厚生委員会速記録第一号

平成三十一年二月十九日(火曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長栗林のり子君
副委員長白石たみお君
副委員長桐山ひとみ君
理事小宮あんり君
理事まつば多美子君
理事岡本こうき君
伊藤しょうこう君
斉藤れいな君
もり  愛君
藤田りょうこ君
清水 孝治君
遠藤  守君
後藤 なみ君
木下ふみこ君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長内藤  淳君
次長理事兼務松川 桂子君
技監矢内真理子君
総務部長後藤 啓志君
指導監査部長村田 由佳君
医療政策部長矢沢 知子君
保健政策部長成田 友代君
生活福祉部長事業調整担当部長事務取扱坂本 尚史君
高齢社会対策部長粉川 貴司君
少子社会対策部長谷田  治君
障害者施策推進部長松山 祐一君
健康安全部長高橋 博則君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務奈良部瑞枝君
事業推進担当部長古賀 元浩君
医療改革推進担当部長田中 敦子君
医療政策担当部長花本 由紀君
地域保健担当部長本多由紀子君
子供・子育て施策推進担当部長加藤 みほ君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長野口 俊久君
感染症危機管理担当部長吉田 道彦君
病院経営本部本部長堤  雅史君
経営企画部長児玉英一郎君
サービス推進部長山口  真君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務樋口 隆之君
計画調整担当部長末村 智子君

本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 病院経営本部所管分
・平成三十一年度東京都病院会計予算
報告事項(説明)
・多摩メディカル・キャンパス整備基本計画(案)について
福祉保健局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・平成三十一年度東京都国民健康保険事業会計予算
・平成三十一年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
・平成三十一年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
・平成三十年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 福祉保健局所管分
・東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
・東京都子供への虐待の防止等に関する条例
請願陳情の審査
(1)三〇第四七号 医療行為による予防接種の免疫消失に対する再接種に関する請願
(2)三〇第五五号 子供の幸せと保護者の安心を保障する保育の実現を求めることに関する請願
(3)三〇第五六号 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願
(4)三〇第九〇号 いのちと健康を脅かす高過ぎる国民健康保険料(税)の引下げを求めることに関する陳情
(5)三〇第九九号 「臨海特支在学児の放課後デイ利用問題」への真摯な対応を福祉保健局に求める陳情
(6)三〇第一〇六号 性感染症対策における多言語化対応に関する陳情

○栗林委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○栗林委員長 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る一月二十五日付をもって、たきぐち学議員が当委員会から文教委員会に変更になり、新たに斉藤れいな議員が文教委員会から当委員会に所属変更になった旨、通知がありました。
 また、去る二月十八日付をもって、伊藤こういち議員が当委員会から財政委員会に変更になり、新たに遠藤守議員が財政委員会から当委員会に所属変更になった旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員をご紹介いたします。
 遠藤守委員です。

○遠藤委員 どうぞよろしくお願いいたします。

○栗林委員長 斉藤れいな委員です。

○斉藤委員 どうぞよろしくお願いします。

○栗林委員長 紹介は終わりました。
 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思います。ご了承願います。

○栗林委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、病院経営本部関係の報告事項の聴取並びに福祉保健局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をするにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○堤病院経営本部長 平成三十一年第一回定例会に提出を予定しております病院経営本部関係の議案につきましてご説明を申し上げます。
 ご審議いただきます議案は、平成三十一年度一般会計及び病院会計当初予算案二件でございます。
 病院経営本部は、企業の経済性の発揮と公共の福祉の増進という地方公営企業の経営の基本原則にのっとり、都民に対する医療サービスの向上と日々の経営改善努力を不断に積み重ねながら、都立病院を運営してまいりました。
 一方、少子高齢化の急速な進行や国の医療制度改革など、医療をめぐる環境は大きく変化しており、医療提供のあり方は、病院完結型の医療から地域完結型の医療へと転換が求められています。
 このような状況の中、都立病院は、これまで充実強化してきた医療資源を最大限活用し、継続的かつ安定的に行政的医療を提供するとともに、地域医療の充実にも積極的に貢献していくことが重要であるとの認識のもと、平成三十年三月、都立病院新改革実行プラン二〇一八を策定いたしました。
 これらを踏まえ、平成三十一年度予算は、二〇二〇年に向けた実行プラン及び都立病院新改革実行プラン二〇一八を推進していくための予算としてございます。
 一般会計予算では、公益財団法人東京都保健医療公社の運営費などを計上するとともに、病院会計予算では、都の医療政策推進への貢献、安全・安心で質の高い医療の提供など六つの戦略を定め、より多くの都民に適切な医療を提供していくための経費を計上いたしました。
 予算案に盛り込みました事項につきまして、主要な施策についてご説明をさせていただきます。
 まず、一般会計予算でございます。
 公益財団法人東京都保健医療公社が所管する六つの地域病院とがん検診センターの運営に要する経費などを計上してございます。
 次に、病院会計予算でございます。
 まず、一つ目の戦略は、都の医療政策推進への貢献でございます。
 多摩地域の医療水準のさらなる向上を図るため、多摩メディカルキャンパスにおける医療機能を強化するとともに、神経病院を改築し、都の難病医療の拠点として整備をいたします。
 また、都心部唯一の基幹災害拠点病院である広尾病院について、災害時の医療提供体制を強化するとともに、将来を見据えて地域に必要とされる医療を提供するため、改築整備いたします。
 それぞれ基本計画の策定を進めているところでございますが、引き続き整備に向けた検討を行ってまいります。
 二つ目の戦略は、安全・安心で質の高い医療の提供でございます。
 患者の療養生活を総合的に支援する患者支援センターにおいて、法律相談に加え、治療と仕事の両立支援に関する相談を実施するなど、相談支援機能を強化してまいります。
 三つ目の戦略は、地域の医療提供体制の確保・充実への貢献でございます。
 地域包括ケアシステムの構築を支援するため、各都立病院において、地域の医療機関等との連携を強化するとともに、地域の方を対象とし、医療や予防、健康づくりに関する講座の実施を通じて、Tokyoヘルスケアサポーターの育成を行ってまいります。
 四つ目の戦略は、専門性が高く良質な医療人材の確保・育成でございます。
 東京医師アカデミーや東京看護アカデミーの運営などを通して、質の高い人材の確保や資質の向上に引き続き努めてまいります。
 五つ目の戦略は、サステイナブルな病院運営体制の構築でございます。
 安定的かつ強固な経営基盤を確立するため、働き方改革の推進を初め、経営力の強化や経営分析力向上のための取り組み、医業未収金管理体制の強化を行ってまいります。
 六つ目の戦略は、都民にわかりやすく病院の状況を見える化でございます。
 都立病院が提供する医療内容や経営状況等について、都民にわかりやすく情報発信をしてまいります。
 以上が本定例会に提出を予定しております議案の概要でございます。
 病院経営本部におきましては、地域医療構想の策定など地域医療のあり方等が変化していく中、行政的医療の安定的かつ継続的な提供はもちろん、地域医療機関とのネットワークを強化して地域医療の充実への貢献を行うことで、都立病院が果たすべき役割を着実に推進していく所存でございます。
 今後とも、都民の皆様の生命と健康を守るため、病院経営本部職員一丸となって、これらの課題に取り組んでまいります。何とぞ委員の皆様方のご指導、ご支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。
 なお、議案の詳細につきましては、この後、経営企画部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○児玉経営企画部長 引き続きまして、平成三十一年第一回定例会に提出を予定しております議案の概要についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております資料1、平成三十一年度当初予算の概要をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。平成三十一年度病院経営本部所管当初予算総括表から始まりまして、一般会計、病院会計と順に概要をご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。
 なお、これから申し上げます予算額等につきましては、百万円未満は四捨五入して説明させていただきます。
 平成三十一年度病院経営本部所管当初予算総括表でございます。
 上段、一般会計でございますが、予算額は百三十一億四千百万円でございます。病院会計は、二千四十二億二千八百万円で、合わせまして二千百七十三億六千九百万円を計上しております。
 初めに、一般会計予算についてご説明いたします。
 三ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 上段の歳出は、公益財団法人東京都保健医療公社の運営費や施設整備費及び公社を担当する病院経営本部職員の人件費などで、合わせまして百三十一億四千百万円を計上しております。
 下段は、財産収入などの特定財源で一億七千七百万円を計上しております。
 四ページをお開き願います。Ⅱ、予算定数でございます。
 公社を担当する病院経営本部職員の定数でございます。
 続きまして、五ページをお開き願います。Ⅲ、事項別内訳でございます。
 まず、1、地域病院等の運営でございますが、百二十二億三千四百万円を計上しております。
 概要欄にございますように、ア、病院運営として、公社所管の六病院の運営に要する経費を計上しております。
 六ページをお開き願います。こちらも概要欄にございますように、イ、備品整備から、キ、病院管理等まで、所要の経費をそれぞれ計上しております。
 次に、2、地域病院等の施設整備でございます。
 豊島病院における照明設備改修工事など、病院の施設改修などに要する経費として九億七百万円を計上しております。
 七ページをお開き願います。平成三十一年度予算において、新たに債務負担行為限度額を計上したのは三件で、合計四億八千八百万円でございます。
 荏原病院におけるナースコール設備の更新工事、豊島病院における照明設備のLED化工事、同じく豊島病院における内視鏡室等の改修工事を行うものでございます。
 続きまして、病院会計予算についてご説明申し上げます。
 九ページをお開き願います。Ⅰ、総括表でございます。
 上の表、1、収益的収支でございますが、収入は、医業収益、医業外収益及び特別利益を合わせまして一千七百三十億四千四百万円を計上しております。支出は、医業費用、医業外費用及び特別損失を合わせまして一千七百二十二億四千四百万円を計上しておりまして、収支差引額は八億円の純利益を見込んでおります。
 これは、松沢病院敷地の一部有償所管がえによる特別利益等によるものでございます。
 なお、収入欄の括弧内の数値は一般会計繰入金で、収入計欄にありますように、合計で三百八十四億八千八百万円でございます。
 次に、下の表、2、資本的収支でございます。
 収入は、企業債及び固定資産売却収入を合わせまして二十六億七千七百万円、支出は、建設改良費及び企業債償還金を合わせまして三百十九億八千四百万円を計上しております。資本的収支の差引額は二百九十三億七百万円の不足となりますが、損益勘定留保資金その他で補填いたします。
 収益的支出と資本的支出の合計は二千四十二億二千八百万円、平成三十年度と比較しまして二十五億三千八百万円、率にして一・二%の減となっております。
 一〇ページをお開き願います。Ⅱ、予算定数でございます。
 平成三十一年度の予算定数は、表の合計欄にございますように六千八百三十八人で、平成三十年度と比較いたしまして五人の増員となっております。
 主な増減員内訳につきましては、表の右側に事項別に記載してございますが、薬剤師の病棟常駐業務の実施やリハビリテーション体制の強化による増員などを行います。
 一一ページをお開き願います。Ⅲ、患者規模総括表でございます。
 上の表、1、入院でございますが、平成三十一年度の病床数は合計四千九百五床で、平成三十年度と同数でございます。延べ人員は百五十九万九千四百二十人で、平成三十年度と比較しまして四千三百七十人の増としております。
 これは、平成三十一年度がうるう年に当たることによるものでございます。
 次に、下の表、2、外来でございますが、平成三十一年度の一日当たりの患者数は七千二百三十五人、延べ人員は二百十二万七千九十人としております。平成三十年度と比較して外来日数が二日多いことから、延べ人員につきましては一万四千四百七十人の増となっております。
 一二ページをお開き願います。このページから二三ページまでが、Ⅳ、事項別内訳でございまして、平成三十一年度の病院会計予算を八つの分野に区分して整理したものでございます。
 まず、一、病院管理運営でございます。
 都立八病院の管理運営に要する経費で、一千七百十一億八千五百万円を計上しております。
 一三ページをお開き願います。二、戦略1、都の医療政策推進への貢献でございます。
 予算額は二十八億六百万円を計上しております。
 まず、1、都の医療体制の充実でございます。
 多摩地域の医療拠点である多摩メディカルキャンパスにおいて、医療機能の強化を図るほか、基幹災害拠点機能を強化するため、老朽化した広尾病院を改築いたします。
 また、都立病院が地域の実情を踏まえ、さまざまな医療課題に対して中核的な役割を果たしていくために、多摩総合医療センターにおいて、外科手術とカテーテル治療を同時に行うことが可能なハイブリッド手術室を整備するほか、ブロック塀対策や水害対策など災害に備えた体制強化、駒込病院におけるがんゲノム診療実施のための体制整備等を行います。
 続きまして、一四ページをお開き願います。2、その他の政策実現への貢献でございます。
 地域の子育てを支援するため、区市のニーズを踏まえて、病児、病後児保育を実施するとともに、施設におけるLED照明の拡充を実施するなど、都の政策実現に貢献してまいります。
 一五ページをお開き願います。三、戦略2、安全・安心で質の高い医療の提供でございます。
 予算額は九億九千六百万円を計上しております。
 まず、1、質の高い医療の提供でございます。
 患者の状態に合わせた迅速かつ質の高い医療を提供するため、医師等の判断を待たずに手順書により行う一定の診療補助、いわゆる特定行為が実施できる看護師を養成してまいります。
 次に、2、だれもが利用しやすい環境づくりでございます。
 患者サービス向上の取り組みを推進するため、電子マネーによる決済方法への対応等を行うとともに、今後増加が見込まれる外国人に対し、安全・安心の医療を提供できるよう環境整備を進めてまいります。
 一六ページをお開き願います。3、患者支援機能の充実・強化でございます。
 患者の療養生活を総合的に支援していくため、患者支援センターにおいて、治療と仕事の両立に関する相談を実施するなど、円滑な転退院、在宅移行に向けた相談支援機能を強化してまいります。また、患者と医療者に対し、中立的な立場で問題点を整理し、調整を行う医療メディエーターの養成を行います。
 4、医療安全管理対策等の充実でございます。
 都民の医療に対する信頼を確保し、安全な医療を提供するため、患者の安全・安心につながる医療安全管理対策を推進してまいります。
 一七ページをお開き願います。5、情報システム管理体制の強化でございます。
 診療業務の安定的、効率的な運用を確保するため、電子カルテシステムの更新を行うとともに、患者の個人情報など重要な情報を多数取り扱っているため、強固な情報セキュリティー環境を構築してまいります。
 一八ページをお開き願います。四、戦略3、地域の医療提供体制の確保・充実への貢献でございます。
 予算額は六千九百万円を計上しております。
 まず、1、地域包括ケアシステム構築への貢献でございます。
 都民が安心して暮らせる地域医療体制の実現に向け、他の医療機関等との適切な役割分担と連携を推進するとともに、都立病院の医療機能や人材を活用し、医療や予防、健康づくりに関する啓発を行うなど、地域包括ケアシステムの構築を支援してまいります。
 平成三十一年度は、小児在宅医療における包括的ケア体制の構築を進めるほか、引き続きTokyoヘルスケアサポーターの育成等を行います。
 次に、2、地域医療を支える人材育成への貢献でございます。
 地域を支える人材育成に貢献していくため、多摩地域の公立医療機関への医師派遣を行うなど、地域の医療機関との人材交流を促進してまいります。
 一九ページをお開き願います。五、戦略4、専門性が高く良質な医療人材の確保・育成でございます。
 予算額は五億五千四百万円を計上しております。
 まず、1、医師の確保・育成と専門性の発揮でございます。
 行政的医療を適正に都民に提供していくため、東京医師アカデミーを引き続き着実に運営し、次代を担う若手医師の確保、育成を図るとともに、育児等で離職した医師の復職支援の取り組みを実施してまいります。
 次に、2、看護職員の確保・育成と専門性の発揮でございます。
 看護職員のキャリア開発を支援する仕組みを体系化した東京看護アカデミーにより、質の高い看護職員の確保、育成及び定着を図ってまいります。
 二〇ページをお開き願います。3、コメディカル職員の確保、育成と専門性の発揮でございます。
 コメディカル職種の専門性を向上させ、医療の高度化、専門化に対応できる職員を育成するため、学会認定資格等の取得支援を行ってまいります。
 4、病院経営を支える事務職員の確保・育成でございます。
 病院を経営していく上で必要な知識と経営能力を備えた事務職員を育成するため、研修等へ職員を派遣するとともに、資格取得支援等を行ってまいります。
 二一ページをお開き願います。六、戦略5、サステイナブルな病院運営体制の構築でございます。
 予算額は十四億六千二百万円を計上しております。
 まず、1、働き方改革の推進でございます。
 医療の高度化、専門化が進む中で、都立病院が良質な医療を提供し、安定的な運営を継続していくため、多様な働き方の実現を可能にする体制を構築することで、優秀な人材の確保を図ってまいります。医師事務作業補助者や看護補助者の配置を行うほか、院内保育室の整備を行います。
 次に、2、経営力の強化でございます。
 都立病院が将来にわたって良質な医療サービスを安定的に提供していくため、大塚病院に、仮称でございますが、診療情報分析室を設置するなど、経営力の強化や経営分析力の向上のための取り組みを推進してまいります。
 二二ページをお開き願います。七、戦略6、都民にわかりやすく病院の状況を見える化でございます。
 予算額は四百万円を計上しております。
 1、病院の状況の見える化の推進でございます。
 都立病院の役割や医療情報等について積極的に情報発信していくとともに、病院機能評価等の第三者機関の評価制度を積極的に活用し、その評価結果を公表してまいります。
 二三ページをお開き願います。八、病院施設整備でございます。
 予算額は二百七十一億五千二百万円を計上しております。
 まず、1、都立病院施設整備でございます。
 都立病院の施設改修や医療器械等の整備に要する経費を計上しております。
 次に、2、病院施設の維持・強化等でございます。
 大塚病院における大規模改修工事を行うとともに、多摩メディカルキャンパスにおける駐車場整備のための職務住宅解体工事等を行ってまいります。
 次に、3、企業債の償還でございます。
 都立病院整備のために発行した企業債の元金償還に要する経費を計上しております。
 最後になりますが、二四ページをお開き願います。V、債務負担行為でございます。
 平成三十一年度予算において、新たに債務負担行為限度額を計上したのは四件で、合計百二億九千四百万円でございます。
 大塚病院における大規模改修工事、駒込病院における病児、病後児保育実施のための保育室の建築工事、墨東病院における照明設備のLED化工事、多摩総合医療センターにおける職務住宅解体工事を実施するものでございます。
 次に、Ⅵ、企業債でございます。
 医療器械の整備など、病院建設改良事業に要する財源として計上しております。限度額は二十六億七千二百万円でございます。
 以上で病院経営本部所管の平成三十一年度当初予算案についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○白石委員 資料要求をさせていただきます。
 第一点目、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員、病院別。
 二点目、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員、病院別。
 三点目、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移。
 四点目、都立病院及び公社病院における看護要員の夜勤回数の分布。
 五点目、都立病院及び公社病院における看護要員の年次有給休暇平均取得率。
 六点目、都立病院及び公社病院における研修医の定数及び現員。
 七点目、都立病院におけるPFI事業にかかわる経費の推移。
 八点目、一般会計繰入金の推移、施設整備関連経費以外、病院別。
 九点目、一般会計繰入金の推移、施設整備関連経費。
 十点目、都立病院における経営指標の推移。
 十一点目、公社病院に対する運営費補助金の推移。
 十二点目、各都道府県内の公営企業病院に対する他会計繰入金額等。
 十三点目、東京都から公社病院への診療科別医師派遣数の推移。
 十四点目、都立病院における看護要員の離職率の推移、既卒、新卒。
 十五点目、都立病院における専門看護師及び認定看護師の人数及び分野の内訳。
 以上です。よろしくお願いします。

○栗林委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 ただいま白石副委員長より資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された副委員長と調整の上、ご提出願います。

○栗林委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 厚生委員会報告事項、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画(案)についてご報告申し上げます。
 お手元に、資料2、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画(案)概要と、資料3、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画(案)本文の冊子をお配りしてございます。
 それでは、資料2の概要によりご説明させていただきます。
 一ページ上段をごらんください。序章でございます。
 まず、第1、基本計画策定の経緯でございますが、本基本計画は、平成三十年一月策定の多摩メディカル・キャンパス整備基本構想に基づき、事業実施のための設計等の指針とするため策定したものでございます。
 続きまして、第1章、キャンパス全体計画でございます。
 第2、キャンパス全体の機能強化の方向性をごらんください。
 多摩地域の医療環境の変化やキャンパスを取り巻く課題へ対応するため、老朽化している神経病院の改築を軸に、キャンパスの医療機能を再構築いたします。また、キャンパス総体としての医療機能を強化することで、多摩地域全体の医療水準の向上を図ってまいります。
 二ページをお開き願います。第3、新たなキャンパスの役割でございます。
 新たなキャンパスとして、1、多摩地域の高度先進的な医療の拠点、2、地域医療支援の拠点、3、災害時における継続した医療の確保の三つの役割を果たしてまいります。
 次に、第4、整備基本方針でございます。
 基本構想でお示ししたとおり、記載の六つの方針により、取り組みを進めてまいります。
 三ページをごらんください。第2章、施設整備計画でございますが、第3、施設整備方針に記載の八つの考え方により、施設整備を進めてまいります。
 四ページをお開き願います。第4、建設概要でございます。
 まず、1、全体計画及び2、配置計画でございますが、キャンパス内を西側エリアと東側エリアに区分し、西側エリアから先行して整備をしてまいります。
 なお、西側エリアの保育棟と立体駐車場等は、本基本計画における整備事業とは別に先行して実施しております。
 次に、3、工事計画でございます。
 施設整備工程といたしまして、西側エリアの整備後に、まず、多摩総合医療センターの別館として、外来がん検査・治療センター(仮称)を整備いたします。
 次に、東京都がん検診センターを解体後、その跡地に難病医療センター(仮称)を整備いたします。
 五ページをごらんください。第3章、病院別整備計画でございます。
 まず、第1、新棟等の施設概要でございます。
 1、新棟等の施設規模の(1)、難病医療センター(仮称)についてでございますが、延べ床面積三万二千六百平方メートル程度、地下一階、設備室等を含め、地上六階程度を計画しております。
 次に、(2)、外来がん検査・治療センター(仮称)についてでございます。延べ床面積五千五百平方メートル程度、地下一階、設備室等を含め、地上三階程度を計画してございます。
 続きまして、2、災害に強い施設計画でございます。
 新棟の整備に当たりましては、地震や集中豪雨など自然災害発生時にも医療機能を維持できる施設として計画いたします。
 六ページをお開き願います。第2、難病医療センター(仮称)の整備計画をごらんください。
 まず、1、全体計画でございます。
 難病医療センター(仮称)は、都の難病医療の拠点として、検査、診断から治療、地域での療養支援に至る総合的な難病医療を提供してまいります。入院規模は三百床程度、外来規模は一日当たり三百三十人程度を想定しております。
 七ページをごらんください。主な医療機能強化の取り組みといたしまして、〔1〕、ほぼ全ての脳、神経系及び免疫系の難病患者に対し、高度で包括的な医療を実施いたします。
 次に、2、部門別配置計画でございます。
 病棟部門には、円滑な地域移行や地域での療養を支援するための地域医療支援病床、またリハビリ専門病床を配置いたします。また、外来部門として、新たに専門性の高い外来診療体制を整備いたします。細胞管理部門には、再生医療を適切に提供するため、細胞管理室(仮称)を整備いたします。リハビリテーション部門におきましては、ロボットリハビリ等の高度で先進的なリハビリ治療を実施するための十分なスペースを確保いたします。
 八ページをお開き願います。第3、多摩総合医療センターの整備計画でございます。
 まず、1、全体計画でございます。
 主な医療機能強化の取り組みといたしまして、〔1〕、多摩地域のがん医療の拠点として先進的かつ高度で専門性の高いがん医療を提供してまいります。具体的には、現施設である本館におきまして、がん対応病床を拡充いたします。また、東京都がん検診センターの精密検診部門を機能統合し、より早期の段階のがんを発見、診断するための体制を整備するために、外来がん検査・治療センター(仮称)を新設いたします。
 次に、2、部門別配置計画でございます。
 (1)、外来がん検査・治療センター(仮称)におきましては、内視鏡センターを整備し、内視鏡診断、治療体制を充実してまいります。また、レディースエリアを設け、女性特有のがんに対する検査機能を強化するとともに、プライバシーへの配慮やアメニティーの充実など、女性が受診しやすい環境を整備いたします。
 (2)、本館におきましても、機能強化のための改修工事を行います。化学療法センターにつきましては、既存の化学療法室を拡充し、ベッド数を増設いたします。また、放射線治療部門では、高度で低侵襲な治療の推進のため、高精度放射線治療装置を導入いたします。
 九ページをごらんください。第4、小児総合医療センターの整備計画でございます。
 まず、1、全体計画でございますが、主な医療機能強化の取り組みといたしまして、〔1〕、心から体に至る医療の高度化を図り、重症患者に積極的に対応してまいります。
 続きまして、第5、臨床研究部門の整備計画でございます。
 まず、1、全体計画でございます。
 キャンパスでの臨床研究や先進医療を推進していくため、臨床研究実施体制を強化してまいります。このため、難病医療センター(仮称)の施設内に三病院で共同利用する臨床研究支援センター(仮称)を整備いたします。
 次に、2、部門別配置計画でございます。
 (1)、臨床研究実施体制の整備といたしまして、東京都医学総合研究所や首都大学東京等との共同研究スペースを整備いたします。
 一〇ページをお開き願います。第7、構内環境整備計画をごらんください。
 キャンパス内の交通環境の改善を図るとともに、構内環境を整備し、利用者の安全の確保と利便性の向上を図ります。具体的な整備内容は記載のとおりでございます。
 続きまして、第4章、医療機器等整備計画でございます。
 まず、第1、医療機器整備計画でございます。
 高額医療機器を中心に、三病院での共同利用を推進する考えのもとで、効果的、効率的に整備してまいります。
 一一ページをごらんください。第2、情報システム整備計画でございます。
 各施設間の情報システム連携により、受け付け業務の簡略化、待ち時間の短縮など、業務の効率化と患者サービスの向上を図ります。
 続きまして、第5章、整備スケジュール等でございます。
 まず、第1、整備手法でございます。
 1、整備手法採用に当たっての諸条件でございます。
 (1)、キャンパスの段階的工事の円滑な実施、(2)、キャンパス三病院の効率的、効果的な運営体制の構築、(3)、既存PFI事業との関係性、(4)、整備費用の縮減の四つの条件を考慮する必要がございます。
 2、採用する整備手法でございますが、整備スケジュールや建設事業費などの観点から、従来方式である設計施工分離発注方式とPFI方式を検討いたしました。今後の建設費高騰など不確定要因もありますことから、基本設計着手の段階までに最適な整備手法を検討いたします。
 次に、第2、スケジュールでございます。
 表に記載のとおり、二期にわたる工事を行い、外来がん検査・治療センター(仮称)はおおむね二〇二五年度ごろの開設、難病医療センター(仮称)はおおむね二〇三〇年度ごろの開設となる見込みでございます。
 一二ページをお開き願います。第6章、事業費でございます。
 まず、第1、概算事業費でございます。
 難病医療センター(仮称)建設工事費の約百七十四億円など、合計で約二百二十九億円と積算しております。
 最後に、第2、整備費用のコスト縮減でございます。
 適正な患者規模を検討するとともに、整備事業費の適正化を図ることにより、建設後の財政負担を可能な限り軽減してまいります。
 以上、簡単ではございますが、報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○栗林委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 福祉保健局の横手事業調整担当部長は、病気療養のため、当分の間、委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○内藤福祉保健局長 平成三十一年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回ご審議をお願いいたします議案は、平成三十一年度予算案四件、平成三十年度補正予算案一件、条例案三件の合計八件でございます。
 初めに、平成三十一年度予算案につきましてご説明申し上げます。
 平成三十一年度東京都予算案は、東京二〇二〇大会を推進力とし、東京が成熟都市として新たな進化を遂げ、成長を生み続けられるよう、未来に向けた道筋をつける予算と位置づけられ、編成されております。
 この方針に基づきまして、福祉保健局では、福祉、保健、医療を一体的に提供するとともに、社会環境の変化に迅速かつ的確に対応するため、さまざまな工夫を凝らし、施策の充実を図っております。
 当初予算案のうち、福祉保健局が所管する一般会計歳出予算は総額一兆二千八十三億八千三百万円、三十年度に比べ五百四十五億二千九百万円、率にいたしまして四・七%の増となってございます。
 さらに、特別会計が三つございまして、まず、国民健康保険事業会計が予算額一兆一千五十二億四千四百万円、次に、母子父子福祉貸付資金会計が予算額三十九億三千六百万円、最後に、心身障害者扶養年金会計が予算額四十三億四千百万円となってございます。
 分野ごとに取り組みについて簡単にご紹介させていただきますと、まず、子供家庭分野では、保育サービス利用児童数六万人分の確保に向け、集中的な取り組みを展開するほか、安心して産み育てることができる環境づくりや特別な支援を要する子供と家庭に対する支援の充実に努めてまいります。
 高齢者分野では、介護人材の確保、定着等を図るための取り組みや認知症高齢者へのさらなる支援など、地域包括ケアシステムの構築をより一層推進するとともに、特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の整備を促進してまいります。
 次に、障害者分野では、共生社会の実現に向け、グループホームなど障害者や障害児が地域で安心して暮らせる基盤の整備や障害者の就労を支援するとともに、障害者差別の解消に向けた取り組みを進めてまいります。
 生活福祉分野では、区市町村と連携しながら、低所得者などの生活の安定に向けた支援を行うとともに、福祉人材の確保、育成や、福祉のまちづくりに取り組んでまいります。
 次に、保健政策分野では、フレイル対策などにより都民の健康づくりを支援するとともに、がん検診の受診促進や受動喫煙防止対策、自殺対策などに取り組んでまいります。
 医療政策分野では、都民の安全と安心を守る救急災害医療体制を充実するとともに、将来あるべき医療提供体制の実現に向け、医療と介護の連携を進め、在宅療養を支援する体制づくりに努めてまいります。また、がん医療、小児医療、周産期医療などの取り組みも着実に推進してまいります。
 健康安全分野では、風疹対策を強化するとともに、食品の安全確保や梅毒等性感染症の予防啓発など、多様化する健康危機から都民を守る施策を進めてまいります。
 次に、平成三十年度最終補正予算についてご説明申し上げます。
 一般会計歳入歳出予算の補正でございますが、内容は、低所得者等向け生活福祉資金貸付原資の補助に要する経費を計上するため、生活福祉資金貸付事業補助の増額補正を行うもののほか、予算の執行状況を精査した上で、減額補正を行うものなどでございます。
 続きまして、条例案の概要をご説明申し上げます。
 本定例会に提案を予定しております条例案は三件でございます。新たに制定する条例として東京都子供への虐待の防止等に関する条例の一件、改正する条例案二件でございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○後藤総務部長 それでは、私から、議案の詳細につきましてご説明を申し上げます。
 初めに、平成三十一年度予算案でございます。お手元の資料、平成三十一年度当初予算概要によりましてご説明を申し上げます。
 表紙をおめくりいただきまして、目次が三枚ございますが、めくっていただきますと、平成三十一年度福祉保健局所管予算の概要でございます。
 当局におきましては、1にございます一般会計のほか、2でお示ししております国民健康保険事業会計、母子父子福祉貸付資金会計、心身障害者扶養年金会計の三つの特別会計を所管しております。
 以下、会計別にご説明を申し上げます。
 まず、一般会計になります。
 次の一般会計と書いてございます青色の中扉をおめくりいただきまして、一ページになります。Ⅰの総括表になります。
 歳出の計欄をごらんいただきたいと思います。平成三十一年度予算は一兆二千八十三億八千三百万円でございまして、三十年度当初予算と比べまして五百四十五億二千九百万円、四・七%の増となっております。
 次に、歳入でございますけれども、表の一番下から二段目、特定財源の計の欄をごらんいただきたいと思います。平成三十一年度予算は一千八百六十億三百五万七千円になってございまして、三十年度当初予算と比べまして七十七億五千九百八十五万二千円、四・四%の増となっております。
 二ページをお開き願います。Ⅱ、職員定数でございます。
 表の一番下、合計欄にございますように、平成三十一年度の職員定数は合計で四千百九十二名となってございまして、三十年度と比較いたしまして九十名の増員となっております。
 主な増減員といたしまして、表の右側にお示ししておりますように、児童相談所の体制強化で六十五名の増員となっております。
 隣の三ページからが、Ⅲ、事項別内訳を科目別に記載してございます。
 主な事業につきまして、新規事業を中心にご説明を申し上げます。
 まず、おめくりいただきまして、四ページになります。このページの7と8になりますけれども、公益財団法人東京都医学総合研究所で実施いたしますプロジェクト研究になります。
 まず、7、肝硬変治療薬開発の推進でございます。
 B型及びC型肝硬変の治療薬候補になります低分子化合物PRI-724をヒト肝細胞モデルマウス等に投与いたしまして、肝臓の機能が回復するメカニズムを解明する基礎研究を推進してまいります。
 次に、8、人工神経接続装置開発の推進になります。
 脊髄損傷患者や脳梗塞患者の身体機能の回復に資するよう、公益財団法人東京都医学総合研究所が独自に開発いたしました人工神経接続を用いまして、疾患病態に合わせました神経接続方法と刺激方法を新規に開発するための臨床研究を推進してまいります。
 一一ページをお願いいたします。一一ページ、(8)にありますモバイルICU、ERによります病院間高度緊急搬送支援システム構築プロジェクトになります。
 集中治療室や救急診療室の機能を備えました車両と、それに搭乗する医療チームによります高度な医療管理下で患者を搬送いたしまして、傷病者の予後とQOLの改善を図ってまいります。
 続きまして、(10)、AEDマップ適正登録緊急対策事業になります。
 AEDマップに登録している設置者に対しまして、具体的な設置場所や使用可能時間帯などの登録を推進いたしまして、AEDマップの利便性の向上や緊急時に速やかにAEDを利用できる環境を整備してまいります。
 一二ページをお開き願います。2の小児救急医療対策にございます(2)、地域における小児医療研修でございます。
 地域の診療所医師や小児二次救急指定医療機関の医師及び看護師に対しまして、小児救急に関する専門的な研修への受講を支援してまいります。
 一四ページをお開き願います。一四ページ中ほどにございますカ、災害時小児周産期リエゾンの養成等でございます。
 取り扱う情報が専門的な産科、産婦人科、小児科、新生児科の各分野に精通した災害医療従事者を、災害時に情報収集と発信の中核を担う災害時小児周産期リエゾンとして養成してまいります。
 二一ページをお開き願います。二一ページは、(10)、東京都多職種連携ネットワーク事業でございます。
 ICTを活用いたしました情報共有のための共通ポータルサイトを構築いたしまして、日常的な患者情報に円滑にアクセスする仕組みや病院から在宅に移行する患者の受け入れ先の検索を支援する機能によりまして、医療、介護関係者間の広域的な連携の推進を図ってまいります。
 二二ページをお開き願います。(17)、外国人旅行者等への医療情報提供体制整備でございます。
 この事業におきましては、宿泊施設等で外国人旅行者から医療機関の紹介を求める相談などがあった場合の対応方法をまとめましたマニュアルを新たに作成してまいります。
 隣の二三ページになりますが、(7)、歯科保健推進事業でございます。
 かかりつけ歯科医の定着や乳幼児期から高齢期までの全てのライフステージに応じた適切な口腔ケアが行われますよう、普及啓発などを通じまして、歯科保健の推進を図ってまいります。
 その次、(8)、障害者歯科保健医療の推進でございます。
 障害者歯科に関する協議の場を設置いたしますとともに、地域の障害者歯科医療の連携推進に向けました機能分担や連携体制の構築に向けました取り組みを推進してまいります。
 二九ページをお開き願います。二九ページの一番下にございます3、災害時健康危機管理支援チームの体制整備でございます。
 災害発生時に被災地方公共団体の保健医療行政の指揮、調整機能等を応援するため、専門的な研修を受けた都職員等により構成する支援チーム、いわゆるDHEATの体制を整備してまいります。
 三一ページをお開き願います。3、高齢者の食環境整備事業になります。
 健康寿命の延伸に向けまして、フレイルの原因の一つであります低栄養を予防するため、配食事業者への講習やコンビニエンスストアとの連携によりまして、高齢者の食環境整備を支援してまいります。
 その次の4、地元から発信する健康づくり支援事業になります。
 地域で健康づくりに取り組む団体等の活動事例の表彰や紹介などを通じまして、健康寿命の延伸に向けました地域活動の活性化を図ってまいります。
 少々飛びますけれども、四一ページになります。四一ページ、(9)、後発医薬品使用促進事業でございます。
 国が掲げます二〇二〇年九月までに後発医薬品の使用割合を八〇%以上とする目標を達成するため、関係機関と連携して後発医薬品の使用促進を図ってまいります。
 四三ページをお開き願います。一番上にあります5、被災者生活再建支援基金拠出金でございます。
 自然災害により居住する住宅が全壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して、その生活の再建を支援することを目的といたしまして、都道府県が相互扶助の観点から拠出して設置しております被災者生活再建支援基金へ追加拠出いたします。
 五〇ページをお開き願います。五〇ページ、下ほどにあります6、ひきこもり等社会参加支援事業でございます。
 こちらの事業は青少年・治安対策本部から移管される予定の事業になってございます。ひきこもりの状態にある方やその家族に対する相談窓口を設置いたしますとともに、ひきこもり状態にある方を支援するNPO法人等の育成及び支援を行ってまいります。
 五七ページをお開き願います。(7)、訪問看護師オンデマンド研修事業でございます。
 育児、介護中の訪問看護師のスキルアップに資するよう、eラーニング研修等を実施いたしまして、訪問看護人材の育成及び定着を図ってまいります。
 五八ページをお開き願います。(13)、高齢者による地域活動応援事業でございます。
 地域の課題解決のために活躍したいとお考えになる元気高齢者の活動を後押しいたしまして、社会参加を促進するため、地域で活動するための知識等を学ぶ講座や現場体験などの機会を提供する区市町村を支援してまいります。
 六〇ページをお開き願います。(6)、認知症とともに暮らす地域あんしん事業でございます。
 この事業におきましては、認知症検診推進事業としておりますけれども、都民が認知症への早期の対応や治療ができるよう、認知症の早期診断に向けました認知機能検査を推進する区市町村の取り組みを新たに支援してまいります。
 続きまして、一番下にあります(9)、若年性認知症支援事業でございます。
 若年性認知症への理解を深めるための普及啓発を行いますとともに、若年性認知症の人の居場所づくりや社会参加等を支援することによりまして、地域における支援体制の充実を図ってまいります。
 隣の六一ページ、4、介護人材確保・育成の支援にあります(1)、東京都介護人材総合対策検討委員会の運営でございます。
 次期高齢者保健福祉計画の策定に向けまして、介護人材を取り巻く状況等に関する調査を実施いたしますとともに、都における介護人材の確保、定着、育成に向けました効果的な対策について検討をしてまいります。
 六三ページをお開き願います。中ほどにございます(13)、外国人介護従事者受入れ環境整備事業でございます。
 介護事業者が外国人介護従事者を円滑に受け入れられるよう、経営者等向けセミナーや指導担当者向けの研修を実施いたしますとともに、外国人留学生を雇用し、奨学金を給付する事業者に対しまして、必要な経費の一部を支援してまいります。
 六四ページをお開き願います。(18)、介護保険施設等におけるICT活用促進事業でございます。
 特別養護老人ホーム等におけるICT環境整備や見守り支援機器等の導入を支援いたしまして、職員の負担軽減を図りますとともに、質の高い介護サービスの提供を推進してまいります。
 また、下から二番目にあります5、高齢者の活躍促進の(1)、介護予防・フレイル予防推進事業でございます。
 高齢期を健康な状態で過ごすため、主にシニア世代やシニア予備群を中心といたしました都民に対しまして、介護予防及びフレイル予防の普及啓発を実施してまいります。
 続いて、その下にあります(2)、学校との連携による高齢者の社会参加促進事業でございます。
 元気高齢者の社会参加を促進するため、元気高齢者が運営の担い手となりまして、学校支援活動や子供たちの放課後活動の支援等、さまざまな活動を実施する地域交流拠点を整備する区市町村の取り組みを支援してまいります。
 隣の六五ページの一番上にあります(3)、シニア予備群向け読本の作成・配布でございます。
 高齢者になる前から高齢期のライフプランをイメージできるよう、五十歳代などのシニア予備群に対しまして、就業、社会参加、生きがいづくり等の情報や、介護や支援が必要になったときの対応方法等を掲載した読本を作成いたしまして、周知してまいります。
 六七ページをお開き願います。(5)、特別養護老人ホーム整備に係る用地確保支援事業でございます。
 特別養護老人ホームの整備促進を図りますため、地域の実情に応じて区市町村が行う整備用地の掘り起こしや土地オーナーと整備法人とのマッチング等の取り組みを支援してまいります。
 七五ページをお開き願います。七五ページ、10、ふらっとひろば事業でございます。
 障害の有無にかかわらず、全ての就学前の子を持つ親子が利用できますよう、区市町村の子育て広場に専門職を配置するモデル事業を実施してまいります。
 八〇ページをお開き願います。38、移行期医療支援体制整備事業でございます。
 小児期から成人期への移行期にある小児慢性特定疾病児童等への適切な医療の提供に関する課題を解消するため、医療従事者間の連携など支援体制の整備等を促進してまいります。
 八二ページをお開き願います。45、新生児聴覚検査リファーのファミリーサポートでございます。
 新生児聴覚検査を安心して受けられる体制整備を推進するため、医療機関における検査機器購入や区市町村における保健師等の配置を支援してまいります。
 また、一番下にあります49、子供を持つということに対する総合的な普及啓発でございます。
 妊娠、出産や不妊治療など、子供を持つということに関する知識について、二十前後の若者向けに普及啓発を実施してまいります。
 隣の八三ページ、一番上になります50、けんこう子育て・とうきょう事業でございます。
 全ての妊婦を対象に、妊娠届提出時に面接等を実施いたしまして、各家庭の状況に応じた子育てスキルの情報を提供してまいります。
 続きまして、51、液体ミルク普及・定着へ向けたコンテンツの制作と啓発事業でございます。
 災害時における乳児用液体ミルクの活用を推進するため、乳児用液体ミルクの特性や具体的な活用方法の普及啓発等を実施してまいります。
 八四ページをお開き願います。2、児童虐待を防止するためのSNSを活用した相談事業でございます。
 児童虐待の防止のため、LINEを活用いたしまして、児童本人及びその保護者がより相談等にアクセスしやすい環境を提供してまいります。
 八八ページをお開き願います。一番上、9、育児指導機能強化事業でございます。
 乳児院等に育児指導担当職員を配置いたしまして、入所児童やその家庭に加えまして、地域で子育て中の家庭等からの子育てに関する相談に応じることによりまして、子育てに関する不安を解消するなど育児指導機能の充実を図ってまいります。
 その下、10、施設と地域との関係強化事業でございます。
 児童養護施設等における家事や養育等を担う人材として、シニア世代及びシニア予備群等を活用いたしまして、児童養護施設等に対する地域の理解を深めますとともに、職員による入所者支援の充実を図ってまいります。
 さらにその下、11、医療機関等連携強化事業でございます。
 継続的な服薬管理や健康管理が必要な児童等の円滑な受け入れを促進するため、乳児院等に医療機関等連絡調整員を配置してまいります。
 さらに、一番下にございます12、児童養護施設等職員宿舎借り上げ支援事業でございます。
 児童養護施設及び乳児院を運営する事業者が職員用の宿舎を借り上げた際に、その経費を補助することによりまして、人材の確保及び定着を図ってまいります。
 隣の八九ページ、一番下にございます16、養子縁組民間あっせん機関助成事業でございます。
 養子縁組民間あっせん機関が行います関係機関と連携して、養親希望者等の負担軽減に向けました支援のあり方を検証する取り組みや、職員の研修受講等を支援することによりまして、効果的な支援体制の構築、さらに職員の資質向上を図ってまいります。
 九二ページをお開き願います。一番下にございます30、自然を活用した東京都版保育モデルの検討でございます。
 保育の充実を図りますため、都内の自然環境を活用して保育を行う東京都版モデルを作成してまいります。
 九五ページをお開き願います。一番上、39、医療的ケア児保育支援モデル事業でございます。
 医療的ケア児が保育所等の利用を希望する場合に受け入れが可能となりますよう、保育所等の体制を整備いたしまして、医療的ケア児の地域生活支援の向上を図ってまいります。
 また、41、夜間帯保育事業でございます。
 深夜帯の保育や二十四時間保育に取り組む認証保育所を支援することで、都民が安心して利用できる夜間帯及び休日の保育を提供してまいります。
 九六ページをお開き願います。44、保育所等無償化対応でございます。
 幼児教育の無償化に伴いまして、保育所等を利用する保育認定児童のうち、住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳児及び全ての三歳から五歳児までにつきまして、保育料の全部または一部を支弁してまいります。
 続きまして、その下、45、保育所等利用多子世帯負担軽減事業でございます。
 生計を同一にする子が二人以上いる世帯等に対しまして、私立認可保育所等に通う第二子以降の保育料の負担軽減を行う区市町村を支援してまいります。
 一〇二ページをお開き願います。一〇二ページ、上から二番目にございます5、障害者グループホーム体制強化支援事業でございます。
 身体上または行動特性上、特別な支援を必要といたします重度の利用者を受け入れるために、手厚い職員配置を行うグループホームの体制確保を支援してまいります。
 一〇六ページをお開き願います。8、児童発達支援センター地域支援体制確保事業でございます。
 児童発達支援センターにおきまして、地域支援及び地域連携を行う専門職員を確保、育成する取り組みを支援いたしまして、障害児の地域支援体制整備の促進を図ってまいります。
 一一一ページをお開き願います。一番下、(7)、障害福祉サービス事業所職員奨学金返済・育成支援事業でございます。
 事業者が、新卒者などの若手常勤職員の奨学金返済相当額を手当として支給する場合に要する経費の一部を支援することで、職員の確保及び定着を図ってまいります。
 一一二ページをお開き願います。(8)、福祉・介護職員処遇改善加算取得促進事業でございます。
 事業者に対しまして、福祉介護職員処遇改善加算の取得に関します助言や指導などを実施いたしまして、事業所における加算の新規取得や、より上位の区分の加算取得を促進し、職員の確保、定着を図ってまいります。
 一二一ページをお開き願います。一二一ページ、(8)、災害時精神科医療体制整備事業でございます。
 災害時に被災病院から入院患者を受け入れる医療機関を災害拠点精神科病院及び災害拠点精神科連携病院に指定いたしまして、災害時の精神科医療提供体制の強化を図ってまいります。
 その下、(9)、難治性精神疾患地域支援体制整備事業でございます。
 入院が長期化しやすい難治性の精神疾患を有する患者の方々が、専門的治療を受けながら地域で安心して生活できますよう、支援体制を構築してまいります。
 その下、(10)、措置入院者等退院後支援体制整備事業でございます。
 措置入院者などが退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる体制の整備を行ってまいります。
 さらに、(11)、精神障害計画相談支援従事者等養成研修事業でございます。
 指定特定相談事業所等の従事者に対しまして、精神障害者に対する地域移行支援等の知識や技術の取得に資する内容の研修を行いまして、その資質の向上と拡大を図ってまいります。
 少々飛びますけれども、一三八ページをお願いいたします。一三八ページの中ほどにございます(8)、板橋キャンパスの再編整備でございます。
 板橋キャンパス再編整備基本計画に基づきまして、来年度から二〇二〇年度にかけまして、再編整備のための基本設計を行ってまいります。
 一四二ページをお開き願います。中ほどやや下にございます11、災害拠点病院等自家発電設備等整備強化事業でございます。
 災害時の医療機能の確保を図りますため、災害拠点病院及び災害拠点連携病院が設置しております自家発電設備を水害等から守るための対策への支援などを行ってまいります。
 一四七ページをお開き願います。一四七ページ、33、介護療養型医療施設から介護医療院への転換整備費補助でございます。
 今後増加が見込まれます慢性期の医療、介護ニーズに対応できるよう、介護療養型医療施設から介護医療院への転換を行う法人等を支援いたしまして、転換整備を促進してまいります。
 さらにその下、34、高齢者施設等の防災・減災対策推進事業でございます。
 介護施設等の防災、減災対策を推進するため、大規模停電時に医療的配慮が必要な入所者等の安全を確保するための非常用自家発電設備の整備や、倒壊の危険性のあるブロック塀の改修等に必要な経費を補助してまいります。
 また、一四九ページの40、それから一五一ページの(3)は、それぞれ児童福祉施設と障害者児施設に関して、同様の事業を実施していくものでございます。
 次に、特別会計になります。
 少々飛びますけれども、一五九ページをお開き願います。まず、国民健康保険事業会計でございます。
 このページには、本会計における職員定数を記載してございます。平成三十一年度の職員定数は六人でございます。
 一六〇ページをお開き願います。国民健康保険事業会計には、国民健康保険法に基づきます保険給付等に要する経費といたしまして、一兆一千五十二億四千四百万円を計上してございます。
 一六五ページをお開き願います。一六五ページ、母子父子福祉貸付資金会計でございます。
 母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づきます母子、父子福祉資金の貸し付けに要する経費といたしまして、三十九億三千六百万円を計上してございます。
 一六六ページをお開き願います。心身障害者扶養年金会計でございます。
 東京都心身障害者扶養年金条例を廃止する条例に基づきます年金給付等に要する経費といたしまして、四十三億四千百万円を計上してございます。
 平成三十一年度予算案につきましては以上でございます。
 続きまして、平成三十年度補正予算案につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料、平成三十年度最終補正予算概要をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページでございます。左側、(1)、歳入予算の補正予算額欄をごらんいただきたいと思います。
 国庫支出金で十五億六千四百三十六万三千円の減額、繰入金で四十二億二千五百三万七千円の減額、諸収入で七十三億七千三百八十九万円の増額、合計で十五億八千四百四十九万円の増額となってございます。これらによりまして、補正後の歳入合計は一千七百九十八億二千七百六十九万五千円となります。
 右側、(2)、歳出予算の補正予算額欄をごらんいただきたいと思います。
 福祉保健費で四百三十五億五千五百六十六万五千円の減額、諸支出金で四十九億七千四百二十五万四千円の増額、合計で三百八十五億八千百四十一万一千円の減額でございます。これらによりまして、補正後の歳出合計は一兆一千百五十二億七千二百五十八万九千円となります。
 二ページをお開き願います。こちらから、Ⅱ、事項別内訳としてございまして、まず、1、生活福祉資金貸付事業補助でございます。
 低所得者向け生活福祉資金貸付原資の補助に要する経費といたしまして、三十三億七千九百五十二万八千円を計上しております。
 続きまして、三ページから二三ページにかけまして、2、歳入歳出予算の更正としておりますけれども、歳出予算の更正や財源の更正を行う経費につきまして、歳出科目ごとに記載してございます。
 二四ページ、最後のページになりますけれども、お開き願いたいと思います。3、国庫支出金返納金でございます。
 精算の結果、受け入れが超過いたしました国庫支出金の返納に要する経費といたしまして、四十九億七千四百二十五万四千円を計上してございます。
 最終補正予算案につきましては以上でございます。
 続きまして、条例案についてご説明を申し上げます。
 お手元の資料、平成三十一年第一回東京都議会定例会条例案の概要をごらんいただきたいと思います。資料の順に沿ってご説明をいたします。
 表紙をめくって一ページになります。整理番号1、東京都子供への虐待の防止等に関する条例でございます。
 子供への虐待の防止への理解を深め、社会全体で虐待の防止に関する取り組みを一層推進する必要がありますことから、子供を虐待から守ることに関する基本理念及び東京都、都民及び保護者等の責務を規定いたしますとともに、虐待の未然防止、早期発見及び早期対応等に係ります規定を設けた条例を制定するものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十一年四月一日を予定しております。
 整理番号2、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 今回、介護支援専門員実務研修受講試験に係る手数料の額を改めますほか、がん登録等の推進に関する法律の施行に伴いまして、がん登録情報提供に関する手数料に係る規定を設けるものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十一年四月一日を予定しております。
 整理番号3、東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例でございます。
 この条例は、東京都心身障害者福祉センター多摩支所の移転に伴いまして、位置を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十一年七月十六日を予定しております。
 以上の三件は既に議長宛てに送付させていただいておりますけれども、このほかに、先週二月十五日に、関係いたします厚生労働省令が公布されましたため、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例につきまして、今後提出させていただく予定になってございます。
 整理番号1から3の議案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成三十一年第一回東京都議会定例会条例案をごらんいただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますけれども、提出議案の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○藤田委員 私からは、七点、資料を要求させていただきます。
 二次保健医療圏別NICU病床整備状況。
 二点目に、療養型施設数及び療養病床数及び介護医療院の施設数と病床数。
 三つ目に、地域密着型サービスの事業所の推移。
 四つ目に、地域包括支援センターの設置状況。
 五つ目に、障害者グループホームの定員数。
 六つ目に、被爆者の子の健康診断受診票の交付者数及び健康診断受診状況の推移。
 七つ目に、都内障害者グループホームの都加算算定状況です。
 よろしくお願いします。

○栗林委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 ただいま藤田委員より資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出お願いいたします。

○栗林委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願三〇第四七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○吉田感染症危機管理担当部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、請願三〇第四七号、医療行為による予防接種の免疫消失に対する再接種に関する請願は、江東区の後藤あゆみさんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、小児がん等の長期にわたる抗がん剤治療や同種移植などにより予防接種の免疫が消失、低下した子供への再接種について、区市町村への支援をしていただきたいというものでございます。
 現在の状況をご説明いたします。
 予防接種法に基づく定期接種は、国が、対象疾病、接種対象、接種方法、健康被害が生じた場合の救済等を定め、区市町村で実施されております。
 医療行為により免疫を失った場合の再接種については、平成二十八年の地方分権改革に関する提案募集において、複数の自治体から再接種を定期接種として取り扱う提案がなされましたが、国は、現行の予防接種法では、定期接種を既に終えた方が医療行為により免疫を失った場合の対応は想定されておらず、提案内容について措置することは困難と回答しております。
 その後、国は、平成二十八年十二月に閣議決定において、医療行為により免疫を失った場合の再接種への支援を実施している地方公共団体の事例について、地方公共団体に研修会等を通じて平成二十九年中に周知するとの対応方針を決定し、平成二十九年九月から十月にかけて各地で実施した予防接種従事者研修会において事例を周知しております。
 なお、都内では、平成三十一年一月時点で、四つの区市が再接種への支援を行っております。
 また、平成二十五年四月に施行された予防接種法の附則においては、施行後五年を目途として、必要があると認めるときは検討を行う旨が規定されております。国は、平成三十年五月三十一日の参議院厚生労働委員会において、再接種の定期接種化については、予防接種法の見直しの際に審議会で検討を行う旨の説明を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○もり委員 都民ファーストの会のもり愛です。
 請願三〇第四七号、医療行為による予防接種の免疫消失に対する再接種に関する請願について意見を述べさせていただきます。
 小児がん等の長期にわたる抗がん剤治療や同種移植などにより予防接種の免疫が消失、低下した子供への再接種については、私も自治体議員時代より、地域においても必要性を現場より伺ってまいりました。
 医療の進歩により、かつては生存が難しかった病気でも、治療により治る時代となり、病気を経験された方のその後を支える支援施策の充実が求められていると感じます。
 小児の臓器移植の件数もふえており、骨髄移植等の造血幹細胞移植を受けると、接種したワクチンの効果が消失することが多く、感染症を防ぐためには再接種する必要があるといわれております。
 予防接種法に基づいて、定期の予防接種は区市町村で公費助成がありますが、再接種は対象外となっており、自己負担で一回約一万円程度、定期接種には十三種類あり、合計すると約二十万円と長期の治療に立ち向かってきた方々にとって再接種の費用負担は重いものとなっております。
 新潟市や名古屋市など全国で九十自治体が助成を行い、そのうち二十八自治体が全額助成を行っております。都内では、四つの区市で再接種の助成が行われており、地元大田区を含め、平成三十一年度から実施予定の区は七区、実施に向けて検討している区市も九区あると伺っております。
 ぜひそうした区市の動きを支援する点からも、都として何らかの再接種に対する支援が必要であると考えます。
 一方で、制度設計において、平成二十四年より新規のがん登録者数は二百六十一名であるものの、がん治療に対する都としての助成制度はなく、対象者の把握が難しい点も伺いました。
 また、安全性の観点から、都としては、国の予防接種法の改正状況を待っている点も伺いました。
 安全性の確保は、ワクチン接種においてとても重要な視点です。感染症予防の観点から、ワクチンで防げる病気に関してはできるだけ公的な支援を行うべきであると考える一方で、家庭や親御さんごとにさまざまな意見があり、任意接種としている点も十分に理解できます。
 しかし、術後のお子さんは免疫力が低下しており、特に臓器移植を受けた患者さんは、免疫抑制剤の長期投与などによって感染症にかかりやすい状況であることが指摘をされており、生命にかかわる重大な課題であると考え、支援に配慮すべきであると考えます。
 趣旨に対しては、賛同しておりますので、ぜひ採択を求めます。
 以上です。

○まつば委員 請願三〇第四七号、医療行為による予防接種の免疫消失に対する再接種に関する請願について質問させていただきます。
 この請願は、都議会公明党の細田いさむ議員が紹介議員にもなっており、細田議員の思いも受けて行わせていただきます。
 江東区在住のお母様が、四歳という幼いお嬢様の必死の闘病生活の中で、こうした請願を都議会にお出しになられたご心情を思うと胸が詰まります。答弁につきましては真摯なご対応をお願いいたします。
 まず、小児がんの治療によって免疫が消失、低下してしまうお子さんには、定期予防接種の再接種が必要となるということでございますが、現在の定期予防接種の種類は何種類あるのか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 小児を対象に一般的に実施されております定期予防接種は、麻疹風疹混合ワクチンや日本脳炎ワクチンなど合計十種類でございまして、これにより十三の疾病に対応しているところでございます。

○まつば委員 今ご答弁で十三疾病に対して対応しているということでございました。
 小児を対象といたしまして、この十三疾病、定期予防接種が実施をされているわけでございますが、接種後に骨髄移植や抗がん剤治療を受けられた場合に、予防接種をして獲得した抗体にどのような影響が出るのかをお伺いいたします。

○吉田感染症危機管理担当部長 骨髄移植による抗体への影響についてでございますが、日本造血細胞移植学会によりますと、造血細胞移植後の患者のウイルス抗体価は、抗体をつくる細胞の消失に伴い低下するとされております。
 抗がん剤治療による抗体への影響については、国や国内の学会において明確な見解は示されておりませんが、抗体価が低下することが報告されております。

○まつば委員 今のご答弁で、消失または低下するというお話がございました。
 こうした場合の再接種について、都内の区市町村の現在の実施状況と今後予定している自治体数についてお伺いをいたします。

○吉田感染症危機管理担当部長 平成三十一年一月現在、医療行為により抗体が消失、低下した方に対して再接種への支援を行っています都内の自治体は、台東区、足立区、町田市、稲城市の四自治体でございます。
 平成三十一年度から実施予定としてございます都内の自治体は、文京区を初め七自治体、また、実施に向けた検討を行っている都内の自治体は、杉並区を初め九自治体でございます。

○まつば委員 実施の自治体数が徐々にふえてきているということがわかりました。
 予防接種の実施におきましては、その効果とともに、安全性も重要になるというふうに考えております。
 再接種に関する安全性の確保についての見解についてお伺いをいたします。

○吉田感染症危機管理担当部長 予防接種を実施する際には、科学的知見に基づき、安全性が確認されていることが前提であると考えております。
 国は、昨年五月三十一日の参議院厚生労働委員会において、夏以降の予防接種法見直しの中で再接種を検討するとしておりまして、都はその動向を注視してまいります。

○まつば委員 伺ったところによりますと、接種費用は全体で二十万円はかかるということでございますので、負担は大変に大きいものと思います。
 請願者の方も、こう理由に書かれていらっしゃいます。肉体、精神ともに追い詰められた状態で、多額の費用がかかる予防接種を自費で接種することは、とても大きな負担となると、このようにございます。
 都は、区市町村に対する支援を検討すべきと考えますけれども、見解をお伺いいたします。

○吉田感染症危機管理担当部長 科学的根拠を踏まえまして、国が対象者や接種方法等を定め、予防接種法に基づく定期接種とするとの方向性が示された場合には、都は区市町村包括補助等による支援を含め、必要な対応を検討してまいります。

○まつば委員 ただいまご答弁で、国が予防接種法に基づく定期接種とするとの方向性が示された場合には、都は区市町村包括補助事業等によりまして支援を検討すると、こういうような趣旨のご答弁がございました。
 そういった意味では、都としまして、国に対して速やかに方向性を示すように要望をしていただきたいと、このように思います。そして、早期に予防接種の再接種が、費用がかかることなく、安心して接種できるようにしていただくことを強く要望させていただきます。
 請願者のお子様の一日も早い回復を祈りまして、質問を終わらせていただきます。

○藤田委員 私からも、医療行為による予防接種の免疫消失に対する再接種に関する請願について質問をいたします。
 国立がん研究センターの統計によると、小児がんと新たに診断される方は、ゼロ歳から十四歳で年間二千百人であり、主なものは、白血病、脳腫瘍、神経芽腫、悪性リンパ腫などがあります。
 近年、治療法の開発により助かる子供がふえる中、全国では治療による免疫消失に対するワクチン再接種費用の補助を求める声が高まっております。
 医療行為により予防接種の免疫が消失した場合、定期接種であれば自己負担がなかった予防接種であっても、これらを全て接種し直した場合には約二十万円の自己負担が発生します。
 小児がんの治療そのもので大きな経済的負担が生じている状況で、さらに免疫を消失した子供がワクチンの再接種費用を自己負担せざるを得ない実態を都はどのように認識していますか。

○吉田感染症危機管理担当部長 定期接種を受けた後に医療行為により免疫が消失した場合の再接種について、平成二十八年、国は、現行の予防接種法の定期接種と解釈することが困難であるとしております。そのため、現在は任意接種として、医師の判断により自己負担で行われるものと認識してございます。
 国は予防接種法の見直しの中で再接種について検討するとしており、都は国の動向を今後注視してまいります。

○藤田委員 国は法律の見直しの中で再接種についても検討しているから、都は国を注視するということですけれども、保護者や子供たちの実態は切実です。
 四歳のときに神経芽腫と診断された少女は、病状が悪化し、一時は助からないとまで医師から告げられていましたが、両親は仕事をしながら、都内だけでなく、全国の医療機関で娘さんの遺伝子型と適合した治療ができる病院を探していました。一時は名古屋に家族で引っ越して、治療に臨む予定も立てていました。結果的に都内の病院で治療を行うことになりましたが、ご家族の付き添いなどのための病院への支払いは毎月十万円かかったり、薬代や処置代などの治療費に百万円以上かかったりと医療費などの負担がありました。
 高リスクの神経芽腫に効果があるとされるレチノイン酸は、まだ日本で認可されていない薬剤のため、使用する場合は海外から薬を取り寄せているということでした。輸入などにかかる費用は、全クール五回分で十五万円から三十万円かかるというお話でした。
 さらに、先ほどご答弁いただいたとおり、国は予防接種の再接種については定期接種として認めていないので、全て自己負担で再接種を受けているのが実態です。
 こうした実態を受け、都内では現在、四つの自治体が補助を実施し、来年度には新たに複数の自治体が支援の実施を検討しています。
 都内でも全国でも、再接種への補助を実施する自治体がふえている現状について東京都はどう認識していますか。

○吉田感染症危機管理担当部長 先ほどのご答弁と同様となってしまいますが、平成三十一年一月現在、医療行為により抗体が消失、低下した方に対する再接種への支援を実施している都内の自治体は四自治体でございます。
 さらに、都内の七自治体が平成三十一年度から実施予定としておりまして、実施自治体がふえているというふうに考えてございます。

○藤田委員 実施自治体がふえているということは、東京都も調べて把握しているということですが、支援を実施している自治体がふえているのは、やはり必要性が高いからであり、こうした現状があるのだから、早急に定期接種化すべきだと思います。
 都としては、国の動向をただ注視するのではなく、より積極的な対応をすべきだと思います。
 再接種の定期接種化について、都として国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は従前から国に対し、予防接種の有効性、安全性に関する知見の集積等の状況を踏まえ、既存の対象疾病、疾患、ワクチンも含めた予防接種制度全般に関する検証を継続的に行うよう要望してまいりました。
 医療行為により免疫が消失、低下した方への再接種について、国は予防接種法の見直しの中で検討を行うとしており、都はその動向を注視してまいります。

○藤田委員 予防接種制度全般に関する検証を継続的に行うよう国に要望しているということですが、この全般の中に再接種によるものも含まれているという認識だということなのでしょうかね。
 定期接種化されていない予防接種全般では範囲が広過ぎます。ぜひともこの請願を受けて、再接種を定期接種化させるために、国での検証を急がれるよう要望していただきたいと思います。
 国の動向を注視しているうちに、子供たちは毎年大きくなっていきます。保育園に通っている年ごろの子供たちは集団生活に安心して入っていけることが子供の成長にとっても重要です。就学時期の子供たちにとっても、せっかく病院での治療を終えて、在宅療養できるようになったのであれば、学校という場でともに学び、心身ともに成長できる環境こそが大切です。
 先ほど紹介した方も、幼い娘さんにとって厳しい治療を長期にわたって行った末、一命を取りとめ、元気に小学校入学の時期を迎えたということでした。しかし、大量の抗がん剤治療を受けた体は、多くの場合、体力は著しく低下しています。ようやくつないだ命ですから、免疫がなくなっているということがわかれば、多くの医師は再接種を勧めますし、たとえ任意接種とわかっていても、多くの保護者は再接種を希望することになります。
 本来定期接種になっているワクチンでも、治療により免疫が消失し、医師により再接種が望ましいと判断された場合では、現在、国は、任意接種としています。
 東京都においては、国に対し、特別な理由があり、予防接種の再接種を必要とした場合にも、定期接種と認めるよう重ねて働きかけると同時に、国が定期接種化していない現状では、都として、区市町村が行う再接種費用の補助への支援を検討するよう求め、質問を終わります。

○栗林委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認めます。よって、請願三〇第四七号は趣旨採択と決定いたしました。

○栗林委員長 次に、請願三〇第五五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
 三ページをお開き願います。整理番号2、請願三〇第五五号、子供の幸せと保護者の安心を保障する保育の実現を求めることに関する請願は、世田谷区の公的保育・福祉を守る東京実行委員会の丸山麻利子さん外五万九千五百八十五人の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、認可保育所を整備し、待機児童を解消すること。
 第二に、施設、事業によって異なる基準を解消し、全ての施設、事業が認可保育所と同等の基準で保育できるようにすること。
 第三に、都内で働く全ての保育者が安心して働き続けられるよう、処遇を改善するための補助制度を拡充することという内容でございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 第一につきましては、都は、保育の実施主体でございます区市町村が地域の実情を踏まえ、認可保育所や認証保育所、認定こども園、小規模保育事業など、多様な保育サービスを拡充できるよう、さまざまな支援を行っております。
 第二につきましては、職員配置や必要な面積などの認可及び認定の基準につきましては、認可保育所及び認定こども園は都道府県が、小規模保育事業や家庭的保育事業等の地域型保育事業は区市町村が、児童福祉法に基づき定めることとされております。
 都におきましては、東京都児童福祉審議会や東京都子供・子育て会議での意見を踏まえた上で、都議会での議決を経て、認可及び認定の基準を条例等で定めております。
 第三につきましては、国は、保育士等の処遇改善を図るため、平成二十九年度から二%相当の処遇改善を行っており、平成三十一年度からさらに一%相当の処遇改善が予定をされております。また、平成二十九年度から技能、経験を積みました保育士等に対する月額五千円から四万円までの処遇改善のための加算を創設いたしました。
 都は、保育人材の確保、定着を図るため、平成二十七年度からキャリアパスの導入に取り組む事業者への独自の補助を実施しておりまして、平成二十九年度からは、各施設の財務情報等の公表や非常勤職員の賃金改善を行うこと等を条件に補助の充実を図っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○藤田委員 子供の幸せと保護者の安心を保障する保育の実現を求めることに関する請願について質問いたします。
 都は、昨年度、東京都保育士等キャリアアップ補助金と東京都保育サービス推進事業補助金について利用している施設の財務情報等の一般への公表を行うと決定しました。
 東京都保育士等キャリアアップ補助金にかかわる財務情報等の公表を行うとしたのはどのような理由からですか。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 平成二十七年度から開始をいたしました保育士等キャリアアップ補助では、補助に当たりまして、キャリアパス要件の届け出、第三者評価の受審を要件といたしますとともに、施設運営の透明性を確保するため、施設運営に係る財務情報等の施設利用者や職員に対する周知、都への提出を要件といたしました。
 平成二十九年度から実施してございますキャリアアップ補助の拡充分につきましては、さらに財務情報とモデル賃金等について、広く一般に公表することを要件といたしました。

○藤田委員 二〇一七年のキャリアアップ補助金の増額は百四十億円であり、この処遇改善について、都の予算が確実に保育士の賃金改善につながったと明らかになることが重要です。
 財務情報等の公表とともに、今回把握した情報をもとに、都が二〇一七年度に増額したキャリアアップ補助が保育士の給与の上昇にどの程度影響したか調査の実施を求めますが、いかがですか。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 平成二十九年度のキャリアアップ補助による賃金改善等の状況や施設の財務状況等につきましては、現在、公表に向けまして集計中でございます。

○藤田委員 調査は実施されるというご答弁でした。
 また、事業所収入に対する人件費率は九割以上から二割台までと幅が広がっています。施設ごとの条件の違いがあったとしても差が大き過ぎです。キャリアアップ補助は人件費に使うことになっていますが、他の収入も含めて、適切に人件費への支出が行われているかも含め、認可保育園、認証保育所等の全面的な実態調査の実施を要望いたします。
 あわせて、多くの保育所から歓迎されている保育士等宿舎借り上げ制度を現在の補助率から下げずに、今後も継続して実施することを求めます。
 待機児童の増加を理由に、国や都は規制緩和を繰り返してきました。しかし、園庭のない保育園の増加、有資格者の割合が少なくていいなど、保育の質の確保が大きな課題となっています。
 現在、二十三区では、基準を満たす園庭のない認可保育園が四割を超えている状況です。多くの都民がこの請願署名を行っている背景には、保育所などの規制緩和により、子供たちの成長や幸せが守られるのか、保護者の安心が守られるのかという不安があるのではないでしょうか。
 東京都は、保育の質をどのような要素によって支えられるものであると考えていますか。また、都は、保育の質はどのようにして高められるものであると考えていますか。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 国の社会保障審議会の専門委員会では、保育の質を支える主な要素は、施設設備の機能や面積等の物理的環境、保育者の配置等、養護と教育から成る保育内容、保育者の質及び専門性としております。
 また、保育の質を確保するため、児童福祉施設最低基準、保育所保育指針が定められておりまして、指導監督、研修、評価の仕組みが講じられております。

○藤田委員 保育の質を支える要素は、物理的環境、保育者の配置等、保育内容、保育者の質・専門性の四つの要素だということです。
 物理的環境でいえば、園庭がないということそのものが質の低下につながると思われます。
 私の地元大田区では、園庭のない認可保育園や認証保育所、小規模保育所がふえた結果、八つもの保育園が一つの公園を代替遊戯場として指定している実態があります。大人の足では十分程度かかりそうな場所や信号を二つ以上渡る必要がある場所、踏切を渡らなければならない場所からその公園に行かなくてはなりません。利便性の高い駅前に整備しようとして集まった結果であり、移動に当たって安全が確保されている状況とはとてもいえないと感じます。
 安全性の確保は移動以外にも行う必要があります。公園には四カ所出入り口があり、公園自体がL字型になっているため、保育者の死角になる場所もあり、子供たちが公園から出ていってしまわないか、常に神経を使わなければならない状況があります。多くの遊具や岩などの造形物があるため、安全に遊べているか、それぞれの遊具の近くで見守れる体制が必要です。
 こうした背景から、その日の保育者の体制がないからお散歩に行けないとか、ほかの保育所の子供たちが多いから短時間で切り上げるなど、子供のニーズや成長と無関係のところで保育の質につながる重要なことが判断されている実態にあります。
 認可保育所において、園庭の整備がしやすくなるよう、都有地活用を促進するとともに、国有地と民有地などを都有地として買い上げ、認可保育園に貸し出すことを要望いたします。
 また、既設の保育園が園庭を確保する場合の借地料などへの補助、あるいは複数の保育園による共同園庭の確保への支援、区市町村と連携して、園庭のかわりになる公園の整備を進めることを求めます。
 二〇一七年に都が行った保育ニーズ実態調査でも明らかになったように、子育てを行っている保護者が希望していた教育、保育サービスで最も多かったのは公立保育園であり、複数回答ですが約五二%、次いで私立認可保育園で約四〇%でした。
 私は、公立保育園を希望する保護者が多い理由には、園庭がある、ベテラン保育士が安定して従事しているなど、物理的環境や保育者の質、専門性を信頼しているからであると思います。
 多くの保護者は保育の質を重視した保育園の整備を求めています。待機児童対策では、認可保育園の増設を中心にし、質の充実を図りながら、待機児童ゼロを二〇一九年度末に実現できる予算措置を行うよう要望いたしまして、質問を終わります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択にすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○栗林委員長 起立少数と認めます。よって、請願三〇第五五号は不採択と決定いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き、委員会を開きます。
 請願三〇第五六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○田中医療改革推進担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明いたします。
 整理番号3、請願三〇第五六号、安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願は、台東区の東京医療関連労働組合協議会代表の千葉かやとさんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、次の四点について、国に対し意見書を提出していただきたいというものでございます。
 第一に、医師、看護師、医療技術職、介護職等の夜勤交代制労働において、次の項目を実現し、労働環境を改善すること。
 一つ、労働時間は一日または一勤務ごとに八時間以内を基本とし、上限規制や勤務間インターバルの確保、夜勤回数の制限など、労働環境改善のための規制を設けること、二つ、夜勤交代制労働者の労働時間を短縮すること、三つ、介護施設や有床診療所等で行われている一人夜勤体制をなくし、複数夜勤体制とすること。
 第二に、安全・安心の医療、介護を実現するため、医師、看護師、医療技術職、介護職を増員すること。
 第三に、患者、利用者の負担軽減を図ること。
 第四に、費用削減を目的とした病床削減は行わず、地域医療に必要な病床機能を確保することという四点でございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 第一についてですが、我が国においては、医療、介護従事者を含めた労働者の労働条件は労働基準法により定められており、労働時間に関しては原則として一日について八時間、一週間について四十時間を超えないこととされております。
 また、平成三十年通常国会におきまして、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立し、時間外労働の上限規制や勤務間インターバル制度について、平成三十一年四月から順次施行されることとなりました。
 一方、医師については、応招義務等の関係から、改正法施行五年後に時間外労働の上限規制が適用されることとなっており、現在、厚生労働省において、規制の具体的なあり方、労働時間の短縮策等について検討がなされております。
 都は、医療機関の勤務環境改善に向け、医療勤務環境改善支援センターにおいて、アドバイザーの派遣や電話相談対応などの支援を行っております。
 特別養護老人ホーム等の介護施設における人員等の基準は、厚生労働省令に基づき条例で定めており、夜間及び深夜については、入所定員等に応じて一定数以上の介護職員または看護職員を配置することとしております。また、基準を上回る職員配置につきましては、介護報酬の夜勤職員配置加算により評価する仕組みとなっております。
 有床診療所等における看護師等の夜勤体制は、厚生労働省の看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針により、入院患者の状況等に応じて、複数を主として月八回以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力する必要があるとされております。また、夜間に複数の看護要員を配置した場合は、診療報酬の夜間看護配置加算により評価する仕組みとなっております。
 第二につきましてですが、都は、医師、看護師、介護職員等の確保のため、育成研修や資格取得、復職支援などの事業を行うとともに、国に対しては、看護職員の養成、定着、再就業に向けた十分な財源確保、小児科など不足する分野の医師の早急な確保や勤務環境改善に向けた診療報酬の一層の充実、介護職員の確保、育成、定着のための対策の確立など、実効性ある総合的な対策を講ずるよう提案要求を行っております。
 第三についてですが、医療、介護を含めた社会保障制度の枠組みについては、社会経済状況の変化を踏まえ、負担と給付のバランスに考慮して国が定めております。
 第四についてですが、病床整備の基準となる基準病床数は、国が示す算定式に基づき、都道府県が策定する医療計画において圏域ごとに定めることとされており、平成三十年三月に策定した第七次東京都保健医療計画において定めております。計画には、平成三十七年の医療需要や目指すべき医療提供体制等を示した東京都地域医療構想を実現するための具体的な施策について盛り込んでおります。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 発言は終わりました。
 本件について発言を願います。

○藤田委員 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願について質問いたします。
 厚生労働省は昨年十月三十日、過労死等の防止のための対策を進めるために、労働時間等設定改善指針の一部改定に伴い、深夜労働の回数制限や勤務間インターバルを盛り込みました。
 福祉保健局は、都内の夜勤を伴う業務を行う医療や介護の職場において、深夜労働の回数制限や勤務間インターバルの導入が図られるためにどのような対応を行うのですか。

○田中医療改革推進担当部長 平成三十年の通常国会で、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立をいたしました。
 今回の法改正では、時間外労働の上限規制が導入されるとともに、事業者は、二十二時から翌五時までの深夜業の回数制限や終業から始業までの勤務間インターバルの確保などに努めることとされております。
 国は、全病院などに対して、この改正法の概要等について周知を行っており、都は、東京都医療勤務環境改善支援センターが主催する医療機関の働き方改革の研修会などにおきまして、今般の改正法の趣旨や内容等について説明を行っており、引き続き周知を図ってまいります。

○藤田委員 都は、国の法律等を病院に説明する役割、周知する役割という答弁であったと思うのですが、病院の実態が把握されない中では、説明が伝わったのか、努力されて改善しているのかということも判断できないのではないでしょうか。
 日本看護協会は、三交代夜勤の場合において、月に八回までの夜勤が望ましいとしています。二〇一五年三月の厚生委員会における病院経営本部の答弁でも、月八回を超えないように設定しているということでした。
 しかし、実際は、入院基本料七対一看護基準どおり人員配置されていても、昨年三月の病院経営本部の委員会資料では、都立病院の三交代夜勤を行っている看護師の六割が月に九回以上の夜勤を行っています。
 都内の大学病院や民間病院においても夜勤を行う看護師が月に何回の夜勤を行っているか把握すべきですが、現在は把握を行っていますか。

○田中医療改革推進担当部長 看護師の夜勤体制につきましては、厚生労働省が策定した看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針により、入院患者の状況等に応じて、複数を主として月八回以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力をする必要があるとされております。
 各病院は、これを踏まえて勤務体制を構築していると認識しております。

○藤田委員 医療機関で看護師が何回の夜勤を行っているのかの把握はされていないということですね。
 日本看護協会の病院看護実態調査によると、一回の夜勤時間が十六時間以上となる二交代制勤務を行っている割合が年々上昇し、全体の六五%を占めています。
 こうした長時間夜勤がふえる中で、二交代勤務の夜勤が月に四回までの看護師は約四割であり、六割に近い看護師は長時間夜勤を月に五回以上行っているという実態です。
 夜勤を伴う労働によって健康にどのような影響があるのか、夜勤回数の制限についてどのように考えているのか見解を伺います。

○田中医療改革推進担当部長 看護師の勤務環境につきましては、診療科、地域等によりさまざまでございますが、夜勤に伴う負担をできる限り軽減することにより、心身の健康を確保することが重要であると考えております。
 労働安全衛生法におきまして、事業者は、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならないとされております。
 今般の法改正により、産業医が行った労働者の健康管理等に関する勧告の内容について、事業者が衛生委員会に報告することを義務づけられるなど、産業医や産業保健機能の強化が図られたものと認識しております。

○藤田委員 産業医が現場に対して意見できる権限が強化されたということなのでしょうけれども、そのことだけでは夜勤制限を十分に行うことはできないと思います。
 日本看護協会は、二〇一七年に、看護職員の夜勤負担に係るエビデンス収集に関する共同研究を実施し、その結果、一カ月七十二時間を超える夜勤は、一、情緒ストレスリスクを増加させること、二、夜勤交代制勤務によって睡眠の質が低下すること、三、疲労回復のためには勤務間インターバルが重要であることなどが検証されました。
 この結果を受けて協会は、夜勤回数が過剰とならないよう、三交代の夜勤では月八回以内とすることや勤務間インターバルは十一時間以上の確保を目指すという提言を改めて行っています。
 日本医療労働組合連合会が行った二〇一八年度夜勤実態調査によると、最も短い勤務間隔が八時間未満であった看護師は四割以上です。看護現場での夜勤回数の把握とともに、一回の夜勤時間が十六時間以上となる勤務の労働実態を調査し、労働環境の改善を進めるよう求めます。
 同時に、長時間労働の増加や夜勤回数の増加の背景には、夜勤ができる看護師が限られているという実態があることを把握する必要があります。
 日本看護協会の調査では、夜勤を行わない期間が一カ月以上あった看護師が二割を占めているということがわかりました。
 都内の病院において、短時間勤務や夜勤を免除している看護師がどの程度現場で働いているのか把握されていますか。

○田中医療改革推進担当部長 医療法では、医療機関の管理者は、勤務する医療従事者の勤務環境の改善に努めなければならないとされております。
 医療機関の管理者は、みずからの責任において、短時間勤務制度の導入や夜勤免除などの実態を把握した上で、勤務する医療従事者が健康で安心して働くことができる環境整備に取り組んでいるものと認識しています。

○藤田委員 都はこれまで、看護人材確保では再就業と定着の支援を進めてきていますが、出産を機に退職した看護師が再就業したり、看護師が働き続けるという方がふえるということは、育児などで夜勤ができない看護師が一定数存在するということになるということも踏まえる必要があります。
 医療現場だけでなく、ライフワークバランスであるとか、育児や介護と仕事との両立支援といった対策を東京都は進めるといっております。しかし、その分、ほかの人の負担をふやしたのでは、何のためにやっているのかということになりますし、育児や介護を行う職員がいることを前提に十分な職員数の確保が必要となります。
 交代制労働を行う職場での夜勤免除者や短時間勤務者の実態を把握する仕組みをつくり、夜勤労働の負担軽減に努めるよう要望いたします。
 そのためには、看護師の増員が必要です。政府は、看護師の需給推計について、今年度末までに推計ツールを示すとし、東京都も、推計に基づいて看護師の人材対策を行う予定としています。
 しかし、現場の実態を抜きにして、国のツールに基づく推計のみで過不足をはかることでは労働環境の改善にはつながりません。
 看護師が健康を守りながら安心して働き続ける体制を維持するために、国の看護師需給推計ツールが示された場合においても、現場の実態を具体的に把握した上で、看護師の確保対策に今まで以上に力を入れるべきと考えますが、いかがですか。

○田中医療改革推進担当部長 都は現在、看護職員の確保対策として、修学資金の貸し付けなどの養成対策、新人職員研修への支援などの定着対策、身近な地域の病院での復職相談などの再就業対策の三つを実施しております。
 施策の実施に当たっては、都独自の調査などにより、各医療機関における夜勤勤務者の負担軽減策や子育て支援策の取り組み状況などの実態把握に努めており、今後示される国の需給推計も踏まえ、引き続き看護師確保対策に取り組んでまいります。

○藤田委員 都独自の調査においては、より具体的に現場の労働状況がわかるような調査を進めるよう要望いたします。
 国は地域医療構想を踏まえた推計を行うとしていて、需給数が低く抑えられるおそれがあります。東京の実情に合った対策を行うことも重ねて要望いたします。
 厚生労働省は、二〇二四年までに、勤務医の時間外労働の上限を年千九百時間から二千時間程度以内にする提案を行っています。厚生労働省の調査では、現在でも年間千九百二十時間を超えて時間外労働をしている医師は一割程度存在しているので、その是正を図ることを目的としているとのことです。
 さらに、今すぐ一般労働者の時間外労働の制限などに医師を当てはめると医療現場が守られなくなるということや、医師は一人前に働けるようになるまで十年かかるということを理由に挙げて、長時間労働を容認する提案にしています。
 厚生労働省は、医療労働調査での勤務医の七割が当直明けに勤務をしているという実態を受け、国は、一日六時間の睡眠を確保できるように、勤務の間隔は九時間のインターバルをとることや、当直勤務をした場合は通算二十八時間までの勤務にしてインターバルは十八時間を確保することなどの取りまとめ骨子案を発表しました。
 年二千時間も時間外労働があってよいとしていることも、通算二十八時間までなら働き続けてよいとすることも、医師を一人の人として見ていないのではないかといわざるを得ません。医療現場を本気で守ろうと思うのであれば、医師が健康で働き続けられる環境にしていくことが不可欠です。
 医師が人として当たり前の働き方ができるようになるためには、医師の養成数の定員増を国に対して要望すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○田中医療改革推進担当部長 都では、平成二十一年度から医師奨学金制度を創設し、都内の三大学の医学部で定員増を図っております。
 また、国に対し、不足が顕著な診療科における医師確保や、勤務環境改善に向けた実効性のある総合的な対策を講じるよう提案要求を行っております。
 今後、国から都道府県ごとの医師の偏在状況をあらわす指標が示されることとなっており、こうした指標も踏まえ、必要な要望を行ってまいります。

○藤田委員 現在の都の国に対する要求は、医師数全体の増員を正面から求めるものにはなっていません。確かに、要請には時間がかかるし、総合的な対策が必要ですが、根本的には医師の大幅増員が不可欠です。
 医療現場の長時間労働や深夜労働、ストレスの多い業務内容などから、医療労働者の過労死、過労自殺は後を絶ちません。
 今年度の過労死白書では、過重労働の防止に向けて必要と感じる取り組みとして、医師調査では医師の増員、看護師調査では看護職員の増員が最も多い結果となりました。
 東京都はこの結果をどう受けとめますか。

○田中医療改革推進担当部長 過重労働を防止するためには、医療機関の管理者みずからが医療従事者の勤務環境を改善し、健康で安心して働くことができる環境整備に取り組むことが重要です。
 都は、こうした医療機関の取り組みを推進するため、東京都医療勤務環境改善支援センターにおきまして、勤務環境改善計画の策定支援や労務に関する相談対応等を行っております。
 また、都内の病院を対象に、当直や夜勤の負担軽減に向けた取り組みに対し、必要な経費を補助するなど働きやすい環境整備を支援しております。

○藤田委員 労働環境の改善は医療機関の取り組みであると。そして、医療機関の取り組みに対しては都も支援しているというご答弁でしたが、実際、これまでの医療機関の取り組みだけでは解決できてこなかったから、過労死や過労自殺が後を絶たないという実態へとつながっているわけです。
 これまでもさまざま述べてまいりましたが、増員なしには労働環境の改善は図れないことは明確です。改めて、医師、看護師など、都民の命と健康を支える職員の増員のための取り組みを求めます。
 医療機関の取り組みとの関係では、労働基準局は、医師、看護師等の宿日直の許可基準として、検温などの軽微な労働であり、夜間に十分に睡眠がとれることを条件としています。
 しかし、現在の医療機関では、夜間救急指定のみならず、一般の急性期病棟においても、多くの病棟でこの条件は満たされておりません。宿直許可が出ていない場合は、通常の労働時間としなければなりません。
 しかし、第十六回医師の働き方改革検討会に提出された資料には、客観的な在院時間の管理方法の導入を実施している医療機関は約四割であり、現在も検討に着手していない医療機関は約四割であることがわかりました。
 労働時間の正確な把握なしには、長時間労働の是正が図られないばかりか、通常の労働時間であるかどうかの判断さえつかない状況にあります。
 各医療機関に医師の労働時間管理を行わせる指導を行うのが都道府県医療勤務環境改善支援センターです。都内には、医師が夜間に診療を行っている医療機関が六百以上あります。これらの病院でどのような働き方をしているのか把握するためにも、現在の勤務環境改善支援センターの体制強化を行うよう求めます。
 次に、患者の負担軽減についてです。
 無料低額診療事業は国制度として行っていますが、実施の届け出をするのは都道府県です。
 現在、都内では五十四の病院や診療所において無料低額診療事業を実施していますが、お金の心配なく入院できたとしても、退院後の薬剤処方については無料低額診療事業の適用にはなりません。
 糖尿病治療薬のインスリン、ホルモン剤、抗がん剤は薬価が高く、医療費の自己負担が三割負担の場合、一カ月の薬代だけで一万円以上に上ることも珍しくありません。そのため、せっかく病状は改善していても、薬代が払えず治療を中断したり、一日の薬を二日や三日に分けて内服しているという患者さんもいらっしゃいました。
 無料低額診療にて検査や治療費を減免した患者さんが、院外薬局では薬代の自己負担が減免されない実態についてどのように考えますか。

○坂本生活福祉部長 無料低額診療事業でございますが、社会福祉法に基づきます第二種社会福祉事業の一つでございまして、病院、診療所を開設しております社会福祉法人などが、生計困難者を対象に、無料または低額で診療を行うものでございます。
 本事業については、各法人が国の基準に基づきまして事業内容や対象の範囲を定め実施しているところでございます。
 お話の薬の処方でございますが、現在、都内で本事業を実施する医療機関五十四カ所の約九割が、調剤の全部または一部を院内処方により減免の対象としております。
 また、院外処方の薬局については本事業の対象とはなっておりませんので、当該費用の取り扱いについては、社会福祉法を所管する国が判断すべきものと考えております。

○藤田委員 無料低額診療事業を使って医療を受ける方は、入院している方に限らず、外来通院している方も利用しています。
 診療所で受けた処方箋を院外薬局で受けると自己負担が発生してしまうために、院内処方ができる病院に患者さんが出向かなければならず、交通費などの患者負担がふえかねません。また、無料低額診療事業を行っている病院の救急外来を受診し、院内処方で処方を受けるということも行っています。
 どちらにしても、患者さんと医療従事者の負担や努力なしには、この九割という院内処方での対応は成り立たないわけです。
 都内の無料低額診療事業を行っている医療機関では、これらの実態から、院外薬局でも無料または低額で薬の処方が受けられるよう、事業の拡充を国に求めていただくよう要望いたします。
 最後に、病床機能の確保についてです。
 都は、昨年四月、都内の医療機関に対して、病床が全て稼働していない病棟を有する医療機関における病床の稼働について、今年度末までに病棟を再開するか、非稼働病棟の具体的対応方針を都に提出するよう求めています。
 私の地元大田区にある荏原病院では、都立から公社に移管して以降、現在までずっと、一つの病棟が開設できないままとなっています。その主な理由は医師、看護師不足です。
 病棟閉鎖を行っている医療機関の中には少なからず人手不足が要因となっている場合があり、これまでも述べたように、人材確保なしには非稼働病棟の具体的対応方針が示せない場合もあるということを十分ご理解した上で、それぞれの医療機関に対応していただきたいと思います。
 労働人口の減少と高齢化が進む中、必要な医療をさらに充実して提供できるようにするためにも、さらなる体制整備に努めていただくよう重ねて要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○栗林委員長 起立少数と認めます。よって、請願三〇第五六号は不採択と決定いたしました。

○栗林委員長 次に、陳情三〇第九〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○本多地域保健担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いまして、ご説明をさせていただきます。
 整理番号4、陳情三〇第九〇号は、豊島区の東京社会保障推進協議会会長の須田昭夫さん外一万七千三百九十三人の方々から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、国民健康保険料、税が高過ぎるため、加入世帯の生活が脅かされていることから、自治体への支援を強める財政支援を拡充すること。
 第二に、国民健康保険に加入している子供の保険料、税、医療分、支援分の均等割は、平成三十年度は千代田区及び中野区を除く二十一の区において一人当たり五万一千円であり、子育て世帯の家計を圧迫していることから、子供の国保料、税の軽減のための都独自の制度を創設すること。
 第三に、国保組合の育成、強化について、引き続き支援を実施することというものでございます。
 現在の状況について、ご説明させていただきます。
 第一についてですが、区市町村の国民健康保険は、保険料、税、都、国、区市町村が法令の定める割合により負担する公費及び前期高齢者交付金等により運営されており、保険料、税は、区市町村が議会の議決を経て決定しております。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、区市町村に対し、法令に基づく負担のほか、都独自の財政支援を行っております。
 第二についてですが、区市町村の国民健康保険の保険料、税は、法令に基づき、世帯加入者の人数分が賦課される均等割と所得に応じて賦課される所得割等を組み合わせて、各区市町村が算定することと定められております。低所得者世帯に対しては、所得に応じて均等割額の二割、五割、七割が軽減され、都は軽減相当分につき、法令に基づき応分の負担を行っております。
 都は、少子化対策の観点から、子供に係る均等割保険料の軽減措置を講じるよう国に提案要求しております。
 第三についてですが、国民健康保険組合は、都道府県及び区市町村が行う国民健康保険事業を補完するものとして、国民健康保険法に基づき設立される法人であり、保険料及び法令に基づく国庫補助金等により運営されております。
 都は、国民健康保険組合に対し、法令に基づき必要な指導及び助言を行うとともに、国民健康保険組合が行う国民健康保険事業の円滑な運営を図るため、独自の財政支援を行っております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○白石委員 いのちと健康を脅かす高過ぎる国民健康保険料(税)の引下げを求めることに関する陳情について質問をいたします。
 本陳情は、高過ぎる国保料、税により国保加入世帯の生活が脅かされていることから、都として財政支援を拡充することや、また子供の均等割の軽減のための支援制度などを創設するなどが願意になっております。
 そして、東京社会保障推進協議会会長の須田昭夫さん外一万七千三百九十三人の方から提出がされております。
 陳情書の説明でも触れられているように、国保料、税の重い負担によって命と健康が脅かされている深刻な実態が次々と浮き彫りになっています。どれほど深刻であるか事例を紹介したいと思います。
 四十代の男性です。高校卒業後、派遣の仕事を転々とし、寮住まいの派遣の仕事につきましたが、寮費そして食費を給料から天引きされ、月一万から二万程度の収入。経済的困窮から国保には加入できず、無保険状態が続いていました。少し具合が悪くても、病院には行かない状況でした。ところが、体調不良を訴え、病院に救急搬送されましたが、来院後、三時間半で亡くなりました。
 次に、五十代の男性です。日雇いの土木作業員をしていましたが、体調が悪くなり働けなくなりました。国保料滞納で保険証が差しとめられていたため、体調が悪くても、受診できずにいました。保険料の一部を払い込み、何とか一カ月分の短期保険証が発行され受診をしましたが、既に末期がんであったため、手の施しようがなく、来院から二十四日目で亡くなりました。
 これはほんの一部の事例ですが、保険料が払えず、体調不良を感じていても、有効な保険証が手元になく必要な医療を受けることができず、重度化してから病院に担ぎ込まれ、そのときには手おくれ状態という深刻な実態を示していると思います。その背景には、国保の制度が抱える構造的な問題があると思います。
 まず、そこで伺いますが、国民健康保険の保険料、保険税の負担が健保組合や協会けんぽよりも重いという現状を、都としてどのように認識しているのかお答えいただきたいと思います。

○本多地域保健担当部長 各保険者を比較しました国の資料で示された平成二十七年度の加入者一人当たりの平均保険料を平均所得で除して保険料負担率を算出しますと、市町村国保が一〇%、協会けんぽが七・六%、健保組合が五・八%となっております。
 なお、都内の区市町村国保における平成二十七年度の保険料負担率は七・一%となっておりまして、協会けんぽの七・六%より低くなっております。

○白石委員 今のご答弁は、厚生労働省が示している保険料の負担率を用いて、協会けんぽより負担率は低いという答弁でした。
 しかし、先ほども紹介しましたが、重い国保料や税によって、命にかかわる深刻な実態が次々と浮き彫りになっています。高齢者や非正規雇用など、経済的に困窮する人が多い国保加入者の保険料の重さというのは、命に直結する負担であるということです。協会けんぽよりも保険料負担率は低いと一言で片づけられる問題ではないと厳しく指摘したいと思います。
 先ほど、二〇一五年の資料を用いて協会けんぽよりも負担率は低いとの答弁をされましたけれども、国保料というのは年々値上がっているのが現状です。
 先日、特別区長会が、二〇一九年度特別区基準国保料率を総会において確定をいたしました。それを見ますと、所得割率を引き下げる一方で、均等割額を引き上げたことによって低所得の多人数世帯ほど値上げ傾向になる、こういう案となっています。
 具体的には、一人当たりの保険料は今年度比で三千百八十六円の値上げとなります。一人当たりの保険料は十二万五千百七十四円です。
 もしこのとおりに各区で決められれば、先ほどの答弁の二〇一五年度と比べて、どのぐらい一人当たり上がっているのか。一万八千円以上、約一七%も上がることになります。年を追うごとに保険料の値上げが続くもと、国保料の負担はもはや負担の限界であると思います。
 そもそも昨年四月から、区市町村から国保の財政運営の責任主体が都に移管されました。つまり、これまで以上に都は国保の当事者と、このようになったのですから、ふさわしい都の役割と責任を果たすことこそ、今求められているのではないでしょうか。
 先ほどの答弁では、加入者一人当たり平均保険料と平均所得の割合を、厚労省の計算方式を使って協会けんぽよりも低いと答弁されました。
 先ほど示した負担率の計算のもとになる平均保険料の計算は、所得不詳、つまり所得がわからない人も含めて計算をしているというふうに思いますけれども、そのような理解でよろしいのか確認をしたいと思います。いかがでしょうか。

○本多地域保健担当部長 国が示しております全国の市町村国保の国保料負担率は、被保険者一人当たりの平均保険料を一人当たりの平均所得で除して算出しており、先ほどお答えいたしました都内の区市町村の国保保険料負担率も同様の方法で算出しております。
 このうち、一人当たりの平均所得、こちらは国民健康保険実態調査における所得総額を所得不詳を除いた被保険者数で除して算出しているため、所得不詳の被保険者の分は含まれておりません。
 一方、一人当たりの平均保険料は、国民健康保険事業年報における介護分を除いた保険料調定額を当該年度の平均被保険者数で除して算出しておりますことから、所得不詳のため所得割保険料が賦課されずに、均等割保険料のみを賦課されている世帯分も含まれております。

○白石委員 今の答弁を簡単にいいますと、所得がわからない人も含めて計算をしているということが確認されました。
 国と都が出しているこの平均保険料は、先ほどお答えいただいたとおり、国民健康保険事業年報を使って算定されております。私、本当にこの計算方法について非常に疑問を感じています。
 厚労省は、所得に対する保険料調定額の割合を国民健康保険実態調査でも出しています。先ほどの答弁で最初にいったこの実態調査は、所得がわからない人は調定額の割合については排除していますよという答弁だと思います。
 この実態調査の計算方式で試算をしますと、例えば、二〇一六年度の所得に対する割合が、都内では七・七%となります。協会けんぽについては、我が党の倉林明子参議院議員に厚生労働省が出した資料によると、二〇一六年度は七・五%ですので、都においても国保加入者の方が重い負担率となる結果になります。
 一方、都が示した負担割合の計算方法では、事業年報と組み合わせて計算をされています実態調査の所得と、それから事業年報を組み合わせて、わざわざ組み合わせて、そして、先ほどいったように協会けんぽより低いという二〇一五年度の調査結果が出ているということです。すると、実態調査よりも保険料負担の割合が低い水準で出されているんですね。
 何でこのような差が生じるのかというと、実態調査は所得不詳の世帯を除いて計算をされていますが、事業年報を組み合わせた平均保険料の計算方式では、つまり都が使っている、国も使っているこの計算方式では、所得不詳であっても計算に含まれていると。所得の方は、当然、所得がわからない方は本来除いていますから、結果的に、このような複雑な計算の仕組みをすることによって平均保険料が低くなるという計算結果になってしまうのではないかというふうに思います。
 実態調査でもこの負担率の割合が出ています。しかし、国と東京都は、この実態調査と、そして事業年報をわざわざ組み合わせて、そして、この保険料の負担率を出しているというところを私は非常に疑問に思っています。
 こういうふうな観点からも、そして、先ほども指摘をしましたけれども、二〇一六年度においては、協会けんぽよりも都内の国保の負担率の方が高くなっている。これからも年々と上がっていくという傾向になっている中で、この国保料というのは、非常に重い負担になっているということは誰が見ても明らかであると思います。
 次の質問に移りたいと思います。
 国民健康保険実態調査によれば、世帯の所得が一円以上三十万円未満の方々の国民健康保険料、保険税は、所得の一八・一%に上っています。
 さらに、所得のない世帯にも保険料、保険税がかかり、負担率を計算することもできません。
 このように、超低所得の世帯に重い負担となっている実態について、都はどういうふうな認識を持っていらっしゃるのか伺いたいと思います。

○本多地域保健担当部長 ただいまのご質問にお答えする前に、先ほどの負担率の計算の方法について、若干ご説明を追加させていただきたいと思います。
 一人当たり平均所得については実態調査を用い、平均保険料については事業年報を用いて、わざわざ組み合わせてこのような負担率を計算しているというようなご指摘がございましたが、一人当たり平均所得の方は、当然、所得が申告されていないからわからないにもかかわらず分母に所得不詳を入れて計算しますと低くなってしまいます。所得を把握していないのですから、その方を分母から外すというのは、非常に妥当な算定方式ではないかと考えております。
 一方、一人当たり平均保険料につきましては、所得のない方についても均等割保険料は賦課しておりますので、その調定額で、また所得不詳の方も含めて分母にして割り返して計算しているというのも、これまた整合性はとれていると認識しております。
 ただいまのご質問でございますが、国民健康保険の加入世帯の保険料の状況につきましては、これまでもご質問していただいているところでございますが、保険料、税は、法令により、経済的負担能力に応じた所得割に加え、世帯の人数に応じた均等割を賦課することとされております。
 そのため、所得の状況によって所得割保険料が賦課されない世帯も、一定の均等割保険料をご負担いただいているところでございます。
 なお、低所得者世帯の均等割保険料につきましては、所得に応じて七割、五割、二割が軽減される仕組みとなっております。

○白石委員 質問の前に、先ほどの計算方法の仕方でご答弁されました。
 私も実態調査を見て、この負担率の指標も見まして、実際に実態調査では二〇一五年度においても、都が先ほどの計算方法で、実態調査と、そして事業年報を組み合わせてやっている保険の負担の割合と、実態調査が示しているこの割合、どちらの方が高いかというと実態調査の方が負担の割合が高いというふうになっている。
 しかし、都と国が計算をしているものでは、さらに低く出てしまうということなんですけれども、そこら辺は、その差は、なぜ出るのかというところではどうなんでしょうか。

○栗林委員長 挙手をお願いいたします。

○本多地域保健担当部長 二つの調査は調査の対象時期も違いますし、また実態調査の方は抽出調査でございますので、必ずしも一致しないものでございます。

○白石委員 だから、私は、この計算方法について、わざわざ所得のわからない人も含まれた、こういうふうな中での計算方法というのに疑問があると、まず正直な感想として思っております。
 実態調査を見れば、都がこれまで、計算で出した協会けんぽよりも低いよというふうな実態調査と比べても高く、最初の実態調査の方が高く出るというところで、この差がどうやってできてくるのかというのは、今後、私たちもさらに見ていかなければならないですが、実際にこういう二つの複合的な仕組みを使って出すということに、非常にまずは疑問を感じているということです。
 先ほど質問いたしました国民健康保険実態調査によれば、世帯の所得が一円以上三十万円未満の方々の国保料、税は所得の一八・一%に上っていると。こういう所得のない世帯にも保険料、保険税がかかって負担率を計算することもできないという中で、この超低所得の世帯に重い負担となっている実態についてどう認識しているのかというふうに都に質問いたしました。
 低所得者や所得のない人にまで国保料が重くのしかかっている実態について、まともに実態への認識を言及する答弁ができないと。これが都の現状だと思うと非常に愕然とします。
 経済的に困窮している世帯がどのような節約をして生活を送っているのか、改めて都は認識をする必要があると思います。
 幾つかその事例を紹介したいと思います。
 単身女性の方、購入したお弁当のおかずを二回に分けて食べる。夫婦二人暮らしの方、二人が三食食べるとやっていけないので、どちらかが一日一食にして切り詰める。単身女性の方、買い物に行くと食品や衣類などいろいろ欲しくなるので外出を控える、お風呂の水は一カ月くらい追いだきで使って水道代を節約する。夫婦二人暮らしの方、町会費を免除してもらっている、毎月受診するように医者からいわれているが三カ月に一回に抑えて医療費、交通費を抑えている。夫婦二人暮らしの方、入浴は三日に一回、食事は一日二食、洗濯物は夫のものと一緒に二週間に一回のみ、トイレは二回に一回流す、なるべく外出をして冬の石油ストーブの利用を控える。子育て世帯の家庭の方、子供に交友関係を我慢してもらっている、子供がクラブ活動に所属していたが、遠征費など多くかかり結局クラブ活動をやめてもらった。
 これらは一部の事例ですが、食品の節約を初め、水光熱費の節約、子供のクラブ活動をやめてもらうなどの実態も、最低限の生活をさらに切り詰めながらぎりぎりの生活を送っているのが実態です。
 現在の国保の仕組みは、所得が低い世帯に保険料が重くのしかかる構造的問題があります。限界を超えた節約をして生活をしている世帯に、国保料は容赦なく重い負担がのしかかります。
 また、協会けんぽなどにはない均等割による保険料負担があります。
 具体的には、子供が生まれれば、所得のない赤ちゃんにも一律に保険料を負担させる子供の均等割です。この均等割によって、子供がふえればふえるほど保険料が上がるという誰が見ても不公平な負担を課す仕組みとなっています。負担能力など関係なく、ゼロ歳だろうが、所得がなかろうが負担を一律に課す、これが国保制度の現在の仕組みなのです。
 公的医療保険は、国民に平等に医療を保障するための仕組みですが、加入する医療保険によって、負担や給付に大きな格差があること自体、大問題であるということです。
 そこで伺いたいと思いますが、子供の均等割保険料の軽減措置に関する国の検討状況は、現在どのようになっているでしょうか。

○本多地域保健担当部長 子供の均等割保険料につきましては、平成二十七年五月の国民健康保険法改正に際し、参議院厚生労働委員会において、子供に係る均等割保険料の軽減措置について、地方からの提案も踏まえ、現行制度の趣旨や国保財政に与える影響等を考慮しながら、引き続き議論することとの附帯決議がなされております。
 全国知事会は、国の施策並びに予算に関する提案・要望において、子供の均等割保険料軽減措置の導入を求めており、都も、国に対し同様の提案要求を行っております。
 これに対し、国は、子供の均等割保険料の今後のあり方について、今回の制度改革に伴い強化された子供の被保険者数が多い自治体への財政支援の効果や国保財政に与える影響等を考慮しながら、国保制度に関する国と地方の協議の場において、引き続き議論していくとしております。

○白石委員 引き続き国は検討していると。しかし、その検討や議論はいつ結論が出されるのか全くはっきりとしていない状況です。検討を継続し続け、時間をかければかけるほど、先ほども深刻な実態の事例を出させていただきましたけれども、実態はより深刻になるということなんです。
 ゼロ歳児にも負担を強いる不公平な子供の均等割は、子育て支援とも逆行することはいうまでもありません。国に引き続き求めると同時に、都が必要な財政を投入して負担軽減を図ることが今こそ求められているのではないでしょうか。
 これまでの質疑を通して、国保料、税の重い負担を軽減することは待ったなしの課題です。都の果たすべき責任と役割を発揮させるためにも、各会派の皆さんにも本陳情の採択を強く求めて、質問を終わります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○栗林委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三〇第九〇号は不採択と決定いたしました。

○栗林委員長 次に、陳情三〇第九九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松山障害者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号5、陳情三〇第九九号の「臨海特支在学児の放課後デイ利用問題」への真摯な対応を福祉保健局に求める陳情は、品川区の関田玲子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、平成三十一年四月に開校する東京都立臨海青海特別支援学校に通う児童生徒の放課後等デイサービスの利用に支障が出ないよう、福祉保健局において、適切かつ真摯に対応するようにしていただきたいというものです。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 放課後デイサービスは、児童福祉法に基づき、就学している障害児に対し、授業の終了後または学校の休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進、その他必要な支援を行う事業でございます。
 サービスの利用に当たっては、相談支援事業者等が作成した障害児支援利用計画を踏まえ、事業の実施主体である区市町村が支給決定を行い、利用児童の保護者と事業者で利用契約を結ぶこととされております。
 都は、法令に基づき、人員、設備及び運営の基準に適合しているかどうかを確認して事業者の指定を行っており、必要に応じて、区市町村と連携し、事業者への指導助言等を行っております。
 送迎の実施につきましては、放課後等デイサービスを行う事業者の指定の要件ではなく、実施するかどうかは事業者の裁量であり、実施した場合は給付費が加算される仕組みとなっております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○後藤委員 「臨海特支在学児の放課後デイ利用問題」への真摯な対応を福祉保健局に求める陳情について意見表明をさせていただきます。
 本件については、女性の有職率が上がり保護者が働く世帯というのが多くなったことや、放課後の使い方の選択肢として放課後デイサービスを利用する方がふえてきたということがあるかと思います。
 自宅から特別支援学校までの距離のある児童や生徒にとっては、放課後どうやって事業所までたどり着いたらよいのかという懸念があることについては理解をすることでございます。
 そして、今回の陳情に当たっては、放課後デイサービスの事業者が送迎を行うかどうかというのは企業判断であり、実施主体等々も区市町村になるということから、今回の陳情には賛意を示すということはできませんが、放課後デイサービス事業者への情報の提供など、こうしたことを含めて丁寧な対応をとっていただくということは要望をさせていただきたいというふうに思います。
 現在、教育庁では、転学児童や生徒が利用する予定の放課後デイサービス事業所を訪問し、送迎の実施有無などを確認したり、または学校説明会への参加などを案内しているということでございますので、福祉保健局としても、教育庁とも連携をとりながら、例えば、放課後デイサービスを指定、認可する際には送迎についての説明を事業者等々に丁寧に行うなど、こうしたことを踏まえて、利用者の要望にしっかりと寄り添う努力をしていただくということを求めて、意見表明を終わります。

○白石委員 「臨海特支在学児の放課後デイ利用問題」への真摯な対応を福祉保健局に求める陳情について意見表明をいたします。
 臨海部の青海地域のテレコムセンター近くにある都有地に、知的障害の子供たちが通う都立臨海青海特別支援学校がことし四月に開校される予定です。
 文科省の特別支援学校施設整備指針では、学校は、幼児、児童生徒の学習のための場であるのみならず、生活の場として、ゆとりと潤いのある施設環境を計画することが重要であるとしています。また、障害のある子供が地域社会の中で豊かに生きる上では、障害のない子供との交流、共同学習が必要だとして、地域の人たちに学校行事に参加してもらっていることや、逆に、地域の行事やボランティア活動に参加する取り組みも広がっていることも強調がされております。
 一方、臨海青海特別支援学校の周辺には全く住民が住んでおらず、テレコムセンターや大江戸温泉があっても平日はほとんど人通りがありません。地域で暮らす家族の生活など地域社会を感じることができない場所です。
 最も近くにある小中学校は有明小学校、中学校ですが、数キロメートルも離れたところにあるので、障害のない子供たちと日常的に触れ合うことも、地域の特徴からそもそも困難さを抱えております。
 現在、区内の特別支援学校に通っている児童生徒の八割近くが放課後等デイサービスを利用しているとされ、圧倒的多数の児童生徒の放課後の居場所となっていることはいうまでもありません。
 しかし、臨海青海特別支援学校に児童を送迎することが困難としている事業所もあると聞いております。
 臨海特支の学区内に品川区の一部が含まれています。区内に放課後等デイサービスは十二事業所がありますが、そのうち臨海特支に送迎はしないとしている事業所は現在七事業所に上っています。送迎を検討しているのは現在一事業所のみです。
 送迎をしないとしている事業所の理由は、臨海特支への送迎は事業所から距離と時間がかかり、同時刻にほかの特別支援学校に送迎をしていることから、方向が全く違う臨海特支に送迎を行うには車を一台ふやし、なおかつ送迎に対応する職員も新たに配置しなければならず、人も財源も現状では確保できないことが理由として挙げられています。
 本陳情者である関田玲子さんは、知的障害と自閉症を抱えたお子さんを育てています。放課後等デイサービスを利用しております。
 自身の子育てを通して、放課後等デイサービスの重要性を切実に話してくれました。知的障害と自閉症の障害により、人と接することに困難さを抱えていると。とりわけ同世代の子供たちと人間関係を構築していくのが難しい。放課後等デイサービスに通うようになって、例えば、少し年齢が上のお兄さんやお姉さんが一緒に遊んでくれたりして、同世代の子供たちとコミュニケーションがとれるようになり、豊かな人間関係が身についていると我が子の成長を語ってくれました。
 あわせて、通う学校によって放課後等デイサービスの選択肢が狭まることは何としても防いでほしいと関田さんは切実に訴えます。この願いは、陳情者だけではなく、障害があるお子さんを育てている保護者や子供たちの当然の願いであり権利です。
 福祉保健局として、放課後等デイサービスの事業所で学校への送迎が難しい状況が生まれているかなどの実態把握をするとともに、送迎について条件的制約が生まれているのであれば、局として具体的な手だてを実施するように、教育委員会とも連携して対応することを要望し、本陳情の趣旨採択を求めて、意見表明を終わります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○栗林委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三〇第九九号は不採択と決定いたしました。

○栗林委員長 次に、陳情三〇第一〇六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○吉田感染症危機管理担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号6、陳情三〇第一〇六号、性感染症対策における多言語化対応に関する陳情は、新宿区のダイバーシティ政策立案研究会LGBTグループ、中村介乙さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、東京都南新宿検査・相談室、東京都多摩地域検査・相談室及び東京都HIV検査情報Webのホームページを多言語化していただきたいというものでございます。
 現在の状況をご説明いたします。
 都は、南新宿検査・相談室において祝日を除く平日夜間及び土日に、また多摩地域検査・相談室において祝日を除く毎週土曜日に、無料、匿名でHIV検査を実施しております。
 新規のHIV感染者、エイズ患者の報告には外国人の方も含まれており、感染拡大防止のためには外国人の方にも検査を受けていただく必要があることから、毎年実施しているエイズ予防月間で、外国人向けの新聞を通じ、南新宿検査・相談室の案内を行っております。
 また、南新宿及び多摩地域検査・相談室の各ホームページに、外国人にもわかりやすいとされる易しい日本語で紹介するページを新たに追加し、検査・相談室の一層の周知を図っており、多言語化によるHIV検査体制の周知についても、必要な検討に向けて準備を進めております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○桐山委員 陳情三〇第一〇六号、性感染症対策における多言語化対応に関する陳情について質疑をさせていただきます。
 ただいま、都の現在の取り組みについてお伺いをさせていただきました。南新宿及び多摩地域検査・相談室の各ホームページに、外国人にもわかりやすいとされる易しい日本語で紹介するページを二月十三日に開設をされました。
 この易しい日本語とは、簡易な表現を用いたり漢字や片仮名に振り仮名を振るなどして、外国人にもわかりやすくした日本語のことでございます。
 この易しい日本語のホームページを作成するに当たっては、外国人が正しく理解できるか否かの検証も必要と思いますが、どのような検証を行ったのか、また、今後も検証を行う予定があるのかお伺いいたします。

○吉田感染症危機管理担当部長 易しい日本語によるホームページを作成するに当たりましては、平易な表現を用いたり用語の解説を付記するなど、日本語に習熟していない外国人の方を意識して原稿を作成しております。
 また、都内の日本語学校の協力を得て、在住歴や日本語の習熟度等を勘案して選出いただいた外国人の学生に実際に原稿を読んでいただき、理解度や内容に関する意見を聴取いたしました。その結果を踏まえ、二月十三日から都の検査・相談室のホームページで公開しております。
 今後、一定期間経過した後に、ホームページの構成などを検証するため、利用者の意見を聞く予定でございます。

○桐山委員 ご答弁ありがとうございました。ただいまご答弁の中にありましたように、ホームページを作成するに当たっては、外国人の学生に理解度や内容に関する意見を聴取して、問題はないということで提案をされてきたということでございます。
 今後は、外国人にもわかりやすいとされるこの易しい日本語についても、一定期間を経過した後に、しっかりと利用者の意見を聞いていただくということが今ご答弁にあったかと思います。
 この理解ができているのか否かも含めまして、しっかりとこのあたりの意見聴取をお願いしたいというふうに要望させていただきたいと思います。
 さらに、陳情者は、多言語によりますHIV検査の体制の周知も求めております。そのことから、多文化共生の観点からも、どの言語で、そしてどのように検索機能を持たせるかも含めて検討されることをあわせて要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○伊藤委員 それでは、性感染症対策における多言語化対応に関する陳情について質問をいたします。
 一昨年、福祉保健局が発行した「性感染症ってどんな病気?」という冊子を見ますと、性行為で感染する病気を総称して性感染症といい、ウイルス、細菌などが性器や泌尿器などに接触することで感染するそうです。
 病気については、梅毒、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、エイズなどがあり、二〇一四年以降は梅毒が急増しており注意を促しています。
 東京都で管轄する多摩・島しょの保健所では、HIV検査と同時に性器クラミジア感染症、梅毒、淋菌感染症について、誰でも簡単に検査を受けられるように匿名、無料で実施しており、また、二十三区や八王子市、町田市の保健所でも同様の検査を実施しているところがあるようです。
 さて、陳情の要旨は、都において、東京都南新宿検査・相談室、東京都多摩地域検査・相談室及び東京都HIV検査情報Webのホームページを多言語化していただきたいとのことなので、実情や課題などを順次確認します。
 まず、南新宿検査・相談室と多摩地域検査・相談室では、性感染症対策としてどのような検査を行っているのか、まず確認のため伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 南新宿検査・相談室では祝日、年末年始を除く毎日、また多摩地域検査・相談室では祝日、年末年始を除く毎週土曜日に、HIV検査と梅毒検査の同時検査を実施しております。
 また、南新宿検査・相談室では、毎年六月のHIV検査相談月間と十一月中旬から十二月中旬までのエイズ予防月間中に、希望者に対しまして性器クラミジア感染症、淋菌感染症の検査を実施しております。

○伊藤委員 検査の実施内容を確認いたしました。
 それでは、南新宿検査・相談室と多摩地域検査・相談室では、過去三年間のHIVの検査実績も伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 南新宿検査・相談室で実施いたしましたHIV検査件数は、平成二十七年が九千六百六十二件、平成二十八年が九千五百一件、平成二十九年が一万七百八十五件でございます。多摩地域検査・相談室では、平成二十七年が二千三百二十八件、平成二十八年が一千五百六十一件、平成二十九年が一千三百二十一件となってございます。

○伊藤委員 各検査・相談室でのHIV検査実績を確認いたしました。
 さて、陳情においては、都内の在留外国人のHIV感染者及びエイズ患者が激増しているとあります。都内在住の外国人が近年増加している状況や訪日外国人が急増している実態を踏まえると、都の検査・相談室で誰でも無料で検査を受けることができますので、検査を受ける外国人の方がふえている可能性も考えられます。
 それでは、先ほどの検査実績の件数について、受検者のうち外国人の方の割合はどうなっているのか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都の検査・相談室におけるHIV検査は匿名で実施してございますため、外国人の割合は把握してございません。

○伊藤委員 匿名検査なので受検者における外国人の割合は把握していないということでした。
 それでは、東京都における新規のHIV感染者及びエイズ患者の報告数の合計のうち、外国人の件数と割合について、直近と十年前の平成二十年度の実績を比較のために伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都における新規のHIV感染者及びエイズ患者報告数の合計は、平成二十年は五百四十五件であり、うち外国籍の方は四十六件で全体の八・四%を占めております。また、平成二十九年は四百六十四件であり、うち外国籍の方は九十一件、全体の一九・六%でございました。
 平成二十九年は平成二十年と比較して、外国籍の方の件数は二倍、割合は倍以上となってございます。

○伊藤委員 東京都における新規のHIV感染者及びエイズ患者の報告数の合計のうち、外国人の方の割合が十年前と比べて二倍以上になっていることは確認できました。
 都は、今月十三日から、外国人にもわかりやすいとされる易しい日本語での周知を始めたとのことですが、感染拡大の防止や早期治療のためには多言語対応に向けた検討も必要と考えます。
 それでは、陳情の願意である都の検査・相談室のホームページを多言語化する場合の課題についても伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 ホームページを見て利用されることを勘案いたしますと、ホームページによる周知と検査・相談室における対応は同じ言語で行うことが望ましいと考えております。
 都の検査・相談室では、検査だけではなく、安心して検査を受けていただくための事前のガイダンスや結果判明後の医師等によるカウンセリングを対面で実施しております。特に、検査の結果、陽性が判明した方に対しては、医療機関を確実に受診していただけるよう治療の重要性を説明し、専門医療機関を紹介するとともに、治療や日常生活における心配事の相談への対応を丁寧に行っております。
 そのため、ホームページの多言語化に当たっては、検査・相談室の対応も考慮に入れる必要があることから、在日外国人に対するさまざまな調査も参考にしながら必要な検討を行ってまいります。

○伊藤委員 多言語化に向けては、ホームページの情報発信だけではなく、カウンセリングや説明など現場の対応についても検討しなければいけないということを理解しました。
 しかし、都内在住の外国籍の方にも検査を受けていただくことは極めて重要と考えます。易しい日本語での対応はそのための第一歩であり、今後も都内在住の外国人の方々が検査を受けやすい環境づくりに向けた取り組みを検討していただくよう要望して、質問を終わります。

○まつば委員 陳情三〇第一〇六号、性感染症対策における多言語化対応に関する陳情について意見を述べさせていただきます。
 昨年十二月の第四回定例会で栗林のり子議員が一般質問で取り上げ、東京都HIV検査情報の易しい日本語化や多言語化を求めました。
 既に二月十三日より、易しい日本語で紹介するページが開設されたことを評価するものです。
 一昨年、都内では四百六十四人の方々が新たにHIVに感染またはエイズを発症しており、啓発がますます重要となります。特に近年、外国籍のHIV感染者、エイズ患者がふえております。一昨年は都内で九十一人の外国籍の方が新規HIV感染者、エイズ患者として報告されています。
 また、本年から施行される入国管理法の改正などで多くの外国籍の方々が東京で働かれることにもなります。
 東京都は、留学生や外国人労働者の方々の健康を守るために、さらに多言語化にも取り組んでいくことが重要です。二〇二〇年東京大会を目前に、スピーディーに環境整備を図ることも求められます。
 よって、陳情三〇第一〇六号は採択と意見表明いたします。

○藤田委員 私からも、性感染症対策における多言語化対応に関する陳情に対して意見を述べさせていただきます。
 一九九六年に多剤併用療法が開始されてから、HIV患者さんの予後は飛躍的に改善されてきています。
 国立感染症研究所によると、後天性免疫不全症候群、エイズは、近年、治療薬の開発が飛躍的に進み、早期に服用治療を受ければ、免疫力を落とすことなく通常の生活を送ることが可能となってきたとはいえ、二〇一六年末現在、日本での新規感染者及びエイズ患者数は累計で二万七千人を突破した。また、世界中で感染者はおよそ三千六百七十万人、年間百八十万人の新規感染者と百万人のエイズによる死亡者が発生している事実から考えると、いまだ人類が直面する最も深刻な感染症の一つといっていい。また、自分やパートナーへの感染を予防し、かついわれのない差別や偏見をなくすためにも、エイズ、HIV感染症に関する正確な情報を知ることはますます重要となっているとしています。
 私は医療に従事してきた者として、こうした研究開発による恩恵は多くの人が受けられるよう整備すべきであると思うし、また新たな感染拡大を防ぐためにも、より多くの方に正しい知識が提供されるべきだと考えています。
 陳情者は、現在都内には多くの企業や教育機関が立地しており、在留外国人では高度人材及び留学生の比率が全国に比べて高いこと、高度人材は二〇〇八年以降増加を続けていることをこの陳情を提出した理由としています。
 厚生労働省のエイズ発生動向年報によると、二〇一七年の一年間に新たにHIVと診断された方やエイズを発症した方は昨年より減ったとしている一方、外国人籍の感染者、発症者が増加したと報告しています。また、委員長コメントの最後には、自治体においては、引き続き利便性に配慮した検査、相談体制を推進していただきたいとしています。
 こうした背景や現在の国における外国人留学生の受け入れ促進、入管法の改正、東京二〇二〇大会開催など、将来においてはさらに外国人の来日が多く見込まれていることから、陳情者の願意どおり、東京都においても、南新宿と多摩地域の検査・相談室及び東京都HIV検査情報Webのホームページを多言語化するべきと考え、意見表明といたします。

○斉藤委員 陳情三〇第一〇六号、性感染症対策における多言語化対応に関する陳情について採択すべきという立場から、確認の意味も込めて二問質問させていただこうと思ったんですけれども、ほかの委員の方で質問が一問かぶっておりましたので割愛させていただいて、一問だけ質問させていただこうと思います。
 先日、二月十三日に公開された易しい日本語のホームページを私も拝見させていただきました。在日外国人の方が匿名、無料で検査を受けたいと考えた場合にも、検査の予約や手順について知ることができるようにと大変配慮をされていることがよくわかりました。
 このホームページは検査を希望する方にとっての入り口であって、先ほど委員の方からもこの質問があったんですけれども、実際にはここから入っていった先の検査の相談対応の体制が、現時点で日本語が堪能ではないという在日外国人の方にも支障がないように整えられることが望ましいと考えております。
 また、ホームページの中で実際に結果が陽性だった場合に、たんぽぽやHIVマップなどのリーフレットや外部サイトを参照するようにと紹介がありますけれども、多言語対応がなされている後者の方はいいんですけれども、福祉保健局作成のたんぽぽについては、易しい日本語ではない記述によってその後の生活や治療についての説明がなされておりまして、少し不親切に感じてしまう部分もございました。
 たんぽぽをよりわかりやすく読んで理解していただけるような工夫も今後検討していただきたいということを要望させていただきます。
 また、先ほどほかの委員の質問であったんですけれども、今後、日本語学校の生徒さんによる外国人モニターの検証も行っていただけるということで、こちらの方、まだサイトも立ち上がったばかりということで、ぜひ今後の検証を経て、よりよい情報発信へとつなげていただきたいと考えております。
 昨年九月に法務省が発表したデータによりますと、昨年六月末時点の在日外国人は、全国民の二%に当たる二百六十三万七千二百五十一人で過去最高を記録しておりまして、このうち、東京都には五十五万五千五十三人が在留していることや、国籍別では中国が最多、次に韓国、ベトナムと続くというようなこともわかっております。
 在日外国人の在留資格別では、永住者に次いで特別永住者、そして留学や技能実習と続きます。技能実習は、ことし四月から新しい在留資格、特定技能の対象が広がり、介護や外食も含めて十四業種で外国人労働者の受け入れが可能となることもあり、法務省は昨年十二月に、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策を閣議決定いたしました。この中では、医療や福祉における多言語対応の必要性についても触れられております。
 そこで、この陳情でも触れられている多言語対応について伺います。
 在日外国人の中には日本語が読めない人もいます。多国籍企業で働く人は、オフィスでは日本語が不要という人もおります。また、働く本人は日本語が話せる場合でも、仕事で日本語を使わず、いまだ言語を習得していない配偶者の方、またパートナー、また家族もいらっしゃいます。
 今後、東京都は多言語対応の言語選定などはどのような方法で行うのか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 今後、国が実施した医療機関における外国人受入れ体制等の実態調査など、さまざまな調査等を参考にしながら、多言語による検査体制の周知方法について検討を行ってまいります。

○斉藤委員 昨年の厚労省の実態調査では、外国人受け入れのあった医療機関のうち、日本語でのコミュニケーションが難しい外国人患者の受け入れがあったのは六五%、対応に使用したのは英語が最も多く過半数だったので、恐らく今後、東京都では、英語での対応をまず進めていかれるのだろうと推測しております。
 一方で、中国語やほかの言語についても含めて、できる限り、今後多様化する在日外国人への多言語対応について随時見直しや検討を行っていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認めます。よって、陳情三〇第一〇六号は採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会