委員長 | 栗林のり子君 |
副委員長 | 白石たみお君 |
副委員長 | 桐山ひとみ君 |
理事 | 小宮あんり君 |
理事 | まつば多美子君 |
理事 | 岡本こうき君 |
伊藤しょうこう君 | |
もり 愛君 | |
斉藤れいな君 | |
藤田りょうこ君 | |
清水 孝治君 | |
遠藤 守君 | |
後藤 なみ君 | |
木下ふみこ君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 児玉英一郎君 | |
サービス推進部長 | 山口 真君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 樋口 隆之君 | |
計画調整担当部長 | 末村 智子君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 病院経営本部所管分
・第十八号議案 平成三十一年度東京都病院会計予算
報告事項(質疑)
・多摩メディカル・キャンパス整備基本計画(案)について
○栗林委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○栗林委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成三十一年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成三十一年三月十四日
東京都議会議長 尾崎 大介
厚生委員長 栗林のり子殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(水)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成三十一年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六号議案 平成三十一年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七号議案 平成三十一年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十八号議案 平成三十一年度東京都病院会計予算
(別紙2省略)
○栗林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、病院経営本部所管分及び第十八号議案並びに報告事項、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画(案)についてを一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○児玉経営企画部長 去る二月十九日の本委員会で要求のございました資料につきまして、お手元配布の厚生委員会要求資料に基づきご説明申し上げます。
恐れ入りますが、表紙をおめくりください。
資料は、目次にございますように、合計十四件でございます。
一ページをごらんください。1、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員でございます。
(1)は都立病院、次ページの(2)は公社病院における平成三十一年二月一日現在の医師の診療科別定数及び現員を記載しております。
三ページをごらんください。2、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員でございます。
都立病院と公社病院における平成三十一年二月一日現在の職種別職員定数及び現員を記載しております。
四ページをお開き願います。3、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
都立病院と公社病院における看護要員の採用者数及び退職者数について、平成二十五年度から平成二十九年度までの推移を記載しております。
五ページをごらんください。4、都立病院及び公社病院における看護要員の夜勤回数の分布でございます。
(1)は三交代制、次ページの(2)は二交代制の職場における看護要員の夜勤回数につきまして、それぞれ平成三十年十月の実績を病院別に記載しております。
七ページをごらんください。5、都立病院及び公社病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数でございます。
平成二十九年における看護要員の年次有給休暇平均取得日数を病院別に記載しております。
八ページをお開き願います。6、都立病院及び公社病院における研修医受入状況でございます。
(1)は初期臨床研修医について、次ページの(2)は後期臨床研修医につきまして、それぞれ平成二十九年度及び平成三十年度の定数を病院別に記載しております。
一〇ページをお開き願います。7、都立病院におけるPFI事業に関わる経費の推移でございます。
平成二十七年度から平成三十一年度までのPFI事業にかかわる経費の推移を病院別に記載しております。
一一ページをごらんください。8、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費について、平成二十七年度から平成三十一年度までの推移を病院別に記載しております。
一二ページをお開き願います。9、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費につきまして、平成二十七年度から平成三十一年度までの推移を記載しております。
一三ページをごらんください。10、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成二十七年度から平成三十一年度までの都立病院における経営指標の推移を入院、外来別に記載しております。
続きまして、一四ページをお開き願います。11、公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成二十七年度から平成三十一年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
一五ページをごらんください。12、東京都から公社病院への診療科別医師派遣者数の推移でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までの診療科別医師派遣者数の推移について、このページから二〇ページにかけて、各公社病院ごとに記載しております。
二一ページをごらんください。13、都立病院における看護要員の離職率の推移でございます。
平成二十五年度から平成二十九年度までの都立病院における看護要員の離職率の推移を既卒、新卒別に記載しております。
二二ページをお開き願います。14、都立病院における専門看護師及び認定看護師の人数及び分野の内訳でございます。
(1)は専門看護師について、二三ページ及び二四ページの(2)は認定看護師について、それぞれ分野ごとの人数を病院別に記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○栗林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○桐山委員 それでは、私からは、報告事項案件、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画案、それから予算調査からは、東京ヘルスケアサポーターについてお伺いしていきたいと思います。
まず最初に、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画についてから質問させていただきます。
私自身は、昨年度、多摩メディカル・キャンパス整備基本構想の案が公表された際に、私ども都民ファーストの会の厚生委員会の前メンバーとともに、このキャンパスの三病院の視察を行ってまいりました。
各病院が、がんや難病、そして小児疾患など、特色のある専門医療を提供していること、院長を初め、現場のスタッフの先生方など、さまざまなお話を聞く中で、病院内の見学を通して感じたところでございます。
基本構想の策定から、もう約一年が経過をいたしまして、この基本計画案が、このたび報告をされたところでございます。
そこで、何点かお伺いしてまいります。
神経病院を視察させていただいた際に、いわゆる難治性疾患といわれるものが五千から七千とされている中で、医療費助成の対象となる指定難病が三百三十程度で、多くの原因不明で診断のつかない病で苦しんでいる方が多いという現状も、私どもも実際足を運ばせていただいて知ることができました。
また、本会期の一般質問におきましても、我が党の鳥居議員から、神経病院の難病医療の強化の取り組みについて質問を行わせていただきました。
病院経営本部長から、今年度から開始となった東京都難病診療連携拠点病院に、神経病院が多摩総合医療センターと一括して指定を受け、将来の難病医療センター、仮称ですけれども、この医療機能強化に向けて着実な取り組みがなされる旨の答弁がありました。
そして、この拠点病院には、難病の早期の正確な診断や治療といった役割が求められるとの答弁もありました。
正確な診断や治療を行っていく上で、新たな診断や治療法の開発が必要であると考えております。パーキンソン病など難病医療へのiPS細胞を使った再生医療の研究開始についても、テレビや新聞等を通じて報道がなされているところでございます。
この基本計画案によりますと、難病医療センターの開設時期としては二〇三〇年ごろとされているところでございますが、将来の医療環境を想像していった際に、難病のような未解明の分野というのは、研究がどんどん進んでいって、医学への応用もこれからなされていくのではないかというふうに期待が持てるところでございます。
そこで、この多摩メディカルキャンパスでは、今後どのような臨床研究を推進していくのかについてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 医学の発展のためには、さまざまな症例を活用した臨床研究を通じて、研究の有効性や安全性を確立することが重要でございます。
多摩メディカルキャンパスにおきましては、こうした考えのもと、キャンパスの集積メリットや各病院の強みを生かし、臨床研究を推進しています。
小児疾患や難病、がんといった希少性、専門性の高い分野におきます医師主導治験や、科学的、技術的な評価に基づいて国から配分されます研究資金等を獲得し社会貢献を果たす臨床研究、あるいは東京都医学総合研究所や首都大学東京などの他の研究機関と連携した臨床研究といった取り組みを積極的に進めてまいります。
○桐山委員 各病院が、がんや難病、そして小児疾患など特色のある専門医療を提供していく中で、強みを生かすということが大変重要かと思います。
このキャンパスで臨床研究を推進していくために、どのような体制を構築していくのかについてお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 キャンパスで臨床研究を推進していくため、これは仮称になりますが、難病医療センターの施設内に、各病院の強みや特色を生かした研究を実施するローカル研究室、これを整備するとともに、東京都医学総合研究所や首都大学東京などとの共同研究のための連携スペースを確保することにより、ハード面から臨床研究実施体制の強化を後押ししてまいります。
また、これらの臨床研究を支援する部門といたしまして、現在の小児総合医療センターの臨床研究支援センターを中心に体制の充実強化を図りまして、難病医療センター(仮称)の施設内に、こちらも仮称でございますが、キャンパス三病院共同利用の臨床研究支援センターを整備いたします。
この臨床研究支援センター(仮称)におきまして、各病院で実施いたしますローカル研究に対して情報やノウハウの提供、助言等の支援を行うことで、キャンパス全体及び各病院の臨床研究等に取り組むための環境を整備してまいります。
○桐山委員 仮称難病医療センターの整備を中心に、多摩メディカルキャンパスが多摩地域の医療拠点として、臨床研究等に積極的に取り組んでいく方向性というものがわかりました。
キャンパスでの臨床研究等の結果が、今後、都民の財産として医療に還元されることを願って、要望もしておきたいと思います。
一方で、キャンパス整備においては、今後、多くの投資がなされてまいります。この基本計画案では概算事業費が示されておりますが、総額で二百億円を超える巨額の費用がかかることになります。財政面においても、効率的な整備計画として進めていただきたいと思っております。
そこで、財政上も効率的な整備計画となるよう工夫した点などがあるのかお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 キャンパスの施設整備方針におきまして、スタッフが施設を効果的に活用できる環境整備や施設の共同利用の推進を掲げてございます。
こうした施設整備の考え方に基づきまして、病院間の連携及び病院内での患者、スタッフの利便性などを考慮し、効率的、効果的な運用を行っていけるよう施設配置するとともに、医療機器や施設の共同利用等によりまして、効率的な運営体制を検討してまいります。
今後、具体的な設計や施工に当たりましては、引き続きさまざまな工夫を行うことでコスト縮減に努めてまいります。
○桐山委員 整備方針においては、スタッフが施設を効果的に活用できる環境整備、あるいは施設の共同利用の推進、また医療機器の施設の共同利用ということにより、効率的な運営を図り、さまざまなコストの縮減を図られていくということで、今ご答弁をいただいたところです。
我々が常に申し上げておりますワイズスペンディングの視点に立ちまして、今、答弁がございましたように、整備事業費の縮減というものに向けて、あらゆる方策をたゆまず考え抜いていただきたいというふうに思っております。
中でも、整備手法によって整備事業費が大きく変わってくる可能性もありまして、どの手法を採用するかが今後重要なポイントになってくることでございまして、この基本計画案において、整備手法として今回二つの選択肢が示されております。
一つが、設計と施工を分離して発注する方式、これは今までどおりという、いわゆる従来方式というもの、そしてもう一つが、設計、施工、維持管理等を一括発注するPFIの方式であります。
この基本計画案において、それぞれのメリットとデメリットが示されておりますが、そこで、現在実施中のPFI事業の評価をした上で整備手法の検討をしたのかお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在実施中の多摩総合医療センター及び小児総合医療センターのPFI事業につきまして、施設整備などにおきまして一定の効果があったと考えてございますが、最終的な評価については、現在検討しているところでございます。
そのため、整備手法が決定しているものではございませんが、基本計画案では、整備手法としてPFI方式を選択肢の一つとして示したところでございます。
○桐山委員 従来方式、そしてPFI方式を今後比較してまいりますと、整備費用というのはどのような違いが出ると考えられるのか、そのあたりについてお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 基本計画案でお示しした概算事業費は、従来方式である設計と施工をそれぞれ個別発注として見積もった金額でございます。
PFI方式は、設計、施工と維持管理等を一括発注し契約することで、ライフサイクルコストを考慮した設計や、建設費と維持費のバランスのとれた施設提案が可能となるとともに、効率的な整備スケジュールにより、工期が相対的に短くなるというメリットがございます。
このようなPFI方式のメリットを生かすことによりまして、事業費の削減が期待できると考えてございます。
○桐山委員 今ご答弁にありましたように、PFI方式、これは民間の資金とノウハウを活用する手法ということで、最近では多くの公共施設等で選定されておる手法の一つだというふうに私も認識をさせていただいております。
この流れとしては、PFIというのは、やはり小さな政府、そして民営化、いわゆる行革といった意味での流れの一つとしても、我々なんかは捉えております。
そして、コスト縮減というものが、事業費の縮減が大変期待できるということも、今、公共施設等の整備計画の中で選定されている、いわゆる内容の一つといいますか、選定される理由の一つというふうにもいわれております。
そして、もう一点お伺いしたいのが、今後、整備手法を決定していくスケジュールなんですが、いつごろに発表されていかれるのかということについてお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 基本計画案におきましては、基本設計着手の前までには整備手法を決定することとしてございます。
基本設計は、二〇二〇年度以降に予算を計上の上、実施することを予定してございますため、遅くてもそれまでには決定することになります。
○桐山委員 ありがとうございました。
基本計画の策定後も、今も私も申し上げましたコストの縮減ということにしっかり着眼していただいて、引き続きワイズスペンディングの観点からも最適な整備手法をしっかりと検討していただいて、多摩メディカルキャンパスの整備事業をしっかりと推進して、多摩地域医療をしっかり担っていただくことで整備していただきたいということで、この質問に対しては終了させていただきたいと思います。
次に、予算の調査の方での東京ヘルスケアサポーターの事業についてお伺いをさせていただきたいと思います。
これは私も事務事業の中でも質疑をさせていただいておりますが、超高齢社会を迎えた東京におきましては、誰もが生き生きと暮らし続ける健康長寿社会を実現するためにも、一人一人がいわゆる健康の意識、健康知識、そういった情報をしっかりと自分自身が把握をし、気づいて、そして疾病の予防や健康づくり等に積極的に取り組んでいくということ、そして地域の中で、地域の方々同士でしっかりとそういった知識を生かしていただきながら支え合っていくということも大変重要かと思っています。
そして、都は、こうした健康長寿社会の実現に寄与するということで、今回、都立病院の人材やノウハウを活用して、医療、そして予防、健康づくり等に関する知識を身につけていただくということで、東京ヘルスケアサポーター養成講座を今年度より新設をされて、実施をされております。
第一回目の養成講座が、ことしの一月二十六日に実施をされたそうでございますが、これは非常に大盛況だったというふうに伺っております。
そこで、一月に開催した養成講座の実施状況についてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民が健康意識を高め、生涯現役で活躍できますよう、各都立病院がこれまで実施してまいった公開講座を体系化し、都立病院の医師等が専門的な知識と豊富な経験に基づきわかりやすく解説する東京ヘルスケアサポーター養成講座を、今年度から新たに実施することとしたものでございます。
本講座の受講修了者をサポーターに認定し、講座で得た知識等を参考に、みずからの健康づくりに積極的に取り組むとともに、家族や周囲の人とともに健康づくりに取り組むなど、地域の健康づくりの支え手として活躍していただくことを目指してございます。
本年一月、新宿区内で第一回目の東京ヘルスケアサポーター養成講座を開催いたしまして、加齢に伴いリスクが高まるがん、認知症、生活習慣病の三疾患に加えまして、昨今注目が集まってございますフレイル対策、あるいは地域包括ケアシステムの構築を見据えた医療との向き合い方の五項目の講義を実施いたしました。
募集定員二百名のところ、定員を大幅に上回ります一千百二十四名の申し込みがあり、受講者八百二十七名、こちらをサポーターに認定をさせていただいてございます。
○桐山委員 ありがとうございました。
本当にこの事業は、同じような内容の事業を各区市町村がやっているところもあろうかと思いますし、実施していない自治体にとっては、都立病院でこんなに募集をしていただいて、人が集まって、養成をされるということで非常に効果が上がり、また、その地域に戻ってこられる方々を活用するに当たっては、非常に効果がある事業だというふうに、私は大変歓迎をしたいというふうに思っております。
今回、そこで八百二十七名の方がサポーターとして認定--これは、募集定員二百名のところを千百二十四名の申し込みということはすごいことだと思いますが、その中で八百二十七名が認定されました。今後、このサポーターの方には、それぞれのお住まいの地域において、健康づくりの支え手として活躍が期待されるところだと思います。
そこで、実際に受講された方々の地域特性、あるいは年代別の内容について細かくお伺いしていきたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内の全区市から受講者が集まり、地域別に見ますと、区部が約七割、多摩地域が約三割、そのほかにも島しょ地域や他県から受講された方もいらっしゃいました。
年代別に見ますと、十代から八十代まで幅広い年齢層の方に受講していただき、中でも六十代が約三五%と最も多く、五十代以上で約九割を占めてございました。
○桐山委員 細かくありがとうございます。受講者は広く都内の各地域から参加をされていることがわかりましたし、また、活躍が期待されている、本来の病院経営本部さんが期待をしている層、そういった方々、いわゆるシニア世代の層というのが約九割近くを占めていることがわかりました。
多くの都民の方々が受講されている本講座をよりよくしていただくために、今後、受講者の声に耳を傾けていく必要があるというふうに考えますが、例えばアンケートなどとっていらっしゃいましたら、受講者の方々から、受講が終わった後、どのようなご意見があったのか、わかりましたらお教え願いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 受講者の意見を聞くためにアンケートを実施し、受講者の九五%の方から回答をいただきました。
アンケートでは、講座内容の評価や講座に参加しようと思った理由等について確認をしてございます。
アンケート結果では、講座内容について、受講者の八割以上が大変よかった、またはよかったと回答されており、受講者のニーズにかなう適切な内容であったと認識をしてございます。
また、本講座の受講をきっかけに今後取り組みたいと思うことについて複数回答可として確認したところ、家族や友人等、身近な方に本講座で学んだ知識を伝えると回答された方が約七割、次いで、区市町村等が実施する健康づくりの取り組みに参加すると回答された方が約四割となっており、受講者の多くの方が、地域の健康づくりに貢献する意欲があることがうかがえたところでございます。
○桐山委員 受講者の方々の声ということで、参加者の方はとても健康意識が高くて、地域の健康づくりに今後貢献する意欲のある方々が今回、サポーターになられたということがよくわかりました。
今年度の実施状況で、アンケートで得られました、こういった貴重なご意見を踏まえて、来年どのように事業展開を図っていくのかをお伺いしていきたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 受講者の約三割が多摩地域からの参加であったことを踏まえまして、多摩地域の方が受講しやすいよう、来年度は、区部に加え、多摩地域でも講座を開催いたします。
アンケートで得られた意見等も踏まえまして、サポーターの地域での健康づくりの取り組みを後押ししてまいります。
具体的には、サポーターの自主的な活動に資するよう、ホームページを活用し、地域の健康づくりの推進役であります区市町村の取り組み等を情報発信してまいります。
また、区市町村や健康づくりに取り組む団体等と、機会を捉え意見交換を行い、本事業の理解促進を図るとともに、サポーターを活用したモデルとなる取り組みの実施を働きかけるなど、連携に向けた具体的な検討を開始いたします。
○桐山委員 ありがとうございました。
アンケートの中身もそうですし、実際に受講された方々の地域特性や年代別の内訳等を見ましても、今ご答弁にありましたように、受講者の方の約三割が多摩地域ということで、区部に比べたら少し少なかったかなというふうな印象もあり、それらを考慮して、来年度からはバランスよく、できるだけ多くの方が受講しやすい環境をぜひ整備していただきたいと思いますし、来年度は多摩地域でも講座を開催していただくということで大変喜ばしいことかと思います。
やはりこういった元気高齢者を、今後いろんな側面から、福保もそうですけれども、病院経営本部の中で、都立病院を活用して--こういった元気高齢者支援という取り組みというのは、私は大変すばらしい取り組みかなというふうに、先ほども申し上げたように、そのように感じております。
そしてまた、区市町村で、前回の事務事業のときも申し上げたかと思うんですけど、地域に根差したサポーター制度というものがたくさんあろうかと思います。区市町村がそれぞれ努力をしながら積み上げていらっしゃる制度というのがあると思うんですね。
その中で、前回も申し上げた認知症サポーター制度とか、私の選挙区ですと、西東京ではフレイルサポーター制度というものが存在しておりますし、やはりそういった区市町村や関係団体としっかり連携をとって、こういうせっかくすばらしい初めての試みとして、都立病院の有能な医師たちが、その専門的な知識と経験を生かして都民に還元をしていただくというような、そういう講座をされるということなので、こういったことを、もちろんできるだけ周知を徹底していただきたいですし、そういった方々が地域に戻ったときに、その地域がそれをよくコーディネートしていただくような仕組みもしっかりつくっていかなければならないのかなというふうに考えております。
この取り組みが、都民の健康に対する機運醸成といいますか、しっかりと意識をもっとさらに高めていただき、それを浸透させて、地域にある地域包括ケアシステムの一助となるような積極的な取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤委員 それでは、私からは、一テーマ、すなわち地域医療構想と都立及び公社病院の休止病棟、この件についてお伺いをしたいと思います。
東京都は、平成二十八年七月に、二〇二五年に向けての病床の機能分化、連携を進めるための東京都地域医療構想を策定し、平成三十年四月には、東京都保健医療計画と一体化し、地域医療構想の達成に向けた取り組みの具現化を図り、一層推進していくこととしているわけであります。
また、地域医療構想の実現に向けて、構想区域にある、主に二次医療圏でありますけれども、それごとに地域医療構想調整会議を設置し、地域の医療関係者らが解決に向けた検討を行って、医療機関が自主的に病床の機能分化、そして連携、こうしたものに取り組むこととしているわけであります。
こうした中、平成三十年二月には、厚生労働省から、地域医療構想の進め方についてという文書が、そして平成三十年四月及び十一月には、福祉保健局から、病床が全て稼働していない病棟を有する医療機関における病床の稼働について--ちょっと長ったらしいですけれども、こうした文書が通知をされ、病院に対して、平成二十九年三月三十一日以前より一度も入院患者を収容しなかった病床のみで構成される病棟、いわゆる非稼働病棟がある場合、平成三十一年三月三十一日までに解消するように求められているわけであります。
この非稼働病棟を有効に活用し、二〇二五年を見据えた医療の姿を形づくっていくことは、東京都の医療行政にとって大変重要であって、都立病院、そして公社病院も、これに向けて適切に取り組んでもらいたいと思います。
そこでまず、現状として、都立病院、そして公社病院、ここには今回の通知の対象となる非稼働病棟があるのかないのか、あるとすれば、その経緯について伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院につきましては、今回の通知の対象となる、平成二十九年三月三十一日以前より非稼働の病棟はございません。
公社病院につきましては、豊島病院と荏原病院の二病院におきまして、今回の通知の対象となります非稼働病棟がございます。
豊島病院につきましては、平成十九年十月にNICU、GCU病棟、二十八床になりますが、これを休止し、GCUにつきましては平成二十一年四月に再開したものの、平成二十二年七月に再度休止し、現在に至ってございます。
これは、これまで医師確保に向けまして大学医局等への働きかけを行ってまいりましたが、新生児科医師の確保は大変困難なためでございます。
荏原病院につきましては、平成十九年八月に一病棟、こちらは四十三床になります、また平成二十一年十二月にさらに一病棟、こちらは四十五床になります、こちらを休止してございます。平成二十二年十一月に一病棟を再開いたしましたが、一病棟四十三床につきましては現在も再開に至ってございません。
これは、病棟再開に必要な看護師確保に至っていないことが主な原因でございます。
○遠藤委員 荏原と豊島、それぞれ事情が違うけれども、休止病棟があると、こういうことであります。
そこでまず、豊島病院のNICU、GCU病棟が非稼働病棟となっている、こういう答弁でありましたけれども、豊島病院の立地する地域で出産する方々が安心して出産ができる体制を何としても形づくって、維持、継続していかないといけないわけであります。
そこで、豊島病院における過去五年間の分娩件数の推移、これをまず答弁いただくとともに、新生児がNICU等で治療が必要になった場合、現在どのように対応しているのか、これについてお答えいただきたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊島病院におけます分娩件数は、平成二十五年度は六百四十三件、同二十六年度は六百八十五件、同二十七年度は七百十二件、同二十八年度は六百九十一件、同二十九年度は七百五十七件でございました。
豊島病院は、周産期母子医療センターとの連携のもと、ミドルリスクの妊産婦に対応する施設であります周産期連携病院に指定されてございます。
NICU等での治療が必要な新生児につきましては、母体胎児集中治療管理室、M-FICU及び新生児集中治療管理室、NICUを備えた医療機関であります総合周産期母子医療センターと連携し、対応してございます。
豊島病院で出産後、総合周産期母子医療センターへ搬送する件数は年間五件程度でございまして、円滑な受け入れが行われてございます。
○遠藤委員 豊島病院においては、年間五件程度、それはしっかりと周辺の総合医療病院によってカバーをしていると、こういうことだと理解しました。豊島病院はNICUやGCU病棟を有さないものの、総合周産期母子医療センターと連携して対応していると、これは日大の板橋病院等々だと思いますけれども、こういう答弁だったと思います。
次に、もう一つの休止病棟があります荏原病院は、私の地元である大田区にある病院であります。
この荏原病院については、看護師不足により二病棟を閉鎖し、その後、看護師の確保に本当に一生懸命、関係者の皆さんに力を尽くしていただいて、平成二十二年には一病棟を再開したものの、残念ながら現在も一病棟は非稼働となっている、こういう状況であります。
荏原病院の看護要員の充足状況について、また看護師確保に向けて、どのような取り組みをこれまで行ってきたか、そして現在行っているのか、これについて答弁を求めたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 荏原病院の看護要員の充足状況でございますが、平成三十年四月一日現在で、定数三百十五名に対しまして現員二百九十名で、二十五名の欠員でございました。
看護師確保に向けましては、インターンシップ制度の創設や二交代制勤務職場の拡大、育児短時間勤務制度の導入等の取り組みを行ってございます。
また、公社事務局によります一括採用や募集媒体の拡大、看護学校訪問、地方選考の実施、病院独自での採用活動、あるいは人材紹介会社の活用といった取り組みによりまして、確保に努めてございます。
平成三十年度は、四月二日以降、二十七名の中途採用を行いましたが、退職等もございまして、平成三十一年一月一日現在の現員は二百八十九名と、引き続き二十六名の欠員となってございます。
○遠藤委員 いろいろ頑張っていただいているけれども、二十六名が欠員と、こういうことであります。
本当に、民間病院も含めて、病院の経営というのは非常に厳しい状況にあるということで、いろいろと私の耳にも入ってきておりますけれども、荏原病院の過去五年間の病床利用率、この推移について伺いたいと思います。ここに病院経営についての難しさ等々が明らかに、はっきり出てくると思いますので、この病床利用率について伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 荏原病院の病床利用率の推移でございますが、非稼働病棟分も含めた予算病床ベースで、平成二十五年度は六六・九%、同二十六年度は六五・八%、同二十七年度は六一・八%、同二十八年度は五八・一%、同二十九年度は五八・五%となってございます。
病床利用率は減少してございますが、他の公社病院と同様に、平均の在院日数が、平成二十五年度の十四・六日から十二・〇日と短くなっておりますことから、平均在院日数の短縮の影響も大きいと考えてございます。
○遠藤委員 最後の答弁で、平均在院日数の短縮の影響がある、こういう答弁がありましたけれども、とはいえ、病床利用率が低下していることは、医療資源の有効活用や病院経営の観点から見れば、決して好ましいということはいえないと、このように思います。
今回の福祉保健局の通知では、冒頭申し上げましたとおり、平成三十一年三月三十一日をもって非稼働病棟の解消、これが求められているわけでありますけれども、その対応として、病棟の再開もしくは返還があるわけでありますけれども、今、質疑の話題となっています豊島病院及び荏原病院の非稼働病棟について、この福祉保健局の通知を踏まえて、病院経営本部としてどう対応していこうとしているのかお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 病院に必要な病床数は、病院に求められる役割を果たし、持続可能な病院経営を実現するために、地域の医療資源や連携の状況、当該病院の病床利用率等の患者の状況や医療スタッフ等の人的資源の状況、将来の医療ニーズ等を踏まえ、判断すべきものと考えてございます。
このため、今回ご質問いただいたように豊島病院については、新生児科医師の確保が大変困難であることや総合周産期母子医療センターとの連携状況等を踏まえ、また、荏原病院につきましては、看護師確保の見通しや病院の運営状況等を勘案しながら、公社とともに非稼働病棟の取り扱いについて検討してございまして、来年度早々に結論を出してまいりたいと考えてございます。
○遠藤委員 来年度早々に結論を出すということであります。丁寧な議論をよろしくお願いしたいと思います。
今、一連の答弁からは、病棟の再開はなかなか難しい、こういう状況を感じましたけれども、今後については、豊島病院及び荏原病院ともに、状況は違うわけでありますけれども、仮に非稼働病棟を返還したとしても、医療サービスの水準が下がったと、このようなことを周辺からいわれないように十分留意して検討してもらいたい、このように要望をしたいと思います。
一方で、少子高齢社会がさらに進展し、医療、介護サービスの需要が増大していく中、効率的かつ質の高い医療提供体制が求められており、現在使っていない非稼働病棟や病床については、現実と向き合って、真摯に、そして柔軟に検討することも、またこれも重要なことだと思います。
東京都全体では、これは推計値であると聞いておりますけれども、平成三十七年には病床が約八千不足すると、このように聞いております。
東京の医療政策を俯瞰して見たとき、非稼働病床については、例えば同じ二次医療圏内で不足する回復期等の病床、そうした医療機能として活用されることも有効であると思うわけであります。
豊島病院及び荏原病院は、地域医療支援病院として、地域が必要とする医療を適切に提供する役割を果たし、また、地域医療構想の構想区域である二次保健医療圏の状況も踏まえ、引き続き地域の医師会や医療関係等の意見も踏まえてしっかりと検討をした上で、非稼働病棟の今後について早期に結論を出していただきたいことを要望して、質問を終わります。
質問は終わりますけれども、一点だけ要望をさせていただきます。
これは福祉保健局の事業でありますけれども、都民や、また医師に対して医療情報等を提供する東京都医療機関・薬局案内サービス、ポータルサイトでありますけれども、「ひまわり」というものがあります。そこに、サブシステムとして、転院支援情報システムというシステムを、実は私の提案で都内の都立病院、公社病院を含む七百全ての病院が閲覧できる、こういう環境になっております。
この転院支援情報システムは、おおむね三カ月を超えると患者の方が別の病院に転院せざるを得なくなると、こういう患者、家族の皆さんに、少しでも、より近く、より安く、より高度な医療を提供できる、この情報を患者、家族の皆さんに提供するためのネットワークシステムであります。
私のもとには、いわゆる転院三カ月問題といわれる、こういう患者さんからたくさんの相談があって、次に転院するときにどこかいい病院を紹介してもらいたいという声が届いておった関係上から、このシステムを構築したわけでございますけれども、残念ながら、これは医療機関側が見ることができて、患者さんたち等々の一般には開放されていないシステムであります。いいかえれば、使うも使わないも病院次第ということであります。
残念ながら、都立病院、また公社病院の中にも、整備されていながら、これが使われていないという声が二、三聞こえてきました。
患者、家族の皆さんにとって、最も適切で、最も有効で、最も安心できる医療機関、都内に七百の病院があるわけですから、こうしたノウハウ、知識というのは、主に病院のMSWの方々が持っているものだと思いますけれども、こういうこれまで人間によって蓄積をしてきたノウハウと七百の病院が全部ネットワークで結ばれていて、そこで、そこの病院ではどういう患者を収容できる、どれぐらいの医療費がかかる、どれほどの金額がかかる云々かんぬんと、こういうのが一覧的にピックアップができるというシステムでありますので、ぜひ医療関係者、都立病院、公社病院かかわりなく、これをよくしっかりと使ってもらうように--そして、それはなぜかといえば、患者、家族の皆さんの安心のためということで広く普及啓発してもらいたいと。
「ひまわり」は、直接は福祉保健局の所管ですけれども、このことを病院経営本部としてもしっかりと頭と心にたたき込んでおいていただいて、利用していただきたいと、このように思います。
要望をもちまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○伊藤委員 それでは、多摩メディカルキャンパスの災害対応について伺います。
現在、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画案が公表され、具体的な施設整備の内容や整備スケジュールが示されました。そこで、重要な役割の一つである、災害時における継続した医療の確保について質問します。
昨今、地震や集中豪雨など、自然災害への対応が大きな課題となっております。そして、災害発生時に、都立病院には患者だけではなく、地域からの負傷者の受け入れなどにおいても大きな役割が求められています。
そこで、新たな病院整備に当たっての基本として、立地条件について確認します。
キャンパスのある地域はどのような災害が起こる可能性があるのか、また災害が発生した際にはどのような影響があるのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 府中市武蔵台に所在いたします多摩メディカルキャンパスは、平成三十年二月に都市整備局により公表されました地震に関する地域危険度測定調査におきまして、建物倒壊危険度及び火災危険度が最も低いランク一と評価されており、比較的危険度が低いと判断される地域でございます。
また、国分寺崖線上の丘陵地にございまして、府中市の水害ハザードマップの浸水想定区域に該当しておらず、水害の危険度が低い地域でもございます。
しかしながら、平成二十四年四月に総務局により公表されました首都直下地震等による東京の被害想定報告書によりますと、多摩直下地震が発生した際には、震度六強以上の範囲は多摩地域の四割とされてございます。
これらの状況を踏まえまして、大規模地震の発生時には、多摩メディカルキャンパス内の三つの都立病院におきまして、多数の負傷者等への対応が必要となることが想定されるものでございます。
○伊藤委員 多摩メディカルキャンパスは、地震や水害の影響は受けにくい地域ということでありました。
災害医療の拠点としての機能を発揮するには、立地的にはふさわしいということになろうかと思います。
それでは次に、医療関係の施設が集積するこのキャンパスの災害時の医療提供体制についての考え方について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカル・キャンパス整備基本計画案におきまして、地域災害拠点中核病院であります多摩総合医療センター及び小児総合医療センターを中心に、災害時にも安定的、継続的に医療を提供できますよう、キャンパス内の連携を強化していくこととしてございます。
具体的には、多摩総合医療センターと小児医療総合医療センターは主に重症者の収容や治療を担い、比較的症状の安定している患者等を難病医療センター(仮称)が受け入れることとしてございます。
また、府中療育センターや府中看護専門学校との間では、施設や物資の相互利用等の協力体制を構築することとしてございます。
こうしたキャンパス内の連携のみならず、地元自治体や地区医師会、地域医療機関との連絡体制を構築し、それぞれの役割分担のもとで、多くの傷病者等の受け入れ体制を充実させてまいります。
○伊藤委員 地域の災害拠点中核病院である多摩総合医療センター、小児総合医療センターを中心としたキャンパスの整備により、災害発生時の連携体制を充実強化していくことが確認できました。
それでは、新たに整備する仮称難病医療センターの施設面での災害対応策について、その詳細を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病医療センター(仮称)は、主に難病患者への専門医療を行うとともに、軽症者等を収容するという役割を踏まえ、災害時の継続的、安定的な医療を提供していくための十分な構造や設備などを備えた施設として整備いたします。
例えば、大規模地震発生時においても、病棟で患者が負傷することなく入院を継続できるよう、揺れを低減する免震構造を検討してまいります。
停電の際にも、入院患者や医療的ケアが必要な在宅難病患者の受け入れを中心とした診療を継続するため、七十二時間稼働可能な自家発電設備を整備いたします。
また、多摩総合医療センターでのトリアージ後の軽症者等の収容スペースとするため、メーン出入り口付近に多目的ホール等を配置いたします。
さらには、エレベーター停止時の上下移動の負担を軽減するため、医薬品や非常用食料、飲料水等の備蓄倉庫を院内各フロアに確保いたします。
このように、難病医療センター(仮称)の施設整備により、キャンパス全体の災害対応力のより一層の強化を図ってまいります。
○伊藤委員 多摩キャンパスにおける災害時の対応力の強化のために、新しく難病医療センターを整備するに当たって、構造や設備など、災害に強い施設として計画をしているということを確認いたしました。
さて、設備計画において、災害時に早期復旧可能なエネルギーの確保は不可欠です。
阪神・淡路並びに東日本大震災では、発災後、LPガスが緊急用エネルギーとして活用されました。LPガスは、施設ごとに個別に供給可能な分散型エネルギーなので、都市ガスや電力に比べて相対的に早く復旧できます。すなわち避難所や学校、病院など、公共性の高い施設にも適したエネルギーです。
この高い災害対応能力が評価され、全国の学校や公共施設では、LPガスを活用した災害対策に注目し導入した事例もありますので、今後、設備の計画の詳細を詰める際には、エネルギー確保の手段の一つとして、LPガスも都市ガス等との比較対象に入れて検討していただきたいと思います。
といいますのは、事前にいろいろ意見交換をさせていただいたんですが、まだその段階まで来ていないということなんですけど、大体公共施設を整備するときには、電気か都市ガス、これが基本になります。LPで、例えば空調とか、そういった分野をカバーできるというのはなかなか行政サイドにないものですから、多摩地域というのは、まだLPガスの供給もかなり高い地域もありますので、ぜひ比較対象の検討に入れていただきたいと思います。
ところで、基本計画の案では、外来がん検査・治療センターは二〇二五年度ごろ、そして難病医療センターは二〇三〇年度ごろの開設を目指すとのことです。よって、このままでは、キャンパス整備の完了は十年以上も先になります。
それでは、整備スケジュールについては、整備手法によっても違ってくると思いますが、どのように考えればいいのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 キャンパスの整備手法といたしましては、キャンパス内の段階的工事の円滑な実施、キャンパス三病院の効率的、効果的な運営体制の構築、既存PFI事業との関係性、整備費用の縮減という諸条件を前提に検討を行ってございます。
検討の結果、従来方式とPFI方式の二つの方式を整備手法として示してございます。従来方式とPFI方式のそれぞれについて、スケジュールを検討いたしましたが、PFI方式が設計と施工等を一括発注する方式であるのに対しまして、従来方式は全ての業務を個別発注することから、手続に時間を要すること等によりまして全体の整備スケジュールが長くなる可能性がございます。
なお、整備手法につきましては、整備スケジュールのみならず、建設事業費などさまざまな観点から、引き続き検討してまいります。
○伊藤委員 老朽化している神経病院の改築を考えたときに、災害時にも安心できる施設として、できるだけ早く整備をするためにも、それにふさわしい手法を重視して検討をしていただきたいと思います。
次に、多摩メディカルキャンパスの駐車場整備について伺います。
基本計画の案には、構内の環境整備も記載されており、駐車場の増設や一時乗降スペースの確保など、利用者の安全確保と利便性向上に努めることとしています。
キャンパス内では、従前より駐車場の不足が見られ、雨の日などは駐車場のあきを待つ車列が敷地の外まで延び、沿線道路の渋滞を引き起こしているそうです。
地域からもキャンパス内外の渋滞解消を求める声が多く寄せられ、我が会派からもこれまで何回も交通環境の改善を要望してきたところであり、早期の整備が望まれます。
そこで、駐車場等の整備の具体的な内容と整備の時期について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカルキャンパス内外の交通渋滞の解消につきましては、地域の方々からもご意見をいただいてきております。
これまで、駐車場出入り口の位置変更や車路の拡幅による入庫待ち車両の待機スペース確保などの対策を実施してまいりましたが、午前中や雨の日を中心に、依然として渋滞が発生してございます。
このため、基本計画と調整を図りながら、二〇二五年度ごろの開設を計画している、こちらも仮称になりますが、外来がん検査・治療センターの整備に先行いたしまして、構内環境の整備を進めることとしてございます。
具体的には、多摩総合医療センター及び小児総合医療センター北側の平置き駐車場を二層三段の立体駐車場に整備するとともに、安全な歩行動線を確保した障害者用駐車場を整備し、駐車台数が現状の約六百台から二百台程度増加する予定でございます。
あわせて、タクシープールの設置やバスロータリーを移設することにより、一般車との車両動線の適切な分離を図るとともに、自家用車や送迎車両のための一時乗降スペースを確保いたします。
来年度中に一連の工事に着手し、二〇二二年度に完了する予定でございます。
○伊藤委員 渋滞緩和に向けて構内環境整備を先行実施することは利用者にとってもありがたいことですが、工事期間はおよそ三年という長期にわたるとのことです。よって、工事中においても、来院者の安全や利便性が損なわれないように工夫すべきです。
そのために、工事期間中においても十分な駐車場を確保するとともに、工事の安全対策も講じるべきですが、どのような対策を行うのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 来院者や地域の方々にご不便をかけないよう、工事期間中におきましても、現状の駐車台数や利用者の安全が確保できる整備計画を策定してございます。
具体的には、まず初めに、キャンパス東側にある老朽化した職員住宅を解体し、そこに仮設の駐車場を整備した上で、その後、平置き駐車場の立体化工事に着手いたします。その際、立体駐車場を二期に分けて整備しながら順次開設することで、現状と同等の駐車台数を常に確保できる対策を講じることとしてございます。
また、一般車等との車両動線は、一時的に車路のつけかえを行いながら従前と同様の通行を確保するほか、工事車両の通行に当たっては、一般車やバス、タクシーとの動線の重複は極力避けるよう、搬出入ルートや時間帯を工夫するなど、円滑で安全な施工に努めることとしてございます。
○伊藤委員 地域の方々から渋滞解消を望む声が多いと聞いています。できるだけ早期に着手していただくとともに、万全な安全対策を行った上で工事を進めていただきたいと思います。
次に、広尾病院整備基本計画について伺います。
都は、平成二十九年度に広尾病院整備基本構想を公表し、今年度は、その基本構想で掲げた新病院の役割や機能を具体化する整備基本計画を検討中です。
現在の広尾病院は、開設から三十八年が経過をいたしました。重点医療課題である島しょ医療の拠点としての整備がなされ、これまで一貫して、島しょ医療の基幹病院として多くの島民のとうとい命を救い、地域の安心を支えてきました。
さて、整備基本構想の公表から一年以上が経過し、新年度予算案では広尾病院整備に係る地盤調査委託等として約四千八百万円が計上され、整備に向けた準備を行っていると理解しており、多くの島民は、この新病院の整備を期待しているそうです。
そこで、現在検討中の整備基本計画の主な内容と公表時期について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在検討中の整備基本計画は、敷地内での建物配置に加えまして、基本構想で掲げた役割や機能に基づく建物内での部門配置や必要面積、整備スケジュール等の、いわば新病院の骨格の部分となるものでございまして、後年度に実施する設計業務につながるものでございます。
また、現在地で病院を運営しながら建てかえていくため、その手順についても検討をしているところでございます。
この具体的な整備内容につきましては、なるべく早期に公表できるよう、着実に準備を進めてまいります。
○伊藤委員 新病院の整備に向けた検討を確実に進めているということを確認しました。
今後も、島民を初め都民の期待に応え、しっかり整備を進めていただきたいと思います。
さて、広尾病院では、島しょ地域の患者や付き添いの家族などが来院した際に利用することができる患者家族宿泊施設を、敷地内にある職務住宅さくら寮内に設置しており、今年度はアメニティーの改善や利用対象を拡大するなどの対応をしたとお聞きをしました。
そこで、新病院においても、これまでの宿泊実績や島民のニーズを的確に把握した上で、基本計画に可能な限り反映させるべきと考えますが、見解を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院の整備に当たりましては、島しょ医療を初め、災害医療、救急医療を含めた行政的医療を引き続き安定的、継続的に提供できる体制を確保していくこととしてございます。
とりわけ、広尾病院の島しょ医療は島民の命綱としての役割を担っており、新病院におきましても、さまざまな角度から島民の安心を強力にサポートしていく必要がございます。
例えば、今お話ありました患者家族宿泊施設におきまして、昨年九月に高齢者からご要望の多かったベッドを設置し、利用者から大変好評をいただいております。また、本土在住の付添者が宿泊先の確保が困難な場合等にも対応するため、この三月からは、これらの方にも利用対象を拡大したところでございます。
新病院の整備に当たりましては、こうした患者家族宿泊施設の利用実績やニーズも踏まえながら基本計画を策定してまいります。
○伊藤委員 昨年の夏に、会派の有志で小笠原を訪問しました。そのとき、現地の方にお聞きをしましたが、島民の皆さんの平均年齢が極めて若いと、こういうお話でした。
その理由は、一概に全てとはいい切れませんけれども、高齢になって病気を抱えると、もう島では生活しにくくて内地に帰る人もふえていると、だから平均年齢が若いんだと、こんな医療実態の厳しさも実感をいたしました。
島の患者さんや家族は、離島から不安を抱えて広尾病院に来院していますので、そうした患者さんや家族にしっかりと寄り添った施設整備をぜひお願いしたいと思います。
次に、患者支援センターの充実強化について伺います。
都立病院では、平成二十七年度に全病院に患者支援センターを設置し、診療はもとより、退院後の療養生活や経済的な問題まで、患者や家族が抱えるさまざまな悩みや相談にワンストップで対応し、医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなど、多職種による支援を行っています。
さて、患者さんの治療を行う上で医療連携の必要性が高まっているほか、技術の進歩により、患者のQOLが向上してきています。また、病気や治療に関する情報もインターネットから簡単に取得でき、患者や家族の治療に対する意識も変化をしています。
公立、民間を問わず、病院は疾患を治療するだけではなく、退院後の生活を見据えた支援の役割が期待されています。
そこで、患者支援センターの取り組みについて質問します。
最初に、患者の治療と仕事の両立支援についてです。
がんに対する化学療法も、従来は入院治療でしたが、現在では通院治療も可能になるようになりました。患者にとっては仕事をやめずに治療可能となり、働き続けるための環境整備も必要です。そして、仕事を続けることで、収入に関する不安も順次解消していきます。
それでは、都立病院において、社会保険労務士を活用して治療と仕事の両立支援に関する相談を実施しているということでありますが、これまでの取り組みと今後の拡充について伺います。
○山口サービス推進部長 都立病院では、患者支援センターの医療ソーシャルワーカーを中心に、患者やその家族からの診療や就労継続に関する相談に対応しております。
就労継続に関する相談におきましては、例えば、傷病手当金などの社会保険制度や患者が就労を継続するための勤務条件など、労働に関する専門的な知識や情報が求められております。
墨東病院では、平成二十七年度から、こうした専門的な知見を有する社会保険労務士による個別相談を実施し、患者が就労の継続を希望する場合に、専門家を活用して的確な助言を行ってまいりましたが、来年度からは、この取り組みを全都立病院に拡充してまいります。
社会保険労務士による両立支援相談は、各病院で月一回、各回三名の患者に対し、一時間程度の個別相談を行う予定でおります。相談事例に関しては、病院間で共有をし、ノウハウを蓄積することで、職員の対応力の向上も図ってまいります。
今後、院内のイベントや各種の広報媒体などを活用しまして、両立支援相談の内容や実施スケジュール等を患者に周知してまいります。
○伊藤委員 病気と闘いながら、社労士など専門家から助言を受ける機会があるということは心強いことだと思いますので、支援の必要な患者が適切な相談を行えるよう、新年度からの円滑な運用に努めていただきたいと思います。
次に、医療メディエーターの養成について伺います。
先ほど申し上げたとおり、ネットなどを通じてさまざまな治療法の情報を入手した患者の認識と、実際に受診し医師等から説明を受けた内容が異なることも少なくないそうです。患者と医療者、そしてそれぞれの理解にそごが生じた状況が続くと将来大きなトラブルに発展していくおそれもあります。
さて、例えば医療者側と患者側との間にそごが発生し、先々のトラブルに発展しそうな場合に、医療メディエーターという第三者が介入し、両者の対話を促進することで、信頼関係の再構築を支援する仕組みがあるそうです。
そこでまず、医療メディエーターが病院で担う役割について、また、そのスキルはどのように取得するのか伺います。
○山口サービス推進部長 医療メディエーターは、病院におきまして、患者側と医療者側の双方に対し、中立的な立場で問題点を整理し対話を促進することで、両者の良好な関係性を再構築する医療対話仲介者でございます。
院内におけます具体的な活動としましては、医療者から患者への説明のほか、患者からの苦情等や医療紛争におけます初期対応の際に、医療メディエーターが介入し、患者側と医療者側の双方の主張を丁寧に聞き取りながら、そごが生じた背景を把握し、当事者間での話し合いにより解決に導く役割を担っております。
また、医療メディエーターのスキルは、厚生労働省の指針に基づきます養成講座の受講により修得をし、社団法人日本医療メディエーター協会が認定する仕組みとなっております。
○伊藤委員 病院における医療メディエーターの役割や認定の仕組みを確認しました。医療メディエーターは、みずから紛争の解決を図るのではなく、患者と医療者との対話を促進する役割を担っているということであります。
病院では、医師や看護師を初めとする多くの医療者が働いており、現場で患者と接しています。医療者と患者や家族とのこうした知識の差や認識のずれは、いろいろな場面で生じる可能性があり、医療メディエーターが仲介者として活躍する機会は、今後十分出てくるんだろうと思います。
そこで、都立病院では、どのように医療メディエーターの養成を行い、活用していくのか伺います。
○山口サービス推進部長 医療メディエーターの養成に当たりまして、来年度は、厚生労働省の指針に基づきます養成講座に各病院一名の職員を受講させ、スキルの修得を図ってまいります。
講座を受講した後は、当該職員が院内におきまして先導的に医療メディエーターの役割を担いますとともに、修得した知識やスキルを院内にフィードバックするなど他の職員の接遇スキルの向上や病院全体の説明と対話の文化の醸成により、患者の支援の充実を図ってまいります。
○伊藤委員 新年度から、各病院でまずは一名の職員が養成講座を受講するとのことですが、医療メディエーターの運用に当たっては、その受講した職員が院内のほかの職員にフィードバックすることで、病院全体の対話スキルを向上させていくことも重要なのかなと考えます。
そして、社労士の活用や医療メディエーターの養成など、患者支援センターの相談機能を充実させ、一層患者に寄り添った病院運営をしていただくよう要望して、質問を終わります。
○藤田委員 まず初めに、PFI事業についてお伺いします。
都は、多摩総合医療センターと小児総合医療センターの整備を初め、三事業、四病院で建設と運営をPFI事業として進めてきました。
そして、ことし三月、都は、多摩メディカルキャンパス整備にかかわるPFI等導入可能性調査業務を株式会社長大に委託して調査をしました。この目的はどのようなものですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本委託業務は、大きく次のような目的で実施したものでございます。
一つが、難病医療センター(仮称)及び外来がん検査・治療センター(仮称)の建設及び整備後の維持管理と運営業務について、PFI方式を含む民間委託方式の導入可能性の検討、もう一つが、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの現行PFI事業終了後の事業の継続性や、他の事業方式を採用することを含めた方向性について検討をしたものでございます。
○藤田委員 PFIに限らず、他の事業方式での可能性についても検討したということですが、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画案の概要では、整備手法について従来方式とPFI方式の二つが記載されています。
まず、全国の状況についてお聞きしたいと思います。
全国で病院事業にPFI手法を導入した事例は幾つありますか。総数と開始年度ごとの数を教えてください。
○山口サービス推進部長 平成三十一年三月時点におきまして、病院事業にPFI手法を導入した事例は全国で十七件でございます。
また、この十七件につきまして、PFI事業として実施することを決定した年度ごとの件数内訳でございますが、平成十三年度二件、十四年度一件、十六年度二件、十七年度一件、十八年度二件、十九年度三件、二十年度二件、二十一年度二件、二十三年度一件、二十九年度一件となってございます。
○藤田委員 (パネルを示す)今、ご答弁された数字をグラフにまとめてみました。近年はほとんどなくなっているということがわかります。二〇一七年度の最も新しい一件というのはこれまで行ってきたものの更新ということなので、新たに導入したところでは二〇一一年が最終であるということです。
また、実施はそもそも通算でも十七件、更新を除くと十六件にとどまっています。
それでは、全国で病院事業にPFI手法を導入、解除した事例は幾つありますか。
○山口サービス推進部長 PFI手法を導入後にPFI事業契約を解除した事例は、近江八幡市民病院と高知医療センターの二事例がございます。
○藤田委員 新規導入が全体でも十六件しかないという上に、二件は既に事業途中で解除しているということです。
現在運営しているPFI事業は全国で十四件であり、そのうち都立病院が三件を占めているということになります。
また、先ほどのグラフのとおり、十年ほど前まではPFI事業の数が少しずつふえてきていましたが、その内容はどのような傾向だったかということをお聞きしたいと思います。
全国で行われている病院事業について、PFIに含む業務の範囲は拡大する傾向ですか、縮小する傾向ですか。
○山口サービス推進部長 都のPFI三事業の運営開始以降では、設計、施工等の施設整備、施設の維持管理までを業務範囲としている事業の例が多くございます。
○藤田委員 拡大とも縮小とも明確にいわれませんでしたけれども、施設整備、施設維持管理までを業務範囲とするというのは、逆にいえば、運営は範囲外ということになります。都立病院では運営も含めていましたから、明らかに業務の範囲は、この間縮小してきたということです。
これは東京都が行った導入可能性調査に載っている表ですが、都が行った調査でさえ、業務範囲の縮小傾向が見てとれます。こちらの丸の数が、新しくなるとちょっと丸の数が減るということなんですけれども……(「小さ過ぎて見えない」と呼ぶ者あり)済みません。これは都が行った導入可能性調査に載っている表なんですね。都が行った調査でさえ、こうやって縮小傾向が見てとれるということです。
その上、そもそも近年は、新たなPFI事業の導入自体が少なくなってきているということです。
このように、全国の自治体病院でPFIが新たに選ばれている状況にはない中、東京都が新たにPFI事業の実施を検討することには大きな疑問を抱かざるを得ません。
本会議で出されている公営企業会計予算説明書の都立病院で行っている各PFI事業の今年度末までの支出を見てみると、来年度予算計上などが記載されています。
そこで、今年度末までの支出額は調書に書いてある額のとおりで、来年度以降の各年度の支出額は来年度予算への計上額と同じだと仮定した場合、契約期間末まで支出総額を計算してみたところ、それがこの結果の表なんですけれども、末までを計算してみたところが、この結果です。もちろん実際にはさまざまな要素で支出額は変動しますが、しかし、大きな傾向を見る上で参考になると思います。
これが現在の契約額ですので、これが今年度末までの支出で見込まれる額です。これが来年度の予定額です。これが期間が満了するまでにかかる総支出額です。これは限度額なので、つまり残りが五年ぐらいあるにもかかわらず、残りの額が少ないということが、この表でわかるようになっています。
少なくとも、今のままの支出が続けば、駒込病院のPFI事業と多摩総合、小児総合医療センターのPFI事業への支出は契約額を数百億円の規模で上回り、松沢病院のPFI事業も契約額を上回る可能性が高いと思われるのですが、いかがですか。
○山口サービス推進部長 PFI事業は、施設整備期間を含めまして、おおむね二十年の長期の包括契約でございまして、毎年度の事業執行に当たりましては、契約金額の範囲内で必要な経費を計上しております。
PFI事業では、PFIのメリットを生かし、事業者と一体となった経営改善や業務効率化の取り組みを推進し、事業全体としてコストの圧縮に取り組みつつ、適正な業務執行に努めております。
一方で、高度な専門医療を提供することに伴い、契約締結前と比較しますと、入院及び外来診療の単価は大幅に増加をしております。
また、医療技術の進歩などに加えまして、診療報酬改定や新薬の開発に伴う高額薬品の増加もPFI事業費の変動要因と考えております。
残りの事業期間におきましても、引き続きコスト縮減の取り組みを推進しつつ、今後必要となる費用を精査してまいります。
○藤田委員 契約額を上回る可能性が高いのではないかということをお聞きしているんですけれども、そちらについてはどうでしょうか。現在の契約額を上回ることはないといえるのでしょうか。
○山口サービス推進部長 今後の精査の結果にもよりますが、契約額を上回る可能性もあり得るものと考えております。
○藤田委員 契約額を上回る可能性もあり得るということでした。
また、契約金額の範囲内で計上などというふうにおっしゃってはいますけれども、PFI事業を行うSPCへ毎年度支払う経費はどのような計算で決まるのですか。
○山口サービス推進部長 PFI事業契約は、事業者が建物の設計、施工から運営、維持管理までを包括して行う総価による契約でございます。
毎年度SPCに対して支払います経費は、医事事務など固定で支払う経費のほか、例えば食事の提供業務では、実際に提供された食数に応じて算定をし、支払いを行っております。
○藤田委員 固定費以外は実績払いになるというご答弁でした。
医薬品や医療材料の調達なども実績払いの考え方だと聞いています。だとすると、支払い額を原則として契約金額の範囲内におさめる保証はないのではないかと率直に疑問に思わざるを得ません。そうすると、入札を行っている意味も余りないということになってしまわないでしょうか。
少なくとも、今の規模の支出が続けば、契約金額を大きく上回るのはどう見ても明らかです。PFI事業への支出額が契約額を超えそうになっている理由を、どのように認識していますか。
○山口サービス推進部長 事業期間中のPFI事業費の変動要因につきましては、現在精査を行っております。
高度な専門医療を提供することに伴いまして、契約締結前と比較しますと、入院及び外来診療の単価は大幅に増加をしております。
また、医療技術の進歩などに加えまして、診療報酬改定や新薬の開発に伴う高額薬品の増加などの医療環境の変化もPFI事業費の変動要因と考えております。
○藤田委員 要因がさまざまあるということをおっしゃっていらっしゃいましたが、いずれにせよ、現在精査中ということなので、確実なことはいえないということだと思います。
今の規模の支出が続けば契約額を大幅に超過しそうなのに、いまだに精査中ということでよいのでしょうか。医療技術の進歩であるとか診療報酬の改定などの要因があると話されていますが、それでどれだけの変化が説明できるのかは、今のご答弁からは明らかではありません。
そもそも、私自身も一九九〇年代から二十年間、病院で勤めていた間だけ見ても、毎年新しい医療機器が導入されてきましたし、診療報酬の改定のたびに高度医療へと誘導する政策が進められてきました。
診療報酬の改定や医療技術の進歩などについて、あらかじめその具体的内容を予測することは難しいと思いますが、そうした変化があること自体は初めからわかっていたことです。もしそのために実際の支払い額が入札時の金額と大きく乖離するというのであれば、そうした内容の長期契約を結ぶこと自体が適切ではないということになるのではないでしょうか。
支出額がふえた場合の対応についてお聞きしたいと思いますが、PFI事業への支出額が契約額を上回ることが認められるのはどのような場合ですか。また、その場合どのような手続が必要になりますか。
○山口サービス推進部長 PFIの事業契約におきまして、法令変更、不可抗力、事業規模の変更及び技術革新などにより、業務要求水準または業務範囲に変更を要すると認められる場合には、必要事項について都とSPCとで協議し、契約変更を行うこととしております。
都がPFI事業契約を締結した当時に想定していなかった、例えば新型インフルエンザ対策としての病床整備、建物の省エネ対策や災害対策などへの対応により契約金額が増加したことから、契約変更を実施した例がございます。
○藤田委員 契約変更した例が幾つか挙げられてきましたけれども、それらによる当初の契約額からの変化は、事前にお聞きしたところ、一番多い駒込病院でも約十一億円です。
また、繰り返しになりますが、医療分野で、数十年の契約期間の間に技術革新があるということは当たり前のことです。
PFI事業では経営改善や業務の効率化ができると、そういう効果が期待できるから導入すると病院経営本部は繰り返し説明してきましたが、これまでの支払い実績からいっても、大きな疑問があるといわざるを得ません。
PFIは総価契約だというのなら、決められた契約額の中でやりくりするのが原則のはずです。理由が曖昧なまま、なし崩しのような形で支出がふえ、それを追認するように契約更新がされるなどということは決してあってはならないことだということを指摘しておくものです。
次に、債務負担行為との関係について伺います。
PFI事業への支出額が債務負担行為の限度額を超える場合、どのような手続が必要になりますか。
○山口サービス推進部長 債務負担行為限度額を超過することが見込まれる場合には、新たに債務負担行為限度額を設定するための予算要求を行い、議会に付議することとなります。
○藤田委員 議会との間で手続が必要になるということです。
ところで、債務負担行為について疑問に思うのは、限度額が契約額よりかなり高く設定されているということです。
PFI事業についての債務負担行為の限度額が契約額より大きいのはなぜですか。限度額はどのような計算によって算出されているのですか。
○山口サービス推進部長 債務負担行為は、翌年度以降に行うことができます債務負担行為の限度額を、期間を限ってあらかじめ定めておく制度でございます。
都立病院のPFI事業では、債務負担行為限度額の算出におきまして、都が直接病院建物を設計、施工し、医療機器を調達した場合の施設整備費のほか、医事業務や給食調理、建物維持管理など、各種業務委託の運営費や医薬品等の材料費などにつきましては、積算当時の病院の決算額等を踏まえまして、物価変動も考慮し、運営期間における経費を積算しております。
○藤田委員 限度額は、都が直接行った場合の整備費や運営についての経費の積算であり、落札額に基づいて決めるものではないということですが、これだけ額が離れていると、なぜなのかと思わざるを得ません。
これだけの額というのは、公営企業会計予算説明書と実際の契約をしたときの金額のこの限度額との違いなんですけれども、例えば駒込病院では三百七十億程度、多摩総合と小児総合のところでは二百七十億近く当初の契約額よりも限度額がふえているという状況なのですが、これだけ離れていると、なぜなのかと思わざるを得ません。少なくとも、結果的には契約額を一定上回った場合も、議会への債務負担行為についての付議が必要ではないかということになります。この点は引き続き調査していきたいと思います。
さて、先ほど変動要因は精査中という答弁がありましたが、行政が精査を行うだけでなく、都民が妥当性を判断できるようにすることが必要だと思います。そのために必要なのが情報公開です。
そこでお聞きしますが、SPCからの下請契約の相手や契約額などの内容を公表するべきだと思うのですが、いかがですか。
○山口サービス推進部長 都が求めます業務水準を達成するため、SPCがどの協力企業を選定し、運営等の各業務にどれだけ費用をかけるかといった業務設計や履行方法等につきましては、SPCの創意工夫に任されております。
協力企業につきましては、業務運営上の必要性から、事業契約におきましてSPCから報告を求めることとしておりますが、都と直接契約関係にない協力企業の情報は、都が公表すべきものではないと考えております。
○藤田委員 都は直接契約関係にないといっても、払われているお金は都民の税金なんです。金額は重要な要素ですし、それ以外にも考えるべきことがあります。
SPCの創意工夫であるとはいいますが、SPCの契約相手が、参加している企業の関連企業だった場合、価格を引き下げるインセンティブは働かないのではないですか。
○山口サービス推進部長 都が求めます業務水準を達成するため、SPCがどの協力企業を選定し、運営等の各業務にどれだけ費用をかけるかといった業務設計や履行方法等につきましては、SPCの創意工夫に任されております。
なお、協力企業への対価は、SPCが、包括契約の範囲内で業務に見合った支払い額を、業務の最適化を図った上で増減を含めて柔軟に決めているものと認識をしております。
○藤田委員 この点は、PFIが本当に効率的なのかということにかかわる問題です。創意工夫ということで済ませてしまってよいのでしょうか。
次に、公租公課、株式配当、利益、アドバイザリー契約など、PFI事業固有の経費について、事業ごとにこれまで幾らかかっていますか。
○山口サービス推進部長 PFI事業者でありますSPCの財務情報につきましては、決算公告等で公表されているものを除きまして、都が公表すべきものではないと考えております。
PFIの導入等に関しますアドバイザリー契約に係る費用の総額は、平成十五年度から平成二十九年度までの累計で約二十億四千七百万円でございます。
なお、アドバイザリー契約は、入札の手続や契約協議における交渉、業務委託や施設整備の具体的な内容、各業務のチェック方法等の策定等のため、設計、財務、法務、医療の各分野に詳しいアドバイザーから適宜適切な助言や支援を得るため採用したものでございます。
○藤田委員 今おっしゃった官報で公表されているということは、株式配当や利益などは載っていないということなので、ほとんどよくわからない状況が公表されているということだと思います。
アドバイザリー契約だけでも二十億円以上ということですが、そのほかの財務情報については公表できないということが都の姿勢だと思います。包括契約だといいますが、そのお金がどのように使われているかがわからなければ、妥当性の判断はできないと思います。
小池都知事は情報公開を強調しますが、こういうことでよいのでしょうか。SPCが入ることにより、さまざまなことが不透明になるというのは大きな問題だと思います。
また、PFIは幅広い業務を委託で行うことになりますが、SPCからの委託先事業者の労働者の労働条件について把握をされていますか。
○山口サービス推進部長 SPCから受託した協力企業の従業員に関する労働条件につきましては、それぞれの企業が、労働関係法令に基づき適切に対応しているものと認識をしております。
○藤田委員 医療現場で医療者とともに患者周辺の業務を行うにもかかわらず、SPCからの委託を受けて働く労働者については、どのような労働条件で働いているのかは把握はしていないということだと思います。
次に、病院の建設について伺います。
神経病院や建てかえ後の難病医療センター(仮称)は、ほかに同様の病院の例が見当たらず、他の病院と比べても東京都だからこそわかることが多いことから、東京都の意向を反映することや、患者、家族、職員の意向を丁寧に聞きながら進めることがとりわけ重要だと思いますが、いかがですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者、家族、職員を初め、都民の声をしっかりと受けとめて事業を進めることは当然のことと考えてございます。
今回の基本計画案の作成に当たりましても、病院の院長を初め、患者や家族と接している職員もメンバーに入れた検討体制として各種PTを設置し、検討を行ってまいりました。それらの意見を集約して、今回の基本計画案は作成をしてございます。
なお、現在パブリックコメントを実施してございまして、都民からの意見も聞いてございます。
○藤田委員 声をしっかり受けとめることは当然というご答弁でしたが、基本計画案では、従来方式、つまり東京都が直接整備する場合は、発注者側の当初の意見を設計に反映しやすいと書かれています。これは逆にいうと、PFIでは従来方式に比べて発注者の意向を反映しにくいということになるのではないかと思います。
先日、視察に伺った際も、例えば、下を見て移動する方のためにトイレや部屋番号などの印が足元にある、車椅子の方への配慮で机が少し高くなっているなどの工夫がされていました。
また、例えば、リハビリのためにどのような床がよいかなどということも、実際に行っている方々の意見を聞いてこそ、よりよくできると思います。
そもそも、難病の専門病院の建設についてのノウハウが企業にあるわけではないと思います。実施設計の段階では、施設の詳細を決め、間取りなども基本設計から変更されることもあるため、基本設計だけでなく実施設計まで含めて、都が内容を詳細に決められる方式で進めることが重要だと思います。
さまざまなことを伺ってきましたが、全体を通じた問題として確認をしておきたいのですが、我が党としては、そもそもPFIには反対ですが、都立病院へのPFI手法の導入を検討するのであれば、現在行っているPFI事業の検証を行うことは大前提だと思いますが、いかがですか。
○山口サービス推進部長 それぞれの事業におきまして、PFI手法を導入する場合には、事業期間全体で都の財政負担額の縮減効果、いわゆるバリュー・フォー・マネー、また業務の効率化によりますサービス水準の向上など、財政面及び患者サービス面で一定の効果が期待できると確認できた場合に、PFI事業として選定をするものでございます。
なお、現在実施しておりますPFI三事業につきましては、これまで実施してきたモニタリングや五事業年度ごとの見直し協議、また事業期間中におけます医療環境の変化や事業費の変動など、事業全体の検証を現在行っております。
難病医療センター(仮称)の整備に当たりましては、現行PFI三事業の検証を考慮し、整備手法を決定してまいります。
○藤田委員 検証を考慮するというのではちょっと弱いとは思うんですけれども、踏まえるということのようです。
検証は実施中ということですが、そうした状況で、PFIありきで進めるようなことはあってはならないということを指摘しておきます。
答弁にあったモニタリングや五年ごとの見直しというのは、PFI契約を前提にしたものだと思います。そもそもPFIを導入したことが本当にプラスだったのかという検証が必要であり、そのような検証を行うことを強く求めておきます。
また、検証は、都民に開かれた形で、情報公開を徹底しながら進めることも求めます。
現在、多摩総合、小児総合医療センターの二つの病院でPFIを実施していますが、基本計画案では、神経病院も含めた三病院の一体的な運営方法を検討する必要があるとしつつ、PFIが検討対象にされています。そのことで確認しておかなければならないと思うことがあります。
既に小児総合医療センター、多摩総合医療センターでは、清水建設を中心としたPFI事業が導入されているもとで、難病医療センター(仮称)も含めた三病院でのPFI事業を行おうとすれば、平等な競争性を担保することはできないのではないですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 整備手法がどのようなものであれ、事業者選定におきます公平性や競争性につきましては、選定方法におきまして、当然ながら十分確保してまいります。
この点、事業手法によって違いはございません。委員のご指摘は当たりません。
○藤田委員 十分確保といいながら、どのようにして公平性や平等性が担保されるかの根拠は全く示していらっしゃいません。
清水建設を中心として、PFIで建設、設計を行い、運営のかなりの部分を担っているわけですから、ほかの事業者との情報量の差もかなり大きいと思います。東京都自身が行った導入可能性調査でも言及されており、大きな問題だと思います。
また、同様に企業との関係で、導入可能性調査でのアンケートやヒアリングの対象となった企業名を教えてください。また、その中に清水建設は含まれていますか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 導入可能性調査ですが、民間の専門業者に委託したものでございます。委託業務の性格上、仕様書に盛り込んだ内容に沿いまして意向調査を行ってございます。
アンケート先やヒアリングの相手については、報告書に記載されていないため承知してございません。
○藤田委員 こうした情報も明らかにならないのは問題だと思います。
私たちは、病院の公的性格を後退させ、不透明な形で企業に利益を与えるPFIにはもとより反対ですが、現行のPFI事業の検証も十分に行われないまま、新たなPFIを導入するようなことは決してあってはならないということを強く強調し、PFIについての質疑を終わります。
次に、神経病院についてです。
脳神経疾患、特に神経筋難病患者への医療提供では、日常生活動作に援助が必要になるまで期間が短かったり、特殊なコミュニケーション手段が必要になったり、臨床経過が長期かつ高度な医療的ケアが必要になるなど、高い専門性が求められています。
神経病院は、どのような特色のある病院ですか。また、神経病院における難病疾患の症例数、研究数、治験は何件ですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院は、都におけます神経系難病医療の拠点といたしまして、あらゆる脳神経系疾患に対します高度な専門的医療を提供する専門病院でございます。
平成二十九年度の延べ入院患者数は八万五千十九人でございます。ALSやパーキンソン病等の変性疾患の患者が全体の六割程度を占めてございまして、そのほか、筋ジストロフィーに代表されます筋疾患やてんかん等の難病患者が入院していらっしゃいます。
臨床研究につきましては、平成二十九年度都立病院臨床研究といたしまして、一般研究十四件、プロジェクト研究一件、合計十五件実施してございます。
治験につきましては、平成二十九年度に二十四件実施してございます。
○藤田委員 実績から見ても、難病疾患に特化して入院治療を行い、年報を見ても、さまざまな症例を臨床研究として取り組んでいるということがわかります。神経病院の今後の計画を進める上でも、これまでの成果を生かした整備が重要であると考えます。
また、神経病院では、現在、療養支援を行っていますが、神経病院の勤務医の約半数がみずから往診を行っていると伺いました。その意義はどのようなところにありますか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ALS等の神経難病患者やその家族の多くは、自宅や地域での生活療養を望んでいることから、病状及び予後を把握している神経病院の専門医が在宅診療を行ってございます。
○藤田委員 病状、予後を把握していて、かつ入院中に診療してくれていた医師が住みなれた自宅に来て診察してくれるということは、患者だけでなく、ご家族にとっても非常に心強いことです。
地域医療を担う医師との連携を図りながらも、引き続き神経病院の医師が在宅診療を担っていくことを求めます。
日常生活動作に介助が必要になるというボディーイメージの変化に加え、気管切開や筋力低下によりコミュニケーションをとれなくなることが、患者にとって最も深刻な課題となっています。
神経病院でのコミュニケーション方法に対する研究は、今後どのように進めていく予定ですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院におきましては、難病疾患、とりわけ脳神経系疾患につきまして、コミュニケーションに関する臨床研究を行ってございます。
例えば、患者自身の声をあらかじめ再生用音源として録音しておき、発声、発語機能が失われてしまっても、みずからの声でコミュニケーションができるマイボイスを活用した臨床研究に取り組んでございます。
さらには、脳波等、脳からの信号を解析することで人の思いを読み取るBMI、ブレーン・マシン・インターフェースといった情報伝達手段等の臨床研究に取り組んでございます。
○藤田委員 神経病院を視察させていただいた際、最も関心があったのは、ご答弁いただいた内容の臨床研究です。実際には、作業療法士が実用可能性のあるコミュニケーションツールの開発も行っていましたが、研究を継続するためには、研究するための環境と時間、そして後継者対策など、さまざまな取り組みが重要であることが感じられました。これこそ行政的医療を担う都立病院だからこそ取り組めることだと思いますので、これからも重視して整備していただけるよう要望いたします。
研究と同様に、神経病院では、教育、研修活動が非常に盛んに行われています。高度な専門性とコミュニケーション能力を職員全体で維持することは、神経筋難病医療を提供する上で重要であると考えますが、見解を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院では、職員が難病患者との意思疎通の能力を高めるために、院内研修やOJTを通じまして、ナースコール対応やコミュニケーションボード等によります意思疎通能力のスキルアップに努めてございます。
○藤田委員 どれだけすぐれたツールがあっても、患者の思いを把握し、対応するのは、ベッドサイドに最も近い看護師やセラピストたちです。引き続き、意思疎通能力のスキルアップを重視し、研修を行うことと同時に、神経難病患者とのコミュニケーションは非常に時間が必要であるということを踏まえ、ゆとりを持って患者対応ができる職員配置を進めていただくよう要望いたします。
視察に伺った際、興味深かったのは、難病患者への緩和ケアです。神経病院で実施している難病患者への緩和ケアをほかの病院でも進めていくべきと考えますが、いかがですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院では、ALS患者の終末期の呼吸困難や疼痛に対しまして、ALSを専門とする医師、神経精神分野を専門とする医師、神経難病患者への豊富な経験を持つ心理士が苦痛の緩和に取り組んでございます。
こうした取り組みは、神経難病の治療に関する高い専門性が必要でございますため、都立病院におきましては、都の神経難病医療の拠点であります神経病院において対応をしてございます。
○藤田委員 難病患者さんは、発症したときから身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛を伴うものです。そのため、難病の診療そのものが緩和ケアであるといえます。発病したときから、身近な地域でこうした緩和ケアを含めたケアが受けられることが大変重要だと考えております。
神経病院での取り組みをほかの都立病院でも、そして都内の病院でも共有していくことを求めておきます。
多摩メディカル・キャンパス整備基本計画案では、神経病院等の老朽化への対応が課題となっていると記載されています。
しかし、神経病院が一九八〇年に開設して以降、大幅改修を行ってこなかったために、施設の面では多くの課題があるとのお話を視察の際に伺いました。開設から四十年近く、なぜ改修せずにいるのですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院ではこれまでも、給排水や空調、電源等の各種設備のふぐあいにつきまして、その状況や運営上の必要性を踏まえまして、適切な機会を捉えて改修工事を実施してございます。
○藤田委員 給排水設備について適切に改修工事を実施とのお答えでしたが、大幅な改修ができていないことは事実としてあります。
神経難病の患者は、体温調節がしにくいために、空調やかけ物などの状態で、発熱したり、低体温になったりしやすい体調があります。患者会からの聞き取りでは、夏に冷房はききにくいというお話がありました。
また、この先十年間、この建物を使うという計画になっておりますので、ひび割れや水漏れなどについても、安心して入院生活が送れる環境にしてほしいということが要望として挙げられておりました。
病院の建物の対症療法にとどまらず、患者の立場に立ったアメニティーの改善も行いながら、現在の建物の維持管理を進めていかれるようお願いいたします。
また、神経病院の整備に当たって、最後に、難病医療センター(仮称)の整備に当たっては、有料個室の割合や金額を上げることなく、患者負担をふやさないようにしていただきたいと要望いたします。
次に、AYA世代のがん対策についてです。
総合的なAYA世代のがん対策のあり方に関する研究班が刊行したAYA世代がんサポートガイドによれば、AYA世代のがん患者は、がん種が多診療科にわたるものの、その希少性から、この世代特有の問題への対応が必ずしも十分になされずに医療を受けている可能性が高いことを指摘しています。
小児総合医療センターを有する多摩メディカルキャンパスは、思春期のがんから若年成人期への移行に対して、がん診療を担当する病院間の連携がとりやすい環境といえます。
また、初診時に高校生の場合には小児科が担当する医療機関がふえているとのことから、小児総合医療センターでがん治療を受けてきた子供たちが、十五歳を超えても円滑に必要な医療が受けられることが望ましいと考えます。
多摩メディカルキャンパス内にAYA世代のがん患者に特化した病棟や病室をつくり、がんの種類と受けた治療内容に応じて長期にフォローアップできる体制の構築を図るべきと考えますが、いかがですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、小児総合医療センターにおいてAYA世代患者を受け入れるための病床や病棟の整備を検討するとともに、長期フォローアップの推進を図ることとしてございます。
○藤田委員 三十代になると急激に乳がん患者が増加し、全がん種の中では一番多くなります。
乳がんは、補助化学療法を受ける割合が高く、多くの場合で脱毛の副作用が生じます。
この間、お話を伺った三十代で胃がんとなって手術療法を受けた方は、その方が当事者の方が集まる会でお話を伺った中では、抗がん剤の副作用により、脱毛によって外出ができなくなったとか、また職場に行けなくなることで離職せざるを得なくなったりしたという話を伺ったそうです。
駒込病院でアピアランスケアを進め、ほかの病院へも導入を検討していただきたいと考えるのですが、見解を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都道府県がん診療連携拠点病院であります駒込病院では、医師、看護師、薬剤師等の多職種で構成いたしますアピアランスケアを専門に行うチームが、治療の副作用等による外見の変化に対する相談に対応しており、新改革実行プランにおきましても、こうした取り組みを推進することとしてございます。
また、地域がん診療連携拠点病院であります墨東病院と多摩総合医療センターにおきましても、ウイッグですとかカバーメークなどの情報提供や外見の変化に関する相談会の実施など、患者へのアドバイスを実施してございます。
○藤田委員 体制などの充実に取り組み、さらなる拡充をお願いいたします。
がん治療では、脱毛を初め、皮膚障害、日光過敏症、体重減少、色素沈着などが起こりますが、AYA世代では、特にこうしたボディーイメージの変化が交友関係を狭くしたり、外出を困難にさせたりします。
お話を伺った当事者の方も、移植や治療費などの経済的な問題もあるけれど、何よりも孤立することが一番つらいと話されていました。
AYA世代の患者同士が思いを共有できる場所の提供が大切であり、多摩メディカルキャンパスにおいてもAYA世代でつくるピアサポートや患者サロンの取り組みを実施するよう求めますが、いかがですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカルキャンパスでは、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターにおきまして、AYA世代を含むがんや難病の患者、家族に対します患者サロンの開催、あるいはピアカウンセリングを既に定期的に実施してございます。
○藤田委員 AYA世代を含むというご答弁でしたけれども、実際、先ほどのお話を伺った患者さんは、入院しているときは周りの方は高齢の方が多く、同じような話題で共有できるような環境がなかなかなかったというふうにお話をされておりました。
こうしたサロンの中でも、同じ場所に同じ世代の方がいらっしゃらないと、やはりなかなか情報共有や問題の共有ができないというふうに思われます。ピアサポートや患者サロンにおいても、対象者がそもそも少ない若い人の課題については共感されにくく、やはり同世代で思いを共有できる場の存在が重要であると考えます。
現在、福祉保健局においても、AYA世代等がん患者の実態調査を実施しているということなので、調査結果を共有し、今後の都立病院でのAYA世代がん患者施策に生かしていただくことを要望いたしまして、最後に、都立病院の医師の労働管理について伺います。
小児総合医療センターの宿日直が認められなかった職場では、宿日直の時間は全て時間外労働として計算され、医師の自己申告は必要としていません。一方、それ以外の時間外労働は全て自己申告により時間外労働として認める仕組みになっています。これは、医療現場以外の職場でも通常のことと思います。
しかし、医師労働において時間外労働の自己申告がしにくいのは、医師の労働はそもそもどこからどこまでが業務であるのかわかりにくい上に、業務が一旦は終了したとしても、想定外の対応や診療が発生するなど、業務管理が煩雑であることに課題があります。
都立病院では昨年四月から、全ての病院において、出退勤時のカードリーダーの操作を開始しましたが、医師の時間外労働がどの程度行われているのか適切な把握が求められています。
都立病院において、どのような業務を時間外労働として認めていますか。また、その内容について、職員へはどのように周知を行っていますか。
○児玉経営企画部長 医師の超過勤務における主な業務内容は、患者の急変対応や救急医療などの診療行為及び上司の指示により参加するカンファレンスなどであり、病院の指揮命令下において行った業務が超過勤務の対象となっております。
また、都立病院では、医師を含む全職員を対象に、院内LANなどを活用し、どういった場合が労働時間に該当するかなどの労働時間についての考え方を周知しております。
加えまして、管理監督者に対しましても、日々の職員の労務管理に関する留意点を周知し、適切な労務管理の徹底に努めております。
○藤田委員 二年前に厚生労働省が出した、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインでは、労働時間に該当するかどうかは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること、また客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、またはこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から個別具体的に判断されるものであることとしています。
実際には、行っている業務が労働時間に当たるか当たらないか、個別具体に判断されるものであるということを、労働管理をする側が理解している必要があります。改めて、適切な労働管理が徹底されるよう要望いたします。
また、その管理に欠かせないのが客観的な記録です。都立病院では導入して約一年がたちますが、出退勤時のカードリーダーはどういった目的で導入し、現在その目的が果たせる状況になっているのでしょうか。医師が何時間在庁し、そのうち何時間が時間外労働になっているのか把握できる状況になっているのでしょうか。
○児玉経営企画部長 都における退庁時間を記録する取り組みは、長時間労働の防止に向け、職員の超過勤務の有無等の実態を客観的に把握することを可能とするために開始され、都の方針にのっとり、都立病院においても取り組みを行っております。
カードリーダーを用いた退庁時の記録は、必ずしも業務を終了した時間ではないため、超過勤務時間につきましては、超過勤務等命令簿により把握しております。
なお、医師の労働時間の把握につきましては、現在国が設置している医師の働き方改革に関する検討会におきまして、その取り扱いや手続が議論されているところであり、今後出される報告等を踏まえて対応を検討いたします。
○藤田委員 先ほど紹介したガイドラインでは、やむを得ず自己申告にて労働管理を行う場合は、客観的な記録と申告された労働時間との間に著しい乖離がある場合には、実態調査を行わなければならないとなっています。
ご答弁では把握に努めているということではありましたが、こうした乖離があるかどうかについても確認することが含まれますので、ぜひとも労働管理はこうした乖離があるかどうかも確認するよう周知していただきたいと思いますし、また厚生労働省の動向を注視ということではありますが、そもそも労働時間が明確に管理がされていないと、そこに適応しているのかどうかの評価もできないので、こうした周知を徹底していただきたいと思っております。
そもそもまともな労働管理がされてこなかった医師ですが、時間外労働の把握のためには、何が労働時間であるか、適切な労働時間のためにはどのように申告する必要があるのかなどを理解してもらうことは非常に重要です。来年度においては、この徹底を進めていただくよう要望いたします。
医師の時間外労働の把握が難しい大きな理由は、交代制勤務にできていないというところにあります。日勤を行った医師がそのまま夜勤も行う。夜勤を行った医師が夜勤明けで外来診療をしたり、手術を行ったりする。日本の医師が異常な長時間労働になっている背景には、このような働き方を通常業務として認めてきたということにあります。
長時間労働の是正を行うためには、労働時間を適切に把握した上で、勤務時間を区切って、しっかり休む時間をつくることが重要です。
事務事業質疑では、小児総合医療センターにおいて月に百七十五時間の時間外労働を行っている実態を受け、児玉部長は、是正を図っていくとご答弁されました。具体的にはどのように是正を図っていくのですか。
○児玉経営企画部長 私がご答弁いたしました小児総合医療センターにおける平成二十九年度の一カ月当たりの超過勤務時間の最長時間は、労働基準監督署の指導により超過勤務として扱っている、いわゆる宿日直勤務の時間を含めて月百七十五時間でありました。
本年二月からは、新たに複数の診療科において一直二勤務体制の試行を開始し、医師の負担軽減を図るとともに、超過勤務の縮減に努めております。
今後も、各診療科の実情に応じて、引き続き適切な勤務時間の設定に取り組んでまいります。
○藤田委員 ただいまのご答弁の一直二勤を導入した職場というのは、どのような診療科で、その診療科に優先して導入しようと思った理由は何ですか。また、その体制はどのように確保されたのですか。
○児玉経営企画部長 まず、試行としてでございますが、導入いたしましたのは、外科、循環器科、心臓血管外科、麻酔科の四科でございます。
これらの診療科につきまして勤務内容を精査したところ、例えば、準夜帯には業務が発生しているが、深夜帯に発生している業務は軽度なものであるということが確認できたために、必要な人員体制を確保した上で試行を開始したものでございます。
また、病院におきましては、大学医局に働きかけるなど、年度途中での医師の採用というのは、先生ご存じのとおり、極めて厳しいものではありますが、採用努力のための努力を重ねた上で人員を確保し、体制を整えたところでございます。
○藤田委員 採用を努力されたということはとても重要です。
適切な勤務時間の設定に取り組むということでしたが、そのために、現在の長時間労働の改善、つまり朝からの通常業務に続いて夜勤が行われ、さらに夜勤明けにも通常業務を行うという実態の改善のために、一直二勤体制の導入を拡大しようとしていることも改善です。
また、深夜勤務帯は比較的軽微ということで、この間、労働基準監督署とともに、こうした一直二勤体制が宿直として認めてもらえるような、そういった調整も行っているということも改善だと思われます。
それでも二十四時間拘束される体制であるということも否めません。医師であろうと、根本的には一勤務八時間までというような交代制勤務にする必要があり、そのためには、人をふやさない限り改善が図られないと考えますが、いかがですか。
○児玉経営企画部長 医師の超過勤務の縮減を図るため、宿直の翌日には通常勤務を要さない一直二勤務体制を導入するなど、診療科の実情に合わせた勤務時間を設定しているところでございます。
加えまして、これまで行ってきたタスクシフトなどにより医師の負担軽減を図っており、引き続きこうした取り組みを進めてまいります。
医師の労務管理につきましては、先ほどの答弁でも触れましたが、現在国が設置している医師の働き方改革に関する検討会において行われております労働時間の適正化、あるいは医師の健康確保等、勤務環境改善などの議論を注視し、必要な対応を行ってまいります。
○藤田委員 ご答弁にもあった厚生労働省の医師の働き方改革に関する検討会では、年間千八百六十時間までの時間外労働を容認するような提案も行っています。健康を維持するということについては、これは相入れない提案なのではないかといわざるを得ません。
しかし、ほかの職種では、このような異常な働き方を認めるものもありませんし、国際的にもあり得ない働き方が現在の医師の働き方ですし、それが抜本的な改善が図られていないというのが現状です。
政府の議論を注視とおっしゃいましたけれども、医師の長時間労働の是正の取り組みをさらに進め、それに必要な医師数を提案するなど、積極的な行動を行っていただきたいと思います。
医師の全体数がふえない限り、医師の異常な長時間労働の是正は図られません。医師の命と人間らしい暮らしを守り、ひいては都民の命を守るために、国へ医師の増員を初めとした要望を行うなど、より一層積極的に改善をしていただくよう強く要望いたしまして、質問を終わります。
○栗林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時八分休憩
午後三時二十七分開議
○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 私からは、都立病院の経営について伺いたいと思います。
先日の委員会にて、多摩メディカルキャンパスの整備基本計画案において、救急医療や小児医療、難病医療などの行政的医療の機能強化を図っていく旨の説明がありました。民間の医療機関では対応困難な行政的医療を提供すること、これは都立病院の役割の一つでもあります。
私は、ことしに入ってから厚生委員会に所属することになりましたが、都立病院の役割については、昨年一月に都立病院経営委員会からの提言がなされて以降、本委員会において活発な議論がなされてきたことは承知をしております。
都立病院経営委員会報告では、地方独立行政法人は、都立病院の現行の課題を解決できる、より柔軟な経営形態であり、地方独立行政法人への移行を検討すべきとされており、来年度予算案でも、経営力の向上と経営のあり方に関する検討経費が計上されております。
将来にわたって都立病院の役割を果たしていくための運営のあり方について、私からも改めて四点確認しておきたいと思います。
経営形態や民間の経営手法の導入については、地方独立行政法人や指定管理、民間移譲など、さまざまな制度があるので、なかなか伝わりにくい点があります。
そのためか、独立行政法人化すると、経営ばかりを考え、採算のとりにくい行政的医療が行われなくなってしまうのではないかといった声が聞こえてございます。また、都や都議会との関係性が薄くなることで、都が目指す医療の方向性と変わってしまうのではないかという声も聞こえております。そうした声に一つ一つ応えていく、説明を尽くしていくことが重要であると考えます。
全国的に見れば、地方独立行政法人が運営する病院は約九十と多くの先進事例がありますが、メリットがあるから増加傾向にあるのだと思っております。
本日は、地方独立行政法人制度やほかの自治体での取り組み事例を伺いながら、その理解を深めていきたいと思います。
まず、都立病院は、いかなる経営形態になろうとも、行政的医療の提供や災害時の受け入れなどの役割を果たしていく必要があると考えます。
都の医療政策の推進に向けて、設立団体である自治体は、地方独立行政法人に対してどのような形でかかわることができるのでしょうか。取り組みをチェックしていくことは可能なのでしょうか伺います。
○末村計画調整担当部長 病院事業に適用される公営企業型地方独立行政法人に対しましては、住民サービス向上や業務改善など、法人が達成すべき中期目標を、知事が議会の議決を経て策定指示することとされています。
さらに、この中期目標に基づき法人が中期計画を定め、議会の議決を経て知事が認可し、事業を実施する仕組みが法定されているところでございます。
また、法人の業務実績につきましては、評価委員会の意見を聞いて知事が評価を行い、議会に報告するというふうにされております。
このほか、採算の確保が困難な医療に対しまして自治体が法人に行う財源措置につきましても、毎年度、議会の予算審議をいただくことになってございます。
また、災害時等の医療提供を確実にするため、議会の議決を必要といたします法人の定款におきまして、災害時等の緊急時に知事の求めに応じて医療を提供することを定めている事例もございます。
○斉藤委員 地方独立行政法人は、設立団体である自治体や議会がしっかりとかかわり、ガバナンスをきかせつつ、自立的な経営との両立を目指すものであるということがわかりました。制度の趣旨を生かせるかどうかは、その運用の仕方にかかっているという意味でもあると思います。
仮にですが、都立病院が独立行政法人化する場合には、行政的医療を保ち、災害時にも医療提供をできるように都がしっかりとかかわること、そして私たち議会がかかわっていくことが重要です。目標の設定や実績の評価、予算審議など、さまざまな機会に都民の皆様の声を届けていくことができるよう努めていく必要性を感じております。
続いて、人材確保の観点から質問します。
都民の皆様に質の高い医療を提供できるかどうかは、人、つまり医師や看護師を初めとする職員の皆様にかかっていると考えています。
全国的に医療人材が不足しているといわれる中で、多様化する医療ニーズに対応し、日々進化する医療技術に精通した人材を確保することは大変難しい課題ではないかと思います。
今後は、病院事業を支える医療人材をより柔軟に確保し、生かしていける仕組みが一層重要です。
そこで伺います。地方独立行政法人では、迅速かつ柔軟な人員確保が可能となるといわれていますが、実際に地方独立行政法人化した病院ではどのような状況か伺います。
○末村計画調整担当部長 平成二十九年度時点で、都道府県が設置した地方独立行政法人二十法人のうち十九法人が、法人設立時と比較して職員の増員を図っております。
例えば、大阪府立病院機構では、設立初年度でございます平成十八年度の三千二十六人から、平成二十九年度には三千九百十六人と約二九%の増員を行い、ER部開設による救急患者受け入れ数の増加や、がん治療体制の充実を図る取り組みを行っております。
静岡県立病院機構におきましては、設立初年度である平成二十一年度の千五百三十八人から、平成二十九年度には千九百三十五人と約二六%の増員を行い、救命救急センターの開設や循環器病センターの治療体制の充実、医師不足が生じている県内医療機関への医師派遣などの取り組みを行ってございます。
○斉藤委員 独立行政法人化をすると、定数に縛られずに医療ニーズに合わせて柔軟な人材確保ができるということがわかりました。
これまで都立病院では、医師アカデミーの創設などにより、医師確保の厳しいときであっても、質の高い医療人材の育成、確保に取り組んできたと伺っています。
ちなみに、今のお話にあわせて、私、山梨県の大月市民病院で実際に常勤医として働いていらっしゃる方からお話を伺ってまいりました。ここは、去年、二〇一八年三月に、独法化をするというふうに決定をして、発表しているところなんですけれども、もともと経緯として、外科診療の方で人材が足りないということがありまして、常勤医四名が、三月に退職をされて、病床数も含め、外科診療は非常に縮小をされるという発表がありました。
実際に伺ってみると、やはり医師人材の確保に当たりましては、例えば大学の医局と連携をして医師を派遣してもらうということをやっていたそうなんですけれども、医局が派遣をもう打ちやめようということになってしまうと、医師は実際には派遣されずに、その科はもう閉じる、もしくは縮小するという流れがあったということを伺っています。
医師の方に聞いたんですけれども、仕事場を選ぶ観点というところで三点挙げていただいたんですけれども、一つはやっぱり研究、そして二つ目というところが給与もしくは勤務時間などの処遇の条件、こちらが挙がっておりました。三つ目が立地となりますので、東京と地方の方ではまた状況が違うのかもしれないんですけれども、東京都内にもたくさんクリニックがある中で、医師人材の引き合いというのはあちこちで起こっておりまして、実際こういうところで、医師の確保不足というところで悩んでいらっしゃる病院が多いのかなというふうには感じているところでございます。
どのような経営の形態になろうとも、ぜひこのような独自の仕組みは継続していただいて、さらに柔軟かつ機動的に人材確保を行っていただいて、量的にも質的にも医療サービスを向上させていただきたいと考えております。
続いて、医療現場の働く環境についての質問に移ります。
医療現場は多くの女性が活躍をする場所ですが、出産や育児といったライフステージにおいて、仕事か家庭か選ばなければならない場面もあると伺っています。女性に限らず、男性もですけれども、日々の暮らしと仕事をどちらも充実させることのできる、あるいはさらなる学びや研究、スキルアップも望むことのできる多様な働き方が求められております。
多様な働き方という観点では、実際に地方独立行政法人化した病院ではどのようになっているのか伺います。
○末村計画調整担当部長 地方独立行政法人では、医療現場の状況に応じまして、独自に職員の勤務条件を設定することが可能なメリットを生かし、多様な働き方ができる仕組みを構築している事例がございます。
具体的には、神奈川県立病院機構や京都市立病院機構では、理由を育児に限定しない短時間勤務制度の導入など人材確保、定着に向けた柔軟な勤務制度を導入しています。また、神戸市民病院機構では、大学院留学等に係る有給休職制度を整備するなど人材の育成に向けました柔軟な勤務制度を構築しているところでございます。
○斉藤委員 先日、私の、子供を育てる仲間みたいな友人の医師がいらっしゃるんですけれども、その方が都内で麻酔医として勤務をされておりまして、その方からもお話を伺ってまいりました。
子育て中の方なんですけれども、そもそも麻酔医というのはちょっと特別な立ち位置にありまして、週三日は必ず同じ病院、同じ施設で働かないと専門医という立場を維持できないということがあるそうです。
都立病院の方では勤務時間等の縛りがありまして、麻酔医というのは都内各所で人材不足になっている中で、子育て中の医師の方は、やはり働く時間帯であったり日数というところに限りがどうしても出てきてしまうところもありまして、同じ週三日でも、できるだけより柔軟な働き方というところがとれるところ、そして、やっぱりより待遇のところがしっかりといただけるというところを求めるということがあるということでした。
こういうお話を聞いた上で、こうした悩みに応えることができなければ、やはり医療人材の確保というのはままならないのではないかというふうに考えておりますけれども、そのための経営努力を惜しまないというのは、やはりどのような組織でも同じであると思いますが、より柔軟な働き方を実現できる可能性があるということがわかりました。
国においても、まさに医師の働き方改革が議論されておりまして、先日の国の検討会でも、働きやすい環境整備によって、就労時間に制約のある医師の就労を促すことが医師の確保につながるとの指摘も出ておりました。眠っている人材が現場で活躍することができれば、今現場で働く方々の負担軽減にもつながります。
具体的な検討を進める上では、ぜひ真っ先に検討いただきたい事項であると申し述べておきます。
これまで先進事例を中心に伺ってきましたが、都立病院にふさわしい経営形態のあり方について、まさに現在、検討を重ねているところであると思います。来年度予算案では、都立病院の経営力の向上と経営のあり方に関する検討経費が計上されているようですが、その内容と今後どのように検討を進めていくのかについて伺います。
○末村計画調整担当部長 平成三十一年度予算案では、都立病院の経営力の向上、経営のあり方の検討に当たりまして、技術的、専門的な支援を受けることを目的とした調査委託費を計上してございます。
具体的には、今年度行いました都立病院の運営実態に即した課題検証を踏まえ、改善策などの検討を行う上での支援を受けることを予定してございます。
こうした調査委託も活用しながら、引き続き課題の分析、検証を行うとともに、さまざまな先行事例の情報収集等も行ってまいります。
その上で、医療や患者サービスの充実と経営力の向上の両面から、地方独立行政法人を初めといたしました公立病院として想定される経営形態につきまして、メリットやデメリットの検証を行うなど丁寧に検討を進めてまいります。
○斉藤委員 二〇二〇改革プランにおいても、より効果的な業務執行のための経営形態の検討を進めるべき旨の記載がありまして、具体的なメリット、デメリットを検討することは非常に重要なことであると考えます。
病院完結型から地域完結型の医療へと社会の流れが変わる中、都立病院がそれぞれの地域のニーズに応え、その力を存分に発揮するためには、現場の機動的な判断を可能にする体制づくりが必要です。
医療現場の実情に向き合って、医療の質の向上を初めとする都民サービスの充実、現場を支える職員の皆様の働きやすい環境づくりといった観点、視点から、丁寧かつスピーディーな検討をお願いするところでございます。
また、民間の病院では、医療技術の高度化とともに、医療サービスを支えるさまざまな改善が進んでいます。例えば、AIやビッグデータ、ICTの利活用による都民サービスの向上や働き方の改善について、民間企業や大学と連携して共同開発に取り組んでいる例などもございます。
今後の検討に当たっては、こうした多様な主体との連携を迅速かつ柔軟に進めるという観点からも検討を進めていただきますよう要望して、私の質問を終わります。
○岡本委員 私からは、多摩メディカルキャンパスについて、さらに質問させていただきます。
昨年、二〇一八年一月十一日に、多摩メディカル・キャンパス整備基本構想が策定、公表されました。そして、先月、二〇一九年の二月十九日に、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画案が策定、公表され、先日、委員会において、案件としてご説明をいただきました。
まず確認ですが、基本計画の位置づけについて質問させていただきます。基本計画とはどういうもので、何を定めているのかについてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカル・キャンパス整備基本計画は、昨年度策定いたしました基本構想に基づき、具体的な課題や条件を整理し、事業実施のための設計等の指針としていくため策定するものでございます。
本基本計画では、キャンパス全体計画、施設整備計画、病院別整備計画、医療機器等整備計画、整備スケジュール、事業費などにつきまして具体化を図ってございます。
○岡本委員 では、次に、もう少し具体的なところを確認させていただきたいと思います。
昨年の基本構想では、施設整備方針として八つの考え方を掲げていました。これについて何点か質問させていただきます。
まず、施設整備方針の一番目にある医療の高度化、多様化に適切に対応し、ハード、ソフトの両面からキャンパスのポテンシャルを最大限に発揮できるよう施設を整備しますとあります。
これを踏まえてお聞きします。多摩総合医療センターにおけるがん医療の高度化を図ることが重要と考えますが、どのように施設整備に反映したのかについて伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都がん検診センターの精密検査部門を統合し、検査機能を強化した外来がん検査・治療センター(仮称)を多摩総合医療センターの別館として整備し、がんの通院患者や要精密検査のがん疑いの方を対象といたしまして、内視鏡検査等の体制を拡充してまいります。
また、多摩総合医療センターのリウマチ、膠原病等の免疫系難病部門を難病医療センター(仮称)に移設することとしてございまして、移設後の病床をがん対応病床として拡充するとともに、化学療法室のベッド数の増設や放射線治療機器の整備などを進めてまいります。
○岡本委員 ありがとうございます。
がんの検査体制を強化するということ、それから、がん医療を強化するということは、地元の住民にとって大変歓迎すべきことだと思います。
その一方で、昨年十一月一日の事務事業質疑において質問させていただきましたが、東京都がん検診センターの一次検診の段階的縮小、廃止について、国分寺市の医師会の話も出させていただきながら、この段階的縮小、廃止に当たっては、地域の状況を踏まえて段階的に対応していただくということ、がん検診の受診率が低下することのないように、丁寧な対応や配慮をしていただくようお願いをいたしました。
これを踏まえてお聞きしますが、基本計画案において、外来がん検査・治療センター(仮称)は二〇二五年度を目指して開設するということが示されました。現行の東京都がん検診センターは、いつまで一次検診を継続していくのかについてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 外来がん検査・治療センター(仮称)に継承される二次検診を強化していくため、今後、一次検診を段階的に縮小してまいります。
遅くとも、外来がん検査・治療センター(仮称)の開設予定年度でございます二〇二〇年度ごろまでには一次検診を終了することとなります。(岡本委員「二〇二五……」と呼ぶ)二〇二五年度ごろです。
○岡本委員 一次検診の縮小、廃止に当たっては、現在、東京都がん検診センターで事業を受託している地元自治体、また地元医師会とも十分にコミュニケーションをとりながら、きめ細かな対応を行っていただき、がん検診の受診率が低下することのないように、十分な調整や準備を進めていただくよう改めてお願いを申し上げます。
次に、施設整備方針の四番目にあります施設の効率的な運用を図る観点から、共同利用を推進するという点についてお伺いします。
先ほど、桐山副委員長の質疑の中でも少し触れましたが、この施設の共同利用について、具体的にどのような考えのもとで整備していくのかについて伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病医療センター(仮称)と外来がん検査・治療センター(仮称)はそれぞれ独立した病院の施設でございますが、渡り廊下で接続し、患者やスタッフの往来を可能にすることで、ハード面から、施設や医療機器の共同利用や効率的な運用を後押ししていくこととしてございます。
また、高額医療機器につきましては、キャンパス内で共同利用を推進することを方針として整備を行います。例えば、外来がん検査・治療センター(仮称)に導入予定のPET-CT等高額医療機器につきましては、難病医療センター(仮称)でのてんかんの診断等にも活用するなど機器利用における効果や効率性の最大化を図ってまいります。
○岡本委員 施設や医療機器の共同利用は、キャンパス内の連携や、また患者サービスの向上を図るという意味でも効果的であると思いますし、また、ワイズスペンディングの観点からも重要だと思います。
次に、施設整備方針の八番目に、誰もが利用しやすい施設整備とあります。どのような点に配慮して、利用しやすい施設を整備しようと考えているのかについてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 キャンパスは、あらゆる世代のさまざまな状態、状況の方が利用されるため、誰もが利用しやすい施設となるように配慮する必要がございます。
例えば、難病医療センター(仮称)におきましては、難病患者の特性に配慮した環境整備を行ってまいります。
具体的には、車椅子やストレッチャー、人工呼吸器等を使用される難病患者に配慮した療養環境として、十分な廊下幅や十分な病室面積を確保した施設としてまいります。
また、メーン出入り口付近に車寄せを設けまして、タクシーの乗降がしやすいように配慮もしてまいりたいと考えてございます。キャンパス西側エリアには、病院まで車と交錯することなく、安全な歩行動線を確保いたしました屋根つきの障害者用平置き駐車場を整備いたします。
さらに、色彩やサインは、心温かい医療と安全性に配慮しつつ、キャンパス内の統一感を持たせながら計画をしてまいります。また、表示内容の多言語化や国際標準化されたピクトグラムの採用など、国際化への対応にも配慮をしてまいります。
このように、キャンパス全体といたしまして、多様な視点から目配りをして、可能な限りぬくもりのある施設としてまいりたいというふうに考えてございます。
○岡本委員 我々も視察をさせていただく中で、小児総合医療センターの中のぬくもりのある景観等も拝見させていただきました。引き続き、誰もが利用しやすい施設の整備をお願いいたします。
今後、基本計画に基づいて施設整備を着実に進めていかれまして、多摩メディカルキャンパスの持つさまざまなポテンシャルを最大限に発揮していただくよう期待を申し上げて、私の質疑を終わります。
○まつば委員 大きく三項目につきまして質問をさせていただきます。
まず初めに、アレルギー医療について質問をいたします。
国民の約二人に一人が気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、花粉症など、何らかのアレルギー疾患にかかっているといわれております。
アレルギー疾患は、慢性的な疾患として日々の生活に大きな影響を与えております。アレルギー疾患がある方が状態に応じた適切な医療を受けられるよう、医療提供の体制を整備することが求められます。
東京都は、アレルギー疾患医療の質の向上と連携体制の構築、情報提供の充実に取り組むため、本年二月に、四つのアレルギー疾患医療拠点病院と十三の専門病院を指定いたしました。都立病院では、小児総合医療センターが拠点病院に、多摩総合医療センターが専門病院に指定をされました。
そこでまず、拠点病院と専門病院の役割についてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都アレルギー疾患医療拠点病院及び東京都アレルギー疾患医療専門病院は、診断が困難な症例や標準的治療では病態が安定しない重症及び難治性のアレルギー疾患の患者が適切な医療を受けられるよう、今、理事からお話があったとおりですが、都が本年二月に指定したものでございます。
拠点病院は、他の医療機関と連携いたしまして、幅広い領域のアレルギー疾患に対する専門的な医療を提供するとともに、都と協力いたしまして、医療従事者等の人材育成や患者、家族等への普及啓発の中心的な役割を担うこととなってございます。
また、専門病院の主な役割でございますが、拠点病院等と連携いたしまして、内科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科のいずれかの領域におきまして、専門的な医療を提供することでございます。
○まつば委員 拠点病院は、幅広い領域の治療の提供や、都と協力をして医療従事者への人材育成などを中心的に行うことと理解をいたしました。
都議会公明党は、平成二十二年の都立小児総合医療センターの開設に当たって、平成二十年第二回定例会代表質問におきまして、アレルギー科の設置を提案させていただきました。
そして、小児総合医療センターにアレルギー科が開設をされ、専門医や小児アレルギーエデュケーターによる適切な医療の提供により、この間、実績を積まれ、今回拠点病院として指定されたことを評価するものでございます。
この拠点病院となりました小児総合医療センターのアレルギー科は、どのような体制で診療を行っているのか、改めてお伺いをいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターのアレルギー科には、本年三月一日現在ですが、小児アレルギー疾患に関します専門的な知識と技術を有する日本アレルギー学会認定の常勤の指導医三名と非常勤の専門医一名を配置し、標準的治療に加え、一般の医療機関では対応が困難な症状の治療を行ってございます。
また、日本小児臨床アレルギー学会の小児アレルギーエデュケーターの認定を受けまして、より高度なアレルギーの専門知識と指導技術を持ち、患者に対して自宅でできるケアの指導などを行うことができる看護師を一名配置してございます。
このように、アレルギー疾患に関します専門的な知識を持つ職員がチームを組みまして、質の高いアレルギー医療を提供してございます。
○まつば委員 今後も引き続き、このアレルギー科におかれましては、充実した体制で医療提供ができるよう取り組みをお願いいたします。
アレルギー疾患の治療は、塗り薬や吸入薬などの適切な使用や食事管理なども継続できるよう支援していくことが必要であります。そのためには、薬剤師、看護師、栄養士などの医療従事者が専門的な知識や技能を高め、専門性を生かしたきめ細かい説明や指導を行うことが重要でございます。
また、都が平成二十八年度に実施した調査では、アレルギー疾患の診療を行っていると回答した医療機関のうち、約四割が診療ガイドラインに準ずる標準的治療を行っていないということでもございました。
このような状況におきまして、拠点病院に求められる医療従事者の育成の役割は非常に重要であると考えております。
そこで、小児総合医療センターにおける、アレルギー医療を提供する医療従事者等を育成する取り組みについてお伺いをいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターでは、アレルギー科の医師や看護師の専門的な知識を活用し、都内全域を対象とし、アレルギー医療を提供する医師、看護師、薬剤師、栄養士等の医療従事者へのアレルギー医療の向上に向けた講演会を行ってございます。
また、小児アレルギーエデュケーターの育成を図るため、取得予定者の実習の受け入れや取得者に対する専門研修を実施してございます。
さらに、本年三月十九日には、拠点病院といたしまして、アレルギー疾患診療ガイドライン普及のための専門研修を、都内の医療従事者を対象に実施する予定でございます。
今後は、こうした取り組みを着実に進め、アレルギー医療を提供する多くの医療従事者の育成を図ってまいります。
○まつば委員 三月十九日に専門研修を行うと、こういうご答弁でございました。
指定を受けて約一カ月で拠点病院として研修を開催するということでございますので、大変すばらしい取り組みであると考えております。
今後とも、このような取り組みを進めていただきまして、拠点病院としての使命を果たしていただきたいと、このように思っております。
さて、今回、多摩総合医療センターが専門病院に指定をされましたけれども、他の都立病院におきましてもアレルギー医療の充実を図っていくべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、アレルギー医療を行政的医療に位置づけまして、内科や小児科を中心に、ぜんそくや食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などを持つ患者の診療を行ってございます。
広尾病院、大塚病院におきましては、アレルギー疾患に関します専門外来を設置し、また駒込病院、墨東病院では、各診療科におきましてアレルギーの専門医を配置し、診断や専門的な治療を実施してございます。
今後とも、各病院におきまして取り組みを着実に進めるとともに、看護師などコメディカルの育成を図るなどアレルギー医療の診療体制の充実を図ってまいります。
○まつば委員 アレルギー医療は、診療報酬の点から見ても、不採算部門的な扱いを受けがちであるという、こういう指摘もあります。その意味でも、都立病院が取り組む意義は大きい分野でありますので、今後とも積極的な取り組みをお願いいたします。
次に、復職支援事業について質問をいたします。
昨年の都議会公明党の予算特別委員会代表質問におきまして、出産や育児等で離職中の女性医師等の復職支援につきまして質疑を行わせていただきました。
女性医師の割合は増加傾向にありまして、医師国家試験の合格者に占める女性の割合は約三分の一となっております。特に産婦人科、小児科につきましては、二十代では女性医師の割合が半数を上回っているという現状もあります。
女性医師の就業率を見ますと、医学部卒業後、年を重ねるにつれまして減少傾向をたどっております。卒業後十一年、おおむね三十六歳で最低の七六%になりまして、五十歳でようやく八五%まで回復するという状況であると聞いております。
全国的に医師が不足している中で、復職を支援して、東京の医療を支える人材を確保する取り組みは大変重要であると考えております。
そこで、離職した女性医師等が復職することに対してどのような課題があるのか、また、それに対してどういった取り組みが必要と考えるのかお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 医療の現場では、変化のスピードが速く、新薬や診療ガイドラインの改定、医療機器の高度化、複雑化などに対応していくことが必要であります。
また、病院に勤務する医師の場合、復職した直後から外来や入院診療にフルタイムで従事し、当直業務を求められることも多いため、勤務時間や業務を調整しながら徐々に職場復帰するというようなことは困難でございます。
こうしたことから、出産や育児等で数年のブランクがあると、臨床現場に戻ることに二の足を踏んでしまうという医師が多いのが現状でございます。
このため、勤務時間に柔軟性を持たせるなど、みずからのペースで働きながら、ブランクで鈍りかけた患者とのコミュニケーションスキルや最新の知見などを習得することにより、自信を持って復職できるよう支援していくことが重要と考え、都立病院において復職支援に取り組むこととしたものでございます。
○まつば委員 復職支援について、都立病院では具体的にどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。
○児玉経営企画部長 都立病院が有する豊富な医療資源や、これまで培ってきた医師の育成ノウハウ等を活用し、都立病院に限らず、都内の医療機関に復職を希望する医師を対象に、最新の知見の習得や臨床能力の向上を支援することを目的として、昨年九月に全都立病院で復職支援研修の募集を開始いたしました。
復職を希望する医師の経験や学びたい内容はさまざまであると考えられることから、研修内容や期間、勤務時間など、個々のニーズに応じてプログラムを設定するオーダーメード型の研修とし、臨床能力を高め、不安なく復職してもらえるよう、手術や診療業務などの医療行為に直接携わることのできる内容となっております。
これまで二十名から問い合わせがあり、そのうち九名が応募し、研修内容や期間などの調整が整った五名に対して、本年四月から研修を開始することといたしました。この五名の中には、留学などで一度現場を離れた男性医師も含まれており、女性医師に限らず、さまざまな理由で離職した医師が復職できるよう支援してまいります。
○まつば委員 四月から研修が開始されるということでございまして、取り組みが進んでいることを確認させていただきました。
女性の復職支援ということから問題意識を持って質疑をさせていただきましたが、実際には男性も復職支援研修に参加をされるということでございました。留学などが理由でということでございますが、今後、男性も育児や介護で職場を離れるというケースも出てくる可能性もあると考えます。
そういった意味では、ぜひ都立病院の豊富な症例や医療人材など、医療資源を大いに活用していただいて、女性医師も男性医師もともにキャリア形成をしていただけるような支援をしていただきたいと、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画案について質問をいたします。
平成二十九年十一月に公表されました多摩メディカル・キャンパス整備基本構想案において、東京都がん検診センターの一次検診事業は段階的に縮小、廃止し、高度な技術を有する精密検診部門をがん診療連携拠点病院である多摩総合医療センターへ統合した上で、新たながん医療提供体制を構築するという方針が示されました。
これに対して、都議会公明党は、平成二十九年第四回定例会の代表質問で、精密検査の受診率の向上と検査機能の強化を図る取り組みを進めるべきと主張をいたしました。
今回、この基本計画案が公表されまして、厚生委員会に報告され、またパブリックコメントが実施をされております。
そこで、多摩メディカルキャンパスにおける、がん医療の強化に向けた取り組み状況について伺ってまいりたいと思います。特に、がん検診につきましては、先ほど岡本理事からもご質問がございましたけれども、少し重なりますが、私の方からもさせていただきたいと思います。
このがん検診は区市町村が実施主体でございますけれども、東京都保健医療公社東京都がん検診センターは、区市町村から委託を受けて、一次検診、住民検診を実施されております。また、一次検診の結果を踏まえ、精密検査が必要とされた方や地域医療機関から紹介された方に対して、精密検査も実施しているということでございます。
このキャンパス整備基本構想の策定以降、東京都がん検診センターで実施をしている一次検診について、自治体の反応、そしてまた、今後の動向について、まずお伺いをいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 関係する自治体や地域医師会の方々とは個別に複数回意見交換を行い、他の検診機関の情報提供等を含め、丁寧に説明をしてきたところでございます。既に一部の自治体では、新たな検診機関への段階的な移行に取り組んでいるとも聞いてございます。
今後、基本計画案を策定いたしまして、統合後の外来がん検査・治療センター(仮称)の開設の時期と、東京都がん検診センター解体工事の時期をお示ししたことでありますので、今後こうした動きがさらに広まっていくものではないかというふうに考えてございます。
引き続き、自治体が円滑に移行を進めていけるよう支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○まつば委員 一次検診の縮小、廃止に向けては、地域の実情に配慮していただきながら調整を図っていくべきと考えております。関係する自治体や地域医師会への情報提供など必要な支援を、最後まで丁寧にしていただきたいと要望をいたします。
次に、がん医療の高度化についてでございます。
がん検診体制の充実強化を早期治療への第一歩として、今後はがんの検診、診断から治療に至るがん診療体制の高度化を図る必要があると考えております。
東京都がん検診センターの統合後には、多摩総合医療センターにおいて、どのようながん医療提供体制が構築をされることになるのかお伺いをいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩総合医療センターの現施設におきましては、難病医療センター(仮称)に移設する病床や外来スペースを活用いたしまして、がん対応病床を三十床程度拡充するとともに、既存の化学療法室を改修し、四十ベッド程度の新たな化学療法センターとして整備をしてまいります。
また、今後、放射線治療部門に高精度放射線治療装置、IMRTなどを導入することで、高度で身体への負担の少ない放射線治療の充実を図ってまいります。
さらに、多摩総合医療センターの別館として新たに整備いたします外来がん検査・治療センター(仮称)におきましては、地域の医療機関からの紹介を積極的に受け入れ、精密検査の必要ながん疑いの方やがん通院患者の方々を対象に、がんの検査と治療体制を充実させてまいります。
以上のように、多摩総合医療センター全体としてがん医療を強化することで、増加するがん患者への対応力を強化してまいります。
○まつば委員 今ご答弁いただきました外来がん検査・治療センター(仮称)では、どのような医療機能の強化がなされるのか具体的に答弁を求めたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 外来がん検査・治療センター(仮称)におきまして、東京都がん検診センターの高度な検診技術を承継し、早期の段階のがんを発見、診断するための体制を整備いたします。
具体的には、年間二万五千件程度の実施件数を見込んだ都内有数規模の内視鏡検査室を整備いたしますとともに、受け付けから検査、治療及び回復に至る一連の患者動線を考慮し、患者にとって負担の少ない配置としてまいります。
また、より早期の検査、あるいは診断が可能になるよう、PET-CT等の最新の放射線診断装置の導入を図ってまいります。
あわせて、女性特有のがんに対します検査機能を強化するため、マンモグラフィー室の整備や、短時間で高精度な検査を実施できる乳腺PET等を導入してまいります。
○まつば委員 国のがん対策を踏まえまして、多摩総合医療センターにおいて、早期の検査から治療に至るがん医療提供体制を構築し、がん診療連携拠点病院の役割をさらに強化充実させていくということを確認させていただきました。
さて、都議会公明党は、女性特有のがん対策の充実ということを目指してまいりました。私がこのがん検診センターに大変注目してきたのもその理由の一つでございまして、何度かがん検診センターにお伺いさせていただき、関係者の方々とも意見交換をさせていただいてまいりました。
特に二〇〇九年度から、女性特有のがん対策の乳がん、子宮頸がんの無料受診の検診のクーポン券の導入ということを国においてされまして、そうしたことから、一次検診の受診率の向上を図るといった意味で、この検査機関の充実ということが求められたわけでございます。
そうしたことから、特に乳がん検診においては、検査体制をさらに充実させるということで、マンモグラフィー検診車の導入も必要だということで、この東京都がん検診センターの中で導入ができないかと、こうしたことも質問等もさせていただきまして、平成二十三年度からマンモグラフィー検診車の運用が開始をされたという経緯がございます。この検診車は、その機動力を生かして、受診率の向上に対して役割を果たしてきたと、このように考えております。
新たに整備をされます外来がん検査・治療センター(仮称)におきましても、こうした検査機能の強化に加えて、受診率の向上を図るためには、女性の視点に立った受診環境の施設整備が求められると、このように思っております。
女性が受診しやすい環境を整備するに当たって、具体的にどのような工夫をしていくのか見解を求めます。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 外来がん検査・治療センター(仮称)に設置いたしますレディースエリアにおきまして、女性特有のがんに対します検査機能を強化するため、プライバシーへの配慮やアメニティーの充実を図った女性が受診しやすい環境を整備してまいります。
具体的には、婦人科外来や乳腺外科外来等の診察室を含めまして、原則として、受け付けから検査までエリア内で完結できる配置といたします。また、男性を含む同伴者と一緒に利用できる説明ブースを設け、患者、家族へも配慮したつくりとしてまいります。
○まつば委員 女性へのプライバシーやアメニティーに配慮した施設として受診しやすい環境が整備されることは、女性特有のがん対策として、さらなる前進であると考えております。
さらに、働く女性を含めた仕事を持つ現役世代の方々が受診しやすくするために、土曜日や平日の夕方の時間帯における受診枠の設定も今後検討をしていただければと、このことを要望させていただきます。
また、先ほど申し述べさせていただきました東京都がん検診センターで導入をしていただきましたマンモグラフィー検診車につきましては、その導入の経緯を踏まえていただき、今後、有効な活用策がないかということを検討していただいて、有効にこのマンモグラフィー検診車についても活用していただくことを要望として申し添えさせていただきまして、質問を終わります。
○清水委員 よろしくお願いします。
私からは、初めに、病院会計予算調査におけます地域の医療提供体制の確保充実に対して、都立病院がどんな貢献ができるかというふうな角度から、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みについて伺いたいと思います。
東京都では現在、地域包括ケアシステムの構築が進められております。医療提供のあり方は、病院完結型から地域完結型へと転換が図られつつあるわけであります。
このような中、東京都は、都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、地域医療の充実への貢献を新たな役割に位置づけたわけであります。八つの都立病院がそれぞれの特色を生かし、都の医療課題に率先して取り組み、将来にわたり東京の医療を支えることは、都立病院の極めて重要な責務だと思うわけであります。
地域完結型医療の実現には、地域の拠点となる入院先の病院とかかりつけ医とで患者様の医療情報を共有した切れ目のない医療連携体制の整備が必要だと思うわけであり、電子カルテに代表されるようなICTの活用は有効な手段だと思います。
特に多摩地域では、区部と比べまして拠点となる病院が少ないため、都立病院が率先してICTなどのツールを活用した病院間のネットワークの構築に貢献すべきと考えるわけでございますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 医療連携の範囲が広域的となる多摩地域におきまして、急性期から在宅療養への切れ目のない医療連携を一層推進するためには、連携する医療機関との間でICTを活用し、患者情報を共有することは有効な手段であると認識をしてございます。
患者にとっては、転院や在宅療養へ移行する際に重複した検査が不要となり、適切な服薬管理につながる等のメリットがございます。
現在、都内の医療機関の電子カルテを相互参照できるシステムとして、東京都医師会が中心となり構築した東京総合医療ネットワークが昨年七月より稼働をしてございます。
本ネットワークに接続している医療機関は現在のところまだ少ない状況ですが、多摩地域で唯一の都立の総合病院であります多摩総合医療センターが、来年度都立病院として初めて参画をして、ICTを活用した医療機関同士の切れ目のない連携体制の推進に貢献をしてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。
ご案内のとおり、私の地元は立川市でございます。地域の診療所に行きますと掲示されております紹介病院一覧には、大概、当時は都立府中病院、つまり現在の多摩総合医療センターが含まれていたものでございました。それだけ重要な役割を担っているのかなと思います。
多摩の医療拠点であります多摩総合医療センターが中心となりまして、医療機関同士の連携を密にして、多摩に住む都民が安心して地域で暮らせるよう、積極的な取り組みをお願いするわけであります。
都が策定いたしました地域医療構想では、地域包括ケアシステムにおけます支援の対象を、高齢者だけでなく、障害者や子供、子育て世代など、現に支援を必要としている全ての人々としているわけであります。
しかしながら、小児の在宅医療につきましては、在宅医療に対応可能な医療機関が限られていることもあり、患者、家族を支援する仕組みが十分とはいえないと思うわけであります。
小児が急性期の治療を終えて、地域の小児クリニックなどの医療や在宅療養につないでいくためには、自治体、医療、福祉、教育などの関係機関が縦割りに動くのではなくて、患者、家族を中心としたネットワークの構築が必要と考えるわけであります。
そこでお伺いしたいと思いますが、こうした取り組みを東京都の小児医療の拠点であります小児総合医療センターにおきまして、率先して実施すべきと考えますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児患者が安心して在宅療養を送るためには、行政医療、福祉、医療など、多岐にわたる関係機関が連携し、患者や家族を地域全体で支援する必要がございます。
このため、都の小児医療の拠点であります小児総合医療センターにおきまして、これまで培ってきた在宅移行のノウハウを活用し、関係機関が連携して、小児の在宅療養環境の充実を図るモデルとなる取り組みを来年度から実施いたします。
具体的には、小児在宅患者への支援等を検討するために自治体が構築する関係機関とのネットワーク、小児総合医療センターが中核的メンバーとして参画し、関係機関同士の連携強化を支援してまいります。
ネットワークでは、小児総合医療センターが、支援を必要とする患者情報の共有や容体急変時におけます地域での受け入れの仕組みづくりなどの具体的な取り組みを後押しすることで、患者、家族への包括的なケア体制の構築の推進に寄与をしてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。
私が当時市議会議員のときだったんですが、医療的ケアが必要な児童を抱える保護者の方々に、お子さんが地域で健常者の皆さんと変わらぬ生活を送りたいと、そうしたいんだという、そういった熱い思いを聞かせてもらったことを今思い返しております。
ぜひとも本事業は多摩地域だけではなくて、全都に誇れるモデルとなりますよう、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
続きまして、地域医療を支える人材育成への貢献について伺いたいと思います。
先ほどは医療提供体制への貢献ということでございますが、今度は人材育成に対して都立病院がどんな貢献ができるのかというふうなことを伺いたいと思います。
団塊の世代が後期高齢者となります二〇二五年には、医療、介護需要のさらなる増加が見込まれているわけであります。それを見据えまして、医療、介護が必要な人や認知症の人など地域の支援を必要とする都民が安心して暮らし続けられるよう、地域の実情に応じました地域包括ケアシステムの構築を推進し、先ほど申し上げましたとおり、病院完結型の医療から地域でなし支える地域完結型への医療へと転換が図られる必要があるわけであります。
都立病院は、地域医療の充実に貢献することを新たな役割として位置づけたわけでありますが、地域包括ケアシステムの構築に向けまして、積極的に取り組んでいくことが求められるわけであります。
地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅医療を実施していくことが大きな課題であり、そのためには訪問看護ステーションの担う役割は非常に大きいと考えるわけであります。
昨年十一月の厚生委員会におきまして、我が党の伊藤しょうこう委員の質疑の中で、東京看護アカデミーで育成した看護師を活用しまして、広尾病院から訪問看護ステーションに派遣し、人材育成や技術面での協力を試行しているとのご答弁を頂戴したわけであります。
そこで、本日は広尾病院で試行しました取り組みの成果についてお伺いをしたいと思います。
○児玉経営企画部長 今回の試行は、訪問看護ステーションとの人材交流により、人材育成面で協力ができるほか、都立病院においても看護師が在宅医療等の幅広い知見を踏まえた退院支援を実践することが可能となることから、地域完結型医療の実現に向けて、地域連携を推進することを目的に行ったものでございます。
昨年十月と十一月に広尾病院の看護師二名をそれぞれ一カ月間、研修生として訪問看護ステーションに派遣し、広尾病院で実施している看護技術や薬物療法などの最新の知見を訪問先で行う日々のケアの中で提供したほか、認知症ケアや心不全に関する学習会を開催するなどの取り組みを行いました。
訪問看護ステーションのスタッフからは、学習会で専門的なことをしっかり教えていただいた、あるいは訪問先でさまざまな判断が必要なときにアドバイスをもらうことができ、安心感があったなどの声をいただいております。
派遣した職員からも、病院では在宅は難しいと判断してしまいそうなケースでも、必要なサポートを受ければ地域で生活していけることが実感できた、あるいはケアマネジャーや訪問看護師とスムーズにコミュニケーションを図れる仕組みづくりを行いたいなどの意見がありました。
派遣された看護師は現場でのアドバイスや学習会の中で専門的な知識などの提供を行う一方で、現場での研修を通じて、退院支援に必要な経験や情報を得ることができるなど、相互にメリットのある取り組みであったと考えております。
○清水委員 ありがとうございます。どんな反響が寄せられるかなと思いましたが、双方から好意的なご意見をいただいたわけであります。
看護の役割は、患者様を取り巻く環境を良好にすることであります。今回の取り組みによりまして、病院、地域を問わず、患者様にとって良好な環境が整うことを切に願うわけであります。
そこで、今回の試行結果を踏まえまして、今後どのようにお取り組みになっていくのか伺いたいと思います。
○児玉経営企画部長 今回の試行は、都立病院がより積極的に地域の在宅医療、看護にかかわっていく姿勢を示すとともに、地域の看護師と顔の見える連携体制をつくる貴重な機会となりました。
今回の研修を契機に、広尾病院で実施する研修に派遣先の訪問看護ステーションのスタッフが参加するなど連携の取り組みを推進することができ、また、派遣された看護師による広尾病院での院内報告会を開催することで、必要な知識を共有し、退院支援の強化や地域連携に向けての院内職員の意識の向上につながったと認識しております。
そのため、広尾病院で継続して取り組みを進めるとともに、来年度は、難病患者や小児患者に対して、より専門的なケアを提供する必要のある訪問看護ステーションとの連携を推進するため、新たに神経病院と小児総合医療センターにおいて同様の研修を実施する予定でございます。
○清水委員 ありがとうございます。三十一年度には拡充していくとのことでありますので、しっかりと取り組みを進められたいと思います。
都民誰もが質の高い医療を受けながら、住みなれた地域で安心して療養していくためには、それを支える地域医療機関等のスキルアップが重要であると思います。
そのため、都立病院には、今後一層増加する在宅医療に不可欠な訪問看護ステーションなどの地域の医療を担う人材の育成が求められるわけであります。
昨年十二月の厚生委員会におきまして、現在の都立病院では、服務や柔軟な体制確保などの制約により、民間医療機関等へ機動的、積極的に診察応援することが困難であることが示されたわけであります。
今後、経営形態のあり方を検討する際にも、都立病院が地域ニーズに応じて柔軟な人材交流ができるような仕組みづくりにつきましても、しっかりと検討を進め、地域医療の充実に積極的に取り組んでいただければと思うわけであります。
それでは、次に、多摩地域の公立病院への医師派遣について何点かお伺いしたいと思います。
本件につきましては、新年度新規予算で一千万円余の予算が計上されているものでございます。
都立病院では、平成三十一年度から多摩地域におけます公立病院の診療体制の強化に向けまして、都立病院から指導医クラスの医師を派遣し、診療支援だけではなく、若手医師を育成する取り組みを新たに実施し、日野市立病院を最初の派遣病院としてモデル的に行うということでございます。
そこで、多摩地域でこの事業を実施する背景についてお伺いしたいと思います。
○児玉経営企画部長 多摩地域は、人口の割に規模の大きい医療機関が少ないことなどから、人口当たりの医師数が全国を下回っております。また、特定機能病院が一病院しかないなど区部に比べて高度専門的な医療を提供できる総合病院が少ない状況にあります。
こうした現状の中、多摩地域の公立病院は、地域の急性期医療を支える大きな役割を担っているところでありますが、医師の確保に関しましては、多くを大学医局からの派遣に頼っていることもあり、一部診療科において欠員が生じており、中核となる医師の確保に苦戦している状況がございます。
こうしたことから、多摩地域の公立病院に都立病院の医師を派遣し、地域医療の充実に貢献していきたいと考え、本事業をモデル的に実施することといたしました。
○清水委員 都立病院から指導医クラスの医師を派遣し、若手医師を育成し、公立病院の医療体制を強化するということでございますが、派遣の人数は一名だそうでございますが、具体的にどのような効果があるのかお伺いしたいと思います。
○児玉経営企画部長 これまで都立病院で培ってきた指導ノウハウ、あるいはさまざまな経験を有する指導医クラスの派遣医師が若手医師を指導することで、公立病院においてこれまで見ることのできなかった症状や疾患にも対応できるようになり、幅広い患者の受け入れが可能になると考えております。
また、都立病院の医師を公立病院へ派遣することにより、顔の見える関係が構築でき、都立病院と公立病院の病院間連携が強化されることで、患者の転院が円滑に進むほか、患者が症状に応じて身近な公立病院で受診ができるようになるなどの効果があると考えております。
○清水委員 少ない人数でも、やっぱり指導医クラスの方でございますので、多大な効果があるというふうなご答弁だったと思います。
モデル的な実施にとどまらず、拡大していけば、これは多摩地域全体の医療水準の向上につながると思いますので、しっかりと今後とも取り組んでいただければと思うわけでございます。
続きまして、報告事項でございます多摩メディカルキャンパスの整備基本計画(案)につきまして質問させていただきます。
質問が重なるかもしれませんが、私にもご答弁を頂戴できればなと思います。
都内有数の医療拠点でございます府中市の多摩メディカルキャンパスでは、今後、老朽化している神経病院の改築を契機に、医療機能を強化していくとされているわけであります。
ところで、近年は指定難病が拡大しまして、三百を超える疾病が対象となりまして、難病対策が大きく変わろうとしているわけであります。私の周辺にも、膠原病を患っている方が大変な療養生活を強いられているのを目の当たりにしているわけであります。
難病は希少な疾病であるため、発症してから確定診断までに長期の時間を要する場合が多く、できる限り早期に正しい判断ができる体制を構築することが必要だと思うわけであります。
このような中で、都の難病医療の拠点として老朽化した神経病院を建てかえ、その機能を再構築することにより、仮称でございますが、難病医療センターが整備されるということは、難病に苦しむ多くの患者様にとって大変期待の大きいところだと思うわけであります。
今後、整備される難病医療センター(仮称)では、どのような難病医療提供体制を構築していくのかお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病医療センター(仮称)は、神経病院で対応していますALSやパーキンソン病などの脳神経系難病に加えまして、多摩総合医療センターのリウマチ、膠原病など免疫系難病を移設、集約し、都の難病医療の拠点として、検査、診断から治療、地域での療養支援に至る総合的な難病医療を提供いたします。新たに外来を設け、外来から入院、在宅支援に至る包括的な難病医療を提供いたします。
また、疾患の特性に対応した専門疾患センターを設置し、医師だけではなく、薬剤師や看護師等の多職種により、外科療法、免疫療法等の多様な治療法を組み合わせることで、高い治療効果を得ることのできる集学的な治療を行う体制をつくりまして、先進的かつ高度で専門的な難病医療を提供いたします。
このように、同センターを中心といたしまして、難病医療提供体制を強化し、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターとあわせた三病院で、ほぼ全ての指定難病に対応してまいります。
○清水委員 ありがとうございます。難病医療センターとして医療機能の強化を図るということでございます。
患者の病状が安定した後に、身近な地域で療養できるように円滑な地域移行を推進していくためには、難病患者の機能維持や著しい機能低下を防ぐためのリハビリテーション医療の充実が重要だと考えるわけであります。
難病医療センターにおきまして、具体的にどのようなリハビリテーション医療を実施していくのかお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 症状が安定した患者の円滑な地域移行の推進には、地域と連携し、入院期間だけではなく、在宅での療養を見据えた切れ目のないリハビリテーション医療の提供が重要でございます。
難病医療センター(仮称)は、円滑な地域移行や地域での療養を支援していくための強化策といたしまして、ロボットリハビリ等、高度かつ先進的なリハビリ治療の実施や難病リハビリのノウハウを活用したリハビリの実施によります地域移行の推進、また地域医療支援病床やリハビリ専門病床の配置など、リハビリテーション医療を重点的に実施いたします。
○清水委員 キャンパスは相互の連携を推進することによりまして、総体として地域医療支援の拠点としての役割を果たしていくことが示されているわけであります。
多摩地域は、東京の面積のおよそ三分の二と広域にわたりますが、キャンパスが拠点となり地域との連携ネットワークを構築し、多摩地域の医療に貢献していく取り組みが推進されることになりましたら、住民は安心した生活を送れるのではないかと思うわけであります。
このため、急性期医療の安定的な提供に加えまして、都立病院の医療資源やノウハウを活用して、患者様が地域で安心して治療できるよう、地域医療を支援していく必要があると思います。
ただいま答弁のございました難病リハビリのノウハウを活用したリハビリにつきまして、どのようなものなのか具体的な実施内容をお伺いしたいと思います。特に、私が気になりましたロボット治療機器を用いて実施していますロボットリハビリなるものの効用についてお伺いをしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先進的なニューロリハビリツールでありますロボットスーツは、脳からの神経信号を感知して、歩行をアシストする仕組みでございます。
これによりまして、筋ジストロフィー等、緩やかに機能が低下していく神経筋疾患患者の歩行機能の改善効果がございまして、平成二十八年四月から保険適用となったことから、患者ニーズは一層高まってございます。
神経病院では、平成三十年十月よりロボットリハビリをモデル的に開始してございまして、来年度からは理学療法士等の医療スタッフを増員し、本格実施してまいります。
神経病院におきまして蓄積されましたリハビリのノウハウや人材を活用いたしまして、在宅復帰支援のためのリハビリや在宅療養患者への短期集中リハビリを実施してまいります。
加えて、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターとの連携によりまして、両センターの患者を受け入れ、神経病院の持つノウハウを活用して、急性期治療を経過した脳卒中患者等の円滑な地域移行を図るためのロボットリハビリの実施について検討もしてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。多摩キャンパスにおきまして、地域移行に向けたリハビリ医療を強化していることがわかりました。神経難病の患者様を対象に実施しているわけでありますが、脳卒中の後のリハビリが必要な患者様に対しても実施に向けた検討が行われているということでございます。
都立病院といたしまして、地域の医療環境や将来動向等を踏まえながら、地域で対応困難な難病リハビリや専門リハビリを提供してもらいたいわけであります。
さらに、基本計画案では、円滑な地域移行や地域での療養を支援するため、地域療養支援病床やリハビリ専門病床を整備とされております。
地域療養病床やリハビリ専門病床は、具体的にどのような患者の皆様を対象にしているのかお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病医療センター(仮称)は、患者が住みなれた地域で安心して療養を継続できますよう、地域の医療機関との連携のもと、病状が安定した患者の地域移行を推進してまいります。
このため、基本計画案におきまして、地域医療支援病床及びリハビリ専門病床を配置することといたしました。
地域医療支援病床では、患者の円滑な地域移行に向けた在宅医療支援体制として、在宅時の急変時、増悪時の緊急受け入れ、常時医療的管理を要する患者の定期評価入院、在宅看護困難時におけます一時受け入れ等を行ってまいります。
リハビリ専門病床では、在宅復帰支援のためのリハビリや在宅療養患者への短期集中リハビリを実施いたします。
いずれの病床も、特定の病棟を決めずに病院全体で弾力的な運用により対応をしてまいります。
○清水委員 急性期治療後の患者様が身近な地域で療養を継続できるよう地域へ円滑に移行するためには、退院後の生活や療養の不安、治療との両立など、さまざまな相談に対応していくことも重要であるかと思います。
また、基本計画案では、患者、地域支援部門として難病患者の皆様の地域での療養を支援するため、地域関係機関と連携して、地域移行を推進していくとされているわけであります。
そこでお伺いしたいわけでございますが、患者、地域支援部門では、具体的にどのような役割を果たしていくのかお伺いしたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在の神経病院では、平成二十九年十月に設置いたしました東京都多摩難病相談・支援室と連携を図りまして、患者支援センターを中心に、地域で生活する患者の日常生活におけます相談、あるいは就労支援、地域交流活動の促進など、患者の療養生活を多岐にわたり支援をしてございます。
このような機能をさらに充実させていくために、難病医療センター(仮称)におきましては、患者、家族はもとより、地域からの相談体制や情報発信機能を強化するとともに、地域の関係機関を入れたカンファレンスや実習生の受け入れ、地域関係者への技術支援等の重層的な患者、地域支援に取り組んでいくこととしてございます。
○清水委員 あらゆる患者様や地域からの相談に対応していくことは、地域住民にとって大変心強いことでございます。ぜひ、患者、地域への支援の取り組みの充実を図ってもらいたいと思います。
さて、基本計画案に掲げます難病医療センター(仮称)の整備に向けて、着実に取り組みを進めてもらいたいと思っているわけでございますが、今現在でもやれることから地域医療支援の取り組みを推進していくことが重要だと思うわけであります。
現在の神経病院では、地域医療支援にどのように取り組もうとしているのかお伺いしまして、私の質問を終わります。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病患者が身近な地域で安心して療養を継続できるようにするためには、地域移行の促進に向けた地域医療機関との連携体制をより強固にするとともに、地域医療機関の看護師を初めとする医療スタッフの難病に対する理解促進が重要でございます。
このため、東京都難病診療連携拠点病院として、主に医師を対象とした地域医療機関向けの講演会等の開催や、福祉保健局からの委託事業として在宅難病患者訪問看護師等養成研修の実施など、啓発事業に取り組んでございます。
また、地域移行に当たりまして、在宅療養患者等の急変、増悪時の対応を確実に行うため、来年度には患者支援センターに地域医療機関からのホットライン窓口を設けるなど緊急入院の受け入れ体制を強化してまいります。
このような地域の医療人材の育成と医療連携の強化によりまして、地域移行の取り組みを着実に進めてまいります。
○後藤委員 私からは、最後に、二点ご質問をさせていただきたいと思います。
まず、江東五区に所在する都立、公社病院における浸水対策についてお聞きをいたします。
昨年度は、西日本大豪雨や北海道胆振東部地震など、多くの災害に見舞われた一年でございました。
都内のうち、私の地元である足立区を含む江東五区というものは、中心部を荒川が流れ、そして隅田川、江戸川、東京湾という形で囲まれておりまして、海抜ゼロメートル地帯も非常に多いことから、水害リスクを抱えた地域でございます。
区民や都民の生命や健康を守る病院においては、非常用電源の浸水対策は重要でございまして、実際に昨年度の西日本大豪雨でも多くの病院が浸水により電源を喪失し、機能不全に陥ったということもございました。
そうしたことから、私たちの会派要望におきましても、病院等の医療施設、そして社会福祉施設における非常用電源等の整備を要望させていただきました。
病院経営本部が所管する都立病院及び公社病院のうち、墨東病院と東部地域病院というものが、この江東五区のエリアに位置をしておりますが、そういったことから、この二つの病院の非常用電源の浸水対策についてお聞きをしていきたいというふうに思います。
まず、墨東病院及び東部地域病院における非常用電源の浸水対策の重要性について改めて伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 近年、記録的な大雨や台風等によりまして、水害が頻発、激甚化している中、浸水時におきましても診療機能を維持、継続することは、医療機関の重要な使命であり、災害医療や救急医療といった行政的医療を担う墨東病院と東部地域病院の対策は急務でございます。
今、委員のお話がございましたとおり、西日本豪雨の際には、浸水により地下の電気室が泥につかるなど非常用発電装置が作動しなかった病院には人工透析ができず、他病院に患者の受け入れを要請したケースがあったという状況でございます。
このため、浸水対策におきましては、非常用電源の確保、これが重要だというふうに考えてございます。
○後藤委員 ありがとうございます。まさに命にかかわる現場であるということからこそ、医療体制をとめないための仕組みというものが重要であるということがわかりました。
では、墨東病院、そして東部地域病院における、これまでの非常用電源の浸水対策がどのような取り組みであったか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院及び東部地域病院では、災害拠点病院といたしまして必要な電力を確保するとともに、これまで施設整備等の機会に合わせまして、さまざまな浸水対策を実施してまいりました。
具体的には、両病院では、地下の電気設備への浸入を防ぐため、スロープの入り口に防潮板を設置してございます。また、救命救急センターを有する墨東病院では、前面道路より地盤を約二メートルかさ上げしてございます。さらに、平成二十六年の墨東病院の新棟整備に際しまして、非常用発電設備を屋上に、電気室を最上階に設置し、新棟だけではなく、旧棟の手術室やICU、感染症病棟等、重要施設へ電力供給を可能としてございます。
○後藤委員 ありがとうございます。どちらの病院でも、これまでさまざまな対策を実施してきたということがわかりました。
しかし、現在、発表されている各区のハザードマップに基づく最大浸水は、墨東病院で最大三メートル未満、東部地域病院で最大四メートル未満という大規模な浸水が想定をされておりまして、これは今までご答弁いただいたような、これまでの対策を上回る浸水が想定をされるということからも、昨年九月の防災事業の緊急総点検というものの中で、両病院の対策を強化するということが明言されているわけでございますが、ここで、墨東病院、そして東部地域病院における非常用発電設備の浸水対策強化の検討状況について伺いたいと思います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでの対策を上回る浸水にも対応できますよう、昨年実施した緊急総点検に基づき、現在、非常用発電設備のさらなる浸水対策について技術的な検討を行ってございます。
具体的には、さまざまな機材や工法等を調査し、各病院に適した整備内容や範囲につきまして比較検討を行っているところでございます。
例として、建物の開口部への防水壁や防潮板の設置、また地下の非常用発電設備や電気室の地上への移設などの対策について、実効性等の観点から、綿密に検討をしてございます。
これらの対策につきまして、概算費用、工期、病院運営への影響や整備後の運用面の評価等を踏まえ、それぞれの病院の状況に合わせた最適な対策を基本的な計画として早急に取りまとめた上で、来年度、計画に基づき設計に着手するなど対策を推進してまいります。
○後藤委員 ただいまのご答弁の中で、非常用電源の確保に向けてさまざまな角度から方策をご検討いただいているというご答弁がございまして、高く評価するものでございます。
可能な限り早期に、最適な手法に基づいて着実に実行をしていただくことを要望して、次のご質問に参ります。
次に、病児、病後児保育についてお聞きをしてまいりたいと思います。
これまで、私の地元の足立区では、病児保育施設がない地域ということでございまして、非常に、地域住民の方から設置に向けたニーズを、私も多くの保護者の方から聞いておりました。
こうした要望等々も踏まえて、平成三十一年の二月に、葛飾区にある東部地域病院が足立区と連携をし、そして、足立区民も利用できる病児保育室として開設をされました。
足立区と隣接をしている地域ということであることから、区内の保護者の方からも非常に期待が大きい事業でございますが、こうした複数の自治体から利用ができるという例は都内でも非常に少ないということで、東部地域病院の対応というものは、区民の方からしても非常にすばらしいものであったということで高く評価をしたいと思います。
このほかに、区部の東部地域において、病院に設置をされた病児、病後児保育所は、平成二十八年二月に墨東病院が設置をした施設がございますが、東部地域病院とあわせると、この二施設があるということでございまして、病気の子供の容体というは本当によく変化をするものでございまして、子供を預ける親にとって、病院に設置をされている病児、病後児保育は、急変時の対応という意味において大きな安心感があります。
そういったことから、多くの方に利用をいただきたいというふうに考えていますが、そこで、墨東病院及び東部地域病院の病児、病後児保育室の利用状況について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院ですが、今お話しのあったとおり、平成二十八年二月より墨田区から病児、病後児保育事業を受託し、墨田区の病児、病後児を受け入れており、定員は四名でございます。
今年度の利用実績は、平成三十年四月から三十一年二月までで延べ四百九十八人が利用しており、利用率は五五・六%でございました。
また、東部地域病院は、平成三十一年二月より足立区と葛飾区の連携のもと、葛飾区から事業を受託し、葛飾区及び足立区の病児を受け入れており、定員は八名でございます。
今年度の利用実績でございますが、開設後一カ月と間もない中で、延べ十五人が利用しており、利用率は九・九%でございました。
○後藤委員 ありがとうございました。
東部地域病院については、まだ病児保育がスタートして一カ月程度ということもありますので、今後はサービス認知のための普及啓発などについても、区と連携をしながら、ぜひ行っていただきたいということを要望させていただきます。
また、東部地域病院は、複数の区の児童を対象としているというお話を先ほどいたしましたけれども、墨東病院については墨田区のみを対象としている事業でございまして、墨東病院の病児、病後児保育室は、開設してから約三年がたっているということで、受け入れ状況は平準化しているというふうに考えられますけれども、利用率は五〇%から六〇%程度推移しているというようなところでございます。
そういった面からも、隣接をした地域でも自治体を超えた利用ができることを望む地域の声も含めて、非常にあるのかなというふうに考えておりまして、こういったものは、あくまでも実施主体は自治体であるということは承知をしておりますけれども、こうした声にもお応えしていくことが重要かなというふうに考えております。
そこで、墨東病院においても、ほかの自治体の子供を受け入れる広域利用というものも実施すべきと考えますが、見解を求めます。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院の病児や病後児の保育では、地元や近隣自治体のニーズに応じ、複数の自治体から児童を受け入れる広域利用を行うこととしてございます。
広域利用を行うに当たりましては、実施主体であります自治体ごとに利用料や開所時間等が異なるため、広域利用を行う自治体間での調整が必要となってまいります。
墨東病院におきましては、現在、こうした自治体間の事業体系が異なることを踏まえつつ、周辺区のニーズを確認しているところでございます。
○後藤委員 ありがとうございました。現在、周辺区のニーズを確認しているというところでございますので、ぜひ、ニーズがあるということであれば、早急に対応をいただきたいというふうに思います。
そして、先ほど墨東病院の病児保育室の利用率が五〇%から六〇%というようなお話がございましたが、病児保育は需給予測が非常に難しいというところであったり、そして、当日のキャンセルも多いという意味から、利用率の最適化ということが課題になっているところでございます。
都立病院で病児保育を行うという意味からは、稼働していない時間にも都民の皆さんに資する取り組みが行われるということも重要だというふうに考えております。
墨東病院の病児、病後児保育室は、一般の保育所とは異なって、看護師が必ず配置をされているということで、一般の保育所は看護師の配置が任意ということでございますが、墨東病院の病児、病後児保育室でも、こうした特性や状況を踏まえて、今後、医療の情報を必要とする、例えば地域の保育所等に感染症などの医療の情報を発信するなどして、地域の保育の質の向上というものに貢献していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立、公社病院の病児、病後児保育室は、保育事業者に運営を委託して実施しており、利用者が少ない日に看護師や保育士の専門性を生かした地域貢献の取り組みを実施することは、地域の保育の質の向上に資するものであり、配置された看護師や保育士といった人材の有効活用にもつながります。
このため、墨田区唯一の病児、病後児保育を実施する墨東病院におきまして、来年度から新たに、区内の認可保育所等に対する感染症流行状況や予防策等の情報発信について区から受託して実施することとしてございます。
この取り組みを通じまして、地域の保育について医療の面から質の向上に取り組んでまいります。
○後藤委員 保育所などにも情報発信を実施していただけるというご答弁がございました。
私も子供がまだ一歳五カ月ぐらいでございますけれども、この時期になると、本当に保育所で感染症が大流行をしておりまして、毎日、きょうは大丈夫かなと不安な日々を過ごしております。
そんなときに、感染症の流行状況など流行初期の段階で、例えば予防策と一緒に教えていただけるというような取り組みがあれば、保育所だけでなく、そこに子供を預ける保護者にとっても非常に高い安心感を与える取り組みであると思いますので、評価をしたいというふうに思います。
今後とも、こうした取り組みを墨東病院だけでなく、ほかの病院でもぜひ横展開をして実施をしていただくということを要望させていただきまして、私の質問を終了いたします。
○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗林委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時五十八分散会
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