厚生委員会速記録第十一号

平成三十年九月十八日(火曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長伊藤こういち君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長和泉なおみ君
理事古城まさお君
理事菅原 直志君
理事小宮あんり君
藤田りょうこ君
龍円あいり君
鳥居こうすけ君
つじの栄作君
遠藤  守君
高橋 信博君
岡本こうき君
鈴木 章浩君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長内藤  淳君
次長理事兼務松川 桂子君
技監矢内真理子君
総務部長後藤 啓志君
指導監査部長村田 由佳君
医療政策部長矢沢 知子君
保健政策部長成田 友代君
生活福祉部長坂本 尚史君
高齢社会対策部長粉川 貴司君
少子社会対策部長谷田  治君
障害者施策推進部長松山 祐一君
健康安全部長高橋 博則君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務奈良部瑞枝君
事業推進担当部長古賀 元浩君
医療改革推進担当部長田中 敦子君
医療政策担当部長花本 由紀君
地域保健担当部長本多由紀子君
子供・子育て施策推進担当部長加藤 みほ君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長野口 俊久君
感染症危機管理担当部長吉田 道彦君
病院経営本部本部長堤  雅史君
経営企画部長児玉英一郎君
サービス推進部長山口  真君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務樋口 隆之君
計画調整担当部長末村 智子君

本日の会議に付した事件
理事の互選
病院経営本部関係
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
・土地信託契約の更新について
福祉保健局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・東京都立川福祉保健庁舎(三十)改築工事請負契約
・都立東大和療育センター(三十)改修工事請負契約
・都立東大和療育センター(三十)改修空調設備工事請負契約
・都立東大和療育センター(三十)改修電気設備工事請負契約
・都立東大和療育センター(三十)改修給水衛生設備工事請負契約
・地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
・第二期中期目標期間地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について
・平成二十九年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について
請願陳情の審査
(1)三〇第六号 東京都シルバーパス制度の改善を求めることに関する請願
(2)三〇第二四号 認可保育所「東新小岩六丁目保育園(仮称)」の建設及び区政の在り方に関する陳情
(3)三〇第二九号の一 別居・離婚後の親子の断絶を防止するための職員研修等を求めることに関する陳情
(4)三〇第三四号 東京都受動喫煙防止条例に関して、原則禁煙を確認する決議等を求めることに関する陳情
(5)三〇第四〇号 陳情三〇第二〇号の一の平成三十年第三回定例会中の議決を求めることに関する陳情
(6)三〇第四一号 東京都障害者グループホーム支援事業(都加算制度)に関する陳情

○伊藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、このたびの平成三十年七月豪雨及び平成三十年北海道胆振東部地震により被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
 ここにお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと思います。
 皆さん、ご起立をお願いいたします。
 黙祷。
   〔全員起立、黙祷〕

○伊藤委員長 黙祷を終わります。ご着席ください。

○伊藤委員長 次に、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る九月六日付けをもって、当委員会から山内晃議員が公営企業委員会に、また、九月十四日付けをもって、加藤雅之議員が公営企業委員会に所属変更になり、新たに菅原直志議員及び遠藤守議員が公営企業委員会から当委員会に所属変更になった旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員をご紹介いたします。
 菅原委員です。

○菅原委員 菅原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○伊藤委員長 遠藤委員です。

○遠藤委員 遠藤です。よろしくお願いします。

○伊藤委員長 紹介は終わりました。

○伊藤委員長 次に、山内晃議員及び加藤雅之議員の所属変更に伴い、理事二名が欠員となりましたので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○岡本委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○伊藤委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、理事には菅原直志委員及び古城まさお委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。理事には菅原直志委員及び古城まさお委員が当選されました。

○伊藤委員長 次に、議席についてお諮りいたします。
 議席については、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項の聴取並びに福祉保健局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、本日は、提出予定案件及び報告事項につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、病院経営本部長に交代がありましたので、ご挨拶があります。
 病院経営本部長に就任されました堤雅史君をご紹介いたします。

○堤病院経営本部長 去る七月九日付けで病院経営本部長に着任をいたしました堤雅史でございます。
 伊藤委員長初め委員の皆様方には、日ごろから病院事業につきましてご指導、ご鞭撻を賜りまして、まことにありがとうございます。
 病院経営本部は、医療環境の変化に的確に対応し、福祉保健局とも密接に連携しながら、都民の皆様に安全・安心の医療を提供してまいる所存でございます。
 今後とも、一層のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員長 挨拶は終わりました。

○伊藤委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 私債権の放棄について外一件について報告を聴取いたします。

○児玉経営企画部長 東京都債権管理条例第十三条に基づき、病院経営本部が平成二十九年度に実施した私債権の放棄についてご報告させていただきます。
 お手元配布の資料、厚生委員会報告事項1、私債権の放棄についてでございます。
 一ページをお開き願います。平成二十九年度に放棄した私債権は、東京都立広尾病院診療料等でございます。
 恐れ入りますが、一五ページをお開き願います。放棄した私債権は合計三百八十二件、金額は二千四百九十八万四千四百八十八円でございます。
 当該債権は、広尾病院を初めとする都立病院を受診した際にかかった診療料や分娩料等でございまして、平成十二年度から平成二十六年度までに発生し、債務の履行が滞っていた債権でございます。
 債務者に対し、催告、交渉、各種調査など、徴収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、これまでの徴収努力の状況を踏まえると実質的に回収不能であり、また、当該債権の消滅時効に係る時効期間が経過したことから、時効の援用が見込まれます。
 また、債務者については、行方不明などの状態で、援用の確認を得ることができないため、平成三十年三月に放棄を実施したところでございます。
 以上、私債権の放棄についてご報告申し上げます。
 続きまして、土地信託契約の更新についてご報告させていただきます。
 お手元配布の資料、厚生委員会報告事項2、土地信託契約の更新についてでございます。
 一七ページをお開き願います。本件は、新宿区歌舞伎町二丁目四百六十一番一及び四百六十一番三の土地信託契約を継続するに際し、信託期間を更新する契約に係るものでございます。
 更新の内容でございますが、信託期間を契約締結の日から平成三十五年六月二十九日までとするものでございます。
 以上、土地信託契約の更新についてご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。

○伊藤委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○藤田委員 三点、資料をお願いします。
 一つ目、都立病院における未収金回収に係る弁護士委任の実績、五年間。
 二つ目に、私債権放棄した件数のうち、無保険、資格証、短期被保険者証の各件数と金額。
 三つ目に、大久保病院建物賃料等及び東京都健康プラザ土地信託事業における信託配当金等の推移、平成二十五年度以降をお願いいたします。

○伊藤委員長 ただいま藤田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○伊藤委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 横手事業調整担当部長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、先般の人事異動に伴い、福祉保健局長に交代がありましたので、ご挨拶があります。
 福祉保健局長に就任されました内藤淳君をご紹介いたします。

○内藤福祉保健局長 七月九日付けで福祉保健局長に着任いたしました内藤淳でございます。前職の病院経営本部長時代に引き続きまして、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、私ども福祉保健局では、急激に変化する社会環境に迅速かつ的確に対応し、都民が安心して暮らし続けられるよう、大都市東京にふさわしい福祉、保健、医療施策を積極的に展開し、さらなる充実を目指していく所存でございます。
 伊藤委員長初め委員の皆様方のご指導、ご鞭撻のほど何とぞよろしくお願いいたします。

○伊藤委員長 挨拶は終わりました。

○伊藤委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○内藤福祉保健局長 平成三十年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回、ご審議をお願いいたします議案は、条例案二件と契約案五件、諮問一件でございます。
 初めに、条例案でございますが、医療法施行規則等の改正に伴うもの、東京都足立児童相談所の移転に伴うものでございます。
 次に、契約案についてでございますが、東京都立川福祉保健庁舎の建設を行うものなどがございます。
 最後に、諮問についてでございますが、地方自治法第二百三十一条の三第七項の規定に基づくものでございます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらさせていただきます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○後藤総務部長 それでは、私から、平成三十年第三回東京都議会定例会に提出を予定しております議案の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、条例案でございます。
 お手元の資料、平成三十年第三回東京都議会定例会条例案の概要をごらんください。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。
 まず、整理番号1、東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 国の医療法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令の施行によります医療法施行規則等の改正に伴いまして、介護医療院から業務を委託されました者が行います検体検査の精度確保に関する基準について準用する規定を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十年十二月一日を予定しております。
 続きまして、整理番号2、東京都児童相談所条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都足立児童相談所の移転に伴いまして、位置を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十年十二月三日を予定してございます。
 そのほか条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成三十年第三回東京都議会定例会条例案をごらんいただきたいと存じます。
 続きまして、契約案について申し上げます。
 お手元の資料、平成三十年第三回東京都議会定例会契約案の概要をごらんください。
 今回の福祉保健局関係の契約案は、全て工事請負契約でございます。
 まず、それぞれの工事の概要をご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページでございます。東京都立川福祉保健庁舎(三十)改築工事でございます。
 多摩立川保健所、健康安全研究センター広域監視部食品監視第二課及び立川児童相談所それぞれの庁舎の老朽化が進んでおりましたため、多摩立川保健所の改築に際しまして、これらの機能を集約化して、東京都立川福祉保健庁舎を整備するものでございます。
 工事場所は、立川市柴崎町二丁目二十一番十九号でございます。敷地面積は、三千六百八十九・三三平方メートルでございます。建物の構造、階数は、鉄骨造、地上四階建てとなっておりまして、延べ床面積は四千八百六十四・九六平方メートルでございます。
 次の二ページに施設の案内図、隣の三ページに配置図をそれぞれ記載してございます。
 一枚おめくりいただきまして、四ページからが都立東大和療育センター(三十)改修工事外三件でございます。
 都立東大和療育センターは、平成四年に開設いたしました重症心身障害児施設でございますけれども、経年による劣化が進んでおりますため、改修工事を行うものでございます。
 工事場所は、東大和市桜が丘三丁目四十四番地の十でございます。敷地面積は、三万四千九百九十九平方メートルでございます。建物の構造、階数は、鉄筋コンクリート造、地下一階地上五階塔屋一階建てでございます。
 建物の延べ床面積は、一万三千六百六十・七二平方メートルでございます。
 次の五ページに施設の案内図、一枚おめくりいただきまして、六ページに配置図を記載してございます。
 隣の七ページからは、今回ご審議いただきます工事請負契約の概要をお示ししてございます。
 まず、上段の東京都立川福祉保健庁舎(三十)改築工事請負契約でございますけれども、契約金額は十三億八千二百四十万円で、契約の相手方は株式会社加賀田組でございます。工期は、契約確定の日から平成三十二年八月三十一日まででございます。
 次に、中段の都立東大和療育センター(三十)改修工事請負契約でございますけれども、契約金額は九億五千四十万円で、契約の相手方はY・K・N株式会社でございます。工期は、契約確定の日から平成三十二年八月三十一日まででございます。
 下段の都立東大和療育センター(三十)改修空調設備工事請負契約でございますけれども、契約金額は十二億三千五百五十二万円で、契約の相手方は日本設備工業株式会社でございます。工期は、契約確定の日から平成三十二年八月三十一日まででございます。
 一枚おめくりいただきまして、八ページをごらんいただきたいと思います。
 上段の都立東大和療育センター(三十)改修電気設備工事請負契約でございますけれども、契約金額は十一億五千七百七十六万円で、契約の相手方は株式会社中電工でございます。工期は、契約確定の日から平成三十二年八月三十一日まででございます。
 下段の都立東大和療育センター(三十)改修給水衛生設備工事請負契約でございますけれども、契約金額は十億八千百八万円で、契約の相手方は三機工業株式会社でございます。工期は、契約確定の日から平成三十二年八月三十一日まででございます。
 契約の方法その他につきましては記載のとおりでございます。
 なお、九ページ以降に議案の内容を記載してございますので、ごらんいただければと存じます。
 最後に、審査請求に関します諮問についてご説明を申し上げます。
 お手元の「地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について」関係資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページに諮問文、さらにもう一ページおめくりいただきますと、二ページに別紙としておりますけれども、審査請求の趣旨等を記載してございます。
 隣の三ページをごらんいただきたいと思います。以下、諮問の詳細につきましてご説明をいたします。
 一は、審査請求人の氏名でございます。
 二、審査請求の年月日は平成二十九年十一月九日でございます。
 三、審査請求の趣旨及び理由でございます。
 まず、(一)、審査請求の趣旨といたしましては、東京都西多摩福祉事務所長、これを以下、処分庁と略しますけれども、これが審査請求人、こちらも以下、請求人と略しますけれども、これに対して、平成二十九年八月十四日付けで行いました地方自治法第二百三十一条の三第一項の規定に基づきます督促処分の取り消しを求めるものでございます。
 (二)に審査請求の理由を記載してございますけれども、児童扶養手当の収入認定漏れと冬季加算の削除漏れによりまして、請求人に対する保護費に過支給が生じましたため、処分庁は、生活保護法第六十三条の規定に基づきます費用返還決定処分、以下、六十三条返還処分と略しますけれども、これと保護変更決定処分の二つの処分に分けて請求人に返還を求めました。
 このうち、六十三条返還処分は、違法であるとして取り消す旨の判決が確定いたしましたため、児童扶養手当の収入認定漏れと冬季加算の削除漏れという同一の事実を原因とし、目的も共通である保護変更決定処分についても取り消さなければならないものであったにもかかわらず、処分庁が、保護変更決定処分が適法であることを前提に、後続処分として行った本件処分は、違法、不当であるというものでございます。
 四ページをお開きいただきたいと思います。四、経緯でございます。
 (一)にありますように、処分庁は、平成二十二年二月二十六日、請求人に対して、生活保護法による保護を開始いたしましたけれども、平成二十四年五月から平成二十五年八月までの児童扶養手当の収入認定漏れ及び平成二十五年四月から同年七月までの冬季加算の削除漏れがあり、過大に支給されていることを平成二十五年八月二十日に確認いたしました。
 (二)、処分庁は、平成二十五年八月二十一日、過大に支給された保護費のうち、遡及が可能な限度として考えられた平成二十五年七月及び八月の二カ月分について、同年七月に遡及して児童扶養手当の収入認定及び冬季加算の削除を行う旨の生活保護法第二十五条第二項に基づきます保護変更決定処分、以下、二十五条変更処分と略しますけれども、これを行いますとともに、それ以前の平成二十四年五月から平成二十五年六月分につきまして、六十三条返還処分を行い、それぞれの処分ごとに納入通知書を請求人宛て送付いたしました。
 (三)、請求人は、平成二十五年十月十八日、東京都知事に対して六十三条返還処分の取り消しを求める審査請求を行いましたが、東京都知事は、平成二十六年三月十七日、これを棄却する旨の裁決を行いました。
 (四)、請求人は、平成二十六年四月十四日、厚生労働大臣に対して六十三条返還処分の取り消しを求める行政不服審査法に基づく再審査請求を行いましたけれども、厚生労働大臣は、平成二十七年四月二十二日、これを棄却する旨の裁決を行いました。
 (五)、処分庁は、平成二十六年六月十日、審査請求の提起がされていない二十五条変更処分に基づく過支給分が納期限を過ぎても納付がなかったため、改めて平成二十六年六月二十四日を納期限として納入通知書を請求人宛て送付いたしました。
 五ページになります。(六)、請求人は、平成二十七年十月二十一日、六十三条返還処分の取り消しを求める訴訟を提起し、平成二十九年二月一日、請求人勝訴の判決がいい渡され、これが確定したことによりまして、六十三条返還処分は取り消されました。
 (七)、処分庁は、二十五条変更処分に基づく過支給分が、納期限を過ぎても納付がなかったため、平成二十九年八月十四日付けで、地方自治法第二百三十一条の三第一項の規定に基づく督促状を、同年八月二十四日を納期限として請求人宛て送付いたしました。
 (五)、審査請求に対する見解でございます。
 地方自治法第二百三十一条の三第一項では、分担金、使用料、加入金、手数料及び過料その他の普通地方公共団体の歳入を納期限までに納付しない者があるときは、普通地方公共団体の長は、期限を指定してこれを督促しなければならないとしております。そして、東京都分担金等に係る督促及び滞納処分並びに延滞金に関する条例では、分担金等を納期限までに納付しない者があるときは、督促状を発行して督促し、督促状にはその発行から十五日以内において納付すべき期限を指定するとしております。
 これを本件について見ますと、処分庁は、二十五条変更処分について、請求人に対して納入通知書を二回送付いたしましたけれども、請求人が二回目の納期限である平成二十六年六月二十四日までに納付しなかったため、平成二十九年八月十四日付けで、納期限を同年八月二十四日に指定して督促したものであり、本件処分に違法または不当な点は認められません。
 請求人は、六十三条返還処分が違法であるとして取り消す旨の判決が確定したため、これと一体である二十五条変更処分についても、取り消されなければならず、二十五条変更処分が適法であるとの前提に行った本件処分は、違法、不当であると主張しております。
 しかし、二十五条変更処分と六十三条返還処分は、根拠条文及び処分内容が異なり、一体の行政処分とはいえないため、六十三条返還処分を取り消す旨の判決により二十五条変更処分の効力が否定されたと解することはできません。
 二十五条変更処分と本件処分につきましても、根拠法令を異にし、それぞれ目的及び効果を異にする別個の手続による行政処分でございますため、二十五条変更処分の違法性の有無は、本件処分の効力に影響を及ぼすものではございません。
 以上によりまして、本件審査請求には理由がないことから、棄却が相当であると考えております。
 以上で今回提出予定議案のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○藤田委員 資料をお願いいたします。
 児童扶養手当の収入認定漏れと冬季加算の削除漏れにより請求人に対する保護費に過支給が生じた事例、自治体ごとの件数をお願いいたします。

○伊藤委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○伊藤委員長 速記を再開してください。

○伊藤委員長 ただいま藤田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○伊藤委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 私債権の放棄について外二件について報告を聴取いたします。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都債権管理条例第十三条に基づき、福祉保健局が平成二十九年度に実施いたしました私債権の放棄についてご報告させていただきます。
 お手元の資料、厚生委員会報告事項の表紙をおめくりいただき、一ページをごらんいただきたいと存じます。
 当局におきまして平成二十九年度に放棄いたしました私債権は合計七件で、金額は百十一万七千五百九十三円でございます。
 表の番号1の東京都同和応急生活資金貸付金でございますが、この制度は、歴史的、社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域等に居住している方に対し、同和問題の解決に資することを目的に資金を貸与しているもので、今回放棄する案件は、昭和五十一年度に貸与したものでございます。
 次に、番号2及び3の東京都女性福祉資金貸付金でございますが、この制度は、女性の経済的自立と生活意欲の助長を図り、福祉の増進を図ることなどを目的として資金を貸与しているものでございまして、今回放棄する案件は、昭和五十一年度に貸与したものでございます。
 次に、番号4から7までの東京都母子及び父子福祉資金貸付金でございますが、この制度は、母子、父子家庭に対して経済的自立、扶養されている子供の福祉の増進を図ることなどを目的に資金を貸与しているもので、今回放棄する案件は、平成六年度及び十一年度に貸与したものでございます。
 これら七件のいずれも、債務者や連帯保証人等に対しまして催告を行うなど、回収に向けて鋭意努力を重ねてまいりましたが、死亡や行方不明等により実質的に回収不能となったものでございます。
 また、これらの債権は、消滅時効に係る時効期間が既に経過しておりますとともに、債務者等が死亡や行方不明等の状態で、時効の援用の確認を得ることができないことから、平成三十年三月に債権の放棄を実施したものでございます。
 以上が私債権の放棄についての報告でございます。

○粉川高齢社会対策部長 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの平成二十五年度から二十九年度までの第二期中期目標期間の業務実績評価及び平成二十九年度単年度の業務実績評価につきましてご報告申し上げます。
 お手元の資料、厚生委員会報告事項より、第二期中期目標期間地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価の概要をごらんください。
 まず、資料の八ページをお開きください。地方独立行政法人制度の概要を記載しております。
 1の地方独立行政法人の定義でございますが、地方独立行政法人法に基づき、地方公共団体の対象事業のうち、民間の主体に委ねては確実な実施が確保できないおそれがあるものを効率的、効果的に行わせるため、地方公共団体が設置する法人となっております。
 2の地方独立行政法人制度の仕組みと議会との関係でございますが、資料右側の括弧書きにありますように、議決事項、条例事項、報告事項の三つに分類して列挙しております。
 今回は、このうち、〔2〕、目標による管理及び評価の二つ目の項目、知事が法人の業務実績を評価という項目につきまして、議会に対しご報告するものでございます。
 三ページにお戻りください。1の評価制度の概要でございますが、法人の業務実績につきましては、地方独立行政法人法及び東京都地方独立行政法人評価委員会条例に基づき、知事は、外部有識者十七名で構成される東京都地方独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で評価を行うこととなっております。健康長寿医療センターにつきましては、この評価委員会に置かれた三つの分科会の一つである高齢者医療・研究分科会に意見を聞いております。
 次に、2の評価方針と手順でございます。
 法人が作成しました中期計画の事業の達成状況を確認すること、法人の業務運営の改善、向上に資することなどを評価の基本方針とし、法人から提出された業務実績等報告書をもとに、法人に対するヒアリング等を実施するとともに、評価委員会から意見を聴取しております。
 3の評価結果の概要でございますが、評価は、項目別評価と全体評価について実施をしております。
 まず、項目別評価につきましては、高齢者の特性に配慮した医療の確立と提供、高齢者の健康の維持・増進と活力の向上を目指す研究などの分野における中期計画の計二十項目につきまして、事業の達成状況、成果を五段階で評価しております。その結果は、資料三ページ目の枠内に、(1)、項目別評価としてお示しをしております。
 全二十項目のうち、評定S、中期目標の達成状況が極めて良好であるとしましたのは、救急医療の充実、先進的な老化研究の展開・老年学研究におけるリーダーシップの発揮の二項目。評定A、中期目標の達成状況が良好であるとしましたのは、血管病医療など八項目。評定B、中期目標の達成状況がおおむね良好であるとしましたのは、地域連携の推進など十項目。評定C、中期目標の達成状況がやや不十分である、及び評定D、中期目標の達成状況が不十分であり、法人の組織、業務等に見直しが必要であるとした項目はございませんでした。
 次に、四ページ目をお開きください。(2)、全体評価でございます。
 全体評価は、項目別評価を基礎とし、法人の中期計画の達成状況全体について評価をしております。
 アの総評としましては、平成二十五年度から平成二十九年度までの第二期中期目標期間において、おおむね着実な業務の達成状況にあると評価をしております。
 具体的には、病院事業につきましては三つの重点医療について、難易度の高い鑑別診断や低侵襲な治療を提供したことや、救急診療体制の充実に継続的に取り組み、救急患者を積極的に受け入れ、二十四時間三百六十五日、都民が安心できる救急医療を提供したこと、研究事業につきましては、病院と研究所を一体的に運営する法人の特徴を生かした研究や、高齢者に特有な疾患、生活機能障害の研究を進め、機序解明や臨床応用に結びつく成果を上げたこと、中でも福山型筋ジストロフィー症を含めた糖鎖異常症に係る研究成果に関し日本学士院賞を受賞するなど、難病の根本的な治療開発への寄与が期待される高い成果を上げたことを評価しているほか、さらなる地域連携の強化や、研究成果の普及、社会還元、内部統制の強化に向けた体制の整備、取り組みの充実、収支改善に向けた取り組みに期待するとしております。
 イの都民に提供するサービス及びその他の業務の質の向上に関する事項の高齢者の特性に配慮した医療の確立と提供、地域連携の推進につきましては、高齢者がん医療について、低侵襲ながんの鑑別診断や治療を推進したほか、緩和ケア病棟の新設、がん相談支援センターの設置など、患者、家族が安心して療養生活を営む環境を整備し、がん医療の充実に努めたこと、高齢者の健康の維持・増進と活力の向上を目指す研究につきましては、病院と研究所が連携して研究を行い、これまで悪性度判定が困難であった症例に対して、染色体のテロメア長測定技術を利用し判定する膵臓がん悪性度診断法を確立するなど、臨床応用に結びつく成果を上げたことなどを評価しております。
 五ページ目をお開きください。ウの法人の業務運営及び財務状況に関する事項としましては、機動的な経営判断や弾力的な人員配置などが可能である地方独立行政法人の特性を生かし、診療情報の分析や経営戦略の検討を行う医療戦略室を新たに設置するなど、効果的、効率的な業務の推進を図ったことなどを評価しております。
 エの第三期中期目標期間の運営に向けてとしましては、都における高齢者医療研究の拠点として、その成果の普及、還元を強力に推し進めるとともに、医療研究で培った知見を踏まえ、高齢者の医療と介護を支える人材の育成を一層推進することが求められるなどとしております。
 以上が第二期中期目標期間評価結果の主な内容でございますが、詳細は、お手元の資料、第二期中期目標期間地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価書をごらんいただきたいと存じます。
 続きまして、お手元の資料六ページ、平成二十九年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価の概要をごらんください。
 1の評価制度の概要と2の評価方針と手順につきましては、先ほどご報告いたしました第二期中期目標期間の業務実績評価とほぼ同じでございます。
 3の評価結果の概要でございますが、評価は、第二期中期目標期間の評価と同じく、項目別評価と全体評価について実施をしております。
 まず、項目別評価でございますが、全二十項目につきまして、資料六ページ目の枠内に、(1)、項目別評価として示しております。
 評定S、年度計画を大幅に上回って実施しているとしましたのは、救急医療の充実の一項目。評定A、年度計画を上回って実施しているとしましたのは、血管病医療など九項目。評定B、年度計画をおおむね順調に実施しているとしましたのは、地域連携の推進など十項目。評定C、年度計画を十分に実施できていない、及び評定D、業務の大幅な見直し、改善が必要であるとした項目はございませんでした。
 次に、七ページ目をお開きください。(2)、全体評価でございます。
 アの総評としましては、全体として年度計画を順調に実施しており、おおむね着実な業務の進捗状況にあると評価をしております。
 具体的には、三つの重点医療につきまして、最新の機器と高度な技術を活用した鑑別診断や低侵襲な治療の提供に努めたほか、地域の医療機関等との連携に基づき、高齢者が地域で安心して生活できるよう、医療体制を強化したこと、中でも、二次救急医療機関及び東京都地域救急医療センターとして、救急患者の積極的な受け入れに努め、救急医療の実績を伸ばしたこと、研究事業につきましては、病院と研究所を一体的に運営する法人の特徴を生かした研究が進められ、臨床応用や実用化につながる成果を上げたこと、また、高齢者が安心して生活するための社会環境づくりに関して、さまざまな視点から研究に取り組み、成果を還元したことを評価しております。
 なお、地方独立行政法人法の改正趣旨を踏まえ、より適正な業務の確保に向けて、内部統制のさらなる強化に努めてほしいとしております。
 イの都民に提供するサービス及びその他の業務の質の向上に関する事項としましては、センターにおける長年の疫学研究の成果を中心に健康長寿新ガイドラインを策定、発表するなど、研究成果の普及や社会還元を図ったことなどを評価しております。
 また、ウの法人の業務運営及び財務状況に関する事項としましては、病院部門における新入院患者の確保や新たな施設基準の取得、研究部門における積極的な外部資金獲得などにより収入の確保に努めたことなどを評価しております。
 エの中期目標・中期計画の達成に向けた課題、法人への要望としましては、平成三十年度が第三期中期目標期間の初年度となることを踏まえ、目標達成に向けて、第三期中期計画に基づき初年度から着実に成果を上げていくことが重要である、医療研究を取り巻く社会状況を踏まえながら、都における高齢者医療研究の拠点として、その役割を着実に果たすとともに、目標達成に向けた一層の発展を目指して職員一丸となって取り組むことを期待するとしております。
 以上が平成二十九年度評価結果の主な内容でございますが、詳細は、お手元の資料、平成二十九年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価書をごらんいただきたいと存じます。
 説明は以上です。

○伊藤委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○藤田委員 八点の資料をお願いいたします。
 一つ目は、地方独立行政法人健康長寿医療センターの職種別職員数の推移。
 二つ目、地方独立行政法人健康長寿医療センターの診療科別医師数。
 三つ目、地方独立行政法人健康長寿医療センターの経営指標の推移。
 四つ目、地方独立行政法人健康長寿医療センターのその他医業収益の推移と内訳。
 五つ目、地方独立行政法人健康長寿医療センターに対する運営費負担金及び運営費交付金の推移。
 六つ目、地方独立行政法人健康長寿医療センターにおける患者の退院先別人数の推移。
 七つ目、地方独立行政法人健康長寿医療センターにおける個室使用料の推移。
 八つ目、地方独立行政法人健康長寿医療センターにおける職種別人材紹介会社への支払い金額の推移。
 以上です。

○伊藤委員長 ただいま藤田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○伊藤委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願三〇第六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○粉川高齢社会対策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明いたします。
 整理番号1番、請願三〇第六号、東京都シルバーパス制度の改善を求めることに関する請願は、日野市の三多摩格差をなくす会代表の佐藤好二さん外千百七人から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいといたしまして、第一に、多摩都市モノレールでシルバーパスが利用できるようにすること。
 第二に、シルバーパスの発行に要する費用負担額を、三千円、五千円など所得段階に応じて、新たに設定することというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 一点目につきましては、シルバーパス事業は、高齢者の社会参加を助長するために、利用を希望する方に一般社団法人東京バス協会がパスを発行し、都が補助を行うものでございます。
 パスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例により定められており、路線バスと都営交通となっております。
 二点目につきましては、本事業は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年に、都民の理解を得て見直しを行い、利用者の所得に応じて、区市町村民税非課税の方は千円、課税の方は二万五百十円の利用者負担をいただいております。
 なお、平成十八年度から、課税であっても合計所得金額が百二十五万円以下の方には、税制改正に伴う経過措置として、千円でパスを発行しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○桐山委員 それでは、請願三〇第六号、東京都シルバーパス制度の改善を求めることに関する請願について質問をさせていただきます。
 シルバーパスは、高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上に寄与するものであり、七十歳以上の都民に、住民登録をされている方に、東京都シルバーパスを発行されております。
 平成二十八年度には約九十八万枚を交付され、都は、実施主体であります東京バス協会に対しまして約百七十三億円余を補助しております。このように、シルバーパスは広く都民に活用されている現状でございます。
 そこで、一点質問させていただきますが、シルバーパスについては、一般社団法人東京バス協会や区市町村の協力を得て、今年度調査を実施すると伺っております。調査の内容は、都民から寄せられた声を反映したものとすべきと考えておりますが、都民からは、これまでどのような意見やご要望が寄せられているのか、お伺いをいたします。

○粉川高齢社会対策部長 都民からは、シルバーパス制度について、利用者負担額に階層を設けるべき、二万五百十円の負担額が高い、非課税者の負担額を値上げすべき、世帯の所得状況も考慮すべきなど、さまざまな意見や要望が寄せられております。
 調査に当たりましては、これらの意見や要望を参考としてまいります。

○桐山委員 ご答弁ありがとうございます。
 現在、シルバーパスは、区市町村民税が非課税の方は千円、課税の方は二万五百十円となっております。
 シルバーパスは、以前は、高齢者福祉事業の一環として、無償で配布をされていたという経緯がございまして、非課税の場合の負担が抑えられ、現在の制度となっているということは十分認識をしているところでございます。
 また、このシルバーパスが九割方、今の、現在非課税の方が多いという現実、そして、年金受給者や低所得者にとっては必要とされる制度ともいわれているこの制度、しかしながら、冒頭に申し上げましたように、補助金として、百七十三億円余もの負担というものが、今後、超高齢社会到来とともに、財政負担の推移というものも、年々三億から五億負担増になることも懸念をしております。
 答弁をいただいたように、都民から多様な意見と要望があることは理解をさせていただきましたので、今後、この調査に当たりましては、これらの声をしっかり生かしていただきまして、利用実態が把握できるよう、効果的な調査になるよう要望をさせていただきまして、質問を終わります。

○古城委員 私からも、請願三〇第六号に関連して質問をさせていただきます。
 わが党の主張でシルバーパス制度が導入されたのは一九七四年、以来、公明党はこの制度の堅持を一貫して主張し、存続させてきました。
 現在、シルバーパスは、七十歳以上の都民の皆さんの社会参加を促進するもので、多くの方々に活用されています。近年、高齢者ドライバーによる事故が相次ぎ、運転免許証を自主返納する方々も年々ふえつつあり、シルバーパスは、都民の皆様の足を支える、より重要なものとなっています。
 こうした中、所得に応じた負担額の段階的な軽減、また、適用対象路線の範囲拡大など、都民の皆様からさまざまな声をお寄せいただいております。
 このため、わが党は、ことしの第一回定例会の代表質問で、シルバーパス制度を持続可能なものとするため、まずは、その利用状況について実態調査を行うべきとの提案を行いました。これに対して、知事から、利用実態を含めたシルバーパス制度に関する調査の実施について、大変前向きな答弁をいただきました。
 そこで、シルバーパスに関して、都が実施する調査はどのような内容であるか、まず伺います。

○粉川高齢社会対策部長 今年度実施しますシルバーパスに関する調査は、制度を持続可能なものとすることを目的とし、パスを利用している七十歳以上の高齢者一万人を対象とした利用者実態調査及びパス利用の有無にかかわらず、高齢者を含む二十歳以上の都民一万七千人を対象とした制度のあり方調査を、いずれも郵送によるアンケート形式で行うものでございます。

○古城委員 ありがとうございます。ただいまご答弁いただきました内容ですと、一万人規模の利用者実態調査と一万七千人規模の制度のあり方調査、この二つの調査を行うとのことでございます。そして、その目的としては、持続可能な制度としていく、このようなことが挙げられておりました。
 利用者実態調査については、シルバーパスの利用対象交通機関である路線バスと都営交通では、既に交通ICカードの利用が大変多くなってきている、こういう現状も踏まえて、シルバーパスについても、交通ICカードの活用を求める声をお聞きすることもございます。この点については、改札や必要機器の整備、改修が必要となり、多額の費用を要する、こういう指摘も伺うところでございます。
 したがって、まずは利用状況の実態を把握していく、大変大事なこれは調査であると思います。
 また、制度のあり方調査については、先ほどの粉川部長の説明でも触れられておりましたけれども、若年世代を含む都民の理解を得る大事な調査であると思います。
 これらの二つの調査はどのように進められていくのか伺います。

○粉川高齢社会対策部長 七月末に調査委託契約を締結し、現在、調査票の原案作成や制度のあり方調査の対象となる二十歳以上の都民一万七千人を抽出するための住民基本台帳閲覧手続等を行っております。
 今後は、調査項目等につきまして、有識者等に意見を聞くなど検討を進め、十二月以降に調査票を送付する予定でございます。

○古城委員 ありがとうございます。ただいま調査の進め方、ご説明いただきましたけれども、これらの二つの調査、いつ調査結果がまとめられるのか、確認をさせていただきます。

○粉川高齢社会対策部長 調査票の回収、集計には一定の時間を要するため、今年度は単純集計等までを行います。
 また、調査結果の分析は、来年度となる見込みでございます。

○古城委員 ありがとうございます。
 ぜひともさまざまな都民要望に応えながら、都民の皆様の理解を得て、今後も持続可能なシルバーパス制度の構築に向けた検討を求めまして、私の質問を終わります。

○和泉委員 私も、請願三〇第六号、東京都シルバーパス制度の改善を求めることに関する請願、これについて質疑をします。
 三多摩格差をなくす会からの請願で、多摩都市モノレールでもシルバーパスの利用ができるようにしてほしい、三千円や五千円などのパスも発行して負担を軽減してほしい、この二点の請願となっています。
 ことしの第一回定例会で、知事は、さまざまなご意見、ご要望が寄せられていることを承知しているとした上で、シルバーパスの利用実態を含めた調査を検討すると答弁されました。
 先ほど局の方からは、大体の調査の概要、どんな流れで行って、いつ回答が出てくるのかと、結果が出てくるのかということについては答弁がありましたけれども、七月に委託調査を契約するということであれば、ある程度、調査の中身についても具体化されているんではないかというふうに思います。
 今年度予算では、その調査費用二千三百万、計上されています。この調査の具体的中身について、現時点で少なくともわかっているものがあればお答えいただきたいと思います。

○粉川高齢社会対策部長 今年度実施する調査につきましては、制度を持続可能なものとすることを目的に、先ほどご答弁しましたように、パスを利用している七十歳以上の高齢者一万人を対象とした利用者実態調査及びパス利用の有無にかかわらず、高齢者を含む二十歳以上の都民一万七千人を対象とした制度のあり方調査を、いずれもアンケート形式で行うものでございます。
 現在、調査票の原案等の作成を行っており、今後、調査を実施してまいります。

○和泉委員 そうしますと、今の段階で調査の中身が具体的に答弁できるようなところまでは固まっていないということではないかと思いますが、対象となる年齢層だけに絞らず、現役世代も含めて調査を行う、これは大変重要だと思います。
 調査する内容についても、利用実態、制度のあり方とともに、経済効果あるいは高齢者への健康効果、これがあるかどうかなども一緒に合わせて調査するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○粉川高齢社会対策部長 調査につきましては、シルバーパスの利用実態や都民の意識を把握するものであり、経済効果や健康効果などの内容は予定しておりません。

○和泉委員 そもそもシルバーパスは、高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図る、これを目的としています。どのような効果があるか、これを調査することは、社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上を図るというこの制度の目的に照らして、制度のあり方の根本的な調査課題ではないでしょうか。また、制度のあり方調査の内容が、高齢者の生活実態や要望を適切に把握できる中身となっていることが必要だと思います。
 調査内容については、経済効果、身体的、精神的な健康影響を含めること、質問の項目については、高齢者の生活実態やシルバーパスの要望が十分に把握できる中身とすることを改めて強く求めておきます。
 現在、住民税非課税か所得が百二十五万円以下の方については、千円の費用負担でシルバーパスを手に入れることができます。それを超えると一気に費用負担は二万五百十円にはね上がります。これが高齢者にとっての足かせになって、シルバーパスの交付を受ける人が、今では四割台に減っているのが現状です。だからこそ、段階的な費用負担額の設定を求める声が市長会からも、そして、請願者からも千百名を超える署名を添えて出されているわけです。
 伺います。現在の二万五百十円というこの金額は、どのようにして算出をされているんでしょうか。

○粉川高齢社会対策部長 利用者負担額の二万五百十円は、都内のバス運賃の平均額二百円に、月の平均利用回数十回を掛け、年額のため十二カ月を掛け、共通バスカードの割引率八五・四七%を掛けて算出をしております。

○和泉委員 バス運賃の平均額二百円掛ける月平均利用回数十回掛ける十二月掛ける共通バスカードの割引率という答弁でしたけれども、この月平均利用回数の十回というのは、何か根拠がある回数なんでしょうか。

○粉川高齢社会対策部長 月平均利用回数十回につきましては、都と東京バス協会との基本的了解事項によります。

○和泉委員 都とバス協会の基本的了解事項ということですけれども、何か根拠があるのかということを伺いました。この十回という回数を設定した根拠について、改めてもう一度伺います。

○粉川高齢社会対策部長 月の平均利用回数十回につきましては、シルバーパス制度が長い期間、制度として存続している中で、平成十二年以前は、東京都が実施主体として実施をしておりました。平成十二年以降は、一般社団法人東京バス協会が実施主体となっております。
 この利用回数十回につきましては、東京都が実施している時期から十回として設定し、事業主体が東京バス協会となったときに基本的了解事項として決められたものでございます。

○和泉委員 何かの調査をもとにして、例えば月の平均回数が大体このぐらいであるとか、そういった根拠のある回数ではないということがわかりました。
 そうであっても、なお、月に十回以上乗らないともとが取れない。これでは二万五百十円も出して交付を受ける人が減るのは当然なんだというふうに思います。
 対象となる七十歳以上の方たちが半分以上使えないということで、果たして十分に高齢者の社会参加を助長し、福祉の向上を図るという、この制度の目的にかなっているといえるんでしょうか。
 市長会から出されている段階的な費用負担の設定や、コミュニティバスへの適用は、まさに市民からの切実な要求を反映したものだというふうに思いますが、都は、この都民の声をどのように受けとめているんでしょうか。

○粉川高齢社会対策部長 先ほど、十回について根拠がないというご指摘でございましたけれども、当然、その段階から、交通センサス調査により、高齢者がどのぐらいバスに乗るかの調査をし、月に十回というふうに設定した経緯がございます。
 また、都民からの声につきましては、さまざまなご意見、ご要望として受けとめております。

○和泉委員 高齢者に対する調査を行って、それをもとに設定したのが十回だと。そうすると大体このくらい利用するという回数を基礎にしているということになるんだと思いますが、そうすると、この二万五百十円のシルバーパスは、前払い的な要素が大変強いカードだということになるんじゃないでしょうか。しかも、十回以上乗らないともとが取れないということについては変わりありません。
 さまざまな要望の一つという答弁でしたけれども、私はさまざまなところから寄せられている要望の一つだということを強調しておきたいと思います。このことを都はしっかりと認識するべきだということを申し述べておきます。
 超高齢社会における東京のあり方懇談会、ここでは自動車の運転が難しくなると移動が制限されてしまうと指摘をしています。シルバーパスで費用の心配をせずに路線バスを利用できることは、外出を促し、高齢者の社会とのつながりを強め、もってフレイルや認知症の発症のリスクを抑えるということに役立つのではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○粉川高齢社会対策部長 シルバーパスは、利用を希望する方の所得に応じて、区市町村民税非課税の方を千円、課税の方は二万五百十円の利用者負担をいただいて、一般社団法人東京バス協会が発行し、都が補助をしております。
 フレイルや認知機能の低下の予防などには、日ごろからの適度な運動や栄養管理、趣味活動や人との交流など、介護予防の取り組みが重要でございます。
 このため、都は現在、包括補助事業等により、生活習慣の改善に向けた健康教育やリハビリテーション専門職等を活用した介護予防、高齢者が体操等を行う通いの場づくりなどに取り組む区市町村を支援しております。

○和泉委員 シルバーパスと介護予防の関係がわかりにくい答弁でしたけれども、年々下がる年金額、上がり続ける保険料は税負担、これで都内の高齢者の暮らしは本当に厳しい状況に直面しています。移動手段の確保として、費用負担が軽いシルバーパスは、都民の強い願いなんです。あらゆる施策で高齢者の暮らしを支え、安心して暮らせるまちにすることこそ、都に求められているんじゃないでしょうか。
 本請願を含め、シルバーパスの段階的な費用負担と適用範囲の拡大を求める声は大きく今広がっています。本請願の採択とともに、都が都民の願いに応え、制度を改善することを改めて強く求めて、質疑を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、請願三〇第六号は不採択と決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、陳情三〇第二四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
 三ページをお開き願います。整理番号2番、陳情三〇第二四号は、葛飾区の東新小岩六丁目保育園(仮称)建設反対住民の会代表の千葉恵子さん外十二人の方々から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、近隣住民の反対を無視した強引な東新小岩六丁目保育園(仮称)の建設を中止するよう、区に対して指導すること。
 第二に、今後、こうした強引な保育所建設がなされないよう、区に対する指導体制を確立することという内容でございます。
 現在の状況についてご説明をいたします。
 民間事業者は、児童福祉法第三十五条第四項に基づきまして、都道府県知事の認可を受けて保育所等を設置することができます。
 都は、児童福祉法第三十五条第五項に基づく民間事業者からの保育所の認可申請に対しまして、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例等に適合するかどうかを審査し、基準に適合している場合は認可をいたしております。また、都は、保育支援課長通知、保育所認可申請の手続き等についてにおきまして、設置者から近隣住民に対し、保育所の整備に係る必要な説明を行うよう、区市町村に求めております。
 本件、葛飾区の東新小岩六丁目保育園(仮称)の認可に係る手続についてでございますが、平成三十年三月八日、区から都に対しまして事前協議書が提出されました。また、四月十八日に児童福祉審議会に諮問するための計画承認申請書が設置者より区を通じて都に提出されました。
 計画承認申請書の提出に当たりまして設置者は、区立ち会いのもと、平成三十年三月十三日及び十七日に第一回、三月二十七日に第二回の近隣住民向け説明会を行いまして、認可保育所の開設計画について説明をいたしますとともに、住民から意見や要望等に関する質疑を行いました。
 平成三十年四月十日には、第三回の説明会を開催いたしまして、それまでの説明会での意見等を踏まえた設備面での近隣住民に対する配慮や運営面での工夫などについて説明をいたしました。その後も窓口を設置いたしまして、住民からの意見等を継続して受け付けております。
 都は、提出された計画承認申請書につきまして、平成三十年五月二十二日、児童福祉審議会に諮問の上、条例等に適合していることを確認いたしまして計画承認を行い、設置者及び区に通知を行いました。
 都の計画承認を受けまして、設置者は、平成三十一年四月からの開設に向けまして、平成三十年七月から施設の建築に着工いたしました。
 都は、区に対し、随時、施設整備の進捗状況等について報告を求め、適宜必要な助言を行っているところでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○和泉委員 陳情三〇第二四号、認可保育所東新小岩六丁目保育園(仮称)の建設及び区政の在り方に関する陳情について意見を述べます。
 陳情者は、近隣住民の反対を無視した強引な保育園建設を中止するよう、区に対して指導すること、今後、このような強引な保育所建設がなされないよう、区に対する指導体制を確立すること、この二点を求めています。
 わが党は、一貫して、認可保育園の増設で待機児問題を解消することを訴え続けてきました。葛飾区においても、一時預かり保育を利用している子供や認証保育所を利用している子供、親が育児休業中の子供など、認可保育園に申し込んでいるけれども、待機児にカウントされない、いわゆる隠れ待機児童、これも含めると、待機児童数は四百五十二人に上っています。
 認可保育園が十分に足りているとは到底いえる状態ではなく、さらなる増設が求められています。保育園の増設を求める親御さんたちの思いは、保育の質を守って量をふやすことであり、その声に応える取り組みは重要です。
 したがって、認可保育園の建設を中止するよう、区に対して指導を行うという本陳情には、賛成はできません。
 しかしながら、突然自分たちの居住空間に保育園ができる地域の住民の皆さんたちにしてみたら、いろいろ心配なこともあると思います。子供や子育て中の親御さんたちが安心して子育てをするためには、保育園の周辺も含めて、地域の住民の皆さんから温かく受け入れてもらうことは欠かせません。保育園で過ごす子供たちが、地域の方たちからも愛され、見守られて、よりよい保育環境のもとで成長、発達するためにも、保育園開設に当たって、事業者の丁寧な説明と誠実な対応が求められているということは、申し添えておきたいと思います。
 以上です。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、陳情三〇第二四号は不採択と決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、陳情三〇第二九号の一を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○谷田少子社会対策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3番、陳情三〇第二九号の一は、静岡県静岡市の親子の絆共同代表の田中とみ子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、別居、離婚後の親子断絶に苦しんでいる子供たち及び子供を連れ去られた片親と親族に対する人権侵害問題等について、法整備及び公的支援の必要性について現状認識するために、子育てを中心とした福祉に携わる職員に対して研修の実施を図り、親子断絶防止に関する対策を検討し、実施していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 都では、新任の児童相談所職員に対して、ハーグ条約や面会交流に関することも含め、新任職員として身につけるべき基本的な知識についての研修を実施しております。また、ひとり親家庭等の身近な相談窓口である母子・父子自立支援員に対しては、面会交流の取り決めの方法や注意点等に関する研修を実施しております。
 離婚後の面会交流等については、平成二十四年四月一日に施行された改正後の民法第七百六十六条に、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護についての必要な事項は、その協議で定める、この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならないと規定されており、これを踏まえ、都では、東京都ひとり親家庭支援センターにおいて、面会交流支援や離婚前後の法律相談等を無料で実施しております。
 また、区市町村では、母子・父子自立支援員が、離婚前からの相談、支援を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○岡本委員 本件陳情は、六月七日に厚生委員会で審議された陳情とも内容的に関連するものと認識しております。六月七日にも、田中とみ子さんから提出された陳情が審議されました。
 さて、私は、先月、八月二十三日に兵庫県明石市を訪問し、視察をさせていただきました。泉房穂市長とも直接お会いをして、先進的な明石市の子育てに対するさまざまな取り組みについて聞かせていただきました。
 また、菅原理事もともに明石市を訪問いたしました。
 明石市の泉房穂市長、子育てには予算を惜しみなく投じていくという強い姿勢を示しておられて、その印象が強く残りました。
 さて、この養育費、面会交流については、養育費は子供の経済的支援であり、面会交流は精神的な支援につながるということがいわれております。そして、子供の安心感や心の成長を支える上で非常に重要なことだと認識しております。DVなど、一部の例外事案はありますけれども、基本的には、この面会交流というのは、子供の成長を支える上で非常に重要なことだと認識しております。
 特に、子供が離婚によって喪失感を持つ、親の離婚による喪失感を子供が乗り越えるに当たっても、この面会交流というのは非常に重要であり、そして、ひいては、それが子供の自己肯定感にもつながっていくというものだと認識しております。
 六月七日の委員会での都のご説明、また、本日のご説明を聞きまして、東京都が養育費や面会交流の公的な支援を実施しているということについては、認識し、理解をいたしました。
 引き続き、面会交流の支援、また、養育費の確保に向けた支援に、東京都としてさらに充実した取り組みを続けていただくよう、期待し、要望し、私の意見とさせていただきます。

○和泉委員 私も、この陳情に対して意見を述べさせていただきます。
 陳情者は、子育てを中心とした福祉に携わる職員に対して研修の実施を図り、親子断絶防止に関する対策を検討し、実施することを求めていますが、ただいまの都の説明では、児童相談所職員には既に研修が行われており、面会交流支援や離婚前後の法律相談等も無料で実施しているとのことです。
 第二回定例会でも述べましたが、厚生労働省の事例集で紹介されている、ただいま岡本委員からも紹介がありました明石市の取り組み事例などのような面会交流支援は重要だと思います。東京都の取り組みも事例集に出ていて、第三者の専門家が入ることで、監護親が面会の時間を自分のリフレッシュの時間だと前向きに捉えられるようになったなどの変化が見られる、このようなケースが紹介されています。
 ただ、相談件数に対して、実際の面会援助件数が少なく、支援要件を満たしていないということが指摘されています。要件の見直しや体制の強化こそが必要です。
 一方で、本陳情が求める法整備については、第二回定例会でも、別居の親との面会が子供にとって精神的あるいは肉体的にいい影響を与えない場合もあるということを指摘し、現在、議論されている法整備に対しては、この点からさまざまな懸念の声が上がっていることを考慮し、慎重にすべきと、不採択とするべき意見を表明しています。
 今回の陳情は、親子断絶防止の法整備の必要性について、現状認識するためという内容を含んでいることから、賛成できません。本陳情については、不採択とするべき意見を改めて表明します。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、陳情三〇第二九号の一は、不採択と決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、陳情三〇第三四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○成田保健政策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号4番、陳情三〇第三四号は、江戸川区の職場喫煙問題連絡会代表者の河村昌弘さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、東京都受動喫煙防止条例に関して、施設については原則禁煙であり、喫煙場所の設置は例外的措置であること、本末転倒の運用がなされないようにすることを確認する付帯決議等の決議をしていただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 平成三十年第二回都議会定例会において可決されました東京都受動喫煙防止条例は、屋内での受動喫煙の健康影響を未然に防止するため、多数の者が利用する施設等を原則屋内禁煙とし、医療機関や行政機関等は敷地内禁煙としております。
 また、規制対象となるたばこについては、たばこ事業法第二条第三号に掲げる製造たばこであって、同号に規定する喫煙用に供されるもの及び第三十八条第二項に規定する製造たばこ代用品とし、加熱式たばこも、紙巻きたばこ等と同様に規制対象としております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○藤田委員 陳情三〇第三四号、東京都受動喫煙防止条例に関して、原則禁煙を確認する決議等を求めることに関する陳情について質問いたします。
 新たに屋内喫煙専用室を設置することは、事業者の判断で可能とされているのが今回の東京都受動喫煙防止条例でした。判断によっては禁煙にしていた場所が、喫煙室を設置して分煙に後退してしまうところもないとはいい切れないということなのです。だからこそふやさないために何とかしてほしいと陳情者はいっているのです。
 その上で、現在、禁煙になっているところが分煙になってしまっては本末転倒だという意見に対して、東京都はどのように考えますか。

○成田保健政策部長 都条例は、屋内での受動喫煙による健康影響を未然に防止し、誰もが快適に過ごせるまちを実現するために、健康影響を受けやすい子供を守る、自ら受動喫煙を防ぐことが難しい立場にある従業員を守ることを目的に制定したものでございます。
 法律では、事務所や飲食店等において、屋内に喫煙専用室等を設置することを認めておりますが、喫煙室等の設置はあくまで施設管理者の判断によるものであり、お話の分煙を進めるものではございません。
 都といたしましても、受動喫煙による健康影響について、広く都民に情報発信していくとともに、条例の趣旨や目的についても普及啓発に努めてまいります。

○藤田委員 法律が分煙に進めるものかどうかを聞いたのではなく、施設管理者が禁煙から分煙にすることが可能なわけですから、そうなっては本末転倒だということを聞いたのです。
 そして、都は、喫煙専用室の設置補助を五分の四から十分の九に引き上げました。都が喫煙室の設置を後押しすることで、現在、屋内禁煙になっているところでも分煙に戻ってしまうのではと心配するのは当然のことと思います。自ら受動喫煙を防ぐことが難しい立場にある従業員を守るというのであれば、施設管理者任せにするべきではないのではないでしょうか。
 喫煙専用室が設置された場合、必ず誰かが清掃しなければなりません。そのことについて、都はどのように考えていますか。

○成田保健政策部長 改正健康増進法では、事務所や飲食店等において、屋内に喫煙専用室等を設置することを認めておりまして、その管理は施設管理者が適切に行うべきものと考えております。
 都条例は、法的な実効性を確保するため、法律との整合性を図る必要があることから、対象施設の区分等を法と同一とした上で、健康影響を受けやすい子供、自ら受動喫煙を防ぐことが難しい立場にある従業員を守るために制定したものでございます。
 また、法律では、当該業務従事者が望まない受動喫煙を防止するため、適切な措置をとるよう努めることと規定しております。

○藤田委員 法律では、当該従事者が望まない受動喫煙を防止するために適切な措置をとるよう努めることと規定しているわけですが、実際には、喫煙専用室の設置が認められている限り、受動喫煙を防止することはできません。
 完全な防止ができなければ、受動喫煙による健康被害をなくすことはできないという観点から、対策を講じるよう要望いたします。
 FCTCのガイドラインでは、換気や喫煙室の設置について効果がないと述べられています。ガイドラインは、日本もいる場で全会一致で定められていますから、当然日本もその立場になっているはずのものですが、先日の国会で厚生労働大臣が、換気や喫煙区域の設置について聞かれ、ガイドラインの記述を受け入れていると答弁しています。
 このように、換気や喫煙室の設置では、受動喫煙防止対策として不適切であるというFCTCのガイドラインの記述に対して、国も肯定する立場の答弁を行っています。
 この点について、東京都の考えをお聞かせください。

○成田保健政策部長 FCTC、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約では、締約国は屋内の公共の場所等において、たばこの煙にさらされることへの保護を定める効果的な措置を国の権限の範囲内において実施することとされております。
 国では、FCTCガイドラインについて、直ちに屋内全面禁煙が実施できない場合には、最小限の例外を設けて、継続的に例外をなくす努力をすることを求めるものと解釈しておりまして、先般改正された健康増進法は、この考えにのっとったものでございます。
 都条例は、法律に上乗せ、横出し規定を設けたものでございまして、FCTCの考え方にのっとったものと考えております。

○藤田委員 もともと受動喫煙に対する対策が確立していなかった状況からすると、今回都条例が制定されたことは前進です。しかし、欧米諸国に比べ、日本の対策はそれでもかなりおくれているのが実態です。
 世界保健機関によると、飲食店や職場、ホテルなど、多くの人が利用する八種類の施設全てに禁煙を義務づけているのは、調査した百八十六カ国中、イギリスやカナダ、ロシア、ブラジルなど五十五カ国あります。日本は、改正法の施行後でも完全禁煙となるのは、病院など三種類にとどまります。対策への評価は四段階中最低ランクから一つ上がるだけなのです。こうした状況で継続的に例外をなくしていく努力は重要です。
 陳情者は、付帯決議等で専用室が設置できるのは例外で、全面禁煙が本来のあり方だと明確にしてほしいと陳情しています。FCTCガイドラインでも、例外を最小限にすること、つまり、喫煙専用室の設置についても継続的に例外をなくしていく努力をするよう求めています。
 FCTCガイドラインには、換気、空気ろ過、喫煙区域の指定など、一〇〇%たばこの煙のない公的環境を実現する以外の解決策が無効であることは、これまでに繰り返し証明されてきたと記載されています。さらに、ガイドラインには、この法制の実施と施行を弱めようとするたばこ産業の活動を監視し、対応を行うことも含まれるとまで言及しています。
 現在、加熱式たばこについては、健康影響が十分明らかになっていないという理由で規制を緩和していますが、韓国の食品医薬品安全処は、加熱式たばこにもベンゾピレンやベンゼンなど発がん性物質が含まれており、一般のたばこと同様にがんなどの疾患を引き起こすおそれがあると指摘しています。これまでの研究資料などを総合すると、加熱式たばこが紙巻きたばこほど有害ではないという根拠はないとの見解を示しています。
 FCTCガイドラインでも、受動喫煙から人々を保護する対策は必要な場合強化され、拡大されなければならない、そのために必要な行動は、新たな科学的証拠と事例研究の経験に基づいた新規立法、既存法の修正、執行状況の改善などであると明確に述べています。
 条例全体の施行は二年後です。また、条例の見直しは施行から五年後、今からだと七年後になってしまいます。その間、加熱式たばこに対する研究が進むことで、新たな対策を講じる必要があるときには、継続的に例外をなくしていく努力を行うべきです。それはわが党が修正案の提案でも述べたように、五年を待たずして行えるよう要望するものです。
 よって、今回の陳情は、趣旨採択にすべきであると述べさせていただき、質問を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三〇第三四号は不採択と決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、陳情三〇第四〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○谷田少子社会対策部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号5番、陳情三〇第四〇号は、港区の特定非営利活動法人シンクキッズ-子ども虐待・性犯罪をなくす会代表理事の後藤啓二さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、厚生委員会に付託中の陳情三〇第二〇号の一について、直ちに継続審査を解いて審査を進め、平成三十年第三回定例会会期末までに議決をし、都民及び都知事以下関係機関に対して、都議会としての意思を示していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 都はこれまで、警視庁との間で平成二十三年十二月に確認書を、平成二十七年十二月に覚書を、平成二十八年十月に協定をそれぞれ締結し、定期的に意見交換を行う場の拡充や、現職警察官や警察官OBの児童相談所への配置を行うほか、身体的虐待として一時保護した児童が家庭復帰した事案について情報を共有するなど、両者の連携強化を図ってきました。
 また、平成三十年九月七日付で警視庁との協定を見直し、児童相談所が受理した児童虐待ケースのうち、保護者が児童の確認を拒否しているケースや措置を継続しているケースなど、リスクが高いと考えられるケースを全て共有することとしました。
 児童相談所は、児童虐待の相談や通告があった場合、緊急受理会議を速やかに開催し、調査の対応方針や一時保護の要否等について協議した上で、原則として四十八時間以内に児童の安全確認を行っており、必要があるときは、警察と同行して訪問しております。警察から通告を受けた事案については、その後の児童相談所での対応状況を警察に報告し、情報の共有を図っております。
 こうした対応をさらに強化するため、児童の迅速かつ確実な安全確認を徹底することを目的として、安全確認の手法や、出頭要求、立入調査を行う判断基準等について定めた都独自の安全確認行動指針を策定しております。
 一時保護の解除を判断する際には、虐待についての保護者の認識や一時保護前後の家庭環境等について調査を行うとともに、地域の関係機関の相談援助体制の状況等を確認しております。
 また、虐待をした保護者の状況、虐待の程度、児童の年齢や心理的な影響などを総合的に判断し、援助方針を決定しており、その方針に基づき、保護者への指導など、必要な対応を行っております。
 平成二十九年三月三十一日には、乳幼児健康診査が未受診等で連絡が取れない児童であって、区市町村が所在等の確認が必要と判断した児童について、所在及び安全が確認できるよう、頻回な家庭訪問を実施するとともに調査等により情報収集を行うこと、必要に応じて、児童相談所や警察等関係機関の協力を通じて、情報収集に努めることとする、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知、市町村子ども家庭支援指針、ガイドラインが発出されており、都は区市町村に周知しております。
 都内全ての区市町村は、子供家庭支援センター、児童相談所、学校、警察、保健所等の地域の関係機関で構成するネットワークを構築し、各関係機関が情報の共有を図りながら、援助方針等を確認し、児童や家庭への支援を実施しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○藤田委員 陳情三〇第四〇号、陳情三〇第二〇号の一の平成三十年第三回定例議会中の議決を求めることに関する陳情について意見を述べさせていただきます。
 児童相談所が把握する全ての虐待案件の警察との全件共有を求める陳情が陳情三〇第二〇号でしたが、六月七日の厚生委員会での質疑にもあったように、虐待案件を警察と全件共有した場合、相談や通報をためらわせる懸念があると思います。
 先週、都は、児童相談体制の強化に向けた緊急対策として、警視庁との情報共有範囲の拡大を行いました。まだ拡大したばかりであり、どのような影響があるのかはよく検証しなければなりませんが、少なくとも児童相談所がかかわると警察との共有がされる可能性が高まったわけです。
 警察との共有範囲の拡大により、保護者が相談しにくくなってしまうことで、かえって児童が危険にさらされることはあってはなりません。今後の見直しについても、子供の利益を最大限尊重する立場で適宜検討していただくよう要望いたします。
 児童福祉司は、ケースワークを最も重視しています。若年妊娠や被虐待だった親、精神疾患など、虐待している自覚のない親もいますし、そのような背景がなくても、多くの保護者が適切な養育ができているのか不安の中で子育てを行っています。だからこそ児童虐待相談に対しては、慎重かつ丁寧に応じ、保護者の支援と児童の支援とを一体のものとして行っているのです。共有範囲の拡大がこれらのケースワークをしにくくすることがあれば、早期に見直しを行うことを求めておきます。
 児童福祉司などの専門職を年度内に増員する対策は、わが党も求めてきたことであり、非常に重要です。任期つき採用をした児童福祉司などは、最長五年で退職してしまうため、現場としてはとてももったいない思いだと思います。せめて任期が終了する職員をキャリア採用として引き続き雇用できるよう、キャリア採用の定員をふやすことも含めて、積極的に見直しを行うよう求めます。
 子ども虐待対応の手引きには、虐待のリスクが低く自立して子育てを行っている保護者でも、育児負担などさまざまな要因が重なることで虐待に至らないとは限らず、子育ての支援のための社会資源の充実と虐待についての市民への啓発が必要であることも指摘しています。
 これらも含め、東京都においてさらなる対策を進めていただくよう要望いたします。
 今回は全件共有を行うべきではないという立場から、この陳情については否決すべきとの意見を表明し、私からの発言を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、陳情三〇第四〇号は継続審査といたします。

○伊藤委員長 次に、陳情三〇第四一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松山障害者施策推進部長 お手元にお配りしております請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号6番、陳情三〇第四一号の東京都障害者グループホーム支援事業に関する陳情は、八王子市の特定非営利活動法人なみき福祉会外五団体代表の石井ツタ代さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというもので、一、東京都障害者グループホーム支援事業の見直しによる影響を調査し、十月実施を延期すること。
 二、加算の条件となる第三者評価の受審経費にかかわる予算を十分につけること、以上の二点でございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 第一につきましては、都は、グループホームの事業者が質の高いサービスを提供できるよう、国の報酬に加え、都独自の補助事業を実施しています。
 本事業については、障害者の高齢化や重度化等を踏まえ、事業者が職員を手厚く配置し、充実した支援を行えるよう、補助単価を変更するとともに、質の向上のための国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めることとしています。
 事業者の収入への影響は、利用者の障害の程度、職員体制、国や都の加算の取得によって異なるため、知的障害、身体障害、精神障害の障害種別ごとにモデルケースを想定し、現行の収入と見直し後の収入を提示しています。
 本事業の見直しは、当初、平成三十年十月から実施することとし、平成三十年一月及び三月に事業者説明会を開催しました。
 その後、国から平成三十年度の報酬改定にかかわる新たなサービス類型や加算についての詳細が示されたことから、事業者が職員配置や国加算取得のための準備期間を十分に取れるよう、見直し実施時期を平成三十一年一月に変更することとし、平成三十年七月に区市町村及び事業者へ周知し、八月には、区部及び多摩地域で説明会を実施しました。
 第二につきましては、東京都福祉サービス第三者評価の受審に必要な経費については、平均的な規模の事業者が三年に一度受審するための経費を見込み、基本額に含めています。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○鳥居委員 障害者が地域において自立した生活を送る上で、地域居住の場であるグループホームは重要な役割を担っております。
 東京都は、地域生活支援三カ年プランを定め、グループホームの整備を促進しており、整備費の事業者負担を軽減する特別助成や都有地の減額貸付など、支援を行うことにより、平成二十七年度から二十九年度までの三カ年において、グループホームの定員数は千八百五十六人へと増加しております。
 そのような中、グループホームの利用者のうち、障害支援区分が四以上の利用者の割合は、平成二十四年度から二十八年度までの間に二九%から四一%に上昇し、また、六十五歳以上の高齢の利用者も四百八十五名から八百十四名に増加するなど、利用者の高齢化や障害の重度化が進んでおります。
 このような状況の変化が起こっている中、都は、国報酬に上乗せして実施しているグループホームの運営に関する補助を見直すことを予定しております。この点については、本年、第一定例議会においての厚生委員会でも質疑を行わせていただきました。
 今回の見直しは、障害者の高齢化や障害の重度化が進む中で、利用者のニーズに対応して、質の高いサービスを提供する事業者の取り組みを促進するものというふうに確認させていただきました。
 また、中軽度の障害者を対象とした報酬体制については、介護福祉士などの専門職の配置や一般就労している利用者の支援を行うことにより、国加算を取得した場合には、事業者の収入に反映される仕組みになるようにするなど、職場環境の変化に対しても見直し後のモデル試算がなされてきたことは理解しております。
 その一方で、見直し趣旨や国加算を取得すれば、収入に直接反映されることをグループホーム事業者に対して丁寧に説明することや、スムーズに体制整備を行う上で配慮が必要であることの質問も行いました。
 このたび都は、見直しの実施時期を当初予定していた平成三十年十月から平成三十一年一月に変更することとしましたが、変更までの経緯について改めて伺います。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しは、事業者が職員を手厚く配置し、充実した支援を行えるよう、補助単価を変更するとともに、福祉専門職員配置等加算や医療連携体制加算など、質の向上のための国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものでございます。
 当初、平成三十年十月から見直しを実施することとし、平成三十年一月及び三月に事業者に対する説明会を開催いたしました。
 その後、国から平成三十年度の報酬改定にかかわる加算や新たなサービス類型についての詳細が当初の想定よりおくれて示されたことから、事業者が国加算取得や職員配置のための準備期間を十分取れるよう、見直しの実施時期を平成三十一年一月に変更することといたしました。

○鳥居委員 ご答弁ありがとうございました。
 次に、第三者評価の受審経費について伺います。
 今回の補助事業の見直しでは、福祉サービス第三者評価を受審することを要件としておりますが、受審を求める目的及び受審に要する経費の取り扱いについて伺います。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しでは、グループホームを運営する事業者が良質かつ適切なサービスを提供することを促すために、三年に一度、東京都福祉サービス第三者評価を受審することを補助条件としております。
 受審に必要な経費については、平均的な規模の事業者が三年間事業運営をした場合に受審経費相当額を確保できるよう、額を補助の基本額に含めております。

○鳥居委員 説明資料中にも、都基本額の単価には第三者評価受審経費の補助を含んでいることが書かれています。受審経費相当額は補助の基本額に含まれていることを改めて理解し、適切に運営していただきたいと存じます。
 冒頭申し上げましたとおり、地域居住の場であるグループホームは、障害者が地域において自立した生活を送る上で重要な役割を担っております。都は、本年三月に、新たな地域の生活支援三カ年プランを定め、今後三年間で二千名の定員をふやすことを目標に掲げておりますが、この目標が着実に推進されることを期待して、私の質問を終わりたいと思います。

○古城委員 私からも、陳情三〇第四一号に関連して質問させていただきます。
 障害者グループホームは、入所施設などから地域生活に移行する障害をお持ちの方や、親元を離れ、必要な援助を受けながら地域で自立した生活を希望する障害をお持ちの方々にとって大変重要な役割を担っている、このように認識をしているところでございます。
 さらに、近年は、利用者の高齢化や障害の重度化が進み、ますますその重要性が大きく、そして高まっているところでもございます。
 都は、グループホーム事業者に対して、利用者が質の高いサービスを受けられるよう、国の報酬に加え、都独自の補助を実施しておりますけれども、当初、今年、平成三十年十月から、この補助事業を見直すこととしておりました。
 改めてになりますけれども、まず、この補助事業の見直しの目的と内容について確認をさせていただきます。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しは、重度の障害者の受け入れやサービスの質の向上への事業者の取り組みを促進することを目的として実施するものでございます。
 具体的には、障害支援区分ごとに設定している都加算について、より重度の区分を手厚く設定したほか、世話人の配置について、現在は国基準の六対一以上の配置であれば全て同一額でしたが、四対一の人員配置には都加算が増加するよう設定いたします。
 さらに、現在は、国加算を取得してもしなくても、都加算を含めた全体の収入額は変わりませんが、今後は、福祉専門職員配置等加算や医療連携体制加算など、質の向上のための国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものでございます。
 このほか、今回、これらの見直しに合わせ、精神障害者の受け入れに当たり、精神科医療との連携体制を確保するために、精神保健福祉士等の配置を行った場合の加算を創設したほか、従来、利用者の帰宅や入院の際に連絡調整等の支援を行った場合にも、グループホーム利用時と同額の加算を行ってまいりましたが、利用者が不在の場合には、食事の介護など直接的なサービスは行わないため、世話人の配置に要する経費となるように見直しを実施します。

○古城委員 ありがとうございました。
 ただいま、松山部長に詳細に見直しの目的、それから内容をご説明いただきましたけれども、この見直しは重度の障害者の受け入れや質の向上のための国加算の取得に取り組む事業者への支援を充実させることで、これが目的とするところであり、また、見直しの内容が大変多岐にわたっているということがわかったところです。
 一方で、この見直しの方向性としては理解できるものの、見直しの効果としては、先ほどご説明の中でも適正化という部分がございましたが、重度の障害者を受け入れるために職員を手厚く配置しているグループホームなどで報酬が減る見通し、また懸念がありました。
 そこで、我が党はこれらの見直しについて、障害者グループホームを運営する事業者からヒアリングを行ったところでございます。
 一部の事業者からは、国加算を取得するための準備に時間を要することなどから、見直し実施時期の延期、いわゆる後ろ倒しを求める声が寄せられました。
 事業者の中には、障害がどんなに重くても地域での生活を希望する障害者の方々の状況に応じて、現行の制度の基準を超えた支援体制を整えて、特別な支援を要する重度の障害者を受け入れている事業者もあります。また、精神と知的の障害をあわせて有する障害者や障害の特性ゆえに入退院を繰り返す障害者を懸命に支援している事業者もあります。
 これらの事業者の皆様から切実な思いを伺うとともに、都に対して支援のより一層の充実を求める要望がございました。
 我が党は、これらの事業者の皆さんの声を受けて、本年七月十七日、障害者グループホーム事業者に対する都独自の報酬加算に関して、支援充実とともに事業者が十分に準備できるよう見直し実施時期の延期を求める知事宛ての要望書を提出させていただきました。
 多羅尾副知事には、見直しでマイナスの方向に影響が出ないよう具体的な対応を担当局に指示したい旨、このように応対をしていただきました。
 そこで、我が党の要望に対する都としての対応を伺います。

○松山障害者施策推進部長 ご指摘のように、今回の見直しは事業者が職員を手厚く配置し、充実した支援を行えるよう補助単価を変更するとともに、福祉専門職員配置等加算や医療連携体制加算など、質の向上のための国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものでございます。
 当初、先ほどありましたように、平成三十年十月から見直しを実施することとし、三十年一月及び三月に事業者に説明会を開催いたしました。
 その後、国から平成三十年度の報酬改定にかかわる加算や新たなサービス類型についての詳細が当初の予定より遅れて示されたことから、事業者が国加算取得や職員配置のための準備期間を十分とれるよう、見直しの実施時期を平成三十一年一月に変更することとしたものでございます。

○古城委員 ありがとうございます。
 この見直しの実施時期については、平成三十一年の一月に変更をしていただいたということでございます。
 また、事業者の皆さんからヒアリングをさせていただいた際には、この陳情の願意の第二項に関連するわけですけれども、第三者評価の受審経費についてのご懸念もございました。
 この点については、先ほど鳥居委員の質疑においてもご答弁いただいたところでございますけれども、平均的な規模の事業者が三カ年事業運営した場合に受審経費相当額となる額を基本額に含むということでございました。
 私の質疑の冒頭からも事業者の皆さんのお声を紹介させていただきましたけれども、ぜひとも利用者に寄り添って、懸命に支援をされている障害者グループホームへの都の支援充実、これをさらに行っていただきたい、このように求めまして、私からの質問を終わります。

○高橋委員 私の方からも、陳情三〇第四一号、東京都障害者グループホーム支援事業(都加算制度)に関する陳情につきまして質問をさせていただきます。
 障害者グループホームは、入所施設や入院中の病院から地域生活に移行する障害者や、親元を離れ、必要な援助を受けながら地域で自立した生活を希望する障害者にとって重要な役割を担っており、都は、グループホームを設置する事業者が安定的に運営できるよう、国の障害福祉サービス等報酬に加え、都独自の補助を実施しているところでございます。
 都は今年度、この補助制度を障害者の高齢化や障害の重度化を踏まえて見直すこととし、本年一月に事業者向けの説明会を開催しております。
 しかしながら、私の地元の小平市の障害者グループホーム事業者からは、この説明会では見直しの内容が十分に理解できなかったとのことから、私のもとにも不安の声が多数寄せられておりました。
 そこで、グループホーム事業者が補助事業の見直し内容を十分に把握できるよう、説明をさらにすべきと考えますが、どのように説明を行ってきたのか伺います。

○松山障害者施策推進部長 ご指摘のように、今回の見直しの実施に当たっては、まず、本年一月及び三月に事業者に対する説明会を開催いたしました。
 その後、国から平成三十年度の報酬改定にかかわる加算や新たなサービス類型についての詳細が示されたことから、六月には、国加算の種類や算定要件、算定に当たっての留意事項などを内容とする説明会を開催し、あわせて都の補助事業の見直しについても、改めて説明を行いました。
 さらに、八月には、見直し後の仕組みを十分に活用してもらえるよう、国加算や請求事務に関しての具体的な内容や事業者からの問い合わせが多い事項などについて説明会を区部及び多摩地域において開催いたしました。

○高橋委員 今回の見直しに当たっての説明が段階的に行われてきたこと、また八月に開催された説明会では多摩地域の事業者が参加しやすいよう配慮されていることがわかりました。
 しかし、事業者の不安は、見直し内容が十分に周知されただけでは解消されません。
 今回の見直しは、都からの説明や答弁にありますとおり、事業者のサービスの質の向上を促す内容であり、そのためには、国加算を取得するための制度の理解に加え、新たな体制整備などさまざまな準備が必要になります。
 そこで、国加算の取得など、今回の見直しの内容に事業者が対応できるよう準備期間を確保すべきと考えますが、東京都の対応を伺います。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しは、ご指摘のように、事業者が職員を手厚く配置し、充実した支援を行えるよう、補助単価を変更するとともに福祉専門職員配置等加算や医療連携体制加算など、質の向上のための国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものでありますので、事業者の準備期間を確保することが必要でございます。
 当初、平成三十年十月からの見直しを予定し、三十年一月及び三月に事業者に対する説明会を開催いたしましたが、国からの平成三十年度の報酬改定にかかわる詳細が当初の想定より遅れて示されたことから、事業者が国加算取得や職員配置のための準備期間を十分とれるよう、見直しの実施時期を平成三十一年一月に変更することといたしました。
 このことにつきましては、七月三十日、区市町村及び事業者に周知しております。

○高橋委員 事業者が補助事業の見直しに対応できるよう、既に配慮されていることはわかりました。
 今回の補助制度の見直しは、事業者のサービスの質の向上に向けた取り組みを促すことにより、障害者が必要な支援を受けながら、自立した生活を送ることができることに資するものであります。
 東京都の今回の見直し時期の平成三十一年一月に変更されたことにつきましては、一定の評価をしております。
 しかしながら、グループホームの利用者の高齢化や障害の重度化が進む中、グループホームを運営する事業者からは重度の利用者に対する支援体制をさらに充実させる必要があるとの声があります。
 私ども自民党は、本年一月以降、この間、党内においても、直接障害者グループホームの事業者と福祉保健局と意見交換しながら協議を重ねてまいりました。
 当初予定の平成三十年十月からの見直し実施時期を延期できないか、そして、見直しによる余りにも多大で深刻な影響を受ける重度の障害者、利用者に対する支援について、さらなる緩和ができないか、自民党としては、実施時期の延期及び激変緩和措置などの必要性を主張してまいりました。
 これらの議論を重ね、また日々、障害者の支援に努めていらっしゃる事業者の方々の声を直接都に届ける機会を設けるなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 東京都においては、引き続き、今回の見直しに関する事業者からの問い合わせ等に丁寧に応えていくとともに、事業者の声に耳を傾けながら、さらなる施策の充実に努めていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○和泉委員 私からも、東京都障害者グループホーム支援事業に関する陳情について質疑を行います。
 本陳情の内容は、東京都障害者グループホーム支援事業、いわゆる都加算制度の見直しによる影響を調査し、十月実施を延期すること、加算の条件となる第三者評価の受審経費に係る予算を十分につけることの二点です。
 この問題では、第一回定例議会の中でも質問しましたけれども、陳情も出されておりますので、繰り返しとなる部分が多少あるかもしれませんが、改めて質疑を行います。
 都の説明ですと、都独自の補助事業は質の高いサービスを提供できるようにする、これが目的だということだと思います。
 そのために事業者が職員を手厚く配置し、充実した支援を行えるよう補助額を変更するということですけれども、改めてどのように変更されるのか伺います。

○松山障害者施策推進部長 現在は、障害支援区分ごとに設定している都基本額について、世話人の配置が国基準の六対一以上の配置であれば全て同一額としておりますが、見直し後は、四対一の人員配置とした場合には、都加算額が増加するよう設定いたします。

○和泉委員 より多くの人員配置が可能だということですけれども、実際には減額になる支援区分があります。
 障害支援区分によって減額になる、そのケースについて幾ら減額になるのか、これをそれぞれお答えください。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しでは、国加算額を取得した場合には、事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものでございますので、現在の基本額と見直し後の基本額を単純に比較しても、事業者収入への影響をあらわすものではございません。
 仮に現在の基本額と見直し後の基本額を単純に比較するとしたならば、減額となる障害支援区分と金額は、例えば四対一の職員配置を行っている事業所では、区分三の単価は、現行は五千八百十円でありますが、見直し後は五千四百五十円に、区分二の単価は四千四百七十円でございますが、見直し後は四千百九十円に、区分一以下の単価は三千二百二十円でございますが、見直し後は三千四十円に改めるものでございます。

○和泉委員 四対一と手厚くした場合でも、区分三の減額が三百六十円、区分二の減額が二百八十円、区分一が百八十円ということです。
 では、五対一、六対一ではどうなるんでしょうか。この五対一、六対一で増額になる支援区分があるかどうか、それぞれお答えください。

○松山障害者施策推進部長 同様のケースでございますが、区分五につきましては、現行は七千五百円でございますけれども、見直し後は七千七百七十円、区分六でございますが、現行は九千四百八十円でございますが、見直し後は九千五百七十円になります。
 ちなみに区分四につきましても、六千三百九十円が六千六百四十円になりますので、増額となります。

○和泉委員 手厚くしても従来どおりでも、やはり区分四以上だけが増額になるということなんです。
 基本額を単純に比較しても事業者収入への影響はあらわれてこない、わからない、このような趣旨の答弁がありましたけれども、四対一で人員体制を厚くするために人を採用しても、基本単価は減額になるということなんです。
 しかも、休日や連休などに利用者が自宅に帰った場合の扱いも変わります。
 国加算をとればいいというふうにいいますけれども、第一回定例会の厚生委員会質疑で、都は、国加算をとれば同程度の収入を確保できると試算していると答弁しています。
 これは、国加算をとれば減額にならないケースもあるけれども、とれなければ減額になるということではないでしょうか、いかがですか。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しは、国加算の取得などサービスの質の向上への事業者の取り組みを促進することを目的として実施するものであり、事業者が見直し後の仕組みを十分に活用できるよう、これまで説明会を四回開催いたしました。
 仮に、サービスの質の向上を目的とした国加算を取得しない場合でも、事業者の収入への影響は利用者の障害程度、職員体制などによって異なるため、一律に減額となるものではございません。
 例えば、重度の障害者を手厚い職員体制で受け入れる事業所において、職員体制が四対一の事業所で、区分六、区分五、区分四の利用者を受け入れており、利用者の自宅への帰宅が月に数回程度である場合は、基本額のみの収入であっても現行と比べて減額にはならないものでございます。

○和泉委員 今、仮にと、仮定を積み重ねて答弁されましたけれども、サービスの質の向上のために国加算の取得をと、繰り返し東京都はそのように答弁されますが、国加算をとっても同程度の収入を確保できると都自身が第一回定例会で答弁しているじゃありませんか。
 手厚くならないんですよ。減収になる事業所があることを、都も認識しているということです。これまでは休日などに利用者が自宅へ帰っても単価は変えずに保障してきました。
 それはどのような理由から、そのような扱いにしてきたんでしょうか。

○松山障害者施策推進部長 国の報酬では、利用者が不在の日には基本報酬額は算定できないことになっております。
 一方、都の補助事業では、利用者に対し日常生活支援、食事提供支援、介護等支援の直接的な支援を行った場合のほか、入院時における病院等との連絡調整等の支援、帰宅時における家族等との連絡調整等の支援、その他、利用者に対する支援を行った場合にも助成の対象とすることを取扱要領において定めております。
 ただし、支援内容に応じた単価設定まではしてございません。

○和泉委員 なぜ保障してきたのかという理由の説明にはなっていないと思いますけれども、帰宅時や入院時においても同額で保障してきたんです。
 国が報酬を日額単価に変えた結果、事業所への報酬は日ごとの利用者の人数で算定されることになったというのは、先ほどの説明からもうかがえることです。
 その不安定な財政運営を強いられることとなったけれども、そこを都が実質減らさずに保障することで固定的収入の役割を果たして、事業所は厳しいながらも運営ができていたんです。
 しかし、今回は休日の帰宅時、入院時などで利用者がグループホームを不在にする場合には、障害支援区分二の単価を上限とすることとなります。
 なぜ今回このように変えたんでしょうか。

○松山障害者施策推進部長 平成十九年四月から適用されている現行の補助制度におきましては、支援内容に応じた単価の設定はしておりませんが、利用者が不在の場合には、食事の介護などの直接的なサービスは行わないことから、世話人の配置に要する経費相当額となるように見直しを行います。
 なお、今回の見直しでは、国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めるものでございますので、帰宅時支援加算や入院時支援特別加算などを取得した場合、現在は、事業者の収入に反映されておりませんが、見直し後には事業者の収入に反映されることとなります。

○和泉委員 確認させてください。
 区分二の基本単価は四千百九十円です。休日や入院などで人員配置の分だけを、その経費だけを保障すればいいという答弁がありましたけれども、そうしますと、都は世話人の一日当たりの人件費を四千百九十円と算定していると、こういうことでしょうか。

○松山障害者施策推進部長 利用者一人当たりの一日当たりにつきましては、その四千百七十円でございます。

○和泉委員 一人当たりの単価、四千百七十円と答弁されましたが……(松山障害者施策推進部長「九十円です。済みません」と呼ぶ)四千百九十円ですね。
 でも、先ほどは一人当たりの経費相当額、これを保障するんだというお話でした。
 そうしますと、たとえ障害区分二の基本単価が四千百九十円であったとしても、それが世話人の一日当たりの人件費相当額だというふうに東京都は想定しているということになるんじゃないかと思います。
 先ほど国加算を取得しない場合でも、事業者の収入への影響は利用者の障害の程度、職員体制によって異なるから一律に減額とはならないという答弁もありましたけれども、一体どれだけの事業所で減額になるのか、最大の減額幅はどの程度になるのか、増額になる事業所がどれくらいあって、最大の増額幅はどの程度になるのか、都は把握しているんでしょうか。現場への影響をちゃんとつかんでいるんでしょうか。
 その上、さらに基本報酬の中から第三者評価の受審費用まで出さなければならないんです。
 この第三者評価の受審費用について、どのくらいの費用を想定しているんですか。第三者評価以外にどのような費用を積み上げて単価としているのかの内訳を示してください。

○松山障害者施策推進部長 第三者評価の受審費用は、平均的な規模の事業者が三年間事業運営を実施した場合に受審経費相当額となる六十万円程度を見込み、補助の基本額に含めております。
 第三者評価の受審経費以外の都基本額につきましては、障害支援区分ごとの都加算額にばらつきが生じていることを踏まえ、国の基本報酬単価を参考として設定いたしました。

○和泉委員 私がお聞きしたのは内訳なんです。けれども、答弁がありませんでした。
 そもそも国の報酬は必要となる費用を積み上げて出されているわけではありませんから、それを参考にして、都の基本額も内訳がないわけです。
 人件費や物品費の分が幾らかということも定まっていないのに、第三者評価の費用だけは明確に含まれているようにいうことは大変疑問です。
 制度の見直しの前後で、仮に報酬総額が変わらない場合も、実質的には第三者評価の費用分だけ減ったことになります。
 減収になる事業所にとって、さらなる負担額を背負わせることになれば、利用者と職員にしわ寄せが行くことになるんじゃありませんか。別の加算体系とするべきだと思いますが、いかがですか。

○松山障害者施策推進部長 先ほども申しましたように、第三者評価の受審に必要な経費については、利用者ごとの基本額に平均的な規模の事業者が三カ年事業運営をした場合に受審経費相当額となる額を含めております。
 別の加算体系といたしますと、都加算を請求する全ての事業所において、都加算の請求事務とは別に第三者評価受審経費の請求事務を行うこととなり、事務手続が煩雑となるとともに、補助金を交付する区市町村の負担も増加することとなりますので、別の加算体系とすることは現在考えておりません。

○和泉委員 じゃあ、改めて伺いますけれども、各区分のうち何円が第三者評価の経費の分なんでしょうか。

○松山障害者施策推進部長 先ほど申しましたように、平均的な規模の事業者が三カ年事業運営をした場合に受審経費相当額となる六十万円程度を見込み、補助の基本単価に含めているところでございます。

○和泉委員 やはり明確な根拠になっていないんですよ。
 具体的な額もなしに、とにかく含まれていると、そういわれても到底理解することはできないというふうに思います。
 グループホームの運営に対する補助が減収になるので、多くの事業者が不安を感じている、それでこのような陳情が出されているわけです。減収になる中から、さらに受審費用まで出すのは困難ですという陳情なんですよ。
 都は実情を本当につかんでいるんでしょうか。
 四月以降、都加算の見直し単価について、都にはどのぐらいの数の事業所から、どのような内容の意見が寄せられているのか伺います。

○松山障害者施策推進部長 平成三十年四月現在、都内でグループホームを運営している五百十八法人のうち四十法人から要望があり、その内容は制度の見直しに係る実態把握を行うとともに実施期間を見直すこと、実質月額を維持すること、第三者評価受審経費を別枠で補助することなどの内容でございまして、見直しによる都や国の制度を十分活用できるよう、都としては助言を行っているところでございます。

○和泉委員 大体、今回陳情で出されているような中身で、四十法人から同じような意見が出されている、要望が出されているということになるんだと思うんです。
 私は、実際に陳情者のところに行っていろいろお話も伺ってきました。
 手厚い体制をしくために人を採用すればコストは上がります。基本報酬が下がればより運営は厳しくなります。
 陳情者の五団体のうちの一つの事業者に伺いましたけれども、国加算は帰宅時支援加算と福祉職員配置等加算の一、これしか該当せず、それ以外の国加算に対応する体制も検討したけれども、人員が見つからず断念したということでした。この間、幾つもの事業者から同様の声を聞いています。
 それが東京都に寄せられているさまざまな意見の中身であろうというふうに思います。
 実際に、それぞれの事業所に試算を出してもらって実態を把握する、その必要があるんじゃありませんか、いかがですか。

○松山障害者施策推進部長 事業者の収入への影響は、利用者の障害の程度、職員配置、国や都の加算の取得によって異なるため、知的障害、身体障害、精神障害の障害種別ごとにモデルケースを想定し、現行の収入と見直し後の収入を提示しております。
 また、八月に実施した説明会におきましては、見直し後の請求事務や事業所ごとの報酬の概算が算定できる計算表を提示するとともに、個別の事業者からの相談に応じているところでございます。

○和泉委員 私が聞いている中では、都のモデルケースは自分のグループホームとはかけ離れているという意見がほとんどです。
 また、相談に応じるといっても前提となる制度を変えなければ限界があります。今まででさえ、人員の確保には各事業所が大変苦労されてきたんです。その上、国加算をとるためにはもっと人をふやす必要がある場合も少なくはありません。
 それでも支援の質が上がるならよいことにもなりますけど、ふやせばコストもふえるわけですから、それで他の減収分を補うというのはそもそもおかしいと思います。
 国加算がとれなければ大幅な減収になる、大きな減収になれば、充実した支援を行うことなど到底困難なのではありませんか。

○松山障害者施策推進部長 今回の見直しは、国加算の取得などサービスの質の向上への事業者の取り組みを促進することを目的として実施するものでございます。
 具体的には、障害支援区分ごとに設定している都加算について、より重度の区分を手厚く設定したほか、世話人の配置について、現在、国基準の六対一以上であれば全て同一額でございますが、四対一の人員配置とした場合には、都加算額が増加するよう設定したところでございます。

○和泉委員 事業所は減収になると心配しているんですよ。
 国加算をとればコストがかさむ、とらなければ減収になる、その状態でサービスの質を上げることを求めれば労働強化にもつながりかねません。
 それでなくても、障害者の事業所で働く方たちは福祉の高い専門性を持ちながら、低賃金の中で仕事のやりがいや社会的意義を支えに本当に一生懸命頑張っておられます。
 事業所さんも本当はもっと給料を上げてあげたいと思っていても、運営自体がぎりぎりの状態なんです。
 陳情者を初めとした多くの事業所の実態を都がしっかりとつかんで、事業所を苦しめるような報酬の改定はいま一度検討し直すこと、第三者評価の受審費用は事業所の運営に影響が出ないよう別枠で加算することを強く求めて、質疑を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件中、第一項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、陳情三〇第四一号中、第一項は趣旨採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十四分散会

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