厚生委員会速記録第十七号

平成三十年十一月二十二日(木曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長栗林のり子君
副委員長白石たみお君
副委員長桐山ひとみ君
理事小宮あんり君
理事まつば多美子君
理事岡本こうき君
伊藤しょうこう君
もり  愛君
藤田りょうこ君
伊藤こういち君
清水 孝治君
後藤 なみ君
木下ふみこ君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長内藤  淳君
次長理事兼務松川 桂子君
技監矢内真理子君
総務部長後藤 啓志君
指導監査部長村田 由佳君
医療政策部長矢沢 知子君
保健政策部長成田 友代君
生活福祉部長事業調整担当部長事務取扱坂本 尚史君
高齢社会対策部長粉川 貴司君
少子社会対策部長谷田  治君
障害者施策推進部長松山 祐一君
健康安全部長高橋 博則君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務奈良部瑞枝君
事業推進担当部長古賀 元浩君
医療改革推進担当部長田中 敦子君
医療政策担当部長花本 由紀君
地域保健担当部長本多由紀子君
子供・子育て施策推進担当部長加藤 みほ君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長野口 俊久君
感染症危機管理担当部長吉田 道彦君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)

○栗林委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 福祉保健局の横手事業調整担当部長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○後藤総務部長 去る十月十六日の当委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございます。
 目次にございますように、資料は全部で十七項目となっております。順にご説明を申し上げます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、二ページにかけまして、国民健康保険の加入世帯数などの推移を、区市町村ごとに平成二十八年度から三十年度にわたって記載してございます。
 三ページをごらんいただきたいと思います。2、国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、四ページにかけまして、基礎賦課と後期高齢者支援金等のそれぞれの所得割、資産割、均等割、そして平等割の推移を、区市町村ごとに平成二十七年度から三十年度にわたって記載してございます。
 五ページをごらんいただきたいと思います。3、国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、国民健康保険料、税の減免件数の推移を、区市町村ごとに平成二十七年度から二十九年度にわたって記載してございます。
 六ページをお開き願います。4、国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、国民健康保険の一部負担金の減免件数の推移を、区市町村ごとに平成二十七年度から二十九年度にわたって記載してございます。
 隣の七ページでございます。5、国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、国民健康保険料、税の賦課対象世帯数、滞納世帯数及び収納率の推移を、区市町村ごとに平成二十五年度から二十九年度にわたって記載してございます。
 八ページをお開き願います。6、国民健康保険料(税)の滞納に対する新規の差押件数、差押額及び差押物件の内訳の推移といたしまして、区市町村ごとの新規差し押さえ件数及び差し押さえ額につきまして九ページにかけて(1)に、また新規差し押さえ物件の内訳につきまして一〇ページの(2)に、それぞれ平成二十七年度から二十九年度にわたって記載してございます。
 隣の一一ページでございます。7、国民健康保険への東京都支出額の推移といたしまして、(1)、特別区及び(2)、市町村に分けまして、国民健康保険への都の支出額の推移を、平成二十四年度から二十八年度にわたって記載してございます。
 一二ページをお開き願います。8、東京都国民健康保険調整交付金(特別調整交付金)のうち、適正な国民健康保険料(税)の収入確保事業に係る交付額及び滞納処分部門の内訳の推移といたしまして、一三ページにかけまして、適正な保険料、税の収入確保事業に係る交付額と、滞納処分部門の差し押さえ件数、差し押さえ割合及び資格証発行割合、それぞれによる交付額につきまして、区市町村ごとに平成二十七年度から二十九年度にわたって記載してございます。
 一四ページをお開き願います。9、介護保険施設等の定員・病床数及び高齢者人口に対する割合(平成二十九年度)といたしまして、平成二十九年度における都道府県ごとの高齢者人口、施設ごとの定員または病床数、さらにそれぞれの高齢者人口に対する割合を記載してございます。
 隣の一五ページでございます。10、特別養護老人ホームへの入所申込者数の推移といたしまして、一七ページにかけまして、国が全国調査を行いました平成二十一年度、二十五年度及び二十八年度の区市町村ごとの特別養護老人ホームへの入所申込者数を記載してございます。
 一八ページをお開き願います。11、認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、区市町村ごとの認可保育所の定員、年齢別の入所児童数及び待機児童数につきまして、一八ページの(1)に平成二十八年十月一日現在、隣の一九ページの(2)に平成二十九年四月一日現在、二〇ページの(3)に同年十月一日現在、そして、二一ページの(4)に平成三十年四月一日現在のものを記載してございます。
 二二ページをお開き願います。12、認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、職員の平均経験年数別の認可保育所数の平成二十五年度から二十九年度までの五年間の推移を記載してございます。
 二三ページでございます。13、認可保育所における設置主体別、平均経験年数別施設数(平成二十九年度)といたしまして、平成三十年三月三十一日現在の設置主体ごとの平均経験年数別の認可保育所数を記載してございます。
 二四ページをお開き願います。14、重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、平成二十七年度から三十年度までの都立の各施設における看護師の定数及び現員の推移を(1)に、平成二十七年度から三十年度第一・四半期までの一日当たり利用件数など短期入所の運用状況の推移を(2)に、それぞれ記載してございます。
 隣の二五ページでございます。15、社会福祉施設等及び病院の耐震化状況といたしまして、社会福祉施設等につきまして、平成二十九年三月三十一日現在の耐震済みの棟数を(1)に、病院につきまして、平成二十九年九月一日現在の耐震化の状況を(2)に、それぞれ記載してございます。
 二六ページをお開き願います。16、盲ろう者通訳・介助者派遣事業登録利用者数の推移といたしまして、盲ろう者通訳・介助者派遣事業の登録利用者数の推移を、平成二十四年度から二十九年度にわたって記載してございます。
 隣の二七ページをごらんいただきたいと思います。17、全庁横断の会議体や検討会の設置及び開催状況(福祉保健局分)といたしまして、福祉保健局が中心となって設置しております全庁横断の会議体につきまして、開催目的、構成局及び平成二十九年度及び三十年度の開催実績を記載してございます。
 以上、簡単ではございますけれども、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどを申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○木下委員 女性と子供たちの生きづらさをなくすをテーマにしております木下でございます。
 初めに、目黒区の虐待死事案を受けまして都民の注目も高まっております児童虐待防止対策についてお伺いいたします。
 現場を知るということで、七月には地元の板橋区及び荒川区、北区を所管する北児童相談所、また、十一月には新厚生部会のメンバーとともに八王子の児童相談所と一時保護所を視察させていただきました。
 そこでまず、東京都における児童相談所の総数、一時保護所の定員数、児童福祉司や児童心理司の定数、総相談対応件数及び虐待対応件数の過去三年の推移などの概要についてお伺いしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所は都内に十一カ所ございまして、一時保護所の入所定員は二百十三名となっております。
 平成三十年四月一日現在の児童福祉司の定数は二百七十三名、児童心理司の定数は百十七名となっております。
 児童相談所が相談を受理して対応した件数は、平成二十七年度は三万三千六百七十五件、二十八年度が三万五千四百十六件、二十九年度が三万六千九百七十八件となっております。
 そのうち、虐待の疑いで相談を受理して対応した件数は、平成二十七年度が九千九百九件、二十八年度が一万二千四百九十四件、二十九年度が一万三千七百七件となっております。

○木下委員 ありがとうございました。わずか二カ所ではありますが、私がお話を直接伺ったどちらの児童相談所でも、今のご回答にありましたように相談事案の増加、そして複雑化で職員が大変忙しい状況であるというお話をお受けしてございます。
 そこで、東京都の児童相談所における職員の繁忙状況について、都の見解をお伺いいたしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 児童福祉司一人当たりの虐待相談受理件数は、警察からのDVの目撃等による心理的虐待の通告がふえたことなどにより、平成十九年度の約十九件から十年間で約三十七件増加いたしまして、平成二十九年度は約五十六件となっております。
 さらに、平成二十九年度の児童福祉法改正に伴う一時保護の司法審査の導入によりまして、親の同意がないまま二カ月を超えて一時保護を続ける場合には、家庭裁判所の承認が必要となるなど、今まで以上に丁寧な手続をとることが必要となっております。

○木下委員 一人当たり五十六件ということで直近では対応されているということで、非常にお忙しい状況という繁忙状況がよくわかったと思います。
 このような繁忙状況を緩和する取り組みとして、現在都の方でとられている職員の拡充状況について改めてお伺いするとともに、現在いる四十五名の非常勤弁護士の増員や、出勤日を月二回からふやし、いつでも相談しやすい体制を整備することについて、都の見解をお伺いしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 都は、この三年間で児童福祉司を六十四名、児童心理司三十九名、合計百三名増員してまいりました。
 また、今般の緊急対策では、児童福祉司を十三名、児童心理司を六名、年内に増員することとしております。
 また、弁護士につきましては、現在、全ての児童相談所に非常勤弁護士を一名ずつ配置するとともに、副担当となる協力弁護士を、ベテランと若手とを組み合わせて、原則二名ずつ登録しております。
 この非常勤弁護士と協力弁護士が総勢四十五名の体制で、保護者の意に反した施設入所など、法的手続への対応を行うほか、児童相談所の求めに応じて、法的な見地からの助言を行っております。
 随時発生する法的事案に速やかに対応するため、月二回の非常勤弁護士の勤務日以外にも、協力弁護士に対し、対面のほか、電話やメールでの相談をいつでも行える体制をとっているところでございます。

○木下委員 ありがとうございます。職員の拡充や弁護士との綿密な連携により職員負担が軽減されることで、結果として虐待死などの不幸な事件の未然防止に役立つことを心より期待いたします。
 また、虐待を繰り返さないよう、親へのケアが大切だと考えております。
 そこで、虐待をしてしまった親への指導や子供のケアなど、虐待防止への都の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所では、児童に対して、児童心理司による心理検査、心理療法やカウンセリングなどの支援を行っているところでございます。
 また、保護者に対しましては、虐待の再発を防止するため、児童福祉司等が面接や家庭訪問などを通じ、家庭環境を把握した上で、生活の改善や親子関係の修復に向けた助言指導を行っております。
 さらに、中央児童相談所でございます児童相談センターにおいて、親が子供に対する虐待への問題認識を持つとともに、子供の問題行動に対応するためのスキルを身につけられるよう、児童精神科医や心理職員等の指導のもとで、グループカウンセリングを実施しております。

○木下委員 八月には、都民ファーストの会の議員の有志にて、子供、子育て支援に特化した施策で著名な兵庫県明石市を訪問し、泉房穂市長から直接お話をお伺いしました。
 中核市としては、神奈川県の横須賀市、また、石川県金沢市に次いで三例目の児童相談所設置を来年四月に準備をしている、積極的なまちでございます。
 ここでの児童虐待防止対策として、乳幼児健診時において全ての子供に職員が直接会うことを目的とし、子供に会えたら児童手当を支給するという作戦をもって全員面接を進めているというお話をお伺いしました。子供と会うことで、その子の様子がわかり、虐待の早期発見にもつながっているとのことでした。
 そこで、東京都において、せめて一年に一度くらいは全ての子供に職員などの専門職が直接会うなどの体制を、乳幼児健診などの機会を生かして実施することについて、都の見解をお伺いしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 区市町村では、母子保健法に基づき、三、四カ月や、一歳六カ月から二歳、三、四歳など、乳幼児の発育、発達の節目に健康診査を実施しており、未受診児がいた場合には、電話や書面に加えまして、状況に応じて家庭訪問により、保護者に対し受診を勧奨しております。
 また、乳児家庭全戸訪問事業や他機関との連携により、子供の状況確認を実施しております。
 都では、各区市町村が実施しております未受診児の状況把握の具体的方法や独自の取り組みなどを集約して整理し、情報提供を行うことで、有効な取り組みを共有しております。
 また、未受診児のフォローを含め、区市町村が要支援家庭の早期発見、支援に取り組む場合に、保健師等専門職の配置等を支援しており、今後とも、こうした取り組みを通じて、児童虐待の未然防止を図ってまいります。

○木下委員 ありがとうございます。特に現在の健診体制において、保育園、幼稚園に通わせていない場合に、四歳の一年間が乳幼児との接触がなくなるとの話がございまして、心配の声が上がっているところでございます。この点については改めて認識を持っていただき、具体的な対応策について、都としても取り組まれることを要望させていただきます。
 さて、国の子ども虐待による死亡事例等の検証結果の報告においては、虐待の発生予防及び早期発見のために、妊娠期から支援を必要とする養育者の早い段階での把握と切れ目のない支援の強化が指摘をされているところでございます。
 そこで、予期しない妊娠など悩みを抱える妊婦を支援につなげることは、児童虐待の未然防止のために大変重要であると考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。

○谷田少子社会対策部長 都は現在、妊娠や出産に関する悩みを抱える女性の相談に対し、看護師等の専門職が電話やメールで対応し助言等を行う妊娠相談ほっとラインを設置しております。
 この窓口では、相談内容に応じて、医療、保健、子育て支援などの関係機関を紹介するとともに、継続的な支援が必要な場合は区市町村の保健センター等の相談につないでおります。
 また、区市町村は妊娠届け出時の面接等、さまざまな機会を通じ、悩みを抱える妊婦を把握し、支援につなげる取り組みを行っており、都は、ゆりかご・とうきょう事業等で支援をしております。
 今後とも、予期しない妊娠など悩みを抱える妊婦を早期に発見し、適切な支援につなげることで、児童虐待の未然防止を図ってまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 実は私も一人娘を育ててきた働くシングルマザーでございます。初めての子育てと仕事の両立は大変な苦労でございました。子育てに行き詰まり、一人悩んだことも一度や二度ではございません。
 現在、東京都では、平成二十九年一月一日の推計で、ひとり親世帯が、母子で十六万六千五百世帯、父子で二万三百世帯あり、悩みを抱えるひとり親はたくさんいらっしゃると推察できます。一人で悩み苦しみ、ついつい我が子に当たってしまうという可能性も少なくないのではないかと考えております。
 そこで、東京都のひとり親家庭への支援について、児童虐待防止の観点からお伺いをしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 区市町村では、ひとり親家庭等の身近な相談窓口である母子・父子自立支援員が子育てに関する相談支援を行っております。
 母子・父子自立支援員は、福祉事務所や子供家庭支援センター等に配置されており、本年四月現在、二百六名となっておりまして、三年前の平成二十七年四月時点と比べ、二十四名増加しております。
 都では、飯田橋に設置している東京都ひとり親家庭支援センターにおきまして、子育ての不安など生活に関するさまざまな悩み事に対する生活相談を実施しております。
 また、母子・父子自立支援員の相談支援の質の向上を図るための研修も実施しており、引き続き、ひとり親家庭が安定した就労や生活のもと、子供を健全に育むことができるよう、区市町村と連携しながら支援してまいります。

○木下委員 児童虐待防止の観点からさまざま質問をしてまいりました。残念ながら虐待を受けてしまった子供たちの中には、児童相談所や一時保護所を経て、家族のもとに帰ることができないという場合がございます。そうなりますと、社会的養護のもとに入るわけでございますが、都において、社会的養護下で生活している子供たちはどのくらいいらっしゃるのでしょうか、お伺いをいたします。

○谷田少子社会対策部長 平成三十年三月時点におけます、都における社会的養護のもとで生活している子供の数は、全体で四千十人でございます。
 そのうち、家庭的養護では、養育家庭等が四百五十九人、ファミリーホームが八十一人、グループホームが八百八十六人となっております。
 また、施設養護では、児童養護施設が二千百六十二人、乳児院が四百二十二人となっております。

○木下委員 国では、本年八月、都道府県社会的養育推進計画を示す中で、おおむね七年以内、三歳未満はおおむね五年以内に乳幼児の里親の委託率を七五%以上にする、また、おおむね十年以内に学童期以降の里親等の委託率を五〇%以上にするということを実現する、そのための取り組みを推進するというふうに示してございます。都道府県についても数値目標と達成期限の設定を求めています。
 そういった中で、東京都の養育家庭等の登録家庭の拡大に向けた取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 都は、養育家庭の登録数をふやすため、十月、十一月の里親月間を中心に、区市町村や民間団体と連携して養育体験発表会を実施しており、今年度は、都内五十二会場で開催しております。
 また、養育家庭等の里親制度を広く都民に周知するため、新宿駅でのデジタルサイネージの掲出、都営地下鉄全駅や民間企業約八千五百社へのフリーペーパーの配布、医療機関や薬局でのポスターの掲示等を実施しております。
 加えまして、里親支援機関が、小中学校、高校等の教員や子育て支援の社会貢献活動を行う企業の社員に向けた説明会を毎年開催しているところでございます。
 さらに、今年度から、新たに都が指定している九十二の特定不妊治療を実施する医療機関へリーフレットを配布するほか、本年十月には里親家庭の体験談や登録希望者向けのQアンドAを主な内容といたしますウエブサイト、Tokyo里親ナビを開設しておりまして、引き続き養育家庭等の登録数の拡大に取り組んでまいります。

○木下委員 不妊治療という言葉が出ました。子供を持ちたいと望んで不妊治療を経ても、残念ながら子供を授からないご夫婦などにとって、特別養子縁組だけでなく、里親という選択は一つの救いとなる場合があると考えております。
 家庭的な環境の養育が必要となる子供たちとこのようなカップルをつなげる取り組み、啓発活動には、さらに力を入れていただきたいと思います。
 あわせて、フリーペーパーでの告知についてご案内をいただきましたけれども、ターゲットとなる層に本当に届いているのかとのマーケティングの観点での媒体選定にも、より一層取り組んでいただきたいと、このように感じております。
 また、Tokyo里親ナビ、こちらは見させていただきましたけれども、やわらかい語調と語り口で非常にわかりやすい、伝わりやすいサイトになっていると、そのように感じました。
 さらに、養育家庭の普及を目指す上では、短期でもお子さんを預かることのできる仕組みも重要であると考えております。
 短期里親制度について、都の取り組みと周知の徹底についてお伺いをいたしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 養育家庭は、申し込みを希望する方それぞれの家庭の実情に応じて、児童の養育を行うことが可能となっております。
 短期間のみの養育を希望する場合には、預かる期間が原則二カ月以内の短期条件つき養育家庭や、里親の休息のために数日間児童を預かるレスパイト限定養育家庭として登録が可能となっております。
 短期間での預かりも可能であることについては、区市町村単位で行われます養育体験発表会や、ポスター、ホームページ等で幅広く周知しているところでございます。

○木下委員 繰り返しになりますが、社会的養護において、特に家庭的環境での養護の体制がしっかりすることは、子供たちにとって大変大切なことでございます。
 昨年の厚生委員会での都民ファーストの会の桐山議員、龍円議員の要望を受けて、里親認定基準の単身者要件の緩和に至ったことは大変評価をさせていただいております。引き続き、家庭的養護の輪が広がるように、都の取り組みの強化を求めてまいりたいと思います。
 さて、平成二十八年六月の児童福祉法改正により、児童相談所の東京都から特別区への移管が可能になりました。我が地元板橋区でも、平成三十三年度に設置が予定されております児童相談所の移管についてお伺いをしたいと思います。
 三十二年度の設置を予定している先行三区といわれている荒川、江戸川、世田谷の取り組みの現況と、後続区への情報提供についてお伺いをしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 都は、平成二十九年度から、世田谷区、荒川区、江戸川区と個別に児童相談所設置計画案の確認を行っているところでございます。
 計画案の確認作業におきましては、子供たちの安全や安心の確保の観点から、相談援助活動の流れや、人材の確保、育成、一時保護所の運営など、具体的に確認しているところでございます。
 都と三区との調整状況や提供した資料等につきましては、特別区長会事務局を通じまして、他の設置希望区に還元されているほか、各区の求めに応じ、児童相談所の設計図面について意見交換も行っております。

○木下委員 事業の特別区への移管に当たりましては、人、そして金、そして情報、ノウハウ、こちらの移管もしっかりと進めてほしいと特別区長会の要望もございます。ご対応を改めてお願いをしたいと思います。
 さきに述べましたとおり、七月に板橋区、荒川区、北区を所管する北児童相談所、十一月には八王子児童相談所と一時保護所を視察いたしました。八王子では、改修工事で過ごしやすい雰囲気づくりに努力しているとのご案内がございましたけれども、子供たちや親御さんにとって、決して心地よい場になっているとは、残念ながら感じることができませんでした。
 保護所に至っては、一人当たりのスペースは極度に狭く、一人きりになれるような場所もなく、昭和の思想ともいえる児童の矯正を目的とした設計思想であり、改修後も大幅な改善がもたらされるようなご説明を受けたという理解はできませんでした。
 ビジネスの世界では、場が人の行動を変える、促すとは常識でございます。例えば、社内のコミュニケーションを促すガラス張りの会議室、ガラス張りの打ち合わせコーナー、また、フリーアドレス、想像力を喚起する内装、生産性を高めるオフィスレイアウトなど、さまざまな工夫がなされてございます。社員の交流を促すバーを設置し、無料で開放している会社もあるというような状況。また、子供たちの歯医者嫌いをなくすための子供が泣かない歯医者さん、キッズデンタルパークでは、内装と歯科健診に子供が前向きに取り組めるよう、物語性を重視した内装やプログラムを提供し、大変人気でございます。
 また、同じく都民ファーストの会、都議の有志で見学をいたしました、あしなが育英会が設置しています、あしながレインボーハウスでは、交通遺児など病気で親を亡くした子供たちの心のケアに力を置いた施設整備を行ってございます。
 特別区に児童相談所が移管される際には、新設される機会もふえると思います。ぜひ、場が人の行動を変える、促すとの視点を入れた新しいタイプの施設建設を進めてほしいとの観点からお伺いをいたしたいと思います。
 まず、児童相談所を新設する際の要件や進め方についてお伺いいたします。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所を整備する場合には、建築基準法などの施設整備に係る関係法令の要件を満たす必要があるほか、相談室や心理検査室など、児童相談所運営指針に定める設備等を整備する必要がございます。
 また、進め方につきましては、施設の機能やコンセプト、整備条件等に関する基本計画を策定した上で、基本設計、実施設計、施工という手順をとっております。

○木下委員 児童相談所、一時保護所の新設においては、改めて述べますけれども、心のケアに重点を置いた新たな発想を取り入れた施設整備をお願いしたく、矯正から心のケアへと施設の設計思想をしっかりと持って取り組んでいただきたいと考えるところでございます。
 そこで、児童相談所の新設や建てかえに当たっては、利用者の視点に立った施設の建設をご検討いただけないかと考えますが、都のお考えをお伺いしたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 都では現在、足立児童相談所の現地建てかえを進めております。
 建てかえの基本計画では、施設のコンセプトといたしまして、相談所機能については、安心して相談できる雰囲気やプライバシーに配慮した部屋のしつらえ等を挙げており、一時保護所機能については、子供が個人としての生活場面を確保できるよう、児童の居室を原則個室とすることを挙げております。
 設計業者の選定に当たりましては、基本計画の内容を踏まえた質の高い設計を実現するため、プロポーザル方式を採用しておりまして、現在、設計業者と都の工事担当者、児童相談所の職員が密接に打ち合わせを行い、設計作業を進めております。
 今後、室内の装飾や備品等も工夫するなど、利用者の視点に立った親しみやすい環境づくりに取り組んでまいります。

○木下委員 新しくなった足立児童相談所が、利用者目線を徹底し、保護者や児童の心のケアに資する見本的な施設となり、全国から視察が来るような一歩進んだ施設となることを期待いたしたいと思います。
 一方で、多くの児童相談所は、今後、移管に伴い、区で新設される場合が出てくると考えますと、例えば利用者目線を徹底した心のケアに特化した児童相談所、一時保護所の新設について考える会などの専門家会議を設置し、場が人の行動を促すという発想のもと、考え抜かれた施設整備について、区にとって参考になるような情報の提供なども考えていただければと要望をさせていただきたいと思います。
 子供関係でもう一つ質問をさせていただきます。病児保育についてお伺いをいたします。
 病児保育、病後児保育については、決算特別委員会の我が会派、斉藤れいな議員からの質問で、平成二十九年度、新たに運営を開始した施設は十カ所で、施設数は百四十四施設となったことが明らかになりました。
 そこで改めて、都の整備目標と、平成三十年度、今年度の見通しについてお伺いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 病児、病後児保育施設についてでございますけれども、東京都子供・子育て支援総合計画におきまして、二〇一九年度末までに百六十カ所の設置を目標としております。
 そのため、都は、病児、病後児保育施設の整備費を支援しておりまして、今年度は、新たに開設を予定してございます五カ所の整備に対しまして支援を行う予定でございます。
 引き続き、目標の達成に向けまして、病児、病後児保育施設の整備に取り組む区市町村を支援してまいります。

○木下委員 百六十カ所が整備をされたとしても、地域によって偏りがあり、また、現状、病後児保育が実施されていない地域があるのも実情でございます。来年度は、子供・子育て支援総合計画の改定を予定しているともお聞きしておりますけれども、都内全域での病児保育の実施に向け、引き続き計画的な推進を要望させていただきます。
 さて、個別の病児保育の施設に対しては、都からのキャリアアップの補助ですとか、職員の宿舎借り上げ支援など、都独自の支援が実施をされているところでございます。しかしながら、病児保育はその性質上、季節によって需要が変動する、また、キャンセル発生時のほかの利用者への再調整が難しいことなどがあり、稼働率が上がりにくいため、安定的な経営が難しい面があるとお聞きをしております。
 こうした課題に対して、稼働率向上に向けて、都としての取り組み、事業の実施主体である区市町村への働きかけを行っていくべきと考えておりますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、本年六月に設置いたしました東京都待機児童対策協議会におきまして、多様な保育の受け皿確保や、保育人材の確保、育成などのテーマにつきまして、各区市町村の先駆的な取り組み等の情報提供を行っております。
 協議会では、病児保育について、複数の自治体による広域利用や、二つの自治体間での相互利用、地域における病児保育関係者の連絡会の実施等、先駆的な取り組みを行う区市町村から実施状況について発表いただきまして、意見交換を実施いたしました。
 取り上げたテーマにつきましては、各区市町村の施策展開の参考としていただくために事例集として取りまとめまして、都のホームページにて公表をしております。

○木下委員 事業の実施主体は区市町村であり、自治体ごとに異なるさまざまな事情があるとは思いますが、病児保育を利用したいが実施されていない、実施されてはいるが利用しにくいといった声があるのは現実でございます。
 先ほどのご答弁の中にございました区市町村取り組み事例集、私も拝見をいたしました。地元板橋区からは、先進事例としては一件も出ていないことは区民として非常に残念に思いましたが、それはさておき、例えば練馬区ではICTを活用し、施設横断的に情報提供をしたり、利用者をマッチングするなどの検討をしているようでございます。
 昨年の第三定例議会の私の一般質問で、初めて子供を持つパパ、ママにとって利用しやすい子育てサービスのポータルサイトの必要性を述べさせていただきましたところ、とうきょう子供・子育て施設ポータル、こぽるを開設いただき、保活ママを中心に多くの方々にご利用いただいております。ありがとうございました。
 このように、病児保育の分野においても、利用者である都民がより利用しやすくなるよう、都としても施設の整備の推進だけでなく、練馬区の事業のような利用者目線での事業の充実にも取り組んでいただきたい旨、強く要望させていただき、次の質問に移りたいと思います。
 次は、ペット殺処分ゼロ、動物福祉、動物愛護についての質問でございます。
 東京都は、動物の適正飼養、終生飼養を徹底することをペット殺処分ゼロ活動の柱として、飼い方に関するパンフレットの作成や、犬を飼う際の心構えを解説するアニメの制作と、またその配信、小学校での動物教室の開催、また、譲渡会での譲渡啓発イベントなどを実施されています。
 また、昨年の私の第三定例議会での一般質問でも言及をいたしました情報提供のポータルサイト、ワンニャンとうきょうを昨年十一月に新たに開設し、譲渡の推進を積極的に行われていらっしゃいます。
 このサイトには毎月約三万件のアクセスがあるとお伺いいたしましたが、さらに効果的な普及啓発のための都の取り組みをお伺いしたいと思います。

○高橋健康安全部長 東京都動物情報サイト、ワンニャンとうきょうには、動物愛護相談センターやボランティア団体から保護された犬や猫を譲り受ける方法や譲渡会の情報などを掲載しております。
 今月にはサイトをリニューアルいたしまして、これまでの動物の譲渡などの情報に加え、新たに、犬や猫を飼う前に考えてほしいこと、高齢の犬や猫との暮らし方など、飼い主が最後まで適正に動物を飼うための情報を掲載したところでございます。
 今後も、ワンニャンとうきょうを活用し、普及啓発を実施してまいります。

○木下委員 次に、基本的なことを一つ押さえておきたいと思います。
 現在、第一種動物取扱業のうち、ペットショップ等の販売業者は都内に何施設あり、どのような基準で登録をされているのか、また、事業者への監視指導状況はどのようになっているのかお伺いをさせていただきます。

○高橋健康安全部長 第一種動物取扱業として登録された施設のうち、ペットショップやブリーダーなどの販売業は、平成二十九年度末時点で約一千六百施設ございます。
 第一種動物取扱業者は、動物愛護管理法に基づき、飼養施設や動物取扱責任者の配置など、動物の適正な取り扱いを確保するための基準等を満たした上で都道府県知事の登録を受けております。
 都は、第一種動物取扱業者に対し、定期的に立ち入りまして、動物愛護管理法等で規定する飼養施設などの基準の遵守状況について、監視指導を実施しているところでございます。
 また、都民等から動物取扱業にかかわる苦情を受けた場合には、速やかに立入検査を実施しております。
 問題のある事業者に対しましては、重点的に監視指導を実施し、改善が得られない場合には、法に基づき改善勧告や改善命令などの処分を行っております。

○木下委員 ありがとうございます。千六百施設あるということでございました。
 本年度から始まっているこうしたペットショップ等の動物取扱業者と連携した譲渡、啓発事業についてお伺いをしたいと思います。

○高橋健康安全部長 都は、ペットショップ等の動物取扱業者を通じた動物の適正飼養に関する普及啓発を行うため、本年九月から、協力いただける事業者に対し、都が作成したパンフレット等を配布いたしまして、ペットショップなどの利用者への普及啓発を依頼しております。
 これまで、動物の飼い方に関するパンフレットや防災対策に関するリーフレット、身近な動物から感染する動物由来感染症を予防するためのパンフレットを配布いたしました。
 今後、犬と散歩をする際のルールをわかりやすく示したリーフレットや、犬や猫の適正な飼い方をチェックシートで確認できるパンフレットも配布し、動物取扱業者を通じた普及啓発を充実してまいります。

○木下委員 福岡市では、動物販売の前に飼い主に対し、適正飼育や飼い主の責務について講習を実施することなどの基準を満たした犬や猫の販売業者を、犬猫パートナーシップ店として認定する取り組みを行ってございます。
 このように、譲渡啓発や適正飼養などの啓発に積極的な販売業者を推奨する取り組みを、ぜひ東京都でも実施すべきと考えておりますが、都の見解をお伺いいたしたいと思います。

○高橋健康安全部長 先ほど答弁いたしましたとおり、都は、飼い主等への適正飼養にかかわる普及啓発に協力していただけるペットショップ等との連携を始めたところでございます。
 今後は、都が実施している犬や猫の譲渡についても紹介していただくよう求めるなど、動物取扱業者との連携を深めてまいります。

○木下委員 ペットを飼いたいと考える都民がまず足を向けるのはペットショップなどの販売業者です。ここで適正飼育や飼い主の責務についての情報を得ること、また、譲渡についての情報を得ることは、殺処分ゼロを実現、維持する上で大変重要なことであると考えております。
 子犬を劣悪な環境で大量に飼育し、ペット販売業者に卸すパピーミルでの飼育の状態は目を背けたくなるほどです。たまに報道でも、そんな悲惨なシーンが流れることがございます。そんなところと知って子犬を仕入れ、売るペットショップがあることも事実でございます。
 福岡のように協力的で適正な活動をしているペットショップと、こういった悪質なペットショップとを区別し、きちんとしたところを推奨し、引き上げていく取り組みは、都にとっても必要なことと考えます。ぜひご検討をお願いしたいと思います。
 次に、改正が検討されています動物愛護管理法に当たって、このような悪質なペット業者を閉め出していく方法論の一つとして、現在の登録制から免許制への移行の議論もなされてございます。
 免許制の導入についての都の見解をお伺いしたいと思います。

○高橋健康安全部長 動物愛護管理法は議員立法により制定され、平成二十五年の改正法施行の際には、五年後を目途として、新法の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされました。
 改正法施行から五年を迎え、現在、動物取扱業者に対する免許制の導入につきましては、犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟において検討がなされているところでございます。
 都といたしましては、こうした動物愛護管理法の改正に向けた動向を注視してまいります。

○木下委員 国際的には、動物の生体販売を認められていない国がほとんどです。日本の慣習として、ペットショップで購入することが常態化している中、少しでも動物たちによい環境が、この日本において東京都から整備されることを願ってやみません。
 さらに、動物を飼うこと、動物に触れることのセラピー効果について、獣医師の先生方を初め、ご意見を頂戴しているところでございます。九月には、ケアペッツさんが運営する、保護犬と暮らす障害者グループホームを視察させていただきました。動物が媒介となって、利用者が生き生きと前向きに人生設計に取り組む様子が大変印象的でした。
 このように、障害者施設や高齢者施設で保護犬、保護猫を活用する取り組みについても、現状、衛生問題など解決すべき条件はあると伺ってはおりますが、複数の課題を一挙に解決する取り組みとして検討いただければと思います。
 以上で動物愛護関係を終わります。
 最後に、都民の命を守る視点から、災害時の避難所、避難者向け備蓄物資についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、避難所の避難者用の備蓄物資の考え方と備蓄総量についてお伺いしたいと思います。

○坂本生活福祉部長 平成二十六年に策定いたしました第十四次東京都地域防災計画では、首都直下型地震等の災害の発生に伴います避難所、避難者といたしまして約二百二十万人を想定しておりまして、この避難者に必要な食料や生活必需品などの物資につきましては、原則として三日分を都と区市町村が地域内の備蓄で対応するものとしております。
 現在都では、直接管理しております二十一カ所の倉庫や区市町村の倉庫に寄託し、備蓄しているほか、ランニングストック方式を活用し、必要な物資を確保しております。
 平成三十年四月一日現在の都内の備蓄状況でございますが、アルファ化米やクラッカーなどの食料を約二千百六十二万食、ランニングストック方式によるカップ麺を二百二十万食、生活必需品といたしまして、毛布を約二百八十七万枚、敷物を二百五十七万枚、紙おむつを約二百六十四万枚などとなっております。

○木下委員 約二十一カ所の備蓄倉庫をお持ちということでした。その所在地と、水害等を含めた安全性についてお伺いをいたしたいと思います。

○坂本生活福祉部長 都は現在、直接管理しております二十一カ所の備蓄倉庫を、区部十四カ所、市町村部に七カ所、分散して設置しておりますほか、ランニングストック方式を活用いたしまして、埼玉県、群馬県、茨城県内の五カ所の民間倉庫にカップ麺を備蓄しております。さらに、四百二十カ所の区の倉庫と二百六十三カ所の市町村の倉庫に都の物資を寄託しているところでございます。
 また、水害の関係でございますが、現在、国土交通省が公表しております荒川や多摩川などの河川の氾濫に伴います洪水浸水想定区域内にも都の備蓄倉庫は設置されておりますけれども、水害につきましては、降雨などの気象状況や河川の氾濫場所などによりまして、浸水地域の広さや浸水期間などの被害状況が異なってくることになります。水害による避難の状況に応じまして、被害を受けていない倉庫の物資でございますとか、民間からの調達などを活用いたしまして、必要な物資は確保してまいります。

○木下委員 二十一カ所の備蓄倉庫が、江東区を中心に二十三区内に偏っているということも見てとれるわけでございます。この点についての都の見解をお伺いしたいと思います。

○坂本生活福祉部長 今お話しのとおり、現在、都が直接管理しております二十一カ所の倉庫のうち、江東区内でございますが、塩浜倉庫や毛利倉庫など四カ所の倉庫が設置されておりまして、建物規模ベースですと、全体の約二〇%となっております。
 こうした都の直接管理する備蓄倉庫の設置経緯や時期でございますが、それぞれ異なりまして、例えば都営住宅の建設に合わせて設置いたしました墨田区内の白鬚東倉庫でございますとか、都営地下鉄大江戸線の開業に合わせて設置いたしました港区内の麻布十番駅地下倉庫から、都有地に新設いたしました大田区内の城南大橋第二倉庫、さらには、平成二十八年度には国から購入した建物を活用し、新たに立川市内に多摩広域防災倉庫を設置するなど、さまざまな手法での設置を図ってきたところでございます。
 また、こうした都の備蓄倉庫のほか、都内全区市町村と寄託契約を締結いたしまして、都が購入した備蓄物資を区市町村の設置する備蓄倉庫に寄託するとともに、ランニングストック方式を活用した食料の確保など、分散した備蓄を進めてきたところでございます。
 今後とも、首都直下地震等の発生に必要な備蓄物資の確保に努めてまいります。

○木下委員 区部だけでなく、多摩地域も含めた東京都全体への災害時避難所、避難者向けの備蓄の整備に継続して取り組まれるようにお願いをいたします。
 次に、防災備蓄におけるタイムラインについてお伺いをしたいと思います。

○坂本生活福祉部長 今お話しのタイムラインでございますが、時系列によります主な応急対策活動の流れのことでございまして、都では、地震などの発災後七十二時間を中心に取り組む基本的な連携の内容と手順を示すマニュアルといたしまして、首都直下地震等対処要領を策定しております。
 都が、区市町村、警察、消防等の各機関との効果的、効率的な連携のもと、円滑な応急対策活動が展開できますよう、相互の共通認識を図っているところでございます。
 この要領におきまして、支援物資対策につきましては、例えば発災二時間後から、都備蓄倉庫等の被害状況につきまして職員が直接確認などを行いまして、発災六時間後から、都の備蓄倉庫からの物資の搬出及び地域内輸送拠点への輸送など、発災時の初動から七十二時間を経過するまでの時系列に沿った対応手順を策定しております。
 発災時には、こうした手順に従い対応することとしております。

○木下委員 最後に、備蓄物資の避難所への供給体制についてお知らせをください。

○坂本生活福祉部長 発災時に都が備蓄する物資を被災地区などに設置されました避難所へ供給する場合でございますが、先ほど申し上げました首都直下地震等対処要領の手順に従いまして、各備蓄倉庫の被害状況を確認いたしますとともに、物資の輸送に係るトラックの提供や荷役作業に関する協定を締結しております一般社団法人東京都トラック協会などへの支援要請を行い、搬出の準備を進めることとなります。
 その後、被災地域の区市町村からの要請に基づきまして、緊急物資などを迅速に避難所まで届けられますよう、地域における緊急物資等の受け入れ、配分、避難所などへの輸送拠点といたしまして、各自治体が地域内輸送拠点を設置いたしまして、そちらに対しまして、道路状況などを確認の上、必要な物資を搬送してまいります。
 また、最終的に、各地域内拠点から被災地などに設置されました個々の避難所への物資輸送でございますが、これは各区市町村が搬送していくという役割でございます。

○木下委員 ありがとうございました。都民の命と安心・安全を守る行政としての福祉保健局の皆様の日ごろの活動に心より敬意を表しますとともに、今後ますますのご努力をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○伊藤(し)委員 まず、食品の安全確保について伺います。
 福祉保健局の事業概要を見ますと、食品の安全確保については、食品安全条例の制定、食品の安全・安心の情報提供や監視、検査、また、汚染調査など多岐にわたっています。
 これらの施策は、戦後の混乱期に国民の衛生状況を改善すべく始まったようですが、各時代における課題を改善すべく、順次取り組みがなされていると考えます。
 いつの時代においても、都民の衣食住の安全・安心を確保することは大事なことであり、その中でも、食品の安全確保は地道な活動ですが、都の大切な役割と考えます。
 さて、食中毒は夏に起こりやすいという認識がありますが、過去十年間の月別の発生状況を確認したところ、近年は、夏のピーク時以外にも、冬のノロウイルスによる食中毒が多発しているとのことでした。実際、昨年二月にも、刻みノリを原因として、都内の複数の学校給食で患者千名を超える食中毒が発生しました。
 これから冬を迎えるに当たり、注意しなければならない食中毒でありますが、ノロウイルス食中毒の主な発生原因にはどのようなものがあるか、まず伺います。

○野口食品医薬品安全担当部長 ノロウイルスによる食中毒は、カキなどの二枚貝に取り込まれたウイルスを生または不十分な加熱状態で摂取することにより発症するケースと、調理従事者の健康管理や手洗いの徹底不足などにより、ノロウイルスに感染した調理従事者の手などを介しウイルスが食品に付着し、その食品を摂取することにより発症するケースがございます。
 厚生労働省の統計によりますと、平成二十九年、全国で発生したノロウイルス食中毒のうち、約八割が調理従事者由来との報告がなされております。

○伊藤(し)委員 さて、過去五年間の東京都の食中毒の発生状況を確認させていただいたところ、件数では、おおむね九十件から百五十件、患者数では、おむね千名から二千六百名となっており、ほぼ全国の発生件数の一割を超える程度で推移していました。
 また、食中毒の原因となる物質の上位は、ノロウイルスのほかにカンピロバクター、また、アニサキスなどの寄生虫があるそうです。
 先ほどのご答弁によりますと、ノロウイルス食中毒の原因は調理従事者に由来することが多いということでしたが、以前に比べれば、事業者も都民も食品の安全衛生に対する対応は格段に進歩していると実感しております。
 それでも、これだけの食中毒が発生している状況の中で、ノロウイルス食中毒を予防するために、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。

○野口食品医薬品安全担当部長 都は、事業者に対し、事故の発生要因となる健康管理や手洗いの徹底を初め、食材の十分な加熱調理等について、各種講習会やホームページ等を用いた普及啓発を実施しております。
 また、毎年度、食品衛生法に基づく監視指導計画を策定し、ノロウイルス食中毒が多発する歳末においては、都と東京都内に保健所を設置する特別区、八王子市及び町田市と連携して一斉監視事業を実施しております。
 この中で、特に食中毒が発生すると大規模化しやすい老人ホーム等の集団給食施設や、仕出し弁当等の製造施設に対しましては、従事者の定期的な検便の実施など、ノロウイルスによる食中毒予防の徹底を指導しております。
 さらに、確実に安全確保を図るため、国際的な衛生管理手法であるHACCPの内容を周知し、その導入を働きかけております。
 今後とも、関係事業者との連携を図りながら、こうした取り組みを継続し、ノロウイルスによる食中毒の予防に努めてまいります。

○伊藤(し)委員 食中毒予防の取り組みは、調理従事者の健康管理や手洗いの徹底などとのことでありましたが、ある意味で当然の対応といえます。すなわち、食の安全対策には特効薬はなく、地道に行うことが大事ですので、今後も継続して普及啓発を実施してもらいたいと思います。
 特に、これからの冬場のシーズンは、忘年会や新年会など、多くの方々が飲食店で懇親会を行いますので、楽しい宴席の後に食中毒では、お客さんも飲食店側も大変なことになりますので、都と保健所設置市区と事業者でしっかり対応していただきたいと思います。
 さて、答弁の中で、国際的な衛生管理手法であるHACCPの内容周知と導入の推進とありましたが、HACCPとはどういった衛生管理手法なのか伺います。

○野口食品医薬品安全担当部長 HACCPとは、米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理手法でございます。
 具体的には、食品別、製造工程ごとに食中毒発生の要因を分析し、その発生を低減するための加熱殺菌や冷却など、具体的な温度や時間等の方法を定め、その管理を重点的に行うことにより、製造された全ての食品の安全を保障する手法でございます。
 なお、本年六月に食品衛生法が改正され、全ての事業者を対象にHACCPに沿った衛生管理が制度化され、法律の公布から三年以内に施行されることとなっております。

○伊藤(し)委員 食品衛生法が改正され、全ての事業者を対象にHACCPに沿った衛生管理が制度化されたとのことです。
 しかし、三年という猶予期間があるとはいえ、都内の事業者の大半は中小事業者であり、これから新たにHACCPに取り組まなければならないのではないでしょうか。特に、提供メニューが多岐にわたる飲食店においては、施設ごとに発生要因を分析し、食中毒の発生を低減する方法を定めることは極めて難しいと推察いたします。
 つまり、HACCPの啓発、普及を進める上では、都などの行政の取り組みのほかに、当事者である事業者とどのように連携していくかも大切です。
 例えば、さまざまな飲食団体で組織されている食品衛生協会は、飲食等に起因する衛生上の危害の発生を防止するため、行政と連携を図り、食品業界における総合的自主管理体制の確立を目指すとともに、都民会員に対して、食品衛生等に関する情報提供に努めているそうです。
 よって、HACCPの取り組みに当たり、中小の飲食店が多く加入する東京都食品衛生協会の協力も得ながら、事業者の実情に即した現実的な対応を図ることが重要ではないかと考えます。
 そこで、東京都として、中小の飲食店が円滑にHACCPに取り組めるよう、どのように連携していくのか伺います。

○野口食品医薬品安全担当部長 都は、従来から、食品衛生協会の会員による自主的な巡回指導の実施を初めとする食品衛生自主指導員活動を連携して、指導員向け講習会の開催や、巡回指導で用いる検査キットの整備を行ってまいりました。
 また、HACCPの考え方に基づく衛生管理に取り組む事業者を、都が認証する東京都食品衛生自主管理認証制度において、指定審査事業者の一つとして、事業者からの事前相談や認証取得に向けた助言など、都の事業に協力いただいております。
 今後、HACCPの制度化においては、各事業者がその施設に応じたマニュアルとして衛生管理計画の策定が必要となりますが、食品衛生協会と連携し、この計画と日々のチェックポイントをわかりやすい形で取りまとめた自主管理点検表を作成し配布するなど、きめ細やかな支援を検討してまいります。

○伊藤(し)委員 ぜひ、食品事業者、特に中小飲食店の皆さんがきちんとHACCPに取り組めるよう、食品衛生協会などとも協力しながら、引き続き対応していただきたいと思います。
 次に、障害者施策について伺います。
 障害者が地域で自立して生活していくためには、その方の能力や適性を生かして、生き生きと働ける場が必要であります。都は、そのための施策として、一般就労に向けた支援の充実強化については、東京チャレンジオフィスの運営、就労支援体制レベルアップ事業などに取り組んでおります。
 また、福祉施設における就労支援の充実強化については、作業所等経営ネットワーク支援や経営コンサルタント派遣なども行っています。
 さて、私の地元八王子市の実例を挙げますが、知人のダウン症の障害者の方も市内の公共施設の飲食店で働いております。そこでも多くの障害者が働いていますが、店長は、施設利用者の飲食の提供のみならず、お弁当の販売、配達など販路拡大に努め、売り上げアップのために努力をしています。
 また、精神障害者の自立支援事業を展開しているNPO法人では、農業と福祉の連携により、市内の農地を確保し、障害者は農作業に従事し、そこで収穫された農作物を販売するだけでなく、系列の飲食店で調理、提供しており、農業の六次産業化にも取り組んでおります。
 さて、現在都内には、一般就労が困難な障害者の方が働く福祉施設である就労継続支援B型事業所が八百十一カ所あり、多くの障害者がやりがいや達成感を感じながら地域で働いているようです。
 しかし、これらの施設における東京都の平均工賃は、一月当たり、平成二十八年度で一万五千三百四十九円と聞いており、その水準は決して高いとはいえません。
 当事者である施設はもちろんのこと、国や都、そして市区町村も工賃向上に取り組んでおりますが、福祉施設の工賃の現状や課題はどのようなものがあるのか伺います。

○松山障害者施策推進部長 都内の就労継続支援B型事業所の平成二十八年度における一カ月当たりの平均工賃は、先生がおっしゃったとおり一万五千三百四十九円で、前年度実績の一万五千八十六円から微増しており、平成二十四年度実績の一万四千四百八十五円と比べると、約六%の増となっております。
 平成二十八年度の平均工賃の分布を見ますと、全体の約六五%の事業所が都内平均工賃を下回っており、これらの事業所の平均工賃は約九千円となっております。
 一方、都内平均工賃以上の事業所における平均工賃は約二万六千円となっております。
 都内事業所の工賃アップに向けた取り組み状況を把握するため実施した実態調査では、各事業所が抱える問題意識として、利用者の高齢化、重度化への対応、続いて、利用者と仕事のマッチング、販路開拓、新商品開発、仕事量の安定的確保が多く挙げられております。

○伊藤(し)委員 工賃の現状や課題について答弁をいただきました。
 全体の平均賃金は約一万五千円とのことですが、その中でも全体の六五%の平均工賃は約九千円となっている一方で、平均以上の事業所群では約二万六千円となっており、三倍近くの差があり、二極化しているようです。
 また、課題についても確認をいたしました。八百を超える事業所があるわけですから、利用者の実情や、施設の置かれた環境や条件など、千差万別であろうかとも思います。いずれにせよ、各施設の実情に応じた支援が必要と考えます。
 そして、もちろん営利企業ではありませんから、単に工賃向上だけを目的とするのではなく、障害者の方々に寄り添った対応が最優先であることはいうまでもありません。
 それでは、先ほど述べたとおり、福祉施設も自助努力を重ねていると思いますが、都では工賃向上のためにどのような支援を行っているのか伺います。

○松山障害者施策推進部長 都は、今年六月に、福祉施設における工賃向上のための具体的な支援策を示すため、平成三十年度から平成三十二年度までの三カ年を計画期間とする工賃向上計画を策定いたしました。
 この計画のもとで、都は、工賃アップセミナーを実施し、施設職員の経営意識を高める基礎研修に加え、それぞれの事業所が利用者の特性や作業の内容などを踏まえた課題を解決できるよう、個別の相談会や中小企業診断士等の専門家による施設への派遣を行うなど、施設が工賃向上に具体的に取り組めるよう支援しております。
 また、生産性向上や受注機会の拡大を目的として、福祉施設が導入する生産設備の整備に対する補助も行っております。
 さらに、今年度からは、新たな販路を開拓するため、都において共同受注窓口を設置し、大ロットの軽作業を受注するなど、受注促進に取り組んでおります。
 こうした取り組みを通じて、今後とも、工賃の向上を目指す福祉施設の取り組みを支援してまいります。

○伊藤(し)委員 働きの場があることについては、やりがいももちろん大事でありますが、一方で、賃金確保も大事です。各事業所が抱える課題の解決に都もきめ細かく対応していただいて、引き続き工賃向上に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、障害福祉サービスに関連して、障害者グループホームについて伺います。
 障害者が必要な支援を受けながら地域で安心して暮らしていくためには、日中活動の場の確保とあわせて、居住の場であるグループホームの整備を進める必要があります。
 グループホームは、大人数の施設とは異なり、定員が五人から八人程度が主流で、本人のライフスタイルやプライバシーなどにも配慮された居住の場であります。実際に見学させていただきましたが、利用者の部屋は、それぞれの趣味や個性が尊重されておりました。
 障害者グループホームは私の身近にもふえているように感じますが、これまでの整備実績と今後の整備計画について伺います。

○松山障害者施策推進部長 都は、障害者グループホームの整備を促進するため、平成二十七年度から平成二十九年度までの障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおいて、三年間で定員二千人分増の目標を挙げました。
 この三年間の整備実績は千八百五十六人であり、平成二十九年度末の定員は九千七十七人となっております。
 平成三十年度から平成三十二年度までを計画期間とする新たな三か年プランにおいても、グループホームの定員数をさらに二千人分ふやす目標を挙げ、整備費の事業者負担の軽減や、都有地の減額貸付などを実施しており、これらの取り組みにより、整備目標の達成を目指しております。

○伊藤(し)委員 地域の居住の場であるグループホームの整備を積極的に進めていく計画であることは確認できました。三年後には、トータルで約一万一千人を確保することになりますので、しっかり対応していただきたいと思います。
 さて、今後、グループホームの量的な拡充を着実に進めていくためには、サービスの提供を担う人材の確保、育成、定着を図ることも重要で、必要であります。
 先日、医師会の講演でお聞きしましたが、介護サービス事業者の人材不足は際立っており、介護関連職種においては、東京では有効求人倍率は六倍を超えており、他の業種と比較して極めて採用が困難であり、また、離職率も高いそうです。同様に、障害福祉サービス事業者も職員やサービスの質の確保に苦慮している状況があるそうです。
 少人数の利用者であるグループホームはスタッフも一人から四人程度の少数であり、さらに生活の場面によっては一人で支援を行うこともあるため、スタッフに求められる支援の知識や対応も大変重要な要素です。
 そこで、都は、グループホームの事業者が行う人材の育成や定着を支援する必要があると考えますが、都の取り組みを伺います。

○松山障害者施策推進部長 障害者グループホームは、小規模な事業者が多く、支援に必要な知識やノウハウを習得する機会が少ないのが現状でございます。
 このため、都は今年度から、グループホームに従事する職員が資質向上を図るための研修等を受講する機会を確保できるよう、研修受講期間中の代替職員を事業所に派遣する事業を開始いたしました。
 また、職員の定着や資質の向上を図るため、事業所の管理者や指導的役割を担う職員を対象に、職場環境改善などの労務管理や人材マネジメント方法等に関する研修を実施しております。
 さらに、グループホームでの支援に必要な夜間支援に関する知識等を習得するための研修制度の構築に向け、カリキュラムの作成や講師の要請を行うこととしており、これらの取り組みを通じて、グループホーム事業者の人材の育成や定着を支援してまいります。

○伊藤(し)委員 都では、グループホームの設置促進に向けて、施設の整備費の補助や人材の確保の支援策など、取り組みを行っていることを確認いたしました。
 しかし、今後は、グループホームの量的な拡充のみならず、質的な面においても、特に重度の障害者を受け入れるグループホームの存在がますます重要となっています。
 我が党は、日々、障害者の支援に努めていらっしゃる事業者の方々の声を聞き、直接、都に届ける機会を設けるなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。この中では、グループホームを運営する事業者から、重度の利用者に対する支援体制をさらに充実させる必要があるとの声も強く寄せられております。
 そこで、これらの声に耳を傾け、重度の障害者を受け入れるグループホームへのさらなる施策の充実に努めることが必要であると考えますが、都の見解を伺い、私の質問を終わります。

○松山障害者施策推進部長 都は、グループホームを運営する事業者が重度の障害者を受け入れるために介護リフトなどを整備する場合、今年度から、新たに補助基準額への加算を実施しております。
 また、重度の障害者を受け入れているグループホームでは、国で定める基準以上の人員を配置してサービスの質を確保している事業者がいることから、都は、身体上または行動特性上、特別な支援を必要とする利用者を受け入れるために手厚い職員配置を行うグループホームに対する支援を検討しております。

○伊藤(こ)委員 待機児童問題が社会的課題となる中、都議会公明党は、認可、認証保育園の拡充のみならず、小規模保育、家庭的保育など、多様なニーズに応えられる施策を都に求めてまいりました。
 一方で、保育にかかわる人材育成についても重要な課題であると、これも都に求めてきたところでございます。
 そうした中、平成二十七年から始まった子ども・子育て支援新制度の中で、保育や子育て支援サービスの担い手を確保するため、地域で保育や子育て支援の事業に従事することを希望する方を対象にスタートしたのが子育て支援員制度であります。年齢、性別を問わず受講することが可能であり、支援員研修を修了すると、小規模保育や家庭的保育、学童クラブ、子育て広場など、地域におけるさまざまな子育て施策の担い手として従事することができるという研修制度であります。
 この制度が発足して、ことしで四年目となります。この間、都議会公明党は、子育て支援員の養成のため、研修の定員拡大を求めてきたところであります。
 そこでまず、子育て支援員研修のこれまでの実施状況について伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援員研修でございますが、地域における子育て支援の担い手を確保するため、平成二十七年度から開始をいたしました。
 受講定員でございますが、平成二十七年度は一千三百六十名、二十八年度は二千五百四十名、二十九年度は二千五百六十名、今年度は四千名と順次拡大をしてまいりました。
 これまでの修了者数でございますが、六千百九十三名となっております。

○伊藤(こ)委員 年々、定員が拡充されており、子育て支援員の養成に積極的に取り組んでおり、これまでに多くの方が子育て支援員として養成されたということでありました。
 この間、保育分野では、認可保育所や認定こども園等で、みなし保育士や企業主導型保育事業の保育従事者として活用ができるようになったりと、子育て支援員の活躍の場が広がってきており、一人でも多くの子育て支援員が現場で活躍できる取り組みが重要であると思います。
 せっかく希望を持って子育て支援員になっても、その先の就職に生かされなければ意味がありません。
 そこで、研修修了者が現場で活躍できるよう、都が支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援員研修の受講生でございますが、約六割の方が地域型保育、認証保育所などで既に従事している方でございまして、残りの約四割の方が新たに地域で保育や子育て支援事業に従事することを希望する方となっております。
 受講生に対しましては、保育人材・保育所支援センター、ハローワーク等の就業先とのマッチングや就職相談等を行っている機関のチラシ等の配布、福祉職場に関するさまざまな情報を発信しております東京都福祉人材情報バンクシステム、ふくむすびの紹介など、就職に必要な情報を提供しております。
 これらに加えまして、今年度は、新たに子育て支援員を対象とした就職相談会を実施する予定でございます。

○伊藤(こ)委員 子育て支援の現場で働きたいという意欲的な方がこの研修を受講されていることを踏まえると、ぜひとも就労につなげていく支援を充実させていただきたいと思います。
 私は、先日、渋谷区内の保育所で行われております子育て支援員研修の見学実習の様子を視察いたしました。その保育所に来ていた実習生は、何と建設関連会社の若手社員でありました。この建設関連会社は、順番にこの子育て支援員研修を受けているという話を伺いました。なぜならば、社内保育を充実させて、社内のお子さんをほかの社員がちゃんと見れるような、そうした体制をつくりながら、地域にも保育所を役立てていきたい、こういう希望があるそうであります。
 また、この実習に来ていた方から話を伺うと、今回の研修、座学でずっとやってきたことも、現場での研修もそうですが、自分自身の子育て、自分が家に帰って子育てに非常に役に立つという話もされておりました。
 一方で、その際に、この保育園の園長さん、施設長と意見交換をしたところ、その受講生と面会したのは研修の当日であると聞きました。通常、保育園等では、大学あるいは短大、専門学校の実習を受け入れる際に、事前に十分にオリエンテーションをするものだというふうに思いますけれども、この子育て支援員の研修の見学実習に臨む受講生、受け入れに協力している保育園の双方にとって、さらに効果的な実習となるように、事前面談や、それぞれが相応の準備や心構えをするための機会があってもいいのではないかというふうに私は思いました。
 このことについて、都の考えを伺いたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援員研修でございますけれども、座学とそれに引き続きます見学実習で構成されておりまして、受講生に対しましては、座学の最終日に事前のオリエンテーションということで実施をいたしまして、見学実習に当たりまして必要となる配慮事項や見学のポイントについて説明をしております。その説明内容につきましては、見学実習についてのお知らせとして取りまとめまして、区市町村を通じまして実習先へも周知をしているところでございます。
 さらに、実習前には、必ず受講生から実習先へ連絡することを徹底しておりまして、実習先は、必要に応じてではございますが、独自のオリエンテーションを行うことも可能としております。
 引き続き、効果的な見学実習となりますよう取り組んでまいります。

○伊藤(こ)委員 この受講生にとっては、実習前に実習先へ連絡を入れる機会があるので、当日何をするのか、心配や不安に思うことなどがあれば、相談することができる、実習先にしてみれば、必要に応じて事前面談を行うことができるようになっているということで、おおむね配慮されているということがわかりました。
 この子育て支援員については、今後ますますの活躍が期待をされます。引き続き子育て支援員の養成と活用拡大に向けた取り組みをお願いしたいと思います。
 もうお願い、許してと書きつづった船戸結愛ちゃんの虐待死事件から半年が過ぎました。今でも、またこれからも、胸を締めつけられる思いがいたします。子供を虐待から守る、これが今の私たちに課せられた最大の課題であります。
 さきの定例会で、私は、代表質問の中で、子供の命を守るため、子供本人との全件面談、つまり、全員に第三者が会うこと、これを行うことを前提に、在宅子育て支援に取り組むことの重要性を訴えました。そして、都として、それに取り組む区市町村への支援について見解を質問したところであります。
 この三月に起きた痛ましい児童虐待死亡事案の検証結果が公表され、そこでも改めて子供本人と会うことの重要性が指摘をされております。児童虐待の未然防止のためにも、全ての乳幼児にアプローチするチャンスとして、母子保健施策、三、四カ月健診、一歳六カ月健診、三歳児健診、こうした母子保健施策において、子供の状況の確認を行うことが重要であると思います。
 地元の品川区では、平成二十九年度、この母子保健施策、この健診に来なかった家庭についてのフォローアップとして、まず最初に電話をする、それでも通じなければ手紙を出す、それでも会えなければ、土日に保健師さんが訪ねていく、それでもだめであれば、夜、民生児童委員の方が訪ねていく。こうして、全て確認を、二十九年度は行うことができた、このように聞いております。
 そこで伺いますけれども、区市町村が乳幼児健康診査を適正に実施するとともに、未受診児をしっかりとフォローアップすることが重要であると考えますけれども、区市町村の取り組み状況と都の支援について伺いたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 区市町村では、母子保健法に基づき、乳幼児健康診査を実施しており、未受診児がいた場合には、ただいま委員お話ございましたように、電話や書面に加え、状況に応じて家庭訪問により、保護者に対し受診を勧奨しております。また、乳児家庭全戸訪問事業や他機関との連携により、子供の状況確認を実施しております。
 都では、各区市町村が実施しております未受診児の状況把握の具体的方法や、独自の取り組みなどを集約して整理し、情報共有を行うことで、有効な取り組みを共有しております。
 また、未受診児のフォローを含め、区市町村が要支援家庭の早期発見、支援に取り組む場合に、保健師等専門職の配置等を支援しております。
 こうした取り組みは、ただいま委員お話ございました全件面談と同様、全ての健診対象者等へのアプローチを通じまして虐待の未然防止を図るものであり、引き続き区市町村を支援してまいります。

○伊藤(こ)委員 都として、ぜひ全件面談、この方向を各区市町村に、私は、しっかりと打ち出していただきたい、このように強く要望するものであります。
 さきの痛ましい児童虐待死亡事件については、こうした定期健診の空白の期間である未就学期、結愛ちゃんでいえば学校に上がる直前でありましたけれども、こうした時期に発生をいたしました。
 未就学であって、保育園にも属していない、幼稚園にも属していない、子育て支援機関にも属していない、いわゆる未所属の児童は、家庭内での状況が外に伝わりづらく、虐待や不適切な養育等のリスクが高まるおそれがあると思います。
 このような児童を迅速に支援につなげるためには、在宅子育てをする家庭に対して、相談や訪問などさまざまな機会を通じてアプローチし、リスクを早期に発見することが重要であります。
 私は、都議会に来させていただく以前は、品川区の児童センターの指導員を十九年、務めておりました。まさにこの子育て広場を午前中はやって、小学生の学童クラブもあれば、児童センターに来る子もいれば、中高生の青少年と一緒にさまざまな活動もしておりました。
 あるとき、ふと思いました。こうした保育園にも幼稚園にも属していない、だけど、児童センターに子供さんを連れてきてくれるお母さんは、入館票に名前を書いて過ごしたり、あるいは子育て広場でいろんな活動をするんですが、当時、公園デビューという言葉もありました。また、マタニティーブルーという問題もありました。ここに来れない人たちはどうするんだろう、こう思いました。
 私は、上司の了解を得て、のぼり旗にみんなの広場というふうに書いて、自転車につけて、毎週月曜日の十一時にある公園に出かけていきます。そして、入館票もなければ、名乗らなくてもいいし、名札もないし、所属しなくていい、ただ、公園で変なおじさんが何かやっているなというのを見かけて寄ってくれる親子がいれば、そこで色水をつくったり、いろんな活動をしました。
 やっぱりそこに立ち寄ってくれたお母さんの中には、マンションのカーテンのすき間からその活動を見ていて、子供が行きたいというので連れてきたって、だけど、私はどこにも所属はしたくない、そういっていました。こうしたお母さんが二組、三組から始まって、約半年続けたら、約五十組ぐらいに広がりました。それでも、名前は書かなくていい、名乗らなくていい、所属しなくていいよ、だけど、気が向いたら、ぜひ児童センターに遊びに来てね、こういうふうに声をかけていきました。
 私は、そうしたどこにも所属しない、所属したくない、こうした親御さんがいらっしゃるということを現場で、それを肌で感じたわけであります。
 そこで伺いますけれども、リスクのある児童を早期に発見し、支援につなげるため、都は、積極的に在宅子育て家庭に対する支援を一層充実すべきと思いますけれども、都の取り組みについて伺いたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 都は、区市町村が実施いたします保健師等による家庭訪問、子育て広場や子供家庭支援センターでの育児相談のほか、育児支援ヘルパーの派遣など、在宅子育て家庭を支えるさまざまな取り組みを支援しております。
 また、区市町村が全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を行えるよう、保健師等の配置や、育児パッケージの配布を行うゆりかご・とうきょう事業を実施しております。
 さらに、今年度から、育児負担の大きい一歳未満の子供を在宅で育てる家庭を対象に、区市町村を通じまして、家事支援サービスの利用を支援する在宅子育てサポート事業を実施するとともに、必要なときにショートステイが利用できるよう、当日受け入れが可能な体制を整備する区市町村への支援も開始いたしまして、両事業とも、現在申請を受け付けているところでございます。
 今後とも、全ての子育て家庭が状況に応じて適切な支援を受けられるよう、区市町村の取り組みを支援してまいります。

○伊藤(こ)委員 答弁をいただきましたけれども、いずれにしても、先ほども自分の児童センターの話もしましたけれども、どうしても、この行政の支援というのは申請主義であります。本人からの申請があって初めてそれがつながっていく、こうしたことが多いわけでありますけれども、今、必要なことは、私はアウトリーチであるというふうに思います。都は、積極的に、在宅子育て世帯へのアプローチを行う区市町村を全力で支援をしていただきたい、このように要望しておきます。
 先日、産婦人科のドクターと意見交換を行いました。その中で、児童虐待と関連する問題として、妊産婦の自殺や母子の心中についても指摘をされました。悩みを抱えた妊婦は、行政以外にも、産婦人科のドクターに相談する場合もあります。また、ドクターが、その妊産婦さんの鬱に気がつく場合もあるわけであります。
 こうした場合に、医療機関で支援が必要な妊産婦を把握したら、まずは、地域の保健センターに連絡をして支援につなぐことが多いというふうに思いますけれども、そのほかにも、地域には児童センターや子育て広場など、さまざまな社会資源があって、さまざまな形で支援ができるわけであります。
 しかし、そうした地域の社会資源の情報が医療機関に十分把握されていないとの指摘もドクターからいただきました。
 悩みを抱えた妊婦を支援するため、医療や保健、子育て支援など、さまざまな機関が多業種で情報共有をして、連携できる体制を整備することが重要と考えますけれども、都の取り組みについて伺います。

○谷田少子社会対策部長 区市町村は、妊娠届け出時の面接等、さまざまな機会を通じ、悩みを抱える妊婦を把握し、支援につなげる取り組みを行っており、都は、ゆりかご・とうきょう事業等で支援しております。
 また、都が区市町村の母子保健従事者や子供家庭支援センター職員向けに実施しております研修や、医療機関従事者向けに実施している児童虐待対応研修では、保健機関や子育て支援機関等、医療機関との情報共有や連携につきまして、関係者から直接事例説明等を実施し、あわせて積極的な取り組みを働きかけております。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、悩みを抱える妊婦を早期に発見し、地域で連携して支援できる体制の整備を支援してまいります。

○伊藤(こ)委員 次に、特別区の児童相談所設置関連について質問をいたします。
 平成二十八年に児童福祉法が改正され、特別区も児童相談所を設置できるようになり、現在は、練馬区を除く二十二区が児童相談所設置の意向があると聞いております。
 しかし、児童虐待から子供を守るには、職員の専門性が最も重要であり、区が児童相談所を設置し開設するときには、一人でも多くの特別区の職員が児童相談所業務のノウハウと経験を習得しておかなければなりません。
 例えば、児童福祉司任用資格を見てみますと、社会福祉主事あるいは助産師、教員、保健師、看護師、保育士、児童指導員、こうした方々が指定施設で一年以上、あるいは二年以上、こうした業務に携わらなければならない。その経験を踏まえて、東京都の児童相談所でしっかりと研修、講習を受けて初めて児童福祉司の任用資格を得ることができるわけであります。特別区から都の児童相談所への派遣職員の受け入れにつきましては、区の職員が直接、児童相談所の業務を経験することができるという貴重な機会となるわけであります。
 そこで、児童福祉法が改正された平成二十八年度以降の、都の児童相談所における特別区の派遣職員の受け入れ人数と対象職種について伺いたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 平成二十八年度は児童福祉司の研修派遣を二十名受け入れており、平成二十九年度は児童福祉司、児童心理司を計三十五名、平成三十年度には児童福祉司、児童心理司、一時保護所職員、児童福祉司スーパーバイザー候補、そして事務職員を計六十六名受け入れております。

○伊藤(こ)委員 答弁にあった児童福祉司を初めとした各職種は、児童虐待等の最前線で業務に当たるため、高度な専門性が必要であります。そして、それは一朝一夕には積み上がらないというふうに思います。区設置に向けて、都は、一番難しい人材育成について全力で取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、施設入所等の広域調整について伺います。
 児童相談所は、子供の一時保護や施設入所の措置をする場合、区市町村の区域を超えた入所調整をしなければなりません。つまり、同じ区の中で一時保護をして、その同じ区内で一時保護をしたままということは、これは考えられないわけであります。
 特別区が児童相談所を設置した場合、区単独での調整は困難と思いますけれども、都としての考えを伺いたいと思います。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所では、虐待をした保護者からの児童の連れ戻し防止や、非行児童の入所施設の分散、感染症の拡大防止等を図るため、一時保護所や児童養護施設等の広域での入所調整を行っております。
 特別区が児童相談所を設置した場合、こうした調整を区単独で対応することが困難であり、今年度から都区間で広域調整に係る検討会を立ち上げ、一時保護所や児童養護施設等の入所調整方法や、里親への委託方法等につきまして協議をしているところでございます。

○伊藤(こ)委員 私は、児童相談所の区設置については慎重に、そして周到な準備を完了してからでなければならないというふうに考えております。一番難しい人材育成、そしてまた、広域調整の協議など、都として全力を挙げていただきたいと思います。
 東京二〇二〇大会まで二年を切る中、史上初となる二度目のパラリンピック開催都市東京に世界中の注目が集まっております。東京は、障害者や高齢者に対し、どんなまちづくりをし、また、どのように対応しているのか、これまで以上に世界中の関心が高まると思います。
 私は、平成二十一年、街頭で都政報告をしているときに、一人の女性の方に声をかけられました。その女性の方は、私には自閉症の障害がある子供がいます、いつかこの子が大きくなって、一人で社会参加するようになったときに、困ったときに誰かが、周囲の人が助けてくれる、そういう練習をするために、私はこのカードを持たせていますと見せていただいたのが、真っ赤っ赤のカードにSOSと白抜きの文字が書いてあったカードでありました。中を見せていただくと、その子の障害の特性、どのように声をかければよいのか、どのような支援をすればいいのか、緊急連絡先はどうなのか、こうしたことが詳細にそのカードの中に書かれてありました。
 そのお母さんは、さらに、このカードをこの子が出したとしても、出した相手にその意味がわかるでしょうか、気がついてくれるでしょうか、こういいました。こうした障害のある家族がいらっしゃる家庭では、みんなそうやって工夫をして、苦労して、だけど、わかってくれない、伝わらない、これが現実です、こういいました。そして、そのお母さんは、どうか東京都として共通のデザイン、共通の標準様式で、こうしたカードをつくってほしい、こうした要望をいただきました。
 私も先ほど申し上げたとおり、児童福祉の現場にいましたので、もちろん障害のある子供たちもいました。この子たちが大きくなったら、きっとそうなんだろうな、そう察しました。
 私は、そうしたことから、これまで繰り返し議会の中で、見た目ではわからなくても支援を必要としている人がいるということを取り上げて、ヘルプカードの取り組みを求めてきました。
 しかし、都は、検討するという答弁はしてくれましたけれども、なかなか進みませんでした。ところが、平成二十三年、三・一一、東日本大震災が発生をしたとき、首都圏で約五百万人という帰宅困難者の中に、本当は支援を求めたかったけれども、それができなかった、あるいは伝わらなかった要支援者がたくさん発生をしました。
 その後、平成二十四年度から、東京都は、都議会公明党の要請に応えて、区市町村への十分の十補助事業としてヘルプカードの事業が始まり、今では全国へと広がっております。
 そこで改めて、ヘルプカードの意義と、活用方法や活用事例について伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 ヘルプカードは、意思疎通が困難な障害者が障害特性に応じた支援を得るためのツールであり、都は、都内で統一的に活用できるよう標準様式を定めております。
 ヘルプカードの活用方法としては、あらかじめ、緊急連絡先や障害、病気の名前と特徴、かかりつけ医や薬の名前などを記入しておき、災害時や緊急時など、周囲の人に手助けを求めたいときなどにヘルプカードを示すことにより、手助けを求めやすくなるものでございます。
 具体的には、知的障害者が道に迷うなどしたときに、周囲の人が緊急連絡先に連絡することで早期に問題が解決した事例や、聴覚障害者が救急車を利用した際に、救急隊がヘルプカードを見て、手話通訳を手配した事例などがございます。

○伊藤(こ)委員 私のところには、知的障害と足に障害がある四十歳代の方から、ヘルプマークとヘルプカードをかばんにつけて電車の優先席に座っていたところ、ほかの乗客の方から、あんたは若いんだからそこに座っちゃだめでしょうと強くいわれて大変に傷ついたという声や、あるいは、てんかん発作の持病がある、都外から都内の企業にお勤めされている方からは、やっとヘルプカードの取り組みがその方の地元の市で始まって、身につけてはいるものの、もし駅や電車の中で発作が起きてしまったら、周囲の人に病状や支援方法が伝わるか、ヘルプカードの意味がわかってもらえているか心配だという声を聞きました。
 ヘルプカードやヘルプマークの周知についての都の取り組みを伺うとともに、一方で、インターネット上で何とヘルプマークを転売しているという実態があるようでありますけれども、こうしたことへの都の対策について伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 都はこれまで、ヘルプカードやヘルプマークの作成や活用等に取り組む区市町村を包括補助により支援してきたほか、特設サイトの開設や各種イベント等でのブース出展など、広報、普及啓発に取り組んでまいりました。
 さらに、平成三十年十月の東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進条例の施行に合わせて製作、改定したパンフレットやハンドブックにもヘルプカードやヘルプマークを掲載しているほか、事業者向け説明会や一般都民向けシンポジウムなどにおいても紹介する予定であり、さまざまな機会を活用して積極的に普及啓発をしてまいります。
 なお、お話にあった、インターネット上でヘルプマークを転売している事例につきましては、無償で配布しているものであり、転売を認めていないことをサイトの運営会社に連絡し、出品者に出品物を取り下げてもらうなど適切に対応するよう求めております。

○伊藤(こ)委員 ぜひ、今後もさらにこのヘルプカード、ヘルプマークの周知に努めていただきたいというふうに思います。
 障害のある人が、支援が必要なときに周囲に支援を求めてもいいんだ、あるいはまた、周囲の人が声をかけてもいいんだ、こうしたお互いの心の中にあった遠慮あるいはバリアが自然に取り除かれていく社会、こうした社会が私は必要だと、このように思います。そのためのツールとして、ヘルプカード、ヘルプマークが活用され、周知されることを今後も要望したいと思います。
 バリアといえば、都は、本年三月に心のバリアフリーの実践に向けたハンドブックを発行いたしました。また、心のバリアフリーサポート企業連携事業を開始いたしました。
 企業といえば産業労働局の事業が多いわけでありますけれども、福祉保健局がこの企業連携事業を開始した意義と目的、そしてまた応募状況について伺いたいと思います。

○坂本生活福祉部長 今お話しの心のバリアフリーサポート企業連携事業でございますが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会を見据えまして、都内に本社や事業所を置きます企業や法人と積極的に連携し、心のバリアフリーに対します社会的機運の醸成を図っていくことを目的といたしまして、今年度より新たに開始したものでございます。
 本事業でございますが、心のバリアフリーに対する社会的機運の醸成を図り、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進するという本事業の趣旨に賛同し、心のバリアフリーに係ります取り組みを積極的に行っている、または行う予定で、この都の取り組みに協力していただける民間企業などを募集いたしまして、東京都心のバリアフリーサポート企業として登録することとしております。
 本年八月下旬よりサポート企業の募集を開始しております。特にすぐれた取り組みを行っております好事例企業の応募につきましてはおおむね今月末まで、登録企業の応募につきましては来年二月末までを募集期間としているところでございます。
 現在、応募がありました取り組みの一例でございますが、地域の飲食店や施設のバリアフリー状況につきまして、従業員みずからが車椅子などで調査を行い、得られたバリアフリー情報をアプリへ投稿し、発信している事例でございますとか、聴覚に障害がある従業員を小学校に講師として派遣いたしまして、多様性理解教室を実施するなどの事例がございました。
 今後、具体的取り組み内容や企業内での推進体制、効果、実績、先進性、独自性などにつきまして、書面審査及びヒアリング審査を行いまして、今年度末を目途に好事例企業を選定していく予定でございます。

○伊藤(こ)委員 私の地元の品川区に本社がある建設業界の会社でありますけど、ご挨拶するときに、私がたまたまそれしか持っていなかったので、点字が入っている名刺を渡しました。そのときに、その会社の方から、企業の方から、うちも点字名刺をつくりたいといって、その企業は点字名刺を作成していただきました。
 何で建設会社が点字の名刺をと思ったらば、その会社は、実は道路の舗装等もやる会社でありまして、点字ブロックを敷設するわけですよね。でき上がった後に、実際に視覚障害の人にそこを歩いてもらって、踏んだ感じがどうか、つまずくところがないか、それを一回一回確認するそうです。
 そのときに、その点字名刺が実は必要だったのに、それに気がつかなかったといって、今、社長を初め多くの方が点字の名刺をつくっていただきましたけれども、こうしたことが好事例になるのかどうかわかりませんけれども、今後、都として、この心のバリアフリーをしっかりと推進すべきでありますし、そのためには、今回選定をしていただいている好事例をどう生かしていくのか、これが大事であります。
 今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○坂本生活福祉部長 誰もが年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、相互に尊重し、思いやることができる社会を実現していくためには、心のバリアフリーをより一層していくことが重要であると考えているところでございます。
 今回、東京都心のバリアフリーサポート企業として登録いたしまして、特にすぐれた取り組みとして心のバリアフリー好事例企業に選定したものにつきましては、先ほど申し上げたように、今年度末を目途に企業名と取り組み内容につきまして都のホームページなどで公表することとしております。
 また、選定した好事例企業につきましては、ユニバーサルデザイン情報のポータルサイトでございます、とうきょうユニバーサルデザインナビへの掲載や、鉄道事業者、百貨店、ホテル等の事業者団体で構成いたします、福祉のまちづくりに関する施策を推進するための連絡協議会などを通じて積極的に周知いたしまして、広く都民に周知するように努めてまいります。

○伊藤(こ)委員 心のバリアフリーサポート企業に登録していただいた企業には、ぜひ会社、社員を挙げて、日常的に、積極的に心のバリアフリーに取り組んでいただければありがたいというふうに思います。
 そこで、提案でありますけれども、心のバリアフリーサポート企業の、この企業の入り口などにヘルプマークのシールを張るなどの取り組みを推進すれば、まち中で支援が必要になった人が立ち寄ったり、また、周知にもなると思いますけれども、いかがでしょうか、見解を伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 都は、障害者が都内に限らずどこでも支援が受けられるよう、ヘルプマーク作成・活用ガイドラインを作成するなど、他の自治体や民間企業等への普及を推進しており、平成二十九年七月には、全国共通のマークとしてJIS規格の案内用図記号にヘルプマークが追加され、さまざまな企業において自主的な取り組みが進んでおります。
 都は、各企業が自社の特徴や強みを生かした取り組みを推進できるよう、各企業の取り組みを特設サイトで紹介しております。
 具体的には、ヘルプマークをデザインした自動販売機を設置した事例、薬局の待合室の座席に優先席としてヘルプマークを掲示した事例、車内に設置されたデジタルサイネージでヘルプマーク普及動画を放映した事例、障害のある社員の安全を確保するためヘルプカードを作成し希望する社員に配布した事例など、さまざまな取り組みがございます。
 お話の心のバリアフリーサポート企業への登録についても特設サイトで呼びかけておりまして、今後、より一層ヘルプマーク、ヘルプカードの活用が図られるよう、都から積極的に登録企業に情報を発信するなど働きかけを行い、ヘルプマークの周知が進むよう努めてまいります。

○伊藤(こ)委員 次に、障害者グループホームについて伺います。
 都は、グループホーム事業者に対し、利用者が質の高いサービスを受けられるよう、国の報酬に加え、都独自の補助を実施しております。このことも一因となって、都におけるグループホームの定員数は障害者支援施設の定員数を上回るなど、障害者の地域生活への移行が進んでおります。
 しかし、都議会公明党が事業者に複数回にわたって、このグループホーム事業者からヒアリングを実施した結果、身体上や行動上の特性によって特別な支援を要する重度の障害者を受け入れている事業者は、さらなる支援を求めていることが明らかになりました。
 このため、都議会公明党は、四月十七日に、知事宛てに障害者グループホームへの支援の充実を求める要望書を提出したところであります。
 加えて、さきの第三回定例会におきまして、代表質問で私は都に対し、重度の障害者を受け入れるグループホームへの支援の充実を求めたところ、都からは、重度の障害者も地域でより一層安心して暮らせるよう、グループホームへの支援を充実していくとの答弁がありました。
 そこで改めて、特別な支援が必要な重度の障害者を受け入れているグループホームにおいてもサービスの質が確保できるよう、しっかりとした対策をとっていただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○松山障害者施策推進部長 重度の障害者を受け入れているグループホームでは、入浴や排せつなどの身体介助の際に複数の職員がかかわること、意思決定支援のために時間を要することなどから、国で定める基準以上の人員を配置してサービスの質を確保している事業所がございます。
 このため、都は、身体上または行動特性上、特別な支援を必要とする利用者を受け入れるために手厚い職員配置を行うグループホームに対する支援を検討しております。

○伊藤(こ)委員 私からは最後に、軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIについて伺います。
 都議会公明党は、ことしの第一回定例会の一般質問におきまして、MTBIを正しく認識し、MTBIを未然に防止するためには、広く医療機関や都民への啓発をすることが重要だと訴えました。
 MTBIを発症した方の中には、高次脳機能障害の症状を呈する方もおり、高次脳機能障害の方々を支援する医療関係者などに対して、MTBIに関する最新の知見について伝えることが重要であります。
 そこで、MTBIに関する現在の都の取り組み状況を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIは、急性脳外傷の一つでございまして、大多数の方は回復するものの、一部に高次脳機能障害の症状を呈する方もいらっしゃり、高次脳機能障害の原因疾患の一つであることについて、医師などの医療関係者などに周知していくことが重要でございます。
 そこで、都は、ことし九月、高次脳機能障害のリハビリの中核を担う医療機関が集まる会議におきまして、国の高次脳機能障害の認定に関する検討会の委員である医師から、MTBIの臨床診断のための基準等について説明を行いました。
 また、来月には、区市町村の高次脳機能障害の支援関係者が集まる会議におきまして、自治体におけるMTBIについての啓発策を紹介する予定でございます。
 今後も、こうした機会を捉え、周知を図ってまいります。

○伊藤(こ)委員 引き続き医療関係者などに対する周知を行っていただきたいと思います。
 また、MTBI未然防止のためには何よりも徹底した啓発が重要であることから、都民に身近な基礎自治体では、独自に啓発用のパンフレットを発行しているところもあるわけであります。
 このパンフレットを作成している自治体に対し、都は、ことしの三月の第一回定例会一般質問において、区市町村を対象とした説明会等で紹介するとともに、普及啓発の取り組みを包括補助で支援していくと局長から答弁をいただいております。
 今後、都内全域にわたって基礎自治体がMTBIの普及啓発に取り組めるように、都が具体的に包括補助で支援していただくよう強く要望いたしまして、質問を終わります。

○栗林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時二十分開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤田委員 私からは、児童虐待に関係した都の事業について質問いたします。
 初めに、一時保護について伺います。
 近年、一時保護需要は急増し、都は、一時保護所の定員の拡大を図ってきました。さらに平均保護日数も増加しており、保護所が定員以上に受け入れざるを得ない事態を生んでいます。
 複雑な育成環境や入所の背景を持つ児童が増加している状況の上に、定員超過が続く状況は、子供にとっても職員にとっても改善が必要な課題であると感じています。
 また、虐待を受ける児童の中には発達障害や先天性異常などの障害児も増加している傾向があり、施設での一時保護においても専門的なケアが必要な児童がふえていると東社協の提言にも記載されています。
 虐待を受けたり非行児童であったり、保護される児童の背景はさまざまですが、環境が大きく変わる一時保護所内では、子供たちが安全に過ごせ、安心できる場所であることが必要です。
 東京都は、一時保護所の外部評価を一昨年度から始め、結果を公表しています。
 私は、外部評価が万能だとは思ってはいませんが、公表されている評価結果には参考になる部分があると思っています。例えば、一時保護所の外部評価結果には、定員超過の状況改善の必要性が各所で述べられています。
 東京都として、一時保護所の現状をどのように受けとめていますか。

○谷田少子社会対策部長 都はこれまで、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を、十年前である平成二十年度の百四十四名から現在の二百十三名にまで拡大してまいりました。
 また、保護すべき児童が一時的に集中した際には、緊急対応用の居室での保護や児童養護施設等への一時保護委託などにより対応しているところでございます。
 急増する一時保護需要に対応するため、平成三十年度の足立児童相談所の改築や平成三十一年度の八王子児童相談所の一部移転に合わせまして、定員を二十四名拡大することとしております。

○藤田委員 一時的に集中した際は、緊急対応の居室での保護などということでしたが、ある一時保護所の外部評価には、廊下に簡易ベッドを置き就寝せざるを得ない、食堂に入り切れない児童がいるなどと記載されていました。
 昨年度、児童相談センター、江東、足立、八王子の一時保護所では、一年間の平均入所率はどのようになっていますか。

○谷田少子社会対策部長 平成二十九年度におけます一時保護所の平均入所率でございますが、児童相談センターが一〇六%、江東児童相談所が一一一%、足立児童相談所が一一九%、八王子児童相談所が一二一%となっております。

○藤田委員 一時的な集中というより、定員超過は常態化に近い状態だということです。
 一時保護は、子供の命を守る立場から、必要と判断したときには必ず受け入れなければならず、定員よりも保護することを優先せざるを得ません。
 先ほどの答弁では、足立児童相談所と八王子児童相談所の改築や移転に伴い、児童の定員は二十四名ふやすということではありましたが、年間平均入所率が一〇〇%を超えている保護所はほかにもあり、二十四名増員するということだけではゆとりが生まれる状況にはなりません。一時保護所はその性格上、子供の人数は年間を通じて増減しますから、常に定員内になるようにするには、平均入所率は一〇〇%を相当程度下回る必要があります。
 また、これまでの経緯から、学齢の子供と幼児の子供の枠を設けていた保護所でも、保護する年齢の偏りから幼児の部分を学齢に変更してきたこともあり、子供一人当たりの広さは、施設をつくったときよりも狭くなっている可能性があります。
 先ほど答弁されましたように、ここ近年は定員増加のために一定の努力はされてきましたし、職員も基本的に日々子供と向き合って努力されているとは思います。しかし、さらなる環境改善を進めなければ、職員の努力だけでは限界があるのが現状だと思います。
 現在七つある一時保護所の数と定員をふやす必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 都はこれまで、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を、十年前である平成二十年度の百四十四名から現在の二百十三名にまで拡大してきたところでございます。
 今年度、足立児童相談所の定員を八名、平成三十一年度に八王子児童相談所の定員を十六名拡大する予定でございまして、これにより、定員は二百三十七名となるところでございます。

○藤田委員 被虐待児童も非行による一時保護児童も同じ施設で対応せざるを得ないことも課題です。今後計画されている保護所の改築や移転での定員増だけでなく、抜本的な施設環境の改善のために、一時保護所の増設を行うよう要望いたします。
 次に、職員体制についてです。
 学校に行けない、自由に散歩に出られないなど多くの制約がある保護所において、子供の権利を守り、生活環境をよりよくするために、職員の方々が日夜奮闘されています。職員の皆さんのご努力には心から敬意を表したいと思います。
 外部評価報告書では、子供の権利擁護の観点からも生活のルールの見直しに取り組んでいるところがあったり、子供自身が食事をつくるなどの食育を行っていたり、健康教育を重視していたりと、子供たちの生活を豊かにするために、職員がさまざまな工夫に取り組んでいらっしゃることが書かれています。
 こうした取り組みはさらに発展させていってほしいと思いますが、そのためには職員体制の充実が不可欠です。また、一時保護所も児童相談所同様、精神労働の激しい職場であると思いますので、職員の心と身体を守る勤務環境が大切だと感じています。
 外部評価では、職員は、児童の把握や求めに応じたり不安定な様子に個別対応しているが、もっとじっくり話を聞く時間が必要だと思っていると記載されています。施設の構造上の特徴、定員等の規模を考慮し、夜勤帯の安全確保の強化が求められるなど、職員の体制に関するコメントも多くあります。
 さらに、職員体制により、多様な心的課題を持つ児童に対する心理支援が必ずしも十分とはいえず、早急に改善する必要があるとか、入所児童の多くは心理面での支援の必要性が高く、個別的かかわりに期待を持っているが、非常勤の心理職二名では個別支援に限界があり、十分なかかわりを持つことが難しい場合があるなどとして、体制強化の必要性が述べられていました。
 一時保護所の児童の増加や丁寧な支援を必要とする子供への支援のため、一時保護所の福祉職、心理職の増員が必要だと思いますが、いかがですか。

○谷田少子社会対策部長 平成三十年四月一日現在、一時保護所の常勤の福祉職の定数は百四十一名、また、非常勤の心理職員の設定数は十四名となっております。
 一時保護所の職員につきましては、一時保護所の定員拡大等に合わせて増員を図ってまいります。

○藤田委員 職員定員は、一時保護所の児童の定員に対する数になっています。たとえ職員の欠員がない状態であっても、入所率が常に一〇〇%を超えている状況では、子供一人一人のニーズに合わせたかかわりや支援には限界があります。
 入所している児童がふえた場合には職員数もふやして対応することが、保護の必要な子供にとっても安心につながりますし、やはり抜本的には、入所児童が定員を超えないように一時保護所をふやすことが求められているのだと思います。
 一時保護所ではケアが必要な場面も多く、また、精神的にも不安定な児童は問題が身体症状としてあらわれることがあります。こうした面でのサポートには看護師が役割を発揮でき、充実が求められていると思います。
 外部評価でも、夜間及び土日祝日に看護師が不在となる体制は医療面での厚いケアが十分ではないと感じるとか、特に、夜間や土日祝日などに医療職が不在となることは大きな課題と指摘されています。
 看護職員が土日も配置されるためには、各一時保護所に看護師の増員を行う必要があると思われますが、いかがですか。

○谷田少子社会対策部長 一時保護所の看護師につきましては、児童相談センターに三名、それ以外の六カ所の一時保護所に各一名を配置しております。
 看護師は、一時保護児童の入所時や入所後の健康状態の把握、けがや疾病への対応、服薬管理など、さまざまな業務を担っております。土日の緊急時には、適宜電話等で看護師と連絡をとりながら、入所児童への対応を行っているところでございます。

○藤田委員 看護師でなければ判断ができないという事態が生じた場合には、休みの看護師に電話などで連絡をとっているということです。
 しかし、電話相談するためには、看護師の判断が必要かどうかという判断が医療の知識のない職員に求められているということになります。さまざまなケアが必要な子供たちの対応には土日もありません。土日や、可能であれば夜間にも看護師の配置ができる体制整備を求めます。
 幾つかの保護所で、児童が一人になる時間や空間がないことや、児童のプライバシーを確保できる環境の改善の必要性を指摘されています。
 一人当たりのスペースの確保やプライバシーの確保など、子供の生活環境の改善を進めるべきと思いますが、いかがですか。

○谷田少子社会対策部長 都の一時保護所におきましては、児童の権利を尊重し擁護することを基本方針に、必要に応じて個室を活用するなど個々の児童の状況に配慮した支援を行っております。
 今後とも、一人一人の子供の状況に応じて適切な支援が行えるよう、一時保護所の改築等に合わせて個室の整備を進めてまいります。

○藤田委員 個室を整備することは重要です。一方で、一人になれる環境を確保しつつ必要な見守りも行うには、十分な職員数の確保も必要ではないでしょうか。全ての子供には個別のニーズがあり、それを少しでもかなえるためにも、職員の増員を改めて求めまして、次の質問に移ります。
 乳児院についてです。
 社会的養護の必要な乳幼児でも、障害児、医療的ケア児が増加し、家庭的養護を推進している一方、専門的なケアや支援が必要な児童の措置先はおのずと限られているのが現状です。
 社会的養護が必要な児童において、いかなる障害があっても、ひとしく必要なケアを受ける権利を有すると考えますが、いかがですか。
 また、社会的養護の必要な医療的ケア児や発達障害児に対して、東京都はどのように受け入れ先の整備を行おうとされているのですか。

○谷田少子社会対策部長 社会的養護の必要な医療的ケア児についてでございますけれども、要保護児童の措置に当たりましては、児童相談所が、児童の年齢、障害の程度、医療対応の状況や施設の受け入れ体制などを総合的に勘案して決定しております。
 都は、乳児院における介護度が五度以上の日常介助や、観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児の受け入れにつきましては、サービス推進費等により支援しまして、常時医療及び看護が必要な病虚弱児等の受け入れについては、乳児院の医療体制整備事業により支援をしております。
 児童養護施設における治療的、専門的ケアが必要な児童の受け入れにつきましては、専門機能強化型児童養護施設制度により支援をしております。
 その他、医療機関への一時保護委託や医療型障害児入所施設への入所などで対応しているところでございます。

○藤田委員 東社協の地域福祉推進委員会が毎年発行している地域福祉推進に関する提言二〇一八によれば、都内十カ所ある乳児院は毎年冬にほぼ満床状態になり、退所して即新規入所となったり、夜間の緊急入所など緊張を強いられる状態が続いたりしているとしています。中でも、病院で治療を継続している子供が、自宅療養が可能になったとして乳児院に移動するケースもふえ、さらに医療体制が必要になるとしています。
 これらは、医療技術の発達と医療機器の小型化などで、自宅で管理できるようになったことが要因なのですが、受け入れた施設の側も高度な技術と管理が求められるようになります。
 医療的ケアが必要な児童の対応は、状態に応じて通院も行わなければならなくなるため、現状では、病院を併設している乳児院でしか受けることができないと乳児部会も報告しています。
 先ほど、木下ふみこ委員の質疑では、都内の乳児院に入所している乳幼児は四百二十二人であるという答弁がありました。このうち、国が都内の乳児院に行っている病虚弱児加算の人数から見ると、約七十人の子供が医療的ケアや何らかの障害を有しており、専門的なケアや支援が必要な子供たちであるということがわかります。
 二〇〇二年、東京都は、都立母子保健院とその病院に併設されていた乳児院を廃止しました。そのため、社会的養護の必要な医療的ケア児の行き先が、都内二つの乳児院、病院に併設されている乳児院になってしまい、現在では、小児科の入院病棟がある病院に併設されている乳児院は日赤医療センター附属乳児院のみとなりました。
 当時よりさらに医療技術が進歩し、昔なら亡くなってしまうようなトリソミーの子供や、不安定な病状の子供であっても退院が可能となったため、社会的養護が必要となると、行き先は日赤乳児院に集中するという事態を生んでいます。
 医療的ケアが多い乳児院にとって、国の措置費で確保できる看護師等に加えて、看護師を四人上乗せできる人件費を補助する、東京都の乳児院の医療体制整備事業はとても重要な事業であると感じていますが、事業を開始した二〇一二年よりもさらに現状は医療的ケア児が多くなり、さらなる対応が必要であると感じ、三月には、委員会質問と文書質問を行いました。
 日赤乳児院に訪問したことし二月、常時医療や看護が必要な子供は十二人入所しており、夜間の医療的ケアの多さから、当直看護師を一名から二名にふやして対応していました。
 この間、日赤医療センター附属乳児院において、医療的ケアが必要な乳幼児の受け入れ先の確保をどのように行ってきましたか。
 また、日赤乳児院では現在、医療的ケアが必要な乳幼児は何人になっているか把握されていますか。

○谷田少子社会対策部長 医療的ケアが必要で就学年齢を迎える児童につきましては、医療型障害児入所施設などで受け入れております。
 都は、独自に看護師を増配置し、常時医療及び看護が必要な病虚弱児等の受け入れ体制を整備することを目的とした乳児院の医療体制整備事業を実施しており、一施設当たり四人の受け入れ枠を設けております。
 現在、日本赤十字社医療センター附属乳児院におきまして、この事業の対象となっている児童の人数は四人となっているところでございます。

○藤田委員 都は、日赤乳児院の状況を把握しているのではなく、あくまでも事業を利用するための申請書に書かれている対象児童の数でしか実態を把握していないということになります。
 対象児童の人数が四名というのも、都が上限を決めているからであり、この人数をもって実態把握ができているとは到底いえないのではないでしょうか、見解をお答えください。

○谷田少子社会対策部長 乳児院の実態等につきましては、日ごろより、施設に直接赴くなどによりまして、施設長を初めとした職員から、施設の理念ですとか入所児童の特徴、養育の課題などを聞いているところでございます。
 また、先ほどお話もございましたけれども、東京都社会福祉協議会乳児部会との意見交換などもあわせて行っておりまして、現場の実態等も把握するように努めているところでございます。

○藤田委員 であるならば、日赤乳児院に医療的ケアが必要なお子さんや重度の障害をお持ちのお子さんが集中しているということは把握されているのではないでしょうか。
 現在は、看護師が確保できないために、日赤乳児院で働いている看護師が負担を負ったり、また、財政的にも厳しい中で人員の配置を行っています。
 日赤乳児院では、現在でも事業の枠である児童四名を大幅に超えて常時医療や看護が必要な子供たちを受け入れているため、いまだ看護師の当直は二名体制で行っていました。夜勤専門看護師に多くの夜勤を行ってもらっていてもなお、常勤看護師の一カ月の当直回数は五回から六回になっていました。
 都は、この事業のほかに病虚弱児等児童加算も行っており、介護度五度以上の児童に対して加算をしています。
 要領などによれば、健常である乳幼児と比べ、食事、着がえ、入浴の介助にかかる時間がどのくらい長いか、また、療養指導、訓練、処置、医療的観察にかかる時間や回数がどの程度かによって介護度が設定されています。
 例えば、乳幼児の食事や着がえ、入浴の介助が健常児の二倍から二・五倍かかる場合には二点、脳性麻痺や言語障害のある児童に訓練を二十分から三十分未満行ったら二点、体中に薬を塗る処置など看護師による処置が十分から二十分かかれば一点、チアノーゼや窒息などの対応のための観察が一日に十五回から二十回未満であると四点といったぐあいに、今の例示であれば合計九点となり、介護度は五度だということになります。
 日赤乳児院で都のサービス推進費の病虚弱児等加算を受けている子供の介護度と人数を伺います。

○谷田少子社会対策部長 平成二十九年度における日本赤十字医療センター附属乳児院のサービス推進費の病虚弱児等児童加算の対象児童は、一度から最重度の十一度までの介護度のうち、五度が二十一人、六度が五人となっております。

○藤田委員 先ほども例示をしましたが、五度というのは、中間ではあってもかなり多くのケアや時間を要して、子供の養育に当たっています。
 都の病虚弱児等加算と医療体制整備事業は同じ児童を対象とすることができないので、日赤乳児院では最低でも三十人、医療的ケア児と介護度が高い病虚弱児が入所しているということになります。
 日赤乳児院の定員が七十名なので、約半数は、何度も観察したり、処置などに時間を要したり、医療的ケアが必要な児童であったりしているのです。そのため、看護師の体制確保は困難になっています。
 日赤乳児院では、入所している医療的ケアが必要な乳幼児の対応に、現状の国の措置や都のサービス推進費、医療体制整備事業では看護体制が間に合わないという実態になっていることを都はどのように認識していますか。

○谷田少子社会対策部長 都は、介護度が四度以上に該当する病虚弱児等の児童を加算の対象といたします国の措置費に加えまして、介護度が五度以上の日常介助や観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児について、サービス推進費の加算対象とし、都内全ての乳児院を支援しております。
 また、常時医療及び看護が必要な病虚弱児等を受け入れる乳児院の医療体制整備事業によりまして、日本赤十字社医療センター附属乳児院及び東京都済生会中央病院附属乳児院を支援しております。
 国に対しましては、医療的ケアを必要とする乳児への対応を強化するため、乳児院の看護職員の配置の充実について提案要求をしているところでございます。

○藤田委員 都は、サービス推進費加算や医療体制整備事業を行っているけれども、やはりそれでは十分ではないから、国へ乳児院の看護師の配置の充実について提案要求しているのだと思います。
 とりわけ、医療ケアの重度な子供たちが集中しているのは日赤乳児院です。三交代換算で月に八回の夜勤を守りながら二人で当直するために必要な看護師は、最低でも十六名であり、看護師長を含めると十七名必要になっています。夜勤免除の看護師がいれば、さらに必要になります。
 国の措置費と都の加算では足りていないんです。そこは全て乳児院の事業や職員の負担により、子供たちの命を支えているのです。
 都が乳児院を廃止したことで、現在の医療的ケア児の一極集中を招き、看護師不足へつながる事態を生んでいます。看護師や保育士たちは、子供たちを安全に、そしてよりよい環境のもとで育成しようと必死で対応しています。
 都立乳児院を廃止した影響がどのように出ているのか、医療的ケアが必要な子供が何人乳児院に預けられているのかを正確に把握し、必要な支援を都として実施することを強く要望いたします。
 あわせて、都立小児総合医療センターに人工呼吸器装着などの医療的ケア児でも受け入れることができる乳児院を併設すべきと考えますが、いかがですか。

○谷田少子社会対策部長 平成二十九年度におけます都内乳児院の各月初日の平均入所率は、約八〇%となっているところでございます。
 都は、介護度が四度以上に該当する病虚弱児等の児童を加算の対象とする国の措置費に加え、介護度が五度以上の日常介助や観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児について、サービス推進費の加算対象とし、都内全ての乳児院を支援しております。
 また、常時医療等が必要な病虚弱児等を受け入れる乳児院の医療体制整備事業により、日本赤十字社医療センター附属乳児院及び東京都済生会中央病院附属乳児院を支援しており、引き続き、こうした取り組みによりまして、常時医療や看護が必要な病虚弱児等及びその他の病虚弱児を受け入れてまいります。

○藤田委員 入所率が平均八〇%ということもありましたが、それは、乳児院にはあきがあるし、加算をして体制整備を行っているからきちんとやっているというふうにも聞こえますが、やはり医療的ケアが必要な子供がどこにどれだけ集まっているのかの実態把握を行う必要があると思います。改めて実態把握を進めることを強く求めて、次の質問に移ります。
 答弁からも何回か乳児院以外で社会的養護の必要な医療的ケア児が受け入れられるところとされてきた障害児入所施設についてです。
 日赤乳児院では、学齢期になっても退所先が見つからず、長い子で九歳まで乳児院に入所していたということがありました。こうした子供の多くが、医療型障害児入所施設、中でも重症心身障害児施設が行き先となり得ますが、現在はどこの施設もあきがありません。
 都内にある重症心身障害児者入所施設の待機者の状況とともに、重症心身障害児者入所施設の整備に対する都の見解を伺います。

○松山障害者施策推進部長 都内の重症心身障害児者入所施設の待機者数は、平成三十年三月末現在で五百二十四人でございます。
 都は、入所待機者を含め、重症心身障害児者が地域で安心して暮らせるよう、日中活動の場である通所施設の整備を促進するとともに、一時的に家庭での療育が困難になった場合に、施設等に短期間入所できる病床を一定数確保するなど、在宅支援サービスの充実に取り組んでおります。
 重症心身障害児者の施設入所については、家族の介護力や医療的ケアの状況に配慮しながら、真に必要な方が入所できるよう努めております。
 また、入所施設の整備について、社会福祉法人等から支援の相談があった場合には、補助制度について説明する等、適切に対応しております。

○藤田委員 重症心身障害児者施設は、病状が悪化した場合でも、退院したら戻る場所として想定しているので、本来はみとることも想定して入所する場所であると思っています。
 都内全体の重症心身障害児者施設は、およそ千百程度病床がありますが、待機者が五百二十四人ということは、本当に狭きものになっていると感じています。
 障害者のご家族は高齢化し、今は何とか介護できていても、ご自身の健康を後回しにして介護に当たっていたり、倒れたらどうしよう、親亡き後が心配という声も多く聞かれています。その上、乳幼児や若い世代でも障害児や医療的ケア児が増加している実態がありますので、重症心身障害児者施設の増設を強く求めておきます。
 一方、医療的ケアの必要な子供の中には、歩けたり知的障害のみだったりという児童も存在します。そのような子供たちの受け入れ先については、どのように整備を行うつもりですか。

○松山障害者施策推進部長 医療的ケアが必要な障害児は、医療的ケアの種類や障害の程度などが一人一人さまざまであり、多様なニーズが存在いたします。
 医療的ケア児が、個々のニーズに合ったサービスを利用しながら地域で生活できるようにするためには、医療、保健、福祉の連携を強化し、在宅生活を支援するサービスの充実を図っていく必要がございます。
 平成三十年度の国の報酬改定で、障害児通所支援、福祉型障害児入所支援、短期入所において、医療的ケア児を受け入れるために看護職員を加配した場合の加算や区分が新たに設定されるなど、医療的ケア児に対する制度の充実が図られているところでございます。
 都においても、医療的ケア児の支援にかかわる関係機関の連絡会議を設置するほか、地域において支援を担う人材の育成研修を実施しており、今後とも、医療的ケア児の支援体制の整備を進めてまいります。

○藤田委員 ぜひとも充実を求めておきます。
 三月の厚生委員会質疑では、都内のNICUやGCUに二年を超えて入院している乳幼児は六名いると答弁しています。
 また、東京都周産期母子医療センター等NICU入院児実態調査では、一年を超えて退院できない主な原因は体制問題でした。
 これまで東京都は、NICU等入院児の在宅移行支援事業を行ってきました。
 今後、さらに医療的ケア児などの居宅介護を行う家族への支援が求められていますが、都の取り組みを伺います。

○松山障害者施策推進部長 都は、病院を退院した医療的ケア児等が在宅で適切な支援を受けながら生活できるよう、看護師が自宅を訪問して、家族に対し看護技術指導や相談、助言等を行う事業を実施しております。
 また、本人の健康の保持や家族の休養を図ることを目的に、看護師が自宅を訪問し、家族にかわってケアを行う在宅レスパイト事業を実施する区市町村を包括補助で支援しております。
 さらに、今年度は、医療的ケア児に対応できる訪問看護ステーションをふやすため、支援のノウハウを有する訪問看護ステーションが他の事業所からの運営相談に応じたり、同行訪問など実践的な研修等を行う医療的ケア児訪問看護推進モデル事業を実施いたします。

○藤田委員 さまざまな事業の計画があることに期待したいと思います。
 レスパイト事業も、区市町村包括補助として実施ということですが、実際は二十三区中二十一区が実施し、十九区が医療的ケア児も対象にしているのに対し、多摩地域では二十六市中六市の実施で、五市が医療的ケア児対象、町村での実施はありません。
 このように二十三区がほとんどであり、多摩地域での利用が少ない実態があるのですが、その要因は何ですか。

○松山障害者施策推進部長 ただいまお話にありましたように、在宅レスパイト事業を実施している区市町村は、平成三十年十月一日現在、二十一区六市でございます。
 多摩の市町村からは、在宅レスパイト事業を実施していない理由として、重症心身障害児者や医療的ケア児に対応可能な訪問看護ステーションが少ないといった課題が挙げられております。
 都は、医療的ケア児等に対応できる訪問看護ステーションを拡大するため、先ほど申し上げました医療的ケア児訪問看護推進モデル事業を今年度から実施いたします。
 また、在宅レスパイト事業について、これまでも市の障害福祉主管課長会などの場で説明しており、今後も事業の実施について働きかけてまいります。

○藤田委員 対応可能な訪問看護ステーションの不足が課題ということですが、これは単に対応が可能になればいいという状況ではなく、やはりそこには専門職である看護師がふえることが重要です。ステーションをふやしていこうとされていることは大事だと思いますが、市町村への働きかけだけでは、訪問看護ステーションや看護師はふえていきません。
 新たにモデル事業も始めたということですので、都としてさらに実効性を持たせるためにも、看護師の養成や訪問看護ステーションへの支援を強めることを要望いたします。
 次に、児童相談所の区設置に向けた連携についてです。
 二〇一六年の児童福祉法改正によって、特別区においても児童相談所を設置できる規定が定められました。また、近年の児童虐待相談対応件数の増加に伴い、設置への動きが進み、再来年度には三つの特別区において区立児童相談所の設置を目指しています。
 これまでも、児童相談の業務は子供家庭支援センターにて行っていたものですが、児童福祉司による一時保護や二十八条申し立てに基づく施設入所など、強い介入を行う業務は経験がなく、この間も、都の児童相談所への派遣などによって研修と人材育成が図られてきました。
 区立児童相談所の設置時に、経験が豊富な専門職の都からの派遣が求められていますが、いかがですか。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所設置市となるためには、設置を希望する自治体が児童相談業務を円滑に遂行するための人的体制を整備する必要がございます。
 都は現在、世田谷区、荒川区、江戸川区と個別に児童相談所設置計画案の確認作業を実施しており、この中で、児童福祉司等の専門職の確保状況も確認しております。
 また、都は今年度から、特別区から児童福祉司、スーパーバイザー候補等の派遣職員を受け入れており、引き続き、子供の安全や安心を確保する観点から、特別区の取り組みを支援してまいります。

○藤田委員 もちろん区自身による専門職の確保が必要ですが、区として行ったことのない業務を初め、加えて難しい判断が求められることが多くなるため、開設当初は都からの派遣が不可欠だと思います。
 三区同時期の開設は国内でも初めてのことであり、専門職の体制に課題がある中、都としても派遣を行うのは大変だとは思いますが、子供を守るためには行う必要があると思います。引き続き、取り組みの支援を行う中で、派遣についても前向きな検討を求めます。
 また、一時保護所や社会的養護についても区が確保することが求められるようになりますが、さまざまな理由で広域利用が必要になるケースもあり、広域的な調整が肝心です。
 一時保護所や社会的養護の広域的な調整を都児相と区児相が連携して進めるべきと考えますが、いかがですか。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所では、虐待をした保護者からの児童の連れ戻し防止や非行児童の入所施設の分散、感染症の拡大防止等を図るため、一時保護所や児童養護施設等の広域での入所調整を行っております。
 特別区が児童相談所を設置した場合、こうした調整を区単独で対応することが困難であり、今年度から、都区間で広域調整に係る検討会を立ち上げ、一時保護所や児童養護施設等の入所調整方法や、里親への委託方法等につきまして協議をしているところでございます。

○藤田委員 協議しているということですので、ぜひ必要な連携を図っていただきますよう要望いたします。
 また、都児相と区児相の情報共有を進めるために、情報のネットワーク化を進めるべきと考えますが、いかがですか。

○谷田少子社会対策部長 転居ケースなど相談事案に関する自治体間の情報共有は、都区のみでなく、全国の自治体間で必要でございます。
 国が本年七月二十日に示しました児童虐待防止のための総合対策では、児童相談所間、自治体間の情報共有の徹底を図るため、ICTを活用した情報共有システムのあり方等について研究を進めるとしており、都はその動向を注視してまいります。

○藤田委員 システム的には多くの課題があることも事実ですが、ネットワーク化とともに自治体ごとの風通しのよい環境づくりを頑張っていただき、力を合わせて子供を児童虐待から守る体制整備を進めていければと思います。
 最後に、子供への児童虐待防止に関する条例案(仮称)の項目検討についてです。
 条例が実効性を持つためには、多くの方の意見を聞き、幅広い都民参加でつくっていく必要があると考えます。条例制定に向けて、二回パブリックコメントを行うことは大変重要です。
 幅広く意見を聞き、都民参加で進める意義についての都の見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 児童虐待防止対策を進めていくためには、都民、関係機関などの理解と協力が不可欠であり、条例案の検討に当たりましては、その意見を十分に聞くことが必要でございます。
 そのため、本年九月に条例の基本的な考え方についてパブリックコメントを実施し、都民の意見を伺いました。その結果や児童福祉審議会の専門家の意見も踏まえ、今後、条例骨子案を作成し、改めてパブリックコメントを実施した上で条例案をまとめていく予定でございます。
 こうしたプロセスを通じて、都民の児童虐待防止への理解が一層深まるものと考えております。

○藤田委員 お答えのとおりで、制定のプロセス自体が重要だと思います。私たちとしても、さまざまな意見を聞きながら考えていきたいと思っています。
 児童虐待は、さまざまな背景やリスク要因が含まれており、育成環境、経済状況、家族を取り巻く社会、地域の状況、育児支援など対策にも広い連携が必要になります。また、親に向けられる責任が負担となって、支援を求めづらくならないための理解促進が大変重要であると考えます。
 その点で気になるのは、保護者の責務として、子供の養育に係る一義的責任という項目の例示があるのですが、保護者に責任があるというのは当然のことで、大切なのは、本来の責任を全うしてもらうために、行政のバックアップや民間も含めた支援が必要であるということだと思います。
 一義的責任と条例に規定することにより、結果的に保護者の責任が強調され、行政の責任の位置づけが弱まったり、子育てに悩む保護者の孤立につながったりするおそれがあるのではないかと思います。
 行政の責任が明確になる必要があるのですが、都の見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 保護者が子供の養育責任を有することとあわせまして、行政として、妊娠、出産から子育てに至るまで切れ目のない相談や支援を行うことは重要であり、児童福祉審議会におきましても、そうした意見をいただいたところでございます。
 本年九月に実施いたしましたパブリックコメントにおいても、虐待の未然防止の観点から、社会全体で子供と家庭を見守ることが重要であるとの意見を多数いただいております。
 こうしたことも踏まえまして、今後、条例骨子案を作成し、改めてパブリックコメントを実施した上で条例案をまとめていく予定でございます。

○藤田委員 行政の取り組みは重要だということで、そうした立場で検討を進めていただきたいと思います。
 なお、子どもの権利条約の十八条の一項には保護者の責任について記載があり、政府としては、これを第一義的責任として訳していて、それがもとになってこの文章にも反映されているのだと思いますが、この条文が、まず、いっていることも、保護者が責任を果たすために締約国の最善の努力が必要だということです。訳も第一義的でよいのかという点は疑問に思っています。
 いずれにせよ、行政の役割が重要だということも改めて述べ、次の質問に移ります。
 条例をつくるに当たって、子どもの権利条約との関係はどのように考えていますか。

○谷田少子社会対策部長 虐待は子供への重大な権利侵害であるため、本年九月に公表いたしました条例の基本的な考え方において、社会全体で虐待から子供を守り、健やかに育むことを目的としてお示ししたものでございます。これは、児童の権利に関する条約の精神にも合致するものでございます。

○藤田委員 のっとったものということですが、条例検討の部会の第二回で条約について議論がありましたが、明記することで、子供の権利の保障がより明確になるのではないかと思います。
 子供が権利の主体であることや、子供の最善の利益を最優先することは重要な考え方です。
 これらを条例に規定する意義について、都の見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 全ての子供は適切に養育され、その心身の健やかな成長、発達が図られるなどの権利を有すること、また、子供の最善の利益が優先して考慮されること、これらは児童の福祉を保障するために重要と考えております。
 こうした考え方に基づき、今後、条例骨子案を作成し、改めてパブリックコメントを実施した上で条例案をまとめる予定でございます。

○藤田委員 この点は重要だと思います。同時に、年齢等に応じた意見の尊重という記述もありますが、子供の意見表明権を明記していただくことも要望いたします。
 子供が守られるべき存在であることを認識し、みずからも安全確保ができるようにすることや、予期せぬ妊娠に至らないための情報提供について、教育も位置づけるべきと考えますが、いかがですか。

○谷田少子社会対策部長 条例案の検討に当たりましては、専門家からの意見を聞くため、本年七月から児童福祉審議会の審議を開始いたしました。
 その審議におきまして、家庭での困り事をためらわずに相談してよいことや、妊娠、出産についての相談先などについて子供自身が知ることが必要であり、学校や学童クラブなどさまざまな子供の活動場所において、情報提供や啓発を行うことが重要であるとの意見をいただいております。
 こうした意見も踏まえまして、今後、条例骨子案を作成し、改めてパブリックコメントを実施した上で条例案をまとめる予定でございます。

○藤田委員 予期せぬ妊娠は虐待のリスク要因となり、生後ゼロ日での虐待死が多いことからも、この点は大事な論点であり、引き続き議論していきたいと思います。
 児童虐待は子供の命にかかわると同時に、発達にも大きな影響が与えられることが明らかになっています。
 条例制定に当たっては、ほかにも多くの論点があります。答弁でも、条例をつくるプロセスそのもので児童虐待の理解を深めるとしており、とても重要です。
 条例をよりよいものとするために、パブリックコメントを二回行うなどの都民参加を重視すると同時に、議会の中でも丁寧に議論をしていただきたいと述べ、質問を終わります。

○岡本委員 厚生委員会、二年目の岡本です。引き続きよろしくお願いいたします。
 昨年一年間にわたって厚生委員会を経験して、区市町村に対するさまざまな補助事業があるのだということに接してまいりました。補助の制度を理解しておくことは、さまざまな施策を理解する上で重要だと思いましたので、この事務事業質疑でまず確認しておきたいと思います。
 都による区市町村への補助事業は、一般的には、都として特に政策誘導すべき個別事業の内容を補助条件として詳細に定めて行われています。こうした個別補助事業のほかに、福祉保健局では、所管する五つの分野に関して、各分野ごとに包括的に支援する区市町村包括補助事業を実施しています。
 改めて、包括補助制度について伺います。

○古賀事業推進担当部長 区市町村包括補助事業は、区市町村が地域の実情に応じ、創意工夫を凝らして主体的に実施する福祉、保健、医療サービスの向上に資する取り組みを支援する補助制度でございます。
 包括補助は、一つの補助事業の中に多様なメニューを用意いたしまして、区市町村は地域の実情に応じたメニューを選択するほか、独自の取り組みを提案することも可能でございます。
 また、補助事業では申請手続が一本化されるため、都のみならず区市町村の事務の効率化も図られております。

○岡本委員 ありがとうございました。個別補助では、補助の要件を都の方で比較的細かく決めているのに対して、包括補助では、メニューの中で、事業内容について区市町村の裁量や自由度がある程度あるということで理解をいたしました。
 また、福祉保健局の予算書を見る際に、個別補助事業と包括補助事業とでは、記載場所や内容の書かれ方が異なるということも留意しておく必要があると思いました。
 さて、以上を踏まえまして具体的な質疑に入りたいと思います。
 まず、受動喫煙防止対策についてお伺いをいたします。
 今年度から開始した受動喫煙に関する区市町村への補助金交付の三つの制度についてお伺いをいたします。
 一つ目として、普及啓発に関する補助金についてお伺いいたします。
 補助金の対象となる事業の概要、補助上限額、補助率、制度の開始日、施行日と適用日についてお伺いいたします。

○成田保健政策部長 都では、受動喫煙に対する都民の理解促進や、受動喫煙を生じさせることのない環境を整備するため、東京都受動喫煙防止対策促進事業を創設いたしました。
 本事業では、区市町村が行うポスター、パンフレットの作成及び配布等を通じた東京都受動喫煙防止条例や、東京都子どもを受動喫煙から守る条例などの新制度の普及啓発に関する事業、相談窓口の設置やアドバイザー派遣などの施設管理者に対する事業、その他新制度の円滑な施行に資する事業に対して、補助上限額各一千万円、補助率十分の十で支援しております。
 本事業は、平成三十年九月二十七日から施行し、同年四月一日から適用をしております。

○岡本委員 我々が議員提案で制定した東京都子どもを受動喫煙から守る条例も普及啓発の対象となっているということに関しまして感謝するとともに、区市町村において、ぜひ、これら二つの条例の普及啓発を実施していただくよう期待をしたいと思います。
 次に、二つ目として、公衆喫煙所の整備に関する補助金についてお伺いいたします。
 補助金の対象となる事業の概要、補助上限額、補助率、制度の開始日、施行日と適用日についてお伺いいたします。

○成田保健政策部長 東京都受動喫煙防止対策の強化に伴う喫煙環境の整備事業では、区市町村が取り組む屋内外の公衆喫煙所の整備に対しまして、屋内の公衆喫煙所は一千万円、屋外の公衆喫煙所は、コンテナ型が一千万円、パーテーション型が六百万円を補助上限額といたしまして、補助率は十分の十でございます。
 本事業は、平成三十年九月二十七日から施行し、同年四月一日から適用しております。

○岡本委員 少しコメントをさせていただきたいと思います。
 屋内の公衆喫煙所にも補助金を出すとしている点については、いろいろと議論があると思います。たばこ規制枠組条約、FCTCの第八条ガイドラインやWHOは、屋内の喫煙所というものを推奨していません。
 また、改正健康増進法の附帯決議、衆議院の厚生労働委員会では第八号、また、参議院の厚生労働委員会では第十一号ですが、ここに附帯決議として、FCTC枠組条約が求めている喫煙室のない屋内完全禁煙実現に向け、課題の整理や周知啓発に取り組むことという附帯決議もついております。ですので、屋内の喫煙所をつくるということにはさまざまな議論があります。
 他方で、屋内の禁煙化、受動喫煙対策を進めるということで、当然、罰則をもって禁煙化を進めると屋外での喫煙がふえ、また、建物敷地や道路での、屋外での受動喫煙や、屋外でのたばこの吸い殻の散乱等も懸念されるところです。
 そうした、現在の一定程度、喫煙者が存在するということを考慮すると、一律に屋内全面禁煙を進めると、かえって混乱もあり得るというところで、屋内の喫煙所を設置することも、ある程度やむを得ないというところも議論があるというところだと思います。
 現状としては、やむを得ないのではないかというところもあるわけですけれど、この屋内の喫煙所に関しては、厚労省が具体的な完全分煙のための要件を、技術的基準を定めることになっております。ただ、これがまだ具体的な、厚労省がこの施行規則を公表しておりません。
 こうした点も考えると、煙の漏れがない屋内の喫煙所というものを設置していくに当たっては、今後の厚労省の動向を非常に注意深く見る必要があると思いますので、そうした観点も踏まえて、この補助金の制度については、具体的に煙の漏れがないというところを慎重に検討していく必要があるというふうに思います。
 それから、屋外の喫煙所、こちらに関してもさらに検討する必要があると思いますので、屋外の喫煙所についてお伺いいたします。
 屋外喫煙所の設置場所の要件はどのようなものになっているかお伺いいたします。

○成田保健政策部長 屋外の公衆喫煙所の設置場所に関する要件は、一点目が、近くを通行する者等に容易に受動喫煙を生じさせることがないよう、コンテナやパーテーション等で非喫煙区域から区画されており、専ら喫煙のために利用される場所であること、二点目が、建物の入り口や窓、人の往来が多い区域から可能な限り離して設置する等、周囲の状況に配慮すること、三点目が、法令等で規定する基準を満たしたものであること、以上でございます。

○岡本委員 健康増進法の改正、また東京都受動喫煙防止条例の制定によって、これまでの受動喫煙の概念が変わりました。これまでの受動喫煙の法的な概念には、屋外は対象になっていませんでしたけれど、この法律改正と条例の制定によって、屋外であっても受動喫煙の定義に入るというところが大きな改正のポイントだと思っております。
 そして、東京都受動喫煙防止条例の第七条二項には、特定施設等の管理権原者は、喫煙をすることができる場所を定めようとするときは、受動喫煙を生じさせることがない場所とするよう配慮しなければならないという配慮条項が入っております。ぜひ、この条文と整合するような形で、屋外であっても受動喫煙が生じることがないように、そうした配慮をした上での設置としていただきたいというふうに思います。
 これまで、屋内、屋外の喫煙所について議論、今、検討してまいりましたが、そもそも分煙のために補助金を使うことについて、これについても賛否の意見があります。
 この厚生委員会で六月二十一日に参考人を招致して、東京都医師会の尾崎会長に意見を求めたところ、参考人としては、禁煙化について補助金を出すべきだと。喫煙室の設置に補助金を出すという考え方よりも、壁紙の交換や換気扇の交換等、むしろ禁煙化する方に補助金を出すという考え方も示されております。
 実際に千葉市は、小規模の飲食店が喫煙室の撤去等に要する経費を九割助成するという新制度を実施予定としていますし、また鳥取県もそうした制度を実施しております。
 こうした点も踏まえながら、これは福祉保健局ではなく産業労働局が既に行っている制度の方において検討すべきなのかもしれませんが、産業労働局と福祉保健局と情報連携していただきながら検討していただきたいなというふうに思っております。
 次に、三つ目の制度として、区市町村が行う禁煙治療費等の支援についてお聞きしたいと思いますが、まずその前提として、喫煙率を下げるということに関して、国及び都の喫煙率の目標数値及び期限についてお伺いいたします。

○成田保健政策部長 国は、がん対策推進基本計画において、成人の喫煙率の低下を目標に定め、平成三十四年度までに成人喫煙率を、喫煙をやめたい人がやめた場合の喫煙率である一二%とすることとしております。
 都では、東京都がん対策推進計画第二次改定におきまして、成人の喫煙率の低下を目標に定め、成人喫煙率の目標値を、喫煙をやめたい人がやめた場合の喫煙率である一二%としており、計画期間は平成三十年度から三十五年度までの六年間となっております。

○岡本委員 これ、約二〇%の状態から一二%に下げるということで、喫煙率を四割下げるということで、この喫煙率を四割下げるというのは非常に大きな目標だというふうに認識しております。
 それで、現在、七つの区が禁煙外来治療費への補助を行っています。都が、七つに限らず、今後、区市町村に対して、こうした禁煙外来治療費を都も補助するということについて、補助制度の概要、上限額、補助率、制度の開始日、施行日と適用日についてお伺いいたします。

○成田保健政策部長 都では、区市町村が禁煙を希望する住民に対しまして、医療機関等での禁煙治療の費用を助成する場合に、医療保健政策区市町村包括補助事業で支援しております。
 補助対象は、禁煙治療費助成など、区市町村が助成した経費としておりまして、対象経費の上限額は、一区市町村につき二百万円、補助率は二分の一でございます。
 本事業は、平成三十年九月四日から施行し、同年四月一日から適用しております。

○岡本委員 先ほど七つの区と申し上げました。一年前の十一月二日の事務事業質疑におきまして、各区市町村の取り組みが一覧できるように、都で発信をしていただきたいということを提案申し上げたところ、都の方で、とうきょう健康ステーションのホームページ上でそれを公表していただきました。一覧にしてわかる形でしていただきました。それによりますと、中央区、品川区、北区、荒川区、練馬区、港区、豊島区が、現在、こうした補助を、禁煙外来に対する補助を行っているということです。
 そして、これ、先ほど包括補助事業というお話のとおり、区市町村によって裁量があり、自由度があるという制度だと思います。一人当たりの上限を一万円としている区が比較的多いんですが、豊島区は二万円としています。また、補助の対象となる人に関して特に限定を設けていない、住民であれば特に限定を設けていない区もありますけれど、豊島区は対象の要件を妊婦や子供と同居している場合というふうに限定しているというのも特徴がありまして、各区によって裁量がある制度だなというふうに感じております。この二万円の補助を受けると、禁煙外来の治療費は、ほぼ自己負担がなくなるということになります。
 先ほどの東京都の上限額と補助率を考えますと、都が負担する補助の上限は補助率五〇%ですので百万円ということになります。これ、先ほどの喫煙室の補助と比べると、喫煙室は一つにつき一千万円、それに対して、こちらの禁煙外来の治療費に関しては、一つの区につき、都は百万円の負担ということで、金額的には、もっと上げるべきではないかなというふうに思うんですが、実際には、区の方で年間の利用人数に制限をかけているので、この金額でも区の負担が特にふえるというわけではなくて、区の要件としてはカバーできるんだと思いますけれど、今後、各区市町村がもっと禁煙治療の適用対象や金額を拡大した場合には、都もそれに応じて拡大をしていただければなというふうに要望いたします。
 こうした助成事業が、さらに他の区市にも、七つ以外の区市にも広がることを期待申し上げます。
 喫煙率を下げるということは、受動喫煙を根本的になくすことにつながりますし、また、先ほどのがん対策として、喫煙率を一二%に下げるということにもつながることになります。そして、喫煙所に補助金を出すということは、現在喫煙者がいる中での過渡的な施策だと私は考えております。むしろ、禁煙を推進することが抜本的かつ根本的に重要な施策だということを申し述べて、次の質問に移りたいと思います。
 今、喫煙率の話、能動喫煙の話をいたしましたが、COPDの話に入りたいと思います。
 COPD、慢性閉塞性肺疾患ですが、日本人の男性の死因は、一位ががん、二位が心臓疾患、三位が脳血管疾患、四位が肺炎となっています。一位から三位は明らかにたばこによってリスクが増加する疾患です。そして、この四位の肺炎も、この中のある程度の割合がCOPDによるものと考えられますので、一位から四位いずれもたばこに関係があるといえます。
 そして、COPDは特に典型的なたばこ病と認識されておりまして、実際にCOPDにかかるのは九割が喫煙者、そしてほぼたばこでしかならない病気ということがいわれています。イメージとしては、桂歌丸さんがことし七月にお亡くなりになられましたけれど、鼻にチューブをつけてメディアにも出ておられた、その姿が印象的だと思います。
 症状が進行すると、在宅酸素療法が必要となり、また、肺炎などの重篤な感染症を発症する、生活の質が大きく損なわれて、多額の医療費もかかる、初期には症状が明らかでなく、自覚が乏しい、そして、この日本では診断のついていないCOPD患者が多数存在するということが問題視されております。
 COPD検診の普及など、早期の段階で発見をして、禁煙指導、禁煙治療につなげる取り組みが重要だと思います。一層力を入れていくべきだと考えますが、都の所見を伺います。

○成田保健政策部長 都では、東京都健康推進プラン21第二次におきまして、主な生活習慣病の発症予防と重症化予防の一つにCOPDを位置づけ、COPDの認知度を高め、発症予防と早期発見につなげるために普及啓発に取り組んでおります。
 具体的には、動画やパンフレットを作成するとともに、喫煙者向けポスターによる啓発を行うとともに、都主催のスポーツイベントや、区市と連携した肺年齢測定会などにより、普及啓発を図っております。
 引き続き、こうした取り組みを区市町村と連携しながら実施し、適切に医療機関につなげるなど、早期発見に努めてまいります。

○岡本委員 区市町村や医療機関や、また東京都医師会等とも連携をして、さらに進めていただきたいなというふうに思っております。
 次に、都が九月三日から開始した東京都受動喫煙防止条例に関する相談窓口について、相談内容、類型の上位三つをお聞きしたいと思います。

○成田保健政策部長 都では、東京都受動喫煙防止条例の施行に向け、受動喫煙防止対策に関する都民や事業者の方々等の問い合わせに対応する相談窓口を開設しております。
 相談内容の上位は、改正健康増進法や都条例に規定されている施設類型や規制の内容に関するもの、次いで、喫煙専用室等の基準等に関するもの、隣人等の喫煙に関するものとなっております。

○岡本委員 この三位の隣人の喫煙について、都の回答内容、回答方針についてお伺いをしたいと思います。

○成田保健政策部長 改正健康増進法や都条例は、多数の者が利用する施設等について、原則屋内禁煙とするものでございまして、医療機関や学校、行政施設等の第一種施設を除く施設につきましては、屋外に関する規定は定めていないこと、住居や旅館等の客室等については、喫煙禁止場所としないことについて説明し、理解を得られるよう対応しております。
 改正法及び都条例におきましては、何人も受動喫煙を生じさせることがないよう、周囲の状況に配慮しなければならないという配慮義務について規定しておりまして、引き続き普及啓発により理解促進に努めてまいります。

○岡本委員 この隣人の喫煙という問題に関しては、ことし三月十四日の予算特別委員会で、私の方で詳しく取り上げさせていただきました。特に、集合住宅、マンション等のベランダでの喫煙や換気扇の下での喫煙が隣の部屋、あるいは住宅が密集して隣接しているような場合に、隣家の喫煙が隣の家や部屋に入ってくるということで、非常にこれに悩んでおられる方が多いというところです。
 近隣住宅受動喫煙被害者の会という会が昨年の五月に発足をして、現在、千六百人以上の登録があるということで聞いております。
 この件に関しては、先ほどご回答いただきましたように、罰則の対象ではないけれど、配慮義務の規定があるというところで、こうした問題が実際に多数起きているというところを認識していただいて、今後の取り組みを検討していただければと思います。
 特に、都市整備局の住宅政策推進部に対して予算特別委員会では質問させていただきましたが、そちらともぜひ連携をして検討を進めていただければということを要望させていただきます。
 次の質問に入ります。
 東京都受動喫煙防止条例の普及啓発として、この条例を施行するに当たって、さらに認知度を高めていく必要がありますが、都が今後行う条例施行のイベントについて、知名度や影響力のある著名人等も活用しながら普及啓発をしていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、条例が今後一年半の間に三段階で段階的に施行されますが、著名人については、できれば途中で変わることなく、一貫してイメージの定着を図るべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○成田保健政策部長 条例の施行に当たりましては、都民や施設管理者等の不安を解消し、ご理解、ご協力をいただくことが重要でございます。
 そのため、都では、広報紙やSNSなどを活用し、条例の趣旨や目的についての普及啓発に努めております。
 今後は、著名人をアンバサダーとして起用し、条例の施行に関するイベントやポスター、動画等に活用することで、広く都民や事業者等に対して受動喫煙防止対策及び関連施策の周知啓発を図ることを予定しております。
 また、都条例が全面施行となる平成三十二年四月まで、同一のアンバサダーを起用する予定としております。

○岡本委員 罰則がある条例ではありますけれど、できれば罰則を適用しなくても多くの都民が守っていただけるように、多くの飲食店等、あるいは事業所で守っていただけるように、ぜひ普及啓発を進めていただきたいと思います。
 次の質問に入らせていただきます。
 たばこ及びニコチンの依存性については、先ほども述べましたように三月十四日の予算特別委員会でも述べさせていただきました。それを踏まえて、三月十五日のこちらの厚生委員会において、都における、ギャンブルや薬物などの依存症対策についてお伺いをいたしました。
 その際に、依存症は必ずしも厳罰主義では解決しないということ、海外の研究によれば、薬物事犯の再犯防止には、刑罰よりも地域内での治療が有効であり、特に治療の継続性が重要であると認識されていること、また、地域でのプログラム、依存症の治療の面を重視しないと、再犯ばかりがふえてしまうということを申し上げました。
 また、ギャンブル依存症についても、自己責任の捉え方や家族任せにするのは誤った対応であって、自助グループへの参加が重要であるということを申し上げました。
 依存症は、物質依存の場合であっても、その治療は人間関係が非常に大切であるということを申し上げました。
 さて、東京都は今年度、アルコール健康障害対策推進計画の策定委員会を設置し、検討を進めていると伺っております。
 このアルコールの委員会について、現在の状況と今後の予定についてお伺いいたします。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、アルコール健康障害対策基本法に基づくアルコール健康障害対策推進計画の策定に向け、本年度、学識経験者、医師、民間団体、関係機関等から成る計画策定委員会を設置し、この十月九日から第一回目の会議を開催いたしました。
 委員会では、アルコール健康障害に関する予防、相談から治療、回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備を目指しまして、不適切な飲酒の誘因の防止や相談支援、医療の充実、社会復帰の支援などについて検討しております。
 今後、地域の医療機関や民間団体の方々からもヒアリングを行う予定でおります。
 来月上旬に第二回目の会議を予定しておりまして、年度内の計画策定を目指し、さらに議論を進めてまいります。

○岡本委員 アルコールについて、今お伺いいたしました。
 次に、ギャンブル等依存について意見を述べておきたいと思います。
 ことし七月にギャンブル等依存症対策基本法が国で成立し、十月五日に施行されました。政府は、来年五月中旬のギャンブル等依存症問題啓発週間に間に合うように、来年四月までに基本計画を策定するということです。
 その法律の第十三条によって、都道府県は、都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画を策定するよう努めなければならないとされております。都として、再来年五月の啓発週間に間に合うように、来年度には計画策定委員会を設置していただきたいということを要望として申し上げたいと思います。
 このギャンブル等依存については、経緯としては、二〇一六年にカジノ推進法が、IR推進法が成立して、この議論が注目をされました。
 しかしながら、カジノとは必ずしも関係なく、既に日本ではパチンコや競馬などにおいてギャンブル等依存症が存在しております。この機会にカジノへの対応という観点ではなく、むしろ既にあるギャンブル等依存症への対策も必要だということで、ぜひとも早急に検討、対応を進めていただければというふうに思っております。
 そして、特に、依存症の本人や家族を支援している民間団体との連携が非常に重要であるということを改めて強調させていただきます。
 また、この計画策定において、一言意見を述べておきたいと思います。
 依存症に対する社会の偏見や誤った認識についても、検討課題としていただければと思います。つい先日、十一月七日に放送されたテレビ朝日の刑事ドラマ相棒で、薬物依存症者の描写が差別的だったとして、市民団体や研究者らがテレビ朝日に抗議文を出したということがありました。これは、いわゆるシャブ山シャブ子論争ということで呼ばれております。
 この件は、十一月十四日の衆議院厚生労働委員会で、初鹿明博議員が、薬物依存の方への偏見を助長するのではないかと問題提起し、根本匠厚労大臣が、薬物依存症は適切な治療や支援で回復することが可能だ、正しい理解の普及に努めたいと答弁したということも報道されております。
 こうした依存症から回復するために努力をしておられる依存症患者の方への差別や偏見といった点についても、今後の東京都の計画策定をする際には、ぜひ検討されたく問題提起をしておきます。
 次の質問に参ります。
 次に、海洋プラスチックの問題に入らせていただきます。
 プラスチックは広く社会に浸透しており、我々の生活に利便性をもたらしています。しかし、その一方で、不適正な処理のため、世界全体で年間数百万トンを超えるプラスチックごみが陸上から海洋へ流出していると推計され、二〇一六年の世界経済フォーラム、ダボス会議におけるイギリスのエレン・マッカーサー財団の報告によれば、このままでは二〇五〇年までに海洋中の魚の重量を上回るプラスチックが、海洋環境に流出すると予測されるなど、地球規模での環境汚染が懸念されております。
 二〇一五年、ドイツG7の首脳宣言において、海洋ごみ、とりわけプラスチックが世界的な問題であることが確認され、二〇一六年、G7伊勢志摩サミット首脳宣言においても、海洋ごみに対処することを再確認し、二〇一八年、ことしの六月、G7カナダのシャルルボア・サミットでは、海洋プラスチック憲章が提案され、五カ国とEUは署名しましたが、アメリカと日本が署名しなかったということです。
 二〇一九年六月には、日本においてG20の開催が予定されているところ、日本が世界のプラスチック対策をリードすることが重要であるとされています。
 環境省の中央審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会における資料、プラスチックを取り巻く国内外の状況によれば、陸上から海洋に流出したプラスチックごみ発生量(二〇一〇年推計)ランキングでは、一位が中国、二位がインドネシア、三位がフィリピン、四位がベトナムと、一位から四位は東南アジアであったということです。そして、日本は三十位と推計されています。このプラスチックによる海洋汚染は、地球規模で広がっています。
 五ミリ以下の微細なプラスチックごみがマイクロプラスチックと呼ばれています。このマイクロプラスチックは、海洋生物がこれを餌と一緒に、あるいは餌と誤認して食べることによって、これに含有し、または吸着された化学物質が食物連鎖に取り込まれることによって、生態系への影響が懸念されています。
 二〇一六年四月九日の共同通信、東京新聞、日経新聞等の報道によれば、二〇一五年八月に東京湾でとれたカタクチイワシの八割近くの内臓からマイクロプラスチックを検出したという調査結果が報道されています。
 そして、ことしの十月二十四日の報道によれば、欧州の消化器学会での発表において、七名の欧州出身者、また、一名の日本人の便からマイクロプラスチックが出ていたと、そして、一週間にわたる食事の記録をとった便の全てのサンプルからマイクロプラスチックが検出されたということです。
 この問題に関する専門家である東京農工大学の教授の高田秀重教授によれば、これは、プラスチック自体は人体に入っても消化されることなく排泄されるのですが、問題は、プラスチックに有害な添加剤が入っている場合があること、プラスチックは有害な汚染物質を吸着する性質があること、この点が問題視されています。
 そして、指摘をされている物質というのは、PCB、DDT、ノニルフェノールなどが挙げられています。ノニルフェノールはプラスチックに添加されていて、特に、日本製のペットボトルのふたでは余り見られませんが、中国製やタイ製では検出される。そして、PCBは非常に有害で、人間の脂肪組織にも蓄積をしやすいということで問題となっております。
 こうした状況を踏まえて、都にお伺いをいたします。
 先ほど申し上げましたPCB、DDT及びノニルフェノールは、有害化学物質が吸着をしやすい、あるいは含有をされているということがいわれております。魚介類に取り込まれる可能性のあるこれらの物質について、都は調査をしているのかお伺いをいたします。また、調査を実施している場合には、規制等の根拠があるのかについてお伺いいたします。

○野口食品医薬品安全担当部長 都では、食品の安全確保の観点から、従来より、魚介類を対象にさまざまな有害化学物質の調査を実施しております。ご指摘のPCBについては、昭和四十七年に国が暫定的規制値を示したことを踏まえ、昭和四十八年より市場に流通する魚介類を対象に調査を実施しております。
 また、平成十年からは、大都市に囲まれ化学物質が流入しやすい環境にある東京湾で漁獲される魚介類を対象に、PCBのほか、食品衛生法で残留基準値が定められている有機塩素系農薬であるDDTの調査を実施しております。
 さらに、食品衛生法における基準はございませんが、内分泌攪乱作用が疑われるノニルフェノールなどについては、都独自に調査を実施しております。

○岡本委員 有害な化学物質について調査を実施しているということでした。その結果はどのようであったかお伺いをいたします。

○野口食品医薬品安全担当部長 平成二十九年度において、市場に流通する魚介類二百九十八検体についてPCBの残留検査を実施しております。その結果、全て暫定的規制値を下回り、食品衛生上問題となるものは認められませんでした。
 さらに、東京湾で漁獲されたスズキ、マアナゴ、アサリ、ホンビノスガイなど計三十五検体について、PCB、DDT、ノニルフェノールの検査を実施いたしましたが、PCB及びDDTについては基準値等を下回り、ノニルフェノールについては不検出でございました。

○岡本委員 本調査では問題となるデータは検出されなかったということで、一安心ではあるんですが、マイクロプラスチックが取り込まれる魚介類の内臓を含めた調査を実施しているのかお伺いいたします。
 マイクロプラスチックについては、身の部分、特に筋肉部分に出てくるということはいまだ証明されておりません。むしろ、内臓に存在していると。先ほどもありましたように、東京湾のイワシの八割の内臓にマイクロプラスチックが存在しているということですので、この内臓部分も含めて調査をしているのか、そして、特にイワシやサンマなどについて、どうなのかということをお伺いしたいと思います。

○野口食品医薬品安全担当部長 都で行っている調査は、食品の安全確保の観点から調査を行っていることから、国が示した検査法では、魚介類の可食部位の検査を行うこととされております。
 このため、貝類では内臓を含むむき身部分を対象としまして、また、魚類では、頭、骨及び内臓を取り除いて、通常、喫食する筋肉部位で検査を実施しております。

○岡本委員 内臓は可食部ではないという解釈なのだと思われますが、ただ、人によっては、サンマやイワシの内臓を食べる人もいると思います。また、イワシなどは大きいものと小さいものがあって、小さい場合には、そのまま食べるということもあると思います。
 サンマやイワシの内臓については、可食部として調査対象にした方がよいのではないかと思いますが、この点は国の方にも見解を聞いてみたいと思います。
 また、先ほど、本日お聞きした三つの物質については、法的な暫定規制値や、あるいは基準値があるものとないものがあるということでした。ノニルフェノールなどは食品衛生法における基準はないが、都独自で調査を実施しているということでした。
 先ほどの専門家の高田教授によれば、マイクロプラスチックに吸着される有害な化学物質は、先ほど伺った代表的な三つのほかにも数多くあり、幾つも有害物質が指摘されています。
 海洋マイクロプラスチック問題という新たな問題への対応として、国において、先ほどの三物質はもちろんのこと、そのほかの有害物質も調査対象に含めた調査方法、試験方法、基準値を策定すべきではないかと考えます。また、可食部の考え方についても、改めて国において整理をしてほしいと思います。
 私としては、日本弁護士連合会の公害対策・環境保全委員会の一員として、国にそうした働きかけもしたいと考えております。
 都においても、引き続き、食品に関する調査、監視を継続していただくとともに、この海洋マイクロプラスチックという新しい問題について、今後の国内外の動向に関心を持って注視をしていただければというふうに思っております。
 では、次の質問に移ります。
 ホームレスの質問に入らせていただきます。
 昨年の事務事業質疑、平成二十九年十一月二日の厚生委員会で、つじの委員から、ホームレスの人数の変遷の質問がありました。
 ピーク時では、平成十六年八月に六千七百三十一人であった都内のホームレスは、昨年の八月の調査では千三百三十七人と五分の一以下にまで減少している旨の答弁をいただきました。
 私自身、二〇〇一年に東京に上京した際にはホームレスの多さに大変驚きました。地方から出てきて、地方では余り路上生活者を見たことがなかったので、東京にはこんなに路上生活者や公園での生活者が多いのかということで、大変驚いたことを覚えております。
 法学部の学生として、憲法二十五条、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するということが、この東京、日本ではどうなっているんだろうかということを疑問に感じた記憶があります。
 また、二〇〇六年に弁護士になってすぐは、ほとんど終電で帰ることはなくて、終電よりもっと遅い二時、三時ごろというような生活をしておりましたが、終電が過ぎてJRの駅のシャッターが閉まってから、たくさんの路上生活者の方が駅に集まって、そこで段ボール等で寒さをしのぎながら、非常にたくさんの方々が集まっているということを目の当たりにいたしました。これは時間帯によって、終電前と終電後とで全然人数が違うということを実感いたしました。
 そのころから比べれば、現在は大分減少したと、先ほど述べましたように、五分の一に減少したというところは、そのとおりだろうなというふうに実感はしております。
 他方で、東京工業大学の学生や卒業者や市民が立ち上げたARCHという団体の調査では、終電後に徒歩や車などで路上生活者の人数を調査したところ、東京都が昼間に行っている路上生活者の概数調査の約三倍の路上生活者が確認されたということです。
 こうしたARCHの調査について、都の認識を伺います。

○坂本生活福祉部長 都では、平成七年より、毎年、冬季の一月と夏季の八月の年二回でございますが、都内の道路、公園、駅舎、河川敷などにおきまして、日中の時間帯のホームレス数の概数調査を実施いたしまして、都内各地のホームレス数の状況を把握しているところでございます。
 また、お話の市民団体が夜間におきますホームレス数の調査を実施いたしまして、その結果を公表していることは私どもとしても承知しておりまして、この夜間の時間帯では、昼間の概数調査結果に比べまして、ホームレス数が多い傾向にあることにつきましては、都としても、夜間も含めアウトリーチによる巡回相談を委託しております社会福祉法人などを通じまして把握しているところでございます。
 こうしたホームレスの方々に対しましても、特別区と連携いたしまして、夜間の時間帯においても巡回相談によるアウトリーチを実施するなど、路上生活からの脱却を図れますよう支援に取り組んでいるところでございます。

○岡本委員 先月、十月二十二日の各会計決算特別委員会第二分科会で、龍円あいり委員もホームレス支援について質問をいたしました。自立支援センターの事業内容と実績について、また、モデル事業である支援付地域生活移行事業の内容と実績について伺いました。
 改めて、都が行っている現在の取り組み状況と今後の見通しについて伺います。

○坂本生活福祉部長 都では、特別区との共同事業といたしまして、二十三区を五つのブロックに分け、五カ所の自立支援センターを設置いたしまして、緊急一時保護から職業紹介などの就労自立支援に向けた支援まで一貫した取り組みを実施しているところでございます。
 自立支援センターは、都と区の取り決めに基づきまして、各ブロック内で五年ごとに設置する区を変更しております。今年度末に、目黒区及び足立区の二カ所のセンターで設置期間が満了いたしまして、このため、現在、渋谷区及び墨田区で新たなセンターの整備を進めております。引き続き、切れ目なく支援を継続していきます。
 また、都では昨年度より、支援付地域生活移行事業を開始しております。この事業では、路上生活の長期化などに伴います高齢化などで、就労での自立が困難なホームレスの方に対しまして、アウトリーチによります丁寧な相談を行うことで関係を構築し、その後、住まいの提供、健康管理や訪問相談など、生活支援を経て地域移行を図っております。
 今後、冬季におきましても、アウトリーチによる相談支援を着実に実施いたしまして、こうしたホームレスの方の自立の支援をしてまいります。

○岡本委員 ありがとうございます。私が渋谷区生活福祉課の方にお会いしてお聞きした話では、路上生活者の方が生活保護を申請しても、約四割が数カ月以内に失踪してしまうという状況があったということです。
 生活保護だけではなかなか定住、定着した生活になじむことが困難であるという実態があり、そうした状況下で渋谷区が始めたハウジングファースト事業や、都が始めた支援付地域生活移行事業といった、行政が住まいを提供し、丁寧な相談によって関係性をつくって、アパート等への転居をサポートし、さらに、転居後も相談継続などを通じて、定着支援をするといった丁寧な取り組みが重要であるというふうに考えます。
 路上生活者へのきめ細かい対応をしてくださっていることに敬意を表するとともに、引き続き取り組みをお願い申し上げます。
 また、路上生活者に炊き出しや食料配布をするなどして、人道的に支援をしている民間団体とも連携協力した取り組みをしていただくようにお願いいたします。
 続いて、いわゆるネットカフェ難民に関する質問に入らせていただきます。
 完全な路上生活者というわけではなく、インターネットカフェや漫画喫茶などで寝泊まりをしながら就労している方や衣食している方のサポート制度として、TOKYOチャレンジネットという制度があります。
 ことし三月十九日の厚生委員会で、住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査の結果及びTOKYOチャレンジネットの制度内容についてお伺いをいたしました。それを踏まえて質問いたします。
 この調査結果について、TOKYOチャレンジネットの認知度が低いということが課題であり、一層の事業の周知に努めていくということを答弁されました。
 その後の利用者の相談実績と、どのように対応しているのかについて伺います。

○坂本生活福祉部長 本年四月から十月までの間でございますが、TOKYOチャレンジネットの相談窓口に来所した方の件数でございますが、延べ四千五百三十九件、このうち継続的な相談のための登録を行った方が六百八人でございます。
 都ではこれまで、リーフレット、チラシ、ポケットティッシュ等を区市の福祉事務所を初めまして、ハローワークやネットカフェ等で常時配布いたしますとともに、今年度は、新たに四区にご協力いただきまして、地域の自治会掲示板へのポスター掲載などの取り組みを行っております。
 また、新宿区ほか三区の繁華街や公園等において、アウトリーチによる相談を実施いたしますとともに、今年度は、都内主要駅前の路上での周知活動を五カ所から十三カ所に拡大するなど、取り組みの強化を図っております。
 今後とも、本事業の一層の周知に努めてまいります。

○岡本委員 引き続きの取り組みを、ぜひよろしくお願いいたします。
 次の質問に入ります。
 社会的養護における性的マイノリティーに関して質問させていただきます。
 一般社団法人レインボーフォスターケアでは、児童養護施設における性的マイノリティーのお子さんの調査を行っており、二〇一六年に全国六百一施設に調査票を送付し、二百二十施設から回答があり、その四五%に当たる九十九施設において、性的マイノリティーと思われる児童が現在いる、または過去にいたと回答があったということです。延べ人数百四十四人だったということです。
 新たに、ことし九月には三十五施設のヒアリング調査結果を発表し、実態を発表しました。職員への研修を実施したり、個々のケースで対応や支援をしている一方で、他方で、周囲へのカミングアウトを禁じたり、性自認に合わせた格好をすることを禁止したりしている施設があるということや、男女別施設では対応できないことも多くあるということなどが明らかになりました。課題があることが浮き彫りになっております。
 東京都では、第三定例会で、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例が可決、成立し、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止が明確になり、全庁横断的な会議体を設置し、性的マイノリティーの方々が直面する困難課題を洗い出し、共有し、解消していくということになりました。
 社会的養護のもとにある性的マイノリティーのお子さんたちが直面する困難も、今後解消されていくべきだと考えます。
 そこで、現在、東京都では、児童養護施設等にいる性的マイノリティーだと思われる児童に対して、どのような支援や取り組みをしているのかお伺いいたします。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所と児童養護施設とで毎年開催しております協議会におきまして、平成二十九年度に協議テーマとして性的マイノリティー児童への対応を掲げ、入所児童の実情について共通理解を深めているところでございます。
 また、児童養護施設等における性的マイノリティーだと思われる児童への対応につきましては、各施設で児童の状況に応じた個別的な支援を実施するとともに、それぞれの施設が加盟する東京都社会福祉協議会児童部会におきまして、性的マイノリティーに対する理解や対応策について独自に研修を実施しているところでございます。

○岡本委員 現在は、性的マイノリティーのお子さんに対する支援などが体系的にあるわけではないということですが、東京都のオリンピック憲章の人権条例の制定を受けて、今後検討していただけるよう要望いたします。
 ことし三月十九日の厚生委員会で、我が会派の龍円都議が、里親の認定基準について、性的マイノリティーであることを理由に親から虐待や養育拒否を受けた児童の場合、性的マイノリティー当事者のカップルの方がよいケースがあったり、性的虐待を受けたお子さんは、虐待を受けた親と逆の性の同性カップルに育てられた方が精神的に安定する場合もあるということなどから、里親認定基準の改定に、性的マイノリティーの当事者カップルを含めることを要望いたしました。
 また、三月二十二日の予算要望において、桐山都議が我が会派を代表して、その旨を要望いたしました。
 ことし十月一日から、東京都里親認定基準が改定され、里親申込者が単身者の場合は、主たる養育者の補助者として子供の養育にかかわることができる親族等がいることとされていますが、親族以外の同居者については、その同居状態の安定性、継続性を十分に考慮した上で、成人の親族等の等に含めることは差し支えないと解説が加えられました。
 改めて、里親認定基準の改正に伴い、性的マイノリティーである同性カップルも里親になり得る可能性についてお伺いいたします。

○谷田少子社会対策部長 都は、平成二十八年の児童福祉法改正に伴い、家族と同様の環境における養育の理念が示されたことを踏まえまして、児童の成長発達に必要な養育環境を提供する観点から、児童福祉審議会での議論等を経て、本年五月に里親認定基準の改正を行いました。
 今回の改正では、年齢要件の上限撤廃に加えまして、養育家庭においては、配偶者がいない場合の要件緩和を行いました。従来の基準では、親族もしくは事実婚の同居者を補助者とすることとしておりましたが、改正後は、親族以外の同居者についても、同居の安定性、継続性を確認した上で補助者として認めることとしております。
 委託に当たりましては、児童の福祉を第一に考え、児童の意思を確認するとともに、児童の年齢、生育歴、心身の発達状況など、児童一人一人の状況を総合的に勘案して決定しているところでございます。

○岡本委員 これによって、性的マイノリティーである方々のカップルでも、安定的で継続的な関係性が認められれば里親となり得ることになったというのは重要な改正で、評価をいたします。
 先ほど触れました、施設内などで居場所がない、つらい思いをしている性的マイノリティーの児童にとって、性的マイノリティーの里親のもとで育つことは、自分の性的指向や性自認に対して前向きに向き合え、自分らしく生きるために大きな力となる可能性があるといえます。里親と児童のマッチングの際などに、これらを考慮した取り組みなどを推進していただけますようお願いいたします。
 次に、性的マイノリティーから離れますが、里親認定基準の改定ということで、ひとり親の里親について触れたいと思います。
 里親認定基準の家庭及び構成員の状況(4)、ただし、補助者がいない場合であっても子供を適切に養育できると認められる特段の事情があるときの解説に、ひとり親として養育経験があり、児童の養育が可能な方が加えられました。そうした場合も、里親の可能性が広がるということで、今後の運用に期待をしたいと思います。
 本日、木下委員からもありましたとおり、国では、家庭養育優先原則を徹底するということで、高い目標が掲げられております。今後、さらなる里親委託の推進と里親開拓をしっかりと進めていただけますようお願いいたします。
 次に、自殺防止対策についてお伺いいたします。
 先月、十月二十二日の各会計決算特別委員会第二分科会で、龍円あいり委員がLINEを活用した自殺相談の試行的実施について質問いたしました。
 電話相談だと、十代はわずか二%だったものが、LINEだと二九%に上るということがわかりました。一方、電話相談だと、五十代は二〇%だったものが、LINEだとわずか二%となっています。電話相談とLINE相談という二つの窓口をつくったことで、幅広い世代に対応できる体制ができたということがわかりました。
 本日は、私からは、民間団体との連携協力の関係性についてお伺いをしたいと思います。
 自殺対策に関しまして、民間団体との連携協力についてお願いいたします。

○成田保健政策部長 都では、自殺の背景となる多重債務、失業、いじめ、過労、健康問題、家庭問題などへの相談に対応するため、さまざまな関係機関や民間団体の協力を得て、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを構築し、都民の方がどの窓口を訪ねても、悩みに応じた相談支援に円滑につながる体制を整備しております。
 また、九月と三月を自殺対策強化月間と定めまして、関係機関と連携した特別相談や普及啓発を展開しております。
 今後とも、各相談支援機関において、相談、支援、役割等の情報を共有するとともに、連携協力体制の強化を図り自殺対策に取り組んでまいります。

○岡本委員 ありがとうございました。ぜひ、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 では、次の質問に入りたいと思います。
   〔「時間、時間」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 そろそろまとめに入っていただいて……。

○岡本委員 最後の質問なんですが、あと二分ありますよね。

○栗林委員長 大丈夫です。

○岡本委員 最後に、ことしの八月から九月ごろ、精神障害者の雇用について、国の中央省庁で障害者の雇用数を水増ししていたということが明らかになり、大きな問題となりました。
 国の行政機関での不正事例は三千七百人に上り、さらに国会や裁判所でも水増しがあったということです。民間にはペナルティーを科しながら、率先して範を示すべき中央省庁が悪質な手法で不正をしていたということには強い憤りを覚えるものです。
 法定雇用率を充足するための数合わせではなく、やりがいを持って働ける職場の環境づくり、一人一人が長く働き続けられるサポート体制が重要だということが新聞の社説等でも説かれています。こうした観点も踏まえつつ、精神障害者の就労定着支援についてお伺いいたします。
 ことし四月から、精神障害者が法定雇用率算定基礎の対象に追加されるとともに、法定雇用率が引き上げられました。これにより、精神障害者の雇用が進むことが期待されますが、精神障害者の職場定着率は他の障害よりも低く、就職してから一年後の定着率は五〇%に満たないと聞いております。精神障害者の家族会からは、就労後の職場定着のために、障害の特性を理解した支援を促進してほしいとの要望があります。
 そこで、精神障害者の職場定着を進めるための都の取り組みをお伺いして、私の質問を終了いたします。

○松山障害者施策推進部長 精神障害者が安定して働くためには、病状やストレスをコントロールすることが重要であり、医療機関とのかかわりが不可欠でございます。
 そこで、都は、就労支援機関や医療機関など関係機関の連携を促進するため、今年度から、精神障害者就労定着連携促進事業を開始いたしました。この事業では、就労移行支援事業所等の職員が、精神疾患の基礎知識や医療機関との基本的な情報交換スキルを習得するための研修を実施しております。
 また、都内六カ所ある障害者就業・生活支援センターを中心に、医療機関、就労支援機関、企業等が就労定着支援に関する課題について共有化を図るための連絡会を開催しております。
 さらに、医療機関スタッフ向けに、就労定着支援への理解を深めるための講座等を実施するとともに、企業等の意見を取り入れた精神障害者の就労支援に関する連携プログラムの作成に取り組んでおります。

○清水委員 それでは、よろしくお願いいたします。私からは、特に配慮が必要な子供に対する保育について伺いたいと思います。
 近年、障害児やアレルギー児、そして、いわゆる気になる子といった、特に配慮が必要な子供は増加傾向にあると聞いております。これは、ある保育事業者に聞いたんですが、園児数に対する、特に配慮が必要な子供たちの割合というのは、障害児が一割弱、アレルギー児が大体五%から二割程度、そして、気になる子については全体の三割にも及ぶそうでございます。
 障害児も、そうでないお子さんも一緒に保育をする、いわゆる統合保育が前提の保育現場では、その対応方に大変ご苦労なさっているというふうに聞いております。
 例えば、障害児に対しては、指導の具体的な方法がわからないですとか、アレルギー児の昼食は他の園児と分けての食事で人手を取られてしまうですとか、気になる子に対しては、障害があるからの行動なのか、それとも、単に性格的な行動なのか、区別が難しいなど、現場の保育士の皆さんは対応方法の難しさや人員不足に大変苦慮されているというふうなことでございます。
 一方、保護者の気持ちといたしましては、自身の子供に発達障害などがあると認めたくないお気持ちも、これはあるわけでありまして、また、乳幼児など、障害の有無の判定が困難なケースも多々あるかと聞いております。
 そこでお伺いしたいと思うのですが、現在、東京都は、保育所等における特に配慮が必要な子供の状況について、どのように把握されているのかお聞かせいただきたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 障害児保育についてということでございますけれども、国が実施いたします障害児保育の実施状況調査で把握をしております。
 直近の公表データによりますと、平成二十八年度中に障害児を受け入れた都内の実保育所数は一千六百一カ所でございまして、受け入れた実障害児数は四千五百三十五人となっております。

○清水委員 ありがとうございました。ただいま、特に配慮が必要な子供の中で、障害児についてはしっかりと実情を把握されているというふうなことがわかりましたが、ぜひともアレルギー児も含めて、そして、気になる子というのはなかなか難しいと思いますけど、これからの課題にしていただければなと思うわけであります。
 誰もが必要な保育サービスを利用でき、そして、多様な保育ニーズに対応する質を確保するため、現場の保育事業者は奮闘されているわけであります。
 しかし、障害児につきましては、交付税で措置されているなどの支援はありますが、先ほど申し上げました気になる子の対応につきましては、私の地元の立川市におきましても、これは十分ではないとの声を聞いているわけでございます。
 そこでまずは、東京都の支援策の中でもございます、市町村が保育サービスなどの子育て支援につきまして地域の実情に応じて活用できます子育て推進交付金についてお伺いしたいと思うんですが、ただいま予算規模はどのぐらいなんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て推進交付金の平成三十年度の予算額でございますが、約百九十九億八千四百万円となっております。

○清水委員 ありがとうございました。おおむね二百億弱というふうなことでございまして、大変多額な金額だと思うわけでございますが、この子育て推進交付金は、市町村が地域の実情に応じて創意工夫により子育て施策を展開できるように、平成十八年に、これまでのいわゆる都加算補助金等を再構築して交付金を創設したという事業だと聞いております。障害児保育事業は、交付金に再構築された都加算補助金で、再構築前の予算は、大体、約八億円でございました。
 そこでお伺いしたいと思いますけど、この市町村における子育て推進交付金の障害児保育事業への活用状況についてお示しをいただければなと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 ただいまの委員のお話にもありましたとおり、子育て推進交付金は、地域の特性や実情に応じまして子育て支援事業に活用されるものでございますけれども、その財源の充当に当たりましては順位を定めておりまして、障害児保育事業には優先して充当をすることとなってございます。
 平成二十八年度でございますけれども、三十九ございます全ての市町村が交付を受けておりまして、そのうちの十六市一村から障害児保育事業に活用したという報告を受けてございます。

○清水委員 ありがとうございました。それぞれの自治体の方で工夫を凝らして、この交付金をお使いになっているというふうなことだと思います。
 しかしながら、障害児保育事業というのは優先して充当されているというふうなことをお聞きいたしました。市町村が自由に活用できる交付金で、配慮が必要な児童への保育サービスの充実を図っていることは、これでよりわかったわけでございますが、このほか、東京都は、社会福祉法人が運営する認可保育所に対しまして、保育サービス推進事業がございますが、それにおきまして、配慮が必要な児童の受け入れを支援していると聞いているわけでございます。
 そこで、今申し述べました保育サービス推進事業で、どのような支援を行われているのか、その内容、予算額、また活用状況について、お聞かせをいただければなと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、平成二十七年度から多様な保育サービスを支援する保育サービス推進事業を実施しております。本事業は、保育所等での多様な保育サービスの実施を推進し、保育サービスの質の向上を図ることを目的としておりまして、平成三十年度の予算額は約九十二億九千百万円となっております。
 本事業では、障害児保育やアレルギー児への対応を加算の対象といたしております。障害児保育につきましては、愛の手帳一度、二度相当の児童等を対象とする特児対象、特児対象以外のその他知的、その他身体、この三区分に分類されておりまして、加算額は、児童一人当たり月額で、特児対象が四万五千円、その他知的が三万八千円、その他身体が三万一千円となっております。また、アレルギー児への対応の加算額は、児童一人当たり月額で二万二千円となっております。
 平成二十九年度の障害児保育加算の利用実績でございますが、実施設数は七百九十一カ所でございまして、加算ごとの施設数は、特児対象が百四十六カ所、その他知的が七百二カ所、その他身体が百六十七カ所となっております。また、アレルギー児への対応加算の利用実績は一千十二カ所となっております。

○清水委員 事細かくご説明をしていただきましてありがとうございます。
 ただいまご説明がありました保育サービス推進事業におきましても、特に配慮が必要な児童の保育に対して支援を行っていただいているというのがよくわかったわけでございますが、今、ご説明いただいた支援策をもっても、現場では大分ぎりぎりの状態なのかなというふうな声を多々聞いているわけでございます。
 さらなる充実を求めたいと思うわけでございますが、今、説明がございました、この加算単価につきまして、ちょっとお聞きをしたいと思うんですが、これはいつごろ加算単価につきましては決定されたのかということと、また、単価はどのような理由で、この金額が定められたのか、その根拠となるようなものをお示しいただければなと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 現行の加算の単価でございますけれども、これは平成二十七年度に定めたものでございます。
 障害児保育につきましては、支援が必要な児童二人に対しまして保育士一名を配置することを基準とし、その人件費等に基づいて加算単価を設定しております。
 アレルギー児への対応につきましては、人件費に加えまして、アレルギー対応に必要な研修受講経費などに基づき加算単価を設定しております。

○清水委員 ありがとうございました。加算単価につきましては、再構築時に見直し等がされたというふうなことでありますが、繰り返しになりますが、現場の状況からは、さらなる検討が必要なのではないかなと思うわけでございます。
 そういったわけでちょっとお伺いしたいと思うのですが、この加算単価につきまして、どのようなときに見直しの対象となるのかというのと、また、それはいつごろなのか、これをお示しいただければなと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育サービス推進事業につきましては、他の事業と同様に事業終期を定めております。本事業の終期は二〇二〇年度となっておりまして、これに合わせて、改めて事業の必要性や補助単価の妥当性等について検証する予定となっております。

○清水委員 ありがとうございました。まさに二〇二〇年、また再検討していただくときに、そのときの保育の現場、現状を、ぜひともご理解していただくためにもさまざまな、今いいました特に配慮が必要な子供たち、児童に対する現状の把握にお努めいただければなと思うわけでございます。
 これまで、特に配慮が必要な子供たちの保育に対する東京都の支援策について伺ってまいりましたが、これまでの取り組みを私は評価しているんですよ、すごく。やはり、さすが東京都ですねというふうな感じで評価しているんですが、保育現場の実態と、この支出金の算定の基準が、ちょっと乖離が生じてきたのかなというふうな課題を認識しているわけであります。
 特に、この支援策が、障害児やアレルギー児といった医師の診断がされている子供が対象であるがゆえ、冒頭申し上げました、いわゆる三割を占めているといわれている気になる子の対応が、今後の都の重要な取り組みの課題になってくるのかなというふうに思うわけでございます。
 そこで、ここで改めてなんですが、いわゆる気になる子の保育に対して、東京都はどのようにお考えを持っているのかというふうな、見解をお聞かせいただければなと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、今月、東京都児童福祉審議会から、多様なニーズに対応した切れ目ない支援の強化に向けた提言を受けまして、その中で、障害児支援の専門機関が、一般子育て施策への専門的なバックアップを行うことを提言されております。
 都は、こうした提言を踏まえまして、保育所等における発達の気になる子供を含む障害児や医療的ケア児に対する支援に加え、こうした児童が早期に専門的な支援を受けられるよう、関係機関の連携強化に努めていく考えでございます。

○清水委員 ありがとうございました。ぜひとも、よろしくお願いしたいと思います。
 これはある研究者の調査なんですが、保育士さんは、障害児よりも、いわゆる気になる子に指導上の問題を感じている場合が多いということが明らかになっているそうです。気になる子に対して関連図書が、本屋さんに行きますと、これ、たくさん平棚に並んでいるわけでございますが、しかしながら、この気になる子の定義が一致をしているわけではないそうです。
 しかしながら、特徴といたしましては、話を聞けないですとか、多動で落ちつきがない、切れやすい、未熟な生活習慣である、集団活動が苦手、感情が不安定などとして挙げられております。それは、まさに軽度の発達障害のお子さんの特徴と類似しているということであります。
 これは、まさに軽度であるがゆえに発見されにくい、認められにくい、理解されにくい、ひいては医師の診断を受けていないという困難さを抱えているというわけです。
 保育の現場での指導上の問題として、診断を受けていないので対応方法がわからないですとか、診断を受けていないがために加配がつかないなどという、診断がないがゆえの理解及び対応の難しさや人員不足が発生しておるわけでございます。また、そのことが保育士の離職につながるケースもあるというふうに聞いております。
 そこでお伺いしたいと思うんですが、この軽度の発達障害や知的障害の特徴を持っているが、当面、診断が明らかになっていない子を気になる子と定義する研究者もいるぐらいですので、この診断がされていないが気になる子供たち、特に配慮が必要な子供の中の気になる子への対応が、実は現場では大変、今、大きな課題となってきている中であります。
 したがって、この多様なニーズをしっかりと、これからも東京都の中で対応するために、今後、気になる子の実情の把握に努められて、そして、障害児並みとはいいませんが、これから、ぜひとも現場の負担軽減に取り組んでいく、これを検討すべきではないかと思うんですが、東京都の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 いわゆる気になる子についてでございますが、保育所の努力のみでは解決が難しい課題の一つということを認識してございます。
 保育所保育指針では、子供に障害や発達上の課題が見られる場合の対応といたしまして、市町村や関係機関と連携及び協力を図りつつ、保護者に対する個別の支援を行うよう努めることとされておりまして、都は、保育所が市町村、嘱託医、児童発達支援センター等の専門機関と連携して保護者を支援することが重要であるというふうに認識をしております。
 都といたしましては、引き続き、区市町村との連絡の機会を通じまして、保育現場の実態把握に努めていきますとともに、保護者に寄り添いつつ、子供の発育や発達状態の把握を行いながら保育を行う保育所に対しまして、必要な支援を行ってまいります。

○清水委員 ありがとうございました。東京都のお考えを聞かせていただきました。
 きょうは、特に配慮が必要な子供たちの中で、最後、気になる子についてお伺いしたわけでございますが、この気になる子の保育に対する課題につきましては、これは単に財政的な側面だけではございません。保護者に気づきがない、養育に問題がある、理解が得られず専門機関にかかれないといった、保護者対応の難しさもございますし、また、障害児対応と比べまして、他機関との連携が少ない状況もあるやに聞いております。
 そして、何よりも保育士の離職につながってしまうという、このことは、せっかくこれまで東京都が行ってきた宿舎借り上げ支援や、保育士等のキャリアアップ補助といった保育人材の確保や定着の取り組みが水泡に帰してしまうんじゃないかというふうな心配をしているわけでございますので、ぜひとも、今後、安心して子供を産み育てられる東京実現のためにも、特に配慮が必要な子供たちに対する取り組みを充実していっていただきたいと要望を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

○まつば委員 私からは、きょう、四テーマさせていただきたいと思います。一つは、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルについて、それから、都民による事業提案制度について、また、防災対策について、そして、風疹対策についてということで、四テーマについて質問をさせていただきます。
 最初に、東京都福祉のまちづくり条例の施設整備マニュアルについて質問をいたします。
 このマニュアルの改定につきましては、さきの決算特別委員会で、我が党の、のがみ議員からも質問をしていただいたところでございますけれども、私が関心を持ってやってきたことでもございますので、きょうは改めて質問させていただきます。
 高齢者の方や障害者の方が使いやすいトイレということで、やはり、いわゆる洋式トイレというのが大事であると、こういう認識を私は持ってまいりました。また、災害時におきましても、携帯トイレの活用ができるといった意味でも、この洋式トイレというのは非常に重要であると、こういう認識を持っていたわけでございます。
 そうしたことから、平成二十八年度予算特別委員会で、このトイレの問題を取り上げさせていただきまして、都庁舎であったり、都営地下鉄であったり、都立公園であったり、また、観光地のトイレということで質疑をさせていただいたわけなんですけれども、その質疑をする際に、さまざま確認をさせていただいたときに、洋式トイレの設置については、施設整備マニュアルにのっとって対応しているということから和式トイレを残すんだと、こういうようなご発言をされる他局の方もいらっしゃいました。
 そこで、私は、この分厚い本ですけれども、東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル、これを購入しまして調べたわけですけれども、そうしたところ、望ましい整備として、一カ所を除き残りの全ての大便器を腰かけ式とすると、こういう記述がありまして、これが一つの基準となっていたのであろうというふうに私は考えました。
 ですので、この記述について検討すべきであると私は思いまして、予算特別委員会において、このことを平成二十八年に指摘をさせていただいたわけであります。
 そこで、その後、この改定について、どのような取り組みをされてこられたのか、まずお伺いをいたします。

○坂本生活福祉部長 お話の施設整備マニュアルにおけますトイレの記載でございますが、ご指摘も踏まえまして、記載事項の見直しに向けまして、福祉のまちづくり推進協議会などにおいて検討を行ってきたところでございます。
 具体的な経過でございますが、平成二十八年十月より開始いたしました第十一期福祉のまちづくり推進協議会の審議を踏まえ、平成二十九年十一月に出されました同協議会の意見具申において、高齢者など下肢機能が低下している者にとって、和式便器の利用は困難を伴うこと、また、都内における外国人旅行者が増加していることを踏まえ、腰かけ式便器の設置をより一層推進すべきとの意見具申をいただいたところでございます。
 こうした意見具申を受けまして、平成三十年二月に開催いたしました同協議会、第七回専門部会において、施設整備マニュアルの、一カ所を除き残り全ての大便器を腰かけ式とするという記載の削除についても、改正案としてお示しをして、ご審議をいただいたところでございます。
 その後も、区市町村や都市整備局、財務局など、庁内関係各局にも改正案の意見照会を行うなど、見直しに向けた作業を進めているところでございます。

○まつば委員 それでは、今後のスケジュールについてお伺いいたします。

○坂本生活福祉部長 今後のスケジュールでございますが、今年度末の福祉のまちづくり推進計画の策定に合わせまして、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルの改定も行うこととしておりまして、現在、見直し事項の改定に向けた作業を進めているところでございます。
 具体的には、本年十一月一日に第十二期の第一回福祉のまちづくり推進協議会を開催いたしまして、施設整備マニュアルの改定や推進計画の策定について説明をいたしますとともに、現在、マニュアルの改定案の詳細につきまして、財務局、都市整備局、建設局、交通局など、庁内関係各局との調整を進めているところでございます。

○まつば委員 施設整備マニュアルの改定についての取り組みとして、今後のスケジュールについて確認をさせていただきました。
 改めて、この記述について、一カ所を除き残りの全ての大便器を腰かけ式とするという記載についての方向性について、再度確認させてください。

○坂本生活福祉部長 ご指摘の施設整備マニュアルにおきます記載でございますが、当該記載の削除について、福祉のまちづくり推進協議会などの議論においても、特段、異論はございませんでしたので、今年度末に予定しております同マニュアルの改定におきまして削除する方向で検討を進めております。
 また、今回、施設整備マニュアルの改定内容につきましては、区市町村等に対する説明会や、財務局が主催する関係各局の建築担当者向けの連絡会議の場で速やかに周知いたしますとともに、都のホームページに掲載するなど、改定内容の周知に努めてまいります。

○まつば委員 改定に当たって、この文が削除されるということでございました。このマニュアルの改正については、そのほか、宿泊施設の客室であったり、観覧席、客席の件、店舗の件、さまざま大事な改正でございますので、そうしたことも含めまして、都民の方々にしっかりと周知をしていただくように取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、都民による事業提案制度について質問をいたします。
 この事業は、都民一人一人の声を直接反映させる新しい予算編成手法として、都民による事業提案制度を平成三十年度実施しているというものでございます。この都民による事業提案制度の中におきまして、今回この福祉保健局関係ではどのような提案があったのか、まずお伺いをいたします。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年度に実施いたしました都民による事業提案制度では、六分野で提案を募集いたしました。
 都民からいただいたご提案のうち、福祉保健局関係は合計八十一件で、分野別には、子育て支援三十七件、高齢化対策三十件、働き方改革五件、防災対策五件、空き家活用三件、環境対策一件でございました。
 内容といたしましては、例えば子育て支援分野では、自然環境を活用した保育等を支援する事業や、子育て支援員等の受講者に対し福祉人材バンクへの登録を促進する事業など、また、高齢化対策分野では、地域で暮らす多様な住民の居場所づくりを支援する事業や、家族介護者ハンドブックの作成、配布などでございました。

○まつば委員 都民の皆様からいただいた提案をもとに構築した事業案の中から、それを選定するためにインターネット投票が行われたわけでございますが、このインターネット投票の結果についてお伺いをいたします。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 いただいたご提案のうち、福祉保健局関係では、子育て支援分野で六事業、高齢化対策分野で四事業の計十事業を最終的に知事が選出いたしまして、インターネット投票を実施いたしました。
 投票の結果でございますけれども、両分野でそれぞれ得票数の上位二事業が選定されまして、いずれも平成三十年度予算に反映しております。

○まつば委員 それでは、この都民提案として採択された事業のうち、子育て支援分野と高齢化対策分野とございますが、それぞれ順番に、今現在の状況についてどうなっているのか答弁をお願いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援の分野では二つの事業がございます。
 まず、森と自然を活用した保育推進事業でございます。こちらは、認可保育所や認定こども園、認証保育所等が行います森林、里山、緑地等を活用した園外活動への取り組みに対しまして、必要な経費の一部を区市町村を通じて補助するものでございます。
 本事業については、本年六月に設置いたしました東京都待機児童対策協議会や区市町村の担当者向け説明会等におきまして、事業の周知等を実施いたしまして、積極的な活用を働きかけております。
 当初交付申請では、三市六十八施設に対して交付決定をしておりまして、今後、追加交付申請を受け付ける予定でございます。
 もう一つの事業でございます元気高齢者など多様な人々が輝く子育て支援員等の確保促進事業についてでございますが、この事業は、元気高齢者や主婦等、多様な人材を掘り起こして、保育や子育て支援分野の担い手を確保するための普及啓発を行うものでございます。
 この事業では、子育て支援員制度の紹介や実際に子育て支援員として働いている方へのインタビューなどを内容とする動画、チラシ、リーフレット等を作成いたしまして、都民や保育事業者に向けて、子育て支援員の魅力をPRしてまいります。
 本年九月には委託事業者を決定したところでございまして、現在、動画などの広報用素材を作成中でございます。

○粉川高齢社会対策部長 高齢化対策の分野では二事業あり、まず、住み慣れた地域での居場所づくり事業につきましては、地域で暮らす高齢者や障害者、子供など多世代が交流でき、元気な高齢者を中心としたボランティアが運営する居場所づくりを進める区市町村を支援するものでございます。本年四月に区市町村説明会を実施し、十月に五つの自治体に対し交付決定しており、現在、追加の申請を受け付けております。
 続いてもう一事業、ICTを活用した地域包括ケアシステムの構築モデル事業につきましては、サービスつき高齢者向け住宅等を拠点として、ICTを活用した地域の見守りに取り組む事業者を支援するものでございます。事業実施に当たりましては、有識者や事業者団体等からヒアリングを行い、本年八月に事業者の募集を開始しており、今後、交付決定する予定でございます。

○まつば委員 採択された事業が着実に進んでいることを確認させていただきました。
 それでは、十事業のうち四事業が採択をされたということでございますので、六事業は採択をされなかったということでございますけれども、採択されなかったというこの方式については、そういう取り決めでインターネットの投票でやったわけですので、それはそれでいいんだと思っております。
 ただ、この六事業については、この内容について、いい内容もあるのではないかというふうに私自身は受けとめておりますが、福祉保健局としてどのように受けとめているのかお伺いをいたします。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都民による事業提案制度は、都政の喫緊の課題を解決するため、都民の声を直接施策に反映することで、行政にはない新たな発想の活用や、都民の都政への参画を目指して構築された、都民が提案し、都民が選ぶ制度でございます。
 局といたしましては、今回のインターネット投票の結果、選定された事業にしっかりと取り組みますとともに、選定されなかったご提案につきましても、都民からいただいた貴重なアイデアとして、今後の施策立案の際の参考にさせていただきたいと考えております。

○まつば委員 今、採択されなかった事業について、アイデアとして今後の施策立案の参考にさせていただくと、こういうご答弁がありました。都民の方がさまざまな提案をされたものでございまして、また、その上で、事業化ができるような構築をされてインターネット投票までいった事業でもございますので、このアイデアについては、ぜひ施策立案の参考としていただきたいと改めて申し上げておきます。
 私は、この中で、特に家族介護者ハンドブックというのに注目をしたわけでございます。この介護の問題については、突然介護の状態がやってくるということで、介護経験者の方は、誰もが、自分がこんな経験をするとは思っていなかったと、その後、振り返っていらっしゃるというふうにもいわれておりまして、ある日突然、介護というのは始まるわけです。
 そうしたときに、何の知識もないまま、介護という日常に突入をしてしまいまして、情報を得ることもできず、選択の余地がないということが家族介護者の現状として指摘もされているということから、こうした家族介護者ハンドブックのような、介護といったことについて、一体どういうことが想定をされるのか、また、どういったところに相談をしたらいいのかというようなことについて、やはり事前に都民の方がそうした知識をお持ちいただくということも非常に重要だというような視点から、私は、この家族介護者ハンドブックのような取り組みも大事ではないかと、こういうふうに思ったところでございます。
 そうした取り組みについて局はどうお考えになるのか見解をお伺いいたします。

○粉川高齢社会対策部長 核家族化や高齢者単独世帯の増加、介護と仕事の両立など、介護に関する不安を感じている人は多く、また、高齢者を在宅で介護する家族は、心身の負担感や社会からの孤立を感じることが多いといわれております。
 都は、家族介護者支援に取り組む区市町村を包括補助で支援しており、お話の家族介護者にとりまして、心の準備や不安の解消につながる介護や医療に関する情報提供のための取り組みにつきましても補助の対象としております。

○まつば委員 それでは、介護者への支援についての取り組みの状況についてお伺いをいたします。

○粉川高齢社会対策部長 高齢者を在宅で介護する家族の負担を軽減するため、介護保険制度の地域支援事業により、区市町村は、家族介護者に対するリフレッシュの機会の確保や相談事業などを実施しております。
 これに加えて、都は、認知症の人やその家族の交流支援拠点の設置などに取り組む区市町村を包括補助で支援しているほか、ショートステイや小規模多機能型居宅介護など、家族介護者のレスパイトにも資するサービス基盤の整備を独自の補助により進めております。
 今後とも、在宅で生活する高齢者を支える家族のニーズを踏まえ、支援の充実を図ってまいります。

○まつば委員 家族介護者への支援ということについては、さらに充実を図っていただきたいと、このように申し上げておきます。
 続きまして、防災対策について質問をさせていただきます。
 二〇一一年の東日本大震災の後、都議会におきましても防災対策特別委員会が立ち上がりまして、私もその理事として議論に参加をさせていただきました。首都直下地震の被害想定に基づき、地域防災計画というのを策定もするというようなものでもございました。その後、私は、女性視点の防災対策ということについても、この間、取り組ませていただいてまいりました。
 そうした中で、きょうは、福祉保健局にかかわる防災分野というところについて質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、福祉保健局にかかわる防災分野の取り組みについて、一体どういうものがあるのか最初に確認をさせていただきます。

○後藤総務部長 福祉保健局では、さまざまなミッションをいただいておりますけれども、防災に関しましては、災害発生時における医療の確保や救助物資の輸送、配分に関すること、さらには高齢者や障害者など災害時の要配慮者への支援など、被災者の生命や生活に密着した業務を担うこととなっております。
 こうした役割に基づきまして、まず、災害の発生に備えて、災害時に重症者の治療を行う災害拠点病院の確保、あるいは食料、生活必需品の備蓄のほか、震災時の施設利用者等の安全を確保するため、保育所や特別養護老人ホーム等の社会福祉施設の耐震化に必要な経費の補助なども行っております。
 また、災害発生時には、災害現場で救命措置等を行います東京DMAT、あるいは医療救護班、保健活動班などの派遣、さらには生活再建に向けました義援金の募集、配分や被災者生活再建支援金の支給などを行っております。

○まつば委員 これから随時、きょう課題とするべきものを確認させていただきますけれども、東京都は総務局に総合防災部がございまして、そこで総合防災訓練や帰宅困難者対策、それに伴う一時滞在施設等の取り組み等もされております。今、総務部長からお話ございましたけれども、福祉保健局が取り組まれていらっしゃる防災対策というのは非常に大きいものがあると、こういうふうに私は感じております。大変重要な役割を果たされているということであると思っております。
 その中で、一つ一つ少し確認をいたしますけれども、まず、備蓄ということなんですが、東京都の備蓄に対しての役割ということについて、まず確認させていただきたいと思います。

○坂本生活福祉部長 首都直下地震等の災害時におけます都の備蓄の役割でございますが、東京都地域防災計画に基づきまして、広域的な見地から区市町村備蓄物資の保管を行うこととしております。
 具体的には、現行の第十四次計画におきまして、首都直下地震等の発生に伴い、約二百二十万人の方が避難所に避難することを見込んでおります。発災被害による道路や鉄道網の寸断によりまして、平常時の物資の流通機能が被害を受けた場合に、避難者の生命を守るため、食料や水、毛布等の生活必需品を確保し、その物資を迅速かつ的確に供給することとしております。
 特に、発災直後は、物資輸送ルートとなります道路の被害や、消防、警察、自衛隊などによります人命救助活動が優先されますことから、被害地域の外から輸送による物資の確保が困難と想定されております。そのため、発災後三日間は、原則として都と区市町村の地域内備蓄で対応するものとしておりまして、本年四月一日現在、約二千三百八十二万食の食料や、生活必需品といたしまして約二百八十七万枚の毛布などの物資を備蓄しているところでございます。

○まつば委員 大変な食料の備蓄もされているということなんですけれども、更新という時期が食料であれば当然ありまして、賞味期限が切れるということなわけなんですけれども、こういうときに更新があると。
 私、このときに、アプローチの方向性はちょっと違っていたんですが、食品ロスという課題に取り組んでおりまして、食品ロスをどう減らすのかということを私自身検討していったときに、備蓄食品についての食品ロスの削減ということが非常に重要であるであろうというところから、確認を当時させていただいたところ、私の記憶ですのでもし間違っていたらご答弁いただきたいんですが、そのとき、当時としては、福祉保健局で備蓄をされていて、更新される備蓄食品については約八割が廃棄をされていたと、こういうふうに私は、そのときに確認させていただきました。
 そこで、これはやはり、大きな災害がなかったということに感謝をしながら、この備蓄食品はしっかり食べていくということが大事ではないかということを提案させていただきまして、当時、環境局と福祉保健局、それから総務局の一時滞在施設の備蓄食品もございますので総務局で、この私の提案も受け入れていただいて、取り組みを進めていただいたわけです。
 そして、平成二十八年の二月と四月に、福祉保健局さんの備蓄食品のうち六十七万食を福祉設備やフードバンク、自治会などに提供をされたと。そして、そのことについて、提供されたんだけれども、それを召し上がってみた都民の方々から、このクラッカーというのは水がないとなかなか食べれないですよとか、いろいろなお声が実はありまして、そのことをまた私申し上げさせていただいて、平成二十九年四月から五月にさまざまなアンケートを実施していただいて、六月に結果がまとめられたと認識をしております。
 このアンケートというのは、提供品目がクラッカーとかクッキーとかショートブレットとかお米のスナックとか、そうしたものを試食した感想がおいしかった、おいしくなかった、備蓄食品としてふさわしいか、ふさわしくないかというようなアンケート調査をしていただいて、その上で、その後の更新に対しては配慮して取り組まれるということになったというふうに私は記憶をしております。
 このことを踏まえてご答弁をいただきたいと思うんですけれども、備蓄品のうち食品について、現在の取り組み、更新においての食品ロスを削減するという取り組みはどうなっていらっしゃるのか、まず確認をさせてください。

○坂本生活福祉部長 現在、都が災害用として都内の倉庫に備蓄しておりますアルファ化米やクラッカー等の食料の賞味期限でございますが、製造後五年間としておりまして、賞味期限が近づいた備蓄食品につきましては、福祉保健局災害救助用食料の寄附基準に基づきまして、都民の防災意識の啓発を図るため、区市町村等で実施する防災訓練で活用する場合に寄附するなど有効活用に努めていたわけでございますが、委員ご指摘のとおり、有効活用に努めて有効活用ができなかったものについては従前廃棄していたところでございます。
 昨年度、賞味期限を迎えました約五十万食の食料につきましては、環境局と連携いたしまして、社会福祉施設、フードバンク、子供食堂、自治会等に寄贈したほか、小中学校に対し防災教育等での活用の働きかけを行いまして、三十八校の公立小学校への寄附を実施しているところでございます。

○まつば委員 そのときに幾つかご指摘があった中に、はんぶん米というのがあったんですけれど、これは多摩地域の防災会の方からお問い合わせがあったものなんですね。(現物を示す)この白米を食べてみたら、なかなか食べにくかったと、こういうお話だったわけなんですけれども、この白米というのは一体どういったものなのか、そして、その後こうしたことについてどう対応されたのかお伺いいたします。

○坂本生活福祉部長 今、理事にお示しいただきました白米でございますが、この白米は、腎臓病の患者団体からのご要望を受けまして、平成二十年度から、透析患者などを対象とした食料として備蓄しているものでございます。難消化性たんぱく質の割合が高い品種のお米を使用したアルファ化米でございまして、通常の白米を使用したものに比べますと、味などに違いがございます。
 平成二十八年度に賞味期限を迎えたものにつきましては、地域における防災活動用として寄附いたしましたため、ご指摘のとおり、配布を受けた都民の方から味などについてさまざまなご意見を頂戴したところでございます。
 そのため、今年度期限を迎えます約三万食のこのアルファ化米につきましては、NPO法人東京腎臓病協議会と連携いたしまして、当団体主催のイベントでございますとか患者会を通じて関係医療機関で配布をいたしますとともに、こうしたアルファ化米が備蓄されているということにつきまして、透析患者などへの周知を行うこととしております。

○まつば委員 今、ご説明がございましたが、平成二十年から備蓄をしていただいたこの白米、こういうものを備蓄されたというのは非常に重要で大事なことだと思うんです。
 ただ、私がこのときに非常に課題だと思ったのは、これが平時に普通に配布をされたということから考えると、災害時にきちっと必要な方にこれが届くのかということについてはちょっと疑問が残るというふうに私自身は思っております。ですので、必要な方に必要な備蓄食品が手にとっていただけるようにしていくということも大事だということで、きょう改めて取り上げさせていただきました。
 さらに、平成三十年度の更新時期の白米については、NPO法人東京腎臓病協議会と連携をして、その患者の方々等に配布をされたということですので、ああ、こういうような備蓄品があるんだなという認識もしていただいたと思いますし、これは非常に大事な取り組みだったということを評価させていただきたいと思います。
 さまざま今お話をさせていただきましたけれども、現在、この食品の選定に当たって注意をされている点、また、配慮されている点はどういうことなのかお伺いをいたします。

○坂本生活福祉部長 都が備蓄しております食料の選定に当たりましては、賞味期限でございますが、これは五年間としておりまして、また、一定のカロリー量を確保することなどの水準を求めております。従前は乾パンが主要品目でございましたが、現在はアルファ化米、クラッカー、ショートブレットなどへの見直しを進めております。
 平成二十八年度に環境局と連携し、期限切れ前の備蓄食品を社会福祉施設やフードバンク等に提供したモデル事業でのアンケートでは、味、食べやすさなどに関しまして、全体的においしいとはいえないものだったなど厳しいご意見をいただいております。
 こうした意見を踏まえまして、平成二十九年度の備蓄食品の選定に当たりましては、新宿西口広場での民生児童委員のイベントでございますとか、墨田区と立川市にあります東京消防庁の防災館に来られた方に実際に試食をしていただきまして、そのご意見を踏まえ、新たに特定原材料、アレルギー物質の二十七品目未使用の米粉のクッキーや、それから試食会で評価が高かったクリームサンドビスケットを導入するなど、品目の見直しを実施してきております。

○まつば委員 さまざま取り組みが進んだということを私は大変評価をしたいと思います。
 災害時に食べるものなので、ぜいたくはいえないと。だからこそ、少しでも元気が出るものを備蓄食品としては備えていただきたいということを改めて申し上げておきます。
 続いて、液体ミルクについての取り組みをお伺いしたいと思いますが、赤ちゃんにとっての食料というのは母乳もしくはミルクということになるわけでございますけれども、液体ミルクについて、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○谷田少子社会対策部長 乳児用液体ミルクは、粉をお湯で溶かさずそのまま飲めるため災害時に有用とされており、製造段階で滅菌されているため安全でございます。
 そのため、本年六月、都は独自に、災害時に乳児用液体ミルクを海外から緊急に調達できるよう民間事業者と協定を締結いたしました。
 また、平成三十年七月豪雨災害で被災した岡山県倉敷市及び愛媛県並びに平成三十年北海道胆振東部地震で被災した北海道からの要請を受けまして、国とも調整を行った上で、救援物資として乳児用液体ミルクを提供いたしました。
 今般、国において規定整備の取り組みが進められ、国内でも乳児用液体ミルクの製造販売が可能となり、製品化に向けた動きもございますが、実際に流通するまでの間は、引き続き、国とも連携し、災害時に乳児用液体ミルクを迅速に確保してまいります。

○まつば委員 液体ミルクについて、災害時に確保ということを取り組まれていらっしゃるわけなんですけれども、今のご答弁では、実際に日本の国内で製造販売が可能となり、流通するまでの間というご答弁だったわけなんですけれど、報道では、乳児用液体ミルクについて、日本での販売が来年春にも始まる見通しとなったという、あるメーカーさんの記事も出ているところです。
 ですので、この流通するまでの間はというところでの今ご答弁だったんですけれども、流通するまでの間といっても流通するのは間もなくであるということからすると、この検討は既に始められているというふうに思っているわけです。
 液体ミルクと多分同じ扱いで考えられるのが、災害時用調製粉乳等の備蓄ということで書いてある事業概要の部分なのかなと思うんです。いわゆる粉ミルクですね。粉ミルクの備蓄については少子社会対策部の方でされていらっしゃるということなんですけれども、粉ミルクに加えて、液体ミルクをどういう形で備蓄をされていくのかというのはこれからの課題だと私も受けとめています。
 母乳育児の方もいらっしゃいますので、避難所で安心して授乳ができる環境をしっかりつくるということは非常に大事なことで、その上で、ミルクで育てていらっしゃる方もいらっしゃる。また、災害時に、ストレスなどにより母乳の出が悪くなる場合もありますので、このミルクというのは大事である。また、安心な水を確保し、お湯を沸かして、そして粉ミルクでミルクをつくるということから考えると、液体ミルクの災害時の活用というのは非常にすぐれている部分があると私も思っておりますので、きょうは、流通する前の間、以降の検討状況についてはお伺いいたしませんけれども、流通した段階できちっと速やかに取り組んでいただけるようにお願いしておきたいと思います。
 次に、生活必需品についてお伺いをいたしますけれども、備蓄品の中の生活必需品の配慮点についてお伺いをいたします。

○坂本生活福祉部長 都が購入いたしまして、本年四月一日現在、都が設置している倉庫と区市町村に寄託している倉庫に、毛布が約六十八万枚、カーペットが約九十万枚などを備蓄しているところでございます。
 このうち、毛布とカーペットにつきましては、購入からの年数が経過し、こん包の劣化やこん包方法などが大きく重いなどの課題がございまして、昨年度より、運びやすい形状への再こん包でございますとか、パレット積みによります保管への変更を進めております。
 昨年度は、毛布のこん包状態などを確認して、改善が必要な毛布七千枚につきまして、洗浄した上で再こん包とパレット化積みの保管を実施いたしまして、今年度は、毛布が約十一万枚、カーペットが約十万枚について改善を進めております。
 地震等の発生時におきまして、物資を迅速、効率的に搬出できる備蓄体制の構築を図るため、今後も計画的な改善を図ってまいります。

○まつば委員 次に、避難所運営についてお伺いをいたします。
 避難所運営の都の役割について、まず確認をさせていただきます。

○谷田少子社会対策部長 震災等大規模な災害が発生し、多くの都民が自宅等からの避難を余儀なくされた場合、区市町村は、それぞれが定める地域防災計画に基づき、避難所を速やかに設置することとされております。
 都は、避難所において、良好な生活環境が確保されるよう、東京都地域防災計画に基づき、災害想定を考慮した避難所の指定、女性や子供への配慮やトイレの確保等について記載いたしました避難所管理運営の指針を区市町村向けに作成しております。
 今後とも、区市町村が地域の特性や実情に応じて避難所を運営できるよう、避難所運営マニュアルの作成や改定を行うよう働きかけてまいります。

○まつば委員 今、都の役割ということでご説明いただきましたけれども、災害発生時においての避難所についての都の役割というものもあるのではないかというふうに思うわけです。
 お話を伺いますと、避難所を開設しましたということを東京都に報告される、その窓口に少子社会対策部がなられるというようなことでお伺いしたんですけれども、それは間違っていないでしょうか。

○谷田少子社会対策部長 先ほど答弁申し上げましたけれども、私どもは避難所の管理運営の指針等を作成しておりますが、そうしたお話があれば、私どもの方が窓口になるということは間違いございません。

○まつば委員 時間もありませんのでこれ以上議論いたしませんけれど、私がちょっと申し上げたかったのは、災害時について、避難所運営についての東京都の窓口がどこになるのかということです。なので、今、避難所運営の都の役割についてお伺いをしたので、そこも含めてかなという、ちょっと認識をしたものですので確認をしたかったところです。

○谷田少子社会対策部長 大変失礼いたしました。そうした場合でも、避難所の窓口というのは、災害発生時ですよね、そういうことも間違いございません。

○まつば委員 少子社会対策部でこれをされるのは、私、大変お気の毒かなと思っています。少子社会対策部で発災時に、東京都内の避難所の情報を全てそこに集約をしていくというのは、なかなか大変なことではないかなと、役割分担としてですね。そういうように思いましたので確認させていただきました。申しわけありません。
 次に、福祉避難所の状況について確認をさせてください。

○後藤総務部長 区市町村は、災害発生時に要介護度や障害の程度が高く、専門的なケアなどの特別な配慮を必要とする方、災害時要配慮者といっていますけれども、そういった方々が避難して滞在することとなる福祉避難所といたしまして、特別養護老人ホーム、あるいは障害者の入所施設などを指定しておりまして、平成三十年四月一日現在の指定数といたしましては、区部で八百三十九カ所、市町村部で五百八十五カ所、合計で一千四百二十四カ所となっております。

○まつば委員 それでは、災害時要配慮者支援についてお伺いをいたします。

○後藤総務部長 今申し上げました高齢者や障害者などの災害時要配慮者のうち、大規模な災害が発生した際に、円滑かつ迅速な避難の確保を図るために、特に支援を必要とする避難行動要支援者、こういった方々の一人一人の個別避難計画の策定、あるいは福祉避難所の運営マニュアル作成などの区市町村の取り組みを包括補助で支援しております。
 また、都では、東京都社会福祉協議会や職能団体等と連携しておりまして、福祉避難所で要支援者の支援にかかわる職員に不足が生じた場合には、区市町村からの要請に基づきまして、被災地以外の地域から専門職を派遣することとしております。

○まつば委員 続きまして、非常用電源設備の件について質問をいたします。
 北海道胆振東部地震では、ブラックアウトによりまして、道内の多くの病院や、特に、災害拠点病院等、停電となりまして、また、水道も使用ができなくなったと。そういった中で、人工呼吸器がとまったり、他の病院への入院患者さんの救急搬送、外来患者の受け入れの断念、手術の休止事例等が起きたわけでございます。
 そうした意味からは、何らかの事情によって電力供給が途絶える事態に備えて、病院が非常用電源装置を備えておくことは極めて重要であると思っております。
 そこで、医療機関の非常用電源設備設置の状況について、まず確認をいたします。

○花本医療政策担当部長 災害時に、主に重症者の収容、治療を行う災害拠点病院は、国の指定要件におきまして、通常使用する電力の六割程度の発電容量がある自家発電機の保有や、三日分程度の燃料確保が規定されておりまして、都が指定する八十二病院全てが自家発電機を保有しております。
 また、都独自に災害拠点病院を補完し、主に中等症者等の収容、治療を行う災害拠点連携病院を百三十七病院指定しておりまして、その全てが自家発電機を保有しております。

○まつば委員 ことしの八月に、災害拠点病院及び災害拠点連携病院を対象に行った調査をされていると思いますので、その結果についてご報告いただきたいと思います。

○花本医療政策担当部長 ことし八月、災害拠点病院及び災害拠点連携病院を対象に、自家発電機の設置状況、浸水対策、揺れ対策等について詳細な調査を実施いたしました。
 調査の結果、自家発電機の出力数が通常の六割を確保できると回答した連携病院は八十病院、そのうち、七十二時間の燃料が確保できていると回答した病院は十六病院で、全百三十七の連携病院の一一・七%でございました。
 地下に自家発電機を設置している病院で浸水対策を行っていると回答した拠点病院は、五十七病院中四十四病院、連携病院は二十七病院中二十病院でございました。
 自家発電機の揺れによる損傷への対策を行っていると回答した拠点病院は、八十二病院中四十六病院、連携病院は百三十七病院中三十二病院でございました。

○まつば委員 今、調査結果についてご報告がございましたけれども、やはり電源設備の強化というのを図るべきではないかというふうに、この結果を私は受けとめるところでございますけれども、今後の方向性、支援についてお伺いいたします。

○花本医療政策担当部長 都は、今般の調査結果を踏まえまして、有識者や医療関係者等で構成する災害医療協議会を開催いたしまして、電源や燃料の確保などに関する課題や、今後の取り組みについて協議を行い、協議会の意見に基づきまして、専門家を委員とした検討部会を設置して、具体的な検討を行うことといたしました。
 今後、災害拠点病院及び災害拠点連携病院の機能強化に向けた支援について、今年度内に検討結果を取りまとめる予定でございます。

○まつば委員 十月十九日に厚生労働省の方から事務連絡ということで、社会福祉施設等における災害時に備えたライフライン等の点検についてと、こういう書面が来ていらっしゃると思います。特に、ことしのさまざまな災害ということを踏まえて、停電に備えた点検、また、断水に備えた点検、ガスがとまった場合に備えた点検、通信がとまった場合に備えた点検、物資の備蓄状況の点検等、これを確認していただきたいという旨の国からの通達であるというふうに思っているわけでございます。きょうは、このことについてはやりません。
 先ほど福祉避難所のお話しましたけれども、福祉施設の中で福祉避難所になっているところもあるわけです。そういう意味では、福祉施設の中での電源設備等の考え方というのはこれから大事になってくると思うんですけれども、福祉避難所というのは一つ特別な分類として強化をすべきではないかと私自身は考えております。
 きょうは、これを踏まえた上で、在宅の方々への非常用電源装置について、どういう支援を東京都は現状されているのか、難病患者さん、また、難病患者さん以外の方ということでご答弁いただきたいと思います。

○成田保健政策部長 東日本大震災が起きた際、都内でも計画停電が行われるなど、電力不足が懸念されたことから、都は、在宅で人工呼吸器を使用している全ての方に対しまして、自家発電装置等を医療機関を通じて無償貸与する緊急対策を平成二十三年度及び二十三年度に実施いたしました。
 平成二十五年度以降は、難病患者への支援につきましては、新たに在宅に移行した人工呼吸器を使用している難病患者の方に対して、自家発電装置等を無償貸与する医療機関に対しまして、購入経費の補助を実施しております。
 難病患者以外の在宅で人工呼吸器を使用している障害者や医療的ケア児等には、必要な非常用電源を確保する区市町村を包括補助で支援しております。

○まつば委員 ただいま、人工呼吸器については、難病患者さん以外の在宅での人工呼吸器の方への必要な非常用電源、例えば、医療的ケアが必要なお子さん等に対してですけれども、区市町村に対して包括補助で支援をしているということだったんですが、この包括補助を活用して取り組みを行っている区市町村の状況について教えてください。

○田中医療改革推進担当部長 包括補助につきましては、平成二十六年度及び平成二十九年度に、新宿区が本事業を活用して取り組みを行っております。また、平成三十年度は、目黒区と八王子市から交付申請があったところでございます。

○成田保健政策部長 先ほどの答弁におきまして、無償貸与する緊急対策について、二十三年度及び二十三年度というふうに申し上げてしまいましたが、正しくは、二十三年度及び二十四年度の二カ年でございます。大変失礼いたしました。

○まつば委員 ご丁寧にありがとうございました。
 今、区市町村の包括補助ということで、今年度も含めて三区市ということでした。これについては、包括補助を活用していない取り組みを区市町村で行っている場合もあるのかということもありますので、在宅での難病患者さん以外で人工呼吸器を使用している方々への非常用電源の確保の状況について、また調査をしていただきたいということについて要望をしておきます。
 最後に、風疹対策について取り上げさせていただきます。
 第三回定例会の九月二十六日の代表質問におきまして、公明党は風疹対策を取り上げさせていただきました。その際、申し上げましたことは、ウイルス性の感染症である風疹の患者が首都圏を中心に急増し始めていること、風疹はインフルエンザの二倍から四倍も感染力が強く、予防にはマスクや手洗いだけでは不十分とされており、ワクチン接種が最も有効な予防方法といわれていること、妊娠初期の女性が感染すると胎児が難聴や白内障、心臓病などを伴う先天性風疹症候群になるおそれがあるけれども、妊婦自身はワクチン接種を受けることができない、したがって、妊婦や妊娠を希望する女性の家族を初め、周囲の方が早目に接種することなど予防に努める必要があると。
 こういうことから、ワクチン接種の費用の助成など総合的に取り組みを強化すべきだと、こういう質問をさせていただきました。
 その後、十月二十六日には、東京都は、風疹の流行を踏まえて、緊急対策を決定、発表されたわけであります。
 その経緯を踏まえまして、まず、緊急対策前の都の風疹の取り組みはどのようなものだったのか確認をさせていただきます。

○吉田感染症危機管理担当部長 委員ご指摘のとおり、風疹対策における最重要の課題は、先天性風疹症候群の発生防止でございます。
 主な対策となりますのは予防接種の推進でございますが、それに必要なワクチンは計画的に生産されており、短期間に生産量を増加させることが難しいことから、効果的かつ効率的な接種の実施が求められるところでございます。
 このため、都は、風疹への免疫が十分でない妊娠を予定または希望する女性を対象といたしました区市町村の予防接種の取り組みを包括補助により支援してまいったところでございます。

○まつば委員 十月の緊急対策でございますが、その経緯と内容についてお伺いいたします。

○吉田感染症危機管理担当部長 本年七月からの患者増加以降、十月に入りましても風疹の流行が続いてございまして、患者は減少する傾向が見られなかったことから、さらなる対策が必要となったところでございます。
 一方、国におきましては、国内の風疹の流行状況を踏まえ、ワクチン製造販売業者等に対しまして、風疹が流行する五都県への出荷をふやすよう依頼をしたことから、ワクチン確保の見込みが立つ状況となりました。
 こうした状況の変化を踏まえまして、都は、緊急対策といたしまして、包括補助で支援する予防接種の対象を、風疹への免疫が十分でない妊婦の同居者、妊娠を予定または希望する女性の同居者に拡大いたしました。

○まつば委員 この緊急対策を受けて、包括補助で支援する予防接種の対象を拡大したというお話だったんですけれども、この緊急対策を受けて、区市町村では、現在の対応がどうなったのか確認をさせてください。

○吉田感染症危機管理担当部長 都が区市町村に対して行った調査によりますと、今般の緊急対策で拡大した妊婦の同居者、妊娠を予定または希望する女性の同居者のいずれか、または両方を予防接種の対象としております自治体は、本日までの集計で都内六十二区市町村のうち五十五区市町村でございます。
 また、まだ実施していない自治体においても、その多くは検討中または今後実施予定であると聞いているところでございます。

○まつば委員 緊急対策によるこの包括補助で各区市の取り組みが進んだということを確認させていただきました。ですので、この緊急対策については評価したいと思います。
 流行は今なお続いておりまして、二十日には、国立感染症研究所は、ことし初めから今月十一日までに報告された風疹患者が計二千三十二人になったと発表をいたしました。都道府県別では、都は七百十六人と最も多いということでもございましたので、さらなる対策が必要だと考えておりますが、今後の対応についてお伺いをいたします。

○吉田感染症危機管理担当部長 国の感染症流行調査によりますと、三十代から五十代の男性におきまして、風疹の抗体価が低い方が二割程度存在していることが判明してございます。
 厚生労働省は、今般の流行を受けまして、感染拡大防止のため、ワクチン製造業者に対しまして、可能な限りのワクチン増産を依頼するとともに、来年度予算の概算要求で、抗体検査の対象を三十代から五十代の男性に拡大することを盛り込んでございます。
 都は、こうした状況を踏まえまして、対策を強化するため、風疹への免疫が十分でない三十代から五十代の男性の方々を、包括補助で支援する予防接種の対象とすることを検討しております。

○まつば委員 今、今後の対応ということで、三十代から五十代の男性の方々を、包括補助で支援する予防接種の対象にすることを検討されるということでございました。
 一昨日、公明党の山口代表が記者会見の中で、政府が第二次補正予算を組むという中に、風疹の対策を入れるべきだと、こういう発言をされました。今、アメリカの疾病対策センターなどでは、日本への渡航に対する注意喚起も行われているということでございまして、特に妊婦の方々。そういう状況になっております。
 今後、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックで大勢の方々が海外からもお見えになると。また、日本の方々も海外にお出になるという中で、多くの方が交流されるという中で、日本での風疹の流行を放置するということはあってはならないというふうに思っております。
 そこで、最後に、局長の風疹対策に対しての今後の決意をお伺いいたします。

○内藤福祉保健局長 ただいま担当の部長の方からも、この間の取り組み等々をご説明させていただきました。改めまして、風疹は妊婦に感染することで胎児に深刻な影響を及ぼすことがあることから、都はこれまで、先天性風疹症候群の発生防止を最優先に、このことを基本に風疹対策に取り組んでまいりました。
 今般の流行を受け、都は、緊急対策として予防接種の対象を拡大しており、対象者の方には積極的にお受けいただきたいというふうに考えております。区市町村と連携してその周知を引き続き図ってまいりたいと考えております。
 また、理事からお話しいただきましたように、現在、都は、まさにオール東京、オールジャパンというフレームの中で、二〇二〇オリンピック・パラリンピック東京大会、その準備を進めているところでございます。今後、都民だけでなく、都を訪れる全ての方の安全・安心を確保するためにも、率先して取り組みを進めていく必要があると考えております。
 今後とも、国や区市町村、関係機関との緊密な連携を図りつつ、機を逸することなく風疹対策に取り組んでまいりたいと考えております。

○まつば委員 今、内藤局長の積極的なご発言に期待するところでございます。どうか、局長を中心に、福祉保健局の皆様方が一致団結をしていただいて、都民の皆様の福祉向上のために、お力をさらに注いでいただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

○栗林委員長 それでは、この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をとらせていただきたいと思います。
   午後六時三十分休憩

   午後七時開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○白石委員 私から、三テーマについて質問をいたしたいと思います。
 まず初めに、放課後等デイサービスへの報酬改定に伴う判定についてを質問いたします。
 障害のある子供たちの放課後活動を保障することを目的として、二〇一二年に国事業として放課後等デイサービスが制度化をされました。制度化される以前は、とりわけ学齢期の障害児への放課後活動の重要性は十分に認識をされていなかったため、関係者や保護者などが障害児の放課後活動の重要性を訴え続けました。そうした中で、法改正を契機に、学齢児童を対象とした放課後等デイサービスが制度化をされ、支援が位置づくということになりました。放課後等デイサービスが制度化されたことをきっかけとして、全国規模で事業所数は拡大をしております。
 東京都では、国の放課後等デイサービスの制度ができるはるか以前から、都単独の放課後活動の事業が行われており、豊かな実践が積み重ねられてきました。国制度ができた際に、東京都は独自制度をなくしてしまいましたが、長年、障害児への支援を行ってきた事業者の実践の蓄積がなくなったわけではありません。東京都は、この財産を生かして、放課後活動への支援を拡充していくことが必要であるというふうに、まず初めに皆さんにも訴えたいと思います。
 それでは、まず伺いたいと思いますけれども、障害のある子供たちの放課後活動の意義をどのように認識をしているのか、お答えいただきたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 厚生労働省の資料では、学校に就学している障害児が放課後や夏休み等の長期休暇中に、生活能力向上のための訓練等を継続的に行うことにより、学校教育と相まって障害児の自立を促進するとともに、積極的に地域との交流を図ることにより、子供の社会経験の幅を広げていくものとされております。

○白石委員 厚労省の資料で説明をしてほしいといっているわけではなくて、やはり東京都自身で、この放課後活動の意義というのをしっかりと言葉でいってほしいと改めていいたいと思います。
 進めますけれども、まず、全国学童保育連絡協議会が実施した調査、これは二〇一二年五月ですけれども、これによれば、子供が学校にいる時間というのは年間平均で約千二百二十一時間である一方で、休日や夏休みなど長期休暇を含めた放課後に過ごす時間というのは約千六百八十一時間となっております。つまり、学校で過ごす時間よりも約一・三倍も放課後で過ごす時間が長いと、このようにされております。子供たちにとって放課後活動というのは、ここから見ても非常に重要だということは、もう、明らかだと思います。
 放課後活動など子供が主体的に遊ぶ重要性というのは、今さまざまなところで指摘をされています。例えば、東京慈恵会医科大学名誉教授の前川喜平氏は何といっているか。子供と遊びについて次のように指摘をしております。遊びは子供の活動と学びの原点であり、遊びにより、心や体の発達、社会性、情緒面、それから我慢すること、やってよかったという達成感の発達などが促進されると、このようにいっています。全ての子供にとって、主体的な遊びはなくてはならない活動だということなんです。
 また、子どもの権利条約にも、遊ぶ権利というのは明記をされております。全ての子供に遊ぶ権利を保障することを世界的にも、もう、認めていると。権利なんだというふうに掲げております。
 しかし、障害のある子供たちは、保護の観点から、小さいころから、与えられてそして遊ぶという経験が多いため、主体的な遊びの体験が欠けているということが少なくありません。本来、全ての子供たちが受ける遊ぶ権利を障害児にも保障をするのが放課後等デイサービスであり、地域になくてはならない存在であることを改めて強調したいというふうに思います。
 ところが、国はことし四月に、放課後等デイサービスの報酬改定を行うとして、子供たちの障害の重さを二つに分けました。その基準に基づいて、障害が重い児童が半数以上だと区分が一、半数未満だと区分が二とする、障害の重さの割合によって報酬の額に差をつけていきますというのを、国がことし四月に行いました。
 この国の報酬改定の目的というのは、都はどのように認識をしているのか伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 平成三十年度の報酬改定において、国は、放課後等デイサービスなどの障害児通所支援について、利用する障害児が障害特性に応じた適切な支援を受け、生活能力の向上などが図れるよう、サービスの質を確保し、適切な評価に基づく報酬体系としたと説明をしています。
 また、それまで一律の単価設定となっていた基本報酬についても、障害児童の状態像を勘案した指標を設定し、報酬区分を設定したと説明しております。

○白石委員 今、ご答弁されたのを簡単にいいますと、利用する障害児が障害の特性に応じた適切な支援を受けるようにするためという説明ですね。重度の障害児への支援のための制度充実は、運営事業者の方々の要望でした。しかし、実際には説明とは全く違う結果が全国規模で現在広がっていると思います。
 全国放課後連は、報酬改定に伴って事業所の運営にどのような影響が出るのか、全国の事業所にアンケート調査を実施しています。区分一でも減収となる事業所が半数近く回答しております。そして、区分二では七〇%以上の事業所が減収の見込みであると、このようなことがこの調査でも明らかとなりました。結局、区分一でも減収になってしまう。国の先ほどの説明では、適切な支援を受けるようにするためと、このように説明をするけれども、現実は違うと。区分一でも、そして区分二ではさらに、七〇%以上の事業所が減収になるよという回答です。
 減収により、どういう対応が迫られるか、ここでもアンケート結果が出ています。まず、人件費を削減して対応と回答したのが約半分、四九%です。活動内容を見直して対応するとしたのが三割、三二・九%。事業所自体の廃止危機は、何と二割に上るという調査結果でした。人件費の削減やサービスの見直しなど、必要な支援を切り下げるものになっていると思います。
 そこで、都内の状況について幾つか質問したいと思います。
 都内の事業所のうち、区分一となった事業所数、また、区分二となった事業所数はそれぞれ幾つなのか、お答えいただきたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 平成三十年十月一日現在、指標該当児童が五〇%以上いる区分一に該当する事業所は百九十七事業所、指標該当児童が五〇%未満である区分二に該当する事業所は五百九十六事業所でございます。

○白石委員 つまり、都内の約八百事業所中、約四分の三が報酬の低い区分二に指定されたということです。
 これまで障害児の放課後活動を、それぞれの子供たちに合わせて豊かに実践を積み重ね、支援してきた多くの事業所が甚大な影響を受ける判定結果となっていることが、全国のみならず東京でも同様に明らかになったと思います。
 これによりどのぐらいの減収になるのかということで、私も事業所を何件か回りまして聞き取りを行いました。ある事業所では三百万から四百万円の減収になると。職員一人分が減収になってしまう。重度でなくても職員が寄り添って支援が求められる子供はいるんだと、このように訴えていました。必要な支援を区分判定により切り下げられる判定とは一体何なのかと、このような切実な訴えがどこからも出されています。また、重度と思われる子供であるにもかかわらず対象外と判定されたなど、そもそも実態に即した判定が行われていないと、このような疑問や怒りの声が出されています。
 実態と乖離した判定がなぜ多くの区市町村で行われているのか、やはりここの原因がどこにあるのかをまず明らかにしなければならないというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますが、区市町村が指標該当判定の際に用いた資料というのは何だったのか、お答えいただきたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 障害児の状態像の指標による判定に関しては、区市町村が国の判定表に基づいて実施するものでございます。しかし、平成三十年四月一日までに利用する全ての障害児に対する指標の判定は困難であるため、国の通知において、平成三十一年三月三十一日までは、指標の判定に準ずる状態として、区市町村が認めた場合も指標該当児とみなすことができるとされております。
 区市町村は、指標該当児とみなすことができるかの判断を行う際には、障害児の保護者から、通所支給申請があった場合の書類として受領している障害者手帳や特別児童扶養手当を受給していることを証明する書類等を確認しております。

○白石委員 今のご答弁を簡単にいいますと、受給者証を申請したときの書類を見て判断をしたということですね。受給者証というのは何なのかと。福祉サービスを利用するために区市町村自治体から交付される証明書になります。今の答弁でもあったように、この書類による判断を行う場合、放課後デイに通うときに必要となる受給者証を申請する際の調査票などをもとにして区分判定がされたことになります。
 つまり、受給者証を申請したときのこの時期の状態の調査票で判断したということですね。児童によっては、現在の実態ではなくて、受給者証の申請時期の判定が反映されているということですから、例えば、私も事業所に行きましたけれども、そういう子もいました。二〇一二年から放課後デイに通っている児童もいました。二〇一二年、要するに六年前に通うとなれば、六年前に受給者証を申請しますので、その六年前の書類で審査をして指標の該当児になるのかならないのかということで、区市町村の多くがこれをやったと。だから、先ほど答弁していただいたとおり、区分二が圧倒的に都内でもふえている、で、区分一は少ないというふうな状況が今広がったということだと思います。
 指標該当判定に伴って、区市町村が事業所に直接聞き取りを行った自治体数及び保護者への聞き取りを行った自治体数をそれぞれ伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 都が把握している範囲において、事業所に聞き取りを行っている区市町村は八自治体であり、保護者への聞き取りを行っている区市町村は三十八自治体でございます。

○白石委員 つまり、区市町村の数では、全都六十二自治体ありますから、調査票だけじゃなくて、保護者への聞き取りもやったよという自治体は、六十二自治体のうち約六割だと。事業所へ聞き取りを行ったのは、わずか一割程度の自治体にすぎないということが今のご答弁でも明らかになりました。
 また、保護者への聞き取りといっても、私もいろいろ聞きましたが、本人との面識もなく、保護者に電話で聞き取ったため、支援の実態とは大きくかけ離れてしまうというケースもあったというのは、多分皆さんもつかんでいると思いますが、結局、今の実態に即していない状況で判定がこれまでも行われてきたということは明らかです。
 このことからも、利用実態と乖離した判定が行われている現状を国も認識をして、積極的に再判定をするよう通知が、たしか七月二十六日の通達で出されております。
 再判定を行っている自治体数を伺いたいと思います。また、再判定を行う上で、保護者への聞き取りを行った自治体。もう一度いいます。再判定を行っている自治体数を伺いたいのと、それから内訳ですね。要するに、このうちの保護者への聞き取りを行った自治体数、それから事業者へ聞き取りを行った自治体数、それぞれ幾つなのかという内訳も含めてお答えいただきたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 平成三十年五月三十一日時点で、再判定を行うと回答した自治体は十九自治体でございます。そのうち、保護者のみへ聞き取りを行った自治体は十一自治体、事業者のみへの聞き取りを行った自治体は一自治体、保護者及び事業者に聞き取りを行った自治体は三自治体、聞き取りを行わなかった自治体は四自治体でございます。

○白石委員 再判定をした自治体というのは十九自治体と。再判定ですから最初に判定をしていたと。最初の判定をしたときに、保護者へ聞き取った自治体は今おっしゃられたとおり十一自治体である、事業者への聞き取りを行っていた自治体は一自治体、両方最初に、保護者と事業者に聞き取りを行った自治体は三自治体、書類だけで判定をしていたという自治体が四だよと。その合計十九が再判定をしたということでよろしいかなというふうに思います。
 国から七月二十六日に出された再判定の通達を見ると、再判定を積極的に実施することとされている対象に、保護者などからの聞き取りを行うことなく書面のみで判定を行った児童と、このように通達ではされております。先ほどの答弁からすると、書類だけの判定を行っていた自治体というのは、六十二自治体のうち、保護者とそれから事業者に聞き取ったのを最初にそれぞれお答えいただきましたけれども、そこから計算をすれば、書類のみで判定をしている自治体というのは十六自治体あるというふうなことになります。最初の判定のときに書類のみでやって、再判定をしたのは四自治体ですから、十六から四を引くと、つまり、十二の自治体は、いまだに書類だけで判定して指標該当を分けていたことになるというふうな理解でよろしいでしょうか。

○松山障害者施策推進部長 私どもが把握している数字ではそのようになるかと思います。

○白石委員 ありがとうございます。じゃあ、都が把握している段階では、現在も十二の自治体が書類のみで判定をしていたということです。これは本当に重大だと思います。再判定の対象とされている書類だけの審査で済ませている自治体に対して、都として、やっぱり早急に対応することが求められるというふうに思います。
 書類だけで判定をした自治体に対して、早急に、再判定も含めて、都から働きかけるということを求めておきたいんですけれども、続いて伺いたいと思いますが、再判定した十九自治体の判定前と判定後の区分一と区分二の事業所数というのは、それぞれ幾つだったのか、お答えいただきたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 再判定前の平成三十年四月一日の時点での十九自治体における事業所のうち、区分一に該当した事業所が五十四カ所、区分二に該当した事業所が二百二十四カ所でありました。再判定後である十月一日時点では、区分一に該当した事業所が九十六カ所、区分二に該当した事業所が百九十カ所であります。

○白石委員 今の答弁でも明らかなように、当初は指標該当児とみなされなかった子供が、再判定をしたら該当するというふうな見直しがあって、そして、区分が引き上がると。今のご答弁を簡単にいうと、再判定前は区分一の割合は一九・四%ありましたけれども、再判定後には三三・六%へと大きく引き上がると。要するに、再判定をしたら、ちゃんと見たら、最初の判定が間違っていたと。だから、見直したら区分が引き続き上がったと、事業所がですね。こういうことがあるということが今の答弁でも明らかになったと思います。
 そこで伺いたいと思いますが、都は、再判定の必要性をどのように認識をしているのか伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づく事業であり、国が制度設計を行っております。国の報酬告示や報酬改定のQアンドAでは、放課後等デイサービスの基本報酬区分については、前年度の実績に基づき判定することとしており、増改築等の事由を除き、一年間適用することとしておりますが、制度改正初年度である平成三十年度については、四月から六月の平均で事業所が区分の再判定を行うものとしております。
 再判定の実施について、先ほど先生からもありましたように、国により、平成三十年七月に、新指標による指標該当の再判定を積極的に実施することとした事務連絡が発出されたところでもございます。
 障害児の状態像の指標による判定に関しては、これは区市町村が実施するものでございます。
 都としては、区市町村が必要に応じて、国の通知に基づく対応をすることが望ましいと考えておりますが、何よりも、利用児童の障害の状態像が適切に判定されることが重要であると考えております。

○白石委員 今のご答弁、利用児童の障害の状態像を適切に判定されることが重要だというふうな認識を示されました。それは非常に重要な認識だと思います。
 その認識に立てば、子供たちの実態に即していない判定がなされているのであれば、見直しするということは当然の都の責任であるというふうにいわざるを得ない。都として、区市町村に、事業所の実態に基づき再判定をし直すよう働きかけるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○松山障害者施策推進部長 障害児の状態像の指標による判定に際し、事業所にヒアリングを行うか、事業所が、四月以降、三カ月の児童利用延べ人数による報酬区分の再判定をする際に、障害児の状態像の指標による再判定を行うかなどは、区市町村の判断により行われるものとなっております。
 都は、区市町村に対し、先ほど申し上げましたとおり、国の通知等を速やかに周知しております。
 なお、都としては、利用児童の障害の状態像が適切に判定されることが重要だと考えておりまして、区市町村には国の通知の趣旨を正しく伝えていくとともに、今後とも区市町村と連携を図ってまいります。

○白石委員 国からの通知を区市町村に周知して終わるようなものではないというふうに思います。都が積極的に区市町村に働きかけを行って、やはり再判定をすることを強く求めておきたいというふうに思いますし、先ほどのご答弁でも、十二の自治体はいまだに書類のみでの判定にとどまっているということ。やはりこれも、現状もしっかり確認して、今そういう状態だったら再判定をしなさいよということは、都からぜひ働きかけていただきたいと思いますが、部長、いかがでしょうか。

○松山障害者施策推進部長 先ほども申しましたように、再判定を行うかどうかというのは区市町村の判断になりますので、都では、区市町村に周りの状況とかそういうものをお伝えして働きかけはしてまいります。

○白石委員 判定をするのは、再判定を決めるのは区市町村で、それは当然だというふうに思います。ただ、やはり十二自治体はまだ書面のみで、通達上でいけば、書面のみの判定にとどまっているということですから、先ほど働きかけていきたいというふうにおっしゃいましたから、都の立場として、区市町村に再判定をするようにということをぜひとも働きかけていただきたいというふうに思います。
 私も実際に事業所に聞き取りと見学に行きました。障害児の放課後活動にどれだけ真剣に向き合っているのかを私も知ることができました。
 例えば、おやつの時間にみんなと一緒に食べずに、お庭で職員と一緒に食べている男の子がいました。この男の子というのは、情緒障害学級に通っている男の子です。障害者手帳は持っていないと。指標該当児には当然当たらないということなんです。男の子の特徴というのはどういう特徴があるかというと、集団の中にいることが極めて苦手な男の子で、学童などに通った時期もあったんですけれども、学童の部屋でみんなとコミュニケーションが図れずに、トラブルが絶えなかったということなんです。このお母さんは、子供を一人にしたくないと、でも、どこへ通ってもうまくいかないと。そんな状況が積み重なって、お母さんが心身ともに疲れ切っていったということなんです。いろいろ調べて、やっと受け入れてくれるこの事業所にたどり着いたということです。
 受け入れたこの事業所、私、行きましたけれども、いろいろ聞きました。重度の障害児が中心の事業所になります。お母さんの状況も、この事業所の皆さんが考慮をして、迎え入れる判断をしました。指標では障害が軽い児童と位置づけられる男の子ですけれども、実際は、現在の事業所の中でも最もサポートが必要な児童であると。男の子にとって豊かな放課後活動を保障するために、コミュニケーション、集団の中にいるのが苦手なので、職員が一対一で寄り添って放課後活動を支援しているという実態なんですね。
 当然、国のこの判定でいけば軽い方になってしまう。しかし、事業所は、その子一人一人を見て、どういう支援が必要なのかと。で、必要な支援をやっていると。やはりこういう優良な事業所というか、本当に大事な事業所が、実際、今回の国の判定によって、この報酬改定によって大きな経営の危機にまで瀕しているということを、まず私たち自身も受けとめるべきだというふうに思います。
 今回の導入された区分判定の仕組みでは、今いったこうした努力が評価されることは一切ないんです。ですから再判定を進めなければいけないですし、根本的には国の報酬の仕組み自体の改善が必要だと思います。
 障害の重さにかかわらず、子供たちの成長にとってかけがえのない時間を提供するとともに、保護者へのレスパイトや就労支援にもつながる重要な役割を果たすこの放課後デイが、国の報酬改定により、これまでの必要な支援を縮小せざるを得なくなるような状況に追い込ませてはならないと思います。
 そうした立場に立って、一番のよき理解者になるのがやはり東京都だと。本当に、私、この立場をぜひ堅持していただいて、国にも、このような報酬の大改悪はやめろというようなことも含めて、しっかりと都の役割と責任を果たしていただきたいということを強く求めたいと思います。
 次に、事故について伺います。
 事業所で事故などがあれば、東京都に報告する義務を設けていますが、過去五年の放課後デイの事故件数を年度ごとに伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 放課後等デイサービスにおける事故報告の件数につきましては、平成二十五年度は三十八件、平成二十六年度は三十三件、平成二十七年度は五十一件、平成二十八年度は百三十一件、平成二十九年度は百五十二件でございます。

○白石委員 この五年間で事故件数は四倍と急増しているということです。また、事前に聞き取りもさせていただきましたけれども、障害児への虐待報告は、平成二十八年度で三件、二十九年度で七件と、直近の二年間で十件も発生をしているということです。都としても迅速な対応が求められているというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますが、この事故報告の取りまとめというのはどのようにされているのか伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 都は、毎年四月当初に各事業所に対し、事故等防止対策の徹底に関する通知を送付するなど、事故等の防止に向けた注意喚起に努めており、万が一、事故が発生した場合には、直ちに必要な措置を講じ、都に報告するよう求めております。
 都に事故報告があった場合には、事故内容に応じて、事実確認、事故発生の原因、再発防止策等の確認など事業所の管理者等に聞き取り、区市町村とも連携しながら運営指導を実施しております。

○白石委員 学童保育などでは重大事故を検証する仕組みがありますが、放課後デイでは自治体への報告を求めるだけとなっておりまして、安全性の体制が不十分と現在なっております。
 事業所で障害児などに事故があった場合、今、ご答弁があったとおり、都への報告義務を位置づけ、都は事故を起こした事業所に指導助言をすると、このような関係になっているということが今の答弁でも明らかとなりました。つまり、都は、指導監督責任を負っているということです。重大事故など再発防止を徹底していくには、都がみずから事故の事例を集約して検証する仕組みをつくることを要望しておきたいというふうに思います。
 同時に、これだけ今事故がふえているという中で、再発防止をしていくには、やはり必要な人員も必要だと思います。都内に八百六十六の事業所があるこの放課後デイに対応するには、担当課の体制が十分に整うことが条件だというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますが、施設サービス支援課の児童福祉施設担当の通所担当は何名の職員体制というふうになっているのかお聞きしたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 児童福祉施設担当として十四名の職員がおり、その中に、障害児通所施設の担当として七名が担当しております。そのうち、常時面談や相談、指定、認可の事務を行っている職員は六名でございます。

○白石委員 つまり、今のご答弁というのは、放課後デイは都内に約八百の施設がありますと。さらに児童発達支援事業所は四百ですから、合計で千二百事業所と。今、七名のうち六名が具体的には担当しておりますということになりますから、単純計算で一人二百の施設を担当しなければならないということになります。役割分担などによって変わる面もいろいろあるとしても、ならせば一人で二百施設を担当するというのは、余りにも本当に苛酷だと。そんなことできるのか。都内の全ての自治体の中でも、一人が抱える施設数が二百なんていうところはどこにもないと。これで、六名で千二百の施設を担当するなんていうのは、どだい無理な話だというふうに思います。
 福祉保健局長に聞きたいんですが、こういう実態が、今、六名で千二百の施設を担当しているということについて、認識はあるのか。そして、今後どうしようとしているのか伺いたいと思います。

○内藤福祉保健局長 職員定数にかかわります心温まるご指摘ありがとうございます。ただ、私ども、職員定数につきましては毎年度、人事当局と緻密な計画とその査定を受けまして、毎年度毎年度、四月一日時点で適時適切な対応が行われていると考えております。現時点で福祉保健局それぞれの職場、今ご指摘いただいた部分に限らず、この時点では適正な考え方に基づく配置がされていると考えております。
 ただ一方で、福祉保健行政を取り巻くさまざまな課題がふくそうし、積み上がり、業務量がふえていることも、片や事実としてあると思っています。
 私どもとしては、限られた人材、貴重な人材でございます職員一人を最大限生かしながら、効率的、効果的な業務を執行したいと思っております。どうか、先生方もご理解、ご協力いただければと思っております。よろしくお願いします。

○白石委員 わかりますよ。やはり貴重な人材なんですよ。六名なんですよ。こういう中で、こんな千二百の施設を担当するなんていうのはどれだけ大変なことか。むしろ、これでメンタルをやられて、やめるようなことがあったら、絶対にあってはならないと。だったら純増させる、来年度の予算で要求するというぐらいの構えにならなければ。この放課後デイの役割や意義というのは今回の質問で明らかになったと思います。
 最後には、一番……(内藤福祉保健局長発言を求む)まだ質問はしていません。いいですか。これでは、事故への対応や事務所からの問い合わせを丁寧に行うことは極めて困難だったと。さきにも述べましたけれども、放課後デイは五年間で四倍にふえております。しかし、職員は七名から六名だと。余りにも苛酷だと思います。結果、一番しわ寄せを受けるのは子供たち。来年度、抜本的に担当の職員をふやしていただきたい。
 何か今、お手を挙げて、いいたいことがあると思いますので、どうぞ。

○内藤福祉保健局長 重ねての私どもの職員、職場に対するご配慮あるご質問をいただきありがとうございます。先ほども申し上げましたが、職員の配置につきましては、毎年度、事業動向を踏まえながら適正配置に心がけているところでございます。それと、今回、放課後デイにつきましては、まさに東京都と実際身近な区市町村が連携しながら対応しているところでございまして、その中で、ご利用されている子供たちに影響が出ないよう、きちんと対応してまいります。

○白石委員 今、局長の決意もありましたので、影響が出ないようにきちんとやるのであれば、ここの定数をしっかりとふやしていくということが重要だと改めて私からも強調させていただきたいと思いますし、しっかりと職員の皆さんを支えていくのも局長の役割だというふうに思いますので、ぜひお願いしたいというふうに思います。

○内藤福祉保健局長 三たび、ご指摘ありがとうございます。局長として、私ども職員、局四千七百名強の定数がございます。個々の職員が一人一人、ちょっと俗っぽいいい方ですが、元気に日々それぞれの職務に全うできるよう局長としても最大限配慮してまいりたいと考えております。

○白石委員 立場は一緒かなというふうに思いますので、私は、この事故の件数も含めて、やはりあってはならない、再発防止はしなければならないと。そういったときに必要な人材をしっかりと確保していくというのが大事なんだということ。別に、局長を詰めているわけでもない。こういう現状を知っていただいて、ぜひやっていただきたいということを要望しているということですので、ぜひともよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 次のテーマに移りたいと思います。
 次に、障害者グループホームの支援について質問をしたいというふうに思います。
 障害者グループホームは、入所施設などから地域生活に移行する障害者や、親元を離れ、必要な援助を受けながら地域で自立した生活を希望する障害者にとって重要な役割を担っているというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますが、都は、障害者グループホームの重要性をどのように認識をしているのか伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 障害者グループホームは、在宅の障害者の親元からの自立や、入所施設や精神科病院から地域生活への移行を進めるための地域居住の場として重要な役割を担っているものと認識しております。

○白石委員 グループホームの重要性を示されたというふうに思います。
 事業者、家族、支援団体、障害者などから、とりわけ重度の障害者でも、希望する地域で安心して暮らすことを保障するために、障害者グループホームへの支援の拡充を求める声というのが広がっております。
 都は、障害者グループホームへの支援の拡充についてどのように考えているのか具体的に伺いたいというふうに思います。

○松山障害者施策推進部長 グループホームを利用する障害者の高齢化や障害の重度化が進んでおり、障害者が地域で安心して暮らしていくためには、重度の障害者を受け入れるグループホームを確保することは重要でございます。
 このため、都は、現行の制度の基準より手厚い職員を配置し、身体上または行動特性上、特別な支援を要する重度の障害者を受け入れるグループホームに対する支援を検討しております。

○白石委員 重度の障害者を受け入れるグループホームへの支援策を検討しているというのは、まあ、前向きな動きだなというふうに思います。高齢化や重度化への対応の要望は、私たちもグループホームを運営されている方々から繰り返し聞いております。現場の実態に合った支援策となるよう、重ねて求めておきたいと思います。
 そして、今現場の中でも非常に声が上がっているのが、障害者グループホームの都加算についてです。まず、この都加算について伺いたいと思います。
 重度の障害者を受け入れるという点では、来年一月に予定されている都加算制度の見直しはこれに逆行しかねず、問題だと思っております。とりわけ問題なのは、利用者が不在の日の報酬額を引き下げる仕組みを導入するということです。多くの方には、繰り返しになるかもしれませんけれども、国のグループホームへの報酬は、利用者が不在の日には算定されません。しかし、例えば土日を実家で過ごしている方がいたとしても、ほかの利用者が残っていれば職員は配置する必要があります。また、入院で不在になる場合などは、あらかじめ予測することはできませんし、それで減収になることは運営の不安定化につながります。
 一方、これまでの都加算制度は、利用者が不在の日の分も同額の収入を保障することで、運営の安定化につながり、関係者からも高く評価がされてきました。ところが、今回の見直しは、利用者の不在の日の報酬を、ゼロにはならないものの、引き下げるものとなっております。具体的には、通常は利用者の障害支援区分に応じて単価が決まっていますけれども、不在の日は障害支援区分二の単価が上限となります。そのため、障害支援区分の高い方を受け入れている事業所ほど減額幅が大きくなり、重度者の受け入れに逆行しかねません。
 私は、第一回定例会の代表質問でこの問題を取り上げました。その後、実施時期は、ことし十月から来年の一月に延ばされましたけれども、内容はそのまま実施されようとしております。
 一方、都はこの間、都内の障害者グループホームに聞き取りを行っていると聞いております。どのような目的で聞き取りを行っているのか具体的に伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 都加算の見直しに当たっての事業者への聞き取りは、東京都社会福祉協議会の知的発達障害部会や身体障害者福祉部会、東京都精神障害者共同ホーム連絡会などの関係団体等に対し、制度の見直しの目的、見直しの時期及び見直しの内容を示し、見直しについての意見を聴取するために実施いたしました。

○白石委員 それでは、これまで幾つのグループホームへの聞き取りをしたのか、事業所数を伺いたいと思います。また、聞き取りを行いまして、どのような声が出されたのかもあわせて伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 都加算の見直しに当たっては、東京都社会福祉協議会の知的発達障害部会など関係団体にヒアリングを、平成二十九年八月から十二月にかけて、合計十三回実施いたしました。
 また、本年四月以降には、都内でグループホームを運営している五百十八法人のうち、四十法人から要望があり、その内容は、実質月額を維持すること、制度の見直しにかかわる実態把握を行うとともに実施時期を見直すこと、第三者評価受審経費を別枠で補助することなどの内容でございました。

○白石委員 本年四月以降の聞き取りというのは、都加算見直しの方針を一度は決めた後に行ったものということです。一度方向性を決めても引き続き意見を聞くということ自体は大事なことだというふうに思います。
 答弁にあった実質月額制の維持というのは、先ほどお話しした、利用者が不在の日にも収入を保障する仕組みを維持するというもので、都としてもそうした声を聞いているということだと思います。
 では、その事業所の声を都はどのように受けとめているのか伺いたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しは、国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるとともに、利用者が不在であり、直接的なサービスを行わない日の単価の適正化などを内容とするものであり、都や国の制度を十分活用できるよう、説明会を計四回実施するとともに、個別の事業者からの問い合わせにも対応しております。
 また、見直しの実施時期については、国から平成三十年度の報酬改定にかかわる加算や新たなサービス類型についての詳細が当初の想定よりおくれて示されたことから、事業者が準備期間を十分とれるよう、平成三十一年一月に変更しております。
 さらに、第三者評価受審経費については、事業者の請求事務の簡素化や補助金を交付する区市町村の負担を考慮し、利用者ごとの都加算額に、平均的な規模の事業者が三カ年事業運営をした場合に、受審経費相当額となる都加算の基本額に含めて支出することとしております。

○白石委員 今、長く答弁をされたわけですけれども、見直し内容やこれまでの経過の説明をされたわけであって、受けとめということではいわないんです。
 先ほども述べましたけれども、私は意見を聞いたこと自体は大事だというふうに思っております。そして、四十法人という少なくない数に聞き取りを行ったと、ヒアリングを行ったと。しかし、今の答弁の内容だと、正直何のために意見を聞いたのかわからない。受けとめを伺いますよと、このようにいったと。しかし、答弁されたのは、制度の中身や内容を話すと。
 改めて、見直し内容や経過ではなくて、事業者からの声をどう受けとめたのかというところでお答えいただきたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 先ほどの四十法人というのは、私どもの方に要望をしてきたという法人でございます。そこについて、先ほど申し上げたようなご意見があったというところでございまして、私どもとしてはその事業者に対して、先ほどご説明したような説明をしたというところでございます。だから、それが受けとめということでございます。

○白石委員 私、先ほどの質問で、まず、都内の障害者グループホームに聞き取りを行っているというふうに聞いている、そして、それはどういう目的で聞き取りに行ったんですかというふうに聞きました。そうしたら答弁では、意見を聞くためなんだと。要望を聞くためなんていっていないんですよ。だから、この意見を聞くためというところで、どういう意見が出て、それに対してどう受けとめたのかというのを聞きたいんですということで質問をしたんです。
 その受けとめをお答えいただきたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 受けとめといたしましては、個別の事業所の収入については、利用者の状況、職員体制、国や都の加算の取得により異なり、一律に減額になるものではないというところでございます。
 また、個別の事業者からの相談に対しては、そのように国加算を今回とっていただかなければいけないので、それについて事業者が制度を十分活用できるように、丁寧に今応じているところでございます。

○白石委員 いや質問は--全然質問したことと違う答弁されても困るんですよ。意見を聞いて、四十の法人から聞いているわけですよ。要望も出されたのは、当然出されたと思います。その聞いた中で、見直しの影響についてもリアルな声がたくさん出ているはずだと思うんですね。それなのに、従来からの説明の繰り返しばかりというふうなこと。やはりきちんと受けとめるのなら、都加算の見直し自体について考え直すことが求められていると思います。
 都としての見直しの考え方について答弁されているわけですけれども、では、実際の影響はどうなるのかという点です。
 都加算の見直しがされることによって、事業所は、じゃあ、どのぐらい減収となるのかというところでお答えいただきたいと思います。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しは、国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものでございます。
 個別の事業所の収入については、利用者の状況、職員体制、国や都の加算の取得により異なり、一律に減額になるものではございません。
 事業者説明会においてモデル的なケースを想定し、現行の収入と見直し後の収入を提示しております。
 また、個別の事業者からの相談に対しては、事業者が制度を十分活用できるよう、丁寧に応じているところでございます。

○白石委員 一律に減額となるものではないと、このようにいいますけれども、では、減額になるところ、ならないところ、どれだけあるのかということはいえないと。一律ではないから。事業所から悲鳴が上がっているんです。
 私が聞き取りに行った事業所は、五カ所のユニットのグループホームを運営しています。重度の障害者を中心に受け入れております。今回の都加算の見直しによって、これまでとどのぐらい報酬が変化するのかを計算していました。その計算書を見せていただいたところ、何と一カ月当たり約三十七万円の減額となる見込みでした。今年度は三カ月分で約百十二万円が減り、年間で試算すれば四百五十万円も減収となるということです。
 また、これはことしの十月の利用状況を前提にした計算ですけれども、年末年始やインフルエンザなどで利用日数が減ると、さらに減収額は当然大きくなるということになります。
 都はこれまで、見直した目的を、高齢化や障害の重度化などを踏まえて職員を手厚く配置する事業者が充実した支援を行えるようとしていますが、現実は全く逆となっております。
 加えて、都は、帰宅や入院によってグループホームを利用しないとき、サービスが提供されていないから見直しは合理的と述べますけれども、利用していないからといって職員が減るわけじゃないんです。人件費はかかっていると。
 国の制度では、日額で利用している障害者が帰宅すれば、その分減額となる、こういう仕組みです。だからこそ、これまで都は、利用していない日は、基本単価を補填する都加算という補助制度により補ってきたのです。
 重度の障害者の方を含めて、地域で生活を続けることを支援するというのであれば、このすぐれた仕組みを、これからも維持することが求められていることを重ねて強調いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 最後に、石川島記念病院の休止問題について質問をしたいと思います。
 中央区にある医療法人社団健育会が運営する石川島記念病院は、年間約八百人の救急患者を受け入れるなど、地域の拠点病院として運営をされてきました。ところが、突然経営悪化になり、十一月末をもって診療を休止するとホームページ上で公表されました。
 これに地域住民の皆さんからは、かかりつけ病院として通っていたのに病院がなくなることは本当に不安だし、新しく病院を探さなければならないと思うとさらに不安だという声を私も聞きました。地域にとっては重要な病院だから存続してほしいと、こういう声が大きく広がっております。そして、その不安の声も私のところにも寄せられております。
 中央区は、東京都保健医療計画において、二次保健医療圏の中で病床過剰地域とされております。しかし、区民が地域で身近に利用できる総合病院は限られています。石川島記念病院は四十七床を有し、入院、診療を初め、健康診断、がん検診など幅広い医療の提供を行ってきました。
 月島地域の世帯数を調べましたが、約三万八千世帯、そのうち、佃には七千五百二十一世帯、約二割が定住しています。石川島記念病院は、この佃の地域医療を支え、中核病院として位置づけられてきました。
 そこで伺いますが、中央区の石川島記念病院は、二〇一一年にIHI東京病院から病院を継承したと、このように聞いております。その経緯を説明していただきたいと思います。

○矢沢医療政策部長 平成二十三年にIHI東京病院を運営していたIHIグループ健康保険組合から、現在、石川島記念病院を運営している医療法人社団健育会に病院を継承したいと相談がございました。
 都は、所在区である中央区と地元の町会から、病院の継承を強く要望する文書が提出されていたことや、病院が維持されることを確認できたことなどから、特例で病院の継承を認めました。
 また、医療法人社団健育会が石川島記念病院を開設する定款変更申請につきましては、都が副申し、関東信越厚生局長が認可いたしました。

○白石委員 本来は、既存の病床数が基準よりも上回っていることから、病院の継承などできない地域に指定をしていたけれども、地元区や住民から強い要望と、そして病院機能を維持すると健育会が約束をしたから特例として認めたということだと思います。
 佃がある月島地域は中央区内で最も高齢者人口が多い地域となっております。地域の中核として維持してきた病院機能を存続してほしい声に、そして、これからも続けてほしいというふうな声に応えて、特例を使って許可をしたということになります。
 そこで伺いたいと思いますけれども、現在地に病院機能を継続して住民に医療を提供していく、この重要性について、都はどのように認識をしているのか伺いたいと思います。

○矢沢医療政策部長 地元中央区や地元の住民の要望を踏まえまして、地域医療を確保する観点から、病院の継続が必要であるというふうに考えております。

○白石委員 つまり、都も、この佃の地域に病院機能を継続することは、地域医療を確保するために重要だと、このように認識が示されました。
 地域住民だけが不安を抱えているのではないと。報道でも出ていますが、突然診療休止に職員の方々も戸惑いとそして不安が広がっております。厚生労働省内で記者会見した職員のある一人の方は、きちんとした説明を聞けないまま退職合意書などの提出を求められている職員もいると。患者からも不安の声が上がっていると、このように職員の方も声を上げています。
 石川島記念病院が今月末で休止すると私も聞いておりますが、当病院に対する都の認識と、そして今後の対応について伺いたいと思います。

○矢沢医療政策部長 病院を運営する法人からは、休止はするものの、その後、診療を再開する意向であると伺っております。
 都は、地域医療の確保のため、地元中央区との連携も図りながら、診療再開に向け安定的な経営の確保など、助言指導をしてまいります。

○白石委員 地域医療の確保のため、地元区とも連携して病院を存続もさせるし、そして再開に向けて力を尽くしていくということが述べられました。
 確かにホームページでは、再開計画と題して、私も見ましたけれども、公表されておりますが、再開時の診療機能や再開時期については、具体的には一切触れられていないというふうに思います。
 住民の方からも、再開計画とはいっても、いつ再開するのか、どういう機能を持った病院になるのかもわからないというところでは、不安はさらに広がっているというのが今の、この地域の現状だと思います。
 さらに中央区議会からも、石川島記念病院を存続する要望書が議会の総意で中央区長宛てに提出もされています。
 都も、佃地域の住民の医療の確保の重要性を十分に認識をしているわけですから、石川島記念病院の存続に向けて、都の役割を発揮するよう強く要望して、質問を終わりたいというふうに思います。

○もり委員 都民ファーストの会、もり愛です。厚生委員として初めて質問に立たせていただきます。本当に命と密接した大変重要な局の皆様に敬意と感謝を申し上げ、また都議会としても一丸となって都民福祉の向上に尽くしていきたいと願いまして、幾つか質問をさせていただきます。
 災害時要配慮者対策について質問させていただきます。
 私も十年、地元で消防団をやらせていただきまして、自治体議員としても、三・一一の際なども本当におひとり暮らしの高齢者のご自宅の安否確認など、日付が変わるまで走り回った記憶がございます。
 そういった中で、災害時の要配慮者の支援体制について、東京都では、災害時要配慮者対策の取り組みとして、災害時要配慮者のための区市町村向け方針の改定や、福祉保健、防災担当者向けの研修会の開催、避難行動要支援者名簿の作成等を支援するとともに、地域で避難支援対策及び避難生活支援体制の整備に係る経費を都が補助し、自治体の取り組みを推進していただいております。
 一方で、地域では、要配慮者名簿の共有状況は、民生委員、警察、消防、自治体、町会と、地域によりまちまちで、名簿を預かっている民生委員さんからは、本当に災害時に命を救う計画となるよう、災害時に誰がどこに行くべきか、地域で個別支援計画にまで落とし込まなければ災害時の命を救うことができないという、民生委員さんや、ご家族の不安の声も聞こえてまいります。
 都では、現場の取り組みが進むよう研修会を開催していただいておりますが、その状況と自治体の個別支援計画の取り組み状況をお伺いいたします。

○後藤総務部長 平成十九年七月に発生いたしました新潟県中越沖地震で多くの高齢者の方々が被災するなどの被害が発生したことを踏まえまして、その年の十二月に出されました国の通知を受けまして、都では、区市町村の災害時要配慮者対策の取り組みの促進に向けました契機とするため、翌平成二十年度から、毎年、区市町村の福祉保健部門と防災部門の担当者を対象といたしました災害時要配慮者対策研修会を開催しております。
 この研修では、要配慮者のうち、避難行動要支援者一人一人の避難支援プラン、いわゆる個別支援計画を既に策定している自治体や、先進的な取り組みを行っております自治体や団体のさまざまな事例を紹介することによりまして、区市町村の要配慮者対策への取り組みを働きかけているところでございます。
 現在、都内区市町村におけます個別支援計画の策定状況でございますけれども、総務省消防庁の調査によりますと、平成三十年六月一日現在、五十六の自治体で避難行動要支援者名簿を作成しておりまして、このうち三十七の自治体で個別支援計画を策定済み、あるいは一部策定済みというような状況になってございます。

○もり委員 ありがとうございます。ぜひこの五十六という数字が引き上げられるようにと願っております。
 また、災害時の避難所において、障害児者の居場所の確保の難しさは、東日本大震災の復興支援で伺った福島の福祉作業所の方からも聞かれました。避難所に居場所がなく、寒い中を車で過ごしたとおっしゃっていました。
 避難所での排せつにおける問題や、先ほど質問のあった医療的ケアの実施のための電源確保等、多くの問題が予想され、一般の避難所から福祉避難所への移動が困難になることも想定をされております。
 そこで、福祉避難所において、自治体ごとの要配慮者対策の環境整備に差が出ないよう、都の支援体制の強化が求められます。見解をお伺いいたします。

○後藤総務部長 東京都では、発災時に災害時要配慮者を適切に支援するための福祉避難所の運営マニュアルの作成などの区市町村の取り組みを包括補助で支援してございます。
 また、先ほど申し上げました災害時要配慮者対策研修会におきまして、ほかの自治体の参考となるような福祉避難所の開設運営に関する訓練なども広く紹介しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みなどによりまして、区市町村における福祉避難所の環境整備に向けた取り組みを支援していきたいと考えております。

○もり委員 ありがとうございます。援助や配慮を必要としている方で外見からはわからない方が配慮を必要としていることを周囲に知らせるヘルプマークについては、先ほど伊藤都議よりヘルプマークの成り立ちについてもお聞かせをいただきました。
 こちらは質問とはいたしませんが、私の地元では、自立支援協議会の皆さんがさまざまな場所でヘルプマークの普及啓発に取り組んでいただき、地域で行われている秋の総合防災訓練においてもヘルプマークのブースが設置をされており、多くの区民の皆さん、都民の皆さんにもPRをしていただいております。
 ぜひ東京都においても、さまざまな場面でヘルプマークの普及促進を一層進めていただき、また、防災訓練や学校教育とも連携して周知に取り組んでいただくよう要望させていただきます。
 次に、放課後等デイサービスについて質問させていただきます。
 こちらも先ほど質問があったんですけれども、当会派の龍円都議から、取り組んでいた課題として一点質問させていただきます。
 放課後等デイサービスにおける児童指導員等加配加算の対象要件が都道府県によって違い、東京都では、強度行動障害支援者養成研修の修了者の場合は、障害福祉サービスの経験者であることも要件とするなど、独自に厳しい要件を付しているのではないかとの質問をさせていただきました。
 その際、都から、国の告示の解釈については、改めて国に対して確認をしている段階であり、今後、国の回答により対応を検討していくとの回答でありました。
 その後、国からの回答はあったのですか。回答があった場合には、どのような回答内容であったのか伺います。
 また、都は、国の回答を踏まえ、今後どのような対応をしていくのかお伺いいたします。

○松山障害者施策推進部長 放課後等デイサービスにつきましては、平成二十九年度に、人員基準に障害児支援等の経験者の配置の義務づけなどの見直しが行われ、平成三十年度の報酬改定では、より専門性を重視した加算に見直されました。
 見直しのあった児童指導員等加配加算の対象となる強度行動障害支援者養成研修修了者には、障害福祉サービスの経験を必要とするかの解釈上の疑義が生じたため、都は、国に確認しながら事務を進めてまいりました。
 しかし、ご質問のように、他府県の取り扱いと違うのではないかとの指摘があり、改めて国に確認しましたところ、十月二十九日に、強度行動障害支援者養成研修を修了していれば、障害福祉サービスの経験がなくても児童指導員等の要件を満たすとの回答がありました。
 このため、都は、国の回答内容について、平成三十年四月にさかのぼって適用することとし、十一月十二日に区市町村と全事業者に周知いたしました。
 今後、報酬の修正手続が必要な区市町村、事業者を特定の上、適切に手続を進めてまいります。

○もり委員 国の回答を受けて、強度行動障害支援者養成研修を修了していれば、障害福祉サービスの経験がなくても児童指導員等の要件を満たすと、要件を変更していただき、それを全事業所に通知して、四月にさかのぼって適用するということで、早速に対応いただけたこと、事業者からも喜びの声をいただいております。
 一方で、再判定を受けられなかった事業所は、実態に見合わない判定のもと、厳しい運営を強いられているところも出ていると聞きます。ぜひ、区市町村に対して再判定の実施、来年度の判定の際には、実態に合った聞き取りをした上で、新標準を使った判定を進言していただくなど、救済措置をとっていただきますよう要望させていただきます。
 加えて、国の報酬改定により、これまで手厚い人員配置を行ってきた事業所が厳しい経営状況に置かれているという状況も、地元大田区の、かたつむりクラブの利用者の方から伺いました。現在、さまざまな法人が放課後等デイサービスを運営しており、就学向け療育の施設として、療育的質の確保が重要です。利用者にとってよりよい療育の場であるよう、良好な運営を行っていただいている事業所への質の確保に向けた支援等についても要望をさせていただきます。
 次に、障害のある方もない方も、誰もが社会の一員として互いに尊重し、支え合いながら、地域の中でともに生活する社会を実現していくことはとても重要です。
 その上で、地域で生活をしていくためには、日中活動の場とともに、生活の基盤となる居住の場の確保として--実際に地元の障害者施設では、保護者の方から話を伺った際にも、今後自分たちが高齢化して子供の世話が十分にできなくなった場合、親亡き後への不安は切実なものであると感じました。
 その中で、本当に多くの方から、障害者の地域居住の場であるグループホームの整備を着実に進めていく要望が上がっております。これについても、先ほど伊藤委員のご質問により、三十二年度までに二千人分の定員増の目標を掲げ、三年後までに一万千人の受け入れとのご答弁をいただいておりますので、質問は割愛させていただきますが、重度の方を受け入れるための施設整備に対しても、都独自に補助をしていただいているということで、一層の整備が進むことを願っております。
 また、医療的ケアのあり方の支援として、医療連携型グループホーム事業が昨年開始をされ、訪問看護ステーションと連携をし、医療的ケアが必要な障害者の受け入れを行うグループホームの助成を行う区市町村を支援していただいているとのことでしたが、保護者の方からは、看護師不足の影響から、実際には医療的ケアがあることでグループホームの利用ができない場合もあるとの声を伺いました。
 医療連携型グループホームの整備が地域で進むよう、あわせて要望をさせていただきます。
 次に、周産期医療の充実について質問させていただきます。
 都内においても深刻な産科不足の現状があり、地元の大田区では一年に約五千名の新生児が誕生いたしますが、区内の出産可能な施設は年々減少しており、その約半数が区内の病院で産むことができず、神奈川や近隣区で出産している現状があります。
 私も、ごく妊娠初期の四週で近くの産科を受診いたしましたが、二カ所で分娩を断られ、産科難民の恐怖を味わった一人で、結局、神奈川の病院で出産をいたしました。地元区ではそういった現状の対策として、出産病床一床の拡充につき二百万円の助成制度を創設しましたが、ふえていない現状がございます。
 そこで、産科医確保に向けた東京都の取り組みについてお伺いいたします。

○矢沢医療政策部長 都は、周産期などの医療に従事する意思のある医学生に奨学金を貸与する医師奨学金制度や、医師の復職支援など医療機関における勤務環境改善の支援を実施しております。
 また、産科医等に分娩手当を支給する分娩取扱施設に対し、経費の一部を補助する産科医等確保支援事業を実施するなど、産科医を初めとする医師の確保、定着に向けた取り組みを実施しております。

○もり委員 産科医確保に向けた都の取り組みをお伺いいたしました。
 産科医とともに、母子に深くかかわるお仕事として助産師があります。地域の方が助産院に通い、自宅で自然な分娩を希望したところ、委託医が区内になく、助産院と契約を結んだ委託医療機関を受診せねば自宅での出産ができなかったと伺いました。
 妊婦の方がご自身の希望される場所で出産できるよう、助産所と医療機関が連携して地域で支えることが必要です。
 地域で安心・安全な分娩を支えるための都の取り組みについてお伺いいたします。

○矢沢医療政策部長 都は、都内を八つの周産期搬送ブロックに分け、周産期母子医療センターを中核とした地域の病院、診療所、助産所によるネットワークグループを構築し、症例検討会や研修等を通じまして、リスクに応じた医療機関の役割分担と連携を推進しております。
 今後とも、地域において安心して子供を産み育てられるよう、限られた医療資源を有効に活用しながら、周産期医療体制の充実に努めてまいります。

○もり委員 また、妊婦さんが助産所で妊婦健診を受診した際、全国で東京都だけが妊婦健診受診票の直接使用ができなかったということもお伺いしました。
 他県では、県と各県の助産師会が集団契約を結び、直接使用が可能になっていると聞きます。ぜひ東京都としても、助産所において安全で安心な分娩ができるよう、妊産婦健診審査票を直接使用できるよう支援するとともに、地域ごとに嘱託医または嘱託医療機関を行政側から確保に向けた支援を要望させていただきます。
 あわせて、都内では、出産一時金四十二万円では出産費用が賄えない現状がございます。これは若いご夫婦にとっては多額の出費を伴います。ぜひ少子化が叫ばれる中、全ての子供の命がとうとばれ、喜びに満ちて人生をスタートしていただける支援として、出産一時金と現状の差額補助についても要望させていただきます。
 次に、妊娠、出産から子育て期にわたる総合的支援をワンストップで提供できる体制を整備し、専門職が全ての妊産婦の状況を把握し、子育て家庭を支援する事業として、出産子育て応援事業、ゆりかご・とうきょう事業があります。妊婦さんに寄り添う制度として、とても評価をしている一方で、育児パッケージについては、区市町村の事業であり、自治体によって、サービス内容にかなり差が感じられました。
 地元大田区においても、子育て用品の配布が好評である一方で、子育てママたちが一番求めているのは、物よりも一時預かりサービスや産後ケアの充実という声があり、私もそれを実感した一人です。
 ゆりかご・とうきょう事業を実施していない自治体にも、産後ケア事業の実施促進を図るための都の取り組みについてお伺いいたします。

○谷田少子社会対策部長 産後ケア事業は、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支えるため、退院直後の母子に対し、保健指導、母親に対する療養上の世話や、心理的ケア、カウンセリング、育児指導、育児サポート等を行う取り組みでございます。
 都は現在、妊娠期から切れ目なく全ての子育て家庭を支援するゆりかご・とうきょう事業により、専門職による妊婦への面接等とあわせて、産後ケア事業を行う区市町村を独自に支援しております。
 今年度からは、産後ケア事業のみを実施する場合も、運営費や実施場所の改修費を支援する産後ケア支援事業を実施しております。
 今後とも、より多くの区市町村が取り組めるよう、保健衛生主管課長会や母子保健従事者向け研修会など、さまざまな機会を通じまして、積極的な取り組みを働きかけてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。ぜひ、産後ケアを希望する多くのお母さんたちが利用できるよう願っております。
 平成三十年度新規事業である在宅子育てサポート事業について伺います。
 ゼロ歳児を行政で保育すると、一人のお子さんに対して、当区では約六十万円の予算が必要であるとの試算があり、待機児童対策はもちろん重要ですが、預ける場所をふやすのみが保育政策ではなく、多様な働き方や在宅子育ての支援の充実により、親と子供が一緒に過ごす在宅子育てのための支援はとても重要であると感じます。
 生後一歳未満の子供を持ち保育サービスを受けていない家庭を対象とした支援は、望まれつつ、これまで事業化されていなかったように感じます。
 保育サービスを利用せず、在宅で子育てをしている家庭に対する支援として、今年度から、都が開始した在宅子育てサポート事業の内容についてお伺いいたします。

○谷田少子社会対策部長 在宅子育てサポート事業は、育児負担の大きい一歳未満の子供を在宅で育てる保護者の負担を軽減するため、区市町村を通じて家事支援サービスの利用を支援する事業でございます。
 本事業では、子供が一歳になるまでの間に、料理や掃除など家事支援サービスを五万四千円分、仮に一時間当たりの料金を三千円といたしますと、十八時間分利用できるよう支援し、必要な場合はさまざまな子育て支援サービスにつなげていくこととしております。

○もり委員 ありがとうございます。産後ケア、そして、お子さんが一歳になるまでの間のきめ細やかな支援は、初めての子育てに不安を抱えるお母さんを支え、虐待防止の観点からも、とても重要であると感じました。ぜひ、希望される多くのご家庭が利用できるよう、行政が待ちの姿勢ではなく、必要とされるご家庭に支援が届くよう要望させていただきます。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてお伺いをいたします。
 私のところには、この事業を使いたいという声が届いております。保育園に入ることができなかった保護者にとって、近隣への施設整備は春までに間に合わなくても、この事業は、待機児童対策の最後の切り札というべき事業であり、とても期待をされております。
 しかし、私の地元の大田区では、この事業の活用を決めかねているようです。保育の実施主体は区市町村であり、自治体で事業化されなければ地域の方は利用できません。
 都が保育施設を創設する際において、区市町村が利用しやすい制度とすることが重要です。ベビーシッター利用支援事業には、区市町村バウチャー型とベビーシッター事業者連携型がありますが、バウチャー型は、区市町村が事業の詳細を決定するため区市町村の事業の自由度は増す一方で、地域でこの事業を担えるだけのベビーシッターを確保できるか、質を担保できるか等の課題や、区市町村の負担が増加する懸念があり、都の関与が強く、区市町村の負担の少ない事業者連携型に関心がございます。
 ベビーシッター利用支援事業の事業者連携型について、区市町村が活用しやすいものとなっているのか、事業の枠組みをお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 ベビーシッター利用支援事業の事業者連携型については、都がベビーシッター事業者及びベビーシッターの事業者団体と連携いたしまして保育サービスを提供する仕組みとしております。
 事業の実施に当たりまして、都の役割といたしましては、参画するベビーシッター事業者の審査、認定、悉皆研修の実施によるベビーシッターの育成、事業者団体を通じて事業者に公費負担額を支払う仕組みの構築、事業の概要やベビーシッターを利用する際の留意点等を記載した保護者向けパンフレットの作成等を担うこととしており、区市町村には保護者等に対する事業内容の周知、利用対象者の確認等の役割を担っていただくこととしております。
 また、公費負担額の都の負担割合でございますが、待機児童の保護者を対象とする場合には八分の七、育児休業満了者は十分の十を都負担としておりまして、区市町村の負担を軽減しております。

○もり委員 この事業において、区市町村の負担が軽減していることを理解いたしました。
 特に、育児休業満了者は十分の十の補助率となっており、保育園に入るために、本来は子供といられる育児休業を切り上げて申し込みをせねばならない現状等に、現場の思いに寄り添う制度となっていると感じます。
 区市町村に利用を促すには、こうした事業の内容を十分に情報提供するとともに、区市町村から細かく意見を取り入れた方がよいと考えます。
 どのように取り組んできたのかお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、区市町村に対しまして、事業説明会を二回開催いたしまして、事業内容を周知してまいりました。
 また、区市町村からの質問や意見等に随時対応いたしまして、その内容を取りまとめた質疑応答集を全区市町村に提供しております。この質疑応答集はこれまで四回更新をして送付しておりまして、きめ細かな情報提供に努めております。
 また、区市町村負担金の精算方法や利用調整等、事業の運営に関して区市町村から要望があった事項については可能な限り反映をしております。
 引き続き、本事業の実施に当たりましては、丁寧な対応を行ってまいります。

○もり委員 きめ細やかな対応をいただいていることで、ありがとうございます。この事業がより多くの自治体で活用されるよう、引き続き連携して周知に取り組んでいただきたいと考えます。
 また、この事業は一日八時間の利用を想定しておりますが、夜勤等の保護者も利用が可能となるよう、今後、柔軟な制度となってほしいとの要望を聞いております。ぜひ、そうした声も取り入れて、多様な働き方の保護者によりよい制度となるよう、充実を図ることを要望して、次の質問に移ります。
 女性の健康課題に対するリテラシーについて質問いたします。
 近年、若い女性にも乳がんや子宮頸がんが急増しております。がんは一般的に高齢になるほど発症リスクが高いため、若い女性には余り関係のない病気だと思われがちですが、女性特有のがんについては若年化している傾向があり、最近も、若い子が子宮頸がんにかかったり、乳がんで著名人が亡くなるニュースを聞くことがあります。
 一方で、子育てをしている女性の友人と話していても、忙しいなどの理由でがん検診を受診していない方が多い現状があります。女性特有の子宮頸がんや乳がんのがん検診を促進していくことが非常に重要だと考えます。
 子宮頸がん検診及び乳がん検診の受診率をお伺いいたします。

○成田保健政策部長 都が実施いたしました直近のがん検診の対象人口率等調査では、平成二十七年における子宮頸がんの受診率は三九・八%、乳がんは三九・〇%でございます。
 特に、子宮頸がんにつきましては、検診開始年齢が二十歳となっておりますが、年代別の受診率は三十代、四十代、五十代と比較いたしますと、二十代が低くなっております。

○もり委員 特に、子宮頸がんは二十代の受診率が低いことが課題と伺いました。
 先日、シンクパール主催の子宮頸がんサミットに参加させていただき、専門家やがんサバイバーの方のお話を伺う機会があり、子宮頸がんはマザーキラーとも呼ばれ、将来、子供を得る選択肢を失ってしまうという事実と、検診の重要性は、二十代、三十代の若い女性にこそ健康意識を高める必要を強く感じました。
 女性の健康課題を解決するためには、子宮頸がん及び乳がんの早期発見の取り組みを進めていくことが必要です。
 都の子宮頸がん及び乳がん検診の受診率向上の取り組みについてお伺いいたします。

○成田保健政策部長 都はこれまで、がん検診の実施主体である区市町村と連携いたしまして、普及啓発に取り組んでまいりました。
 子宮頸がんにつきましては、今年度、検診の開始年齢となる二十歳の女性をターゲットといたしまして、この世代の女性から支持されているタレントを起用した動画を作成し、成人式などで普及啓発を行う予定でございます。
 また、職域で検診を受診する機会のない女性を対象に、幼稚園で配布しているフリーペーパーに、検診の重要性や具体的な受診方法等に関する記事を掲載するなど、がん検診の受診促進に取り組んでおります。
 乳がんにつきましては、がん検診の実施主体である区市町村と連携し、ピンクリボンのPRイベントなどの取り組みを地域の企業などと行うとともに、十月の乳がん月間に合わせて、都庁舎などのライトアップやパネル展などを実施しております。
 今後とも、さまざまな機会を通じまして、がん検診の意義を正しく伝え、受診率の向上を図ってまいります。

○もり委員 成人式でのPR等、とてもよい取り組みであると感じました。
 日本医療政策機構の働く女性の健康増進に関する調査二〇一八では、ヘルスリテラシーの高い方の方ががん検診等の健康管理を実施している割合が高い調査結果があり、女性の健康管理に対するリテラシーを高める取り組みが重要です。
 また、内閣府の平成三十年度男女共同参画白書における女性の定期健診とがん検診の調査では、正規職員の場合は三十代の八割が受診しているのに対し、仕事のない家事を担っている方では三割と大きな開きがありました。
 幼稚園のフリーペーパーでのPRもしていただいているということですので、今後も多様な媒体を活用し周知を要望いたします。
 次に、認知症対策について伺います。
 東京都では、認知症高齢者の急速な増加が見込まれており、認知症の方が住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域で適切に対応できる体制の整備が求められております。
 そこで、都は、認知症に対する専門医療の提供体制を確保するとともに、医療機関同士や医療と介護の連携を推進するため、島しょを除く区市町村に認知症疾患医療センターの設置を進めております。
 認知症疾患医療センターが地域における認知症医療の提供体制の充実を図るためには、地域との協力が不可欠です。
 かかりつけ医など地域との連携について、認知症疾患医療センターがどのような取り組みを行っているのか伺います。

○粉川高齢社会対策部長 都はこれまで、認知症疾患医療センターの整備を進めており、現在、二次保健医療圏ごとに地域拠点型を十二カ所、島しょ地域を除く区市町村に地域連携型を四十カ所指定し、認知症に係る専門医療機関として地域の医療機関等への支援機能を担い、かかりつけ医、認知症サポート医などからの専門医療に関する相談に対応しております。
 また、疾患医療センターでは、区市町村の認知症施策への協力を行うとともに、地区医師会、地域包括支援センター、区市町村等により構成する認知症疾患医療・介護連携協議会において、地域の認知症に係る支援体制づくりに関する検討等を行い、関係機関の連絡調整や情報共有を進めております。
 さらに、医療従事者、ケアマネジャー等と具体的な症例、事例の検討や、意見交換を行う多職種共同研修の開催や、地域の関係機関が実施する研修会への講師派遣などにより、地域の認知症対応力の向上を図っております。

○もり委員 区市町村に一カ所の設置がされており、地元では荏原病院が地域拠点型医療センターに指定をされておりますが、必要なときに入院できるような連携体制の構築には、まだ課題があるとの現場の声を聞きました。
 地域医療機関では、かなり認知症に特化したケアを行っている病院もあり、地域の実情と医療機関の専門性を生かした役割の明確化と機能分化を促進し、一層の連携強化を要望いたします。
 次に、地域包括ケアシステムの構築のための多職種連携について伺います。
 既に高齢化社会に直面する東京において、地域包括ケアシステムの構築は待ったなしの状況です。地域包括ケアシステムの構築には、地域のさまざまな医療従事者との連携により、在宅で医療サービスが受けられるよう多職種連携が求められます。
 そこで、在宅における歯科医療について質問させていただきます。
 口腔ケアは、歯の健康のみならず、最近では適切な口腔ケアをせずに歯周病菌が全身に回ってしまうことが、認知症や心臓病等の原因ともなり、誤嚥性肺炎の危険性もあります。在宅での歯科治療に関して、高齢者人口の増加が今後も続くことからも、必要性はさらに増しております。
 そこで、在宅歯科医療の推進に向けた東京都の取り組みについてお伺いいたします。

○花本医療政策担当部長 都は、在宅歯科医療に取り組む医療機関に対しまして、診療に必要な医療機器の整備費を補助するとともに、歯科医師や歯科衛生士を対象に、在宅歯科医療を行うための知識や留意事項を習得する研修を実施しております。
 また、区市町村が実施する在宅歯科診療に関する相談窓口の設置など、在宅医療と介護の提供体制の充実に向けた先駆的な取り組み等についても支援しております。
 今後とも、こうした取り組みにより、在宅療養者が必要な口腔ケアや歯科治療を地域で安心して受けられるよう、在宅歯科医療の推進に取り組んでまいります。

○もり委員 ありがとうございます。訪問歯科医療を推進していく上でも、歯科衛生士の不足という課題も現場から伺えます。資格はあるものの現場には出ていない非就業歯科衛生士も都内に八千名いるとの調査報告もあり、潜在歯科衛生士の掘り起こしと復職支援を要望いたします。
 次に、薬局、薬剤師との連携についてお伺いいたします。
 地域包括ケアシステムにおける在宅医療における薬局、薬剤師との連携は、施設から在宅への流れの中で、在宅医療における投薬の管理はとても重要です。高齢者は幾つもの医療機関を受診している方も多く、多剤投薬により意識がもうろうとしたり、薬を減らすことで病状が改善したという声も伺います。
 そのような在宅訪問薬剤師業務の強化が重要となる中で、都は、在宅医療の推進に向けて、都内の薬局、薬剤師に対して講習会を実施したり、その他、先進的な取り組みを行っていると聞いています。
 薬局における在宅対応の技術の向上が求められる中で、これまでの東京都の取り組みをお伺いいたします。

○野口食品医薬品安全担当部長 都は、東京都薬剤師会の協力を得て、平成二十六年度から昨年度までの四年間、九区六市で、薬局の薬剤師と訪問看護師やケアマネジャー等の多職種が連携して、在宅患者に訪問薬剤管理指導を実施するモデル事業を展開してまいりました。
 四年間のモデル事業では、訪問看護師やケアマネジャー等から依頼があった患者二百三名の方々に対し、在宅患者訪問薬剤管理指導を実施いたしました。その結果、残薬の低減や、服薬カレンダーの作成による飲み忘れの防止など、百六十名、約八割の患者さんで薬の管理状況が改善され、在宅患者への薬剤師の関与による効果が実証できました。

○もり委員 ありがとうございます。取り組み状況について伺わせていただきました。
 多職種連携がとても重要である中、東京都として、今後さらにどのように進めていくのかお伺いいたします。

○野口食品医薬品安全担当部長 今年度は、四年間のモデル事業の成果を踏まえ、薬局の薬剤師と多職種との連携を都内全域に広めるため、東京都医師会や東京都薬剤師会など五つの関係団体による連絡会を開催いたしております。
 また、在宅患者訪問薬剤管理指導のさらなる充実を図り、地域ごとに、医師、訪問看護師、ケアマネジャーなどの在宅医療関係者との連携を促進させるための情報提供や研修会を実施してまいります。
 引き続き、患者の正しい服薬を支え、薬の重複や残薬を減らすため、薬局と薬剤師による取り組みをより一層推進してまいります。

○もり委員 重複したお薬の適正化や残薬の解消は、医療費の削減という観点からもとても重要です。ぜひ、取り組みの推進を願うとともに、今後、がん患者などの在宅医療を充実させていくためには、人材の育成とあわせて、例えば無菌調剤室などの施設の充実にも力を入れていただくことを要望いたします。
 次に、在宅医療、介護の連携について伺います。
 厚労省が進めている在宅医療・介護連携推進事業について、厚労省老健局老人保健課が発表した資料で、具体的取り組みとして八つの事業が示されており、平成三十年四月から、全ての取り組みについて全区市町村が実施主体となって取り組んでおります。
 地域の医療・介護の資源の把握、在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進、医療・介護関係者の情報共有の支援、在宅医療・介護関係者に関する相談支援、医療・介護関係者の研修、地域住民への普及啓発、在宅医療・介護連携に関する地域区市町村の連携の八つですが、例えば在宅医療・介護関係者に関する相談支援を見ますと、各区市町村において在宅医療、介護連携を支援する在宅療養支援窓口を設置しています。
 地元大田区では医師会に窓口を設置しておりますが、地域包括支援センターであったり、病院であったり、設置場所は区市町村によってさまざまであり、地域の実情により取り組み内容も異なっています。
 地域の実情に合った、より一層の質の向上が必要であると考えますが、区市町村における在宅医療推進の取り組みの質の向上を図るため、都としてどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○田中医療改革推進担当部長 都は、地域における在宅療養推進の中心的な役割を担う在宅療養地域リーダーの育成や、区市町村が設置する在宅療養支援窓口において、在宅療養のコーディネーター機能を担う人材の養成に取り組んでおります。
 また、区市町村在宅療養推進事業等を活用し、区市町村が実施する二十四時間の診療体制の確保や、ICTを活用した多職種での情報共有等の取り組みを支援するとともに、区市町村に対して、在宅医療、介護に関するデータの提供、先進事例や好事例の紹介等を行っております。
 今後とも、区市町村が地域の実情に応じた在宅療養体制の確保に向けた取り組みを推進できるよう支援してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 次に、介護予防総合事業の推進について質問させていただきます。
 介護保険制度は、高齢者の増加や、核家族化の進行などによる家族をめぐる状況の変化に対応するため、社会全体で高齢者介護を支える仕組みとして平成十二年に発足し、今では都民の生活を支える仕組みとして定着をしております。
 一方で、全国どこへ行っても質の高いサービスを受けられるはずの介護保険サービスが、地域によって受けられるサービスに格差が生じている実情も見えてまいります。
 平成二十七年四月の介護保険制度改正では、要支援の高齢者に対するサービスのうち、訪問介護と通所介護が、新しい介護予防・日常生活支援総合事業として、区市町村が地域の実情に応じて取り組む地域支援事業に位置づけられました。
 区市町村が地域の実情に応じ、適切に介護予防事業の取り組みが進められるよう、都としての取り組みをお伺いいたします。

○粉川高齢社会対策部長 都は、新しい介護予防・日常生活支援総合事業が実施されるに当たり、区市町村の介護予防担当者が参加します介護予防推進会議におきまして、住民主体の介護予防に関する先進的な取り組み事例や、リハビリテーション専門職との連携のあり方等について情報提供を行ってまいりました。
 また、平成二十九年度に、都における高齢者医療研究の拠点であります東京都健康長寿医療センターに、介護予防推進支援センターを設置し、区市町村に対し専門的知見を生かした相談支援等を行っております。

○もり委員 ありがとうございます。介護予防に力を入れることが大変重要です。
 一方で、現場からは、頑張って介護度が改善した方がサービスを取り上げられてしまうと感じる、七十五歳以上の後期高齢者にまで頑張れとむちを打たれているように感じる、何とか自分で頑張っている人たちが損をする制度ではおかしいというような声も聞こえてまいります。
 頑張って介護度が改善した利用者と施設の双方が報われる、みんなが社会で生き生きと暮らせる地域の受け皿となるよう期待をしております。
 今後、多様な生活支援や介護サービスをふやしていくためには、地域住民等に働きかけ、サービスの担い手づくりを進めていく必要があります。
 新しい総合事業のサービスの担い手づくりに向けて、都は、区市町村をどのように支援しているのか伺います。

○粉川高齢社会対策部長 平成二十七年度の介護保険制度の改正により、区市町村は新しい総合事業など、介護予防や生活支援サービスの提供体制の構築に取り組む生活支援コーディネーターの配置が求められております。
 都はこれまで、生活支援コーディネーターの養成研修を実施しており、今年度からは、地域で活動するコーディネーターの実践的な対応力の向上を図るため、新たに現任者研修を開始しております。
 また、住民が主体となって体操等を行う通いの場の運営ノウハウの提供や、ボランティアの養成などを行う介護予防による地域づくり推進員の配置、介護予防推進支援センターにおける研修などにより、サービスの担い手づくりに向けた区市町村の取り組みを支援しております。

○もり委員 地域住民が主体となり、新しい公共の概念として、地域で元気な人が地域の高齢者を支えていくという理念そのものはすばらしいものであると考えます。
 一方で、介護事業所には、これまで東京都が専門性を求めて、厳しい基準を求めてきた考え方から、ボランティアがサービスの担い手として現場を担うことに対しては、都が専門でないところをどのように質を担保していくのか、これまでヘルパーさんが担ってきた家事支援等が、資格者がいない、値段が上がることで貧困ビジネスにつながる懸念があるのではないか等、専門職とボランティアとの住み分けの連携の課題も現場からの問題意識として聞こえてまいります。
 今後、新総合事業のサービスの担い手づくりに向けては、民間、営利企業との見分け、ボランティア認定等、東京都としてのチェック体制の整備を要望いたします。
 また、裾野の広い担い手づくりに向けては、東京二〇二〇大会ボランティアの大会後のレガシーとして、高齢者ケアを支えるボランティアづくりに、部局を超えて取り組んでいただくことを要望いたしまして、全質問を終わります。
 ありがとうございました。

○小宮委員 保育の質と安全の確保について、まず伺います。
 待機児童対策が本格化したというのが、十年前、石原都政時代だったというふうに聞いています。その当時、リーマンショックがあり、経済は低迷をいたしまして、共働き家庭が増加をするとか、その後、女性の活躍推進などもありまして、さまざまな、この間、社会的変化もありました。
 この十年間でハード面に対する支援でいうと整備費の補助であったり、賃借料の補助、また、高騰加算の上乗せといった充実が図られまして、また、人材確保策でいいますと、保育士のキャリアアップ補助や、宿舎借り上げ支援事業といった人材に対する新たな支援策というものも充実を図られてきたところです。
 こうした施設整備と人材確保、この二点が車の両輪として、待機児童対策に活用されてきたと、推進を図られてきたということですが、これからも、この保育サービスの量というのは、まだまだ拡大をしていくという中で、改めて量の確保だけではなくて、これからは保育の質と安全の面というものを考えなければいけないときに来ていると思います。
 そこでまず、保育の質の観点の一つである人材支援の重要性については、これまでも指摘してきたところですけれども、国が昨年度、新たに創設をした保育士等キャリアアップ研修について、都の現在の取り組み状況を伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 国は、保育現場におきまして、多様な課題への対応や指導等を行う職員を育成することを目的に、乳児保育、保健衛生、安全対策、障害児保育等の六つの専門分野別研修と、マネジメント研修、保育実践研修から成る保育士等キャリアアップ研修を創設いたしました。
 国は、本研修につきまして、二〇一七年度から開始した保育士等の技能、経験に応じた処遇改善のための加算要件として、二〇二二年度を目途に受講の必須化を目指すことといたしております。
 東京都におきましては、本年四月から都内の指定保育士養成施設等が実施する研修の指定の開始をしておりまして、年度内に開催予定の研修につきましては、現時点で延べ二百三十八回、一万六千七百七十七名分の指定を行ったところでございます。

○小宮委員 キャリアアップ研修は、世田谷区や国立市といった自治体のほかに、指定保育士養成施設の大学や専門学校、また、保育に関する研修の実績がある非営利団体などが講座を開催していると伺いました。
 保育士の専門性やリーダーシップの向上に資するだけでなくて、保育士の処遇改善にもつながる、こういう取り組みですので、今後も積極的に多くの保育士に受講をしていただきたいと考えますけれども、今回の研修運営者は四十二者ですが、その八割は都心で開催される講座であるというふうに伺っています。
 ぜひ、東京も広いですから、身近な地域での研修機会の確保も重要だというふうに思いますが、東京都としてどのように取り組むのか伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、委員ご指摘のように、身近な地域で研修が開催されますよう、一般社団法人等の研修団体や大学等の指定保育士養成施設に加えまして、保育所の施設長等で構成される園長会等に対しても働きかけを実施しております。
 その結果、多摩地域の三つの園長会等による研修実施につながったところでございます。
 こうした取り組みが他の地域にも広がりますよう、引き続き積極的に働きかけてまいります。

○小宮委員 地域で保育士の資質向上に取り組む園長会などの活動が活性化するように、都としても支援を充実していただきたいということを求めておきます。
 さて、保育の質に重要なのは保育人材の確保や支援に加えて、もう一つ、安全性を図るチェック機能であると思います。
 東京都では、従来から児童福祉法に基づいて認可保育所、認証保育所、認可外保育施設に対して指導検査を行っています。
 このうち認可保育所については、平成二十七年に子ども・子育て支援法が施行されましたので、区市町村にも、その指導検査権限が付与されております。
 施設の数がこれからもふえ続けるという中で、東京都として区市町村との連携などを見据えながら、認可保育所に対する指導検査を実施しているということですけれども、都内の認可保育所に対する指導検査に東京都としてどう取り組んでいるのか、区市町村との連携についても伺います。

○村田指導監査部長 都では、認可保育所に対しまして、児童福祉法等に基づきまして指導検査を行っており、職員の配置状況や消防法等の対応などの運営面、保育内容、会計経理につきまして、法令に定める基準に適合しているかどうかを確認しまして、基準を満たしていない場合には指摘し、改善を指導しているところでございます。
 また、区市町村では、子ども・子育て支援法等に基づきまして、職員の配置状況などの運営面、保育内容、給付費の請求等について指導検査を実施しております。
 都としては、区市町村職員向けの研修、都が行います指導検査への立ち会い、区市町村との合同検査の実施などを通じまして、区市町村を技術的に支援するとともに、指導状況につきまして相互に情報共有を図っているところでございます。
 こうした連携によりまして、都内の認可保育所の運営状況を把握し、指導を効率的、効果的に行っているところでございます。

○小宮委員 指導検査、いわゆる立ち入りの検査を担う職員は、指導第二課の保育検査担当、わずか十八人というふうに聞いております。
 認可保育所だけでも対象数は、昨年度の数ですけれども二千四百六十施設あります。区市町村との連携や分担、すみ分けというんでしょうか、今はやはり限られた人員で、どうやったら効率よく、また効果的に検査、指導ができるかということが大事だと思います。
 子ども・子育て支援法施行から区市町村が指導検査にかかわるようになったわけですけれども、まだ二年程度ということで、チェック体制のノウハウですとか相互の情報共有、こういうものを着実に図っていただきながら、指導検査を着実に実施していただきたいと思います。
 それから、認可外保育施設については、最近、企業主導型保育事業で保育園が急な閉鎖に追い込まれるといった問題が報道されております。また、先月には練馬区にある認可外保育施設で、残念ながら死亡事故もありました。認可外保育施設については、よりチェックが必要であります。
 東京都は、認可外の保育施設に対する指導監督の強化を図るために、目的として、平成二十八年度の補正予算で巡回指導チームを設置しております。
 この巡回指導にどのように取り組んでいるのか、その体制と内容、実績について確認します。

○村田指導監査部長 都は、認可外保育施設に対しまして、平成二十九年三月から巡回指導チームによる指導を開始いたしました。
 一班二名によるチームを編成し、平成二十九年度からは、十班二十名体制で実施をしております。
 この巡回指導員でございますが、認可保育所の園長OBや行政機関等で社会福祉施設等の指導業務に従事した経験のある者などで構成をしております。
 巡回指導に当たりましては、認可外保育施設指導監督基準のうち、職員配置、保育内容、健康安全の管理など、子供の安全に直結する項目について重点的に指導を行っておりまして、全ての認可外保育施設に対し、年一回実施をしております。

○小宮委員 巡回指導は保育園の元園長さんですとか指導業務に詳しい方々で構成をされているということでした。現場を知る方というのは、さまざまな状況把握が可能なんだろうというふうに思います。
 児童福祉法に基づく指導検査、立ち入りというのは大変時間のかかる検査というふうに聞いておりますけれども、この巡回指導はそれとは異なる方法、考え方で、経験ですとか専門性にたけた指導員が集中的に取り組んでいるものというふうに認識をしたところです。
 特に安全性が懸念されている認可外保育施設、これは昨年度の数ですけれども、千八十九施設ありますけれども、そのうち検査員による立入調査ができたのは二割程度という実施率というふうになっている中で、この巡回指導チームとの連携というものが、認可外へのチェック体制の充実に貢献していると思いますけれども、その取り組みについて伺います。

○村田指導監査部長 都では、認可外保育施設に対しまして、児童福祉法等に基づきまして立入調査を行っており、認可外保育施設指導監督基準全般について、基準に適合しているか確認し、基準を満たしていない場合には指摘し、改善を指導しているところでございます。
 また、巡回指導により職員配置や保育内容等に重大な問題が認められた施設や、苦情や通報が寄せられた施設に対しましては、早期に立入調査を実施するなど機動的に対応しております。
 こうした巡回指導チームとの連携等により、都内全ての認可外保育施設の運営状況を把握し、課題のある施設に対しては重点的に改善指導を実施しているところでございます。

○小宮委員 巡回指導チームが全ての認可外の保育施設に足を運んで、経験者の目でチェックし、濃淡をつけて立ち入りが必要な施設には、検査員と連携して臨機応変に対応しているという現場の苦労と工夫と現状というものがわかりました。
 東京都はこれまで、保育の受け皿をばんばんふやしてまいりまして、保育士の処遇改善など人材確保策もやってきているわけですけれども、やはりこれからは、子供の命にもかかわる安全対策、チェック体制というものが重要であると思いますので、区市町村やさまざまな主体と協力をしながらしっかりと構築をしていっていただきたいというふうに思います。
 さて、団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年に向けまして、高齢化のさらなる進展で医療や介護サービスの需要が増大していくということが見込まれております。
 そんな中で、東京の持続可能な医療提供体制を想定してつくられたのが平成二十八年七月の東京都地域医療構想です。
 この地域医療構想には高度急性期、急性期、回復期、慢性期といった病床の機能区分ごとの将来の病床数の必要量というものが示されているところですけれども、現在は高度急性期や急性期の病床の割合が多くて、回復期が足りないんだということが指摘をされたわけです。
 今後の高齢社会には、病院完結型の医療から地域完結型というものが求められてきます。
 病気をしても治ったらリハビリをして在宅へ、急変をしたら病院へ、おさまったらまた地域へと、この病院と地域の相互の循環というものがスムーズにできるような、こういう環境整備が求められていると思います。
 そのためには、救急と在宅をつなぐ、やはり回復期の機能を充実するということが必要です。
 地域医療構想の策定から今日まで約二年がたちましたけれども、これまで開かれてきた地域医療構想調整会議で都として行ってきた取り組みを伺います。

○矢沢医療政策部長 平成二十九年度の地域医療構想調整会議では、病床機能報告や都内全ての医療機関を対象にいたしましたアンケート調査の結果などを踏まえまして、地域医療の現状や今後の課題等に関する意見交換を実施いたしました。
 また、活発な議論が進むようグループワーク形式を導入し、退院調整機能の充実強化や地域の中で医療機関等の情報を共有するための取り組みなどについて、より深く意見交換を行いました。
 平成三十年度には、公立病院と公的医療機関等が地域において今後担うべき役割等の方向性を示すために作成した新公立病院改革プラン及び公的医療機関等二〇二五プランと、各構想区域におけます医療機関の役割や機能などについての意見交換を行いました。
 これら調整会議での取り組みを通じまして、都は、各医療機関の自主的な病床の機能分化や病院間の医療連携を進めているところでございます。

○小宮委員 自主的な病床機能の分化はなかなか難しいと思いますが、誘導するのは都としてはもっと難しいんだろうというふうに思います。
 この病床機能の分化や病院間の医療連携を進めるに当たりまして課題は何か、また、それに対して今後どう取り組むのか教えてください。

○矢沢医療政策部長 地域医療構想の調整会議では、高齢者、特に独居高齢者や認知症の方の在宅移行や転院が困難、高度急性期、急性期中心の病院と地域の医療機関や介護事業者との連携が不足、転院先を探すための情報が不足などといった意見が多くございました。
 病床の機能分化と連携を進め、高度急性期から在宅療養に至る医療サービスを地域ごとに切れ目なく提供していくためには、各医療機関の機能や患者の情報を医療機関相互に、また地域の医療、介護関係者と共有していくことが課題となっております。
 このため、今後、都は、医療機関が持つ患者の診療情報を相互に参照可能とする仕組みや、地域で取り組みが進められている医療介護ネットワークを活用しながら、医療機関と地域の医療、介護関係者の情報の共有化を進めてまいります。

○小宮委員 ありがとうございます。さまざまなネットワーク、医療機関相互のネットワークはもちろんで、これからは各地につくっていかなきゃいけない地域包括ケアシステム、こういうネットワークとそうした医療機関相互のネットワークがつながるですとか、情報の共有化というのが地域医療構想の実現には欠かせないというふうに思いますし、東京の将来の効率的で持続可能な、そういう医療提供体制にもつながるものであると思います。
 それから、入り口の部分で病気や介護状態にならない予防の取り組み、元気で長生きできる、そういう取り組みも重要です。
 現在、区市町村が住民主体の通いの場などで取り組んでいる介護予防の活動というのは、高齢者の社会参加を促して孤立防止にも寄与するものと考えます。
 地域において、こうした住民主体の介護予防の取り組みを広げていく上で身近で集まりやすいところに活動拠点の確保が課題となってきます。
 東京都は今年度から、人生百年時代セカンドライフ応援事業というものを開始しまして、高齢者が気軽に集い交流できる地域サロンを設置する区市町村を支援しておりますけれども、この事業創設の経緯について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 介護予防の推進には、区市町村において地域住民が主体となって定期的に体操などを行う通いの場や、高齢者が生きがいや役割を持って生活できる居場所などが地域に展開されることが重要でございます。
 都はこれまでも、在宅高齢者の閉じこもりを防ぎ、地域住民による見守りや支え合い活動の拠点づくりに取り組む区市町村を包括補助で支援してまいりました。
 今年度からは、より身近な地域において高齢者が気軽に立ち寄り参加できる活動や交流の拠点となるサロンの設置を進められるよう、人生百年時代セカンドライフ応援事業を創設し、区市町村の取り組みへの支援を強化しております。

○小宮委員 高齢者の通いの場や居場所をふやそうということで、包括補助から特出しというんでしょうか、これで創設をされた、こういった形でサロンというものが地域にふえることによって、高齢者だけでなくて人々の交流が活発になって、ひいては地域力の向上につながるものであることも期待したいと思います。
 そこで、人生百年時代セカンドライフ応援事業による地域サロンへの支援状況を伺います。

○粉川高齢社会対策部長 本事業では、地域サロンが日常生活圏域ごとに設置できるよう補助基準を拡充するほか、開設日数の補助要件をおおむね週五日以上から、おおむね週二日以上に緩和するとともに、補助率も三分の二とするなど、区市町村が地域の実情に応じて取り組みやすいものとしております。
 現在、十五の区市町村で計四十三カ所のサロンに補助を行っており、追加の交付申請を受け付けております。
 今後も、区市町村に対し、本事業の積極的な活用を働きかけてまいります。

○小宮委員 町会、自治会の活動も高齢者の参加を促す取り組みが多いです。
 実際、町会、自治会を支えているのも高齢者が多いという現実がありますけれども、独自の町会会館を、いわゆるサロンとかそういう拠点になるようなものを持っているという町会はかなり少数でして、集まる場所の確保というのは、やはり地価の高い東京で課題でもありますし、例えば空き家の活用などにもつながれば、大変な相乗効果にもなるだろうなというふうに思います。
 この高齢者のサロン、拠点づくりにしても、また、子供食堂も振るっているようですけども、私も杉並の子供食堂に行ってきましたら、子供が中心なんですけれども、独居の高齢者が一緒に加わっていたり、それを運営しているのは若手の元気な女性だったりという方々で、つまり多世代で集える場所ができていたりと。また、昨今いろいろ話が出ましたけれども、虐待の防止には、やはりお母さんたちを一人にさせないということも大事な--今、孤立とか孤独とか孤食を防ぐということが、東京というのは、人口は多いですけれども、そういうことが必要な時代になったというふうに思います。
 お互い支え合える、そういう環境整備を行政としてもしっかりと取り組んでいただきたいということを期待申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○栗林委員長 それでは、この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後九時六分休憩

   午後九時十九分開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○後藤委員 私、厚生委員会に所属をして初めての質疑をさせていただきたいと思います。
 私は、昨年度まで民間の人材企業にて、介護業界の採用や定着支援を中心に働いておりまして、全国千を超える事業所を見てまいりました。
 自身も他県の人材確保の対策の委員なども務めさせていただいておりまして、介護職の定着支援などでは、研修の企画、運営から地域の連絡、連携支援までさまざまな行政の施策実行にもかかわってまいりました。
 こうした経験を踏まえ、二〇二五年に向けて現場の声を行政に届け、そして東京から世界で最も幸せな高齢化社会のモデルをつくりたいという気持ちで、今この場に立たせていただいております。
 こうして委員の皆様や福祉保健局の職員の方々とともに政策議論を行い、切磋琢磨できることを大変うれしく思っております。今後一年間どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、私からは、高齢対策を中心に質問をさせていただき、加えて子育て支援策についても少しだけ触れていきたいというふうに思っております。
 まず、介護人材に関して二テーマにわたりご質問をさせていただきます。
 東京では二〇二五年に向けて、今後、介護施設や地域医療の担い手の深刻な不足状態にあるということは委員の皆様もご存じのところだと思います。
 介護施設そのものに関しては整備が徐々に進んでおりますけれども、最も大きな課題として挙げられるのが人材確保の問題でございます。東京都の介護職の求人倍率は、五・八倍となっておりますが、これは全国平均の二倍にもなり、日本で最も介護職の人材獲得競争が激しい地域は、ここ東京でございます。
 そうした状況を踏まえて、ここ東京都では介護の人材確保、定着にさまざまな対策を講じておりますが、その中でも福祉分野に多様な人材を確保するために、今年度一月よりスタートしたのが福祉人材情報バンクシステムである、ふくむすびでございます。
 そこで改めて、本サービスの設立の趣旨や目的についてお聞きいたします。

○坂本生活福祉部長 今お話しの福祉人材情報バンクシステムふくむすびでございますが、福祉サービスを担う多様な人材を確保するため、福祉職場に興味のある方々に福祉職場に関します情報を発信し、各種イベントや職場体験などへの参加を通じまして、一人でも多くの方を福祉職場につないでいくためのポータルサイトといたしまして、本年一月より運用を開始したところでございます。
 このふくむすびでは、都内約三万事業所の所在地や提供サービス等の基本情報に加えまして、働きやすい職場づくりに取り組む福祉事業所の情報でございますとか、職員募集や職場体験の受け入れなどに関します情報、都内自治体の支援策や、イベント、講習会の開催情報を掲載いたしまして、さらに、福祉職場の魅力を紹介いたします動画などが視聴できるなど、施設や事業所の情報発信に努めているところでございます。

○後藤委員 ありがとうございます。介護職だけではなく、保育や障害者施設の情報も掲載している、いわゆる福祉のポータルサイトというお話がございました。
 私も今回、ふくむすびを利用している複数の介護事業者の方にヒアリングをさせていただきましたけれども、半数以上の方々が、こちらのサイトを求人サイトと間違えて認識をされておりました。
 私も所見では、ふくむすび自体が求人サイトなのかなと勘違いして見てしまいまして、よくよく見たらいろいろな情報が載っているポータルサイトだというふうにわかったんです。私も前職で介護の求人サイトの企画、運営なんかもやっておりましたけれども、求人サイトというところとポータルサイトというのは、目的もサイトの設計もKPIの指標の引き方も全く違うものでございまして、例えばですが、グーグルをつくったつもりなのにハローワークの求人サイトと、一般的に介護の事業者さんたちも間違えてしまっているというような現状を踏まえていくと、ちょっともったいないなというような思いがしております。コンテンツ自体は定着支援に力を入れている法人が一目でわかるような、TOKYO働きやすい福祉の職場宣言情報など、すごくいいものだなと私も思っているんですけども、もったいないなということで、サイトの目的がわかりやすく表示されるように、ぜひ改善をお願いしたいなというふうに思っているところでございます。
 そして、ポータルサイトということですので、これにおける最も重要な一つは、皆さんが集まる、閲覧されているかということで、アクセス数というものが非常に重要になるわけですけれども、ここでご質問ですが、サイトを開設後のアクセス数というのがどのぐらいなのかということと、また今年度、アクセス数の改善というところに向けて、どのような取り組みを行っているのか教えてください。

○坂本生活福祉部長 本年一月末のふくむすびの開設から九月末までの全コンテンツに対するアクセス数でございますが、三十二万九千三百四十一件となっておりまして、月平均でございますと四万一千件程度でございます。
 また、今年度は、ふくむすびのコンテンツのうち、先ほどお話ございましたが、TOKYO働きやすい福祉の職場宣言情報のアクセス改善を図るために、表示方法の見直しでございますとか事業種別の追加などの改修を行ったところでございます。
 さらに、年度内には、ふくむすびのトップページの見やすさや検索方法についても改善を図っていくこととしております。
 今後とも、福祉に関心のあるより多くの方にふくむすびを活用していただきまして、福祉人材の確保につながりますよう、アクセスの向上や周知を図ってまいります。

○後藤委員 ただいま、見やすさの部分については改善いただけるというふうなご答弁がございました。ありがとうございます。
 ただいまのご答弁で、アクセス数については月四万件程度だというお話がありましたけれども、私もよく見ている介護系のメディアのポータルサイトで最もメジャーなサイトの月間アクセス数というのが一千二百万アクセスというふうにいわれておりまして、そうすると、ちょっと比較するとかなり大きな差があるのかなというふうに感じております。
 ポータルサイトとして、より多くの都民や、施設、事業所の皆さんに活用していただくという意味でいえば、今後のサイト改善についてもアンケートやインタビュー等々、利用者の声をぜひ反映していただきまして、東京の介護情報を調べるのであれば、まずふくむすびだということで第一想起していただけるように、より使いやすいシステム改修をしていただくよう要望をいたします。
 次に、介護講師派遣事業についてお聞きをいたします。
 いわゆるチャレンジフォーシニアと呼ばれている事業ですけれども、東京都は本年度より、介護の担い手確保を目的として、退職前のシニアに対して企業を通じて介護技術の研修などを実施し、シニアの介護業務の参入を促進する介護講師派遣事業というものを実施することになりました。
 ここで、本事業の目的と概要についてお聞きいたします。

○粉川高齢社会対策部長 介護講師派遣事業は、企業等の従業員に対して退職前から介護の魅力を伝え、基礎的な知識や技術習得の機会を提供することなどにより、介護分野への多様な人材の参入促進を図ることを目的としております。
 本事業では、企業等が従業員に対して介護に関する研修を実施する場合に、介護福祉士養成施設等から実務や指導経験の豊富な講師を派遣することなどにより支援しております。
 また、企業等の要望に合わせて、例えば、認知症の理解に重点を置いた研修内容とするなど柔軟に対応しております。
 さらに、研修受講生が希望する場合には、介護施設等での職場体験の案内や就職等の支援も行います。

○後藤委員 まずは、身近に迫る可能性のある介護について知ってもらうということで興味を持っていただき、その先のゴールとしては就業につなげるといったご趣旨のご答弁がございました。
 それでは、本年度の実施状況と成果についても伺います。

○粉川高齢社会対策部長 都は、民間企業有識者の介護福祉士養成施設協会や区市町村等で構成する介護講師派遣事業検討委員会を設置し、本事業を効果的に実施できるよう検討を重ねてまいりました。
 検討委員会では、カリキュラムに仕事と介護の両立支援を含めることで興味を持てる内容とすることや人事担当者等を対象にした事業説明会の開催など、企業への周知方法等についてご意見があり事業に反映させております。
 八月に開催しました人事担当者等を対象とした事業説明会では二十三社が参加し、また、九月から実施企業等を募集したところ、現在、五社から申請があり、そのうち一社に対して講師を派遣しております。
 さらに、本事業をより多くの企業等に活用いただけるよう、経済団体の協力を得て事業の周知を図っており、これまで研修内容の問い合わせや実施規模についての要望などが寄せられております。
 今後、これらの要望等を踏まえ、事業の一層の普及に取り組んでまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。事前説明会でも多くの事業者がご参加いただけるということで、介護の仕事について認知いただく場が広がるということは大変意義のあるものだというふうに思っております。
 ここで非常に重要なのは、今後、介護の仕事をまず知ってもらうということはいいのかなと思うんですが、介護の仕事を知っていただいた上で、就業意欲につなげていくということが、本制度の目的から考えると重要だというふうに思っております。
 今回参加している法人は、比較的大規模な事業者が多いというふうにお聞きをしておりますけれども、ここで上場企業の平均年収というのは五百九十九万、約六百万円、そして介護職の平均年収は三百二十二万円ということで、二百万近くの差があるということでございまして、この二百万円の差を埋める、賃金差があっても介護の職場で働きたいというインセンティブを設計するということが重要であり、それはかなりハードルの高い話であるかなというふうに考えています。
 ただ、そのためにはいろいろな施策を講じていただく必要があると考えておりまして、例えば、興味を持っていただいた後に、少しライトに介護の仕事ができるような仕組みをつくることというのも一つの方法ではないかというふうに考えています。
 介護士の先輩のそばで働きながら現場に役立つ介護を学ぶことができて、そして身体的な負担が少ない介護助手の制度自体は今、割といろいろなところで話題に上がっておりますけれども、介護職の専門性向上という視点に加えて、シニアの方々の新しい働き方という期待も大きい制度でございます。
 ぜひ、こういった受け皿、働き方という切り口でもご検討をいただきながら、多様な働き方を選択できる制度を構築していただくことを要望し、次の質問に参ります。
 そして次に、認知症対策についてご質問いたします。
 都内で何らかの認知症の症状を抱える高齢者の方々の数は、二〇二五年には約五十六万人に達すると推計されておりまして、認知症の方々と家族が地域で安心して生活できるようにするためには、早期から認知症についての理解を促し、適切な支援につなげ、そして、初期段階から様態に応じて切れ目のない支援を、高齢者に身近な区市町村を中心として行っていくということは非常に重要なことでございます。
 中でも、認知症の方々が鬱、暴言、介護拒否などの行動心理症状、いわゆる周辺症状のBPSDが発症すると、本人だけでなく家族などの介護者にとっても大きな負担になり、在宅生活を続けられなくなるということもございます。
 BPSDは周囲のかかわり方により軽減することが可能であるというふうにいわれておりまして、BPSDに適切に対応できるようにしておくということは非常に重要なことでございます。
 東京都は昨年度、東京都医学総合研究所と協業して、BPSDの症状を見える化するオンラインシステムと認知症ケアの向上を図る人材の養成により、BPSDの症状の改善を図る日本版BPSDケアプログラムを開発したとお聞きしております。
 そこで、日本版BPSDケアプログラムの導入が促進されるよう、都は区市町村を支援すべきだというふうに考えますが、現在の取り組み状況について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 都は、日本版BPSDケアプログラムの普及を図れるよう、今年度から、区市町村が実施します介護保険事業所等でのケアプログラムの実践者であるアドミニストレーター養成研修や、事業所への導入経費の補助などを支援する事業を開始しました。
 また、こうした区市町村の取り組みを促進するため、ケアプログラムの内容や事業所における取り組み効果などを紹介する説明会を開催したほか、区市町村から推薦を受けた事業所を対象に合同アドミニストレーター研修を実施しており、現在、九つの区市町の七十八事業所がケアプログラムを利用しております。
 今後、区市町村がケアプログラムの普及を一層進められるよう実践事例集の作成を行うとともに、オンラインシステムや研修カリキュラムの改善などを検討してまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。今回、私もBPSDケアプログラムの対象地域となっている私の地元足立区の区役所の担当の方にお話もお聞きしてまいりました。
 そこでは参加者となったケアマネさんなどから、とても重要な取り組みであるという声が多く上がっているということもお聞きをしておりますので、ぜひ新年度の制度になりますので、運用上の課題についてはこれからいろんなものが出てくると思いますけれども、しっかりとこの課題を取りまとめていただきまして、他区へ展開いただけるようにご支援をいただきたいというふうに思っております。
 次に、介護現場におけるみとりの推進についてご質問をいたします。
 可能な限り住みなれた地域で最後を迎えたいというのは、多くの高齢者の方々の願いでございます。
 しかしながら、東京では七割の方々が病院で亡くなるという現状がございまして、これから在宅や施設でのみとりを進めていく体制づくりということが非常に重要でございます。
 東京都では、住みなれた暮らしの場におけるみとりを推進するために、平成二十八年度より、みとりを実施しようとする事業所等に対して支援を行っております。
 そこで、とりわけついの住みかでございます特別養護老人ホーム等におけるみとりの支援について、都はどのような取り組みを行っているか伺います。

○粉川高齢社会対策部長 都では、本人の意向に基づき、自宅や施設等の住みなれた暮らしの場におけるみとりを進めるため、研修や環境整備を行う暮らしの場における看取り支援事業を実施しております。
 介護施設の医療介護職等を対象とした研修では、人生の最終段階における本人の意思決定支援や家族等の対応、職員の精神的ケアなどの内容を盛り込み、みとりの理解を深め、実践力の向上を図っております。
 また、特別養護老人ホーム等でみとりを行うために必要となる個室や家族のための宿泊室の確保等、環境整備に要する改修経費を補助する区市町村を支援しております。
 今後とも、暮らしの場におけるみとりの環境整備等を支援してまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。みとりに積極的に取り組む事業者がふえる一方で、私も多くの事業者を見てまいりましたが、一部の施設では、みとりに関して入所者を医療機関に搬送してしまうケースも多く見られると思っておりまして、まだまだみとりに積極的に取り組む事業者は少数であるなというふうに感じております。
 みとりを推進するということは、介護職のスキルの一つでもあるというふうに考えておりまして、今後、みとりに関する事業者の、まずは意識醸成というところにしっかりと重点を置いていただくことを要望し、次の質問に参ります。
 次に、都民の命を守る救急搬送についてお伺いをいたします。
 東京都では不慮の事故や急病にかかった場合、適切な医療が受けられるよう救急医療の体系的整備に取り組んでおります。
 近年、都内の救急搬送は増加の一途をたどっており、平成二十九年の救急搬送人員は七十万二千三百人と、十年前と比較しても七万六千人以上がふえておりまして、これは一日当たり千九百人以上もの方々が東京都では救急搬送されているという計算になります。
 そして、重要なのはその半数以上が軽症患者が占めているということでございまして、救急搬送の適正化という観点から対策を講じる必要があるというふうに考えております。
 そこで、都の救急搬送の適正化に向けた取り組みについてお聞きをいたします。

○矢沢医療政策部長 都は、救急患者がより迅速に適切な医療を受けられるよう救急医療の東京ルールを進めております。
 この東京ルールでは、ルールⅢといたしまして、救急医療への都民の理解と参画を掲げており、救急車を呼ぶか迷ったときに相談する東京消防庁救急相談センター、シャープ七一一九の利用促進を図りますとともに、救急の日のイベントや、ポスター、リーフレット等の配布を通じて、救急車の適正利用について都民への理解を求めています。
 今後とも、限られた社会資源である救急医療を守るため、東京都医師会や東京消防庁等の関係機関と連携し、救急車の適正利用について都民への普及啓発に努めてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。しっかり取り組んでいただけるということでございますが、私の方からは、加えて救急搬送における高齢者の課題についても触れておきたいというふうに思っております。
 高齢化に伴い救急搬送のうちの高齢者の方が占める割合ということが増加をし続けておりまして、平成二十八年度時点で救急搬送される患者のお二人に一人は高齢者という状況になってございます。
 こうしたことからも、今後ますます高齢化が進むにつれて件数がふえていくことが予想されますので、対策が必要になるというふうに考えております。
 中でも、救急搬送された高齢者の方々の約八割がご自宅や外出先からの搬送というお話がございまして、先日、都内で最大規模の在宅診療をされている専門医の方とも意見交換をさせていただきましたけれども、そこでは自宅からの搬送が多い理由について三つあるのではないかというご意見がございました。
 一つは、高齢の独居や二人世帯ということで、自力で病院に診療にいくというのが難しいということで、受診手段として救急車に頼らざるを得ないという状況、二つ目が、生活能力や認知機能が低下しているということで、日常の健康管理が十分にできていないという状況、定期的な通院だけではなく食事や衛生管理など生活環境の確保に課題があるというようなお話、そして三つ目に、不安ということがあって、二十四時間応えてくれる、在宅医療の環境もなかなか課題があるということではありますけれども、そういった窓口がないということで、結果的に一一九番にお電話してしまうという、そういったケースも多いというお話がございました。
 その事例の一つとしても、やはり先ほどのお話のとおり、後期高齢者の救急搬送には、医学的な要因というよりかは社会的背景というのが大きいケースがかなり含まれるなというふうに思っておりまして、例えば、独居の男性高齢者の例を、その先生に教えていただいたんですけれども、救急外来で診査した結果、結局、脱水という症状になったと。
 点滴をして自宅に返したということで、救急医療としてはそれが医療の現場の判断として正しいかもしれませんが、大事なのは、じゃあ、この男性がどうして脱水になったのかということを掘り下げていくことが大事ということで、生活力が低下して一人で買い物に行けないであったりとか認知症や鬱のために適切な水分管理ができていない、服薬管理ができていないとかいろんな原因が考えられるわけでして、生活背景を考慮することなく点滴だけして帰してしまっても、結局また同じことを繰り返すということで、私の自宅の前のマンションでも、毎日のように救急車がとまっている認知症の方のご自宅があるんですけれども、やはりこういった事例からも根本的な解決をしていかなければいけないということで、生活支援の体制づくりというのが急務であるというふうに考えております。
 今後進む高齢化に向けて救急現場が対応していくためには、高齢者の方々が一一九番に託した本当のニーズは何なのかということをしっかりと分析をしていただいて、根本的な解決につなげていくということが重要であるというふうに考えております。
 かかりつけ医の制度の普及啓発、そして在宅医のアウトリーチ等々、今後は救急現場における高齢者の課題に対応しなければいけない対応策がたくさんあるというふうに思っています。ぜひ、こうした背景も踏まえて施策展開を行うことを期待して、次の質問に移ります。
 そして、ここからは認証保育所における支援策について伺います。
 東京都は、大都市特有の多様な保育ニーズに対応するために、ゼロ歳児保育の実施や十三時間開所を義務づけた認証保育所制度というのを実施しております。
 認証保育所については、都の保育施策において非常に重要な役割を担っておりまして、私も自分の一歳の子供を認証保育所に預けておりますけれども、開所準備経費や運営費などさまざまな施策が講じられております。
 認証保育所運営に関しては、本年度の新規事業として、認可外保育所を認証化するための支援というものがスタートしておりまして、認証保育所への移行を目指す認可外保育所に対して財政支援を行い、認証化を促すというふうな内容になっているというふうにお聞きをしております。
 そこで改めて、本制度の目的と取り組みの状況についてお聞きします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は今年度、認可外保育施設の質の向上とともに待機児童解消に向けた受け皿の拡大を図るために、認証化移行支援事業を創設いたしました。
 この事業でございますが、施設の改修費や移行期間中における保育士等の配置割合に応じた運営費の補助を行います。
 また、現行の施設では認証保育所の基準を満たせないために移転を必要とするという場合には、その費用を支援いたします。
 さらに、認証保育所への移行に向けて必要な保育内容、財務関係等に関するコンサルタント費用につきましても支援をいたします。
 今後とも、本事業の積極的な活用に向けまして、区市町村に働きかけてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。今年度からさまざまな支援策が講じられるということで、私も周りのお母さん方にお聞きをすると認証保育所に預けている親御さんが非常に多いんですが、やはり柔軟な開所時間など、まさに都市で働く親御さんたちのニーズに合った取り組みであるというふうに感じておりまして、割と周りでは保育所を探すとすると認可というイメージがございますけれども、認証保育所も選択肢の一つとしてあるんだということをご理解いただくよう、より一層、普及啓発に向けて取り組んでいただくことを要望して、次の質問に参ります。
 最後に、液体ミルクに関する施策についてお聞きをいたします。
 先ほど、まつば理事からもご質問がございましたが、調乳の必要がなく常温保存できる液体ミルクは、災害時の代替手段として非常に有用でございます。
 私自身も子供を粉ミルクで育てておりまして、災害時、煮沸消毒ができない中で粉ミルクで大丈夫なんだろうかと非常に不安を感じているところではございますが、まだ国では液体ミルクは一般流通をしていないということで、東京都は、国に先駆けて、ことしの六月に乳児用液体ミルクを災害時に海外から迅速に調達できるよう、民間事業者と締結をされたとお聞きをしております。
 本年度は、大阪北部地震や西日本大豪雨、そして北海道の胆振東部地震と本当に災害続きだったわけですけれども、都は緊急輸入した乳児用の液体ミルクを西日本大豪雨及び北海道胆振東部地震の被災自治体に救援物資として提供したというふうなことでございますが、ほとんど使用されなかったというような報道が一部でなされているということでございます。
 乳児用の液体ミルクについてのメリットというものは、特に災害時という意味で見れば、有用性はもう誰が見るにも明らかなわけでございまして、なぜ普及しなかったのかというところでいくと、やはり使いなれない製品に対する不安であったりとか被災現場の行政側の混乱といったような課題も、今回の事例で見えてきたのかなというふうに思っております。
 私も先日、地元で月齢の低いお子さん向けに液体ミルク勉強会というものを、実物を持ってやってみたんですけれども、ほとんどの方が液体ミルクを知りませんでした。
 そして、一方、国ではこの八月に国で規定が整備され、国内の製造、流通が可能になったということで、こうした経験を踏まえると、乳児用の液体ミルクの理解を促進するために普及啓発という、まずは知っていただくということが大変重要でございまして、例えば、専門家の知見を活用するということも非常に重要なのではというふうに考えております。
 こうした普及啓発に関して専門家の知見を活用するということについて、都の見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 都は、今回、海外から緊急輸入した乳児用液体ミルクを救援物資として提供するに当たり、製品情報の日本語訳や使用上の留意点についての説明文書も作成いたしまして、あわせて提供いたしました。
 また、子育て世代を初めとした国民が乳児用液体ミルクに関して正しく理解し、適切に使用できるよう普及啓発等を進めることについて、国に対して提案要求を行っているところでございます。
 今後、都といたしましても、医療や保健に関する専門家等の知見も踏まえながら、乳児用液体ミルクの普及啓発に取り組んでまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。都としても、専門家の知見を踏まえて普及啓発をこれからしていただけるという力強いご答弁がございました。
 ちょうど三日前に、先ほどもございましたけれども、大手食品メーカーが液体ミルクの製品化に成功したという報道がございまして、早ければ来春の流通が可能ということでございました。
 そして、これに先駆けて、文京区では来春にも乳児用の液体ミルクの備蓄と母親への無料配布というものを全国に先駆けてスタートするという報道がなされております。
 今後、液体ミルクの支援策というものも緊急輸入という形から、恐らく備蓄をしていく各区市町村に支援していくというような形に変化していくのかなというふうに、このニュースを見ながら考えておったんですけれども、都としても、今後はこうした状況を踏まえて、スピーディーにご対応いただけるようにご要望をして、そしてさらに重ねてになりますけれども、災害時に赤ちゃんの命を守るという観点からも、液体ミルクの普及は大変重要なものであるというふうに考えておりまして、東京が日本初の事例として、こうした取り組みをしっかりと広げていくということは重要なことでございますので、今後もしっかりとこうした取り組みを進めていただくことを要望して、私の質疑を終了いたします。

○桐山委員 お疲れのところ恐縮でございます。それでは、何点か、ちょっと多岐にわたるんですが、質問させていただきます。
 まず最初に、風疹対策についてお伺いをいたします。
 風疹対策も、先ほど、まつば理事の方から質疑がなされているところです。
 東京都におけます風疹患者数は、本年七月以降、三十代から四十代の男性中心に患者が多く報告をされている現状でございまして、東京都は五年前に、平成二十四年の夏以降の全国的な風疹の流行状況を踏まえまして、平成二十五年三月から緊急対策として、妊娠を予定または希望する女性等に対する予防接種を行う区市町村へ補助事業を開始された、このときも緊急対策として補助をスタートされたということでございます。その当時、実は私は市議会議員でおりまして、年度末に当初予算の審議をしている最中のぎりぎりのところで、いきなり補正予算を組まれてきたというので非常によく覚えているんですが、平成二十四年から平成二十五年に風疹が流行した際に、実施をしたときの緊急対策について、改めてお伺いいたします。
 そして、あわせて、本年七月以降に取り組まれた緊急対策の内容を、もう一度改めてお伺いをさせてください。二問一緒になります。よろしくお願いします。

○吉田感染症危機管理担当部長 平成二十四年から平成二十五年に風疹が流行した際、都は、都民への普及啓発に取り組むとともに、先天性風疹症候群を防止するため、平成二十五年三月から包括補助を活用し、妊娠を予定または希望する女性を対象にした予防接種に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 また、平成二十五年三月から同年九月末まで、妊婦の夫も包括補助の対象としておりました。
 なお、当時の流行状況の推移についてでございますが、各種の患者数は平成二十五年二月に急増した後、四月をピークに減少に転じ、九月末以降は流行前の水準に戻ってございます。
 国はこのときの風疹の流行状況を踏まえ、平成二十六年から風しん抗体検査事業を開始しましたが、これを受け、都は、平成二十六年四月から妊娠を予定または希望する女性を対象に、抗体検査と予防接種を一体的に行う区市町村包括補助で支援しております。
 今般の流行を踏まえた緊急対策といたしましては、平成三十年十月から抗体検査と予防接種の対象を妊婦の同居者、妊娠を予定または希望する女性の同居者にも拡大しているところでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。五年前といいますと、今、ご答弁がありましたように、最初は妊娠を予定または希望している女性ということでスタートして、その後に妊娠している女性の夫、いわゆる父親が予防接種の対象になったわけでございますが、ただいまご答弁の中にありましたように、実はこれ、緊急対策を五年前やっておりますが、妊娠している女性の夫に対しては、緊急対策をした約半年後の九月で打ち切っております。
 この事業が終了したわけでございまして、これ、どういう状況が起こったかといいますと、その後、いわゆる東京都の補助事業がなくなりましたので、特に財政力の弱い多摩地域におきましては、ほぼ皆無といっていいぐらい全ての市町村が夫を除外して、二十六年から現在の三十年度、今の緊急対策を行う前の段階までは、実は妊娠希望女性に対する風疹抗体検査と予防接種のみというところの現状でございまして、この五年間、私の中では問題意識をすごく持っておりまして、結構都市部の方では抗体検査及び、夫に対する事業を残していらっしゃる二十三区は実は非常に多くて、多摩地域は見事にこの事業からやれなくなっているという現実がございまして、これは一体どうなるんだということで問題意識を実は持っておりました。
 ですが、今回、五年を経て、また風疹が蔓延をしたということで、今回は妊娠をしているこのご家族、いわゆる同居をしている全ての方々まで対象範囲が広がったということで非常に各自治体、喜んでいるかと思います。
 今の現状を見ますと、各それぞれの多摩地域もほぼ全域におきまして、十一月あるいは十一月の中旬ぐらいから事業をスタートされているという現状がホームページの方でも確認をさせていただいておりまして、引き続き、こういった感染症対策というものは、継続して行っていただく事業として、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
 そして、実はこの事業をする中で、ホームページを見ていますと、都内の風疹の抗体検査及び予防接種事業の事業実績ということで、区市町村の二十六年度から二十八年度までの実績報告などが掲載をされております。
 この抗体検査を受けた人数、また抗体がない方、いわゆる抵抗体という方々、そして予防接種の接種人数などがあらわれているわけですが、これを見る限り、どのような効果が上がっているのかがちょっとわかりにくかったと私自身思っておりまして、都はこの事業実績をどのように取りまとめて、その目的についてはどのような目的でスタートされていて、どういうふうに活用されているのかお伺いいたします。

○吉田感染症危機管理担当部長 風疹抗体検査の対象は、主に風疹含有ワクチンの接種歴が不明な方でございます。
 国の感染症流行予測調査では、風疹抵抗体者の割合は一割から二割程度と推測されておりますが、都内の風疹抗体検査事業の実績では、抵抗体者の割合は三割から四割程度となってございまして、接種歴が不明な方は抵抗体者の割合が比較的高いことが明らかになってございます。
 こうした実績を都の風疹対策に関する事業を評価、検証を行う場である東京都麻しん・風しん対策会議に提出し、協議の基礎資料とするとともに、会議に参画する医療、教育、保育、事業者団体、行政などの方々がそれぞれの立場で接種歴が不明な方に検査を呼びかける資料としても、ご活用いただいているところでございます。

○桐山委員 目的、どういうふうに使われているか、理解させていただきました。
 今後は、この対象範囲も広がるということですので、細やかな、ぜひ検証をしていただきたいというふうに思います。
 また、効果をやはり検証していかなければならないと思います。やはり五年のサイクルになっているかのような今の風疹の蔓延状況を見ますと、やはりこれだけ、例えば風疹予防対策に予算を、今は投入をしながら予防対策に努めていっていただいておりますけれども、最終的には、蔓延状況を抑えていって、感染症を防いでいくというところが効果として上がってこなければならないのかなというふうに思いますので、そういったデータの蓄積など、ぜひ効果検証などをよろしくお願いをしたいということで要望しておきます。
 最後に、風疹対策を安定的に実施するためには、ワクチンが不足しないように必要なワクチンを円滑に供給するための体制が重要と考えておりますが、都の見解を伺っておきます。

○吉田感染症危機管理担当部長 風疹の流行時にはワクチンの需要が高まることから、安定的にワクチン供給することが重要でございます。
 そのため、都は、都内でワクチン供給に際し、偏在が生じ、ワクチン接種に支障を来す場合などに、区市町村、医師会、医薬品卸業団体等の関係機関と連携いたしまして、必要なワクチンを円滑に供給するための体制を構築しております。
 さらに、国に対しては、ワクチンの安定供給策を十分に講じるよう提案要求をしているところでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。意見として述べさせていただきますが、今回の緊急対策に加えまして、先ほども、まつば理事からの質疑の中にもありましたように、国の対策も今後ございまして、平成三十一年度予算要求においても、三十代から五十代の男性を風疹対策に追加をされているとのことですので、この追加対策も含めて、五年前のように補助を途中で終了することのないように、ぜひ来年の二〇一九年ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会もありますので、感染予防という大きな枠組みの中で継続して実施することを要望させていただきたく思い、風疹の質問は終わります。
 次に、がん対策についてお伺いいたします。
 東京都がん対策推進計画によりますと、がん患者を含めた都民ががんを知り、がんの克服を目指すとして、基本方針及び目標の中には科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実に向けて、予防及び早期発見の取り組みを掲げられております。
 三人に一人ががんで死亡、死亡者数の約八五%が六十五歳以上で、東京都のがんの罹患者の部位別では、男性は胃がん、大腸がん、前立腺がん、女性では乳がん、大腸がん、肺がんの順になっております。
 がんによる死亡率を減らすためには罹患しないことが望ましく、予防として市区町村が実施主体としての検診事業を行っているところでございます。
 東京都は、がん検診受診率を五〇%に掲げておりますが、依然四〇%前後にとどまっております。
 がん検診の受診率向上のために、区市町村には受診勧奨等の取り組みなど支援も行っておりますが、受診率を向上させるために各区市町村は大変苦労して知恵を絞りながら、さまざまな対策を行っている現状でございます。
 都は、それらの区市町村に対し、今後どのような支援を行っていくのかお伺いをいたします。

○成田保健政策部長 がん検診の受診率を向上させるため、都は、区市町村向けに受診勧奨の手順や実施方法などについてまとめたがん検診受診率向上の手引きを作成するとともに、個別勧奨、再勧奨等の取り組みを包括補助で支援しております。
 今年度から、平日夜間や土日の検診実施、受診時の子供の一時預かりなど受診しやすい環境整備に向けた区市町村の取り組みを新たに支援するなど、がん検診のさらなる受診率向上に取り組んでおります。

○桐山委員 ありがとうございます。受診勧奨の補助、大変ありがたい話です。受診勧奨というのは、本当に、出せばいいという話ではなくて、それぞれの区市町村がピンポイントに、この年齢の方にターゲットとしながら、しっかりと工夫しながらやっていらっしゃるというふうに聞いております。
 また、今年度は、平日夜間、土日の検診の実施、受診時には子供の一時預かりに対して支援を始められたということで、ぜひそのあたりもしっかりと見守っていきたいというふうに思っております。
 また、実施率を上げるためには各区市町村、本当に先ほども申し上げましたさまざまな工夫をしております。
 受診率を上げるためにインセンティブを働かせるというんですか、ポイント制度を導入したり、ポイントが十点たまれば、何か万歩計をいただけるとか健康グッズをいただけるとか、おいしいものを食べられるかどうかわかりませんが、そういうものをポイントがたまればいただけるというような形で、検診もポイントの一つというふうにやっているところもありますので、そういった取り組みをぜひ後押しをしていただきたいなというふうに思います。
 また、今後がん検診の受診促進に向けた都の普及啓発はどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。

○成田保健政策部長 都は、区市町村を初め、企業等の関係団体や患者家族等の関係団体等と協力しながら、より多くの都民ががん検診を受診できるよう、各種キャンペーンの展開や、リーフレット、インターネット等の各種媒体の活動などにより啓発を行っております。
 ことし八月には、受診率向上や定期的な受診を促進するため、知事、区市町村長の代表と従業員に対するがん検診の先進的な取り組みを行っている企業の経営者が一堂に会し、がん対策推進宣言を行いました。
 また、都民のがん検診受診の機運を醸成するため、がんの罹患リスクが高まる年代を初めとして、幅広く認知された著名人をがん検診受診促進アンバサダーに任命し、アンバサダーが出演する動画を街頭ビジョンやホームページ、各種イベントで放映するなど継続的な啓発活動を実施しております。
 今後も、こうした取り組みを進め、がん検診の受診率向上を図ってまいります。

○桐山委員 今後も引き続き、さまざまな媒体を使いながら、ぜひ普及啓発に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 がん対策基本計画に定められますように、がん検診はがんによる死亡率が減少する効果があるということ、科学的に評価をされた検診実施方法により適切に行うことが重要とされています。
 東京都がん対策推進計画、改定版によりますと、がんの検診は定期的な受診に意義があること、偽陽性、偽陰性や過剰診断のデメリットよりも受診することが何よりメリットが高いということを盛り込んでいます。
 また、精密検査対象となったら必ず精密検査を受ける必要があり、それらの理解の促進もあわせて啓発を進める必要があります。
 特に、昨年も事務事業の質疑でも申し上げましたように、この精検受診率、国の計画も、都の計画も九〇%とされております。精検、精密検査を受けた後に、がん検診受診主体の区市町村に確実に戻す、いわゆるフィードバックをされないと、この区市町村の精検受診率の正確さにも、私は欠けるというふうに、ずっといい続けております。この精検受診率の結果の把握率を、さらに精度を上げていかれるような指導強化を重ねて要望をさせていただきます。
 また、今後は、このがん対策推進計画の中でも、先ほどから申し上げた科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実というふうに定められておりますが、一方で、既に、東京都内十六区市、島しょ部は除く部分でですけれども、このペプシノゲン法ヘリコバクター・ピロリ抗体併用法、胃がんハイリスクABC検診といいますが、この実施及び具体的導入の準備をされているところが数多くございます。
 もうご存じと思いますし、また、このがんの計画の中にも書かれてはおりました。しかしながら、胃がんの九〇%以上がこのヘリコバクター・ピロリ感染に起因するものであることが明らかだといわれており、胃がんになりやすいと判定が出た方にとっては除菌をお勧めして、そして、例えば年に一回は必ず胃がん検診を受けてくださいというような促されるような、指標にもなるということで、医師会さんの方からも、非常にこの件については支援の要望をいただいているところでございます。
 ぜひ今後も、これらにおいては、新たな胃がん対策を任意型という形で模索することは極めて現実的であり、先見的な対応であるというふうにも考えられておりますので、先ほども申し上げました医師会と連携して、このエビデンスの蓄積というんですか、検証をぜひしていただくような、この導入の検討を提案しておきたいというふうに思います。
 次に、AYA世代のがんに対する支援についてお伺いします。
 がん患者の多くは中高年でありますが、高齢化が進む中で、がん患者は年々増加している一方で、小児の死亡原因の一位は小児がん、現役で働いている中でも多くのがん患者さんがいる現状でございます。
 この東京都がん対策推進計画の二次改定では、これまでの小児がん対策に加え、AYA世代のがん患者への支援を重要な施策として位置づけられております。主に十五歳から四十歳未満の思春期及び若年成人世代ともいわれまして、高齢者とは異なった身体的問題や心理的問題及び社会的問題も抱えているので、小児と成人のはざまにおいて適切な治療や、治療方針の意思決定にかかわる人材の育成、相談支援の体制の構築が求められているところでございます。
 そこで、小児、AYA世代のがん患者に対するこれまでの東京都の取り組みについてお伺いいたします。

○花本医療政策担当部長 都は、小児がんに関して国が指定する二カ所の小児がん拠点病院のほかに、都独自に小児がん患者の診療実績がある十一カ所の病院を東京都小児がん診療病院として認定し、合わせて十三カ所の病院で構成される東京都小児がん診療連携ネットワークを構築し、連携して医療を提供する体制を確保しております。
 また、ネットワーク参画病院と関係団体等で構成する東京都小児がん診療連携協議会を設置し、十五歳を超えた小児がん経験者の長期フォローアップ等の診療連携や相談支援体制等について検討を行っております。
 さらに、AYA世代を含む就労しているがん患者が治療を受けながら働き続けられるよう、治療と仕事の両立支援のために優良な取り組みを行う企業を表彰するとともに、これらの企業の取り組みを年度ごとに事例集として取りまとめ、ホームページ等で紹介するなど、働く世代のがん患者に対する就労支援に取り組んでおります。

○桐山委員 ありがとうございます。今後、AYA世代を含む就労しているがん患者さんが治療を受けながら働き続けられるような支援を、この両立のための支援をぜひお願いをしたいというふうに思います。
 AYA世代のがん患者は、国におきましても支援不足を認識しており、都としても、これからさらなる取り組みが必要になる分野でございます。
 AYA世代は、成人と比べて患者数も少ないのですが、特にAYA世代の女性は、将来、子供を持つことが難しくなる不妊の可能性がありまして、がん治療の前に治療による影響を説明し、生殖機能を温存する選択肢があることなど、情報を伝えることが必要とされております。
 このように、この世代特有の問題を抱えていることもあり、今年度は、このAYA世代に対する実態把握のための調査を行うと聞いております。
 生殖機能温存に関する情報の提供の充実として、AYA世代のがん患者に関する実態調査の目的と調査内容について、スケジュールを含めて、現状をお伺いいたします。

○花本医療政策担当部長 都は、平成三十年三月に東京都がん対策推進計画を改定し、AYA世代のがん患者への支援を重要な施策の一つとしており、医療提供体制の構築や相談支援の必要性、生殖機能の温存に関することなどの課題について取り上げております。
 その課題解決に向け、今年度は、実態を把握するための調査を行うことといたしまして、がん医療の専門家や当事者等から成る会議体を設け、対象や内容についての検討を行いました。
 その検討結果を踏まえまして、調査対象を都内の病院、診療所及び患者家族とし、調査内容は、病院及び診療所におけるAYA世代に対する課題認識や、診療、相談支援の状況、生殖機能の温存の実態状況等を把握いたします。
 これらに加えまして、患者家族に対しては、療養環境や介護サービス等のニーズについても把握いたします。
 今月より調査を開始いたしまして、結果を年度内に取りまとめ、結婚、出産に加え、生殖機能の温存等の多様なニーズに応じた相談支援体制や環境整備などについて検討いたします。

○桐山委員 ありがとうございます。実態調査ということで、今月から調査をスタートされて、今年度中に取りまとめを行われて検証していただけるという、実態把握ができるのかなというふうに思います。
 先ほども申し上げましたように、いわゆる妊孕性温存、生殖機能の温存ということで、まだまだ、この状況を知らない方も多いかと思います。そして、当事者になられたがん患者さんの中でも情報提供の機会というものが不足をしていて、いまだに必要とする患者さんに十分な情報提供がされていない現状でもあるということでございます。
 また、この生殖機能という部分におきましては、やはり抗がん剤や放射線の治療をする中で、がん細胞の増殖を抑えるということに効果があるということですけれども、一方で、卵巣や卵子にダメージを与えてしまうということで、治療後に生理がとまったり、排卵が起こらなくなったりと、妊娠できなくなる可能性があるといわれているところでございます。
 この生殖機能の温存治療ということで、よくいわれているのは、やはり卵子の凍結保存ということでございまして、男性の場合は、精子の凍結保存というものもあります。費用でいいますと、大体、精子の凍結保存というのが五万円から十万円、卵子の凍結保存治療が大体四十万円、また、この管理料というものがかかるそうで、年間二万円から六万円、治療が長引けば長引くほどその管理料が継続してかかってくるということで、非常にこの費用がかかるということで、ちゅうちょされたり、あるいは、治療をいち早く、やっぱりした方がいい、治療を優先したいということも、もちろん意思決定の中にもあります。
 そういったところで、しっかりとこの状況を、ぜひ東京都としても、今の現状はどうなのかということを把握していただいて、またこういった費用負担の面でも助成をしていただけるような形をとっていただけるように、ぜひ検討をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 次に、健康分野に行きますが、フレイル対策についてお伺いいたします。
 フレイル対策、これも私は、この委員会の事務事業質疑でもそうですし、予算委員会の中でもパネルを掲示させていただきながら、フレイル対策について質問させていただいたところです。
 今回、東京都の保健医療計画に新たに、このフレイル、そしてロコモティブシンドローム、COPDもそうですけれども、多くの新たな名称といいますか、取り組んでいかなければならない施策が盛り込まれているところでございまして、私はこのフレイル予防というのは、二〇二五年超高齢社会において、もう始めなければならない大きな課題の一つであるというふうに認識をしております。
 私は、この二十年間、大体、議員生活二十年なんですが、この間ずっと、介護保険制度が導入されるに当たり、健康づくりと予防対策というところで着目をして、いずれは、この高齢社会には絶対予防が大事なんだということをいい続けております。
 そのために、このフレイルという新たな名称になっておりますが、以前では虚弱高齢者対策という言葉になっておりましたが、このフレイルを、区市町村の事業支援をぜひしていただきたいと思いますし、さらに啓発をしていただきたいというふうに思います。
 ただ、このフレイルというのが、どうしても高齢者のみ、どうしても虚弱高齢者、フレイルといったら虚弱高齢者で、健康と要介護のはざまにあるのがフレイルというふうにいわれているので、どうしても高齢者のイメージがありまして、ぜひ元気高齢者の方々に意識啓発をしてというふうによくいわれているんですが、私はそこだと遅くなってしまうと思うので、この知識や意識づけというのを、ぜひ四十代以降、働く世代、なかなか検診とかがちょっと受診率低いよという世代に、この健康づくりに関してアプローチをしていただきたいというふうに思うんですが、そのあたりの取り組みはどのようになっているのかお伺いします。

○成田保健政策部長 年齢を重ねても、いつまでも健康を保つためには、適度な運動やバランスのとれた食事など、望ましい生活習慣を若いころから実践することが重要でございます。
 このため、都は、都民が負担なく生活習慣を改善できるよう、駅の階段利用の呼びかけや、ウオーキングの効果や消費エネルギーなどの情報を盛り込んで作成したマップの紹介、野菜が豊富なレシピの提供などの普及啓発を行っております。
 また、働く世代の職場での健康づくりを進めるため、東京商工会議所と連携し、経営層に対して、健康づくりや、がん対策の普及啓発や検診上昇率向上など、従業員の健康に配慮した経営に向けた支援を行う職域健康促進サポート事業を実施しております。

○桐山委員 ありがとうございます。この四十代、働く世代、なかなかアプローチするのは非常に難しいと思うんですけれども、ぜひ健康講座とか研修会や、さまざまなところで、企業などもぜひ協力をしていただく中で、普及啓発、お願いしたいと思います。
 フレイルに対する今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○成田保健政策部長 先ほど委員からもお話がございましたとおり、本年三月に改定した東京都保健医療計画では、新たにフレイル、ロコモティブシンドロームの予防を、生涯を通じた健康づくり推進策の一つに位置づけ、望ましい生活習慣の実践に関する普及啓発を推進していくことといたしました。
 また、現在、都民の健康づくりを総合的に推進することを目的とする東京都健康推進プラン21第二次の中間評価を行っておりまして、この結果も踏まえ、保健医療計画との整合性を図りながら、フレイル予防について、今後の取り組みを検討してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。なかなかフレイルという、一概にまだまだ手探りの状況で各区市町村もやっているのかなという感じをしております。
 前回も、私の西東京市の事例を申し上げましたが、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢先生がフレイルチェックということで考案されて、数多く、今、自治体が取り組みを行っている現状だということです。
 東京都では初、西東京、我が市が始めて、杉並、そして江戸川、国立市ということで、次々とフレイルチェック、フレイルサポーターを養成しながらフレイルチェックをしているという事業が始まっております。
 前回も申し上げましたが、なかなか、まだまだ、この高齢、介護、健康づくりといって、局内でも少し担当が分かれているところではございますが、前回も横串をぐさっと刺して、しっかりと局内の中でも連携をとれているということでおっしゃっていただいていたと思います。今後とも、この包括補助事業ですとか、あるいは、先ほども特出しという表現が使われておりましたが、ぜひ特出しでフレイルというところでの事業を、大きく区市町村を後押ししていただくような予算の枠組みをぜひお願いしたいというふうにお願いしておきます。
 次に、口腔ケアの方に移りますが、フレイルというと、もう一つ、オーラルフレイル対策というものがありまして、そして歯周病対策でございます。
 オーラルフレイルというのは、歯の衰えといわれておりまして、いわゆる滑舌が悪くなったり、かみ合わせが悪くなったり、口から、よく衰えがわかってくるといわれているようにお話もいただいているところでございます。
 前回もお伺いしておりますが、都からの答弁では、オーラルフレイル対策の重要性の認識を得るとともに、策定中の東京都歯科保健推進計画にも今後盛り込んでいくとの答弁がありましたが、その後、どのような取り組みになっているのかお伺いいたします。

○花本医療政策担当部長 本年三月に策定した東京都歯科保健推進計画では、いわゆるオーラルフレイルの概要について説明するとともに、生涯を通じて食事や会話を楽しむことができる歯と口の機能の維持を支援していくこととしております。
 そのため、在宅歯科医療に関して実施している歯科医療従事者向け研修会の中で、今年度から、オーラルフレイル対策についても講義内容に盛り込んでおります。
 また、今年度は、新たに口腔機能の低下予防に着目した都民や介護職員等向けの講演会を十二月に開催いたします。
 今後とも、都民や介護職員、医療従事者を対象とした普及啓発など、歯と口の健康の保持増進に向けた取り組みを推進してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。オーラルフレイルという言葉も、いわゆるというふうにまだ使われておりますが、保健医療計画の中にも盛り込まれておりますので、ぜひ積極的にオーラルフレイルの普及啓発もお願いをしておきます。
 次に、歯周病対策についてなんですが、歯周病は糖尿病の合併症ともいわれておりまして、糖尿病が歯周病の発症や重症化と密接に関連していることや、糖尿病への因果関係について、最近では歯周病と糖尿病は密接に関連しているんだというふうに多くのところで聞かれるようになりました。
 歯周病を治療すると血糖コントロールが改善するという研究成果も数多く報告をされている中で、糖尿病の人は歯周病の罹患率が高いともいわれ、逆もしかりで、歯周病の人は糖尿病でないとしても糖尿病予備軍であることが多いともいわれているところでございまして、歯周病の治療は糖尿病の予防や治療にアプローチすることが重要かなというふうに思います。
 都の取り組みについてお伺いします。

○花本医療政策担当部長 都は、歯周病予防等に向けた歯科健診の定期的な受診を促進するため、かかりつけ歯科医を持つことの重要性について周知するとともに、歯周疾患検診など、歯科健康診査に取り組む区市町村を支援しております。
 また、歯周病が糖尿病の悪化に関連するなど、歯と口腔の健康が全身の健康と密接にかかわっていることを踏まえまして、都民への普及啓発や、身近な地域で最適な治療につなげ、糖尿病の重症化や合併症を予防できるよう、医科と歯科の連携を進めております。
 治療が必要な歯周病を有する方の割合が増加傾向にある中、今後とも、こうした取り組みにより、歯周病対策を推進してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。糖尿病と歯周病の因果関係があるということで、ぜひそういった啓発もお願いしたいと思いますし、一方で、今、ご答弁にありましたように、医科と歯科が連携をしていくということが大事だと思います。
 糖尿病対策で思い浮かぶのは、国保である、保健事業の中の特定健診事業がありまして、いわゆるひっかかった方は保健指導ということになりますが、そういったところで、今は医科が中心にやっております。そういったところを歯科がしっかりと連携するということを、ぜひ区市町村、なかなか区市の医師会、歯科医師会の連携は難しいというふうに聞いておりますが、そういったところをぜひ後ろから後押しをしていただけるようにお願いしておきたいと思います。
 以上で歯の部門は終わります。
 次に、国民健康保険について質問いたします。
 国民健康保険については、ことしの四月から都道府県が財政運営の責任主体となりまして、安定的な財政運営など、国保運営において中心的な役割を担い、新たな制度がスタートしております。
 新制度では、都が保険給付に必要な費用を全額、市区町村に交付し、市区町村は、都が市区町村ごとに決定する国保事業費納付金を都に納付することになっておりまして、市区町村では、納付金の額や、都が参考に示す標準保険料率を踏まえつつ、実際の保険料(税)率を決定しているところでございます。
 そこで、今年度、納付金額に基づきまして算定した保険料額は、制度改革前と比べてどの程度変動があったのか、また、どのくらい市区町村が保険料率を改定したのかお伺いいたします。

○本多地域保健担当部長 各区市町村が都に納付する平成三十年度の納付金額に基づいて策定した被保険者一人当たりの保険料額は、都平均で年間十四万八千九百十六円、制度改革前と比べまして、一年当たり約一・五%の伸びとなっております。
 なお、この保険料額及び伸び率は、各区市町村が一般会計からの法定外繰り入れを行わないものと仮定して算定したものでございます。
 区市町村は、都が示した納付金額等を踏まえ、議会での審議を経て、今年度の実際の保険料、税率を決定しております。
 このうち、保険料率の改定を行ったのは、資産割や平等割を廃止するなどの賦課方式を変更したものも含め、五十四区市町村でございます。

○桐山委員 保険料率の見直しを図った市区町村もあるということですけれども、今のご答弁の中でもお話がありましたように、都内の大半の市区町村では、一般会計からの多額の法定外繰り入れを行って、保険料を引き下げているという現状でございました。
 本年三月の予算特別委員会の中で、都の国民健康保険運営方針に基づきまして、こうした法定外繰り入れの計画的、段階的に削減、解消に取り組むために、市区町村が策定する財政健全化計画、いわゆる赤字解消計画につきまして、私、質問をさせていただいたところです。
 予算特別委員会の中では、決算補填等を目的とする法定外一般会計繰り入れ等を行っている市区町村は、その削減、解消のための基本方針や具体的な取り組み内容、目標年次、年次ごとの削減予定額等を定めた計画を策定することになるとのご答弁をいただいておりました。
 そこで、昨年度末におけます都内市区町村の計画策定の状況、そして削減目標の年次や削減予定額を盛り込んだ定量的計画を策定している市区町村はどれぐらいあるのか、また、都として、市区町村の計画策定や計画に基づく取り組みをどのように支援をしていくのかお伺いいたします。

○本多地域保健担当部長 財政健全化計画につきましては、策定対象となる六十区市町村全てで、昨年度末までに計画を策定しております。
 このうち、定量的計画を策定したのは三十区市町村でございます。
 国は、区市町村が策定した計画に削減目標が明示されず、定性的な記載となっている場合には、平成三十一年三月末の計画策定に向けて、実現可能な削減目標値と、その具体策について助言を行うよう都道府県に求めております。
 都は引き続き、区市町村とともに、解消、削減すべき赤字の要因分析や必要な対策の整理を行うとともに、区市町村の取り組み状況を把握して、必要な助言を実施いたします。
 また、保険給付費の伸びを抑制するため、糖尿病性腎症の重症化予防や後発医薬品の普及などに、医師会等の関係機関と連携して取り組むなど、都としての役割を果たしてまいります。

○桐山委員 今のご答弁にもありましたように、この国保制度を今後も持続可能なものとしていくためには、保険給付費の伸びの抑制、つまり、医療費の適正化が不可欠であるということでございます。市区町村では、被保険者の健康づくり、また生活習慣病の早期発見、保健事業を効果的に進める必要があります。これは先ほども申し上げたとおりです。
 私は、これまでもレセプトデータ等の分析に基づくデータヘルスの重要性を訴えてまいっております。ことし、三月の予算特別委員会の中でも、そうした観点から、都が市区町村のデータを分析し提供するなど、支援を行うよう求め、都から、今年度、国保のデータベースシステム、いわゆるKDBシステムによる医療費分析事業を行うとの答弁がありました。
 そこで、今年度、都が行う医療費分析事業では、具体的にどのような分析を行うのか、また、分析結果はどのように市区町村に提供されるのかお伺いいたします。

○本多地域保健担当部長 KDBシステムを活用しました医療費分析に当たりましては、外部有識者を含めた分析検討委員会を設置しまして、専門的な知見を踏まえた検討を行っているところでございます。
 具体的な分析の内容としましては、KDBシステム等で抽出した医療費や健診結果の統計データ等を用いまして、例えば、糖尿病や脳卒中など、生活習慣病の罹患状況や有所見者の状況につきまして、区市町村ごとに都の平均と比較して特徴を明らかにするなど、区市町村ごとの健康課題について見える化をする予定でございます。
 分析結果につきましては、今後、中間報告を経まして、年度内に報告書を取りまとめるとともに、区市町村が活用可能なデータ集として提供いたします。

○桐山委員 都の全体のデータ分析によりまして、市区町村ごとの特徴や健康課題を明らかにすることで、市区町村が取り組む効果的な保健事業や被保険者の健康づくり対策に役立てていただきたいと思います。
 被保険者の健康保持に向けましては、特定健康診査や特定保健指導によりまして、メタボリックシンドロームに起因する生活習慣病の発症、重症化を予防する取り組みが必要であります。
 しかし、東京都におけます特定健康診査の実施率は全国平均を上回っておりますが、都内区市町村の国保の加入者の実施率は低く、特に、先ほども申し上げましたような四十代の若い世代の実施率が非常に低くなっているところでございます。
 そこで、実施率の低い世代への普及啓発、特定健康診査及び特定保健指導の実施率向上に向けた区市町村の取り組みを、都としてどのように支援していくのかお伺いします。

○本多地域保健担当部長 都はこれまでも、都調整交付金、今年度からは都繰入金となりますが、こちらを活用しまして、特定健康診査、特定保健指導を積極的に実施する区市町村に対して交付金を交付するなど、実施率向上に対する財政支援を行ってまいりました。
 また、区市町村における保健事業の現状や課題、対応策について検討し、効果的な展開につなげるため、今年度、新たに区市町村の保健事業担当者から成る連絡会を設置いたしました。
 こうした連絡会の場も活用しながら、成果を上げている取り組み事例の収集や情報提供を行い、健診未受診者への個別勧奨や普及啓発等の取り組みを支援してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。ここまでは、先ほど申し上げましたような健康づくり、あるいは予防対策という観点から質疑をさせていただきました。
 次に、少し子供分野に入ります。
 幼児教育無償化が、来年十月から無償化が実施されるといわれておりまして、それらを受けまして準備を進めておきましょうということで、ご提案をさせていただいていたところでございますが、多方面から不安の声が届けられております。
 この無償化の実施に向けては、給付など、実務を担っている区市町村では、来年十月から幼児教育無償化が実施することに伴いまして準備経費を含め、また半年分ではございますが、来年度予算にどのように予算計上していくかなど課題があるなど、現状をこの間お伺いしてきたところでございますが、この万全の準備が重要でありまして、都は、区市町村に対してどのような支援を実施されているのかお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本年六月、都は、国に対しまして、実務を担う区市町村の事務負担や区市町村に対する財政支援など、早急に制度の詳細を明確化し、自治体に情報提供するよう提案要求を行いました。
 また、九月には、本年六月に設置をいたしました東京都待機児童対策協議会を活用いたしまして、都内全自治体を対象に、国からの情報提供や国との意見交換の機会を設定したところでございます。
 さらに、今月中に、二回目となる自治体と国との意見交換を実施する予定でございます。

○桐山委員 ありがとうございます。まだまだ、情報が行き届いていなくて、まだ不明瞭なところもありますので、情報を、ぜひ区市町村に提供の方よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、都は、平成二十八年度に、認可外保育施設利用支援事業を開始されております。この事業は、認可外保育園、認証も含みますが、認可と差額を補填するための緊急対策として開始したと認識をしております。
 改めて、本事業の目的や現在の実施状況についてお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 お尋ねの認可外保育施設利用支援事業でございますが、認証保育所、都制度の家庭的保育事業に加えまして、職員配置や設備等の基準を満たす認可外保育施設を利用する保護者の負担軽減に取り組む区市町村を支援するものでございまして、平成二十八年九月の待機児童解消に向けた緊急対策において創設をした事業でございます。
 今年度でございますが、二十三区二十六市一町から補助申請を受け付けております。
 認可外保育施設の利用者に対する負担軽減策については、都の事業の開始前から独自に実施していた自治体もございまして、都事業を活用することによって、対象施設の拡大や所得制限の撤廃など、三十六の区市が負担軽減の充実を図っております。
 都は引き続き、本事業が有効に活用されますよう、区市町村に働きかけてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。国の幼児教育無償化の対象は、三歳、四歳、五歳と住民税非課税の、ゼロ、一、二歳児が対象となっておりまして、待機児童が多い、このゼロ、一、二歳の課税対象世帯は対象外であるとされています。
 そうすれば、このバウチャーが頼りであり、期待をしているところでございまして、認証保育や認可外保育園の保護者の保育料の負担を軽減するための補助というもので、ぜひこの支援事業を引き続き継続していただきたいことを要望しておきたいと思います。
 次に、学童保育について質問させていただきます。
 今般、国の地方分権改革有識者会議におきましては、学童クラブに従事する者及び員数にかかわる従うべき基準を、参酌すべき基準に緩和をする方針が示されました。
 市区町村は、放課後児童健全育成事業の設備及び運営について条例で基準を定めなければなりません。従事する者及びその員数については、厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、そのほかの事項については、厚労省令で定める基準を参酌するものとする、この従うべき基準の中には、支援単位ごとに指導員を二名以上配置し、指導員は都道府県の研修を受講、修了した者と定められております。
 一方で、平成二十九年内閣府提案募集、全国知事会、全国市長会、全国町村会共同提案の中で、従うべき基準を廃止または参酌すべき基準に見直しせよと、この提案がなされたのが発端だということでございます。
 まず、お伺いしたいのは、平成二十九年の全国知事会の提案も踏まえて方向性等を考えるわけですが、都は、このとき、どのようなスタンスであったのかお伺いします。

○谷田少子社会対策部長 都は、国が省令で基準を定める前から、独自の要件を義務づけました都型学童クラブ事業を実施しており、積極的に基準を緩和するスタンスではございませんが、平成二十九年六月に全国知事会からあった従うべき基準の廃止または参酌化についての照会に対しましては、他の自治体の意向を尊重し、反対意見は表明してございません。

○桐山委員 今のご答弁によりますと、都のスタンスとしては、独自の要件を義務づけた都型学童クラブを実施していると。基準を緩和するスタンスではないけれども、地方でいうと、指導員のなり手不足に対する声が上がっているという、その認識は持たれている中で、反対表明は、意見はなしという形で表明はされなかったということで理解をしました。
 さて、その都型学童クラブの事業ということですが、都型学童は、面積基準一・六五平米以上と定め、開所時間の延長、指導員は二名のうち一名は常勤、一人は非常勤として、従事者処遇改善にもつながり、大変有効な事業であるとも考えております。
 本事業の具体的内容と民間事業者がどの程度都型学童へ移行したのか、現在の実績についてお伺いします。

○谷田少子社会対策部長 都型学童クラブ事業は、保護者の多様な就労形態に柔軟に対応するとともに、児童が安全・安心に放課後を過ごすことができる居場所を確保するため、午後七時以降までの開所や常勤職員の配置などを要件とし、その運営に係る経費を都独自に補助する事業でございます。
 平成二十九年度は、二十二区市、三百十七クラブを支援しているところでございます。

○桐山委員 平成二十九年度の実績は、二十二区市で都型を実施して、三百十七クラブを支援していることがわかりました。
 しかし、それぞれの区市町村の考えもあろうかと思いますし、都型につきましては公設公営は対象外であるということで、まだまだ直営の区市町村も多く、まだ課題も感じておりますので、引き続き支援をお願いしたいというふうに思います。
 さて、従うべき基準が参酌すべき基準へと緩和する方向の中で、都は今後、質をどのように担保をしていくのかが大変重要になると考えます。
 質の担保についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

○谷田少子社会対策部長 学童クラブ事業は、児童福祉法に基づき、区市町村が設備及び運営に関する基準を条例で定めて実施するものでございまして、都は、その運営に必要な職員の人件費や事業費などの補助を行っております。
 また、面積基準や職員の配置基準など、独自の要件を定めた都型学童クラブ事業を推進し、質の向上に取り組む区市町村を支援しております。
 さらに、児童が多様な体験活動を行うことができるよう、教育庁と連携し、放課後子供教室との一体的な実施を推進しております。

○桐山委員 ありがとうございます。国の方では、新・放課後子ども総合プランの策定の中で、学童クラブを加速しながら整備をしていくということではございますが、最後に答弁でいただいた放課後子供教室と一体型を進めていくということでございまして、東京都もそのような形で進められるということでございます。
 小一の壁ということで、まだまだ保育園の待機児童対策もしかりですが、その後に、やはり学童の待機児童もあるのは現実ではございますし、また、指導員の確保も、都市部においても非常に困難を要しているということにもあります。
 今後、この処遇改善の要望なども、国の方にもぜひ声を上げていただきたいと思いますし、また、教育庁の方での学校施設というのがなかなか地域においては連携がとれないところの地区もまだまだ残っておりますので、そういった支援を、学校敷地内の中での放課後子供教室と学童クラブの一体型というものをぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。
 指導員の質問もありますけれども、ちょっと時間の関係の中で、次回に回させていただきたいと思います。ご用意していただいてありがとうございます。
 最後に、障害者の差別解消条例について、何点か質問させていただきます。
 十月に、条例が障害者差別解消条例ということで施行をされたわけでございますが、これは事業者に義務化して、合理的配慮を義務化したということがかなりメーンになっているところでございます。
 障害者の差別解消条例の普及啓発に係る現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○松山障害者施策推進部長 都は、平成三十年十月の条例施行に合わせて、条例制定を周知するリーフレットを作成するとともに、障害者差別解消法ハンドブックを改定し、条例の内容や配慮すべき事項等を周知してまいりました。
 また、一般の人にもわかりやすいように、漫画やイラストを入れたパンフレットも作成し、十二月の障害者週間に合わせて、区市町村や事業者団体へ配布してまいります。
 そのほか、十二月には事業者向け説明会、三十一年三月には一般都民向けシンポジウムを開催する予定であり、こうした取り組みを通じて、条例の周知、普及啓発を図ってまいります。

○桐山委員 民間事業者に合理的配慮の提供を普及していくに当たりまして、この事業者の皆様にとっては、事業者側に過重な負担があるかどうかを判断することに関心があるように思います。
 しかし、私としては、さまざまな障害者団体の方々と接する中で、障害の種類や程度はさまざまあるので、障害者からの申し出に、できる、できないと、二択の選択肢で対応するのではなく、やはり障害者と事業者がお互い対話して、代替策を含め柔軟な対応を話し合っていく、双方の建設的な対話を促していくことが重要であると考えております。
 七月に公布をされたこの広域支援相談員を設置されておりますが、この広域支援相談員の相談の実績や具体例についてお伺いします。

○松山障害者施策推進部長 障害者差別に関する相談件数は、平成二十九年度は年間で百十八件であったところ、平成三十年度は十月末時点で百五十一件となっております。
 具体的な事例としては、車椅子利用者がホテルで一般トイレを案内され、多目的トイレの場所がわかりづらかったという相談がございました。
 これに対応するため、広域支援相談員が事業者に連絡をとり、事実確認を行ったところ、ホテルとしては、アルバイトまで障害者への対応が行き届いていなかった可能性があり、再度、周知徹底を図るとともに、多目的トイレがあることについて、わかりやすい案内表示を検討するなど、事業者が対応の改善を図っております。
 このように、広域支援相談員が個別の相談事例を扱う中で、建設的な対話を通じて事業者の理解を深めることで、紛争の解決を図っております。

○桐山委員 具体的な例を挙げていただきまして、ありがとうございます。今までに考えてもいなかったり、障害者の種別などへの対応など、さまざまな事例を扱いながら、それをまた蓄積していただいて、相談員を通して事業者の理解が進み改善できるよう、これからもよろしくお願いいたします。
 最後に、情報保障についてお伺いします。
 都の条例では、情報保障の推進として、手話、筆談、点字など、わかりやすく利用しやすい方法による情報の提供、普及を図るとされております。
 都の障害者差別解消条例の施行を契機として、まず、都みずから率先し、障害者への情報保障を進めていただきたいと考えております。
 都庁における情報保障の推進にかかわる取り組みについてお伺いいたします。

○松山障害者施策推進部長 都は今年度から、受付窓口等で遠隔手話通訳が利用できるタブレット端末を、都のイベントや会議等において利用、体験してもらえるよう、都庁内の各部署に貸し出す事業を開始いたしました。
 今般改定したハンドブックでは、障害者への情報保障の具体例として、主税局や水道局における都民向け文書に音声コードをつける取り組みや、生活文化局や議会局における広報紙の点字版、音声版の発行の取り組みを掲載し、周知を図っております。
 また、各局の広報担当者が集まる会議の場で、障害者の情報保障に十分配慮するよう働きかけをしております。
 さらに、障害者差別の解消に関して、全職員を対象としたeラーニング研修等を実施いたします。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、庁内への普及啓発を図り、障害者への情報保障を推進してまいります。

○桐山委員 最後に、意見だけ述べます。
 都庁における情報保障の推進を、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 また、中途失聴、難聴の協会では、耳マークというものを使われております。このマークを団体のマークだというふうによくいわれているようではありますが、ぜひ、こういった耳マークを施設の入り口に、受付に掲示をしていただくですとか、また、ヘルプマーク、その耳マークだけではありませんが、ヘルプマークも先ほどございました、車椅子マーク、補助犬マーク、オストメイトマークなど、障害者でたくさんマークがいろいろ団体さんでもあろうと思います。
 都においても、団体マークだからだめではなくて、こうしたマークを活用することで、障害者が情報保障を求めやすくなる有効な手段であるということで、ぜひ参考にしていただき、都として障害者への情報保障を推進していただきたいことを要望し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○たきぐち委員 それでは、最後、私から、質問させていただきたいと思います。
 重複を避けまして、児相の移管、すなわち特別区における児相の開設について伺っていきたいと思います。
 再来年の四月に、私の地元であります荒川区、世田谷区、江戸川区で児相の開設が計画されており、翌年度に五区、さらにはその翌年度に二区で開設する予定が発表されているところでございます。
 このほか、練馬区以外の十二区についても、独自での開設の意向が示されているところでありますが、特別区における児童相談所の開設によって、今回の目黒区で発生した事件の課題は克服できるのか、特別区児童相談所の開設に対しての都の認識をまず伺います。

○谷田少子社会対策部長 今回の検証報告では、課題として、自治体をまたがる児童相談所間の引き継ぎ時の認識の相違や、児童相談所による四十八時間以内の安全確認の未実施などが挙げられました。
 特別区が児童相談所を設置した場合も、児童相談所と関係機関が連携し、報告書で挙げられた課題に対応していく必要がございます。
 現在、各区では、人材の確保や育成、一時保護所の運営等を初めとした設置に係る課題に関する検討が進められており、都は、子供たちの安全や安心の確保の観点から、特別区の取り組みを支援してまいります。

○たきぐち委員 練馬区は、児童相談所機能は広域でやるべきだという主張をされております。その是非については議論があろうかと思いますが、区で開設する意義というのは、一時保護の権限を持つ都の児相と、権限を持たない区の子供家庭支援センターという、虐待通告に対応する二つの組織があって、その二元体制によって生じている課題を解消することにあると考えております。
 例えば、子家センの立場でいいますと、危険な状態であると、直ちに保護が必要と決めて児童相談所に連絡をしても、再度、家庭訪問して様子を見てからの判断を求められ、児相に動いてもらうための資料づくりに労力を注がなければならないといった状況であったり、児相の立場でいいますと、虐待を疑わせるあざを見つけた後、保護者などの周辺を十分に調査することなく、一般の通告者と同レベルの判断で、児相に虐待と伝えてくるだけのケースがあったりと、また、性的虐待を受けた子供に面接をするなどの対応を行った後、児相の管轄となり、再度、同様の聞き取りが行われることによる子供の心理的負担を負わせるべきではないといった声等々、これらは以前から関係者にお話を伺ってきた中での一例でありますけれども、こうした状況が二元体制下での課題といえるんではないかと考えております。
 実際には、さまざまなケースに対して、細心の注意と対策を講じてこられているというふうに思いますけれども、相談件数が増加をして、土日出勤は当たり前、働く保護者と会うために、一晩に何件もの家庭訪問を実施しなければならないという実態もある中で、現場レベルでの業務負担を軽減させることの必要性を感じているところであります。
 昨年六月から、三区それぞれについて、設置計画の確認作業が実施されているということは、先ほどもご説明があったかと思います。新しい児童相談体制の構築に向けて、基本理念や考え方、具体的な取り組みなどについて、都と区が情報共有を図りながら、準備が進められているものと理解をしております。
 例えば、虐待の予防的対応の観点から、妊娠中と産後の支援を充実する子育て世代包括支援センター機能の構築であったり、登録の必要がない短期間の養育、保護を行う協力家庭ショートステイの創設など、区だからこそ可能な取り組みが期待できる一方、人材の確保と育成、一時保護所の運営、社会的養護の整備など、都と区の連携が欠かせない機能を区児相が設立されてもいかに強化できるかが大きな課題だと考えております。
 厚労省の発表によりますと、都は、二〇一七年四月一日の時点で、人口四万人に一人という児童福祉司配置基準に対して九十八人不足をしており、大阪に次いで全国ワースト二位の状況にあることが明らかになりました。
 今回の虐待事件を受けて、国において、児童福祉司の配置基準を人口三万人に一人とする増員の方針が検討されていると聞いております。
 基準が引き上げられた場合、児童福祉司、児童心理司の都及び先行三区で必要な人数はどれくらいになるのか伺います。

○谷田少子社会対策部長 児童福祉司を人口三万人に一人配置する場合、平成二十七年の国勢調査の人口を用いて児童相談所ごとに試算いたしますと、東京都全体で四百五十六人の児童福祉司の配置が必要となります。
 同様に、三区の児童福祉司数を試算いたしますと、世田谷区で三十一人、荒川区で八人、江戸川区で二十三人必要となる計算でございます。
 また、児童心理司につきましては、児童相談所運営指針により、児童福祉司二人につき一人以上の児童心理司を配置することとされておりまして、先ほど申し上げました児童福祉司を人口三万人に一人配置する場合の必要人数から児童相談所ごとに試算いたしますと、東京都全体では二百三十人の児童心理司の配置が必要となるところでございます。
 同様に、三区の児童心理司数を試算いたしますと、世田谷区で十六人、荒川区で四人、江戸川区で十二人必要となる計算でございます。

○たきぐち委員 ことし四月一日現在の都の児童福祉司の定数は二百七十三人と伺っておりまして、基準が三万人に一人と変更になりますと、少なくとも都全体で、児童福祉司については百八十三人ふやさなければならないところでありまして、三区の児相を設置した場合の必要数の合計六十二人を除いても、百二十一人の増員を図らなければならない計算となります。
 都が九月に示した緊急対策の増員計画については、先ほど木下都議の質疑の中でご説明があったかと思います。
 児童福祉司は、国家資格ではなく、大学で心理や教育を学んだ人や、社会福祉士資格を持っている人を自治体が任用するものでありまして、任用資格についても、先ほどの質疑の中でお話が出たかと思います。
 都の増員計画に加えて、新規開設を予定している三区、さらに続く行政区も当然ながら、新たな人材を確保する必要があるわけでありまして、都と区で人材の奪い合いとなってしまうのではないかと懸念をするところでもあります。
 こうした中で、専門的な知識と豊富な経験を持つ人材を確保、育成するためには、児相OBの配置や経験者の採用が必要だと考えますが、見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所は、虐待、障害、非行など、十八歳未満の子供に関するあらゆる相談に対応しております。
 そのため、児童福祉司にはさまざまな相談に適切に対応する相談援助技術や、個別ケースを総合的に判断するスキルなど、高い専門性が求められております。
 こうした知識や経験等のある人材を確保するため、都では、児童福祉施設での実務経験など、専門的な知識や経験を有する人材を一定期間任用する任期つき職員採用制度や、民間経験者等から人材を採用するキャリア活用採用制度を活用するほか、庁内での人材公募などを行っております。
 児童福祉司の研修につきましては、毎年度、人材育成等を担う児童福祉の専門課長が中心となって策定いたします研修計画に基づき、新任、二年目、三年目、四年目以上など、職員の経験に応じた内容で行っているところでございます。
 さらに、OJTとして、新任職員の個別指導等を担う児童福祉司のOBやベテラン児童福祉司が面接への同行や家庭訪問への同行などによりまして指導をきめ細かく行い、実務能力の向上に取り組んでいるところでございます。

○たきぐち委員 高い専門性が求められている中で、知識や経験等のある人材の確保に努めていただきたいと思います。
 また、特別区における人材につきましては、特別区での開設に向けて、各区から研修職員を受け入れられているということで、今年度六十六名を受け入れているという状況については、先ほどの伊藤委員の質疑の中でありましたので省かせていただきたいと思いますが、こうした人材の受け入れのほか、勉強会も開催をされているということで、毎回七、八十名の方が参加をしているようであります。
 困難な虐待事例に対応できるようになるには十年かかるともいわれております。児童福祉司で五年、児童心理司で十年の経験を積んだスーパーバイザーの採用や、経験豊富な民間団体との人材交流なども必要になってくるんではないかと思います。
 開設に向けた特別区職員の人材育成については、都としては支援をしていくという立場だと思いますが、専門性を高めるためのスキルの伝達、指導によって、都と区が一体となって人材を育成していくという気持ちで、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 次に、目黒区の検証報告書では、児童相談所間の引き継ぎに問題があったと指摘をされております。
 区児相開設時の引き継ぎについての見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 子供の安全・安心を確保するために、相談事案の引き継ぎは重要でございまして、文書や関係資料による引き継ぎだけではなく、双方の児童相談所職員が当該家庭に同行訪問を実施することや、児童相談所等で同席面接をするなど、対面による引き継ぎも必要と考えております。

○たきぐち委員 目黒の事案では、転居リスクを抱えた案件に対する再アセスメントの未実施や、子供家庭支援センターと児相との情報共有の未実施が問題として指摘をされております。
 都児相から区児相への引き継ぎは極めて重要であります。今、ご答弁がありました同行訪問や同席面接はもちろんのこと、一件一件のケースを綿密に引き継ぐためには、開設時における人材の十分な体制整備が必要だと思います。都の職員の出向、あるいは担当者の一定期間の派遣など、確実に引き継ぎが実施されるように強く求めておきたいと思います。
 次に、社会的養護について伺います。
 二〇一一年に厚労省は、施設、グループホーム、里親やファミリーホームなどの家庭的環境をそれぞれ三分の一とする目標を設定いたしましたが、ここに来まして、里親に委託する割合を、就学前で七五%以上、就学後五〇%以上とする新たな目標を発表されたことは、先ほど来の質疑の中でも言及があったとおりでございます。
 先日、私も地元で開催されました里親制度普及啓発のための講演会に参加をし、家庭的養護の重要性を改めて認識をしたところでもありますが、都における委託率は、まだ低いのが現状であります。
 厚労省がフォスタリング機関及びその業務に関するガイドラインを示し、里親とフォスタリング機関とがチームを組みながら里親養育を行うチーム養育を推進する中、都も、里親支援機関事業を実施しているものと思います。
 里親の募集から研修、相談などの支援までを一貫して行うフォスタリング機関についての考えを伺います。

○谷田少子社会対策部長 都はこれまで、養育家庭等への委託を推進するため、里親の募集から研修、相談支援などの一連の業務を民間団体等と連携して実施してまいりました。
 本年七月には、国から都道府県社会的養育推進計画の策定要領とともに、フォスタリング機関及びその業務に関するガイドラインが示されました。
 この中では、フォスタリング機関が一貫した体制のもとで里親に対する継続的な支援が提供できるよう、一連の業務を包括的に委託することが望ましいとされております。
 これを踏まえまして、今後、児童福祉審議会において、社会的養護施策推進計画の見直しに合わせ、フォスタリング業務の実施体制について有識者の方々からご意見をいただき、検討を行っていく予定でございます。

○たきぐち委員 児童相談所設置市事務には、里親に関する事務も含まれまして、フォスタリング業務を区も担うことになるかと思いますが、区単独での取り組みでは、十分な支援体制の構築はできないと思います。都児相と区児相が連携した広域的な取り組みを求めたいと思います。
 一方で、都の子供が入所する児童養護施設は六十四カ所あり、里親のバックアップも含めて、児相のパートナーとしての機能を担っております。特別区では十区で施設がなく、先行三区のうち荒川区と江戸川区で施設の誘致を進める意向ということを聞いております。
 児相が必要と判断すれば、児童養護施設に入所させることができますが、親が同意しない場合は、家裁に承認を求めることになっております。
 申し立ては増加しているのか伺います。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所が児童の施設入所等について、児童福祉法第二十八条に基づく申し立てを家庭裁判所に行った件数は、平成二十七年度は二十四件、二十八年度は十五件、二十九年度は二十六件となっております。

○たきぐち委員 欧米では、四十八時間以上の一時保護は司法が判断をし、児相は支援に専念できるということも聞いております。積極的に司法が関与する仕組みをつくることの必要性も指摘をしておきたいと思います。
 また、里親の委託率につきましては高い数値目標が掲げられているところでありますが、先ほど、社会的養護下の子供が四千人というお話があったかと思います。社会的養護を必要とする子供に対して、里親はその三倍程度必要だというような意見もあります。都の里親の登録数について、先ほどやりとりがあったか、聞き逃してしまいましたので、ちょっとわかりませんが、全国の登録数が一万世帯ぐらいだと記憶をしております。
 その意味では、里親のリクルート、研修、支援というものは大変重要でありまして、フォスタリング機関による包括的な支援体制の構築を求めたいと思います。
 ただ同時に、高い目標値だけを追うのではなくて、里親との相性、不調による子供への負担がないように、慎重なマッチングも含めて、あわせて求めておきたいと思います。
 子供の安全を守ることと、親の気持ちに寄り添い意見を聞くこと、子の保護と親の支援を同一の担当者が担うことには難しい部分があろうかと思います。
 介入と支援の機能を分けようという児相機能分化論について、中立な立場での両者の統制をする仕組みが必要ではないかと思いますが、所見を伺います。

○谷田少子社会対策部長 児童相談所では、一時保護や立入調査など、法的対応が求められる一方で、保護者に寄り添いながら支援を行う必要もあるため、都は、要保護児童の家庭等への介入と支援を担当する児童福祉司をそれぞれ配置し、相互に連携しながら、虐待への対応を行っております。
 児童の援助方針につきましては、児童相談所長のほか、児童福祉司や児童心理司の課長代理、虐待対応を行う児童福祉司や支援を担当する児童福祉司などが参加する会議におきまして、社会診断、心理診断、医学診断、行動診断等を総合的に判断し、組織で決定しているところでございます。

○たきぐち委員 私自身も児相に関することについて、これまで何件も相談を受けてきました。児相に対して不信感を一度抱くと、その後の話し合いがなかなかうまくいかないケースがあるように見受けられます。
 児相において、今ご答弁がありましたが、介入と支援を担当する児童福祉司をそれぞれ配置して連携しているというお話でありました。
 都と区の関係においては、児相が介入、子家センが支援という役割があったとするならば、今後、区児相でどのように対応していくかという課題もあろうかと思います。感情的になりがちな保護者に対して、弁護士が客観的な司法の立場から児相の判断をチェックして、保護者に説明をする仕組みも考えられるのではないかと思います。
 国の社会保障審議会においても、機能を分ける児相改革の議論もあるようであります。今後、こうした視点での検討を重ねていただきたいと要望をいたします。
 最後に、重篤な虐待のケースには、離婚後の複雑な家庭環境が背景にあるケースが多い印象があります。
 家族間、夫婦間が変化する中で、離婚後の共同親権の議論があります。都の見解を伺いまして、私の質問を終わります。

○谷田少子社会対策部長 離婚後の共同親権につきましては、現在、国会議員で構成されます超党派の共同養育支援議員連盟が、父母の離婚等の後における子と父母との継続的な関係の維持等の促進に関する法律案の法制化に向けた検討を行っておりまして、その中で、離婚後の共同親権制度についても検討が行われております。
 共同親権につきましては、制度の導入に当たり、面会交流や養育費などをあわせて検討すべきなど、さまざまな意見があることから、都は引き続き、国の動向を注視してまいります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時十五分散会

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