委員長 | 斉藤やすひろ君 |
副委員長 | 菅原 直志君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
理事 | 小林 健二君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 木下ふみこ君 |
後藤 なみ君 | |
斉藤れいな君 | |
藤田りょうこ君 | |
伊藤こういち君 | |
たきぐち学君 | |
岡本こうき君 | |
大場やすのぶ君 | |
小宮あんり君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 内藤 淳君 |
次長 | 松川 桂子君 | |
技監 | 矢内真理子君 | |
理事 | 後藤 啓志君 | |
総務部長 | 雲田 孝司君 | |
指導監査部長 | 本多由紀子君 | |
医療政策部長 | 矢沢 知子君 | |
保健政策部長 | 成田 友代君 | |
高齢社会対策部長 | 村田 由佳君 | |
少子社会対策部長 | 谷田 治君 | |
障害者施策推進部長 | 松山 祐一君 | |
健康安全部長 | 高橋 博則君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長高齢者施策推進担当部長兼務 | 奈良部瑞枝君 | |
事業推進担当部長 | 池上 晶子君 | |
医療改革推進担当部長 | 田中 敦子君 | |
医療政策担当部長 | 櫻井 幸枝君 | |
地域保健担当部長 | 上田 貴之君 | |
事業調整担当部長生活福祉部長事務取扱 | 藤井麻里子君 | |
子供・子育て施策推進担当部長 | 遠藤 善也君 | |
障害者医療担当部長 | 石黒 雅浩君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 花本 由紀君 | |
感染症危機管理担当部長 | 吉田 道彦君 |
本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)
○斉藤(や)委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、このたびの令和元年台風第十九号により被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
ここにお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと思います。
皆さん、ご起立を願います。
黙祷。
〔全員起立、黙祷〕
○斉藤(や)委員長 黙祷を終わります。ご着席ください。
○斉藤(や)委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
坂本生活福祉部長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○雲田総務部長 十月十日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の厚生委員会要求資料をごらんください。
資料は、目次にございますように、全部で十三項目となっております。
それでは、一ページをお開き願います。1、国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、二ページにかけまして、国民健康保険の加入世帯数などの推移を、区市町村ごとに平成二十九年度から令和元年度にわたり記載してございます。
三ページをごらんください。2、国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、四ページにかけまして、基礎賦課と後期高齢者支援金等のそれぞれの所得割、資産割、均等割及び平等割の推移を、区市町村ごとに平成二十八年度から令和元年度にわたり記載してございます。
五ページをごらんください。3、国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、国民健康保険料、税の減免件数の推移を、区市町村ごとに平成二十八年度から三十年度にわたり記載してございます。
六ページをお開き願います。4、国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、国民健康保険の一部負担金減免件数の推移を、区市町村ごとに平成二十八年度から三十年度にわたり記載してございます。
七ページをごらんください。5、国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、国民健康保険料、税の賦課対象世帯数、滞納世帯数及び収納率の推移を、区市町村ごとに平成二十六年度から三十年度にわたり記載してございます。
八ページをお開き願います。6、国民健康保険料(税)の滞納に対する新規の差押件数、差押額及び差押物件の内訳の推移といたしまして、区市町村ごとの新規差し押さえ件数及び差し押さえ額につきまして九ページにかけて(1)に、新規差し押さえ物件の内訳につきまして一〇ページの(2)に、それぞれ平成二十八年度から三十年度にわたり記載してございます。
一一ページをごらんください。7、国民健康保険への東京都支出額の推移といたしまして、(1)、特別区及び(2)、市町村に分けまして、国民健康保険への都の支出額の推移を、平成二十五年度から二十九年度にわたり記載してございます。
一二ページをお開き願います。8、特別養護老人ホームへの入所申込者数の推移といたしまして、一四ページにかけまして、厚生労働省が全国調査を行いました平成二十一年度、二十五年度及び二十八年度の区市町村ごとの特別養護老人ホームへの入所申込者数を記載してございます。
一五ページをごらんください。9、認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、区市町村ごとの認可保育所の定員並びに年齢別の入所児童数及び待機児童数につきまして、一五ページの(1)に平成二十九年十月一日現在、一六ページの(2)に平成三十年四月一日現在、一七ページの(3)に平成三十年十月一日現在、そして、一八ページの(4)に平成三十一年四月一日現在のものを記載してございます。
一九ページをごらんください。10、認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、職員の平均経験年数別の認可保育所数の推移を、平成二十六年度から三十年度にわたり記載してございます。
二〇ページをお開き願います。11、認可保育所における設置主体別、職員の平均経験年数別施設数(平成三十年度)といたしまして、設置主体ごとに平成三十一年三月三十一日現在における職員の平均経験年数別の認可保育所数を記載してございます。
二一ページをごらんください。12、重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、平成二十八年度から令和元年度までの都立の各施設における看護師の定数及び現員の推移を(1)に、平成二十八年度から令和元年度第一・四半期までの一日当たり利用件数など短期入所の運用状況の推移を(2)に、平成二十七年度から三十年度までの入所待機の状況を(3)に、それぞれ記載してございます。
二二ページをお開き願います。13、社会福祉施設等及び病院の耐震化状況といたしまして、社会福祉施設等につきまして、平成二十九年三月三十一日現在の耐震済みの棟数を(1)に、病院につきまして、平成三十年九月一日現在の耐震化の状況を(2)に、それぞれ記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤(や)委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○たきぐち委員 それでは、私から、福祉保健局にかかわる防災対策について伺いたいと思います。
冒頭、黙祷をささげましたけれども、十月十二日に関東に上陸した台風十九号は、全国で八十名を超える犠牲者を出しました。さらに、先週金曜日、二十五日には、台風二十一号に伴う記録的な大雨で十名が犠牲となり、相次ぐ河川の氾濫等で、今なお三千人を超える被災者が避難生活を送っている状況です。
都内におきましても、あきる野市で、いまだ一カ所、避難所が残っており、五世帯から十世帯の方が避難している状況を、我が会派の清水議員からも聞いているところであります。
台風十九号では、東京都が十九年ぶりに災害対策本部を設置して対応に当たり、七区十七市三町一村で災害救助法が適用されたと思います。また、東京都災害情報システム、DISによる集計では、十三区市町村でレベルフォーの避難指示を発令したほか、その前段の避難勧告は三十二区市町村、レベル三の避難準備情報は十六区市町村で発令され、その対象世帯数は百三十四万世帯余、対象人数は二百五十四万世帯を超えたと見られます。
過去最大級の台風が接近をすると報道される中で、各自治体とも従前とは異なる対応に迫られ、多くの課題と教訓を残したのではないかと考えております。
私自身、八年前の東日本大震災の後、何度も被災地を訪問いたしまして、避難所の支援等にも携わりました。地域の中では消防団の一員として活動する中で、昨年は、台風接近に伴う水防第二非常配備態勢が二回発令されるなど、昨今の風水害に対する脅威というものを強く感じているところであります。昨年の西日本豪雨におきましては、倉敷市の真備町でボランティアの作業を行って、現場を見てまいりました。
今回の台風十九号でも、昨年の台風二十一号以来の水防第三非常配備態勢が発令される中で、警戒指示のもと、私自身も大きな不安を感じながら、避難所の状況等について随時確認をしながら対応に当たってまいりました。
そこでまず、避難所対策について伺いたいと思います。
東京都地域防災計画の風水害編、これは平成二十六年に修正をされたものでありますが、避難勧告、避難指示が発令された段階で、先ほど申し上げた東京都災害情報システム、DISによって、福祉保健局が避難所の開設状況を把握すると同時に、その後の支援準備に向けた情報を把握することになっております。
今回の対応への評価と浮き彫りになった課題について伺います。
○谷田少子社会対策部長 今回の台風十九号への対応といたしまして、都では、災害情報システム等により、区市町村の避難所の開設状況の把握を随時適切に行ったところでございます。
一方、区市町村の避難所は、一部地域を除きまして一晩で閉鎖されたため、避難生活の長期化への対応など、その後の支援準備に向けた情報の把握までは行わなかったところでございます。
そうした点で、今回の対応につきましての課題はなかったと考えておりますが、区市町村によるシステム入力がない場合もあったことなどから、今後、入力の徹底などについて区市町村へ働きかけてまいります。
○たきぐち委員 都が公表している避難所の開設状況を見ますと、十三日日曜日、午前五時の段階で、避難所が一千六十カ所、八万三百九十七人が避難しているとされています。
しかし、避難所、避難者数とも記載のない自治体があると同時に、数値が必ずしも正確ではない、恐らく更新をされていないんだということだと思いますが、今後システムの入力を徹底していくということでありますけれども、DISの活用そのものが地域防災計画における手順を共有しているにすぎないため、今回さまざまな現場対応に追われて入力作業が区市町村が困難だったのか、そもそも都への報告を重要視していなかったのかについても確認する必要があるのかと思います。
同時に、都として集約した情報を、その情報を集約して何の準備に生かしていくのかということについても考え方を整理して、区市町村に伝えていくということが必要だと考えております。
今回、随時適切に対応されたということでありましたが、改めて検証を求めておきたいと思います。
避難所には、学校の体育館などの一次避難所と、高齢者や障害者、乳幼児など、配慮が必要な人を受け入れる二次避難所があります。二次避難所は福祉避難所ともいわれ、各区市町村では、特別養護老人ホームや保育園、また都立施設である特別支援学校などと協定を結んで福祉避難所に指定をしておりますが、多様な支援ニーズに対応するためには、少しでも多くの福祉避難所を確保する必要があると思います。
そこで、福祉保健局の所管施設では、どのような施設が福祉避難所になっているのか伺います。
○雲田総務部長 福祉保健局の所管施設では、障害者の入所施設である八王子福祉園、東村山福祉園、七生福祉園が、それぞれ八王子市、東村山市、日野市からの求めにより福祉避難所となっております。
○たきぐち委員 八王子と東村山、七生の三施設ということでございます。今回の台風十九号では、福祉避難所としては開設されなかったと聞いております。
また、福祉保健局では、所管施設を福祉避難所として提供する以外にも、要配慮者対策統括部として、区市町村の要配慮者対策担当部門及び近隣県市等との連絡調整を図ることになっています。
要配慮者、すなわち高齢者、障害者、難病患者、乳幼児、妊産婦等に対しては、より具体的な想定のもと、区市町村や関係機関との連携強化を図るべきと考えますが、今回の対応を含めて見解を伺います。
○雲田総務部長 都は、東京都社会福祉協議会や職能団体等と、災害時の職員派遣に関するネットワークを構築しておりまして、区市町村からの要請に基づき、社会福祉施設や福祉避難所へ要配慮者をケアする専門職を派遣することとしております。
今回の台風第十九号におきましても、避難所の開設状況を把握いたしますとともに、区市町村とも連携しながら、高齢者、障害者、子供等に関する施設の被災状況の確認を適宜行いました。
また、土砂災害で孤立した集落にある特別養護老人ホームにつきましては、現地に連絡員を派遣した東京都社会福祉協議会と随時連絡をとりまして、状況の把握を行ったところでございます。
この台風による災害では、区市町村から専門職の派遣要請はございませんでしたが、災害時に適切な対応が可能となるよう、今般の一連の風水害も踏まえまして、引き続き区市町村の福祉保健、防災担当者向けの研修やネットワークを構成する団体との訓練などに取り組んでまいります。
○たきぐち委員 ネットワークを構築して、今回対応に当たられ、さまざまな被災状況の確認を行ったということでございました。
地域防災計画の中に要配慮者対策統括部を設置するという記載がありましたので、今回、言及をしたところでありますけれども、今ご答弁がありましたとおり、ネットワーク、正式には東京都災害福祉広域支援ネットワークのことかと思いますけれども、このネットワークがその役割を果たしていくべきものと認識をいたしました。
このネットワークにおきましては、発災後において情報集約と情報共有を図り、介護福祉士など福祉専門職の応援の派遣、東京都災害福祉広域調整センターの設置による広域調整を実施するということになっておりますが、今回は派遣の準備にとどまって、広域調整センター設置にも至らなかったということかと思います。
今回、全国的に見ますと、福祉避難所の仕組みが機能しなかったという事例も報告されております。ネットワークを十分に機能させるための研修、そして訓練につきましては、風水害を現実的な想定として取り組みを進めていただきたいと思います。
今回、都立施設で避難所として開設をされたのは、東京武道館と世田谷市場、さらに都立高校七校と聞いております。
地域防災計画では、福祉保健局の役割として、都立施設について、状況に応じ、地域の二次避難所としての役割を果たせるように連絡調整するとしておりますが、武道館や市場、高校は、いずれも一次避難所としての開設と聞いておりまして、同時に、先ほどご答弁がありましたとおり、福祉保健局が所管するのは三施設のみということを考えると、その他の都立施設を含めて、福祉保健局がこの調整役を果たしていくべきなのか、その役割についても、改めて今後の検討課題かなというふうに感じているところであります。
さらに、地域防災計画震災編と風水害編、今回改めて確認をさせていただきましたが、これまでは大震災に備えた取り組みに重点が置かれていたんだろうと思います。しかし、今回の大型台風で明らかになったのは、震災と風水害では、避難所の開設の手順であったり、運営のあり方、避難誘導のタイミング、手法等々、大きく異なると同時に、区民、市民にとっては、震災や風水害の別なく避難所は避難所であって、その認識の差が大なり小なり、それぞれの区市町村で混乱を生むことにもつながったのではないかと推察をしております。
避難所の把握については福祉保健局の役割ということで、改めて地域防災計画を確認して思ったところでありますけれども、まさに震災と異なって風水害というのは、迫りくる台風、風水害の中で、風雨の中で、区市町村との情報共有を図りながら迅速な対応が求められると想定するならば、総合防災部があって、こうした総合防災部でトータルの視点で対応していくことで、より適切な対応が可能になるのではないかなというふうにも感じているところでございます。
現在の地域防災計画の中で福祉保健局に与えられた役割、これを確認しながら、今回についても、当然、総合防災部と連携を図りながら対応をとられたということでありますけれども、この風水害という大きな災害を想定したこれからのあり方について、私も私なりに頭の整理をしていきたいと思いますので、その点、申し述べさせていただきたいと思います。
今回の台風十九号におきましては、先ほど申し上げたとおり、八万人以上が避難をしたわけでありますけれども、ペットの同行避難について、その対応に課題があったと聞いております。
環境省の災害時におけるペットの救護対策ガイドラインでは、避難所におけるペットの受け入れについては同行避難を原則として定めており、都内においても、多くの自治体がガイドラインを策定していると認識をしております。正確な数字ではありませんが、四十九区市のうち、少なくとも四十六の区市では、ガイドラインを策定しているんだと思われますが、全避難所、あるいは一部避難所で同行避難を可能としております。
しかし、今回のこの台風十九号の対応においては、ペットの同行避難について、各区市町村で対応が異なって、同行避難ができない避難所もあったと聞いております。
また、同行避難は可能であったんだけれども、現場の職員まで徹底をされておらず帰されたり、あるいは同行避難と同伴避難の違いの認識不足によってケージに入れずに避難所に連れてきたり、あるいはガイドラインがなくて、基本的に認められていないんだけれども、現場判断で受け入れられたりと、さまざま各区市町村によっての対応で、多少なりとも混乱が生じるお話を幾つも伺いました。
一方で、同行避難というのができるということを知らずに、自分は犬と心中するんだというようなご高齢者もいたというようなお話も伺いました。
ペットの同行避難については、震災だけではなくて、今回のような風水害に対しての想定も重要であると考えます。東京都は、避難所を設置する区市町村から台風十九号で明らかになった課題等の情報を収集するなど、区市町村への支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○高橋健康安全部長 都は、飼い主に対しまして、災害時における日ごろからの備えを啓発いたしますとともに、避難所の運営主体である区市町村に対しては、同行避難動物の受け入れ体制の整備について支援を行ってございます。
お話のように、今回の台風十九号の際には、避難所での受け入れ体制がさまざまであったことから、風水害におけるペットの同行避難につきましての課題が改めて認識されたところでございます。
こうしたことを踏まえて、今後、近年の風水害発生時における各地の対応状況や課題について調査いたしますとともに、専門家からもご助言をいただきながら、風水害時における動物救護対策について検討し、区市町村に情報提供を行うなど、体制整備を支援してまいります。
○たきぐち委員 風水害による避難の場合、人とペットとのエリアを分けることが物理的に困難な避難所も多いということも考えられます。
第一義的には区市町村で対応を検討すべき課題であると考えますが、例えば大型犬の対応であったり、周知の方法であったり、各自治体における対策、事例を共有すると同時に、都として取り組むべきことがないか、例えば都立施設の活用等々、さまざまな観点から検討していただきたいと思います。
今、専門家からの助言ももらいながら、今後、情報提供、体制整備を支援していくというご答弁でしたので、ぜひとも、次のいつ起きるかわからない災害のときに万全の体制で臨まれるような支援をよろしくお願いをしたいと思います。
次に、備蓄、輸送体制について伺います。
東京都地域防災計画震災編は令和元年に修正をされましたが、首都直下型地震等による東京の被害想定として見込まれている約二百二十万人の避難所生活者に対して、都は、区市町村と連携して、発災後三日分の物資を確保するとしています。
現在の備蓄状況及び品目、量についての考え方について伺います。
○藤井事業調整担当部長 東京都地域防災計画では、備蓄物資について、発災後三日間は原則として地域内備蓄で対応するものとしておりまして、区市町村は避難所やその近隣で備蓄を行うとともに、都は広域的な見地から区市町村を補完するため備蓄を行っております。
平成三十一年四月一日現在の都内の備蓄状況は、アルファ化米やクラッカーなどの食料を約二千六百八十九万食、ランニングストック方式によるカップ麺を二百二十万食、生活必需品として、毛布を約三百四万枚、敷物を約二百六十二万枚、紙おむつを約二百九十六万枚、生理用品を約五百五十七万枚などとなっており、必要数を充足しているところです。
このうち、食料の品目につきましては、当初は乾パンだけでございましたが、これまで順次品目の見直しを行い、現在は、食物アレルギーに対応した米粉クッキーや要配慮者に対応した白がゆも導入しているところです。
都の備蓄先は、都が設置する二十カ所、区市町村が設置する七百五カ所の備蓄倉庫のほか、ランニングストックとして確保しております即席麺については、近県に所在する五カ所の倉庫となっております。
○たきぐち委員 三日分という備蓄目標に対して、今お答えいただいたそれぞれの品目の備蓄量を換算しますと、敷物で三・五七日、食料、毛布は四日強、紙おむつ、生理用品は七日弱という計算にそれぞれなりまして、目標とする量は、今ご答弁があったとおり、確保できていると認識をしております。
品目につきましても、昨今ご要望の強いアレルギー対応であったり、要配慮者への対応食品など、順次見直しを行っているという状況でございました。
今回の台風十九号において、こうした物資について、区市町村への提供はなされたのでしょうか。経緯、輸送状況も含めて伺います。
○藤井事業調整担当部長 都は、令和元年十月十二日、日野市からの要請を受けまして、都が備蓄する毛布六千枚を多摩広域防災倉庫から搬出しまして、同市が手配したマイクロバスによりまして避難所に同日搬送いたしました。
また、同年十月十三日、日の出町からの要請を受け、一般社団法人東京都トラック協会との連携によりまして、白米、白がゆ、クラッカー等の都が備蓄する食料を多摩広域防災倉庫から日の出町へ翌日搬送いたしました。
また、区市町村の避難所等では、都が区市町村の倉庫に寄託し、備蓄している毛布などが有効活用されたところです。
○たきぐち委員 日野市、そして日の出町から要請を受けて、毛布及び備蓄食料を搬送したということでありました。
地域防災計画においては、区市町村が被災によって物資調達が不能となった場合に、要請を待たずに支援をする、いわゆるプッシュ型支援を行うとあります。
状況に応じて、現地のニーズを的確に把握をし、迅速な支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○藤井事業調整担当部長 被災者への都備蓄物資の提供に当たりましては、区市町村からの要請を原則としておりますが、区市町村の被災状況から緊急性が高いと認められるときは、必要な物資の供給、いわゆるプッシュ型支援を行うこととしております。
都は発災時におきまして、物資の調達、保管、搬送など、物資対策全般を一体的に運用するために、物資・輸送調整チームを都災害対策本部の下に設置し、関係者間で必要な情報共有や調整を行い、迅速に被災地の要望を把握しまして物資を提供できるよう対策を講じることとしております。
○たきぐち委員 国の方では、東日本大震災で物資が被災者に十分に行き届かなかったということを踏まえて、被災した自治体からの要請を待たずに、必要不可欠と見込まれる物資を緊急輸送するプッシュ型支援に切りかえて、熊本地震で実施されたというふうに認識をしております。これは大変有効であったと同時に、ミスマッチという課題も残ったということも指摘されているところかと思います。
都としては、今ご答弁がありましたとおり、原則として区市町村からの要請ということでした。ただ、緊急性が高いと認められたときには、プッシュ型の支援を行うということでした。現地でのニーズをしっかり把握をするというのは、なかなか大変難しいことではありますけれども、ぜひ必要な物資を提供できる体制を構築していただきたいというふうに思います。
今回、日野市については、多摩広域防災倉庫から、十二日土曜日の夕方五時ごろに三千枚、夜九時ごろに三千枚、これは都のホームページにも載っておりますけれども、マイクロバスに積み込んで搬送したということでありました。まさに暴風雨の中での作業だったのではないかなと想像するところです。
これまでは、大震災による発災後の被災地における避難所への支援が主な想定だったと考えられますが、今後は、今回のような風水害等による避難場所への支援、雨天での作業等、さまざまな場面を想定し、作業効率を高めるための体制整備が求められるんだろうと思います。
倉庫において、備蓄品を円滑に積み込むためのパレット化や毛布等のリパック、あるいはハンドリフトの配備等々、運用面での改善を計画的かつ早急に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○藤井事業調整担当部長 都は現在、物流事業者など関係機関からの意見も踏まえまして、十一カ所の備蓄倉庫に四十八台のハンドリフトを配備するとともに、パレットを利用した保管方法へ順次変更しているところです。
食料につきましては、賞味期限に合わせてパレット積みに変更し、現在は全量がパレットを利用した保管となっております。
こん包が古いなどの課題があった毛布及びカーペットにつきましては、今年度、約七万枚と約四十万枚をそれぞれ再こん包いたしましてパレット積みを行うことで、実施率がともに五割超となる見込みでございます。
○たきぐち委員 パレット化、そしてハンドリフトの配備等々を進めていただいているかと思います。
毛布、カーペットについては、私も、白鬚の東倉庫、これは二十カ所の備蓄倉庫の中で最大の倉庫でありますが、ことし二月に見させていただきました。先日は南千住の倉庫も見させていただいて、パレット化の現状であったり、あるいはハンドリフトの配備等々、確認をさせていただきました。
賞味期限のある食料品については全てパレット化が完了しているということでありましたけれども、残りの毛布、カーペット、これは今年度、五割超の実施率になるという、今、計画的に進めているという話がありました。
この毛布について、私も見ましたけれども、段ボールに東京都民生局とか東京都福祉局という印字がされているんですね。まさに年期物だなということを感じたところでありますが、今回、リパックを進めるに当たって、この毛布については、決してこれは、食料とは違うので、使えるものは、十分使えるということで、今リパックをされているということでありました。
先ほど申し上げたとおり、雨天時での作業等々、こういったときには、作業の迅速性、そして安全性を確保しながら作業を進めていかなければいけないということだと思いますので、ぜひとも、もちろん、いろいろな課題、そして段取りがあろうかと思いますけれども、リパックについても進めていただいて、そして、毛布、カーペットについてもいまだにすのこが利用されているので、パレット化を進めていただきたいと、これは要望しておきたいというふうに思います。
あわせて、区市町村の七百五カ所を寄託倉庫としていることから、この各倉庫については、もちろん区市町村の管理ということになろうかと思いますけれども、安全性や作業効率性も含めて、都の方でもいろいろと確認をしながら、物資については、これは寄託をしているわけですから、確認をしていく対応を求めておきたいというふうに思います。
次に、乳幼児に対しての対応を伺います。
乳幼児に対しては、発災後三日間は区市町村、その後の四日間を都が備蓄するとしておりまして、哺乳瓶、調製粉乳、いわゆる粉ミルクを備蓄しているところかと思います。
地域防災計画の修正において、乳児用液体ミルクの調達、提供が新たに盛り込まれたところであります。
既に本会議や委員会等々でもさまざまな議論がなされているところでありますが、都は、区市町村への導入の支援を始めたところかと思いますが、いつ大きな災害が起きるかわからない中で、都として備蓄に向けた取り組みを早急に行うべきと考えますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、災害時に乳児用液体ミルクを海外から緊急に調達できるようイオン株式会社と締結しておりました協定を、本年三月には、国内からも調達できるよう改定したところでございます。また、他の民間事業者とも協定を締結するなど、重層的な体制を整えております。
備蓄につきましては、賞味期限が粉ミルクよりも短いことや、賞味期限が迫った備蓄品を適切に活用する方策等の課題を踏まえまして検討をしております。
○たきぐち委員 先ほど来、台風十九号の話をしておりますが、ことしは、九月には台風十五号で千葉県を中心に甚大な被害が発生をいたしました。こうした大型台風が相次ぐ中で、被災地において、乳児用液体ミルクの活用が進んでいるという報道も目にいたします。
三重県では、都道府県で初めて乳児用液体ミルクの備蓄を開始したということであります。もちろん都においては、備蓄すべき量等々、あるいはコストも含めて、さまざま検討が必要かと思いますし、粉ミルクとのバランス等々にも配慮をしなければいけない、そういった課題もあろうかと思いますが、こういったクリアすべき課題をしっかりとクリアしながら、ぜひ検討を加速させていただきたいとお願いをいたします。
賞味期限が切れる食料備蓄品については、その活用が従前より指摘をされているところでありまして、平成二十八年度には、食品ロス削減に向けたモデル事業も実施をされました。環境局は、今年度中に、都や区市町村の食料備蓄品の在庫状況を把握して、NPO団体など、必要な団体とマッチングする仕組みを導入するとしています。
福祉保健局として、備蓄品の提供、補充、賞味期限の情報管理等を適切に行うための体制整備に努め、食品ロス削減に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○藤井事業調整担当部長 災害救助用食料の賞味期限は五年でございますが、これまでも在庫量や賞味期限の情報を適切に管理し、運用してきたところです。
賞味期限切れ間近の食料につきましては、福祉保健局災害救助用食料の寄附基準に基づきまして、区市町村などで実施する防災訓練などにおいて都民の防災意識の啓発のために使用し、有効活用することに努めております。
現在は、前述の取り組みに加えまして、社会福祉施設やフードバンク等への寄附により活用を図ることによりまして有効活用を行っているところです。
○たきぐち委員 福祉保健局として、在庫量や賞味期限をしっかりと管理をしているということでありました。
これまで、東日本大震災や平成二十五年の二十六号台風--これは大島で甚大な被害が発生した台風でありますが、また熊本地震であったり、北海道胆振東部地震等々、都内の避難者以外にも、この物資を活用してきた実績も確認しているところでございますし、その都度、その補充も行っているところかと思います。
都として備蓄している食料は九百五十万食で、このうち毎年約百五十万食を入れかえているというのが実態だと伺っておりますが、今回、これは環境局の事業でありますけれども、環境局が取り組むマッチングシステムだけでは、この百五十万食というのは活用し切れないというところも推測をするところでありますけれども、こうした新たな事業と局横断的に連携を図りながら、引き続き有効活用に努めていただきたいと思います。
冒頭申し上げたとおり、今回、十九年ぶりに東京都で対策本部が設置をされて対応に当たった、この教訓というのか経験、これを次に生かすべく、また、浮き彫りになった課題を、ぜひともこれを解決するべく取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
聴覚障害者への支援について伺います。
先ほど来、災害対策について質疑を行ってまいりましたけれども、聴覚障害者にとっても、災害時における意思疎通等のための手段確保は大きな課題であります。
昨年、私の地元荒川区では手話言語条例が制定され、その中に災害時における対応についての規定があり、福島県郡山市や埼玉県の坂戸市でも同様の規定があるところでございます。現在、手話言語条例は、二十七道府県、都内七区を含む二百八十五自治体で制定をされております。
都民ファーストとしてもこれまで、本会議、予算委員会において、障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例とは別条例として、手話の言語化だけではなくて、さまざまなコミュニケーション手段の規定などを定めるべきと主張してまいりましたが、改めて都の見解を伺います。
○松山障害者施策推進部長 情報を得ることが困難な障害者が安全・安心に暮らし、社会参加できるようにするためには、多様な情報提供手段により、障害者への情報保障を推進することが重要でございます。
都は、障害者差別解消条例において、共生社会実現のための基本的な施策に情報保障の推進を位置づけ、手話、筆談、点字、拡大文字など、障害特性に応じた多様な情報提供の手段が普及するよう必要な施策を講ずること、また、手話は一つの言語であることの認識に基づき、その利用が普及するよう必要な施策を講ずることを規定しております。
具体的には、手話通訳者や要約筆記者の養成事業や、ICTを活用した遠隔手話通訳事業などに取り組んでおります。
○たきぐち委員 先日、東京都聴覚障害者大会に出席をいたしまして、松山部長もそこに出席をされたかと思います。
情報保障、情報バリアフリーを進めることが求められているかと思いますが、今ご答弁がありましたICT遠隔手話通訳等事業については、聴覚障害者のニーズを把握し、利便性を高める取り組みが必要だと考えますが、見解を伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、都庁における聴覚障害者の情報保障を推進するため、平成二十八年度から二年間、聴覚障害者の利用が予想される心身障害者福祉センターなど六カ所にタブレット端末を設置し、コールセンターに待機している手話通訳者がタブレット端末の画面越しに手話通訳を行うモデル事業を実施いたしました。
平成三十年度からは、より柔軟にサービス提供ができるよう、タブレット端末を都庁内の各部署に貸し出す方式に変更し、イベントや窓口で聴覚障害者との意思疎通支援に遠隔手話通訳を活用しております。
さらに、この事業を推進するためには、都庁内で理解を深めることが必要であることから、都職員向けの説明会を開催するとともに、チラシ、動画及び専用ホームページを作成し、都庁内への普及啓発を図っております。
○たきぐち委員 二年間のモデル事業を終えて、昨年度から都庁内での貸出方式を実施しているということでありました。年間四十件程度の利用があると聞いております。
遠隔手話通訳など、ICTを活用したツールは非常に便利であるものの、認知度は不足していると思われることから、聴覚障害者への普及啓発に、さらに努めていただきたいと思います。
次に、障害者の就労支援について伺います。
障害者の就労は、障害者の自立、社会参加のための重要な柱であって、障害者の適性に応じた就労を実現する環境を整備していくことが求められております。
先日、我が会派の有志で、グループ企業の特例子会社として障害者雇用を行っている企業を視察いたしました。
この会社は、四十六名の障害者のうち半数が知的障害者で、次いで精神、そして身体となっているのが特徴で、データ入力やファイリングなどの事務補助を初め、毎朝の清掃、拠点への出向清掃、外部企業からの通信機器のクリーニング等々に取り組む様子を拝見させていただきました。
七名ほどのジョブコーチがいらっしゃいまして、業務遂行支援や相談に携わっているわけでありますが、責任者の方は、雇用した後にいかに定着をさせていくのか、そのための働きがいを持てる環境をいかに整備できるかというところに、もっと施策のウエートが置かれなければならないということを強くおっしゃっていました。
障害者雇用・就労推進連携プログラム二〇一九においても、データとして雇用率や雇用者数の数字はありますけれども、定着率や離職者数の数字はありません。
厚労省のデータによりますと、就労系障害福祉サービスから一般就労への移行は、平成十五年の千二百八十人から約十年、平成二十九年に一万四千八百四十五人と十一・五倍に増加しておりますけれども、就労するだけではなくて、いかに定着につなげるかが重要であろうかと思います。
特に、精神障害者の就労定着率については、例えば、京都ではSPIS、川崎ではK-STEPなどの就労定着支援ツールを活用して成果を上げていると聞いております。
東京都においても、精神障害者の就労定着率アップに向けて施策を推進すべきと考えますが、定着率に対する現状と、さらなる取り組みについて伺います。
○松山障害者施策推進部長 障害者の就労一年後の職場定着率を調べた研究によりますと、精神障害者は約四九%であり、知的障害者の六八%、身体障害者の六一%と比べて定着率が低い状況でございます。
精神障害者が安定して働くためには、病状やストレスをコントロールすることが重要であり、医療機関のかかわりが不可欠でございます。
そこで、都は、就労支援機関や医療機関など、関係機関の連携を促進するため、平成三十年度に精神障害者就労定着連携促進事業を開始いたしました。
この事業では、就労移行支援事業所等の職員が、精神疾患の基礎知識や医療機関との基本的な情報交換スキルを習得するための研修を実施しております。平成三十年度は、二日間の研修を三回実施し、延べ九十人が参加いたしました。
また、都内六カ所ある障害者就業・生活支援センターを中心に、医療機関、就労支援機関、企業等が就労定着支援に関する課題について共有化を図るための連絡会を開催しております。平成三十年度は、計二十六回開催し、延べ二千百四十五人が参加いたしました。
さらに、モデル事業として、就労定着支援への理解を深めるための講座等を、医療機関スタッフ向けと医療機関に通院する当事者向けにそれぞれ実施するとともに、企業等の意見を取り入れた精神障害者の就労支援に関する連携プログラムの作成に取り組んでおります。
○たきぐち委員 精神障害者が、知的、身体と比べると、やはり定着率が低いという数字も、ただいまご説明がありました。連携促進事業、あるいは連携プログラムの作成に取り組まれているということ、さまざま取り組まれていると今ご説明がありましたので、就労はもちろんのこと、しっかりと定着をしていくような取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
障害者が地域で自立して生活していくためには、障害者の能力や適性を生かして働くことができる場が必要です。現在、一般就労が困難な障害者が働く福祉施設である就労継続支援B型事業所で多くの障害者が働いておられます。しかし、これらの施設における東京都の平均工賃は、平成二十九年度で月額一万五千七百五十二円と聞いておりまして、年々上昇傾向にあるかと思いますが、その水準は決して高いとはいえません。
そこで、都は、工賃アップにどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、平成三十年六月に、福祉施設における工賃向上のための具体的な支援策を示すため、平成三十年度から令和二年度までの三カ年を計画期間とする工賃向上計画を策定いたしました。
この計画のもと、都は、工賃アップセミナーを実施し、施設職員の経営意識を高める基礎研修に加え、それぞれの事業所の課題を解決するため、個別の相談会や中小企業診断士等の専門家による施設への派遣を行うなど、施設が工賃向上に具体的に取り組めるよう支援しております。
また、生産性向上や受注機会の拡大を目的として、福祉施設が導入する生産設備の整備に対する補助を行っています。
さらに、都において、共同受注窓口を設置し大口の作業案件を受注するなど、受注促進に取り組んでおります。
こうした取り組みを通じて、今後とも工賃の向上を目指す福祉施設の取り組みを支援してまいります。
○たきぐち委員 就労継続支援B型の工賃は作業場の投資額に比例するとして、コチョウランの栽培に取り組んで、工賃三万円から十万円を実現している経営者もいるというふうに聞いております。
さまざまな成功事例も共有しながら、それぞれ各福祉施設の実情に応じた支援をお願いし、工賃アップに結びつくように取り組んでいただきたいと思います。
最後に、都立療育センターについて伺います。
厚生労働省の平成二十九年度特別支援学校等の医療的ケアに関する調査結果についてによると、公立の特別支援学校で日常的に医療的ケアが必要な幼児、児童生徒数は八千二百十八名であり、平成十八年度の五千九百一名から増加傾向にあります。同調査で、公立の小中学校では八百五十八名です。特別支援学校の整備やインクルーシブ教育も調査検討して拡充傾向にあります。こうしたことから、卒業後の生活支援については、拡充することが必要になってくると考えます。
こうした状況の中で、都立の療育センターの入所と通所状況について伺います。
○松山障害者施策推進部長 都立の重症心身障害児者の入所施設は四カ所あり、その入所定員の合計は四百五十六名でございます。
また、通所については、入所を行っている四カ所に加え、三カ所の分園で実施しており、七カ所の通所定員の合計数は二百名、平成三十年度末の登録者数は二百五十五名となっております。
○たきぐち委員 東部療育センターでは、通所定員三十五名でありますけれども、登録者数は平成三十年度末で六十三名ということです。通所登録者数は年々増加をいたしますし、来年度もまた特別支援学校などの卒業生が登録することが予測されるところです。
通所におきましては、これまでの利用日数を、四日のところを三日、三日のところを二日になど、利用者の日数を少しずつ減らして新規登録者の利用を組み入れている状況もあるやに聞いております。
例えば、土曜日の開所など受け入れを拡充することで利用日数を減らさないようにするための取り組みを求める声もありますけれども、重症心身障害児者のための通所施設を整備する必要があると考えますが、見解を伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、重症心身障害児者が身近な地域で安心して生活できるよう重症心身障害児者通所施設の整備を進めており、平成三十年度末で六十一施設、定員六百八十七人となっております。
平成三十年三月に策定した障害者・障害児地域生活支援三か年プランでは、平成三十年度から三カ年で定員を百五十人ふやすことを目標に挙げており、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を行うなど、引き続き整備を促進してまいります。
○たきぐち委員 先日の決算特別委員会で我が会派の後藤議員も質問いたしましたけれども、都内重症心身障害児者通所施設数は、平成三十年度末時点で、医療型施設が二十施設、定員四百四十九名、地域施設活用型施設は四十一施設、定員二百三十八名ということでありました。
幾つかの地域活用型の施設を回りましたが、重い医療的ケアが必要な方は少ないという現状もありました。特に呼吸器については、かなり受け入れのハードルが高く、看護師の精神的負担など課題は多いというふうに感じますし、医師が巡回するなど都としての支援を求める声もあります。
こうした状況の中で、重症心身障害児者通所施設で、こうした濃厚な医療的ケアがある方を受け入れるための体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、重症心身障害児者通所事業において、医療的ケアの必要性が高い重症心身障害児者に適切なサービスが提供できるよう、看護職員の配置など都の基準を満たした事業所を対象に、運営費の補助を実施しております。
さらに、民間の医療型施設において、看護師を超重症児等受け入れ促進員として配置し、特に医療ニーズの高い超重症児者、準超重症児者を一定数以上受け入れた場合に支援を行っております。
○たきぐち委員 地域施設活用型では、送迎バスなどの充実に補助を活用している施設もあれば、施設が老朽化しているため施設整備だけで手いっぱいのところもあるやに聞いているところでございます。
今、運営費の補助等々のお話もありましたが、この利用者の方々のさまざまな不安の声も届いているところでございますので、今後の対応、ご支援をお願いいたしまして、質問を終わります。
○伊藤委員 昨年の当厚生委員会福祉保健局の事務事業質疑で、私は、子育て支援、児童虐待防止、障害者支援など、さまざまな質疑をさせていただきましたけれども、本日のこの事務事業質疑につきましては、その中でも、児童相談所の体制強化と、昨年議論を重ねて本年四月に施行となりました東京都子供への虐待の防止等に関する条例に絞って、確認を含め質問させていただきます。
初めに、特別区の児童相談所の設置について質問させていただきます。
平成二十八年に児童福祉法が改正をされまして、特別区も児童相談所を設置できるようになり、東京では幾つかの区において、児童相談所の設置に向けて、人員の配置の準備だとか、あるいはハード面の準備だとか、取り組みが具体化しているところであります。
来年度は、世田谷区、荒川区、そして江戸川区の三区が児童相談所を設置する予定でありますけれども、あと半年後と迫る中、この現在の状況について伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、平成二十九年度から、世田谷区、荒川区、江戸川区と児童相談所設置に係る計画案の確認を行ってまいりました。
特別区が児童相談所を設置する場合、政令で個別に指定を受ける必要がございまして、平成三十一年四月に、三区は計画案を添えて国に政令指定を要請し、八月に、三区を児童相談所設置市に指定する児童福祉法施行令の一部を改正する政令が公布されたところでございます。
世田谷区、江戸川区は令和二年四月、荒川区は七月の開設を予定しておりまして、都は現在、各区と相談事案の引き継ぎ等に係る協議を行っているところでございます。
○伊藤委員 先行の三区については、政令が公布されるなど法的にも着々と進んでいるということでありますけれども、今答弁の中でも、都は現在、各区と相談事案の引き継ぎ等に係る協議を実施しているということでございましたけれども、私が心配していることは、これまでも、例えば都県をまたぐ児童相談所同士、あるいは児童相談所と役所の窓口、あるいは学校、こうした行政間の連携や引き継ぎに問題があって、残念で痛ましい結果となってしまった事案がたびたび発生をしてまいりました。
私は、自治体間の引き継ぎが不十分で、児童が支援のはざまに落ちるようなことがあってはならないと思います。特別区の児相の開設に当たって、絶対に引き継ぎミスが起きないよう、都と区はどのように引き継ぎを行っていくのか伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 子供の安全・安心を確保するために、相談事案の引き継ぎは重要でございます。支援のはざまに陥らないよう、文書や関係資料による説明のほか、都の職員が実施する家庭訪問や面接に区の職員が同席することも必要でございます。
今後、都から各区に引き継ぐ個別の相談事案等については、同行訪問や同席面接等、担当者間で綿密な引き継ぎを実施してまいります。
○伊藤委員 どうか万全な体制で引き継ぎを行っていただきたいと思います。
児童相談所では、ケースによっては、子供を地域から引き離して、施設や、あるいは里親で生活させるなど、専門的、広域的な対応が必要な場合があります。
特別区が新たに児童相談所を立ち上げるに当たって、こうした専門性、広域性という観点から、都と区の連携強化や都から区への支援が必要と考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 児童相談所は虐待や非行、障害相談など、あらゆる相談に対応するとともに、一時保護や施設入所、里親委託等の法的対応、虐待で傷つき情緒的な問題を抱えた子供たちへのケア、親子関係を修復し家庭へ復帰させる取り組みなどを行っており、困難事案に対応できる専門性と施設への広域的入所調整ができる体制が不可欠でございます。
特別区が児童相談所を設置する場合は、児童福祉司や児童心理司などの専門人材を確保、育成することが必要であり、都は、特別区の求めに応じまして、派遣研修職員を受け入れるほか、虐待相談等に関する勉強会を開催するなど人材育成を支援しているところでございます。
都、区がそれぞれ所管する児童養護施設や一時保護所等については、虐待をした保護者からの連れ戻し防止や非行児童の入所施設の分散、感染症の拡大防止などを図るため、広域で利用する予定でございます。
広域利用に当たりましては、都において、施設の入所状況や里親委託に当たっての情報の集約をする方向で検討をしております。
○伊藤委員 都がこれまで積み上げてきた専門的な知識、そしてノウハウなどを、ぜひとも区設置の児童相談所へ伝えて、そしてまた広げていただきたいというふうに思います。また、広域調整につきましては、都は積極的に区にかかわっていただきたいと申し述べておきたいと思います。
児童相談所では、虐待を含む養護相談だけでなく、保健相談、障害相談、非行相談、育成相談など、さまざまな相談事業に当たっているわけであります。そのため、児童福祉司や児童心理司だけでなく、医師や弁護士など、さまざまな専門人材が連携して、子供と家庭の支援を行っております。
児童相談所における専門的支援について、来年度開設する先行三区の専門職の配置予定と都としての支援策について伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 児童相談所におきましては、養護相談、保健相談、障害相談、非行相談、育成相談等、さまざまな相談に対応するため、児童福祉司や児童心理司のほか、医師や弁護士、警察官OB、児童指導員、心理職員、看護師などの多様な専門職を配置しておりまして、三区につきましても同様の専門職を配置する計画となっております。
また、児童相談センターでは、医師や心理職により、虐待による心の傷、不登校、家庭内暴力、低年齢の非行など、情緒的課題を抱える子供等に対しまして、宿泊や通所による治療活動等を実施しておりまして、特別区の児童相談所が対応する家庭につきましても、支援の対象とする方向で検討をしております。
今後とも、子供たちの安全・安心を確保する観点から、特別区の取り組みを支援してまいります。
○伊藤委員 手元に児童相談所のしおり、令和元年度版がありますけれども、この中に相談の種類が一覧になっております。社会一般的には、虐待事件報道等、児童相談所の話題に触れるたびに、児童相談所というのは虐待のことだけをやっていると思っている人たちがたくさんいらっしゃいますけれども、実際には、児相はこれだけ多岐にわたったさまざまな相談事業をやっているわけでございます。
先行三区が先に児童相談所を設置するということでありますけれども、この相談事業を全部やっていくということになると聞いておりますので、その人員配置についてもしっかりと都は支援をしていただきたいなと、このように思います。
児童虐待などへの対応を強化するために、国はこれまで、児童相談所に配置する児童福祉司を、管轄の人口の四万人に対して一人以上であったものが、三年後の二〇二二年度からは三万人に対して一人以上配置するように基準を見直しました。
このことについて、先日の十月二日に開かれた都の児童福祉審議会では、新たな基準では児童福祉司は五百人必要となるため、現在の定数と比べておよそ百九十人不足し、児童心理司は二百五十二人必要で、現在よりおよそ百人不足することが明らかになったとの報道がありました。
都は、児童虐待などへの対応を強化するために、児童福祉司等を着実に増員してきていることは承知をしておりますけれども、先ほど申し上げたように、特別区設置の児童相談所への人材確保を支援しながら、都みずからも国が見直しを行った児童福祉司等の配置基準を充足させなければなりません。
都は、児童福祉司の大幅な増員とともに、専門性の確保も重要と考えますけれども、都の取り組みについて伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、児童福祉司を平成二十八年度に十八名、二十九年度に二十三名、三十年度に三十六名、今年度はさらに二十九名、合計いたしますと百六名、この間増員してまいりました。
児童福祉司には、虐待や非行、障害などさまざまな相談に適切に対応する相談援助技術や個別ケースを総合的に判断するスキルなど高い専門性が求められております。そのため、採用に当たりましては、主に新卒者を採用する採用試験に加えまして、児童福祉に関する職務等で培った専門的な知識や経験を有する人材を一定期間任用する任期つき職員採用制度や、民間経験者を採用するキャリア活用採用制度を活用しているところでございます。
児童福祉司の育成に当たりましては、毎年度策定いたします研修計画に基づき、職員の経験等に応じて幅広い内容の研修を行っておりまして、新任職員には、個別指導を担う児童福祉司OB等が面接への同席や家庭訪問への同行などのOJTを通じて、実務能力の向上に取り組んでおります。
今後とも、国の配置基準も踏まえまして、専門性の確保に留意しながら、児童福祉司の増員を図ってまいります。
○伊藤委員 ぜひ、必要な人数の確保、そして専門性の確保をしていただきたいと、このように思います。
次に、本年四月に施行されました東京都子供への虐待の防止等に関する条例について質問をいたします。
本条例の制定に向けて、議会でもさまざまに議論を重ねた中で、都議会公明党が主張してまいりました保護者による体罰等の禁止や体罰等によらない子育ての推進、そして虐待の早期発見、早期対応、そして警察など関係機関との連携強化等が条例に示されております。
条例施行後、まだ半年ではありますけれども、都の取り組みと現段階での成果について伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、条例の普及啓発のため、ポスター及びリーフレットを作成し、区市町村等関係機関に配布するとともに、子供向けのリーフレットを作成し、都内の小中学校に配布しております。
また、十一月の虐待防止推進月間に向け、子供家庭支援センターや保健所等において、体罰などによらない子育てについて、ハンドブックや動画などを活用し周知をしております。
ハンドブックは、児童福祉司や子供家庭支援センター職員から、子育てに悩む保護者等と面接する際に、子育てに関する助言をするための重要なツールとして活用しやすいなどと聞いております。
また、警察との情報共有について、昨年十月から、リスクが高いと考えられるケースを全て共有するとしたことに加えまして、条例においても、警察との必要な情報共有について明記したことにより、情報提供数は約四倍に増加をいたしました。
さらに、児童相談所における学校、病院、スーパー等関係機関への虐待に係る調査を行う場合にも、以前は調査趣旨の理解に時間を要しておりましたが、条例を添付し趣旨を説明することで協力が得られやすくなったところでございます。
○伊藤委員 私は、昨年の当委員会で、自分自身の前職でありました児童センター指導員時代の経験も踏まえて、体罰の禁止を掲げるだけではなくて、体罰によらない子育てというのがどういうことなのかということを、条例を制定する都が積極的に普及啓発を行わなければならないと訴えさせていただきました。
条例が制定された今、体罰などによらない子育ての推進に向けて、都はより一層、普及啓発に力を入れるべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 体罰などによらない子育ての普及啓発は、一過性のものとして終わらせることなく、区市町村や関係機関とも連携し、息の長い取り組みとして実施し続けることが重要でございます。
今年度、都におきましては、子育て中の方を初め、都民全体に、子育てにおいて絶対にたたいたりどなったりしてはいけないことを周知するため、先ほどお話をいたしましたハンドブックと動画を作成いたしました。
作成に当たりましては、子育て支援の専門家のほか、子育て中の職員、区市町村からも意見をいただきまして、特に、子育て中の親を責めるような内容にすべきではないとの意見が多かったことから、保護者の心に寄り添うメッセージとなるよう工夫したところでございます。
具体的には、体罰はバツ、たたかない、どならない宣言というキャッチフレーズを用いまして、これまでの子育てを批判するのではなく、今から、たたかない、どならない子育てを実践することが何より重要であることを広く都民に呼びかけております。
このキャッチフレーズを盛り込んだハンドブックを保育所、幼稚園、小中高等学校などに配布するとともに、都営地下鉄の車内や産婦人科、小児科などで動画を放映しております。
体罰などによらない子育ての普及啓発を強力に推進するため、都は今後とも、こうしたツールの活用のほか、子供や保護者と直接かかわりを持つ保育所や子育て広場、子供家庭支援センター等の職員を対象とした研修などの取り組みを行ってまいります。
○伊藤委員 今答弁をいただきました。答弁の中で、今からというお話がありました。この、今から、今からでも間に合う、今からでもできる、これが私は大事だと、このように思います。
保護者が体罰、虐待だと思っていなかったことが、実はそれは虐待だったということもありました。保護者が体罰、虐待だとわかっているけれど、自分でブレーキをかけられなかった、こうしたこともありました。こうした方々や社会全体に対して、気づきや、あるいは歯どめとなるさらなる啓発、普及活動を、都は絶え間なく工夫して行っていただきたいと強く求めたいと思います。
全国初の体罰禁止規定を盛り込んだこの東京都の条例、これを実効性のあるものにしなければなりません。ちょうど去年の今ごろは、各マスコミでも東京都が全国初のこの条例を制定するということで、大変な話題になりました。今はどうでしょうか。ちょっと社会全体の目も薄らいでしまっているのではないかという残念なところも私は正直感じます。この条例を実効性あるものにしなければならないと強く思うわけであります。そのためには、条例に示されている事項の一つ一つを、具体的な取り組みとして推進することに意義があるものと考えます。
最後に、東京から児童虐待を根絶するためにも、福祉保健局を中心に全力を挙げて取り組む局長の決意を伺って、質問を終わります。
○内藤福祉保健局長 まずは昨年三月に発生いたしました都内での事案を初めといたしまして、虐待により亡くなられた全てのお子様に対しまして、心よりご冥福をお祈り申し上げたいと存じます。
このたびの条例は、後を絶たない虐待を断固防ぐ、そうした強い決意のもと、都民、議会の皆様、区市町村等からいただいたさまざまな意見を盛り込み、策定いたしました。
委員もご承知のとおり、その策定プロセスを振り返りますと、昨年九月に基本的な考え方を、十一月には条例骨子案を、そして年明け二月には条例案を段階的にお示しし、その間、異例ではございましたが二度のパブコメを行い、議会でのご議論をいただきながら、丹念に検討を重ねてまいりました。
この条例をより一層実効性あるものとするため、体罰によらない子育ての普及啓発の開始、警察との協定の見直しによる連携の強化、子供の安全確認を最優先とするための安全確認行動指針の運用の徹底のほか、都と区市町村、それぞれの強みを生かした新たな連携強化策を検討するオール東京での実務者による検討会を立ち上げ、議論を進めているところでございます。こうした一つ一つの取り組みを着実に積み重ね、社会全体で子供を守ることが何よりも必要であると考えております。
今回の条例を機に、都におきましても、二度とこうした虐待事案が起きないよう、みずからも先頭に立ち、局一丸となって、児童相談所の体制強化や関係機関等との連携を一層進め、まさに東京全体が一つのチームとなって児童虐待防止に向けて全力で取り組んでまいります。
○大場委員 都議会自民党の大場でございます。平成二十四年十二月に都議会議員となりまして、現在三期目でございます。これまで財政委員会、公営企業委員会などに所属してまいりましたが、厚生委員会委員となりましたのは今回が初めてでございまして、新参者でございます。
生まれる前の赤ちゃんからお年寄りまで、あらゆる世代の都民の方々にとりまして大変身近な課題、施策に関して審議いたしますこの厚生委員会、私は、委員としての任期中、都民与党、責任政党である都議会自民党の一員といたしまして、前向きかつ建設的な議論を行って、よりよい都政を実現するために微力ながら貢献していきたいと考えております。
福祉保健局関係でございますと、一昨年の豊洲市場移転のための臨時会におきまして、私、市場衛生検査所の重要性について、当時の梶原局長にご質問させていただきました。都民の食の安全を守るという大切な役割を果たす市場衛生検査所につきまして、機会がございましたら改めてお尋ねしたいと思っております。
本日は事務事業質疑ということで、高齢者対策に項目を絞りまして発言させていただきます。
本委員会委員となりましてから配布されました局の最新の事務事業を読ませていただきました。高齢者対策に関する多くの施策の記載がありました中で、一八二ページの地域包括支援センターについてお伺いしたいと思います。
地域包括支援センターは、一般の方にはそれほどなじみがない方もいらっしゃるのかと思いますが、平成十八年度の介護保険法改正により設置された発足当時から、高齢者やその家族に対する総合相談支援、権利擁護など、大変重要な業務を担っているとのことでございました。
区市町村では現在、介護が必要となっても高齢者が住みなれた地域で暮らし続けられるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援が包括的に確保される体制として地域包括ケアシステムの構築に取り組んでおり、高齢者人口割合が高まる中で、地域の関係機関とのネットワークづくりなど地域包括支援センターの役割への期待も大きくなっていると受けとめております。
私の地元の世田谷区では、区民に親しみやすいように、地域包括支援センターの名称をあんしんすこやかセンターとしてございます。あんしんすこやかセンターは、ことし七月に一カ所ふえまして、現在は区内に二十八カ所設置されております。身近な地域で、高齢者からの相談等にきめ細かく対応するだけでなく、障害のある方や子育て中の方などからの相談も受け付けるなどの取り組みも行われているところでございます。
そこでまず、確認でございますが、都内の地域包括支援センターの設置状況と、その運営上の課題がございましたらお伺いいたします。
○村田高齢社会対策部長 地域包括支援センターは、地域における相談支援や介護予防等の拠点でございまして、平成三十一年四月一日現在、区部で二百八十五カ所、市部で百五十一カ所、町村部で十五カ所の計四百五十一カ所が設置をされております。
センターの設置が進む一方で、介護保険制度改正に伴いまして、多様な主体による介護予防の実施や認知症施策の推進など、センターが中心となって担うべき役割はますます拡大をしておりまして、それに伴い、運営上の課題も明らかとなってございます。
国の平成二十九年度老人保健健康増進等事業による調査では、例えば総合相談支援業務では、八割を超えるセンターが業務量が過大であること、また、約半数のセンターが職員の力量不足や職員数の不足を課題として回答しております。
このため、都は、センター職員に対する研修等を実施しているほか、センターの機能強化に取り組む区市町村を独自に支援しているところでございます。
○大場委員 ただいま地域包括支援センターが抱える課題についてのご答弁があり、都は、その課題解決や機能強化に積極的に取り組む区市町村に対しまして、独自の支援策を講じているとのご答弁をいただきました。
地域包括支援センターが地域で役割を果たすためには、まずはその設置主体である区市町村がさまざまな課題の解決に向けて体制を整え、主体的に取り組むことが重要ですが、広域自治体としての都の支援も大切であり、小池知事就任前からの取り組みかと思いますが、大変評価すべき取り組みであります。
それでは、都は、地域包括支援センターの機能強化に取り組む区市町村に対して、どのような支援を行っているのか具体的な取り組み状況についてお伺いいたします。
○村田高齢社会対策部長 都は、平成二十六年度から、地域のさまざまな社会資源とのネットワークの構築等を行うための専門職を輩出するセンターを機能強化型地域包括支援センターと位置づけておりまして、現在は、配置に要する経費を包括補助により支援をし、二十三の区市町で活用されているところでございます。
また、平成二十九年度からは、住民が主体となって体操等を行う通いの場の運営ノウハウの提供や、ボランティアの養成などを行う介護予防による地域づくり推進員をセンター等に配置する区市町村に対し、その配置に要する経費を補助しておりまして、今年度は二十六の区市町で活用されております。
今後とも、地域包括支援センターの機能強化に取り組む区市町村を支援してまいります。
○大場委員 私の地元の世田谷区でも、都の事業を活用いたしまして、介護予防による地域づくり推進員としてリハビリの専門職を配置しているとのことで、地域包括支援センターの巡回指導や介護予防活動を行う住民グループを支援するなど活躍していると聞いております。
引き続きの支援により、機能強化型を初めとする地域包括支援センターの充実が図られることを望みます。
さて、都内では、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯が多く、特に独居高齢者、すなわち伴侶のいない高齢者のひとり暮らし世帯は、二〇四〇年には四四%にも上るとの推計もございます。
今後も高齢者がふえ続ける中で、このような状況を踏まえると、地域包括支援センターが行う相談支援のニーズはますます増大していくことが想定され、引きこもりがちな高齢者など、相談支援につながりにくい方も含めた地域での見守りがこれまで以上に重要となってございます。
しかしながら、地域包括支援センターには、介護予防など相談支援以外の業務もあり、センターだけでは見守りの相談窓口としての役割を十分に果たすことが難しい面もあると聞いております。
この点について、都はこれまで、高齢者の見守り相談に応じる窓口の設置を進めてきたとのことですが、その具体的な内容と実施状況についてお伺いいたします。
○村田高齢社会対策部長 都は、在宅高齢者からの相談を受け付けるとともに、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯等への訪問、安否確認等を行い、地域包括支援センター等と連携しながら相談に対応する高齢者見守り相談窓口を設置する区市町村を支援しております。
窓口は、平成二十七年度の十五区市町五十五カ所から、今年度は十九区市町村九十七カ所と設置が進んでおります。
今後は、高齢者の見守り等に従事する区市町村職員に対しまして、高齢者見守り相談窓口における取り組み事例を紹介するなど、引き続き、見守り体制の強化を図る区市町村を支援してまいります。
○大場委員 地域包括支援センターが高齢者施策を進める上で大変重要な役割を果たしていることが理解できました。
引き続き、真に都民のためになる高齢者対策を都として実施し、区市町村をしっかりと支援していただきたいと思います。以上で質問を終わります。
○藤田委員 私からは、子供たちの命と健やかな成長を保障するための政策について質問をいたします。
初めに、区立の児童相談所の設置についてです。
世田谷区、荒川区、江戸川区は、来年度の児童相談所設置を目指しています。区立児童相談所の設置に向けては多くの課題がありますが、とりわけ専門的な人材確保が重要です。専門的な人材は、児童相談所を設置する区が責任を持って保障するものではありますが、子供の最善の利益を保障するためには、都としても最大限の対応が必要だと思います。
児童相談所を設置する区への職員の派遣や合同での研修の実施など、都としても対応するべきと考えますが、いかがですか。
○谷田少子社会対策部長 特別区が児童相談所を設置する場合は、それぞれの区で児童福祉司や児童心理司などの専門人材を確保、育成することが必要でございます。
都は、特別区からの求めに応じまして、派遣研修職員を児童相談所に受け入れているほか、児童相談所行政について、特別区職員の理解が深まるよう、虐待相談や非行相談等に関する勉強会を開催しております。
また、都が現在実施しております児童相談所研修では、子供家庭支援センター職員との合同演習も行っておりまして、今後とも、子供たちの安全・安心を確保する観点から特別区の取り組みを支援してまいります。
○藤田委員 特別区からの求めに応じて派遣研修職員の受け入れや勉強会の開催などにより取り組みを支援することは重要です。
一方、新宿区では、専門的な人材確保が困難ということから、区の児童相談所の開設を三年間程度延期する方針を発表しました。東京都でも児童福祉司の経験年数が三年以下という職員は六割であり、職員の人材育成は東京都としても進めていく必要があります。
また、特別区では、それに加えて、児童相談所の運営そのものが初めてであり、子育て支援や虐待対応についてもノウハウや勘どころを持つ職員の存在は欠かせません。ぜひ、東京都から区立児相に対する職員派遣についても、できる限り特別区からの求めに応じていただけるよう要望いたします。
一方で、練馬区は、児童相談所はつくらないとしていますが、都の児童相談所との連携強化につながる提案をしています。東京都児童相談体制等検討部会では、来年度のモデル事業として、練馬区の子供家庭支援センター内に東京都児童相談所のサテライトオフィスを設置する方向で検討を進めているとしています。これはよい取り組みであり、ぜひ進めてほしいと思いますが、都の対応を伺います。
○谷田少子社会対策部長 本年度五月から立ち上げました都と区市町村との合同検討会では、都と区市町村の連携強化に向けて、人材の活用策や効果的な情報共有方策等を議論しております。
その中で、練馬区から、子供家庭支援センター内に東京都児童相談所のサテライトオフィスを設置することについて提案があり、令和二年度からのモデル事業として現在検討を進めているところでございます。
○藤田委員 サテライトオフィスを子供家庭支援センターに設置することは、情報共有のために大変効果的だと思います。現在、具体的に話があるのは練馬区だけですが、ぜひ、サテライトオフィスの設置についても広げる方向での検討もお願いいたします。
次に、来年度からの区立児童相談所の設置が進めば、当然、都の児童相談所が管轄する人口も減少しますが、この際、ぜひ、都の児童相談所を充実させる方向で、十一カ所の都の児童相談所の管轄区域を見直していただきたいと思っています。
六月に成立した児童福祉法の改正案では、児童相談所の管轄区域の参酌基準を政令で定め、設置を推進していくとしています。これを踏まえて、児童相談所の充実を進めることが重要だと思いますが、いかがですか。
○谷田少子社会対策部長 本年六月に改正されました児童福祉法には、児童相談所の管轄区域は、人口その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとするとの規定が盛り込まれておりまして、令和五年四月一日に施行される予定でございます。
都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司や児童心理司の増員、虐待対策班の設置、人材育成等を担う専門課長の設置、一時保護所の定員拡充など児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
国の施策の動向も踏まえながら、今後とも児童相談所の体制強化に取り組んでまいります。
○藤田委員 政令の内容はこれからになりますが、ことし五月の国会では、大臣も、かつて人口五十万人に一カ所程度という基準があったことを踏まえながら検討すると答弁しています。
都の児童相談所の管轄人口が多いのは明らかです。全国児童相談所長会では、二〇一七年度、二〇一八年度に児童相談所業務の推進に資するための相談体制のあり方に関する調査を実施しました。その中間報告によると、一つの児童相談所当たりの管轄人口が百万人を超えている児童相談所は、政令市を含めて全国で一三・三%、約三十カ所です。また、一つの児童相談所当たりの管轄人口の全国平均は約五十九万人であり、最小値は約五万七千人、最高値は約二百四十六万人でした。
昨年度の東京都児童相談所の事業概要によると、新宿区にある児童相談センターの管轄人口が約二百四十九万人なので、センターの管轄人口は全国最高クラスということになります。これも含めて、東京都の児童相談所は、十一カ所のうち八カ所で管轄人口百万人を超えています。
そして、多摩地域は、人口も多い上に管轄する面積も広くなっています。例えば、八王子児童相談所は八王子市、町田市、日野市を管轄していますが、相談所自体は八王子の真ん中に位置しています。八王子児相では移動に車を利用していますが、町田市の南部まで訪問すると半日程度かかります。虐待通告があってから四十八時間以内に子供を現認する、いわゆる四十八時間ルールへの対応や子供の命の危険が切迫している状態への対応もあります。朝、子供に会いに行って、それでも会えず午後再びという余裕がなくなる可能性だってあるわけです。それでも必要なときは行かざるを得ないわけですから、やはり行きやすいことが大切です。
そうした実態から、町田市議会では過去に二回、子供の命を守るためにと、都の児童相談所を町田市に設置することを求める決議や意見書が上げられてきました。
さらに、立川児童相談所は奥多摩町までの十一自治体を所管し、片道三十から五十キロ、車で移動することもあります。児童福祉司が家庭訪問するのが大変ということは、同時に、相談者が来所することも大変ということです。
こうした現状を踏まえて、都の児童相談所設置に対する基準が必要だと考えます。基準には、訪問や通所にかかわる時間、距離という要素と管轄人口の目安という点で大きな方向性を都の計画としてつくるべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 児童相談所の管轄は、今後、国が定める政令や地理的状況、相談件数の動向、人材確保の状況など、児童相談所を取り巻くさまざまな状況を踏まえ、検討することが必要と考えております。
○藤田委員 国の政令は確かにこれから定められるものなので、それを基準にすることはできないと思うのですが、そのほか答えられた状況というのは、これまでの経緯から既に検討する資料はそろっているものだと思います。
改正児童福祉法案の参考人質疑では、車で一時間で管内に行けるようなところじゃないと大変厳しいという、大変難しいという意見が出されています。子供そのものの数も人口流入によって多くなっているわけですから、東京都が手厚く支援できる施設整備を進めていただきたいと思います。
都の児童相談所の設置促進について繰り返し確認してきましたが、今その方向性を決めておく必要があるのは、やはり来年度から進む区立児童相談所の設置との関係があるからです。
来年度の三区の児相開設に伴い、世田谷児相では九十万人、北児相では二十万人、江東児相で六十九万人が都の児相の管轄から外れることになります。子供や保護者への支援を手厚くしていくためにも、区立児童相談所の設置に伴う都児相の管轄の変更については、都の児童相談所の数を減らさない方向で検討を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 特別区が児童相談所を設置した場合には、その区の行政区域は都の児童相談所の管轄区域から外れることとなります。本年六月に改正された児童福祉法では、児童相談所の設置促進を図るため、国が政令において児童相談所の管轄区域の参酌基準を定めるというふうにしております。
先ほどもお答えいたしましたが、児童相談所の管轄は、今後、国が定める政令や地理的状況、相談件数の動向、人材確保の状況など、児童相談所を取り巻くさまざまな状況を踏まえ、検討することが必要と考えております。
○藤田委員 繰り返しにはなりますが、国の政令を待っていては、都の児童相談所のあり方、対応について判断がおくれるということになるんです。管轄地域の変更に当たっては、都の児童相談所を減らしてしまったり、管轄人口をさらにふやすような対応をするのではなく、都の児童相談所を減らさない対応を強く求めて、次の質問に移ります。
一時保護所における子供の処遇に関する政策についてです。
近年の児童虐待による子供の死亡や政府の児童虐待防止に向けた取り組みなどにより、児童虐待相談対応件数は年々増加しています。同時に、一時保護所に入所する子供もふえています。
東京都一時保護所における昨年度一年間の子供の一時保護人数は何人ですか。また、子供の一時保護とはどういうときに行われ、その期間はどういうことを行うものなのかお答えください。
○谷田少子社会対策部長 平成三十年度の一時保護所の新規入所人数は二千二百十名でございます。
一時保護は、子供の安全の迅速な確保、適切な保護を行う必要があり、子供の心身の状況、置かれている環境などの状況を把握するため、また、虐待を受けた子供等の最善の利益を守るために行われるものでございます。
一時保護の期間は、児童福祉法によりまして、一時保護を開始した日から二カ月を超えてはならないとされており、児童相談所長が必要と認めるときは、引き続き一時保護を行うことができるとされております。
都の一時保護所では、児童が安心して生活できるよう、児童の年齢や特性に応じた保育、生活、学習等のさまざまな支援を行うとともに、多様な経験を通して達成感や大人への信頼感が得られるよう、工作やスポーツなどの活動を行うほか、季節に応じたイベント等を実施しております。
○藤田委員 一時保護の理由で、近年大幅に増加しているのが被虐待の子供で、全体の約六割です。一時保護所の目的は、子供の緊急保護、行動観察、短期入所指導となっています。こうした目的を、子供一人一人の状況に合わせて行うためにも、一時保護所の環境改善は、子供の権利擁護の観点から重要なものです。
昨年三月二十九日に東京都に提出された東京都一時保護所第三者委員の意見書には、一時保護の状況について改善を求める内容が多数記載されていましたが、これまでに意見箱の設置や髪の黒染めの取りやめなどが行われてきました。第三者委員などから出された意見について検討し、具体的に対応してきているということです。
また、そもそも意見書が出されたのは、第三者委員の制度を都がつくったからであり、外部の目を入れて環境を改善しようとしたからこそだということは確認しておきたいと思います。
その上でですが、意見書には、改善すべき事項として、ルール違反をした児童に行う個別指導の存在を挙げています。意見書では、具体的な内容として、私語をした、無断外出をしたなどルールを破ったことを理由に、子供を集団から切り離し指導をする、つい立てを立てて集団にいる子供と目が合わないようにして漢字の書き取り等の学習を長時間させたり、体育館の中やグラウンドを何周もさせたりなどと指摘しています。
こうした個別指導を廃止することが求められていますが、都の見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 個別指導は、無断外出や暴力行為など他の児童に危害を加えたり、自分自身を害する危険性の高い行為を行ったりした場合に実施しているものでございます。個別指導は懲罰ではなく、職員が個別にかかわり、同様の行為を繰り返さないためにはどのようにすればよいか振り返りを行う支援でございます。
都は今年度、一時保護所職員としての基本姿勢や児童への援助方法等を具体的に定めた運営の手引についても改正することとしておりまして、個別指導のあり方についても改めて検討してまいります。
○藤田委員 個別指導のあり方についても検討するということですが、国の一時保護ガイドラインでは、無断外出などの行動上の問題に対して、作業や運動などを罰として科すといった対応をするべきではなく、支援の過程を通して、子供が失敗したが成長したといった成長感や自己肯定感につながるような支援を展開することが重要であると書かれています。実際に行うことが同じであれば子供にとって持つ意味も同じです。
東京都によると個別指導は懲罰ではないということですが、職員の側がどう思っていたとしても、行われていることが本人にとって苦痛となるものであれば不適切であると思いますが、いかがですか。
○谷田少子社会対策部長 繰り返しになりますが、都は今年度、一時保護所職員としての基本姿勢や児童への援助方法等を具体的に定めた運営の手引につきまして改正することとしておりまして、個別指導のあり方についても改めて検討してまいります。
○藤田委員 個別指導のあり方をどうするかではなく、その前提となる考え方を聞いたのですが、子供に苦痛を与えてはいけないということは、都の一時保護所の基本方針にも書かれていることで、誰も否定できないことだと思います。権利の主体である子供にとってどうかという視点での検討が不可欠だと思います。
また、個別指導をなくした一時保護所もあります。第三者委員の意見書では、一部の一時保護所について、ルール違反があったとしても個別日課はしない方針をとっておりと書かれています。また、二〇一六年度の外部評価でも、内省として、個別指導を取りやめる選択をし、必要に応じて担当職員による個別の面談での対応をとっている、こうした変化についても、その背景と経緯を手引書に加え、ほかの保護所にとっても参考としていってほしいと書かれています。
具体的にどのような対応をしているのか。また、このようにした理由、経過についてお答えください。
○谷田少子社会対策部長 当該保護所では幼児を中心としておりまして、平成二十七年度から、個別指導ではなくクールダウンとして、子供が落ちつくまでの時間のみ、他の子供と分離して日課を送る対応をとっております。
個別指導のあり方につきましては、今年度、一時保護所職員としての基本姿勢、児童への援助方法等を具体的に定めた運営の手引について改正することとしておりまして、その過程の中で検討してまいります。
○藤田委員 幼児が中心だといっても、以前行っていたことをやめたわけですから、自然になくなったわけではないと思います。やめることになった理由や、その取り組みを参考にすることは重要だと思います。その上で、最大三日間も集団から引き離す個別指導については廃止し、ルール違反があっても、よく話をして理解できるようにすることを求めます。
さらに、意見書では、個別指導の対象となっている一時保護所のルールについても触れられています。一時保護所運営の手引の中で、公式に決めたルールとそれを上回るようなルールが実態としてあることが第三者委員の意見書では書かれており、それについても見直しが求められています。
実態としてあるものも含め、どのようなルールがあるのかを確認し、必要のないものはなくしていく必要があると思いますが、いかがですか。
○谷田少子社会対策部長 都は今年度、一時保護所におきまして、一人一人の状況に応じたより丁寧な支援が行えるよう、一時保護所職員としての基本姿勢や児童への援助方法等を具体的に定めた運営の手引について改正をすることとしております。
○藤田委員 一人一人の状況に応じたより丁寧な支援ということでは、ぜひとも、作業や運動を行うような指導ではなく、支援の過程を通して、子供が失敗したが成長したといった成長感や自己肯定感につなげられるような具体的な援助方法を、現在改正に向けて検討中の一時保護所運営の手引に定めていただくことを要望いたします。
次に、一時保護所に入所する子供の意見表明権について伺います。
一時保護所において、子供の意見表明権を保障することの重要性をどう認識していますか。
○谷田少子社会対策部長 都の一時保護所におきましては、常に子供の最善の利益を図ることを最優先に、子供や保護者の意向、意見を十分に傾聴し、尊重するよう配慮しております。
一時保護所では、入所時に、担当児童福祉司がリーフレットを活用しまして、子供自身が困っていることや不安などを相談できるよう説明するとともに、子供の権利擁護相談用紙によりまして、子供自身が児童相談所職員、東京都子供の権利擁護専門員宛てに意見表明できる仕組みを整えております。
また、昨年度から、第三者委員を設置しまして、月に一度、児童からの相談に対応しております。
さらに、先月から、児童の声を聞くための意見箱を設置するなど、子供の意見表明機会のさらなる確保を図っているところでございます。
○藤田委員 取り組みの内容をお答えいただいたようですけれども、取り組みの内容ではなくて意見表明権の保障が重要かどうかをお聞きしたので、ぜひ、意見表明権の保障の重要性についてお答えください。
○谷田少子社会対策部長 子供の意見表明ということについては大変重要なことでございます。そのために、子供の最善の利益を図ることを最優先にということを申し上げたところでございます。
○藤田委員 重要だということですので、それを保障できる対応、先ほどの対応なども含めて、これからもお願いをいたします。
都は、一時保護所の入所時に、子供の権利や困ったときの相談方法など、必要な事項を記載したリーフレットを担当児童福祉司が配布の上、説明しているということをお聞きしました。こうした取り組みは大事だと思います。
一方で、リーフレットなどで書けることには限りがあります。国の一時保護ガイドラインには、子供の権利ノートを渡すことが書かれており、子供の権利について包括的に書かれたノートを一時保護所に入所するときにも子供に渡し、子供にわかるように説明していただくよう要望いたします。
現在開催されている児童福祉審議会専門部会では、一時保護要領(仮)案の検討がされていますが、その中に、子供の権利擁護専門相談事業を周知し、確実に訴えられる仕組みを活用とされています。この中身について伺います。
○谷田少子社会対策部長 子供の権利擁護専門相談事業では、子供本人からの悩みや訴えを相談員が直接受けるとともに、深刻な相談については、弁護士などの専門員が面接を行い、適切な支援を行っております。
一時保護所入所児童に対しましては、本事業について記載したリーフレットを作成し、入所の際に担当児童福祉司が配布の上、説明しております。さらに、担当児童福祉司が、入所時に限らず、一時保護中に面接に訪れた際など、機会を見て繰り返し周知することで、相談窓口の積極的な活用を推進してまいります。
○藤田委員 訴えやすい仕組みづくりをさらに進めてほしいと思います。
意見箱の設置がされたこともとても大切なことですが、その意見についてどのように対応するか、年齢に応じた説明はどのように行えばよいのかなどを検討し、最も身近に対応を行っているのは一時保護所の職員です。保護所職員の処遇改善を進めることは、子供への丁寧な対応につながることはいうまでもありません。
入所児童への処遇や対応の改善に当たって、この間、各一時保護所の職員からどのような要望が出されたか。出されていればそれに対してどう対応しているのかを伺います。
○谷田少子社会対策部長 一時保護所職員からは、主に定員超過への対応及び職員が個々の児童にしっかりと向き合うために必要な人員配置について要望されております。
都は、保護所の定員を二百三十七名まで拡大するとともに、今年度、児童相談センターの定員増に向けた改修工事の設計に着手いたしました。
また、一時保護所の職員を国基準より厚く配置し、今年度は専門職を十六名増員したほか、職員が児童の支援に専念できるよう補助業務を行う非常勤職員も配置して対応しております。
○藤田委員 まずは人員配置だと思います。
国の一時保護ガイドラインでは、一時保護のケア、アセスメントの原則として、一時保護のケアは短期間のケアであるが、その大原則は、生活を通して子供の安全を確保して安心感を与えるケアを行うことであるとし、子供の尊厳を大切にし、苛酷な環境を生き抜いてきたことに対して共感的に理解し、時には子供の大人に対する怒りを受けとめなければならないとしています。そのためには、個々の子供の持つ不安や不満をゆっくり傾聴する時間が必要ですが、第三者委員の意見書では、職員の不足から、職員が一人一人の子供の話を十分に聞いてあげる時間がとれていない現状があると指摘しています。
答弁では、十六名の増員を行ったということですが、昼夜を問わず一時保護が行われる実態から見て、夜間の職員の体制を強化する必要があると思いますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、一時保護所の職員を国基準より厚く配置し、職員が児童の支援に専念できるよう補助業務を行う非常勤職員を配置するほか、今年度は専門職を十六名増員したところでございます。
今年度、夜間帯の職員配置を強化しておりまして、児童相談センターでは、三名であったところを四名、八王子児童相談所では、二名であったところを三名の体制がとれるよう増員しているところでございます。
○藤田委員 それぞれの一時保護所における夜間の体制が、いつでもインテーク対応が的確に行える体制となるよう求めておきます。
社会的養護の現場において、ケアニーズの高い子供がふえているということは、当然、一時保護所においてもふえているということになります。ケアニーズの高い児童に対して適切な個別対応ができるようにするためにも、常勤心理職員配置の拡充が必要と考えますが、都の見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、一時保護所におけるケアニーズの高い児童への支援を行うため、平成五年度から非常勤の心理職員を配置しておりまして、令和元年度の設定数は各一時保護所二名の合計十四名となっております。
また、非常勤の心理職員へのスーパーバイズ体制を整えるとともに、一時保護所において、困難事例への対応を可能とする体制をつくるため、今年度から新たに児童相談センターに常勤の心理職員を一名配置するなど、今後とも心理ケア体制の強化を図ってまいります。
○藤田委員 ぜひとも、児相センター以外の一時保護所にも、常勤の心理職員を配置していただけるよう要望いたします。
子供の権利擁護という観点からも、ハード面での改善も求められています。第三者委員の意見書では、一時保護所のスペースの不十分さについて、例えば、中卒年齢の子供たちは一般的な家庭でも個室が必要だと考えられているのに、何カ月もの間、四人の集団生活、しかも、その相部屋の子が頻繁に入れかわるのでは安心して生活することは困難と指摘しています。
厚生労働省は、個別対応の推進や混合処遇の解消を図るための整備について予算措置を行っていますが、都の一時保護所の現場についてどのような対応が検討されているのでしょうか。国の一時保護ガイドラインで示されている一時保護所の具体化についても、都はどのように取り組むのか伺います。
○谷田少子社会対策部長 都の一時保護所では、児童の権利を尊重し擁護することを基本方針に、児童が安心して生活できるよう、必要に応じて個室を活用するなど個々の状況に配慮した支援を行っております。
保護所の建てかえ等に当たりましては、国のガイドライン等を踏まえまして、個人としての生活空間の確保や個別的なケアが行えるよう、居室を原則個室化することとしておりまして、今後改築を予定している足立児童相談所について、居室を個室化する計画でございます。
○藤田委員 それと同時に、今の定員超過をしている実態の改善が必要です。一時保護をちゅうちょなく行うようにと国の一時保護ガイドラインに載せているからには、保護した後も子供の権利が守られる環境をいつでも提供できることが大切だと考えます。
そのためには、一時保護所の定員について入所率が一〇〇%を超えないように、保護所の増設も含めて、都として整備を進めるべきだと考えますが、いかがですか。
○谷田少子社会対策部長 都はこれまで、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を拡大してまいりました。
今年度は、八王子児童相談所の一時保護所の定員を十六名、足立児童相談所を八名増員いたしまして、総定員を二百三十七名といたしました。さらに、児童相談センターの一時保護所の定員増に向けた改修工事の設計に着手しているところでございます。
○藤田委員 東京都が現在進めている入所定員をふやす取り組みは、改築時と改修により定員増になっていますけれども、個別ケアへの対応や被虐待の子と非行の子の混合処遇の課題も存在しており、引き続き増設を進めることを要望いたします。
第九回子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループの参考資料によると、全国百三十六カ所の一時保護所のうち、二〇一六年一年間の平均入所率が一〇〇%を超えている保護所は十二カ所でした。東京都児童相談所一時保護所第三者委員の意見書では、入所率について、平成二十八年度、学齢男子で一五〇・六%、学齢女子で一三八・四%という驚異的な数字こそが、東京都の一時保護所の最大の問題ですと指摘されています。
この数年で一時保護所の定員がふえた後も、平均入所率は一〇〇%を超えているのが現状です。いただいた資料によると、二〇一八年度内の一時保護所の平均入所率は、全体で一一五・三%でした。
一時保護所の入所定員を超えて入所させていることについて、都はどのように対応していくのですか。
○谷田少子社会対策部長 近年、虐待通告の増加に伴いまして、一時保護の件数も増加しておりますが、都では、保護が必要な児童に対しては、児童の安全確保を最優先に保護を実施しております。
こうした一時保護需要の増加に対応するため、保護所の定員を、平成二十年度の百四十四名から、今年度二百三十七名まで拡大してきたところでございます。
さらに現在、児童相談センターの一時保護所の定員増に向けた改修工事の設計に着手しておりまして、今後とも必要な整備を進めてまいります。
○藤田委員 今年度から定員が二百三十七名に拡大はされましたが、一時保護需要も伸びたため、ことし四月から七月までの平均入所率は一〇九%と、現在でも一〇〇%を超えています。さらに、ことし七月を見てみると、一日平均保護児童数が二八〇・五人と過去最高になっています。この実態から見れば、大幅な増設が必要であるということだと思います。
また、先ほどお話しした区立児童相談所設置を三年程度延期する方針を発表した新宿区では、一時保護施設が入る建物は、当初計画どおり二一年一月に竣工するため、区長が都に借りてもらえるよう申し入れると話をしています。ぜひとも東京都が有効に活用していただくよう要望いたします。
改めて、子供の権利を守るためにも、定員超過状態の解消と職員の処遇改善を早急に行うことを求めます。
次に、社会的養護の充実ということで、児童養護施設などの充実について質問いたします。
東京都児童福祉審議会第五回専門部会では、東社協児童部会から、東京都の社会的養護充実に関する提言が提出されました。この中では、ケアニーズの高い子供の増加に対する支援の拡充を求めています。
都内の児童養護施設において、ケアニーズの高い児童がふえているという認識はありますか。
○谷田少子社会対策部長 都が毎年実施しております児童養護施設に対する調査によりますと、反社会的行為、精神発達的な問題、情緒的な問題など課題を抱え、個別的なケアが必要な児童の割合は、平成三十年度は七四%となっておりまして、十年前の平成二十一年度の六二%と比較すると、その割合は増加しております。
○藤田委員 個別ケアの必要な児童の割合がふえているということです。具体的には、被虐待の児童、発達障害がある児童、医療が必要な児童の増加と、さらに、愛着障害や発達障害などを同時に抱える複合的な問題を持つ児童が増加しているために、職員の対応も専門性が求められ、かつ個別に、特別に丁寧なかかわりが求められるようになっているということです。
東社協児童部会が東京都に対して提出された東京の社会的養護の充実策に関する提言にも、児童養護施設への被虐待児童の入所割合は、児童心理治療施設とほぼ同じ水準になっているといっています。
こうした児童養護施設の実態から見れば、現在の職員の配置では専門的な支援を行う体制が不十分ではないかと思いますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は平成十九年度から、治療的、専門的ケアが必要な児童への適切な支援を行うため、専門機能強化型児童養護施設制度を実施いたしまして、平成三十年度は四十四施設が指定を受けております。
専門機能強化型児童養護施設には精神科医と心理職員を配置し、虐待などを受けた児童への専門的なケアを行っております。
○藤田委員 東京都は、児童心理治療施設を設置しておらず、児童心理治療施設の対象となる子供のために専門機能強化型児童養護施設を準備してきました。しかし、専門機能型児童養護施設制度により増員しても、児童心理治療施設の心理職の配置とは隔たりがあるため、東社協児童部会の提言でも、適切な支援が受けられない状態も多くあるとし、その中で、職員は疲弊し離職につながることも多いと書かれています。
児童養護施設において、心理職の配置を児童心理治療施設と同じ配置基準の七対一まで引き上げることを要望しますが、いかがですか。
○谷田少子社会対策部長 児童養護施設では、措置費によりまして、心理職員を一名配置することができるところでございます。これに加えまして、都独自の専門機能強化型児童養護施設におきましては、さらに一名の心理職員を配置しているところでございます。
○藤田委員 措置費に加え、都独自に心理職担当を配置しているという答弁でした。
都内の児童養護施設の平均的な入所児童定員は五十名なので、児童心理治療施設並みにするためには、心理職を約七名配置できるようにする必要があります。しかし、実際は、一施設当たり約二名という状況であり、先ほど答弁もあったケアニーズの高い子供がふえている状況を見れば、さらなる増配置が必要だと思います。
同時に、専門機能強化型児童養護施設制度を活用したくても、活用できなくなっている施設もあります。一番の理由は人材確保です。心理職の配置基準の引き上げを行うよう改めて求めるとともに、精神科医等確保のための費用単価引き上げや時間数の柔軟な対応など、現場の要望を反映するよう求めます。
政府が策定した新しい社会的養育ビジョンや都道府県社会的養育推進計画の策定において、社会的養護について、施設の小規模かつ地域分散化、高機能化及び多機能化、機能強化、機能転換が求められています。一方、小規模化したグループホームの人員では、ケアニーズの高い児童へ対応するために、対応職員のスキル向上、専門職の職員配置など、対応職員の充実が求められています。
例えば、本園にグループホーム支援員などを増配置するといった支援体制の強化が必要だと考えますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、平成二十八年度から、グループホームにおける人材育成の体制確保、養育の質の向上を図るため、グループホーム等を三カ所以上設置する場合に、本園等に助言指導や後方支援を担う常勤職員を増配置するグループホーム・ファミリーホーム設置促進事業を実施しております。
本事業では、グループホーム等支援員を三カ所設置で一名、四カ所設置で二名、七カ所設置の場合、五名を配置しているところでございます。
○藤田委員 現在行っている事業は重要だと思いますが、ケアニーズの高い子供がふえる中、本園からの支援もさらに充実が求められており、さらなる支援の拡充を求めておきます。
複数の職員で支援する必要がある子供もふえていることを考えると、グループホームの職員の増員が必要です。個別的ケアが必要な児童の増加に対応できるよう、グループホームにおいて常時二名の職員が勤務できる職員配置を目指して、段階的に増員を進めることを求めますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、グループホームにおけます補助職員や宿直代替職員、グループホーム等支援員などの配置を独自に支援しております。
また、国は今年度から、小規模かつ地域分散化された生活単位における養育体制の充実に対応するための加算を創設いたしまして、常勤職員一名を加配しております。
引き続き、国に対しましては、グループホームの職員体制を充実するよう提案要求してまいります。
○藤田委員 国が加算をつくったのは前進ですが、その分、都がのみ込んでしまうと現場にとっては変化がないということになってしまうので、従来からの都の支援も維持拡充して、さらには人をふやせるよう求めるものです。
また、個別的な支援を手厚くするには、子供の集団の規模も考える必要があります。今の六名という定員では、職員も疲弊し大変だという声をお聞きしています。
グループホームから特別支援学校や支援学級に通う割合が一七・八%、定期的に通院が必要な児童は二〇・二%、不登校や登校を渋る児童は六・六%という調査結果や、こうした児童への対応は個別的な支援が基本であること、さらに、高学齢児の増加や東京都の住宅事情等の問題から、現在の六名定員を減らしていく方向での検討が必要であると思いますが、いかがですか。
○谷田少子社会対策部長 虐待の相談通告の件数は増加の一途をたどっておりまして、社会的養護の需要も増加しております。
グループホームの定員につきましては、社会的養護の需要状況やグループホームの運営を担う職員の育成や確保、今後の国の動向など、さまざまなことを考慮し検討することが必要であると考えております。
○藤田委員 職員が厳しい労働環境の中でバーンアウトしてしまうようだと、むしろ人材の確保や育成も困難ということになると思います。社会的養護のもとで暮らしている子供たちへの支援の充実は待ったなしです。人材確保への支援は、社会的養護の現場からの切実な要求となっています。子供の最善の利益のための予算として検討いただくよう、改めて求めます。
人材確保のための処遇改善として創設された保育士の職員宿舎借り上げ支援事業は、大変喜ばれています。しかし、同じ保育士でも、児童養護施設や乳児院などで事業を活用する場合、その費用負担は、東京都が二分の一、事業者が二分の一になっています。
都の実施する職員宿舎借り上げ支援事業ですが、保育園で働く保育士と児童養護施設等で働く保育士で費用負担の割合が違うのはなぜですか。また、現在の費用負担割合を、保育園の保育士同様、東京都八分の七、事業者八分の一に改めることを求めますが、いかがですか。
○谷田少子社会対策部長 お話のありました宿舎借り上げでございますけれども、個々の事業の負担割合などの補助内容は、それぞれの課題の状況や国の制度の状況などを踏まえまして総合的に判断をしております。
児童養護施設等の職員について、長時間勤務や長時間通勤、不規則勤務によります就業負担、家賃に係る経済的負担等によりまして、人材の確保、定着について課題となっているところでございます。そのため、都は、独自に児童養護施設等職員宿舎借り上げ支援事業を今年度から実施しているところでございます。
また、国に対しまして、職員宿舎の借り上げを行う事業者に対する支援の充実について提案要求をしております。
○藤田委員 国の制度になっていないという課題が挙げられました。
しかし、同じ保育士で働くときに、やはり大きな影響を及ぼすのが職員への処遇です。この間、保育園で人材確保策が充実したのと比べると、社会的養護の分野ではまだ充実が求められています。人材確保の課題を感じているのであれば、国の制度に先駆けて、都が独自で補助を拡充していただきたいと思います。
新任職員の増加に対する人材育成の必要性も高まっています。小規模化された施設では、職員が同じ時間に複数配置できるゆとりは少なく、見て覚えることは難しくなります。また、小規模な施設では、子供たちが起こす問題の絶対数が少なくなるので、子供への対応の経験も積みにくいという問題があります。また、子供との距離が近い反面、疲労も根深くなるといいます。
児童養護施設の小規模化、地域分散化を進めてきた中での課題に対応した人材育成が必要です。新任職員に対して、標準化された仕事内容を覚えることができる支援体制や、しっかりとした教え役がいて、時間をかけて丁寧に人材育成していくことが求められています。
東社協では、児童自立支援専門員育成機関が併設されている国立武蔵野学院に模した児童養護施設職員養成所の併設を提案されていますが、どう受けとめていますか。
○谷田少子社会対策部長 東京都社会福祉協議会が、お話の職員養成所について提案をしていることは承知しております。
都は、児童養護施設等の職員に対しまして、資質向上のための研修や措置費における社会的養護処遇改善加算の対象となるリーダー職員研修などを実施し、専門性の向上や基幹的職員の育成に取り組んでおります。
○藤田委員 現在の都の取り組みは非常に重要です。小規模化の進展を踏まえた、人が育つ仕組みの確立が必要です。近年の福祉人材不足に対して、東京都が率先して人材養成を行うことを求めます。
児童虐待などの不適切な子供への養育は、体の脆弱な子供にとって、時には命を奪ったり、重たい障害を残すことになったりします。たとえ目に見える後遺症がなくても、自尊感情や人への信頼感が持てなくなり、大人になったときに我が子を虐待する可能性が高くなります。だからこそ、社会的養護のもとで生活する子供たちへの専門的なかかわりと、支援が受けられる時期に適切に提供されなければなりません。
入所時の年齢が中高生という子供の割合がふえています。高学齢での入所は支援を受ける期間が限られ、その分、アフターケアを丁寧に行っていかなければなりません。現状では、アフターケアにかかわる費用の創設とともに、自立支援コーディネーターの充実が重要です。
自立支援コーディネーターの複数配置には支援対象者八十人という条件がつけられているのですが、この根拠は何ですか。
○谷田少子社会対策部長 自立支援コーディネーター一名当たりの支援対象者の平均が約四十名であったことから、複数配置する場合の要件を八十名としたものでございます。
○藤田委員 自立支援コーディネーターの配置をしていることは重要です。そして、複数配置も始まっています。しかし、コーディネーターを複数配置するための条件を対象者八十人にするのでは、支援が必要な方が七十九人までは一人で対応しなければならなくなります。
今の社会では、児童養護施設などの退所後に、一人で安定して生活することを難しくする要因がたくさんあり、離職や家賃滞納で同じ人に何度も支援に行っています。
東社協児童部会の調査では、支援対象者が四十名を超えると、支援する回数が平均を下回ると指摘しています。七十九名まで一人で支援する現状よりも、充実が必要です。
自立支援コーディネーターの複数配置のための要件を緩和すべきと考えますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 児童養護施設退所者等への自立に向けました支援は、自立支援コーディネーターによる支援に加えまして、専任スタッフが生活や就労上の悩みや相談にも答えるふらっとホーム事業や、就職後の職場訪問等を行う就業支援事業を実施しております。
自立支援の充実については、児童福祉審議会専門部会での議論を踏まえて検討してまいります。
○藤田委員 ぜひ、支援が必要な方に適切に安定して支援が行えるよう、制度の拡充を求めます。
自立援助ホームは、長らく社会的養護の実践において、児童養護施設では対応が困難な青少年への対応、支援を行ってきています。東京都が行っている社会的養護の現況に関する調査では、家庭からの入所が五一%、児童養護施設からは三四・九%となっていて、自立援助ホームは社会的養護を補完する機能を担っているといえます。
都が策定する社会的養護推進計画において、自立援助ホームをどのように位置づけようと考えていますか。
○谷田少子社会対策部長 自立援助ホームは、児童福祉法第六条の三第一項及び第三十三条の六に位置づけられまして、児童養護施設の退所児童等に対し、相談その他の日常生活上の援助及び生活指導等を実施しております。
都は、自立援助ホームに入居している児童及び退去した児童の自立を支援するため、ジョブトレーナーを独自に配置するなどの支援を実施しております。
○藤田委員 位置づけについては、法的な位置づけしか答えられませんでした。退所児童とともに家庭からの入所も多くなっている現状も踏まえ、位置づけを明確にし、支援を拡充させることを求めます。
現在の国の措置費では、宿直や休日の取得など、労働基準法を守って常時一人の配置をすることもできない体制になっているのが実態です。
自立援助ホームに入居する子供の実態と必要な支援のあり方を踏まえ、常時最低一名の配置ができ、宿直ローテーションも組みながら、労働基準法を守れる職員の処遇、職員の配置基準の整備が必要と考えますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 自立援助ホームの国の職員配置基準は、定員六名の場合、二・五名となっております。
これに加えまして、都は、入居児童及び退去児童の就労定着を促進するため、ジョブトレーナーを独自に配置しております。
また、国に対しまして、被虐待や発達障害など処遇困難な児童への支援を強化するため、基準以上に職員を配置したホームに対する人件費加算を創設するよう提案要求しているところでございます。
○藤田委員 実態は、国の措置費だけでは足りないと思っているから、東京都も配置などの支援を行ったり、国に要求しているのだと思います。
しかし、ジョブトレーナー事業の予算は非常勤となっています。また、サービス推進費補助がありますが、これは重要ですが、ホームの運営がやっとできるくらいのものなので、これでは職員はふやせないとホームの方が話していました。ジョブトレーナーを合わせても三名の職員では夜間の体制などを組むことができず、労働条件が悪くなれば職員の退職にもつながります。職員配置を充実できるよう制度の拡充を求めます。
社会的養護を行う現場は、一時保護や一時保護委託、家庭復帰や自立支援など、本人の生活を大きく左右する選択の場となってきます。先ほども質疑した一時保護中の子供たち同様、意見表明権の保障について、どのように対応していくかが課題となっています。
子供の年齢にかかわらず、社会的養護のもとにある子供が、権利の主体として意見が表明できるよう、アドボカシーの導入など仕組みづくりの強化が求められていますが、都の対応を伺います。
○谷田少子社会対策部長 国は、児童の意見表明権を保障する仕組みにつきまして、改正児童福祉法の施行後二年をめどに検討を加え、必要な措置を講ずることとしておりまして、都としては、国の検討状況を注視してまいります。
○藤田委員 一時保護所内でも手引の改定を行う検討の中で、子供の意見表明権を保障する仕組みづくりが進められています。国の措置を待つのみではなく、現に今、保護者のもとで生活ができない子供たちや、さまざまな支援が必要な社会的養護のもとに暮らす子供たちへの意見表明権を保障する仕組みを都として検討するよう求めまして、私からの質問は終わります。
○斉藤(や)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二十一分休憩
午後三時四十分開議
○斉藤(や)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤(れ)委員 まず、児童虐待防止対策と社会的養護関連についてです。
ことし三月の厚生委員会で、社会的養育推進計画の策定に当たり、里親や児童養護施設への代替養育を必要とする子供の数の人数、見込みを把握していただきたいという趣旨で質疑を行いました。
私のもとに、児童の社会的養育にかかわる方たちからさまざまなご意見をいただいておりまして、中には、被虐待相談が大変増加の一途をたどる昨今、児童の施設や里親への委託率は、平成二十七年から二十九年の三年間で四・六四%から三・〇五%と減る一方でありまして、委託されないまま家庭に戻される児童がいるのではないかと、児童の生命の安全を大変懸念する声も上がっております。
また、総委託数のうち、里親委託率を高めていこうという方針は歓迎をするものですが、今後、障害を持つお子さんや医療的ケアを必要とするお子さんなども含めて、大変さまざまな養育の難しさのあるお子さんをどう社会的に養育していく体制をつくるのか、そのときに、これまで社会的養育の約九割五分を担ってきた施設が、地域分散や施設の多機能化が推奨される中でどのような役割を果たしていくのか、また、里親の中でも専門里親登録者をふやしていくにはどのような準備が必要か、ぜひ早急に検討を重ねていただきたいということを冒頭に申し上げさせていただきます。
児童虐待防止に何よりも有効なのは、切れ目のない、きめ細かい、地域の中での子育て支援であるとさまざまなところでお話を伺います。東京都では、昨年度より在宅子育てサポート事業を開始し、生後三歳未満の子供を持つ家庭を対象として、家事支援サービスやベビーシッターを活用した共同保育の利用支援を行うことで、保護者の負担軽減とともに、支援が必要な家庭を適切なサービスにつないでいくという目的を持ち、支援の強化を図られています。
昨年度の実績は、四区市で実施、助成人数は八十二人で、まだまだその広がりに期待をしたいところです。
今年度以降、在宅子育てサポート事業がより多くの自治体で活用されるよう、都は、区市町村に積極的に働きかけるべきと考えますが、所見を伺います。
○谷田少子社会対策部長 在宅子育てサポート事業は、子供を在宅で育てる保護者の負担を軽減するため、区市町村を通じて家事支援サービス等の利用を支援する事業でございます。
都はこれまで、本事業が区市町村において積極的に活用されるよう、事業担当者向けの説明会や訪問による働きかけ等を行ってまいりました。
また、今年度からは、本事業の対象となる子供の年齢要件を一歳未満から三歳未満に引き上げるとともに、これまで一度でも保育サービスを利用した場合には事業の対象外としていた要件を、利用期間のみを対象外とする形に緩和するなど、より活用しやすい制度としております。
今後とも、区市町村に対し、本事業の内容をわかりやすく説明するとともに、効果的な取り組み事例を紹介するなど、積極的な活用を働きかけてまいります。
○斉藤(れ)委員 あらかじめ子育て環境や支援が必要と思われるご家庭にかかわりを持っていただいて、そのご家庭が必要としている適切な支援へとつなげていただくことにより、その後の状況悪化を防止することができると、社会的養護の現場からも、この事業には大変期待の声が寄せられております。
ぜひ今後、さらに多くの区市町村に取り組んでいただけるよう、都からの働きかけをお願い申し上げます。
同じ観点から、産後ケア事業について伺います。
社会的養護にかかわる方々が独自に調査をしたデータによると、産後ケアを初めとする子育て支援政策が手厚く行われている区市町村の被虐待児童措置数は、同じ程度の児童人口の区市町村と比べて大変抑制をされる傾向にあるという報告をいただきました。ぜひ東京都としても、この相関関係を検証していただきたいと要望いたします。
また、東京都の妊産婦は、地方出身か東京都出身かによって、その後、第二子を出産するかどうか数値が異なるというデータもございます。つまり、母親の実家が東京都にあるかどうかで子育てについての負担感が大きく異なり、実家が遠方にある場合は、子育ての負担感が第二子出産忌避や子供とのかかわり方にも影響を及ぼしている可能性がございます。
全国各地から女性たちが集まる都市だからこそ、実家が近くになくとも、産後にお子さんと一緒に一息をついて立ちどまることのできる場所が必要です。
産後ケア事業は、宿泊型やアウトリーチ型、その形はさまざまですが、重要なのは、自分一人で子供と向き合っているのではないという社会的包摂感を親御さんたちに感じていただき、その後の相談や支援へのハードルも下げるということにあります。
この産後ケアの場所がふえるほどに、お母さんたち、お父さんたちは子育てに安心感を抱くことができ、身近な誰かにSOSを発信することや行政窓口へ相談に行くこともやりやすくなるはずです。
産後ケア事業は虐待予防の観点からも重要と考えますが、より多くの自治体が産後ケアを実施するための都の取り組みについて伺います。
○谷田少子社会対策部長 産後ケア事業は、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支えるため、退院直後の母子に対し、保健指導、母親に対する療養上の世話や心理的ケア、カウンセリング、育児指導、育児サポート等を行う取り組みでございます。
都は現在、ゆりかご・とうきょう事業によりまして、専門職による妊婦への面接等とあわせて、産後ケア事業を行う区市町村を独自に支援しております。
また、産後ケア事業のみ実施する場合も、運営費や実施場所の改修費を支援する産後ケア支援事業を実施しております。
産後ケア事業を実施している区市町村数は、平成二十七年度は三区のみでございましたが、年々増加いたしまして、平成三十年度は二十四区市でございました。今年度は三十三区市町が実施予定でございます。
今後とも、より多くの区市町村が取り組めるよう、保健衛生主管課長会や母子保健従事者向け研修会など、さまざまな機会を通じまして、積極的な取り組みを働きかけてまいります。
○斉藤(れ)委員 ここ数年で、かなり実施する区市町村の数がふえているということがわかりました。目標としては、全区市町村で取り組んでいただけるように、この事業が、子育て世代に地域で安心して暮らしてもらえるという安心感を与え、子育て世代を歓迎する姿勢の表明にもなるという認識も共有し、事業の推進にご尽力いただきたいと考えております。
次に、新規事業についてです。
児童虐待防止のためのLINE相談について伺います。
都は、本年八月から、児童虐待防止のためのLINE相談を通年で実施をされておりますが、今後しっかりと事業の効果を図っていくことが必要と考えます。その見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、昨年十一月に、児童虐待防止推進月間に合わせまして、子供や若い保護者になじみのあるLINEを活用した相談窓口を二週間、試行的に開設いたしました。
この試行実施の検証結果を踏まえまして、時間帯ごとの相談員の配置人数や、虐待が疑われる場合の児童相談所への引き継ぎ方法について見直しを行った上で、本年八月から本格実施しております。
八月及び九月の相談件数は一千六百七十一件で、そのうち保護者からの相談は八百二十五件と多く、子育ての悩みを相談する窓口として有効に活用されております。子供本人からの相談は百九十五件でございました。
また、児童相談所に引き継いだ件数は三十三件で、児童虐待のおそれがある事案の早期把握、早期支援につなげております。
今後、件数のみならず、相談内容や相談への対応状況について分析を行いまして、より効果的な運用を図ってまいります。
○斉藤(れ)委員 この事業の有効性は、その間口の広さにあると考えております。東京都のほかのSNS相談等でも同じですが、自分が誰かということを説明することなく相談ができるということは、自分への責任の追及よりも、保護や支援を行っていただけるという安心感につながります。
けれど、この事業について課題といえるものがあるとすれば、その認知度と考えます。登録者数は着実にふえてはいますが、虐待相談対応件数には、はるかに及ばない数でありまして、相談のニーズがあると考えられる層と、実際の登録者層が一致しているかどうかをはかるすべがないという現実もございます。
真に相談することが必要な方たちに利用していただくことができるように、今後、例えば区市町村調査や医療機関だけではなく、コンビニエンスストアや飲食店等でも周知を行っていただけるような効果的な周知啓発をお願い申し上げます。
次に、冒頭にお話しさせていただいた保護児童の委託について、家庭的養護の側面から質疑を行わせていただきます。
里親制度についてです。
里親の数をふやすだけでなく質も確保するためには、里親のリクルート及びアセスメントから里親養育への支援に至る一連の業務を包括的に実施するフォスタリング機関を設置することが有効と考えますが、都の取り組みを伺います。
○谷田少子社会対策部長 昨年七月に国から示されましたフォスタリング機関及びその業務に関するガイドラインでは、フォスタリング機関が一貫した体制のもとで里親に対する継続的な支援が提供できるよう、一連の業務を包括的に委託することが望ましいとされております。
都といたしましても、フォスタリング機関が一連の過程に関与して、継続性と一貫性のある支援体制を確保することは、質の高い里親養育の実現につながると考えております。
フォスタリング機関に関する取り組みにつきましては、今年度策定する社会的養育推進計画に盛り込む予定でございまして、児童福祉審議会の専門部会でも可能な限り包括的に業務を委託するべきという意見がございます。
これらを踏まえまして、今後検討をしてまいります。
○斉藤(れ)委員 里親となられた当事者の方々からも、初めて子育てというものを体験する中で、理想と思われる振る舞いを重ねた結果、子供にとっては苦しい状況が生み出されてしまったことがあったりと、里親への支援がいかに大切かということを痛感する次第でございます。
また一方で、里親となることを希望される方々の中にも、さまざまな理由や動機を持つ方々がおられることから、初期段階でのリクルートやマッチング、また、研修の重要性は、改めて都にしっかりと認識をしていただきたいと申し上げます。
現状の東京都の里親認定は、希望する方が所定の書類に不足なく記入をしさえすれば、通常は問題なしと認定へと至ります。国全体で、できるだけ里親委託の児童数をふやしていこうと計画を立てたことから、東京都としても、その数をふやす努力を重ねておられることは理解をしますが、委託されたはいいけれども、振る舞いや障害を理由に、施設に再委託される児童たちが数多くいるというのは大変問題と考えています。
東京都の職員の皆さんも、里親認定や委託が、書類上の不足がなければ、どのご家庭にも受け入れていただいて問題がないものであるとは、正直思っていらっしゃらないはずだと思います。
児童のこれまで置かれてきた環境がどのようなものかわかればこそ、その児童が委託先の里親家庭でどのような振る舞いをするか、そして、家庭と児童がどう関係を構築していくか、これは条件がそろったからといって委託が可能になるとは考えられません。条件がそろっていたご家庭であっても、委託開始と同時に刻々と事態が変化していく、そのような可能性や状況も読み取ることが必要です。
また、東京都の職員の方が、通常は三年ごとに新たな部署等へ異動の可能性があるということも児童養護にかかわる現場の方たちからは懸念の声が上がっております。
児童養護の現場に必要なのは、ゼネラリストよりもスペシャリストであるというのは、二、三年では習得し切れない多様な経験や体験、また、勘や実績が求められるからこそではないかと考えています。
里親フォスタリング機関を設置する今このときに、ぜひとも包括的にリクルートやマッチング、認定から支援までを一元的にとり行う機関の設置を検討いただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。
次に、里親制度の周知について伺います。
子供が施設入所となっているケースの中には、子供を里親に委託することに保護者が承諾をしないケースも多いと聞きます。また、児童養護施設に入所している児童本人も、里親への委託を希望している児童数が大変に少ない現実がございます。
日本では、里親制度が社会に十分に認知をされておらず、里親委託を推進、促進するためには、保護者も含めて社会全体に里親制度を正しく理解してもらうことが必要と考えますが、都の取り組みを伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、養育家庭への委託に不安を抱く保護者に対しまして、里親制度をわかりやすく説明したリーフレットも活用しながら、家庭的な環境が児童の成長を促すこと、そのため養育家庭委託が望ましいことなど、丁寧に説明しております。
また、養育家庭等の里親制度を広く都民に周知するため、昨年十月に、ウエブサイト、Tokyo里親ナビを開設しているほか、今年度は新たに動画を作成し、都営地下鉄の車内やインターネットで配信する取り組みなどを行っております。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、社会全体に里親制度への理解の促進を図ってまいります。
○斉藤(れ)委員 少なくとも、サイトや動画配信を私も見させていただいておりますけれども、里親になってみませんかという啓発の内容が大変多くございまして、里親制度を利用してみませんか、つまりお子さんと何かの理由で一時的に離れる場合に、里親にお子さんを委託してみませんかという内容は余り見受けられません。リーフレットや関連サイトをたどれば探すこともできますけれども、そういったところで里親制度のすばらしさを訴えられるほどに、実親側は、子供が実の家よりも里親の家を好むのではないかと不安を感じることもあると伺います。
あくまでも一時的措置として養護していただく例等も多く周知することで、さらに里親制度の活用を推進していただきたいと考えます。
次に、新生児委託について伺います。
特別養子縁組里親のための新生児委託事業について伺います。
特別養子縁組が最適と判断した場合、早期に里親子を結びつけられるよう交流支援などを行うもので、モデル事業として三年間実施し、成果を上げてこられました。新生児委託推進には専門の体制が必要であることから、ぜひ本格実施をしていただきたいと思います。
一方、現在は都内一カ所の施設のみで実施をされておりますが、生まれて四日もしくは五日で施設に来た新生児を、一カ月以内に面会交流等を重ねて委託の成立まで実現を目指すというのは、現実的に大変厳しいという現場の声も伺っております。
多摩地域の里親登録家庭にとっては、施設が遠方で、通うのに難しさがあるともお話があります。新生児委託事業は、子が生まれてから、特に委託までに集中的に面会交流を行う短期決戦型の取り組みが求められることもあり、ぜひ多摩地域にも新生児委託体制を拡充していただきたいと考えます。
現在、都がモデル実施している新生児委託推進事業について、実施箇所数をふやして本格実施をしないのか現状と今後の取り組みを伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、児童相談所と乳児院に専任の職員を配置し、養子縁組が最善と判断した場合には、できる限り新生児のうちに委託する新生児委託推進事業を実施しております。
本事業では、委託を希望する里親に対し、乳児院において沐浴や体調管理など、新生児の養育に関する実践的な研修を実施するとともに、交流開始後は、里親の養育不安を軽減するための助言や里親子関係のアセスメントを集中的に行いまして、早期の委託につなげております。
平成二十九年度の事業開始から令和元年九月末までに二十四家庭が研修を受講しておりまして、十名の乳児を里親へ委託しております。
一方で、同時期に複数の新生児が候補となったため、早期に里親委託を開始できなかったケースもございます。
特別養子縁組に関する取り組みにつきましては、今年度策定する社会的養育推進計画に盛り込む予定であり、児童福祉審議会専門部会における議論を踏まえまして、本事業の方向性を検討してまいります。
○斉藤(れ)委員 今お答えいただいたご答弁の中で、同時期に複数の新生児が候補となった例について、早期に里親委託を開始できなかったということがありました。これは反省点として、ぜひ今後、体制強化をもって対応の改善に努めていただきたいと要望いたします。
次に、少し年齢を上げて、児童養護施設を退所した後の退所者支援について伺います。
児童養護施設退所者等に対する自立に向けた支援について積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、平成二十四年度から、児童養護施設に自立支援コーディネーターを配置し、入所児童の自立支援や進学に向けた準備、退所後の継続的な相談支援を実施しております。平成二十九年度からは、支援回数に応じてコーディネーターを複数配置できるよう、支援の充実を図っております。
自立援助ホームにおいては、入居中または退去した児童への就労定着支援を行うジョブトレーナーを配置しており、今年度からは全ての自立援助ホームに配置しております。
さらに、児童養護施設退所者等に対し、専任のスタッフが生活や就労上の悩みや相談にも応えるふらっとホーム事業や、就職後の職場訪問等を行う就業支援事業を実施しております。
今後とも、児童養護施設退所者等の自立に向けた支援に取り組んでまいります。
○斉藤(れ)委員 国の社会的養護自立支援事業の充実に向けては、十八歳あるいは二十歳で措置解除後、制度上は、現在、二十二歳の年度末まで入所支援の継続が可能とされていますが、人の手が足りずに、実際はほとんどそのように活用されている例はないということです。
児童養護施設等の社会的養護出身者にとって、社会に出てからが本当に厳しい人生のさまざまな局面に出会うことが多々あります。自身が病気になったとき、精神的な疾患を持ったとき、子供を持ったとき、仕事を失ったときに数日でも帰って体を休める実家がないという現実は想像以上に厳しいものです。
都道府県及び政令市に一カ所ずつ退所者等の支援の拠点を設置するべきとされていますが、これも現在、東京都で未設置であり、ぜひとも今後、設置の検討を進めていただきたいと考えます。
次に、困難を抱えた女性への支援のあり方について伺います。
現在、困難な問題を抱える女性への支援のあり方について厚生労働省が検討を重ねております。
先日、都行政で行う婦人相談所である女性相談センターに視察に伺い、そもそも売春防止法を根拠として設置されたこちらのセンターに求められる役割が、時代の変化に伴い変化しつつあるという話を伺ってまいりました。
この数年は、ここのセンターに入所されている女性は、他道府県から東京都に来た居所なしの女性が多いということや、さまざまな女性を対象とした暴力からの避難、また、人身売買の被害者と思われる外国籍女性も大変多いというふうに話を伺いました。
東京都も、現代の多様化、複雑化した課題を踏まえ、現状に即した女性支援のあり方を検討しなければならないと考えております。
そこで、困難を抱えた女性への支援のあり方を今後どうしていくか見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 婦人保護事業は、売春防止法に基づきまして、要保護女子の保護、更生を図るための事業として始まり、その後、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV防止法により、DV被害者が事業の対象として法定化されたところでございます。
さらに、性暴力、性被害に遭った十代の女性への支援、AV出演強要、JKビジネス問題への対応も必要となるなど、支援のニーズは多様化しております。
国は、平成三十年七月に、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会を設置し、今月十一日に、従来の枠組みでの対応は限界が生じているため、法制面の見直しを検討すべきとする中間まとめを発表いたしました。
都は引き続き、関係機関や民間団体と連携、協働しながら、東京都女性相談センター等において、困難な問題を抱える女性への支援を適切に行っていくとともに、国の動向を注視してまいります。
○斉藤(れ)委員 法改正が行われれば、都内に二カ所ある婦人相談所の役割を明確にし、その後の住居や就労の支援を行っていく区市町村との連携のあり方についても、さらに検討を進めていくことができます。
配偶者暴力被害者等の支援は、区市町村をまたいだ保護が必要な一方で、その後のきめ細かい生活支援には区市町村や地域の支援が最重要となります。この連携のあり方や役割分担は、児童の社会的養育においても常々議論されると思いますが、近年、多様化する若年女性の抱える課題をいち早く捉え、その支援のあり方を早々に検討していただきたいということを要望し、次の質問に移ります。
待機児童対策について伺います。
小池都知事の打ち出した数々の保育施策により、都内の待機児童数は大幅に減少してきてはおりますが、待機児童数が逆にふえている地域等もありまして、区市町村ごとの違いや、また、地域の中でも年齢によってはあきがある施設が生じている一方で、駅の近くなどでは多数の待機児童が出るなど、地域間の格差もございます。
長い目で見れば、保育を必要とする児童の数自体は、増加の一途をたどってきたこれまでと、少子化の進むこれからでは状況が変わっていくということも有識者からは指摘をされておりまして、今ある行政資源をできる限り生かすという意味でも、地域により生じている待機児童数の差を平準化することができる事業にも、もっと注力をするべきと考えております。
そこでまず、送迎保育ステーションの目的と実績について伺います。
○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 送迎保育ステーション事業は、近隣の保育施設にあきがない場合でも、自宅から遠距離にある新規開設、またはあきのある保育施設を利用できるよう、学校や駅前など保護者の利便性の高い場所に送迎保育ステーションを設置し、バス等で児童を送迎する取り組みを行う区市町村を支援するものでございまして、平成二十六年から実施をしております。
国におきましても、同様の目的の事業を広域的保育所等利用事業として実施をしておりまして、平成三十年度は両事業を合わせて、二区一市において五カ所の送迎保育ステーションが設置をされております。
○斉藤(れ)委員 今ご答弁いただいた、国の広域保育所利用事業を実施している町田市の事例を視察いたしましたが、例えばお住まいの場所が駅の近くなどでも、送迎バスで、駅からは遠い自然保育を行う園へ三十分ほどかかってお子さんを運んでいただいて、児童たちは毎日楽しく通い、保護者の皆さんも大変ご満足をされていると伺っております。
この事業のよさは、小さなお子さんを持つご家庭にとって、日々の活動範囲がどうしても身近なところに限定されがちな場合でも、少々足を伸ばした先にある保育施設等にお子さんを預けることができるということにありますが、この事業自体は、区市町村が主体となり取り組まねばならず、保護者がこういった事業の存在をご存じない場合や、区市町村がそういった保護者のニーズを読み取れていない場合など、また、送迎をしてつないでいく保育施設を調整できない場合などに事業を行うことが難しいという難点がございます。
送迎保育ステーション事業の活用促進に向けた都の取り組みについて伺います。
○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 認可保育所や認証保育所、認定こども園などの多様な保育サービスの拡充に加えまして、送迎保育ステーションを活用し、既存の保育施設の有効活用を図ることは、待機児童解消に向けた有効な方策の一つでございます。
そのため、都は、平成三十年度に開催をいたしました東京都待機児童対策協議会におきまして、送迎保育ステーションを設置し、バスで児童を送迎する町田市の取り組みを紹介いたしました。
また、待機児童解消に向けた取り組みといたしまして、本年七月、待機児童数が多い自治体を中心にヒアリングを実施いたしまして、送迎保育ステーション事業につきましても活用促進の意見交換を行っております。
今後とも、送迎保育ステーションを活用した区市町村の取り組みが進みますよう、東京都待機児童対策協議会等を通じまして働きかけを行ってまいります。
○斉藤(れ)委員 例えば町田市の例では、比較的待機児童数が少ない市の北部に向けて、市の南部から送迎を行うことは所要時間の観点からも難しさがあると伺っております。
ですが、例えば、隣接する八王子市からの受け入れを行うことが可能になるとすれば、児童のバス乗車の時間を抑えて待機児童の平準化を行うことも可能かと思います。
区市町村をまたいだ事業の活用が可能になるような調整も行っていただくことを要望し、次の質問に移らせていただきます。
障害者の自立に向けた地域居住の支援について伺います。
十月四日に多摩市議会から東京都宛てに、重度訪問介護を利用する単身障がい者の都営住宅をはじめ各種住宅入居への配慮・支援を求める意見書が提出をされました。この意見書を出すきっかけとなる陳情を出された当事者にもお話を伺い、特に重度知的障害があるなどして重度訪問介護制度を利用して、介助者による訪問介護を受けている障害者が住まいを確保することには大変な困難があるということがわかりました。
障害者は施設に入所して暮らすのが幸せという考えは昔の話。どこでどのように暮らすのか、障害のある人の選択を社会で支えていくことが重要と考えます。必要な支援を受けながら、友人や地域の関係者とのつながりを継続し、住みなれた地域で暮らしたいと考える障害者もいらっしゃいます。
そこで、まずは障害者の地域居住の場の一つである障害者グループホームの整備状況を伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、東京都障害者・障害児施策推進計画において、平成三十年度から三年間でグループホームの定員数を二千人分ふやすことを目標に掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成のほか、都有地の減額貸付や定期借地権の一時金に対する補助を実施しております。
平成三十年度は七百七十四人分を整備しており、平成三十一年三月一日時点のグループホームの定員は九千八百五十一人となっております。
○斉藤(れ)委員 グループホームが着実に整備をされているということがわかりました。
グループホームは地域生活を支える重要なサービスの一つではありますが、私の地元の多摩市では、さらに一歩進んで、重度の知的障害のある方がアパートを借りて、重度訪問介護などの支援を受けながら、実際にひとり暮らしをされています。
それまで一緒に暮らしていたご家族にとっても、お互いが自立することにより、健康状態や精神状態が向上したという利点が少なからずあったと伺っております。
けれども、ここに至るまでにも、ご家族含め大変なご苦労がありまして、実際に不動産会社を訪ねると、知的障害があることを理由に、なかなか契約に至らないことが大半だということでございます。
都は、障害者差別解消条例を制定し、事業者の合理的配慮を義務化し、相談、紛争解決の仕組みを設けておられますが、障害者の住まいの確保に関する分野ではどのような対応を行っているか伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、昨年十月に施行した障害者差別解消条例において、事業者の合理的配慮の提供を義務化するとともに、相談、紛争解決の仕組みとして、障害者差別解消に関し、知識、経験を有する広域支援相談員を設置しております。
広域支援相談員は、個々の事例について、事業者、障害者双方から丁寧に話を聞き取り、それぞれの場面に応じた助言を行っております。
平成三十年度に広域支援相談員が受けた相談の総数は三百七件で、うち不動産に関するものは二十一件でございました。これらの相談は、民間事業者がさまざまな障害特性への理解がないために生じたことが多く、都は、一般の人にもわかりやすいように漫画やイラストを入れたパンフレットを作成し、不動産関係団体を含めた各種の事業者団体に配布したほか、事業者向け説明会を開催するなど普及啓発に取り組んでおります。
今後とも、こうした取り組みを通じて、事業者の障害者への理解を深めてまいります。
○斉藤(れ)委員 障害者差別解消条例を制定した東京都ですが、実際に事業者に合理的配慮の提供を義務づける役割を担う一方で、東京都の職員の方の中にも、さまざまな障害特性への理解が十分にあるとはいえない現状があるとも伺います。
事業者向けの説明会も実施しているということですが、実際に当事者の方たちは、まだまだ差別があると感じておられるという事実を受けとめ、さらに丁寧に事業者に対する理解促進を進めていっていただきたいと要望し、次の質問に移ります。
障害者就労支援施設B型共同受注について伺います。
地元稲城市に八月に新しく開設された就労継続支援B型事業所に視察に行き、特に仕事の受注を安定させることにご苦労されているというお話を伺いました。
企業での雇用が困難な障害者の働く場であるB型事業所の利用者が従事する仕事は、事業者みずからが地域の実情を考慮して確保するのが原則とは思いますが、B型事業所単独では事業規模も小さく、安定した仕事の確保は難しいと感じます。
都では、B型事業所の工賃アップや販路拡大のため、平成三十年度から区市町村ネットワークによる共同受注体制の構築に取り組んでいると伺っていますが、区市町村のネットワークによる共同受注体制の構築の取り組みについて伺います。
○松山障害者施策推進部長 都はこれまでも、就労継続支援B型事業所の工賃アップや製品販路の拡大、情報共有を目的として、区市町村が地域の複数の事業所を取りまとめるネットワーク構築等の活動に対して、包括補助により支援してまいりました。
平成三十年度からは、都の共同受注窓口を設置し、大口の作業案件の受注や新たな販路開拓などの営業活動を実施しております。
共同受注窓口では、受注した仕事を区市町村ネットワークに対して発注するとともに、安定的に受注できるよう、業務の品質管理や品質向上に関して助言を行っております。
○斉藤(れ)委員 区市町村ごとにネットワークをつくり、大口案件なども含め共同受注ができる仕組みに補助をされておりまして、昨年度からは、さらに都の窓口も設置をしてネットワークの育成を図っているということがわかりました。
一方、今回訪問した稲城市においては、こちらの区市町村ネットワークがないという状況でございます。
そこで、区市町村ネットワーク構築に取り組む区市町村に対する支援について伺います。
○松山障害者施策推進部長 先ほど申し上げました都の共同窓口では、新たにネットワークの構築に取り組もうとする区市町村に対しまして、地域の事業所の実情に応じ、共同受注におけるルール設定やネットワーク内の役割分担など具体的な提案を行い、ネットワーク構築に向けた支援を実施しております。
また、都は、区市町村ネットワークの代表者が集まる会議を開催し、共同受注窓口の受注実績や区市町村ネットワークにおける取り組み事例を紹介しております。
ネットワークが未構築の区市町村に対しても、都からこの会議への参加を呼びかけており、こうした取り組みを通じて、区市町村におけるネットワーク構築を働きかけてまいります。
○斉藤(れ)委員 障害者の就労継続支援は、関係する事業所の皆様だけでなく、地域の住民や一般市民も支えていくことのできる体制の構築が必要と考えます。一般市民にも、障害者の就労や自立を支援したい、できることから始めたいと考える方は多くいらっしゃいます。
しかし、まず障害者就労施設が安定的な収入を得ることができる環境を整備しなければ、その思いを行動に移すことができません。この共同受注体制が構築された先には、障害者就労施設に対して、東京都の公共調達や企業からの発注のみならず、一般家庭などからの注文もふえ、結果的に多くの障害者とともに働く社会が実現されていくということを望みます。
東京都は、KURUMIRUなどの店舗型の障害者就労による生産物の販路拡大支援も行っておられます。都民の就労を応援する条例に関する基本的な考え方が示されましたが、その中で福祉保健局が担う役割は非常に大きいと考えておりますので、さらに周知や浸透に向けたご尽力をお願い申し上げます。
次に、主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所の設置促進について伺います。
都内における放課後等デイサービス事業所の数と、そのうち主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所の数について伺います。
○松山障害者施策推進部長 令和元年十月一日現在、都内の放課後等デイサービス事業所数は八百七十五事業所であり、そのうち主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所数は六十事業所となっております。
○斉藤(れ)委員 都内特別支援学校に通うお子さんを持つ保護者の方たちから、主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所は大変数が少なく、お住まいの地域によっては一カ所も施設がないということや、近隣の区市町村のデイサービスを探すことが大変で、保護者同士のつながりや口コミで何とか見つけているような状況であると伺いました。
主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所を積極的にふやしていくことが重要と考えますが、都としての取り組みについて伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、平成三十年三月に策定した障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおいて、主に重症心身障害児を支援する放課後デイサービス事業所を、平成三十年度からの三年間で、各区市町村に少なくとも一カ所以上整備することを目標に掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を行うなど、整備を促進しております。
平成三十年度は、十五事業所が新たに設置されております。
○斉藤(れ)委員 ぜひよろしくお願いします。
これからの東京都が目指すべきは、障害者のセーフティーネットのみならず、クオリティー・オブ・ライフの向上であり、当事者や家族の自立への取り組みは、将来的には行政負担軽減にもつながるものではないかと考えます。
また、このように放課後等デイサービスは広がりつつあるところですが、通所事業所の足りなさが深刻であるということです。都民から強くご要望いただいております、重症心身障害者が特別支援学校等を卒業した後に通う通所事業所の拡大も重ねて強くお願いを申し上げます。
次に、少し話が変わります。介護予防について伺います。
先日視察をしました川崎市にある介護予防通所介護事業所では、利用者の要介護度の改善に取り組んでおられまして、成果を上げておられます。
しかし、介護報酬は、重度の利用者の方が報酬が高いという仕組みになっておりまして、改善に取り組むほど事業者の収入が減ってしまう現実があります。各事業者にとって、介護予防に取り組むインセンティブが働かないという点が指摘をされております。
そこで、介護サービス事業者が、利用者の要介護度の改善に取り組むことを評価する仕組みについて伺います。
○村田高齢社会対策部長 介護保険制度は、高齢者がその有する能力に応じ、自立した日常生活を送ることができるようにすることを目的としており、介護サービスは、要介護状態等の軽減または悪化の防止に資するように提供されることが必要でございます。
平成三十年度の介護報酬改定では、こうした介護保険の理念や目的を踏まえまして、安全・安心で自立支援重度化防止に資する、質の高い介護サービスを実現するための加算が拡充されたところでございます。
このうち、通所介護事業所では、ADLの維持改善の度合いを評価するADL維持等加算や、外部のリハビリテーション専門職が連携して機能訓練のマネジメントをすることを評価する生活機能向上連携加算が設けられました。
本年十月一日現在、千五百七十八の通所介護事業所のうち、ADL維持等加算は百十三事業所、生活機能向上連携加算は九十五事業所が加算の届け出を行っているところでございます。
○斉藤(れ)委員 平成三十年度から始まったADL維持等加算と生活機能向上連携加算は、それぞれ既に百十三事業所、そして九十五事業所がこちらを活用されているというご答弁でしたけれども、特にADL維持等加算は、どれだけ取り組んだかどうかのアウトプットではなくて、どれほど結果が出せたかというアウトカム指標、こちらを用いられておりますので、さらに多くの事業所が、このADL維持等加算に取り組んでいただけるような支援策をぜひ検討いただきたいということを要望申し上げます。
川崎市では、行政も連携して、この事業所の取り組みを評価し、広めようとされております。そのように、区市町村が保険者として自立支援、重度化防止に向けて取り組むことが必要であると考えますが、見解を伺います。
○村田高齢社会対策部長 平成二十九年の介護保険法改正におきまして、区市町村が保険者機能を発揮し、高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止に取り組むよう、データに基づく課題分析、取り組み内容、目標の介護保険事業計画への記載、適切な指標による実績評価と財政的インセンティブの付与が制度化されたところでございます。
また、都道府県による区市町村の支援が求められておりまして、都は、区市町村に対しまして、実績評価を踏まえた技術的助言や研修を実施し、地域分析や課題把握、地域の実情に応じた取り組みを支援しているところでございます。
さらに、本年八月、高齢者保健福祉計画の進行管理等を行う東京都高齢者保健福祉施策推進委員会の専門部会として、学識経験者、保健医療福祉関係者、区市町村職員等で構成される保険者支援部会を設置しておりまして、今後、本部会で区市町村の自立支援、重度化防止の取り組み状況と課題、都の支援に関するニーズを把握し、より効果的な支援策を検討してまいります。
○斉藤(れ)委員 ご答弁をありがとうございました。
介護保険法の改正前は事業所に委ねられていたものが、改正後は区市町村に委ねられているという現実を憂慮している現場からの声も伺っております。
介護予防に取り組むということは、当事者がより長く、みずからの人生を、介護を必要とせずに暮らしていくお手伝いをすることであると同時に、限りある社会保障資源をより長い目で持続させていくために、それぞれの地域で費用抑制に取り組むことができるということでもあります。
例えば、視察した川崎市のデイサービスによると、平成二十年の東京都介護予防事業評価において、東京都のデイサービス全体で、介護度維持改善の平均値は六八%でした。
一方、川崎市のデイサービスでは、介護度維持改善率は九二・四%で、この数字で計算をしますと、今、東京都の要支援二の段階の認定の方の約十万人のうち、六八%ではなく、九二%が介護度維持を実現できた場合、五年後に、年間で約一千百二十五億円以上の費用を抑制できるということになります。
実際には、そう簡単に実現できることではないかもしれませんが、必要なサービスを保障しつつも、区市町村や事業所にも、さらに自立支援、重度化予防に積極的に取り組んでいただけるよう、ぜひ都としても支援策の検討をお願い申し上げます。
次に、動物愛護関連についてです。
動物愛護推進員を対象とした研修会の内容について、コミュニケーション手法など、活動に必要な基礎知識は重要ですが、さらに充実していくべきとの意見も寄せられております。
研修会の開催状況及び内容について伺います。
○高橋健康安全部長 動物愛護推進員は、地域における動物愛護及び適正飼養の普及のため、住民からの相談への対応や飼い方の助言等の活動を行っており、令和元年九月末現在、都内全体で三百四名の推進員を委嘱しております。
都は、推進員の方たちを対象に、基礎的な内容のものとしてコミュニケーション手法等に関する研修を行うとともに、専門的な内容をテーマとして取り上げた研修についても実施しております。
今年度は、五月に基礎的内容の研修会を開催し、九月にはシニアペットとシルバー世代をテーマといたしました研修会を開催しております。また、十一月の研修会ではペットの行動学をテーマに取り上げる予定でございます。
なお、テーマの選定に当たりましては、推進員の方たちからのご意見も参考にしております。
このほか、推進員同士が情報交換等を行うための連絡会も毎年開催しておりまして、地域での動物飼養に関する問題への対応事例について、グループでの討議等を行っていただいているところでございます。
今後も、都は、推進員の方たちが地域でより充実した活動を行っていただけるよう、研修会の開催等を通じて支援を行ってまいります。
○斉藤(れ)委員 推進員当事者の方からも、推進員だけでは解決できない地域の問題が種々起きているということを伺っています。今後も推進員の方とも意見交換を重ねて、例えば単身の高齢者の方の動物飼養の支援や、多頭崩壊の未然防止に向けた福祉部門との連携もより強化をしていただきたいと思います。
また、現在、動物愛護相談センターのあり方や今後の改修についても議論、検討を重ねていると思いますが、センターを動物との共生を象徴する新たな拠点として、誰もが訪れやすい、また、訪れたくなる施設へと、機能とイメージの転換をしてくださるよう検討をお願い申し上げます。
次に、災害時のペットの同行避難について伺います。
先ほどもほかの委員から質問がありましたので、違った質問だけ簡潔にさせていただきたいと思うんですけれども、災害発生時にペットと同行避難をするためには、飼い主の日ごろからの備えも重要と考えますが、こちらも広く啓発をするべきと考えますが、見解を伺います。
○高橋健康安全部長 都は、平時から災害に備えることが重要であるため、飼い主向けに、災害に備えた動物の身元表示やペット用備蓄品の確保、ペットの同行避難に必要なしつけや健康管理などの内容を盛り込んだペット防災リーフレット等を作成し、配布しております。
また、これらの内容を広く都民に周知するため、ホームページやペットショップ等を通じた啓発も行っております。
さらに、総合防災訓練や講習会等の機会を捉え、区市町村や関係団体と協力しながら積極的に啓発を図っております。
今後とも、災害への備えに対する飼い主の意識向上のため、このような取り組みを通じて啓発に努めてまいります。
○斉藤(れ)委員 ご答弁ありがとうございました。
現在周知も啓発もしてくださっているという内容だったんですけれども、今回の十九号のときに、ツイッターであったりとか知人を通して、口コミでかなり避難所の方の運営についてのいろんなうわさが回っていたというような状況がありまして、なかなか、この周知が本当に届いていたのかなというところは不安に思っているところがあります。
今後、さらにより届きやすい周知のあり方をぜひ検討いただきたいということを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
先日の台風十九号において、区市町村によってはホームレスの避難が断られたというような事案がありました。
避難所運営を初め、身近な行政サービスやセーフティーネットの構築は区市町村が中心であることは承知をしております。一方で、ホームレスの方々の中には住所不定の方も存在をしますし、一カ所で生活をしていない方もいらっしゃいます。だからこそ、広域行政体である東京都が、地域の方々とホームレスの方々の相互理解や具体的な支援策など、主体的に取り組む必要があると考えています。
ホームレスの避難所受け入れ問題に矮小化をすることなく、謝罪したから終わりではなく、東京都の目指すダイバーシティーの本質を見詰め直す契機にしていただきたいと願います。
そのような観点から、都のホームレス対策について数点確認をさせていただきます。
東京都の路上生活者の定義を伺います。
○藤井事業調整担当部長 路上生活者の定義につきましては、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法第二条に定めておりまして、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設をゆえなく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者となっております。
○斉藤(れ)委員 公共の道路や施設等を起居の場所としている方を路上生活者とされているということでした。
それでは、東京都の路上生活者概数調査の目的と実施方法を伺います。
○藤井事業調整担当部長 都が実施しております路上生活者概数調査は、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法などに基づき実施している路上生活者対策事業の施策の効果を継続的に把握することを目的としたものとなっております。
実施方法は、毎年、冬季の一月と夏季の八月の年二回、都内の道路、公園、河川敷、駅舎等において、各施設管理者などが目視により調査を実施しております。
○斉藤(れ)委員 東京都の調査は、路上生活者対策事業の施策の効果を継続的に把握することを目的とされているということですが、実際には、民間が行った調査では、東京都の調査結果の二・六倍の路上生活者が確認されているともいわれておりまして、ホームレス自立支援計画を策定する東京都には、ぜひとも適切な支援を実施するためにも、まずは正確な実態把握を行っていただきたいと考えます。
東京都の調査を行った時間帯について伺うとともに、ホームレスの日中と夜間の状況について都の認識を伺います。
○藤井事業調整担当部長 都は、日中の時間帯のホームレスの人数について概数調査を実施しております。
また、日中及び夜間におきまして、特別区等と連携し、巡回相談によるアウトリーチを実施するなど実態を把握するとともに、ホームレスの方々との関係を構築し、支援につなげるよう取り組んでおります。
夜間の時間帯では、昼間の概数調査結果に比べホームレスの数が多い傾向にあることにつきましては、巡回相談を委託しております社会福祉法人を通じて把握しております。
○斉藤(れ)委員 東京都のホームレスの数は、都の調査では、平成二十三年に千五百六十人から、平成三十年、千百八十四人まで減少しています。けれども、夜間も含めた民間の調査によると、実際にはその二・六倍の人数がいることがわかっています。これは多い傾向という程度のものではないかと思います。
路上生活者の中には、日中は日雇いなどで働いておられ、夜に公園等に寝泊まりする方も含まれます。また、日中の間は都内各地の炊き出しなどの支援拠点を何時間もかけて歩いて回っているような行動習慣の方もいらっしゃいます。起居の場所を確かめるためには、日中のみならず夜間の調査も行っていただきたいと要望いたします。
また、東京都の自立支援センターは、三回以上の入所はできない、半年後には就労先を見つけなければならない等の条件がありまして、発達障害や認知症などの症状のある当事者にはハードルが高いとされている中、福祉との連携を必要とするケースに対して、就労のみを自立のあり方としない、支援付地域生活移行事業の果たす役割は大きいと考えます。
平成二十九年度から二カ年、モデル事業として実施した支援付地域生活移行事業の実績について伺います。
○藤井事業調整担当部長 支援付地域生活移行事業は、路上生活の長期化、高齢化などで、就労での自立が困難なホームレスの方に対して地域生活への移行を支援する事業で、平成二十九年度から二年間、モデル事業として特別区と共同で実施したものです。
本事業を実施した八区における二年間の実績については、五十六人のホームレスの方がモデル事業用の住居に入居し、このうち四十一人が生活保護等を受け地域生活に移行しており、この実績などを踏まえ、今年度は二十三区全域で本格実施しております。
○斉藤(れ)委員 ご答弁ありがとうございます。今年度からの本格実施で、さらなる実績につなげられることを願っております。
大都市であり、地価も高い東京都は、ふとしたことで社会とのつながりを失い、路上生活者となるリスクも高い現実がございます。まずは正確な現状把握、そして個別の状況に合わせた適切な支援が図られるよう、ぜひ努めていただきたいと申し上げて、私の質問を終わります。
○後藤委員 私からは、まず、介護の人材対策についてお聞きをしたいというふうに思います。
団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年に向けて急激な介護需要の増加ということが見込まれておりまして、介護サービスの受け皿が不足をするということが、委員の皆様もご承知のとおりだと思いますが、問題となっております。
東京都高齢者保健福祉計画によりますと、二〇二五年までに、中位推計であったとしても、約三万五千人の介護職員が不足するとの統計が出ておりまして、こうしたことからも、都は今までの取り組みに加えて、実効性の高い人材確保施策の展開が今後求められております。そのためにまず重要なのは、具体的な実態の把握であると考えます。
そこで、東京都の直近三年間の介護業界への採用と入職の状況について伺います。
○村田高齢社会対策部長 厚生労働省の職業安定業務統計によりますと、東京都における介護関係職種の有効求人倍率は、平成二十八年度五・八六倍、平成二十九年度六・一四倍、平成三十年度六・七七倍となっております。
また、公益財団法人介護労働安定センターが実施しております介護労働実態調査では、毎年九月三十日現在の事業所在籍者数に対する、その後一年間の採用者数の割合を採用率として定義をしております。
これらによりますと、都内の訪問介護員、介護職員の採用率は、平成二十八年度が一八・〇%、平成二十九年度一七・八%、平成三十年度二〇・六%となっております。
同調査によりますと、訪問介護員、介護職員を含む都内の介護労働者のうち、前職がある者の比率は、平成二十八年度八二・八%、平成二十九年度八六・一%、平成三十年度七九・一%でございます。また、前職がある者のうち、その仕事が介護、福祉、医療関係以外の仕事であった者の比率は、平成二十八年度五三・五%、平成二十九年度六一・五%、平成三十年度六一・九%でございます。
○後藤委員 ありがとうございました。採用率が二〇%ということで、事業所の五人に一人が新規入職者であるということや、介護業界以外の入職が六割以上ということで、この業界では未経験採用はかなり進んでいるということもわかりました。
ここで一つご指摘をしたいのは、入職者数という大事な数字が抜けているなというふうに感じておりまして、事前のやりとりの中では、都は、入職者数をとっていないということでございましたけれども、日本で一番介護職の求人倍率が高い東京で、かつ先ほどの需要のギャップによると、三万五千人のこのギャップを埋めるために、これだけ確保に関する施策を展開しているということですから、基本的なところとして、どれだけの人が毎年この東京において介護業界に入職しているのかというのは、数字として把握をするべきなのではないかなというふうに思います。
今後は、三年置きの高齢者保健福祉計画の改定時だけではなく、毎年調査として、しっかりと入職者数の実態数を把握することを求めたいと思います。
また、求人倍率については、平成三十年度の介護関連職の求人倍率が六・七七倍ということで、これは全産業と比較しても三・八倍、介護職の全国平均と比較しても約二倍ということで、東京都の介護職の求人は、やはり突出して高い水準になっているということがわかりました。
そこで、東京都の介護職における求人倍率が高い理由というのを、都としてどのように捉えているのか伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 東京都の介護関連職種の有効求人倍率が高い理由としましては、少子高齢化による労働力人口の減少や他の業種の求人状況の動向に影響されていることが考えられます。
○後藤委員 ありがとうございます。労働力人口の減少や他産業の求人動向の影響というお話がありましたけれども、やはり三万五千人の需給ギャップを埋めるという意味では、これまで対応していた採用のターゲットに加えて、新しい層の開拓というのが必要になるというふうに考えます。
その一つになるのが潜在介護福祉士でございます。直近の調査では、経験や資格はあるものの、介護の仕事をしていない潜在的な介護人材のうち、四割強が介護職として働きたいと考えているということがわかっています。
そこで、都内における潜在介護福祉士はどのくらいいるのか推計を伺います。
○村田高齢社会対策部長 公益財団法人社会福祉振興・試験センターが平成二十七年度に実施をしました社会福祉士・介護福祉士就労状況調査によりますと、福祉、介護、医療分野で就労している者の割合は七八・七%となっております。
同センターによりますと、平成二十九年三月末の都内介護福祉士登録者数は十万九千五百三十二人となっておりまして、上記の調査により、福祉、介護、医療分野に就労していない者は約二万三千人と推計されます。
○後藤委員 ありがとうございます。今、二万三千人の潜在介護福祉士がいるのではないかというご答弁がありました。
この二万三千人のうちの四割が介護士として働いてくれるとすれば、約九千人の介護士の確保につながるということで、潜在介護福祉士が介護業界で働きたいと思ってもらうための支援というのは非常に重要だというふうに考えますが、東京都における潜在介護福祉士に向けた業界参入促進の取り組みについて状況を伺います。
○藤井事業調整担当部長 離職した介護福祉士等が、一度介護の仕事から離職しても、再び介護の仕事でご活躍いただけるよう、国は、平成二十九年度から離職介護福祉士等の届け出制度を開始しております。
東京都福祉人材センターでは、その届け出者に対しまして、メールや郵送により就職イベントなどの案内を行っております。
また、介護福祉士などの資格を持つ有資格者が求職相談に訪れた際には、キャリアカウンセリングのスキルを持つ就職支援アドバイザーがきめ細かく就職活動を支援しております。
○後藤委員 離職介護士については、個別に案内を送ったり、就職支援を行っているというようなご答弁がございました。
そこで、今ご答弁にありました福祉人材センターというところについても少しお聞きをしたいというふうに思います。
人材の確保に関して、都はさまざまな施策を展開しておりますが、その主要なものの一つに、東京都福祉人材センターの求人あっせん事業というものがありまして、これはハローワークでの就職あっせんと何が違うのかということについてお聞きをしたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 東京都福祉人材センターでは、全産業の職業紹介を行っているハローワークに比べて、社会福祉士の資格を有するなど、福祉の仕事についての専門知識を持った相談員が就職相談に応じておりまして、福祉の各分野や事業の種別、資格にかかわることなど、より専門的な相談に応じることが可能となっております。
○後藤委員 ありがとうございます。ハローワークと比べても、福祉に特化した採用支援をされているというようなことがわかりました。
では、この東京都福祉人材センターでの直近三年間の来所者数と就職あっせん実績について伺いたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 本所と多摩支所を合わせた東京都福祉人材センターの来所者数は、平成二十八年度が六千二百三人、二十九年度が一万一千六百六十六人、平成三十年度が一万五百三十六人となっております。
福祉人材センターでの来所相談やセンターが地域で行う面接会などを通じて就職した方の数は、平成二十八年度が二千五百四十六人、二十九年度が千四百三人、三十年度が千八百六十五人となっております。
○後藤委員 ありがとうございます。直近で一万人を超える来所者数と、千八百名を超える就職者数がいるということで、一定の成果を上げているということはわかりました。
一方で、福祉業界から転職した方々に伺うと、この東京都福祉人材センターで転職しましたという方をほとんど私、聞いたことがありませんで、恐らく知らない方もいらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。
一定程度、就職者数がいるということで、全く実績がないというわけではないと思うんですけれども、そうした意味で、効率的な普及啓発というものがすごく大事だと思うんですが、本事業の都民への告知方法というものはどのようなものになっているのか伺いたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 都民への東京都福祉人材センターの周知につきましては、都内介護福祉士養成施設や大学などにチラシを送付するとともに、ホームページでの情報発信も行っております。
また、各地域で行われる就職相談会などのイベントにおきまして、福祉人材センターの事業説明やチラシを配るほか、中学校や高校を訪問して行う福祉の仕事セミナーなどの機会を捉えましてPRを行っているところです。
○後藤委員 ありがとうございます。チラシを配るなど、さまざまな施策を展開しているということですけれども、やはり転職する方々、求職者は、今はインターネットを使って求人情報を探す方も多いと思います。例えばインターネットを使った効果的な広報であるとか、あるいはハローワークと連携した普及啓発等々、さらなる改善を求めて、次の質問に移りたいと思います。
そして、この三万五千人の確保というところに向けて、新たなターゲットの掘り起こしという意味では、潜在介護福祉士もそうですが、今後は、これまでフルタイムで働くことが難しかった主婦や、体力的な問題で介護現場に入ることを敬遠していた高齢者などが、介護業界で働くことができるように支援することが重要であると考えます。
そこで、主婦や高齢者など多様な人材が介護業界で働けるように都が支援すべきであると考えますが、現在の取り組みについて伺います。
○村田高齢社会対策部長 今後一層の増加が見込まれます介護ニーズに適切に対応していくためには、サービスを担う多様な人材の参入促進を図ることが必要でございます。
このため、都は、介護人材確保対策事業としまして、職場体験事業、資格取得支援事業、就業促進事業を実施しております。
職場体験事業は、介護職員として就労を希望する学生、主婦、離職者等が介護業務の理解を深めることを目的としまして、施設等で最大三日間、職場を体験できる機会を提供しております。
資格取得支援事業では、将来の介護職員の育成を目的に、職場体験事業修了者に対しまして、介護職員初任者研修等を無料で受講できる機会を設けております。
就業促進事業は、施設等における即戦力の人材の確保を目的に、介護業務への就労を希望する者が介護事業者と六カ月以内の有期雇用契約を締結し、働きながら介護職員初任者研修等を受講することを支援しております。
また、企業等が退職前から介護の魅力を伝え、基礎的な知識等を提供する研修を実施する場合に、実務や指導経験の豊富な講師を派遣する介護講師派遣事業を実施しております。
今後とも、多様な人材の介護職場への参画促進に向けまして、取り組みを推進してまいります。
○後藤委員 ありがとうございます。多様な人材の入職に向けて、間口を広げるという意味でさまざまな支援をしていただいていることがわかりました。
潜在介護福祉士も、多様な人材の確保についてもそうなんですけれども、こうした間口を広げたりですとか、魅力の発信、そして資格取得の支援を行うというのも大変重要だと思うんですけれども、さらに大事だと思うのは、そうした方々が働ける職場環境というものをまず整えることの支援というのも大事なのかなというふうに思います。
潜在介護福祉士の中でも、経験があってやめてしまった方の中には、夜勤などで仕事と子育ての両立が難しかったという声や、高齢であって体力的に仕事を続けることが難しいなどを理由にしている方々も多くおりまして、こうした人たちが再び介護現場で働けるためには、例えば日勤帯のみの就業や育児都合に合わせて休暇が取得できること、あるいは高齢の方々には労働時間の配慮などなど、事業者側の働き方改革というのがセットで拡充されるというのが欠かせないことだというふうに思います。
この後、定着支援に関しては触れさせていただきますけれども、介護業界は他産業に比較しても、最も採用が難しい業種の一つであるからこそ、最も働き方のイノベーションが生まれなければいけない産業であるともいえると思います。
ぜひ事業者側にそうした意識の啓発を行っていただくとともに、支援策を重ねて検討していただくことを要望し、次の質問に参ります。
介護人材の確保に向けては、多様な人材が業界に参入できるように支援することに加えて、事業者の採用力の底上げも重要であると考えます。
私自身も、前職で多くの介護現場の人事担当者や経営者の方にお会いをしてきましたけれども、ほかの産業に比べると、やっぱりかなり施設によってばらつきがあるなというふうに感じていまして、正直、採用できないというのは、いつも同じ事業者みたいなことがよくあるわけです。
一方で、介護事業者における経営上の大きな課題は採用であると答える割合が最も高く、いわゆる採用力というのは経営力であるというふうにも、この業界ではいえると思います。
ただ、一方で、介護業界は他産業に比べて、こうした一般的な採用ノウハウということを知らずに、人を取り逃している事業者も多くあるというふうに感じておりまして、今後、採用フェアなどの既存事業に加えて、事業者の採用力というものを底上げするような取り組みというものも必要であるというふうに感じています。
そこで、事業者の採用力向上に向けて、都はどのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 福祉人材の確保が難しい状況が続く中、事業者の人材確保を支援するため、東京都福祉人材センターにおきまして、都内の福祉施設の採用担当者や施設長などの管理職員を対象に、採用力を高めるセミナーを年二回開催しております。
また、経営コンサルティングのノウハウを持つ専門家が小規模事業所を訪問し、働きやすい職場づくりを支援する取り組みの中で、相談できる事項の一つとして、採用活動の見直しが入っておりまして、ほかの課題の解決とあわせて採用力の強化も支援しているところです。
○後藤委員 ありがとうございました。セミナーとコンサルティングの事業で、採用力の向上に向けて支援されているというお話でしたけれども、この二つとも、どちらもインプットの事業であるなというふうに考えていまして、ぜひこれ、ご提案なんですけれども、アウトプットを支援する取り組みというものもぜひやっていただきたいなというふうに思っております。
私も、前職こうした仕事をしておりましたので、自治体の方からご依頼をいただいて、採用のセミナーを介護事業者の方によくやっていたんですけれども、皆さん、セミナーを受けているときは物すごくうなずいて、メモをとりながら聞いていただけるんですけれども、事業所に戻ってから取り組みしていますかというと、全然やられていないみたいなことがよくありまして、なかなかその後の取り組みにつながっていないというケースが、こういうインプットの事業だとよく見られるなという課題を持っておりました。
私自身、こうした背景から、以前、別の県で事業提案したことがありまして、県の社協さんと一緒に、やる気のある事業者を数十社集めて、採用における一連のプロセスというものを伴走するようなプロジェクトというものをやりました。
例えば、大学訪問編というところでは、チームに分かれて一緒に大学を訪問するんですけれども、就職課に実際に行ってみると、皆さん介護事業者の人事の方なんですけれども、自分たちの仕事の魅力についていえずに詰まってしまったりとか、あとは、大学訪問で学生向けなのに入居者用のパンフレットを持ってきていたりとか、改善すべき気づきがかなりたくさんあったという実態がありました。
現在、厚労省でも同じような、事業者のアウトプットを支えるような仕組みということで、CHANTという事業が新規事業で今進んでおりますけれども、採用環境がかなり厳しい東京ということで、こうしたアウトプットに対して支援するような取り組みを、今後ぜひ東京都でも検討していただくことを要望し、次の質問に参りたいと思います。
そして、採用においては、採用ができない理由の分析というものは、いろんな調査でも分析をされているんですけれども、採用がうまくいっている理由というのも非常に大事だというふうに思っています。
私も都議会議員になってから、いろいろな介護施設の経営者の方とお会いするんですけれども、よく、行政としてもっと人が採れる支援をしてほしいという形でご要望をいただくんですけれども、実際に人がしっかり採用できている施設も少なからずあるというふうに思っておりまして、その採用できている施設が何をやって採用できているのかという取り組みを横展開することが重要だというふうに思っておりまして、都内における採用の好事例などの情報を収集し、施策展開に生かすべきだというふうに考えますが、見解を伺います。
○藤井事業調整担当部長 都では、東京都福祉人材対策推進機構の取り組みの一つとしまして、平成三十年一月、職員の確保、育成、定着に関しまして効果的な取り組みを実践している福祉事業所が、これまでさまざまな問題にどのように向き合い、どのように問題を解決してきたか、他の事業所の参考となる都内七事業者の取り組みにつきまして、お勧め実践例として冊子やホームページによる情報発信を行っております。
今後とも、機会を捉えて好事例を把握してまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。今ご答弁の中で、お勧め実践例ということで情報発信されているというお話がありましたけれども、この実践例というのを私も冊子で拝見したんですけれども、採用に関する事項の中を見てみますと、二つ事例紹介ということで、少し物足りないかなという感じもいたしました。
本当に採用のノウハウに困っている事業者が多いので、今後、例えば事業者が円滑な採用を進めるに当たっての採用ハンドブックであるですとか、こうしたものをつくるなどして、事業者側の採用力の向上を支援していただくことも要望し、次に参りたいというふうに思います。
次に、TOKYO働きやすい福祉の職場宣言事業について質問をします。
都は、平成二十九年度より、働きやすい福祉の職場ガイドラインを踏まえた職場づくりに取り組むことを宣言する事業所の公表をしまして、働きやすい事業所の見える化などを図る、TOKYO働きやすい職場宣言事業を展開しております。
この事業自体、私も事業開始から見ているんですけれども、すごくすばらしい事業だというふうに思っておりまして、特に介護現場においては、AとBの、施設のどちらの施設の介護の求人の内容が違うのか、施設のよさがあるのかというのを、はたから見てわかりにくいという課題がありまして、求職者から見て、それぞれの職場の特徴であったりとか、働きやすさというものが定量的に見える化をされて、よりよい職場選択の意思決定を支援するものであるということから、とても意義のある事業だなというふうに見守っているところでございます。
そこで、現時点での働きやすい福祉の職場宣言が済んでいる事業所と法人数について伺いたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 ただいまご紹介のありましたTOKYO働きやすい福祉の職場宣言事業所とは、働きやすい職場づくりに取り組むことを宣言する事業所で、働きやすさの指標となる項目を明示した都独自の働きやすい福祉の職場ガイドラインを踏まえまして、人材育成、キャリアアップ、ライフワークバランスなど、働く人に優しい職場づくりに取り組む事業所のことをいっております。
平成三十年一月より、働きやすい職場づくりに取り組む事業者の公表を開始しておりますが、令和元年九月末現在、千三百五十七事業所百七十八法人を公表しております。
○後藤委員 ありがとうございました。一年間で多くの事業所の宣言が行われたということがわかりました。
一方で、この宣言をしていただいた事業所からは、実地調査等、登録の手間がかなりかかった、その割には、まだ採用などなどのメリットを感じていないという声も上がっております。
この事業では、宣言事業所になったときのメリットとして、職員の採用が有利になることや都のイベントで積極的に広報することなどを挙げておりますが、働きやすい福祉の職場宣言をした事業所に対して、都はどのような支援をしているのか伺いたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 福祉人材情報バンクシステム、ふくむすびにおきまして、働きやすい職場づくりに取り組む事業所として公表しております。また、都主催の就職フォーラムへの優先参加や、出展ブースに宣言事業所である旨の表示などを行っております。
また、既に宣言済みの事業者に対しまして、さらに働きやすい職場づくりに取り組んでいただけるよう、事例や様式を盛り込んだ冊子を送り、事業者のさらなる取り組みを支援しております。
さらに、ハローワークと連携しまして、求人票に宣言事業所である旨の表示を可能とするとともに、宣言事業者のリストを送付し、求職者への職業紹介に活用してもらっております。
○後藤委員 ありがとうございました。事業者が求める支援というのは、やはり何よりも採用がしやすくなるということだというふうに思っておりまして、そうした意味で、就職フォーラムに優先参加できるというのは、大変、事業者にとってうれしいことだと思いますし、ハローワークの連携というのもすごくいい取り組みだというふうに思うんですけれども、この連携というのをよくよく聞いてみますと、ハローワークに表示される求人票に宣言事業所ありという表示がされるのみだというふうに聞いていまして、これだけですと、ハローワークの職員の方も、何がどう働きやすい施設なのか、せっかく働きやすい福祉の職場づくりの項目で、いろんな項目があって、事業所が一生懸命書き込んで、その事業所ならではの魅力について発信をしているわけなので、そこがなかなかハローワークの求人事業の中で活用されていないなというのが、ちょっともったいないなというふうに思っております。
システム上の問題で、こうしたことになっているというようなご説明が事前にありましたけれども、例えば、宣言企業については、別途チラシをお渡しするであるとか、ふくむすびの方に、かなり細かな、詳細な事業所の情報が入っているので、こうした重要情報を出してもらうようなスキームに変えるとか、何らかの改善が必要なのかなというふうに思います。こうした改善を求めて、次の質問に参りたいというふうに思います。
次に、介護業界の普及啓発について伺いたいと思います。
就業人口をふやしていくという観点におきましては、採用における個別の施策に加えて、業界全体のイメージを上げていく普及啓発も重要であると考えます。
都では昨年度より、福祉現場のイメージアップ施策として、ハローキティとタイアップした企画を実行しておりまして、PR動画の作成など普及啓発を行っています。
そこで、本事業の目的とコンセプトについて、まず伺いたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 お話の事業につきましては、中高生や大学生などの若年層を対象に福祉の仕事の魅力を発信し、福祉業界全体のマイナスイメージを払拭することで、将来にわたり安定的に福祉人材の確保をすることを目的としております。
また、生活における福祉の身近さや社会における重要性、福祉の仕事の多様性ややりがいといったことにつきまして、特に福祉分野に対する関心の低い層に対しまして普及啓発を行うことなどをコンセプトとしております。
○後藤委員 ありがとうございます。私もこの動画を拝見したんですけれども、介護の仕事の魅力を、一緒に笑顔になれる仕事というふうに表現していまして、とても前向きな、すてきな仕上がりになっているなと思っております。
内容としては、どちらかというと、今ご答弁いただいたコンセプトの中のマイナスイメージを払拭するというよりかは、より魅力を伝えるという動画の内容になっていると思います。
一つ申し上げるとすると、今後は、若い方々が抱えるマイナスのイメージを払拭するというコンセプトがあるということでしたので、介護のマイナスイメージとして第一にある、体力的、精神的にきついという、こうした事項に対しても払拭するようなものをぜひ出していただきたいなと思っておりまして、定着にかかわる事業として、例えば東京都はICTの支援であったりとか、さまざまな定着施策をしっかりやっているというふうに思っているので、そこに対して、そうじゃないよということもしっかり伝えていただきたいなというふうに思います。
そして、本事業の今後の取り組みの方向性についても伺いたいというふうに思います。
○藤井事業調整担当部長 事業の今後の取り組みの方向性についてですけれども、福祉の仕事の魅力や仕事の種類などを伝える冊子やリーフレットを都内の中学校などに配布するとともに、大学の学園祭や渋谷駅での展示イベントの開催、就活生を対象としたウエブ広告などを実施する予定となっております。
また、福祉人材に係る局事業の広報などにおきましても、本年一月にTOKYO福祉のお仕事アンバサダーに任命しましたハローキティを引き続き活用してまいります。
○後藤委員 ありがとうございます。ハローキティの訴求力を活用していくというご答弁がありましたけれども、現場からは、キティを使ったノベルティーグッズに対しても期待が寄せられておりまして、昨年度は、ボールペンやウエットティッシュなどをつくっていただいたんですけれども、事業者の方々からは、ちょっと一部、キティの活用がし切れていないんじゃないかという声もいただいておりまして、私も拝見しましたけれども、若者向けというには少々地味かなというような感じがしておりまして、若者の当事者の声も聞きながら、ぜひ、せっかくキティを使っているので、若い方が喜んで使っていただけるような改善を求めたいというふうに思います。
次に、定着支援について伺います。
前段、るる述べさせていただきましたけれども、求人倍率が高く採用困難な現在において、離職者を防ぐための施策というのは非常に重要であります。
また、離職者が少なく職員が活躍している施設は、その評判で人が集まるという好循環になるということからも、介護事業者の定着支援というものを都としてサポートする必要があると考えますが、まず、東京都における直近三年間の介護職の離職率について推移を伺います。
○村田高齢社会対策部長 公益財団法人介護労働安定センターが実施しております介護労働実態調査では、先ほどご答弁申しました採用率と同様に、毎年九月三十日現在の事業所在籍者数に対する、その後一年間の離職者数の割合を離職率として定義をしております。
それによりますと、都内の訪問介護員、介護職員の離職率は、平成二十八年度が一四・九%、平成二十九年度一六・四%、平成三十年度一五%となっております。
○後藤委員 ありがとうございました。直近で一五%の離職率というご答弁でしたけれども、この離職率が高いのか低いのかというところですが、この数字自体は、実は他産業と比較してもほとんど変わらない水準であるということでございまして、介護業界における認知のギャップの一つの大きなものとして、この離職率にかかわるイメージがあるかなというふうに思っています。
一般的な介護業界のイメージというところでいくと、介護業界は離職率が高いというイメージはよく聞く話なんですけれども、実は高くないということが、これ、イメージの意味からでもすごく重要だというふうに思っておりまして、介護業界は離職率が高い業界であるから入職をためらうという求職者も一部存在をしているという事実があります。
ただし、ある調査では、介護業界の就業意向がなかった人の一二%が、この離職率が低いという実態を知ったことで就業の意向がありに変わっているというような調査の結果も出ておりまして、今後、介護業界のイメージアップという観点に向けては、介護業界の離職率は高くないという事実も、より普及啓発していただきたいと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 先ほどの答弁と重なってしまいますが、都では、福祉の仕事のイメージアップに向けまして、中高生や大学生などの若年層を対象に福祉の仕事の魅力を発信し、福祉業界全体のマイナスイメージを払拭することで、将来にわたり安定的に福祉人材の確保に努めているところです。
ただいまご指摘の離職率に関しましては、今年度設けている特設サイトでの普及啓発を検討してまいります。
○後藤委員 ありがとうございます。今後ご検討いただけるということなので、ぜひお願いいたします。
また、業界の定着支援に向けて注目すべき点は、入社三年以内の離職防止という観点であります。
介護業界の離職者の内訳を見てみますと、三分の二が三年未満の離職者で占めておりまして、これは他の産業と比較しても、三年未満の離職率が介護業界は高いという事実がわかっておりまして、離職防止の観点からは、入職後三年未満の早期離職対策というのがかなり実効性の高い離職防止対策になるというふうに思っているんですが、まず、介護職員の早期離職対策として、都はどのような支援を行っているのか伺いたいというふうに思います。
○村田高齢社会対策部長 介護職員が職場に定着しない原因としまして、職責に応じて処遇がされるキャリアパスの仕組みや、職場における人材育成や労働環境の改善が十分ではないということが挙げられます。
このため、都では、介護職員の育成、定着を図るため、国のキャリア段位制度を活用いたしまして、キャリアパスの導入に取り組む介護事業者を支援する東京都介護職員キャリアパス導入促進事業を実施しております。
また、若い世代の職員の確保、定着を図るとともに、介護事業所の人材育成の取り組みを支援し、質の高い介護サービスを長期的に提供することを目的としまして、奨学金返済相当額の手当支給に取り組む介護事業者を支援する介護職員奨学金返済・育成支援事業を実施しているところでございます。
今後とも、介護人材の定着、育成に向けて取り組みを推進してまいります。
○後藤委員 ありがとうございます。キャリア段位制度の実施や奨学金支援制度等の取り組みをご紹介いただきました。
この内容、取り組みはもちろん存じ上げているんですけれども、この施策自体は、いわゆる一般的な定着支援に関する施策だというふうに思っておりまして、離職者の三分の二が入社三年未満の離職であるという事実からすると、早期の離職ということにフォーカスした施策というものも実効性が高いという観点からも、ぜひ検討をしていただきたいなというふうに思っております。
私自身、前職で介護職員の方々の入職してから三年間というのを定点でインタビューをずっとし続けるというのを一回調査でやったことがあるんですけれども、その際にわかったのが、介護職員の方々が離職をするポイントというところで重要なのは、入職後半年というところが大きなポイントだというふうに結果としてわかっております。
この半年は何かというと、研修が終わって夜勤が始まるですとか、育成の手から離れたりして、精神的、身体的な負荷が増大するというタイミングということで、この半年というのが共通項目であるということがわかっておりまして、実際、事業者の支援としても、このタイミングでメンターの面談を入れたりですとか、同期の懇親会等々を行うことで離職防止に大きく起因するというものも、当時、その調査でわかっております。
最近では、自治体等でも、同じ入職タイミングの同期を集めて、業界内同期という形で、モチベとするような取り組みというものも進んでいるようでございまして、こうしたものも参考にしながら、ぜひ早期の離職防止というものも、一つテーマとして定着支援策を検討していただきたいというふうに思います。
次に、介護現場におけるハラスメント対策について質問します。
近年、介護現場において、利用者やその家族から介護職員への身体的暴力や精神的暴力、セクシュアルハラスメントなどが少なからず発生しているということがさまざまな調査で明らかになっています。
介護クラフトユニオンの行った調査では、介護職のうち、七四・二%が何らかのハラスメントを受けたことがあると回答もしておりまして、さらにそのうちの四割がセクハラに該当する行為を受けているとしています。
利用者から体をさわられる、性行為を強要されるなどの被害も出ており、介護福祉士が安全に働ける環境づくりの面からも、介護現場におけるハラスメント対策を講じることは重要であると考えます。
そこで、介護現場における利用者、家族からのハラスメントに対して、都はどのような対策を行っているのか伺います。
○村田高齢社会対策部長 都は、介護保険の指定居宅サービス事業所等の新規指定や更新の際に独自の研修等を実施しておりまして、事業者が遵守すべき労働基準や労働安全衛生のほか、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントに対する事業者の対応などに対する講義を行っております。
一方、国の平成三十年度老人保健健康増進等事業では、介護現場におけるハラスメントに関する調査研究を実施しておりまして、訪問介護等の介護現場におけるハラスメントの実態把握や、介護事業者におけるハラスメント対策の取り組み事例の収集を行うとともに、介護現場におけるハラスメント対策マニュアルを作成いたしました。
都は今後、このマニュアルを踏まえまして、弁護士等の専門家からの法的な助言や、ハラスメント対策について先進的に取り組んでいる事業所等からの実践報告を行います事業者向け説明会を開催する予定でございます。
○後藤委員 ありがとうございました。今回、国でつくられたマニュアルをもとに、早速、説明会をやっていただけるということですので、しっかり対策を講じていただけることを評価するものであります。
特に、現場の管理職の方々には、スタッフからこうした被害の報告があったときに、組織として正しい対応ができるような支援、説明をしっかりしていただくことを求めて、次の質問に参ります。
次に、地域福祉支援計画について質問をさせていただきます。
地域福祉支援計画については、私、平成三十年度の一般質問でも取り上げさせていただいたものでございまして、この地域福祉支援計画とは、高齢、障害、児童、このそれぞれの分野の垣根を超えて共通して取り組む事項であったりとか、あとは包括的な支援体制というものを取りまとめた計画であります。
私自身、この計画の位置づけというものをすごく大事であるというふうに考えておりまして、よく私もいっておりますけれども、例えば最近は、子育てと介護のダブルケアであったりですとか、あとはひきこもりの問題であったりですとか、高齢や障害など、それぞれの所轄で抱え切れない複合的な課題というものがとてもふえてきているなというふうに思っています。
こうしたことからも、縦割り、分野ごとの支援ではなく、分野を横断して家庭ごとの支援体制をどのようにつくっていくのかというものは、今後、都が取り組むべき大きなテーマであるというふうに考えています。
そこで、東京都地域福祉支援計画策定に当たっての背景と課題認識について伺います。
○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長高齢者施策推進担当部長兼務 都はこれまで、高齢者、子供、障害者など、分野ごとに計画を策定しまして、それぞれに施策を展開してまいりました。
一方、東京では、高齢者のみの世帯や単身世帯の増加、住民同士のつながりの希薄化など、世帯や地域の状況が変化し続けておりまして、住民が地域で生活していく中で抱える課題は複雑化、複合化しております。
このような状況に対応するため、各地域におきましては、行政内部での連携はもとより、住民や福祉関係団体など多様な主体同士がそれぞれ連携を深め、分野や世代を超えたきめ細かな支援体制を構築することが必要となってきております。
こうした背景の中で、平成二十九年六月の社会福祉法改正により、地域福祉計画の策定が区市町村に努力義務化されまして、都は、区市町村を支援するために、平成三十年三月、新たに東京都地域福祉支援計画を策定いたしました。
○後藤委員 ありがとうございます。分野や世代を超えたきめ細かな支援を構築する必要があるというお話がただいまありましたけれども、私自身、この計画が実際につくられてから、福祉保健局の方とも数多く意見交換をしているわけですけれども、ただ、現場の中でも実際に、これは高齢ではないのでとか、これは少子社会対策部の所轄じゃないのでみたいな話を実際よくよく聞くわけでございまして、正直、都は、運営体制として、まだまだ分野を超えて支援をするという意味では課題が多くあるんじゃないかなと思っております。
そこで、地域福祉支援計画と分野別計画との関係性を踏まえて、今後、施策をどのように進めていくつもりなのか伺いたいというふうに思います。
○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長高齢者施策推進担当部長兼務 都では、地域福祉支援計画を、個別計画のはざまを埋め、横につなぎ、都の福祉施策全般を支え、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを支援するものと位置づけております。高齢や障害分野などにおきましても、地域福祉支援計画と整合性を図って計画を策定し、施策を展開しているところでございます。
また、世代や分野を超えた地域づくりや相談体制整備を進めるために、毎年度、区市町村職員向けのシンポジウムを開催いたしまして、各自治体の実践の発表や有識者の講演を通じた情報共有を進めております。今年度は八月二十六日に開催いたしまして、三十五の自治体の職員や関係団体の職員約百名の参加を得ております。
今後とも、地域福祉支援計画に基づき、区市町村における地域共生社会の実現に向けた取り組みを支援してまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。今ご紹介いただいたシンポジウムの中には、私が以前提案しておりましたダブルケアの支援に関する取り組みについてもご紹介いただいたということで、お礼を申し上げたいというふうに思います。
この計画自体は、都の福祉施策全般を支えるというものでございますので、ぜひ職員の方々にも、この計画の位置づけというものを強くご理解をいただいて、制度のはざまでこぼれ落ちる人がいなくなるように、引き続き支援をいただきたいと思います。
また、来年は次期計画策定に向けた議論も行われるというふうに思いますけれども、今回は初の計画策定であったので、ある程度、内容は今の取り組みを紹介するようなものが多かったかなと思うんですが、来期はぜひ、二期目ということでありますので、具体的な目標設定等、チャレンジングな目標設定をしていただきたいということをお願いし、次の質問に参りたいというふうに思います。
次に、保育関連の質問を何点かさせていただきます。
先日、私の地元足立区の二十四時間営業の認可外保育施設、いわゆるベビーホテルにおいて、園長や保育士から園児への虐待が行われているという実態が一部週刊誌にて報道をされました。
虐待の内容としては、バインダーなどで頭を強くたたく、食事を無理やり口に入れる、特定の園児への暴言などなどが報道されておりまして、保育者としては、しかるべき行動だというふうに思いますけれども、報道等では、通告者が足立区児相に通報したものの、その後も虐待が改善されることはなかったというような報じ方をされておりまして、少し聞きたいなと思うんですけれども、まず、今回の事件について、都はどのように対応を進めてきたのか経緯について伺いたいと思います。
○本多指導監査部長 都は、本年六月十一日に児童相談所を通じて、不適切な保育内容について情報提供を受けたため、六月十三日、十四日、十八日の三日間にわたり、当該施設への立入調査を行いました。全職員に対するヒアリングを実施したところ、食事の強要や過度に厳しいしつけなど、児童に身体的、心理的苦痛を与える人権への配慮に欠けた行為を確認したため、六月二十七日に文書指摘を行い、施設からは七月十六日に、これに対する改善状況報告が提出されました。
都が、改善状況報告に基づきまして、具体的な改善への取り組みを確認していましたところ、八月三十日に児童に対する不適切な発言が引き続き行われているなどの再度の情報提供がございました。
このため、都は、九月三日に施設長に対し、都の指導内容と施設の改善策を職員に改めて周知し、その結果を文書で提出するよう指導を行ってきたところでございます。
○後藤委員 ありがとうございます。六月十一日に情報提供を受けてから、二日後に立入調査ということで、迅速に対応を進めてきたことがわかりました。
そこで、立入調査において、虐待や暴言などの不適切保育に対して、どのような調査、指導を行っているのか伺いたいと思います。
○本多指導監査部長 認可外保育施設に対して行う定期的な立入調査では、調査項目や調査内容を定めた指導監督基準に照らしまして、運営状況や保育内容が適当かどうか調査、確認を行っております。
保育内容の調査としては、保育従事者の人間性と専門性の向上のための研修を実施しているか、児童の人権に対する十分な配慮がなされているか、虐待の防止のための措置に関する事項の掲示がなされているかなどを確認しております。
また、立入調査において、実際の保育の様子を確認する中で、名前の呼び捨てやどなるなどの暴力的な言葉かけ、また、嫌いな物を無理やり食べさせていることなどが見受けられた場合にはその場で指導を行っております。
○後藤委員 ありがとうございました。不適切保育に関しては、実際に行って、その場で不適切保育が認められれば指導しているというようなご答弁がありましたけれども、実際、立入調査の現場で保育の様子を見ている中で、調査の目がある中で虐待をする保育者というのはなかなかいないんじゃないかなというふうに思っていまして、不適切保育というものについては、どうあぶり出すかというところが引き続き課題として残るわけでありまして、こうした事例の多くは通報から発覚することが多いということでございますので、現場や保護者から通報がしやすい体制づくりというものもひとつお願いをしておきたいと思います。
また、こうした事件を減らすためにも、認可外保育施設の保育の質の底上げが重要だと考えますが、認可外保育施設の保育の質を上げる取り組みとして、どのような支援を行っているのか伺いたいと思います。
○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、認可外保育施設を対象とする講習会を開催いたしまして、過去の指導事例や適切な保育の留意点等を周知するとともに、保育理論、事故防止や事故対応などを内容とした認可外保育施設テーマ別研修を実施しており、昨年度は六千五百六十一名がこの研修を受講しております。
また、巡回指導チームを編成いたしまして、都内全ての認可外保育施設に対して、年一回巡回指導を実施しており、職員配置、災害対策、保育内容、健康安全の管理などについて確認をしております。その結果、改善状況を確認すべき施設、助言すべき事項が多い施設等につきましては、再巡回を行い、必要に応じ再度の指導を実施しております。
さらに、認可外保育施設が都独自の認証保育所や認可保育所等への移行を目指す場合には、運営費や改修費等を支援するほか、施設みずからがサービス改善に取り組めますよう、外部の専門家が施設の運営を評価する福祉サービス第三者評価の対象に認可外保育施設を加え、受審経費を支援しております。
今後とも、認可外保育施設の質の確保と向上を図ってまいります。
○後藤委員 ありがとうございました。引き続きしっかりと対策をしていただきたいというふうに思います。
次に、認証保育所に対する支援について伺います。
都は、待機児童ゼロに向けてさまざまな施策を講じておりまして、十年ぶりに待機児童数が五千人台となるなど、目覚ましい成果を上げております。
一方で、認証保育所の事業者からは、年間二百カ所以上認可保育所が開設されている中で、なかなか年度当初に利用児童が集まらなくなっているという声も聞いております。
そこで、平成三十一年四月時点での認証保育所の定員、利用児童数、入所率を伺います。
○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 平成三十一年四月一日現在、認証保育所は五百七十五カ所設置をされておりまして、定員数は一万九千五百五十一人、利用児童数は一万六千二百十八人、入所率は八三・〇%となってございます。
○後藤委員 ありがとうございます。認証保育所の空き定員については、今、四月時点での状況を伺いましたけれども、年度当初は一定数あきがあるけれども年度末に向けて解消していくという性質がありまして、しかし、待機児童が三千人を超えている現状にもかかわらず、あきが存在しているという事実がありました。
認証保育所における支援については、平成二十七年度以降、子ども・子育て支援制度が変わり、支援が拡充されてきたものの、こうした状況の中で事業者からは経営的にも厳しいという声が上がってきています。
そこで、子ども・子育て支援新制度開始以降に創設した認証保育所に対する支援策について伺います。
○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 大都市特有の保育ニーズを踏まえ、十三時間開所やゼロ歳児保育を義務づけた認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の一つでございまして、都は平成十三年度の制度創設以降、開設準備経費や運営費等を支援しております。
平成二十七年度からは、この運営費補助を増額するとともに、保育士等のキャリアアップに向けた取り組みや、障害児やアレルギー児などに対応するための取り組みへの支援を開始しております。
また、平成二十八年九月の待機児童解消に向けた緊急対策におきまして、採用五年目までとしていた宿舎借り上げ支援の対象を全職員にまで拡大するとともに、平成二十九年度からはキャリアアップ補助を拡充するほか、保育従事者の業務負担を軽減するためのICT化の取り組みを支援しております。
昨年度からは、認証保育所で働く保育士等の専門性の向上を図るため、運営費補助に、技能、経験に応じた職員への処遇改善を行う場合の加算を創設するとともに、良好な保育環境を確保するため、建物、設備が老朽化している場合の修繕にかかわる費用の補助を開始するなど、認証保育所に対する支援の充実を図っております。
○後藤委員 認証保育所に関してはさまざまな支援策が講じられているということがわかりました。
一方で、年度当初に認証保育所のあきが生じているという状況に関しては、何らか策を講じる必要があるというふうに考えておりまして、待機児童対策という意味からも、この空き定員の活用というものを認証保育所を活用して進めていただくような仕組みや制度を検討していただくことを求め、最後の質問に参ります。
最後に、多胎児支援についてご質問させていただきます。
前回の一般質問で私自身、多胎児支援を取り上げておりまして、その際には、多胎児の出生率は不妊治療の増加や晩産化などを理由に半世紀で二倍に増加をしているということ、そして、百人に一人が双子や三つ子を出産する時代になっているにもかかわらず、多胎児家庭の支援はなかなか進んでいないということなどをお話させていただきました。
多胎児は単胎児よりも虐待リスクが高いといわれており、虐待防止の観点からも、単胎児と同じ施策ではなく、個別ケースと捉えて支援することが重要であると考えます。
一般質問で質問をした際には、多胎児家庭向けの育児学級や交流会の情報提供を区市町村に対して行っているというお話がありましたが、まず、区市町村における多胎児家庭向けの育児学級や交流会の取り組み状況について伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 区市町村では、多胎児を育てる家庭の不安感や孤立感の軽減を図るため、保健師等による妊娠期からの助言や指導に加え、育児学級や交流会等を実施しております。平成二十九年度においては、三十区市が多胎児家庭を対象とした育児学級や交流会等を実施しております。
具体的内容といたしましては、保護者同士の情報交換や遊び場の紹介、多胎児特有の育児の困難さについて、先輩ママ、パパとの交流、助産師や保育士等による育児相談、小児科医や栄養士等の専門家による講演会などが挙げられます。
○後藤委員 ありがとうございます。現在三十区市が多胎児家庭を対象とした育児学級や交流会を実施しているというご答弁がありましたけれども、多胎児育児を行う家庭というのは、こうした交流会などにそもそも行けないということが問題なのでありまして、支援が切れて孤立してしまうことから虐待リスクが高まる、こうした課題について対策を講じることが重要であると考えます。
先日、多胎児育児を行う団体から育児に関する困り事の要請というものを受けておりまして、六百名を超えるアンケート調査をいただいたんですけれども、その中では、気持ちがふさぎ込んだり、落ち込んだり、子供に対してネガティブな感情を持ったことがあったかという質問に対して、九三%があったというふうに回答をしております。子供を殺してしまうかもと何度思ったことかわからないなど、悲痛な要望が寄せられております。来年度、国の概算要求では、初めて多胎児支援が位置づけられておりまして、相談支援の強化や育児サポーターなどの派遣など、日常の育児介助を行うというような支援が盛り込まれました。このいただいたアンケートでも、どのようなサポートを求めるのかという質問に対して、約半数が家事、育児の人手というふうに答えています。
今後、都でも、まずは多胎児支援を事業として位置づけていただきまして、支援の創設を行うとともに、例えば、荒川区では多胎児の移動支援として月二万円の助成を行っていたり、中野区では産後ケアの施設利用料の補助などを行っています。こうした事例も参考にしながら、多胎児支援をしっかりと対策していただくことを強く求め、私からの質疑を終了します。
○小林委員 私からは、五つのテーマについてお伺いをさせていただきます。
初めに、医療機関案内サービス「ひまわり」についてお伺いをいたします。
東京都が平成二十八年度に行った健康と保健医療に関する世論調査によりますと、必要だと思う保健や医療に関する情報は、休日、夜間の診療体制や救急医療機関についてが四九・五%、また、どこにどのような医療機関があるかについてが三九・九%となっております。都民の方々がいつでも安心して医療機関にかかることができるよう、二十四時間三百六十五日、必要となる医療情報を入手できることは非常に大切なことであると思います。
私も、日常的に医療に関する多種多様なご相談をいただきますが、その際に、都が提供しているインターネットの医療機関案内サービス「ひまわり」を活用することもございます。
この医療機関案内サービス「ひまわり」は、国の医療機能情報提供制度に基づいて導入され、さまざまな医療機関の情報が提供されていると認識をしておりますが、改めて、この「ひまわり」がどのように医療機関の情報を収集し、その情報をどのように都民に提供しているのかをお伺いさせていただきます。
○田中医療改革推進担当部長 東京都医療機関案内サービス「ひまわり」は、都民が医療機関を適切に選択できるよう医療機関に関する情報を集約し、わかりやすく提供するものでございます。
医療機関が診療科目や診療日、対応可能な疾患、治療内容などの情報を都道府県に報告する医療法の医療機能情報提供制度に基づいて運用しておりまして、都は、医療機関の情報を集約、整理し、インターネットで公表するとともに、電話やファクスによる医療機関案内を二十四時間行っております。
○小林委員 欲しい医療情報を手軽に提供されるシステムは大変に重要であり、特に夜間などに医療機関を探したいときなどに利用できる利便性は大切なことであると思います。
そこで、平成三十年度の「ひまわり」の電話やファクスによる医療機関案内の実績と、そのうち、夜間、休日の実績についてお伺いをいたします。
○田中医療改革推進担当部長 「ひまわり」の電話等による医療機関案内の平成三十年度の実績は約九万六千件となっており、そのうち、夜間、休日の医療機関案内は約五万九千件となっております。
○小林委員 年間約九万六千件、夜間、休日に六万件に近い問い合わせがあるとのことで、一日二百六十件を超えている計算でありますが、多くの方に利用されているサービスということがうかがえます。
私も、本日質問するに当たりまして、電話での医療機関案内を体験してみました。ガイダンスに従って電話一つで医療機関情報を得られるシステムに感心もしましたが、一方で、電話から情報提供をスムーズに得るには、なれがないと難しいかなとの感想も持ちました。ガイダンスに従って進む中、いざシステムが情報検索をしている最中は電話口が無音状態になりまして、一瞬電話が切れたのか、フリーズしたのかという戸惑いも感じましたけれども、システムが検索している最中は何か音楽でも流れているといいのではないかと感じました。
私は、専ら日常的にインターネットの「ひまわり」を利用していましたが、サイトが最近リニューアルをされたかと思います。実は以前のものが非常に使いづらいと感じていましたが、このリニューアルでかなり使いやすく、わかりやすくなったなと感じております。
しかし、電話、インターネットともに、さらなる工夫、わかりやすさを追求していく必要性もあると思っております。
いずれにしても、大事なサービス提供ですので、今後も、都民がわかりやすく、使いやすいシステムの向上、改善に取り組んでいっていただきたいと思います。
続いて、「ひまわり」のサブシステムとして運用されている転院支援情報システムについてお伺いいたします。
この転院支援の取り組みは、都議会公明党の遠藤守都議が、それこそ執念を持って議会で訴えてまいりました。東京都議会会議録検索で、転院支援というキーワードで検索するとほとんどが、遠藤都議の発言がヒットいたします。本会議一般質問、予算特別委員会、厚生委員会などとあらゆる審議の場で取り上げて、転院支援情報システムの構築に取り組んでまいりました。
私も転院に関して多くのご相談をいただき、病院の転院という課題で本当にご苦労されている状況を目の当たりにしております。この転院支援情報システムの運用は、その意味でも大変に重要な取り組みであると痛感をいたしております。
そこで、運用開始から五年が経過したこの転院支援情報システムのこれまでの利用実績をお伺いいたします。
○田中医療改革推進担当部長 都は、病院が患者の希望や状態を踏まえて転院先を円滑に選定できるよう、転院先選定に必要な情報を簡単に検索できる転院支援情報システムを運用しております。
平成二十六年七月の運用開始から先月までに約三万件、月平均で約四百七十件の利用がございました。
○小林委員 昨年三月の当委員会で遠藤都議の質疑の際に、患者、家族の皆さんの安心のためにこの転院支援情報システムをしっかり活用して、広く普及啓発してもらいたいと求めております。
都では、ICTを活用した情報共有のより一層の促進を図る東京都多職種連携ポータルサイトの構築に今取り組んでおりますが、このポータルサイトの機能の一つに転院支援サイトがあります。
この転院支援サイトは、転院支援情報システムをさらに充実させたものと認識しておりますが、現在検討を進めているこの転院支援サイトについて、その特徴と今後のスケジュールについてお伺いいたします。
○田中医療改革推進担当部長 転院支援サイトは、転院支援情報システムが持つ医療機関情報を活用し、転院患者を受け入れ可能な病院を円滑に検索できるとともに、システム上で転院調整を行う仕組みとなっております。
このサイトでは、転院患者を受け入れ可能な病院が空床情報や診療内容などの情報を登録することができるなど機能の充実を図っており、効果的なマッチングが可能となります。
今年度中のシステム構築に向けて取り組みを進めておりますとともに、医療機関への説明会を開催するなど周知を図り、来年度夏に運用を開始する予定でございます。
○小林委員 ありがとうございます。新たにシステムの充実が図られ、効果的な転院支援に資することが期待される取り組みでありますので、着実に推進していただくとともに、多くの関係者がこのシステムを利用して、患者さん、家族の皆さんの安心につながるよう、くれぐれもよろしくお願いをしたいと思います。
次に、若年性認知症対策について質問をいたします。
若年性認知症対策については、今日まで、私も繰り返し議会の中で取り上げてまいりましたが、平成二十五年の予算特別委員会で初めてこの若年性認知症対策を取り上げた際に、家族会の方や事業者の方との意見交換の中で得られた四つの課題というものを指摘させていただきました。
一点目は、当時既に目黒区に設置されていた東京都若年性認知症総合支援センターの多摩方面への拡充、二点目は、相談窓口となる自治体職員など関係者の若年性認知症に対する実務レベルの強化、三点目は、就労支援、四点目は、居場所づくりや施設整備であります。
一点目については、平成二十八年に、日野市に多摩若年性認知症総合支援センターが設立をされました。
また、二点目については、自治体職員の理解促進のために、東京都若年性認知症相談支援マニュアルが作成され、区市町村に配布をされております。
三点目の就労支援については、本年の予算特別委員会でも取り上げまして、職場の理解と適切な支援を受け働くことができるよう、今年度、企業の人事労務担当者などを対象に、若年性認知症の特徴や医療費の助成など、利用できる制度などを周知するセミナーを開催するとの答弁をいただき、前進の方向に向かっておるところでございます。
そこで、二点目に述べた自治体職員などの実務レベルアップは、身近な地域における若年性認知症の人と家族への相談支援体制の充実に向けた重要な取り組みでありますが、現在までの都の取り組み状況についてお伺いいたします。
○村田高齢社会対策部長 若年性認知症は働き盛りで発症するため、医療や介護だけではなく、就労の継続や障害福祉サービスなど多分野にわたる相談にワンストップで対応する若年性認知症総合支援センターを、区部、多摩の二カ所に設置をしておりまして、昨年度は本人や家族、介護支援専門員などから四百十四人の方に関する相談を受けているところでございます。
また、センターでは、より身近な地域での相談対応力を向上させるため、関係機関への支援を行っております。
平成二十八年度に相談支援事例を分析してノウハウを取りまとめた、先ほどご紹介がありましたが、相談支援マニュアルを作成、配布したほか、同年度から区市町村や地域包括支援センターの職員向けの相談支援研修を開催しておりまして、昨年度までの三年間で延べ五百六十九人の方が受講をしております。
さらに、介護支援専門員や介護従事者等に向けた研修会に、センターの職員を講師として派遣をしまして、地域の対応力向上に努めるなど、身近な地域における若年性認知症の人と家族への支援の充実を図っているところでございます。
○小林委員 次に、区市町村への支援策として、高齢社会対策区市町村包括補助事業がありますが、この事業の一つに、若年性認知症の人と家族を支える体制整備事業がありますが、この事業の活用状況についてお伺いいたします。
○村田高齢社会対策部長 都は、若年性認知症の人や家族が身近な地域で安心して生活できるよう、若年性認知症の人の活動支援のための拠点の整備や、家族会の活動を支援する区市町村の取り組みを包括することで支援しております。
昨年度は、三区において活用されまして、若年性認知症の方専用のデイサービスの運営、若年性認知症の方が意欲的に参加できるデイサービスプログラムの開発、若年性認知症の方や家族同士の交流会の開催支援などが行われたところでございます。
○小林委員 ありがとうございます。今ご答弁にもありましたけれども、若年性認知症の人専用のデイサービスの運営など、区市町村における拠点整備にも活用されているとのことですが、こうした取り組みを支援しつつ、さらに、さきに述べた四点目の、居場所づくりや施設整備について一歩前進を図っていかねばならないと思います。
都では、昨年度、若年性認知症の方々の生活実態に対する調査を行い、三月に報告書が公表されていますが、その中で、今後の若年性認知症施策への提言として、身近な場に若年性認知症の人のニーズに合った通いの場を整備する必要があります、若年性認知症の人向けの社会支援の整備を進める必要がありますと述べられております。
都では、今年度、事業者向けのマニュアルを作成し、若年性認知症の方の特性を踏まえたサービスが提供されるよう取り組みを進めていることと思いますが、こうしたマニュアルを活用しつつ、地域の事業者が若年性認知症の方の居場所づくりに取り組んでいけるよう、支援をお願いしたいと思います。
若年性認知症対策については、東京都は国をリードし、全国を牽引する取り組みを進めていると思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
次に、ひとり親家庭支援についてお伺いします。
私も、ひとり親の方々よりご相談をいただく機会がふえており、地元のひとり親家庭の団体の方々ともさまざまな意見交換をさせていただいておりますが、まず、東京都のひとり親家庭の現状について、東京都の認識をお伺いいたします。
○谷田少子社会対策部長 直近の平成二十七年の国勢調査によりますと、都内のひとり親家庭は、母と子、父と子の親子のみの世帯は、合わせまして約六万七千世帯となっております。
また、人口等を用いて推計した三世代同居など親子以外の同居家族を含むひとり親家庭は、平成三十一年一月時点で十三万四千世帯となっております。
平成二十九年度福祉保健基礎調査によりますと、ひとり親となった理由は、離婚が七三・五%と最も多く、ひとり親になったときの下の子供の年齢は、六歳未満の未就学児が五七・四%となっております。また、ひとり親の九割が就労しておりますけれども、母子家庭の母では、パート、アルバイトが三割を超えており、年間収入は二百万円未満が三五・九%となっております。
ひとり親家庭の親は、子育てと生計の担い手という二つの役割を一人で担うため、負担が大きくなっているものと認識してございます。
○小林委員 今さまざま、ひとり親家庭の現状について認識をお伺いいたしましたが、私の地元練馬区では、平成二十八年に子供の健全育成に向けた施策を検討するため、ひとり親家庭ニーズ調査というものを実施いたしました。支援体制の課題、ニーズとして、例えば区役所の相談窓口を土曜日、日曜日、祝日に開設を希望する方が多いことや、ひとり親家庭への支援事業を一つも知らない方が少なからずいること、子育ての情報の入手先は知人からの口コミが多いこと、また、経済的な面では、家賃や子供への習い事への課題が多いことなどがわかりました。
ひとり親家庭に向けた支援は、現状認識、課題の精査、ニーズの掌握をしっかり行って進めていかなければなりませんが、都では現在、第三期ひとり親家庭自立支援計画を策定し、施策展開をしておりますが、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。
○谷田少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭が安定した就労や生活のもと、子供を健全に育むことができるよう東京都ひとり親家庭自立支援計画を策定し、相談体制の整備、就業支援、子育て支援・生活の場の整備、経済的支援の四つの施策分野を柱に総合的な支援を実施しております。
相談体制の整備といたしましては、ひとり親家庭支援センターにおいて、生活相談、裁判所の元調査官等による養育費相談や、家事事件に精通した弁護士による離婚前後の法律相談、また、子供が安心して親と円滑に交流できるよう、父母にかわっての調整や交流中の付き添い等を行う面会交流支援など、専門的な相談支援を実施しております。
就業支援といたしましては、センターにおいて、それぞれの家庭の状況に合わせた就業相談のほか、パソコン講習会や適職診断等の支援、職業紹介などを実施しております。
子育て支援、生活の場の整備といたしましては、ひとり親になった直後の生活の激変や、残業などの就労の状況により日常生活に支援が必要なひとり親に対して、家事や育児等を支援するひとり親家庭ホームヘルプサービス事業や、家計相談や子供の生活、学習支援を行うひとり親家庭等生活向上事業を実施しております。
最後の、経済的支援といたしましては、都独自の制度であります児童育成手当や、母子及び父子福祉資金の貸し付けを実施しております。
○小林委員 ありがとうございます。現在の第三期計画は本年度が最終年度となっておりまして、都は現在、次期第四期ひとり親家庭自立支援計画の策定に向けた検討を行っていますが、現在の検討状況についてお伺いをいたします。
○谷田少子社会対策部長 都は、令和二年度からの五年間を計画期間といたします第四期ひとり親家庭自立支援計画の策定に向け、有識者やひとり親家庭当事者団体等を委員とした計画策定委員会を設置し、具体的な検討を行っております。
委員からは、ひとり親が相談しやすい体制の整備、SNS等を活用した情報発信など、ひとり親を相談支援につなげる取り組みや、養育費や面会交流に関する支援の充実などについて意見をいただいたところでございます。
こうした議論を踏まえまして、年度末の計画策定に向け、引き続き検討を進めてまいります。
○小林委員 今ご答弁にもありましたが、SNSを活用した情報発信も意見としてあるとのことですが、さきに紹介した練馬区でのニーズ調査でも、支援の情報が十分に行き渡っていない課題も見受けられますので、今や行政の情報発信の重要な手段となっているSNSを活用した情報発信、相談支援につながる仕組みをぜひとも構築をしていただきたいと思います。
次に、精神障害者支援についてお伺いいたします。
この問題も、私のもとに多く寄せられる相談案件の一つであります。つい先日も、地域における精神障害者とのかかわりについて地域住民の方からご相談をいただきましたが、関係機関と連携をとりつつも、双方にとってよい結果に結びつけていくためには課題も多いことを痛感いたします。
都は、昨年三月に策定した東京都保健医療計画及び東京都障害者・障害児施策推進計画のもと、精神障害により入院した方の地域への移行や定着の取り組みを進めていますが、入院した精神障害者は地域生活を送る上でさまざまな課題やニーズを抱えていることが多く、退院後、円滑に地域生活に移行するためには、それぞれのニーズに応じた支援が必要となります。
そのため、国は、こうした精神障害者の方の退院後支援についてガイドラインを定めましたが、国のガイドラインの概要についてお伺いをいたします。
○石黒障害者医療担当部長 入院した精神障害者が退院後に地域で安心してその人らしい生活を送れるようにするには、本人のニーズに応じて、退院後に必要な医療、福祉、介護、就労支援等の支援を受けられる環境を整備することが重要でございます。
そのため、国は、平成三十年三月に、地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドラインを取りまとめました。
このガイドラインでは、退院後の居住地を管轄する保健所設置自治体が中心となって、本人の同意のもと、入院先病院や通院先医療機関、障害福祉サービス等の支援関係者と連携して退院後支援計画を作成し、必要な支援を行う具体的な手順が示されており、国は、都道府県等に対し、ガイドラインを踏まえて退院後支援の取り組みを進めるよう求めております。
○小林委員 都道府県などの自治体には退院後支援に取り組むことが求められているとのことですが、入院された方の中でも、措置入院、すなわち精神障害のため自身を傷つけ、または他人に害を及ぼすおそれがある場合に、精神保健福祉法に基づき、都道府県知事が入院措置を決定するケースがございます。
私がかつてかかわった相談案件の中でも措置入院に至ったケースが幾つかありますが、入院治療により症状が落ちつき、退院して地域で暮らしていくに当たっては、自治体がかかわりながら支援していく必要があると考えます。
そこで、都が今年度実施している措置入院者等退院後支援体制整備事業の概要についてお伺いをいたします。
○石黒障害者医療担当部長 都内には、退院後支援の中心となる保健所設置自治体が、都、特別区及び保健所設置市等に分かれていることや、年間の措置入院件数が千三百件を超え、全国の約五分の一を占めるなど、他県と異なる状況があることから、都は今年度、国のガイドラインを踏まえつつ、都の実情を考慮した都版のガイドラインを作成することといたしました。
そのため、今年度から開始した措置入院者等退院後支援体制整備事業において、保健所や医療機関、地域支援事業者等の代表が参加する検討会を設置し、支援対象者や支援計画作成及び計画に基づく支援の手順、関係者の役割、都内自治体が活用できる共通の様式などについて検討を進めており、年末にはガイドラインを作成する予定でございます。
年明けには、保健所職員に向け、研修を通じて都版ガイドラインの趣旨等を周知するなど、来年度からの運用に向けた準備を進めてまいります。
○小林委員 支援ニーズが高い方に必要な退院後支援が提供されるよう、取り組みを進めていただきたいと思います。
一方で、入院治療が必要となるほど症状が重くならないうちに、地域で早期に適切な精神科医療を受けられるよう、日常診療体制を強化することも必要であります。
私がいただく相談案件の中でも、まさにこうした適切な治療に結びつくことで事態が深刻にならなかったのではないかと思われる事例もありました。
適切な治療へと早期につなげていくためには、例えばご自分が精神疾患であることに気づかず一般診療科の医療機関を受診した方について、精神科の受診が必要と思われる場合に、一般科から精神科医療機関に円滑につなげられるようにするなど、精神科と一般診療科などの連携が重要と考えます。
そこで、都が平成二十五年度から本格実施している精神科医療地域連携事業の概要及び取り組み状況についてお伺いをいたします。
○石黒障害者医療担当部長 都は、精神障害者が地域で必要なときに適切な医療が受けられるよう、精神疾患に関する地域連携体制を整備するため、精神科医療地域連携事業を実施しております。
この事業では、都全域における日常診療体制のあり方を検討する協議会を設置するとともに、二次保健医療圏ごとに、精神科や一般診療科の医療機関、地区医師会、薬局、保健所、相談支援機関等が参加する地域連携会議を開催し、地域の精神科医療機関の情報等を掲載した連携ガイドブック、マップの作成や、関係機関による症例検討会等、それぞれの地域で顔の見える関係を構築できるよう取り組んでおります。
また、平成三十年度からは、東京都医師会の協力を得て、一般診療科医療機関を対象とした精神疾患等に関する研修を実施しております。
今後とも、こうした取り組みを通じて、地域における精神科と一般診療科等の連携強化を図ってまいります。
○小林委員 都では、今伺った事業以外にもさまざまな精神障害者支援のための事業に取り組んでおりますが、精神障害というだけで偏見や差別にさらされている現状もあります。
担当課では、東京都内の各地で起きるさまざまな精神障害者の方の課題に日常的に対応されているかと思いますが、共生に向けて、地域における精神障害者支援の取り組みを一層推進していただきたいと思います。
最後に、自殺対策についてお伺いをいたします。
私は、平成二十八年の第一回定例会の一般質問で、若者がみずから命を絶つという状況に歯どめをかけるために、若者の自殺防止策を喫緊の課題として取り組んでいくべきと質問をいたしました。その当時、マスコミでは、東京の若者の自殺がなかなかとまらないと報道されておりました。
まず、東京都における自殺の現状についてお伺いをいたします。
○成田保健政策部長 都における自殺者数は、平成二十三年をピークに減少傾向に転じておりますものの、平成二十九年には約二千人がみずから命を絶っておりまして、依然として深刻な状況にございます。
また、東京都は全国と比較して三十歳以下の若年層の人口割合が高く、都内自殺者の約三分の一を三十歳代以下が占めております。
○小林委員 今ご答弁いただきましたように、依然として深刻な状況、また若くして命を絶たれる方も多いということでございますが、都の自殺対策のうち、特に若年層に対する取り組みについて確認をいたします。
○成田保健政策部長 都は、総合的、効果的な自殺対策を推進するため、さまざまな分野の関係機関、団体から成る自殺総合対策東京会議の議論を経て、東京都自殺総合対策計画を策定し、若年者対策の推進を重点施策の一つに位置づけております。
若年層向けの施策といたしまして、中学一年生向けの自殺予防小冊子の作成、配布、大学生の企画による講演会やSNSを活用した自殺相談の実施、若手社員をテーマに取り上げた講演会やパンフレットの配布による企業における自殺予防対策の実施など、関係各局や関係機関と連携した取り組みを強化しております。
○小林委員 自殺対策基本法に基づいて、自殺対策に取り組む民間団体を支援する地域自殺対策強化交付金を活用して東京都地域自殺対策強化補助事業が実施をされておりますが、この事業を活用して、区市町村や関係団体の事業展開についてお伺いをいたします。
○成田保健政策部長 都は、地域の特性に応じた自殺対策を行います区市町村や民間団体を支援するため、東京都地域自殺対策強化事業を実施しております。
具体的には、区市町村や民間団体が行います電話相談、ゲートキーパー養成、自死遺族支援、講演会の開催、パンフレットの配布、特別事業や読み聞かせの実施など、地域における自殺対策の強化に資する取り組みを支援しております。
今後とも、本補助事業の活用を促進し、区市町村や関係団体の取り組みを支援してまいります。
○小林委員 ありがとうございます。
この交付金を活用して若者の自殺予防対策の事業に取り組んでいるある民間団体の方から、例年と同様の事業に取り組んでいこうと考えていたが、国の補助の交付率の方針が変わって、例年のような交付金額が期待できず、事業展開に困っているとのご相談をいただきました。
都では、国への施策及び予算に対する東京都の提案要求の中で、都道府県及び区市町村が若年層対策事業などの自殺対策を引き続き推進していくため、交付金の補助率を上げるなど必要な財政措置を講じることと要求をされておりますが、自殺予防対策は民間団体の活動が重要な役割を果たしていることを鑑み、一層、この点、国に強く要望されるようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○斉藤(や)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後六時七分休憩
午後六時二十五分開議
○斉藤(や)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○小松委員 疲労の色が皆さん出ていると思いますけど、もうしばらくおつき合いいただければと思います。
小林理事に引き続いて、私も自殺対策の方から入らせていただきたいと思います。
二〇〇〇年代の初頭をピークに、全体としては、この十数年減少傾向を続けているということであります。二〇一八年、昨年でいくと九年連続の減少で、二万五百九十八名ということで、三十七年ぶりの低水準ということでありまして、ちょうど二〇〇〇年代初頭からすると三分の二ぐらいまで、自殺者の数としては減少されてきているというところであります。
ただ、文科省のデータによりますと、昨年、小学生、中学生、高校生で三百三十二人の子供が自殺をされているわけで、これは一九八八年から調査をとっている中でいくと最多ということであったそうであります。
先ほど、成田さんの方からご報告ありましたけれど、東京都内でも、三十歳以下の方で三分の一ぐらいいるということで、若い人の自殺対策というものをしっかりと取り組む必要があるのかなというふうに思っているところであります。
客観的にほかの諸外国と比べますと、経済的なことも含めて我が国は豊かでもありますし、平和な日本において、若者の自殺がふえている。全体として減少を続けているにもかかわらず、この十数年、数を見ても、若い人だけはほぼ一定、小中学、高校については少しふえているという状況であるというこの現実を踏まえて、東京都、特に福祉保健局での自殺対策を見ますと、平成三十年度、SNSを活用したLINE自殺相談、こういった取り組みをされているわけでありまして、その成果について、まず伺いたいと思います。
○成田保健政策部長 都は、若年層の自殺防止対策を強化するため、平成二十九年度及び平成三十年度に、LINEを活用した自殺相談窓口を試行的に開設し、モデル事業を実施いたしました。
平成三十年度におきましては、平成三十年九月十日から平成三十一年三月三十一日の約七カ月間実施いたしまして、延べ三千七百二十三件の相談に対応いたしました。
年代別相談割合は、十歳代以下が四五%、二十歳代が二〇%、三十歳代が一三%であり、四十歳代から五十歳代の利用割合が高い電話相談と比較いたしまして、十歳代から二十歳代の割合が高くなっており、多くの若年層からの相談にも対応できるようになっております。
○小松委員 そもそもLINEを活用した自殺相談というのは、当然のことながら、恐らく若い人に向けた新しい自殺対策で取り組まれているんだろうと思いますが、実際に十歳代以下で約半分ぐらいということでありますと、有効なアプローチの方法ではあったのかなというふうに思えるというところであります。
このLINE相談についてなんですけれど、それを多くの悩める小学生、中学生、高校生たちにしっかり知ってもらえないと使っていただけない、また、気づいてもらえないわけでありまして、どのようにこのLINE相談を周知されているのか伺いたいと思います。
○成田保健政策部長 LINE相談のチラシや、LINE相談を含む行政機関や関係機関の相談窓口の一覧を記載したリーフレットを作成いたしまして、区市町村や関係機関を通じて周知しております。
また、こうした相談窓口を掲載したポケットサイズの相談メモを作成し、都内の小学校、中学校、高等学校等を通じて、児童生徒に配布しております。
さらに、九月と三月の自殺対策強化月間におきましては、インターネットを活用した広報を実施するなど、さまざまな手段を活用して周知に努めております。
○小松委員 九月一日が、自殺をされる生徒児童が一年間の中でも一番多い、このことは、ことしもまた九月一日の新聞にも書かれておりました。
もちろん、九月が月間ということもあるんですけど、夏休みで学校に行っていない機会にどうやって周知するのかということであったりですとか、今、ひきこもりも含め不登校の子供たちもふえている中で、学校でこうしたポケットメモを受け取る機会がない子供たちがどうやって知るのかなど、さまざま、今インターネットを活用した広報も実施されているようでありますので、こうしたきめ細かな周知策をこれからも検討していただきたいなというふうに思うわけであります。
私自身が自殺のLINE相談をしたことはないのであれなんですけど、恐らく、やっぱり悩みだったりですとか、なかなか友達や家族に打ち明けられないことをぶつけていくわけでありまして、そのやりとりの質によって、時には、命を防げることもあるんでしょうし、時には、少し頑張ってみようという勇気を振り絞る、そんな相談のやりとりもきっとあるんだろうなというふうに思うわけであります。
そういった意味で、このLINEの相談の質の向上というのは、大変この事業の大きな肝の部分なのかなというふうに思っておりまして、質の向上に向けた取り組みについても伺っておきたいと思います。
○成田保健政策部長 平成二十九年度及び平成三十年度に実施いたしましたモデル事業を踏まえまして、電話相談や対面相談につなげるなど具体的な対応方法をまとめましたマニュアルを整備するとともに、具体的な対応事例をもとに研修や事例検討を実施しております。
今後とも、LINEを活用した自殺相談が、都民の方々にとって、よりわかりやすく、相談しやすいものとなりますよう、相談に至るまでの状況を把握し、対応事例等を蓄積していくことで、相談員のスキルアップを図ってまいります。
○小松委員 自殺をされた子供たちのその理由は、いじめのこともあったり、家庭不和のことであったり、勉強、学業のことでの悩みであったり、さまざまあるわけでありますけど、特徴的だったのが、五八%が原因がよくわからないというところだったわけであります。本当に明確な理由があると、そうした相談であったりも、アドバイスのしやすい部分もあると思うんですけど、悩みだけはあるけれど、そこが非常に曖昧な、成長期であるからこそ、非常にそういった曖昧な部分がいろいろある中で、ただただ現実を逃避したいというような感情など、相談を、アドバイスする側の方が大変にスキルが問われるわけだろうなというふうに思うわけでございまして、しっかりとそのサポートを引き続きやっていただきたいと思います。
いじめもそうですし、貧困もそうですし、家庭や学校での孤立もそうですし、自殺を考える、取り巻く環境というのは、さまざまな要因があるのかなと思います。そしてそれが複合的に連鎖をしていくんだろうなというふうに思いますので、ぜひ、これからも東京都において、若者の自殺の数やそうした率が、これから改善に向かって明るい方向に行けるように、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、薬物の乱用対策について質問を進めたいと思います。
平成二十六年ごろだったと思いますけど、危険ドラッグの乱用の状況で、大きな事故が起きて社会問題となった平成二十六年度前後ぐらいに比べますと、現在はこういった事件については減少傾向にあるというふうに聞いています。
あのときにも、東京都の方では非常にしっかりと取り組み等、対策を進めていただいたんですが、これまでの都の危険ドラッグ対策についての経緯と実態について伺いたいと思います。
○花本食品医薬品安全担当部長 都はこれまで、危険ドラッグの流通実態調査や買い上げ調査を行い、未規制薬物を条例に基づき知事指定薬物として規制するとともに、国や警視庁と連携しながら、立入調査や監視指導を行ってまいりました。
こうした取り組みにより、都内で危険ドラッグを販売する実店舗は、平成二十七年七月以降なくなりましたが、インターネットやダークサイトと呼ばれる裏サイトで販売されるなど、販売手段が潜在化、巧妙化しております。
このため、都は、インターネット上の危険ドラッグに関するさまざまな情報のビッグデータ解析により、販売サイトや流行状況等の把握を行うとともに、ソーシャルメディア解析ツールを導入し、SNSや掲示板等における薬物情報を効率的に収集するなど、監視体制の強化を図ってまいります。
○小松委員 さまざま取り組みをしていただく中で、実際の店舗については、もう既にゼロということでありました。
イタチごっこのような形で、店舗が難しくなると、今度はまた販売手段が巧妙化していくという、なかなか難しいことだと思うんですが、一たび危険ドラッグの対策、手を緩めますと再燃するおそれもありますし、特にネット上での取引というのは見えにくいわけでありますので、引き続き監視体制の強化をお願いしたいと思います。
危険ドラッグの取り締まり強化をする一方で、近年、若年層に大麻汚染が広がっており、中学生でも大麻を使用するといった事件がふえています。
国立精神・神経医療研究センターが二〇一八年に実施した、飲酒・喫煙・薬物乱用についての全国中学生意識・実態調査によりますと、中学生の〇・三%、三百人に一人が大麻使用の経験があるというショッキングな調査結果も出たようであります。
若年層に大麻が広がりつつあるという、この新たな都政課題にどのように取り組まれるのか伺いたいと思います。
○花本食品医薬品安全担当部長 大麻につきましては、SNS上で、たばこより害が少ない、依存性が低いなどの誤った情報が流れ、若い世代に大麻の使用を容認する考えが広まりつつあります。
こうした状況を踏まえ、若年層への啓発活動を強化することとしており、今年度、小学校高学年の児童への啓発にも活用できるDVDやリーフレットを新たに作成し、都内全ての小中学校へ配布するほか、高等学校等へ貸し出しを行う予定です。
これらの啓発資材も利用し、小学校、中学校、高等学校において、児童生徒を対象に開催する薬物乱用防止教室や講習会等で正しい知識の普及を図るとともに、SNS等も活用しながら、大麻などの薬物の危険性を若い世代に強く訴えかけてまいります。
○小松委員 自分のときもそうですけど、何となく若いうちというのは、自分だけは大丈夫だと、興味、関心にそのまま素直に進んでしまうことが起きがちでありますから、しっかりと啓発というのも大事なのかなというふうに思います。
昨年の十月だったと思いますけど、カナダの方では、マリファナの解禁、乾燥大麻の解禁というものがあって、大変な、いわゆる市場規模、ビジネスとしても非常に大きなマーケットへの期待が高まっているというニュースもありました。
当然、東京都は今観光政策、いろいろ取り組みを進め、また功を奏して、海外の方もたくさんいらっしゃっているわけでありまして、そういったルートが、いい側面と悪い側面があるわけでありますから、そういった懸念もこれから広がるんだろうと思いますし、一方で、ことしの春に、何かカナダの方で、みんなで大麻を楽しむというイベントには日本人の方も参加をされているようでありまして、こうした動きがカナダはカナダであって、我が国の法をしっかりと遵守できるような環境を、子供のうちからしっかり啓発をしていただきたいということをお伝えしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
若干テーマが変わりますが、ICT化について伺っていきたいと思います。
働き方改革であったり生産性向上というのが、昨今、さまざまな働く人、また企業や組織の中で多く問われているわけでありまして、一方で、福祉施設は、さまざまな施設があるわけですが、なかなか進まない、難しい、労働集約型なんだ、そんな声も多く聞かれるわけであります。
東京都は、保育所等におけるICT化推進事業を導入されているわけですが、この導入目的と実績について確認をさせていただきたいと思います。
○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 保育所等におけるICT化推進事業は、保育士の業務負担の軽減を図るため、書類作成の業務等を支援するシステムを導入する事業者に対しまして、必要な初期経費を補助するものでございます。
国は、同様の目的の事業を平成二十七年度から実施をし、補助基準額を百万円としておりましたが、都は、平成二十九年度から、国事業では対象外でありました認証保育所を対象とするとともに、補助基準額を二百万円に拡充をしております。
また、補助対象となるシステムは、園児台帳、指導計画、保育日誌の作成や、園児の登園及び降園の管理、保護者との連絡に関する機能を搭載することとしてございます。
平成二十九年度は、二十五区市町六百十三施設、平成三十年度は、二十八区市三百四十五施設が本事業を活用しております。
○小松委員 今回この事業に導入したわけでありまして、予算を投じているわけであります。果たして、目的である保育士の業務負担の軽減にどの程度役に立っているのかということを、しっかりと検証するということを忘れないでいただきたいなと思っています。
実態調査等で、アンケートで、便利になりましたか、負担は減りましたか、そうしたアンケート調査の意味は、ないとはいいませんが、個人的な感想みたいなことを調査することももちろん時に必要なんですが、できる限りしっかりと、業務時間をどの程度削減ができたのか、予算化する以上は、具体的な数字で業務の工数をできる限り可視化する、こうした努力が必要だというふうに考えたいということを強調しておきたいと思います。
私も、おばが保育園を三つやっていたりすることもあるので、なかなかICT化を進めにくい現状というのはよくよく承知をしているわけでありますが、そういった同じ悩みを抱えていらっしゃる保育所も多く聞くわけであります。いまだにICT化がなかなか進まない保育所さんだったり、導入をしてもうまく活用し切れていない保育所さんもあるというふうに伺っております。
今後、このICT化をさらに進めていく上での課題認識と対応策について伺いたいと思います。
○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 都が平成三十年度に実施をいたしました東京都保育士実態調査では、システムが業務負担の軽減につながったと思うとの回答が約六割あった一方で、そう思わないとの回答が四割ございまして、その理由としては、導入前と業務量が変わらない、システムの使い勝手が悪いとの回答が多くございました。
そのため、平成三十年度に実施をいたしました保育事業者セミナーにおきまして、ICT活用による業務の効率化をテーマとして、ICT活用の目的や必要性、導入に当たっての条件や注意点、導入による効果についての検証を行い、九十二事業者百十一名が参加をいたしました。
また、保育分野、高齢分野等でICTを効果的に活用している事業所十カ所に対しまして、導入のきっかけ、活用の効果、導入、運用に当たっての工夫などを伺い、保育所につきましては、三つの先進事例を東京都社会福祉協議会を通じて広く保育事業者に周知をいたしますとともに、ホームページにおいて紹介をしております。
引き続き、保育現場におきまして、ICTの導入及び効果的な活用が促進されますよう、区市町村や業界団体を通じて働きかけを行ってまいります。
○小松委員 恐らくさまざまなソフトウエアもあるのだろうなと思いますし、導入に当たっては、何事も勝手がわからなくて、現場には一時的にやっぱり負荷がかかりやすいということは、いうまでもないのかなというふうに思います。
このICT化のインフラをしっかりと整えていくということは、もちろん、当初の目的にございますように、保育士の業務負荷を軽減していくということもありますが、それのみならず、保護者の方への緊急連絡であったり、子供の安全を把握したり、また、この間の災害のときもそうですけれども、自治体としても、緊急時のこうした連絡においても、安全管理、こうした面でも、やはりしっかりとICT化のインフラが整ってくるのかどうかによって、手段も、その効率も、成果も変わってくるんだろうというふうに思っておりますので、引き続きこの事業の推進には期待をしたいなと思いますし、その導入のスピードが鈍るような障壁があるのであれば、また課題を共有しながら、取り除くことを考えていきたいなというふうに思っています。
もう一つあるのは、やはり児童虐待等が昨今ふえてくる中で、子供たちがどのように過ごしているのかという状況をしっかりと把握し続けておくということは、個人情報の課題はもちろんあるわけでありますけれど、先ほど伊藤委員からも話がありましたけれど、自治体間をまたいだり、また、部署間をまたいだりする連携の難しさというところを補完する意味でも、非常にこの履歴は役に立つのかななんていうふうに思いながら伺ったところであります。
このICT化推進事業は、保育園に限らず、介護保険施設等にも展開をされておりますので、次は、そちらの方の質問に移らせていただきたいと思います。
保育園同様、介護の職場の方でも、ICT化の促進というのが、なかなかまだ進んでいない状況でありまして、既存施設では、そもそも建物自体がかなり老朽化をしているということもあって、対応が難しいという声も多く聞きます。
今年度から開始をされている介護保険施設等におけるICT活用促進事業の内容、そして取り組みの状況を伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 本事業は、介護保険施設等における業務の効率化や職員の負担軽減を図るため、利用者の状況を画像やセンサー等により確認できる見守り支援機器の導入や、職員間の情報共有が効率的に行える介護記録の電子化、施設内のWi-Fi環境を整備するための工事費など、施設全体のICT環境の一体的な整備に対する補助を行うものでございます。
本年六月に事業者向け説明会を開催いたしまして、七月に補助協議の受け付けを行いました。補助協議に当たりましては、ICTを活用して解決する課題や導入予定機器などを記載した業務改善計画書を審査いたしまして、九月末に予算規模の八十事業所を超える百二十一事業所に対して補助内示を行ったところでございます。
○小松委員 今の答弁によりますと、まだ一部の施設しか取り組んでいないようでありますが、今後どのようにこの事業を普及させていくのか伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 本年六月の説明会では、ICT活用に取り組んでいる先行施設の事例発表を行ったほか、国が作成をいたしました、介護分野における生産性向上に資するガイドラインを紹介しました。
また、ICTを活用した業務改善に取り組む施設の参考となるよう、本補助金によりICTを導入した施設について、業務改善計画や導入機器などをホームページで公表する予定でございます。
今後とも、介護保険施設等におけるICTの活用を促進してまいります。
○小松委員 事例発表等、こうした他の施設の先行事例を共有していただいて、自分たちの職場がどう変わるのかということをしっかりわかりやすく伝えるのは、促進していく上では大変期待されるのかなと思いますし、当初の予算規模を超えるだけのエントリーがあったということも、関心が高い、これはもう間違いないんだろうなと思っています。
今回、この質問をさせていただいたのは、先日、介護ロボの研究施設を見学することがありまして、そのときに、なぜ介護ロボをやっているのかといろいろお話を聞くと、介護職員の業務工程をいろいろ分析すると、移動、いわゆる散歩に連れていくなどの単純な移動は一〇%なんですが、食事とか入浴とか排せつとか、そうしたさまざまなプロセスごとに、その都度、移動のサポートをするわけでありまして、業務のかなりの部分が移動に費やされる。
ということは、介助の仕事をされている方の仕事のうち、この移動というものをできる限り取り除いてあげると、非常に業務の軽減ができるんじゃないかということで、自動運転の車椅子の研究開発をされているということで見学をしてきたわけであります。
やはり声が大きかったので、なるほどなと思ったのは、彼らは忙しいこと自体に不満を持っているわけではなくて、もっともっと本当はおじいちゃん、おばあちゃんたちと触れ合う時間に費やしたいのに、さまざまなほかのことにとられてしまって、会話することになかなか時間がとれないとか、そうしたことの不満というのが、モチベーションにかなり影響するということもあったようでございます。
また一方で、こうした移動の工数が減っていくことによって、介護人材の不足の解消にも少なからずつながっていくのかなということが期待されると思います。
ただ、自動の車椅子を実現させるためには、その施設にWi-Fiの環境が整っていないと、なかなか、信号を送ってスムーズに移動ができないわけでありますので、こうした施設環境が整っていないところが多いのが実態でございますから、この事業の意義というのは大変期待が大きいものであると思っておりまして、これからも引き続き注目をさせていただきたいと思います。
続きまして、高齢者施設における非常用自家発電設備についても伺いたいと思います。
これも、ないと今いった問題が解決しないわけでありますので、続けて質問させていただきます。
昨年度の北海道東部の地震とか、さきの十五号の千葉での停電、これ、一週間たったときもまだ十万戸以上が停電していますという、大変甚大な被害がありましたと、いろいろテレビでも報道がされたわけであります。
これ、季節によっては、エアコンがきかないと熱中症とかの大変な病気にもなったでしょうし、介護器具自体が使用できないと、さまざまな不都合があることは想像にかたくないわけであります。この東京においても、ブラックアウトへの備えというのが改めて必要だということが共通認識になったと思います。
福祉施設における非常用自家発電設備の整備にかかわる事業内容、そして今年度の状況について、高齢者の施設と障害者の施設、それぞれに伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 まず、高齢者施設についてお答えをさせていただきます。
平成三十年北海道胆振東部地震等を踏まえました国の緊急対策として、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金を活用いたしまして、停電時に医療的配慮が必要な入所者等の安全を確保するため、特別養護老人ホーム等を対象に、非常用自家発電設備の整備への補助を実施しております。
補助基準額は九百十八万円、補助率は国二分の一、事業者二分の一でありまして、今年度は特別養護老人ホーム八施設、介護老人保健施設二施設、計十施設に補助を行う予定でございます。
○松山障害者施策推進部長 障害者施設の非常用自家発電設備の整備については、国庫補助制度を活用し、今年度から、障害者(児)施設の防災・減災対策推進事業の中で実施しています。
補助対象となる施設は、障害者支援施設、障害児入所施設等でございます。
本事業の補助基準額は五百万円以上、補助率は国二分の一、都四分の一、事業者四分の一でございます。今年度の補助予定は七カ所となっております。
○小松委員 福祉避難所に指定をされていることも多い高齢者施設でブラックアウトが起こるということは決してあってはならないわけでありますので、今後どのようにこの非常用自家発電設備の整備を進めていくのか伺いたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 冷暖房や水道など施設運営上必要な設備を稼働するための非常用自家発電設備につきましては、法令等の設置義務がございません。このために、稼働すべき設備の範囲や必要な電力量の把握が困難などの課題がありまして、各施設における整備状況もさまざまでございます。
現在、大規模停電発生時等においても施設の運営が継続できるよう、施設が備えるべき設備等について、区市町村や事業者団体と意見交換を行っております。
○小松委員 ご答弁にもありましたとおり、施設における整備状況というのはさまざまでありますので、各種団体の方から伺っても、都内においてもやはり地域によって施設の規模というものはさまざま違うというようなことでありますので、恐らく、それによって求められてくる自家発のサイズというのも、機能というのも違うんだろうというふうに思いますから、意見交換をされるということでありますので、ぜひきめ細かく、ニーズをしっかり酌み取っていただければありがたいなというふうに思っているところであります。
続きまして、たきぐち委員からもありましたけど、ペットの同行避難について少し伺っておきたいと思います。斉藤れいな委員からもありましたね。
今回の十九号で、私の住む世田谷も、多摩川のエリアで非常に--避難だけで世田谷区は五千名を超える方が避難をされたということでありました。地域によって避難所が設置されたわけですけど、ペットを同行避難された方が多数いたというのは、今までのお話のとおりだと思います。
実際、今、我が国の十五歳未満の人口というのは一千六百万人ですけど、犬と猫を足すと二千万を超えるというわけでありますから、もはや子供たちの数よりペットの方が多いというのが我が国の置かれた実態でありまして、これ、乱暴に世帯数で割ってみたら、大体五世帯に一家族はペットと一緒に暮らしている、もっと多いかもしれないというところなのかなというふうに思っています。
実際、ツイッターの中でも、芸能人の方とかもいろいろと、ペットと避難できないなんて、私は避難しませんみたいなことの賛否両論がいろいろ飛び交っていましたけれど、一方で、ペットのことだけ考えると確かにそうなんですけど、アレルギーがある方も当然いらっしゃいますし、室内、また室外で、それぞれにペットがいるわけでありますので、そうしたところの整備というか、ルール、ガイドライン、こうしたものはしっかりと、今見直さなきゃいけないのかなと思います。
ましてや、例えば外で飼うぐらいの大きな犬であっても、今回の暴風時にはどうしておくべきなのかということも、世田谷区では大変困ったという話を伺っております。
避難所の運営というのは、各区市町村が地域の実情に応じて整備するべきものであるというのが今までの東京都の見解でありますが、都内の同行避難の状況について二点伺いたいと思います。
各区市町村の地域防災計画があると思うんですけれども、これにおけるペットの同行避難について記載があるのかどうか、この状況を伺っておきたいと思います。
○高橋健康安全部長 都はこれまで、区市町村が作成する地域防災計画に、同行避難動物の飼養場所の確保など、災害時における動物救護対策を盛り込むよう助言を行っております。
平成三十年度末現在、五十五の区市町村が、地域防災計画に同行避難に関する記載をしております。
○小松委員 多くの区市町村で、地域防災計画に同行避難に関する記載が明記されているということが確認できましたが、実際にこの計画どおりに機能することができるかどうか、このことが重要だと思います。
今回、世田谷で起きたケースですけど、人ですら定員オーバーなので、どこどこの避難所の方に移ってくださいと雨の中いわれたそうでありまして、そこに行ってみたら、まだそこは開設されていなかったので、また戻ってくる羽目になったというような混乱もあったそうであります。
ペットのことを考えたときに、都も、区市町村のそうした避難所のことをしっかりとやっぱり考えていく必要があるんだろうと思います。ペットの同行避難の体制整備について、東京都の方からしっかり働きかけを行うべきと考えますが、見解を伺います。
○高橋健康安全部長 都は、災害発生時において、区市町村が具体的な行動をとれるよう、動物愛護相談センターが作成した災害時における動物愛護管理対応マニュアルをお示しいたしますとともに、区市町村が作成したマニュアルの具体例等を記載した事例集を作成し、都内全区市町村に提供しております。
また、災害への備えが促進されるよう、避難所等で必要となるケージ等の物品の備蓄などを包括補助で支援しております。
さらに、本年九月には、区市町村の動物愛護担当職員及び防災担当職員を対象に、飼い主の災害時への備えや、避難所における同行避難動物の管理運営といった、災害時の動物救護対策にかかわる取り組みをテーマとした研修会を開催いたしました。
こうした取り組みに加え、今後、近年におけるたび重なる風水害の発生も踏まえ、各地での対応状況等を検証いたしまして、風水害時における対応を含めたペット同行避難の体制整備が進むよう、区市町村への情報提供や働きかけを行ってまいります。
○小松委員 避難者の中には、当然、動物アレルギーをお持ちの方もいらっしゃるため、全ての避難所で同行避難動物を受け入れるということは難しいものと思います。
今回の台風十九号を教訓に、それぞれの区市町村において、ペットと避難できる避難所はどこなのかということを設定し、また、どのように管理するのかということも確認し、あらかじめ住民等に発信をしっかりしておくということで、地域の実情に応じて避難所が運営できるよう、東京都からさらに働きかけをしていただきたいと思います。
そのためには、まずは都内はもとより、昨今の災害によって被災をされた自治体や避難所の研究も行っていくことが重要だと思います。また、区市町村としっかり綿密な設計、周知に取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
次に、福祉人材対策について伺いたいと思います。
後藤委員からもお話があった部分についてははしょりたいと思いますけど、超高齢社会を迎えているわけであります。また、待機児童の激増など、医療や介護、そして保育といったさまざまな福祉の分野において、人材確保というのが厳しい状況にあるということはいうまでもありませんが、このことというのは、この数年で起こったわけではなくて、もう十年以上前から、そういったことはメディアでもさんざん取り上げられてきたテーマであると思います。
私自身、都政に携わるようになって七年目を迎えるわけですけれども、この間、都庁としても解決に向けてさまざまな施策を講じてきた、このことは承知をしています。
一つ一つの施策の評価をしっかりと行っていくことが重要だと思いますが、この間、どの分野にどのくらい予算を投じてきたのか、それによって施策の目標をどの程度達成できたのか、ICT化によって今後はその効率が改善されていくのかなど、しっかりと評価をしていく上で、幾つか前提を整えて研究する必要があるのかなというふうに思っています。
全体の話をする前に、今回については、東京都福祉人材センターのところにちょっと一つ注目をして質問をさせていただきたいと思います。
後藤さんの方で答弁がありましたけれど、無料職業紹介やあっせんについては一定の成果が出たというふうなご答弁がありました。平成三十年度には、採用人数が一千八百六十五人ということであったということなんですが、このことを、すばらしい、大変多くの人を採用に至らせることができているなというふうに事業を評価するのか、本来はもっともっとできたのかということをしっかりと評価するためには、経年で増減を比較してみることも大事ですし、ほかの都政が取り組んでいる福祉人材の確保策と比べて費用対効果の面も含め効率的なのかですとか、さまざま比較をしていかなければいけないのかなというふうに思っています。
一定のニーズがあるから、ただ続けていきますよというのではなくて--このことをやめなさいということをいいたいわけではありませんが、そういうことではなくて、しっかりとこの施策の目的や目標、それがより効率的、効果的につながっているかどうかという評価をしっかりと綿密に行っていただきたいなと思っているんです。
というのは、今、都庁の歳入というのは堅調にふえている状況が続いておりますけど、いつ何どき、さまざまな施策を、より絞っていかなければいけないのかとなったときに、そうした意味でのしっかりとした評価というのが、取捨選択の大きな指標になるものと思っているところであります。
今回、この平成三十年度の福祉人材センターの予算というのが約一・二億円、それで千八百六十五人の方が採用に至ったということは、一人の採用につなげるのに約六万五千円ぐらいの予算だったんだなということが乱暴にいえばいえるわけでありまして、これを一つの指標に、今後、この事業の成果が出ているのか出ていないのか、また研究をできればいいなというふうに思っております。
もう一つ、福祉人材の確保で取り組まれている事業の一つが、福祉人材情報バンクシステム、ふくむすびであります。
これはシステムなので、開発にさまざまお金がかかっていると思うんですけれども、経費とか、現在の運用に係る予算というのはどういったものなのか伺っておきたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 福祉人材情報バンクシステム、ふくむすびの開発に係る経費ですが、平成二十八年度の設計開発から三十年一月の運用開始までの経費は、一億八百二十一万六千円となっております。
運用経費につきましては、今年度の予算額が九千五百五十一万四千円となっております。
○小松委員 ちなみに、マイページ登録という機能があるんですが、マイページ登録やアクセス状況についてはどうなっているのか伺います。
○藤井事業調整担当部長 平成三十年一月の開設後、本年九月末現在までの全ページへのページビュー、いわゆるアクセス数の累計は約七十八万六千件、閲覧したユーザー数は約十万七千件となっております。
また、マイページに登録していただいた利用者に対しまして、東京都福祉人材センターがイベントや研修などの情報をメルマガとして定期的に配信しており、その数は一回当たり約千二百件となっております。
○小松委員 このシステムの一年間の運用コストが約一億円ぐらいあるわけでありまして、果たして、その運用コストをかけるに値するだけのアクセス状況であったり、マイページ登録の数というものが適切なのかどうか。このことは、しっかりとまた改めて評価をさせていただきたいなというふうに思っています。
システムの開発に当たって、どのように行ってきたのか伺っておきたいと思います。
○藤井事業調整担当部長 この福祉人材情報バンクシステムの開発につきましては、平成二十七年度から職員三名がかかわっているほか、平成二十八年度には、東京都福祉人材対策推進機構の専門部会におきまして、区市町村、関係団体、学識経験者などにより、システムの運用方法を検討いたしました。
システムの開発を行った事業者につきましては、平成二十八年度は総合評価方式による入札で設計、開発を行い、平成二十九年度からは特命随意契約により設計開発及び運用を行っております。
○小松委員 システムというのは大変大きな投資、また、維持管理にも大変大きなお金のかかるものでありますから、その成果がしっかりと出るように、これからも引き続き取り組んでいただきたいと思いますし、やはり都庁の人材というので、このウエブサービスとかシステムについて、専門的な知識を有する方がどれほどいるかということを考えますと、このサービスについても、改めてまた一定の期間を経て評価をすべきかなと思います。
最後になりますが、里親制度について二点伺います。
里親の委託を今後どんどん国は進めていこうとなっていますけれども、この里親委託率について都の現状と目標を伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都においては、社会的養護のもとで生活する児童のうち、里親等への委託率は平成三十年度で一四・三%となっております。
一方、都道府県社会的養育推進計画の策定要領で示されました国における里親等委託率の数値目標は、三歳未満はおおむね五年以内に、それ以外の就学前の児童はおおむね七年以内に七五%以上、学童期以降はおおむね十年以内に五〇%以上となっております。
都は、児童福祉審議会の専門部会での議論も踏まえながら、今年度末に策定いたします社会的養育推進計画において、養育家庭等への委託の方向性や里親等委託率の数値目標を定める予定でございます。
○小松委員 大変ギャップが大きいということがわかりました。
最後に、この里親登録家庭をふやすために、都はどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、養育家庭の里親制度を広く都民に周知するため、新宿駅でのデジタルサイネージの掲出、都営地下鉄全駅や民間企業約八千五百社へのフリーペーパーの配布、医療機関や薬局でのポスターの掲示等を実施しております。
また、里親支援機関が小中学校、高校等の教員に向けて、里親制度の説明会を毎年開催しているほか、昨年十月には、里親家庭の体験談や登録希望者向けのQアンドAを主な内容といたしますウエブサイト、Tokyo里親ナビを開設いたしました。
今年度は、里親制度を周知する動画を作成し、都営地下鉄の車内やインターネットで配信するなど新たな取り組みを実施しておりまして、今後とも里親登録家庭数の拡大を図ってまいります。
○白石委員 私から、障害者グループホームの都加算の見直しによる事業所への影響にかかわって質問をしたいというふうに思います。
障害があっても、地域社会の中でつながり、仕事を持ち、自分らしく暮らすには、生活基盤となる住まいが重要です。障害者グループホームが目的とする地域生活とは、利用者が地域社会において、人とのつながりの中で自分らしい生き方を実現できるということです。
利用者が自分らしい生活を送るためにグループホームというのはかけがえのない役割を担っております。その障害者グループホームの都内の定員数は、先ほども質問がありましたけれども、ことし三月一日時点で大体約一万人というふうなことになっております。まだまだ不足をしているのが現実です。
東京都は、グループホームの整備促進を図るため、東京都障害者・障害児施策推進計画で目標を設定して取り組んでおりますが、前計画の二千人分ふやす目標に対して、千八百五十六人分の整備にとどまりました。
現計画の期間も折り返しに差しかかっております。二千人分の整備目標を達成することはもちろん、障害者の誰もが希望すれば入所できるよう、グループホームの整備促進をさらに一層進めていくことが求められます。そのためには、前計画の教訓や現場の実態を把握し、都として、より積極的に支援の拡充を図ることが求められております。
ことし一月から実施された都加算の見直しでは、これまで受けられた報酬よりも大幅な減収となって、グループホームの運営に大きな影響を与えるという声が多く事業所から出されておりました。なぜかといいますと、見直し前の都加算制度では、利用者が不在の日の分も同額の報酬を保障するということで、事業所の運営の安定化につながっていたというのが見直し前の制度です。
しかし、ことしの一月に実施をされた見直し後の制度では、利用者が不在の日の報酬単価が引き下げられるということになっております。具体的には、利用者が不在の日は、たとえ重度の障害であっても支援区分二の単価が上限となる。つまり、障害支援区分六段階のうち、下から二番目の軽い区分に切り下げられてしまうというのが都加算の見直しです。そのため、重度の障害を受け入れている事業所ほど報酬の減額幅が大きくなるというのが、見直しの前の大きな声でもありました。
ことし三月の厚生委員会、私も、この都加算見直しで質問させていただきました。この都加算の見直しの影響について質問をしたところ、東京都は、グループホームを運営する事業者団体などとの意見交換や個別の事業所からの相談対応をしている、これらの機会を通じて、支援の状況や運営上の課題について把握をしていくと答弁をされております。
都加算見直し後、どのくらいの事業者団体などに都加算見直しの影響について実態把握をされたのか。事業者、団体数及び事業所数をそれぞれ具体的に、まず初めに伺いたいと思います。
○松山障害者施策推進部長 平成三十一年四月以降、事業者、障害当事者等の団体と意見交換を二十四回実施しております。
また、事業所を対象とした説明会を四回開催いたしまして、延べ七百六十六名の申し込みがあり、この中で質疑応答を行っています。
○白石委員 意見交換や説明会はそれなりの回数を行っているということです。
それでは、今答弁された意見交換などの中で、二〇一九年一月から開始された都加算の見直しについて、事業者や当事者、家族関係者などからどのような声が出されているのか伺いたいと思います。また、実態把握する中で、事業所の運営上どのような課題があると把握をしたのか具体的に伺います。
○松山障害者施策推進部長 意見交換の中では、グループホームの整備促進に関する意見が十件、都加算の見直しに関する意見が三件、今年度から新たに開始したグループホーム体制強化支援事業に関する意見が二件でございました。
都加算の見直しに関する意見としては、中軽度の障害者を受け入れるグループホームでは、都単価が下がったことで減収となること、障害支援区分三以上の利用者を受け入れているグループホームでは、利用者が外泊をしたときには都単価が下がるため減収になること、都が運営状況等の実態把握をすることなどの意見がある一方、重度の障害者の都単価が上がったことを評価する声もございました。
また、事業所を対象とした説明会の質疑の中では、体制強化支援事業や国加算の取得及び都が実施するグループホーム従事者向け研修に関する質問がございました。
一方、個別の事業所からの問い合わせでは、国加算の要件や人員配置に関する問い合わせが多く、こうした声に丁寧に対応していくことが課題でございます。
○白石委員 問い合わせに丁寧に対応するのは当然のことであると思います。大事なのは、見直した都加算の制度そのものについて検証するということです。
今の答弁でも減収になるという意見が出たという話がありましたが、私たちのもとにも切実な声が届いています。ある知的障害者のグループホームは、都加算が見直された最初の月、つまりことしの一月は三十九万円の減収でした。このままでは年間で四百六十八万円の減収になってしまいます。体制強化支援事業の要件を満たすことも難しく、先行きが見通せない、こういう状況の相談もありました。
また、ある事業所は、都が今年度から開始した体制強化支援事業により、減収分はおおむね補填できそうであるけれども、一旦自宅に帰るとか入院するなどによって変動はあり得るため心配だ、こういう声も聞いております。
東京都は補助金を支出しており、一つ一つの事業所の収入の増減を当然把握できるという立場にあるわけですから、責任を持って影響の全体像を把握して公表するとともに、必要な対策をとることが求められます。
先ほどもいいましたけど、ことし三月の厚生委員会で質問した際は、都加算の請求の直接の窓口は区市町村となっていること、見直しを実施した一月分のサービス提供にかかわる支払いの多くは三月中旬以降に行われることから、その時点では具体的な影響を把握できていない、このような答弁をされました。もう十月ですから七カ月以上経過をしているということになっているわけですから、当然、把握は可能になっていると思います。
都加算の見直しにより、各事業所の都加算の額がどのように変化をして、サービスの状況や人員の配置がどのように変化をしているのか、より詳細に実態を把握する必要があると思いますが、いかがですか。また、都として、各事業所が都加算の見直しによりどのような影響があるのか把握し、実態を取りまとめて、今後の障害者グループホームなどの支援に生かすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○松山障害者施策推進部長 昨年度実施した都加算の見直しは、手厚い職員配置や国加算の取得など、サービスの質の向上への事業者の取得を促進することを目的としております。
事業者への影響は、都への届け出や東京都国民健康保険団体連合会の報酬の支払い状況により、グループホームの職員体制や国報酬の取得状況を把握しております。
具体的には、見直し前の平成三十年十一月時点と比較して、見直し後の令和元年七月時点では、職員配置については、国基準の最上位である四対一配置をしている事業所の割合は七八%から八三%に増加しております。
また、国加算を取得している事業所も増加しており、例えば、精神障害者地域移行特別加算や医療連携体制加算については、それぞれ四一・五ポイント、二七・〇ポイント増加しており、このことから、事業者が行う支援の質は向上していると認識しております。
ただ、今回の見直しに関する事業者との意見交換の中では、重度の障害者を受け入れているグループホームでは、入浴や排せつなど身体介助の際に複数の職員がかかわることから、国で定める基準以上の職員を配置してサービスの質を確保している事業者があることを把握いたしました。このため、都は、身体や行動特性上、特別な支援を必要とする重度の障害者を受け入れるために、国基準以上に手厚く職員を配置している事業所への支援を今年度から開始しております。
事業所への影響につきましては、先ほど申し上げましたとおり、都への届け出や東京都国民健康保険団体連合会の報酬の支払い状況により、利用者の障害の程度や職員体制、国報酬の取得状況を把握いたしまして、事業者団体等との意見交換や個別の事業者からの相談により、支援の状況や運営上の課題を把握し、引き続きグループホームの運営を支援してまいります。
○白石委員 長々答弁をされましたが、結局、運営上の課題も把握していくということで、都加算の見直しの影響について、しっかりとそこも入っていますよと、これからもしっかり把握をしていくということでよろしいですか、確認させてください。
○斉藤(や)委員長 挙手をお願いします。
○松山障害者施策推進部長 グループホームの報酬等、事業所への影響につきましては、先ほど申し上げましたとおり……(白石委員「端的に」と呼ぶ)端的に、はい--事業者団体等との意見交換や個別の事業者からの相談により、支援状況や運営上の課題を把握し、引き続き運営を支援してまいります。
○白石委員 しっかりと影響を把握していっていただきたいというふうに思います。
次に、医療連携型グループホーム事業について伺います。
東京都は、医療的ケアを必要とする障害者を受け入れるグループホームを支援するため、二〇一七年度、医療連携型グループホーム事業を開始いたしました。今年度は三年目に当たるわけです。
医療連携型グループホームは現在、都内に幾つあるか伺いたいと思います。
○松山障害者施策推進部長 都は、平成二十九年度から、医療的ケアが必要な障害者に医療支援を行う生活支援員を配置する医療連携型グループホーム事業に取り組む区市町村を包括補助で支援しており、現在二カ所で運営しております。
○白石委員 大事な事業ですけれども、今ご答弁があったとおり、全都で二カ所ということですから、残念ながら多いとはいえないという状況だと思います。
また、この事業は、区市町村負担が二分の一であるため、グループホームが努力して医療的ケアを必要とする方を受け入れていても、区市町村が予算をつけなければ補助は受けられないという状況だと思います。
しかし、障害者の高齢化が進み、医療的ケアを必要とする方もふえ、親亡き後への不安も広がる中、そうした方を受け入れられる住まいの重要性はますます高まっているというふうに思います。
そこで、医療連携グループホームの重要性をどのように認識しているのか伺いたいというふうに思います。また、今後どのように整備を促進していこうと考えているのか具体的に伺います。
○松山障害者施策推進部長 たんの吸引や経管栄養など、日常生活を送る上で医療的ケアが必要な障害者の中には、家族による介護により在宅生活をしている方もおり、今後、家族の高齢化が進んでいく中、医療的ケアを必要とする障害者を受け入れるグループホームを地域の実情に応じて整備することは重要でございます。
都は、区市町村を対象とした包括補助事業にかかわる説明会等において先行事例を紹介しており、区市町村の取り組みが進むよう必要な情報提供を行ってまいります。
○白石委員 重要だという認識が示されました。
やはり、先ほどもいったように、今のところ都内二カ所しかないというところで、医療的ケアの皆さんも、先ほども最初にいいましたけれども、住まいの問題というのは非常に重要で、しかも地域の中で自分らしく生きていくといったところでは、障害者のグループホームというのは非常に重要な、そして、かけがえのない役割を担っているというふうに思います。
どのような障害であっても、しっかりと皆さん、障害のある方も、グループホームに入りたいというふうな希望があれば入れるように整備していくといったところでは、東京都の重要な役割でもあるというところでは、都加算の見直し問題でいけば、東京都が見直しをしたのですから、しっかりとその影響は把握をしていっていただきたいというふうに思います。
それから、医療連携型グループホームの重要性も示されました。より広がるよう、補助率の引き上げ等も含めて取り組みを強めることを求めて、質問を終わりたいというふうに思います。
○岡本委員 厚生委員会三年目の岡本こうきです。引き続きよろしくお願いします。
まず、受動喫煙についてお聞きします。
昨年六月に東京都受動喫煙防止条例を制定し、都は、昨年九月から受動喫煙防止対策にかかわる相談窓口を開設しました。電話での〇五七〇-〇六九六九〇、もくもくゼロという名称の電話相談、それから来庁の相談を開設しているということです。
平成三十年十一月二十二日の厚生委員会の事務事業質疑において、その時点における三カ月弱の実施状況についてお伺いをいたしました。それから約一年後の現在の状況についてお伺いをいたします。
受動喫煙相談窓口の相談体制、回線数とこれまでの相談件数の推移、直近九月の一日当たりの相談件数、主な相談内容、以上、四カテゴリーについてお聞きします。
○成田保健政策部長 受動喫煙に関する都民や事業者の方々からの問い合わせに対応するため、昨年九月に開設した相談窓口では、五回線の電話相談と対面相談を実施しております。
本年度の相談件数は、四月が四百四十二件、五月が五百九十九件、六月が六百六十一件、七月が八百九十八件、八月が千四百八十八件、九月が千六百四件でございます。
九月の一日当たりの相談件数は八十四件でございまして、相談内容の上位は、改正健康増進法や都条例の規制内容、喫煙専用室の基準、店頭に表示する標識や施設管理者向けのハンドブックの送付依頼などの関連施策、喫煙専用室の設置に関する補助金となっております。
○岡本委員 上位二類型は昨年と同様であるということがわかりました。三位のステッカーやパンフレット等の送付依頼、それから、四位の喫煙室補助金については、法律、条例の段階的施行が進むとともに増加をしたということがわかります。
相談件数全体で見ると、ことし四月に比べて、法律の施行日七月一日、条例の施行日九月一日の前後で急増しているということがわかります。特に九月は、四月の約四倍近い、一日当たりの相談件数が平均で八十四件ということです。非常にふえているということがわかります。
今後、来年四月一日の法律、条例の全面施行に向けて、さらに相談がふえる可能性もあると考えられます。回線数や委託先の人数体制について、現行のまんまで足りるのか十分に検討していただきたいということをお願いしたいと思います。
今後は、法律、条例への違反に関する通報、情報提供もふえると思われますが、その場合、都庁の受動喫煙相談窓口は各保健所との間でどのような対応をとるのかお聞きをしたいと思います。
○成田保健政策部長 お話の相談窓口におきましては、現在も都内全域から相談やお問い合わせ等いただいておりまして、その内容により、所管の区市町村に情報提供や対応を依頼しており、今後とも適切に対応してまいります。
○岡本委員 今ご答弁いただきましたように、市区町村と連携したり、保健所に対応を依頼したりといったことも増加する可能性があります。この委託先の人数体制等について、現行のままで足りるのか十分に検討していただきたいと思います。
ちなみに、この相談事業の名称についてなんですが、厚労省はこれまで、受動喫煙防止対策という用語を用いていましたが、最近ホームページが変わっておりまして、受動喫煙対策という用語に変更したということであります。
この対策という言葉については、一般的に、地震対策、豪雨対策、災害対策本部など、また温暖化対策、暑さ対策、空き家対策、薬物乱用対策、依存症対策、がん対策、疾病対策などありますが、こうした用語の使い方は、望ましくないものに対する対策という言葉の使い方をしています。
他方で、いじめ防止対策、防災対策、児童虐待防止対策、それから治水対策、安全対策、こうした用語に関しては、対策例が先に示されて、それについて対策という言葉がついています。
後者の使い方は誤りだというふうにいう論者もいるんですが、必ずしも誤りともいえないように思います。この防止対策という言葉、あるいは端的に受動喫煙対策というべきなのかについては、都においても検討していただければというふうに思います。
次に、都から市区町村への補助金の交付について質問いたします。
都は、市区町村の公衆喫煙所に関して、一カ所の上限一千万円、補助率十分の十の補助を行っています。例えば、千代田区が都の補助金を使ってトレーラー型の公衆喫煙所を一千万円かけて設置し、三月に小池知事が視察したということも報道されているところであります。
さて、ことし七月一日に健康増進法の二段階目の施行となりまして、行政機関庁舎や病院や学校は第一種施設として、原則敷地内禁煙、屋外喫煙場所の設置は可能という規制が開始しました。
板橋区では、区役所隣接の公衆喫煙所の新設に関して問題が起きました。板橋区は七月一日の法施行を受けて、区役所本庁舎の隣接地にコンテナ型の閉鎖式公衆喫煙所を設置し、九月一日以降運用する予定だったということなんですが、その喫煙所に関しては、地下鉄のエレベーターの乗降口のすぐ横に位置しており、排気ダクトが乗降客の通り道に向いている、また、隣のビルには診療所や薬局も入っているなどの状況があり、住民から反対の署名運動及び区議会への陳情提出がなされたということです。結局、板橋区はその喫煙所を一度も運用しないまま、移設先を探すこととなったということです。
市区町村が屋外の公衆喫煙所を設置する場合に、都が補助金を出す要件はどのようなものかお伺いをいたします。
○成田保健政策部長 都が実施する公衆喫煙所の補助事業における屋外の公衆喫煙所の設置場所に関する要件につきましては、一点目が、近くを通行する者等に容易に受動喫煙を生じさせることがないよう、コンテナやパーティション等で非喫煙区域から区画されており、専ら喫煙のために利用される場所であること、二点目が、建物の入り口や窓、人の往来が多い区域から可能な限り離して設置するなど周囲の状況に配慮すること、三点目が、法令等で規定する基準を満たしたものであることでございます。
○岡本委員 健康増進法には、喫煙場所を定めようとするときは、望まない受動喫煙を生じさせることがない場所とするようという配慮義務が規定されています。この配慮義務は、これまで何度もこの委員会でも取り上げた内容であります。この配慮義務自体には罰則はなく、その法的効果については法律上明記されていません。
他方で、都が実施する公衆喫煙所の補助事業における要件を先ほどご答弁いただきました。その内容の二点目には、人の往来が多い区域から可能な限り離して設置するなど周囲の状況に配慮することということが明記してあるということで、こうした配慮規定の活用については、大いに評価をしたいというふうに考えております。
この配慮の解釈には幅があり得ると考えられますが、今回のような板橋区の喫煙所の設置場所、設置経緯に関しては、要件を満たさないものとして、補助金を交付すべきでないと考えます。
板橋区の方で、今回の事案で実際に東京都に補助金の申請が出されたわけではありませんけれど、東京都にこのような申請がなされた場合、都としては、周囲の状況への配慮を欠いていて補助金を不支給とするとすれば、それは積極的に評価をしたいと考えます。
配慮義務に反するような喫煙所の設置に都が補助金を出すべきではないということを述べまして、次の質問に行きます。
次に、飲食店への普及啓発について伺います。
さきの定例会の九月九日の我が会派の代表質問におきまして、受動喫煙防止条例の普及啓発について質問したところ、飲食店に対して、保健所の夏季一斉監視指導の機会にリーフレットを配布し、飲食店検索サイトの事業者やビール会社四社の営業担当者の協力により、個別に啓発を行っているとの答弁をいただきました。
これに関して、飲食店検索サイトやビール会社と連携した周知の取り組み状況について具体的にお伺いいたします。
○成田保健政策部長 都は、本年九月一日からの飲食店における店頭表示義務化に当たりまして、ぐるなびにつきましては、営業スタッフの方が八月に約一千七百店を個別訪問の上、説明をいたしますとともに、食べログにつきましては、登録店二万件に対してメールマガジンを配信いたしました。
また、ビール会社四社にご協力をいただきまして、営業スタッフの方が取引先の飲食店を個別訪問の上、説明し、店頭に表示する標識等を配布いたしました。
○岡本委員 ぜひ、さまざまな方法を駆使して普及啓発を進めていただければというふうに思います。
九月一日から罰則のない飲食店における店頭表示義務化が施行されていますが、これはまだ十分に浸透しているとはいいがたいと思っております。喫煙なのか禁煙なのか店頭に何も表示されていない飲食店もまだまだ多く見受けられるように感じています。周知及び普及にさらに力を入れていただくよう要望いたします。
次に、法律、条例の罰則規定に違反があった場合の対応について質問いたします。
厚生労働省の令和元年七月八日付事務連絡の改正健康増進法の施行業務に係るガイドライン(例)では、次のようなフローが示されています。情報提供、事案の把握、管理権原者の特定、管理権原者等への連絡、現地確認のための訪問、立入検査による現地確認、指導助言のための訪問、立入検査時の指導助言、勧告、命令、過料、このようなフローが示されています。これらを全て保健所の正規職員が行うとすれば、マンパワーがとても足りないのではないかと考えられます。
こうした事案の把握、管理権原者の特定、管理権原者等への連絡、現地確認のための訪問は、保健所から委託した者で対応できるのかお伺いをいたします。また、ことし三月十八日の厚生委員会における質問で、市区町村が個別訪問を委託した場合にも、都の受動喫煙防止対策促進事業の補助金の対象になる旨のご答弁をいただきましたが、先ほど述べた業務の委託についても同様に補助対象になるのかお伺いをいたします。
○成田保健政策部長 お話のガイドラインには、改正健康増進法の施行に当たりまして、施設での義務違反があった場合に想定される保健所等での業務が示されております。これらの業務のうち、立入検査等の行政指導や行政処分は、保健所等の行政機関が実施する必要がございます。
一方、行政指導や行政処分にかかわらない業務につきましては、委託することが可能でございまして、受動喫煙防止対策促進事業の補助対象となります。
○岡本委員 厚労省のガイドラインの例には、違反に対する保健所の業務フローの例が書いてありますが、どこまでの業務が委託できて、どこから委託できないかといったことは、必ずしも判然としておりません。先ほどご答弁いただいた内容や今後の保健所のマンパワー、また、時とともに変動し得る通報件数、情報提供の件数なども想定の上で、都としてのより具体的な対応フローを検討していただきたいということをお願い申し上げます。
六月十四日の厚生委員会における私の質疑で、指導や罰則の適用に当たる保健所の人員体制を拡充すべきではないか、また、啓発、指導助言に当たる人員体制を創設すべきではないかといったことを提案しました。これにつきましても、そうした検討を踏まえて、来年度の予算編成を作成されるよう求めます。
次に、喫煙率を下げることは受動喫煙の最も抜本的な解決策であるということは、これまで本会議においても、また、この厚生委員会においても、繰り返し申し上げてきたところであります。
四月十八日に禁煙推進企業コンソーシアム、東京都医師会と日本対がん協会が主導するこのコンソーシアムの発足発表会に小池知事が出席され、応援のメッセージを述べられました。また、十月十五日、つい先日ですが、国立がん研究センターにおいて開催された世界保健機関、WHOと日本対がん協会が主導する禁煙革命、レボリューションスモークフリーの発足式に小池知事が出席して挨拶を述べられました。これらは大変意義深く、よいことだというふうに考えております。引き続き、喫煙率を下げる取り組みをしっかり支援していただくようにお願いを申し上げます。
医療保健政策区市町村包括補助事業の対象である禁煙治療費助成事業について質問いたします。
この禁煙治療費助成事業を実施予定の市区町村の数、また未実施の市区町村への働きかけの状況について伺います。
○成田保健政策部長 都は、区市町村が、禁煙を希望する住民の方に対しまして、医療機関等での禁煙治療の費用を助成する場合に、包括補助で支援しております。
本年度は、十五区市町から補助申請を受けており、引き続き説明会等の場を活用し、区市町村に働きかけてまいります。
○岡本委員 一年前の平成三十年十一月二十二日の事務事業質疑において質問した際には、たしか七つの区が禁煙治療の費用を助成しているという認識をしておりました。この一年間で十五の自治体にふえたということは、包括補助の対象にしたかいがあったと評価できると思います。ぜひ、まだ実施することを決めていない自治体にも広めていただきますようお願いを申し上げます。
また、一年前も述べましたが、先ほど述べた喫煙室は、一個つくるのに都が一千万円補助する、しかも補助率は十分の十であると。それに対して、より抜本的な解決策であり、たばこを吸わない人も吸う人も両方の健康を守ることにつながる禁煙治療に関しては、一市区町村につき、都からの補助金は百万円の上限になっている。補助率は二分の一となっているということになります。
これについては、私としてはアンバランスではないかというふうに考えております。禁煙治療費助成の補助上限額を百万円よりももっと上げるように改めて要望いたします。特に、来年四月一日の法律、条例の全面施行に伴い、禁煙希望者もふえるということが予想されます。禁煙治療費助成の上限額を撤廃するか、または引き上げるようにお願いをいたします。
この点に関連して、二年前の平成二十九年十一月二日の事務事業質疑におきまして、各市区町村の禁煙治療の支援の取り組みが比較一覧できるような形で都が発信してほしいということをお願いいたしました。また、あわせて、各市区町村の路上喫煙対策の状況を比較一覧できるようにしてほしいということも提案を申し上げました。そして、これを実施していただきました。とうきょう健康ステーションのホームページ上でそれを公表していただきました。
加えて、平成三十年三月十九日と平成三十一年三月十八日の厚生委員会におきまして、路上喫煙対策の一覧表に関して、罰則のない努力義務についてもわかる形にしてほしいということを提案申し上げたところ、このたびそのように改定をしていただきました。これまでの提案や要望に沿って着実に対応してくださっていることに心から感謝を申し上げます。引き続き、法律、条例の周知、喫煙率の低下に向けてよろしくお願いいたします。
喫煙の本質は、ニコチンの依存性にあり、やめたくてもやめられないという性質などについては、ことし二月二十八日の本会議の私の一般質問でも、また、この厚生委員会でも繰り返し述べてきたところですので、その内容については本日は割愛します。
次に、依存症ということで、アルコール依存症やギャンブル依存症などの依存症対策について質問をいたします。
依存症対策については、平成三十年三月十九日の厚生委員会、同年十一月二十二日、ことし三月十八日の委員会と繰り返し質問し、私の考えや弁護士としての経験等も含めていろいろと述べさせていただいております。その後の変化や現状を含めて、改めて質問をさせていただきます。
国は、ことし四月にギャンブル等依存症対策推進基本計画を策定し、計画の基本理念としまして、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪などの関連問題に関する施策との有機的な連携への配慮をすること、それから、計画の基本的な考え方として、多くの機関との連携協力による総合的な取り組みをするということを挙げています。
また、東京都は、ことし三月に東京都アルコール健康障害対策推進計画を策定しました。
こうした動きも踏まえて、都の依存症対策の取り組みについて伺います。
○石黒障害者医療担当部長 都は、都内三カ所の精神保健福祉センターにおいて、アルコールや薬物等の依存症に関する専門相談や本人向けの回復プログラム、本人への適切な対応方法等を学ぶ家族教室等を実施しております。
今年度からは、三センターを国の依存症対策総合支援事業実施要綱に基づく依存症相談拠点として設定し、ギャンブル等依存症の回復支援プログラムの開発を進めるほか、来月、依存症対策フォーラムを開催し、アルコール、薬物、ギャンブル等の依存症治療の専門家による講演等を行うこととしております。
また、アルコール健康障害については、今年度からを計画期間とするアルコール健康障害対策推進計画に基づく取り組みについて進捗状況の把握を行うほか、当事者団体を含めた関係機関との意見交換等を実施する予定でございます。
今後とも、精神保健福祉センターを中心に、保健所や医療機関、支援団体等の関係機関との連携を図りながら、依存症対策を推進してまいります。
○岡本委員 アルコールについてもギャンブルについても、依存症の本人や家族を支援している民間団体との連携が非常に重要であるということを改めて強調させていただきます。
カジノとの関連でギャンブル依存症対策が論じられることがありますが、日本では、パチンコや公営ギャンブルなどのギャンブル等依存症が既に存在をしています。東京都がカジノ誘致にどういう方針をとるかにかかわらず、既にあるギャンブル等の依存症への対策が必要だということも改めて強調しておきます。
次に、児童虐待防止について質問いたします。
昨年三月二日、目黒区で五歳の船戸結愛ちゃんが虐待死する痛ましい事件が起きました。改めて船戸結愛ちゃんのご冥福を祈ります。
この事件に関しては、昨年十二月十四日の厚生委員会で、児童福祉審議会の死亡事例等検証部会報告書に基づいて質疑をいたしました。質疑において、私から、刑事裁判等で具体的な事実関係がより明らかになった場合には、それも踏まえて検討するよう提案を申し上げ、それに対して答弁として、都は、検証報告書が出された後も事件の経過や判決内容の把握に努めるとともに、新たな事実関係が明らかになった場合には検証部会への報告を行い、現場におけるケースワークに生かしてまいりますとの答弁をいただきました。これを踏まえて、改めて質問をいたします。
先月、九月十七日に、母親に東京地裁で懲役八年の判決がいい渡され、母親は控訴しているということであります。今月、十月十五日に、養父、この母親と結婚し、船戸結愛ちゃんと養子縁組をした父親に懲役十三年の判決がいい渡されました。この裁判で結愛ちゃんへの食事制限や暴力、また、夫から妻への心理的なドメスティック・バイオレンス、心理的な支配、コントロールが明らかになりました。
平成三十年二月九日に、都の児童相談所が家庭訪問をしたときに、母親が児童相談所の訪問に拒否的であったために五分程度で訪問を終えてしまったということでありました。そしてその後、三月二日に結愛ちゃんは亡くなりました。亡くなったとき、結愛ちゃんの体には百七十カ所の傷やあざがあったということです。
平成三十年一月に香川県から目黒区に転居して以降、養父の暴行がエスカレートした。特に、二月二十五日から二十六日ごろ、養父が結愛ちゃんを何度も殴打し、急激に体調が悪化したということであります。
二月九日の家庭訪問を拒否された、三月二日まで再訪問はしていなかった、そうした裏でこうした事実が起こっていたということを受けて、改めて都はどのようにすべきだったのか見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 改めて、虐待により亡くなられたお子様に対し、心よりご冥福をお祈りいたします。
本件では、自治体をまたぐ児童相談所間の引き継ぎ時の情報共有のあり方や、児童相談所による四十八時間以内の子供の安全確認が未実施だったこと等の課題がございました。特に、保護者が児童相談所の訪問に拒否的な態度であっても、子供の安全確認を最優先に考え、警察との連携や法的手段を講じることを念頭に、迅速な対応を行わなければならなかったものでございます。
そのため、都では、昨年九月に警視庁との協定を見直し、警察署長に対する援助要請の判断基準を設けるなど、確実な連携を行っております。加えて、昨年十月より、児童相談所における安全確認の手法や立入調査を行う判断基準を定めました安全確認行動指針を策定し、運用をしております。
また、児童相談所は、こうした虐待の背景にはDVの可能性があることを認識し、配偶者間の暴力により被害を受けた親とその子供の安全を確保する必要がある場合、婦人相談員等と連携をし、対応しております。
今後、このような虐待死事案が二度と起こることがないように、常に最悪の事態を想定し、関係機関と綿密な連携をとりながら、子供の安全確認を第一に考えた対応を徹底してまいります。
○岡本委員 こうした実際に起きた事実を直視して、今後のケースワークにおいてはさまざまな状況を想定し、想像力を働かせて最悪の事態も想定して、子供の安全確保を徹底していただきたいと思います。
また、ドメスティック・バイオレンス、DVへの対応機関との連携についても、一層緊密な対応をお願いいたします。
次に、児童相談所の一時保護所について取り上げます。
第三者委員の弁護士の意見書について、子供の人権侵害と大きく報道されたことに関して、ことし九月九日の我が会派の代表質問で取り上げました。また、翌日、九月十日の内山真吾議員の一般質問でも取り上げました。これらを踏まえて、現在までの取り組みをお伺いしようということを考えておりましたけれど、先ほどの藤田委員の質問と重複いたしますので、質問については省略をさせていただきます。
先ほどの答弁も踏まえて、私の意見を述べさせていただきたいと思います。
第三者委員の弁護士の意見書に指摘されています不合理なルール、ルールが過剰、過剰な管理などの指摘があった点については、早急に改善をするように求めます。
また、弁護士の意見書は、職員の皆さんは本当に一生懸命に働いています、子供への十分なケアがなされず、不適切な対応がなされる現状の一番の原因は職員の疲労感にあると指摘しています。職員にゆとりをとも提言しています。職員の疲労感の改善もあわせて取り組むようにお願いをいたします。
先ほどのご答弁にもありました個別指導についても、外部の専門家の弁護士の意見なども踏まえて、しっかりと検討していただきたいと思います。
都の一時保護所が子供の権利をしっかりと擁護し、傷ついて入所してきた子供たちに安心感と信頼感を育むことができる施設となるように願っています。
さらにもう一つ、これに関連して提言を申し上げたいのですが、この平成三十一年三月二十九日付の年度末に提出された弁護士の意見書は、約四十ページにわたる非常に詳細かつ具体的な報告書です。これを伺ったところ、これ自体に関しては弁護士の委託の内容にはなっておらず、それ自体は弁護士が無報酬、ボランティアで書かれたものだというふうに伺っております。
こうした報告書、必ずしも毎年報告をしてもらうということは必要ないのかもしれませんが、弁護士が報告書を書いた場合にはそれなりの対価が支払われるようにすべきではないかというふうに思います。弁護士の善意、あるいは弁護士がやむにやまれず書かざるを得なかったという使命感に常に頼るというのは、最初に関しては仕方がないかもしれませんが、今後はこの現状がどのように変化し推移していくのか、どのように評価されるのか比較検証できるように、弁護士に報告書を書いてもらうことが、きちんと報酬を踏まえた上でなされるように制度化すべきではないかということを申し上げておきます。
それから、児童相談所に関しまして、ことし二月二十八日の本会議の私の一般質問で、常勤弁護士の配置のメリットについて述べました。これについては、引き続きぜひ検討していただきたいと思っておりますが、もしこれが現実的に難しいということであれば、非常勤弁護士を日がわりであっても常駐化するということ、非常勤弁護士の常駐化についても、あわせて検討していただきたいと思います。
次に、体罰によらない子育てについて取り上げます。
先ほど伊藤委員の質問の中でかなり詳しく取り上げられましたので、これも重複する質問になりますので質問は省略をさせていただきます。
ハンドブックや動画について、このハンドブックや動画のキャッチコピーを少し紹介をしたいと思いますが、あなたがほんの少し変わるだけで我が子の人生は大きく変わるのです、わかっているけど、わからなくなったらなどのキャッチコピーが挙げられておりまして、こうした親を責めないキャッチコピーに関して、子供の権利に関する専門家の弁護士からも、非常にキャッチコピーが洗練されているという高い評価をされていますので、ぜひ引き続き啓発に力を入れていただくとともに、子育てに不安を抱えている親を支援していただくように、引き続きお願いを申し上げます。
質問を省略しましたので、次の質問に関しては、児童虐待防止のためのLINE相談について質問をいたします。
平成三十年六月十九日の我が会派の荒木ちはるの代表質問で提案をした児童虐待防止のためのLINE相談は、その年の十一月にトライアル実施されました。そして、その結果については、本年三月十八日の厚生委員会でお聞きをいたしました。
ことし六月十一日の我が会派の荒木ちはるの代表質問では、私たち都民ファーストの会が独自に実施した東京都民に対するアンケート調査で、LINE相談をしたい時間帯に関して、午後十時から午後十一時台が最も多かったということを申し上げまして、相談受け付け時間の延長を提言いたしました。
その上で、都はことし八月に本格実施を開始しましたが、その取り組みの状況についてお伺いをいたします。先ほど斉藤委員の質問で、相談件数については重複しておりますので、特に相談時間の点についてお伺いをいたします。
○谷田少子社会対策部長 本年八月に実施しましたLINE相談の本格実施でございますが、来月の児童虐待防止推進月間に合わせまして、夜間の相談ニーズに対応できますように、期間限定で平日の相談対応時間を二時間延長し、午後十一時まで実施する予定でございます。
引き続き、親子のかかわりで困っていること、子育ての悩みなど、気軽に相談できる窓口として、より効果的な運用を図ってまいります。
○岡本委員 ありがとうございます。対応時間の延長についても、我が会派の提言に沿った対応をしてくださっていることを評価したいと思います。
相談件数や相談内容の詳細については今後詳しく分析の上、相談体制及び相談の質の向上につなげていただきたいと思います。
では、次のテーマに移ります。
次は、フレイル予防についてお伺いいたします。
超高齢社会を迎え、人生百年時代といわれる中でありますが、介護予防やフレイル予防の取り組みを進めるためには、住民に身近な区市町村の取り組みが重要です。
区市町村の取り組みを支援するために、都では今年度から、医療保健政策区市町村包括補助事業において、フレイル予防に関する事業を補助対象とするということを明示し、市区町村の取り組みに対して補助を行っていますが、その補助制度の概要についてお伺いいたします。
○成田保健政策部長 フレイルを予防するためには、地域における健康づくりや介護予防の取り組みが重要でございます。
そのため、都は、包括補助事業により、地域住民を対象とした健康づくりイベント等のフレイル予防に向けた区市町村の取り組みにつきまして補助率二分の一、また、地域のつながりを通じた先駆的なフレイルを予防する取り組みにつきまして三カ年にわたり補助率十分の十で支援しております。
本年度につきましては、フレイルサポーターの養成やフレイルチェックなどに取り組む自治体から補助申請を受けております。
今後は、包括補助事業説明会等の場を活用いたしまして、フレイル予防の取り組みに関する好事例を紹介するなど、地域の実情に応じたフレイル予防に取り組む区市町村を支援してまいります。
○岡本委員 私の選挙区であります国立市でも、東京大学高齢社会総合研究機構と協定を結び、介護予防活動の参加者等を対象にフレイルチェックなどを行っているということを伺っております。
高齢期のフレイル対策は、運動や社会参加など介護予防の取り組みと重なる部分もあります。そのため、国立市のように、介護予防事業を中心として取り組みを進めている市区町村もあるものと思われます。
都は、高齢期のフレイル対策について、市区町村の取り組みをどのように把握し、支援しているのか伺います。
○村田高齢社会対策部長 都が平成二十九年度に設置をいたしました介護予防推進支援センターでは、区市町村の介護予防の取り組みについて、専門的知見を生かした支援を実施してまいりました。
センターが相談支援の一環として実施し、現在取りまとめ中のヒアリング調査では、二十三区市町が、フレイル予防に関するセミナーやチェックリストによる心身状況の把握など、高齢者を中心としたフレイル予防に関して何らかの取り組みを行っていると回答しております。
また、区市町村の介護予防担当者が参加する会議におきまして、フレイル予防に関する健康長寿医療センターでの研究成果や区市町村における先進的な実践事例等について共有を図るなど、区市町村を支援しております。
○岡本委員 今、二つの質問で、二つの部にまたがってご答弁をいただきました。都から市区町村への支援としては、包括補助と介護予防事業と二つの制度があり、それぞれ補助率も異なりますし、また、自治体の負担割合も異なるということを理解いたしました。
フレイル事業に関しては、引き続きフレイルの多面性に応じて、医療と介護が連携した総合的な対策を進めていただきますようにお願いを申し上げます。また、多職種の連携を推進していただくようにお願いを申し上げます。我が会派の予算要望書にもそのように求めておりますが、改めてそのことを求めて、次の質問に移らせていただきます。
最後の質問になります。最後のテーマになります。
平成三十年三月十三日の予算特別委員会で、小池知事から、旧優生保護法のもとで、本人の同意を得ないまま、優生上の見地から不妊手術が強制的に行われてきたことは大きな人権侵害である旨の答弁がありました。そして、三月十九日の厚生委員会で、私から、強制的に不妊手術が行われた件数について都の調査状況を質問いたしました。
平成三十年第二回定例会で、旧優生保護法による不妊手術の被害者救済に関する意見書が、各会派の協力のもと、共同提案によってまとめられ、都議会として可決されました。
そして、その後、本年四月に法律が成立いたしました。本年四月に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律が成立いたしました。法律で、都道府県は支給手続について十分かつ速やかに周知するための措置や相談支援を講ずることとされています。
そこで、この一時金支給制度の概要についてお伺いいたします。また、この制度の周知や相談支援体制について伺います。
○池上事業推進担当部長 一時金は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方に対し、国が三百二十万円を支給するものでございます。
一時金受給権の認定は、本人からの請求に基づき厚生大臣が行い、請求期限は法施行後から五年となっております。
また、対象であることが明らかな場合を除き、厚生労働省が設置した認定審査会において審査を実施し、その審査結果に基づき認定を行うものでございます。
都では、一時金の支給手続等について、区市町村、医療機関、障害者支援施設など約一万四千カ所にポスターやリーフレットを配布するなど、幅広く周知、広報を行っております。
また、請求者が請求を相談しやすくするため、専用の相談ダイヤルを設けるとともに、庁内に専用相談窓口を設置しております。
さらに、必要に応じて手話通訳を配置するなど、障害がある方でも請求が円滑に行えるよう努めております。
○岡本委員 請求者の多くの方が疾病や障害を抱えた方であることや高齢の方であることから、引き続ききめ細やかな支援をお願いいたします。
最後に、法律施行後から現在までの都における相談件数、請求受け付け件数、認定件数を伺います。
○池上事業推進担当部長 法が施行された本年四月二十四日から十月二十七日までの相談件数は八十六件、一時金請求受け付け件数は十八件でありまして、このうち一名の方が一時金支給の認定を受けております。
○岡本委員 本人の意思に反して手術が行われた方たちの身体的、精神的な苦痛ははかり知れないものがあります。丁寧な対応をしていただくように改めてお願いをいたします。
以上で私の質問を終わります。
○斉藤(や)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後八時十四分休憩
午後八時三十分開議
○斉藤(や)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○小宮委員 認知症対策について。
認知症対策に重要なのは、早期に発見をして、早期の診断に結びつけ、それをさらに早期の治療へと導いていくことであるというふうに我が会派としてもずっと申し上げてまいりました。
そうした意味で、東京都としては、認知症の専門機関、拠点となる認知症疾患医療センターを設置してくださるということに今まで尽力をしてきていただいております。
これまで東京都としては、まず平成二十四年に、島しょ部を除きまして二次保健医療圏十二カ所全てに、まずは拠点型の認知症疾患医療センターを設置していただいております。
この拠点型認知症疾患医療センターというのは、今申し上げたように二次保健医療圏ごとに設置をされていて、認知症にかかわる医療や介護の連携の拠点であり、また地域連携の推進役であり、それから人材育成機関としての役割も果たしていますけれども、この拠点型の認知症疾患医療センターの取り組み状況について伺います。
○村田高齢社会対策部長 地域拠点型認知症疾患医療センターでは、地区医師会や地域包括支援センター、区市町村等で構成されます認知症疾患医療・介護連携協議会を開催いたしまして、地域で効果的に機能するネットワークの構築を進めております。
また、地域の医療従事者の認知症対応力を向上させるため、地域拠点型の疾患医療センターにおいて、かかりつけ医や一般病棟の看護師等を対象として、認知症の方への適切なケアの確保に向けた研修を実施しているところです。
さらに、各センターの認知症アウトリーチチームでは、区市町村と連携し訪問支援等を行っており、平成二十八年度には八十人、平成二十九年度は六十一人、三十年度には四十五人の訪問支援を実施しております。
これに加えまして、区市町村が設置する認知症初期集中支援チームに対して、事例検討等を通してこれまでアウトリーチチームが培ってきた訪問支援のノウハウを提供しているところでございます。
○小宮委員 今、最後ご答弁ございましたけれども、区市町村の認知症初期集中支援チーム、これは複数の専門職が、家族の訴えなどによって認知症が疑われる人やその家族を訪問して、早期の支援につなげるというチームですけれども、そういった区市町村が設置する認知症の初期集中支援チームは、平成三十年の四月に全ての区市町村で設置をされております。
こうした区市町村のチームに対しても、東京都の拠点型の認知症疾患医療センターが訪問支援のノウハウなどを提供されてきたという実績もあるからこそだと思うんですが、今の答弁で、東京都が行っているアウトリーチ、出向いていって、そういった方々に支援をする、その実績はこの過去三カ年、二十八、二十九、三十年と減少傾向にはありますけれども、いいかえれば、そうした身近な区市町村の初期集中対応できるチームが、量であるとか質ともに東京都の拠点型との連携を通じて、質を高めていただいている分、そうした身近な方を直接担える、そういう役割が増しているのかなというふうに思います。
その分、東京都としてはこれからも拠点型としての役割を果たしていただきたいと思いますし、区市町村や地域の医療機関の支援ですとか、拠点型センターとしての機能をより発揮していただきたいということを申し添えておきます。
さて、拠点型に加えまして、やはりより認知症の人というのは、認知症になると遠くに出向くということがなかなか難しいという症状がありますから、認知症の人と家族に、より身近な地域でそういった方々を支えるために、東京都は平成二十七年から拠点型だけでなく、島を除いて全区市町村への認知症疾患医療センターの設置というものを目指して頑張ってこられました。
多摩の方に行きますと、医療資源が大変乏しい、限られている中で、設置に至るまで大変なご苦労があったと思います。残念ながら檜原村は、そうした事情の中で設置は見送られておりますけれども、それ以外の区市町村には全て設置をされたということで、ぜひそうした都が頑張った成果を、その機能を地域において認知症対策のために生かしていっていただきたいと思います。
この地域連携型の認知症疾患医療センター、島しょ部と檜原村を除く区市町村に設置された地域連携型のセンターが全て設置されて二年が経過をしているわけですけれども、今年度からは連携型のセンターの機能を拡充していただいていまして、認知症の人と家族、介護者などへの支援や地域連携を支える人材育成というものも始めていただいております。
地域連携型の認知症疾患医療センターの具体的な取り組み状況について伺います。
○村田高齢社会対策部長 今年度から地域連携型を含む全ての認知症疾患医療センターにおきまして、認知症の人や家族介護者等を専門職がサポートする取り組みや、地域連携を支える人材の育成を実施しております。
地域連携型のセンターにおける認知症の人や家族介護者等に対するサポートといたしましては、地域の実情を踏まえ、家族介護者等を対象に、認知症を含む老年期の医療、介護等に関する講座を行った上で、その内容について参加者同士の意見交換をカフェ形式で行い、知識の向上や交流を促進する取り組みなどが挙げられます。
地域連携を支える人材の育成としましては、医療介護従事者を対象としました研修に際して、家族会の方や認知症地域支援推進員をファシリテーターとしたグループワークを行い、地域における課題の抽出を図るなど、区市町村における多職種連携に資する取り組みなどが挙げられます。
○小宮委員 認知症対策には、本人や家族を孤立させない、さまざまな主体による連携というものが重要ですけれども、連携というのはいうはやすしで、目に見えないもので、大変地域によってもその資源に違いがありますから、医療や介護、かかりつけ医、区市町村など、そういった方々がうまく連携を図れるように、これからも、せっかく東京都が苦労をしてほぼ全区市町村に設置をしていただいた疾患医療センター、これがしっかりと機能することによって、認知症の方々を早期に見つけて、そして診断をし、治療ができる、そういうことによって住みなれた地域で安心して暮らし続けられる、そういう認知症の方と家族を支援していっていただきたいということを申し上げておきます。
認知症になっても住みなれた地域で暮らし続けるためには、さまざまな支援が必要なんですけれども、住まいの課題というものが一つございます。
東京都は、認知症のグループホームの整備というものを進めておりますけれども、この整備目標と現在の整備状況について伺います。
○村田高齢社会対策部長 都は介護保険の保険者である区市町村が、地域のニーズを踏まえて算定したサービス見込み量を踏まえ、第七期高齢者保健福祉計画において、認知症高齢者グループホームを二〇二五年度末までに二万人分整備する目標を掲げておりまして、令和元年十月一日現在で一万一千二百六十人分が開設しております。
○小宮委員 二万人の目標に対して、現在はまだ一・一万人分が整備されたというところです。
この認知症高齢者グループホームの整備促進をどのように進めているのか取り組みについて伺います。
○村田高齢社会対策部長 都は認知症高齢者グループホームの整備を促進するため、国制度による補助に加えまして、都独自の取り組みとして、一ユニットあたり二千五百万円の補助を実施しておりまして、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない区市町村につきましては、重点的緊急整備地域に指定をし、補助額を一・五倍の三千七百五十万円としております。
現在、重点的緊急整備地域として二十八区市を指定しておりまして、うち六区では、一部の日常生活圏域のみを指定しております。
○小宮委員 今のご答弁にありました、この重点的緊急整備地域というものに指定されますと、補助額が通常の一・五倍という手厚い補助になるわけですけれども、その指定要件というのが、グループホームの整備率が高齢者人口に対して〇・三八%に達していないということが要件というふうになっていて、これに当てはまらない区市町村、つまり整備がそこそこ進んできた、そういう区市町村に関しては、さらに地域的な偏在がある場合には日常生活圏域等を単位として重点整備地域を定めることができるという、こうした見解を都としては、救済策というんでしょうか、さらに加えていただくことで整備促進を図ろうというふうに努めていただいております。
つまり整備が進んでいる区市町村に対してもさらに整備ができるような考え方を加えていただいているんですけれども、この日常生活圏域、つまり一人のおじいちゃん、おばあちゃんたちが暮らす範囲ですよね、そういう限られた狭い範囲を単位として--このグループホームというのは通いの場じゃなくて住まいの場ですから、補助制度というものを考えるということが必ずしもこの整備促進につながっていないという実態を現場の声として私も伺っているんですけれども、このことについて見解を伺います。
○村田高齢社会対策部長 認知症高齢者グループホームは、平成十八年度に地域密着型サービスの一つに位置づけられまして、日常生活圏域を単位とした区市町村の整備計画に基づき整備することとされております。
重点的緊急整備地域は、原則として区市町村単位での指定でございますが、地域内に偏在がある場合は、日常生活圏域を単位として定めることができるとしております。
現在、都有地の減額貸付や建築価格の高騰に対する加算、オーナー方への補助など、さまざまな支援策を講じておりまして、引き続き整備促進に取り組んでまいります。
○小宮委員 認知症のグループホームが、今のご答弁にあったとおり、地域密着型サービスの一つに位置づけられてしまっているということがちょっと課題なんだろうなと思います。
やはり地域密着型サービスというのは、デイサービスなど通いの場を整備するに当たっての考え方としては、その基準としてはわかるんですけれども、先ほど申し上げたとおり、認知症グループホームは住まいの整備ですから、日常生活圏域というよりも、例えば杉並区全域ぐらいの広さの程度でグループホームのさらなる整備促進をした方がいい、適しているというようなことを要望として求めておきたいと思います。
次に、東京都は障害者差別解消条例の中で手話は言語であると規定しています。
手話は聴覚障害者にとって重要なコミュニケーション手段であり、大切な言語となっています。当事者である聴覚障害者や手話通訳者の方からも、障害者差別解消条例とは別に手話言語条例の制定を望む声が今も引き続き届いております。
東京都として、昨年十月から施行となって一年がたつわけですけれども、障害者差別解消条例の中に手話は言語であると規定したからには、聴覚障害者や手話に対する社会への普及啓発など、さまざまな事業を推進してほしいと思いますけれども、それらの普及のために具体的にどのように取り組むのか伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、障害者差別解消条例に、共生社会実現のための基本的な施策として情報保障の推進を位置づけ、手話、筆談、点字、拡大文字など、障害特性に応じた多様な情報提供の手段が普及するよう、必要な施策を講じることを規定しております。
さらに、手話は一つの言語であるとの認識に基づき、その利用が普及するよう、必要な施策を講じることと規定しており、手話普及啓発リーフレットの作成、配布や大学生向けの手話普及啓発イベントの開催、手話講習会などに取り組んでおります。
○小宮委員 平成二十六年の事務事業の際も、オリ・パラを迎えるに当たって、多言語対応だけでなく、手話においても、外国語手話のできる人材の育成について質疑をさせていただいております。
以来、国際手話ですとかアメリカ手話を学ぶ人への補助事業も始めていただいておりまして、ちょうど日経新聞に出ていたんですけれども、二〇一四年当時、百十人程度だった受講者が、今、二〇一八年には三百四十一人へと伸びているというような成果も上がってきているそうです。
オリ・パラ大会の開催に向けて、平成二十六年から、手話の裾野を広げるために、東京都として新たに、手話のできる都民育成事業を開始していただいておりまして、手話講習会の充実や手話の普及啓発などに取り組んできていただいているところですけれども、改めて、手話講習会の内容や受講者数などの実績について伺います。
○松山障害者施策推進部長 手話講習会につきましては、区市町村が初心者向けの講習会を実施しており、都は、専門性の高い手話通訳者を養成する講習会といたしまして、地域手話通訳者クラス、手話通訳者特別クラス及び指導者養成クラスを実施してまいりました。
平成二十七年度からは、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、地域の手話通訳者を確保できるよう、手話技術を向上させ、通訳技術習得の素地をつくるため、手話のできる都民育成講習会を開始いたしました。
平成三十年度は、講習会全体で約四百人が受講いたしました。
○小宮委員 大事なのは、条例をつくるということだけでなく、その理念や目的をどのように実現していくか、そのためにどのような事業を展開していくか。その過程では、国や区市町村との連携や役割分担が常に重要になってくると思います。
オリ・パラ大会を契機とした平成二十七年からの手話のできる都民育成講習会というのは、手話の裾野を広げるという点では一部初心者も含まれることもあると思いますけれども、今ご答弁にあったように、初心者向けは身近な区市町村が実施をする、そして、東京都は専門性の高い講習会を実施するということで、ことしの三月には厚生労働省の事業として実施されておりますけれども、専門分野における手話通訳のあり方についての検証によりますと、手話言語通訳のニーズが今多様化をしている、医療分野や高等教育分野、地方分野、外国人ろう者分野など、各分野における手話通訳者の養成面に課題があるという指摘がなされております。
二〇二〇年大会の先、東京都として、そうした専門性の高い分野における手話通訳者の養成が求められると思います。東京都の役割はしっかりと果たしていただきながら、条例に示していただいたように、手話は言語であるということが広く社会に浸透をして、聴覚障害者への理解や社会の参画だけでなく、社会で活躍をしていただける、そういうような形になるところを期待します。
それから次に、過日、府中療育センターを当時の厚生委員会の我が会派のメンバーとともに視察をしております。
そこでは、重症心身障害児者--重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態、寝たきりであったり、言語による意思疎通が困難な、そういう重症心身障害児者が、多くの医療スタッフに支えられて日常生活を過ごしている姿を見てきました。
一方、地域に目を向けますと、家族に支えられながら暮らしている重症心身障害児者がいるわけです。私も、各議員、先ほどからもお話ありますが、親の会の方々などからは、自分がいなくなったらという、そういう不安の声をたびたび聞いているところです。
改めて、こうした地域で暮らしながら施設への入所を希望している待機者の状況について、その人数や平均年齢、年齢層について伺います。
○松山障害者施策推進部長 重症心身障害児者が施設への入所を希望する場合、十八歳未満は児童相談所、十八歳以上は区市町村に申請した上で待機者として登録されており、その人数は平成三十年度末で五百二十六人となっております。
成人の待機者の平均年齢は約三十六歳で、その多くが二十代から四十代でございます。
○小宮委員 成人の待機者の多くが二十代から四十代ということで、待機者自身の年齢は若いんですけれども、それにプラス三十歳ぐらい加えると親御さんの年齢だと思いますから、やはり六十歳以上というふうに考えると、親亡き後の不安な思いというのは深く理解をするところです。
こうした待機者の方々は、現在、地域で暮らしているために、日常活動の場である通所の施設や家族のレスパイトというものが重要でして、在宅サービスの整備状況と整備促進のための都の取り組みについて伺いたいと思います。
○松山障害者施策推進部長 都は、平成三十年三月に策定した障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおいて、重症心身障害児者通所施設の定員を平成三十年度からの三年間で百五十人ふやすことを目標に挙げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を行うなど、整備を促進しております。
平成三十年度は、定員が二十八人分ふえ、平成三十年度末で六十一施設六百八十七人となっております。
また、家族の病気等により一時的に家庭での介護が困難になった際に、施設等で短期間の入所が利用できるよう、病床確保事業を実施しており、平成三十年度末で十五施設百二十七床を確保しております。
さらに、家族の休養と本人の健康の保持等を目的に、看護師が自宅を訪問してケアを行う在宅レスパイト事業を実施する区市町村を包括補助で支援しており、平成三十年度末で二十八区市町村が実施しております。
○小宮委員 通所にしても短期入所にしても整備や確保を進めていただいておりますけれども、やはり現状では、まだ定員に対して登録者や利用者の方が多いという実態もわかるところです。
府中療育センターを見学した際に、改築前の施設では利用者の高齢化や重症化への対応に限界があるけれども、新たなセンターではそうした設備が整備されると聞いております。具体的にどのような整備を行うのか伺います。
○松山障害者施策推進部長 現在、府中療育センターと多摩療育園を一体的に整備し、ライフステージに応じた質の高い療育サービスを提供するため、新センターの建設を行っており、来年六月の開所を予定しております。
新センターでは、利用者の居室や通所等の活動スペースの拡大を行うとともに、医療配管を整備し、人工呼吸器使用などの濃厚な医療的ケアを必要とする方への支援体制を充実させてまいります。
また、短期入所として活用する病床数を十床増床するとともに、外来診療の受け入れ体制を拡充するなど、地域で暮らす重症心身障害児者への支援の充実を図ってまいります。
○小宮委員 入所の施設は在宅生活を支える通所や短期入所の拠点ともなっておりまして、特に医療ケアが濃厚な方の受け入れというものが今後進むことは期待されるところです。
東京都は現在、府中療育センターの改築だけでなく、東大和療育センターの大規模改修にも取り組んでおりまして、こちらも濃厚な医療ケアに対応できる整備をしていると伺っています。
都内に九つある重症心身障害児者の施設は、都立で一番新しい東部療育センターでも開設から十四年が経過しておりまして、施設や設備の更新の時期を迎えているわけです。待機者がいるんだから新しい施設をと望む声もありますけれども、待機者を含めた在宅の方たちの地域生活を現にこうした今ある施設が支えていて、その今ある施設も既存の施設も老朽化の対策ですとか、重度化への対応を求められている。また、何より人材の確保が大変だという、大変大きな課題が山積をしております。
東京都の障害者計画の期間は三年ですから、来年度、改定の検討を行うというふうに聞いておりますけれども、計画期間にとらわれず、待機者の状況や親御さんのご苦労、将来への不安な思いも踏まえながら、東京都全体の入所施設の整備の考え方について、しっかりと議論をしていってもらいたいというふうに要望しておきます。
それから、将来にわたって都民にとって必要な医療が適切に提供されるために、東京都は、二〇一六年に地域医療構想を策定しています。
その策定の内容は、一般病床の機能を高度急性期、急性期、回復期、慢性期機能に分けまして、二〇二五年の病床数の必要量と在宅療養の必要量、また、四機能ごとの役割分担や病床の連携などについて定めているわけです。
東京都においては、二〇二五年の病床数の必要量というのは、二〇一六年と比較して約八千床不足すると推計されております。二〇一九年と比較してもまだ七千床不足すると推計されている。まだまだ病床数は足りないんだというのが東京都の実態なわけです。
しかしながら、先般、厚労省が九月に公表した公立、公的病院等の再編統合についての再検証があったわけです。その中には都内の病院も含まれておりましたが、該当病院の理由、考え方について伺います。
○矢沢医療政策部長 国は、全国一律の基準を定め、診療実績等に関するデータを分析して、その基準に該当した場合、再編統合の再検証が必要な病院として公表し、都内の十病院が該当いたしました。
その内容は、診療実績が特に少ないとされたものが六病院、近隣の病院と診療機能が競合しているとされたものが二病院、その両方に当たるとされたものが二病院でございました。
○小宮委員 多くの県などでは、間近に迫った人口減少に伴って医療需要が下がるということを見据えまして、公立、公的病院の再編統合を実施しているわけですけれども、一方、東京は、今後も人口が増加すること、また、より一層高齢化が進んで病床が不足するということが推計されておりまして、他県とは大きく事情が異なるわけです。
ですから、今回の国の全国一律の基準を適用した再編統合の再検証というのは、都の実情には合っていないというふうに考えます。
東京都は、さきに策定をしている公立病院ですとか公的医療機関の改革プラン、これを、二次保健医療圏ごとに設置する地域医療構想調整会議で意見交換を行って、民間の病院にも既に合意を得ているというふうに伺っておりますが、今後、都は、国が再編統合を再検証すべきとした十病院についてどのように対応するのか伺います。
○矢沢医療政策部長 お話のとおり、今回の国の手法は、全国一律の基準を機械的に適用したものであり、中には、僻地医療を担う病院や特殊な疾病に対応する病院が含まれております。
このため、都は、地域医療構想調整会議におきまして、十病院に対し、みずからが担う役割などの説明を求めますとともに、その他の公的医療機関等も含めまして、地域の実情に応じた医療機能の分化と連携が推進するよう議論を深めることとしております。
こうした議論を重ねながら、東京都地域医療構想で掲げました、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を図ってまいります。
○小宮委員 都の実情に応じた医療機能の分化と連携を推進してほしいと思いますし、これまでの各病院からの病床機能報告では、回復期機能と報告する病院の割合が少ないという、それが課題だという結果が出ておりましたけれども、その後の調整会議では、実態として、回復期が足りないといった意見はほとんどない、東京都が独自に策定した定量的基準というものを当てはめると、おおむねこの四機能のバランスがとれているということです。
今後とも、都民や医療関係者との信頼関係というものを保っていただきながら、適切な東京の医療をつくり上げていくという責任を持って地域医療構想の実現に励んでもらいたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○木下委員 私の方から、まず女性と妊娠、出産、そして女性を取り巻くさまざまな状況の改善について一連の質問をしてまいりたいと思います。
初めに、子供を持つということに対する総合的な普及啓発についてでございます。
令和元年度、本年度の少子化社会対策白書によれば、女性が出産する年齢のピークは、一九七五年当時の二十五歳から二〇一七年の三十歳へと五歳上昇してございます。
また、仕事を一生懸命頑張ってきた女性が妊娠したいと思ったときに、既になかなか難しい年齢となっていて、妊娠適齢期などの情報について、もっと若いうちに知っていたかったという声を聞くこともございます。実際、私の周りを見ておりましても、キャリアを優先しているうちに妊娠、出産のタイミングを逃してしまった例は少なくないんではないかと感じているところでございます。
また、不妊治療がうまくいかなかった際に、養子縁組を検討する例も多い、そのように感じています。
したがいまして、何歳ぐらいまでに不妊治療、何歳ぐらいまでに養子縁組といった正しい知識をもとに判断できるように、将来子供を持つことに関して、男女問わず若いうちからの正しい知識の普及啓発が大変重要だと考えます。
そこで、都が今年度実施をしています子供を持つことに対する総合的な普及啓発の事業について、その取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 本事業は、二十歳前後の若い男女が今後のライフプランを考えるときに、子供を持つことに関する正しい知識を得た上で自分の生き方を選択することができることを目的とした普及啓発でございます。
具体的には、妊娠や出産、不妊治療、里親制度について情報を掲載したウエブサイトやリーフレット、PR動画を作成するものでございます。
これらを活用いたしまして、里親月間である十一月に集中的な普及啓発を実施する予定でございます。
○木下委員 若いうちから正確な情報がとれるような環境づくり、本当に大事なことだと思います。来月の十一月に二十歳前後の若者に集中的な普及啓発を実施するとのご答弁でございましたけれども、例えば、二十歳ということであれば成人式の機会を活用するなどの視点も重要と考えますし、また、子供たちにすべからく情報を届けるということを考えるんであれば、都立高校を所管する教育庁、また私立高校を所管する生活文化局と連携をしまして、授業の中での情報提供を考えるなど、必要な年代の若者たち一人一人に情報を届けられるよう努力することを要望したいと思います。
教育庁からは、先生が関与していないものを学校では配布できないというようなお話も実は受けているんだというのを内々にお話を伺ったところでございますが、そのまま放置していていいのかというところが私の課題認識でございます。先生を踏まえた形での啓発のリーフレットの作成なんてことも考える必要があるんであればそうであるし、また、教育庁の方の考え方を変えていただけるように枠組みを変えていくというようなご努力をされる、いずれかの方法で、全ての子供たちに、若い時期に情報が届くような方法論というのを福祉保健局としても取り組んでいただきたいと思います。
次に、若年被害女性等支援モデル事業について伺っていきたいと思います。
渋谷や新宿など都内の繁華街で朝まで過ごす若い女の子たちの状況が、メディアなどで盛んに取り上げられ続けております。帰る居場所を持たない彼女たちを性的な対象として利用する大人たちの魔の手から救っていかなければならないと考えます。
都は昨年度から、NPO法人などと連携し、若年被害女性等支援モデル事業を行っています。支援を必要としている若い女性たちに寄り添いながら、相談に乗ったり、必要な保護を行うなどをしていると伺っておりますが、大変重要な事業だと考えます。
そこで、この東京都若年被害女性等支援モデル事業の目的及び内容についてお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 家庭での虐待や貧困などの理由により、帰る場所がないなどさまざまな困難を抱えた若年女性への支援については、個々のケースに応じたきめ細かな支援が必要であり、都は昨年度、こうした若年女性を支援するため、若年被害女性等支援モデル事業を開始したところでございます。
この事業では、電話やメール、SNSによる相談対応、性犯罪被害の未然防止のための夜間の見回り、声かけなどのアウトリーチ、安心・安全を確保し、食事の提供や不安、悩み等の相談対応を行う一時的な居場所の提供等を実施しております。
○木下委員 引き続きまして、本事業の取り組み状況について詳しくお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 本事業は、平成三十年十月から、三つの民間団体に委託して実施しておりまして、令和元年九月までの一年間の実績は、夜間の見回りによるアウトリーチが百三十八回、SNS等を活用した相談支援が一万一千四百三十二件、一時的な居場所の提供が五十八人でございました。
行政機関等と事業を受託している民間団体との連携が特に求められる場合もあることから、必要に応じまして関係機関との連携会議を開催するなど、具体的な支援内容や課題等に係る情報共有等を行いながら、事業者等と円滑な事業実施を図っております。
○木下委員 ありがとうございます。当事業を受託している三つの民間団体というお話ございました。家庭に居場所がない若い女性たちにとって非常にアクセスしやすく居心地のよい環境で一時保護をするなどの重要な取り組みを進めていると認識をしております。
そこで、本事業で居場所の提供による支援を受けた女の子たちは、その後、どのような支援につながっているのかをお伺いしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 女性相談センターや区市の婦人相談員、民間団体等、若年女性を支援する関係機関が相互に連携いたしまして、婦人保護施設等への入所、生活保護の受給、医療機関でのメンタルケア、就労支援等、一人一人の状況に応じたきめ細かい支援につなげております。
○木下委員 ありがとうございます。若年女性、若い女の子たちに対して、きめ細かい支援をしていくには、やはり民間の支援団体の力が不可欠でございます。
しかし、私のところにそういった支援団体の方々からも直接の声が届いているんですけれども、一つ一つの団体からは、財政状況が厳しいとの声、また、だからこそ行政の支援を求める声というのが引き続き届いております。ぼろぼろになりながら、ひっきりなしに来る相談に対応しているというようなお話でございます。
そこで、これら民間の支援団体にどのような支援を今後していくつもりなのか、この若年支援の事業にかかわらず、都の見解を伺っていきたいなというふうに思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、若年被害女性等支援モデル事業におきまして、アウトリーチ支援、居場所の提供、自立支援について、若年被害女性等への支援の実績、ノウハウを有する民間団体に委託しておりまして、令和元年度の委託料上限は一団体当たり一千五十一万九千円でございます。
今後、受託団体の意見も聞きながら、事業の効果を検証し、引き続き国の動向を踏まえまして、本事業を着実に推進してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。国の動向を踏まえてとのご答弁でございました。
実は私、前職時代に、前職の会社から内閣府の男女共同参画局に出向して二年ほど働いておりました。内閣府では、DV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会というので議論がなされ、それを踏まえ、民間のシェルターなどの支援団体に対し、内閣府で来年度予算要求を含めての検討をしているとのお話があるようでございます。
都としても、取り組みの強化につながるよう、予算措置を含めた努力をお願いしていただきたいというふうに思います。
また、先日の決算の特別委員会で私自身が質疑をさせていただきましたけれども、生活文化局では、民間団体とシェルター以外の支援機関も含めた連携会議、東京ウィメンズプラザで毎年一回開催するこういった連携会議を行ったり、また、行政や民間など支援機関との連携を図る目的で配偶者暴力対策ネットワーク会議を年二回開催したりというような、DV防止等民間活動助成事業という形での支援も実施しています。
生活文化局ともきちんと連携をしながら、無駄なく必要なところに支援が届くよう、引き続きの努力をお願いいたします。
次に、妊娠相談ほっとラインについてお伺いをしていきます。
予期しない妊娠をした、特に若年の妊婦が、誰にも相談できなかった結果、赤ちゃんへの虐待等につながる事例がございます。そういった悲し過ぎる例を減らす活動は大変重要と考えます。
未受診妊婦は出産時に一般の産科での受け入れが拒まれるというような例もありまして、リスクも高まる。これらを減らすために、都は妊娠相談ほっとラインを実施しているわけですが、この都で実施している妊娠相談ほっとラインに相談した妊婦が産科の受診等必要な行動をとれるよう、同行支援につながる取り組みが重要と考えます。
都の取り組みについて伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 区市町村では、妊娠届け出時の面接等のさまざまな機会を通じ、悩みを抱える妊婦を把握し、医療機関等への同行を含め、必要な支援につなげる取り組みを行っております。
都では、予期しない妊娠に関する相談などに看護師等の専門職が電話やメールで答える妊娠相談ほっとラインを実施しておりまして、平成三十年度の相談件数は三千八十六件でございました。
今年度は、これまでの平日と土曜日に加えまして、日曜日も相談を受け付けるほか、継続的な支援が必要な場合には相談者を確実に引き継げるよう、区市町村へ直接連絡することとしております。
今後とも、予期しない妊娠をした妊婦等を支援につなげる取り組みを進めてまいります。
○木下委員 ありがとうございます。今年度からは、同行支援をする取り組みを都としても始めているということです。
本取り組みによって、実際に何件、区市町村へ情報提供がされたのか実績をお伺いしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 妊娠相談ほっとラインから継続的な支援が必要な妊婦として区市町村へ直接情報提供した実績でございますが、今年度四月から九月までの間の合計で七十四件でございました。
○木下委員 ありがとうございます。上半期の実績で七十四件ということで、一定の結果につながっているというふうに感じております。
一方、こちらの取り組みも、結局は民間団体による支援に負うところが大きいということでございますから、相談に当たっている団体への財政支援の検討などもあわせてお願いできればというふうに思います。
次に、けんこう子育て・とうきょう事業についてお伺いをいたします。
都は、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援のために、ゆりかご・とうきょう事業など、さまざまな取り組みをしているわけですが、さらに今年度から、大学研究者による提案事業ということで、けんこう子育て・とうきょう事業を実施することになりました。
このけんこう子育て・とうきょう事業について、趣旨と取り組み状況、現況についてお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 本事業は、子育て家庭の育児の負担感やストレス等の軽減による虐待の未然防止を目的といたしまして実施する事業でございまして、大学研究者や区市町村と連携しながら、今年度からの三年間にわたり実施いたします。
本事業は、年齢や職業、家族構成など、妊娠届の情報から妊婦をさまざまなタイプに分類し、それぞれのタイプに必要と考えられる子育てスキルを大学研究者が開発し、区市町村の両親学級や家庭訪問等の場で、冊子や動画等により各家庭に提供するものでございます。
今年度は三自治体でモデル実施を予定しておりまして、現在、モデル自治体の妊娠届のデータ化や子育てスキルの開発を進めておりまして、年度内の運用開始を目指しております。
○木下委員 ありがとうございました。妊婦さん一人一人に合わせた子育てスキルを大学研究者等の専門家が開発するということで、それをそれぞれに提供していくとの新しい取り組みというお話でございます。子育ての悩みは本当に千差万別ですし、自分の状況に対して腑に落ちるアドバイスが行われる環境づくりの一つではないかということで期待をしていきたいというふうに思います。
次に、子供手帳モデルの事業についてお伺いをいたします。
都は、平成二十九年度に、妊娠期から学齢期まで使用でき、子供の成長や健康に関する記録欄や、子育て情報を盛り込んだ子供手帳モデルを策定しています。
この子供手帳モデルが活用されることにより、区市町村の母子健康手帳等が拡充されることが重要と考えておりますが、区市町村のこの事業への取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、平成二十九年度に、妊娠、出産、子育てに関し不安を抱える妊産婦等の増加を踏まえまして、母子健康手帳をもとに、記録欄や子育て情報を拡充した独自の子供手帳モデルを策定いたしました。
このモデルには、低出生体重児等に対応する成長の記録や発育曲線、七歳から十八歳までの成長、健康の記録欄、出産後の母親の心身の不調に早期に気づくためのチェック項目、育児における父親の役割など、妊産婦や子育て家庭向けの情報を盛り込んでおります。
都は、区市町村がこの子供手帳モデルを活用して母子健康手帳やアプリ、冊子等を作成する取り組みを包括補助により支援しておりまして、平成三十年度は四区市が母子健康手帳を作成し、今年度は新たに六区市が作成予定でございます。
今後とも、より多くの区市町村が取り組めるよう、母子保健事業担当者連絡会など、さまざまな機会を通じまして積極的な取り組みを働きかけてまいります。
○木下委員 ありがとうございました。今年度、合わせて十区市が対応するということで、これが多いのか少ないのかはちょっと判断が難しいところではございますけれども、お母さんたちにとっての使いやすい新しい手帳であることは確かですので、この事業が多くの区市町村で採用されるべく、都の方でもしっかりとさらなる支援をお願いしたいというふうに思います。
次に、ひとり親への支援ということで質問をしていきたいと思います。
先ほど小林委員のご質問にもございました。最新のご答弁がございましたところでございますけれども、この東京都のひとり親家庭自立支援計画、第三期によりますと、東京都の離婚率は全国の平均を常に上回っておりまして、平成二十五年は都で一・九四%、全国で一・八四%でした。
この時期の資料によりますと、母子家庭は約十五万九千五百世帯、父子家庭が一万九千五百世帯で、合計で約十八万世帯だったわけですけれども、圧倒的に母子家庭が多い状況であります。
一人で子育てと収入の確保を行わなければならないため、ひとり親家庭にはさまざまな困難が発生いたします。しかしながら、ひとり親の家庭に支援の情報が届きにくいということが、先ほどの練馬区のアンケートのお話もございましたけれども、私自身、大変大きな課題だと考えております。
というのも、自分自身も娘が小学校六年生のときに離婚をすることになりまして、母子家庭として営んでまいりましたけれども、その当時、離婚にかかわる情報を得ることや娘の改姓にかかわる手続、また寡婦手当の存在など、必要な情報を必要なタイミングに手に入れることはなかなかできなかったなというふうに振り返ります。なかなか他人に相談できない自分がいたんです。
福祉保健局が五年に一度行っている基礎調査結果を見ても、ひとり親世帯向けの公的制度では、生活保護を除く十一の制度のうち七つの制度で、制度を知らなかったので利用したことがないというお答えが四割を超えており、ひとり親家庭がその支援につながりにくい実態をあらわしているんではないかと、そのように思います。
そこで、都がひとり親家庭向けに行っている東京都ひとり親家庭支援センター事業について、この事業の目的と概要をまずお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭の自立支援と生活の安定を図るため、総合的な相談窓口として、東京都ひとり親家庭支援センター事業を平成十四年度から実施しております。
センターでは、ひとり親の生活に関するさまざまな悩み事に関する生活相談、養育相談のほか、離婚前後の法律相談、面会交流支援など、専門的な相談支援を行うとともに、ひとり親家庭のそれぞれの状況に合わせた就業相談、パソコン講習会等の就業支援、職業紹介などを実施しておりまして、ひとり親のさまざまな課題に早期に対応できるよう支援しております。
○木下委員 ありがとうございます。目的と概要を伺いました。
それでは、その実績と課題、そして今後の対応策について都の見解をお伺いしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 センター事業の平成三十年度実績は、生活相談が三千五百二十件、就業相談が九千四百五十五件でございます。また、養育費相談は、一般相談千百七十三件五百五人、家庭裁判所の元調査官等による専門相談が四百八十九件百八十人でございます。離婚前後の法律相談は、八百六十八件百九十九人、それから面会交流支援は、百五十五件三十八家族でございます。
センター事業では、離婚前後の法律相談にキャンセル待ちがふえたことから、今年度は、年間の相談枠を大幅に拡大したところでございます。
今後とも、ひとり親家庭の総合的な相談窓口として、ニーズに応じた相談支援を行ってまいります。
○木下委員 ありがとうございます。ご答弁いただきましたとおり、東京都ひとり親家庭支援センターでは、ひとり親への法律相談、また職業紹介等の支援を行っているということでございます。
飯田橋にあります東京しごとセンターには、その窓口の「はあと飯田橋」がございまして、先日、私も訪問し、支援の実際など、担当されている方々から詳しくお話を伺ったところです。
私の問題意識としましては、ひとり親の女性の平均収入が二百万円に満たないということが大きな問題であると考えております。その理由は、先ほどのやりとり、ご答弁にもありましたけれども、非正規雇用、パート、アルバイトという雇用形態がそもそも女性に多く、ひとり親女性にも多いこと、そしてそれらの仕事の賃金が安いということに起因しているというふうに思います。
そこで、ひとり親への就労支援についての質問につなげていきたいと思うんですけれども、実はこの飯田橋の東京しごとセンターの一階には、産業労働局が所管します女性しごと応援テラスというのもございます。
こちらでは、出産、育児からの復職を目指す女性の就労支援を目的に事業を実施しているということで、ここにまず女性たちが来るような窓口になっているんですけれども、比較的困難な状況を抱えるシングルの女性には「はあと飯田橋」が紹介され、同じ建物の七階の方へ行ってくださいと、こういうふうになるということでございました。
一人一人の抱える状況は異なりますし、困難さも異なるわけでございますが、やはりシングルマザーであっても能力を評価してもらえるような、正社員を目指し、給与アップを目指すモチベーションを持ってもらうようなアプローチということは大切なんではないかなというふうに思うんです。
そういうことで、生活保護とか児童扶養手当、また独自の児童育成手当などの福祉的給付の紹介支援というのも大事なんですけれども、そればかりではなくて、当該の相談に訪れたシングルマザーが収入をふやすことを目指せる方向に支援していく、そういった考え方が重要なんじゃないかなというふうに思います。
先日、私ども会派の女性たちで、シングルマザー育成協会という取り組みをやられている方々にも話を伺ってくる機会がございました。
その方々のお話によりますと、もともと支援の要らない、収入のあるシングルマザーと、そして、どうしても福祉的支援が必要なシングルマザーというのがもちろんいらっしゃる。でも、それらのカテゴリーを除く多くのシングルマザーの方々の相談に乗り、平均二百万円の収入を三百万、四百万円とふやしていけるよう、一人一人のモチベーションをアップして相談事業と職業のあっせんを行っているというお話でございました。
その方々のお話によりますと、福祉的窓口の紹介に安易に持っていかれ過ぎているのではないかというような問題の指摘もいただいたところでございます。税収が限られていく中で、福祉的支援に頼らざるを得ない方々を少し減らしていくこと、こういったことは、財源の確保の意味でも重要ですし、ご本人たちのクオリティー・オブ・ライフの観点からも大変重要であると、そのように考えます。
そこで、福祉保健局と産業労働局の女性支援が連携し、ひとり親の女性たちが、例えば正社員の雇用確保など、年収アップにつながる取り組みにアクセスできる環境を整えるべきと考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。また、現状の福祉保健局と産業労働局との連携状況についても、あわせてお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭支援センターにおきまして、就業相談とあわせて、履歴書やエントリーシートの作成支援、小論文添削や面接対策、就職に役立つワード、エクセル等のパソコン講習会や適職診断等のさまざまな就業支援や、職業紹介などを実施しております。
理事からお話ありましたように、センターの就業相談の窓口である「はあと飯田橋」は、東京しごとセンター内に設置しておりまして、相談に来所したひとり親を相互に紹介するとともに、就労中のひとり親に対しても転職支援を行い、必要に応じて産業労働局の職業訓練等の事業の紹介を行うなど、日ごろから緊密に連携をしながら、家庭の状況に合わせ、きめ細かな支援を実施しております。
今後とも、関係機関が連携しながら、ひとり親家庭の自立を支援してまいります。
○木下委員 ありがとうございました。
連携はしているという、今、部長のご答弁でございましたけれども、実はこのひとり親という方たちにとっては、やっぱりワンストップで自分の行くべき道がしっかりと示唆されて、できれば社会参加ができる方向に導かれる場合が多い方がよりいいんではないかなというふうに考えるわけでございまして、このことを産業労働局さんにお聞きすると、ひとり親への支援は福祉保健局の担当なので、なかなかちょっと自分たちは手を出しにくいんだというお話がありました。
また、稼げるように支援するというと福祉の枠から離れていくので、産業労働局中心になりがちであるというようなことがございまして、ご担当の方々にはそれぞれに対して私の問題意識はお伝えをしておりますけれども、稼げる形でひとり親の家庭が育っていけるような支援のあり方について、両局のより連携した取り組みというのをお願いいたしまして、次の質問に移りたいというふうに思います。
次に、子供の居場所について二問ほどご質問いたします。
まず、学童クラブについてでございます。
保育園から小学校に上がると、放課後の子供をケアしてくれる新たな居場所が必要になります。小一の壁といわれている現象でございます。また、高学年に上がるタイミングでの小四の壁など、仕事を続けながら子育てを行う保護者の悩みは尽きない、そのように理解しております。
平成三十年五月一日時点で、都内の学童クラブの待機児童は三千八百二十一人いるというふうに伺っておりますけれども、この学童クラブの量の確保と質の向上に向けた都の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、平成二十六年度から三十一年度末までに学童クラブの登録児童数を一万九千人ふやすことを目標に、施設の新設や改築、小学校の余裕教室など既存施設を利用する場合の改修に係る経費の補助などを行っておりまして、本目標に対しまして、平成三十年五月一日時点では一万六千四百七十八人増となっております。
また、保護者の多様な就労形態に柔軟に対応するとともに、児童が安全・安心に放課後を過ごすことができる居場所を確保するため、午後七時以降までの開所や常勤職員の配置などを要件とし、その運営に係る経費を都独自に補助する都型学童クラブ事業を実施しており、平成三十年度は二十三区市三百四十一クラブを支援しております。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、学童クラブの整備や質の向上に取り組む区市町村を支援してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。都型学童クラブという都独自の支援の仕方で、質の高い学童クラブを量とともに確保していく取り組みを行っているというご答弁でございました。
次に、全国でも開設の動きが広がっている子供食堂についてお伺いをしたいと思います。
この子供食堂ですが、最初は貧困対策といった意味合いから生まれたように理解をしておりますけれども、現在では、その貧困対策のみならず、子供の居場所、そして高齢者も含めた多世代の交流の拠点としての地域の居場所として、子供食堂の果たす役割は非常に大きいというふうに考えております。
都では、その設置の促進と運営を補助する新たな事業として、平成三十年度より子供食堂推進事業を実施しています。この概要と昨年度の成果についてお伺いをしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 子供食堂推進事業は、地域の子供たちに食事や交流の場を提供する民間団体等の取り組みを支援するため、区市町村を通じて運営費を補助する事業でございまして、事業開始初年度である昨年度に限り、早期に事業を開始できるよう、都から事業者への直接補助を可能としたところでございます。
昨年度の実績は、区市町村補助が六区市四十六カ所、事業者に対する直接補助が七十一カ所でございまして、予算規模の五十カ所を大きく上回る百十七カ所分の子供食堂に支援を行ったところでございます。
○木下委員 ありがとうございます。早期に支援が受けられるような直接補助も踏まえながらの多くの食堂への支援が行われたというご答弁でございました。
実は、私の地元板橋区でも子供食堂がどんどんとできている流れがございまして、昨年度、この子供食堂、区内の十三カ所にヒアリング調査をした団体がございます。ここのブックレットにまとまっているわけでございますけれども、こちらの調査を見てまいりますと、実は既存の子供食堂の運営者の財政状況が大変に厳しい、ほとんど赤字であるというような調査結果がこの中に書かれてございます。
こういった現状を踏まえまして、先ほどの子供食堂の支援事業、既存の運営者にとっても使いやすい事業としてほしいというふうに考えているわけでございますけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 子供食堂推進事業は、子供食堂を月一回以上実施することや、区市町村が開催する関係機関との連絡会に参加することなどを助成の要件としておりまして、これらを満たせば、新規、既存の区別なく補助対象としております。
平成三十年度は、既存の子供食堂八十五カ所に支援をしておりまして、今後とも区市町村や事業者からの声を聞きながら、適切に事業を推進してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。全体百十七カ所のうち、八十五カ所が既存の子供食堂への支援であったということでございました。
先ほども申し上げました調査結果によりますと、開設者自身の持ち出しであるとか、また、参加者の皆さんからなけなしの費用を徴収したり、また、食材などの無料支援を取りつけるなどして、厳しい運営状況の中で頑張っているというお声がございます。
この既存の方たちが私にいってくることとしましては、実は月に一回、二回という子供食堂ではないんだ、長くやっているところであればあるほど、月に二回だけの開催ではないということがありまして、毎日やっているところもございます。
また、週に三日、四日開いているところもありますので、現在の補助の上限額が一回当たり一万円、月二回、上限二十四万円ということでございますけれども、先ほども申し上げたとおり、高齢者も含めた多世代の交流拠点というような意味合いも考えた上で、支援額の増額なども検討していただけないかというようなご相談を最後に述べさせていただきまして、次の質問に移りたいと思います。
次は、分野ががらっと変わりまして、福祉保健分野におけるICTやビッグデータの活用について幾つか質問をいたします。
まず、東京都多職種連携ネットワーク事業についてでございます。
二〇二五年、令和五年には団塊の世代が七十五歳以上になるなど、高齢化がさらに進む中、高齢者が住みなれた生活圏で医療、介護を受けることを目指す地域包括ケアシステムは重要でございます。また、その確立には、在宅医療をどう進めていけるのかが鍵となります。
在宅でケアを受ける高齢者には、医師、看護師、介護士、ケアマネジャーなど、その方を支えている多くの専門職種の連携が必要でございます。そのためには、特定の医師だけがその患者の状態を理解しているのではなく、複数の専門家が患者に関する情報を、テクノロジーの活用により効率的に共有できる仕組みが必要不可欠であると考えます。
しかし、現在、その方の生活する地域によって利用されているシステムが異なっているというような現状があること、また、システムへの多職種の参加がなかなか進まない地域があるなど、さまざまな課題があると伺っております。
これらを解決するため、都は現在、ICTを活用した多職種連携のための情報共有の仕組みとして、東京都多職種連携ポータルサイトの構築を進めているということでございますけれども、今後は、来年度からの本格運用に向けた対応を進めていただくとともに、ポータルサイトに参画する医療、介護関係者をふやしていくなど、都全域でICTを活用した医療、介護連携体制の整備を一層推進すべきと考えております。
この考え方に関する都の見解をお伺いしたいと思います。
○田中医療改革推進担当部長 地域包括ケアシステムを実現し、在宅療養を支えるには、医療、介護関係者が情報を共有し、連携することが重要であり、そのためには、ICT活用が効果的でございます。
このため、都は、医師、訪問看護師、ケアマネジャーなど、在宅患者支援に取り組む関係者から成る検討会で、地域によって異なる多職種連携システムを一元的に活用できる東京都多職種連携ポータルサイトを来年度から運用開始できるよう検討しており、多くの地域の関係者にサイトへの参画を働きかけてまいります。
運用開始後は、医療機関同士の情報共有を促進する地域医療ネットワーク等との連携も図る予定であり、さまざまな視点から適宜評価、検証を行いながら、都全域でのICTを活用した多職種連携を推進してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。住みなれた地域で、住みなれた家で高齢期を過ごすことができる東京、安心できる地域づくりのためにも、この取り組みは非常に重要だと思います。多職種の方たちが本当にたくさん参加していただけるような環境づくり、しっかりとお願いをしたいと思います。
次に、国民健康保険データの活用についてお伺いをしたいと思います。
都民の医療費は、急速な高齢化が進む中、四兆円を超える規模となっております。団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年、医療費はますます増大していくことが見込まれるわけでございます。
こういった増大する医療費を少しでも削減するために、昨年から、都が保険者となりました国民健康保険のビッグデータの活用が求められていると考えます。
我が都民ファーストの会ではこれまで、国保データベースシステム、KDBシステムを活用した効果的な保健事業の支援について、さまざまな機会を捉えて質問してまいりました。そこでこのKDBシステム、都としてどのような活用ができるのかというところに言及していきたいわけでございます。
そこで、一つの視点としまして、先ほど四兆円を超えるというふうに申し上げたんですが、都民医療費の約三分の一が実は生活習慣病であるということがございます。医療費の増加を抑えていくためには、生活習慣病を防ぐということ、若いころからの予防対策が重要になってまいります。
また、糖尿病が重症化して人工透析に移行した場合には、週三日、一回四時間の透析に通わなければならないなど、個人の生活の質、QOLも著しく低下することになります。多額の医療費も必要になります。月額一人当たり大体平均四十万円かかるという日本透析医学会のお話もございますし、また、先般、私がお話を伺いました東京都腎臓病協議会の方々によりますと、都内の透析の患者数は三万二千名ほどいらっしゃるということで、これを掛け算しまして、一生続くというふうに考えますと、大変な医療費の支出になるんではないかというふうに考えます。
そこで、区市町村による生活習慣病を防ぐ対策が重要になってくるわけでございますが、それを踏まえまして、先ほどのKDBシステムの活用に関してご質問をしていきます。
都は、平成三十年度に国保データベースシステム、KDBシステムを活用して、区市町村ごとの医療費のデータ、健診データの現状分析を行ったと伺っておりますけれども、その結果を活用し、どのように区市町村を支援していくのかお伺いをしたいと思います。
○上田地域保健担当部長 都は、平成三十年度、国保データベースシステム、いわゆるKDBシステムから抽出いたしました区市町村ごとの医療費データや健診データの分析を行いまして、特徴を見える化し、ホームページに掲載をいたしました。
また、本年八月には、区市町村の保健事業担当者研修会を開催し、データの見方や分析結果の活用方法について説明を行いました。
理事お話しの糖尿病の重症化につきまして、昨年度の分析では、六十五歳以上の慢性腎不全の一人当たり医療費が全国と比較して高いことがわかりました。慢性腎不全の主な要因は糖尿病でございまして、その重症化を予防するためには、区市町村が取り組む糖尿病性腎症重症化予防事業の効果的な推進が重要でございます。
このため、今年度、区市町村から事業の参加状況、参加者の改善状況など必要なデータを収集し、学識経験者の意見を聴取しながら、事業の効果分析を行っております。
分析結果につきましては、報告書として取りまとめ、区市町村に提供し、事業の見直しなどに活用していただく予定でございます。
今後も、区市町村がデータを活用した効果的な保健事業を展開できますよう、研修会等を開催いたしますとともに、好事例の共有を図るなど、区市町村の取り組みを支援してまいります。
○木下委員 ありがとうございました。糖尿病性腎症重症化予防事業という、こういった事業の効果的な推進のために、この国保データを活用して区市町村の保健事業を支援しているというご答弁でございました。その効果の検証をしっかりと行っていただきたいとお願いを申し上げます。
また、ほかに有効な分野がないのか引き続き取り組みを続けていただきたいということをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
次は、介護保険施設等におけるICT活用促進事業についてでございます。
私たち都民ファーストの会はこれまでも、介護職場におけるICT活用のモデルとなるよう、東京都は積極的に取り組むべきだというお話をしてまいりました。
都では、次世代介護機器の活用や訪問介護事業所における負担軽減事業に続きまして、介護保険施設を対象とした新しいICTの活用の事業を開始いたしました。この後、その実施状況についてお伺いをする予定だったんですけれども、先ほど小松理事の質問がございましたので、質問自体は割愛をさせていただきます。
そのご答弁の中にございますが、九月末に予算規模の八十事業所を超える百二十一事業所に補助の内示を出したということで、予算規模を大変大きく超える事業所に内示を行ったということでございます。
大変引き合いが多かったようでございますけれども、この引き合いの中身、具体的にどのような申請内容が多かったのか、また、期待される効果についての都の見解をお伺いしたいと思います。
○村田高齢社会対策部長 この介護保険施設等におけるICT活用促進事業でございますけれども、申請に際しては、ICTを活用してそれぞれの施設が解決をしたい課題ですとか、導入予定の機器などを記載した業務改善計画書を提出するということになっております。
その中で紹介させていただきますと、導入を計画しておる主な機器等につきましては、一つがセンサーや画像等を通じて居室の利用者の状況を確認できる見守り支援機器、これが百十八事業所、ナースコールやバイタル測定機器と連動した介護記録ソフトが七十七事業所、情報共有のための無線通信機器、いわゆるインカムでございますが、これが三十四事業所となっております。
導入の効果としましては、見守り支援機器の導入により、夜間、入居者の睡眠を妨げないで適切なタイミングでの状況確認が可能になることや、介護記録ソフトの導入により、介護記録の作成に要していた時間の削減や迅速な情報共有が図られることなどが挙げられます。
○木下委員 ありがとうございました。予算規模を超える申請があり、また、さまざまな効果が期待できるということで、事業が順調に進んでいることを確認いたしました。
今後も、局にはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
最後に、動物愛護、アニマルウエルフェアについての質問をさせていただきます。
本年四月の時点で、予定の時期を一年前倒しをして、動物殺処分ゼロを達成いたしました。大変喜ばしいことだと思います。しかし、これを継続していくことこそが大切というふうに考えます。
動物の殺処分ゼロの継続に向けた取り組みについて都の認識をお伺いしたいと思います。
○高橋健康安全部長 都はこれまで、動物の引き取り数を減少させるため、飼い主が責任を持って最後まで適正に飼うことができるよう、イベントや講習会等、さまざまな機会を通じて普及啓発を実施いたしますとともに、地域における飼い主のいない猫対策を推進する区市町村を支援してまいりました。
また、保護された動物の譲渡を進めるため、離乳前の子猫や負傷動物の譲渡の際には、ミルクや保護用具等の物資を提供するとともに、都独自に動物譲渡促進月間を定め、譲渡事業のPRイベントや広報を実施してまいりました。
これらの取り組みにより、平成三十年度に殺処分ゼロを達成したところでございます。今後も、こうした取り組みを通じて、動物の殺処分ゼロを継続してまいります。
○木下委員 ありがとうございました。都がこの四月、前倒しで達成しました動物殺処分ゼロの取り組みを継続して行えるように、さまざま取り組みを進めるというご答弁でございました。
私の認識としましては、こういった殺処分ゼロに至る中には、ボランティア団体の役割が大きかったのではないかなというふうに考えております。
ボランティア団体の役割、貢献はどうであったのか、都はどう認識しているのかお伺いをしたいと思います。
○高橋健康安全部長 殺処分ゼロの達成に際し、ボランティア団体の方々には、住民や区市町村と連携した、地域における飼い主のいない猫対策の推進や、登録譲渡団体として、動物愛護相談センターが保護した動物の譲渡や普及啓発にご協力いただくなど、幅広い分野で目標達成に貢献していただきました。
目標を一年前倒しで達成できたのは、多くのボランティア団体による、こうした献身的な活動によるところが大きいものと認識しております。
○木下委員 ありがとうございます。ボランティア団体の活動によるところが大きいというご認識を伺いました。
本年五月には、登録譲渡団体に知事からも感謝状を贈呈したというようなこともあったとお聞きをしております。非常にボランティア団体の役割が大きいということで、知事は先般の第三定例本会議のご答弁の中でも、これらボランティア団体の皆様に支援をしていくというようなご答弁をされたと認識をしております。
自腹を切りながら献身的に地域猫の不妊去勢手術に奔走している方々、また、保護動物の世話をしている方々など、私の目に見える範囲にもいらっしゃいまして、支援されている方々自身は、何度も出てくるんですが、やはり財政的に厳しいところがあるというお話が出てきます。彼らへの支援、これをしっかりと制度にしていただけるよう、今後の取り組みを期待したいというふうにお願い申し上げます。
次に、本年六月に、大変多くの動物愛護団体が望んできたことが多く取り込まれた形で、動物愛護管理法の改正が行われました。
例えば、なかなか徹底されなかった八週齢規制についてしっかりと明言されたりとか、マイクロチップの装着の義務化、それから、不妊去勢手術の義務化、また、獣医師による虐待の通報の義務化などなどが、この新たな改正法には取り込まれております。
そこで、これらの動物愛護管理法の改正を受けました都の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○高橋健康安全部長 都は昨年八月、都の動物愛護管理施策の指針となる現行の東京都動物愛護管理推進計画の中間見直しを行うため、東京都動物愛護管理審議会に、今後の動物愛護管理行政のあり方について諮問いたしました。
その際、国の法改正の内容や時期が明確になっていなかったことから、法改正等に伴い対応が必要な事項につきましては、国の動向を踏まえ、改めて審議を行い、答申をいただくことといたしました。
その後、本年六月に、先ほどお話ありましたように、動物取扱業による適正飼養のための規制の強化や、マイクロチップの装着などを内容とする法改正が行われました。
来年二月には、改正法の施行に必要となる省令等が公布され、四月に施策を総合的に推進するための基本指針が示される予定でございます。
今後、国の基本指針を踏まえ、東京都動物愛護管理審議会でご審議いただきながら、東京都動物愛護管理推進計画の改定を行い、法改正等に適切に対応してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。しっかりと、おくれることなく、できれば前に進む形で対応していただけたらなというふうに思っているところでございます。
次に、かねてより私の一般質問や委員会質問、また、予算特別委員会などでも言及してまいりました点についてお伺いをしていきたいと思います。
多くの家庭と動物との接点となるペットショップ、この接点の大きさというのは非常に大きいというふうに思っておりまして、せめて、このペットショップなどにおいて、終生飼養、動物の一生に責任を持つという考え方でございますけれども、これらの啓発活動をお願いしてまいりました。
今年度の取り組み内容についてお伺いをしたいと思います。
○高橋健康安全部長 動物の愛護及び管理に関する法律により、ペットショップ等の動物販売業者は、犬猫等の販売に際し、購入予定者に書面等を用いて、適正な飼養等のために必要な動物に関する情報や遺棄の禁止、その他、関係法令による規制等について説明しなければならないとされております。
都は今年度、これに加えまして、動物への責任や社会への責任などを自覚していただくため、毎日世話をできるか、最後まで愛情と責任を持って飼うことができるかなど、動物を飼う前に確認すべき十項目を記載したシートを作成いたしました。
このシートを用いまして、購入予定者に対し、適正飼養、終生飼養の普及啓発をしていただけますよう、ペットショップなどに配置が義務づけられている動物取扱責任者が受講する研修会で配布し、活用を促しております。
今後も、動物販売業者に、新たな飼い主となる方に対し、適正飼養や終生飼養を含めた飼い主の責務等について適切に説明していただくよう取り組んでまいります。
○木下委員 ありがとうございました。多くの接点となるペットショップでの、動物を飼う前に確認すべき十項目のシートなど、私からの要望も形にしていただきまして、取り組まれていただいていること、大変感謝を申し上げます。
そして、ペットの取扱業者という多くの家庭との接点における点について、実は予算特別委員会で、福岡の件についてもお願いを申し上げました。
福岡市で導入をしています犬猫パートナーシップ制度という制度がございます。ここでは、福岡市が犬猫の飼養に関して適切な啓発を買いに来る方々にちゃんとしていることとか、それからまた、先ほど改正法の方で義務づけられたという話が出ましたけれども、こういった改正が行われる前からマイクロチップを装着することを受け入れているとか、幾つかの認定基準を設けて、福岡市の方で認定ペットショップというような形でホームページで公開しているような取り組みがございます。
これを福岡市の犬猫パートナーシップ制度というふうに申し上げるわけでございますが、東京都においても、このような、適切な、いい扱いをしているペットショップを認定して、多くの家庭なりにお知らせするような取り組みをぜひお願いしたいなということを、ずっとお願いしてきているわけでございます。改めてここでもお願いをしていきたいと思います。
このパートナーシップ制度は、実は大阪でも始まりました。アニマルパートナーシップ制度ということで始まっております。よい取り組みをしている動物取扱業者をお勧めしていくという取り組み、ぜひともご検討をお願いしたいと思います。
最後に、今、大阪市のお話がございましたが、大阪ではもう一つ新しい取り組みが始まっております。おおさかアニマルポリスという取り組みでございまして、本年の八月一日から、シャープ七一二二という、悩んだらワンニャンニャンというふうに呼ぶそうでございますけれども、動物虐待を見つけたら、とにかくワンストップでここに電話すれば、次の支援、対応につながるというようなワンストップダイヤルを設けたということでございます。
動物の虐待を未然に防止することや、虐待が疑われる事例を探知した場合の対応は非常に大切なんじゃないかというふうに思いますが、この対応を適切に行うことに関しての都の見解をお伺いしたいと思います。
○高橋健康安全部長 都は、動物の虐待等、動物の愛護及び管理に関する法律の違反が疑われる事例を探知した場合、飼い主等への聞き取りや現地調査によって事実を確認した上で、区市町村や警察とも連携して対応しております。
また、動物の遺棄、虐待の防止を目的といたしまして、これまで区市町村や警察署等にポスターを配布いたしまして、関係機関と連携した啓発を行うとともに、デジタルサイネージを活用した普及啓発を実施してまいりました。
今後とも、飼い主等に対し、動物の遺棄、虐待の防止、終生飼養の責務及び動物の適正な取り扱いにつきまして普及啓発を実施するとともに、虐待が疑われる事例を探知した場合には、各関係機関と連携して対応してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。先ほど私の方からご紹介させていただきました、動物愛護の新しい改正法になる前の現状の中ででも、例えば、動物を殺した場合、懲役二年、罰金二百万円ということに実はなっているということで、そういうひどい事例を見つけた場合は、通報すれば対応しなければならないはずなんですけれども、実際は、近所の警察にお電話をしても全然取り合ってくれないというか、余り大事なことと思われずに対応してもらえないんだというようなお声も、実は私のところに届いております。
今度の改正法では、さらにそれが懲役五年で罰金五百万円まで上がるということではございますけれども、やはり警察との連携、警察の素早い対応というのも求められることは間違いないというふうに思いますので、関係機関との連携とおっしゃる中での、特に警察の意識改革を進めていけるように、福保、動物の担当としても動いていただけるとありがたいというふうに思います。
そういったお願いをしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○菅原委員 菅原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
東京都の心身障害者福祉手当の運用について伺います。
この制度は、心身障害者の福祉の増進を図るために、昭和四十九年に始まりました。まずは各市町村が条例を定めて事業を進めます。
東京都のかかわりは、東京都が定める支給基準に従って、区市町村の経費の一部を負担するという形になっているそうです。支給要件は、年齢や障害の要件がありまして、施設の入所者や六十五歳以上の新規の申請者、所得制限などの支給制限を設けているということを伺いました。
この運用の中で、制度のはざまで支給が受けられなくなっている事例があるとすれば、是正が必要になってきます。例えば、申請をしないで六十歳で心身障害者となったけれど、リハビリなどを通して回復を目指しているうちに、申請しないまま六十五歳を過ぎてしまうということもあると思います。そうなると、制度上は支給されなくなるということだそうです。
このような事例を含めて、制度のはざまで、本来の目的、つまり障害者の福祉が達成できない場合があるようですが、その点についての見解を求めます。お願いいたします。
○松山障害者施策推進部長 東京都心身障害者福祉手当に関する条例では、障害者となった年齢が六十五歳未満の者で、六十五歳に達する日の前日までに認定の申請を行わなかった者には支給しないと規定していますが、東京都規則で定める事由により申請を行わなかった者を除くとしております。
具体的には、それまで施設に入所していた方や所得制限に該当していた方、都外に住所があった方など、六十五歳になるまでに申請を行えなかった方については支給対象としております。
本手当を受給するためには申請が必要であり、申請漏れが起こることがないよう、本手当制度について区市町村と連携し、周知に努めてまいります。
○菅原委員 ぜひ調整しながら、漏れのないようにお願いしたいと思います。
次に進みます。
私たちの生活の中で、動物との共生というのは重要なテーマとなっております。今、木下理事が質問をされました。同じようなテーマなんですが、木下さんの場合は第一種の業者ということになります。つまり、第一種というのは営利を目的としている。私の場合は、第二種に焦点を絞りたいと思います。これは非営利、営利を目的としないという場合はどうなんだという視点でございます。
一九七三年に動物の保護及び管理に関する法律というのが制定されました。今は、愛護及び管理という言葉に直されております。その後、何度かの改正が行われて、二〇一三年の法改正のときに、国際的な動物管理の考え方でもある五つの自由というのがあるそうです、この五つの自由をベースとして改正されたということを伺いました。さらにことしも法律が改正されたということです。それは、今の木下理事の質疑の中でも説明されました。
近年、動物を取り扱う事業者の虐待というのが報道されています。繁殖や販売を行う業者、これは第一種はもちろんですけれども、動物の保護や育成を行う事業者、これが第二種ですね。でも、動物虐待のリスクがあることのようです。これは残念なことだと思います。
特に、非営利となる第二種動物取扱事業者は、その実態が見えにくいという特徴があります。法律によって、第二種動物取扱事業者は、遵守すべき動物の管理の方法等の細目を守らなければいけなくなりました。
そこで伺います。
この際、第二種動物取扱業者に対して、その管理などを総合的に、育成状況の立ち入りのチェックを行うことが必要と考えますけれども、都の見解を求めます。お願いします。
○高橋健康安全部長 副委員長のお話のように、動物の愛護及び管理に関する法律では、営利を目的とせず、飼養施設を有し、譲渡など一定頭数以上の動物の取り扱いをする者は、あらかじめ第二種動物取扱業として、飼養施設の所在する都道府県知事に届け出ることとされております。
第二種動物取扱業者は、国が定める動物の管理の方法等の細目において、飼養する動物の適正な飼養を確保するため、飼養施設に必要な設備を設けるとともに、逸走防止、清潔な飼養環境の確保、騒音の防止等が義務づけられており、都は必要に応じ立入検査を実施することも含め、遵守状況についての監視指導を行っております。
現在、国におきましては、中央環境審議会動物愛護部会で、動物愛護管理基本指針の改正に向けた審議が行われておりまして、第二種動物取扱業者の規制のあり方等についても検討する予定となっております。
都は、こうした国の検討状況を注視しながら、引き続き事業者が適切な動物の取り扱いを行うよう、監視指導を行ってまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。国の動きを見ながらというお話もありましたけれども、ぜひ、東京都も独自に考えていただければと思います。
次の質疑に入ります。
ひとり親の家庭支援についてでございます。
またこれも木下理事とかぶっていますけど、これまた切り口が違っていますのでご容赦ください。
東京都は、ひとり親家庭支援センター「はあと」、これを事業委託して運営をしております。この事業委託先というのは、ひとり親家庭福祉協議会ということを伺いました。
日本のひとり親世帯というのは、戦後の未亡人同盟から始まっております。戦争で夫を失った母親たちが、未亡人同盟というのをつくったそうです。これを組織して運動を起こしてきたという、貴重な市民運動が発端となっております。
しかし、近年では、離別が七〇%から八〇%ぐらいということとなり、ひとり親になる背景というのが随分変わってまいりました。また、世帯数というのも大きく変わりました。当時は、昭和五十八年でいうと、全国に八十八万世帯がひとり親家庭だといわれておりましたが、最近は百五十万世帯ということだそうです。ひとり親世帯の背景も、または規模も大きく変化した中で、東京都の施策の展開も柔軟に対応していくことが大事かなと思います。
そこで伺います。
この事業について、飯田橋にある東京都ひとり親家庭支援センターの契約についてです。
東京都ひとり親家庭福祉協議会への委託をしておりますけれども、これはずっと随意契約、しかも特命随契と聞いています。随意契約をしている背景を伺いたいと思います。もう一つ、随意契約をしている法的な根拠、こちらも伺いたいと思います。お願いいたします。
○谷田少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭支援センター事業につきまして、これまで、母子及び父子並びに寡婦福祉法第六条第六項に基づきます唯一の当事者団体であり、戦後から相互扶助とひとり親の福祉の増進に寄与してきました、東京都ひとり親家庭福祉協議会に委託して事業を行ってまいりました。
ひとり親家庭支援センター事業は、生活全般や就業、養育費相談、離婚前後の法律相談、面会交流支援など、総合的な相談支援を行っており、ひとり親家庭の実情を理解し、事業を円滑に実施することのできる事業者は他に認められないことから、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項第二号の、その性質または目的が競争入札に適さないと認められるものとして、特命により協議会と随意契約を締結しております。
現在、令和二年度からの次期ひとり親家庭自立支援計画策定に向けた検討を行っているところでございまして、また、ひとり親を支援する団体は複数あるところでございます。
こうしたことを踏まえまして、センター事業がより効果的に実施できるよう検討してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
次の質問に入ります。
自殺対策についてです。
きょうの理事会の中で資料を配る許可をいただきましたので、ちょっと資料を配っていただいてよろしいでしょうか、お願いいたします。
発言を続けさせていただきます。自殺対策基本法の制定後、自殺対策は予防施策ではなくて、生きる支援をどのように構築するかという視点へと変わってまいりました。全国的な自殺対策の取り組みを経て、三万人といわれる自殺者数は、二〇一九年には二万人を割るのではないかということもいわれるようになってまいりました。
東京都は、十年後に自殺者を三割減らすんだという目標を掲げております。その計画を進めていますけれども、具体的な数値目標や、また方策を伺いたいと思います。お願いいたします。
○成田保健政策部長 都は、総合的、効果的な自殺対策を推進するため、さまざまな分野の関係機関、団体から成ります自殺総合対策東京会議の議論を経て、相談体制の充実、若年層対策の推進、職場における自殺対策の推進などの六項目を重点施策として掲げる東京都自殺総合対策計画を昨年六月に策定いたしました。
本計画では、自殺死亡率につきまして、二〇一五年の一七・四から、二〇二六年までに一二・二以下に、自殺者数につきまして、二〇一五年の二千二百九十人から、二〇二六年までに千六百人以下にすることを目標に設定いたしました。
本計画の推進に当たりまして、医療従事者や地域保健関係者向けの研修等を通じた関係機関の対応力の強化など、庁内関係局や関係機関と連携した取り組みを実施しております。
また、地域での実践的な対策を推進するため、情報提供やグループワーク等により、意見交換を行う区市町村連絡会を年間三回程度開催いたしますとともに、研修の実施等により、計画の策定など区市町村が行います自殺対策を支援しております。
○菅原委員 ありがとうございます。ぜひ、三割減らすということを実践していただきたいと思います。
ちょっと資料を用意しましたので、これを見ながらと思っています。
若者の自殺のリスクです。きょうも議論がありました。この若者の自殺リスクについて話をしたいと思います。
出典は厚生労働省と警察庁がまとめている資料です。日本で一番自殺者が多かったのは、平成十五年の三万四千四百二十七人です。平成三十年には二万八百四十人と三分の二程度になったということです。これが赤い資料ですね。
今度は緑の数字なんですけれども、これは東京都の数字でございます。東京都の福祉保健局のホームページから、一番自殺者が多かったのは、平成二十三年の二千九百十九人、そして二十九年には千九百三十六人ということで、これも三分の二ぐらいに減っている。
しかし、若者はどうなんだという話です。若者は、これは全国の数字ですけれども、平成十五年と平成三十年でほとんど変わっていないということです。きょうも議論がありました。子供の全体の人数も減っていますから、自殺のリスクというのはもっと高くなっているということだと思います。
東京都の取り組みを否定するつもりはありませんが、二〇二六年までに三割を減らすという目標とは別に、若者の自殺のリスクを減らすこと、これは計画の中で強く示すことが大事だと思います。
例えば、全国的に進められておりますSOSの出し方の教育、これはぜひやっていただきたいと思います。
また、長野県では、知事がトップになって子どもの自殺対策プロジェクトチームを設立いたしました。臨床心理士や弁護士など、専門家による子どもの自殺危機対応チームを設立して、学校などから自殺のリスクが高いとして支援要請があった場合には対応するということです。長野県は、自殺リスクの高い子供は千二百人いる、こういう前提で進めているんです。例えばそういう前提で施策を進めることが大事だと思います。
東京都として、若者の自殺のリスクを認識して、現在の計画につけ加える形で若者の自殺対策に積極的に取り組むべきだと思いますけれども、見解を伺います。
○成田保健政策部長 東京都自殺総合対策計画では、東京都は全国と比較して三十歳代以下の若年層の人口割合が高く、都内自殺者の約三分の一を三十歳代以下が占めているという現状を踏まえ、特に強化すべき施策の一つに、若年層対策の推進を位置づけております。
学生や二十歳代から三十歳代の社会人など、それぞれのライフステージに応じた施策を展開するため、中学一年生向け自殺予防小冊子の作成、配布、若手社員をテーマに取り上げた講演会やパンフレットの配布による企業における自殺予防対策などを関係局等と連携して実施いたしますとともに、若年層向け電話相談、若年層を対象としたゲートキーパー養成と、区市町村や民間団体が実施されますさまざまな取り組みを支援しております。
また、SNSを活用した自殺相談を今年度から本格実施しておりまして、四月から七月までの四カ月間においては、一カ月当たり五百から八百件程度の相談に対応しております。
今後とも、福祉、医療、経済、教育等の関係機関、団体と連携協力した取り組みを推進するため、自殺総合対策東京会議のもと、本計画の評価、検証を実施するなど、自殺防止対策を総合的に推進してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいと思います。
木下理事とのやりとりの中で、若年女性への支援をNPOに委託をしてという話もありました。こういうやり方は参考になると思います。自殺対策でも同じようなスキームが取り込めるのではないかというふうに思いましたので、改めてご紹介をいたします。
がん対策に進ませていただきたいと思います。
東京都は昨年、がん医療などに係る実態調査、AYA世代のがん患者に関する実態調査を行いました。この調査を踏まえて、東京都としての見解を伺います。お願いします。
○櫻井医療政策担当部長 都は、東京都がん対策推進計画におきまして、AYA世代のがん患者への支援を重要な施策としており、医療提供体制の構築や相談支援の必要性などの課題について取り上げております。
今年度は、お話の調査の結果を踏まえまして、がん医療の専門家等から成る東京都がん対策推進協議会のワーキンググループにおきまして、都が取り組むべきAYA世代のがん患者の支援について検討を行っております。
また、新たに、小児科と成人科の診療科間の連携を強化するためのモデル事業を都内二カ所の病院で実施し、双方の診療科が参加するカンファレンスや医療従事者向けのシンポジウムなどを開催いたします。
今後は、こうしたモデル事業の結果やワーキンググループの検討を踏まえながら、AYA世代のがん患者が必要な治療と支援を受けられる体制の構築を図ってまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。AYA世代の対応はぜひお願いいたしたいと思います。
もう一つ、昨年、同じような実態調査が行われました。がんと就労がテーマでございました。現代のがんというのは、決して仕事や地域生活を離れなければ治療できないとはいい切れません。仕事をしながらも、十分がんの治療ができるということだと思います。
この調査を踏まえて、東京都としての見解、また今後の取り組みを伺いたいと思います。お願いいたします。
○櫻井医療政策担当部長 平成二十八年度に都が実施した調査によりますと、がんと診断されたときに就労していた人の約二五%が退職しており、治療と仕事が両立できる環境を整備していくことが重要でございます。
このため、都は、働きながら治療を受けやすい医療提供体制の構築等に向け、今年度から、平日の夜間や土日に外来薬物療法を行うモデル事業を、二十三区と多摩地域の病院で実施しております。
また、例えばがん診療連携拠点病院であります虎の門病院やNTT東日本関東病院、また青梅市立総合病院などにおきまして、社会保険制度の活用や働き方について、社会保険労務士による就労相談を定期的に実施しております。
今後とも、がん患者が治療を受けながら、その人らしく働き続けられますよう、就労支援の取り組みを進めてまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
がんとの闘いというのは、医療の現場で行われているだけではありません。仕事との両立、または家族との関係性、または地域での生活など、生活を丸ごと支える体制が必要だと思います。
さらに、がんは一定の治療を終えても、その後、数年にわたっての経過観察などが必要になります。それが、共生、ともに生きるという概念に込められているのだと思います。
例えば、都内には無数のがん患者の自助グループがあります。患者に限らず、家族が情報交換をするという団体があります。これらの自助グループを、東京都として支える仕組みがつくれないでしょうか。この点についての東京都の見解、取り組みを伺います。
○櫻井医療政策担当部長 現在、患者団体や都内のがん診療連携病院等が設置いたしますがん相談支援センターでは、がんの患者が気軽に語り合えるサロンや、がん経験者がみずからの体験を生かした相談を行うピアサポートなどを実施しております。
都は、こうした取り組みに関する情報を、東京都がんポータルサイトで広く提供しております。
今後とも、より多くの患者団体等の活動内容に関する情報などを拠点病院等へ提供し、がん患者や家族のさまざまな不安や悩みに応える取り組みを支援してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
がん患者会とはもっともっと幅広く、そして緩やかに連携できると思いますので、ぜひつなげる仕組みをつくっていただければと思います。
がん教育について伺いたいと思います。
がん教育は、さまざま議論をされてまいりました。私は、このがん教育とがん患者会は結びつくことができるんじゃないかと思っております。都内にもたくさんのがん患者会が今あるという話がありました。このがん患者会との連携を通して、がん教育ができないかというふうに思っています。
地域の職場や、また自治会の講演会などでも、がん教育を進めることが大事です。さらに、がん患者との連携を進めて、例えば講師などで講演活動などができないのかということが提案としてあります。その点についての見解を伺いたいと思います。
○櫻井医療政策担当部長 現在、がん診療連携拠点病院等は、さまざまながんに関する公開講座などを開催しており、都は、こうした情報を東京都がんポータルサイトで広く提供しております。
例えば、小児がんの経験者の方が講演いたしました、子供のがんを考えると題した都民向け公開講座では、都は主催者として、さまざまな広報媒体を活用し、参加を呼びかけました。
今後とも、あらゆる層へのがん教育が進みますよう、がん患者を講師として招聘する公開講座などの取り組みを広く情報提供してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
がん教育の講師としての当事者というのは、がんの恐ろしさを伝えるだけではないと思うんです。がんになっても生きるということ、または家族との関係、また社会とどうやって関係性をつくっていくのか、こういうことを、経験を踏まえてお話しいただける貴重な存在だと思いますので、よろしくお願いいたします。
子供の貧困対策について、最後、伺いたいと思います。
今まで何度かの議論の中で、東京都は、子供・子育て支援総合計画の中で子供の貧困対策を進めるということをおっしゃっております。
東京都が子供の貧困対策推進計画を子供・子育て支援総合計画と一体的に進めているというお話ですが、その意義を伺いたいと思います。お願いいたします。
○谷田少子社会対策部長 子供の貧困対策におきましては、教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援の四つを柱に、各施策を子供の状況に応じ、包括的かつ早期に講ずることが必要でございます。
子供・子育て支援総合計画は、都における子供・子育てに関する総合計画として、全ての子供たちが、生まれ育った環境に左右されず、個性や創造力を伸ばし、社会の一員として自立する環境を整備充実することなど、三つの基本理念を掲げております。
計画の推進に当たりましては、全ての子育て家庭への支援の視点から、貧困対策を含め、多様な子供、子育て支援のニーズに対応したさまざまな施策を展開しております。
また、総合計画の目標の一つであります、地域における切れ目のない支援の仕組みづくりは、子供の貧困を含めた、さまざまな家庭の課題の早期把握につながるものでございます。
こうしたことから、総合計画を、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく計画として位置づけ、福祉、教育、就労など、さまざまな分野の関係機関が連携し、子供の貧困対策を総合的に推進してまいります。
○菅原委員 改めて申し上げますが、もう二年間この議論をしていますが、私は子供の貧困対策と子育て支援というのは別のものとして施策を進めていく方がいいと思っています。これを改めて申し上げたいと思います。
ことしの六月の法改正によって、区市町村にも子供の貧困対策の計画策定が努力義務化されました。計画の策定を含めて、区市町村の子供の貧困対策を進めるため、東京都としての取り組みを伺いたいと思います。
○谷田少子社会対策部長 都は、計画の策定に向けた実態把握及びニーズの調査分析や、その結果を踏まえ、専任職員を配置して、生活に困窮する子育て家庭等を必要な事業や関係機関につなぐための調整などに取り組む区市町村への支援を行っております。
今年度、九つの区市が実施予定でございまして、計画策定が努力義務となったことを契機に、より多くの区市町村で、子供の貧困対策の取り組みが進むよう働きかけてまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
最近の東京都というのは、一つのトピックを大きく取り上げて推進することで、全体の底上げに成功してきたという経験を持っています。例えば、保健衛生の分野では受動喫煙対策に焦点を当てました。また、保健医療計画からがん対策を取り上げて施策推進もしております。
子供の貧困対策もこれらの施策と同じように、子供、子育ての世界から、子供の貧困対策をもう一つ別建てで取り上げて施策を推進する時期になっているのではないかというふうに思います。
今回のこの委員会全体の中でも議論されました、若者の自殺の問題があります。また、子供の虐待の問題もありました。そして、子供の貧困の問題がありました。この三つに共通するのは何かという話です。
この三つに共通するのは、原因となっている人と、結果、厳しい状況になっている人が別だということなんですね。原因になっている社会があって、でも、今、若者や子供たちが苦しい状況にあるということなんです。
しかし、今東京都がやっているのは、この川上の部分ですよね。予防政策は一生懸命やっていると思います。でも、今厳しい状況にある、結果に今苦しんでいる子供たちに、真っすぐに政策をぶつけていかないといけないというふうに思うんです。なので、今回はそういう提案をさせていただいております。政策の優先順位をぜひ上げていただきたいと思います。
そのことを訴えまして、質疑を終わります。ありがとうございました。
○斉藤(や)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤(や)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後十時二十九分散会
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