委員長 | 斉藤やすひろ君 |
副委員長 | 菅原 直志君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 木下ふみこ君 |
後藤 なみ君 | |
斉藤れいな君 | |
藤田りょうこ君 | |
伊藤こういち君 | |
たきぐち学君 | |
岡本こうき君 | |
小宮あんり君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 内藤 淳君 |
次長 | 松川 桂子君 | |
技監 | 矢内真理子君 | |
理事 | 後藤 啓志君 | |
総務部長 | 雲田 孝司君 | |
医療政策部長 | 矢沢 知子君 | |
保健政策部長 | 成田 友代君 | |
高齢社会対策部長 | 村田 由佳君 | |
少子社会対策部長 | 武田 康弘君 | |
障害者施策推進部長 | 藤井麻里子君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 齋藤 善照君 | |
企画調整担当部長 | 奈良部瑞枝君 | |
事業推進担当部長 | 遠藤 善也君 | |
医療改革推進担当部長 | 田中 敦子君 | |
医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 | 中川 一典君 | |
地域保健担当部長 | 池上 晶子君 | |
事業調整担当部長 | 山口 真吾君 | |
高齢者施策推進担当部長 | 保家 力君 | |
子供・子育て施策推進担当部長 | 西尾 寿一君 | |
障害者医療担当部長 | 石黒 雅浩君 | |
新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務 | 杉下 由行君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 谷田 治君 | |
サービス推進部長 | 西川 泰永君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 藤本 誠君 | |
計画調整担当部長 | 船尾 誠君 |
本日の会議に付した事件
議席について
病院経営本部関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・令和二年度東京都病院会計補正予算(第三号)
・東京都立病院条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・令和元年度東京都病院会計予算の繰越しについて
請願の審査
(1)二第三号 都立病院の地方独立行政法人化に反対し直営による充実と存続を求めることに関する請願
福祉保健局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・令和二年度東京都一般会計補正予算(第六号)中、歳出 福祉保健局所管分
・東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・東京都食品安全条例の一部を改正する条例
・食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
・食品製造業等取締条例を廃止する条例
・東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例
・備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩カプセル)の買入れについて
・備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤)の買入れについて
・備蓄用抗インフルエンザウイルス薬(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤)の買入れについて
・備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和二年度東京都一般会計補正予算(第五号)の報告及び承認について中、福祉保健局所管分
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した新型コロナウイルス感染拡大防止に係るマスクの買入れ(その一)についての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した新型コロナウイルス感染拡大防止に係るマスクの買入れ(その二)についての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した個人防護具(ガウン等セット)の買入れについての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したゴーグルの買入れについての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したフェイスシールドの買入れについての報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分したインナー手袋(天然ゴム製)外三点の買入れについての報告及び承認について
報告事項
・新型コロナウイルス感染症への対応について(説明)
・令和元年度東京都一般会計予算(福祉保健局分)の繰越しについて(説明・質疑)
請願陳情の審査
(1)二第四号 シルバーパスの都県境適用に関する請願
(2)二第五号 精神保健医療福祉の改善に関する請願
(3)二第六号 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願
(4)二第一〇号 有料老人ホーム設置に係る事前相談の手続の見直しに関する陳情
(5)二第二六号 東京都有料老人ホーム設置運営指導指針の見直しに関する陳情
○斉藤(や)委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、委員の所属変更について申し上げます。
去る三月二十七日の本会議におきまして、大場やすのぶ議員が本委員会から文教委員会に所属変更になった旨、許可されました。
○斉藤(や)委員長 次に、議席についてお諮りいたします。
本日及び令和二年第二回東京都議会定例会における議席は、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○斉藤(や)委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
議事課の担当書記の村野雄真君です。
議案法制課の担当書記の高嶋典子さんです。
よろしくお願いいたします。
〔書記挨拶〕
○斉藤(や)委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項の聴取並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の請願陳情の審査を行います。
なお、提出予定案件及び福祉保健局関係の報告事項、新型コロナウイルス感染症への対応については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、病院経営本部及び福祉保健局関係の予算の繰り越しについての報告事項につきましては、説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
これより病院経営本部関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、病院経営本部長から紹介があります。
○堤病院経営本部長 四月一日付で当本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
経営企画部長の谷田治でございます。経営戦略担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします藤本誠でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○斉藤(や)委員長 紹介は終わりました。
○斉藤(や)委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○堤病院経営本部長 令和二年第二回定例会に提出を予定しております病院経営本部関係の議案につきましてご説明を申し上げます。
ご審議いただきます議案は、令和二年度補正予算案一件、条例案一件の合計二件でございます。
まず、補正予算案についてご説明を申し上げます。
補正予算は病院会計に係るものでございまして、その内容は、新型コロナウイルス感染症患者への治療等の業務を行う職員に対する特殊勤務手当等の支給につきまして、必要な補正を行うものでございます。
今後とも、医療提供体制を確保することにより、都民の皆様の生命と健康を守る役割を果たすために、病院経営本部職員一丸となって取り組んでまいります。
次に、条例案につきましてご説明を申し上げます。
今回ご審議をお願いいたします条例案は、東京都立病院条例の一部を改正する条例でございます。
この条例は、都立病院における患者申し出療養の実施に伴い、所要の改正を行うものでございます。
条例の施行は、公布の日からを予定しております。
以上が本定例会に提出を予定しております議案の概要でございます。
なお、議案の詳細につきましては、この後、経営企画部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○谷田経営企画部長 令和二年第二回定例会に提出を予定しております議案の概要についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしております資料1、令和二年度補正予算の概要をごらんください。
恐れ入りますが、二枚おめくりいただき、一ページをお開き願います。令和二年度病院経営本部所管予算総括表でございます。
病院経営本部が所管する一般会計と病院会計のうち、補正予算の対象は病院会計のみでございます。
続きまして、二枚おめくりいただき、三ページをお開きください。Ⅰ、総括表でございます。
病院会計の1、収益的収支、2、資本的収支について記載しております。
上の表、収益的収支でございますが、収入の補正予算額といたしまして、医業収益に一般会計繰入金を五億四千九百万円計上しております。支出の補正予算額といたしまして、医業費用を五億四千九百万円計上しております。
四ページをお開き願います。事項別内訳でございます。
補正予算の事項は、病院管理運営でございまして、1、給与費といたしまして、五億四千九百万円を計上しております。新型コロナウイルス感染症患者への治療等に携わる職員に対しまして、特殊勤務手当等を支給してまいります。
以上で令和二年度補正予算の概要の説明を終わらせていただきます。
引き続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
条例案は一件でございます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料2、令和二年第二回東京都議会定例会条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
一ページをお開きください。整理番号1、東京都立病院条例の一部を改正する条例についてでございます。
この条例は、都立病院における患者申し出療養の実施に伴い、患者申し出療養に係る使用料の規定を設けるほか、所要の規定を整備するものでございます。
この条例は、公布の日からの施行を予定しております。
条例案の詳細な内容につきましては、お手元にお配りしてございます資料3、令和二年第二回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○斉藤(や)委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○谷田経営企画部長 令和元年度予算の繰り越しにつきましてご説明申し上げます。
お手元の資料4、令和元年度予算繰越説明書をごらんいただきたいと存じます。
予算繰り越しの対象は、病院経営本部が所管する病院会計でございます。
二枚おめくりいただき、二ページをお開き願います。建設改良費繰越についてでございます。
対象となりました事業名は、都立病院建設改良事業でございます。
病院経営本部としましては、令和元年度内に円滑に事業が終了するよう努めてまいりましたが、工事の調整に不測の日時を要したため、中ほどの翌年度繰越額の欄にございますように、九億三千五百九十四万余円を令和二年度に繰り越して継続実施することといたしました。繰越理由等は右側の説明欄に記載のとおりでございます。
以上、大変簡単ではございますが、令和元年度予算の繰り越しにつきましてご説明を終わらせていただきます。
○斉藤(や)委員長 報告は終わりました。
これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○斉藤(や)委員長 次に、請願の審査を行います。
請願二第三号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○谷田経営企画部長 それでは、お手元の資料5、厚生委員会付託請願審査説明表を二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
整理番号1、請願二第三号についてご説明申し上げます。
この請願は、豊島区の新日本婦人の会東京都本部会長の佐久間千絵さん外三千七百二十一人の方々から提出されたものでございます。
請願の要旨は、都において次のことを実現していただきたいとしまして、第一に、都立病院の地方独立行政法人化をやめ、直営を堅持すること、第二に、都立病院に予算を投入し、患者負担を減らすことというものでございます。
現在の状況についてご説明いたします。
まず、第一についてでございますが、都立病院では、災害医療や感染症医療等、行政の積極的な関与が期待される医療、難病医療や精神科身体合併症医療等、採算の確保が難しい医療及び一般医療機関では対応困難な医療などを行政的医療と位置づけ、その提供を基本的役割としております。
また、地域医療構想の実現に向け、誰もが住みなれた地域で安心して医療を受けられるよう、地域医療の充実に貢献する役割も担っております。
こうした役割を将来にわたり安定的に果たしていくためには、超高齢社会の本格化や医療の担い手不足など、医療課題が深刻化していく中でも、医療環境の変化や都民ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる病院運営を実現することが必要でございます。
このため、安定的かつ柔軟な医療人材の確保を初め、より機動的な運営が可能となる地方独立行政法人へ移行することとしております。
次に、第二についてでございますが、我が国の医療制度は、誰もが一定の自己負担で医療を受けることができる国民皆保険制度であり、これを基盤としつつ、公費負担医療制度などにより負担軽減が図られております。
都立病院は、保険医療機関として、健康保険法を初めとした各種法令や東京都立病院条例等に基づき、患者から適正な額の自己負担を徴収しております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○白石委員 都立病院の地方独立行政法人化に反対し直営による充実と存続を求めることに関する請願について、幾つか質問したいというふうに思います。
本請願は、新日本婦人の会東京都本部の会長である佐久間千絵さん外三千七百二十一名の方が、都立病院の地方独立行政法人化をやめ、直営を堅持することなどを求めた請願です。
新型コロナウイルス感染症から都民の命と健康を守るために、都立、公社病院の現場では、みずからの感染リスクを背負いながら、必死に対応が、今もされております。改めまして、心から敬意と、そして感謝を申し上げたいというふうに思います。
都立、公社病院が果たす役割が、これほどまでに鮮明になっているというときはないというふうに思います。
初めに、都立病院が新型コロナウイルス感染症に、どうやって機動的に対応されているのか、確認を幾つかしていきたいというふうに思います。
初めにですが、都立、公社病院は、新型コロナウイルス感染症専用の病床を、現在何床確保しているのか伺いたいというふうに思います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 五月八日現在でございますが、都立八病院で四百四十一床、公社六病院で三百三十六床、合計七百七十七床を確保しております。
○白石委員 感染症病床は、都立、公社、四病院合わせて、最初は八十床でしたので、この数カ月間で、新型コロナ専用病床を約十倍近くまで確保したという答弁です。
迅速に新型コロナ病床を確保するには、現在入院されている患者を、転院も含めて、してもらわなければいけないと。そうじゃないと、十倍近くの病床を確保することはできないというふうに思います。
そこで伺いたいと思うんですけど、入院患者さんへの対応は、丁寧さがとりわけ求められるというふうに思います。どのような対応で新型コロナ病床を確保していったのか、具体的にお聞かせ願いたいと思います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の入院患者の対応に当たりましては、感染管理の観点から、個室単位または病棟単位で専用病床化を図ってまいりました。
とりわけ病棟単位の専用病床化に当たりましては、入院患者の症状などに応じて、他の病棟への転棟や他の医療機関で対応可能な場合には、地域医療機関等への転院をお願いするなど、患者の個別の状況に応じたきめ細やかな対応により病床を確保しております。
○白石委員 患者一人一人の状況に応じて転院をしてもらう、この対応一つとっても大変なエネルギーが要る、そういうふうな作業になるというふうに思います。
患者の状況に応じて、都立病院や公社病院内で調整して、先ほど答弁でも、転院してもらったり、あるいは対応可能な民間医療機関へ受け入れをお願いすると、そういう中で、新型コロナ病床を確保しているということになります。
加えて、新型コロナ患者を受け入れるには、医師や看護師なども重点的に配置をしていかなければならないというふうに思います。
そこで伺いたいと思いますけれども、新型コロナへの対応で、都立病院の医師や看護師などの体制、どういうふうな形で、集中的、それから重点的に配置をしているのか伺いたいというふうに思います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院におきましては、感染拡大に伴う感染患者や感染疑い患者の対応に当たりまして、感染症科の医師や病棟看護師のみならず、広く内科系診療科や外科系診療科、救急部門等もあわせた総合的な診療体制を再構築するなど、病院ごとに必要な体制を整備しております。
○白石委員 今ご答弁あったとおり、機動的に、集中的、重点的に各病院ごとに必要な体制を講じていくと。さらには内科系、外科系、そして救急部門も再構築して、新型コロナ感染症対策に、受け入れをできるような体制を整備しているということで、非常に迅速、そして機動的だなというふうに思いますし、再構築するに当たっても、非常にこれは大変だなと。そもそもある医療機能もありますので、それをいかに維持をしながら新型コロナウイルス感染症へ対応していくかというところでは、非常に努力もされているだろうし、労力もあったかというふうに思います。
全国の公立や民間など約千五百病院が加盟している全国公私病院連盟の会長である邉見会長、この方が次のようにおっしゃっております。
新型コロナ感染症の患者を一人でも受け入れるには、感染防止のため四十床ほどある一病棟全てを空にすることになる、一般患者とは別の動線などを確保するため隣の病棟まで閉めることにもなりかねない、コロナの影響で一般の外来患者が減っている減収分に加え、感染症患者の受け入れに伴う一般患者の入院制限なども行われている、こうした対策をすれば、一病院の減収は月一億円以上になりますと。
つまり、頑張れば頑張るほど赤字になるというふうなことをおっしゃられています。
また、日本病院会と全日本病院協会、さらには日本医療法人協会の三団体が合同で行った病院の経営調査によれば、新型コロナの患者を受け入れた二百六十九病院では、平均一億円の赤字に陥っていると、厳しい経営実態が明らかとなっております。
さらに、院内感染などで病棟を一時的に閉鎖せざるを得なかった百四十六病院の経営悪化はより顕著で、四月は平均一億二千二百四十五万円の赤字に追い込まれていると、このような調査結果も出ております。
新型コロナに対応しようとすればするほど経営は悪化すると、今こういうふうな仕組みになってしまっているということです。
新型コロナ患者のための病床を大規模に確保するために、例えば病棟を丸ごと新型コロナ専用としたり、さらには、患者を受け入れるために短期間で医師や看護師を集中的に配置することなど、やはり民間医療機関では限界がある。先ほどの調査でも、やればやるほどリスクが高まる。そして、赤字にまで陥ってしまうと。
こういう中で、都立や公社病院、公立病院、公的病院の果たす役割というのは、今ほど求められていることはないというふうに思いますし、誰がどう見ても、この都立、公社病院の果たしている役割というのは、本当にかけがえのない、都民医療のとりでだというふうに改めてはっきりと申し上げたいというふうに思います。
都立直営だからこそ、非常時であっても、都民が必要とする医療を提供するために、財政、マンパワーを集中して機動的に役割を果たすことができるんだということです。
一方で、皆さんがいっている独法化は経営効率を最優先として、行政医療の縮小、廃止などを含めて、効率化を図るのが独法化の制度です。皆さんもご存じのとおり、法律を見ればはっきり書いてあります。
都立直営で運営されてきた都立病院は、より民間に近い経営形態へと変質し、業務の効率化や採算性の確保など、病院の経営という視点が最も重視をされることになります。
ただでさえ、この間減らされてきた都立病院をこれ以上減らせば、それこそ、新型コロナウイルス感染症など感染症対策の--これから新型コロナだけではなくて、未知の感染症が起こり得ることは十分に考えられます。そのときに、これ以上都立病院を減らしていけば致命傷になりかねないと、改めて強く、私指摘したいと思います。
現在果たしているという都立病院の重要性を、今こそ、経営本部長を先頭に、ぜひとも認識をしていただきたい。都立病院の拡充への政策転換をすべきだと強く指摘したいと思います。
現場で必死に新型コロナウイルスへの対応を行っているときに、独法化、この準備を着実に進めようとしているのが小池都政です。
伺いたいと思いますけど、病院経営本部で独法化移行の人員体制はどのくらいなのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 独法化への移行準備を担当するための体制でございますが、十名を専任で配置をしてございます。
○白石委員 今ご答弁あったとおり、つまり、病院経営本部の職員の約一割が独法化の準備の専任として担当しているということになります。
専任以外でも、財務面や、それから人事など、独法化の準備というのは専任だけではない、病院経営本部全体がかかわるということになります。
そうした職員の力は、本来であれば、新型コロナへの対応に集中させるべきだというふうに思うんです。依命通達を出されています。新型コロナへの対応のために集中的、重点的な取り組みに注力すると、このように依命通達されております。
独法化への移行については、病院経営本部ではどういうふうな検討が行われたのか。また、政策企画局などとどのような検討が行われているのか、説明をしていただきたいというふうに思います。
○船尾計画調整担当部長 さきの依命通達におきましては、新型コロナウイルスの感染症拡大を抑え込み、都民の命を守る取り組みに集中的、重点的に取り組むよう、業務を選別することが求められておりまして、医療でいいますと、重症の患者さんに対応した医療体制の充実など、医療提供体制の強化に向けた取り組み等を集中的に行うこととなります。
独法化は、感染症医療を初め、行政的医療を安定的に提供し続け、都民の生命を守っていくためのものでございまして、そのための準備につきましては、政策企画局、総務局、財務局とも調整の上、引き続き着実に進めていくことといたしました。
○白石委員 驚きの答弁です。集中的、重点的に新型コロナウイルスへの対応をしていこうと、そのためにも、先ほど本部長もいわれましたけれども、病院経営本部一丸となって対応していかなければならないと。そういったときに、今、都民の命を守っていくための独法化なんだと、このような驚きの答弁をされました。
けれども、これまでにも指摘してきました、改めて紹介したいと思いますけれども、例えば神奈川県立病院機構、予算特別委員会で私も指摘しました。二〇一八年度決算で約二十五億円の経常損失、繰越欠損金は約九十五億円まで膨れ上がったと。法人自身が、経営は危機的な状況だと報告しています。
予算特別委員会で、私、知事に独法化して十年目となるこの神奈川県立病院機構の危機的な状況をどう受けとめているのかと、これでもうまくいっていると思うのかと、このようにもただしました。しかし、知事は答弁できない。そして病院経営本部長が、公立病院は非常に今どこも厳しい状況、これはどのような経営形態をとっていても共通の事象だ、経営形態の問題ではないと答弁されました。
独法化すれば経営がよくなると、さんざっぱら説明をしてきました。都の説明の破綻が、経営本部長みずからの答弁で明らかになりました。
さらに神奈川県立病院機構は、経営が危機的な状況のもとで、原則として職員の増員認めませんと、純増要求を認めないと、このようにもしております。つまり、住民が必要とする医療を充実させるために不可欠な職員体制の充実が、原則できなくなっているということなんです。
また、必要な医療機器、これも早期のコスト回収の見込みを立てて要求をするよう制約をかけているんですね。
医療の充実どころか、病院運営が極めて困難な状況に陥っているのが神奈川県立病院機構の実態なんです。
私も情報開示の資料を見ましたけれども、おおむね十年目、独法化されたところはうまくいっているんだと、このような資料も出されております。しかし、ちょうど十年目となる神奈川県立病院機構、このような状況に陥っていると。
他の独法でもどうかといえば、職員の給与の削減、非正規雇用の増加など、労働環境や処遇の悪化が相次いでいるんです。
都民の命を守るための独法化などと、先行して独法化された病院の実態も踏まえずに答弁するということは、私、本当に許されないというふうに思います。
新型コロナの対応のために現場は必死になっているときに、病院経営本部では、現場の職員と一丸となって新型コロナウイルスに対応する体制ができていない、このようにいわざるを得ません。
率直に聞きたいと思います。新型コロナから都民の命を守るために必死で役割を果たしているこの都立病院、こういうときに、少なくとも独法化への移行準備はやめるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○船尾計画調整担当部長 都立、公社病院でございますが、これまで新型コロナウイルス感染症への対応に全力を尽くしてまいりました。
こうした新型コロナウイルス感染症の対応と同じぐらい重要なことは、やはりこの先の医療提供体制の構築でございます。
地域医療構想の目標年次である二〇二五年、その先の二〇四〇年を見据えますと、高齢化の進展に伴って、医療の質や量が大きく変わることが予測されておりまして、都民ニーズに迅速に対応できる医療提供体制の整備が急務でございます。
また、働き手が減少するなど、少子高齢化が進む中でも、その時々の医療ニーズに機動的に対応できる体制を構築する、整備をする、こういったことが必要でございます。
このため、新型コロナウイルス感染症への対応には引き続き全力を尽くしていくとともに、感染症医療を初め、行政的医療を充実させていくためにも、先々の医療課題に機動的に対応できる独立行政法人への移行に向けた準備も着実に進めてまいりたいと考えております。
なお、先ほど神奈川県の事例ございましたけれども、我々公立病院の役割は、災害医療や感染症医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療の提供でございます。これは都立病院が果たさなければならない役割であって、都としての責務でもあります。
こうした役割は、独法化であっても変わることではございません。法人の責務でもあり、存在意義そのものになってまいります。
今回の新型コロナウイルス感染症の対応、先ほど申し上げたように、都立、公社病院においても、万全を尽くして対応しておりますが、他県の独法化された病院においても、例えば先ほどの神奈川県におきましては、重点医療機関に指定されるなど、県の医療政策と歩調を合わせながら、積極的に役割を果たしているというふうに聞いておるところでございます。
○白石委員 今、反論されたと思うんですけれども、実際に独法化--神奈川だけじゃないですよ、私たちこの間ずっと全国の事例を示してきました。そういう中で、経営はうまくいくんだといっておきながら、実際に全国の自治体の独法化を見れば、先ほど神奈川を示しましたけれども、それ以外だって同じです。りんくうだってそうです。給与だって削減されている、非正規雇用だってふえている、そういう医療体制を拡充しなければいけない一番基礎の人的マンパワーのところでも削られているというのが実態なんです。
当然、都立病院、今、現場で必死でやっているんですよ。そういう中で皆さんは、結局独法化の手続を進めるという、先ほど専任十名といいましたけれども、一丸とならずに、結局そこだけは着々と進めると。
本当に私、これひどい姿勢だと思います。抽象的に必要があると、このようにいい張るばかりでは、私はだめなんだと思うんですね。新型コロナへの対応の真っ最中の今、なぜ十名も職員を配置して独法化を進めなければならないのかと、全く説明になっていないんです。
しかも、独法化の仕事をしている職員も新型コロナへの取り組みに注力できるように、やっぱり一丸となって取り組むというのは、私、当然な考え方だと思うんですけれども、その考え方はないんですか。どうでしょう。
○船尾計画調整担当部長 副委員長おっしゃるように、この新型コロナウイルス感染症への対応、これは非常に重要でございます。もう都民の命がかかっていると。それに今、都立病院、公社病院、全力を尽くしてやってきているというところでございます。
これは先ほど申し上げたとおりでございますが、これと同時に、同じぐらいやはり重要なことは、先ほど申し上げたように、この先の医療提供体制、この先に都民が困らないように体制を構築していくこと、これもコロナへの対応と同時に重要なことだというふうに考えておりまして、今、病院現場、一生懸命やっておりますが、それと並行して、そうした柔軟な体制が構築できる独法への移行の準備、これをあわせて検討していかないといけないというふうに考えているところでございます。
○白石委員 都民の命がかかっていると、そのとおりなんです。だからこそ、今、一丸となって病院経営本部も現場に寄り添って、実態を踏まえて、一丸となってやるべきなんです。
それで、この先の、将来にわたった医療体制の構築だと、このようなことをいっていますけれども、何で都立病院じゃできないのかと。制度的制約、制度的制約とこの間説明してきましたけど、じゃあ今、財政の面で、単年度主義の枠を超えて、必要であれば補正予算をどんどん組んでいくということをやっているじゃないですか。
今まで皆さんが制度的制約、制度的制約と、このような形で都立病院を切り離そうと、こういう説明を繰り返してきたけれども、実際この新型コロナウイルス感染症での対応として、予算単年度主義じゃなく、必要であればしっかりと補正予算を組んでやっていく、専決処分だってやっていくということを、皆さんみずからやっているじゃないかと。それをこの独法化は、結局法人に移して、都政から切り離していくと。
この先の将来を考えたときに、先ほど私いいましたけど、新型コロナウイルスだけではない未知の感染症がさらに起こり得る、そういう可能性のときに、やはり公立病院、公的病院の役割を今こそ認識をして、拡充こそ求められていると、私、改めてはっきりといいたいというふうに思います。
そして、皆さんに改めて聞いていただきたい。現場の職員の方が新型コロナにどう対応しているのか。皆さんよくご存じだと思うけれども、私も聞いてきました。
個人防護具をつけて、一時間と少し、半袖のユニホームの上に着たビニール製のガウンは全く通気性がない。流れる汗が腕を伝い、手首のところにとどまっているのがわかる。きつくとめたN95マスクが鼻筋に食い込み痛い。何とか一段落させて交代で休憩をとる。
マニュアルどおりに、まず二重にした手袋を外す。手は長時間水につけたような状態。したたり落ちる汗。マニュアルでは、このときに擦式消毒薬で手指を消毒することになっているが、流れる汗でアルコールが薄まって効果がないのではと不安がよぎる。もう一回分、擦式消毒薬を手にとりすり込む。
次いで、首の後ろでガウンをちぎり、上半身からガウンを脱いでいく。このとき、ガウンの外側にさわらないように注意しながら袖を抜く。次いで、下半身を覆っていたガウンを、これも外側に触れないようにウエストに向かって丸めていき、最後に腰ひも引きちぎり、ガウンを専用ごみ箱へ廃棄する。ここで再度、手指消毒。この後は、アイシールド、キャップを外す。もちろん、一つ外すごとに手指消毒。
最後に、N95を自分の顔に触れない、余りさわらないように下のひもから外す。本体は、N95も一回ごとに廃棄することになっているのだけれど、一日一個の使用制限がある。汗で湿ったN95の外側に触れないように袋に滑り込ませる。最後に手を洗い、ようやくほっとする。
病院に届けられたお茶やお菓子がメッセージとともに置いてある。このような個人の善意はありがたいなと素直に思う。先月には近所の方が頑張ってくださいと数枚のマスクを届けてくれた、そういっておりました。こういう話を聞くとじんとくる。独法化したら、こんなに人手もお金もかかるコロナの受け入れなんてできないと、このように話します。
現場の職員の声を、都は真摯に受けとめるべきだと。これほど感染のリスクを負いながら必死で働いているんです、都民の命のため。
そういうふうな中で、皆さんは制度的制約などと、このようなことをいって、時には赤字論だって振りまかれました。こういうふうな中でも、本当に、都立病院、公社病院で働く職員の人たちは、必死でやっているわけです。やはり、本当にこういう声、そして現場を見るべきだと。
こういうときにこそ、私、本当にいいたいんですけれども、一丸となるべきなんです。独法化の手続を進めるんじゃなくて、しっかりとこの新型コロナウイルス感染症に向き合って、そして皆さんも、都民の命、健康を守る、そのためにもしっかりと一丸となるべきだと改めて申し上げたいというふうに思います。
都民の医療のとりでである都立病院を守り、直営で拡充することを求める本請願の採択を求めたいというふうに思います。
そして都民の運動は、これまでも営々と、都立病院を守るという運動を続けられてきました。
私たち日本共産党都議団も、都民運動と連帯して、都立、公社病院の独法化を阻止するために、全力を挙げたいというふうなことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕
○斉藤(や)委員長 起立少数と認めます。よって、請願二第三号は不採択と決定いたしました。
以上で請願の審査を終わります。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○斉藤(や)委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、福祉保健局長から紹介があります。
○内藤福祉保健局長 それでは、説明に先立ちまして、このたびの人事異動によりまして当局幹部職員の交代がございましたので、新任幹部職員をご紹介させていただきます。
少子社会対策部長の武田康弘でございます。障害者施策推進部長の藤井麻里子でございます。企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務の齋藤善照でございます。企画調整担当部長の奈良部瑞枝でございます。事業推進担当部長の遠藤善也でございます。医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務の中川一典でございます。地域保健担当部長の池上晶子でございます。事業調整担当部長の山口真吾でございます。高齢者施策推進担当部長の保家力でございます。子供・子育て施策推進担当部長の西尾寿一でございます。新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長兼務の杉下由行でございます。総務課長の森田能城でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者挨拶〕
○斉藤(や)委員長 紹介は終わりました。
○斉藤(や)委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○内藤福祉保健局長 議案のご説明の前に、新型コロナウイルス感染症に対する福祉保健局の対応につきましてご説明申し上げます。
都内では、これまで感染者が五千人を超えておりまして、昨日時点で、二百五十六名の方がお亡くなりになられております。ここに深く哀悼の意を表したいと存じます。
福祉保健局では、一月末に都内で初めての感染者を確認して以来、さまざまな関係者と連携して、感染拡大防止に向け取り組んでまいりました。
まず、感染の疑いがある方からの相談に対しましては、保健所と連携いたしまして、二十四時間対応する体制を整備してまいりました。また、検査体制を充実するため、健康安全研究センターの体制を強化するとともに、民間検査機関の活用、新型コロナ外来の拡充、PCRセンターの設置支援などに取り組んでおります。さらに、都立、公社病院を中心に、民間医療機関の協力を得て、患者の発生状況に応じて段階的に病床を確保するとともに、無症状、軽症者用の宿泊療養施設の確保も進めております。
都内の感染者は、四月に一日二百人を超えた日がございましたものの、緊急事態宣言発令以降、都民の皆様や事業者の皆様のご協力のもと、外出自粛の徹底によりまして、昨日まで七日間連続で二十人未満となるなど、徐々に感染が終息する方向に進んでいるのかなと考えております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症は、今後、完全に終息する前に、幾度か流行の波が来るといわれており、このたびの第一波が終息したとしても、次なる第二波に備えておくことが重要だと考えております。
当初は、未知なるウイルスとの手探りの闘いでございましたが、この間、さまざまな経験や知識が蓄積されており、これらを集約するとともに、これまでの対応を改めて検証して課題を洗い出し、万全の体制を整備していきたいと考えております。
都民の健康と安全を守る、これが福祉保健局に課せられた使命であり、忘れてはならない原点でもございます。この使命を全うするため、今後も、感染拡大防止に局の総力を挙げて一丸となって取り組んでまいります。新型コロナウイルス感染症に対する当局の対応につきましては、後ほど総務部長から詳細にご報告申し上げます。
それでは、令和二年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
今回ご審議をお願いいたします議案は、令和二年第二回定例会補正予算案一件、条例案五件、事件案四件、専決処分の報告及び承認案七件の合計十七件でございます。
初めに、補正予算案についてでございますが、東京都緊急対策(第四弾)に掲げます施策のほか、感染症防止と経済社会活動との両立を図るための施策等を実施するために必要な経費を補正するものでございます。
続きまして、条例案の概要をご説明申し上げます。
女性福祉資金貸付事業の充実を図るもののほか、食品衛生法の改正等に伴うもの、動物の愛護及び管理に関する法律の改正に伴うものでございます。
次に、事件案についてでございますが、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買い入れ及び売り払いについてでございます。
最後に、専決処分の報告及び承認案の概要をご説明申し上げます。
地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づきまして、専決処分したマスク等の買い入れ及び令和二年度補正予算について報告を行い、承認を求めるものでございます。
なお、詳細につきましては、後ほど総務部長からご説明申し上げます。
以上、甚だ簡単ではございますが、提出議案のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○雲田総務部長 それでは、令和二年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細をご説明申し上げます。
初めに、令和二年第二回定例会補正予算案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料、令和二年第二回定例会補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
今回の補正は、一般会計歳入歳出予算の補正でございます。
左側の(1)、歳入予算の補正予算額欄をごらんください。国庫支出金で六百九十九億九千二百八万五千円、寄附金で二億円及び繰入金で四百二十四億四千四百四十四万七千円の増額により、補正後の歳入合計は三千六百四十一億七千二百四万三千円となります。
右側の(2)、歳出予算の補正予算額欄をごらんください。福祉保健費で千百八十七億三千八十二万四千円増額補正でございます。これによりまして、補正後の歳出合計は一兆四千二百三十四億九千二百三十六万九千円となります。
二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、新型コロナウイルス感染症緊急対策でございます。
新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、医療機関、社会福祉施設等に提供するマスクの購入について、福祉保健管理費で二十七億四千九百四十万円を計上してございます。
三ページをごらんください。経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットの強化に要する経費として、生活福祉資金貸付事業補助や住居喪失不安定就労者・離職者等サポート事業について、生活福祉費で五百八十二億二十五万四千円を計上してございます。
四ページをお開き願います。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、郵送によるシルバーパス一斉更新について、高齢社会対策費で九億五千九百五十五万九千円を計上してございます。
五ページをごらんください。経済活動と都民生活を支えるセーフティーネットの強化に要する経費として、新型コロナウイルス感染症緊急対策に係るひとり親家庭支援事業について、少子社会対策費で十四億一千三百万円を計上してございます。
六ページをお開き願います。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、相談体制の確保や感染防護具の備蓄などについて、健康安全費で五百五十一億六千三百六十一万一千円を計上してございます。
八ページをお開き願います。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策に要する経費として、感染拡大防止のための歯科医療設備整備事業や診療体制の確保支援について、施設整備費で二億四千五百万円を計上してございます。
続きまして、条例案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料、令和二年第二回東京都議会定例会条例案等の概要をごらんください。
表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。整理番号1、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例でございます。
延滞利子の利率を改めるとともに、事業開始資金等の貸付限度額を改めるほか、所要の改正を行うものでございます。
この条例の施行日は、公布の日を予定しております。
整理番号2、東京都食品安全条例の一部を改正する条例でございます。
食品衛生法の改正等に伴い、自主回収報告制度の規定を削除するものでございます。
この条例の施行日は、令和三年六月一日を予定しております。
整理番号3、食品衛生法施行条例の一部を改正する条例でございます。
食品衛生法の改正に伴い、厚生労働省令で定める基準を参酌して、施設基準の規定を改めるものでございます。
この条例の施行日は、令和三年六月一日を予定しております。
二ページをお開き願います。整理番号4、食品製造業等取締条例を廃止する条例でございます。
食品衛生法の改正に伴い、条例を廃止するものでございます。
この条例の施行日は、令和三年六月一日を予定しております。
整理番号5、東京都動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例でございます。
動物の愛護及び管理に関する法律の改正に伴い、法律からの引用条文を改めるほか、動物愛護推進員の委嘱を努力義務にするなど、所要の改正を行うものでございます。
この条例の施行日は、公布の日を予定しております。
続きまして、事件案につきましてご説明申し上げます。
三ページをごらんください。整理番号1から整理番号3までの三件の事件案でございますが、いずれも都内での新型インフルエンザの発生に備えた医療に必要な医薬品の供給及び流通用として、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買い入れを行うものでございます。
種類及び数量、価格はそれぞれ、整理番号1につきまして、タミフルカプセル七十五を二百万カプセル、価格は三億五千九百二十六万円、整理番号2につきまして、リレンザを千六百七十四万四千ブリスター、価格は十八億九千八百九十三万七千四十円、整理番号3につきまして、イナビル吸入粉末剤二十ミリグラムを三十四万八千八百容器、価格は三億百九十五万六千百六十円でございます。
四ページをお開き願います。整理番号4、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについてでございます。
都内での新型インフルエンザ発生時における医療に必要な医薬品の供給及び流通用として、売り払いに当たっての条件を定めるものでございます。
種類、数量上限及び予定単価でございます。タミフルカプセル七十五につきまして、数量上限は二百万カプセル、予定単価は一カプセル当たり二百四十九・一一円、リレンザにつきまして、数量上限は千六百七十四万四千ブリスター、予定価格は一ブリスター当たり百三十四・三四円、イナビル吸入粉末剤二十ミリグラムにつきまして、数量上限は三十四万八千八百容器、予定単価は一容器当たり二千三十一・九四円でございます。
予定価格の総額は三十四億五千六百三十四万九千六百三十二円となります。
最後に、専決処分の報告及び承認案につきましてご説明申し上げます。
五ページをごらんください。いずれも、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき知事が行った専決処分につきまして報告を行い、ご承認をお願いするものでございます。
整理番号1及び整理番号2の二件につきましては、いずれも新型コロナウイルス感染拡大防止のための供給用として、マスクの買い入れにつきまして、令和二年五月十三日付で専決処分を行ったものでございます。
種類及び数量は、いずれもマスクを三千二百万枚、価格はそれぞれ、整理番号1につきましては八億九千六百万円、整理番号2につきましては十一億六千四百六十万円でございます。
六ページをお開き願います。整理番号3から整理番号6までの四件につきましては、いずれも都内での新型コロナウイルス感染症対策及び新型インフルエンザ発生時の対策に従事する保健所及び医療機関等の職員の感染防止用として、個人防護具、ゴーグル、フェースシールド、インナー手袋及びアウター手袋の買い入れにつきまして、令和二年五月十三日付で専決処分を行ったものでございます。
種類及び数量、価格はそれぞれ、整理番号3につきまして、個人防護具を八十万セット、価格は七億二千百六十万円、整理番号4につきまして、ゴーグルを三十九万個、価格は六千六万円、整理番号5につきまして、フェースシールドを百十八万個、価格は一億二千七百二十万四千円、整理番号6につきまして、天然ゴム製インナー手袋を百四万双、合成ゴム製インナー手袋を五十六万双、天然ゴム製アウター手袋を百四万双、合成ゴム製アウター手袋を五十六万双、価格は二億一千八百四十一万六千円でございます。
次に、お手元の資料、令和二年度補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
本件は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く深刻な状況を踏まえ、緊急事態措置の延長等に伴う対応を迅速に実施するため、補正予算を編成し、五月七日に専決処分したものでございます。
二枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
今回の補正は、一般会計歳入歳出予算の補正でございます。
左側の(1)、歳入予算の補正予算額欄をごらんください。国庫支出金で三百三十六億九千二百六十万円の増額により、補正後の歳入合計は二千五百十五億三千五百五十一万一千円となります。
右側の(2)、歳出予算の補正予算額欄をごらんください。福祉保健費で三百六十三億三千百九十五万七千円の増額により、補正後の歳出合計は一兆三千四十七億六千百五十四万五千円となります。
二ページをお開き願います。Ⅱ、事項別内訳の1、新型コロナウイルス感染症緊急対策でございます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く深刻な状況を踏まえ、緊急事態措置の延長等に伴う対応に要する経費として、生活福祉資金貸付に要する原資について、生活福祉費で三百三十六億九千二百六十万円を計上してございます。
三ページをごらんください。学童クラブを午前中から開所する場合の運営費について、少子社会対策費で十九億九千二百三十万九千円を計上してございます。
四ページをお開き願います。特別支援学校等の臨時休業に伴う放課後等デイサービスの支援について、障害者施策推進費で六億四千七百四万八千円を計上してございます。
以上で提出予定議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。--なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○斉藤(や)委員長 次に、理事者からの報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
初めに、新型コロナウイルス感染症への対応についての報告を聴取いたします。
○雲田総務部長 それでは、お手元の資料、厚生委員会報告事項をごらんいただきたいと存じます。
表紙をおめくりいただきまして、新型コロナウイルス感染症への対応について(令和二年五月二十一日時点)をごらんください。
まず、1、国・都の動向の(1)、国の主な動向でございます。
一月十五日に国内で初めての感染者が確認され、一月二十八日には、感染症法に基づく指定感染症及び検疫感染症に指定されました。
四月七日には、東京都など七都府県を対象に五月六日までを期間とする緊急事態宣言が発令され、五月四日には緊急事態宣言の期間が五月三十一日まで延長されたところです。
次に、(2)、都の主な動向でございます。
一月二十四日に都内で初となる感染者を確認し、同日、第一回東京都危機管理対策会議を開催し、感染拡大防止について、全庁一丸となって対応することを確認いたしました。
一月三十日には、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、二月十三日には、都内在住者の感染者が初めて確認されました。
二ページをお開き願います。四月七日には、都民への徹底的な外出自粛を要請し、十日には、緊急事態措置等を実施し、五月三十一日まで延長しているところです。
五月十五日には、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ(骨格)を公表いたしました。
以上が国内、都内の動向の主なものになります。
次からは、2、福祉保健局の主な取組についてご報告させていただきます。
まず、(1)、相談体制のア、新型コロナコールセンター(新型コロナウイルス感染症に関する電話相談窓口)でございます。
新型コロナウイルス感染症に関する都民等からのさまざまな相談に対応するため、一月二十九日にコールセンターを設置し、土日祝日を含む午前九時から午後十時まで行っております。
また、多言語対応やファクス、LINEによる聴覚障害者への相談にも応じてございます。
相談実績は、五月二十日時点で九万九千八百十九件となっております。
次に、イ、新型コロナ受診相談窓口(帰国者・接触者電話相談センター)でございます。
都民の方等が感染の不安に思われた場合などの相談窓口として、二月七日に設置し、平日日中は都内各保健所の相談窓口で対応し、平日夜間及び土日祝日は、都、特別区、八王子市、町田市との共同で対応してございます。
相談実績は、五月二十日時点で十一万六千七百五十九件となっております。
次に、(2)、検査体制でございます。
東京都健康安全研究センターにおいて、検査機器の導入等により検査体制を整備し、一日当たりのPCR件数が最大検査可能件数二百四十件まで拡大し、民間検査機関への委託を含めますと、一日最大五百四十件の検査が可能となっております。
三月六日からは医療機関等による検査が開始され、その分も含めまして、現在、一日当たり最大約三千百件の検査が可能となっております。
また、地域の実情に応じて地域の医師会等が運営いたします地域外来・検査センター、PCRセンターの設置が可能となりましたため、医師会等と連携いたしまして設置を後押しし、現在三十四区市で設置済みとなっております。
五月二十日時点での検査実績は、健康安全研究センターで民間検査機関への委託を含め一万九千四百九十一件、医療機関等でPCRセンターを含め四万八百件、合計六万二百九十一件となっております。
次に、(3)、医療提供体制になります。
まず、ア、外来診療体制の充実でございます。
感染が疑われる方からの相談を新型コロナ受診相談窓口において二十四時間体制で受け付けし、受診が必要な方を新型コロナ外来にご案内しております。
また、都医師会と連携し、かかりつけ医でも相談に対応することとし、必要な場合に新型コロナ外来での受診に円滑につなげる体制を構築いたしました。
これまで患者数の増加に応じまして新型コロナ外来の規模を拡大し、現在、八十六医療機関で実施しております。
次に、イ、入院医療体制の確保でございます。
都内の医療資源を最大限に活用すべく重症度に応じた医療提供体制を整備しております。
通常診療や救急医療体制を維持しながら、流行状況に応じて、段階的に体制を拡大してきており、都内の感染症対策の中核を担う感染症指定医療機関のほか、都立、公社病院や公的医療機関を中心に病床確保を推進しております。
四月には約三千三百床の確保を要請いたしますとともに、新型コロナ調整本部を設置し、保健所と連携しながら入院、転院調整を実施しております。
今後の患者発生状況に応じまして、重篤、重症の方向けに七百床、中等症の方向けに三千三百床、合計で最大四千床の確保を目指してまいります。
次に、ウ、宿泊療養施設の確保でございます。
重症、重篤患者への医療提供体制確保のため、必ずしも入院治療が必要ではない無症状、軽症者は宿泊療養を原則とし、無症状、軽症者が宿泊療養するための施設を整備、運営しております。
現在、五施設、二千八百六十五室を確保しております。
次に、(4)、患者情報・感染状況の発信でございます。
患者の発生状況や入退院状況等の把握、管理を目的といたしまして、患者情報管理センターを設置いたしました。
センターでは、病院や宿泊療養施設など関係機関から都に集まる情報を集約し、患者情報管理データベースを作成し、入院者、宿泊療養者、自宅療養者など陽性患者の状況、医療機関等を含めた検査実施件数、陽性率等を毎日公表しております。
六ページをお開き願います。3、これまでの緊急対策等の主な内容でございます。
まず、(1)、医療提供体制の強化になります。
ア、外来診療体制の強化につきましては、新型コロナ外来等の受け入れ体制を強化するための運営に係る経費を補助することにより、外来診療体制の強化を図るものでございます。
イ、検査体制の充実につきましては、民間検査機関に対するPCR検査機器の導入支援などにより、検査体制の充実を図ります。
ウ、新型コロナウイルス感染症患者受入体制の拡充につきましては、患者の入院受け入れを行う医療機関への謝金の支払いや患者受け入れに向けた空床確保を支援することなどによりまして、患者受け入れ体制の拡充を図ります。
エ、重症患者に対応した医療体制の充実につきましては、集中治療室等での医師、看護師等の確保の支援や人工呼吸器等の整備費の補助などにより、重症患者の医療体制の充実を図ります。
七ページをごらんください。オ、宿泊施設活用事業につきましては、無症状、軽症の患者を受け入れるための宿泊療養施設を確保、運営しております。
カ、オンライン診療・医療相談の導入支援につきましては、かかりつけ医等によるオンライン診療、医療相談等を推進するため、情報通信機器等の初期導入経費を補助するものでございます。
次に、(2)、衛生資材の提供でございます。
医療機関や保健所等に防護服を提供するとともに、医療機関や社会福祉施設等にマスクを提供しております。
また、国の優先調達スキームを活用し、希望する医療機関や社会福祉施設等へのアルコール消毒液の優先供給について調整を行ったところです。
次に、(3)、学校臨時休業等対策でございます。
学童クラブを午前中から開所する場合の運営費を支援するほか、ベビーシッター利用支援事業等の対象に、臨時休園等となった保育所等の児童を追加しております。
最後に、(4)、その他でございます。
妊婦への感染防止の観点から、衛生資材の配布や健診等のタクシー移動に使えるチケット等を配布する区市町村を支援するほか、失業等に伴う住居喪失者への対応として、緊急的な一時宿泊場所等を提供しております。
また、休業等による一時的な資金需要に対応する緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付の実施への補助を行うほか、医療現場のための物資購入等に活用するため、守ろう東京・新型コロナ対策医療支援寄附金口座を開設したところでございます。
以上で新型コロナウイルス感染症への対応についての説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○白石委員 保健所、健康安全研究センター、福祉保健局健康安全部の職員の職種別超勤時間の平均と分布、三月及び四月分。
都内のPCR検査センターの設置状況。
PCR検査センターへの国の補助と都の補助の内容の比較。
東京都健康長寿医療センターの二月から四月の収支の状況と前年との比較。
児童相談所及び女性相談センターにおける特別定額給付金用配偶者暴力被害申出受理確認書の発行数、最新バージョンをいただきたい。
以上です。
○小松委員 私どもの方からは、衛生資材、マスクや防護服、手袋、フェースシールド、ガウン等、消毒液の備蓄状況及び直近半年間の寄附や購入、提供などの入りと出についての推移。また、その提供先や日付について。
また、二つ目は、入院者、宿泊療養者、自宅療養者の日別の推移。これは重症度別でいただきたいと思います。
三点目、病床及び各宿泊施設ごとの使用状況、稼働状況、稼働率の日別の推移。
四点目、各宿泊療養施設ごとの契約内容、期間や一部屋当たりの単価などがわかるもの並びに医療従事者及び都職員の配置の状況がわかるもの。
五点目、感染経路別の死者数の推移。
六点目、これが最後になりますが、新型コロナコールセンターや新型コロナ受診相談窓口への相談件数の日別の推移並びに回線の数を教えていただきたいと思います。
○斉藤(や)委員長 ほかにいいですか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 資料要求がただいまありました。これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願いたいと思います。
○斉藤(や)委員長 次に、令和元年度東京都一般会計予算、福祉保健局分の予算の繰り越しについて報告を聴取いたします。
○雲田総務部長 それでは、お手元の資料、厚生委員会報告事項の九ページをお開きいただきまして、令和元年度一般会計繰越説明書をごらんいただきたいと存じます。
さらに、一一ページをお開き願います。繰越総括表でございます。
繰越明許費予算議決額の欄に記載のとおり、令和元年度十二月補正予算で五億三千二百五十万円について、繰越明許費としてご議決いただいております。このうち、執行見込みの状況を踏まえまして、翌年度繰越額の欄に記載のとおり、歳出予算四億四千五百三十二万三千円を今年度に繰り越すものでございます。
その財源といたしましては、繰越財源内訳の欄に記載のとおり、全額繰越金でございます。
一二ページをお開き願います。事項別内訳でございます。
資料右側の説明欄をごらんください。事業名は、被災者生活再建支援事業でございます。
繰越理由に記載してございますように、令和元年台風第十五号及び第十九号災害による東京都被災者生活再建支援事業におきまして、被災者生活再建支援金の申請期間が令和元年度を越えるため、今年度に繰り越して支出するものでございます。
以上が令和元年度東京都一般会計予算の繰り越しについてのご報告でございます。よろしくお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
○斉藤(や)委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
初めに、請願二第四号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○保家高齢者施策推進担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明いたします。
整理番号1番、請願二第四号、シルバーパスの都県境適用に関する請願は、町田市のシルバーパスを使いやすくする会代表の小山健介さん外二千八百十九名から提出されたものでございます。
請願の趣旨は、都において、シルバーパスを都県境を越える路線で利用できるようにしていただきたいというものでございます。
現在の状況についてご説明させていただきます。
シルバーパス事業は、高齢者の社会参加を助長するために、利用を希望する方に一般社団法人東京バス協会がパスを発行し、都が事業に必要な費用を補助しております。
シルバーパスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例により、都営交通及び路線バスとなっており、路線バスの通用区間は、同条例施行規則で東京都の区域内に存する路線の停留所相互間としております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○藤田委員 シルバーパスの都県境適用に関する請願について質問いたします。
シルバーパスの都県境適用に関する本請願は、町田市のシルバーパスを使いやすくする会代表者小山健介さん外二千八百十九人により提出されました。
シルバーパスの都県境に関する都民からの要望は長年出されています。また、時代の変化とともに、同じ要望であっても、都民の暮らしの実態は変化し、シルバーパス事業の目的である高齢者の社会参加に資するというあり方についても時代とともに変化しているものであり、事業のあり方も検討していく必要があります。
都議会では、議事録という形で検討の扱いについて経過を追うことができましたので、ここでは都県境について、時代の変化とともに都庁内でどういった検討が行われ、現在に至るのかを質問したいと思います。
一九九〇年の決算特別委員会では、一部の自治体が都県境を越えた場合の料金について、都民の負担とならないよう市が負担しているという例を挙げ、負担割合について東京都も検討してほしいとの質問がありました。
これに対して、高齢福祉部長は、周辺県とのかかわりを持つ多くの区に共通の問題でございまして、私ども、今後検討させていただきたいと答弁しています。
また、二〇〇五年の第四回定例議会では、東京都市長会から、二〇〇六年度東京都予算編成に係る重点要望事項で、シルバーパスの利用区域について、隣接県バス路線及び多摩都市モノレールへの拡大を図ることという事項が取り上げられていることを紹介し、市長会の重点要望の受けとめを質問しています。
その際、都は、東京都市長会からの要望については、高齢者福祉にかかわる各種施策の充実に関するさまざまな要望の一つとして受けとめていると答弁しています。
一九九〇年以降のこうした答弁の後、周辺県とのかかわりを持つ多くの区に共通する問題である都県境について、また、高齢者福祉にかかわり、各種施策の充実に関する要望の一つとして、どのような検討がされてきたのかを伺います。
○保家高齢者施策推進担当部長 東京都シルバーパス条例及び同条例施行規則では、ただいまお話にありました都県境についてのことですが、このシルバーパスの利用交通機関は都営交通及び路線バスとしておりまして、また、路線バスの通用区間は東京都の区域内としているところでございます。
○藤田委員 制度の説明を伺ったわけではありませんで、どんな検討が都内でされてきたのかということを伺ったわけです。
地域の実情や都民の実態をどう受けとめているのか、その検討はされていたのかということが、今の話では示されなかったわけですけれども、この間、伺った話の中でも、検討した資料もないし、つまり、検討してこなかったんじゃないかといっていい状態だと思っています。議会の中で質疑していても、検討すると答弁しても、市長会から要望が上がったとしても、規則で決めているので、通用区間は都内の区間と答えるだけというのは無責任だといわざるを得ません。
二〇〇五年に答弁しているとおり、シルバーパスの利用を隣接県のバス路線に拡大することは、高齢者福祉の充実につながることは明確です。
都県境を越える路線についてシルバーパスを利用できるようになることは、高齢者の社会参加に資すると思うのですが、いかがですか。
○保家高齢者施策推進担当部長 シルバーパスは、高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上に資するものでありまして、現在、多くの高齢者がシルバーパスの発行を受け、社会参加や趣味の活動などに活用していると認識しております。
○藤田委員 シルバーパス事業全体について聞いたのではありません。都県境を越える路線で利用できるようになることについて伺ったのです。
もう一度、都県境を越える路線について拡大したら、高齢者の社会参加に資すると思う、このことについていかがか、お答えください。
○保家高齢者施策推進担当部長 ただいま申し上げましたとおり、シルバーパスは、高齢者の社会参加を助長するものと考えてございます。
○藤田委員 都県境を越えた場合については、明確な答弁は一切なかったかなと思いますが、都の調査では、シルバーパスの利用目的は、買い物、通院、趣味の順で多くなっていました。まさに生活のために欠かせない目的に対してシルバーパスを利用しているということがわかります。
私が住む大田区でも、八つの路線で都内から神奈川県にバスの路線がまたがっていて、電車では乗りかえが多く遠回りですが、バスを利用すると乗りかえなしで川崎駅に行けるため、特に高齢者には重宝されています。しかし、神奈川県に入ると、初乗り料金の二百十円の自己負担が発生するため、支払いができる人とできない人で、利用に格差が生じる要因にもなります。
都内の自治体では、稲城市が独自で都県境分のバス路線に補助して、市民が神奈川県に行く際もシルバーパスで自己負担なく行けるようにしています。
都は、こうした取り組みに対しては、各自治体が地域の実情に応じて行っているものと答えています。しかし、東京都が規定を変えることで、大田区でも、町田市でも、東部地域でも、多くの自治体に住む都民が自己負担なく都県境を越えた駅に行けるようになり、その社会参加に資する影響はより大きくなるといえます。
都県境を越える路線について、シルバーパスの通用区間を広げない東京都の理由は何ですか。
○保家高齢者施策推進担当部長 シルバーパスは、一般社団法人東京バス協会が主体となって行っている事業でございまして、都は、事業に必要な費用を補助しているところでございます。
東京都シルバーパス条例及び同条例施行規則におきまして、このシルバーパスの利用交通機関は都営交通及び路線バスとなっておりまして、また、路線バスの通用区間は東京都の区域内としているところでございます。
○藤田委員 相変わらず制度の説明のみということで、広げない理由については具体的に挙げることができないということだと思います。
シルバーパスが使える区域は、シルバーパス事業を始めてからこれまで見直しがされていませんが、地域の環境は変わっていないのか確認したいと思います。
シルバーパスは、都外で乗るか、おりるかする場合は使えないということを決めたのはいつですか。その時代から、鉄道路線や高齢者の生活スタイルなどの状況が変化しているという認識はありますか。
○保家高齢者施策推進担当部長 昭和四十九年に、現在のシルバーパス制度の原形であります東京都敬老乗車証制度におきまして、現在の通用区間を規定しております。
都は、二十歳以上の都民及びバスの利用者を対象に制度に関する調査を行ったところでございますが、高齢者を取り巻く環境や地域の状況などについて、さらなる把握が必要であると認識しております。
○藤田委員 制度ができてから四十五年以上経過していますが、その間、一度も通用区間については見直しがされてこなかったというのは驚きです。
例えば、相模原市にある京王線橋本駅は、東京都敬老乗車証制度が始まって以降の一九九〇年に、南大沢駅-橋本駅間が開業しました。それ以降に、さらに駅周辺の開発が進んだ地域です。制度の開始時には想定していない都民のアクセスが増加したことは間違いありません。こうした時代の変化に伴い、通用区間のあり方について検討をするべきでした。
答弁にもありましたが、高齢者を取り巻く環境や地域の状況などについてさらなる把握を進める際には、ただ数字の判断だけではなく、高齢者の生活背景などを含めた、そこで暮らしをする人たちの実態を重視した調査を行ってほしいと思います。そして、ぜひ都県境を越えてシルバーパスが利用できるようにすることを要望いたします。
よって、本請願の採択を求めて、質問を終わります。
○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○斉藤(や)委員長 起立少数と認めます。よって、請願二第四号は不採択と決定いたしました。
○斉藤(や)委員長 次に、請願二第五号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○石黒障害者医療担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
整理番号2番、請願二第五号の精神保健医療福祉の改善に関する請願は、東京地方医療労働組合連合会精神部会部会長の安野浩光さんから提出されたものでございます。
請願の趣旨は、大きく二点ございます。
まず、1、次の事項について、国に対し意見書を提出していただきたいというものが二つございまして、(1)、良質な医療を提供し隔離や拘束を原則廃止できるよう、精神科専門職の配置人員をふやすとともに、精神科差別といえる一般科よりも少ない人員配置を認めている精神科病院従業者の定員の特例を廃止すること、(2)、精神科疾患や認知症があっても地域で安心して生活できるよう、早い段階から適切な支援と治療を受けられる包括的で継続的な支援体制を都内で整備するとともに、差別や偏見をなくすための啓発を進め、施策に当事者や家族の声を反映させることの二点。
また、二つ目としまして、2、都において、入院中心の療養から地域での療養への円滑な移行のため、精神保健福祉に係る予算を拡充するとともに、労働者の雇用保障、教育、研修を行っていただきたいというものでございます。
現在の状況についてご説明させていただきます。
第1、(1)につきましては、精神病床の人員配置基準は、医療法等において大学病院等で一般病床と同じく医師は十六対一、看護師は三対一の配置が定められており、大学病院等以外の病院で医師は四十八対一、看護師は四対一の配置が定められております。
また、診療報酬に関する施設基準では、この基準を前提として、患者の症状に応じた適切な医療が行われるよう医師及び看護師の配置基準が定められております。
都はこれまで、精神科医療を充実させるため、診療報酬の改善を図るよう継続して国に提案要求しております。
第1、(2)につきましては、国は、平成二十九年二月に、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会で報告書を取りまとめ、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた方向性を示しました。
都では、この報告書を踏まえ、精神障害者が地域で安心して自分らしい暮らしができるように、地域包括ケアシステムの支援体制の構築を進めております。
また、精神保健福祉に関する知識の普及啓発を図るため、家族会や支援団体等から成る団体に委託して、都民や精神障害者とその家族を対象とする講演会の開催や刊行物の発行を行うとともに、当事者団体や家族会の方が参加する東京都地方精神保健福祉審議会で、精神保健及び精神障害者の福祉に関する施策や事業など、さまざまな事業の調査審議を行っております。
第2につきましては、都では入院している精神障害者が、円滑に地域へ移行し、安定した地域生活を送ることができる体制を整備するため、指定一般相談支援事業者等に対する専門的な指導助言や人材の育成のための研修、グループホームに併設した専用居室を使用した長期入院患者の退院に向けたショートステイ等の取り組みを実施しております。
また、精神障害者の地域移行、地域定着支援に係る報酬単価のさらなる充実について、国に提案要求を行っております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○藤田委員 精神保健医療福祉の改善に関する請願について質問をいたします。
本請願は、東京地方医療労働組合連合会精神部会部会長安野浩光さんから提出されたものです。
この精神部会に加盟している組織は、十病院の精神科病院で働く医療従事者が組合員となっています。東京医労連精神部会の皆さんは、精神科医療の改善をしようと取り組まれていて、署名を集めたり、国会へ提出し、要請を行ったりしています。
今回は、それぞれの病院がある自治体へ働きかけ、団体の皆さんの願いである精神保健福祉医療の改善を図るという目的で、今回の請願を出されています。
精神保健福祉医療の改善のためには、まず前提となる現状認識を一致させることが大切だと思いますので、今回私は、願意の一つ目、(1)の、隔離や拘束を原則廃止できるよう配置人員をふやす、精神科特例を廃止するという点について質問したいと思います。
厚労省の調査によると、精神科病院に入院している病名で最も多いのは統合失調症で、全体の半数以上を占めています。
統合失調症が発病する原因は解明されていませんけれども、ストレスがたまると症状が悪化したり再発したりする病気なので、入院自体がストレスとなって悪化することもあります。ですので、病院が患者にとって安心できる場所であり、入院自体が安楽につながるものでなければなりません。
請願者は、精神科病棟について、精神科差別といえる一般科よりも少ない人員配置を認めている特例の廃止を求めています。
精神科病院従事者の定員の特例とはどのようなものですか。その定員は、精神科患者さんの医療や看護を行うのに不十分だという認識はありますか。
○石黒障害者医療担当部長 精神病床の人員配置基準は、医療法等において大学病院等で一般病床と同じく医師は十六対一、看護師は三対一の配置が定められており、大学病院等以外の病院では医師は四十八対一、看護師は四対一の配置とされております。
当該基準は、精神病床では長期に入院する方が多いことにも着目し、療養病床と同等のものとされており、その上で、診療報酬に関する施設基準では、患者の症状に応じた適切な医療が行われるよう、医師及び看護職の配置基準が定められているものと認識しております。
現在、都においては、東京都地方精神保健福祉審議会において、学識経験者や医療関係者などの委員から意見を伺うとともに、厚生労働省が毎年実施しております精神保健福祉資料調査などにより、東京都の精神保健福祉に関する現状を把握しているところでありますが、今後とも、さまざまな機会を活用して現状の把握に取り組んでまいります。
○藤田委員 精神科病院の中での現状の把握や患者さんの状態を把握していただくことは大事ですので、ぜひとも把握に努めていただきたいと思います。
また、答弁では、この人員配置については、長期入院の精神疾患患者は療養している状態だから一般病床より低い配置基準が決められているという認識でしたけれども、精神科の患者がなぜ長期入院になっているのか、東京都は到底その実態を把握しているとはいえない答弁だと思います。
地域生活よりも隔離、収容を中心として精神科医療が考えられてきたために、職員の配置も少なくてよいし、長期入院も改善されずにきたのです。それなのに、長期入院だから人が少なくてよいなどというのでは、精神科医療を地域生活中心に転換する気があるのか、疑わざるを得ません。
患者の状態に合わせてケアを行うためには、患者の症状を十分聞き取り、不安や恐怖のもとになっている患者なりの理由について確認することが大切です。
けれども、先ほどの答弁で看護師四対一といっていましたが、これを昼間の人数にすると、患者五十人に対して看護師はたったの七人です。夜間に至っては、患者五十人に対して看護師二人という体制です。これで、患者の症状について十分聞き取ることができるでしょうか。不安が増強する夜間でも、患者が安心して過ごすケアを提供できるでしょうか。
幻覚や妄想で混乱している患者や周囲の安全を守るためには、看護師二人では不可能だから、医師に指示を出してもらって行動制限を行うという対応をせざるを得なくなっているのです。
行動制限には、面会や通信、外出などの制限から、隔離室とか保護室といわれる外部と遮断された部屋への収容、体をベッドなどに器具で固定する身体拘束、私物の管理を病院側が行う代理行為などがありますが、これらの行動制限の中でも、身体拘束は患者の体を直接、物理的に制限するものであり、極めて強力な行動制限です。
身体拘束を受けることは、患者にとって非常に大きな精神的、身体的負担であり、精神保健福祉法でも、その実施については、対象となる患者について極めて限定的に記載がされています。しかし、限定的としながらも、多くの身体拘束が行われているのが現実です。
では、東京都において、精神科病院の身体拘束の件数は十年前と比べてどうなっていますか。
○石黒障害者医療担当部長 厚生労働省が実施した精神保健福祉資料調査では、平成二十一年六月三十日時点で、精神科病院で身体的拘束を行っている患者数は九百二十九人でございます。
十年後の件数については、平成二十九年度から調査の定義が変更されたため、比較できる数値を把握しておりませんが、令和元年の同時点では、精神保健指定医による身体的拘束の指示が出されている患者数は九百八十人でございます。
○藤田委員 定義が変更されたとはいいますが、身体的拘束を受けている患者の人数の調査だったのが、医師が指示を出している患者の数の調査へと変更されたものでして、これは、現場の実態としましては、拘束以外の方法がないから指示を出してもらっている、つまり指示をしている方は拘束している方と同じという状況ですので、定義が変わったからといっても比較できないものではありません。この十年間、身体拘束を行っている患者は増加しています。
都は、精神疾患について、障害福祉計画で、一年以上の長期在院患者数を減少させるという目標を設定しています。しかし、実際は余り減っていません。
その一方で、身体拘束の件数は増加しているのですが、身体拘束が増加した要因について伺います。
○石黒障害者医療担当部長 身体的拘束については、入院中の患者の医療または保護に欠くことのできない限度において、精神保健指定医が、患者の症状に照らして個別具体的に必要と認める場合に実施しているものでございます。
○藤田委員 患者の症状に照らして実施しているということですが、そもそも患者がどのようなことにストレスや不安、恐怖を感じるのかを日常的に把握し、今の患者がどのような状態に置かれているかを聞き取りの中から理解して、安心できるように対応することが精神科の看護です。
それでも幻覚や妄想等の陽性症状があらわれた場合には、まず症状を十分聞き取り、不安や恐怖のもとになっている患者なりの理由について確認することが大切であり、そのような考えや感情は病気から来ているものかもしれないこと、治療の必要性と治療によりそれらの悩みは軽減する可能性があることを繰り返し説明することで、行動制限しないで過ごせる環境をつくる努力をしている病院もあります。
しかし、そういった取り組みがある一方で、身体拘束は増加しています。
請願者は、隔離や拘束を原則廃止とできるよう、精神科専門職員の増員と、一般科よりも少ない人員配置を認めている精神科病院従事者の定員の特例の廃止を求めているのですが、医療従事者の人数と身体拘束との関係についてお伺いします。
○石黒障害者医療担当部長 身体的拘束は、精神保健指定医が、患者の症状に照らして個別具体的に判断しているものでございます。
身体的拘束などの行動制限の事柄の重大性に鑑み、各医療機関においては、行動制限最小化委員会の運営や医療従事者への研修などにより、患者の行動制限の最小化に取り組んでいるところでございます。
○藤田委員 行動制限を最小化するための取り組みは重要ですが、実態としては、行動制限は増加しています。患者の症状に照らしたとしても、その症状に対応できる職員がいなければ、行動制限せざるを得ません。
ある看護師は、患者五十人に対して二人の看護師で夜勤をしているときに、二人では抑えられないような状態に患者がなってしまったら、ちゅうちょなく医師に拘束の指示をもらうと話していました。たとえそれが看護都合だとしても、ほかの手段を選ぶことができないためです。
こうした実態は、明らかに医療従事者の人数が原因で、患者への身体拘束につながっているといえます。
職員数だけで決まるわけではありませんが、杏林大学保健学部作業療法学科の長谷川利夫教授が二〇〇八年十一月から二〇〇九年三月にかけて行った調査では、職員が今より多ければ、隔離、身体拘束は現状より減らせると思うかという問いに対しては、六一・三%の医療スタッフがそう思うと答えています。つまり、多くの医療スタッフは、隔離、身体拘束を減らそうと思っても、職員の少なさからそれはできないというジレンマの中にいるということがうかがえます。
フランスの精神科医、フィリップ・ピネルは、ささいな興奮や乱暴に対して鉄鎖や拘束を乱用することは、患者の煩雑な不断の世話を省くことであった。しかし、それは叫び声や騒ぎを引き起こし、確実に治療の妨げとなると述べています。医療者が患者に対して煩雑な不断の世話ができる体制が患者の安心につながり、早期に退院できる環境へとつながります。
都内の精神病院での長期入院患者は減少したとはいえ、二〇〇九年には一万二千三百六十三人だったものが、二〇一五年では一万九百三十七人と、わずかな減少にとどまっています。
一方、欧米諸国では、精神疾患の特徴を捉えて、入院治療中心から地域生活中心の方針転換が進み、精神科病床数は大幅に減少しています。平均在院日数も欧米諸国が十八日と一般病床並みに短くなっているのに対して、日本だけはいまだに二百日以上、東京都でも二〇一五年では百九十一・八日と、異常なまでの長期入院になっています。精神保健医療への取り組みのおくれが精神疾患患者の長期入院へとつながり、社会復帰の可能性を奪っています。
入院が措置入院という自分の意思とは無関係な形で始まることがあるというのも精神科の特徴で、入院後も自分で判断することができないばかりか、不安と恐怖をあおる身体拘束や隔離という人権侵害までいまだに横行し、患者がさらなるトラウマを抱えるという実態があるのです。
今回の請願は、日本のおくれた精神保健医療を改善するためには、患者の人権を守ることができる人員配置が必要だとしています。行動制限が減らない精神病院の実態を正確につかみ、患者の人権を守れる体制を構築するよう国に求めることが必要です。
よって、本請願の採択を求めまして、私の質問を終わります。
○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○斉藤(や)委員長 起立少数と認めます。よって、請願二第五号は不採択と決定いたしました。
○斉藤(や)委員長 次に、請願二第六号を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○田中医療改革推進担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明いたします。
整理番号3番、請願二第六号、安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願は、台東区の東京医療関連労働組合協議会代表の千葉かやとさんから提出されたものでございます。
請願の趣旨は、次の四点について、国に対し意見書を提出していただきたいというものでございます。
第一に、医師、看護師、医療技術職、介護職等の夜勤交代制労働において、次の項目を実現し、労働環境を改善すること。(1)、労働時間は一日または一勤務ごとに八時間以内を基本とし、上限規制や勤務間インターバルの確保、夜勤回数の制限など労働環境改善のための規制を設けること。(2)、夜勤交代制労働者の労働時間を短縮すること。(3)、介護施設や有床診療所等で行われている一人夜勤体制をなくし、複数夜勤体制とすること。
第二に、安全・安心の医療、介護を実現するため、医師、看護師、医療技術職、介護職を増員すること。
第三に、患者、利用者の負担軽減を図ること。
第四に、費用削減を目的とした病床削減は行わず、地域医療に必要な病床機能を確保することという四点でございます。
現在の状況についてご説明いたします。
第一についてですが、我が国においては、医療、介護従事者を含めた労働者の労働条件は労働基準法により定められており、労働時間に関しては原則として一日について八時間、一週間について四十時間を超えないこととされております。
また、平成三十年通常国会において、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立し、労働基準法等が改正され、時間外労働の上限規制や勤務間インターバル制度について、平成三十一年四月から順次施行されることとなりました。
一方、医師については、応招義務等の関係から、改正法施行五年後に時間外労働の上限規制が適用されることとされています。
厚生労働省は、平成三十一年三月、医師の診療業務の特殊性を踏まえた働き方改革を推進していくことを内容とする報告書を取りまとめ、引き続き検討することとされた医師の時間外労働の上限規制に関して、措置を要する事項や医師の時間外労働の実態把握などについて、現在検討を進めております。
都は、医療機関の勤務環境改善に向け、医療勤務環境改善支援センターにおいて、アドバイザーの派遣や電話相談対応などの支援を行っております。
特別養護老人ホーム等の介護施設における人員等の基準は、厚生労働省令に基づき条例で定めており、夜間及び深夜については、入所定員等に応じて一定数以上の介護職員または看護職員を配置することとしております。また、基準を上回る職員配置については、介護報酬の夜勤職員配置加算により評価する仕組みとなっております。
有床診療所等における看護師等の夜勤体制は、厚生労働省の看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針により、入院患者の状況等に応じて、複数を主として月八回以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力する必要があるとされております。また、夜間に複数の看護要員を配置した場合は、診療報酬の夜間看護配置加算により評価する仕組みとなっております。
第二についてですが、都は、医師、看護師、介護職員等の確保のため、育成研修や資格取得、復職支援などの事業を行うとともに、国に対しては、看護職員の養成、定着、再就業に向けた十分な財源確保、小児科など不足する分野の医師の早急な確保や勤務環境改善に向けた診療報酬の一層の充実、介護職員の確保、育成、定着のための対策の確立など、実効性ある総合的な対策を講ずるよう提案要求を行っております。
第三についてですが、医療、介護を含めた社会保障制度の枠組みについては、社会経済状況の変化を踏まえ、負担と給付のバランスに考慮して国が定めております。
第四についてですが、病床整備の基準となる基準病床数は、国が示す算定式に基づき、都道府県が策定する医療計画において圏域ごとに定めることとされており、平成三十年三月に策定した第七次東京都保健医療計画において定めております。
なお、令和元年度、都の人口増加に伴う医療需要の増加に対応が可能な医療提供体制の整備を目的として、基準病床数の見直しを実施しました。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○藤田委員 安心・安全の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願について質問をいたします。
本請願は、東京医療関連労働組合協議会代表千葉かやとさんから提出されたものです。
ことし四月以降、新型コロナ感染症患者が急速に増加し、現在でも、医療従事者みずから感染リスクと隣り合わせの中、医療現場の皆さんには、日夜、患者への献身的な治療に当たられていることに心から敬意を表したいと思います。
また、介護現場では、深刻な人手不足の中、施設内感染や発熱への対応、職員の欠員や介護サービス利用の自粛への対応など、さらに状況は厳しさを増していると伺っています。改めまして、都民の生活の基盤を支える大切な仕事に努められていることに心から感謝を申し上げます。
この感染症という危機に対して、都民の医療や介護現場は、そこで働く職員の奮闘に支えられているのだと実感しています。危機管理という点でも、感染症が蔓延したフェーズにおいても、医療崩壊、介護崩壊を起こさない体制づくりが今こそ問われています。
抜本的な労働環境改善のために質問いたします。
初めに、介護施設の人員についてです。
多くの介護型入所施設は、高齢化とともに介護度の高い方が入所しています。全国組織日本医労連の調査によると、長時間夜勤を伴う二交代夜勤が全体の九割近くに及んでいます。二交代の中でも、十六時間以上の夜勤が八割を超えています。また、二交代が大半でありながら、勤務終了から次の勤務までの時間、勤務間インターバルは十二時間未満という施設が二割となっています。
一人夜勤も依然として改善されていません。グループホームや小規模多機能施設では、二交代の施設の全てが一人夜勤となっています。一人夜勤では、仮眠どころか休憩もとることができず、実際に四割の施設で仮眠室自体がないという状況です。
介護施設では、ワンフロアを一人の介護士で夜勤を行っているところがあります。一人夜勤の体制では、職員の負担が大きいという認識はありますか。二人以上の夜勤体制にすることの必要性についてどのように考えていますか。
○保家高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホーム等の介護施設における夜勤体制につきましては、条例や厚生労働省の告示によりまして、入所定員等に応じて一定数以上の介護職員または看護職員を配置することとしております。
例えば、都が指定する定員三十人以上の広域型特別養護老人ホームでは、ユニット型の場合は二ユニットに一人以上、従来型の場合は定員数に応じて二人以上となっております。
また、基準を上回る職員配置につきましては、介護報酬の夜勤職員配置加算により評価する仕組みとなっておりまして、特別養護老人ホーム及び介護老人保健施設の約九割がこの加算を取得しております。
○藤田委員 入所定員などに応じて一定数以上の介護職員や看護職員の配置が可能としていますが、実際には一人夜勤が広がっています。また、小規模多機能施設やグループホームでは、そもそも看護配置に対する加算という仕組みがないので、日本医労連の調査では、回答のあった全ての小規模多機能施設とグループホームで一人夜勤になっています。
とりわけ深刻なのが、夜間での救急対応があると答えた方が約三割に上っていることです。入所者で搬送が必要になった場合や災害時など、一人夜勤では対応できません。さらに、現在の新型コロナ感染症では、施設内で入所者の感染者が発生しても、症状がなければ引き続き施設内で過ごすことになるため、一人の夜勤で感染症対策を行いながら、介護ケアに当たらなくてはならなくなります。
一人夜勤という体制は、直接、入所者の命につながる問題です。介護施設での一人夜勤がなくなる体制整備を国に強く求めるよう要望いたします。
次に、医師の長時間労働の問題についてです。
政府は昨年三月、医師の働き方改革に関する検討会報告書を発表しました。それによると、医師の時間外労働の規制の具体的なあり方、労働時間を短くする方法などについて取りまとめられており、年間の時間外労働の特例も設けられていました。
その内容は驚くもので、一年間当たりの時間外労働を特例水準として、医療機関の機能を限定して千八百六十時間、平均すると一カ月当たり百五十五時間の時間外労働まで認めるものになっています。これまで、医師の過労死、過労自殺の問題があったから規制を設けたはずです。
確認のために質問します。時間外労働の過労死基準は何時間となっていますか。
○田中医療改革推進担当部長 厚生労働省が定める脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準では、長期間の過重業務の評価に当たって、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、発症前一カ月におおむね百時間または発症前二カ月間ないし六カ月間にわたって、一カ月当たりおおむね八十時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連が強いとされております。
○藤田委員 答弁にもあったように、連続すれば月に八十時間を超える時間外労働で過労死との関連性が強いということです。
国の報告書の内容では、医師の長時間労働を規制するものにつながりません。医師の場合、過労死基準以上の時間外労働を行ってもよいという科学的根拠は何ですか。医師であっても、ほかの医療従事者と同様の労働時間であることが望ましいと考えますが、いかがですか。
○田中医療改革推進担当部長 平成三十一年三月に国が取りまとめた医師の働き方改革に関する検討会報告書によりますと、医師についても、一般則が求めている水準と同様の労働時間を達成することを目指して労働時間の短縮に取り組むこととされております。
○藤田委員 科学的根拠についてはお答えがありませんでしたが、つまり、科学的根拠はないということだと思います。
一般則が求めている水準というのは、一日の労働時間は八時間です。時間外労働であれば月に四十五時間、年間三百六十時間までです。建前上はそういうことになっていますが、特例水準の年間千八百六十時間の時間外労働だけでなく、四年後までに求める勤務医の時間外労働は年間九百六十時間で、一般則の二倍以上の水準にとどまっています。さらにその十一年後、二〇三五年の将来についても、まだ年九百六十時間、月に百時間までの時間外労働を認める内容になっています。
一般則を目指すには、大幅に計画的に医師そのものをふやす必要があります。現在進めている看護師へのタスクシフトでは、看護師の不足の状況からも、現実的なことではありません。
医師の長時間労働の原因は、医師数が絶対的に少ないことが原因と考えますが、認識を伺います。
○田中医療改革推進担当部長 医師の長時間労働の背景には、個々の医療機関における業務、組織のマネジメントのみならず、医師の需給や偏在、医師の養成のあり方、国民の医療のかかり方など、さまざまな課題が存在するものと考えております。
○藤田委員 医師の不足だけではないということかもしれませんが、偏在といっている限りは、医療機関が集中する東京での医師確保は後回しになりかねません。医師の労働時間を一般則と同様にしていくためには、全体で何人の医師が必要なのか、どのような医療機能にどれだけの医師が必要なのかという観点から、医師数について目標を持って計画的にふやしていくことが必要だと考えます。
医師の長時間労働を短縮するためには、OECD平均並みに医師数をふやしていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
○田中医療改革推進担当部長 平成二十九年六月の国の医師需給分科会の資料におけるOECDの二〇一六年の年次報告によりますと、人口千人当たりの臨床医数の比較で、OECD加盟国の単純平均は三・三人、日本は二・四人であるとされておりますが、各国の医療制度や調査対象には違いがあり、一概に比較はできないと考えております。
東京都は、国において長期的な視点を持ちつつ、主体的に実効性のある医師確保対策を講じるよう国に提案要求をしております。
○藤田委員 OECDの単純平均よりも、人口千人当たり約一人以上医師が少ないというのが実態です。制度などにある程度違いがあったとしても、足りないのは明らかです。一人の医師が行える医療行為には限界があり、その国に住む人たちのためにどのような医療を行うのかの計画なしには、長期的な観点を持つこともできません。
現在、新型コロナ感染症の検査についても、医療提供についても、大幅に拡大していくために最も課題となっているのがマンパワーです。PCR検査数がふえないのはなぜかといわれていますが、医療機関で実施していても、一人の医師がとれる検体数には限界があり、検査機関だけでなく、その手前の検体採取というところでボトルネックがかかってしまう。
また、一たび院内感染が発生したときも、濃厚接触者となった医師や看護師を十四日間、自宅待機としようにも、かわりに働くスタッフがいないために、PCR検査で陰性だったら働いてもいいとする例外的な対応まで行われていました。
看護師についても、新型コロナ感染症の患者を受け入れる病棟にスタッフを集中したことによって、看護師を派遣した側の病棟では、残ったスタッフで何とか夜勤を回していたという医療機関もありました。
国の支援は、新型コロナ感染症に対応したスタッフや重症患者対応の部分のみに手厚い診療報酬をつけていますが、直接対応していないスタッフや医療機関も、新型コロナ感染症の対応によって多くの負担を強いられてきました。
もっと多くの看護師が医療現場に配置されていたら、妊婦の看護師を素早く休ませてあげることができたでしょう。小学生の子供がいるスタッフには、ちゅうちょなく子供と一緒にいてあげてといってあげられたでしょう。感染症リスクのある家族を抱えるスタッフには、感染リスクの少ない現場での対応にかえてあげられたでしょう。
今、世界的に見ても少ない日本の医師、看護師、介護士などのエッセンシャルワーカーは、自身の健康だけでなく、家族にまでも多くの負担を負わせています。日本の医療、介護現場は、こうした感染症の危機にはとても脆弱な人数によって守られてきました。少ない医療従事者の献身的な労働によって国民の命と健康が支えられてきたのです。今こそ、昼夜を問わず働く医療、介護労働者の大幅増員を行うときです。
よって、国に対する意見書の提出を求める本請願の採択を求めまして、質問を終わります。
○斉藤(や)委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○斉藤(や)委員長 起立少数と認めます。よって、請願二第六号は不採択と決定いたしました。
○斉藤(や)委員長 次に、陳情二第一〇号及び陳情二第二六号は内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○保家高齢者施策推進担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
整理番号4番、陳情二第一〇号、有料老人ホーム設置に係る事前相談の手続の見直しに関する陳情は、文京区の政治団体みんなでみんなのまちづくり代表の屋和田珠里さんから提出されたものでございます。
陳情の趣旨は、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針--以下、指針といいます--2、(5)に基づく事前相談手続において、以下の実現を求めるというものでございます。
第一に、重要事項説明書に、建設地あるいは敷地が土砂災害防止対策の推進に関する法律--以下、土砂災害防止法といいます--に基づく土砂災害警戒区域あるいは土砂災害特別警戒区域に指定されているかどうかの説明を加えること。
第二に、自己チェック票に土砂災害防止法による特定開発行為の許可の必要はないかを尋ねる項目を加えること。
第三に、都との協議の前に行う地元区市町村福祉所管課との協議で、〔1〕、建設地が土砂災害防止法に基づく土砂災害特別警戒区域に指定され、建設に当たって都知事による特定開発行為の許可が必要であり、〔2〕、自己チェック票において、一を理由として地元区民から反対の声等が上がっている場合は、当該区市町村の意向を最大限尊重しつつ、都における協議を慎重に進めることというものでございます。
現在の状況についてご説明いたします。
都は、老人の福祉を図ることを目的とする老人福祉法及び有料老人ホームの設置運営に関して遵守を求める事項を定めた指針に基づき、有料老人ホームを設置する者に対して指導を行っております。
指針では、2、基本的事項、(6)で計画段階から市場分析、調査に努め、地域の特性やサービスの需要、充足状況等を考慮した上で地元区市町村福祉所管課と十分な調整を図ること。また地域住民、特に隣接地の居住者に対して説明会を開催するなど事業について理解を得ることと定めるほか、4、立地条件、(1)で入居者が健康で安全な生活を維持できるよう、交通の利便性、地域の環境、災害に対する安全性及び医療機関等との連携等を考慮して立地することと定めております。
また、12、契約内容等、(4)、アで、入居契約及び生活支援サービス契約に関する重要な事項を説明するため、重要事項説明書を作成するよう定めるほか、2、基本的事項、(5)に定める有料老人ホームの事業を計画するに当たっての都との事前協議において、自己チェック票の提出を求めております。
続きまして、整理番号5番、陳情二第二六号、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針の見直しに関する陳情は、文京区の政治団体みんなでみんなのまちづくり代表の屋和田珠里さんから提出されたものでございます。
陳情の趣旨は、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針--以下、指針といいます--を見直し、以下の実現を求めるというものでございます。
第一に、有料老人ホームの立地を施設利用者が安心・安全に使える場所に限定すべく、指針の規定を見直し、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域並びにそれらの隣接地が立地条件として好ましくないことを明記すること。
第二に、計画段階から施設周辺地域の都民生活や住環境への悪影響を最小限に抑え、地域の安心・安全な生活、住環境を維持に向け都が指導できるよう指針の規定を見直し、計画及び計画段階の定義を定めた上で、既存施設、設備等の撤去、地盤調査、工事までを含むよう明記すること。
第三に、指導対象を有料老人ホームの設置者と管理者に限定するのではなく、施設の地権者、地主や設計会社、施工会社等も指導対象とできるよう指針の規定を見直すことというものでございます。
現在の状況についてご説明させていただきます。
都は、老人の福祉を図ることを目的とする老人福祉法及び有料老人ホームの設置運営に関して遵守を求める事項を定めた指針に基づき、有料老人ホームを設置する者に対して指導を行っております。
指針では、4、立地条件、(1)において、入居者が健康で安全な生活を維持できるよう、交通の利便性、地域の環境、災害に対する安全性及び医療機関等との連携等を考慮して立地することと定めております。
また、設置地域への対応については、2、基本的事項、(6)において、計画段階から市場分析、調査に努め、地域の特性やサービスの需要、充足状況等を考慮した上で、地元区市町村福祉所管課と十分な調整を図ること、また、地域住民、特に隣接地の居住者に対して説明会を開催するなど事業について理解を得ることとし、工事中に当たっては、時間帯や工事車両の出入りについて十分配慮することと定めております。
説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○白石委員 有料老人ホーム設置に係る事前相談の手続の見直しに関する陳情及び東京都有料老人ホーム設置運営指導指針の見直しに関する陳情について、一括して質問をいたします。
本陳情は、政治団体みんなでみんなのまちづくり代表屋和田珠里さんから提出をされたものです。
陳情の願意は、土砂災害特別警戒区域などに指定されている区域や隣接地での有料老人ホームの建設や運営は危険なため、都が設置事業者等に適切に指導できるように、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針を見直すことを求めております。
もう一件の陳情は、事前相談の手続を見直して、より実効性のある事前相談にしてほしいと、こういう願意に簡単にいえばなっております。
日本では、近年、平均して毎年千件を超える土砂災害が発生しております。自然災害による犠牲者、そして行方不明者のうち、土砂災害によるものは全体で約四割を占めているとなっております。土砂災害というのは、一度発生すると、一瞬にして多くの命や財産が奪われます。
この陳情が提出された背景には、文京区内の西片一丁目地域に介護つき有料老人ホームを新たに建設する計画が突然持ち上がったと、このことから始まりました。この西片一丁目地域には、土砂災害防止法に基づいて土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーン、そして土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーン、ここが指定をされております。
その区域に有料老人ホームの建設計画が突然浮上し、周辺住民の方々が危険な区域に建設することに不安を抱き、計画を改めるよう--私も見ましたけれども、文京区などにも請願が何度も繰り返し出されてきたというのが、具体的な背景の経過になると思います。
初めに、基本的なことを幾つか伺いたいと思います。
事前相談とはどういう目的で行われているのか、そして都は、設置予定者にどのような指導を行っているのか、説明していただきたいと思います。
○保家高齢者施策推進担当部長 都は、特定施設入居者生活介護事業者等の指定に際しまして、介護保険法及びその他の法令等に基づく公正かつ適正な行政指導の実施と、東京都高齢者保健福祉計画に基づいた特定施設の適切な配置の実現に資することを目的としまして、事前相談を実施しております。
具体的には、事前相談取扱要領に基づきまして、計画の具体性があるか、老人福祉法その他の関係法令や東京都有料老人ホーム設置運営指導指針等に合致しているか、指定基準に合致しているかなどについて留意し、審査を行っております。
○白石委員 ちょっとわかりにくいんですけど、つまり、法令が遵守されているか、そして指導指針が守られているかを、公正、適正に審査するために事前相談が行われていると、そういう理解でよろしいでしょうか。
○保家高齢者施策推進担当部長 今お話しのとおり、基準に合致しているか等について留意し、審査を行っているところでございます。
○白石委員 今いったとおり、法令が遵守されているのか、指導指針に合致しているか、守られているかということを公正、適正に審査すると。それが事前相談の目的だということです。
次に伺いますけれども、事前相談の自己チェック票はどのような位置づけで設置予定者に提出を求めているのか具体的に伺いたいと思います。
○保家高齢者施策推進担当部長 届け出に係る事前の手続を円滑に行うため、都は、設置予定者に対しまして、自己チェック票の提出を求めております。
自己チェック票におきましては、各種法令等との適合状況や、住民から反対の声が上がっていないかなどにつきまして、設置予定者みずからの確認を求めているものでございます。
○白石委員 法令や、住民から反対の声が上がっていないかを設置予定者が確認をして、都との事前相談で、それぞれの項目で確認及び審査をしていくということです。
私もこの自己チェック票--チェック票はいろいろ項目、いっぱいあると思いますけれども、見させていただきました。マーカーを引きましたけれども、地域住民から反対の声が上がっていないかということでも、みずからがチェックをしていくと。そして、都がそれを確認して、これに基づいて事前相談が進められていくということだと思います。
レッドゾーンに有料老人ホームの建設を計画していた先ほどの設置予定者も、設置に向け昨年六月から、都と事前相談が行われているということは確認をさせていただいております。
そこで、事前協議自己チェック票で事実と異なる報告をした場合、都はどのような対応をするのか。そもそもそのようなことがあっていいのかというところ、見解を伺いたいと思います。
○保家高齢者施策推進担当部長 自己チェック票の記載と異なる事実を把握した場合には、設置予定者に対して確認を行いまして、必要に応じ、指針の遵守を求めるなどの指導を行います。事前相談を円滑に進めるため、自己チェック票は正確に記載される必要がございます。
○白石委員 事実と異なる記載をすることは当然あってはならないというふうに思います。
ところが、先ほどの設置予定者だった業者が提出したチェック票に、住民の反対があるにもかかわらず、地域住民からの反対の声等が上がっていないという項目、ここですね、項目に上がっておりませんと、このようにしたんですね。このことが、住民の皆さんが知ることになり、そして、さらに信頼を損ねると。こういう結果を招いて、そのことも引き金となって、現在は事前相談自体、この業者、取り下げているということになると思います。
事実と異なることというのはやはりあってはならないし、そういうようなことを報告するということに、都として適切に、しっかり指導も今後していただきたいなというふうに思いますけれども、指針で、住民の理解を得ることと明記されております。私も見させていただきました。
理解を得られていない状況の場合、都はどういう指導を設置予定者に行うのか、具体的に伺いたい。また、住民への理解を得ることの重要性、ここについてどういう認識を持っているのか伺いたいと思います。
○保家高齢者施策推進担当部長 有料老人ホームは、安定的かつ継続的な事業運営の確保が必要であることから、周辺住民の理解を得ることは重要でございます。
このため、都は、指針におきまして、計画段階から地元区市町村福祉所管課と十分な調整を図ること、地域住民に対して説明会を開催するなど事業について理解を得ることなどを定めてございます。
住民の理解が得られていない事実が把握された場合には、指針に基づきまして、設置予定者に対し状況の確認を行うほか、説明会を開催するなどの指導を行っております。
○白石委員 地域住民との信頼関係や連携などなくして、安定的な運営はないと思います。どんな場合でも地域住民への理解を得るために、設置予定者が説明責任を果たすことは大前提になるというふうに思います。当然、都はそのように指導する責任もあるというふうに思います。
今回のような事例も踏まえて、やっぱり今後の事前協議にしっかりと臨んでいただきたい。この業者は、今取り下げていますけど、やっぱりこういう自己チェック票で、地域住民から反対の声が上がっていないかというふうな問いに対して、上がっておりませんというような形で報告をするというような、そういうこともあったというケースをしっかりと教訓化して、今後、事前協議には臨んでいただきたいというふうに思います。
また、地元自治体の意向も最大限尊重することも大切だと思います。私がいっているのは、文京区のことですね。文京区は、この西片一丁目地域に計画されていた有料老人ホームの建設は、文京区内では既に有料老人ホームの定員数は満たしているため、有料老人ホームの設置を認めないとはっきりと回答をしております。地元自治体の意見を最大限尊重して設置予定者に指導するよう求めたいというふうに思います。
私もそれを見させていただきましたけど、はっきりと認めないと文京区はいっているので、本当にこういうところも踏まえて事前協議、そして都としての責任、役割を果たしていただきたいなというふうに思います。
次に、都は、有料老人ホームの立地に関する安心・安全の重要性についてどう考えているのか伺いたいと思います。
○保家高齢者施策推進担当部長 有料老人ホームは、介護を要する高齢者等が長年にわたり生活する場であることから、安心・安全の確保は重要でございます。
このため、都は、有料老人ホームの設置運営に関して遵守を求める事項として、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針を定めております。同指針において、入居者が健康で安全な生活を維持できるよう、交通の利便性、地域の環境、災害に対する安全性及び医療機関等との連携を考慮して実施することと定めておりまして、都はこれに基づき指導を行っているところでございます。
○白石委員 今のご答弁でも安心・安全の確保は重要と、このような認識を示されました。
文京区は、イエローゾーンが文京区の区内の中で百六カ所、レッドゾーンが六十四カ所、現在までに区域指定がされております。これ、二十三区で何番目かというと、三番目に区域指定が多い区となっています。つまり、斜面が多い、崖が多い、危険な区域が多いという区、三番目に高いのが文京区だと。
ことし二月に神奈川県逗子市で、県が指定したイエローゾーンの傾斜地の一部が崩落をして、十八歳の女子高生が土砂の下敷きになって死亡するという痛ましい事故が発生をしております。とりわけ、この西片一丁目地域はレッドゾーンにも指定されており、周辺住民の皆さんが不安を抱くのは当然であるというふうに思います。
指導指針においても、立地条件を十分に考慮して設置予定者に適切に指導することを要望しておきたいというふうに思います。
これまで、土砂法に基づくレッドゾーンの区域で特定開発を許可した件数は何件で、どのような開発だったのかと、特定開発許可を直接所管する都市整備局に私も聞きました。そうしたところ、これまで十件だというふうな回答でした。有料老人ホームなど高齢者施設や社会福祉施設では、許可したことはこれまで一度もないと、都市整備局はこのように答えております。
つまり、今回計画されていた文京区での有料老人ホームの建設計画というのは、危険なレッドゾーンでの計画であり、住民の反対がある上、文京区も要らないと示していたというのがこれまでの経緯です。やはりこのような条件のもとでは、計画自体、望ましくないと、いわざるを得ないなというふうに思います。
伺いたいと思いますが、そもそもレッドゾーンに高齢者施設などの福祉施設を設置することは、私は危険だというようなところにあえてつくるというのは、望ましくないと考えていますが、都の考えはいかがでしょうか。
○保家高齢者施策推進担当部長 都におきましては、高齢者の福祉に資するよう、指針に基づきまして、有料老人ホームの設置運営に関する指導を行ってまいります。
○白石委員 法律に定められている条件を満たすことは当然だというふうにも思いますし、その立場で東京都として指導していくことも当然だというふうに思います。ただ、先ほどの逗子市の痛ましい事故というのはイエローゾーンで起こっております。
とりわけ高齢者の施設であり、周辺に住宅も集積をしている。土砂法の考え方は、開発行為の制限や、それから建築物の規制、さらには住宅なども移転を促進するために区域指定をしている、これが土砂法の考え方になります。
そもそも危険だと指定されている区域に、福祉施設であったりとか、こういうことを、建設するということは望ましくないというふうに思いますし、都としては、やっぱりそういうところをはっきりと示していく。適切な場所に、立地条件で安心・安全が担保される、こういうところにしっかりとつくっていくということを誘導していくのが重要だというふうに思っております。
それから、指導指針や事前相談のあり方も、この土砂法もどんどん変わってきていますし、この間、近年、見てみれば、非常に集中豪雨であったり、台風もそうです、そういう中で、土砂崩れの被害というのもふえてきているという中で、やはり指導指針や事前相談のあり方を必要に応じて改善、さらには強化充実を図るということが、私は求められると思います。
そして、都としての指導がより実効性があるように、やはり改善していってもらいたいというこの陳情者の願意も、私、しっかりと受けとめてもらいたいというふうに思います。そういうことも含めまして、求めて質問を終わりたいというふうに思います。
○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
初めに、陳情二第一〇号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○斉藤(や)委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二第一〇号は不採択と決定いたしました。
次に、陳情二第二六号を採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○斉藤(や)委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二第二六号は不採択と決定いたしました。
以上で請願陳情の審査を終わります。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時二十三分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.