委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 桐山ひとみ君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 遠藤 守君 |
理事 | 小宮あんり君 |
理事 | 山内 晃君 |
古城まさお君 | |
藤田りょうこ君 | |
龍円あいり君 | |
鳥居こうすけ君 | |
つじの栄作君 | |
舟坂ちかお君 | |
高橋 信博君 | |
岡本こうき君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 内藤 淳君 |
経営企画部長 | 児玉英一郎君 | |
サービス推進部長 | 谷田 治君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 大久保達也君 | |
計画調整担当部長 | 末村 智子君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 病院経営本部所管分
・第十八号議案 平成三十年度東京都病院会計予算
報告事項(質疑)
・都立病院経営委員会報告について
・都立病院新改革実行プラン二〇一八(仮称)素案について
○伊藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○伊藤委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成三十年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成三十年三月十五日
東京都議会議長 尾崎 大介
厚生委員長 伊藤こういち殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(木)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成三十年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為
厚生委員会所管分
第五号議案 平成三十年度東京都国民健康保険事業会計予算
第六号議案 平成三十年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第七号議案 平成三十年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十八号議案 平成三十年度東京都病院会計予算
(別紙2省略)
○伊藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成三十年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、病院経営本部所管分及び第十八号議案並びに報告事項、都立病院経営委員会報告について外一件を一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○児玉経営企画部長 去る二月二十日及び三月六日の本委員会で要求のございました資料につきまして、お手元配布の厚生委員会要求資料に基づきご説明申し上げます。
表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
資料は、平成三十年度一般会計及び病院会計当初予算案関係で十二件、報告事項、都立病院新改革実行プラン二〇一八(仮称)素案関係で八件、合わせまして二十件でございます。
恐れ入りますが、三ページをごらんください。1、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員でございます。
(1)は都立病院、次ページ、四ページの(2)は公社病院における平成三十年二月一日現在の医師の診療科別定数及び現員を記載しております。
五ページをごらんください。2、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員でございます。
都立病院と公社病院における平成三十年二月一日現在の職種別職員定数及び現員を記載しております。
六ページをお開きください。3、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
都立病院と公社病院における看護要員の採用者数及び退職者数について、平成二十四年度から平成二十八年度までの推移を記載しております。
七ページをごらんください。4、都立病院及び公社病院における看護要員の夜勤回数の分布でございます。
(1)は三交代制、次ページの(2)は二交代制の職場における看護要員の夜勤回数について、それぞれ平成二十九年十月の実績を病院別に記載しております。
九ページをごらんください。5、都立病院及び公社病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数でございます。
平成二十八年の看護要員の年次有給休暇平均取得日数を病院別に記載しております。
一〇ページをお開き願います。6、都立病院及び公社病院における研修医受入状況でございます。
(1)は初期臨床研修医について、次ページの(2)は後期臨床研修医について、それぞれ平成二十八年度及び平成二十九年度の定数を病院別に記載しております。
一二ページをお開き願います。7、都立病院におけるPFI事業に関わる経費の推移でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までのPFI事業にかかわる経費の推移を病院別に記載しております。
一三ページをごらんください。8、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費について、平成二十六年度から平成三十年度までの推移を病院別に記載しております。
一四ページをお開き願います。9、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費について、平成二十六年度から平成三十年度までの推移を記載しております。
一五ページをごらんください。10、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載しております。
続きまして、一六ページをお開き願います。11、公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載しております。
一七ページをごらんください。12、公益財団法人東京都保健医療公社における有期契約労働者数でございます。
東京都保健医療公社において、平成二十九年八月一日現在雇用されている有期契約労働者のうち、平成二十五年四月一日以降、継続して雇用されている者の数を記載しております。
二一ページをお開き願います。1、都立病院及び公社病院における医師アカデミーの定数及び現員でございます。
都立病院と公社病院における平成三十年三月一日時点のシニアレジデントの定数及び現員を記載しております。
二二ページをお開き願います。2、各都道府県内の公営企業病院に対する他会計繰入金額等でございます。
平成二十七年度、各都道府県内の公営企業病院に対する他会計繰入金額及び地方独立行政法人立病院に対する運営費負担金並びにその合計額を各都道府県の総人口で除した一人当たりの金額等について記載しております。
二三ページをごらんください。3、都立病院が締結している複数年度契約件数及び金額でございます。
平成二十九年四月一日現在、都立病院が締結している複数年度契約件数及び金額について病院別に記載しております。
二四ページをお開き願います。4、東京都から公社病院への診療科別医師派遣者数の推移でございます。
平成二十五年度から平成二十九年度までの診療科別医師派遣者数の推移について、このページから二九ページにかけて、各公社病院ごとに記載しております。
それでは、その先の三〇ページをお開き願います。5、小児総合医療センターにおけるアニマルセラピーの実施状況でございます。
小児総合医療センターで導入しているアニマルセラピーの実施回数等について記載しております。
三一ページをごらんください。6、都立病院の診療報酬請求業務に関する運営状況でございます。
都立病院の診療報酬請求業務に関して、病院別に平成二十九年度の運営状況を記載しております。
三二ページをお開き願います。7、都立病院における看護要員の離職率の推移でございます。
平成二十四年度から平成二十八年度までの都立病院における看護要員の離職率の推移を、既卒、新卒別に記載しております。
三三ページをごらんください。8、都立病院における専門看護師及び認定看護師の人数及び分野の内訳でございます。
(1)は専門看護師について、次ページ、三四ページ及び三五ページの(2)は認定看護師について、それぞれ分野ごとの人数を病院別に記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○山内委員 よろしくお願いいたします。
先日、病院経営本部の次期中期計画となる都立病院新改革実行プラン二〇一八、これは仮称ですけれども、その素案の説明があったように伺っております。
これまで都立病院は、平成十三年十二月に策定された都立病院改革マスタープランでその道筋を明示し、三つの中期計画のもと、十五年にわたる改革を進めてまいりました。
この十五年間、東京ERの設置、医師の確保や質の向上を目指した医師アカデミーの開校、地域医療構想を見据えた患者、家族のさまざまなニーズに対応するための患者支援センターの設置など、具体的な事業を展開して、都民の医療サービスの向上を目指してきたということであります。
改革を進めるためには、しっかりとした考え方が必要であると私も考えております。
そういった中、次期プランでは、どのような考え方に基づいて、この病院の改革、こういったものを進めていくのかをまずは伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 全ての都民に対する医療サービスの向上を目的として、都立病院改革を着実に実現していくためには、改革を推進するための体制をさらに充実強化する必要があります。
このため、次期プランでは、都立病院の担うべき役割を着実に果たし、将来にわたり持続可能な病院運営を実現するため、患者、都民第一、東京の地域特性の反映、都立病院の持つ資源の有効活用の三つの視点と、それを実現するための具体的な六つの戦略を掲げております。
また、都立病院は全ての都民の病院として、これまで担ってきた行政的医療をより確かなものとしていくとともに、次代の要請や都民ニーズに応える医療を展開することで、都民の安全・安心を支えてまいります。
○山内委員 都立病院を含めて、全ての病院といったものは、常に、これは患者ファーストでなくてはならないと思います。しっかりと都民の安全・安心を支えるという考え方のもと、医療サービスの提供を今後していただきたいと思います。
また、近年の高齢化の進展に伴いまして、医療を取り巻く環境も大きく変わろうとしている現状ではないかと思います。
医療提供体制の変革期ともいえるこの時期に、都立病院の次期プランは大変重要な意味を持っていると思いますし、また、都民の都立病院に対する、そういった期待といったものも大変高いという認識があります。
そこで、次期プランでは、都立病院はどのような役割を果たして、そして、都の医療政策に貢献をしていくのか、そのあたりを伺いたいと思います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院はこれまでも、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、都における良質な医療サービスの確保を図ることが基本的な役割としてきました。
次期プランにおいてもこの役割を果たし、東京の抱える医療課題に対して、都立病院の培ってきた医療機能を生かし、都の医療政策の推進に貢献していくことが重要であると認識しております。
このため、例えばですが、がん医療では、民間では対応が困難であり、複数の診療科での対応が必要な難治性がんへの対応や、治療方法が確立していないAYA世代へのがん医療の提供を充実していきます。
また、精神科医療では、松沢病院と高い診療機能を有する総合病院とが連携いたしまして、精神科身体合併症医療を強化していきます。
さらに、今後の高齢化社会を支える地域医療にも貢献していきたいと思っております。
都立病院の持つ個々の特性を生かし、付加価値を創出することで、都の医療政策において先導的な役割を果たしてまいります。
○山内委員 次期プランでは、行政的医療に加えて、合併症を伴うがん医療や治療方法が確立をしていない医療の充実を図っていくということであります。
こうした取り組みを着実に前に進めていくためには、効果的または効率的で持続可能な病院運営、こういったものが重要であると思います。
都立病院はこれまでも、さまざまな経営改善に取り組んでまいりましたけれども、さきの都立病院経営委員会報告では、現行の病院運営には課題がある、そのように指摘をされていたと聞いております。
そこで、現行の都立病院の運営上、どのような課題があるのか、そのあたりを伺いたいと思います。
○末村計画調整担当部長 高齢化や医療の高度化、これに対応した度重なる診療報酬の改定など医療環境が大きく変化する中でも、都立病院が都民ニーズに迅速かつ的確に応える病院運営が重要でございます。
経営委員会報告では、医療サービスの新たな展開や、充実に必要となる人員の配置や確保、地域医療に貢献するための人材交流などを機動的に行う上で人事制度面での制約があると指摘されました。
また、財務制度面におきましては、年度を超えた予算執行や契約手法の多様化などに制約があり、医療ニーズや経営環境の変化に迅速に対応することが困難とされました。
○山内委員 医療ニーズに迅速、柔軟に対応し、先ほど答弁のあった三つの視点に基づく改革を速やかに実現していく上で制度的な制約があることがわかりました。
一方で、都立病院には普遍的な役割もあると思います。
さきの予算特別委員会の中で、我が会派の伊藤ゆう議員の質問にもあったように、民間医療機関では対応困難な医療に率先して取り組むのが都立病院である、都立病院は都民にとっては最後の、これはとりでなんだといったことを主張され、行政的医療の提供など、公共的な役割を将来にわたり果たしていく必要があるといったことであります。
そこで、都立病院経営委員会で公立病院としての責任を果たす観点から、地方独立行政法人がふさわしいとされた、その理由を伺っておきたいと思います。
○末村計画調整担当部長 地方独立行政法人制度は、公共上の見地から、民間事業者では実施されないおそれがある事業を効率的、効果的に行うことが目的であることが法で定められております。
経営委員会からは、公営企業型地方独立行政法人におきましては、知事が議決を経て定める中期目標に基づき事業を実施する仕組みや、地方公営企業と同様に、採算の確保が困難な医療などに係る財源措置制度が法定されていることなどから、都立病院が行政的医療を安定的かつ継続的に担っていく上でふさわしいとされたところでございます。
○山内委員 行政的医療は本当にこれからもいろんな都民の皆様から期待が寄せられるところだと思いますので、そこはしっかりと経営の方をよろしくお願いしたいなと思います。
そういった中で、全国的に人口減少が進む中で、地域ごとの適切な医療提供体制の構築に向けて、公立、民間を問わずに医療資源の機能分担と連携が進んでいるといったところであります。
地方都市では、地域の医療需要の変化を踏まえた再編ネットワーク化を行う中で、真に公立病院が果たすべき役割を見直すほか、その役割を果たすための持続的な経営形態として地方独立行政法人を選択した自治体もふえております。
こうした地方の事例がそのまま東京に当てはまるわけではありませんけれども、ほかの自治体における経営形態の見直しの動向や共通するメリットを踏まえた上で、東京という、この地域の実情を踏まえた具体的な検討を行っていくべきだと考えます。
そこで、今後どのように経営形態、これについて検討を進めていくのかを伺います。
○末村計画調整担当部長 自治体病院の経営形態の見直しは、平成二十七年度までの六年間で、例えば都立病院と同じ地方公営企業法一部適用につきましては百六十九病院が減少し、同法の全部適用が四十三病院、指定管理者が二十二病院、地方独立行政法人が六十病院それぞれ増加しておりまして、こうした見直しの動向につきまして、情報収集を行ってまいりました。
こうした経営形態の変更によりまして、予算、契約、組織、人事などの面で、より自立的、弾力的な経営が可能となり、医療機能の向上が図られるなどの効果も示されております。
こうした事例の情報収集も進め、今後、都として、都立病院の使命を支える経営を実現するという観点から、病院現場の運営実態に照らし、さまざまな経営形態につきまして、メリットやデメリットの検証を行ってまいります。
○山内委員 いかなる経営形態であろうとも、都立病院といったものは行政的医療の提供など、その普遍的な役割を果たしていかなければならない、これは皆さんそう思っていらっしゃると思いますけれども、先ほどの答弁にもあったとおり、都立病院が都の医療政策においては重要な役割を果たすことが東京の医療を支えることにつながりまして、ひいては、それが都民の安全・安心につながってくるといったところ、これをまた、安全・安心を支えるといったところにもつながってくると思います。
患者第一であり、そして都民第一、こういった視点から都立病院の改革を一層推し進めていただくことを要望いたしまして、私からの質問を終了させていただきます。
○古城委員 私からは、平成三十年度予算案、また、今回、素案として示されました都立病院新改革実行プラン二〇一八に関連して、患者、家族を支えるさまざまな取り組み、小児医療、周産期医療、アレルギー対策、がん対策などについて質問いたします。
私は、昨年十二月、都議会公明党、我が党の議員とともに、府中市にあります多摩メディカルキャンパス内の都立三病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、神経病院を視察させていただきました。
その際に感じたことを踏まえ、三病院を含む都立病院全般について、順次伺ってまいります。
次期プラン、都立病院新改革実行プラン二〇一八において、都立病院の新たな改革の基本的な考え方について、患者、都民第一、そして東京の地域特性の反映、さらに都立病院の持つ資源の有効活用、これら三つの視点を掲げられております。
とりわけ患者、都民第一は重い意義を持つものであり、都立病院はこれまでも、患者中心の医療の実現を目指して、いわゆるインフォームド・コンセントの充実や患者サービスの向上など、さまざまな患者支援策を実施していると理解をしております。
これからも患者中心の医療の充実を図るべきだと、この考えのもと、具体的な質問に入ります。
まず、患者支援について質問いたします。
昨年の事務事業質疑で我が党の遠藤議員が指摘しておりますが、平成二十七年度から開始されました患者支援センターについて、急速に高齢化が進み、独居高齢者やがん患者など、退院後も何らかの支援を必要とする方々が増加している東京におきまして、地域包括ケアシステム構築の動きとともに、さらなる充実強化が求められている分野であると考えます。
先ほど申し上げました視察をさせていただいた神経病院においては、発症から短期間に重症になっていく筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALS、一方で、十数年後まで症状が安定する傾向にあり、その後、重症となる特徴があるパーキンソン病など、疾病や患者によって支援のニーズが異なることがわかりました。
同病院では、療養生活や就労などの相談を含め、患者支援センターを充実させています。
実際に拝見をしてまいりましたけれども、医療福祉相談を初め、看護相談、さらには退院後の訪問診療、訪問看護を実施する地域療養支援に力を入れています。
また、多摩地域医師会などとの医療連携を積極的に行っており、地域に開かれた神経専門病院として、地域の療養レベルの向上に多大な貢献をしているということがわかりました。
さて、次期プランでは、患者支援センターを患者地域サポートセンター、仮称でございますけれども、このように再構築するとしています。
そこで、患者支援センターの再構築の基本的方向性について伺います。
○谷田サービス推進部長 都立病院では、患者のさまざまな相談にワンストップ、多職種で対応ができるよう患者支援センターを設置し、支援に努めてまいりました。
高齢化の進展に伴い、身近に支援者がいない単身高齢者や、退院後に在宅療養や介護サービスを受ける方など、継続的な支援を必要とするケースが増加しております。
こうしたことから、外来受診時から退院後の地域生活も見据えた一貫した支援を実現するとともに、医療と介護を切れ目なくつなぐ地域包括ケアシステムの構築にも貢献できるよう、患者支援センターを、仮称でございますが、患者地域サポートセンターとして再構築いたします。
具体的には、入院前の段階からより多くの情報を集約し、総合的に支援を行えるよう入院サポートセンターの業務を拡充するとともに、患者の声相談窓口など患者サービスに関係する部門を統合し、一体的運用を行うことで患者支援の充実を目指します。
さらに、患者が退院後も地域で適切に医療、介護サービスが受けられるよう、栄養士や薬剤師など多職種による情報提供等により、在宅療養移行支援の充実を図るほか、地域の訪問看護ステーションの看護師やケアマネジャー等を対象とした研修によりまして、地域包括ケアを担う人材の育成を支援してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。新たな患者地域サポートセンター、新たな支援センターは、患者サービスを担う部門も含めた一体的な患者支援と地域への橋渡し役を担うと、こういうことであるかと思います。
患者や、また、ご家族、そして地域のニーズを的確に把握しながら、機能強化と体制整備を図っていただきたい、このように要望をさせていただきます。
次に、患者支援センターにおける入院サポートセンターの取り組みについて質問いたします。
先日、五日の私の一般質問でも取り上げましたが、退院後も住みなれた地域で生活するための支援として、外来や入院時から退院後の地域生活を見据えた支援や、外来部門と入院部門との連携、地域と入院医療機関が連携するための支援が大変重要であると考えております。
今回の診療報酬の改定においても、退院支援加算が入退院支援加算に見直され、また、入院時支援加算も新設され、入院前からの要支援者の把握と地域の関係者との連携を促している、このような改定であると理解をしております。
こうした動きを先取りするように、既に都立病院では、各病院の患者支援センターに入院サポートセンターが設置をされ、入院支援の取り組みが進められていると聞いております。
都立墨東病院においても、チラシを拝見しましたけれども、患者支援センターの枠組みの中に、入院サポートセンターというものがしっかりと記載をされておりまして、また、そこには米印で外来からの予約制ということで、まさに入院前、外来時から入院サポート、患者支援をしっかりしていく、このような取り組みがされているというふうに考えております。
先ほどの答弁の中におきましても、入院サポートセンターの業務を拡充していくとのことでございましたが、どのように拡充をしていくのか伺います。
○谷田サービス推進部長 主に急性期医療を担う都立病院において、短い入院期間の中で円滑に在宅療養生活に移行するためには、より早い段階で退院困難なケースをスクリーニングし、相談支援を開始することが重要でございます。
現在、各都立病院の患者支援センターでは、入院サポートセンターを設置しまして、予定入院のうち、定型的な治療が行われるクリニカルパス適用の患者さんを中心に、入院前から入院生活の流れや検査、手術の説明等を実施しております。
また、一部の病院においては、入院サポートセンターにおいて、持参薬の確認や栄養状態の評価を行うなど、より詳細な患者の状態把握を始めております。
今後は、対象患者や情報把握を行う事項の拡大など、入院サポートセンターの業務を拡充し、退院困難な患者の早期支援と住みなれた地域での療養生活への移行を促進してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。早期の相談支援を受けることによって、患者の方々、また、ご家族の方々が抱える不安が軽減をされ、円滑に住みなれた地域、ご自宅に戻ることにもつながると考えます。
ぜひとも全ての都立病院において、入退院支援に係るこれらの新たな診療報酬の改定に伴う加算を取得していただきたいと要望させていただきます。
次に、患者支援センターの来年度の取り組みについて質問いたします。
平成三十年度予算案によりますと、患者の療養生活を総合的に支援するため、新たに法律相談支援を始めるとあります。
支援センターでは、MSW、医療ソーシャルワーカーが中心となって、複数の職種が一体となって、患者の皆様のさまざまな相談に応じていることと思いますが、患者の皆様の相談の内容が専門的、また複雑化していくほど、プロ、専門家の方のノウハウを活用するべきではないかと、このように考えます。
そこで、今回新たに法律相談を導入する目的と期待される効果について伺います。
○谷田サービス推進部長 高齢化の進展や患者の生活環境の多様化により、貧困や家族問題、財産管理や相続問題など、さまざまな社会的背景を抱える患者が増加しております。
こうした課題の解決に向けては、弁護士から専門的なアドバイスを受けることが有効でございますが、特に入院中の患者は、外部の相談窓口に直接アクセスすることが難しく、法的問題が整理、解決されないことが円滑な転退院を困難としている側面がございます。
こうしたことから、松沢病院では平成二十七年度から、墨東病院では平成二十八年度から、弁護士による法律相談を試行的に実施しております。これらの試行結果を踏まえまして、三十年度からは、取り組みを他病院にも展開し、全ての病院において法的問題を抱える患者が適切に相談を受けられる仕組みを導入いたします。
弁護士相談を活用することで、患者の抱える諸問題の解決への道筋が見出され、患者の安心確保と円滑な転退院につながる効果が期待されるところでございます。
○古城委員 ありがとうございます。医療面だけでなく、患者の方々が抱えるさまざまな問題についても目が向けられ、支援の手が差し伸べられること、大変大事なことであると感じます。
先行して実施をしている松沢病院、さらに墨東病院での法律相談の実績を踏まえて、ほかの全ての病院においても、来年度の早い時期に開始することを要望させていただきます。
次に、障害者の受診に対する支援について質問をいたします。
昨年の第一回定例会の厚生委員会において、我が党の中山議員が、都立病院、公社病院におけるオストメイト対応トイレの整備などとともに、聴覚障害者の方への対応、配慮を中心に質疑を行っております。
都立病院において、筆談用のボードやタブレットを活用した手話通訳サービスなど、さまざまな手段を用いてコミュニケーションを図っているとのことでありました。
こうした点を踏まえて、次期プランにおいて、誰もが利用しやすい環境づくりを促進する観点から、障害をお持ちの方が受診する際のさまざまな環境整備を行うとしております。
そこで、障害をお持ちの方々が受診した際の適切な配慮など、障害をお持ちの方への対応の充実に向けた具体的な取り組みについて伺います。
○谷田サービス推進部長 障害者差別解消法においては、障害者への合理的配慮が責務とされており、都立病院においても、さまざまな障害を持つ方が円滑に受診できるよう、障害の種類や程度に応じたきめ細かな対応が求められております。
こうしたことから、障害を持つ方が必要とする具体的な配慮事項を電子カルテシステム上で情報共有する仕組みを導入し、全ての職員による適切な対応につなげたほか、障害に関する基礎知識や接遇を学ぶ研修を新たに開始いたしました。
また、聴覚障害を持つ方が自分自身で受診予約ができるよう、ファクス及びメールによる外来受診予約をこの三月から全病院で開始したほか、視覚障害者が受診しやすいよう補助犬マークの掲出や院内施設の点字表記の充実を図っているところでございます。
今後も、障害者や高齢者、女性や子供など、都立病院を受診する全ての人が快適に受診できるよう環境整備に努めてまいります。
○古城委員 ありがとうございます。ぜひとも誰もが受診しやすい、利用しやすい環境づくりを促進していただきたいと思います。
患者支援に関連して、もう一点、質問をさせていただきます。
神経病院のリハビリテーション科において、まだ自分自身の声で話せるうちに自分の声を録音しておき、音声言語障害に対して活用するマイボイス、この説明を神経病院の視察をさせていただいた際に直接伺いまして、非常に感銘を受けたところでございます。
マイボイスは、神経難病の進行によって声を失った患者さんの大事なコミュニケーション、このためのツールでございます。
神経病院では、テレビ番組のクイズダービーにおける篠沢教授でも大変有名でございましたフランス文学者の篠沢秀夫先生が、ALSのご病気から筆談に頼らざるを得なくなったとき、篠沢先生ご自身の声で講演をなさるために助力をされた作業療法士の本間先生が携わっていらっしゃいます。
この本間先生を初めとする皆様と篠沢先生、そして奥様との交流の模様を取り上げました平成二十四年、二〇一二年の新聞記事、朝日新聞でございますけれども、この記事によれば、マイボイスの機能を使われた篠沢先生が、もとの自分の声で今の自分の言葉が聞けてうれしい、このようにおっしゃっていらっしゃったそうでございます。
また、本間先生は、本人が聞いた以上に家族が喜んでくれる、涙を流す人が多いんですと、このようにお話をされております。
多くの患者さんがご自分の声で意思疎通、コミュニケーションを図ることができるマイボイスを求めて、都内だけではなくて、遠方からも多くの患者さんが来院をされているそうでございます。
そこで、神経病院におけるマイボイスについて、現状の取り組みと今後の展開について伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ALSなどの神経難病は、病状の進行に伴い、筋力の低下や人工呼吸器などの装着などにより、発声、発語機能を失う患者が多く、QOLの向上のためのコミュニケーション支援が重要でございます。
現在、神経病院では、患者自身の声をあらかじめ再生用音源として録音しておき、発声、発語機能が失われてしまっても、みずからの声でコミュニケーションができるマイボイスを活用し、神経難病患者に対するリハビリテーションに取り組んでおります。
また、患者の声の五十音だけでなく、単語や本人にとって大切なキーワードもあわせて録音することで、より自然なコミュニケーションができるよう、意思疎通支援も行っているところでございます。
過去三年間の実績を見ますと、年間五十人程度の実績があり、そのうち七割以上がALSの患者となっております。
今後は、学会等を通じて積極的に情報発信していくとともに、これまで培ってきたノウハウや経験をもとに、難病患者だけでなく、頭頸部のがん患者への応用など、臨床研究を推進してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。病気により言葉を失われてしまっても、このマイボイスによってご家族や友人、仲間たちと自分の声でコミュニケーションをとることができると、こういうことは患者の皆様のクオリティー・オブ・ライフの向上にとって大変重要な要素であり、ぜひとも、今後ますます充実していくように取り組んでいただきたいと思います。
次に、小児医療、周産期医療について質問いたします。
多摩キャンパスにございます小児総合医療センターには、多摩地域の小児救急、周産期医療を支える拠点病院として、三百六十五日二十四時間対応できる新生児用、また、小児用の二台のドクターカーが配備されております。
視察の際に、実際に二台のドクターカーを拝見してまいりました。特に新生児用のドクターカーには、新生児集中治療室、NICUと同じ治療ができる機能が有されておりまして、また、二つの保育器を搬送することが可能となっておりました。この二つの保育器を搬送するということは、双子の赤ちゃんにも対応することができるという説明をしていただきました。
視察をしてまいりましたけれども、小児総合医療センターにおける新生児用及び小児用のドクターカーの運用実績と来年度の整備について伺わせていただきます。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターにおいては、地域の医療機関で対応が困難な重症の新生児や小児の受け入れと転院搬送のため、新生児用及び小児用ドクターカーを計二台運用しております。多摩地域の小児周産期医療を広範囲にカバーするネットワークを構築しております。
平成二十八年度の実績は、新生児用が三百五件、小児用が百六十四件、合計四百六十九件でございました。
地域別に見ると、多摩地域は四百四十三件と全体の九五%を占めており、二十三区が十八件、他県からが八件となっております。
なお、来年度予算におきましては、新生児ドクターカーの車両の更新に合わせ、最新の検査機器や生命維持のための機器を整備し、新生児を迅速かつ安全に搬送する体制を強化してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。ただいまご答弁をいただきまして、新生児用及び小児用のドクターカーは、多摩地域全域の医療機関と小児医療の基幹病院との連携に貢献をしていること、そして、新生児及び小児の救急搬送において重要な役割を果たしているということがわかりました。
限られた小児医療資源の中で、一人でも多くの新生児、小児の患者が適切な医療を受けられるよう、小児総合医療センターを中心とした地域医療機関とのネットワークのかなめとして、これからもドクターカーを活用していくべきであると考えます。
続きまして、小児総合医療センターは、高度で専門的な小児医療の拠点として整備が図られているわけでございますけれども、他の医療機関では、救命医療の継続が困難な小児の重篤患者の受け入れ要請があった場合に、患者を必ず受け入れ、迅速かつ適切な救命医療を行う、いわゆる東京都こども救命センター、都内に四カ所ございますけれども、これに指定をされております。
重症そして重篤な小児患者のための集中治療室でありますPICUと、通常の病床より手厚い看護体制のもとで重症患者に対応する高度治療室、HCUの機能が強化されております。
視察の際、伺いましたところ、PICU、そしてHCUでの受け入れ、入室数は年間約九百人であり、都内トップクラスの実績とのことでございました。
このPICU、そしてHCUでの医療に携わっていらっしゃいます集中治療科の医師の先生によりますと、小児の三次救急医療は、麻酔など手術の方法や治療、そして投薬などの処置が大人、成人とは異なるということでございます。
具体的に申し上げますと、例えばチューブや管ではミリ単位の処置を行わなければならないということでございます。これは成人、大人に比べて、子供たち、赤ちゃんが大変小さな体である、その体のサイズに合わせた処置をしっかりとしていかなければならない、こういうことであろうかと思います。
したがいまして、こういった特性から、小児専門の集中治療医や救急医に加えて、看護師の方、また、コメディカル、例えば人工呼吸器などを扱う臨床工学技士など、医療人材がより必要となってくるということを実感いたしました。
そこで、小児救急医療における医師や看護師等を確保すべきと考えますが、育成について見解を伺います。
○児玉経営企画部長 先生お話しのとおり、小児の重症、重篤患者の治療には、医師や看護師等の高度で専門的な知識や技術が必要となります。
このため、医師につきましては、東京医師アカデミーにおいて、小児科の集中治療や救命救急のコースを設定しており、小児救急医療の特殊性に対応できる質の高い専門医を育成いたします。また、来年度は新たに人工肺を用いた救命医療や移植医療に関するコースを設定し、救急医、集中治療医として、より高度な専門性を有する医師を育成することとしております。
一方、看護師につきましては、小児救急看護分野の認定看護師や小児看護分野の専門看護師など、高度な看護を実践できる看護師を養成しております。
こうした取り組みにより、コメディカル職員の今後の資格取得の育成等も行い、高度な小児救急医療を担う人材の育成を引き続き行ってまいります。
○古城委員 ありがとうございます。小児救命医療のまさに最後のとりでである小児総合医療センターのPICU、HCUにおいて、一層増加する小児の重症患者を一人でも多く受け入れるため、こども救命センター機能の充実強化に向けて、医療人材の確保と質の向上に取り組んでいただくことを要望させていただきます。
次に、アレルギー疾患医療について質問をいたします。
うららかな春の訪れは花粉症の季節の到来でもございます。花粉症を初めとして、アレルギー関係のさまざまな症状は、今や国民病ともいわれるようにもなっております。そうした中において、我が党はアレルギー対策の充実を一貫して強力にリードしてまいりました。
東京都では、花粉症、ぜんそく、食物アレルギー、またアトピー性皮膚炎など、アレルギー疾患の有症率が全国平均に比べて高くなっている、こういう現状があると聞きました。
一方で、今、新薬の開発も進んでおり、多くのアレルギー患者の方は適切な治療を受けられれば症状のコントロールをすることが可能になってきているともいわれております。
したがいまして、多くの患者の方が地域の診療所、クリニックで診察、治療可能、フォロー可能となってまいりますと、総合病院においては、重症患者のフォロー、また、検査とともに、これからはコメディカルの要請が大きな役割として求められてくるのではないかと考えます。
患者教育、なかんずく患者の方、またはご家族が、塗り薬や吸引薬などの適切な使用や食事管理などを継続できるように支援していくことが、今後のアレルギー医療の中心になってくるのではないかと考えるからです。
そして、そのためには、高度なアレルギーの専門知識と指導技術を持ったコメディカル、例えば看護師の方、薬剤師、保健師、管理栄養士の方が必須になってくるのではないかと思います。
したがって、総合病院、特にアレルギー疾患医療の拠点となる病院としては、コメディカルを養成する体制、そして、それを活用することができる体制が必要であると考えます。
この考えのもと、都立病院が今後果たすべき二つの役割から、具体的に提案をしたいと思います。
一般的にアレルギー疾患医療は、診療報酬の点から見ても、総合病院においても、不採算部門的な扱いを受けがちであるとの指摘がございます。
これは、今まで、例えばぜんそくなどは、入院加療しなければならないというところが、先ほど申し上げたとおり、治療方法、さらには新薬の開発等によって、入院せずとも通院で治療することができるようになっている、こういう側面もあると思います。そしてまた、行政的医療として、このアレルギー疾患医療について都立病院が取り組む意義もございます。
アレルギー疾患医療の需要に合った医療体制を整えるために、専門医師、コメディカルの確保、育成を行うこと、このことを次期プランの中で明確にするべきと考えます。このことを強く要望させていただきます。
そして、二点目の視点でございますけれども、平成二十八年度東京都医療機能実態調査によれば、アレルギー疾患の診療を行っていると回答した医療機関のうち、アレルギー疾患診療ガイドラインに準ずる標準的治療を行っていない医療機関が約四割に上っています。
アレルギー疾患医療は、その種類や病態が多様になっています。先ほど言及をいたしました患者教育への支援については、地域の医療従事者が専門性を一層高めることが求められると考えます。
この点、次期プランでは、地域のアレルギー疾患医療の水準向上に貢献するとありますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院におけるアレルギー疾患医療は、全ての総合病院と小児総合医療センターで対応しております。
とりわけ、多くの小児アレルギー患者が来院する小児総合医療センターでは、重症、難治性のアレルギー治療に対応しております。
また、患者のQOLを高めるため、医師、看護師、栄養士等のチームが地域の医師や学校などと連携し、患者や家族の生活指導も行っております。
一方、一旦症状が安定した患者は、身近な地域で適切な治療を受けられるようにすることが求められておりますが、古城委員お話しのとおり、地域のアレルギー治療体制は十分であるとはいえない状況にございます。
このため、次期プランにおいては、地域のアレルギー疾患医療の水準向上に貢献することとしており、まずは小児総合医療センターにおいて、地域医療機関等との合同カンファレンスや講演会を充実させ、地域の医療従事者のアレルギー疾患治療に関する専門的な知識、技能の向上に取り組んでまいります。
○古城委員 ありがとうございます。ただいまの答弁にありました小児総合医療センターにおける患者や家族への生活指導、患者教育につきまして、アレルギー専門の医師とともに、看護部所属の専門看護師である小児アレルギーエデュケーター、この方が一名携わっていらっしゃいます。
小児アレルギーエデュケーターは、臨床現場で医師とともにかかわる高度なアレルギーの専門知識と指導技術を持ったコメディカルでありまして、看護師、薬剤師または管理栄養士の有資格者を日本小児臨床アレルギー学会が認定をする制度であると聞いてございます。
小児アレルギーエデュケーターなど、アレルギー専門コメディカルの育成を含めた都立小児総合医療センターにおけるアレルギー科機能の充実もあわせて要望をさせていただきます。
次に、がん医療について質問をいたします。
長寿命化が進む中、がん対策の強化は大変重要でございます。
これまで我が党は、がん対策として、予防から治療、終末期、緩和ケアなどに至るまで幅広い取り組みを提案いたしまして、都立病院においても実現をしていただきました。
国が昨年十月に策定をいたしました第三期がん対策推進基本計画でございますけれども、三本柱の着実な推進が求められております。
一点目ががん予防、そして二点目のがん医療の充実については、がんゲノム医療や免疫療法など、がん研究を強力に推進する、こういうことでございます。また、三点目のがんとの共生については、就労や生活支援の取り組みも重要でありまして、中でもがんにかかってしまい、休業中に生活を保障するさまざまな制度を設計していく、使い勝手をよくしていく、こういう課題もあろうかと思います。また、実際にそのがん医療に携わる医療従事者への緩和ケア研修の充実も不可欠であるというふうに考えております。
そうした中において、先ほど三本柱の二点目で申し上げましたがん医療の充実ですけれども、近年、遺伝子情報などを活用したゲノム医療への期待が高まってきております。
国の基本計画においても、ビッグデータやAIを活用したがんゲノム医療を推進して、個人ごとの違いを考慮した、患者に最適ながん医療を推進していくこととしております。
そして、国立がん研究センターの間野博行研究所長によりますと、特定の遺伝子変異に対応した薬によって、三年後の生存率が七九%まで高まった、こういう例も実際にあるそうでございます。こうしたことを踏まえまして、間野所長は、がん治療は原因の遺伝子ごとに最適な治療法を選ぶ時代になった、こういう指摘もされております。
都立病院におきましては、駒込病院で、都におけるがん医療の拠点でございますけれども、薬物療法や放射線治療など、これまでの医療に加えて、最先端の技術を活用した医療を都民の皆様に提供していくことも必要であると考えます。
次期プランの中で、駒込病院において、がんゲノム医療を推進するとありますが、具体的にどのような医療を提供していくのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がんは遺伝子の異常によって生じる病気であり、がんゲノム医療とは、患者の遺伝子情報をもとに、個々の患者に最適な医療の提供を行うことであります。
現在、駒込病院では、遺伝性のがんを疑う患者やその家族等に遺伝子検査を実施し、解析結果を踏まえた治療や心理的サポート等を実施しております。
今後は、解析の迅速化や遺伝子検査の対象拡大等により、早期発見、早期治療はもとより、がん予防にも寄与してまいります。
また、遺伝子解析のがん治療への応用は発展途上であることから、希少がんや難治性がん等の豊富な症例を生かし、効果的な治療方法の選択や新たな治療技術の開発、新薬開発等に貢献していきます。
これまで培ってきた都道府県がん診療連携拠点病院としての基盤を生かし、これらの取り組みを実施し、駒込病院におけるがんゲノム医療を推進してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。今ご答弁をいただいたように、がんゲノム医療を推進していくということになりますと、遺伝子情報を取り扱うための専門的な知識を持つ人材の確保や、また情報管理の徹底など、体制を整備することが大変重要でございます。
そこで、駒込病院においては、どのように体制整備を図っていくのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がんゲノム医療を推進するには、みずからの施設で遺伝子解析を実施する体制、病理や遺伝医学に関する専門知識、ノウハウを有する人材の確保が必要でございます。
このため、遺伝子情報を高速で大量に読み取る解析装置である次世代シークエンサーを新たに導入するとともに、遺伝子情報の管理や解析支援等を行う臨床研究支援員を配置してまいります。
また、認定遺伝子カウンセラーを新たに配置し、遺伝子解析の結果をわかりやすく説明するとともに、倫理的、法的な相談等についても適切に対応できる体制を整備していきます。
さらに、質の高いがんゲノム医療を提供するため、臨床検査室、病理検査室について、第三者機関による制度管理やセキュリティー等の評価に関する施設認定の取得に向け取り組むなど、必要な体制を整備し、国が進めるがんゲノム医療の拠点病院の指定を目指してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。ぜひともがんゲノム医療の拠点病院の指定に向けて取り組みを加速させていただければと思います。
一方で、がんと診断された患者の方、また、ご家族は、大きな不安を抱えながら治療法などを選択しなければならず、また、生活や仕事に関することなど、さまざまな問題に直面することから、患者の皆様の不安や疑問に的確に対応できる相談支援体制が必要になります。
がんと診断されたときに就労している患者の方の中には、仕事を継続されている方も多くいますが、どこに相談をすればよいのか、どなたに相談をすればよいのかわからず、退職をやむなく選択されてしまう方もいらっしゃいます。
就労の継続を望むがん患者の方々が働き続けられるよう、抱える不安や悩みの軽減に向けて、より一層の取り組みの充実が必要となります。
次期プランにおいて、駒込病院では、今後、早期介入、早期サポートモデルを推進するとありますが、例えば仕事と治療の両立を望む患者の方の支援に当たって、具体的にどのように取り組んでいくのか、どのような取り組みを実施するのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十七年度の厚生労働省研究班による調査では、がんと診断され退職した患者のうち、最初の治療が開始するまでに退職した人が四割を超えており、その理由として、がん治療への不安が上位に上がっております。
がんと診断された患者が治療を行いながら仕事を続けられるよう、できるだけ早期に患者、家族への支援を行うことが重要であると認識しております。
そのため、駒込病院の患者支援センターでは、患者、家族からの相談対応に加え、初診時や確定診断時等の早期の段階で支援が必要な患者をスクリーニングし、医療ソーシャルワーカー等の相談員が必ず不安や悩みを酌み上げる早期介入を積極的に行い、その上で産業医やハローワーク等、さまざまな関係機関とも密に連携し、調整を行い、患者、家族の置かれた状況を踏まえた必要な支援につなげてまいります。
○古城委員 ありがとうございます。大変先進的であり、先導的であるモデルケースになろうかと思います。他の医療機関のモデルとなる取り組みになります。ぜひとも患者の方、また、ご家族の不安や悩みを少しでも軽減できるよう、この取り組みの推進を要望させていただきます。
最後に、がん医療に関連して、もう一点、質問をいたします。
私は昨年十一月の厚生委員会において、高精度放射線治療システムの乖離に関する質疑、この際に、がんの放射線治療に関して、高精度な放射線治療装置を安全かつ効率的に運用するためには、優秀な放射線腫瘍医、放射線技師、看護師、そして専門的な物理工学的知識のある医学物理士との連携が重要であり、とりわけ、人材不足が指摘をされております医学物理士の確保、育成の取り組みの必要性を訴えました。
また、平成二十八年度公営企業会計決算特別委員会では、我が党の細田議員との質疑の中で、次期プランを策定する中において、放射線治療を担う人材の確保、育成について検討するとの答弁がございました。
そこで、今回策定する次期プランにおいて、どのような取り組みを行っていくのか、見解を伺います。
○児玉経営企画部長 高精度放射線治療の治療計画の立案や検証、管理を行う医学物理士は、放射線治療の安全性や治療成績の向上に重要な役割を担うものと認識しております。
現在、都立病院においては、四名が医学物理士として放射線治療の業務に従事しておりますが、今後はさらに高齢化が進展し、放射線治療の適用患者の増加が予想されることから、放射線治療を担う人材の確保、育成は一層重要になると考えております。
こうしたことから、次期プランでは、医学物理士を含むコメディカル職員に関し、研修体系の整備や資格取得支援の対象拡大などを通じて、人材の確保、育成と専門性の発揮を図ることとしております。
医学物理士につきましては、必要な診療体制に応じた採用や診療放射線技師に対する医学物理士の資格取得支援などの取り組みを行ってまいります。
○古城委員 ありがとうございます。今後も、がん医療の中心拠点である駒込病院を初め、全ての都立病院または公社病院において、患者、都民第一で、患者中心の医療が充実されることを期待いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○舟坂委員 よろしくお願いします。
都立病院は、行政的医療を基本として、良質な医療を都民に継続的に安定して提供することがその役割であり、全ての都民のための病院であります。
今回、都が策定した次期プランの素案においては、都立病院が有する施設や人材などの医療資源を有効に活用し、都の政策推進に向け、積極的に取り組んでいくこととしております。
まず、災害医療についてお伺いをいたします。
東日本大震災から七年が経過いたしました。住宅や道路など、まちの形は整備されつつありますが、いまだ七万人を超える人々が避難生活を送っており、人々の暮らしや地域コミュニティはまだもとに戻ったとはいいがたい状況であります。
また、平成二十六年に発生した広島の土砂災害、平成二十七年には関東・東北豪雨による浸水、平成二十八年の熊本地震など、大規模災害が相次いで発生しております。
こうした災害での教訓を生かし、都は、いつ来てもおかしくないといわれる首都直下地震に備えなければなりません。
このような災害発生時に遺憾なく力を発揮することこそ、まさに都が有する公立病院に求められる使命であるといいます。
私の地元葛飾区も含む二十三区東部エリアの広域機関として機能を発揮する墨東病院は、都内で四病院ある高度救命救急センターに指定されており、災害時には最後のとりでとして、ほかでは対応できない患者に積極的に対応する責務があります。
災害時に、確実に医療を提供するためには、平時から災害を想定した取り組みを行うことが重要であります。
そこで、墨東病院では、どのような対応を行っているのかをお伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 墨東病院は、地域災害拠点中核病院として、災害時においても医療機能を最大限発揮し、多くの重症者を確実に受け入れることが求められております。
このため、高度救命救急センターとして、重篤な熱傷患者の緊急処置を行う熱傷専用病床を設置しており、地震等により木密地域に火災が発生した場合にも、確実に熱傷患者に対応できる体制を確保しております。
また、災害拠点病院としての役割を確実に果たせるよう、大規模地震発生時のBCPについて、実践的な訓練を踏まえ、常に見直しを図るとともに、荒川等の大河川の氾濫に備えるべく、昨年三月には水害時のBCPを作成しております。
さらに、放射能の除染など特別な対応が必要となるNBC災害時においても的確に対応できるよう、NBC災害対応訓練を通じ、実践的な課題の抽出や対応の充実を図ってまいります。
今後とも、区東部地域における災害拠点病院としてさまざまな災害に対応できるよう、万全を期してまいります。
○舟坂委員 自然災害だけでなく、人為的に発生するNBC災害への備えもなされていることがわかりました。東京二〇二〇大会を見据え、大規模なテロへの対処も重要な課題であります。引き続き、万全の体制を確保することを望みます。
次に、東京二〇二〇大会への貢献についてお伺いいたします。
平昌冬季五輪で、日本は史上最多の十三個のメダルを獲得し、東京二〇二〇大会に向けて機運醸成の追い風になったと感じています。
一方、平昌大会は寒さが厳しい状況にありましたが、東京大会では、逆に熱中症対策など暑さ対策をしっかり講じなければなりません。
都立病院においては、こうした課題に率先して取り組むことはもとより、大会開催に必要となる医療サービスに対する貢献を図っていくことも重要であります。
具体的にどのように貢献していくのかをお伺いいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、東京二〇二〇大会開催時には、施設や人員などの医療資源を積極的に活用し、大会の医療サービスの確保に貢献することが重要であると認識しております。
大会期間となる七月から九月は、例年でも多くの熱中症患者が発生しています。このため、大会期間中の熱中症患者を必ず受け入れる熱中症病床を確保していくこととしております。
また、三次救急機能を備えた東京ERを設置している広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターでは、大会関係者の緊急対応を行っていく予定でございます。
さらに、大会関係施設の医療提供体制の確保に協力するため、都立病院の医師や看護師などを積極的に活用もしていきます。
今後は、病院の体制の充実や関係機関との調整を加速させ、東京二〇二〇大会成功に貢献してまいります。
○舟坂委員 こうした取り組みも含め、大会成功には外国人患者への対応がしっかりできることが前提となります。この点については、都立病院の取り組みは昨年九月の厚生委員会において確認したところであるため、今回質疑は行いませんが、引き続き、大会開催に向け、体制の充実を図っていくことを期待いたします。
次に、働き方改革の推進についてお伺いをいたします。
現在、国は、働く人の個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、一人一人がよりよい将来の展望を持てるようにすることを目指して、働き方改革を推進しております。
医療現場に関しては、国において、医師の働き方改革に関する検討会が設置され、医師法の応招義務や自己研さんと労働の切り分けの困難さなどに関して意見が出され、議論が続いているようであります。
今回報告された次期プランの施策の中には、病院ならではの働き方改革を推進するとありますが、こうした取り組みにより、医師等の意欲を高め、質の高い医療につなげていくことは重要と思います。
都立病院における病院ならではの働き方改革の具体的な内容についてお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 医師等の働き方改革につきましては、医師法が定める応招義務の問題のほか、地域や診療科における医師の偏在や今後の医療需要の増大など、さまざまな課題があり、医師等が疲弊することなく専門性を発揮できる勤務環境を整備することが重要であると考えております。
このため、病院ならではの働き方改革として、一直二勤務などの勤務時間の工夫とともに、医師や看護師の補助者の導入や、病棟薬剤業務を担う薬剤師の配置により、職員の負担軽減を図っております。
また、医師の業務の一部を専門的な知識や技術を持った看護師に移管するタスクシフトの検討など、役割分担の見直しや職種間の連携を推進してまいります。
なお、医師等の勤務につきましては、労働関係法令等を遵守することはもちろん、患者の急変対応など、やむを得ず時間外労働が増大した職員に対しては、産業医の受診を勧奨するなど、職員の健康や安全の確保に引き続き努めてまいります。
今後は、国における医師の働き方改革に関する検討状況なども注視しつつ、状況に応じた勤務時間の設定など、さまざまな工夫による病院ならではの働き方改革を進めながら、医師等が専門性を発揮し、やりがいを感じられる勤務環境の整備に取り組んでまいります。
○舟坂委員 病院における医師の働き方の課題は、地域や診療科による医師の偏在などから、簡単に改善が図れるといった単純な問題ではありませんが、都立病院ならではの働き方改革を進めるとともに、現場で働く職員の健康管理にも十分配慮するよう取り組んでいただきたいと思います。
医師の勤務負担の軽減や労働時間の短縮に向けては、国民の医療ニーズに深くかかわるものである点で、社会全体でどのように考えるのかという観点も不可欠です。
医療を提供する側の取り組みだけでなく、医療を受ける側の患者やその家族、都民の理解や協力を求めながら、現場が疲弊することなく、医療提供体制を維持できるよう取り組むことが必要と思います。
そして、先ほど申し上げたとおり、国において医師の働き方改革が議論されております。こうした検討の状況を踏まえながら、都立病院の役割である行政的医療の安定的かつ継続的な提供、また、新たな役割としている地域医療充実への貢献をきちんと果たせるよう、都立病院ならではの働き方改革を推進していただくことを要望して、私の質問を終わります。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時十八分休憩
午後二時三十五分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○藤田委員 私からは、まず、都立病院新改革実行プランの未受診妊婦対策についてお聞きします。
大塚病院では、未受診妊婦など特定妊婦を初めとした社会的リスクを抱えた妊産婦への相談支援体制の強化や、産後ケアを含む妊産婦支援の取り組みを検討としており、これは重要と考えます。
未受診妊婦は、社会的な問題、医学的な問題が多く含まれます。この検討を行うに至ったのはどのような認識からか、お聞かせください。
○谷田サービス推進部長 大塚病院は、総合周産期母子医療センターとして、ハイリスク分娩に対する医療や新生児の集中治療管理など、産科、小児科双方から総合的かつ高度な周産期医療を提供する役割を有しております。
こうした役割に基づき、大塚病院では未受診妊婦等特定妊婦を数多く受け入れておりまして、平成二十八年度の未受診妊婦の受け入れ実績は、都内二十七ございます周産期母子医療センターにおける全受け入れ件数七十四件のうち、二十三件となっております。
未受診妊婦は、家庭環境や経済面など社会的な課題を抱えているケースが多いことから、退院後も地域で適切に育児や療育ができるよう、相談体制や産後ケアなどの支援の充実を検討するものでございます。
○藤田委員 未受診妊婦とは、妊娠期間中の受診回数が三回未満など、本当に極端に少ない受診で経過した妊婦のことを指しているんですが、こうした状況は胎児の発育の確認も不十分な中でありますので、多くのケースで、受診したときには既に分娩が切迫しているという状況にあるかと思います。大塚病院でそうした未受診妊婦の搬送率が高いというのも、救急車でいらっしゃる方が多いからではないかなというふうに思われます。
そうした大塚病院において、相談支援体制の強化とありますが、具体的にはどのような体制の強化を検討しているのでしょうか。
○谷田サービス推進部長 大塚病院では、患者が安心して受診及び転退院ができるよう患者支援センターを設置し、医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなど多職種が連携し、母子から高齢者まで幅広い世代の患者の地域生活への早期復帰を支援しております。
支援センターにおける近年の相談実績は増加傾向にあり、未受診妊婦も含め、大塚病院の特性に応じた支援のさらなる充実が求められていることから、来年度は、医療ソーシャルワーカーの増員を行う予定でございます。
○藤田委員 医療ソーシャルワーカーの増員は大変重要なことだと思います。
特定妊婦が地域に移行する際は、さらにどのような連携をとっているのでしょうか。
○谷田サービス推進部長 未受診妊婦を初めとした特定妊婦は、出産後の育児に特に支援が必要となる場合が多いことから、患者支援センターが中心となり、入院中から母子の退院を見据えて地域の保健所や福祉関係施設等と連携し、育児に関する相談や子供の見守り、療育施設への入所調整等を行っております。
○藤田委員 東京都は毎年、周産期母子医療センターなどのNICU入院児実態調査を行っていますが、この調査でも、退院後の地域のコーディネーター役について、コーディネーター役がいないが三二%ありました。分析によると、福祉サービスを利用しないものだからというのが多く、医療のみとつながっているから、地域で生活を支えるコーディネーターの育成が必要とされていました。
また、大阪府では、二〇〇九年から毎年、未受診妊婦についての調査を実施しています。健診を受けて出産した方と比べて周産期死亡率は五倍でした。健診を受けなかった理由は、経済的なものが三三%、知識の欠如が二一%、孤立や複雑な家庭背景などの社会的要因があった方は、合わせて八割近くに上りました。七四%が無職、風俗業やパートなどを合わせると、九割が不安定雇用でした。また、社会的リスクを伴う出産は退院後の支援体制に乏しいというのも、こちらでも特徴であると分析されていました。
日本産婦人科医会、母子保健委員の光田信明医師は、母子の孤立と経済的な問題は連鎖を生むとして警笛を鳴らしています。社会的弱者である母親が被害者であると同時に、胎児や新生児に対しての加害者にもなり得ると指摘しています。
大阪府は児童虐待が最も多い自治体ですが、東京都も件数では大阪に次いで二位となっています。相談支援体制の強化や取り組みの検討を、これからもぜひ行っていただきたいと思います。
そして、未受診となったその社会的要因を、入院中にも注意深く観察したり聞き取ったりして、必要な支援へとつなげることができるよう要望いたします。
また、お答えの中で、患者の地域生活への早期復帰を支援ということがありましたが、早期復帰の支援と同時に、必要な手だてをしっかり見きわめることも必要と思われます。看護師を含め関係する多職種で必要な支援へのつなげ方や、それに必要な情報収集の仕方を身につけるなどの対策にも、東京都として検討をしていただけるよう要望いたします。
次に、都立病院新改革実行プランの中で、多様な働き方の実現に向けた取り組みとして、医師の一直二勤務について質問いたします。
一直二勤務とは、一日に八時間労働を二回行い、深夜に通常業務を終えてから宿直を行うというものですが、この宿直は時間外労働として扱い、割り増し賃金を支払っているのでしょうか。また、翌朝に勤務を終えて通常業務を行わなければならない医師は何割いらっしゃいますか。
○児玉経営企画部長 都立病院では、厚生労働省が示した宿日直の考え方に基づき、宿日直勤務中に救急患者対応等が生じた際には、宿日直手当に加えて、超過勤務手当を支給しております。
なお、一直二勤務の勤務体制においては、翌日は外来などの通常業務を要さないよう勤務の設定を行っております。
○藤田委員 通常業務というのは、つまり外来というふうに今はおっしゃっていましたが、医者の勤務場所は外来だけではなく、手術室とか、その医師がいないとできないような業務もありますので、そういったこと全般を含んでいるのかなというふうに思います。その医師にしかできない、決まった業務ということを行わなくてよいように体制を組んでいるというお返事だと思います。
しかし、在院日数の短縮化が進んでいる中では、主治医が夜勤明けであろうが状態の安定しない患者の診察を行ったり、治療状況の評価や薬剤などの治療内容の見直しをしたり、さらに指示を出したり、コメディカルからの相談も受けるなど、さまざまな内容に対応しなければなりません。通常業務がないからといって、何もないから帰宅できるというようにできないのが医者の状況だと思われます。
昨年、小児総合医療センターの是正勧告以降、医療センターでは宿日直に対して全額割り増し賃金を支払っているとのことでした。その際、宿日直を時間外労働として扱うようになり、医師の時間外労働は、最高で一カ月百十八時間に上ると答弁されていました。
小児総合医療センターの人件費は、来年度予算で幾らふえることになりますか。また、一カ月八十時間を超える時間外労働を行っている医師は、都立病院全体で何人いらっしゃいますか。そして、そのうち小児総合医療センターの医師は何人でしょうか。
○児玉経営企画部長 ご質問の人件費につきましては、時間外勤務手当でお答えさせていただきたいと考えておりますが、平成三十年度予算案におきましては、小児総合医療センターの時間外勤務手当は、これまでの実績を踏まえ前年度比で一千六百万円の増となっております。
平成三十年一月の超過勤務手当支給分に基づく集計では、八十時間を超える時間外労働を行っている医師は都立病院全体で十五人であり、このうち小児総合医療センターの医師は十人でございました。
○藤田委員 どの病院でも宿直として行っている夜間業務は、通常業務と変わらないような業務を行っているのが実態です。小児総合医療センターは是正勧告以降、宿日直を時間外労働として扱うようになったために、数字上でも一カ月八十時間を超えて時間外労働をしている医師が多くなっているのだと思われます。
現在の労働行政では、過労死ラインは一カ月に八十時間以上の残業とされています。これは健康障害の発症前、二カ月から六カ月間で平均八十時間を超える時間外労働をしている場合、健康障害と長時間労働の因果関係を認めやすいという目安から来るものです。
全国医師ユニオンの調査では、一カ月の時間外労働は救急科で九十四・四時間、産婦人科で八十二・七時間でした。医師が少ない中では、一直二勤務を実施していても、時間外労働として割り増し賃金を支払ったとしても、長時間労働になってしまうことは極めて当然のことです。厚生労働省が定める月四十五時間以内におさまるよう、必要な人員配置を行うよう求めます。
では、医師の必要人員はどのように決めればいいのでしょうか。適切な人員配置を行うためには、労働時間の適切な把握が前提となります。
昨年一月二十日、労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドラインが策定されました。病院経営本部においても、労働時間を適正に把握する責務があります。
現在、都立病院で働く職員の労働時間はどのように把握していますか。また、時間外労働が発生する場合の申請と職場長、例えば病棟であれば病棟の看護師長がその場に不在の場合、どう判断されているかについてお伺いします。
○児玉経営企画部長 職員の勤務時間の管理は、出勤時にはカードリーダーの操作により管理し、超過勤務につきましては、超過勤務等命令簿により、管理職による事前命令、事後確認を徹底することにより行っております。
しかしながら、患者の急変などで必ずしも事前命令ができない場合には、事後の報告を受けるなど、管理職が確認を行っております。
○藤田委員 出勤時にはカードリーダーの操作で確認し、勤務時間後の超過勤務については、超過勤務命令簿による自己申告制であるということでした。
二〇一六年一月以降、地域医療の中心となる三百五十病院のうち、少なくとも九十九病院が医師の違法残業などで労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、先月報道されました。
都立病院において、この五年間で労働時間の管理について勧告や指導を受けた内容はどのようなものでしょうか。その際、どういった対応を行い、再発防止のためにどう対策を検討していますか。
○児玉経営企画部長 平成二十五年度以降、労働基準監督署からは時間外労働に対する賃金の未払いについて、また、三六協定の特別条項では一月に三十時間を超えて勤務時間を延長できる回数は年六回までと定められておりますが、この回数を超えていることについての是正勧告を受けております。そのほか、超過勤務等命令簿と電子カルテ記録等の時間に相違があることや、労働時間の把握方法についての指導を受けております。
これらの勧告や指導に対しましては、労働基準監督署とも相談し、必要な助言をいただきながら、業務の工夫や体制整備の検討、労働時間把握の調査や超過勤務手当の支給などを行いました。
また、診療や看護の周辺業務を担う補助者の配置や非常勤医師の活用など、職員の負担軽減などにも努めております。
なお、来年度からは、退勤時のカードリーダー操作を行うよう準備を進めており、適正な勤務時間の管理に努めてまいります。
○藤田委員 時間外労働に対する賃金の未払いという是正勧告が出たのは、小児総合医療センター以外にどちらの病院でしょうか。超過勤務命令簿と電子カルテ記録等の時間の違い、つまり自己申告した時間と電子カルテで業務を終えた時間の乖離を指摘された病院はどちらですか。
○児玉経営企画部長 未払いについては神経病院でございます。特例協議につきましては広尾病院と大塚病院でございます。
○藤田委員 複数の都立病院で是正勧告や指導を受けているということは重大であり、重く受けとめるべきです。引き続き、労働時間の適切な把握を行うよう求めます。
超過勤務の自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものです。このため使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設けたり、上限を設ける申告を認めないなど、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこととガイドラインで定めています。
都立病院において超過勤務の自己申告が行いにくい実態がないか、確認していますか。確認している場合には、どのような方法をとって確認しているのですか。
○児玉経営企画部長 超過勤務につきましては、超過勤務等命令簿により、管理職による事前命令、事後確認を徹底することにより行っております。
また、労使合同の超勤パトロールを行い、超過勤務命令を受けないまま職員が職場にいる場合は帰宅を促す声かけをする一方で、業務と確認した場合には適切に命令を出すといった取り組みも行っております。
各病院には、管理職に加え監督職も対象とする労務管理研修の実施等を求めており、超過勤務の事前命令、事後確認の徹底や、必要な場合は勤務時間設定の見直しを図ることで適正な労務管理に努めているところでございます。
○藤田委員 お答えでは、適正な労務管理に努めているということでした。
二〇〇一年、当直中に脳出血を起こして亡くなった村上優子さんが働いていた国立循環器病センターでは、業務開始前の情報収集やシフト間の引き継ぎ、看護研究の準備や新人指導などを時間外として超過勤務扱いにしていませんでした。
過労死の裁判を通じて、病院側は十六時間の時間外労働であったと主張しましたが、実際には、メールの送信記録や電子カルテなどで調べてみると、五十時間から六十時間という時間外労働があったことが認定され、亡くなってから七年後に過労死の原因は労災であるということが認められました。
ガイドラインでは、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎とすること、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間のわかるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データでわかった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすることと定めています。
都立病院において、客観的な記録と労働者の自己申告により把握した労働時間との間に乖離がある場合、どのように実態調査を行っていますか。自己申告した時間外労働について職場長が査定していないかどうか、調査したことはありますか。
○児玉経営企画部長 退庁時間につきましては、例えば医師の場合、業務の特性上、診療と研究の側面が複雑に絡み合って区別が判然とせず、病院内にいた時間と勤務時間とを分けて記録することは非常に難しいといった実態がございます。
このため、超過勤務につきましては、超過勤務等命令簿により、管理職による事前命令、事後確認を徹底することとしております。
また、先ほども申しましたが、各病院には監督職も対象に加えた労務管理研修の実施等を求めており、超過勤務の事前命令、事後確認の徹底など、適正な労務管理に努めているところでございます。
○藤田委員 適正な労務管理に努めているといいますが、実際は、現状では退勤時にカードリーダーの操作をしていませんでした。そうであるならば、超過勤務の事前命令、事後確認は、それが実態と照らし合わせて適正なものであるのか否か、また、命令簿が出ていないのは、本当に時間外労働がなかったのかということを正確に管理することなどできていないということではないでしょうか。
労務管理をするということは、時間の管理だけでなく、職員の命と健康、生活を守ることでもある、管理者の重要な責務です。労基署の勧告や指導に対し、来年度から、退勤時にもカードリーダーを操作するとしています。これは重要な対策ですが、それと同時に違法な不払い残業が絶対に起きることがないよう、適正に管理することを求めます。
小池都知事は、今年度予算案について、人に着目した予算と強調しました。であるならば、都民の命を守る都立病院の労働者の労働を適正に評価した予算措置も重要ですし、労働実態に見合った人員配置にすることも重要です。
医療労働者がやりがいを持って人間らしく働き続けられる医療現場とするために、長時間労働と不払い残業の根絶を強く求めます。
次に、プランにある多摩総合医療センター、小児総合医療センターから公社病院への医師の派遣の実施、拡充の検討など、どのように進める予定でしょうか、教えてください。
○児玉経営企画部長 これまで地域の医療ニーズを踏まえ、リウマチ膠原病科につきましては、多摩総合医療センターから多摩北部医療センター及び多摩南部地域病院に、小児科につきましては、小児総合医療センターから多摩北部医療センターに医師を派遣してまいりました。
他の診療科につきましては、今後、検討いたします。
なお、重ね重ね大変申しわけありませんが、先ほどの答弁で、未払いの関係は神経病院のみと申しましたが、こちら神経病院及び大塚病院でございます。また、六カ月の特例協議につきましては、広尾病院及び小児総合医療センターでございます。申しわけございませんでした。
○藤田委員 今定例会にて、我が党の一般質問において、多摩地域での周産期医療資源の不足を指摘いたしました。また、清瀬小児病院廃止後は、多摩の北部の地域の小児整形外科も資源がなくなってしまい、小児総合医療センターのみとなりました。そのため、救急搬送やリハビリ通院の面でも大変不便になっています。
こうした状況の改善のためには、小児総合医療センターから多摩北部地域センターへの産科、産婦人科、新生児科、小児整形外科、小児外科などの医師の派遣が有効だと思います。実現を要望いたします。
ここでいう患者は子供です。心も体も成長過程にある子供の治療は、親とともにその病気と闘うことが重要です。親元から遠く離れた場所で一人きりで闘病する環境はとても心細く、本来の治癒力の発揮から見ても好ましい環境とは決していえないと思います。限られた人材をより多く育成できる対策を求めるものです。
また、こうした専門医の派遣を進めるためにも、産科、産婦人科、新生児科の医師を医師アカデミーで積極的に養成することが重要だと思いますが、いかがですか。
○児玉経営企画部長 東京医師アカデミーでは、産婦人科、新生児科、それから、小児整形外科や小児外科も含む小児科のコースを設置し、質の高い専門医を育成してまいりました。
○藤田委員 専門医の育成とともに、地域の医療ニーズに合った医療の提供が行われるよう、医師の配置や派遣を行うよう、これからも要望いたします。
次に、都立病院新改革実行プランにおいて、松沢病院では、精神疾患患者の行動制限を最小限にとどめるため、医師や看護師等、多職種の専門性を発揮し、患者の隔離や身体拘束について、事例検討会や代替手段の提案などの取り組みを推進しているとあります。
現在、松沢病院では、どのようにして隔離や身体拘束をなくす取り組みを行ってきたのでしょうか。
○谷田サービス推進部長 松沢病院では、精神保健福祉法に基づき、患者の安全と適切な医療の確保のため、身体拘束は自殺企図や自傷行為が切迫した場合など、必要最小限の範囲で行うことを原則としております。
拘束を行った患者についても、毎日実施する多職種のカンファレンスにおいて、その必要性について検証しているほか、行動制限最少化委員会において、病院全体の取り組み状況や個別事項を共有しております。
さらに、拘束を受けた患者さんに対してアンケート調査を実施しまして、患者の率直な意見を医療スタッフが把握することで、身体拘束の減少につなげる取り組みも行っております。
また、拘束を行わない患者さんに対しては、暴力防止の専門プログラムを活用しまして、患者の暴力の抑止や心理的ケアをきめ細かに行っているほか、一部の病棟において、職員をデイルームに配置し患者とともに過ごすことで、転倒や患者同士の争いを予防しております。
○藤田委員 身体拘束を行わない方針は大変重要です。急性期病院で拘束を解除しながら医療ケア、看護ケアを行うことの大変さを痛感している私にとっては、その内容についてとても興味深いものだと思っています。
さらに、そのためには、さまざまな職種の体制とゆとりある環境、労働者にとってもゆとりを持って接することができる環境が必要です。
病院経営本部といたしましても、この取り組みを評価することで、さらに人的にも物的にも、その支援を行うよう要望いたします。
次に、特定行為についてお聞きします。
都立病院新改革実行プランには、認定看護師、専門看護師、専門性を生かせるよう特定行為の実施を検討とありますが、これはどのような背景から来たものでしょうか。
○児玉経営企画部長 特定行為は、看護職員の専門性をさらに発揮することによる質の高い医療の提供や、キャリアアップによるやりがいにもつながる可能性もあることから、今後、都立病院での実施について検討することとしたものでございます。
今後、医療安全への配慮や医師との共同の仕組みなどについて具体的に検討してまいります。
○藤田委員 特定行為とは、今まで医師にしかできなかった医療行為を、研修を受けた看護師が、医師のかわりに行うことができるようにするものです。
在宅医療など、すぐに医師が訪問できないような環境において検討が進められてきた経緯がありますが、病棟でも胸腔にたまった水、胸水を抜くために入れられている管を抜く行為とか、人工呼吸器の細かな設計を変更する行為など、非常に高度な判断力と技術が求められる内容になっています。医師が足りないためにタスクシフトさせるという意図もあります。
厚労省の設置する新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書では、医師の勤務負担の軽減として、チーム医療の中にこの特定行為が位置づけられています。看護師も不足している中でのタスクシフトであるため、この対応として、今度は看護業務を介護士にシフトすることも求めています。
既に介護士については、気管切開している方の吸引や、鼻からチューブを入れて栄養をとっている方の栄養剤の投与が解禁されています。
しかし、その中で、一つ事故などの問題が起きたときに、誰が責任をとるのかということが十分検討されていないという問題がありました。最近では、看護協会のチラシと一緒に、看護師保険というもののパンフレットが送られてきています。特定行為は労働者のリスクを伴うから、事故に対する保険に入ることをお勧めするということなんです。
本来の資格でしか行えなかった行為をタスクシフトするということは、労働者にとっても患者にとっても、何かあったときには非常に不利益です。そして、医学的判断を伴う特定行為にかける時間が多くなることで、患者の療養の世話という看護師本来のやりがいある業務にかける時間が削られることにつながるのです。
キャリアアップという観点と同時に、医師が少ないために特定行為の実施を検討しているのかもしれませんが、そうであるのならば、まず、人手不足の解消に、より一層力を入れる政策を進めるよう求めておきます。
最後に、医業収支比率の目標についてお聞きします。
収支比率は年々上がっていく見通しとなっていますが、この数字の根拠は何でしょうか。
○児玉経営企画部長 収支計画の策定に当たりましては、平成三十年度予算を基礎として、診療報酬改定や給与改定、物価上昇による影響は見込んでおらず、今後の状況に応じて見直すことを前提としております。
医業収支比率につきましては、計画期間中の各病院における経営力向上に向けた取り組みや、過去の入院、外来収益の伸びなどを踏まえ見込んだものでございます。
具体的には、患者支援センターの機能充実による転退院支援の強化や、DPC分析を活用したクリニカルパスの見直し等による収益増及び共同購入の拡充や、後発医薬品の使用促進等による費用削減の取り組みなどが挙げられます。
○藤田委員 医療現場での収支改善のためには、働く人が何よりも重要な役割を担っています。この実行プラン二〇一八では、給与費比率について、二〇一八年度は五四・五%、二〇一九年度は五四・三%、二〇二〇年度には五四・八%という目標を設定していますが、この目標の根拠は何ですか。
○児玉経営企画部長 平成二十八年度決算における給与費比率は五六・六%でありました。収支計画における給与費比率につきましては、各病院における収益増に向けた取り組みによる医業収益の増加を見込み、現状よりも改善する目標設定をしております。
○藤田委員 現状よりも改善する目標設定というお話でしたが、実際には、医業収支が上がらなければ、この給与費比率も下がらないということになります。給与費比率を下げる見通しは、医業収益増にかかっているということです。
先ほどもお話ししましたように、医療現場での収支改善のためには、働く人が何よりも重要な役割を担っています。
例えば、病棟では入院基本料の高い時期、短期間での入退院をふやすことが求められています。そして、その中では診断、治療方針の確定と同時に、この方の退院に向けた方向性も見きわめなければなりません。ご本人やご家族に治療方針を説明し、同意を得て実施する、それと並行して退院についても見通しをつけていきます。
介護が必要になったり、認知症などで治療そのものに倫理的な問題があったりする場合には、多職種での検討が必要になります。もちろん、無理に退院させるということはあってはなりませんので、丁寧に丁寧を重ねた上で対応が求められます。
さらに、そもそも都立病院は、民間では行うことが難しい医療を担うのですから、収益にプラスにならなくても、都民が必要とする医療は提供するという姿勢も不可欠です。
しかし、そこで働くスタッフの給与は、稼げなければ減ってしまうという仕組みになってしまうのが、この給与費比率の目標化です。収益増で目標を達成するという考えかもしれませんが、このような目標設定をしてしまえば、やはり人件費を抑える方向になってしまうのではないかと思います。
命を守る医療従事者の奮闘を評価するのではなく、仮に、これからの診療報酬改定などで医業収支比率が下がった場合には、人件費を削って経営を維持するということになりかねず、到底認めるものではありません。
今でも、都立病院の医師の給与は、ほかの道府県と比べて低いのです。医療現場で働く人たちの生活と健康が守られ、医療活動が適正に評価されることで、やりがいを持って働くことができるのです。
さらに、風通しよく多職種で連携することで、患者に対してさらによい医療の提供ができるようになります。
都立病院において、医業収支比率の目標を設定することは、そもそもふさわしいとは思えません。同様に、給与費比率の目標を含めるという考え方を見直すことを強く求めます。
最後に、都民にとって最後のとりでである都立病院が、これから先もずっと、誰もが安心してよい医療を受けることができる病院であり続けられるよう、一般会計からの繰り入れでしっかり支え、都立病院は直営を堅持すること、そして、適切な労働時間の管理と長時間労働をなくしても、交代制勤務が可能となる人員配置を行うこと、重ねて要望いたしまして、私からの質問を終わります。
○つじの委員 昨年十一月、都民ファーストの会、厚生委員会のメンバーで、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、神経病院の視察をさせていただきました。都立病院の実際の現場を知ることができたことは大変勉強になり、対応いただいた職員の方々初め、関係者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。今後も、都立病院の現場の意見と空気を都政に生かしてまいりたいと存じます。
さて、仮称ですけれども、都立病院新改革実行プラン二〇一八においては、少子高齢化の急速な進行に伴う医療環境の大きな変化に対応していくため、今後の都立病院の果たすべき役割や持続可能な病院運営の実現に向け、新たな改革を示す中期計画とあります。
また、これまでの都立病院改革マスタープランに基づき、主な取り組みとして、東京ERの設置、東京医師アカデミー開講、患者支援センターの設置、都立病院の再編整備などとあります。
このたび、私としましては、まずは都立病院の果たすべき役割、都民に対する使命、具体的には、主に行政的医療について、都立病院の収支の現状と持続可能な病院経営のあり方について、都民ファーストの視点、観点から、立場から質疑させていただきたいと思います。
まず、平成十三年のマスタープラン策定時、都立病院の自己収支比率は約七〇%でございました。総務省、地方公営企業決算の資料によれば、東京都の病院会計においては、平成二十一年度において、自己収支比率が六七%、一般会計繰入金が四百六十億円余りとなっており、この十年で突出しております。
さきの予算特別委員会で、我が会派の代表質問においても、平成二十一年度に一般会計繰入金が過去十年で最大となり、病院の移転、開設などが影響したとの答弁がございました。
さて、平成二十一年度の収支状況について、改めて分析結果を説明していただきたいと存じます。
○児玉経営企画部長 平成二十一年度において収支が悪化した主な要因につきましては、多摩総合医療センター、小児総合医療センターの開設に当たり、移転時の患者の安全確保のため段階的に診療規模を縮小したほか、駒込病院の改修工事に伴い、一部の病棟を閉鎖したことなどにより患者数が減少したため、収益が減少したことが挙げられます。
加えまして、多摩総合医療センター、小児総合医療センターの開設に伴う移転経費や、初度備品の整備など費用の増加もあり、自己収支比率が悪化したものでございます。
○つじの委員 ただいまの答弁で、平成二十一年度の自己収支比率が低い理由はよく理解できました。
その後、収支改善を図り、平成二十六年度以降、自己収支比率は七五%前後に改善したとあります。
この間、平成二十六年四月には消費税率の引き上げがございました。医療機関の場合、売り上げの大部分を占める診療報酬は非課税であります。一方で、診察に必要な医療機器や医薬品などの購入には消費税を支払っております。消費税増税に伴うコスト増加分は、診療報酬増で補填されているとはいわれるものの、その全てが診療報酬増により相殺されているわけではございません。このため、都立病院の経営にも、平成二十六年の消費税増税時、大きな影響があったと考えられます。
我が国の経済状況がこのまま特段の変化がない限り、政府は来年に消費税を八%から一〇%に引き上げることを明言しております。今春の診療報酬改定で本体部分がプラス〇・五五%との報道もありますが、消費税の上乗せ分に診療報酬増加の伸びが届いていない現状があると思います。
こうした状況の中で、都立病院では経営力強化にどのように取り組んできたのか、また、今後の消費税増税にどのように対応していくのかをお伺いしたいと思います。
○児玉経営企画部長 経営力強化の取り組みとしましては、これまで収益確保につきましては、病棟の看護体制を強化し、上位の入院基本料を届け出るなど、新たな施設基準の取得や加算の算定、入院期間の適正化等による入院収益増の取り組みなどを進めてきました。
また、費用節減につきましては、医薬品等の共同購入の実施や後発医薬品への切りかえ、発注者の施設に対し事業者が省エネルギー改修等を行い、光熱水費の縮減を実現かつ保証するという事業であるESCO事業、こういったことを実施いたしました。
さらに、企業債発行の抑制による後年度利息の圧縮などにも取り組んでまいりました。
今後予定されている消費税率の引き上げに対しましては、こうした取り組みを一層推進し、費用の節減に努めてまいります。
○つじの委員 来るべく消費税増税について、病院経営本部がしかるべき対策を練り、対応していることがよく理解できました。引き続きの経営努力を期待したいと思います。
さて、公共の福祉の一環である医療サービスの提供、とりわけ都立病院の果たす役割を考慮すると、都立病院経営は利潤のみを追求するものではないということは明白なことでございます。
しかしながら、経営の基本として、収入が支出を上回ることができて初めて、その経営の持続性が担保されることも明白であると考えます。
都独自の病院経営を取り巻く厳しい環境の要因として、全国一律の診療報酬に対して、東京の物価、地価、人件費が地方に比較して突出している現状は、都も把握されているというふうに存じております。
支出を削るばかりではなく、東京都としては、厳しい東京都特有の経営環境の中にあって収入をふやすために、国に対して診療報酬の増額を求めるなどの行動はないのか伺いたいと思います。
○児玉経営企画部長 都が毎年、各省庁に対して行っている国の施策及び予算に対する東京都の提案要求の中で、厚生労働省への要求といたしまして、大都市の地域特性に配慮した診療報酬制度の改善や、医師の負担軽減のための診療報酬の一層の充実等を求めております。
そのほか、診療報酬改定や消費税増税に伴い生じる医療機関に対する不利益の改善に関しましては、都立病院を初め全国の公立病院が加盟する全国自治体病院協議会などの団体からも、厚生労働省に対し要望を行っているところでございます。
引き続き、必要な要望や提案を行ってまいります。
○つじの委員 東京都としましては、都立病院の経営に関して多くの努力をしていることが理解できました。その努力の結果、近年、都立病院の運営状況に関して、自己収支比率は横ばい、一般会計繰入金は約四百億円で推移しているという結果になっております。
さて、都立病院の今後果たすべき役割の一つに、行政的医療の安定的かつ継続的な提供とあります。行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関などとの適切な役割分担と密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることが基本的役割ともあります。
行政的医療の具体的な内容については、先日の資料の中にも、法令等に基づき対応が求められる医療、社会的要請から特に対策を講じなければならない医療、新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療とあります。
行政的医療を必要とされる患者さんの立場になれば、どの分野の、どの領域にわたる医療についても必要なものであり、公の医療機関の手厚い十分な医療提供を期待する気持ちになられるのは当然のことであり、また、その気持ち、期待に応えていくのも都立病院の重要な責務であることは論をまちません。
しかしながら、あえて都立病院の持続的な健全な病院経営の視点から、また、納税者である都民の視点から、病院経営本部の都立病院の運営方針をいま一度確認させていただきたいと思います。
都民の支払う血税である一般会計繰入金の対象となる医療の範囲について、この十年間の変容をお伺いします。
○児玉経営企画部長 一般会計繰入金の対象となる医療の範囲につきましては、これまで医療環境の変化等に応じて見直しを行ってきたところでございます。
この十年間においては、例えばがん医療では、がん医療を行っている全ての病院を繰り入れ対象としておりましたが、がん診療連携拠点病院の指定を受けている病院だけに限定いたしました。
また、リハビリテーション医療では、都内における回復期リハビリテーション病床の増加に伴い、行政的医療から除外したことにより、繰り入れ対象医療からも外したことなどが挙げられます。
○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
次に、繰入金の算定方式について、具体的にどのような算定をしているのかお伺いいたします。
○児玉経営企画部長 都立病院における一般会計繰入金は、地方公営企業法などに基づき一定のルールを定め算定を行っております。
算定方法は、救急医療や感染症医療、周産期医療などの対象医療ごとに給与費や材料費といった関係経費から、入院収益、外来収益等の関係収入を差し引く方法などにより行っております。
○つじの委員 詳細な説明をありがとうございます。
それでは、そのように定められた繰入金の総額、あるいは収入における割合の是非について、東京都としてはどのように評価されているのかお伺いしたいと思います。
○児玉経営企画部長 一般会計繰入金は、都立病院の基本的役割である行政的医療を提供するための不可欠な経費として、法令等一定のルールに基づき、行政が負担すべきものとして繰り入れを受けているものでございます。
一般会計繰入金の総額、あるいは収入における割合の是非に関しましては、診療報酬改定や物価上昇、あるいは委員ご指摘の消費税など、さまざまな影響により収支状況が変動するため一概には申せませんが、ルールに基づいて適切に算定されているものであると認識しております。
都民の税金が投入される一般会計繰入金につきましては、医療環境の変化に応じて不断の見直しを行うとともに、効率的な病院運営に向けて、引き続き経営改善に努めてまいります。
○つじの委員 繰入金に関して詳細な説明いただきありがとうございます。東京都としては当然のことですが、適正に判断し、現状に至る過程があることをよく理解できました。
さて、私自身も東京都内でクリニックを運営しておりまして、現場の感覚から意見を述べますと、昨今の都民の皆様の生活様式や考え方の多様性に伴い、医療に関する期待や要望が高度かつ繊細になっているとの印象がございます。
今後、ますます多様な要求と期待を持つ多くの都民の皆様の健康や命にかかわる責任を都立病院は担うことになります。
一方、都立病院が持続的に健全に運営されるためには、病院の収入が支出を上回らないといけません。都立病院に充てられる一般会計繰入金については、都民の皆様の強い関心があるところだというふうに私は認識しております。
厳しい医療状況の中で、都立病院が都民の皆様の期待に応えられますよう、今後も病院経営本部の皆様に努力していただき、また、都立病院の現場の医療従事者、職員の皆様が気持ちよく都民の皆様のために働ける環境をつくっていただけることを、一医師である私自身も期待しまして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○高橋委員 それでは、私の方からは、多摩メディカルキャンパスについて質問をいたします。
今回、今後の都立病院の新たな改革を示す中期計画となる平成三十年度から平成三十五年度までの六年間の、仮称でございますが、都立病院新改革実行プラン二〇一八の素案がパブリックコメントに付されております。
その素案のサブタイトルに、東京の医療を支え、誰もが地域で生き生きと暮らせるためにと記載されております。これからの都立病院は、これまで以上に地域との連携を重視していくというスタンスが示されております。
この地域との連携がこれまで以上に求められている背景には、二〇二五年には団塊の世代が七十五歳、後期高齢者となります。二〇二五年問題と呼ばれるように、高齢化の進展が見込まれる中で、国の医療と介護の一体的な改革の流れを受けて、今までの病院完結型中心医療から、地域完結型中心医療への転換がなされようとしていることが挙げられます。
多摩地域の状況を見ますと、区部と比べても医療資源が少なく、大学病院等の高度な医療を提供できる医療機関が余りない中で、多摩地域の医療提供体制において、多摩メディカルキャンパスの果たす役割は、今後ますます重要となってまいります。
そこで、多摩総合医療センターは、多摩地域の中核病院としてどのような役割を果たしていくことになるのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩総合医療センターは、多摩地域における中核病院として、救急医療、がん医療、周産期医療、精神科救急医療等の行政的医療を安定的かつ継続的に提供するとともに、高水準な総合診療基盤に支えられた質の高い医療を提供しております。
次期プランでは、各都立病院の今後果たすべき役割について、地域特性や医療機能に応じて類型化をしております。
多摩総合医療センターは、広域基幹型の都立病院として、高度急性期医療を中心に、仮称でございますけれども、外来がん検査・治療センターの整備等による、がん診療体制の強化や重症合併症を持つ救急患者受け入れ体制の強化に取り組んでまいります。
また、地域医療機関との機能分担と連携を図りながら、病院完結型の医療から地域完結型の医療体制を目指し、多摩地域の広域的な医療連携体制の構築に取り組んでまいります。
○高橋委員 ただいま多摩総合医療センターは、広域基幹型の都立病院として患者受け入れ体制の強化、また、地域完結型の医療体制を目指し、広域的な医療連携体制の構築にしっかり取り組んでいくという力強い答弁がありました。
多摩地域の二〇二五年における六十五歳以上の高齢者人口の推計は、多摩地域においては二六・九%でありますが、区部の二四・四%に比べて高く、それ以降も多摩地域の高齢化は区部よりも急速に進むと見込まれております。
高齢化の進行に伴い、血管系疾患の増加が見込まれるなど、重症、重篤な患者への対応が必要であるとともに、高度な医療を提供できる医療機関が少ない中で、高度で負担が少ない手術や治療が必要になると思います。
多摩総合医療センターにおいて、今後、ハイブリッド手術室を導入しようとしていますが、どのような患者を対象に、どのような治療を行うのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ただいま高橋委員の方からお話ありましたけれども、血管系疾患である心疾患と脳血管疾患の死亡原因は、東京都及び全国ともそれぞれ第二位、第四位となっております。高齢化の進行も伴い、低侵襲な血管内治療の需要が高まっております。
ハイブリッド手術室では、血管内治療が可能な機能と手術室に必要な設備とを一体的に組み合わせ、内科的治療と外科的手術を同じ場所で行うことが可能となります。
例えばでございますが、大動脈弁狭窄症という心臓の病気に対して、大きく開胸せずにカテーテルと呼ばれる医療用の管を用いて人工弁等を置きかえる治療法が提供できるようになります。従来の開胸手術と比較しまして、術後の回復も早く、入院期間が短くて済むということになります。
このほか、多摩総合医療センターでは、脳神経外科等の多くの診療科で適用となる手術の実施を見込んでおり、今後ハイブリッド手術の導入により、患者に対しまして、より安全で精度の高い手術を提供してまいります。
○高橋委員 キャンパス内にあります多摩総合医療センターは、地域医療支援病院にも認定をされておりますが、次期プランにおいては、各都立病院は地域医療連携のモデルとなる先導的な取り組みを推進していくこととされております。
多摩総合医療センターにおいては、どのように地域医療連携推進のためのモデルを構築しようとしているのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 次期プランにおいて、多摩総合医療センターは、多摩地域の医療拠点として、地域の医療機関等との連携や、人材育成面において広域的な医療連携ネットワークモデルを構築し、多摩地域の医療水準の向上に寄与していくこととしております。
具体的には、多摩総合医療センターが中心となり、地域医療機関等との間で地域カンファレンスを、これも仮称でございますけれども、新たに開催し、各医療機関の強み等の情報交換や公開症例検討会、講習会、勉強会等を充実させていきます。
また、連携医診療枠の拡大や連携医ホットラインの活用により、地域医療機関からの受け入れ体制の拡充や急性期を脱した患者の円滑な地域移行のため、民間救急車による搬送体制の強化を図ってまいります。
さらに、多摩地域の公立病院等との間で総合臨床研修による臨床研修医の育成や医師派遣等の推進、地域医療機関の看護師等の院内研修への積極的な受け入れなど、地域で活躍する医療人材の育成に努めてまいります。
○高橋委員 多摩地域は大変広域でありますが、多摩メディカルキャンパスが多摩地域の医療拠点としての機能を果たし、地域との連携ネットワークの構築によりまして、多摩地域の医療に貢献していく取り組みが推進されることになれば、住民にとっては、地域での安心した生活を送ることができるわけであります。
さて、私は昨年、四定の厚生委員会では、多摩メディカル・キャンパス整備基本構想案に関連しての質疑を行いました。質疑の際には、キャンパス整備を具体的に進めていくためには、難病等の医療機能の充実や地域医療の拠点として、総合的な患者支援体制を構築していくとともに、多摩地域の住民が利用しやすい環境整備にも努めていくとの答弁がありました。
基本構想は昨年十一月に素案を公表後、ことし一月に確定し、いよいよ基本構想から基本計画への具体的な検討に入ったとお聞きしております。
基本計画では、具体的にどのような整備内容を策定していくのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 キャンパス整備の手順といたしましては、多摩総合及び小児総合の両センターが所在しております西側エリアにある保育棟や立体駐車場を新たに整備し、東京都がん検診センターのある東側エリアに神経病院を改築して整備する、仮称でございますけれども、難病医療センター等を段階的に整備していきます。
さらに、誰もが利用しやすい環境づくりというコンセプトのもと、利用者の安全と利便性に配慮するとともに、国分寺崖線等、周辺の自然景観と環境に配慮した整備内容を基本計画に盛り込んでいきます。
これらの整備方針に加え、難病医療センター等の各部門配置やバスロータリー等の構内環境整備に関する施設配置につきまして、現在、具体的な検討を進めており、基本計画を来年度中に策定していく考えでございます。
○高橋委員 キャンパス構内施設配置など、基本計画を来年度中に策定していくとのことでございます。よろしくお願いしたいと思います。
多摩地域は広範囲にわたっておりますが、多摩地区南北の交通環境が十分といえる状況ではなく、多摩メディカルキャンパスへはマイカーやバス等、自動車を使ったアクセスが主な手段となっております。
基本計画をこれから作成するに当たって、多摩メディカルキャンパス内における交通環境の整備についてはどのように検討を進めていくのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカルキャンパスの交通環境の状況は、自家用車、タクシー、多方面からのバスを使ったラインが多く、これに加えまして、年間約一万二千件の救急車両による患者搬送も受け入れております。このため、交通量が大変多くなっている状況にございます。
今年度実施した交通量調査によりますと、駐車場の利用台数は一日当たり二千台を超えている状況があります。これまでも駐車場の出入り口の変更、車路の拡幅等の改善を実施してきましたが、依然として、午前中や雨天時においては交通渋滞が発生しております。
また、今後のキャンパス整備におきまして、工事車両も含めて、交通量の一層の増加が見込まれております。
このため、キャンパス内の交通環境改善に向けて、新たな立体駐車場の整備により、患者用駐車場を約三割増設することとしております。
また、バス停の移設によるロータリーの整備、構内道路の整備等の改善策を検討しております。
○高橋委員 私は時々、羽田空港の駐車場を利用することがありますが、複数の大規模な立体駐車場のエリアごとの空き状況が一目でわかる案内やスマートフォンでもリアルタイムで駐車場情報がわかるなど、利用者がスムーズに駐車できるようになっております。
交通環境の整備については、IoT、ICT等の最新技術を活用したシステムの導入も大変有効であると思いますが、いかがでしょうか、お聞きいたします。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 キャンパス内の交通環境整備については、駐車場スペースの確保に加えまして、複数ある駐車場の中から適切に駐車場所を選択できるよう、駐車場を効率的に運用するためのソフト面での施策が必要であります。
具体的には、IoTを活用して、区画ごとの利用状況が把握でき、リアルタイムで案内版に表示し、駐車場へ円滑に誘導するシステム等を導入していきます。
また、駐車場から病院まで車と交差することなく、安全な歩行動線を確保できる場所へ障害者用平置き駐車場を設置するなど、誰もが利用しやすい利便性の高い駐車場としていきます。
○高橋委員 リアルタイムで駐車場から病院まで、車と交錯することなく、安全な歩行動線を確保できる場所へ身障者用平置き駐車場を設置するなど、誰もが利用しやすく、利便性の高い駐車場としていくとのことでございます。大変期待しております。
IoTやAI技術の進展によりまして、交通環境システムも大幅に進歩していくことが予想されます。
キャンパス整備に当たっては、ぜひ最新の技術も取り入れながら、交通渋滞を解消し、スムーズにアクセスできる交通環境を実現してもらいたいと思います。
私は、多摩地域の議員として、多摩地域の医療提供体制の充実に向けて取り組むことが、果たすべき使命であると認識しております。
多摩メディカルキャンパスが地域医療の拠点としての役割を強化していくためには、医療機能の充実と地域連携モデルの構築とともに、交通環境の改善により、誰もが利用しやすいキャンパス環境の整備も必要であると思います。
ぜひ、このような視点も大事にして、今後のキャンパス整備基本計画の策定に取り組んでいってもらいたいと思います。
以上、要望いたしまして、質問を終わります。
○和泉委員 それでは、都立病院経営委員会の報告と、それから都立病院新改革実行プラン素案について伺います。
まず初めに、実行プラン素案に記載のある、都立病院が長年培ってきた信頼感や安心感とは、具体的にはどのようなものだと考えているでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院は、公立病院として、これまで培ってきた高い技術や良質な医療人材を活用し、民間の医療機関では対応が困難な高度な医療や採算の確保が難しい医療などを提供しております。
こうした役割を長年にわたり果たし、都民の安全・安心を支え続けてきたことが醸成されてきて、都民からの信頼感、安心感であると認識しております。
○和泉委員 私も都立病院が都民の安全・安心を守っている、その自覚と誇りに支えられて、これからも都民の信頼に応えること、応えられる環境を守ることが大変重要だと思います。
その立場で質問します。
実行プランには、患者申し出療養についての記載があります。患者からの申し出により、混合診療を行うものですけれども、安全性などの面で懸念があります。
現時点で実施を予定しているものはあるでしょうか。
○谷田サービス推進部長 現時点で実施を予定しているものはございません。
○和泉委員 この制度に対しては安全性が危惧される、お金のあるなしで受けられる医療に差ができかねないという懸念があり、制度創設に対しては、難病患者団体などから厳しい反対の声が上がりました。
ただいま、現状としては、現時点で実施を予定しているものはないと答弁されました。そうであれば、わざわざプランに書く必要はないんじゃないでしょうか。
患者申し出療養制度には反対だということを申し上げておきます。
続いて、都立病院の病床規模についてですが、実行プランの一六ページで、経営環境の厳しさを強調した上で、適切な病床規模への見直しなどが求められるとしています。
しかし、都立病院の病床規模は経営環境ではなく、あくまで都民の必要としている医療に基づいて決めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 次期プランにおきましては、各病院が担う役割や特性、地域の医療提供体制の状況等を踏まえ、将来の医療ニーズに対応し、かつ持続可能な病院運営の実現に向けた適正な規模を検討することとしております。
○和泉委員 確かにほかのページにはそのような記載もあるんですけど、この一六ページの記述を見れば、経営優先で病床の削減が行われるんじゃないかと危惧を抱かざるを得ません。広尾病院では、病床を減らす方針が出されてしまっています。都民の医療ニーズを考えるなら、都立病院の病床規模はふやすことはあっても、減らすことはあってはならないと思います。このページの記述は修正が必要ではないかということを申し上げておきます。
この都立病院新改革実行プラン素案の策定に当たって、都立病院経営委員会から今後の都立病院のあり方についてという報告が出されています。
その第4章、都立病院の経営のあり方の3、今後の都立病院にふさわしい経営形態、ここには他の自治体病院の経営形態の見直しの動向について情報収集を行ってきたとあります。
どのくらいの病院の、どのような情報を収集したんでしょうか、伺います。
○末村計画調整担当部長 自治体病院の経営形態の見直しにつきましては、平成二十七年度までの六年間で、例えば都立病院と同じ地方公営企業法一部適用は百六十九病院減少しており、こうした見直しの動向につきまして、情報収集を行ってまいりました。
○和泉委員 病院数の増減は、総務省の資料などでわかると思うんですけれども、都立病院のあり方を考えるのであれば、単なる数ではなく、住民にとってどのような影響があるのか、これを考える必要があります。
報告には、地方独立行政法人に移行した病院における効果、留意点も明らかになってきている、そう記載されています。
明らかになった留意点とはどのようなものでしょうか。
○末村計画調整担当部長 総務省における調査研究会におきましては、経営形態の見直しに当たっては、政策医療などを行う公立病院としての役割を果たす必要性等を勘案する必要があるなどの指摘がなされたところでございます。
○和泉委員 地方独立行政法人制度というのは、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業で、民間の主体に委ねた場合には、必ずしも実施されないおそれがあるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的とした制度となっています。
しかし、行政的医療である不採算医療について、外来が閉鎖されたり、あるいは病床が削減されたりといったことも起こっています。
公立病院としての役割を果たす必要性というのは、まさに都立病院の存在意義にかかわることです。そして、それが、とりわけはっきりあらわれるのが不採算医療の分野です。
国立病院は独法後、静岡の富士病院、南横浜病院、北海道の八雲病院などの廃止が決められ、徳島では再編統合の方向性が出ています。宮城の県立循環器・呼吸器病センターも閉鎖されることが決まりました。また、結核病床の縮小が進んだり、差額ベッドがどんどんふえています。
大阪母子医療センターでは、一台二百五十万から三百万円の新生児の保育器を購入するその資金調達に苦労して、クラウドファンディングで集めるということを発表して、インターネット上でも波紋が広がっています。
独法化には、そのようなリスクがあるということです。実行プラン案では、地域医療機関への指導医等の医師派遣、地域の医療ニーズを踏まえた地域医療機関等への職員派遣を検討することとなっています。
これはどのように進めるのでしょうか。また、先ほど公社病院はありましたけれども、多摩の公立病院への医師派遣等の実施はどのように進めるのでしょうか、伺います。
○児玉経営企画部長 次期プランにおきましては、都立病院の指導医や看護職員等を地域医療機関などに派遣し、専門的な知識や技術を生かして、地域の医療人材の育成を支援することとしております。
また、多摩地域の公立病院につきましても、同様に指導医等を地域医療機関に派遣し、診療を通じた専門的な助言等を行うこととしております。具体的には、今後検討してまいります。
○和泉委員 経営委員会の報告では、都立病院の運営に対する制約事例として、地方公務員法で兼業が原則として禁止されていて、多様な事業主体との連携上、十分な対応が図りにくいという指摘がありました。けれども、今のご答弁は多様な事業主体との連携も図れるように努力をしていきたいという趣旨のあらわれだというふうに思います。
今回の実行プランで、都立病院改革に地域医療を支える役割が位置づけられていることも重要だと思います。
そもそも都立病院に対し、もっと地域医療に貢献してほしいという声が出るような状況になっているのはなぜなのでしょうか。
平成十三年、都立病院マスタープラン策定時には、地域医療を支える役割、これはどのように位置づけられていたのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院改革マスタープランでは、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関との密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることを都立病院の基本的役割としておりました。
こうした中、地域医療については、実態として行政的医療の提供という役割を果たす中で、地域医療機関と連携し、総合診療基盤を身近な地域における医療提供体制にも活用してきたということでございます。
○和泉委員 実態としてというお話でしたから、決して地域医療を都立病院の役割としていたわけではないということだと思います。
こうした考え方に立って、都立病院の政策が進められてきたことの転換こそ求められているのではないでしょうか。
今回のプラン案では、松沢病院でのオープンシステムの実施について書かれていましたが、このオープンシステムも以前は難しいということもいわれていましたが、正式な方針案に載るようになったわけです。制度的制約のせいにするべきではないと思います。
そして、都が直接責任を持つ直営であってこそ、地域に貢献するという姿勢も明確にできると思います。今後、一層の地域医療への貢献を進めることを求めておきます。
実行プランでは、職種に応じた多様な採用方法を取り入れている、適時適切な人材の確保に努めてきたとあります。
経営委員会報告が指摘する医療ニーズの診療報酬改定などに即応した人材の確保、ここにどのような効果があると考えているでしょうか。
○児玉経営企画部長 都立病院の看護師や一部のコメディカル職員の採用につきましては、職種の実情に応じて、病院経営本部が人事委員会からの委任を受けて採用選考を実施しております。
委任による選考におきましても、職員定数の管理等の制約があり、また、先行実施や配置に至るまでに一定の時間や手続を要します。
しかしながら、年度途中での選考や複数回の選考を実施できるなどのメリットはございます。
なお、どちらの選考におきましても、例えば年度途中に欠員が生じ、早急に人材確保が必要な場合、あるいは診療報酬改定に即応した人材確保を行うことは、やはり困難であり、病院現場の運営における課題となっております。
○和泉委員 一定の課題はあるものの、これもやはり年度途中の選考や複数回実施できるようになっているとのことです。
病院経営を支える事務職員の確保、育成も戦略5の中で位置づけられ、中長期的に医事職員としてのキャリアアップができるようなプランを策定するとなっています。また、キャリア活用選考の活用や診療情報管理士の資格取得支援を推進するということも明記をされています。
それだけに、各地で今、さまざまなリスクが顕在化してきている病院の独法化は決して進めるべきではないと思います。
公社病院における診療報酬請求業務の直営化の進捗状況とその成果について伺います。
○末村計画調整担当部長 公社豊島病院におきましては、診療報酬請求業務の一部直営化を試行してまいりました。
公社では、都立病院と異なりまして、病院業務に特化した固有職員の確保、育成を図ることが可能であることから、診療報酬請求業務のノウハウの蓄積が図られ、事務の精度向上につながっております。
○和泉委員 直営で行った方がよい仕事ができるという実例の一つになると思います。
公社では、固有職員の確保、育成が可能とのことですけれども、都立でもさまざまな工夫は可能なはずですし、かつて直営で診療報酬請求を行っていた時期に、経験を積んだ職員が大きな役割を果たしているということも聞いています。直営でやれば、医療現場との連絡もしやすくなります。
残念ながら、今回の資料にあるように、委託になってしまっていますけれども、都立でも直営化を検討することを求めておきます。
また、きょういただいた資料の二二ページにもあるように、東京都の公営企業病院に対する人口一人当たりの会計繰入金、これは決して、全国と比較しても高いものではありません。むしろ低い方です。
また、二〇一二年に都立病院を利用している方たちに対して行ったアンケートでも、今以上に積極的に財政を投入するべきだという方は三割を超え、現状を維持する、あるいは何らかの財政投入が必要だという人を全部合わせると九八%にも上っています。
冒頭の答弁にあった都立病院の信頼感や安心感というのは、直営病院として都民の求める医療を支えてきたからこそという面もあると思います。
直営を堅持し、都立病院を充実発展させていくことを求めて、質疑を終わります。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時五十六分休憩
午後四時二十分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
この際、内藤病院経営本部長から発言の申し出がありますので、これを許します。
○内藤病院経営本部長 貴重な質疑のお時間を頂戴し、申しわけございません。
本日、冒頭ご説明いたしました委員会要求資料、三三ページでございますが、8、都立病院における専門看護師及び認定看護師の人数及び分野の内訳(平成三十年三月一日現在)に誤りがございました。
ただいま、机上に配布しております資料が訂正版になります。
大変失礼いたしました。おわびして訂正させていただきますとともに、こうしたことが二度と起きぬよう、本部職員一同、緊張感を持って、改めて臨ませていただきます。
大変失礼いたしました。
○伊藤委員長 発言は終わりました。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○龍円委員 都立病院新改革実行プラン二〇一八の中で最も印象に残ったのは、都立病院の役割として、病院完結型から地域完結型医療への転換をうたったことでありました。
私の地元の渋谷区の医師の皆様からも、都立病院の医師や看護師にもっと地域に出てきてほしいという要望の声をいただいておりましたので、これは大変画期的なことだと感じています。
都立病院の医師が地域に出ていく意義というのはいろいろあると思うんですけれども、その中の一つに、地域全体の医療水準の向上というのがあるかと思います。
私の息子は、東京都立小児総合医療センターのかかりつけなんですけれども、そこのお医者様たちの専門性と経験の豊かさというのは本当にすばらしいものがあると感じています。
こういう医師たちの専門的な知識、ノウハウをどんどん地域の医師たちに伝えていっていただけると、地域全体の診療技術が向上して、患者さんたちのことを地域全体で守っていけるような力がついていくかと思います。
そこで、地域医療を担う医師の人材育成に貢献するために、どのような取り組みを行うのか教えてください。
○児玉経営企画部長 都立病院には、高い専門性や知見を有する指導医を初めとした質の高い人材やこれまで培ってきた医師の育成ノウハウがございます。
次期プランでは、こうした都立病院の持つ人材面での強みを最大限に活用し、地域医療を支える人材育成に貢献していくこととしております。
具体的には、東京医師アカデミーを活用し、島しょ地域や多摩地域の医療機関との連携による総合臨床研修を行い、質の高い専門医を育成いたします。
また、地域医療機関の医師を都立病院で受け入れ、内視鏡治療などの診療の実践を通じて診療技術の向上を支援いたします。
さらに、指導医等を地域医療機関に派遣し、診療を通じた専門的な助言を行うとともに、若手医師の指導的な役割を担ってまいります。
こうした取り組みにより、地域の医療機関との連携強化を図り、東京の医療水準の向上に貢献してまいります。
○龍円委員 次に、看護師の地域貢献についてもお聞きいたします。
都立病院には、いろいろな看護実践を通じて高いスキルがある専門性を持った看護師が多くいらっしゃいます。こういう看護師のノウハウを地域に還元していくことは、地域力の向上にとって、とても大切なことだと思います。
先ほどの地元の医師からも、地域包括ケアシステムの中に都立病院の看護師に入ってきてほしいといわれました。そうすることで地域と都立病院が連携しやすくなって、例えば、いざ災害が起きたときなどは、今より、よりスムーズな対応ができるようになることを期待したいということでした。
地域医療を担う看護師の人材育成に貢献するために、どのような取り組みを行うのか教えてください。
○児玉経営企画部長 高齢化のさらなる進展に伴い、地域医療体制の大きな変革が見込まれる中、地域で活躍する看護師の役割は、今後ますます重要になると認識しております。
このため、都立病院における高度で専門的な知識や経験、ノウハウ等を生かし、地域の医療を支える看護師の人材育成に貢献してまいります。
具体的には、地域包括ケアシステムの担い手となる訪問看護ステーションに看護師を派遣し、在宅看護の実践を通じて、専門的な知識、技術の向上を図ります。
また、これまで都立病院の看護師のために実施していた研修に、地域医療機関の看護師を受け入れるほか、高い看護実践能力等を有する認定看護師や専門看護師による地域医療機関での専門研修を実施することとしております。
○龍円委員 東京都の平成三十年度予算では、結婚から出産、子育てまで切れ目のない支援を掲げて、産前から産後までの支援をさらに充実させるということです。
私自身も妊娠と出産を経験しました。この時期の体と心の生活の変化ぶりは想像を絶するものがありました。もはや、その前の自分とは違う自分に何が何でも生まれ変わらないといけないという感じでありました。
私の場合は子供にダウン症がありましたので、その激変ぶりはより大きかったかもしれません。
ダウン症がある赤ちゃんは、一般的に生後一年くらいまでは、ありとあらゆる医療的な困難が待ち受けております。生まれてお母さんにだっこされることなく、すぐ赤ちゃんが手術をするという切迫したケースもありますし、生後三カ月くらいで、心臓を一旦停止して行う手術を受ける子もいます。
我が家の場合は、経口での栄養摂取が非常に厳しく、心臓疾患があり、片耳の聴力がないことが発覚いたしました。しかも、出産したのがアメリカだったので、産後二日目には退院をしてしまいましたので、赤ちゃんを生かしておかなくてはならないという責任を専門的な知識がない中で一人で背負うことになりました。
たった一つのミスも命取りになるという恐怖の中での初めての育児は、とにかく息をするのも忘れるほど緊張いたしました。こういう自分の経験からも、病院における産前から出産、産後への支援は非常に重要だと考えています。
大塚病院は総合周産期母子医療センターであり、産前産後に支援を必要とする方も多いと思います。
大塚病院の現在の取り組みについて教えてください。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 産前産後の妊産婦は核家族化の進行や地域とのつながりの希薄化等により周囲に相談相手がいない、必要な情報を得にくいなどの状況があり、出産や退院後の子育てに関するさまざまな不安を抱えております。
大塚病院では、母乳育児に不安を抱える方には、医師による体の状況に応じたアドバイスや助産師による授乳の演習、栄養士による母乳育児中の食事指導等、多職種の専門性を生かした相談支援を実施しております。
こうした取り組みとともに、早産の兆候など妊娠中の生活で注意すべきことを指導する出産準備教室の実施や、大塚病院で出産した方々の交流の場である、おおつかママの会などの取り組みを通じまして、産前産後の妊産婦が抱える不安の軽減、解消を図っております。
さらに大塚病院では、総合周産期母子医療センターとして、妊娠糖尿病等を併発したハイリスク分娩にも対応しております。
○龍円委員 ありがとうございます。こういう丁寧な取り組みを通じて、母子の健康を守っていただけたらと思います。
また、区市町村では、母子保健事業としてさまざまな出産、子育て支援を行っていますけれども、医療機関の取り組みがこうした区市町村の取り組みと一体的に行われるようになると、産前産後の切れ目のない総合的な支援につながると思います。
産前産後の母親に対する切れ目のない支援体制の構築に向けて、区市町村と一体的に取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 産前産後を通じて切れ目のない支援を行うには、母子保健事業の実施主体である区市町村と連携し、地域の求めに応じ、医療機関による専門性を生かした取り組みを実施することが重要であります。
大塚病院ではこれまでも、地元の保健所が開催する母親学級に、助産師が出向いて相談、指導を実施するなど、母子保健事業の推進に貢献してきました。
今後も、地域の状況や求めに応じ、例えばですが、母親学級に栄養士が出向き、臨床現場での豊富な経験に基づき、食事指導を行う等、大塚病院が有する医療資源を活用した支援を実施することで、区市町村との連携を一層推進し、産前産後の切れ目のない支援体制の構築に貢献してまいります。
○龍円委員 わかりました。地域との連携をしていくことで、必要な支援を必要としている母子にきちんと届けられるようになっていくことを願っています。
大塚病院では、ほとんど妊婦検査を受けずに出産する、いわゆる未受診妊婦も多く受け入れていると伺いました。
未受診妊婦は、妊娠の経過に関する情報が少ないこともあり、出産時の母親と新生児の安全が確保しにくいという医療上の問題と、それから、妊娠、出産に対する意識が低く、出産後の子育てにも影響が出やすいという社会的な問題を抱えている場合が多くあります。
こうした未受診妊婦を受け入れることも大変重要なことではあるんですけれども、出産のスタートラインである妊婦健診の受診、これそのものを促進していくことが肝心だと思います。
大塚病院に蓄積している未受診妊婦の受け入れ事例などを積極的に外部に発信して、受診の促進に向けた啓発につなげていくべきではないでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員お話しのとおり、大塚病院は総合周産期母子医療センターとして、未受診妊婦を多く受け入れており、豊富な症例を有しております。
一方、妊婦健診の受診を促進するためには、区市町村や保健所、地域のクリニック等、身近な関係機関による、未受診妊婦が抱えるさまざまなリスクの理解が重要となっております。
今後は、大塚病院における未受診妊婦の受け入れ困難事例等の情報を活用し、自治体との意見交換や保健所、地域クリニック等との連絡会等を通じて、積極的に外部に発信することで、未受診のリスクと早期対応の必要性について理解促進を図り、関係機関による受診率向上の取り組みにつなげてまいりたいと思っております。
○龍円委員 周産期医療において、セーフティーネットとしての役割を果たしている大塚病院だからこそ得られる知識や情報があると思います。ぜひ、それを社会に還元していってください。これは次期プランに掲げていらっしゃる病院の状況の見える化にも合致していると思います。
ここまで都立病院と地域のかかわりという視点で質問してまいりました。病院と地域が連携することでさまざまな相乗効果、そして問題解決が可能になってくるかと思います。ぜひ今後も、地域完結型医療をより一層推進してくださいますよう要望させていただきます。
さて、多様性を認め合うダイバーシティーをうたっている東京都だからこそ、都立病院においてさまざまな患者さんが利用しやすい環境を整えていくことは重要なことだと考えます。
患者さんにとっては、病院は楽しい場所ではなく、多くの場合は、不安を抱えて行く場所であることを考えますと、よりきめ細やかな対応が大切なのだと感じます。
次期プランにおいては、高齢者、スペシャルニーズのある方、外国人など全ての人が利用しやすい環境整備を進めるとしたことは、とても評価いたしています。
ところで、スペシャルニーズのある方への対応ということでは、平成二十八年四月からの障害者差別解消法の施行により、厚労省においても医療関係事業者向けのガイドラインが策定されております。各医療機関における差別を禁止して、合理的配慮を推進することとしているということです。
そこで、都立病院においてスペシャルニーズがある方に対して、現在、どのような合理的配慮を行っているのか、取り組み状況を教えてください。
○谷田サービス推進部長 都立病院における障害者への合理的配慮の取り組みといたしましては、バリアフリー法等に基づき、誰でもトイレ、障害者専用駐車スペースや点字ブロックの整備、また、車椅子の高さに合わせた水飲み機や記載台の設置など、ハード面での対応を進めております。
ソフト面につきましては、一人一人の障害の状況に応じた配慮を行えるよう、例えば、聴覚障害者の方を対象といたしました、筆談ボードなどのコミュニケーションツールの活用やファクス及びメールによる外来受診予約の拡充などに取り組んでおります。
また、平成二十八年十二月からは福祉保健局と連携しまして、外見からはわからなくても、援助や配慮を必要としていることを周囲に知らせるヘルプマークの配布を、病院で開始したところでございます。
本年二月末までに、八病院合計で一千二百三十二枚を配布するなど、障害者施策の普及にも貢献しております。
今後とも、法令の趣旨に鑑み、医療機関の特性も踏まえた上で、施設面や接遇など、さまざまな視点から障害者への合理的配慮の取り組みを推進してまいります。
○龍円委員 さまざまな人が受診しやすい環境づくりということでは、LGBTを初めとする性的マイノリティーの方たちも忘れてはならない視点です。
当事者の方々からよく耳にするのが、病院における困り事です。
その中の一つに、入院した際に、法律上では婚姻関係にない同性パートナーが、入院している患者さんと面会や手術などの説明に同席することを医療機関が認めてくれないということがあります。
渋谷区に住む当事者から、これは都立病院ではありませんけれども、手術の一週間前になって、同性パートナーが立ち会うのだったら手術をしないとした医療機関があったということも伺いました。
大切な家族である同性パートナーの治療上の意思決定に参加できなかったり、立ち会えないことは非常に大きな苦痛だと思います。また、あるゲイの方からは、老後、終末期医療、そして延命治療などの重要な局面が来たときが心配で仕方ないとおっしゃっておりました。
そこで、都立病院においては、同性パートナーの面会などについて、どのような対応を行っているのか教えてください。
○谷田サービス推進部長 都立病院では、患者中心の医療を実現するために、都立病院の患者権利章典を制定しており、患者の誰もが一人の人間として、人格、価値感などを尊重されるとともに、十分な説明と情報提供を受けた上で治療方法などをみずからの意思で選択する権利を有するなど、患者の自己決定権に基づいた医療を提供することを基本方針としております。
この方針に基づき、都立病院では、全ての患者の面会や医療の提供に関する同意について、法的な親族に限定せず、患者自身に決定していただいております。
性的少数者の患者についても同様に、患者自身の意思に基づき、対応を行っているところでございます。
今後も、性的少数者の方のみならず、全ての患者が安心して受診できるような環境づくりに努めてまいります。
○龍円委員 都立病院では、患者自身が、この人がキーパーソンですよと指定できるということで、とてもすばらしいことだと思います。
しかしながら、当事者の皆さんは、都立病院においてこういう対応をしているということを全くといっていいほど知らないようです。
今後、もっと当事者に向けて情報発信をして、周知していただけるようにお願いいたします。そうすることで、安心して病院に来られることがふえると思います。また、ロールモデルとして、私立病院への啓発にもつながってくると思います。
そして、医療従事者向けのLGBT研修といった周知啓発も取り組んでいただきますよう要望いたしまして、私の質疑を終えます。
ありがとうございます。
○小宮委員 都立病院新改革実行プラン素案について質問します。
少子高齢化が急速に進展する中で、今後の都立病院の果たすべき役割ですとか、また、持続可能な病院運営の実現に向けて新たな考え方が示されております。
都立病院経営委員会からの報告にあるように、今後は行政的医療の提供だけでなく、地域医療への貢献が都立病院の新たな役割として求められている。
そこで、素案の中の地域医療の充実への貢献について伺ってまいりたいと思います。
都立病院は、複数の二次保健医療圏、また、東京都全域を対象に高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療の提供を基本的な役割としています。これは公立病院である都立病院の普遍的な役割であると思います。
一方で、超高齢社会を迎えて、新たな医療提供体制への転換、先ほどもお話がございました病院完結型から地域完結型、こういうものが求められるようになりました。受け皿となる地域医療の現状というのは、まだまだそういう点で過渡期にあるというふうに思います。
都立病院は、こうした医療の変革期において先導的な役割を果たし、都民が安心して暮らせる、そうした環境をつくるべく取り組んでいくことが、今、求められていると思います。
そこで、次期プランにおいて、地域医療の充実への貢献を新たに都立病院の役割として加えておりますが、まず、地域医療の現状をどのように捉えているか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都地域医療構想では、二〇二五年になりますが、平成三十七年に必要な病床数を推計し、機能に応じ、区分しております。
また、各医療機関の申告に基づく東京都病床機能報告において、平成二十八年七月現在の機能別の病床数が公表されております。
これらは単純に比較できるというものではございませんけれども、急性期病床は、地域医療構想では五万八千百六十三床に対して、病床機能報告では七万一千四百十六床、回復期病床は、地域医療構想では三万四千六百二十八床に対して、病床機能報告では九千四百九十九床、慢性期病床は、地域医療構想では二万九百七十三床に対しまして、病床機能報告では二万三千四百二床と、回復期病床が相当不足しており、今後、在宅復帰を目的とした回復期機能の充実が必要な状況であると認識してございます。
○小宮委員 各医療機関の申告数の積み上げということで、単純に比較はできないんだと思いますけれども、急性期の病床が若干多いと、それから回復期病床が圧倒的に不足しているということで、回復期というのは、やはり患者が地域に戻れるかどうかといった大変重要な節目になり、急性期と在宅をつなぐ中間的な役割を担う重要な機能であるというふうに認識しております。
これから国の診療報酬の改定などによって、民間医療機関を初めとして、回復期機能の体制というものが確保されていくものと思いますけれども、地域医療が確立されるまでの間、都立病院は地域医療へのさまざまな支援を行うべきであると思います。
地域医療への充実の貢献を新たな役割として追加しているが、その基本的な考え方について伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院の基本的役割は、今後とも急性期の患者を対象とし、行政的医療を安定的かつ継続的に提供することであります。
一方、地域の医療提供のあり方が変革していく状況において、都立病院には、公立病院として地域医療構想の実現に貢献する役割も期待されております。
このため、都立病院がこれまで培ってきた高水準な総合診療基盤、高度な技術やノウハウ、専門性の高い医療人材、地域医療機関等とのネットワークなどを最大限活用し、地域医療の充実に貢献していく考えでございます。
具体的には、地域の医療提供体制が整うまでの間、地域医療を補完する地域貢献病床の運用や他の病院との医師の人材交流などを通じた地域医療機関の人材育成などに取り組み、サポート役として地域医療を支援してまいります。
○小宮委員 地域医療の充実には、さまざまな課題があるわけですけれども、都立病院としては、サポート役として病床の提供であったり、人材面などで地域医療を側面的に支援していくということがわかりました。
今後、都立病院は行政的医療の提供と、そしてまた地域医療への貢献という二つの役割をあわせ持つことになりますが、八つの都立病院はそれぞれ役割や機能が異なります。地域ごとに異なる医療ニーズに対応していく必要があると思います。
次期プランでは、こうした点を踏まえ、病院を広域基幹型、大都市機能連携型、専門機能型、この三つに類型化をしています。この類型化の考え方について確認します。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各都立病院が所在する地域の医療環境は、都心部のように大学病院等、高度な医療を提供する施設が集積している地域や、区東部、多摩地域のように医療資源が必ずしも十分でない地域など、それぞれ医療資源の保有状況は異なっております。
また、各都立病院の医療機能に着目すると、総合病院と専門病院とに分けることができ、それぞれ果たす役割は大きく異なっております。
次期プランにおいては、八つの異なる特性を有する都立病院を、地域特性と医療機能に応じ、三つに類型化し、それぞれの役割と取り組みの方向性を明らかにしております。
まず、大学病院等の高度な医療を提供する病院が少ない地域にある墨東病院、多摩総合医療センターは広域基幹型とし、救命救急医療など高度専門的かつ総合的な医療を広域的に展開していきます。
また、大学病院等が集積する地域にある広尾病院、大塚病院は、大都市機能連携型として、地域医療機関との役割分担と連携を推進するとともに、大都市地域においてもニーズが高く、それぞれ強みであります循環器医療、周産期医療の機能をさらに高めてまいります。
一方、駒込、神経、松沢病院及び小児総合医療センターは専門機能型とし、特定の医療分野の都の拠点として、専門性をより一層高めるとともに、蓄積されたさまざまな症例を活用し、臨床研究や新薬開発のための知見を推進してまいります。
この類型に基づき、各病院が地域医療機関との連携を一層推進するとともに、効果的、効率的に役割を果たしていく考えでございます。
○小宮委員 地域医療機関との役割分担が明確になれば、都民にとっても受診や治療を適切に選択しやすくなるものと考えます。類型化したということは画期的なことだというふうに評価したいと思います。
八つの都立病院は、それぞれの機能を発揮して、地域の状況に応じた地域医療への貢献を果たしていくということになると思いますが、類型ごとに果たすべき役割が違うのであれば、地域医療とのかかわり方、あるいは対象となる地域の範囲も異なってくると思います。
次期プランにおいて、こうした類型を踏まえて各病院が強みを生かした地域医療を支えるモデルとなる取り組みを実施するとしていますけれども、類型ごとに具体的に確認したいと思います。
まず、広域基幹型に類型をした墨東病院、多摩総合医療センターでは、どのように地域医療の充実に貢献していくんでしょうか、伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 高度な医療を提供する病院が少ない広域基幹型の病院では、今後、医療需要が増加した場合においても、高度専門的な医療を提供し続けることが求められております。
このため、例えば、委員お話しのとおり、墨東病院では多くの高度専門的な医療のニーズに応えられるよう、緊急の処置を施し、病状が落ちついた患者を地域の急性期病院に搬送する体制をハード、ソフトの両面から強化してまいります。
また、地域医療機関の対応力向上に貢献するため、在宅療養を支える訪問看護ステーションと処置の方法やケアのノウハウなど技術支援に取り組むとともに、地域医療の拠点を担う病院への医師の派遣を検討していきます。
このように、広域基幹型の病院では、高度専門的な医療における地域のセーフティーネットとしての機能を充実するとともに、地域医療の水準向上に貢献してまいります。
○小宮委員 広域基幹型の病院は、高い総合力の発揮による貢献を図るということ、高度な医療資源の限られた地域においては、こうした広域基幹型の病院の存在は、都民の大きな安心感につながっていると思います。
次に、大都市機能連携型に類型した病院では、どのような貢献を行っていくのか伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都心部にあり、他の地域と比べ、医療機関が多い大都市機能連携型の病院では、地域医療機関との役割分担と連携により、都心部における地域包括ケアシステムの構築を支援していくことが求められております。
このため、例えば、大塚病院では、地域包括ケアシステムの中核を担うかかりつけ医が、在宅医療を実施する際の安心感をサポートするため、これまで以上に緊密な連携関係を築き、急変、増悪時に必ず受け入れる体制づくりやICTを活用した情報共有の仕組みについて検討してまいります。
また、看護師や臨床心理士など複数の専門職種から成る在宅移行支援チームが、訪問看護ステーションや介護施設等に出向き、専門的な技術やケアのノウハウを共有し、在宅医療を担う地域医療機関を支援してまいります。
このように、大都市機能連携型の病院では、都心部における地域包括ケアシステムの構築を、急性期医療を担う立場から積極的に支援してまいります。
○小宮委員 高度な医療資源が集積をしている都心部では、地域包括ケアシステムの構築が難しいというふうにいわれております。
だからこそ、在宅医療の課題というものを捉えて、今ご答弁ありましたが、急変時の対応やアウトリーチの体制づくりなど、積極的に支援をしていただいて、モデルとなる取り組みを期待するところです。
次に、専門機能型に分類した病院では、どのような貢献を行っていくのでしょうか。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 専門機能型の病院では、長年にわたり培ってきた専門的な技術やノウハウを活用し、それぞれの医療分野における地域医療の課題に対応することが求められております。
このため、例えば、精神科医療の高度な医療資源と豊富な症例を有する松沢病院では、地域のかかりつけ医にも、松沢病院の外来や入院の診療に従事してもらうため、新たな仕組みを導入し、地域医療機関と一体となって医療を提供することで、患者の地域生活への円滑な移行を推進していきます。
また、松沢病院の看護師が訪問看護ステーションの職員とともに患者の自宅訪問を行い、専門性の高い技術やケアのノウハウを実践で共有することにより、地域医療機関の職員のスキルアップにも貢献していきます。
このように専門機能型病院では、高い専門性を生かして、地域医療機関等を支援することにより、地域の特定分野の医療の充実を図ってまいります。
○小宮委員 各病院が類型に基づいて、地域医療との連携やそれぞれが持つ強みを生かした取り組みを推進することで、効率よく効果的に都民に適切な医療が提供されることを望むところです。
地域医療の充実への貢献というと、これまで都立病院が担ってきた高度で専門的な医療に対して、一見すると相反しているようにも聞こえますけれども、今後の医療ニーズに応えて、都立病院にはこれまでの使命を果たしつつ、さらに地域ごとに異なる医療ニーズに対応していっていただきたいというふうに思います。
こうしたことをやはり実現するには、計画の第5章にもありますけれども、これまで以上に安定的な経営基盤を確立して医療環境の変化に迅速かつ柔軟な対応ができる、こういう病院運営をすることが必要であると。そして都立病院経営委員会報告にもありますが、現行の経営形態では運営上の課題がある、この課題は何かという話が先ほどございましたが、人事や財務、こうした制度面で制約があるということが課題になっている、その見直しについての検討が必要であるというふうにも指摘されております。都立病院の経営形態のあり方については、本計画期間中に検討するということも示されているところです。
所管は違いますけれども、東京都の健康長寿医療センター、これは平成二十一年に独法化をされておりますけれども、例えばそれに伴った効果として、意思決定の迅速化等自由度が増大をした、都が指示をする計画に基づいて、理事長をトップとして迅速に意思決定ができる、そういう体制が整備をされた、また、定員管理によらない柔軟な採用によって法人の運営方針や診療報酬改定に対応した戦略かつ迅速な人材の確保も可能となった、人事評価制度を導入することによって職員の意識改革が図られて、患者サービスの向上や地域医療への貢献意欲が高まった、また、予算年度に縛られることなく、患者の療養環境の整備や職員の勤務環境の改善に柔軟に対応することもできるようになって収益面も向上したというような効果が示されております。
健康長寿は、一つの病院の独法化であったわけですけれども、都立病院は八つあるということで、この八つが機能も役割も違うわけですけれども、どう経営形態を検証していくのか、今後、検討をされていくということです。
急速な医療環境の変化に迅速に対応するためにも、都立病院のあり方というものが、今まさに変革期を迎えている中で、都民にとって、患者にとって、また将来の東京の持続可能な効果的な医療環境の整備にとって、どういう形がふさわしいというのか、そういう視点で、ぜひ検討していただき、お示しをいただきたいというふうに思います。
以上で質問を終わります。
○鳥居委員 それでは、私からは、医療事故及び新規事業の東京ヘルスケアサポーター、仮称でございますが、この二つについて質問をさせていただきたいと存じます。
まず、医療事故でございますが、この医療事故はあってはならないことではございますが、しかしながら、最善を尽くしていても、あるいは何らかの過誤によって起こってしまうということがあり得ます。
医療事故調査制度の現況報告の中では、本年二月、医療事故報告数は二十四件、平成二十七年十月からの累計二十九カ月間の数は九百十二件と、月平均三十一件強となっております。
医療事故報告数を減少させ、ゼロに近づけることが望ましい中で、都立病院における医療事故の再発防止について伺います。
○谷田サービス推進部長 医療事故を未然に防止するためには、事故発生の要因を分析し、情報の共有化を図るなど、安全な医療環境を組織として整備することが重要であります。
このため、各都立病院に医療安全対策推進委員会及び医療安全対策室を設置するとともに、専任リスクマネジャーを配置しております。
これらの組織が中心となって、ひやりとしたり、はっとした事例など、インシデント・アクシデント・レポートの検証、分析、その活用による予防、再発防止策の立案、実施など、さまざまな対策を行っております。
また、病院経営本部では、都立病院医療安全推進委員会を設置するとともに、全都立病院に共通する医療安全研修の実施、医療事故予防マニュアルの作成等、各種対策を実施しているところでございます。
○鳥居委員 医療法施行規則で義務づけられている医療安全管理のための委員会であります医療安全対策推進委員会のほか、医療安全担当副院長を室長とするなど対応をとっておられる医療安全対策室の設置を行っている、こういうことも聞いております。
お答えいただきましたとおり、専任リスクマネジャーの配置も行い、原因究明や再発防止策の検討など、医療安全対策を行っておられるというふうに認識いたします。
引き続き、組織として、全員で医療安全対策に取り組み、再発防止策を講じていただきたいと思います。
そのような中で、平成二十七年十月、医療事故調査制度がスタートしております。
医療事故調査制度に対して、都立病院においてはどのように対応しているのかを伺いたいと思います。
○谷田サービス推進部長 病院経営本部では、平成十一年の広尾病院の医療事故を受け、平成十二年に医療事故予防マニュアルを作成しており、各都立病院では、このマニュアルにのっとり、患者中心の医療の理念のもと、万が一、医療事故が発生した場合は院内で調査を行い、誠意ある説明を行うこととしております。
平成二十七年十月の医療事故調査制度の開始に当たっては、各病院が適切に対応できるよう、同年九月に、医療事故調査制度への対応の流れをフロー図として新たに掲載するなど、医療事故予防マニュアルを改定したところでございます。
○鳥居委員 医療事故調査制度に適切に対応するために、平成二十七年九月、制度の施行以前に、医療事故予防マニュアルを改定されて、これまでの経緯を生かしたマニュアル化を図る取り組みは評価に値すると思います。
また、広尾病院で起きた事故以来、明らかな過失による死亡事故は発生していないと思います。
引き続き、各病院への周知を図る取り組みを進めていただきたいと思います。
さて、医療事故調査制度では、医療機関から医療事故調査・支援センターへ事故発生の届け出をするということになっております。
調査等については、医療機関側の負担があることなどから、調査が進まないことや医療機関側が医療事故の報告をちゅうちょする、このような話も聞いております。
このような課題に対して、都立病院としては何らかの、地域の医療機関へ支援を行うことはできないのかどうか、それを伺いたいと思います。
○谷田サービス推進部長 医療事故調査制度においては、医師会や歯科医師会等の職能団体、日本病院会などの病院団体等が医療事故調査等支援団体と定められており、この支援団体が医療機関の要請に基づき、医療事故調査を行う上での支援を行うこととされております。
都立病院では、支援団体連絡協議会の調整のもと、支援団体の一つとして、対外的に支援可能な体制が整っております駒込病院、墨東病院、多摩総合医療センターの三病院におきまして、平成二十八年度から、医療事故調査制度にかかわる解剖の受け入れによる技術的支援を行うこととしております。
○鳥居委員 都立病院では、各種マニュアルをホームページ等に掲載して、地域医療機関を初め、広く情報を共有して、みずからも医療事故再発防止に取り組んでいるということがよく理解できました。
引き続き、患者様やご家族に対しましても、誠意を持って説明を行い、信頼関係の構築に努めていただきたいと思います。
マニュアルにのっとって、今後も医療事故調査制度など医療安全対策に適切に対応していただきたく、お願いを申し上げます。
続きまして、東京ヘルスケアサポーターについてですが、この制度の目的の一つである都民の健康づくり、これに視点を当てて質問をしたいと存じます。
世界に先駆けて超高齢社会が進む日本では、健康な生活と長寿を享受できる健康長寿社会の実現が急務となっております。
健康な状態で長生きしたいということは、多くの人にとって共通の願いである中、未病やフレイル予防など、病気になる前や介護が必要となる前の状態を維持、そして改善して、健康であり続ける取り組みが広がりつつあります。
私の住む杉並区では、フレイル予防を昨年一月より重点事業として、本年度も区の福祉計画、介護保険事業計画など複数の行政計画にフレイル予防を位置づけて取り組んできた結果、フレイルサポーターやフレイル予防応援団が生まれまして、区民の自立的活動が進んでおります。
杉並区のこのような取り組みの背景には、区民の高齢化、それに伴い増加する在宅医療サービスの必要量の増加、これが想定される中で、地域包括ケアシステムの実現に向けた自治体による将来を見据えた事前の取り組み、これが功を奏したというふうに考えております。
これらの取り組みは、臨床に基づく豊富な知見を有する病院、そして、医師が講演会やフレイルサポーター養成講座などの実施により推進されてきております。
都立病院には、臨床に基づく豊富な知見を有しており、健康長寿の推進を図るためには、都民が健康や医療の正しい知識を持ち、健康づくりに励むことが重要となります。
そこで、現在、都立病院では、健康づくりに対する都民の意識啓発にどのように取り組んでいるのかを伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、患者家族や地域の方々を対象とし、医療の現状や都立病院で対応可能な治療法等について、公開講座や出前講座を定期的に実施しております。
平成二十九年度は、二月末までの実績でございますけれども、都立病院八病院で四十三回実施しており、中でも駒込病院で実施したわかりやすい抗がん剤治療についての講座は、百四十九名の方に参加していただいております。
また、駒込病院においては、東京都が企業等と複数の政策分野にまたがって、包括的、横断的な連携協力を行うために締結した、いわゆるワイドコラボ協定を活用してもいます。
具体的には、企業が顧客に配布するリーフレットにおいて、医師ががんの早期発見の重要性や放射線治療について説明するなど、医師の高い専門性を生かした都民への情報発信を行っているところでございます。
○鳥居委員 誰もが可能な限り住みなれた地域で暮らし続けられるよう、地域包括ケアシステムの構築を進める上で、区市町村、関係団体の取り組みが重要と考えます。そのような中、お答えいただきました医師の高い専門性を発揮し、都民に情報発信を促進することは、都民の自立的な活動を促進する重要な取り組みと考えます。
今後は、こうした取り組みをさらに発展させていただくことが望ましいと考える中で、次期プランでは、東京ヘルスケアサポーター(仮称)、これを育成するとありますが、どのような事業なのかを伺います。
○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 超高齢社会を迎え、誰もが地域で生き生きと生活を送るためには、自分の健康に関心を持ち、各自が正しい情報に基づき、生活習慣病や認知症等を予防し、生活機能の低下を防ぐことが重要だと考えております。
こうした認識のもと、医療、予防、健康づくり等、都民の関心が高いテーマを体系化したプログラムを作成し、臨床現場の最前線に立つ都立病院の医師、看護師、栄養士等が専門的な知識と豊富な経験に基づくわかりやすい講義を実施することに新たに取り組んでまいります。
本事業は、これらの講座の修了者を、仮称でございますけれども、東京ヘルスケアサポーターとして認定し、健康づくりや病気の予防等、身につけた知識、情報を地域の交流の場で地域住民と共有することにより、都民の健康づくりに関する自助、共助意識の向上につなげていくことを目的としております。
今後は、来年度中の事業開始に向けて、具体的な実施方法や効果的なPRなどについて検討していく考えでございます。
○鳥居委員 東京ヘルスケアサポーター認定者の皆様が、身につけた知識、情報を地域の交流の場などで、地域の住民の皆様と共有、都民の健康づくり等に関する自助、共助意識の向上につなげていくことを目的としているということをお答えいただきました。
オリンピック・パラリンピックが終わる二〇二〇年以降、二〇二五年度には、多くの団塊世代が後期高齢者となる新たな超高齢時代が始まります。
我々は、一年ごとに確実に一歳年をとります。少子高齢化の中で、人生百年時代を迎え、七年後の二〇二五年度に、我々が何歳になっているのかを考えれば、来るべき時代に向けての準備がどれだけ重要かを理解することは容易なことだと考えます。
本取り組みは、人間の持つ知識欲、向上心というすぐれた欲求の一つに合致した有益な取り組みと考えております。
今期の予算が約三百万円と伺っておりますが、本取り組みを介して、都民の皆様の意識に変化が生まれ、その中から自立的活動などの流れにつながる有益な取り組みに発展されることを切にお願いしまして、私の質問を終えたいと存じます。
ありがとうございました。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十分散会
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