満たない金額です。一カ月にすると十七万円程度であり、常にあけておいて受け入れ体制をとらなければならないとなると、これほど採算がとれない病床はありません。公的な役割のある病院でしか確保はできないのは当然だと思います。
 現在の診療報酬では、病院の経営をよくすることはとても難しく、そのために、感染症指定病床は少なくなってしまい、今回の新型コロナ対策においても、病床の確保が難しくなったのだと思うのですが、新型コロナ対応において、都内の感染症病床数について、どのように考えているのかお伺いします。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 一類感染症や二類感染症等の入院を担当する感染症指定医療機関については、国が示す配置基準を踏まえ指定しております。
 新型コロナウイルス感染症については、都内の感染症指定医療機関以外の医療機関を含めて病床を確保するなど、入院患者の受け入れ体制の強化を図っております。

○藤田委員 国の基準どおりに指定しているので、適切であると。また、コロナの対応についても、指定医療機関以外でも確保できたから、何とかなったというのが見解なのでしょうか。
 二〇〇九年に発生した新型インフルエンザの対策総括会議では、医療体制について、ハイリスク者を受け入れる専門の医療機関の設備、陰圧病床等の設備整備などの院内感染対策等のために必要な財政支援を行う必要があると指摘しています。
 しかし、当時から十年が経過しましたが、都内の感染症指定病床は、二〇一〇年に駒込病院でふえて以降、ほとんどふえていません。感染症指定病床は維持しているだけで病院の経営が悪くなってしまうような病床だからこそ、平時から自治体の対策として体制を整えておく必要があります。
 今回のような事態の中でも、確実に必要な入院措置が行えるよう、感染症指定病床の必要数についても都として検証し、確実に確保することを求めます。
 東京都のロードマップでは、医療提供体制の整備の中に障害者という患者特性が記載されていなかったのですが、障害児者が感染した場合の受け入れ医療機関の整備状況はどのようになっていますか。

○藤井障害者施策推進部長 新型コロナウイルスの感染が判明した場合には、医師の判断や患者の症状等を踏まえ、保健所が入院勧告や療養場所の確定を行っております。
 障害児者の場合、障害の程度や基礎疾患の有無等の個別の状況に応じた対応が必要であり、合併症がある等重症化しやすい方につきましては、感染症指定医療機関等で入院治療を行うこととなります。
 実際に障害児者が感染したケースにおきましては、かかりつけ医の意見等も参考にしながら、保健所が入院先の調整等の対応を行っております。また、精神障害者が精神科病院に入院中に新型コロナウイルスの感染が判明した場合等につきましては、都立病院で受け入れることとしており、こうした対応を都内精神科病院及び関係団体等に周知しております。

○藤田委員 障害児者が感染した場合について、国の通知では、障害特性等を踏まえて、あらかじめ受け入れ医療機関の整備を行うよう都道府県に求めています。この答弁では、入院調整の進め方を説明されたと思いますが、どの医療機関で受け入れを行うのかは、精神障害者を除くとよくわかりませんでした。
 現状では、保健所が入院調整を行うとなっていますが、これでは本当に入院できるのか、障害児者のケアに当たる方やご家族は安心できるものではありません。あらかじめ、受け入れ医療機関を整備することを求めます。
 また、施設内の集団感染というケースも起きることはあり得るので、見込み数についても検討していただくよう要望いたします。
 受け入れ病床の確保という点について、妊婦という患者特性ではどのような対応をしているのか質問いたします。
 助産師有志の方々は、先月、分娩という場面において三密が避けられないことから、妊婦に対してPCR検査を行えるようにしてほしいと東京都に要望いたしました。
 妊娠三十八週前後の妊婦に対して、PCR検査を行うことの意義について伺います。

○武田少子社会対策部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、自身のみならず、胎児の健康について不安を抱えながら生活している妊婦がいるというふうに聞いてございます。
 今般、国の第二次補正予算案に出産前のPCR検査の実施が盛り込まれたところでございます。
 都は、国の事業を踏まえ、希望する妊婦の方にPCR検査を実施するなど、妊婦の方が安心して出産を迎えられるよう、不安解消を図ってまいります。

○藤田委員 それでは、妊婦がPCR検査を受ける場合の医療機関について、具体的に整備されているのか伺います。

○武田少子社会対策部長 都は、医師が必要と判断した検査については、必要な検査が実施できるよう、検査体制の整備を図っているところでございます。
 妊婦を対象といたしました検査の実施方法等につきましては、国事業も踏まえて、今後検討してまいります。

○藤田委員 厚労省のホームページでは、東京都は、陽性妊婦の受け入れ医療機関開設済みとあったため、整備されているとは思うのですが、どのように整備されているか伺います。また、全部で何病院ぐらいになるのか教えてください。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 新型コロナウイルスに感染した妊婦については、妊婦の方の合併症の有無、妊娠週数、分娩の有無及び新型コロナウイルス感染症の重症度を考慮し、総合周産期母子医療センターを中心にした周産期医療体制の中で受け入れております。
 受け入れ医療機関数としては、約三十病院を確保しております。

○藤田委員 医療提供体制の確保には、病床だけでなく、人の確保も必要です。
 都は、四月の補正予算で、民間医療機関で新型コロナ感染症の患者に対応した医療従事者に対して危険手当を補助する対応を行いましたが、その金額の根拠について伺います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 国は、武漢からの政府チャーター機や、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」などで新型コロナウイルス感染症対策に従事した職員に対し、防疫等作業手当の特例措置を行っています。都は、これを踏まえ単価設定をしております。

○藤田委員 都の単価設定は一日一人当たり三千円なのですが、ご答弁されたクルーズ船などでコロナ患者へ対応を行った職員の特例措置という単価は、実際には四千円だったんですね。患者さんに近い方かそうじゃない方で、三千円と四千円で単価が分かれていました。
 ここで、医療従事者への危険手当という形になるのであれば、やはり、より患者さんに近い方に合わせた金額設定をすべきではないかなと思うのですが、四千円ではなくて三千円という単価設定をした、その根拠について伺いたいと思います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 国は、武漢からの政府チャーター機、「ダイヤモンド・プリンセス号」などで新型コロナウイルス感染症対策に従事した職員に対し、防疫等の作業手当の特例措置を行っており、これを踏まえて単価の設定を行いました。

○藤田委員 済みません、ちょっと聞こえづらかったんですが、患者さんに近いところで働く方に四千円というふうにクルーズ船の中では単価設定していたんですが、病院の医療機関で、その四千円ではなく三千円という単価に設定した理由は何ですか、お願いします。

○高橋健康安全部長 先ほどもご答弁させていただきましたように、都といたしましては、国の武漢からの政府チャーター機の特例の措置に倣いまして、三千円というふうに設定させていただいたところでございます。

○藤田委員 クルーズ船ではなくチャーター機で勤務された方の単価ということで、三千円ということで理解しました。
 医療従事者は、新型コロナ感染症と診断されていない無症状の感染者が一般の入院患者の中にもいると想定して、常にコロナ患者さんに対応する人以外も院内感染防止対策を行っています。こうした労をねぎらうためにも、新型コロナ患者へ直接対応していない医療従事者に対しても、手当の支援を行うことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 施設内での感染が深刻なのは介護施設も同様です。新型コロナ感染症は高齢者が重症化しやすいといわれており、実際に都内でも新型コロナ感染症によって亡くなった方の大半は七十代以上の方です。そのため、高齢者介護施設では、施設内感染を起こさないように細心の注意を払って働いています。
 共同通信の調査によると、高齢者が入所する介護施設で新型コロナウイルスに感染した入所者、職員は、五月八月時点で少なくとも計約七百人、このうち七十九人が亡くなっていたということで、亡くなった方は全て入所者ということでした。
 都内の介護施設での職員や利用者の陽性者の報告は何人だったか伺います。

○保家高齢者施策推進担当部長 令和二年五月末時点で、都内の特別養護老人ホーム、介護老人保健施設から職員二十五人、利用者七十八人の陽性者の報告を受けております。

○藤田委員 都内の介護施設では、利用者で感染した方の報告は七十八人ということです。健康安全部に、施設内で感染した方のうち、亡くなった方の人数をお聞きしていたのですが、施設といっても医療機関も含まれた数字になってしまっているということでして、介護施設だけ取り出すのは間に合わないということだったので、参考として伺いたいと思います。
 都内の介護施設や医療機関で施設内感染をした方のうち、何人の方が亡くなりましたか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 都においては、令和二年五月二十二日現在、報道発表した新型コロナウイルスに関連した患者の死亡数は二百六十三人となっております。このうち、院内感染と推定されるものは、暫定値で百十六人となっております。

○藤田委員 暫定値ということでしたけれども、介護施設や医療機関で感染して亡くなった方というのは、全体の四四%ということです。やはり高齢者や疾患のある方が集まっている施設において感染が拡大するということは、これだけリスクが高いということです。施設内感染が拡大しないためにも、感染の実態を正確に把握しなければなりません。
 介護施設内で新型コロナ陽性者が発生した際、利用者について濃厚接触者のPCR検査は全員実施できたのですか。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 施設等で患者が発生した場合、保健所は、国立感染症研究所が示した新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領などに基づき、患者との接触状況を把握し、必要な方に検査を実施するとともに、あわせて健康観察を行っております。
 本要領には検査対象者の記載があり、令和二年三月十二日版では、濃厚接触者が医療従事者等ハイリスクの者に接する機会のある業務に従事し、検査が必要と考えられる場合、クラスターが継続的に発生し、疫学調査が必要と判断された際には検査対象とすることができるとされており、その時点での最新の知見に応じて検査対象者が決定されていました。
 また、濃厚接触者に対する検査は、原則東京都健康安全研究センターが保健所から依頼を受けて実施していますが、依頼のあった検査は全て実施をしております。

○藤田委員 最近まで、濃厚接触者全てに検査とはなっていなかったということですが、国の三月十二日の事務連絡では、ハイリスクな方にかかわる職種では、無症状でも検査対象とすることができるとしていることから、実際には、施設と保健所の判断で、短期間で症状がない方も含めて検査ができるよう手配するなど努力をされていました。
 私の地元大田区の特養では、四月に職員一名から施設内感染が発生しました。当時はまだ、濃厚接触者のうち発熱などの症状がある方しか原則PCR検査ができないという時点でしたが、施設や保健所の判断でフロア全員の検査を行うことになりました。
 二日間で入所者七十二名、職員五十二名の検査を行いましたが、結果、入所者の十二名が感染していることがわかりました。当時、発熱などの症状がある入所者は四名でしたので、検査実施要領どおり、この方だけを検査していたのでは、その後の感染拡大をとめることはできなかったわけです。
 この結果から見ても、やはり症状がある方だけを検査していては、感染の実態はつかめず、感染拡大を防止することができないということがわかります。とりわけ、リスクの高い介護施設では、入所者全員を検査対象としなければならないということだと思います。
 また、感染が疑われる方をできる限り早く隔離するなどの対応ができないと、感染拡大を防止できないと思うのですが、介護施設内で陽性となった利用者は全て入院対応にしたのでしょうか。

○保家高齢者施策推進担当部長 施設からの報告では、入院が必要な利用者につきましては、原則入院されましたが、一部の施設では、同一法人の医療機関と連携し、無症状や軽症の利用者につきまして、隔離などの感染対策や健康観察を行いながら、施設内で療養されたと聞いております。

○藤田委員 原則入院で対応しているということでしたが、無症状の方も全て入院できることが、新たな感染拡大を起こさないためにも必要だと思います。
 さらに、介護施設では、医療機関と違って、専門的な知識がないと的確な対応はできないと思うのですが、新型コロナ感染の疑いの方や陽性者が施設内で発生した場合の感染症対策はどのように対応してきたのですか。

○保家高齢者施策推進担当部長 各施設が設置しています感染対策委員会におきまして、あらかじめ定めた感染対策の指針や保健所からの指導等に基づき、感染疑い者等を個室で隔離したり、担当する職員の固定や、居室、共用物品の消毒など、感染拡大防止の対応を実施した旨の報告を受けております。

○藤田委員 介護施設では、自分が感染しているのではないか、入所者に感染させてしまうのではないかと職員は不安を抱えています。施設から感染した人が出たとなれば、どうやって感染拡大をさせないか、設備や物品が限られているため、対応には限界があります。
 介護現場では、これまで、マスクの不足への対応を行ってきましたが、体の密着が避けられず、かつ、排せつ物などへも暴露する可能性が高い現場だということで、やはり病院と同様の感染予防具が必要になってきます。
 袖つきエプロンやゴーグルなどの物品が必要になっていますが、調達は厳しいということです。この不足に対してどう対応していくのか伺います。

○保家高齢者施策推進担当部長 都は、今後感染者等が発生した場合でも、サービスが継続できるよう、国制度を活用し、衛生用品の購入等への補助を予定しております。
 また、感染防止効果があるとされている手袋、エプロン等の調達を検討してまいります。

○藤田委員 介護施設では、感染防止対策のための経費がふえているという実態があります。加えて、ショートステイやデイケアを中止する施設も多くあります。
 全国介護事業者連盟の調査によると、新型コロナ感染症が、半数以上の介護施設で経営への影響を受けていると答えています。
 こうした中、特別養護老人ホームの経営を支えているのが東京都が実施する経営支援事業です。私が聞き取りをした幾つかの施設からは、この事業のおかげで何とか経営が維持できているとの意見も聞いています。
 そこで、東京都の特別養護老人ホーム経営支援事業の意義について伺いたいと思います。

○保家高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームは介護報酬により運営されることが基本でありまして、都が実施する特別養護老人ホーム経営支援事業では、島しょなど厳しい経営環境にある施設や、サービス向上に資する取り組みを行う施設を支援するものでございます。

○藤田委員 厳しい経営環境となる例示が島しょなどといわれましたが、事業では、町村部特別加算、そして定員七十人未満の小規模な特養に対する小規模施設加算、小規模施設特別加算がありました。もともとこうした加算があったのは、介護報酬だけでは経営が厳しいからだと思います。
 福祉保健局のホームページにある施設の一覧を見ますと、小規模施設加算と小規模施設特別加算の対象になっている定員三十から六十九人の施設は都内に百二十七カ所あり、それだけ多くの施設にとって重要な支えになっているのです。
 しかし、この事業は、今年度から小規模施設加算が廃止されることとなり、施設からは、去年並みでないと厳しいというご意見を伺っています。
 さらに問題なのは、小規模加算の廃止とあわせて新たに項目を修正した努力、実績加算です。見直しの内容を見ますと、新たにつくられた項目というのは、研修や、人材交流による人材育成や、地域社会への貢献としてのサロンの開設や、地域高齢者の活動の場の提供というものです。つまり、人が集まるもの、三密をつくるような項目ができて、そのポイントが高く設定されているという点です。
 現場からは、ポイントをとるための事業をしたくても、新型コロナ感染拡大が懸念される中では開催できないとか、そもそも現在のコロナ対応で人手がとられ、新たな事業を考えることもできないという声を伺いました。
 努力加算のうち、人が集まる項目ほどポイントが高いものになっていて実施できないことについて、どう考えているのか伺います。

○保家高齢者施策推進担当部長 現在、各施設では、感染予防、拡大防止を最優先する観点から、面会制限などを実施しておりまして、地域と連携した取り組みも実施が困難な状況にございます。

○藤田委員 東京都も、地域連携の実施は困難と認めているということです。
 であるならば、新型コロナによって今年度は減収と想定されている中において、せめて経営支援事業は昨年度実績並みにならないと経営の継続ができなくなるといっていることについて、東京都はどう考えているのでしょうか。

○保家高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームなどの入所施設は、緊急事態宣言下においても事業継続が求められる施設とされておりまして、都としても、適切な感染防止対策を講じた上で、必要なサービスを継続的に提供するよう要請しております。
 利用者などに感染者等が発生し、平時には想定されない経費が発生した施設には、国制度を活用した補助を実施いたします。
 今後とも、施設が適切に運営されますよう、感染症の推移や施設の状況把握に努めてまいります。

○藤田委員 介護施設の団体も、独自に新型コロナの影響調査などを行いながら、どのような対策が必要なのか把握しようとしています。東京都としても、そうした声を真摯に受けとめ、事業継続ができる対応をしていただきたいと思います。やはり、今年度の制度の見直しは、少なくとも凍結する必要があると思います。
 施設の皆さんは、収入が相当落ちているけれど介護現場はやめられない、事業所も赤字覚悟でやっていると話しています。これに加えて、感染のリスクや利用者、家族の不安へも対応しています。介護職員の不足が叫ばれる中、職員への感謝とともに、必要な支援や対応を重ねて求めたいと思います。
 東京都は、休業要請や一斉休校を行った際、その影響がどのような形で都民の生活や精神活動などに影響を及ぼすのかを把握し、対策を行っていく責任があるという観点から幾つか質問します。
 一つ目は、放課後等デイサービスについてです。
 国は、特別支援学校等の臨時休業に伴う放課後等デイサービスの代替的支援事業を予算化しました。これは、児童が放デイを休んだ場合でも、電話等の方法により児童の健康管理などを行った場合に算定される報酬のうち、利用者負担分は免除しようというものです。負担割合は、国が二分の一、残り四分の一が都道府県、四分の一が区市町村となっています。
 どの地域でも格差なく利用者負担が免除になるようにすべきですが、いかがですか。

○藤井障害者施策推進部長 特別支援学校等が臨時休業を実施した場合には、放課後等デイサービスの利用の増が見込まれるとともに、事業所が電話等の方法により児童の健康管理等を行った場合も報酬の算定対象としており、利用者負担の増が見込まれております。
 そのため、国において、利用者負担の増加分について免除することを目的とした補助事業を実施することといたしました。この事業は、利用者負担の増加分を区市町村が負担した場合に、当該負担額の四分の三を都道府県が補助するものであり、それに対し国が補助を行うもので、都は、この補助事業につきまして、都負担分を補正予算に計上しております。
 なお、事業実施につきましては、放課後等デイサービスの事業実施主体である区市町村の判断となっております。

○藤田委員 区市町村の判断によっては利用者負担が発生するということなので、やはり、都内のどこの自治体に住んでいても同じように利用料の免除がされなければ、自治体によって格差が生じます。都には、こうした格差が生じないよう国に求めたり、都が補助するなどの対策を講じていただきたいと思います。
 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが五月三日に発表した二〇二〇年春、緊急子供アンケート結果報告書の学童保育と子供の権利保障の中で、学童保育は親の仕事を支える場である以上に、子供の生活と遊びを保障する場である、現場の大変さは想像以上であろうが、学童保育があったからこそ、子供たちは安心して楽しい日々を送っていたとしています。
 放課後等デイサービスは、障害のある子供たちの学童保育です。国は朝から開所する事業所に対して保護者の負担増とならないための補正予算を組み、都はそれに対して上乗せを行っていますが、学童のみとなっています。
 なぜ放課後等デイサービスを含めていないのですか。学童と同じように、都の上乗せを行うべきと考えますが、見解を伺います。

○藤井障害者施策推進部長 放課後等デイサービスにつきましては、学校の臨時休業日に支援を提供した場合、放課後等デイサービスの基本報酬における学校休業日の取り扱いにできるとされておりまして、休業日の基本報酬を算定することができます。
 また、訪問や電話等による代替的なサービスが提供された場合でも、保護者の理解を得た上で同様に基本報酬が算定できるなど、国の定める給付費の仕組みの中で対応が図られております。
 今回の補正予算につきましては、利用者負担の増加分等について、区市町村が負担することとした場合に東京都が補助を行うものであり、それについて計上したものでございます。

○藤田委員 障害のある子もない子も、そしてどの親も、新型コロナ感染防止のためにさまざまな苦労を強いられています。どの地域でも、学童でも、放課後等デイサービスでも、同じように負担軽減できるよう、東京都からも積極的に支援していただくよう要望いたします。
 最後に、新型コロナ感染拡大防止に伴ってさまざまな自粛を要請されたことにより、困難に陥っている都民への支援について伺います。
 アルバイトやパートなどの非正規で働く人たちは、仕事とともに住まいを失う方も少なくありません。また、緊急事態宣言とともに施設への休業要請が行われ、その中にネットカフェが含まれていたことによって、ネットカフェで寝泊まりする多くの方が路上に追い出されるという事態を見ました。
 東京都は、休業要請を行う前の四月七日、TOKYOチャレンジネットの利用をふやせるよう、一時宿泊施設をふやすための補正予算を専決処分しました。また、団体などの要請に応えて、一時宿泊のためのビジネスホテル等の借り上げを、当初百室から二千室まで拡大する対応をしました。
 都が、依命通達で、失業等に伴う住居喪失者への一時住宅等の提供を集中的、重点的に取り組む業務に位置づけたことは重要です。
 その後の実績はどうなっていますか。今後どのようにするのか伺います。

○坂本生活福祉部長 TOKYOチャレンジネットで提供しております緊急的な一時宿泊場所でございますビジネスホテルの利用でございますが、五月三十一日現在、区市の相談窓口を経由した分も合わせますと延べ一千七十二人となっておりまして、また、その後の居住の場であります一時利用住宅につきましては、三百七十四戸を確保いたしまして、百五十二人の方が利用しております。
 引き続き、ビジネスホテルを利用する方の居住の場の確保に取り組んでまいります。

○藤田委員 都の取り組みは重要ですが、利用を求めている人にこの情報が届かなければ意味がありません。
 東京都は、四月十一日から緊急事態措置による休業などを要請し、ネットカフェについても基本的に休止をお願いする施設に含めました。
 東京都の住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査では、インターネットカフェなどをオールナイト利用する住宅喪失者は約四千人と推計されています。ネットカフェなどが休業になることは、利用していた方が泊まる場所を失うことを意味します。今、答弁された千七十二人という利用実績は、必要な方に情報が届いたのかどうか疑問を抱かざるを得ません。
 実際、東京都福祉保健局というツイッターアカウントで、新型コロナに関連して、生活や住居の相談を希望する方はと発信を行ったのは四月三十日です。日ごろのリツイートなどの件数は多くても二桁でしたが、このツイートは二百三十六もリツイートされていて、世間の関心が高いことを示しています。
 先日、東京アラートが発令されましたが、これからでも利用したい方に情報が伝わることは重要です。ぜひ区市町村とも連携して、失業などに伴う住居喪失者への一時住宅等の提供について、インターネットやSNS、福祉保健局のアカウントや相談窓口などで積極的に広報していただきたいと思います。
 同時に、せっかく支援につながっているのに、その方が再び路上やネットカフェに戻ることがあってはなりません。
 そのためにも、都がイニシアチブを発揮して、区市と連携し、都営住宅なども活用して居宅移行につなげるようにすべきと考えますが、いかがですか。

○坂本生活福祉部長 都はこれまでも、TOKYOチャレンジネットの取り組みにつきまして、まず当初、都のホームページで周知していたところでございまして、その後、SNSを活用し、引き続き周知をしているところでございます。
 今回の新型コロナウイルスに伴います緊急対応については、既に、区市の相談窓口との連携を図るなど、必要な取り組みを進めているところでございます。
 居宅への移行でございますが、今回のビジネスホテルを利用している方への居宅移行というのはこれまでも進めているところでございまして、この件につきましても区市に対して通知しておりますとともに、移行します区市に対しては、チャレンジネットで行います保有の賃貸物件情報の活用などについて周知するなどの対応をしているところでございます。

○藤田委員 一つ確認したいんですけれども、居宅移行は区市が行っているということですが、東京都も原則的に居宅に移行するということでよろしいでしょうか。

○坂本生活福祉部長 現在、このビジネスホテルを活用している方については、私どもとしては居宅移行を中心に進めているというところでございます。

○藤田委員 中心にということでしたので、原則居宅でなければ、やはり密集した無料低額宿泊所に移行する可能性だってありますから、原則居宅に移行ということを貫いていただきたいと思います。
 住まいは人権です。生活保護法においても、施設での保護は限定的とされていて、原則は居宅において生活扶助を行うとしています。そうした観点で、現在、支援につながっている皆さんについても、区市と連携しながら居宅移行につなげていただくよう要望いたします。
 感染拡大防止の観点からも、都として、個室のビジネスホテルを借り上げて緊急一時宿泊所として引き続き活用することを求めますが、いかがですか。無料低額宿泊所利用であっても個室に限った対応を今後も継続するべきと考えますが、見解を伺います。

○坂本生活福祉部長 区市の相談窓口を経由して緊急的な一時宿泊場所であるビジネスホテルを利用されているところでございますが、これまで、利用できる期間そのものについてもあわせて延長してきているところでございまして、この間、その後の居宅移行までの間でございますが、生活保護制度、それから生活困窮者自立支援制度などを活用して利用できるビジネスホテル、こういったものを確保して、区市にも既に周知しているというところでございます。
 また、今お話ございました無料低額宿泊所でございますが、私どもとしても、個室利用を原則とするように、既に区市に対して通知をしているというところでございます。

○藤田委員 延長したのはいいことだと思いますが、細かい延長の繰り返しではなく、居宅移行が完了するまで安心して使えるようにすべきだと思います。
 さらに、今はコロナ対応ということで始めたものですが、本来はこれは通年で行うべきものだと思います。当然、原則個室で、今後も維持していただくことを要望いたします。
 次に、自殺相談についてです。
 支援につながれる方はごく一部であり、休業、休校、休園などの影響で、SOSが出せないで追い詰められている方がいるのではないかと大変危惧いたします。
 東京都が委託で行っている自殺相談の件数を、昨年三月と四月、ことしの三月と四月で何件か伺います。また、増加要因についても、何かわかるような情報があれば教えてください。

○成田保健政策部長 自殺相談ダイヤルの相談件数は、昨年三月が千六百九十八件、四月が千五百八十件、本年三月が千七百九十一件、四月が千七百四十九件でございます。
 また、SNS自殺相談の相談件数は、昨年三月が千七十三件、四月が千五百六十二件、本年三月が千三百三十三件、四月が千二百二十九件でございます。
 自殺相談ダイヤルとSNS自殺相談では、ともに精神症状や心理的問題についての相談が増加しております。一方、SNS自殺相談では、学校や進路についての相談が減少しております。

○藤田委員 SNS相談は昨年四月が多くなっていますが、昨年から始めた事業で、四月はちょうどマスメディアなどに多く取り上げられた時期ということで多くなっていると報告も伺っています。
 SNS相談についても昨年よりことしになってからの方が全体に増加しているということで、三月も二四%増加、電話相談では五%から一〇%増加しています。
 アメリカの国勢調査局が五月に行った調査では、不安障害や鬱の症状を示した成人は推定三四%に上るとしています。また、国連は、感染拡大でストレスが生じ、健康面に問題がなかった人も不調を訴えるようになったと警告しています。
 自殺相談件数が昨年比で増加したことに対して、どう対応してきたのか伺います。

○成田保健政策部長 都は今月から、SNS自殺相談と深夜、早朝時間帯などにおける電話相談の回線数や相談員をふやしております。
 また、相談機関に新型コロナウイルス感染症に関連する各種支援策を情報提供し、相談員が相談者の悩みに応じて支援策を案内できるよう対応しております。

○藤田委員 体制を強化したことは重要で、引き続き相談の状況を見ながら対応を検討してほしいと思います。
 心の問題が精神疾患などの発症や悪化であれば、専門家の対応が必要になります。東京都では、都内に三カ所の精神保健福祉センターがあり、その中でも心の電話相談を行っているということで件数を伺いましたが、昨年度とほぼ変わらない状況でした。相談につながらない方がふえていないか心配されます。
 さらに、精神疾患が既にある方はより深刻な実態があるのではないかと思うのですが、保健所や区市町村が行っている保健師による精神の訪問活動の状況について伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、保健所や区市町村が精神障害者への相談指導等のために行った訪問の実績を、都保健所及び保健所設置市以外の市町村には四半期ごとに、また、特別区及び保健所設置市には一年ごとに報告するように求めており、緊急事態宣言がなされた四月以降の状況については、現時点では把握しておりません。
 引き続き、精神保健福祉に関する実績報告などを通じて現状や課題の把握に努めてまいります。

○藤田委員 定期的に各保健所の訪問実績について把握しているけれど、この間は報告時期ではないから把握していないということです。しかし、保健所が感染症対策で多忙になっていることや人と人との接触を減らすことが理由で訪問が減っていないかということが心配され、臨時にでも把握する必要があると思います。
 四月二十五日、全国保健所長会は日本記者クラブでオンライン記者会見を行いましたが、その中で、副会長の方は、乳幼児健診はやめているが、やめていいとは思っていない。フレイル、ロコモティブ症候群の予防が全くできていない。認知症対策もできていない。自殺対策も、三月が自殺予防月間だったが、やれていない。これで自殺がふえたというわけにはいかない。社会全体でやっていくべきだと思うと話しています。
 都民の困難がどういうところにあらわれているのか、その声を誰が聞いているのか、対策はどうしたらいいのか、そうした観点で情報を集めていっていただきたいと思います。
 次に、困難を抱える子供たちへの支援のあり方について伺います。
 初めに、児童虐待についてですが、児童受け付け件数は、四月分の件数はまだまとまっていないということなので、ことし一月から、学校などの休業が開始された三月までの児童相談所における虐待受け付け件数と、昨年同時期との比較について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 本年一月から三月の都の児童相談所における虐待相談受け付け件数は、一月が千六百五十件、二月が千六百五十一件、三月が千七百六十七件となっております。
 昨年は、一月が千三百七十件、二月が千五百五十九件、三月が千四百九十八件となっておりまして、昨年と比較した受け付け件数の増加率は、それぞれ一月が二〇%、二月が六%、三月が一八%となっております。

○藤田委員 明らかに増加しているとは思いますが、この間、毎年、過去最高を更新する状況でもあることから、一概に新型コロナの影響だけとはいえません。しかし、自粛要請が虐待の増加につながる理由は幾つも考えられるので、コロナの影響はあるはずだと考えて対応する必要があると思います。
 ちなみに、警視庁の調査でも、児童虐待事案の通告件数は、昨年同月と比べて三月、四月ともに二百五十件以上増加しています。休校や保育園の休園、登園の自粛などにより、子供と保護者が家庭で過ごす時間が長くなり、児童虐待などの発生リスクが高まるといわれています。
 都は、児童虐待防止のためにどのような対応をしてきたのですか。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 学校の休業等により児童の生活環境が変化する中、都は、地域の関係機関が把握しております要支援児童等につきまして、学校や保育所等が週一回程度、状況を確認するよう区市町村に要請しておりまして、必要に応じて児童相談所等が適切に対応しております。

○藤田委員 国が四月二十七日に発表した子どもの見守り強化アクションプランには、さまざまなチャンネルを通じた子供の実態把握と支援とあります。
 都は、この間、どのようにして実態把握を行ってきましたか。また、その中でどのような実態があったのかもあわせて伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 子供からの相談につきましては、区市町村の子供家庭支援センターが地域における身近な相談に対応するとともに、都の児童相談センターでは、フリーダイヤルの電話相談におきまして、虐待やいじめなどの子供の悩みを受け付けております。
 また、昨年度からは、親子関係や子育ての悩みを気軽に相談できるLINE相談を実施しておりまして、今年度から平日の対応時間を二時間延長し午後十一時まで実施するなど、相談体制の充実を図っております。
 この間、こうした相談窓口には、兄弟げんかがふえている、休校で友達ができるか不安、子供をどなってしまうなどの相談が寄せられております。

○藤田委員 支援につながりやすくすることは大切な取り組みです。
 私の住む大田区では、いかにして支援が必要な子供と保護者にかかわるのか、教育委員会との連携を図ったり、国の子育て支援訪問事業を活用して、子供向けのおもちゃを入れたパッケージを用意してコンビニに並べるなどの企画を検討していました。支援が必要な保護者や子供たちといかにつながるか、自治体も模索しています。
 都として、事例を集めて紹介したり、国の子育て支援訪問事業に対して、都から財政負担を行い、自治体負担を軽減すべきと考えますが、いかがですか。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、区市町村における子供の見守り強化の参考とするため、国が取りまとめました取り組み事例を、区市町村に対しまして周知を行ったところでございます。
 また、今年度の新たな取り組みである国の子育て支援訪問事業は、支援が必要であるにもかかわらず行政機関や地域の支援につながっていない家庭に対し、育児用品を配布するなど、保護者が訪問支援を受け入れやすくする事業であり、都は今後、区市町村の取り組み状況を把握してまいります。

○藤田委員 取り組みを把握して、ぜひ区市町村と共有していただきたいと思います。
 同時に、子供などの声を聞く取り組みも重要です。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの緊急アンケート結果報告では、アンケートに答えた子供たちの生の声がたくさん掲載されています。少し紹介します。
 黒板にカウントダウンをしていた日数が急に一になりました。先生が泣きそうな顔で、次に会うのは卒業式ですと朝の会でいったとき、みんなが茫然として、泣きそうになりました。私たちの気持ちを一体誰がわかるんですか。カウントダウンが一になったあの日の私たちの喪失感を誰が想像できるっていうんですか。中学三年生。
 せっかくだから本を読もうと思っても、図書館が全て閉館しているので、本が借りられない。体を動かしたいと思っても、区の体育館は閉鎖され、されていないところでも未成年は借りられないなど、使えるところが全くない。とにかく居場所がない。小学生には児童館があるが、中学、高校生はどこにも居場所がない。高校二年生。
 学校に行くだけでとても明るくなれます。友達に相談することで気持ちが楽しくなります。なのに学校にも行けず、外にも余り出られず、習い事も全てなくなって、もうストレス限界です。小学六年生。
 急にいっぱい宿題が出て大変だった。わからないところがあったら、どうすればいいかわからなくて困った。なので、何とかしてください。小学四年生。
 失われた教育機会に見合っただけの成果、感染拡大をある程度防ぐことが得られたのか、専門家がしっかり調査して、教育機会が失われた子供たちにきちんと説明してほしい。高校二年生。
 子供はしっかりと自分の意見を持っています。大人には聞く姿勢と説明する責任があります。なぜ急に学校が休みになったのか、今までは子供は外で遊べといわれていたのに、急に外で遊んでいたら怒られたなど、理不尽な体験をしています。
 報告書には、NPO法人チャイルドライン支援センターの方も声を寄せています。
 もともと家に帰りたくないと話していた子供たちのことがとても心配です。家に帰りたくない理由は、親の虐待。本人は虐待と思っていなかったり、いわなかったりしますが、家が本当に危ないなと感じる子供たちはいて、今どうしているのかすごく気がかりです。この状況下で、その子たちの存在が隠されてしまっている気がしますと。
 支援が必要なところとどうつながるかは、声を聞くことでヒントが得られると思います。こうした民間団体の調査のようなことを、本来なら国や自治体が行うべきだと思います。
 新型コロナ感染症の対策には長い時間がかかります。経済的な面での支援とともに、先を展望できる科学的な根拠のある政策と、SOSが出しやすい社会をつくる努力を政治がしていかなくてはなりません。
 議会でもそうした議論と対策の提案を積極的に行っていくことを皆さんにも呼びかけまして、私からの質問を終わります。

○斉藤(や)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十八分休憩

   午後四時六分開議

○斉藤(や)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤(れ)委員 私からは、まず検査体制について伺います。
 今後、感染防止対策を行いながら経済活動や社会活動を再開していくに当たり、医療的に最も重要なのは、第二波が到来するまでの間にできる限りの検査体制を構築しておくことと、それぞれの検査のメリットを生かし、限りある医療資源を最大限に活用していくことです。
 検査については、PCR、抗原検査、抗体検査などがありますが、それぞれ特徴が異なり、最も精度が高いのはPCR検査とされています。
 そもそも、東京都と同じ大都市であるニューヨーク州では、一日四万件のPCR検査を行うため、検体採取に薬局などを活用するなどして検査拡充に努めてきたということです。五月五日までに検査を受けた市民は、ニューヨーク州では百万人を超え、経済再開の基準として、一カ月当たり住民の三%が検査を受けることを条件にして、さらに抗体検査を一万五千人に実施し、感染状況の実態を調査するとしています。
 このように、海外の大都市では、まず検査拡充が重要と捉え、その上で感染者の動向や接触者を調査する方法をとることが主流です。
 一方、東京は、人口のうち検査を受けた人数は、五月二十二日の時点で一万四千六百五十三人と公表されています。これは総人口の約〇・〇〇一%で、千人当たりの検査人数でいうと、インドネシアやインドに次いで低い水準だとされています。
 もともと全数把握を目指していないということは三月の委員会でも確認をしましたけれども、実際、三月末から四月には、検査を受けたいのに受けられないという個人からのお訴えや、乳児院や児童養護施設など二十四時間運営の入所型の施設では、発熱した職員が検査を受けることができないと十四日間休ませるしかなく、ほかの職員負担の大きさが膨らむということや、施設継続に難しさが生じてしまうというお話などをいただいております。
 秋以降に第二波が来るかもしれないといわれる中で、特にインフルエンザなど見分けにくい病気がはやる時期に向けて、検査を望む方が検査を受けることができるように、検査体制強化に向けた準備を行うことは大変重要と考えます。
 そこで、新型コロナウイルス感染症に感染している可能性のある方が迅速に検査を受けることができるよう、都はどのように取り組むか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は今後、検体採取を行う新型コロナ外来を都内で百カ所、またPCRセンターを三十八カ所に広げまして、検査機会の拡大を進めてまいります。
 また、大学病院等に対する検査機器の導入支援や、抗原検査キットなど多様な検査手法の活用を進めることにより、一日約一万件を目標に、検査能力を拡充してまいります。
 これらの取り組みによりまして、必要な方が迅速に検査を受けられる体制を整備してまいります。

○斉藤(れ)委員 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の再拡大に備え、今月二日、ピーク時に対応できる検査体制が整っているかどうかを点検して報告するよう、都道府県に要請をいたしました。
 都として、現在の検査体制の把握に加え、今後のピーク時に必要とされる検査体制について、一日当たりの検査需要を見通す必要があると考えます。
 また、それに基づいて相談、検体採取、検査のそれぞれの体制を整える必要があるということを想定し、都として、ピーク時の検査需要がもし一万件を超えると想定された場合は、さらに大きな検査能力への拡充を目指していただきたいと要望いたします。
 さて、検査の処理能力の目標として一日一万件と設定をされておりますが、どのような検査法が対象となるか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 新型コロナウイルス感染症に感染しているかどうかを判定するための検査が対象となりまして、現時点では、鼻咽頭、咽頭拭い液や唾液によるPCR検査及び抗原検査が含まれております。

○斉藤(れ)委員 PCR検査と抗原検査を合わせての一日一万件である、PCRだけでの一万件ではないということで、短時間にできる抗原検査といかに組み合わせ、効果的に活用していけるかが鍵となると思います。
 今回の補正予算では、PCR検査に加え、抗原検査の保険適用に伴う自己負担分を都が負担する予算も計上されておりますが、先月から使用可能となった抗原検出用キットはどのような特徴があり、どのような医療機関で使用されているか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 抗原検出キットは、約三十分と、PCR検査より短時間で結果が得られ、また特別な検査機器は不要でございます。そのため、採取した検体を検査機関に搬入しなくても、医療機関において検査結果を確認することが可能でございます。
 一方、検査結果が陽性の場合は確定診断とすることができますが、検出に一定以上のウイルスが必要なことから、結果が陰性の場合には、別途PCR検査の実施が必要となります。
 また、本キットの供給につきましては、患者発生数の多い都道府県における新型コロナ外来及びPCRセンター等から開始をされておりまして、順次対象地域及びPCR検査を実施できる医療機関を中心に拡大されているところでございます。

○斉藤(れ)委員 結果が陰性の場合は改めてPCR検査が必要になるけれども、陽性の場合はPCR検査を受けずに入院等の療養を開始することができるということで、今後の感染拡大期の理想的な流れとしては、抗原検査をまず行い、陰性者にのみPCR検査という方法をとられていくのかなと考えております。
 ただ、陰性者については再度検査が必要になりますので、検体を運んできて検査をしている東京都健康安全研究センターなどの検査機関では、改めて検体をとり直すことを要請しての再検査には難しさもあると思われます。だからこそ、新型コロナ外来やPCRセンターなど検体採取機関においては、より抗原検査を活用していただけるよう取り組むことが重要と考えます。
 抗原検出用キットを使用する医療機関に対し、PCR検査との使い分けについて周知をし、都としての支援も検討するべきと考えますが、都の対応を伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は、新型コロナ外来及びPCRセンターに対しまして、抗原検出用キットの特徴や使用方法等を示した国のガイドラインについて周知を行い、本キットの積極的な活用の検討を依頼しております。
 また、本キットは保険適用されてございまして、都は、医療機関と行政検査の委託契約を締結することによりまして、検査費用の患者負担分を負担することとしております。

○斉藤(れ)委員 次に、宿泊施設確保事業について伺います。
 地域でPCRセンターの設置が進んでいる中で、陽性者が出た場合の入院先の確保に加え、宿泊施設の確保がそれぞれの地域、特に現在数の大変少ない多摩地域でも行えるよう支援をしていただきたいと考えております。
 例えば、地元多摩市のPCRセンターの設置に当たっても、都の宿泊施設確保事業に応募するには規模の小さな施設が今回候補であるということがあったために、市の中に陽性者のための宿泊施設が確保できないという問題がございました。
 都の宿泊施設確保事業について、今後は、区市が独自に運営する場合に支援をしていただく必要があると考えますが、見解を伺います。

○高橋健康安全部長 新型コロナウイルスの陽性者は原則入院でございますが、入院治療の必要がない軽症者等は原則として宿泊療養で対応することとしておりまして、都は、四月以降、宿泊療養施設の確保を進め、五月一日から、多摩地域においても宿泊療養施設を開設したところでございます。
 宿泊療養施設の運営に当たりましては、必要な医療人材の確保や効率的な運営の観点から、一定程度の規模は必要だと考えるところでございますが、保健所設置区市が実施者となって宿泊療養施設を設置した場合、国庫補助の対象となるとされておりまして、第二波に向けた宿泊施設の確保に努めてまいります。

○斉藤(れ)委員 また、都の事業において、宿泊施設との契約期間は現在どれほどになっているかを伺います。

○高橋健康安全部長 四月に開設いたしました三つのホテルにつきましては六月末まで、五月に開設いたしました二つのホテルにつきましては七月末までが契約期間となってございます。
 なお、契約期間につきましては、協議の上、延長できることとされております。

○斉藤(れ)委員 先ほど申し上げたように、施設の規模についても、ちょっと小規模の施設も含めて検討していただきたいという点もあるんですけれども、利用者の数が少ないという実態も踏まえて、契約期間の方も短期に見直すなど、今後、確保数を柔軟に運用していくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○高橋健康安全部長 感染拡大した場合を想定し、補正予算では四千人規模としておるところでございますが、感染の状況も踏まえまして、適正規模での運用を検討してまいります。
 また、事業者や医療従事者などの理解を得ながら、柔軟な運用に努めてまいります。

○斉藤(れ)委員 次に、住居喪失不安定者失業者等サポートについて伺います。
 住居喪失不安定者失業者等サポート事業については、先日の特別委員会でも伺わせていただきました。ネットカフェ難民の方なども含め、本事業を必要とする方が適切に支援につながっていたかどうか検証し、次の支援へつなげていく必要があると考えます。
 先ほど、藤田委員からも利用者の実績の総数については質疑がありましたので、私からは、男女それぞれの最新の数字と、今回の補正予算案で予定されている事業継続の規模を伺いたいと思います。

○坂本生活福祉部長 チャレンジネットを経由いたしましてビジネスホテルを利用した方の男女別の内訳でございますが、五百二十人の男女別の内訳のうち、男性四百四十七名、八六%、女性が七十三名、一四%でございます。
 四月七日の専決処分でございますが、緊急的な一時宿泊場所でありますビジネスホテル百室の借り上げと、その後の居住の場として、一時利用住宅を百戸から五百戸に拡充するための経費などにつきまして、四月から六月までの三カ月分を計上したものでございます。
 今回の補正予算案でございますが、さらに年度末までの九カ月分の事業費を計上したものでございます。

○斉藤(れ)委員 一時利用住宅を最大四カ月間利用するということで、その間に利用者の方々の生活の立て直しが図れることを期待するものですが、一部報道によると、今回、チャレンジネットや区市の福祉事務所や生活困窮者自立支援相談窓口を利用するに至らなかったネットカフェ等の利用者の方もおられたというものがありました。
 そういう意見もある中で、一時利用住宅五百戸という規模はどうなのか、見解を伺います。

○坂本生活福祉部長 都は、TOKYOチャレンジネットでの緊急的な一時宿泊場所の提供の取り組みを、都のホームページやSNS等を活用し、これまで周知に努めてまいりました。
 お話の一時利用住宅につきましては、従来、百戸でございましたが、五百戸に拡充することといたしまして、五月三十一日現在で、都営住宅と民間住宅を合わせまして三百七十四戸まで確保が進んでおります。
 既に百五十二人の方が利用しておりまして、一方、ビジネスホテル利用中の方のうち、今後、就労自立に向けまして一時利用住宅の入居を予定している方が、さらに三百十八人となっております。
 私どもとしては、引き続き一時利用住宅の五百戸の確保を目指し取り組んでまいります。

○斉藤(れ)委員 一時利用住宅に、今後、恐らく五百名近くの方が実際入居される予定であるということがわかりました。
 ネットカフェへの休業要請とともに、迅速にチャレンジネットの要件緩和や周知などを行ってくださったことで、住居喪失者の方々が就労自立への道筋につくことができたことは大変重要なことだったと思います。
 一方で、先ほどの一問目の質問の方でも、女性の利用率は一割強とちょっと低くなっておりまして、本事業の支援にはなかなかつながりにくい状況があったと考えております。
 日ごろから住居喪失の女性を支援する民間団体等によりますと、女性の中には、事情があり家族等に居場所を知らせることができない、知られたくないと考えていることもあり、住民票のある区市町村につながる必要がある本事業では忌避されてしまう可能性もあるということでした。
 例えば、大阪では、そういった居場所のない女性専用のネットカフェ、キャビNETというところが女性たちにとって大変人気で、ここに集まり相互にコミュニケーションをとっていることで就労についての情報を得たりすることもできるというところがあるということでした。
 東京には、若年女性を支援する団体やDV被害者を支援する団体、また若年妊婦を支援する団体などがありまして、この期間、緊急事態宣言中に独自に資金集めなどを行い、新しく宿泊施設の確保に努めていらっしゃるところが大変多くありましたけれども、都として、ぜひこういった民間の支援を得意とする団体の活動を支援するということを検討していただきたいということを申し上げまして、次の質問に移ります。
 次に、ひとり親家庭支援について伺います。
 休業要請中に就労できずに収入が落ちているひとり親や、自宅での食事提供の機会がふえて大変困窮している保護者がふえているということもあり、各区市町村でも、独自にひとり親支援として現金給付を行うことや、保護者への食料品や給食費の支援を行えるよう、補正予算に計上している自治体が数多く出てきております。
 都事業としてひとり親支援を行っていただけることは、かねてから要望してきたこともあり、大変ありがたいものと考えますが、一方で、区市町村が行う支援の実態を調査して、それとは重ならない形でとり行うことが必要と考えます。
 特に、食料品の提供を行うとされていますが、その内容が既に区市町村が提供しているお米などの必需品の食料品と重ならないように、また、その内容がある程度選択できる必要があると考えます。
 この内容については、先ほど木下理事からも質問がありましたので、質問は省略をさせていただきます。
 地元の多摩市の方でも、今回補正予算でひとり親への現金給付を行うということを想定して議論や検討が進められているんですけれども、この中で、例えば就学援助認定者のうち、ひとり親世帯にだけ支援をして、それ以外の世帯には支援をしなくてもいいのかという指摘も起きているようです。親が一人ではない世帯においても大変厳しい経済状況といえる方たちにとってみたら、これは不公平と感じることがあるのではないかという指摘でございます。
 都は、本事業の対象者をどのような考えで設定したのか、見解を伺います。

○武田少子社会対策部長 ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手の二つの役割を一人で担うため負担が大きく、世帯収入も、両親がいる世帯と比較すると低い傾向にございます。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う学校等の臨時休業、事業所の休業などにより、ひとり親の負担は増大しており、こうした家庭への支援が不可欠でございます。
 そのため、児童扶養手当を受給する全てのひとり親家庭を対象に、食料品など必要な物品を入手できるよう支援することとしてございます。

○斉藤(れ)委員 ありがとうございます。
 残念ながら、就学援助認定を受けているひとり親以外の方への支援についてなどとの関係については、今の答弁ではお答えをいただけなかったんですけれども、地域によってはですが、区市でもひとり親支援を行うとされておりまして、ひとり親ではないけれども大変厳しいという世帯には特段何もない中で、国の支援があり、都の支援があり、区市の支援も受けられ不公平じゃないですかという指摘も、現在起きているところがあるということは申し上げておきます。
 重ねて、私自身は、ひとり親支援は全くもう賛成でございます。もともと、三月から会派で要望も行ってきました。ですけれども、その時期と今ではまた情勢が違うということもありますし、区市や国の動向も注視した上で、都として、より効果的に支援が必要なところへ支援をしていただくということを望むものでございます。
 大変な混乱の中で事業をいち早く構築してくださったことは大変ありがたいと考えますけれども、今後は、国や区市との連携や情報交換をより密接に行うことで、市民、都民全体により適切な支援が届くことを望んでおります。
 次に、保育について伺います。
 保育園なども休園や登園自粛が続いてきた中で、私たちの会派で行った、休園、登園自粛中の保護者向けのアンケートには、特に、お子さんが社会や先生、お友達とのつながりを全く失ってしまったことへの不安の声や、親と子がご自宅で孤立を深めているという孤独についての悩み事などが多く寄せられました。
 保育園については、そもそも区市町村により休園や登園自粛の対応にばらつきがあったということ、また、地域により登園できる家庭が大変限定的であったこともありました。
 また、延長保育や病児保育の取り扱いや育休延長を可能とする期間等についても、かなり自治体によって違いがあることから、保護者間の区市をまたいだ情報交換では、さまざまな情報が錯綜して混乱が生じておりました。
 また、事業者側からは、実績としての利用者が減る中で、職員人件費等は減らすことができず、このまま赤字運営が続くと事業を継続できないという厳しいお話も伺いました。
 さらに、保育士の方々からは、緊急事態宣言中に事業者が、園児が登園しない状況であるのにもかかわらず、派遣会社の方から保育士の配置を続けていたという訴えがある一方で、非常勤職員が給与や賞与を大幅にカットされたという訴えもあふれました。
 こうした混乱した状況に際し、都には、一つ一つ丁寧に各方面に向けて適切な周知や対応を行っていただきたいと望むものです。
 子供・子育て支援交付金については、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて事業を臨時休業している場合でも、例えば延長保育事業等であれば、相談支援等のできる限りの支援の提供を行ったと区市町村が認めるときは交付金の対象とすることができるなど、交付金の額が減少しないよう取り扱うと聞いております。
 このような取り扱いについて、区市町村にわかりやすく伝える必要があると考えますが、都の対応について伺います。

○武田少子社会対策部長 国は、新型コロナウイルス感染症への対応として、学童クラブや子育て広場などの運営費に充当できる子供・子育て支援交付金の取り扱いについて、もともと開所の予定があったものについては開所したものとして算定できるなど、柔軟に取り扱うことを通知してございます。
 都は、国からの通知を速やかに区市町村に周知するとともに、交付金の対象となる要件や算定について、より詳細な内容を国に照会をいたしました。国からの回答を踏まえまして、具体的な対応例を示して情報提供するなど、丁寧に対応しているところでございます。

○斉藤(れ)委員 ありがとうございます。国に照会をしてわかりやすく情報提供されているということで、今後、個別対応も続くかもしれませんけれども、ぜひよろしくお願いします。
 国通知も今回のコロナ禍において、膨大に、そして頻繁に発出をされている中で、区市町村によって認識されていないと思われる事例がある場合などは、ぜひ都から丁寧に情報提供をお願いしたいと思います。
 また、この子供・子育て支援交付金の取り扱いについてですが、実際には、区市町村が保育園を全体的に休園としている場合はその地域の園は対象外となっていることや、そもそも法律上、認可園やこども園以外は対象外となっていることなど、全ての保育園が活用できるものではないということがございます。
 都としては、なるべく区市町村により、また園により対応が異なるようなことがないようにという保護者からのご意見、ご要望に沿う形で、適切な支援や周知などに努めていただきたいと要望をさせていただきます。
 私たちのとったアンケートにおいて、休園、登園自粛中の保護者らから、希望が最も多かったのが、オンライン保育の実施でございます。
 現在都内では、一部の認証園が、外出自粛中も、例えば一日三十分のオンライン保育を実践してきたという例がございますけれども、大半の園ではメールやSNS等で連絡をすることにとどまっておりまして、児童が家族以外とのやりとりの時間を持てるようにはなっていないというのが実情です。
 もちろん、保育というのは、そのものは対面で触れ合うことが基本であると考えておりまして、このオンライン保育は本来の保育の代替をなすものではないと思っております。しかし、幼児が親とどこにも行けず、今回、二カ月、三カ月の間、兄弟がいる場合や在宅勤務の場合には、とりわけ幼児は、やりとりを交わす時間もとられずに家の中で放置をされているようなことも多いということを伺っております。
 このような中で、短時間でも友達や先生とつながり、挨拶をしたり、簡単な体操や歌遊びをしたり、また、ふだん園で育てている植物の観察をしたりと、ふだんやっていることを途切れさせずに行うことができるオンライン保育というのは、今後の感染防止を行いながら進める保育、新しい日常においても実践が進んでいくということを望む保護者が多くおります。
 そこで、今後、登園が可能となっても、同時並行で都としてオンライン保育を推進していくべきであると考えますが、見解を伺います。

○武田少子社会対策部長 新型コロナウイルス感染症への対応のため、登園自粛や臨時休園する場合においても、保育所は、園児の成長を支えるとともに、保護者が悩みを抱え込まないよう相談支援を行うなど、必要な関与を継続することが重要でございます。
 都は、平成二十九年度から保育所等におけるICT化推進事業を実施しており、一部保育所では、本事業で整備したシステム機器や通信環境を活用して、自宅で過ごす家庭とのかかわりを継続する取り組みを実施してございます。
 今後とも、自宅で過ごす園児や保護者に対し、保育所等の支援が継続できるよう、オンラインを活用した取り組み事例を収集し、区市町村に周知してまいります。

○斉藤(れ)委員 都として、これまでは行われていなかった取り組み事例の収集と周知を行ってくださるということで、ぜひこれを受けて、区市町村または運営者の皆様が保護者ニーズをはかるとともに、今後オンライン保育の活用を進めていただけることに期待をしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 次に、介護事業所への支援について伺います。
 通所型の介護施設、通所人数の実績で報酬が加算をされる介護事業所において、三月以降、大幅に報酬が減収となって、運営継続に危機感を募らせている事業者も多くいらっしゃいます。
 品川区の方で、介護・障害福祉サービス業務継続支援金交付事業というのが開始されまして、常勤職員一人当たり最低二万五千円以上の支援金を給付するということで、大幅減収の事業所にとって、処遇を維持する上で非常に有効な支援が迅速にとられていると感じましたけれども、全ての区市町村がこれに取り組めているわけではございません。
 そこで、都として、介護サービス事業所に対し、サービス継続のための支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○村田高齢社会対策部長 介護サービスは、利用者やそのご家族の生活を維持する上で欠かせないものでありまして、適切な感染防止対策を前提として、必要なサービスを継続して提供することが重要でございます。
 このため、都は、マスクの配布や、国の優先供給の仕組みを活用して手や指の消毒用エタノール購入の調整を行うなど、介護サービス事業所を支援しております。
 また、利用者などに感染者や濃厚接触者が発生した場合でもサービスを継続できるよう、国の制度を活用しまして、衛生用品の購入や人材確保のための割り増し手当の支給など、平時には想定されない経費に対する補助を実施してまいります。

○斉藤(れ)委員 ありがとうございます。
 国制度を活用して、新たに衛生用品の購入や人材確保のための割り増し手当の支給なども行うということで、ぜひこういった支援の内容を広く事業者の方々にも周知をしていっていただきますよう、お願いを申し上げます。
 最後に、意見として申し上げます。医療機関への支援についてでございます。
 補正予算で新型コロナ対応をする医療機関への支援や医療従事者への特殊勤務手当等が計上されておりまして、医療体制の充実に向けて、都としても取り組みが進められていることを評価いたします。
 一方で、地域の通常の医療を提供し続けている医療機関からは、コロナ発生以降、休業もできず、通常の診療体制を組まざるを得ないけれども、患者が激減し、超赤字経営となっているところが大変多くなっているという話を伺っております。一人診療所ではなく、複数の医師を雇用している診療所では、なおさら特にその状態が顕著だということも伺っています。
 都として、コロナ対応ではない、地域の通常の医療を緊急事態宣言下においても継続を続けてきた開業医や民間医療機関への財政支援策を検討していただきたいということを最後に意見として申し上げまして、私の質問を終わります。

○岡本委員 まず、新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方に、深く哀悼の意を表したいと思います。また、いまだに重い病状の中で闘われている患者の皆様、感染者の皆様の一日も早い回復を祈念いたします。
 医療従事者、また都庁職員の皆様は、昼夜を問わない業務を進めておられることを、改めて感謝を申し上げたいと思います。それでは、私の質問に入らせていただきます。
 まず、PCR検査についてです。
 三月二日の厚生委員会で、PCR検査を重症化しそうな患者に限定すべきという意見と、他方、検査を大幅に拡大すべきという意見と、両方の意見を紹介した上で、後者の結論を申し上げました。
 その後、世界保健機関、WHOのテドロス事務局長は三月十六日の記者会見で、「ウイ ハブ ア シンプル メッセージ フォー オール カントリーズ テスト テスト テスト」「テスト エブリー サスペクテッド ケース」、疑わしい全てのケースを検査すること、それがWHOのメッセージだということを強調いたしました。テレビ等でも繰り返し報道されたところであります。
 日本では、他の国々と比較すると、圧倒的にPCR検査数が少ない状況にあります。また、陽性率も高かったということがいえます。
 こうしたことがテレビや新聞でも繰り返し論じられていますが、まず総論としてお伺いしたいんですが、PCRの検査の体制をふやすために国が果たすべき役割、都が果たすべき役割、区市の保健所が果たすべき役割、これらはそれぞれどのように整理されているのか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 新型コロナウイルス感染症発生後、国の通知で示された方針に基づき、各保健所は、電話相談を通じて疑い患者を外来につなぐ新型コロナ受診相談窓口を設置しております。
 都は、疑い患者を診療して検査を行う新型コロナ外来を設置し、疑い患者を診療体制の整った医療機関に確実につなぐ体制を整備しております。
 また、かかりつけ医から新型コロナ外来の受診につなげる体制の構築や、保健所や地区医師会等の連携によるPCRセンターの設置を促し、検査機会を拡大しているところでございます。
 さらに、東京都健康安全研究センターでは、いち早く検査体制を整備し、検査処理件数を段階的に拡大しております。
 三月以降は、検査が保険適用され、都は自己負担分の費用負担を実施しているところでございまして、民間検査機関の活用が進み、一日三千件を超える処理能力となっております。
 今後も、関係機関が連携しながら、検査体制の充実を推進してまいります。

○岡本委員 窓口、そして検体採取、また検査処理という各過程において、国、都、保健所の各役割が決まっています。
 検査処理に関して、都は、健康安全研究センターの処理能力をふやしてきたということを承知しております。三月六日の保険適用後は、民間参入、民間の検査機関が参入することになりましたが、東京都は、健康安全研究センターの処理能力をふやすことをやりつつ、必ずしも民間の参入に関しては、都だけの努力でふやすことはできないということも理解をしております。
 さて、三月二日の厚生委員会におきまして、医師らが検査を要望しているのに保健所で断られるケースが相次いでいるといった報道がなされているという当時の状況について質問をさせていただきました。
 その際の吉田部長のご答弁で、都は、国が示した検査対象やそれに合致しない場合でも、感染症を強く疑う症例について検査を行えるよう、保健所と申し合わせをしているという旨、ご答弁いただきました。また、二月二十七日付の国の事務連絡についても、保健所に周知しているということでご答弁をいただきました。都は、国以上に特に厳しい縛りなどは設けていないということで理解をいたしました。
 二月二十七日付の事務連絡では、接触歴等の有無が削除されて、単に医師が総合的に判断した結果、疑う場合には行政検査を積極的に行っていただくということもされたということも、そのときに確認をいたしました。
 この国の通知について、ちょっと整理をしたいというふうに思います。(パネルを示す)済みません、字が小さいんですが、大体日付のところを見ていただければと思いますが、国の通知というのは非常に多いので、これは全て網羅しているわけではありませんけれど、重要な部分を私なりにピックアップいたしました。これってカメラに向けた方がいいですか。どうすればいいですか--。わかりました。重ならない方が。
 まず、二月十七日に、厚労省は、一般の方々向けの相談、受診の目安で、ここには、発熱が四日以上続く方、または強いだるさや息苦しさがある方などということを目安として通知しました。これを私なりに評価すると、かなりこれはPCR検査の対象を限定したというふうにいえます。
 次に、二月二十七日の行政検査について、これは一般の方向けではなくて検査する側への通知ですけれど、これは、医師が総合的に判断した場合には、感染症を疑う場合には検査するということで、やや緩和したというふうに評価できると思います。
 他方で、三月一日に、今後患者が増加した場合には、重症者に対する検査に支障が出るおそれがあるというような場合には、重症化防止の観点から、肺炎患者の診断、治療に必要な検査を優先するということで、患者が増加した場合には限定するという通知を出しています。
 その後、四月二日ごろから急速に検査の実施件数や陽性者が急増した、検査を受けられずに重症化や死亡したなどの報道がなされているところであります。
 先ほど別の議員の方からも指摘がありましたけれど、四月二十六日の東京新聞において、五十代の男性の方が検査を受けた後、検査を受けて検査が判明する前に亡くなったという報道がありました。
 その方は、四月三日、まさにこの四月の初めごろですけれど、四月三日に発熱をして、保健所の相談センターに何度も電話をしたけれど、つながらなかった。そして七日に会社からも検査を受けるようにいわれて、また電話がつながらなかった。九日にようやくPCR検査を受けた。十日には、せきがひどくて眠れないということを妻にLINEをした後に応答がなくなって、十一日に亡くなっていたという報道であります。
 また、有名な方で、著名な方で、岡江久美子さん六十三歳、この方が六十三歳で亡くなられたというのは非常に衝撃的なニュースでしたけれど、四月三日に発熱をした。診察を受けた医師から四、五日間、様子を見るようにいわれて、自宅待機をした。五日の夕方には、ご自身でコロナ感染を疑っていた。六日の朝に容体が急変し、都内の大学病院に緊急入院し、ICUで人工呼吸器を装着した。そしてPCR検査で陽性が判明し、二十三日に肺炎で亡くなられたということであります。マスコミの報道等では、もっと早く検査をして、アビガンをすぐに投与していたら別の結果になったんではないかというような報道も見られたところであります。
 このPCR検査を受けるべき方が受けられなかったというところに関しては、問題点として総括をしておく必要があるというふうに考えております。何が問題だったのかというところをここで議論しておきたいと思います。
 まず、検体採取の場所ですけれど、三月の中旬時点では新型コロナ外来が七十七カ所あったということですので、検査の受診場所が必ずしも不足していたというわけではなさそうだというふうに考えられます。
 次に、検査の処理機関、検査を実際に処理する検査機関については、三月六日にPCR検査が保険適用され、三月末ごろから民間の検査が増加しています。
 (パネルを示す)ちょっと小さいんですけど、これは東京都のホームページで出されているものですけど、検査の件数を見てみたところ、四月二日以降、検査の実施件数が倍増しています。また、四月中旬の陽性率が三一%ということで、非常に高い値になっています。四月以降、急激に検査の需要が高まったということがうかがい知れます。
 ちょっとデータや情報が少ないので、必ずしも断定はできないんですけれど、このころの四月の上旬の日々の数字を見ると、健康安全研究センターの検査数や民間の検査数が完全に伸び切ったというふうにも見えなくて、多少増減していることからすると、検査需要が検査処理能力のキャパシティーを超えていたともいえないんではないかというふうに思えます。
 そうすると、じゃあ何が問題だったのかというところなんですが、先ほどの報道にもあるように、そもそも保健所に電話がつながらないといった、保健所の電話回線の体制やマンパワーに問題があったんではないかというふうに考えられます。
 また、先ほどの岡江さんの件に関しては、国がPCR検査を、四日間の発熱というところや、重症化防止の観点から必要な検査を優先するという縛りをかけたことによって、保健所が検査を絞り過ぎたのではないか、目安ということが限定され過ぎていたんではないかということが考えられます。
 この点に関しては、後に改定をされることになります。五月八日に、厚労省は、一般の方々向けの受診の目安を改定して、この四日間の発熱というところを削除しました。
 というところで、この二点に主に問題があったんではないかというふうに考えられます。これは必ずしも都が直接に役割を担っている部分ではないというふうには考えられますけれど、このあたりの課題意識と今後の備えが必要になるんではないかというふうに思います。
 以上を踏まえて、今後の第二波に備えて、さらなる検査体制の強化が必要と考えますが、都はどのように取り組むのか、改めてお伺いします。また、都のロードマップには、最大処理能力一日当たり約一万件を目指す、そして新たな検査機器の導入支援、大学等研究機関の活用とありますので、具体的にどのような方策を講じるのか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は、今後の第二波に備えまして、新型コロナ外来を百カ所、PCRセンターを三十八カ所設置し、都内全域で検体採取の機会を順次拡大してまいります。
 また、民間検査機関や大学病院等に検査機器の導入支援策の活用の働きかけを行うとともに、抗原検査キットなどの新たな検査手法の活用により、検査能力を拡充してまいります。
 これらの取り組みにより、検査を受ける必要がある方が迅速に検査を受けられるよう体制整備を行ってまいります。

○岡本委員 もう一件、報道で明らかになった重要な点を質問したいと思います。
 相撲の勝武士という関取の方が四月四日に、これも四月の初めですね、四月四日に三十八度台の発熱をしたと。相撲の師匠の高田川親方が保健所や複数の病院に連絡をしたけれど、受け入れ先が見つからなかったという報道があります。師匠らが電話をかけ続けたが、つながらなかったということであります。
 この四月の四日というのは土曜日でありまして、保健所の窓口というのは閉まっていると。そうすると、都が開設をしている新型コロナの受診相談窓口の電話番号に電話したんではないか、ちょっとこの辺は報道ではっきりしないのでよくわからないんですけれど、その可能性もあるということでお伺いをしたいと思います。
 都の新型コロナの受診相談窓口については、そもそも検査機関とどのような調整を行っているのかお伺いいたします。

○花本食品医薬品安全担当部長 先生のおっしゃる検査機関というのは新型コロナ外来のことだと思いますけれども、新型コロナ外来と調整を行うのは各保健所でございます。
 都が特別区、八王子市、町田市と合同で設置している新型コロナ受診相談窓口では、症状や患者との接触歴等を聞き取り、感染が疑われる場合に保健所に連絡しておりまして、保健所が新型コロナ外来と調整を行っております。

○岡本委員 この新型コロナ受診相談窓口に関しては、平日の夜間と土日祝日に対応しているということであります。
 今回の補正予算により、いつからどのように体制が強化されるのかお伺いをいたします。また、回線がつながりにくかったという状況があったのかもあわせて伺います。

○花本食品医薬品安全担当部長 都は、いち早く多くの相談に対応するため、五月十七日まで最大五回線であった回線数を、五月十八日から最大十回線に倍増しております。
 回線を倍増する以前は、土曜日の日中など時間帯によっては電話が集中し、全ての回線が通話中になることがありましたが、回線倍増後には、そのような状況はほとんどなくなっており、より多くの相談に対応できる状態となっております。

○岡本委員 ぜひとも第二波に備えて、回線が埋まらないように、また、回線が埋まったら、それを正確に認識をして、状況に応じて臨機に改善できるような仕組みをあらかじめ検討しておいていただきたいと思います。
 PCR検査の今後のあり方について、五月十三日に、十八の県の知事有志が国に緊急提言を行っております。医療従事者らの優先検査の検討を含むPCR検査の検査体制の拡充、医療、介護、障害福祉施設の関係者、医療者の優先検査というものを求めています。
 また、五月二十一日に、五つの県の知事がPCR検査の件数を一日十万から二十万件程度に引き上げるように求めています。
 先ほどの厚労省の通知に戻りたいと思いますが、五月八日に、一般の方々向けの相談、受診の目安を改定し、緩和し、また、五月二十八日、先ほどの別の議員の答弁でもありましたけれど、五月二十八、二十九日には、積極的疫学調査の実施要領を改定して、ここでも拡大をしております。
 これに関しては、先ほどの藤田委員の質問の中でも出てきたところでありますが、この五月二十八、二十九日の拡大においては、濃厚接触者については、速やかに陽性者を発見する観点から、全て検査対象とするということとなりました。
 それ以前の四月二十一日の実施要領においては、濃厚接触者については、発熱または呼吸器症状があらわれた場合を検査対象とするということで、症状の限定があったということです。
 また、四月二十日には、これも重症者に優先順位をつけるというような通知もなされていたところですけど、これが改定されたということです。
 現在、都内においても、感染者数、陽性者数が増加しておりますし、また、北九州市の感染者数も増加しているということなんですが、この積極的な調査によって北九州市の感染者数は増加しているということも報道されています。
 この五月二十九日の通知を踏まえて、都内の検査体制も変化したのか、この点についてお伺いをいたします。また、この通知の意義について伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 これまでも、都内保健所におきましては、国立感染症研究所が示しました新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領に基づきまして調査が行われ、検査対象の定義の変更に対応しております。
 今般の変更に伴いまして、無症状の段階で感染者を発見できることから、感染拡大を一定程度抑えられるものと考えております。
 また、今後、濃厚接触者全員がPCR検査の対象となることから、都といたしましては、検体搬入にかかわる保健所の負担を軽減できるよう、民間検査機関を活用した行政検体検査の実施などにより、保健所の支援を行ってまいります。

○岡本委員 ちょっと私の個人的な見解なんですが、無症状者を検査するということについては、今までと若干質が異なるのではないかというふうに考えております。
 (パネルを示す)このSARSとCOVID-19の違いという、これ自体は、日本感染症学会で発表されたものでありまして、武漢でもそうですし、日本でもこうであろうということがいわれておりますが、「ダイヤモンド・プリンセス」で全数検査してわかったところ、約四割が無症状である。八割が無症状、軽症である。重症、死亡が残りの二割ぐらいということなんですけれど、これまではPCRの検査の対象を症状がある方に絞っていたので、しかも重症化しそうな方に絞っていたので、割と上や中盤の方を検査していたのではないかというふうに思われます。
 今後、積極的疫学調査をすると、むしろこの黄色の部分を調査しているのではないかというふうに考えられます。そうすると、今までは水面下でほとんどカウントされなかった部分をより積極的に数えているということになるので、これまでの陽性者数とこれからの陽性者数というのは、若干意味が違ってくるのではないかなというふうに私なりには解釈をするところです。
 五月二十二日に東京都が発表したロードマップというものは、この検査体制の変化というのは恐らく踏まえていなかったものだと思うので、ロードマップにおける陽性者の解釈についても、総合判断において、若干、その数字だけを見るべきではないんではないかなというふうに思うところであります。
 いずれにせよ、今後、唾液検査や抗原検査--抗原検査については質問を省略しますが、抗体検査の活用、そうしたさまざまな新しい手法も駆使をして積極的に検査をしていただいて、ウイズコロナ、感染防止と経済活動の両立を図っていただきたいというふうに考えます。
 次に、保健所がPCR検査の対象を絞った理由として、先ほど述べた国の通知が影響しているということをいったわけですけれど、もう一つ、そもそも病院が、病床が埋まっているということを保健所の方が危惧をして、このまま検査を続けると、入院を受け入れる病床が上限を超えてしまうので、重症化しそうな方に限定をして検査を受けさせ、軽症者、無症状者のPCR検査については後回しにした、事実上断っていたのではないかという指摘もあります。
 そこで次に、軽症者、無症状者の自宅療養、ホテル療養について伺います。
 厚労省は、三月一日付の対策移行の事務連絡において、今後に備えて準備を進めるようにと、自宅療養を原則とするということも準備をするようにという通知をしていました。
 これを受けて、大阪府は三月十三日に入院フォローアップセンターを設置し、患者を四段階に分けるということが報じられ、これを踏まえて、マスコミ、一部のテレビでは、大阪府の対応を高く評価する一方で、東京都は早急に対策を講じるべきだというような、批判的な報道が見受けられました。
 この当時の状況について、東京都内において、軽症、無症状の陽性者を自宅療養としたのはいつからか、ホテル療養としたのはいつからか、そして、そういう時期になった理由について伺います。

○高橋健康安全部長 本年三月、先生お話しの国の通知によりまして、地域での感染拡大により、入院を要する患者が増大し、重症者や重症化するおそれが高い者に対する入院医療の提供に支障を来すと判断される場合は、軽症者等を自宅療養または宿泊療養とすることが示されたところでございます。
 四月二日、国から、軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養についての必要な準備事項等が示されたため、重症者等の病床を確保することを目的に、四月七日から宿泊療養を開始いたしました。
 なお、自宅療養につきましては、自宅からの宿泊療養の体制整備とともに、感染の状況などを踏まえ、四月十七日から開始をいたしました。
 さらに、四月二十三日からは、入院の必要がない軽症者等については宿泊療養を原則として対応しておるというところでございます。

○岡本委員 ありがとうございます。この点に関しては、三月十八日の厚生委員会において、我が会派の菅原議員からも質問していたところであります。
 三月一日に、国は準備するようにという方向性を示していたわけですが、具体的な通知が四月二日になったというのは、国の対応がやや遅きに失したのではないかというところを私は感じるところであります。もっと早くに具体的な通知を出していただきたかったというふうに思います。
 都としては、実際のホテル療養の開始は四月七日ということでありまして、通知の二日から、わずか五日後でありますし、大阪よりも早かったということでして、報道とは逆で、むしろ都の対応というのは評価をされるべきだというふうに考えております。これについては、報道がミスリードであったのではないかというふうに感じるところであります。
 さて、次に、宿泊療養の予算について伺います。
 この予算は、二回に分けて、合計すると百七十三億円ということでありますが、この百七十三億円という予算を、二〇二〇年五月二十六日の現代ビジネスというネットの記事が批判的に論じています。これについて、何が正しいのかということを明らかにする観点で質問をさせていただきます。
 まず、この宿泊療養の百七十三億円の予算の内訳について伺います。

○高橋健康安全部長 宿泊療養活用事業の予算についてでございますが、四月七日の専決処分で六十五億円、四月二十二日の臨時会での補正予算百八億円の合計約百七十三億円となってございます。
 その主な内訳といたしましては、予算上三千人分といたしまして、ホテルの借り上げが約五十六億円、食事代が約六億円、民間救急車経費が七十億円、消毒経費が三十五億円、医師、看護師派遣経費約二億円、その他経費約四億円となってございます。

○岡本委員 予算では三千人分ということで、約六千室ということで、この金額であるということであります。
 他方、この現代ビジネスの記事は、実際に借り上げた二千八百室を根拠にして、ですので六千室に比べると約半分の部屋数で、単純にこの予算額を割っていると。それで、一人当たりで二十万円だというような計算をして、小池知事が大盤振る舞いであるかのように報じているところでありますが、そもそも数字がもう全く、倍以上違う。
 実際に借り上げた部屋数を基準にするのであれば、この予算も、実績に基づけば半分以下で計算しなきゃいけないはずですけれど、もとどおりの人数で、ただ、部屋数に関しては半分で計算しているので、単価が高くなるのは当たり前で、明らかな間違いだというふうにいえます。
 ほかにもたくさん間違いがあるんですけれど、実際の期間も、単純に六十日という二カ月の期間で計算していますが、これも都の場合は八十五日や七十日で、もっと長い期間でありますし、この点でも間違いであるということがいえます。
 また、ほかにも、ホテルに支払う宿泊費以外にも、先ほどご答弁いただきましたように他の経費がかかっております。その中で比較的--失礼、それについては、次、また後の質問ですね。
 次、そもそもの使用料について伺いたいと思いますけれど、実際の建物使用料は幾らだったのかというところをお伺いしたいと思います。
 きょう、資料提出された要求資料を見ると、建物の使用料は約二十三億円ということで、五十六億円とは差があります。これについて、都はどのような工夫をしたのか伺います。

○高橋健康安全部長 予算の積算では、四月から六月末までの期間で、一部屋当たり一万二千円として、約六千部屋分を借り上げるよう、約五十六億円を計上してございます。
 実際に確保した五つのホテルは、新規の陽性者数の発生がおさまりつつあったということもありまして、約三千部屋と予算で想定した規模の約半分となってございます。
 ホテルの契約に当たりましては、医療体制の確保を図るため、軽症な陽性患者に利用していただくという趣旨をご理解いただけるよう調整し、また、公募によって広く宿泊施設の確保を図ってございます。

○岡本委員 ちょっと先取りしていってしまいましたけれど、そもそも部屋数、あと人数が倍以上違う。また、日数が違う。また、都の努力によって、予算よりも実際には低い金額で契約をしているということであります。
 例えばですが、きょうの資料の中で、五番目ですと、一日当たりの部屋、これ単純に計算すると六千五十円となっておりまして、予算に比べると約半額で契約をしているということです。
 このように、この記事には、非常に誤った印象を与えるような、間違った内容があるというふうに--それから、単にホテルに支払う金額だけではなくて、ほかの経費も当然かかるわけでありまして、その経費の中で比較的割合が高いものとしては、民間救急車七十億円というものがあります。これについて、都はどのような工夫をしているのか伺います。

○高橋健康安全部長 入院している病院から宿泊施設であるホテルに移送するには、転院や入退院、通院などの緊急性がない場合に搬送を行う民間救急を活用しております。
 民間救急の予算の積算では、患者一人が一台に乗車する計算でございましたが、実際の運用では、患者複数人が一台に乗れるように調整しております。
 また、本田技研工業株式会社から無償貸与を受けた車両を活用し、自宅から宿泊施設に患者を移送するなどを行っております。

○岡本委員 予算の段階では、非常にこの民間救急車の経費というものが大きく計上されていたけれど、実際にはそこまではかからないということだというふうに理解いたしました。
 先ほどの記事は非常に問題があるんですけど、そこに某都議会議員がコメントをしている。超高級外資系ホテルのスイートに泊まれる額ですね、ただただ予算を浪費したといわざるを得ない、このようなコメントを都議会議員がしているというところも非常に問題だというふうに思います。
 これに関して次の質問ですけど、この現代ビジネスから都への取材はあったのでしょうか、伺います。

○高橋健康安全部長 そのような取材は受けておりません。

○岡本委員 取材もせずに、事実をきちんと精査せずに、このような、都民に非常にミスリード、誤解を与えるような記事を書き、そして都議会議員もそれにコメントをするというのは、非常に問題があるというふうに考えます。
 特に都議会議員は、都民にきちんと都政を知らせるという、責任ある立場だというふうに考えます。このような、都民に誤解を与える発信は厳に慎むべきだということを申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、医療体制に話を戻したいと思います。
 病床使用率について、検討を深めたいというふうに思います。
 五月十一日の共同通信では、東京で病床逼迫、ベッドの使用率が東京で九二%という報道がなされました。
 また、NHKの記事によれば、四月二十七日時点で、東京都は新型コロナに対応するベッド数が二千床に対して、入院が必要な人が二千六百十九人で一三一%。ただし、注があって、自宅療養者を含むという注記がなされています。
 また、四月二十一日時点では一二七%、四月十三日時点で九七%といった非常に高い数字が示されているんですが、ただ、注には自宅療養者を含むという、矛盾した内容が注に入っている。
 そしてまた、週刊新潮の五月二十一日号は、千六百床に対して千八百三十二人という数字が、退院者が引き算できていない未調整のものだという都の回答を報じています。このように、病床の使用率をめぐっては、報道が錯綜しているという印象を受けました。
 これに関して、まず、そもそもの前提としてお伺いしますが、陽性者を入院とするのか、宿泊療養とするのか、自宅療養とするのかの判断は、誰がどのように行うのか。また、病院が受け入れ可能かどうかの確認や入院先の決定は、都が行うのか各保健所が行うのか、まず役割についてお伺いいたします。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 新型コロナの陽性が判明した場合、主治医が医学的に入院の要否を判断し、療養先の決定は保健所が行うのが原則となります。
 都は、入院調整を迅速かつ円滑に行うため、患者や空床等の情報を一元的に管理し、各保健所から要請があった者を対象に、医師の助言を得ながら、保健所や病院と連携し、この入院調整を実施しております。

○岡本委員 その上で、入院患者数、自宅療養者数、退院者数の把握及び発表について、当初、正確な件数を把握できていなかったということ、その理由と、それにどのような方法を講じたのかということを質問しようというふうに考えていたんですけど、先ほどの小松議員の質問と重複いたしますので、この点は省略をさせていただきます。
 結論としては、国のデータベースでは情報項目にきちんとした仕組みがない部分があって、課題があり、都は四月三十日から、一元管理する患者情報管理センターを立ち上げて、五月十二日以降は正確に把握ができたということでありました。
 先ほどのとおり、病床使用率についてはちょっと正確な数字が、五月十二日以前の数字が必ずしもはっきりわからないので、どうだったのかというところを実情としてお伺いをしたいんですけれど、実際に病床の逼迫、具体的にいうと、重症者や軽症、中等症の陽性者が、病院に入院すべきなのに入院できないという事態や、そうした懸念が生じる事態はあったのかなかったのか、あったとすれば時期はいつごろなのかということをお伺いします。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 三月下旬から新規陽性患者数が増加し、四月に入ってからは入院調整に時間を要する時期がありましたが、重症度を踏まえ、入院を要する患者については確実に入院調整を実施し、治療につなげてまいりました。

○岡本委員 入院の調整に時間を要する時期が四月の中旬にあったということでありますので、やはり先ほどの国の通知がやや遅きに失したのではないかと、軽症者がたくさん病床を埋めていたという--無症状、軽症者が病床を埋めていたのではないかということが考えられます。ただ、この点は改善されたということですので、今後の第二波においては、その点は随分と違ってくるだろうというふうに考えられます。
 次に、病院に関して、コロナの患者を受け入れた病院は、空きベッドの確保や感染防止の措置や、また、外来患者、入院患者の減少などによって大幅な赤字が生じているということで報道されています。病院の経営を維持できるよう支援する必要があります。
 そうした支援をする上で、都は、病院の経営の実情をどのように把握していくのか、また、病院を支援するためにどのような方策を講じるのか、国に対してどのような措置を求めるのか、改めてお伺いいたします。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 医療機関に対し、新型コロナウイルス感染症対策にかかわる医療提供体制を強化することを目的に、病床確保や重症患者等の受け入れに必要な経費を支援しています。
 現在、各医療機関に意向調査を行っており、その中で医療機関の状況を把握しているところであります。
 また、国に対し、医療提供体制が確実に維持されるよう、医療機関に対する支援を行うことを要望しています。

○岡本委員 六月二日の我が会派の荒木ちはる議員の代表質問におきましても、病院経営を維持できるよう、あらゆる手段を講じていただきたいということで要望しております。ぜひとも力強い支援をお願いいたします。
 また、支援をしても、まだまだ足りないということが病院からいわれておりますので、こうした病院の声を、きちんと病院の声を拾っていく、しっかりと集約していく。そして、都で対策を講じる。また、国にその要望を都からもしっかりと届けていくということを引き続きよろしくお願い申し上げます。
 次に、コロナ陽性者の受け入れ先の病院確保についてお伺いしましたけれど、また、別の疾病や負傷で救急搬送された患者の方が、発熱や呼吸が苦しいなどの新型コロナの疑いの症状で、救急の受け入れを拒否されるといった事態も報道されております。
 東京都の救急災害医療課によると、救急搬送する際に、五カ所以上の病院に断られたり、受け入れ先が二十分以上決まらなかったりしたケースが、三月に前年同期比二百三十一件増の九百三十一件に上った、四月は十一日時点で八百三十件に達したという報道もなされています。
 このように、別の病気やけがで救急搬送された患者のコロナ感染症疑いがある場合に、病院での受け入れをどのように都として取り組んでいくのか伺います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 公立、公的医療機関等に対し、発熱等の新型コロナウイルス感染症の疑い患者の受け入れについて、病床を各病院一床以上確保するよう要請しています。また、疑い患者を受け入れた病院には謝金を支払うことで支援をしております。
 今後、感染疑いのある救急患者を円滑、迅速に受け入れるための新たな体制についても検討を進め、第二波に備えた医療体制の整備に万全を期してまいります。

○岡本委員 ぜひよろしくお願いします。また、まず一時的に搬送する場所を決めておく。そして、そこからPCR検査や抗原検査を行った上で搬送先の病院を仕分けるといった新しい体制についても検討していただきたいというふうに要望をいたします。
 次に、都が発表したロードマップの病床確保のレベル設定というのは、どういう意味なのかお伺いいたします。そして、これまでの見直しを行ったという、その理由についても伺います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 都は、第二波に備え、感染拡大の状況に応じた病床確保とともに、患者の重症度や特性に応じて確実に受け入れる体制整備を図ることとし、これまでは五段階で病床確保を行ってきましたが、早期に病床を確保できるよう、三段階に見直しを行いました。
 患者動向や医療体制などの指標を参考に、専門家等の意見を踏まえながら、患者動向に応じ、各医療機関に割り当てた病床の確保を要請してまいります。

○岡本委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、新型コロナウイルスの対策を行う医療機関向けの支援の中で、東京都独自の制度はどの事業なのかお伺いいたします。また、当初、東京都独自の事業として開始され、後に国の制度となったものについてもあわせてお伺いいたします。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 医療機関向け支援の中で、都単独の事業は四つあり、一つ目として、民間医療機関における患者受け入れ。これは、新型コロナウイルス感染症患者や感染の疑いのある患者の一時受け入れを行う医療機関に対する受け入れ謝金となります。
 二つ目は、医療従事者に対する特殊勤務手当の支援。
 三つ目は、入院医療体制の確保支援。これは、集中治療室等で働く医療従事者の確保支援となります。
 四つ目は、診療体制の確保支援。これは、新型コロナ外来、地域外来・検査センターの運営費となります。
 なお、医療従事者への宿泊先確保支援事業は、当初、都単独事業でありましたが、現在は国の補助事業として整理されております。

○岡本委員 ぜひ国をリードして、都で医療機関の支援を引き続きお願いいたします。
 また、先ほどご答弁いただきました医療従事者の宿泊先確保支援事業は、私も早い段階から、医療関係者の方からご要望をいただいて、これをお願いしていたところでありますけれど、早急に都が制度化していただいたということに改めて感謝を申し上げます。
 次に、喫煙について伺います。
 三月十八日の厚生委員会で、喫煙歴と新型コロナウイルスの肺炎重症化との関連性について論じました。引き続き、科学的な知見の集積を注意深く見る必要があります。
 また、その際に、喫煙室における新型コロナウイルスの感染クラスターのおそれについても述べました。
 その後、実際に福井市で喫煙所での感染が起きたという報道があります。同じ会社の同僚が喫煙室内で会話した際に感染をしたということが、四月上旬に報道されています。喫煙室は三密になりやすい。密閉、密集、密接ということが考えられますし、さらに、マスクを外す、顔や口の周りを手でさわるなど、感染の可能性が一層高まります。
 都が、四月十六日付で各区市町村宛てに事務連絡を発出して、その中で、喫煙所における三つの密の状態を防止するための張り紙の掲示、民間企業等への注意喚起、また、公衆喫煙所等の一時的な閉鎖などを依頼したということ、こうした通知を出したということを高く評価をしたいというふうに思います。
 そして、今後についてですが、緊急事態宣言の解除後においても、また、新しい日常においても、こうした要請を引き続き継続していく必要があるというふうに考えますが、見解を伺います。

○成田保健政策部長 限られたスペースで複数の方が利用する喫煙所では、三つの密の状態が生じる可能性がございます。
 都は、区市町村に対しまして、喫煙所における三つの密を避けるための取り組みを依頼するとともに、ホームページやSNSにより、都民や事業者に対する普及啓発を実施しております。
 また、新型コロナウイルス感染予防対策を行う際の基本的な取り組みを整理いたしました事業者向け東京都感染拡大防止ガイドラインでは、各業種に共通する感染拡大防止の取り組み例として、喫煙所における対策を明記しております。
 引き続き、区市町村や事業所と連携しながら、喫煙所における新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための取り組みを推進してまいります。

○岡本委員 ありがとうございます。
 まとめに入りたいと思います。今後、新型コロナウイルスの感染の第二波への対応を検討するために、これまでの総括を私なりに述べたいというふうに思います。
 まず、海外との比較。アメリカでは、日本の百倍以上の感染者、百倍以上の死者が出ております。
 日本と海外とのこうした差については、何が理由かというところは、いまだ議論されているところですけれど、生活様式や衛生状態のよさがいわれていたり、また、結核を予防するBCGによる訓練された免疫という概念も仮説としていわれています。また、白血球の血液型、そうしたものもいわれているところであります。
 さまざまな仮説が考えられているところですけれど、結果として、日本は非常に運もよかったということがいえると思います。
 まず、死者の数についてですけど、先ほどもご答弁いただきましたが、死者の年代は公表されていますが、年齢までは公表されていないというふうに思います。死者の平均年齢、また、年代ごとの死亡の傾向について伺います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 現在、日々の報道発表の中で、新型コロナウイルス感染症に関連した患者の死亡について、各患者の年代を公表しており、令和二年五月二十八日時点において、死亡された方は二百九十九人で、平均年齢は七十九・七歳となっています。
 年代別に見ますと、八十代、七十代、九十代の順に多く、全体の約八〇%を占めています。一方、四十代以下の若い世代における死亡は全体の約一%と、非常に低い割合となっています。

○岡本委員 それをグラフ化したのが、これは東洋経済の数値ですけど、非常に八十代、七十代、六十代以上では高い致死率を示す。他方で、若年者には死亡例や重症例が非常に少ない。これが、非常に怖いと思う世代とそうでもないというふうに考えてしまう世代と、世代間によって差があるというところが、このコロナウイルスの対策の難しさだというふうに思います。
 これまで、二月二十七日の安倍首相の学校の休校要請、小池知事による三月二十三日のオーバーシュート、ロックダウンの発言、また、二十五日の感染爆発重大局面といった注意喚起、それから四月七日の緊急事態宣言、そして五月七日から二十五日までの延長、こうしたさまざまな対応について、それぞれどう評価するかということは、専門家によってもかなり意見が分かれているというところだと思います。
 こうしたさまざまな意見に関して、何が正しいかということを結論づけるのは非常に難しいですけれど、複数の意見をしっかりと検証し、整理をしておく。そして、今後の対応につなげていくということが非常に重要だというふうに思いますので、ぜひそうした専門家の意見の検討ということを福祉保健局としてもやっていただきたい。総務局でもやると思いますが、医学的、科学的な観点から、福祉保健局も、ぜひそうした対応をお願いしたいというふうに思います。
 今後の対応に関してですけれど、もう一つお伺いしておきたいのが、クラスターが起きた場合の施設の施設名、例えば病院名や高齢者施設名、あるいは店名を公表するか否かについて基準があるのか否か。また、夜のまちといわれますけれど、都の要請に従わずにクラスターが発生したような場合には、店名公表も一つの選択肢として検討すべきではないかということについて伺います。

○杉下新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 感染症の発生に関しては、個人情報等に配慮し、一定の基準に基づいた情報を発信していくことが重要であることから、国は、一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表に係る基本指針を示し、新型コロナウイルス感染症も、これを参考にしつつ、適切な情報公開に努めるよう都道府県等に通知をしております。
 この中では、感染拡大のリスクが生じ、不特定多数の者に迅速な注意喚起が必要な場合に限定して患者の行動歴等について公表することとしており、行動歴にかかわる店舗名等についても同様の扱いとしています。
 ただし、クラスターが生じた施設名の公表により、協力が得にくくなることで保健所の調査が困難になるといったリスクもあることから、慎重な検討が必要です。
 引き続き、統一的な公表基準等を国に要望するとともに、都としても、第二波に備え、区市町村が公表する際の参考になるよう、公表内容について整理してまいります。

○岡本委員 ありがとうございます。
 確かに、公表することによって、かえって調査が難しくなるといった難しい側面もあると思います。なかなか一律の基準というのも難しい。その時々の臨機応変の対応や判断も必要になるのではないかというふうに思いますので、引き続きご検討をお願いいたします。
 そろそろ時間ですね。いろいろとまだ述べたいことはあるんですが、緊急事態宣言に関しては、遅過ぎたという世論の意見がありますが、他方で、これは不要、もう既に知事のロックダウンの発言で十分に危機感が伝わっていて、緊急事態宣言までは必要ではなかったのではないかという、そういうような意見もあります。そうしたところも、引き続き検討をお願いしたいと思います。
 最後に、これまでの新型コロナウイルスの感染症対策の取り組みについて、局長の所感を伺うとともに、また、第二波に備えた対策の決意をお伺いいたします。

○内藤福祉保健局長 この間の取り組みの所感ということで、私として感じたことをご質問されたのかなということと、今後に向けた決意ということで、自分の思うことを述べさせていただければと思っております。
 この間、この新型コロナウイルス感染症につきましては、海外由来、輸入感染症として、その実態、実像がなかなかわからない中での取り組みとなりました。
 日本におきましては、まさに感染症対策の肝となる厚生労働省から一定のスキームが示され、それは、この間、各部長たちからもご説明させていただきましたが、まず受診の相談窓口をつくる、検査体制をつくっていく、それから検査の機能を強化していく、それで医療機関につなげていく。こういうスキームがある中で、その都度都度の中で、確かに、先生のご指摘があったように、国の方の通知も若干おくれたところもあったのかもしれません。
 また、私どもとして、その対応をとるに当たって、例えばコールセンターなり、受診相談窓口の設置、また、その規模感が当初から適正だったかどうなのか、また、検査体制、これにつきましても、PCR検査そのものは、当初は、私どもの健安センターでも一日三十件の処理能力しかございませんでした。
 それは、ある意味では、こういった事態を想定していなかったといわれれば、そうかもしれません。ただ、現実、地方衛生検査所の、東京都の健安センターはその一番肝になるところでございますが、そこですら三十件ということは、他の道府県におきましてはそれ以下の状況だったと。そういう状況下で、この対応が始まったと思っております。
 また、保健所におきましても、常日ごろ、感染症対策につきまして、それぞれ頑張っていただいております。この新型コロナウイルスにつきましても、それぞれの保健所、現場職員は相当頑張ってくれたと思っています。
 国にしましても、私ども東京都の各現場にいたしましても、保健所にいたしましても、その都度都度では、目の前のことに対しては最大限尽力し、それこそ寝る間も惜しんで対応してきたものと思っています。
 この間、五千人を超える感染者、陽性者がこの東京のエリアで発生いたしました。これを受けて、この間やってきたことをそれぞれについてもう一回振り返ってみると、やってきた方向性自体は決して間違っていたと思っていません。
 あとは、その都度都度の規模なり状況に応じた対応をどれぐらいとれるか。それをどれくらい、国、特別区、保健所設置市の保健所、そして我々が連携して取り組めるのかが多分問われているのかなと。
 その結果、今どうなっているかといいますと、おかげさまで、例えば検査の部分、肝だといわれておりますが、検査の機会拡大という意味では、新型コロナ外来の部分も、当初七十幾つから八十幾つとなり、また、百カ所まで広げていく。また、医師会の先生方との協力のもとで、これは非常に早い段階から、非常に短い時間で今整備が進んでおりますが、PCRセンター、これにつきましても、都内全域へのカバーに向けて対応を進めております。
 また、ベッドのお話が出ました。これにつきましても、改めて三段階方式をとることによって--ベッドの確保ではいろんなことでいわれるんですけど、例えば千床確保しました、二千床確保しましたといわれますが、千床あけて待っているわけにはいかないんです。二千床あけて待っているわけにいかないんです。それと、千床、二千床のベッドをあけるということは、それぞれ人の手配も行わなきゃいけない。
 これを通常診療もやりながら各医療機関にお願いするということは、まさにその都度都度、連携をとりながらやっていく。ただ、おかげさまで、東京都はこの第一波に向けて三千三百床までの確保要請を行い、それを医療機関が受けていただきました。今も、一回、患者数は減ってきております。今、レベルワンといわれる段階にはありますけれども、今後に向けて、先々を見据えて、その対応はしていきたい。
 受診の、まず窓口の話、それから新コロ外来なりPCRセンターで検査につなげていくお話、それを処理する検査能力の拡充、また、陽性者が出た場合の医療機関へのつなぎ、ベッドの確保、これら全てが、それぞれかかわる関係者の連携のもとに成り立つのかなと。
 そこのところをきちんと連携しつつ、また、それを都民の皆様、ここにいらっしゃる都議会の先生方皆様方に対して、きちんと説明し、発信していく。ここの部分を、目の前のことで忙殺された感がありましたが、ここを改めてきちんとやっていきたいと。
 そういう、この間の感じたことと、そこが多分これからやらなきゃいけない部分なのかなと、このように感じております。よろしくどうぞお願いいたします。

○小林委員 私からは、まず初めに、妊婦への支援についてお伺いします。
 妊婦への育児パッケージ配布についてですが、タクシー料金としても使える妊婦への育児パッケージの提供については、先行して独自に実施している数区を除いて、現在に至っても育児パッケージを入手できない妊婦の方がいらっしゃいます。
 妊婦さんにとって、身体的にも、新型コロナウイルス感染症への感染リスクの上でも、タクシーの利用を望む声も多く、区市町村と連携を強化して、具体的な配布を急ぐべきであると思います。
 その際、妊婦が窓口に赴かずに育児パッケージを入手できることが望ましく、都として適切に区市町村の配布体制を導いていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。

○武田少子社会対策部長 都は、育児パッケージの配布を通じて妊婦の状況を把握する区市町村を支援しており、今般、妊婦の新型コロナウイルスの感染防止等の観点から、タクシーの移動に使えるチケットなどを追加で配布できることといたしました。
 実施主体である区市町村が追加の育児パッケージを速やかに配布できるよう、先般の臨時会での補正予算確定後、直ちに実施要綱案等を周知したほか、未実施の自治体に対して、事業拡充の趣旨を丁寧に説明するとともに、他の自治体の取り組み事例を紹介するなど、個別に働きかけを行っております。
 また、妊婦の方への負担を考慮して、窓口のほか、郵送での配布も可能であることを改めて周知するなど、区市町村と連携して取り組んでまいります。

○小林委員 区市町村と緊密に連携をとって、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、衛生資材の支援についてお伺いをいたします。
 マスクや消毒液などの衛生資材の調達、供給は、新型コロナウイルス対策の最重要課題の一つといえます。
 医療機関、介護事業所等を初め、各家庭にまで十分に行き渡ることが必要ですが、一時期は、品不足でかなりの混乱や戸惑いが生じました。現段階では、徐々に市場にも出回るようになり、また、多くの真心の寄附などもありましたが、先般、我が党の議員が、障害者施設関係者とオンラインで意見交換をした際に、事業所を休めない中での衛生管理用品の調達の課題が、改めて指摘をされたとのことでありました。
 そこで、障害者施設や事業所等への衛生資材の支援について、都としての取り組みについて改めて確認をいたします。

○藤井障害者施策推進部長 都は、障害者支援施設や障害福祉サービス事業所等に対しまして、マスクを三月下旬に三十万枚提供し、また、五月下旬以降、八百八十万枚を順次提供しております。
 また、国の優先供給の仕組みを活用しまして、手指の消毒用エタノールの購入を希望する事業所等を支援しております。
 今後、新型コロナウイルス対策に必要な衛生用品等の確保を支援する国事業を活用し、事業所等がマスクやガウン等の衛生用品を購入した場合の経費への補助について検討してまいります。

○小林委員 今のご答弁にもありましたが、国の事業を活用した経費補助を今後実施する方向とのことですので、現場のニーズを的確に把握しながら、事業者の皆さんが不安なく事業を推進していける取り組みをお願いしたいと思います。
 一方、私のもとに、重度障害の娘さんを一人で介護されているお母様からご相談をいただきました。娘さんは気管切開をしていて、日常的に精製水、消毒用アルコール、介護用手袋などが必要ですが、思うように手に入らないとのことで、大変お困りの声をいただきました。施設への支援ももちろん大切でありますが、こうした真に必要とする家庭に支援が行き渡る取り組みも着実に進めていかなければなりません。
 重度障害児者の家庭への衛生資材の支援について、都の取り組みをお伺いいたします。

○藤井障害者施策推進部長 都は、新型コロナウイルス感染症の発生後、消毒薬等の衛生資材の安定的な流通や、在宅でケアに当たっているご家族や支援者などへの供給につきまして、国に緊急要望を行ってまいりました。
 また、たんの吸引などの処置のたびに手指等の消毒を行う必要がある医療的ケア児のいる家庭に対し、国が保有する在庫や事業者から調達した手指消毒薬を本年三月に配布いたしました。
 さらに、人工呼吸器を使用している等、特に手指消毒用エタノールを必要とする在宅の重症心身障害児者等に対しまして、都に寄贈された高濃度エタノールを訪問看護ステーション等の協力を得て配布する予定でございます。
 先般、閣議決定されました国の第二次補正予算案では、国がアルコール綿等を一括して買い上げ、在宅の医療的ケア児者が優先的に確保できるスキームを構築することとしておりまして、都は、こうした仕組みも活用して、在宅の重度障害児者及びそのご家族を支援してまいります。

○小林委員 私にご相談のあったお母様は、特に精製水がないというふうにおっしゃっておりました。私もドラッグストアを何軒も見て回りましたが、どこも精製水は品切れで、いまだに不足している状況があるようです。
 ある新聞記事には、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、人工呼吸器の稼働に必要な精製水が各地の薬局で買い占められ、品薄状態となる事態になっている、精製水を材料にアルコール消毒液をつくる方法がインターネット上で広まったことが原因と見られ、在宅で人工呼吸器を使う難病患者から戸惑いの声が上がっているとの報道もなされておりました。
 衛生資材の支援の中で、精製水は見過ごされている感もありますので、今後の支援においては、ぜひとも重度障害者や難病患者の中で精製水を必要としている方もいることを念頭に置き、支援策に反映していただければと思います。
 施設や事業者、また、ご家庭を含め、衛生資材を真に必要としている方々に行き渡る取り組みを、引き続きご尽力をいただきたいというふうに思います。
 次に、新型コロナウイルスに関する抗体測定研究の推進についてお伺いします。
 新型コロナウイルスに関する検査には、現在、PCR検査、抗原検査、抗体検査がありますが、一般の都民からすると、それぞれの特徴がわかりにくいと思います。
 新型コロナウイルスに感染したが、症状もなく自然に治ってしまったという方もいますので、感染したことがあるかどうかを調べるのが、今回実施される抗体検査であると認識をしております。
 国では、東京都、大阪府、宮城県を指定して抗体検査を実施しており、都内は、私の地元練馬区のほか、板橋区、豊島区からそれぞれ千人程度の対象者を抽出して検査が実施されています。
 今回、補正予算案の中に抗体測定研究を推進する予算が盛り込まれておりますが、東京都医学総合研究所において抗体検査研究に取り組む意義についてお伺いをいたします。

○遠藤事業推進担当部長 東京都医学総合研究所は、東京大学先端科学技術研究センターや東京大学医学部附属病院など七つの研究所、大学病院が共同して行います、新型コロナウイルスに関する抗体の大量測定プロジェクトに参画をしております。
 このプロジェクトの目的は、新型コロナウイルスの診断と重症度判定における抗体検査の有用性を明らかにすることと、感染拡大状況を疫学的に調査をすることでございます。

○小林委員 今ご答弁もいただきました中で、大量測定プロジェクトに参加をしているということでございますけれども、このプロジェクトにおける都の実施内容についてお伺いいたします。

○遠藤事業推進担当部長 今回の研究では、都立病院、公社病院と連携しながら、多摩地域及び二十三区を二つのブロックに分けまして、三つの地域から、それぞれ月千例、合計三千例の検体を確保する予定でございます。
 具体的には、都立病院、公社病院の入院及び外来患者のうち、血液検査を行う方から検体の提供を受けまして、東京都医学総合研究所において、今月から抗体検査を開始いたします。

○小林委員 今後の新型コロナウイルス対策を進めていく上で大事な調査になると思いますが、研究成果についても都民にわかりやすく提供いただくとともに、今後の対策に資する調査を着実に推進していただきたいと思います。
 次に、オンライン診療についてお伺いいたします。
 オンライン診療については、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、国は四月十日付の通知により、時限的、特例的な対応として、初診から診断や処方を可能とすることとしました。
 まず、現在オンライン診療を実施している都内の医療機関の数をお伺いいたします。

○田中医療改革推進担当部長 電話を含めたオンライン診療を実施している医療機関は、都が最初に把握をした四月二十四日時点では千五十九軒でございましたが、六月五日現在では千九百十五軒となっており、大幅に増加をしております。
 そのうち、初診から実施している医療機関は、四月二十四日時点で五百十七軒、六月五日現在では九百四十軒でございます。

○小林委員 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、都内の多くの医療機関がオンライン診療に取り組み始めていることがうかがえますが、都は、令和二年度四月補正予算において、オンライン診療を推進するため、情報通信機器等の初期導入経費の補助事業が盛り込まれましたけれども、このような都の取り組みも、オンライン診療を行う医療機関がふえている一因となっていると考えられます。
 そこで、この補助事業について、今後の具体的な進め方についてお伺いをいたします。

○田中医療改革推進担当部長 都は、オンライン診療に取り組む医療機関を支援するため、パソコン等の情報通信機器の初期導入経費の補助事業を、四月に都独自の取り組みとして創設しました。医療機関から、六月三日消印までの申請を受け付けているところでございます。
 今後、国は、オンライン診療の実用性や実効性を検証することとしており、その結果や医療機関の取り組み状況も踏まえ、東京都医師会などと情報交換をしながら、オンライン診療に取り組む医療機関を支援してまいります。

○小林委員 オンライン診療を推進していくに当たって、まずは、医療機関に対して支援をしていくことは重要ですが、一方で、利用する患者さんがオンライン診療というものを理解し、活用していく取り組みも、あわせて行っていく必要があると考えます。
 都議会公明党には、オンライン診療ということを聞くが、どうすればいいのか、自分たちにもできるのかといった、利用を希望する方からの相談もいただいているところであります。
 オンライン診療を利用しやすくなるよう、都としても、利用する都民に向けて、普及啓発の取り組みを進めていくべきと考えます。
 そこで、オンライン診療に関する都民への情報提供の取り組みについてお伺いをいたします。

○田中医療改革推進担当部長 都は、オンライン診療を受ける手順などを記載した国のリーフレット、ホームページ等を通じて、都民に対して周知をしております。
 また、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」を通じて、オンライン診療を実施している医療機関の情報を広く提供しております。
 医療機関に対しては、オンライン診療に関する情報の院内への掲示やホームページへの掲載等について働きかけてまいります。

○小林委員 先ほどご答弁にもありましたが、今後、国がオンライン診療の実用性や実効性を検証していくとのことですが、検証結果を踏まえつつ、都としても精査をしながら、医療機関への支援、利用者への普及啓発を今後も進めていただきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルスに伴う入院患者数の公表に関してお伺いしようと思っておりましたが、先ほど、小松理事の質疑の中でご答弁もありましたので、質問は割愛をさせていただきますが、意見だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 先日、インターネットのニュース記事を見た地域の方より、お問い合わせがありました。新型コロナウイルスに伴う入院患者数についての記事ですが、その記事には、おおむね次のように記されておりました。
 東京都の四月二十七日発表の入院患者数は二千六百六十八人だったが、五月十六日、厚生労働省が公表した資料では一千八百三十二人となっていたとし、東京都は入院患者を誇張して発表していた疑いがある、また、緊急事態宣言の延長が議論されていた四月下旬から五月上旬までの間、東京都は正確な入院患者数を発表していなかった可能性が極めて高い、このような記事でありました。
 私に問い合わせをいただいたこの方は、この記事を読まれて、東京都はごまかしているのではないかとの疑念を持たれておりました。
 その原因、そしてまた、その後の対応については、先ほど、小松理事の方からの質疑の中で答弁があったところでございますが、正確な情報収集という点において課題があったかとは思いますが、一旦このような記事が掲載されると正確な事実関係が置き去りにされ、疑念だけが残ってしまいかねませんので、ぜひとも、今後とも不安を払拭する、また、信頼をしてもらえるような対応をお願いしたいと思います。
 最後に、ひとり親家庭支援への質疑でございますけれども、これも先ほど木下理事の方から質疑がございましたので、質問を割愛させていただいて、意見だけ申し上げさせていただきます。
 今、マスコミ等でも、ひとり親家庭の窮状を訴える報道が散見されています。私の地元練馬区でひとり親福祉連合会の会長をされている男性の方も、こうしたマスコミの取材を受けておりますが、この会長は、娘さんと二人暮らしの中、自分の車で各家庭に食材を届ける取り組みもされております。
 この会長が、インタビュー記事の中で次のようにおっしゃっていました。ひとり親世帯では、がんを患っているお母さんや子供に障害がある人もいますが、そうした人に対する公的なサポートは少ないですし、ほかにも、きょうとかあすの食事をどうするのかという問題に直面している家庭もあります。難しい状況やつらい状況に置かれているひとり親はたくさんいるわけで、少しでも力になりたいと思って活動しています。ですが、本当はそうした人に対して、もっと社会が手を差し伸べてほしいなと思いますね。このようにいわれておりました。
 特に、このコロナの状況下で、ひとり親世帯が大変な苦境下にあります。今回、都として取り組む支援事業は、何よりスピードが求められております。
 迅速に事業を実施していただくようお願いするとともに、先ほどの木下理事の質疑の答弁ですと、提供される生活必需品は二十点程度とのことですが、各家庭でニーズはさまざまあるかと思いますので、できる限り品目をふやすなど、より必要な支援が行き届き、喜ばれる支援となるよう要望いたしまして、質問を終わります。

○斉藤(や)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時五十七分休憩

   午後六時十四分開議

○斉藤(や)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小宮委員 お疲れのところ、よろしくお願いします。
 コロナ対策の相談体制の現状と今後について確認します。
 一般的な新型コロナの相談窓口であるコールセンターというのは、一月二十九日から東京都直営の二回線で始まりました。その後、四回線にもなりましたけれども、民間委託となった二月二十八日以降には徐々に回線数をふやしまして、五月一日には四十二回線で対応するようになりました。
 新規感染者が増加をしました三月下旬、このころは十回線での対応となっておりましたが、三月三十日の日には、応答率、答えられた率が一〇%ということで、つまり、十回かけて一回つながるというような大変厳しい日もあったというふうに伺っております。
 しかし、五月一日以降は、回線数も四十二回線となりまして、応答率は最低の日でも五月九日に四五%ということで、二回かければ大体つながると。平均すると、もう七〇%の応答率ということですので、ほぼつながる体制に今なっているというふうに伺っております。
 一方で、症状のある方などが相談をする新型コロナ受診相談の窓口、ここには専門職として保健師などが対応してトリアージをする重要な窓口というふうになっておりますけれども、この窓口は五月十七日まで、先ほどもお話出ておりましたが、直営の五回線を五月十八日から十回線に拡大をしまして、状況としては、全ての回線が塞がっている時間は少なくなったというふうに伺っておりますが、しかしながら、この回線に関しては、応答率というものがとられておりません。果たして十回線で十分なのかということを、実態を把握する必要というのがあると思っております。
 応答率がとれない体制でいる理由と今後の第二波の対策について伺います。

○花本食品医薬品安全担当部長 都が、特別区、八王子市、町田市と合同で設置している新型コロナ受診相談窓口では、五月十八日に業務委託した後も、市外局番〇三から始まる電話番号、〇三-五三二〇-四五九二を継続して使用しております。
 この電話番号は、〇五七〇で始まるナビダイヤルと異なり、応答率は把握できませんが、二月七日の開設以降、広く都民に周知され定着しているため、一定の症状がある利用者が迷うことなく、また、経済的負担でちゅうちょすることなく連絡することができるものでございます。
 委託により回線を倍増した後の電話の対応状況につきましては、都の職員が委託業者、委託事業者の対応拠点に赴き、約二週間、直接確認いたしました。また、現在は、委託事業者との打ち合わせにおいても、状況報告を受け、適宜意見交換を行っております。
 今後、第二波に備えまして、感染者数の動向や窓口での対応状況等を踏まえて、必要な場合に回線数をふやすなど、柔軟に対応してまいります。

○小宮委員 症状のある人にとっては、わかりやすくてかけやすい回線として、応答率は出せないけれども、〇三から始まる番号を今も維持しているというふうに理解いたしました。
 そのために、現場には職員が赴いて現状を把握する、そういうことをしていると。また、必要性もあるわけですけれども、実態把握と的確な対応というのは、今後の第二波に当たりまして大変重要なことですから、今後も回線をふやす、そういう必要があるという判断の際には、迅速をもって対応していただきたいということも求めておきます。それが一問。
 次、検査体制に入ります。
 唾液による検査も認められまして、保険適用となりまして、検査の入り口は広がりましたけれども、その検体を検査する出口、この拡充も欠かせません。
 民間検査機関などの出口への支援について、都としての支援について確認します。

○吉田感染症危機管理担当部長 国は検体採取・輸送マニュアルを更新いたしまして、六月二日よりPCR検査の検体として、発症後九日までの患者の唾液を追加しております。あわせて、時間短縮が図れるPCR検査試薬を承認、保険適用としたところでございます。
 唾液は、患者みずからが採取できることから、検体採取の際の感染リスクを低減でき、採取者の個人防護具が不要になるなどの点においても、最初にかかる手間や時間が短縮できます。
 一方、鼻咽頭拭い液よりも偽陰性がやや高いという見方や、検体の採取、搬送方法等の整理などが課題となっております。
 都は、このような状況も踏まえまして、都健康安全研究センターにおいて、唾液検体を用いたPCR検査の運用や工程を確認し、知見を提供することで、民間検査機関等においても唾液を用いて迅速な検査を行えるよう支援、都内の検査体制の充実を図ってまいります。

○小宮委員 検査の手法がふえましたけれども、その検査が迅速に的確に行えるように東京都の健康安全研究センターでは、そのための検査の運用や工程を今確認しているというふうに聞いております。こうした知見をしっかりと民間の検査機関にも提供していただいて、全体として検査の量も質も高まるようにお願いをしておきます。
 それから、もう一個検査のことで、特養など高齢者の施設では集団感染が発生をしていまして、高齢者というのは重症化しやすいこと、介護は三密を避けにくいこと、そもそも認知症や持病で検査に行きにくいといった高齢者特有、施設ならではの課題というものが指摘をされております。
 新宿区では、そうした高齢者に対して迅速な検査をということで、施設や在宅の高齢者に訪問医がPCR検査を行うという環境を整えたと伺っています。
 東京都として、そうした在宅医療に対する支援や考え方について伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 新型コロナウイルス感染症は、高齢者で重篤化しやすいといわれており、迅速な診断が必要でございます。
 医療機関受診の難しい在宅の高齢者の検査対応について、新宿区では、訪問診療を行う医師とPCRセンターが連携し検査を実施するなど、在宅医療における検査体制について支援を行う予定と聞いております。
 都といたしましては、今後こうした取り組み事例も参考にしながら、東京都医師会等と連携し、在宅医療における検査の方策を検討してまいります。

○小宮委員 新宿区に限らず、東京全域において、そうした高齢者に対する在宅医療への、在宅というと障害者もいらっしゃると思いますが、そうした方への検査の方策を検討するということで、積極的にお考えいただきたいと思います。
 次に、受け入れ病院側の体制についてですが、高齢者施設などへのPCR検査の充実というのは、集団感染を防ぐとともに、高齢者の命を守るだけでなく、医療提供体制を確保するということにもつながります。医療体制を確保するためには、財政的な支援と徹底的に感染防止策が必要ということで、先ほども幾つか議論がございました。
 院内感染防止対策において、一つ重要な指摘がなされておりまして、杉並区が医師会とともに東京都に要望いたしておりますけれども、病院間の転院に当たって、PCR検査を徹底していただきたいという内容です。
 無症状者であっても転院後に発症、また感染源となり得る可能性が否定できないということ、また貴重な医療体制を守るためにも、転院に当たっては、症状の有無に限らず、積極的なPCR検査を実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 医療体制の確保には、職員の感染対策に加え、院内への持ち込みを防止することも重要でございます。新型コロナウイルスに関する検査につきましては、症状がない場合も含め、医師が必要と認めた場合には検査が行えることとなっております。
 患者が発生している医療機関から患者が転院する際には、医療機関の医師の判断に基づき、事前に必要な検査を行うべきと考えております。

○小宮委員 相談、検査、受け入れ体制は以上でして、この後は、乳児院と児童養護施設からお話が上がっているので、そのことを確認したいと思います。
 第一波の初期において、これは三月の上旬ごろでしたけれども、乳児院や児童養護施設を運営する民間事業者から、コロナ禍において養育困難なお子さんが出た場合に、自分たちはどういう対応をしたらいいかという不安の声が上がっておりまして、都としての対応方針も求められてきたと思います。
 今回、第一波がおかげさまで終息に向かっているとされておりますが、結果として、都は、濃厚接触者の子供のケースについて、どのような対応をしてきたか、これまでの実績も含めて伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 保護者が新型コロナウイルス感染症により入院し、家庭での養育が困難となった児童につきましては、児童自身も濃厚接触者となることから、児童相談所は保健所と連携しながら、医療機関に一時保護委託を依頼しておりまして、これまで四事例について委託を実施しております。

○小宮委員 コロナは感染していても無症状という方が一定程度いるという特徴がわかってきた中で、施設の事業者の方も、当初は、その使命と責任感のもとで、いざというとき自分たちで対応すべきことを考えなければいけないという思いでいらっしゃいましたけれども、今お話があったように、結果として、やはり濃厚接触者に当たる乳幼児や児童を受け入れるということは極めて難しいということも、第一波を通じてわかったところです。
 そうした対象の児童というのは、医療機関において一時保護されたというふうに伺いました。ですので、第二波に向けては、コロナにおいて養育困難になったお子さんが民間の施設でお預かりをするということはないというふうに考えていいんだろうと思います。
 では、施設として第二波に向けての課題としてあるのが、乳児院ですとか児童養護施設、この施設内において感染が出た場合--マスク、消毒液の確保というのはこれまでも求められてきて、東京都からも届いたよという声も聞いておりますけれども、万が一、施設内で感染者が出た場合には、四十人とかそういった規模のお子さんが住まっている、そういう施設もありますので、職員さんたちが自宅待機をどうしても強いられるということがあります。
 その際の子供たちの養育を担う施設の人材、この、ご不安の声が上がっておりますので、第二波に向けて、東京都として、施設でそういった感染が、陽性者が出た場合の対応について都の見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、この間、児童養護施設や乳児院など、児童福祉施設における新型コロナウイルス感染症の感染予防、拡大防止の対策といたしまして、約十六万枚のマスクの配布や、国の優先供給の仕組みを活用した消毒用エタノールの購入を調整するなど、衛生用品の確保を支援してまいりました。
 また、児童福祉施設の職員や入所児童に発症者が生じた場合には、その後の施設運営に支障が生じないよう、里親支援専門相談員や自立支援コーディネーターなど、通常勤務ローテーションには入らない専門職も児童の処遇に携わることを認めておりまして、柔軟な人員配置による施設運営を支援してまいります。
 さらに、国制度を活用いたしまして、感染拡大防止に向けた衛生用品等の購入費や、個室化等に要する改修費等を支援するとともに、人材の確保などに要する経費を措置費により支援することとしておりまして、今後、児童福祉施設に対しましては、こうした支援策の積極的な活用を働きかけてまいります。

○小宮委員 日ごろから東京都と協力をして児童養護に熱心に努めてくださっている民間の事業者、この善意や、また、不安の声に対して、引き続きこれからも都として誠意を持って対応していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○白石委員 食品衛生法の改正に伴って、食品安全条例と食品衛生法施行条例を一部改正することが提案されております。また、食品製造業等取締条例を廃止することもあわせて今回提出をされておりますので、この二つの条例改正と条例を廃止することについて、一括して質問をさせていただきたいと思います。
 食品衛生法というのは、もともと食品汚染や腐敗、食中毒といった食の事故を防止し、安全性を確保するために、一九四七年ですから、七十三年前に制定されました。その後、当時問題となっていたBSEや中国産冷凍野菜の残留農薬案件などをめぐり、食品の安全性に関するさまざまな課題が浮き彫りとなったために、二〇〇三年に食品衛生法の抜本改正が行われております。その後、目立った改正はされていないという状況です。
 しかし、時代とともに変化する消費者の食に対する意識の変化に伴って、加工食品の増加やデリバリー、テークアウトなど、販売形態も多様化する一方で、食中毒や異物混入、健康食品による健康被害といった食の安全を脅かす問題は後を絶たず、食の安心・安全はこれまで以上に社会的に要請がされているというふうに思います。
 日本の食品衛生に係る法律は、必ずしも国際基準とはなっておりませんでしたが、二〇一八年に食品衛生法が十五年ぶりに改正され、HACCPの制度化や営業許可制度の見直し、営業届け出制度の創設、食品リコール報告制度の義務化などが盛り込まれました。
 食品衛生を向上させるために法改正をすることは重要だと思います。ですが、都民の食の安全を確保するために、都が独自に条例で定めていた規制が食品衛生法の改正でどのように担保されるのかという角度は、慎重に判断することが求められるというふうに思っております。
 そこで、初めに、食品安全条例について伺いたいと思います。
 食品安全条例に位置づけられているリコール報告制度の目的と意義について伺いたいというふうに思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 本制度は、事業者が実施する自主回収について、都が都民に対してわかりやすく情報を提供することで、都民から違反食品等の回収を促進し、これにより食品等による健康への悪影響を未然に防止することを目的としております。
 この制度を活用することにより、より多くの都民に周知することができ、回収の一層の促進が期待されるものでございます。

○白石委員 食品衛生法には、リコールに関する規定がありません。報告の義務づけもありませんでした。そのため、リコール報告制度を条例で義務づけて、的確に都民に情報提供を行うことができる仕組みを都が独自に設けていたということだと思います。つまり、法律では規定されていない食の安心・安全や食品の質を向上させる役割を食品安全条例が担っているというふうに受けとめております。
 そこで伺いたいと思うんですけれども、食品衛生法の改正により、食品安全条例のリコール報告制度の対象が一部対象外となるとされております。過去五年間でリコールされた事例の中で、どのようなケースが対象外となるのか、説明していただきたいと思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 統計のある平成二十六年度から平成三十年度の直近五年間で、都に報告された件数は五百二十七件でございます。この五年間について、新たな法制度の対象に沿って整理を行ったところ、法の対象外となる可能性があるものは三件でした。
 具体的には、菓子の製造業者が自社で定めた一般生菌数の基準を超過したものが一件、ワインに多量の、おりが発生したものが一件、清涼飲料水のペットボトルのキャップにささくれができてしまい、けがのおそれがあるものが一件でございます。

○白石委員 今ご答弁あったとおり、五百二十七件中三件が今のところ対象外というふうなことになるであろうというふうにいわれております。
 改めて法を見ますと、これまで法律では位置づけられていなかったこのリコール報告制度が、今回、改正によって義務づけられることになります。また、リコールの報告をしなかった場合の罰則規定も、現行はないですけれども、改正によって新たに設けられました。この点というのは、より、やはり強化する改正なので、重要だというふうに思っております。
 しかしながら、今ご答弁あったとおり、対象外となるケースが三件だということもありますけれども、やっぱりこのケースが対象外となってしまうというのは見過ごせないなというふうに思います。
 リコールの対象外となるケースについて、今後、都はどのように取り扱っていくのか伺いたいと思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 報告の対象となるか判断に検討を要する事例につきましては、一律に対象外とするのではなく、食品衛生の観点から、国と個別に事例に応じて対応を協議することとしています。

○白石委員 答弁あったとおり、一律に対象外にするのではなく、個別に国と協議していくと、このようなご答弁でした。
 リコール届け出の範囲について、現行制度はどう規定されているかといいますと、衛生管理の不備による意図しない微生物、化学物質、異物が含まれる場合等と現在条例では明確に規定をされております。
 一方で、法改正による新制度では、食品衛生法の規定に違反または違反するおそれのある食品等と、曖昧な規定に改められたことに加えて、これまでの対象をやはり狭めるということになると思います。やはりこれは、都として慎重な判断がなされるべきだなというふうに思います。
 なので、法改正で確かに一部強化もされますし、罰則規定もつく。その一方で、これまで対象とされていたものが狭まるというふうな点からですと、慎重な判断が求められるというふうに思っております。
 それでは、次に、食品製造業等取締条例について質問したいと思います。
 初めに、法改正に伴い、食品製造業等取締条例を廃止すると、このように現在されておりますが、それにより何が変更されるのか、説明をしていただきたいと思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 今般の食品衛生法の改正において、食中毒のリスクにより営業許可対象業種の見直しや営業許可業種以外の事業者の届け出制度が創設されました。
 都ではこれまで、食品衛生法の営業許可の対象とならない業態のうち、食品製造業等取締条例において、漬物製造業など九業種について許可制とし、行商など三業種について届け出制とし、規制を行ってきました。
 今般の法改正により、これまで都条例に基づき許可制としてきた漬物製造業など四業種については、法に基づく許可業種となり、弁当等人力販売業など五業種については、法に基づく届け出業種となります。また、行商などの三業種については、条例に基づく届け出業種から法に基づく届け出業種となります。

○白石委員 非常に丁寧なご答弁ありがとうございます。
 今の答弁を簡単にいいますと、これまで保健所の実地検査が義務づけられてきた営業許可制の業種が、食品衛生法改正と条例の廃止によって、許可制よりも緩い届け出制に五業種が変更されるということになるというふうに思います。
 改めて説明を求めたいと思いますけれども、営業許可と届け出の違いを端的にご説明いただきたいと思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 許可は、公衆衛生上必要な措置の基準、HACCP管理と施設基準の両基準が適用されるため、許可処分を行う際には、施設基準に適合しているか実地検査を行うこととなります。
 一方で、届け出は、公衆衛生上必要な措置の基準、HACCP管理のみが適用されることとなります。

○白石委員 営業許可の場合は、まずHACCP管理と定められた施設基準が必要となります。実地検査により保健所のチェックが入ると。
 一方で、届け出については、HACCP管理のみで、必要書類を保健所に提出すれば、チェックはしなくてもよいというふうなことになります。
 都条例で営業許可が必要だった弁当等人力販売業、これわかりやすくいいますと、オフィスビルの前でお昼どきによく見かけるお弁当の移動販売ですね。法改正と条例の廃止によってどうなるかというと、営業許可よりも緩い届け出になるということになります。
 現行の条例でこの弁当等人力販売業、いわゆるお弁当の移動販売が行商と分かれております。どのような議論があって、この業種を分けて届け出から営業許可としたのか、具体的に伺いたいと思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 路上で弁当を販売する場合は、弁当行商として届け出の対象としていましたが、委員のお話にありましたように、都心のオフィスビル街において、路上で大量の弁当を陳列して販売するなど、行商本来の少量を短時間で売り歩く販売形態との乖離が見受けられるようになりました。
 また、固定店舗で販売を行う際は許可制であり、屋外で売り歩く際は届け出制となっているなど、規制のレベルが異なっておりました。リスクに応じた規制に見直す必要があったため、食品安全審議会に諮問し、審議が行われました。
 答申では、弁当等の屋外販売については、直射日光等の影響を受けにくい屋内での販売形態へ誘導することを第一とし、人力により移動して販売する場合は、温度管理などの衛生管理を確実に向上させるために必要な要件を整備すべきとされました。
 答申を踏まえ、平成二十六年に屋内への誘導策として、施設基準をしんしゃくする要綱を改正し、屋内で弁当を販売する際の許可要件について、簡易な施設や設備で弁当等の販売を可能とするよう見直すとともに、やむなく屋外で人力により移動しながら弁当を販売する場合は規制のレベルを引き上げることとし、平成二十七年に食品製造業等取締条例を改正して、弁当等人力販売業を許可業種としました。

○白石委員 今ご答弁ありましたように、お弁当の移動販売業というのはもともと届け出でよいとされてきたんですけれども、衛生上の問題が懸念されたため、衛生管理をより厳しくする、規制する目的で食品製造業等取締条例において営業許可制と規制レベルを強化したというのがこれまでの経緯だったということです。
 当時の食品安全審議会の資料を私もちょっと見させていただきましたが、非常によく調べられていました。弁当の保管などの実態調査が行われて、屋外で販売したときに、例えば外気温よりも十度近く高くなるということなどが詳細に調べられております。
 直射日光による放射熱やコンクリートからの反射熱などの温度上昇の原因についても非常に言及をされて、当時の規制を上げる際の実態調査は非常によく調べ上げられているなというふうに、私非常に興味、関心もあって、読ませていただきました。
 そして、その答申の結果、届け出よりも厳しい規制をかけ、現在の営業許可になったということです。それを今回の法改正により、単純に過去の届け出基準にはなりませんけれども、単純にはもとに戻るということにはなりませんけれども、ただ、意味としては、営業許可よりも緩い、チェックが、現地の検査が入らなくてもいい届け出にしてしまうということは、私は適切ではないなというふうに思っております。
 そこで、食品衛生法の改正によって、食品製造業等取締条例、今回廃止が出されていますけれども、法改正によって廃止しなければいけないと定められているのかどうなのか、ちょっと一点伺いたいなというふうに思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 国は、制度改正後も条例許可業種を創設することは否定されないとしております。
 ただ、今回の制度改正において、網羅的ではないにせよ、自治体における取り組み状況を踏まえた業種の大きな再編が行われまして、自治体が上乗せ規制としている許可制を導入する余地は狭まっているとの見解を一方で国は出しております。
 今回、東京都におきましては、この法改正を伴う条例の見直しに当たりまして、外部の有識者が入った審議会を開催しまして、この条例許可業種のあり方について検討を行いました。その結果、食品製造業等取締条例で規定している都独自の許可業種について、法規制との整合性を図るということで了解が得られております。つまり、条例許可という形で残さなくても、衛生水準の担保は可能ということで了解を得られております。

○白石委員 今いわれましたけれども、残していいということですので、やはりこれまでどおり弁当の移動販売業は営業許可制とする条例、これを残していただきたいというふうに改めて要望したいと思います。
 最後に、食品衛生法施行条例について伺いたいと思います。
 食品衛生法施行条例の施設基準も改正されることになっておりますが、これまで施設基準を満たした上で営業していた中小零細企業や個人経営店などが、基準の見直しにより許可を取り消されるというようなことがあるのか、都はどういうふうに対応していこうと考えているのか伺いたいと思います。

○花本食品医薬品安全担当部長 営業施設の基準は、これまで都道府県条例により定められてきましたが、今般の法改正において、施設基準の全国平準化を図るため、参酌基準が省令で定められました。
 新たな施設基準の設定に当たり、厚生労働省は施行通知において、小規模零細事業者の事業継続へ配慮するよう示すとともに、自治体向け説明会において、少なくとも従前の基準に適合している場合は不許可としないよう見解を示しております。
 都におきましても、小規模零細事業者の事業継続に配慮し、国の見解に基づき、従前の基準に適合している場合は不許可とはせず、事業者が新基準に適合できるよう丁寧に説明しながら、継続的な指導を行ってまいります。

○白石委員 小規模零細事業者においては、従前の施設基準を満たしていれば一律的に不許可にしないとの答弁でありました。この対応は大変重要だというふうに思います。
 例えば、現行制度では、店舗内の食材を調理したり皿洗いなどに使用する流しは十分な大きさがあることとか、洗剤や石けんなどを適切な位置に配置すると、このようにしておりますけれども、新たな施設基準では、蛇口はセンサーで反応する自動の蛇口などにするということなどに見直されております。
 基準を守るのは大事なんですけれども、これまでの基準を守ってきたお店が、改修が必要になる、新たな基準を守れないために不許可になってしまっては、バランスのとれた対応とはいえません。
 とりわけ、この新型コロナの影響で個人営業店や小規模事業者は軒並み売り上げが減少している、営業の危機に瀕しています。一律に営業許可を出さないなどしないということなので、丁寧な説明と対応を改めて求めておきたいというふうに思います。
 以上、質問してきたように、食品安全条例の改正は、対象を狭めるので、反対の立場を表明させていただきます。
 そして、食品製造業等取締条例の廃止は、弁当等人力販売業など、これまでの営業許可基準を維持することが妥当だというふうに思っておりますので、これについても反対の立場を表明して、質問を終わりたいと思います。

○後藤委員 私からは、報告事項に上がっている、まず一つのテーマについて取り上げたいと思います。
 まず、保育所等の臨時休園に伴うベビーシッターの活用について質問をいたします。
 本事業は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、保育所等が保育の提供の縮小や臨時休園などを行った場合において、ベビーシッター利用料の一部を助成するというものであります。
 そこでまず、新型コロナウイルス感染拡大に伴う保育所等の臨時休園等の対応にかかわるベビーシッター利用支援事業の対象となる児童について伺います。

○武田少子社会対策部長 臨時休園等の対応に係るベビーシッター利用支援事業は、認可保育所、認定こども園、幼稚園、認証保育所、地域型保育事業、認可外保育施設等を利用している児童が対象となります。

○後藤委員 ありがとうございました。
 認可保育所、認定こども園、幼稚園、認証保育所、地域型保育事業、認可外保育施設など、多くの施設に通っている児童が対象になるということがわかりました。
 次に、助成対象者について伺います。
 要綱を見ますと、助成となる対象者は、仕事を休むことが困難な者で、かつ、区市町村が支援を要すると判断した児童の保護者というふうにありますが、自宅で在宅勤務等を行っている保護者からは、これは一体自分たちが対象になるのかわからないと、そんなような疑問が私のもとにも届いているところでございます。
 そこで、医療従事者や保育や介護従事者などはもちろんのこと、テレワークで在宅勤務をしている保護者というのは、今回の事業の対象になるのか伺いたいと思います。

○武田少子社会対策部長 在宅勤務をしている保護者の利用については、家庭の状況、お子さんの年齢、仕事の内容を考慮して、区市町村が判断することとなってございます。
 現在、複数の区市から、在宅勤務をしている保護者を助成対象にしているということも伺っております。

○後藤委員 ありがとうございました。
 実際には、複数の区市から在宅勤務をしている保護者も助成対象になっているというお話がありました。表現がとてもわかりにくいので、こうした在宅勤務の保護者も対象になるケースがあるということを、ぜひ周知をしていただきたいなと思います。
 そして、保育所の登園自粛や休園が続いていく中で、在宅で子供を見ながら仕事を行うというのは本当に困難でございまして、私自身も、緊急事態宣言が出てから二カ月近く、在宅で子供を見ながら仕事を行っていたわけですけれども、日中はほぼ仕事が全く手につかず、子供が寝静まった後に、深夜にまとめて仕事を行っている状況でした。恐らく多くの保護者の方々がそのような生活を二カ月近く過ごしていたのではないかなと思いますが、今後、新型コロナウイルスの第二波、第三波が来るということを見据えて、多くの保護者がこの事業を活用できるように実施自治体をふやしていくということが重要だというふうに考えております。
 そこで、実際に本事業が活用された区市町村は幾つあるのか伺いたいと思います。

○武田少子社会対策部長 本事業は、都が認定した事業者を活用するベビーシッター事業者連携型や区市町村が事業者等の要件を定める区市町村バウチャー型などがございます。
 五月末現在ですが、ベビーシッター事業者連携型は二十二区市、区市町村バウチャー型は五区市、重複しております区市を除きますと、二十四の区市において実施をしているところでございます。

○後藤委員 ありがとうございました。重複区市を除くと二十四区市において実施をされているということで、待機児童対策においてもベビーシッター事業というものがございますけれども、こちらに関しては十七区市町村で採用されているということで、本事業を活用して着実に利用自治体がふえているということがわかりました。
 また、緊急事態宣言の解除によりまして、保育の再開状況というものに関しては、足立区なんかもそうなんですけれども、六月から通常保育を再開している自治体もあれば、引き続き自粛を要請している自治体など、自治体によって状況がさまざまなところがございまして、こうした状況を踏まえますと、本事業は緊急事態宣言が明けた後も、保育所等の自粛要請が続いている地域においては、利用できるようにすべきだというふうに考えております。
 そこで、緊急事態宣言の解除後においても、区市町村が保育所の自粛要請を行っている場合においては、ベビーシッター助成の対象になるのかどうか伺いたいと思います。

○武田少子社会対策部長 お話の緊急事態宣言の解除後も、区市町村が登園を控えるよう協力要請を行っている場合は、引き続き本事業の助成対象となります。

○後藤委員 ありがとうございました。
 区市町村が登園を控えるような協力要請を行っている場合は助成対象となるというお話がありましたけれども、この事業を利用している保護者からすると、この事実を知らない方も多くいらっしゃるというふうに聞いておりまして、周知の徹底とともに、引き続き対象地域の拡大に向けて働きかけを行っていただくことを要望して、次の質問に参ります。
 次に、とうきょうママパパ応援事業について質問をいたします。先ほど小林理事の方からもご質問がありましたので、重複を避けてご質問させていただきます。
 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、これから出産を控える妊婦は多くの心配事を抱える中で過ごしています。こうした妊婦に対して、東京都として不安を解消するような事業を支援していくことは、非常に重要だというふうに考えております。
 今回、新型コロナウイルス感染症の予防対策として、妊婦が感染防止のための物品を購入したり、タクシーに使えるチケットなどの育児パッケージというものを、従来の事業に一万円分上乗せする形で支援を拡充したということは、高く評価をするものであります。
 そこで、まず事業の基本的な部分について伺いたいと思いますが、とうきょうママパパ応援事業は、令和二年度中に子育て世代包括支援センターを設置することということと保健師による妊婦への全数面談というものが必須の条件となっております。そして、その必須条件の一個目になります子育て世代包括支援センターの設置につきましては、平成二十八年度、国から要領などが発表されたということもありまして、いまだに、まだ準備段階の自治体もあるというふうに伺っています。
 そこで、今回子育て世代包括支援センターの開設に向けて、まだ準備をしている自治体も本事業の対象になるのか伺いたいと思います。

○武田少子社会対策部長 子育て世代包括支援センターは、母子保健施策と子育て支援施策との一体的な提供を通じて、妊産婦や乳幼児を包括的に支援するものでございます。
 都は、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援体制の整備を進める区市町村を支援するため、とうきょうママパパ応援事業では、原則として、今年度中に同センターを設置することとしております。
 お話の開設に向けて準備中の自治体も補助の対象としてございます。

○後藤委員 ありがとうございます。
 開設準備中の自治体も対象ということで安心をいたしました。
 そしてまた、この東京においても、第一波は終息を迎えつつありますが、先日も感染者が三十人を超えるなど、第二波、第三波の影響が心配をされています。
 育児パッケージの追加配布についても、この新型コロナウイルスが終息に向かうまで事業を継続するべきであるというふうに考えておりまして、そこで、この事業に関しては、緊急事態宣言が解除された後に面談を行った場合でも、育児パッケージ追加配布の対象となるのでしょうか。対象期間に関して伺いたいと思います。

○武田少子社会対策部長 今般追加いたしました育児パッケージは、今年度中に面接や電話により家庭の状況を把握した妊婦の方に配布を行うものでございます。
 区市町村は、面接等の結果、必要に応じて継続的な支援を行っているというところでございます。

○後藤委員 今年度中に面談をした方が対象ということで、三月三十一日までに面談をした方が対象というふうなお話がございました。
 とうきょうママパパ応援事業は、妊娠から出産、子育てまで切れ目なく支援をするという事業でありまして、さらに、ことしからは、私たちの会派の強力な後押しもあり、産後ケアの大幅な拡充や多胎児支援など、本当に事業が拡充をされ、よいものになったなというふうに認識をしております。
 そこで、今回の新型コロナウイルス予防対策事業を契機として、より多くの自治体にこの事業を推進してもらうべきだと考えますが、過去三年間の実施区市町村数を伺います。また、現在利用していない自治体からはどんな課題が上がっているのか、現状について伺います。

○武田少子社会対策部長 とうきょうママパパ応援事業の前身である、ゆりかご・とうきょう事業の実施自治体数は、平成二十九年度は四十一、三十年度は四十三、令和元年度は四十六自治体となってございます。
 未実施の自治体からは、妊婦との面接を行うための専門職の確保や妊娠届を保健センター以外の窓口で受け付けている場合の体制整備などの課題が上がってございます。

○後藤委員 ありがとうございました。
 課題についても、さまざまいただきました。次の質問で、今後の取り組み状況について、見込み数とともにお聞きをしようと思ったのですが、先ほど同様の質問がありましたので、割愛をさせていただきます。
 先ほどは四十六区市が本事業を実施しているということと、今後に関しては五十五区市町村が実施の見込みというようなことをお聞きしておりまして、積極的に対象拡大に向けて働きかけを続けていただきたいというふうに思います。
 そして、本事業に関して、三点ほど要望をさせていただきたいと思います。
 本事業は、これまでと異なり、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、対面の面談から電話の面談でも相談可というような形になっておりまして、実際に電話面談を行っている区市町村にヒアリングもさせていただきましたが、電話面談でも問題なく妊婦さんの状況を確認しフォローができているというお話を聞いています。
 実は私の地元である足立区も、今年度からとうきょうママパパ応援事業を始めたというところでありまして、足立区に関してはこれまでは要支援度の高い妊婦さんに対して重点的にフォローを実施していまして、先ほど課題にあったように、保健師さんが足りないという理由で全数面談ができないという理由で、実施ができずにおったという状況でした。
 こうした状況を踏まえますと、今後は、電話面談、ことしやっていただくと思うんですが、効果をしっかりと検証していただいた上で、問題なく運用できるようであれば、次年度以降のとうきょうママパパ応援事業の要件に関しても、例えば電話面談も可能にするなど、弾力的な運用も可能にできるように検証と検討を行っていただくことを要望したいと思います。
 また、既に新型コロナウイルス予防対策の育児パッケージを受け取った妊婦からは、タクシー移動に使えるチケットをもらったものの、実際にタクシーで使おうと思ったら、運転手に使えないと断られたなどの声も寄せられているところでございます。
 育児パッケージについては、全てがタクシー移動に使うというものの性質ではありませんで、地元のタクシー事業者と連携をしたり、タクシー利用にも使える子供商品券などを使ったりと、内容の選定に関しては各区市町村の裁量で判断するものという認識を持っています。
 こうした声が複数から寄せられているんですが、恐らくこれはタクシー事業者の認識不足によるものと思われますが、こうした状況が複数散見されているという事実を踏まえますと、タクシー事業者への周知不足などで妊婦が制約をこうむることのないように、実施する区市町村などに注意喚起などを行っていただくことを要望したいと思います。
 そして最後に、さらに本事業は、出産前の妊婦が対象となっていますが、移動などに不安を抱えているのは妊婦だけではありません。産後間もない乳幼児を育てる保護者も同じような不安を抱えています。乳幼児健診を受けるために移動するにも、公共交通機関に赤ちゃんを連れて乗るというのはとても不安だという声を多くいただいています。今後、第二波、第三波に向けて、産後の保護者にも本事業を拡大していただくことを要望し、次の質問、最後の質問に参ります。
 次に、東京都シルバーパスの更新について質問いたします。
 今回、第二回定例会補正予算において、郵送によるシルバーパスの一斉更新に九億六千万円が計上されております。本事業は、シルバーパスの更新手続を、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のリスク軽減等のため、従来の臨時会場方式から郵送方式に変更するもので、約九十万人のシルバーパスを郵送更新にて行うものであります。
 そこで、まず基本的な部分について伺いたいのですが、これまでの東京都のシルバーパスの更新手続はどのように行われていたのか、また、従来の方式によるリスクをどのように捉えているのか、見解を伺います。

○保家高齢者施策推進担当部長 例年九月に、都内各地に区民センターなど約四百七十カ所の会場を設置し、対面で利用者負担金の受領等と引きかえに新しいパスを発行し、更新手続を実施しております。
 こうした会場は、多くの更新希望者が集中して混雑することが想定されるため、新型コロナウイルス感染症の感染リスクがあるものと認識しております。

○後藤委員 会場を利用、設置して対面で更新手続を実施されていたということで、確かに高齢の方が集まるこうした方法では、リスクが高いのかなというふうに思っております。
 また、本事業では、更新手続に九億六千万円もの予算が計上をされておりまして、これだけの予算規模ということもあり、都民の理解が得られる説明が必要だというふうに考えます。
 そこで、本事業の積算根拠について伺いたいと思います。

○保家高齢者施策推進担当部長 約九十万人の手続に要する更新案内等や新しいパスの発送経費七億円のほか、収納代行経費、事務処理センター経費等を見込んでおります。

○後藤委員 七億円が発送経費ということで、九億六千万円のうち、多くを郵送経費が占めているということがわかりました。
 先日の本会議において、八月中に更新案内等を発送し、新しいパスを九月末までに郵送で高齢者の手元に届くように準備を進めるというスケジュール感についての答弁がありました。更新書類の発送から更新完了まで、今回は約一カ月という短い期間の中で、九十万人もの更新作業を遅滞なく行うというのは、かなり大変な事務作業だというふうに思っておりまして、万全の体制を構築する必要があると考えます。
 そこで、現時点での事務体制の方向について伺いたいと思います。

○保家高齢者施策推進担当部長 現在、シルバーパス事業の実施主体である一般社団法人東京バス協会との間で、更新申請の受け付けから新しいパスの発送までの実施手順について調整しておりまして、今後、事務処理センターを立ち上げるなど、更新に係る事務を的確に進めてまいります。

○後藤委員 ぜひ遅滞なく進めていただきたいと思います。
 また、今回の更新手続に対して、対象が高齢者の方ということもありまして、よりわかりやすい手続方法などを工夫する必要があると考えています。
 そこで、利用者負担金の支払い方法や必要な書類など、利用者にわかりやすい説明が必要だと考えますが、見解を伺います。

○保家高齢者施策推進担当部長 今回の郵送方式による更新手続は、主に書類を通じてのやりとりとなりますため、説明に用いる書類は利用者にとってできるだけ理解しやすいものとすることが必要でございます。
 このため、利用者にお届けする更新案内では、フローチャートやイラストを用いまして手続や注意点を説明するなど、わかりやすい内容にしますとともに、高齢者がごらんになることを考慮し、説明の文字も大きくするなど、見やすさにも配慮してまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。
 さまざまな工夫をしていただくというようなご答弁がありましたけれども、私たち議員も、今回の政府のさまざまな給付金や助成金の申請の中で、高齢の方からかなり多く申請書類がわからないというようなお話をいただいておりまして、かなり丁寧に丁寧を重ねて、わかりやすさを重視していただくような配慮を、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
 また、手続を行う中での相談体制についても検討する必要があると考えます。今回、政府の特別給付金の支給でも、多くの自治体で専用の相談窓口を開設して申請手続のフォローに当たっていましたが、それでも行政の方々からは、連日多くの高齢者の方々から電話が寄せられているというふうに仄聞をしています。
 従来、臨時会場方式で対面で説明を受けていたものを非対面の郵送方式に変えるということですので、より丁寧な情報提供やフォロー体制というものを行う必要があると考えます。
 そこで、手続方法について、電話等の相談窓口なども設置し、直接窓口に出向かなくてもきめ細かくフォローすべきだと考えますが、見解を伺います。

○保家高齢者施策推進担当部長 今回の郵送方式は、従来の対面による更新手続とは異なるため、利用者の不安や疑問などに丁寧に対応することが必要と考えております。
 このため、更新案内の詳細や利用者負担金の納付手続、新しいパスの受領方法など、更新手続に関するさまざまな問い合わせに対応するため電話相談窓口を設置するなど、きめ細かな取り組みを行ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。
 電話窓口も設置していただけるということなんですが、くれぐれもつながらないということがないように適切な回線の量というものも検討していただきたいというふうに思います。
 このコロナ禍において、窓口に行かず郵送で手続ができるという旨を、手続期間の前からしっかりと対象の方々に周知をしていただき、安心して高齢者が更新手続をできるような仕組みをつくっていただくことを要望し、私の質問を終わります。

○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 今回の補正予算で、住宅喪失不安定就業者、離職者などのサポート事業として八億円の予算が計上されました。この予算は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて住宅を失ったり、または離職せざるを得なかった方々を支えるための事業ということを伺っております。
 さまざまな影響を受けていることが、さまざまあるんですけれども、その中で、今回は東京都の休業要請を受けて、ネットカフェで生活をされていた方々に直接的な影響が出た。
 まずはこの三カ月間、東京都がどのような取り組みをされてきたのか伺いたいと思います。お願いいたします。

○坂本生活福祉部長 都は、ネットカフェ等への休業要請によりまして、居場所を失った方に対して、TOKYOチャレンジネット及び区市の相談窓口を通じて、緊急的な一時宿泊場所としてビジネスホテルを提供することといたしました。五月三十一日現在、延べ一千七十二人の方が利用されております。
 また、チャレンジネットを通じまして就労自立を目指す方につきましては、その後の居住の場であります一時利用住宅の利用期間を原則三カ月から四カ月に延長いたしますとともに、従来の百戸から五百戸に拡充することといたしまして、五月三十一日現在、百五十二人の方が入居されております。
 区市を通じましてビジネスホテルを利用する方につきましては、ネットカフェ等の休業要請に合わせまして利用可能な期間を延長いたしますとともに、区市と連携し、居宅等への移行支援を行っているところでございます。

○菅原委員 ネットカフェの難民というのは四千人いるといわれております。今回はTOKYOチャレンジネットや生活困窮者自立支援事業を通してサポートをされたというふうに伺っております。東京都としても、走りながら対応していく、こんなことだったと思います。
 今ある事業を拡充して、その拡充をしたことを中心に施策を組んでいたということもありますから、十分な対応ができたとはなかなかいえなかったろうな、職員の方の中でもじくじたる思いをしながら進めてきた部分があるのかなと思っております。
 現在も百五十人くらいの方々がホテルを利用されていると伺いました。この方々への対応もぜひ進めていただきたいと思います。
 きょうの新聞にも報道されておりますけれども、やっぱり現場では、多少連絡のトラブルというんでしょうか、東京都の思いと、または実際に主体となるのは区市町村だと聞いていますから、その間での連携のちょっとしたそごが大きな報道になってしまうことがあるんだろうなというふうに感じております。
 一生懸命やっているのになかなか評価されないという部分も、多分、職員の方にはあるんだろうなと、そばにいて感じさせていただいております。大変だと思いますけど、大きな問題ではありますので、取り組みを進めていただければと思います。
 今、サポートしないでいくと、格差とか貧困が固定化されます。そして、その固定化されたものに対するコストはさらに大きくなっていくということがいえますので、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。
 さて、このTOKYOチャレンジネットなどには、住まいを失うという状況で相談に来られる方が多いと伺っております。リーマンショックのころと比べて、相談者はどのような変化を感じていらっしゃるのか伺いたいと思います。お願いします。

○坂本生活福祉部長 平成二十年秋からのいわゆるリーマンショックによる景気後退時でございますが、派遣社員等の非正規雇用の方が仕事と住居を同時に失いまして、福祉相談窓口に来られる方が目立っておりました。都内の生活保護受給者の数も、二十から六十四歳までの稼働年齢層にある方を中心に、平成二十年度から平成二十五年度までの五年間に約八万五千人、約四一%の増と急激な増加を示しております。
 リーマンショックなど大幅な景気後退の局面におきましては、景気が回復するまで数カ年続くことが多く、この間、最後のセーフティーネットでございます生活保護の受給など、生活に困窮され相談される方が増加する傾向となります。
 今回の新型コロナウイルスによります経済への影響については、まだまだ不明な点が多く、今後の相談者の動向を注視し対応してまいります。

○菅原委員 例えば職を失う、または住むところを失っていく、そういう方々に対する問題というのは、幾つかの角度から検証されなければいけません。
 一つ、角度を変えて伺いたいと思います。離職者の多くは、そのまま失業者になるんだと思います。過去のデータを見ますと、失業者と、そして自殺者の関係には相関関係があるのではないかといわれておりますが、東京都はどのように捉えていらっしゃるのか伺います。お願いいたします。

○成田保健政策部長 国が策定いたしました令和元年版自殺対策白書では、一九七八年から二〇一七年までにおける失業率の変化と自殺死亡率の変化を性別、年代別に観察しておりまして、三十五歳から三十九歳の男性と五十歳から六十四歳の男性につきましては、失業率と自殺死亡率との関係に有意な相関があるとされております。
 一方、二十歳などほかの年代の男性と女性につきましては、失業率と自殺死亡率の相関は有意ではございませんでした。
 自殺の背景には、健康問題や経済問題、就労や働き方の問題など、さまざまな要因が複雑に絡み合っておりますことから、引き続き総合的な自殺対策の推進が重要と考えております。

○菅原委員 災害に関連した亡くなり方、災害関連死という言葉がございます。大規模災害の場合、直接その命が失われる場合も当然あります。しかし、災害関連死というのは、その後の災害に関連したさまざまな状況の変化によって失われる命ということだと思います。例えば、エコノミー症候群で避難所で亡くなるとかいうこと、または病気、または鬱病など、または経済的事情による自殺などが災害関連死といわれるのだと思います。
 実は今回のこの新型コロナウイルス感染症の対応も同じようなことがいえるのではないかという部分があると思うんです。大変残念ながら、新型コロナウイルス感染症によって命を亡くされた方々もいらっしゃいます。きのうまでの発表で、東京都では三百七名という方の大事な命が奪われました。
 そして、これからコロナ関連死ともいえる問題が表面化する可能性があります。特に、自殺のリスクが高まっていくことを踏まえて対応を進めていくべきではないかと思います。
 新型コロナ禍の間は、緊急事態として、東京都の自殺対策も特別な体制で進めるべきと考えますけれども、見解を伺います。

○成田保健政策部長 自殺の背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っておりますため、都は、福祉、医療、経済、教育等の関係機関や区市町村から成る自殺総合対策東京会議を設けまして、各分野の関係者が連携しながら施策を推進しております。
 新型コロナウイルス感染症の影響による自殺リスクの高まりが懸念されますことから、今月、区市町村連絡会に加えまして、臨時で自殺総合対策東京会議の計画評価部会と重点施策部会やこころといのちの相談・支援東京ネットワーク連絡会を開催する予定でございまして、感染症による影響や具体的な対策の検討を進めるなど、庁内各局、区市町村、関係団体と連携した自殺対策を推進してまいります。

○菅原委員 新型コロナの影響を受けて、全体として自殺リスクが高まっていること、そして、東京都として、臨時的な対応として、今月六月からの特別体制をしいて事業を進めていくということを確認いたしました。
 まず、自殺総合対策東京会議というのは、例えば昨年度などは、部会も含めて三回行われたということを確認しております。臨時的に今月開催するということで、これは事態の緊急性に合わせての方針だというふうに伺いました。東京都の自殺対策計画を検討する計画評価部会と重点的な自殺対策の推進を検討する重点施策部会、この両方を同時に進めるとのことですので、ぜひ、分厚い施策展開の議論をしていただきたいと要望いたします。
 また、こころといのちの相談・支援東京ネットワークの事業は、若年層の対策、または遺族支援、職場環境などもその守備範囲となっております。幅広い支援体制を構築していただきたくお願いを申し上げます。
 具体的にどんな事業を進める予定なのか、確認のために伺いたいと思います。お願いいたします。

○成田保健政策部長 新型コロナウイルス感染症による影響を受け、都では相談機関に関連する各種支援策を情報提供いたしますとともに、今月から、SNS自殺相談と、深夜、早朝時間帯などにおける電話相談の回線数や相談員を増加しております。
 また、自殺予防小冊子の作成などの普及啓発、心の悩みに関する電話相談、職員向けのゲートキーパーの研修、救急医療機関等に搬送された自殺未遂者に対する支援、自死遺族の方々のネットワークづくりなど、地域の特性に応じた自殺対策を行う区市町村や民間団体を支援しておりまして、区市町村連絡会等で好事例を紹介するなど、区市町村のさらなる取り組みを働きかけてまいります。
 今後、東京会議等で都民への普及啓発、自殺対策を支える人材の育成、相談支援などの取り組みの強化策を検討し、区市町村や関係機関と連携した自殺対策を推進してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 要望を一つ提案させていただきます。多重債務の件でございます。
 東京都は、東京都の消費生活総合センターで多重債務相談を受け付けております。また、その特別の相談として、多重債務一一〇番ということを展開されております。この特別相談、多重債務一一〇番は、例年、年間に四日程度の開催となっている。例えば、昨年は九月に二日、三月に二日みたいな感じでした。
 今回のコロナ禍の中では、多重債務に悩む方々がふえると予想されますので、多重債務の相談の強化をお願いしたいと思います。電話相談も大事ですけれども、例えば、納税の窓口などでも多重債務の問題と直結する事例があると考えられます。納税窓口の職員をゲートキーパーの養成講座に参加させるような促しも大事かと思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 自殺対策を考えるときに、よくいわれる数字があります。九八・三という数字、これは一九九八年三月ということでございます。自殺大国といわれる日本は、年間の自殺者が十四年間連続で三万人を超えたという時期がございました。この最初の月といわれるのが一九九八年三月でございます。それまでは、毎月自殺の死者が二千人台だったんですね。でも、一九九八年の三月から三千人になったんです。三千人になったまま十四年間続いたと。その最初のきっかけが九八年の三月です。
 この九八年の三月というのはどういう年だったのか。これは、一九九七年度、年度の末なんです。年度末の決算の月に自殺者がふえたということで、じゃあ、この一九九七年に何があったのか。それは、一九九七年の四月一日、消費税が三%から五%に上がったんです。
 そして、秋ぐらいから山一證券が破綻して、三洋証券が破綻して、北海道拓殖銀行が破綻して、日本の経済が大きく変わっていったとき、その最後の月に自殺者がふえたんです。これはやはり、経済死の部分も多いのではないかと思います。
 新型コロナウイルスの感染症の影響で日本の経済は大きく後退することになるでしょう。先ほどの答弁にもあったように、失業者の数と自殺者の数には相関関係があります。コロナ関連死、経済死を生まないように東京都としての取り組みが求められます。
 住宅困窮者、離職者の問題は今までも議論をされてきました。そして、その延長上に自殺の問題があるのだと思います。かねてからの問題が新型コロナの影響でさらにリスクが高まったものだと思うんです。
 この特別な事態に、東京都として、そして福祉保健局として、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。最後に局長の決意をいただきたいと思います。

○内藤福祉保健局長 新型コロナウイルス感染症への対応におきます経済的なダメージは生活に大きな影響を及ぼしております。生活困窮等を原因とする自殺リスクの高まりも強く懸念されているところでございます。
 自殺リスクを抱える方を支援するためには、繰り返しになりますが、福祉、医療、経済、教育等の多様な分野が幅広く連携して、庁内各局、区市町村、関係団体と連携した自殺対策を推進することが重要であると考えております。
 早速、今月には、先ほど担当部長の方からもご答弁させていただきましたが、東京都自殺総合対策東京会議等で新型コロナウイルス感染症による影響を把握し、具体的な対策を検討するなど、スピード感を持って、また、一つ一つの取り組みを丹念に積み上げながら、自殺対策に全力で取り組んでまいります。

○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時三十一分散会

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