厚生委員会速記録第二号

平成二十八年二月二十九日(月曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長斉藤やすひろ君
副委員長栗山 欽行君
副委員長両角みのる君
理事高倉 良生君
理事早坂 義弘君
理事山加 朱美君
西沢けいた君
和泉なおみ君
中山 信行君
和泉 武彦君
島田 幸成君
畔上三和子君
小宮あんり君
野島 善司君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
技監笹井 敬子君
理事黒田 祥之君
総務部長山岸 徳男君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長西山 智之君
保健政策部長上田  隆君
生活福祉部長芦田 真吾君
高齢社会対策部長西村 信一君
少子社会対策部長手島 浩二君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長小林 幸男君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務後藤 啓志君
事業推進担当部長坂本 尚史君
医療改革推進担当部長成田 友代君
医療政策担当部長矢沢 知子君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長村田 由佳君
子供・子育て施策推進担当部長松山 祐一君
障害者医療担当部長平賀 正司君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長矢内真理子君
病院経営本部本部長真田 正義君
経営企画部長中野  透君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第六十号議案 東京都国民健康保険財政安定化基金条例
・第百十四号議案 平成二十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 福祉保健局所管分
付託議案の審査(決定)
・第六十号議案 東京都国民健康保険財政安定化基金条例
・第百十四号議案 平成二十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 厚生委員会所管分

○斉藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の中途議決に係る付託議案の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第六十号議案及び第百十四号議案、平成二十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、福祉保健局所管分を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○高倉委員 今回、付託をされております補正予算案で、積み増しが計上されております福祉先進都市実現基金についてお伺いをしたいと思います。
 東京都全体の平成二十八年度予算案は、堅調な企業収益を背景としまして、都税収入が五年連続の増となるなど、一見、都財政は盤石ともいえます。しかしながら、都の歳入は景気の変動に左右されやすい不安定な構造となっていることは周知の事実であります。
 こうした中で、今定例会に上程をされました二十七年度最終補正予算案では、今年度当初予算におきまして、四百億円を計上して創設することとしました福祉先進都市実現基金への二百億円の積み増しが計上をされております。
 舛添知事は長期ビジョンで、東京で生まれ、生活し、老後を過ごせてよかったと誰もが実感できる都市にしていくことが私の最終目標ですと語っておられます。私も、少子高齢、人口減少社会のもとであっても、一人一人が夢や希望を抱き、生き生きと暮らすことができる東京を創造するため、将来にわたって都民が安心して生活できる社会を実現していく必要があるというふうに思っております。
 そこで、都民の安全・安心を守るため、保育サービスの拡充や地域包括ケアシステムの構築など、さまざまな都政の課題に対応する事業を実施している福祉保健局に、今年度創設をしました福祉先進都市実現基金の目的と意義について、改めてお伺いをしたいと思います。

○後藤企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十六年十二月の東京都長期ビジョンの策定を踏まえまして、二十七年度の予算編成におきまして、世界一の都市東京の実現に向けまして、着実に取り組むべき重要課題に対して切れ目なく政策展開を図っていくため、二十六年度最終補正予算と二十七年度当初予算で、七つの基金を創設することといたしまして、総額で二千五百八十億円の積み立てを行うこととされました。
 このうちの一つとしまして、福祉保健局におきましても、子育て家庭への支援、あるいは超高齢化への対応などの福祉先進都市実現に向けました施策を推進し、誰もが地域で安心して暮らすことができる社会を構築するため、福祉先進都市実現基金を創設したものでございます。

○高倉委員 先ほども申し上げましたけれども、福祉保健局の実施している事業は、待機児童対策や高齢者対策、保健医療分野など、都民生活に直結している事業がほとんどであります。
 それでは、今回の補正の二百億円を加えた合計六百億円の基金を財源として、どういった事業を展開していくのか、また、充当額についてもあわせてお伺いをしたいと思います。

○後藤企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 この福祉先進都市実現基金を財源として展開していきます事業は、ただいま申し上げました基金の目的としております子育て家庭への支援、あるいは超高齢化への対応など福祉先進都市の実現に向けた事業になります。
 具体的に申し上げますと、平成二十八年度予算案におきましては、安心して産み育てられ、子供たちが健やかに成長できるまちの実現といたしまして、出産・子育て応援事業--いわゆるゆりかご・とうきょう事業でございます、さらに、子供の居場所創設事業などに約三十四億円、加えて、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現といたしまして、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業、さらには、東京都介護職員宿舎借り上げ支援事業などに約三十六億円、加えて、質の高い医療が受けられ生涯にわたり健康に暮らせる環境の実現に向けまして、東京都医療施設耐震計画作成支援事業などに約五億円、さらには、障害者が地域で安心して暮らせる社会の構築といたしまして、福祉・トライアルショップの展開に加えて、東京都ICT遠隔手話通訳等モデル事業などに約四億円の、合計約七十九億円を充当することとしております。

○高倉委員 先週の本会議の代表質問や一般質問におきましても、さまざまな角度から質問のあった事業といったものだったというふうに思います。局の新規事業、また主要事業にも充当をされているということであります。
 私ども都議会公明党としましても、今後ともしっかりと応援をしていきたい事業ばかりだというふうに感じております。
 ところで、平成二十八年度予算から財源を事業に充当しているわけでありますけれども、先ほどの充当額を六百億円から差し引きますと、来年度末の基金残高は約五百二十一億円となるわけであります。この五百二十一億円の残高を有効に活用しまして、局の主要事業を展開していっていただきたいというふうに考えますけれども、二十九年度以降の活用方針についてもお伺いをしたいと思います。

○後藤企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 この基金は、基金の名称にもございますように、長期ビジョンに掲げております八つの都市戦略の一つでもあります福祉先進都市の実現、これを目指して創設したものでございます。
 今後の基金につきましては、長期ビジョンが示しております、おおむね十年後の東京の姿を見据えて実施していきます都独自の先駆的な取り組みを安定的に展開するために活用していく予定となってございますけれども、具体的な充当事業につきましては、毎年度の予算編成を通じて検討していくこととなります。

○高倉委員 福祉保健局は、都民の生命と健康を守り、地域での自立を支える利用者本位の福祉を実現するために、福祉、保健、医療サービスの各分野でさまざまな事業を行っているわけであります。
 この基金の充当事業も、先ほどの四つの分類で、本当に多岐にわたる都民目線の事業を展開しているというふうに感じました。ただいまご答弁にもありましたように、おおむね十年後の東京の姿を見据えまして、安定的に展開をする都独自の先進的取り組みを中心に充当する予定ということであります。
 ぜひとも幅広い分野にわたりまして、積極的に財源として活用していただきまして、福祉先進都市の実現に向け、安定的な施策展開を図っていただきたいと要望をいたしておきます。
 次に、東京都国民健康保険財政安定化基金条例についてお伺いをしたいと思います。
 我が国では、国民皆保険制度の維持によりまして、誰もが比較的軽い負担で高度な医療を利用することができるということになっております。このことによって、国民の健康な生活が支えられまして、世界に誇るべき長寿社会の実現に大きく寄与をしてきたわけであります。
 とりわけ国民健康保険は、国民皆保険の中核を担い、医療保険のセーフティーネットといたしまして、国民の健康を支える重要な役割を果たしております。
 しかし、高齢化の進展や産業構造の変化に伴いまして、近年では、区市町村国保の財政運営は非常に厳しくなっております。そして、制度の持続可能性が危ぶまれてもいるわけであります。
 こうした中、政府・与党が率先して社会保障制度改革を推し進め、昨年五月、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律が成立をしたわけであります。
 今回の国保制度改革は、現行制度が始まって以来の改革ともいわれているわけであります。今後、国民健康保険の制度改革が実施をされていくということになると思いますけれども、その概要について、まずお伺いをしたいと思います。

○本多地域保健担当部長 昨年五月に改正法が成立した国民健康保険につきましては、制度の安定化のため公費拡充により財政基盤を強化するとともに、平成三十年度から、都道府県が区市町村とともに国保の運営を担うこととされました。
 制度改革により、都は、区市町村ごとに国保事業費納付金を決定、徴収し、給付に必要な費用を全額区市町村へ交付するなど、財政運営の責任主体となります。区市町村は、住民との身近な関係の中、資格管理、保険給付、保険料の賦課徴収等の事務を引き続き行います。
 現在、平成三十年度からの新制度の円滑な実施、運営に向け、制度や運営の詳細に関して、厚生労働省と地方公共団体の代表との間で協議が進められております。

○高倉委員 今、ご説明をいただきましたけれども、今般の制度改革によりまして、国保における東京都の役割が大きく変わるということであります。
 それでは、今回設置をする財政安定化基金は、どういった役割を果たすのかについてのご見解をお伺いしたいと思います。

○本多地域保健担当部長 財政安定化基金は、予期せぬ給付増や保険料収納不足により財源不足になった場合に備え、都道府県及び区市町村に対し貸し付け、交付を行う体制を確保することを目的として、各都道府県に設置されます。
 国は、医療費の増加などにより都道府県全体において給付増が生じた場合や、局地的災害などによって区市町村において収納不足が生じた場合に基金を活用することを想定しておりまして、詳細につきましては引き続き検討しているところでございます。
 なお、財政安定化基金は全国で二千億円規模を目指すとされ、全て国費を財源として、順次積み増しされることになっております。

○高倉委員 今回の財政安定化基金の設置だけではなく、都は、財政運営の責任主体という新たな役割を担うことになりまして、今後、改革に向けた取り組みを行っていくことになると思います。
 先ほどの答弁で、予期せぬ給付増や保険料収納不足によって財源不足になった場合に、貸し付け、そして交付を行うことを基金の目的とするという説明がありました。予期せぬというようなことが入っておりますけれども、保険料の収納不足による財源不足について交付を行うこともあるといったような仕組みでございます。
 自治体間の不公平でありますとか、あるいはモラルハザードが生じないように、十分に留意をしていく必要があろうかと思います。また、どのような状況であっても、被保険者である住民に不安を与えるようなことがあってはならないというふうにも思います。
 平成三十年度の新制度の実施に向けまして、区市町村や関係機関と十分に協議をしまして、準備に万全を期していただくよう求めまして質疑を終わりたいと思います。

○西沢委員 私からも幾つか質問させていただきたいと思いますが、今、議論がございました、最初に新設条例、東京都国民健康保険財政安定化基金条例の制定についてお伺いをいたします。
 高齢化が進むなど医療需要が増加する東京においても、今後も都民に医療を提供し続け、安心して暮らせる社会としていかねばなりません。そのために、国民健康保険制度など、医療保険制度による国民皆保険制度を維持する必要があります。
 昨年、国は制度改革の法改正を行い、国保制度における国や都道府県、区市町村の今後の役割を示しました。現在も国の協議会において議論が行われております。
 国保の恒常的な赤字の原因である構造的な問題を解決するためには、国が一義的な責任を負わなければいけませんが、都道府県や市区町村がともに国保の上に責任を果たしていくべきというように考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○本多地域保健担当部長 国民健康保険が抱える構造的な問題には、国民皆保険を守るという観点から、制度設計者である国が責任を持って抜本的な解決策を講じることが必要であります。
 国は、今般の制度改革において、低所得者数に応じた自治体への財政支援の拡充、財政安定化基金の設置、保険者努力支援制度の創設などに対して、新たに公費を投入することとしております。
 都は、国に対し、制度改革後も医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の強化を図っていくよう提案要求をしております。
 制度改革後は、都道府県が安定的な制度運営や効率的な事業運営の確保のため、統一的な国民健康保険運営方針を定めることとされておりまして、引き続き区市町村とともに責任を果たしてまいります。

○西沢委員 区市町村と引き続き責任を果たしていくという答弁がございましたが、今回創設をされる財政安定化基金、高倉委員からも話がございましたが、貸し付け、そして交付が行われるということでございますが、具体的にこの要件がどのようになっているのかお伺いをいたします。

○本多地域保健担当部長 制度改革後は、都道府県が医療給付費等の見込みを立てまして、保険給付に必要な額を全額区市町村に支払うこととなっておりますが、医療給付費等が見込みより増加し財源不足になった場合には、都道府県が財政安定化基金から取り崩して財源に充てることとなっております。
 また、区市町村において保険料収納不足が生じた場合には、基金から貸し付けを受けることができ、災害等特別な事情がある場合には、収納不足額の二分の一以内の額について交付対象となります。
 貸し付け、交付の要件等の詳細につきましては、現在、国と地方の間で協議を行っているところでございます。

○西沢委員 今回、交付、貸し付けの要件をご答弁いただいたわけでありますけれども、やっぱり不公平感がないようにということ、それからモラルハザードが生じないように留意するということで、国において、検討されているということでございますが、区市町村の、区議会議員出身の先生方、市議会議員出身の先生方の中ではこうした議論がすごくあったのかと思いますが、区議会、市議会、区市の意向というものは非常に重要であると思います。
 区や市が努力をしてきたものが、その制度そのものが変わることによっておかしくなってしまわないようにしていただきたいというように思います。
 この制度変更を行うに当たりまして、医療など社会保障の現場を担っている区市町村の意見を反映していかなければならないわけでございますが、この区市町村の意見はどう反映をされているのかお伺いいたします。

○本多地域保健担当部長 平成三十年度からの新制度の円滑な実施、運営に向けまして、制度や運営の詳細に関しましては、厚生労働省と地方公共団体の代表との間で協議が進められておりまして、その中で区市町村の意見も反映されることとなっております。

○西沢委員 区市町村の取り組みは重要です。被保険者の特性に応じ、きめの細かい保険事業を実施していくとともに、地域住民と身近な関係を保つ中での資格の管理や保険料率の決定、そして個々の事情に応じた徴収を行っていきます。
 平成三十年度から、財政運営が都道府県に移行される中、都内における全国最低の収納率という課題、これをどう改善させていくのか、国民健康保険の財政改善にとって重要な徴収事業にインセンティブを与える、こうした取り組みが重要だと考えますけれども、見解をお伺いいたします。

○本多地域保健担当部長 都は現在、東京都財政安定化支援方針に基づきまして、区市町村における収納率向上対策の取り組みを促しております。また、平成三十年度からは保険者努力支援制度が創設され、国は、保険料の収納率向上に努める都道府県や区市町村に対し、支援金を交付することを検討しております。
 保険料の収納確保は、制度を維持していく上での前提となるものでございます。被保険者間の公平性を確保する観点からも重要であり、国保財政の安定化に向けて、今後も収納率向上の取り組みを支援してまいります。

○西沢委員 ぜひ推進していただきたいというふうに思います。
 さて、医療保険者の取り組みを毎年進捗管理していこうとの取り組みも始まっております。国民健康保険制度の維持には、医療費の適正化に取り組まなければならないというように考えますが、都は、今後どのように取り組むのか、見解をお伺いいたします。

○本多地域保健担当部長 被保険者の健康の保持増進などに取り組むことにより医療費の適正化を図ることは、保険者の重要な役割です。
 国は、国保ヘルスアップ事業などの保健事業に対する財政支援を行っており、都においても特定健康診査、特定保健指導の充実強化や後発医薬品の使用促進などに取り組む保険者を支援しております。
 今後とも、国保財政の安定化のため、保険者の取り組みを支援してまいります。

○西沢委員 医療について、さまざまな改革の時期に来ていると思います。引き続き、改革、そして都民に対しての医療提供をきちんとしていただくように進めていただきたいということをお願いしたいと思います。
 医療と介護の連携というのも重要でございますが、都民の健康を維持するために、医療と、それから介護の取り組みを連携させていくなど、計画の整合性を図っていただかなければいけないということを主張して、次の質問に移りたいと思います。
 補正予算のひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業についてお伺いをいたしますが、この目的というもの、それから、これは自立の促進を図るというようなことでございます。そして、対象者、国と区でございますけれども、この目的や対象者について、まず最初にお伺いをいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 現在、都内全区市町村では、ひとり親家庭の経済的自立を促進するため、看護師や保育士、介護福祉士など、就職に有利な資格の取得期間中に生活費等の給付を行う高等職業訓練促進給付金等事業を実施しております。
 ご質問の、ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業は、国が平成二十七年度補正予算で創設し、高等職業訓練促進給付金の支給対象者に対し入学準備金等を貸し付ける事業でございまして、就職に有利な資格の取得を目指すひとり親家庭の親の就学を容易にすることで、資格取得を促進することを目的として、都道府県等が実施するものでございます。

○西沢委員 答弁ありがとうございます。今、話がございましたが、国の方でこれを進めているということで、今回新たに創設をしたということでございますが、具体的に、今、入学準備金などという話がございました、この事業の概要はどのようなものになるのか、お伺いいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 高等職業訓練促進資金は、養成機関に支払う入学金、教材費等の納付金や学用品などに充当するもので、資格取得のための養成機関への入学時に入学準備金として五十万円以内、養成機関を修了し、かつ資格を取得した場合には、就職準備金として二十万円以内の貸し付けを行うものでございます。
 また、貸し付けを受けた者が、養成機関卒業から一年以内に取得した資格を生かして就職し、五年間その職に従事したときなどには、貸付金の返還を免除するものでございます。

○西沢委員 大変重要な事業になるのではないかと私は思います。多くのひとり親が利用できるようにしていただきたいというようにも思うわけでございます。
 そして、最後に、給付金の対象者に貸し付けるこの事業でございますが、それぞれの事業の概要を見ますと、東京都も事業主体となりますけれども、社会福祉法人などに委託して行うなんて話もお伺いをいたしました。
 国や都道府県、それからこうした団体、区市町村、それぞれ事業の実施主体というものが異なってくるわけでございますから、きちんと貸し付けることができるのかという不安がありますが、この辺はいかがでしょうか。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 お話のように、高等職業訓練促進給付金等事業とひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業は、実施主体が異なっております。
 ひとり親家庭への支援につきましては、区市町村の福祉事務所などに配置されている母子・父子自立支援員が窓口となっており、高等職業訓練促進給付金等事業についても相談を受けております。
 都としては、区市町村と連携し制度周知に努め、ひとり親家庭の親が資格を取得し、安定した就業につながるよう支援をしてまいります。

○西沢委員 いっときに多額の費用が一気にかかる入学金など、こういうのを貸し付けるということで就学がしやすくなると思います。ひとり親にとって、とてもいい制度になろうかとも思いますし、多くのひとり親が利用できるよう改めて申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○中山委員 本補正予算案の迅速な成立と期待どおりの執行を願う立場から質疑を行わせていただきます。補正の内容は多岐にわたっておりますので対象を絞り、今回は特に保育人材の確保を取り上げたいと思います。
 保育サービスの拡充は、今まさにこの時点で急ぎ成果を上げなくてはならない喫緊の課題であります。しかし、施設を確保できたとしても、そこで保育に従事してくださる人材がそろわなければ、より多くの入園希望に応えることはできません。
 待機児童解消のスピードを左右する大きな要因の一つが保育人材の確保であり、我が都議会公明党は、その問題意識のもと、先日の代表質問におきまして、人材の確保、定着についてお尋ねをいたしました。
 代表質問では、学校を卒業して新たに保育士になる方々の保育の現場への就職促進についてお尋ねしたわけでありますけれども、きょうは違った切り口から、保育人材の確保、定着について質問をしたいと思います。
 保育人材の代表的な即戦力としては、資格を得ながらも保育現場で働いていない潜在保育士さんが挙げられるわけであり、潜在保育士さんの掘り起こしが非常に重要と考えます。
 しかし、その上で、今現在は保育の現場にはいない潜在保育士さん以上に、より確実に保育現場で汗をかいて働いていただけることが期待できる方々がいらっしゃいます。現に、そういうメンタリティーを持って今も頑張っていらっしゃる方々です。それは、保育補助者としてご活躍の皆さんであります。
 食事の支度やいろいろな片づけ、整理整頓など、忙しい保育士さんの仕事を支え助ける保育補助の方々は、保育所において大切な役割を担っています。
 私ごとになりますけれども、一昨年亡くなりました私の母親は区立保育園の保母、園長として長年頑張っておりました。若く優秀な保母さんたちに負けてはいけないと、あえて肩肘を張って懸命に頑張り、怖い園長として恐れられていたようでありますけれども、今でいう保育補助や、足立区には保育補助者という制度もありますけれども、そうした方々とは大変仲よくしておりました。私もあなたのお母さんにはとてもお世話になった、議員としてしっかり頑張るようにと激励を受けたことがあります。
 家庭の経済的事情から、三十代半ばから保育現場に復帰し苦労した母は、待遇としては恵まれていなくても、子供たちの幸せを願う純粋な心情を胸に、種々雑多な業務に取り組む保育補助の皆さん方のひたむきな姿に、きっと親近感を寄せていたのだと思います。
 それはさておきまして、保育補助の方々は、保育士さんとともに働く中で、現場の仕事にも通じていらっしゃいますので、保育士の資格さえ取っていただければ、即経験豊かで、保育現場で遭遇するさまざまな場面での立ち居振る舞い方、判断の仕方をわきまえた即戦力の新人保育士さんとして活躍してもらうことが可能であります。
 保育所などが保育補助者さんを雇って保育士さんの負担を軽減し、さらに、その方々に資格取得でステップアップしてもらい、そのまま園で活躍してもらう。人材確保の面では、こうした工夫を促していくことが大切だと思いますが、いかがでございましょうか。

○手島少子社会対策部長 都は、保育士の負担を軽減するとともに、保育補助者の資格取得を促進するため、保育補助者雇上支援事業を開始することといたしました。
 この事業は、保育事業者に対して年額二百九十五万三千円を上限に、保育補助者を雇用する費用を貸し付けるものであり、雇用された保育補助者が三年以内に保育士資格を取得した場合は、貸付金の返還を免除する仕組みとなっております。
 また、都におきましては、国が支援の対象としていない認証保育所につきましても、独自に支援をしてまいります。

○中山委員 新たな支援制度ができるということでございますので、大いに期待したいと思います。
 認証保育所については、都が単独で支援、これは十分の十ということですよね、支援するということも評価したいと思います。
 一年間で二百九十五万円ですから、三年以内で合格すれば返済無用ということであったとしても、三年間で一千万近い金額になるわけですので、大変な事業が始まるなというふうに期待しております。
 しかし、働きながら資格を取るのは簡単ではありません。通信講座などで勉強しながら保育士試験の合格を目指すほか、最近では保育士養成校でも夜間や通信教育のコースが充実しておりまして、さまざまな形で保育士資格が取れる環境が整いつつあります。
 そこでお伺いいたしますが、保育士を目指す方に対するこうした講座や養成校を受講する費用、勤務する保育所にとっては、代替の職員さんの経費なども必要でありまして、資格取得にかかる支援はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○手島少子社会対策部長 保育士の資格を取得するには、保育士養成施設を卒業して保育資格を取得する方法と、保育士試験に合格をして資格取得をする方法の二通りがございます。
 都は、保育施設に勤めながら保育士資格の取得を目指す方を支援するため、夜間課程や通信課程などにより養成施設を卒業して資格を取得する方々に対しては、入学金や受講料、保育士試験で資格を取得する方に対しましては、通信講座などの受講料や教材費の一部を補助しております。
 また、保育事業者に対しては、職員が養成施設の行う保育実習等に参加できるよう、その期間かわりに雇用する職員の雇い上げに要する費用について支援をしております。

○中山委員 保育に従事しながら、保育士の資格取得を目指す方々の経済的な負担を軽減するとともに、事業者に対しても支援するという両面からの取り組みであり、ぜひ多くの方々にこれをよいきっかけとしていただいて、保育士資格の取得を目指していただきたいと思います。
 ここでもう一つ、資格取得の機会そのものをふやす取り組みとしまして、保育士試験の二回実施化についてお伺いしたいと思います。
 ちょうど一年前、昨年の第一回定例会におきまして、我が党の代表質問に対し福祉保健局長は、年二回の試験実施に向けて検討を行っていくと答弁をされました。保育士資格の取得の機会をふやす具体的な取り組みである保育士試験の年二回実施は、ぜひ実現していただきたいところであります。
 現在の取り組み状況をお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 保育士試験は、全ての都道府県が、一般社団法人全国保育士養成協議会を指定試験機関に指定し、年一回、全国統一で実施をしてまいりました。
 都は、保育士資格の取得の機会を拡大するため、これまで国に対し試験回数をふやすよう繰り返し提案要求をしており、その結果、国はことしから保育士試験を年二回実施することを決定いたしました。
 都におきましては、本年四月と十月に試験を実施する予定であり、第一回目の試験につきましては、今月上旬に締め切りを行ったところでございます。

○中山委員 話が具体的に進んでいるとのことでありまして、安心いたしました。詳細は、新規事業になりますので、別の機会に譲らせていただきますけれども、保育士の有資格者の方がこれまで以上にふえていくことを期待したいと思います。
 さて、次に、資格を取得した後のことをお伺いしたいと思います。
 保育人材の不足は、新規採用数の点で改善の必要があるだけではなくて、定着難という点でも課題があります。
 都は、保育士の定着支援としてさまざまな取り組みを行っています。その中で特に注目したいのが、今年度より本格実施されている宿舎借り上げ支援であります。
 保育所は、原則十一時間開所、土曜日も開所しております。十一時間ですから、保育の仕事は不規則勤務にもなります。朝早い時間から夜遅くまでの勤務ですから、通勤時間はできるだけ短いことが望まれます。
 私の家も、途中で引っ越しを何度か余儀なくされましたので、母は遠いときで一時間半ぐらいの片道の通勤で保育園に通っておりました。そのころは大変つらそうでありました。
 都が行った調査でも、潜在保育士の再就業の条件として、通勤時間が第二位に挙げられております。地価の高い東京にありまして、職住近接を実現する保育事業者に対する宿舎借り上げ支援が重要と考えております。宿舎借り上げ支援の活用を広げていくことが必要だと思います。
 本年度の区市町村の実施状況をお伺いしたいと思います。

○手島少子社会対策部長 都は、東京都保育従事職員宿舎借り上げ支援事業において、国が補助対象としておりません認証保育所、定期利用保育事業なども対象に加え、一室当たり八万二千円を上限として、区市町村及び事業者の負担が八分の一になるよう補助を行っております。平成二十七年度は十六区二市において実施されており、今後この取り組みがさらに広がるよう、区市町村や関係団体に対し積極的に働きかけてまいります。

○中山委員 確実に事業を実施する区市町村が広がっているということであり、安心いたしております。
 その上で確認でありますけれども、本事業が保育士確保という点で役に立つだけではなく、定着支援にも役に立つものであるためには、対象となる職員は、新規採用者だけではなくて離職者が発生しがちな三年目、四年目といった職員も対象とするべきと考えますが、その点はどうなっているのか、また、補助はどのように適用されているのか、改めてお伺いしたいと思います。

○手島少子社会対策部長 対象となる職員は、新規採用職員にかかわらず、採用後五年以内の常勤の全ての保育従事職員としております。
 補助期間は、採用から五年間を限度としておりまして、例えば新規採用されてすぐに補助が開始された場合は五年間、採用されて一年後から補助が開始された場合は四年間、同様に、採用されて二年後であれば三年間、三年後であれば二年間、四年後であれば一年間というふうになります。

○中山委員 丁寧に答えてくださり、ありがとうございました。
 保育人材の確保策は、事業者への支援、資格取得者への支援など、さまざまな角度から施策を講じていく必要があります。
 都には今後とも、これまで講じてきた施策に加え、この補正予算による新たな施策が有効に働いていきますよう、事業者に働きかけをお願いさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○島田委員 私からも、補正予算に関連しまして質問をさせていただきます。
 まず、待機児童に関連して、先ほども議論ありましたけれども、保育人材について、何点かお聞きさせていただきたいというふうに思います。
 待機児童解消に向けては、保育サービスの拡大が続いているわけであります。ここ数年は、毎年一万人分を超える保育サービスが整備されまして、昨年度は長期ビジョンの目標値一万二千人分を超えまして、一万二千六百二人分を拡充されたということでございます。今年度も大幅な拡充に向け、都はもとより、区市町村も懸命に取り組んでいることと思います。
 そこで問題になるのは保育士の確保であります。新規に保育所を開設する事業者にお伺いをいたしますと、保育士さんを集めるのは本当に苦労されているということでありますし、保育サービスの拡充を進める上での大きな課題ともなっているわけであります。
 そこで、まず最初にお伺いをいたします。都は、待機児童解消のために、平成二十六年度から二十九年度までの四年間で、四万人分の保育サービスを拡充するという大きな整備目標を掲げておられますが、この目標を達成するために必要な保育士さん、これは一体何人になると試算しているのでしょうか、お伺いします。

○手島少子社会対策部長 都は、東京都子供・子育て支援総合計画におきまして、待機児童解消に向けた整備目標である保育サービス四万人分の拡充を含む、保育サービス全体を全て保育士有資格者によって提供した場合、必要となる保育士数は八千八百人と見込んでおります。
 また、平成二十四年、離職率により推計した二十九年度末までの離職者数は一万八千七百人となっております。
 これらを合計しまして、約二万八千人が必要となると試算しております。

○島田委員 四年間で二万八千人ということでございまして、改めて、本当に多い人数を確保しなければいけないわけでございます。
 そういう中で、現在、保育士さんが不足していると思いますが、現時点での保育士さんの有効求人倍率、これはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。

○手島少子社会対策部長 この十二月の有効求人倍率でございますが、東京都は約六倍というふうになっております。

○島田委員 今、ご答弁がございましたけれども、四年間で二万八千人を補充しなくてはいけない、そして、今、有効求人倍率が東京は六倍ということでございます。これは全国が二・三四倍ということでございますから、全国に比べても三倍ほどの求人倍率ということで、本当に人材不足、これが逼迫した状況であるということがわかります。
 これだけの数の保育士さんを確保するには、毎年新たに保育士の資格を取得した人たちだけで賄うことは到底できません。やはり即戦力となる潜在保育士さんたちの掘り起こし、保育の現場から離れている保育士さんたちに現場に戻っていただくことが重要だというふうに考えております。
 都が行った保育士実態調査を見ますと、過去に、保育に従事していて現在は働いていない方々の離職理由のトップは妊娠、出産であるわけであります。つまり出産後の仕事と子育ての両立がままならない、ここが一つネックになって離職する方が多いわけであります。
 こうした方々に保育の現場に戻ってきてもらう、もっといえば、そもそもやめずに済むようにするための具体的な取り組みが大切だというふうに思います。
 その上で、今回の補正予算案にある未就学児をもつ潜在保育士に対する保育所復帰支援事業は大変重要だというふうに考えておりますが、どのような内容なのかお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 未就学児をもつ潜在保育士に対する保育所復帰支援事業は、未就学児を持つ潜在保育士や、産後休暇や育児休業中の保育士が、ご自身の子供を保育所等に預ける際に必要となる保育料の一部につきまして、最大で十二カ月分貸し付けを行い、経済的負担を軽減することにより、保育現場に就職または復帰することを支援するものでございます。
 また、就職から二年間継続して勤務をした場合は、貸付金の返還を免除することとなっており、こうした取り組みにより、保育人材の確保、定着を図ってまいります。

○島田委員 小さいお子さんがいらっしゃる保育士さんが保育を利用することで、保育の担い手として五人も六人もの保育をしてもらえるということでございますので、ぜひこうした取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。
 さて、潜在保育士さんの中には、妊娠や出産で離職して間もない方だけでなく、しばらく保育の現場から離れていたという方もたくさんいらっしゃるというふうに思います。
 例えば、出産を機に退職して、子供さんが大きくなって育児も一段落したという方や、通勤時間が大変で退職した方などもいらっしゃると思いますが、しばらく離れていた方が再就職する際には、準備のためにいろいろなものが必要になるというふうに思います。働く準備にかかる費用は、収入がない中でなかなか厳しいものがあると思います。
 細かいことのようですが、潜在保育士さんに現場に戻っていただくためには、考えられるあらゆる支援が必要だというふうに考えております。就職準備にかかる負担を取り除くことも必要だというふうに思います。潜在保育士の再就職支援の取り組みについてもお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 都は、潜在保育士の再就職を支援するため、離職後一年以上経過した潜在保育士や勤務経験のない潜在保育士が保育所等に勤務する場合に、就職に伴う転居費用や洋服代、通勤用の自転車の購入などの経費として、二十万円を上限に就職準備金を貸し付ける潜在保育士に対する再就職支援事業を新たに開始することといたしました。
 この事業は、就職から二年間継続して勤務した場合に貸付金の返還を免除することとしており、国による支援の対象外となる認証保育所の保育士に対しましても都独自に支援を実施し、保育人材の確保、定着を図ることとしております。

○島田委員 上限が二十万円で、二年間働いたら返済が免除されるということでございます。先ほども申し上げましたけれども、いろんなものも必要となる、また、求人倍率も非常に高いということでございますので、ぜひこの制度を活用していただいて、周知も含めて対応をよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 保育士の確保を議論してまいりましたが、保育人材の確保には保育士以外の活用も真剣に考える必要があるというふうに思います。
 今般、国は認可基準に関する省令の改正を行い、一定の範囲で保育士以外の人材を活用する道を開きました。ぜひ都としても前向きに検討していただきたいと思います。
 その中で私が注目したいのは、小学校教諭の活用です。小一プロブレムという言葉にあらわせるように、保育所と小学校の接続は大変重要だと考えております。
 保育所は保育を行う場であり、家庭と同様、生活の場であります。一方、小学校に入ると、授業時間と休憩時間のめり張りや、決まった時間に与えられた課題に取り組む、授業中に勝手なことをすれば叱られるというようなことを初めて経験し、戸惑う子供も多いと聞きます。
 保育の現場に小学校教諭が入るということは、就学を間近に控えた年長の子供たちにとって、小学校に連続性を持ってスムーズになじめるようサポートする上でとても効果的ですし、むしろ保育の質の向上につながる面もあると思います。ぜひ今回の国の改正を積極的に活用していただくことを都に要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、介護人材不足についてお伺いいたします。
 都内の高齢者人口は急速に増加しておりまして、平成三十七年には、都民の四人に一人が高齢者となる見込みであります。今後、要介護高齢者の増加が見込まれておりまして、介護職員の確保が重要であります。
 一方、介護人材は、少子高齢化による労働力人口の減少や他の業種の求人状況の動向に影響され、人手不足が深刻であります。
 そこでまず、介護関連職種の有効求人倍率と離職率、平均勤続年数について、全産業平均と比較してお答えいただきたいと思います。

○芦田生活福祉部長 平成二十六年度の都内有効求人倍率は、介護関連職種が四・〇六倍、全産業平均では一・三七倍でございます。
 また、平成二十六年度の全国の離職率ですが、介護関連職種が一六・五%に対し、全産業平均では一五・五%、同じく全国の平均勤続年数は、ホームヘルパーが五・六年、施設介護職員が五・七年に対し、全産業平均では十二・一年となっております。

○島田委員 先ほどの保育人材もそうでしたけれども、介護関連職種が四倍以上ということでありまして、こちらも人材不足ということでございます。平均勤続年数も、ホームヘルパーが五・六年、それから施設介護職員が五・七年ということで、他業種と比べても短いということでございますので、介護人材の安定的な確保に向けての施策を行うことは非常に重要な課題であります。
 介護人材の安定的な確保のためには、介護職の中心的な役割を担う存在であります介護福祉士を目指す学生等を支援することが有効であると考えております。
 そのため、現在、介護福祉士等修学資金貸付制度で支援しているかと思いますが、この制度は、介護福祉士など養成施設就学者に対し、学費のほか、入学準備金、就職準備金を無利子で貸与して、卒業後、都内の指定施設で五年間従事すると返還免除される。人材養成と確保の両面の効果があるというふうに思っております。
 今回、補正予算案を提案した理由、背景についてお伺いいたします。

○芦田生活福祉部長 介護福祉士等修学資金貸付制度は、介護人材の養成、確保に向けて介護福祉士等養成施設への就学を支援する国制度であり、貸付事務は東京都社会福祉協議会で実施しております。
 国は、介護人材確保を推進するため、従来の貸付メニューに介護福祉士国家試験受験費用を対象に加えるとともに、離職した介護福祉士等有資格者を対象として、二年間継続して従事すると返還免除となる再就職支援準備金の貸付制度を新たに創設いたしました。
 この制度拡充に伴いまして、国が貸付原資の積み増しを行ったため、都は、これに合わせて所要の経費を補正予算として計上したものでございます。

○島田委員 今ご答弁いただきましたが、介護福祉士を目指す学生だけではなく、介護の資格を持っているのに介護職に従事していない潜在的有資格者の再就職を支援する取り組みであると理解をさせていただきました。
 こうした制度を有効に活用してもらうためには、都民に広く知らせることが重要だというふうに考えております。都は制度の活用が進むよう普及啓発に取り組むべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○芦田生活福祉部長 制度の周知につきましては、これまで、実施主体である東京都社会福祉協議会におきまして、介護福祉士等養成施設を通じて行ってまいりました。
 今後、離職中の介護福祉士等有資格者が新たに貸し付けの対象に加わるため、東京都社会福祉協議会における周知に加えまして、都におきましても、ホームページ等で広く情報発信するとともに、東京都福祉人材センターの求職者等への案内や東京しごとセンター、ハローワーク等と連携した周知を行うなど、普及啓発に努めてまいります。

○島田委員 ぜひ、制度の活用と制度の周知、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、生活困窮者対策についてお伺いいたします。
 生活困窮者を支援する制度として生活福祉資金貸与制度がありますが、生活福祉資金貸与制度は、創設以来、社会情勢を踏まえて国が改善を重ね、低所得者などに対するセーフティーネットの施策として役割を担ってきたものであります。
 具体的には、失業の方の生活費などを貸し付ける総合支援資金を初め、出産、転居費用などに貸し付ける福祉資金、高校、大学の学費を貸し付ける教育支援資金など、さまざまな貸与メニューが用意されております。
 また、昨年四月には、第二のセーフティーネットの強化として生活困窮者自立支援法が施行され、生活保護に至る前の段階で生活困窮者に対する自立支援の強化が図られることとなりました。この生活困窮者支援制度と生活福祉資金制度が連携することにより、効果的、効率的に生活困窮者の自立が促進されるものと期待しております。
 そこで、今回、補正予算案が提出されたところでありますが、提案理由についてお伺いいたします。

○松浦生活支援担当部長 生活福祉資金貸付制度は、一定の所得以下の世帯等に対しまして資金の貸し付けを行うことにより、その世帯の生活の安定と経済的自立を図ることを目的とする国の制度であり、貸し付けの相談や申し込みは、住民に身近な区市町村の社会福祉協議会において実施しております。
 また、貸し付けの原資につきましては、国と都が、貸し付けの種類に応じて定められた負担割合に基づきまして、実施主体である東京都社会福祉協議会に補助しております。
 国は教育支援資金の貸付限度額を一・五倍に拡充すること及び生活福祉資金の今後の貸付需要を見込んで貸付原資の積み増しを行いましたことから、都は、これに合わせて所要の経費を補正予算として計上したものでございます。

○島田委員 今の答弁によりますと、今年度の補正予算案では教育支援資金を拡充するとの話でありました。
 教育支援資金は、高校や大学の入学金や授業料等にかかる教育支援費を無利子で貸し付けるなど、低所得者世帯の子供が進学や就学を継続するためになくてはならない制度であると考えております。
 今回、教育支援費の貸付限度額が引き上げられたとのことでありますが、なぜそうしたのかお伺いいたします。

○松浦生活支援担当部長 教育支援資金は、進学や就学の継続を支援し、世帯の将来的な自立につなげることを目的とする貸付制度でございます。
 国は、子どもの貧困対策会議におきまして、全ての子供の安心と希望の実現に向けて、ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトを策定いたしました。このプロジェクトを受け、子供が授業料の多寡により進学先の選択肢を狭めたり、経済的理由により学習意欲や向上心を失うことのないよう、貸付限度額を引き上げることとしたものでございます。
 具体的には、大学の場合ですと、貸付限度額は現行の月額六万五千円が一・五倍の九万七千五百円に引き上げられることとなります。

○島田委員 今回の拡充は、低所得者世帯の子供たちにとっては朗報だというふうに思います。低所得者世帯の子供たちが経済的理由で高校や大学への進学を諦めることなく、みずからが希望する進路を着実に歩めることを期待いたします。
 一方で、今回の拡充も含め、生活福祉資金貸与の制度が、対象となる世帯にしっかり伝わらなければなりません。そのためには、都内に設置された生活困窮者自立支援制度の相談窓口とのさらなる連携も欠かせません。
 都は既に両制度の連携について連携マニュアルを作成し、自治体や社会福祉協議会の双方に周知しているとのことですが、社会福祉資金が今後とも生活困窮者支援の重要な資源として有効に活用されるよう、引き続き取り組んでいただくことを望みます。
 これまで補正予算案について述べさせていただきました。
 最終補正予算案は、国の補正予算への対応として、昨年の秋、安倍総理が打ち出した新三本の矢に関する施策が並んでおります。国は希望出生率一・八、介護離職ゼロなどを目標に掲げておりますが、日本で今、私たちが直面しているのは、平均年収百七十万円という正規雇用の年収の三分の一にも満たない非正規雇用労働者が国内で四割を超えたという実態や、子育てへの不安と負担感、将来の格差にも直結する子供の貧困、教育格差、国が介護報酬を引き下げたことなどによる介護での人手不足といった厳しい現実であります。
 このような現実に対し、今回の施策はある程度有効ではあると考えますが、少子高齢化や格差拡大といった課題に対する根本的な解決にはなり得ないのではないかと考えております。社会全体で子育てや介護などを支えていくための取り組みは急務でありまして、国は、それらの課題に真剣に向き合って、さらに取り組むことが必要だと考えております。
 都においても、知事のリーダーシップのもと、国に先んじて手だてを講じていくことが都政の使命であるとも考えております。都民一人一人があしたへの希望を持って生活し、努力を応援する東京とするために都がさらに取り組むことを求めまして、私の質問を終えさせていただきます。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。

○斉藤委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第六十号議案及び第百十四号議案、平成二十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、厚生委員会所管分を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○和泉(な)委員 国民健康保険財政安定化基金条例案と、それに関する補正予算案について意見を述べます。
 改定された国民健康保険法の第八十一条の二によって、都道府県は財政安定化基金を設置することとされましたが、当該改定部分は平成三十年四月一日施行です。しかし、平成二十七年法律第三十一号の附則第六条第一項では、都道府県は、この法律の施行日前においても、平成三十年改正後国保法第八十一条の二第一項の規定の例により、財政安定化基金を設けることができるとされています。
 今回の条例は、この附則第六条第一項に基づいて、都に国民健康保険財政安定化基金を設置することに伴う条例提案です。既に、今年度の最終補正予算案に二十一億六千八百二十万円、来年度予算案には四十三億六千万円の積み立てが計上されていますが、同条第二項では、施行日の前日までの間は、平成三十年改正後国保法第八十一条の二第一項各号に掲げる事業に必要な費用に充てることができないものとするとなっていますので、処分せず、そのまま積みおかれるということになります。
 法改定に伴って設置しなければならないものであること、今後の運用や活用の詳細についてはまだ決まっておらず、これからということなので、反対はしません。しかし、基金が区市町村の一般会計からの繰り入れを抑制するよう機能するのではないか、貸し付けを受けられるので一般会計から繰り入れは必要ないとされて、基金から貸し付けを受ければ、その分が次年度の各区市町村の保険料に上乗せされるのではないかという懸念は拭い切れません。
 一方で、後期医療制度の財政安定化基金も同様の内容を持っていますが、実際には、保険料の引き上げを抑制するために、特定期間を設けて取り崩しをしています。その特定期間を延長する条例改定案が今議会にも議案提案されています。
 このような活用こそが必要で、柔軟に活用ができるよう国に求めるべきだと思います。今後の地方との協議においては、ぜひそのような意見も挙げていただきたいということを強く求めます。
 この基金がより保険料引き上げを誘発するものとならないよう求めるとともに、都民の負担軽減に寄与するよう活用することを求めて意見表明とします。
 以上です。

○斉藤委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 第六十号議案及び第百十四号議案、平成二十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、厚生委員会所管分を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認めます。よって、第六十号議案及び第百十四号議案、平成二十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、厚生委員会所管分は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時八分散会

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