厚生委員会速記録第四号

平成三十年三月十九日(月曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長伊藤こういち君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長和泉なおみ君
理事遠藤  守君
理事小宮あんり君
理事山内  晃君
古城まさお君
藤田りょうこ君
龍円あいり君
鳥居こうすけ君
つじの栄作君
舟坂ちかお君
高橋 信博君
岡本こうき君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長理事兼務山岸 徳男君
技監笹井 敬子君
総務部長後藤 啓志君
指導監査部長村田 由佳君
医療政策部長西山 智之君
保健政策部長矢内真理子君
生活福祉部長坂本 尚史君
高齢社会対策部長粉川 貴司君
少子社会対策部長松山 祐一君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長高橋 博則君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務奈良部瑞枝君
事業推進担当部長古賀 元浩君
医療改革推進担当部長成田 友代君
医療政策担当部長矢沢 知子君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長横手裕三子君
施設調整担当部長稲葉  薫君
子供・子育て施策推進担当部長加藤 みほ君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長吉田 道彦君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 平成三十年度東京都国民健康保険事業会計予算
・第六号議案 平成三十年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
・第七号議案 平成三十年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十七号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第四十八号議案 東京都病院及び診療所の人員、施設等の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第四十九号議案 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
・第五十号議案 東京都国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する条例
・第五十一号議案 東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・第五十二号議案 東京都国民健康保険調整交付金条例を廃止する条例
・第五十三号議案 介護保険法施行条例の一部を改正する条例
・第五十四号議案 東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例を廃止する条例
・第五十五号議案 東京都立ナーシングホーム条例を廃止する条例
・第五十六号議案 児童福祉法施行条例の一部を改正する条例
・第五十七号議案 東京都児童相談所条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
・第五十九号議案 東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
・第六十号議案 東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
・第六十一号議案 東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
・第九十五号議案 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター中期計画の認可について
・第百三号議案 東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例
・第百四号議案 東京都養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百五号議案 東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百六号議案 東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百七号議案 東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百八号議案 東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百九号議案 東京都指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百十号議案 東京都介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百十一号議案 東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百十二号議案 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百十三号議案 東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
・第百十四号議案 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百十五号議案 東京都指定障害児入所施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百十六号議案 東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百十七号議案 東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百十八号議案 東京都指定障害者支援施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第四号 東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例

○伊藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 初めに、第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案から第七号議案まで、第四十七号議案から第六十一号議案まで、第九十五号議案及び第百三号議案から第百十八号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○後藤総務部長 去る二月二十日の当委員会で要求のございました資料のご説明を申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙の目次にございますように、全部で八項目となっております。
 以下、順にご説明を申し上げます。
 一ページをお開き願います。1、二次保健医療圏別NICU病床整備状況といたしまして、本年一月一日現在のNICUの病床数を都内十三の二次保健医療圏ごとに記載してございまして、合計で三百二十九となっております。
 二ページをお開き願います。2、療養型施設数及び療養病床数(医療保険適用・介護保険適用)の推移といたしまして、平成二十八年から平成三十年まで、それぞれ一月一日現在の施設数と病床数の推移を医療保険適用と介護保険適用に区分して記載してございます。
 隣の三ページをごらんください。3、地域密着型サービスの事業所数の推移といたしまして、表の中ほどにございます認知症対応型共同生活介護につきましては平成十七年から平成二十九年まで、その他の地域密着型サービスにつきましては、それぞれ制度創設の年から平成二十九年まで、それぞれ四月一日現在の事業所数の推移を記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、地域包括支援センターの設置状況といたしまして、(1)で、区市町村ごとの平成三十年二月一日現在のセンター設置数と平成二十九年一月一日現在の六十五歳以上人口を隣の五ページにかけまして、さらに、(2)に、センター職員の配置基準を記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、障害者グループホームの定員数といたしまして、平成二十九年三月一日現在の定員数を区市町村ごとに記載してございます。
 隣の七ページをごらんください。6、被爆者の子の健康診断受診票の交付者数及び健康診断受診状況の推移といたしまして、(1)に、平成二十四年度から平成二十八年度までの被爆者の子の健康診断受診票の交付者数、(2)に、同じく平成二十四年度から平成二十八年度までの一般検査とがん検診の種類別の受診者数を記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、都内障害者グループホームの国加算算定状況といたしまして、平成二十九年十一月に国の各種の加算を算定した都内の障害者グループホームの事業所数を記載してございます。
 隣の九ページをごらんください。8、福祉保健局所管の監理団体及び地方独立行政法人における雇用期間の定めのある職員数といたしまして、平成二十九年八月一日現在の雇用期間の定めのある職員数と、そのうち平成三十年四月一日に通算契約期間が五年を超える職員の見込み数を、(1)に監理団体、(2)に地方独立行政法人、それぞれ団体ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますけれども、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 これより、ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○鳥居委員 それでは、まず私からは最初に、都民の要望予算についてお伺いいたします。
 平成三十年度予算では、広く都民の意見を募り、事業構築に生かす仕組みが初めて導入されました。高齢化対策の分野では二つの事業が採択されており、そのうち住み慣れた地域での居場所づくり事業、これは、高齢者の社会参加を促進し、地域のネットワークを築く拠点となる居場所をふやす取り組みとして期待しております。
 この事業の目的と補助の概要を伺いたいと思います。

○粉川高齢社会対策部長 住み慣れた地域での居場所づくり事業は、都民からの提案を踏まえ、地域で暮らす高齢者や障害者、子供など多世代が交流でき、元気な高齢者を中心としたボランティアが運営する居場所づくりを進める区市町村の支援を目的としております。
 事業実施に当たりましては、開設日数をおおむね週二日以上とするなど補助要件を緩やかなものとするほか、補助率も四分の三とし、区市町村が地域の実情に応じて取り組みやすいものとしております。

○鳥居委員 高齢者の社会参加を促進するということは、高齢社会におきましては重要な取り組みの一つであるということはいうまでもないと思います。今回の事業が地域のネットワークを築く拠点となる居場所をふやす取り組みとなることを期待しております。
 続きまして、介護業界の人材不足を補うためのICT化について質問いたします。
 これからの介護業界の最重要課題は人材不足です。しかしながら、介護現場においては、介護の記録の作成や報酬申請の書類作成など、介護の仕事以外の業務負担が大きいと聞きます。こうした書類等をペーパーレス化することにより、業務の効率化が図れ、介護職員の負担軽減につながると考えております。そのためには、介護現場においてもICT機器の導入が不可欠だと考えます。
 都は来年度、居宅サービス事業所におけるICT機器導入を支援する予算を計上していますが、まずはこの事業を実施する経緯について伺いたいと思います。

○粉川高齢社会対策部長 介護現場では、ICT機器を導入することで、サービス提供記録の作成や介護報酬の請求事務などに要する時間が減少し、業務負担軽減につながるとされております。
 特に、居宅サービスである訪問介護事業所においては、訪問介護員がタブレット端末などのICT機器を活用することで、利用者の状況や提供したサービスの記録を訪問先で入力することが可能となり、記録作成等の業務の効率化が図られます。
 また、訪問先で入力した利用者のサービス提供内容をリアルタイムで事業所と共有することができ、申し送りや引き継ぎなどに活用することで、サービスの質の向上にもつながります。
 このため、来年度から、訪問介護事業所におけるICT機器の導入を支援する事業を実施いたします。

○鳥居委員 訪問介護員は高齢の方も多くて、ICT機器を導入していない事業所も多いということから、訪問介護事業所への導入を支援することは重要と考えております。
 そこで、導入支援について具体的にどのように取り組むのかお伺いいたします。

○粉川高齢社会対策部長 本事業では、訪問介護事業所に対し、タブレット端末やソフトウエアの導入経費のほか、導入に当たっての機器の使い方の講習や導入後のフォローアップ研修などの費用も合わせて補助いたします。
 補助基準額を百万円、補助率を四分の三とし、来年度は百十カ所の事業所を対象といたします。
 こうした取り組みを通じ、訪問介護事業所における介護職員の負担軽減を図り、介護人材の定着に努めてまいります。

○鳥居委員 ICT機器の導入が進み、介護職員の負担が軽減されれば、介護人材の定着につながると思います。事業者が補助事業を十分に活用できるように、しっかりと取り組んでいただきたいことをお願いしておきます。
 続きまして、外国人介護実習生の受け入れについて質問いたします。
 新規事業で、外国人技能実習制度に基づく外国人介護実習生の受入支援事業の経費が計上されております。また、対人サービスとして初めて介護の職種が追加された技能実習法が昨年十一月に施行されました。これは、発展途上国等の外国人が技能実習生として高齢者施設などで就労しながら日本の介護技術を母国に移転するものであり、国際貢献に資するものと考えております。
 都は、既にEPA、経済連携協定に基づく外国人介護士の受け入れ支援事業を実施しておりますが、今後、受け入れが進む技能実習生についても施設などで高齢者の介護に従事するということに変わりはございません。
 そこで、都は、外国人技能実習制度に基づく外国人介護実習生の受入支援事業、これを実施する趣旨について伺いたいと思います。

○粉川高齢社会対策部長 外国人技能実習制度における介護職種につきましては、国の告示等により、技能実習を実施する介護施設等において、実習を開始した日から六カ月を経過した場合は、介護保険法に基づく人員配置基準上の職員とみなす取り扱いとなっております。この配置基準の取り扱いにより、実習生を受け入れる介護施設等では、介護サービスの質を確保するため、介護福祉士の資格を有する技能実習指導員などを選任し、日本語学習指導などにより、利用者や他の介護職員等と適切にコミュニケーションを図る取り組みが必要となります。
 このため、都は来年度、日本語学習や介護技能習得に要する研修経費に対して独自に補助することとし、実習生を受け入れた施設の取り組みを支援してまいります。

○鳥居委員 高齢者やそのご家族の不安を払拭するためには、外国人の介護事業者の方ときちんとコミュニケーションがとれることが大事です。そのためには、日本語学習の経費を補助することが必要な取り組みだと考えております。
 そこで、具体的な補助の内容について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 外国人技能実習制度のうち、介護職種においては、特に日本語の能力が要件として定められております。
 具体的には、入国時の一年目要件として、日本語能力試験のN4程度が求められており、このN4とは、基本的な日本語を理解することができるとなっております。また、二年目はN3程度が要件であり、このN3とは、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるとなっており、この要件を満たせない場合は技能実習を継続することはできません。
 このため、実習生を受け入れる都内の介護施設を対象とし、入国後の一年間で日本語能力N3を取得するための日本語学習に要する経費を補助するとともに、食事、排せつ、入浴等の介護技能の習得に要する経費についても補助いたします。
 補助金の対象経費については、日本語学習等の講師代や教材購入費のほか、学習用パソコンのリース代や活動に伴う交通費などでございます。
 補助基準額は実習生一人当たり年額六十七万円、補助率は二分の一とし、受け入れる介護施設に対して補助してまいります。

○鳥居委員 外国人技能実習生はもとより、受け入れる介護施設を支える観点から、また、利用者や家族のさまざまな懸念に対応していくことをお願いしたいと思います。
 続きまして、障害者グループホームの都加算制度の変更につきまして質問いたします。
 障害のある方が必要な支援を受けながら地域で暮らすことができる環境を整備することは重要です。障害者グループホームは、入所施設や入院中の病院から地域生活に移行する障害者や、親元を離れ必要な援助を受けながら地域で自立した生活を希望する障害者にとって重要な役割を担っております。
 そこでまず、直近の五年間におけるグループホームの定員数の推移及び利用者の状況について伺います。

○高原障害者施策推進部長 障害者グループホームの定員数は、平成二十四年度末の五千九百七十九人から平成二十八年度末の八千三百七十四人へと、二千三百九十五人増加してございます。
 また、利用者の状況につきましては、支援区分四以上の利用者の割合が、同期間に二九・〇%から四〇・七%へと増加し、また、六十五歳以上の利用者も、同期間に四百八十五人から八百十四人へと増加してございます。

○鳥居委員 ただいまの答弁から、グループホームの定員数を着実に増加させていることがわかります。
 一方で、現在グループホームを利用している方々の障害の重度化や高齢化が急速に進んでいることをお示しいただき、現場環境の変化が起こっていることが容易に理解できます。
 新たにグループホームを利用しようとする障害者の中には、重度の障害を持った方も今後ふえると思います。
 この方たちの受け入れを含め、都としてグループホームの整備を一層促進する必要性があると考えますが、都の見解を伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は、今年度策定する東京都障害者・障害児施策推進計画におきまして、平成三十年度からの三年間でグループホーム二千人分を新たに整備することを目標に掲げ、引き続き整備費の事業者負担割合を軽減する特別助成のほか、都有地の減額貸付や定期借地権の一時金に対する補助などを実施してまいります。
 さらに、来年度からは、重度の障害者を受け入れるグループホームの整備を促進するため、エレベーターや機械浴槽、介護リフトなどを整備する場合に、新たに補助基準額への加算を実施いたします。

○鳥居委員 定員数の拡大、重度の障害者受け入れの整備に対する助成についてお示しいただきました。
 グループホーム事業者が世話人や生活支援員を確保しながら安定した運営を行っていくためには、整備費に対してだけではなくて、運営費に対する支援も重要です。
 都は現在、グループホームを設置する事業者が安定的に運営できるよう支援を行っていますが、その具体的な内容について伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は、グループホーム事業者が必要な人材を確保し、質の高いサービスを提供できるよう、国の報酬に加えまして、都独自の補助を実施してございます。
 具体的には、利用者の障害支援区分に応じた都基本額を設定し、国の報酬額における単価との差額を都加算額として支援してございます。

○鳥居委員 国の制度が、支援費から障害者自立支援法、さらに障害者総合支援法と目まぐるしく変更される中で、グループホームを運営する事業者にとって、この都独自の補助制度は施設の運営に欠かせないものとなっていると私は認識しております。
 都は来年度、障害者の高齢化や障害の重度化を踏まえて、このグループホームに対する支援策の見直しを行うと聞いておりますが、その目的と内容を伺います。

○高原障害者施策推進部長 今回の見直しは、重度の障害者の受け入れやサービスの質の向上への事業者の取り組みを促進することを目的として実施するものでございます。
 具体的には、障害支援区分ごとに設定をしております都加算額につきまして、より重度の区分を手厚く設定したほか、世話人の配置につきまして、現在は国基準の六対一以上の配置であれば全て同一額としてございますが、これを四対一の人員配置とした場合には、都加算額が増加するように設定をいたします。
 さらに、現在は国加算を取得してもしなくても、都加算を含めた全体の収入額は変わりませんが、今後は、福祉専門職配置等加算や医療連携体制加算など、質の向上のための国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めます。
 このほか、今回これらの見直しに合わせ、精神障害者の受け入れに当たって、精神科医療との連携体制を確保するために精神保健福祉士等の配置を行った場合の加算を創設したほか、従来、帰宅や入院によりグループホームを利用しない方についても、グループホーム利用時と同額の加算を行っておりましたが、利用者が不在の場合には、食事の介護などの直接的なサービスは行わないため、世話人の配置に要する経費相当額となるように見直しを行いました。

○鳥居委員 障害者の高齢化や障害の重度化が進む中で、利用者のニーズに対応して、質の高いサービスを提供する事業所の取り組みを評価する、その見直しの方向性は理解できます。
 しかし一方で、特に、中軽度の利用者が多い事業者や、週末には自宅に帰ることによりグループホームを利用しない利用者の多い事業者からは、今回の見直しにより収入が減るのではないかという不安の声も出ております。この事実を重く受けとめる必要性があると考えます。
 そこで、グループホームを運営する事業者に対し、見直しの趣旨や国加算を取得すれば収入が増加すること等について丁寧に説明することとともに、スムーズに体制整備を行う上での配慮が必要であると考えますが、都の取り組みを伺います。

○高原障害者施策推進部長 制度の見直しに当たっては、東京都社会福祉協議会の身体障害者福祉部会や知的発達障害部会、東京都精神障害者共同ホーム連絡会など関係団体へのヒアリングを実施するとともに、区市町村や都内全ての事業者を対象にした説明会を実施いたしました。
 また、制度の移行に当たっては、事業所における職員配置や積極的な国加算の取得に向けた体制整備のため、六カ月間の経過措置を設けることといたしました。
 今後も引き続き、国報酬の改定に関する説明会やグループホームの開設に関する説明会などの機会を通じて、事業者に対して丁寧に見直し内容を説明してまいります。

○鳥居委員 グループホームを運営する事業者が国報酬の加算取得に向けて手厚い支援体制を確保するためには、職員定着や介護福祉士の資格の取得を含む職員の資質の向上が必要です。
 しかし、グループホームを運営する事業者の中には、経営規模が小さくて職員の定着や育成に取り組む余裕がない事業者が多いのも事実でございます。
 このため、都は、運営費への助成に加えて、グループホーム事業者の人材定着や育成に対する支援を行うべきと考えますが、取り組みを伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は、グループホーム従事者を対象といたしまして、支援に必要な夜間支援や金銭管理に関する知識等を習得するための研修事業を開始し、来年度は、カリキュラム作成や講師の要請を行うこととしております。
 また、利用者へのサービスの質の向上を図るとともに、専門職配置に関する国の加算を算定できるよう、介護福祉士や精神保健福祉士等の国家資格の取得に係る経費を支援してまいります。
 さらに、グループホーム等の事業所の管理者や指導的役割を担う職員を対象に、職場環境改善などの労務管理や人材マネジメント方法等に関する研修を実施いたします。
 これらの取り組みを通じ、グループホームにおける人材の育成、定着を支援し、サービスの質の向上へつなげてまいります。

○鳥居委員 今回の制度改正に伴い、複数の事業者から悲鳴の声を伺っております。制度変更に伴う都の対応とその意図は理解できる点も多いと考えます。しかし、もしも事業運営に大きな影響が生じる事業者様においては、事業を閉じるか、もしくは人材削減、この削減による職員の離職や過労、サービスの低下、事件、事故の発生の可能性につながるということを熟慮する必要があると考えます。
 今回の改正で事業所を閉じなければならないという事例につながらないように、今回のご答弁でもございました、都は引き続き、事業者様たちと誠実な話し合いを進めていただきたいと考えます。
 障害者様の事情を熟慮しますと、セーフティーネットとして福祉保健局の役割を十分に発揮する分野と認識いたします。今後もそのご対応に期待いたしまして、私の質問を終わります。

○小宮委員 福祉人材対策について、まず伺ってまいります。
 待機児童対策など子育て支援策の充実にしても、また超高齢社会に対応するための介護サービスの拡充にしても、また障害者が地域で暮らす生活基盤整備、これを維持するにしても、それらを支える人材の確保と支援が重要であります。
 しかし、全産業における有効求人倍率の高どまりの状況を見ると、どの産業においても人手不足は深刻であります。保育士は六・四三倍、また介護職は六・七七倍ということで、東京の福祉人材を確保するということは大変厳しい状況となっています。介護など福祉サービス事業者は比較的小規模なところが大きく、人材確保に常に苦労しているというふうに聞いています。
 そこでまず、介護人材への対応について伺います。
 介護人材の確保について、これまで東京都は、広域的な視点からさまざまな対策を講じているところです。地域の実情に応じた対策という意味では、区市町村での取り組みも非常に重要です。
 東京都は三十年度から、区市町村における介護人材確保を支援するための補助事業を新たに開始するということですが、その背景と目的について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 国は、平成三十年度から開始する介護保険事業計画の基本指針において、介護保険事業の運営主体である区市町村による介護人材対策の重要性を示しました。
 こうした方針を踏まえ、区市町村においては、計画策定に当たり、介護人材の確保に向け、地域の特色を踏まえたさまざまな取り組みが検討されております。
 このため、都は来年度から、介護人材対策に取り組む区市町村を支援することを目的に、地域医療介護総合確保基金を財源とし、新たに東京都区市町村介護人材緊急対策事業補助金を設けることとしております。

○小宮委員 これまで東京都は、区市町村に対して、高齢社会対策区市町村包括補助によりまして介護人材確保の支援などを行ってきました。
 今回の新たなこの補助事業は、特に介護人材対策に特化をしたものというふうに思いますけれども、具体的にどう取り組むのか伺います。

○粉川高齢社会対策部長 本事業では、国が定める基金管理運営要領等を踏まえ、多様な人材層に対する研修や管理者を対象とした雇用管理改善の理解を深めるための取り組みなど、区市町村が行う介護人材の確保や資質向上のための取り組みに対し、一区市町村当たり最大で二千万円を基準額として補助する予定でございます。
 また、平成三十二年度までの三カ年で、区市町村の取り組みを積極的に支援する観点から、事業費についての区市町村の負担割合は四分の一とする考えでございます。
 都は今後とも、区市町村と連携し、介護人材対策を促進してまいります。

○小宮委員 区市町村によっては介護事業所の数も、また、地域包括ケアシステムを支えるような地域生活に携わるボランティアやNPO、こういった状況も区市町村ごとにさまざま異なってくると思います。ぜひそうした地域のニーズや状況に合った取り組みを支援していくという視点を持って、東京都は区市町村を積極的に支援していただきたいとお願いします。
 また、こうした区市町村への支援に加えて、東京都として、福祉人材確保というこの急務の課題にさまざまな手だてをこれから講じていっていただきたいというふうに思いますけれども、来年度、東京都は新たに新卒者などの若者をこうした介護分野の仕事に確保して育成をしていく、このために、介護職員奨学金返済・育成支援事業、こういうものを実施するというふうに伺っておりますが、まずこの事業の内容と進め方について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 介護職員奨学金返済・育成支援事業は、若い世代の介護職員の確保、定着を図るとともに、介護事業所の人材育成の取り組みを支援し、質の高い介護サービスを長期的に提供することを目的としております。
 具体的には、事業者が、在学中に奨学金貸与を受けた新卒者等を常勤職員として雇用し、その返済金相当額を手当として支給した場合に、一人当たり年額六十万円を上限として事業者に補助をいたします。
 また、職員の育成環境が確保されるよう、事業所が介護職員処遇改善加算Ⅰを取得し、かつ独自に資格取得のための費用の援助や研修受講のための勤務シフトの調整を実施するなど、教育体制が整っていることを補助要件といたします。
 さらに、補助の対象となる職員が計画的に介護職員初任者研修の受講や介護福祉士資格の取得を目指すなどキャリアアップが図られるよう、事業者には育成計画の作成を義務づけることといたします。
 今後、学生、事業者それぞれに、事業の趣旨や内容をわかりやすく紹介したリーフレットを作成、配布するとともに、事業者説明会の開催などにより、多くの事業者が本事業を活用できるよう周知を図ってまいります。

○小宮委員 事業所を通じて学生や若者を資金面で支援するということにつながるだけではなくて、この事業を通じて、事業所がキャリアアップですとか職員の育成計画を検討し、導入するきっかけになるということは、事業所の質の向上につながる、また、ひいては職員の定着にもつながるものであると期待したいと思います。やはり質の確保というものがこの量の確保につながっていく、こういう好循環を生み出していくような事業をこれからも充実させていっていただきたいと思います。
 一方で、労働人口が減少してまいります。そんな中で、東京都は来年度、新たに高齢者の方の参入促進のための介護講師派遣事業というものを実施すると聞いておりますけれども、事業の内容と進め方について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 介護講師派遣事業は、高齢者等に対し、企業等を退職する前から介護の魅力を伝え、技術習得の機会の提供等により退職後の介護分野への参入促進を図ることを目的としております。
 具体的には、企業が退職前の従業員に対して、介護の基礎的な知識や技術に関する研修を実施する場合に、介護福祉士養成施設から講師を派遣することなどにより支援をしてまいります。
 また、企業等の要望に合わせて、例えば、研修に若年性認知症に関する内容を盛り込むなど、柔軟に対応してまいります。
 さらに、研修受講生が希望する場合には、介護施設等での職場体験の案内や就職等の支援も行います。
 実施に当たりましては、都内の企業等に周知を図るため、経済団体に対して、会員企業のメーリングリストの活用などについて協力を求めてまいります。

○小宮委員 民間企業や事業所においても労働人口が減少していくという中で、定年後の再雇用のニーズがやはり高まってまいりますから、民間の方の理解と協力を得ることは大変難しいと思いますけれども、社会的な課題だということを、ともに共有する、認識する、そういうきっかけとなるように努力をしていっていただきたいというふうに思います。
 次に、障害者福祉サービスを担う人材についての対応を伺ってまいりたいと思います。
 障害のある人たちが身近な地域で将来にわたって安心して生活できる環境、こういうものを整備することは大変重要なわけですけれども、障害のある人の特性というのは大変さまざまです。利用者本位のサービスを提供するためには、その人に長く携わり、その障害の特性を理解した、こういう職員がサービスの提供に当たるということが大変必要です。そういう利用者本位の質の高い福祉サービスを提供するためには、質の高い人材を安定的に確保していかなければなりません。
 そこで、障害分野においても、人材の定着、また育成を進めていく必要があると考えますが、東京都の取り組みを伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は来年度から、障害者施設、事業所に対しまして、住宅費負担の軽減等による働きやすい職場環境の確保と災害時の運営体制の強化を図るため、福祉避難所の指定を受けた施設等の運営事業者が施設周辺で職員用の宿舎を借り上げる場合に支援を行います。
 また、職員の定着や資質の向上を図るため、事業所の管理者や指導的役割を担う職員を対象に、職場環境改善などの労務管理や人材マネジメント方法等に関する研修を実施いたします。
 あわせて、職員が資質向上を図るための研修等を受講する機会を確保するため、研修受講期間中の代替職員を事業所に派遣してまいります。

○小宮委員 障害の分野、障害福祉サービスを希望する人というのは大変意欲とか意識の高い方が多いというふうに聞いておりますけれども、大変な職場であるからゆえに、そのやる気のある方がしっかりと定着するように支援をお願いしたいと思います。
 次に、子育て支援員について伺います。
 保育や子育て支援サービスの担い手を確保するために、この事業を平成二十七年にスタートして三年がたったわけですけれども、地域で保育や子育て支援の事業に従事することを希望する方を対象にしたこの子育て支援員制度ですけれども、支援員研修を修了しますと、小規模保育や家庭的保育など保育の現場で携わるほか、学童クラブ、また子育てひろばなど地域におけるさまざまな子育て施策の担い手としてその活躍が期待できるところで、大変重要な研修制度、人気のある研修制度であると伺っております。
 平成三十年度の子育て支援員の養成と、また活用の拡大、これをぜひ取り組んでいっていただきたいと思いますが、その取り組みについて伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援員の養成につきましては、平成二十七年度に受講定員千三百六十名で研修を開始いたしまして、二十八年度は、待機児童解消に向けた緊急対策も含め、千百八十名増の定員二千五百四十名で実施をいたしました。
 今年度でございますが、定員二千五百六十名で実施をしておりまして、来年度はより多くの方に受講していただけますよう、定員をさらに千四百四十名ふやし、四千名に拡充をいたします。
 また、子育て支援員の活用につきましては、これまで保育人材・保育所支援センターやハローワークにおいて求人情報の提供等を行っておりまして、これに加えまして、来年度は、子育て支援員を対象とした就職相談会を新たに実施する予定でございます。

○小宮委員 定員が大幅に拡充をされるということ、子育て支援員に特化した就職相談会も実施をするということで、積極的に取り組んでいただいているということがわかります。子育て支援員の活躍の場というのは、保育の分野を中心に広がっておりまして、今後ますます活躍を期待するところですけれども、引き続き子育て支援員の要請と活用拡大に向けて取り組んでいただきたいということを要望して、次の質問、児童虐待の方に移ってまいります。
 今月の二日、目黒区に住む五歳の子供が虐待により亡くなるという大変痛ましい事件が起きました。このご家族は、ことし一月に香川県から目黒区に転居してきたばかりということでした。
 報道では、目黒区に転居する前の香川県で、過去二回、一時保護されていたということがわかっておりますけれども、その一方、ことし一月初めには、児童相談所による法的な指導である児童福祉司指導の措置というものが解除されて、その上で目黒区に転居をしてきたということです。
 その後、香川県の児童相談所から品川児童相談所に、このご家族に関する情報提供があったとされています。品川児童相談所はその情報提供を受けて緊急受理会議を開催いたしまして、初期対応の方針を決定し、家庭訪問を行いましたけれども、子供には会えなかった、その後、区の子供家庭支援センターなど地域の関係機関で対応を協議しようとしていたまさにそのやさきに起こった大変残念な事件だったというふうに思います。このような事件が繰り返されることのないよう、まずはこの間の児童相談所の対応について、しっかりと検証していただきたいということを要望しておきます。
 さて、都内十一カ所の児童相談所が平成二十八年度に児童虐待相談として対応した件数は一万二千四百九十四件となりまして、三年前と比較すると約二・三倍に上っています。こうした急増する虐待相談に迅速かつ的確に対応していくためには、やはり児童相談所の体制強化が欠かせません。
 東京都はこれまでも、児童相談所の体制強化に取り組んでいるところですけれども、より一層、児童福祉司や児童心理司の増員を図っていくということが必要です。
 見解を伺います。

○松山少子社会対策部長 都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司や児童心理司の増員を初め、虐待対策班の設置、人材育成等を担う児童福祉及び児童心理の専門課長、新任職員の個別指導等を担う児童福祉司や児童心理司のOB、保健師の資格を有する医療連携専門員、非常勤の弁護士の配置などを行ってまいりました。
 来年度は、児童福祉司を二十三名、児童心理司を十三名それぞれ増員し、児童虐待対応のさらなる強化と養育家庭への委託の促進を図ってまいります。
 また、児童福祉司や児童心理司が行う児童記録の作成や関係機関からの照会に関する事務などの業務を補佐する職員を十五名増員し、児童相談所の体制を一層強化してまいります。

○小宮委員 今後も、児童福祉司や児童心理司を大幅に増員して、児童相談所の体制強化に取り組んでいただきたいと思います。
 また、児童虐待の相談対応件数増加に伴いまして、保護を必要とする子供も増加しておりまして、一時保護所の入所状況は大変厳しい状況になっていると伺っています。
 そこで、一時保護所の定員拡充の取り組みについて伺います。

○松山少子社会対策部長 都はこれまで、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を、十年前である平成十九年度の百四十四名から、現在の二百十三名にまで拡大してまいりました。
 現在、足立児童相談所の現地建てかえを進めており、来年度、仮設建物への移転に合わせ、一時保護所の定員を現在の二十四名から三十二名に拡大いたします。これにより、都全体の定員は二百二十一名となります。
 また、八王子児童相談所の一部移転にかかわる工事も進めており、これに合わせて一時保護所のさらなる定員拡大を図ることとしております。

○小宮委員 建てかえに合わせてですとか、あるいは敷地内増設ということで拡充を図られているということですが、一時保護のサイクルというのが全国平均だと二十九日であるのに対して、東京は四十二日というふうに日数がかかっております。この状況というのは、全国で、行き先の調整や親戚等関係する方の調整というのは、内容は変わらないと思うんですけれども、やはり東京がどうしても一時保護に長く時間を要してしまうというのは、親戚ですとか近隣とのそうした関係が、やはり地方に比べて希薄であるとか、そういうことによって子供を見守る関係機関との調整に時間を要すというふうに、理由というのは東京ならではの事情があるというふうに思います。
 やはりそうしたことも進めていく、担っていくのは人でありますから、保護が必要な子供を確実に受け入れていくために、これからも専門職をふやすことであるとか、また、一時保護所の定員拡充、こうしたことに計画的に取り組んでいっていただきたいと思います。
 また、それらとあわせて質の向上というものも重要です。
 東京都では、一時保護所の施設運営の質を向上していくために、平成二十八年度から、都内全ての一時保護所で外部評価を受審しておりまして、その結果も公表しています。
 私も昨年十一月の厚生委員会事務事業質疑において、この外部評価を導入した経緯や評価結果についてお聞きをしておりますけれども、その後、東京都は、外部評価の結果を踏まえて、一時保護中の児童が児童相談所の職員ではない第三者に直接相談できるよう、第三者委員を導入するといっております。
 そこで、一時保護所における第三者委員導入の取り組み状況について伺います。

○松山少子社会対策部長 都は、一時保護中の児童の権利擁護と施設運営の質の向上を図るため、福祉サービス第三者評価制度における児童養護施設の評価指標や項目を参考に、一時保護所の評価基準を作成し、平成二十七年度の試行を経て、二十八年度から都内全七カ所の一時保護所で外部評価を受審しております。
 昨年度に実施した外部評価において、一時保護所に入所している児童が児童相談所の外部に意見を表明できる窓口を整備すべきとの評価機関からの意見があったことを踏まえ、児童の権利を擁護する観点から、公平、中立的な立場で児童の声を聞く第三者委員を都内全ての一時保護所に導入することといたしました。
 第三者委員は、一時保護所を訪問し、児童から保護所の生活に関して直接相談を受けるほか、権利擁護やサービスの質の向上の観点から、児童相談所への助言を行います。
 本年二月から、試行的に実施しており、その活動状況なども踏まえ、来年度から本格実施してまいります。

○小宮委員 一時保護所での第三者委員の導入は、入所児童の権利擁護の観点から、とても重要な取り組みであると思います。外部評価を受けて、その結果を必要な対応につなげていく、こうしたサイクルを今後も継続していただいて、施設運営のさらなる向上を図っていただきたいと要望しておきます。
 次に、二十七年の東京都社会的養護推進計画では、四十一年までに社会的養護における家庭的養護の割合の六割ということを目標に、目指していらっしゃいます。二十八年六月には児童福祉法が改正となりまして、家庭と同様の環境における養育の推進の理念というものが明確化されております。
 東京都は、二十八年十一月、児童福祉審議会の提言を受けまして、家庭的養護のさらなる推進を進めているところですけれども、社会的養護が必要な子供の多様なニーズに沿い、あらゆる年齢や事情に応じて家庭と同様の環境での養育を進めるためには、さらに養育家庭への委託を進めていくその努力がまた必要であるというふうに思います。
 まず、確認をしておきたいと思いますけれども、社会的養護のもとで暮らす子供の数、養育家庭の登録家庭数、委託家庭数、委託児童数について伺います。

○松山少子社会対策部長 平成二十九年三月現在、都内における社会的養護のもとで育つ児童の数は三千九百八十八人でございます。養育家庭への登録家庭数は五百二十二家庭、委託家庭数は二百九十一家庭、委託児童数は三百六十八人でございます。

○小宮委員 登録家庭が五百二十二家庭、委託家庭が二百九十一家庭となると、登録をしていながら児童を委託していない未委託家庭というのが二百三十一家庭あるということになります。さらなる委託の促進のためには、登録里親の拡大だけでなくて、この未委託家庭に積極的に委託を進めるということが有効ではないかと思います。
 未委託家庭の中には子育て経験がない家庭も多いというふうに聞いておりますけれども、安心して児童の養育に携われるよう、養育力向上への支援も必要です。また、児童が委託されない期間が続きますと、養育に携わりたいという最初の意欲が保てなくなるということもあると聞きますけれども、こうした家庭へのフォローも重要です。
 児童相談所は家庭のそれぞれの状況をきめ細かく把握をして、一人でも多くの子供を委託できるよう支援をすべきであると考えますが、養育家庭の登録をしていながらも児童を委託していない、こうした未委託家庭に対して支援の充実を図る必要があると考えますけれども、都の見解を伺います。

○松山少子社会対策部長 児童を委託していない未委託家庭の養育力向上を図るため、都は、民間団体を活用した里親支援機関に平成二十八年度より里親トレーナーを配置し、里親トレーニング事業を実施しております。
 この事業では、未委託家庭の習熟度や希望等に応じて演習やロールプレーを行うほか、トレーナーが家庭を訪問し、児童との生活で起こりやすい事故について助言するなど、委託に備えた実践的な研修メニューを用意しており、受講家庭数を、今年度の三十三家庭から、来年度は五十三家庭に拡大いたします。
 さらに、里親支援機関に配置している里親委託等推進員が未委託家庭への定期訪問を新たに開始いたします。定期訪問では個々の家庭状況を把握し、必要に応じて研修につなげるなどの支援を行い、社会的養護の担い手としての意識や養育力の向上を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、個々の児童のさまざまな状況に合わせた委託をさらに促進してまいります。

○小宮委員 平成二十八年度から始まっていたこの里親トレーニング事業、二十八年受講された九家庭のうち、二家庭の委託につながったという成果を聞いております。大変地道な取り組みでありますけれども、養育に必要な知識というものを習得して、受託後のイメージが湧きやすいとか、意欲を維持することにつながるであるとか、また、さまざまな不安を軽減することにもつながる大変効果が出ているというふうに伺っております。
 登録をして二年に一度の研修だけ済ませて終わりというのではなくて、やはり未委託家庭へのこうしたきめ細かな支援が、養護を必要とする子供と、また、やる気のあるそうした家庭を結ぶことにつながるようお願いしたいと思います。
 次に、認知症対策について伺います。
 二〇二五年には六十五歳以上の五人に一人が認知症になる、こういう時代になるといわれています。こういうことを地域でいいますと、皆さん、一、二、三、四、五と数えて、ああ、俺かというようなことで、大変、そこまで切迫しているのかという認識を持たれる方もいるわけですけれども、認知症対策に大切なことというのはやはり、何度もお話ししていますけれども、早期に発見をして、診断とそして治療につなげるということであります。
 東京都の調査では、都内の認知症高齢者数は約四十一万人、そのうちの約六割が居宅で生活をしていらっしゃるということです。
 今後、東京都内では、単身ですとか夫婦のみの世帯がふえていくわけですけれども、そうした方々にも、住みなれた地域でしっかりと今までどおりの暮らしを続けるためには、これからさまざまな支援が必要になってくると思います。
 これまで東京都は、大規模団地等で地域ケアモデルの構築に取り組んでおりまして、高島平地域で調査を実施しております。
 まず、このモデル事業の内容と成果について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 昨年度から実施しておりますモデル事業では、都市部における高齢者の生活実態や認知症高齢者に必要な支援を検証するため、板橋区高島平地域にお住まいの七十歳以上の方を対象に、三次にわたる調査を実施し、最終的に、認知機能が低下している方、百九十八人が参加をしました。
 このうち、医師による面接で認知症の状態があると評価された方は七十八人であり、約六割の方が医療機関で認知症の診断を受けておりませんでした。また、介護サービスの利用につなげる支援を必要とする方が約五割、買い物や通院の付き添いなどの生活支援が必要な方が約四割であることが明らかになりました。
 今年度は、認知症の方が地域で暮らし続けられる支援の仕組みを検証するため、調査に同意を得られた七十人の方に対し、医療や介護サービスの利用調整、買い物などの生活支援、生活環境の調整、家族に対する相談や交流の場の提供などの支援を行い、五十二人の方が在宅生活を継続しております。

○小宮委員 認知症の状態にある方が七十八人で、そのうち診断を受けていない方が六割もいらっしゃったということでして、この七十八人の中から、いろんな事情によって、七十人の方に対してさまざまな支援を実施して、今でもちゃんと在宅を続けているという方が五十二人であるということですけれども、やはりしっかりと早期に発見をして支援につなげて、今までの生活を維持できるというこの取り組みを評価したいというふうに思います。
 このモデル事業のこうした成果を踏まえて、今後どのように都内各地にこうした支援を広げていくのか伺います。

○粉川高齢社会対策部長 モデル事業では、認知症を早期に発見し、初期段階から必要なサービスにつなぐためには、気軽に立ち寄り支援を受けられる場所、認知症の方と家族を支える人材、地域の支援者が互いに連携することが必要であることが明らかとなりました。
 来年度は、高齢化が進んでいる大規模団地などに交流や相談ができる拠点を設置し、支援の担い手の育成や認知症サポート医や介護職など、多職種が協働した早期支援の体制づくり等に取り組む区市町村を新たに支援することとしております。
 その際には、モデル事業を実施した東京都健康長寿医療センターの知見を活用し、認知症の方を支える地域づくりを支援するアドバイザーの派遣や、地域の関係機関とのネットワーク構築を担う指導者の育成などを行ってまいります。

○小宮委員 認知症だけでなく、これから大事なのは、一人一人の高齢者を孤立させないということが、やはりこれからの元気で長生きできる、そういうご長寿社会を実現することにつながると思います。
 そのためには、拠点の整備というハードも大事ですけれども、やはり一人のお年寄りに寄り添い支援する人、専門職、地域との連携など人への支援というものが重要になってくると思います。
 東京都として、区市町村へは既にさまざまな高齢者支援事業を実施していると思いますけれども、このモデル事業で示された成果、これをしっかりと活用していただくように取り組んでいっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○古城委員 我が党の平成三十年度東京都予算編成に関する要望において示しているところですが、世界一の福祉先進都市東京の構築を目指す上で、急速な少子高齢化が進行する中、福祉、保健、医療の一体的、総合的な取り組みが一層重要性を増してきています。
 健康寿命の増進や介護状態の改善に向けた取り組み、子育てしやすい社会環境の充実、周産期、小児医療体制の推進、また、都民の健康と安全を守るため、救急災害医療体制への充実、がん、難病対策や感染症などへの対策の強化も重要です。さらに、障害者差別解消法に基づいたノーマライゼーションの本格的進展、医療、福祉の各分野にわたる人材の確保などにも積極的に対応していくことが求められています。
 これらの点を踏まえて、私からは、平成三十年度予算案、条例案、事件案に関連して、障害者施策、少子社会対策、保健政策、健康安全などについて順次伺ってまいります。
 まず、災害時の心のケアについて質問します。
 阪神・淡路大震災を教訓に、災害時の心のケアが重要であることが指摘され、都は、中越地震、東日本大震災、また伊豆大島の土砂災害、さらに熊本地震において、こころのケアチームを派遣し、被災住民などを支援してきました。
 我が党は、平成二十八年第一回定例会の一般質問で、切迫性が高まる首都直下地震に備えて、都民の心の健康を守る対策の強化は極めて重要であり、都が現場で積み上げてきた経験を生かし、災害時の心のケア対策として災害派遣精神医療チーム、いわゆる東京版DPATの創設を訴えました。
 都は、平成三十年度予算案に、災害時こころのケア体制整備事業として、東京DPATの整備に向けた予算を計上しています。
 そこでまず、東京DPATの目的と創設に向けた検討体制について伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、中越地震や東日本大震災の際には、こころのケアチームを派遣し、長期の避難所生活によるストレスへの対応など、中長期にわたる被災住民への支援を行ってまいりました。
 一方、平成二十八年四月の熊本地震では、発災直後における入院患者の転院支援や急性増悪患者等への対応が求められたことから、都も、本震四日後にはケアチームを派遣しております。
 こうした経験を踏まえ、首都直下型地震などの大規模災害に備え、発災直後から支援活動を行うことを目的として、常設の災害派遣精神科医療チーム、いわゆる東京DPATを創設いたします。
 創設に向けて、昨年度、医療関係者、防災関係者、区市町村等で構成する東京都災害時こころのケア体制連絡調整会議を設置し、具体的な活動や指揮命令系統等の検討を行ってきました。

○古城委員 ありがとうございます。大規模災害時に被災地域では精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに、災害ストレスが重なって被災者に新たな精神的問題が生じるなど、精神保健医療への需要が拡大します。
 また、精神医療機関が被災した場合、患者の搬送、避難所での診療に専門的な知見が必要になります。
 私は、来月に発災二年となる熊本地震の発災直後、震度七が二度襲った熊本県の益城町や大分県由布市などにおいて被災者支援に携わりました。熊本地震でも、都を初め、各地から派遣された心のケアチームが被災者の心のケアに重要な役割を果たしました。
 避難場における心のケアに携わった方によれば、ストレスを吐き出してもらうことが重要、活動を通じて被災者が少しでも安心して生活できる手助けをしたいとのことでした。
 そこで、東京DPATのチーム構成や活動内容、先ほど答弁にもございましたが、都内で災害が発生した場合の指揮命令体制はどのようになるのか伺います。

○石黒障害者医療担当部長 東京DPATは、精神科医、看護師、業務調整員等の四人程度を一チームとして編成し、災害派遣医療チーム、いわゆるDMATや保健師チーム等と連携し、精神保健医療のニーズアセスメント、被災精神科病院からの転院搬送、災害ストレスによる被災住民、支援者への対応、地域精神保健活動への支援などを行います。
 都内発災時には、東京都災害対策本部内に設置するDPAT調整本部のもと、迅速かつ的確に区市町村を支援できるよう、二次保健医療圏域ごとにDPAT活動拠点本部を設置し、避難所等で活動する東京DPATチームを統括いたします。

○古城委員 ありがとうございます。
 熊本地震でDPATとして活動された精神保健指定医の先生は、この活動の中で気づいたこととして、まず一つに、指揮命令系統の乱れに対しては積極的にかかわることが必要、二点目に、伝言ゆえの情報の間違いに注意、三点目に、緊急事態を除いて現場の意向を尊重することが大切、そして四点目に、アクションの前に必要な備品を確認することなどを指摘されています。
 災害でダメージを受けた現地の精神医療機関のサポート、さらには被災住民のストレスや精神的症状への対応、加えて地元被災地域の支援者、実際に支援に入る医療従事者、救急隊員、行政職員、保健職員等について的確に支援できる体制を構築していただきたいと思います。
 また、東京DPATの立ち上げに当たっては、民間の精神科病院との連携も不可欠であると考えます。また、災害時にチームが的確に活動するためには、平常時からの訓練などの備えも必要です。
 そこで、民間病院との連携及び平常時の活動について伺います。

○石黒障害者医療担当部長 大規模災害発生時に、発災直後から東京DPATを円滑かつ迅速に派遣できるよう、平時から精神病床を有する医療機関等と連携していくことが重要であります。
 そのため、今年度末には、民間病院等との間で、東京DPATの編成及び派遣、経口医薬品や資器材の平時からの準備などに関する協定を締結する予定でございます。
 また、専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援が行えるよう、現在、活動マニュアル等を作成しており、民間病院等も参加して、来年度から、実践的な研修、訓練を実施いたします。

○古城委員 ありがとうございます。民間病院との連携、さらに平常時の活動について期待をさせていただきたいと思います。
 次に、共生社会、障害者理解の促進について質問をいたします。
 この質問に当たって、我が党の先輩議員から聞いた話を紹介させていただきます。あるマンションで火災が発生したとき、煙が立ち込め、消防車のサイレンが鳴り響いているにもかかわらず、何の反応も動きもないお宅が一軒だけありました、近所の方が、駆けつけた消防にそのお宅の住人が聴覚障害者であることを伝えたところ、消防隊員が煙の中を進み、ドアホンを鳴らして、その連動で室内の表示灯が点灯し、住人によってドアが開き、一大事を免れたとのことであります。
 先輩議員いわく、このときの功労者は消防に情報を伝えた近所の方であります。聴覚障害がある方は、音が聞こえないために、周囲で何が起こっているのか全く、もしくは十分にわからないのではないかと、その人の身になって機転をきかせたことにあるからです。
 今、障害者への理解、そして、それをみずからに置きかえて、みずから考え、適切な支援へとつなげていくことで、相互理解、共生社会を築いていくことが求められています。
 視覚障害をお持ちの方、聴覚障害をお持ちの方と直接会って交流したり、耳が聞こえない、目が見えないという状態で日常生活を実際に体験したりすることが、障害や障害をお持ちの方々への理解につながる一助になると思います。
 そこで、まずは、障害を知る、そして学ぶことから始め、その障害を実体験してもらい、そして障害者の方々と接したときには実践していけるように、誰にとっても役立つような場をふやしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○高原障害者施策推進部長 ご指摘のとおり、障害者、障害を理解していただくためには、実際に障害の方と接していただき、また、体験をしていただくことが重要だというふうに考えてございます。
 都は、交流と体験を通じて障害者への理解を一層深めてもらうため、障害のある人とない人が一緒に参加するワークショップや聴導犬の実演等を行う聴覚障害の普及啓発イベント、TOKYOみみカレッジを開催するほか、福祉の仕事の魅力を伝えるイベントにおいて、視覚障害者の誘導で暗闇を体験するダイアログ・イン・ザ・ダークなども実施をしております。また、小中学生や地域住民を対象に、障害者との交流や車椅子等を使った障害の疑似体験などを行う区市町村を包括補助で支援もしております。
 今後、さまざまなイベント等で交流の機会を設けるとともに、障害の擬似体験等の実践的な取り組みを行い、障害者への理解促進に積極的に取り組んでまいります。

○古城委員 ありがとうございます。委員の皆様もご経験がおありかと思いますけれども、私も、車椅子を介助するだけではなく、実際に車椅子を利用する機会で感じたことは、ほんの少しの段差が大きな壁となってしまう現実です。なかなか前に進まない、また、体力がなければ段差を乗り越えることができないということにとどまらず、転倒など冷やっとすることもありました。
 また、全国各地で行われている障害者と健常者の相互理解を深めるためのセミナーでは、視覚障害者に対する声のかけ方や道案内の仕方を学ぶことができます。例えば、必ずこんにちはと声をかけてから肩に触れるなどのアドバイスを受けられます。参加した方からは、障害をお持ちの方が困っていたら積極的に声をかけたいなどの感想があったと聞きました。
 東京においても、障害や障害者への理解がより進むよう、具体的な施策の推進に積極的に取り組んでいただくことを要望させていただきます。
 次に、就労継続支援A型事業所について質問します。
 障害者の就労支援は、一人一人が輝く社会の実現へ向けて不可欠なものです。就労継続支援A型事業所の方から、障害者は働く場所があれば生活も心も安定します、また、働く人の個性を尊重し、よく褒めることを心がけています、こういうご意見を伺いました。今後も、就労機会の拡大に力を入れることが重要であると考えます。
 さて、就労継続支援A型事業所とは、就労支援のため、障害者と雇用契約を結び、生産活動から得た収益から賃金を支払う形態の事業所になります。この就労継続支援A型事業所について、国は昨年、生産活動に係る収益が利用者に支払う賃金の総額以上となるようにしなければならないなどの基準省令の改正を行い、都もこれを受けて条例改正を行いました。
 国は、この省令改正に合わせて、A型事業所の適正な運営に向けた基準の見直しなどに関する取り扱いについて自治体に通知し、事業所の実態を把握するとともに、経営の改善を指導することを求め、経営改善の見込みがない場合には、勧告、命令などの措置を講ずることとしています。この国の通知を受けて、都は実態調査を実施したと聞いていますが、まずその結果について伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は今年度、都内全ての就労継続支援A型事業所百カ所の生産活動の内容や、その収支の状況等について実態調査を行いました。
 調査の結果、生産活動から生じる収益が利用者に支払う賃金の総額を下回っており、国の定める基準を満たさない事業所は全体の六六%でございました。

○古城委員 ありがとうございます。生産活動から生じる利益が利用者に支払う賃金の総額を下回るということは、これはいいかえれば、国からの事業運営に係る給付金を支払い賃金に充てているということになろうかと思います。
 今、答弁にございましたように、都の実態調査では基準を満たさない事業所が六六%、都内の事業所が百カ所ということですので六十六事業所ということになろうかと思いますけれども、これらの事業所について、都はどのような指導を行ったのか伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は、実態調査の結果を受け、基準を下回った全ての事業所に対し、事業の見直し、受注拡大等による事業収入の目標設定及び経費の削減などを内容とする経営改善計画書の作成、提出を求めております。
 その上で、提出された計画に基づき、必要に応じてヒアリングを行うとともに、特に経営上課題の多い事業所に対しては、職員が直接現地に赴き、実態の把握と経営改善のための個別のアドバイスを行っております。

○古城委員 ありがとうございます。これらの事業所がもし仮に廃止されてしまう、このようなことにつながるとすれば、結果として、利用者の行き場がなくなってしまうという事態にもなりかねません。また、利用者によっては、支援に時間を要することなどから、収益確保が困難な事業所もあると聞きます。
 都は、利用者保護の観点からも、就労継続支援A型事業所が経営改善計画を達成することができるよう、外部の専門家なども活用して積極的に支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は来年度から、経営改善が必要なA型事業所に対して、経営改善セミナーを実施いたしまして、商品開発、販売戦略、生産効率向上のための企業的経営手法の導入や就労支援会計、労働関係法規等の理解を促進してまいります。
 さらに、企業経営等に関する専門的知識や経験を有したアドバイザーを派遣して現場分析等を行い、そこから導き出された経営課題等に即した指導助言、フォローアップ等を行うことで、事業者の経営改善に向けた取り組みを支援いたします。
 また、好事例の事業所につきましても調査分析を行い、その取り組み等を取りまとめて広く普及啓発することで、一層の収益性の向上や業務の効率化を促してまいります。
 これらの取り組みを通じて、就労継続支援A型事業所の経営改善を支援してまいります。

○古城委員 ありがとうございます。さまざまな取り組みによりまして、利用者の皆様が安心してこれからも仕事をしていただけるように、また、意欲ある就労継続支援A型事業所の皆さんにとっても、この経営改善が図れるような取り組みを行っていただきたいと思います。
 そして、関連して申し上げますけれども、今、平成三十年度障害福祉サービス等報酬改定が進められています。この中で、就労継続支援A型は、雇用契約を締結し、最低賃金を支払う障害福祉サービスであり、労働時間の増加は利用者の賃金増加につながることや、労働時間が長いほど利用者に対する事業所としての支援コストがかかることから、利用者の一日当たりの平均労働時間に応じた基本報酬とすることとされています。また、この基本報酬の区分は前年度の実績により決定するとされています。この点、就労継続支援A型事業者にとって大変注視されていることでありますので、詳細について、事業者への説明を丁寧に行っていただきたいと要望させていただきます。
 次に、若年被害女性等支援モデル事業について質問します。
 我が党はこれまで、若年女性の被害相談体制の取り組みや逃げ込める場所の体制整備について、民間団体などと連携した支援の充実を求めてまいりました。
 昨年、国は、公明党の質問に答えて、若年被害女性等支援事業をモデル事業として実施することを明らかにしました。また、先日の一般質問で我が党の栗林議員が、SNSをきっかけに性犯罪などの被害に遭う若年女性がふえている問題に触れ、民間団体などの専門機関と連携した適切な支援につながる仕組みが必要であると訴えたところです。
 困難を抱えた若年女性は、公的機関への相談は心理的なハードルが高く、親や家族に知られたくないなどの理由で、公的機関とはつながりにくいと聞きます。したがって、支援のノウハウを持つ民間団体などと連携協力すべきであると考えます。
 一般質問での栗林議員の提案に対して、都において来年度、若年被害女性等支援モデル事業を実施するとの答弁がありました。
 そこで、この事業の内容について伺います。

○松山少子社会対策部長 家庭での虐待や貧困などの理由により帰る場所がないなど、さまざまな困難を抱えた若年女性への支援については、個々のケースに応じたきめ細やかな支援が必要であり、都は来年度、こうした若年女性を支援するため、若年被害女性等支援モデル事業を開始いたします。
 この事業では、電話やメール、SNSによる相談対応、性犯罪被害の未然防止のための夜間の見守り、声かけなどのアウトリーチ、安心・安全を確保し、食事の提供や、不安や悩み等の相談対応を行う一時的な居場所の提供等を実施いたします。
 実施に当たっては、こうした支援のノウハウを持つ民間団体に業務を委託することとしており、来年度は三団体分の予算を計上しております。
 また、民間団体や警察、福祉事務所など関係機関との連携会議を設置し、若年女性の身体的、心理的な状況に応じて、関係機関につなぐ仕組みづくりを進めてまいります。

○古城委員 ありがとうございます。若年女性の皆さんに寄り添った、適切な支援につながる取り組みを推進していただきたいと思います。
 支援のノウハウを持つ民間団体が行っているSNSによる相談があると今答弁がございましたけれども、これに関連して一点要望させていただきたいと思います。
 若年女性への支援を行う団体の中の一つのある団体が、今月三月から開始した若年女性向けのLINE相談は、相談受付が十七時から二十時三十分までと二十二時から日をまたいで二十五時三十分、深夜の一時三十分までとなっています。この相談の開始時刻になると、LINEのサービスであるLINE@の一斉送信機能を用いてメッセージが送られ、友達登録者に通知されています。また、LINEの機能を最大限に活用し、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムへのリンクとともに、ほかの相談先も一目瞭然でわかるようになっています。
 事業としては異なりますけれども、先日の一般質問で、私は、自殺やネットトラブルなど、青少年の悩みに応じる相談に多くの若者が利用するSNSを活用していくべきと訴えました。これに対して、知事、また局長から答弁いただいたとおり、本日十九日の十七時から開始される相談ほっとLINE@東京のトライアル事業においても、また、来年度のモデル事業においても、今ご紹介しました先行する民間団体のLINE相談などを大いに参考にしていただき、都民にとってわかりやすく、相談しやすいLINE相談となるよう努めていただきたいと要望させていただきます。
 次に、子供食堂について伺います。
 我が党は代表質問において、子供の居場所づくりにも貢献できる取り組みとして注目される子供食堂、この取り組みを広げ、安定的かつ継続的に運営できるよう、都は支援を充実すべきと訴えました。
 子供食堂は、食を通じて子供同士や信頼できる大人との触れ合いができる貴重な場となっており、さまざまな地域でその活動が行われています。ただ、子供食堂は、何らかの法的な位置づけがあるわけではなく、あくまでも草の根運動的に、子供食堂という呼び名とともに、その活動が広がってきたものです。
 こうしたことから、その活動の実態はなかなか把握ができない状況となっていることですけれども、今回、都は区市町村に対して、子供食堂の活動状況を調査していると聞きました。
 そこで、都が実施した子供食堂に関する調査の結果について伺います。

○松山少子社会対策部長 都は本年一月現在、区市町村が把握している地域の子供食堂の活動状況について調査を実施いたしました。
 その結果、都内の子供食堂の数は二百九十二カ所であり、実施主体別では、行政機関が十三カ所で全体の四%、社会福祉法人が十七カ所で六%、個人や市民団体等が百十カ所で三八%、NPO法人等その他の民間団体が百五十二カ所で五二%となっております。
 開催頻度は、二週間から一カ月までの間に一回開催するところが二百二カ所で全体の六九%、週に一回以上開催するところが五十七カ所で二〇%、一カ月に一回未満または不定期に開催するところが三十三カ所で一一%となっております。
 また、子供が食堂を利用する際の料金は、無料としているところが百三十六カ所で全体の四九%、三百円未満としているところが九十カ所で三三%となっております。

○古城委員 ありがとうございます。ただいま詳細に調査の結果について答弁をしていただきましたけれども、なかなか実態をつかみにくいといわれている状況の中で、大変貴重な調査結果であると思います。こうした調査は今後も実施をしていただきまして、都内の子供食堂の活動状況を継続的に把握していただきたいと思います。
 さて、都の来年度予算案には、新規事業として、これら子供食堂への支援が盛り込まれています。我が党の代表質問に対する局長の答弁でも触れられた、民間団体などによる学習支援や食事の提供、親への養育支援ですが、私の地元である新宿区内において、生活困窮家庭の子供などを対象に、無料で食事つきの個別学習指導を提供するNPO法人の代表者の方にお話を伺いました。このNPOでは、新宿区内の大学に通う学生ボランティアとも連携して、週に一度の学習支援、月に一度の清掃活動、そして学習後の給食提供、子供や保護者へのメンタルケアなどの活動をしています。
 教育格差の渦中にある子供たちは、満足に食べることができない背景があると考えることから、給食、食事については、特にこだわっているそうです。おいしい食事を仲間たちと楽しく食べて、温かい雰囲気を子供たちに感じてもらうこと、また、マナー教育の場所として絶好の機会であること、これらがこのNPOによる食事提供の目的の一つであるとのことです。
 このNPO法人のように、子供食堂は、ボランティアを初め、地域の人々の思いや善意に支えられて活動が行われていますが、その運営は大変厳しいものとなっています。こうした子供食堂に対し、都が支援を行うことは、取り組みを広げていくための推進力にもなりますし、この事業をより早期に活用していただくことが何より重要だと考えます。
 そこで、新たに行う子供食堂推進事業の内容と区市町村の取り組みを促進するための工夫について伺います。

○松山少子社会対策部長 子供食堂推進事業は、子供食堂を月一回以上開催することや区市町村が子供食堂との連携を深めるための連絡会を設置することを要件に、運営に必要な食材費や会場使用料等に対して、一回につき上限一万円、年間二十四万円まで区市町村を通じて助成するものでございます。
 区市町村への補助率は、来年度から三年間は十分の十とし、区市町村の負担をゼロといたします。また、来年度に限り、事業者への補助金の交付につきまして、区市町村を通さず、都から直接行うことも可能としており、これらにより早期の事業開始を働きかけてまいります。

○古城委員 ありがとうございます。子供食堂への支援を進めるために、来年度から三年間は補助率十分の十、全額が都の負担であり、区市町村の持ち出しがなく事業を実施できることは大変大きいと思います。
 また、今ご答弁いただいたとおり、来年度に限っては、この補助金の交付について、区市町村を通さず都から事業者に直接行うことができるということは、区市町村が持ち出さなくてもいいという上に、さらに補正予算を組まなくてもすぐに事業実施ができるということになります。この仕組みを最大限に活用して、事業を強力に推進していただきたいと思います。
 次に、在宅子育て家庭への支援について質問します。
 待機児童問題が社会的課題となっており、保育の拡充は大変重要です。それとともに、在宅子育て支援も非常に大切です。
 平成二十八年度の保育サービス等利用状況についてによれば、ゼロ歳児の保育サービス利用が二二%であるのに対して、在宅などその他が七八%です。また、一歳児では保育サービス利用が四三・七%、一方で、在宅などその他が五六・三%です。要因についてはさまざま考えられるわけですけれども、特にゼロ歳児、一歳児では、保育よりも在宅での子育ての方が多いことがわかります。
 核家族化が進行し、保護者が初めて経験する子育てに悩み、不安を抱く場合など、育児への負担感が高まっており、特に、保育園や幼稚園などに通わず、在宅で子育てを行っている家庭は育児の負担が重く、ストレスを感じていることが多くなるとの指摘もあります。こうした子育ての負担感が少子化の原因にもなると捉え、在宅での子育て支援策に積極的に取り組む必要があると考えます。
 そこで、東京に暮らす誰もが安心して子育てできるよう、在宅で子育てをしている家庭に対する支援も一層充実していくべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。

○松山少子社会対策部長 現在、都は、在宅子育て家庭を支援するため、子育てひろば等での育児相談のほか、保護者が病気や育児疲れなどの場合に子供を預かる一時預かりやショートステイなど、区市町村のさまざまな取り組みを支援しております。
 来年度は、育児負担の大きい一歳未満の子供を在宅で育てる保護者の負担を軽減するため、区市町村を通じて、家事支援サービスの利用を支援する在宅子育てサポート事業を創設いたします。
 本事業では、子供が一歳になるまでの間に、料理や掃除などの家事支援サービスを五万四千円分、一時間当たりの料金を三千円とすると、十八時間分利用できるよう支援し、必要な場合にはさまざまな子育て支援サービスにつなげていくこととしております。

○古城委員 ありがとうございます。在宅で子育てをされている家庭が孤立せず、さまざまなサポートを受けられ、安心して子育てができるよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 また、来年度、新たに開始するこの家事支援サービスの利用支援は、保護者の家事負担を軽減することを目的としているとはいえ、ヘルパーさんを家に、自宅に入れることに抵抗感を感じる家庭もあると思います。事業実施に当たっては、利用が進むよう周知など工夫が必要であると考えますが、見解を伺います。

○松山少子社会対策部長 本事業による家事支援サービスの利用を広く進めていくためには、実施主体である区市町村が、対象となる家庭への周知をよりわかりやすく工夫して行うことが重要でございます。
 例えば、利用できる家事支援サービスの具体的な内容や実際に利用した方々の声、サービスを提供する事業者に関する情報などを広く紹介することも効果的な方法の一つであり、今後わかりやすい周知の実施を区市町村に働きかけてまいります。

○古城委員 ありがとうございます。先ほどご答弁いただいた中で、この家事支援サービス、一時間当たり三千円とした場合に十八時間分、五万四千円分の支援であるという答弁をいただきましたけれども、保育サービスを利用する家庭のうち認可保育所、定員が九十一人から百人、これを利用するゼロ歳児を育てる家庭に係る都の負担額について、公定価格から利用者負担額を除き、保育士等キャリアアップ補助分を加算した推計によれば、保育サービス利用家庭の子供一人当たりは月額七万七百円であるとのことです。単純に比較することはできないと思いますが、行政からの支援の手厚さが違うことがわかります。今回の事業が初めの一歩であることを評価させていただくとともに、これから、より拡充していただくことを要望させていただきます。
 次に、がん検診について質問します。
 長寿命化が進む中、がん対策の強化は重要でございます。がんは、都民の死因の第一位であり、全死亡者数のおよそ三人に一人ががんで亡くなっていることから、都民の健康にとって大きな問題です。
 がんの死亡率を低減させるためには、予防や早期発見、早期治療が重要であり、質の高いがん検診を多くの方々に受診していただくことが不可欠であると考えます。
 都では現在、第二次改定となる東京都がん対策推進計画を策定中であり、その全体目標の一つとして、科学的根拠に基づくがん予防、がん検診の充実を掲げた上で、がん検診、一次検診の受診率については、引き続き五〇%という目標を設定する予定と聞いています。
 そこで、がん検診の受診率向上に向け、都は今後どのように取り組むのか伺います。

○矢内保健政策部長 都はこれまで、がん検診の重要性について、啓発イベントやホームページ等により普及啓発を行うとともに、受診率向上に取り組む区市町村への支援や企業への検診実施などの働きかけを行ってまいりました。
 来年度には、がん検診受診促進事業として、区市町村や企業とともに、がん対策推進の宣言を行うなど機運醸成に取り組み、がん検診の重要性を、年間を通じて広く情報を発信してまいります。
 また、包括補助の新たなメニューとして、土日の検診実施や受診時の子供の一時預かり、インターネットでの検診予約システムの実施など、受診しやすい環境整備に向けた区市町村の取り組みをさらに支援してまいります。
 企業に対しては、東京商工会議所と連携して健康経営アドバイザーを活用し、がん検診に取り組む経営者などに向けて、取り組み計画作成などの個別支援を行う企業数を、三百社を目標に拡大するなど、取り組みをさらに進めてまいります。

○古城委員 ありがとうございます。がん検診の受診率向上は非常に重要な課題であり、これらの取り組みを着実に進めていただきたいと思います。
 さて、がんの早期発見、早期治療のためには、受診率の向上だけではなく、がん検診を受診した後、精密検査が必要とされた場合に、医療機関で受診し、確実に検査を受けることも重要です。
 政府は、第三期がん対策推進基本計画において、一次検診で要検査とされた場合の精密検査の受診率を、現在の六五から八五%、これから九〇%にすることを掲げています。
 先月開催の東京都がん対策推進協議会でも示されている平成二十七年度の東京都の統計によれば、都全体での精密検査の受診率は、胃がん、男女七三・〇%、肺がん、男女七〇・二%、大腸がん、男女五六・八%、子宮頸がん、女性六五・八%、乳がん、女性八二・一%とのことです。国が掲げた目標である九〇%には、いずれも届いていない現状です。
 都は、現在策定中の計画に、精密検査受診率九〇%達成という目標を掲げるとのことですが、この目標の達成に向けて、今後どのように取り組むのか伺います。

○矢内保健政策部長 がんによる死亡率を減少させるためには、検診の精度を高めることも重要であり、中でも精密検査受診率を向上させることが必要でございます。そのためには、区市町村が精密検査の結果を把握し、精密検査未受診者に対して受診勧奨を確実に実施することが重要です。
 都は来年度、新たに開始する精密検査受診率向上、結果把握向上推進事業において、区市町村や医師会等から成る会議体を設置し、精密検査結果が確実に報告されるよう、医療機関が使いやすい統一様式の作成などの仕組みづくりについて検討いたします。
 また、この統一様式を用いて四区市でのモデル事業を実施し、取り組みの効果を検証する予定でございます。
 あわせて、検診実施医療機関に対しては、生検結果報告の必要性や統一様式の使用方法などを実務者研修において周知してまいります。

○古城委員 ありがとうございます。先ほども申し上げました国の第三期がん対策推進基本計画では、がん予防、がん医療の充実、がんとの共生、この三本柱が掲げられ、これらの着実な推進が求められています。
 がん予防については、たばこを吸わないことが最も効果的ながん予防とされ、受動喫煙防止対策も必要となります。また、医師らの外部講師の活用によるがん教育にも取り組むべきと考えます。二点目のがん医療の充実については、がんゲノム医療や免疫療法など、がん研究を強力に推進していくべきと考えます。そして、三点目のがんとの共生については、就労や生活支援の取り組みが重要です。また、医療者への緩和ケア研修の充実が不可欠であると考えます。
 東京におけるがん対策の推進がより一層図られることを期待いたしまして、次の質問に移ります。
 最後に、アレルギー疾患対策について質問します。
 先日の厚生委員会でも、病院経営本部関係の質疑において同様に質問をさせていただいておりますけれども、日本では国民の約二人に一人が何らかのアレルギー疾患にかかっています。
 東京都では、花粉症、ぜんそく、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の有症率が全国平均に比べて高くなっており、アレルギー疾患は都民の日常生活に大きな影響を与えています。さらに、食物アレルギーによるアナフィラキシーショックなど緊急時の対応を要する疾患もあります。
 都議会公明党はこれまで、このアレルギー対策について、たびたび本会議や予算特別委員会で取り上げ、議論をしてまいりました。こうした状況を踏まえ、国では、公明党の強力な推進により、二〇一五年十二月、アレルギー疾患対策基本法が施行され、また、昨年三月には、これに基づき、国の基本指針が示されました。
 基本法では、推進計画の策定について、都道府県が策定することができると位置づけており、義務化はしておりません。しかし、都は、昨年の予算特別委員会で我が党が、基本法制定を踏まえて早急な計画策定と対策が必要と主張したことを受けて、いち早く始動しております。
 都は昨年五月、専門医や医師会、患者家族会などの代表らによる一七年度アレルギー疾患対策検討委員会を開催し、対策強化を総合的に進める推進計画の策定に向けた本格的な議論を行っていると聞いております。この都の取り組みについて、厚生労働省からも、全国に先駆けて計画策定の議論を行っているとの評価があります。
 東京都アレルギー疾患対策推進計画は、アレルギー疾患対策を総合的に推進するための計画であり、先般、パブリックコメントの募集が行われ、近々策定されるものと理解しておりますが、この内容について伺います。

○高橋健康安全部長 アレルギー疾患は、種類や病態が多様な慢性疾患でありまして、急激な重症化や発作を引き起こすこともある疾患でございます。
 アレルギー疾患を持つ患者やその家族が疾患とつき合いながら安心して暮らすことができるよう、東京都アレルギー疾患対策推進計画では、適切な自己管理や生活環境の改善のための取り組みの推進、患者の状態に応じた適切な医療やケアを提供する体制の整備、生活の質の維持向上を支援する環境づくり、この三つを施策の柱といたしまして十二の施策を掲げております。
 今後は、本計画に基づき、患者や家族への自己管理のための情報提供や医療従事者の資質向上、社会福祉施設や学校等職員の緊急時対応力の向上など、さまざまな施策を総合的に実施し、アレルギー疾患対策を着実に前進してまいります。

○古城委員 ありがとうございます。昨年の予算特別委員会で我が党の東村議員が指摘したように、アレルギーの場合は、かかる医療機関によって重症化する場合もあります。アレルギー疾患というのは、何のアレルゲンに起因するかによって、対応を誤ると大変なことになります。
 そこで、専門的な医療が求められるわけですが、都民は、自分が住む地域にどのような専門的な医師がいるかということが十分にわからない、わかりにくいという状況もあるかと思います。
 今、花粉症の季節となっていますが、この花粉症に限らず、アレルギー疾患についての役立つ情報を都民が入手しやすい形で提供していくことが必要です。
 都は、昨年四月に情報サイトを新たに開設していますが、これまでの取り組みと今後の展開を伺います。

○高橋健康安全部長 都は本年度から、アレルギーに関する情報を総合的に提供するサイトといたしまして、東京都アレルギー情報navi.を開設いたしました。
 このサイトでは、患者さんやそのご家族に向けて、疾患に関する基礎知識や、発症予防や症状軽減のための自己管理や生活環境の改善方法、医療機関に関する情報などについてわかりやすく提供しております。
 また、保育所等の職員向けには、ぜんそく発作やアナフィラキシー症状が起きたときなど緊急時の対応方法などを、医療従事者向けには、アレルギー疾患医療に関する最新の知見や研修などの情報も掲載しております。
 今後は、花粉の飛散に関する情報も本サイトで提供し、花粉症の患者さんが花粉の飛散に備え、手軽に情報を入手できるようにするなど、掲載内容のさらなる充実を図ってまいります。

○古城委員 ありがとうございます。重ねてになりますけれども、昨今、新薬の開発も進み、多くのアレルギー患者にとって適切な治療を受けることができれば、症状をコントロールすることができるようになっているともいわれております。その結果、多くの患者が地域の診療所、クリニックで対応可能となり、これからの総合病院には重症患者のフォロー、検査とともに、コメディカルの養成が大きな役割として求められるとの専門家の指摘があります。
 この指摘の理由を具体的に申し上げると、患者教育、なかんずく患者、家族が塗り薬や吸引薬などの適切な使用や食事管理などを継続できるように支援していくことが今後のアレルギー医療の中心となり、そのためには高度なアレルギーの専門知識と指導技術を持ったコメディカル、看護師、薬剤師、保健師、管理栄養士などが必須だからです。
 したがって、推進計画の策定を見据えて、総合病院、そしてアレルギー疾患医療の拠点となる病院では、コメディカルを養成する体制、そして、それを活用できる体制が必要であると考えます。
 しかし、アレルギー疾患医療は、診療報酬の点から見ても不採算部門的な扱いを受けがちであるとの指摘もあります。この点、大きな課題であると認識していますが、都立小児総合医療センターでは、患者や家族の生活指導について、アレルギー専門の医師とともに、看護部所属の専門看護師である小児アレルギーエデュケーター一名が携わっています。この小児アレルギーエデュケーターは、臨床現場で医師とともにかかわる高度なアレルギーの専門知識と指導技術を持ったコメディカル、看護師、薬剤師、管理栄養士の有資格者を日本小児臨床アレルギー学会が認定する制度です。
 アレルギー疾患医療の専門医師とともに、この小児アレルギーエデュケーターの資格をお持ちであろうがなかろうがに限らず、アレルギー専門コメディカルを養成、育成を行うこと、この点を推進計画において明確にするべきであると考えます。この点を強く要望させていただきます。
 さて、平成二十八年度東京都医療機能実態調査によれば、アレルギー疾患の診療を行っていると回答した医療機関のうち、アレルギー疾患診療ガイドラインに準ずる標準的治療を行っていない医療機関が約四割に上っています。
 アレルギー疾患医療は、疾患の種類や病態が多様です。先ほども申し上げました患者教育につなげていくためにも、アレルギー疾患を持つ患者が、その状態に応じた適切な医療を受けることができるようにすることが大変重要です。
 そこで、現場で診療に当たる医療従事者の資質向上を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○高橋健康安全部長 アレルギー疾患の治療については、診療ガイドラインが数年おきに改定されておりまして、新たな知見に基づく標準的治療を医療機関に普及させることが必要でございます。
 そのため、来年度から、地域でアレルギー疾患医療を提供する診療所等の医師を対象といたしまして、診療ガイドラインによる標準的治療、患者の日常生活や疾患管理の支援などを内容といたしました専門研修を実施いたしまして、都内の医療従事者の資質向上を図ってまいります。

○古城委員 ありがとうございます。充実した推進計画を早期に策定していただき、これを契機に医療体制の整備、患者や家族を支える取り組み、情報の適切な提供など、都のアレルギー疾患対策がさらに前進することを期待いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十八分休憩

   午後三時六分開議

○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤田委員 まず初めに、知事提出の第四十八号議案、東京都病院及び診療所の人員、施設等の基準に関する条例の一部を改正する条例について質疑いたします。
 昨年四月の調査で、都内の既存病床は十万五千百二十五床でした。今回の条例改定は、二次保健医療圏ごとの病床数の算定において、これまで対象外とされてきた無菌病室都内約四百床、集中強化治療室、心疾患強化治療室、CCU、ICUを合わせて、都内約千四百から千五百床の病床数を算定対象に含めるほか、所要の改正を行うというものです。
 これらの病床は、このベッドでの治療が必要なくなった患者が転出する先のベッドとして確保して運用していた経緯があり、バックベッドと合わせて一床という計算を行っていました。
 しかし、都内では既にバックベッドを置いているところはほとんどなく、一般病床と同じように運用していることから、今回の改正では、影響するベッド数は四十床であるということでした。
 この四十床の二次医療圏ごとの内訳を教えてください。

○西山医療政策部長 平成二十九年九月三十日時点で、ICU、CCU及び無菌病室の後方病床として既存病床数から減じていた病床数は、区西部二次保健医療圏で四床、区東北部二次保健医療圏で十四床、南多摩二次保健医療圏で十二床、北多摩南部二次保健医療圏で十床でございます。

○藤田委員 この病床を算定対象にした場合の影響ですが、南多摩と北多摩南部では、基準病床より既存病床がどちらも五十一床過剰な地域であったので、さらにそれぞれ十二床、十床が新たに過剰とされることになります。区西部は六十八床不足していましたが、既存病床数が四床ふえるため不足数は六十四床に減ります。区東北部では一床不足していましたが、既存病床数が十四床ふえるため不足分はなくなり、逆に十三床過剰な地域となります。
 今後、高齢化が進む中で、必要な病床数が都内全体合わせて四十床減るということについては好ましくないと考えます。よって本条例に対しては反対いたします。
 次に、知事提出第四十九号議案について意見を述べます。
 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例ですが、この条例の一部改正は、障害者団体の運動により二〇一七年三月、東京都の心身障害者医療費助成制度、通称マル障の対象に精神障害者も含めることを求める請願署名が全会一致で採択されたことにより実現したものであり、大いに歓迎するものです。
 東京つくし会の調査によると、精神障害者の就労率は約三割で、そのほとんどが就労継続支援B型ということでした。障害年金や賃金を合わせても、収入の平均は一カ月七万一千三百九十一円です。手帳一級から三級の方のいずれも、七割から八割が、医療費が負担であると答えています。薬の副作用や生活状況からさまざまな診療科を受診し、四割以上の方が歯科を受診していました。
 ほかの自治体では、岐阜県、山梨県、奈良県で精神保健福祉手帳一級、二級の方まで、精神科以外を含め医療費助成を行っているところもあります。生活実態を考えると、さらに受けられる範囲を広げるよう求めるものです。
 同時に、身体障害者手帳の三級以降、知的障害者、愛の手帳の三、四度においては、まだ対象になっていないため、引き続き拡充を求めてまいります。
 次に、第百三号議案、東京都介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準に関する条例の廊下の幅について質問いたします。
 省令では一・八メートル、中廊下二・七メートルとしているところ、都の条例では一・五メートル、中廊下一・八メートルとなっていますが、これはどのような理由からでしょうか。

○稲葉施設調整担当部長 介護医療院の施設等の基準については、厚生労働省令に基づき都道府県が条例で具体的な基準を定めることとされております。条例に定める基準には、省令に従い定めるものと、省令を参酌して地域の実情に応じた内容を定めることができるものがございます。
 都の条例では、介護医療院の廊下幅について、車椅子等のすれ違いに必要な幅を確保するなど入所者の安全・安心に最大限配慮しますとともに、広い用地の確保が困難であること、建設コストが高いことなどの東京の実情を踏まえ、廊下幅について、お話のように国基準が片廊下一・八メートル以上、中廊下二・七メートル以上であるところを、片廊下一・五メートル以上、中廊下一・八メートル以上と緩和をしてございます。

○藤田委員 お答えにもあったように、車椅子がすれ違うことができるように配慮といいながらも、東京都ではさまざまな事情に合わせて規制を緩和しているということでした。
 しかし、どのような理由があるにしても、一時的な入所とは異なり、介護医療院は生活の場としての機能を持ちます。廊下幅が一・五メートルまで狭くてよいとする緩和は、車椅子がすれ違うことすらできない狭さであり、安全面や環境面から見ても適切とはいえません。このような緩和は望ましくないと考えますので、この条例には反対です。
 次に、幾つかの議案に含まれるものについて、身体拘束、そのほか入所者の行動を制限する行為の適正化を図るための措置を講じることを義務づける規定について、意見を述べます。
 この規定は、身体拘束を行うことに対する集団検討がされ、その結果を介護従事者などに周知徹底することや、身体拘束等の適正化のための指針を整備し、研修を定期的に実施することで患者の人権擁護にとって有効なものであり、非常に重要なことです。
 今回の改正案に沿った取り組みを推進するとともに、その保障のためにも人員配置の拡充を進めるよう求めます。
 次に、行政サービスについて質疑いたします。
 介護保険と障害福祉のいずれかの指定を受けていれば、もう一方における指定も受けやすくするというものが共生型サービスです。しかし、高齢者福祉と障害者福祉は、それぞれ専門性のある分野であり、それに応じて基準も定められています。安易に乗り入れてよいとするものではありません。
 例えば、この間増加した放課後等デイサービスは企業の参入が多く、長時間DVDを見せていたり、ゲームを行わせたり、子供の発達に合わせた支援にはなっていなかったりと、子供の権利を守っているとは思えないような事業者がふえてきました。
 国は、こうした実態を、利潤を追求し支援の質が低い事業者が、適切ではない支援を行う事業者がふえているとの指摘があるということから、配置基準などの見直しを実施しました。
 厚生労働省は、放課後等デイサービスの関係省令を改正し、昨年四月から規制強化を図ったわけですが、その規制強化の内容について伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は、国の基準改正に合わせまして条例改正を行い、昨年四月から放課後等デイサービス従業者の資格要件の強化等を図ってございます。
 具体的には、放課後等デイサービスの管理責任者について資格要件を強化し、障害児、児童、障害者の支援を三年以上経験していることを必至といたしました。
 また、基準上配置すべき職員について、児童指導員、保育士、障害福祉サービス経験者とした上で、そのうち児童指導員または保育士を半数以上とすることを義務づけました。
 さらに、放課後等デイサービスガイドラインの遵守及び自己評価結果の公表を義務づけたところでございます。

○藤田委員 今の内容が十分であったかどうかは別として、よりよい改正だったことは確かだと思います。
 しかし、この条例改正案は、こうした国の見直しとは逆行し、さらに放課後等デイサービスの規制が緩和され、利益優先の事業者の参入促進につながりかねないものであり、逆行するのではありませんか。
 平成三十年の報酬改定では、介護保険の通所介護事業所が共生型サービスとして放課後等デイサービスの指定を受けることができるようになります。
 障害児にふなれな事業者が参入してくるおそれがありますが、共生型の指定基準について伺います。

○高原障害者施策推進部長 国は、共生型サービスといたしまして、介護保険サービスの指定を受けた事業所が障害福祉サービスの指定を受ける場合の基準の特例を設け、介護保険サービスの指定を受けた通所介護事業所であれば、基本的に共生型放課後等デイサービスの指定を受けられることといたしました。
 なお、共生型サービスの場合、基準上は障害福祉サービスである本来的な放課後等デイサービス事業所の基準を満たしていないことから、本来の報酬より低い単価が設定されているところであります。

○藤田委員 国の答弁にもあったように、本来的な基準を満たさないところが認められてしまうものです。支援の質が保てるのか、大きな疑問があります。ほかの共生型サービスも同様の問題があり、関連する議案には反対です。
 また、これまで増加した放課後等デイサービスの実態調査を行うことを要望いたします。
 次に、幾つかの条例で看護師という基準に准看護師を含めるというものがありますが、このことについて意見を述べます。
 保健師助産師看護師法では、准看護師以外は三年以上の専門領域の訓練を受けた後に国家資格を取得した者です。しかし、准看護師は、二年間の養成コースを受け、准看護師試験に合格した者であり、都道府県知事免許です。
 業務においては、医師や看護師の指示を受けてのみ実施することができる職種で、病状などの判断を行うことはできません。施設によっては、看護職員が定員一名のところや医師の常駐がなされていないところもあるため、医学的判断が求められる場面において、准看護師では対応できなくなることが予想されます。
 また、東京都児童福祉審議会の中では、保育園に対して、准看護師を配置することは認められませんでした。
 こうしたことからも、命と健康、安全を守る義務のある施設においての准看護師の配置を可能とするこの改正には反対いたします。
 次に、都立看護専門学校と東京都看護師等修学資金について質疑いたします。
 都立看護専門学校の歴史は古く、さかのぼれば明治に至ります。戦前の東京市養育院看護婦養成所を前身として、戦後に正看護士養成校、通称レギュラーコースが九校、准看護師養成校、准看護師から正看護師になるための二年課程の進学コースが二校、設立されました。
 しかし、その後、二〇〇三年から二〇〇六年にかけて、レギュラーコースは二校、進学コースが二校、併設校の進学コースが三校、閉校、閉課程いたしました。
 これにより、二〇〇一年には千百五十四人だった都立看護専門学校の卒業生は、二〇〇八年には五百六十人へと半分に減ってしまいました。
 都立看護専門学校がつくられた意義と果たしてきた役割は何ですか、その後の閉校、閉課程はどういう意味からですか。

○成田医療改革推進担当部長 都立看護専門学校は、看護師の養成と東京都における看護師の充足を図る目的で設置しておりまして、主として養成所を持たない都内の医療機関等に対して、看護職員を供給する役割を果たしてまいりました。
 また、医療技術の高度化、多様化、保健、医療、福祉ニーズの変化に対応するため、質の高い看護職員を養成することとし、看護三年課程の機能の充実強化を図るとともに、養成規模の適正化を図る再編整備を行ってまいりました。

○藤田委員 この都立看護専門学校の閉校が提案された際、我が党は繰り返し看護師需給見通しについて尋ねてまいりました。ご答弁では、現在は不足しているが、将来は均衡するとおっしゃっていました。五年ごとに見直しを行うと、毎回、数千人の不足になってしまいました。
 東京都の答弁を引用しますと、看護師需給見通しは、看護職員の就業実態であるとか、あるいは勤務条件の改善も含めて、見込める限りの将来的需要を予測しながら、看護師確保対策の指針とするために都独自に策定しているものだということです。
 さらに、不足の実態をどう調査しているかについて尋ねたときは、その都度、大規模な就業実態調査が必要となりますことから、リアルタイムに把握することは極めて困難と答弁していました。
 しかし、医療現場は大変な思いをして、都が独自で算定した見通しで五年後には均衡するといわれていたけれども、毎回見通しは当たらない、いつも現場は人手不足でした。
 当時の看護学校の閉鎖も養成規模の適正化を図る再整備ということでしたが、全く適正ではない判断です。医療の高度化と入退院の促進で、心も体もすり減らして働いているのに、なぜ現場の実態に合わないやり方なんだろうと思います。
 平成二十七年における看護職員の需要見込み十二万五百七十五人に対して、二〇一六年十二月末現在の都内の看護職員従事者は、実数で十二万五千七百七十四人、常勤換算では十一万六千八百八十・九人と、年のずれを無視しても三千六百人以上不足していると、先月の厚生委員会の答弁で明らかになりましたが、養成政策に消極的であると感じます。
 子育てしながらの看護労働は、本人が再就職したいと思っていても現実には多くの条件が必要です。とりわけ人を相手にして夜勤も伴う現場では、やりがいを追求したくても保育園のお迎えなどのために自己研さんの時間がとれない、小学生になったら、さらに子供と向き合う時間が必要になります。
 非常勤であっても、医療現場となると、命にかかわる仕事や大きな責任を伴う判断も求められます。再雇用でなれない職場でも、自分より経験の少ない新人などが就職してくれば、若手指導や新人指導にもつかなければならなくなります。もちろん、再就業対策の強化は重要ですが、看護師免許を持っていれば医療現場ですぐに働けるというわけではなく、養成数をふやさないまま、再就業できるとか、そういった簡単なものではないということです。
 都の看護師対策では養成を重視し、廃止した都立看護専門学校を再開、または新設することを強く求めます。
 次に、授業料についてお聞きします。
 都立看護専門学校の一年間の授業料は、資料でわかる限り、二十八年前の三万六千円から、現在、七倍以上の二十六万五千七百円です。都立看護専門学校の授業料は、この五年間変わっていないものの、これまでの値上げは激しいものです。
 授業料の値上げの根拠はどういったものですか。

○成田医療改革推進担当部長 都では、使用料、手数料については、受益者負担の適正化を図る観点から、定期的に原価計算を行い、その結果、現行金額との間に乖離がある場合、見直しを行っております。
 都立看護専門学校の授業料につきましても、学生が自分で免許を取得し利益を得るという受益者負担の観点から、同様の改定を行ってまいりました。

○藤田委員 今の答弁は、これまで値上げしてきた際の理由ですが、看護師の資格を取って働くことは、社会全体の医療、福祉の向上にも役立つのですから、受益者負担というのは正しくないと思います。
 しかも、この間の大きな変化として、日本が国際人権規約十三条二に関する留保を撤回しました。このことにより、日本は高等教育を漸進的に無償化することが国際的にも求められることになりました。専門学校も高等教育ですから、当然、漸進的に無償化しなければなりません。受益者負担のために値上げするという考えを抜本的に改めることを求めるものです。
 私も使った東京都看護師等修学資金ですが、現在も多くの学生が利用しています。東京都看護師等修学資金がつくられた意義はどのようなものですか。

○成田医療改革推進担当部長 修学資金貸与制度は、都内の看護師等の養成施設や、看護師免許を取得し都内の大学院の修士課程に在学するもので、将来、都内で看護業務に従事しようとする者に対し修学資金を貸与することにより、修学を容易にし、都内の看護職員の確保及び質の向上に資することを目的としております。

○藤田委員 修学を容易にするためというご答弁でしたが、十八年前に条例改正して以降、金額は一切変わっていません。
 先日、ある看護専門学校で学生が取り組んだ、学生のアルバイト実態調査のお話を伺う機会がありました。その専門学校では、少なくない学生が学費や生活費のためにアルバイトを行っていました。ご存じとは思いますが、看護学生、とりわけ三年生の学生はカリキュラムが非常に多く、特に三年生になると授業の大半は臨床実習になり、毎日レポートと予習で睡眠時間もとれなくなるほど時間に余裕のない生活です。
 この中で、私が学生の時代は、自分のお小遣い稼ぎ程度でバイトをしている学生もいましたが、ごく少しでしたし、実習中にバイトをしている学生は皆無でした。
 しかし、この学校では、学生のバイト代で親と住むアパートの家賃など生活費を払っていたり、自分の学費に充てていたりする学生が五割にも上りました。
 中にはヘルパーの夜勤をやっていて、授業中はほとんど寝ているということもあったようです。当然、学生の成績は下がっていくため、学習の面接と同時に、どうしたらアルバイトをしないでも生活と学業が両立できるかの相談もしていると、教員の方は話していました。
 子供の貧困が社会問題になる中、都立看護専門学校に通う学生の中にも、生活費のためにアルバイトをしている学生がいるのではないかと思います。
 しかし、この間、都立看学の授業料は値上げが繰り返され、この五年間は据え置かれているものの、十八年前と比べると授業料は五倍近く上がり、二十六万五千七百円になってしまいました。それ以前は年間三万円から五万円程度だったので、東京都の修学資金で十分通うことができましたし、アルバイトをしなくても生活できる内容でした。
 都立看学の授業料の負担軽減を要望するとともに、東京都看護師等修学資金貸与事業を拡充強化することを求めます。
 バブル崩壊後、大企業がもうけることができるように労働法制の改定が繰り返されてきました。労働者の非正規、派遣という不安定な雇用がふえた結果、その次の世代になる子供たちの貧困が社会問題になっています。
 三年課程の看護学生はアルバイトなんて考えられないくらいのカリキュラムの多い教育になっているのに、バイトしなければ一家を支えられないと、学費や家賃までも自分で稼ぎながら資格をとるために必死に頑張っている、そんな学生が大量にふえています。
 さまざまな医療機能を持つ東京で、それを支える看護師が必要数に見合った人員へと増員できるよう、東京都の責任ある計画策定を強く求めます。
 次に、東京都の児童相談所について質問いたします。
 目黒区で起きた五歳の結愛ちゃん虐待死亡事件は大変痛ましく、二度と繰り返してはならない。対策が必要と思い、東京都の児童相談所の体制についても質問いたします。
 今回の事件では、他県から東京都への移管ケースであったとのことですが、児童相談所からの移管ケースでは、本来どのような対応がなされるものでしょうか。

○松山少子社会対策部長 全国児童相談所所長会では、被虐待児童の転居等に伴う相談ケースの移管及び情報提供の取り扱いについて申し合わせを定めております。
 申し合わせでは、ケース移管の対象は、援助方針が決定していない調査中のケースや、児童福祉司指導中、または、継続指導中のケースとされており、今回のケースは、児童福祉司指導が解除され、その後、継続指導もされていなかったケースと認識しております。
 ケースの移管を行う場合、移管元の児童相談所は援助方針会議等で方針を確認し、速やかに移管先の児童相談所と引き継ぎの方法やタイミング、保護者との接触方法などについて事前協議を行います。
 また、移管先の児童相談所は、虐待状況の理解についての児童相談所間の認識の差をなくす観点から、ケース移管の完了後、少なくとも一カ月間は移管元の児童相談所の援助方針を引き継ぐこととなっております。

○藤田委員 移管に当たって重要なことが伝わらないようなことはあってはなりません。そのために申し合わせがあるのだと思います。きちんと機能していたのかどうか、検証を求めます。
 児童虐待相談件数は、全国とともに東京都も大幅に増加していて、二〇一六年度の一年間では二六%増の一万二千四百九十四件です。
 都は、児童福祉司の定員をふやしていますが、一人当たりの相談件数は、この五年間で二十六・五件ふえ、百十八・六件です。平均的な相談件数が一人当たり八十件ということですから、都の児童福祉司がいかに多くの仕事を行っているのかがわかります。
 さらに、虐待相談の件数では、この五年間で倍以上の五十五・八件に上っています。厚生労働省は、一人当たりの虐待相談件数の理想は二十件から三十件といわれていると国会で答弁していますので、過重労働は明らかです。その中で、注意深い対応が必要なケースが突然発生した場合、十分な対応ができるのでしょうか。
 児童福祉司の過重労働を直ちに解消することを望むものですが、都の児童福祉司の定員はどのような根拠で決められているのですか。現人員はそれに照らしてどうなっているのでしょうか。

○松山少子社会対策部長 児童福祉司の配置基準は、これまで政令において、人口おおむね四万人から七万人までに対して一人が標準とされていましたが、平成二十八年六月に公布された改正児童福祉法を踏まえ、政令が改正され、経過措置期間を経た平成三十一年四月以降、各児童相談所の管轄人口四万人に対して一人が標準とされました。
 この配置基準に基づき、平成二十七年の国勢調査の人口を用いて算出すると、必要となる児童福祉司数は三百四十二名となります。来年度の児童福祉司の定員は二百七十三名であり、配置基準と比較すると六十九名の差がございます。

○藤田委員 人口四万人に対して一人という計算から、二〇一七年八月の都の人口から計算すると、児童福祉司の必要人数は約三百四十名でした。約七十名少ないということですから、必要人員の八割以下の人数で対応しているということになります。児童福祉司や児童心理司は、専門的知識とともに現場で積み重ねた経験が大変重要です。
 児童相談所の児童福祉司や児童心理司のうち、経験年数が三年以下の職員が占める割合はどの程度ですか。

○松山少子社会対策部長 先ほど私が答弁した内容なんですけれども、まだ、四万人に一人とされるのは三十一年四月でございまして、それまでは暫定的な基準が引かれておりますので、今現在、七十名定員を欠けているという状態ではございません。それは申し上げておきたいと思います。
 それで、ご質問の部分ですけれども、平成二十九年度、経験年数が三年以下の児童福祉司は全体の五八%、児童心理司は全体の五九%でございます。

○藤田委員 東京児相の児童福祉司は必要人員の八割と少ない上に、その六割は経験年数が三年以下であるという状況です。平成三十一年に向けて人もふやしているという実態はあるものの、命を守るという任務のある現場としては余りにも貧弱な体制だと思います。
 都も増員は行っておりますが、現に子供の命を守れるかという点では、児童相談所の職員体制に大きな問題があるといわざるを得ません。
 職員の増員についてお聞きします。
 児童福祉司については、平成二十八年度に十八名、二十九年度に二十三名、三十年度に二十三名増員という状況ですが、これはどのような考え方で増員人数を決め、どのように配置しているのでしょうか。

○松山少子社会対策部長 増員する児童福祉司の人数は、配置後の育成を十分行える体制を考慮した上で設定しております。
 また、増員した児童福祉司は、順次、虐待相談件数の多い児童相談所から集中的に配置して、虐待通告を受けてからの情報収集、児童の安全確認、保護者対応等、援助方針の決定に至るまでの対応を行う虐待対策班の体制強化等を図っております。

○藤田委員 局の方から聞き取りする中では、増員した分の人の中には、児童福祉司の経験がある職員が異動という形でふえるところもあるということでしたので、初期対応を行う職員が皆、新人ではないとお聞きしました。確かに幾つかの児童相談所に集中して新しい職員が多く入っても、現場経験の浅い職員が多ければ、初期対応での判断やケースカンファレンスの際に重大な問題を見落とす可能性があります。
 先ほどの質疑でもあったように、児童福祉司の人材育成は大変重要で、課長などの配置をしていると答弁がありました。
 それぞれの相談所に対して、この課長やOBの方たちはどのように配置をしているのですか。

○松山少子社会対策部長 児童福祉司の育成につきまして、研修とOJTを組み合わせながら実施をいたしております。
 研修については、毎年度、人材育成等を担う児童福祉司の専門課長が中心となって策定する研修計画に基づき、新任、二年目、三年目、中級、上級など、職員の経験に応じた内容で行っております。
 特に、新任の児童福祉司に対しては、一カ月程度をかけて児童の育成や心理の基礎知識、親子への指導方法などを習得させる初期研修を初め、家族再統合のための援助や法的対応など、年間を通じて多岐にわたる内容の研修を実施しております。
 また、OJTについては、新任職員の個別指導等を担う児童福祉司OBやベテラン児童福祉司が、面接への同席や家庭訪問への同行などにより指導をきめ細かく行い、実務能力の向上に取り組んでおります。

○藤田委員 ご答弁の中身は人材育成の内容についてだったと思うんですが、専門課長やOBの方を全部の児童相談所に配置しているのでしょうか、それとも、どのような形で配置しているのでしょうか。

○松山少子社会対策部長 専門課長につきましては、児童相談センターに集中的に配置いたしまして、そこでこの研修等を行っているところでございます。後段に述べましたOJTを行うOBにつきましても、児童相談センターに配置しております。

○藤田委員 人材育成を担う児童福祉司や児童心理司の専門課長や、新任職員の個別指導を担う児童福祉司や児童心理司のOBは、児童相談センターに配置という状況ですが、いつでも相談や援助を受けることができるようにすることが重要だと思います。専門課長やOBを全ての児童相談所に配置する体制強化を求めるものです。
 児童相談所は、緊急に高度な判断が求められる大変責任の重い重要な役割を担っているところです。そこで働く専門職員が少ない上に経験が浅い、相談したくてもいつもそこにいるわけではない、助けなければならない命がいつどのような形でつながるのかわからないのに、厳しい体制に置かれ、年々増加する虐待通報に対応しているのが実態です。体制の質、量の抜本的強化が必要です。
 今の増員のペースでは、現在の人口に対する必要人員になるのは三年後です。
 先ほど、増員人数は新任職員の育成も考慮して設定というお答えがありましたが、確かに新任職員をたくさんふやすと平均経験年数も短くなるし、育成も必要です。そうであれば、児童相談所の任期つき職員や非常勤の職員で、実績、経験のある人、福祉の資格を持った人からの採用、登用をもっと広げるべきではないでしょうか。そうしたことを通じて体制整備を加速させるべきです。
 次代を担う子供たちに対する虐待は、心身の成長及び人格の形成に深刻な影響を与える重大な人権侵害であり、我が国の将来にも影響を及ぼす大きな問題として、社会全体が一丸となって取り組む必要があります。
 東京都といたしましても、児童福祉司、児童心理司を安定的に、持続的に確保、育成する中長期的計画をつくり、次代を担う子供たちを守るために、直ちに具体化に着手することを要望いたします。
 次に、NICUの整備についてお伺いします。
 リスクの高まる三十五歳以上の母からの出生数は全国的に増加傾向ということですが、東京都では、その率が全国よりもさらに八・三ポイント高い三六・七%になっています。そういった中で、日夜現場で命と向き合っている医療労働者の方に心から敬意を表するものです。
 東京都では、こうした背景の中、東京都周産期医療体制整備計画を改定し、NICU病床の整備目標の引き上げを行うことにしていますが、その根拠はどのようなことからでしょうか。また、NICUやGCUに二年以上入院している児童は何人ですか。

○西山医療政策部長 周産期医療体制整備計画を策定するための国の指針では、NICUの整備について、低出生体重児の割合の増加や長期入院等により病床が不足する傾向にあることから、都道府県は出生一万人対二十五床から三十床を目標として、地域の実情に応じて整備を進めるとされております。
 都は、高年齢出産の増加やリスクの高い低出生体重児への対応を踏まえ、現在改定中の周産期医療体制整備計画においては、出生一万人に対し三十床を基本として、整備目標を三百四十床に引き上げることとしております。
 次に、二年以上入院している児の数についてですが、平成二十八年度東京都周産期母子医療センター等NICU入院児実態調査によれば、東京都周産期母子医療センター及び周産期連携病院三十施設において、NICU、GCUに引き続き二年以上入院している児の数は、平成二十八年十月一日現在、六人でございます。

○藤田委員 NICUの整備目標を引き上げたことは大変重要です。子供の福祉の観点からも、病床が不足している状況という面からも、二年以上入院している児童がいることは、減少傾向だとはいえ課題だと考えます。
 都の調査では、NICUに長期滞在している児童の理由で、九十日までは病状が不安定な方が多くなっていますが、一年を超えると退院先の体制という理由が多くなっています。
 そこで、社会的養護の必要な医療的ケア児の対策についてお聞きします。
 医療的ケアが必要な児童がふえる中、子供たちの障害に合わせて健やかな発育が保証できる環境を整えることが求められています。
 この間、私たち共産党都議団は、日赤医療センター附属乳児院を訪問してきました。日赤乳児院は、小児の入院施設を備える総合病院附属乳児院で、都内で唯一です。
 そのため、医療ケアが必要でも、重症度に関係なく、あきがあれば日本赤十字社の人道、博愛精神に基づいて、使命として受け入れてきてくれました。しかも、それも難しくなっています。
 訪問した際、日赤乳児院の定員は七十名で、六十九名の在籍でした。そのうち医療ケアの必要な子供たちが十二名で、ケアの内容も多様です。鼻や胃からの経管栄養をしている子が六名、気管切開している子は二名、気管内吸引が必要な子も二名、飲み込むことができない疾患があり唾液を誤嚥しないように口の中の吸引をしている子が七名、呼吸管理をしている子が九名、在宅酸素、人工肛門、導尿など、行っている医療ケアの内容もさまざまです。
 さらに、以前ならお母さんのお腹の外では生きることができなかった障害を持つ乳児も、今までは入院していたような子供でも受け入れてくれています。
 かつて東京都は、母子保健院という妊娠から周産期、小児医療、救急治療とともに、子育てセンターの役割も果たし、乳児院を併設した病院を持っていました。そして、東京都が働く両親を支援するモデルケースとして行ってきた病後児保育も切り開いてきた大切な場所でしたが、都は、二〇〇二年に多くの都民が反対していたにもかかわらず、ここを廃止しました。病虚弱児で、なおかつ社会的養護が必要な乳児を受け入れていたのは、この母子保健院と日赤医療センター附属乳児院と済生会乳児院でした。
 東京都は、母子保健院とともに乳児院を廃止し、済生会病院は小児科の病棟をなくしてしまいましたから、重症児を受け入れることができる乳児院は、都内で日赤のみとなってしまいました。日赤医療センター附属乳児院は、当時でも七十名の定員いっぱい、その中に病虚弱児や重症児も多く受け入れてくれていました。
 私たちは、母子保健院を廃止すれば、日赤医療センター附属乳児院が病虚弱児を一手に引き受けなければならなくなることを指摘し、廃止してはならないと求めてきました。その心配が、今、現実のことになっているのです。
 福祉保健局として、この現実をどう受けとめますか。

○松山少子社会対策部長 病虚弱児の受け入れに関しまして、都は平成十六年度より、日常介助や観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児を受け入れるために、国の措置費の病虚弱児等加算に加え、都内全乳児院を対象に都独自の補助を行い、体制を整備しております。
 また、二十四年度には、乳児院に都独自に看護師を増配置し、心臓疾患や脳障害、術後の経過観察や、急変のおそれのある乳幼児や、経管栄養、胃瘻など、常時医療、看護が必要な乳幼児を受け入れる医療体制整備事業を開始しており、現在、病院併設の日赤乳児院及び済生会中央病院附属乳児院の二カ所において実施しております。
 こうした取り組みにより、乳児院において、病虚弱児を受け入れる体制の整備を図っております。

○藤田委員 日赤の今の実態の受けとめというよりも、現在、都内の二つの乳児院に行っているサービス推進費や都加算について説明をいただきました。
 この都加算ですが、国の基準は、常時医療や看護が必要な病虚弱児等の受け入れを行っている乳児院に八名の看護師を配置しているところ、都独自で一施設当たり看護師を四名配置するものとなっています。この加算は大変重要です。
 しかし、常時医療ケアの必要な児童の受け入れは、一施設当たり四名が枠ということになっているので、十二名の医療的ケア児を受け入れている日赤乳児院の実態とは余りにも乖離しているとは思いませんか。
 実態に合わせた人員配置が求められますが、いかがですか。

○松山少子社会対策部長 ご指摘の四名につきましては、これは先ほど申し上げました心疾患や脳障害、術後の経過観察や、急変のおそれのある乳幼児や、経管栄養、胃瘻など、常時医療、看護が必要な乳幼児の受け入れについて加算している医療体制整備事業のものでございます。
 この四名を、要するにローテーションで回さなければいけませんので、常時一名はいるという体制を、乳児院についてとるためにやっている事業でございます。
 それ以外の日常介助や観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児の受け入れについて、都独自で病虚弱児加算を行っているところでございまして、日赤乳児院につきましては、病虚弱児加算が、昨年度の実績なんですけれども、約三千万円支払われているところでございます。この三千万円と医療体制整備事業、これが約二千二百万円支払われております。
 国の看護師一人当たりの措置費の金額というのが、約五百二十万でございますので、都としては、約十名分の看護師の金額を、日赤医療乳児院に今お支払いしているところでございます。

○藤田委員 いかにも一部の子供が対象のようないい方ですが、私たちが訪問して聞いてきた実態は、加配が十分とはいえない状態でした。
 実際、この十二名の子供たちのうち、登録は四名かもしれませんが、この子たちの夜間の安全を守り、そして命を守るためには、その看護師たちは、夜間に一名ではなく二名の体制で夜勤を組まなければならないといっていました。
 そのために、十三名の看護師で、二交代で二人夜勤を実施するためには、一人当たり約六回以上の夜勤が必要になります。これは、一カ月のうちに半分近くは夜勤で過ごさなければいけない状態になります。このような体制が、果たして十分な体制といえるのでしょうか。
 そして、お金を払っているということですが、看護師の体制加算ではないのであります。私たちが求めているのは、子供たちの病状に合わせた看護師配置ができるようにすることです。
 そして、この都加算についても、重症の子供が四名という枠をつくるのではなく、実態に合わせた看護師配置ができるよう求めるものです。
 最後に、二〇〇二年度、全国で、岩手みちのく・みどり学園と東京都成東児童保健院の二つしかない、病院と児童養護施設が併設された貴重な都立施設を、これまた東京都は廃止してしまいました。今、成東があれば、医療的ケアが必要な子供が乳児院を出た後も健やかに発達することができる場所となります。
 過去十年間で日赤乳児院における医療的ケアが必要な児童で、退所時点で満六歳以上の者の退所後の状況はどのようになっていますか。施設入所となった児童は、その施設の所在地が都外となる児童は何人でしたか。また、都外となった主な理由は何ですか。

○松山少子社会対策部長 過去十年間、日赤乳児院における医療的ケアが必要な児童で、退所時点で満六歳以上の者は五名であり、そのうち、家庭引き取りとなった児童は一人、施設に入所した児童は四名となっております。
 また、施設に入所した児童のうち、都外の施設に入所した児童は三名でございます。
 施設入所に当たっては、児童の年齢、障害の程度、医療対応の状況や施設の受け入れ体制などを総合的に勘案し、都内、都外の施設を含めて入所先を検討しております。

○藤田委員 総合的に勘案とはいいますが、行き先がなければ対応のしようがありません。この六歳に至ったお子さんのうち、一人、九歳まで乳児院に入所していた子供がいました。この子は行き先がなく、九歳までいざるを得ませんでした。実際は九歳以上に--さまざまな施設を探したけれども、結局、都外の施設に行かざるを得ませんでした。こうした子供たちの行き場がなくなってしまう状況では、子供たちが安心して過ごすことはできません。
 東京都が、この間廃止してきた母子保健院、そして、乳児院、成東児童保健院の廃止が大きな問題だと思われます。
 人はいかなるときでも成長しています。子供であればなおさらです。その発達に合った施設に、本人の望む環境で生活できるよう、東京都は保障しなければなりません。これから何人の子が何年間で何歳になり、成長したらどうやって生活するのが望ましいのか、都が責任を持って確保する必要があります。
 いかなる障害があっても子供は適切に養育され、その生活が保障されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られること、そのほかの福祉を等しく保障される権利を、東京都がしっかり守る立場に立つことを強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○桐山委員 それでは、平成三十年度予算案、福祉保健局関係、主に新規事業を取り上げさせていただきます。
 まず最初に、三十年度予算額では五十億円を予算計上されておりますベビーシッター利用支援事業についてお伺いします。
 これは、保育認定を受けた後、待機児童になった保護者、またはゼロ歳児で、保育認定を受けずに育児休業を一年間取得した後、復職をする保護者が、入所決定までの間、利用を、市区町村と連携してベビーシッター事業を進めるとの説明を伺っているところでございます。
 以下、詳細についてお伺いします。
 まず、ベビーシッター利用支援事業の助成上限額と予算規模、そして、その考え方をお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 ベビーシッターの利用支援事業でございますが、公益社団法人全国保育サービス協会の調査によりますと、都内のベビーシッターの平均的な利用料は一時間当たり約二千円となってございます。
 仮に、この単価でベビーシッターを一日八時間、月二十日間利用する場合には、月百六十時間の利用となりまして、利用料は約三十二万円となります。
 本事業は、待機児童の保護者や、育児休業を一年間取得した後、復職した保護者を対象にいたしまして、一月百六十時間の利用、月額二十八万円を上限に助成をするものでございます。
 来年度予算では、利用児童千五百人分、約五十億円を計上してございます。

○桐山委員 ありがとうございました。月に換算すると百六十時間分ということで、三十二万円ということでした。五十億円を計上されているということで、千五百人分を、今現在、推計されているということがわかりました。
 続きまして、このベビーシッター利用支援事業を今後どのように実施されていくのか、この事業スキームというものを、まず教えていただきたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業では、東京都、区市町村、ベビーシッター団体、ベビーシッター事業者が連携をいたしまして、利用者に保育サービスを提供いたします。
 利用者は、一定の要件を満たしたベビーシッター事業者の中からサービス提供を受ける事業者を選択いたしまして、それに対して、事業者はベビーシッター団体が実施する一定の研修を受講した保育者を派遣いたします。
 利用料につきましては、利用者が区市町村を通じてベビーシッター団体が発行いたします割引チケット等の交付を受け、利用の際にこの割引チケット等を用いることによりまして、割引料金でサービスを受けることができる仕組みとする予定でございます。

○桐山委員 事業スキームにつきましては、理解をさせていただきました。この割引チケットを利用しながら、市区町村が事業者となって、この利用者と、申請、やりとりをしながらベビーシッターを派遣されるということがわかったところでございます。
 こんな支援を待っていたという声に今後応えていただくためにも、やはり早期の実施が望まれております。
 これにつきましては、周知期間や、また事務手続など調整すべき課題がたくさんあろうかと思います。
 今後、それらの課題についてお伺いをいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 早期の事業実施に向けました課題といたしましては、保育者の確保、個々の保育者が保有する資格や実務経験に応じた研修受講科目の調整、都と関係団体との詳細な役割分担の整理、利用者向けのわかりやすいパンフレットの作成などがございます。
 今後、早期に事業を開始できますよう準備を進めてまいります。

○桐山委員 早期の実施、ぜひお願いをしたいところです。まず、保育者の確保というものが重要ですし、その後に実務研修をしっかりしていただいて、そして、東京都、また各関係団体との役割分担の整理ということがあろうかと思います。
 今ご答弁いただいたように、東京都だけでもかなり時間や課題を調整することが多いのかなと思いますが、一方で、今後、区市町村が事業者となっていく場合に、区市町村は要綱を作成したり、また、利用者に周知を徹底したり、そこから始まる申請ですとか、そういった手続というものが、まだまだ時間がかかるのかなというような感想を持ち合わせております。
 せっかく五十億円計上されておりますので、できるだけ、この早期実施ができますようにご努力をいただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。
 次に、ベビーシッターと聞きますと、まだまだハードルも高く、費用も高いイメージがございます。
 また、自宅に他人を入れるのは抵抗があったり、一対一の密室で安心・安全といわれる、そのような担保がしっかり図れるのかということで、不安であるとも聞いております。
 東京都としては、これらの研修を実施するというご予定だと伺っておりますが、その研修等、内容についてお伺いをさせていただきます。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業に従事いたします保育者に対しては、認可型の居宅訪問型保育事業に準じた研修を実施いたします。
 具体的なカリキュラムは、例えば保育の際立ち入ってよい居室の範囲や、使用してよい器具について取り決めることなど、施設での保育とは異なるベビーシッター特有の留意事項のほか、乳幼児の発達と心理や、生活と遊び、特別に配慮を要する子供への対応、病気や事故への対応などを想定しております。

○桐山委員 施設とは違ってベビーシッター特有な対応ということがきちんと研修の中で取り組んでいただけますように、ぜひお願いをしたいと思います。
 この研修が何よりも私は重要だと思っておりまして、また、東京都でいうと認証保育園がありますけれども、東京都の認証ベビーシッター的なイメージなのかなというふうに感じておりますので、しっかりとした研修をぜひよろしくお願いいたします。
 次に、同じくベビーシッターなんですけれども、区市町村の認可の方です、認可居宅訪問型保育促進事業についてお伺いをいたします。
 これは、既に平成二十七年四月一日、子ども・子育て支援新制度に伴いまして、居宅訪問型保育事業が開始をされております。
 これらの対象者は、主に障害や疾病等の程度に勘案して集団の保育が著しく困難であると認められる場合ですとか、また、ひとり親家庭の保護者が夜間や深夜の勤務に従事する場合、保育の必要程度及び家庭等の状況を勘案して必要な場合ですとか、さまざまな形での取り組みということで、対象者となっております。
 区市町村の認可居宅訪問型保育促進事業につきましては、少し事業内容とあわせて、既に待機児童対策として始めている区市町村があるかと思いますが、それらを教えていただきたいと思います。また、さらに来年度は拡充をされますが、その内容についてもお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業では、区市町村が認可型の居宅訪問型保育事業を活用いたしまして、待機児童対策に取り組む場合、運営費の区市町村負担相当分を都が全額支援するというものでございます。
 認可型の居宅訪問型保育事業でございますが、平成二十九年四月一日現在で、待機児童対策に活用しているところも含めまして十四の区市が実施しておりまして、区市町村の財政負担を軽減することによりまして、さらに活用が進むように支援をしてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。これらの区市町村認可居宅訪問型保育促進事業は、昨年度から十四区市が、これらの事業を実施されているということがわかりました。
 特に、予算委員会のときでも、本橋議員の方から、豊島区においてはこれらのベビーシッターを利用して待機児ゼロになったというご報告もいただいたところです。
 さらに、こういった事業が円滑に進みますように、さらなる財政支援をお願いしていきたいと思います。
 続きまして、次に、昨年度から始まりました認可外の保育施設への巡回指導チームについてお伺いをしたいと思います。
 二〇一五年、教育・保育施設等における事故報告集計の公表により、認可外保育施設の死亡事故が多いということで、特にゼロ歳から一歳児の午睡中に死亡事故が多いということが、この集計で明らかになり、ガイドライン強化も図られてきたところでございます。
 また、保育中の重大事故の検証については、二〇一六年度から自治体の努力義務となり、また、さらに内閣府では検証を徹底するように通知をしたという背景があります。
 東京都内におきましては、二〇一六年三月、大田区の認可外保育施設、生後六カ月の女の子が死亡事故、同じく二〇一六年九月には、板橋区、認可保育園、一歳の男の子の死亡事故、二〇一七年三月には、中央区の認可外保育施設の事業所内保育施設での死亡事故、直近報道ベースによりますと、二〇一八年一月には、葛飾区の認可外保育施設で一歳児の死亡事故が報道としてはありました。
 これらも含めますと、数年の間に四件もの死亡事故があり、そのうち三件が認可外保育園で起こった事故だというふうに公表もされているところでございます。
 これらは、認可外においては、東京都教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会において検証もされ、公表も行っていることも認識をしております。
 その中でも、これまで立入調査は二割程度しか実施されておらず、指導監督がしっかりできているのかなどの指摘もあったかと思います。
 昨年より、都内全ての認可外保育施設を年一回職員が巡回指導するなど、指導監督体制を強化するとのことで始まりましたこの認可外保育施設への巡回指導チーム、これらについて詳細をお教えください。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都内ですけれども、認証保育所を除きました認可外保育施設は、平成二十九年四月一日現在、千三十七施設ございます。
 都は、平成二十八年度に巡回指導チームを編成いたしまして、現在は非常勤職員でございます二十名の巡回指導員が、二名一班の十班体制で、認可外保育施設に対する巡回指導を実施しております。
 巡回指導員は、職員配置、災害対策、保育内容、健康安全の管理などにつきまして、都が独自に作成をいたしましたチェックリストを使用して指導を実施しておりまして、タオルの共用を個別使用に改めること、睡眠チェック表に睡眠中の体の向きを記載することなど、日々の保育を行っていく上での具体的な内容を指導助言しております。
 巡回を開始いたしました平成二十九年三月から平成三十年二月までの十二カ月間で、延べ九百五十六施設を巡回しておりまして、そのうちの約三割は事前通告なしで実施をいたしましたところでございます。

○桐山委員 これらの認可外、重大死亡事故が発生をしたということもありまして、こういった認可外の保育施設への巡回指導チームが始まったということは理解をさせていただいております。
 こういった日々の保育を行っていくという状況の中で、やはり指導助言をしっかりと、巡回をする中で、明らかにここは指導しなきゃいけない、改善をしなきゃいけないということがあれば、しっかりとつなげていただいて、指導をしっかりと徹底していただくということが大変重要かと思います。
 続きまして、来年度から、認可外保育施設に対する第三者評価事業についてお伺いをしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 来年度、認可外保育施設の第三者評価の受審を促進いたしますため、新たに受審経費に対する補助を実施いたします。
 補助額でございますが、一施設当たり六十万円を上限といたしまして、第三者評価の受審に取り組む認可外保育施設を支援する区市町村を包括補助事業で支援することとしております。

○桐山委員 これも第三者評価という、もう第三者の目が認可外保育施設に入るということです。やはり、この第三者の目から見た評価の結果というものも、しっかりと結果を公表して、情報提供をしていくということが非常に大事かと思います。
 これらのさまざまな保育の多様性を確保していくという意味においては、やはり、この認可外におけます事故というものをなくしていかなければなりませんので、しっかりとしたサービスの質の向上に向けた取り組みをしっかり、引き続き先ほどの指導チームと連携をして取り組みを行っていただきたいというふうに思います。
 続きまして、重大事故防止のための巡回支援指導事業について伺います。
 先ほどは、東京都がやっております二十名、十班で行っている巡回指導チームについてでしたけれども、次は、来年度から新たに開始をします市区町村向けの保育園巡回支援指導事業について詳細をお伺いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 来年度から実施いたします重大事故防止のための巡回支援指導事業は、国の制度を活用いたしまして、区市町村が認可保育所はもとより認証保育所など認可外保育施設に対して巡回指導を行うために配置する巡回支援指導員に係る経費を補助するものでございます。
 この巡回支援指導員は、保育の現場におきまして、睡眠中、食事中、水遊び中などの重大事故が発生しやすい場面における注意点等の指導を実施いたします。
 補助基準額でございますが、巡回支援指導員一名当たり四百六万四千円となっております。

○桐山委員 これは、今度は市区町村に、さらに巡回支援の指導をしていただきたいということです。
 これまで東京都で行ってきたこの巡回指導チームについても、一年間で認可外の保育園に調査といいますか、行かれるのも、例えば一回しか行けないのが限界であるといったときには、やはりこういった区市町村でしっかりと巡回指導をしていただくということが大変重要になろうかと思っております。
 なかなか、この巡回指導をするというのも、やはり市区町村もマンパワーの部分でも非常に苦労されるのかなというふうに思っておりますが、認可も含めて、認可外、そして認証保育園もそうですけれども、しっかりと今後、巡回支援指導をしていただけるよう、また管理面への対応を、東京都からさらなる協力をぜひお願いしていただきたいというふうに思います。
 また、先ほども申し上げましたマンパワーの部分でしっかりと補えるように、東京都としても引き続きの財政支援等を含めて取り組みをお願いしていただきたいことを申し上げておきたいと思います。
 これら、特に認可外保育園に関することを、今回、新規事業でたくさん盛り込んでいただいております。私は、保育の現場、働くお母さんたちが、やはり子供を保育に預けている時間帯の方が長いのではないかなと思ったときに、絶対、その保育の中で事故や、もちろん死亡事故なんていうものはあってはならないというふうに思います。
 それらの指導監督権者として、これからも引き続き、それらの強化は緊張感を持って、ぜひ市区町村と連携をしてお願いをしていただきたいというふうに強く要望させていただきたいと思います。
 次に、平成三十年度予算編成過程の中で新たに導入されました都民提案事業で選定された森と自然を活用した保育推進事業についてお伺いしたいと思います。
 この都民提案事業の要綱を見せていただきますと、選定方法、事業提案の受け付け終了後は、都において、提案の内容をしっかりと審査して選定候補案を提出した後、都民が投票を行って、そして、その結果をもとに知事が選定をするという新たな取り組みです。
 提案内容及び趣旨を損なわない範囲で東京都が修正を加える場合もある、そして、それらの提案内容は採択の結果や評価などに対する個別解答は行わないと、最初の要綱には書かれているというふうに認識をしております。
 今回、この森と自然を活用した保育推進事業が選定されましたが、本事業の目的をお伺いしておきたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は来年度、保育所等が実施する森林、里山、緑地等の自然環境を活用いたしました園外活動への支援を実施いたします。
 この事業は、保育の質的向上を促進するとともに、自然の中での自由な遊びを通して子供の主体性や創造力、思考力、コミュニケーション能力などの生きる力を育むことを目的としております。

○桐山委員 ありがとうございます。これは、森や緑、里山、緑地等、自然環境を活用した園外保育、園外の活動の支援をしていただけるということで理解をさせていただきます。
 これらについては、認可保育所などが補助対象の施設と伺っておりますが、具体的な補助内容についてお伺いしておきたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 この事業では、認可保育所や認定こども園、認証保育所、小規模保育事業などが、森林、里山等への遠足や、野菜や果物の収穫体験などの園外活動を実施いたします場合に、保育の実施主体である区市町村を通じまして補助を行います。
 補助額でございますが、一施設当たり年額五万円を上限としておりまして、予算規模は約三千七百カ所、一億八千万円となってございます。

○桐山委員 ありがとうございます。この都民提案事業というのも初の試みですので、今回、こういった事業を実施していただいて、今後のすばらしいこの第一歩となるように、ぜひとも実効性のある取り組みにしていただきたいというふうに思います。
 今回は、残念ながら認可外保育--先ほども認可外の施設の面ではたくさん指摘もさせていただきながら、強化をしてほしいということでしたが、やはり保育の部分においては、認可外保育は特にこういった事業を積極的に取り組んでいます。
 こういった認可外保育も、市区町村の要綱の範囲の中でしっかりと対応できるような仕組みに、今後、取り組んでいただけるような、前向きな形でも変更できるような、そういった柔軟な対応がとれるような内容になっていったらいいななんて思っております。ぜひ、そういったご支援も引き続きご検討いただけますように、よろしくお願いをいたします。
 次に、今回、東京都障害者・障害児施策推進計画も案が出されているところですが、いわゆる発達のおくれがある子供たちが、非常に近年増加傾向にあるということを、ここの場で書かれております。
 昨年、荒川区の認証保育園を視察させていただきましたところ、そのときに、やはりグレーといいますか、もしかすると集団の中で少し発達のおくれがあるんじゃないかという子が中にはいるということをお伺いさせていただきました。
 保育園に関連をいたしまして、認可や認証保育園の障害児の受け入れというものは、今現在どのような支援を行っているのかお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、保育所等における障害児の受け入れを進め、障害児に対する保育サービスが適切に提供されるよう、子育て推進交付金などにより、区市町村を支援しております。
 また、保育サービス推進事業や保育力強化事業に障害児加算を設け、障害児の受け入れに取り組む事業者を支援しております。
 さらに、障害児の受け入れを促進するため、児童福祉法には、保育所等訪問支援が位置づけられておりまして、支援員が保育所等を訪問し、児童が集団生活に適応できるよう、専門的な支援を行っております。

○桐山委員 ありがとうございます。これも大変重要になってくると思います。龍円議員が一般質問でも質問し問題を提起しておりました、特に児童発達支援センター等の保育所等を訪問する、先ほども答弁に出ておりました保育所等訪問支援事業というものが、今後、大変重要になります。
 そういった保育所との連携をしっかり密にとっていただいて、しっかりと早期発見して、また療育につなげられるというような仕組みを、ぜひ市区町村と連携をとりながら取り組んでいただきたいというふうに思います。
 最後に、産後ケアと、そして産婦健診事業についてお伺いをします。
 ゆりかご・とうきょう事業を実施しておりますけれども、今回、特に産後ケアは、産後も安心して子育てができる支援として重要であります。
 関心が高まっている事業でもありまして、今回、この産後ケアを行う区市町村の支援をさらに行うとしておりますが、この三十年度予算において、どのような取り組みなのか内容をお教えください。

○松山少子社会対策部長 産後ケア事業は子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支えるため、退院直後の母子に対し、保健指導、母親に対する療養上の世話や心理的ケア、カウンセリング、育児指導、育児サポート等を行う取り組みであり、都内十六区市が事業を実施しております。
 また、都は現在、妊娠期から切れ目なく全ての子育て家庭を支援する、ゆりかご・とうきょう事業により、専門職による妊婦への面接等とあわせて産後ケア事業を行う十二の区市を独自に支援しております。
 来年度は、より多くの区市町村が産後ケア事業に取り組めるよう、産後ケアのみを実施する場合も、運営費や実施場所の改修費について、区市町村負担の二分の一を支援してまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。私は、ゆりかご・とうきょう事業は大変重要な、すばらしい事業だというふうに感じております。
 これも終期が伴いますので、あと二年で終わってしまいますが、しっかりとこういった産後事業というものを、今回、特出ししていただいて、ゆりかご事業を実施していない市区町村へも、さらに支援をしていただくということで、大変期待をしております。
 さらに、産婦健康診査支援事業についても、来年度から開始をされると思いますが、それらの取り組み内容についてもお伺いいたします。

○松山少子社会対策部長 来年度開始する産婦健康診査支援事業は、産後鬱の予防や新生児への虐待予防等を図る観点から、出産後間もない時期の産婦への健康診査を実施する区市町村を支援する事業であり、健康診査にかかわる費用について、都は一人当たり一回五千円を上限に、二回まで区市町村負担分の二分の一を支援してまいります。
 この取り組みでは、産後二週間、一カ月などの節目に、母胎の身体的機能の回復や授乳状況、精神状態の把握等を行い、その結果を健診実施機関から区市町村にフィードバックすることとしており、必要に応じて保健師による訪問等を行い、母子への心身のケアや、育児サポートなどの支援につなげていくこととしております。

○桐山委員 ありがとうございました。この産後ケアと産婦健診事業というのは、ゆりかご・とうきょう事業でも行えるものではありますが、特出しして、それらの事業もしっかりと支援をしていただけるという事業の内容になっております。
 この産後鬱ですとか、または育児放棄、支援の手が必ず届くというような事業に、ぜひ市区町村と連携をしてやっていただきたいと思います。
 また、私は問題提起を一つ持っているのが、やはり東京都は、これだけのすばらしい、ゆりかご・とうきょう事業をつくっていただいておりますが、市区町村がどれだけこういった、例えば、最終的には支援を要する人が何人支援につながったのか、そういったところまでしっかりと把握ができるように、またフィードバックして、PDCAサイクルを、ぜひ局の中でしっかりと取り組みを行っていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○高橋委員 それでは、まず、障害者差別の解消について伺います。
 平昌オリンピック大会が閉幕し、次はいよいよ二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の番であります。この地上最大のスポーツイベントには、選手や観客を初め、世界各国から多くの障害のある方々が東京を訪れることが予想されます。
 東京二〇二〇大会を成功させ、障害のある人もない人もお互いに交流し、ともに支え合う共生社会の実現を目指していくためには、障害者の理解促進や障害を理由とする差別の解消の取り組みを進めていくことは大変重要であります。
 しかし、現実には、障害者であることがわかった途端、職員の態度が変わったり、悪質な事業者の場合には、サービスを提供できないと拒絶されたりすることがあると聞いております。
 平成二十八年四月から施行された障害者差別解消法では、広く民間事業者にも合理的配慮の提供が努力義務とされておりますが、まだまだ事業者の対応が十分でない部分があるとも感じております。
 条例では、どのように実効性を確保していくのか伺います。

○高原障害者施策推進部長 障害者差別解消法では、障害者が生活する上で受ける制約は、障害者自身の心身の機能の障害に起因するのではなく、社会におけるさまざまな障壁がつくり出しているという社会モデルの考え方を取り入れております。
 このような考えのもと、障害者への差別をなくし社会参加を促進するためには、障害者からの社会的障壁の除去の申し出に対して、事業者は建設的な対話を行い、具体的な状況に応じて合理的な配慮を提供することが重要であります。
 このため、都が現在検討を行っております障害者差別の解消に向けた条例では、障害者差別解消法が努力義務にとどめております事業者による合理的配慮の提供について、義務化する考えでございます。
 また、具体的な障害を理由とする差別や、合理的配慮の不提供に係る相談に対応するため広域支援相談員を設置し、必要な助言や調整等を行い、それでも解決が図られない場合には、第三者機関である調整委員会があっせんを行います。
 さらに、事業者があっせん案に従わないなどの場合に、知事は、障害者差別解消法に定める勧告に加えて、条例では、事業者名の公表をできるようにする考えでございます。
 これら相談、紛争解決の体制整備に関する規定や法に対する上乗せ規定を設けることにより、実効性のある条例としてまいります。

○高橋委員 一方で、条例ができることによって、事業者からは合理的配慮について、どう配慮するのか、あるいはどこまで配慮すればよいのか、そもそも障害者にどう対応したらいいのかわからないなど不安の声を耳にします。
 また、中小企業や個人事業主を初めとして、合理的配慮の提供を義務化されることによって過度な負担を強いられるのではないかと心配する声も聞いております。
 都は、義務化する合理的配慮を初め、条例の趣旨について、事業者に対して丁寧に理解を求めていくべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。

○高原障害者施策推進部長 合理的配慮の提供等は、障害者差別解消法におきまして、実施に伴う負担が過重でないとき行うとされ、また、施設設備の設置、改修等のハード面の整備までを求めるものではなく、障害者との建設的な対話に基づいて、例えば視覚障害者を丁寧に案内誘導したり、聴覚障害者と筆談でコミュニケーションをとったりするなど、さまざまな状況に応じて個別に柔軟に対応するものでございます。
 条例を実効性あるものとするためには、こうした合理的配慮の提供についての考え方を初め、条例の趣旨について事業者に周知することは大変重要でございます。
 このため、都は、さまざまな障害特性や配慮すべき事項をまとめたハンドブックやパンフレットを作成、配布するほか、合理的配慮の提供に係る好事例を事例集として取りまとめ配布をいたします。また、事業者向け説明会やシンポジウム等も開催していく予定でございます。
 さらに、条例で新たに配置する広域支援相談員は、事業者からも幅広く相談を受け、条例の解釈や障害の特性、求められる配慮などについても丁寧に説明をしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、障害者差別解消に向けて、さらなる普及啓発に取り組んでまいります。

○高橋委員 事業者に条例の趣旨が正しく伝わり、合理的配慮に関する理解が進み、さまざまな場面で事業者による合理的配慮の提供がなされるよう、相談体制の整備や普及啓発に積極的に取り組んでもらいたいと要望しておきます。
 ただいまのご答弁にあった障害者差別解消法における合理的配慮や、障害の社会モデルの考え方は、障害のある人だけでなく、高齢者や外国人など全ての人にとっても暮らしやすく、訪れやすい社会につながるものであります。
 そこで、次に、福祉のまちづくりについて伺います。
 誰もがまちの中を自由に移動し、必要な情報を入手しながら、あらゆる場所で活動に参加し、ともに楽しむことができる福祉のまちづくりを進めるためには、高齢者や障害者などの視点による意見を踏まえながら、整備や改修を進めていくことが大変重要であります。
 この点については、昨年度の予算特別委員会の我が党の代表質問においても指摘したところであり、都は今年度より、ユニバーサルデザインのまちづくり緊急推進事業を開始するとの答弁がありました。
 そこで、本事業の今年度の実績と主な取り組み内容について伺います。

○坂本生活福祉部長 今年度新たに開始いたしましたユニバーサルデザインのまちづくり緊急推進事業でございますが、高齢者、障害者などを含む地域住民の参加によります施設の整備や使いやすさなどの調査と、それに基づきます段差の解消や手すりの設置など、バリアフリー化の改修及び公共施設等の和式トイレを洋式化する区市町村の取り組みに対し支援しているものでございます。
 現時点での申請実績でございますが、住民参加による調査及び改修への支援でございますが、七区市から八件となっておりまして、具体的な事例といたしましては、東京二〇二〇大会の競技会場、馬事公苑の最寄り駅でございます小田急線、東急線の各駅からの徒歩ルートを調査いたしまして、段差解消や視覚障害者誘導ブロック等の修正や設置、案内サインの整備などの計画を立案する取り組みなどがございました。
 また、トイレの洋式化でございますが、当初三百基の予定でございましたが、三十二区市町から三百六十八基となっておりまして、具体的な事例といたしましては、庁舎、公園、図書館などの和式トイレを洋式トイレに改修し、あわせまして、施設の実情に応じて背もたれや手すりの設置、ベビーチェアやオストメイト対応の便房を設置するなど、高齢者、障害者が使いやすい機能を付加するなどの取り組みがございました。

○高橋委員 二〇二〇年のその先も見据えながら、東京二〇二〇大会の会場周辺はもとより、地域で日ごろから利用する道路や生活関連施設等で、住民参加の調査やトイレの洋式化に合わせたバリアフリー化が進んでいることがわかりました。
 今後も、こうした取り組みについて支援していくべきと考えますが、来年度の取り組みについて伺います。

○坂本生活福祉部長 本事業でございますが、今お話ございましたが、東京二〇二〇大会に向けまして、今年度から平成三十一年度までの三カ年事業として実施することとしております。
 来年度でございますが、区市町村の取り組み予定などの状況を踏まえまして、住民参加による調査及び改修につきましては、調査は二十五区市町村分、それから、改修につきましては二十区市町村分、約三億四千万円、また、トイレの洋式化につきましては、今年度予算の四倍の一千二百基、六億五千万円分の予算を計上しているところでございます。
 今後、今年度の具体的な取り組み事例につきまして、区市町村への説明会などを通じて周知するなど、本事業を活用したユニバーサルデザインのまちづくりの取り組みが進みますよう、積極的に働きかけてまいります。

○高橋委員 利用者の視点に立ったユニバーサルデザインのまちづくりは重要であるので、こうした取り組みが都内全域に広がるように、今後とも区市町村と連携し、積極的に取り組みを支援していただきたいと思います。
 このような調査や改修が進み、障害者や高齢者が暮らしやすいまちは、全ての人が暮らしやすいまちとなります。
 都においてはこれまでも、福祉のまちづくりに関する総合的な施策を推進することで、都内では鉄道駅におけるエレベーターや誰でもトイレの整備率、ノンステップバスの導入率は九割を超え、点字ブロックの整備も着実に進んできております。
 折しも来年度は、五年に一度の福祉のまちづくり推進計画の改定年次でもあり、次の推進計画の計画期間には、東京二〇二〇大会が開催されます。
 そこで、東京を、住む人だけではなく訪れる人たちにもよいまちと感じてもらえる、世界一暮らしやすいまちにするため、障害者や高齢者等の視点も十分に踏まえて、福祉のまちづくり推進計画を改定し、ユニバーサルデザインのまちづくりを一層推進していくべきと考えますが、決意を伺います。

○坂本生活福祉部長 東京都福祉のまちづくり推進計画でございますが、現在、平成三十一年度からの次期計画の策定に向けた作業を進めておりまして、本年一月から第十一期福祉のまちづくり推進協議会専門部会におきまして、具体的な改定内容の審議を開始したところでございます。
 本専門部会では、委員といたしまして、学識経験者、障害者団体、民間事業者団体、公募都民が選任されております。誰もが円滑に移動できるための整備、施設等のバリアフリー化情報の公表、東京二〇二〇大会を契機とした人権尊重の考え方の浸透などを検討課題といたしまして、目指す社会、計画を進める上でのポイント、基本的視点などについて、現在審議を進めております。
 本年六月には、本協議会から意見具申をいただく予定としておりまして、本意見具申を踏まえまして、全庁横断的な体制のもと、計画改定作業を進めることとしております。
 今後とも、高齢者や障害者を含め、全ての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることができるユニバーサルデザインを基本理念としたまちづくりの推進に向け、東京二〇二〇大会、さらにはその後を見据えまして、次期計画の策定に取り組んでまいります。

○高橋委員 東京に住む人、訪れる人に魅力のある東京とするため、ユニバーサルデザインのまちづくりの取り組みをしっかり進めていただきたいと思います。
 次に、東京二〇二〇大会での食の安全確保について伺います。
 世界各国から日本に来られる多くの選手の方々が最高のパフォーマンスを発揮する上で、栄養補給、選手村で過ごす楽しみといった観点から、食事はとても大切なものであります。
 しかし、いかに栄養バランスがすぐれていても、また、見ばえのする料理であったとしても、その前提には常にしっかりとした安全性が確保されていなければ、選手や関係者へ提供することはできません。
 食の安全確保は直ちになされるものではなく、日々の努力が必要で時間がかかるものであります。調理従事者の衛生教育や事業者による自主的な衛生管理の推進など、さまざまな準備が必要であると考えます。
 そこで、現在の都内の飲食店などにおける食の安全確保に向けた取り組みについて伺います。

○仁科食品医薬品安全担当部長 食の安全確保におきましては、第一義的には、事業者の方々の日々の取り組みが重要でございます。
 そのため、都は、食品事業者による自主的な衛生管理がより一層進むよう、国際標準であるHACCPの考え方に基づく、すぐれた衛生管理を行う事業者を都独自に認証する東京都自主管理認証制度を活用し、衛生管理の向上を推進しております。
 また、都では、特別区等と連携して、早朝から夜間まで施設の営業時間に合わせて年間約六十万件の監視指導を効果的に実施することにより、飲食店などにおける食の安全確保を図っております。
 さらに、講習会やホームページによる情報提供を通じ、飲食店における日々の衛生教育や食品の取り扱いについて、きめ細やかな啓発を実施しております。
 今後も、これらの取り組みを継続し、都内における食中毒防止対策を初めとした食の安全確保に取り組んでまいります。

○高橋委員 現状の飲食店での取り組みについてはわかりました。東京二〇二〇大会は夏場の猛暑の中、通算で千五百万食の食事の提供が想定されており、特に選手村では、ピーク時に三十分で一万食もの食事が提供されるとお聞きしております。
 こうした繁忙な状況の中で確実な管理が行えるかについては、事業者任せにするのではなく、保健所などによる確認、検証が必要だと思います。
 そこで、食中毒を防止し食の安全を保つため、大会開催時において、選手に食事を提供する事業者や、関係者が宿泊する施設などに対するチェックや指導はどのように行われるのか伺います。

○仁科食品医薬品安全担当部長 食品を提供する事業者等に対する監視指導につきましては、原則として大会会場や選手村、関係者が宿泊する施設を所管する都及び特別区等の保健所において実施いたします。
 都では毎年、夏と歳末の時期に、特別区等と連携して、都内全域での食品衛生一斉監視を行っており、その中で、東京二〇二〇大会において使用される宿泊施設等に対する指導も実施しております。
 今後、東京二〇二〇大会において、食事を提供する事業者に対しまして、HACCPに基づく管理の事前指導や、大会開催時における効率的な立入調査の実施などについて、特別区等と連携した具体的な取り組みの検討を行い、万全の監視体制を構築してまいります。

○高橋委員 ぜひ、食の安全確保に向けて万全を期していただきたいと思います。
 さて、二〇二〇年やその先を見据えた取り組みとして、もう一点、感染症対策について伺います。
 近年、外国人旅行者は増加の一途をたどっており、東京を訪れる外国人旅行者は平成二十八年には過去最多の約一千三百十万人に上っております。外国人旅行者の増加は、東京の国際的なプレゼンスの向上と、雇用の創出や地域の活性化に寄与し、ひいては都のさらなる成長につながることから、多くの旅行者を迎え入れることは大変重要であります。
 一方、公衆衛生の観点からは、こうした国際化の進展によりまして、国内にはない感染症が海外から持ち込まれることが危惧されております。実際、平成二十六年夏に発生しましたデング熱の国内感染事例は、海外から持ち込まれたウイルスに端を発したものといわれており、今後も起こり得る現実の課題でもあります。
 感染症の拡大防止のためには、患者の早期受診、医療機関における早期診断、そして、それに基づき保健所が行う対策が必要となりますが、言語や医療制度の違いから、それらを妨げる要因となる可能性があり、訪日外国人に対応した感染症の対策も必要と考えます。
 外国人が感染症を疑う症状を呈した際は、速やかに医療機関を受診することが必要でありますが、そのためにどのような取り組みを行っているのか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は、東京を訪れる外国人旅行客が滞在中に体調を崩した際に円滑に医療機関を受診できるよう、医療機関の探し方や受診方法などを案内する冊子を作成しております。
 この冊子は、日本語に加えまして、英語、中国語、韓国語、タイ語、スペイン語の外国語五カ国語に対応しているほか、指で示して症状などを伝えることができるコミュニケーションツールを記載しており、今年度から、東京観光情報センターや都内の全てのホテル、旅館、簡易宿所に配布するとともに、都のホームページにも掲載し、ダウンロードできるようにしてございます。
 今後、都が主催いたします宿泊事業者に対する説明会など、さまざまな機会を活用して配布し、外国人旅行者が体調を崩した際、早期の受診につながるよう啓発をしてまいります。

○高橋委員 外国人を受診につなげるための取り組みを行っているとのことですが、それに加えて、受診した医療機関において適切に感染症の診断を行えることも大切で、このため、都は、医療従事者向けに研修会を開催していると聞いております。
 感染症と診断された場合は、原因究明や二次感染の防止のため、保健所が疫学調査や保健指導を迅速に実施することが求められますが、外国人患者である場合、コミュニケーションを十分にとることができず、目的を達することができないおそれがあります。
 そこで、都は、外国人患者に対する疫学調査や保健指導を支援するために、どのような対策に取り組んでいるのか伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 都は今年度、疫学調査や保健指導をタブレット端末を用いて行うことができるアプリを開発いたしております。
 このアプリは、疫学調査の迅速化を図るとともに、適切な保健指導につなげるためのもので、外国人患者を想定し多言語にも対応しており、来年度から運用を開始してまいります。
 この取り組みを通じまして、外国人の患者に対しても、都内の全保健所が迅速かつ適切な疫学調査や保健指導を行えるよう支援してまいります。

○高橋委員 訪日外国人の急増に的確に対応するために、新たな取り組みに着手していることがわかりました。
 今後、東京二〇二〇大会開催などにより、東京を訪れる外国人旅行者は一層ふえることが見込まれております。都民と世界から訪れる方々が安心して過ごせるようにするためには、感染症を初めとする健康危機に対応した公衆衛生対策を一層充実させる必要があります。
 そのために、都は今後どのように取り組んでいくのかについて、技術系職種のトップであります技監に見解を伺います。

○笹井技監 東京は、一千三百七十五万人が生活する大都市でございますし、また、お話のとおり、海外から人や物が集中する世界有数の国際都市でございます。
 そのため、感染症の急速な拡大や大規模な食中毒の発生などの健康危機のリスクが高く、東京都では、多様な健康危機から都民を守るため、部長が先ほど答弁したような内容も含めまして、法令や計画などに従いまして、感染症対策、食品、医薬品や飲料水、生活環境の安全確保などに取り組んでまいりました。
 また、健康危機管理の地域の拠点となる保健所や、検査機能の中核となる健康安全研究センターには、医師を初め保健師、衛生監視員、薬剤師や獣医など、多様な職種が配置されており、その人材の確保と資質の向上を図ってきたところでございます。
 いよいよ二年後に迫ってまいりました東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けましては、今後、国際化のますますの進展が見込まれる中、対策を担う人材の育成とともに、国や区市町村、医療機関や関係団体などと密接な連携を図りまして、福祉保健局が一体となって、健康危機管理体制の一層の強化に取り組んでまいる所存でございます。

○高橋委員 ただいま長年にわたり公衆衛生医師として都政に貢献されてきました笹井技監から力強いご答弁をいただき、とても安心をいたしました。
 東京二〇二〇大会に向けて、保健所や健康安全研究センターなどで勤務する専門職の役割はますます重要となってまいります。人材育成にもしっかりと取り組んでほしいと要望しておきます。
 最後に、都民の安全と安心を守るため、今後も、局が一丸となって健康危機管理対策に尽力されることをお願いして、私の質問を終わります。

○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時五十二分休憩

   午後五時十分開議

○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○和泉委員 私からは、まず初めに、短期入所、障害者グループホームの都加算の見直しについて伺います。
 障害者グループホームの国の基本報酬は、ほかの障害者支援施設への報酬と同様に日額となっていて、日ごとの利用人数を集計して毎月報酬を請求するという仕組みです。そのため、事業者の報酬は月ごとにかわり、運営を不安定なものにしています。専門的知識のある職員を必要な人数、正規雇用で雇い入れるのは殊さら困難な状況です。
 都は、都独自の加算で、利用者の入院や帰宅などの日の分も保障してきました。これが実質として固定的収入となって、事業運営の不安定要素をカバーする大きな役割を発揮してきたんです。事業者からも高く評価されてきました。
 しかし、それが来年度から変更され、大幅な減収になる事業者も出るということが予測をされています。幾つもの事業者から、これでは運営も人員の確保もますます困難になるという声が上がっています。
 では、その見直しとはどのようなものでしょうか。障害者グループホームの都加算について、障害区分ごとの単価、利用者が入院したり実家に帰っている間の計算方法など、変更点について、まず伺います。

○高原障害者施策推進部長 こちらにつきましては、先ほども答弁さしあげたところでございますけれども、今回の見直しは、重度の障害者の受け入れやサービスの質の向上への事業者の取り組みを促進するということを目的として実施するものでございます。
 具体的には、障害支援区分ごとに設定している都加算額につきまして、より重度の区分を手厚く設定したほか、世話人の配置につきまして、現在、国基準の六対一以上の配置であれば全て同一額としているものを、四対一の人員配置とした場合には、都加算額が増加するよう設定し直すものでございます。
 さらに、現在は国加算を取得してもしなくても、都加算を含めた全体の収入額は変わらない構造となってございますが、今後は、福祉専門職員配置等加算や、医療連携体制加算など、質の向上のための国加算を取得した場合には、その加算額が事業者の収入に直接反映される仕組みに改めます。
 このほか、今回これらの見直しに合わせ、心身障害者の受け入れに当たり、精神科医療との連携体制を確保するために精神保健福祉士等の配置を行った場合の加算を創設しましたほか、従来、帰宅や入院によりグループホームを利用しない方についても、グループホーム利用時と同額の加算を行っておりましたが、利用者が不在の場合には、食事の介護など直接的なサービスは行わないため、世話人の配置に要する経費相当額となるように見直したものでございます。

○和泉委員 重度の方の単価が上がるというのはいいことだというふうに思います。
 けれども、だからといって軽度の方の報酬を下げていいということにはならないんじゃないでしょうか。今の答弁では、具体的に何がどう変わるのかわかりませんけれども、四対一の人員配置のところでは、区分六は九十円、区分五は二百七十円、区分四は二百五十円、それぞれ一日当たりの単価が上がります。
 けれども、区分三は三百六十円、区分二は二百八十円、区分一以下は百八十円、日額として下がるんです。さらに、土日祝日、入院などで利用者が使わない日は、重度の人の分まで区分二の日額を上限とするという変更です。
 事業者の運営の安定性を担保するために、都は、利用者が利用していない日も支援区分に応じた単価を保障してきました。今回の変更によって、重度の方を多く受け入れている事業者は固定費部分の収入が大幅に減り、運営が不安定になるということではないでしょうか。
 本人の希望にかかわらず、減収を防ぐために、休日も入居者を実家に帰さないという実態が広がってはならないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 繰り返しになりますけれども、今回の見直しは、グループホームにおいて重度の障害者の受け入れやサービスの質の向上への事業者の取り組みを促進することを目的として実施するものでございます。
 具体的に申し上げましたが、障害支援区分ごとに設定している都加算額について、より重度の区分を手厚く設定したほか、世話人配置についても、現在は国基準の六対一以上の配置であれば全て同一額であったものを、四対一の手厚い人員配置とした場合には、都加算額が増加するように設定したものであり、そのような懸念はないというふうに考えてございます。

○和泉委員 答弁になっていないんです。固定費部分の収入が大幅に減れば運営が不安定になるのではありませんかと伺いました。
 減収を防ぐために、土日や祝日なども実家に帰らないように勧めていく、あるいは逆に土日は全て休業にして実家に帰してしまう、そうやって人員体制を減らしていく、もちろん多くの事業者は利用者第一でやっていますけれども、経済的にそちらに誘導されてしまう、そういう可能性があるんじゃありませんかとお聞きしているんです。お聞きしていることに答えてください。

○高原障害者施策推進部長 今、不在の日の方の基本報酬額の算定についてのお尋ねかというふうに理解をしてございますが、本来、国の報酬では、利用者が不在の日には基本報酬額は算定ができないことになってございます。これが基本でございます。
 都は、従来、帰宅や入院によりグループホームを利用しない方についても一定額を保障し、グループホームを利用する場合において、ただその場合においては同額の加算を行ってきたわけでございますけれども、利用者が不在の場合には、当然ながらサービスが提供されないわけでございますので、最低、世話人の配置に要する経費相当額を、その方の分については保障すると、加算するという方向に見直したわけでございます。

○和泉委員 国が日額で、土日帰っている、祝日帰っていると減算される、だからこそ東京都がきちんとそこを保障して固定的収入になるように、そういう仕組みをつくってきたんじゃありませんか。それを変えようというのが今回の仕組みなんです。
 重度の障害者を受け入れている事業所が減ってしまうんじゃないか、そういう懸念があるんじゃないかと思いますが、その点については、都はどのように考えているでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 こちらも繰り返しになりますけれども、今回の見直しそのものは、重度の障害者の受け入れの促進、その他サービスの質の向上を目指す取り組みを促進する目的として実施するものでございまして、そのようなことは考えてございません。

○和泉委員 重度を手厚くするんだということですけれども、重度の方を多く受け入れている事業所で、週末を家族と自宅で過ごす方が多いと、事業所にとっては大きな減収になってしまうんです。そういう仕組みになるんですよ。外泊の場合、一律区分二の単価になるから、区分が高いほど減額が大きいんです。これで重度の方の支援を手厚くしたというふうにいえるんでしょうか。
 減収を防ぐために、土日や祝日なども実家に帰らないよう勧めていく、あるいはもういっそのこと土日は一切やらないで従業員を休ませる、多くの事業者はもちろんそうしたくないと思いますけれども、そうせざるを得なくなる、そういう可能性があることも否定できないじゃありませんか。
 短期入所についても深刻だと思います。グループホームの都の単価見直しは十月からですけれども、短期入所については四月からの実施となっています。これで整備が進むのかどうか心配です。
 今年度までの三カ年計画での短期入所の整備目標の達成、この見通しはどうなっているでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 現在の障害者・障害児地域生活支援三か年プランでは、平成二十七年度から二十九年度までの三カ年の短期入所の整備目標を二百二十人としており、二十八年度末までの二年間の整備実績は八十七人の増加となっております。

○和泉委員 障害者施策推進協議会の提言では、短期入所について一層の整備推進の取り組みが必要というふうになっているにもかかわらず、来年度からの障害者・障害児施策推進計画の案では、短期入所の三カ年の整備目標が現在の計画より低くなっているのはなぜでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 現在、策定をしてございます東京都障害者・障害児施策推進計画におけます短期入所の整備目標は、これまでのサービスの利用実績や区市町村のサービスの見込み量等を勘案して、平成三十年度から三十二年度までの三年間で新たに整備する目標を改めて設定したものでございます。

○和泉委員 協議会からは一層の整備推進が必要という提言が出ているのに、実績や区市町村の見込み量などを勘案して整備目標を削減したという答弁ですけれども、なぜそのような乖離が生まれるのか、なぜ整備が進まないのか、ちゃんと分析する必要があるはずです。やはり運営が困難だからではないでしょうか。
 その上、今回の見直しでどうなるかといえば、例えば福祉型一で区分四は千五百十円、区分三は千二百八十円、区分二は二千二百六十円、区分一に至っては三千二百四十円も日額が減るんです。減らした目標の整備がますます進まないということになるのではないかと懸念します。新たにできる加算もどれだけとれるものなのか疑問です。
 冒頭にも述べましたけれども、重度の方の単価を厚くしたからといって軽度の方の支援を下げていいということにはなりません。支援区分は軽くても、高齢化して日中支援が必要だったり、今までとは違う支援が必要になったりする方がふえているんです。
 障害支援区分が三以下の障害者を受け入れているグループホームや、支援区分四以下の障害者を受け入れている短期入所も、障害者の地域生活を支える上では求められる役割を果たしていると思いますが、どう考えていますか。

○高原障害者施策推進部長 都はこれまでも、障害者の地域生活を支えるサービスであるグループホームや短期入所を運営する事業者が必要な人材を確保し、質の高いサービスを提供できるよう、国報酬に加え都独自の補助を実施してきたわけでございまして、今後とも続けていく所存でございます。
 その上で、今回の見直しは、重度の障害者の受け入れを促進するとともに、サービス全体の質の向上を図ることを目的として実施するものでございます。

○和泉委員 協議会で行われてきた重度化、高齢化がふえているという議論を聞きながら、実際には、都の負担を減らすようなやり方は認めるわけにはいきません。見直しの撤回を強く求めておきたいと思います。
 さらに、今回、この見直しの進め方にも私は大きな問題があると思います。今回の見直しによって、グループホームと短期入所のそれぞれについて、どれだけの事業所で収入がふえ、どれだけの事業所で収入が減ると見込んでいますか。また、都の支出額はどう変化すると見込んでいるんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 個別の事業所の収入につきましては、利用者の状況、職員体制、国加算の取得、都独自の加算の取得によって異なってまいります。事業者説明会におきましては、モデル的なケースを想定し、現行収入と見直し後の収入を提示したところでございます。
 例えば、四対一の人員配置の事業所で支援区分一から四までの平均的七名の知的障害者を受け入れているグループホームにおいて、福祉専門職配置加算や帰宅時等加算などの国加算を取得した場合には、現行と同程度の収入を確保できるものとして試算をし、お示ししたところでございます。
 また、都の支出につきましては、区部においては財調対応となっており、市町村については包括補助事業として実施しておりますが、前年と同額を予算額として計上したところでございます。

○和泉委員 モデルケースの試算の話ではなくて、実際に都内にあるどれだけのグループホームで増収や減収になるのかということをお聞きしたんですけれども、答弁はありませんでした。要するに見込みはないということです。都の支出についても、同じく答弁はありませんでした。国の報酬もさまざまな条件で変化しますけれども、改定案がプラス・マイナス何%というくらいの情報は出てきます。それさえもしないということでいいんでしょうか。しかも、示された試算でも、国加算をとれば同程度の収入といいますけれども、同程度の収入では手厚くならないじゃありませんか。
 きょう配られた資料の7を見ても、実際に国加算をとっているところは決して多くありません。国加算はハードルが高過ぎてとりづらいという声を幾つもの事業者から聞きました。試算で同程度という答弁でしたが、私たちがお話を聞いた事業者のほとんどは減るとおっしゃっています。
 実際に、国加算をとらなければ大幅な減収となることを都はどのように受けとめているんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 国加算の取得につきましては、先ほどのご答弁の中で申し上げましたけれども、グループホームの資格取得の支援につきましては来年度から実施して、そういった加算のとれるような体制にも支援してまいりたいというふうに考えてございます。

○和泉委員 重度を手厚くしても、国加算をとったとしても、同程度の収入にしかならないと都自身が試算しているじゃありませんか。国加算がとれなければ大幅な減収となることも否定できないじゃありませんか。
 大幅に収入が減るのに、その基本額の中から、さらに第三者評価の費用まで出さなければなりません。新たな都基本単価には、第三者評価の受審費用が含まれているということですけれども、これは具体的に幾ら見込んでいるんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 今回の見直しでは、グループホームを運営する事業者がみずから提供するサービスの質の評価を行い、良質かつ適切なサービスを提供することを促すために、東京都福祉サービス第三者評価の受審を求めております。
 受審に必要な経費につきましては、平均的な規模の事業者が三年間事業運営をした場合に受審経費相当額となる六十万円程度を見込み、基本額に含めているところでございます。

○和泉委員 基本単価が減っているのに六十万の受審費用がかかるということではないんですか。事業を持続するためには、サービスの低下、人件費の削減、そういうことに逆につながってしまうんじゃないでしょうか。
 都は、今回の見直しに当たって事業団体のヒアリングや説明会も実施したということですけれども、このヒアリングや説明会は何回開かれたんでしょうか、日時と対象事業者について伺います。また、事業者団体へのヒアリングの際に、単価の提示は行ったんでしょうか、あわせてお答えください。

○高原障害者施策推進部長 制度の見直しに当たりましては、東京都社会福祉協議会の身体障害者福祉部会や知的発達障害部会、東京都精神障害者共同ホーム連絡会など関係団体へのヒアリングを、平成二十九年八月から十二月にかけて、合計十三回実施をいたしました。
 また、事業者への見直し内容の説明につきましては、平成三十年一月に全事業者を対象とした説明会を開催するとともに、関係団体主催の会議に合計六回出席し、説明を行っております。
 また、具体的な単価の提示は、九月後半以降のヒアリングにおいて提示をしたところでございます。

○和泉委員 ヒアリングというのは同じ事業所を対象に積み重ねられていったという数字なんでしょうか、それとも、対象事業所をある程度のグループに分けて、一回ずつヒアリング、説明会が行われたということでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 ヒアリングは、今申し上げましたとおり、東社協の身体障害者福祉部会に集まっていただいて、そこでのヒアリングを行う、あるいは知的発達障害部会の方に集まっていただいて、そこでのヒアリングを行う、そういった形でヒアリングを実施してございます。

○和泉委員 それぞれに複数回行われているんでしょうか、いかがですか。

○高原障害者施策推進部長 複数回行ったところもございますし、一回だけのところもございます。

○和泉委員 事業所にとっては固定的収入部分にかかわる大きな変更ということになりますから、説明会では、当然、質疑応答が行われたと思いますが、いかがですか。また、どのような意見がこの場で出て、どのように反映されたんでしょうか、伺います。

○高原障害者施策推進部長 平成三十年一月に開催をいたしました東京都主催の全事業者を対象とした説明会では、全ての事業者が出席しやすいよう、三回の入れかえ制をしたことにより、質疑の時間は確保できませんでしたが、ファクスによる質問票を配布し、事業者からの質問を受け付けてございます。
 また、関係団体主催の会議におきましては、主催者側の求めに応じて質疑に応じたところでございます。
 また、どのような意見が出て、どのような形で反映がなされたかということでございますけれども、関係団体のヒアリングにおいては、事業所における職員配置や積極的な国加算の取得に向けた体制整備のためには一定の期間が必要という意見を受けて、当初、年度当初からの実施を予定してございましたが、六カ月間の経過措置を設けることといたしました。
 また、新たに創設をした精神障害者の受け入れに当たり、精神科医療との医療連携体制を確保する加算の算定要件につきましては、当初、定期的な通院同行等も行うことを要件としておりましたけれども、より事業者の負担が少なく、継続的な支援が可能となるよう、医療機関との電話連絡等による連携体制をとった場合でも算定できるようにいたしたところでございます。

○和泉委員 ファクスで質問を受けているということですけれども、このファクスが届いているところに対してはどのような対応をされているんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 いただいた意見につきましては、現在も集約中でございまして、それらの意見につきましては、今後開催いたします説明会等においてお答えしていくこととしてございます。

○和泉委員 このファクス質問票、私も東京都からいただきましたけれども、この質問票でいただいたご質問につきましては、平成三十年三月末に行う予定の報酬改定に伴う説明会において可能な限りご回答いたします、質問者に対して個別にお答えはできませんので、あらかじめご了承くださいというふうにあるんです。これで丁寧にやりとりをして、疑問に対して答えるということに果たしてなるんでしょうか。事業者団体からも意見書や要望書のようなものが出ていると思いますが、いかがですか。

○高原障害者施策推進部長 東社協の方からは、ご要望はいただいているところでございます。主な内容といたしましては、区分ごとの単価の見直しについては、重度に関しては、おおむね考え方としては承知できるけれども、低い区分についての見直しについては、できればなくしていただきたいといったようなことですとか、帰宅、入院時における単価の見直しについても、できればもう少し低減していただきたい等々のご要望をいただいております。

○和泉委員 私がこれまで質疑してきた方向に沿ったような要望書が出ているんですけれども、その意見は、要望は反映されなかったということになります。重度の方が利用できるグループホームの設置促進に貢献できる見直し案とは到底いえないと思います。
 運営事業者に深刻な影響を与えるということを厳しくこの要望書の中でも指摘しています。その上で、四対一以上の人員配置ができるような都加算の基準を新たにつくること、二つ目は、入院や帰宅で利用者が不在の場合の単価についても、区分二を上限にする見直し案について見直すこと、そういった要望書を出されています。ほとんど要望には応えられていないということなんです。
 今回のグループホームと短期入所の都加算の見直しは、障害者施策推進協議会では報告、議論がされていますか。また、東京都障害者・障害児施策推進計画案では、見直しについて書かれているんでしょうか、伺います。

○高原障害者施策推進部長 障害者施策推進協議会におきましては、グループホームや短期入所を利用する障害者の高齢化や障害の重度化が進んでいることについての議論を行ったところであります。
 これを踏まえ、新たにつくります東京都障害者・障害児施策推進計画では、グループホームや短期入所を利用する障害者の高齢化や重度化を踏まえ、障害者の状況の変化にも対応できる手厚いサービスの提供が求められているとしているところでございます。

○和泉委員 いかにも議論してきたというようないい方ですけれども、質問への答弁にはなっていないと思います。都加算の見直しの内容や、ましてや単価について、協議会に示したり計画案に書かれたりということがあるのですかと伺いました、お答えください。

○高原障害者施策推進部長 この障害者施策推進協議会の役割でございますけれども、都の障害者施策の方向性を定めるところでございまして、具体的な施策の内容等を審議する場としては理解してございません。具体的な施策につきましては、その年度年度の予算等において実現していくものというふうに考えてございます。

○和泉委員 まさに大きな方向性の問題ではありませんか。国が、日額の単価で不安定収入に制度を落とし込んできた、そこに東京都は、これまで日額を月額で実質補償して固定的な収入部分を補ってきた、その大きな変更になるわけです。軽度の方の日額を減らして、重度の方たちが週末に実家に帰れば、大幅な減収になって事業所の運営に大きな打撃を与える、そんな議論は推進協議会で行われていないんだということです。計画案にもそのようなことは書いていません。この制度の重要性にふさわしい扱いとはとてもいえません。私は、このような変更は行うべきではないということを重ねて申し上げておきます。
 続いて、東京都所管の監理団体、そして健康長寿医療センターの有期雇用契約について伺います。
 福祉保健局所管の監理団体と東京都健康長寿医療センターの各種有期雇用職員のうち、契約の更新について五年を上限とする規定があるものを全てお答えください。

○古賀事業推進担当部長 福祉保健局所管の監理団体等のうち、五年を上限とする就業規則等の規定がある団体は、東京都福祉保健財団、東京都医学総合研究所、東京都健康長寿医療センターの三団体でございます。

○和泉委員 五年を上限とする規定について、いつそのような規定がつくられたのか、団体と職員の種類別にお答えください。

○古賀事業推進担当部長 まず、東京都福祉保健財団につきましては、任期つき職員、非常勤職員ともに平成二十六年四月一日に施行しております。続いて、東京都医学総合研究所につきましては、固有研究員は平成二十五年四月一日、常勤再任用職員及び流動研究員は平成十一年四月一日に施行しております。最後、東京都健康長寿医療センターの任期つき職員につきましては平成二十五年六月二十一日に施行し、平成二十五年四月一日から適用、非常勤スタッフ及び臨時スタッフにつきましては平成二十九年四月一日に施行しております。

○和泉委員 五年を超えて契約を更新している有期雇用契約の労働者が無期転換できるルールを定めた改正労働契約法が二〇一三年四月一日に施行されましたけれども、今のご答弁ですと、常勤再任用職員及び流動研究員の規定以外は、五年を上限とする規定はほとんど、それ以降につくられたということがわかります。これは、無期雇用への転換のルールを避けるためだと見られても仕方のないことではないでしょうか。
 資料を二種類お配りしていますけれども、両方とも厚生労働省のホームページに掲載されているものです。この四ページ立ての方の一ページの下の方、マーカーを引いた箇所を見ていただくと、雇いどめの不安の解消が課題となっていますと、それから、労働契約法の改正は、こうした問題に対処し、働く人が安心して働き続けることができる社会を実現するためのものですと書いてあります。にもかかわらず、法の施行を契機に雇いどめのルールをつくってしまったのでは話が逆になってしまいます。
 もう一つのリーフレットでは、無期転換ルールを避けることを目的として、無期転換権が発生する前に雇いどめをすることは、望ましいものではありませんといっています。国会の答弁でも、政務官が、無期転換ルールを意図的に避ける目的を持って雇いどめを行うことは望ましくないと答弁しています。望ましくないことが都の関係する団体で広がっているんです。
 今回の議案である健康長寿医療センターの中期計画案には、法令遵守は当然として、倫理の徹底ということも書かれています。この記載は今の計画の中にもあります。監理団体にも当然、自治体がかかわる団体として高い倫理性、公共性が求められます。
 そこで伺います。
 厚生労働省も望ましくないといっている雇いどめの広がりと健康長寿医療センターや監理団体に求められる倫理性、公共性ということは両立すると思いますか。

○古賀事業推進担当部長 現在、局内監理団体等では、例えば時限に事業が設定されていたり、あるいは一定の期間で成果を上げるプロジェクト研究を行うなど、事業を効果的に実施するために、それぞれの団体の実情に応じて有期雇用職員を活用しております。
 その有期雇用職員の雇用期間につきましては、各団体において、先ほど申し上げましたように、就業規則等で定めておりまして、それは、労働基準法十五条第一項及び同施行規則第五条第一項に基づきまして、それぞれの有期雇用職員に対して、労働条件の一つとして有期雇用の上限を明示した上で、両者の合意により労働契約を締結しておりまして、適切に対応しているものというふうに考えております。
 また、更新回数の上限を設けるということにつきましては、労働契約が合意により成立するという原則に立てば、労働者と使用者がお互いに真に合意して、更新の上限を設定することを禁止したり、その効力を直ちに無効とするということは難しいというのが厚生労働省の見解でございます。

○和泉委員 そもそもこの労働契約法の趣旨も、働く人が安心して働き続けることができる社会を実現するためのものというふうにされているんです。望ましくないことを公共性の高い職場で行うことは、倫理上からいっても、道義上から見ても、改めるべきではないんでしょうか。
 健康長寿医療センターについて、具体的に伺います。
 健康長寿医療センターの職員の任期に関する規程第六条では、雇用契約期間の更新後五年に達したときには、別に定めるところにより無期雇用への転換ができるとしていますが、この別に定めるところによりの内容について伺います。

○稲葉施設調整担当部長 健康長寿医療センターの職員の任期に関する規程第六条における別に定めるところに当たるものとしまして、任期つき職員の定年制への移行等に関する規程が定められてございます。
 この規程は、任期つき常勤職員のうち、特定の研究課題を専担する研究員、技術員を対象に、雇用期間の定めのない定年制職員への移行に関し必要な事項を定めたものでございまして、移行の可否を審査するための評価委員会の設置や委員の構成、評価項目、決定までのプロセスなどを定めてございます。

○和泉委員 引き続き伺います。
 健康長寿医療センターにおいて、職員の任期に関する規程に基づき、通算の雇用期間が五年に達することを理由として、今月末までの雇いどめを通知された職員の人数は何人でしょうか、また、無期雇用への転換がされる職員は何人でしょうか。

○稲葉施設調整担当部長 健康長寿医療センターの職員の任期に関する規程が適用される任期つき常勤職員のうち、平成二十九年度末に雇用契約期間が通算五年に達する職員は四人ございますが、これらの者は全て四月一日から雇用期間に定めのない定年制職員に移行するため、雇いどめとなる職員はございません。

○和泉委員 では、健康長寿医療センターの非常勤スタッフについて伺います。
 この非常勤スタッフ等就業規則第八条第二項に基づき、今月末で雇いどめとなる人は何人いるでしょうか。

○稲葉施設調整担当部長 健康長寿医療センターの非常勤スタッフ等就業規則第八条第二項は、雇用契約期間の更新は最初の雇用契約期間の開始から五年を超えることはできないというふうに定めてございますが、この規定は附則によりまして、平成二十九年四月一日から適用することとされているため、まだこの規定にのっとって対象となる職員はございません。

○和泉委員 健康長寿医療センターの非常勤スタッフ等就業規則第八条第三項の別の定め、この内容と、これに基づき、今月末で雇用契約期間の更新後五年に達する職員のうち、引き続き雇用される職員の人数をお答えください。

○稲葉施設調整担当部長 健康長寿医療センターの非常勤スタッフ等就業規則第八条第三項に規定する職員の確保が困難な職種は、附則の規定によりまして、当面の間、病院に所属をいたします医師及び看護助手を含む看護師とされてございます。医師につきましては、労働契約書において定めることによりまして、契約期間更新に上限のない雇用契約を締結してございます。
 また、第八条第三項は、平成二十九年四月一日から適用されるものでございまして、雇用契約期間が五年に達する職員はまだ発生しておりません。

○和泉委員 実際に雇いどめができる規定にはなっていても、現在までのところ、五年に達した後は定年制に移行しているということを確認しました。
 先ほど、更新上限を設けることを禁止したり無効としたりすることは難しいというのが厚生労働省の見解だということをご紹介いただきましたけれども、これは、労働について強制力を持って規制する権限のある厚生労働省が、更新回数の上限を設けることを禁止するか直ちに無効にするのかという論点で述べられたものです。そのことと個々の事業者が法の趣旨を踏まえて、どのような対応をするかというのは別の問題です。
 しかも、厚生労働副大臣は、そのことを述べたのと同じ答弁の中で、あらかじめ設定された更新上限に達した場合でも、ほかの労働者の更新の状況など、さまざまな事情を総合的に判断して雇いどめの可否が決せられるのは、裁判例の傾向でもありますと述べています。
 さらに、これは法案が審議されるときのものですけど、法案が成立した際には、不更新条項を入れさえすれば雇いどめ法理の適用が排除されるといった誤解を招くことがないように、従来の判例法理が変更されるものではないということを解釈通達やパンフレットを使って周知に努めてまいりたいというふうにいっているんです。
 望ましくない仕組みを残しておくことは、私は是認できません。都のかかわる団体で、働く人たちの雇用が不安定になるということは、本来あってはならないことです。監理団体についても同様だと思います。無期転換ルールを正しく運用すること、また、そもそも継続的に求められる仕事をする職員は、有期契約ではなく、期間の定めのない契約として雇用することを改めて求めておきます。
 続いて、ベビーシッター利用支援事業について伺います。
 都は、二〇一八年度予算で新規事業として、ベビーシッター利用支援事業を行うとしています。居宅訪問型保育事業の届け出を行っている事業所に準じて質を確保するための研修を行うということですけれども、認可外の居宅訪問型保育事業の届け出を行っている事業所は、現在、都内に幾つあるんでしょうか、また、都内にベビーシッターは何人いるんでしょうか。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 平成三十年三月一日現在、百三十八の事業所が児童福祉法に基づきます認可外の居宅訪問型保育事業者として東京都に届け出を行っております。公益社団法人全国保育サービス協会の調査によりますと、同協会に加盟するベビーシッター事業者に登録している都内の保育者の数は約九千人でございます。

○和泉委員 都が新規事業を始めるに当たって、新たにベビーシッターとしてどのぐらい確保する必要があるんでしょうか、また、確保の見通しについてはいかがでしょうか、伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 来年度から実施いたします本事業では、児童千五百人分の予算を計上しております。本事業の実施に当たりましては、保護者が希望どおりにサービスを利用できますよう、都内の潜在保育士やベビーシッター事業者に登録している保育者を中心に、必要な人材の確保に取り組んでまいります。

○和泉委員 先ほど、どのような研修を行うのかということに関しては、桐山副委員長の質問に対して都が答弁しましたので、私の方からは重ねて伺うことをしません。
 何よりも保育の質がしっかりと保てるようにするということが重要だと思います。特に、密室で一対一という状況で行うのであれば、担い手の質は高いものが求められます。一定の要件を設定ということですが、きちんと担保できるものになるかどうか、かなり不安が残ります。
 また、ベビーシッターの労働時間を適正に保つためには、交代制の勤務ということになると思います。休暇の保障や病気のときの代替なども考えれば、何人かのチームで一人の子供さんを担当するということになるのだと思います。当然、子供がなれるまでにも時間がかかるでしょうし、複数の人が家に出入りするということになれば、保護者にとっても気苦労の多いものになるでしょう。
 実際に認可保育園に子供さんを預けながら、夜間はベビーシッターを利用していたという長時間労働のお母さんは、ベビーシッターを家に入れることに抵抗を感じたそうです。二、三人のレギュラーさんが担当してくれたということですが、信頼関係や相性がとても大事だとしつつも、短時間だから利用したが、フルタイムの利用は絶対に無理だと思うと語っておられます。
 保育園に入れなければ仕事をやめざるを得ない保護者は、やむにやまれない選択としてベビーシッターの利用という人もいらっしゃると思います。しかし、認可保育園に入りたいと願いながら入れない状況を、まず何よりも一刻も早く解消することこそがやはり第一義的課題であり、圧倒的な保護者の願いでもあります。その願いに応えるためにも、認可保育園の整備目標をしっかりと設定していただくよう求めておきます。
 最後に、第五十五号議案、東京都立ナーシングホーム条例を廃止する条例、ナーシングホームは、福祉と医療、研究を一体に行ってきたことに大きな意味がありました。都立施設として高齢者の総合的なケアに果たしてきた役割はかけがえのないものであり、廃止には反対です。
 第五十八号議案、東京都障害者支援施設等に関する条例は、東村山福祉園を民間移譲するため、条例から削除するというものです。これも、都が直営のままで、都としての責任を果たすべきであり、民間移譲には反対です。
 以上で私の質疑を終わります。

○つじの委員 私自身が精神保健指定医の有資格者であり、東京都の夜間、休日の精神科救急医療体制の当番医を担当していた経験から、東京都の精神科救急医療の現状についてお伺いいたします。
 現在、東京都の精神科救急医療体制については、精神科措置医療、精神科初期・二次救急、精神身体合併症救急医療と大きく三つに分けて、それぞれの役割を分担しているところと認識しております。
 まず、精神科措置医療に関して、措置診察についてお伺いします。
 都立松沢病院のホームページによると、措置入院に関しては、自傷他害のおそれがある場合で、知事の診察命令による二人以上の精神保健指定医の結果が一致して入院が認められた場合、知事の決定によって行われる入院、また、緊急措置入院に関しては、自傷他害のおそれがある場合で、正規の措置入院の手続がとれず、しかも急速を要する場合、精神保健指定医一人の診察の結果に基づき知事の決定によって七十二時間を限度として行われる入院と定義してあります。その判断を行う診察が、いわゆる措置診察、緊急措置診察に当たるものと認識しております。
 平成二十八年度は、緊急措置診察後の措置診察件数を含めて、措置診察件数は計千六百三十一件となっており、措置診察を経て措置入院に至った件数は千五百十六件となっております。
 そこで、東京都における措置診察及び緊急措置診察に係る通報の内容について、警察官通報などその他通報の内容、男女比、外国籍の方の割合など、概要を説明いただきたいと存じます。その上で、東京都が把握されている近年の傾向をお知らせいただきたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 措置診察は、精神保健福祉法により、入院させなければ、精神障害のために、自傷または他害のおそれがあるとして、警察官などから通報等のあったものについて行われるものでございます。
 通報等件数の過去五年間の推移は、平成二十四年度は二千九百六十九件、平成二十五年度は三千百七十一件、平成二十六年度は三千四百二十一件、平成二十七年度は三千九百五十七件、平成二十八年度は四千五件で、増加傾向にございます。
 平成二十八年度について、通報元別では、警察官からの通報が三千十四件、刑務所や少年院などの矯正施設の長からの通報が六百九十九件、検察官からの通報が二百八十七件となっております。
 また、通報等があったものの男女別内訳は、男性が二千三百四十四件、女性が千六百六十一件でございました。
 緊急措置診察は、急速を要し、措置診察の手続をとることができない場合において行われるものでありまして、都では夜間に実施しており、平成二十八年度の通報等件数は二千三十四件、このうち、二千三十二件は警察官からの通報でございました。
 また、通報等があったものの男女別内訳は、男性が九百六十二件、女性が千七十二件でございました。
 なお、通報等があり、措置診察または緊急措置診察を行うものの中には、日本語以外の言語を母国語とする者もいるため、その場合、大使館等職員の協力を得たり、通訳者を手配し診断を実施しております。

○つじの委員 通報の詳細な内容をお知らせいただき、ありがとうございます。
 昨年夏、東京都議会議員になる以前に、私は精神保健指定医として、私自身が数年ほど東京都の措置診察業務に協力する中で、診察件数は近年増加している印象でした。
 また、平成二十八年度は措置診察の件数が前年に比較して減少しておりますが、これらの傾向について、疾患別の割合など考慮した東京都の見解、考察をお伺いしたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 措置診察件数は、平成二十三年度は千五百九十七件でございましたが、平成二十四年度は千六百九十九件、平成二十五年度は千七百十四件、平成二十六年度は千七百八十件、平成二十七年度は千八百七十三件と増加傾向にございましたが、平成二十八年度は二百四十二件減少し、千六百三十一件でございました。
 平成二十八年度の措置診察時の診断名の主な内訳を見ますと、統合失調症、統合失調型障害及び妄想性障害などの統合失調症圏が六一%、鬱病などの気分障害が一一%、成人のパーソナリティー及び行動障害が八%となっておりまして、このうち、統合失調症圏が前年度に比べ二百四件の減となったことが平成二十八年度の主な減少要因でございます。

○つじの委員 東京都の見解をいただき、ありがとうございます。
 数年前より抗精神病薬の進歩、比較的早期の医療機関の介入があり、統合失調症の症状は以前と比較して軽症化しているとの指摘も耳にしたことがありますが、これが平成二十八年度の統合失調症圏の措置診察に至る件数の減少の理由の一つかもしれません。
 さて、措置診察にかかわる精神保健指定医のいわゆる確保についてお伺いしたいと思います。
 ことしの診療報酬の改定で、現在の精神保健指定医が措置診察業務にかかわることなどで算定できる初診時の通院精神療法の加算が廃止されます。
 加算が廃止されることで、特に都内の精神科診療所の精神保健指定医の措置診察業務に協力する動機づけが弱くなることが予想されますが、今後の東京都の措置診察業務にかかわる精神保健指定医の、いわゆる確保についての見込みと対策をお伺いしたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 精神保健指定医は、一定の精神科実務経験を有し、知識及び技能を有する医師のうちから厚生労働大臣が指定し、医療機関において、患者本人の医師によらない入院や行動制限の判定などを行うほか、公務員として措置診察業務などを行うものをいいます。
 都では、措置診察業務などを行う精神保健指定医を確保するため、毎年度、都内在住または在勤の精神保健指定医を対象に、都の措置診察業務等に関する説明会を開催するほか、精神保健指定医の募集に当たっては、東京都医師会、東京精神科病院協会、東京精神神経科診療所協会に協力を依頼しております。
 毎年度、約四百人の精神保健指定医を特別職、非常勤職員として任用しておりまして、来年度についても、三月十四日現在、四百十六人の任用申し込みがありまして、例年どおり必要な数の精神保健指定医を任用できる見込みでございます。
 引き続き、国や関係機関と連携し、措置診察業務にかかわる精神保健指定医の確保を図ってまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。引き続き、東京都における精神科措置医療が滞りなく円滑に進められますよう対策を練り、努力を継続していただくことを期待しております。
 次に、精神科初期、二次救急について質疑いたします。
 精神症状の急性増悪など緊急を要する症状を呈している患者さん及びその家族の方などからの受診相談、問い合わせに対して、東京都では、精神科救急医療情報センターで、委託職員によるトリアージや精神科救急医療情報を提供する体制を整えております。
 日中の相談には、診察時間を設けている医療機関が都内には多数あり、病院などの外来診療に誘導することは比較的容易と考えられます。しかし、夜間、休日に関しては、診察時間を設けていない医療機関も多数あり、緊急時にはいろいろと難渋することが考えられます。
 そこで、現状の東京都が構築している夜間、休日の精神科救急医療体制についての概略の説明を求めます。

○石黒障害者医療担当部長 都は、国の要綱に基づき、夜間及び休日における精神障害の救急医療を提供するため、医療施設相互間の連携確保や体制の整備を図っております。
 具体的には、受け入れ医療機関として、外来レベルの精神科初期救急医療については毎日三医療機関、入院レベルの二次救急医療については毎日二病院、それぞれ輪番制により確保しております。
 また、精神症状により一般診療科での受診が困難な精神身体合併症の救急患者を、都立松沢病院など行政的医療を担う都立病院等で受け入れております。
 さらに、精神科救急医療情報センターを設置し、平日夜間及び土曜、休日における受療相談や必要な方に対して医療機関の紹介を行っております。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。東京都が精神科救急医療情報センターを通じて、都立病院やその他医療機関との連携を図り、夜間、休日の精神科救急医療の重層的な体制を整えている現状がよく理解できました。
 次に、前述の精神科救急医療情報センターにおいて、業務を委託する団体など、また精神科初期医療、二次救急医療を担当する医療機関についてお伺いいたします。
 医療機関を確保、調整するのに各種団体に委託して行っている現状がありますが、業務委託する団体の選定の理由、根拠を明示していただきたいと存じます。
 また、団体に支払う委託料の内容について、その金額が都民目線で妥当なものなのか、委託料の算定方式などについても説明をいただきたいと存じます。

○石黒障害者医療担当部長 都は、受け入れ医療機関の確保などの事業の一部について、国の要綱に基づき適当と認める団体に委託して実施しております。
 精神科初期救急医療、二次救急医療については、平日夜間において輪番制による医療機関の確保ができることを要件に、委託団体を選定しております。
 精神科救急医療情報センターについては、精神科の臨床経験を有する精神科医、看護師、心理職など、さまざまな専門職種を擁し、かつ都内の精神科医療機関に対し、中立的な立場であることを要件に、業務団体を選定しております。
 また、委託料については、医師、看護師等、業務の履行に必要な職種、人数を定め、都が定める共通の人件費単価などにより積算しております。

○つじの委員 詳細なご説明をいただき、ありがとうございます。都民を支える精神科救急医療の体制が公正かつ公平に、都によって整えられていることが確認できました。引き続き、適正に外部団体との関係性を維持していただきたいと思います。
 次に、精神身体合併症救急医療について、身体合併症を伴う精神疾患患者への対応など、精神科救急医療体制の問題点、あるいは課題についてあれば、お伺いしたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 精神身体合併症患者については、精神症状、または身体症状の悪化に対する懸念から、受け入れに対して不安を持つ医療機関が少なくなく、医療機関相互の連携による地域の実情に応じた体制整備を図ることが課題となっております。
 昨年九月に開催した東京都地方精神保健福祉審議会においても、精神身体合併症患者が地域で迅速かつ適正な医療を受けられるよう、一般医療機関と精神科医療機関との連携体制の充実や効果的な支援体制の構築の必要性が提起されました。

○つじの委員 ただいまの答弁で、東京都としては精神身体合併症患者の地域での受け入れ体制構築が課題であるとの認識であることが理解できましたが、具体的に今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 都では、精神身体合併症患者が地域において迅速かつ適正な医療が受けられるよう、都内を五ブロックに分け、地域精神科身体合併症救急連携事業を順次実施しており、今年度は三ブロックで行っております。
 具体的には、核となる精神科医療機関を定め、一般救急医療機関からの受け入れ、相談体制整備に関する会議の開催、一般救急医療機関職員を対象とした精神疾患に対する研修の実施、身体治療後の精神疾患患者の相談や受け入れ調整など、一般救急医療機関と精神科医療機関の連携策を進める事業を実施しております。
 来年度は、五ブロック全ての地域で実施する予定でありまして、地域の実情に応じた精神身体合併症患者の受け入れ体制の充実を図ってまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。千三百万人を超える人口を抱える東京都において、本日は東京都における精神科救急医療体制について質疑いたしました。
 最後の答弁で、東京都の現在の体制で抱える課題の一つとして、身体合併症のある精神科の患者さんの対応があり、都として、困難が存在するにもかかわらず、真摯な態度で対策に取り組んでいらっしゃることを知ることができました。
 今後も、東京都の精神科救急医療体制が都民の皆様の期待と要望に応えられますよう、都として引き続き努力を継続されますことを要望いたします。
 さて他方、ラグビーワールドカップ二〇一九開催まであと五百五十日、東京二〇二〇オリンピック開催まであと八百五十八日、パラリンピック開催まで八百九十日と迫ってまいりました。
 産業労働局観光部のPRIME観光都市・東京、東京都観光産業振興実行プラン二〇一八によると、東京都を訪れる外国人旅行者数を、二〇二〇年には二〇一五年の約二倍に当たる年間二千五百万人、二〇二四年には三千万人を目指すとあります。
 今後、東京で開催される国際大会前後に向けて、世界中から東京都を訪れる方々が一層ふえてくることが明白でございます。
 また、総務局の東京都の統計によれば、この直近の都内在住の外国人人口は年々増加しており、平成三十年一月一日の時点で、五十二万人を超える外国籍の方々が東京で生活されております。
 精神科医の知見として、国籍にかかわらず、一定の割合で精神症状を発症することは事実でございます。
 現在の東京都の精神科救急医療体制において、日本語を母国語としない患者さんに対して、措置診察においては、必要に応じて通訳者を確保するなど、対応はしている状況ではございますが、急増する日本滞在、在住の外国人の方々に対する精神科救急医療体制が不十分であると私は認識しております。
 現在の東京都の精神科救急医療体制では、近い将来、医療の現場が大変な混乱に陥り、また、急性症状を抱えた日本語を母国語としない、日本の文化、宗教とは異なる背景を持つ外国の方々やその家族の方々にとっても困惑することが十分あり得ると私は危惧しております。
 世界有数の大都市であり、国際都市である東京の観点から、外国から来られた方々に対しても精神科救急医療体制が機能することが今後の東京都におけるその課題であることを指摘し、都として真剣に取り組まれることを要望して、私の質疑を終了します。
 ありがとうございました。

○舟坂委員 それでは、私の方から、簡略に二点お伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、一点目であります。救急医療についてお伺いをいたします。
 都は、平成二十八年度に策定した東京都地域医療構想において掲げた、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現に向けた取り組みを推進するため、今年度、東京都保健医療計画の改定を進めております。
 特に、救急医療についてはこれまでも、いつでも、どこでも、誰でも、その病状に応じた適切な医療が受けられる体制の確保を目指し、救急医療体制の充実を進めてきました。
 一方、少子高齢化が進展し、医療需要が増加する中、平成二十九年中における東京消防庁の救急搬送人員は、過去最高の六十九万八千人を記録しております。特に、六十五歳以上の高齢者の救急搬送人員は約三十六万人に達しており、全救急搬送人員の半数を超えております。
 このため、都は、救急搬送患者を確実かつ迅速に受け入れる救急医療体制の充実を図ってきたところですが、これまでの都の取り組みをお伺いいたします。

○西山医療政策部長 都は、生命の危機を伴う重篤患者、入院を必要とする患者、軽症の救急患者が症状に応じた適切な医療を受けられるよう、三次救急、二次救急、初期救急の医療体制を確保しております。
 このうち、二次救急医療体制では、都独自の取り組みといたしまして、搬送先の選定が困難な患者の受け入れ調整を行う地域救急医療センターの設置や救急患者受け入れコーディネーターを配置するとともに、地域の医療機関が相互に協力連携して救急患者を受け入れる救急医療の東京ルールを運用してございます。
 また、三百六十五日二十四時間、救急入院が可能な病床を確保する休日・全夜間診療事業を、平成二十七年一月には救急搬送の受け入れ実績等を、より強化する仕組みに再構築をいたしました。
 さらに、搬送先の選定が困難になりやすい身体合併症を有する精神疾患や開放性骨折等の患者に対して、専門的な治療を行う病院を指定し、受け入れ体制を強化してございます。

○舟坂委員 都はこれまで、さまざまな救急医療に関する施策を重ね、救急隊の要請に対する受け入れ率が向上しております。
 また、救急隊による搬送先の選定が困難な事案は年々減少しており、全救急搬送件数に占める割合は、平成二十三年の二・三%であったものが、平成二十九年は一%を下回っていると聞いております。
 しかし、今後も高齢者人口は増加を続け、特に医療を必要とする割合が高い七十五歳以上の後期高齢者は、平成三十七年にかけて大幅に増加し、約百九十一万人に達することが見込まれております。
 このため、我が党は、一層の増加が見込まれる救急搬送患者を確実かつ迅速に受けとめるためには、救急医療機関における医師や看護師の負担を軽減するなど、受け入れ体制を強化することが必要であるとの認識を示してまいりました。
 都は、平成二十八年度から、救急業務を補助する人材を医療機関に配置するモデル事業を実施しておりますが、その内容と効果についてお伺いをいたします。

○西山医療政策部長 お話の救急搬送患者受入体制強化モデル事業は、救急隊からの連絡対応、救急医療情報システムの適時入力、患者やその家族への対応など、医師や看護師以外でも対応可能な業務を行う人材を配置するものでございまして、三百床未満の指定二次救急医療機関から四病院を選定し、平成二十八年十月から開始をいたしました。
 これら四病院の一年間の救急搬送患者受け入れ実績は、平均三千百五十九件だったものが三千五百八十五件となりまして、四百二十六件増加をしております。

○舟坂委員 救急隊からの連絡対応などの業務を補助する人材を医療機関に配置するモデル事業では、一定の成果が得られたと理解しております。
 高齢者人口の増加に伴い、今後も増加が見込まれる救急搬送患者を適切に受け入れていくためには、モデル事業の結果を踏まえ、さらに事業を拡充すべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○西山医療政策部長 都は、救急搬送件数がさらに増加することを見据え、救急搬送患者の受け入れ体制の強化を図るため、来年度から本事業の対象を全ての指定二次救急医療機関に拡大し、救急外来における医師や看護師の業務が軽減するよう、救急救命士を配置する救急医療機関を支援してまいります。

○舟坂委員 ありがとうございました。
 次に、介護基盤の整備についてお伺いをいたします。
 今後も高齢者人口の増加が続き、いわゆる団塊の世代の方の皆様が全て七十五歳以上の後期高齢者となる二〇二五年を迎えます。少子化の進展により生産年齢人口や年少人口が長期的に減少していく中で、今後、高齢化率が一層上昇し、それに伴い介護を必要とする高齢者の大幅な増加が見込まれます。
 このことを二〇二五年問題と以前から指摘する声もありますが、東京二〇二〇大会の五年後には、こうした高齢化の進んだ社会が到来することを我々は直視しなければなりません。特に、大都市東京の場合、一般世帯に占める高齢者単独世帯の割合が大幅にふえることが予想されております。
 こうした状況を見据えた上で、高齢者になっても、そして介護を必要とする状態になっても安心して暮らせる東京を実現するためには、高齢期の生活の場となる介護基盤の整備が必要であります。
 都は、来年度予算で、特養整備の予算を大幅に増加させるとともに、改定された実行プランの政策の強化版では、特養の整備目標を六万人分から六万二千人分と引き上げております。
 そこで、整備目標を引き上げた都の考え方についてお伺いをいたします。

○稲葉施設調整担当部長 平成三十七年度末までの特別養護老人ホームの整備目標は、高齢者人口の将来推計や、介護保険の保険者である区市町村が平成三十年度からの第七期介護保険事業計画の策定に当たって、地域のニーズに基づいて算定したサービス見込み量を踏まえて定めたものでございます。
 サービス見込み量の算定に当たりましては、国から、療養病床に長期入院している医療ニーズの低い高齢者が将来的に介護施設等へ移行する上で必要となる新たな介護サービス量を見込むとの方針が示されてございます。
 こうした方針のもとに算定をしました結果を踏まえ、都は、必要とされる入所者の見込みに基づく特別養護老人ホームの整備目標を、六万人分から六万二千人分に引き上げたものでございます。

○舟坂委員 整備目標については、保険者である区市町村が算定した見込みを基礎としたものであることがわかりました。地域の実情を一番よく理解している区市町村の見込みをベースとしているということは、逆のいい方をすれば、目標値である六万二千人という数字には、しっかりとした裏づけがあるということと思います。
 新たな目標を達成するため、さらに整備を促進する必要があると考えますが、そのためには、都はどのような取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。

○稲葉施設調整担当部長 都は、特別養護老人ホームの整備を促進するため、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減、建築価格高騰に対応した整備費補助の加算や整備率が低い地域への補助単価の加算など、さまざまな独自の支援策を講じてございます。
 来年度は、区市町村が取り組む地域密着型特別養護老人ホームの整備においても高騰加算を創設いたします。
 今後とも、整備目標の達成に向けて、区市町村や事業者を支援してまいります。

○舟坂委員 よくわかりました。
 一層、福祉全般で区市町村と連携を保ちながら、進めていただけますようにお願いをし、以上といたします。

○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後六時二十六分休憩

   午後六時四十五分開議

○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山内委員 私から、一点、待機児童の解消に向けた取り組みについてをお伺いさせていただきたいなと思います。
 保育所待機児童の問題については、いうまでもなく、東京都における最重要課題の一つであり、とりわけ待機児童が集中するゼロ歳から二歳への対策が重要であることを、昨年の厚生委員会の事務事業質疑、または第四回の定例会の代表質問において、私も指摘をさせていただいたところでございます。
 都としても、待機児童対策に関しては新たな動きが出てきているというので、お尋ねをしたいなと思います。
 本年一月、都が公表した二〇二〇年に向けた実行プランの政策の強化版では、待機児童解消を目指す二〇二〇年四月までの目標を見直しをし、六千人分上積みをしているということでございます。
 まず、その確認のため、この見直しに至ったその検討経過についてをお伺いさせていただきたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都が就学前の子供がいる都内約三万八千の世帯を対象に、昨年八月から九月にかけて行いました保育ニーズ実態調査では、保育料金のみを保育所利用の決定要因と仮定した場合の、料金別の認可保育所の利用意向を調査いたしました。
 その結果を分析いたしますと、回答者のうち、認可保育所利用者の平均保育料でございます二万八千三百円に対応するニーズは六四・三%でございました。
 また、育児休業の取得希望は、一年未満が三〇・二%、一年以上二年未満が三九・四%、二年以上が一五・九%、取得しないが一四・四%となってございます。
 二年以上の育児休業を希望しないと回答した方は、収入が減る期間が伸びるから、仕事のスキルが低下しそうだから、周囲の迷惑になりそうだからなどをその理由として挙げられましたけれども、こうした懸念が解消した場合の育児休業取得希望期間を再度お尋ねいたしましたところ、およそ三一・九%の方が二年以上の取得を希望すると回答しておりまして、希望どおりの育児休業が取得できる環境が整ったならば、保育ニーズは六四・三%よりも低下すると考えられます。
 こうした調査結果を踏まえ、目標を六千人分上乗せいたしまして、平成二十九年度から三十一年度までの三年間で六万人分を整備することといたしました。

○山内委員 都民の保育ニーズ実態を十分に把握をし、その上で目標を上積みしたことは高く評価をしたいと思います。
 さて、待機児童に占める低年齢児の割合が高いことは、これまでも指摘をさせていただいてきたところでありますけれども、その実感を持つため、年齢別の認可保育所の利用状況について確認をさせていただきたいと思います。
 平成二十九年四月一日現在、都内にある認可保育所の定員数と入所児童数、そして定員の充足の割合、また、ゼロ歳から二歳、三歳から五歳に区分した場合の定員数、入所児童数、定員の充足割合についてをお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 昨年四月の認可保育所の定員数でございますが、二十四万七千百五人、入所児童数は二十三万九千七百九人でございまして、定員数に対する入所児童数の割合は九七%でございます。
 年齢別に見ますと、ゼロ歳から二歳では、定員数は十万一千七百三十四人、入所児童数は十万三千九百八十八人でございまして、割合は一〇二%でございます。
 三歳から五歳では、定員数は十四万五千三百七十一人、入所児童数は十三万五千七百二十一人でございまして、割合は九四%でございます。

○山内委員 今の答弁からもわかるとおり、ゼロ歳から二歳までは、定員を超えた弾力的な運用まで実施をしているが待機児童数は多い、その一方で、待機児童の少ない三歳から五歳については、定員に対して六%程度のあきが生じているということが確認できました。
 もちろん、地域の実情や保育所の設備の状況はさまざまで一概にはいえませんけれども、この六%に相当するスペースなどを活用し、少しでもゼロ歳から二歳の子供たちの保育に振り向けられれば、効率的に待機児童数を減らすことができるのではないかと常々考えております。
 都としても、私が指摘してきたこうした状況を踏まえて、新たな緊急一歳児受け入れ事業を開始することは、本定例会の我が会派の代表質問、そして一般質問においても確認をさせていただいたところであります。また、それで評価もさせていただいているところでございます。
 これまでも、空きスペースを活用して行う一時的な保育に対する支援があったかと思うんですけれども、あえて緊急事業と銘打って新たな事業を開始する意味があるものと理解をいたします。
 そこで、緊急一歳児受け入れ事業がこれまでの一時預かり事業などとどのような点で異なり、また、どのような特徴があるのかをお伺いさせていただきます。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまでも、空き定員や空きスペースを活用する一時預かり事業や定期利用保育事業を実施してまいりましたが、来年度からは、待機児童の過半数を占める一歳児を対象といたしまして、新たに緊急一歳児受け入れ事業を実施いたします。
 一時預かり事業や定期利用保育事業は、一日ごとの利用児童数に応じた補助でございますが、新たな事業では、事業者が安定的に運営できるよう、各月の登録児童数に応じて補助を行う仕組みとしております。
 また、区市町村の負担割合が、一時預かり事業が三分の一、定期利用保育事業が二分の一であるのに対しまして、新たな事業では、区市町村負担を四分の一としております。
 さらに、事業の開始時には、パーテーションや年齢に応じた玩具など、一歳児受け入れに必要な備品等の購入費用として、一施設当たり百万円まで支援する予定でございます。

○山内委員 今ご答弁いただいた事業の特徴について、区市町村や保育事業者にしっかりとご説明をいただいて、積極的な活用につながるような推進をいただくことが大変重要であると思いますので、要望いたします。
 ところで、私の地元の話になりますけれども、品川区では、育休明けの保護者が安心して復職できるよう、以前から入園予約制を運用しており、この制度は非常に評価が高いのです。
 これは一つの例でありますけれども、育児休業の取得促進のため、入園ポイントの見直しによる工夫など、待機児童解消に向け、保育所等の整備以外に効果的、そして効率的な取り組みはほかにもあるのではないかと考えます。
 区市町村におけるこうした検討が進んで、都の施策と区市町村の取り組みが相乗効果を上げられるように、都としても区市町村への働きをこれからも行っていただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。

○龍円委員 昨今、心のバリアフリーという言葉をよく耳にするようになりました。心の中にあるバリアとは一体どんなものでしょうか。
 一般的にバリアフリーというと、段差をなくしていくというように捉える方が多いかと思います。ですから、心のバリアフリーというと、心の中にも段差があって、その段差というのが差別だったり偏見だと捉える方が多いかと思います。何か余計なものがあって、それを取り除いていかなくちゃいけないというようなイメージかと思います。
 確かに差別や偏見はなくしていくべきものです。しかしながら、心のバリアフリーという話をするときに、本当の意味でのバリアになっているのは、無知、無関心、無理解であります。どちらかというと、足りていないものをふやしていくという作業が必要なのです。
 今、人を健常者と障害者と分けていて、その間に深くて越えられない溝があるように扱われていますけれども、その溝を知ること、関心を持つこと、理解することによって埋めてつないでいくことこそが心のバリアフリーなのだと考えています。
 心のバリアフリーという言葉が少しずつ社会に浸透し始めていっているものの、本当の意味での心のバリアフリーをもっと広く知っていただきたいと思います。
 東京都は、年度内に心のバリアフリーの理解の促進や実践につなげるための具体的な事例を紹介したハンドブックを作成することとしています。具体的にはどのような内容になるのでしょうか、伺います。

○坂本生活福祉部長 今年度内の発行に向けまして、現在作成を進めております心のバリアフリーの実践に向けたハンドブックでございますが、これは障害の社会モデルの考え方に基づきまして、わかりやすい具体的な事例について、例えば、電車の車内におきまして、障害者や外国人の方が置かれている課題についてイラストを交えながら紹介し、その対応策を記載したり、職場や店舗などコミュニケーションの場面におきまして、バリアの解消に向けての配慮のポイントなどを紹介するなど、心のバリアフリーに関する都民の理解促進や実践につながるような内容となってございます。
 今回作成いたしましたハンドブックでございますが、区市町村等に配布いたしまして、小中学校でのユニバーサルデザイン学習や、地域住民を対象としたワークショップなどで活用したいと考えております。
 都といたしましては、誰もが年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、相互に尊重し、思いやり、支援や配慮を必要としている方に自然に手を差し伸べることができる社会の実現に向けまして、心のバリアフリーを推進してまいります。

○龍円委員 このハンドブックは、子供とか子連れの母親とか外国人などの目線も入っていていいなと感じました。
 ふだんスペシャルニーズのある方と接していない方にとって、まち中で困っているところを見ても、何かしてあげたいけど、どうかかわればいいのかわからないと逡巡しているうちにタイミングを逃して、結果、何もしないというようなことが多いかと思います。
 ガイドブックのように、いろんな場面を想定してかかわり方が書いてあるのは、参考にして実践しやすいと感じました。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会では多くのボランティアの方が働いてくれますけれども、そういう方たちにも、ぜひ、このガイドブックを配布していただけるといいかと思います。
 先ほど、高原部長からも説明がありましたけれども、障害の社会モデルというのがこのガイドブックにも明記されています。障害は本人にあるのではなくて、その人が社会に参画するに当たって、周囲に障害となるものがあるという考え方です。
 確かに、その意味はわかるんですけれども、どうしても世間では、健常者という言葉の対比に障害者というのがあるので、本人が何か劣っていてかわいそうという存在なのだというイメージを与えます。
 人は生きている限りさまざまなニーズがあって、その中に特別なニーズがある方とない方がいるという捉え方で、スペシャルニーズという視点も新たに取り入れていただけるとうれしいです。
 さて、都民ファーストの会の代表質問でも聞かせていただきましたが、来年度、都は、心のバリアフリーサポート企業連携事業を開始するということです。より具体的な取り組みの内容について教えてください。

○坂本生活福祉部長 来年度、新たに実施いたします心のバリアフリーサポート企業連携事業でございますが、心のバリアフリーに対する社会的機運の醸成を図り、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進するという本事業の趣旨に賛同し、心のバリアフリーに係る取り組みを積極的に行っている、または行う予定であり、かつ都の取り組みに協力する民間企業などを募集いたしまして、東京都心のバリアフリーサポート企業として登録することにしております。
 登録した企業等につきましては、各企業の実情に応じて実施いたします心のバリアフリーに関する社員研修等の内容や広報キャンペーン活動などの取り組みにつきまして、都のホームページ上で公表することとしており、東京二〇二〇大会も見据え、都と民間企業等が連携しながら、心のバリアフリーの取り組みを一層推進してまいります。

○龍円委員 二〇二〇年パラリンピック大会が終わった後の東京のまちから段差がなくなって、そして人の心の中からは無理解の溝がなくなっていることを願ってやみません。
 さて、障害という言葉を可能な限り使わないようにしている私にとって、この言葉を連呼するのは苦痛なんですけれども、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部改正についてお伺いいたします。
 今回、新たに精神障害者が対象に加わることになったのはすばらしいことだと思います。私自身、多くの精神障害者のご家族から、その要望を伺ってまいりました。
 先ほど、藤田委員からも話があったので、その経緯についてはお伺いしません。
 次の質問に行きます。
 今回の対象拡大では、精神障害者保健福祉手帳一級のみが対象となっていますが、その理由について教えてください。

○矢内保健政策部長 都は現在、重度の身体障害者、知的障害者の方を対象に本制度を実施しており、身体障害者手帳一級、二級、内部障害は三級まで、愛の手帳一度、二度の方に対して医療費の自己負担分の一部を助成しております。
 今回の対象拡大に当たっては、重度障害者の対象要件として、現行制度と趣旨を同じくする所得税の特別障害者控除との整合性や、医療に係る経済的負担が特に大きいことを踏まえ、精神障害者保健福祉手帳一級所持者を対象に加えることといたしました。

○龍円委員 今回の対象拡大に当たって、どれくらいの人数の方が制度の対象となりますでしょうか。また、拡大に係る予算は、平成二十九年度と比較してどのくらいの増加になりますでしょうか。

○矢内保健政策部長 今回の対象拡大により、新たに対象となる方は、現在、精神障害者保健福祉手帳一級を所持している約六千人と見込んでおります。
 また、対象拡大に係る予算額は約二億八千万円の増加となっております。

○龍円委員 先ほど藤田委員が、手帳を持っていても医療費助成の対象にならない人たちのことを触れられておりましたので詳しくは述べませんが、私も多くのご両親たちから、私たちが死んだ後、子供の医療費を本人では賄えないということを心配している声をいただいております。
 私のダウン症のある息子も、愛の手帳四度で対象外となっています。ダウン症のある方は免疫力が低く、合併症もある方が多いので、医療機関には継続的にお世話になることが多いです。
 今から心配していると気が早いようではあるんですけれども、ひとり親なので、経済的に余裕がなく、貯蓄を残してあげられるわけではありません。冗談じゃなく、毎日毎日、息子のために健康で長生きできますようにとお祈りをしております。
 親亡き後も、スペシャルニーズのある方たちも安心して生きていける社会になってほしいと願っております。
 次に、社会的養育に関して質問いたします。
 小宮委員も先ほどおっしゃいましたけれども、平成二十八年の児童福祉法改正によって、家庭養育優先の理念が規定されました。
 去年の事務事業質疑では、私がアメリカに住んでいたころ、生後三日目に養親の家庭に引き取られたダウン症のある女の子がいたことを紹介させていただきました。
 家庭復帰が見込めない場合は、なるべく早く新しい家庭での生活を始めることが子供の脳と、そして心の発達にとってとても大切なことでありますので、日本でも、こういう取り組みをぜひぜひ進めてほしいと思います。
 東京では、今年度から新生児委託推進事業の運用が開始されて、去年の十月以降に誕生した新生児から委託が始まっていることを高く評価しております。新生児委託推進事業の現在の取り組み状況について教えてください。

○松山少子社会対策部長 都は今年度から、乳児院と児童相談所に専任の職員を配置し、養子縁組が最善と判断した場合には、できる限り新生児のうちに委託する新生児委託推進事業を開始いたしました。
 委託を希望する里親には、事前説明会や面接、家庭訪問を経た上で、乳児院において、おむつがえや沐浴、体調管理など、新生児の養育に関する二日間の実践研修を行っており、里親と新生児とがいつでも交流を開始できるよう支援を行っております。
 本事業の対象となる新生児が誕生した際には、速やかにマッチングを行った後、宿泊を伴う里親子の交流を実施しながら、助言やアセスメントを集中的に行い、早期に委託につなげております。
 委託後も、家庭訪問等を行い、地域で安定した養育が行えるよう継続的に支援しており、平成三十年三月現在、三家庭に委託しております。

○龍円委員 この五カ月間で三人の赤ちゃんが委託されたということですね。赤ちゃんが素早く新しい家庭での生活をスタートしているのかと思うと、それだけでとてもうれしいです。今後も、この取り組みをしっかりと続けていっていただけるようお願いいたします。
 さて、平成二十八年の十二月、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律が公布されました。
 ことしの四月一日から施行となって、民間の事業者が養子縁組のあっせんを行うことについて、これまでの届け出制から許可制に移行します。
 この法律は、適正な養子縁組のあっせんを促進して、児童の福祉を増進させることが目的です。これまでは残念ながら人身売買まがいの悪質なあっせんをしていた事業者もあったため、これは重要な一歩となりました。
 また、これまで児童相談所と民間のあっせん事業者の連携や協力はほとんどありませんでしたが、この法律には、許可を受けた民間あっせん事業者は、児童相談所と連携及び協力をしながら、児童の最善の利益を最大限に考慮して、丁寧にあっせんを行うことも明記されました。
 都内のある民間あっせん事業者から話を伺いましたが、その方たちがいうには、民間事業者は、養親希望者の登録や要望に関する情報を多く持っているということでした。確かに、児童相談所に行くのと、民間事業所に相談に行くのとでは、心理的なハードルの違いがあると思います。
 一方で、養親を必要とするお子さんに関しては、当然、児童相談所の方が圧倒的に情報を持っていると思います。
 民間と行政が連携することで、今まで以上に適正な養子縁組が成立していくのではないかと期待しています。
 民間養子縁組あっせん法が四月一日に施行されるに当たり、許可手続、そして児童相談所と民間事業者との連携について、どのように取り組みをしていますか。

○松山少子社会対策部長 平成二十八年十二月に民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律が、また、法の施行日等を示す政省令が昨年十一月にそれぞれ公布され、民間の事業者が養子縁組あっせんを業として行う際の手続が、従来の都道府県への届け出制から、法が施行される本年四月以降、許可制となることとなりました。
 これを受けて、都は、本年二月、民間あっせん事業者向けに許可にかかわる説明会を実施いたしました。
 また、今月には、児童相談所とあっせん事業者との連携を図ることを目的とし、児童相談所長と都内六事業者との意見交換会を開催いたしました。
 意見交換会では、児童相談所から、特別養子縁組にかかわる相談援助活動の流れについて説明を行うとともに、あっせん事業者からは、実親や養親への支援方法や養親希望者への研修体制など、現在の取り組み状況について説明を受けました。
 今後とも、児童の最善の利益に資する観点から、適正な許可事務を進めるとともに、児童相談所と民間あっせん機関とで連携を図ってまいります。

○龍円委員 今月、民間事業者と児童相談所が顔合わせとなる意見交換会を実施したということで、とてもいいことだと思います。
 ただ、これで終わりにせず、定期的な話し合いの場を設けていただけるようにお願いいたします。
 さて、先ほども触れました家庭養育優先を実現するためには、里親、養育家庭をふやす必要があります。
 東京都里親認定基準について、現在、検討委員会で認定基準の見直し作業をしていると思いますが、どうぞ単身者の要件の緩和と、それから社会通念上の事実上の婚姻関係にある者の中に、同性カップルやトランスジェンダーなどのLGBTカップルなども含めていただくよう要望させていただきます。
 一般社団法人レインボーフォスターケアが全国二百二十の施設を対象に調査をしましたところ、一定数の性的マイノリティーだと思われるお子さんが施設の中にいる実態がわかりました。
 例えばなんですけれども、お子さんがLGBTであることを理由に親から虐待を受けた場合であれば、LGBTカップルの方がいいケースもあります。また、お子さんがトランスジェンダーの場合は、養親がトランスジェンダーだといい場合もあります。また、性的虐待を受けたお子さんは、虐待を受けた親と逆の性の同性カップルに育てられた方が精神的に安定する場合もあります。そういう子供のニーズから見ても、里親も多様性がある方がいいと私は思います。
 さて、話は変わりますが、母子家庭の平均就労収入は二百万円です。年間の平均就労収入ですけど、貧困率は二人親世帯が六%なのに対して、ひとり親世帯は何と四三%になっています。
 私自身もひとり親で、これまで、まず本当に平均的な母子家庭の生活をしてきました。二円でも三円でも安い食品を求めてスーパーをめぐったりしていました。そして、自分は食事を抜いてもいいけれども、子供には栄養のあるものを食べさせたいと思っていました。
 食品ロスが社会問題となるような時代に、食に困る家庭があってはならないと強く感じています。
 そこで、次に、フードパントリー設置事業について伺います。
 平成二十七年に生活困窮者自立支援法が施行されて、フードバンクと連携した食の提供が進んできていると聞いています。しかし、東京には、フードバンクが十数カ所しかありません。困窮者が遠くまでとりに行くことは難しく、結果として、宅配で家庭に届けていることが多いと聞いています。
 宅配だと、どうしても箱詰めの作業がありますので、人手も要りますし、時間もかかるし、送料もかかってしまいます。また、受け取る側が箱をあけてみて、ニーズに合った食品が届くとは限りません。
 パントリーというのは食料を保管しておく棚とかスペースのことを指すと思いますけれども、フードバンクの拠点となるフードパントリーがより身近な地域に設置されれば、無駄の少ない効率的な食の提供ができると思います。
 また、実際に顔を合わせて、顔が見えることによって、ほかの支援にもつなげていく可能性が広がっていくと思います。
 支援が必要な家庭が適切な援助を受けられるように、食料を提供する地域の拠点となるフードパントリーを立ち上げる区市町村を支援するということですけれども、事業の目的と、そして期待される効果について教えてください。

○横手生活支援担当部長 生活困窮者を自立相談支援機関の利用につなげ、早期適切な対応を行うためには、連携先となる関係機関のきめ細かな支援体制が必要でございます。
 都は来年度から、区市町村が行うフードバンクと連携して困窮者へ食料を提供し、必要に応じて、来所者を自立相談支援窓口などの相談機関へつなぐ地域の支援拠点となるフードパントリー設置の取り組みを支援してまいります。この事業では、冷蔵庫や運搬車両、パントリーの運営管理のための人件費など、事業立ち上げ時の初期経費を補助してまいります。
 この取り組みによりまして、身近な場所における食料提供による支援と相談機関に早期につなぐことが可能になるものと期待しております。

○龍円委員 この事業で、フードパントリーが一般的なものとして広がっていくといいなと思います。
 ただ、行政機関によくあることなんですけれども、サービスの時間が九時五時となることが想像されます。仕事を休むことが死活問題である家庭にとって、この時間に窓口に行くことは非常に難しいかと思います。
 フードパントリーを設置する区市町村には、ぜひ、仕事の前とか後や、また休日にも利用できるような工夫をしていただけるようにしてくださるよう要望いたします。
 次に、路上生活者、ホームレスについて伺います。
 まず、東京都のホームレス対策について伺います。現在の取り組みについて教えてください。

○横手生活支援担当部長 都は、特別区と共同で二十三区内を五ブロックに分け、各ブロックに自立支援センターを設置し、緊急一時保護、ハローワークと連携した職業紹介、アパート確保のための相談などの就労自立に向けた支援を実施しております。
 また、ホームレスの方が多く集まる地域において巡回相談を行い、ホームレスの方一人一人の状況の詳細な把握に努め、自立支援センターへの入所や適切な福祉サービスにつなげております。

○龍円委員 今おっしゃった自立支援センターは、就労による自立が可能であるホームレスの方には効果的な取り組みだと思いますが、就労に結びつかない、路上生活が長期にわたっているご高齢のホームレスの方に対しては支援につながりにくいところがあります。
 私の地元の渋谷区は、ホームレスがおよそ八十人おりますが、まさにこの課題に取り組むために、平成二十八年度から、路上生活が長い高齢のホームレスの方に声かけをして、相談を行った上で、シェルターを提供するハウジングファーストという渋谷区独自の事業に取り組んでいます。この事業は、生活保護へとつなげていくのが目的となっています。
 少しずつホームレスの人数は減ってきてはいるものの、ほかの地域から人が流入してくる土地柄もあって、区の担当者は苦労しておられます。
 特に、都立公園である代々木公園とその周辺には、長期にわたって滞在している方も多く、管轄がこの場合、福祉、道路、公園と三つの関係者にわたっていて連携が難しいこともあって、なかなか支援に結びつけられないという現状があるようです。より一層、東京都と区が連携して対応していく必要があると思います。
 こうした就労により、自立が難しい、長期化、高齢化したホームレスの方に対して、都はどのように取り組みを行っていますでしょうか。また、あわせて、どのような実績が出ているのかも教えてください。

○横手生活支援担当部長 都は今年度より、路上生活が長期化したホームレスに対し、地域を巡回する相談員に加え、医師を含む専門職が同行する特別班を編成し、重点的な相談を行うとともに、高齢化などにより、就労での自立が困難なホームレスの方に対し、地域生活への移行を支援するモデル事業を都区共同で開始いたしました。
 この事業では、丁寧な相談によって関係を構築したホームレスの方に対し、まず住まいを提供し、健康管理や訪問相談などの生活支援を最長六カ月行い、その後適切な福祉サービスにつなぎ、アパート等に転居していただいた上で、一年間のアフターフォローを行っております。
 モデル事業は、平成三十年度までの二年間、二つのブロックで四区ずつ、合計八区で実施することとしておりまして、本年二月末までに、二十九名のホームレスの方がモデル事業用の住宅に入居し、そのうち十三名が生活保護により地域生活に移行しております。
 今後、効果的な事業手法や費用対効果等、モデル事業の課題を特別区と共同で検証し、今後の事業の方向性を協議してまいります。

○龍円委員 今おっしゃったモデル事業が来年度まで実施されるということなので、しっかりと取り組んでくださいますようお願いいたします。
 さて、小宮委員からの質疑にもありましたが、都は来年度から、認知症の初期から中重度までの支援体制を構築する市区町村を支援する新規の事業を実施するということでした。この取り組みは評価したいと思います。
 ただ、私がとても心配しているのが、介護を担う家族への支援です。我が家は、おじいちゃん、おばあちゃん、そしてお父さん、この三人が次々と認知症を発症しました。三人を一人で介護していたのが私の母です。
 認知症がある人を自宅に一人で残すことができないため、母親は自宅に縛りつけられていて、自分のために使える時間がなく、最近では運動不足で足腰が弱り、さらには気力もなくなりつつあります。
 しかしながら、自宅に訪れるケースワーカーは、認知症がある当事者のことはいろいろ聞いてくれるんですけれども、介護している母親の状況は鑑みてくださいません。母が倒れてしまったら、我が家は立ち行かなくなります。
 これは我が家のケースのことなんですけれども、今後、こういったことは社会問題になっていくと考えています。認知症のある家族への支援を積極的に行っていくべきだと思います。
 都は、認知症カフェなどの認知症がある人の家族への支援をどのように取り組んでいくのか、伺います。

○粉川高齢社会対策部長 認知症の方を介護する家族の負担を軽減するためには、認知症の症状や治療に関する正しい情報を得ることや、介護者同士が交流できる場があることが効果的でございます。
 国の新オレンジプランにおきましても、平成三十二年度までに全ての区市町村に認知症カフェを設置する方針が示されており、区市町村においては、認知症地域支援推進員が認知症カフェや家族介護教室を開催するなど、家族支援に取り組んでおります。
 こうした区市町村の取り組みを推進するため、都は、認知症疾患医療センターなどの医療機関と連携した認知症カフェの開設を包括補助で支援しており、これらのカフェでは、医師などの医療関係者による講座や個別相談、家族と専門職との交流が実施されるなど、介護者支援の拠点となっております。
 さらに、来年度から、認知症地域支援推進員のスキルアップ研修を開始するなど、引き続き区市町村における家族支援の取り組みを支援してまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。確かに認知症カフェも大切な取り組みだと思います。
 しかしながら、母を見ていますと、もはや介護に疲れ果てていて、そんな中で、父を連れて出かけることの大変さから、認知症カフェに足を運ぶことは簡単なことではないと思います。
 今後、認知症のある方がふえていくことを考えますと、こういったカフェ以外にも、介護者に寄り添った支援もあるといいと思います。
 以上をもちまして、私の質疑を終わります。
 ありがとうございました。

○岡本委員 皆様、長時間お疲れさまでございます。最後の発言者となりました。
 けさ、NHKの「あさイチ」で、八時十五分から約四十分にわたって受動喫煙の問題を特集しておりました。今後、ますます受動喫煙対策についての機運が高まっていくものと思われます。
 まず、たばこ対策についての私の意見から始めさせていただきたいと思います。
 昨年十一月二日のこの厚生委員会で、私から、都において各区市町村の路上喫煙対策の状況を比較一覧できるような形で周知していただきたいということ、及び禁煙治療の外来治療費を助成する事業を行っている区や禁煙外来のマップをリーフレットとして配布している区市もあり、各区市町村の取り組みが比較一覧できるように都で発信していただきたいということを提案申し上げ、このたび、それら二つとも実行していただきました。
 とうきょう健康ステーションのホームページ上で、それぞれエクセル形式及びCSV形式で一覧できる形にして公表していただきました。早速のご対応に心より感謝申し上げます。
 前者の路上喫煙の点は、二月二十日の厚生委員会で継続審議となった陳情二九第一二九号の願意第一項とも共通する内容だと思います。
 今回、一覧にまとめていただいたことで、禁煙外来の医療費に関しては、医療費の補助事業を行っているのは、中央区、品川区、北区、荒川区、練馬区であるということがわかりました。こうした取り組みが他の区市町村にも広がっていくよう、私としても関係団体と連携して活動してまいりたいと考えます。取りまとめの労力を傾けてくださった都の職員の方々に改めて感謝を申し上げます。
 それから、今回ご作成いただいた区市町村の取り組みの路上喫煙防止条例等の概要は、今後ますます東京観光に訪れる日本人や外国人に向けて、わかりやすく周知していただく必要があると思います。
 現在おつくりいただいた形は、何々区の路上喫煙条例は、罰則のありなし、路上喫煙が罰則対象なのか、歩行喫煙が罰則対象なのか、あるいはポイ捨てが罰則対象なのかといったことが整理されていて、私からすると、こういう一覧は大変わかりやすく、また、ある程度東京に詳しい方にはわかると思うのですが、初めて東京観光に来た方々にとっては、どこに何区があるのかというのは知らない方も多いと思いますので、これを地図上などでわかりやすく示す工夫も必要なのではないかと思います。
 また、本定例会、三月一日の本会議におきまして、我々都民ファーストの会の代表質問において、増子ひろき幹事長が述べましたように、多言語での対応も必要だと考えます。条例の細かい名称や、問い合わせ先などは必要性は低いかもしれませんが、特に区の名前や罰則の有無の点は、多言語化の必要性が高いと思いますので、ご検討をお願いいたします。
 それからもう一点、要望を申し上げますと、港区は、罰則はありませんが、区内全域の屋外の公共の場所で指定喫煙場所以外は喫煙禁止としており、罰則はないけれども、ある意味厳しいルールを定めていることで有名です。
 また、新宿区の条例も、路上喫煙を原則として禁止しつつ、ただ、罰則があるのはポイ捨てだけとなっています。
 ほかにも例えば、江東区は、罰則はありませんが、指定地区での路上喫煙を禁止し、区内全域の公共の場所で歩行喫煙とポイ捨てを禁止しています。
 また、江戸川区も、罰則はありませんが、区内全域の公共の場所で歩行喫煙とポイ捨てを禁止しています。
 今回おつくりいただいた整理表ですと、罰則がない区市は、単に罰則なしという情報しかわかりませんので、罰則がなくても、努力義務やルールの周知啓発に力を入れているところだと思いますので、ぜひ、罰則のない努力義務の場合についても、同様に、路上喫煙、歩行喫煙、ポイ捨ての禁止の有無や、全域か一部地域かといった点を追記して周知に努めていただければありがたいと考えます。
 もちろん、旅行客にとっては罰則の有無という点は非常に重要ですので、今回、まずは罰則の有無について、一覧表をスタートしていただいたということは大変すばらしい前進だと思っております。
 そのほかにも、現状としては、今回公表していただいた内容が、東京都路上喫煙禁止条例一覧などでインターネットで検索しても、まだ上位には出てこないので、こうした用語で検索したときに上位に出てくるような工夫もしていただけたらと思います。
 せっかくおつくりいただいたのに、人々の目にとまらないのは大変もったいないと思います。検索で使用されやすい用語をサイト内に入れ込むなどのヒットしやすくなる方法もあると思いますので、そうした点も、今後ご提案を申し上げたいと思います。
 いろいろと追加で意見や要望を申し上げましたけれども、今回この周知啓発の取り組みがまずスタートしたことは大変すばらしいものであると感謝し、これをさらによりよいものにしていただければと願っております。
 私のまず要望と意見を終えて、次に、質問に入りたいと思います。
 がん対策について質問させていただきます。
 都は現在、東京都がん対策推進計画の第二次改定を進めています。この中で、都では、がん検診の受診率五〇%を目標とするということです。先ほど古城委員のご発言にもありました。
 さて、がん検診の受診率を上げることは重要ですが、そもそも、その検診の効果があるかどうかということが根本的に重要だと考えます。効果の乏しい検診の受診率を上げ、また、それに多額の費用をつぎ込んでも、それは税金の無駄遣いになってしまいます。
 例えば、胃がん検診で、現在一般的に行われている胃バリウムレントゲン検診ですが、胃レントゲンフィルムの読影は、画像の質の問題等から優秀な医師でも病変を見落とすことがあり、がん発見の精度が高くなく、他方で、レントゲン被曝によって、がん罹患率を上げてしまうということを指摘し、バリウムレントゲン検診はむしろ有害であると主張する医師もいます。一九九四年にWHOは、胃レントゲン検診を有害と認定し、日本以外の各国では行われなくなったという指摘もあります。
 他方、血液検査で行うペプシノゲン法の方が胃がん発見率が高く、費用対効果もすぐれているという見解があります。しかし、ペプシノゲン法は、国では、いまだ推奨にはなっていません。胃内視鏡法、胃カメラは、がん発見率が胃レントゲン検診の三倍以上という指摘もあります。また、ピロリ菌対策の除菌治療が非常に効果的であるということもいわれています。
 次に、大腸がんについてですが、現在、主流として行われている便潜血検査は、有効な方法ではあるものの、発見率七〇%で、大腸がんにかかっていても三割は陰性になるということがいわれています。そこで、内視鏡検査をより拡大すべきだという意見もあります。
 肺がん検診につきましても、費用対効果が低く、むしろ予防である禁煙に力を入れるべきだという指摘もあります。
 こうした問題意識を持って、科学的根拠に基づくがん検診の実施とは何か、お伺いしたいと思います。

○矢内保健政策部長 区市町村が実施主体である対策型検診としてのがん検診は、がんによる死亡率の減少が科学的に証明されている方法で実施することが重要でございます。
 国は、がん予防重点教育及びがん検診実施のための指針で、がんによる死亡率の減少が証明されている胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんのがん検診について、その実施体制、対象者の年齢、受診間隔、検診項目等を定めており、区市町村に対して、この指針に基づいた検診の実施を推奨しております。

○岡本委員 国の指針に基づいているということで、都道府県の裁量はほとんどないのかもしれませんが、先ほど述べたように、検診の方法の中でどの方法が有効かというのは、医学的な技術や科学的な知見の進歩によって、日進月歩、常に変化し得るものです。
 かつては有効と考えられていた方法も、後には別の方法の方がより有効とされることもあります。また、国の指針の変更が医学の知見に比して追いついていないということもあるかもしれません。
 国の指針をうのみにするのではなく、何が本当にベストの検診なのかということについて、思考停止することなく、医学的な議論の動向を常に情報収集するということも重要だと思います。
 総じていえるのは、どの検診も万能ではなく、検診のメリットやデメリットを都民が十分に理解できるように啓発を進めることが重要だと思います。このことは基本計画にも書いてあるところだと思います。
 検診のメリットやデメリットを都民が十分に理解できるように啓発を進め、そして検診を受けていたから大丈夫というような過信が生じないようにすることも重要だと考えます。検診率を上げることは、まず重要なのですが、さらに進んで、むしろ足りない検査を自費で補うということも都民に勧めるべきであろうと考えます。
 また、検診率を上げることと同時並行して、ピロリ菌対策の除菌治療や、禁煙や大腸の病変前ポリープの切除など、他の予防策も同時に進めて、総合的ながん対策を進めていくことが重要だということを強調しておきたいと思います。
 昨年十一月二日の厚生委員会で桐山ひとみ副委員長が述べたように、精密検査の受診率の向上と精度管理も重要です。
 また加えて、三月十五日の予算特別委員会で我が会派の菅原直志都議が強調した点ですが、がん対策における四つの要素、予防、医療、共生、教育のうち、共生と教育を今後ますます拡充していくことの重要性を私からも強調して、次の質問に移ります。
 依存症についてお伺いをいたします。
 たばこ及びニコチンの依存性については、三月十四日の予算特別委員会において述べさせていただきましたが、本日は、より広い観点で依存症について質問させていただきたいと思います。
 薬物依存、アルコール依存、ギャンブル依存など、さまざまな依存や依存症があります。
 弁護士の業務においては、薬物刑事事犯や個人の破産事件、家事事件、その他の民事、刑事上のトラブルや問題行動、法的問題などにおいて、各種の依存症に接することがあります。もっとも、法律実務家である弁護士も、法律問題の背景や根底にある依存症の実態を、必ずしも十分に理解しているとは限りません。弁護士が、法的には誤りではないが、依存症対策としては誤った方法をとっていることがあるということを、依存症の対策の専門家から教えていただいたこともあります。
 表面的な事件処理や法的、形式的な対応にとどまらず、より深い問題の核心である依存症にどう対応していくか、依存症になった人をどのように回復につなげていくかということが重要だと私も考えてまいりました。
 そうした観点から、私は弁護士会において、精神科の専門医及び看護師の講師を招き、弁護士向けの勉強会や研修会の企画にも取り組んでまいりました。
 弁護士においても、依存症について十分な知識がある人は必ずしも多くなく、また、一般の人や、家族や依存症の本人も十分な理解を有している人は決して多くないと思います。
 世間には、依存症に対する誤解や偏見もあると思います。
 覚醒剤などの薬物事犯について、日本はいうまでもなく、犯罪として刑罰をもって対処していますが、再犯も非常に多いのが実情です。
 私も司法修習時に、覚醒剤で八回目の逮捕という被疑者を、検察官にかわって取り調べをしたことがあります。その人は断続的に、二十年近く刑務所を行ったり来たりしているわけですが、これからまた四年間刑務所に入るという状況にありながら、私が取り調べで聞くと、覚醒剤を使用したときの気持ちをうれしそうに、取り調べで熱弁を語っていたという姿が今も印象に残っています。
 専門家によれば、海外の研究で、薬物事犯の再犯防止には、刑罰よりも地域内での治療が有効であり、特に治療の継続性が重要であるということです。依存症は厳罰主義では解決しない、刑罰よりも地域でのプログラム、依存症の治療の面を重視しないと、再犯ばかりふえてしまうということがいわれています。
 また、ギャンブル依存症についても、自己責任の捉え方や家族任せにするのは誤った対応であり、自助グループへの参加が重要です。
 依存症は、物質依存の場合も、その治療は人間関係が大切であるといわれます。
 さて、こうした問題意識を持って、都におけるギャンブルや薬物等の依存症対策についてお伺いします。

○石黒障害者医療担当部長 都内三カ所の精神保健福祉センターでは、ギャンブルや薬物等の依存症に関する専門相談を実施しております。
 また、認知行動療法の技法を取り入れました依存症からの回復に向けた本人向けプログラムを提供しておりまして、例えば、再発の危険信号に対する理解や薬に頼らない人間関係の構築などをテーマとし、回復者スタッフが助言者としてサポートを行いながら、グループ形式により実施しております。
 あわせて、民間団体の協力も得ながら、本人への適切な対応方法等を学ぶ家族教室を開催しております。
 さらに、精神保健福祉に携わる関係機関向けの研修や普及啓発を実施し、支援技術の向上や都民への正しい知識の理解促進を図っております。

○岡本委員 ありがとうございます。先ほども述べましたが、依存症の方々や家族と直接接する弁護士であっても、必ずしも依存症をきちんと理解していない弁護士もいますので、ぜひ弁護士向けの研修も検討していただければと思います。
 さて、二〇一六年、平成二十八年十二月に、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法、また、いわゆるカジノ推進法が成立し、今後、カジノが法的に解禁される可能性が出てきました。これに伴って、ギャンブル依存症対策をどのように進めていくのかということが注目されています。
 既に日本では、パチンコや競馬などにおいてギャンブル等依存症が存在しています。この機会に、カジノへの対応だけではなく、既にあるギャンブル等依存症への対策も必要だという声が高まっています。
 今回の予算案における新規事業として、アルコール健康障害対策推進計画策定委員会の運営が上がっています。ぜひともギャンブル等の依存症対策も、早期にさらなる取り組みをお願いいたします。
 特に、依存症の本人や家族を支援している民間団体との連携が非常に重要であると思いますので、そうした点に特に重点を置いて、今後ご検討いただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 歯について伺います。
 東京都歯科保健推進計画についてお伺いします。
 二〇一一年一月二十一日付で、日本弁護士連合会は、集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書を作成し、文部科学大臣等に提出しました。保育所、幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校等で実施されるフッ素洗口--口を洗うですね、あるいは塗布--塗るものを疑問視したものです。
 これに対して、日本口腔衛生学会や日本歯科医師会等は、日弁連の意見に反対し、その推進姿勢は全く変わるものではないとの立場を表明しました。
 こうした議論が見受けられますが、現在改定中の東京都歯科保健推進計画におけるフッ化物の記載についてお伺いいたします。

○矢沢医療政策担当部長 フッ化物は、歯のエナメル質に取り込まれて歯を強化する働きがあり、虫歯の予防に有効でございます。
 現在策定中の東京都歯科保健推進計画では、フッ化物配合歯磨剤、歯磨き剤を幼児期から継続的に使用することで、虫歯の予防に高い効果が得られることから、幼児期から高齢期までの全てのライフステージにおいて、フッ化物配合歯磨剤の使用について普及啓発することとしております。
 また、学齢期から高齢期までの計画を推進するための指標には、フッ化物配合歯磨剤を使用する者の割合をふやすことを掲げてございます。

○岡本委員 ありがとうございます。フッ化物に虫歯予防効果があることは既に確立しているものと思います。
 日弁連も、フッ素利用に一定の有効性はあるという点は認めており、あくまで自己決定権の観点から、学校等での事実上強制にわたるような集団的なフッ素洗口、塗布を疑問視するものだと理解しています。
 東京都歯科保健推進計画では、フッ化物配合の歯磨剤、歯磨き剤の有効性や普及啓発を述べたものであり、私もこれに異論なく賛成いたします。
 ぜひ、今後とも、都民の歯と口腔の健康づくりを推進していただきたいと思います。
 特に、八十歳になっても自分の歯を二十本以上保とうという八〇二〇運動は重要であり、高齢期に、食べる、話す、笑うといった口の機能を十分に使うことがフレイル予防につながるものと認識しています。
 乳幼児期から高齢期まで、生涯を通じた歯と口の健康の維持を推進されることを期待いたします。
 では、次の質問に移ります。
 住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査の結果が一月二十六日に報道発表されました。
 メディアでも、ネットカフェ難民という社会問題として取り上げられています。社会的にも注目されており、今回の実態調査は意義深いものだと思いますので、これについて質問させていただきたいと思います。
 まず、この調査を行った目的は何でしょうか。

○横手生活支援担当部長 都は、ネットカフェなどで寝泊まりしながら不安定な就労をしている方を対象に、支援拠点であるTOKYOチャレンジネットにおいて、生活、居住、就労に関する相談援助や、一時的な住宅提供、資格取得支援などの総合的な支援を行っております。
 また、生活困窮者自立支援法に基づく区市の自立相談支援機関では、住居確保給付金の支給や就労支援等を行っております。
 今回の調査は、こうした住居喪失不安定就労者や離職者等の状況を把握し、TOKYOチャレンジネットや区市の自立相談支援機関における支援などの施策の参考にすることを目的に実施いたしました。

○岡本委員 先ほど、龍円委員からホームレスに関する質問がありました。また、昨年十一月二日の厚生委員会で、我が会派のつじの委員の質問においてもありました。都区共同の緊急一時保護事業や自立支援事業などの取り組みをしておられるということを答弁いただきました。
 それとは別に、TOKYOチャレンジネットで総合的に支援をしているということを、今、伺いました。特に一時的な住宅提供は有効な支援策だと考えますが、その具体的な支援内容についてお伺いします。

○横手生活支援担当部長 TOKYOチャレンジネットでは、一時利用住宅として民間アパート等を百戸確保し、三カ月間の提供を行っております。
 利用者負担は、光熱水費等の実費相当として日額五百円、一カ月約一万五千円でありまして、その三カ月の間に、アパート等入居費用をためていただき、住居確保を可能にするものでございます。

○岡本委員 住居を喪失している方々へ一時的な住宅提供を行い、敷金等の入居費用をためてもらうというのは期待できる施策だと考えます。
 今回の調査結果をどのように受けとめていて、また、今後どのように対応していくのかをお伺いいたします。

○横手生活支援担当部長 オールナイト利用者のうち、住居喪失者が二五・八%、そのうち不安定就労者が七五・八%、一カ月の収入状況では、約半数が十一万円から十五万円であることなどの調査結果から、就労収入があり、自立の可能性があるが、初期費用不足や収入不足から住居確保ができず、ネットカフェ等を利用している方が一定数いることがわかりました。
 こうした方々の多くは、ハローワークや区市町村相談窓口は知っているが、過去の経験や手続が面倒であることなどから半数程度しか利用していないこと、それから、TOKYOチャレンジネットの認知が低いことなどが課題であると考えられます。
 都は、チャレンジネットを広く周知するため、リーフレットやポケットティッシュ等をネットカフェやハローワーク等、約八百カ所で常時配布するとともに、新宿、池袋、渋谷、上野などの繁華街やその周辺において巡回相談を実施しております。
 また、相談場所として、認知が高い区市の自立相談支援機関などとの意見交換や情報共有等も行っており、今後とも、区市と連携しながら事業の一層の周知に努めてまいります。

○岡本委員 さきの十一月二日の委員会では、路上生活者の方々の人数は、ピーク時の平成十六年には六千七百三十一人で、平成二十九年は千三百三十七人と五分の一以下にまで減少した旨の答弁をいただきました。
 しかし、住居を失いネットカフェ等を利用する方は都内に約四千人いると推計されています。今回の調査を受けて、約九割の方が働いていて、フルタイムで働いている人が四割と比較的多くいて、しかし、収入が低くて生活が苦しいというのが実情であるという解説記事も出ております。
 都のこうした人々への支援に、今後も期待をいたします。
 それでは、本日最後の質問に入らせていただきます。
 旧優生保護法、昭和二十三年から平成八年、一九四八年から九六年まで我が国で施行された、そのもとで、本人の同意を得ない強制的な不妊手術が行われていた問題に関して、二〇一五年に、宮城県在住の女性から日本弁護士連合会に人権救済申し立てがなされました。
 日弁連は二〇一七年二月二十二日に、意見書を取りまとめ、国に対して、遺伝性疾患、ハンセン病、精神障害等を理由とする差別であったことを認め、謝罪、補償などを実施すべきこと、実態調査を速やかに行うべきことを国に対して意見しています。
 なお、ハンセン病に関しては、昨年十一月二日の厚生委員会において、私も取り上げさせていただきました。
 ことし一月、旧優生保護法による不妊手術強制をめぐる国家賠償訴訟が仙台地裁に提訴されました。全国で初めての訴訟とのことです。
 三月十三日の予算特別委員会で、小池知事は、この問題に関して、旧優生保護法のもとで、本人の同意を得ないまま優生上の見地から行われてきた不妊手術、これが強制的に行われてきたことは、まさしく大きな人権侵害でございますと答弁しました。
 この問題に関してお伺いします。
 旧優生保護法のもとで、強制的に不妊手術が行われた件数はどれくらいか、東京都の調査状況をお伺いします。

○古賀事業推進担当部長 都が現在のところ確認している件数でございますが、東京都衛生年報に記載してございます昭和二十四年から昭和四十一年に行われた五百十件でございます。

○岡本委員 昭和四十二年以降は確認がとれていないということです。
 今後さらなる実態把握をしていただきたいと考えますが、所見を伺います。

○古賀事業推進担当部長 都が現在のところ確認している記録は、旧優生保護法に基づく不妊手術の件数のみでございますけれども、ほかに関連する文書がないか、改めて調査をしております。
 今後、都といたしまして、できる限りの実態把握に努めてまいります。

○岡本委員 引き続き、実態把握をお願いいたします。
 以上で私の質疑を終わります。
 ありがとうございました。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、予算案及び知事提出の付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○伊藤委員長 次に、議員提出議案第四号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○藤田委員 東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例案の趣旨説明をさせていただきます。
 今回提出する条例案の改正点は、第一に、パスの発行を受ける際の費用負担を所得に応じた額とすること、第二に、多摩都市モノレール、「ゆりかもめ」でも使えるようにすること、第三に、都県境の民営バス路線について、現在は乗る停留所、おりる停留所の両方が都内でなければいけませんが、これをいずれかが都内であれば使えるものにすることの三点です。
 現在は、住民税課税者で所得が百二十五万円を超える者の費用負担を、一律二万五百十円としていることについては、負担軽減を求める声が多く寄せられています。東京都市長会も、中間所得層に向けた新たな利用料軽減枠を設けることを東京都に要望しています。
 対象である七十歳以上人口に占めるシルバーパス利用者の比率は、一九九九年度の七二%に対し、二〇一六年度には四六%まで低下していました。高齢者の負担を軽減し、利用を促進することで社会参加を促進していく必要があります。
 現在の費用負担額が原則二万五百十円となっているものを、所得に応じてと新たに条例の中に加えることにより、所得に応じた設定にすることが原則となり、負担軽減につながります。
 具体的な所得段階と費用負担については、私たちは、現在、負担が二万五百十円となっている方のうち、所得百九十万円以下の方について三千円のパスを発行することを考えています。
 また、多摩都市モノレールなどへの適用拡大は、沿線住民からの強い要望となっています。横浜市、名古屋市、京都市、広島市、神戸市の高齢者への交通助成制度では、第三セクターの交通機関も対象になっており、東京都でも、多摩都市モノレールなどへの拡大が必要です。
 現在は、都県境近くに住んでいる住民が、隣県にある最寄り鉄道駅に行く際にシルバーパスが使えないなど不便も生じています。町田市議会からは意見書が二回にわたり提出され、町田市からも要望が出されるなど、都県境のバス路線で利用できるようにすることは、住民の強い要望となっています。
 高齢者への交通助成制度を実施している政令指定都市では、都県境の路線での利用を認めているところも少なくなく、東京都でも少なくとも乗車または降車の一方が都内である場合には対象にするべきです。
 必要財源は合計で四十九億円と見込んでいます。
 条例の施行日は、シルバーパスの更新時期を考慮し、二〇一八年十月一日といたします。よろしくご審議ください。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、議員提出議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時五十六分散会

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