厚生委員会速記録第十六号

平成三十年十一月一日(木曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長栗林のり子君
副委員長白石たみお君
副委員長桐山ひとみ君
理事小宮あんり君
理事まつば多美子君
理事岡本こうき君
伊藤しょうこう君
もり  愛君
藤田りょうこ君
伊藤こういち君
清水 孝治君
後藤 なみ君
木下ふみこ君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
病院経営本部本部長堤  雅史君
経営企画部長児玉英一郎君
サービス推進部長山口  真君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務樋口 隆之君
計画調整担当部長末村 智子君

本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
事務事業について(質疑)

○栗林委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○児玉経営企画部長 要求資料の説明に入ります前に、昨日発生いたしました松沢病院における医療観察法病棟入院患者の所在不明事故につきましてご報告申し上げます。
 昨日、十二時三十分ごろ、職員二名とともに退院に向けたグループホーム見学のため外出中の医療観察法病棟の入院患者が、京成線高砂駅で職員とはぐれ、所在不明となりました。
 警察を初め、関係機関に連絡するとともに、病院職員や警察による捜索を行いましたが、現在まで発見には至っておりません。
 栗林委員長を初め委員の皆様には、大変なご迷惑とご心配をかけましたことを深くおわび申し上げます。大変申しわけございませんでした。
 事故の詳細が判明いたしましたら、改めて委員の皆様にご説明申し上げます。
 また、今後このような事故が発生しないよう、再発防止に取り組んでまいります。
 それでは、続きまして、去る十月十六日の本委員会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、合計七件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、公社病院の病棟休止状況でございます。
 平成三十年十月一日現在の公益財団法人東京都保健医療公社の病院における病棟の休止状況につきまして、病院別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都立病院及び公社病院におけるがん患者数でございます。
 平成二十九年十月十八日に実施いたしましたワンデー調査におけるがん患者数につきまして、(1)は都立病院、(2)は公社病院の実績をそれぞれ病院別に記載しております。
 三ページをごらんください。3、都立病院及び公社病院における医師の定数及び現員の推移でございます。
 常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を、(1)は都立病院、次ページの(2)は公社病院につきまして、それぞれ診療科別に記載しております。
 五ページをお開き願います。4、都立病院におけるPFI事業に関わる経費の推移でございます。
 都立病院におけるPFI事業にかかわる経費につきまして、病院別に推移を記載しております。
 六ページをお開き願います。5、公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
 公社病院に対する運営費補助金の推移につきまして、病院別に記載しております。
 恐れ入りますが、七ページをごらんください。6、公社病院における看護職員の固有・派遣職員数の推移でございます。
 公社病院における看護職員の各年度四月一日現在の定数及び固有、派遣別の現員の推移を病院別に記載しております。
 最後に、八ページをお開き願います。7、都立病院における一直二勤務体制導入診療科でございます。
 都立病院において、一直二勤務体制を導入している診療科につきまして、病院別に記載しております。
 簡単ではございますが、以上で資料の説明を終了いたします。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○栗林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○木下委員 都民ファーストの会の木下ふみこでございます。
 命を守る都政の推進を政策の柱の一つとしておりまして、希望をいたしまして厚生委員会に所属させていただきました。初めての質問をさせていただきます。一年間どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、災害時の命綱として、災害拠点病院に指定されている都立病院、公社病院についてお伺いいたします。
 本年は、全国で大変多くの災害が発生しております。大阪北部地震、北海道胆振東部地震、台風二十一号など、災害対策に多くの注目が集まる中、我が会派では、災害復旧の司令塔となる区市町村の庁舎での非常用電源七十二時間の確保について、さきの第三定例議会の代表質問で取り上げさせていただきまして、予算措置を得ました。
 いざというときに司令塔と並んで重要になってくるのが、傷病患者を受け入れる災害拠点病院となります。
 そこで、私の地元板橋区には、健康長寿医療センター、そして公社豊島病院が、この二つの病院がその指定を受けておりますが、病院経営本部の所管は公社豊島病院ということで伺っておりますが、都内にたくさんあります災害拠点病院として備えている機能についてお伺いしたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 災害時のライフラインにつきましては、東京都災害拠点病院設置運営要綱におきまして、自家発電機等を保有し、三日分程度の燃料を確保することや、流通を通じて適切に供給されるまでに必要な量といたしまして、三日分程度の水等を備蓄することが求められてございます。
 また、災害時の患者の多数発生時を想定いたしまして、入院患者につきましては通常時の二倍、外来患者につきましては通常時の五倍程度の規模に対応可能なスペースを有することが求められてございます。
 基幹災害拠点病院でございます広尾病院を初め、委員お話しの豊島病院を含む全ての都立病院、公社病院が耐震基準を満たしており、神経病院を除く災害拠点病院に指定されている都立病院及び公社病院は、要綱に基づいて、ライフラインを三日分程度確保してございます。

○木下委員 ありがとうございました。
 その中で、非常用電源の具体的な設置状況についてお伺いしたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院及び公社病院では、災害時におきます非常用電源といたしまして、自家発電機を設置するとともに、電源の複線化といたしまして、耐震化にすぐれた中圧ガスを燃料といたしますガスコージェネレーションシステムを八つの病院で導入してございます。
 例といたしまして、基幹災害拠点病院でございます広尾病院におきましては、自家発電機を三台設置し、重油及び軽油の燃料を三日分程度備蓄してございます。発電容量は、通常時の契約電力一千六百キロワットを上回る合計二千六十四キロワットとなってございます。また、ガスコージェネレーションシステムの常用発電機の七百キロワットを備えてございます。
 また、豊島病院におきましては、自家発電機を一台設置し、燃料の灯油を三日分程度備蓄してございます。発電容量は、通常時の契約電力一千二百キロワットに対し、一千キロワットとなってございます。また、ガスコージェネレーションシステムの常用発電機三台によりまして、一千八百キロワットを備えてございます。
 このように全体として適切な発電容量を確保してございます。

○木下委員 ありがとうございました。
 先日、都民ファーストの会、新旧の厚生部会で、都立駒込病院の視察を行わせていただきました。HIVやSARS、エボラ出血熱など、感染症を水際で食いとめるための施設及び体制整備、また、通院治療センター、放射線部でのがん治療の最前線の取り組みは、都民の健康を守る東京都の先端医療として、大変すばらしいと感じました。
 もし万が一、自分ががんになってしまったら、ぜひ都立駒込病院にお世話になり、完治を目指したいと心から感じたわけでございます。
 そして、その際、都立駒込病院のソーラー設備を視察させていただきました。安全対策で入院患者の進入を禁止している区域に現状のソーラーパネルが設置をされており、周りにはあいているスペースも結構ございましたように感じました。患者のための憩いのスペース以外に設置できそうな屋根は十分あったように感じております。
 既存病院、そして、今後の新築予定の病院、広尾病院とか神経病院になると思うんですけれども、そちらでの積極的なソーラーパネルの設置について検討を進めていただきたいと考えます。
 そこで、ソーラー発電及び蓄電池の設置と災害時活用の可能性についてお伺いしたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 災害時におきましては、入院患者はもとより、地域における傷病者を積極的に受け入れることとなる都立病院及び公社病院におきまして、必要な電力の確保は極めて重要でございます。
 委員お話しの駒込病院の太陽光発電は、発電容量が三・二四キロワットとなってございまして、駒込病院全体におきます契約電力の三千三百九十六キロワットから見ると極めて少ない容量となってございます。
 電源の複線化は重要であると認識してございますが、災害時の病院運営に資する大規模な太陽光パネルや大型の蓄電池等の設置スペースを確保することは、病院の敷地内においては極めて困難でございます。
 なお、二〇二〇年に向けました実行プランにおきまして、都有施設におきます再生可能エネルギーの導入を推進することとされたことを踏まえまして、今後、改築等が予定される病院につきましては、病院運営上の可能な範囲で太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入を検討してまいります。

○木下委員 私は、都民ファーストの会の中で、エネルギー環境政策研究会というのに所属し、事務局長として環境政策にも力を入れさせていただいております。
 再生可能エネルギーの活用、世界動向では、大きく再エネにシフトしております。国際的に再エネシフトの計画を進めるパリ協定、また、国家の規制を超えて、アップルやグーグルなどのグローバル企業が温暖化対策に取り組むR一〇〇の動きなどなど、再エネが最も安い電源となりつつあり、技術革新も著しい分野でございます。
 病院経営本部として、再生可能エネルギーの利活用について最新動向を捕捉し、さらに積極的に導入への取り組みを加速していただきたいと強くご要望させていただきます。
 次に、外国人への医療の提供についてご質問をさせていただきます。
 訪日外国人観光客が増加しております。二〇一七年の直近のデータでは、日本全体で二千八百六十九万人の方々がいらっしゃっている、そして、政府の目標はご案内のとおりですが、二〇二〇年に四千万人、また、二〇三〇年に六千万人ととても大きい数字になってございます。
 平成二十九年の二〇一七年訪都旅行者数等の実態調査結果によりますと、外国人の旅行者数は、訪都ということで、過去最多の約一千三百七十七万人、対前年比で五・一%増となってございます。
 近年、まちを歩いていても、外国人を本当によく見かけるようになりました。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に向けて、ますます多くの外国人の増加が見込まれ、不慮の事故や病気などで医療機関を利用する外国人の方々もますますふえてくると考えられます。言葉が通じない異国で大変心細い思いをされることになるのではないかと思います。
 そこで、都立病院における外国人の受け入れ状況と外国人患者の受け入れ強化に向けた取り組みについてお伺いさせていただきたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院におけます平成二十九年度の外国人受診患者数は、新入院患者数八百九十七人、外来患者数は一万一千三百五人であり、国籍別に見ますと、新入院、外来ともに、中国、フィリピン、韓国、アメリカの四カ国が多うございます。
 外国人患者が安心して医療を受けられる環境を整備するため、都立病院では、平成二十五年度に都立病院国際化対応検討委員会を設置し、外国人患者受け入れの強化に向けた取り組みを推進してございます。
 具体的には、職員の語学研修や異文化理解を深める研修を実施し、職員の外国人患者への対応力の強化を図ってございます。英語や中国語だけでなく、多言語にも対応できますよう、映像通訳サービスや音声翻訳アプリが使用できるタブレット端末を導入してございます。
 また、問診票や同意書など、患者対応に使用する書類の多言語翻訳、施設案内表示への外国語の併記など、多言語での院内環境の整備を推進してございます。
 こうした取り組みを進めまして、外国人患者受け入れ体制において、一定の水準を満たしている場合に、JMIPと申しますが、第三者機関が認証を与える外国人患者受け入れ医療機関認証制度によります認証を、東京二〇二〇大会の前年度であります平成三十一年度までに全ての都立病院で取得してまいります。

○木下委員 ありがとうございました。外国人が増加する中、遠い異国で傷病になり、不安でいっぱいの外国人の方々に対して十分な医療を提供することは、いうまでもなく、東京、そして、日本の責任でございます。取り組みを十分に進めていただきたいと思います。
 一方で、医療目的を隠して留学と偽って日本に入国し、国民健康保険を使用して低い自己負担で高額治療を受ける外国人が増加しているという問題がございます。日本国民にとっては大変ゆゆしき事態であると私も思っております。
 この件につきましては、さきの第三定例議会の厚生委員会で、都民ファーストの会、岡本都議より質疑をさせていただきました。
 現在、検討中の国のワーキンググループにおける医療費の未払い対策について、病院経営本部としても、保険証を持たない外国人の未収金対策として、旅行保険の加入の有無やパスポート等の身分を確認する、また、必要に応じて大使館に本国の住所地を照会するなどの情報把握に努めている旨、また、今後の国の動向を注視していく旨、ご回答いただいておりますけれども、私からも改めましてしっかりと取り組んでいただくようお願いをさせていただきます。
 さて、未回収金ということでございまして、外国人にとどまらない未回収医療費についての未収金の総額と回収対策についてもお伺いしたいと思います。

○山口サービス推進部長 平成二十九年度末時点におけます過年度未収金の残高でございますが、約九億一千百万円となっております。
 都立病院におきましては、平成二十二年度の包括外部監査で指摘を受けて以降、平成二十三年度から未収金対策の取り組みを強化してきました。
 取り組みの具体的な内容でございますが、まず、回収業務マニュアルの業務手順を見直し、未収が確認された時点で迅速に電話や文書で催告を実施するなど、早期着手を全病院に徹底しました。
 次に、未収金回収のための非常勤の専任職員を本部及び各病院に計十二名新たに配置し、管理体制の強化を図りました。また、交渉に全く応じないなど、病院では対応が困難な案件につきましては、弁護士に納付交渉を委任することといたしました。
 こうした対策を講じまして、未収金回収及び不納欠損処理を着実に進めてきた結果、平成二十二年度末の未収金残高約十一億八千四百万円と比較して約二億七千三百万円の減となりました。

○木下委員 ありがとうございます。減ったとはいえ、九億一千百万円は大変大きな額というふうに考えます。都民の貴重な税金でもありますので、引き続き回収にご努力をいただきたいとお願いをさせていただきます。
 さて、都民ファーストの会会派、我々は五十三名おります。唯一選出議員がいないのが島しょ部でございますが、五十三名の都議会議員全員が島の代表のつもりで現地を訪れ、現場を見て、意見交換をしていきながら、島しょ施策についても取り組んでおります。
 会派としては、これまでの一年余りの任期の中で三島を訪問させていただきました。小池都知事は既に全島制覇をされたというふうに伺っておりますけれども、会派としても、任期中の全島訪問を目指しております。
 私自身は、本年五月に、返還五十周年を迎えた小笠原諸島及び十月に神津島を訪問いたしました。そこで、島しょの医療についてお伺いをしたいと思っております。
 小笠原を訪問した際、父島の診療所を見学させていただきました。小笠原は、幸せなことに移住などで社会増等々で人口がふえておりまして、若い世代や子供たちの多いところでございます。
 しかしながら、島内ではお産ができず、妊婦さんたちは産み月が近くなると本土に渡らなければなりません。そのための金銭的、また、体力的負担が大きいこと、また、ご存じのとおり、小笠原と本土の移動には、六日に一度のフェリーで一日かかるというようなことで、私も妊娠して子供を産んだ経験があるので思うんですけれども、身重でこれに耐えるのは本当に大変なことなんだろうと感じます。
 また、六日に一度のフェリーしかないため、緊急搬送時はヘリで硫黄島に渡り、海上自衛隊機で厚木基地や羽田空港に搬送、そこから陸路で広尾病院まで救急車で行くと、九時間、十時間となるとのお話で、この時間が少しでも短くなれば助かる命もあるとのお話でございました。島しょ医療の厳しい現実を目の当たりにいたしたわけでございます。
 そこで、都立広尾病院は、島の診療所に対してどのような支援を行っているのかお伺いしたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療の一つといたしまして、昭和五十五年の開設以来、一貫して島しょ医療を担うとともに、島しょ医療機関に対するさまざまな支援に取り組んでまいりました。
 具体的には、島しょの医療機関では対応できない救急患者が発生した場合に、島しょからのヘリコプターによる救急搬送に二十四時間で対応してございます。
 平成二十九年度は、島しょから本土に搬送されました二百二十二人の救急患者数に対して、その約八割に相当いたします百八十六人を広尾病院で受け入れてございます。
 また、高度専門医療を提供する広尾病院と島しょ地域の診療所等をつなぐ画像電送システムによりまして、エックス線やCT、内視鏡等の画像を見ながら、島の医師へ助言するなど、離島診療所等の診療活動を支援してございまして、平成二十九年度は合計で一千五件の画像を受け付けてございます。
 これによりまして、患者が島にいながらにして専門医の診断が受けられるとともに、救急搬送時におきましても、事前に初期の診断を行う際に活用することで、速やかな対応を行うことが可能となってございます。

○木下委員 ありがとうございます。広尾病院がこれまで取り組んでいらした島しょ医療に対する支援について、ご説明をいただきました。
 ところで、病院経営本部は、昨年十一月に広尾病院整備基本構想を発表し、新しい病院が果たすべき役割や機能などに関する基本的な考え方を示されております。
 この中で掲げている地域貢献病床について、広尾病院が所在する地域はもとより、島しょ地域も含めて、どのように活用するのかお伺いいたしたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院の周辺地域は、高度急性期や急性期を担う医療機関が多数存在してございますが、急性期治療後の患者が地域に移行するための受け皿確保が必要となってございます。
 とりわけ、島しょ地域に関しましては、急性期治療後の医療資源が相対的に乏しいことからも、こうした受け皿の確保によりまして、島しょ地域の医療ニーズに柔軟に対応していくことが重要でございます。
 このため、新たに確保いたします地域貢献病床は、急性期を脱した患者が地域へ移行するに当たり、地域の状況に応じて、一定期間患者を受け入れる機能を持たせることなどを想定してございます。また、地域に移行した患者の症状急変時にも対応するため、救急受け入れ体制も確保してまいります。
 こうした地域貢献病床の活用によりまして、本土の医療機関に入院された島しょの患者が安心して療養生活に移行できますよう、今後、具体的な運用方法を検討してまいります。

○木下委員 医療資源が総体的に乏しい島しょにおきましては、具体的な支援はもとより、日常から本土との緊密な連携により、情報を共有するなどの取り組みも大変重要であると考えております。
 そこで、先ほどの整備基本構想に掲げていらっしゃるICTを活用した島の医療、介護機関との連携の具体策についてお伺いしたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 広尾病院はこれまで、島しょ医療の基幹病院といたしまして、多くの救急患者や入院患者を受け入れてまいりました。
 平成二十九年度は、広尾病院の新入院患者数一万五百九十六人のうち、約一割に相当いたします一千百四十一人が島しょ地域の入院患者でございまして、多くの島民にご利用をいただいてございます。
 一方、現状におきましては、島しょ患者が転院や帰島する際、本土での治療内容や島での療養上の注意事項、帰島後に必要となる療養環境や受け入れ環境などの情報が本土と島しょとの間で十分に共有されていないケースがあるなどの課題がございます。
 このため、ICTを活用したウエブ会議の導入によりまして、島しょと本土それぞれの医療、介護等の関係者間で顔の見える関係を構築するとともに、患者の療養情報の共有を密に行うことで、離島のハンデを感じさせない安心をサポートしてまいります。
 今後とも、こうしたきめ細かい支援を通じまして、島しょ医療の一層の充実を図ってまいります。

○木下委員 ありがとうございました。島しょ医療の充実もしっかりとお願いいたしたいと思います。
 さて、島しょ医療でのICTの活用について、今お伺いしたところでございますけれども、ICTの活用は、島しょとの遠隔治療への活用のみならず、医療領域全般へとさまざま注目をされていることは間違いございません。
 中でも、ビッグデータとしての電子カルテの活用について、予防、治療、創薬などへの活用に注目をしているところでございますが、都立病院における電子カルテの導入状況及び診療データの活用についてお伺いいたしたいと思います。

○山口サービス推進部長 都立病院におきましては、平成十五年度から電子カルテシステムを順次、導入、更新しておりまして、現在、全ての病院で効率的かつ安定的なシステム運用を行っております。
 この電子カルテシステムの導入によりまして、外来待ち時間の短縮、各種チェック機能によります医療の安全性向上など、患者サービスの充実、紙カルテやレントゲンフィルムの削減による関連業務の効率化などを図ってまいりました。
 また、全都立、全公社病院の電子カルテシステム等に蓄積された膨大な診療データを診療や臨床研究への支援等に活用することを目的としまして、平成二十七年度から外部の有識者等で構成します都立・公社病院診療データバンク構想検討委員会を設置し、現在、検討を行っております。

○木下委員 都立・公社病院診療データバンク構想検討委員会の検討結果、間もなく公開、公表されてくるということでございますけれども、診療データの活用の充実にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 一方、ビッグデータ、この医療への応用が叫ばれて大変久しいと理解をしておりますけれども、残念ながら電子カルテの利活用が十分に進んできているとはいえないと思っております。
 その理由の一つに、書き方、ルールが統一されておらず、お医者様になりますけれども、入力者によって同じ症例でも記入の仕方が異なるなど、データの統一性がとれていない点があるというふうに伺いました。活用には、いわゆるデータのクレンジングが必要になってくるということでございます。
 国でも、内閣官房及び厚労省の方で、この点の整理の取り組みが始まっているところでございますけれども、先ほどお話ししましたとおり、都立駒込病院を訪問させていただいた際に、この点を含め、意見交換をさせていただきました。
 院長先生のお話によりますと、電子カルテの記入は、現在、医師みずからが行っている、これはセキュリティーの問題から変えるべきではないというご意見ではございますけれども、医者の業務は非常に煩雑で、もちろんこれだけではないという中、医者の管理監督のもとデータ記入自体を代行するスタッフの設置、また、これの増員があると、ただでさえ忙しい医者の負担が大幅に軽減されるというようなお話がございました。
 そこで、電子カルテの活用に資するサポートスタッフの充実についてお伺いいたしたいと思います。

○児玉経営企画部長 都立病院では、医師の診療における専門性発揮や負担軽減を図ることを目的としまして、平成三十年度現在、全ての都立病院に医師事務作業補助者を配置しております。
 医師事務作業補助者は、診断書の作成補助はもとより、診療や手術等のデータについてデータベース登録等の入力補助や、外来診療において電子カルテや検査依頼等のオーダリングシステムへの入力補助などを行っております。
 また、医師が行う治験や臨床研究においては、臨床研究支援員を配置し、電子カルテのデータを活用して、研究データベースの構築や分析等を行っております。
 今後は電子カルテの一層の有効活用や医師の負担軽減の観点からも、医師事務作業補助者や臨床研究支援員の適切な配置に努めてまいります。

○木下委員 ありがとうございました。病院経営本部としての都立病院、そして、公社病院の災害時、非常時の対応及び再生エネルギーの活用、また、増加する外国人患者へのご対応、未収医療費の問題、島しょ医療、ICTの活用などについて、十問質問させていただきました。
 都民の命綱としての都立病院、公社病院の意義は、改めていうまでもなく、大変大きなものがございます。日々、臨床に当たって力を尽くされている医療従事者の皆様、そして、それを支える事務方の皆様のご努力に心より感謝を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○まつば委員 都は、平成三十年三月、都立病院新改革実行プラン二〇一八を策定いたしました。この中で、都立病院は、今後担うべき役割を果たすため、都立八病院を広域基幹型、大都市機能連携型、専門機能型の三つに類型化をしております。
 そこで、都立病院が役割を果たす上で、なぜ類型化が必要だったのか、まずお伺いをいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の医療環境は、都心部のように大学病院等の高度な医療を提供する施設が集積する地域と、区の東部や多摩地域のように医療資源が必ずしも十分でない地域とがございまして、都立病院が所在する地域の医療環境はそれぞれ異なってございます。
 また、各都立病院の医療機能は、総合病院と専門病院に分けることができ、それぞれ果たすべき役割は異なります。
 地域医療構想の実現に向けまして、今後、地域完結型の医療が構築されていくことから、地域の医療機関との機能分化と連携を推進していくことが必要であり、都立病院は率先してみずからの役割を明確化することが重要でございます。
 このため、都立病院を周辺の地域特性や各病院が提供する医療機能に応じ三つに類型化し、役割や取り組みの方向性を明確にしたところでございます。

○まつば委員 今、類型化がなぜ必要だったのかということでご答弁いただいたわけなんですけれども、例えば大都市機能連携型の中には、広尾病院や大塚病院ということなんです。今、木下議員の質疑の中で、広尾病院は島しょ部の医療を担っている医療機関である、昨年度は、約八割の患者さんも島しょ部から受け入れられたと、こういう話もあったわけでございまして、所在をする二次医療圏といった意味では、広尾病院の周りには、さまざまな高度な医療機関があるということだとは思いますけれども、東京都の都立病院が担っているという意味でいうと、島しょ医療というのを大きく担っているのが広尾病院ということであります。
 この類型化という、三つに分けられていますけれども、そういったことも、今後、議論の中には、私は入ってくる必要があるんではないかなというふうに思っております。
 また、都立病院が所在をしていない二次医療圏という地域もあるわけでございまして、この都立病院八病院が果たすべき役割、一般会計からの繰り入れもされておりますので、全都民の皆様方に高水準の医療を提供していくといった視点からの取り組みも非常に重要だと思っております。
 そうしたところから、本日は、この中でも、特に対象地域を全都としております専門機能型の病院に求められる役割について、質問をしていきたいと思います。
 まず最初に、全体としての専門機能型病院に求められる役割について、ご答弁をお願いしたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院新改革実行プラン二〇一八におきましては、専門機能型の病院といたしまして、駒込病院、松沢病院、小児総合医療センター、神経病院の四病院を位置づけてございます。
 これらの専門機能型の病院では、専門領域におきます高度先駆的な医療を都全域を対象に提供するとともに、地域の医療機関では対応困難な患者にも確実に対応してまいります。
 また、専門領域の豊富な症例を生かしました臨床研究や先進医療にも精力的に取り組むほか、高い専門性や知見を生かしまして、地域の医療機関等への技術支援や人材育成にも貢献してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、専門領域におきます都の医療拠点としての役割を果たしてまいります。

○まつば委員 それでは、この四つの病院の役割や取り組みについて、それぞれお伺いをしていきたいと思います。
 まず、駒込病院でございますけれども、がん医療は、民間病院を含む多くの医療機関で対応されております。
 一方で、本年三月に都が策定をしました東京都保健医療計画では、がんの拠点となる病院には、引き続き、高度ながん医療を提供することや、患者や家族に対するチーム医療によるトータルケアを提供することを求めております。
 そこで、都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院におけるがん医療の取り組みについてお伺いいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 駒込病院は、都内二カ所の都道府県がん診療連携拠点病院の一つといたしまして、一般の医療機関では対応が困難とされます複数の疾患を併発したがん患者や、難治性、希少がんなどに対する高度ながん医療を提供してございます。
 駒込病院では、以前から、ほぼ全ての臓器に対しまして、診療科を超えて横断的な症例検討会を行う、いわゆるキャンサーボードを整備し、患者一人一人に対し、部位別に最適な治療方法について検討をしてございます。
 また、医療機器の進歩にも着実に対応し、三種類の高精度放射線治療装置や手術支援ロボットを整備し、患者の体に負担が少ない治療に積極的に取り組んでございます。
 さらに、先月からは、がんゲノム医療連携病院の指定を受けまして、国立がん研究センター中央病院など、都内三カ所のがんゲノム医療中核病院と連携し、遺伝子検査に基づく医療の提供や遺伝子カウンセリングの実施、ゲノム医療に関する情報提供などにさらに力を入れてまいります。
 このほか、医療技術や医薬品の進歩などもあり、治療と就労の両立も可能となってきたため、ハローワークと連携した就労支援の取り組みも推進してございます。

○まつば委員 今のご答弁で、ハローワークと連携した就労支援の取り組みを推進というご答弁がありましたけれども、この内容と実績についてお伺いいたします。

○山口サービス推進部長 都道府県がん診療連携拠点病院である駒込病院では、ハローワークと連携し、がんと診断され長期療養の必要な患者が、治療を行いながら仕事との両立を図ることを目的としました国の長期療養者に対する就職支援事業のモデル事業を平成二十七年度から開始いたしました。
 具体的には、週一回、ハローワークの専門相談員であります就職支援ナビゲーターが病院を訪れ、職業紹介や就労の相談に応じる出張就職相談を実施しております。
 また、医師の診察や医療ソーシャルワーカーが行う医療相談の中で、患者の要望や体調等を考慮して出張就職相談を案内するとともに、患者や就職支援ナビゲーターからの問い合わせに対応しております。
 さらに病院では、厚生労働省が発行した両立支援に関するリーフレットやハローワークの求人票などを患者家族の情報交換や交流の場であります院内の患者サロンに置き、自由に手にとれるよう工夫を図っております。
 出張就職相談の件数でございますが、平成二十七年度二十一件、事業が本格実施となりました平成二十八年度は四十九件、平成二十九年度四十件で、三年間の合計で百十件となっておりまして、このうち四十三件が就職につながっております。
 今後も、ハローワークと連携するなど、がん患者の就労支援に取り組んでまいります。

○まつば委員 今、四十三人の方が就職をされたというお話がございまして、大変これは重要な取り組みだと考えております。ぜひとも、がん患者さんの就労支援、さらに取り組んでいただきたいと思います。
 また、駒込病院は、民間の病院では対応が難しい、そうしたがん患者の方に対しても、最善の治療を行っていらっしゃると、こういうことも確認をさせていただきましたので、しっかり、さらに都民のために病院の運営を行っていただきたいと思います。
 次に、松沢病院についてお伺いをいたします。
 質問に入る前に、冒頭、理事者から発言がございました都立松沢病院における医療観察法病棟入院患者の方が、外出中に同行していた職員とはぐれ、所在不明になっている事故について申し上げたいと思います。
 医療観察法は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続き等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的とされております。
 病院管理者は、この法の趣旨を踏まえて、患者の治療や社会復帰に向け、適切に対応することが求められております。まずは患者さんの発見が第一ではございますが、本件事故は、決してあってはならないことであると、このように思っております。
 今後、管理を徹底していただき、再発防止に万全を尽くすように強く要望しますとともに、再発防止の方向性が決まった際には、厚生委員会に改めて説明をしていただきたいと、このように思っております。
 この松沢病院についてでございますけれども、精神科急性期医療を中心に、専門性の高い精神科医療を提供し、都の精神科医療の拠点としての役割を担われております。
 その中で、私は、きょうは認知症医療について質問をしたいと思います。
 東京都保健医療計画によりますと、都内の認知症高齢者が二〇二五年には約五十六万人と、一六年の約四十一万人と比べ、一・四倍と急速に増加するとされております。認知症への対応が極めて重要な課題であると思っております。
 そこで、松沢病院における認知症医療の取り組みについてお伺いいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院は、都におきます精神科医療の拠点として、身体疾患を併発した認知症患者や、暴力、幻覚など、重度の行動、心理症状を持つ認知症患者を積極的に受け入れるため、認知症の専門病棟として七十七床の病床を確保し、専門性の高い医療を提供してございます。
 こうした機能を発揮し、近接する認知症疾患医療センターからも、急性期の症状が激しい患者を受け入れてございます。
 また、患者本人が受診を渋る場合に、家族のみが来院し、専門医の診察を受ける物忘れ家族相談を実施し、家族の認知症に対する啓発や不安の解消にも取り組んでございます。
 さらに、地域拠点型の認知症疾患医療センターに指定されておりまして、区西南部二次保健医療圏におきます認知症医療の拠点としての機能も担っており、かかりつけ医や訪問看護ステーション看護師などに対する研修や講習会など、地域の医療従事者の人材育成に積極的に取り組んでございます。

○まつば委員 松沢病院は、他の医療機関では対応が難しい症状の激しい認知症患者の方を受け入れるなど、重要な役割を果たしているということを確認させていただきました。
 その上で、二次保健医療圏における認知症疾患医療センターの役割も松沢病院は果たしておられるということでございますが、他の認知症疾患医療センターにおいて、こうした入院患者さんの受け入れができるという、そういう機能がないところもございますので、ぜひ認知症医療についても、二次保健医療圏の認知症疾患医療センターということにとどまるだけではなく、冒頭ご説明もございましたけれども、中心的な拠点として、認知症医療についてもお取り組みをいただきたいと、このように申し上げておきます。
 区西部の認知症疾患医療センター、浴風会病院でございますけれども、こうしたところとも連携していただいて、対応も図っていただきたいということを要望させていただきます。
 次に、小児総合医療センターについてお伺いをいたします。
 小児総合医療センターは、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の都立の旧小児三病院を統合移転いたしまして、平成二十二年の三月に開設をされました。
 この再編整備によりまして、小児総合医療センターは、小児救急医療、周産期医療、小児がん医療など、多くの拠点機能を有し、まさに都の小児医療の拠点となっていると思っております。
 特に小児救急医療は、小児科という限られた資源での体制となるため、医療体制の確保が難しい医療であると、こういわれております。
 そこで、小児総合医療センターにおける小児救急医療の取り組みについてお伺いいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターは、都内四カ所のうち、多摩地域には一カ所しかないこども救命センターの指定を受け、他の医療機関では救命治療が困難な小児重篤患者を必ず受け入れる役割を担ってございます。平成二十九年度は二百七十三件を受け入れ、迅速かつ適切な救命治療を提供してございます。
 また、救急処置が必要な患者から生命の危険がある重症、重篤な救急患者まで広く対応する東京ER・多摩小児を運営してございまして、平成二十九年度は三万四千五百四十八件、うち救急車での搬送が三千百七十九件と、多くの小児救急患者の受け入れを行ってございます。
 さらに、小児救急の拠点といたしまして、二台のドクターカーを備えてございます。平成二十九年度の出動件数は四百五十六件でございました。搬送元の地域を見ますと、多摩地域からの搬送が全体の九割を占めますが、区部や近隣の県からの搬送依頼も二十六件ございまして、資源が限られた小児新生児医療におきまして、地域医療機関と小児医療の基幹病院とを結ぶネットワークを構築してございます。

○まつば委員 多摩地域で唯一のこども救命センターとしての役割をしっかりと果たされているということがわかりました。中でもドクターカーを二台備えられておりまして、広域的なネットワークの構築に貢献をしているということでもございますので、このドクターカーということも、さらに活用していただきながら、特に多摩地域の子供の救命センターとしての役割を十二分に発揮をしていただきたいと、このように思っております。
 次に、神経病院についてお伺いをいたします。
 平成二十六年に難病の患者に対する医療等に関する法律が施行されまして、難病患者への支援は、これまでの重症難病患者への支援だけでなく、多様な難病患者の社会参加の機会確保などの支援が求められました。あわせて、新たな難病医療提供体制も示されたわけでございます。
 そこで、神経病院における難病医療の取り組みについてお伺いいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院は、平成三十年四月、都内に十一施設ございます都の難病診療連携拠点病院に多摩総合医療センターと一体で指定され、多摩メディカルキャンパス内の連携のもとで、極めてまれな疾患を含む、国が指定いたします三百三十一の難病のほぼ全ての疾患に対しまして、早期の確定診断や専門治療を提供してございます。
 また、特に、徐々に歩行障害があらわれるALSや筋ジストロフィーなどの患者を対象に、歩行機能の改善に効果があるとされる最先端のロボット技術を活用した先進的なリハビリ治療を先月から開始してございます。
 さらに、難病患者に対します多摩地域の相談拠点といたしまして、福祉保健局からの委託を受け、平成二十九年十月には、院内に東京都多摩難病相談・支援室を設置し、患者支援センターと連携しながら、難病相談支援員によります療養相談や難病患者就労コーディネーターによります就労相談に取り組んでございます。

○まつば委員 今、四つの専門機能型病院について、その内容を確認させていただきました。いずれも都の拠点として、高度で専門的な医療を提供しているということで、大変期待をしております。
 都立病院八病院しかございませんので、その中で一般会計から繰り入れもしながら運営をしているということから、地域医療の充実に貢献をするといった視点も大事だということは理解をいたしますけれども、東京都民全体の医療という意味で、しっかり貢献をしていただくということで、さらに推進をしていただきたいと、このように思っております。
 次に、女性という視点から質疑を若干させていただきます。
 都議会公明党は、女性専用外来を都立病院で設置していただきたいと、こういう要望をさせていただきまして、現在、女性専用外来が都立病院、また、公社病院にも設置をされております。
 この女性専用外来は、特に思春期から更年期に至るまでの女性特有の病気について、性差ということを考慮しながら、トータルな立場で、また、女性医師による、そうした診療ということが特徴になっておりまして、女性の皆様から大変期待が大きい診療科であると、そのように思っております。
 この都立病院における女性専用外来の状況についてお伺いをいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院におきましては、女性専用外来を平成十五年に母子医療を重点医療とする大塚病院に、平成十六年に広域基幹病院としての機能を持つ墨東病院と多摩総合医療センターに、都民からの強いニーズを受け、設置をしてございます。
 女性専用外来では、女性特有の身体症状やストレスによる心身の変調などを対象に、女性の心身の疾患を総合的に診察する女性医師による女性のための医療を提供してございます。
 また、必要に応じて、院内のほかの診療科と連携して、各専門医への紹介を行っていく振り分け外来としての機能も果たしてございます。
 いずれの病院でも、通常の外来よりも初診の診察時間を長く設定し、患者一人一人の症状や不安に丁寧に対応をしてございます。
 平成二十九年度の受診患者数は、三病院合計で延べ六百三十五人でございました。

○まつば委員 平成十五年から、まず大塚病院に開設をされたということで、まれに女性専用外来、ほかの都道府県でも行われておりますけれども、早い段階から取り組んでいただいたと、このように評価をさせていただいております。
 今後も女性専用外来、女性の皆様からも大変支持もある、そうした外来でもございますので、継続していただいて、充実を図っていただきたいと、このように思っております。
 また、別の話でございますけれども、最近、さまざまな報道の中で、大学医学部の入学試験において、女性であったり、また、浪人生に不利な操作を行うなどの不正入試問題があったというようなことが取り上げられております。
 平成二十八年の十二月に厚生労働省が行った医師、歯科医師、薬剤師についての調査では、全国の病院に勤務する女性医師の割合が二二・二%となっております。都立病院で働く女性医師の割合、また、その推移と、その方々が働きやすい環境づくり、これは非常に重要でございますので、この取り組みについてお伺いをいたします。

○児玉経営企画部長 都立病院に勤務する女性医師割合の推移は、各年度九月一日現在で見ますと、平成二十八年度が二七・九%、平成二十九年度が二八・六%、平成三十年度は二八・七%となっております。
 また、都立病院では、昭和四十四年四月に院内保育室の運用を開始し、平成二十年四月から二十四時間対応にも取り組んでおります。さらに、平成二十年七月から、育児短時間勤務制度を導入するなど、女性が働きやすい職場環境の整備に努めているところでございます。
 なお、平成三十年九月一日現在、育児短時間勤務制度は、八名の女性医師が利用しており、また、院内保育室につきましては、全利用者七十九名のうち三十四名が女性医師であり、利用割合は四三・〇%となってございます。

○まつば委員 女性医師の割合もふえていらっしゃるということでありまして、また、育児短時間勤務制度も利用されている方もいらっしゃるということでもございました。
 また、院内保育室も昭和四十四年という早い段階から運用を開始されて、二十四時間の対応に今取り組まれているということでございまして、女性医師の方々の働きやすい環境づくりということにも取り組んでいただいているということを確認させていただきました。
 都立病院新改革実行プラン二〇一八の中には、東京医師アカデミーの中で復職トレーニングも今後進めていくというようなお話もございまして、妊娠、出産をした女性医師の方が継続して働かれるということとともに、また、一旦退職された方についても、復職を目指されるような取り組みも重要でございますので、そうしたことも着実に進めていただきたいと思っております。また、院内保育施設についても、あいている場合には地域開放していくということも書かれております。
 また、病児、病後児保育も進めていくといった中身も、この実行プラン中には書いてございますので、そうした女性が働きやすい環境整備ということとともに、院内保育室の活用等についても、多くの皆様に充実した保育を受けていただけるような取り組みをさらに進めていただきたいと、このことを申し上げまして、質問を終わります。

○伊藤(し)委員 それでは、病院経営本部の事務事業について質疑を行います。
 都は、医療環境の変化や地域医療構想などを踏まえ、ことし三月に都立病院新改革実行プラン二〇一八を策定しました。
 その中では、都立病院については、基本的な役割として、救急災害医療など、高度で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適切に提供するとともに、実用に応じた地域医療の充実への貢献を新たな役割といたしました。
 また、改革の考え方として、都民、患者第一などの三つの視点と都の医療政策推進への貢献など六つの戦略を掲げましたので、順次、お尋ねをいたします。
 まず、都の精神疾患医療について、都立松沢病院が果たす役割について伺います。
 都立病院の基本的な役割は、行政的医療を都民の皆様へ提供し、他の医療機関との適切な役割分担と密接な連携を行うとのことですが、松沢病院は、とりわけ精神科救急医療と精神科身体合併症医療をしっかり担っていると認識しております。
 また、東京都は、全国の措置患者の四分の一を占めるともいわれ、他の道府県とは全く事情が異なるとも聞いております。
 こうした状況の中、都の精神科医療の拠点である松沢病院の果たす役割について、精神科救急医療の観点から伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 松沢病院は、精神科急性期医療を中心に、専門性の高い精神科医療を提供するとともに、他の医療機関と緊密に連携し、都におきます精神科医療の拠点としての役割を果たしてございます。
 警察官通報に基づきます精神科緊急医療につきましては、松沢病院と墨東病院、多摩総合医療センター、公社豊島病院の四病院で都内全域を担ってございまして、平成二十九年度は、松沢病院におきまして、都内全体の緊急措置入院患者の約四割に当たる三百十五件を受け入れてございます。

○伊藤(し)委員 松沢病院では、都内全体の緊急措置入院患者の約四割を受け入れており、精神科救急でも大きな役割を果たしていることが確認できました。
 それでは、次に、一般医療機関で対応が困難な精神科身体合併症の対応についても伺います。
 具体的な症例としては、アルコールによる肝疾患などの消化器疾患や転倒による骨折などの身体疾患を併発した精神科合併症患者への対応です。
 これらの患者については、精神疾患による不穏、興奮などの症状により、民間医療機関での対応が困難であり、都全体の受け入れ件数の約三割を松沢病院で対応しているそうです。
 そこで、精神科身体合併症医療を重点医療としている松沢病院では、どのような対応をしているのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 精神科身体合併症医療は、精神科と一般医療との連携が不可欠でございます。
 松沢病院は、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センター、公社豊島病院とともに都からの委託を受け、夜間、休日においても、都内全域の精神科身体合併症患者の受け入れを実施してございます。
 松沢病院におきます平成二十九年度の都事業に基づく受け入れ実績は、日中も含めると二百三十二件でございまして、都全体の約三割を占めます。
 精神科身体合併症患者を身体疾患別に分類すると、肝炎や胃がんなどの消化器系、肺炎等の呼吸器系、糖尿病等の内分泌代謝系、骨折などの外科系の疾患などがございまして、精神疾患におきます不穏、興奮等の症状があらわれ、一般の医療機関での対応が困難な患者を関係する診療科が連携し、積極的に受け入れてございます。

○伊藤(し)委員 一般医療機関での対応が困難な精神科身体合併症患者を関係する診療科が連携し、積極的に受け入れていることも確認できました。
 次に、長期入院患者の地域生活への移行促進に向けた取り組みについても伺います。
 松沢病院における一年以上の長期入院の患者数は、五年前の二百九人から、昨年度は百六十一人と、約二三%も減少しています。
 精神疾患を理由に入院している患者の中には、入院が長期間にわたっている方々が多くおられます。その中には、住まいや地域での支援体制が整えば退院できる方もおられますので、地域での自立生活に向けた丁寧なサポートが必要です。
 それでは、患者を円滑に地域に移行するために、松沢病院ではどのような取り組みを行っているのか伺います。

○山口サービス推進部長 松沢病院ではこれまでも、退院促進の一環としまして、退院前の家族等への訪問指導や退院後の訪問看護、院内の多職種による事例検討会を行うなど、長期入院患者の円滑な地域移行支援を行ってきました。
 平成二十六年度には、従来からの退院支援に加えまして、精神科のソーシャルワーカーや退院調整看護師による退院促進チームを立ち上げ、各病棟での退院支援カンファレンスで助言を行うなどの支援を開始しまして、院内全体の退院促進機能の一層の強化を図りました。
 こうした取り組みをより効果的なものとするため、個々の患者の地域移行に向けまして、精神科のソーシャルワーカー等を中心に、地域医療機関や行政機関、社会復帰施設との連絡会を開催するなど、関係の構築に努めてきました。
 また、世田谷区を初め近隣区市の保健所や訪問看護ステーション等と年一回、松沢地域連携ネットワーク会を開催し、事例によるグループワークや情報共有を行っております。
 さらに、家族問題や、財産管理、相続問題などさまざまな社会的背景を抱え、入院が長期化している患者に対しまして、弁護士から専門的なアドバイスを受け、法的問題を速やかに整理、解決することで円滑な転退院につなげております。
 今後も、退院支援を必要とする患者を早期に発見し、入院前から早期に介入するなど、長期入院患者の円滑な地域移行に向けた取り組みを推進してまいります。

○伊藤(し)委員 円滑な地域生活への移行に向けての取り組みについても確認をいたしました。残念ながら、昨晩、入院患者が所在不明となる事案が発生しましたので、先ほど、まつば委員からもお話がありましたが、今回の件、しっかり対応するとともに、今後、再発防止については万全を期していただきたいと思います。
 都立松沢病院は、民間の精神科医療機関のバックアップとして非常に頑張っております。重度合併症、重度精神、二十四時間三百六十五日の救急対応など、さまざまな負担があるかと思いますが、引き続き、課せられた役割は大きいと思っておりますので、しっかり対応をお願いします。
 次に、災害医療についてお尋ねします。
 我が国は四季のすばらしい自然に恵まれている一方で、毎年多くの自然災害が発生します。ことしに限っても、冬場の大雪、六月の大阪地震や西日本の集中豪雨、また九月の北海道地震などさまざまな自然災害がありました。被災地の皆様には改めてお見舞いを申し上げます。
 さて、災害時の医療については、福祉保健局のホームページを見ると、首都直下地震等による東京の被害想定では、人的被害は死者九千六百四十一人、負傷者十四万七千六百十一人となっていました。
 東京には一千三百万を超える都民が暮らしておりますが、いつ起こるかわからない大地震などのときには、仕事や観光、その他さまざまな理由で、そのときに東京にいる方はさらに多いと思います。よって、災害時における医療救護活動は、都民の生命と身体を守るかなめとなる重要なものであります。
 それでは、災害時の医療体制はあらかじめ役割分担が決められているそうですが、都内全体で二カ所ある基幹災害拠点病院の一つとしての都立広尾病院の役割について、まず伺います。

○児玉経営企画部長 広尾病院は、都心部唯一の基幹災害拠点病院として、東京都の災害医療に関して中心的な役割を担っています。
 具体的には、平時において、広尾病院が持つノウハウを生かして、都内全域の災害拠点病院に対する訓練、研修等に取り組むなど、都内の災害医療の水準向上に貢献しております。
 また、発災時には、重症者を受け入れることに加え、震度六弱以上の地震が発生した場合には、区西南部保健医療圏の医療対策拠点が設置され、配置された地域災害医療コーディネーターが圏域内の医療救護活動の統括、調整を行う役割を努めることとされております。

○伊藤(し)委員 広尾病院は、都心部唯一の基幹災害拠点病院として、平時も災害時も東京都の災害医療に関して中心的な役割を果たしているとのことでした。
 さて、先週の日曜日に私の地元でも、年に一回行われる市主催の総合防災訓練が実施されました。その中では、医療関係者などによりまして、災害拠点病院近接地での緊急医療救護所を設置した連携によるトリアージ訓練も行われておりました。
 こうした平常時の訓練などは当然でありますが、都内の災害医療の水準向上に貢献するためには、広尾病院が基幹災害拠点病院としての機能をさらに強化することが必要です。
 それでは、広尾病院における災害医療の水準向上についての具体的な取り組みも伺います。

○児玉経営企画部長 都立病院新改革実行プラン二〇一八では、広尾病院は、災害医療研修の充実や地域の災害拠点連携病院との連携強化、地域住民への災害医療に関する普及啓発などを行うこととしております。
 今年度は、研修、訓練の企画等を行っている減災対策支援室を中心に、都立病院の職員のみならず、災害拠点病院等の他の医療機関の職員向けの研修について、さらなる充実を図っているところでございます。
 また、本年九月に、事前に被害想定等を明かさないブラインド方式で総合防災訓練を実施し、その際には、災害拠点病院や区市町村の災害担当者など百二名が広尾病院を視察に訪れました。このときの訓練の様子は、東京動画において広く災害対策関係者や都民に対して公開をしております。
 このほか、来年二月には、災害医療に関する地域住民向けの都民公開講座を実施する予定でございます。
 さらに、大地震等の発災時に、基幹災害拠点病院としてふさわしい医療を提供できるよう広尾病院の再整備を進める中で、施設面においても抜本的な強化を図ってまいります。

○伊藤(し)委員 災害医療の水準向上についてのさまざまな取り組みを行っているとのことでありました。
 さて、首都東京でも大規模な災害が発生するリスクは年々高まっているともいえます。こうした状況を踏まえますと、他の各都立病院でも、地震や水害などの大規模災害がすぐにでも発生することを想定して、被災地における病院の被害状況も踏まえながら、現状の備えや取り組みが十分かどうかを確認する必要があると考えます。
 昨今の大規模災害を踏まえた都立病院における災害対策の確認状況を伺います。

○児玉経営企画部長 病院経営本部では、昨今の大規模災害の教訓を踏まえ、都立病院における災害対策に万全を期すため、各病院において、七月から九月まで緊急総点検を実施いたしました。各病院の施設や設備、ライフラインのほか、備蓄品の状況などについても改めて広く点検を行い、備蓄品等について使用用途に応じた配置の工夫を図るなどの取り組みを実施しました。
 また、墨東病院は、大雨などに伴う浸水が予想される区域に含まれており、非常用発電設備等の一部が地下にあることから、現状の対策に加え、さらなる浸水対策の技術的検討に着手しております。
 今後も、不断の点検と見直しを行い、病院事業における災害対策を万全なものとしてまいります。

○伊藤(し)委員 どのような災害がいつ起きるか、これはもうわかりませんので、災害医療水準の向上には、日々、点検と改良を重ねていただきたいと思います。
 続きまして、医療人材の確保と育成に関して、東京看護アカデミーについて伺います。
 東京看護アカデミーは、看護職員の確保やがん医療など高度専門医療に対応するための育成などを背景として、看護職員全体の資質の向上を図るとともに、専門職としての能力を発揮できるよう研修体系をリニューアルし、平成二十二年に立ち上げました。
 都立病院には、約四千人の看護師が勤務していますが、心身を患った患者に一番近くで接する機会が多いのが看護職ですので、都民に良質な医療を提供するためには、看護師の研修や育成は大変重要であります。
 それでは、東京看護アカデミーにおける看護職員の育成にはどのような特色があるのか、また、立ち上げから八年が経過をいたしましたが、どのような実績があるのか伺います。

○児玉経営企画部長 東京看護アカデミーでは、新人からベテランまで、一人一人の習熟段階に応じてキャリア形成を組織的に支援する研修体系を構築し、看護職員の育成に取り組んでおります。
 具体的には、看護職員としての自立を目指す基礎コースに始まり、看護実践能力に磨きをかけるジェネラルコース、そして高度看護実践能力及び管理能力を高めるマスターコースを設け、看護職員一人一人が日々進化する医療技術に対応できるスキルを磨いているところでございます。
 こうした取り組みにより、専門職としての資質の向上が図られただけではなく、看護職員の確保や離職の防止にもつながったと考えております。
 また、専門分野における卓越した看護技術やコンサルテーション能力等を有する看護師を育成するために、日本看護協会等が実施する認定資格の取得に取り組んでおり、平成三十年十月末現在で、五分野、十五人の専門看護師や、二十分野、百三十三人の認定看護師が在籍しております。

○伊藤(し)委員 さて、今、ご答弁にありましたが、東京看護アカデミーは、あくまで都立病院の看護職員に対し、新人からベテランまで、一人一人の習熟段階に応じてキャリア形成を組織的に支援する研修体系となっております。
 一方で、先ほど述べたとおり、今後の都立病院の新たな役割として、医療人材を最大限に活用し、地域の医療機関などとのネットワークを一層強化することにより、実情に応じた地域医療の充実への貢献を掲げています。
 そうすると、アカデミーで育成した看護師を活用し、訪問看護ステーションなどの看護師の人材育成や技術面での協力を行うなどの取り組みが今後必要と考えますが、見解を伺います。

○児玉経営企画部長 訪問看護ステーションなど地域の医療機関との人材交流により、地域医療機関等の人材育成面で協力ができるほか、都立病院においても、看護師が在宅医療等の幅広い知見を踏まえた退院支援を実践することが可能となり、切れ目のない医療の提供につながるなど、地域医療の充実が図られるものと認識しております。
 そのため、十月から、広尾病院におきまして、訪問看護ステーションに一カ月程度職員を派遣する研修を試行的に開始いたしました。看護実務経験十年以上の職員を研修生として派遣し、病院で実施している看護技術や薬物療法など最新の知見を提供しているほか、認知症ケアに関する学習会を開催するなど、訪問看護ステーションの人材育成に貢献できる取り組みを行っております。
 また、研修生は、難病や認知症、終末期といったさまざまな方々を訪問しているほか、地域ケア会議や大学病院での退院調整会議に出席するなど、研修を通じて訪問看護業務や在宅医療のシステムに関する理解を深めております。
 今後は、広尾病院における試行の結果を検証した上で、他の都立病院への拡大も検討してまいります。

○伊藤(し)委員 東京看護アカデミーの実績や成果がさらに患者や都民に還元されることを要望し、私の質問を終わります。

○藤田委員 私からは、初めに、医師労働についてお聞きします。
 厚生労働省の医師の働き方改革に関する検討会がことし二月、医師の働き方改革の緊急的な取り組みとして、勤務負担の緩和策の導入を求めていました。
 その内容はさまざまありますが、まず、東京都においてこの間、医師の勤務負担の緩和のためにどのような取り組みがなされましたか。以前から実施しているものも含めて、医師の労働負担の緩和策として行っているものを教えてください。

○児玉経営企画部長 これまで都立病院では、医師事務作業補助者の拡大や薬剤師の病棟配置など、タスクシフトを進め、医師の負担軽減に取り組むとともに、育児短時間勤務の導入や院内保育室を運営するなど、子育て中の職員に対する支援を行ってきました。
 また、医師の労働時間短縮に向けた取り組みにつきましては、各病院の診療科の実情に応じて、一人の患者に対し複数の医師で担当するなど、勤務負担の軽減に努めております。
 さらに、宿直明けの勤務負担の緩和に対しましては、宿直の翌日には通常勤務を要さない一直二勤務体制も導入しております。
 医師の働き方改革につきましては、引き続き、国が検討している医師の働き方改革に関する検討会の動向を注視し、必要な対応を行ってまいります。

○藤田委員 検討会が求める勤務負担の緩和にあるタスクシフト、子育て支援、複数担当制、宿直明けの勤務緩和を行っているとのことでした。また、宿直明けの勤務負担緩和の方法として、都立病院では、一直二勤体制の導入を進めているということです。
 委員会資料7に、この一直二勤体制を導入している診療科の内訳があります。これを見ると、墨東病院や多摩総合医療センターでは、多くの診療科で一直二勤の導入が行われています。この二つの病院では、夜勤を伴う診療科の約半分で、夜勤明けの後の通常業務を免除できる体制が導入されているということになります。
 しかし、都立病院全体から見ると、導入している割合は約二割にとどまっています。一直二勤が導入されていないほかの八割の診療科については、夜勤を行う医師は、夜勤明けに引き続き通常業務を行っているという実態です。
 全国医師ユニオンの勤務医労働実態調査二〇一七でも、宿日直明けに通常勤務を行っている医師は八割でした。さらに、この調査で注目すべきは、宿日直明けの連続勤務について、通常より集中力や判断力が低下していると思う医師が八割にも上っているということです。また、電子カルテの文章の入力ミスなど、単純なミスも含む診療上のミスに関しては、約七割の医師が夜勤明けの連続勤務によって増加するということを指摘していました。
 夜勤明けの勤務負担の緩和は、医療安全の観点からも重要な対策です。都立病院の医師は、夜勤明けの後にどのような業務を行っていますか。現状よりも多くの診療科で夜勤明けに通常業務を行わなくてよい体制整備を求めますが、いかがですか。

○児玉経営企画部長 一直二勤務以外の勤務体制の診療科におきましては、通常の日勤と同様の業務を行っています。しかしながら、手術日を考慮して宿日直勤務を設定するなど、可能な範囲で負担緩和に努めているところでございます。
 今後も宿直明けの勤務負担の緩和のため、宿直の翌日には通常勤務を要さない一直二勤務体制の導入を進めてまいります。

○藤田委員 手術日を考慮して宿日直を設定、さらにこの体制の導入を促進していくということでした。また、一直二勤以外の診療科では、通常と同様の業務を行っているとのことですが、その通常業務とは、手術以外の業務であっても直接患者の診療を行うものがほとんどです。たとえ診察でなくても、レントゲンなどの画像診断や検査データの分析、カルテ記載など患者の治療や命にとって大変重要な業務が多く含まれています。
 医療現場では、とりわけ医師がかかわるものでは、どの場面でもミスは許されません。夜勤明けの判断力も集中力も低下した状態で業務を行わなくてよい体制の整備が必要ということです。これは、都立病院だけの対策にとどめず、国に対しても、医師の勤務負担の緩和策の一つとして提案していくことも必要です。
 また、長時間労働をなくす観点からすれば、一直二勤体制自体も、二十四時間にわたる長時間労働であるため、八時間労働と比べれば、負担軽減としてはかなり不十分な働き方であります。勤務負担の緩和策の一つとして挙げられている勤務間インターバルの導入の検討を行うよう、あわせて要望いたします。
 検討会が求めていた医師の勤務負担の緩和策では、医師の在院時間の的確な把握も含まれています。
 昨年、都立小児総合医療センターの医師などの夜間や休日の勤務について、労基署は宿日直と認めず、時間外労働及び深夜労働に対する割り増し賃金を支払っていないとし、不足額については二年分遡及して支払うよう是正勧告を行い、総額一億二千万円を支払っています。その後、小児総合医療センターでは、労基署との間で、宿日直勤務が認められず、現在も深夜労働と休日勤務については、二割五分以上の率で時間外労働手当を支給しています。そのため、医師によっては月の労働時間が百十時間以上となったことが、昨年の厚生委員会の質疑で明らかになりました。
 都立小児総合医療センターにおいて、一カ月に八十時間以上の時間外労働となる医師は何人いらっしゃいましたか、最高の月の人数で教えてください。また、小児総合医療センターの医師において、時間外労働の最高は何時間でしたか、月もあわせて教えてください。

○児玉経営企画部長 平成二十九年度において、一月当たりの超過勤務時間数が八十時間を超えた医師が最も多かった月は、平成二十九年七月、同九月、平成三十年二月であり、いずれも十一人となっております。
 また、平成二十九年度の時間外労働の最高時間は、労働基準監督署の指導に基づく超過勤務手当の換算時間で見ますと、給与計算期間ベースでございますが、平成三十年二月で百七十五時間でございます。内訳は、通常の超過勤務時間が三十時間、日直相当時間が七・七五時間、宿直相当時間は百三十七・二五時間でございました。この状態は労働基準法に違反することから、病院経営本部といたしましても是正を図ってまいります。また、宿日直を労働基準監督署に認めてもらえるよう、引き続き、相談、調整も行ってまいります。

○藤田委員 月の時間外労働が百七十五時間というのは、過労死ライン八十時間の二倍以上の時間であり、見過ごすわけにはいかないものです。しかし一方で、宿日直と認められず、時間外労働として計算したとき、過労死ラインを大幅に超える時間外労働になってしまうのが現在の医師労働の本当の実態であり、小児総合医療センターのみならず、病院勤務医の多くはこうした働き方になっているのが実態です。
 一方、小児総合医療センターのように、客観的データとして把握できていることは非常に重要なことであり、実態をつかむことで対策が見えてくるようにもなります。その際、長時間労働の是正と医師の勤務負担の緩和の観点から対策がとれることが必要であり、どの対策を行うにしても、医師の増員なしには長時間労働の是正は図ることはできません。この事態を受け、国に対して医師の養成数をふやすよう求めることを要望いたします。
 小児総合医療センターでは宿日直として認められませんでしたが、その原因は業務の内容です。都立病院の宿日直ではどのような業務を行っているのか把握をされていますか。宿日直と通常の時間外労働の申請はどのように行っているのか、また、医師から提出された超過勤務等命令簿が労働の実態を反映しているかどうか検証していますか。そして、時間外労働の把握のためにカードリーダーはどのように活用しているのでしょうか。

○児玉経営企画部長 宿日直時間帯の医師の業務につきましては、病院の定時巡回、少数の要注意患者の定時検脈、検温などの特殊な措置を必要としない軽度または短時間の業務を宿日直の業務としております。
 なお、入院患者の急変対応や救急患者が搬送された場合の対応につきましては、超過勤務手当を支給しております。
 医師の深夜や休日の労働につきましては、宿日直勤務を行っている場合や緊急登院などにおいて、入院患者の急変や救急患者への対応が必要な場合に、診療後業務を行った時間に対して超過勤務手当を支給しております。その際の超過勤務手当につきましては、カードリーダーを用いた退庁時の記録ではなく、超過勤務等命令簿により対応時間を把握しております。
 超過勤務手当と労働の実態の検証につきましては、当直日誌を確認した上で超過勤務手当を支給しているところでございます。

○藤田委員 現在、お話の宿日直の内容ですけれども、実際に認められているのであれば、多くの都立病院ではこれが宿日直業務としてできるのですが、実際は小児総合医療センターのように是正勧告をされ、宿日直としては認められないというのが実態です。一般的に医師の宿日直としての労働基準法が定める業務についてのご答弁でしたので、都立病院ごとにどのような業務を行っているのか把握するよう求めます。
 全国医師ユニオンの調査では、タイムカードによる管理は二七・五%にすぎず、勤務医に対する適切な労務管理が行われていない実態もわかりました。この実態と比べると、都立病院においてカードリーダーの操作を導入したことは大変意義あることであり、評価すべき点です。
 しかし、超過勤務の事後点検の際、カードリーダーは用いておらず、超過勤務等命令簿のみであるのは、実際に正確に検証するには不十分であると思われます。求められるのは、適切な管理のためにも、カードリーダーを有効に活用することです。
 超過勤務手当と労働の実態検証は当直日誌を確認ということでしたが、これも実際は当直日誌のみで超過勤務手当の支給はできないため、当直日誌とあわせて超過勤務等命令簿への記載も行わなければなりません。
 しかし、夕方や救急救命など、患者搬送が重なったり重症患者の対応が続いたりしていると、記載自体も医師自身がおっくうになってしまうということもあり、時間外労働の申請を行わないという医師も少なくありません。当直日誌の確認というだけでなく、より実態が反映できる仕組みの構築がなされるよう要望いたします。
 厚生労働省が実施した医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査では、診療時間、診療外時間、待機時間を勤務時間と定義し、どの時間がどのような率で発生しているのかが明らかにされました。これを参考に、都立病院の医師においても、勤務実態や働き方の意向などを把握するための調査を行うよう求めます。
 次に、都立病院の医師の休暇取得状況についてお聞きします。
 全国医師ユニオンが二〇一七年に行った勤務医労働実態調査では、一カ月の休みがゼロ日だった医師は約一割に上り、大きな問題だと報告しています。
 都立病院の常勤医師では、一カ月の休みがゼロ日だったことはありますか。また、年間の有給取得が一日や二日など極端に少ない医師は何人いますか。病院ごとに教えてください。

○児玉経営企画部長 都立病院では、四週につき六日から八日の週休日を設定しております。患者の急変などの理由で週休日や休日に勤務を行った場合は、超過勤務等命令簿により対応時間を申告することなどで確認を行っております。
 一つの都立病院の状況ではございますが、平成三十年二月の状況を見ますと、週休日を含め一日も休日のない職員は認められませんでした。一方、年次有給休暇の取得につきましては、同じく平成三十年二月の実績で、全く取得できてない職員が一定数おり、こうしたことから、引き続き負担軽減に取り組むとともに、有給休暇の取得を促進してまいります。

○藤田委員 有給休暇の取得状況の把握は、職種などの状況もあって、医師だけが単独でリアルタイムで把握できるのが難しいという実態もあるようです。調査の限界でもありますが、一カ月だけ見ても、有給取得ができていない医師が一定数存在しているということでした。聞き取りの際、医師だけで有給取得などを把握しているのではなく、診療科ごとに把握しているという実態があるようです。医師の勤務負担緩和のためにも、正確な勤務実態が把握できる労働管理を行うよう求めます。
 厚生労働省の働き方改革検討会の医師の労働時間の短縮に向けた緊急的な取り組みでは、労働時間管理の適正化も求めています。医師一人一人について、時間外労働や休日取得状況を毎月確認できる状況になっているでしょうか。都立病院では、医師の労働時間の管理をどのように行っていこうと考えているのですか。

○児玉経営企画部長 各職員の超過勤務につきましては、超過勤務等命令簿により管理を行っております。また、年休取得につきましては、申請の都度、休暇職免等処理簿により管理を行っております。
 医師の労働時間管理につきましては、厚生労働省が設置している医師の働き方改革に関する検討会の動向を見ながら、検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、お話のあったカードリーダーにつきましても、退庁時の記録が必ずしも業務を終了した時間ではないため、現在、勤務時間管理には使用しておりません。今後、職員の長時間労働防止に向けて活用していくことについては、現在検討を行っているところでございます。

○藤田委員 ぜひともカードリーダーの活用が医師の労働の実態が反映できるよう求めます。
 国の動向を見ながらといいますが、高齢者の増加と医療の進歩、どちらをとっても将来的に医師に求められるものはふえる傾向にあります。現状でも、医師は、二十四時間以上病院で勤務することが当たり前の異常な状況になっています。
 厚生労働省のまとめた二〇一八年過労死等防止対策白書によると、月に八十時間を超える時間外労働を行っている医師がいると答えた病院は二〇・四%、百時間を超える医師がいると答えた病院は一二・三%に上りました。
 現在さまざまな対策がとられる中、実際には医師しかできない業務が大半であり、長時間労働の解消には至っておらず、過労死や過労自殺も解消されてはいません。医療の中心を担う医師が医療現場や在宅医療を支え、患者や地域の実態に懸命に応えようとするために、みずからの心と体を壊し、過労死や過労自殺が後を絶たない状況につながっています。そこで、せめて勤務負担の軽減をしようというのが、医師の働き方改革に関する検討会が緊急提言した勤務負担の緩和策の導入であると思います。
 都立病院の医師の命と健康を守るのは、東京都の責任です。医師数をふやすための国への提言も含めて、医師労働の負担軽減のために積極的に対策を講じることを求めまして、次に、看護師の労働管理について質問を行います。
 ことし三月の厚生委員会において、時間外労働に対する賃金の未払いについて、労基署から、神経病院と大塚病院で是正勧告を受けたと答弁がありました。そのことについて質問いたします。
 大塚病院での時間外労働の未払いは、何年の何月から何月について労基署から指摘を受け、どのように調査を行い、いつ未払い賃金を支払いましたか。その時間外労働時間は、職種別に一人当たり平均何時間でしたか。

○児玉経営企画部長 労働基準監督署からは、平成二十九年四月から九月までの六カ月間について、超過勤務等命令簿の記録と電子カルテ等の記録との相違について調査を行うよう指導を受けました。
 この指導を受けまして、病院では、超過勤務等命令簿の記録と電子カルテや出勤時の打刻の記録などの差について、職員に対して個別調査を実施しました。調査の結果、業務についていたことが判明した時間について、平成三十年四月に超過勤務手当を支給したところでございます。
 職種別の時間数は、職員一人に対する月当たりの平均時間数で、医師が七・〇時間、看護部の職員が八・九時間、コメディカルが〇・三時間、事務が二・〇時間でございます。

○藤田委員 事前の聞き取りでは、医師が二十七人、看護師が三百八十四人、コメディカルは八人、事務が九人で、ほとんどが看護師です。人数から見て、大塚病院の看護師ほぼ全員の時間外労働について是正勧告を受けたということだと思います。
 是正勧告の対象となる期間の超過勤務時間は一カ月ごとに何時間であったか、把握が可能な状況になっていますか。

○児玉経営企画部長 是正対象期間の超過勤務時間数は、給与計算期間でございますが、この期間ごとに把握可能な状態となっております。

○藤田委員 では、大塚病院の是正勧告を受けた時期とその前後の自己申告での時間外労働時間ではどの程度違いがありますか。平均の時間外労働時間をそれぞれ教えてください。

○児玉経営企画部長 まず、是正勧告前につきまして、約半年間でございますが、月当たりの平均超過勤務時間数は、職員一人当たりで三・五時間となっております。是正対象期間における月当たりの平均超過勤務時間数は、職員一人当たりで九・二時間となっております。平成二十九年度の是正対象期間以外における月当たり平均超過勤務時間数は、職員一人当たりで三・二時間となっております。
 平成二十九年度の是正対象期間以外の平均超過勤務時間数が減少しておりますのは、労働基準監督署の指導を受け、業務の見直しや看護補助者の拡充などにより職員の負担軽減を図り、超過勤務時間の削減に努めた結果と考えております。

○藤田委員 努力の結果、超過勤務の時間が減ったということですけれども、個別調査で超過勤務の時間を調べた是正期間とその前の期間についても大きな差があることは明らかに不自然です。年間の推移のデータもいただきましたが、大塚病院だけ年度の前半と後半の差が非常に大きくなっており、減り方も急で、本当に実態を反映しているのか疑問に思います。
 正確な労働時間の把握は超過勤務削減の大前提ですが、大塚病院ではどのような業務が時間外労働となっていたのか分析は行いましたか。是正勧告を受けた期間のみ時間外労働時間が明らかに多いのは、個別調査で正確に時間外労働が把握されたからであって、前後の時間外労働が比較して少ないのは、正確な申告ができていないからではないですか。

○児玉経営企画部長 病院では従来から、職員の超過勤務に関しましては、超過勤務等命令簿により、管理職による事前命令、事後確認の徹底に取り組んできましたが、今回、労働基準監督署から指導及び是正勧告を受けたことは重く受けとめており、真摯に対応してきたところでございます。
 労働基準監督署の指導や是正勧告を受けた後は、適切な超過勤務命令のさらなる徹底とともに、業務分析や改善を行い、看護補助者を拡充するなど職員の負担軽減にも取り組み、超過勤務の縮減に努めているところでございます。
 職員の超過勤務につきましては、引き続き、適切な労務管理に努めてまいります。

○藤田委員 正確な申告ができているかどうかについてはご答弁がありませんでしたが、正確にできているともいい切れないのが実態なのではないでしょうか。勧告を受けた大塚病院のみならず、全ての都立病院において、今回の指導、是正勧告を受けとめた真摯な対応を求めるものです。
 大塚病院の是正勧告を受けた期間の一カ月の最高の時間外労働時間は何時間でしたか。

○児玉経営企画部長 平成二十九年四月から九月までの看護部の職員の超過勤務時間数の最高は、八十八時間となっております。

○藤田委員 過労死ラインの八十時間を超えているわけです。正確な勤務時間が把握されていなければ、このような長時間労働をなくすことは困難ですし、こういったことを繰り返している職員の実態が把握できないまま存在するようでは、いつ過労死が起きるかわからない状況があるわけです。そのためにも客観的な情報による把握が必要です。
 ことし三月の厚生委員会において、超過勤務等命令簿と電子カルテ記録等の時間に相違があることや、労働時間の把握方法について労基署から指導を受けたと答弁しています。
 平成二十五年度以降、労基署から、超過勤務等命令簿と電子カルテ記録等の時間に相違があることや、労働時間の把握方法について指導を受けた病院はどこですか。指導を受けた時期はいつのことですか。

○児玉経営企画部長 平成二十六年度に神経病院、平成二十七年度に松沢病院、平成二十八年度に墨東病院、平成二十九年度に広尾病院、大塚病院、松沢病院、神経病院が指導を受けております。

○藤田委員 一年に一病院ずつ指導を受け、昨年はこれまで指導を受けた病院について改めて立ち入り調査を受けた結果、再指導を受けたというものだと思われます。
 指導を受けた際、現場ではどのような改善が行われましたか。また、そのとき行った労働管理方法は現在でも継続できる状態になっていますか。労基署の指導を受けていない病院においても実態を把握されていますか。

○児玉経営企画部長 職員の勤怠管理は、出勤時にはカードリーダーの操作により管理し、超過勤務につきましては超過勤務等命令簿により、管理職による事前命令、事後確認を徹底することにより行っており、指導を機にさらなる徹底を図っております。
 また、各病院の実情に応じて、日々の業務スケジュールの見直し、あるいは勤務時間設定の工夫といった取り組みにも現在取り組んでいるところでございます。

○藤田委員 しかし、繰り返し指導を受けているのは、管理職による事前命令、事後確認の徹底の方法が、求められている改善には至っていないからではないでしょうか。
 今年度から、カードリーダーの退勤時の操作が開始され、出退勤ともにカードリーダーの操作をするようになりました。時間外労働の把握は、これとあわせて超過勤務等命令簿の提出を行っていると思うのですが、労働管理はどのように行っているのですか。その際、カードリーダーはどのように活用しているのですか。

○児玉経営企画部長 超過勤務の状況の把握につきましては、繰り返しになりますが、超過勤務等命令簿により、管理職による事前命令、事後確認を徹底することにより行っております。職員の勤怠管理につきましては、出勤時にはカードリーダーの操作、休暇等は休暇職免等処理簿により管理しております。
 また、カードリーダーに関しましては、先ほどもご答弁いたしましたが、退庁時の記録が必ずしも業務を終了した時間ではないため、勤務時間の管理には使用しておりません。しかしながら、これも先ほどお話しいたしましたが、現在、既に職員の長時間労働防止に向けて活用していくことを検討しているところでございます。

○藤田委員 超過勤務等命令簿と電子カルテのログイン情報などとの乖離があるとして、職員に対して個別調査を行い、その結果、不払い残業の支払い命令が行われたわけです。
 今年度から、都立病院では労働管理を適切に把握する対策として、カードリーダーの退勤時の操作を始めたのだと認識しています。これまでの教訓を生かせるかどうかは今後の取り組みにかかっています。カードリーダーの操作時間と本人が申告する超過勤務等命令簿との間に乖離がないのかを定期的に確認し、乖離があれば本人に確認する、時間外労働について認識がまちまちなのであれば、昨年七月に、病院の管理監督者の皆さんへ配布した適切な労務管理の徹底のための留意事項についてにのっとり、どのような場合が超過勤務として扱われるのかを職員全員に周知させる取り組みを確実に実施するなど、具体的に改善を図るよう要望いたします。
 札幌市の病院で働いていた二十三歳の新人看護師がみずから命を絶った事件では、自宅に持ち帰った業務についても残業と認め、長時間労働による過労死として労災認定がされました。この看護師は、タイムカード上の時間外労働が八十五時間などであったのに対し、さらに持ち帰って作成した研修レポートが深夜に及んでいた記録もあり、自宅での作業を労働と認めたことによるものであったと報道しています。
 職場での労働実態を適切に把握することと同時に、持ち帰らなくても終えることのできる業務や任務にするための対策も必要です。医師と同様、院内研修などの自己研さんの時間、新人指導や委員会活動など、どこまでが業務であると一人一人が判断できる、申請できるようになるまでには、繰り返しの指導が必要です。職場ごとに判断がまちまちでは、職員が困ります。どこの職場に配属されても、都立病院であれば、統一した正しい労働時間の管理がなされるべきだと思います。そのためには、改めて、昨年七月に都が院長名で配布した適切な労務管理の徹底のための留意事項についてを職員全員に配布すると同時に、院内でも研修などを通じて、管理監督者と職員が理解できるような取り組みを行うことを要望いたします。
 次に、看護師の夜勤についてです。
 都立病院だけでなく、この間、多くの病院で夜勤形態を三交代勤務から二交代勤務へと変更していました。全国的にも二交代勤務は増加しましたが、近年では、長時間労働の是正に関する動きから三交代勤務に戻す病院も出てきています。
 三交代勤務では、例えば十六時から零時までの八時間の準夜勤務だと、遅く寝る程度のために体内時計が大幅に狂うことはありませんが、二十三時三十分から翌朝九時までの深夜勤務では、睡眠時間の変更が大きくされ、生活への影響も大きくなります。そのため、二交代勤務は、生活面へも健康面へも、より多くの負担が生じます。育児や介護をしていたり、そもそも日中に睡眠をとることが難しい体質の方は、深夜勤務前後の仮眠が十分にとれないまま夜勤を行っているという実態があります。
 夜勤があっても人間らしい生活ができるように、夜勤回数の制限を行うようになったのはそのためです。重大な医療事故が起きる確率が高いのも深夜帯であり、集中力の問題でも、安全性の観点から、夜勤はできるだけ短く少なくする取り組みが行われています。
 現在、都立病院の二交代勤務での夜勤は、何時間労働になっていますか。また、都立病院では、二交代、三交代について、それぞれ夜勤回数の目安はありますか。

○児玉経営企画部長 都立病院の二交代制勤務における夜勤は、十五時間三十分勤務となっております。各職員の夜勤回数は、これはあくまでも目安でございますが、四週の期間において、二交代制勤務については四回、三交代制勤務については八回としております。

○藤田委員 夜勤回数の目安は一定あるようですが、事前にいただいた資料に二交代と三交代勤務での一カ月の夜勤回数というのがあります。これによると、三交代勤務の職場で働いている看護師千七百六十五人中九百九十四人、五六%が九回以上の夜勤を行っています。一方で、病院ごとの平均夜勤回数は七回から八回、多くて八・三八回です。
 墨東病院での昨年十月における三交代での夜勤回数は、それぞれ何人の看護師が九回以上の夜勤を行っていましたか。九回、十回、十一回、十二回、十三回、それぞれ何人だったか、お答えください。

○児玉経営企画部長 三交代での夜勤回数でございますが、九回が九十八人、十回が九十四人、十一回が三十八人、十二回が二十四人、十三回が四人となっております。

○藤田委員 これだけ多くの看護師が目安以上の夜勤を行い、中には月に十三回も夜勤をしているにもかかわらず、やはり墨東病院全体の平均で見てみると、夜勤回数は七・五六回になっています。これを、二交代勤務で見てみると、目安以上となる五回の夜勤を行っている看護師は、都立病院全体では六百六十九人、六回は七十五人、七回は五人、八回は三人、合わせて三四%が五回以上の夜勤を行っています。二交代の場合でも、やはり病院ごとの平均夜勤回数は三・四回から、多くて四・二七回となっていました。
 墨東病院での昨年十月における二交代での夜勤回数は、それぞれ何人の看護師が五回以上の夜勤を行っていましたか。五、六、七、八回、それぞれ何人だったか教えてください。

○児玉経営企画部長 二交代制勤務での夜勤回数でございますが、五回が六十五人、六回が十人、七回が一人、八回が三人となっております。

○藤田委員 墨東病院において、突出して夜勤の多い看護師が多い理由として、育児等の職員への夜勤免除が挙げられるのかもしれません。全体の看護職員数が変わらない中で、夜勤免除の人がふえれば、それ以外の人の回数が当然ふえます。もちろん、育児をしながら働き続けられる方がふえるのはよいことで、それと同時に、それ以外の看護師が負担軽減をしようとすれば、看護師の人数をふやすことが必要です。墨東病院の三交代での夜勤時間は約八時間ですから、九回以上の夜勤となると七十二時間以上となります。二交代では、都立病院では十五時間三十分の夜勤なので、一カ月に五回以上になると七十二時間を超える夜勤になります。
 この間、東京都は、看護師確保対策として、潜在看護師の再就業と定着に力を入れてきました。また、ライフワークバランスの観点からも、育児をしながら働ける環境の整備に努めた結果であるとも思われます。理由はそのようにあったかもしれませんが、夜勤回数や夜勤時間の増加は看過できません。夜勤ができる職員に負担がいかないよう、対策を進めるべきです。育児支援のためにも、同時に、夜勤ができる看護師の増員を行うよう要望いたします。
 日本看護協会が二〇一六年に行った調査では、全国の病院で夜勤を含めた交代制勤務をしている看護職員のうち、夜勤抑制の基準となっている七十二時間を超える夜勤をしている人が三四・八%に上るとわかり、また、夜勤時間の長い看護職員が多いほど離職率が高い傾向も示されています。
 看護師一人当たり一カ月の夜勤時間が七十二時間を超えるということについて、東京都はどう考えますか。

○児玉経営企画部長 診療報酬における病院の入院基本料の施設基準では、同一の入院基本料を算定する病棟全体の一カ月または四週間の平均夜勤時間数が七十二時間を超えると減算されることとなります。
 都といたしましては、職員の健康管理の観点から、各職員の夜勤時間数が著しく長くならないよう留意しておりますが、やはり育児や年齢などの事情のある職員に対して夜勤免除、あるいは夜勤回数を少なくするという配慮を行うことは必要であると考えております。こうしたことから、一部の職員におきましては七十二時間を超える夜勤を設定せざるを得ない状況にあると考えております。
 こうした状況に対しまして、これまで適切な配置管理や夜勤専従の非常勤職員の任用、看護補助者の配置などに取り組み、職員の負担軽減に努めてまいりました。
 今後も、これらの取り組みを促進し、職員の健康管理と夜勤の負担軽減に努めてまいります。
 また、先ほど少しお話があった人員配置につきましては、やはり夜勤時間数、夜勤回数だけではなく、日勤も含めた全体での業務量を勘案して設定をしているところでございます。

○藤田委員 日本看護協会のニュースでも、病院勤務者の約二割が夜勤の免除を実施していることがわかったと述べています。協会は、育児両立支援充実と子育て中職員の増加を指摘し、中堅層の就業がふえた反面で、夜勤の減免対象者もふえたと指摘しています。
 アメリカの看護師研究調査の結果では、夜勤を行う看護師と行わない看護師では、心筋梗塞などの冠動脈のイベントが一・二倍発生しやすいということがわかっています。また、ILO、国際労働機関夜勤条例勧告では、夜勤を行う労働者は、労働時間そのものを、日勤だけの労働者よりも短くするよう求めています。先ほどのご答弁で、日勤の配置も人員の定員をつくる上で考慮しているということでしたけれども、全体の勤務の改善のためには、夜勤者の労働時間を短くするためにより多くの人数が必要になるということもいえると思います。
 また、このような研究や条例に照らして、日本医労連では、夜勤労働者は週労働を三十二時間にすることや、日勤、準夜、深夜のように勤務時間を後ろの方にずらしていく正循環を推奨したり、夜勤の規制を求めています。
 日本看護協会の安全、健康、生活を念頭に置いた看護師の一カ月七十二時間夜勤の規制に関する研究によれば、安全面から見ると、七十二時間を超えた場合に、休日の眠気が多くなることがわかりました。健康指標で見た場合、起床時、就寝時の情緒ストレス、起床時の身体疲労が高くなりました。生活については、自宅外娯楽での複数人で行うもの、しかも、休日にできる娯楽の時間が七十二時間超えの人たちの方が少なかったということが明らかになりました。
 心身ともに健康で、かつ安全に過ごせるためにも、一人一人が一カ月に七十二時間以内の夜勤にとどめる必要があることがわかります。妥当な夜勤回数とする位置づけだけでは実行力がないことは、都立病院の実態を見ても明らかです。このまま夜勤回数の増加を放っておけば、精神疾患や循環器疾患などの発症の増加にもつながります。夜勤時間の上限は努力目標ではなく、違反したら法律違反としてペナルティーを科すくらいの位置づけにする必要があると思います。
 また、七対一入院基本料をクリアするだけでなく、七十二時間以内の夜勤となるよう看護師確保に努めることが労働者と患者を守ることにもつながります。
 厚生労働省が先日発表した二〇一八年過労死等防止対策白書では、過重労働の防止に向けて必要だと感じる取り組み、看護職員調査は、看護職員を増員することというのが八割近くと、トップになっていました。これは医師も同様です。看護師の人員についても、七対一をクリアするだけでなく、夜勤回数の上限規制が守られる体制になるよう増員することを要望いたします。
 また、現場の実態を反映した看護師需給推計とするよう、国に対して意見を上げることもあわせて要望いたしまして、最後に、九月十四日、知事記者会見の防災事業の緊急総点検の水害対策についてお話しいたします。
 集中豪雨により、一時間に五十ミリを超える雨による水害が発生しています。とりわけ、江戸川、足立、葛飾などの東部五区では、区内を流れる江戸川と荒川が集中豪雨で氾濫した場合、最大で人口の九割を超す住民の住む地域が床上浸水する被害を想定し、一割の地域では二階まで浸水すると想定しています。
 知事は会見で、災害拠点病院等や大規模地下設備の浸水対策の強化が必要として、災害拠点病院等の非常用電源設備の浸水対策の推進を述べました。質問は、先ほど伊藤しょうこう委員の質疑がありましたので、省略させていただきます。
 災害拠点病院は、命のとりでとなる病院です。現在の検討を早急に進めるよう要望いたしまして、私からの質疑を終わります。

○岡本委員 私からは、公益財団法人東京都保健医療公社が運営している東京都がん検診センターに関してお伺いします。
 府中市武蔵台に所在の東京都がん検診センターは、東京都のがん対策拠点施設として、一次検診、精密検診、がんドックなどの事業を行っています。
 昨年、平成二十九年十一月二十七日に多摩メディカル・キャンパス整備基本構想案が公表され、また、本年一月十一日に多摩メディカル・キャンパス整備基本構想が策定、公表されました。昨年十二月十二日の厚生委員会においても、報告事項として質疑が行われました。
 この基本構想において、東京都がん検診センターの事業のうち、市町村などへの補完事業である一次検診は、地域の状況を踏まえ、段階的に縮小しながら廃止し、精密検診部門を多摩総合医療センターに統合しますと書かれています。一次検診は段階的縮小、廃止との点について、私の選挙区の国分寺市の市医師会から私へ不安の声が届いています。
 まず、東京都がん検診センターが市町村から委託を受けて行っている住民を対象とした一次検診について、その種類と受託している市町村の数と検診人数について伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都がん検診センターが市町村から受託している住民を対象とした一次検診につきましては、施設及び検診車により、胃がん、大腸がん、子宮がん、乳がん、肺がんを対象に実施してございます。
 平成二十九年度には、多摩地域の十六の市と町から受託し、延べ約四万二千人の住民に対して検診を実施してございます。

○岡本委員 次に、一次検診の段階的縮小、廃止の具体的な時期について伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十年一月に策定いたしました多摩メディカル・キャンパス整備基本構想におきまして、東京都がん検診センターの事業のうち、市町村などへの補完事業である一次検診は、地域の状況を踏まえ、段階的に縮小、廃止し、精密検査機能に重点化を図り、多摩総合医療センターのがん医療を強化していくという方向性を示しました。
 基本構想策定に当たりましては、東京都がん検診センターが受託している十六の市や町、地区医師会に対しまして、多摩キャンパスにおけるがん医療の強化について説明を行っており、方向性につきまして一定の理解が得られているものと考えてございます。
 一次検診の縮小、廃止の時期についてでございますが、仮称でございますが、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画の策定に向けまして、現在、施設整備スケジュール等の検討を行っているところでございます。基本計画で示します施設整備スケジュールと整合をとりながら、関係機関に対してもお示しする予定でございます。

○岡本委員 多摩メディカル・キャンパス整備基本構想の記述にもあるように、縮小、廃止に当たっては、地域の状況を踏まえ、段階的にという内容に沿って、十分な配慮をしていただきたいと考えます。
 さて、国は、がん対策推進基本計画において、一次検診の受診率を五〇%以上にすること、一次検診で要検査とされた場合の精密検査の受診率を九〇%にすることを目標に掲げています。
 昨年十二月十二日の厚生委員会で、精密検査に関しては、区部よりも多摩部の方が受診率が高いことが指摘されています。しかしながら、福祉保健局が公表しているがん検診の統計データを見ますと、一次検診については、区部よりも多摩部の方が受診率が低い傾向にあり、胃がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんのいずれにおいても、区部より多摩部の方が低く、大腸がんのみ多摩部の方が少し高いものの、区部、多摩部ともに五つのがん、いずれも国の目標の五〇%には遠く及ばない結果が示されています。
 こうした観点からすれば、多摩部における一次検診の受診率を向上させていくことは、引き続き重要な課題と考えられます。
 国分寺市医師会によれば、多摩地区は二十三区と異なり、検診専門機関が少なく、特に国分寺市内は医療資源が乏しく、東京都がん検診センターでの一次検診の段階的縮小、廃止の影響は大きいとのことです。
 こうした懸念も聞かれるところではありますが、東京都の方針としては、一次検診を段階的縮小、廃止し、精密検査機能に重点化を図り、多摩総合医療センターのがん医療を強化していくということです。そうした方針へと転換していく理由及びその意義についてお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年十月に国が策定いたしました第三期のがん対策推進基本計画におきまして、がんの早期発見、早期治療のためには、精密検査が必要と判定された受診者が実際に精密検査を受診することが必要であるとし、新たに精密検査受診率九〇%という目標を設定しております。
 こうした動向や多摩地域におきますがん診療連携拠点病院等の医療資源の状況などを総合的に勘案し、多摩総合医療センターのがん医療の強化の一環といたしまして、精密検査機能の強化に加え、外来通院治療機能や放射線治療機能を強化することといたしました。
 具体的には、多摩総合医療センターにおきまして、高精度な画像検査機器を導入するとともに、内視鏡室を拡充し、より多くの患者に対します精度の高い内視鏡検査や検査時のポリープ切除を可能としてまいります。
 さらには、強度変調放射線治療、IMRT等の高精度放射線治療機器を導入し、高度で低侵襲な治療を行ってまいります。
 これらの機能を密に連携させ、多摩地域を中心とした受診者や患者のがんの早期発見と高度な治療の実現に努めてまいります。

○岡本委員 精密検査機能に重点化を図ることや、がん医療強化の重要性や意義について理解いたしました。国分寺市医師会としても、多摩総合医療センターのがん医療強化について理解し賛同するということです。
 もっとも、一次検診に関しては、マンモグラフィー検査の設備や読影の専門医を必要とする乳がん検診が都のがん検診センターで廃止されることには、やはり懸念や不安を有しています。一次検診の段階的縮小、廃止については、各市町村によって実情や対応方法は異なるものと思われます。廃止しても比較的支障がないところもあれば、地域特性によって不安を抱いている地域もあります。
 改めて、地域の状況を踏まえ、段階的に対応していただくこと、また、必要な場合には都から代替となり得る一次検診の医療機関に関する情報を提供するなどの対応をしていただくこと、また検診車の活用についても検討するなどして、がん検診受診率が低下することのないよう、丁寧な対応や配慮をしていただくよう要望いたします。この点について見解を伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都がん検診センターが受託してございます住民検診につきましては、関係する市や町、地区医師会と継続的に調整を行ってございます。
 引き続き、がん検診受診者に支障を来すことのないよう、各地域の状況などを十分に踏まえ、きめ細かな対応を行ってまいります。

○栗林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間の休憩をいたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十四分開議

○栗林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊藤(こ)委員 それでは、私からも、病院経営本部事務事業について質問をさせていただきます。
 都は、都立病院新改革実行プラン二〇一八において、都立病院が今後果たすべき役割として、行政的医療の安定的かつ継続的な提供と地域医療の充実への貢献を掲げております。
 私からは、まず、行政的医療の安定的かつ継続的な提供について質問をしたいと思います。
 都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を提供し、都における良質な医療サービスの確保を図ることを基本的役割としており、これは平成十三年に策定された都立病院改革マスタープランに位置づけられて以降、一貫して基本的な役割とされております。
 そこでまず、行政的医療とは何なのか、その定義と対象となる医療について、わかりやすく、具体的に答弁をいただきたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院新改革実行プラン二〇一八におきましては、都立病院の基本的役割とする行政的医療については、各医療課題の実情に応じ、三つに分類し、定義をしてございます。
 一点目といたしまして、法令等により対応が求められる医療でございます。
 具体的には、大規模災害の発災、新型インフルエンザやエボラ出血熱等におけます患者発生への備えとして、日ごろより、専門の医療スタッフ、専用の設備、医療資器材の整備が必要となる災害医療や感染症医療等でございます。
 二点目といたしまして、難病医療、精神科身体合併症医療など、多様なマンパワーの確保や特別な対応が必要で、採算確保が難しく、民間の取り組みが困難とされる医療や、周産期医療、難治性や合併症併発のがん医療、また救急医療など、都民ニーズが高く、高水準で専門性の高い総合診療基盤を活用して、他の医療機関を補完するために担う医療でございます。
 三点目といたしまして、医療の進歩などにより、新たに生じた医療課題に対し、一般医療機関での医療提供体制が確立するまでの間、先導的に取り組む必要がある医療でございまして、小児がん医療や、小児期から成人期への円滑な医療の橋渡しを行う移行期医療等を位置づけてございます。

○伊藤(こ)委員 行政的医療の定義と、そこに位置づけられた医療につきましてはわかりました。
 災害医療や感染症医療などは、いつ発生するかわからない事態に備えた体制を確保しておく必要があり、採算の確保が厳しい領域であると思います。まさに行政として都立病院が主体となって行うべき医療であると思います。
 しかしながら、がんは二人に一人が罹患し、三人に一人ががんで死亡するといわれており、今やがん医療は多くの民間病院でも実施をしているわけであります。
 そこで、がん医療において、都立病院と民間病院では、その医療提供にどのような違いがあるのか伺いたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 高齢化に伴い、複数の疾患を併発したがん患者は増加してございますが、こうした患者には、各診療科が連携して治療に取り組むことが必要であり、一般の医療機関では対応が困難とされてございます。
 このため、都立病院では、総合診療基盤を活用し、複数の疾患を持つがん患者に積極的に対応してございます。
 特にがんの専門病院でございます駒込病院では、こうした患者に加えまして、全国でも九施設で、都内に一カ所しかない造血幹細胞移植推進拠点病院といたしまして、白血病や悪性リンパ腫など、希少ながんに対する移植医療を提供するとともに、移植に携わる医療従事者の人材育成にも積極的に取り組んでございます。
 また、難治性がんといたしましては、例えば、進行すると根治が難しいがんであるとされます膵臓がんにおきまして、駒込病院は、都内でも国立がん研究センターや大学病院と並び、有数の診療実績がございます。
 これをがんステージ別に見ますと、大学病院等の都内二十九の拠点病院のステージ三及び四の患者割合が五〇%であるのに対しまして、駒込病院は五九%と、がんの進行度が高く、治療が難しい患者を多く受け入れてございます。

○伊藤(こ)委員 がん医療一つとっても、都立病院が民間病院では対応が困難な医療を提供しているということでありました。
 とりわけ高齢化に伴い、複数の疾患を併発したがん患者は増加しているのが実態であり、こうした患者には、各診療科が連携して治療に取り組むことが必要であり、一般の医療機関ではなかなか対応が難しいということでありました。
 こうした行政的医療を適切に提供する必要があるため、一般会計からの繰り入れが行われてきたわけでありまして、つまり、一般会計からの繰り入れは単なる赤字補填ではないという認識を私はしております。
 しかしながら、病院経営改革という観点から見れば、今後、この議論を深めていかなければならないと考えております。
 次に、地域医療の充実への貢献について伺います。
 都は、今回のプランにおいて、都立病院の新たな役割として、地域医療の充実への貢献を示しました。
 この地域医療に対し、都立病院がこれまで果たしてきた役割と成果、また現時点での課題について伺いたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院におきましては、患者の紹介、逆紹介の推進によります他の医療機関等との適切な役割分担のもと、相互に密接な連携を図り、行政的医療を確実に提供することで、地域にとっても必要な医療を提供する役割を果たしてまいりました。
 具体的には、地域医療機関との症例検討会など、顔の見える関係を構築した結果、紹介、逆紹介率は年々上昇してございます。
 都立総合病院の過去三カ年の実績を見ますと、紹介率は、平成二十七年度七七・〇%、二十八年度七八・二%、二十九年度八二・六%、また、返送、逆紹介率は、二十七年度四〇・二%、二十八年度四三・九%、二十九年度四五・九%でございまして、地域との連携が一層進んでございます。
 一方、平成二十八年七月に東京都地域医療構想が策定され、地域包括ケアシステムの構築に向けまして、病院完結型の医療から地域完結型の医療への転換期にございます。
 このことから、住みなれた地域で安心して在宅療養生活を送ることのできるよう、地域医療支援体制の整備や、地域医療を担う人材の育成などの課題があるというふうに認識をしてございます。

○伊藤(こ)委員 答弁にもありましたけれども、都民が住みなれた地域で安心して在宅療養生活を送ることができるよう、地域包括システムの中で、都立病院が果たす役割と具体的な取り組みを伺いたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域の医療提供のあり方が変革していく状況におきまして、都立病院には、公立病院として地域医療構想の実現に貢献する役割も期待されてございます。
 このため、都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、基本的役割であります行政的医療の提供に加え、地域医療の充実への貢献を都立病院の役割として新たに位置づけたところでございます。
 今後、地域包括ケアシステムの中で都立病院が新たな役割を果たしていくためには、地域の医療機関や訪問看護ステーションなどとの連携を一層強化することが重要であるというふうに考えてございます。
 そのための具体的な取り組みといたしまして、都立病院がこれまで培ってきた高水準な総合診療基盤、高度な技術やノウハウ、専門性の高い医療人材、地域医療機関等とのネットワークなどを最大限活用することで、地域医療を支えるモデルとなる取り組みや地域貢献病床の運用、あるいは地域医療を担う医療人材の育成などを実施し、地域の実情に応じ、地域医療の充実に貢献してまいります。

○伊藤(こ)委員 次に、公立病院としての課題について伺いたいと思います。
 行政的医療の安定的かつ継続的な提供や地域医療を支える取り組みなど、都立病院には、東京の医療のセーフティーネットとしての役割を期待しているところであります。都立病院は、伝染病や精神疾患の対策に始まり、救急医療やがん医療など、時代の変化に応じて、都民が直面する医療課題に取り組んできたと思います。
 今後、高齢化の進展や医療の高度化など、医療を取り巻く環境が急速に変化する中でも、都立病院は、新たな医療ニーズに適切に対応していかなければなりません。その上で、病院運営に課題があるならば、柔軟に手法を変えていく必要もあるわけであります。
 本年一月、都立病院経営委員会からは、現在の経営形態ではさまざまな制度的な課題があると指摘をされております。
 そこでまず、都立病院が都民の医療ニーズに応える上で、どのような課題があるのか伺いたいと思います。

○末村計画調整担当部長 一例でございますが、高齢化に伴いまして、人工透析や糖尿病など慢性疾患を抱える患者が、がんや脳卒中などの急性期疾患を併発するいわゆる合併症の患者が増加をしていることから、複数の専門医や医療職が総合的に医療を提供する体制がこれまで以上に重要になっております。
 また、地域における医療需要の一層の増加が見込まれます中、病院完結型から地域完結型の医療への実現に向けまして、都立病院が保有する高度な技術やノウハウを活用した地域医療機関等との連携や人材交流が一層求められております。

○伊藤(こ)委員 高齢患者に多い合併症は、治療期間に時間がかかったり、多くの専門職の関与が必要になる分、採算の確保や一般の医療機関での対応が難しい面があります。ますます高齢化が加速する中で、こうした分野こそ、都立病院が積極的に都民、地域の求めに応えていかなくてはなりません。
 今後も求められる医療を提供するために、現在の都立病院にはどのような制度的な制約があるのか伺います。

○末村計画調整担当部長 医療環境の変化に迅速に対応し、都民の医療ニーズに的確に応えていくためには、医療サービスの新たな展開に必要となる人材や医療設備などの体制を機動的に整備していかなくてはならないと考えております。
 しかし、現状では、人員の配置や確保における定数等の制約、地域医療に貢献するための人材交流などを機動的に行う上での兼業の原則禁止など、人事制度面での制約がございます。
 また、予算執行や契約に際しまして、予算単年度主義など、財務制度面での制約がございます。

○伊藤(こ)委員 求められる医療をスピーディーに提供するためには、人事や財務の機動性も重要になると思います。また、こうした効率的、効果的な病院運営が持続的な医療提供につながっていくと考えます。
 これまでも都立病院は、さまざまな改革を行ってきたわけでありますが、こうした課題に対して、これまではどのように取り組んできたのか伺いたいと思います。

○末村計画調整担当部長 行政的医療の提供などの役割を支える安定的な経営基盤を構築するため、都立病院は、効率的、効果的な経営に、これまでも取り組んでまいりました。
 例えば、病院事務経験者のキャリア活用採用選考の実施や、一部職種の人事委員会採用から、より柔軟な局選考への移行、麻酔科医などの確保が困難な人材が地域医療機関を支援するための兼業の一部緩和、医療機器の保守契約に関して複数年契約を導入するなどの取り組みを行いました。

○伊藤(こ)委員 都はこれまで、さまざまな改善に取り組んできたということでありますけれども、経営委員会からの報告書には、現行の経営形態においては、いまだ課題があることが指摘をされております。
 改善の取り組みを行っているにもかかわらず、現在の病院運営において、人材の確保や運用の面ではどのような課題が残っているのか、具体的に伺いたいと思います。

○末村計画調整担当部長 地方公務員法では、採用選考は人事委員会の権限とされておりますため、全ての選考権限が局に委任されるわけではなく、病院の実情に応じた柔軟な人材確保に制限がございます。
 さらに、委任による選考におきましても、職員定数の管理等の制約があり、選考実施や配置に至るまでに一定の時間を要します。
 例えば、診療報酬改定におきまして、医療体制の充実を評価する制度が新設された場合には、改定後に、まず必要な人員の要求を行うこととなります。要求の翌年度に定数が措置をされまして、その後に、職員の募集、選考を経て、採用、配置することで必要な体制が確保されるということになりますので、体制の充実までには、一年半から二年程度かかるものでございます。
 また、地方公務員法によりまして、都立病院の職員は、民間の医療機関等での勤務が原則として禁止をされておりますことから、地域の医療機関等の求めに応じた診療支援などが困難でございまして、地域の医療機関等との連携や人材交流に課題が生じております。

○伊藤(こ)委員 人材確保や活用の面で、いまだにさまざまな課題があるということでありました。
 次に、現在の都立病院運営において、予算面、契約の面ではどのような課題が生じているのか伺いたいと思います。

○末村計画調整担当部長 地方自治法では予算単年度主義を原則としておりまして、契約につきましても、単年度で締結することを原則としております。
 その例外である複数年契約は、システム機器やファクスなどのリースなどを初めといたしました一定の契約に限定をされております。
 こうしたことも含めまして、現行の契約制度におきましては、病院の実情に応じた対応を行うことは困難でございます。

○伊藤(こ)委員 都はこれまで、さまざまな改善に取り組んできましたが、経営委員会からは、安定した経営基盤を確立し、今後も担うべき役割を持続的に果たしていくためには、こうした制度的な課題があると指摘をされております。
 今後、都立病院が行政的医療の安定的、継続的な提供や地域医療の充実への貢献という役割を果たしていくには、限られた医療資源や人材を最大限に有効に活用していかなければなりません。そして、柔軟かつ機動的な経営と公立病院としての責任を果たすことを両立していかなければなりません。
 経営委員会からの提言を踏まえ、また、議会ともしっかりと議論を深めていきながら、都として、都立病院のあり方について、都民のために今何が必要なのかという観点を根本に検討を進めていってほしいと要望いたしまして、質問を終わります。

○小宮委員 団塊の世代が全て七十五歳以上となるのが平成三十七年、二〇二五年でございますけれども、これに向けては、高齢化のさらなる進展で、医療や介護サービスの需要が増大していくということが見込まれております。そうした時代を支える東京のあるべき医療の姿というものを想定して、それから、もう二年たちましたけれども、平成二十八年七月に策定されたのが東京都地域医療構想です。
 この地域医療構想には、平成二十六年に、まず国で定めた医療法というものに基づきまして、病床の機能区分、高度急性期、急性期、それから回復期に慢性期と四機能ありますけれども、この病床の機能区分ごとの将来の病床数の必要量や地域医療構想の達成に向けた病床の機能分化と関係機関の連携の推進というものが求められています。
 また、本年三月には、東京都の医療施策の方向性というものを明らかにする総合計画となるものですけれども、東京都保健医療計画が策定をされまして、その中には、この地域医療構想が一体化をされて、都の医療計画に位置づけられたわけです。
 都としては、地域医療構想の実現というものに向けて、平成二十八年、策定の年の十月に、構想を検討する区域を二次保健医療圏として、十三の医療圏ごとに地域医療構想調整会議を設置しております。これまで、この会議は年二回のペース、現在五回ほど開かれたというふうに聞いております。
 この地域医療構想調整会議には、都立病院、また公社病院はどのようにかかわっているのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域医療構想調整会議は、構想区域ごとに、医師会や看護協会などの医療関係団体、保険者代表、区市町村の保健衛生部門に加えまして、区市町村ごとに高度急性期、急性期、回復期、慢性期を担う医療機関の代表者が参加し、地域医療構想の実現に向けた具体的な対応策について検討をしてございます。
 都立病院では、大塚病院、駒込病院、墨東病院、多摩総合医療センターの四病院が、公社病院では、東部地域病院、多摩南部地域病院、多摩北部医療センター、豊島病院の四病院が所在区市の高度急性期あるいは急性期の代表として、地域の医療提供体制の確保に向けた検討に参加をしてございます。
 また、専門領域といたしまして、松沢病院と公社の荏原病院が構想区域におきます精神領域の代表として参加し、入院中の精神疾患患者が円滑に地域移行できる地域支援体制整備に向けた検討に参加をしてございます。

○小宮委員 都立病院、公社病院が高度急性期あるいは急性期の代表として、また、専門性にとどまらず地域移行を推進するという立場から、この調整会議に都立病院、公社病院が参画をしていると、地域医療構想の実現に向けて具体的な対応策を検討しているということがわかりました。
 地域医療構想調整会議には、さまざまな主体の代表者が参加をしております。今、ご答弁にもありました医師会、看護協会、病院、保険者、区市町村の保健所など、そういった方々それぞれの立場ごとにいろいろな意見があることと思います。
 東京の将来を見据えた医療提供体制というものを構築するには、そうした方々の連携ですとか協力がやはり不可欠ですけれども、所管する多くの病院が地域医療構想調整会議に参加をしている中、病院経営本部として、地域医療構想の実現に向けた課題というものをどう捉えているのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域医療構想調整会議におきましては、構想区域ごとに医療供給量の現状を把握した上で、将来の医療需要推計や各医療機関の医療の姿を参考に課題を抽出し、現在、その課題を踏まえた解決策の検討を行ってございます。
 具体的には、地域医療構想が示します二〇二五年の機能別の病床必要量と公表されています病床機能報告との比較や、病床機能報告の経年の推移などの現状を分析した上で、地域包括ケアを支える病床を効率的、効果的に活用していくための方策や、機能分化に向けた情報共有や連携の強化などが課題としてまとめられてございます。
 病床機能報告が自己申告でありますことから、二〇二五年の病床必要量と単純に比較できるものではございませんが、高度急性期、急性期及び慢性期医療は、都全体で必要量を上回っているものの、回復期機能は、現在、一万三百五十一床と、二〇二五年の必要量であります三万四千六百二十八床に対し大幅に不足し、かつ全ての医療圏で必要量に達していないという現状を踏まえ、病院経営本部におきましては、地域の実情に応じた地域医療への支援が必要な状況であるというふうに認識をしてございます。

○小宮委員 単純に比較できるものではないけれども、東京都全体で、回復期の機能が大幅に不足しているということはいえると。現状では、高度急性期と急性期だけで、病床の全体の七割を占めているとされています。これを今後五割程度にして、その分、現状では、全体の病床数のうち、まだ一割程度しかないこの回復期病床というものを三割程度にふやしていかなければならないということが一つの目安として、数字として示されております。
 今後、救急から在宅へ、在宅でも急変時のときには、また救急で受け入れる。この循環をしっかりとつくり出すということによって、やはり幾つになっても住みなれた地域で安心して暮らし続けられる、そういう環境を整備していく必要があって、そのためには、やはり、この回復期の機能というものの考え方とか、あり方とか、認識、そういうものをしっかりと持って、この重要性というものを考えていかなければならないというふうに思います。
 過去の質疑で、平成二十八年度の病床機能報告の回復期病床は九千五百床というふうに伺いました。昨年度は、そこから八百床程度増加をした、国の診療報酬改定なんかも変わった、そういう関係もあるんでしょうけれども、まだまだ目標に対して、三割程度の達成率となっています。必要量に対して、区部では一万七千床足りない、多摩は七千床不足をしていると。
 都立病院は、新改革実行プランで、地域医療の充実への貢献を新たな役割として掲げておりまして、また、公社病院は、地域の医療機関との機能分化と連携を図るとともに、住民が必要とする医療サービスを提供することを役割としています。
 都立、公社病院というのは、公の病院として、地域医療構想の実現に貢献をしていただくという必要があると思います。
 今後、地域医療構想の課題というものも捉えながら、都立、公社病院が所在をする地域の実情に応じた、率先した取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 構想区域におきます将来の医療提供体制を構築し、地域医療構想を実現するためには、機能分化と連携を一層推進し、地域の実情に応じた取り組みを実施することが必要であるというふうに認識をしてございます。
 都立病院では、新改革実行プランにおきまして、周辺に高度急性期や急性期を担う医療機関が多く存在する地域に立地する病院を大都市機能連携型と類型し、広尾病院と大塚病院をこれに位置づけてございます。ここでは、急性期治療後の患者が地域に移行するための受け皿確保が必要な状況にございます。
 このため、例えば広尾病院では、今後になりますが、地域貢献病床を確保し、急性期を脱した患者が地域へ移行するに当たり、地域の状況に応じて一定期間患者を受け入れる取り組みを実施してまいります。
 また、公社病院では、地域包括ケア病棟の有効活用や、在宅療養後方支援病院として、円滑な受け入れ体制を整備することによりまして、在宅療養患者の急変時の積極的な受け入れを実施するなど、地域に必要とされる医療に積極的に取り組んでまいります。

○小宮委員 地域医療構想の実現に向けて、地域医療というのはまさに変革の過渡期にあると思います。こうした状況において、都立病院、また公社病院というのは、公立、公的な医療機関として、東京都の新たな医療政策、この課題解決に率先して貢献をしていただきたいと思いますし、それも行政的医療、行政的役割の一つであるというふうに思います。
 その立場からも、地域医療構想を実現するということで、将来にわたり持続可能な大都市東京の医療提供体制の構築に資するように、病院経営本部としても、ぜひ努めていただきたいというふうにお願いします。
 さて、本年一月の都立病院経営委員会では、こうした行政的医療を担う都立病院の役割を引き続き果たしていくためには、医療環境の変化に、迅速にかつ柔軟に対応できる経営形態の見直しというものが必要であり、先ほど伊藤委員からもお話がございましたけれども、地方独立行政法人への移行を検討すべきと提言をされております。
 都立病院というものが時代とともに変化をする東京都の医療政策に積極的に貢献するには、やはり委員会の提言にあるように、経営の迅速性や柔軟な判断、これが必要であるというふうに考えるところですが、民間医療機関とは違って、やはり行政的な目的を果たすという役割を担っている、また都民に支えられているという病院であるからには、いかなる経営形態であっても、都や都議会の関与やチェック機能、こういうものがなされるべきであると考えますが、見解を伺います。

○末村計画調整担当部長 地方独立行政法人法では、公営企業型地方独立行政法人が達成すべき住民サービスや業務改善等に関する中期目標につきまして、議会の議決を経て、知事が定めることとされております。
 また、法人は、中期目標を達成するため、住民サービス、収支計画、料金などを中期計画として策定し、議会の議決を経て、知事の認可を受ける必要がございます。
 さらに、法及び東京都の条例によりまして、各事業年度及び中期計画終了時に、法人の業務実績につきまして、評価委員会の意見を聞いて知事が評価を行い、議会に報告することとされております。
 このほか、都が行政的医療などの経費につきまして行う財源措置についても、毎年度、議会の予算審議の関与がございます。

○小宮委員 独立行政法人は、過日も福祉保健局の方で、健康長寿医療センターの事業評価ですとか目標について質疑がこの厚生委員会で行われたところですけれども、都や都議会が関与するさまざまな仕組みがあるということがわかります。
 この公立病院の経営形態は、平成十六年四月に施行されました地方独立行政法人法に始まっております。その後、平成二十九年三月末の時点ですけれども、都道府県、それから政令市の公立病院の二百三十五病院のうちの五十九病院ですから、約四分の一が地方独立行政法人化をされております。
 独法化によって好事例というものも出てきておりまして、例えば、幾つか申し上げますと、京都市立病院機構では、独法化によりまして、人材をふやす、人材確保のしやすさ、こういうものを生かして、麻酔科医を含む医師を大幅に増加させて手術件数を増加させたであるとか、あるいは、神奈川県立病院機構のがんセンターにおきましては、やはり独法化によりまして、迅速な経営判断ができるようになって、結果として、がん診療のリハビリテーションセンターというものを設置してリハ職を充実させたというような先駆け的な取り組みもできたという話がございます。
 それからもう一つ、山形県・酒田市病院機構でも、独法化によりまして、独自の人事制度をつくるという、この利点を生かしまして、正規の職員であっても柔軟な働き方が選べるようにして、まつば理事からもお話ありましたが、女性医師の働きやすい、そういう環境整備をしたという事例を伺っているところです。
 先ほど来、やはり勤務体制の環境整備の話というのが多々出てきております。医療を支えるのは、やはり人でありますから、こうした今の事例ありましたけれども、独法化によって、人をふやしやすくなる、迅速な経営判断ができる、働きやすい環境整備が可能となる、こういうことは独法化の好事例として挙げられるんだというふうに思います。
 こうした先立った事例、取り組みも踏まえながら、東京は東京の特性があります。地域事情でいえば、医療機関が集積をしているという事情もありますし、また、都立病院の特色、専門性や公益的役割を持つ、先ほど来、各委員から、都立病院のそういった特色もお話出ておりますけれども、そうした都立病院の特色というものにも即した検討を進めるべきと考えます。
 経営形態のあり方については、現在、病院経営本部内で検討が進められていると伺っておりますが、その検討状況について伺います。

○末村計画調整担当部長 都立病院がその役割を果たしていくための効果的、効率的な経営のあり方につきまして、病院運営の根幹をなす人材の確保や育成、柔軟かつ迅速な経営に資する予算、契約等の観点から、病院現場の課題の整理や分析を進めているところでございます。
 今後、病院現場の運営実態を踏まえ、地方独立行政法人や地方公営企業法の全部適用、指定管理者など、公立病院として想定される経営形態につきまして、メリットやデメリットの検証を行い、丁寧に検討を進めてまいります。

○小宮委員 病院の運営上の課題について、現場の運営実態などを丁寧に分析をしているということでした。
 都立病院の経営形態が独立行政法人になるとどう変わるのか、既にこれまでの議会の中でも、基本的な質疑がなされてきているところですけれども、そこで働く方々などの意見にも丁寧に耳を傾けながら、やはり将来にわたり都民全体にとってどういう経営形態が最もふさわしいのか、そういうことをしっかりとお示しいただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○白石委員 私から、都立病院の独立行政法人化問題について質問をいたします。
 都立病院はこれまで、小児医療、救急医療などの不採算部門や、がん治療などの高度な医療、医療過疎地である山間僻地、離島における地域医療を担うなど、民間の医療機関では採算性の確保が困難な医療であっても、行政的医療として位置づけ、都民が医療を安定的に受けられるように、公立病院としての役割を果たしてきました。民間の医療機関では果たし切れない公立病院としての役割を果たすことにより、都民からは、信頼感や、そして安心感が広がり、高い評価を受けています。
 ところが、先ほど来から出ていますが、都立病院経営委員会はことし一月に、都内八つの都立病院を独立行政法人化を検討するべきだと、このような報告書をまとめました。
 報告書には、都立直営、地方公営企業法一部適用の現在の病院運営には、制度面の制約による課題がある、一般地方独立行政法人が制度的に最も柔軟として、独立行政法人化を検討すべきと提言をまとめています。
 この提言を受けて、東京都は、今年度から、都立病院新改革実行プラン二〇一八の中で、地方独立行政法人を含む経営形態のあり方について検討を進めるとしております。
 この実行プランも、今の経営形態では制度的な課題があるということを前提に議論が展開されていますが、そもそも都立直営の経営形態では、ここで挙げられている課題は改善することができないのか、あるいは、課題とされていることは本当に課題なのか、私自身も非常に疑問です。
 これまでは、課題があるから、考えるべきだ、検討するべきだ、独立行政法人を考えるべきだなどの質問ありましたけれども、私の質問は、それとは真逆になります。
 改めて確認をしたいと思いますが、現在の病院運営にはどのような課題があると考えていますか。

○末村計画調整担当部長 都民の医療ニーズに的確に応えていくためには、必要となる人材や医療設備などの体制を機動的に整備していかなければならないと考えております。
 しかし、現状では、人員の配置や確保における定数等の制約、地域医療に貢献するための人材交流などを機動的に行う上での兼業の原則禁止など、人事制度面での課題がございます。
 また、予算執行や契約に際しまして、予算単年度主義など、財務制度面での課題がございます。

○白石委員 今の答弁を整理しますと、大きく三つに分類されると思います。一つ目が、職員定数と採用が柔軟に対応できないということです。二つ目に、公務員の兼業は原則禁止により、ほかの医療機関との連携など、人材交流に限界がある。そして、三つ目、予算、契約など、単年度主義に伴う制約が挙げられています。
 まず、職員定数と採用が柔軟に対応できないといわれている課題について伺いたいと思います。
 現在の都立直営の形態では、職員定数は東京都職員定数条例などにより決定されます。つまり、議会の審議と議決を受けて定数が決まります。そして、定数条例は、現状では年に一回、四月に施行する形で改正されています。これを緊急に人材確保をしたい場合、定数を超えて採用できないなど、制度面の制約があると、このようにしています。
 しかし、定数は毎年改正しているわけですから、基本的には計画的に対応すればよいわけです。そもそも、定数条例を年度途中で改正してはいけないという決まりはないわけです。今は定数条例の改正は年一回で行われております。
 そこで伺いますが、定められた定数を年度途中でふやさなければ病院運営に課題がある、このような事態とは、どういう事態を想定されているのか伺います。

○末村計画調整担当部長 都立病院の医療提供を支える職員の定数につきましては、東京都職員定数条例により定められ、毎年度の要求、調整を経て、改正条例の議決によりまして、次年度の定数が決定をされます。
 一方、病院運営におきまして、患者サービスの向上と経営改善を図る上で重要となる診療報酬改定案が公表されますのは、例年二月ごろでございます。
 そのため、同年四月の改定の実施に間に合うよう、医療提供体制の充実に必要な人員を確保することが困難になっております。

○白石委員 二年に一度の報酬改定の発表は例年二月ごろなので、四月に必要な人員を確保することが困難ということですが、それでは、これまで定数決定後に、診療報酬改定などにより定数をふやさないと病院運営に支障を来すおそれがあると、定数を管理する総務局に、年度途中で定数増の要請をしたことがあるのか、お答えいただきたいと思います。

○児玉経営企画部長 これまで年度途中に定数を要求したことはございません。
 病院経営本部におきましては、毎年度、関係局に対して、定数要求及び調整を行っております。その後、決定された定数の範囲内において人員確保に努め、病院運営を行っているところでございます。

○白石委員 今、ご答弁あったとおり、これまで年度途中に、診療報酬改定とか、そういうふうな状況で定数を上回らなければいけない、超えなければいけないというような事態になって、何か総務局に対して、すぐにでも緊急対応してほしいというような要請は行ったことがない、年度途中に総務局に要請しなければ病院運営に支障を来すような事態は、これまでありませんでしたということです。
 そもそも、皆さんは定数要求の時点で、診療報酬の内容が決まっていないとしても、病院を運営していく上でどれだけの職員が必要かということは、一定の根拠をもって判断をした上で定数を決めているというふうに思います。また、診療報酬は示されるのは二月だといっても、何の前ぶれもなく、突然示されるわけではありません。それまでに国でさまざまな議論がされるわけです。そうしたことも考慮しつつ、より合理的なやり方がないかについて、さまざまに検討する余地は十分にあるのではないでしょうか。
 また、都民の必要とする医療などを提供していくということと、診療報酬の加算などの取得に対応していくということは、いつでもイコールになるわけではありません。もちろん診療報酬は病院運営を行う上で重要であり、よく踏まえる必要がありますが、それだけを念頭に置いて病院運営をしているのかというと、そうではないと思います。
 民間の病院の運営にかかわっている方からも、私、お話も聞きました。病院の人事や職員採用を進める上で考えるべきことは、診療報酬改定に合わせて求められる職員を確保するという面もありますが、何より大事なことは、その病院や地域の特色に合わせた医療機能に応じて求められる体制を整えることだと。そのための医師や看護師をきちんと配置し、充実していくことが都民のニーズに応えることになりますし、診療報酬収入をふやすことにもつながると、このように思います。
 したがって、都立病院が役割を果たす上で必要な職員は、きちんと配置するという姿勢を持つということが大前提として重要なわけです。
 ところが、都立病院新改革実行プラン二〇一八を読んで大変違和感を感じました。給与比率、医業収益に対する給与費の比率の目標が設定されているということです。これも見た方はご存じだと思います。病院経営本部の皆さんは、医業収益をふやすことで目標を達成するんだとおっしゃるのかもしれませんが、このような目標を設定すれば、給与費の抑制、さらには職員の採用などを抑制する方向に働くと考えるのが自然です。
 必要に応じて職員を確保するというのであれば、このような目標は削除することが求められている、そうでないのに、迅速で柔軟な職員確保をしたいといっても説得力はないと、このように申し上げておきたい。
 次に、職員採用が柔軟にできないとされている課題について質問いたします。
 職員の欠員が発生した場合、人事委員会の採用試験は一年に一度しかないので、速やかに人材の確保は困難であると述べて、直営での課題として取り上げています。
 そこで、初めに伺いますが、都立病院における採用を行う医療職は何職種あるのか、そのうち病院経営本部には幾つの職種の職員採用の委任がされているのか、あわせて伺いたいと思います。

○児玉経営企画部長 都立病院で現在採用している福祉系及び医療技術系の職種は、十七職種でございます。
 そのうち十一職種は、人事委員会から病院経営本部に委任されております。
 なお、先ほど、私が答弁いたしましたのは、これまで年度途中で定数要求したことがあるかということに対するご答弁をさせていただきましたが、年度途中に定数がふやせないことによる実際の課題というものは、診療報酬上困った事例というのは、現実にはございます。

○白石委員 診療報酬で困ったことが、事例があると。先ほど、私もいいましたけれども、病院運営というのは、診療報酬だけを念頭に置いてやるものじゃない、そもそも、行政的医療というのは、不採算医療も含めて、しっかりと都民に医療を提供していくということが大事だと。
 先ほど藤田都議からも話ありました。今の労働環境どうなのか、今の東京の看護師や医師の働き方でも、再三にわたって勧告を受けている、今すぐにでも、しっかりと人材をふやしていかなければいけないと。毎年の定数をしっかりとそこで検討して、その重要な分をやっていくという姿勢もないにもかかわらず、課題だ、課題だといって、今の状況を、独法化へ進めようとする。このような今の議論というのは、非常に、私、許せない。
 今、答弁していただいたように、現在、六割以上の職種の採用が人事委員会から病院経営本部に委任をされております。直近で人事委員会から病院経営本部に委任された職種を調べると、昨年四月採用から、臨床検査技師の採用が病院経営本部に委任がされております。ここで重要なのは、職員採用の委任をどのような理由で、病院経営本部は人事委員会に要求してきたのかという点になります。
 そこで伺いますが、臨床検査技師の採用は人事委員会が所管をしていましたが、病院経営本部に採用の委任をしてほしいと要求をした理由を伺いたいと思います。

○児玉経営企画部長 委任を要請しました主な理由といたしましては、臨床検査技師は病院全体で少人数の職種であり、欠員が発生した場合に業務の実施に大きな影響を与える懸念がありました。
 これを局選考とした場合、年度途中でも追加で募集を行うことができ、早期の欠員解消を行うことができるということが挙げられます。
 また、要求した当時の臨床検査技師は、年度末現在、二十九歳から三十六歳となる職員がいなかったことで、今後の職員育成への影響などの懸念がありました。
 これにつきましても局選考とした場合、受験資格の年齢要件が緩和され、在籍していない年齢層の人材確保が可能になるといったことが、委任を要請した理由として挙げられます。

○白石委員 今、答弁していただいたように、病院経営本部が職員採用を人事委員会から委任されることによって、年度途中でも追加募集が可能となりますと、早期の欠員解消ができるというふうなご答弁でした。
 また、欲しい人材を適切に確保できるように年齢の緩和もできるようにしたというのが、この臨床検査技師の人事委員会から病院経営本部に委任をしてほしいという、その理由でもあったと。そして、それが実現をしたと。
 このことからも明らかなように、直営での経営形態では解決できない課題ではない上に、病院経営本部として柔軟に欠員を確保できるように、このように努力をされていると、ある意味、評価をしなければ、これはいけないと思います。
 一方、ことしの第一回定例会の際、我が党の和泉都議の質疑の際には病院経営本部への委任により選考をする場合も、一定の手続を要すると答弁で述べられていました。
 この一定の手続というのは具体的にどういうものなのか、お答えいただきたいと思います。

○児玉経営企画部長 関係局に対して行います選考実施前の募集人数の申請及び承認並びに選考実施後の合格内定者数の申請及び承認といった手続のことでございます。

○白石委員 今、ご答弁の関係局というのは総務局のことだと思いますが、要するに庁内での手続ということだというふうに思います。
 制度上、何かができないということではありません。都として庁内の手続を合理的に進めればよいということであります。それがはっきりとしたと。
 さまざまな制約があるというふうな話をされるわけですけれども、東京都が策定した都立病院新改革実行プラン二〇一八自体に、診療報酬改定など医療環境の変化に迅速に対応していくため、これまで以上に組織、定数管理や職員採用を柔軟に行える方法の研究、検討を進められると掲げられております。
 この検討状況は、どうなっているのか伺いたいと思います。

○児玉経営企画部長 病院経営を行うに当たりまして、各病院現場から見た現行制度についての課題について、病院幹部職員等との意見交換を実施しているところでございます。

○白石委員 このプランも別に独法化が前提としたものではありません。都立が直営の経営形態のもとで検討するというふうなことだと思います。
 都立直営のもとでも、より柔軟に行える方法を、研究と検討を進めるとしているのですから、制度的な制約があり、解決できないようないい方をするのは矛盾しているというふうにいわざるを得ません。
 また、繰り返しになりますけれども、何より必要なのは都民が必要とする医療を提供するための職員を、きちんと確保するという姿勢を明確にすることです。(「課題は」と呼ぶ者あり)
 次に、兼業の原則禁止について質問をいたします。これも課題です。
 公務員は原則兼業禁止されているとして、ほかの医療機関との人材交流に限界があることを取り上げて課題とされております。
 まず、改めて確認をいたしますが、法令などの定めではどのような場合に許可がされて、どのような場合に許可がされないのか説明をしていただきたいと思います。

○児玉経営企画部長 地方公務員法第三十八条第一項等により、職員は職務専念義務及び職務の公正を確保する等の観点から、任命権者の許可なく営利企業等から報酬を受けて、その事業に従事してはならないとされております。
 職員の兼業につきましては、兼業の許可権者がその必要性を認め、かつ職務の遂行に支障がないなどと判断したものについて認められております。
 一方、兼業を許可しない場合としましては、兼業のため時間を割くことによって、職務の遂行に支障を来すおそれがあると認められるときなどの場合がございます。

○白石委員 つまり公務員の兼業については職務に支障を来さないことを前提に、許可権者が兼業の必要性を認めた場合においては法令上、許可されるということを確認いたしました。
 では、兼業の許可権者は規定上、誰になっているのか伺います。

○児玉経営企画部長 兼業の許可権者は、職員の兼業許可等に関する事務取扱規程に定められております。
 具体的には、局長職にある職員の兼業の許可権者は知事、部長級職員の兼業の許可権者は局長、それ以外の職の場合、局の人事の事務をつかさどる部の長とされております。

○白石委員 つまり局長以外は病院経営本部の局内で、行政的医療の必要性などが認められるかを検討した上で、許可を出せるということです。
 続けて伺いますけれども、これまでに病院にかかわる職種で、兼業を認めた事例は一つもないのか確認をしたいと思います。兼業を認めた事例があるのであれば、具体的に示していただきたいと思います。

○児玉経営企画部長 職員の兼業につきましては、兼業の許可権者がその必要性を認め、かつ職務の遂行に支障がないなどと判断したものについて認められております。
 具体的な兼業の事例としては、後援会の講師、教育機関の非常勤講師、専門委員会の委員、行政的医療の必要性が認められる診療行為、地域の医療提供体制を補完し、かつ維持することを目的とする診療行為等がございます。

○白石委員 十分に検討した上で、行政的医療の必要性などが認められた場合においては、これまでも許可をしてきているということです。
 兼業を認める際に、局内でどのような協議がされたのか具体的に伺いたいと思います。また、許可した理由を具体的に説明していただきたいと思います。

○児玉経営企画部長 他病院での医師の診療行為につきましては、関係局と調整し、従事回数を緩和してきております。
 具体的には、平成十八年度、民間病院での診療行為について、都立病院の人材を都民への医療サービス充実のために活用するという目的から、行政的医療の必要性が認められる者等に限り、認めることといたしました。
 また、平成二十一年度からは、地域における産科医療の崩壊を防止するため、産科医への兼業従事制限を緩和いたしました。また、平成二十八年度からは、地域の医療提供体制を補完し、かつ維持するため、麻酔科医への兼業従事制限を緩和したところでございます。

○白石委員 今、ご答弁であったとおり、これまで行政的医療としても位置づけられる周産期医療を支える都立病院の産科医師の兼業をできるようにしたりとか、地域医療体制を維持するために麻酔科医についての制限を緩和したということです。
 これまでも許可権者が、病院経営本部の皆さんが十分に検討を重ねた上で、これをやってきているということが明らかになりました。
 これだけ病院経営本部の皆さんは、都民が必要な医療を受けられるように協議や検討を重ね、兼業の許可を必要に応じて出しているというご答弁でした。
 では伺いますが、病院経営本部として兼業を許可したいけれども、現在できないことは具体的に何なのか伺いたいと思います。

○末村計画調整担当部長 地方公務員法によりまして、都立病院の職員は民間の医療機関等での勤務が原則として禁止をされておりますため、麻酔科医等、一部の例外はございますけれども、地域の医療機関等との連携や人材交流を効果的に行うための診療支援などが困難でございます。

○白石委員 もう一度いいますね、私が聞いたのは、病院経営本部として兼業を許可したいけれども、現在できないことというのは具体的に何なのかというのを伺いたいと思います。

○末村計画調整担当部長 先ほどご答弁させていただきましたように、地域の医療機関等との連携や人材交流を効果的に行うための診療支援などが困難でございます。

○白石委員 明らかなように、できないとはいえないんです。困難だとしか強調できないんです。
 これまでの質問を聞いていただいたら、皆さんもおわかりだと思います。現在の経営形態でも、地域の医療機関との連携が行政的医療の確保にとって重要性があると認められれば、病院経営本部として許可することができるんです。
 だから平成十八年、民間病院での診療行為について許可をした、平成二十一年、地域における産科医の崩壊を防止するために産科医師の制限を緩和した、平成二十八年、地域の医療提供体制を補完し、維持するために麻酔科医の制限を緩和したと、このようなことをやってきていると。
 行政的医療で必要性を認めれば、皆さんがしっかりと十分に議論を重ねて、協議をした上で、これは必要なんだとなれば兼業はしっかりと、それは許可できるんだということが明らかになりました。
 兼業の問題は国会でも議論がされております。昨年の二月二十二日の衆議院予算委員会第五分科会の議事録を読みました。
 総務省の大西大臣官房審議官は、次のように話しています。
 地方公務員法上、職員は、任命権者の許可を受けた上で、報酬を得てほかの事業に従事することが可能であるとされております、平成二十六年時点で、医師が受けたほかの公立病院や民間医療機関の診療行為に係る兼業許可、こちらは全国で二千二百二十九件となっております、私ども総務省といたしましても、制度の適切な運用により地域医療の確保が図られるよう、地方公共団体に必要な助言などを行ってまいりたいと考えております。
 公務員としての職責を逸脱することは当然あってはなりませんが、そもそも職責から逸脱するようなことをするために経営形態を見直すということは本末転倒だと、あり得ないことだと改めていっておきます。
 だから何でも緩和しろといっているわけではありません。少なくとも、兼業が直営だから全くできないんだと、このようなことではないということです。そのために地域の医療機関との人材交流ができないかのような議論は全く当たらないと強調しておきます。
 そもそも都立病院が地域医療に貢献する方法は兼業、兼職だけではないと思います。
 兼業以外の地域の医療機関との人材交流を進める方法はどのようなものがあるのか伺います。

○児玉経営企画部長 地方自治法や公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律、これらの法律に基づきまして、地域の公的な医療機関等に限り、職員を派遣しております。
 なお、都立病院新改革実行プラン二〇一八では、地域医療機関の医師の育成を支援するため、地域医療機関へ指導医等の医師派遣を検討することとしております。

○白石委員 お話のような派遣という方法もありますし、都立病院新改革実行プラン二〇一八には、地域医療機関の医師との合同カンファレンスや研修会を実施する、専門研修などへ地域医療人材を受け入れる、地域の訪問看護ステーションなどへの看護師派遣、研修を実施などのことが書かれております。
 また、既に実施しているものもあります。例えば、都立松沢病院では地域の訪問看護ステーションの看護師と一緒に居宅訪問を行う取り組みが行われております。
 具体的には、病院の看護師が訪問看護ステーションの看護師と居宅に訪問し、体調管理や生活支援を共同で実施していることや、訪問看護ステーションの看護師に症状を踏まえたケアの方法など、技術支援も提供しています。非常に重要な取り組みだと思います。
 この取り組みについてですが、こうした活動によって松沢病院に診療報酬が入ることはあるのか伺いたいと思います。

○山口サービス推進部長 医療ニーズの高い患者が在宅療養に移行し、療養を継続できるようにするため、病院の看護師が在宅療養を担う訪問看護ステーションの看護師と同行し、指導を行った場合には、診療報酬が算定される仕組みになっております。
 なお、診療報酬が算定されるケースは、在宅での血液透析や酸素療法、経管栄養等が必要な患者に限定をされておりまして、松沢病院の退院患者が対象となることはまれなケースでございます。

○白石委員 診療報酬の対象となるのはまれだというお答えがありました。
 そのようなことでも、地域のためになるということなら取り組むというのは公立病院だからこそだと思います。
 そういう意味では、むしろ直営を堅持してこそ地域医療への貢献を進めることができると思います。
 そもそも石原都知事のときにつくられた都立病院マスタープラン、ごらんになった方もいらっしゃるかと思います。このマスタープランでは、地域医療を都立病院の役割としてきちんと位置づけていませんでした。制度的制約ではなく東京都の政策的な姿勢こそが問題だったのだと思います。
 我が党は、かねてより地域医療と高度専門医療の両方を位置づけて、都立病院の拡充を進めることを求めてきました。
 ですから、今回のプランで、地域医療の充実に貢献することを新たな役割として加えましたとされていることは、大変重要だと思います。
 これまで議論してきたように、人材交流についても、さまざまな取り組みが可能なわけですから、直営のまま大いに発展させればよいというふうに改めて強調させていただきたいと思います。
 次に、予算、契約などにおける年度主義の制約について伺いたいと思います。
 契約などにおける年度主義の制約とは、具体的にどういう制約なのか伺いたいと思います。

○山口サービス推進部長 地方自治法では、予算は会計年度ごとに作成する予算単年度主義を原則としておりまして、契約につきましても、単年度で締結することを原則としてございます。
 この単年度主義の例外といたしまして、地方自治法に基づく長期継続契約を締結することができますが、その対象は地方自治法施行令及びこれに基づく都の条例と施行規則におきまして限定をされております。
 具体的な一例を申し上げますと、買い入れの契約におきまして、契約に差金が生じた場合に、その差金を活用しまして病院が医療器械等の買い入れを追加で行うことができますが、入札や検査等の契約手続に一定の時間を要しますことから、年度内に契約の履行が見込めないような場合は、次年度以降に見送らざるを得ないような制約がございます。

○白石委員 今、具体的な制約の例示をしていただきました。
 答弁をかみ砕くと、必要な医療機器を予算として計上した上で、実際の契約時に当初見込んでいた金額よりも低い金額で契約が成立をして、その差額で追加の医療機器などを購入したくても、年度をまたぐ場合は購入できないことが制約であるということですね。確認したいと思います。

○山口サービス推進部長 今、申し上げました事例につきましては、病院の方の執行の予算ということで、医療器械等の予算が配布されておりまして、その中で、契約の金額が余った場合に、年度をまたぐような手続をすることができないということでございます。

○白石委員 要するに、余ったお金で、追加で購入しようといったときに年度をまたいだら、それは医療機器などが購入できないというのが一つ制約だということですね。確認したいと思います。

○山口サービス推進部長 年度の中で予算が配布されておりますので、その手続がとれない場合には、その中で手続を執行することが困難な場合があるということでございます。

○白石委員 何かまどろっこしいことを今おっしゃったので、もう一度確認しますよ。
 最初にご答弁されたのは、必要な医療機器を予算として、まず計上してあるというのが前提だと、これはよろしいですね。
 その上で、実際の契約時、当初契約を予算の中で見込んでいる金額よりも低い金額で、差額の金額が出ます。
 その差額の金額で、追加で医療機器を購入しようとしたときに、金額はあるけれども、年度をまたいでしまえば、それは年度を、一つ一つを年度でやっていますので、それでは医療機器が購入できない、だから、それが制約なのだということでよろしいですね。イエスかノーかでいいです。

○山口サービス推進部長 同じ予算の科目の中において、契約をすることが難しいということでございます。

○白石委員 どんどん、どんどんよくわからなくなってくると。
 最初の答弁を振り返れば、私がいったように、要するに差額、金額が余ったら、それを追加で購入したときに、年度をまたいだら、それが購入できないということです。
 しかし、病院運営上、医療の安定的な供給上、必要不可欠な医療機器であるならば、結果的に余った予算で買うのではなくて、初めから予算として計上して確実に購入するのが当たり前だと、そうしなければ、これはむしろ大問題だと。
 それを直営病院の制約だなどと取り上げること自体、これは無理のある話だと指摘せざるを得ない、だって、そもそも必要であれば、絶対に行政的医療が滞ってしまうとか、病院運営上、必要な機器というのは予算でちゃんとつける、それは当然の話だと。
 それを、余ったところでそれが買えなかったから制約だなどと、そんな無理な話はないと、それを制約というふうにいう。
 今の答弁で、さらに長期継続契約というお話も出ました。現在、複数年契約としている事務は何なのか、また新改革実行プランに基づき導入を検討している事務は何か伺いたいと思います。

○山口サービス推進部長 都立病院において、地方自治法及び条例に基づきまして、履行期間を複数年として締結している契約は、電気、ガス、もしくは水の供給を受ける等の契約のほか、システム機器やファクス等のリース、建物管理の業務委託、医療器械の保守委託でございます。
 都立病院新改革実行プラン二〇一八では、支出抑制の取り組みの一つといたしまして、医療器械の購入と保守管理の一本化契約など、多様な契約手法を検討することとしております。

○白石委員 単年度の予算編成であっても、従来から債務負担行為に加えて長期継続契約などにより複数年契約は可能だということです。
 今の答弁でもあったように、現在でも一部、複数年契約でやっていますし、合理的なものについては今後も広げていくことを、都立病院新改革実行プランに掲げられております。
 長期継続契約の対象は条例などで限定されているというお話もされましたけれども、締結できる契約を定めた条例施行規則では、電子計算機などの保守や、電気、冷暖房などの設備保守、複写サービスに関する契約などとともに、財務局長が適当と認めた契約というものが挙げられています。
 複数年契約にはメリットもデメリットもありますが、総合的に判断をして合理的だと考えるものについては行うことは可能なわけですね。
 以上のように、職員定数と採用が柔軟に対応できないとか、公務員は兼業が原則禁止により他の医療機関との連携など人材交流に限界がある、予算、契約など単年度主義に伴う制約などの理由で、現在の都立直営に問題があり、見直さなければならないという話には全く根拠がないと改めて強くいいたいと思います。
 さらに、住民のチェック機能はどうなのかというところでお尋ねしたいと思います。
 独立行政法人は地方公共団体とは切り離され、住民のチェック機能が低下する制度でもあるといえます。
 例えば、住民監査請求権は、独立行政法人には付与されているのかどうか伺いたいと思います。

○栗林委員長 いかがでしょうか。

○末村計画調整担当部長 済みません。住民監査請求権については、現時点ではちょっと確認しておりません。
 ただ、評価委員会等におきまして、その運営状況につきましては評価して、それを踏まえて知事が評価をするということになります。そして、それは議会の方にもご報告をしていくということで、都民の、あるいは都議会のチェックを受ける仕組みができ上がっているものというふうに考えているところでございます。

○白石委員 まず、評価委員会というのは知事が任命するんです、評価委員を。
 しかも、今、私が質問した住民監査請求権は地方公共団体にはあります。しかし、独立行政法人にはないという状況なんです。住民のチェック機能が低下するんです。
 そういうふうな中で、住民の皆さん、都民の皆さんたちの不安が非常に大きくなっているということなんです。
 最後に、六月の厚生委員会での我が党の藤田都議が病床の削減について述べたことに対して、答弁の中で、全国の公立病院などにおいて、地域の実情に応じた適切な医療提供体制の再構築が進められている結果と認識しているという発言がございました。
 全国の公立病院などで行われている病床数の削減などについて、適切だと判断した根拠は一体何でしょうか。

○末村計画調整担当部長 全国の地方自治体の病院に対しましては、平成十九年に国が示した公立病院改革ガイドラインに基づき、病院の再編ネットワーク化について検討が求められまして、平成二十五年度までに六十五事例の再編等が進められました。
 さらに、平成二十七年には新公立病院改革ガイドラインによりまして、地域ごとに適切な医療提供体制の再構築に取り組むための公立病院改革プランの策定が求められまして、平成三十年度中には、全病院について策定される予定というふうにされてございます。
 総務省のホームページにおきまして、再編ネットワーク化における病床数縮小の理由が挙げられておりますが、人口の減少や医療の高度化に伴う入院期間の短縮等により、患者数が減少したことなどが挙げられております。
 こうしたことなどから、地域の実情に応じた適切な医療提供体制の再構築が全国で進められているという認識をしております。

○白石委員 今、答弁を聞かせていただきまして驚きましたけれども、総務省のホームページで確認したということです。
 私も総務省のホームページを見ました。そもそも総務省自体がつくったガイドラインに基づいて進めていることなのですから、総務省が適切でないなどホームページに載せるというのは、ある意味、考えにくいです。
 私も、例えばホームページに出ている二〇一五年に出された新公立病院改革ガイドラインについての通知についている資料は読みましたけれども、全国の六十五事例が出ています。
 各地で適切に進んでいるなどととてもいえるものではありません。例えば、大阪市の市立住吉市民病院を独立行政法人化した後に廃止するというものがあり、既に進められてしまったものですけれども、住民から七万を超える廃止反対の署名が集まったものです。
 それから、跡地に民間病院を誘致するとしていましたが、失敗したまま廃止は強行したということなんです。
 こうしたことが進んでいるにもかかわらず、総務省のホームページで確認して適切だといってしまうというのは余りにも無責任だと、このように指摘せざるを得ません。
 総務省が地方独立行政法人制度の導入に向けて設置した地方独立行政法人制度の導入に関する研究会報告書では、冒頭で、国の独立行政法人制度の導入の目的として、実施部門のうち一定のものにつき、事務、事業の垂直的減量を推進などを挙げています。その上で、地方公共団体にもそうした要請があることは基本的に同様と述べて、地方独立行政法人制度の導入には一定の意義があると結論づけています。
 地方独立行政法人法で、その結果に基づき所要の処置を講ずるものとするとしており、もともとは自治体が行っていた仕事の縮小につながるものです。こうした縮小につながる地方独立行政法人化の検討はきっぱりと中止をすべきだというふうにも思います。
 そして最後に、この間も一般会計の繰入金の四百億円に対して、赤字、赤字というような論調がありますが、東京都として、この一般会計の繰り入れの部分は赤字の穴埋めというふうな認識なのか伺いたいと思います。

○児玉経営企画部長 都立病院は、各診療科が連携してさまざまな合併症や症状等に対応した治療を行うための診療支援機能、いわゆる総合診療基盤を活用し、法令等により対応が求められる医療や、一般の医療機関では対応が困難な医療などを行政的医療として位置づけ、その提供を基本的役割としております。
 一般会計繰入金は、この都立病院の基本的役割である行政的医療は非常に採算の確保が困難なものであるということから、この行政的医療を提供するためには不可欠な経費として、地方公営企業法などに基づき、一定のルールを定め算定を行っており、単なる赤字補填というものではないと認識しております。

○白石委員 今、ご答弁あったとおり、この間も、私も厚生委員会の過去の議事録も読ませていただきましたし、決算委員会なんかでも出ていましたけれども、この一般会計繰り入れの四百億円を赤字だ、赤字だと、このような形で論調をして、そして独立行政法人化へ進めようというようなこともあります。
 しかし、今、ご答弁あったとおり、この一般会計の繰り入れというのは不可欠な費用なんだと、行政的医療を確保していくために、そういうふうな費用であるということをご答弁されました。当然だと思う。
 本当に、都立の直営でこの間果たしてきた役割というのは、先ほども私は述べましたけれども、都民からは信頼が得られているわけです、安心感も広がっているわけです、高い評価を受けているわけです。
 そして、課題だ、課題だといわれたのは、制度から来ている課題ではなくて、しっかりとこの間、病院経営本部の皆さんがこの課題を解決するために直営として頑張ってきた、そういうのがここにあらわれていると思う。
 そういうふうなところを全く調査も検証もせずに、独立行政法人化、独法化を推進するということは断じて認めることはできないということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○桐山委員 それでは、私から、質問させていただきます。
 都立病院の新たな改革の基本的な考え方として、都立病院新改革実行プラン二〇一八が示されたところでございます。
 その初年度として、病院経営本部事業計画の中に掲げられております戦略3にございます地域医療提供体制の確保、充実への貢献として、仮称ではございますが、東京ヘルスケアサポーター育成事業というものを今年度実施されることとなりました。
 東京二〇二〇大会をきっかけに、スポーツを通じた介護予防や健康増進を浸透させ、人生百年時代の健康長寿社会を実現する必要があり、その観点からも、都は、超高齢社会に突入し、今後も高齢者は増加することが予測されている中、健康寿命を伸ばし、高齢者が生き生きと暮らし続けるには、介護予防や健康増進を都民に浸透させることが重要でございます。今後増大する国民皆保険制度を持続可能なものとするためにも、都民一人一人の健康維持、増進と予防型の対策が不可欠となります。
 こうした中、地域包括ケアシステム構築支援に向け、都立病院の有する物的、人的資源を活用し、独自に地域の医療サポート人材として、仮称ではございますが、東京ヘルスケアサポーター養成を行うとされました。
 そこで、質問でございますが、都民を対象とした講座をなぜ都立病院が行うのかお伺いいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域包括ケアシステムの構築には、高齢者などが正しい知識に基づき、疾病の予防や健康づくり等にみずから積極的に取り組むことが重要でございます。
 都立病院は、高度で専門性の高い医療を都民に提供していく中で、豊富な臨床症例やノウハウを有してございます。
 これまでも各都立病院は、医療や予防の情報をわかりやすく解説する、都民を対象とした公開講座を実施してまいりました。
 団塊の世代が全て後期高齢者となります二〇二五年を前に、各都立病院がこれまで実施してきた公開講座を、健康をキーワードにヘルスケアサポーター養成講座として体系化し、都民の財産として、さらなる改善を図ってまいります。

○桐山委員 都立病院が有する知見は、都民の財産であるとのご説明でございました。都立病院が長年の行政的医療の推進を図る中、信頼感や安心感も都民にとっての貴重な財産に値します。
 同じような取り組みとしては、東京都医師会や大学、研究機関が主体となりまして、フレイル予防に向けてトレーナーやサポーターを養成するなど、地域活動と密着した取り組みも進められつつあります。
 都立病院としての東京ヘルスケアサポーター養成事業については、新たな取り組みとして期待するものでございます。
 さて、こうした財産を活用し、都民に還元していく本事業は、都立病院に求められる取り組みだと思います。次に、この事業は、今後、地域包括ケアシステムの構築への貢献にもつながっていくものと思います。
 講習の対象者、あるいは講習のプログラムの内容など、詳細についてお伺いいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどご答弁申し上げましたとおり、地域包括ケアシステムの構築には、高齢者などによります正しい知識に基づく疾病予防や健康づくりといった取り組みが重要でございます。
 そこで、ヘルスケアサポーター養成講座は、地域の高齢者を主な対象といたしまして、高齢化に伴いリスクが高まります疾病の理解や、地域包括ケアシステムにおきます医療との向き合い方といった視点を踏まえまして、プログラムを構成してまいりたいというふうに考えてございます。
 その具体的な内容につきましては、現在検討を進めてございますが、疾病の発生原因から予防、治療、ケア、支援体制に至りますトータルの知識、情報が得られる内容といたしまして、都立病院の各専門分野の医師、看護師等が、豊富な臨床経験に基づく講義を実施していく予定としてございます。

○桐山委員 講座対象者につきましては、地域の高齢者を主とするとのことですので、イメージとしては元気高齢者ということなのでしょうか。
 また、講座の内容といたしましても、自分の健康を知る上で、高齢化に伴う疾病、いわゆる生活習慣病やフレイルといった情報など、例えば駒込病院ですとがんと感染症ですとか、松沢病院ですと認知症といった、専門的医療における専門医師や看護師が講義を行って、そこで元気な高齢者たちが知識や情報を得る機会となることがわかりました。
 この事業の方向性がだんだんと見えてまいりましたが、さて、その次のステップとしては、その受講者が受講修了後にどのような役割を担っていくかがポイントになろうかと思います。
 そこで、この受講修了者には、その後どのような活動を期待されているのかお伺いいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 講座の修了者でございますが、これは仮称でございますが、東京ヘルスケアサポーターとして認定をしていく予定でございます。
 認定されました東京ヘルスケアサポーターは、正しい知識に基づき、自分の健康に自覚と責任を持ち、健康づくりに取り組むとともに、町会や老人クラブ等の地域での交流活動を通じまして、周囲の人に健康づくりの取り組みや健康診断の受診を勧めるなど、地域包括ケアシステムの支え手として活躍していただくことを目指してございます。

○桐山委員 ただいまのご答弁を聞いていますと、この研修を受けられた受講者は、自分の健康はまず自分で守るというような、みずからの健康を、自覚と責任を持って健康づくりに取り組んでほしいと。
 そして、その知識と情報を得たものを、まずは家族や周囲の方に、例えば、答弁にもありました健診受診の勧めですとか、また、かかりつけ医の重要性ですとか、生活習慣の改善のためのあり方など、こういったものをしっかり、学んだ知識を、地域包括ケアシステムの支え手とご答弁の中で出ておりましたが、支え手となっていただきたいということでございます。
 この活躍できる人材育成と考えますと、各区市町村で事業を展開していくとか、例えばこういった講座を各区市町村が主体となってやっていくというのが、やはり体制が整うのもなかなか難しいということも聞いておりまして、これを今回都立病院が率先して行う、人材育成に取り組んでいかれるということには、大変期待をさせていただきたいと思っております。
 さて、最後ですけれども、この事業を実施していく上で、将来的な課題についてはどのようなものがありますでしょうか、お伺いいたします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ヘルスケアサポーターを地域包括ケアシステムの一助とするため、また、裾野の広い事業展開としていくためにも、都立病院だけではなく、区市町村やフレイル予防等に取り組むさまざまな関係機関との連携が必要になるものと考えてございます。
 今後、これらの関係機関に本事業の目的や意義を説明し、ご理解いただくとともに、将来的な連携のあり方についても検討してまいります。

○桐山委員 まずは、都立病院でこの事業をスタートしていただいて、この受講者の皆さんには健康意識の啓発からスタートする、そんなイメージかなと思います。
 その後、地域と連携をするに当たっては、区市町村もこの事業の内容とか趣旨をしっかりと把握していただく必要があるかと思います。
 現在、地域に根差したさまざまなサポーター制度があります。その中でも、例えば認知症サポーター制度ですとか、私の選挙区でもございますが、西東京市ではフレイルサポーターが存在しています。健康生き生きサポーターですとか、地域で支え手になられる健康に対するサポーター制度というのが、おのおの各区市町村で取り組みを行っているという実情があろうかと思います。
 そういったさまざまな取り組みを既に行っている人材との連携、あるいは、この事業にうまくのせていけるかなど課題も感じています。さらに区市町村でも、今後、募集に当たって偏りが出てくるのではないかなという心配もしております。
 今後、第一回目を募集するに当たりましては、都内全域まで共有できるように区市町村への周知と、修了後には、認定されたヘルスケアサポーターの方々が何百人も養成されていかれるわけですけども、そういった方々が地域でどなたかがわからないということがないように、しっかりと、例えば登録制度をつくられるとか、そういった仕組みをぜひ検討していただきたいことも、あわせて要望させていただきたいと思います。
 本取り組みが都民の健康に対する機運醸成につながるものと期待する中、これをさらに浸透させて地域包括ケアシステムの構築の一助となるようには、まずは高齢者福祉、あるいは介護予防、健康づくりといった事業を推進しております福祉保健局、これは内部ですけれども、内部としっかりと連携をしていただくことが何よりも重要かなと思っております。その点を踏まえながら検討を進め、いい事業になられますように期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○たきぐち委員 それでは、最後、私から質問させていただきたいと思います。
 冒頭、先ほど報告がありました松沢病院における入院患者の不明事故について、全容がわかり次第の報告と再発の防止を我が会派からも求めておきたいと思います。
 それでは、都立病院改革の推進に関連して質問したいと思います。重複する部分は省略していきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 ことし三月に、都立病院新改革実行プラン二〇一八が策定をされたところでございます。
 都立病院改革については、三度にわたる中期計画に基づいて取り組みが進められてきました。都立病院の役割については、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた医療や、一般の医療機関では対応が困難な医療などを行政的医療として位置づけ、都民に提供してきたと認識をしております。
 新たな改革の基本的な考え方として、三つの視点と六つの戦略を掲げていますが、これまでの中期計画との違い、新たな視点、強調すべき観点はどのようなものなのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、平成二十八年に策定いたしました東京都地域医療構想の実現に向けまして、病院完結型の医療から地域完結型の医療への転換を図ってございます。
 こうした地域医療の変革の過渡期におきまして、平成三十年三月に策定いたしました都立病院新改革実行プラン二〇一八におきましては、都立病院の基本的役割である行政的医療の提供に加えまして、地域医療の充実に貢献することを新たな役割としてございます。
 在院日数の短縮化に伴います病床利用率の低下など、病院運営がこれまで以上に厳しい環境にございます中で、都立病院は、将来にわたり持続可能な病院運営を実現し、こうした役割を着実に果たす必要があるというふうに認識をしてございます。
 このため、改革に向けました基本的な考え方を、患者・都民第一、東京の地域特性の反映、都立病院の持つ資源の有効活用という三つの視点で整理した上で、これらに基づきまして三カ年の実施計画をあわせて策定し、具体的な改革の道筋をお示ししてございます。
 なお、本プランですが、平成二十七年に総務省が策定いたしました新公立病院改革ガイドラインにおきまして、地方公共団体に策定が求められています新公立病院改革プランとしての位置づけも有してございます。

○たきぐち委員 五年ごとの改定時期に当たると同時に、平成二十七年に総務省が作成した新公立病院改革ガイドラインに基づいて、各自治体は改革プランの策定を求められており、その改革プランは、医療法に基づいて都道府県が策定する地域医療構想、すなわち東京都地域医療構想を踏まえたものでなければならないとしています。
 また、東京都地域医療構想は、福祉保健局がことし三月に改定した東京都保健医療計画と一体化したものと理解をしております。
 都内には、大学病院や特定機能病院などの医療機関が集積をしており、高度な医療が求められていると同時に、都内の人口増、高齢化の進展に伴う医療と介護の連携の必要性がますます高まっており、地域医療の変革期を迎えている中で、今回の実行プランが実施されるべきものと認識をしております。
 総務省のガイドラインでも、これまでの経営効率化、再編ネットワーク化、経営形態の見直しに加えて、地域医療構想を踏まえた役割の明確化という四つの視点で改革を進めることが必要だと指摘されております。
 そこで、これまで求められてきた経営の効率化については、紹介、逆紹介などの医療連携の強化や、DPCデータの分析などによる診療プロセスの見直しほか収益確保に取り組む一方で、材料費や経費の抑制、PFI導入による民間経営ノウハウの活用などに取り組んでこられました。
 これまでの取り組みにおける経営面での評価を伺います。

○児玉経営企画部長 都立病院の自己収支比率につきましては、平成二十一年度の六七・〇%から、平成二十五年度には、昭和三十九年に都立病院が地方公営企業法を適用して以来最高となる七六・三%にまで改善いたしました。
 平成二十六年度以降は、病院の収入の大部分を占める診療報酬について、二年に一度の改定状況を見ますと、改定率がマイナスもしくは小幅な引き上げにとどまっております。
 都立病院におきましては、新たな施設基準の届け出や各種加算の算定等の取り組み努力により、医業収益は年々増加しているものの、在院日数の短縮等により、病床利用率が低下しており、収益は微増にとどまっております。
 一方、費用につきましては、共同購入や後発医薬品の使用拡大、機器保守委託や電力供給への複数年契約導入など、さまざまな節減に努めておりますが、高額な医薬品、診療材料の増加や共済制度の改正、給与改定等の影響が上回り、増加傾向が続いております。
 厳しい経営環境の中、こうしたさまざまな取り組みにより、自己収支比率はここ数年、同程度の水準を維持しているところでございます。

○たきぐち委員 自己収支比率が改善されているということは、一定の成果が出ているものと考えます。ここ数年は、診療報酬がマイナスもしくは小幅な引き上げで推移する中で、同水準を維持しているというご説明でありました。
 新改革実行プランでは、自己収支比率のほか、病床利用率、材料費比率などの数値目標を設定していますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○児玉経営企画部長 都立病院新改革実行プラン二〇一八では、全体の収支計画とは別に、病院ごとの収支計画や医療機能及び経営指標に係る数値目標を明記しております。
 これらの目標につきましては、目標達成に向けたアクションプランを策定し、定期的に進捗を管理しております。
 また、毎月、全都立病院の院長、事務局長が出席する定例の会議におきましても、収支状況等を報告しております。
 さらに今年度は、各病院の経営戦略担当副院長を中心とした経営改善推進PTを立ち上げ、他病院とのベンチマーク分析や、取り組みの前後を比較した改善効果の測定など、経営改善に向けた具体的な取り組みの強化と情報共有を図っているところでございます。

○たきぐち委員 病院ごとに改革プランを作成し、具体的な項目ごとに三カ年の目標値を設定しており、挑戦的な取り組みであると考えます。
 同時に、目標数値を全体的に見ますと、医療環境の変化に対応し、患者満足度を維持しながら、収益の確保、そして費用削減を図っていく経営環境の厳しさも感じるところでもあります。
 経営改善に向けて、今年度から新たにPTを設置するなど、具体的な取り組みの強化を進めていくということでありました。地域の医療提供体制を確保し、良質な医療を継続的に提供していくためには、経営改善、経営の効率化は、常に取り組んでいかなければならない課題でありますので、鋭意取り組んでいただきたいと思います。
 先ほどのご答弁で、費用抑制策として、後発医薬品、ジェネリックの使用拡大に努めているということでありましたが、導入率の推移と効果を伺います。

○山口サービス推進部長 後発医薬品の使用割合でございますが、後発医薬品、先発医薬品ともにある医薬品におきまして、後発医薬品をどれだけ使用したかという比率を使用率として算出しております。
 各病院におきましては、後発医薬品をリスト化しまして、安全性、他病院での使用実績、メーカーの情報提供体制、安定供給の可否など、さまざまな観点から、先発医薬品から後発医薬品にかえることが適切か否かを院内の薬事委員会で検討し、後発医薬品の使用を推進しております。
 その結果、診療報酬上、特に評価されておりました入院におけます過去三年間の後発医薬品使用率は、平成二十七年度は七七・七%、二十八年度は八八・〇%、二十九年度は九二・一%と推移をしております。
 都立病院全体では、後発医薬品を先発医薬品と薬価ベースで比較しますと、平成二十九年度は約七億九千万円の削減効果があると試算をしております。
 なお、平成三十年度の診療報酬改定によりまして、入院だけでなく、外来における使用割合を含めた使用率が評価され、加算の対象となりましたことから、引き続き適否を判断し、後発医薬品への切りかえを進めてまいります。

○たきぐち委員 この三年間で一五%近く使用率が上がったということでありました。また、診療報酬改定によって、加算対象になったということで、さらに切りかえが進んでいくというご説明でありました。
 ジェネリックについては、数年前までは、その安全性や安定供給面から、その導入に慎重な雰囲気があったと思います。ある病院の院長のお話でも、少し前まではジェネリックに対してやや抵抗感もあったけれども、ここ数年で認識が大きく変化したということも伺っております。
 もちろん、現場の医師の中には、医療経済的な必要性は認めながらも、薬効成分は同じであってもそれを包む基剤などが違うため、薬物動態が違ってくるといったような慎重な意見があることもまた事実であります。
 引き続き、薬事委員会でさまざまな観点から検討の上、進めていただきたいと求めておきたいと思います。
 これまで、費用の節減に取り組まれてきたわけでありますが、経営委員会報告では、医業収支比率が類似医療機関と比較して低い原因は、収益額はほぼ同等である一方で、人件費や委託費などが多いことにあるとしております。
 また、平成二十七年度の自治体病院の医業収支比率が九三・五%、その他公的病院が九九%であるのに対して、都立病院全体では七五・七%と二〇ポイント前後の差がありますが、認識を伺います。

○末村計画調整担当部長 都立病院経営委員会報告では、同等の規模の病院と比較いたしますと、人件費については、年齢構成や経験年数に大きな差があることや、給与勧告制度の適用などの違いがあるとの指摘がございました。
 委託費につきましては、単年度と複数年度契約などの契約方法や、委託内容、範囲に違いがあるとの指摘を受けておりまして、都としても、原因は同じというふうに考えてございます。
 なお、全国の自治体病院との比較では、都は、地方と比較して人件費、物件費等のコストが高く、診療報酬制度において、こうした大都市の地域特性に合わせた改善が十分でないことも影響していると考えてございます。
 今後とも、診療報酬制度における新たな施設基準の取得や加算の算定、契約方法の工夫などのさまざまな経営改善に取り組んでいくことが必要と認識をしております。

○たきぐち委員 全国一律の診療報酬制度が、東京の地域特性における病院経営に十分ではないということは理解しております。
 一方で、人事や契約方法などに関して、類似医療機関と比較して、先ほど来の質疑におきましてもご説明がありましたとおり、運用面、制度面での違いや制約があることが指摘をされておりまして、病院経営本部としても共通の認識であるということを確認いたしました。
 一般会計からの繰入金につきましては、地方公営企業法などに基づいて、一定の基準を定めて算定されているものと理解しておりますが、常にそのあり方については議論があるところです。
 繰入額については、これまで行政的医療の範囲や算定方法などの見直しを行ってきており、先日の公営企業決算特別委員会における我が会派のつじの議員の質問に対して、がん医療、心臓病医療、リハビリテーション医療などの分野で、都内の医療提供体制、医療環境の変化に対応して、繰り入れ対象の範囲を縮小するなど、繰入金の削減に努めてきたこともわかりました。
 一方で、繰入額は、ここ数年、約四百億円と横ばいで推移をしていることから、繰入金が増加している分野もあるかと考えますが、伺います。

○児玉経営企画部長 都立病院における一般会計繰入金は、平成二十一年度の約四百六十億円をピークに減少し、平成二十九年度は三百九十四億円となり、この十年間で約六十六億円減少いたしました。
 平成二十一年度と直近の平成二十九年度を比較しますと、多くの繰り入れ対象事項で金額が減少しているものの、金額が増加している繰り入れ対象事項もございます。
 具体的には、精神科医療や難病医療、骨髄移植医療などで、精神科医療では、松沢病院の改築により、減価償却費等の対象費用が増加しております。難病医療や骨髄移植医療では、対象収益の増加に比べ、給与費や経費などの対象費用の増加が大きくなっており、結果として、繰入金額が増加したものでございます。

○たきぐち委員 精神科医療、難病医療、骨髄移植医療などで繰り入れ対象の範囲が増加しているというご説明でありました。
 今後も、医療環境の変化に応じて、行政的医療の対象範囲、医療課題が変わってくることも考えられるわけでありますが、一般医療機関では対応が困難な医療、今、ご説明がありました精神科医療や難病医療、あるいは骨髄移植医療、さらには小児医療や感染症医療など、採算性の低い医療に取り組むことが求められる中で、多くの自治体病院が経営形態の見直しをしていることは、これまでの委員会の質疑でも示されているとおりでございます。先ほども小宮委員から、具体的な医療機関の言及があったところでございます。
 都立病院と同じ形態である公営企業法一部適用は減少傾向にある一方、全部適用は増加しているほか、指定管理者の増加、地方独立行政法人への移行も増加しているのが実態であります。
 経営委員会報告では、今後のふさわしい経営形態として、一般地方独立行政法人化を提言しておりますが、これまでの検討の経過、今後の考え方について、私からも確認をしたいと思います。

○末村計画調整担当部長 都立病院の経営形態につきましては、平成十九年度の都立病院経営委員会報告におきまして、一般地方独立行政法人が最も柔軟で都立病院にふさわしい経営形態であるとされたことを受けまして、都は、経営形態別の経営状況や、経営形態の見直しを行った自治体病院に関しまして情報収集と分析を行ってまいりました。
 本年一月の都立病院経営委員会報告におきまして、都立病院が行政的医療の提供等の役割を安定的、継続的に果たしていくため、改めて一般地方独立行政法人への移行について検討すべきとの提言がなされました。
 こうした提言を受けまして、本年三月に策定した都立病院新改革実行プラン二〇一八におきまして、効率的かつ効果的な運営を促進し、都立病院としての役割を安定的に果たしていくための経営形態のあり方につきまして、病院現場の運営実態を踏まえ、検討することといたしました。

○たきぐち委員 平成十九年度の委員会報告で提言をされ、情報収集と分析を行う中で、ことし一月に改めて提言がなされたということであります。
 一般地方独立行政法人化によって、行政的医療の位置づけは変わるのか、都としての財政的負担はどうなるのか伺います。

○末村計画調整担当部長 行政的医療を安定的、継続的に提供するという都立病院の基本的役割は、いかなる経営形態でも変わることはございません。
 また、公営企業型地方独立行政法人は、現行の都立病院と同様に、採算の確保が困難な医療などに係る経費につきまして、設立団体が負担することが法定をされてございます。

○たきぐち委員 委員会報告におきましても、新たな経営形態を検討するに当たって、行政的医療など公立病院として担うべき役割、セーフティーネットとしての機能を持続的かつ安定的に果たせることを前提条件としています。
 同時に、医療ニーズや医療環境の変化に即応できる経営形態への転換を図ることが求められております。委員会における提言や、先行して経営形態の見直しを実施した自治体病院の分析のもとに、今後のあり方を検討していただきたいと思います。
 今回の実行プランにおける新たな役割について、病院完結型の医療から地域完結型の医療へと転換を図るため、基本的役割としての行政的医療の提供に加えて、地域医療の充実に貢献することが加わったとご説明がありました。
 先ほど来もさまざま質疑があるところでありますが、地域連携にかかわる紹介率と、返送、逆紹介率についても、先ほど質疑がありましたので割愛をしたいと思いますが、この五年間で、都立総合病院の紹介率は八・五%アップをして、八二・六%、そして、返送、逆紹介率も一〇・五ポイントアップをして、四五・九%となったということでありました。
 こうした地域連携が進んでいることはわかるところでありますが、病院ごとに見ますと、大塚病院と多摩総合は、紹介率がそれぞれ九〇%前後に達しておりまして、返送、逆紹介率も含めて、ほぼ目標値に達しているのではないかと思います。一方で、広尾、あるいは墨東病院については、実行プランの目標値を見ますと、それぞれ数ポイントずつ高める目標を示しているようであります。
 病院ごとの診療科目や地域性、立地などが異なり、患者の属性が異なる中で、それぞれの病院の特徴がありますが、例えば、救急医療や高度で専門的な急性期対応の行政的医療を安定的に提供するためには、患者を適切に受け入れられる入り口の機能と、治療後に円滑に地域の医療機関や在宅に移行していく出口機能の強化が重要であることに変わりはなく、引き続き、地域連携の強化に取り組んでいただきたいと思います。
 高齢化に伴いまして疾病構造は変化をしており、合併症の患者や複数の疾患を抱える患者が増加しています。
 地域医療という観点からも、総合診療医の必要性が高まっていると考えますが、見解を伺います。

○児玉経営企画部長 総合診療専門医につきましては、日本専門医機構では、日常的に遭遇する疾病と傷害などに適切な初期対応と必要に応じた継続的な診療を全人的に提供する医師と定義しております。
 日本専門医機構では、長年の議論を経て、複数の疾患を抱える高齢者の増加に対応する必要があることから、新専門医制度の十九の専門領域の中に、新たに総合診療領域を創設しました。
 都立病院でも、合併症や複数の疾患を抱えた高齢の患者がふえていることから、総合診療専門医の育成は重要であると認識しております。

○たきぐち委員 日本専門医機構において、新たに総合診療が専門領域の中に創設されたということでありました。
 病院勤務医の知人から、この総合診療医の必要性について、以前から話を聞いているところでありますが、その必要性は認識をされながらも、実際には専門性が重視され、総合医の位置づけがなかなか定まってこなかった現状もあるようであります。
 しかし、超高齢化社会を迎えて、複数の疾患を持つ患者が増加しており、知人のお言葉をかりるならば、生活習慣病を抱えながら、膝が痛い、腰が痛い、目も歯も悪い、血圧が高いなど、診察券を何枚も持っている高齢者の方が多く、地域医療という視点からも、総合診療医の社会的要請は高まっているのではないかということであります。
 あるインタビュー記事の中の専門家によりますと、例えば、おなかが痛い、胸が痛いという兆候から考えられた診断が、受診した医師の専門分野から外れることによって、なかなか診断ができず、患者にとっての不利益が生じることがあるということでありました。つまり、全体的な視点から判断できるジェネラリストが必要だと指摘しています。
 また、循環器や呼吸器、消化器などの臓器を診るのではなく、地域を診るのが総合医だと指摘する専門家の方もおります。
 このように、その必要性は認識されながらも、総合診療医の育成は課題も多いと聞いております。どのように育成していくのか、また、どのように活用していくのか伺います。

○児玉経営企画部長 委員のお話にもありましたように、総合診療医は、他の領域の医師や多職種との連携や、在宅医療など地域医療に関する理解、複数の疾患を抱える患者への対応など、幅広い能力が求められます。
 専門医の育成に当たっては、そのような能力を育成する環境を整える必要がございます。
 東京医師アカデミーでは、新専門医制度に合わせ、必要な能力を養うプログラムを検討し、平成三十年度から、総合診療科等を持つ広尾病院、駒込病院、墨東病院、多摩総合医療センターの四病院で、総合診療専門医の研修コースを設置しました。
 今後、東京医師アカデミーで育成した専門医を都立病院の総合診療科等で活用してまいります。

○たきぐち委員 新専門医制度に合わせて、東京医師アカデミーで、今年度から、総合診療専門医の研修コースが設置されたということでありました。今後のニーズ、医療人材の活用という視点から期待をするところでございます。
 今回の質疑に当たりまして、新改革実行プランの全体的な考え方について確認をさせていただきました。
 医療を取り巻く環境が急速に変化をする中で、都立病院が中核的に担わなければならない医療と、民間機関で対応可能な医療があり、その変化に応じて適切な役割分担を図り、連携を強化することで、都民に対して安定的な医療を提供していかなければならないことは言をまちません。
 今回の委員会でも、八病院それぞれの機能についての質疑もありました。以前、私自身も、ほとんどの都立病院を視察させていただきました。ほとんどというのは、神経病院だけは、ちょっと機会がなくて見ることができなかったわけなんですが、今回、厚生委員会に所属したことによって、改めて現場を見ていきたいと考えているところでございます。
 この夏、堤病院経営本部長が就任をされました。実行プランによる改革を推進し、公立病院としての社会的使命を果たしていくに当たりまして、最後に、本部長の決意を伺いたいと思います。

○堤病院経営本部長 急速な高齢化の進展や地域包括ケアシステムの構築に向けました病院完結型から地域完結型への転換など、医療を取り巻く環境は、今後、より急速に変化をしてまいります。
 いかなる変化が起ころうとも、行政的医療を提供し続けていくこと、さらには、変化の過渡期において都民が地域で安心して医療を受けられるよう、地域医療体制の確保に向けて率先して取り組んでいくこと、これも公立病院である都立病院に期待をされております。
 こうした認識のもとで、本年三月に策定をいたしました都立病院新改革実行プランにおきましては、民間医療機関との適切な役割分担と連携を一層推進いたしまして、行政的医療を安定的かつ継続的に提供いたしますとともに、病院が有する医療機能や医療人材を最大限活用いたしまして、地域医療の充実に貢献することを都立病院の役割といたしました。
 都立病院がさまざまな課題を克服し、このような役割を果たし続けるためには、将来にわたる持続可能な病院運営を実現していくことが不可欠でございます。
 そのために、日々進歩する医療技術に迅速かつ確実に対応いたしますとともに、多様な患者ニーズをしっかり捉え、着実に応えていく必要がございます。
 加えまして、二年に一度の診療報酬改定にしっかり早期に対応することを初めといたしまして、さらなる効率的、効果的な経営を実現し、患者さんへのサービス向上につなげていかなければならないと考えております。
 今後とも、病院運営を支える全ての職員が、みずからの病院をみずからつくるという意識を持ち、自立的な経営体制を確立してまいります。
 都民の健康と生命を守るという使命のもと、八つの都立病院と病院経営本部職員が一丸となりまして、プランの着実な実現に向け、総力を挙げて取り組んでまいります。

○たきぐち委員 力強い決意をいただきました。
 さまざまな課題がある中で、その決意のもと、患者本位の都立病院をつくり上げていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○栗林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○栗林委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十九分散会

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