厚生委員会速記録第十六号

平成二十七年十一月二十五日(水曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長斉藤やすひろ君
副委員長栗山 欽行君
副委員長両角みのる君
理事高倉 良生君
理事早坂 義弘君
理事山加 朱美君
西沢けいた君
和泉なおみ君
中山 信行君
和泉 武彦君
島田 幸成君
畔上三和子君
小宮あんり君
野島 善司君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
技監笹井 敬子君
理事黒田 祥之君
総務部長山岸 徳男君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長西山 智之君
保健政策部長上田  隆君
生活福祉部長芦田 真吾君
高齢社会対策部長西村 信一君
少子社会対策部長手島 浩二君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長小林 幸男君
企画担当部長オリンピック・ パラリンピック調整担当部長兼務後藤 啓志君
事業推進担当部長坂本 尚史君
医療改革推進担当部長成田 友代君
医療政策担当部長矢沢 知子君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長村田 由佳君
子供・子育て施策推進担当部長松山 祐一君
障害者医療担当部長平賀 正司君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長矢内真理子君
病院経営本部本部長真田 正義君
経営企画部長中野  透君
サービス推進部長野瀬 達昭君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務高野  豪君

本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
陳情の審査
(1)二七第五三号 誰でも、安心して医療を受けることができる都民医療の充実に関する陳情
福祉保健局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・東京都障害児通所給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
・東京都障害者介護給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例
・東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例
・東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
・東京都リハビリテーション病院の指定管理者の指定について
・東京都立心身障害者口腔(くう)保健センターの指定管理者の指定について
・東京都立東大和療育センターの指定管理者の指定について
陳情の審査
(1)二七第三四号 医療法人の事業報告等提出書等の返却期間の大幅な短縮化に関する陳情
(2)二七第五三号 誰でも、安心して医療を受けることができる都民医療の充実に関する陳情
(3)二七第六四号 城北労働・福祉センターにおける山谷労働者の利用者カードに関する陳情

○斉藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせをしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取及び福祉保健局関係並びに病院経営本部関係の陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をするにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、陳情の審査を行います。
 陳情二七第五三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中野経営企画部長 恐れ入りますが、お手元の資料、厚生委員会付託陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
 整理番号1、陳情二七第五三号につきましてご説明申し上げます。
 この陳情は、豊島区の、東京の保健・衛生・医療の充実を求める連絡会代表、氏家祥夫さん外九千七百七十六人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、次のことを実現していただきたいといたしまして、全六項目から成るものでございます。
 このうち、第一項及び第三項から第六項までにつきましては、後ほど福祉保健局より説明がございます。私からは、第二項、都立病院及び公社病院の急性期病床の削減や地方独立行政法人化の検討をやめ、公的病院として災害、救急、母子、高齢者、障害者、難病医療等の充実を図ることにつきまして、現在の状況を説明させていただきます。
 都立病院は、法令等に基づき対応が求められている災害医療、感染症医療や、社会的要請から特に対策を講じなければならないとされております救急医療、周産期医療などの行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関との密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることを基本的役割としております。
 また、より多くの都民に都立病院の持つ高水準の医療機能を生かした適切な医療を提供していくため、対象範囲を原則として都全域あるいは複数の二次保健医療圏とし、主として急性期の患者を対象としております。
 一方、公社病院は、地域の医療機関との連携に基づく地域医療のシステム化を推進するとともに、住民が必要とする保健医療サービスの提供等を行うことにより、医療と福祉の向上に寄与する役割を担っております。
 都立、公社病院は、これらの基本的役割を踏まえつつ、医療ニーズに対し、適切に対応してまいります。
 また、都立、公社病院が役割を果たす上でふさわしい経営形態等につきましては、引き続き情報収集を行ってまいります。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 発言がなければ、福祉保健局所管分もございますので、決定は福祉保健局所管分審査の際に行い、ただいまのところは継続審査といたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認めます。よって、本件は継続審査といたします。
 陳情の審査を終わります。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○斉藤委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○梶原福祉保健局長 平成二十七年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明を申し上げます。
 今回、ご審議をお願いいたします議案は、条例案五件、事件案三件の合計八件でございます。
 初めに、条例案の概要をご説明申し上げます。
 本定例会に提案を予定しております条例案につきましては、婦人保護施設の基準に係る政令の改正に伴うもの、行政不服審査法の全部改正を踏まえたもの、当局が所管する事業所の移転に伴うものでございます。
 続きまして、事件案でございますが、当局が所管いたします公の施設の管理運営を行う指定管理者の指定を行うものでございます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山岸総務部長 お手元の資料、平成二十七年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案の概要をごらんください。資料の順に沿ってご説明をいたします。
 初めに、条例案についてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、東京都婦人保護施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 婦人保護施設の設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令の施行に伴い、施設長の資格要件に係る規定を整備するものでございます。
 この条例は、平成二十八年一月一日から施行することとしております。
 整理番号2、東京都障害児通所給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例及び整理番号3、東京都障害者介護給付費等不服審査会条例の一部を改正する条例でございます。
 行政不服審査法の全部改正を踏まえ、委員の罷免等に係る規定を設けるものでございます。
 これらの条例は、行政不服審査法の施行の日から施行することとしております。
 二ページをお開き願います。整理番号4、東京都心身障害者福祉センター条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都心身障害者福祉センターの移転に伴い、位置を改めるほか、新たに別館の位置を定めるものでございます。
 この条例は、平成二十八年三月十四日から施行することとしております。
 整理番号5、東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都立精神保健福祉センターの移転に伴い、位置を改めるものでございます。
 この条例は、平成二十八年三月十四日から施行することとしております。
 続きまして、事件案についてご説明申し上げます。
 三ページをごらんください。ご審議をお願いしております事件案は、全て地方自治法第二百四十四条の二第六項に基づきまして、公の施設の指定管理者の指定についてお諮りをするものでございます。
 それぞれ、公の施設の名称及び所在地、指定管理者の名称及び主たる事務所の所在地及び指定の期間を記載してございます。
 それでは、個々の事件案につきましてご説明いたします。
 整理番号1の医療施設、東京都リハビリテーション病院につきまして、指定管理者は公益社団法人東京都医師会で、指定期間は記載の五年間でございます。
 整理番号2の医療施設、東京都立心身障害者口腔保健センターにつきまして、指定管理者は公益社団法人東京都歯科医師会で、指定期間は記載の五年間でございます。
 整理番号3の重症心身障害児者施設、東京都立東大和療育センターにつきまして、指定管理者は社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会で、指定期間は記載の十年間でございます。
 議案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十七年第四回東京都議会定例会条例案及び事件案をご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○斉藤委員長 次に、陳情の審査を行います。
 まず、陳情二七第三四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○西山医療政策部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明をさせていただきます。
 整理番号1、陳情二七第三四号、医療法人の事業報告等提出書等の返却期間の大幅な短縮化に関する陳情は、中野区の中村恭章さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、福祉保健局医療政策部医療安全課医療法人係からの事業報告等提出書や医療法人の登記事項の届け出等の書類を受理後速やかに返却していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 医療法第五十二条第一項では、医療法人は、毎会計年度終了後三カ月以内に、事業報告書等の書類を都道府県知事に届け出なければならないとされております。また、同条第二項では、都道府県知事は、請求があった場合には、これを閲覧に供しなければならないとされております。
 都においては、医療法人に事業報告等提出書として提出するよう求めており、法人の事業運営やさまざまな取引に影響するような記載の誤りがないか、行政書士資格を有する職員など複数の担当者で慎重に確認しております。また、確認の結果、修正が必要となった場合は、書類の差しかえを求めるなど、提出者とやりとりを行うため、事務処理に一、二カ月程度を要しております。
 資産総額の変更に伴う医療法人の登記事項の届け出については、事業報告等提出書とあわせて提出されることが多いため、一体として事務処理を行っております。
 こうした事務処理を終了した後、希望する方に届け出書類の控えを返却しております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○斉藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二七第三四号は不採択と決定いたしました。

○斉藤委員長 次に、陳情二七第五三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○西山医療政策部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号2、陳情二七第五三号、誰でも、安心して医療を受けることができる都民医療の充実に関する陳情は、豊島区の、東京の保健・衛生・医療の充実を求める連絡会代表の氏家祥夫さん外九千七百七十六人から提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一項、いつでも、誰でも、どこでも適切な医療を受けることができるよう、受診抑制や入院ベッドの削減をやめ、都民が安心してかかることができる医療体制の整備を進めること。
 第三項、医療、介護保険料や患者及び利用者の窓口負担の増加を軽減するため、財政支援を行うこと。
 第四項、患者の負担をもたらす、個室、差額室料の引き上げ、有料病床の割合の拡大等、自費負担をふやさないこと。
 第五項、医療及び介護が必要な全ての人に、適切な給付及びケアや施設の提供ができるよう、地域への財政支援の強化を図ること。
 第六項、障害を持つ全ての人が、地域で安心して暮らすことができる体制を整備することというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 第一項につきましては、我が国の医療制度は、国民皆保険制度とフリーアクセスにより、一定の自己負担で必要な医療サービスを受けられ、受診する医療機関を自由に選ぶことができるものとなっております。
 病床整備の基準となる基準病床数は、国が示す算定式に基づき、都道府県が策定する医療計画において圏域ごとに定められております。
 また、平成二十六年六月の医療法改正により、都道府県は地域医療構想の策定が義務づけられました。この構想には、患者に応じた質の高い医療提供体制の確保を目指し、地域にふさわしい医療機能の分化と連携を推進するため、平成三十七年の医療需要と目指すべき医療提供体制、それを実現するための施策について盛り込むこととされております。
 第三項につきましては、国民健康保険制度、後期高齢者医療制度では、所得に応じて保険料の負担軽減策が講じられており、都は法令等に基づき応分の財政負担を行っております。
 患者の自己負担割合は年齢等に応じて一割から三割までとされており、さらに高額療養費制度により所得に応じた自己負担の限度額も設けられております。
 また、都では、患者の負担を軽減するため、区市町村が実施する乳幼児や義務教育就学児の医療費助成に対する支援等を行っております。
 介護保険制度では、所得に応じて保険料が設定されているほか、公費による低所得高齢者への保険料軽減策が講じられており、都は法令に基づき応分の財政負担を行っております。
 介護サービスの利用者負担は、高額介護サービス費により所得に応じた自己負担の限度額が設けられております。
 第四項につきましては、医療機関は、厚生労働省告示により、個室など特別な療養環境の提供に当たって、一定の要件を満たす場合、患者に妥当な範囲の負担を求めることが認められております。対象となる病床の割合は、保険医療機関の病床数の五割まで、特定機能病院以外の保険医療機関であって、国が開設するものにあっては病床数の二割以下、地方公共団体が開設するものにあっては病床数の三割以下にするものとされております。
 第五項につきましては、都は、救急医療、小児医療や在宅医療など、地域において必要な医療提供体制の整備を進めるため、区市町村や医療機関等に必要な財政支援を行っております。
 また、地域で在宅サービスや施設サービスの介護基盤を整備する区市町村や事業者等に必要な財政支援を行っております。
 第六項につきましては、都は、東京都障害者計画、東京都障害福祉計画において、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現を基本理念の一つに掲げ、障害者施策を推進しております。
 平成二十七年四月に策定した第四期東京都障害福祉計画では、平成二十九年度までの三年間で、居住の場であるグループホームや日中活動の場である通所施設等を六千七百二十人分整備する目標を掲げ、整備費に対する特別助成を行っております。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○畔上委員 本日は、陳情の理由として出されています、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律において、医療保険における都道府県の役割が強化され、都の責任において策定することとなりました医療費の適正化計画等地域医療構想について伺いたいと思います。
 初めに、都の医療政策の基本姿勢についてです。
 高齢社会の中で、全ての都民が安心して、医療、介護が受けられる仕組みをつくるという、その姿勢で取り組んでいただきたいと考えておりますが、まず、いかがでしょうか、ご答弁ください。

○西山医療政策部長 高齢化の進展により、医療需要の増加が見込まれる中、都民ニーズに応えるためには、安全で安心できる保健医療体制を確保する必要がございます。
 都においては、平成二十五年三月に改定した保健医療計画に基づき、急性期から回復期、在宅療養に至る医療サービスを地域ごとに切れ目なく確保できるよう取り組んでおります。
 また、現在、昨年改正された医療法に基づき、平成三十七年の医療需要と目指すべき医療提供体制、その実現のための施策を盛り込んだ地域医療構想の策定を進めております。
 引き続き、高齢者ができる限り住みなれた地域で日常生活を継続できるよう、地域包括ケアシステムの構築に向けたあり方検討や、高齢者保健福祉計画等との整合性を図りながら、保健医療体制の充実に取り組んでまいります。

○畔上委員 安心・安全の保健医療体制の確保が必要だと、そして保健医療体制の充実に取り組むというご答弁です。全ての都民が、本当に安心して、必要な医療や介護が受けられるように、しっかりその確保に努めていただきたいと、このことを求めますが、問題は、それが地域医療構想と両立するのかということであります。
 都は、前期の医療費適正化計画で、療養病床の大幅増が必要としていましたが、国のいう必要病床数の考え方では、今でも不足している慢性期の医療療養病床が削減されることとなっております。
 高齢社会の中で、療養病床の果たしている役割についての認識と、それから都としてこの問題をどう考えていらっしゃるのか、伺います。

○矢沢医療政策担当部長 医療療養病床は、長期にわたり療養を必要とする患者に加えまして、急性期医療を終えた後の医学的管理が必要な患者を受け入れております。また、在宅療養におけます後方支援病床としての役割を果たしております。
 現在、国において、療養病床の今後のあり方について検討を行っており、都は、その動向を注視してまいります。

○畔上委員 今、国の動向を注視していくということでありましたけれども、療養病床を減らすという方向は、国はガイドラインで明確にしているわけです。注視するだけでなく、都としてどれだけの療養病床が必要か、主体的に考えていかなければいけないというふうに思います。
 実際、都の前期の医療費適正化計画では、療養病床削減という国の方針は、都の、東京の実情とは合わないため、今後の急速な高齢化の進展によって医学的管理の必要な患者の増加が見込まれるとして、療養病床を二万八千七十七床、二〇一二年度までに達成させる目標でこれまで取り組んでこられたわけです。
 今の、施設から在宅へという医療体制の転換方針のもとで、在宅医療などの受け皿が本当に不十分なまま、ベッド削減ありきでもし進んでしまえば、明らかに行き場のない患者さん、高齢者をふやすことになるんじゃないでしょうか。
 私はそこをどう考えているのかというふうに伺ったんですが、もう一度、この問題についてご答弁ください。

○矢沢医療政策担当部長 国の療養病床の在り方等に関する検討会では、慢性期医療の提供体制等のあり方といたしまして、医療提供側に求められる機能、形態のほか、療養病床以外の医療、介護サービスの提供体制などにつきましても議論をされております。
 都といたしましては、その動向を注視してまいります。

○畔上委員 注視じゃ--やっぱり主体的に東京都が考えていかなきゃいけないと思うんですね。
 療養病床は今でも足りずに、他県の療養病床に行かざるを得ない、そういう方もいらっしゃるわけで、他県に現時点で入院していらっしゃる方、これはどのぐらいいらっしゃると今見ているんでしょうか。

○矢沢医療政策担当部長 厚生労働省が公表しております平成二十三年の患者調査によりますと、都民の療養病床の推計入院患者数は二万一千七百人で、そのうち都外の医療機関に入院している患者数は四千五百人でございます。
 なお、都民以外で都内の療養病床に入院している推計入院患者数は千五百人でございます。

○畔上委員 今のご答弁では、四年前のデータですが、都外で四千五百人と、二割の方が都外に入院していることがわかりました。今はもっとふえている可能性があるのに、慢性期の病床では約九千床も減らしてしまう、九千ベッドも減らしてしまうわけです。療養病床に入院したくても入院できないという事態を一層深刻化させてしまうんじゃないでしょうか。
 国のガイドラインの考え方は、東京都と他県との間でゼロサムだと、他県を利用することを前提にしているわけですけれども、今後、近県においても、ますます高齢者がふえてきて、埼玉県や神奈川県、こういうところでも対応できなくなってしまうんじゃないでしょうか。ましてや、地域で安心して医療を受けられる環境、こういうことからも逆行しているんじゃないでしょうか。
 京都府は、慢性期病床の減少について、入院患者の行き場がなくならないよう慎重な対応が必要だと懸念を示して、慎重な対応を国に求めています。東京都も同様の対応をきちんとするように私は求めたいと思います。
 国が療養病床を減らす受け皿にするとしている在宅医療の実態はどうなのかということです。
 昨年度の東京都の都民の健康と医療に関する実態と意識調査、これを読ませていただきましたが、この調査では、在宅療養がしたいという人の五八・四%、約六割の方がその実現は難しい、こう考えていることも、そのアンケート結果でわかりました。なぜ難しいと考えるかという問いに対しては、家族に負担をかける、急変に対応できるか不安だからというものが多かったのが特徴であります。
 在宅医療の充実はもちろん重要ですけれども、やっぱり在宅医療を支える入院ベッドの確保、これが重要だといえるんじゃないでしょうか。
 現在行われています東京都地域医療構想策定部会、ここで、現在、東京では在宅医療がどのくらい、規模でこなせていますかという質問が出されていました。議事録を見たらその質問があったんですが、それに対して、都の方では、東京で把握している統計データはないというご答弁をされていました。
 国保のデータを集計するというような検討をされているようなご答弁がありましたが、実数把握とともに、在宅医療の現場で今も本当に頑張っていらっしゃる医師や訪問看護、こういった現場から導き出せるものは、私は多いんだと思うんです。そういう点では、在宅医療の実数把握とともに、実態調査、これをやっぱり現場の聞き取りを含めて実施するように求めたいと思います。
 慢性期以外の病床の算定の方法にも問題があります。この地域医療構想において、医療需要をもとに、病床機能区分ごとに必要量を設定していますが、医療需要の推計はレセプトデータです。
 四つの病床区分は、患者に行われた投薬と検査と処置などの診療行為について、診療報酬の出来高で換算して、医療資源の投入量の多寡を見て行うというふうにされています。具体的には、高度急性期は三千点以上、急性期は六百点から三千点など、そして四つの医療機能ごとの入院需要を算出して、構想区域間の供給の増減を調整して病床稼働率で割り戻して必要病床数を算定するということとなっています。
 専門的で大変難しいのですけれども、私たち素人からいえば、レセプトの点数で換算して必要病床数を算出していることが本当に都民の必要としている病床数になるのかと、この心配があるわけです。
 その点、東京都はどのように考えていらっしゃるでしょうか。

○西山医療政策部長 将来の病床数の必要量につきましては、医療法及び医療法施行規則において、国が定めた計算式に基づき算定することとされております。

○畔上委員 法に基づいた算定だということでありますが、法で決める基準病床数の決め方は、今後、地域医療構想の考え方に合わせられていくことが予想されるわけです。
 問題は、それが本当に都民が真に必要としている病床になるのかということで、私はそれをお聞きしたかったわけなんです。例えば受診抑制、それから医療資源の不足、自覚症状がなく受診していないとか、長時間労働で受診したくてもできないなどなど、潜在的需要は反映されていないわけです。
 こうした潜在的な医療需要についても、必要病床数に反映すべきだと考えるわけですが、いかがでしょうか。

○西山医療政策部長 都では、都民の保健医療ニーズに的確に対応するため、保健医療計画において、都民に最も適切な保健医療サービスを提供していく上での圏域として、一次、二次、三次の保健医療圏を設定しております。
 一次医療は疾病予防や一般的な傷病の治療、二次医療は基本的な入院医療、三次医療は一次及び二次の保健医療体制との連携のもとに高度先進医療を提供しております。
 地域医療構想は、入院医療を必要とする方に対する将来の必要病床数を定めるものでございます。その算定については、委員のお話にもございましたが、平成二十五年度の入院受療率、平成三十七年の男女性別、年齢階級別推計人口などをもとに算定することとされておりまして、委員お話の事項は算定式には含まれておりません。

○畔上委員 今、潜在的な医療需要については算定されていませんというご答弁ですが、私はそれでいいのかということをお聞きしたいわけです。東京都の考え方は残念ながらお示しいただけなかったけれども、潜在的な需要をやっぱりしっかり踏まえるべきだというふうに考えるんです。
 例えば、国立社会保障・人口問題研究所、ここの過去一年間の医療機関の未受診という調査がありました。その未受診という調査では、実に一四・二%が必要な医療機関を受診できなかったとしています。
 こうした実態も踏まえれば、やはり都民が真に必要としている病床になりません。また、入院受療率は、平均の在院の日数の短縮化、これも迫られてきたこともあって低下傾向にありますけれども、無理な退院によって再入院があったり、入院をめぐる状況は大変複雑になっていますが、こうしたことは一切考慮されていないわけです。
 療養病床は、先ほどいったように減らし、そして潜在的な需要も考慮しないという、こういう国の考え方では、本当に都民に十分な医療を提供する体制を整えることはできないんじゃないでしょうか。
 実際、医療制度改革関連法では、医療費の目標を医療費適正化計画で定め、目標が実績と乖離した場合は、必要な対策を講ずるよう努めるものとしました。これでは都民が必要とする医療が抑制されることになるんじゃないでしょうか、伺います。

○本多地域保健担当部長 医療費適正化計画は、地域医療構想と整合性をとり、医療計画に基づく事業の実施による病床の機能の分化と連携、住民の健康の保持、医療の効率的な提供、こうしたことを推進することによって達成が見込まれる医療費適正化の効果を踏まえて、医療に要する費用の見込みを定めるものでございます。
 医療費の実績が見込みを著しく上回ると認める場合には、その要因を分析し、医療提供体制の確保に向けて必要な対策を講ずるよう努めるものとしておりますが、この目的は、地域にふさわしい医療機能の分化と連携を適切に推進することにあり、必要な医療を抑制することを目的としたものではございません。

○畔上委員 今ご答弁あった、いわゆる保健事業、この努力ということは大事なことだというふうに思うんですが、医療費の実績が著しく上回る場合、つまり医療費がかさむようであれば、医療の供給を抑えるということは医療抑制そのものなわけです。
 安倍政権のつくった骨太の方針二〇一五、これでは、社会保障費の自然増を毎年三千から五千億円も抑える方針が示されました。そして、そのための施策の先頭に真っ先に掲げられているのは、この地域医療構想と医療費適正化計画なんです。
 日本共産党は、我が党は、国会では、医療抑制につながるということでこの法案には反対をしてきました。しかし、法律は制定されて、そしてそれによって制度がつくられることとなったわけです。
 医療費適正化計画をつくる上では、都としては、医療抑制じゃなくて、本当に都民の医療を守る立場で臨んでいただきたいというふうに思います。
 地域医療構想に対して、全国知事会からも、急激な見直しにより、現在の医療体制が崩壊するおそれがあり、地域の実情を十分踏まえるよう要望が出され、そして、国のガイドラインにおきましても、地域の実情に応じた地域医療構想の策定が進むようにと明記されました。
 当委員会の三月の委員会の議事録を読みました。和泉なおみ委員がこの委員会において指摘したように、東京は病床数が多いとはいえない上、都心部に医療機関が集中して、多摩や区部東部には少ないなどの偏在もありますと。その委員会では、地域ごとの特性を反映できるよう策定に取り組むというご答弁もされておりましたが、そのことも重ねて求めておきたいと思います。
 東京都の地域医療構想策定部会では、現在の二次医療圏に対応した病床整備区域を設定した上で、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病及び精神疾患の五疾病と、また、救急、災害、僻地、周産期、小児の五事業については、これまで、二次医療圏にとらわれない事業推進区域を設定するといたしました。
 それに関してですが、例えば、小児や高齢者の入院にしても、病院なのに電車で行けるとは限らず、できる限り身近な地域で医療機関にかかりたいというのは、私は都民の当然の願いだと思います。この点は、策定部会においてももっと議論をしていただきたいと思いますが、都としてできる限り身近な地域で医療を受けられるようにすべきだということについてはどう考えていらっしゃるんでしょうか。

○西山医療政策部長 都では、都民がその症状に応じた質の高い医療サービスを適切に受けることができるよう、高度医療を担う病院から身近な地域の診療所までの各医療提供施設の機能に応じた役割分担や連携体制の整備を進めており、保健医療計画において、一次、二次、三次の保健医療圏を設定しております。
 一次医療は疾病予防や一般的な傷病の治療、二次医療は基本的な入院医療、三次医療は一次及び二次の保健医療体制との連携のもとに高度先進医療を提供しております。
 なお、病床については、入院医療を必要とする都民が必要かつ適正な期間の入院医療を受けることができるよう、医療法に定める基準病床数により二次保健医療圏ごとに病床の適正配置の促進と適切な入院医療の確保を図っております。

○畔上委員 今、そういうご答弁をされましたが、東京の医療資源が偏在しているということは、誰も否定できないことだというふうに思います。
 東京都地域医療構想策定部会の試算によりますと、二〇二五年の必要病床数に対して、東京全体では現在八千床不足をしていて、その増床数と配置がどうなっていくのか、どのような医療機関がその病床を運営していくのかなど、今後議論になっていくんだと思いますけれども、都立病院や公社病院がどのような役割を果たしていくのかも大きな課題だというふうに思います。
 必要な医療を確保する上で、やはり都がしっかりイニシアチブを発揮していくべきだと思います。特に、多摩地域の医療資源の不足問題、これを解決すべきだと思います。
 昨年の十二月十八日に行われました東京都周産期医療協議会、この中で、何人かの委員の方から、多摩地域の医療資源の深刻な不足の指摘がありました。それに対して、東京都も、医療資源がなかなかないというのは理解していると述べていらっしゃいます。その議論の中には、今の既存の施設を少してこ入れしたぐらいではなかなか対応は難しいと、今後都立病院としてつくっていくような計画性を求めると発言もありました。
 東京のどこに住んでいても、子供であっても、高齢者であっても、本当に誰もが安心して医療が受けられる医療体制、これに力を尽くしていただきたいということを求めておきたいと思います。
 東京都の地域医療構想の策定部会は、ことしの四月からスタートいたしましたが、月一回のペースで、これまで一回約二時間、七回の検討会が行われております。第四回までの議事録が出ていますので、それは読ませていただいたんですが、医療の専門家の皆さんの議論で、読んでいて正直なかなか難しかったんですけれども、大変貴重なご意見も出されていて、さらにいろいろな立場からの意見があるとよいのではないかなというふうに感じたところです。
 地域の医療ニーズを把握して反映していくためには、やはり医療機関や都民の意見を十分に聞く場が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○西山医療政策部長 地域医療構想の策定に当たりましては、保健医療計画推進協議会のもとに、学識経験者、医療関係団体、医療機関、医療保険者、区市町村、住民代表である公募の委員によって構成する策定部会を本年四月に設置し、検討を進めております。
 また、七月から八月にかけて、医療関係団体、医療保険者、区市町村、都内の全病院を対象とした説明会を開催したところです。
 さらに、現在、圏域ごとに地域におけるニーズや課題等の意見聴取を既に行っております。

○畔上委員 地域における意見聴取というご説明もあったんですが、圏域ごとに一日なんですね。しかも、病院や医師会などの医療機関の方が中心なわけです。策定部会に公募委員も参画していますけれども、お一人なんですね。
 これからの東京の医療のあり方を検討していく大事な内容です。ガイドラインでも、策定段階から地域の医療関係者、保険者及び患者、住民の意見を聞く必要があるとしております。
 中間報告に対するパブコメの実施とか、また丁寧な医療機関や自治体への意見聴取、こういうことを行うべきではないでしょうか、伺います。

○西山医療政策部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、現在、医療関係団体、医療機関、医療保険者、区市町村を対象として、圏域ごとに地域におけるニーズや課題等の意見聴取を既に行っております。
 また、策定部会の資料については公開としており、随時、局ホームページに記載をしております。

○畔上委員 パブコメはあくまでも、素案が出た来年六月以降だと。それでは住民の意見を反映する仕組みとしては、やはり不十分だというふうに思います。
 都内のどこに住んでいても、いつでも誰もが安心して必要な医療が受けられる病床の確保、これを目指して、医療関係者や住民参加を貫くべきだと思います。
 本陳情の一つ一つの願意は採択すべきであるというふうに思います。その意見を述べさせていただきまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○斉藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二七第五三号は不採択と決定いたしました。

○斉藤委員長 次に、陳情二七第六四号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松浦生活支援担当部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号3、陳情二七第六四号、城北労働・福祉センターにおける山谷労働者の利用者カードに関する陳情は、台東区、山谷労働者福祉会館活動委員会代表の向井宏一郎さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、次のことを実現していただきたいというもので、1、公益財団法人城北労働・福祉センターに対し、利用を希望する山谷の日雇い労働者の利用者カードを発行するよう、指導すること。
 2、公益財団法人城北労働・福祉センターに対し、利用者カードの発行を断られた人の自己情報の開示の申し出に応じるよう、指導すること。
 以上二点でございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 まず、1についてでございますが、1、公益財団法人城北労働・福祉センター、以下、センターと申し上げます--では、山谷地区に居住する日雇い労働者の職業の安定及び福祉の増進を図るため、職業紹介、住宅や生活保護等に関する生活総合相談、宿泊や給食等の応急援護、レクリエーション事業、広報活動、娯楽室及び敬老室の運営、健康相談室の運営等の事業を行っております。
 このうち、日雇い労働者として安定した生活を継続するために行う職業紹介、応急援護及び健康相談室の事業を利用する際には、山谷地区に居住する日雇い労働者であることを確認するため、センターが発行する利用者カードを提示する必要がございます。
 利用者カードの発行に当たりましては、山谷地区の日雇い労働者がセンターの実施する各種事業を利用することによって、経済的に自立した生活を送ることが期待できるか否か等を総合的に判断し決定しております。
 なお、山谷地区の日雇い労働者の高齢化等に伴い、一人一人の状況に応じた丁寧な支援が必要なことから、センターを利用するよりも自立支援センターによる支援が適している方や生活保護が必要な方に対しましては、当該支援につなげるなどの対応を行っております。
 次に、2についてでございますが、2、東京都個人情報の保護に関する条例第二十八条では、東京都が出資その他財政支出等を行う法人であって、実施機関が定めるものは、この条例の規定に基づく東京都の施策に留意しつつ、個人に関する情報の適正な取り扱いを確保するため必要な措置を講ずるよう努めなければならないことを規定しております。
 センターは、この規定を踏まえ、公益財団法人城北労働・福祉センター個人情報の保護に関する規程を制定しておりまして、個人情報開示の申し出があった際は、当該規程に基づき、開示、非開示の決定をしております。
 この決定に不服があるときは、センターに対し異議申し出をすることができ、センターは、弁護士等の第三者を含む個人情報保護審査会の意見を聞いた上で、当該異議申し出についての回答を書面で行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○和泉(な)委員 陳情二七第六四号、城北労働・福祉センターにおける山谷労働者の利用者カードに関する陳情について質疑します。
 陳情者は、城北労働・福祉センターにおいて、ここ数年、利用者カードの発行拒否が常態化しているとして、利用を希望する山谷の日雇い労働者に利用者カードを発行するよう都が指導を行うことを求めています。
 この城北労働・福祉センターは、平成十五年に東京都城北福祉センターと財団法人山谷労働センターが統合して財団法人として発足し、平成二十三年に公益財団法人となっています。
 利用者カードは、東京都城北福祉センターと山谷労働センターが統合された平成十五年の七月に導入をされ、それ以後、このカードがなければ、センターの職業紹介や各種相談を受けることができなくなりました。つまり、本人が働きたくてセンターからの仕事の紹介を希望しても、センターがそのカードの発行を拒否して発行しなければ働けないし、応急援護や生活相談事業なども受けることはできないということです。
 そこで伺いますが、利用者カードの発行数の推移、そしてその内訳は、新規発行、再発行、更新別にどのようになっているでしょうか。

○松浦生活支援担当部長 利用者カードの発行についてでございますが、平成二十四年度は、発行総数が六百二、そのうち、新規発行が六、かつてセンターを利用していた人に対する再発行が二十六、前年度からの更新が五百七十でございます。
 平成二十五年度は、発行総数が四百八十一、そのうち、新規発行は九、再発行が二十一、前年度からの更新が四百五十一、平成二十六年度は、発行総数が三百七十八、そのうち、新規発行が一、再発行が十一、前年度からの更新が三百六十六でございます。

○和泉(な)委員 この三年間だけをとっても、更新者数、新規発行数、再発行数ともに大きく減っているという現状です。
 もっと以前はどうだったんだろうかというふうに思いまして、城北労働・福祉センターから資料を送ってもらいました。平成十五年、統合が行われた年ですけれども、年度末の利用者数は三千四百七十二名で、新規発行は百二十一名です。日雇いの仕事が減っているというだけでは説明できない、余りにも大きな違いじゃないでしょうか。
 そして、先ほどの答弁と、年度末でとったセンターの資料を合わせてみると、二十三年度末の利用者数は八百五十四名、年度が変わった二十四年度当初の更新者数は五百七十名、二十四年度末の利用者数は五百八十三名で、年度が変わって更新されたのは四百五十一名、二十五年度の利用者数は四百五十六名で、年度が変わって更新されたのは三百六十六名、明らかに更新のときに減らしているんです。しかも、昨年は、新規発行がわずか一件です。このような実態を見れば、陳情者が発行を拒否していると訴えるのもうなずけます。
 利用者カードの発行を減らすと同時に、事業計画も縮小しています。城北労働・福祉センターのホームページにある事業計画書を見ますと、職業紹介は、二十三年度の四万一千二百件から、今年度は二万一千件と半分以下。応急援護相談も、二十三年度の三万三千二百八十件から、今年度は八千四百件と約四分の一に減らしています。応急援護事業である宿泊援護、給食援護、物品援護、交通費援護も軒並み縮小されているというのが実態です。
 このようなセンターの対応を改めて、利用者カードを発行すること、その上で、適切に個々の状況や意向を十分尊重した相談支援事業を行うよう、都として指導することを求めます。
 陳情項目の二つ目に、利用者カードの発行を断られた人の自己情報の開示の申し出に応じるよう指導することとあります。発行を拒否された具体的な理由も示されず、支援が受けられない方たちが自己に関する情報の開示を求めても応じない、この対応もまた極めて不誠実といわなければなりません。
 自己情報の開示請求に対する非開示の決定、これはどのような判断基準に基づいて行われるのかを伺います。

○松浦生活支援担当部長 公益財団法人城北労働・福祉センターは、東京都個人情報の保護に関する条例第二十八条の規定を踏まえ、公益財団法人城北労働・福祉センター個人情報の保護に関する規程を制定しております。
 センターの保有する個人情報は、原則として全て開示するよう規定されておりますが、第十九条第一号から第七号までに定める非開示情報に該当する場合には、非開示としております。
 センターに個人情報開示の申し出があった際には、センターは当該規程に基づき、開示、非開示の決定を行っており、例えば、指導、相談等に係る事務に関し、評価、判断等その事務の過程もしくは基準が明らかとなるおそれ、または公正な判断が行えなくなるおそれのある場合などは非開示となります。

○和泉(な)委員 非開示と決定された方の非開示決定回答書を私も見せてもらいました。開示をしない理由は、公益財団法人城北労働・福祉センター個人情報の保護に関する規程第十九条第五号に該当と書いてあるだけです。この第十九条第五号のイ、これがまさに今答弁のあった指導、相談等に係る事務に関し、評価、判断等その事務の過程もしくは基準が明らかとなるおそれ、または公正な判断が行えなくなるおそれという項目です。
 しかし、評価、判断等その事務の過程もしくは基準が明らかになるおそれがある場合には非開示ということになるのであれば、非常に広い範囲の内容が非開示となってしまい、カード発行拒否の理由や、拒否する場合の明確な基準を示さないことが正当化されるということになってしまいます。原則開示といいながら、実際には、指導や相談等に関することは全部非開示にできてしまうということになりませんか。日雇い労働者の職業の安定と福祉の向上のための業務が、公正さや誠実さに欠けているんじゃないかというふうに思います。
 この公益財団法人城北労働・福祉センターのホームページを見ると、都は、このセンターに、産業労働局からは理事を、福祉保健局からは監事を出しています。そして、理事は、法令及び定款で定めるところにより、職務を執行するとあります。監事は、この法人の業務を調査する権限があります。
 センター業務の改善に向けて、都が指導を行い、しっかりとその責任を果たさせるよう強く要望して発言を終わります。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○斉藤委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二七第六四号は不採択と決定をいたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十六分散会

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