厚生委員会速記録第十四号

平成二十九年十一月二十八日(火曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長伊藤こういち君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長和泉なおみ君
理事遠藤  守君
理事小宮あんり君
理事山内  晃君
古城まさお君
藤田りょうこ君
龍円あいり君
鳥居こうすけ君
つじの栄作君
舟坂ちかお君
高橋 信博君
岡本こうき君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長理事兼務山岸 徳男君
技監笹井 敬子君
総務部長後藤 啓志君
指導監査部長村田 由佳君
医療政策部長西山 智之君
保健政策部長矢内真理子君
生活福祉部長坂本 尚史君
高齢社会対策部長粉川 貴司君
少子社会対策部長松山 祐一君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長高橋 博則君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務奈良部瑞枝君
事業推進担当部長古賀 元浩君
医療改革推進担当部長成田 友代君
医療政策担当部長矢沢 知子君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長横手裕三子君
施設調整担当部長稲葉  薫君
子供・子育て施策推進担当部長加藤 みほ君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長吉田 道彦君
病院経営本部本部長内藤  淳君
経営企画部長児玉英一郎君
サービス推進部長谷田  治君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務大久保達也君
計画調整担当部長末村 智子君

本日の会議に付した事件
陳情の取り下げについて
病院経営本部関係
報告事項
・多摩メディカル・キャンパス整備基本構想(案)について(説明)
・契約の締結について(説明・質疑)
福祉保健局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都国民健康保険保険給付費等交付金条例
・東京都国民健康保険事業費納付金条例
・東京都国民健康保険運営協議会条例の一部を改正する条例
・東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
・東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
・地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款の変更について
・東京都船形学園の指定管理者の指定について
・東京都八街学園の指定管理者の指定について
・東京都勝山学園の指定管理者の指定について
・東京都片瀬学園の指定管理者の指定について
・東京都七生福祉園の指定管理者の指定について
・東京都八王子福祉園の指定管理者の指定について
・東京都千葉福祉園の指定管理者の指定について
・東京都東村山福祉園の指定管理者の指定について
・東京都清瀬喜望園の指定管理者の指定について
陳情の審査
(1)二九第六一号 自立支援センターを二十三区五か所から都内各市にも設置することに関する陳情
(2)二九第六四号の二 社会保険料等の算定における交通費の除外を求める意見書の提出に関する陳情
(3)二九第六五号 社会保険料の算定基礎から残業代を除外することを求める意見書の提出に関する陳情
(4)二九第六六号 同月得喪における社会保険料二重取りの廃止を求める意見書の提出に関する陳情
(5)二九第七七号 都営交通の無料パスを東京メトロと共通化することに関する陳情
(6)二九第七八号 一律的で過度な受動喫煙防止条例の制定に反対することに関する陳情
(7)二九第八三号 国民健康保険料(税)の引下げに関する陳情
(8)二九第八六号 公立保育園への都の支援充実に関する陳情
(9)二九第八七号 東京都受動喫煙防止条例(仮称)に関する陳情
(10)二九第八八号 東京都における受動喫煙防止対策に関する陳情

○伊藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布のとおり、二九第五五号、ペットに対する罰則付きの受動喫煙防止条例の制定に関する陳情につきましては、議長から取り下げを許可した旨の通知がありました。ご了承願います。

○伊藤委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、病院経営本部関係の報告事項の聴取並びに福祉保健局関係の陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項、多摩メディカル・キャンパス整備基本構想(案)については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、報告事項、契約の締結については、説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、多摩メディカル・キャンパス整備基本構想(案)についての報告を聴取いたします。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 報告事項1、多摩メディカル・キャンパス整備基本構想(案)についてご報告を申し上げます。
 お手元に、資料1、多摩メディカル・キャンパス整備基本構想(案)概要と、資料2、本文の冊子をお配りしてございます。
 本基本構想案は、平成二十八年二月に取りまとめられた多摩メディカル・キャンパスあり方検討会報告を踏まえ、都の考え方を示したものでございます。
 それでは、資料1の概要に基づいてご説明させていただきます。
 まず、一ページ上段をごらんください。整備のポイントについてでございます。
 多摩地域の医療環境の変化や多摩メディカルキャンパスを取り巻く課題へ対応するため、老朽化した神経病院の改築を軸として多摩キャンパスを再構築します。
 また、各病院の強みを一層発揮するとともに、相互連携の強化により集積メリットを高め、キャンパス総体として医療機能を強化することで、多摩地域全体の医療水準の向上を図ってまいります。
 それでは、四つの章で構成された基本構想案の各章について、順にご説明させていただきます。
 第1章、基本構想策定の背景と機能強化の方向性でございます。
 多摩メディカルキャンパスは、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、神経病院の三病院を合わせ約千六百床を有する都内で最大級の医療集積群であり、高度で専門的な医療等を提供する、多摩地域における医療の拠点となっております。
 次に、多摩メディカルキャンパスを取り巻く医療課題についてでございます。
 高齢者人口の増加や高度な医療を提供する病院は少ないなど、多摩地域の医療課題や、キャンパスの存する北多摩南部保健医療圏の状況を踏まえることとしております。
 また、キャンパスにおける課題として、キャンパス内連携の一層の推進や災害拠点の中核機能の充実、神経病院の老朽化への対応が課題となっております。
 二ページをお開きください。国のがん、難病対策の動向についてでございますが、第三期がん対策推進基本計画や難病医療提供体制の在り方報告書が示されてございます。
 次に、多摩メディカルキャンパスの機能強化の方向性についてでございます。
 多摩地域の医療環境の変化等への対応のため、効率的で質の高い医療提供体制を構築してまいります。
 また、神経病院の改築を軸にキャンパスを再構築し、キャンパス総体の医療機能の強化により、多摩地域全体の医療水準を向上させていきます。
 具体的には、現在の神経病院を、都における難病医療の拠点である、仮称でございますが、難病医療センターとして整備いたします。
 各施設の強みを一層発揮し、がん医療など医療機能の高度化を図ってまいります。
 次に、新たな多摩メディカルキャンパスの役割についてでございます。
 先ほどの機能強化の方向性も踏まえて、新たなキャンパスの三つの役割として位置づけた上で、キャンパス全体の強化と各施設の強化の両側面から取り組みを進めてまいります。
 三つの役割は、一、多摩地域の高度先進的な医療の拠点、二、地域医療支援の拠点、三、災害時における継続した医療の確保でございます。
 次に、三ページをお開き願います。多摩メディカル・キャンパス整備基本方針についてでございます。
 六つの整備基本方針により取り組みを進めてまいります。
 1、多摩・島しょ地域の医療水準の向上を図るため、さらなる充実が求められる医療や新たな医療課題へ対応力を強化してまいります。
 以降、2から6まで、記載の基本方針に基づき整備を進めてまいります。
 続きまして、第2章、多摩メディカルキャンパス全体の取り組みでございます。
 まず、多摩地域の高度先進的な医療の拠点についてでございます。
 多摩地域の高度先進的な医療拠点として、がん医療の高度化、難病医療の拠点としての整備、小児周産期医療の対応力強化、救急医療の充実など、医療機能を強化してまいります。
 四ページをお開き願います。先進医療や臨床研究を推進するとともに、新たな医療課題にも積極的に対応してまいります。
 次に、地域医療支援の拠点についてでございます。
 患者支援センターの機能充実や地域医療連携機能の強化、地域医療人材の育成に取り組んでまいります。
 次に、災害時における継続した医療の確保についてでございます。
 地域災害拠点中核病院としての機能をより発揮するための連携体制を構築するとともに、災害時に医療を提供するための環境を整備してまいります。
 続きまして、五ページをお開き願います。第3章、各施設の取り組みについてでございます。
 まず、仮称でございますが、難病医療センターの整備についてでございます。
 神経病院を難病医療センター(仮称)として整備し、都の難病医療の拠点として、検査、診断から治療、地域での療養支援に至る総合的な難病医療を提供します。ほぼ全ての脳神経系及び免疫性の難病患者に対し、高度で包括的な医療を提供します。
 具体的には、遺伝子診断等高度な診断を実施していくとともに、パーキンソン病やALS等疾患の特性に対応した疾患治療センターの設置や、専門外来の整備等を行います。
 リハビリテーション医療といたしまして、ロボットリハビリ等の高度先進的なリハビリや、地域移行のためのリハビリを提供していきます。
 また、医療型ケア入院等一時受け入れ体制の充実や就労支援など、患者、家族、地域に対し総合的に支援してまいります。
 さらに、遺伝子診断等先進医療や、新たな診断法、治療法の開発に貢献する臨床研究や治験を積極的に推進してまいります。
 次に、六ページをお開き願います。多摩総合医療センターの充実についてでございます。
 多摩地域の医療拠点として、重症合併症患者に対し、総合診療基盤を活用した専門的治療を提供し、先進的かつ高度で専門的な急性期医療を総合的に提供してまいります。
 特に、がん医療については、がん対応病床の拡充や外来がん検査・治療センター(仮称)の新設等により、多摩地域のがん医療拠点として、精密検査から高度治療までワンストップで、高度ながん医療を提供していきます。
 次に、小児総合医療センターの充実についてでございます。
 都の小児医療の拠点として、先進的かつ高度で専門的な医療を提供し、小児医療のネットワークの中核的役割を担ってまいります。
 心から体に至る医療の高度化を図り、重症患者に積極的に対応してまいります。
 また、小児がん拠点病院として、集学的なチーム医療の提供やAYA世代がん患者の移行期医療など、高度で包括的ながん医療を提供してまいります。
 また、国家戦略特区を活用した先進医療の推進にも取り組んでまいります。
 次に、東京都がん検診センターの精密検査機能への重点化についてでございます。
 精密検診部門等を多摩総合医療センターに統合し、検診機能と治療機能が一体化した新たながん医療提供体制を構築します。
 一次検診事業については、地域の状況を踏まえ、段階的に縮小しながら廃止していきます。
 次に、七ページをお開き願います。その他関連施設の取り組みについてでございます。
 府中療育センターや府中看護専門学校とのキャンパス内連携を一層推進してまいります。
 次に、キャンパス内相互連携体制の推進と効率的な運営体制の構築についてでございます。
 施設や医療機器の共同利用や、診療情報の共有化などにおけるICTの活用等に取り組んでまいります。
 続きまして、第4章、施設整備概要でございます。
 難病医療センター(仮称)や外来がん検査・治療センター(仮称)を整備するほか、駐車場の増設などキャンパス全体の利便性を向上させてまいります。
 また、工事については、キャンパスの東側と西側に区分し、段階的、計画的に進めてまいります。
 以上、簡単ではございますが、報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○伊藤委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○藤田委員 私からは、全部で十二点の資料を要求させていただきます。
 一点目は、東京都がん検診センターの医師数の推移。
 二つ目は、同じく検診センターの一次検診事業の実績の推移。
 三つ目は、同じく検診センターの診療実績の推移、これは市町村別でお願いします。
 四点目は、同じく検診センターの発見がん数の推移。
 五点目は、同じく検診センターの内視鏡治療件数の推移。
 六点目は、神経病院の患者支援センターの相談件数と推移。
 七点目は、神経病院の一時受け入れ患者数の推移。
 八点目は、神経病院の訪問診療の実績の推移、これは市町村別でお願いします。
 九点目は、多摩総合医療センターの脳神経内科における難病患者の入院数の推移。
 十点目は、小児総合医療センターの個室及び有料個室数。
 十一点目は、小児総合医療センターの個室ベッドの稼働率。
 十二点目は、小児総合医療センターの個室料金。
 以上です。よろしくお願いします。

○伊藤委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 ただいま藤田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○伊藤委員長 次に、契約の締結についての報告を聴取いたします。

○児玉経営企画部長 動産の買い入れ契約につきまして、お手元にお配りしております資料3、契約締結報告書に基づき、ご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。本日ご報告申し上げます契約一件の総括表でございます。
 続きまして、二ページをお開き願います。本契約は、都立駒込病院において使用いたします高精度放射線治療システムの買入れでございます。
 契約の方法は一般競争入札、契約金額は五億一千五百八十六万二千円で、契約の相手方はエム・シー・ヘルスケア株式会社でございます。
 簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○つじの委員 このたび、高精度放射線治療システムの買い入れについて質疑させていただきたいと思います。
 都立駒込病院のホームページの放射線診療科、治療部を見ると、放射線治療とはの説明で、放射線治療はがん細胞と周囲の正常細胞の放射線感受性の差を利用して、悪性腫瘍を制御することを目的とする治療法です。手術と異なり痛みを感じることはなく、臓器機能や形態を維持しながら治療することができることが特徴です。全身の悪性腫瘍のさまざまな病態で放射線治療が果たす役割に知見が得られており、今日では放射線治療は手術、抗がん剤と並び悪性腫瘍、がん治療の重要な要素となっていますとあります。
 まず初めに、トモセラピーと現在駒込病院で採用されている他の放射線治療装置との違いや特性をご説明いただきたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 リニアックは標準的な治療装置であり、主に広範囲に照射が必要な症例や、疼痛緩和を目的とした照射等を対象としております。
 その他、駒込病院では、より高精度な放射線治療装置として、トモセラピー、サイバーナイフ、Veroの三機種を使用しております。
 今回購入するトモセラピーは、複雑な形状のがんに合わせ、事前のプログラムにより、放射線の強度に濃淡をつけて照射する装置であり、例えば前立腺がんでは、周りの正常な臓器への線量を最小限に抑え、腫瘍部分に線量を集中させることができます。
 サイバーナイフは、さまざまな方向から一点に集中して照射する装置であり、主に脳腫瘍に対してロボットアームが位置を補正し、誤差一ミリ程度の高精度な治療を可能としております。
 Veroは、赤外線認識センサーとエックス線透視複合システムを用いて、臓器の動きに合わせて照射する装置であり、例えば呼吸によって上下に動く肺がんに対して、放射線のビームを動かす動体追尾照射を行うことができます。
 このように、それぞれの装置は、がんの特性に応じた治療を行うことができるという特徴を有しております。

○つじの委員 他の放射線治療装置とともに、今回導入のトモセラピーの特性、特徴についての説明があり、理解することができました。
 駒込病院では、一台目のトモセラピーを導入し、平成二十四年度から稼働しておりますが、昨年度までの各年度の患者数と稼働実績をお知らせいただきたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 トモセラピーで治療を行った患者数は、平成二十四年度、百六人、二十五年度、百三十五人、二十六年度、百五十二人、二十七年度、百五十七人、二十八年度、百六十四人でございます。
 稼働実績は、平成二十四年度、三千六百四件、二十五年度、四千二百四十四件、二十六年度、四千七百六十一件、二十七年度、五千二百八十件、二十八年度、五千二百七十三件でございました。
 患者数及び稼働実績ともに着実に伸びており、現在、一〇〇%に近い稼働状況となっております。

○つじの委員 年々、患者さんの実人数、稼働実績が上向いていることが確認できました。
 トモセラピーを使用した治療の需要が多くなっている状況ですが、治療を受ける患者さんの満足度や五年生存率など、トモセラピーを使用したことによる調査資料や客観的な数値があれば明示していただき、需要が多くなっている背景を教えていただきたいと思います。
 その上で、改めて駒込病院で現在採用している他の五台の放射線治療装置と比較して、トモセラピーの二台目を導入する理由をお知らせいただきたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がん治療は、放射線治療、化学療法及び手術により、さまざまな治療法の組み合わせで行われているため、がん患者の生存率については、部位別やステージ別に治療総体として統計がとられております。委員お話しのトモセラピーのみの統計的な数字は、一般的なものとしてはございません。
 二台目のトモセラピーを導入した理由は、現在運用しているトモセラピーでの実施件数が、待機患者が生じないようさまざまな工夫をしているものの、先ほども答弁させていただきましたが、年々増加し、ほぼ一〇〇%の稼働状況となっているためでございます。
 また、トモセラピーは、正常な臓器への線量を最小限に抑えられるため、副作用が少なく、今後もこのような低侵襲な治療がますます求められてくるものと考えております。
 こうしたことから、より多くの患者に最適な治療方法の選択肢を提供するために、今回、二台目の導入をすることとしたものでございます。

○つじの委員 本契約は、契約金額五億一千五百八十六万二千円と高額な高度放射線治療システムの買い入れとなりますが、二台目のトモセラピー導入に当たり、年間の維持コストと採算性についてお伺いしたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 維持コストにつきましては、定期的な点検や部品の交換などの保守委託費用として年間約五千万円を予定しております。
 採算性の検討に当たり、収益は、適用が見込まれるがんの種別ごとに診療報酬と患者数を掛け合わせて算出しております。
 例えば前立腺がんでは、一人の患者に対して三十八回程度の照射を行い、それに対する診療報酬は約百三十五万円でございます。
 患者数は、運用開始当初は年間百六十人程度、その後、徐々に増加して年間百七十人から百八十人程度を想定しております。
 購入費や設置工事費、保守委託費のコストを勘案して、約十年で回収できるものと見込んでございます。

○つじの委員 今回、導入後、初年度より年間百六十人前後の患者さんの治療に当たる見込みとのことですが、一台目の昨年度の実績と同様の見込みとなる根拠をお知らせいただきたいと思います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 駒込病院が保有するそれぞれの放射線治療装置の運用について、機器の特性を生かして症例ごとに最適化を図り、トモセラピーが最も効果的だと認められる症例として前立腺がんや頭頸部がんへの活用を見込んでおります。実施件数は十分に確保できるものと考えております。
 また、高精度放射線治療装置のメリットなど駒込病院の放射線治療を紹介したパンフレットの作成や、各種講演会での専門医による解説など、新たな紹介患者の獲得にも努めているところでございます。
 今後も、これまで答弁してきたとおり、がん患者の病態に応じた治療や身体的負担が少ない治療の一層の充実を目指してまいります。

○つじの委員 二〇一六年九月現在で、日本国内四十八施設に五十二台あり、高度放射線治療装置であるトモセラピーを都立病院である駒込病院で導入することにより、病気で苦しみ悩んでいる患者さんご本人、家族に対して、痛みなど患者さんの身体の負担の少ない治療法を選択肢の一つとして提案できることは大変よいことだと思います。最新の治療装置を使用した治療を行うことで、患者さんの生活の質の維持や、罹患後の生活を長くすることが期待できるところです。
 このようなメリットを都立病院である駒込病院が都民に提供できる体制を今後も維持することになり、今回の治療装置導入で、さらに多くの病気で苦しんでいらっしゃる都民の皆様に良質な医療サービスを提供できる体制が整うことになりますが、駒込病院の医療体制の充実を広く都民に広報して、治療が必要な方々に情報が行き届き、今回のトモセラピーの導入が、高額ではあるけれども、少し長い時間を考えた場合に都民にとって利益になる、ワイズスペンディング、賢い支出となることを確信して、私の質疑を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○古城委員 都議会公明党は、平成二十年第一回定例会の代表質問、そして平成二十三年第一回定例会の代表質問などを通じて、高精度の放射線治療器を都立病院に導入し、がんに対する都民の不安を和らげるべきであり、がん治療の拠点病院として機能が一新される駒込病院にこそこうした機器を導入するよう提案するなど、都のがん対策の強化を重ねて訴えてまいりました。
 先ほどのつじの委員の質疑でも触れられておりましたけれども、駒込病院に導入された高精度の放射線治療装置であるトモセラピーは、平成二十四年度から本格的に稼働し、多くの患者さんが治療を受けておられます。
 ところで、我が国では、過去に放射線治療の誤照射、放射性医薬品の過剰投与などの医療事故が報告されています。高精度の放射線治療装置を用いる高度な放射線診療を安全かつ適切に実施するためには、放射線科医、診療放射線技師、そして医学物理士など多職種の連携が重要であるといわれております。治療装置を使いこなせる専門家が必要であるということです。
 首都大学東京教授で一般財団法人日本医学物理士会代表理事でもいらっしゃる福士政広先生によれば、医学物理士の業務は四分野に分類されるそうです。
 まず、放射線治療物理学分野では、エックス線や粒子線を利用してがんを治療する放射線治療における装置の開発、物理的な品質管理などを通して副作用を抑え、がんを効果的に制御することをもって健康に寄与する。
 二つに、放射線診断物理学分野では、病気の診断をするための画像診断装置の開発、画質向上、被曝線量と画質の管理などにより、健康に寄与する。
 三つに、核医学物理学分野では、放射線同位元素を使って病気の診断や治療をするための装置の開発、画質向上、被曝線量と画質の管理などにより、健康に寄与する。
 そして四つに、放射線防護、安全管理学分野では、放射線の害を最小限に抑え、健康に寄与する。
 このように分類されるそうですが、我が国において、医学物理士の主な業務は、放射線治療学分野、臨床の現場であるとのことであります。
 そして、一般財団法人医学物理士認定機構のホームページによれば、今月一日現在の医学物理士認定者は千五十七名とのことです。我が国の医学物理士一人当たりの国民の数は約十二万人となりますが、イギリスやアメリカに比べると医学物理士の数は少ないそうでございます。
 今、日本人の二人に一人以上ががんにかかる。こういった中で、適切ながん治療が最重要課題であるとともに、今後、放射線治療もより増加することが予想される中で、高精度放射線治療装置の導入とともに放射線治療の人材の確保も重要であることを踏まえ、関連して質問いたします。
 まず、現在、駒込病院の放射線治療を担当している常勤の医師、診療放射線技師、医学物理士の人数を伺います。

○児玉経営企画部長 平成二十九年十一月一日現在、常勤の医師が七名、診療放射線技師が十五名、医学物理士として放射線治療業務に従事している者が四名となっております。

○古城委員 ありがとうございます。
 続いて、駒込病院における医学物理士の役割、業務内容を伺います。

○児玉経営企画部長 医学物理士は、委員のお話にありましたように、一般財団法人医学物理士認定機構の認定資格であり、放射線治療の安全性や治療成績の向上などに重要な役割を担っています。
 駒込病院では、主に高精度放射線治療における治療計画の策定、検証、放射線治療機器、放射線測定機器の品質、状態、基礎データの管理などの業務に従事しております。
 具体的には、症例ごとの治療計画の策定に当たり、医師が指示する放射線量を正確に実現するために照射方法等の最適化を行うほか、医師や診療放射線技師に対して物理工学的な観点からの助言を行っているところでございます。

○古城委員 ありがとうございます。今の答弁でも確認をさせていただきましたけれども、医学物理士は、医師そして診療放射線技師と共同して、高度な放射線診療を安全かつ適切に実施する職種として期待をされているということを確認させていただきました。
 また、その業務の専門性ですとか責任性を担うためには、医事法制にのっとって資質を担保する国家資格制度が必要ではないか、このようなご意見も先ほどご紹介をさせていただきました福士先生からも伺っているところでございます。
 都としても引き続き、放射線治療を担う人材の確保、育成に取り組んでいくとともに、医学物理士の国家資格化を国や関係諸機関に働きかけていくことを要望いたします。
 さて、放射線物理学的な学識を有する専門職である医学物理士四名の方が業務分担をされている都立駒込病院だからこそ、二台目のトモセラピーを導入することができると理解しているところですけれども、今回の二台目の導入によって放射線治療全体にどのような効果が見込まれるのか、伺います。

○大久保経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 駒込病院では、放射線治療の実施に当たっては、標準的な治療装置であるリニアックのほか、トモセラピー等の高精度放射線治療装置を適切に運用してきたところでございます。
 これまでリニアックを適用してきた症例の中から、例えば乳腺がんの術後照射は、心臓や肺への放射線量を低減させることが可能となるため、より治療効果が見込めるトモセラピーに移行することとしております。同様に、造血幹細胞移植の前に行われる全身照射についても、移植成績の向上や合併症の減少などの効果が見込まれております。
 このように、それぞれの装置への症例の運用を見直すことにより、副作用の低減や治療効果の向上など、よりよい治療方法の選択肢をより多くの患者さんに提供することができるものと考えております。

○古城委員 ありがとうございます。
 今後も都のがん対策が着実に進むこと、そして駒込病院ががん対策の中心拠点として発展していくことを期待しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、報告事項、契約の締結についてに対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○伊藤委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○梶原福祉保健局長 平成二十九年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明を申し上げます。
 今回、ご審議をお願いいたします議案は、条例案五件と事件案十件でございます。
 初めに、条例案についてでございますが、国民健康保険法の改正等に伴うもの、東京都心身障害者福祉センター多摩支所の移転に伴うものでございます。
 次に、事件案についてでございますが、地方独立行政法人法の改正に伴い、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの定款を変更するもの、当局が所管をいたします公の施設の管理運営を行う指定管理者の指定を行うものでございます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○後藤総務部長 それでは、私の方から、提出議案の詳細につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料、平成二十九年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をごらんいただきたいと思います。
 まず、条例案五件につきましてご説明を申し上げます。
 一ページをお開き願います。1、条例案としておりまして、まず、整理番号1、東京都国民健康保険保険給付費等交付金条例でございます。
 国民健康保険法の改正等に伴いまして、区市町村の保険給付等に要する費用といたしまして都が国民健康保険保険給付費等交付金を交付することとなりますため、その種類、算定方法等を定めるものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十年四月一日を予定しております。
 その次、整理番号2、東京都国民健康保険事業費納付金条例でございます。
 国民健康保険法の改正等に伴いまして、都が、区市町村から国民健康保険事業費納付金を徴収することとなりますため、その算定方法等を定めるものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十年四月一日を予定しております。
 さらにその下、整理番号3、東京都国民健康保険運営協議会条例の一部を改正する条例でございます。
 国民健康保険法施行令の改正に伴いまして、国民健康保険運営協議会の委員の任期に係る規定が政令に設けられましたため、委員の任期に係る規定を条例から削除いたしますほか、所要の改正を行うものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十年四月一日を予定しております。
 二ページをお開き願います。整理番号4、東京都国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例でございます。
 国民健康保険法の改正等に伴いまして、国民健康保険財政安定化基金の貸し付け及び交付の要件等に係る規定を新たに設けますほか、所要の改正を行うものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十年四月一日を予定しております。
 整理番号5、東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都心身障害者福祉センター多摩支所の移転に伴いまして、位置を改めるものでございます。
 この条例の施行日は、平成三十年三月十二日を予定しております。
 続きまして、事件案十件につきましてご説明申し上げます。
 三ページをごらんください。2、事件案でございます。
 まず、整理番号1、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款の変更についてでございます。
 地方独立行政法人法の規定に基づきまして、総務大臣に対しまして、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター定款の変更の認可申請を行うものでございます。変更の内容といたしましては、地方独立行政法人法の改正に伴いまして、監事の任期を変更いたしますほか、所要の改正を行うものでございます。
 次に、整理番号2から五ページの整理番号10までの九件の事件案でございますけれども、全て地方自治法の規定に基づきまして、公の施設の指定管理者の指定につきましてお諮りするものでございます。
 それぞれ、公の施設の名称及び所在地、指定管理者の名称及び主たる事務所の所在地、さらに指定の期間を記載してございます。
 九件のうち、整理番号2の東京都船形学園から四ページの整理番号5の東京都片瀬学園までの四件は、児童養護施設の指定管理者の指定でございまして、いずれも社会福祉法人東京都社会福祉事業団を指定管理者とするもので、指定期間は三年間でございます。
 次に、その下の整理番号6の東京都七生福祉園から五ページの整理番号9の東京都東村山福祉園までの四件は、障害者支援施設等の指定管理者の指定でございまして、いずれも社会福祉法人東京都社会福祉事業団を指定管理者とするもので、指定期間は三年間または五年間でございます。
 最後の整理番号10の東京都清瀬喜望園は、社会福祉法人東京アフターケア協会を指定管理者とするもので、指定期間は三年間でございます。
 それぞれの議案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十九年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案をごらんいただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますけれども、提出議案のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○和泉委員 国民健康保険に関して三点の資料をお願いいたします。
 平成三十年度国の仮係数に基づく区市町村別の納付金額一覧表。
 平成三十年度国の仮係数に基づく区市町村別一人当たり保険料額一覧表。
 そして三点目が、平成三十年度国の仮係数に基づく区市町村別標準保険料率の一覧表。
 以上です。

○伊藤委員長 ほかはよろしいですか。--ただいま和泉副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○伊藤委員長 次に、陳情の審査を行います。
 まず、陳情二九第六一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○横手生活支援担当部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、陳情二九第六一号は、神奈川県横浜市の宮崎康史さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、二十三区に五カ所ある自立支援センターを、都内各市にはないため、最低でも一カ所設置していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 平成十二年度より、都と特別区は共同で自立支援センターを設置し、緊急一時保護やハローワークと連携した職業紹介など、就労自立に向けた支援を実施しております。
 市部においては、各市が自立相談支援窓口や福祉事務所において、自立に向けた生活相談や就労支援のほか、宿泊場所や食料の提供等の支援を、地域の実情に応じて実施しております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○藤田委員 私から幾つか質問させていただきます。
 陳情提出者は、立川市と協力して自立支援センターを設置してほしいと述べています。
 現在東京都が行っている自立支援センターは、どのような目的で、どういった経緯で設置されたものでしょうか。

○横手生活支援担当部長 お話の自立支援センターにつきましては、バブル経済崩壊後の長期の景気停滞を背景といたしまして、都市部を中心にホームレスが急増していたことから、特別区と共同で平成十二年度に設置したものでございます。
 自立支援センターは、ホームレスがみずからの意思で自立した生活を回復し、地域社会の一員として早期に社会復帰できるよう支援することを目的に、就労支援などの自立支援事業を実施しておりまして、必要な経費は、国支出分を除き、都と特別区でそれぞれ二分の一ずつ分担しております。

○藤田委員 ホームレスが急増したのは都市部だから二十三区に自立支援センターを設置したとのことですが、実際は多摩地域にもホームレスの方はいらっしゃり、東京都の調査では、都内全体のホームレスの約一割、百四十一人が多摩地域で生活していることがわかっています。
 さらに、この調査は日中に行われているため、ネットカフェ難民や昼間は移動しているホームレスも含めると、実際は多くのホームレスの方がいらっしゃるはずであり、当然、多摩地域ももっと多いことが想定されます。
 このような背景からも、自立支援センター事業を多摩地域でも統一した対策として東京都が行うことの意味は大きいと思われるのですが、いかがですか。

○横手生活支援担当部長 都がことし八月に行った概数調査結果によりますと、多摩地域のホームレスは百四十一名でありまして、ピーク時に比べて四分の一程度まで減少しております。この百四十一名のうち、百十四名が多摩川など国管理河川敷におりまして、二十七名がそれ以外の道路、公園等で確認されております。
 多摩地域では、区部のように広範囲にわたってホームレスが存在するという実態にはございません。このため、実施主体である各市が、福祉事務所や自立相談支援窓口において、生活相談や就労支援、巡回相談等を地域の実情に応じて実施しているところでございます。
 具体的には、高齢や病気など就労自立が困難な場合は、保護施設や無料低額宿泊所等を利用して生活保護により対応しておりまして、就労自立が可能な場合は、アパート等を利用して宿泊場所を提供する生活困窮者自立支援法の一時生活支援事業等により対応しているところでございます。

○藤田委員 生活困窮者自立支援制度には、任意事業として、一時生活支援事業を行っている市も確かにあります。しかし、それは二十六市中、一市のみです。なぜ事業を行っている自治体が少ないのか調べる必要があると思います。
 また、立川市では、住居に困る住民の相談があった場合、地域の団体を紹介しているとのことでした。しかし、それらの団体は、財政面などでも市とは何の関係もないところだということでしたので、こうした無料低額宿泊所などによかれと思って紹介しても、かえってホームレスや生活困窮者が貧困ビジネスの犠牲者になることも考えられます。
 また、ホームレスの長期化、高齢化の問題も深刻です。多摩地域のホームレスは、ご答弁にもあったように、河川沿いにいらっしゃる方が多いことが東京都の調査からもわかっています。
 高齢化とともに、河川沿いのホームレスの方も医療や介護が必要になる方がふえることは想像できます。
 そもそも、なぜ豊かな国といわれている先進国において、食や賃金に困り、家を持つことのできないホームレスは存在するのでしょうか。ホームレスに至った経緯は人それぞれでありますが、ご答弁にもあったように、バブル経済の崩壊、社会の雇用や失業問題が原因で生み出され、その後の支援も十分行き渡っていない、社会が生み出した問題であるといえます。
 根本的なことから見ると、自立支援センターさえあれば解決できる問題ではなく、一人一人の当事者側から支える、支援者と被支援者の両者のつながりがある支援が必要だと考えます。
 そうはいっても、今できることから進める必要があります。以前、市長会から、多摩地域におけるホームレスについて、統一した支援策を実施されたいとの要望があったように、路上生活者の自立に向けて適切に援助していくためにも、ホームレス対策事業を一部でも多摩地域で行うべきと考えます。
 多摩地域に自立支援の公的施設がある意味は大きいと考え、多摩地域のホームレス対策を、東京都として支援策を講じることを要望いたしまして、陳情の趣旨に賛成し、発言を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二九第六一号は不採択と決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、陳情二九第六四号の二、陳情二九第六五号及び陳情二九第六六号は、内容が関連しておりますので、一括議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 整理番号2、陳情二九第六四号の二、整理番号3、陳情二九第六五号、整理番号4、陳情二九第六六号につきまして、一括してご説明させていただきます。
 これらはいずれも、埼玉県北葛飾郡の小畑孝平さんから提出されたものでございます。
 三ページをお開きください。整理番号2、陳情二九第六四号の二の陳情の趣旨は、国に対し、社会保険料の算定基礎から交通費を除外することを求める意見書を提出していただきたいというものでございます。
 続いて、五ページをお開きください。整理番号3、陳情二九第六五号の陳情の趣旨は、国に対し、社会保険料の算定基礎から残業代を除外することを求める意見書を提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてですが、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額及び標準賞与額は、厚生年金保険法第三条及び健康保険法第三条で規定する報酬及び賞与に基づき決定されております。この報酬及び賞与は、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのものと定義されており、現実に提供された労働に対する対価に加え、給与規定等に基づいて使用者が定期的に被用者に支払うものが該当し、通勤手当及び残業手当も含まれております。
 次に、七ページをお開きください。整理番号4、陳情二九第六六号の陳情ですが、この趣旨は、国に対し、同月得喪における社会保険料の二重取りを廃止することを求める意見書を提出していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてでございますが、厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料は、被保険者の資格を取得した月から一カ月単位で納付することとなっておりますが、前月から引き続き被保険者である者が月の途中で資格を喪失した場合には、資格を喪失した月の保険料を納付する必要はございません。
 しかしながら、例えば月の初日に健康保険法に基づく健康保険の被保険者資格を取得した者が、同月中に資格を喪失し、以降、国民健康保険の被保険者である場合、健康保険法等に基づき、それぞれの保険者に、その月の保険料を納付することになっております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、陳情二九第六四号の二を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二九第六四号の二は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情二九第六五号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二九第六五号は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情二九第六六号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二九第六六号は不採択と決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、陳情二九第七七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高原障害者施策推進部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 九ページをお開きください。整理番号5、陳情二九第七七号の都営交通の無料パスを東京メトロと共通化することに関する陳情は、荒川区の齊藤裕哉さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、都営交通の無料パス、都営交通無料乗車券、東京都シルバーパス、精神障害者都営交通乗車証を東京メトロと共通化し、東京メトロ各線でも使用できるようにしていただきたいというものです。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 都は、東京都都営交通無料乗車券発行規程に基づき、身体障害者手帳所持者や愛の手帳所持者等に対して、都営交通、都電、都バス、都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーの乗車券を発行するとともに、東京都精神障害者都営交通乗車証条例に基づき、精神障害者保健福祉手帳所持者に対して乗車証を発行しております。
 また、東京都シルバーパスは、東京都シルバーパス条例及び施行規則に基づき、七十歳以上の方を対象に、区市町村民税非課税の方は千円、課税の方は二万五百十円の利用者負担で発行されており、利用対象交通機関は、都営交通及び路線バスとなっております。
 JR、東京メトロ等の私鉄においては、国の通知等を踏まえ、身体障害者手帳所持者と愛の手帳所持者に対して運賃割引を実施しており、都は、精神障害者に対しても、他の障害の手帳所持者と同様に、交通機関の運賃割引を実施するよう、JR東日本及び関東鉄道協会に対して要望するとともに、国に対しても関係機関への働きかけを強化するよう要望しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○古城委員 都営交通の無料パスを東京メトロと共通化することに関する陳情に関連して、障害者に対する運賃割引制度の中でも、特に精神障害者について質問をいたします。
 都議会では、平成十年第四回定例会において、精神障害者都営交通無料乗車券に関する請願が全会一致で趣旨採択されました。これを受けて、都は、平成十二年度から東京都精神障害者都営交通乗車証の発行事業を開始し、今、十八年が経過をしているところでございます。
 そこでまず、精神障害者都営交通乗車証の制度の概要と平成二十八年度の発行状況について伺います。

○高原障害者施策推進部長 精神障害者都営交通乗車証は、精神障害者の自立と社会参加を促進し、精神障害者の福祉の向上を図ることを目的として発行しております。
 発行対象者は、都内に住所を有し精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方で、都電、都バス、都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーに無料で乗車できるよう、都営交通定期券発売所及び市町村の窓口において、有効期間を二年とする乗車証を発行しております。
 発行状況ですが、平成二十八年度は新規に一万二千九百二十六件、継続として八千十八件、合計二万九百四十四件の乗車証を発行いたしました。

○古城委員 この精神障害者都営交通乗車証により、精神障害者の方は無料で、都電、都バス、そして都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナー、都営交通を利用できることがわかりました。一方で、都営交通を除く鉄道事業者、JR、私鉄、東京メトロでは、割引制度の適用がありません。
 先ほどの説明では、都は、交通事業者や国に対して要望を行っているとのことですけれども、具体的にどのような要望を行っているのか、伺います。

○高原障害者施策推進部長 都は毎年、JR東日本及び関東鉄道協会に対して、身体障害者や知的障害者と同様、精神障害者についても手帳交付者に対して運賃割引制度を適用するよう要望を行っており、本年につきましても、二月に要望書を提出したところであります。
 また、国に対しても、精神障害者も他の障害の手帳所持者と同様に交通機関の運賃割引制度などのサービスを受けることができるよう、国において関係機関へ働きかけを強化することを、本年六月に提案要求をいたしました。

○古城委員 先ほどの説明やただいまの答弁でも、障害者の方に対する運賃割引制度は、交通事業者の判断により実施されている、ないし実施されるものであることが明らかになりました。
 東京都議会は、平成二十八年第二回定例会において、障害者の自立や社会参加促進のためには公共交通機関などの移動手段の確保が必要不可欠である、このことから、国に対して公共交通機関の運賃割引制度について、交通事業者に対し、精神障害者も身体障害者及び知的障害者と同様に適用対象とすることを働きかけるよう強く要請する旨の意見書を提出しております。
 精神障害者の方への公共交通機関の運賃割引制度が充実されるよう、都も引き続き、交通事業者及び国に対し働きかけていただきたいと要望しまして、私の質問を終わります。

○藤田委員 私からも、ただいまの都営交通無料パスをメトロと共通化することに関する陳情に対して質問いたします。
 全国各地で、障害者団体を初めとした方々が同様の要望を出されています。この背景には、運賃割引制度の適用対象に精神障害者を含めているものは極めて少ないという現状があり、障害者の間でも大きな格差が生じています。
 陳情者が主張されていますように、精神障害者保健福祉手帳の所持者には、ひきこもりなど、外出を自発的にすることが困難な方もいらっしゃいます。運賃割引制度に精神障害者を含めることは非常に重要です。
 これは、高齢者にも同様のことがいえると思います。大阪府の高槻市では、市営バスの高齢者無料乗車証の利用実態アンケート調査を行い、昨年三月に調査結果を発表しておりますけれども、それによりますと、外出頻度がふえたことによる社会参加の増、歩行数の増加による健康増進、外出増による経済効果、また自動車利用を抑える環境負荷低減効果などが報告されております。
 東京都の無料パスの適用拡大により、高齢者や精神障害者の外出を促し、社会参加が促進され、健康増進、経済効果、環境負荷低減効果などにつながることは大変有益なことと考えますが、いかがでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 シルバーパスは、東京都シルバーパス条例及び同条例施行規則に基づきまして、高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図ることを目的として発行しており、利用対象交通機関は都営交通及び路線バスとなっております。
 また、精神障害者都営交通乗車証は、東京都精神障害者都営交通乗車証条例に基づき、精神障害者の自立と社会参加を促進し、もって精神障害者福祉の向上を図ることを目的として発行しておりまして、利用対象交通機関は都営交通となっております。

○藤田委員 既に、自立や社会参加、福祉向上が重要との判断で、それらを目的として条例を定めているということだと思います。
 さらに、都は、より一層拡大する必要があるとの立場から、国や交通事業者に対して、精神障害者に対する公共交通機関の運賃割引の適用を求める意見書を出しているのだと思われます。
 精神障害者の外出に運賃割引が有効と考えるのであれば、とりわけ東京都が出資している東京メトロについては、都が主導的に必要な運賃補填もしながら割引を導入していくことを強く求めるものです。
 この四月、西日本鉄道は精神障害者も割引対象といたしましたが、大手の鉄道会社の中では初めてのことで、大きな前進です。私たち日本共産党都議団としても調査をいたしましたところ、ほかの都市では、障害者への交通費の支援を公営交通以外でも行っていることが少なくないということがわかりました。
 横浜市では、第三セクターの金沢シーサイドラインと民営バス。名古屋市でも、第三セクターのゆとりーとライン及びあおなみ線。神戸市でも、第三セクターのポートライナー、六甲ライナーと民営バス。福岡市においては、民間のバスや電車。札幌市では、民間バスも含め精神障害者の方も支援対象にしていました。運賃の補填はそれぞれのやり方で行っています。
 ほかの都市で、直営の交通機関だけでなく、自治体の出資する交通機関に対しても精神障害者の乗車証を適用しているところが少なくない現状について、どう認識されていらっしゃいますか。

○高原障害者施策推進部長 障害者に対する運賃割引は、都の出資の有無、あるいは障害の種別にかかわらず、事業者の判断により事業者みずからが実施すべきものというふうに考えております。

○藤田委員 ほかの都市の乗車証も、都と同じく自治体として行っているものです。自治体として必要だという判断を行っているのは明らかで、事業者任せというのは実態とは違うと思います。
 陳情者が主張されていらっしゃるように、都営交通無料乗車券、東京都シルバーパス、精神障害者都営交通乗車証の対象路線を東京メトロにも拡大することは、高齢者や精神障害者にとって非常に意味のあることだと思いますが、いかがでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 先ほどもご説明をさせていただいたところでございますが、東京都シルバーパスや精神障害者都営交通乗車証、都営交通無料乗車券は、東京都シルバーパス条例や東京都精神障害者都営交通乗車証条例等に基づき、高齢者や障害者の社会参加の促進等、自立等を目的として発行しております。
 JRや東京メトロを含む私鉄各社においては、国の通知等を踏まえ、それぞれの約款等に基づき、身体障害者手帳所持者と愛の手帳所持者に対しては運賃割引を実施しており、精神障害者に対しても、他の障害の手帳所持者と同様に交通機関の運賃割引を実施することは、精神障害者の自立と社会参加の促進に資するものというふうに考えてはおります。
 このようなことから、都は、JR東日本及び関東鉄道協会に対して、精神障害者についても、手帳交付者に対して運賃割引制度を適用するように要望するとともに、国に対しても、関係機関への働きかけを強化するように要望しております。

○藤田委員 ほかの自治体の運賃割引の方法から見ても、その補填方法はさまざまであることから、交通業者が判断するのを待つのではなく、東京都が高齢者や障害者の負担軽減に財政支出も行って乗り出すことは重要です。
 都におかれましては、JR東日本及び関東鉄道協会に働きかけるとともに、とりわけ東京メトロのように都が出資している交通機関には、都自身が主体的な役割を果たすことを強く求め、陳情の趣旨に賛成し、発言を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二九第七七号は不採択と決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、陳情二九第七八号、陳情二九第八七号及び陳情二九第八八号は、内容が関連しておりますので、一括議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○矢内保健政策部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号6、陳情二九第七八号は、新宿区の東京都社交飲食業生活衛生同業組合理事長の塚口智さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、一律的で過度な受動喫煙防止条例を制定しないでいただきたいというものでございます。
 また、整理番号9、陳情二九第八七号は、渋谷区の東京都生活衛生同業組合連合会会長の金内光信さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、一律的、過度な受動喫煙防止条例の制定をしないでいただきたいというものでございます。
 また、整理番号10、陳情二九第八八号は、港区の東京都たばこ商業協同組合連合会会長の水谷章道さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、受動喫煙防止に関して、条例化による一律的、強制的な規制ではなく、事業者の自主的な取り組みによる受動喫煙防止対策としていただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 受動喫煙は、肺がんや乳幼児突然死症候群、虚血性心疾患等のリスクを高めるなど、健康に悪影響を与えることが科学的に明らかにされており、昨年発表されたたばこ白書によると、受動喫煙による年間死亡者数は約一万五千人、受動喫煙のある人は、ない人に比べ、肺がんリスクが約一・三倍になるといわれております。
 また、国の調査では、非喫煙者のうち三割を超える方が、飲食店や職場などで受動喫煙に遭ったことがあると回答しております。
 さらに、国際条約であるたばこ規制枠組み条約、FCTCの実施のためのガイドラインでは、受動喫煙防止対策として罰則つきの立法措置が求められており、近年のオリンピック・パラリンピック開催都市においても、屋内を全面禁煙とするなど、法律や条例で罰則を伴う受動喫煙防止対策を講じております。
 こうしたことを踏まえ、都では、東京都受動喫煙防止条例(仮称)を定めることを検討しており、平成二十九年九月八日には、条例制定に当たっての基本的な考え方を公表し、十月六日までパブリックコメントを実施しました。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。本件について発言を願います。

○岡本委員 陳情二九第七八号についてお伺いをいたします。
 資料の三一ページ、また以下、中ほどですが、陳情理由に、オリンピック・パラリンピック大会の開催に向けた喫煙環境整備において、開催国や開催都市に対し、喫煙規制の強化は義務づけられていないと認識していると、このように記述がされているんですが、この点について、都の認識、ご見解をお伺いいたします。

○矢内保健政策部長 オリンピック・パラリンピック大会開催に当たっては、大会運営要件等で選手村内の禁煙環境の確保、競技会場内の分煙環境の整備が求められており、二〇一〇年七月、国際オリンピック委員会、IOCと世界保健機関、WHOは共同してたばこのないオリンピックを実現することに合意しております。
 また、近年のオリンピック・パラリンピック開催都市では、屋内を全面禁煙とするなど、法律等で罰則を伴う受動喫煙防止対策を講じております。
 国際条約であるたばこ規制枠組み条約、FCTCの実施のためのガイドラインでは、受動喫煙防止対策として罰則つきの立法措置が求められており、都は受動喫煙防止対策を推進するため、東京都受動喫煙防止条例(仮称)の制定に向けて検討を進めております。

○岡本委員 ありがとうございます。私からは以上です。

○舟坂委員 国は、平成二十七年十一月に閣議決定した二〇二〇年東京大会の基本方針に、大会を弾みとして健康増進の取り組みを促進すること、近年のオリンピック・パラリンピック競技大会開催地における受動喫煙防止法規制の整備状況を踏まえつつ、公共の場における受動喫煙防止対策を強化することを明記しました。
 このため、我が党はさきの都議選の公約において、都民の健康増進を図るため、原則、屋内全面禁煙とする都独自の受動喫煙条例の制定、オリンピック・パラリンピックの成功を目指し、二〇一九年、二〇二〇年の競技大会までに罰則規定のある受動喫煙防止条例の制定を約束しております。
 受動喫煙が健康に悪影響を与えることは、科学的に明らかになっており、肺がんや乳幼児突然死症候群などのリスクを高めるとされています。
 また、受動喫煙の問題は、二〇二〇年の大会に向けて早期に取り組むべき課題でもあり、都民の健康増進の観点からも受動喫煙を防止することに異論はありません。
 しかし、受動喫煙防止対策の強化、都独自の条例制定に当たり、実効性を担保していくためには、都民や関係団体、区市町村等の理解と協力が必要です。
 そこで、条例の制定に当たり、これまでの取り組みや現状などについてお伺いいたします。
 都は、飲食店における受動喫煙防止対策として、店内の喫煙環境がわかるステッカーの店頭表示を促進しておりますが、配布状況についてお伺いをいたします。

○矢内保健政策部長 都はこれまで、利用者が飲食店を選択する際の参考となるよう、店内の禁煙、分煙等の状況を把握できる店頭表示ステッカーを関係団体や区市町村等を通じて配布してまいりました。
 さらに、複数の飲食店が入る商業施設を通じて、施設内の店舗へ店頭表示の必要性を説明した上で貼付を働きかけ、店頭表示ステッカーの貼付の促進を図っております。
 こうした取り組みにより、平成二十九年十月現在、三万九千六百十枚を配布しております。

○舟坂委員 それでは、次に、飲食店などの関係団体の実態把握における都の取り組みについてお伺いをいたします。

○矢内保健政策部長 都は、受動喫煙に関する飲食店の取り組み状況等を把握するため、平成二十年度から計四回実態調査を実施いたしました。
 平成二十九年度は、飲食店に対する調査を二万店舗を対象に実施するとともに、新たに宿泊施設に対する調査を約三千施設を対象に実施いたしました。

○舟坂委員 今年度実施した飲食店及び宿泊施設に対する実態調査結果についてお伺いをいたします。

○矢内保健政策部長 飲食店における受動喫煙防止対策実態調査では、六千八百九十八店から回答をいただいております。
 主な調査結果として、禁煙、分煙の取り組み状況は、平成二十七年度の前回調査に比べ、一般飲食店では六四・〇%と四・三ポイント増加し、主に酒類を提供する遊興飲食店では二一・五%と七・六ポイント増加しております。
 また、条例による規制については、賛成が、一般飲食店では五〇・四%と前回調査に比べ一二・八ポイント増加し、遊興飲食店では二八・三%と一六ポイント増加しております。
 宿泊施設における受動喫煙防止対策実態調査では、千二百八十四施設から回答をいただき、屋内全体を全面禁煙または分煙としている施設が七一・七%であり、条例による規制がある方がよいとする回答が五四・八%でございました。

○舟坂委員 都はこれまで、受動喫煙防止対策を推進するために、店頭表示ステッカーの配布や張りつけ向上の働きかけなど、関係団体の取り組みを促すとともに、約十年前から数回にわたって関係団体の実態調査を行い、状況把握に努めてきたことは、条例制定の検討に当たって非常に重要であると考えます。
 都が九月八日に公表した受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方の中では、事業者の役割に加え、都民の役割を明確にし、実効性の担保として、義務違反者に対する罰則の適用も検討しております。
 こうしたことから、受動喫煙対策に関する都民の意識を把握することが必要であると考えます。
 そこで、都民の意識を把握するための都の取り組みとその結果についてお伺いをいたします。

○矢内保健政策部長 都は、都民の受動喫煙に関する意識を把握するため、平成二十七年度に一万人、平成二十九年度に二万人を対象に調査を実施いたしました。
 平成二十九年度の調査では、八千七百十二人から回答をいただき、喫煙率は一四・二%と、前回調査から一・四ポイント減少しております。
 受動喫煙防止対策をとってほしい施設といたしましては、病院、診療所に次いで、飲食店が多く挙げられております。
 また、施設に対して法的な規制がある方がよいとする回答は六九・二%で、前回調査から三・一ポイント増加しております。

○舟坂委員 また、都では、受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方に関して、約一カ月間の長期にわたり、パブリックコメントを実施したと聞いております。
 そこで、パブリックコメントの結果についてお伺いをいたします。

○矢内保健政策部長 受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方に対するパブリックコメントには、五千八十五人から一万六千九百七十二件のご意見をいただいております。
 さまざまなご意見をいただいておりますが、おおむね賛成意見が四割、反対意見が三割、一部反対とする意見が二割でございました。
 賛成の意見としては、非喫煙者の保護や従業員の受動喫煙防止に努めるべきなどのほか、屋内は例外なく全面禁煙とすべきなど、さらなる規制の強化を求めるものがございました。
 反対の意見としては、喫煙者と非喫煙者の共存を図るべき、あるいは一律規制ではなく施設管理者の判断を尊重すべきなどがございました。
 一部反対とする意見としては、加熱式たばこに関して規制対象外とすることや、拙速な施行は避けた方がよいなどがございました。

○舟坂委員 約五千人という大勢のパブリックコメントの結果からも、受動喫煙の関心が高いことがいえます。こうした関心の高さからも、効果的かつ実効性のある受動喫煙防止条例が必要です。
 そのためには、基礎的自治体である区市町村と十分に協議をし、進めていくことが不可欠です。
 そこで、基本的な考え方では、命令や勧告などの業務を保健所設置区市が担うとしており、区市町村との連携が不可欠と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○矢内保健政策部長 受動喫煙防止条例(仮称)を策定し、実効性のある対策を進めるためには、区市町村との連携協力が不可欠でございます。
 このため、都は、区市町村に対して基本的な考え方について情報提供を行うとともに、ご意見を伺っております。
 区市町村からは、健康増進法との整合性を図ること、罰則の適用基準や運用基準を明確にするべきとのご意見をいただいたほか、対策を進めるための財政支援や今後も十分な意見交換を行うことなどについてご要望がありました。
 今後、こうしたご意見やご要望を踏まえ、区市町村と連携を図りながら、実効性のある受動喫煙防止対策を推進してまいります。

○舟坂委員 受動喫煙防止条例の制定に当たっては、各種実態調査やパブリックコメント、区市町村等からの意見を踏まえ、慎重に検討することが重要です。
 今後も各関係機関と連携協力しながら進めていくことを要望して、質問を終わります。

○和泉委員 私からは、今、一括で議題となっています三件の陳情に関して意見を述べさせていただきます。
 この三件の陳情はいずれも、受動喫煙防止条例の制定に当たって、一律的、過度な条例としないよう求める内容になっていますが、一方で、受動喫煙防止に異論を唱えるものではないという点でも共通しています。小規模零細の事業者の営業を守る必要があるという点からの懸念です。
 受動喫煙対策を進めつつ、どのように小規模零細事業者の営業を守るか、これは都が行った飲食店、宿泊施設への調査結果も参考にしながら、知恵と工夫を凝らす必要があるというふうに思います。
 ただ、そうはいっても、受動喫煙を受けている人が肺がんや心疾患、脳卒中になるリスクが、いずれも受けていない人よりも高いというのは、先ほど説明があったとおりです。そして、受動喫煙を原因とする死亡者が一万五千人、交通事故死の四倍にまで上っているという現状は、やはり放置できるものではありません。
 受動喫煙による疾病がなければ、医療費を年間三千億円抑制できるという厚生労働省の研究もあります。このような現状を見れば、受動喫煙対策は喫緊の課題です。日本の受動喫煙対策の到達点が世界最低レベルと分類されている現状から脱して、たばこ規制条約を批准している国にふさわしい対策が講じられる必要があると考えます。
 子供やがん患者、ぜんそく患者などを受動喫煙から守るためには、飲食店の全面禁煙は当然の措置だというふうに思います。WHOが実施した国際調査は、レストランやバーを全面禁煙しても減収はないと結論づけています。
 国内でも、愛知県や大阪府が、県内、府内の自主的に全面禁煙に踏み切った飲食店を対象に行った調査で、売り上げはほとんど変わらなかったという結果が出ています。
 私たちは、都民の健康を守るためにも、たばこ規制条約批准国、五輪開催国としての国際的責務を果たす上でも、受動喫煙対策の抜本的強化は急務であり、罰則つきの条例の必要性を述べて、意見表明とします。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、いずれも継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二九第七八号、陳情二九第八七号及び陳情二九第八八号は、いずれも継続審査といたします。

○伊藤委員長 次に、陳情二九第八三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○本多地域保健担当部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
 一三ページをお開きください。整理番号7、陳情二九第八三号は、足立区のくらしと営業を守る足立連絡会代表の市井真一さん外四百九十六人の方々から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、都からの財政支援をふやすことで、国民健康保険料、税を引き下げていただきたい。
 第二に、国に対して、国庫負担の引き上げと減免制度の改善を求める意見書を上げていただきたいという内容でございます。
 現在の状況についてご説明をさせていただきます。
 第一についてですが、国民健康保険制度は、保険料、税、都・国・区市町村が法令の定める割合により負担する公費及び前期高齢者交付金等により運営されており、保険料、税は、保険者である区市町村が議会の議決を経て決定しております。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、区市町村に対し、法令に基づく負担のほか、都独自の財政支援を行っております。
 第二についてですが、現在、国は、定率国庫負担及び調整交付金のほか、国保財政基盤の安定に資するため、区市町村の低所得の被保険者数に応じた負担や高額な医療費の発生による急激な負担増への支援等を行っております。
 新制度への移行に伴い、平成三十年度からは、国保財政基盤の強化を図るため、毎年三千四百億円の財政支援を行うこととしております。
 都は国に対し、新制度移行後も引き続き、制度の運営状況を検証した上で、今後の医療費の増嵩にたえ得る財政基盤の強化を図るよう提案要求をしております。
 また、国民健康保険制度では、法令に基づき、保険料、税の軽減措置が設けられており、所得に応じて均等割保険料、税の二割、五割、七割が軽減されます。
 区市町村は、特別の理由がある者に対し、条例の定めるところにより、保険料、税を減免することができるとされており、各区市町村では、被保険者が災害等により一時的に生活が困難となり、保険料、税の納付ができなくなった場合に、申請に基づき減免を行っております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○和泉委員 国民健康保険料(税)の引下げに関する陳情について意見を述べます。
 平成二十九年度は国民健康保険料、税の大幅な値上げとなり、陳情理由にも書かれているとおり、自治体には問い合わせの電話が殺到しました。
 私の地元である葛飾でも、六月十八日から二十日までのわずか一週間で二千六百五十七件の苦情や問い合わせがありました。
 そもそも国民健康保険料、税の計算方法が住民税方式から旧ただし書き方式に変わったことで、人的控除が行われる前の所得に国民健康保険料、税が賦課されるようになりました。
 家族が多かったり、障害者やひとり親などに重い負担となるのが国民健康保険料、税です。公的医療保険の中で唯一、法律条文で社会保障に位置づけられ、皆保険制度を根底で支える公的医療保険のセーフティーネットなのに、より公的支援の必要な世帯ほど負担が重いというのが、現在の国保の実態です。保険者となる都が看過していいはずはありません。
 しかし、来年度から始まる国保の都道府県化に向けて、都は、保険料引き下げのための独自の法定外繰り入れをしないばかりか、区市町村に法定外繰り入れを段階的に解消していくよう求めています。これではさらに保険料が上がり続けるということになります。
 今でさえ、五件に一件が滞納している状態なのに、都は、保険料を上げるというだけではなく、収納率の目標も引き上げることを区市町村に求めています。保険料を上げれば、払えない人がさらにふえて収納率は下がる。それでも収納率を上げようとすれば、住民の暮らしを脅かしてでも徴収を強化するということになるのではないでしょうか。
 これ以上の痛みを都民に押しつけることなく、陳情にあるとおり、都が独自の財政負担をして国民健康保険料、税を引き下げること、そしてそれと同時に、国に対しても国庫負担率を戻すこと、これを強く求めるよう求めて、都民の暮らしを守る防波堤となることを強く求め、意見表明といたします。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二九第八三号は、不採択と決定いたしました。

○伊藤委員長 次に、陳情二九第八六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 お手元にお配りしてございます陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
 一五ページをお開き願います。整理番号8、陳情二九第八六号、公立保育園への都の支援充実に関する陳情は、東久留米市のしんかわ保育園父母会会長の秀島ゆきさんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、公立保育園への支援を充実していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明をさせていただきます。
 公立保育所の運営費は平成十六年度に、整備費は平成十八年度に、区市町村へ税源移譲されております。
 都は、子育て支援の実施主体でございます区市町村が、地域の実情に応じて創意工夫により、保育サービスを初めとした子育て施策を展開できるよう、子供家庭支援区市町村包括補助や子育て推進交付金により支援をいたしております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○藤田委員 ただいまの公立保育園への都の支援充実に関する陳情に対して質問をいたします。
 陳情にもありますが、三五ページの資料にもありますが、国の三位一体改革により、都の保育運営負担金も廃止され、運営管理を取り巻く環境は非常に厳しいものになっているとのことです。
 これによって、陳情者の住む東久留米市では、年間約六千六百万円もの当該予算が減少する事態になっているとのことでしたが、この内容について、東京都の見解をお聞かせください。
 同時に、国の三位一体改革を行う前までの東京都が法定負担分として市町村に支出していた保育運営費の財源はどうなっているでしょうか。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 三位一体の改革では、地方にできることは地方にという理念のもと、国の関与を縮小し、地方の権限、責任を拡大して、地方分権を一層推進することを目指し、国庫補助負担金改革、税源移譲、地方交付税の見直しの三つを一体として行われたものでございます。
 この三位一体の改革によりまして、公立保育所につきましては区市町村がみずからの責任に基づいて設置しているということに鑑み、その運営費は、平成十六年度から国や都の負担分も含め、地方交付税交付金の基準財政需要額に算定されるとともに、所得税から個人住民税への税源移譲が行われております。
 公立保育所の運営費の都負担金の廃止は、それに合わせた措置でございます。

○藤田委員 つまり、公立保育園の運営費は三位一体改革によって一般財源化されたということで、東京都が法定負担していた分も含めて、国から地方交付税交付金の中に移されたという答弁だと思います。
 しかし、同時に、三位一体改革では、国の支出が大きく削られた一方で、財源移譲は極めて不十分で、全体として地方財政は困難に陥ったのも事実です。
 一般財源化した二〇〇四年度に厚生労働省がその影響調査を行い、前年度よりも保育所予算が減少した区市町村は三八・九%に上ったことに対して、厚生労働省の保育担当課が、一般財源化の影響は予想以上だと述べたほどです。
 公立保育園の運営が厳しいから民営化が進んだり、東久留米市のように全廃計画まで出たりするのではないでしょうか。東京都の認識をお伺いいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育の実施主体は区市町村でございまして、それぞれの自治体が地域の実情を踏まえながら、さまざまな保育資源を活用して保育サービスを提供しているものでございます。
 東久留米市の方針転換でございますが、これは同市がみずからの判断で地域の実情を踏まえて決定したものと認識してございます。

○藤田委員 保育の実施主体は区市町村であるから、各自治体の判断で保育サービスの整備を進めていると認識しているとのことでしたが、実際は、これだけ待機児童解消が必要といいながら、公立保育園が都内で百園以上減っている現状から見ても、一般財源化の影響は大きいといわざるを得ません。
 この間、待機児童対策のためにさまざまな予算が拡大されましたが、公立保育園は対象外です。自治体の判断で住民のニーズに合わせて保育サービスの整備を行っているとはいっても、財源から見れば、公立保育園は相対的にハードルが高いことは火を見るより明らかです。
 陳情を出されているしんかわ保育園父母会の方は、仕事と初めての育児との両立で大変な中、育児のアドバイスをしてくれることで、子育てはこういうものかと学ばせてもらったと話していました。
 さらにしんかわ保育園では、夏祭りなどの取り組みを通じて、世代を超えた地域とのつながりをつくる役割を果たしていると話していました。
 核家族がふえる中で、卒園した後も支え合うことができるまち、まさに二〇二〇年に向けた実行プランの中に書かれている、まち全体で子育てを支えることを五十年以上にわたって実行しているのが東久留米市の公立保育園であると感じました。
 さらに東久留米市では、公設民営化ではなく、民間化、つまり民設民営化が進められています。
 この中身は、しんかわ保育園のすぐれた特徴である異年齢保育が、来年度からの募集停止によって崩されるという問題につながっています。
 赤ちゃんのときに入園した子供たちは、大きくなるにつれ、年長さんなどに憧れて大きくなります。大好きだったお兄ちゃん、お姉ちゃんみたいになりたいと思って大きくなることへの喜びがあったのに、自分たちより下のクラスには子供たちがやってこない。父母会の方たちのお話を伺い、子供たちの夢まで壊すのが民間化なのだと思いました。
 また、私の地元大田区で四十年近くにわたり公立保育園で働いていた保育士のお話では、公立保育園は地元の拠点園となり、そこで働く保育士は、近隣の家庭的保育や認証保育園を保育士のOBと一緒に巡回して指導を行っているとのことでした。働き続けられ、長年キャリアを積むことができる公立保育園の大切な役割だと思います。
 公立園があるから保育現場のことがわかり、地域での指導を行うことができています。東京都として、こうした役割を持つ公立園をなくすこと自体、どのように思われますか。
 また、質を保って保育を行っている公立園の存在は、地域全体の保育の質の基準、保育の質の標準としての役割を果たしていると思うのですが、東京都の見解をお聞かせください。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育の実施主体でございますが、繰り返しになりますが、区市町村でございまして、それぞれの自治体が地域の実情を踏まえながら、さまざまな保育資源を活用して、保育サービスの整備を進めていると認識してございます。
 保育所の設備及び運営に関する基準でございますが、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例、同条例施行規則、保育所設置認可等事務取扱要綱により定められております。
 また、保育所における保育の内容に関する事項及びこれに関連する運営に関する事項につきましては、保育所保育指針により定められておりまして、公立保育所、私立保育所を問わず、これらの基準を遵守すべきものでございます。
 なお、都内におきましては、青梅市、昭島市、福生市、羽村市など七つの市町村で公立保育所は存在しておりません。

○藤田委員 ただいまご答弁があった公立保育園がない市については、恐らくもともと公立園がなかったのだと思われます。
 実際、東久留米市では、公立保育園を一つなくして、二つの私立保育園をつくった方がより多くの児童を預かることができるとして、昨年三月に公立保育園の全廃計画を出しています。しかし、ことし、新設を予定していた民間保育園は、計画から半年で頓挫しました。ほかの地域でも保育士が集まらずに開園できなかったり、定員まで児童を預かれなかったりするところも多くあります。
 東久留米市の公立保育園を全廃すれば、五百人分を超える保育定員がなくなります。市は公立のかわりに民間を呼び込むから大丈夫という考えのようですが、東京都では、保育士不足などで民間保育園の新設も簡単にはいかないという現状があります。
 公立保育所の運営費、整備費は税源移譲しているということですが、公立保育所が存続できるためにも、都独自に整備費補助を実施する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、公立保育園の運営費への補助も行うべきと考えますが、どうでしょうか。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 繰り返しになりますが、保育の実施主体は区市町村でございます。それぞれの自治体が地域の実情を踏まえながら、公立保育所を選択するかどうかも含めまして、さまざまな保育資源を活用して、保育サービスの整備を進めているというふうに認識してございます。
 なお、公立保育所でございますが、区市町村がみずからその責任に基づいて設置していることに鑑みまして、公立保育所の運営費につきましては平成十六年度に、整備費は平成十八年度に区市町村へ税源移譲されておりまして、都として財政支援を行う考えはございません。

○藤田委員 東久留米市は、父母会の質問状に対し、公立保育園の廃止を市民参加で見直すつもりはないと回答したそうです。こうしたやり方は、とても地域の実情を踏まえているとはいえません。
 そして、先ほどご答弁があったように、それぞれの自治体が地域の実情を踏まえながらとおっしゃいましたが、実際はその地域の実情は、市民の方の声ではなく、財政面が一番その判断基準になっていると思われます。市の責任はもちろん大きいですが、同時に、やはり財政的な理由も背景にあると思います。
 今ある保育所の財源からすると、公立園と私立園が同じように維持運営できるものにはなっていないということを再度強調したいと思います。
 東京都の待機児童解消は喫緊の課題です。しかし、民間保育園の新設が順調とはいえない東久留米市で、公立保育園全廃計画は、この待機児童解消に対して逆効果であるといえます。
 昨年度、四つの公立保育園を開設した北区では、保育士八十人募集に対して五百人が応募しました。北区の保育課に聞き取りを行うと、民間業者の選定などの手間が省ける分、短い期間で保育園を新設できるという観点から、スピード感が必要な待機児童対策には公立園はすぐれていることを評価していました。保育士不足に対しても、早くつくれるということでも、待機児童解消に公立保育園の建設は大変有効であると考えます。
 しかし、実際は、私立園のような個別の給付が全くない公立園は、建てかえも新設もやろうと思ったら全て自治体負担となります。私立園と公立園での補助金のあり方に偏りがあるということも、公立園の民営化につながると考えます。
 子供たちや父母たち、地域にとっての宝物である公立保育園を存続させることは、大変意義のあることです。その上で新たな民間保育園を増設すれば、待機児童解消が一層進むことにつながります。
 この陳情に賛成の意向を表明するとともに、採択されることを心から願って、私の発言といたします。ありがとうございます。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○伊藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二九第八六号は不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十八分散会

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