委員長 | 斉藤やすひろ君 |
副委員長 | 菅原 直志君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 木下ふみこ君 |
後藤 なみ君 | |
斉藤れいな君 | |
藤田りょうこ君 | |
伊藤こういち君 | |
たきぐち学君 | |
岡本こうき君 | |
大場やすのぶ君 | |
小宮あんり君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 児玉英一郎君 | |
サービス推進部長 | 西川 泰永君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 樋口 隆之君 | |
計画調整担当部長 | 船尾 誠君 |
本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 病院経営本部所管分
・第十八号議案 令和二年度東京都病院会計予算
・第百七号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 病院経営本部所管分
・第百八号議案 令和二年度東京都病院会計補正予算(第一号)
報告事項
・契約の締結について(説明・質疑)
・新たな病院運営改革ビジョン(素案)について(質疑)
請願の審査
(1)一第五四号 都立病院の地方独立行政法人への移行準備の撤回と直営の堅持に関する請願
○斉藤(や)委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
令和二年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和二年三月十三日
東京都議会議長 石川 良一
厚生委員長 斉藤やすひろ殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十三日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十九日(木)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 令和二年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為
厚生委員会所管分
第五号議案 令和二年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六号議案 令和二年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七号議案 令和二年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十八号議案 令和二年度東京都病院会計予算
第百七号議案 令和二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中
歳出 厚生委員会所管分
第百八号議案 令和二年度東京都病院会計補正予算(第一号)
(別紙2省略)
○斉藤(や)委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
予算の調査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
第一号議案、令和二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、病院経営本部所管分、第十八号議案、第百七号議案、令和二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、病院経営本部所管分、第百八号議案及び報告事項、契約の締結について外一件並びに請願一第五四号を一括して議題といたします。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○児玉経営企画部長 お手元にお配りしてございます資料1、契約締結報告書に基づき、工事請負契約につきましてご報告申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。本日ご報告申し上げます契約四件の総括表でございます。
これらの契約は、都立大塚病院において病院本館の老朽化した設備を更新し、今後、安定的な病院運営を維持することを目的とした大規模改修工事に係る請負契約でございます。
順次、契約の概要についてご説明いたします。
二ページをお開き願います。1、都立大塚病院改修工事に係る請負契約でございます。
契約の方法は希望制指名競争入札、契約金額は十八億一千二百八十万円で、契約の相手方は株式会社松尾工務店でございます。
三ページをお開き願います。2、都立大塚病院改修空調設備工事に係る請負契約でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は三十三億二千二百万円で、契約の相手方は三機工業株式会社でございます。
四ページをお開き願います。3、都立大塚病院改修給水衛生設備工事に係る請負契約でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は二十二億九千五百七十万円で、契約の相手方は斎久工業株式会社でございます。
五ページをお開き願います。4、都立大塚病院改修電気設備工事に係る請負契約でございます。
契約の方法は一般競争入札、契約金額は二十七億五千八百八十万円で、契約の相手方は中央工事・浅海・八千代建設共同企業体でございます。
簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
次に、請願について理事者の説明を求めます。
○児玉経営企画部長 それでは、お手元の資料、厚生委員会付託請願審査説明表を二枚おめくりいただき、一ページをお開き願います。
整理番号1、請願一第五四号についてご説明申し上げます。
この請願は、豊島区の都立病院の充実を求める連絡会代表世話人の氏家祥夫さん外三万八千五百十九人の方々から提出されたものでございます。
請願の要旨は、都において次のことを実現していただきたいとしまして、第一に、都立病院の地方独立行政法人への移行準備をやめ、直営を堅持すること、第二に、都立病院に予算を投入し、患者負担を減らすことというものでございます。
現在の状況についてご説明いたします。
まず、第一についてでございますが、都立病院では、災害医療や感染症医療など、行政の積極的な関与が期待される医療、難病医療や精神科身体合併症医療など、採算の確保が難しい医療及び一般医療機関では対応困難な医療などを行政的医療と位置づけ、その提供を基本的役割としております。
また、地域医療構想の実現に向け、誰もが住みなれた地域で安心して医療を受けられるよう、地域医療の充実に貢献する役割も担っております。
こうした役割を将来にわたり安定的に果たしていくためには、超高齢社会の本格化や医療の担い手不足など、医療課題が深刻化していく中でも、医療環境の変化や都民ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる病院運営を実現することが必要でございます。
このため、安定的かつ柔軟な医療人材の確保を初め、より機動的な運営が可能となる地方独立行政法人への移行準備を進めているところでございます。
次に、第二についてでございますが、我が国の医療制度は、誰もが一定の自己負担で医療を受けることができる国民皆保険制度であり、これを基盤としつつ、公費負担医療制度などにより負担軽減が図られております。
都立病院は、保険医療機関として、健康保険法を初めとした各種法令や東京都立病院条例等に基づき、患者から適正な額の自己負担を徴収しております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
予算案及びその他の報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○児玉経営企画部長 去る二月十八日の本委員会で要求のございました資料につきまして、お手元配布の厚生委員会要求資料に基づきご説明申し上げます。
恐れ入りますが、表紙をおめくりください。
資料は、左側の目次にございますように、合計十四件でございます。
一ページをごらんください。1、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員でございます。
(1)は都立病院、次ページの(2)は公社病院における令和二年二月一日現在の医師の診療科別定数及び現員を記載しております。
三ページをごらんください。2、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員でございます。
都立病院と公社病院における令和二年二月一日現在の職種別職員定数及び現員を記載しております。
四ページをお開き願います。3、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
都立病院と公社病院における看護要員の採用者数及び退職者数について、平成二十六年度から平成三十年度までの推移を記載しております。
続いて、五ページをごらんください。4、都立病院及び公社病院における看護要員の夜勤回数の分布でございます。
(1)は三交代制、次ページの(2)は二交代制の職場における看護要員の夜勤回数について、それぞれ令和元年十月の実績を病院別に記載しております。
七ページをごらんください。5、都立病院及び公社病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数でございます。
平成三十年における看護要員の年次有給休暇平均取得日数を病院別に記載しております。
八ページをお開き願います。6、都立病院及び公社病院における研修医受入状況でございます。
(1)は初期臨床研修医について、次ページの(2)は後期臨床研修医について、それぞれ平成三十年度及び令和元年度の定数を病院別に記載しております。
一〇ページをお開き願います。7、都立病院におけるPFI事業に関わる経費及び内訳の推移及び累計並びに各事業の契約額でございます。
都立病院におけるPFI事業にかかわる経費につきまして、(1)は推移と累計、(2)は契約額を病院別に記載しております。
なお、累計は、平成三十年度までの決算額の累計でございます。
一一ページをごらんください。8、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費について、平成二十八年度から令和二年度までの推移を病院別に記載しております。
一二ページをお開き願います。9、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、平成二十八年度から令和二年度までの推移を記載しております。
一三ページをごらんください。10、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
一四ページをお開き願います。11、公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
一五ページをごらんください。12、東京都から公社病院への診療科別医師派遣者数の推移でございます。
平成二十七年度から令和元年度までの診療科別医師派遣者数の推移について、このページから二〇ページにかけて、各公社病院ごとに記載しております。
続いて、二一ページをごらんください。13、都立病院における看護要員の離職率の推移でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までの都立病院における看護要員の離職率の推移を、既卒、新卒別に記載しております。
二二ページをお開き願います。14、都立病院における専門看護師及び認定看護師の人数及び分野の内訳でございます。
(1)は専門看護師について、二三ページ及び二四ページの(2)は認定看護師について、それぞれ分野ごとの人数を病院別に記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
これより、ただいまの資料及び先ほど説明を聴取いたしました報告事項を含め、予算案、報告事項及び請願に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○たきぐち委員 私から、まず、新型コロナウイルス感染症対策に関する令和二年度の補正予算について伺いたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。先週、WHOはパンデミックを表明し、金曜日には、その中心地がヨーロッパに移ったとの見解を示しました。アメリカでは、国家非常事態を宣言するなど、世界的に危機感が強まっている状況にあります。
前回の厚生委員会では、令和元年度補正予算の質疑に当たって、武漢市から帰国した在留邦人及びクルーズ船の乗客に対応されてきた状況をご説明いただきました。
武漢の在留邦人二百六人が第一便で帰国したのが一月の二十九日でありまして、そこから既に一カ月半が経過をしております。
先を見通すことが困難な状況下で、二月十八日に補正予算を発表されたわけですが、日々刻々と状況が変化する中で対応に当たられていることに改めて敬意を表したいと思います。
令和二年度の補正予算は、感染症医療機関である都立駒込、保健医療公社の荏原、豊島の三病院における感染症患者の受け入れ体制を強化するものであります。
都が開設した専用サイトによりますと、三月十三日現在、都内における入院患者は六十六人と発表されていますけれども、各病院における受け入れ状況をまず確認したいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 感染症指定医療機関であります都立駒込病院、墨東病院、公社荏原病院、豊島病院におきましては、これまで、今回の新型コロナウイルス感染症に関連した患者の受け入れを積極的に担ってまいりました。
この四病院におきましては、八十床の指定病床を保有しており、患者受け入れ実績の記録を開始した本年一月二十九日から三月十二日までの間、陽性患者や疑い症例、体調不良者も含め、累計で百七十八名の患者を受け入れ、百四十名が退院されております。
こうした経過を経て、三月十三日時点においては、駒込が十名、墨東が一名、荏原が五名、豊島が十名、合計二十六名の陽性患者等を指定病床で受け入れてございます。
なお、例えば、この前々日には三十三名が入院されておりまして、入院患者数は日々増減しているというところが実情でございます。
また、委員お話しの六十六名の入院患者数は、都内において検査を行った者のうち、入院中の陽性患者数で、チャーター機帰国者やクルーズ船乗客等が含まれていない数値でございます。
今ご答弁申し上げました都立、公社病院の入院患者数二十六名、あるいは三十三名の中には、クルーズ船の乗客や検査中、経過観察中の患者数も含まれてございます。
なお、三月十三日時点では、チャーター機帰国者に関連した入院患者は、都立、公社病院には在院しておりません。
○たきぐち委員 これまで百七十八人の患者を受け入れて、百四十人が退院したということでありまして、この一カ月半の状況を理解をいたしました。
私も、定期的に都の専用サイトで確認をしておりますが、都内全体の入院患者数も、先ほど申し上げたとおり、三月十三日が六十六人、その二日前、三月十一日が四十九人、最新ですと、昨日の十一時に更新されていますが、六十六人ということで、日々変化していることがわかります。
先週、感染者が百人を超えた愛知県において、感染症指定医療機関などでの病床が足りない、医療現場での対応が困難というせっぱ詰まった状況が報じられたところでもあります。
都立、公社の四病院については、今ご答弁がありましたが、八十床の指定病床に対して二十六人という現況を伺い、日々受け入れ状況は変化しているとはいえ、現時点ではまだ受け入れ能力があるということは確認できたところであります。
また、二月二十六日の対策本部会議においては、集中的医療の取り組みとして提供体制の充実を図る方向性が示されておりまして、病床のさらなる活用によって百床程度まで能力を拡充するものと認識をしております。
一方、今回、さらに感染症患者の受け入れ体制を強化していくとしておりますけれども、補正予算に示された各病院の増設、機能強化を図る内容について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症対策に係ります令和二年度補正予算の主な内容の一つは、感染症指定医療機関であります駒込、荏原、豊島の陰圧管理の強化でございます。
具体的には、駒込、荏原、豊島におきます感染症指定病棟と病棟内の病室双方の陰圧化を図ることを基本方針として、必要な対策を実施するものでございます。
駒込は、指定病棟の全体が陰圧管理されている一方、病棟内における一部を除く病室は陰圧化を行っていないため、該当する病室の陰圧化を実施いたします。
荏原の病室は陰圧管理されている一方、病棟は陰圧対応ではないことから、病棟の陰圧化に向けた設計を実施するとともに、工事完了までの間、陰圧化されている病室の陰圧機能を確実なものにするために、病室を簡易的に陰圧化できる空気感染隔離ユニットを購入いたします。
豊島の病室は陰圧管理され、また、病棟についても、病棟内の空気が流出することを防ぐ仕組みとなってございますが、病棟の出入り口の扉の二重化を行い、病棟空気の流出防止を強化することとしてございます。
また、補正予算の主な内容の二つ目は、既に病棟及び病棟内の病室ともに陰圧管理が行われている多摩総合医療センターの結核病棟の分割でございます。
分割におきまして、その接続部に陽圧機能のついた前室を設けることにより、それぞれのエリアからの空気の流出入を防ぐこととしてございます。
このことにより、空気感染のおそれのある結核患者と、そのおそれがない二類感染症相当の患者が、同じ病棟の異なるエリアに入院できるなど、感染症の状況に応じた柔軟な病棟管理が可能となるものでございます。
こうした対策によりまして、院内感染防止対策の強化を進め、重症患者を中心とした患者の受け入れ能力を一層向上させてまいります。
○たきぐち委員 ご説明ありがとうございます。
六年前に新棟が竣工した墨東病院は、病棟、病室とも全て陰圧管理が施されているほか、二類感染症に対しては、必ずしも陰圧対応が基準としては求められていない中で、今回の事態を受けて、墨東以外の三病院についても、それぞれの課題について、より安全性を高めていくということで、新型コロナウイルスの感染者の受け入れ拡充を図っていくための措置だと理解をいたしました。
これまでも、一類感染症のエボラ出血熱、二類の結核、さらに新型インフルエンザなど、感染症患者を受け入れるための体制を整備してきたかと思いますが、今回、さらなる患者受け入れ体制の強化を図る理由、考え方について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 感染症指定医療機関であります都立、公社の四病院におきましては、これまで、再編整備による改築や大規模劣化改修に伴う感染症病棟の改良や増床、新型インフルエンザ対応を踏まえた緊急対応病床の整備など、感染症患者の受け入れ体制の強化を図ってまいりました。
本年一月二十四日に都内初の新型コロナウイルス感染症の陽性患者が発生して以降、都立、公社病院におきましては、チャーター機からの体調不良者やクルーズ船乗客の受け入れに加え、都内発生患者を中心とした陽性患者の受け入れを積極的に行ってまいったところでございます。
こうした中、三月九日の政府の専門家会議におきましては、日本の状況は爆発的な感染拡大に進んでおらず、一定程度持ちこたえているのではないかとの評価があったものの、先ほど冒頭委員からもありましたが、三月十一日にWHO事務局長がパンデミックと表現できるとの判断に至ったと表明するなど、現時点においては、感染の流行の終息について、いまだ見通しが立っていない状況でございます。
今回の対策は、時々刻々と変化する情勢に即応できる体制の構築に向け、新型コロナウイルス感染症の感染拡大への都民の不安の解消と、都民生活の安全・安心の確保を図るものでございます。
○たきぐち委員 感染症病床の増設には、一般病床との兼ね合いも考慮されるものと推察をいたしますが、補正を組んだ時点で、新型コロナウイルスという、これまでわかっていたものとは異なる未知のウイルスに対する危機意識のもと、行政的医療として担うべき対応を図られたものと考えます。
先ほどの答弁にもありましたけれども、補正予算には、多摩総合医療センターにおける受け入れ体制整備費も計上されております。
多摩総合医療センターは、第二種感染症指定医療機関に指定されているものの、結核病床のみの指定となっておりまして、感染症病床は有しておりません。
こうした中で、今回の補正予算において、二類感染症相当の感染症患者の受け入れが可能な施設整備を実施するに至った背景、理由について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、多摩総合医療センターは、結核指定医療機関として、個別陰圧の個室を四十八床保有してございます。多剤耐性結核や透析合併症患者など、特別な医療を必要とする結核感染症患者に積極的に対応してございます。
一方、こうした機能を有する四十八床を柔軟に活用することを可能にする設備を整えることで、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対応するとともに、将来の新興、再興感染症の発生に備え、感染症医療提供体制のさらなる強化を図ることができると判断したものでございます。
○たきぐち委員 都内における感染症指定医療機関の保有病床数を見ますと、区部と比較して、多摩地域の能力は小さいのが実態だと思います。
将来の新たな感染症の発生にも備えた体制強化を図ることは極めて重要でありまして、多摩地域の感染症対策を着実に進めていただきたいと思います。
現在、PCR検査体制の強化が図られている中で、今後、感染者数が絶対数として増加していくことが想定されています。軽症者から重症者までをどのように受け入れていくのか、また、無症状者に対していかに対応していくのかというのが、いわば医療崩壊を起こさないためには重要だと考えております。
都内には、都立、公社の四病院と多摩総合以外にも、特定、第一種、第二種感染症指定医療機関がありますが、こうしたさまざまな機能を有する医療機関が、その機能を踏まえ、適切な役割分担のもと、感染拡大に向けた連携体制を構築し、効率的に患者を受け入れていくことが必要だと思います。
その中で、先週三月十二日に都が発表した第三弾の緊急対応策において、感染症指定医療機関以外の都立、公社病院における受け入れ体制を強化するとしましたが、どのように取り組んでいくのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどご答弁申し上げましたとおり、時々刻々と変化する状況に即応する体制を構築することが重要であり、それが都民の安心・安全につながるものと認識をしてございます。
このため、今般の緊急対応策におきまして、今後の新型コロナウイルス感染症患者の増加に備え、都立、公社が有する八十床の感染症指定病床に加え、感染症指定医療機関以外の都立、公社病院におきまして、感染症患者を受け入れることのできる病棟を二つ確保することとしたものでございます。
今後、感染が拡大した際に、感染症指定医療機関以外の病院で受け入れるに当たっては、指定医療機関との重症度に応じた緊密な連携と役割分担が不可欠であるとともに、院内感染防止対策を講じることで、他の患者の安心・安全を確保することが重要でございます。
時期を逸することなく対応できるよう、これらの課題について、早急に調整を図ってまいります。
○たきぐち委員 大阪では、仮称入院フォローアップセンターを開設して、症状の軽重による、いわゆるトリアージを実施して対応を図っていくと報じられています。
国からも、地域で感染者が拡大した場合の医療提供体制に関する通知が出されておりまして、東京都においても、一般医療機関との連携や役割分担なども求められると考えております。
今回、感染症指定医療機関以外に病棟を二つ確保するということで、都立、公社病院における感染症指定医療機関とそれ以外の病院で、重症度に応じた連携と役割分担を図るべく、方向性を示されたことを評価したいと思います。
同時に、答弁にもありましたが、院内感染症対策の強化、徹底をあわせて強く求めておきたいと思います。
補正予算の最後になりますが、外国人受け入れ対応機能のさらなる強化として、医療通訳や携帯型小型翻訳機の増設経費が計上されております。
近年の外国人患者の増加を受けて、全ての都立、公社病院で外国人患者受け入れ医療機関認証制度であるJMIPの認証を受ける予定となっていますが、今回の補正予算に計上した理由を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院におきましては、今年度末までに全ての病院でJMIPの認証を取得することとしてございまして、今年度の対象病院につきましては、全て受審を終えたところでございます。
JMIPの受審に当たりましては、院内の外国人患者に対する支援体制を整備するため、語学や異文化理解等に関する研修のほか、ワンタッチで外部の通訳オペレーターにテレビ電話でつながる映像通訳サービスの導入や、携帯型小型翻訳機の整備を行うことで、外国人患者への対応力の強化を図ってまいりました。
一方、今回のクルーズ船に関する感染症対応に当たり、短期間で多くの外国人患者の受け入れが必要となった経験等を踏まえまして、外国人患者受け入れ体制のさらなる強化が必要との判断から、映像通訳サービスによります医療通訳や携帯型小型翻訳機の増設経費を計上したものでございます。
○たきぐち委員 昨年十一月に、我が会派の厚生部会のメンバーで広尾病院を視察した際に、外来の初診が一日約百人のうち、六、七%が外国人患者という状況を伺いました。
もちろん、広尾病院の立地特性にもよるものであると同時に、今回の補正は、広尾は含まない五病院を対象としたものでありますけれども、短期間での多言語対応が必要になったということでありまして、今後、二〇二〇東京大会やインバウンドのさらなる増加が想定される中で、突発的な危機の発生にも対応できる多言語の機能強化に取り組んでいただきたいということを求め、次の質問に移りたいと思います。
次に、新年度本予算に関連して、都立、公社病院の水害対応について伺いたいと思います。
東日本大震災から九年が経過をいたしました。東日本大震災後、都は、大規模地震を想定した医療機関向けBCP策定ガイドラインを発表し、都内における全ての災害拠点病院八十二病院でBCPが作成されています。しかし、災害拠点連携病院百三十八病院の策定率は約六割にとどまっております。
大震災に加えて、昨年の台風十五号、十九号を初め、昨今の大型台風への脅威が高まる中、先日の我が会派の代表質問で、大規模な風水害リスクを想定した医療機能を継続できる体制の構築を求め、都は、医療機関向けのBCP策定ガイドラインに風水害対策を盛り込むと同時に、専門家を活用したBCP策定や改定に取り組む病院を支援する方針を示しました。
都立、公社病院のうち、神経病院を除く全ての病院が災害拠点病院に指定されておりまして、地震については、神経病院を含む十四病院全てでBCPを策定していると確認しておりますが、近年の大型化する台風、風水害についてはどのような対策を講じていくのか伺いたいと思います。
○児玉経営企画部長 風水害につきましては、地域の危険度や被害の発生がある程度事前に予測できることから、各病院におきまして、必要に応じて勤務中の職員を待機させたり、水害発生前に職員を参集させるなどの対応を行い、地震の場合と同様に、院内の患者の安全を確保することとしております。
さらに、都立、公社十四病院のうち、洪水浸水想定区域内に所在する墨東病院や東部地域病院では、水害編のBCPを策定し、電源確保、物資、資器材の搬送、業務調整の検討といったBCPに基づいた対応手順を確認するなど、さまざまな訓練を実施しております。
今後も、病院が所在する地域特性等を踏まえながら、必要な訓練や研修などを実施し、各病院の風水害への災害対応力を高めてまいります。
○たきぐち委員 私の地元に隣接する墨東病院と東部地域病院は、まさに大規模水害のリスクが高い江東五区に位置しております。
江東五区広域避難推進協議会で、当該地域約二百五十万人が避難することの困難性について、さまざまな議論がなされているところでありますが、BCPに基づいた予防策と訓練の確実な実施によって、水害への対応力強化を図っていただきたいと思います。
大型台風では、河川の氾濫だけではなくて、内水氾濫のリスクも想定しなければならないと思います。
台風十九号では、国交省の集計によりますと、約百五十カ所で内水氾濫が発生したとしており、国交省は、都道府県及び区市町村に対して、内水氾濫ハザードマップを作成するよう通知をしております。
墨東、東部地域病院の二病院以外においても、内水氾濫のリスクを想定した水害対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 一昨年の西日本豪雨を契機として実施いたしました全庁的な緊急点検の結果、ハザードマップ上の建物への浸水被害が想定される墨東病院及び東部地域病院につきましては、今年度、具体的な浸水対策工事の設計を行っているところでございます。
さらに、昨年、副知事をトップとして全庁的に行った令和元年台風十五号及び十九号に伴う防災対策の検証の結果、現時点で想定し得る最大規模の降雨を想定し、東京都の管理する全河川及び下水道による浸水、いわゆる内水氾濫を想定した浸水予想区域図におきまして、病院建物自体に浸水域が表示されているのは、墨東病院、東部地域病院に加え、広尾、大塚、大久保、豊島でございました。
既に浸水対策を進めております墨東、東部地域以外の広尾、大塚、豊島につきましては、具体的にどのような浸水で、どのような被害が想定され、どのような対策が有効であるか、調査を実施しているところでございます。
今月中に取りまとめる調査結果を踏まえて、今後検討を行い、必要な対策を速やかに実施してまいります。
なお、土地信託事業で行っております大久保病院につきましては、止水板、土のう等を準備し、対策を進めてございます。
○たきぐち委員 広尾、大塚、豊島病院については、今調査中ということで、今月中にそれを取りまとめるということでありますので、調査が終わり次第、迅速に対策を講じていただきたいと思います。
予算特別委員会のおじま議員の質疑でも言及がありましたが、台風十九号で、埼玉県川越市の特別養護老人ホームが河川の氾濫による浸水に対して、百二十人の入居者を全員無事に避難させたことが大きく報じられました。これは、事前の大型台風の気象予報から人員配置を増員するなど、職員を初め、関係者の日ごろからの高い危機意識と訓練が功を奏したものといえます。
ちなみに、高齢者施設などのBCP策定率は、特別養護老人ホームで七割、多くの医療法人の運営している介護老人保健施設は三割強という状況でありまして、福祉施設に関する調査では、BCPを作成している施設においても、訓練等を実施している施設は半数にも満たないといった課題も指摘されているところでもあります。
平成二十九年に水防法と土砂災害防止法が改正をされて、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内にある市区町村の地域防災計画で定められた要配慮者利用施設、これは特養や老健、障害者施設、児童福祉などの社会福祉施設や、学校や医療機関も含まれるわけでありますが、こういった要配慮者利用施設に対して、避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務づけられたところです。
しかし、全国的に見ると、計画を策定している施設は三分の一程度と低いのが現状であります。
都立、公社病院における対応について伺います。
○児玉経営企画部長 都立、公社病院のうち、水防法により、東部地域病院では避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務づけられております。
このため、東部地域病院では、平成三十年十二月に避難確保計画を策定するとともに、患者の避難等に関する訓練を令和二年一月に実施いたしました。
また、東部地域病院と同じく、洪水浸水想定区域内にある墨東病院では、法律上の義務はございませんが、災害時対応マニュアルの中で患者を避難させる際の手順を定め、それに基づく訓練を毎年実施しているところでございます。
○たきぐち委員 避難確保計画の作成が義務づけられているのが東部地域病院ということで、法令に沿って対応されているということで確認がとれました。
墨東病院は、その対象には含まれていないということでありますが、先ほどご答弁いただいたとおり、水害編のBCPの策定、あるいは防水壁の設置による地下への浸水防止対策や非常用電源装置の屋上設置に向けた検討を進めるということは聞いているところでもあります。
大震災が突然発災するのとは異なって、風水害は事前に気象情報などによる予測が可能であることから、事前計画の策定はもちろんのこと、実践的な避難訓練実施の有無が被害を最小限に抑えられることにつながると考えます。ハード面での整備に加えて、より実践的なソフト面での対策を要望しておきたいと思います。
あわせて、水害対策とは外れまして、きょうは質問をいたしませんけれども、昨年十一月に墨東病院も厚生部会で視察させていただいて、止水板等を確認すると同時に、病児、病後児保育室も見させていただきました。
現在、墨田区の児童のみを対象にしているということで、昨年、後藤委員からも、近隣区での利用を求めたところでありますが、江東区において利用の受け入れを望む声がより高まっているやに聞いております。ぜひ広域利用を図る観点で、調整に当たっていただくことを、この場をかりて要望をしておきたいと思います。
最後に、今回付託されている請願一第五四号について伺いたいと思います。
この請願は、都立病院の地方独立行政法人への移行準備をやめ、直営を堅持するべきだという内容となっております。
その理由としては、独法化によって病床規模が縮小される、採算性の低い診療部門が再編、削減される、患者自己負担が増加されるということが挙げられているところであります。
そこで、改めて、指摘されている事項について確認をしたいと思います。
まず、独法化によって採算性が低い診療、すなわち都立病院が担っている行政的医療の提供に関してでありますが、独法化後も、行政的医療は確実に提供されるべきと考えます。そのためには、行政的医療にかかわる経費についての財源措置が必要となるわけでありますが、請願では、こうした都による財政的支援を不安視しているようであります。
そこで、地方独立行政法人化後も、行政的医療は確実に提供されるのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 感染症医療、周産期医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療を提供することは、都民の生命と健康を守る都立病院の重要な役割でございます。
このため、超高齢社会の本格化など、医療環境が変化していく中におきましても、引き続き行政的医療を確実に提供し、将来にわたり、この役割を果たし続けていかなければなりません。
地方独立行政法人におきましては、知事が議決を経て定める中期目標に基づきまして、法人が作成する中期計画を議会の議決を経て知事が認可をし、この計画に基づいて医療が提供される仕組みや採算の確保が困難な医療について、運営費負担金として、都が現在と同様に負担することが法定をされております。
地方独立行政法人化した後におきましても、安定的、継続的に行政的医療を提供いたしまして、都民の安全・安心を確保し続けてまいります。
○たきぐち委員 次に、都立病院が地方独立行政法人化されることで病床規模が縮小されるのではないかと指摘されておりますけれども、独法化によって病床規模の見直しが行われるのか伺います。
○船尾計画調整担当部長 都立、公社病院の地方独立行政法人化の目的は、超高齢社会の本格化や医療の担い手など、医療課題がさらに深刻化していく中におきましても、行政的医療を初めとした質の高い医療の安定的、継続的な提供や、都の医療政策への貢献などの役割を将来にわたって果たすことでございまして、独法化を契機として病床規模の見直しを行うものではございません。
病床規模の見直しにつきましては、地域の実情に応じた適切な医療提供体制の構築に向けて、経営形態にかかわらず、必要に応じて行われるものであると認識しております。
○たきぐち委員 最後に、患者負担増の懸念についてであります。
医療保険が適用される部分については、国において診療報酬が定められているため、患者負担がふえることはないと思いますが、医療保険が適用されない有料個室などの使用料負担について、独法化後はどうなるのか伺います。
○船尾計画調整担当部長 自治体病院等では、健康保険が適用されない自由診療部分などにつきまして、受益者負担の原則に基づき使用料を定めております。
その設定に当たりましては、どのような経営形態であっても、人件費や光熱水費、減価償却費などの原価計算などをもとに算定することが基本でございます。
現在の都立病院におきましても、個室料につきましては、部屋の面積や附帯設備の整備状況等により設定をしておりまして、例えば分娩料につきましても、人件費や光熱水費、減価償却費などをもとに設定をしてございます。
また、有料個室の使用料につきましては、患者みずからが個室利用を希望した場合のみに徴収をしておりまして、健康保険法に基づきまして、医師による治療上の必要があると判断された場合には徴収をしてございません。
独法化後も、法人がこうした基本的考えのもと、適切に料金設定していくものと認識をしております。
○たきぐち委員 請願で指摘をされております、懸念されている事項について確認をさせていただきました。
先月二月に厚生部会のメンバーで大阪府立病院機構に伺いまして、事務局がある大阪国際がんセンターを視察すると同時に、理事長ほか関係者にヒアリングを行いました。
独法化に至った経緯や、独法化後のさまざまな指標の推移、独法化による効果、現在でも各病院ごとにさらなる業務運営の改善などに向けて取り組んでいる状況など、非常に参考になるお話を伺うことができました。
都においても、急速に進む高齢化や疾病構造の変化が予測される中で、行政的医療の提供や、都の医療政策への貢献などの役割を将来にわたって果たしていくために、独法化に向けて準備を開始するものと理解をしております。
さはさりながら、十四病院一体の独法化という、これまでに前例のない取り組みであることから、今答弁をいただいたことを確実に実行していただくことは重要でありますし、この後、木下理事からも質疑がありますけれども、課題認識を持ちながら、総力を挙げて取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○伊藤委員 私からはまず、病院経営本部にかかわる令和二年度補正予算について質問をさせていただきます。
三月二日の前回の質疑の時点から、終息どころか世界的な規模で感染が拡大している新型コロナウイルスでありますけれども、都内の感染者数は、三月十五日時点で九十人に上り、感染経路が判明できない患者も依然として多く発生をしております。
都立病院、公社病院は、これまでは患者の増加に対応するため、受け入れ体制を強化してきたわけでありますけれども、日々刻々と事態が変化していく中で、とりわけ高齢者や持病のある方への感染拡大の防止に加えて、重症患者への対応、何よりも命の危機を救う対応が求められているわけであります。
そこでまず、行政的医療の使命を果たすべく、都立、公社の感染症指定病院が新型コロナウイルスに対応するため追加で計上された、令和二年度補正予算の考え方と方針について伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院の感染症指定医療機関であります駒込、墨東、荏原、豊島の四病院におきましては、第一種感染症指定病床六床、第二種感染症指定病床七十四床の合計八十床を有してございます。
新型コロナウイルスの状況は時々刻々と変化してございますが、今後の感染拡大を想定して、重症患者を中心とした感染症患者の受け入れ能力の拡大や、患者を受け入れた病棟内における院内感染対策の強化は引き続き急務であると認識してございます。
今回の補正予算におきましては、駒込、荏原及び豊島の第二種感染症指定病床の病棟等におけます空調制御をさらに徹底することによりまして、院内感染リスクの一層の低減や、重症者を中心とした患者の受け入れ能力の向上等を図ってまいります。
○伊藤委員 重症患者を中心とした感染症患者の受け入れ能力の拡大や院内感染の対策、これが急務だという答弁でありました。
そこで、どのように対策の強化を図っていくのか、先ほども、たきぐち委員の質疑にもありましたけれども、私の方からは個別に、その必要性も含めて聞かせていただきたいと思います。
まず、駒込病院病棟陰圧室改修工事についてでありますけれども、どのような工事で、そしてまた、どのような効果が見込まれるのか、わかりやすく説明していただきたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 駒込病院の三〇二感染症病棟は、第一種感染症病床二床、第二種感染症病床二十八床の合計三十床の感染症指定病床を有してございます。
三〇二病棟は、病棟全体が陰圧でありますことから、院内感染への安全性は保たれておりますが、今回の補正予算において、この陰圧管理をさらに厳格に行うために、病棟入り口に陽圧となる装置のついた前室を設置いたします。
加えて、この病棟にあります第一種二床及び第二種三床の個室を除く二十五床の病室は、個別の陰圧管理は行っていない状況にありますことから、安全性のさらなる向上のために、二十五床の病室の空調改修を実施し、各室の個別の陰圧化を図ることとしてございます。
こうした対応によりまして、院内感染防止対策の強化を進め、感染症指定医療機関として、重症者を中心とした患者の受け入れ能力を一層向上させることが可能になると認識してございます。
○伊藤委員 これまで以上に安全管理が厳格に行えるよう、陰圧を個別化して、院内感染の防止対策を強化し、重症患者の受け入れ能力を一層向上させるということでありました。
次に、荏原病院感染症病棟全体の陰圧化工事について、どのような工事で、どのような効果が見込まれるのか、説明をいただきたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 荏原病院の三二〇感染症病棟は、第一種感染症病床二床、第二種感染症病床十八床、合計二十床の指定感染症病床を有してございます。
これらの病床のある病室は陰圧対応でございますが、病棟自体は陰圧となっていない状況にございます。このため、病棟全体についても陰圧対応とする空調設備改修を行うことで、さらなる厳格な陰圧管理を行い、院内感染防止対策の強化を図るものでございます。
この対応によりまして、感染症指定医療機関として、重症者を初めとした患者の受け入れ能力を一層向上させることが可能になると認識してございます。
なお、実際の施工は、設計等の手続を経て実施いたしますことから、本補正予算案におきましては、設計費用を計上してございます。
施工完了までの対応として、病室の簡易な陰圧化が可能であります空気感染隔離ユニットを購入し、現在備えている各病室の陰圧機能をさらに確実なものとする緊急対応についても、本補正予算案に計上してございます。
○伊藤委員 続きまして、豊島病院感染症病棟入り口二重扉化工事について、どのような工事で、また、どのような効果が見込まれるのかご説明いただきたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊島病院の7B感染症病棟は、各病室が陰圧の設定になっていることに加えまして、病棟に面した外側の廊下を空調制御することで陽圧とし、病棟から外に空気が出ない状況としておりますことから、病棟全体の陰圧管理と同等の効果があり、感染リスク対応がなされてございます。
今回の工事では、病棟の主要な入り口にあります既存の自動扉を改修することに加え、新たにもう一つの自動扉を設置いたしますことにより、二重扉化し、病棟内の空気が病棟外に出ないよう遮断機能を高めることで、院内感染防止対策のさらなる強化を図っていくものでございます。
この対応によりまして、感染症指定医療機関として、重症者を初めとした患者の受け入れ能力を一層向上させることが可能になると認識してございます。
○伊藤委員 感染症指定医療機関において、それぞれの病棟、また、病室の特性に応じつつ、安全管理を万全なものに近づけていくべく、さまざまな工夫をしているということでよくわかりました。
指定医療機関は、都の感染症対策のかなめともいうべきものであり、引き続き確実な対応を求めておきたいと思います。
さて、先日は、今定例会本会議代表質問において、都議会公明党は、感染症患者を多摩地域でも迅速に受け入れる体制整備が必要ということを指摘いたしました。そして、具体的には、多摩総合医療センターを感染症指定医療機関に指定できるよう提案を行いました。
これに対し、小池知事からは、二類感染症相当の感染症患者を受け入れることのできる設備面の整備を図ることとしたとの答弁がありました。このための工事が今回の補正予算に組み込まれているというふうに認識をしております。
そこで、多摩総合医療センター病棟隔壁設置工事について、どんな工事で、どのような効果があるのか、わかりやすく説明をいただきたいと思います。
また、多摩総合医療センターを感染症指定医療機関に指定する意義について、都の見解を伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩総合医療センターの4S結核病棟四十八床は、第二種指定感染症の施設基準を満たしており、各病室は陰圧対応であり、さらに病棟全体も陰圧対応になってございます。
今回の工事では、同じ病棟内で空気感染の可能性のある結核患者が入院するエリアと、それ以外の二類感染症相当の患者が入院するエリアに区分いたします。その上で、二つのエリアの接続部に陽圧機能のついた前室を設置することにより、エリア間の空気の入れかわりを防ぐこととしてございます。
この工事によりまして、院内感染リスクを一層低減し、同じ病棟内で、結核患者と他の二類感染症患者が同時に入院できるようにいたします。
なお、病棟、病室の陰圧管理自体には変更がございません。そのため、状況によっては、病棟全体において結核患者もしくは他の二類感染症患者のいずれかを受け入れることも可能でございます。
病棟を二分した後の具体的な病床数でございますが、結核病棟四十八床のうち、十六室十九床において、第二種感染症指定医療機関の指定を受けることを想定してございます。
多摩総合医療センターが第二種感染症指定医療機関となることは、多摩地域における感染症医療提供体制の強化につながるものでございまして、病院経営本部としても指定に向けた準備を進めてまいります。
○伊藤委員 ぜひともしっかりと準備を進めていっていただきたいというふうに思います。
補正予算の最後に、外国人受け入れ対応機能のさらなる強化に当たって、携帯型小型翻訳機の配備というふうにありますけれども、これはどんな機能と役割なのか、わかりやすく説明をいただきたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 訪都外国人旅行者や外国人人口の増加に対応するためにも、外国人患者への医療の充実は、都立、公社病院にとって重要な課題でございます。
今回の感染症に関しましても、安心して受診できる環境を整備することが求められてございます。
外国人患者との意思疎通に当たっては、患者に対する症状や治療内容を初め、感染症病棟での療養上の注意事項などの専門用語を正確に伝達することで、受け入れの円滑化を図るとともに、患者の療養生活をサポートすることが重要でございます。
今回配備を予定している携帯型小型翻訳機は、英語や中国語だけでなく、さまざまな言語にも対応が可能となるため、日本語が話せない患者でも、自身の症状や要望などについて、病院側とより円滑に意思疎通を図れる環境を整えることが可能となります。
また、東京二〇二〇大会開催等に伴いまして、外国人患者の増加にも備える必要がございます。
こうしたことから、感染症患者の受け入れ対応を行う病院に合計八十台を配備することとしてございます。
○伊藤委員 これまで令和二年度補正予算についてさまざまに質問させていただきましたけれども、しっかりと進めていっていただきたいと、このように思います。
新型コロナウイルスの現在の状況は、WHOによる世界的流行、パンデミック宣言、我が国におきましても急速な感染拡大、万が一に備え、緊急事態宣言の発令が可能になる特措法も成立をいたしました。都としても、依然として警戒を緩めることはできないわけであります。
先日の中途議決において、このたびの新型コロナウイルスに立ち向かう病院経営本部のリーダーとしての本部長の決意を伺いましたけれども、今後もどのような変化、事態にも一歩も引かず、緊張感を持って、本部長を先頭として病院経営本部が一丸となって対応していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
次に、報告事項、新たな病院運営改革ビジョン(素案)について質問をいたします。
昨年十二月に、都立、公社病院を一体的に地方独立行政法人へ移行するべく準備を開始することを知事が表明をしまして、年末には、その考え方をまとめた新たな病院運営改革ビジョン(素案)が公表されました。
これを受けて、都議会公明党は、昨年の第四回定例会では、独法化の目的や課題等を明確にし、都民の理解と納得を得る必要があると指摘をしました。
また、今定例会では、都立、公社病院は、行政的医療の安定的、継続的な提供や地域医療の充実への貢献と役割を将来にわたって果たし続け、都民が期待する医療を提供し続けていかなければならないとの指摘をいたしました。
本ビジョンでは、その役割を担い続けていくために独法化が必要としておりますけれども、しかしながら、都民からは、なぜ独法化するのかわかりにくいという声が寄せられております。
そこでまず、先ほども新型コロナウイルスへの対応で確認をしましたけれども、都立病院の役割として重要な使命である行政的医療とはどのようなものか、都民が聞いてわかるような答弁をいただきたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公民の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療提供体制を確保する観点から、都立病院においては、感染症医療や災害医療など、平時からの備えが必要である一方で、収益には反映されない不採算部門においても行政的医療として位置づけ、質の高い医療を提供してまいりました。
こうした中、平成三十年三月に公表いたしました都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、都立病院の基本的役割とする行政的医療については、各医療課題の実情に応じ三つに分類し、定義してございます。
一点目は、法令等により対応が求められる医療でございます。
具体的には、現在、都立、公社病院が最前線で対応いたしております新型コロナウイルス感染症に代表される感染症医療や災害医療など、先ほど申し上げましたとおり、平時から専門医療スタッフの確保や専用の設備、医療資器材の整備が必要な医療等が該当いたします。
二点目は、社会的要請から特に対策を講じなければならない医療でございます。
具体的には、難病医療、精神科身体合併症医療など、専門性が高い医療人材の確保や、採算確保が難しく民間での取り組みが困難な医療のほか、周産期医療、難治性、合併症併発のがん医療など、都民ニーズが高く、総合診療基盤を活用して、他の医療機関を補完するために行う医療が該当いたします。
三点目は、時代に応じた新たな医療課題に対し、一般医療機関での医療提供体制が確立されるまでの間、先導的に取り組む必要がある医療でございます。
具体的には、小児期から成人期への円滑な医療の橋渡しを行う移行期医療や、外国人患者への医療等を位置づけてございます。
○伊藤委員 今答弁がありました行政的医療は、平時からの備えが必要であり、質の高い医療を提供しなければならず、一方で、収益には反映されない不採算の部門であるということでありました。
その行政的医療を行うための財源については、病院会計による独立採算だけでは財源確保が難しいため、一般会計からの繰入金が必要であったというふうに認識をしております。
独法化した場合、この一般会計からの繰入金は運営費負担金となると聞いておりますけれども、今後、都からの財源措置はどうなっていくのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 都立病院が担う行政的医療は、周産期医療、精神科医療、難病医療等、採算の確保が困難な医療であり、地方公営企業法に基づきまして、一定のルールのもと、一般会計繰入金として都が負担をしてございます。
地方独立行政法人法におきましては、現行の一般会計からの繰り出しと同様、設立団体が運営費負担金として負担するものとされております。
したがいまして、地方独立行政法人化後も、行政的医療の提供に必要な経費は引き続き都が負担することになりまして、これにより、将来にわたり確実に行政的医療を提供してまいります。
○伊藤委員 行政的医療に係る財源措置については、独法化後も現在と同様に負担するという答弁でありましたけれども、先日の予算特別委員会で、独法化が先行する他県の病院では、県からの運営費負担金が減らされているという話がありました。
そこで、既に独法化した他団体における運営費負担金の状況について、わかる範囲で結構でありますので、増減の理由、それに対して都としてどう認識していて、また、今後についてどう考えているのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 都道府県が設立しております地方独立行政法人におきまして、独法化初年度と平成三十年度を比較いたしますと、運営費負担金の額が増加している法人も減少している法人もございます。
各法人における増減につきまして公表されている資料によりますれば、増額理由の一例としては、小児医療における小児集中治療室の増床や、がんや呼吸器、感染症医療などの医療体制の充実など、不採算でありますが、公立病院が担わなければならない医療を充実するために増額をしてございます。
また、減少理由の一例としましては、医療を取りやめたというのではなく、必要な医療サービスが提供される上で、医業収益や患者数が増加をし、新規入院患者数の確保による収益増、省エネルギー対策への取り組みによる光熱水費の削減等の取り組みにより収益が改善をし、収支差に対する負担金が減少しているケースがございます。
なお、自治体によりまして、運営費負担金の算定方法は異なりますが、交付される金額は、必要な医療体制や毎年度の収入と支出の状況によって増減するものであると認識をしてございます。
その考え方は、現行制度におきましても、独法化後も同様でございまして、都として、これまでどおり行政的医療の提供等に必要な経費を負担していくものでございます。
○伊藤委員 独法化した場合も、都民にとって必要な行政的医療については、これまでどおりしっかり財源措置をしていくということでありました。
さて、都立病院は、駒込病院におけるがん医療、広尾病院における島しょ医療、神経病院における難病医療など、それぞれの役割に応じて特色ある医療を提供しており、都民にとって欠かせないものであり、今後も都民が期待する医療を提供し続けていかなければなりません。
そこで、独法化した場合、行政的医療を初めとした特色ある都立病院の医療はどうなるのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 民間の医療機関だけでは対応が困難な行政的医療の提供は、都立病院が果たさなければならない重要な役割でございまして、都としての責務でもございます。
地方独立行政法人に対しましては、行政的医療を確実に提供するため、知事が都議会の議決を経て策定をいたします中期目標を通じまして、明確な指示を行う仕組みがございます。
また、都は、採算の確保が困難となる行政的医療などの経費につきまして、先ほどもご答弁いたしましたが、運営費負担金として、現在と同様に負担する仕組みがございます。
こうしたことが法定をされておりまして、柔軟な人材確保など、独法化のメリットを最大限生かした法人ならではの機動的な運営を行うことで、行政的医療を初めとした質の高い医療を、将来にわたり都民に確実に提供していくものでございます。
○伊藤委員 このたびの新型コロナウイルスへの対応のように、医療環境の変化に対応し、都民のニーズに即した医療を迅速に提供するためには、機動性が重要だということは理解はいたします。
ビジョンにおいては、都立病院が直面する課題として、現行の経営形態では法令等の制度的な制約があり、医療ニーズの変化に応じたタイムリーな人材確保の面や、設備整備の面で機動的な対応が困難として、制度的課題を解決するために独法化が必要であるというふうにしております。
しかし、こうした制度的課題とは行政内部の話でありまして、都民や患者にとりましてはなじみのない、見えない話のため、理解されにくいというふうに思います。
このため、先日の本定例会における我が党の代表質問では、都立病院の現行の経営形態における課題について質疑を行い、本部長から答弁をいただきましたけれども、改めて、現行の都立病院において、制度的制約があることで具体的にどのような問題が生じているのか、病院現場でどのようなふぐあいが起きているのか、再度確認をしておきたいと思います。
まず、都立病院における医療人材確保の面において、制度的制約からどのような問題が生じているのか、具体的な事例について伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 一例でございますが、小児総合医療センターにおきまして、高度な集中治療を要する重症患者が年々増加をしていたことから、集中治療室と一般病棟の中間程度の重症度に対応するハイケアユニットというものがございますが、こちらを廃止いたしまして、集中治療室を増床するという必要が生じてございました。
これに伴いまして、看護体制を強化する必要があったことから、平成二十九年度に看護師の増員を要求いたしまして、調整を経て、平成三十年度に定数が措置をされた例がございました。看護師は、病院経営本部に採用選考権限が委任をされていることから、速やかに採用選考を行いまして、平成三十年四月に配置を行ったところです。
このように、人員は毎年度の要求、調整を経まして次年度の定数が措置をされることから、結果的に、ニーズが生じてから人員を配置できるまで一年以上要することとなってございます。
こうしたことから、結果として、求められる医療ニーズに迅速に対応することが困難となってございます。
○伊藤委員 一方、人材確保の課題について、このビジョンの中には、柔軟な勤務条件の整備においても、地方公務員法により、病院や専門職の特性を反映させるまでに一定の制約があると記載をされております。
そこで、柔軟な勤務条件の整備とはどういうことなのか、現在の都立病院では制度的制約によってどのような問題が生じているのか、これも具体な事例を伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 こちらも一例でございますが、ある都立病院におきまして、不足していた血液内科医を常勤医として採用するに当たり、当該医師から、都立病院に採用後も、当時勤務していた医療機関において、週一回の外来フォローアップ等を継続したいという申し出がございました。
しかし、常勤職員の採用に当たりましては、地方公務員法上、柔軟な勤務時間の設定ですとか、兼業などの服務に制約がございますことから、当該医師の希望する勤務条件を認めることが困難であり、採用までの調整が難航したという事例がございました。
このため、当時の勤務先との調整に時間を要しまして、結果的に予定していた時期よりも約一年おくれて採用することとなりました。
こうしたことから、結果として、求められる医療ニーズに迅速に対応することが困難となってございます。
○伊藤委員 医療現場は、人員体制の確保が医療の充実や、何より安全性の向上に直結することから、都民や患者ニーズに対応するために、速やかに人員体制を整備することの重要性は理解をしております。
では、こうした医療人材を的確に確保する面での課題について、独法化した場合、どのように解決を図っていくのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人は、地方自治法や地方公務員法等に縛られない法人独自の制度を構築することが可能となります。
このメリットを生かしまして、各病院現場の課題や医療ニーズに対しまして、法人の迅速な意思決定により人員配置を行う仕組みを構築していくことになります。
また、専門知識、技術や、仕事の成果が処遇に適切に反映される評価制度や、多様な人材が働きやすい任用制度を構築いたしまして、職員の意欲と能力を最大限発揮できるようにしていくことになります。
さらに、仕事と育児、仕事と介護などの両立を可能にするほか、さらなる専門性の向上など、スキルアップに資する勤務制度の構築など、職員にとってさらに働きやすく、働きがいのある環境を整備していくことで解決を図っていくものでございます。
○伊藤委員 次に、設備面について伺いますけれども、制度的制約によって具体的にはどのような問題が生じているのか、また、独法化した場合、どのように解決を図っていくのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 現行の経営形態では、予算は地方自治による予算単年度主義のルールのもと、定数と同時に、毎年度の要求、調整を経まして、議会の議決により次年度の予算が決定をされます。
このため、医療ニーズに対応した迅速な医療機器の整備が困難であり、設置まで一定の時間を要してございます。
例えば、駒込病院のIMRTといいますが、強度変調放射線治療、こちらにつきまして、こちらは主に全身照射が必要な白血病等の入院患者に使用してきたものでございますが、外来におきましても、より負担の少ない効果的な放射線治療を行うため、二台目を購入する必要が生じまして、平成二十八年度に予算を要求いたしました。
平成二十九年度に予算が措置をされた後に契約手続を行いまして、年度末の平成三十年二月に納品がされたわけでございます。
結果といたしまして、予算要求から機器が設置されるまで一年以上要しておりまして、この間、より効果的に適切な治療を提供するという医療ニーズの対応が困難でございました。
地方独立行政法人化することで、中期計画の期間内での整備時期の変更や、年度をまたぐ契約手続を柔軟、機動的に行うことなどが可能となるため、今後、具体的な制度設計を進めていきたいと考えてございます。
○伊藤委員 本日は、なぜ独法化が必要なのかわかりにくいという都民の声を代弁して質問をしてまいりましたけれども、それでもわかりづらく、難しいところがあるというふうに思います。
冒頭で申し上げたとおり、都議会公明党は、独法化の目的や課題等を明確にし、都民の理解と納得を得る必要があると指摘をしてまいりましたけれども、都は引き続き、ホームページや広報紙などを工夫して、都民に正しい情報がわかりやすく伝わるよう、強く求めておきたいと思います。
最後に、独法化した場合の議会の関与について質問をいたします。
都民ニーズを適切に医療に反映していくためには、都民の代表である議会の関与も重要であります。
これまで、私たち議員は、それぞれの地域の中で、また、多くの現場で都民の方々のさまざまな声を聞いて、病院経営本部と意見交換を行いながら、そのニーズを届けるとともに、議会での議論を通じて提案やチェックを行い、よりよい病院運営につなげてまいりました。
都民ニーズに即した医療を継続的に提供するためには、こうした議会の関与、チェックも引き続き果たされることが必要であると考えます。
そこで、独法化した場合、法人に対する議会の関与について、都の見解を伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 都民の代表であります議会とご議論させていただくことで、よりよい病院運営につなげていくことは重要であると認識をしてございます。
地方独立行政法人は、法人が担うべき医療や業務改善等に関する中期目標の策定のほか、収支計画などを含む中期計画の認可、行政的医療などの経費について都が行う財源措置についても、議会の関与が法定をされてございます。
こうした点も踏まえながら、都民ニーズを的確に反映できるよう、法人に対する議会の関与のあり方につきましても今後検討してまいります。
○伊藤委員 都議会公明党は昨年末の本会議で、独法化した場合、議会の関与の必要について指摘をしました。
これまでは、都議会定例会ごとに病院経営本部とともに、議案、報告事項、陳情審査などを初め、議論を行ってきたわけでありますけれども、独法化した場合、こうしたことはどうなるのか。
法定にある、法律どおりの中期目標の策定あるいは中期計画の認可、行政的医療などへの財源措置についての議会議決にとどまらないで、都独自の運用として、さらに議会の意見を聞く場を設けるなど、しっかり議会がかかわっていくことによって、よりよい医療体制の構築を図るべきと考えます。
また、議会と法人との窓口となる都の組織のあり方も含めまして、今後具体的に議論をしてまいりたいというふうに申し上げまして、質問を終わります。
○小宮委員 新たな病院運営改革ビジョン(素案)について伺います。
これまで都立病院の独法化については、都議会、この厚生委員会の場でも、かなり、二年ぐらいでしょうか、わたって議論をしてきました。
今回、公社も含めた独法化ということが、さきの第四回定例会において急に出てきたという感は否めません。
また、その際のご答弁として、スケールメリットという、その視点に関しては理解をするところですけれども、改めて、今まで委員会で議論をしてこなかった、この公社を入れたということをもう少し丁寧に確認をしていきたいと思います。
そのためにも、公社病院の設立からこれまでの歴史を少し振り返って、まず確認をしておきたいと思います。
まず、公社を設立した経緯について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都保健医療公社は、医療資源の地域偏在を是正し、地域医療連携を推進することで、包括的、合理的な医療提供体制の確立を図ることを目的とし、昭和六十三年に設立されました。
この目的に沿って、他の地域に比較して明らかに病床が不足していました区東部地域及び多摩南部地域に、平成二年に東部地域病院、平成五年に多摩南部地域病院を開設し、医療連携による効率的な医療体制整備が求められる時代に、その先導的な役割を果たすとともに、地域に必要とされる医療の提供を行ってまいりました。
○小宮委員 もともと、地域病院をつくるために設立をされたというのが公社であるということがわかります。
病床が不足をしていた地域に対して、東部地域病院、それから多摩南部地域病院、この二つの病院を公社として設立をすることから始まって、その後、都立病院であった大久保病院であるとか多摩北部医療センター、荏原病院、豊島病院の四つの病院が都立病院から公社に移管をされて現在に至っているということですけれども、四つの都立病院が公社に移管をされたその当時の状況を振り返りますと、東京都が財政再建団体に転落してしまうかもしれない、こういう非常に厳しい都財政の状況の中にあったわけです。
こうした中、平成十一年に、当時石原知事が就任をいたしまして、平成十一年七月には財政再建推進プランというのが策定をされております。その中では、経常経費の二割削減というものが求められるなど、都庁全体で行財政改革をしなければならないという状況にありました。
その中で、病院についても、将来にわたって都民に必要な医療を提供していくために、このあり方の検討が求められたということです。
そのため、都立病院が担うべき医療機能や役割というものを見直した上で、今後の再編整備について、都立病院改革マスタープランというものが策定されまして、当時十六個あった東京都が運営する病院については、機能の集約化や再編整備などを進めまして、都民に必要な医療を守るための病院改革というものが進められたというふうに認識しております。
この移管された四病院が公社に移管をされた理由、経緯についてお尋ねします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成十三年に策定いたしました都立病院改革マスタープランに基づきます都立病院の再編整備計画の中で、各都立病院を広域基幹病院、センター的機能病院及び地域病院という三つの類型に整理いたしました。
その中で、公社の役割に合致いたします、地域性が高く、地域の医療機関と緊密な連携をとりながら、かかりつけ医の支援等を行い、地域医療の充実を図ることを目的とした地域病院として分類された病院のうち、大久保病院は平成十六年、多摩老人医療センター、現在の多摩北部医療センターですが、こちらは十七年、荏原病院は十八年、豊島病院は二十一年に順次公社に移管いたしました。
○小宮委員 当時、行財政改革の中で再編をするに当たって、地域性の高い病院は公社にということで移管をされたということがわかります。
当時、東京都の財政負担を減らすための、これは民営化だといった主張であるとか、それから、公社に移管されたら医療が切り下げられるのではないかといった主張、今のまさに経営形態の見直しと同じような不安の声などが、またさまざまな議論が当時もあったというふうに伺っております。
この公社移管後、十五年程度が経過したわけですけれども、現在、公社病院の状況がどうなっているのかということと、現在の公社病院は地域でどのような役割を果たしているかということを確認します。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまで公社病院は、医療機能の拡充を図り、全六病院で地域医療支援病院の承認を受ける等、地域医療システムの構築を先導してまいりました。
地域における中核病院といたしまして、地域の医療機関との機能分担と連携を図ることで、例えば紹介率は、平成三十年度は七五・二%であり、前年度比三・二ポイントの増加、同様に、返送、逆紹介率は八三・五%と前年度比三・二ポイントの増加であり、着実に実績を上げてございます。
現在、病院完結型から地域完結型医療へと地域医療の提供のあり方が変革していく状況におきまして、公社病院には、地域医療構想の実現に貢献する役割も期待されてございます。
また、公社病院は、医療機関や住民から期待される救急医療や災害医療、小児医療、難病医療などの行政的医療を提供してございます。
その中でも、都立病院から移管した公社病院におきましては、例えば荏原病院ではエボラ出血熱などの対応を行う第一種感染症指定医療機関に指定されているほか、豊島病院は第二種感染症指定医療機関への指定に加え、東京都精神科夜間休日救急医療事業を担う等、都立病院との連携のもと、感染症医療、精神科医療等の行政的医療を提供してございます。
○小宮委員 地域医療を支える先導的役割を果たすとともに、専門性が求められる、まさに今、感染症などの対応で大変尽力していただいているわけですけれども、そうした行政的医療も担ってくださっているという状況は理解いたしました。
公社病院の経営についてはどのような状況か伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社六病院全体で見ますと、病床利用率は平成三十年度七一・八%となっており、前年度と比べて一・七ポイント低下してございます。これは、新入院患者数が増加した一方、退院支援を推進した結果、平均在院日数が十・一日と、前年度と比べて〇・三日短縮したことが主な要因であると考えてございます。
こうしたこともございまして、医業収支比率は、平成三十年度は八九・四%となってございます。前年度と比べまして〇・八ポイント低下したものの、取り巻く医療環境が厳しい中でも、平成二十六年度からの過去五年平均の八九・五%と同程度となってございます。
令和二年度は、診療報酬の改定等、経営環境は厳しさを増す可能性もございますが、今後とも患者や地域のニーズに的確に対応するため、収入の確保と支出削減の両面から取り組み、良好な経営基盤の確保に努めてまいります。
○小宮委員 病院経営を取り巻く環境が厳しい中で、経営努力も行っているということがわかります。私も評議員として公社の評議員会に参加をしておりますけれども、地域医療の中核病院としてしっかりと努力をされている、成果も出ているというふうに思っています。
しかし、今回の都立病院の独法化に合わせて、この公社も対象に含まれることとなったわけですが、どのような視点と認識を踏まえて、都立病院と一体的に独法化することにしたのか確認します。
○船尾計画調整担当部長 超高齢社会の本格化等に伴いまして、地域包括ケアシステムの構築に向けて、病院完結型医療から地域完結型医療への転換が図られている中、公社病院につきましても、役割分担と機能分化が進む各医療機関の役割が十分に発揮できるよう、それぞれが有する病床機能をつなぐ取り組み等を推進いたしまして、地域医療を支えていくことが求められております。
このため、医療連携のさらなる推進を初め、地域に求められる医療を支えていくことなどがこれまで以上に必要でございまして、医療人材の安定的な確保などによりまして、公社病院の機能を一層高めるとともに、持続可能な運営基盤を構築していかなければなりません。
こうしたことを行っていく上でも、看護師の定着や事務職員の育成、医薬品や診療材料等の費用削減などの課題解決に一層取り組んでいかなければなりません。
また、医療サービス向上のためには、地域の医療ニーズに迅速、柔軟に対応することが重要でございますが、現在、公社は都の政策連携団体として、人員要求や予算要求、施設改修等の調整において、都とほぼ同様の手続が求められてございます。
このため、通常の民間医療機関と比較をいたしますと、医療環境の変化などに対しまして、柔軟性、迅速性に劣ることから、改善を図っていかなければならないというふうに考えてございます。
今後は、都立病院と一体的に地方独立行政法人化をすることで、こうした課題の解決も図りまして、十四病院のスケールメリットを生かしながら、運営体制を強化してまいります。
○小宮委員 今後必要な医療人材の安定的な確保であるとか、それから地域の医療ニーズに迅速、柔軟に対応するには、公社病院も都立病院と同じような課題を抱えているというふうに理解します。
都立病院と公社病院を一体的に地方独立行政法人化することで、スケールメリットだけでなく、その他具体的にどのような効果があるか確認します。
○船尾計画調整担当部長 都立、公社病院が一体的に独法化することで、独法化のメリットを生かして機動的に人材を確保するとともに、スケールメリットを最大限発揮することで、地域ニーズに応じまして、地域に不足する医療を提供するなど、都民に対する医療サービスを一層充実してまいります。
具体的には、機動的に確保した医療人材や設備、情報といった医療資源を統一的な方針のもとに、柔軟、迅速に活用できることに加えまして、十四病院のスケールメリットを最大限生かすことで地域医療の充実に貢献をしてまいります。
例えば、多摩総合医療センター、多摩南部地域病院、多摩北部医療センターの医師等の人材を柔軟に共有し合うことで、地域で必要とされる医療への対応強化など、連携を超えた一体的な取り組みによりまして、多摩地域全体における医療の一層の充実に貢献をしてまいります。
また、都立、公社病院間の人材交流を活性化させまして、高度専門的な医療から地域医療まで、多様な経験を有する人材を確保、育成するとともに、育成した人材を地域医療機関との人材交流を通じて共有することで、地域医療の一層の水準向上を図ってまいります。
さらに、都立、公社病院間で電子カルテの情報など医療情報を統合いたしまして、その情報を地域医療機関等とも共有することで、地域医療への支援を一層充実してまいります。
加えまして、本部機能の統合による事務等の集約化や、十四病院のスケールメリットを生かした医薬品等の共同購入をさらに促進をすることなどによりまして、これまで以上に効率的な病院運営を図ってまいります。
○小宮委員 病院間で人材を柔軟に共有し合えることであるとか、電子カルテなど医療情報を統合して地域医療にも役立てるとか、事務の効率化であるとか、さまざまなメリットがあるし、限られた貴重な人材をより効果的に地域の中で活用できるんだということがわかります。
一体化によってさまざまな効果があるということはわかりますが、一方で、今回の独法化については、不安や懸念の声もあるというふうに思います。
この地方独立行政法人化に当たってデメリットはないのか、デメリットをどう考えるのか伺います。
○船尾計画調整担当部長 各経営形態の比較検証や、他の自治体の先行事例等の調査等を踏まえた検証を行った結果、地方独立行政法人については、制度上のデメリットはないものと認識をしてございます。
なお、都立病院と公社病院が一体的に地方独立行政法人へ移行するに当たりましては、新たな法人の人事給与、財務などの制度構築、運用に伴う費用負担が生じるほか、都立病院、公社病院の職員の一体感の醸成などに取り組んでいく必要があるものと考えております。
○小宮委員 制度上のデメリットはない。ただし、制度構築や運用に当たって初期の費用がかかったりとか、運営を担う、やはり大事な職員の方々の理解が必要であるということは、私もそのとおりだと思っております。
公社が設立をされた昭和六十三年当時には、また、この公社の移管の方針が示された平成十三年当時には、今議論になっている地方独立行政法人という制度はなかったわけですけれども、その後の医療環境の変化など、やはり時代時代に応じて最適な方法を選択していくということは重要なことであると思っております。
そこで、来年度予算に、都立、公社病院それぞれ独法化移行の準備予算が計上されておりますので、その内容について伺います。
○船尾計画調整担当部長 病院会計予算案では、地方独立行政法人への移行といたしまして四億二千三百万円を計上しておりまして、その内訳は、都立病院の地方独立行政法人設立準備支援業務委託、測量委託などとなってございます。
また、一般会計予算案では、都立病院との一体的な運営といたしまして二億一千五百万円を計上しており、その内訳は、公社病院の地方独立行政法人設立準備支援委託などとなってございます。
設立準備支援委託につきましては、法人を設立していく上で必要となる各種制度構築等の準備業務や、諸手続を行っていくための専門的助言や、さまざまな制度設計に向けた支援等を受けるものでございます。
○小宮委員 それで、病院経営本部としては、今後どのように準備を進めていくのか伺います。
○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人への移行に当たりましては、地方独立行政法人法に基づきまして、目的や業務の範囲に関する事項、資産に関する事項など、法人の根本原則となります定款につきまして、都は議会の議決を経た後に総務大臣の認可を受けることとされております。
また、法人が達成すべき住民サービスや業務改善等に関する中期目標につきまして、議会の議決を経て、知事が定めて、法人に指示をいたしまして、法人は中期目標を達成するための中期計画を策定いたしまして、議会の議決を経て、知事の認可を受けるなどの手続がございます。
新たな病院運営改革ビジョンの素案では、独法化後に充実する医療の方向性をお示ししてございますが、各病院で充実させる医療につきましては、この中期目標、中期計画の策定の中で具体的に検討していくことになります。
また、独法化のメリットを生かした医療ニーズの変化に機動的に対応できる病院運営を実現するための法人の組織運営体制や、独自の財務制度、柔軟な人材確保と働きやすい環境整備に資する人事制度などの構築に向けまして、検討を行っていく必要もございます。
地方独立行政法人化に向けまして、来年度計上しております支援業務委託も活用しながら、こうした準備を着実に進めてまいります。
○小宮委員 経営形態の見直し、独法設立のその目途というのは、まだもちろん未定であると思いますけれども、病院経営本部としては、定款をつくるということとか、中期目標をつくるということが、同時進行で皆さん準備をされていかなきゃならない。そのために、来年度予算に計上されている四億何がしだとか二億何がしを使って、公認会計士であるとか社労士から専門的な助言を受けながら、そういった準備を進めていくということを理解いたしました。
平成十三年の都立病院改革マスタープランの当時のように、民間病院も含めた地域あるいは東京都全体の役割の中で、一つ一つの病院が果たすべき医療機能ということをしっかり検討することが必要であると思います。
その上で必要とされる医療を確実に提供していくことも重要なわけですけれども、経営形態を今回見直すということだけが病院改革ではないと思いますので、将来にわたって都民に必要な医療が、民間も含めて地域の中で適切に提供されるように、都立、公社病院の改革というものを進めていっていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。
○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。私からは、令和二年度当初予算に関連して、債務負担行為、予算概要の二六ページにある債務負担行為のPFI事業について質問いたします。
PFI事業による病院の運営開始後、駒込病院では十年、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターでは九年、松沢病院では七年が経過しました。
昨年十二月に東京都病院経営本部は、都立病院PFI事業の検証報告書を議会に報告いたしました。今回は、PFI事業による運営の中で、現場ではどのような実態があるのか、質問で確認していきたいと思います。
我が党は、医療の質や患者サービスの状況を把握するために、二〇一八年八月以降のPFI事業による病院の安全衛生委員会や定期モニタリング委員会など、一年分の資料を開示請求いたしまして調査をしました。定期モニタリング委員会での資料で気になったのは、食事の提供についてインシデントが続いているということです。
PFI事業では、食事の準備から提供及び在庫管理までどのような職員がかかわっているのでしょうか。また、直営ではどうなっているのか、あわせて伺います。
○西川サービス推進部長 入院患者に対する食事の提供に当たりましては、都の職員である病院の管理栄養士が献立の作成や食数の指示を行います。
次いで、受託事業者においては、事業者の管理栄養士や調理師が指示内容を確認の上、調理を行い、器への盛りつけ、配膳を行った後、病院の管理栄養士の点検を経て、病棟へ食事の運搬を行います。
また、給食材料につきましては、病院の管理栄養士が納品された食材の検収を行った後、受託事業者において在庫管理を行います。
PFI手法を導入している都立病院においても、それ以外の都立病院においても、この手順は同様でございます。
○藤田委員 PFI病院でも、それ以外の病院でも同様という答弁でしたが、PFI病院では、PFIを実施するための業者、これをSPCと呼んでいますが、そのSPCがさらに協力企業を持っていて、その協力企業が管理栄養士の指示の内容をSPCを経由して確認して盛りつけ、配膳などを行っているのだと思います。
小児総合医療センターの二〇一八年八月の定期モニタリング委員会の議事録にはこう書いてあります。食事の提供について、インシデントは相変わらず続いている状況。八月は髪の毛の混入、禁止食材の誤配膳などがあった。九月は期限切れのジョアの提供があり、さらに一昨年も、賞味期限を一カ月超過したオレンジジュースの誤提供という事故があったにもかかわらず、同様の事故が発生していると栄養科長が報告しています。
小児総合医療センターにおいて、二〇一八年度の食事の提供に関するインシデントは幾つありましたか。また、SPCと協力企業ではどのように再発防止を行っているのか伺います。
○西川サービス推進部長 ご答弁をさせていただく前に、今、SPCを全て経由して病院側の栄養士が協力企業に指示をしているというお話でございましたけれども、SPCの立ち会いが基本ではございますが、必要に応じて病院側の栄養士が協力企業に指示を出すこともございます。ご答弁に先立ちまして申し添えさせていただきます。
それでは、ご答弁させていただきます。
小児総合医療センターにおきまして、平成三十年度にSPCから報告された食事の提供に関するインシデントは七十七件でございます。
その再発防止策として、SPCと協力企業は直ちに発生の原因を分析し、業務手順を見直すなど再発防止に取り組んでおります。
さらに、こうしたインシデントの発生状況やSPC協力企業がみずから行う再発防止策は、毎月実施するモニタリング検討委員会を通じて、その都度、改善状況が病院幹部に報告され、都が確認を行っております。
○藤田委員 食事の提供にまつわるインシデントは、命にかかわる重大な事故につながることもあります。
例えば、患者さんを間違えてほかの患者さんに配膳や配乳をすると、アレルギーのある場合はアナフィラキシーショックを起こすことがあります。小児では自分で注意できないことが多いので、とりわけ重大です。飲み込みがうまくできない場合は、おかゆとご飯の違いで誤嚥をすることもあります。
食事が禁止されている場合に、おやつやゼリーを誤配食というのもありましたけれども、間違えて提供してしまうことによって、本人がわからず食べて病状が急変したり、重大な事故につながったりします。
インシデントレポートを再発防止に役立てることが目的です。しかし、この年は年度末まで同様のインシデントを繰り返していました。
食事の提供のインシデントについては、その後改善されたのですか。
○西川サービス推進部長 報告されたインシデントにつきましては、報告後、栄養科とSPC、協力企業が連携いたしまして、事象の発生原因を明らかにした上で再発防止策を立案し、その都度改善に取り組んでおります。
再発した場合には、再度検討を行い、対策を徹底するなど、改善に努めております。
○藤田委員 改善がされたかどうかわからなかったんですけれども、昨年の六月の分までは開示請求で資料をいただいています。それを見ると、六月までは毎月幾つものインシデントが報告されている状況が続いています。
こうした食事提供について、幾つものインシデントが報告される状況は改善されたのですか、もう一度伺います。
○西川サービス推進部長 病院、すなわち栄養科、SPC、協力企業が改善に取り組んでいます。
インシデントの件数について、今お話がございましたけれども、インシデントにつきましては、そのインシデントが起きたとき、極力、数字を報告してもらう、そのことが重要でございまして、インシデントの数がふえたということは、それだけ注意力を持って報告しているというふうにもとれます。
したがいまして、インシデントにつきましては、数がふえたから悪い、減ったからよいと一概にいえない面もございまして、インシデントに対してその都度きちんと対応していくこと、そのことが重要であるというふうに考えております。
○藤田委員 インシデントレポートは、再発防止につなげることが重要なんです。数が多いことが悪いというわけではなくて、同じことが繰り返されているのかどうなのか。減っていれば、それは再発防止につながっているということだと思います。なので、数については聞いておりません。
改善されたとは答弁されませんでした。こうしたインシデントの再発を防止していくためには、ハード面の対策だけではなくて、業務量にふさわしい体制があるのか、人手不足にはなっていないかという観点も重要です。
PFIの場合、食事の提供にまつわるインシデントの責任の所在はどこになるのですか。
○西川サービス推進部長 PFI手法を導入している都立病院であるか、従来の手法により運営している都立病院であるかにかかわらず、都立病院において患者に提供するサービスについては、都が患者に対して責任を負うものでございます。
○藤田委員 当然、東京都が責任を持つわけですが、では、どのようにして改善が図られるのかということです。
この点について、二〇一八年九月の定期モニタリング委員会で、栄養科長は、問題は人の配置だと思っている。二十七年十月は、協力企業の総職員のうち、正規職員が五〇%だったのに対し、平成三十年十月は三〇%まで落ちている。パートは勤務時間が短く、資格もなく、すぐやめる。人数が少なく、仕事ができない状況になっているにもかかわらず、人はすぐ雇えないというのであれば、要求水準を満たさない、事故が起きても仕方がないのではと思う。インシデントだけでなく、衛生管理もできていない状態だった。SPCが定期的にモニタリングをして、前の状態に戻してほしいといっています。
栄養科長はさらに、ほかの病院では、都としての委託なので、栄養科が直接委託業者を指導し、申し入れをして対応してもらえることがあるが、当院はPFIなので、SPCからレベルダウンではないかという点について、協力企業を厳しく指導してもらいたいといっています。
小児総合医療センターなどのPFI病院では、食事の提供など、患者に対する業務を行っている協力企業に対して直接指導をすることができないから、SPCから厳しく指導をしてほしいということだと思います。
協力企業の人事に改善を求めるなど、東京都からの要望を伝えることはできるのですか。
○西川サービス推進部長 PFI手法を導入している都立病院であるか、従来の手法により運営している都立病院であるかにかかわらず、都は、委託業務におきまして、受託者側の人事に対して要望を行う立場にはございませんが、必要な場合は、受託者に対して、契約に定める業務を確実に遂行するよう求めております。
○藤田委員 都の職員自身が調理をする、文字どおりの直営であれば、職員の配置について直接決めることができます。通常の委託であれば、限界はあるものの業者を直接指導できるし、職員配置を仕様書で定めることができると思います。
PFIの場合、SPCが統括マネジメントを行うので大丈夫だと東京都は説明するわけですが、なかなか改善されていない状況を見ると、うまく機能しているか疑問です。
人手不足というのは、食事提供だけの問題ではありません。二〇一九年四月にセルフモニタリングの結果を多摩医療PFI株式会社が多摩総合医療センター院長に報告をしていますが、協力企業各社の労働力確保状況を報告したのはなぜですか。
○西川サービス推進部長 これは、毎月開催される定期モニタリング委員会におきまして、SPCがみずから実施したセルフモニタリングの結果を報告したものでございます。
この報告におきましては、SPCが協力企業にヒアリングをしたところ、労働力確保が厳しい状況が確認されましたことから、都に提供するサービスレベルを落とさないよう、業務の合理化、効率化を検討していく旨、病院に伝えたと聞いております。
なお、この定期モニタリング委員会は、SPCが受託している業務全般に及ぶものでございまして、その都度都度、さまざまなテーマがSPCから報告される会議体でございます。
○藤田委員 この報告も開示請求でいただいています。協力企業各社に、業務に必要な人員は確保されているかヒアリングした結果、二十九業務のうち十三業務で人員不足との回答を得たと。特に深刻なのは、食事の提供業務は三百六十五日早朝から始まる業務であり、七十名必要なところ、恒常的に十名程度人員不足で有休もとれていない。
ほかにも幾つかの業務において切実な実態が書かれた上で、残るPFI事業期間を乗り切るため、業務の合理化、効率化に積極的に取り組んでいかざるを得ない状況ですと書いてあります。人をふやすことは難しいので、業務改善で乗り切るということだと思いますが、それで残る業務期間、五年を乗り切れるかは大変疑問です。
協力企業が行っている業務は立派な診療補助業務であり、医療の質やサービスに直結します。食事は命にかかわる問題であり、一旦病状が変化するような事故や命にかかわる事故が起きれば取り返しがつきません。都立病院の医療政策を確実に実行する上で、こうした業務にかかわる職員の採用と育成、定着への取り組みは欠かせません。それを進める上で、PFI事業の仕組みでは課題があるのではないかということを改めて指摘しておきます。
PFI事業に対して、来年度予算では、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターと駒込病院、松沢病院の四病院で、債務負担行為の増額が計上されています。三つの事業では、それぞれ四年から六年の期間で、総額一千七十二億円という、大変大きな額となっています。使われるのは都民の税金ですから、納得できる説明が必要です。
三つのPFI事業において、二〇二〇年度予算で追加の債務負担行為の設定が必要になった理由を説明してください。
○西川サービス推進部長 都立病院のPFI事業は、平成十八年度に多摩総合医療センター及び小児総合医療センター、平成十九年度に駒込病院、平成二十年度に松沢病院が事業を開始いたしました。
その後、当時は想定していなかった医療環境の変化が生じておりまして、具体的には高額な医薬品や検査などが実用化されるとともに、高額な診療材料を用いる手術の件数が増加をしております。
加えまして、消費税率が平成二十六年度に五%から八%へ、さらに本年度、八%から一〇%へと引き上げられています。
こうした環境の変化を踏まえ、この数年間、事業の検証を行うとともに、今後の支出額について精査を重ね、このたび債務負担行為の増額を予算案として提案させていただいております。
○藤田委員 PFI事業を導入したときは、未来という想定できない変化についても加味した上で、PFIの方がよりお得だよと計算できたから導入したわけですけれども、いざ運営が始まると想定していなかった変化があったから、思っていた以上にお金がかかって、この実績を踏まえて金額を精査して増額提案したよという説明でした。
しかし、このふえ方が、直営で運営していた場合と比べて抑えられたのかどうかが問われます。
昨年の都立病院PFI事業の検証報告について質疑した際、PFIでどれだけ安くできたかを示すVFMの実績の積算は、試みたものの結果的には難しいという結論に至ったと答弁しました。
しかし、VFMの検証は日本経済研究所に委託して、二〇一五年度から四つのPFI病院について行っています。その報告書を開示請求したところ、ほとんど黒塗りでしたが、残った部分を見ると、計算自体は行ったように見えます。
二〇一七年度の日本経済研究所への委託において、都立病院で行っているPFIの三事業について、事業開始から二〇一六年度までの間のPFI事業のコスト、PFILCCと直営で実施したと想定した場合のコスト、PSCを算出したというのは事実ですか。
○西川サービス推進部長 都立病院の三つのPFI事業につきまして、事業開始から平成二十八年度、二〇一六年度ですけれども、それまでのPFILCC、PFIライフサイクルコストと、直営で実施したと想定した場合のコスト、PSCにつきまして、多くの仮定を重ねながら算出をいたしました。
こうしたことから、検証手法を模索する中で算出した数値は、十分な客観性及び正確性を備えているとはいいがたいので、公表にはなじまないというふうに考えております。
○藤田委員 つまり、計算自体は行ったということです。
東京都がPFI事業開始後のVFMを計算するのは困難だという認識になったのはいつからですか。
○西川サービス推進部長 VFM、バリュー・フォー・マネーの算定、公表につきましては、国のガイドラインにおいても、特定事業の選定--事業を始めるときですけれども、それと、その事業者が選定されたときに実施する旨が示されておりますが、事業開始後のバリュー・フォー・マネーについては、その考え方や算定の方法は示されておりません。
そういった状況のもとでも、東京都は、都立病院PFI事業の検証を行うため、平成二十七年度から二十九年度まで、事業開始後のバリュー・フォー・マネーの算出を検討いたしました。
しかし、そのためには、SPCが独自の方法で行っている個々の業務について、都の契約制度に従って実施した場合を想定しなければならず、多くの仮定を重ねざるを得ないことが明らかになり、事業開始後のバリュー・フォー・マネーの算定は困難との判断に至りました。
○藤田委員 二〇一七年度以前にも、二〇一五年には駒込病院で、二〇一六年度にも多摩総合医療センター、小児総合医療センターでの事業についても同様に、PFILCCとPSCの算出を行っております。
そして、その後にも、二〇一七年には三事業の算出を行っていたわけですが、今のご答弁では、困難と判断したのがいつか、この三年間検証をしているんですけども、困難と判断したのはいつかということがよくわかりませんでした。
三年間の検討の中で、いつ困難と判断したのかお答えください。
○西川サービス推進部長 平成二十七年度から二十九年度まで、国のガイドラインでも事業開始後のバリュー・フォー・マネーの算定の方法は示されておらず、そういった中で試行錯誤を繰り返してその算定を試みました。
しかしながら、三年間算定を検討しましたが、平成二十九年度の検討が終わった時点で非常に困難であるというふうな認識にたどり着きました。
○藤田委員 三年間毎年検証を重ねて、最終的に困難という判断をしたと。しかし、内容を見てみますと、前年度までやっていたことをそのままちゃんと継承しているなという、そういった状況もうかがえます。
二〇一五年度と二〇一六年度の日本経済研究所への委託の業務内容には、今の変動要素を反映させることにより、その時点でのVFMが把握できるシステムの構築とあります。つまり、このシステムの構築には失敗したのですか。
○西川サービス推進部長 PFI事業開始後のバリュー・フォー・マネーの算定については、繰り返しになりますが、国のガイドラインにおいても示されておりませんが、そのような状況のもとで、都は平成二十七年度から検証方法の検討に着手をいたしました。
平成二十七年度から二十九年度は、PFIライフサイクルコスト及びPSCの算出を行い、その結果を活用して検討したものでございます。
こうした検討を重ねました結果、平成三十年度に、検証手法としては事業開始のときから検証時点までの間につきまして、事業費の計画額、それと実際の執行額を比較して、その乖離を分析することが妥当であるとの結論を得ました。
○藤田委員 二〇一七年度の四つのPFI病院の検証を行った報告書では、前年度までに行ってきた二つのPFI事業については検証を行っていることから、既に出ている検証結果について、その後の実績と変動要素を反映させるという方法をとっていると書かれています。
この文章を見ると、いかにもシステム構築に成功したかのように読めますが、今の答弁ではよくわかりませんでした。
話をまとめると、二〇一五年度に駒込病院の運営開始後のVFMを計算し、その時点ではそれ以上計算しないという判断にはならず、翌年度には小児総合、多摩総合について計算し、さらに二〇一七年度には三事業全てについて計算し、順調に進んでいたかのように見えながら、結局困難という結果に至ったということで不思議に感じます。
二〇一七年度の委託で行った算出の結果は、都立病院にどのように生かされているのですか。
○西川サービス推進部長 今ご指摘の平成二十八年度までのPFIライフサイクルコストと、直営で実施したと仮定した場合のコスト、PSCの算出は、都立病院PFI事業の検証作業の一部でございまして、この作業を通じて、事業開始後のバリュー・フォー・マネーの算出は困難というふうに判断しました。
そして、こうしたプロセスを踏まえまして、事業費の計画額と実際の執行額を比較する手法を検討し、それが本年度の検証結果へと結びついております。
○藤田委員 つまり、計算の結果自体は生かされていないということです。PFI事業開始前後の比較は、PFI事業同士で行ったということです。
昨年の報告書では、支払いの内容は妥当であり、医療費の支出についても、診療報酬で収益の増加に寄与したから、事業はおおむね目的を達成したとされています。
変化する医療環境や消費税の増税などの影響は、直営でもPFIでも同様に受けるものですが、PFI事業だったからうまく対応できたといえるかどうかは問われるわけです。本来なら、直営で実施した場合との比較検証ができなければ、目標達成とも未達とも評価ができないのではないでしょうか。
都としては、直営の場合とPFIの場合の費用の差であるVFM、実績を算出したが、多くの仮定を重ねるものなので、政策決定の根拠とはできず、お蔵入りになったということのようですが、もし本当にそうだとしても、算出結果は公表されるべきだと思います。計算結果は、都民の税金で行われた都民の財産であり、公表することで、都民が本当に使えない計算結果なのか、何か学びとれるものはないかなど判断できるからです。
そもそも、事業が始まる前の方がわからないことが多いのに、開始前にはVFMが計算できて、始まってからだと多くの仮定を重ねるから困難というのも理解に苦しみます。
いずれにせよ、PFI事業の最も重要な概念の一つとされるVFMについて、あるといって事業を始めておきながら、事業が始まってしまってからでは分析ができないということでは、PFI事業はおおむね目的を達成したといわれても都民の納得は得られません。
にもかかわらず、広尾病院と神経病院の整備に対して、PFIの検討が行われていることについても理解に苦しみます。しかも、突如、都立病院の地方独立行政法人化まで準備を進めるといっているのですが、来年度は独法化の準備と、広尾病院へのPFI導入の検討と神経病院へのPFIの導入の検討を同時に行うつもりなのですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新たな病院運営改革ビジョン(素案)でお示ししていますとおり、独法化に向けました準備を進めていく中におきましても、広尾病院及び神経病院の改築等の整備は、既に策定した各基本計画に基づき、着実に実施してまいります。
これらの施設整備に当たりましては、従来方式、またはPFI方式を比較検討した上で最適な手法を決定してまいりたいというふうに考えてございます。
PFI方式の導入の可否につきましては、さまざまな領域の専門性が求められるため、専門知識を有するアドバイザーに業務委託を行いながら詳細に検討をしてまいります。
○堤病院経営本部長 先ほどの評価検討の件でございますけれども、お話のPFIの事後のVFMにつきましては、先ほど部長もご答弁申し上げましたとおり、法やガイドラインでは、事後に算出するということは求められておりません。
その中で、私どもといたしましては、これまでの間、最も妥当な分析が何かということを模索しておりまして、先ほどお話のあった委託調査でも検討してきたわけでございます。
その結果、事後の算出というものは困難であるという結果にたどり着きまして、四定のこの場では、先日ご報告申し上げた報告書の中身でご報告をさせていただき、PFIについては手法として評価できるということを申し上げたわけでございます。
ですので、現時点で私どもとしましては、第四回定例会でご報告を申し上げた報告書、それが最も妥当であり、それを皆様方にご議論をいただいて、今回の予算案をぜひご可決いただきたいというふうに考えてございます。
○藤田委員 本部長みずから、議論してほしいとおっしゃいましたけれども、議論するには必要なデータがないんですね。VFMといわれましても、PFIをやる前のPFIの想定と、そして終わった後のPFI同士でしか計算をしておりませんから、検証しておりませんから、そうなると、実際は何と比較して、これはよかったのか、安かったのか、効果があったのかは評価はできません。
せめて、この委託事業で行った、日本経済研究所がやったこの算出状況--東京都は、この内容については、信憑性について疑うものがあるのか、なかなか公表しておりませんけれども、ここの中身が出ることで、なかなか評価はできないんだなと都民もわかると思いますし、評価できるものが、材料がないからどうしようもないというところです。
最後にご質問したのは、独法化の準備とPFIの導入の検討をそれぞれ同時に行うのですかということでしたけれども、ご答弁では、つまり、同時に行うということでした。
病院職員の身分が公務員ではなくなる都立病院の独法化は、これまでのほかの自治体の地方独法を見ても、職員の大幅な退職となりやすく、人事の不安定さを招きます。そこに加えてPFI事業が導入されれば、現場は二重の変化となり、さらに大きな混乱を招くことになりかねません。
皆さんが二〇〇八年に出した第二次都立病院改革実行プログラムでも、PFIで大きな職場環境の変化があることを独法化の課題としていました。どちらか片方なら進めてよいというわけではありませんが、かつてはみずから挙げていた課題について、考慮もしないで進めてよいのかということが問われると思います。
安心・安全の医療の提供と職員がやりがいを持って働き続けられる病院であり続けるために、都立病院の独立行政法人化は撤回し、新たなPFI事業の導入の検討はやめ、既に行っている病院でも直営に戻していくことを求めて、質問を終わります。
○斉藤(や)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十四分休憩
午後三時三十分開議
○斉藤(や)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤(れ)委員 都立病院、公社病院の一体的な独立行政法人移行について、既にさまざまな、各会派の先生方から質疑が行われております。
私たち東京みらいでも、昨年第四回定例会で知事の施政方針が示される以前から、都内、都外の独立行政法人化された医療機関の視察を繰り返し、東京都としても検討を着実に進めていただけますよう質疑を重ねてまいりました。
兼業禁止などの現在の地方公務員法が、病院における柔軟な働き方を実現することにどう影響しているのかなどの人材確保については、昨年の事務事業質疑で、また、自治体の独立行政法人へのチェックやかかわり方、または多様な働き方の実現については、昨年三月の委員会で質疑をさせていただきました。
既に重複する観点については質疑を控え、特に独法化によって医療サービスの質の根幹にかかわる人材確保にどのような影響があるかという点に着目して質疑を行いたいと思います。
昨年三月の委員会でも触れさせていただいた麻酔科医について伺います。
さまざまな医療人材の中でも、手術の実施件数がふえ、麻酔を受ける患者は増加している中で、麻酔科医の不足は近年社会現象ともいわれています。
麻酔の診療報酬点数は、一九九六年から二〇一六年の二十年間で、実に約十億点から--これは総点数ですね、十億点から約三十億点にも迫る勢いであるともされておりまして、一方で、麻酔科医は増加傾向にはあるものの、ほかの診療科と比べるとその人数が最低であることがわかります。
国家試験を合格した医師は、医療法上、自分が進む診療科は自由に標榜するということが認められているんですけれども、麻酔科医については、医療法施行規則において標榜するための基準が設けられています。つまり、麻酔科医は、ほかの外科や内科と違い、規定の資格取得や研修を経なければ標榜医になることがまずできないとされています。
また、その後に標榜医が審査を経て認定される認定医、認定医取得後に臨床研究などの実績を持つ専門医、また、専門医で指導実績もある方のみが審査を受けられる指導医と段階が四段階に分かれております。
麻酔科医の標榜医は、現在、全国で一万四千人ほどであるといわれていますけれども、そのうち常に麻酔に従事をする医師は一部であるといわれておりまして、全国の総合病院のみならず、クリニック等を含めた全ての医療機関において、麻酔科医を確保するための競争が熾烈をきわめているという前提に加えて、麻酔科医の属性として三十代の医師が多いということと、女性医師の占有率がほかの分野よりも高いという現実がございます。
麻酔科医は、手術中の麻酔医療が中心となるため、周術期に患者に接することが基本で、原則として患者の主治医にはならないことから、業務のオンオフが切り分けやすい、つまり、生活面で家庭との両立がしやすいとされていることも女性医師が多い理由といわれています。
ですが、昨年も指摘をさせていただいたように、子育て中の女性医師には働く時間が限られている中、週に三日同じ場所で働かなければ専門医の資格が継続できない、かつ、都立病院が兼業を禁止としている中で、ほかの医療機関からお声がかかり、そちらに移ることを決めたという例も少なくありませんでした。
全身麻酔のみならず、局所麻酔、また、緩和ケアにおける活躍も求められる大変貴重な人材であることから、行政的医療を担う都立病院にこそ、麻酔科医の確保は積極的かつ戦略的に進めていただきたいと考えます。
独法化後、行政的医療の提供の一環として、重症度の高い救急患者等の受け入れを強化するために必要な麻酔科医等の機動的な確保をいかに図っていくか伺います。
○船尾計画調整担当部長 麻酔科医など、全国的にも限られた人材を確保するためには、採用困難性や専門性などを考慮した勤務条件などの整備が必要でございます。
地方独立行政法人化後は、給与や勤務時間などにつきまして、法人の規則等で、病院の実情に応じて独自に設定することが可能となります。
こうしたメリットを活用いたしまして、専門性を反映した人事給与制度や、仕事と育児、仕事と研究等との両立など、さまざまなニーズに対応できる勤務制度の構築によりまして、働きやすく、働きがいのある環境を整備してまいります。
また、法人の裁量によりまして柔軟な人材配置も可能になることから、医師事務作業補助者の配置等によるタスクシフティングをさらに推進をいたしまして、医師等の医療スタッフの負担軽減を図ってまいります。
こうした仕組みを検討することで、機動的に麻酔科医等を確保いたしまして、救急患者等の受け入れ体制の強化を図るなど、医療ニーズに即応した医療提供体制を整備してまいります。
○斉藤(れ)委員 お答えいただいた仕事と育児、仕事と研究の両立は大変重要であると考えます。
麻酔科医の確保については、学生への働きかけや、保険診療上の働きかけに加え、女性医師の働きやすい環境整備や、休業状態から復帰しやすい環境整備が必要であると、日本麻酔科学会も提言を行っています。
都立、公社病院の独法化が麻酔科医人材の確保に資する取り組みとなることを期待しております。
次に、看護師の人材確保について伺います。
知事の施政方針を受けて、改めて私の方でも、独自に都立病院の看護師さんにお話を伺ってまいりました。
離職をした看護師が急性期の病院での復職を希望しても、ブランクにより不安があるため、療養や介護に近い医療施設等でしか復職ができない、急性期の病院は療養型病院よりも募集が少ないというお話を伺ってまいりました。
人材が不足する中で、希望する職場への復職を支援していく取り組みが求められております。都立病院としてどのように取り組んでいくか伺います。
○児玉経営企画部長 都立病院では、東京看護アカデミーにおいて、新人からベテランまで、一人一人の習熟度に応じてキャリア形成を組織的に支援するなど、人材育成に取り組んでおります。
このことにより、都立病院は急性期病院で勤務するために必要となる知識や技術を指導するノウハウを要しております。
将来的に医療の担い手が不足することが見込まれる中で、都内の看護人材の確保、育成に貢献できるよう、新たな病院運営改革ビジョン(素案)では、都内での復職を希望する看護師に研修を実施するなど、看護師の復職支援を行うこととしているところでございます。
○斉藤(れ)委員 いわゆる看護師の方々にとっての求職ニーズと病院にとっての求人ニーズのミスマッチの問題には、看護師の方の仕事が多岐にわたること、従事する医療機関によっては、その負担がかなり大きくなっていることにもかかわりがあるというように伺っています。
看護師は、診療の補助といった看護業務のほかにも、食事や入浴、移動などの療養生活上の世話、病室内の環境整備など多岐にわたる業務を担っているため、多忙であり、それが離職の一因になっているというお話も伺いました。
離職を防止していくためには、看護師が看護職としての本来の仕事に専念できるよう、看護師免許を必要としない業務は看護補助者にタスクシフティングをしていくことが重要と考えます。
そこで、都立病院における看護補助者の導入状況について伺います。
○児玉経営企画部長 都立病院の医療現場では、チーム医療の実践が広がり、看護職員を初めとした医療職が専門性を必要とする業務に専念するためのタスクシフティングを推進しております。
具体的には、平成二十七年度に多摩総合医療センターに看護補助者を配置し、平成二十九年度に大塚病院、平成三十年度に墨東病院と、順次拡大を図っているところでございます。
また、来年度は、墨東病院、多摩総合医療センターにおいて看護補助者の拡充を図る予定でございます。
○斉藤(れ)委員 看護補助者は、ちなみに、独立行政法人化されている健康長寿医療センターに視察に伺った際に伺ったんですけれども、独法化後に医療事務などの医療専門職が大きく増加をしておりまして、医師や看護師がより専門性の高い診療や治療に集中することができるようになっているということも伺っております。都立、公社病院でも、今後積極的に導入を拡大していっていただきたいと考えます。
次に、地域医療について、まずは小児の在宅医療の受け入れ体制構築に向けた支援について伺います。
医療的ケアを受けながら生活をする子供を育てる家族にとって、入院中から退院後の生活についての十分なサポートを受けられないなどの悩みがあることがございます。
地域での生活に必要な支援については、医療現場で対応してきた人材こそがその取り組みを発信し、関係機関や近隣自治体等と連携し、地域につなぐことで必要な体制を構築していく必要があると考えます。
そこで、医療的ケア児などの在宅療養生活の支援について、小児総合医療センターのこれまでの取り組みと今後の方向性、展開について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターでは、患者が身近な地域で療養を継続できるよう、関係機関との連携強化によります在宅移行患者の受け入れ体制整備等を行うことに加えまして、医療、福祉関係職員に対する技術指導などの人材育成に取り組むことで、医療的ケア児の地域生活の向上に向けた取り組みを進めてございます。
具体的には、小児総合医療センターの担当者が四自治体十病院を訪問し、地域におけます在宅療養患者の受け皿の不足や、医療、介護職員の人材育成など、連携体制の構築に当たっての課題の把握を行い、個別の解決策の検討に取り組んでございます。
また、人材育成におきましては、医療的ケア児に対しますさまざまな支援を総合調整する役割を担います医療的ケア児等コーディネーターの養成講座を平成三十年度から実施し、五十二名が参加、今年度は百十四名が参加してございます。
今後は、昨年十二月に実施いたしました地域医療機関へのアンケート調査の結果を分析し、医療的ケア児の受け入れに当たっての具体的課題の把握や、地域のニーズが高い呼吸管理などの実技研修を実施するなど、在宅療養を支える地域の医療提供体制の整備を推進してまいります。
○斉藤(れ)委員 小児総合の医療的ケア児等コーディネーターのことなども、お答えをいただきましてありがとうございました。
ちょうどことし一月に小児総合医療センターに視察に伺った際も、このコーディネーターについてさまざまな課題を拝聴してまいりました。相談支援専門員がこのコーディネーターの資格を、新しくこの資格を取って働いたとしても、支援計画の作成などに現状ではわずかな加算がつくばかりということで、実際はこの養成研修を受けてもコーディネーターとして働き続けられる方が少ないという現状があるということでした。きめ細かな定着支援が必要であると感じています。
また、昨年呼吸器を装着した三歳の女の子をお子さんに持つ親御さんから、退院後の地域での在宅療養について、お住まいの地域での説明や、行政に対する要望に苦慮をされているというところが、こちらは看護師さんが間に入って尽力をされているという例がございました。これは、ご答弁いただきました小児総合以外の都立病院の話でありましたので、ぜひ小児総合の取り組みをほかの都立病院へも広めていっていただけますようにお願いをいたします。
次に、都立病院の専門性やノウハウをより広範囲な地域に展開するための取り組みについて伺います。
地域を支えるモデルとして、大塚病院では、地域の病院で妊婦健診を受け、リスク発生時には大塚病院で分娩を受け入れる産婦人科地域医療連携システム、大塚モデルを構築しておりまして、こうした都立病院の専門性を生かした連携をほかの診療科にも広げていくことは有益と考えます。
一方で、先日、私が委員として出席した南多摩保健所協議会では、精神医療における専門機関との連携にややご不安があるというような地域のお声を伺ってまいりました。
また、多摩地域はもとより、区部や都外からも多くの患者さんが来院している小児総合医療センターでは、入院されている患者を多摩地域のみならず、区部等も含めた地域にスムーズにつなぐため、医療機関等へのきめ細かい支援も非常に重要であるとご意見をいただいてきています。
そこで、松沢病院や小児総合医療センターなどの専門病院においては、その専門的な知見やノウハウを当該地域のみならず、都内全ての地域に横展開していくことが重要、必要と考えますが、見解を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 精神医療や小児医療などの専門病院において蓄積してまいりました知見やノウハウを活用し、都全域の医療水準の向上に貢献していくことは非常に重要であると認識してございます。
この考え方に基づき、具体的な取り組みといたしまして、例えば松沢病院におきましては、松沢の持つ医療資源を地域で活用するオープンシステムを導入し、区内のみならず、区外や他県からの医師の登録のもと、松沢での外来や入院診療、医療機器の活用などを通じて多くの症例に触れることで、精神科医師の技術向上に貢献してございます。
さらに、認知症患者へのケアや身体拘束最小化の取り組みなどの専門分野に対して、松沢の専門看護師や認定看護師が訪問看護ステーション等からの依頼に基づき訪問し、講義やワークショップを開催するリソースナースを実施してございまして、松沢病院の専門性の高い人材を広域な地域で活用してございます。
また、小児総合医療センターにおきましては、都全域の医療従事者等を対象に、地域での小児在宅医療に活用可能な訪問支援や相談支援に関する医療、福祉資源等の勉強会や、こども救命センターのノウハウを生かした呼吸管理、急性期看護学等に関します講演会を開催するなど、受講者がそれぞれの地域に専門知識を持ち帰り、実践していくための取り組みを行ってございます。
○斉藤(れ)委員 さまざまな人材の活用や勉強会、講演会の開催などについて現在取り組まれているというご説明でした。ありがとうございます。
各学会でも推進をされているeラーニングの手法を活用することや、地域医療との連携体制の構築に向けてICTを活用していくことについても、さらにスピード感を持って取り組んでいただく必要があると考えます。
そこで最後に、都立病院の患者が退院して地域に戻った後にも支援が必要であると考えるけれども、都立病院ではICTを活用して、地域の医療機関と患者情報等を共有していく取り組みを、今後どのように進めていくか伺います。
○西川サービス推進部長 都立病院と地域医療機関との間で、ICTを活用して地域に戻った患者の支援を行うことは、患者にきめ細かい医療を提供する上で重要であると認識をしております。
現在、一部の都立病院におきまして、セキュリティーが担保された医療用コミュニケーションツールを用いて、地域の医療従事者との双方向のやりとりを通じまして、服薬状況や病状などの患者情報の共有を図る取り組みを試行的に実施しております。
今後も引き続き、技術の進展を注視しながら、ICTを活用した地域の医療機関との情報共有に取り組んでまいります。
○斉藤(れ)委員 二〇一七年の二月、OECDのサイトに掲載されたグラフ、カントリーズ・レディネス・ツー・ユーズ・エレクトロニック・ヘルス・データ・フォー・クオリティー・インプルーブメント、つまり、診療記録として蓄積されたデータを医療の質向上に活用する準備が整っているかを二つの軸で評価したものによると、日本は、縦軸、データガバナンスと、横軸、テクニカル・アンド・オペレーショナルのいずれにおいても、ここに掲載されている二十三カ国の中で最低の評価を受けているのが現状でございます。
電子カルテのデータを医療の質向上に活用すると、例えば、電子カルテに蓄積されたデータを活用して、患者がかかりつけ医を選択する際に参考となる情報を公開したり、検査結果から診療の質を評価したり、エビデンスに基づいた効率的な予防接種を行ったりすることができるということが海外の例からもわかっております。
これらの取り組みは、その取り組みをする前の段階で、制度としての仕組みと診療上のICT化の両方がそろって初めて実現ができるというふうにいわれておりますので、東京都病院経営本部には中小の診療所、特に中小に非常に課題があるというふうに感じておりますので、中小の診療所のICT化の障壁は何かといった課題を抽出し、取り組みを進めていっていただきたいと要望して、私の質問を終わります。
○木下委員 私からも、都立及び公社病院の地方独立行政法人化について幾つかお伺いをしたいと思います。
今回のコロナウイルス感染症対策に当たりましては、まさに都立病院や公社病院で、PCR検査、多くの陽性患者の入院を受け入れ、治療を行っていただいており、日々のご対応に心より感謝を申し上げます。
まさにこのような、いざというときの対応が行政的医療であり、独法化に当たってもその継続は非常に重要と考えております。
独法化後の行政的医療の提供については、第四回定例会の我が会派の代表質問に対し、知事より、都民のセーフティーネットであり、医療環境が大きく変わっていく中でも、公的な病院として担い続けなければならない、そのために必要な経費は、地方独立行政法人化後も都が負担することで、行政的医療を将来にわたって確実に提供していくと明言いただいていることを評価させていただきます。
また、先ほどの我が会派、たきぐち学委員の質問に対して、部長の方からもしっかりとご答弁をいただいたところでございます。
しかしながら、現在、行政的医療として、一般会計から病院会計に繰り入れをしている約四百億円、都民にとっての医療のセーフティーネットとしての重大な役割を果たしている一方で、血税を投入しているという認識は厳しく持ち続け、無駄のないように支出に目を配る必要があると思います。
四百億円の内訳、妥当性の判断基準及び費用圧縮の努力についてお伺いをしたいと思います。
○児玉経営企画部長 令和二年度予算における一般会計繰入金約三百九十六億円の主な内訳につきましては、精神科病院の運営に要する経費が約百八億円、救急医療に要する経費が約六十一億円、周産期、小児医療に要する経費が約六十三億円、がん医療に要する経費が約六十三億円、難病、膠原病医療に要する経費が約五十億円、感染症、結核医療に要する経費が約五億円でございます。
こうした経費は、地方公営企業法や国の定める基準等に基づき適切に算定をしております。
一般会計繰入金には都民の税金が投入されており、都民の理解と納得が得られるよう、さまざまな費用削減の取り組みを行い、費用対効果を最大化しなくてはならないと認識しております。
具体的には、後発医薬品への切りかえ促進、医薬品、診療材料の共同購入の推進、機器保守委託や電力供給における複数年契約の導入など、一層の経費の縮減に向けて取り組んでいるところでございます。
○木下委員 ありがとうございます。引き続き、必要な経費の圧縮、縮減については、不断の見直しを行っていただきたいというふうに思います。
次に、先ほど来申し述べておりますように、都民ファーストの会厚生部会では、先日、平成十八年に独立行政法人化し、平成二十六年に非公務員型に移行した大阪府立病院機構を視察し、理事長初め関係者の方々と意見交換を行い、公的医療サービスの提供や、医師や看護師の人材確保についてどのような変化があったのかなど、都立病院、公社病院の地方独立法人化においても参考とすべき貴重なお話を伺ってまいりました。
医療を支えるのは人である。独法化後の人材育成の方針については、我が会派の鳥居議員の一般質問に対し、堤本部長から、これまでの育成の取り組みに加え、ほかの医療機関との人事交流が容易になる独立行政法人のメリットを生かし、地域医療の実情を理解し、その充実に貢献できる人材を育成していくとお答えをいただいているところでございます。
また、独法化後のマネジメント体制についても、同じく我が会派、鳥居議員の一般質問に対し、堤本部長から、理事長などのトップマネジメントを支援する組織体制を検討し、迅速な意思決定を確保するとの答弁をいただいているところではありますけれども、私たちが伺った大阪府立病院機構を初めとするヒアリングの結果によりますと、改革がうまくいくかでポイントとなるのは、トップにつく人材の志や経営能力、事務を支える人材の実務能力が重要であるなど、誰が経営、または事務につくかであることが見えてきたというふうに考えております。
そこでまず、地方独立行政法人化という改革のかなめとなるトップについて、法令上どのような人物を任命することができるのかについてお伺いをしたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人法におきましては、法人の理事長は、病院事業や医療等につきまして高度な知識及び経験を有する者、もしくは病院運営を適正かつ効率的に行うことができる者について、知事が任命するとされております。
○木下委員 ありがとうございます。新たな病院運営改革ビジョン(素案)には、地方独立行政法人化後の新たな取り組みが記載されております。
そうした取り組みを着実に実行していくこと、そして、先ほどの法による要件を踏まえ、理事長にはどのような資質が必要なのか、都の認識、見解をお伺いしたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人化後は、そのメリットを生かしまして、行政的医療等の一層の充実のほか、地域医療機関等とのさらなる連携強化による地域医療の充実への貢献や、大学等と連携した人材の確保、育成、さらには患者サービスのさらなる充実を図っていくこととしております。
そのため、法人の理事長には、こうした取り組みを推進するリーダーシップや、地域医療機関等との円滑な調整力、また、法人化のメリットを最大限生かした効率的、効果的な運営に資する病院経営等に関する見識等を有しているということが重要であると認識しております。
○木下委員 ありがとうございます。独法化で都民に提供する医療の質が落ちることがあってはなりません。引き続き丁寧に最善の方法で取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
私はかねてより、遠隔医療を推進すべきとの立場から、厚生委員会での質疑を重ねてまいりました。
今般、都は、TOKYO Data Highway基本戦略を打ち出し、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送るスマート東京、東京版ソサエティー五・〇を強力に推し進めることとしています。
スマート東京の具体像の中には、遠隔医療で都民生活が便利になるさまが挙げられており、牽引役の宮坂副知事もご答弁の中で、具体例として遠隔医療に言及されています。
病院経営本部においては、遠隔医療について、ほかに模範となるような先進的な取り組みと成果が求められていると考えます。
そこで、都庁全体にとって、デジタルの活用はフェーズが変わったというふうに認識をしていただきまして、ICTの浸透が人々の生活のあらゆる面でよりよい方向に変化させるという、デジタルトランスフォーメーション、DXを念頭に置いて、遠隔医療をより強力に進めていくべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○西川サービス推進部長 病院経営本部といたしましては、ただいまお話のございましたデジタルトランスフォーメーションの観点から、都立病院におきまして、ICTを活用することで医療の質や患者サービス向上を図ることが重要であるというふうに認識をしております。
遠隔医療につきましては、現在、都立広尾病院におきまして、島しょの医療機関との間でレントゲン写真等の静止画像を伝送するシステムを活用して診療支援を行っておりますが、ここへ5Gを導入することで、高精細な動画の送受信が可能になることから、島しょの医療機関に対して、より的確な支援を行えることが期待できます。
そこで、来年度、広尾病院と島しょの医療機関との間の遠隔医療に5Gを導入する実証実験に向けた調査を行う予定でございます。
今後、当該調査の結果を踏まえ、その後の実証実験を通じまして、現場の医療従事者の声を反映した効果的な運用方法を整備していくなど、5Gを活用した遠隔医療の具体化を進めてまいります。
○木下委員 実証実験に向けた調査を予算化されたことを評価させていただきます。スピード感を持って取り組んでほしい、このことを要望させていただきます。
また、同じく私は、過去、厚生委員会質疑におきまして、都立病院の医療データ活用を進めていくべきと求めてまいりました。
医療データの活用は、予防、治療、創薬への活用が期待されるわけですが、さきに述べた都庁全体のデジタルの活用の新しいフェーズに入ったということを鑑みまして、都立、公社病院における医療データの活用についても、より強力に進めていくべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
○西川サービス推進部長 病院経営本部におきましては、電子カルテシステム等に蓄積された膨大な診療データを、診療や臨床研究への支援等に活用していくことを目的といたしまして、平成二十七年度に、都立・公社病院診療データバンク構想検討委員会を設置いたしまして、検討を開始いたしました。
当該委員会におきましては、外部の有識者を中心に、データバンクが備えるべき機能や個人情報の取り扱いなどについて検討を行い、平成三十年十二月に最終報告を取りまとめました。
最終報告におきましては、診療データの活用を一層推進するためには、電子カルテシステムや、画像や検査データを管理する部門システム、これらのシステムの診療データを集約するデータ集積基盤を各都立病院に整備していくことが重要であると提言をされています。
病院経営本部におきましては、この最終報告の提言を踏まえ、必要なデータを効率的に抽出し、加工、分析してわかりやすく表示する機能を備えましたデータ集積基盤の整備を一部の都立病院において進めております。
都立病院が有する医療データを一層活用することで、より正確な診断に基づいた治療法の選択に寄与するなど、さらに質の高い医療を提供していくため、今後、データ集積基盤の整備を全ての都立病院において進めてまいります。
○木下委員 ありがとうございます。こちらも具体的な成果に向けて、スピード感を持って対応していただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小松委員 小宮委員の方から既に独法化については、これまでの経緯であったり、網羅的にいろいろと伺ったところでございますので、私の方は、松沢病院について少し質問させていただきたいと思います。
松沢病院はこれまで、八幡山や上北沢といった地域の方々と協議会を設置して、さまざまな地域の住民の方々の要望に極めて丁寧に対応してきていただいたというふうに伺っております。
実際、この松沢病院の周辺のまちづくりにも、公園だったり歩道の面で大変大きく貢献していただいていることは、よく存じ上げているところでございます。
これまで、こうした地域の住民の方のさまざまな要望に対して、どのような協議を行って、どのような成果を出してきたのか、改めて伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院は、現在の建物の整備に合わせまして、平成二十年より病院周辺の住民との相互理解と協力のもと、円滑な病院運営を図るとともに、地域の安全と安心を確保するための連絡及び意見交換の場として、地元町会、商店街の代表者などから構成されます都立松沢病院連絡協議会を設置し、昨年まで二十九回の開催を重ねてまいりました。
都は、この連絡協議会を通じまして、住民から要望された事項の実現に向けた着実な施設整備などに努めてまいりました。
例として、病院敷地内の東西横断道路の設置や、敷地東側に将軍池を眺められる公園の整備、敷地外周の歩道拡幅など、病院の利便性や周辺を含めた環境の向上に寄与する取り組みを行ってまいりました。
日々の病院運営の積み重ねはもとより、こうした取り組みを通じまして、周辺住民とのより強固な信頼関係を構築してまいりました。
○小松委員 松沢病院が周辺の住民の方々との円満な関係を構築し、病院周辺の環境整備を積極的に行い、住民との信頼関係の向上に尽力されてきたことは、ただいまのご答弁でも確認ができました。
実際、町会の皆様方も、本当に会うごとに松沢病院の皆さんが大変よくやっていただいているという話を伺いますし、世田谷に限らず、地域の方とのこうした協議会の事業をいろいろ見ていますけど、中でも本当に信頼関係が構築されているなというふうなことを思っているところでございます。
松沢病院の敷地は大変緑が豊かで、広大な敷地を有しています。さまざまな面で利用が可能でありまして、周辺住民の方にとっても必要な場所であります。
気になるのが、今後この独法化が進む中で、現在、具体的な検討を行っているこの独法化なんですけど、この松沢病院の広大な緑あふれるすばらしい敷地がどのような扱いになっていくのかなというところは、地域の住民の方にとっても、また、その一人である私にとっても大変関心の高いところでございますので、お考えをちょっと伺っておきたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人は、その業務を確実に実施するために必要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならないとされておりまして、法人は、設立団体から土地建物等の財産を承継することが一般的でございます。
また、設立団体が地方自治法上の財産を法人に承継させる場合には、その財産の範囲につきまして、議会の議決を経ることとなりますが、出資する敷地につきましては、今後検討していくこととなります。
○小松委員 今の質問をさせていただいた趣旨は幾つかありまして、一つは、協議会の中で長年の懸案事項になっておりました八幡山の駅前の広場の整備、これも残された最後の多分宿題だと思うんですけれども、こちらについては、福祉保健局さん所管の中部総合精神保健福祉センターがあって、これのいわゆる老朽化への対応をどうするのかということとセットで考えなければいけないということなんだと思うんです。
これがどうなるのかということもありますし、昨年の秋にあった、大変大きな台風の災害によって、世田谷区の中でも、多摩川の周辺には大変いろんなグラウンドがあるんですけど、このグラウンドが軒並み使うことができなくなってしまったという中で、この松沢病院の敷地内にある野球のグラウンドというのが実は大変貴重な状況になっておりまして、そうした意味では、世田谷区も、多摩川の地域は割かしさまざま運動施設があるんですけど、烏山とか八幡山の地域など極端にそうした整備がないという状況もありまして、大変貴重な場所になっています。地元の少年野球チームが練習とか試合などでもさまざま活用させていただいております。
一方で、病院の中から入ってグラウンドに通じる道というのは、私からすると情緒あふれる道ですけど、若干、自転車で通るには、大変、安全性の面ではもう少し整備が必要なのかなというところでもあります。
独法化された後、病院運営に必要な土地でもありますし、建物の範囲は今後の検討ということでありましたが、引き続き松沢病院の運営に必要な財産として、利用、また整備をしていくべきだというふうに考えております。
木だけが生い茂っている場所も一部ありますし、ああいうところをもっと有効に活用できないんですかねというお問い合わせも数多く聞いているところであります。
松沢病院の敷地内の環境整備について、今後どのような視点で行っていく予定なのか伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、都立病院はこれまでの行政的医療の安定的かつ継続的な提供に加えまして、地域医療の充実への貢献という新たな役割を果たすことといたしました。
プランの考え方に基づきまして、松沢病院は、地域医療機関を初めとした多様な関係機関との連携の推進や、多職種による転退院支援などにより、患者の状態に合わせた適切かつ円滑な在宅療養への移行を支援することとしてございます。
この取り組みを進めるに当たりましては、地域の医療機関はもとより、地域の住民の方々の病院運営に対する一層の理解促進が重要でございます。
こうした視点も踏まえまして、今後とも引き続き地域の皆様との協議を行いつつ、利用者の利便性向上、敷地や周辺環境の保全向上のための整備を進めてまいります。
○小松委員 松沢病院の役割というか、歴史的な経緯も含めて、本当に地域の方々に応援してもらえる、愛される病院をつくろうという大変強い意思を長年持ち続けていただいたおかげで、今のああしたすばらしい病院になっているんだろうというふうに思いますので、今後も引き続き、病院は地域住民の方と協議を行いながら環境整備を進めていただきたいというふうに思っております。
敷地や周辺環境の保全向上のために、着実に整備を進めていただくことをお願い申し上げまして、私からの質疑を終わります。
○白石委員 日本共産党の白石たみおです。
全ての都立病院、公社病院を独立行政法人化に、移行することについて質問したいというふうに思います。
本日は、新たな病院運営改革ビジョンの報告、質疑とあわせまして、都立病院の地方独立行政法人への移行準備の撤回と直営の堅持に関する請願が、都立病院の充実を求める連絡会の代表世話人の氏家祥夫さん外三万八千五百十九人の方から提出をされております。請願に賛成をする立場で、一括して質疑を行いたいというふうに思います。
先日の予算特別委員会で、私も本部長もいろいろと立たれましたけれども、都立病院の独法化問題について質問いたしました。
病院経営本部長は、私の質問に対して正面から答えることを避けるという姿勢に終始いたしました。
改めて確認を含めて質問したいと思いますので、本部長にお答えいただきたいというふうに思います。
まず初めに、神奈川県立病院機構の危機的状況について質問をしたら、本部長は、どのような経営形態をとっても共通の事案だと受けとめていると、このように答弁をされました。つまり、独法化しても経営が危機的な状況に陥ることはあり得るということですか。確認をしたいと思いますので、本部長、どうでしょう。
○堤病院経営本部長 危機的な状況に陥るということは、非常に何というんでしょうか、そうだとお答えしづらいですけれども、良好な状況にもなり得る、それは直営であっても、独立行政法人であっても、指定管理者であっても、同様であろうという認識でございます。
○白石委員 今はっきりとわかりました。独法化しても経営が危機的な状況に陥るということは否定をされないということです。今答弁でも、いいにくいけれどもといいましたけれども、否定されないということです。
知事や都は、独法化すればこれまで以上に安定的な経営基盤を確立できる、医療はさらに充実するかのような説明を繰り返しておりますが、先日の予算特別委員会でも指摘したとおり、その真逆の事態が神奈川県などでも起こっております。神奈川県立病院機構は、経営が危機的状況に陥り、例えば職員の増員は原則認めない。
先ほど質問で、独法化すれば医療機器を柔軟に購入できるかのようなことがありましたけれども、神奈川県の独法はどうか。必要な医療機器であっても、収益性を十分に考慮して要求する、このような制約もかけられております。
知事や都が独法化のメリットとして取り上げてきた安定的な経営基盤や、職員の柔軟な確保に制約がかけられている、医療の充実が極めて困難な状況にあることは、誰が見ても明らかだと思います。
神奈川県立病院機構の措置については、本部長、予算特別委員会で何といったか。経営状況の厳しさを十分に踏まえて、解決に向けて努力をしていると受けとめていると、このような評価をされました。
そこで、改めて本部長に確認したいと思います。
職員の増員は原則認めず、必要な医療機器であっても収益性を条件とする制約をかけられている。さらに人員配置の検証などの措置は、経営改善のための努力として評価しているということでよろしいでしょうか。本部長、お答えいただきたいと思います。
○堤病院経営本部長 私、申しわけありませんが、神奈川の事例がどういう背景でそのような文章になっているかというのをつぶさに存じ上げているわけではございませんけれども、先ほどのご質問の中にも、ほかの委員の方のご質問の中にもありましたとおり、東京都の都立病院も非常に厳しい経営状況の中で、さまざまな努力を直営の中でしてきたところがございました。
それは、私どもは経営形態がいかにあろうと、外部環境で厳しくなるようなことは、これは否定できないというふうに思っております。
その上で、しかしながら、現在の直営ではできないような経営努力、特に費用の節減ですとか患者さんへのサービス向上というのをするためには、独立行政法人が最も適したものだというふうに今は考えておりまして、そのような方向で経営形態を見直していきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
○白石委員 済みません、今、聞いたのは、予算特別委員会で神奈川県の実情、現状をお示しいたしました。それで、神奈川県は、まず職員の増員は原則認めませんというふうなことが、もうかけられている。さらに、必要な医療機器も収益性を条件とする制約をかけられている。人員配置の検証もされる。
そういう中で、この経営の危機的な状況を乗り越えていこうというような形で神奈川県が考えられているこの措置について、病院経営本部長は評価をしていると、解決に向けて努力をしていると受けとめているんだと、このようにいわれました。
改めて伺いたいんですけれども、この神奈川県の措置に対して、病院経営本部長は、これは経営的な危機的状況なんだからしようがないというふうに評価をされているのかどうなのかというのを聞いているんです。お答えください。
○堤病院経営本部長 神奈川県の病院機構が、現在のみずからの状況を踏まえて判断されたことだというふうに考えております。評価すべき立場ではないと考えております。
○白石委員 それでは、違う角度から確認したいというふうに思います。
病院の経営次第では、東京都も独法が仮にされました、で、いろいろな状況で、経営的な危機的な状況になった場合、これは神奈川と同じような措置をとるということは、あり得るのかどうなのか、本部長、お答えいただきたいと思います。
○堤病院経営本部長 そのようなことにならないように、経営努力をしていくということでございます。
○白石委員 つまり否定されなかったということなんです。
先ほど本部長もいったとおり、独法化されたからバラ色なのかということにはならないと、現に神奈川もそう。いろいろ全国、私たちこの間示してきましたけれども、こういう経営的な危機的な状況に陥ったときにどういうことが起こるのか。
例えば職員の増員は認めないとか、必要な医療機器に制約をかけるとか、こういうことが行われていると。そうやって経営危機、経営改善をしていくというこの措置について、今病院経営本部長は否定をしていなかったということです。本部長の発言は、本当に重大だというふうに思います。
全国でも同様の措置、とられているんです。例えば、大阪府泉佐野市が独法化したりんくう総合医療センターはどうか。
経営改善を図るために、診療体制を増強したけれども、その割に効果が発揮されず、収益が伸び悩み、資金不足に陥った。そのために、職員の給与の削減が断行されました。
具体的にどうか。時間外勤務手当の見直し、職員の給与の一定期間の減額、退職手当制度の見直しなどを行って、年間で五億三千万円の削減を図る、このようにしました。給与カットは労使合意がないままに行われ、少なくない職員が退職をしていきました。
当座の資金を工面するために、病院の土地の売却まで行ったのがこのりんくう総合医療センターです。
大阪府立病院機構で働く職員に聞きました。独法化前には、給与を上げられる、人をふやせるなどバラ色にいっていた。しかし、給与はこの四年間、大阪府では賞与は上がっているけれども、病院ではお金がないとして上がっていないと、このように話します。
新たな病院運営改革ビジョンは、独法化すれば全てうまくいくかのようにバラ色に描かれておりますが、先ほど本部長も認められた、独法化したとしても、経営が不安定になることはあり得るんだと。
実際の病院運営では、ビジョンとは正反対の実態になりかねないというのがこれまでの質疑で明らかとなりました。
経営の厳しさは、経営形態とは関係ないと皆さん結構いうんですけれども、都民が必要とする医療を提供しつつ、安定して病院を運営する上で不可欠な自治体の財政支出と、独法化の関係について、さらに質問を進めていきたいというふうに思います。
不採算医療であっても、都民が必要とする医療を提供する保証は、現在、都が支出する一般会計からの繰入金です。これは答弁を、この間も行っています。これがなければ、都がいう行政的医療は、維持はできないということです。
都のホームページで公開している都立病院の地方独立行政法人化に関するQ&Aがあります。
ここでは、現行の都立病院と同様に、採算の確保が困難な医療に係る経費について、都が負担することが法定されているため、確実に提供する仕組みは担保されていると、このように書かれております。
ところが、他府県の法人で行われていることを見れば、そういえないのは明らかだと思います。
予算特別委員会で、神奈川県と同じように都の財政負担をどんどん減らすんじゃないんですかと、本部長、このように私聞きました。そうしたら、公立病院への運営費負担金は法律に沿って支払われると、ここもまともに正面から答えられませんでした。
なので、改めて本部長に伺いたいと思います。行政的医療に欠かせない都の負担金は削減することはないといい切れますか。質問にちゃんと答えていただきたいと思います。
○堤病院経営本部長 今のご質問にお答えする前に、まず神奈川の件ですけれども、今、副委員長がご指摘になられたのは、独法になったらこうなったというお話ですけれども、それは直営であったらどうなったかということは検証されているわけではないわけです。独法だからああいう状態になったというのは、私は論理としてはおかしいと思います。
それから、給与カットの件につきましても、例えば、石原行革のときは私どもみんな一律で給与カットをしました。しましたというか、私がしたわけではありません、給与カットが方針として示されました。それは組織としての方針でありまして、それも独法だからということではないというふうに認識をしております。
それから、負担金の削減についてでございますけれども、負担金については、これは先ほど資料で出したもの、これは一般会計の繰入金ですけれども、繰入金についても譲与しているというのは今の直営でも同じでございまして、独法だから必ず、何ていうんでしょうか、一切減らないというようなことは、それは誘導のような感じになってしまいますので、事実としては、一般会計の負担金というのは、ふえたり減ったりするもの、それは収支の状況だというのは、これまでもご答弁を申し上げてきたとおりでございます。
○白石委員 今、要するに直営だから、検証されていないからそんなこといえないんだというようなことを、何かいいわけのようにおっしゃられましたけど、これ神奈川県の法人がしっかりといっているわけですよ。この間、私たちも調査をしてきました。
そういう中で、さっきもいったけれども、これは経営形態のあり方ではないんだというふうにいいますけれども、これからそれは証明いたしますけれども、神奈川県の法人だって同じくこういうことをやられていると。
最初は、独法化すればバラ色かのような、今みたいな議論がされるわけですよ。しかし、実際にふたをあけてみたら、危機的な状況に陥ったというのは、これは事実の話なんですね。
直営を検証していないから、今の法人の危機的状況がどうなるかわからないなんていう、それはまともな答弁じゃないですよ。正面からそれこそ受けとめなければいけないと、私ははっきりと申し上げたいというふうに思うんです。(堤病院経営本部長発言を求む)今、質問をしていません。後で答弁できますから。
どんなにごまかそうとしても、神奈川県立病院機構では、独法化に当たり、負担金の基準を見直したと明言しているんです。議会答弁で明言をしています。後で帰って見てくれればわかります。現に、そして負担金は削減をされているんです。
こういうこともしっかりと認識もせずに、いや、負担金は増減をしますと。減ることはないかのように発言を繰り返す。本当に許されない。
大阪府立病院機構、都民ファーストの皆さんも行かれたと、私たちも行きました。院長とも話しました。負担金の額を落としてくださいという府の要請があったことは事実ですよと、私たちにも、これもお話をしておりました。つまり独法化を契機に、自治体の財政負担を削減しているんですね。
さらにいえば--聞いているんですね。私たち聞きました、大阪府立でね。どんどん減らしてくださいと要請あるんですというふうに、実際に大阪府の独法化された法人の皆さんいっておりました。これは否定できませんと。
つまり、独法化を契機に自治体の財政負担が削減されているのは間違いないんです。
さらにいえば、都自身も……(発言する者あり)間違いありません。二〇〇七年の都立病院経営委員会で、独法化した場合の都の財政負担について何といっていたか。多分児玉部長だと思いますけれども、財政当局との調整は当然行っていくと、このように述べていましたし、今回の独法化の検討に当たっても、都の財政負担を削減する検討が積み重ねられていたことは、先日の予算特別委員会でお示しした開示資料を見ていればわかります。よって明らかなんです。
皆さんは、今の都立病院の一般会計からの繰り入れの法律上の規定の文章と、独法化した場合の運営費負担金の法律上の規定の文章が同様となっていることをずっと根拠として、独法化しても変わらないと、このようにいっているわけですけれども、法律上の文を根拠にそういえるのかと。都の現状からも考えていきたいなというふうに思います。
病院経営本部では、一般会計繰入金の対象となる行政的医療の範囲や算定方法など、医療提供体制等、医療環境の変化に応じて、随時必要な見直しを行ってきたとされておりますが、具体的に、いつ、どのような見直しを行い、その結果どうなったのかお答えください。
○児玉経営企画部長 一般会計繰入金の見直しの具体的な例といたしましては、がん医療につきまして、平成二十三年度から繰り入れ対象病院を、がん医療を行っている全ての病院から、がん診療連携拠点病院の指定を受けている病院に限定し、その年度、五億五千万円の繰入金の縮減を図りました。
また、平成二十五年度には、心臓病医療に要する経費につきまして、都内における循環器系を標榜する病院の増加等を受け、繰り入れ対象の範囲を小児に対する特殊な医療のみとしたことにより、繰入金が十九億六千万円の減となりました。
また、同じく平成二十五年度に、リハビリテーション医療につきまして、都内における回復期リハビリテーション病床の増加に伴い、行政的医療から除外したことにより、繰り入れ対象医療からも外し、三億四千万円を縮減した例がございます。
ただし、一般会計繰入金の対象となる行政的医療の範囲につきましては、これまでも医療環境の変化等に応じ、随時見直しを行ってまいりました。
その考え方につきましては、現行制度においても独法化後も同様であり、都といたしましては、独法化した後におきましても、これまでどおり、行政的医療の提供等に必要な経費は、しっかりと負担していくものと考えております。
○白石委員 この九年間を振り返って、今ご答弁していただきました。
行政的医療の対象の範囲、見直しや医療そのものを除外するなどして、約三十五億円が削減されております。いわれたとおり、回復期のリハビリテーション、これは除外をするということ。そういうことなどを含めて三十五億円削減をされています。
対象範囲の見直し、除外などがされて減らされているという、これは事実なんですね。
また、都立病院新改革実行プラン二〇一八では、一般会計からの繰入金の対象となる医療の範囲を適宜見直すと、公然と掲げている。
この間、当然ですけれども、一般会計からの支出の根拠法は、地方公営企業法のままです。もとの法律が変わらなくてさえ、数十億円の見直しがされているわけです。
ましてや、独法化という大きな変化があれば、より大きな見直し、あり得ると考えるのは当然です。それは開示資料からも当然見えてきます。
しかも、都は来年度独法化の準備のための業務委託を行うと、このようにしていますが、その仕様書を読ませていただきました。業務内容の中に、運営費負担金、交付金の算定ルールの構築に関する支援業務とあります。つまり、都が独法化した病院に対して出すお金の額の決め方について、助言や提案を受けるということだと思います。
都の財政支出が変わらないというなら、一体どんな助言や提案が必要なのか、これ聞きたいと思います。いかがでしょうか。
○児玉経営企画部長 まず、行政的医療の範囲の見直し、繰入金の範囲の見直しについて、ちょっと追加でご答弁させていただきたいと思います。
先ほど、収入や支出の状況により、毎年度繰入金が増減するという話と、行政的医療あるいは繰入金の投入される範囲を見直すということのご議論があったかと思いますが、この成否につきましては、一緒に論ずるべきものではないというふうに認識をしております。
まず、行政的医療につきましては、副委員長、十分ご存じかと思いますが、都立病院新改革実行プラン二〇一八において、三つの分類がなされております。
一つ目は、法令等に基づき対応が求められる医療。二点目が、社会的要請から特に対策を講じなければいけない医療、講じなければならない医療。三点目が、新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療。この三つに分類されておりますが、一は法令等に基づくものですから、法令等の改正があれば、当然見直し等は行うことになります。
それから特に二につきましては、社会的要請という中で、一般の医療機関での対応が困難な医療というものが位置づけられておりまして、これは逆に状況が変われば、民間医療機関ですとか一般医療機関が十分対応できるということであれば、それに応じて行政的医療の見直しというものは当然行われることはあり得ると考えます。
逆に三点目ですが、新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療というものも行政的医療として位置づけられております。
日々進化する医療や医療を取り巻く環境の変化により、当然、今後新たに行政的医療に位置づけられるというものが出てくるということは考えられると思います。
このように、行政的医療の見直しは、時代の要請に応じて都民ニーズに応えるものであり、繰入金の削減ですとか、あるいは都の財政負担の軽減を目的とするものではありません。
独法化は、こうした行政的医療を将来にわたり安定的、継続的に提供し、さらには一層充実していくことを目的とするものであります。したがいまして、独法化を理由として、行政的医療を後退させることは全く考えておりません。ちょっと冒頭につけ加えさせていただきます。
あと繰入金の考え方につきましては、地方公営企業法によりまして、事業の性質上、地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費等について、一般会計が負担するということが定められております。
この基本的な考え方は、国の方で、総務省になりますが、地方公営企業繰出金について通知というものが毎年出されて、いわゆる繰り出し基準が定められております。
都におきましては、繰り入れの対象医療を都内の医療提供対象の現状等を踏まえまして、先ほど申しました行政的医療に位置づけるかどうかということをきっちりと判断いたしまして、それはプラン等でも報告をして、都議会においてもご議論いただいております。
その上で、採算性が困難なものについて、繰り出し基準に基づき設定しているというものでございます。
その算定につきましては、繰り入れ対象医療ごとに給与費や材料費といった関係経費から、入院収益、外来収益等の関係収入を差し引く方法などによっております。
この考え方は現行制度においても、地方独立行政法人化後も全く同様であるというものでございます。
〔「よし」と呼ぶ者あり〕
○白石委員 よしじゃないんですよ。まず質問に答えていない。いいですか、私が聞いたのは、仕様書を見させていただきましたと。運営費負担金、交付金の算定ルールの構築に関する支援業務とありますねと。これは、つまり都が、独法化した病院に対して出すお金の額の決め方について、助言や提案を受けるということなんですね。
都の財政支出が変わらないというんだったら、一体どんな助言や提案が必要なんですかというのを聞いたんです。お答えいただいていいですか。
○船尾計画調整担当部長 来年度行う予定であります業務委託でございますが、さまざまな内容で委託業者の方に技術的支援をいただくことで考えてございます。
例えば、人事給与制度の構築を新たにしていかなければいけないというものに対して、専門家からの意見をいただいたりとか、あるいは副委員長のおっしゃるようなところの財務的な制度の構築、そういった部分についても、会計の専門の方々からの技術的な助言指導をいただくというふうな内容で考えているところでございます。
○白石委員 わかりました。要するに仕様書には、運営費負担金、交付金の算定ルールの構築に関する支援業務というのがあるんですね。
これはつまりは、都の出すお金の決め方ですね。これをどういうふうにするのかというのを、支援業務として、委託として助言を受ける、提案を受けるというような形になっているので、これは一体どういうことなんですかというのを聞きました。
これは通告していないので、ぱっとお答えできないのかもしれないので、後でしっかりとお答えいただきたいというふうに思っております。
先ほど、児玉経営企画部長もいろいろとお話もされましたけれども、いろいろいうんだけれども、法律に沿って支払われているから心配ないとか、行政的医療は変わらないんだというんだけれども、実際は、行政的医療というのは安定的に提供していくという保証、何もないんですよ。
ずっとこれまでは、法律どおりに支払っています、支払っています、支払っていますといいますけれども、じゃあ実際行政的医療は、この間どうやってきたのかといったら、例えばリハビリテーションの医療が除外をされるとか、心臓病の医療の経費についても小児に限定をするとか、こういうふうな変遷がこれまで行われてきたと。
そういう中で、採算性を優先する、より民間に近い独法化になった場合に一体どうなのかと。
全国の実態から見ても、やはり都民が必要とする医療に対して、切り下げや後退につながるような道になるんじゃないのかということを私はただしているんです。
今、思いっ切り語尾を上げて、そんなことはありませんと、このようにいうんだけれども、じゃあ実際その保証はどこにあるんですかといったら、それはお答えできないわけですよ。
行政的医療の範囲や対象が変われば、それだけ都民の医療が後退する可能性があるわけです。
そういうふうな観点からも、やはりこの独法化の経営形態、私は非常に危険性がある、都民の必要とする医療の後退の危険性は、一層、拭えないというふうに思うんです。
ビジョンを見ていても、皆さんを見ていても、経営の安定化したのが大前提なんです。
しかし、神奈川を見ても、実際に経営が傾けば、職員の給与がカットされたり、増員も認めないということになったり、必要な医療機器だって採算性がとれなければ、これは要求しないでくださいかのような制約までかけられているということなんですね。
やっぱりこういう全国の実態を見て、現状どうなのかと、本当に独法化とはどうなのかというのを、私、調べるべきだというふうに思うんです。
次に移りたいと思いますけど、(堤病院経営本部長発言を求む)いいから。地方独法第三十条は、設立団体の長は、中期目標の期間の終了時までに、当該地方独立行政法人の業務の継続または組織の存続の必要性その他その業務及び組織の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、業務の廃止もしくは移管または組織の廃止その他の所要の措置を講ずるものとするとなっております。
これはどういう意味か、お答えいただきたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 この条文の規定ですが、中期目標期間の終了時までに設立団体の長が評価委員会の意見を聞いて、地方独立行政法人の組織、業務の検討を行い、必要があれば業務の廃止や移管、組織の廃止等の見直しを行うことを定めるものでございます。
もちろん、こうした見直しを行うに当たりましては、定款を変更することや、新たに定める次期中期目標に反映することが必要でございまして、これらの場合は議会の議決を経る必要がございます。
○白石委員 法律自体に都民の必要とする医療の廃止や縮小も含めて--これは独法の法律ですからね、含めて見直しを行っていくことが定められている。
もともと病院などを安定的に将来にわたって運営することを想定した制度ではないということ、あわせて指摘しておきたいと思います。
さらに、都立病院の経営形態には制度的制約があると先ほどから述べられている方もいらっしゃいましたが、現在の都立病院と同じ経営形態である、例えばさいたま市立病院では、この十一年間で医師は約一・三倍、看護師は約一・五倍にふやしています。薬剤師も中期的な見通しを持って、条例定数をまとめてふやした上で、計画的に職員を確保しています。直営のもとでも職員を柔軟にふやすことは十分可能なんです。
結局大事なのは、知事の姿勢なんです。制度的制約、制度的制約とこのようにいいますけれども、制度的制約によって縛られているんじゃないんです。
あるとすれば、政策的に縛られていたと、政策的制約なんです。これはっきりと、私述べておきたいというふうに思います。直営でできない理由なんてないんですよ、さいたま市立病院を見れば。
そういうふうなことを見ても、やはりこの間の議論というのは、本当に私、偏った議論で行ってきていると、改めていいたいというふうに思います。
〔堤病院経営本部長発言を求む〕
○堤病院経営本部長 まず、さいたま市立病院のお話ですけれども、私ども今直営ですから、直営の中でできる限りの努力をしております。
その中で、独法の方がより柔軟に、それはこれまでも申し上げておりますけれども、我々だけのやりやすさで申し上げているわけではなくて、先ほど、人員の補充までの間の時間の問題ですとか機器の整備までの問題も申し上げましたけれども、それが患者サービスに直結するということですから、よりサービスに直結するような経営形態をとりたいと、これは何度も申し上げていることでございまして、これについては、ぜひご理解をいただきたいと思います。
それから、神奈川の負担金の基準の見直しの問題をお話しされましたけれども、これについても、では神奈川が直営だったらそれが全くないのかという話が全く抜きに、そのお話だけを承っても、我々としてはそれがそうなのかどうかはわかりません。
少なくとも神奈川の公表資料を見る限りは、ご指摘のようなことで、なっているとは我々としては受けとめておりません。
また、先ほど経営企画部長からもご答弁を申し上げましたけれども、行政的医療の範囲を見直すことは当然でございまして、私どもはよりその時代時代に足りないもの、例えば先ほどのご答弁でいえば移行期医療ですとか、そういうようなことにどんどんシフトすることによりまして、東京都全体の医療を支えていこうということでございますので、見直しは全くするなと、新しい医療は、それはどんどん入れろというようなことはなかなか成り立ちませんし、私どもだけで東京の医療が支えられるわけではございません。民間医療機関の方々との協力を通じてやっていく。
その中で私どもは、行政的医療といわれるところに税金での投入をいただきながら、それもなるべく効率的に運営するということで独法化を目指していると、こういうふうにご理解いただきたいと思います。
○白石委員 質問はしていないですけれども、今、重大なことをおっしゃられたんですよ。行政的な医療というのは、ふだんからも範囲は見直していきますということは、できるんですということをはっきりおっしゃられた。だから今後将来にわたっての保証なんて幾らもないんです。しかもですよ、医療の後退につながるかもしれないという不安の声、大きく広がっている。
そういう中で、神奈川県も含めて、全国の独法を調べて、実際にデメリットはないのかと、具体的にこの間説明したことがあるかって、一回もないんですよ。
こういうふうな姿勢をもってして、今、本部長立たれて強弁をされましたけれども、何の保証にもならないということなんです。これが独法化の、私本当に危険性だと思います。
先ほども私、大阪府の独立行政法人機構の職員からも聞いたけれども、最初はバラ色にいうんです。人もふえます、給与もふえます、そして、必要な医療機器もしっかりとふやしていくんです、行政的医療、政策的医療も守っていく。
しかし、じゃあどうかといったら、職員の方がいっていたのは、この四年間、大阪府の職員の給与、賞与は上がるけれども、実際私たちはふえていない。何ていわれているか。病院がお金がないからだといわれている。こういうことが、今多くあるわけですよ。
そういうふうなことも、一切これまで、都民にも議会にも説明をしてこなかった。本当に独法化が、これが究極の経営形態だというんだったら、しっかりとその実態も含めて出すべきなんです。
しかし出さない、これまで一度も。そしてデメリットもないといって、この間、押し進めてきたと。私、これは本当に許されないというふうに思います。
そして、このように指摘をしたら、根拠もないことを力強く演説する、本当に許されないと思います。
私、パブリックコメントについても伺いたいと思うんです。
独法化に移行する具体的ビジョンとして、新たな病院運営改革ビジョン(素案)を公表して、昨年十二月二十五日からことし二月七日までの期間に、ビジョンへの都民意見を募集いたしました。
新たな病院運営改革ビジョン(素案)のパブリックコメントでは、何人から、まず意見が寄せられたのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 新たな病院運営改革ビジョン(素案)を公表した令和元年十二月二十五日から令和二年二月七日までの四十五日間でパブリックコメントを募集いたしまして、千五百十一人の方々からご意見が寄せられました。
○白石委員 千五百十一人と、これ非常に多い数字なんですね。都立病院新改革実行プラン二〇一八のパブリックコメントでは、比較するのもあれかと思いますけど、百六十一名でした。
実行プランと比較すれば十倍近い方が、今回のビジョンに意見を寄せられたということになります。それだけ都民の独法化への関心というのは、大きく広がっているというあらわれだと思います。
じゃあパブリックコメントでは、独法化について、賛成、反対、それぞれの意見はどの程度寄せられたのか、内訳をお聞きしたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 賛成、反対で集計しているわけではありませんが、寄せられた意見の多くが反対であったというふうに認識をしております。
○白石委員 圧倒的多数の都民が独法化に反対、もしくは見直しを求めているということです。これ非常に重いものだと思います。--笑い事じゃないんですね、これ。都民の意見で、パブリックコメント制度でやっているんです。
パブリックコメント制度の目的について、都の要綱では、都における公正で透明な行政の一層の推進を図ると、このようにしております。また、提出された意見を考慮して、計画等を策定するよう努めなければならないと、このように定められています。
つまり、形だけの手続にすればよいということではないんです。集められた都民の意見を十分に考慮しなければならないというふうに要綱でも定められております。
パブリックコメントで寄せられた都民の意見を、都は今後どのように反映しようというふうに考えているのかお答えいただきたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 まず、先ほど反対が多数ということを申し上げましたけど、パブリックコメントでは、独法へ移行して行政的医療の提供など、これまで以上に医療を充実してほしいという意見が寄せられる一方で、独法化によって経営が優先され、行政的医療の提供が後退する、個室料の値上げなど患者負担が増加する、都からの運営費負担金が減ってしまうなどの声が寄せられております。
独立行政法人化は、医療環境が変化する中でも、都立病院の役割である行政的医療の提供などを将来にわたり確実に果たしていくためのものでありまして、こうした不安や懸念が生じないよう、今後正しい情報を発信していく必要があるというふうに考えております。
年度末までには、いただいたご意見に対する都としての見解をまとめた上で公表していく予定でありまして、今後とも都民の方々に独法への移行に関する基本的な考え方ですとかを正確にご理解いただけるように、わかりやすく、より丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。
○白石委員 驚きなんです、今の答弁。寄せられた意見について考慮するどころか、そういう意見が生じないようにしていくと。そのために正しい情報を発信、このようにいいました。
つまり反論したわけです。独法化ありきで、都民の意見を聞く姿勢が、本当に都民の意見を聞く姿勢がないといわざるを得ないというふうに思います。
パブリックコメントで出された意見は、最大限尊重すべきだし、一般的には寄せられた意見のとおりにはできない場合もあります。けれども、意見そのものは、権利に基づいて出された意見を、重みがあるものとして受けとめると、これが本当に原則だというふうに思うんです。
そこで伺いたいと思いますけれど、新年度予算に計上された地方独立行政法人移行準備の外部委託について、準備契約を行う起案書というのは、何年何月何日で起案されたのか伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人への移行準備支援業務委託の起案ですが、令和二年一月六日に行ってございます。
○白石委員 今あったように、ことしの年始、一月六日の仕事始めの初日に独法化の準備のための外部委託の起案がされております。
この日は、パブリックコメントはまだ募集したばかりですね。加えて知事査定の一日目で、議会も都民もこの準備予算が入っていることを全く知らないときに、既に起案がされております。
つまり、都民の意見を聞くことも、議会の議論を反映することも全く考慮しないというのが、ここからもとって見れるというふうに思うんです。だって、局要求段階では入ってなかったんです。知事査定で入ったんです、これ。
その知事査定の一日目でもう起案がつくられて、起案されて、そして二月三日ですか、にはもう受け付けされているというような状況になっているんですね。これ本当に大問題だと。
そもそも準備予算ですから、もう独法化ありきなんです。都民意見なんてどうでもいいと。そして、議会の議論なんて別に反映する気もないと。もう予算は最初から準備契約で着々と進めると。こういうことが、本当に、私予算特別委員会でもいいましたけど、起案日見ても本当にびっくりです。
さらに、本日の委員会の報告事項として議題になっているパブリックコメントの内容を出してもらうように求めました。都から出されたのは、A4、わずか三ページの主な意見だけ。全ての都民意見は議会に報告をしない上、きょうまでに、都民意見に対する都の見解も議会に提出していないんです。
その一方で、独法化の準備手続は年始から着々と進めていると。これは議会軽視、本当甚だしいと、都民意見に耳を傾けないということだと、重大な問題であると厳しく指摘せざるを得ないというふうに思います。
〔堤病院経営本部長発言を求む〕
○堤病院経営本部長 議会軽視という言葉は、非常に私どもとしてはそんなことではないと改めて申し上げたいと思います。
準備契約でございますので、当然議会のご議決を経て、令和二年度予算が確定したときに確定するものでございますので、準備を開始するという去年の十二月に知事が表明をしてから私どもさまざまな準備を、もちろんこれは素案の公表も含めましてやってきたわけでございますけれども、それをする一つの段階として準備契約、確かにそれは進めております。
ただ、この準備契約の、今副委員長がご指摘のようなことであれば、逆に議会のご可決はいただけないということになりますので、私どもは議会で、これは本会議、予特、この委員会も含めて、今さまざまな形でご指摘をいただいたもの、それから今後行わなきゃいけないものがたくさんあるわけでございますから、それらを踏まえた上で、今回の議案がご可決をいただいたときに、今の準備契約も確定するということでございますので、これは決して議会軽視ではないというふうに考えてございます。
○白石委員 全く通用しません。だって私たち誰も知らないんですよ、準備予算が入っていることは。それをもう起案して、そして予算発表前、議論の前から準備契約を行ったと。
準備契約って何かっていったら、清掃業務とか警備業務で四月一日からやらないと支障を来すものに限られているんですよ。それをこれだけの重大な政策的変更にもかかわらず、議会の予算の中でも、発表もされていない段階から、既に準備契約として着々と進めると。
これ何を意味するかといったら議会軽視なんです。議論を全く反映する気もない。都民の意見だってパブリックコメントをやっている最中にはもう準備契約をやっているわけですから、手続を着々と進めているんですから。本当に通用しないですよ。
これ私たちの会派だけじゃなくて、ほかの会派の皆さんだって怒らなきゃいけない話なんですよ。
本来、予算案も発表して、この予算議会を経て、仮に契約するなら、調査委託の契約に入るのならまだわかりますけれども、既に手続がもう始まっていると。とんでもないというふうに私、指摘せざるを得ないというふうに思います。
二〇二〇年度病院会計当初予算案には、地方独立行政法人評価委員会の経費が入っています。
評価委員会で何を議論するつもりだったのか、伺いたいと思います。
○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人において、設立団体の長は、法人が達成すべき業務運営に関する目標である中期目標を定め、法人に指示するとともに、公表することとされております。
また、この中期目標を定め、または変更する際には、あらかじめ評価委員会の意見を聞くとともに、議会の議決を経るということとされております。
こうしたことから、独法化の準備の進捗状況の中で、中期目標を策定することを想定いたしまして、来年度の予算に評価委員会の経費を計上したものでございます。
○白石委員 中期目標を策定するということは、法人を間もなく立ち上げるということですね。来年度にそこまで進めてしまうというのは、意見を聞いて丁寧に進めるということとは全く違うといわざるを得ません。
しかも、都民にはスケジュールを示さないでおきながら、実際は非常に性急に進めているというのが、本当に今の答弁でもわかると思います。
私、パブリックコメントを出された方の何人かの方から声をいただきました。どういう声か。
私は一昨年食道がんを発症し、都立広尾病院で手術を行い、無事に成功し、現在元気に過ごしています。手術は広尾病院でしたが、診断は都立駒込病院で、両病院医師が連携して、術前の諸検査はもちろん、術後の栄養指導、嚥下リハビリ、歩行訓練などまで行き届いたケアをしていただきました。専門スタッフもそろっており、手厚い療養ができたのは、都立だからこそと感謝しております。こうした都民に対する行き届いた医療を提供するのが都立病院の果たす役割だと思います。医療の現場に効率化や経営主義優先を持ち込むと、本来の医療が後景に追いやられることは必然ではないでしょうか。いつでもどこでも安心してかかれる医療を、東京都の医療に対する姿勢として、都民の医療を守ってください。経営優先の独立法人化、やめてくださいと、こういう意見でした。
こういう意見、私、皆さん本当に受けとめるべきだと思います。私は、都立病院が果たしてきた医療の重要性を、身をもって感じている都民の思いのこもった意見だと思います。
こうした意見を受けとめて、都立病院、公社病院の独法化をきっぱり中止して、直営で拡充することを求めて、質問を終わりたいと思います。
○岡本委員 まず、堤病院経営本部長、先ほどの質問で補足、足りないところ等あれば、まずいただきたいと思います。
〔発言する者あり〕
○堤病院経営本部長 改めまして一言申し上げますが、経営優先のために独法化するわけではございません。行政的医療の充実のために独法化を目指しているということはご理解いただきたいと思いますし、議会のご意見を十分尊重しながら、これからも手続を進めてまいります。
〔発言する者多し〕
○斉藤(や)委員長 岡本委員、自分の質問をしてください。どうぞ。どうぞ、進めてください。進めてください。
○岡本委員 私の質問です。先ほどの質問も私の質問です。
○斉藤(や)委員長 進めてください。
〔発言する者あり〕
○斉藤(や)委員長 ちょっと静かにしてください。どうぞ。
○岡本委員 では、質問を続けさせていただきます。
昨年第三回定例会、九月十二日の厚生委員会において、私債権の放棄について質疑を行いました。また、私債権放棄における高額事例として、外国人患者の事例についても伺いました。
その際、私から、医師法第十九条、診療に従事する医師は、診療治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならないという、いわゆる医師の応招義務について述べました。
その時点では、平成三十年度研究報告の内容を紹介しましたが、その研究報告を踏まえて、昨年十二月二十五日付で厚生労働省医政局長から通知、応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等についてという通知が各都道府県知事宛てに発出されました。この通知において、どのような場合に診療の求めに応じないことが正当化されるか否かについて考え方が改めて整理されました。
この通知において、診療の求めに応じないことが正当化される場合の考え方の中で、最も重要な考慮要素は、患者について緊急対応が必要であるか否か、病状の深刻度であり、このほか重要な考慮要素として、診療時間内か診療時間外か、また、患者と医療機関、医師の信頼関係という点を挙げています。
事例ごとの整理が行われており、例えば医療費不払いに関しては、支払い能力があるにもかかわらず、悪意を持ってあえて支払わない場合などは診療しないことが正当化されるが、以前に医療費不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されない。また、保険未加入のみをもって診療しないことは正当化されないと整理されています。
また、差別的な取り扱いとして、患者の年齢、性別、人種、国籍などのみを理由に診療しないことは正当化されないと整理されています。
加えて、訪日外国人観光客を初めとした外国人患者への対応として、外国人患者についても診療しないことの正当化事由は、日本人患者の場合と同様に判断することが原則とされています。そして、外国人観光客について、本国に帰国することで医療を受けることが可能であることなどの点のみをもって診療しないことは正当化されないとしています。
こうした今般の厚生労働省からの通知を踏まえて、都立病院として、経済的に問題を抱える外国人患者にどのように対応していくのか。また、外国人患者の未収金対策の取り組みについても伺います。
○西川サービス推進部長 都立病院におきましては、これまでも、外国人の患者に対して日本人の患者と同様に、経済的問題への対応として、患者支援センターの医療ソーシャルワーカーが高額療養費制度や難病医療費、生活保護などの公的助成制度などを案内し、申請につながるよう努めてまいりました。
やむを得ない場合は、分割による医療費の支払いを認めるなどの対応も行いながら、患者に対して適切に医療を提供しております。
また、保険証を持たない外国人患者の未収金は高額となりやすいことから、対策といたしまして、旅行保険加入の有無やパスポート等の身分証を確認するほか、必要に応じて大使館に本国の住所地を照会するなど、未収金が発生した場合に備えて、回収に必要な情報の把握に努めてきております。
都立病院がこれまで行ってきた外国人患者への対応は、今回厚生労働省の通知で改めて示された医師の応招義務の考え方に沿ったものでございます。
今後も引き続き、必要な支援を行いながら、外国人患者に適切な医療を提供するとともに、未収金が発生した場合にも情報把握の取り組みを着実に実施し、未収金の回収に努めてまいります。
○岡本委員 これまでの対応は、厚生労働省の通知で改めて示された考え方に沿ったものであるということで、ご答弁をいただきました。
この通知によって、一定の具体的な判断の例が示され、これ自体は実務上有益であるというふうに思います。
ただ、この通知だけからは判然としないケースもあるのではないかというふうに考えられます。
この通知では、何々のみを理由に診療しないことは正当化されないというような書き方がありますが、それらが複合した場合にはどうなるのかといった点が、解釈の必要性、判断の必要性が別途あるのではないかというふうに思います。
また、支払い能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わないような場合、これは診療を拒否できるということですが、この拒否できない場合と拒否できる両極端の場合をこの通知では示されていますけれど、その中間のような場合では、個別の事案などでは微妙な判断をせざるを得ない場合もあるのではないかというふうに思います。
特に、以前の委員会でもお聞きした高額な外国人の事案、不法滞在と関連しておりました。
この通知には、不法滞在自体については直接の言及はありません。先ほど外国人観光客については言及がありましたけれど、不法滞在をどのように判断するのか、解釈するのかということは特に言及がありません。
もちろん、この通知によって、病状が深刻な場合、救急患者の場合、こうした場合は、資力やまた不法滞在いかんに問わず、深刻な場合、緊急の場合には、もちろん応招義務があり、対応する必要があります。
他方で、病状の深刻度が、緊急とはいえない場合、あるいは当初救急だったけれど、その後病状が安定している、一定の治療をして安定しているような場合、そうした場合にどのように解釈すべきなのかというところがあります。不法滞在であれば、本来ならば法的には本国に帰るべきということは考えられます。
こうした場合に、高額の医療を受けるような場合に、果たして都立病院で、都民の税金も投じられている都立病院でそれを負担すべきなのかと。
そして、そういう方々の医療を、医療費を回収できないまま行うことは公平性に反するんじゃないかということも考えられるところであります。
こうした場合、不法滞在の場合、先ほど、重要な考慮要素の中に信頼関係という言葉がありましたけれど、そもそもこの日本国との間において信頼関係がないのではないか、あるいは病院との間で信頼関係が築けないのではないかということも考えられます。
ただ、不法滞在に関しても、いろいろな類型、場合があります。一概にいえない難しさもあります。
不法残留が長期化していて、特別在留許可を申請するような場合ももちろんあります。場合によっては、子供のころから在留資格がないけれど、子供のころから日本で育ったという方々も中にはおられます。
そうした観点で、不法滞在だから、不法残留だからということも一概にはいえないわけですけれども、この信頼関係ということは、やはり一つのキーワードになるというふうに思います。
以前の厚生委員会でお伺いした事例においては、不法滞在で都立病院に入院をし、高額の医療費を分割で途中までは払ったけれど、その後、本国に帰って連絡が全くとれなくなってしまったという事例をご答弁いただきました。
そうしたことも考え、この今回の通知も踏まえて、微妙なケースについても個別に慎重にご判断をいただきたいなというふうに思っております。
続きまして、昨年の十一月二十九日の厚生委員会におきまして、都立病院、公社病院の禁煙外来の設置を要望いたしました。
そのときの内容については割愛しますけれど、この禁煙外来を病院に設置をするということは、患者さんの禁煙を容易にするという直接的な効果のみならず、病院全体の喫煙、禁煙に関する意識の向上や敷地内禁煙の徹底、また喫煙する職員の方々への研修、教育にもつながるもので、病院全体に有機的なよい影響をもたらす効果があるということもいわれております。
ぜひとも昨年のご答弁では、都立病院では禁煙外来を既に設置しているのは大塚病院、そして公社病院では荏原病院と豊島病院ということでございましたけれど、引き続き、他の病院につきましても禁煙外来の設置を推進していただきたいということを強く要望いたしまして、私の発言を終わらせていただきます。
○斉藤(や)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、予算案、報告事項及び請願に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時九分散会
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