委員長 | 斉藤やすひろ君 |
副委員長 | 栗山 欽行君 |
副委員長 | 両角みのる君 |
理事 | 高倉 良生君 |
理事 | 早坂 義弘君 |
理事 | 山加 朱美君 |
西沢けいた君 | |
和泉なおみ君 | |
中山 信行君 | |
和泉 武彦君 | |
島田 幸成君 | |
畔上三和子君 | |
小宮あんり君 | |
野島 善司君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 真田 正義君 |
経営企画部長 | 中野 透君 | |
サービス推進部長 | 野瀬 達昭君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 高野 豪君 |
本日の会議に付した事件
陳情の取り下げについて
意見書について
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出 病院経営本部所管分
・第十七号議案 平成二十八年度東京都病院会計予算
報告事項
・多摩メディカル・キャンパスあり方検討会の報告について(質疑)
・東京都立病院条例の一部を改正する条例について(説明・質疑)
○斉藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、陳情の取り下げについて申し上げます。
お手元配布のとおり、二八第一九号、子どもの医療費の助成制度の拡充及び国民健康保険料の軽減に関する陳情につきましては、議長から取り下げを許可した旨の通知がありました。ご了承願います。
○斉藤委員長 次に、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○斉藤委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成二十八年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成二十八年三月九日
東京都議会議長 川井しげお
厚生委員長 斉藤やすひろ殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成二十八年度東京都一般会計予算中 歳出 債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成二十八年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成二十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十七号議案 平成二十八年度東京都病院会計予算
(別紙2省略)
○斉藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査並びに報告事項に対する聴取及び質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○中野経営企画部長 平成二十八年第一回東京都議会定例会に追加提出を予定しております、東京都立病院条例の一部を改正する条例について、ご報告を申し上げます。
お手元の資料1、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入」に伴う東京都立病院条例の一部を改正する条例(案)についてをごらんいただきたいと存じます。
まず、新たな制度の概要でございますが、健康保険法等の改正により、平成二十八年四月一日から、医療機能の分担及び連携のさらなる推進を図るため、特定機能病院と一般病床五百床以上の地域医療支援病院に紹介状なしで受診する場合に、患者に定額負担を求めることが義務づけられたところでございます。
都立病院におきましては、多摩総合医療センターが制度の対象となり、新たに使用料を設定する必要があるため、条例改正が必要となりました。なお、自治体が運営する病院は、施行日について、九月末までの経過期間が設けられております。
次に、条例案の内容でございますが、金額設定は、国の定める最低額を適用することを検討しておりまして、初診患者の場合、医科で五千円、歯科で三千円を考えております。また、再診患者の場合、医科で二千五百円、歯科で千五百円を考えております。
条例施行日につきましては、都民への影響緩和と周知のための経過期間を最大限にとりまして、十月一日とすることを検討しております。
適用が除外されるケースでございますが、救急の患者、公費負担医療制度の対象患者など、緊急その他やむを得ない事情がある場合及び検診等の結果により精密検査の指示があった患者等となっております。
条例提案予定日といたしましては、閉会日の三月二十五日を考えております。
なお、本制度につきましては、内容が明らかになりましたのが、二月十日の中央社会保険医療協議会の答申でございまして、診療報酬に係る省令の公布が三月四日でございました。
このため、今回の都議会定例会における二月十七日から三月三日までに行われました本会議への上程には間に合わず、本日、厚生委員会にご報告という形で出させていただきました。
今後、予算特別委員会の締めくくり質疑を経て、三月二十五日の閉会日に上程させていただきたいと存じます。
以上、簡単ではございますが、ご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤委員長 報告は終わりました。
本件につきましては、次に行います予算の調査及び報告事項の質疑の際、あわせて質疑を行いますので、ご了承願います。
○斉藤委員長 次に、予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成二十八年度東京都一般会計予算中、歳出、病院経営本部所管分及び第十七号議案並びに報告事項、多摩メディカル・キャンパスあり方検討会の報告について及び報告事項、東京都立病院条例の一部を改正する条例についてを一括して議題といたします。
予算案及び報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中野経営企画部長 去る二月十五日の本委員会でご要求のございました資料につきまして、お手元にお配りしてございます資料2、厚生委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、十一項目でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員(平成二十八年二月一日現在)でございます。
(1)は都立病院、次のページの(2)は公社病院における医師の診療科別定数及び現員を記載してございます。
三ページをお開きください。2、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員(平成二十八年二月一日現在)でございます。
(1)は都立病院、(2)は公社病院における職種別職員定数及び現員を記載してございます。
恐れ入ります。四ページをお開き願います。3、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
(1)は都立病院、(2)は公社病院における看護要員の採用者数及び四月一日から三月三十日までの退職者数と、三月三十一日の退職者数について、平成二十二年度から二十六年度までの推移を記載してございます。
五ページをごらんください。4、都立病院及び公社病院における看護要員の夜勤回数の分布(平成二十七年十月実績)でございます。
(1)は三交代制勤務職場、次ページの(2)は、二交代制勤務職場の看護要員の夜勤回数につきまして、それぞれ平成二十七年十月の実績を病院別に記載してございます。
七ページをごらんください。5、都立病院及び公社病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数(平成二十六年実績)でございます。
平成二十六年の看護要員の年次有給休暇平均取得日数を病院別に記載してございます。
八ページをお開き願います。6、都立病院及び公社病院における研修医受入状況でございます。
(1)は初期臨床研修医につきまして、次ページの(2)は後期臨床研修医につきまして、それぞれ平成二十六年度及び二十七年度の定数を病院別に記載してございます。
一〇ページをお開き願います。7、都立病院におけるPFI事業に関わる経費の推移でございます。
平成二十四年度から二十八年度までのPFI事業にかかわる経費の推移を各事業別に記載してございます。
一一ページをお開きください。8、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費につきまして、平成二十四年度から二十八年度までの推移を病院別に記載してございます。
一二ページをお開き願います。9、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費につきまして、平成二十四年度から二十八年度までの推移を記載してございます。
一三ページをお開きください。10、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成二十四年度から二十八年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載してございます。
一四ページをお開き願います。11、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成二十四年度から二十八年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○斉藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○山加委員 私からは、都立広尾病院の整備について、お伺いをしたいと思います。
来年度の予算原案において、都立広尾病院が平成三十五年度の開設に向けて、仮称ですが、首都災害医療センターとして移転改築することが明らかになりました。
私は平成十三年に初当選をいたしましたが、都は、国に先んじて三百六十五日二十四時間の救急医療、東京ERを開設、まず墨東、そして続く広尾となったわけでありますが、そういう意味においても、広尾病院は都の災害医療、そして救急医療を牽引する都立病院として大変重要な役割を今まで担ってまいりました。これからもそうであります。
築三十五年が経過をし、設備も大変古くなっている。また、今後も、その重責を果たしていくためには、抜本的な改築が必要ではないか。私は以前から将来を見据えた十分な対策を検討すべきと、当委員会でも提案をしてまいりました。
広尾は昨年、開院百二十周年ということで、私ども厚生委員会のメンバーも党派を超えてお招きをいただいたわけであります。百二十年の長きにわたって、現在の地で医療を提供してきた病院でもあります。現在地での改築は実現をしなかった、これは建蔽率とかいろいろな問題があると思いますが、しかし、旧青山病院跡地への移転改築という形で建てかえが実現をするということは、都民にとっても大変喜ばしいことであると思います。
しかし、移転改築が七年後でありますね。それまでには東京のみならず、この日本が、本当に大きな国際的なイベント、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック、これを控えているわけであります。現在地で迎える、この東京大会への対応をしっかりと行うことが重要であると思います。
二年ほど前、当委員会でも、当時まつば委員長でありましたけれども、この厚生委員会で広尾病院の管内視察を行ったことがございます。今の委員の中でも三分の一ぐらいが当時、管内視察で広尾を訪れていますが、その際、先ほど申した東京ERなどの重要施設の老朽化がかなり進んでいるなと。
救急でERに入った方は当然、一般の入り口とは違う入り口から入る。入り口は別々なんですが、中の動線はなぜか一つになっているんですね。つまりERで運ばれますから大変な、ひどい状態になった患者さんもいらっしゃる。それが一般外来で来ていらっしゃる人々の前を通って治療室に行くという大変--救急患者の動線が分かれていない、また、患者のプライバシーへの配慮が不十分である。
国際水準に照らしても改善すべき課題が多いねということは、当時視察に参加をした厚生委員会の党派を超えて、それぞれ共通の意見を持ったところでありました。
東京二〇二〇大会では、世界各国からⅥP、そしてまたアスリート、まさに〇・〇一秒を競うトップアスリートが、全てこの東京に集結するわけでありますね。そして観光客、現在の広尾の地でも、今は立地的にも各大使館が非常に多いということで、都立病院の中でも一番、外国の患者さんが非常に多い病院でもあるわけですが、さらにその観光客がふえていくと思います。首都東京の顔にふさわしい機能と設備を備える必要があります。
まずは、東京二〇二〇大会に向けて、現在の都立広尾病院の施設をどのように整備をしていくのか、お伺いをいたします。
○中野経営企画部長 東京二〇二〇大会を迎えるに当たりましては、自然災害やテロなどのリスクにも備えつつ、国内外から訪れる方々が安心して医療を受けられるよう、必要な施設整備を行う必要があると考えております。
具体的には、今、ご指摘のありました初期診療室の移設をしまして、災害時には多くの患者に対応できるようスペースを拡張するとともに、二つのフロアに分かれている救命救急センターを集約し、救急搬送から入院に至るまでのワンフロア化を実現いたします。
また、患者のプライバシーを確保するため、新たに救急患者の専用動線を整備いたします。
これらの改修工事につきましては、来年度から二カ年にわたって実施いたします。
さらに、大会までに汚れた外壁の補修ですとか内装リフォームを行うとともに、外構整備や緑化対策などにも取り組み、可能な限り快適な環境を得られるよう配慮いたします。
こうした取り組みにより、大会の成功に向けて万全の準備を進めてまいりたいと考えております。
○山加委員 今後も、今まで以上に都民、そして東京に訪れる外国人が安心して医療を受けられるようにするためには、必要な改修はぜひとも計画的に進めていただきまして、広尾病院に期待する都民の一人として、しっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。
今のご答弁によって、ハード面での整備はしっかりとしていかれるようでありますが、しかし、東京二〇二〇大会開催時には、ソフト面においても外国人患者の受け入れ体制を整えていくこと、これは大変重要と思います。
広尾は、たしか昨年の八月に厚生労働省によって、全国で十九カ所ある医療通訳拠点病院の一つに認定をされています。
また、外国人患者への対応を、さらに進めているとも聞いておりますけれども、私たち日本人もそうですが、海外に行ったときに最も不安なことは、病院に行ってコミュニケーションがとれないことであると思います。ですから、訪れる外国人にとっても同じであろうかと思います。
診療に当たって最も大切なことは、患者と医療者とのコミュニケーション。コミュニケーションの基本は会話であります。
広尾病院では外国語での対応が必要な外国人患者に対して、どのような対応を現在行っているのか、対応状況について、まず、確認のためにお伺いをしたいと思います。
○中野経営企画部長 広尾病院では、現在一カ月に外来、入院合わせまして五百人を超える外国人患者が受診しております。日本語での診療が困難なため、英語や他の言語により診療等の対応を行った者は、ことし一月実績でございますが、百十八件でございました。
広尾病院では、平成二十六年度から二カ年にわたり、語学リーダー養成コースという職員向けの語学研修を実施しておりまして、これまで看護師やコメディカル職員二十三名が受講し、病院現場での実践的な英会話を学んでまいりました。
外国語での診療が必要な場合には、各診療科の医師、看護師を初めとしたコメディカルが対応するほか、必要に応じて、平成二十七年度から新たに配置した英語、中国語の外国語医療相談員が医療通訳としての役割を果たしておりまして、外国語医療相談員が従事している平日の日中は、全ての診療科で英語、中国語での対応が可能となっております。
こうした対応が評価されまして、昨年八月に医療通訳拠点病院として認定されたことに加えまして、今月四日に観光庁が発表いたしました、訪日外国人旅行者受け入れ医療機関の都内十カ所のうちの一つにも選定されております。
平成二十八年度には、外国人患者が円滑に医療を受けられるように病院内外の調整を行います、外国人向け医療コーディネーターに看護師を配置いたしまして、体制の強化を図っていきたいと考えております。
○山加委員 今、ご答弁の中にもあった今月の四日、観光庁が公表した訪日外国人旅行者受け入れ医療機関、都内十カ所の中の一つに広尾が入っているということでありますが、これは都立では唯一、広尾病院が名を連ねているわけであります。大変、都立病院を牽引するという意味でも心強いことと思います。
都立病院では、東京二〇二〇大会の前年までに、全ての都立、公社病院で、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIP、これは多言語での診療案内、日本人とは異なる文化、背景等に配慮した外国人患者の受け入れ体制が整っている医療機関に与えられるものでありますが、この取得を目指していると聞いております。
取得をすれば、広尾が都立初の取得に取り組んでいくという方針になるわけであります。医療の質が強化されていることはもちろんですけれども、外国人の患者が安心して医療サービスを受けられる、その環境を整えるためには、さまざまな配慮が必要だと考えます。
そこで、広尾病院では、外国人患者が安心して診療を受けられる環境をどのように整備をしていくのか、今後の具体的な取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○中野経営企画部長 現在、広尾病院では職員の語学力の向上を図る一方で、多言語翻訳アプリ等を登載しましたタブレット端末を、言語サポートツールとして活用を図っていくための試行を行っています。
今後は、受診の流れや検査の受け方などをわかりやすく説明する動画機能を盛り込むなど、活用方法の検討を深め、他の都立病院への展開を視野に入れ、試行状況の検証を行ってまいります。
また、院内案内表示につきましてはデジタルサイネージを活用し、日、英、中、韓の四カ国語のほか、フランス語とスペイン語等を含めた多言語案内表示のあり方を検討してまいります。
さらに、職員の誰もが外国人患者に対し、適切な対応がとれる体制を構築するために、各部門で想定される場面に応じた外国人患者対応マニュアルを作成し、万全の対応を図ってまいります。
こうした取り組みを通じまして、広尾病院では、平成二十九年度までにJMIPの認証を取得し、他の都立病院の外国人患者対応を牽引してまいります。
○山加委員 さまざまな外国人の旅行者受け入れに対して、体制整備に向かって力を注いでいただいていることがよくわかりました。
広尾は通訳の拠点病院には、もう指定をされている。そして、来年までにはJMIP、そして、さらにいえば、私はやはり海外から来る皆様方というのは、日本人の感覚以上にさまざまな、どのような病院が認証の許可を得ているのか、そのことに大変関心が強いと思うんですね。
先ほどの観光庁発表の訪日外国人旅行者受け入れ医療機関の、まさに十カ所の病院の中の一つに広尾は一覧として入っているわけですから、インターネットで救急と引けば、都立は広尾と一カ所が出てくるわけであります。
通訳拠点病院、そしてJMIP、そしてさらにいうならば、世界の標準である国際病院評価機構、ジョイント・コミッション・インターナショナル、JCIというのがありますが、これは非常に検査項目も、JMIPよりも項目が多く、そしてまた、今度、広尾がさまざまな改築もしていきますから、その中では、それに合う基準にもなっていきますので、ぜひ、この三つをしっかりと取っておくことも、東京二〇二〇に向かって海外から来る皆様方に、さらに、世界の中で国際医療機関としての、しっかりとした地位も確立できるのかなと思いますので、私の意見ですけれども、添えさせていただきたいと思います。
今まで以上に、広尾病院でのこうした外国人患者対応のノウハウの蓄積が、七年後の首都災害医療センター(仮称)にしっかりと引き継がれ、国際化に対応した医療につながっていくものと思います。
まさに、オリンピックのレガシーとして、成熟した国際都市東京を医療で支えていくために、さらなる高みを目指し、医療の質においても国際標準、これが大事だと思います。
国際標準を満たした世界に誇れる医療機関としての展開を、私は大きく期待をしたいと思います。
最後になりますが、広尾病院がこれまで担い続けてきた医療、中でも災害医療は多くの都民を救う命綱でありました。首都災害医療センター(仮称)の整備に当たっては、大変立地条件のいい、好立地での移転改築となるこのメリットを最大限に生かしていただき、十分に踏まえ、災害時においては、いつ何どきどんな災害があるかわからないわけであります。
災害時における他県からの応援職員の受け入れ環境の整備、そしてまた被災者等の一時避難場所の確保、これは現在の広尾病院では対応が困難であった機能であります。ぜひ詳細に検討し、災害拠点病院としてさらなる進化を遂げていただくことを大きくご期待申しております。
改めて、首都災害医療センター(仮称)の整備について、本部長の強い決意をお伺いしたいと思います。
○真田病院経営本部長 まずもって山加先生には体調がすぐれない中、広尾病院に対する本当に熱い思いと貴重なご意見、ご提言いただきまして、本当にどうもありがとうございます。
今、お話にありました広尾病院ですけれども、今度、移転しまして、首都災害医療センターということで整備してまいりたいと考えておりますが、広尾病院は、都心部で唯一となる基幹災害拠点病院として、首都直下地震などの自然災害だけでなく、NBC災害あるいはテロなど、首都東京を脅かす新たな災害への対応が求められておりますので、今回施設の更新の機会を捉えまして、抜本的にその機能を強化することといたしました。
移転改築に当たりましては、あらゆる災害に対応するため、基幹災害拠点病院としての機能を抜本的に強化するとともに、その機能強化の中には、今、お話しいただきましたような帰宅困難者の対策ですとか、その他もろもろお話しいただきましたので、そういったこともぜひ考えていきたいと思っております。
また、平常時の医療としましても、スポーツ医学に基づく医療、あるいは国際標準、これも今回いろいろご意見いただきましたけれども、こういったことも踏まえまして、国際標準に対応した医療など、新たに対応すべき医療課題にも取り組んでいきたいと考えております。
来年度は、外部有識者を含む基本構想検討委員会を設置いたしまして、新たな災害医療の拠点として、平成三十五年の開設に向けて基本構想を取りまとめてまいります。
構想の策定に当たりましては、これまで広尾病院が積み重ねてまいりました実績、あるいは信頼を継承しつつ、将来にわたり都民の生命と健康を守り続ける病院としまして、確実にその責務を担っていけるよう、先生方のご指導もいただきながら、職員一丸となって準備に万全を期していく決意でございます。
その中で、先生のご期待を裏切らないような、いい病院をつくってまいりたいと考えておりますので、ぜひ今後ともご支援いただきたいと思います。
○山加委員 ありがとうございます。七年後の移転改築に向けて、本部長の強い決意のほどが伝わってまいりました。大変心強く思うところであります。
今、本部長の答弁の中にも、来年度は、外部有識者を含む基本構想検討委員会を設置して、基本構想を取りまとめていくということでありますが、外部有識者の方たち、もちろん、それぞれの見識者がそろうわけでありますけれども、やはり百二十年の歴史の中で、そして日本で、国を先んじて、都で東京ER、救命救急に力を注いできた、さまざまな現場の声というのは、やはりしっかりとその中に生かされなければ--それが私は一番大事なことだと思っております。
移転改築は七年後、その前に二〇二〇東京大会をしっかりと超えなければなりません。さまざまなテロ医療、そして今、本部長がスポーツ医学に基づくという、それは新病院、七年後のことでありますが、しかし、〇・〇一秒というのは大変な、トップアスリートは普通のリハビリとはちょっと違うと思いますので、それをどのようにオリンピックのときに支えていくのか。そしてまた、テロといっても、病院そのものがテロの標的になる可能性もあるわけですから、もうテロ医療だと私は思います。
テロ医療にもしっかりと前向きに取り組んでいただきたい。そのことを強く強くお願いを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中山委員 私の方からは、多摩メディカルキャンパスについてお伺いいたします。
多摩メディカルキャンパスの難病医療が、病院経営本部の新年度以降の取り組みの中で、どのように充実していくのかについてお伺いいたします。
お決まりのフレーズでありますけれども、難病は患者数が少ないものの、誰でもかかる可能性のある病気でございます。
昨年、難病の患者に対する医療等に関する法律、いわゆる難病医療法が施行され、難病の医療費助成の対象疾病が三百六にまで拡大されました。したがいまして、当然、難病患者数は今後、増加することが見込まれております。
先日の予算特別委員会における我が党派の代表質問におきまして、神経病院の改築に当たっては、多摩キャンパスの難病機能を集約し、診療範囲の拡大と専門性の高い、外来診療体制の整備を行って、都の難病医療の拠点となる難病総合医療センターとして再構築する旨の答弁がございました。
難病医療は、高い専門性が求められる医療であります。対象疾病が拡大する中、医療機関の側としても、幅広い疾患に対応できる体制を整備することが、実に重要な取り組みでございます。
そこでまず、多摩キャンパスにおきます難病医療の現在の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩キャンパスにおきましては、多摩総合医療センター及び神経病院が難病医療を重点医療として掲げ、高度で専門的な医療に取り組んでおります。
まず、多摩総合医療センターでは、リウマチ膠原病系難病や潰瘍性大腸炎などの消化器系難病等に対して、外来及び入院医療を実施しております。
また、神経病院におきましては、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALSなどの神経難病に対する急性増悪期の入院医療と人工呼吸器を装着するなど、在宅においても高度な医療を必要とする神経難病患者への訪問診療を提供しており、外来診療につきましては、神経病院の医師が多摩総合医療センターにおいて実施をしております。
さらに、神経難病患者が糖尿病などの疾病を併発した場合は、高度な総合診療基盤を有する多摩総合医療センターとの連携により、合併症に対する医療を提供しております。
○中山委員 既に多摩キャンパスでは、高度な難病医療を提供しているとのことでございます。
これが神経病院と多摩総合医療センターとが一体となって、都の拠点として整備されていくわけでありますから、より多くの難病に対し、より専門性の高い医療と、二つのよりが重なるわけでございまして、整備に当たっては、拠点化によって何がどう変わったのか目に見える形で整え、都民や患者とその家族の安心につながるよう、広報、周知も含めて医療体制を構築していっていただきたいというふうに思います。
さて、難病は長期にわたる療養が必要でありますため、一度入院しても、容体が落ちついた段階で地域に戻り、在宅での療養生活を送ることになります。在宅療養生活を支えるためには、在宅医療を行う医師に加え、看護師やヘルパーなど多職種のスタッフがチームで支える環境を整えることが大切でございます。
神経病院はこれまでも、神経難病患者に対する在宅療養支援に取り組んできたと思いますが、具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 神経病院におきましては医師、医療ソーシャルワーカー、MSW、保健師及び看護師が所属をいたします地域療養支援室を設置し、地域の医療機関等との連携による訪問診療や、入院患者及び神経病院が訪問診療を実施する在宅療養中の患者さんに対する医療相談を実施しております。
在宅療養支援の具体的な取り組みについてでございますが、病状が安定しており、地域の在宅医への移行が可能な患者さんに対しましては、神経病院の医師、看護師、保健師、理学療法士や作業療法士等の多職種のスタッフが専門的な視点から、患者の地域移行後に必要な医療やケアを定めた在宅療養支援計画を策定いたします。
その後、退院に当たりましては、計画の着実な実施に向け、患者、家族、地域の関係機関と患者の症状の共有等、綿密な打ち合わせを行い、円滑な在宅療養への移行を支援しております。
一方、多摩地域の居住者で、外来受診が困難な上、症状が安定せず、地域の在宅医では診療が困難な神経難病患者に対しては、地域療養支援室の専門スタッフが訪問診療を実施しております。
○中山委員 これまでも神経病院が、地域医療に積極的に取り組んできたということがよくわかりました。
さて、近年の医薬品や医療機器の進歩によりまして、難病患者でも在宅における療養が可能となってきております。在宅療養支援を求める都民の声は一層高まっていくものと考えられます。在宅療養患者が地域で安心して暮らしていくためには、患者のアクセスも考慮すると、難病患者の日常的な診療は、できるだけかかりつけ医が行うことが望ましいと思います。
一方、病状の急変時には、確実に入院ができ、病状が落ちついた後には、再び円滑に在宅療養に戻ることができる一貫した支援体制の整備が必要であります。
しかし、難病は患者数が少ないため症例が少ない、ノウハウが蓄積されにくいなどの理由によりまして、現状では、難病患者の専門的な医療や在宅療養を支援できる地域の医療機関は限られております。
難病医療を充実するためには今後、整備する難病総合医療センターにおきまして、神経病院のノウハウを活用し、地域の医療機関のレベルアップに努めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病は患者数が少ないため、医療関係者であっても、難病に関する正しい知識を持った人材は多いとはいえない状況にございます。
このため、今後、増加が見込まれる在宅で療養する難病患者に対し、質の高い支援を実施するためには、かかりつけ医や保健所、訪問看護ステーションなど難病患者に対応できる医療関係者を育成することが重要でございます。
難病総合医療センターにおきましては、これまで神経病院が培ってきた在宅療養支援のノウハウを、神経難病以外の疾患にも生かし、地域で難病患者のケアを行う関係者に対し、人工呼吸器の取り扱い方法や言葉を発することができない患者とのコミュニケーション手法など、技術支援を充実してまいります。
また、難病総合医療センターが中心となりまして、地域の医療機関との症例検討会や連携講演会の対象を拡大し、地域の医療関係者の難病医療に対するスキルアップを図ってまいります。
こうした取り組みを通じまして、地域の医療や介護の関係者の人材育成を行い、地域における難病医療の水準の向上を図ってまいります。
○中山委員 症例検討会や連携講演会の対象を拡大していくということでございますけれども、本当に大事なことではないかと思います。
難病患者が在宅におきましても、安心して支援を受けられますよう地域の医療関係者の育成にも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
また、ある面で、症例が少ないということもありまして、難病に関する情報が限られている現状があります。
そうした中では、研修や症例検討会による知識の習得は、ケアの質の向上に役立つと思います。在宅難病患者のケアを行う訪問看護ステーションの看護師やヘルパーさんは、良心的な人、事業者であればあるほど、自分たちは果たして患者にとって適切なケアを実施できているのだろうか、また、精神面でのフォローは、どのように行えばよいのだろうかと、さまざまな疑問や不安を抱えながら、日々のケアに当たっていらっしゃると思います。
スタッフが自信を持って患者に対応できるようになることは、患者の側から見ても安心してケアを任せられることにつながるわけでありますから、在宅療養の患者、環境向上に直結するものと考えます。
難病医療の拠点となる難病総合医療センターにおきましては、これまでの難病患者の豊富な診療経験を生かし、地域の医療機関関係者から相談に対応する体制も必要になると考えますが、見解をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病医療の拠点として機能を発揮するためには、急性増悪期等の患者の受け入れや在宅療養の支援はもとより、地域の在宅療養環境の向上のため、地域の関係機関の人材育成やケアスタッフに対するアドバイスを実施することも重要でございます。
このため、難病総合医療センターにおきましては、患者支援センターの機能の充実を図り、保健所や地域の医療機関、訪問看護ステーションのスタッフと定期的な課題の共有や情報交換を行うことを目的とした連絡会を実施し、地域のケアスタッフの不安の解消に努めてまいります。
また、講演会や研修会等を通じまして、地域の関係機関と顔の見える関係を構築し、地域のケアスタッフが、難病総合医療センターの専門スタッフに日々のケアに当たっての疑問や不安を相談しやすい体制を築いてまいります。
○中山委員 やはり日々の問題でございますので、いざ、どこで、いつ、どういう疑問が発生するかわかりません。
したがいまして、個人情報の問題はありますけれども、連絡会や検討会、症例検討会とか、そういう講演会等を通じて、センターの方々と地域の医療の方々、できれば携帯番号等を、この人は大丈夫だなということを確認した上でですけれども、教え合っていただいて、いざというときに、看護師さんやヘルパーさんから救いの手を求められたときに対応できるようにお願いしたいと思います。
病院や訪問看護ステーションなど、それぞれが難病患者を支援するだけでなく、難病総合医療センターの拠点となる病院として、中心軸となり、関係機関と連携して質の高い支援を面的に展開していくことは、地域で難病患者を支える上で重要なことであります。
多くの難病患者が安心して在宅療養ができる環境の整備に、難病総合医療センターの積極的な貢献を期待しております。
難病患者は、難病と診断を受けた後の生活や仕事のこと、また、地域で適切な医療を受けられる医療機関が見つからないなど、日々、多岐にわたる不安を抱えながら在宅しております。
さらに、在宅療養ともなると家族の負担も重く、病状急変時の不安も少なくはありません。重症であれば、その心労と負担は一層大きいものとなります。
難病総合医療センターにおきましては、難病患者や家族に対する相談支援を充実することが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病患者は、退院後に長期にわたり在宅療養を必要とするため、患者や家族への総合的な支援を実施することは重要でございます。
このため、地域で生活する難病患者の日常生活における相談支援や、難病情報の提供などの拠点である東京都難病相談・支援センターとの連携を推進し、患者、家族等への相談支援体制を強化いたします。
また、難病患者等の社会生活に関する情報や地域で難病に対応できる医療機関の情報を発信するなど、患者支援センターの機能を一層強化してまいります。
さらに、患者や家族を対象とした講演会など難病ケアに関する普及啓発も充実してまいります。
このような取り組みを基本に、都の難病医療の拠点として、地域の関係機関との連携により難病患者や家族の支援を行ってまいります。
○中山委員 さまざまな不安を解消し、難病患者が安心して地域で療養生活を送れますよう、機能の充実を図っていただきたいと思います。
先日の予算特別委員会の代表総括質疑におきましては、我が党の橘政調会長に対し、真田病院経営本部長から、来年度から、新たに駒込病院では、がん患者が治療を行う際に仕事との両立ができるよう、ハローワークの職員が病院に来て、ソーシャルワーカーとともに就労の具体的なアドバイスを提供する就労支援事業を実施するとの答弁をいただきました。大変高く評価しております。
ぜひ、難病患者の中にも、今後はそうした希望や悩みを抱える方々も出てまいりますと思いますので、よく聞き届けていただいて、同様の整備、取り組みをお願いしたいと思います。
本来、難病であるか否かにかかわらず、住みなれた地域で安心して暮らしていくことが望ましいわけであります。難病患者の増加が見込まれます中、拠点となる病院は、重症な患者にしっかり対応し、症状が落ちついた場合には、地域の医療機関でフォローしていくことが望ましい医療のあり方と考えます。
そのためにも、難病総合医療センターでは、在宅医療移行が円滑に進められますよう、地域の医療機関を育て、支えること、また患者、家族が安心して生活できる相談支援を行うこと、さらに、地域で支えられない患者につきましては、臨機応変に受け入れていくことこそが与えられた役割であると思います。この点、どうかよろしくお願いしたいと思います。
また、本日は、より専門性の高い難病治療の進展という観点での質疑が、まだできませんでした。
この点につきましては、研究機関との連携や高度医療人材の確保のあり方という点から、しかるべきタイミングで改めてしっかり質疑を行ってまいりたいと思いますので、真田病院経営本部長、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
それでは、以上、述べてきました全ての役割を難病総合医療センターが果たせますよう、計画を着実かつ意欲的に進めていただきたいことを要望させていただいて、質問を終わります。
○和泉(な)委員 まず、都立広尾病院の移転改築について伺います。
広尾病院が現在ある場所と、移転予定とされている地域は同じ医療圏内ということですけれども、現地に行ってみますと、現在の都立広尾病院は、近隣に都営住宅や民間マンションなどがあって地域に溶け込んでいるという印象を受けました。
予定地は現在地から約四キロの距離で、こどもの城と青山病院跡地となって、敷地面積は広くなります。環境が大分変わりますし、利用者の皆さんにとってどう変わるのかというところが気になるところです。
そこで、何点か伺います。広尾病院を現在利用している方たちの声はどのように反映させるのでしょうか。
○中野経営企画部長 移転改築に当たりましては、現在、広尾病院を利用している方々の声に耳を傾け、利便性に配慮していくことは重要であると考えております。
このため、今後、日々の病院運営の中で得られた意見を集約することはもちろん、外来に設置した意見箱ですとか、入院患者が退院時に記載するアンケートなどを通じて、移転改築に関する利用者の声の把握に努めてまいります。
○和泉(な)委員 ぜひ、アンケートの方に今後の移転計画に対する意見や不安を記載するような項目を加えるなど、意識的に意見を聞くような取り組みを強めていただきたいと、利用者や地域の皆さんが置き去りにされたまま計画が進むことがないように、くれぐれもお願いしたいというふうに思います。
移転によって、看護師寮の拡張や一床当たりの面積拡張などで、看護師の労働環境の改善、向上を図るとともに、都民の利便性向上が図られるようにするべきだと考えますが、都としての考えをお聞かせください。
○中野経営企画部長 職務住宅につきましては、基幹災害拠点病院として災害時の対応に当たる職員を確保するためにも、十分な戸数を整備する必要があると考えております。
また、一床当たりの面積につきましては、医療法の基準である一人当たり六・四平方メートルを基本としつつ、アメニティー確保の視点からも配慮していく必要があると考えております。
なお、具体的な施設の整備内容につきましては、今後、基本構想等において検討してまいりたいと考えております。
○和泉(な)委員 利用される方たちにとっても、働く人にとっても、移転後の環境がよりよいものになるようにしていただきたいと思います。
何より現場の声が大事だというのは、先ほど山加理事からもご指摘があったとおりだと、私も全くそう思います。よろしくお願いしたいと思います。
さて、広尾病院の改築に当たって、都から受けた説明によれば、二〇一六年度に基本構想、その後、基本計画、基本設計、実施設計を経て、オリンピック後に着工ということですけれども、島しょの方たち、利用している方たち、職員の方たち、また、地域の住民の方たちの要望も踏まえて、さまざまな角度から検討する必要があると思います。
基本構想策定に当たって、どういう検討組織を考えているのか、伺います。
○中野経営企画部長 仮称でございますが、首都災害医療センター、この整備に当たりましては、基幹災害拠点病院としての機能に加えまして、今後、新たに対応すべき医療課題につきましても、広範に検討していく必要があると考えております。
また、移転改築により新たな立地での整備となるため、渋谷区を初めとする関係機関等の理解と協力が不可欠であると考えております。基本構想に当たりましては、こうした視点を踏まえた上で、どのような検討組織を設置すべきか、庁内の意見も聞きながら決定してまいりたいと考えております。
○和泉(な)委員 ぜひ幅広い方たちの意見を反映できるように、そういう体制にしていただくようにお願いします。
続いて、多摩メディカル・キャンパスあり方検討会報告書について伺います。
この報告書では、今後の多摩メディカルキャンパスのあり方について、五つの視点から機能強化の方向性が示されています。その中の難病医療については、神経病院を改築し、外来診療も行えるようにして、難病総合医療センターとして再構築することとしています。
さらに、入院患者や訪問診療患者に対してだけではなく、一般の患者さんへの相談支援も行って拠点機能を整備するなど、機能の強化が図られようとしています。報告書にも記載がありますが、難病医療費助成の対象疾患がふえて、認定患者数は全国ベースで倍近くになると推計されている中で、必要な機能強化だというふうに思います。
このような機能強化に当たっては、医療も相談支援も、より広い分野での専門家が必要になってくるのではないかと思いますが、都の認識を伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、多摩キャンパスでは、神経系難病は神経病院、リウマチ膠原病系難病や消化器系難病等は多摩総合医療センターにおいて医療を提供するとともに、患者支援センターで専門性の高い相談支援を実施しております。
現在の体制に加え、どのような専門家が必要になるかは、難病総合医療センターにおいて強化する機能や取り組みを踏まえた上で検討するものであると認識をしております。
また、難病について広く専門的な相談を行っている保健所や東京都難病相談・支援センターなどとの連携も踏まえた上で、あわせて検討する必要があると考えております。
○和泉(な)委員 機能強化という方向であれば、人材の充実がどうしても必要なのは明らかだと思うんです。人材の育成も含めて、ぜひ体制の構築に力を注いでいただくようにお願いします。
難病総合医療センターとして再構築しても、病床数は三百四床で変わりません。もともと病床の利用率が神経病院は高くないので、多摩総合医療センターから膠原病等の患者が移行しても対応できる見込みだということですが、患者の数が倍にふえると推計されている中で、病床数が本当に足りるのだろうかということが心配です。
そういうもとでは、今後、地域の医療機関との連携や、在宅療養の場合のレスパイト機能なども含めて、在宅療養を支える仕組みを構築することも、ますます重要な課題ではないかと思いますが、都は、具体的にどのような構想を持っているのでしょうか、伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病患者は身近な医療機関で医療を受けられることが望ましく、拠点病院では重症患者の受け入れや急変時の対応など、地域では対応が困難な医療を行っていくとともに、地域の医療機関との連携を強化していくことが重要であると考えております。
このため、難病総合医療センターでは、難病患者の診療等に対応する医療関係者を育成するため、難病のケアに関する研修や症例検討会などを実施するとともに、難病に関する多様な情報を発信してまいります。
なお、神経病院におきましては、福祉保健局から委託を受け、介護者が一時的に介護できなくなった場合に、患者の受け入れを実施しております。
○和泉(な)委員 さらに充実を図る方向でお願いしたいと思います。
小児総合の精神病棟は、低年齢化や性別の不均衡により多床室を一人で利用することになっていて、ベッドの有効利用ができなくなっており、個室治療が必要な患者に適切に対応する必要があるということですが、小児精神の個室がふえることで有料個室がふえてしまうことはないのでしょうか、伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児総合医療センターのこころ病棟におきましては、治療上の必要性の観点から有料個室を設置しておりません。増加した重症患者を個室において、より円滑に受け入れていくため、有料個室を設置することは現時点では考えておりません。
○和泉(な)委員 療養上個室が必要な患者への対応のためであると、有料にすることは少なくとも現時点ではないというご答弁です。安心しました。家族と離れて病気と闘う子供たちの療養環境に金額で差をつけるなどということにならないようにしていただきたいと思います。
この検討会は、要綱で原則公開となっていました。実際には非公開になったその理由について、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩メディカル・キャンパスあり方検討会設置要綱第六の二第一項により、会議及び会議録は原則公開とされておりますが、同第二項によりまして、出席委員の過半数の議決により非公開とすることが可能となっております。
本検討会におきましては、会議を公開した場合、確定していない情報が確定した情報と誤解され、地域の医療機関等の関係機関に対し混乱を生じさせる可能性があるため、非公開とする議決がなされております。
○和泉(な)委員 さまざまな情報や条件も含めて確定していないことを確定に向けて議論する、それがあり方検討会ではないのでしょうか。確定しない情報も含めて議論の経過を広く公開しようというのが原則公開としている眼目だと思うんです。公開して幅広い意見を集めてこそ、よりよいものをつくることができるのではないかと思います。今のご答弁は公開しなかったという理由にはならないと思います。
今後、構想や計画をつくる上では、住民を初めとした幅広い人たちの意見を聞き、その議論が広く開かれたものにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本検討会では、学識経験者や民間病院の院長など、幅広い識見を有する外部有識者を含む委員により検討を行っております。
今後は、多摩キャンパスの各施設の代表者等と検討を進めていく予定でございますが、必要に応じ、地域の自治会長や役員等と実施をしております既存の連絡会を通じて情報提供や意見交換を行ってまいります。
○和泉(な)委員 ぜひ議論を公開するとともに、できる限り地域の住民の皆さんや、今後連携を進めようとする機関、団体等の意見をより広く反映させるための取り組みが必要だと思います。
さまざまな分野から意見を聞くことで、病院の機能を強化する上で想定されることに対応することが可能な、そういう体制を準備することができるんじゃないでしょうか。
また、既存の連絡会を通して意見を聞くだけではなくて、検討そのものに住民が参加する仕組みをつくるべきです。ぜひ検討していただきたいと思います。
小児周産期医療の機能強化では、国家戦略特区の活用について検討するとなっています。安全性については大丈夫なのでしょうか。
検討する特区と、その内容について説明をお願いします。また、承認までのプロセスについても、あわせてお聞きします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩キャンパスにおきまして活用を検討しておりますのは、国家戦略特区における保険外併用療養に関する特例でございます。
この特例は、米国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、またはオーストラリアにおいて承認を受けている医薬品等であって、日本においては未承認、または適用外のもの全てを対象として、迅速に保険外併用療養を活用した先進医療を提供できるようにするものでございます。
本特区の実施医療機関は、医療安全体制や診療実績など、国が定める高い基準をクリアし、外部有識者から成る国の先進医療会議で認められる必要がございます。
また、先進医療の実施に当たりましては、まず、実施病院において、医師、看護師、薬剤師等、多様な職種で構成された会議体において、医療安全や患者への有効性、倫理面など、多面的な視点で複数回にわたる調査や審議を経た上、国が実施する先進医療会議に申請をいたします。
先進医療会議におきましては、申請事案に対し、豊富な経験を有する異なる診療科の医師等が安全性や有効性、倫理性、技術的成熟度等について審査し、実施の可否を判断いたします。
このように、安全面や技術面等について、専門分野や立場が異なる複数の専門家が審査を重ねる仕組みとなっており、安全性につきましては、十分担保されているものと認識しております。
○和泉(な)委員 今ご答弁のあったようなプロセスを経て安全体制や診療実績のすぐれた高い基準をクリアしている病院が審査をした上で、さらに国の会議で認められる必要があるから、安全性の担保ができるんだと、このようなご答弁ですけれども、従来のやり方で薬事承認された場合でも薬害は発生してきたわけです。子供に使用される医薬品なわけですから、慎重にも慎重を期す必要があると思います。
さらに、この特区によって認められるのは、保険外併用療養の先進医療であり、高額になります。誰もが平等に受けられるという医療ではありません。先進医療は保険導入に向けたものとされていますが、こうした形で保険外診療が広がっていけば、必要な医療は保険で提供するという国民皆保険が揺らぐことにもつながりかねません。病院がどう考えているかにかかわらず、そうした危険があるんです。
良質な医療を公平に受ける権利を保障するために、医療の質の向上を目指して知識、技術の研さんに努めると宣言している都立病院が、国家戦略特区により混合診療を広げることには反対です。あり方検討会報告書にまとめられている五つの視点での機能強化は、冒頭でお聞きした専門家の必要性も含め、いずれも人的な体制をどのように再構築するかがとても重要だと思います。
都としては、今後どのように整えていくのか、伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本報告書を踏まえた機能強化の詳細や具体的な取り組みにつきましては、基本計画において検討をしていく予定でございます。
人的な体制につきましては、今後、こうした機能強化や取り組みを踏まえた上での検討となると認識しております。
○和泉(な)委員 どんなに設備や医療機器がよくなって効率が上がったとしても、設備機器を使うのは人です。地域との連携支援も、重症化した患者の対応も行うのは人です。機能強化の本質は人的配置だと私は思います。
ぜひ果たすべき役割にふさわしい人的配置を、あわせて計画の中に盛り込んでいただくよう求めます。
続いて、非紹介手数料について伺います。
国の省令に基づいて、特定機能病院等を受診する際に、紹介状がない場合には厚生労働大臣が定める金額以上の額の支払いを受けることとされたため、都立病院でも非紹介手数料を徴収するということですが、徴収額はどのような考え方で決めたのか、伺います。
○野瀬サービス推進部長 本制度では、紹介状のない初診患者の場合に五千円以上、歯科の場合は三千円以上、病院から地域の医療機関に紹介したにもかかわらず、再度、当該病院を受診した場合に二千五百円以上、歯科の場合は千五百円以上を患者さんの自己負担として求めることが、省令によって定められております。
今回の制度の趣旨や、都民への負担などを総合的に判断して、国の定めた最低限の金額に設定することを検討しております。
なお、二十大都市の状況を確認したところ、ほとんどの病院で同様の金額設定になると聞いております。
○和泉(な)委員 従来は千三百円だったところが、今度は一般の病院だと五千円になるということですけれども、この徴収額の引き上げを何とか回避する方法がないかという検討はされたのでしょうか。
○野瀬サービス推進部長 本制度により定められた額を徴収するのは、法令に基づく義務であり、法令を遵守するのは当然のことであると考えております。
なお、本制度においては、救急患者や公費負担医療制度の対象者などは適用が除外されることとなっており、やむを得ない事情がある患者さんに対する配慮もなされております。
○和泉(な)委員 保険医療機関及び保険医療養担当規則第五条第三項によれば、例外もあるようです。それが、今ご答弁のあった内容かと思うんですが、救急搬送や公費負担の医療だけではなく、丁寧に患者さんの事情について把握を行っていただき、除外対象になる理由がある場合の対応を行うよう求めます。
法令遵守は当然という答弁がありました。それはそうなんですけれども、やはり一律に徴収を義務づける、そういう回答はやめるよう国に求めるべきだと思います。経済的に苦しい方が医療を受けられなくなるということがないように、国に求めることも含めて最大限の努力をする責務が都立病院にはあると思います。
次に、PFIについて伺います。
都立病院におけるPFI導入後の検証はどのように行っているのでしょうか。
○野瀬サービス推進部長 PFI事業者が提供するサービスの検証には、PFI事業者である特別目的会社、いわゆるSPCがみずから業務の問題点や課題を把握し、サービスの維持、改善につなげていくためのセルフモニタリング制度、また、セルフモニタリングをもとに、都が業務履行状況の確認と評価を行っていくためのモニタリングの仕組みがございます。
このモニタリングを毎月実施することにより、SPCが提供するサービスをチェックし、要求水準を満たしていない場合には改善を促しております。
また、PFI事業契約では、病院とPFI事業者とで行った経営改善や、医療を取り巻く環境の変化、患者数など、状況を勘案して支払い額を五事業年度ごとに適正に見直すこととしております。
これまで駒込病院と多摩小児総合医療センターでこの見直しを実施しており、PFI事業費の増加要因が、病院の収益見合いで増加する医薬品や診療材料の経費などであることや、光熱水費の支払い額に見直す余地があることなどについて分析、検証をいたしました。
そこで、医薬品費の増加を抑えるため、医薬品の値上げ率の引き上げや光熱水費の見直しなどを行い、一層の効果を発揮するよう変更いたしました。
○和泉(な)委員 都から説明を求めたところによると、セルフモニタリングの項目は多いところでは六百項目にも及ぶというふうに聞いています。それを都が毎月チェックして、要求水準を満たしていない場合は改善を要求するということなんですけれども、病院でチェック表を管理していて、経営本部としては管理していないということでした。それだけの手間をかけて病院がチェックできるなら、本当にPFIは必要なんだろうかと思わざるを得ません。
また、今お話のあった範囲の評価にとどまらず、そもそもPFIを導入しなかった場合と比べて、本当によくなったのかという検証は不可欠ではないでしょうか。その点で、必ずしもその効率、効果を的確に検証できているとはいえないんじゃないかと思います。
都立病院のPFIでは、そもそもなぜ安くなるのかということが明確にされず、本当に安くなるのかわからない、SPCを間に挟むことで個別の事業を実際に行う事業者とのやりとりがやりにくくなる、SPCが医療について十分な能力を持っているかについても疑問がある、公開される情報も非常に少ないなどの基本問題があり、抜本的な検証が必要ですし、広尾病院や神経病院への導入はすべきではないということを申し述べて、私の質問を終わります。
○島田委員 このたび、多摩メディカル・キャンパスあり方検討会が開催されまして、報告がありましたので、この件に関しましてお伺いをいたします。
まず、難病総合医療センターについてお伺いします。
昨年一月、難病の患者に対する医療等に関する法律が施行され、対象疾患が五十六疾病から三百六疾病に拡大されました。これによりまして、難病認定の患者数は全国ベースで約七十八万人から約百五十万人に増加するというふうに推定をされています。
一方、都におきましては、現在、九万人が認定されておりますが、対象疾患の拡大に伴い認定患者数も増加していくものと考えられまして、今後、難病医療のニーズはますます高まっていくと考えられます。
さらに、昨年九月には、同法に基づき難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針が定められまして、国や地方公共団体が取り組むべき方針が示されました。まさに我が国の難病対策が約四十年ぶりに大きく変わろうとしており、難病対策を強化していくには最も適した時期だと考えております。
こうした背景を踏まえまして、検討会の報告書では、難病総合医療センターの整備に当たりまして、現在、多摩総合医療センターで実施しているリウマチ膠原病系や消化器系の難病に関する入院及び外来の機能と、神経病院の医師が多摩総合医療センターで実施している神経系難病の外来を難病総合医療センターに移管しまして、専門性の高い外来を実施するというふうにあります。
しかしながら、難病の診療には専門的な医療だけでなく、総合診療基盤を有する多摩総合医療センターとの連携も、引き続き重要であるというふうに思いますが、具体的にどのような連携を実施していくのか、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、神経病院と多摩総合医療センターの間では、神経難病患者の外来診療のほか、神経難病患者に対する合併症の治療、多摩総合医療センターの診療における神経内科分野からのコンサルティングなど、互いの機能を生かした連携を行っております。
難病総合医療センター整備後におきましても、多摩総合医療センターの有する総合診療基盤との連携は不可欠であると認識しております。
このため、難病総合医療センターへの外来整備後におきましても、地域の医療機関で診断がつかない患者や難病疑いの患者につきましては、多摩総合医療センターの各診療科と連携し、総合的な観点から診断を実施してまいります。
また、難病患者が合併症を併発した場合には、引き続き多摩総合医療センターの総合診療基盤との連携により、適切な治療を実施いたします。
なお、神経病院、多摩総合医療センターでは、電子カルテ等診療情報や画像情報の相互閲覧を可能にするなど、システム的な面からも連携の一層の強化を図ってまいります。
○島田委員 ご答弁いただきましてありがとうございます。難病総合医療センターの高い専門性と、多摩総合医療センターの高度な総合医療の連携によりまして、難病医療の一層の充実を図っていくことを期待しております。
次に、小児総合医療センターとの連携について質問をいたします。
難病は、治療法が確立されていないため、小児期に発症した難病患者は、大人になっても継続して治療を受け続ける必要があります。小児科と成人の診療科のどちらで診療を受けるのが望ましいかはケースにより異なるというふうに思いますが、小児科と成人の専門診療科が連携を強化し、適切な時期に成人の専門診療科で診療を行える体制を整えることも重要と考えます。
そこで、小児総合医療センターと難病総合医療センターの連携により、こうした体制が確保されるのではないかと考えますが、見解をお伺いします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小児期に発症した難病患者は成長と発達を踏まえ、また、疾病の状態の変化に合わせた医療が必要でございます。
このため、現在、小児総合医療センターと多摩総合医療センターにおいては、小児科と成人の診療科を子供の成長に応じ適切に橋渡しをする、いわゆる移行医療を重点医療に掲げ、小児医療と成人期の診療の連携に努めております。
両センターでは、移行医療を円滑に進めるためのツールの開発や、研修体系を実施をするために、国が実施しているモデル事業に共同で参画し、移行医療の円滑な実施に向け取り組んでおります。
今後は、先行して実施をしている両センターの取り組みで得られた成果や課題を踏まえ、難病総合医療センターにおきましても、小児総合医療センターと連携し、小児期に難病を発症した患者に対し、成人後も継続して、より適切な医療の提供に努めてまいります。
○島田委員 多摩総合医療センターと小児総合医療センターで実施している取り組みを、このたび充実される難病総合医療センターにも広げまして、多摩キャンパス全体で、他の病院のモデルとなるように取り組んでいただきたいというふうに思っております。
さて、今回の報告書では、難病総合医療センターは都の難病医療の拠点として整備するとのことであります。難病は極めて希少な疾患や、診断や治療に多くの診療科が必要な疾患もあり、高い専門性と経験が必要な分野であります。
また、長期療養が必要になることから、地域医療においても難病に関する知識やケア技術など高い専門性が求められます。
このため、地域において難病に精通した医療関係者を育成し、質の高い難病医療を提供していく必要があります。難病総合医療センターは、都における難病医療の拠点として、都全域の難病医療の質の向上を図っていくことが求められると考えられますが、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 難病医療は、高度で先進的な医療の提供と地域における在宅療養を支える環境が切れ目なく提供されることが重要でございます。
区部におきましては、大学病院など高度な医療を提供している病院が多いため、高度な難病医療は、こうした病院でも実施をしております。
一方、難病患者は地域に戻った後も高度な医療を必要とする場合もあり、在宅療養を積極的に支援、実施してきた地域の医療機関は少ない状況にございます。
このため、難病総合医療センターでは、神経病院が開設以来培ってきたノウハウを、都内の医療機関を対象に研修会や講演会などを通じ、都内の医療機関に広く発信し、地域で在宅療養を支える人材の育成に取り組んでまいります。
また、難病総合医療センターの医師と、他の都立、公社病院において難病を取り扱う医師との合同症例検討会を実施するなど、相互に質の高い医療が提供できるよう努めてまいります。
○島田委員 これまで実施してきました豊富な診療実績とノウハウを都全域に発信しまして、都における難病医療の水準の向上を図ってほしいとお願いしておきます。
難病総合医療センターの整備に当たりまして、一点要望しておきます。先日、今回の改築の対象となっております神経病院を視察させていただきました。実際に施設を見て、施設は老朽化し、使い勝手が悪くなっている部分がかなり出ているようでありました。
しかし、そのような中でも、現場の方々は、さまざまな工夫をして、療養環境の向上に努めておられました。
特に印象的なものとしては、神経病院では、取り扱う病気の性質から、自分で手足を動かすことができず、トイレでも他者の介助がなければ一人で座っていられないような方が多いようであります。こうした患者でも一人で用を足せるよう自動車のシートベルトをトイレに取りつけるなど、患者の安全性の確保とプライバシーの保護を両立させるよう工夫をされておりました。
改築に当たっては、現場の声をよく聞き、これまでのさまざまなノウハウを生かした整備を行ってほしいということを、この際要望させていただきます。
次に、東京医師アカデミーについてお伺いいたします。
多摩メディカル・キャンパスあり方検討会の報告書を拝見したところ、整備に当たっての基本的な考え方として五つの視点が掲げられております。
そのうち、視点2として、東京医師アカデミーを活用した多摩地域の公的病院との連携を強化していくとあります。この取り組みを具体化していくためには、各地域の医師の状況をしっかり把握した上で事業化していく必要があります。
一方で、多摩キャンパスは多摩地域の医療拠点でありますから、所在する医療圏だけでなく、多摩全域の状況を把握した上で事業を実施していくことが重要であります。
私の地元であります西多摩二次保健医療圏にある病院からは、医師の確保の厳しさについてよく話を聞きます。
そこで、多摩地域及び西多摩二次保健医療圏におきまして、現在の医師の状況がどのようになっているのか、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 厚生労働省の平成二十六年医療施設調査及び病院報告によりますと、区部には、大学病院など大規模な病院が多くあることなどから、多摩地域の医師数は区部の約三割で、これを人口十万人当たりの医師数で見ますと、多摩地域の医師数は区部の約六割となります。
西多摩二次保健医療圏の医師数は約八百人で、多摩地域の医師数全体の約一割でございます。これを人口十万人当たりの医師数で比較をいたしますと、西多摩二次保健医療圏は二百一・八人、一方、多摩地域の平均では二百四十・二人でございまして、多摩地域の中でも医療圏ごとに差がある状況にございます。
○島田委員 今、ご答弁いただきましたけど、区部に比べて多摩地域は医師の割合が少ないと。さらに、多摩地域の中で、西多摩地域の医師の割合がまたさらに少ないということでございます。区部と比べましては、多摩地域の医師の状況、まだまだ厳しい状況にあるというふうに感じております。
実際、西多摩地域では、数年前に公立阿伎留医療センターや公立福生病院において、医師不足により一部の診療科が閉鎖になるというような事態が起きたことがあります。多摩地域の公的病院は、医師の確保に非常に苦労しておられます。こうした点でも、今回の視点は、多摩地域にとって非常に重要な取り組みとして期待をしております。
そこで、東京医師アカデミーを活用した多摩地域の医療機関の公的病院との連携強化に当たりまして、どのような取り組みを検討していくのか、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都では、平成二十年に都立、公社病院合わせて約七千床のスケールメリットと豊富な症例を活用した東京医師アカデミーを開講し、都立病院と公社病院が連携して専門医の育成を行い、これまでに約三百五十名の修了生が都立、公社病院を初め、さまざまな医療機関で活躍をしております。
今後の育成に当たりましては、すぐれた臨床能力を身につけることに加え、幅広く地域医療を学び東京の医療状況を理解するなど、医師としての視野を拡大することが必要でございまして、多摩地域の公的病院で、医師アカデミー生が研修する機会を設けることを検討してまいります。
また、今後強化する機能も含め、多摩キャンパスの医療機能を活用し、多摩地域の公的病院の研修医の受け入れや総合臨床研修など、ニーズの把握や条件整備の上、相互に協力した医師の育成についても検討してまいります。
○島田委員 ぜひ、多摩地域の医療人材の向上について、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
最後に、多摩地域の医療水準の向上に向けた取り組みについてお伺いいたします。
多摩地域は非常に広域であるため、多摩キャンパスの機能が強化されても、高度な医療を受けるために、特にお年寄りは時間をかけて通わなければなりません。今後、高齢者がふえていけば、より身近なところで高度な医療を受けたいというニーズは高まっていくというふうに考えております。
そのためにも、地域医療の質を底上げしていくことが重要となりますが、多摩キャンパス総体としまして、今後、多摩地域の医療水準の向上にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩地域は、高度な医療を提供する病院が区部と比べて少なく点在もしているため、多摩地域の医療水準の向上には、多摩キャンパスにおいて、より高度で専門的な医療を提供するとともに、地域医療機関との緊密な連携を一層推進していくことが必要でございます。
このため、重症度の高い急性期医療を担い、がん、救急、周産期などの医療機能のさらなる高度化を図るとともに、小児や難病等の希少疾患に対しても、より先進的で専門性の高い医療を提供してまいります。
また、多摩キャンパス内の各施設の連携体制を一層強化し、総体としての医療機能を最大限発揮してまいります。
このように強化をいたしました多摩キャンパスの各施設が、地域医療の中核となる公社病院を初め、地域医療機関との連携を一層推進することにより、多摩地域の医療水準を向上してまいります。
○島田委員 多摩地域の医療水準を向上するには、医療が高度化した多摩キャンパスが、地域医療機関と緊密な連携体制をとることで、多摩地域の医療水準の向上を牽引してほしいということ、このことを強く要望いたしまして、質疑を終わります。
○両角委員 それでは、私からはまず、高額医療機器の購入に当たって、機器購入とメンテナンスの一体の入札契約方式の実施ということで、伺いたいと思います。
平成二十八年度、高額医療機器の購入予算は、都立病院では約五十六億円強、公社病院で約十七億円強を計上しているようであります。さきの決算委員会でも指摘をさせていただきましたが、これらの購入を、競争原理が働いた、よりリーズナブルな価格で購入をするということが必要であろうと思っております。
ところで、過去三カ年の都立病院、公社病院それぞれの、契約金額一億円以上の医療機器の購入について見てみますと、都立病院については、対象となる契約十九件のうち、応札業者が二者であるものが十一件、一者であるものが四件となっております。
このような状況を見ると、競争原理が十分に働いているのかというふうにも思うわけでございますが、所見をまずは伺います。
○野瀬サービス推進部長 ご質問のございました十九件の契約につきましては、財務局において、地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令に該当する、いわゆるWTO一般競争入札を行ったものでございます。
WTO一般競争入札は、より競争原理が働くよう、入札に参加できる機会を海外にまで広げ、公平性や競争性を十分確保することが趣旨でございます。
こうしたことから、製品の指定は原則として認められず、仕様書を作成する際には複数のメーカーの製品が競合できる内容としているほか、入札公告は入札日の四十日前までに行い、海外の業者も対象として英語訳を併記するなど、広く一般に公告してございます。
応札業者数は、結果として、ご質問にあったとおりでございますが、これは競争原理が最大限に働く仕組みで入札を行った結果であり、契約における公平性、透明性及び経済性が確保されていると考えております。
○両角委員 これはWTO案件ということで、仕様書作成に際してメーカーの製品が競合できる内容でするとか、入札公告を四十日前までに行うとか、あるいは英訳表記も併記をするというような工夫をされているということで、これは広く参加者を募る、そういう取り組みがある前提なので競争原理は働いていると、そういうご答弁なんですが、そういう仕組みであるにもかかわらず、なぜ応札者が一者や二者なのかというところに問題があるのではないかと思いますので、今後、周知とか、そういう部分に何らかの、もう少し一工夫ができるのかもしれませんので、この点は指摘をさせていただきたいと思います。
続きまして、都立病院、公社病院で、入札契約手続の流れがそれぞれ異なるわけでありますが、それぞれの予定価格については、病院が複数のディーラーから見積もりをとって参考にしているとのことであります。
このような方法では、実勢価格との差が大きくなるのではないかと思いますが、予定価格算定に当たりまして、実勢価格に近づけるような工夫というのはどのようにされているのか、伺います。
○野瀬サービス推進部長 都立、公社病院における高額医療機器購入の際の予定価格は、性能、機器構成、販売開始時期、取りつけ工事の規模、為替レートなどの条件により設定されております。このため、複数のディーラーから見積書を徴取するとともに、近隣の医療機関における納入金額を調査するなど、適正な価格の設定に努めております。
○両角委員 近隣の医療機関における納入金額調査等で適正価格設定に努めているということでございました。それがどこまでできているかということと、努力、工夫をさらに進めていっていただきたいと、このように思います。
続きまして、機器の購入費とその後のメンテナンス費用、それを一体とした入札契約というものを導入することで、真のトータルコストの比較が可能になる、このように感じます。
そこで、機器購入とメンテナンスを一体とした入札契約の導入をすべきだと思いますけれど、都あるいは公社の現行規定で、これらはそれぞれ可能なのかどうか、可能でないとすれば、いかなる点が問題となるのか、伺いたいと思います。
○野瀬サービス推進部長 都立病院の場合、契約手続の根拠となる地方自治法、地方自治法施行令及び東京都契約事務規則では、契約約款、競争入札参加に必要な資格、入札すべき金額の範囲などが、売買、賃貸、請負といった契約の種類に応じて個別に規定されておりますが、種類の異なる契約形態を複合した契約を行うための規定がございません。
また、都は、地方自治法に基づき予算単年度主義を採用し、契約も単年度で締結することが原則でございます。
都では、単年度主義の例外として、長期継続契約を締結することができる契約を定める条例施行規則第二条で、長期継続契約を締結することができる契約を限定列挙しておりますが、機器の保守委託は対象となっておりません。機器購入とメンテナンス委託を一体とした入札契約については、都立病院の場合、こうした制度上の課題がございます。
一方、公社病院においては、規定上の問題はございません。
○両角委員 今、制度上の問題についてお話をいただきました。都立病院については課題があるということで、自治法上の単年度主義であるとか、あるいはこの条例の施行規則で現行は限定列挙していて対象に入っていないということでありましたから、都立病院の場合は、条例の施行規則を改正するということで対応が可ではないかというふうに思います。
一方で、公社病院については規定上の問題はないと、都の組織外でありますからというお話でありました。
そこで、この高額医療機器について、都立病院であれば規定をきちっと整備をして、公社病院であれば、現行規定の中で可能なわけでありますから、機器購入とメンテナンスを一体とした入札契約へと変えるべきだと思いますけれど、見解を伺います。
○野瀬サービス推進部長 さきに答弁をさせていただきましたように、都立病院におきましては、購入とメンテナンス委託とを複合した契約を締結できる規定がございませんので、また、長期継続契約の対象ともなっておりません。
都は、契約の方針として、中小企業への発注機会の確保と競争性の確保を目的として、分離分割発注を基本としており、機器購入とメンテナンス委託を一体とした契約は、その方針にそぐわないものでございます。
メーカーによっては、医療機器の購入とメンテナンス委託との一体契約はしないという方針を持っているところもあり、この方式をとると、特定のメーカーの製品を排除することにもつながる可能性もございます。
さらに、高額医療機器の使用年限は明確には定まっておらず、可能な限り長期の使用とすることがあるほか、機器の使用期間や使用状況によって保守の内容や回数を見直すことや、修理部品の調達が不可能となり、保守契約が結べなくなるなどの変動が生じる場合がございます。
そのため、医療機器の使用期間やメンテナンス範囲をあらかじめ全て見込んだ上で、適切な予定価格を設定するのは困難でございます。
こうした理由により、都立病院において機器購入とメンテナンス委託を一体とした入札契約を導入することは困難であると考えております。
公社病院においては、規定上の問題はございませんが、一体契約が特定のメーカーを排除する可能性がある点や、医療機器の使用期間やメンテナンス範囲をあらかじめ全て見込んだ上で適切な予定価格を設定することが難しいという点は、都立病院と同様でございます。
○両角委員 今、都立病院については、現行規定を変えなきゃいけないし、入札契約を導入するのは困難という認識を示されたわけです。
公社病院については、規定上の問題はないけれど、価格設定、期間設定等の問題で難しいという認識でありました。これは認識を改めていただきたいなというふうに思うわけでございますが、今、その理由として二点ほど挙げられました。
一つは、中小企業への発注機会の確保と競争性の確保ということが必要であって、分離分割発注が基本なんだと、だから、メンテと一緒にすると競争性を妨げてしまうというお話でありましたが、実際この高額医療機器の導入に当たって、導入をされているメーカーとメンテをやっている企業はどういう関係にあるかというと、ほぼ系列であろうと思います。
これはまた、今後確認をさせていただきたいと思いますが、私の地元の病院経営者、あるいはその事務長等から話を伺いますと、やはり機器の購入メーカーと実際のメンテナンスはほぼ系列で、九割以上そのようになっているというお話でございましたので、そういったお話を踏まえると、建前だけ発注分離で中小企業の競争性を確保するということよりも、現実的、合理的方法を採用してトータルコストを抑えるということが都民益にかなうのではないかと私は思いますので、ぜひこの点は、再度、研究をしていただきたいと思います。
引き続きまして、医療事故調査制度への公社病院の対応ということで伺います。
平成二十七年の十月にスタートした医療事故調査制度への対応として、都立病院では新制度スタートに先立つ昨年九月、医療事故予防マニュアルを改定し、各病院への周知を図っているということでございました。
一方、公社病院では、昨年十一月の厚生委員会時点では、マニュアル整備を鋭意進めているところというご答弁をいただいたわけでありますが、その後、公社病院でのマニュアル整備についてはどのようになっているのか、伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、従前から病院ごとに医療安全マニュアルを定め、医療安全対策に取り組んでまいりました。
今年度、医療安全対策の統一化を図るため、標準的な対応方法を定めた公社病院共通のガイドラインを策定することとし、公社医療安全委員会で検討を行い、本年二月に医療事故調査制度への対応を含む東京都保健医療公社医療安全ガイドラインを策定いたしました。
○両角委員 二月に、公社病院についてもガイドラインが策定をされたということで、一安心ということでございます。
そこで、公社病院でもマニュアル整備が整ったということでありますので、新制度への対応に万全を期すために、各病院の新制度への対応と取り組みをどのように行っていかれるのか、伺いたいと思います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におきましては、医療事故調査制度の施行以前から、医療法施行規則で義務づけられた医療安全管理のための委員会のほか、医療安全担当副院長を室長とする医療安全対策室の設置や、専任リスクマネジャーの配置など、都立病院と同等の体制を整え、原因究明や再発防止策の検討など、医療安全対策を行ってまいりました。
また、患者さんやご家族に対しましても、誠意を持って説明等を行い、信頼関係の構築に努めてきております。
公社医療安全ガイドラインにつきましては、策定後、直ちに各病院に周知徹底したところでございまして、ガイドラインにのっとり、今後も医療事故調査制度など、医療安全対策に適切に対応してまいります。
○両角委員 万全を期して対応していただければと思います。
引き続きまして、外国人への医療対応ということで伺わせていただきたいと思います。
予算を拝見しますと、二十六年度の決算では四千四百万円強と、二十七年度予算で八千万円、二十八年度、新年度予算については一億一千万円強が予算計上されているということで、この分野については、毎年度、予算額が増額措置をされているというふうになっているわけでございますが、二十八年度予算では、新たにどのような取り組みをされていくのか、伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度は、都立病院を紹介するリーフレットや、病院経営本部ホームページなどの広報ツールについて、平成二十六年度に作成した英語版に加え、新たに中国語、韓国語版の作成を行います。
また、広尾病院におきまして、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPの都立病院初の認証取得に向け、受審申し込みを行います。
○両角委員 新年度の予算の新規の中身についてもご説明をいただきました。
これから、二〇二〇年大会を控え、東京を訪れる外国人の方の数というのは、大きくふえていくことが見込まれると思います。
そうした中で、外国人患者の受け入れ体制については、どの時点までにどの程度の水準で対応できる体制を整えるんだというような目標があるのかないのか、また、現時点ではその体制というのはどの程度確保されているのか、伺いたいと思います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、外国人患者が安心して医療を受けられる環境を整備するため、語学研修や外国のさまざまな文化、習慣を理解するための異文化理解をテーマとした研修、また、問診票、同意書など患者対応に使用する書類の翻訳など、さまざまな取り組みを進めております。
こうした取り組みを進め、外国人患者受け入れ体制において一定の水準を満たしている場合に、第三者機関が認証を与えるJMIPを取得することを目標としており、東京二〇二〇大会の前年度までに全都立病院で認証を取得してまいります。
○両角委員 一つの目標として、二〇一九年度までに、このJMIPを全都立病院で認証取得するということが示されたわけであります。
まさに、都立病院が他の病院に範を示すような形で進めていただきたいなと思いますが、ただ、やはりいろいろな面で資源が限られている、人的資源も限られているし、取り組みも全て同時並行にはいかないかもしれません。
そういった意味で、病院の立地や、あるいは対応すべき課題によって、外国人の患者さんに対する対応というのも、めり張りをつけた取り組みが必要ではないかと、このように思うわけでございますけれど、見解を伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都心に立地をする広尾病院では、大使館等が近隣にあることなどから、都立病院の中では外国人患者が多く来院しております。そのため、平成二十七年度から英語、中国語の対応が可能な外国語医療相談員を配置するなど、外国人患者対応において先行した取り組みを行っております。
また、都立病院の産婦人科等では、他の診療科に比べ外国人患者の割合が高い傾向があり、母親の授乳の方法等を外国語で説明するリーフレットや、会話例を多言語で並列表記し、指で指しながらコミュニケーションできるツールを作成するなど、現場の実態に応じたさまざまな工夫を行っております。
今後は、各病院において外国人患者の受け入れ数などを継続的に把握し、来院状況に応じた対応を図ってまいります。
○両角委員 立地によってもニーズが違うということでありますし、あるいは診療科目についても外国人患者さんの割合等が違うというようなお話を今伺わせていただきました。まさに必要度に応じた、状況に応じた展開をこれからも続けていただきたいと、このように思う次第でございます。
続いて、病児、病後児保育について伺いたいと思います。
本年二月、墨東病院で病児、病後児保育がスタートをいたしました。この委員会でも視察させていただいたわけでございますけれど、事業開始後の利用の状況と現状での課題について伺いたいと思います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本年二月一日から、墨東病院におきまして、実施主体である墨田区から事業を受託し、都立病院として、また墨田区として初めての病児、病後児保育を開始いたしました。
病児、病後児保育は充実が求められる事業でございますが、体調が変わりやすい病気の子供を保育するという事業の性質上、利用者数の日々の変動や、病状回復等によるキャンセルが多いといった特徴がございます。事業開始からまだ一カ月余りでもあり、現在までの利用者数は一名となっており、利用者の裾野を広げるためにも、引き続き、墨田区と連携しながら、さまざまな広報媒体を活用し事業のさらなる周知を図り、認知度の向上に努めていくとともに、子育て世帯のセーフティーネットとしての役割を果たしてまいります。
○両角委員 まだ一カ月余りでありますから、なかなか現状の評価というのはできないんだと思いますけれど、この一カ月余の間に利用のお子さんが一人であったということで、今、病児、病後児保育についてはできるだけつくってほしいという声が結構多いと思いますけれど、意外な感じをいたしましたけれど。
しかしながら、こういう施設があるということで子育てをする親御さんが安心感を持てるという大切な施設であろうと思いますので、こういう施設がありますよということを、運営をしながらしっかりと都民、区民、市民にお知らせしていく、こういうことが重要なのかなと思いましたので、その部分についても、墨東病院については区と連携をして進めていただきたいと思います。
続きまして、平成二十八年度予算で、墨東病院の運営以外の取り組みについてはどのようなことがあるのかということを伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年度は、墨東病院以外の小児科のある都立病院におきまして、ニーズの把握等、区市との調整を行い、実施の方向性が固まった場合には、事業内容の詳細な検討と施設の設計を行ってまいります。
○両角委員 事業内容の検討と施設の設計もできればというようなお話でございましたが、そこで、多摩地域への病児、病後児保育施設の設置も含めて、今後の病児、病後児保育の展開に向けた見解を伺いたいと思います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 子育て環境の充実に取り組む区市町村を支援するため、区部、多摩を問わず、地元自治体のニーズを踏まえて、小児科のある都立病院において病児、病後児保育を行うこととしております。多摩地域におきましても、小児総合医療センターの所在する府中市等と調整を行っているところでございます。
今後、区市の実施希望等を踏まえ、施設整備等の条件が整った病院から順次、病児、病後児保育を実施してまいります。
○両角委員 基本的に区市の事業でありますから、地元の区市のニーズの把握というのが最も大切なんだろうと思うわけでありますが、一方で、小児科を擁する都立病院ということであれば、やはりその地域に安心のセーフティーネットがあるということは、このことを速やかに展開していくことも必要かなと、都立病院の使命でもあるのかなというふうにも感じますので、引き続き地元調整を進めて、この事業を広めていっていただければと思います。
以上で質問を終わります。
○斉藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十三分休憩
午後三時十三分開議
○斉藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○和泉(武)委員 現在、地域医療構想ということが多数いわれております。その中で、病院の構想を四つのカテゴリーに分けるとか、そういったお話もありますけれども、地域医療構想の本質というものを我々は見抜いて、しっかりとそれを見据えた上でのこれからの病院の運営に励んでいかなければならないのではないかと、そのように感じているところでございます。
今回、質問させていただくのは、非紹介患者加算、初診加算料についての質問をさせていただきたいと思います。
かつて、私が医師になりたてのころ、研修医のころ、もしくは学生のころは、病院というものは、病院がどれだけ多くの患者さんを診るかということがすごく重要だった。すなわち、どんな患者さんでも自分たちが診て、そして難しい患者さんも簡単な患者さんも全部診る。それが病院の能力があるんだということを、昔はずっといわれていたわけです。
その中で、最近になって大分その雰囲気が変わってきた。その一つは、平成八年ぐらいですかね、先ほどの初診料の加算についての規定が設けられたことであります。
もともと、私は京都大学、慈恵医大にいて、またその後、京都大学にいました。これは非常に大きな病院でありまして、これだけの大きな病院でも、外来をやりますと、やはり風邪の患者さんとか初診の患者さんというのがたくさん来たのが現状でありました。
それと別に、次に地域医療で行ったのは、地方の、本当にど田舎の茨城の大洗というところです。大洗というところは本当に何にもないところですから、それこそ(発言する者あり)まあ、さまざまないいところもあるんですけれども(笑声)基本的には、医療に関してはそれほど充実したものはなかったわけです。そういったところも、また大学病院もひっくるめて全部を診ようというのが昔の習慣でありました。
振り返ってみますと、今回、地域医療構想でいわれているところの機能分化というものをやはり十分に進めていかないといけないんじゃないかなというのは、私自身強く感じるところでございます。
それは、東京でいえば、先ほどいったような大学病院がどのような状態かというと、たくさん患者さんが集中して、そして、診察をする医師が非常に疲弊をしている状態が現状であります。逆に、そういった患者さんが、初診の患者さん、もしくは風邪で本来受けなければいけない小さな病院の外来というのは、がらがらのところもあるんです。そういったところが淘汰されて、そして大学病院に集中していく、もしくは大病院に集中していくということになると、これはやはり東京の医療を支える上では大きな問題になるんではないかというふうに私は考えております。
その中で、今回、質問させていただく新たに国が設けられた制度と、今まで、先ほど来話をさせていただいている、以前から大病院には一定の金額を設けて、一定の患者さんのみを診なきゃいけないといったものとの違い。今までの制度が、いつ、そして何で、また、どんな病院を対象にできたのか。また、現在、そういった病院が、金額の水準がどの程度のものがあるかということを、まずご質問させていただきます。
○野瀬サービス推進部長 紹介状を持たない初診患者に自己負担を求める制度は、委員ご指摘の平成八年四月の診療報酬改定時に、二百床以上の病院を対象に、医療機関の機能分担と連携を積極的に推進するという目的で導入されております。
現行の制度の導入状況は、中央社会保険医療協議会の資料によれば、全国で千二百十施設が導入し、初診の場合の平均額は二千三百九十四円でございます。都内においては、百十七病院のうち百十一病院が導入しており、初診の場合の平均額は三千百八十二円となってございます。
○和泉(武)委員 これが導入された当初は、私も今でも鮮明に覚えていますけれども、大病院のおごりなんじゃないかとか、あるいは診療の切り捨てなんじゃないかということで、非難が物すごく殺到した記憶がございます。
しかしながら、最近になってみますと、やはりその重要性、患者さんのすみ分けの重要性等がいわれるようになってきておりますし、とりわけ診療報酬なんかでも、例えば病院の初診料はクリニックの初診料に比べて安く設定をしたりとか、さまざまな診療報酬等の誘導によっても、できるだけ病院での診察ではない、まずはかかりつけ医、クリニックの診察を心がけていかなければならないとか、あるいは、大病院志向というものがどうしてもある、その中で、いかに大病院だけではない中小病院のよさ、必要性というものも世間に認めてもらうような努力ということが、現在まで、この二十年余り行われてきたわけであります。
その中で、医師の意見としては、同僚もしくは先輩の人たちの話を聞きますと、やはり大病院に勤めている先生方は、非常に合併症の多いような患者さん、非常に難解な症例の患者さん、そういった方々を一人一人診ているわけであります。その中で、紹介状を持たずに飛び入りで来られた方々、その方が、本人は、例えば風邪で来たといいますけれども、医師としては風邪かどうかということは全くわからないわけであって、一からきちっと診療をし直さなければならない。紹介状がありませんから、前の情報もわからない。そういった中で診療をするということに対する医師のストレスというか苦労、時間がやはりかなりかかるわけであります。そういった診療に対する、今まで予約等で診ていた患者さんが、かなりその診療がずれ込んでしまうようなトラブル、こういったものが回避されるようになったという声というのは、たくさん聞きます。
また、医師は外来診療だけを行っているわけではありませんから、病棟の患者さんも診ておりますし、救急があればそちらに移動したりすることもあります。そういった救急もしくは病棟の対応をスムーズにすることができるようになったという声が、平成八年から行われている初診料加算があってスムーズな対応ができるようになったということをいっております。
患者さん側から立ちますと、今度は、紹介状なしの初診の患者さんが多いとなりますと、ちょっと待っていてくれとか、また初診の患者さんが入っちゃったからちょっと待っていてくれということで、診療時間がどうしても短くならざるを得ない。そういったものが解消されるようになったという声が、やはりたくさん聞かれます。
当初は患者さんはすごく心配して、もしかしたら大病院に来れないんじゃないかということがありましたけれども、最近では、開業医の先生方も心地よく、速やかに紹介状を書いてくれる先生がふえてきておりまして、そういった意味では、現在の分業、流れというものが非常に活発になって、そして非常にうまく回っているのかなという印象があります。
そこで、今回の制度というものは前回とは若干異なるところがあると思うんですけれども、法改正で義務化された部分というものもあります。全ての内容が義務化されているのか、もしくは裁量の余地があるのか、そういった点についてお伺いいたします。
○野瀬サービス推進部長 今回の制度は、どのような場合に自己負担を求めなければならないかという基本的な部分は義務づけられており、負担を求めるべき金額と施行時期に関してのみ、若干の裁量が残されております。
具体的には、紹介状を持たない患者が初診、再診の際に負担してもらう最低金額が定められており、それ以上の金額にするかどうかは病院の裁量に任されております。
また、健康保険法の改正が四月一日施行とされており、本制度もそれに連動しておりますが、自治体が運営する病院の場合、六カ月間の経過措置が設けられており、十月一日までに施行しなければならないことになってございます。
○和泉(武)委員 省令の時期が今回ちょっと遅かったという問題があって、そして、十月一日から施行しなければならないということになりますと、一カ月、二カ月の通知では、これはとてもじゃないけど患者さんの混乱を来してしまう。半年もしくはさらなる長い期間の通知期間というものが、やはり必要になってくる。それが患者さんのため、そして、速やかに、スムーズに診療を行うことができるためだろうというふうに思います。
そうすると、施行日がいつになるのか、そして、経過期間中の議会じゃなくて今回の第一定例会での議決をなぜ必要としているのかということを、もう一度改めて説明をいただければと思います。
○野瀬サービス推進部長 施行日につきましては、本制度は都民に新たな負担を生じさせるものであること、都民に対する周知期間を可能な限り長くとる必要があることから、六カ月の経過期間を適用し、十月一日とすることを検討しております。
議決時期につきましては、外来の予約は通常三カ月前から行うことになっておりますので、第二回定例会の議決では周知期間に余裕がないこと、また、制度の趣旨が医療連携の推進であり、病院と地域の医療機関との連携施策全体の中で議論する必要があることなどから、本定例会での議決をお願いしたいと考えております。
なお、条例案につきましては、本日のご議論や予算特別委員会締めくくり質疑など議会における審議状況などを見ながら、本定例会の最終日に提案したいと考えております。
○和泉(武)委員 今おっしゃったように、できるだけ早く通知、通達が必要なんだろうと。それは、患者さんに対しての通知というのはもちろんなんですけれども、現在の患者さんの状況というのは、やはり医療だけではなくて介護の問題もあります。そういった介護の人たち、介護事業者を含めたさまざまな連携しなければならない機関全体に理解していただかないと、これは大混乱を招いてしまうということがありますので、今回の第一定例会での提案というものは大変重要なことでありますし、これからもそういった形で取り組みをしていただかなければならない。
ただ、問題は、この趣旨内容というものを多摩総合医療センターに対して十分理解してもらわなければならないわけですけれども、丁寧な周知の取り組みを具体的にどのように行っていくのかということをお伺いします。
○野瀬サービス推進部長 今回の制度につきましては、条例を可決いただきましたならば、速やかに病院のホームページに掲載することはもちろんでございます。市の広報紙への掲載、院内における掲示、院内の電光掲示によるお知らせなどを行ってまいります。
また、先ほども答弁させていただきましたように、予約は三カ月前から取り扱っておりますが、予約の際には紹介状の有無を必ず把握するとともに、ない場合には五千円の自己負担が生じる旨を個別に説明してまいります。
さらに、地域の医師会などを通じて、連携ニュースなどにより地域の各医療機関にも周知し、地域のかかりつけ医などからも患者さんに向けて情報を提供していただくことなどにより、本制度の内容や医療連携に関する理解を深めていきたいと考えております。
○和泉(武)委員 今後も機能分化の役割というのは、その機能というものは非常に重要な課題になってくるわけです。その中で、今回は先ほどお話をいただいたカテゴリーで加算が組み込まれるわけですけれども、今後はさらに分化された加算というものが必要になってくる可能性というものもございます。
そして、そのための率先した都立病院というものは、どのような形で地域に対して今回の地域医療構想をしっかりと本質を見抜いて実現していくかということを考えていかなければならない、そのように思っております。
そして、そのためにやるべきことというものは、都立病院の果たす役割というものを明確化していかなきゃいけない。例えば災害医療を頑張るんだ、あるいは救急医療を頑張るんだと、今のような形で都立病院の役割というものを明確化することが重要であって、加算料を安くして、そして都立病院に来る人のハードルを下げるということが目的ではないんだろうと。逆にやらなきゃいけないことというのは、積極的に別の医療機関と連携をとって、そして患者さんがどのステージの、どのカテゴリーのところの病院に行くのが一番患者さんにとって望ましいのか、それを考えていかなければならないと僕は思います。
そのために重要なのは、かかりつけ医制度なんだろうと思います。国が先般、出されたかかりつけ医制度というものに関して、これも極めて重要な課題であって、かかりつけ医制度がしっかりと充実をして、患者さんお一人お一人がかかりつけ医というものを持つことになって相談することができれば、どの病院に行けばいいのかということも含めて、かかりつけの先生がアドバイスをしていただける。そういった振り分けがきちっとできるようになれば、逆にこういった加算料が必要なくなるわけですね。こういったものがなくても、自然に患者さんはどの病院に行けばいいのかということがわかるわけです。ですから、かかりつけ医制度の充実ということも、これから我々は念頭に入れなければならないわけですし、病院側もそれを十分に理解していかなければならないだろうというふうに思っております。
今、機能分化、かかりつけ医制度の話もさせていただきましたけれども、もう一つ問題がございます。
それは、今までは、病院というのは、例えば急性期の病院と療養病床という形で、セットで病院が建てられていることが多かったと思います。それは、そういったカテゴリーしかなかったわけですから、急性期の患者さんを、突然といったら変ですけれども、自分のところの療養病床に移動させるという形で運営されていたことがあるわけです。
それで成り立っていた部分というのは今までありましたけれども、今回、地域医療構想において四つのカテゴリーというものがつくられるようになったわけで、超急性期、そして急性期、回復期と慢性期ということの中で、これから、例えば心筋梗塞の患者さんが入院されました、もしくは整形外科の患者さんが入院されましたといったときに、それは恐らく急性期とか超急性期に部類すると思うんですけれども、そこで入院された患者さんが、例えば、じゃ、大体一カ月で退院しましょうということになっても、その後、本来であれば心臓リハビリもしくは運動機能リハビリを行っていかなければならない患者さんに関しても、途中で強制的に退院をしなければならない。もしくは、回復期リハビリ病棟に移るためには、まだ急性期の状況がわからないまま、あらかじめもうマネジメントをして、MSWとか、あるいは他の部署がかなりの労力を使って動かなければ、転院することというのが大変なわけです。
そうなりますと、本来はリハビリをしなければならない人というのが、リハビリはしなくて、とりあえず退院しましょうという話になってくる可能性が十分にある。ただ、経営的なことを考えると、一般の病院が全部くっつけて運営をするということは、極めて難しいだろうというふうに思います。
ですから、そういった点も、今度、新しく移るわけでございますから、その中で、地域医療構想も見据えて、しかも一般病院ができない医療というものを提供していかなければならない中で、例えば急性期の病院とリハビリの病院がくっついた形の運営というのも一つの考え方ではないのかなというふうに思います。
これからますます大きく変化する医療制度改革の中で、都立病院がどのような形で位置づけをされるべきなのか、そして都立病院でなくてはならない運営をどのようにしていくべきなのかということをしっかりと考えていただくことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
○高倉委員 がん医療の取り組みについて質問をいたします。
平成十八年、二〇〇六年にがん対策基本法が成立してから十年が経過をいたしております。この間、放射線療法等の治療法の進歩、また緩和ケアの推進、あるいは小児がん対策など、がん対策の充実が図られてきておりますけれども、国民の三人に一人はがんで亡くなっている現状がありまして、がんの早期発見、早期治療への着実な取り組みに対する期待感というものは大きいと思います。
先日の予算特別委員会において、私ども都議会公明党の橘政調会長が質問に立ちまして、今後、整備が進められる多摩メディカルキャンパスにおいて、最新の医療機器の活用によるがん医療の機能強化を進めるべきというふうに訴えたわけでございます。
これに対しまして、病院経営本部長は、治療機器として強度変調放射線治療装置、IMRTや、診断機器として、小さながんにも対応できるPET-CT、また乳がんを超早期に発見できるPEMという機器の導入を検討するといった考えをお示しになったわけであります。
現在、女性のがんの罹患率の第一位になっているのが乳がんということでありまして、この乳がんに対する関心も大変深いわけでありまして、さきに導入の意向が示された最新の機器の中の、特に乳がんにかかわる機器について、具体的な内容をお聞きしておきたいなと思います。
まず初めに、多摩メディカルキャンパスにおいて導入を検討しているPEMといった機器はどういう検査機器であるのか、その特徴についてお伺いしたいと思います。
○中野経営企画部長 PEMは乳がん専用のPET検査装置でございまして、検査に当たりましては、少量の放射線を出す成分を含むブドウ糖に似た物質の検査薬、FDGと申しますが、これを注射いたしまして、がん細胞にこの薬が集積する性質を利用して診断を行うものでございます。
従来のPETと比較しまして画像が鮮明で、マンモグラフィーや超音波では発見が困難な一ミリから二ミリ程度の超早期の乳がんを発見することができます。
また、マンモグラフィーや超音波、MRIでは良性、悪性の鑑別が困難なステージゼロ期の非浸潤性乳がんの鑑別診断が可能でございます。
加えて、検査時の痛みや苦痛を軽減し、安心して検査を受けられる配慮がなされているところでございます。
○高倉委員 今、詳細な説明をいただきましたけれども、乳がんの診断に対して大変効果の高いといいますか、非常にすぐれた機器ではないかなということだと思います。
そこで、実際にはPEMの導入によりまして患者にとってどういったメリットが得られるのか、このことについてのご見解をお伺いしておきたいと思います。
○中野経営企画部長 近年、他のがんに比べ著しく増加している乳がん患者に対しまして適切な医療を提供していくことは、喫緊の課題であると考えております。
乳がんは、がん細胞が比較的小さい時期から、リンパや血液の流れに乗って乳腺から離れた肺、肝臓、骨などの臓器に転移巣をつくると考えられておりまして、乳がんを発見した時点で全身への転移を確認する必要がございます。
また、手術などの初期治療後も、十年以上の長期間にわたりまして、転移や再発を確認するため、定期的な診察や検査などのフォローアップが必要とされております。
マンモグラフィーなど他の検査では確定できない場合に、PET-CTとPEMを組み合わせて全身の検査を行うことで、転移巣や再発がんの早期発見が可能となるものでございます。
○高倉委員 今、患者にとっても大変なメリットがあるというご説明であったと思います。
東京都は全国に比べまして乳がんの死亡率が高くなっておりまして、私ども都議会公明党も、がん検診の受診率の向上に向けた取り組みといったものも、これまで積極的に推進してきたつもりでおります。
検診や精度の高い診断とともに、質の高い治療といったことも大変重要であるというふうに思います。
昨年、私ども都議会公明党で駒込病院を視察させていただきまして、トモセラピー、Vero、サイバーナイフといった高精度放射線治療装置を改めて実際に見せていただきまして、体力的に手術を受けることが厳しい高齢者にとっても有効な治療が受けられるといった説明をいただいたところでございます。
今回、整備が行われる多摩メディカルキャンパスにおいても、このような高精度放射線治療装置や内視鏡下手術支援ロボットの導入を検討されるというお考えが示されておりますけれども、超高齢社会における医療需要の増加も見据えまして、がんのみならず、あらゆる疾患から都民の健康と命を守る質の高い医療を展開されることを望んでおきたいと思います。
続いて、首都災害医療センターについてお伺いしたいと思います。
このことについては、今定例会でも、またこの委員会でも、もう既にさまざまな質疑が行われております。その中で、今度、新たに取り組むこととしておりますスポーツ医学に基づく医療についてお伺いをいたしたいと思います。
先日、第十回目を迎えた東京マラソン、私も開会式に参加させていただきましたけれども、今回、過去最高の抽せん倍率であったというふうにお聞きをしております。マラソンに限らず、社会の成熟とともに、若い人も高齢の人も、あらゆる人々がスポーツに親しむ文化といったことが浸透してきたのではないかというふうに思っております。
そこで、今後、首都災害医療センターでスポーツ医学に取り組んでいくということでありますけれども、どのような検討を行っていくのかについて、そのお考えをお伺いしたいと思います。
○中野経営企画部長 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、スポーツに親しむ機運が醸成され、スポーツを楽しむ都民がふえることが予想されております。
あわせて、スポーツ医学への期待が高まるものと考えております。
そこで、東京二〇二〇大会後の平成三十五年度に開設を予定しております首都災害医療センターでは、スポーツ医学に基づく医療を新たな医療課題と捉え、取り組むことといたしました。
平成二十八年度には、この病院の整備方針や医療機能等を基本構想として取りまとめる予定でございまして、スポーツ医学に基づく医療も含め、有識者の意見を聞きながら、提供する医療内容について検討を深めてまいりたいと考えております。
○高倉委員 今ご答弁で、新年度に整備方針あるいは医療機能、そういったことを基本構想で取りまとめるというお話であります。
いろいろとお聞きをしたいところなんですけれども、この基本構想が出てまいりませんと、ここでいろんな具体的なやりとりは難しいと思いますので、きょうのところはこの質問だけにしておきたいと思いますけれども、スポーツ医学に基づく適切な治療あるいはアドバイスといったものがあれば、例えばアスリートの方々にとっては、さらにすばらしい成績を出していくことにもつながっていくと思いますし、一般の人であれば、より長くといいますか、高齢になっても、いつまでもスポーツを楽しんでいくことができる、こういったことにもつながっていくんではないかなというふうに思います。
専門人材の確保も含めて、スポーツ医学に基づく医療につきまして、ぜひ先端を行く取り組みをお願いしたいというふうに思っております。
最後に、きょうも幾つか質問が出ておりますけれども、外国人患者への対応についてお伺いをいたしたいと思います。
昨年のこの委員会の事務事業質疑において、患者とのコミュニケーションのバリアを取り除いていく、こういった観点から、外国人患者対応の状況について質問をさせていただきました。言葉がわからない不安を解消し、安心して受診できる体制をつくることは、患者サービスの点からも欠かせない取り組みであるというふうに思います。
外国人患者対応については、さまざまな取り組みをされているということでありますけれども、これまで都立病院で行ってきた語学研修の取り組みの実績、そして平成二十八年度の取り組みの予定についてお伺いしたいと思います。
○中野経営企画部長 これまでの取り組み実績でございますが、外国人患者とのコミュニケーションに必要な語学力の向上を図るため、平成二十六年度から、語学リーダー養成コースという英語の研修を実施しております。
この研修では、外来や病棟、検査等の各部門に、医療系英語を含めた高い語学力を身につけた職員を一名程度、養成することを目標としております。
平成二十六年度からは広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターの三病院で、二十七年度からは大塚病院等五つの病院で二カ年ずつ実施することとしておりまして、これまで約百名が受講しているところでございます。
二十六年度の修了生につきまして、研修前後の語学レベルの評価を行いましたところ、医療用語を用いて看護や検査等に必要なコミュニケーションができる水準に達している職員の割合でございますが、研修開始前は受講者の二五%であったのに対しまして、修了後は四四%に増加しており、研修の成果が一定程度あらわれておると考えております。
二十八年度でございますが、研修修了者が語学力の維持向上を図るため、語学学校への通学や通信講座の受講など自己啓発の取り組みに対して費用を助成する対象人数を拡大していくなど、外国人患者との適切なコミュニケーションの実現に向け、着実に取り組みを行ってまいりたいと思っております。
○高倉委員 この研修によって着実な成果が上がっているということがよくわかりました。
きょうも、都立病院における外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPについていろいろと質問があったわけでありますけれども、このJMIPという制度は、具体的に外国人患者対応のどのような点を評価して認証が与えられるというものなのか、その中身についてお伺いしておきたいと思います。
○中野経営企画部長 外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPでございますが、厚生労働省が制度を創設し、第三者機関である一般財団法人日本医療教育財団がその認証団体となっております。
評価の着眼点といたしましては、受け付け時や診察時等に患者から必要な情報を入手する体制が整っていること、診察や看護、検査等において対応の手順や方法をマニュアルで定めるなど、統一的な対応ができる体制が整備されていること、患者の理解できる言語で診察等を行うことなど、外国人に配慮した医療を提供していること、宗教、習慣の違いを考慮した体制があることなどでございます。
評価に当たりまして、医療提供の面では、多言語による診察や検査等の対応や診療情報提供書などの翻訳を行う体制の有無、療養環境の面では、食事の提供など入院生活における宗教や習慣の違いに配慮した対応、施設面では、院内案内表示や立入禁止区域等の外国語表示などの整備状況など、合わせて約百項目の評価項目に基づく調査が行われます。
これらの調査結果を踏まえ、外国人が安心・安全に医療を受けられる体制についての審査が行われ、基準を満たしている場合には認証付与がなされるものでございます。
○高倉委員 このJMIPは、外国人患者の目線に立っていろいろと審査するといったような制度であると思います。こうした認証を取得していくことは、外国人患者からの信頼獲得にもつながる大変有意義な取り組みであるというふうに思いますので、ぜひ着実に認証取得を推進していただきたいと思います。
そこで、最後に、このJMIP認証の取得に向けたこれまでの取り組みと今後の取り組みについてお伺いをしておきたいと思います。
○中野経営企画部長 病院経営本部では、平成二十六年二月に、医師、看護師を初め、さまざまな職種で構成される都立病院国際化対応検討委員会を設置いたしまして、語学研修など外国人患者対応の充実やJMIP認証取得に向けた検討を進めてまいりました。
また、昨年の十二月には、JMIPに関する病院職員向けの説明会を実施し、評価のポイントや具体的な受審準備の進め方について、理解の促進を図ってきたところでございます。
今後は、これまで取り組んできた語学研修を初めとした取り組みをさらに推し進め、外国人患者の診療体制の整備を図り、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の前年度までに全ての都立病院でJMIPの認証を取得してまいります。
○高倉委員 きょうの質疑、私の質疑じゃなくてほかの方の質疑の中でも、都立病院の中で、多言語の通訳アプリを使ってとか、タブレットを使った取り組みが今行われているというお話がありました。
先日、私もIT関連企業の技術展示会に行ってまいりまして、いろんな取り組みを、技術の開発を見てきたわけでありますけれども、タブレットあるいはスマホを使った通訳といったことが、今、非常に進歩してきているということを実感いたしました。英語、韓国語、中国語、さらにタイ語といった言葉の展示みたいなことも行われておりまして、こういったことも今、どんどん実用化されているというところを見てまいりました。
東京を訪れる外国人はいろんな国籍の方々がいらっしゃるわけでありまして、主要な外国語はもう当然大事でありますけれども、本当にさまざまな言語があって、もしこれを生身の人間が一つ一つ研修によって身につけていくということになりますと、これは恐らく大変な困難が予想をされるんではないかなと思っていますが、そういう中で、IT機器の進歩といったものがそういったことを大きく補っていく可能性が大きいんではないかなというふうに私は思っております。
これから、恐らくいろんな言語に対応できるようなことになっていきます。そして、いろんな病院の窓口とか、ある程度やりとりが想定されるようなところでは、これは十分に機能を発揮するというふうに思っていますので、その辺のところにもぜひ目を向けて、積極的に取り組みを進めていただきたいなと思います。
以上で終わります。
○西沢委員 私の方からは、臍帯血についてお伺いをしたいというように思います。
この臍帯血ですけれども、一部、テレビのCMなんかで臍帯血バンクに登録をしてというような呼びかけのものもありますから、少しその知名度といいますか、普及はしてきているのかなと、全く知らないというような人は少なくなってきているのかなという気がしますが、そもそも臍帯血というのは、胎児と母体を結ぶへその緒の組織の一部の中にある血で、これを使うことによって、白血病であったり、それから遺伝病であったり、こうしたものに有効になるというようなもので、出産の際にこれを採取して、そしてそれを保存していくことで、白血病患者さんなどに使う、移植手術をすることによって有効になる、こうした制度であります。
この臍帯血について、都立病院や公社病院が採取できるのかというようなことですが、今のところ、これはできないというようなことを知りました。都立病院などで臍帯血というものが採取できない。
調べてみますと、臍帯血の採取というのは、出産のときに素早く無菌的に採取して、マイナス百九十六度という超冷凍で保存するということで、それなりの技術などが必要であるということがあるということでございます。
そこで、まず最初にちょっとお伺いします。予算的なことであったりとか、ハードルがあるんだと思います。壁が何なのかということですけれども、臍帯血を採取する施設の条件などがどうなっているのかお伺いをいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令の運用に関する指針の中で、人的体制として、医師を含む複数の職員の対応が可能であること、採取においては、当該施設の医師または適切な教育訓練を受けた者が行うこと、教育訓練担当者を置くことなどが定められております。
さらに、採取は一定の清浄度が保たれる適切な場所で行うこと、採取された臍帯血は四から二十五度の温度で保存することとされております。
採取後は臍帯血バンクに運ばれ、そこで細胞の分離処理が行われた後、マイナス百九十六度の液体窒素の中で凍結保存され、白血病など造血幹細胞移植を必要とする患者さんに対し、臍帯血バンクから移植を行う医療機関に供給される仕組みとなっております。
○西沢委員 今の答弁で、簡単にぴゅっととれるものではなくて、それなりに人は配置しなければいけないよというようなことだということですが、逆に、莫大な予算が必要ではないんじゃないかということがわかったと思います。それなりの、莫大に予算をかけて施設をつくらなければいけないとか、何十人もの医療チームを編成して採取しなければいけないというものでもないというように私は理解いたしました。
それで、都立病院などでは臍帯血を採取はしていないですけれども、逆にそういった患者さんに対しては移植手術などをしているんだというように思います。都立病院における臍帯血移植を含む造血幹細胞移植への取り組み実績についてお伺いをいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院におきましては、駒込病院を初め、多摩総合医療センター、小児総合医療センターにおきまして、白血病、悪性リンパ腫や再生不良性貧血などの患者に対し、造血幹細胞移植を実施しております。
造血幹細胞移植には、臍帯血移植のほか、骨髄移植、末梢血幹細胞移植がございます。都立病院全体における造血幹細胞移植の平成二十六年実績は、臍帯血移植が二十九件、骨髄移植が六十二件、末梢血幹細胞移植が五十九件でございました。
○西沢委員 結構、移植手術をしている実績があるというようなことでした。
私自身も骨髄バンクには登録しておりますけれども、マッチングはなかなかしないので、手術をしたことは私はありませんけれども、臍帯血バンクの場合は、臍帯血の方は比較的合う方が多いというよりも、骨髄のように、あらわれるような方がいるように、マッチングに時間がかかるというものではなく、すぐ使えるというようなものになるわけです。そのかわり、出産ですから、限られた方からしか採取をすることができないというようなことになります。
ご相談いただいている、話をいただいている方は、自分の体というか、厳密には胎児の体になるわけですけれども、ぜひそうした意味で、自分の中で、一生に一回の中で何か役に立てるのであればというようなことを思われたそうですけれども、実際、採取をできる病院ではないということを後からわかったと。その方は都立病院じゃないですけれども。
では、実際に採取できる病院がどれぐらいあるのかというと、都内に幾つかありますけれども、どの病院でとれるわけではないということですが、逆に、大きな病院だとか設備の整っている病院じゃないとできないのかというと、そういうわけでもないと。まちのクリニックでもやっている病院さん、クリニックさんがあるわけです。つまり、その方の思いで、やろうということができるということにもなるわけですね。
そうした中で、当然、病院側に対して負担というものがあるとは思いますけれども、行政的医療を進める都立病院、公社病院でも、私は進めていくべきなんじゃないのかなというように思います。
ぜひ、移植医療を推進していく観点から、都立病院、公社病院も臍帯血の採取施設になるべきではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 臍帯血の採取は、提供しようとする妊婦や新生児の健康に影響を及ぼすおそれがある場合には行ってはならないとされております。具体的には、癒着胎盤など、胎盤娩出時の安全性に問題がある可能性が認められる場合や、多胎妊娠などの場合でございます。
都立病院の産婦人科は、重症な疾患により、緊急に母体救命処置や緊急帝王切開が必要な妊産婦、妊婦健診を受けず、いわゆる飛び込み出産となる未受診妊婦、精神科身体合併症の妊産婦などハイリスクの妊産婦への対応が多く、安定的に臍帯血を採取する環境にないことから、採取施設になっておりません。
今後は、各都立病院、公社病院の実態を踏まえ、必要性を見きわめてまいります。
○西沢委員 確かにハイリスクの分娩というものが多いということ、ハイリスクな方が多いので、そういった採取施設にはなっていないということですけれども、聞いたところ、じゃ、正常分娩の状況はどうなのかということですが、墨東病院の場合、それから多摩総合医療センターでは約五割、都立大塚病院では約八割弱が正常分娩だと。都立広尾、それから公社の荏原病院、豊島病院では約八割が正常分娩で、多くは正常分娩だということをお聞きしております。もちろん結果的に正常分娩になったということで、最初から正常になるかどうかわからないという方も多いわけですから、そういったハイリスクな方に最初から臍帯血をというような話がしづらいという話も聞きました。
ただ、妊婦の中で、その話をいただいた方も実はハイリスクになるんじゃないかという中でも、もし可能であればという申し出をしたいというような声はあると思うんです。その妊婦の方の選択肢というものを閉じるのではなく、選択肢の一つとして、そういったこともできるというような体制を整えていくことも私は重要なんじゃないかなというように思います。
ぜひ、必要性を見きわめるということですから、こうした声も含めてご検討いただければということを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○早坂委員 まず、都立病院のがん医療の取り組みについて伺います。
都立病院の果たす役割は、行政的医療、すなわち一般の医療機関では対応困難な疾病、がんでいえば難治性がん、鰓性がん、合併症を伴うがんや小児がん医療への対応にあるといえます。
今日、我が国では二人に一人ががんに罹患し、三人に一人ががんで亡くなっています。そのがん治療に関しては、放射線治療や内視鏡下手術など、低侵襲性、すなわち体へのダメージが少ない治療法の進歩が顕著で、治療中もQOL、生命の質、生活の質を維持することが可能になっています。
先日の厚生委員会での平成二十八年度予算概要説明の中で、がん医療の一層の充実を図るため、先進的な医療機器の導入を進めるとのお話がございました。
そこで、来年度の具体的な取り組みについて伺います。
○中野経営企画部長 平成二十八年度予算におきまして、がんの専門病院として高度ながん治療を提供しております駒込病院に、内視鏡下手術支援ロボットを導入する経費を計上しております。
この手術支援ロボットでございますが、内視鏡下手術にロボット機能を組み合わせたものでございまして、3Dカメラと、鉗子と呼ばれる手術器具を取りつけたアームを、医師が3Dモニターを見ながら遠隔操作して手術を行うものでございます。
手術支援ロボットを使用した手術は、開腹手術に比べて傷口が小さく、手術後の疼痛軽減、それから感染症リスクの回避といったメリットがございます。このため、患者の早期の回復、社会復帰に資するものであると考えております。
また、3Dモニターを使用するため、従来の内視鏡下手術よりも医師が精密に患部を見ることができ、さらに手ぶれ防止機能により、手術器具をスムーズに操作することができるため、より安全で精度の高い手術が可能となります。
来年度は、手術支援ロボットを使用し、前立腺がんの手術や、平成二十八年四月の診療報酬改定で保険適用となります腎がんの手術に取り組み、より低侵襲で患者の負担の少ない治療を提供してまいりたいと考えております。
○早坂委員 平成二十三年の都議会厚生委員会の管外視察で、青森県弘前大学病院の手術支援ロボット、ダビンチを私たちは視察をしました。全自動で機械が手術してくれるのではなくて、ロボットをその医師が操作する、そういう機械でございました。
この視察とは別でございますが、私がごく親しくご指導いただいております渡邊剛先生という、我が国ロボット手術の第一人者に伺うと、医師にとっては、自分の肩から先が患者さんの体の中に入ったような感覚で細かい操作が正確にでき、さらに、高性能カメラで肉眼よりもはっきりと見えるとのことでございました。
このロボットを使えば、一般的には開腹手術、おなかを開く手術では三週間程度の入院が必要であるところ、ロボット手術であれば、術後三日ぐらいで退院できるということでございます。
このロボット手術は、正確性、低侵襲性において極めてすぐれた成果を発揮するものと、かねてから注目をしておりました。一方で、その導入には極めて高額だということが弱点でございます。
今後、ロボット手術を安全に行うためには、操作技術の習得など、事前準備を行う必要がございます。実際に患者に対して手術を行う前に、どのような準備、トレーニングを行っていくのか伺います。
○中野経営企画部長 がん患者に安定した精度の高い手術を実施するためには、手術スタッフが手術支援ロボットに関する高度な技術を習得し、継続的に技術力を向上していくことが非常に重要でございます。
また、手術支援ロボットを使うためには、厚生労働省からの指導及び関連学会のガイドラインにより、手術スタッフが製造販売業者指導のトレーニングプログラムを修了する必要がございます。
具体的には、受講計画の策定、オンラインでの事前研修、認証施設での実機を用いたトレーニング、推奨施設での症例見学、導入機器によるトレーニング及びシミュレーションの実施が義務づけられております。
平成二十八年度、駒込病院では、腎泌尿器外科等の医師と看護師、臨床工学技士が、手術実施に向けたプログラムを受講いたします。本機器導入後には、十分な安全性の検証を行った上で、本機器を活用した手術を開始していく予定でございます。
○早坂委員 このような最先端の治療を都立病院で展開していくということは、都民にとって朗報でございます。
今後は、駒込病院での取り組みを発展させ、ほかの都立病院でも展開していくことを期待したいと存じます。その際には、常にバージョンアップした最新の機器を導入していただくようお願いをいたします。
次に、大塚病院の大規模改修工事について伺います。
現在の建物は、開設から三十年近くが経過しており、さまざまな制約がある中で、大規模改修をどのように実施していくかが課題でございました。
先ほど取り上げた駒込病院はがん、そして、今取り上げている大塚病院は母子医療に関して、中核的役割を果たしています。都立病院はそれぞれに特徴を持っています。
まずは、大塚病院が担う医療機能について伺います。
○中野経営企画部長 大塚病院でございますが、病床数五百床のうち、約三割を占める周産期小児医療を初め、救急医療やがん医療など地域の医療機関との連携を図りながら、総合診療基盤を生かした高度で専門的な医療を提供しております。
中でも、周産期医療につきましては、総合周産期母子医療センターとして、母体胎児集中治療室、M-FICUを六床設置するとともに、新生児集中治療室、NICUを開院当初の九床から十五床まで段階的にふやしながら、ハイリスク妊娠や低出生体重児などに積極的に対応してまいりました。
また、小児医療では、小児救急に取り組むとともに、発達障害を含む多様な精神疾患に対応した専門的な児童精神外来などを実施しております。さらに、産婦人科地域医療連携システム、いわゆる大塚モデルを、従来の豊島区や文京区に加え、今年度後半から新たに、北区、足立区内の診療所等に拡大するなど、強みを生かした医療連携に取り組み、高い紹介率を維持しているところでございます。
○早坂委員 今回の大規模改修は、病院を運営しながら工事を行う、いわゆるいながら改修でございます。このため、病院内での工事エリアが近接することとなり、入院患者や病院を訪れる方々への安全上の影響も懸念されるところでございます。
また、工事期間中であっても、診療制限を極力避け、大塚病院に求められる医療ニーズには適切に対応しなければなりません。
そこで、大規模改修工事の目的と実施方法について伺います。
○中野経営企画部長 今回の工事は、老朽化した施設や設備を改修することにより、より安心かつ快適に医療が受けられる環境を整備することを目的としております。工期は、平成二十九年度から三十一年度までの三年を予定しております。
工事に当たりましては、患者や利用者への安全上の影響を考慮するとともに、診療制限を最小限に抑える効率的な改修方法を選択いたします。具体的には、病棟全体を大きく四つのブロックに分け、工事エリアと病院エリアを明確に区分し、院内の安全を確保するとともに、騒音や振動が入院患者等に影響を及ぼさないよう配慮いたします。
なお、特に重要な機能である周産期部門や救急部門については、休止せずに運営を継続いたします。また、他の病棟につきましても、休止の期間を平成三十年度からの一年程度とし、必要最小限の診療制限となるよう工夫してまいります。
来年度の設計におきましては、より安全で効率的な改修方法について、詳細に検討してまいります。
○早坂委員 ご答弁にありましたとおり、安全の確保は何よりも優先されるものでございます。その点を十分に踏まえた綿密な改修計画を作成していただきたいと存じます。
一方、これだけの規模で工事を行うには相応の費用がかかるものと思われます。改修工事とはいえ、多額の費用を投じる以上は、周産期医療や災害対応力などの面において、病院の特徴を生かした機能強化も検討しなければなりません。
改修により、どのような機能強化が図れるのか、伺います。
○中野経営企画部長 改修工事では、工事エリアを移転させながらスペースを生み出すなどの方法により、病院の役割や強みを生かした医療機能の充実を図っていきたいと考えております。
具体的には、周産期医療につきましては、段階的な増床を経て、狭隘化したNICUのスペースを拡張するとともに、産科病棟を含む周産期部門全体をワンフロアに集約することにより、スタッフの動線を短縮し、総合周産期母子医療センターとしての運営の効率化を図ります。
また、患者支援センターの相談ブースを増設するとともに、医療相談等入院サポート部門を集約し、在宅療養を含む患者支援機能を強化します。さらに、災害対応力についてでございますが、配管設備を全面的に交換することにより、損傷や漏水のリスクを大幅に抑えるとともに、火災報知機などの防災システムの一斉更新を行い、ハード面における迅速かつ確実な初動体制を確保いたします。
こうした機能強化を通じて、大塚病院の医療がより安定的に提供されるよう、確実に整備を進めてまいります。
○早坂委員 これからも、地域において大塚病院が担っていく医療ニーズは非常に大きいものと考えます。改修により、その強みを生かし、さらなる充実が図られることを期待いたします。
都立病院はこれまでも、地域の医療需要や立地条件などを勘案しながら、総体として、より効率的かつ効果的な方法で行政的医療を適正に都民に提供してまいりました。今後も、各病院の特性を発揮しながら、安全で安心できる患者中心の医療の実現に向けて、計画的に施設整備を進めてもらうようお願いをいたします。
○栗山委員 まず、都立病院の医療機能についてお伺いをいたします。
いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上となります平成三十七年、二〇二五年の医療需要と病床の必要量の推計をもとに、現在、都道府県で地域医療構想の策定が進められております。
東京都においては、死亡原因の多くを占めるがん、心疾患、脳卒中を初め、全疾患で、二〇二五年には、二〇一三年に比べ一・二四倍の医療需要の増加が見込まれております。また、高齢世帯やひとり暮らしの高齢者の増加が予想されておりまして、二十年後の平成四十七年には、都内の高齢者世帯は全体の三分の一を占め、ひとり暮らしの高齢者は百万世帯を超えると予想されています。
医療や介護が必要な状態になっても、住みなれた地域で安心して暮らすことは、全ての都民の願いであろうと思います。そのためには、地域包括ケアシステムの構築を実現し、医療の機能分化や連携を実効的に推進して、超高齢社会の医療需要に対応できる効率的で質の高い医療供給体制をつくり上げていくことが焦眉の課題である、こう捉えております。
昨年の厚生委員会の事務事業質疑におきまして、我が党の小宮議員からの質問に対し、二〇二五年に目指すべき医療供給体制の実現に向け、都立病院の新たな役割について、検討していくとの答弁がございました。
来年度に策定が予定されております東京都地域医療構想の実現に向けては、公立病院である都立病院の役割も大きいものと考えております。
そこで、今後、都立病院が担う医療機能をどのように検討していくのか、取り組みの予定をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院では、少子高齢化の急速な進行や医療制度改革など、医療を取り巻く環境の変化に対応するため、平成二十五年度から二十九年度までの事業計画、都立病院改革推進プランを策定し、医療の質と患者サービスや、人材の確保と資質の向上など、四つのクオリティーの充実強化を目指した取り組みを進めております。
今後は、来年度中に策定予定の東京都地域医療構想の中で示される東京の医療の将来像や、その実現に向けた取り組みにおいて、都立病院が果たすべき役割を明確にしていくことが必要であると認識しております。
そのため、平成二十八年度は、都立病院改革推進プランの次の計画の策定を開始し、東京都保健医療計画に対応する平成三十年度から三十五年度までの事業計画を、平成二十九年度中に策定してまいります。
策定に当たりましては、構想区域ごとに行われる地域医療構想調整会議での協議状況を踏まえるとともに、外部有識者の意見も聞きながら、平成三十七年、二〇二五年を目標とした将来の都立病院が担う医療機能の方向性を検討してまいります。
また、新たに整備いたします仮称でございますが、首都災害医療センター、この基本構想の策定や、多摩メディカルキャンパスの機能強化に向けた基本計画の策定も平成二十八年度から開始することとしておりまして、次期計画にはこれらの検討内容を盛り込み、事業計画として位置づけてまいります。
○栗山委員 来年度は、地域医療構想が策定される、都の医療施策にとって最も重要な年となります。都立病院の果たすべき行政的医療を提供するという役割を、地域医療構想策定後の医療環境においてもきちんと果たしていけるよう取り組んでいってほしいと、こう思います。
また、仮称でありますけれども、首都災害医療センター、この整備や、多摩メディカルキャンパスの再構築という二つのビッグプロジェクトについては、大いに注目をいたしております。
広尾病院につきましては、先ほど山加議員から質問があったため、私からは、多摩キャンパスについてお伺いをいたします。
多摩キャンパスにおいては、来年度、あり方検討会の報告を踏まえ、基本計画を策定するための予算が計上されております。
現在、策定が進められております地域医療構想では、構想区域として、二次保健医療圏ごとの病床整備区域と、疾病、事業ごとの医療供給体制を推進するための事業推進区域の二つの区域を定めるとしております。多摩キャンパスにおける基本計画の策定に当たっては、こうした状況を踏まえ、所在する北多摩南部二次医療圏だけでなく、疾病や事業ごとの事情を踏まえつつ、多摩地域全体の動向もあわせて見ていく、こういう必要があると思います。
そこで、多摩キャンパスを取り巻く多摩地域の医療の状況についてお伺いをいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩地域における患者のうち、六十五歳以上の患者は七割を超えており、今後、高齢化の一層の進行により、患者数のみならず、高齢の患者の割合もこれまで以上に増加していくことが見込まれております。
このため、がんや脳卒中、急性心筋梗塞、大腿骨骨折など、加齢に伴い発症しやすくなる疾患の増加とともに、糖尿病患者ががんを発症するなど、複数の疾患を併発する合併症等の医療ニーズは増大していくものと認識をしております。
一方、広域な多摩地域にございます医療機関数は、区部の約三割であり、このうち、高度な医療を担う特定機能病院一病院を含め五百床以上の一般病院は十六病院にとどまり、区部と比較して点在もしております。
こうしたことから、多摩地域においては、患者の増加や疾病構造の変化に適切に対応していくため、高度な医療を提供する病院は、広域的に地域の医療機関との連携を進め、医療機能を最大限に発揮していく必要がございます。
○栗山委員 多摩地域において、患者の増加や高齢化による疾病構造の変化に適切に対応するためには、大規模病院が高度な医療を提供するとともに、広域的に地域医療構想を支援することが必要になるため、その果たすべき効果は大きいと思われます。
こうした状況において、高度な医療機能が集積する多摩地域の医療拠点であります多摩キャンパスが果たすべき役割に対する期待は非常に大きく、その潜在能力を引き出して、多摩地域の医療水準を向上させていく必要があると思います。
今回の整備の考え方については、先日、我が党の本会議の代表質問において確認したところでございますが、改めて、多摩キャンパスをどのように整備していこうとしているのか、お伺いをいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の整備では、多摩キャンパスにおいて、より高度で専門的な医療の提供に向け、医療機能の集約や、各施設の連携を推進し、多摩・島しょ地域における医療水準の向上を図ることを目指しております。
このため、まず多摩キャンパス内に分散する難病医療に関する機能を神経病院に集約し、都の難病医療の拠点として再構築することにより、難病医療を一層効果的に提供する体制を整備してまいります。
また、多摩総合医療センターでは、難病機能移管後の病床や外来スペースを活用し、増加するがん患者や、緊急度の高い医療が必要な脳血管疾患、急性心筋梗塞等の患者に対応可能な病床を拡充するなど、多摩・島しょ地域においてさらなる充実が求められる医療について機能強化を行ってまいります。
このように、各施設が医療機能のさらなる充実を図った上で、相互連携を一層推進することにより、多摩キャンパス総体として、医療機能を最大限発揮できるよう、多摩キャンパスを再構築してまいります。
○栗山委員 今後の医療環境の変化を的確に捉え、多摩・島しょ地域の医療の拠点として、着実に整備をしていってほしいと思います。
さて、高齢化の進行に伴い、心臓病や脳血管疾患の患者がふえていくとのことでありましたけれども、こうした患者が退院後も寝たきり状態になることを予防し、生涯にわたって住みなれた地域で生き生きと生活を送り続けられるようにしていくことが、今後、一層重要になっていくものというふうに思っております。
低下した運動機能を早期に回復をさせ、速やかに社会復帰をし、生活の質を向上させるリハビリテーションの充実は最重要の課題であると、こう思っております。
多摩地域におきましても、リハビリテーションを実施する医療機関は増加傾向にございますけれども、区部の約四割程度にとどまっており、医療拠点である多摩キャンパスにおいても、こうした状況に適切に対応していく必要があると考えております。
そこで、多摩キャンパスでは、リハビリテーション医療の充実にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 リハビリテーション医療には、疾病の発症や手術直後の早い時期から実施する急性期、病状の安定後、在宅復帰に向けて積極的かつ集中的に行う回復期、機能維持を目的とした維持期があり、これらが切れ目なく提供されることが重要でございます。
多摩キャンパスでは、多摩総合医療センターにおきまして、外傷や脳血管疾患患者等に対する急性期のリハビリを、神経病院におきまして、てんかんや神経難病患者に対する急性期から維持期までのリハビリを実施しております。
今回の整備では、多摩キャンパスのリハビリテーション機能を充実させるため、まず、多摩総合医療センターで急性期の初期治療を終えた脳血管疾患患者の早期の在宅復帰に向け、多摩総合医療センターと神経病院との連携強化により、切れ目なく専門性の高いリハビリテーションを実施してまいります。
また、神経病院におきましては、例えば、低下した足の運動機能を補い、歩行のアシストを行うロボットスーツを活用するなど、医療技術の進歩を取り入れた先進的なリハビリテーションを提供してまいります。
あわせて、難病総合医療センターの整備に当たりましては、地域の医療機関では対応困難な症例に対し、外来でのリハビリテーションの実施についても検討してまいります。
○栗山委員 今後、人口動態の変化によりまして、リハビリテーションのニーズは増大していくものと思われます。都民に適切なリハビリテーションを確実に提供していけるよう、多摩キャンパスにおいても、しっかりとした体制を整備していただきたいと思います。
さて、三月十一日で、東日本大震災の発災から節目となる五年目が経過をいたしました。五年前の三月十一日には、東京にいた誰もが災害対策の必要性を実感したものと、こう思われます。
当時感じたことを改めて思い起こし、いつ起きるかわからない首都直下地震などの大規模災害への備えを切れ目なくしっかり行っていく必要がございます。
そこで、最後に、多摩キャンパスにおける災害医療の強化についてお伺いをいたします。
災害時には、多数の傷病者が生じることが想定されますけれども、このような状況下において、医療機関は、行政や医師会、DMAT等のさまざまな機関と連携して医療活動を行うことになります。
こうした場合、初動体制や救命措置に必要な医薬品などの医療資源を、医療圏内で適切に再配分することが重要であると捉えております。
災害時において、地域の関係機関と調整を円滑に行うためには、日ごろから、これらの機関との連携が必要となる、こう思いますけれども、多摩キャンパスにおいては、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩総合医療センターと小児総合医療センターは、北多摩南部二次保健医療圏における地域災害拠点病院に指定されており、災害時には、重症者の受け入れを行うとともに、医療対策拠点となり、圏域内の医療救護活動を統括、調整する立場にございます。
こうした役割を果たすためには、地域の医療機関のみならず、地元市や薬剤師会などの関係機関と一体となった医療救護活動を行うことができるよう、平時からこれらの機関との連携体制を強化することが必要でございます。
このため、本年一月、多摩総合、小児総合医療センターが中心となり、当該医療圏の六市と地区医師会、薬剤師会、医療機関などから約百名が参加した、都立病院では初めてとなる図上訓練を行い、患者の受け入れや医薬品の供給調整など、発災から七十二時間の動きを確認したところでございます。
こうした取り組みを継続的に実施いたしまして、キャンパスが災害対応の一大拠点となって医療救護活動が実施できるよう、災害医療体制の充実強化を図ってまいります。
○栗山委員 多摩キャンパスでは、他の都立病院に先行し、地域の医療機関と連携した実践的な図上訓練を実施したわけでございますけれども、実際に訓練を行ってみて、さまざまな課題やノウハウが得られたものと思います。
今回の訓練を踏まえ、地域の関係機関と連携し、災害時にも円滑な医療救護活動が行えるよう、地域における災害医療拠点として不断の取り組みを続けてほしいと願っております。
東日本大震災が発災をしたときに指揮をとりました故君塚栄治元陸上幕僚長、当時は東北方面総監でございました。この総監のお話をお伺いしたことがございますが、自己完結集団であります自衛隊であっても、日ごろの訓練を超える活動を展開することができない。訓練に勝る実践はなし。これを何度も強調されていたことを鮮明に記憶いたしております。
特に、生死を分ける七十二時間以内にどう被災者を救助し、救命活動を行うかが事後の成否を分けることにつながる、これはいうまでもございません。いつ発生するかわからない災害に対し、万全を期すことができるよう、今後も議論を深め、都民の皆様の安心・安全へとつなげていきたいと思います。
以上申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○斉藤委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時三十一分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.