委員長 | 栗林のり子君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
副委員長 | 桐山ひとみ君 |
理事 | まつば多美子君 |
理事 | 岡本こうき君 |
理事 | 小宮あんり君 |
後藤 なみ君 | |
伊藤しょうこう君 | |
斉藤れいな君 | |
藤田りょうこ君 | |
木下ふみこ君 | |
もり 愛君 | |
清水 孝治君 |
欠席委員 一名
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 内藤 淳君 |
次長 | 松川 桂子君 | |
技監 | 矢内真理子君 | |
理事高齢社会対策部長事務取扱 | 後藤 啓志君 | |
総務部長 | 雲田 孝司君 | |
指導監査部長 | 本多由紀子君 | |
医療政策部長 | 矢沢 知子君 | |
保健政策部長 | 成田 友代君 | |
生活福祉部長 | 坂本 尚史君 | |
少子社会対策部長 | 谷田 治君 | |
障害者施策推進部長 | 松山 祐一君 | |
健康安全部長 | 高橋 博則君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長高齢者施策推進担当部長兼務 | 奈良部瑞枝君 | |
事業推進担当部長 | 池上 晶子君 | |
医療改革推進担当部長 | 田中 敦子君 | |
医療政策担当部長 | 櫻井 幸枝君 | |
地域保健担当部長 | 上田 貴之君 | |
事業調整担当部長 | 藤井麻里子君 | |
子供・子育て施策推進担当部長 | 遠藤 善也君 | |
障害者医療担当部長 | 石黒 雅浩君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 花本 由紀君 | |
感染症危機管理担当部長 | 吉田 道彦君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 児玉英一郎君 | |
サービス推進部長 | 西川 泰永君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 樋口 隆之君 | |
計画調整担当部長 | 船尾 誠君 |
本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十二号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百六十三号議案 保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十四号議案 東京都民生委員定数条例の一部を改正する条例
・第百六十五号議案 東京都大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
・第百六十六号議案 東京都感染症の診査に関する協議会条例の一部を改正する条例
・第百八十一号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の買入れについて
・第百八十二号議案 備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売払いについて
・第百八十三号議案 個人防護具(ガウン等セット)外三点の買入れについて
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・平成三十年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について
病院経営本部関係
報告事項(質疑)
・広尾病院整備基本計画(案)について
・私債権の放棄について
○栗林委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査、福祉保健局及び病院経営本部関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
村田高齢社会対策部長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
付託議案の審査を行います。
第百六十二号議案から第百六十六号議案まで及び第百八十一号議案から第百八十三号議案までを一括して議題といたします。
付託議案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○雲田総務部長 八月三十日の当委員会で要求のございました資料のご説明を申し上げます。
お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように全部で十八項目となっておりますが、このうち、付託議案につきましてご要求がございましたのは一項目でございます。
一ページをお開き願います。都内の民生委員の定数及び現員の推移といたしまして、都内の民生委員の定数と現員につきまして、平成十六年度から十五カ年にわたり記載してございます。
以上、簡単ではございますが、付託議案につきまして要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○栗林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○もり委員 東京都民生委員定数条例の一部を改正する条例について質問させていただきます。
少子高齢化が進み、地域の抱える課題が多様化、複雑化する中において、民生児童委員の皆様に担っていただいている役割はますます重要となっていると感じます。
民生委員は、民生委員法に基づき、厚生労働大臣が委嘱する非常勤の地方公務員という位置づけですが、基本、ボランティアで活動していただいております。都民に寄り添い、住民の身近な相談相手として、ひとり暮らし高齢者の訪問や見守り、介護や子育ての悩み、経済的困窮に対する生活相談等、その役割は多岐にわたります。
子育てと介護の両立に悩むダブルケアのご家庭やひきこもりの八〇五〇問題等、これまで困難を抱えながら公的支援とつながってこなかった方々が必要な支援が受けられるよう、行政のどこへ相談してよいのかわからなかった方々へのアウトリーチ機能のさらなる充実も求められます。
民生委員、児童委員の拡充が求められる中、地元大田区では、町会推薦で民生委員、児童委員の決定会議が行われておりますが、自治会、町会だけでは確保が困難な状況も見られます。
町会の加入率の低い地域や町会の高齢化も、担い手の確保が困難となっている大きな原因であると考えます。
今回の条例案では、自治体ごとに大きく定数に増減が見られる区もあります。区市町村からの意見を踏まえ、区市町村ごとの民生委員の定数を定めるとのことですが、どのように現場の声が反映され、このような定数が決められたのかをお伺いいたします。
○坂本生活福祉部長 民生委員の定数でございますが、平成二十五年の民生委員法の一部改正によりまして、厚生労働大臣の定める基準を参酌して都道府県の条例で定めるとされております。
区市町村の区域ごとの定数については、あらかじめ区市町村長の意見を聞くこととされております。
具体的な民生委員の配置基準でございますが、厚生労働省の通知で、世帯数に応じた参酌基準が示されておりまして、例えば東京都区部では二百二十から四百四十までの間のいずれかの数の世帯ごとに、民生委員、児童委員一人とされるとともに、定数設定に当たりましては、市区町村ごとの管内人口や面積、地理的条件、世帯構成の類型等を総合的に勘案し、住民に対するサービスが適切に行われるよう、地域の実情を踏まえた弾力的な定数設定について留意することとされております。
都は、本通知に基づきまして、区市町村において世帯数や高齢者など要援護者数の状況、民生児童委員協議会の意見、町会、自治会など民生委員の推薦母体となります関係団体などとの調整など、地域の実情を踏まえて提出された区市町村長の意見を十分尊重し、本条例の定数を設定したところでございます。
○もり委員 東京では約一万人の民生委員、児童委員さんが活動する中で、都内では、一人の委員が平均六百四十世帯を担当しているとの実態はとても大変な現状があると感じております。複数の課題を抱えるご家庭がふえており、住民自治の中で見守るだけでは成り立たなくなる現実も見られます。
災害時要援護者名簿の作成が地域で進められておりますが、警察、消防の持っている情報と民生委員さんにのみ公開するという障害児ご家庭等、これまでばらばらであった要支援者名簿の一元化に向けた動きもありますが、現場の民生委員さんからは、いざというときに、多くの世帯を担当する中で、一人ではとても助けることができないと不安の声も聞かれます。
また、自治体における児童相談所の移管に向けた準備や、国が児童ソーシャルワーカーの資格を進めようとする中で専門職との連携が進むよう、地域の福祉資源に関する情報共有も必要です。
民生委員、児童委員の担い手の確保と育成が急務であり、そのための負担軽減に向けて、自治体とも連携しながら民生委員さんの活動を支える体制強化が求められていると感じます。
東京都では昨年、民生委員・児童委員活動に関する検討委員会を設置し、活動の充実と必要な支援、環境整備について検討がなされたとのことですが、検討会の中でどのような課題と検討が行われたのか、今後の担い手の確保、育成に向けて、都としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○坂本生活福祉部長 今お話しの民生委員・児童委員活動に関する検討委員会は、昨年に、民生委員、児童委員活動の充実を図るため、必要な支援や環境整備について検討することを目的に設置したものでございまして、本年四月に報告書を取りまとめたところでございます。
本委員会では、民生委員、児童委員の適任者の確保や活動支援に向けた環境整備といった課題に対し、区市町村が行う地域の実情に応じた民生児童委員の活動環境の整備に資する取り組みとして、例えば、委員同士がチームとなって課題を共有し活動する班体制など支え合いの仕組みでございますとか、役割や活動内容などを紹介する候補者推薦機関向けのパンフレットの配布、所管別、分野別に整理したわかりやすい活動マニュアルの作成などの取り組みを促進する方向がまとめられ、都は、今年度から新たに包括補助で支援することといたしております。
今後とも、区市町村や東京都民生児童委員連合会などの関係機関と連携いたしまして、民生委員、児童委員の担い手の確保や育成に取り組んでまいります。
○もり委員 今、包括補助ということでご説明がありました。ぜひ多くの自治体で活用されるように願っております。
また、担い手の確保と育成に向けては、現場の民生委員、児童委員の皆様からは、次代を担う若手の確保、育成に向けた取り組みを望む声が聞かれます。民生児童委員制度を地域福祉の担い手として、学校教育やさまざまな機会を捉えて、局を超えて周知啓発を行っていただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。
○伊藤委員 それでは、備蓄用抗インフルエンザ薬の買い入れと売り払いについてお尋ねします。
新型インフルエンザは、人類のほとんどが免疫を持たないことから、一たび発生しますと短い期間に蔓延するといわれています。
二〇〇九年にメキシコで発生した新型インフルエンザが瞬く間に全世界に広がりましたが、この新型インフルエンザの流行の際には、我が国では抗インフルエンザウイルス薬を含むさまざまな対策により、入院患者数は約一・八万人、死亡者数は二百三人、死亡率は十万人当たり〇・一六人と世界の中でも極めて低かったとされているそうです。
さて、新型インフルエンザ流行時には、抗インフルエンザウイルス薬の需要が高まると考えられますが、現在でも一定量の薬が流通しており、最近では国内で生産される薬剤もあると聞いています。
そこで、改めて都が抗インフルエンザウイルス薬を備蓄する必要性及び法的根拠並びにその量の考え方、また、発生した際の薬剤の放出順序について、まず伺います。
○吉田感染症危機管理担当部長 新型インフルエンザが流行した場合には、抗インフルエンザウイルス薬の需要が高まることで、市場流通量のみでは必要量を賄い切れない可能性がございます。
また、製薬企業が抗インフルエンザウイルス薬を新たに製造、供給するには一定期間が必要でございます。そのため、新型インフルエンザの流行により市場流通量が不足した場合でも、医療機関に必要量を速やかに供給できるよう、あらかじめ抗インフルエンザウイルス薬を備蓄しており、新型インフルエンザ等対策特別措置法第十条においても、対策の実施に必要な医薬品を備蓄しなければならない旨、規定されております。
備蓄量については国のガイドライン等で定められており、国は、全人口の二五%が罹患すると想定し、全罹患者の治療、予防投与等に使用するよう備蓄しておりますが、都においては、国の備蓄方針及び都の特性である人口密度が高いことなどを踏まえ、国が示した備蓄量の一・二倍を備蓄しているところでございます。
なお、放出順序につきましては、市場に流通している抗インフルエンザウイルス薬を優先して使用し、次いで、都道府県備蓄、国備蓄の順に使用することが国のガイドラインで定められております。
○伊藤委員 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄については特措法で定められており、必要な薬剤が途切れることなく、患者の治療と医療従事者の予防のために必要な量を都が備蓄していることを確認しました。
さて、今回購入を予定している薬のイナビルは、約百八万人分とのことです。価格は約十八億八千万円となっておりますので、今年度の価格は一包装当たり八百六十五・七円の計算になります。非常時の備蓄ですので、その必要性は理解できますが、膨大な薬剤を購入しますので、できるだけ安価に購入することも大切と考えます。
それでは、購入価格については、いわゆる薬の公定価格である薬価と比べてどうなのか、また、買い入れ価格はどのように決定しているのか伺います。
○吉田感染症危機管理担当部長 行政備蓄用の医薬品として、パンデミック時に使用することを条件として購入しているため、薬価と比較いたしますと、約四〇%の価格となってございます。
この買い入れ価格は、国の行政備蓄用イナビルの買い入れ価格を参考に、それと同等の価格としてございます。
○伊藤委員 買い入れ価格は、国の買い入れ価格に準じて、市場よりも安価に設定されていることを確認しました。しかし、市場価格より安価な価格で購入しても、抗インフルエンザウイルス薬が適正に保管されていなければ、新型インフルエンザ発生時に有効に使えないことになり、無駄になってしまいます。
それでは、抗インフルエンザウイルス薬の保管体制については、どのようになっているのか伺います。
○吉田感染症危機管理担当部長 抗インフルエンザウイルス薬は、民間倉庫で保管してございます。
この倉庫では、直接日光が備蓄薬に当たらないようにするとともに、備蓄薬の保管温度である一度以上三十度以内に適切に保たれるよう設定するなど、品質が保持できる環境を確保してございます。
また、備蓄薬を損傷させないよう、荷台を備蓄薬の上に重ね置きを行わないなど、必要なときに供給できるよう保管を行っております。
○伊藤委員 抗インフルエンザウイルス薬が適正に保管されていることがわかりました。
この薬の備蓄を使うときが来ないにこしたことはありませんが、新型インフルエンザのパンデミック発生時には、高まる抗インフルエンザウイルス薬の需要に対して、市場に流通する薬剤とともに備蓄薬も活用し、迅速に対応するよう要望しておきます。
さて、次に、売り払いについてもお尋ねします。
予定価格を購入価格の二倍以上の約四十三億四千万円と設定しています。これについては、なぜ事前に売り払い契約を結ぶのか、また、その価格はどのように設定しているのか伺います。
○花本食品医薬品安全担当部長 パンデミック期には、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬を速やかに医療機関等に供給することが重要であります。
備蓄薬は、医薬品卸売販売業者を通じて医療機関等に供給いたしますが、事案が発生してから卸売販売業者と契約を締結いたしますと一定の期間を要することになります。そのため、事前に売り払い契約を結ぶことで、必要時、速やかに備蓄薬を医療機関等に供給できる体制を整えております。
また、売り払い時の予定価格は、イナビルのもともとの薬価から卸売販売業者の流通に係る経費を差し引いた額に設定しておりまして、この価格設定は、国が備蓄用抗インフルエンザウイルス薬を売り払う際の考え方に準じたものでございます。
○伊藤委員 あらかじめ医薬品卸売販売業者と売り払い契約を結んでおくことが重要であると。また、売り払い予定価格の考え方についても確認をいたしました。
それでは、具体的に備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の売り払い先はどのような基準で選定しているのかも伺います。
○花本食品医薬品安全担当部長 都は、一般社団法人東京医薬品卸業協会と、備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の医療機関等への供給に関する協定を締結しております。
この協定で、協会の会員である医薬品卸売販売業者のうち、主に医療用医薬品を取り扱っていること、当該抗インフルエンザウイルス薬の取扱実績があること、この二つの条件を満たす八社を今回の売り払い契約先として選定しております。
○伊藤委員 抗インフルエンザウイルス薬を備蓄することの重要性や、また供給体制についても確認できました。もちろん実際に使用する事態が発生しないことを望んでおりますが、いざというときのために、しっかりと準備を進めておくことは非常に大切であります。
新型インフルエンザが発生したときに都民が適切に薬剤を使用できるよう、引き続きしっかりと備蓄を行い、あわせて備蓄薬を迅速に供給するための準備も含め、万全の体制を整備していただけるよう申し上げ、質問を終わります。
○藤田委員 私からは、東京都民生委員定数条例の一部を改正する条例についてお伺いします。
東京では高齢化が進展し、単身世帯も多いことなどから、民生委員、児童委員の皆様の活動は非常に重要です。民生委員、児童委員の皆さんが草の根で住民の課題解決を行っていることに心から敬意を表するものであり、今回の条例改正は、民生委員、児童委員の定数をふやすためのものであり、重要です。
一方、配布された資料にあるように、定数をふやしても現員は充足せず、近年では六百人以上欠員という状況です。
民生委員の充足率が九二から九四%で推移していますが、欠員となっている背景は何ですか。また、これに対して東京都としてどのような対応を行っているのですか。
○坂本生活福祉部長 平成三十年度末現在で、中核市の八王子市を除きます東京都内の民生委員、児童委員の充足率でございますが、九三・九%となっておりまして、また、区市町村の区域別の充足率でございますが、一〇〇%の区域から約七、八〇%台まで幅がございます。
各区市町村におかれましては、民生児童委員協議会、自治会、町会などの関係機関が定員充足に向けて継続的に努力をいただいているところでございます。
都では昨年度、民生委員・児童委員活動に関する検討委員会を設置し、民生委員、児童委員活動の現状、課題などについて検討を行いました。その中で、住民の高齢化、町会、自治会への加入率低下、大規模マンションの新築など各地域のさまざまな事情のほか、民生委員の役割、活動の認知度が低いことや活動が大変というイメージが先行していることなどが要因として挙げられております。
都といたしましては、本年十二月の民生委員、児童委員の改選に向けまして、委員再任の年齢を七十三歳未満から七十五歳未満へ引き上げましたほか、委員候補者の推薦に当たりましても、各区市町村が工夫している事例につきまして情報提供を行うとともに、今年度から住民向けの民生委員活動のパンフレットの作成、複数の委員がチームで活動する班体制活動などの区市町村の取り組みに対しまして、新たに包括補助による支援を行うことといたしたところでございます。
○藤田委員 今お話のあった包括補助ですが、班活動以外にも民生委員が活動するために必要なことがまとめられたマニュアルや、活動を住民に知らせるパンフレットの作成費用にも充てることができるということで、これはとりわけ、新しい民生委員にとっても、とても活動しやすくなるということで評判のようです。
我がまちのマニュアルというものを各地でつくれるといいというようなご意見も、直接民生委員の方にお話を伺いました。
都の取り組みがこれからも民生委員の活動を支えられるよう、さらなる充実を求めるものです。
民生委員、児童委員の方々が住民の命や暮らしを一番身近な存在として支える立場になっている一方、活動の負担がふえている実態があり、この負担をいかに具体的に軽減できるかが今後の取り組みに求められていると思います。
国の民生委員の配置基準は参酌基準ではありますが、区部で二百二十世帯から四百四十世帯に民生委員が一人、多摩・島しょ地域ではもっと少ない世帯に一人とされています。
一方、都民連のホームページの、データで見る委員活動によると、二〇一六年十二月現在で、民生委員一人当たり六百三十九世帯を担当しているというのが東京都の現状です。役割や活動が大変という背景には、活動量そのものが大幅に多いということにあります。
同時に、依頼される業務は本当に多様化してきています。関係機関との連携強化がますます重要になっている中、連携先がはっきりしている課題ばかりではありません。身近な地域でどのような課題に対しても相談できる地域福祉コーディネーターがいると、とても助かるという声をお聞きしました。
民生委員が活動しやすくなるためには、民生委員自身がワンストップで相談できる地域福祉コーディネーターの存在は重要と考えますが、いかがですか。
○坂本生活福祉部長 今お話しのいわゆる地域福祉コーディネーターでございますが、各区市町村において、地域住民間や住民と関係者をつなぐネットワークづくり、地域の福祉課題を解決するための資源の開発などを担う人材といたしましては、現在、二十一区市が配置しておりまして、地域の実情に応じて、介護保険制度によります生活支援コーディネーターと兼務させるなど配置が進んでいるところでございます。
こうしたコーディネーターを配置している区市町村では、制度のはざまにある課題や複雑な課題を抱えた住民からの相談に対しまして、民生委員とコーディネーターが連携し、適切な行政窓口や専門機関につなげるなど重要な役割を果たしているところでございます。
今後とも、地域の実情に応じまして、民生委員と地域福祉コーディネーター等の連携が進みますよう、区市町村や東京都民生児童委員連合会などの関係機関に働きかけてまいります。
○藤田委員 ことし四月に東京都福祉保健局から出された、民生委員・児童委員活動に関する検討委員会報告書には、地域で困っている住民のことを何でも相談できる存在、地域福祉コーディネーターがいることは、民生委員として活動していてとても心強く助かりますと、調布市での取り組みのコラムが掲載されていました。
調布市では、国の補助事業を二つ活用し、一般財源からも年間約一千二百四十万円、地域の社会福祉協議会への補助事業として予算化をしています。現在調布市では、地域福祉コーディネーターが専任で六名配置されていますが、今年度はさらに八名にふやす計画です。現場の課題は育成であり、そのため、自主的にコーディネーターを育成するための研修に取り組んでいるということでした。
また、豊島区では、地域福祉コーディネーターと同様の役割を果たしているコミュニティソーシャルワーカーを、自治体に八つある地域包括圏ごとに二名ずつ配置し、さらに本部などでの活動に対して二名、合計十八名のワーカーを配置していました。そのための予算は年間約九千九百万円です。国の補助で充てているのは一つだけであり、ほかの活用可能な補助は、ほかの事業に使っているということで、地域福祉コーディネーターには使えていないそうです。そのため、予算の大半、具体的には約九千五百万円を一般財源から支出していました。
地元の社会福祉協議会の方は、民生委員とコミュニティソーシャルワーカーの関係について、民生委員がわからないことをまず受け取るところと話していました。さらに、区の担当者は、これは最低限の人数と考えていて、拡充が図れればいいと考えているということでした。
地域福祉コーディネーターの配置がされていない自治体でも、現在、計画を策定中で、その中でコーディネーターの配置についても議論を行っているところということでした。いずれの地域でも、地域福祉コーディネーターをより充実したいと考えていることがわかりました。
同時に、豊島区の例を初め、これを支援するには、国の補助だけでは十分ではないという現状もよくわかりました。
国事業が始まったのは二〇一五年ですが、東京都も二〇一六年度までは、地域福祉推進包括補助事業の中で地域福祉コーディネーターの配置への支援を実施していました。これが区市では地域福祉コーディネーターの配置に貢献していましたが、現在は国の制度が始まったためになくなってしまいました。
しかし、国の補助だけでは不十分な実態を踏まえて、東京都として地域福祉コーディネーターの配置への補助などの支援について検討していただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。
○白石委員 日本共産党の白石たみおです。
新型インフルエンザ対策において必要な装備品である個人防護具などの買い入れについて質問をしたいというふうに思います。
新型インフルエンザ対策は重要な課題であり、今回はそのための購入だということですが、まず、新型インフルエンザ対策として、なぜ個人防護具の備蓄が必要なのか、基本的なことを初めに伺いたいというふうに思います。
○吉田感染症危機管理担当部長 新型インフルエンザの発生早期におきましては、感染拡大防止のため、あらかじめ指定した医療機関で外来診療及び入院診療を行うこととしてございます。
医療を提供する際には、医療従事者や搬送事業者等の感染防止対策は必要不可欠でございます。しかし、新型インフルエンザ発生時は個人防護具の需要が高まり、必要量を迅速に調達できないおそれがございます。そのため、都が個人防護具を備蓄し、新型インフルエンザ発生時に、あらかじめ指定している医療機関等に速やかに配布を行えるようにすることが必要と考えているところでございます。
○白石委員 新型インフルエンザが発生した際に、医療機関任せでは必要な調達ができないおそれがあり、自治体として備蓄するということですね。
医療従事者を感染から守るため、備蓄することは非常に重要なことだというふうに思います。
また、そのためには一定の予算支出を行うのも当然なことだというふうに思います。しかし、都民の税金なので、不当に高い価格で購入していたということになれば、これは問題です。そうした事態を引き起こすのが談合といわれるものです。
そして、まさにこの防護具の入札をめぐって業者同士の談合が行われ、公正取引委員会に摘発を過去にされております。具体的には、二〇一四年度及び二〇一五年度に都が買い入れした個人防護具について、販売業者が入札談合を行っていたというものです。これがどういう内容だったのか伺いたいというふうに思います。
○吉田感染症危機管理担当部長 本件につきましては、入札参加業者らが、入札価格及び受注予定者が当該価格で受注できるようにする旨を合意し、競争を実質的に制限したものでございます。
公正取引委員会は、平成二十九年度に、違反事業者に対し、独占禁止法に基づく排除措置命令を実施しております。
○白石委員 今ご答弁あったとおり、繰り返しますけれども、二〇一四年と二〇一五年に今回と同様の個人防護具の大量更新の入札で談合が行われたということです。
例えば、二〇一四年の談合問題です。エア・ウォーター・メディエイチ株式会社、新成物産株式会社、丸紅株式会社の三者が複数回にわたり会合を持ち、談合の方法や談合で得た利益の分配など入念な打ち合わせが行われておりました。そして、入札の二日前の二〇一四年七月七日に、三者で談合の最終合意がなされたということです。
どのような合意内容かと申しますと、きょうパネルでも--言葉で聞いてもちょっとなかなかわかりにくいかなと思いますので、この談合の仕組みというか、構図をパネルにしました。これは公正取引委員会のホームページに載っておりますので、後ほど見ていただければというふうに思います。
まず、どういう合意内容だったかというと、第一に、エア・ウォーター・メディエイチ側が指名した日本船舶薬品を個人防護具の落札者とするということです。ここの入札参加者、これが日本船舶薬品会社です。ここのメディエイチ側のこの薬品会社を、最終的には受注者、落札をさせる業者として、まずは合意がされたということです。
第二に、エア・ウォーター・メディエイチ側はこちらです--丸紅と新成物産から個人防護具の一部の製品を購入して東京都に納入をするということが取り決められました。ここの合意です。新成物産と丸紅から購入する際に、およそ一億五千万円の利益を得られるようにすることを条件とするという合意です。そのかわりに、この新成物産と丸紅が、エア・ウォーター・メディエイチ側の指名している業者、つまり、日本船舶薬品会社が落札できるように、丸紅と新成物産側の入札参加業者に、日本船舶薬品よりも高い価格で入札するように指示するということが第二の合意で示されました。
なぜ入札参加者をふやすのか。本来、日本船舶だけでいけば一者入札ですけれども、ぱっと落札できるということですけれども、やはり表向き、競争入札をしているよというふうなことで、丸紅と新成物産も同じく入札参加者を指定して、入札するように指示をしたと。つまり、ダミーですね。ダミーを使って、あたかも競争入札が行われているということを表向き上、示したというふうなことになります。
第三に、入札が不調となった場合は、二回目の入札が行われた場合、入札価格を一千万円引き下げて落札をする。一千万円の減少分については、丸紅、新成物産側とエア・ウォーター・メディエイチ側で減少分を折半する。受注予定者以外の入札参加者、つまり、ダミーの会社は二回目の入札は辞退することとするとの合意内容が取り交わされたというのが、捜査ではっきりとわかったということになります。完璧なシナリオがつくられていたと、つくり上げられていたということになります。
そして、実際の入札参加者と価格がどのようになったかというと、これは次のパネルになります。ちょっと見えにくいと思いますが、二〇一四年七月九日です。ここに赤いラインを引きましたが、最終的に落札をする日本船舶薬品株式会社、そして新成物産もここに入るんですね。入札参加者として入ると。そして、この関東エア・ウォーター株式会社というのがメディエイチ側が用意したダミー会社になります。そして、越前屋多崎株式会社、これは先ほどいった丸紅と、それから新成物産のダミーの会社になります。五者目は辞退をしていますので、この四者が表向き最初の入札で参加をして、価格を見ていただければわかりますが、日本船舶が一番低い、安い価格で入札をする。ほかの会社はそれ以上の高い価格で入札がされたということははっきりとここで示されております。
ここの第一回目で、実は予定価格よりも高かったために不調に終わりました。次に、改めて二回目の入札が行われたと。先ほどの合意でいったように、日本船舶薬品株式会社以外は全て辞退をして、一千万円を引き下げて十億七千九百万円で落札をする。完璧にシナリオどおり。私も見ていて驚きましたけど、完璧なシナリオで落札をするということになった。ある意味、本当に、実に巧妙な手口だなというふうに思います。
談合が明るみになりまして、公正取引委員会がメディエイチ、丸紅、新成物産の三者を違反業者として認定されても、当時の法律は受注業者にしか罰則金を取ることができない仕組みだったために、違反業者として認定された丸紅、それから新成物産、メディエイチのこの三者は罰則金なしというふうな結果になっております。
また、公正取引委員会の排除命令を受けて、東京都はこの命令どおり、規定どおり、ペナルティーとして都の入札に参加できない指名停止期間が設けられましたが、この指名停止期間が昨年の一月から、最長でもことしの三月までの指名停止の期間となっております。
ところが、五年に一度の大量更新の間の指名停止期間だったために、停止期間中に大量更新の入札はなかったということになります。つまり、業者にとってみれば、実質的にペナルティーは全く受けていないというのが状況です。
談合入札から約五年がたって今回の大量更新入札が行われることになりましたが、今回落札したのは、当時メディエイチ側が受注業者として指名した日本船舶薬品ということになっております。談合にかかわったであろうという業者が実質的なペナルティーを受けずに今回も受注したり、また、入札には新成物産も参加をしておりますので、入札にも参加する。誰がどう見ても疑問に思うのではないでしょうか。
そこで、局長に伺いたいというふうに思います。入札談合があったことについて、局としてどのように受けとめているのか局長の答弁を求めたいと思います。
○吉田感染症危機管理担当部長 個人防護具の買い入れを行うに当たり、局としては、入札に関する手続など契約事務を適切に行っており、入札談合が生じたことは極めて遺憾と考えております。
○白石委員 済みません、ちゃんと聞こえなかったのでもう一度いっていただきたいんですけれども、そして局長に答弁を求めました。
まず、今回のこの入札談合--今回じゃないですね、二〇一四年、一五年、この入札談合があったことについて、どのように受けとめているのか局長の答弁でお願いしたいと思います。
○吉田感染症危機管理担当部長 繰り返しになってしまいますが、個人防護具の買い入れを行うに当たり、局としては、入札に関する手続など契約事務を適切に行っております。入札談合が生じたことは極めて遺憾と感じております。
○白石委員 極めて遺憾だというのは当然の受けとめであるというふうに思います。しかし、局のトップである局長に受けとめを聞いたのに答えることができない姿勢に、私は非常に不安を覚えます。今後このような談合を再発防止できるのか、疑問すら覚えます。
しかしながら、局としては極めて遺憾との見解を示された。そうであるならば、再発防止に向けて、局として、今回どのような対応がなされたのか伺いたいというふうに思います。
○吉田感染症危機管理担当部長 局といたしましては、公正取引委員会が行った入札談合の調査について関係資料を提供するなど、全面的に協力を行っております。
なお、公正取引委員会は、違反事業者に対し、今後は他の事業者と共同して受注予定者を決定してはならないことや、自社の従業員に適切に販売活動を行うよう周知徹底することなどを盛り込んだ排除措置命令を行っております。
○白石委員 つまり、今の答弁というのは、局として行ったのは、公正取引委員会の調査に協力をしたということです。独自に行ったものと答えがなかったというふうに思います。局としては、独自の再発防止策はとられていないということだと思うんです。
改めて確認をしたいと思うんですけれども、公正取引委員会に協力することは当然だと思います。そして排除命令によって、規定どおり、都が指名停止期間をやったのもわかります。
局としては、今回、この談合事件があってから二度とこういうようなことが再発されないように、談合できないようにさまざまなことを取り組んだのか、それとも何もやっていないのかお答えいただきたいと思います。
○吉田感染症危機管理担当部長 再発防止についての検討でございますが、個人防護具は、新型インフルエンザ発生時の医療提供に不可欠であることから、必要な量を一定の品質で確保することが必要でございます。
これまでも、そのために必要な検討を行い、計画的に調達を行ってまいりました。このような事例が再発することを念頭に置きながら、適切な調達を図るため、必要な検討をしてまいります。
○白石委員 今、私が聞いたのは、この談合事件があって、公正取引委員会に協力したということはわかります。都としても指名停止期間を設けたこともわかります。しかし、局として、やはりこれが二度と起こらないように、どうすべきなのかということも含めて、これまで何かとられたのかということを伺いましたが、お答えできないということで、独自の再発防止策というのはなかなかまだできていないということです。
ちなみにいいますが、談合が行われた二〇一四年と今回は、買い入れ数もほぼ同じ数量になっております。当時の落札価格は約十一億円です。今回は約七億円の価格です。単価の変動がある程度あるとしても、ほぼ同じ量の購入で、落札額の差は大体約四億円というふうに単純計算で見積もられる。ほぼその規模で都民の税金が一部の会社に不当に流れたということになるんです。最大の被害者は都民であるということを改めて指摘をしたいというふうに思います。
今後の再発防止に向けて、局として、先ほどもご答弁されましたけれども、やはり何かできないかと、こういうことを検討すべきだと私は率直に思います。
改めて伺いたいと思いますが、今後の再発防止に向けて、局としては何ができるのか検討すべきではないでしょうか。
○吉田感染症危機管理担当部長 改めてのご答弁になってしまいますが、個人防護具は、新型インフルエンザ発生時の医療提供に不可欠であることから、必要な量を一定の品質で確保することが必要でございます。
これまでも、そのために必要な検討を行い、計画的に調達を行ってまいりました。このような事例が再発することを念頭に置きながら、適切な調整を図るために必要な検討をしてまいります。
○白石委員 今の部長の答弁で、やはり談合が再発し得ることを念頭に置いて必要な検討をするということです。ぜひその立場でやっていただきたいというふうに思っております。
再発防止をしようとするのであれば、まず大事なのは、第三者委員会などを設置して原因の究明や、どうしてこのようなことが起こったのかということを、都としての検証がまずなければならないというふうに思います。
また、この個人防護服の買い入れは五年に一度という長いスパンで定期的にあります。こういう特徴がありますから、大量購入ではなく、今回、約五十万セットですけれども、十万セットとか、こういう小分けにして、個人防護具などのセットを購入するということも、やはり規模を小さくすることによって、談合をより防止する効果があると私は考えております。
また、入札でのペナルティーの問題です。
頻繁ではない、五年に一度の入札という特徴から、やはりこういう問題が起こったときには、指名停止を期間ではなくて、入札の実施回数で定めて実施することも検討すべきだなというふうに思います。
しかし、これは福祉保健局だけでできる再発防止対策ではないというのは、私も認識をしております。なので、財務局や関係各局と連携をして再発防止の検討をすることを強く求めまして、質問を終わりたいというふうに思います。
○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○栗林委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について外一件に対する質疑を行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○雲田総務部長 八月三十日の当委員会で要求のございました報告事項に関する資料のご説明を申し上げます。
お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
二ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別職員数の推移といたしまして、職種別の職員数につきまして、二ページに常勤職員を、お隣三ページに非常勤職員を、それぞれ平成二十七年度から五カ年にわたり記載してございます。
四ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの診療科別医師数といたしまして、副院長のほか、診療科別の医師数につきまして記載してございます。
五ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの経営指標の推移といたしまして、入院と外来の経営指標につきまして、平成二十六年度から五カ年にわたり記載してございます。
六ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターのその他医業収益の推移と内訳といたしまして、その他医業収益とその内訳の決算額につきまして、平成二十六年度から五カ年にわたり記載してございます。
七ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに対する運営費負担金及び運営費交付金の推移といたしまして、運営費負担金と運営費交付金の決算額につきまして、平成二十六年度から五カ年にわたり記載してございます。
八ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける患者の退院先別人数の推移といたしまして、退院患者数につきまして、退院先別に平成二十六年度から五カ年にわたり記載してございます。
九ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける個室使用料の推移といたしまして、個室使用料につきまして、個室の区分、金額、室数の推移を記載してございます。
一〇ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの人材紹介会社への職種別支払金額の推移といたしまして、医師と看護師の人材紹介会社への支払い金額につきまして、平成二十六年度から五カ年にわたり記載してございます。
一一ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの新卒者、経験者別看護師採用者数の推移といたしまして、常勤看護師の採用者数につきまして、新卒者と経験者別に、平成二十七年度から五カ年にわたり記載してございます。
一二ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの看護師の勤務形態及び勤務時間(平成三十年度)といたしまして、看護師の三交代制勤務と二交代制勤務におけるそれぞれの勤務時間につきまして記載してございます。
一三ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの勤務形態別、病棟別夜勤時の看護師数といたしまして、各年七月一日現在の三交代制勤務と二交代制勤務における各病棟での夜勤時の看護師数につきまして、平成二十七年から五カ年にわたり記載してございます。
一四ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの看護師の夜勤回数別勤務者数(各年七月実績)といたしまして、各年七月一日から三十一日までの三交代制勤務と二交代制勤務における常勤看護師の夜勤回数別の人数につきまして、平成二十七年から五カ年にわたり記載してございます。
一五ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの看護師の夜勤従事者数及び夜勤未従事者数(各年七月実績)といたしまして、各年七月の看護師の夜勤従事者数と夜勤未従事者数につきまして、平成二十七年から五カ年にわたり記載してございます。
一六ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別育児休業取得職員数(平成三十年度実績)といたしまして、職種別に育児休業を取得した常勤職員の人数につきまして記載してございます。
一七ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別年次有給休暇平均取得日数といたしまして、職種別に一人当たりの年次有給休暇の平均取得日数につきまして、平成二十六年から五カ年にわたり記載してございます。
一八ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの診療報酬自主返還の見込みといたしまして、返還項目ごとに指摘内容と返還対象期間につきまして記載してございます。
一九ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの看護師の月平均夜勤時間(平成三十年度実績)といたしまして、看護師の一人当たりの平均夜勤時間につきまして、月別に記載してございます。
以上、簡単ではございますが、報告事項につきまして要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○栗林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○木下委員 私の方からは、平成二十一年、ちょうど十年前になりますけれども、地方独立行政法人化されました東京都健康長寿医療センターの平成三十年度の業務実績評価について幾つかお伺いをしていきたいと思います。
ただいまご説明にありました資料及びホームページの方での開示事項を見ておきますと、職員が医師、看護師、医療技術、その他ということで、常勤、大体千名弱、それから、同じ職種なんですけれども、非常勤ということで約五百名弱の皆さんがいらっしゃって、大体千五百名ぐらいの規模の皆さんが働いている場所であります。
また、診療規模は、医療法定床で五百五十床、ベッドの数、五百五十ベッドあると。また、外来患者は一日に八百六人いらっしゃるということで、地域、そして都民の方々にとって非常に重要な施設であると、そのように考えます。
それからまた、ここの資金収入の方を見させていただきましたところ、平成三十年度は全体で二百三十五億円の収入があるということを見込んでの事業計画を立てていらっしゃいまして、実際に都の運営資金ということで、ただいまの資料にもございましたけれども、約二十六億円が都民の税金から、こちらの方に行政的医療、また不採算医療の分ということで渡っております。
さらに、研究費ということで、運営費交付金ということになりますが、約二十億が渡っていると、そのような状況が見てとれます。
こういったことを前提にしまして質問を続けてまいります。
まず、最初の質問でございますが、基本的なことですが、そもそも何を求めて、この健康長寿医療センターを地方独立行政法人化したのでしょうか、その目的をお伺いしたいと思います。
○後藤理事 東京都が健康長寿医療センターを設立いたしましたのは、先ほど委員ご指摘のとおり、平成二十一年でございましたけれども、当時、超高齢社会が到来いたしまして、高齢者の医療、介護を取り巻く環境の変化と課題に的確に応えていくための確固とした基盤づくりが都の喫緊の課題となってございました。
そこで、高齢者の高度専門医療に関しまして豊富な実績を有しておりました老人医療センターと、老化、老年病に関する研究を行っておりました老人総合研究所とを一体化して健康長寿医療センターとしたものでございます。
その際に、このセンターの運営形態といたしまして、医療と研究の統合の効果を最大限発揮いたしまして、高齢者特有の疾病や身体状況への対応、増加する認知症への対応など、高齢者の医療課題に先導的に取り組むという行政的役割を果たすとともに、これまで以上に柔軟で効率的な運営を目指すため、地方独立行政法人といたしたものでございます。
○木下委員 高齢者の医療課題に先導的に取り組む行政的役割を果たすとともに、予算の執行、そして人員の配置がより柔軟で機動的にできるように独立行政法人化したというご答弁でございました。
先ほども述べましたが、独法化しましたのが平成二十一年で、丸十年となるわけでございますから、成果もしっかり把握できるものがなければならないと、そういった観点より質問を続けさせていただきます。
全体の評価につきましては、都が設置しました東京都地方独立行政法人評価委員会によって総合的な評価、判断を行っておられるということですが、研究事業に関しては、健康長寿医療センターみずからが外部評価委員を導入し、評価を行っているということです。
この外部評価委員でございますが、どのような基準でこの委員の方々を任命し、また、どのような仕組みで評価を行っているのかお伺いしたいと思います。
○後藤理事 健康長寿医療センター研究所では、学識経験者、都民代表者及び行政関係者から成ります、お話の外部評価委員会を設置いたしまして、研究部門で実施されておりますテーマ研究等を対象に、平成二十二年度から毎年度評価を実施しております。
この評価委員会の委員は、センターの研究に対しまして造詣の深い学識経験者等を候補者といたしまして、センターに設置しております研究推進会議での審議を経まして、五年間の任期でセンター長が委嘱しております。
この委員会での評価には三段階の評価がございまして、研究の必要性や新規性、実施体制の妥当性などの視点から実施いたします事前評価、それから、研究の進捗状況や計画実現の可能性などの視点から実施いたします中間評価、さらに、研究の成果や普及、還元、継続の必要性などの視点から実施いたします最終評価がございます。
評価結果は、研究計画や体制の設定及び見直し、さらに研究資源の配分、次期中期計画での研究の継続の有無などを決定するために活用されております。
○木下委員 ありがとうございました。これまで五年ごとに健康長寿医療センターは中期計画を策定しているということで、作成した中期計画に基づいて運営を行っているわけです。これに合わせて、都度、評価委員が選定されており、現在は二期目の委員の皆さんが、平成三十年度から健康長寿医療センターの中期計画の評価に当たっていると、そのように理解しております。
この外部評価委員による評価制度を導入していることは、公平性の観点から非常に評価をさせていただくという認識でございますけれども、その選定は、今のご説明にありましたように、評価される側のセンターの会議が決めているということでもございまして、自分たちに甘い評価委員ばかりにならないよう、この点はしっかりとお願いをしたいというふうに思います。
次に、独立行政法人化したことの成果についてお伺いをしたいと思います。
成果もいろいろあると思いますけれども、まず、財務体質の改善状況についてでございます。
収入の確保とコストの管理の強化にどのような取り組みがなされ、どのような効果があったのかお伺いをしたいと思います。
○後藤理事 地方独立行政法人法第三条第一項で、地方独立行政法人は、その行う事務及び事業が住民の生活、地域生活及び地域経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであることに鑑み、適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならないとされておりまして、健康長寿医療センターでは、経営基盤の強化を図るため、収入の確保及び適切なコスト管理に取り組んでおります。
まず収入の面でございますけれども、まず、病院部門で、初診患者、紹介患者のさらなる獲得に向けまして、セミナーの開催等を通じまして地域の医療機関との連携の強化を図りますとともに、救急患者の積極的な受け入れにも取り組み、新入院患者の確保に努めましたほか、診療報酬の改定に伴いまして、新たに十四件の施設基準を取得いたしますなど、安定的な収入の確保に努めました。
また、研究部門では、外部研究資金の獲得を積極的に行いました結果、研究員一人当たりの外部資金獲得金額が目標を上回り、過去最高の実績を上げましたほか、さらなる外部資金の獲得に向けまして、若手研究員を対象といたしました勉強会等も実施しているところでございます。
さらに、コスト管理の面では、医療戦略室を中心に診療情報等の分析を行いますとともに、材料費や医療品費の抑制に向けまして、院内のワーキンググループでの現状の課題、方策等につきまして検討を進めますなど、経営分析の結果を生かした収支改善に取り組んだところでございます。
○木下委員 ただいまのご答弁及びいただいた資料を見させていただきまして、今おっしゃられた項目、特に外部資金計画の金額が目標をどんどん上回っているという点を含め、年々成果を上げている様子がわかりました。引き続きの努力をお願いしたいと思います。
次に移らせていただきます。
当センターでは、三つの重点領域、すなわち血管病、高齢者のがん及び認知症ということを決めまして、患者への医療サービスの提供に努めております。
なぜ、この三つの領域を重点領域と決定したのか、その理由及びそれらを含めたセンターの成果についてお伺いしたいと思います。
○後藤理事 国の高齢社会白書におきましては、六十五歳以上の高齢者の主な死因別死亡率といたしまして、がんが最も高く、次いで心疾患、肺炎、脳血管疾患の順番になってございます。
また、この白書では、六十五歳以上の認知症患者の推定者と推定有病率につきまして、平成二十四年には約七人に一人であったものが、平成三十七年には約五人に一人になると推計してございます。
このように、高齢者の死亡、要介護の主要な原因となっております血管病、高齢者がん及び認知症への対応は、高齢者医療におけます大きな課題となってございまして、健康長寿医療センターでは、開設当時から現在に至りますまで、これらを重点医療として位置づけまして高齢者医療の充実を図っているところでございます。
また、高齢者は、こうした疾患以外にも複数の疾患を抱えることや、フレイルなどの老年症候群や生活機能障害を有することも多いことから、臓器機能の維持回復だけではなく、生活機能の維持回復も目指しました治し支える医療に向けまして取り組んでいるところでございます。
こうした取り組みの結果、高齢者の特性に配慮した医療の提供が進められておりまして、平成三十年度の業務実績評価では、高度な技術を活用いたしました難易度の高い鑑別診断や体への負担が少ない低侵襲な治療の提供を行ったこと、さらに、地域の医療機関等との連携に基づきまして、高齢者が地域で安心して生活できるよう医療体制を強化したことを高く評価したところでございます。
○木下委員 高齢者の医療課題に先導的に取り組むという行政的役割を果たすという目的を鑑みると、さらに研究部門での成果が広く活用されていくことが不可欠だというふうに考えております。
その観点から、健康長寿医療センターの研究成果の還元について、センターとしての方法と実績についてお伺いをしたいと思います。
○後藤理事 健康長寿医療センターでは、高齢者の心身の健康維持増進と自立した生活の継続のため、重点医療及び老年症候群に関する研究や、高齢者の社会参加の促進、フレイル、認知症などを抱える高齢者の生活を支えるための研究を推進しているところでございます。
センターの研究成果は、公的研究機関としての役割を踏まえまして、積極的に公表し、社会への普及、還元を図ることとしてございまして、平成三十年度には、認知症やフレイルなどをテーマといたしました都民向けの老年学・老年医学公開講座を四回開催したほか、研究成果に関します報道発表も十四回行っておりまして、テレビ、新聞、雑誌等の取材にも積極的に対応しております。
また、研究から臨床応用につながりました成果といたしましては、近年、晩婚や未婚などの女性を取り巻く環境の変化によりまして患者数が年々ふえ続けているというふうな指摘もございますけれども、乳がんにつきまして、その治療法の一つでございますホルモン療法を実施する際の新たな判定基準を確立いたしまして、日本乳癌学会によります乳癌診療ガイドラインに掲載されたことが挙げられます。
また、老化研究の代表的な実績といたしましては、細胞の表面を覆います糖鎖の研究を通じまして、指定難病の一つでございます筋ジストロフィーに対する根本的な治療法開発への活用が期待される研究成果も上げてございまして、我が国の学術賞として高い権威を誇る日本学士院賞を受賞したことが挙げられております。
○木下委員 ご答弁いただきましたとおり、研究成果を都民向けの講座による還元、都民への還元、また、マスコミに情報提供しているということ、これは当然もちろんのことでございます。それに加えての乳がんのホルモン療法に関する新たな判定基準が乳癌学会のガイドラインとなったこと、また、指定難病である筋ジストロフィーの根本的治療に関する日本学士院賞の受賞のような医学界への貢献、そして、臨床応用につながるなどの目に見える還元成果の獲得に向けて、毎年毎年というのはなかなか難しいとは思うことではございますけれども、引き続き努力をお願いしたいというふうに思います。
さらに、民間との連携、成果の還元という視点も重要だというふうに認識をしております。例えば、創薬への貢献という観点から、民間製薬メーカーとの連携、昨今、報道でございますけれども、認知症治療薬の開発断念のニュースが続いております。こちらは認知症研究の専門的な成果をたくさん持っているということでございますから、こういった創薬への貢献ということで製薬メーカーとの連携などもできないのだろうかと、そのように思ったりもするわけでございます。ぜひ検討をお願いしたいというふうに思います。
また、高齢者の生活介助となるさまざまな用具などの製造開発においても貢献が想定できるのではないかと、そのように考えます。こちらの方も積極的にお願いしていきたいと、そのように考えます。
次に、昨年度、新たにこのセンターの中に設置されました研究支援組織、健康長寿イノベーションセンター、略してHAICとお呼びになっているそうですが、こちらについてお伺いをしてまいります。
まず、HAICの支援内容についてご質問をさせていただきます。
○後藤理事 お話の健康長寿イノベーションセンターは、健康長寿医療センターの研究を推進する基盤を強化することを目的といたしまして、昨年八月に設置いたしました。
このイノベーションセンターの役割は、研究者や臨床医師が行う研究につきまして、包括的な支援を実施することでございまして、具体的には、病院と研究所との連携の推進、外部研究資金の獲得支援、知的財産の管理、活用及び臨床研究法や各種倫理指針に基づきます倫理審査の運営などの業務を担ってございます。
○木下委員 今ご答弁いただいた支援を確実に行えるような人員確保ができているのかという観点から、HAICの人員構成についてお伺いをしたいと思います。
また、それぞれの職種の採用方法についてもお伺いをしていきたいと思います。
○後藤理事 健康長寿イノベーションセンターは、平成三十一年四月一日現在、二十名の常勤職員が従事しておりまして、事務職のほか、医師、研究者、薬剤師など、研究支援に関しての専門性を有する人材で構成されてございます。
具体的には、国が定める研究倫理指針など研究倫理全般に精通いたしました医師の資格を有する研究者や、ゲノム情報の分析、解析等に精通した研究者、さらに特許の申請や保有する知的財産の活用、管理等に精通した職員などが在籍しております。
職員の採用に当たりましては、研究倫理審査や知的財産管理等、研究の支援に必要な専門分野の知見を有する人材を対象に、面接による選考を実施してございます。
また、この常勤職員以外にも、包括連携協定を締結しております首都大学東京から、大学や研究機関の研究活動を支援する専門人材になりますリサーチアドミニストレーターの派遣も受けているところでございます。
○木下委員 ありがとうございます。
設立が昨年の八月ということで、今、約一年ということで、設立からまだ短いということではございますが、HAICの設置によります効果の方をお伺いしたいと思います。
○後藤理事 健康長寿イノベーションセンターでは、新たな治療法の開発や実用化が見込まれる研究に対しまして重点的な支援を行ってございます。
平成三十年度に実施いたしました研究支援の効果といたしましては、新たな治療法の開発に向けまして、未承認の薬品等を用いた臨床研究を安全に開始することができるよう、研究倫理の側面から研究計画への助言を行いまして臨床研究の円滑な実施をサポートしたことや、実用化が見込まれる研究に対しまして、研究後の製品開発にもつながる内容となりますよう研究の方向性などにつきまして助言を行ったこと、さらに、研究に従事する職員に対しまして、臨床研究法に関します研修会を実施いたしまして意識の向上を図ったことなどが挙げられます。
このほか、厚生労働大臣の認定を受けました臨床研究審査委員会を設置いたしまして、製薬企業から資金の提供を受けて行われる臨床研究などの特定臨床研究に関します計画の倫理面等からの審査も行っておりまして、都立病院等からの審査業務も受託しているところでございます。
○木下委員 ありがとうございました。しっかりと健康長寿医療センターの支援をしていただいて、成果を出していってほしいというふうに思います。
次に、評価書では四ページの方に書かれておりますフレイル関連で少しご質問をしたいと思います。
四ページの記述では、高齢者の健康長寿と生活の質の向上を目指す研究、医療と研究が一体となった取り組みの推進の中で、フレイル予防につながる大都市のプロトタイプ、原型を確立というような記述がございます。
虚弱という状態を予防し、要介護状態に陥ることを未然に防ぐフレイル予防は、皆様もご認識のとおり、大変、今注目を集めてきていると、そのように思っております。
そこで、東京都健康長寿医療センターでのフレイル予防につながる取り組みの内容と成果について、三十年度ということで新たに教えていただければと思います。
○後藤理事 健康長寿医療センターでは、平成二十八年度から二十九年度まで、都内のモデル地域におきまして、フレイル予防につながる社会の仕組みづくりに向けまして、介入研究を実施いたしました。
平成三十年度は、その研究成果を大都市でのフレイル予防のプロトタイプとして確立いたしまして、他の地域に普及、還元することを目的に、研究で実施いたしましたプロセスを冊子としてまとめたところでございます。
また、平成二十九年度には、センターが長年積み重ねてまいりました健康長寿の疫学研究の成果をまとめた健康長寿新ガイドラインを作成いたしました。
このガイドラインでは、フレイルに関しまして、その予防のためには、栄養、体力、社会参加が重要としてございまして、先ほどもご紹介いたしました一般都民向けの老年学・老年医学公開講座でテーマに取り上げますとともに、介護予防に携わる区市町村職員等に対する研修でも活用いたしまして普及啓発に努めているところでございます。
○木下委員 ありがとうございました。
二〇一六年のことでありますけれども、ニッポン一億総活躍プランというところで、フレイル対策の推進が閣議決定され、国家プロジェクトとして、そのときからフレイル対策を国が推進してきているという状況でありまして、東京大学の高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授も関与をしておられます。
一方、東京都では、昨年の平成三十年三月に改定されました東京都保健医療計画において、初めてフレイル予防について記載をされ、今年度は予算を新たに獲得され、新規事業として、介護予防・フレイル予防推進事業ということを織り込んだ支援を行うことを決定されました。
ご答弁いただきましたように、健康長寿新ガイドラインの活用は、自治体の職員の研修やセンター主催の都民の講座での実施というところで活用されているという範囲だというふうに認識をしております。
一方、飯島勝矢教授のフレイル対策であるフレイルチェックにつきましては、全国で五十前後の区市町村で導入されており、拡大中であるという認識であります。首都圏でも西東京市や杉並区で大きく活用されているのを初め、この健康長寿医療センターが立地をします私の地元である板橋区でも、たしか二月だと認識しておりますけれども、区の主催で飯島先生を招き、メソッドを学ぶというシンポジウムが開催され、多くの来場者を得たところでございます。
要介護予防ということは、健康長寿社会の実現に向けて喫緊の課題でございます。先駆的取り組みを行っている東京大学高齢社会研究機構のフレイル対策と連携していくことが都民の利益に資するのではないかと考えます。ぜひ議論を重ね、効率的な連携の方法について、今後の一層の努力をお願いしたいと思います。
明治の資本主義の父、渋沢栄一氏は、ここ、健康長寿医療センターの地にあった、センターの前身である養育院で、亡くなるまでの五十年間その運営に携わりました。経済発展への貢献の側面に光が当たることの多い渋沢栄一氏でございますけれども、貧民、また極貧民を救うことと経済発展は欠かせぬ両輪と捉え、社会福祉事業に力を入れておられました。まさに、東京の、日本の社会福祉の原点がこの地にあるというふうに思います。
健康長寿医療センターにおきましては、引き続き超高齢社会の医療課題解決と成果の社会還元をしっかりと行っていただくことをお願いして、私の質問を終えさせていただきます。
○小宮委員 私からも、健康長寿医療センターの業務実績評価の概要について幾つか関連して質問をいたします。
健康長寿医療センターは、平成二十一年四月に東京都が設立をした地方独立行政法人として、先ほどお話ありました病院には二十五億円の負担金、研究所には二十億円の交付金が入っております。
今後迎える超高齢社会、ピークは二〇四〇年といわれておりますけれども、そういった局面においても、また人生百年時代というふうにいわれる中にあっても、高齢者がいかに元気で住みなれた地域に暮らし続けることができるか、そういう社会をつくることが大変大事な時代となってまいりました。
高齢者に特化した問題を扱う健康長寿医療センターは、研究と医療が連動した貴重な法人であると思います。また、それと同時に、高度専門医療を担う病院として、地域の中でも急性期病院としての役割も担っています。
今回の評価の中では、昨年度、最高ランクのSだった救急医療が一つランクを下げてAとなっておりますけれども、この評価はどのような経過を経てなされたのか、まず伺います。
○後藤理事 今回の健康長寿医療センターの業務実績評価に当たりましては、医師や会計士など、外部有識者等で構成されます評価委員会の分科会を二回開催いたしまして、法人から提出されました業務実績等報告書に基づきまして、法人に対するヒアリングや評価委員から意見を聴取してございます。
その結果を踏まえまして、救急医療につきましては、救急診療体制の確保や救急医療にかかわる職員の育成などの取り組みにより、二次救急医療機関及び東京都地域救急医療センターとして都民が安心できる救急医療を提供したことは高く評価できるといたしまして、評価を、年度計画を上回って実施しているとのA評価といたしました。
なお、項目別の評価は五段階で評価を行っておりまして、A評価は、最上位のS評価に次ぐ上から二番目の評価となってございます。
○小宮委員 A評価の理由はわかりましたが、一昨年度は、目標値としている一万人を超える一万二百十八人の救急患者を受け入れたという実績をもって、そしてまた昨年度は、それに比べて四百三十六人減ったということで九千七百八十二人の受け入れがあったというふうに聞いておりますが、目標に届かなかったという、数としてはそうなんですけれども、救急医療というのは、そもそも患者数がどれぐらい出るかということと、それから近隣の医療地域、地域の医療機関との適切な連携、これによって数の結果も異なってくるというふうに思います。
ですので、S評価からAとなったわけですけれども、救急の診療体制に変化があったのか、SからAに救急医療に対するその評価が下がった理由として、健康長寿医療センターの救急診療体制に変化があったということなのか確認をしたいと思います。
○後藤理事 健康長寿医療センターの救急患者の診療体制でございますけれども、一昨年、さらに昨年と、日中帯、夜間ともに評価の関係で見ています医師の配置等の変化は特段ございません。
○小宮委員 救急診療の体制は、去年と変わらず問題もないということですけれども、一つ考え方として、委員の方からのお話もあったようですけれども、五百床の規模を有する病院としては、救急患者を、受け入れとする、めどとする、その受け入れの数というもの、目標値として一万というふうに設定をされているそうですけれども、そういうものがあって、今回、SからAという評価につながったんだなというふうに拝察いたします。
ただ、その救急体制に問題がないということは、都民にとって、そこが大事なことであると思うので、改めて確認をしたところでした。
次に、病院の有する研究部門におきまして、評価が上がった部分があります。BからAとなったもの、これが高齢者の地域での生活を支える研究についてということでしたけれども、どのような成果があったのか、そして、こうした評価となったのか伺います。
○後藤理事 具体的な研究成果といたしましては、高齢者の社会参加や社会貢献活動の影響に関する研究におきまして、絵本の読み聞かせに代表されます生涯学習型プログラムのさらなる普及に取り組みますとともに、囲碁を活用した新規の生涯学習型プログラムの有効性も明らかにしたこと、また、フレイル予防につながる社会の仕組みづくりに向けまして、都内モデル地域におきまして運動、栄養、社会参加に関する取り組みを実践いたしまして、取り組みの有効性を確認するとともに、他の地域に普及、還元することを目的として冊子を作成したこと、さらに、大都市における認知症支援体制のモデル開発に関しまして、多職種協働によります社会支援の統合的な調整、さらに、地域づくりにかかわります研究成果の普及、還元に向けまして手引を作成したことなどが挙げられます。
今回の評価に関しましては、研究成果が短期間で形になりにくい社会科学系の研究分野におきまして、普及、還元が可能な研究成果を数多く発表できたことを評価いたしまして、A評価としたところでございます。
○小宮委員 高齢者の社会参加として、子供への絵本の読み聞かせ、これはかなり長く実施をされているということですが、それに囲碁という新しいテーマも加えたりとか、あと、大田区において、モデル事業として、平成二十八年から三カ年にわたって行ってきたフレイル予防、この成果というものも出たということ、また、高島平で、これは二カ年でしたでしょうか、モデル事業として、そこに住む方々の日ごろの状態の変化も把握できるようなさまざまな連携によって、そこに住む方々の状態を把握しようということ、早期発見、早期治療につなげようとするような、そういう取り組み、これが、つまり、社会科学的研究の成果というんだと思います。
こうした研究成果も大変重要ですし、それからまた、病院と研究所を一体的に運営するというのは、大変国内でも--国が持っておりますけれども、珍しい貴重な、改めて法人であるというふうに思いますので、この特徴を生かして、これからは、やはり長生きをして、誰もが認知症になり得る、そういう時代になるというふうにいわれておりますから、健康長寿医療センターでは、認知症に関する特にさまざまな研究が行われておりますけれども、診断や将来の治療につながることが、そうした研究が期待されているところでもあります。
そこで、センターが実施している認知症に関する研究事例について伺います。
○後藤理事 健康長寿医療センターでは、アルツハイマー病の原因物質とされておりますアミロイドベータたんぱく、これを画像で検出する技術になりますアミロイドイメージングの実用化に向けた研究、さらに、細胞の表面を覆う糖鎖の研究を通じまして、糖鎖を利用したAPP代謝制御という新しいアルツハイマー病の予防法の可能性について研究しているところでございます。
また、アルツハイマー病等の老化に関連した疾患の原因究明とその解析に活用できますように、人の死後の脳を系統的に保存しております高齢者ブレインバンクを通じまして、蓄積された研究リソースを国内外の研究者に提供しているところでございます。
○小宮委員 健康長寿医療センターにおいて、先ほど、木下委員からもお話がございましたけれども、昨年は、新たに、研究のための支援組織、HAICというものが設置をされたということでした。
やはり研究者が百人いて、それを支える体制が二十人ということで、その研究者がご自身のそれぞれの、高齢者にかかわる、老齢にかかわるさまざまな研究に専念をできる、そういう環境をしっかりと整えることは、将来の基礎研究の充実につながると思います。
その基礎研究の一つ一つが全て花開くわけではないと思いますけれども、やはりそういう研究には、なかなか民間も費用がかかって限りがありますので、ぜひ東京都が持っている、研究とそれから病院と両方を持つという強みを生かしていただいて、高齢者が、私たちもそうなりますけれども、百年時代を生きるに当たって、やはり元気で長生きできる、そういう社会をつくっていくためには、予防、それから鑑別、早期発見、早期診断、そして治療、こういったところを一体的に、この健康長寿医療センターでの成果を行政の施策に反映できるようなお考えを含めて、これからもお願いしたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○藤田委員 私からも、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価書について質問いたします。
健康長寿医療センターの前身は、都立老人医療センターです。都は、この老人医療センターを二〇〇九年四月に、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターとして経営形態を変えて開設しました。
我が党、日本共産党都議団は、東京都が老人医療センターを独立行政法人化する問題として、病院のベッドが減ることや、経営優先で本来の都民ニーズに応えられなくなるのではないか、さらに、職員のモチベーションや医療水準の低下につながるのではないかなどの点を指摘してまいりました。
医療水準が落ちていないか、効果的な運営ができているのか、さらには職員のモチベーションが低下していないかなどについて業務実績評価のときに確認できることが必要だと感じています。
そこでまず、健康長寿医療センターの業務実績評価の仕組みについて伺います。
この中期目標、中期計画に対する評価単位は誰がどのように作成しているのですか。
○後藤理事 地方独立行政法人法第二十五条及び第二十六条におきまして、設立団体の長が三年以上五年以下の期間で中期目標を定めまして地方独立行政法人に指示し、法人はその中期目標に基づき中期計画を策定するとともに、毎事業年度の終了後、各事業年度や中期目標期間の業務実績について設立団体の長による評価を受けなければならないとされてございます。
健康長寿医療センターに関しましては、現在、都では、知事が五年の中期目標を定めまして、業務実績の評価を行っておりますけれども、評価に当たりましては、東京都が持っております三つの地方独立行政法人に共通した中期目標の策定に関する指針を定めておりまして、その中で、一定の事業等のまとまりごとに中期目標の項目を設定し、設定した項目を基準として評価単位を設定するということになってございます。
○藤田委員 都知事が中期計画を決めて、都は一定の事業のまとまりごとに項目を設定する、これを基準として、評価単位、すなわち評価項目の数を設定するとのことでした。
今回の評価項目は二十項目から構成されていますが、この評価項目は、独立行政法人健康長寿医療センターとして開設して以降、四、五年ごとに期間を区切っているのですけれども、この期間はどうやって決められたのですか。
また、開設時の第一期中期計画では三十項目であったのに対し、次の期間、二〇一三年の第二期計画から二十項目に減りました。昨年からの第三期でも二十項目になっているのですが、この項目数はふやすことができるのですか。
○後藤理事 都は、法人の評価に関する指針も定めておりまして、評価は、評価単位に合わせて行う項目別評価と項目別評価を基礎として法人全体を評価する全体評価によって行いまして、項目別評価は、中期目標の策定に関する指針に基づきまして、中期目標で定めた項目を基準として評価単位を設定いたしまして評価を行うというふうになってございます。
健康長寿医療センターにつきましては、平成二十一年の設立当時、新施設の開設が平成二十五年に予定されておりましたため、第一期は、新施設移転までの四年間、第二期及び第三期は、都の示す目標に従って業務運営を自律的、自発的に行い、成果を出すためには、病院事業、研究事業とも一定の期間が必要であるということから、都の他の独立行政法人や全国の独立行政法人病院の状況も踏まえまして、五年の中間目標を設定してございます。
各目標期間ごとに、それぞれ目標の体系が異なりますことから、評価項目の数、あるいは項目につきましても、それぞれの目標に応じて設定しているところでございます。
なお、評価単位につきましては、より的確な評価を実施するために、こうした考えに基づきまして設定した単位を、より細分化した単位で項目別評価を行うことは妨げないとされているところでございます。
○藤田委員 評価項目については妨げないということなので、つまり、評価項目はふやせるということです。
大もとは中期目標なので、中期目標自体に問題があると評価にも限界がありますが、例えば、職員の働く環境については単独の評価項目にして、より詳細に調べるべきだと思います。
そのことも関連しますが、評価の中で、診療報酬請求に関し、施設基準の管理体制等に不十分な点が認められ、返還金が発生したとなっているのですが、具体的には、今回、委員会資料の17に載せていただいておりますけれども、健康長寿医療センターの診療報酬自主返還の見込みとして出されていますが、この一番上の入院基本料の項目は、具体的にどのようなものなのか説明をお願いします。
○後藤理事 今回ご要求いただきました資料の17でございますけれども、平成三十年度に行われました関東信越厚生局からの指導に基づきまして、健康長寿医療センターが平成二十七年七月から平成三十年までの約三年間につきまして点検を行いました結果、施設基準の一部に要件を満たさないものがあることが判明いたしまして、診療報酬の自主返還が必要であると見込まれる事項をまとめたものになってございます。
お尋ねの資料一番上の入院基本料の項目でございますけれども、診療報酬上の施設基準におきましては、一般病棟の入院基本料の算定に当たりましては、算定の対象となる病棟全体で夜勤を行う看護職員の一人当たりの月平均夜勤時間数が七十二時間以下であること等が要件となってございます。
今回、センターで施設基準の提出状況や基準維持に必要な要件などの確認を行いましたところ、看護職員の月平均夜勤時間が七十二時間を超過して基準を満たさない状況となった月がございまして、平成二十七年の七月、平成二十八年の六月及び七月の三カ月分につきまして、関東信越厚生局に変更の届け出を要することとなりましたため、本来の診療報酬請求額との差額分を返還することとなったものでございます。
○藤田委員 自主返還金が発生したものは全部で六つあるのですが、このうち、少なくとも上の四項は人材不足が原因で発生したものであり、中でも入院基本料の返還は重大で、病院の経営に多大な影響を及ぼします。
健康長寿医療センターはベッドが多いので、減収分はかなり多額になると思われます。今回の評価項目18、収入の確保という項目はB評定、年度計画をおおむね順調に実施しているという評定になっていますが、この自主返還の発生は病院経営にとって重大なことであり、評価が本当に適切なのかどうか疑問が残ります。
同時に、この問題は、人材確保の課題が大きく影響しているものであり、収入の確保という面からのみ見るのでは十分ではないと思います。
入院基本料の要件に、平均夜勤時間を七十二時間以下とすることが挙げられているのは何のためだと認識していますか。
○後藤理事 平成六年度の診療報酬改定におきまして、看護師等の労働条件改善を評価するものといたしまして、月平均夜勤回数が一定回数以内の場合に算定できる夜間勤務等看護加算が創設されたところでございますけれども、平成十八年度の改定でこれが廃止されまして、看護師の月平均夜勤時間が七十二時間以内であることが入院基本料の算定要件とされたところでございます。
これは、夜勤や時間外勤務などの過重労働への対応、安全な医療提供体制の確保の観点から設定されたものと認識してございます。
○藤田委員 東京都も過重労働への対応と安全な医療提供体制の確保のためと認識をしているようですが、認識があるにもかかわらず、健康長寿医療センターでは、看護師の月平均夜勤時間七十二時間を超え、いわゆる七十二時間ルールの違反を防ぐことができませんでした。これは看護師に重い負担がかかっていたということです。
日本看護協会は、看護職員の夜勤負担は、サービスの質の低下、医療安全リスクの高まりに直結するため、負担が過大となるのは望ましくないと指摘しています。
健康長寿医療センターでは、違反したとき以外にも、個人単位では恒常的に七十二時間を大幅に超えた夜勤労働をしていることも、今回出していただいた資料で明らかになりました。
そのことがわかる資料が委員会資料の13、看護師の夜勤回数別勤務者数です。七十二時間以内の夜勤時間にするには、三交代では月に八回まで、二交代では四回までの夜勤回数でなければなりませんが、それを超えた方、三交代では九回、十回の方、二交代では五回、六回、月に夜勤を行っていますが、こういう方々がたくさんいるということがわかります。
七十二時間ルールは違反しなかったとしても、一人の看護師が月に七十二時間を大きく超えて夜勤を行う状況が発生しており、中には月に六回以上、月に百時間以上も夜勤を行っているという看護師がいます。
私は病棟などで二十年間看護師として働いてまいりましたが、二交代で月に六回という夜勤は、私でも経験のない脅威の回数です。この五年間だけ見ても、一人当たりの夜勤回数が減っていないということを分析し、対策に当たる必要があると考えます。当然、夜勤のときの看護師の数を減らすことなく改善を図るべきです。
都においては、定量的な目標を設定することで評価しやすくするよう求めるものです。そのためにも、業務の改善、効率化の中の要素にするのではなく、単独の項目として、職員の勤務条件の改善を含めるべきだと思います。
医師については、委員会資料の2にあるように、今年度は、常勤医師が大幅に減ってしまっています。
医師が二〇一八年度から二〇一九年度にかけて十四人も減っている理由は何ですか。
○後藤理事 健康長寿医療センターの常勤医師は、公募による採用のほか、大学医局を通じた採用を行っておりますけれども、平成三十年度末に医局を通じた採用ができなくなった診療科があったほか、複数の診療科で医局人事に伴います退職者が生じたものの、かわりになる医師の採用が十分にできなかったことによりまして常勤医師が減少したものでございます。
しかしながら、常勤医師が不足した診療科では、手術時の応援要員といたしまして複数の非常勤医師を雇用するなどの対応を図ったところでございます。
○藤田委員 医師の職員数は、病院の経営指標、委員会資料では、資料の4の内容になるんですけれども、患者さんが来る人数とか、診療ができる人数や病床利用率、平均在院日数などに、医師の数は直接影響してきます。そして、当然、医療の質にも大きく影響するものです。
今の答弁は、減少面の理由だとは思います。多くの診療科で少しずつ減っているということもあって、医師の採用の課題は一概にこれだと決めることは難しいかもしれませんが、やはり常勤で採用することが重要だと考えています。
十四人で、常勤医師として一割以上減ったとなると、共通する問題はないのか懸念がされます。例えば、委員会資料の16にある年次有給休暇の取得でいえば、医師は、ほかの職種に比べて、はるかに取得率が低いということがわかります。こうしたことも含めて、よく分析する必要があると思います。
最後に、職員の声について伺います。
年度計画では、職員アンケートを活用して満足度の定量的な把握を行い、人材育成や職場環境などの改善を図るとなっています。
評価項目16では、職員アンケートを活用して改善を図るとしていますが、このアンケートではどのような意見が出され、どう改善を図っているのか確認をしているのですか。
○後藤理事 お尋ねの評価項目の16でございますけれども、地方独立行政法人の特性を生かした業務の改善、効率化について評価する項目としてございまして、その一つの要素として、職員の業務に対する意識や職場環境などに関する職員アンケートを活用して、職員の満足度の定量的な把握を行って、人材育成や職場環境の改善などに向けた準備を図ったという、そうした取り組みを評価したというものでございます。
○藤田委員 取り組みを評価ということなので、中身がどういうふうになっているかということは法人に任せているということだと思います。しかし、評価委員の皆さんは、アンケートの結果そのものは見ていないということも伺っています。結果にふさわしい改善に向けた準備が図られたかを評価する必要があります。アンケート自体、アンケート結果自体を見ていなければ、結局、法人の説明をうのみにしたということもいえると思います。
昨年十一月に実施した職員アンケートの結果も見せていただきましたが、結果は、全ての職種において、福利厚生の水準や周知は十分か、センターは職員を大事にしているかという設問で満足度が低いというものでした。センターは職員を大事にしているかという設問の肯定的回答が全体でわずか三六・三%しかなく、深刻だと思います。
また、あなたが思うセンターの最も悪い点一つという設問では、多かったのが、給与が低い、人手が足りないというものです。
さらに、この結果を受けて、昨年十一月に、満足度が高くなかった項目において追跡調査を行っていますが、ここでも業務量の割に給与が低いという回答が多くなっていました。
職員が厳しい環境で働きながら、都民が必要とする医療を支えているというのが、今のセンターの姿だと思います。しかし、職員の献身的な働きで支えるということが、持続可能なあり方なのかは疑問です。
職員の勤務環境の重要性や深刻な実態に照らして、評価に占める比重という点でも、内容という点でも、このような評価でよいとはいえないと思います。
業務実績評価自体、限界のあるものだとは思いますが、行うからには、職員の厳しい労働環境を直視したものにすべきだと指摘して、質問を終わります。
○斉藤委員 私たち東京みらいでは、先日、健康長寿医療センターに視察に伺ってまいりました。
こちらのセンターは、明治五年に設立された養育院をスタートに、昭和四十七年に都立の高齢者医療、研究の拠点として再構成され、平成二十一年より地方独立行政法人に移行、平成二十五年に新施設に移転し、高齢者医療、研究の拠点機能を強化されています。
病院部門、研究部門、経営部門の三部門を有し、特に研究部門は、高齢者のクオリティー・オブ・ライフの維持向上への貢献に向けて、重点医療、老年症候群にかかわる研究や、フレイル、認知症にかかわる研究などを推進し、学術誌での高評価や日本学士院賞受賞など、各方面から高い評価を受けております。
今後、都内で認知症の方の数は、二〇二五年に五十六万人にも及ぶということ、また、国の方では特に予防に軸足を置いて、認知症七百万人時代に向けて取り組みを進めていこうと、本年六月に認知症施策推進大綱を取りまとめたという流れがございます。
また、私の地元多摩市の方では、かねてから健幸まちづくりという視点で、高齢者の方も生き生きと暮らせるようなまちづくり、人への支援を行っておりまして、TAMAフレイル予防プロジェクトも、地元高齢者の方々から大変期待を寄せられております。
そこでまず、健康長寿医療センターが取り組んでおります認知症やフレイル予防に関する研究の成果について伺います。
○後藤理事 健康長寿医療センターでの認知症に関しての研究成果の例といたしましては、アルツハイマー型認知症の特徴でございます脳に蓄積したアミロイドベータたんぱくを映し出した画像から、病理診断と同等の診断ができますアミロイドイメージング読影法を確立いたしまして、認知症の早期診断法の標準化を可能としたことが挙げられます。
また、認知機能や生活機能の低下が見られる地域の在宅高齢者の実態調査結果を分析して、センターが独自に開発いたしました自分でできる認知症の気づきチェックリストは、都の認知症普及啓発用パンフレットでございます知って安心認知症にも掲載されてございまして、認知症を疑うご本人やご家族など、広く都民に活用されているところでございます。
また、フレイル予防に関しての研究成果の例といたしましては、平成二十八年度から二十九年度まで、都内のモデル地域で、フレイル予防につながります社会の仕組みづくりに向けまして、運動、栄養、社会参加に関する介入研究を実施いたしました。
この介入研究の翌年度の平成三十年度には、この研究成果を大都市でもフレイル予防のプロトタイプといたしまして確立して、他の地域に普及、還元することを目的に、研究で実践したプロセスを冊子としてまとめたところでございます。
○斉藤委員 実際に研究結果を都のパンフレットに掲載をされていることや、フレイル予防についてはモデル地域において介入研究を実施されているということを、今お述べいただきました。
ちょうど私が視察に伺った日も、重複フレイル改善を目的としたランダム化比較試験の介入研究を行われておりました。
こうした研究を通して、その成果をどう都全体に活用していっていただいているのか、この後さらに質疑を重ねていきたいと思います。
こちらのセンターでは、これまでの研究で培った知見やノウハウを生かし、東京都の委託事業として、認知症支援、介護予防の推進に向けた取り組みを進めております。
認知症支援については、認知症支援推進センターを設置し、都内の認知症サポート医、認知症疾患医療センター相談員、認知症支援コーディネーター等への研修や、区市町村において多職種協働を進める講師養成研修、また、島しょ地域への訪問研修などの人材育成に資する取り組みを行っておられます。
そこで、認知症支援推進センターが地域の認知症対応力の向上に果たしてきた役割とその実績を伺います。
○後藤理事 平成二十七年度に設置いたしました認知症支援推進センターでは、認知症ケアに携わる医療専門職等の認知症対応力の向上を図りますため、多様な研修を実施いたしますとともに、認知症疾患医療センターが地域の医療従事者などに向けまして実施する研修への支援など、地域の認知症対応力向上に向けた取り組みへの支援も実施しているところでございます。
認知症支援推進センターでは、委員ご紹介いただきましたけれども、平成三十年度に五つの研修を実施いたしましたが、それぞれの実績をご紹介いたしますと、まず第一に、認知症サポート医等フォローアップ研修、こちらを四回実施いたしまして、計七百十七名が受講いたしました。
第二番目には、認知症疾患医療センターの相談員等を対象といたしました認知症疾患医療センター職員研修、こちらを一回実施いたしまして、六十名が受講したところでございます。
三つ目には、認知症支援コーディネーター等を対象といたしました認知症地域対応力向上研修を二回実施いたしまして、計三百四名が受講したところでございます。
四番目には、区市町村で認知症多職種協働研修の講師を担う人材を養成する研修を一回実施いたしまして、八十一名が受講したところでございます。
最後になりますけれども、島しょ地域の認知症対応力向上研修、こちらを大島町、新島村、三宅村で実施したところでございます。
○斉藤委員 主に人材育成の部分での実績をお答えしていただきましたが、この育成に至るまでの、例えば、認知症とともに暮らす地域づくり支援として、大規模団地等を抱える地域にはどんな体制を構築していくことが必要かということを、例えば、先ほど小宮理事からもお話がありましたけれども、地元の高島平団地でのシステム調査やトライ・アンド・エラーを繰り返して最適解を編み出してきたという実績もあるということをつけ加えさせていただきます。
また、介護予防についてです。
介護予防推進支援センターを設置されておりますが、介護予防に取り組む区市町村支援をどのように果たしてきたか、実績と区市町村からの意見や希望があるか伺います。
○後藤理事 平成二十九年度に設置いたしました介護予防推進支援センターでは、介護予防に取り組む区市町村に対しまして、地域の実情や取り組み段階に応じました専門的、技術的支援を総合的かつ継続的に提供しているところでございます。
具体的には、区市町村や地域包括支援センターの職員等を対象といたしまして、高齢者の活動的な状態を維持するための通いの場づくりや、リハビリテーション専門職との連携などに向けました研修を実施いたしまして、開設から本年三月までに五十一区市町、延べ一千百十四名が受講しているところでございます。
また、虚弱な高齢者でも効果が実感できる体操や通いの場での体力測定の評価方法など、区市町村からのさまざまな相談も受けておりまして、開設から本年三月までに四十区市町村から延べ三百八十九件の相談に対応しているところでございます。
これらの取り組みを通じまして支援した区市町村の多くからは、研修により得られた知識等が介護予防事業に活用できたとの評価も得ておりまして、さらに、区市町村の要望も踏まえまして、住民の継続的な活動を支援する手法につきましても研修に取り入れるなど、取り組み段階に応じた支援の充実を図っているところでございます。
○斉藤委員 区市町村に対し、専門的、技術的支援や人材育成を進めてこられているというご説明でした。何よりも重要なのは、やはりそれぞれの区市町村の中で取り組みの必要性を理解していただけることで、特に職員向けの研修の実績は注目に値すると考えています。
たまたまといいますか、私の地元多摩市は、例えば、歩道のバリアフリーなどを進める一方で、あえて階段が残されている部分があったり、多摩中央公園を中心に、あえて回遊性を持つように設計が進められているクリエイティブ・キャンパス構想も進んでおります。
まちがコンパクトに、そして移動や交通が便利になると同時に、あえてまちづくりにも工夫が求められているということは、ぜひ基礎自治体の行政担当の皆様にもご理解をいただきたいと考えております。
また、センターでは、ほかに介護予防、フレイル予防に関するホームページのコンテンツ作成やアドバイザーによる企業への出前講座を実施し、予防に取り組む機運の醸成も図っていることからも、研究の成果を着実に都全体へと波及されていかれることがわかると思っております。
健康長寿医療センター評価書で、診療報酬請求に関し、施設基準の管理体制等に不十分な点が見られて返還金が発生したとありますが、診療報酬返還金の発生原因についてどう分析をしているか、また、管理体制の強化に向けてどのような改善努力を行っているか伺います。
○後藤理事 健康長寿医療センターでは、返還金が生じた原因につきまして、診療報酬の請求を行う上での前提となります施設基準の届け出や管理に対しまして、複数の部署や職員がそれぞれの視点から確認すべきところ、こうした取り組みが徹底されていなかったことなどにあるというふうに分析してございます。
再発防止に向けた取り組みといたしましては、本年四月から健康長寿医療センターに新たに配置いたしました医事専門課長を中心としまして、施設基準のチェック体制の強化を図っておりまして、複数部署によります確認、さらには幹部への報告書の回付を毎月行うようになってございます。
また、施設基準の達成状況を管理いたします施設基準等管理部会を新たに設置いたしまして、事務職員と医師などが連携しながら、施設基準の維持に必要な要件を満たすための注意喚起、さらには施設基準の取り下げの必要性についての検討も実施することといたしてございます。
さらに、この六月には、診療報酬制度に精通した外部講師によります適正な保険請求をテーマといたしました悉皆研修も実施したところでございまして、施設基準、さらには診療報酬請求に関する理解の一層の向上を図ったところでございます。
今後とも、センターでは、施設基準や診療報酬請求に対して適切な管理や事務処理ができるよう、体制の強化、さらには人材の確保、育成に努めて、再発防止に向けて組織一丸となって取り組んでいくというふうにしてございます。
○斉藤委員 診療報酬制度のもとで、算定の際に施設基準を遵守することは、公的機関としてモラルを問われる部分であることは、既に東京都地方独立行政法人評価委員会でも指摘されておりますが、現在、都は、再発防止に向けて、本年四月に配置した医事専門課長を中心にチェック体制の強化を図っておられること、また、施設基準等管理部会を新たに設置したこと、さらに、研修の実施なども行うことで取り組みを進めておられるというご答弁でした。
管理体制の不備は、公的機関として決して許されないものですが、では、この問題は独立行政法人だから生じた問題なのかというと、都立や公社病院、私立でも、どこでも起こり得るミスだということもできます。質疑の冒頭から述べてきました、このセンターの取り組む研究成果の都民への貢献等を色あせさせてしまいかねない、このような事態が今後起きないように、ぜひよろしくお願い申し上げます。
この流れにおいて、最後に、この法人形態について、よい部分にも光を当ててみたいと思います。
平成二十一年度に独立行政法人化し、今回で十回目の評価となりますが、独法化の効果についてどのように評価をしているか伺います。
○後藤理事 健康長寿医療センターは、その自律性を発揮し、効果的かつ効率的に医療の提供、さらには研究の推進を図ることを目的として地方独立行政法人化したものでございます。
地方独立行政法人化したことによる効果といたしましては、例えば、理事長をトップとして迅速に意思決定できる機動的な体制が整備されまして、救急患者の受け入れ体制強化を目的とする救急診療部や、診療情報の分析や経営戦略の検討を行う医療戦略室を設置することができたことなどがございます。
また、定数管理によらない柔軟な職員採用によりまして、法人の運営方針や診療報酬改定等に対応した機動的な人材確保も可能となったところでございます。
さらに、会計年度に縛られることなく経費の執行が可能となったことから、患者の療養環境の整備や職員の勤務環境の改善に柔軟に対応することができるようになったところでございます。
都といたしましては、今後も法人に対しまして、地方独立行政法人のメリットを生かして、より効果的、効率的な業務の運営に向けて取り組むことを求めていきたいというふうに考えてございます。
○斉藤委員 迅速な意思決定、柔軟な職員採用、そして予算年度に縛られない経費の執行という点でお答えをいただきました。
これらは、まさに私たち東京みらいが、当センターに限らず、また東京都内に限らず、独立行政法人の運営する医療施設や病院で伺ってきた運営メリットの特徴でございます。これは、先ほどの管理体制の不備については、事態が判明した後、その日からでも体制改善が行えるということでもあります。
独法化された当初から十年間で、医業収益は九十二億余円から百三十五億余円へと大幅に増加をしております。また、外部資金獲得額も六十二億余円から八十四億余円へと増加をしています。数値はあくまでも数値でありまして、その推移には複合的な要因が影響しているものと考えられますが、実際に現地でお話を伺ってみると、この数値の裏に大変なご苦労や経営努力についての不断の見直しが図られていると私たちは感じています。
実際、健康長寿医療センターでは、時短勤務や産休、育休も柔軟にとれるように多様な働き方を推進しておられまして、それぞれの科の部長が現場で判断をし、産後の勤務者をサポートできるようにと促しておられることや、経営効率化のために、本来は在院日数が長くなる傾向にある高齢者の受け入れに際しては、入院の初日から、地域へ帰った後も想定した各機関との連携をスタートさせるなどの工夫を実行されていると伺ってまいりました。
ただし、そもそも診療報酬が高齢者向けに設定されているものではないため、複数の医療を受ける必要のある高齢者を支える当センターがいかに工夫を凝らしたとしても、正直、都立直営のときよりも収入はふえているが、大変経営は厳しいという声も上がっておりました。また、看護師を含めて適齢期の職員が多いため、当直体制に大変課題があるということも伺ってまいりました。
これらは当センターに限った話ではなく、私の地元多摩市の医療法人社団からも、同様のお話を伺っていますので、独立行政法人に限ったことではないと思いますが、都として、そもそもの定数では限界が来ているという、この医療現場の声を受けとめ、病院機能が分化していく中でも、このような複数機能を有する病院が果たしている役割を今後も支えていくために必要な診療報酬の都加算や国への要望を行っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十八分休憩
午後三時十四分開議
○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより病院経営本部関係に入ります。
報告事項、広尾病院整備基本計画(案)について外一件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○児玉経営企画部長 去る八月三十日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。資料は、目次にございますように、合計三件でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きください。1、広尾病院患者家族宿泊施設の利用状況の推移(三年間)でございます。
広尾病院にございます患者家族宿泊施設の室数、延べ利用日数、利用率、満室日数及び利用できなかった割合について、平成二十八年度から平成三十年度までの実績を記載しております。
二ページをお開きください。2、広尾病院の改築に当たってのPFI方式についての検討経過でございます。
広尾病院の改築に当たり、PFI方式について検討した経過を記載しております。
三ページをごらんください。3、広尾病院整備基本計画(案)の作成に係る職員の意見集約の方法と主な意見でございます。
広尾病院整備基本計画(案)を作成するに当たり実施いたしました意見集約の方法と主な意見を記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○栗林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○桐山委員 広尾病院は、行政的医療の提供はもとより、島しょを含む都の災害医療、救命救急を牽引する都立病院として、今までも多くの都民を救う生命線として大変重要な役割を果たしています。
平成二十九年十一月に広尾病院の整備基本構想が策定されました。広尾看護専門学校との一体的な整備に向け、今後、新病院の整備方針を具体化するために整理し、広尾病院整備基本計画案ということで、このたび示され、報告があったところです。
まず、災害医療について質問をしてまいります。
今回の基本計画案では、大都市における災害医療のリーディングホスピタルとしての体制を整備し、都心部唯一の基幹災害拠点病院としての災害医療の機能を強化していくこととしています。
広尾病院の行政的医療の中でも根幹の一つである災害医療機能の強化について何点か伺います。
まずは、大規模災害時の対応についてですが、新たな病院の建物は、免震構造をした上で、平時の四百床程度の二倍の八百床程度の入院患者、五倍程度の外来患者を受け入れることとしております。
このためにも、看護学校と一体的に整備をし、そのスペースも活用していくと認識していますが、そこで、今回の基本計画で、広尾病院が大震災発生時にも必要な医療機能を発揮するため、ハード面でどのような強化が図られていくのかお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の計画案では、広尾病院と一体的に整備をいたします広尾看護専門学校との連絡通路を三階に整備し、災害時に、広尾看護専門学校内に入院患者の一部を受け入れることができるようにいたします。
病院内に整備する災害研修室は、平時の災害研修に加えまして、災害時には災害対策本部等の立ち上げが可能な面積を確保するとともに、関係機関等との通信等を行うための通信、映像設備を整備いたします。
さらに、各病棟に、備蓄と災害時の患者の収容機能を兼ね備えた災害対応室を整備するなど、災害時には、病院全体が基幹災害拠点病院としての機能を十分に発揮できますよう、ハード整備を行ってまいります。
○桐山委員 ありがとうございました。この広尾看護専門学校と一体的に整備をするということで、三階で連絡通路を設けるということで、非常に災害時には行き来が十分できるということで、入院患者の一部を受け入れるようにされるということでした。
それから、関係機関等との通信が、通信の映像設備を整備することで、より迅速にさまざまなことが対応できると。そして、災害対応室というものを整備されていくということで、都心部唯一の基幹災害拠点病院としてふさわしいハード整備を着実に行っていただきたいというふうに思っております。
一方で、大規模災害発生時には、短時間に多数の負傷者が病院に集中することが予測されます。医療スタッフや医薬品等には限りがある中で、このような制約された環境で一人でも多くの命を救うためには、貴重な医療資源を有効に活用しなければならず、傷病の緊急度や、また重症度に応じて治療の優先順位を決定するためのトリアージポストの設置が必要となります。
また、日中に災害が発生した場合には、その時間に病院内にいる外来患者やお見舞いの方など、多数の帰宅困難者が発生することも見込まれます。
そこで、新病院では、トリアージや外来患者等の帰宅困難者のためのスペースについてはどのような対策を行っていかれるのかお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新病院においても、駐車場を平置き型として整備することで、災害の規模等に応じて、トリアージポストを柔軟に拡張できるようにし、あわせて、駐車場からメーンエントランスまで、ストレッチャーや車椅子等の通行が可能な段差のない通路を整備いたします。
荒天時においても、メーンエントランス付近でトリアージの実施ができるよう、多数の負傷者も滞留可能な大ひさしを整備することとしてございます。
これらによりまして、軽症者から重症患者までの多数の傷病者を円滑に受け入れることができるようにいたします。
また、隣接する広尾看護専門学校の体育館等のスペースを災害医療に転用できるようにし、外来患者等の帰宅困難者の受け入れにも活用いたします。
○桐山委員 このたび駐車場を現状と同じように平置き型として整備することで、いわゆるエントランス、メーンエントランスまで、いわゆるバリアフリーの徹底をされるということですので、そこはしっかりと整備をされる中で期待をしていきたいというふうに思います。
そして、多数の負傷者も滞留可能な大ひさしということで、大きなひさしということだと思いますけれども、それを整備されるということで、これは平時のときからも大ひさしがあるわけで、駐車場からメーンエントランスに行くまでの間というのは、少しでも雨にも濡れないような形で行かれるような動線になるのかなというふうに想像するわけでございます。
こうした中で、トリアージポストを含めまして、災害時に必要となるスペースにつきましても、さまざまな工夫をしているということが、答弁を聞かせていただきまして、理解をさせていただきました。
広尾病院は、基幹災害拠点病院として、大地震以外にもさまざまな事態に備える必要があります。昨年七月の西日本豪雨では、病院の電源喪失が相次ぎまして、昨年九月の北海道胆振東部地震でも、国内初のブラックアウトが発生し、病院においてもその影響が出ました。そのことは皆様も記憶に新しいことだと思います。
また、台風十五号の影響で、今なお千葉の方でも、一般家庭におきましても、停電や、また断水が続いていることも含めて、我が都民ファーストの会東京都議団も、昨年、知事に提出をさせていただきました要望におきましても、災害対策の指揮に当たる官庁などにおける非常用電源の整備を求めるなど、非常用電源については強い関心を持っておりますし、また、今後も整備を進めるべきと課題として要望しているところです。
そこで、新病院の発災時のライフラインについてどのような対策を行うのかお伺いいたしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新病院の災害時の電源については、引き続き非常用発電機の備蓄燃料を三日分以上確保するとともに、ガスコージェネレーションシステム等により、供給ルートの多重化、分散化を図ってまいります。
また、災害発生による給水設備の損傷等に備えるため、災害用井戸を設置するほか、三日分以上の給水を可能とする貯水槽及び非常用の排水貯留槽を整備いたします。
さらに、集中豪雨等による浸水被害にも備えるため、地上階に電気、空調、給排水等の基幹設備を整備してまいります。
○桐山委員 ライフラインにつきましては、引き続きこの非常用発電機、備蓄燃料を三日分以上確保されるということ、それから、災害発生による給水設備においては、災害用井戸を設置し、三日分以上の給水を可能とする貯水槽及び非常用の貯留槽を整備される。また、この非常用電源、よくいいますけれども、地上階に電気、空調、給排水等の整備をされていくということで、これも、今も都立病院の方では、地下の方にあるということで、これを随時地上階に持っていく整備を進めていかれるということも伺っているところなので、引き続き対応の方をよろしくお願いをしたいというふうに思います。
ライフラインにつきましても、さまざまな強化が図られていることを理解させていただきました。
ここまでは、ハード面の機能強化を中心に質問を行ってまいりましたけれども、災害医療機能の強化には、ソフト面の取り組みも重要かと思います。
基本構想の中では、災害医療機能の強化の中で、アプローチ型連携による地域関係機関との連携、協働による地域災害対応力の強化という視点を挙げています。
本計画では、地域とどのような連携を図っていくのか具体的な取り組み内容をお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の計画案では、地域災害対応力の強化のため、地元の行政機関、医師会、医療機関等と緊密な連携体制を構築し、病院みずからが地域関係機関に積極的にアプローチをしてまいります。そのアプローチ型として、地域連携型訓練を実施していくこととしてございます。
また、減災対策の一環といたしまして、地域住民を対象とした災害対応訓練の実施や公開講座の実施等を通じて、地域の救護所や避難所等で活動する災害時ボランティアの育成についても検討していくこととしてございます。
さらには、広尾病院の所在する区西南部医療圏内の災害拠点連携病院からの患者受け入れ訓練の実施に加えて、基幹災害拠点病院として、他の医療圏に所在する地域災害拠点中核病院に対する普及啓発も行ってまいります。
○桐山委員 地域の災害対応力を高めるために、地域の行政機関や医師会、医療機関と緊密な連携をとっていくということ、それから、広尾病院みずからが地域などにアプローチをする、いわゆる出向いていくということだと思うんですが、ぜひそのような取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
一方で、地震大国日本において、自然災害に対する備えが重要であることは当然ですけれども、国際都市東京としてのプレゼンスが高まるとともに、テロ対策も、その重要性が増してまいります。
核、生物、化学の頭文字をとったNBC災害は、近年では、化学、生物、放射性物質、核、爆発物によって発生した災害をCBRNE災害とも称するようになっております。大都市における災害医療のリーディングホスピタルである広尾病院は、NBC災害に対しても取り組みを強化すべきと考えております。
そこで、新病院におけるNBC災害に対する取り組みについてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の計画案では、放射性物質や生物化学兵器を使用したテロ等による患者の除染につきまして、これまでは組み立て式の除染テントで行っていたものにかえ、NBC災害用除染シャワー設備を整備することとしてございます。
また、除染に使用した汚水による二次被害を防止するため、専用貯水槽も整備し、適切に処理できるようにいたします。
現在も毎年実施しておりますNBC災害対応訓練の一層の充実を図り、NBC災害に対する対応力の強化を図ってまいります。
○桐山委員 ありがとうございます。NBC災害の取り組みについてということで、この除染ということで、これまでの整備に加えまして、NBC災害用除染シャワー設備を整備されるということ、それから、今まで課題になっておりました除染に使用した、いわゆる除染水ということだと思うんですけど、その汚水による二次被害を防止するために専用貯水槽も整備をして、適正な処理をされていくということでございます。
このように、NBC災害に対しても対応をしっかりと強化をしていくということでありますので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
また、新病院では、行政的医療を支える総合診療基盤としての機能についても充実を図っていく必要があると考えております。
そこで、本計画では、新たに外傷センターを設置し、外傷医療体制の重点化を図っていくこととしておりますが、その内容についてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 爆発物等による事故やテロ、大規模災害時の対応においても、重篤な外傷救急患者に対応できる体制づくりは重要でございます。
そういったことも視野に、平時から、多発外傷、挫滅症候群、広範囲熱傷、重症開放骨折など、重篤な外傷救急患者に迅速、確実に対応できる体制の確保が重要であり、本計画案では、新たに外傷センターを設置し、外傷医療体制の重点化を図ることとしてございます。
重篤な外傷救急患者を受け入れた際には、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科が連携して、迅速かつ確実に専門性の高い手術を実施し、外傷医療を一体的に提供してまいります。
○桐山委員 本計画では、新たに外傷センターを設置されるということで、外傷の医療体制の重点化を図るとご答弁をいただきました。これも、平時のときからも、しっかりと対応していくということが今、述べられましたので、しっかりとこの辺についても期待をしたいというふうに思います。
次に、新病院の整備手法についてお伺いしていきたいと思います。
本年三月の第一回定例会の厚生委員会の質疑におきまして、多摩メディカルキャンパスの整備基本計画案が報告された際に、私の方から、整備事業費として巨額の費用が投資されるため、ワイズスペンディングの視点に立って、事業費の縮減に向けたあらゆる諸方策をたゆまず行っていく必要性があること、その上で最適な整備手法を検討し、事業を推進してもらいたいと都側に対して意見を申し上げました。
広尾病院の整備についても、ワイズスペンディングの観点から検討を進め、最適な整備手法を決定することを求めていきたいと思います。
そこで伺っていきたいのが、広尾病院整備基本計画案におきましても、多摩メディカルキャンパスの整備基本計画と同様に、整備手法の二つの選択肢が示されております。一つが、設計と施工を分離して発注する方式、すなわち従来方式、もう一つが、設計、施工、維持管理費等を一括発注するPFI方式です。
今回の基本計画案では、従来方式またはPFI方式のそれぞれのメリットと本整備の特徴を踏まえますと、現時点では、PFI方式がより適している整備手法と考えられるとしております。
そこで、今回の整備の特徴と、PFI方式のどのようなメリットが今回の整備に適していると考えているのか、その考え方についてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、平成二十九年十一月に広尾病院整備基本構想を策定し、広尾病院が現地で長年培ってまいりました地の利を生かして、敷地内にある広尾看護専門学校と一体的に現地建てかえ整備を行うものとしたものでございます。
本整備では、日常診療を継続しながら、解体と建築を三期に分けて繰り返すローリング計画となっているのが特徴でございまして、これを円滑に進めるためには、全工程をシームレスに管理し、計画的かつ円滑に工事を進めていくことが必要でございます。
また、工期が延びるような不測の事態を回避することや、工事期間中のヘリコプターの離発着等に対し、安全面に最大限の配慮を行う必要もございます。
PFI方式では、設計、施工と維持管理等を一括発注し契約することで、工期短縮が可能となるほか、一貫した施工管理により事業者間の調整も図りやすく、都からの安全面の指示の徹底なども行いやすいことから、今回の整備に、より適していると考えてございます。
○桐山委員 考え方については理解をさせていただきました。この間、今回、資料にも出されておりますけれども、このPFIの方式については、整備に係るPFI等の導入可能性調査業務委託ということで、これまで、こういった形で取りまとめを行った中でのお考えだということで示されているのかなというふうに思います。
今、このPFIについてもいろんな議論があるところだと思うんですけれども、やはりPFI、今もご答弁の中にありましたように、今回の現地建てかえの整備ということで、まず、広尾看護専門学校と一体的に整備を行うということ、それから、日常診療を継続しながら三期に分けて整備を行っていくという工事になります。そういったところからPFIが適しているんだということでご答弁をいただいたところでございます。
今回の広尾キャンパスに限らず、多摩メディカルキャンパスについても、最適な整備手法を採用していただきたいというふうに考えているところでございます。
では、次ですが、従来の方式とPFI方式では、整備費用についてはどのような違いが出ると考えられるのか、改めてお伺いしておきます。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本計画案でお示しいたしました概算事業費は、従来方式である設計と施工をそれぞれ個別発注として見積もった金額でございます。
PFI方式は、設計、施工と維持管理等を一括発注し契約することで、ライフサイクルコストを考慮した設計や、建設費と維持費のバランスがとれた提案が可能でございます。また、効率的な整備スケジュールにより、工期が相対的に短くなるというメリットもございます。
このようなPFI方式のメリットを生かすことにより、事業費の削減が期待できると考えております。
○桐山委員 PFI方式を採用した場合には、設計、施工と維持管理費等を一括発注することによりまして、効率的なスケジュール管理と事業費の削減など、さまざまな効果が期待できるということが確認をさせていただいたところです。
今後も、ワイズスペンディングの観点から適切に検討を行っていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
次に、PFI方式を採用する場合、その決定のタイミングは、今後どのようになっているのかお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 PFI方式を導入するか否かは、PFI法にのっとり、従来方式と比較して効果があるか否かを評価し、その上で、PFI方式により整備事業を実施することが最適であると判断する場合には、特定事業の選定手続におきまして議会に報告を申し上げ、最終的に決定を行うことになります。
今後、従来方式と比べてPFI方式の方が事業費をどれだけ削減できるかという、いわゆるVFMを算定するなど、より詳細な検討を行った上で、最適な整備手法の決定を行ってまいります。
○桐山委員 ありがとうございました。決定のタイミングということで、今後、PFI法、法律に沿って、従来方式、それからPFI方式、この導入をするか否かということをしっかりと比較検証をして評価をしていくということ、それから、PFI方式によって整備事業を実施することが最適であると今後判断する場合には、特定事業の選定の手続において議会に報告をされる。そして、決定をしていくということになる。そのようなスケジュールだということを理解させていただきました。これは特定事業の選定の手続において、ぜひ議会に速やかに報告をされるように要望しておきます。
それから、費用のところですけれども、VFM算定ということで、バリュー・フォー・マネー、これは金額に見合った価値というふうな意味があろうかと思います。それもしっかりと積算をする中で、より都民益にかなうような、そういった手法の中で、ワイズスペンディングの考え方、手法をぜひお願いしたいというふうに思います。
今後、その整備手法につきましては、さまざまな観点からの検討を進めることで、都民にメリットのある真の最適な整備手法となると考えられると思います。基本計画の策定後も、本日の質疑を踏まえまして、新しい広尾病院の病院像をより具体的なものとしていただきたいというふうに思いますし、また、持続可能な病院経営をしていくことなどを踏まえて、建てかえ以前より、一層その使命を発揮できる機能を整えていくことなど、ぜひご努力をいただきたいことを申し添えまして、私の質疑を終わります。
○小宮委員 広尾病院の建てかえに当たりましては、今回の基本計画策定が示されるまでにはいろいろあって、四年前ぐらいにさかのぼりますと、平成二十七年当時、一月ですけれども、知事は舛添知事でした。このときの予算原案の中に、移転先を確保するための費用、三百七十億が計上されたというふうなことがありました。
結果として、その後、議決をされているわけですけれども、その当時、病院経営本部さんからお示しをいただいた、広尾病院、どういうふうな建てかえであるべきかというのは四案ほどあって、現地で建てかえる案から、また、移転をして建てかえる案まで、A案、B案、C案、D案とあった。そういう中で、議会でも議論もし、それを経て議決に至ったと。
しかしながら、その年の八月に知事が交代をされました。その後、病院を実際、本当にどうしていくかという検討委員会が開かれたんですけれども、その検討委員会は全部で八回開かれておりますが、その検討委員会の方の見解がまとまらない中で、平成二十八年の一月に議会で議決をされたはずの移転をするための用地の取得経費の三百七十億が減額補正をされているということもありました。
いろいろありましたけれども、その後、この病院をどうするかという基本検討委員会が最終的に第八回で示した考え方が、現在地再整備が望ましいという報告が二十九年の七月に出て、その後、二十九年の十一月には広尾病院の整備基本構想というものが策定をされ、そして、今回の令和元年八月、広尾病院整備基本計画案というものが公表されるということで、いろいろな経緯をこの四年間の中でわたってきた、そんなことを経ての今回の基本計画の策定方針であります。
策定されたものなので、それに関して、大事な点など、確認をしておきたい点などをこれから問うていきたいというふうに思っております。
広尾病院は大変歴史があって、百二十年以上という歴史を有しております。その時々の医療ニーズに応じて役割を果たしてきたわけですけれども、現在も都心部の唯一の基幹災害拠点病院として災害医療全体のレベルアップに貢献をし、また、場所からしても、島しょの医療、島の方々の医療の基幹病院としての役割も果たしております。さらには、救命救急センターやERによる救急医療において、都民の生命を守っているというふうにいえます。加えて、地域医療の充実に向けての貢献という役割を、他の都立病院と同様に、昨今は新たな都立病院の行政的課題としても加わっているところです。
建てかえに当たって重要なのは、この行政的医療の機能強化を図る、これはまさに都立病院の存在意義が問われる点であると思いますけれども、行政的医療の機能強化を図るということとともに、超高齢社会に適応し、地域に一層貢献していくこと、これは、これから長生きをして、皆さんが、できることなら病院で亡くなるんじゃなくて地域で亡くなる、病気をしても自分の家や地域に戻れる、そういう地域完結型を目指そうという中で、都立病院に何ができるか、何をするか、こういうことをしっかりと考えていかなければならないと思います。
こうした目的によって、広尾病院の価値というものを、今回の建てかえに当たってはさらに高めていただきたいというふうに思いますし、それによって広尾病院の存在意義が明確なものになるというふうに考えます。
そこでまず、新たな病院における広尾病院が担う機能のどんな部分を強化していくのか、その方向性について基本的考え方を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 急速な高齢化の進展や地域包括ケアシステムの構築に向けました病院完結型から地域完結型への転換など、医療を取り巻く環境は、今後より急速に変化してまいります。
いかなる変化が起ころうとも、時代の要請に合わせて行政的医療を提供し続けること、また、地域で安心して医療を受けられる地域医療提供体制の構築のために貢献していくことは広尾病院のみならず、全都立病院に共通する使命でございます。
こうした認識のもと、本基本計画案におきまして、例えば、災害医療といたしまして、平常の二倍程度までの増床、島しょ医療といたしまして、ICTを活用したウエブ会議の実施、救急医療といたしまして、救急医療専用の各撮影装置の整備など、現在見通せる範囲での行政的医療の強化を図ってございます。
また、地域医療へのさらなる貢献のために、例えば、地域貢献病床の整備や患者のみならず地域に対する支援センターの整備などを盛り込んでございます。
本基本計画案の策定は、主にハード面から広尾病院のあり方を示したものでございますが、本計画案を基軸といたしまして、今後とも、あらゆる角度から広尾病院の機能や役割について、たゆまぬ検討を行ってまいります。
○小宮委員 今ご答弁にもありましたが、民間にはできない基幹災害病院としての役割も果たしていただきたいですし、島しょの方々の命を守るために頼りにされている病院としての役割も高めていただきたいですし、また、救急医療も当然でありますけれども、行政的医療をしっかりと、新しい病院になることによって、その機能が向上する、高まる、あるいは新たな視点が加わるような考え方をぜひ持っていただきたいと思います。
当時、移転した際にどんな効果が得られるか、広い敷地に行ったならば、新たな行政的視点、国際的なスポーツ医学といいますか、新たな視点も含んだような行政的医療ができる都立病院にしたいという当時の舛添知事のご発言もありました。
やはり民間病院との違いがなければ、都立病院の意味はありませんから、ぜひそうした視点は、建てかえればいいではなくて、これからも引き続き持ち続けていただきたいというふうに思っております。
その上で、これからは基本計画案に沿って確認をしたいことが幾つかございます。
まず、改築にかかわる工事期間の中の病院の運営についてです。
今回の基本計画で示されたのは、日常診療を維持しながら建てかえを行うために、病院の一部を解体して、そこに新たな施設を建設するという、先ほどもお話ありましたが、ローリング工事ということを行う工事計画になっておりまして、その工事期間は、二〇二五年度からグランドオープンの二〇三一年ごろまで約六年、その上、職員宿舎の整備を含めると二〇三四年ごろまでということで、約十年間に及ぶ現在地での長い工事になります。
先ほど申し上げました広尾病院が対応している行政的医療を初め、さまざまな機能、これをしっかりと維持をして継続しながら、この十年間しっかりとやっていけるのか、こういうことはしっかりと確認したいというふうに思っておりますが、そこでまず、工事期間中において、日常診療機能をどう維持するのか基本的考え方を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在の病棟部門は第三期で解体する予定でございまして、新病棟が完成いたします第二期の工事竣工までは継続して稼働することで、工事期間中も、現在の四百二十六床と同等程度の病床数の維持が可能な計画としてございます。
また、外来部門につきましては、第一期及び第二期工事期間中は、仮設棟にその一部を移転することで、診療規模の維持が可能な計画としてございます。
必要な人員の確保はもとより、機器につきましても移転や更新を行うことで、診療規模及び診療レベルの維持向上を図ってまいります。
○小宮委員 病床数の維持であるとか、あるいは診療規模、この維持というもの、あるいは人員に関してもですけれども、想定をして計画を立てているということはよくわかるわけですけれども、やはり懸念されるのは、これから、この工事期間中に生じ得るであろうさまざまな課題についてです。
まずは、振動や騒音、こうしたものへの対応に関して伺ってまいりたいと思いますが、完成までの期間、患者や周辺住民への影響が少なくなるよう、特段の配慮を行うのは当然のことと思いますけれども、東京都として、この長期にわたる工事にしっかりと責任を持ってどう取り組んでいくのか見解を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の広尾病院の現地建てかえは、工事着手からグランドオープンまで六年程度を見込んでございますが、例えば、文京区にあります病院では、現地で診療を続けながら建てかえを行い、工事着手からグランドオープンまでに七年以上を要したとのことでございます。
そういった他病院の先行事例も参考にいたしまして、工事期間中に発生する振動、騒音につきまして、患者の療養環境や周辺住民の居住環境等への影響を可能な限り小さくするように配慮することは極めて重要であると考えてございます。
このため、設計段階から、設計事業者のノウハウも活用しながら、低振動、低騒音の施工方法や遮音方法、さらには影響の少ない時間帯での作業実施といったハード、ソフト両面からの総合的な検討を行ってまいります。
また、検討した取り組みを施工段階で確実に実施へ移してまいります。
加えて、振動、騒音の発生を予測するシステムの導入による的確な対策の実施など、約十年、三期にわたります各工事工程におきまして、その時点における最新の技術を採用し、取り組みを強化してまいります。
取り組みの実施に当たりましては、民間事業者と緊密に連携し、責任を持って振動、騒音をできる限り低減できるよう努めてまいります。
○小宮委員 振動、騒音のみならず、工事が長期に及ぶことで懸念される点はほかにもあります。大規模災害時の対応です。広尾病院は、二次医療圏における災害拠点病院です。また、先ほども申し上げましたが、都心部唯一の基幹災害拠点病院です。他の災害拠点病院の研修などを行うなど、災害医療の先導者という立場でなければなりません。
工事期間中もそうですけれども、病院に関しては、今、広尾病院は耐震構造ということ、新しくつくられる病院は免震構造ということ、いずれにしても地震に対する体制をしっかりと備えたものであるということは承知をいたしておりますけれども、この工事の期間中にいろいろな建物が建てられるということになります。
例えば、敷地内には、仮設といわれているその建物、ここには外来とか医局とか患者家族宿泊施設なども入ってくるわけですけれども、この広尾病院の敷地、工事内の古いものも、新しいものも、また仮設のものも、全体としてその躯体の安全性、こういったものが確保されているか確認をします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 仮設の施設を含めまして、耐震基準を満たすものでございます。
○小宮委員 建物の構造上の安全性は当たり前のことなんですけれども、やはり大事なのは、工事期間中だけでなく、その後もですけれども、大規模災害が発生した際には、オペレーション、これが重要になってくると思います。
例えば、第三期工事では、完成した新病院と最後に解体する古い病院建物、これが併存をする状況になるので、敷地全体に建物が建ち並ぶ。もともと狭いところに、うまくローリングしながらやるんだけれども、一時的には非常に多くのスペースが建物で占められてしまうという、そういう状態が出てくると、これは期間はわかりませんけれども、想定いたします。
これは一例にすぎないわけですけれども、それぞれの工程工程で、その都度、病院に大規模災害に対するオペレーションが、それぞれ異なったオペレーションが想定されることが求められるというふうに思います。
これに対して基本計画においても、そういったオペレーションを確立するというふうにされておりますけれども、そこで、このオペレーションについてどのような工夫を行って考えていく予定なのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工事期間中においても、広尾病院が大都市における災害医療のリーディングホスピタルとしての役割を果たしていくことは重要でございます。
そのため、災害時の優先業務や対応手順等を定めた事業継続計画、いわゆるBCPを策定し、迅速に対応できる体制を構築してございまして、かつ訓練結果を踏まえて適切に見直しを行ってございます。
工事期間中につきましても、工事手順ごとに、病院スタッフの初動対応や重症度別の患者動線などについて、建物配置に応じてBCPを柔軟に見直すことで、大規模災害に対応するオペレーションを確実なものにしてまいります。
また、他の災害拠点病院との合同訓練等を通じまして、より実践的な災害時オペレーションを確立していくとともに、地元医師会や行政機関等とともに、日常的な減災対策を推進し、周辺機関との連携、協働関係を深めていくことで、災害発生時の相互補完体制を一層強化してまいります。
さらに、工事期間中におきます発災時の安全確保等につきましては、工事関係者とも連携、検討してまいります。
○小宮委員 次に、救急、とりわけヘリコプターでの救急搬送患者の受け入れについて伺います。
ヘリ救急は、その文字のとおり、先ほども申し上げましたが、広尾病院の重要な役割の一つの島しょ患者の命の綱、命綱であるわけですけれども、工事期間中においても、その機能がしっかりと維持をされる必要があります。
そこで、広尾病院の今のヘリポートから新しいヘリポートへの円滑な移行の見通しを含めまして、ヘリ救急体制の維持について考え方を確認しておきます。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 基本計画案におきまして、新たな屋上ヘリポートは、第二期工事で完成する部分に設置することとしているため、運用開始の時期は、新病院のグランドオープンであります二〇三一年度ごろを想定してございます。
これまでの間は、第三期工事におきまして解体する現在の病院の屋上ヘリポートを引き続き使用していくこととしてございます。
このように、工事期間中におきましても、切れ目なく屋上ヘリポートを運用できる計画としてございます。
加えて、ヘリコプターの運航に当たりましては、東京消防庁と緊密に調整を図ることで、安全性に万全を期してまいります。
○小宮委員 広尾病院の現在のヘリポートの利用率については、さまざまなやり方、手法、考え方、事情があるがゆえだと思いますけれども、利用率が低いという話を島しょ部の当事者からも伺っております。今度、新しいヘリポートを新病院において、またヘリポートを構えるわけですから、それがしっかりと生かせる設計であるとか運用、こういったことを行ってもらいたいという要望が出ていることをお伝えしておきます。
次に、第八回の、先ほど申し上げましたこの病院の計画をつくるに当たっての検討委員会の中で、メンバーの江川委員、広尾病院の院長ですけれども、その方から幾つか課題について指摘があるので、細かいことですけれども、伺っておきたいと思います。
工事期間中の患者の動線と、また駐車場の確保についてです。
まず、患者動線については、安全を確保した上で、患者の方々にできるだけ不便を感じさせないようにする必要が、安全を確保する必要があります。
工事期間中について、患者動線の安全確保のためにどのような工夫を行うのか対策を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者の動線につきましては、安全面で十分に配慮する必要があるとともに、工事手順ごとに変更が生じると想定されるため、不便を感じさせない工夫が必要でございます。
具体的には、各工事工程をさらに細分化し、施工手順などを細かく調整して、患者にとってできるだけスムーズな動線となるよう設計を行うとともに、案内などの表示もできるだけわかりやすいものとするよう工夫してまいります。
安全面につきましては、工事動線と患者動線との重複を避けるほか、警備要員の配置等により、工事期間中の患者動線の安全を確保してまいります。
今後の設計等におきましては、民間事業者のノウハウや施工技術等によるさまざまな提案を最大限に活用し、綿密に検討してまいります。
○小宮委員 駐車場についても、先ほど触れたように、工事期間中には敷地全体に建物が建ち並ぶ状態になる期間が想定されますから、工程によっては駐車場が十分に確保できない期間もあると想像します。
工事期間中の駐車場の確保に向けてどのような方策を検討しているのか、敷地内で十分に駐車場が確保できない期間の方策も含めて伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工事期間中におきまして、限られた敷地の中でも、少しでも多くの駐車場を確保するためには、患者動線の確保策と同様に、設計時に綿密な検討を行うことが重要でございます。
先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、各工事工程をさらに細分化し、施工手順などを細かく調整して、患者動線の安全を確保した上で、できるだけ駐車場として利用できるスペースを生み出すように設計を行ってまいります。
その上で、工事期間中の駐車場につきまして不足する場合は、近隣等において借り上げるなどの対応を行うとともに、来院者等に対し、なるべく公共交通機関を利用していただくように適切に案内をしてまいります。
○小宮委員 次に、患者家族宿泊施設について伺います。
我が党や島の方々の強い要望により、島しょの患者、家族に対する宿泊施設、さくら寮を、平成二十八年度から、それまでの三室だったものを五室にしていただいて、島の患者、家族に対するニーズに応えていただいているというふうに認識しております。
基本計画案の中では、工事期間中も継続して、敷地内にこの宿泊施設を維持するとありますけれども、その際に、宿泊施設は何度か仮移転するものと思われます。
島民の皆さんに不便をかけないように細心の注意を払ってもらいたいと思いますが、そこで、工事期間中の患者家族宿泊施設の運用の見通しについて伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者家族宿泊施設は、基本計画案におきまして、工事期間中も継続して敷地内に維持することとしてございます。
このために、三期にわたります工期におきまして、その手順ごとに、既存のレドマス広尾内への移転や仮設棟への移転を行いながら対応していく計画としてございます。
仮移転先におきましても、アメニティー等に可能な限り配慮するなどにより、島民が安全かつ快適に宿泊いただけるよう対応してまいります。
○小宮委員 仮移転といっても、島民にとっては大切な施設となります。ご答弁にもありましたように、安全性はもとより、工事による影響が抑えられるようにご配慮に努めていただきたいと思います。
また、今後、設計等で具体的に検討される新病院の新たな患者家族宿泊施設においても、基本構想策定時にとったパブリックコメントで、さまざまな要望があったというふうに聞いております。
柔軟性を持って対応してもらいたいと思いますけれども、そこで、新病院において患者家族宿泊施設の充実をどう考えているのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者家族宿泊施設につきましては、平成二十八年度に三室から五室に増室し、平成三十年九月には高齢者からご要望が多かったベッドを設置するなど、島民のニーズを踏まえた運用を行ってございます。
増室を行いました平成二十八年度以降の利用率は、平成二十八年度は五一・五%、二十九年度は六一・三%、三十年度は六五・六%と年々上昇してございまして、患者、家族のニーズが増加してございます。
将来の新病院の患者家族宿泊施設につきましては、こうした利用状況の動向などを踏まえて検討するなど、島民のニーズにできる限り丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。
○小宮委員 島民のニーズを踏まえた運用をしていただいていたり、利用状況の動向を踏まえて、今後、丁寧に対応してくださるということですが、利用率について、昨年度は六五・六%ということですけれども、先ほど申し上げた基本構想策定時のパブリックコメントですが、いろいろな要望があった中に、宿泊施設をさらにふやしてほしいという声も届いているというふうに伺っておりますけれども、やはりまずは宿泊施設の申し込みであるとか、受け入れに当たっての環境を整備するですとか、そういった努力も重ねていただきながら、また今後検討していただきたいということを要望しておきます。
長期に及ぶ工事期間において、今、質疑した点以外にも、設計前の現在においては見通しがつかない課題があると考えます。病院経営本部は、そうした点を踏まえまして、責任を持って柔軟に対応していただくことを強く要望しておきたいと思うわけですけれども、冒頭の質疑の中で、地域医療の充実への貢献という使命があるというお話をしましたが、昨年三月に策定された都立病院新改革実行プラン二〇一八では、都立病院の新たな役割として、それを掲げております。
その具体策の一つが、地域貢献病床の導入というふうになっております。この地域貢献病床は、例えば、広尾病院における急性期治療後に、受け入れ先決定まで、一時的な受け入れといった機能を果たすことが想定されておりまして、島しょ地域の患者にとっても安心して療養生活を送る上で有効であると考えます。
まず、この病床数を三十床とされている点について考え方を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院は、高度急性期、急性期の医療機能を担いつつ、島しょ医療の拠点といたしまして、一定程度、柔軟な病床運用を行うことが重要でございます。
こうしたこともあり、基本構想におきまして、新たに地域貢献病床として三十床程度を設けることといたしました。
今回の基本計画案の策定に当たりまして、島しょ地域の入院患者などで、全国のDPC病院の平均在院日数を超えている患者数を集計したところ、四月二十五日から七月十五日までの期間におきまして、一日当たり平均で二十三・四人、最多で三十四人という結果でございました。
この集計結果も踏まえまして、基本計画案におきまして、三十床程度とお示ししたものでございます。
○小宮委員 算定において一定の根拠があるということがわかりました。
今後、高齢化の進展や医療環境の変化と、これらに伴う医療政策の方向性の変化、こういったものに応じて、平均在院日数というものも変わってくる可能性があるとも思います。
将来的にこうしたさまざまな変化にも柔軟に対応していただいて、地域貢献病床、この病床数を設定するべきと考えますが、所見を確認しておきます。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 全国のDPC病院の平均在院日数等は、将来的に変化するものと考えられ、こうした変化に伴い、島しょ地域の入院患者などにおける全国のDPC病院の平均在院日数を超える患者数も変化する可能性がございます。
現時点では、地域貢献病床の将来の病床数に関する方向性をお示しすることはできませんが、今後とも、平均在院日数を超える患者数などの実態を把握し、広尾病院の医療機能のあり方を踏まえ、地域の医療機関との連携状況なども見据えつつ検討を行ってまいります。
○小宮委員 広尾病院の基本計画案について確認してまいりました。基本計画に沿って、広尾病院の整備を着実に進めていただきたいと思います。
その上で、整備手法について、先ほど桐山副委員長からもお話ございましたけれども、何点か確認したいと思います。
これまで工事期間中の課題について質疑をしてきたわけですけれども、こうした課題に加えて、何よりも重要なのが、工事中の安全の確保を含めて、さまざまな視点から整備手法を検討していくということです。
基本計画を策定後、整備手法についてどのような検討を行っていくのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 基本計画案において示した整備手法であります従来方式とPFI方式について比較検討することにより、最適な整備手法を決定してまいります。
PFI方式の導入の可否につきましては、従来方式とのコスト比較によるVFMの算定やリスク分担などを踏まえ、PFI事業の実施の妥当性を綿密に検討する必要がございます。
このため、施設に関する知識や技術、財務、法務等のさまざまな領域の専門性が求められることから、専門知識を有するアドバイザーを活用し、詳細な検討を行い、事業スキームの妥当性や実現性、財政負担の試算などが整理された段階で、PFI方式の導入の適否について判断をいたします。
○小宮委員 そうすると、東京都としては、このPFI方式の導入の適否についての最終的な決定を行う特定事業の選定はいつごろを考えていらっしゃいますか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 PFI事業として整備する場合の手続でございますが、PFI等導入可能性調査の結果を踏まえまして、今後、契約を行いますアドバイザーを活用した検討を行い、PFI法に基づき、スケジュールを確定させてまいります。
アドバイザーとの委託契約締結から約一年かけて詳細な検討を行い、特定事業の選定に至る手続を進めてまいります。
○小宮委員 広尾病院の建てかえをめぐりましては、冒頭にも申し上げたとおり、青山、旧こどもの城に移転をするための用地取得費用、三百七十億が平成二十八年度予算として議決されたものの、その後、知事もかわりまして、さまざまなこうした変化もあったということで、移転をする予定だった当時では、工事期間が最も長くかかるなどデメリットが多いというふうにされていた今回選ばれた現在地再整備案が、結果としては採用されることとなったわけです。
このさまざまな変化には、なかなか逆らいがたい現実というものがあると思います。病院という機能を狭い敷地内で、しかも十年にわたって工事をするという中で、とにかく普通のマンション建てるわけでもありませんので、患者優先、患者ファーストというんですか、その環境がしっかりと維持されているか常に把握をして、そして適切な対応をしていただくよう改めてお願いをしまして、質問を終わります。
○まつば委員 広尾病院整備基本計画案について質疑をさせていただきます。
広尾病院は、行政的医療である島しょ医療に一貫して重要な役割を担い、島しょ地域の医療に対するさまざまな取り組みを進めてこられました。今回発表されました広尾病院整備基本計画案においても、災害医療や救急医療と並び、島しょ医療を大きな柱としております。
きょうは、特に島しょ医療について質疑を行いたいと思いますが、まず冒頭申し上げさせていただきます。
八日深夜から九日未明にかけて、台風十五号によって小笠原諸島及び伊豆諸島におきましては、短時間での集中的な豪雨と記録的な暴風雨で、多くの建物被害が発生をいたしました。また、暴風雨による倒木や倒壊により、伊豆諸島の広い地域で停電や断水などが発生をいたしました。被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
都議会公明党は、島しょ地域に対する復旧、復興について、都に対し申し入れを行っておりますが、さらに支援をしてまいります。
そうした中で、医療の面から、東京の島しょ地域を支えているのが広尾病院でございます。病院経営本部に確認しましたところ、九日以降、ドクターヘリによる搬送で、島しょ地域より、台風十五号による患者さんの受け入れも広尾病院は行ったと聞いております。今後もしっかりと対応をお願いいたします。
東京の島しょ地域は、大島町、八丈町、三宅村、新島村、利島村、神津島村、御蔵島村、青ヶ島村、小笠原村の二町七村から成っておりまして、約二万六千人の方が生活をされております。この二万六千人の島民の方々が安全・安心に日常生活を営むためにも、広尾病院は、建てかえを機に、これまで以上に島しょ医療の機能を強化しなければならないと考えております。
まず、改めて、現在、広尾病院が行っている島しょ医療の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院では、昭和五十六年に屋上ヘリポートの使用を開始し、平成二十年三月からは地域の方々のご理解、ご協力のもと、ヘリコプターの夜間離発着につきましても受け入れ、島しょ地域からの救急搬送を二十四時間で対応してございます。
また、高度専門医療を提供する広尾病院と島しょ地域の診療所とをつなぐ画像伝送システムによりまして、エックス線やCT、内視鏡等の画像を見ながら島の医師へ助言するなど、離島診療所等の診療活動を支援してございます。
この画像伝送システムにより、島の医師が専門医から助言を受けることで、患者が島にいながらにして質の高い医療を受けられるとともに、救急搬送時におきましても、事前に初期の診断を行う際に活用することで、速やかな対応を行うことが可能となってございます。
○まつば委員 広尾病院は、さまざまな取り組みによりまして、島民の皆様の命や健康を支えているということでございました。
さて、今の答弁の中で、ヘリコプターによる救急搬送への対応のお話がございました。島民の皆様にとりまして、ヘリコプターによる救急搬送は、まさに最後のとりででございまして、安全・安心の根幹でございます。
東京型ドクターヘリ事業は、都議会公明党の提案によりまして、平成十九年度から開始をされました。東京消防庁が保有するヘリコプターに医療機器を装備するとともに、医師が搭乗して島しょ地域に向かい、医療機関に到着するまでの間、医療処置を行いながら搬送する事業でございます。
この事業は、広尾病院を初めとする医療機関の協力のもとで運営をされておりまして、東京型ドクターヘリは、遠距離運航ができること、また夜間飛行ができること、また複数患者の同時搬送を行うことが可能であるということで、二十四時間三百六十五日の運航を行っております。
ヘリコプターの離発着におきましては、地域の方々のご理解、ご協力もいただいていることに対しましても、心から感謝を申し上げたいと思います。
平成三十年度の広尾病院屋上ヘリポートの利用件数及びヘリコプターの搬送により広尾病院が受け入れた救急患者数をお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院の屋上ヘリポートは、救急患者を広尾病院に搬送するヘリコプターの受け入れに加えまして、患者の容体によりましては、島しょ地域に向かうヘリコプターに、広尾病院の医師が添乗するために利用する場合がございます。
この島しょ地域へ向かう際に医師が添乗し、その後、広尾病院に搬送される場合を二件として数えますと、平成三十年度におきます広尾病院屋上ヘリポートの利用件数は四十五件でございまして、実際に搬送された患者数は二十九人でございました。
また、赤坂プレスセンターと広尾病院の屋上ヘリポート以外のヘリポートに搬送され、そこから救急車で広尾病院に搬送される患者も受け入れてございます。
このようにして、島しょ地域から広尾病院に搬送された救急患者の総数は、平成三十年度では百八十一人でございまして、島しょ地域から本土に救急搬送された患者全体の約九割を占めてございます。
○まつば委員 広尾病院は、ヘリコプターによる救急搬送など、島しょ医療の基幹病院として患者さんを受け入れていることが、答弁からよく理解をいたしました。
搬送される救急患者さんは、命の危機につながる緊急性の高い患者さんであり、医療スタッフの努力のもと、搬送から治療まで迅速につなげられております。こうした医療スタッフの努力も含めて、広尾病院が島民の命をつなぐ役割を担っていることについて評価をさせていただきます。
新病院におきましても、これまで以上に円滑に搬送される患者さんを受け入れるためには、ハード面の整備に加えまして、島しょ医療機関との連携など、ソフト面の取り組みも重要だと考えます。
さらには、医師を初めとする広尾病院の医療スタッフが、実際に島しょ地域に赴いて、島民の方々と触れ合うことも、島民の大きな安心につながると考えるわけでございます。
そこで、新病院において、今以上に島民の安心を支えるため、ハード、ソフトの両面でどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新病院におきましても、引き続き屋上ヘリポートを設置し、二十四時間体制で対応するとともに、搬送された患者の迅速な移動を可能にするため、現在、エレベーターの乗りかえを行っている患者動線を改め、屋上ヘリポートから救命救急センターへの直通の救急用エレベーターを整備いたします。
また、ICTを活用いたしましたウエブ会議による島しょ地域の医療機関とのカンファレンスや診療情報の共有等を進め、広尾病院と島しょ地域の医療機関との結びつきを一層強化してまいります。
平成三十年度には、内視鏡科部長や小児科部長を初めとする広尾病院の医師、延べ人数で二十二名を、延べ日数で百二十一日、島しょ地域の診療所等に派遣してございまして、島しょの診療を支援するとともに、その状況を肌で感じることで、島しょ地域からの救急患者の円滑な受け入れにも寄与してございます。
今後とも、島民の安心を支えるため、広尾病院のスタッフがさまざまな機会を捉えて、島しょ地域に出向いてまいります。
○まつば委員 基本計画におきまして、屋上ヘリポートから救命救急センターへの直通の救急用エレベーターを整備する、そうしたハード面の改善が図られているということでございます。
加えて、一秒を争う救急におきまして、病院のスタッフが島しょの状況を知ることというのは大変重要であると思っております。また、島民と現地で直接触れ合うということは、島民にとっても大きな安心につながるというふうに思います。そうした意味では、ソフト対策もあわせて、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
広尾病院では、画像伝送システムによりまして、離島診療所等の日常診療を支えているわけでございますが、この広尾病院において、画像伝送システムを用いた診療支援の導入からの経緯と画像の受け付け実績についてお伺いをいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院では、平成六年十月から画像伝送システムによる診療支援を開始し、島しょの医療機関から、エックス線写真、CTフィルム、内視鏡写真、デジタルカメラの写真等の画像受信を開始してございます。
平成十七年度にはネットワークカメラを設置し、二十二年度にはウエブ会議機能を加え、二十三年度には光回線を導入してございます。
こうした経緯もあり、平成二十年度の静止画像の受け付け実績は三百十一件でしたが、平成三十年度は千三百二十件と、この十年間で四倍を超える増加となってございます。
○まつば委員 平成二十三年には光回線を導入することによりまして、粗い画像が鮮明になったと聞いております。そうした改善等も含めまして、この画像伝送システムによる診療支援もこの十年で大幅に伸びていると、このように答弁がありました。
情報通信の分野での技術革新は日進月歩でありまして、二〇三一年度ごろにグランドオープンを予定している新病院においては、そういった技術革新がしっかりと反映をされなければならないと思います。
都は先日、TOKYO Data Highway基本戦略を発表いたしました。二十一世紀の基幹インフラとして、高速モバイルインターネットの5Gの普及と利用拡大を進めるということでございます。
この基本戦略では、医療の分野において、救急搬送中の救急車から病院へ患者情報を瞬時に送付することや、遠隔診療として、過疎地域においても専門医による動画診療を受けられることなど、今後の島しょ医療の充実を考える上では大いに期待できる分野であると考えます。ぜひ、新病院においても積極的に活用していただきたいと思います。
新病院がこれからの技術革新にどのように対応していくのか見解を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 5Gを初め、今後の技術革新を最大限に活用し、医療機能の充実を図っていくことは重要な視点でございます。
例えば、本計画案におきまして、手術部門の器材室を手術室と同程度の面積とするなど、スペースを広くとっているほか、予備室を一室設けておくなど、将来の医療環境の変化に対応するためのスペースを確保することとしてございます。
また、電気、機械等の設備につきましても、将来の機械更新を見据えた設計とするよう計画してございます。
医療を取り巻く環境は、今後とも変化していくと考えられるため、本計画案の内容につきましては、設計時等に改めて必要な調整を実施することとし、柔軟な対応を心がけてまいります。
○まつば委員 将来の技術革新を見据えた計画案になっているということを理解いたしました。
今後、電子カルテの共有やオンライン診療、また手術支援ロボットによる遠隔手術などもますます進んでいくことになると思います。新技術をしっかりと取り入れて、島しょ医療など、都民に必要な医療を提供していただきたいと思います。
最後に、病児、病後児保育の取り組みについて確認をさせていただきたいと思います。
都は、都立病院や公社病院におきまして、病児、病後児保育を順次実施しておりまして、これまで都立病院では墨東病院が、公社病院では多摩北部医療センターが区市の要請に応じて開設をしております。また、ことしの二月には、我が党の要望に応えて、公社の東部地域病院に新たに病児保育室が開設をされまして、利用実績も順調でニーズは高いと考えております。
平成二十九年度の決算特別委員会では、我が党のうすい議員の質問に対しまして、広尾病院においても、今後の整備に当たって検討していくと答弁をされております。
そこで、広尾病院における病児、病後児保育の検討状況についてお伺いをいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の計画案では、子育て環境の充実のため、地元区等のニーズを踏まえまして、職員宿舎内に病児、病後児保育室を整備することとしてございます。
今後の設計等に当たりまして、地元自治体の意向を十分に酌み取ってまいります。
○まつば委員 しっかりと調整をしていただくようにお願いをいたします。
私からは、島しょ医療を中心に質疑をさせていただきました。
広尾病院の建てかえに当たりましては、敷地内で日常の診療を継続しながら、建てかえ工事を実施されるということであります。建てかえ工事期間中につきまして、ヘリポートの使用、受け入れ体制、画像伝送システムなど、島しょ医療が滞りなく行えるよう、万全の取り組みをお願いいたしまして、質問を終わります。
○白石委員 日本共産党の白石たみおです。
広尾病院整備基本計画案について質問をいたします。
現在の広尾病院は、二十三区で唯一の基幹災害拠点病院としての役割を持ち、島しょ地域の医療を守る役割も果たしております。ほかでは果たすことのできない重要な役割を持つ病院です。
しかしながら、現在の広尾病院は三十九年が経過をしており、設備の老朽化などの問題を初め、重要な役割をこれからも果たしていくためには建てかえが必要です。
整備基本計画案をより都民のための広尾病院にする立場から質問をいたします。
まず初めに、島しょ医療についてです。
広尾病院は、島しょ地域の基幹病院として位置づけられ、重症者などの救急搬送患者を二十四時間ヘリコプターで受け入れるなど、島しょ医療のかなめとなる病院です。とりわけ、島しょ地域から広尾病院に通院や入院する患者、また付き添う家族は、宿泊所を確保する必要があり、経済的にも負担が大きくなります。
そのことから、広尾病院では、敷地内に患者、家族の負担軽減のために宿泊施設が五部屋設置をされております。
初めに、患者、家族のための宿泊施設の重要性についてどのように認識をされているのか伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者家族宿泊施設は、島しょ地域の患者や付き添いの家族等が利用することができる施設でございます。
この施設は、島しょ地域の患者及び家族の利便性や負担軽減に寄与している重要な施設でございます。
○白石委員 宿泊施設は、負担軽減の観点からも重要だと、このような答弁でございました。
島しょ地域の皆さんが広尾病院に通院や入院する際には船や飛行機を利用するため、交通費だけでも重い負担になるという中で、低廉で宿泊することができる施設は大変重要だというふうに考えております。
先月、都に対して、町村会と町村議会議長会から出された要望では、この宿泊施設の拡充を求めております。また、建てかえ期間中においても、利用者に支障がないようにしてほしいとの要望も出されております。
そこで、建てかえ期間中に宿泊施設はどのように運営をされるのか、部屋数は従前の五部屋を維持するのか具体的に伺いたいというふうに思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者家族宿泊施設は、工事期間中も継続して敷地内に機能を維持することとしてございます。各工期の手順ごとに、患者家族宿泊施設を、既存のレドマス広尾内や仮設棟へ移転を行う計画としてございます。
工事期間中におきます患者家族宿泊施設の運営等につきましては、仮移転先の施設面の状況などを前提に検討をしてまいります。
○白石委員 工事期間中も敷地内に機能を維持するとの答弁でございました。
町村会などからの要望も踏まえて、工事期間中でも部屋数を維持することを改めて要望しておきたいというふうに思います。
病院経営本部は、年々高まる利用ニーズを踏まえて、二〇一六年度に三部屋だった部屋数を五部屋に拡充いたしました。この拡充は大変重要だと思います。しかし、この拡充で十分なのかというと、さらなる部屋数の増設が求められているというふうに思っております。
そこで、過去三年の利用実績がどのようになっているのか伺いたいというふうに思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度以降の利用率ですが、平成二十八年度は五一・五%、二十九年度は六一・三%、三十年度は六五・六%と上昇をしてございます。
○白石委員 今答弁があったように、利用実績は年々上昇しているということです。
答弁では利用率でお答えになりましたが、とりわけ重大なのが満室日数です。我が党の資料要求により提出してもらった宿泊施設の利用状況の推移、お手元に配布をされていると思います。資料の1になります。
これによれば、二〇一六年度の満室日数は四十四日だったものが、拡充された翌年度が六十六日、そして昨年度は百四日間と満室日数はこの三年間で二・四倍となっております。その結果、利用を申し込んだうちの約一割が利用できないという状態です。
利用率六五・六%とまだ余裕がありそうだなというふうに思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はそうではないということです。宿泊施設が満室で利用できなくなると、例えば病院に受診すること自体困難になります。
その困難さを島民の方々から伺いました。例えば、検査の日取りが決まっていたが、宿泊所が満室で、近くのホテルを探したけれども、なかなか見つからず、病院から離れたホテルに宿泊し、何とか検査を受けることができた。ホテルは一泊一万円近くかかり、受診を控えた。宿泊施設が満室で、診察自体を延期したなどの実態がありました。
いうまでもなく、病気やけがは計画的になるものではありません。治療を受けなければいけないときに宿泊施設が利用できるように整備することが求められるということです。
そこで、建てかえ後の部屋数は現在の五部屋からふやすべきですが、いかがでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 島しょ地域の患者や家族の利便性や負担軽減を維持する観点から、新病院におきましても病院敷地内に宿泊施設を確保することとしてございます。
平成二十八年度以降、利用率は年々上昇してございまして、こうした利用状況の動向などを踏まえて検討をしてまいります。
○白石委員 部長、もう少し大きい声で答弁をしていただきたいというふうに思います。
本来は今すぐふやしてほしいぐらいの状況だと思います。利用率の動向だけではなく、満室日数を直視して拡充することを強く求めたいというふうに思います。
次に、建てかえ工事中の医療活動にかかわり質問をいたします。
広尾病院の建てかえは、三つの期間に区切って解体工事や建物建設を行いながら、病院機能を移転しながら整備すると、まあ先ほど来から質問はされております。とりわけ、工事期間中も医療活動を行いながらの整備となるので、医療活動に支障が出ないように細心の注意が払われなければなりません。
整備計画案を見ると、工事車両は一日に何台出入りするのか、工事車両の動線はどのようになるのか、騒音、振動などがどれくらいになるのかという記載が現状ではありません。
そこで、工事期間中はどのようになるのか、シミュレーションなどはこれまでにされたのか、また、シミュレーションなどの調査は職員などに公表されているのか伺いたいというふうに思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工事車両の数や動線につきましては設計等を踏まえて固めていくもので、現時点でシミュレーションは行ってございません。
工事期間中に発生する騒音、振動につきましても、設計や施工の各段階で対応してまいります。
また、工事期間中の各段階で、職員などへの周知方法を検討してまいります。
○白石委員 現在は設計段階でもないから、シミュレーションはされていないということですが、医療活動を行いながらの建てかえ工事となるので、工事車両などの出入りや動線、騒音、振動などを職員とともに検証することは、当然しなければならないと思います。万が一にでも医療活動に支障を来すようなことになれば、命にかかわる重大な問題になりかねません。だからこそ必要な情報提供を全職員に行って、検証も職員参加で丁寧に行うことが求められると思います。
そこで、病院経営本部の認識を改めて確認したいと思います。工事期間中の騒音、振動、工事車両の出入りなどは医療活動に影響を及ぼすと、このような認識を持っているのかどうか伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工事期間中に発生いたします騒音や振動などにつきまして、患者の療養環境などへの影響を可能な限り小さくするよう配慮することが重要でございます。
例えば、患者の動線につきましては、安全面で十分に配慮する必要があるとともに、工事手順ごとに変更が生じると想定されるため、不便を感じさせない工夫が必要でございます。
具体的には、各工事工程をさらに細分化し、施工手順などを細かく調整して、患者にとってできるだけスムーズな動線となるよう設計を行うとともに、案内などの表示もできるだけわかりやすいものとなるよう工夫してまいります。
今後の設計等におきましては、民間事業者のノウハウや施工技術等によるさまざまな提案を最大限に活用し、綿密に検討をしてまいります。
○白石委員 騒音や振動、工事車両の出入りは医療活動に影響を及ぼすものと認識をされているということです。あわせて、影響を可能な限り小さくすることが重要とも述べられました。
だとするならば、全職員に工事期間中の具体的状況を周知できる環境を整えて、一般職員の意見を取り込みながら、全職員が連携できるようにすることが必要不可欠だと思います。一般職員からの意見集約などの仕組みが整っているのかというと、少し疑問に思う点もあります。全職員の意見を踏まえて検討することは、災害対応だけでなく、あらゆる面で重要だというふうに思います。
資料要求として本日提出された資料の中に、月一回程度、PTを開催して、各部門の意見等を集約しているという資料がお手元の3になりますが、広尾病院整備基本計画(案)の作成に係る職員の意見集約の方法と主な意見、この意見集約方法に記載もされているというふうに思いますが、月一回程度、PTを開催して、各部門の意見等を集約しているということだと思います。
各部門の責任者、職員以上での打ち合わせだけじゃなくて、一般職員を含めた全職員の意見を反映する仕組みをつくるべきだと私は考えますけれども、いかがでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後の設計等におきましては、施設設備等の使い勝手等、より現場に近い職員の意見も大切になります。病院長以下、各部門の責任者が部門内の意見を実現可能性を踏まえて集約し、それを持ち寄って検討をしてまいります。
○白石委員 より現場に近い職員の意見は大切だ、部門内の意見を持ち寄って検討する、このような答弁でした。大変重要な答弁だと思います。その立場で、全職員が連携できる体制づくりを強化していただきたいというふうに改めて要望したいと思います。
広尾病院は、都心部、二十三区唯一の基幹災害拠点病院として位置づけられております。首都直下地震など、災害はいつ起こるかわかりません。基幹災害拠点病院として、発災時においても迅速に役割を発揮できるように、日ごろからの実践的な訓練は欠かせないものと思います。
そこで、工事期間中の訓練などはどのようにされるのか伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工事期間中においても、広尾病院が大都市における災害医療のリーディングホスピタルの役割を果たしていくことは重要でございます。
そのため、災害時の優先業務や対応手順等を定めたBCPを策定し、迅速に対応できる体制を構築してございまして、かつ訓練結果を踏まえて適切に見直しを実施してございます。
工事期間中も、工事手順ごとに病院スタッフの初動対応や重症度別の患者動線などにつきまして、建物配置に応じてBCPを柔軟に見直すとともに、適切に訓練を行ってまいります。
○白石委員 工事期間中は、スペースの確保など多くの面で制約がかかるというふうに思います。だからこそ、工事期間中に大規模災害が起こっても医療活動が行えるように、実践的な訓練とともに、その訓練結果を踏まえ、災害対応の見直しを行うよう求めておきたいと思います。
また、基本構想では、地域との連携の強化が強調をされておりました。近年の災害が激甚化するもと、地域連携の位置づけと重要性はこれまで以上に増していると思います。それだけに、関係機関等が実践的な訓練に参加をすることや、詳細な調整を行うように改めて求めておきたいというふうに思います。
さて、次に、PFIについて何点か伺いたいと思います。
まず初めに、整備基本計画案では、PFI方式での整備手法が記載をされております。整備基本計画案に盛り込まれるまでに、このPFI、どのような議論がされたのか具体的にご答弁をお願いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現地建てかえに伴います特徴などを踏まえつつ、整備手法として、従来方式とPFI方式とを、そのメリットとデメリットの視点から、病院経営本部内において検討し、計画案として取りまとめたものでございます。
○白石委員 PFI方式が記載された理由というのは、今のご答弁では、病院経営本部が検討し、この整備基本計画案に盛り込んだということになります。
それでは、続いて伺いたいと思いますけれども、現時点ではPFI方式がより適している整備手法と考えられると記載がされています。たしか四九ページになるかというふうに思います。より適したと評価をしたのであれば、従来方式と具体的に比較がなされなければ、評価を加えることができないことは誰もがわかることだと思います。
そこで、どのような比較を行ったのか具体的に伺いたいというふうに思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本基本計画案におきまして、現地建てかえに伴う特徴などを踏まえつつ、整備手法として従来方式とPFI方式とを、そのメリットとデメリットの視点から検討をしてございます。
今後、PFI方式を採用する場合に、包括発注に含める業務の範囲や、従来方式と比べてPFI方式の方が総事業費をどれだけ削減できるかという、いわゆるVFMを算定するなど、より詳細な検討を行った上で最適な整備手法の決定を行ってまいります。
○白石委員 先ほどと同じ答弁です。広尾病院の整備において、具体的にどのような比較や分析がされたのか、全くお答えになっていません。
どのような比較と分析が具体的に行われ、広尾病院では、より適した方式がPFIであると導き出されたのでしょうか、改めてご答弁お願いします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本整備におきましては、日常診療を継続しながら、解体と建築を三期に分けて繰り返すローリング計画となっているのが特徴でありまして、これを円滑に進めるためには、全工程をシームレスに管理し、計画的かつ円滑に工事を進めていくことが必要でございます。
また、工期が延びるような不測の事態を回避することや、工事期間中のヘリコプターの離発着等に対しまして、安全面に最大限の配慮を行う必要もございます。
PFI方式では、設計、施工と維持管理とを一括発注し契約することで、工期短縮が可能となるほか、一貫した施工管理により事業者間の調整も図りやすく、都からの安全面の指示の徹底なども行いやすいことから、今回の整備に、より適していると考えてございます。
○白石委員 答弁を長々されましたけれども、全く答えていないんですね。安全の配慮は別に従来方式だってやるべきですし、そういうふうなことをいろいろつけながらも、結局は、どのような比較と分析が具体的にこの広尾病院の整備について行われたのか、より適したという方式がPFIと記載されているんですから、本来であれば、このような具体的な分析、そして比較が絶対的に行われなければいけない。そういうふうな中で、なかなかご答弁されないということで、聞き方を変えたいと思います。
従来方式の場合とPFI方式の場合のスケジュールや費用の比較は、この計画案を策定するに当たって行ったのか伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現時点におきましては、本整備ではPFI方式がより適していると考えられることから、PFI方式を採用した場合の暫定的なスケジュールを見込んだものでございます。
○白石委員 つまりごまかしですね。何もやっていないということです。これは私も最初から確認はしておりますけれども、現時点で従来方式の場合とPFI方式の場合、スケジュールも費用もしっかりと比較はされていないというのが現状なんです。先ほどから何ら具体的な根拠が示されておりません。つまり、具体的な比較や分析などされていないということなんです。
何の比較も分析もしていないことを、さらに一つ一つ明らかにしていきたいと思います。
この整備基本計画案を策定する土台は、二〇一七年十一月に取りまとめた広尾病院整備基本構想であるとされております。この基本構想で掲げられた整備方針を具体化するために、条件や課題を整理したものが整備基本計画案であり、つまり、基本構想が土台であるということです。
それでは、その基本構想にPFIの検討がなされているのか。私、読みましたけれども、一切触れられておりません。
そこで、基本構想でPFIが検討された事実はあるのか確認をしたいと思います。いかがでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院整備基本構想は、学識経験者や医師会代表者、行政関係者等で構成された首都災害医療センター(仮称)基本構想検討委員会--当時は仮称でございました--からの報告書及び委員から提出された新病院の整備地に関する意見についてを踏まえまして、新病院が担う役割や機能等に関する都の方針を明確にするため策定したものでございます。
基本構想におきましては、詳細については、今後、基本計画において検討していきますとしており、整備手法についての具体的な検討は行ってございません。
○白石委員 最後の一言が余り聞こえなかったので、もう一度伺いたいと思いますが、要するに、整備手法についての具体的検討は行っていないということでよろしいでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 失礼しました。改めましてもう一度ご答弁申し上げます。
広尾病院整備基本構想は、学識経験者や医師会代表者、行政関係者等で構成された首都災害医療センター(仮称)基本構想検討委員会からの報告書及び委員から提出された新病院の整備地に関する意見についてを踏まえまして、新病院が担う役割や機能等に関する都の方針を明確にするため策定したものでございます。
本基本構想におきましては、詳細については、今後、基本計画において検討していきますとしており、整備手法についての具体的な検討は行ってございません。
○白石委員 答弁ではっきりしました。基本構想の中では具体的な検討は行っていないということを確認いたしました。
続いて、基本計画案を策定するに当たり、久米設計に調整委託がされております。そのタイトルが、広尾病院及び広尾看護専門学校整備基本計画策定支援事業の最終報告書です。その最終報告書がことしの三月に病院経営本部に提出をされております。
この最終報告書では、PFI方式の調査検討がなされているのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院及び広尾看護専門学校整備基本計画策定支援業務委託の業務内容は、建物配置の検討等についての技術的な業務であり、整備手法の調査は含まれてございません。
○白石委員 今のでも明らかになりました。委託調査された最終報告書も、技術的なもので、PFI方式の検討はされていないということです。
ほかに広尾病院の整備手法の調査がされていないのか、私、疑問でしたので、資料要求を行いました。そうしたところ、お手元に配布をされているというふうに思いますけれども、広尾病院の改築に当たってのPFI方式についての検討経過という資料が本日委員会に提出をされております。そこには、先月に、広尾病院及び広尾看護専門学校整備に係るPFI等の導入可能性調査業務委託の中間報告書がみずほ総研から提出をされています。
この中間報告書はどのような位置づけのものなのか、また、整備基本計画案に反映されているのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院及び広尾看護専門学校整備に係るPFI等導入可能性調査業務委託の中間報告書についてでございますが、PFI方式を含む民間委託事業方式の導入可能性を検討することを目的として実施している調査の中間の報告と位置づけてございます。
PFI方式に関する資料の一つとして位置づけてあり、本基本計画案の内容を定めるものとしての活用は図ってございません。
○白石委員 この資料も整備基本計画案には活用していないという答弁なんです。つまり、土台となる基本構想でも、そして、今日に至るまでの委託調査においても、検討や分析は全くといっていいほどされていないということがこれまでの質問で明確になりました。
にもかかわらず、この整備基本計画案のPFIがより適した整備手法との記載は問題だというふうに思いますが、経営本部長に伺いたいと思います。
今のこの状況、そして、記載もされていない、具体的に検討も、そして分析もされていないという中で、より適した整備手法と評価を加えて記載をしたというのは非常に問題だと思いますけど、どうでしょうか。
○堤病院経営本部長 結論から申しますと、問題とは思っておりません。
と申しますのは、この計画案にも書いてございますとおり、この間、計画案が明らかになる中で、先ほど部長からも答弁をいたしましたローリング方式というのがはっきりしてまいりました。現地で建てかえをすることになりますと、三期、十年にわたりましてローリングで工事をしていかなきゃいけない。そのためには、この計画案の言葉をかりれば、シームレスな形で工事、解体、それから建築、まず設計からということになりますけれども--をやっていかなきゃいけないということになってまいります。
ですので、私どもといたしましては、今の段階でこういう情報がある限りは、私どもがこの整備工事、建築をするわけですので、私どもの今の状況の考え方としては、PFIが妥当であるということをむしろ積極的にお示しをして、これを今、実際にはパブリックコメントにもかけておりますわけですし、きょうも各先生方から整備手法についてのご質疑をいただいております。この議論を踏まえて決定していくべきだというふうに考えております。
先ほど来ご指摘がございました金額ですとか、そういうようなことにつきましては、これから明らかになる中でお示しをするわけですし、先ほどからのご質疑にもありますとおり、最終的には、PFI法の手続にのっとって議会にお示しをした上で、PFIにするのであれば採用していくというわけですから、私どもとしては、今の段階で、これをむしろ議会の皆様、それから都民の皆様にお示ししていくことが最適だと考えて、事業の施行者の責任としてPFI方式の方がより妥当であるということを記載したものでございます。
○白石委員 まず、議論を踏まえて--今後、別にPFIが決定されたわけでもないです、従来方式と比較をしながらやっていくというのがこれまでの答弁でした。
現在、私が質問をしたのは、PFI方式がこういうふうなメリット、デメリットあるよといっていますけれども、従来方式との比較が本来なければ、都民も、そして議会側も議論すらできないということだと思います。今の現状でいけば、それがやられていないというのが今の現状なんだということなんです。
そういう立場から、例えばPFIがこれだけ適しているんだというのであれば、ちゃんと比較をして、分析をして、資料を提示して、本来議論をするということが求められるというふうに思いますけれども、経営本部長、どうでしょうか。
○堤病院経営本部長 先ほど来申し上げておりますが、今の副委員長のご意見も含めて、さまざまなご意見をいただくために基本計画案としてお示しをしているわけですから、ご意見としては承らせていただきます。
ただ、従来方式の比較ということでいえば、先ほど部長もご答弁申し上げましたとおり、さまざまな工事が錯綜する中で、それをシームレスに行えるということはPFIの特徴であることは事実でございますので、そういうことも踏まえまして、これからさまざまな意見をお伺いしながら、工事手法を決めてまいりたいというふうに考えております。
○白石委員 さまざまな意見を踏まえながらと。さまざまな意見を踏まえるには、そして、どっちの方がより適しているのかというのを、本来議論をするには、しっかりとした資料がなければ、これは検討することができないということだというふうに思います。
私は、活用がされていないとはいえ、PFI方式の導入可能性調査中間報告書がここで出されているということで、これ読みました。読みましたけど、PFIありきの報告書にすぎないと、本当につくづく思いました。
例えば、PFI方式で参入したいと思っている民間事業者七者を集めてヒアリングを行ったと、このように中間報告書では書いております。そして、その七者全てが、業務範囲をどこまでにするかはあるにしても、PFI方式が効果的と回答が、この中間報告書ではされております。
また、コストが削減できるとみんないっていると、このようにこの報告書では、PFIでコストを削減できる根拠の一つとして示されているということなんです。
そもそも、PFIを既に行っていたり、行うことに関心があり、PFI事業を受注できれば自社への利益につながる業者が、実はPFI方式は効果的じゃありませんなんていうわけないんですよ。そういうふうな、しょせんそういう中間報告になっているというのは、私は驚きました。けれども、その業者の意見がPFI方式を効果的とする根拠にされ、さらに、業者の意見をもとに、コスト削減率や金額が試算をされているということなんです。
このような報告書が根拠にされて都民の莫大な税金が使われたら、取り返しがつかないと本当に思いました。しかしながら、これは整備基本計画案には活用されていないということなので、ここでとどめておきますけれども、私が見た率直な感想です。
論点をもとに戻しますけれども、ほとんど検証や分析がなされていないにもかかわらず、PFI方式がより適していると述べるのは、結局、最初からPFIありきではないかといわざるを得ない、思わざるを得ないと思います。
既に都立病院で行っている三つのPFIの事業の費用は膨らんでおり、特に多摩総合、小児総合と駒込病院では、今の水準の支出が続けば、今の契約額を数百億円規模で上回るというような想定になります。しかし、その要因は精査中ということで、明確にされておりません。
PFI事業は、VFMといって、同じ仕事をより安くできることを前面に出して行われますが、その大もとに疑問が現状で生じているんだということなんです。にもかかわらず、PFIという結論ありきで進めることは、やはり断じて許されないというふうに思います。
だからこそ今、こういう形で、私、質問を繰り返してきましたけれども、しっかりと、まずは検証であったり、そして必要な資料も含めて出すということが求められるのではないでしょうか。
部長、何かいいたそうなので、どうぞ。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほど小宮理事の方にもご答弁申し上げた内容になってございます。
今回の基本計画案においてお示しした整備手法であります従来方式とPFI方式につきましては、比較検討することによって最適な整備手法を今後決定してまいります。
PFI方式の導入の適否につきましては、従来方式とのコスト比較によるVFMの算定やリスク分担などを踏まえたPFI事業の実施の妥当性を綿密に検討する必要がございます。
このため、施設に関します知識、技術等々を持ち合わせているアドバイザーを活用しながら今後詳細な検討を行い、事業スキームの妥当性、実現性、あるいは財政負担の試算など、こういったものが整理された段階で、PFI方式の導入の適否を判断させていただきます。
○白石委員 今、部長答弁されたとおり、今後、具体的に検討していくということなんです。
今、現時点で、より適しているかどうかは、その資料すらないというのが現状なんです。それを、この整備基本計画案の中では、より適しているというような表現を使って、あたかもPFIがこれに適しているというような、誘導するような、私、こういう書き方はやはり許されないというふうに思っているんです。本当にそうだと思うんであれば、しっかりと、まずは検討をしていくといったところで、具体的に議会側にも資料も提示していくし、そういう中での議論を踏まえていくというのが当然あるべき姿だというふうに思っております。
そのことを強く指摘もいたしまして、今後、私たち日本共産党としては、このPFI方式を含めて、整備手法というのがやはり都民の莫大な税金が使われるというような、そういう中で、都民により適した、そして利益になる広尾病院整備のために全力を尽くしていきたいという決意も述べさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
○斉藤委員 現在、東京都は、都立病院の運営形態についても検討をしていますが、今後どのような運営形態になったとしても、広尾病院が担う行政的医療の役割をしっかりと果たしていっていただけるようにという思いから質疑をさせていただきます。
まず、災害医療機能の強化について伺います。
私たち東京みらいでは、先日、南海トラフ地震等の大規模災害への備えも進める基幹災害拠点病院である静岡県立病院機構に視察に伺い、災害時に災害対策本部として使用される防災対応スペースを拝見してまいりました。壁一面がホワイトボードになっていて、さまざまな情報を書き込めるようになっていたり、状況の変化に応じてフレキシブルに部屋の用途が変えられるようにと配慮されていることなども、東京都でも今後参考にできそうな部分が多々あったと感じています。
そこでまず、都立広尾病院整備計画基本案では、災害時における患者の多数発生時に対応可能なスペースを確保するとされているが、どのように行うのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本計画案におきましては、発災時には、平時の四百床の二倍である八百床程度の病床を確保することとしてございます。
具体的には、二床室を六床室として、あるいは一床室を二床室として運用し、この増床分についても医療ガスを整備いたします。また、各病棟に設置いたします災害対応室、エントランスホール、外来待合にも医療ガスを整備してまいります。
さらに、広尾病院と一体的に整備する広尾看護専門学校におきましても、入院患者の一部を受け入れてまいります。
こうしたことによりまして、広尾病院が大都市における災害医療のリーディングホスピタルとして、いつでも、どのような状況にも即応できる体制を整備してまいります。
○斉藤委員 発災時には平時の二倍の病床を確保されることや、そのためにそもそものスペースにもかなり余裕を持って建設計画をされていることがわかりました。また、病室以外にも医療ガスを整備することや、広尾看護専門学校でも患者の一部を受け入れする計画であるということで、ぜひ今後、施設計画と同時に、大規模災害に備えた広尾病院独自の防災訓練を実施することなども検討していっていただきたいと思います。
次に、病院にとって求められる最先端設備や技術を備えるためのたゆまない研さんについて伺います。
静岡県立病院機構の先端医学棟は、最先端の手術が行える手術室二十二室や、研究を行うリサーチサポートセンター、乳幼児聴覚支援センターなどを擁しておりますが、従来の手術室の一・五倍の広さがとられていることや、今後、部屋の広さ変更などが生じた際にも対応できるよう、電源系統は全て天井部分を通すようにしていたり、鉄骨を使うことで部屋の中にある柱の数を減らすなどの工夫が施されていました。こうした取り組みは、全て今後の医療環境変化に対応するためと伺っております。
今後、医療ニーズ等の変化に耐えられるようにどのような工夫を行う予定か伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 計画案の策定に当たりましては、将来の医療機器の更新や改修などに考慮してございます。例えば、手術部門におきましては、器材室の広さを手術室と同程度の面積とするなどスペースを広くとっているほか、予備室を一室設けておくなど、今後の状況の変化にも柔軟に対応できる計画としてございます。
また、電気機械等の設備につきましても、日常のメンテナンスはもとより、将来の機器更新を見据えた設計とするよう計画してございます。
今後も医療を取り巻く環境は大きく変化していくと考えられるため、本計画の内容につきましては、設計時等に改めて必要な調整を実施してまいります。
○斉藤委員 内容については、設計時等に改めて必要な調整を実施するということでありますが、例えば、より精度の高い手術を行えるようにするためには、同一の手術室内で高度な画像診断に基づいて、精密で正確な手術が可能となるMRIやCT、血管造影などの機器を併設されたハイブリッド手術室等を設置することも含めて検討していただきたいと要望しておきます。
次に、病院が、特に志の高い若い医療人材を確保することの重要性を鑑みまして、医師の人材確保に向けた取り組みを伺わせていただきます。
医師の人材確保に向けて、各地の病院で臨床研究分野を強化したり、施設としても研究室や技術向上を図るトレーニング施設を整備することなどに尽力している例を見てまいりました。
都立広尾病院も、特に若手医師の人材育成に資する機能を備えるべきであると考えますが、都の取り組みを伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十年三月に策定いたしました都立病院新改革実行プラン二〇一八におきましては、医師の人材確保につながる環境整備について検討することとしてございます。
このため、新病院では、従来の医局とは別に研修医専用の医局を整備するほか、研修医の学習環境を整えるため、研修医医局の近辺に図書室を配置することとしてございます。
また、医師が手技を練習するシミュレーターの配備や、臨床研究支援室の整備も行ってまいります。
こうしたことによりまして、研修医等が効果的に研究、自己研さんに取り組めるように環境を整備してまいります。
○斉藤委員 臨床研究支援室や研修医医局や図書室が設置される予定であるということがわかりました。
さきの静岡の方では、メディカルスキルアップセンターというものや薬学教育・研究センターというものを設けていることや、その中に専攻医の後期臨床研修を受け入れて、院内に指導教授が滞在することができる研究室も設けられていたのは正直驚きました。
各所の病院で本当に志の高い優秀な医療人材を招き入れるために、施設面から大変努力と工夫をされて、正直この部分は、いかに魅力ある病院づくりをするかという競争が大変激しくなっているということも感じました。
医師の方々にとっては、みずからの専門分野をより深く、そしてより最先端の環境で学ぶことができる環境というのは大変魅力的であると伺っております。ぜひこの部分は今後さらに重要かつ必要な機能として、都として十分に研究支援の強化を進めていただきたいと要望いたします。
次に、少し話が変わりますが、エネルギー供給体制について伺います。
エネルギーの合理化及び環境負荷の低減をいかに図るか、利用する予定の自然エネルギー、再生可能エネルギーは何で、どの程度の熱量か伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新病院では、今後、都において策定いたしますゼロエミッション東京戦略も踏まえ、エネルギー効率にすぐれた設備を導入してまいります。
エネルギー効率化や環境負荷低減の度合い、使用する自然エネルギーの種類や熱量等につきましては、今後の設計等において具体化してまいります。
○斉藤委員 省エネルギー設備の導入というのが計画に入っているんですけれども、災害時のために井戸設備を設けるとありますが、例えば井戸揚水を設備全体の省エネ、熱交換に利用することは検討しておられますでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本計画案におきましては、災害発生による給水設備の損傷等にも備えまして、災害用井戸を設置することとしてございます。また、災害用井戸は、災害発生時に病院が必要な給水量を確保した上で、状況に応じて地域に開放することも検討してまいります。
井戸水の省エネへの活用につきましては、これらの本来の目的を前提としつつ、効果と整備に要するコストとのバランス、これを踏まえて検討をしてまいります。
○斉藤委員 ありがとうございます。
とっぴなことに聞こえるかもしれないんですけれども、先日、ZEBで有名な小田原市の鈴廣本社を視察してまいりまして、教えていただいたのが、井戸水が地中熱などよりも大変有効な熱源となるという事実でございます。
地中熱と井戸水を利用したハイブリッドシステムでは、年間電力使用量を約二〇%削減することができまして、また、地下水を利用して水熱源の空調、給湯システムをつくっているんですが、一年中ほぼ温度の変化のない井戸水は、夏は外気を冷やし、冬は暖めるということで、大変有効な熱量を有しているということ、また、冷暖房よりも、人が長時間、体に当てられても、大変体に優しい空調システムであるということも伺っておりまして、ぜひ井戸水の活用方法の一つとしてご検討いただきたいと思います。
その他施設について伺ってまいります。
外国人患者の受け入れ体制充実は重要と考えますが、礼拝堂の必要性はどう検討した結果か伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 外国人患者の受け入れも都立病院の重要な役割であり、その中で広尾病院は、平成二十八年度及び二十九年度に、厚生労働省により外国人患者受け入れ拠点病院に選定されるなど、外国人医療の拠点的役割を担ってございます。
新病院は、外国人患者の受け入れ体制を一層充実させることといたしまして、外国語での案内等に加えて、礼拝室などを整備することとしてございます。
国の官公庁におきましても、平成三十年五月に観光戦略実行推進タスクフォースにおいて取りまとめられた訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プランの中で、ムスリムの多い東南アジアからの訪日旅行者の増加を背景に礼拝環境の整備を促進することとしており、こうした国の動きも踏まえ計画したものでございます。
○斉藤委員 ご説明ありがとうございました。これまでになかったものでしたので、最初は特定の宗教についての施設を設けるということに都民の理解が得られるかと少々疑問も抱いた部分はあったんですけれども、今ご説明をいただいたように、広尾病院は平成二十八年度及び二十九年度に、厚生労働省から外国人患者受け入れ拠点病院に選定されたこと、また、平成三十年五月に、ムスリムの多い東南アジアからの訪日旅行者の増加を背景に礼拝環境の整備促進をするようにと国の官公庁もアクションプランを取りまとめたことなどが背景にあるということで理解をいたしました。
ちなみにですけれども、空港などでも礼拝室が設けられているところは多いんですけれども、北海道の新千歳空港では、祈祷室として、宗教を限定せず、どなたでもお使いいただけるスペースとして開放されています。都でもこのような汎用性を高めるようなご配慮もいただけるように要望をいたします。
次に、保育施設について伺います。
先ほど、まつば理事からも少しご質問があったんですけれども、少し自分の質問がまたちょっと違う部分もありますので、質問させていただきます。
院内保育施設はありますでしょうか、また、想定する施設規模は、そして、病児、病後保育も含め地域開放についてどう検討されているか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本計画案におきましては、職員宿舎建物内に院内保育室を整備することとしてございます。整備する規模につきましては設計時に検討をしてまいります。
また、院内保育室の定員のあきを活用した地域開放は、職員の利用状況等を踏まえ、今後検討してまいります。
先ほど、まつば理事の方にもご答弁申し上げましたけれども、病児、病後児保育につきましても、地元自治体のニーズを踏まえ、今後検討してまいります。
○斉藤委員 基本的には、院内保育室は職員の利用が最優先ということで、ぜひそれはそのようにしていただきたいと思いますけれども、例えば、千名近い職員のうち、若い二十代、三十代が多く働いているという健康長寿医療センターがありますけれども、あちらの方でも保育室があるんですけれども、実際には自宅に近い保育所に預ける職員も大変多いということで、実際、職員で利用されているのは八名だけという現状を伺ってきました。
都の院内保育室として、ぜひこちらは地域に開放されまして、また、民間事業者にとって利用者数が安定せず、採算確保が難しいという病児、病後保育も、できれば渋谷区のみならず、近隣、港区や品川区も含めて広域的に利用希望者を受け入れていただけるように検討していただくことを要望いたします。
最後に、多摩産材の活用について伺いたいと思います。
特に食堂やロビー、ラウンジなどの共用部分ですけれども、多摩産材などを活用したインテリアプランの検討などを行われているかどうか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩産材の利用促進の取り組みは重要でございまして、また、患者に癒しの療養環境を提供するためにも有効でございます。
具体的に用いる資材等につきましては、内装等の詳細の検討の中で決定していきたいと考えてございます。
○斉藤委員 おっしゃるとおり、静岡県立病院機構でも、木製のルーバーなどを設けることで、一見冷たくなりがちな病院の中に温かく、大変やわらかみのある空間をつくり出すことに成功していることが印象的でございました。
静岡の方では安倍川流域産のヒノキを使われておりましたが、都立広尾病院では、ぜひ多摩産材を活用することを検討していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○岡本委員 では、私からは、私債権の放棄について質問させていただきます。
昨年、一昨年と、この委員会で質問させていただきました。その内容を踏まえて、また改めて質問させていただきます。
一昨年の平成二十九年九月二十九日の厚生委員会におきまして、都立病院の未収金対策の取り組みとして、弁護士の活用について質問をさせていただきました。病院では対応困難な案件については、法律事務所に回収を委任しているという答弁でありましたが、直近の弁護士委任の件数と、その成果についてお伺いいたします。
○西川サービス推進部長 病院経営本部におきましては、未収金の縮減を図るため、全ての都立病院及び本部に回収業務を専任とする非常勤職員を配置し、電話や文書による迅速な催告を実施しております。
一方、交渉に応じないなど病院では対応が困難な案件につきましては、平成二十三年度から弁護士事務所に回収の交渉を委任しておりまして、直近の実績といたしましては、平成二十九年度に弁護士委任した件数は百二十六件でございまして、金額は約二千七百九十八万円でございます。このうち分割納付により今後支払いがなされるものを含め、納付の合意率は、委任金額全体に対して約三二%、金額に直しますと約八百九十三万円でございます。
○岡本委員 一昨年のご答弁では、平成二十七年度に七千二百二十二万円の委任であったということに比べると、金額自体は大分少なかったのかなと、平成二十九年度は少なかったのかなというふうに伺いました。
合意率に関しては三二%ということで、余り変わっていないということだと思います。これについては、回収が困難な案件に関して、弁護士が介入することによって、三割以上交渉が成立しているということで、これは成果であるということで評価をいたしたいと思っております。
次に、一昨年の厚生委員会におきまして、弁護士について、未収金が発生する前の段階から活用することが有効であろうということ、回収が困難になってから相談するだけではなく、前段階から活用するという選択肢を検討するように提案申し上げました。
それにつきまして、回収の交渉委任以外にどのように弁護士を早期に活用されているのかお伺いいたします。
○西川サービス推進部長 平成二十九年度から都立病院の未収金の回収に実績のある法律事務所と契約を結びまして、未収金の回収に関するさまざまな法的問題について、病院の職員が専門知識と経験を有する弁護士から的確な助言を迅速に得られる体制を整備しております。
具体的には、相続人の特定や複数の相続人がいた場合の請求額の計算、時効の起算日の確定など、個々の事例に応じた法的助言を受けることが可能となっております。
また、同じく平成二十九年度から、未収金担当者に対しまして、弁護士を講師とした研修を実施しており、民法や戸籍法などの知識の習得など、職員の能力向上を図っております。
さらに、患者、家族からさまざまな相談にワンストップで対応する患者支援センターでは、平成三十年度から、全ての都立病院で患者の経済問題や成年後見の問題などを含めた弁護士による法律相談を実施することにより、患者の療養生活の支援とともに、未収金の発生防止にも取り組んでおります。
○岡本委員 ご答弁ありがとうございました。
先ほど研修についてもご答弁いただきました。弁護士から未収金担当者への研修について、私も研修のレジュメを拝見させていただきました。その中には、具体的なメールの相談も書いてありまして、具体的なメールでの相談がなされているんだということも拝見させていただきました。メールの相談や事例研究、また、最新の民法の改正についても触れられた研修の内容でして、非常に実務に即した内容だということを拝見させていただきました。実務的で、かつ役に立つ内容であるなということを、私、弁護士の立場からもそのように感じさせていただきました。
ぜひこうした弁護士の活用を引き続き図っていただいて、未収金の発生の防止、また、未収金の回収について、引き続き取り組んでいただきたいというふうに思います。
続きまして、昨年の委員会におきましては、特に外国人の未収金に関して質問させていただきました。平成三十年の十月二日の厚生委員会で質問させていただきましたが、それに引き続きまして、今回の平成三十年度に実施した私債権放棄に占める外国人患者の割合についてお伺いいたします。
○西川サービス推進部長 平成三十年度に実施いたしました私債権の放棄は全体で三百五件でございまして、そのうち外国人患者は四十七件、割合は一五・四%でございます。また、金額につきましては、全体が一千七百六万円でございまして、そのうち外国人患者に係る額は五百九十二万円で、割合にいたしますと三四・七%でございます。
なお、外国人患者の件数と放棄した金額につきましては、病院の担当者が氏名や面談などから外国人と判断をして集計をしたものでございます。
○岡本委員 昨年と金額は若干異なりますが、傾向としては、やはり同様に、件数に比して金額の割合が高いということがいえると思います。したがいまして、件数に比べて、比較的、外国人患者の私債権放棄金額は高額な傾向があるということがいえると思います。
それでは、私債権放棄の最も高額となった事例、また、外国人患者の代表的な高額事例についてお伺いいたします。
○西川サービス推進部長 外国人患者の代表的な高額事例といたしましては、患者が急病で都立病院を受診しましたが、不法滞在のため健康保険に加入しておらず、自費での入院となったものが挙げられます。
今回、最も放棄した金額が高額となった事例では、退院した後、分割納付により一部入金はされたものの、納付が途絶えたことから、居住確認のため区役所への住民登録照会、そして近隣住民への聞き取りなどを行ったわけですけれども、所在がわからず、入国管理局に確認をした結果、日本を出国したことが判明をいたしました。
所在が明らかなうちは電話での繰り返しの支払い督促を行い、また、所在が不明となった後も、相当程度の徴収努力を行ったにもかかわらず、最終的には回収不能と判断したことから、債権を放棄したものでございます。
保険証を持たない外国人の未収金対策として、受診時のパスポートなどの身分証確認など、引き続き医療費の回収に必要な情報の把握に努めてまいります。
○岡本委員 代表的な高額事例の中には、不法滞在で健康保険に加入していない事例もあるということであります。
外国人患者も含めてですが、そもそも、診察を求められた場合に、医療機関がそれを拒否できるのかというところが法的にいわれている点があります。これは医師法の第十九条ですけれど、医師法第十九条は、診察に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならないという規定がありまして、正当な事由がなければ拒んではならないというのが原則になっています。
これは反対に解釈すれば、正当な事由がある場合には断っていいのではないかということになるわけですけれど、この正当な事由がじゃあ何なのかというところが法律上の難しい議論があるところであります。
そもそも医師法十九条は、応招義務、招きに応ずる義務ということで応招義務と一般的にいわれていますけれど、この義務自体は公法上の義務で、ただ、刑事罰や行政処分等の実例はないということで、刑事罰はもともと規定されていないし、行政処分も特にない。ただ、訓示規定としてあるけれど、職業倫理規範として機能していて、医師個人や医療界にとって大きな意味を持っているということがいわれております。
これについて、近年、平成三十年度に研究報告が出されております。厚生労働行政推進調査事業補助金研究報告書として、医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応招義務の解釈に関する研究についてという研究報告がなされております。
この研究報告の内容は、過去の正当な事由についての解釈等も記載されておりまして、過去の正当な事由の解釈として、昭和二十四年の九月十日付厚生省医務局長通知において、正当な事由に関して、医業報酬が不払いであっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできないという規定があります。
ですので、医業報酬、支払いがないような場合であっても診療を拒むことはできないということが書いてあるんですけど、ここには、直ちにこれを理由としてという言葉があって、ほかにも事由が加われば、診療を拒むことができるのではないかという解釈の余地も残してはいるんですけれど、基本的に拒むことはできないということが示されていて、じゃあどういう場合にできるのか、どういう場合に医療を、診療を拒むことができるのかということは示されていないので、基本的には拒むことはできないということで解釈と運用がなされているんだというふうに思います。
ただ、この研究報告におきまして、さまざまな、昔とはまた事情が違うという状況もあって、基本的には、当時示されていたものというのは、開業医を念頭に、緊急の場合でも対応するといったことが念頭に置かれていた。それに比べて、現在では他の医師や医療機関による医療提供の可能性や、医療の代替可能性ということも踏まえて、新たに検討がなされるべきだということがいわれておりますので、この研究報告によれば、新しい解釈が検討されているというところであります。
その内容を少し紹介しますと、まず、一番大事なのは、患者について緊急対応が必要であるか否か、病状の深刻度、これによってまず分けて考えるということが示されています。この病状の深刻度がある場合には、もうこれは拒否はできないということで示されております。他方で--時間何分、そろそろ……
○栗林委員長 そろそろ。あと一分ぐらい。
○岡本委員 はい、わかりました。
病状が深刻でない場合には、これを比較して緩やかに判断してもよいということが示されておりますけれども、医療の不払いに関しては、この研究報告書におきましては、支払い能力があるにもかかわらず、悪意を持ってあえて支払わない場合に正当化されるといったようなことが示されております。
こうした研究報告も踏まえて、今後、厚生労働省において解釈通知を出すということがいわれておりますので、それも踏まえて慎重な検討や議論がなされる必要があるというふうに考えておりますということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十六分散会
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