厚生委員会速記録第十号

平成二十八年十月六日(木曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長斉藤やすひろ君
副委員長栗山 欽行君
副委員長両角みのる君
理事高倉 良生君
理事早坂 義弘君
理事山加 朱美君
和泉なおみ君
和泉 武彦君
島田 幸成君
小宮あんり君
小山くにひこ君
畔上三和子君
小磯 善彦君
野島 善司君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長理事兼務山岸 徳男君
技監笹井 敬子君
総務部長後藤 啓志君
指導監査部長松浦 慎司君
医療政策部長西山 智之君
保健政策部長上田  隆君
生活福祉部長坂本 尚史君
高齢社会対策部長西村 信一君
少子社会対策部長松山 祐一君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長小林 幸男君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務奈良部瑞枝君
事業推進担当部長古賀 元浩君
医療改革推進担当部長成田 友代君
医療政策担当部長矢沢 知子君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長高橋 博則君
施設調整担当部長村田 由佳君
子供・子育て施策推進担当部長横手裕三子君
障害者医療担当部長平賀 正司君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長矢内真理子君
病院経営本部本部長内藤  淳君
経営企画部長矢田部裕文君
サービス推進部長谷田  治君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務大久保達也君

本日の会議に付した事件
意見書について
病院経営本部関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十二号議案 平成二十八年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 福祉保健局所管分
・第百六十二号議案 東京都民生委員定数条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・東京都東村山ナーシングホームの民設民営施設への転換(介護老人保健施設)について
・平成二十七年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について

○斉藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○斉藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、病院経営本部長から幹部職員の紹介があります。

○内藤病院経営本部長 過日の厚生委員会におきまして、所用のため欠席いたしておりました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 サービス推進部長の谷田治でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○斉藤委員長 紹介は終わりました。

○斉藤委員長 報告事項に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 先日の委員会で、平成二十七年度の都立病院の私債権放棄について報告を受けました。
 私債権放棄とは、病院を受診した患者さんが何らかの理由で支払わなかった医療費などについて、病院でさまざまな手段で徴収を試みたものの実質的に回収が不能だとして債権の放棄を行うものであります。
 件数にして、一千二百件と大変多うございますが、これらの債権放棄が適正に行われているのかどうかについてその前段階である未収金対策とあわせて伺ってまいります。
 まず、都立病院が有する未収金額の総額と残高の推移及び未収金発生の背景、理由についてお伺いいたします。

○谷田サービス推進部長 都立病院における過年度未収金の残高は、平成二十七年度末で、九億八千二百七十六万円でございます。
 これは平成二十二年度末の残高、十一億八千四百二十八万円と比較いたしまして、二億百五十二万円の減少となっております。
 未収金発生の理由といたしましては、過去の調査によると、救急で受診したため持ち合わせがないなどの所持金不足が二五・六%で一番多く、次いで保険証忘れが一八・九%、生活保護など公的助成の申請中が一八・四%となっております。

○早坂委員 今の報告には、二つの見方がございます。
 一つは、五年間で未収金の残高が二億円以上圧縮されたという見方、もう一つはまだ十億円近く残っているという見方、この二つでございます。
 それに加えて、これからも毎年また新たに発生する分もあると思われます。未収金対策の取り組みは着実には進んでいるものの、まだ途上でございまして、今後さらに努力が必要であると考えます。
 そこで、次は具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
 医療費の未払いが確認された場合、まず病院自身で回収に取り組むとともに、一部は病院経営本部でも対応するほか、外部委託も行っているというふうに承知をいたしております。
 各病院では、どのような回収の取り組みを行っているのか伺います。

○谷田サービス推進部長 未収金の回収に当たりましては、時間が経過するほど回収が困難となることから、早期の対応が非常に重要でございます。こうした観点から、都立病院では、さまざまな取り組みを順次進めてまいりました。
 まず、平成二十三年度から、未収金の専任職員を広尾、墨東、多摩総合の三病院にそれぞれ一名、新たに配置いたしました。その後、順次、全病院に拡大するなど体制強化を図ってきたところでございます。
 また、全病院共通の業務フローを策定いたしまして、未収が確認された時点で、迅速に電話や文書で催告を実施するなど早期着手を徹底しております。
 連絡がとれた患者さんに対しては、個々の生活状況に配慮しながら納付のお願いをする一方で、交渉に全く応じないなど、病院では対応が困難な案件につきましては、弁護士に納付交渉を委任しております。
 さらに、病院経営本部におきましても、困難案件を引き継いでおりまして、支払い能力が認められるにもかかわらず、支払いを拒否するなど悪質な案件に対しまして支払い督促や強制執行などの法的措置を講じております。

○早坂委員 未収金専門職員の配置から始まって弁護士の活用や強制執行など、さまざまな手段によって回収を試みているとのことでございます。
 患者さんによっては、経済的に余裕がなくて全額払えない、支払いたくても払えないという方もいらっしゃるでしょうから、一律の対応ではなくて、例えば、分割払いでお願いをするなど、ぜひきめ細やかな対応をお願いしたいと存じます。
 病院経営の面からも患者負担の公平性の観点からも、回収努力を続けることが極めて重要です。
 しかし、一方で、見込みのない案件にいつまでも時間とお金と労力を注ぎ続けることは効率的ではありません。債権放棄は、この二つの観点を勘案しながら判断していくことが重要であります。
 債権放棄はどのような判断に基づき、どのような手続を経て実行されるのか伺います。

○谷田サービス推進部長 債権放棄は、平成二十年度に施行されました東京都債権管理条例に基づき、最大限の徴収努力を尽くしてもなお回収不能となった債権について、一定の条件のもと欠損処理を行うものでございます。
 具体的には、相当程度の徴収努力が行われている、民法で定める消滅時効の期間が経過している、徴収努力を踏まえ実質的に回収が不能であるなどの要件を全て満たしているものについて、財務局及び主税局との協議の上、債権放棄を決定しているものでございます。

○早坂委員 債権放棄は条例に基づいて、一方で相当程度の徴収努力、他方で実質的に回収不能など公平性と効率性の観点を勘案した判断基準にのっとり処理されているんだろうと考えます。
 このような要件を念頭に、各病院では未収金の回収を試みながらも債権放棄するかを見きわめ、その手続を進めているんだろうと思います。
 そこで、これまでの債権放棄の実績について伺います。

○谷田サービス推進部長 条例施行後、都立病院として初めて債権放棄を行った平成二十二年度は、合計六件で金額は百五十四万円でございました。
 これに対し、直近の平成二十七年度は、合計一千二百十三件で、金額は五千七百五十二万円であり、二十六年度末に比べますと、件数で四百十五件、金額で一千五百五十二万円の増加となっております。
 実績が大幅に増加した理由としましては、専門職員の配置等により各病院における債権放棄の手続が進展したためと考えております。

○早坂委員 六年前の二十二年度と比較すると、債権放棄は件数も金額も驚くほど増加をしておりますが、いうまでもなく未収金は、提供された医療サービスの対価として、患者さんにお払いいただくことが原則です。安易に放棄を行うべきではありません。
 しかし、患者さんとも連絡がとれず住所もわからないなど、やむを得ない場合もあると思いますので、先ほど答弁された要件を厳密に守った上で、放棄手続を行っていただきたいと思います。
 これまでの取り組み実績も踏まえ、今後都立病院として、どのように未収金対策に取り組んでいくのか伺います。

○谷田サービス推進部長 高齢社会を迎え、国民医療費が四十兆円を超える中で、診療報酬の抑制基調が続くなど医療を取り巻く環境は依然として厳しい状況にございます。
 こうしたことから、未収金対策は病院経営上、非常に重要な課題となっております。
 各都立病院と病院経営本部は、これまで緊密な連携をとりながらさまざまな手段を駆使した回収努力や適切な判断に基づく債権放棄などを継続して行ってまいりました。
 こうした取り組み強化が実を結び、未収金の残高が平成二十七年度末で十億円を切るなど、未収金対策は確実に進んでいるものと認識しております。
 今後は高額な案件を中心に、より発生防止に力点を置きつつ、引き続き適正な債権管理に努め各都立病院の経営の健全化に努めてまいります。

○早坂委員 未収金はできるだけ発生させず、速やかに回収を行う必要があります。
 病院では、救急搬送された方や経済的に困窮している方、あるいはさまざまな国籍の外国人の方など、生活背景がそれぞれ異なる患者さんを日々受け入れていることと思います。そうした方々に対しても、ひとしく医療を提供していくことは、都立病院として重要な役割です。
 未収金回収と債権放棄は表裏一体の関係です。先ほども申し上げたとおり、まずは、回収を第一に考えるべきです。
 一人一人に納付のお願いをするなど、非常に地道な取り組みではございますが、各病院、そして病院経営本部、場合によっては外部の専門家の知見も活用しながら、今後も回収の努力を継続していただきたいと存じます。ありがとうございました。

○高倉委員 私債権の放棄につきまして、特に外国人患者の未収金対策ということについて、お伺いをいたしたいと思います。
 私どもも、例えば、海外に観光に行ったりしたときに、現地の医療制度はどうなっているのかとか、それから、こういう治療を受けたときには、どれぐらいの医療費が請求されるのかとか、あるいは当然ながら、持参しているお金も限られている、また、あるいは医療費の支払いにクレジットカードが本当に使えるのかどうかとか、そういった情報を余り持ち合わせていないまま、行ったりすることもあるわけですよね。
 そういう場合に、現地でお医者さんにかかるということになったときには、予想もしていないような状況があるということは、これは容易に想定をされるわけであります。
 今、日本に、そして東京に来る外国人観光客が非常にふえてきております。そして、二〇二〇年には、東京でオリンピック・パラリンピック大会が開催をされるということで、当然ながら、外国人の方々が日本に来る、これは非常に増加をするということが想定をされるわけであります。
 したがいまして、日本に来たときに、ぜひ元気でお帰りになっていただきたいというふうには思いますけれども、やはりどうしても不慮の事故あるいは病気にかかる、こういった方々も出てくるというふうに思うわけであります。
 そうしたことから考えますと、外国人の方々が都立病院で受診をされる、こうした中で、未収金が、やはり一定程度発生をしてしまうといったことは、やむを得ない部分はあるわけでありますけれども、いずれにしても、この問題についても、大変重要な課題として取り組んでいく必要があろうかと思っています。
 まず初めに、都立病院における外国人患者の占める割合、どのくらいであるのかお伺いしたいと思います。

○谷田サービス推進部長 平成二十六年一月に、全都立病院において実施した外国人患者受け入れ実態調査によりますと、都立病院全体での外国人の受診割合は、一・〇%でございました。病院別に見ますと、外国人の割合が最も多い病院は広尾病院で、三・二%となってございます。
 また、都立病院全体で、国籍別に見ますと、中国、フィリピン、韓国、アメリカの順で多くなっておりまして、この四カ国で四二%を占めております。

○高倉委員 今、ご説明をいただきましたけれども、全体では一%、それから、一番多い病院が広尾病院という、今、お話がありましたけれども、これは三%程度。割合から見るとわずかなような感じがいたしますけれども、そもそも都立病院全体で、日々受診をされる方の数は、これはもう大変な数でありまして、そういうところからすると、やはり一定数、外国人の患者さんがいらっしゃるということだというふうに思います。
 そこで、さらにお伺いしますが、この未収金に占める外国人患者の割合及び未収となる理由についてご説明をいただきたいと思います。

○谷田サービス推進部長 未収金全体に占める外国人の未収金の割合は、平成二十七年度末時点で一六・〇%でございます。
 未収が発生する主な原因としましては、日本人患者と同様、保険証の不所持や所持金不足などのほか、旅行客が旅行保険に未加入だった場合などが挙げられます。
 また、在留資格を持たない外国人の方に対しても診療を行っておりますが、こうした方は健康保険に加入できないために全額自費対応となり、未払い医療費が高額になるケースもございます。

○高倉委員 今の説明で、最初の質問に対する答弁で、患者さんに占める外国人の割合が一%から三%という話でありましたが、今、未収金に占める外国人の方の割合というのが一六%であると。
 これを見ますと、いわば、この人数ベースと金額のベースということで、単純な比較ということはできないかもしれませんけれども、やはり未収金の発生率としては、外国人の占める割合といいますか、それが非常に高い状況にあるんじゃないかなということが見てとれるわけであります。
 今、答弁にもありましたけれども、旅行保険あるいは健康保険が適用されないということになりますと、医療費は、いわば全額負担をするということになりますので、これが未収ということになりますと、それ自体が大変な金額になると。
 これは、ある意味では外国人特有の問題といっていいのかもしれないというふうに思います。いわゆる日本人の方々がかかる際の医療費に対する未収金、それから外国人の方々が、今、ご説明がありましたけれども、いわゆる保険が使えない状況の中での未収金といいますか、これがやはり随分、その状況も違うんだろうというふうに思います。
 外国人の患者の未収金で、高額になった具体的な事例について教えていただきたいと思います。

○谷田サービス推進部長 今回報告いたしました債権放棄において、外国人患者で一番高額な例といたしましては、女性の患者さんの未収金で約二百八十一万円でございました。
 当該患者さんは健康保険を持っていなかったため、自費での入院となりまして、退院後に一部入金はあったものの未払いのまま帰国し、帰国後の住所が不明となったものでございます。
 また、この方には保証人でもある日本人男性がいたため、当該男性にも長年請求を続けたものの高齢で無職であったため、支払うことが困難でございました。
 最終的には、男性側が時効の援用を行ったため、債権放棄を行ったものでございます。

○高倉委員 今、事例について説明があったわけであります。
 金額も三百万円近くということで、この金額は非常に高いというふうに見るのか--まあ実際に高いわけでありますけど、想像したときに、もっと高いのかなと思ったりする方もいれば、こういう金額なのかというふうに感想を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、いずれにしても、普通に考えれば、これは大変高い金額であるというふうに思います。
 当然ながらこうしたものが積み重なっていけば、病院経営上も大きな負担になるというふうに思うわけであります。
 また、今なかなかこれが回収できなかった理由として、帰国された後、行方が突きとめられないと。これも、いわゆる日本人の方が、あるいは都民が受診をされた場合の未収金の回収をしていくための環境とまたこれは、随分違うというような状況があるんだというふうに思われます。そして、したがって、こうした外国人の方々の未収金、この回収について、今後どう考えていくのかということになると思います。
 ただ、未収金は、しっかりと回収しなければならないということは当然のこととして、何でもかんでも厳しく取り立てるということではなくて、もしできることであれば、こういったことにならないように、できるだけ未然に、なるべくそういうことに陥らないようなことが事前に可能であるならば、こういった対策もしっかり講じていきながら、未収金対策に取り組んでいくということも、いわゆる単なる回収ということではなくて、未収金の対策としては大変に重要であるというふうに思っております。
 こうした未収金を発生させないようにするといったことについてのご見解をお伺いしたいと思います。

○谷田サービス推進部長 外国人患者で未収金が発生した場合は、日本人と同様に電話や文書による支払い催告を行っております。
 このため、保険証を持たない方については、パスポート等身分証を確認しているほか、必要に応じて区市町村や大使館に対し、外国人登録や本国の住所地等を照会するなど、連絡先の確実な把握に努めております。
 未収金を発生させないようにすることは、お話のとおり重要でございまして未収金発生防止のために患者支援センターや病棟、医事課の職員が緊密に連携いたしまして、問題を抱えた患者さんの早期発見に努め、高額療養費制度や難病医療費、生活保護など公的助成制度の紹介や相談につなげるなどの取り組みを進めております。
 また、診療費等のクレジットカードでの支払いを導入しておりまして、利用率は三割を超えているほか、診療終了時に全額を支払うことが困難な患者さんについては、猶予申請書を記載していただいたり、分割での納付をお願いするなどして未収金の発生防止に努めております。

○高倉委員 今、答弁をいただきまして、さまざまな対策に努力をされているということについては理解をさせていただきました。
 今、クレジットカードの支払いということもあって、これは都立病院の方で積極的にこの仕組みを導入されたということについては、私たちも評価を申し上げているところであります。
 ぜひ日本に来る外国の方々に対しても、都立病院においては、クレジットカードが普通に使えますよといったような情報も、ぜひ積極的に発信をしていただいて、それだけ安心が確保されるわけですから、こういったこともぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 日本人、外国人を問わずに患者に対するきめ細かなサービスの提供を行っていただきまして、ぜひ意思疎通も円滑に図っていく中で、発生の防止また回収率の向上というところにつなげていただきたいと思います。
 質問を終わります。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○斉藤委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十二号議案、平成二十八年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、福祉保健局所管分及び第百六十二号議案を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○後藤総務部長 去る九月二十六日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。資料が目次にございますように、全部で十項目となっておりますけれども、このうち付託議案に関して要求がございましたのは、1から3までの三項目でございます。
 一ページをお開き願います。待機児童解消区市町村支援事業の実績といたしまして、平成二十七年度の各事業の実績を、区市町村ごとに二ページにかけて記載してございます。
 三ページをごらんください。保育従事職員宿舎借り上げ支援事業の実績といたしまして、平成二十七年度の実績を区市町村ごとに記載してございます。
 四ページをお開き願います。平成二十七年四月一日現在の認可外保育施設数及び平成二十七年度の立入調査件数といたしまして、平成二十七年四月一日現在の認可外保育施設数、平成二十七年度の立入調査件数につきまして、総数とその内訳をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、付託議案につきまして要求のございました資料のご説明を申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 これより、ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○栗山委員 我が党は、これまでも待機児童解消に向け、さまざまな保育サービスの質を確保しつつ、大幅に拡充をするよう繰り返し求めてまいりました。
 第二回定例会代表質問、待機児解消策についての答弁では、副知事をトップとした関係局から成る検討チームでは、区市町村の状況や国の施策などを踏まえ、整備促進策、人材確保策、利用者支援策等を柱に検討を行うこととしており、夏までに新たな対策を取りまとめ、整備目標についても引き上げてまいりますと、こういう答弁を得ております。
 今回の補正予算は、こうした喫緊の課題を迅速に解決していくための対応の一つであり、都有地活用推進本部の設置も、その一環であると捉えております。
 まず、都有地活用推進本部についてお伺いをいたします。
 これまでも都は、保育の実施主体である区市町村に都有地の情報を提供し、保育所整備につなげてきたとのことでありますけれども、今後の区市町村への情報提供は、これまでの取り組みとどう違うのか、まずお伺いをいたします。

○後藤総務部長 東京都は、これまで普通財産の未利用地のうち、三百平方メートル以上の土地を対象といたしまして、年一回区市町村に情報提供してまいりました。
 今後は、多様かつ流動的な保育需要なども踏まえまして、情報提供の対象を百平方メートル以上の土地に拡大いたしますとともに、過去に提示いたしました土地も含めて、年四回きめ細かく情報提供していくこととしてございます。
 また、各局等が行政目的で使用いたします土地につきましても、改めて洗い出しを行いまして、活用可能性のある土地があれば、あわせて区市町村に情報提供してまいります。
 さらに、こうした土地の情報につきましては、その都度、ホームページで公開いたしまして、誰もがいつでも閲覧できるようにしてまいります。

○栗山委員 この都有地を都から区市町村に貸し付け、区市町村から民間事業者に転貸するという、新たに選択できるようになった貸付方法、これはどのようなメリットがあるのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

○後藤総務部長 東京都が直接、事業者に貸し付ける場合につきましては、東京都が主体となって事業化に取り組みまして、公募手続も東京都で行っておりましたため、区市町村の望む事業化のタイミングと必ずしも符合しないなどの区市町村にとって、都有地を活用しにくい状況もあったというふうに認識してございます。
 こうした中、一部の区市町村からは、都有地を活用した保育所の整備につきまして、みずから事業者の公募を行うなど、より積極的に関与したいというような声もあると聞いてございます。
 そこで、今後は区市町村の適切な関与を条件にいたしまして、事業者への転貸を前提とした区市町村への貸し付けを可能といたしました。
 これによりまして、区市町村が主体的に事業を組み立てることができますとともに、保育所の工事着工までの期間が短縮される可能性も高くなるというふうに考えてございます。

○栗山委員 続きまして、推進本部の取り組みについて、お伺いをいたしたいと思います。
 地元調整における支援やとうきょう保育ほうれんそうについては、どうなっているのでしょうか。保育整備のための地元支援は、どのようになされるのでしょうか。
 また、とうきょう保育ほうれんそうの事業は、どのような経緯をたどって保育所整備につながるのか、事業のスキームについてお伺いをいたしたいと思います。

○後藤総務部長 まず、地元調整におきます支援体制につきましてでございますけれども、東京都は、都有地を活用した保育所整備に向けた住民説明会など、区市町村の地元調整を随時サポートしていくことといたしました。
 今後、必要に応じまして、調整事務に精通いたしましたベテラン職員を非常勤職員として活用することも考えてございます。
 また、今回新たに設置いたしますとうきょう保育ほうれんそうについてでございますけれども、保育所の開設意向がある民間事業者が、都有地に関して問い合わせを行う際の窓口として設置することといたしたものでございます。
 具体的なスキームといたしましては、まず、都有地につきまして事業者から問い合わせがありましたらば、その都度、当該土地を所管する局に対して、保育所用地として活用可能なのかどうか速やかに照会をいたしまして、財務局などとも協議して検討していくこととしてございます。
 あわせて、該当する区市町村に対しまして、当該都有地における保育所整備の意向についても確認いたします。
 こうした結果につきましては、ほうれんそうの窓口から事業者あるいは関係区市町村等に改めて回答していくというような枠組みになってございます。

○栗山委員 都有地活用推進本部は都有地の情報提供、地元調整の支援、とうきょう保育ほうれんそうなど区市町村に対して、きめ細やかな、さまざまな支援を行っていくということでございます。
 これらは大変意義がございまして、ぜひとも強力に進めていただきたいと思いますが、用地確保に困っているのは、何も保育所だけではありません。
 特別養護老人ホーム等の高齢者施設や障害者施設なども対象にすべきであると、こう考えますけれども、いかがでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の都有地に関する取り組みでは、今お話いただきましたように、喫緊の課題である待機児童の解消に向け、都有地の情報提供の拡充や、とうきょう保育ほうれんそうの設置等を行うものでございます。
 都は、これまでも特別養護老人ホームや障害者グループホームなど、福祉インフラの整備を進めるため、未利用の都有地に関する情報を区市町村に提供してまいりました。
 高齢者施設や障害者施設を都有地活用推進本部の対象とするかどうかにつきましては、保育施設の取り組み実績や区市町村の意向なども聞きながら、今後、本部の中で対応を検討してまいりたいと思います。

○栗山委員 今まで都有地活用について質問してまいりましたけれども、民有地や空き家等の活用もまた重要であるというふうに思います。
 都は、区市町村を支援するために不動産事業者等と協議会を立ち上げ、物件情報の共有方法などを協議しておりますけれども、これまでより一歩進んだ、よい取り組みだろうというふうに思っております。
 ただ、こうした場を設けていけるのは、高齢者施設や障害者施設等にも活用すべきである、こう認識をいたします。これについて、どのような所見をお持ちでしょうか。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内で保育所を整備するに当たりましては、保育施設に適した物件の確保が課題となっております。
 そのために、都は不動産事業者や物件所有者の団体等と協議会を立ち上げまして、物件情報の共有、保育施設整備に関する情報提供の方法などについて検討するとともに、区市町村への協力を働きかけていくことといたしました。
 この協議会は、保育所を整備する区市町村や事業者を支援することを目的として設置するものですが、今後、協議会の運営の中で、区市町村のニーズや参画団体の意見も踏まえながら、対象施設の取り扱いについては検討してまいります。

○栗山委員 次に、規制改革についてお伺いをいたします。
 待機児問題を一刻も早く解消するには、補正予算による財政支援を中心とした対応策だけではなく、待機児解消策に向けた取り組みが加速できるような規制改革や税制改革を行っていくことも重要な手法であるというふうに捉えております。
 今回の緊急対策発表資料では、都は国に対して保育所の規制改革、税制改革を働きかけるとの記載がございますが、どのような内容の改革を働きかけていくのか、お伺いをいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 待機児童解消に関する規制改革の要望につきましては、保育所の規制改革や税制改正、育児休業制度の改革などを要望しております。
 保育所の規制改革、税制改正としては、認証保育所の制度化、小規模保育の年齢制限の撤廃、建築基準法に関する規定の緩和、民有地活用のための相続税や贈与税の非課税措置などを求めております。
 育児休業制度の改革としては、育児休業期間について、原則一歳までから二歳までに延長することや育児休業給付金の支給期間と支給額の充実を求めております。

○栗山委員 規制改革を、あたかも基準値の切り下げと捉える方もいらっしゃいますけれども、今、お話にございましたように、認証保育所を国制度に位置づけることは、従来からの要望でございますし、税制のインセンティブは、区市町村や事業者から要望が上がっているとお伺いをいたしております。
 いずれにしても、早期の改善、そして実現が求められるものというふうに思っております。
 さまざまな選択肢がある中で、どのような保育サービスを推進するかは、保育の実施主体である区市町村が決めるものであると、本来こういうものであるというふうに認識をいたしております。
 規制改革を区市町村の選択の幅を広げるツールとしていただきまして、多様な保育ニーズに柔軟に対応できる環境を整備していただければと思います。
 次に、待機児童解消に向けた区市町村との連携についてお伺いをいたします。
 都は先月、待機児解消に向けた緊急対策を取りまとめたところでございますが、まず、今回の緊急対策を策定するに至った経緯、特に、保育の実施主体である区市町村の抱える課題が、どこまで反映されているかについてお伺いをいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 平成二十八年四月現在の保育サービス利用児童数は、昨年から一万四千百九十二人増の二十六万一千七百五人でございます。
 一方で、待機児童数は昨年と比較して、六百五十二人増加し、八千四百六十六人でございます。
 こうした状況を踏まえまして、待機児童数の多い区市町村を中心に調査やヒアリングを実施し、実態の把握や現状の分析を実施しております。
 さらに、副知事をトップとした関係各局から成る検討チームを設置し、調査やヒアリングにより把握した区市町村の状況、国の施策などを踏まえ、検討を行い、緊急対策として取りまとめたものでございます。

○栗山委員 区市町村からのヒアリング、これは非常に重要な点だというふうに思っております。これからも精緻に情報を収集していただきながら、保育施策を進めていただきたいと思います。
 知事は、待機児問題が喫緊の課題であるとの認識のもと、都民ファーストの視点に立った上で、保育所等の整備促進、人材確保・定着、利用者支援の充実、この三つの柱で今回の緊急対策を取りまとめ、それに基づき、待機児解消に向けた取り組みの第一弾として、補正予算案を編成し、都議会へ提案すると、こういっておられました。
 保育の実施主体であります各区市町村が、その内容を十分に把握し活用していかなければ効果が上がらないと、こう思います。
 今回の緊急対策とそれを実現する補正予算の中身について、今後、区市町村にどのような周知を図っていくのか、お伺いをいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 今回の緊急対策は、区市町村が進める待機児童解消に向けた取り組みについて、さらなる支援を図るものであり、各区市町村が制度を十分に理解、活用して初めて効果が出るものと考えております。
 そのため特別区長会、市長会、福祉主管部長会、児童主管課長会などにおいて、緊急対策の内容を周知するとともに、補正予算の積極的な活用を促してまいります。

○栗山委員 しっかり丁寧な周知を図っていただきたいと思います。
 今回の緊急対策は、待機児解消に向けた取り組みの第一弾ということでございまして、今後、さらに進んだ取り組みが打ち出されるものというふうに認識をしてございます。
 緊急対策を超える待機児解消策に向けた取り組みをさらに進めていくためには、緊急対策等の取り組みへの区市町村の意見、要望を初め、地域の実情をより丁寧に酌み取った上で、平成二十九年度の予算等に反映していく必要があると捉えておりますけれども、いかがでございましょうか。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 待機児童解消に向けた取り組みを進めていくためには、保育の実施主体である区市町村の意見を十分に踏まえていくことが重要であることから、都と区市町村とが直接話し合う場を新たに設置することを予定しております。
 この場において、各区市町村と十分に意見交換を図り、地域の実情を把握、分析した上で、都としての新たな支援策を検討し、平成二十九年度予算案に反映してまいります。

○栗山委員 都の待機児解消問題というのは、状況が突然変化したように思えますけれども、実は都の保育施策は毎年八千人規模の待機児童が発生していると。こうした現状を踏まえて、長期的計画に基づいて、平成二十八年度予算として成立をしてきた、こういう経過をたどって今日に至っているというふうに、私は認識をいたしております。
 今回の緊急対策に掲げられた一万七千人という見通しも、事前の予測や区市町村との協議を経て、初めてはじき出されたものでありまして、今回、提出された補正予算の内容は、その一万七千人を達成するために、二十九年度でやるべきことを、やろうと思っていたことを前倒しをした、こういうことではないでしょうか。
 先ほどの答弁の中で、平成二十九年度の予算案は、各区市町村との意見交換を図り、地域の実情を把握、分析してとありましたけれども、都自身が平成二十九年度以降の保育施策をどう考えていくか、これが大きなポイントになるんだろうというふうに思っております。
 そこでということになりますけれども、将来的な保育施策をどう考えていくのかという都のスタンスを、局長自身の保育に対する思いとあわせてご答弁をいただければと思います。

○梶原福祉保健局長 私ども福祉保健局に今課せられているミッションというのは、早期に今ございます待機児童解消をするということが、子供施策において課せられた大きな課題、ミッションだというふうに思っております。
 こうした考えに立って、今回の緊急対策では、その第一弾として一万七千人分の保育サービスを整備すると。また、年内に作成する実行プランでは保護者のニーズ、あるいは区市町村の計画、事業者の声、さまざまな声を踏まえて、現在の保育サービスの利用率が、現在の四一%から五〇%に対応できるよう、四年間の整備目標を定めるということにしております。
 また、さらなる支援策というのは、先ほども部長の方から申しましたけれども、新たな来年度の予算というものに反映させていきたいというふうに思っております。
 さらに、二十九年度には子供・子育て支援総合計画ということの改定というのも見据えております。その中では、改めて各区市町村がニーズ調査等々を踏まえて、あるいは、東京都みずからも、そういう調査を行いながら、改定をしていきたいというふうに思います。
 本来、やっぱり保育サービスというのをどう考えるかというのは、私も平成十三年にちょうど福祉改革推進課長で、認証保育所を立ち上げたときの課長であります。
 その時代、その時代、かつて保育サービスというのは措置という形で、むしろ共働きしなければならない、いわゆる経済的にかなり困窮している家庭を対象にして生まれた制度だというふうに思います。
 ただ、時代が変わる中で、大きくその役割は変わってきている、措置から契約にかわり、保育サービスというものが、誰もが必要となるサービスに変わってきたと。
 また、提供体制自体も社会福祉法人に限られて、あるいは公立に限られていたものが、今や株式会社、NPOまで参入をして、さまざまなサービスを提供できるというように変わってきております。
 知事の方もいっていますけれども、今後、少子高齢が進む中、あるいは日本の労働人口というのを考える中で、やっぱり女性の働き方というのが、子育てと働くというのを二者択一で選択するということではなくて、それが両立する社会をつくっていかなきゃならない。
 そうすると、保育サービス自体の問題もそうですけれども、もう一つは、働き方全体の問題、あるいは男性の育児参加も含めて、この前、私もイクボス宣言というのをやりましたけれども、そういうことも含めて、社会全体で子供に関する施策、あるいは保育に関する施策というのを大きく変えていかなきゃいけない。
 これは、ある面、日本の社会保障制度全体を、子供の施策というものをさらに充実しなければならないというような観点というのを、見据えていかなければならないと思います。
 私も以前、個人的なお話をして怒られたんですが、ゼロ歳のときから保育園に預けておりまして、今、四歳まで成長しております。その意味では、保育所の役割と、あるいは保育士さんなり保育従事者の方々のご苦労というのは、よくわかっているつもりでおりますし、あるいは仕事の大変さというのもわかっております。
 同時に、やっぱり、一方で保護者がどう考えるか、一義的な、子供を育てる役割というのは保護者にあってその部分についてのものもあわせて考えていく、つまり在宅で子育てをしている方々の施策というのも、保育施策を考えるとともに考えていくというのが、これは我々行政マンに課せられた課題なのではないかというふうに思います。
 いずれにしましても、まずは、今回の緊急対策というのを待機児童解消に向けた第一弾として行うわけでございます。
 今後とも、区市町村と連携しながら、保育サービスの整備を行い、待機児童の解消に全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。

○高倉委員 付託議案のうちの補正予算について、質問をさせていただきます。
 私たち公明党は、党に設けられたプロジェクトチームを中心としまして特にことし待機児童対策が大変注目をされる中で、国やあるいは東京都、さらには区市町村、それぞれの実情やあるいは取り組みといったことを一つ一つ調査をしてまいりました。
 ことし三月に、国が緊急対策を発表した際にも、その直後に私どもとして東京都に対して申し入れも行わせていただきまして、保育の受け皿の確保、あるいは保育士のさらなる処遇の改善、利用者の支援事業、いわゆるコンシェルジュの機能強化といったようなことも申し入れをさせていただいたところでございます。
 今回、提案をされている補正予算案でありますけれども、私たち都議会公明党が、これまで求めてきた施策が、数多く盛り込まれているというふうに私どもは認識をしておりまして、大変重要な課題である待機児童解消に向けた都の取り組み、これを大きく前進をさせるものというふうに考えているわけであります。
 今回、百二十六億円という補正予算を組んでいるわけでありますが、財源としては、基金から財源を取ってきているということになっております。
 今年度が、もう既に残りあと半年ということになった段階での緊急対策でありまして、これが既に百二十六億円、そしてこれを三十一年度、あるいは三十二年度まで継続をするというふうに対策でうたっております。
 そうしますと、わかりやすい言葉でいうと、いわゆるこの事業が平年度化した場合に、今回の場合には百二十六億円でありますけれども、恐らく事業経費は相当なところまで膨らむ可能性があるんではないかと、私どもはそれを見ておりまして、これを着実に今予定をされている年度まで実施をしていくということについては、しっかりとした財源の確保も行っていく必要があろうかというふうに思っておりまして、財政当局とも十分な相談の上、一度踏み出したらこれは途中で財源がありませんからできませんというわけにはいきませんので、ここは着実に行っていく必要があろうかというふうに思っております。
 既に待機児童対策が大変重要な課題になっている中で、今年度も年度当初から各区市町村、いわゆる保育の実施主体である各区市町村では、待機児の解消に向けたさまざまな対策を打ち出す中で、大幅な整備増といったことにも踏み出しているわけであります。
 今回、待機児童対策、緊急対策を打ち出している中で、今年度も一万七千人までというようなことが既に明示されておりますけれども、来年度以降も保育所整備に向けた、今回緊急対策に踏み出しているわけでありますが、こうしたことを踏まえて目標といったものも新たに明示をする必要があるというふうに思っております。
 特に、やはり待機児童対策は新しい対策を打ち出す、しかしながら、それによってまた潜在的な需要も掘り起こしてしまうと、こういうような状況がありますので、頑張ってもなかなかそこまで追いついていかないような側面があろうかと思いますけれども、これはもう、とにかく待機児童を実際になくしていくということが大きな目標であるというふうに思いますけれども、来年度以降の保育所整備の新たな目標についての考え方をお聞きをしておきたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 今後四年間の保育サービスの整備目標は、保育サービスの利用率が、現在の四一%から五〇%になっても対応できるよう保護者のニーズや区市町村の計画、就学前児童人口の推移などを踏まえ、年内に策定する実行プランの中で定めることとしております。
 また、来年度には、保育サービスの整備目標を改めて検証し、東京都子供・子育て支援総合計画を改定する予定であり、今後とも区市町村と連携しながら、待機児童の解消に取り組んでまいります。

○高倉委員 今回の緊急対策の事業について、本来であれば、一つ一つお聞きをしたいところではありますけれども、私ども、この三月の国の対策を受けた中での申し入れも既に行っておりますので、今回の緊急対策の中で、二点だけお聞きをしておきたいというふうに思います。
 一つは、賃貸物件を活用した保育所整備でありますが、開設までに要する期間も短くて済むわけでありまして、今後の需要変化などにも柔軟に対処が可能であるというふうに思っております。
 私ども都議会公明党は、これまでも定例会の中で、空き家など賃貸物件の積極的な活用を図ることも繰り返し求めてまいりました。
 今回の補正予算案では、建物賃借料補助の創設が新たに盛り込まれておりまして、これは高く評価をするところであります。
 そこで、今回、都が独自に創設した建物賃借料補助、これはどういった内容なのかについて、お伺いしたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 建物賃借料補助は、保育所等の開設後、五年間の建物賃借料について、国の公定価格の賃借料加算に加えて補助するものでございます。
 補助基準額は、各区市町村の平均公示価格に基づき、四つの区分を設定しており、一施設当たり最大で年額四千万円としております。
 負担割合は都が四分の三、区市町村と事業者が八分の一としており、さらに今年度中の整備を加速するため、年度内に開設する場合は、都が八分の七、区市町村と事業者がそれぞれ十六分の一とし、区市町村や事業者の負担を軽減することとしております。

○高倉委員 最大で年額四千万円の補助といったことで、事業者にとっては非常に心強い補助内容になっているというふうに思います。
 そして、さらに今年度中の整備を加速するための措置もとられているということであります。
 この補助制度の活用によって、ますます保育所等の整備が進むものというふうに期待しておりますので、ぜひしっかりと推進をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 そして、保育サービスの利用を希望する人がふえている状況の中で、サービスを利用する方への支援といったことも大変重要であるというふうに思います。
 国が、ことし四月に実施をしました保活の実態に関する調査では、保活に対する支援として、より多くの保活の情報提供を希望する人が最も多いといった結果が出ております。
 今回の補正予算案では、こうした機能を担う保育コンシェルジュの増員、支援が盛り込まれておりまして、これまで保育コンシェルジュの機能強化について、意見を申し上げてきた私ども都議会公明党としても、これも評価を申し上げるものであります。
 そこで、改めて保育コンシェルジュにつきまして、現在、区市町村においてどういった役割を果たして、増員の支援によって、どういったことが期待をされるのかといったことについて、ご説明をいただきたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 いわゆる保育コンシェルジュは、国制度の利用者支援事業であり、区市町村の相談窓口や子育てひろばなど、地域住民に身近な場所に配置され、妊産婦や保護者等に対して、保育所の空き定員や多様な保育サービスなどの情報を提供し、相談援助を行う役割を果たしております。
 コンシェルジュの増配置により、区市町村において保育所等の利用を希望する保護者に対し、利用者のニーズに沿った、よりきめ細かなサービス提供が可能となるとともに、ゆりかご・とうきょう事業の支援員や子供家庭支援センターの職員等との連携が強化され、地域における切れ目のない子育て支援体制が充実するものと考えております。

○高倉委員 もう一点、お聞きをしておきたいと思います。
 認可外保育施設利用支援事業といったことについてであります。
 今回、私ども都議会公明党は代表質問において、区市町村の負担軽減が図られるといった今回の緊急対策について、保育所の整備増を図っていくためには、区市町村の財政負担軽減について、さらに配慮が必要であるといったことも申し上げさせていただいたところであります。
 そうした中で、今回の補正予算案では、利用者支援の充実ということで、区市町村が実施をする認証保育所等の認可外保育施設の保育料の負担軽減を支援する施策といったことが挙げられているわけであります。
 現在、区市町村においては、さまざまな利用者負担軽減を行っているわけであります。私は中野区の選出でありますけれども、地元中野区において、独自の対策としまして認証保育所だけではなくて、いわゆる認可外の保育施設、従来なかなか行政の方から支援がなかった認可外の保育施設に対しましても、六万二千円を上限として保護者の負担軽減を図っているわけであります。
 具体的には、認可保育園の入所を申請して、残念ながら入ることができなかった、こういった方々が、やむを得ず認可外保育所に入っている場合に、今申し上げた支援を行って保護者の負担軽減を図っているわけであります。認可外保育施設は、認可保育所と比べて保育料が大変高くなっていることが一般的でありまして、保護者にとって大きな負担にもなっております。
 今回、区市町村が行っている利用者負担軽減の取り組みを支援することで、区市町村の負担が軽減をされ、地域の実情に応じた保育サービスの整備促進や質の向上を図られ、ひいては、利用者支援の充実につながるものであると思っておりまして、大変重要な取り組みであるというふうに思います。
 そこで、改めて本事業の内容についてお伺いをしたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 これまで、区市町村は独自に保育料の軽減を行っており、負担軽減の方法は、一律定額の助成や所得に応じた助成、認可保育所の保育料との差額の助成などさまざまでございます。
 今回の補正予算案には、認証保育所や区市町村の保育室など、認可外保育施設の利用料の軽減を図っている区市町村への支援を盛り込んでおります。補助額は、児童一人当たり月額四万円を上限とし、区市町村が利用者に補助する額の二分の一を補助するものでございます。

○高倉委員 今、説明をいただきましたけれども、この補助額については、児童一人当たり月額四万円を上限とするというお話でありました。
 先ほど、私は中野区の例を挙げたわけでありますけれども、この月額四万円というのは、東京都の中で、東京都といっても、いわゆる都心部分もありますし、そうでない地域もあるわけでありますが、この四万円という額が適切であるのかどうか、こういったことについて私は、できれば--今回この施策を実施するということは大きな前進でありまして、これについては評価を申し上げたいと思います。
 その上で、ぜひ実際に保護者が支払っているそうした保育料を、これは多分、地域によっても差があるんだというふうに思います。そういったことをしっかり見ながら、実情に合った形での取り組みというものも今後必要ではないかと私は考えておりまして、ぜひご検討もよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 それから、これは九月三十日の日本経済新聞に載っておりました報道でありますけれども、厚生労働省が、来年度から共働き世帯が、例えば早朝とか夜間でも子供さんを見てもらえるように新たなサービスを検討していると、こういった報道があったわけであります。
 具体的には、ベビーシッターを派遣してもらう、その場合に、半額補助をするというような、どうもそういうようなことを検討されているようであります。このベビーシッターの中には、多分、保育ママといわれているような方々も入っているのではないかなというふうに思います。
 恐らく、国として、この利用料の半額を補助する、そのほかの負担は保育の実施主体である区市町村が行っていくと、こういうようなことであろうかと思いますけれども、やはり、いろいろな働き方がある中で、例えば早朝、または深夜といいますか、夜間に子供さんを預かってほしい、こういう要望が非常に強いわけでありまして、こういった国の取り組みといったものも、これから実現をしていくんであれば、また、これは本当に大変重大な要望に応えていく取り組みになるんではないかなというふうに思います。
 本来であれば、こういったことについて、都の考え方もお聞きをしたいところでありますけれども、国の方でまだ、今検討中というような段階だと恐らく思います。要望でありますけれども、これが具体的な、来年度実施をされるような方向になってくるようなときには、都においても、区市町村のさらに負担の軽減が図られるように、取り組みをぜひお願いしたいなというふうに思っております。
 最後に、障害を持つお子さんの保育についてお伺いしたいと思います。
 私たち都議会公明党にも、障害を理由として保育所の入所を断られて、就労が困難になったといったような相談があるわけであります。
 これについては、従来、待機児童の解消ということになったときには、なかなか希望する方に対して、その受け皿となる保育所が十分でないために、申し込んだけれども残念ながら入れなかったというような状況だと思うんですけれども、こうした障害を持っているお子さんの場合は、またそれとはちょっと違って、例えば受け入れられるだけの枠がもし仮にあったとしても、保育所の方として、その体制が十分でないために申し込みをしても断られてしまうと、こういった事情が多分あるんだと思います。
 そういうことから考えると、待機児童の解消の中にこうした対策もしっかりと織り込んでいく、あるいは取り組んでいく、こういったことが私は非常に重要であるというふうに思います。
 したがって、私は障害を持つお子さん方、あるいは軽度の障害の方々、お子さんたちもいらっしゃるわけでありますけれども、こうした子供さんたちについて、地域の保育所で受け入れが進むように、都はさらに支援を強化すべきと思っておりますが、このことについての都の見解を求めたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 都は、これまで保育所における障害児の受け入れを進めるため、必要な施設改修費や区市町村が行う職員研修への補助、都独自の子育て推進交付金などにより支援をしてまいりました。
 また、障害児など特に配慮が必要な児童への保育の充実を図るため、保育サービス推進事業により、事業者の取り組みを支援しております。
 児童福祉法には、障害児に対する指導経験のある指導員等が保育所を訪問し、障害児や職員に対して専門的な支援を行う保育所等訪問支援が位置づけられており、本年九月一日現在、十七区市二十四事業所が実施しております。
 昨年度は、全体の七割に当たる約一千六百カ所の認可保育所で障害児保育を実施しており、今後とも、保育所における障害児の受け入れが進むよう、区市町村を積極的に支援してまいります。

○高倉委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 小池知事も、都内のこうした障害のあるお子さんたちを預かる保育所の視察にも行かれていたという、テレビのニュースを私も拝見したことがありますけれども、ぜひこうした取り組みもしっかりと前へ進めていただくようにお願いをしまして、質問を終わりたいと思います。

○畔上委員 ちょっと風邪を引いておりまして、聞き取りにくくて申しわけございません。
 私の地元の江東区では、この九月十五日から来年度の認可保育園の申請申し込み用紙、配布が始まりまして、保活するパパやママからさまざまな声が寄せられているところです。
 ある保活中のパパからだったんですが、妊活を、その方は十年以上もされていたと。ようやくできた我が子、しかし、まさかこんなに保活で苦労があるなどとは思っていなかったと。どこに電話をしても--今の時期ですから、認証に電話をしても空き待ちだということで、それも二十番や三十番じゃない、百何十番だといわれたと。これでは展望が持てない。妻の育休が切れたら私が仕事をやめざるを得ないと思っているというふうに悩んでいらっしゃいました。
 また、現在、育休中のママだったんですが、育休中に、自分としては本当に子供にしっかり向き合っていきたいと、そう思っているんだけれども、今度、来年の四月から認可に入れるためには、今、育休をとっていると加点がないということで、どうしても認証に預けざるを得ないと、近くの認証に今預けていると。
 国は育休を延長することを検討しているようですけれども、育休が延長されたとしても、保育園に入れる保証はないんだと、認可保育園をもっとふやしてほしいですという声が寄せられております。
 私たち日本共産党都議団は、こうしたパパやママの声や、現場の保育士さんたち、また保育園の経営者の方々、こういった皆さんの声を伺いまして、現時点で何が大事なのかと考えて、知事に対しまして、九月八日に、保育の量と質を拡充する、そういった提言を提出させていただきました。
 本日、議案審査の対象となっております補正予算案でございますが、私たちも、その中でも提案してまいりました、宿舎借り上げの支援の対象の拡大や、認可保育園の整備の補助の拡充、さらには借地料補助の拡充など、予算化したことは非常に重要だというふうに思っております。
 まず、補正予算を組むに当たっての考え方について伺いたいと思いますが、保育とは、生涯にわたる人間形成の基礎を培うもので、専門的知識と技術を持つ保育士が中心となって、命と発達を保障することが大原則、東京都が待機児対策を進める上で、量をふやすとともに子供の発達を保障できる、この質を備えた保育園整備を進めるべきだというふうに考えておりますが、まず、基本的な認識を伺いたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 保育サービスは、質を確保しながら量を拡大することが必要と考えております。
 都は、保育サービスの整備を進めるため、区市町村や事業者の整備費の負担軽減、国有地、民有地の借地料補助等を初めとした独自の支援策を実施するとともに、保育の質の向上に向け、障害児やアレルギー児等、特に配慮が必要な児童に対する支援や経営者向け研修などを実施しておるところでございます。

○畔上委員 保育の質も量も大事だという認識だということですね。
 保育の質も量も確保するためには、やはり保育園の全ての子供たちの安全と健やかな成長を守る、この質の確保とともに、認可保育園の拡充を進めること、これが非常に大事なんだということを私は強調したいと思うんです。
 ちなみに、現在の保育園の内訳を見ましても、認可保育園の利用児童数は二十二万五千四百人、認証が二万人、認定こども園が四千人などで、認可が中心となっております。そして何よりも、保護者の皆さんも保育の質を守って認可保育園をふやすことを望んでいるということです。
 先週、東京都に要請をしました保護者の皆さんの要望書にも、子供のよりよい保育の環境を望む親や保育士の願いに沿った認可保育園を中心とした対策をと求めております。こうした保護者の願い、どう受けとめていらっしゃるでしょうか。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 都は、利用者の声、事業者の声、区市町村や関係団体の声を聞き、さまざまなニーズを踏まえて保育施策を推進しております。
 保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が地域のニーズを踏まえ、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、さまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 そのため、都は、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援しております。

○畔上委員 認可保育園を中心にと、なぜ保護者の皆さんが希望されているのか、そこをしっかり受けとめてほしいと思うんです。
 日経DUALの調査結果でも、保護者の九割が認可保育園を第一希望というふうにしております。それは、やはり何よりも保育士さんが、有資格者が十割配置されていると。そして、園庭は今ないところも結構ふえてきましたけれども、園庭があって、所得に応じた保育料だということです。
 母親たちは、妊娠期から保活に苦しみ、悩み、仕事を諦めざるを得ないなどの経験をしております。
 それは大切な我が子を預ける、そういう場だからこそ、少しでも環境のよい保育園に入れたい、認可保育園に入園させたい、そういうふうに願うからだと思います。しかも、量的にふやすためにも、認可保育園をふやすことを政策の柱にすることが大事だということを、私は強調したいと思うんです。
 先ほど局長からも、以前は生活困窮が対象だったというお話がありました。女性の社会的な進出に伴った増設をこの間してこなかったと。なぜ、こういう今の待機児対策がこれほど深刻な状態になったのかというのは、やっぱり長年、国も東京都も認可保育園の増設を抑制してきたからだと思うんです。
 都内の認可保育園の定員数、これを経年的に調べてまいりました。一九八六年から一九九八年、この間には約一万二千人分も実は定員が減っているんです。その後、一九八六年の定員数を超えたのは二〇〇七年でした。東京都は、二〇〇八年にようやく急増する待機児を解消するために、保育サービスを三年間で一万五千人分ふやすうち、認可保育園を六千五百人分ふやす、そういう計画を明らかにしました。
 ちょうどその後、二〇〇八年、国が認可保育園をふやすための基金、これをつくりまして、東京都も基金に上乗せをする、こういう補助をつくったことで認可保育園の増設が加速したわけです。
 かつては認可保育園と認証保育園を合わせても、大体、年間三千から四千人分しか定員はふえていなかったんです。ところが、二〇一四年と二〇一五年度は、こうした施策が拡充されたということもあって、認可保育園だけで二年連続して一万三千人分以上ふえたわけです。
 認可保育園の増設にきちんと予算をつけてこそ、保育の供給を大幅にふやすことができるんだということ、これは都みずからの、この間の実践によって裏づけられているということであります。
 今後、四年間、保育サービスの目標、これは先ほどのご答弁では年内に作成する実行プランの中で定めていくというお話でしたが、私たちは、せめて四年間のうち、四年間で九万人分の認可保育園をふやすということを提案しているわけですが、そうすれば、就学前の人口の半分の認可保育園の定数が確保できるんだと。ぜひ、この方向での目標にしていただけるように要望していきたいと思います。
 保育園増設のために、都有地活用推進本部が設置されまして、この十月には、区市町村に都有地の情報を提供するということは大変大切なことだと思います。
 都有地の情報の原則公開ですが、地元、区市町村の判断というふうにしておりました。財務局からはそう聞いておりました。私は住民にもオープンにし、住民参加での福祉インフラ整備の促進をする必要があるというふうに考えますが、先ほど栗山副委員長のご質問の答弁で、都のホームページで公開するというご答弁がございました。
 つい先日も、江東区の中であったんですけれども、あいている都有地があったと、その地元の住民の方たちから、保育園や高齢者の介護施設が、この地域でできるんじゃないかと、区に要望に行こうというふうに皆さんが相談していたそうなんですね。
 そうしたら、業務ビル建設の看板がそこに立ってしまったと。そこで私のところにも連絡があって、東京都の方に確認したところ、都は区に対してこの土地の募集をかけますということを事前に話していたということはわかりました。住民の皆さんからは、もっと早く知っていたらという声も上がっています。
 まちづくりは住民参加で行うことが基本ですし、不足している福祉のインフラ整備の土地確保は大変重要ですから、やはり、都の責任において、都民に対しても積極的に情報提供するよう、重ねてこの点は求めておきたいと思います。
 公立保育園については、一般財源化により財政措置はされているということで、都は補助の対象としてきませんでした。しかし、今回できた高騰加算、これは明らかに国の財政措置の枠外にあるもので、公立保育園も対象にすべきだと思いますが、いかがですか。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 公立保育所の整備費につきましては、平成十八年度に一般財源化されておりまして、都として補助を行う考えはございません。

○畔上委員 ですから、たとえ税源移譲はされているという立場に立つとしても、建設費の高騰で財源は不足していて、少なくともその分は出してもよいのではないかというふうに思うわけです。公立への支援は、施設の新たな整備を加速させる支援策で、私は重要な支援だと思います。
 北区などは、区立も緊急対策でつくる、そういうふうにしておりますから、こうした区市町村を、ぜひとも応援していただきたいと思います。
 先ほど、都有地活用について、区市町村の意見も聞いて、障害者施設や高齢者施設も、今後検討するというご答弁が、栗山副委員長へのご答弁でございましたけれども、この障害者の施設や、それから高齢者の福祉施設も本当に不足しているわけです。そういう点では借地料の補助、民有地のマッチングの対象も、こうした分野にも拡充する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、保育所を初め、障害者の通所施設や特別養護老人ホーム等につきまして、借地を活用して整備する場合には、借地料の補助を行っております。
 今回の保育所の借地料に対する補助の拡充や、民有地マッチング事業につきましては、待機児童解消に向けた緊急対策として実施するものでございます。

○畔上委員 借地料の補助を現行でやっているのは知っているんですが、今回の場合も拡充になっているわけですね。ですから、障害者の施設や、それから高齢者の施設もやはり切実な要求でありますから、拡充をぜひ図っていただきたいと思いますし、また、民有地のマッチングの実施、これもぜひ前向きに検討していただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 都内の保育士の有効求人倍率、これは、ことし一月に六倍を超えており、深刻な保育士不足の解決も緊急の課題です。厚生労働省の推計では、都内の保育士、約九万六千人のうち、社会福祉施設などで働いている方は半数以下の約四万二千人にすぎないわけです。
 保育士不足の原因は、資格を持っている人が足りないということではなくて、待遇改善が進まないために、大量の潜在的な保育士が生まれているということだと思いますが、都の認識について伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 平成二十五年度に実施した保育士実態調査では、過去に保育士として就業していた方の離職の理由の上位三つは、妊娠出産、給料、職場の人間関係であり、再就職の条件の上位三つは、勤務日数、通勤時間、勤務時間であり、職員の確保、定着を図るためには、さまざまな取り組みが必要であると認識しております。
 今回の補正予算案では、保育士の確保、定着を図るため、現在、採用後、五年目までの常勤の保育従事職員を補助対象としている、東京都保育従事職員宿舎借り上げ支援事業を、採用後六年目以降にも拡大することとしております。
 国は現在、保育士に対する新たな処遇改善策を検討しておりまして、都は、国の新たな支援策や、都独自に実施している保育士等キャリアアップ補助の活用実態を踏まえ、その充実を検討してまいります。

○畔上委員 今ご答弁がありました、この平成二十五年の保育士実態調査の運営主体別で見てみますと、公設公営では、ほかの民間運営よりも就業継続意向は高くなっていました。そして、公設公営を除けば、退職理由は、やはり給料が安いが最も多いんですね。給料が安いでは、民営の中で特に株式会社の割合が四割強となっております。高くなっています。
 東京都は、緊急対策の中でキャリアアップ補助については、その活用実態や国の新たな待遇改善策を踏まえ充実を検討すると、今、ご答弁がありましたが、活用実態を把握することは非常に重要なことだと私は思います。
 以前も申し上げましたけれども、保育現場では、キャリアアップ補助だけでは賃金の引き上げにつながっていないと。こういう保育園が少なくないわけです。現実に従来の補助とどう変わったのか、一人一人の賃金はどのぐらい上がったのか、この実態把握に努めていただきたいと思います。
 本会議でも申し上げましたが、やはり賃金の底上げが急務です。ある園長は、長く働いてほしいけれども、子供の命を預かる大事な仕事に見合うような給与が出せないのが悩みですと、勤続年数にふさわしく、給与がふえるような補助をと切実でした。現場が安心して基本給の引き上げができる、そういった人件費補助に拡充することを強く要望したいと思います。
 今回、補正予算で、待遇改善の一つとして、保育従事者への家賃補助として勤続五年以上の方も対象に拡大したことは評価をしております。ただし、二〇二一年、五年間という期限がついていますが、これは継続すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 今回の緊急対策の各事業は、今後四年間を緊急対策期間として位置づけ実施するものでございます。
 事業の継続につきましては、事業実施の効果等を踏まえ検討するものでございます。

○畔上委員 現場からは、五年後に自力でやれといわれてもできない、保育士の基本給が大幅に上げられない限り補助は続けてもらわないと困るという声もいただいています。
 資料を見ますと、昨年度の実績は年度途中ということもあって二百十四人、今年度はかなりふえるだろうということでありますが、継続して行うように求めておきたいと思います。
 千七百ある認可外保育園の保育施設の巡回指導、これを行う巡回指導チームを編成する、これを補正予算で組んだことは大切なことだというふうに思います。今年度は十二月に十人採用して研修を行って、一月から非常勤なので月十六日、二人一組の五班編成ということです。
 一班が一日一園、指導すると、入るとしますと、一カ月で八十施設となるわけです。来年度は、千七百ある認可外保育施設に年一回は巡回するということですが、どういう体制を考えていらっしゃるんでしょうか。また、改善策を指示できる指導権限、これはあるんでしょうか。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 今年度につきましては、非常勤職員を十名配置し、一班二名による五班体制で実施することとしております。
 来年度につきましては、全ての認可外保育施設に年一回、巡回指導できる体制に拡充し、指導監督を充実強化することとしております。
 また、児童福祉法第五十九条は、認可外保育施設の指導権限を規定しており、巡回指導はこの条項に基づくものでございます。

○畔上委員 これから具体化されるようですが、ぜひ体制を拡充して、しっかりと全施設の指導監査、お願いをしたいと思います。
 私はこの間、認可外保育施設で亡くなったお子さんの保護者の方たちからいろいろお話を伺って、本当に保育の基本ができていない、そういう保育園がある、そのことに本当にショックを受けました。
 かけがえのない我が子の命が突然失われた両親の悲しみは本当にはかり知れません。ご両親は、なぜ我が子を守ってあげられなかったのか、ご自身を本当に今も責めて苦しんでいらっしゃるんです。
 どうしてうつ伏せ寝をさせていたのか、どうして脱水症状になるような状態を放置していたのか、この巡回指導は、子供の命と安全と健やかな成長を守り抜く覚悟を持って、徹底して実施していただきたいと強く思います。
 内閣府の教育・保育施設等における事故報告集計では、行政の関与が強い制度の施設ほど、死亡事故発生率は低くなっています。そういう点でも、都の巡回指導が行われ、しかも指導権限があるとなれば、保育内容についても、うつ伏せ寝はさせない、水分補給を怠らない、衣服の着脱の管理など、保育の基本中の基本の指導を徹底すべきだし、またこの巡回指導で一定の効果があるのではと期待をしているところです。
 あわせて、現在行われています指導監査において、事前通告なしの抜き打ちの調査も含めて、実効性ある指導監査に取り組むべきだと、本会議で昨日、我が党のかち議員が質問したところ、都としても、抜き打ち調査も含め充実強化をするとご答弁されたことは、大変重要なことだと思います。
 認可外の保育施設で働く保育士さんたちからは、監査の直前に人を集めたり、施設仕様を変えたりすることもあったり、経営者の方が同席している中では、監査の人に、こうした問題点を指摘するなど到底できなかった、こんな声も実は私も聞いております。ごまかすような保育施設を放置しない、何よりも子供の命の安全と成長を必ず守っていただきたいと思います。
 資料では、千七百六十一施設の認可外保育施設のうち、監査を受けたのは三百三十四件、一施設で数回のところもあるというご説明ですから、全く指導監査が入っていない、こういう認可外施設がたくさん残されているということであります。指導監査の十八人という職員体制を拡充して体制整備を行っていただくことも要望したいと思います。
 今回提出されています補正予算案には賛成です。同時に、繰り返し申し上げさせていただきましたように、保育士も保護者も安心できる保育、子供たちの命の安全と健やかな成長のためには、いささかも保育の質を軽んじてはならない。規制緩和での面積基準や職員配置、保育環境の規制緩和は、保育の質を守り向上する上で逆行です。保育の質と、そして量の拡充、これを強く求めて私の質問を終わりたいと思います。

○島田委員 補正予算について質問させていただきます。
 今回提出されている補正予算は、新知事就任の後、早々に編成されたものでありまして、待機児童の解消、子育て支援について、施策を一歩前進させるものとして、先日、都議会民進党の代表質問でありましたけれども、おおむね評価をできるものというふうに思っております。
 また、今後の子育て支援策、家庭と仕事の両立支援など、包括的なパッケージの施策が欠かせないと思っております。
 以下、質問をさせていただきます。
 まず、都独自の整備費補助についてお伺いをさせていただきます。
 待機児童の解消に向けて保育所の整備を進めていく上で、整備費に対する補助の充実は効果的な施策であります。建築資材や労務費の高騰によりまして、保育所を整備する際の事業者の負担は年々大きくなっております。今回の緊急対策で示された高騰加算は、保育事業者からも高い関心が寄せられています。
 そこでまず、整備費補助に対するこれまでの都の取り組みと、高騰加算の内容をお伺いいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 都は、これまで保育所整備に係る区市町村や事業者の負担を軽減するための支援や、国の補助制度の対象となっていない株式会社やNPO法人への整備費補助などを実施してまいりました。
 近年の建築資材や労務単価の高騰により、建築費の実勢と国の補助基準額の増加率の間に大きな乖離が生じておりまして、保育サービスの整備を推進するため、国の補助基準額の二五%相当の高騰加算を創設することといたしました。
 また、今年度内の整備を加速するため、今年度中に着工する場合は、加算率を三〇%に引き上げることとしております。

○島田委員 国の補助基準額を超える部分は、これまで全て事業者負担であったわけでありますから、今回の高騰加算により大幅な事業者負担軽減が図られ、さらなる整備促進の効果が期待できるというふうに思っておりますし、さらに、今年度中であれば加算率は三〇%ということに引き上げられますので、今、待機児童待ったなしということでございますので、これらの制度によりまして、さらなる施設整備の充実を図っていただけるのかなというふうに思っております。
 保育の実施主体であります区市町村が、こうした都の新たな対策を積極的に活用しまして、保育所などの整備が一層進むことを期待しております。
 そのためにも、保育サービスの充実に積極的に取り組んでいる区市町村に対する何らかのインセンティブを設けることも有効だと思いますが、見解をお伺いいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 高騰加算の負担割合は、原則、都及び区市町村がそれぞれ十六分の七、事業者が八分の一としております。その上で、ゼロ歳から二歳児について、ことし四月一日現在の待機児童数以上の定員拡充を行うなど、保育サービスの拡充に取り組む区市町村に対しましては、都が最大で十六分の十五まで区市町村負担を求めずに負担することとしております。

○島田委員 まず、ゼロ歳から二歳児については、さらに都の負担が最大十六分の十五ということでございます。この区市町村の保育関係の予算も限られているところで、区市町村に対しても、かなり支援になるというふうに思いますので、この整備費の補助の充実を今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思っております。
 今回の緊急対策は、区市町村、事業者の取り組みを加速させるため、保育所等の整備促進や、人材の確保、定着の支援に加えて、利用者支援の充実としまして、保育料の負担軽減が挙げられています。
 認可外保育施設を利用している人は、割高な利用料を負担するものでありまして、都がこうした支援策を講じることは、待機児童対策として重要なことだというふうに思っております。
 現在、負担軽減を行っている区市町村がどれくらいあるのか、また、その取り組み状況についてお伺いいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 認証保育所等の認可外保育施設を利用する保護者を支援するため、独自で負担軽減策を行っている区市町村は、平成二十六年四月現在、二十二区十九市一町であります。負担軽減の内容は、一律定額の助成や所得に応じた助成、認可保育所の保育料との差額の助成など、さまざまな方法で実施しているところでございます。

○島田委員 私も、地元のところに聞きますと、二十七年度、昨年では地元の、私の住んでおります羽村市でありますけども、認可保育所の保育料の差額を助成する制度があるということで、四十四件ということでありました。
 これは、先ほど答弁にもありましたとおり、二十二区十九市一町ということで、各地域でこの制度があるということで、ニーズが高いというふうに思っております。
 区市町村が地域の実情に応じて、それぞれ独自の考え方で負担軽減を行っていることがわかったわけでございますが、こうした区市町村の取り組みに対し、都はさらに財政的な支援を行うことにより、区市町村においては利用者支援の充実や、地域の実情に応じた施策展開が図れるものと期待をしております。
 先ほど高倉議員の方から、この中身については、補助額が児童一人当たり月額四万円を上限として区市町村が補助する額の二分の一を、都が区市町村に補助するという内容がございましたが、特に私の選挙区の西多摩地域でも認証保育所が数多くございます。この認証保育所は、待機児童の解消に非常に大きな役割を果たしております。
 ただ、利用者負担が大変なネックになっているわけでございますので、この制度の充実によりまして、さらに保育料の負担軽減を充実していただきたいと、そのように思っております。
 都は、待機児童解消に向け、保育所等の整備促進に努めているところでございますが、その一方で、保育を支える保育士の確保、定着が喫緊の課題となっております。保育士の確保が困難な中、今年四月から、保育士の配置基準の緩和が行われまして、認可保育所や、認定こども園などで、保育士の配置基準の三分の一を超えない範囲で、子育て支援員などをみなし保育士として活用できることになりました。
 本来、保育士を配置することが望ましいものの、多様な保育サービスの担い手を活用するのであれば、その担い手の質が担保されていることが大前提であるというふうに考えております。
 そこで、今回の補正予算においては、子育て支援員三百人が増員されるということが盛り込まれているところでありますが、子育て支援員として認定されるためには、どのようなカリキュラムを受講しなければいけないのか、お伺いいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援員研修には、小規模保育や家庭的保育など、保育従事者向けの研修コースとして、地域型保育コースがあり、子育て支援員がみなし保育士として活用されるためには、この研修コースを修了していることが要件となっております。
 国の実施要綱において、地域型保育コースのカリキュラムは、保育の原理など講義を中心とした基本研修と地域型保育の概要、心肺蘇生法など、講義と実技から成る専門研修から構成されておりまして、合計二十五科目、約三十時間と定められております。
 また、専門研修については、保育の現場に出向き、講義で学んだことを実際に見学、観察を通して理解することなどを目的とした二日以上の見学実習を行うことが定められております。

○島田委員 子育て支援員は、その活躍の場が広がり、今後、ますます保育人材としての役割が期待されています。
 ただし、忘れてならないのは質の向上であります。先ほど子育て支援員研修のカリキュラムをお伺いしましたが、保育の原理や心肺蘇生法など大事な科目が入っています。また、見学実習を行うこととなっているということでございます。これにとどまることなく、今後、子育て支援員が保育の現場で活躍できるよう、さらなる研修の充実を図りまして、子育て支援員の質の向上に取り組んでいただくことを強く要望させていただきます。
 最後に、病児保育事業についてお伺いをいたします。
 保育サービス量の拡大に比例して、病児保育のニーズもふえていくことが想定されます。冬場の風邪がはやる時期におきましては、病児保育は予約でいっぱいであるとの声を聞きます。働く保護者にとって、病気のお子さんを預かってもらえる病児保育は、子育て支援に欠かせない保育サービスであります。病児保育のさらなる充実が必要です。
 そこで、病児保育施設の整備が進んでいるのか、比較する意味で、過去五年間の都内の病児保育施設の数についてお伺いいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 病児、病後児保育施設の過去五年間の施設数はそれぞれ三月三十一日時点で、平成二十三年度百九カ所、二十四年度百十七カ所、二十五年度百十九カ所、二十六年度百二十六カ所、二十七年度百三十一カ所となってございます。

○島田委員 今、お伺いしましたけれども、この病児保育の施設数が年々ふえてきておりますが、今後のニーズを考えますと、まだまだ病児保育を行う施設をふやしていく必要があると考えています。
 今回の補正予算案には、病児保育施設整備事業が新たに盛り込まれておりますが、その内容についてお伺いいたします。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 病児保育施設の整備につきましては、国はこれまで、開設準備経費として四百六十万円を上限に補助を行ってまいりました。
 今回の補正予算案に盛り込んだ病児保育施設整備事業は、国の補助が新たに充実されたことにより計上したものであり、創設、改築の場合、補助基準額の上限は、四千三百九万五千円、負担割合は、国、都、区市町村がそれぞれ十分の三、設置者が十分の一となっております。

○島田委員 先ほど申し上げたとおり、病児保育施設のニーズというものが、本当にますます高まっているというふうに思いますので、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 最後に、補正予算における施策の前進を期待すると同時に、今後はキャリアアップ事業の充実によりまして、保育士の処遇改善、また、働き方改革によりまして、働きながら子育てしやすい環境づくりなど、総合的な施策が重要だというふうに思いますので、そうした総合施策の推進をさらに充実することをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時五分開議

○斉藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言願います。

○両角委員 私からも、この待機児童解消に向けた緊急対策の補正予算案について質問をさせていただきたいと思います。
 小池知事の待機児童に対する緊急対策ということで、選挙戦の公約でもありましたし、東京都の抱える大変大きな課題でもありましたが、今回、具体的な対策という形で、百二十六億円の補正予算案が編成をされたわけでございます。
 そして、年度内に一万七千人分の保育サービスを、十一の柱の施策によって確保していこうという政策でございまして、まずは、今回の緊急対策については高く評価をしたいと、このように申し上げたいと思います。
 そこで、まず、この緊急対策の補正予算について、総論的な質問を何点かさせていただきたいと思います。
 小池知事は、よく効くと、すぐ効くと、こういうキャッチフレーズで補正予算案について表現をされているわけでございますけれど、今回の補正予算に、知事の意向が最も反映されているのはどこなのか。そして、よく効くといっておられるわけでございますが、どのような点によく効くのかということについて、お伺いをしたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 今回の補正予算案は、知事の意向を踏まえ、年度内に着手した場合には補助率を手厚くするなど、区市町村や事業者の取り組みを加速させるためのインセンティブを設けております。
 よく効くという知事の発言は、こうした仕組みにより、早期に保育サービスが拡充することを意図したものでございます。

○両角委員 このインセンティブをつけて、区市町村の実情に応じて保育施設の整備、あるいは待機児童対策が解消されるというようなことでございますので、ぜひ具体的に区市町村と連携をとって進めていただきたいというふうに思います。この百二十六億円の予算の中身、十一本の施策が柱になっているわけでございますけれども、これを考えるに当たって、もちろん今の東京の待機児童の課題というものを考えたのではないかというふうに思うわけでございまして、そこで、東京の特に特徴的な待機児童の問題とは何なのかということを、認識を伺いたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 出生数の増加や、人口流入による就学前児童人口の増加、女性の社会進出などにより保育ニーズが増大しております。また、就学前児童人口や保育サービス利用児童数などは、区市町村により異なり待機児童数についても、ゼロの自治体から千人を超える自治体まで、さまざまな状況にございます。

○両角委員 今ご答弁いただきましたけれど、そういった区市町村によっても、保育ニーズ、あり方は随分違うということでございまして、そこで重要なことは、この対策を策定するに当たって、それぞれの区市町村の意向をどのように酌み取ったかということではないかと思います。
 そこで、この区市町村の意向をどのように酌み取ったかということについて伺いたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 待機児童の多い区市町村を中心に、保育ニーズの動向や、保育サービスの整備状況、待機児童解消に向けた取り組み内容、都への施策の要望などについてヒアリングを実施し、緊急対策に反映したものでございます。

○両角委員 区市町村の意向を十分反映をされて、こういった事業、施策をつくっているということでございますので、その点については安心をさせていただきました。
 実は、今回の緊急対策でございますが、先ほどご答弁にもありましたけれど、インセンティブをつけて、その推進を図っていくということでもございますが、一方で、先ほど来、皆さんからお話がございましたが、保育の量が足らないということで整備をする。一方で、大切なのは質を確保、向上していくということではないかと思います。
 この点について、どのように考えているのかということを、局長からご見解をいただければと思います。

○梶原福祉保健局長 保育の質を議論するというときに、これも、さまざまな機会でご議論をさせていただいております。
 児童福祉審議会等では、四つの要素ということでよく、物理的環境、あるいは保育者の配置、これは基本的な設備の運営基準というのがあるわけです。それから、保育の中身あるいは保育者の専門性みたいなところ、これは保育の内容とか専門性みたいなところが問われている。要はベーシックな子供たちの年齢、発達状況に応じて適切な保育というのを行うのはどうしたらいいかという中身の問題、こういう質を支える要素というのは四つだと、いうふうによくいわれるわけです。
 我々は、それに加えて、やっぱり多様な保育ニーズというのが一つはある。例えば障害児の問題である、外国人の問題である、アレルギー児の問題である、こういう個々の子供たちの状況を踏まえた保育が行われているか。
 あるいは、それを一つはかるという意味で、やっぱり、お子様あるいは保護者の方々が満足されるサービスが行われているか、これも大きな、その質を考える意味での要素だというふうに考えています。
 ですから、我々はそういう意味で量をはかるとともに、質の向上を図っていく必要があると考えています。
 今回では、今までも含めて、こういう意味での質の向上を図るため、障害児やアレルギー児等、特に配慮が必要な児童への支援、あるいは第三者評価自身に対する支援、あるいは経営管理者向けの支援、研修、こういうのを私ども実施しておりまして、今回の補正予算では、認可外保育施設の質の向上を図るための巡回指導チームを編成することとしております。
 また、区市町村が地域の実情に応じて多様な保育ニーズに対応できるよう子育て推進交付金や包括補助で支援を行っているというところでございます。

○両角委員 今、局長からご丁寧なご答弁をいただきました。我々も、多様な保育ニーズに対応していくということは重要であるというように思っております。
 ただ、その大前提として、もちろん安全性、あるいは今局長からお話がございましたような幾つかの視点の質を確保していくということが、とてもこれは大切なことであるというふうに思っておりますので、この点を踏まえて、この施策を進めていっていただきたい、このように思います。
 続いて、個別の案件に入らせていただきたいと思います。
 まずは、整備費補助についてでございますけれど、今回、この百二十六億円の中の約半分の割合、六十億円を割いて、整備を促進するための補助金、高騰加算というようなことで、これを行っていくということでございますけれど、今回のこの高騰加算を実施することによって、補助と実勢のギャップというのを埋めることができるのかということについて伺いたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 近年、建築資材や労務費が高騰し、実際の建築コストと補助基準額の増加率に乖離が生じてございます。
 今回の補正予算案で提案している高騰加算により、補助基準額と実勢との乖離が縮小し、事業者の負担軽減が図られると考えております。

○両角委員 それでは、実勢と補助額になぜ乖離が生じてしまうのか、国の補助制度でありますから、もう少し弾力的に実勢に近づくような見直しをしてほしいなというふうに思うわけでもございますけれど、補助額そのものを実勢に近づけるような単価の見直しということが、そもそもできないのかということについて伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 保育所等整備交付金などの国の補助基準額は、保育所等の整備に要する費用の一部を補助するため、地域区分や定員区分などに応じて国が一律に定めております。
 国は、今年度、建築資材費や労務費の動向を反映し、補助基準額を二・二%引き上げましたが、整備費補助の引き上げが実際の建築コストの上昇に追いついておらず、実勢と補助基準額の増加率に乖離が生じているため、都独自に高騰加算を実施することといたしました。
 なお、都はこれまで国に対し、補助基準額や補助率を引き上げるよう繰り返し提案しているものでございます。

○両角委員 国は、一律にこの補助基準額を定めているというご答弁でございましたけれど、今回、時限を切って緊急の対策として高騰加算補助ということをやるわけでございますけれど、しかしながら、この時限が終わってしまえば、要は、また実態とのギャップがずっと続いてしまうんであれば意味が薄れてしまうということでありますので、この高騰加算を実施していただくと同時に、一方でこの大都市の実情に応じたデータを示して、大都市補正とか、あるいは時点を早く修正していただくような、そんな要望を効果的に続けていただきたいと、このように思います。
 続いて伺いたいんですけれど、私の地元で、国有地があって、そこが用途廃止になりまして、地元の自治体に紹介がございました。
 結果として、地元の自治体は、地域で保育ニーズがあるので保育所を整備してくれということで、定期借地でそこに保育施設を整備する、そんな公募をかけまして、そこに手を挙げた保育所がありました。
 しかし、実際に住民の説明会に伺った中で、強硬な反対がございまして、結局その話は頓挫をしてしまって、そのエリアに保育園をつくることはできなかったという事例がございます。
 具体的にいうと、住民の説明会をされた中で、例えば騒音、子供たちの声に対して、二重サッシにしてくれ、あるいは防音壁を設けてくれ、さらには隣接している家については、その自宅を二重サッシ、防音仕様に変えてくれ、そんなようなお話があったようでございます。
 結果として、なかなかそれには対応できない、あるいはその地域では保育園を運営するのは難しいなということで、事業者の方から、地元町会長に今回は辞退します、市の方にも辞退しますと、そういう話があったわけでございます。今回、補助についてなんですけれど、例えば今のお話の中で、物理的に対応すれば、住民の皆さんからの要望に、クリアできるようなことはクリアできればいいなと。
 しかしながら、それが事業者の持ち出しになってしまうと、保育園も経営でございますので、なかなかそれがしがたいというところもあると思いますので、例えば二重サッシや防音壁など、保育所整備に当たって近隣対策を求めるような場合に、こうした通常設備以上の経費も補助対象となっているのか、どうなのかということを伺いたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 防音壁の整備に対する補助は、国の保育所等整備交付金の対象事業となっておりまして、一施設当たりの基準額は六百二十五万円でございます。
 保育所を整備する際に、保育所の窓を二重サッシにするための経費は、保育所等整備交付金の本体工事費の対象経費に含まれております。こうした補助は、保育事業者に対し、保育所の整備に係る経費の一部を補助するものでございます。

○両角委員 先ほどの例というのは、設備面だけでなくて、近隣との関係でこのまま進めるのは難しいなということで頓挫したというところもございますけれど、しかしながら、設備でクリアできる部分もあるわけでございます。
 今、国の補助対象に、二重サッシも防音壁もなっているということでございますけれど、保育所の施設整備補助については、一律で、このぐらいの規模であれば大体幾らというような形のようでございますから、設備をグレードアップすればするほど、他の部分にお金がかけられないということもございますので、近隣の住宅を二重サッシにすれば安心してもらえる。それは合理的なんだということであれば、そこら辺についても、近年、住宅街へ保育所を開設しなくてはいけないというような例もふえているわけでございますので、今後、そういった国が対応できない部分についても考えていただけるとありがたいなと、そんなふうに思うところでございます。
 次に、賃料の補助ということで伺いたいと思いますけれど、建物賃借料の補助については、認可保育園だけではなくて、認定こども園、認証保育園、小規模保育事業等々、対象は広いわけではございますけれど、この中で、東京都の方針として、補助を採択するに当たって、今いったような事業の認定とか認可とかいうことで、優先順位づけ等の考えがあるのかないのか、伺いたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が地域のニーズを踏まえ、認可保育所、認証保育所、小規模保育事業、事業所内保育事業、家庭的保育事業など、さまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 都は、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援しており、特定の保育サービスを優先する考えはございません。

○両角委員 特定の保育サービスを優先はしないと。要は区市町村の判断に任せるんだというふうに理解をさせていただきまして、地域事情に応じてこの補助は使えるんだということを確認させていただきました。
 引き続きまして、区市町村への貸付制度の創出と都有地活用の仕組み、情報提供の充実ということで、この取り組みが新たに示されたわけでございますけれど、そこでお伺いをいたします。例えば都有財産の中には、普通財産のほかに各局所管の行政財産もあるわけでございますが、これらを含めて適地を適時に紹介することが緊急児童対策としては必要だと思うわけでございますけれど、この対策の中身について、まず伺いたいと思います。
 また、この都有地情報提供の取り組みは、これまでと比して随分前進したというふうに感じるわけでございますが、この中の都有地活用推進本部、このメンバーと役割、機能について伺います。

○後藤総務部長 今回取りまとめました待機児童解消に向けました緊急対策におきまして、都有地を活用した保育所の整備を一層推進するために、都有地活用の仕組み、さらには情報提供を変更することとしてございます。
 その一環として、都が保有する土地を最大限に活用するため、副知事をトップといたします都有地活用推進本部を設置することといたしまして、先月、第一回の推進本部を開催したところでございます。
 委員は各局の財産管理を担当する部長級の職員から構成されておりまして、今後、普通財産の未利用地につきまして、きめ細かく区市町村に情報提供してまいります。
 また、お話にありました各所管の行政財産も含めまして、活用可能な土地を洗い出しまして区市町村に情報提供していくこととしてございます。
 さらに、この推進本部の中では、地元調整におきます支援体制も整備していくこととしてございます。

○両角委員 先ほど、他の委員へのご答弁の中でも、今まで三百平米で切り出して情報提供していたのを、よりきめ細かく百平米、情報提供についても、年一回ではなくて年四回というようなお話もございまして、こういったことを進めていただければ、効果が出てくるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 実は、先ほど地元のお話をさせていただいた中で、保育園が地元説明会をするときに、私、思ったんですけれど、もう少し市の担当課が前さばきというか、地元調整に汗をかいていただければ状況は違ったんではないかというふうに思ったわけでございまして、そういったことも含めて、この土地を提供するに当たって、地元調整を今後していくということも今回うたわれているところを評価するところでございます。
 そこで、この地元調整でございますけれど、どのような地元調整の支援、どのような体制でいかなる支援をしていくのかということについて伺います。

○後藤総務部長 都におきましては、都有地を活用しました保育所整備に向けました、今お話のありましたような住民説明会といったようなところで、区市町村の地元調整を随時サポートしてまいります。
 今後、その中に、必要に応じまして調整事務に精通したベテラン職員なども活用しまして、調整に当たらせたいというふうに考えてございます。

○両角委員 今おっしゃったような地元調整は非常に重要だと思います。やはり、お金がいっぱいついても、最終的には地元の皆さんのご理解をどうやって得られるかというところでございまして、そこのお話をきちっと、ボタンのかけ違いなくできるかどうかということについて、調整事務に精通したベテラン職員を配置いただけるということで、まさにニーズにかなった、そんな施策であろうというふうに評価したいと思います。
 実は、こういった全庁横断的な情報提供体制については、これまでも財務、あるいはいろんなところに、その必要性を私もさまざま訴えてきたんです。もう少し全庁横断的にできませんか、データベースみたいなのを組めませんかというお話をしておりましたけれど、全く前に進みませんでしたが、今回、これが一挙にこういう形で実現をしたということで、やればできるんだなということを感じているところでございます。
 ところで、今回のような都有地の情報提供、あるいは地元調整支援体制ということについては、これは先ほど来、他の先生方もおっしゃっておりますけれど、保育だけに限らないわけでございます。
 具体的な例でいえば、高齢者施設等々、同じ施設ニーズが高い福祉インフラというものがあるわけでございますから、土地あるいはその支援体制という、調整の支援ということは全く同様に扱えるのではないかということでございます。
 そこで、こういった情報提供体制について、福祉インフラ全体を対象とするということを、これは全体を見るお立場にある局長から、そうしていったらいいのではないかと思いますけれど、ご見解をお聞かせいただければなと思います。

○梶原福祉保健局長 今回の都有地に関するこういう対応、対策というのは、待機児童解消に向けた緊急対策として始める、行うものでございます。
 特別養護老人ホームあるいは障害者グループホーム、こうしたものは従前から、これは保育もそうであったわけですけれども、区市町村の意向を踏まえながら、都が公募者としてやってきた。それから、地元への説明会等についても、都も公募者として同席をしてきたという実績がございます。そういう意味で、都有地の情報を区市町村に提供してきた。今回は百平米以上のということでありますから、百平米だとそういう施設はできないということになります。
 今後、高齢者施設あるいは障害者施設をこういう本部の対象にするかどうか、これは副知事がヘッドという体制になっておりますので、保育施設の取り組み実績、あるいは区市町村の意向等も聞きながら、今後、本部の中で対応を検討していく事項だというふうに思っております。

○両角委員 今、局長からご答弁いただきまして、ありがとうございます。区市町村の意向等を聞きながらということで、まさに前向きな検討をぜひお願いできればと思います。
 同様に、民有地の活用という面についても、これは新しい仕組みをつくるという、そんなことが今度動き出すわけでもございます。不動産事業者と連携した物件の確保、あるいは協議会を組織し民間土地情報を収集してコンサルティングする仕組みができるということでございますけれど、こういうものができれば民有地活用に効果を発揮するものと、これは期待をするところでございます。
 同時に、こちらも同様なんですが、各区あるいは市の例えば宅建協会とか、そういうところの皆さんと連携をして、用地の情報を得るというような仕組みについては、これは子育て、あるいは保育園だけではなくて、他の福祉インフラにもこれは十分活用ができる、そういうシステムではないかというふうに思うわけですけれど、このことに対する見解を伺いたいと思います。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内で保育所を整備するに当たりましては物件の確保が課題となっていることから、都は不動産事業者や物件所有者の団体等と協議会を立ち上げまして、物件情報の共有や整備に関する情報提供の方法等について検討するとともに、区市町村への協力を働きかけていくこととしております。
 この協議会は、保育所を整備する区市町村や事業者への支援を目的に設置するものであり、今後、協議会の中で区市町村のニーズや参画団体の意見を踏まえながら、対象となる施設の取り扱いについても検討してまいります。

○両角委員 こちらも、今後、関係者のご意見を聞いて検討ということでございますが、土地情報については一括で管理をして活用ができれば、一番無駄がなくて、いい仕組みではないかと思いますので、そういった視点を頭に入れていただいて検討を進めていただきたいと、このように思います。
 引き続いて、認可外保育施設の利用者負担軽減ということで伺いたいと思います。
 いただいている資料によれば、これは認可外保育施設の利用者負担軽減、バウチャー等と括弧にありまして、これを支援しますということでございます。
 認可保育所と認可外保育施設では、保護者の皆さんの負担が大きく異なるということでございます。このために、多くの区市町村ではその負担のギャップを埋めるべく、保育料負担軽減の補助制度をつくっているということでございます。例えば認証保育所については、都に対して、東京都市長会は毎年のように補助制度を創設してほしいという要望を出しているところでもございます。
 今回の補正は、こうした区市町村への支援として評価をするものでありますけれど、最終的に保育料格差を是正すべく、保護者に支援が直接届くことがより重要ではないかなと、このように考える次第でございます。
 そこで、今回の支援策により、各区市町村の認可外保育施設の利用者の負担軽減を実現すべきではないかという視点で質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この支援策の概要と補助の要件をどのように考えているのか伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 今回の補正予算案には、認証保育所や区市町村の保育室など認可外保育施設の利用料の軽減を図っている区市町村への支援を盛り込んでおります。
 補助額は、児童一人当たり月額四万円を上限とし、区市町村が利用者に補助する額の二分の一を補助するものでございます。
 補助要件は、区市町村が実施している現行の補助制度と同水準以上の制度を継続することとしております。

○両角委員 補助要件についてご答弁いただきましたけれど、その補助要件は、現行の補助制度と同水準以上の制度を継続。すなわち、ある区やある市が、例えば補助額、全体で、お一人に一万円出していたと。それは、今の現段階では区単独費や市単独費で、一人の保護者に一万円出している。しかし、今回それと同じ水準をキープすれば、すなわち一万円をそのままにしておいてもいいんですよと。
 自治体とすれば、単費でやっていた部分の半分が都から補助をもらえるので、それは助かる。しかしながら、全く同じ水準であれば、実際の保護者にとっては、負担は全く変わらない。財源構成が変わるだけだという形になります。
 そこで、この補助要件を、現行の補助を上回る制度とするというふうにすべきではないかと思います。そうすれば、現行の補助要件を上回る、すなわち今まで一万円だったのが一万一千円になるということになれば、ダイレクトに保護者に負担軽減が行くということになりますので、そこで、今のような保護者負担軽減を担保する方策についてどのように考えているのか伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 これまで区市町村は独自に保育料の軽減を行っており、負担軽減の方法は、一律定額の助成や所得に応じた助成、認可保育所の保育料との差額の助成など、地域の実情に応じてさまざまでございます。
 今回の補正予算案は、保育の実施主体である区市町村が、こうした認証保育所や区市町村の保育室など認可外保育施設の利用料の軽減を行うことに対して支援するものでございます。
 区市町村に対しましては、この補助制度を活用していただけるよう、事業の趣旨を十分に説明していく所存でございます。

○両角委員 事業趣旨を十分に説明していくんだということでございますけれど、どこの区市町村もそんなに財源が豊かなわけではございませんから、今までと同じ補助額にして、財源的にはそれを単費から補助金に半分置きかえるということも十分あり得るということで、何とかこの趣旨が、十分に説明という部分をしっかりやっていただきたいなと思うわけでございます。
 平成二十六年四月現在の数字で、例えば、今ほとんどの区市町村が、認可外の保育施設を利用されているお父さんお母さん方に、認可の保育料に対して、非常に高い部分を補助している制度を持っています。
 二十二年の四月時点では、区は一区だけやってなくて、しかしながら、もう現時点ではその区もスタートしているということで、今、二十六年四月現在の数字でいえば、二十六の市のうち七つの市がこういった補助制度を持ってないんです。
 この七つの市というのは、もちろん認可外の保育施設を持っています。認証保育所もあります。ですから、多分そこにお住まいの保護者の方は、隣の市に通っているお友達から、隣の市のお母さんのお友達から、認証保育所に通っているけど、うちの市は市から補助があって、これだけ補填をされているんだけどどうなのといわれたときに、その七つの市は今ないんですね。要は、所得制限なしに、そのまま高い認証保育料を払っているということでございます。
 多分そうすると、それぞれの七つの市には、何でうちの市にはその補助制度がないんだという声がかなり、議会からも住民からも行くというのは、これは十分考えられることでございますけれど、ただ、それでもやってないのは、できないからではないか。いろんな事情があって踏み出せないのではないかと思うんです。
 例えば私の地元の八王子市では、認可外の保育、認証保育所等の一つの施設に対して、保護者負担軽減の補助をしています。年間の総額は一億五千万でございます。
 どこの区市町村も、かなりの規模の予算を割かなくてはいけない。毎年毎年それだけのお金が出ていくんだということで、多分それは、やりたいけれどもできないんだという実情があるんではないか。だからこそ、二十六市として、制度として東京都に補助制度をつくってほしいということを、毎年度、要望事項で上げてきたんだということであろうと私は理解をしております。
 そこで、今回これが利用者に直接、保護者の負担が減するような、見える形に、できるだけそのようにしていくということと同時に、やっぱり重要であると私が考えるのは、やりたいんだけどできないところの自治体に、補助制度をつくれるような、そんな状況をつくっていくことではないかと思うんですが、ここでちょっと質問としては、現行で、今いったような七つの市、補助制度を持たない自治体は、今回できる東京都の補助を活用できるのかできないのか、お伺いをしたいと思います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 認証保育所や区市町村の保育室など認可外保育施設の利用料の軽減を行うか否かを決めるのは、保育の実施主体である区市町村の判断でございます。
 今回の補正予算案では、区市町村が利用者に補助する額の二分の一を都が補助するものでございます。
 区市町村に対しましては、さまざまな機会を通じて、この補助制度を活用していただけるよう、事業の趣旨を十分に説明していくものでございます。

○両角委員 趣旨を十分説明していただいて、区市町村が補助をもらって、利用者の負担をさらに減らせるような、そんなような取り組みができるようにしていただきたいと思いますし、あるいは、今やりたくても多分できないであろう区市町村が取り組めるように進めていっていただければなというふうに思うわけでございます。
 今回のネーミングが利用者負担軽減となっておりますので、この政策の効果の帰着がダイレクトに利用者に行くような、そんな運用を考えていっていただければなと、こんなふうに思うところでございます。
 私の質問の最後でございますけれど、認可外保育施設の巡回ということでお伺いをいたします。
 きょう配られました資料によりますと、平成二十七年度、千七百六十一の対象となる認可外の保育施設に対して三百三十四件の立入調査が実施をされているわけでございまして、率でいえば約一九%ということになります。今回の補正では、この巡回の体制を強化して、巡回回数をふやしていくということでありました。
 先日、保育園に通っているお子さんを持つお母さんとの意見交換会というのに出させていただきましたけれど、やはり重篤な事故等があった場合に厳格な対処をしていただきたいというような声が出ておりました。
 私は今回、この巡回回数をふやす、そして体制を強化するということは、そういった事故防止等にもつながっていくんだとは思いますけれど、同時に、この指導や、事故等があった場合には、今東京都が持っている権限というのを適切に行使をしていただいて、処分等しっかりとした対応をしていくべきではないか、このように思うわけでございますが、見解を伺います。

○松浦指導監査部長 今回の補正予算案では、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図り、児童の安全と保護者の安心を確保するため、巡回指導チームを編成することといたしまして、来年度には全ての施設に年一回巡回指導できる体制に拡充する方針でございます。
 また、苦情や通報等が寄せられた施設など課題のある施設に対しましては、これまでどおり重点的に立入調査を実施し、必要に応じて抜き打ちの調査も行ってまいります。
 万一、重大事故が発生した場合には、直ちに現地確認を行い、基準に抵触する場合には、法令等に基づきまして改善指導や改善勧告、施設閉鎖命令などを行っていくこととしております。

○両角委員 今回のこの補正と同時に、キャリアアップ補助の充実、検討を今後行っていくというようなことがうたわれているわけでございまして、保育士の処遇改善と人材育成につながるような継続した取り組みもあわせて実施をしていただきまして、この補正予算が存分に活用され、待機児童が目に見えて減ずることを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小宮委員 今のお話を伺っていましても、改めて、実施の主体である区市町村の考え方ですとか実態というものは本当に基本中の基本であって、待機児童を解消するためには、それをしっかりと東京都がこれまで以上に把握をしていく、そういう必要があるなとも思わされました。
 待機児童解消に向けた緊急対策として今回提出されている補正予算案に関して、本会議の場でも、きょうもさんざん聞かせていただいています、さまざまな角度からの質疑が行われてまいりましたけれども、改めて、いま一度補正予算案の考え方について伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 今回の補正予算案は、今般取りまとめた待機児童解消に向けた緊急対策に基づき、保育サービスの整備を加速化させるため、来年度予算編成を待つことなく、必要な予算措置を講じるものでございます。
 具体的には、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱に、新規五事業、拡充六事業の十一事業に百二十六億円を計上しているものでございます。
 補正予算を円滑かつ着実に執行することにより、待機児童解消にしっかりとつなげてまいります。

○小宮委員 緊急対策に要する経費として、十一の事業に百二十六億円の補正予算を計上しているわけですけれども、保育の実施の主体は区市町村ですから、これらを編成するに至る経緯として、やはり区市町村への、待機児童解消に当たっての課題、各自治体の実態把握、こういうのが大変必要だと思います。聞き取りをすることが必要と。
 その中で浮かび上がった課題を踏まえたものになっていると、こちら、きょうの議論でも伺っているところですが、今回の補正予算編成に当たっての区市町村への聞き取り状況と、そこから浮かび上がった区市町村における主な課題について伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 補正予算案の編成に当たっては、保育の実施主体である区市町村が抱える具体的な課題を把握し、より実効性のある対策を講じるため、待機児童の多い区市町村を中心に個別訪問し、保育ニーズの動向や保育サービスの整備状況、待機児童解消に向けた取り組み状況、都に対する施策の要望などについて、ヒアリングを実施してまいりました。
 区市町村へのヒアリングでは、主な課題として、整備費や建物の賃借料の高騰や、整備用地の確保、保育士の確保などが挙げられております。
 こうした区市町村の状況を踏まえ、待機児童解消に向けた緊急対策を取りまとめ、補正予算を編成いたしました。

○小宮委員 区市町村に足を運んでいただいて、現場の実態をまとめた上での緊急対策ということで評価をしたいと思いますが、区議会からは、私も再三いわれますが、簡単に整備目標だけいうなとか、簡単に待機児童ゼロというなと、現場の苦労がわかっていないだろうという話をよくよくいただいております。
 保育園をつくりたくても、杉並区もいろいろと苦情も多くてつくれない、苦労しているという実態も現実にあるということも申しておきたいと思います。そしてまた、区からは、都にはぜひ人材の支援を頑張ってほしいという声を強く聞いております。
 今回、補正予算案として提出されている待機児童解消に向けた緊急対策においては、保育所をふやす支援策が多くを占めています。待機児童解消に向けて保育所等をふやすことは重要ですけれども、それだけでなく、保育サービス量の拡大と質を支える人材の確保、定着に向けた取り組みも大変重要であり、そのためには、保育士等の処遇改善を進めることが保育士確保策の大きな柱と考えております。
 都議会自民党は、これまでも保育士等のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援としての保育士等キャリアアップ補助や、宿舎借り上げ支援の事業推進について提案してきております。
 まずは、平成二十七年度から事業を開始しております保育士等キャリアアップ補助。これは処遇改善として大変重要、期待も大きいというふうに思っておりますが、これまでの申請状況、どの程度活用されているのか、実態、実績を伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 保育士等キャリアアップ補助は、キャリアパスの仕組みを導入することを条件に、処遇改善に係る経費の一部を補助するものであり、認可保育所、認証保育所、地域型保育事業等を対象としております。
 平成二十七年度は、対象施設の約八割に当たる二千三百三十事業所から申請を受けております。
 二十八年度の当初交付申請では、二千五百八十六事業所から申請を受けております。

○小宮委員 全体の八割が利用をしている、そういう実績を今、教えていただきましたが、保育士等の安定的な確保、キャリア形成につながるキャリアアップ補助について、多くの保育施設で活用されているという状況がわかりました。
 都議会自民党の代表質問においても、保育士等キャリアアップ補助は、国の動向なども踏まえながら、さらなる充実を検討していくという答弁をしていただいておりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、宿舎借り上げ支援事業について伺います。
 保育所等を運営している方々からは、家賃が高い東京で、物価も高い東京で、この事業というのは非常に保育士さんにはいい事業じゃないですかと、処遇改善に資する事業であるというふうに私もお伝えをしてまいりましたが、なかなか評判はいまいちであったというふうに思っております、当時。
 採用後五年目までの職員というのが対象となっていて、六年目以降の職員と実質的な差が生じる、可処分所得の逆転現象なんかも生じてしまうということが、やはり原因だったと思っております。
 今回の補正予算案では、採用後六年目以降の職員も独自に補助の対象とすることが盛り込まれています。その内容について伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 都は、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業において、国が補助対象としていない認証保育所、定期利用保育事業なども対象に加え、対象となる職員も保育士に限定せず、保育従事職員全てを対象としております。
 さらに、国の事業では、一室当たり月額八万二千円を上限として、国が二分の一、区市町村及び事業者が各四分の一とされている負担割合を、都が独自に四分の一を負担することで、区市町村と事業者について、それぞれ八分の一にまで軽減しております。
 今回の補正予算案では、これまで対象となる職員を採用後五年目までの常勤保育従事職員としておりましたが、保育人材の確保、定着を図るため、都独自に採用後六年目以降にも拡大することとしております。
 また、区市町村及び事業者の取り組みを加速するため、年度内に新たに宿舎を借り上げた場合には、礼金を上乗せして補助することとしております。

○小宮委員 今回の補正予算案により、事業者の方にとって使い勝手のよいものとなると思いますけれども、実際に補助を行うのは区市町村となるため、宿舎借り上げ支援事業を本格実施した平成二十七年度以降の申請状況について伺います。

○横手子供・子育て施策推進担当部長 平成二十七年度は十六区二市から申請を受けており、今年度の当初交付申請では、二十一区七市から申請を受けております。
 今後、補正予算案により、保育人材の確保、定着の取り組みが確実に進むよう、区市町村の保育担当課長会での周知や、区市町村向け説明会の実施など、さまざまな機会を通じて、本事業の積極的な活用を働きかけていきます。

○小宮委員 事業者の使い勝手がよくなり、全ての職員に宿舎借り上げ支援事業による処遇改善が行えるといいと思います。
 ぜひとも区市町村に対しては丁寧な説明をしていただいて、今、区部では、渋谷や練馬がまだ利用されていないと思いますけれども、保育人材の確保と、そして定着につながる本事業がさらに進むように努めていただきたいと思います。
 今後は、年内に四年間のプランを示すということです。人口減少、そして少子化の中にはありますけれども、待機児の多い区などのヒアリングを伺いますと、やはり大型マンションの増加ですとか、共働き世帯の増加で、保育需要率というのが大変急伸をしていると。
 杉並区においては、将来の保育施設の利用希望というのを確認しているわけですけれども、何と六〇%以上という現在の利用率よりかなり高い数字も示されているところです。
 行政の保育サービスの拡充だけでなく、私たちの働き方や、また企業の育休のあり方、そしてまた、家族のあり方というものも私たちは真剣に考えなければならないと、そういうふうに思っております。
 以上で質問を終わります。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。

○斉藤委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○後藤総務部長 過日の当委員会で報告事項につきまして要求のございました資料のご説明を申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 報告事項につきまして要求がございました資料は、目次の4から10までの七項目でございます。
 それでは、恐れ入りますが、五ページをお開きいただきたいと思います。五ページ、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別職員数の推移といたしまして、職種別の職員数につきまして、平成二十四年度から五カ年にわたり記載してございます。
 六ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの診療科別医師数といたしまして、診療科別の医師数につきまして記載してございます。
 七ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの経営指標の推移といたしまして、入院及び外来の経営指標につきまして、平成二十三年度から五カ年にわたり記載してございます。
 八ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターのその他医業収益の推移と内訳といたしまして、その他医業収益の決算額と、その内訳につきまして、平成二十三年度から五カ年にわたり記載してございます。
 九ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに対する運営費負担金及び運営費交付金の推移といたしまして、運営費負担金と運営費交付金の決算額につきまして、平成二十三年度から五カ年にわたり記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける患者の退院先別人数の推移といたしまして、退院患者数につきまして、退院先別に平成二十三年度から五カ年にわたり記載してございます。
 一一ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける個室使用料の推移といたしまして、個室使用料につきまして、個室の区分、金額、室数の推移を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、報告事項につきまして要求のございました資料のご説明を申し上げました。よろしくご審議のほどお願いします。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○高倉委員 それでは、東京都健康長寿医療センターの業務実績評価についてお伺いをします。
 健康長寿医療センターの二十七年度の評価でありますけれども、救急医療の充実などの二項目で最上位のSと評定されるなど、全体として年度計画は順調に実施をされておりまして、おおむね着実な業務の進捗状況にあると、そういった評価でございます。
 地方独立行政法人は、病院事業や試験研究など、公共上の見地から、その地域で着実に実施されることが必要な事業であって、民間の主体に委ねては確実な実施が確保できないおそれがあるものを効率的、効果的に行わせることを目的として、地方公共団体が設立をする法人とされております。
 このため、地方独立行政法人は、その公共性に照らしまして、適正かつ効率的に運営をされなければならず、その業務実績評価についても高い透明性が求められるわけであります。そして、その業務実績評価は、今後の法人の業務運営に反映をされなければならないというふうに思います。
 そこで、この業務実績評価でありますけれども、評価もいろいろな評価の方法があるというふうに思いますけれども、この透明性がどのように担保をされているのか、そしてまた、それが法人の業務運営にどう生かされているのかについてお伺いをしたいと思います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターの業務実績評価におきましては、評価を行う東京都地方独立行政法人評価委員会を、地方独立行政法人法に基づき、知事の附属機関として設置をしており、委員には外部有識者を選任しております。
 評価委員会は、都が定めた中期目標を着実に達成するために法人が作成した中期計画、年度計画の進捗状況を確認し、評価をしており、その結果は都議会に報告をするとともに、都のホームページに掲載をするなど、広く都民に公表をしております。
 また、業務実績評価では、五段階による評定に加え、すぐれており特筆すべき点や、さらなる工夫、改善を求める点についてもコメントをされており、法人は、こうした評価結果を踏まえまして、サービスの向上や運営改善に取り組んでおります。

○高倉委員 今ご説明をいただいて、この評価委員会には外部の有識者を選任されているといったことのお話がありまして、いわば第三者の目がきちっと入っていると、こういった説明であったというふうに思います。
 今後、高齢者が急速に増加をしていく中で、高齢者が健康を維持しながら安心して生活できる社会をつくることは、都の高齢者施策における重要な課題でありまして、高齢者専門の病院、研究所として、高齢者を取り巻くさまざまな課題の解決に取り組む同センターの役割はますます重要になってくると思います。
 平成二十五年度から二十九年度を期間とする第二期中期目標というのが設定をされております。この中では、三つの重点医療の提供体制の充実、救急医療の充実、さらに医療と研究の連携の推進、こういったものが柱とされておりまして、病院と研究所が一体化した法人である利点を発揮して、着実に成果を上げるように求めているわけであります。
 今回、業務実績評価が報告をされた平成二十七年度は、第二期中期目標期間の、いわばその折り返しの年であります。目標達成に向けまして、残りあと二年ということになったわけでありますが、この第二期中期目標に対する健康長寿医療センターの取り組みの進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

○村田施設調整担当部長 評価委員会からは、平成二十七年度は、単年度計画に対する実績という点でも、また、第二期中期計画全体の進捗という点でも、着実に成果を上げているとの評価を得ております。
 具体的な取り組みでございますが、平成二十五年六月に新施設に移転して事業を開始し、病院部門においては、血管病、高齢者がん、認知症の三つの重点医療の提供体制の充実に向けて、移転に伴い整備した最新の機器と、高度な技術を活用した難易度の高い鑑別診断を実施するとともに、身体への負担が少ない低侵襲な治療を提供しております。
 また、救急医療の充実のため、地域の医療機関とも協力、連携をしながら、救急患者の受け入れ体制を強化した結果、移転前と比較しまして、受け入れ実績は毎年大幅に増加をしております。
 研究部門におきましては、医療と研究の連携を推進し、染色体のテロメア長測定技術を利用して膵臓がんの悪性度を判別できる診断方法を確立したほか、高齢者の方の頻尿を皮膚刺激によって改善する過活動膀胱抑制器具が医療機器として承認され販売を開始するなど、臨床応用や実用化につながる成果が生まれております。

○高倉委員 今、詳しく説明をいただきましたけれども、第二期中期計画の進捗について着実に成果を上げつつあるといったことが、今、説明にあったというふうに思います。
 その中で、病院の部門について、今、血管病、それから高齢者がん、それから認知症、この三つの重点医療の提供についてのお話もあったわけでありますが、この中で、認知症について一つだけお伺いしておきたいと思います。
 健康長寿医療センターはこれまでも認知症を重点医療の一つと位置づけをされて、その充実を図るとともに、自記式認知症チェックリストの開発など、認知症に関するさまざまな研究にも取り組んできたわけであります。
 都内の認知症高齢者は、現在三十八万人を超えておりまして、団塊の世代が後期高齢者となる平成三十七年には、約六十万人にまで増加すると。高齢者の五人に一人が認知症になるのではないかというふうに想定もされているわけであります。
 こうした中で、都の高齢者医療、研究の拠点であります健康長寿医療センターの認知症に対する取り組みへの期待は大変大きいわけであります。
 認知症におきましては、早期発見、診断、対応といったことが重要でありますが、そのためには、診断、相談体制の強化、また、人材育成などの地域の認知症対応力の向上が求められるわけであります。
 こうした観点に基づいて、健康長寿医療センターの認知症に対する取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターでは、物忘れ外来において、精神科、神経内科、研究所の専門医が連携しまして、最新の機器と高度な技術を活用して、認知症の早期診断を推進しております。
 また、区西北部二次保健医療圏における地域拠点型認知症疾患医療センターとして、本人、家族や地域の医療、介護等関係者からの専門医療相談に対応するほか、地域のかかりつけ医や看護師等に対して、さまざまな研修を実施しております。
 さらに、認知症ケアに従事する医療専門職等の研修拠点としまして、平成二十七年度に認知症支援推進センターを設置し、認知症サポート医フォローアップ研修等、各種研修を行うとともに、都内の地域拠点型認知症疾患医療センターが実施する研修への支援等を行っております。

○高倉委員 幾つかお聞きをしてまいりましたけれども、今回の業務実績評価、これについては高い評価を得ているわけでありまして、今後も、本当に重要な医療、研究を担っている、そうした拠点だというふうに思いますので、さらに、目標達成も含めまして、しっかりと取り組んでいただくように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○和泉(な)委員 私も、平成二十七年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの業務実績評価について質疑を行います。
 今年度の業務実績評価書を見ると、がん相談支援センターの相談支援や情報提供、そして、認知症初めて講座、私たちで話そう会、物忘れ、認知症よろず相談会、認知症疾患医療センターとしてのアウトリーチなど、本当に地域連携を初めとしたさまざまな取り組みが行われています。
 職員の皆さんの献身的な努力に裏打ちされた取り組みが、国や地域からの高い評価につながっているんだというふうに思います。頑張っている職員の皆さんの努力を支える処遇や労働環境が、さらに仕事の質を高め、サービスを向上させることにつながるという観点から伺います。
 健康長寿医療センターは、平成二十五年に新しい建物に移転しました。この建物内には、当初、院内保育園として使う予定だった施設があるというふうに聞いていますが、建物内のどこに、どのような仕様の施設があるのか伺います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターは、平成二十五年六月に新施設に移転をして事業を開始いたしました。
 法人は、新施設の整備に当たりまして、設計段階では、建物一階の北東角に院内保育の実施が可能なスペースを確保しておりましたが、並行して院内保育のあり方を検討した結果、設置を見送りました。
 確保していたスペースはフローリング仕様でありまして、事務室やトイレ等を備えつけております。

○和泉(な)委員 なぜ施設がありながら、保育園として利用することを見送ったんでしょうか。その経緯も含めて、ご答弁をお願いします。

○村田施設調整担当部長 法人は、新施設の整備と並行しまして、院内保育のあり方を検討してきました。
 平成二十四年一月には、就学前児童のいる看護師等を対象に、院内保育室に関するアンケートを実施しました。
 一方で、平成二十二年度からは、看護師を対象に、月額六万円を上限として保育料の二分の一を助成する保育料助成制度を開始いたしました。
 法人においては、アンケートの結果や、保育料助成制度が広く利用されている実態、看護師の利用ニーズに対応できる保育室の運営に係る経費等を総合的に勘案した結果、さまざまな保育サービスが利用できる保育料助成制度を継続することとし、院内保育室の設置は見送ったものと聞いております。

○和泉(な)委員 独自に保育料の補助を行う、これはこれで非常に重要なことだというふうに思います。
 独立行政法人化したのが平成二十一年、新施設が完成して移転したのが平成二十五年ですから、院内保育のあり方が検討されたのは平成二十三、四年ごろではないかというふうに推測しますが、当時の都の職員は、子育て世代はもう少なくて、院内保育園の要求が今ほど多くはなかったというふうに聞いています。
 しかし、独立行政法人になってからは毎年職員をふやしています。センターのホームページを見ても、一定数の新卒者を毎年採用して、若い職員がふえているはずだと思うんです。
 当時の職員のニーズと今の職員のニーズが同じとはいえないと思います。今の若い世代の職員が安心して働き続けられるようにするためにも、院内保育園は必要ではないかと思います。
 子供が小さいうちは本当に体調も変わりやすく、朝、元気で保育園に送っていっても、午睡後、熱を出して、保育園から連絡が来て、仕事もそっちのけで慌てて保育園に飛んでいく、あるいは、兄弟がいれば、そのときにはやっている伝染病をかわるがわるにもらってきて、一週間休んで、一日、二日したらもう一度、一週間ほど休まなければいけない、そんな状態が一度や二度じゃありません。私の経験からいっても、本当に働きながらの子育てというのは、子供の体調によって休んだり、早退したり、通院のために遅刻したり、この繰り返しで、子供の心配と職場へ気兼ねで板挟みになります。
 ましてや、交代制で勤務する看護師さんであれば、子供の体調が悪いときに早退したり休んだりすることは、殊さら職場への気兼ねがあると思います。職場に保育園があって、医療機関の受診もすぐにできて、様子を見つつ、病気のときや病後に預かってもらえる院内保育園は本当にありがたいんじゃないかと思うんです。
 院内保育園を開設し、都立病院と同様に、病児、病後児保育の実施も検討することを求めますが、いかがでしょうか。

○村田施設調整担当部長 地方独立行政法人の業務運営は、法人の自主性に基づき行われるものでありまして、院内保育の実施やその内容につきましては、法人が判断すべきものと考えております。

○和泉(な)委員 そうはいっても、センターは都が設立した地方独立行政法人です。運営に対し補助も行っています。
 業務実績評価は、医療や研究に関することのみだけではなくて、職員が安心して医療研究活動に従事することができるような職場環境づくりというものも含まれています。福利厚生もその要素だというふうに思うんです。
 せっかく施設としてのスペースがあるのですから、職員に院内保育園の希望に関するアンケート調査を行うなどして、設置に向けた検討を行うよう求めていただきたいと思います。
 続いて、収入の確保について伺います。
 未収金発生予防策として、健康保険証の確認を徹底しとありますが、健康保険証の確認がどのような未収金発生防止につながるのか伺います。

○村田施設調整担当部長 患者の保険加入状況や保険の種別を確認することで、正確な診療報酬請求を行うとともに、患者の状況に応じて公的な医療費助成制度の紹介や相談等を行うことにより、未収金の発生を防止しております。

○和泉(な)委員 入院にしろ、外来にしろ、被保険者証を確認しなければ、診療報酬をどの保険者に対して請求するのか特定できませんし、窓口の負担割合もわからないわけですから、被保険者証の確認というのは、未収金発生防止以前に当然行っているんじゃないかと思います。
 独立行政法人になってから七年とはいえ、老人医療センターとして長年の実績があるわけですから、保険証の確認が徹底されていなかったために未収金が相当額発生していたなどということは考えにくいわけです。
 それなのに、なぜ未収金発生防止策として、わざわざ健康保険証の確認を徹底しと特記してあるのか疑問で、逆に、経済的に困難を抱えている人が受診しづらくなるということにつながらないかということが心配です。くれぐれも、そのようなことがないようにお願いしたいと思います。
 次に、障害者就労施設等からの物品等調達方針について伺います。
 障害者優先調達推進法に基づいて、地方独立行政法人は、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を図るための方針を毎年度作成しなければならないとされています。
 その方針には、障害者就労施設等が供給する物品等及びその調達の目標について定めるものとされていて、その方針に沿って物品等の調達を行うこととされています。
 平成二十七年度の調達実績は、印刷の二十五件で、六百五十五万七千五百六十八円となっていますが、平成二十七年度の調達方針では、どんな物品を調達することになっていたんでしょうか。また、平成二十六年度の調達実績の件数や物品の種別、金額はどうなっていたのか伺います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターの平成二十七年度障害者就労施設等からの物品等の調達方針におきましては、調達する物品等は、センターが契約により調達する物品等のうち、文房具事務用品、印刷、役務の提供等、障害者就労施設等が受注することが可能なものと定めております。
 平成二十六年度の調達実績は、印刷が六十七件で、金額は四百三十二万千百五十四円でございます。

○和泉(な)委員 平成二十六年度に比べると、二十七年度は金額は上がっているものの、件数が大幅に減っているのが気になるところです。しかも、文房具事務用品、役務の提供等についても、優先調達するという方針を立てながら、実際には印刷だけの発注となっています。
 ぜひこの点での取り組みを強化していただけるよう要望します。
 そのためには、まず、目標を明確にする必要があると思いますが、調達の方針では、目標は予算の適正な使用、契約における透明性、公正性及び競争性に留意しつつ、この方針に沿うために障害者就労施設等から物品等の調達の推進に努めるとなっていて、何を目指すのか、どうやって達成するのか具体的ではなく、目標としての意味をなさないというふうに思います。優先調達法で目標を定めるとしている趣旨にも沿わないと思います。
 具体的な目標を設定し、方針がより実効性を伴うものとなるよう求めます。
 総合的には、職員は本当に大変頑張っているというふうに評価できると思います。職員の皆さんが高い意識を持って仕事に取り組み、地域からの期待にもしっかりと応えていることが実績評価書からもうかがえます。さらに、収益についても上がっています。けれども、患者さんや職員にしわ寄せされれば、その頑張りは長く続くことはできません。
 収入確保の対策、未収金対策が、くれぐれも患者さんにとって診察のハードルを上げることにならないよう十分な配慮が必要ですし、院内保育園を初め、働く方たちが長く働き続けられるような環境づくりに取り組んでいただくよう重ねて要望し、質疑を終わります。

○畔上委員 私からは、東京都東村山ナーシングホームの民設民営施設への転換について、意見を表明させていただきます。
 東村山ナーシングホームがなくなれば、直営の高齢者施設は全てなくなってしまいます。
 かつての養育院は、社会が要請する事業を先駆的に手がけ、東京と日本の福祉の発展に大きく貢献してきましたが、そうしたこともできなくなり、都政にとって大きな損失です。
 さらに、民間施設の施設整備が進んでいることが廃止の理由となっていますが、九月現在の都内介護老人保健施設の実績は二万九百四十七人で、都の昨年度の必要見込み数の二万三千九十五人分も確保できていないのが実態です。
 老人保健施設整備費補助の二〇一四年度の決算でも、当初予算の半分しか実績がなく、都立施設をなくし、民間任せだけでは、量的確保も進みません。
 民設民営の転換で定員をふやすということですが、場所が違うのですから、東村山ナーシングホームを残して新しい老人保健施設をつくることは可能ですし、その方が定員はふえるのです。
 また、来年度末には廃止するとしていることは、新たな民間施設の開設は二〇一九年度末ですから、二年間のブランクをつくることになり、問題です。
 廃止すべきではないということを申し上げ、意見表明といたします。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会

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