委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 桐山ひとみ君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 古城まさお君 |
理事 | 小宮あんり君 |
理事 | 菅原 直志君 |
龍円あいり君 | |
藤田りょうこ君 | |
つじの栄作君 | |
遠藤 守君 | |
鳥居こうすけ君 | |
早坂 義弘君 | |
高橋 信博君 | |
岡本こうき君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 内藤 淳君 |
総務部長 | 後藤 啓志君 | |
病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 児玉英一郎君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
付託議案の審査(決定)
・第百七十四号議案 東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十五号議案 東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・諮問第四号 地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
・議員提出議案第十八号 東京都マタニティパスの交付等の助成に関する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について
○伊藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書一件につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。
○伊藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
これより付託議案の審査を行います。
第百七十四号議案、第百七十五号議案及び諮問第四号、地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について並びに議員提出議案第十八号を一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
この際、発言の申し出がありますので、これを許します。
○岡本委員 都民ファーストの会東京都議団を代表して、諮問第四号、地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について、本件審査請求は棄却が相当であるとする都知事の見解に賛成の立場から意見を述べます。
処分庁は、平成二十五年八月二十一日に、八万六千五百円について、同年七月に遡及して二十五条変更処分を行いましたが、この処分自体については、審査請求は行われていません。そのため、二十五条変更処分は、行政手続上確定しています。
そして、地方自治法第二百三十一条の三第一項には、納期限までに納付しない者があるときは、督促しなければならないと規定されており、義務規定となっています。このことからすれば、既に確定している二十五条変更処分を前提に行った督促処分である本件処分は、違法とはいえないと考えます。
この点、先行する二十五条変更処分に関して、仮に取り消し得べき瑕疵がある場合に、それを後続する督促処分である本件処分において主張することが認められるのかといった問題があります。
先行する行政行為に関して、審査請求や取り消し訴訟を提起せず、不服申し立て期間及び出訴期間が過ぎてしまっている以上、後続の処分においては、もはや、先行する行政行為の違法の主張は遮断されるといった議論があります。これは、行政法学上、違法性の承継といった論点で呼ばれ、さまざまな判例や議論が存するところです。
この点は、最終的に司法において判断されるべきと考えますが、差し当たり、我々としては、現時点では、違法性の承継の主張は認められず、先行する行政行為の不服申し立て期間の経過によって、その主張は遮断されると考えます。
次に、行政取消訴訟などの裁判過程においては、適法、違法が判断されるのに対して、行政上の不服申し立ての場合には、処分の当不当の問題まで判断対象とされていることから、次に、本件処分の当不当について意見を述べます。
この点、確かに、平成二十七年(行ウ)第六百二十五号、東京地裁、平成二十九年二月一日判決によって、処分庁が審査請求人に行った六十三条返還処分は違法であるとして取り消す旨の判決が確定していることに鑑みれば、本件処分についても、これを維持することは不当なのではないかとも思えるところであります。
すなわち、当該判決が、東京都西多摩福祉事務所長において、被保護者の資産や収入の状況、見通し、過支給費用の費消状況などを具体的に調査していないことなどを指摘して、六十三条返還処分が違法であると判断したことに鑑みれば、本件処分に先行する二十五条変更処分についても同様の理由で違法性があり、それを前提とした督促処分たる本件処分も、違法かはさておき、不当なのではないかと一見考える得るところではあります。
もっとも、六十三条返還処分と二十五条変更処分及び本件処分とは別の行政処分ですから、当該判決の既判力は本件処分には及びませんし、また、判決理由の事実上の拘束力はないわけではありませんが、地裁判決であって、最高裁判決や高裁判決に比べれば、拘束力が強いとはいえません。
当該判決の判断基準が今後も維持されるとは必ずしもいえません。当該東京地裁判決は、六十三条返還処分における行政実務の原則と例外を逆転させるものであろうと解されます。
行政実務、平成二十四年七月二十三日付厚生労働省社会・援護局保護課長通知では、六十三条返還処分において、〔1〕、まず原則は全額を返還対象とすることとし、〔2〕、例外的に、全額返還では当該被保護世帯の自立が著しく阻害される場合に、一部の控除を認める、原則は全額返還、例外が一部控除ということになっています。
これに対して、本件の東京地裁判決は、この原則と例外を逆転させて、行政側に、まず、被保護者の資産や収入の状況などを検討したことを立証せよというものだと解されます。当該判決は重要な意味を持つものと思いますが、その妥当性については、現時点で即断することはできず、今後の判例の集積を待つ必要があるものと思われます。
もともと法六十三条については、東京高裁、平成二十五年四月二十二日判決において、被保護者に対して最低限度の生活を保障するという保護の補足性の原則に反して生活保護費が支給された場合に、支給した生活保護費の返還を求めるものと解されており、さらに実務上、保護の実施機関が誤って不当に高額の決定をした場合も含まれると解されてきました。
生活保護の原資が税金であることに鑑みれば、過支給について、原則を全額返還に置くことも不当とはいえません。また、仮に、本件東京地裁判決の判断理由に則して考えた場合であっても、六十三条返還処分の場合と二十五条変更処分の場合とを比較してみると、六十三条の方では、過支給の全額の返還を義務づけた場合には、かなり高額にもなり得るために、保護の実施機関において返還を求める金額の決定をその裁量に委ねる必要性が観念され得るのに対して、二十五条変更処分では、さかのぼっての適用は、実務上、二カ月分あるいは三カ月分に限定されて運用されているとのことであって、金額の決定を裁量に委ねる必要性が高いとは必ずしもいえません。したがって、当該判決の判断理由が二十五条変更処分にもそのまま妥当するとはいえません。
また、生活保護法七十八条の、不実の申請その他不正な手段や偽りその他不正の行為の場合の徴収とは異なり、生活保護法二十五条や六十三条に基づく場合には、地方自治法第二百三十一条の三第一項に基づく督促処分が行われても、地方税の滞納処分のような強制的な徴収は実務上なされておらず、督促処分の後も、あくまで話し合いを通じて返還を求め、被保護者が窓口で返還するといった運用がなされていると聞いております。このこともあわせて考えれば、実質的な観点から、本件処分が不当とはいえません。
前述の東京地裁判決で指摘された調査検討すべきとされた事項について、各処分の前には行っていなかったとしても、処分の後に実質的に担保されていると考えることもでき、そうした実務の状況もあわせて考慮すれば、督促処分たる本件処分が不当とはいえません。
以上述べた理由を整理すると、まず、本件処分に先行する二十五条変更処分においては、審査請求が行われず、行政手続上確定していることから、本件処分は違法とはいえないこと。くだんの東京地裁判決の判断理由や判断基準が今後も維持されるとは限らないこと。生活保護の原資が税金であることに鑑みれば、過支給について、原則を全額返還に置くことも不当とはいえないこと。仮に、当該東京地裁判決の判断理由に則して考えた場合であっても、六十三条返還処分の場合と二十五条変更処分の場合とでは、金額や裁量の幅が異なり、判断理由が二十五条変更処分にも妥当するとは必ずしもいえないこと。督促処分が行われても、地方税の滞納処分のような強制的な徴収はなされていないという実務上の状況からすれば、実質的な観点から、本件処分が不当とはいえないこと。
以上の理由から、本件審査請求は棄却が相当であるとする都知事の見解に賛成します。
なお、審査請求については以上のとおりですが、本件事案について意見を付言いたします。
本件事案は、あくまで東京都の過誤によって過支給が生じたものであり、審査請求人は誠実に児童扶養手当を申告していたのであり、審査請求人に落ち度はありません。このことも踏まえて、本件処分が有効であったとしても、引き続き、強制的な対応はせず、審査請求人の心情面にも配慮した丁寧な対応がなされるよう要望いたします。
以上です。
○藤田委員 私からも一言意見を述べさせていただきます。
東京都マタニティパス交付等の助成に関する条例についてです。
昨日の委員会で提案理由の説明があったとおり、この条例は、妊産婦の方に五千五百円分をチャージした交通系ICカードを交付するものです。
既に独自の事業として実施している葛飾区では、このパスの交付事業開始以降、ゆりかご・とうきょうを活用した妊婦面談の実績がふえているということです。区民からも喜ばれているという話も聞いています。
出産の不安や子育ての悩みに寄り添い、妊娠届の段階でしっかりと支援のつながりをつくることは、子育て世代の暮らしの困難さを早い段階で把握し、支えるために重要だと考えます。妊娠中の妊婦健診や外出の機会をふやすとともに、出産後のさまざまな支援につなぐきっかけとしての役割も果たすものとして賛成の意見を表明するとともに、各会派の皆さんにご賛同を心から呼びかけるものです。
○伊藤委員長 発言は終わりました。
これより採決を行います。
初めに、議員提出議案第十八号を採決いたします。
本案は、起立により採決いたします。
本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、議員提出議案第十八号は否決されました。
次に、諮問第四号、地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問についてを採決いたします。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、棄却すべき旨答申することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立多数と認めます。よって、諮問第四号は棄却すべき旨を答申することに決定いたしました。
次に、第百七十四号議案及び第百七十五号議案を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、第百七十四号議案及び第百七十五号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
以上で付託議案の審査を終わります。
○伊藤委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○伊藤委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、堤病院経営本部長から発言を求められておりますので、これを許します。
○堤病院経営本部長 お許しをいただきまして、当委員会所管両局を代表いたしまして、一言御礼のご挨拶を申し上げます。
本定例会でご提案申し上げておりました議案につきましては、ただいまご決定を賜り、まことにありがとうございました。
また、この一年間、伊藤委員長を初め委員の皆様方には、私どもが所管しております事務事業につきまして、さまざまな視点からご審議をいただき、厚く御礼を申し上げます。
この間に頂戴いたしました貴重なご意見、ご指摘等につきましては、十分に尊重させていただき、今後の事業運営に生かしてまいります。
今後とも、より一層のご指導、ご鞭撻をお願いいたしまして、御礼のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○伊藤委員長 発言は終わりました。
この際、私からも一言ご挨拶を申し上げます。
昨年の八月から厚生委員会委員長を務めさせていただきました。桐山副委員長、和泉副委員長を初め、各会派の理事、委員の皆様、また、福祉保健局、病院経営本部両局の理事者の皆様と、東京の福祉、医療を進めるための活発で有意義な議論を本委員会でさせていただきました。心から御礼申し上げます。
この一年間を通じて、福祉保健局関係では、国保制度改正、児童虐待や受動喫煙防止対策など、病院経営本部関係では、多摩メディカルキャンパスや都立病院新改革実行プランなど、さまざま充実した議論を進めることができたと思います。
とりわけ、第二回定例会では、障害者差別解消条例のほか、限られた時間の中で、受動喫煙防止条例について、参考人をお呼びしてご意見を伺うなど、深く議論できましたことは、皆様のおかげでございます。
意見書についても、児童虐待の防止に関する意見書や、旧優生保護法下での被害者救済に関する意見書を、各会派の皆様のご協力のもと、共同提案によって意見書をまとめられたことは非常に重要であると考えております。
都民の生活に密着し、幅広く医療や福祉を所管する厚生委員会の役割は、今後ますます重要になると思っております。両局長を初め、執行機関の皆様には、都民のため、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
最後になりましたが、中田書記を初め、議会局の皆様にも大変にお世話になりましたこと、心から御礼申し上げます。この一年間、大変にありがとうございました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後一時十六分散会
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