委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 桐山ひとみ君 |
副委員長 | 和泉なおみ君 |
理事 | 遠藤 守君 |
理事 | 小宮あんり君 |
理事 | 山内 晃君 |
古城まさお君 | |
藤田りょうこ君 | |
龍円あいり君 | |
鳥居こうすけ君 | |
つじの栄作君 | |
舟坂ちかお君 | |
高橋 信博君 | |
岡本こうき君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 梶原 洋君 |
次長理事兼務 | 山岸 徳男君 | |
技監 | 笹井 敬子君 | |
総務部長 | 後藤 啓志君 | |
指導監査部長 | 村田 由佳君 | |
医療政策部長 | 西山 智之君 | |
保健政策部長 | 矢内真理子君 | |
生活福祉部長 | 坂本 尚史君 | |
高齢社会対策部長 | 粉川 貴司君 | |
少子社会対策部長 | 松山 祐一君 | |
障害者施策推進部長 | 高原 俊幸君 | |
健康安全部長 | 高橋 博則君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 奈良部瑞枝君 | |
事業推進担当部長 | 古賀 元浩君 | |
医療改革推進担当部長 | 成田 友代君 | |
医療政策担当部長 | 矢沢 知子君 | |
地域保健担当部長 | 本多由紀子君 | |
生活支援担当部長 | 横手裕三子君 | |
施設調整担当部長 | 稲葉 薫君 | |
子供・子育て施策推進担当部長 | 加藤 みほ君 | |
障害者医療担当部長 | 石黒 雅浩君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 仁科 彰則君 | |
感染症危機管理担当部長 | 吉田 道彦君 |
本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)
○伊藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより福祉保健局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○後藤総務部長 去る九月十四日の当委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございます。
目次にございますように、資料は全部で十五項目となっております。
初めに、一ページをお開き願います。1、国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、二ページにかけまして国民健康保険の加入世帯数などの推移を、区市町村ごとに平成二十七年度から二十九年度にわたって記載してございます。
三ページをごらんいただきたいと思います。2、国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、四ページにかけまして、基礎賦課と後期高齢者支援金等のそれぞれの所得割、資産割、均等割、そして平等割の推移を、区市町村ごとに平成二十六年度から二十九年度にわたって記載してございます。
五ページをごらんいただきたいと思います。3、国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、国民健康保険料、税の減免件数の推移を、区市町村ごとに平成二十六年度から二十八年度にわたって記載してございます。
六ページをお開き願います。4、国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、一部負担金の減免件数の推移を、区市町村ごとに平成二十六年度から二十八年度にわたって記載してございます。
隣の七ページでございます。5、国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、国民健康保険料、税の賦課対象世帯数、滞納世帯数及び収納率の推移を、区市町村ごとに平成二十四年度から二十八年度にわたって記載してございます。
八ページをお開き願います。6、国民健康保険料(税)の滞納に対する新規の差押件数、差押額及び差押物件の内訳の推移といたしまして、区市町村ごとの新規差し押さえ件数及び差し押さえ額につきまして九ページにかけて(1)に、また新規差し押さえ物件の内訳につきまして一〇ページの(2)に、それぞれ平成二十六年度から二十八年度にわたって記載してございます。
隣の一一ページでございます。7、国民健康保険への東京都支出額の推移といたしまして、(1)、特別区及び(2)、市町村に分けまして、国民健康保険への都の支出額の推移を、平成二十三年度から二十七年度にわたって記載してございます。
一二ページをお開き願います。8、介護保険施設等の定員・病床数及び高齢者人口に対する割合(平成二十八年度)といたしまして、平成二十八年度における都道府県ごとの高齢者人口、施設ごとの定員または病床数、さらにそれぞれの高齢者人口に対する割合を記載してございます。
隣の一三ページでございます。9、認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、区市町村ごとの認可保育所の定員及び年齢別の入所児童数、待機児童数につきまして、平成二十五年から二十八年までにつきましてはそれぞれ四月一日、十月一日現在のものを、さらに平成二十九年につきましては四月一日現在のものを、二一ページにかけて記載してございます。
二二ページをお開き願います。10、認可保育所における常勤・非常勤従事者数及び非常勤従事者比率の推移といたしまして、認可保育所の常勤従事者数などの推移を、平成二十三年度から二十七年度にわたって記載してございます。
隣の二三ページでございます。11、認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、職員の平均経験年数別の認可保育所数の平成二十四年度から二十八年度までの五年間の推移を記載してございます。
二四ページをお開き願います。12、認可保育所における設置主体別、平均経験年数別施設数(平成二十八年度)といたしまして、平成二十九年三月三十一日現在の設置主体ごとの平均経験年数別の認可保育所数を記載してございます。
隣の二五ページでございます。13、重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、平成二十六年度から二十九年度までの都立の各施設における看護師の定数及び現員の推移を(1)に、平成二十六年度から二十九年度第一・四半期までの一日当たり利用件数など短期入所の運用状況の推移を(2)に、それぞれ記載してございます。
二六ページをお開きください。14、社会福祉施設等及び病院の耐震化状況といたしまして、社会福祉施設等につきまして、平成二十八年三月三十一日現在の耐震済みの棟数を(1)に、病院につきまして、平成二十八年九月一日現在の耐震化の状況を(2)に、それぞれ記載してございます。
隣の二七ページでございます。15、盲ろう者通訳・介助者派遣事業登録利用者数の推移といたしまして、盲ろう者通訳・介助者派遣事業の登録利用者数の推移を、平成二十三年度から二十八年度にわたって記載してございます。
以上、簡単ではございますけれども、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○伊藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○龍円委員 私は、まず、障害児支援についてお伺いします。
先日の厚生委員会の質疑でも触れましたが、私は、障害という言葉そのものが、いわゆる健常者よりも劣っているというようなイメージを世間に与え、誤った認識を生んでいる一因になっていると考えております。
ダウン症がある長男を出産し、二歳になるまで育てたアメリカでは、障害者というディセーブルドパーソンは既に公的な場面では使われることがなくなり、ア・パーソン・イズ・スペシャルニーズという言葉が一般的になっていました。直訳すると特別なニーズがある人となりますが、わかりやすくいいかえると、特別な支援を必要とする人という意味になるかと思います。
私の発言が議事録に残っていきますので、あえてスペシャルニーズという言葉を使わせていただくことをご了承いただけますようお願い申し上げます。
私はスペシャルニーズ、ダウン症のある乳幼児と、その両親たちを支援する活動をしております。その活動を通じて感じたことを踏まえて質問をいたします。
まず、もっと手厚い支援が必要だなと感じている点は、お医者さんなどから、お子さんにスペシャルニーズがありますよと告知を受けた直後の支援なんです。
最愛の我が子に障害があると告げられたとき、多くの親は思い描いていた子育て像を打ち砕かれます。それまでに培ってきた価値観が通用しない世界と対峙して、自分自身を根底から変えていくような作業を強制的にせざるを得ません。希望の光が見えてくる日が二度とないのではないかと思うほどの暗闇に落ちてしまったような感覚を持ちます。
特に母親は、何がいけなかったのかと自分を責めるような気持ちを強く感じることがあり、精神的に極限まで追い詰められる方もおります。子供の顔を見ることができない、だっこできないと語る人もいます。
私の周りには、一時的に乳児院にお子さんを預けざるを得なかった方もおりますし、精神的な疾患を発症して、会社をしばらく休まざるを得なかった方もおります。また、毎日、自殺することを考えて過ごした親もいらっしゃいます。
だからこそ、告知を受けた親と子に対して、すぐに支援が入ることが非常に重要だと私は考えています。一刻でも早く親が子供のスペシャルニーズを受容して、前向きに安心して子育てに取り組めるようになる支援をすることが、赤ちゃんへの支援にもつながります。
どのような支援が必要かといいますと、総合的な生きた情報と、同じようなニーズのある同い年くらいの子を育てている両親たちとつながることだと思います。
告知を受けてから一年未満くらいのご両親たちが口をそろえておっしゃるのが、情報がない、情報がないということなんです。自分の子なのに何をしてあげればいいのかわからない、子供の未来が見えないというのです。両親たちは医療的な知識だけではなく、もっと生きた総合的な情報を求めています。
そして、スペシャルニーズのある子の親の気持ちは、実の親または兄弟でも分かち合えない面があります。しかし、同じような立場の両親たちとは初対面でもぱっとつながって、安心して自分の心のうちを話したりすることができます。まさに親同士のつながりが、立ち上がって前に進んでいく力を与えてくれるわけです。
ですので、この二点の支援が重要になってきますが、現状ではなかなかこれらの支援が足りていないと感じています。
しかしながら、先日、目黒区にある児童発達支援センターを視察いたしましたとき、これらに応えるような取り組みが行われているのを拝見いたしました。児童発達支援センターは全ての地域にあるべきとの観点から、何点か質問をさせていただきます。
まず、児童発達支援センターの機能と役割について伺うとともに、現時点での整備状況について教えてください。
○高原障害者施策推進部長 児童発達支援センターは、身近な地域で障害児に対する通所サービスを提供するとともに、障害児やその家族からの相談への対応や、他の障害児支援事業所や障害児を受け入れている保育所等に対し、専門的機能を生かした支援を行うなど、地域における障害児支援の中核的施設としての役割を担っております。
現時点ですが、都内の児童発達支援センターは二十三区市三十四カ所に設置されてございます。
○龍円委員 今おっしゃったとおりに、視察した児童発達支援センターでは、専門的な知識を持った職員が相談業務を行っておりまして、サポートの必要があるとなれば、そのままダイレクトに支援につないでおりました。また、年齢が近いお子さんたちのグループ療育が毎日開催されており、同じようなニーズのあるお子さんを育てる両親同士でつながることができるようになっておりました。
地域の全てのスペシャルニーズ児が児童発達支援センターとつながっていくことが大切だと私は考えますが、現状では児童発達支援センターがない地域もあります。私の地元渋谷区にも現在はなく、今後、整備が期待されます。
そこで、児童発達支援センターの整備促進に向けて都ではどのような取り組みをしているのか、伺います。
○高原障害者施策推進部長 児童発達支援センターにつきましては、障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、平成二十七年度から二十九年度までの三年間で十カ所増の目標を掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成や定期借地権の一時金への補助並びに借地料の補助を行うなど、設置促進に努めております。
これにより、平成二十七年四月から直近の平成二十九年十月末まででございますが、新たに四カ所が設置されてございます。
○龍円委員 十カ所の増設目標に対して、実際は四カ所にとどまっているということですね。
去年の児童福祉法の改正によって、自治体は新たに障害児福祉計画を策定することが義務づけられました。
都は、今後策定する障害児福祉計画において、児童発達支援センターの整備促進を位置づけて、スペシャルニーズ児の支援の一層の充実に取り組むべきだと考えますけれども、見解について教えてください。
○高原障害者施策推進部長 国は、本年三月、第一期障害児福祉計画に係る基本指針において、各区市町村は児童発達支援センターを設置すること、主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所、放課後等デイサービス事業所を設置すること及び保育所等訪問支援を利用できる体制を確保することなど、障害児支援の提供体制の整備方針を示しました。
都は、これを踏まえまして、新たに策定する障害児福祉計画において、平成三十二年度末までに、児童発達支援センターを各区市町村に一カ所以上設置すること等を目標として盛り込む考えでございまして、地域における障害児支援の一層の拡充に取り組んでまいります。
○龍円委員 各市区町村に児童発達支援センターを一カ所という力強い目標が盛り込まれることは、非常に心強いです。
渋谷区に聞きますと、既にある障害児支援機能と児童発達支援センターの機能をどういうふうに調整していくべきなのかという点が難しく、まだ検討中ということでした。
また、児童発達支援センターがどれほど重要な役割を果たすことになるのか、その必要性についてもまだ周知が足りていないようにも感じております。ぜひその点も鑑みて、市区町村への啓発をしていただけますようお願い申し上げます。
さて、先ほどは告知を受けて最初の支援についてでしたけれども、長いスパンでいきますと、包括的な支援が必要だと私は考えています。スペシャルニーズ児への支援は、比較的幅広い分野の支援を必要としています。
しかし、現在は一つ一つの分野において、個別に支援がなされています。そうなると、支援の全体像を知っているのは--親がハブとなりまして、こっちからあっち、あちらからそちらという感じで、伝言をしたりしながら支援をつくり上げていくという感覚があります。
しかしながら、親は専門家ではないので、本当に必要な支援ができているのか不安を感じてしまったり、親の技量によってお子さんが受けられるサービスが変わってきます。
行政がハブとなって、家庭、教育、医療、保育園、幼稚園や学校と連携をしながら支援計画をつくっていくことで、そのお子さんにとって効果的かつ一体的な支援計画をつくっていくことができます。これは局をまたがることなので、簡単ではないと承知しております。
しかしながら、アメリカでは、こういった包括的な支援が実現していてとてもよく機能しており、安心して子育てできる環境がありました。この包括的支援を受けているお子さんは、何と公立学校に通う児童や生徒の一二・九%に上っておりました。
発達障害や医療的ケア児など、さまざまなニーズのあるお子さんがふえていく中で、こうした支援を将来のビジョンの中に持っていただけるよう検討をお願いしたいと思います。
さて、少し触れましたが、医療の発達によって、たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアを必要とするお子さんが急激にふえています。しかし、発達支援事業や放課後等デイサービスでの受け入れが進んでいません。
医療的ケア児の受け入れ促進に向けた都の取り組みとその実施状況についてお伺いいたします。
○高原障害者施策推進部長 お話にもありましたが、経管栄養やたんの吸引等の医療的ケアが必要な障害児が通所施設等に通うためには、医療との連携が必要となります。
このため、都では、医療的ケアが必要な障害児が身近な地域で療育を受けられるよう、今年度から児童発達支援センターや児童発達支援事業所に看護師を配置する事業を、二カ年のモデル事業として実施いたします。現在、事業者を選定、調整中であり、今後モデル事業を通じて課題等を検証してまいります。
○龍円委員 このモデル事業を通じて事業者側の意見をしっかり聞いていただいて、事業者が導入しやすく、利用しやすい事業として展開していただけるようお願いいたします。
次に、保育所におけるスペシャルニーズ児の受け入れについて伺います。
スペシャルニーズ児は、保育士を加配したり、特別な支援が必要なことなどから、民間の保育所では受け入れを断られることが少なくありません。しかし、スペシャルニーズ児は医療機関にかかることも多いですし、養育にもお金がかかり、将来、自立しないこともあり得ますので、親が仕事をやめずに続けることが重要になってきます。
私の周りにも、お子さんを保育所に通わせることができずに仕事を諦めた母親も少なからずおります。しかし、私の息子も含めて、実際には保育所に通っているお子さんも大勢おります。
待機児童問題に頭を抱えている市区町村が多い中で、なかなかスペシャルニーズ児の受け入れについてまで、積極的にPRをできないという現実があるかもしれません。これから保育所に通わせたいと思っているご両親のためにも聞かせていただきます。
都における保育所でのスペシャルニーズ児の受け入れを促進するための取り組みについて教えてください。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 東京都は、保育所における障害児の受け入れを進めるため、障害児に対する保育サービスが適切に提供されるよう、必要な施設の改修経費への補助や、子育て推進交付金などによりまして区市町村を支援しております。
また、保育サービス推進事業に障害児加算を設け、障害児の受け入れに取り組む事業者を支援しております。
○龍円委員 都独自の支援も行い、推進しているということですね。引き続き積極的に、PRも含めて取り組んでくださいますようお願いいたします。
先ほども触れましたが、医療的ケア児に対する支援はまだまだ発展途上なんです。看護師の配備が必要となるため、保育所での受け入れは非常にハードルが高くなっております。医療的ケア児のご両親たちから切実な声をいただいております。
そこで、都が今年度から開始する医療的ケア児支援事業について、事業の概要、その目的について教えてください。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 医療的ケア児支援事業でございますが、都は今年度から独自の支援を開始いたしまして、保育所等に看護師を増員し、医療的ケア児の受け入れに取り組む事業者を支援する区市町村を、包括補助で支援いたします。
今後ともこの事業が活用されますよう区市町村に対して促しまして、保育所等における医療的ケア児の受け入れ体制の整備に努めてまいります。
○龍円委員 これは、医療的ケア児の両親にとっては暗闇に光が差すような大きな意義のある事業だと思います。
しかし、待機児童問題の解決が先だと考えている区もあると聞いていますし、そもそも医療的ケア児の両親たちが保育所に通わせることができると思っていないので、役所の保育課に相談に行っていない可能性があります。ぜひこの事業の重要性を市区町村の担当者たちに把握していただき、ご両親たちにも認知していただけるよう、広く広報していただくようお願いいたします。
続いて、家庭的養護推進のための取り組みについてお伺いいたします。
アメリカで、ダウン症のある息子をグループ療育に連れていきますと、ゼロ歳クラスから既に養子として迎えられたスペシャルニーズ児がおりました。
そして、一歳クラスに上がるころには何と全体の一割くらいが養子でした。ゼロ歳クラスから同級生だったダウン症のある女の子は、実親が、彼女が生まれたその日にダウン症があることを知り、医療費を賄えないことなどを理由に、育てないことを決断したということでした。わずか半日足らずで育てることを放棄できてしまうことがとても悲しく、胸が締めつけられました。
しかし、アメリカでは養子縁組のシステムが充実しておりますので、女の子が養親に養子として迎えられたのが、実親が育てないことを決断したわずか二日後、生後三日目だったんです。養親は生まなかっただけといって、愛情たっぷりに育てておりました。
この養親は二十代の若い夫婦で、スペシャルニーズのある青少年たちをサポートするボランティアをしている中で、ダウン症のあるお子さんを育てたいという強い思いを持ったそうです。お子さんにダウン症があることをすてきなことだとして、スペシャルニーズがあることを前向きに捉えて育てておりました。そのため、女の子は、発達もよく生き生きと育っております。
その後、その養親のところには二人の実子も生まれまして、幸せな大家族生活をしております。
もう一人印象に強く残っているのが、ダウン症がある、海外から迎えられた養子の女の子でした。この養親夫婦にはダウン症のある実子がおります。実子と同じダウン症がある養子を迎えて、お互いにわかり合える姉妹として育てたいと思った、海外の劣悪な環境にある乳児院にいる、同い年のダウン症のある子を迎えたということでした。
養子は、乳児院で一回もだっこされたことも話しかけられたこともなく、二歳まで放っておかれたそうです。
私が衝撃を受けたのは、ゼロ歳から療育を週一、二回受けてきているアメリカのダウン症のある子供たちに比べて、養子は著しく発達がおくれていたんです。家庭にいること、療育を受けることが、こんなにも発達に大きく影響を与えているのだと心から驚きました。
また、療育センターには時折、里親が、養親が決まるまでの間として、スペシャルニーズ児を連れて参加していました。
一人の里親は、スペシャルニーズ児を専門としていると話していて、預かる期間は大体一カ月から半年くらいだとおっしゃっておりましたので、一時的かつ過渡的な措置という面が強いようでした。一時的に養育家庭に託されているスペシャルニーズ児であっても療育を受けていたということから、社会的養護とスペシャルニーズ児支援がしっかりと連携されていたことが印象的でした。
私が、アメリカで出会ったスペシャルニーズのある養子たちから感じたことは、実親がスペシャルニーズに対して後ろ向きに無理をして育てるよりも、養親に愛情たっぷりに手をかけて育ててもらえることの方が、子供にとっては、もしかしたら幸せなのかもしれないということでした。
日本に帰国しまして、乳児院や児童養護施設または障害児向けの入所施設に多くのスペシャルニーズのある子たちが措置されていることを知り、胸が締めつけられました。
また、都議会議員となりましてから、数カ所の乳児院や児童養護施設を視察してまいりました。スタッフの皆様は心を込めて、思いを持って施設を運営されていることを理解いたしました。
しかしながら、施設にいるお子さんからは、やっぱり母ちゃんのご飯が一番おいしいという声を聞き、家庭復帰したいのだろうなという思いがかいま見えたり、施設よりもフレンドホームにいたいと強く願っている幼児の女の子と出会ったりして、安心して育つことができる家庭をお子さんたちも望んでいるのだと感じました。
去年の児童福祉法改正で、子供の権利が明確にされたことと、家庭と同様の環境における養育の推進について明記されたことは、とても重要な改正だったと思います。
まずは、東京都における社会的養護の現状についてお伺いいたします。
都における社会的養護のもとで育つ子供の数、また、そのうち家庭と同様の環境を提供する養育家庭、良好な家庭的環境であるファミリーホームに委託されている子供の数を教えてください。
○松山少子社会対策部長 平成二十九年三月現在、社会的養護のもとで育つ児童は三千九百八十八人でございます。そのうち養育家庭の委託児童数は三百六十八人、ファミリーホームは八十三人となっております。
○龍円委員 四千人もの子供たちが社会的養護を必要としているということですが、そのうち養育家庭に委託されているのが約一割と、まだ少数だということがわかりました。一人でも多くのお子さんが養育家庭で育つべきだと考えます。
社会的養護が必要な児童に対して、私は養育家庭への委託を優先すべきだと考えますが、東京都の基本的な考え方について教えてください。
○松山少子社会対策部長 児童相談所は措置委託に当たり、児童の福祉を第一に考え、児童一人一人の状況を総合的に勘案して決定しており、まずは養育家庭への委託を検討しております。
○龍円委員 措置決定の際に、まずは養育家庭を検討しているということがわかりました。ただ、現実は養育家庭への委託が全体の一割程度にとどまっていることから鑑みても、より一層、養育家庭委託を推進していく必要があると思います。
そのためには、委託の不調を回避することも重要だと思います。養育家庭の特徴、そして得意、不得意などを把握し、子供のニーズや生活状況などをきめ細かく把握した上でのマッチングや支援、フォローが重要になってくるかと思います。
そのためにも、養育家庭の方たちや子供たちと日々接している里親支援機関事業などを請け負っている乳児院などと、養育家庭や子供の情報、意見を交換することが大切だと思います。
子供一人一人の養育家庭委託を検討する上で、どのように関係機関と連携をとっているのでしょうか。
○松山少子社会対策部長 児童相談所は、施設等から提出される児童の自立支援計画に基づき、児童の意向や日常生活の状況などを把握しながら、定期的に養育家庭への委託について検討しております。
また、各児童相談所に、養育家庭の代表者や児童福祉施設職員などで構成する里親委託等推進委員会を設置し、施設に入所している児童の状況について共通認識を図った上で、関係機関と協力連携しながら委託の可能性を検討しております。
○龍円委員 関係機関と協力や連携をしながら進めているということですが、ぜひ今後、さらに養育家庭やお子さんの特徴やニーズなど、生きた情報についてもしっかりと交換しながら進めてください。
また、児童相談所の職員についても、長期的に腰を据えて、養育家庭や子供たちへの継続的な支援をどうぞお願いいたします。
養育家庭への委託を推進するためには、養育家庭への登録数をさらにふやしていくことも欠かせません。
今までの社会通念としての里親は、実親が育てることができないお子さんを長期にわたって育てるというイメージを持つ方も多いかと思います。長期となると、実子を育て終えた夫婦などは、年齢的なことなどから手を挙げにくいなど、養育家庭のなり手を狭めている面もあると思います。
今後、家庭養育を推進していく背景には、家庭復帰が見込めるお子さんでも短期的に養育家庭に措置されることもふえていくことと思います。一時的に家庭養育が必要なお子さんを預かるという社会貢献の意義から啓発をしていくなど、養育家庭への登録につながる効果的な広報活動を進めていくべきだと考えます。
そこで、養育家庭の登録数と登録家庭数の拡大に向けた効果的な広報活動について、都の取り組みを教えてください。
○松山少子社会対策部長 平成二十九年三月現在、養育家庭の登録数は五百二十二家庭でございます。
都は、養育家庭の登録数をふやすために、毎年十月、十一月の里親月間を中心に、区市町村や民間団体と連携して体験発表会を開催するとともに、「広報東京都」を初めとした広報紙への掲載やホームページ、ツイッター等SNSを活用するなど、養育家庭制度を広く都民に周知しております。
こうした取り組みに加え、昨年度から里親支援機関に里親開拓コーディネーターを配置し、教育委員会や企業と連携しながら、高校の教員や子育て支援に関する社会貢献活動を行う企業の社員に向けた説明会を開催するほか、小中学校のPTAに対し制度の周知を行うなど、さまざまな機会を捉えて普及啓発を実施しております。
○龍円委員 都が、登録数などの拡大に向けてさまざまな取り組みを行っていることが理解できました。
私は、以前、都庁記者クラブに所属する記者をしていたことがあります。その当時から感じておりましたが、東京都は、すばらしい取り組みや事業を多数手がけておりますが、その周知がなかなかうまくいかず、世間に案外知られていないのがもったいないと思っております。
ぜひ、今後もより一層、さまざまなツールを利用して広報活動を続けてくださいますようお願いいたします。
続いて、養育家庭に委託されている児童の保育所利用について伺います。
養育家庭の中には共働きの家庭も多いと聞きます。都が推し進めている乳幼児の委託を円滑に進めるためには、委託される乳幼児をスムーズに地域の保育所に受け入れることができることも大切なポイントになります。
委託されるお子さんが待機児童となってしまうことで、養育家庭が預かることができなくなってしまうなどのケースが生じないためにも、共働きの養育家庭に委託されている児童が保育所等を利用できるようどのような支援がなされているのか、教えてください。
○松山少子社会対策部長 児童相談所は、養育家庭に委託されている児童が保育所等に入所することが適当であると認めた場合、区市町村に対して意見書を提出するなど、必要な対応を行っております。
このほか、国の制度である認可保育所、認定こども園、地域型保育事業等の保育料は国の通知に基づき免除となっております。
また、都は、養育家庭が多様な保育サービスを利用できるよう、認証保育所等の利用料や認可保育所等の延長保育料について独自に支援を行っております。
○龍円委員 社会的養護のもとで育つ子供たちの中には、虐待などの影響や愛着形成に最も重要な時期に施設にいたことなどの影響から、情緒的な課題を抱える子供や体調管理が難しい子供も多いと聞きます。既に子育ての経験がある養育家庭であっても、預かるお子さんを育てることに難しさを感じるケースも少なくないかと思います。
こうした子供たちが安心して暮らしていくためには、里親等の養育力の向上も大切だと思うんですが、都の取り組みを教えてください。
○松山少子社会対策部長 都は、養育家庭の養育力の向上を図るため、登録時と二年ごとの更新時等に、基本知識や技術を習得するための研修を実施しております。
また、虐待や障害等による個別的支援を必要とする児童を受託する専門養育家庭への研修、思春期の児童への対応や自立に向けた支援等、児童一人一人の状況に応じた接し方を学ぶための課題別研修も実施しております。
特に、乳幼児の受託を希望する方に対しては、乳児の養育に際して配慮すべき点等を学ぶ研修のほか、施設での実習も行っております。
さらに、里親支援機関に里親トレーナーを配置し、児童を委託していない登録家庭に対して、子供を受託した後に直面するさまざまな事例に対応できるよう、里親それぞれのニーズに合わせた養育力向上のためのプログラムを作成し、子供の発達に応じた対応等について講義や演習を実施しております。
○龍円委員 都が、定期的な基本研修や乳児委託希望者への専門研修など、さまざま取り組みを行っていることがわかりました。
次に、社会的養護のもとにあるお子さんの中には、先天的または後天的なスペシャルニーズがあるお子さんがかなりの数おられます。こうした子の養育は、さまざまな関係機関からの手厚い支援が必要です。
そこで、知的障害や発達障害など、特別な支援を必要とする子供を養育する養育家庭への支援策を伺います。
○松山少子社会対策部長 都は、課題を抱える児童を養育している里親を支援するため、児童相談所において、児童心理司による心理診断等に基づき、心理療法やカウンセリングなど専門的見地から支援を実施するほか、必要に応じて地域の医療機関や児童発達支援センター等の関係機関と連携しております。
また、養育家庭等が孤立することのないよう、互いに養育の悩み等を話し合う里親サロンを実施しております。
さらに、定期的な訪問支援等を行う里親支援機関、里親のレスパイト支援等を行う児童養護施設や乳児院等とも連携しながら、総合的に里親を支援しております。
○龍円委員 児童相談所はもとより、さまざまな関係機関が連携して養育家庭を支援していることがわかりました。
私がアメリカで見たように、養育家庭にあるお子さんでも療育等を受けることができるように、市区町村の障害者支援課ですとか地域の児童発達支援センターなどとの連携をより一層しっかりとっていただけるようお願いいたします。
養育家庭に委託されていない施設にいるスペシャルニーズ児についても、しっかりと障害児支援という観点から、早期からの療育などに取り組めるようサポートを心からお願い申し上げます。
私は、将来、ダウン症のある社会的養護のもとにあるお子さんを預かる養育家庭になりたいという思いを持っております。一般の養育家庭の方だと、もしかしたら身構えてしまうかもしれませんが、私にとってはそれが普通の子育てですので、そういう形で社会貢献したいなと考えております。
スペシャルニーズのある子を育てている親の中には、私と同じような思いを持つ方も少なくないと思います。ぜひ将来は、養育家庭の専門性みたいなものを考慮した養育家庭のジャンル分けもしていただけたらと思います。
また、さまざまな事情で実の親がみずから育てることができない場合は、実親子と同様な関係を結ぶことができる特別養子縁組も重要な選択肢の一つとなります。生後間もないうちから特定の大人と愛着関係を築くことは、子供の成長、発達にとって非常に大切となります。
そこで、都が今年度からスタートした新生児委託推進事業の目的とその進捗状況を教えてください。
○松山少子社会対策部長 里親子の愛着を育むためには、早期に養子縁組里親へ委託することが重要でございます。
そのため、都は、児童相談所において、養子縁組が最善と判断した場合に、できる限り新生児のうちに委託する新生児委託推進事業を本年度より開始いたしました。
本事業は、児童相談所と乳児院に専任の職員を配置し、乳児院での交流開始後、里親への助言や里親子のアセスメントを短期間で集中的に行い、早期に委託につなげるものでございます。さらに、委託後においても、家庭訪問等により養育状況を確認するとともに、里親からの相談に応ずるなど、安定した養育が行えるよう支援してまいります。
これまで新生児委託を希望する里親との面接や研修等を進めており、十月以降に誕生した新生児から里親への委託が可能となっております。
○龍円委員 まさに今月からいよいよスタートするということで、大変うれしいと思っております。
この事業を着実に進め、可能な限り早期の養子縁組里親への委託を進めてください。また、将来的には、東京都外の児童相談所や民間の養子縁組機関との連携もしっかりととって検討を進めてくださるようお願いいたします。
私が視察した乳児院には、ひとり親のお子さんも多くおられました。かわいい我が子を経済的な理由などから乳児院に託す必要がある場合は、身を引き裂かれるような思いをすることだろうと思います。
私自身も、二年五カ月前にアメリカから日本に帰国した際にシングルマザーになりました。海外から帰ってきて貯蓄もなく、もちろん職も住むところもありませんでした。実家に身を寄せることで、最大の危機を乗り越えることができました。
しかし、スペシャルニーズのある子を育てながら自立することは、不可能を可能にする方法を探すような、道なき道を歩むようなものでありました。
平成二十七年の国勢調査によりますと、都内におけるひとり親世帯はおよそ六万七千世帯だそうです。また、厚生労働省の平成二十三年度全国母子世帯等調査結果報告によりますと、ひとり親の平均就労収入は百八十一万円でした。
ひとり親になって痛感したことは、ひとり親はきょう、あした、我が子をどうやって育てていこうということに必死なため、悠長に助けてくださいと声を上げている暇さえないということでした。ひとり親になってしまったために最愛のお子さんを施設に預けなくてはならないようなお子さんは一人もいてはならないという思いを持っております。
こうしたひとり親のさまざまな課題に早期に対応し、自立に向けた総合的な支援が非常に重要です。都の取り組みについて教えてください。
○松山少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭が安定した就労や生活のもと、子供を健全に育むことができるよう東京都ひとり親家庭自立支援計画を策定し、相談体制の整備、就業支援、子育て支援・生活の場の整備、経済的支援の四つの施策分野を柱に、総合的な支援を実施しております。
各区市では、ひとり親家庭の相談窓口である母子・父子自立支援員が、それぞれの状況を踏まえながら相談に応じており、都では、相談支援の質の向上を図るため、経験年数に応じた相談技法やひとり親に関する法制度等について研修を実施しております。
また、東京都ひとり親家庭支援センターでは、生活全般や就業、養育費相談を通年で受け付けるほか、離婚前後の法律相談や面会交流支援など、専門的な相談支援や就労支援、職業紹介を行い、ひとり親のさまざまな課題に早期に対応できるよう支援しております。
○龍円委員 引き続き、ひとり親の自立に向けた支援の充実に取り組むことを求めて、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤委員 では、私からは、東京都の次期がん対策推進計画、これが一点、そして偽造医薬品の流通防止対策について、これが二点、そして三点目に、訪問介護サービス時等における事故の予防、防止、この三点について端的にお伺いをしたいと思います。
まず、都の新たながん対策推進計画の策定についてであります。
政府はこのほど、今後六年間のがん対策の国の柱となる第三期がん対策推進基本計画を閣議決定いたしました。報道でもさまざまな角度から報道がなされました。同計画は、がんの克服を目指して、一つ、がんの予防、そして二点目にがん医療の充実、三点目にがんとの共生、この三点について大きな全体目標としたと、こういうことであります。
この国の基本計画は、平成十八年に成立をいたしましたがん対策の基本法、これによって、翌年に、平成十九年になりますけれども、がん対策の総合的かつ基本的な推進を図る目的で、第一次計画が国において策定をされたわけであります。十九年から、そして第二期計画を経て、いわゆる診療拠点病院の整備だとか、または緩和ケア体制の強化、さらには小児がん対策、がん患者の就労支援など、さまざまな取り組みがなされたわけであります。
いうなれば、それまで個々ばらばらに、都道府県もそうでしょう、国もそうでしょう、また各種医療機関もそうでしょう、さまざまなところが、さまざまな考え方、目標に向けて行ってきた、こういうがん予防、がん対策等の取り組みを、いわば国が束ねる形で、それぞれの役割についてしっかり目標値も立てながら取り組んできた、こういう過程だと、このように思っております。
都は、このがん対策の基本法に基づいて、同じく平成十九年に東京都がん対策推進計画、これはもちろん第一次でありますけれども、これを策定し、東京都独自、いわば東京都のさまざまな課題を捉まえた形でその計画を立て、実施をしてまいりました。その後、第一次改定を受けまして、現在、ちょうどこの時期に第三期の都のがん対策推進計画を策定中であると、このように理解をしてございます。
我が党都議会公明党は、この平成十九年の東京都の第一次計画の策定の当時から、この基本計画の中に盛り込むべく、基本方針の内容や、またさまざま個々具体の政策、施策、事業について、福祉保健局と、または時に病院経営本部等々とさまざまな議論、協議を重ねてきたところであります。
そこで、こうした中、昨今AYA世代、これは思春期世代から若年成人世代、こういうことであります、英語の頭文字を略してありますけれども、ここの対策など新しい課題も出てきているわけであります。都の新たな三次計画により、こうしたさまざまな課題に対する対応が進むことを大いに期待したいと思います。
前置きが長くなりましたけれども、この東京都の第三次計画に向けて、計画改定の進め方及び今後のスケジュール感について答弁を求めたいと、このように思います。
○矢沢医療政策担当部長 都は現在、がん医療の専門家、学識経験者、医療関係団体、区市町村及び患者団体代表等により構成する東京都がん対策推進協議会のもとに、四つの部会と一つのワーキンググループを設けまして、計画の改定作業を進めております。
部会では、課題別に検討しておりまして、予防・早期発見・教育検討部会ではがんの予防、検診受診率の向上、がん医療検討部会では医療提供体制の充実、緩和ケア検討部会では切れ目のない緩和ケアの充実、相談・情報検討部会ではがん相談支援センターの機能強化などについて検討しております。
また、がん医療検討部会及び緩和ケア検討部会に小児がんのワーキングを設置し、AYA世代のがん患者の対応について、小児のがんと成人のがん、それぞれの現状と課題を踏まえた議論を行っております。
今後は、年内にがん対策推進協議会において素案を取りまとめ、広く都民、関係団体等の意見を聞きながら、今年度末までに計画を策定する予定でございます。
○遠藤委員 それぞれの重要な部会を設け個々別々に検討して、そして年内に素案を取りまとめて、今年度中、来年三月末でありますけれども、計画を策定すると、こういう答弁でありました。この間に議会もありますので、その進捗状況も見ながら、我々としても必要な提言をそこにさせていただきたいと、このように思ってございます。
今、種々ありました中に、緩和ケア、そして先ほど指摘をしましたAYA世代のがん患者さんへの支援、これについては、現在、この計画の改定の中で、部会の中で議論をしているという、こういう答弁でありました。
この緩和ケアについては、第一次からの継続している案件でありますけれども、極めて重要な柱であります。さらにAYA世代、これは新たな課題ということで、ぜひこの二つについてはしっかりと東京都の次期計画の中に十分に盛り込み、その柱にすべきであると、このように強くお訴えをしたいと、このように思います。
こうした観点から、まず、緩和ケアについてお伺いしたい、このように思います。
先ほど来申し上げているとおり、緩和ケアの推進は、第一次がん対策推進基本計画から重点的に取り組む事項になっているわけであります。
この十年間で、都は、がんと診断されたときから切れ目なく緩和ケアが提供されることが重要である、こういう観点からさまざまな取り組みをしてまいりました。
緩和ケアというのは、WHOの基準ではもう公にされているとおり、何も終末期の患者さんだけではなくて、直ちに、診断されたときから、身体的な痛みはなかったとしても、精神的な、また社会的なさまざまな困難や痛みを抱える、こうした者をトータルで支えていくというのが緩和ケアの正しい理解、概念であると、このようなわけであります。
そうした観点からも、都においては、国とも連携しながら、全てのがん診療に携わる医師に対して、基本的な緩和ケアの知識、さらには技術を習得させるための緩和ケアの研修会の開催や、また全てのがん診療連携拠点病院等における緩和ケアチーム、さらには緩和ケア外来等の専門部門の整備を進めてきたところであります。
加えて、拠点病院等を退院した後、ここも極めて重要になりますけれども、引き続き地域またはそれぞれの家庭等で緩和ケアが提供されるように、拠点病院がある意味中心、まさに拠点となって、地域のがん医療に携わる医師または看護師、訪問看護師等々になると思いますけれども、こうした方々に対する研修会や合同のカンファレンス等も開催しているということであります。
今後の高齢化の進展を踏まえると、全ての方が病院で、また他の施設でみとられるというケースは、この高齢化社会の中ではなかなか困難というケースもあるんだろうと思います。そして、何より、ほぼ八割の患者さんが、また家族の方が、住みなれた家庭や地域で最期を望む、ぜひターミナルはこうしたところで治療を受けたいと、こういう希望があるわけであります。
そこで、こうした緩和ケア体制の充実について、次期計画の中でどういう点に絞って、また何をターゲットに置いて議論をしているのか、その検討状況について報告を願いたいと、このように思います。
○矢沢医療政策担当部長 部会では、拠点病院等における取り組みと、拠点病院と地域の連携などについて議論を行っております。
拠点病院等における取り組みでは、専門的な緩和ケアが必要な患者を各病棟等から緩和ケアチームへつなげる機能を充実する必要があるといった意見がございました。
拠点病院等と地域の医療機関との連携では、退院後の生活に向けた早期からの在宅移行、カンファレンスの充実や、在宅療養中の緊急時における受け入れ病床の確保、また、終末期について、患者や家族が希望する場所で安心して生活できる緩和ケアが必要との意見がございました。
こうした意見を踏まえまして、策定する東京都がん対策推進計画に、緩和ケアを推進するための取り組みを盛り込んでまいります。
○遠藤委員 この緩和ケア研修、特に力を入れていただきたいと思います。
今回の閣議決定を受けて、厚生労働省は、医師等に対する緩和ケア研修の充実を図る、こういう指針の改正を行うということでありました。
具体的には、多忙な医師が受講しやすいように、インターネットを利用して学ぶeラーニング、こういうことを講義部分に新たに導入するですとか、または、受講者が集まる研修は五時間半以上、これはいろんな考え方があると思うんですけれども、さらにその時間数をふやすということなんだろうと思います。
あわせて、拠点病院以外の医療機関での緩和ケアの充実を目指して、在宅療養支援診療所などの医師の受講を促すほか、これまでは拠点病院の医師が主に対象だったと思いますけれども、在宅医の方々もこうした研修の受講を促す、さらにはチーム医療を進める観点から、看護師さんですとか薬剤師さん等にも研修対象を拡大するという、こういう改定がなされるという話であります。
この問題に長らく取り組んでまいりました、かつて東京都の委員を務められておりました東大の中川恵一先生も、これまで国と東京都が総力を挙げて緩和ケアの研修をしてきたことに対して、こういうコメントがありました。
これまで国でほぼ十万人のドクターが研修を終えたということを受けて、患者にとっては緩和ケアをより受けやすくなるだろう。これまでの医師は、治癒のうち、治すことばかりにとらわれて、癒すことがおろそかになっていた。しかし、痛みなどの症状を取り除くことは医療の基本だ。医師がその基本に立ち返るという意味でも研修の意義は大きい。このように指摘をされておりました。
まさにそのとおりだと思います。国のこの研修に向けたさまざまな改定がありますので、しっかりと東京都としてもフォローをしていっていただきたいと、このように思います。
次いで、AYA世代のがん患者さんへの支援についてであります。
先ほど来AYAという言葉を使わせていただいております。改めていうまでもなく、先ほど来申し上げました思春期及び若年成人、こう訳して、年代はおおむね十五歳から三十九歳を指すわけであります。
この年代に発症するがんの特色は、白血病や悪性リンパ腫など十五歳未満の小児に多く発生するものと、他方、乳がん、大腸がんなど成人に多く発生するものの二つに大別されるわけであります。
重い病と向き合いながら、進学や就職、また結婚、出産といった、いわば人生の転機を迎えるAYA世代の患者さん、また家族にとって、将来への不安というものははかり知れないんだろうと、このように思います。とりわけ、中でも終末期の患者さんは、在宅での療養を極めて強く望んでいるということでありますが、この年代の方々は介護保険の適用外であり、各種サービスを利用するにも全額自己負担のため、家計にゆとりがなければこの最後の望みというものはなかなかかなわないわけであります。これにつきましては、さきの都議会一般質問で私が提起をさせていただいたところであります。
そこで、このAYA世代のがん患者支援に対する今後の東京都の取り組み、考え方について、基本的な認識も含めてお伺いしたいと、このように思います。
○矢沢医療政策担当部長 AYA世代のがん患者は、就学、就労、結婚等の時期と治療の時期が重なるため、成人のがんとは異なる対策が求められており、多様なニーズに応じた相談支援体制、在宅療養の環境整備、緩和ケア提供体制を含めた総合的な対策が必要でございます。
現在、小児がんワーキングや緩和ケア部会におきまして、小児がん診療科と成人診療科との連携、在宅療養、患者、家族への相談支援体制について議論を行っております。
こうした議論を踏まえまして、都といたしましては、次期東京都がん対策推進計画にAYA世代のがん患者への支援について盛り込んでいく考えでございます。
特に、お話の終末期のAYA世代の患者は介護保険の対象外であるといった問題もございます。そのため、都は、AYA世代の患者が介護保険制度と同様の支援が受けられる仕組みを構築することなど、国に提案要求をしているところでございます。
○遠藤委員 最後のくだりで、介護保険の対象外という話がありました。この議論をすると、いつも常に議論が平行線というか、なるんですけれども、何もがん患者さんだけではなくて、いろんな疾患で苦しんでいる、また悩まれている方々がいらっしゃるので、そうした他の疾患等の方々への支援とどう整合するのか、確かにそういう議論もあるんだと思います。
最後、国に提案要求という答弁もありましたけれども、ぜひこの辺は、現にこうした介護保険制度の対象とならない二十歳以上、そして四十歳未満の、いわゆる若者、若年者に対する在宅ターミナルケア支援の独自の助成制度というのは、お隣の横浜市ですとか、都道府県でいえば兵庫県で、こうした末期の患者さんの在宅での、例えば訪問介護、いわゆるホームヘルプサービスとか、または福祉用具の貸与、購入等にかかわる費用の一部をそれぞれ自治体が直接助成をしている、こういう独自の制度をつくっているところもあります。これは医療保険、介護保険両制度にまたがる点だと思うので、国がしっかりとすべきでありますけれども、国の議論をまつことなく、都としても十分に研究をしていただいて、できれば踏み切るべきであると、このように重ねて申し上げておきたい、このように思います。
次いで、偽造医薬品の流通防止対策、これについて質問をさせていただきます。
本年一月、C型肝炎治療薬のハーボニー配合錠の偽造品が都内の医薬品卸売業者から奈良県の薬局を通じて患者の手に渡るという事案が発生をいたしました。
法に基づく許可を受けて専門家である薬剤師が管理する卸売販売業者や、我々の身近な薬局という、いわば正規の医薬品の流通ルートにより偽造の医薬品が流通した、こういう事案は、平成に入ってから例がないということであります。
一般的には、個人輸入を通じた偽造品の流通、こうしたものを除けば、我が国では偽造品の流通はないと、このような認識を一般の国民、都民も持っているんだと思います。そういった意味では、これがことしの一月に報道されたときにも、私自身も強い衝撃を持ちました。
この間、国においても、また東京都においても、さまざまな対策が進められていると聞いておりますので、まず、本件はどのような事案であったか報告を求めたいと、このように思います。
○仁科食品医薬品安全担当部長 本事案は、C型肝炎治療薬ハーボニー配合錠の偽造品が奈良県内の薬局から患者に交付されたものでございます。この患者が、当初医療機関で投与されていたものと錠剤の形状等が異なることに気づき、服用せずに薬局に相談したことから発覚いたしました。
その後の国と奈良県の調査により、偽造品は、薬局が都内と大阪府内の卸売販売業者から仕入れたことが判明し、最終的には奈良県内の薬局から五本、都内の卸売販売業者から十本、計十五本の偽造品が発見されております。
偽造品が発見されました薬局から、ハーボニー配合錠を処方された患者全員を調査した結果、偽造品を服用した患者はいないことが確認されております。
○遠藤委員 今回は幸い偽造品を服用した患者さんはいないということでありましたけれども、一歩間違えば大変なことになったと、このように思います。
薬局の薬剤師から手渡された医薬品が偽造品である。この患者さんは、事前に聞いてみると、以前、一回医療機関から提供されてそれを飲んで、二回目以降は薬局で交付されると。で、あれ、医療機関で交付されたものとちょっと違うなということで、ここで気づきがあってこの事案が発見されたということでありますけれども、医薬品流通の安全・安心、さらにはその監視体制がどうなっているのかということ、その基盤を揺さぶるようなものであると、このように思っております。
そこで、今回の事案はどこに問題があるのか、あったのか、どう認識をされていますでしょうか。
○仁科食品医薬品安全担当部長 本事案に関しましては、薬局や卸売販売業者が、医薬品に異状がないか十分に確認しなかったこと、さらに、卸売販売業者が医薬品を購入した際に、相手の身元確認を怠ったことが大きな要因と考えられます。
また、医薬品は、通常、添付文書が同封された外箱におさめられ、封が施されておりますけれども、本事案の偽造品は、外箱に入っておらずボトルのみで流通したもので、このボトルが正規品のものでありまして、ボトルに張られているシールも巧妙につくられたため、外見的には正規品と見分けがつきにくかったということも要因の一つと考えられております。
○遠藤委員 繰り返しになりますけど、これ、患者さんが発見したからよかったようなものであって、今、答弁ありましたとおり、薬局も、または卸売販売事業者等々も、意図があったかなかったかとか、これは今捜査中だということでありますので、それに委ねなければいけませんけれども、そうしたルートを故意に、または故意ではなくすり抜けて患者のもとに結果的には到達をしていたと、こういうことであります。
そこで、これは都内の卸売販売業者から奈良の薬局に流れたということでありますけれども、都として、この事案を受けて、今日までどんな対応をしてきたのでしょうか。
○仁科食品医薬品安全担当部長 都では、本年一月、国からの第一報を受けて、直ちに卸売販売業者の調査に着手し、偽造品の流通経路を把握するとともに、都内の卸売販売業者に在庫品として保管されていた偽造品計十本を確保して、偽造品流通の拡大防止を図りました。
この偽造品につきましては、東京都健康安全研究センターで成分分析を行ったところ、ボトルにおさめられていた錠剤は、ハーボニー配合錠ではなく、複数のビタミン類を含有する錠剤であることを確認しております。
偽造品の流通に関与した都内の卸売販売業者五社に対しましては、本年三月に改善措置命令を行い、管理の徹底等を命じました。
さらに、五社のうち、法律で義務づけられた、医薬品の譲り受け記録を正確に記載せず、購入先として架空の会社名を記載するなど、特に悪質な二社に対し、本年四月に業務停止を命じ、厳重な処分を行いました。
○遠藤委員 複数社がかかわっていたけれども、特に悪質な二社に対しては東京都として業務停止命令を課し、その後、事実上この両業者は廃業になったと、このように聞いてございます。
それでは、こうした一連の事柄を受けて、都として再発防止に向けどう取り組みを行っているのか、また今後しようとしているのか、これについてお答えいただきたいと思います。
○仁科食品医薬品安全担当部長 本事案を受けまして、国は、三月に医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会を立ち上げ、本年六月、中間取りまとめが示されました。
この中では、直ちに対応すべき事項として、医薬品の譲り受け、譲り渡しの記録事項として相手方の身元確認を追加すること、医薬品の貯蔵設備を明確に区別し、立ち入りできる者を制限することなどを求めております。
この中間取りまとめを踏まえ、国は、本年十月五日に関係省令を改正し、来年一月三十一日から施行することとなっております。
都は、この省令改正を受けまして、直ちに都内の卸売販売業者、薬局等に通知するとともに、健康安全研究センターや保健所等により、都内の卸売販売業者に対する一斉監視指導を行い、改正省令の施行までに体制を整備しておくよう指導をしております。
今後、検討会では年内に最終の取りまとめを行うこととしており、国はさらなる対策を講じる予定と聞いております。
都としては、こうした国の動向を踏まえ、偽造品の流通防止のため、関係事業者を適切に指導してまいります。
○遠藤委員 聞いてみると、この医薬品の受け渡しの際の相手方の身元確認、これがおろそかになっていたり、または薬の貯蔵設備の明確な区分、または立ち入りの制限、こうしたものが、驚いたことに、これまでなかなか法としてそこまで細かい規定がなかったということであります。こうした点も、改善に向けた取り組みが今進んでいる、最終的には、年内に国において最終取りまとめを行って、都も必要な対策は講じる、こういう答弁だったと思います。
いずれにしても、都民、国民の安全が脅かされるようなこういう事案は二度と繰り返されてはならないと思います。
その上で、やはりこれから高齢者の皆さん--家族がいらっしゃれば家族がちゃんとチェックをするということも可能なところもあるんだと思います。しかしながら、独居老人の方がふえたり、またはこの法を規定する前にはそれほど拡大されていなかったインターネットでのさまざまな取引等々、これまでに想定し得ないようないろんな事案が出てくると思います。
私も資料をいただいて気づいたんですけれども、この国のあり方検討会には東京都の薬事監視課長の河野課長もメンバーで入っているというすばらしいことでありますので、しっかりと、東京都、また都民の皆さんの立場に立って、あり方検討会での議論、協議を進めていただきたい、このように思ってございます。
最後に、訪問看護サービス時等におけるサービスを受ける側の高齢者の皆さんの事故の防止、予防対策、これについて一点だけお伺いしたいと思います。
二〇二五年問題といわれるように、団塊の世代の皆さんが七十五歳を超えられてくるという超高齢化社会、これが到来をするわけであります。こうした中、その人数の増加に伴って、サービスを受けよう、受けたいという方が多くなってくるというのは必然のことであります。
それに応えるために、事業所またはそこで働くスタッフ、職員の皆さんは、当然そのボリュームがふえてくるわけでありますけれども、ここでやはりあってはならないのが、サービスを提供する側にさまざまな基本的な知識やノウハウや、またハート、心が欠落をして、何かルーチンワークのようになってくる、こういうことがあっては、重大な事故また事件につながるわけであります。
一例を申し上げますと、これは同僚都議の話でありますけれども、都内台東区の独自事業であります、いわゆる介護タクシー、これに関連をして、ことしの四月二十七日に、このサービスを受けていた高齢者の方の人命にかかわる重大な事故が発生をしたということであります。この被害者の方は、今、大変命の危機にある、こういう重大な案件だ、このようにも聞いております。
この事故の原因でありますけれども、本来、こうしたサービスを受ける際に、ご自宅から車椅子で車にお乗りになられる場合というのは、当然のことながら、車椅子は高いところから道路に向けて後ろ向きにおろしてこられて、反転させて車にお乗せするというのがセオリーでありますけれども、今回の事例の場合には、その後ろ向きではなくて、玄関から数段下がる道路に至るまで前向きに取り扱って、結果、乗っていた高齢者が転倒して、頭部並びに顎の部分を強打して重大な事故になってしまったと、こういうことであります。いわば、基本中の基本がなされていなかったためにこうした事故が発生したわけであります。
この事例は、繰り返しになりますけれども台東区が独自に行っている移動支援の事業でありまして、東京都の介護事業とは直接的な関係はありません。また、繰り返しになりますけれども、介護保険制度のサービス外のサービスであります。
しかしながら、介護保険サービス、介護保険制度内のサービスにおいても不幸な事件また事故は後を絶たない、こういうことであります。
ご案内のとおり、例えば二〇一四年には、川崎市の有料老人ホームに入居をしていた高齢者の方三人がベランダから転落死をするという、こういう事件がありました。二十三歳の介護職員が逮捕されております。
ほかにも、利用者家族がビデオを設置し、虐待の事実を突きとめた事件等々もマスコミに報道されたわけであります。
介護の現場は、夜勤などもあって大変厳しい環境だということもよく聞いております。そうした中でも、献身的に職務を全うしている多くの介護職員が、またスタッフがおりますけれども、個々の介護職員、スタッフの頑張り等にも限界があるんだろうと思います。労働環境の厳しさに加えて、対人的に難しい場合など、ストレスがかかる、たまるという、こういう場合も多いんだと思います。
そこで、介護職員の労働環境の整備、さらにはストレス、心身の不調などの対応について、事業所での管理、サポート体制、これが極めて重要な側面であると考えております。介護事業所の労働管理等の改善に向けて、都として、いかなる指導助言等々を行っているのか、お伺いしたいと思います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、指定居宅サービス事業所等を新たに開設する事業者や、介護保険法で定められております指定の期間の満了時期を迎える事業者を対象としまして、法令遵守のための都独自の研修を実施しております。
研修では、事業者が遵守すべき労働基準や健康診断、ストレスチェックなどの労働安全衛生のほか、労災保険や雇用保険といった労働保険制度についての理解を深めるため、労働関係法令を専門としている講師を東京労働局から招き、講義を行っております。
また、事業者への指導検査におきましては、就業規則等について労働基準監督署へ必要な届け出がされているかなどの確認を行っております。
○遠藤委員 介護保険外のサービスであれ、介護保険内のサービスであれ、いずれにしても、高齢者の皆さん、またそのご家族の皆さんは、ご当人の健康の増進や自立に向けて、こういうサービスを受けられるんだと思います。
こうした中にあって、今、紹介をいたしましたような事故また事件が起こらないように、東京都としてもしっかりと、基礎的自治体と必要な連携協力をしながら、こういう事故、事件が起こらないような対策をしっかりととっていってもらいたい、このことを強く申し述べまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○高橋委員 それでは、私の方からは、都有地を活用した社会福祉施設建てかえ促進について伺います。具体的には、清瀬小児病院跡地を活用いたしました社会福祉施設建てかえ促進事業について質問いたします。
社会福祉施設の中には、老朽化のため、建てかえを必要とする施設が多いと聞いております。しかしながら、都内は敷地が狭隘で地価が高いため、現地での建てかえや仮移転用地の確保も困難な状況であります。
この社会福祉施設建てかえ促進事業は、東京都内の老朽化いたしました福祉施設の建てかえが進んでいない現状を踏まえ、都みずから、都有地を活用して、施設の建てかえ期間中に施設の入居者に移転してもらう施設を、特別養護老人ホーム、障害者支援施設と二棟整備し、事業者に貸し出すものと伺っております。
都内の施設の老朽化については、例えば特別養護老人ホームについていえば、平成二十九年十月現在、築三十年を超えている施設が九十六あり、そのうち既に改築しているのが三十四施設で、いまだ古いままのものが六十二施設と、六割を超えている状況であります。そのうち、市部では、築三十年超えの七十二施設のうち、四十三施設が老朽化したままという状況であります。
さきの第三回定例会において、清瀬小児病院の跡地を活用して、この社会福祉施設建てかえ促進施設を整備する新築工事の契約案が審議され、工事事業者が決定いたしました。
工期は、来年度、平成三十年度、平成三十一年一月末日までということであります。
こうした中、先日、十月二十日に、この事業の利用事業者が決定したというプレス発表があり、最初にこの施設を借り受けて利用する事業者に、東村山市と青梅市の社会福祉法人が決まったと報告がありました。
建物の竣工はまだまだ先であり、事業開始は三十一年度以降ですが、なぜこの時期に利用事業者を決定しているのでしょうか、お伺いをいたします。
○後藤総務部長 一般的に、老朽化した民間の特別養護老人ホームなどの福祉施設の改築に当たりましては、事業者によります改築の意思決定の後、詳細な施設設計、さらに事業費を賄うための借入金の調達、さらには補助金の手続などのために、実際の改築工事の着工まで一年から二年を要しております。
今回、この建てかえ促進事業を活用して、都が整備いたしました代替施設に仮移転している間に既存施設を改築しようとする場合には、こうした手続に加えまして、代替施設に仮移転することについての利用者への丁寧な説明、さらには代替施設での必要な職員の確保、さらに既存施設が所在する区市町村や代替施設が所在する清瀬市とのさまざま調整なども必要となります。
こうしたことから、平成三十一年度の代替施設の利用開始後、円滑に既存施設の改築に着手していただけますよう、二年前となります今年度に利用事業者を決定したものでございます。
○高橋委員 ただいまのご答弁で、いろいろな調整事項があることはわかりました。
ところで、今回、事業に応募したのは、特養、障害者施設、それぞれ一事業者であったと聞いております。
改築のタイミングをはかっているとか、敷地内で自力で改築できる事業者もあると思いますが、老朽化した施設は多く、潜在的なニーズは多いはずです。一部には、応募を手控える事業者もあったのではないでしょうか。
この事業は、やはり先ほどの答弁にもありましたように、そもそもの施設を離れることによる漠然とした不安、離れたところへ行くのに、利用者や職員が大丈夫かななど、不安要素が大変大きいものと思われます。
そこで、この事業の今後の展開に向けて、しっかりと事業者の不安を取り除いていくことが必要と考えておりますが、東京都の見解を伺います。
○後藤総務部長 本年四月のこの建てかえ促進事業の利用事業者の公募開始に当たりましては、築三十年以上となります特別養護老人ホームや障害者支援施設、その全ての事業者の方々に対しましてメールでお知らせをいたしまして、五月の説明会におきましては、特別養護老人ホームにおきましては六事業者、障害者支援施設につきましては五事業者にご参加いただきました。
しかしながら、お話のとおり、最終的な応募はおのおの一事業者にとどまったところでございまして、あらかじめ整備された代替施設を借り受けることで、代替施設をみずから整備する場合よりも事業費の軽減を図ることができるといったような、こういったこの事業のメリットは見込まれますものの、事業者の中には、今回のタイミングでこの事業を活用することに関して不安を持った方がいらっしゃったことも考えられます。
そこで、今回の事例をもとにしまして、既存施設から代替施設への仮移転に際しての留意点、さらに代替施設での運営における課題などを分析いたしまして、建てかえ促進事業の活用に関しますノウハウ等を取りまとめた上で、次回以降の事業者が安心して利用できますよう、その内容を広く周知していくことを考えております。
○高橋委員 ぜひ支援体制を構築し、順次この清瀬の施設が有効に活用されるよう、お願いしたいと思います。
ところで、ここは清瀬小児病院時代から、貴重な財産であるアカマツが多数植わっており、地元に愛された散策路になっておりました。
そこで、お伺いをいたします。
地元からは、ぜひアカマツを観賞できるようにしてほしいという声があったところですが、アカマツについては、東京都はこれまでどのように取り組み、今後、どう取り組んでいくのでしょうか、伺います。
○後藤総務部長 ご指摘のありました敷地内に自生しておりましたアカマツにつきましては、保全に向けたさまざまなご要望などを踏まえまして、一昨年から昨年にかけまして、清瀬小児病院時代に構内通路等として使用されておりました区域に移植いたしまして、現在、養生、剪定などの保全を行っております。
ちょうど昨日から代替施設の建設が開始されたところでございますけれども、工事期間中、大型車両が通行することも想定されますことから、アカマツの生育に支障がないよう養生いたしまして、施設の竣工後、平成三十一年度になりますけれども、アカマツ保全ゾーンとしてこの区域の整備を行った上で、近隣の住民の方々の散策路として日中に開放いたしますことを検討しております。
○高橋委員 清瀬小児病院の跡地をぜひとも有効に活用していただきたいと思います。
ぜひ事業が円滑に進むよう、利用する事業者の、社会福祉法人の相談に乗り、地元の住民の要望もよく聞きながら、法人の施設が所在する市町村や清瀬市ともよく調整をして、しっかりと事業運営をしていただくことを期待して、質問を終わります。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時二十九分休憩
午後二時四十五分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○藤田委員 私からは、三点、都民の歯と口腔内の健康保持増進についてと、社会的養護政策における社会的自立に向けた支援について、多摩地域における精神保健の公衆衛生について、ご質問いたします。
まず一つ目に、都民の歯と口腔内の健康保持増進についてお聞きいたします。
東京都は、一九九三年から、独自に歯科保健目標を設定して取り組まれています。また、目標値を設定した東京都歯科保健目標、いい歯東京を、二〇一一年度から二〇一五年度までのものとして策定し、二〇一四年度に評価を実施、その評価を踏まえ、現在は東京都歯科保健推進計画、いい歯東京の作成のために取り組まれているとのことでした。
また、先ほどもありましたように、二〇二五年問題があります。そして、とりわけ七十五歳以上になると、認定率は要介護認定者の三割に上り、当然、年齢を重ねるほどに認定率は上がるという状況です。
東京都歯科保健推進計画策定に当たっても、高齢者数や要介護者数の増加を見越したものにすることは重要な課題です。厚生労働省は、高齢者の低栄養防止、重症化予防の推進事業として、医師、歯科医師、保健師など、その他の専門職の人件費や事業に必要な交通費、消耗品などの経費への補助を行っています。
東京都におかれましても、事業の活用により、通院困難な方も含めて、都民の全ての歯と口腔の健康保持増進に努められることを切に望むものです。
そこで、東京都として、現在策定している高齢者への歯科保健目標にはどのようなものがあるでしょうか。
また、要介護者増加に対する取り組みについても教えてください。
○矢沢医療政策担当部長 都は現在、歯科医療の専門家、学識経験者、医療関係団体、区市町村及び患者団体等の代表により構成する東京都歯科保健対策推進協議会のもとに、歯科保健目標検討評価部会を設けまして、東京都歯科保健推進計画、いい歯東京の改定作業を進めております。
高齢期には、歯茎が下がり、口の中が乾燥し、齲蝕や歯周病にかかりやすくなり、歯の喪失リスクが高くなります。また、飲み込む機能が低下いたしますと、誤嚥性肺炎のリスクも高くなります。
部会では、齲蝕や歯周病を早期に発見、治療するため、セルフケアを続けることや、かかりつけの歯科医に定期的に受診することの重要性を踏まえた歯科保健目標を検討しております。
要介護者の増加に対する取り組みといたしましては、歯科医師や歯科衛生士を対象に、訪問歯科診療に関する知識を習得する研修などを行っております。
○藤田委員 ありがとうございます。要介護者増加に対して、現在あるものとしては、在宅歯科医療に関する知識を習得する研修等ということですが、歯と口腔内の健康保持増進は、高齢者にとって、全身の健康につながる重要なものです。
筑波大学の寺本信嗣教授は、肺炎患者のうち約六五%が七十歳以上の高齢者であり、そのうち約八割が誤嚥性肺炎だと報告しています。
私が働いていた病院でも、肺炎予防のために、口腔ケアや嚥下機能改善の取り組みを実施していました。しかし、口腔ケアを十分実施するには、寝たきりの患者様ですと、一人につき十分から十五分程度かかるため、併設している歯科診療所の往診を依頼して、医師や歯科衛生士による口腔ケアを実施していただいたり、家族指導を行っていただいたりしておりました。
元気なうちにどんなに重要性の説明をしてもらっても、本当に必要なときには自分でふぐあいを訴えることもできなくなっていることが少なくありません。
そして、高齢者に対する肺炎予防といっても、そこには予防方法の周知徹底や啓発活動だけでは不十分で、専門資格を持つ歯科医師や歯科衛生士によって、直接その方その方のケースに合わせた指導が不可欠となってきます。また、そのケアの継続のためには、患者様が継続して滞在するところへの引き継ぎと、介護実施者への具体的な指導も欠かせないものとなってきます。
現在訪問歯科診療を行っている病院診療所と患者数を教えてください。
また、訪問歯科診療を受けている高齢者の施設数と割合もお願いします。
○矢沢医療政策担当部長 平成二十六年の医療施設調査によりますと、歯科診療所のうち、在宅医療サービスの実施施設は千四百三十三施設、歯科診療所総数一万五百七十九施設に対する割合は、一三・五%となっております。
また、同じ調査によります平成二十六年九月の一カ月間におけます居宅への訪問歯科診療の実施件数は一万四千六百三十五件、施設への訪問歯科診療の実施件数は四万七千六百十四件でございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
三年前の東京都の統計で、要介護認定者の介護度四と介護度五の人数を合わせると、十一万八千五百人です。
また、東京都の計画では、高齢者が安心して生活できる基盤の整備として、二〇二五年度末までに、特別養護老人ホーム六万人分、介護老人保健施設三万人分、認知症高齢者グループホーム二万人分、サービスつき高齢者向け住宅二万八千戸の整備目標を掲げています。
そこでお伺いします。
福祉保健局として、東京都内の要介護者人口や高齢者施設数に対して、どの程度在宅歯科診療を行う歯科医院があれば十分とお考えでしょうか。
また、東京都歯科保健推進計画、いい歯東京の高齢期においても、かかりつけ歯科医を持つ者の割合の目標を設定すべきではないでしょうか。
○矢沢医療政策担当部長 歯科診療所を開設する場所、標榜する診療科は、歯科医師がみずから選択をしております。
現在、都は、全てのかかりつけ歯科医が訪問診療に取り組みますよう、働きかけを行っております。かかりつけ歯科医が一人でも多く訪問歯科診療を実践することができますよう、はじめての在宅歯科医療を作成いたしまして、歯科医療機関に配布するとともに、歯科医師等を対象とした在宅歯科医療研修会のテキストとして活用しております。
現在、先ほど申し上げました部会では、都民の全世代を通じた目標といたしまして、かかりつけ歯科医を持って定期的に歯科健康診査を受けること、かかりつけ歯科医で必要に応じて予防措置を受けること、定めることなどを議論しております。
こうした議論を踏まえまして、東京都歯科保健推進計画におけます、高齢者を含むライフステージに応じた歯科保健目標についても検討をしてまいります。
○藤田委員 目標や計画については、ぜひ要介護者や高齢者の増加を見越したものとし、その目標に合わせて、在宅歯科診療ができる歯科医院についても具体的な目標を定められることを要望するものです。
また、在宅歯科診療所の目標ですが、全てのかかりつけ歯科医といいますと、都内の歯科医院は全部で一万六百二十件あるのですが、この全てに対して在宅歯科医療に取り組むよう働きかけているということでしょうか。
もしそうなのであれば、在宅歯科診療ができる病院、医院をふやすための取り組みは、具体的にどのようなことを行っているのでしょうか。
また、その取り組みはいつから開始し、これまでにどの程度在宅歯科医療ができる医院がふえたのでしょうか。そして、この取り組みの費用はどの程度かかっているでしょうか。
○矢沢医療政策担当部長 訪問歯科診療に取り組む医療機関をふやすため、訪問歯科診療を実施する医療機関に対し、ポータブルエックス線など、診療に必要な医療機器の整備を支援しております。
また、平成十九年から、歯科医師、歯科衛生士を対象に、在宅歯科医療研修会を実施し、訪問歯科診療に関する知識の習得や事例検討を行っております。
補助実績でございますが、平成二十一年度から、平成二十一年度は二十二件、二十二年度二十二件、二十三年度九件、二十四年度十三件、二十五年度二件、二十六年度十五件、二十七年度十八件、二十八年度二十八件、合計百二十九件でございます。
○藤田委員 一つ、歯科診療ができるようにする支援事業の総額、費用はどのぐらいかかったでしょうか。
○矢沢医療政策担当部長 平成二十一年度から平成二十八年度までの合計で、一億六千百七十七万五千円でございます。
○藤田委員 ありがとうございました。在宅歯科診療をふやすために、都としても機器整備に必要な費用補助を行っており、その事業を使って、この八年間で百二十九件の在宅歯科診療を行う医療機関をふやしてきたとのことでした。
現在、都内で外来診療と訪問診療を行っている、ある歯科診療所では、歯科医師八人、歯科衛生士十人で、一カ月、延べ二千百人の外来患者と七百十四人の訪問歯科診療を行っています。また、歯科衛生士単独で一日平均十人の訪問を行い、口腔ケアや保健予防活動を実施しております。
その歯科診療所の事務長は、もっと多くの歯科医師や歯科衛生士がいれば、より多くの患者、利用者への訪問診療ができるし、ニーズは非常に高いと話しておりました。
また、都内の歯科診療所は、全国に比べて最も多く、一万六百二十件ありますが、そのうちの二割は歯科医師だけで経営しているのが現状です。
高齢者の保健に詳しい国立保健医療科学院の三浦宏子国際協力研究部長は、訪問歯科の重要性は今後ますます増すという背景から、それに対応できるだけの衛生士が各地域に一定数いないと、将来、医療費がさらにふえていく可能性があると指摘しております。
危機感から、自治体と組んで対策を進める例も出ています。
都内の豊島区歯科医師会が運営するあぜりあ歯科診療所では、十二人の歯科衛生士が、年間約三千八百人の訪問歯科を手がけております。区の委託費などで運営され、産休など、ここで働く方たちの福利厚生も整備して、衛生士の人員確保に努めているという状況でした。
東京都として、訪問歯科診療所をふやすために、歯科衛生士の就業者数をふやすことが不可欠と思われますが、いかがでしょうか。
○成田医療改革推進担当部長 歯科衛生士は、歯科疾患の予防や口腔衛生の向上を図るため、歯科医師等と緊密に連携いたしまして、訪問歯科診療も含め、適切な歯科医療を確保する役割を担っております。
都は、平成二十七年度から、在宅訪問、歯科医療に関する知識や必要な技術等を習得するため、歯科衛生士を対象に研修会を実施しております。
○藤田委員 今行っている対策は研修会ということですけれども、歯科衛生士の都内の養成所などでの国家試験合格者数は、昨年度で九百四十一人でした。
全国歯科衛生士教育協議会の調査によると、歯科衛生士の求人倍率は毎年上がっているということでした。
歯科診療所の多い都内においては、より深刻な状況があると思われます。
東京歯科保険医協会が衛生行政報告例や医療施設調査のデータをもとに計算したところ、都内の歯科診療所一施設に対して、就業している歯科衛生士は平均で一・二二人でした。これは、全都道府県の中で四十七位、つまり最低の水準であるということがわかりました。
こういった状況を一刻も早く改善するためにも、実態に見合った具体的な対策を行うべきではないかと考えますが、ご見解をお伺いします。
○成田医療改革推進担当部長 歯科衛生士は、平成二十八年度には都内で千人以上が国家試験に合格しておりまして、合格数は増加傾向にございます。
平成二十六年度東京都歯科衛生士実態調査事業報告書では、未就業の理由といたしまして、出産、育児と回答されたものが最も多く、次いで、雇用条件が合わない、知識、技術に自信がないとなっております。
また、未就業者のうち七割を超える方が再就業の意思があるとしており、都は、定着や再就業を支援するため、専門知識、技術の習得等の講習会を東京都歯科衛生士会に委託して実施しております。
○藤田委員 ご答弁では、国家試験の合格者数もふえているということと、再就職支援も実施しているということでしたが、毎年退職する歯科衛生士も多く、約半数の歯科衛生士は、資格を持っていながらも働いていないという調査結果もございます。
先ほどもお話がありましたが、未就業の理由が出産、育児ということから見てもわかるように、歯科衛生士も看護師同様、女性の多い職場です。
その看護師についてですが、さまざまな勤務形態の職場があるというのも特徴です。夜勤や交代制勤務がある病院や日勤が中心の診療所、訪問看護、保育園や、その他企業内保健室など、職場は多岐にわたり、出産や育児で退職したとしても、再就業については勤務形態を選ぶことも可能です。
そのような看護師ですら、育児しながらの再就職にはかなりハードルがあり、資格を持ちながらも働いていない看護師は、やはり半数近くに上ります。
この状態と比べ、歯科衛生士は、その資格を持つ方の九割以上が歯科診療所で勤務しております。日本の労働者の長時間勤務に対応すべく、歯科診療所は夜間診療や土日の診療を行っているところがふえ、出産や育児で退職した後の再就職には極めて不向きです。さらに、診療報酬との関係から、歯科診療所の採用は少人数のため、勤務の融通がききにくいという特徴もあります。
再就職につながらないという問題はどのようなところにあるのかを、ぜひ再調査していただきたいと思います。
近年、歯科衛生士養成所は増加していますが、十年前から、募集人員に対して入学者が足りない、定員割れの状態になっています。昨年は、半数近い養成所で定員に満たない入学者でした。
需要が高い専門職でありながら、学校の定員割れも生じて養成が追いつかないということがあってはなりません。
歯科衛生士は、専門学校や短期大学、大学において、三年間、専門分野の学習を行い、国家試験に合格すると得られる資格です。国家試験合格率は九五%で、受験できれば多くの方が有資格者となります。
こういった背景から見ると、歯科診療所の衛生士確保のためには、再就職の対策だけでなく、養成所に対しても対策をとるべきではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○成田医療改革推進担当部長 都は、養成所等の適正な運営の確保を図り、都における医療人材のより一層の確保に資することを目的といたしまして、歯科衛生士等、医療関係職種の養成所を訪問するなどして、必要な指導を行っております。
○藤田委員 適正な運営の確保は重要と思います。しかし、養成所の運営の問題で入学を控えているとは、とても思えません。だとすれば、せめて学校の定員が満たされるくらい入学できる環境を整えるべきではないでしょうか。
歯科衛生士養成学校は、三年間で学費が三百万円から三百五十万円かかります。借金をして学校に通う学生がふえている近年、このハードルを下げるためにも、歯科衛生士修学資金の貸与を東京都として行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○成田医療改革推進担当部長 東京都歯科衛生士会からは、歯科衛生士は女性が多数を占める職場でありまして、結婚、出産を機に離職する傾向があると聞いております。
歯科衛生士は、毎年、都内で千人以上が国家試験に合格しておりまして、これらの有資格者の就業後の定着促進を図ること、再就業と就労支援に向けた取り組みが重要でございます。
このため、資質の向上や再就業支援を目的とした研修事業を実施しております。
○藤田委員 東京都としては再就職の支援を強化するということで、定着も強化をするということでした。そういうのであれば、やはりぜひ、再就業を困難にしている理由をより具体的に調査検討し、幅広い対策を講じることを要望いたします。
それと同時に、同じ三年間の養成期間である看護師に対しては、東京都は看護師等修学資金貸与条例があります。増加する高齢者の実態に合わせ、多角的に対策をとるためにも、歯科衛生士修学資金貸与を実施することを強く求めたいと思います。
最後に、貧困の連鎖や子供の貧困から見える、子供の口腔内の問題から質問いたします。
虫歯のある子供と親の所得との関係が明らかですが、口腔崩壊の子供の数を減らすことも重要と考えます。東京都の見解をお伺いいたします。
○矢沢医療政策担当部長 虫歯のある子供と親の所得との関係についての見解ということでございますが、国立社会保障・人口問題研究所が平成二十三年に行いました、子どもの健康格差は存在するか、厚労省二十一世紀出生児パネル調査を使った分析によりますと、歯科受診は経済的理由による格差が生まれやすい特徴があるとされております。
先ほども申し上げました歯科保健目標検討評価部会では、多数の齲歯のある子供の保護者に対しまして、保健、医療、福祉の分野の多職種が連携して指導や支援を図っていくことなどについて、現在、議論をしております。
○藤田委員 多職種で連携して指導や支援を図ることを議論しているということでした。大変重要だと思います。
兵庫県保険医協会の調査では、県内の小中学校、特別支援学校の歯科健診で、平成二十八年度に虫歯などで要受診と診断された児童生徒のうち、六五%が歯科を受診していない可能性があるということがわかりました。
学校の歯科健診で要受診と診断された児童のうち、未受診か受診を確認できなかったのが、小学生で四六%、中学生で六四%、高校生は八四%に達しました。未治療の虫歯が一人で十本以上あるなど口腔崩壊と呼ばれる状態の児童生徒の有無については、こういう生徒がいると回答した学校は約三五%でした。
具体的には、乳歯が全て虫歯の児童が数人いる、歯肉炎も重度でパンが食べられないなどの報告事例があったということです。
この調査をした協会の担当者によると、共働きや貧困などで子供を歯科に連れていくことができない家庭もある、学校が個別に家庭状況を把握した上で指導することが必要だと話していました。ぜひ、先ほどご答弁いただいた多職種による連携で、こうした家庭においても十分ケアができるよう望むものです。
貧困と格差が進む中、こうした子供がふえる可能性が強くあります。たとえ貧困な家庭に生まれても、せめて子供だけは、歯ブラシ一本で歯と口腔の健康が保たれるということを義務教育の期間にしっかり身につけていただきたいと思います。
そのためにも、繰り返しになりますが、やはり歯科衛生士の存在は欠かせず、予防の観点から見れば歯科衛生士だけで行える活動が幅広くあり、また、歯科衛生士をふやすことで都民の歯と口腔の健康保持増進が大幅に進むと確信しております。
東京都におかれましては、実数の少ない問題についても、アプローチが困難な課題に対しても、全ての都民がひとしく健康の保持増進に必要なケアが受けられる環境を整えることを切に願って、この都民の歯と口腔内の健康保持増進についての質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
二点目に、社会的養護政策における社会的自立に向けた支援についてご質問いたします。
ここ数年で児童相談所の児童虐待対応件数が急激に増加しています。少子高齢化の日本において、要保護児童が自立した生活を送れるようになることは大変重要です。東京都といたしましても、要保護児童の自立を支える役割をさらに後押ししていただけることを要望する立場で質問させていただきます。
まず最初に、里親を含む社会的養護を受けている子供の進学率と社会全体の進学率はどのようになっているでしょうか。
○松山少子社会対策部長 平成二十七年度における都内児童養護施設及び里親に措置されている子供の大学等への進学率は三七・八%であり、同年の全国規模の進学率二五・八%と比べ、八ポイント高くなっております。また、同年の社会全体の大学等への進学率は七一・二%となっております。
○藤田委員 社会的養護を受けている子供の進学率は、社会全体の同年の進学率よりも大幅に低いということがわかります。一方で、同じ就職でも、高卒と大卒で初任給や生涯賃金に差があるという実態があります。
ことし二月に福祉保健局が発行した児童養護施設等退所者の実態調査結果によりますと、退所後の雇用形態は、正規雇用が四五・二%、非正規雇用が四六・八%と非正規雇用が多くなっています。一方で、最終学歴が専門学校、短期大学、大学の場合は、正規の割合は七割から八割へとふえる状況があります。
社会的養護の措置を受けている子供にとって、初任給や生涯賃金が高くなる大卒という学歴は非常に意味のあることであり、社会的養護においても、大学進学率を高める支援がますます重要と考えられます。
そこでお聞きします。高校生の学習塾代についてお聞きいたします。
文科省の子供の学習費調査によると、塾に通っている高校生の塾代の平均は、公立で二十八万六千円、私立では三十六万五千円で、これは月にすると、公立で約二万三千八百円、私立では約三万四百円となっています。
現在、児童養護施設も、里親へも、塾を利用したら一万五千円支給という内容になっていますが、この金額で十分か、子供が塾に通うのが困難な事態が生じていないか、調査検討が必要なのではないでしょうか。
○松山少子社会対策部長 高校在学中の子供の塾代については、国の措置費において月額一万五千円の経費が補助されており、都はそれに加え、民間社会福祉施設サービス推進費等により支援をしております。
また、集団学習になじまない子供に対し、家庭教師等を施設に招き個別学習支援を行った場合には、国の措置費において月額二万五千円の経費が補助されております。さらに児童養護施設では、塾への通学のほか、自習室の設置や学習ボランティアの活用など学習環境を整えるとともに、学校等とも連携しながら子供の状況に合わせた学習支援や進学支援を行っております。
○藤田委員 サービス推進費で補助、そして特別な場合には二万五千円も支給があるということでしたが、通塾費用の分としては個別の加算が特別あるわけではありませんので、答弁の趣旨は、包括化されている補助の中から捻出しなければならないということだと思います。
それはつまり、ほかのことにかける費用を減らすということになるし、塾に行く子がふえればふえるほど施設の運営は苦しくなります。やはりそうではなくて、経済的なことを心配せずに、通うかどうかで判断できるようにするべきだと思います。
東京都が実施した子供の生活実態調査では、学習塾に通わせることが経済的にできないことがないかどうかを、生活困難を判断する上での要素の一つとして質問しています。これは東京都としても、経済的に学習塾に通えないことはなくしていくべきと考えているということなのではないでしょうか。
○松山少子社会対策部長 昨年度、首都大学東京と連携して実施した子供の生活実態調査では、子供の生活困難な状況をきめ細かく把握するため、世帯所得の状況、家計状況とあわせて、海水浴に行く、毎年新しい洋服、靴を買うなど、子供の体験や所有物に関する十五項目について、経済的な理由により欠けている状況であるかを調査しており、学習塾に通わせるは、その項目の一つでございます。
子供の貧困対策において教育支援は重要な柱の一つであり、都内の区市では生活困窮者自立支援法に基づく学習支援を行っております。
また、都は、高校や大学への進学を希望する一定の所得以下の世帯の中学三年生や高校三年生に対し、学習塾代や受験料を独自に支援するとともに、ひとり親家庭の子供に学習支援を行う区市町村を支援するなど、さまざまな施策を講じております。
○藤田委員 ご答弁にもあったように、さまざまな施策を行っているということでした。
先ほどの実態調査では、子供の生活困難な状況をきめ細かく把握する要素の一つとして質問しているからには、都民が経済的に学習塾に通わせることができないことがない方がいいと考えているということだと思われます。
しかし一方で、中学生については通塾代が実費で支給されています。高校通学が世間で一般化したことから国が制度化したものであり、都として特別に加算しているものではありません。高校についても必要な額は保証していくべきだと思います。
繰り返しにはなりますが、高校生の塾代が実態と合ったものになっているかどうか、困難が生じていないかの調査検討をぜひとも実施してほしいと強く要望いたします。
次に、高校生のスマートフォン所持についてお聞きします。
内閣府の調査では、高校生のスマートフォン、携帯電話の所持率は九七%に上っていて、高校生活を送る上で欠かせないものになっていることがわかります。さらに、スマートフォンによって就職活動を行ったり、アルバイトのシフトを確認したりしている状況から、社会的自立にも必要なアイテムとなっています。
格安スマホは、月額利用料が二千円程度と低い料金に設定することができるメリットがあります。しかし、スマホ本体の料金は一万円から五万円までと幅があり、安いものはインターネット利用に制限があるため、メールでアルバイトなどのシフト確認をするには不向きです。就職活動にもインターネット機能は重要なもので、格安といえども本体には五万円程度かかることになります。
保護期間が長い児童にとって、中学生くらいからスマートフォン購入目的でお小遣いをためることも可能ですが、その分節約が必要になります。保護期間が短い児童についてはスマートフォン所持自体が困難なため、児童養護施設でも、養育家庭会からも、高校生のスマートフォン、携帯電話所持に対する要望が出されています。
一般的な高校生のスマートフォン所持率がほぼ一〇〇%であることから見ても、要保護児童が所持しにくいことはあってはならないと考えますが、いかがお考えでしょうか。
○松山少子社会対策部長 未成年の子供がスマートフォンを利用する場合、保護者と話し合って決めておりますように、児童養護施設等に措置されている子供のスマートフォンの所持については、子供の意思を尊重しながら一人一人の状況を勘案し、使用時のルール等を共有した上で、本人と施設長等が話し合って決めております。
○藤田委員 話し合いのもととはいいますが、周囲の友達がほとんど持っているという状態であるにもかかわらず、自分だけが施設や里親のもとで生活しているからという理由で、友達との関係をつくるのに必要なスマートフォンを所持できないというのは、本人にとってもつらいことだと思うし、現実的には持たないということは困難です。しかし、逆に費用を賄うことができなければ、話し合いの内容にかかわらず持つことはできません。実際にはアルバイトも含めて、何とか支払っているというのが現実だと思います。
もう一度お伺いいたしますが、一般的な高校生と要保護児童との間に、経済的にスマートフォンの所持がしにくいという差があってはならないと思いますが、どうお考えになりますか。
○松山少子社会対策部長 先ほど申しましたように、児童養護施設等に措置されているお子様につきましては、例えば保護者に居場所を秘匿しなければならない等、利用上の制約があるお子様もいらっしゃいます。また、そういうお子様については、SNS等で写真等から居場所が判明してしまうと大きな問題になることがございます。
ですから、そういったものにつきまして、先ほど申しましたように、スマートフォンの所持については、子供の意思を尊重しながらも一人一人の状況を勘案し、本人と施設長が話し合って、今、決めているところでございます。
○藤田委員 あくまでも尊重をしてということでしたけれども、実際は、ほとんど友達はみんな持っている状態で、自分だけ持たないということが、本当にその子にとっていい状態なのかといわざるを得ません。
あと、格安スマホというものですけれども、就職活動やアルバイトのシフトの確認などに必要な機能、つまりインターネットの機能を持つスマートフォン本体の購入には約五万円程度かかります。特に、措置されたばかりの児童などが所持するのは、措置期間にさまざまな費用から少しずつためるということができないため、大変困難なものです。せめて購入にかかる初期費用だけでも都から支援していただくことはできないでしょうか。
○松山少子社会対策部長 スマートフォンの購入費を含む子供の日常生活に必要な経費につきましては、国の措置費に加え民間社会福祉施設サービス推進費等により都独自に支援しているところでございます。
スマートフォンにつきましても、その中で、先ほど話しましたように本人と施設長が話し合って決めた上で、施設で補助が必要であれば補助しているところでございます。
○藤田委員 スマートフォンの所持は経済的にかなり苦しいので、せめて初期費用だけでもということなんですけれども、それもサービス推進費を使ってというお答えでした。
サービス推進費を都が国に上乗せして出しているということは重要だと思います。しかし、それでも、ほとんどの高校生がスマートフォンを持ち、個々人の選択というよりも、もう持たなければ友達づくり自体も難しいという、新しい社会的な事態が生じているわけですから、今の水準でよいのか、再検討が必要だと思われます。
こうした実態も踏まえ、世間一般と比べて困難が生じていないか、さまざまな角度から調査検討が必要ではないかと考えます。繰り返しにはなりますが、実態調査と検討の実施を強く要望するとともに、社会的養護の必要な子供たちが肩身の狭い思いをすることがなく、世間並みの生活ができるための整備を大都市東京から実施していくことを切に願って、この件につきましての質問を終わりといたします。
続きまして、多摩地域における精神保健の公衆衛生について質問いたします。
精神疾患を有する患者の総数は、二〇〇五年以降三百万人を超え、厚生労働省の統計では、二〇一四年には三百九十二万人であり、年々増加しております。
厚生労働省の精神保健福祉の改革に向けた今後の対策の方向では、入院医療中心から地域生活中心へという方向を推し進めていくために、精神障害者が可能な限り地域において生活することができるよう、必要な精神医療福祉サービスの資源を確保し、適切に配分していくことが必要であると述べられ、これに対する重点政策を優先的に取り組むとしております。
精神障害者が地域で暮らしていく上で、相談や訪問を通じて必要な社会資源につながるための支援は非常に重要です。
そこでお聞きいたします。
精神障害者が地域で安定して生活していく上での面接や相談、訪問などの支援に対する認識と、精神保健福祉センターの役割について、どのようにお考えでしょうか。
○高原障害者施策推進部長 不安を抱える精神障害者の方に対して、関係機関が相談に応じて、必要に応じて訪問による支援を行うことは、精神障害者が地域で安心して生活する上では重要でございます。
精神保健福祉センターは、精神保健福祉法第六条に基づき設置をされ、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち、複雑または困難なものを行うなど、総合技術センターとして地域精神保健福祉活動推進の中核的役割を担っております。
具体的には、地域における精神保健福祉業務を行う保健所や基本的な相談等を行う区市町村など、関係機関に対する技術指導及び援助や研修等の人材育成を行うとともに、専門的な相談支援や保健所等と協力をした訪問支援等を実施してございます。
○藤田委員 相談や訪問は重要で、精神保健福祉センターは保健所や区市町村を支援しながら取り組みを進めているというご答弁でした。
それでは、まず、保健所についてお伺いいたします。
東京都は、二〇〇三年度に精神保健の一般相談を市町村に移管し、保健所は未受診や診療中断などの困難なケースを扱うということになりました。そして、二〇〇四年度には多摩の保健所を七カ所、その後、市に移管した八王子と町田を除く五カ所に減らしました。
八王子と町田を除いた多摩の保健所の保健師の精神保健に関する訪問の延べ人数と実人数の推移を、統廃合以前から直近までについて調査していますか。措置調査した内容については幾つでしょうか。結果についても分析していらっしゃるでしょうか。
○本多地域保健担当部長 都では、毎年度、保健師の活動状況を取りまとめております。
八王子と町田保健所を除く多摩地域の保健所で、平成十四年度に精神保健福祉に関する家庭訪問を行った人数は二千九百六十人、訪問した延べ件数は六千八百五十六件となっております。以降、平成十五年度は二千三百十八人、五千二百二十五件、平成十六年度は二千二百十人、四千八百六十三件、平成二十七年度は千百四十五人、四千三百六十五件となっております。
平成十五年度は、市町村と協議の上、事務処理特例条例を改正し、精神保健福祉相談のうち一般相談を市町村に移譲いたしました。そのため、平成十五年度の都保健所による訪問件数は、平成十四年度と比べて減っております。
○藤田委員 二〇〇二年度から二〇〇三年度は一般相談が移管されたところなので、そのこと自体の是非は別として、数字の変化はそれで説明できると思います。
しかし、その後の二〇〇三年度から二〇一五年度までの件数はさらに減っていて、実人数は半数以下にまで減ってしまっています。五カ所の保健所ごとに見ても実人数は軒並み減っています。
市町村の相談体制や地域資源が充実し、困難ケースに至る前に支援が届くようになった結果、保健所の訪問件数が減ったのであれば悪いことではありません。
しかし、冒頭にもお話ししましたように精神疾患はふえていますし、都内の措置入院の新規患者数も、二〇〇三年度の千二百六十六人に対し、二〇一五年度は千七百四人にふえています。統廃合で保健所と住民、関係機関との距離が遠くなり関係が弱まってしまったために、都民のニーズを拾い切れなくなってしまっているのではないでしょうか。
地域ごとに保健所や保健相談所があったころは、例えば母子保健の対応の後に必要な方の家に寄っていくということもできていたわけです。ニーズが拾えないと、ますます住民や関係機関とのつながりは弱まるという悪循環になっているのではないでしょうか。訪問件数の減少について、東京都はどのように分析していらっしゃるでしょうか。
○本多地域保健担当部長 平成十六年度の保健所再編整備に当たりまして、住民に身近なサービスは市町村が担うこととなりました。その結果、住民の利便性は向上しており、サービスは低下したとは考えておりません。
また一方、都の保健所は広域的、専門的、技術的な保健サービスを提供することとされておりまして、市町村との役割分担のもと適切に業務を遂行していると考えております。
○藤田委員 東京都としては、役割分担のもと適切に業務を行っているということでしたが、精神障害者の家族の方からは、二十年以上前に併発したお子さんがいらっしゃいまして、当時は毎月保健師が訪問してくれていたのに、統廃合してからはなかなか来てくれなくなったという声も聞いております。
一度決めたからということではなくて、十三年たって本当にうまくいっているのか、ニーズに応え切れていないところはないか、改めて検証が必要だと思います。
例えば、服薬治療につながったとしても、症状に波が大きい精神疾患を持つ方にとって、症状が安定しているときは地域の市町村に相談、治療中断となり困難になったら保健所が対応と、時々で対応する管轄が変わるという内容にはなっていないでしょうか。
このような役割分担は、症状に波のある精神障害者の疾患の特徴に合わないのではないかと感じますが、東京都はどうお考えでしょうか。
○本多地域保健担当部長 精神保健福祉分野では、先ほども申し上げましたが、市町村が一般的な相談を行い、未治療や治療中断などの専門的な相談は都保健所が行うこととしております。
しかし、ご指摘のとおり、精神疾患を患っている方は症状が安定して療養していても、生活のストレスや病状の変化等により不安定な状態になることもございます。そのため、状況に応じて市町村と都保健所が連携して対応することが重要となってまいります。
都保健所では、市町村の要請に応じまして、家庭訪問に同行したり、退院時のカンファレンスに同席するなど、支援方針を共有して対応しているところでございます。
○藤田委員 一般論としては、場合によって連携するという説明になるわけですが、実際には住民のニーズがこぼれ落ちるということが起きてはいないか、検証が必要だと思います。
そして、市町村への支援も重要です。保健師の専門性の向上のためには、実際にケース対応を行う中で学ぶことが大変重要です。一緒に訪問を行う保健師の相互派遣を行って、互いの業務を経験するなど、市町村の保健師の専門性向上への支援を強化するべきではありませんか。そうなれば市町村との関係強化にもつながると考えますが、いかがでしょうか。
○本多地域保健担当部長 都では、行政保健師として働く上で基本的な事項を学ぶほか、都及び市町村の保健師活動の相互理解を図ることを目的といたしまして、都と市町村とが合同で新任保健師研修を実施しております。
各保健所におきましても、管内市町村の保健師を対象として、市町村とともに地域の健康課題に応じたテーマを設定して、市町村支援研修を実施しているところでございます。
精神保健福祉業務につきましては、事例検討会を開催し、市町村保健師とともに相談者への対応方法について多角的な検討を行うことにより、相談援助技術の向上を図っております。
また、各市町村で開催する業務連絡会やケア会議等に都保健所の保健師が定例的に参加するなど、市町村と連携しております。
○藤田委員 多角的に研修を行っていると、そういった取り組みも必要なことだとは思いますが、やはり実際に仕事を進める中で力もつけ、連携も強めるということが大事だと思われます。
何より、当事者、家族の皆さんから声が上がっているわけですから、今の体制が本当に住民の必要に応えられているのか、改めて検証が必要だと思います。そして、広大な西多摩地域や、人口が百万人に及ぶ北多摩南部地域に一カ所だけという保健所の数は明らかに少な過ぎると思います。保健所を改めて増設することを求めておきます。
次に、精神保健福祉センターについて伺います。
現在は多摩総合精神保健福祉センターで行われておらず、中部総合精神保健福祉センターで行われている短期宿泊という事業があります。短期宿泊を中部総合精神保健福祉センターに集約した前後の、多摩地域からの利用者数の推移はどのようになっているでしょうか。
○高原障害者施策推進部長 前後の数字ですが、平成二十七年度の短期宿泊事業の延べ利用者総数は七十六人で、うち区部の利用者が四十八人、多摩地域からの利用者は二十八人でございました。
中部総合精神保健福祉センターに事業を集約した平成二十八年度は、延べ利用者総数は五十一人、うち区部の利用者が三十九人、多摩地域からの利用者が十二人でございました。
○藤田委員 ご答弁でもわかりますように、多摩地域からの利用者が、中部総合精神保健福祉センターに短期宿泊事業が集約されてから、二十八人から十二人に減少しています。
この減少した理由について、東京都はどのように分析しているでしょうか。
○高原障害者施策推進部長 この短期宿泊事業ですけれども、改めて申し上げておきますが、未治療や治療中断等アウトリーチ支援事業の対象者が地域での生活に困難を来している場合に、短期的に宿泊の場を提供し、支援計画等によりその支援を行うものでございます。
利用者ですが、平成二十四年度以降、区部、多摩にかかわらず、短期宿泊事業の利用実績は全体として減少傾向にございます。これは、精神保健福祉センターによる保健所や区市町村への同行訪問や研修等により、精神障害者の地域生活の安定化に向けた支援技法が普及をし、関係機関による支援力が向上したことや、グループホームや日中活動の場など地域生活基盤の充実に伴い障害福祉サービスの利用が進んだことなどによるものというふうに考えております。
○藤田委員 さまざまな政策が進んだからというお話でしたが、先ほどもお話ししましたように、措置入院の件数はこの間ふえています。また、一五年度や一六年度の減り方は、それまでの年度と比べても大きくなっています。やはり、多摩にその機能がなくなって、不便になって利用が減ったのではないでしょうか。きちんとした検証を求めたいと思います。
次に、東京都の行うアウトリーチ支援事業の内容と、区市町村や保健所との連携内容を教えてください。
○高原障害者施策推進部長 アウトリーチ支援事業では、未治療や医療中断等のため地域社会での生活に困難を来している精神障害者等に対し、保健所等からの依頼に基づき、医師、保健師、福祉職など多職種のチームが、病状の見立てや生活状況の把握、医療の導入、本人、家族へのサポートなど、訪問型の支援を実施しております。
実施に当たりましては、区市町村、保健所職員等との同行訪問や各種会議への参加など、密接に連携を図っているところであります。
また、都は、包括補助により、アウトリーチ支援の体制整備に取り組む区市町村も支援してございます。
○藤田委員 保健所や市町村の保健師にとっても、センターの行うアウトリーチ支援事業によって地域生活に困難を来している精神障害者とかかわり、また、ケースの対応を通じてその専門的知識と技術を共有する場があるということですね。
そうはいっても、そのアウトリーチ支援事業は、西東京市から奥多摩町、あきる野市、あるいは町田市まで、かなりの広域にわたって、交通困難地域も含めての事業展開となります。どのような組織と人員で行っているのでしょうか。
○高原障害者施策推進部長 多摩総合精神保健福祉センターでは、アウトリーチ支援について、福祉職、心理職、看護師の計六名を配置いたしまして、これに所内の医師等を加えた多職種のチームで対応してございます。
ちなみに、平成二十八年度は青梅市、町田市、瑞穂町など二十三市町で、延べ五十六人にアウトリーチ支援を実施したところでございます。
○藤田委員 センターの職員は、遠くても努力して訪問させているというのだと思いますが、精神障害者の支援では繰り返しの訪問が必要となることも多く、広大な地域を担当するのは本当に大変だろうと思います。
また、多摩総合精神保健福祉センターで行われている事業で、羽村など西多摩地域からは遠くて通えないという意見が出ています。具体的には、ご家族による来所相談や勉強会への参加、デイケアなどですが、身近に相談できる専門知識を持った人がいたり、近くの地域で勉強会やデイケアを開催されていれば、地域でより安心して暮らせるという思いから、多摩総合精神保健福祉センターの機能を西多摩地域にもつくってほしいという要望が、精神保健福祉家族会連絡会つくし会から出されています。
この要望に対して、東京都としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
○高原障害者施策推進部長 精神保健福祉センターは、精神保健福祉法等の規定に基づき、都道府県及び政令指定都市が設置をしているものでございます。都を除く道府県及び政令指定都市では全て一カ所を設置している中、都では区部に二カ所、多摩地域一カ所の計三カ所に設置をしてございます。
多摩地域に設置している多摩総合精神保健福祉センターでは、市部及び西多摩郡を担当し、保健所及び市町村とも連携をしながら、地域精神保健福祉活動を推進しているところでございます。
○藤田委員 三カ所設置しているということですが、ほかの大都市は、基本的に政令指定都市になっており、道府県とは別にセンターがあります。しかも、区部は政令指定都市と比べても非常に人口が多いですから、そこに二カ所、多摩に一カ所というのは、特別多いということではないと思います。実際、多摩総合精神保健福祉センターの管轄人口を超える地域は、ほかの道府県では四センターしかありません。
そして、例えば多摩総合精神保健福祉センターの事業概要にデイケアの地域別の利用者数が出ていますが、百四十人、南多摩二次医療圏の多摩、日野、稲城、町田、八王子の五市で九十八人、全体の七〇%を占めています。人口十万人当たりで見ても、センターのある多摩市だけが一六・二人と最も多く、五人を超えるのは、やはり南多摩の五市と狛江市だけです。一方で、西多摩地域では青梅市に二人の利用がいるほか、利用者はゼロ人です。地域格差があるのは明らかだと思います。
やはり、利便性の問題からも西多摩地域にこうした機能を持ったものがあることや、また、センターでも短期宿泊の事業を検討することが必要なのだと考えますが、どうでしょうか。
○高原障害者施策推進部長 センターでございますけれども、一つには、センターの役割というのが、まさしく先ほど申し上げましたとおり、中核として地域の精神保健福祉を担う保健所や区市町村の支援、あるいはその支援力の向上を図ること並びに困難案件等についての専門的な技術支援を行うことが基本的だということでございまして、直接地域における精神保健福祉活動を行うことは主たる業務ということではないという役割分担のもと、区市町村や保健所と連携をし、多摩地域も含め精神保健福祉の向上に努めているところであります。
また、短期宿泊事業でございますけど、こちらは、基本的には地域において、精神症状の悪化等において家族や近隣の方との関係が悪化している、あるいは悪化することでまた精神症状が悪化を伴うというふうなこともあって、地域と切り離して新たな環境において宿泊をさせ、その間支援を行うことで精神の安定化を図った上で地域に戻っていただくということでございますので、必ずしも身近な地域にあることが好ましい事業ではないということをご承知いただいた上で、今後とも我々としては、繰り返しになりますけれども、保健所や区市町村と共同して精神保健福祉の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
○藤田委員 センターの機能としては役割は果たされているということで、これ以上の設置、ふやしたりとか、事業の見直しについては今のところ検討はしていないということだと思います。
しかし、実態としましては、以前受けられていたものが受けられなくなっているとか、あと本来ならば、精神疾患の方は、措置入院がふえて対応するのではなく、措置入院になる手前で対応することが不可欠だと、重要だと思われます。
そういった点からしましても、今現在、短期宿泊所を利用している人数が減っていることであるとか、あと訪問件数が減っているという、この数の変化だけによって地域のニーズが減っていると、または地域の中で新たなサービスができているからそこで改善できているだろうと、そういうことだけで結果を見てほしくはないと思います。
地域の実態をよく受けとめて、そこで困っている方がいないか、サービスとサービスのはざまで行き先がわからなくて悩んでいる方がいないか、悪化をして措置入院した方はいないか、そういった角度から実態の調査を検討していただき、支所などの設置についても、こうした都民の実態に合わせて検討していただきたいと思います。
積極的な答弁を求め、質問を終わります。
○高原障害者施策推進部長 ニーズを踏まえということにおいては、まさしくご指摘のとおりかと思います。ただ、それは必ずしもセンターをふやすだとかということだけではなく、新たなニーズを踏まえながらも、区市町村や保健所等と連携を図りながら、全体として精神障害福祉の向上を図っていくことが、また、東京としての役割だというふうに承知してございます。
○伊藤委員長 終わりでいいですか。
○藤田委員 じゃあ、もう一つ。一緒に質問してしまって申しわけありませんでした。
センターの設置だけではなくて、現場の実態調査を行う予定はありますか。
○高原障害者施策推進部長 実態というのが何の実態か、ちょっとご指摘がなかったので、お答えようがなかなか難しいんですけれども、先ほど来お話があるとおり、措置入院の数がふえている、あるいは精神保健福祉手帳の取得の方もふえているだとか、あるいは精神の通院医療の診療数、動向等、そういったさまざま統計値というものは、我々としては把握をしているところでありますので、そういった状況を踏まえながら適切な対応を図っていきたいというふうに考えております。
○山内委員 私からは、待機児童の解消について、幾つかの点で質問をしてまいりたいなと思います。
待機児童の問題については、東京を中心とした都市部の課題として認識され、都としてもさまざまな施策を講じるとともに、都独自の認証保育所の推進などにより、その解消に向けて取り組んできたと思われます。
それまで、保育所を利用する必要がある子供を、児童福祉法では保育に欠けるという表現をしてまいりましたけれども、平成二十七年度の子ども・子育て支援新制度の開始とともに、児童福祉法も保育を必要とするという表現になりました。このような国の姿勢が新たな需要を喚起した面もあり、待機児童は全国的にも増加をしており、引き続き喫緊の課題であるということであります。
こうした中、都は、昨年の九月の緊急対策で、必要な経費百二十六億円の補正予算の措置、また、平成二十九年度の当初予算では、保育士等の処遇改善を図るため、キャリアアップ制度、キャリアアップ補助の充実を図るなど前年度比約四百億円の予算額拡充、さらには、ことし九月には国の補正予算などに機動的に対応し追加対策を講じるなど、打てる手は全て打ち、待機児童を本気でゼロにしていこうという決意を強く感じるところであります。
こうした一連の取り組み、その姿勢は、我が党としても高く評価をするところであります。
一方なんですけれども、保育サービスを利用する児童や待機児童の状況、また各市区町村の課題も変化することから、常に施策については有効かどうかについて随時検証し、必要があれば見直しを図っていくなど対応が必要であります。私は、待機児童の対策イコール、ゼロ歳から二歳の受け入れ対策であるという認識を昔から強く持っておりまして、まず、この観点から質問をしてまいりたいと思います。
本年の四月の保育サービス利用児童者数、待機児童者数、特に低年齢児の状況についてお伺いをいたします。
また、主な保育サービスの利用児童者数について、昨年と比較してどのようになっているのかを、まずは伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本年四月の保育サービス利用児童数でございますが、昨年より一万六千三人ふえまして、二十七万七千七百八人となってございます。
一方、待機児童数は、就学前人口の増加や共働き世帯の増加、待機児童の取り扱いの変更などによりまして百二十名ふえまして、八千五百八十六人となってございます。
なお、待機児童の取り扱いに変更が仮になかったとしたならば、待機児童数は昨年から七百七十三名減少しておりまして、七千六百九十三人となっております。
待機児童の年齢別の状況でございます。ゼロ歳児が二千二百八十四人、一歳児が四千四百九十八人、二歳児が一千四百四十六人、三歳以上の児童が三百五十八人となってございます。
それから、主な保育サービス利用児童数の増減でございますが、昨年と比較いたしまして、認可保育所が一万四千三百七十五人、認定こども園が一千三十五人、小規模保育事業が一千六百三十六人、それぞれ増加をいたしております。認証保育所につきましては、認可保育所や小規模保育事業への移行などによりまして、一千二百三十三人の減少となってございます。
○山内委員 待機児童数の二倍、保育所を利用する子供がふえているが、待機児童はほぼ横ばいですね。その内訳を見ると、ゼロ歳から二歳がほとんどを占めていることが今の答弁でわかりました。大変詳しい数字をいただきまして、本当にありがたいと思っております。
待機児童が低年齢の児童に集中していることは、ことしに限った話ではなく、これまでもそうあったと私は認識をしております。各市区町村は、こうした実態を踏まえ整備計画を策定しているはずでありますが、しかし、待機児童はむしろ増加をしているということが現状であります。
各市区町村が、この認可保育所を中心とした整備を行っているということも、今、確認がとれました。小規模保育事業は増加しているといったこと、認証保育所は減少をしている、低年齢児の受け入れ確保に資源を集中しているとはいいがたいのが現状ではないのかなと私は思っております。それはなぜかといいますと、一万六千人分、保育サービス利用児童数が増加をしたにもかかわらず、やはり待機児童がふえているといったところから、そこは指摘をしたいなと思います。
もっとも、補助金が充実したこともあり、区市町村や事業者が認可保育所志向になっているということ、幼稚園の活用が進まず、いわゆる三歳の壁を回避するため認可保育を志向しているなど、各市区町村にもさまざまないい分はあると思いますけれども、新規開設した保育所を実際に見に行くと、三歳以上の保育室は閑散としております。私は、非常にもったいないという印象を受けているんですね。
そこで、高年齢児の空き枠や空きスペースを活用することで、低年齢児を受け入れることが可能であると思うんですけれども、都としての促進に向けたこの取り組みについてを伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、平成二十二年度から、保護者の多様な働き方に応じた保育サービスを提供いたしますため、空きスペース、空き定員を利用いたしまして保育する定期利用保育事業を独自に実施してございます。
昨年九月の緊急対策では、待機児童対策として活用しやすいよう、基本の八時間の保育に加えまして、最長三時間の延長保育に対する支援も開始いたしまして、制度の拡充を図ったところでございます。
○山内委員 私は、認可保育所の整備を全て否定するという考えはないんです。将来的な需要も見据えて、必要があれば認可保育所を整備することが必要であると考えます。
一方、区市町村は目下、待機児童対策として認証保育所や小規模保育事業を積極的に活用するほか、認可保育所の空き定員などを、都の事業も利用しつつ活用することで、一人でも待機児童を減らすよう一層努力をすべきであると考えます。
都としても、区市町村に対して、こうした有効な事業を積極的に活用するよう働きかけていくことを強く要望させていただきたいと思います。
また、私はこれまで、認証保育所の有効性について都議会で主張してまいりました。認証保育所は、定員の五〇%以上を待機児童の多いゼロ歳から二歳児に割り当てるということを原則としております。待機児童の状況を踏まえれば、区市町村はもっと認証保育所の整備に取り組むべきではないかと考えます。引き続き認証保育所の整備に取り組む区市町村を積極的に支援することを、あわせて要望させていただきたいと思います。
次に、認可保育所や認証保育所の担い手である事業者について伺います。
待機児童の解消に向け保育所の拡充に取り組む場合、その事業者の確保が重要であることについては、これまで都議会の中でも私は指摘をしてまいりました。事業の性質上、事業者の能力を慎重に評価をする必要はあるものの、ハードルを上げ過ぎてしまうことは新規参入のモチベーションを下げてしまうことになり、事業者のパイは拡大していかないことにつながります。また、事業者の募集条件は各区市町村が地域の実情に応じて定めており、都として強制することができないことは承知をしております。
認証保育所を皮切りに保育事業に参入した株式会社が、現在、新たな認可保育所の主な担い手になっているといった話を聞きます。
都として、株式会社など多様な法人による保育サービスの運営を推進してきたと思いますけれども、平成二十八年度に都内で増加をした認可保育所の数、それから法人の種別ごとの実績を伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、国の施設整備費補助の対象外となっておりました株式会社などに対しまして、平成二十六年度から都独自に補助を開始いたしまして、多様な設置主体を活用した保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいりました。
平成二十八年度でございますが、都内で新たに設置された認可保育所の数は二百二十五カ所となっておりまして、主な設置主体別の内訳は、株式会社及び有限会社が百四十一カ所、社会福祉法人が六十九カ所、学校法人が九カ所となっております。
○山内委員 都の取り組みも奏功し、目下、待機児童解消に向けた取り組みについて、多様な形態の法人が担っているという状況がわかりました。さまざまな法人が競い合う環境を整備することで、市場全体を活性化し、よりサービスの充実や保育の質の向上が図られると考えます。
引き続き、都としても、参入条件の緩和など、新たな事業者の参入に意欲的な区市町村を支援するとともに、区市町村への働きかけをしていっていただきたいということを要望しておきます。
最後に、保育人材についてお伺いをさせていただきます。
保育所整備の促進に向けては都もさまざまな施策を展開しており、過去最大の認可保育所の整備が進んだことは、こうした取り組みの成果であると評価をしております。
一方、箱だけ整備できても保育所を運営することはできず、保育士を中心とした保育人材の確保が不可欠であります。しかしながら、人材の問題だけで一朝一夕に解決をすることは難しく、地道に取り組んでいくことが必要であります。
保育士については、これまで処遇が悪いということが強調されてきたが、国や都による処遇改善が進められ、そのことは事業者からも評価の声を多く聞いております。
改めて、都独自の処遇改善策、キャリアアップ補助の概要と、今年度からの充実の内容についてを伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、保育士が専門性を高めながら将来を見通し、生きがいを持って働くことができるよう、平成二十七年度から保育士等キャリアアップ補助を実施しております。平成二十七年度の実績では、保育士一人当たり月額平均約二万三千円の処遇改善が図られていることを確認しております。
今年度からは、財務情報の公表や非常勤職員の賃金改善等を行うことを条件といたしまして、定員百人の認可保育所で保育士が二十人いる場合には、保育士一人当たり、さらに月額二万一千円の処遇改善が図られるよう補助の拡充を行ったところでございます。
○山内委員 都独自に四万四千円の処遇改善が図られたことで、ほかの業種に比べても遜色がなくなり、保育士の定着、復職に効果が期待できると思っております。
都では現在、全ての事業に例外なく終期を設定し、そのタイミングで必要な見直しを行っていくことになっていると聞いております。このキャリアアップ補助についてなんですけれども、保育士等の処遇改善の財源に直結をする事業であり、事業者は一度引き上げたこの給与水準を引き下げることは決してできないということであります。また、将来的な人件費確保に不安を抱く余り、必要な設備投資についても尻込みをしてしまうといった声も事業者の方から伺っております。
こうした声に応え、また、この補助の特性を十分考慮し、事業者が安定的な運営を維持できるよう、継続的に補助を行っていくことを強く要望いたします。
保育士の確保には、処遇改善だけでは十分とはいえません。特に出産や結婚を機に保育所を退職した方々、いわゆる潜在保育士を活用化させることは、都が目標とする保育利用児童者数七万人の実現のためには不可欠といえると思っております。
潜在保育士の方々は、自身の子育てもあるため、処遇以上に勤務日数や通勤時間など気にしている状況があります。こうした方々に現場復帰をいただくためには、個々の保育士のニーズを踏まえたきめの細かい求職情報の提供が必要ではないかと考えます。
また、現場を一旦離れた保育士は、ブランクに対する不安といったものもあるかと思います。
こうした潜在保育士のニーズに対して、東京都はどのような相談体制や支援を行っているのか、ここを伺いたいと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、東京都社会福祉協議会に委託をいたしまして、保育人材・保育所支援センターを設置しており、相談窓口には保育士資格を有する保育人材コーディネーターを配置し、事業者と就職希望者のマッチングや定着に向けた支援を充実しております。
また、現在、仕事を離れていらっしゃる保育士さん等を対象といたしまして、復職に向けた最新の専門知識に関する講義や保育現場実習を内容とする保育士就職支援セミナーを実施しております。
さらに、就職活動につながる実践的な内容の研修と就職相談会を一体的に実施する保育士就職支援研修、相談会を都内各地域で合計六回開催するなど、保育人材の確保、定着に取り組んでおります。
○山内委員 即戦力となり得る、あらゆる潜在保育士の掘り起こしは、人材不足で困っている保育の現場にとって本当に重要な取り組みであると思います。引き続き、これを推進していただきたいなと思っております。
また、現役保育士を潜在化させないための取り組みと潜在化している保育士の堀り起こし、このバランスを図りながら、必要な保育士確保に努めていただきたいなと思っております。
今回、私は特に、低年齢児の問題、ここに触れさせていただきたいなと思っておりました。
また、新規参入する事業者の問題とか保育人材の問題とか、本当にいろんな角度から待機児童について質問をしてまいりましたけれども、やはり大事なことというのは、次世代を担う子供たちの健全な育成であると思っております。
そこをしっかりと、引き続き、そういったことがあるということを忘れずに、特に、区市町村との連携をとっていただきたいなと思っております。いろんな区市町村の考え方があるかと思いますけれども、やはりそこは東京都が連携をとっていただいて、そこの地域に合った保育のサービスといったものをしっかりと提供していただけるような形、これをやはり何といっても行政間で話し合いをしていただいて、いいものを提供するといったことに努めていただきたいなと思いまして、このような質問をさせていただきました。
いろいろと、これは知事にとっても一丁目一番地の待機児童対策でありますので、しっかりと我々は支援をしていきたいなと思っておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げまして、質問を終了させていただきます。
○古城委員 私からは、新生児聴覚検査、保育士資格の取得支援、医療的ケア児の支援、受動喫煙防止対策、若年性認知症対策、元気高齢者の社会参加、福祉のまちづくりについて質問をさせていただきます。
まず、新生児聴覚検査について伺います。
私たち公明党は、平成十三年に、東京都が新生児聴覚検査を実施するように都内全域で署名活動を行い、約十七万人のお母さん方の署名を集め、都知事に対して要望を行いました。その結果、都は、平成十五年一月から、豊島区と立川市において新生児聴覚検査モデル事業を実施しました。
平成十三年の署名活動に参加されたお母さんから話を伺いました。お子さんは、立川のろう学校を卒業し、立派な社会人になっておられます。
まだ検査機器も普及しておらず、新生児聴覚検査の重要性が認識されていなかったとき、お子さんが一歳半になって、呼びかけても振り向かない様子から不安を感じ受診したところ、先天性聴覚障害であることがわかりました。
お子さんが一つずつ言葉を覚えるために、聴覚療法士のアドバイスに基づいて、視覚で、目で理解できるように、お母さんが光景、風景や行動などを絵に描き、苦労して教えてこられました。
早期発見、早期療養ができれば、言語や意思伝達レベルが健常者に近づくということを聞き、検査実施を何とか実現してほしいとの思いで署名活動に参加されたそうであります。
赤ちゃんはおなかがすけば泣き、おなかがいっぱいになれば笑います。しかし、耳が聞こえているかは、検査を除けば、成長した段階でなければ周囲の人にはわかりません。
そこで、改めて、新生児聴覚検査の意義について見解をお伺いいたします。
○松山少子社会対策部長 聴覚障害は、早期に発見され適切な支援が行われた場合は、聴覚障害による音声言語発達等への影響が最小限に抑えられることから、その早期発見、早期療育を図るために、全ての新生児を対象として、新生児聴覚検査を実施することが重要であると認識しております。
○古城委員 ありがとうございます。モデル事業の最終報告によれば、新生児聴覚検査の未受検の理由として、知らなかった、また、育児、家事で余裕がなかった、検査の必要性を感じなかったなどとともに里帰りをしていた、こういったことも挙げられております。
お母さんに新生児聴覚検査の重要性を丁寧にお伝えをして、受診を勧めることが求められています。
また、費用面から検査を受けないと判断されるお母さんも少なくありません。今、新生児聴覚検査の費用助成を行っているのは三市一村にとどまるなど、区市町村における新生児聴覚検査の取り組みは必ずしも進んでいるとはいえません。
そこで、今後も推進に向けた取り組みが必要であると考えます。
この点、我が党は、先般の第三回定例会の代表質問で、全ての新生児が聴覚検査を受けられるよう、都内の全区市町村が共通して取り組むことが必要であり、都として、財政面も含めて区市町村を支援し、体制整備を推進すべきと訴えました。
そこで、新生児聴覚検査の体制整備に向けた方向性についてご答弁をいただきましたけれども、改めて、現在の状況をお伺いをいたします。
○松山少子社会対策部長 都は、本年七月、国が今年度から開始した新生児聴覚検査体制整備事業を活用し、区市町村や分娩取扱施設を対象に、聴覚障害が発育、発達に与える影響や検査の具体的方法、難聴児への支援等についての研修会を実施いたしました。
現在、妊娠届け時に共通の受診券を交付し、全ての新生児が都内全域の医療機関で検査を受けられる体制の整備などについて協議したい旨、特別区から提案が出されており、年内に都と区市町村、都医師会の間で協議を開始する予定でございます。
○古城委員 ありがとうございます。ただいま協議が開始される予定について、年内とのご答弁をいただきました。全ての新生児が聴覚検査を受けられる体制整備に期待をしたいというふうに思います。
次に、保育士を目指す方々に対する支援について伺います。
保育士に対する関心、興味は、大人だけでなく子供にも広がりを見せております。
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が小学生を対象に毎年集計している、将来なりたい職業の昨年の結果を見ますと、女子児童の一位は、五年ぶりに保育士でありました。次世代を担う子供たちの目に魅力的な職業として保育士が映っている。こうした子供たちの夢を応援するためにも、保育士という職業のすばらしさをしっかりと伝えていく必要があるのではないでしょうか。
さて、私の地元新宿で、アルバイトをしながら保育士の資格取得を目指し、養成学校への入学を考えている方から相談があり、養成学校の学費が心配であること、さらに、生活資金のためにアルバイトを続けながら学校へ通うこと、いわゆる両立への不安などを伺いました。
都は、こうした養成学校に通う方、今申し上げたのは、これから通おうとされる方ですけれども、養成学校に通う方に対して、学費などの貸し付けを行っていると聞いておりますが、この保育士修学資金貸付事業の概要と平成二十八年度の実績及び二十九年度の見込みについてお伺いをいたします。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 お尋ねの保育士修学資金貸付事業でございますが、都が、東京都社会福祉協議会を通じ、保育士養成施設に在学している学生に対しまして、保育士修学資金の貸し付けを行うものでございまして、平成二十五年度から実施をいたしております。
本事業では、保育士確保を目的として、修学資金として月額五万円以内、総額百二十万円以内、入学時、就職時の準備金として各二十万円以内のほか、要件を満たす場合に、生活費の一部についても貸し付けをしております。
貸し付けを受けた方が、卒業後一年以内に保育士として都内の保育所等で就労をし、継続して五年間勤務していただいた場合には、貸付金の返還を免除する仕組みとなってございます。
実績でございますが、平成二十八年度は、新規の貸付決定が百一件、約一億四千七百万円、二十九年度は、新規の貸付見込みは百三十七件、約一億九千九百万円となってございます。
○古城委員 ありがとうございます。この事業は、貸付メニューも大変幅が広くなっており、保育士資格の取得を目指す方にとって非常にありがたい事業であると感じました。
また、実績件数も増加していることから、この制度、事業が着実に浸透しつつあることがわかりました。今後、養成学校などを通じた一層の周知に努めることを要望させていただきます。
保育士を目指す方の中には、実際に保育所で働き、現場での経験を重ねながら保育士を目指す方もいらっしゃいます。
一方で、保育所を運営する事業者の中には、こうした方を積極的に採用して、保育士資格の取得を応援するとともに、既に働いている保育士の業務負担を軽減する取り組みを行うところもあります。
こうした取り組みを行う事業者に対して、都は、平成二十八年度から保育補助者雇上支援事業を開始したとのことでありますが、事業の概要についてお伺いをいたします。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育補助者雇上支援事業でございますが、保育士の負担を軽減いたしますとともに、保育補助者の資格取得を促進するため、保育事業者に対しまして、年額二百九十五万三千円を貸付上限として、保育補助者を雇用する費用を貸し付けるものでございます。
雇用された保育補助者が三年以内に保育士資格を取得した場合には、保育事業者に対する貸付金の返還を免除する仕組みとなってございます。
○古城委員 ありがとうございます。新たに保育士を養成することで保育士の確保を図ること、さらに、既に雇用されている保育士の方々の勤務環境を改善し、離職防止を図ることを同時に推し進めることができる事業、施策であると感じます。
今後の待機児童対策を進めていく上で保育士の確保は大変重要であり、現場の即戦力となり得る保育士を目指して保育所で働く方々に対する支援を、さらに充実するべきではないかと考えます。また、保育事業者に周知を徹底し、活用を促していく必要があります。
都は、本年九月に公表した待機児童解消に向けた追加対策の中で、本事業についても充実を図ったと聞いておりますが、その内容及び周知についてお伺いをいたします。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本年九月に公表いたしました追加対策におきましては、保育補助者雇上支援事業につきまして、保育補助者を雇用した場合、これまで年額二百九十五万三千円を貸付上限額といたしていたところを、二名以上の保育補助者を雇用するなど一定の要件を満たした場合には、年額五百十六万八千円まで貸付上限額を引き上げるよう制度を充実いたしました。
本事業につきましては、保育の主管課長会や保育事務担当者説明会におきまして、区市町村に対して周知を図るとともに、保育事業者に対しましても、保育事業者団体を通じて周知をいたしまして、活用の促進に努めているところでございます。
○古城委員 ありがとうございます。ぜひとも、これらの事業などを通じて、保育士の確保、処遇改善を進めていただきたいと考えます。
また、この事業の貸し付けの財源は、国と東京都で拠出していると聞いております。本事業の活用実績がまだない区市町村や事業者に対して、さまざまな機会を捉えて、周知と充実した事業の活用を働きかけていただくことを要望させていただきます。
次に、医療的ケア児の支援について伺います。
医療技術の進歩もあり、NICUなどで救命に成功した後で、人工呼吸器や胃瘻、たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアを必要とする障害児、いわゆる医療的ケア児がふえ続けている状況にあります。
そうした中で、重症心身障害児については、支援を受けることのできる行政サービスがありましたけれども、一方で、医療的ケアが必要であっても重症心身障害に当たらない子供については、制度上利用できる行政サービスが明確になっておらず、支援の対象から取り残されてきました。
こうした状況の中で、昨年成立した障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法等の一部を改正する法律により、医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体において、保健、医療、福祉などの連携促進に努めるものとされ、医療的ケア児への支援が盛り込まれたこともあり、徐々に支援に向けた取り組みが進んでいる状況にあります。
医療的ケア児が法令上位置づけられたことを機に、重症心身障害児と同様に支援の体制を整え、ご家族が医療的ケアを行う上で不安がなく、安心してお子さんと生活できるようにすることが必要であります。
都はこれまで、重症心身障害児を対象とした在宅療育支援事業を実施してきていますが、今年度から事業対象を医療的ケア児まで拡充したと聞いております。
在宅療育支援事業の内容を伺うとともに、医療的ケア児への実施状況についてお伺いをいたします。
○高原障害者施策推進部長 重症心身障害児等在宅療育支援事業では、NICU等からの退院を予定している重症心身障害児等に対して、自宅での介護に不安を持つ家族が安心して介護に当たれるよう、週一回程度、看護師を家庭に派遣し、看護技術の指導や必要な相談、助言を行っております。
当事業では、今年度から医療的ケアが必要な障害児にも対象拡大を図ってございます。
実施状況ですが、今年度、新たに事業を利用した方は、十月末現在で九十五人であり、このうち医療的ケア児の利用は二十四人となってございます。
○古城委員 ありがとうございます。ご家庭において、看護師から医療的ケアの技術的指導や、相談を受けていただける、こういうことは不安を抱えるご家族にとって心強いことだと思います。
地域において適切な支援を円滑に受けられることで、医療的ケア児が安心して、そして快適に生活できること、さらに、ご家族にとっても社会参加の促進ができることも必要です。医療的ケアの不安が軽減されていてもなお、お子さんの介護が日々続く、ご家族の心身の疲労は大変大きく、こうしたご家族を支援することも欠かせません。
重症心身障害児のご家族へのレスパイト支援を行う在宅レスパイト事業についても、今年度から事業対象を医療的ケア児まで拡大したと聞いております。
そのため、この在宅レスパイト事業についても、事業の内容と医療的ケア児への実施状況をお伺いいたします。
○高原障害者施策推進部長 重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業は、重症心身障害児者等とその家族が在宅生活を継続できるよう、看護師が自宅に出向いて一定時間ケアを代替し、家族の休養を図ることを目的に、都は、区市町村包括補助事業として実施しております。
当事業も今年度より医療的ケアが必要な障害児についても対象を拡大し、在宅生活の支援充実を図ったところであります。平成二十九年十月末現在、十六区三市がこの事業を実施し、このうち七区一市が医療的ケア児を介護する家族等に対象を拡大してございます。
○古城委員 ありがとうございます。第三回定例会における我が党の代表質問に対して、これらの事業を現在策定中の障害児福祉計画に盛り込むことをお示しいただいております。今後とも、医療的ケア児への支援に積極的に取り組んでいただくことを重ねてお訴えをしたいと思います。
続いて、受動喫煙防止対策について伺います。
子供にとって、受動喫煙は重篤な健康被害を引き起こすおそれがあり、かつ、みずからの意思や判断でそれを回避することが困難であることから、保護の必要性、緊急性が高いものであるといえます。
先月十月十三日、東京都子どもを受動喫煙から守る条例が公布されました。
来年、平成三十年四月の施行に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。
○矢内保健政策部長 東京都子どもを受動喫煙から守る条例の施行に向けて、都はホームページや広報紙等を活用し、普及啓発に取り組んでまいります。
また、区市町村に対して、条例の趣旨や目的などをわかりやすく示したポスターやチラシを配布し、親子が利用する保健所や保育所、児童館等に掲示して、子供の受動喫煙防止を推進してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。子どもを受動喫煙から守る条例の施行に向けて、さまざまな取り組みを実施するとのことでございます。
そして、区市町村においても、住民に対する周知、また公園や学校など区内施設の周辺地域において注意喚起を行うなどの取り組みが必要になると考えます。
都として、区市町村の取り組みに対して財政支援を充実していくべきであると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○矢内保健政策部長 都はこれまで、医療保健政策区市町村包括補助事業を活用し、区市町村が実施する受動喫煙の健康影響についての普及啓発等の取り組みを支援してまいりました。
地域の実情に応じまして、本条例に対して区市町村が行う普及啓発の取り組みは、包括補助事業の対象といたしまして支援してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。包括補助事業によって支援されるということがわかりました。
さて、子供を受動喫煙から守るためには、子供自身がたばこによる健康影響について正しい知識を身につけることが必要となると考えます。
この点、都の取り組みについてお伺いをいたします。
○矢内保健政策部長 都では、未成年者喫煙防止ポスターコンクールを実施いたしますとともに、毎年度、都内の中学一年生全員に、喫煙の健康影響について正しい知識と行動を呼びかけるリーフレットを配布し、普及啓発に取り組んでおります。
また、学校の保健分野の授業で活用するため、未成年者喫煙防止教育動画を作成し、都内の全小中学校に配布いたしました。
さらに、児童館や学童クラブなどと連携し、この動画を用いた上で、保健師による喫煙の健康影響防止教育を行うとともに、ロボットがクイズを出題するなど、子供の興味を引くよう工夫をいたして実施しているところでございます。
○古城委員 ありがとうございます。このたばこの受動喫煙の問題ですけれども、我が国は、WHOに四段階評価で最低レベルと評価された防止対策でございました。
そして、都においては、受動喫煙防止のための条例案が制定される機運が高まった、こういうこともございましたけれども、さまざまな理由から立ち消えになった、こういう経緯もございます。
先ほど遠藤理事からも言及がございましたけれども、先月二十四日、国の指標となる第三期がん対策推進基本計画が閣議決定されました。
受動喫煙については、計画案を検討してきた厚生労働省の有識者会議が、二〇二〇年までに、飲食店や職場、家庭など全てでゼロとする数値目標を全会一致で決めて提言しましたが、健康増進法改正案のめどが立たないことから記述は見送られました。
厚生労働省は、整合性がとれないためで、改正法が成立すれば目標値を改めて閣議決定するとしていますが、法制化に向けた国の動向が見通せない状況であるといえます。
こうした中で、都として受動喫煙防止対策に率先して取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。
○矢内保健政策部長 都は、健康増進の観点から、受動喫煙防止対策をより一層推進していくため、東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方を公表し、九月八日から十月六日までの約一カ月間、パブリックコメントを実施いたしました。
また、都内の飲食店や宿泊施設における禁煙、分煙の状況、表示の取り組み等の実態調査や都民に対する意識調査も実施しております。
今後、受動喫煙防止対策の推進に向け、寄せられたご意見や調査結果を踏まえながら、早期に条例案を策定し、二〇一九年ラグビーワールドカップまでの施行を目指してまいります。
○古城委員 ありがとうございます。受動喫煙防止について、都の揺るぎない決意をお伺いすることができたと感じております。オリンピック・パラリンピックのホストシティーとして、今回の機会を逃すことなく、都が率先して実効性のある施策が進むよう取り組んでいただきたいと思います。
続いて、若年性認知症対策について伺います。
六十五歳未満で発症する若年性認知症の患者は、国内に四万人、都内では約四千人いると推計されています。聞くところによれば、発症の年齢は平均五十一歳、まさに働き盛りの方々が発症により収入を失い、経済的な問題を伴うなど、高齢者の方の認知症とは違うサポートが求められています。
我が党は、若年性認知症の支援施設の必要性を訴えてきましたが、都は、平成二十四年に全国に先駆けて、若年性認知症の方とそのご家族の相談のワンストップ窓口となる、東京都若年性認知症総合支援センターを設置しました。
また、多摩地域への設置や自治体職員のスキルアップも主張してまいりましたが、これを受けて、昨年度には、日野市に都内二カ所目となるセンターが開設されました。
若年性認知症は、高齢者の認知症と比較しますと患者数は少ない人数であることから、現場の区市町村やケアマネジャーも若年性認知症の知識や支援経験が少ないなど、若年性認知症の方への支援策がまだまだ十分であるとはいえない状況です。
私の地元新宿にお住まいで、若年性認知症の方のご家族から、ケアマネジャーさんが高齢者の認知症に比べて専門的ではないのではないかとの声を伺い、現場での実務レベルの向上も重要であると感じました。
そこで、若年性認知症総合支援センターを活用し、身近な地域で適切に相談ができるよう、地域の対応力を向上させていく必要があると考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。
○粉川高齢社会対策部長 若年性認知症の相談支援に当たりましては、働き盛り世代で発症することから、医療や介護だけでなく、就労に関する支援や障害福祉サービスなど、多分野にわたる制度を活用した総合的な対応が求められております。
このため、都は、お話にありましたように、平成二十四年に全国初のワンストップ相談窓口である若年性認知症総合支援センターを区部に設置し、昨年十一月に二カ所目を多摩地域に開設するなど支援に取り組んでおり、昨年度、本人や家族、介護支援専門員や企業などから受けました相談件数は、延べ二千百四十二件でございました。
センターでは、区市町村における相談対応力を向上させるため、これまで蓄積した相談事例や支援事例を分析し、ノウハウを取りまとめた相談支援マニュアルを作成するとともに、本マニュアルを教材として、区市町村や地域包括支援センターの職員向けの研修を昨年度から開始いたしました。
また、介護支援専門員や介護サービス事業者等の支援者向けの研修会に、センターの職員を講師として派遣するなど、地域の対応力向上に努めており、引き続き身近な地域における若年性認知症の方とその家族への支援の充実を図ってまいります。
○古城委員 ありがとうございます。東京都若年性認知症総合支援センターには、若年性認知症の患者さん、そしてご家族が身近な地域で必要な支援を受けられるよう、就労、医療、福祉のつなぎ役としての働きがますます求められております。
そして、今ご答弁をいただきましたけれども、昨年度の相談としては、ご本人、そしてご家族、さらには企業からも相談があったとのことでございます。
ご答弁いただいた取り組み、特に相談支援マニュアルや研修を通じて、ケアマネジャーさんの専門化や人材育成が図られ、相談者の方の実情に沿ったきめ細かなサポートにつながることを期待したいと思います。
次に、元気高齢者の社会参加についてお伺いをいたします。
我が国の重要課題の一つは、超高齢社会への備えであることはいうまでもありません。東京においても、二〇一五年の人口に占める老年人口の割合は二二・七%であり、既に超高齢社会に突入をしております。
そして、政策企画局による推計によれば、今後、一層高齢化は進み、二〇二五年には二三・三%、二〇三〇年には二四・三%となり、約四人に一人が高齢者となる見込みです。
一方で、今後、平均寿命の延びとともに、元気に活動することができる高齢者の皆さんも、さらにふえることが予測されています。
先日、地元の新宿区では、毎年恒例の敬老会が開かれ、多くの人生の先輩方にお集まりをいただいて盛大に開催をされました。新宿区から参加のご案内をした方々は、今年度に七十七歳を迎えられる方々で、新宿区内では約三万人いらっしゃると伺いました。人口比でいいますと、七十七歳以上の方が十一人に一人という計算になります。
超高齢社会にあっては、介護や社会保障などをネガティブな角度のみで論じるのではなくて、これからも健康で、そして人とかかわり、社会で活動しようという、高齢者の皆さんの意欲や能力を生かすというポジティブな発想も求められる、このような社会の意識の変化も感じられるところであります。
そこで、一つエピソードをご紹介したいと思います。
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故で、今なお全町避難が続きます福島県の大熊町、この地でふるさとに戻れるその日を信じて、交代で現地に駐在し、草刈りや防犯パトロールなど、町民の留守を守る高齢者の皆さんがいらっしゃいます。自称じじい部隊といわれておりますけれども、建設、消防、測量、ダム管理などのエキスパートであった町の元職員の六名の皆さんで、豊かな人生経験を生かして、復興の最前線に立っておられます。
この話を伺い、また、この話に限らずですが、元気な高齢者の皆さんの存在は、地域の財産であり、高齢者にとっても、地域、そして社会に貢献することで、心と体、心身の健康維持につながるということを私も学んだところです。
今後、ますます増加する元気な高齢者の皆さんが、地域で生き生きと活動し続けていただくためには、やりがいを持って活動できる活躍の場が必要であると考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○粉川高齢社会対策部長 元気な高齢者が豊かな経験や能力を生かすためには、地域社会を支える担い手として活躍できる仕組みづくりが必要でございます。
都は、高齢者を対象として、区市町村が地域の実情に応じて実施する地域活動の担い手の養成、NPO法人等の起業支援、すぐれた技能や知識を持つ高齢者にボランティア活動の場をあっせんする取り組みなどを包括補助により支援しております。
また、元気な高齢者が地域で活動するきっかけとなりますよう、高齢者が企業やNPO法人、ボランティア団体等において行うさまざまな地域貢献活動について、その内容をインタビュー形式や動画により、都のウエブサイトでわかりやすく紹介をしております。
○古城委員 ありがとうございます。ただいまご答弁でさまざまな取り組みをご紹介いただきましたけれども、健康面で問題なく生活できる健康寿命、さらに、仕事や地域活動に従事できる活動寿命をそれぞれ延ばしていっていただきたい、このように感じました。
今後も、高齢者の皆様が地域で安心して生活できる社会の実現に向けた取り組みを推進していただきたいと思います。
最後に、福祉のまちづくりについて伺います。
第三回定例会で我が党のうすい議員がユニバーサルデザインの普及について言及したところでありますが、私の地元新宿区でもユニバーサルデザインのまちづくりを推進しております。
そうした中、新宿区では、今年度、ユニバーサルデザインのワークショップを開催しています。
このワークショップに参加されている方から、参加者の皆さんと施設を見学し、意見交換を行う中でたくさんの気づきがありました。オリンピック・パラリンピックの開催など、ますます公共の場所において、さまざまな人々が利用するためのユニバーサルデザインが望まれていると感じましたとの声をお聞かせいただきました。
平成七年三月に東京都福祉のまちづくり条例が制定され、その後の改正を含めて、東京におけるバリアフリー整備が推進されてきております。障害者の方、ベビーカーの親子連れやシルバーカーを押す高齢者など、多くの皆さんがまちに出る機会がふえ、誰もがより安全に、より安心に移動することができるまちづくりに取り組んでいかなければならないと考えます。
そうした中、障害者の方、また高齢者の方にとって、外出する際に利用できるトイレが身近に見当たらないことは、行動の大きな制約要因になっている、また、ならざるを得ないのではないでしょうか。誰もが暮らしやすく、訪れやすいまちづくりを進めるためには、トイレの整備は大変重要になります。
そこでまず、福祉のまちづくり条例におけるトイレの整備基準はどうなっているのか、お伺いをいたします。
○坂本生活福祉部長 東京都福祉のまちづくり条例でございますが、この条例では、高齢者や障害者を含めた全ての人が施設を円滑に利用できますよう、当条例の施行規則でトイレを含めました整備基準について定めており、不特定多数の者が利用する建築物、道路、公園、公共交通施設等のうち、規則で定めます種類及び規模の施設の新設または改修に当たりましては、当該事業者は、整備基準を重視するための措置を講じなければならないとされております。
この整備基準は、建築物、共同住宅、公園、公共交通施設等の区分ごとに定められておりまして、今お話しのトイレの整備基準でございますが、例えば建築物では、車椅子使用者が円滑に利用することができるよう十分な空間を確保し、手すりなどを適切に配置した便房、オストメイト用の水栓器具を設けた便房、ベビーチェアを設けた便房を一以上設置することなどについて定められているところでございます。
○古城委員 ありがとうございます。私も実際に、港湾局所管でありますけれども海上公園や、都営地下鉄の駅における新設、改修されたトイレを幾つか見てまいりました。
多機能トイレとして集中化するのではなくて、機能の一部を一般トイレ内に設ける。具体的には、オストメイト対応、ベビーチェア、ベビーベッドを設置するなど、機能の分散化が図られておりました。都内の新たな施設には、着実に整備基準や施設整備マニュアルに基づいたトイレの整備が進んでいると感じます。
一方で、多機能トイレ、また誰でもトイレでは、健常者の方、ベビーカーの親子連れ、また高齢者の方等の利用もふえてきていると思います。そうした中で、そのトイレしか利用ができない車椅子使用者の方が長く待たされる、困った、こういう話を伺いました。
そこで、誰でもトイレの利用に当たって、都の普及啓発の取り組みについてお伺いをいたします。
○坂本生活福祉部長 今お話がございました誰でもトイレでございますが、十分な空間や手すり、ベビーベッドなどさまざまな機能を備えておりまして、車椅子を使用される方、高齢者、乳幼児を連れた方などが利用しやすい仕様となっております。
こうした機能を必要とする方が誰でもトイレを円滑に利用できますよう、地域住民や利用者等に対して、モラルやマナーの向上、障害者等への理解促進など、心のバリアフリーに向けた普及啓発をより一層推進してまいる必要があると考えております。
そのため、都では、平成二十八年三月に、区市町村・事業者のための「心のバリアフリー」及び「情報バリアフリー」ガイドラインを作成し、区市町村や事業者に対しまして効果的な取り組み事例の周知を図っているところでございます。
また、都では、心のバリアフリーを推進する区市町村の取り組み、例えば、先ほどお話がございました新宿区の取り組みでございますが、誰でもトイレの利用に当たっての考え方を記載したガイドブックを、ワークショップを使って作成いたしまして、その後、小中学生への配布や、地域住民向けのイベント等で活用して普及啓発を図るなどの、こうした取り組みによりまして、都として包括補助により支援をしているところでございます。
○古城委員 ありがとうございます。ただいまご答弁いただいた心のバリアフリー、この視点に立った取り組みも大変重要であると考えます。誰でもトイレの整備とあわせて、必要としている方が利用しやすいように、また、都民の皆様の理解も得られるよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
さて、いよいよ東京二〇二〇大会まで千日を切ったところになります。東京二〇二〇大会に向けて、IPC、国際パラリンピック委員会が定めるIPCアクセシビリティーガイドや、国内関係法令などに基づいて、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインが策定され、大会会場は、このガイドラインに沿ってバリアフリー化が現在進められております。
東京二〇二〇大会に向けて、このようにアクセシビリティ・ガイドラインも提示されておりますが、今後の福祉のまちづくりにどのように生かしていくのか、お伺いをいたします。
○坂本生活福祉部長 現在、都では、第十一期福祉のまちづくり推進協議会におきまして、これまでの福祉のまちづくりの進展を踏まえました、より望ましい整備の方向性について検討を行っているところでございます。
その中では、今お話がございましたアクセシビリティ・ガイドライン等を踏まえまして、観客席における車椅子対応客席のサイトラインの確保や分散配置の推進、誰でもトイレに利用者が集中しないよう、オストメイト用設備やベビーチェア、ベビーベッド等を設置したトイレの分散配置、わかりやすい案内表示の推進などについても議論しているところでございます。
今後、協議会から意見具申をいただく予定でございまして、この意見具申を踏まえまして、利用者の視点に立ったハードとソフトの一体的な整備に向け、福祉のまちづくり条例施行規則でございますとか、施設整備マニュアルの改定等を検討していくこととしております。
○古城委員 ありがとうございます。福祉のまちづくり推進協議会において検討されているとのご答弁を頂戴いたしました。
今後も、人に優しいまちづくりをさらに推進できるよう、積極的に取り組んでいただきたいと重ねて要望をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後四時五十三分休憩
午後五時十分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○小宮委員 先日、板橋区にある東京都健康長寿医療センターを視察してまいりました。このセンターは、病院と研究所が併設された複合施設となっておりまして、高齢者に多い疾患の診療や研究、予防などを通じて、高齢者の健康増進や健康長寿社会の実現といったものを目指しています。
病院での臨床の成果を研究に生かす、逆に、研究の成果を臨床の現場で生かすという相互の連携によりまして、高齢者の質の高い生き方を追求する専門機関でもあります。
こうしたセンターにおけるさまざまな検証、研究の成果というものは、今後の超高齢社会を地域全体でどのように支えていくかといった課題に生かされていかなければならないと思います。特にこのセンターでは、認知症の医療と研究に先進的に取り組んでいます。その知見はぜひ、都の認知症施策に活用していっていただきたいと考えます。
そこでまず、東京都健康長寿医療センターに委託している認知症のケアモデル事業の実施に至る背景について伺います。
○粉川高齢社会対策部長 平成二十八年に都が実施した調査では、何らかの認知症の症状を有する高齢者の数は、団塊の世代が全て七十五歳以上となる平成三十七年には、約五十六万人に達する見込みでございます。また、高齢化の進展に伴い、都内においては、高齢者の単身世帯や夫婦のみ世帯の増加が顕著となることが予測されております。
このため、都は、都市部における認知症高齢者の心身の状態や生活状況、介護保険を初めとするさまざまな支援の利用状況などの生活実態を明らかにし、認知症になっても在宅生活を継続するための支援モデルを構築することといたしました。
現在、東京都健康長寿医療センターの知見を生かし、高齢者の単身世帯や夫婦のみ世帯が多い板橋区高島平地区において、二カ年のモデル事業を実施しております。
○小宮委員 認知症になっても在宅生活を継続できるかどうかということは、可能な限り住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる体制、この地域包括ケアシステムの構築に当たって大きな課題の一つであると思います。
このケアモデル事業は二カ年の事業ということですけれども、これまでの成果と今後の取り組みについて伺います。
○粉川高齢社会対策部長 昨年度、板橋区高島平一丁目から五丁目までの地域にお住まいの七十歳以上の高齢者全員、人数は七千六百十四人でございますが、この方を対象といたしまして、生活の様子や健康状態に関するアンケート調査、身体状況や認知機能に関する面接調査、医師による医学的評価を三次にわたって実施し、認知症の状態にある方を把握いたしました。
調査の結果、認知症の状態にある方であっても、介護保険の認定を受けている方や医師の診断を受けている方がともに約四割にとどまるなど、必要とする支援につながりにくい状況が明らかになりました。
現在、支援を必要とする認知症高齢者のうち、同意を得られた方、約五十人に対し、医療や介護サービスに加え、買い物や通院の付き添いなどの生活支援、生活環境の調整、家族に対する相談や交流の場の提供などの支援を行っており、その成果について評価、検証し、年度末までに取りまとめを行う予定でございます。
○小宮委員 今の調査対象の地域、この高島平というのは、中でも二丁目から三丁目というのは昭和四十年代の都営住宅などがあると、また、四丁目と五丁目は古い戸建て住宅が多いということで、まさに高齢化が進んでいる、そういう地域であるというふうに伺っています。東京の将来の姿をあらわしているともいえます。今後、この事業が都内各地域の認知症対策に資する、そうしたモデル事業となるように取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
また、このモデル地域のように、今後、都内各地において単身や夫婦のみの高齢者世帯の増加が見込まれるわけです。認知症の人にとっては、遠方まで診断や治療に行くことが難しいため、やはり身近なところで認知症の人や家族を受け入れる、そうした体制の整備が必要です。
地域における認知症対応力の向上が必要であると思いますけれども、東京都としてどう取り組んでいくのか、伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、地域の医療従事者の認知症対応力を向上させるため、十二カ所の地域拠点型認知症疾患医療センター等において、地域の医療従事者に対し、認知症の方への適切なケアの確保に向けた研修を実施しており、これまで、かかりつけ医は三千九百人、看護師は四千八百人が受講をしております。
また、認知症ケアに従事する医療従事者等の研修拠点として、東京都健康長寿医療センターに認知症支援推進センターを設置し、認知症サポート医や認知症支援コーディネーターなどの専門職のスキルアップを図っております。
さらに、認知症の方やその家族の地域生活を支えるため、平成三十年四月一日までに、全ての区市町村が配置する認知症初期集中支援チームの構成員や認知症地域支援推進員が、その役割に必要な知識や技能を習得できるよう支援をしております。
こうした取り組みを通じて、地域の認知症対応力の向上を図ってまいります。
○小宮委員 一人一人のお年寄りに身近なかかりつけ医、認知症の高齢者の約八割の方にはかかりつけ医がいるそうなんですけれども、こうしたかかりつけ医や看護師などへの人材育成事業というものは大変重要であると思います。
また、認知症対策で大切なのは、早期に発見して、早期に診断をし、症状が悪化する前に治療や支援に結びつけていくということです。そのためには、高齢者を取り巻くさまざまな専門職といった方々が、認知症に対して理解を深めることが欠かせません。
地域の中で、早期発見につなげる取り組みといったものを推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○粉川高齢社会対策部長 認知症の方を早い段階から支援につなげていくためには、かかりつけ医や歯科医師、かかりつけ薬局のほか、町内会やNPOなどの地域のネットワークの中で、早期に気づき、適切に対応していくことが重要でございます。
都は昨年度から、口腔機能の管理や服薬指導などを通じて高齢者に接する中で、認知症の方を早期に発見する役割が期待されている歯科医師や薬剤師向けの研修を開始しており、今年度は歯科医師向けの研修の規模を拡大するなど、充実を図っております。
また、区市町村では、認知症初期集中支援チームや認知症支援コーディネーターが認知症の疑いのある方等を訪問し、早期に医療や必要なサービスにつなげており、都は、こうした区市町村の取り組みを支援しております。
さらに、高齢者宅への訪問や窓口対応などで高齢者等と接する機会が多い新聞配達、コンビニエンスストア、金融機関など、五十三の団体や事業者と協定を締結し、ふだんと違った様子に気づいた際に、早期に関係機関につなぐなどの取り組みを推進しております。
こうした取り組みを通じて、認知症の早期発見、早期対応を推進してまいります。
○小宮委員 さまざまな専門職ですとか、また、今ご答弁にもありました民間の事業者の理解と協力というものもいただいて、認知症に関する対応力というものを高める取り組みを推進しているということですけれども、そうした取り組みによって、高齢者を受けとめる、また早期に専門機関につなぐという体制づくりが前進するものと期待をするところです。
これとあわせて、やはり、今後重要となってくるのが認知症にならないための予防の取り組みであります。東京都健康長寿医療センターは、都の委託を受けて、今年度から東京都介護予防推進支援センターというものを運営しています。認知症の予防も、認知機能の低下を予防するという点で、介護予防という大きなくくりの中で図られることになっております。
ことしの四月から全区市町村において、介護予防の新しい総合事業というものが実施をされています。これまでは、主に要介護予備軍となってから介護予防事業の対象者とされていたわけですけれども、この四月からは、全ての高齢者が、健康で元気なうちから介護予防事業の対象となったわけです。そうした高齢者が主体的に社会に参加する、そうした環境をつくるために、区市町村では地域包括支援センターなどを中心として、場所の提供や活動メニューの提案というものが行われていくこととなりました。
東京都として、そうした区市町村の新たな介護予防事業の体制といったものを積極的に支援すべきと考えますが、この介護予防推進支援センターの具体的な取り組みについて伺います。
○粉川高齢社会対策部長 認知機能の低下の予防には、日ごろからの適度な運動や栄養管理、趣味活動や人との交流など、介護予防の取り組みが有効でございます。都は、区市町村が取り組む介護予防事業を専門的な観点から支援していくため、今年度、東京都健康長寿医療センターに介護予防推進支援センターを設置しました。
この介護予防推進支援センターでは、区市町村や地域包括支援センターの職員等を対象に、高齢者の活動的な状態を維持するための通いの場づくりや、リハビリテーション専門職との連携などを行うことができるよう、自立支援に資する実践的な研修を実施しております。
また、虚弱な高齢者でも効果が実感できる体操や、通いの場における体力測定の評価方法など、区市町村からのさまざまな相談に対し必要に応じてセンターの職員が訪問するなど、多様な方法により、専門的な見地から支援を行っており、開設から本年九月までに五十件の相談が寄せられております。
○小宮委員 地域住民の方々が元気なときから主体性を持って介護予防といったことに取り組む、そうした環境の整備に必要な支援を東京都としても検討して、努めていっていただきたいと思います。
今、ご答弁にも、効率的かつ効果的な介護予防活動の実施を推進していくとございましたけれども、認知症でいえば、予防というものと早期発見、これがリンクした、つながる取り組みが大事なんだと思っております。
例えば杉並区の認知症疾患医療センター、これは浴風会にありますけれども、この認知症疾患医療センターでは、近隣の都営住宅の方々と協力をして高齢者を対象とした無料の体操会を開いておりまして、そこには認知症疾患医療センターから専門職の方も派遣をされていて、体操だけでなくて身近なところで集まった方に健康相談、そういったことも実施をすることによって、例えば予防といった取り組みが、しっかりと、何か体の不調あるいは認知症の初期の段階、そういったものを発見して早期の支援につなげるというような取り組みも、これは疾患医療センターの取り組みですけれども、行っているところです。
区市町村が行う介護予防事業ですけれども、そういった活動の交流の場を通じて、予防の場を通じて、そういったことが早期発見につながるような取り組み、視点も、ぜひ東京都として区市町村をしっかりと今後支援していただく、そのような検討もぜひしていただきたいというふうに申し上げておきます。
ここまで、認知症高齢者を早期に発見する取り組みであるとか、在宅生活を地域で支える取り組みであるとか、認知症にならないための予防の取り組み、こういったことを伺ってまいりましたけれども、それとあわせて、やはり認知症になってしまって症状が悪化した際に介護する、その家族の疲弊などによって、やはり在宅生活の継続というのが困難だという方も出てくるわけです。そういった方々への対応も考えていかなければなりません。
その際の受け皿の一つとして、認知症高齢者グループホームがあります。東京都では、二〇二五年度までに二万人分、この数というのは区市町村からの積算の数だそうですけれども、これを整備する目標として掲げております。グループホームの整備を促進するために、東京都はどのような取り組みを行っているのか、伺います。
○稲葉施設調整担当部長 都は、認知症高齢者グループホームの整備につきまして、国制度による補助に加え、都独自の補助を行い、整備状況が十分でない地域については補助額を一・五倍に加算いたしますとともに、土地所有者等が賃貸目的で施設の建物を整備し、運営事業者に貸し付けを行うオーナー型の整備へも独自に補助を実施してございます。
このオーナー型整備をより一層促進するためには、家庭的な雰囲気の中でケアを実践するグループホームのサービス内容や事業の安定性、社会的意義について、土地所有者の方々の理解と関心を高めますとともに、借り受け者となる運営事業者と着実に結びつけていく必要がございます。
このため、今年度から土地所有者等と運営事業者を結びつけるマッチング事業を開始し、これまでに説明会や施設見学会、個別相談会などのきめ細かな取り組みを実施してございます。
今後とも、多様な手法を活用しながら、認知症高齢者グループホームの整備を促進してまいります。
○小宮委員 この認知症高齢者グループホームは、地域密着型介護施設として区市町村が指定をしていますけれども、東京都としてその整備促進を後押しするために、都独自のさまざまな補助を実施しているわけです。また、土地の確保が難しい都市部において、オーナーによる整備型が半数を占めているということなんですけれども、不動産オーナーへの理解促進や事業者とのマッチングを行うなど、東京都として積極的に取り組んでいることがわかります。
認知症専門のスタッフが常駐をして、家庭的な雰囲気の中で認知症の進行を緩やかにすることを目的としたこのグループホームの整備といったものも、着実に進めるということを期待しておきます。
さて、高齢者だけでなく、障害のある方が必要な支援を受けながら地域で暮らすことができる、そういう環境を整備することも重要です。グループホームは、入所施設や入院中の病院から地域生活に移行する際の生活の場として重要な役割を持っています。また、自宅で家族と一緒に暮らしていた障害者が成人して自立生活を始めるために必要なサービスでもあります。
しかし、地価も高い、建設費用も高い東京ですから、必ずしも障害者の身近な地域に設置できていない、グループホームがまだまだ足りないという声を、多くの障害のある親御さんたちからたびたび伺っております。
まず、障害者グループホームの整備促進のために東京都が行ってきた取り組みと、整備実績の推移について伺います。
○高原障害者施策推進部長 都は、障害者グループホームの整備を促進するため、障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、平成二十七年度から二十九年度までの三年間で二千人分の定員増を目標に掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成のほか、定期借地権を利用する場合の一時金や借地料への補助などを実施してございます。
計画期間中の利用定員でございますが、平成二十六年度末の七千二百二十一人から、平成二十八年度末には八千三百七十四人となり、二年間でございますが、千百五十三人増加をしてございます。
○小宮委員 障害の内容ですとか程度にはさまざまな違いがある中で、重度の障害を有する方たちの中には、たんの吸引や経管栄養など日常的に医療的支援が必要な方もいます。しかしながら、そうした方の受け入れは、グループホームで進んでいないというのがやはり現状です。
障害があっても地域で暮らせる社会をといわれながら、親亡き後の地域での住まいについて、不安の声をよく耳にしています。どんなに障害が重くても、障害者本人や家族が希望する地域で安心して暮らせる、そういう社会の実現を目指して、東京都は環境整備を推進すべきと考えます。
そこで、グループホームにおいても医療的ケアを要する重度障害者の積極的な受け入れ、これを支援していく必要があると思いますが、都の取り組みについて伺います。
○高原障害者施策推進部長 都では今年度から、新たに医療連携型グループホーム事業を開始いたしまして、訪問看護ステーション等と連携をし、医療的ケアが必要な障害者の受け入れを行うグループホームに助成等を行う区市町村を支援しております。
本年十月末現在、一カ所のグループホームがこの事業を開始しており、当該グループホームでは、重症心身障害者である利用者一名に対し、医療的ケアを行う看護師一名を夜間を含め常駐させ、介護等日常生活の援助に加えて、たん吸引と経管栄養が必要な重度の障害者を受け入れております。
今後とも引き続き、区市町村の取り組みを支援してまいります。
○小宮委員 今年度からの事業ということで、現在、一カ所のグループホームで一人の重度の障害者に対して一人の看護師を配置するということを、東京都として区市町村包括補助で支援をしていただいているということだと思いますけれども、実績が少なくても、やはり医療的な措置を必要とする障害者に対して、グループホームで生活することを実現するためには、必要不可欠な支援であると思います。
障害者の高齢化、また重度化に対する課題への対応が今後一層求められる中で、現在、国においては、平成三十年の障害福祉サービスに関する報酬改定の検討といったものが行われております。東京都として国に対し必要な提案要求、重度の障害への対応を手厚くすべきなど、さらなる支援の充実を図ることをしっかりと要望していっていただきたいと思います。
次に、近年増加の一途をたどっている児童虐待について伺います。
ご案内のとおり、今月は児童虐待防止推進月間です。東京都においても、この十一月を中心にオレンジリボンによる普及啓発や、児童虐待防止に係る普及啓発キャラクター、OSEKKAIくんによる活動、また、各種イベントでのグッズ配布など、さまざまな取り組みが行われております。
オレンジリボンに込められたメッセージというものを多くの都民が理解をして、都民一人一人が児童虐待防止について改めて考える、そういうきっかけになるところを期待するところです。
しかし、残念ながら、近年児童虐待の増加というものが著しくて、毎年過去最多を更新している状況です。都内十一カ所の児童相談所が、平成二十八年度、虐待の疑いで相談対応した件数は一万二千四百九十四件となり、二十七年度の九千九百九件から大幅に増加しています。急増する通告や相談に適切に対応していくためには、児童相談所の体制強化は不可欠です。
そこで、これまでの児童相談所の体制強化の取り組みについて伺います。
○松山少子社会対策部長 都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司や児童心理司の増員を初め、虐待対策班の設置、人材育成等を担う児童福祉及び児童心理の専門課長、新任職員の個別指導等を担う児童福祉司や児童心理司のOB、保健師の資格を有する医療連携専門員、非常勤の弁護士の配置などを行ってまいりました。
児童福祉司は今年度二十三名増員し、現在二百五十名となり、十年前である平成十九年度の百五十九名から九十一名増員しております。児童心理司は今年度十三名増員し、現在百四名となり、十年前である平成十九年度の五十四名から五十名増員いたしております。
○小宮委員 この十年で大幅に増員をしているということですが、やはり児童相談所の体制強化にはこういった専門的な人材が不可欠ですので、しっかりと今後も適切な増員をしていっていただきたいというふうに思っております。
また、児童虐待の相談対応件数増加に伴って、保護を必要とする子供も残念ながら増加をしているわけで、一時保護所、これは都内には七カ所ありますけれども、入所状況は厳しいというふうに伺っています。
そこで、一時保護所の定員拡充の状況について伺います。
○松山少子社会対策部長 都はこれまで、一時保護需要の増加に対応するため、一時保護所の定員を、十年前である平成十九年度の百四十四名から、現在二百十三名にまで拡大してまいりました。
今後も、足立児童相談所の改築や八王子児童相談所の一部移転に合わせ、計画的に一時保護所の定員拡大を図ってまいります。
○小宮委員 保護が必要な子供を確実に受け入れられるように、今後も一時保護所の定員拡充にしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
また、量の確保とあわせて質の向上といったものも重要です。子供の受け入れに三百六十五日二十四時間いつでも対応して、子供の状況を早期に把握しなければならない、こうした一時保護所の特性というものを踏まえると、子供への支援内容や職員の資質の向上、これが欠かせないというふうに思っております。
東京都では、一時保護所の施設運営の質を向上していくために、いち早く外部評価といったものを導入しました。昨年度は都内全ての一時保護所で評価を受審しています。
まず、一時保護所の外部評価を導入した、この経緯について伺います。
○松山少子社会対策部長 平成二十六年度に東京都児童福祉審議会から、今後の東京の社会的養護のあり方について提言を受け、その中で、一時保護中の児童の権利擁護と一時保護所運営の質の向上を図るため、外部評価の導入を検討すべきとの意見が示されました。
この提言を受け、都では外部有識者を含む検討会を立ち上げ、外部評価の導入や評価基準について検討を重ね、都の福祉サービス第三者評価制度における児童養護施設の評価指標や項目を参考に、一時保護所の評価基準を作成し、外部評価を受審することといたしました。
評価基準作成後、平成二十七年度に児童相談センターで試行的に外部評価を受審し、昨年度は都内全七カ所の一時保護所で受審しており、その結果については都のホームページで公表いたしております。
○小宮委員 一時保護所での外部評価の導入は全国的に見てもまだ例が少ないということで、先駆的で重要な取り組みであると評価するところです。
新たな取り組みとしての外部評価を導入して、その評価結果がどうであったか、また、昨年度実施した外部評価結果の概要について伺います。
○松山少子社会対策部長 評価結果の主なものとして、特によいと思うとされた点は、定員超過が常態化する中、児童の安全を守るために二十四時間体制で受け入れを行っていること、また、児童の生活に潤いを与える行事や地域資源の積極的な活用を行っていることなどが挙げられました。
一方、さらなる改善が望まれるとされた点は、プライバシーに、より一層配慮した支援や、児童が第三者委員などへ意向を表明できる窓口の整備などが挙げられました。
また、入所児童へのアンケート等調査では、食事の時間は楽しみですか、学習はわかりやすく楽しいですか、職員はあなたに対して丁寧に接してくれますか等、毎日の保護所での生活にかかわる十八項目を調査しております。
都は、評価結果を踏まえ、今後とも一時保護中の児童の権利擁護と一時保護所運営の質のさらなる向上に取り組んでまいります。
○小宮委員 外部評価については、今年度も全ての一時保護所で受審をし、その後も定期的に受けていくというふうに聞いております。
評価結果を踏まえて、施設運営のさらなる向上に継続的に取り組んでいただくということはもとより、子供たちの安全・安心といったものを守るため、今後とも、児童相談所の体制強化や一時保護所の拡充といった面にもしっかりと取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○和泉委員 私からは、まず、国民健康保険の問題について伺います。
来年度から国民健康保険は広域化をされまして、都も区市町村とともに保険者ということになります。財政運営責任を都道府県に移行することで、制度を安定化させるということなんですが、これまでと具体的に何がどのように変わって、都はどのような具体的役割を担うことになるのかということについて、まず伺います。
○本多地域保健担当部長 これまで、国保事業は区市町村ごとに運営されてまいりましたが、平成三十年度からは、都道府県が財政運営の責任主体として、保険給付に必要な費用を全額区市町村に交付することとなります。
また、区市町村ごとの国保事業費納付金を決定し、区市町村にお示しするとともに、各区市町村がその納付金を納めるために必要な標準保険料率を参考にお示しいたします。
さらに、都道府県と区市町村が一体となって保険者の事務を実施し、事業の広域化や効率化を推進できるよう、統一的な国保の運営方針を定めることとなっております。
○和泉委員 都が区市町村ごとに計算をして示した納付金を区市町村が納付するとともに、一般会計からの繰り入れをしないなどの場合の保険料率、区市町村に対して標準保険料率を示す場合には、これは、その区市町村が一般会計からの繰り入れをしないという前提での保険料率を標準保険料率として、都が区市町村に示すということになるかと思うんです。さらに、国保の運営方針を策定するというのが今ご答弁にありました。
これが、今現在、国保運営協議会で議論されているわけですけれども、平成二十九年度ベースで試算をした来年度の一人当たり保険料額の試算結果、これは法定外繰り入れをしない場合の金額とほぼ同等、区市町村は法定繰り入れをしないと保険料額が物すごく上がってしまいますから一般会計から繰り入れをしているわけですけれども、この法定外繰り入れをした後の金額と比較をすると、この試算は約一・三倍と跳ね上がることになります。
九月二十日の第一回国民健康保険運営協議会では、区市町村が一般会計から繰り入れる、これを禁止するものではないが、計画的な、あるいは段階的な削減が必要であると都は答えています。この考え方に立つと、どうしても国民健康保険料、税は、これまで以上に上がっていくということにならざるを得ません。
本来、医療給付費、医療費全体にかかるうち三割は窓口で払うわけですから、残り七割にかかる医療給付費、この費用の負担というのはどのようになっているんでしょうか。
○本多地域保健担当部長 国民健康保険の医療給付費は、被保険者が納付する保険料、税、それと、国、都、区市町村が法令の定める割合により負担する公費、前期高齢者の人数に応じて被用者保険との負担を調整するため交付されています前期高齢者交付金等によって賄われております。
○和泉委員 国民健康保険料、税を決めるのも徴収をするのも区市町村、ここのところは都道府県化されても仕組みとして変わらないわけです。今のままだと、結局、法定外繰り入れをする以外に国民健康保険料、税の値上げ幅を抑えられないということになります。
私たちが直接自治体から聞き取りをした中でも、東京都の法定外繰り入れを求める声がありました。都としての法定外繰り入れについては、資料に金額の推移はお示しいただいていますが、その内訳は、これまでどのようになっているんでしょうか。どういう性質のお金なんでしょうか。また、来年度以降どのような予定になっているのか、伺います。
○本多地域保健担当部長 都は、調整交付金等の法定負担に加え、区市町村に対しまして、都の医療費助成制度を実施することに伴う国庫支出金の減額相当分、また、結核、精神通院医療における住民税非課税の被保険者の方の自己負担分の助成額等、こうしたものに対して独自の補助を行っております。
来年度以降の取り扱いについては、現在、検討を行っているところでございます。
○和泉委員 自治体が独自で医療費の助成なんかを行うと、その分、国は国庫負担を減らしてくるわけです。そのこと自体が私は大きな問題だというふうにも思いますが、都が独自で行っている医療費助成によって国が国庫負担を減らしてきた分、これを補填しているという程度で、国民健康保険料、税の値上げを抑えるための支援というのは、ごく一部しかやっていないということになります。
都内の自治体からは、都としての財政負担を求める具体的な要望が上がっていると思いますが、都としてどう対応するんでしょうか、伺います。
○本多地域保健担当部長 特別区長会及び市長会の平成三十年度予算要望では、低所得者や中間所得者層、多子世帯に対する保険料負担軽減策等を講じるよう要望が出されております。
国民健康保険は法に基づく全国統一の制度でございまして、低所得者や子育て世帯の負担軽減といった制度上の課題は、制度設計者である国が責任を持って対応すべきであると考えております。都は、国に対し、今般の制度改革後においても、引き続き制度の運営状況を検証した上で、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の強化を図るよう提案要求をしているところでございます。
○和泉委員 もちろん私も国が抜本的に国庫負担を引き上げることが必要だというふうに思います。それはいうまでもないことなんですが、国がやるのを待っていられないから、区長会、市長会が、都に、せめて子供の均等割の保険料を軽減するための財政支援を行ってほしい、そう求めているんではないんでしょうか。
来年度からは、都も保険者として国民健康保険の財政責任を負うということになるわけですから、これまでのような、制度設計は国の責任、保険料を決めるのは区市町村、そこにとどまらないで、主体的な財政支援を行うべきだというふうに思います。
国も都も認めているように、先ほど答弁にもありましたが、所得が低く、医療需要が比較的高い、そういう人が加入する国民健康保険は、制度として構造的な矛盾を持っています。公的資金で支えなければ、制度そのものが成り立ちません。
実際に、都内の国保加入者の平均所得、これはどのようになっているでしょうか。
○本多地域保健担当部長 平成二十八年度の国民健康保険実態調査によりますと、平成二十七年の被保険者一人当たりの旧ただし書き所得の額は、約百二万七千円でございました。
なお、旧ただし書き所得といいますのは、総所得金額等から基礎控除三十三万円を差し引いた額でございます。
○和泉委員 今、旧ただし書き所得についても答弁がありましたけれども、この旧ただし書き所得は、例えばサラリーマンなら給与所得控除後の金額、個人事業主なら営業所得、ここから基礎控除三十三万円を差し引いた金額ということになるかと思います。
以前は、住民税方式をとっていまして、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、こういった人的控除を行って算出をされる住民税額、ここに対して保険料率を掛けて、国民健康保険料、税の所得割が計算をされていました。
現在は、そういった控除を行う前の所得に対して保険料率を掛けて計算するため、家族が多かったり、障害がある家族がいたり、あるいはひとり親だったり、そういう暮らしにちょっと困難な条件を抱えているという世帯ほど、保険料の負担が重くなるという仕組みになっています。だから、区長会も多子世帯などへの保険料軽減策を都に対して求めているわけです。
では、一体どれほど国民健康保険料、税は上がったんでしょうか。夫婦と子供二人、年収五百万円の平成二十九年度の保険料、税は、特別区で四十九万三千円と計算されています。
旧ただし書き方式になる前の平成二十年度、それから、なった後の平成二十三年度の二十三区の国民健康保険料、税を同じ条件で計算をすると、それぞれ幾らになるでしょうか。
○本多地域保健担当部長 特別区における年収五百万円の夫婦と子供二人の四人世帯の保険料でございますが、平成二十年度は二十七万三千円、旧ただし書き方式に移行した平成二十三年度は三十九万四千円でございます。
○和泉委員 旧ただし書き所得に変わったことで、十二万一千円上がっています。そして、わずかこの十年の間に二十二万円も上がっているんです。これでは払えない人がふえるのは、私は当然だというふうに思います。
都は、区長会の要望や都民の切実な暮らしの実態に向き合って、保険料負担軽減のための財政支援を行うべきです。保険者として都が法定外繰り入れも行って、区市町村とともに国民健康保険料、税引き下げの荷を分かつことを強く求めたいと思います。
次に、国民健康保険料、税に係る滞納処分について伺います。
国保における滞納処分は、どの法律のどの条文に基づいて行われるのか、まず伺います。
○本多地域保健担当部長 保険料、税が納期限までに納付されない場合、区市町村は期限を指定して督促することとされております。督促を受けた方が指定された期限、または督促状の発付日から十日を経過する日までに滞納保険料、税を完納しない場合には、地方自治法第二百三十一条の三第三項及び地方税法第七百二十八条第一項において、国税徴収法に規定する滞納処分の例により、滞納処分を行うこととされております。
国税徴収法では、第五章、第六章において財産の差し押さえ、換価配当、また滞納処分の停止等について規定しております。
○和泉委員 これらの法律で、差し押さえしてはならないと規定されているのはどのような場合と、そしてどのようなお金か、それぞれ伺います。
また、それらが差し押さえ禁止となっている理由についても、あわせてご答弁ください。
○本多地域保健担当部長 差し押さえてはならないものにつきましては、滞納者の財産のうち生活に欠かせない衣服や寝具、家具等や給料や年金等の一定割合について、滞納者の生計を維持する上で重要であるということから、国税徴収法に差し押さえを禁止する規定が設けられております。
○和泉委員 給料や年金等の一定の割合、これは滞納者の生活を維持するために差し押さえることが禁じられているということです。給料でいいますと、差し押さえ禁止額は四万五千円掛ける家族の人数プラス十万円プラス生活費の加算額というふうになっています。
給与の額面の金額が三十二万から三万、このぐらいあれば、大体四人家族の人ならほぼ全額が差し押さえ禁止額ということになるんじゃないかと思います。同じ計算式が年金の場合にも当てはまります。
ところが、実際には預金に入った時点で、それは給与や年金の性質を失って預金債権に変わるんだ、だから預金に入ったものは給与や年金でも差し押さえていいんだとして、全額、預金口座を差し押さえている自治体が都内でも相当数あるんです。
鳥取県が児童手当を差し押さえた事件で、広島高裁は違法であるという判決を行い、これが確定しています。この判決は、専ら児童手当しか入っていない口座の差し押さえに関するもので、この場合は預金になっても児童手当の属性を失わず、したがって、差し押さえは児童手当を受ける権利自体を差し押さえたものと変わらないというふうにして、このような差し押さえは違法であると判示しています。
国保の滞納処分においても、児童手当の差し押さえについての広島高裁判決の趣旨にのっとった対応が都内全区市町村に徹底されるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○本多地域保健担当部長 最高裁の判例では、法律により差し押さえが禁止されている債権であっても、金融機関の口座に振り込まれた場合、原則として差し押さえ禁止債権としての性質を失うこととされております。
広島の鳥取支部の判決では、この最高裁の判決を踏まえた上で、残額がわずかな口座に児童手当が振り込まれた直後に、また児童手当が振り込まれるということを知った上で預金債権を差し押さえたという処分に着目しまして、実質的には児童手当を受ける権利自体を差し押さえたものと変わりがないため、児童手当法の趣旨に反し違法であるとしたものでございます。
都は、収納事務に関する区市町村職員向けの研修等を通じまして、滞納処分に関する規定や参考となる判例等、必要な知識の習得を支援しております。区市町村は法の規定に基づき滞納処分を実施しているものでございます。
○和泉委員 もちろんこの広島高裁の判決も最高裁判決を踏まえるというふうになっていますが、それでもなお、専ら児童手当しか振り込まれない口座は、そこに振り込まれたお金は児童手当としての属性を失っていないという判示なんです。これが、国民健康保険の滞納処分においても徹底される必要があるというふうに思います。
社会保険各法において差し押さえが禁止をされている給付以外にも、給与、年金について同様の扱いとされるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○本多地域保健担当部長 広島高裁判決では、最高裁の判例を踏まえ、差し押さえが禁止された債権であっても、一旦、金融機関の口座に振り込まれた場合には、これにより発生する預金債権を差し押さえることが違法であるとは一般的に解されていないとしております。
先ほども申し上げましたが、その上で、児童手当が振り込まれた直後の預金の差し押さえという事案について、実質的に児童手当を受ける権利の差し押さえと変わらないと判断したものでございます。
給与や年金につきましては、そのうち一定の額の差し押さえが禁止されておりますが、それらが振り込まれた預金口座の差し押さえを行うに当たりましては、個別の事情に着目し、最高裁の判例及び高裁判決を踏まえて対応する必要があると考えております。
○和泉委員 繰り返しますが、児童手当が振り込まれた直後に差し押さえたのが違法だというだけにとどまらないんです。専ら児童手当しか振り込まれていない、そういった口座を、児童手当が振り込まれた直後に差し押さえることは違法だとしているんです。なぜなら、児童手当がその属性を失っていない、預金口座であってもその属性を失っていないというのが、この広島高裁の判決なんです。この判決が確定しているんです。この立場にぜひ立っていただきたいというふうに思います。
地方税法第十五条の七の二項で、滞納処分の停止の要件等の一つとして生活困窮を挙げ、滞納処分によって生活を著しく窮迫させる場合などは滞納処分の停止を行い、なおかつ、それが取り消されずに三年経過したら納付義務が消滅するというふうになっています。
大阪市は、これを不納欠損処理することを含めて、各区に通知を出しています。地方税法、国税徴収法、徴収法基本通達、これらのものを踏まえれば、法にのっとった行政を行う当然の立場だというふうに考えますが、都としても、改めてこの立場を明確に区市町村に通知するべきというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○本多地域保健担当部長 地方税法及び国税徴収法では、滞納処分をすることができる財産がない場合や、滞納処分を行うことによりその生活を著しく窮迫させるおそれがある場合等には、滞納処分の執行を停止することができるとされております。また、その執行停止が三年間継続したときには、納付義務そのものが消滅することが定められております。
都では、区市町村の職員がこれらの規定に基づき、適切に執行停止の判断や手続を行えるよう、執行停止をテーマとする研修や指導検査における助言等を行っております。
○和泉委員 先ほども述べたとおり、実際には給料や年金まで差し押さえ、最低生活保障の金額さえ残さない、そういう自治体も多いというのが現状なんです。給料や年金が入る口座を差し押さえるということは、生活が困窮するのを承知の上で差し押さえるということになるわけですから、国税徴収法、地方税法に違反しているということになります。指導助言の徹底にとどまらず、都内全区市町村に通知として徹底していただくよう、強く求めておきます。
続いて、生活保護について伺います。
ことし一月に、神奈川県小田原市で、職員が、保護なめんなとプリントされたジャンパーを着て生活保護受給者を訪問していた、これが判明して、大きく報道されました。また、大阪市では、本人の顔写真と六桁の番号が記載された確認カードを生活保護受給者に発行していたということが、新聞報道されています。受給者の人権を傷つけ、生活保護バッシングを助長するような、こういった自治体の対応に批判も広がっているところです。
都内では、二〇一五年に、立川市で就労の指導に従わなかったとして生活保護を打ち切られた男性が、その直後に自殺をしています。都として、この案件に関してどの程度把握しているのか、まず伺います。
○坂本生活福祉部長 今お話しの立川市の事案でございますが、最初の報道がございました平成二十八年三月の段階で、同市から都の方に報告がございまして、その後、同市に対しまして事実関係について聞き取りを行うなど調査を実施したところでございまして、都といたしましても、本事案についての事実関係を把握しているところでございます。
○和泉委員 この問題の調査団が結成されたわけですけれども、この調査団の調査によれば、この男性は、二十七歳ごろまで正規雇用や期間契約で働いていたけれども、一九九〇年代後半ごろから派遣会社を転々とするようになった。二〇〇七年、男性が三十九歳のころ、路上生活に追いやられたということです。
二〇一〇年、府中派遣村につながって生活保護を受けるようになり、国分寺市内のアパートに入居しますが、二〇一四年ごろにはまた居どころがわからなくなり、再び路上生活に戻ってしまいます。同年十二月に立川市内で生活保護を受け始めますが、リサイクル品回収の仕事か土木建築関係の仕事をしていたと見られるということです。
立川市は、二〇一五年夏ごろから、求職活動をするように指示し、それに従わなかったとして二〇一五年十一月に保護を打ち切り、その直後にアパートの部屋で自殺したというふうになっています。
職場が長続きしなかった背景に、精神疾患や障害などの可能性もあったのではないかという指摘もあります。市がそれらの可能性についてどの程度把握していたか、都はつかんでいるんでしょうか。
○坂本生活福祉部長 先ほども申し上げましたとおり、都といたしましては、立川市から事実関係について聞き取り等を行っております。当該被保護者に対する同市の指導、援助に係る具体的な経過につきましても、ケース記録等によりまして確認しているところでございますが、本件に関します事実関係につきましては、生活保護の実施機関であります同市が個人情報を所管しておりまして、この個人情報保護の観点から、同市では明らかにしないというような立場をとっているというところでございます。
○和泉委員 生活保護受給者が、就労によりみずから得た収入で暮らせるようになる、これは重要なことです。一方で、就労できる状態かどうかを判断するためには、病気があるかないかというだけでなく、さまざまな視点から見る必要があるはずです。一面的な判断だけで、働けるはずだ、働きなさいという指導を強めれば、本人は悩みや困難を持ち込む場所を失うということになります。
日常的にその人と接触し、信頼関係を築いて、寄り添い、支えながら支援を行うことが、適切な就労支援につながり、就労による経済的自立につながるんじゃないでしょうか。その結果として、生活保護の受給が必要なくなるというのは、ご本人にとっても望ましいことです。しかし、あくまで結果としてという話だと思います。
平成二十七年から、生活保護受給者の就労支援事業の効果検証及び的確な見直しを行うために、各自治体は就労促進支援計画を作成することになりました。この中で、就労支援事業の対象者に対する参加率、就労した者及び就労による収入が増加した者の数、就労・増収率、それに加えて、就労、増収による生活保護費削減額、生活保護廃止者数、生活保護廃止率、これについても指標及び目標を設定することとなっています。
本人に働く意思があり、かつ働ける状態である場合に、就労支援事業でサポートすることは重要です。しかし、生活保護廃止はその結果としてついてくるものであり、目標を設定して廃止を進める性質のものではないというふうに思いますが、都の見解を伺います。
○坂本生活福祉部長 生活保護制度は、国民に対しまして最低生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としております。このため、疾病などの就労を阻害する要因がなく就労可能と判断される方に対しましては、自立支援プログラムの活用などによりまして、よりきめ細やかな就労支援を行いまして、保護の脱却に向けた必要な支援を各福祉事務所において行っているところでございます。
また、自立支援プログラム等による就労支援に当たりましては、被保護者本人の意向や職歴、稼働能力、地域の求人状況など、お一人お一人の状況を総合的に勘案いたしましてケースワークを行いますとともに、機械的な取り扱いにならないように十分留意した上で支援していくことが肝要だと、このように考えております。
今のお話の通知は、平成二十七年三月三十一日に厚生労働省社会・援護局保護課長から発出された通知でございます。お話の就労支援促進計画の策定については、この国通知では、事後に定量的な評価が実施できるよう、廃止者数、廃止率についても数値目標を設定するということになっております。
都内の各実施機関におかれましても、この通知に基づきまして、それぞれの状況に応じて設定しているところでございまして、就労による生活保護の廃止、いわゆる自立廃止につきましては、お一人お一人の状況に応じて、ケースワーカーの適切な支援を通じてなされるものというふうに考えております。
○和泉委員 きめ細かな就労支援を実施する、それぞれの状況に応じて機械的な取り扱いにならないように留意する、一人一人の状況を勘案する、この立場は非常に重要だと思います。
では、立川のケースに見られるような就労の指示、指導に従わないために保護を廃止するというのは、具体的にはどのような場合なんでしょうか。
○坂本生活福祉部長 疾病など就労阻害要因がなく就労可能と判断される方に対しては、先ほど申し上げましたとおり、就労支援プログラムを策定し、ハローワークなど関係機関の支援を受けながら、計画的に求職活動を進めるということでございます。
また一方、正当な理由がなく求職活動を行わなかったり、その状況を申告しないという場合など、働ける能力、いわゆる稼働能力の活用が不十分と判断される方に対しましては、実施機関が就労に向け必要な指導、指示を行うということでございます。
また、こうした指導、指示を継続してもなお正当な理由なく従わない場合につきましては、個別の事情に十分配慮した上で、生活保護法第二十七条に基づく文書による指導、指示を行います。さらに、文書による指導、指示に従わないという場合については、同法第六十二条に基づきまして、弁明の機会を付与した上で、保護の停廃止等を行うということになります。
○和泉委員 収入を申告していなかったり、就労の指導に従わなかったことによる保護の廃止についても、当然、生活困窮の状態にあるから生活保護を受けているわけですから、この保護を打ち切ることによって--就労の指導に従わなかったということは、働いていないわけですよ。保護の打ち切りによって明らかに生活が困窮するということがわかっている場合には、保護の打ち切りをするべきではないんじゃないでしょうか。いかがですか。
○坂本生活福祉部長 生活保護の適用でございますが、これは国が定めます生活保護関係法令の定めに従いまして、お一人お一人の状況に応じて適切に実施するものでございます。
その適用に当たりましては、要保護者の方が、その資産、能力など活用し得るものを全て活用した上で実施されることが基本になっておりまして、この中には、もちろん働ける能力、稼働能力が入っておりまして、実施機関が被保護者一人一人の生活状況や健康状態などを把握の上で稼働能力を活用し、その自立に向けて指導、援助を行っております。
一方、指導、援助を行っても、被保護者の方が稼働能力を十分活用しない場合でございますとか、正当な理由がなく収入を申告せずに生活状況が把握できないといった場合など、その義務を果たさない場合につきましては、生活保護法令の定めに従って、保護の廃止や停止など必要な手続を進めることでございますし、また、廃止になった後につきましても、再度申請があって、こういった状況が勘案できれば、再開することは可能となっております。
○和泉委員 この男性が死にたいというふうに口にするのを聞いた方がいて、鬱状態も疑われるというふうな報道もあります。ご存じのように、鬱の場合には、ご本人が鬱かもしれないということを自覚して受診行動につながるまでには非常に時間がかかります。正当な理由なく求職活動を行わなかったり、正当な理由なく指導、指示に従わなかったり、被保護者が稼動能力を十分に活用しない場合、義務を果たさない場合に保護を廃止、停止、そういう答弁でしたけれども、正当な理由がないように見える、稼働能力を活用していないように見える、義務を果たしていないように見える、その背景にはさまざまな事情があるはずですし、理路整然とその状況を自分で弁明ができる、そういう方ばかりではありません。だからこそ、先ほど答弁のあったように、きめ細かな就労支援、本人の意向や稼動能力、求人状況など総合的に勘案して、機械的な取り扱いにならないような留意と、加えて信頼関係の構築が重要なんだというふうに思うんです。
平成二十六年三月三日の社会・援護局関係主管課長会議の説明資料を見ましても、本人の状況を顧みずに、本人の納得を得ず就労を求めることは、就労に定着し、自立できるように促すという就労支援の本来の目的からすると、適当でないと指摘しています。ぜひその立場をしっかりと周知徹底していただいて、都としても、その立場に立っていただきたいというふうに思います。
続いて、都が被告となった生活保護費過支給返還請求の取り消しを求める裁判の件について伺います。
これは、夫の暴力が原因で夫と別居し、長女と二人で生活保護を受給して生活していた女性に対して、女性からの申告があったのに、児童扶養手当相当分を差し引かずに一年三カ月も支給し続けていた。冬季加算が四月以降も支給されていた。これが合わせて合計約六十万、都が返還請求をしたことに対して、女性が提訴したものです。
ことし二月に判決があり、都の返還請求を取り消すという判決が確定しました。判決は、女性に返還の資力があるかどうか、返還させることで自立を阻害することにならないか、これを検討した形跡が見当たらない、判断の過程において考慮するべき事情を考慮しないことにより、その内容が法の目的や社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものと認められるから、福祉事務所の裁量権の範囲を逸脱し、またはこれを濫用したものとして違法であると厳しく判じていて、都は控訴を断念しましたから、判決はこれで確定しているわけです。
都内の区市においても認識を共有し、同様のことが、事件が起きないようにすることが重要だと思いますが、都としてどのような対策をするのか、伺います。
○坂本生活福祉部長 本事案でございますが、平成二十五年八月に西多摩福祉事務所が行いました生活保護法第六十三条に基づきます生活保護費の返還決定処分について争われたものでございまして、判決の趣旨でございますが、今ございました被保護者の資産や収入等の検討すべき諸事情について、具体的な基礎を欠き、判断の過程において考慮すべき事情を考慮していないため、裁量権の逸脱または濫用とされたものでざいます。
都は、今回の判決を受けまして、本年三月の管内の福祉事務所長会議などにおきまして、判決のこの趣旨につきまして説明した上で、同法第六十三条に基づく返還決定に当たりましては、生活実態の把握、制度説明、自立更生免除の検討を行い、ケース記録等に記載するよう、周知徹底を図っているところでございます。
また、都は、毎年実施しております実施機関への指導検査やケースワーカー等への研修を通しまして、適正に事務処理を行うよう指導しております。
○和泉委員 生活保護の運用事例集にも、この確定した判決の趣旨を反映させるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○坂本生活福祉部長 今お話しの生活保護運用事例集でございますが、これは、国の生活保護関係法令などに基づきます東京都管内の具体的な運用などの取り扱いにつきまして示すために、都が作成し、管内の実施機関に配布している冊子でございます。
今回の判決を受けまして、平成二十九年三月に発行いたしました生活保護運用事例集の改定版におきまして、生活保護法第六十三条に基づく返還に係る免除の考え方として、被保護世帯の生活実態をもとに、自立更生免除について検討を行い、検討した経過を記録に残すよう新たに明記し、周知徹底を図ったところでございます。
○和泉委員 私は、それでは不十分だというふうに思うんです。自立更生免除の部分の記述にすぎず、六十三条、返還のそのものの記述には反映されていません。判決では、法六十三条は、窮迫な場合等において、資力があるにもかかわらず保護を受けた被保護者に対し、その受けた保護金品に相当する金額の全額の返還を一律に義務づけるのではなく、その金額の範囲において、保護の実施機関の定める額の返還を義務づけることにとどまると。
これは、法が生活に困窮する国民の最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としていることに鑑み、現に保護を受けている被保護者や、要保護状態を脱して間もない、かつての被保護者に対して、現に返還にたえ得る資力を有するか否か等にかかわらず、その受けた保護金品に相当する金額の全額を一律に返還させたのでは、最低限度の生活の保障の趣旨に実質的に反するおそれや、その自立を阻害することとなるおそれがあることから、個々の場合に、被保護者に返還を求める金額の決定を、当該被保護者の状況をよく知り得る立場にある保護の実施機関の裁量に委ねたものと解されるとして、先ほどの判断を下したわけですから、返還請求をする場合の重要な指針を示したことになると思うんです。
さらに判決は、この処分が、福祉事務所のミスによる過支給を被保護者の負担に転嫁する一面を否定できない、これは社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものといわざるを得ないというふうに判示しています。これらの観点がちゃんと運用上も周知徹底される必要があるというふうに思います。この点が反映されるよう、求めておきたいと思います。
さらに、この過支給、誤支給を生む背景には、ケースワーカー一人当たりが抱えるケース件数が多過ぎるという問題があるんじゃないでしょうか。ケースワーカーの増員と専門性の向上がどうしても必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○坂本生活福祉部長 都では、管内の実施機関に対しまして、毎年一回、指導検査を実施しておりまして、この検査で、社会福祉法に規定するケースワーカーの標準配置数として示されております、区市部におきましては八十世帯に一人という基準を満たしていない実施機関に対しましては、文書により必要な人数を配置するよう勧告を行い、実施機関の実施体制を整備するよう、これまでも指導しているところでございます。
また、都では毎年、新任及び現任のケースワーカー、査察指導員、面接相談員などに対しまして、職種別、職層別に応じた各種の研修を実施し、実施機関の資質の向上を図ってきております。
○和泉委員 ある自治体では、誤支給のうち、行政のミスによる誤支給、これが二〇一五年度では三十二件で二百十七万円、二〇一六年度は四十二件で二百二十九万円あったということなんです。八十世帯で一人というケースワーカーの配置基準が、実際には超えているというところが圧倒的多数です。
このようなミスが生まれる背景に、ケースワーカーが抱える世帯が多過ぎる、そういう現状があるのではないか。その結果が、しわ寄せが、結局被保護者に行って、裁判にまでなっている。これは深刻な事態といわなければなりません。
さきの就労支援の問題でも、この状態ではきめ細かい対応は困難になってくるというふうに思います。都として抜本的に増員を行うことを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
続いて、小児のけがの救急搬送体制についてです。
私はこれまで、区東北部の医療機能の充実について、たびたびこの委員会でも取り上げてきました。区東北部には、がん診療連携拠点病院も総合周産期母子医療センターもありません。さらに、今回、子供のけがの救急搬送も深刻だということが、ことし七月四日の東京都小児医療協議会の会議録と資料でわかりました。
この協議会で配布された資料を見ますと、搬送先が決まるまでに六カ所以上の医療機関に当たったケースが、平成二十六年から三年間続けて、区東北部で最も多くなっています。なかなか搬送先が見つからない、これはどのような理由によると都は考えているんでしょうか。
○西山医療政策部長 小児の整形外科事案は骨折などによるものが多く、小児の骨折に対する手術などに対応できる医療機関が少ないことが選定困難となる理由と考えられます。
なお、平成二十七年の区東北部圏域における整形外科選定事案のうち、選定回数が六回以上となりました件数は二十八件でありましたが、二十八年は十八件であり、減少傾向にございます。
○和泉委員 今、減少傾向というお話がありましたが、平成二十六年には二十九件、二十七年は二十八件となっていて、二十八年が下がっただけで、今後も減り続けるかどうかというのはわからないわけです。まだ減少傾向とまでいえる状態ではないんじゃないかというふうに思います。
区東北部において選定回数が六回以上となった十八件について、圏域外に搬送された件数は何件あるんでしょうか。
○西山医療政策部長 平成二十八年に区東北部において選定回数が六回以上となった十八件のうち、圏域外に搬送された件数は八件でございます。そのうち七件は、隣接圏域に搬送されております。
○和泉委員 そうしますと、約半数は圏域外ということになります。では、選定六回以上の十八件の回数の分布、これはどのようになっているんでしょうか。
○西山医療政策部長 選定回数が六回以上となりました十八件の内訳でございますが、選定回数六回から十回までが十四件、十一回から十五回までが四件でございます。
○和泉委員 五カ所の医療機関で受け入れられない、あるいは二十分以上搬送先が決まらない場合は、医療圏ごとの地域救急医療センターが受け入れる病院を確保するというのが東京ルールだったはずですけれども、六カ所以上当たっているケースが、都全体で昨年度は六十七件発生しているわけです。
選定回数六回以上と一くくりにまとめてしまったその内訳を見れば、区東北部では、十一回から十五回も医療機関を当たっているケースが四件ある。少なくともその範囲で東京ルールが機能していない。先ほども、小児の骨折に対する手術等に対応できる医療機関が少ないことが選定困難の理由と都は答弁されました。そして、協議会の会議録を読んでも、現場から対策を求めるさまざまな意見が出されています。
平成二十六年、平成二十七年と、区東北部の足立、葛飾が最も多くなっていて、平成二十八年は江戸川区がトップですけれども、それでも、件数が減っているとはいえ、葛飾、足立は次いで二位、三位という状態です。
冒頭でもいいましたけれども、がんでも母子周産期でも、高度だったり緊急だったりというケースに圏域内で対応できていないんです。区東北部の医療機関の絶対数が不足している、これは否定できないんじゃないでしょうか。いかがですか。
○西山医療政策部長 都は現在、入院が必要な救急患者に対し、小児科医師が二十四時間体制で診療を行う小児の二次救急医療機関を都全域で五十四施設、うち区東北部は四施設を確保しております。
また、地域救急医療センターを都全域で八十九カ所、うち区東北部は七カ所を指定いたしまして、搬送先の選定が困難な場合に受け入れ調整を行いますとともに、地域の医療機関と相互に連携協力して、東京ルールの対象となった患者を迅速に受け入れております。
さらに、都では、二次保健医療圏ごとに二次救急医療機関や消防等が参加する地域救急会議を設置しております。本年八月に開催をいたしました区東北部圏域の地域救急会議におきましては、小児の整形外科事案についての事例検討を行っており、搬送先の選定が困難になりやすい救急患者の受け入れが進むよう、地域の実情に応じた取り組みの検討を進めてございます。
○和泉委員 今ご答弁のあったような取り組みを行っても追いついていないから選定困難が発生しているわけですよ。果たしてそれでいいんでしょうか。協議会の中では、区東北部の医療機関四病院を訪問し、受け入れが困難となる原因、解決策等について意見を聞いたんですよね。
その結果、対応が難しい外傷については、一旦受け入れたとしても、転送できる病院を確保してもらえば安心して受け入れることができ、断る事例も減ると、そのような医療機関を全都的に確保し、骨折等による小児外傷患者が搬送困難にならないような体制整備を検討となっています。具体的にどのような検討をされたんでしょうか。
○西山医療政策部長 都では、東京ルール事案の中でも、特に搬送先選定困難となることが多い開放性骨折の患者については、地域で受け入れが困難になった場合に、適切に医療を提供できる体制を有する医療機関を確保し、全都で救急患者の受け入れ体制の強化を図っております。
また、区東北部などで行われている事例検討の状況等を踏まえながら、引き続き小児医療協議会において、小児外傷患者の搬送、転送先の確保について検討してまいります。
○和泉委員 協議会の会議録を読んでみますと、開放性骨折については、帝京大学が東京ルール適用後になったものを受け入れるということになっています。しかし、消防からは、六回、七回と選定していくとなると、数時間、子供が痛い痛いと救急車の中でいる状態でこの選定の業務をやっている、受け皿がないと今後さらに厳しい、地域的に東京で一つは厳しい、まずは診察してほしいという意見が出ています。この現場の実態に合った対策をとるのは、やはり都の責任だというふうに思います。都に、主体的かつ積極的に対策をとっていただくよう強く要望して、私の質問を終わります。
○鳥居委員 私は、四つの視点で質問をさせていただきたいと思います。
まず最初には、高齢者の生きがいと社会参加の促進、健康づくりの推進でございます。これにつきましては既に古城委員からございましたので、一部割愛させていただきたいと思います。
超高齢社会が進む中での健康長寿社会の実現には、さまざまな取り組みとともに、都民一人一人が健康づくりに主体的に取り組む習慣が重要でございます。
そのような中、例えば、都は平成二十五年に東京都健康推進プラン21(第二次)を策定し、健康づくりを社会全体で支援する取り組みを実施しています。また、都民に対して、さまざまな媒体を活用し、望ましい生活習慣について普及啓発を実施していると認識しております。
健康意識は、高齢になるに従って高まることは必然でございます。ですが、健康長寿実現には、より若い世代からの健康意識、これの構築が肝要と考えます。
そこで、働く世代に対しては、職場における健康づくりを進めることが重要であると考えますが、都の取り組みについて伺います。
○矢内保健政策部長 都は、日常生活の長時間を過ごす職場における健康づくりの取り組みを進めるため、平成二十八年度から、業種や働き方に応じた健康づくりの取り組みを支援する東京都職域健康づくり推進事業を実施しております。
この事業は、従業員の健康づくりに意欲のある企業を募り、情報提供や専門家による継続的な助言などの支援を行い、企業の健康づくりをサポートするものであり、効果的な取り組み事例をモデルとして取りまとめ、広く都内企業に周知し、働く人のメタボリックシンドロームや糖尿病などの生活習慣病の予防や重症化予防を図っております。
また、今年度からは、企業の経営層に対して健康づくりの取り組みを促す東京都職域健康促進サポート事業を開始いたしまして、職域の健康づくりの取り組みを支援しているところでございます。
○鳥居委員 超高齢社会において、健康長寿社会の実現を推進する上でも、引き続き若い世代及び全世代に対する健康啓発を推進していただきまして、健康意識の向上に取り組んでいただきたいと。健康意識の向上におきましては、また新たなニーズ、シーズが生まれてきまして、技術の構築、さらには産業の育成につながると期待しておりますので、引き続き対応いただきたいと思います。
そして、健康長寿社会においては、高齢者が元気に暮らし続けていくための介護予防の取り組みに加えて、より重要になってくるのが、地域での高齢者が支え合う高齢者の社会参加、生きがいの創出でございますが、これにつきましては既に答弁がされております。
その中で、地域のボランティアの育成など、さらには、生活支援コーディネーターを活用していただいたり、元気高齢者を地域活動者として養成するセミナーなどを、しっかりと備えて、準備していくということを私も強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
二つ目でございますが、がん、認知症の研究について伺わせていただきます。
都では、東京都医学総合研究所及び東京都健康長寿医療センターの二つの研究機関を有して、がん対策や認知症対策の取り組みも多く行われております。
近年の報告では、日本人の死亡原因の第一位は悪性新生物、いわゆるがんでございます。
また、認知症患者につきましては、二〇二五年に約六百五十万人から七百万人、二〇四〇年には八百万人から九百五十万人と、時代とともに増加するとの予測が、九州大学の研究チームからも報告されております。
私は、アルツハイマーの根治薬開発のプロジェクトにかかわらせていただきました経験から、研究開発にかかる相当の費用と時間、そして成果に結びつけるための困難さを理解してはおりますが、それぞれの研究機関が、都民の期待に応えて効率的、効果的に成果を進めていくことを期待し、質疑を行わせていただきたいと思います。
まず、東京都医学総合研究所は、近年、三つの研究所を統合して、基礎研究に特化した研究所としてその研究成果を普及することにより、都民の医療や福祉の向上に寄与しているということが一つの大きな目的でございます。
そこで、どのような研究を行っているのかを、まずは伺わせていただきます。
○古賀事業推進担当部長 医学総合研究所では、都民ニーズに対応し、研究成果の都民還元を目指した研究を効果的、効率的に推進するため、研究課題、研究目標、期間を明確にして、外部委員による評価を受けながら、ゲノムとがん、感染症の克服、認知症と神経難病など、十二の研究テーマで二十七のプロジェクト研究に取り組んでおります。
あわせまして、都の重点施策推進のため、新型インフルエンザ、がん、デング熱について、特別研究を実施しております。
このほか、受託研究、共同研究、文部科学省科学研究費補助金などを初めといたします外部研究費の受け入れによる研究を実施しております。
○鳥居委員 今のご答弁では、目的と期間を明確にして、外部評価委員も設けて、時流に沿った二十七のプロジェクトを行っているということでございます。また、都向けの特別研究を実施することの柔軟性も示していただきました。
基礎的な研究分野におきましては、都民に寄与する成果を上げるには時間がかかると私も考えてはおりますが、その中でも効率的、効果的に研究を行っていくためには、現在行われている研究をより一層客観的に評価することも必要だと考えます。
研究成果の重要な指標の一つは、研究成果の知的財産化及びトップジャーナル等に掲載されることだと考えております。
そこで、具体的なプロジェクト研究の評価方法と客観的な評価について伺わせていただきます。
○古賀事業推進担当部長 プロジェクト研究では、五年間の期間を定めて研究成果を上げることを求めております。その上で、研究の進捗状況を専門的、客観的に評価するため、毎年度、外部委員による評価を実施しておりまして、専門的な観点からの評価に実用化の観点からの評価を加味して総合評価を行い、点数が低ければ研究の中止を含めた見直しを行うこととしております。
研究論文の質の高さを示す指標といたしまして、他の研究者の発表論文に引用された回数の多さがございます。この本数を用いまして、クラリベイト・アナリティクス社が毎年四月に発表しております研究機関別ランキングというものがございまして、こちらで、医学総合研究所は、他の大学等と比べて規模は小さいものの、分子生物学分野において国内第六位、さらに、引用された数の多い論文の割合が他の上位十位以内の他機関と比べても突出して高くなっておりまして、影響力の高い論文を輩出していることを示しております。
また、研究分野では、評価の高いネイチャー・インデックスが平成二十九年三月に発表いたしました研究機関別ランキングでは、生命科学分野で国内第十二位となってございます。
○鳥居委員 いわゆる総合評価を行って、点数の低い研究におきましては中止を含めた見直しを行うというご答弁でございます。
また、理化学研究所や有名国立大学、私立大学と比較して、その成果につきましても、いわゆるインパクトファクター、インパクトの高いジャーナルへの発表を許されているというのは評価に値するというふうに考えますが、それらの基本的な努力があって、基礎的な研究技術を蓄積した上で次の応用研究へとステップが発展するというふうに考えます。
そこで、これまでの主な研究成果、これはどのようなものがあるのかを伺わせていただきたいと思います。
○古賀事業推進担当部長 医学総合研究所における、がんに関する主な研究成果といたしましては、尿から検出されるたんぱく質であるジアセチルスペルミンの活用等により、各種がんの早期診断法等の確立に向け、都立病院等と連携して臨床研究を進め、既に特許を取得しております。
患者数の多い大腸がんの早期診断等に有効な補助診断薬については、共同研究を行っている製薬会社が臨床試験を実施しております。
また、肝臓がん発症の主な原因である肝炎ウイルスに対する治療法の開発も行っておりまして、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん発症の各段階に対して、ワクチンによる免疫療法、肝硬変に対する新規治療薬、がん細胞標的治療法の開発を進めております。
○鳥居委員 一定の成果をもとに開発が進んでいるというご答弁でございます。
都民への貢献は、具体的なソリューションをもってなされるものであり、所有する研究成果を最終的にはやはり創薬に生かしていければ、成果の大きな還元につながります。
成果創出のプロセスとしては、まずは基礎研究に特徴を有する医学総合研究所では、その成果や技術を定期的に都内、国内の研究機関に公開をして、共有していくという責務があるのではないかと考えます。応用研究の需要、かつその困難さゆえの取り組みをしっかりとしていく必要性があると考えます。
引き続き、より戦略的で、より効果的に取り組んで、例えば産官学連携の推進なども行っていただき、創造を推進していただきたいと願っております。
さて、創薬に行き着かなくても、都民の理解を得るため、もしくは都民への貢献を意識した普及啓発、例えば科学技術の普及啓発の取り組みは可能と考えますが、研究成果の普及啓発をどのように行っているのか、伺わせていただきたいと思います。
○古賀事業推進担当部長 医学総合研究所では、最新の研究内容や成果を都民にわかりやすく伝えるため、年八回、都民講座等を開催しているほか、研究者等を対象としたシンポジウムやセミナーを開催しております。
また、研究内容について、ホームページで公表するとともに、科学誌に掲載される研究成果につきましては、新聞などでも広く紹介していただけるよう、積極的な広報活動を実施しております。
○鳥居委員 未来の研究者の裾野を広げて、将来を担う優秀な人材を生み出すためにも、技術を有する本研究機関におきましては、その研究成果の普及啓発を、引き続き、より積極的に進めていただきたいと要望させていただきます。
次に、同様の研究機関である東京都健康長寿医療センターについて伺わせていただきますが、既に小宮理事からもございました。一部割愛して進めさせていただきます。
臨床と研究を一体にしているのが大きな特徴の一つだと考えておりますが、既に社会的な研究成果を含めて取り組まれていることを報告いただいております。
また一方、私も、認知症につきましては、高齢化が進む過程で患者数がふえてくる重要な課題と認識しておりますので、この健康長寿医療センターにおきます認知症についての研究につきまして伺わせていただきたいと思います。
○稲葉施設調整担当部長 お話のありましたとおり、健康長寿医療センターは、都における高齢者医療研究の拠点としての役割を担い、老化メカニズムや高齢者に特有な疾患、高齢者の社会参加など、多様な分野にわたる研究を推進しておりますが、認知症についても重要な研究課題として取り組んでございます。
認知症は、早期発見、診断、対応が重要であることから、病院と研究所が連携し、早期診断や発症予測に向けた研究を推進しているほか、認知症予防に関連して、生活機能の改善や社会参加などが認知機能の低下の抑制に及ぼす影響についての研究などを行ってございます。
○鳥居委員 ありがとうございます。根治薬がない中で、やはり予防及び早期発見のプロセスというのは非常に重要であるということから、既に答弁がなされていたかと思いますし、一度病気にかかってしまいますと、ヒューマニティーが減少していく中で、数年及び数十年にわたって生活をしていかなければいけない、さらに、その家族が介護をして支えていくという、そのような事態に陥るわけでございます。という観点からも、認知症の撲滅改善薬の開発というのは、患者のみならず周辺の方々の強い要望があるというふうに認識しております。
そこで、これまでの主な研究成果につきましてどのようなものがあるのかを伺わせていただきたいと思います。
○稲葉施設調整担当部長 研究成果の例としましては、アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドベータたんぱくが蓄積することが特徴でございますが、この物質を画像に映し出し、早期に診断するアミロイドイメージングの読影法を確立し、認知症の早期診断法の標準化を可能にしてございます。
また、認知機能や生活機能の低下が見られる地域在宅高齢者の実態調査結果を分析し、開発しました、自分でできる認知症の気づきチェックリスト、こちらは都の普及啓発用パンフレット、知って安心認知症に掲載をされ、認知症を疑うご本人やご家族など、広く都民の皆様に活用されてございます。
このほか、認知症予防については、大田区や豊島区などと連携をして、高齢者が子供たちに絵本の読み聞かせを行うことで認知機能の低下を防ぐ効果のあるプログラムを開発しまして、平成二十八年度末現在、都外二市を含む十二区市で実施をされてございます。
○鳥居委員 後半の大田区、豊島区等での連携で、認知症の低下を防ぐプログラムというのは、やはり本研究所の臨床と基礎研究の融合による新しい創出ということで、非常に評価に値すると思いますし、既に答弁が行われていたかと思います。
早期発見におきましては、アミロイドベータの蓄積ということで、これをイメージング化するという技術を確立されてはおられますが、ご存じのとおり、アルツハイマー病の特徴とするのは、エーベータの蓄積ではございますが、これは認知症の原因になり得るのかどうか、結果としては生じておりますけれども、それが原因として発症しているのかどうかというのは、今さまざまな議論がなされているところだったと思います。
これまでエーベータ仮説に基づいていろいろな研究巨費が投じられてきましたが、それを否定する研究データもいろいろ出てきている中で、なかなか方向転換ができない、巨費を投じたがゆえに方向転換ができない実情も踏まえて、やはりより柔軟な対応を、得られた新たなデータや時代のニーズに従った新たな柔軟な、それを真摯に受けとめた柔軟な対応が本研究所のテーマの運営におきましても重要だと認識しておりますので、引き続きその観点からも検討していただきたいと思います。
では、次に、食の安全性確保につきましての質問に移らせていただきたいと思います。
生活習慣病の予防や健康維持、健康寿命の延伸などの観点から、食生活を含めた健康志向は高まりを見せており、そのような中で、市場にはさまざまな健康食品が流通しております。
私は、二〇一五年の食品表示法の改正に当たり、新たな機能性表示食品制度に基づいた機能性食品の研究開発に携わる機会を得ました。超高齢社会を背景に、客観的妥当性のあるエビデンスを有する機能素材の商品化に向けて、研究開発を産官学連携で行い、消費者の健康増進に尽力するという経験でございました。
さて、一口に健康食品といってもさまざまなものが存在しておりまして、特定保健用食品のように、国が有効性を定めて許認可しているものもありますし、機能性についての科学的根拠が乏しいものまで、さまざまなものがあると認識しております。
そこで、都では、都内に流通して販売されている健康食品の安全性を確保するためにどのように取り組まれているのかを伺わせていただきたいと思います。
○仁科食品医薬品安全担当部長 健康食品の安全確保のため、都では毎年、市販品を購入した上で、成分や表示が適切であるどうかを調査し、確認しており、食品衛生法や食品表示法など関係法令に違反する場合には、製品の回収や表示の改善等を指導しております。
また、健康食品を取り扱う事業者に対しましては、関係法令に関する講習会を定期的に開催し、違反事例などを周知して、法令遵守の徹底を図っております。
さらに、医師会や薬剤師会と連携し、健康食品との関連が疑われる健康被害事例を収集、分析するなど、健康被害を早期に把握して、医療機関へ情報提供を行っております。
○鳥居委員 市場に流通しているさまざまな製品の中から、消費者が自分に合った製品を選択して、健康増進に役立てていくためには、健康食品に関する種類や表示の内容を消費者が正しく理解することが必要だと考えます。メーカーが適切に製造して正しく表示していたとしても、消費者が健康食品を過剰に摂取したり、過剰な期待を持って食生活のバランスを欠いたりすれば、健康にマイナスになってしまいます。
そこで、健康食品に関する制度や表示内容及び健康食品の正しい利用方法について、消費者への普及啓発にどのように取り組まれているのかを伺わせていただきたいと思います。
○仁科食品医薬品安全担当部長 都は、都民が健康食品を適正に利用できるよう、講習会を初め、高齢者や高校生向けに作成したDVDなどを活用して、都民に広く、正しい知識や注意すべき事項を情報提供しております。
また、健康食品の制度や表示内容に関する素朴な疑問から、健康食品を利用して健康被害が起こった、トラブルに巻き込まれたなど、健康食品の利用に関して注意した方がよいポイントなどをわかりやすく解説したパンフレットを作成し、薬局や保健所などで配布しております。
さらに、都のホームページ上に健康食品ナビを開設し、リーフレットやスポット映像などを掲載するほか、試買調査の結果や健康食品を安全に利用するための注意事項など、最新情報を随時発信し、健康食品による健康被害の未然防止を図っております。
○鳥居委員 現在、健康食品の市場におきましては、玉石混交とした商品が乱立しているのではないかと思いますが、科学的根拠に基づいて安全性と機能性を有する製品は、おのずと消費者の信頼を得て普及拡大していくものと予測しております。
今後は、安全で有用な機能性を有する製品が、より多く開発され、都民の豊かな暮らしと健康の増進に寄与していくとともに、食品産業の活性化にもつながるものと考えております。
都としても、都民の健康を第一に考えた施策の一環として、健康増進に寄与する産業への助成をさらに意識していただきたいと考えております。その結果としましては、医療費抑制につながること、そして、新たな機能性食品の創造により、輸出産業の増加につながることを期待しております。
超高齢化社会の先進国たるこの日本、そしてこの東京におきましては、人の健康長寿を視座に、夢と希望を持って明るく取り組んでいけるテーマとして、都独自の戦略的で発展的な取り組みを進めていただけるようにお願いしたいと思います。
最後の質問でございます。ひとり親家庭の福祉につきまして質疑をさせていただきます。
平成二十八年の厚生労働省の人口動態統計によりますと、東京都の離婚率は、人口千に対して一・七八、全国一・七三に比べて高率となっております。
東京都では、昨年度の婚姻件数が八万六千九組に対し、離婚件数は二万三千四百七十組でございます。
離婚による子供への悪影響はいうまでもなく、精神不安や成績低下、喫煙率の増、将来の離婚率の増など、その連鎖を生み出す可能性があることが証明されつつあります。子供の健全な養育には、両親がそろって愛情を注ぐ環境が大事であり、離婚しないで済む社会の実現が望ましいことはいうまでもございません。しかし、現在におきましては、やむを得ず子供がいながら離婚を選択せざるを得ない事例も多いのは事実でございます。
その中で、たとえ親が離婚したとしても、子を持つ親としての責任を親がより理解をすること、そして子供たちにとりましても、両親がともに自分のことを大切な存在として手を差し伸べていることを知ることが大切だと考えます。そのためにも、離婚の前から養育費や面会交流の取り決めをしっかりと行い、子供の健やかな成長を支える必要性があると考えます。
そこで、都における養育費及び面会交流支援につきまして伺わせていただきます。
○松山少子社会対策部長 都においては、東京都ひとり親家庭支援センターで、養育費相談、面会交流支援及び離婚前後の法律相談を無料で実施いたしております。
養育費については、適切に支払われるよう金額の取り決めや支払い履行、強制執行の手続などの相談に応ずるとともに、裁判所等への同行支援も行っており、必要に応じて国の養育費相談支援センターや法テラスとも連携をいたしております。
面会交流支援については、子供が安心して親と円滑に交流できるよう、父母にかわっての連絡調整や子供の送り迎え、交流中の付き添い等の支援を行っております。
離婚前後の法律相談については、家事事件に精通している弁護士が、ひとり親の家庭の状況を十分把握した上で、親権や慰謝料、財産分与等について専門的な助言を行っております。
○鳥居委員 東京都ひとり親家庭支援センター、この多角的、多様な役割が重要であるということをご答弁いただきました。
次に、ひとり親になった後は、養育費だけでは生活が成り立たないことも多く、安定的な収入を得ることが必要でございます。
第三期東京都ひとり親自立支援計画によりますと、ひとり親の就業状況は、母子世帯が八二・五%、父子世帯が九二・一%となっておりますが、特にひとり親世帯の母は、パート、アルバイト、派遣、契約社員等、これが五五%を超えております。不安定な就労状況となっていることがわかります。そのために、ひとり親の母のうち約四〇%が年間の収入二百万円未満となっていることが報告されております。
ひとり親が子育てと両立しながら安定的な収入を得られるように、都は、ひとり親にどのような就業支援を行っているのかを伺いたいと思います。
○松山少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭支援センターにおいて、職業紹介のほか、仕事に関する悩みや困り事等を聞く就業相談、パソコン講習会や適性診断等を行う就業支援を実施いたしております。
都内全ての区市町村では、看護師、保育士、介護福祉士等、就労する際に有利な資格の取得を促進するため、資格取得期間中に生活費等を給付する事業を実施しており、都はこの給付金対象者に対し、養成施設入学準備金や就職準備金を貸し付け、資格を生かして五年間就業を継続した場合に、返還を免除する貸付事業を行っております。
ひとり親家庭の相談窓口である母子・父子自立支援員は、継続的な支援を行っており、今後とも区市町村と連携しながら、ひとり親家庭の就労自立をきめ細かく支援してまいります。
○鳥居委員 東京都ひとり親家庭支援センター、これを介して多角的な支援を進めているという答弁でございます。今後、ますますその役割が重要になってくることを想定いたしますので、施設の充実、センターの充実をさらに進めていただきたいと要望いたします。
本課題につきましては、親の権利のみならず、子供の権利を認識することの大切さを一層啓発する必要があると考えます。時代の変化に従いまして、生活の変化、環境も変わってまいりますので、引き続き業務領域にとらわれない新たな取り組みが大切であり、そのことを共有させていただき、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後七時二分休憩
午後七時三十四分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○つじの委員 私からは、路上生活者の方々に対する東京都行政の取り組みを質疑させていただきたいと思います。
東京都は、都内における路上生活者の方々を把握するために、道路、公園、河川敷、駅舎などの概数調査を行い、先日、その調査結果をまとめたものを公表しました。
そこでまず、調査方法の概略をお知らせいただきたいと思います。また、路上生活者に至らざるを得ない、それぞれの方々の事情、背景を、個人情報が明らかにならないよう概略でよいので、都の見解をお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。
○横手生活支援担当部長 都は平成七年より、毎年一月と八月の年二回、都内の道路、公園、河川敷、駅舎等におきまして、ホームレスの概数調査を実施しており、各施設管理者が目視により確認をしております。
また、国からの委託により、五年ごとに個別面接による生活実態調査を行っており、路上生活の期間、健康状態、障害の有無等について詳細に調査をしております。
平成二十八年十月に実施いたしました実態調査によりますと、路上生活の直前の職業は、建設業関係が三九・四%で最も多く、雇用形態では、常勤職員、従業員が五四・九%、日雇いが一七・五%となっております。
また、路上生活に至った理由といたしましては、仕事が減ったが二六・八%、倒産、失業が二六・一%、人間関係がうまくいかなくて、仕事をやめたが一七・一%となっております。
ホームレスとなるに至った要因といたしましては、調査結果のように、倒産、失業等の仕事に起因するものや、病気やけが、人間関係、家庭内の問題等、さまざまなものが複合的に重なり合っているものと考えております。
○つじの委員 答弁いただき、ありがとうございます。路上生活者の方々のそれに至る背景は多様で、それぞれの方々の事情があるのだとは思います。
私は精神科医なのですが、例えば、ある疾患を患っている方では、一目で症状を抱えていらっしゃるということがわかる雰囲気のようなものを呈する場合があるのですが、私が個人的に都内で見かけたことのある路上生活者の方々の中には、未治療で路上生活を強いられている方も少なからずいるような印象を持っております。
そこで、先ほどの調査方法の中で述べられた調査員などの方々で、精神科医を含めた精神医療の従事者というのはいらっしゃるんでしょうか。
○横手生活支援担当部長 路上生活者概数調査は、ホームレスの概数を把握し、経年変化を見ること、また、生活実態調査は、生活状況を把握することを目的としております。
そのため、概数調査では、道路、公園等の施設管理を担当する職員、生活実態調査では、福祉関係の職員が調査に従事しており、精神医療の従事者は参加しておりません。
○つじの委員 調査方法並びに調査員の構成をお知らせいただき、ありがとうございました。
先ほど、私、質疑で述べたとおり、少なからずの路上生活者の方々が精神疾患を抱えていらっしゃるように思います。今後の課題として、ぜひ医療従事者の方々も調査員等々に加えていただくことを強く要望します。
次に、平成二十八年に策定された実行プランについて概略を説明いただきたいと思います。
○横手生活支援担当部長 二〇二〇年に向けた実行プランでは、ホームレスの自立等の支援による地域生活への移行として、二〇二四年度までに、自立の意思を持つ全てのホームレスの方を地域生活に移行させることを政策目標に掲げております。
○つじの委員 実行プランについて説明いただき、ありがとうございます。
実行プランによれば、都は二〇二四年度までに、自立の意思を持つ全ての路上生活者の方々を地域社会に移行させるという目標を掲げていらっしゃいます。
そこで、都のホームレス対策について、自立に向けた支援の取り組み状況をお伺いしたいと思います。また、路上生活者の方々の人数の変遷もお知らせください。
○横手生活支援担当部長 都は、特別区との共同事業として、自立支援センターを五カ所設置し、緊急一時保護、医師等による健康管理、ハローワークと連携した職業紹介、アパート確保のための相談などの就労による自立や円滑な地域移行に向けた支援を実施しております。
また、ホームレスの方が多く集まる地域において、相談員と看護師による巡回相談を行い、個々のホームレスの状況のより詳細な把握に努め、自立支援センターへの入所や適切な福祉サービスにつなげております。
路上生活者概数調査結果によりますと、ピーク時の平成十六年八月には、六千七百三十一人であった都内のホームレスは、本年八月の調査では千三百三十七人と五分の一以下にまで減少しております。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。
ご答弁の中で、路上生活者の方々の人数の変遷があったと思いますけれども、先ほどの説明の中で、平成二十九年の調査では、ピーク時であった平成十六年八月と比較して五分の一以下にまで減少とありますが、平成十六年、当時の社会の様相など鑑み、同年の路上生活者の方々が多数いて、また、それ以降、減少の経過をたどり、ことしの千三百三十七人という数にまで減少していることに関して、都としては、どのような経緯で対策を講じてきたのか、また、現在の状況についてどのような見解を持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○横手生活支援担当部長 バブル経済崩壊後の長引く景気の停滞を背景に、都市部を中心にホームレスが急増していたことから、都は、平成十二年度より、都区共同で自立支援センターを開設し、自立支援事業を開始いたしました。
平成十三年度には、全国に先駆けまして、緊急一時保護センターと自立支援センターによる自立支援システムを構築し、二十三区を五ブロックに分けて整備を進め、平成十七年八月には、自立支援システムに必要な十カ所の施設整備を完了いたしました。
また、平成十六年九月から、公園等で生活するホームレスに対し、借り上げ住居を提供し、地域における自立生活への移行を目指すホームレス地域生活移行支援事業を開始いたしました。
これらの取り組みや当時の雇用情勢の好転などによりまして、ホームレスの数は、平成十六年をピークに減少し始めたと考えられます。
ホームレス数が減少した後も、派遣労働者の雇いどめなど厳しい雇用情勢のもと、就労自立に向けた支援を強化するため、緊急一時保護センターと自立支援センターの機能を一体化した新型自立支援センターへの移行を平成二十二年度から開始し、平成二十五年度には、区部全体で実施をしております。
これらのことから、ホームレスの数は着実に減少しておりますけれども、高齢化や路上生活の長期化が進んでおりまして、実態に合わせた地域移行への取り組みが必要であると考えております。
○つじの委員 ありがとうございました。ご答弁の中で、昨今の路上生活者の方々の抱える、例えば高齢化などの問題点をご指摘いただいたと思います。
また、路上生活者の就労支援を行っているとの説明がありましたが、どのくらいの方々が就労に至ることができたのか、例えば、この三年間の推移を実数でお知らせいただければというふうに思います。また、平成二十八年度、自立支援センターで支援をした全人数の中で就労自立された方々の割合も、あわせてお知らせいただきたいと思います。
私が考えるに、心身が健康で、社会の景気動向や個々人の経済状況で路上生活者にならざるを得ない方々は、比較的自立が容易かと思うのですが、精神科医の私としましては、路上生活者の方々の中には、精神症状を抱えていらっしゃる方も多数おられるということは承知しております。
就労に至らず、医療機関などの支援機関につながった実例があれば、平成二十八年の実数も含めて詳細を説明いただきたいと思います。
○横手生活支援担当部長 区部では、福祉事務所等での相談を経て、就労自立の意欲がある場合は、自立支援センターの紹介、利用のあっせんを行い、高齢化や精神疾患などの病気により就労自立が困難な場合は、適切な福祉施策につなげております。
自立支援センターにおいて、就職先が決まり、アパート等に転居して就労自立した方は、平成二十六年度は五百五十四人、平成二十七年度は五百四十七人、平成二十八年度は五百十八人でありまして、二十八年度に就労自立した方の割合は四九%となっております。
また、平成二十八年度の実績では、就労による自立が困難な利用者は二百七十六人でありまして、医療機関の受診や更生施設などへの入所につなげております。
センター入所後の相談員と嘱託医によるアセスメントの過程で、就労の可否を確認する必要が生じた場合、医療機関への通院を促すことがありまして、この二百七十六人の方の中には、通院の結果、精神疾患と診断され、就労自立が困難なことから、生活保護につながった事例が含まれております。
○つじの委員 就労自立につながった自立支援センターの利用者は約半数ということですが、都庁下にも、現に長期にわたり路上生活をしていらっしゃる方がいらっしゃる現状を見れば、単に就労を促すだけでは自立は困難であろうというふうに思います。
繰り返しますけれども、就労への移行へのサポートだけではなく、医療や福祉へつなげるべき対象になる方も多数おられるように思います。
こうした路上生活者の方々に対して都はどのような取り組みを行っているのか、さらに踏み込んでお聞きしたいと思います。
○横手生活支援担当部長 都は今年度より、特別区と共同で、通常生活が長期化したホームレスに対し、地域を巡回する相談員に加えて、内科または精神科の医師等の専門職が同行する特別班を編成し、高齢化などにより、就労での自立が困難なホームレスに対し、地域生活への移行を支援するモデル事業を開始いたしました。
この事業では、丁寧な相談によって関係を構築したホームレスに対し、まず住まいを提供し、健康管理や訪問相談などの生活支援を最長六カ月行い、その後適切な福祉サービスにつなぎ、アパート等に転居していただいた上で、一年間のアフターフォローを行っております。
こうした取り組みによりまして、就労での自立が困難なホームレスの方の地域移行を進めてまいります。
○つじの委員 ご答弁いただき、ありがとうございます。客観的に見て一様に見える路上生活者の方々の持つ背景というのは、個々それぞれだというふうに思います。
行政の支援で就労につながり、経済的な自立を果たす、それができる方もいらっしゃれば、健康上の理由など、いろいろな事情でできない方もいらっしゃると思います。
また、繰り返し述べていますけれども、私は精神科医として、路上生活者の方々を見かけることもあるんですけれども、少なからず病状を発症していて一般的な生活が困難になっている方も見受けられると思います。
私としましては、東京都が路上生活者の方々のそれぞれの抱える問題を丁寧にすくい上げ、それぞれの路上生活者の方々の事情に合った支援をしていただければというふうに思います。
都がそのことを十分理解し、対策を継続し、路上生活者の方々の社会とのつながりを促す活動に今後も取り組んでいただきたいと、そういうふうに要望し、私の質疑を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○桐山委員 お疲れのところ恐縮でございますけれども、私からは、がん検診の受診率と精度管理ということと、あとは、フレイル予防事業、そして、ゆりかご・とうきょう事業、学童保育事業、そして、国保の広域化について質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、がん検診の受診率と精度管理ということで質問させていただきます。
がん検診についてでありますけれども、科学的根拠に基づくがん検診の受診や精密検査の受診というものは、がんの早期発見、早期治療、またがんの死亡者の減少につなげていくために、受診率の向上または精度管理が大変重要でございます。
そのため、東京都におきましては、東京都がん対策推進計画、今、第二次改定というところで改定中ということではございますけれども、これまでも、がん検診の受診率は五〇%ということを目標に掲げられておりまして、その達成に向けて、実施主体であります区市町村が地域の実情に応じて取り組まれてきて、また受診率の向上、そして精度管理の向上など、さまざまな形で取り組まれてきております。
そういったことを受けまして、今回、新たに改定をされる計画の中に、この精度管理ということにおきましての要精検受診率、いわゆる精密検査の受診率を新たに加えられるということもお伺いをしております。
この精検受診率を九〇%にされるという、数値目標を掲げるというふうに伺っておりますけれども、がん検診におけますこの要精検受診率、区部及び市町村の精密検査受診率というものが今どのような状況になっているのか、伺いたいと思います。
○矢内保健政策部長 都は、区市町村が実施するがん検診の精度管理について、毎年度調査を行っております。
この調査結果では、平成二十七年度の精密検査受診率は、区部で、胃がん六八・一%、肺がん六四・七%、大腸がん五三・三%、子宮頸がん五七・三%、乳がん七五・九%であり、市町村部では、胃がんが八二・四%、肺がん八三・八%、大腸がん五七・六%、子宮頸がん六三・六%、乳がんが八〇・八%でございます。
○桐山委員 ただいま、平成二十七年度の精密検査の受診率をお示しいただいたところでございます。
九〇%という精検受診率、この数値目標というのは、かなりまだ乖離があるのかなというふうに思っておりますので、引き続きご努力をお願いしたいんですけれども、さらに、今ご答弁いただきましたように、区部と市部でかなり受診率の差があるのかなというふうにも思っておりますので、このあたりにつきましては、しっかりと分析も含めまして把握をされますように、よろしくお願いをしておきたいというふうに思っております。
次に、精度管理についてですけれども、東京都におきましては、市区町村、医療機関に対しまして、精密検査受診率向上に向けましてどのような支援を行っているのか、伺いたいと思います。
○矢内保健政策部長 精密検査受診率を向上させるためには、区市町村が精密検査の結果を把握し、未受診者への受診勧奨、再勧奨を行うことが重要でございます。
このため、都は、精度管理向上の手引やがん検診の精度管理のための技術的指針を作成し、精密検査結果を把握するための仕組みづくりの重要性を事例を含めて示すとともに、区市町村が医療機関に検診を委託する際の仕様書や、精度管理を適切に行うためのチェックリストなどを提示し、区市町村担当者を対象とした説明会で取り組みを促しているところでございます。
また、精密検査結果の把握や、対象者に対する受診勧奨と再勧奨に取り組む区市町村を包括補助により支援をしております。
医療機関に対しましては、検診従事者向けの技術講習会などを通じて、区市町村への精密検査結果報告の必要性を周知しているところでございます。
○桐山委員 ただいまご答弁ありましたように、精密検査の結果の把握というものが大変重要なのかなというふうに思っております。
また、検診を受けられない方にとりましては、いわゆる勧奨とか再勧奨ということで、直接手元に届くような仕組みというものが大変重要なんですけれども、やはり市区町村におきまして財政難において、なかなかこういったものに手が出せないという実情もございまして、包括補助で支援をしていただいているということでございますので、こういったところでの支援というものも、引き続きよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
それから、あわせて、東京都は、先ほどもご答弁にありました区市町村が住民を対象に実施するがん検診の精度管理のための技術的指針というものが作成をされております。基本的に、見させてはいただいているんですけれども、やはりこういった、せっかく精密検査を受けられた後、受けた人がしっかり区市町村にフィードバックをするという仕組みを徹底しない限り、区市町村においての精検受診率というものが、きちっとした正確な数値がなかなか上がってこないというのが実情だと思いますので、こういったところを、ぜひ医療機関も含めて徹底をしていただけるように、これはきちっと要望させていただきたいと思いますので、これからもよろしくお願いしたいと思います。
以上で、がんの方は終わりにしたいと思います。
次に、フレイル予防事業について伺います。
高齢者の虚弱というものをフレイルといいますけれども、元気な状態と介護が必要な状態の中間地点ともいわれておりまして、年を重ねて心身の活力が低下をしている状態ともいわれています。これも早期発見できれば回復度も高くなるといわれています。
これまで介護予防で盛んに取り組まれてきました身体機能虚弱を意味しますフィジカルフレイルだけではございませんで、今回もテーマにかなり上がってきております認知症等につながりかねない精神心理フレイルであるメンタルフレイル、また、人や社会とのかかわりが低下した状態である社会性の虚弱を意味するソーシャルフレイルの三つが互いに重なり合うものだというふうにいわれております。
このフレイル予防というものも、全国的にも、今後高齢化に伴いまして重要な施策の一つになってくるかと思います。
フレイル予防事業が盛んになってくる中で、福祉保健局として、このフレイルの定義ということでどのように捉えられているのかということについてお伺いをしたいと思います。
○矢内保健政策部長 フレイルとは、加齢に伴い、筋力、認知機能等の心身の活力や社会とのつながりなどが低下した状態であるというふうにいわれております。
お話にありましたように、多くの高齢者がフレイルという中間的な段階を経て、徐々に要介護状態に陥るとされております。
適切な介入、支援により、生活機能の維持向上が可能であるというふうにされております。
○桐山委員 東京大学の高齢社会総合研究機構というものがございまして、千葉県の柏市におけます研究で、フレイルになる最初のきっかけは、社会性の低下から始まるということもわかってきているそうでございます。
地元の西東京市におきましては、本年度から、この東京大学高齢社会総合研究機構と協定を結びまして、五月から、UR都市機構の協力のもと、団地の集会所にて、西東京市と東京大学高齢社会総合研究機構と、連携事業でありますフレイル予防事業というものを都内初の取り組みということでモデル的に開始をさせていただいています。
このプロジェクトの流れを少し紹介させていただきますと、フレイルサポーターという養成研修をまず実施させていただきまして、元気高齢者が、フレイルトレーナーと呼ばれるフレイル事業の専門家から研修を受けまして、サポーターになられます。このサポーターになられた方々に、今度は一般高齢者へフレイルチェックというものを行っていただきます。
フレイルチェックというものは、指輪っかテストというものがありまして、少し指を輪っかのようにさせていただくんですけれども、自分のふくらはぎです、ふくらはぎに輪っかをしたときに、この輪っかがくっついたり離れたりして、要は筋肉の低下なので、足が細くなっていると筋力の低下、この輪っかよりも細い、余っているということの部分になりますと、筋力が衰えてきているというようなチェックをしてみたり、あと滑舌の測定、あとは座った状態から片足立ちのテスト、また筋肉量の測定などさせていただきまして、皆さんが、まあご高齢ですから、できたらサポーターの皆さんと大きな拍手をして、できた、すごいというふうに拍手をして盛り上げてあげます。
こういった簡易なアンケートなど、サポーターと一緒に結果を書き込みまして、自分の状態を、まず気づくということが大切でありまして、そういったことを目的といたしまして、今後、自分のその気づきに応じまして、どういうふうに改善をしていったり、また予防するかということを学んでいくということでございまして、これを圏域に分けまして年八カ所で開催をするということでございまして、今後一年かけて市にフィードバックをされるということになっています。
これらのフレイルという新たな定義というものがある中で、予防事業に対しまして、東京都は、区市町村に対しまして包括補助という形で財政上の支援をしていただいていると思いますけれども、今年度は、このフレイルという事業に対しましてどのような対応をされているのかということをお伺いしたいと思います。
○本多地域保健担当部長 西東京市の新規事業は、今、副委員長のご説明にありましたとおり、フレイル予防に関する市民サポーターの養成や高齢者自身が虚弱状態をチェックする講座などを実施するというものでございます。
こうした内容が住民の健康づくりの推進に資する取り組みであることから、包括補助メニューのうち、地域の特性を踏まえ、区市町村が医療、保健分野において独自に企画して実施する事業として、医療保健政策区市町村包括補助で支援することとしております。
○桐山委員 今回、このフレイル事業というところで、事務事業の東京の福祉保健二〇一七分野別取組なども調べさせていただきましても、フレイルという言葉というのがなかなか出てこない現状でございます。
私が質問で何が申し上げたかったかといいますと、フレイルについて、例えば答弁を求める際に、一般高齢者施策に値するのか、もしくは介護予防なのか、またまた健康づくりとして捉えられるのか、そういったところが局として政策所管がまだ定まっていないのかなというふうに感じるわけでございます。
また、どこの事業に値するのかというところで、まだ定まっていない状況の中で、ぜひとも包括補助事業のメニューでフレイル事業というものを出していただいて、区市町村がもっと積極的に、こういったフレイル予防事業を行っていける状況のご支援をしていただきたいというふうに強く要望させていただきたいと思います。
続きまして、ゆりかご・とうきょう事業について質問させていただきます。
ゆりかご・とうきょう事業は、平成二十七年から三十一年度までの五年間の事業ということで、全ての子育て家庭に対して、妊娠期から行政の専門家がかかわることによりまして、核家族化や地域とのつながりの希薄化、身近な相談相手がいないなど、孤立感や負担感が高まっている現状にございます産前、産後の時期を通して、出産や子育てに関する不安を軽減するとともに、家庭のニーズに応じた支援を妊娠期から子育て期にわたって切れ目のない支援に取り組む市区町村を支援しているという、十分の十事業ということで大変すばらしい事業だというふうに認識をさせていただいておりますし、また評価もさせていただいております。
本年度の市区町村の実施見込みといいますのも、代表質問でもご答弁をいただいておりますように、十七区十九市三町二村、計四十一市区町村と伺っております。これも年々、二十七年度の初年度から、最初は十三市区町村だったのが今では四十一市区町村に拡大をされておりまして、できるだけ全ての各区市町村に行き渡って、ぜひこういった補助事業を使っていただきたいなというふうに思っております。
このゆりかご・とうきょう事業を実施しております市区町村におきまして、具体的にどのような取り組みを行っているのか、また、一万円の育児パッケージというものがメニューの中にありますけれども、これの目的と、また、自治体独自の商品がさまざま用意されていると思いますけれども、それらの内容につきましても、ぜひお教えいただきたいと思います。
○松山少子社会対策部長 ゆりかご・とうきょう事業に取り組む区市町村は、各家庭の状況等を把握するため、妊娠の届け出をした全ての妊婦を対象に、保健師等の専門職による面接を行っております。
また、行政とつながる一つのきっかけとなるよう、面接を受けた妊産婦に対して、出産、子育てに向けた準備を支援する育児パッケージを配布しております。
育児パッケージの内容は、子供用の衣服や玩具、食器等の子育て用品のほか、家事援助など、地域の子育て支援のサービスに使えるチケットなど、自治体において創意工夫を凝らしたさまざまなものとなっております。
配布方法についても、面接終了後に直接手渡しする自治体が多く、産前、産後と複数回に分けて配布し、家庭の状況を把握する機会をふやすなど、独自の工夫を行っている自治体もございます。
○桐山委員 母子手帳配布時に専門職が全員に面会をされ、さらにその場で育児パッケージを渡す場合もあれば、また別日で個別に来ていただいたりしてお渡しする場合もあるということがわかりました。
育児パッケージと聞きますと、フィンランドのネウボラ、ご存じの方もとても多いと思いますけれども、フィンランドの育児パッケージと同じような内容になっているのかなと思います。
フィンランドにおきましては、八十年もの前から実施されている育児パッケージ事業みたいですけれども、生まれてくる子供全員へ社会からの分け隔てない祝福と歓迎のシンボルというふうにされているそうでございまして、本来ならば、国が先陣を切って、子は国の宝だというふうな施策を掲げているのであれば、ぜひ国の方でもこういった事業を展開してほしいなと思っておりますが、先進的に東京都がこういった事業をされているということは大変私も心強いことですし、各区市町村がさまざまな取り組みの中で一万円の育児パッケージの中身を決められているようでございますので、引き続き支援の方をよろしくお願いします。
次、行きます。
このような取り組みを通しまして、子育て家庭に妊娠期からかかわる中で、不安や負担を抱き、支援を必要とする家庭を把握し、支援につなげ、成果を上げることが大変重要です。
支援を必要とする家庭を把握した場合にどのように支援をしていくのか、伺いたいと思います。
○松山少子社会対策部長 ゆりかご・とうきょう事業を実施している自治体では、面接により各家庭の状況を把握した上で、必要に応じて支援プランを作成し、継続的に支援をしております。
具体的には、心身の不調や育児不安がある者、家族からの援助が受けられない者など、支援を必要とする家庭を把握した場合、産後ケア事業や保健師等による家庭訪問などの支援を実施するほか、子供家庭支援センターや児童相談所等の関係機関とも連携し、一時預かりやショートステイ等も活用しながら支援を行っております。
○桐山委員 専門職が入ることによりまして支援につながっていることを理解させていただきました。
また、産後ケア事業は、特に産後鬱の早期発見や支援に不可欠でございます。出産後、特に一カ月、そして三カ月間のアプローチというものが大変重要であると考えておりますので、引き続き支援をよろしくお願いします。
この任意事業におきましても、補助率が十分の十事業でありますけれども、この任意事業につきましては今年度で終了してしまうということを伺っておりまして、この十分の十が二分の一の補助率になると伺っております。
今後、市区町村で産後ケア事業の取り組みがさらに進むよう支援すべきと考えておりますけれども、見解を伺いたいと思います。
○松山少子社会対策部長 都は、ゆりかご・とうきょう事業等により、産後ケア事業に取り組む区市町村を支援しており、平成二十九年度は、十三区及び三市が実施予定でございます。
また、区市町村が産後ケアの実施拠点を整備できるよう、改修経費についても補助を行っております。
さらに、産後ケア体制の整備の参考となるよう、区市町村の母子保健担当者連絡会で、各区市町村の取り組みや、平成二十七年度に実施した助産所や産婦人科医療機関における産後ケア等の実施状況調査の結果の紹介も行いました。
今後も、より多くの区市町村が産後ケアに取り組めるよう、母子保健担当者向け研修など、さまざまな機会を通じて積極的に働きかけてまいります。
○桐山委員 産後ケア事業は重要な取り組みでございまして、区部では進んでおりますけれども、市部の方では財政状況によりまして取り組みが困難な市町村もあると伺っているところでございます。より多くの市区町村が取り組めるよう、都は引き続き支援や働きかけを行っていただけるように要望しておきたいと思います。
また、以前に、都議会公明党さんの方からもご提案がございました産後ドゥーラという、民間資格ではございますけれども、アウトリーチ型ということで、家庭に訪問いたしまして親支援をしてくれるという専門職がございます。こういった産後ケアの専門職が、できるだけ活躍の場があるように、区市町村への情報提供などもぜひお願いをしたいというふうに、あわせてお願いをしておきたいというふうに思います。
冒頭に申し上げましたとおり、産後ケア事業も含めまして、ゆりかご・とうきょう事業は、五年間の時限措置でございます。将来的な展望として、事業展開や継続が厳しくなる自治体もあると伺っております。妊娠期から子育て期にまで長期に及ぶ支援は、東京都において長期的な制度設計が求められることから、五年の時限措置とすることなく、五年後もゆりかご・とうきょう事業が継続をしまして、区市町村を支援していくべきだと強く要望をさせていただきまして、ゆりかご・とうきょう事業の質問を終わらせていただきます。
続きまして、学童保育について質問させていただきます。
現在、共働き世帯の増加に伴いまして、東京都では、保育園の待機児童対策を緊急的に措置をされ、待機児童解消のためご尽力をいただいております。
私からは、学童クラブについてでございますが、学童クラブは、小学校に通う児童が放課後の安全・安心を求め、学童クラブへの入所希望が増加をするということが予測をされております。
市区町村におきましても、この間、学童クラブの整備に取り組んでおりますが、ニーズの増加が上回り、特に多摩地域におきましては、百名以上の待機児童を抱える自治体が七つもございます。学童保育の整備は質、量とも不十分だといわざるを得ません。
学童クラブの利用希望の増加に応えていくため、既存施設の活用も含め、学童クラブの整備を一層推進するべきと考えておりますけれども、ご所見を伺いたいと思います。
○松山少子社会対策部長 都はこれまで、学童クラブの整備を進めるため、施設の新設や改築、小学校の余裕教室など、既存施設を利用する場合の改修にかかわる経費を補助してまいりました。
また、民家、アパート等の賃貸物件を活用する場合の借地料補助を行うとともに、昨年度から、借地料や受け入れ児童数をふやすための移転費用も補助対象としております。
今年度は、学童クラブを整備するまでの緊急対策として、児童館等に専任職員を配置し、学童クラブを希望しても利用できない児童や、夏休みなど長期休暇期間のみ利用する児童を受け入れる区市町村の取り組みを支援しており、今後とも、学童クラブの整備に取り組む区市町村を支援してまいります。
○桐山委員 この待機児童の現象は、自治体によりまして支援単位の解釈がまちまちで、増設をしないまま単位をふやし、そこに指導員を配置するだけの大人数、大規模な学童保育所にしてしまったり、低学年の入所を優先し、中学年を待機させることなどにより発生をしているともいわれています。
放課後子ども総合プランで示された放課後子供教室と一体型は曖昧な部分が多く、課題としても挙げられているところでございまして、引き続き、学童クラブの待機児童対策としてのニーズ把握をするとともに、整備促進にぜひ取り組んでいただきたいことをお願いしたいと思います。
次に、学童クラブは、質と量の拡充とあわせまして、時間延長の問題も課題に挙げられております。学童に通う保護者からは、開所時間を延長してほしいという声もあります。東京都では、夜七時以降に開所する延長ニーズは高く、開所時間の延長が必要でございます。
東京都独自の都型学童も含めまして、取り組みをお伺いいたしたいと思います。
○松山少子社会対策部長 都は、学童クラブの時間延長のニーズに対応するため、午後七時以降まで開所する場合、都独自に整備費の補助率を引き上げ、区市町村の負担軽減を図っております。
また、平成二十二年度に民間事業者が運営するクラブを対象に、午後七時以降までの開所等を条件に、運営費を補助する都型学童クラブ事業を開始。昨年度の補助実績は二十区市、二百八十五カ所でございます。
○桐山委員 都型学童クラブの補助運営費につきましては、これは民間の事業者ということが対象になっていると思います。また、東京都のどこの学童保育所でも、保護者が労働時間と通勤時間を考慮した開所時間が設定される施策になるよう、ぜひ今後ともお取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
次ですけれども、支援制度では、国は省令基準で、指導員の資格、放課後児童支援員と員数に応じて従うべき基準を示しまして、学童保育には、放課後児童支援員を置かなければならないとしました。その支援員数は、支援の単位ごとに二人以上置くことが義務づけられました。
放課後児童支援員の資格は、都道府県が実施する放課後児童支援員都道府県認定資格研修を受講し、修了することが必要とされております。この研修は、平成三十二年三月末までに、現在学童で働いている指導員に順次受講してもらい、経過措置が切れるまでに、開所時間を通じて常時一人は放課後児童支援員がいる状況を確保できるようにしなければならなくなっております。
この研修の狙いはどんなもので、放課後児童支援員認定資格研修のこれまでの実施状況等がわかりましたら、お教えいただきたいというふうに思います。
○松山少子社会対策部長 児童福祉法の改正により、平成二十七年度から学童クラブに配置することとなった放課後児童支援員は、新たに制度化された全国共通の認定資格であり、資格を取得するためには、都道府県が実施する研修を修了することが必要となっております。
都では、この放課後児童支援員認定資格研修を二十七年度から実施しており、研修修了者は、二十七年度が千百八十八名、二十八年度が二千四百七十名、今年度は募集定員三千六百名の規模で現在実施しております。
○桐山委員 東京都では八千人を超える指導員がおりまして、子供たちの放課後を守っております。けれども、各施設においては、指導員は支援の単位ごとに二人以上という規定による弊害で、余裕ある人員配置がなされている施設はほとんどないというふうに伺っております。
ただでさえ厳しい環境の中で働いておりまして、研修を受講するのは、受講する指導員も、受講者の留守を引き受ける指導員にとっても大変なものであるということは想像ができます。経過措置の期限までに、全ての指導員が研修を履修できないのではないかとの危惧も聞こえてくるところでございます。
そこで、研修の受講のために現場が手薄になることにつきましては、研修実施主体の東京都がしっかりと支援をしていく必要があると考えますが、その取り組み状況についてお伺いをいたします。
○松山少子社会対策部長 放課後児童支援員認定資格研修は、四日間の研修カリキュラムとなっており、今年度は十二回開催いたします。
学童クラブに従事する職員が身近な地域で研修を受講できるよう、十二回の研修を都内のさまざまな地域に分散して開催するほか、学童クラブの開所時間にも配慮し、うち二回は午前中のみ八日間の研修日程で実施いたしております。
また、職員が研修に参加した場合の経費や、研修参加者の代替職員を雇い上げた場合の経費については、運営費補助の対象となっております。
○桐山委員 学童保育で子供たちの命を預かり、安全・安心な生活の場をつくる指導員の役割が重要なものであることはいうまでもありませんけれども、しかしながら、土曜日と三期休業中以外は、学校の放課後の時間帯という運営時間の短さから、多くの学童保育の現場では、午後からの出勤で慌ただしく準備をし、子供たちを迎えるといった状況だということでございます。
就業時間の関係から、多くの現場で、非正規、非常勤である就労ということになっておりますので、新制度におきましては、常勤の考えも示されております。不安定な雇用、劣悪な状況で働く指導員の処遇改善など、積極的に取り組みまして、指導員の確保に苦慮する現状に歯どめをかけなければならないのかなというふうにも思っております。
今後とも、学童保育についてもさらなる取り組みを要望いたしまして、学童の質問は終わります。
最後に、国民健康保険の広域化について質問をさせていただきます。
和泉副委員長の方から、国保の--今後、この広域化に伴いまして、区市町村の役割、東京都の役割がどのように変わっていくのかということにつきましてはご答弁をいただいておりますので、その質問は割愛をさせていただきたいというふうに思います。
二番目に行きますけれども、東京都と区市町村の役割が大きく変わっていく中で、新たな制度を円滑にスタートしていくためにも、区市町村との十分な調整が必要であるというふうに考えております。
この間、東京都と区市町村との協議をどのように進めてこられたのか、伺います。
○本多地域保健担当部長 都は、改正法が成立した平成二十七年度以降、都、区市町村及び関係団体の代表から成る国保連携会議をこれまで十一回開催いたしまして、三十年度からの新制度の円滑な実施に向け協議を重ねてまいりました。
連携会議では、主に、納付金、標準保険料率の算定方法や、東京における統一的な国保事業運営の方針として策定する国保運営方針について検討を行ってまいりました。
運営方針につきましては、連携会議での協議を踏まえて取りまとめた素案に対し、改めて法に基づく区市町村への意見聴取を行い、現在、意見を反映した最終案をまとめているところでございます。
○桐山委員 区市町村といたしましては、東京都から示されます標準保険料がどの程度になるのかということを大変注目されております。納付金や標準保険料率につきましては、スケジュールでいきますといつごろ明らかになるのか、ぜひお教えいただきたいというふうに思います。
○本多地域保健担当部長 平成三十年度の納付金等の算定につきましては、先日、国から都道府県に対し、算定に用いる仮係数が提示されたところでございます。
現在、この仮係数に基づいて、三十年度の区市町村ごとの納付金額及び標準保険料率の算定作業を行っており、十一月下旬には、国保運営協議会を開催し、算定結果を報告いたします。
さらに、国が診療報酬改定等を反映して十二月下旬に提示する本係数に基づいて、三十年度の納付金等の確定額を算定し、来年一月に区市町村に示す予定でございます。
○桐山委員 国保の運営方針について伺います。
今後、東京都と区市町村が一体となりまして、ともに国保事業を進めていくために、基本方針として大変重要なものになります。
そこで、運営方針にはどのような内容が盛り込まれるのか、伺います。
○本多地域保健担当部長 改正国保法により、運営方針には、必須事項として、国保の医療費及び財政の見通し、標準的な保険料の算定方法、区市町村における保険料の適正な徴収や保険給付の適正な実施に関する事項を定めることとされております。
また、これらの必須事項のほか、特定健診、特定保健指導等の保健事業を初めとする医療費適正化の取り組みや、区市町村が担う事務の広域化、効率化の取り組み等についても、任意事項として記載することとされております。
都の運営方針には、これらの事項を全て盛り込む予定でございます。
○桐山委員 運営方針には、保健事業等医療費の適正化の取り組みの推進ということが盛り込まれる予定だというご答弁をいただいたところです。
これまでも、区市町村が国保の保険者の責務として、平成二十年の医療制度改革から生活習慣病、メタボリックシンドロームに特化した特定健診事業を行ってきております。引き続き、健診及び糖尿病の重症化予防等の取り組みなど、大変重要だと感じております。
そこで、来年度から、区市町村とともに国保事業を運営していく都として、区市町村の取り組みをどのように支援をしていくのか、お伺いします。
○本多地域保健担当部長 被保険者の健康の保持増進等に取り組み、医療費の適正化を図ることは、保険者の重要な役割でございます。
国は、保険者努力支援制度を創設し、糖尿病の重症化予防などの医療費適正化に向けた区市町村の取り組みを財政面で支援することとしております。
都は現在、特定健診や特定保健指導を積極的に実施する区市町村に対し、都調整交付金による支援を行っており、今後も、特定健診等の実施率を向上させるため、好事例を紹介するとともに、都繰入金を活用して区市町村を支援してまいります。
また、糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し、医師会等と連携のもと、区市町村における重症化予防の取り組みを支援してまいります。
○桐山委員 ありがとうございました。この都道府県への移管というものは、慢性的な赤字を抱える国保運営を広域化することによりまして財政基盤を安定させるのが狙いともいわれているようでございますけれども、一方で、厚生労働省の理想は、都道府県が主導し、医療費がかかっている区市町村に医療費削減の努力を促し、特定健診事業の受診率を向上させる努力などを評価するといった方向で調整されているともいわれております。
健康づくりといたしましては、保険者に特定健診や受診率、糖尿病重症化予防などのインセンティブの強化として、国は、保険者努力支援制度を新設するなど、財政的な拡充を予定しているとのことでございます。
改めて、区市町村が健診の受診率を上げまして、また、レセプトなどの分析をしっかりする中で事務執行できるような、各市区町村への支援も引き続きお願いをしたいということで、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○岡本委員 私からは、受動喫煙対策、禁煙治療、自殺対策、それから、ぜんそく患者への大気汚染医療費助成、ハンセン病啓発についてお伺いをさせていただきます。皆様、長時間にわたり、お疲れさまでございます。
では、受動喫煙対策について、まず入らせていただきます。
我が国を含む世界百八十一カ国が締約しているたばこ規制枠組み条約、通称FCTCと呼ばれますが、この条約は、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されているとの認識を前文に掲げ、たばこの使用、たばこの消費を減少させること、たばこの煙にさらされることを減少させることを目的としています。
これを踏まえて、都の受動喫煙対策及びたばこ対策について質疑をさせていただきます。
去る十月五日の都議会本会議において、東京都子どもを受動喫煙から守る条例が可決、成立したところであります。その第四条に都の責務を定め、第八条及び第九条において、子供の受動喫煙を防止するため、都が啓発を講ずべきこと、都が教育のために必要な施策を講ずべきことを規定させていただきました。
これについては、先ほど古城委員からの質疑がありましたので、重複する質疑は割愛させていただきます。
今後の都の取り組みとして、普及啓発の方法を具体的にお考えであるということをご答弁いただきました。一部の区においては、既に子供が生まれたご両親向けに受動喫煙の有害性や禁煙支援、禁煙治療に関して普及啓発のパンフレットを出している区もあります。ぜひ、そうしたものも参考にしつつ、効果的な啓発をお願いしたいと思います。
次に、東京都子どもを受動喫煙から守る条例の第七条は、保護者は、家庭等の外においても、受動喫煙を防止する措置が講じられていない施設または喫煙専用室その他の喫煙の用に供する場所に、子供を立ち入らせないよう努めなければならないと規定し、対象は保護者となっています。
ただ、飲食店等におきましても、今後ご協力をいただいて、保護者を飲食店の喫煙席へ案内しない、あるいは禁煙席へと案内するなどのキャンペーンを行っていただきたいと、そのように考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
○矢内保健政策部長 都では、東京都子どもを受動喫煙から守る条例の施行に向けて、その趣旨や目的を、都民だけではなく、飲食店や医療機関などにも周知を図ってまいります。
特に、子供連れなどが訪れる機会が多い飲食店に対しては、受動喫煙防止対策研修会や、飲食店における店頭表示貼付率向上事業を活用いたしまして、理解促進に努めてまいります。
○岡本委員 ありがとうございます。また、都が既にパブコメを行い、今後提案予定の飲食店や職場を対象に含む罰則つきの条例案にも期待をしております。
次に、我々議員提案の条例の制定に際して、我々も意見公募やヒアリングを行いました。その中で、都民の声を直接お伺いいたしました。そうした声の中で、路上喫煙の対策を東京都で講じてほしいというものが複数ございました。
特に、現在、各区や市によって条例がまちまちで、都外から東京に来た方や海外から来た方には、どの区がどういう条例なのかということを理解するのが難しいという声も上がっております。
東京都で統一の路上禁煙のルールをつくってほしいといった要望もありましたが、なかなか難しい面があるということも理解しております。
都において、まずできることとして、各区市町村の路上喫煙対策の状況を、例えば比較一覧できるような形で周知すべきだと思いますが、都の見解を伺います。
○矢内保健政策部長 区市町村の路上喫煙や歩きたばこに関する条例は、住民の健康保持や喫煙マナーの向上だけではなく、環境美化など、総合的な観点から制定されているものと理解いたしております。
また、区市町村における条例は、交通事情や人口、自然環境など、地域の特性を踏まえ、独自の対策を定めているものでございます。
今後、こうした区市町村の取り組みを都のホームページに掲載し、周知を図ってまいります。
○岡本委員 ありがとうございます。
次に、禁煙治療の推進について質問をさせていただきます。
厚生労働省健康局長が各都道府県知事などに宛てた平成二十二年二月二十五日付通知及び平成二十四年十月二十九日付通知では、特に健康被害を受けやすい乳幼児の家庭内受動喫煙防止のために、妊婦健診や両親教室などさまざまな機会を捉えて、禁煙とその継続を図るよう啓発するとされています。
また、このたびの東京都子どもを受動喫煙から守る条例第十二条においても、都は、子供の受動喫煙を防止するため、受動喫煙の有害性、禁煙の効果及び禁煙治療に関する知識の普及啓発を講ずるものとすると定めております。
これらは受動喫煙の抜本的な解決策として、喫煙される方に禁煙を促す情報等を提供するという考え方が示されております。
そこで、禁煙治療に関する点について質問させていただきます。
区市町村によっては、禁煙治療の外来治療費を助成する事業を行っている区市もございます。それから、禁煙外来のマップをリーフレットとして配布している区市もあります。こうした区市町村の禁煙治療の支援を都でも積極的に促し、後押しをしていくべきであると考えております。
そして、これについても、各市区町村の取り組みが比較一覧できるような形で、都が発信するのがよいと考えますが、都の見解を伺います。
○矢内保健政策部長 都はこれまで、区市町村や医療保険者などに対して、禁煙希望者向けのリーフレットを配布するとともに、ニコチン依存症治療に保険が適用される医療機関のリストをホームページに掲載するなどの取り組みを進めてまいりました。
また、区市町村では、禁煙教室や禁煙相談電話等の取り組みにより、禁煙希望者を支援しております。
今後は、禁煙希望者がさまざまな取り組みを活用できるよう、区市町村の支援内容も都のホームページに掲載し、禁煙希望者を支援してまいります。
○岡本委員 ありがとうございます。
では、次に、自殺対策について質疑に入らせていただきます。
平成十八年の自殺対策基本法の制定から十年が経過し、自殺者数は減少傾向にあるものの、都内において年間約二千人以上の命が自殺により失われています。
そこで、都における自殺総合対策の取り組みについてお伺いいたします。
○矢内保健政策部長 都は、平成十九年に、行政機関や民間団体、有識者から成る自殺総合対策東京会議を設置し、普及啓発や若年層対策、遺族支援などに取り組むとともに、区市町村や民間団体の活動を支援してまいりました。
また、平成二十九年四月に、東京都地域自殺対策推進センターを設置し、区市町村において地域の状況に応じた自殺対策が推進されるよう支援しております。
今年度からは、自殺対策の基本方針や今後の施策を盛り込んだ都道府県自殺対策計画の策定に向けた検討も行っております。
○岡本委員 ありがとうございます。
自殺者の年齢構成割合では、東京都の三十歳代以下の割合が全国より高くなっております。
そこで、都における若者に対する自殺予防の取り組みについてお伺いいたします。
○矢内保健政策部長 都は、若年層への支援を自殺対策における重点施策として、若者向け相談窓口案内リーフレットを作成し、区市町村を通じて配布するとともに、パソコンやスマートフォンを利用して情報収集する若者が多いことから、若年層向けホームページ、東京都こころといのちのほっとナビ、ここナビを開設しております。
また、自殺問題に対する理解促進を目的として毎年実施している自殺防止東京キャンペーンでは、若者みずから自殺予防について考えてもらえるよう、大学生とともに企画運営した講演会を開催しております。
さらに、区市町村連絡会において、若年層対策の先行事例や民間団体の取り組みを紹介するなど、東京都地域自殺対策強化交付金の活用を促進し、区市町村の取り組みを支援しております。
○岡本委員 けさのニュースで、神奈川県座間市で、十代、二十代を含む九人の遺体が発見された事件で、被疑者がSNS、ツイッター上で自殺志願者を探して接触していたという報道もなされています。
十代、二十代の若者がSNSで自殺願望について発信しているという実情があるということです。こうしたインターネット上のソーシャルネットワーキングサービスの状況も踏まえて、対策を検討していただきたいと思います。
また、希望の持てる社会をより実現していけるよう、私も取り組んでまいりたいと考えております。
次に、大気汚染医療費助成についての質問に移らせていただきます。
ぜんそく患者への大気汚染医療費助成制度は、来年度、すなわち平成三十年四月一日から変更になるものと認識しております。
まず、前提として、制度創設から現在までの大気汚染医療費助成制度の経緯についてお伺いをしたいと存じます。
○古賀事業推進担当部長 都は、昭和四十七年から、年少者の重症化防止の観点から独自に小児に対する大気汚染医療費助成を実施しております。
その後、平成十九年の東京大気汚染訴訟の和解を受け、和解関係者からの拠出金をもとに、平成二十年八月より、気管支ぜんそくの対象年齢を全年齢に拡大いたしました。
和解に基づく医療費助成制度は、和解条項により、制度創設後五年を経過した時点で見直すこととなっており、平成二十六年度に条例を改正し、十八歳以上の患者の方については、新規認定を終了いたしました。
都は、制度を創設した責任を果たすため、既に認定された十八歳以上の患者の方への医療費の助成は継続することとし、平成二十七年度から三年間は経過措置として、医療費の全額を助成しておりまして、今年度末で経過措置が終了いたします。
○岡本委員 では、次に、来年度から大気汚染医療費助成制度はどのように変わるのか、その内容についてお伺いしたいと存じます。
○古賀事業推進担当部長 平成二十六年度の制度改正により、平成三十年四月一日以降の診療分から、現在認定を受けている成人の患者に対して、一部自己負担制度を導入することとなっております。
都が和解で負担することとしました三分の一に相当する財源をもとに、月額の自己負担限度額は六千円とし、その限度額を超える部分を全額助成いたします。
この自己負担額上限額は、これまでの助成実績や他の医療費助成制度との均衡を踏まえて設定したものでございます。
○岡本委員 ただいまのご答弁で変更内容についてはわかりました。
この制度変更に至った理由についてお伺いをしたいと存じます。
○古賀事業推進担当部長 東京大気汚染訴訟における東京高裁の和解勧告を受け、過去の大気汚染による健康被害者の救済措置といたしまして、平成二十年八月に医療費助成制度を創設し、和解条項に基づく見直し時期を迎えたことから、平成二十五年度から検証を行いました。
検証の結果、訴訟の争点となった大気汚染物質の濃度は、都内のほぼ全ての測定局で環境基準を達成したこと、和解関係者の拠出による財源は、平成二十六年度でほぼ使い切り、新たな財源拠出は困難なことなどから、和解条項に基づいて創設した十八歳以上の患者への新規認定を平成二十六年度末で終了いたしました。
同時に、都は、制度を創設した立場といたしまして、その責任を果たすため、既に認定された十八歳以上の患者の方への医療費の助成は継続することといたしまして、平成二十七年度から三年間の経過措置を設け、経過措置終了後は、都が和解で負担することとした三分の一に相当する財源をもとに、自己負担限度額を超える部分を全額助成するよう、平成二十六年度に制度改正を行ったものでございます。
○岡本委員 患者の方々にとっては大きな制度変更となりますので、混乱が生じないよう、周知等丁寧に行っていただければと思います。
次に、ハンセン病の啓発について移らせていただきます。
私は、弁護士会の委員として、司法修習生にハンセン病問題の修習プログラムを用意し、多磨全生園のハンセン病資料館に司法修習生を引率するという役割を数年来行ってまいりました。
ハンセン病は感染力が極めて弱い病気で、最初に法律を制定した一九〇七年、明治四十年当時からわかっていたことでした。国も、帝国議会の答弁でこれを認めています。
しかし、一九三一年、昭和六年制定、癩予防法において、民族浄化、無らい日本を旗印に、全ての患者を根こそぎ収容し、強制隔離する政策が展開されました。各県の衛生当局と警察は、患者を探し出し、療養所に送り込みました。こうしてハンセン病患者は、家族を含めて、地域から強固な差別に遭いました。
さらに、戦後、新憲法が制定され、基本的人権がうたわれたにもかかわらず、癩予防法は存続しました。
一九四三年、昭和十八年のプロミン開発以後、欧米を中心とする各国においては、早期治療、開放外来治療政策が推奨されました。
そして、一九五三年、昭和二十八年、治療法も確立しつつあったにもかかわらず、日本は、強制隔離政策を永続固定化するらい予防法を、患者の猛反対を押し切って制定しました。これにより、多くの患者がさまざまな人権侵害を受けました。
収容された施設は、療養所とは名ばかりで、苛酷な強制労働、懲戒検束、さらには子供をつくれないようにする断種手術や堕胎など、筆舌に尽くしがたい行為が日常的に行われました。
我が国は、強制隔離政策を定めたらい予防法を一九九六年三月まで廃止しませんでした。らい予防法の廃止後、らい予防法違憲国家賠償請求訴訟が提起され、平成十三年、熊本地裁で原告勝訴の判決が下されました。小泉内閣総理大臣が患者と元患者に謝罪し、控訴を行わないという異例の画期的な判断がなされました。
ハンセン病問題は、我々に多くのことを問題提起し、気づかせてくれます。我が国の政府が一旦誤った政策決定をした場合に、それを容易に変更せず、政策変更に余りに長い年月がかかったということ、人権に対する配慮が乏しかったということ、また、私たち国民の無関心や無知も偏見や差別を助長することにつながったということも指摘されています。
ハンセン病の問題のみならず、さまざまな社会の偏見や差別をなくすには、正しい知識を持つことが重要であるということに気づかされます。
そこで、ハンセン病問題について、東京都が行っている普及啓発の取り組み内容についてお伺いをしたいと存じます。
○吉田感染症危機管理担当部長 ハンセン病は、感染力が弱く、発病もまれで、発病した場合でも、適切な治療により治癒する病気とされているにもかかわらず、かつてのらい予防法を中心とする国の隔離政策により、長年にわたりハンセン病患者、家族の方々の尊厳を傷つけ、多くの痛みと苦しみを与えてきました。
ハンセン病の患者であった方等に対する偏見と差別のない社会の実現に向けて、真摯に取り組んでいく必要がございます。
都は、取り組みの一環といたしまして、ハンセン病に対する正しい知識の普及を図るため、毎年、らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日でございます六月二十二日を中心に、ハンセン病問題を題材といたしましたパネルの展示や映画の上映を行う行事を都庁で開催してございます。
○岡本委員 ありがとうございます。パネル展示や映画の上映を行っているということでした。
これらの行事の過去三カ年の実績についてお伺いをしたいと存じます。
○吉田感染症危機管理担当部長 まず、パネル展示でございますが、ハンセン病問題について、その歴史や背景、近年の動向などを解説したパネルを都庁第一本庁舎一階の展示スペースに設置し、都庁を訪れる多くの方々にごらんいただいております。
また、映画につきましては、ハンセン病療養所に入所していた元患者が受けた差別や偏見を題材にいたしました作品を上映いたしまして、平成二十七年度は約百名、平成二十八年度は約二百五十名、平成二十九年度は約二百名の方にご来場いただいております。
また、映画上映後に実施いたしましたアンケートでは、ハンセン病の理解と啓発活動が必要であると感じた、ハンセン病の歴史を知る上で貴重な企画であり、若い人にもぜひ関心を持ってほしい、また、人の意見を、意識を変えることは大変なことだが、この取り組みを通じて少しずつ変えていけると思うなどの声が寄せられているところでございます。
○岡本委員 ありがとうございました。今後も引き続き、偏見や差別のない社会の実現に向けて啓発に取り組んでいただくようお願いを申し上げます。
以上で私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時五十二分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.