厚生委員会速記録第十五号

平成二十七年十一月十九日(木曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長斉藤やすひろ君
副委員長栗山 欽行君
副委員長両角みのる君
理事高倉 良生君
理事早坂 義弘君
理事山加 朱美君
西沢けいた君
和泉なおみ君
中山 信行君
和泉 武彦君
島田 幸成君
畔上三和子君
小宮あんり君
野島 善司君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
技監笹井 敬子君
理事黒田 祥之君
総務部長山岸 徳男君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長西山 智之君
保健政策部長上田  隆君
生活福祉部長芦田 真吾君
高齢社会対策部長西村 信一君
少子社会対策部長手島 浩二君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長小林 幸男君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務後藤 啓志君
事業推進担当部長坂本 尚史君
医療改革推進担当部長成田 友代君
医療政策担当部長矢沢 知子君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長村田 由佳君
子供・子育て施策推進担当部長松山 祐一君
障害者医療担当部長平賀 正司君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長矢内真理子君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
事務事業について(質疑)

○斉藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、福祉保健局長から幹部職員の紹介があります。

○梶原福祉保健局長 十月二十三日付の人事異動に伴い、兼務発令のございました幹部職員を紹介させていただきます。
 企画担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします後藤啓志でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○斉藤委員長 紹介は終わりました。

○斉藤委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山岸総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元の厚生委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で十五項目となっております。
 初めに、一ページをお開き願います。国民健康保険における加入世帯数並びに被保険者資格証明書及び短期被保険者証の交付件数の推移といたしまして、平成二十五年度から二十七年度までの加入世帯数などの推移を、区市町村ごとに二ページにかけて記載してございます。
 三ページをごらん願います。国民健康保険料(税)率の推移といたしまして、基礎賦課と後期高齢者支援金等のそれぞれについて、所得割、資産割、均等割及び平等割に区分し、平成二十四年度から二十七年度までの区市町村ごとの推移を、四ページにかけて記載してございます。
 五ページをごらん願います。国民健康保険料(税)の減免件数の推移といたしまして、平成二十四年度から二十六年度までの減免件数の推移を、区市町村ごとに記載してございます。
 六ページをお開き願います。国民健康保険における一部負担金減免件数の推移といたしまして、平成二十四年度から二十六年度までの一部負担金減免件数の推移を、区市町村ごとに記載してございます。
 七ページをごらん願います。国民健康保険料(税)の滞納世帯数及び収納率の推移といたしまして、平成二十二年度から二十六年度までの対象世帯数、滞納世帯数及び収納率の推移を、区市町村ごとに記載してございます。
 八ページをお開き願います。国民健康保険料(税)の滞納に対する新規の差押件数、差押額及び差押物件の内訳の推移といたしまして、区市町村別の新規差し押さえ件数及び差し押さえ額について九ページにかけて(1)に、新規差し押さえ物件の内訳について一〇ページの(2)に、それぞれ平成二十四年度から二十六年度までの推移を記載してございます。
 一一ページをごらん願います。国民健康保険への東京都支出額といたしまして、特別区及び市町村について、平成二十一年度から二十五年度までの支出額を記載してございます。
 一二ページをお開き願います。介護保険施設等の定員・病床数及び高齢者人口に対する割合といたしまして、高齢者人口、施設ごとの入所定員または病床数及び高齢者人口に対する割合を、都道府県ごとに記載してございます。
 一三ページをごらん願います。認可保育所の定員、入所児童数及び待機児童数の推移といたしまして、定員、年齢別の入所児童数及び待機児童数について、区市町村ごとに、平成二十五年及び二十六年のものについてはそれぞれ四月一日、十月一日現在のものを、平成二十七年については四月一日現在のものを、一七ページにかけて記載してございます。
 一八ページをお開き願います。認可保育所における常勤・非常勤従事者数及び非常勤従事者比率の推移といたしまして、平成二十一年度から二十五年度までの常勤従事者数などの推移を記載してございます。
 一九ページをごらん願います。認可保育所における職員の平均経験年数別施設数といたしまして、平成二十二年度から二十六年度までの平均経験年数別の施設数を記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。重症心身障害児(者)施設の状況といたしまして、都立の各施設における看護師の定数及び現員について平成二十四年度から二十七年度までの推移を(1)に、一日当たり利用件数など短期入所の運用状況について平成二十四年度から二十七年度第一・四半期までの推移を(2)に、それぞれ記載してございます。
 二一ページをごらん願います。社会福祉施設等及び病院の耐震化状況といたしまして、社会福祉施設等において耐震済みの棟数を(1)に、病院の耐震化状況について施設数を(2)に、それぞれ記載してございます。
 二二ページをお開き願います。盲ろう者通訳・介助者派遣事業登録利用者数の推移といたしまして、平成二十二年度から二十六年度までの登録利用者数を記載してございます。
 二三ページをごらん願います。障害福祉サービス等におけるサービス等利用計画案の区市町村別作成件数及び作成率といたしまして、平成二十七年六月三十日時点のサービス等利用計画案の作成済み人数等について、区市町村ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明を申し上げました。よろしくお願いを申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小宮委員 きょうは、救急医療について伺ってまいります。
 高齢化の進展に伴って、全国的に救急隊による救急搬送件数というのは増加の一途をたどっています。東京では四十二秒に一度、救急車が出動している、そういう状況になっています。
 このような中、平成二十年の十月には、都内にある産婦人科からの転院搬送について、受け入れ先医療機関の選定に時間を要したため、妊婦が死亡するという痛ましい事件も発生いたしました。
 病気やけがは、いつ何どき私たちに襲いかかってくるかわかりません。医療の専門知識がない私たちのような一般市民が、そうした緊急事態の中で頼りにできるのは、一一九番に代表される救急医療システムであります。
 しかし他方で、冒頭にも述べたように、この巨大都市の東京においては救急医療システムに大きな負担がかかっておりまして、それを維持していくということは容易なことではありません。その対策として、東京では独自の東京ルールをつくって、救急の搬送システムの改善を目指しているところです。
 東京ルールそのⅠというのは、救急患者の迅速な受け入れにあります。救急隊が医療機関を選定する際、五つの医療機関への要請をする、または二十分程度以上経過しても搬送先が決定しない患者を、地域で二次医療圏にある医療機関で迅速に受けとめるための取り組みを行っています。
 まずは、その取り組み状況と成果を伺います。

○西山医療政策部長 東京ルールでは、地域の救急医療機関が相互に連携協力して救急患者を迅速に受け入れられるよう、ネットワークの核となる地域救急医療センターを八十七施設まで指定を拡充いたしました。
 また、二次保健医療圏ごとに全ての二次救急医療機関が一堂に会し、地域の特性を踏まえた救急医療の連携強化について検討を行う地域救急医療会議を開催しており、消防機関、区市町村の福祉部門、保健所等もメンバーとなり、情報の共有化を図ってまいりました。
 こうした取り組みの結果、搬送先選定困難患者数は、全ての二次保健医療圏で、東京ルールの運用が始まりました平成二十三年から約三割減少し、平成二十六年には九千九百九十一件となっております。
 また、圏域内での受け入れ率は、ルール開始前の四九%から現在八三%にまで上昇してございます。

○小宮委員 搬送先選定困難患者が三割減少し、また、受け入れ率も大変上昇しているということで、選定困難な患者を地域で受けとめるという取り組みに成果があらわれていると思います。
 こうした取り組みに加えて、さらに充実させなければならないのが、この東京ルールに指定をされた、今ご回答にもありました八十七の地域救急医療センターを含む二百四十四の二次救急医療機関全体の受け入れ体制の強化であると思います。
 平成二十六年の救急搬送件数は、過去最高の約六十六万五千人に達しています。中でも、六十五歳以上の高齢者の数というのは、搬送件数の約半分の約三十二万五千人ということで急増しているところです。
 さらに今後、都においては、高齢者人口、特に医療を必要とする割合が高い後期高齢者人口が平成三十七年にかけて大幅に増加をし、約百九十八万人に達すると見込まれています。今後一層、救急需要は逼迫するということが予想されます。
 平成二十五年に策定した東京都保健医療計画、ここにおいては、搬送時間の短縮を目指すと掲げています。また、同年、平成二十五年の東京都救急医療対策協議会の答申においては、高齢化や核家族化の進展など社会構造の変化に対応する救急医療体制のあり方をしっかりと考えていかなければならないということも示されています。
 救急患者の迅速な受け入れ基盤となる二次救急医療体制の強化、充実に向けて、どのように取り組んでいるか伺います。

○西山医療政策部長 平成二十七年一月に、医療機関における積極的な救急搬送受け入れと医療機能の充実を促進するため、空床確保料の算定基準を変更するなど、休日・全夜間診療事業の見直しを行いました。
 空床確保料につきましては、救急車の受け入れ実績をよりきめ細かく反映させるため、従来の二床または三床の二段階から、一床から四床の四段階へ変更することとし、平成二十六年一月から各医療機関における救急車の受け入れ件数の測定を開始いたしました。
 この結果、救急搬送時間は、平成二十五年の五十一分四十四秒から、測定を開始いたしました平成二十六年には四十八分五十三秒となり、約三分間短縮しております。
 さらに、平成二十六年度からは、地域救急医療センターにおいて、主にトリアージなどを行う救急患者等認定看護師の資格取得支援や、二百床未満の指定二次救急医療機関において、退院調整を行う看護師等の配置を支援してございます。

○小宮委員 休日・全夜間診療事業の見直し、いわゆる再構築によって、緊急搬送件数がふえても搬送時間は短縮をされているという結果が出ているとのことです。
 また、退院調整を推進することでベッドを確保するといった取り組みなど、受け入れ体制の整備が図られているということがよくわかります。
 高齢者の急増に伴い、予測される救急医療の増大に備えた取り組みがわかりました。
 次に、子供に対しての救急医療はどうかという点を伺ってまいりたいと思います。
 子供の病気というのは進行が早く、自分の症状をうまく伝えられないなど、結果として救急医療に頼らざるを得ない場合が多く、かつ小児特有の状況を踏まえた、そうした対処が必要になります。
 私の住む杉並区では、小児の初期救急の正しい知識を身につけるために、初めて親になったという方を対象にして、小児救急に関する講演会を区内の保健センターで行っています。
 また、医師会の協力を得て、休日等夜間急病診療所を保健所内に設けまして、夜の七時半、十九時三十分から二十二時三十分までといった時間帯に小児診療ができるようになっています。共働きの多い、こうした今の世の中を見ますと、仕事から帰ったお父さんやお母さんが、発熱ですとか体調変化など子供の異変に気づいて、お医者さんにかかりたいというニーズが発生するのが、まさにこうした時間帯であるとも思います。
 このように区市町村というのは、住民に身近な保健サービスや小児の初期救急医療の取り組みを進めているところですが、入院が必要となる中等症や重篤な小児患者に対する医療体制というのは、やはり都が主体となって確保する必要があります。
 そこで、小児救急医療の取り組みについて伺います。

○西山医療政策部長 都は、入院が必要な救急患者に対し、二十四時間三百六十五日、小児科医師が救急診療を行う小児の二次救急医療機関を五十一施設確保しており、全ての二次保健医療圏に整備してございます。
 また、重篤な小児救急患者を必ず受け入れ、高度な救命治療を行う東京都こども救命センターを都内に四カ所整備し、三次の救急体制を確保してございます。
 各こども救命センターにおきましては、小児救急医療にかかわる地域の医療機関や地区医師会の医師等をメンバーとする地域連携会議を開催し、受け入れ状況の確認や症例検討を実施するとともに、小児医療に関する最新の知見等をテーマに地域の医療機関を対象とした研修会を開催するなど、医療機関相互の連携体制を強化してございます。
 今後とも、こども救命センターを中核とし、初期から三次の医療のより緊密な連携により、都民が安心できる小児救急医療体制を確保してまいります。

○小宮委員 救急の受け入れ体制の整備が図られて、東京ルールⅠを初めとした救急医療体制が進んでいるということがわかりました。
 次に、東京ルールのⅡにあるトリアージの実施についてですが、幾ら受け入れ体制というのを充実させても、患者数が拡大してしまえばもとのもくあみです。平成二十六年に救急搬送された約六十六万五千人のうち、搬送先の医師の診断により軽症と判断された、つまり入院せずに済んだ人というのは約半数に上るそうです。だからこそ、緊急の患者数を減らすということも大切であろうかと思います。
 つまり、広義の意味でのトリアージとして、一一九番に電話をする前に、緊急でない人を見きわめて、他の手段によって助けるということ。その意味で、救急車を呼ぶべきか迷ったときに相談をするシャープ七一一九の意義や役割というのは極めて大きいと思います。
 シャープ七一一九の相談実績と相談対象者の年齢別の受け付け状況を伺います。

○西山医療政策部長 シャープ七一一九の救急相談実績は、事業を開始した当初の平成二十年には三万四千件でございましたが、平成二十六年には約十万四千件と大幅に増加してございます。
 また、相談者の年齢別受け入れ状況でございますが、ゼロ歳から十四歳までが全体の約四三%に当たる四万四千四百十七件、十五歳から六十四歳までが約四〇%に当たる四万一千七百六十四件、六十五歳以上が約一七%に当たる一万七千五百七件となっております。

○小宮委員 シャープ七一一九への救急相談実績が、この六年間で三倍に増加しているということでした。また、十四歳以下の子供の割合が四三%と多くを占めています。
 深夜、子供が熱を出したら、このまま死んでしまうんじゃないかと心配するのは、親として当たり前だと思います。また、思わず一一九番に電話してしまうという気持ちもよくわかります。そんな人たちがシャープ七一一九を知って適切なアドバイスを受け、救急車を呼ばなくても大丈夫だと安心できれば、どんなにほっとすることかと思います。
 トリアージの観点からも、東京ルールⅢにあります都民の理解と参画の促進や、シャープ七一一九の充実が必要であると思いますが、都の取り組みを伺います。

○西山医療政策部長 東京ルールでは、ルールⅢとして救急医療への都民の理解と参画を掲げておりまして、救急の日のイベントを通じて、救急車の適正利用や、東京消防庁救急相談センター、シャープ七一一九の利用などについて普及啓発を行ってございます。
 さらに、平成二十七年からは新たに救急車の適正利用に関するリーフレットを二十五万枚作成し、各消防署等において救命講習会や防災訓練の機会等を利用して配布するなど、普及啓発の充実を図るとともに、シャープ七一一九の相談看護師等の増員や電話回線の増設を行い、相談体制の強化を図ってございます。
 今後とも、限られた社会資源である救急医療を守るため、東京都医師会や東京消防庁等の関係機関と連携し、都民への普及啓発に努めてまいります。

○小宮委員 小児の事例に関しては、シャープ七一一九に電話をすると、症状を聞いて、病院の予約とまではいわないまでも、近隣の適切な病院を家族に紹介してくださる。また、その病院に対して、シャープ七一一九を受けられた方がしっかりと連絡をとって患者の状態を伝える、そうした手配もしてくれているそうです。
 夜間、休日に小さなお子さんを抱えて、あるいは一人で暮らすお年寄りが、まずは相談できる窓口があるということは、救急体制の維持や確保だけでなく、広く都民の安心にもつながると思います。
 救急車の出動の多さにモラルの低下を嘆く声は大きいです。有料化の議論もあります。有料化すれば確かに大きく事情は改善されると思いますが、また別の問題が発生するということは目に見えています。モラルの低下を嘆いているだけでは何も始まりません。できることというのは、ハード面、すなわち受け入れ体制の充実であり、そしてソフト面では、相談体制の充実と正しい知識の普及によって、真に緊急な医療が必要ではない患者さんに他の選択肢を提供するということ。
 劣悪な環境の中、救急隊員や看護師、医師の皆さんは、患者の命を守るために日々奮闘していらっしゃいます。より必要な人に彼らの努力というものを集中して、同時に彼らの負担を少しでも軽くするためにも、東京ルールを確実に守るための体制を、ハード、ソフトの両面から今後も一層充実していただきたいことをお願いして質問を終わります。

○中山委員 本日は、都合五点にわたって質問させていただきます。
 まず、認知症対策について伺います。
 ことしの五月に厚生委員会の視察で、認知症についての先駆的な取り組みで知られる福井県の敦賀温泉病院を訪ね、院長の玉井先生より大変興味深いお話を承ることができました。
 敦賀温泉病院が平成二年に開設した当初は、重度の認知症の患者さんばかりで入院期間も長かったそうでありますが、玉井院長が地域に頻繁に出向いて、住民の方へ認知症の正しい知識等について啓発を行ったり、認知症アウトリーチ専門チームをつくったりした結果、症状初期の段階で多くの方が受診するようになり、平均在院日数も短くなったそうであります。やはり認知症については普及啓発と早期発見が大変重要であります。
 福井県、とりわけ敦賀市に限った取り組みと東京全体を対象とした取り組みとでは、人口規模などで状況は大分異なるでしょうけれども、敦賀温泉病院の成果自体は大変参考になるものではないかと考えます。
 東京都でも昨年、自分でできる認知症の気づきチェックリストを作成し、認知症の普及啓発を行ってきました。また、認知症疾患医療センターにアウトリーチチームを設置して、受診困難者等を訪問支援する取り組みを行っています。
 認知症における早期発見の重要性は当然、都の福祉保健局も十分に認識しておられると思いますが、その促進に向けて現在どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 都は昨年度、都民の認知症への理解、早期受診を促進するため、自分でできる認知症の気づきチェックリストを盛り込んだ普及啓発用パンフレット「知って安心認知症」を作成するなど、さまざまな媒体を活用して広く都民に情報発信を行いました。
 また、認知症の疑いのある受診困難な高齢者等を訪問し、適切な医療や介護等のサービスにつなげるため、十二カ所の地域拠点型認知症疾患医療センターに、医師や看護師等から成る認知症アウトリーチチームを配置しており、三十五区市町がチームと連携した訪問支援の取り組みを実施しております。
 さらに、認知症の早期発見、診断、対応を推進するとともに、認知症の人の家族等から相談を受け、訪問支援等により適切な医療、介護サービスにつなげる役割を担う保健師等の認知症支援コーディネーターを区市町村へ配置する取り組みを進めておりまして、現在二十九区市に配置しております。
 こうした取り組みを通じて、認知症の早期発見、診断、対応を推進してまいります。

○中山委員 さまざまな取り組みを既に実施済みであり、今後は認知症アウトリーチチーム等と連携した区市の認知症支援コーディネーターによって進めていくとのご答弁でありました。
 しかし、問題は、既に症状を自覚されていらっしゃったり疑いを抱き始めている人ではなくて、症状を全く発症していない方や高齢者のご家族に対して、敦賀の玉井先生のように、認知症は早期発見、早期治療が大切というメッセージを徹底して伝えていく行動を、どのくらいの方がこの都内で行ってくださるかという点にあります。
 認知症の人とその家族、地域住民、専門職等が集い交流する場であり、医療、介護の専門職や介護の経験者が認知症の人とその家族のさまざまな相談に乗っている認知症カフェが各地で広がりつつあると聞いています。地域で認知症高齢者が孤立しないように、高齢者が気軽に集えてさまざまな相談を行うことのできる場が、各地に必要ではないかと考えます。
 都内各地にそういった場がつくられていくよう、都として積極的に後押しをすることが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 都は、高齢社会対策区市町村包括補助におきまして、NPO法人等が医療機関の専門職と連携して、認知症の人とその家族の交流等を開催する認知症カフェの立ち上げ支援を実施しておりまして、昨年度は六区市を支援いたしました。
 また同じく、高齢者が気軽に立ち寄り参加できる地域サロンの運営の支援も実施しておりまして、昨年度は十五区市町を支援しております。
 さらに今年度からは、区市町村における認知症カフェの取り組みが一層推進されるよう、国におきましても認知症カフェを地域支援事業交付金の包括的支援事業に新たに位置づけたところでございます。
 今後とも、認知症カフェや高齢者の地域サロン等の取り組みが広がるよう、区市町村の認知症施策担当者が集まる会議や区市町村包括補助の事例発表会におきまして、積極的に事業内容の情報発信を行い、高齢者が気軽に集え相談を行うことのできる環境整備に努めてまいります。

○中山委員 都の取り組みによりまして、認知症カフェや高齢者地域サロンが次第に広がりつつあるということをお伺いして、ある意味、安心した次第でございます。
 ただ、看板を認知症とうたってしまいますと、なかなか出かけにくい面も出てまいります。足立区でも、物忘れ等々、表現しているところであります。できれば、仮に中身は認知症対策として予算化された補助金を使う事業であっても、先ほど高齢者の地域サロンというような話がございましたけれども、認知症と名称づけず、広く高齢者の健康相談、生活相談と名を打ったりして進めていく方が効果的と考えます。
 また、そうした地域のサロンで、趣味のサークルでも何でも結構なんですけれども、特定の偏った目的に援用されるものでなければ、いろいろな少人数のイベントでも開けるような工夫をしておけば、そこに常駐していらっしゃる担当者の方が、より大勢の利用者の方、住民の方に認知症に対する早期発見のメッセージを繰り返して呼びかける機会がふえていくと思いますので、区市町村の現状、意見等を踏まえていただきながら、今後もご推進願いたいと思います。
 一方、治療そのものに関しては、かかりつけ医のかかわり方が大変重要であります。先日もテレビの放送だったと思いますが、かかりつけ医が認知症の専門医に紹介せずに、自分で診断を行って薬を処方した結果、薬の調整がうまくいかずに症状が悪化してしまう事例を取り上げていました。
 その患者家族は、薬が合わないことが原因で、患者である家族のぐあいが悪くなっていると感じ、認知症ではないのに認知症の薬を処方されているのではと心配し、医師の方にも直接何度も告げたそうでありますが、一向に聞き入れてもらえず、日常のほかの薬も処方してもらっているので、かかりつけ医をかえるわけにもいかず、ようやくインターネットでのそうした記事を印刷して症状が合わないことを訴えたところ、処方をかえていただき健康を回復したとの内容の番組でありました。
 これほどまでの事例はまれな出来事なのかもしれませんが、全ての患者が認知症診断の専門医に直接相談するというわけにもなかなかいきません。かかりつけ医の認知症への理解を深め、認知症専門医との連携を促進するための取り組みが急務と考えます。
 都が、かかりつけ医の認知症対応力向上を図るために、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 都はこれまで、かかりつけ医に対しまして、認知症診療の知識、技術や認知症専門医療機関との連携方法等について習得していただくための研修を行いますとともに、かかりつけ医等への助言、その他の支援や、地域の関係機関との連携推進の役割を担う認知症サポート医の養成を行ってまいりました。
 今年度からは、かかりつけ医向け研修のさらなる充実を図るため、十二カ所の地域拠点型認知症疾患医療センターにおきまして、統一的なカリキュラムとテキストを用いて、受講者数を大幅にふやした研修を実施することとしております。
 また、認知症サポート医のスキルアップと活動の推進を図るため、東京都健康長寿医療センターに設置した認知症支援推進センターにおきまして、新たにフォローアップ研修を実施いたします。
 こうした取り組みによりまして、かかりつけ医の認知症対応力の向上を図り、かかりつけ医と認知症専門医療機関との連携を推進してまいります。

○中山委員 医療水準の向上、特に、そのソフト面での向上は、あくまで専門家である医師の方々にお願いしなければならないと思いますし、また、自助努力を尊重したいと思います。その上で、そのご努力がより進みやすい環境を整えていくことも大事な都の役割だと考えます。この点でも、さらに引き続き、よく医業の皆さん、医師会の専門部会の皆さん等との意見交換を重ねていただき、どうしたらスキルアップの向上が図れるのか、診療報酬の改定による効果が本来は望ましいのでしょうけれども、都行政の工夫でも補える余地もまだあると思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、児童虐待についてお伺いいたします。
 近年、深刻な虐待事件などによる都民の意識の高まりなどにより、児童相談所における虐待相談が大幅に増加していると伺っており、特に、平成二十六年度の対応件数は平成二十五年度から急増し、児童相談所は大変厳しい状況であったと聞いております。
 また、区市町村においても同様にふえているんではないかと思います。
 そこで改めて、児童相談所及び区市町村で対応した平成二十六年度の虐待相談の件数と、平成二十五年度と比較して増加している要因についてお伺いしたいと思います。

○手島少子社会対策部長 児童相談所における平成二十六年度の虐待対応の件数は七千八百十四件であり、平成二十五年度から二千四百件増加しております。また、区市町村では、平成二十六年度は一万二千百十七件であり、平成二十五年度から二千六百三十八件増加をしております。
 近年の増加要因といたしましては、児童虐待についての都民の意識の高まりによる通告件数の増加が考えられます。
 平成二十六年度に急増した要因の一つといたしましては、平成二十五年八月に厚生労働省の子ども虐待対応の手引きが改正され、虐待通告を受理した子供の兄弟全員についても安全確認を実施することになったことが挙げられます。
 また、児童相談所においては、DVの目撃等により、子供が受ける心理的虐待に関する警察からの通告がふえたこともその一因となっております。

○中山委員 手引の改定とか警察の取り組みのより積極化等も理由にあって、とはいえ大変な数がふえているということでございまして、児童虐待相談の対応に関する児童相談所の職員の方々が置かれた環境の厳しさというのは、今年度も同様であると思います。
 こうした中、都は今年度、児童福祉司を十三人ふやしましたが、児童福祉司の対応は虐待だけにとどまらないので、児童福祉司の業務の逼迫状況は既に限界に近いのではないかと考えます。
 そこで十年前と比較して、児童福祉司をどのくらい増員し、また平成二十六年度の児童福祉司一人当たりの総相談件数はどのくらいなのかお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 平成二十七年度の児童福祉司は二百九人であり、平成十七年度に比べ六十人増員しております。児童福祉司一人当たりの総相談件数は、平成十七年度は百十九件、平成二十六年度は百九件となっております。

○中山委員 十七年度に比べて六十人も増加されているということで、大変積極的に取り組んでいると思います。ただ、残念ながら総相談件数の増加もあって、一人当たりということになりますと、十人ぐらいしかまだ減っていない。まだ百人を超えているということであります。百人を超えているということは、平均ですから、多い人は百五十とかになっているわけですよね。そこが大変な課題ではないかと思います。
 児童福祉司の大幅な増員をしているにもかかわらず、一人当たりの総相談件数が大きく変わっていないということでありますので、児童相談の中でも困難性が高いといわれる虐待相談が急増する中、児童福祉司の負担も大変大きくなっていることと思います。
 昨年、神奈川県厚木市で五歳の男の子が衰弱死しているのが発見されるという大変痛ましい事件がありました。この事件は神奈川県の児童相談所で一時把握していた案件であり、もっと踏み込んだ対応ができていれば、救われる命ではなかったのかとの推測もされます。
 都では、相談対応件数が増加している中、死亡事故等を防ぐためにどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 児童相談所では死亡に至るような重大な事故を防ぐため、児童虐待の連絡を受けた場合に迅速に児童の安全を確認し、状況に応じて親から分離して一時保護を行っております。
 また、重大な虐待事例について検証を行うため、児童福祉審議会の下に児童虐待死亡事例等検証部会を設置しており、東京都、区市町村及び関係機関に対し、再発防止に向けた具体的な取り組みについて提言をいただいております。
 都は検証部会の提言を踏まえ、関係機関の支援にすき間ができることがないよう、児童相談所と子供家庭支援センターの連絡調整のルールを改定するとともに、より一層の緊密な連携を図るため、共有のガイドラインを作成するなど児童虐待への対応力を強化してまいりました。
 今後とも、児童相談所を中心に、地域の関係機関との連携を図りながら、虐待による死亡事故等の防止のため、全力を挙げて取り組んでまいります。

○中山委員 さらに来年度も児童福祉司の増員をよろしくお願い申し上げます。
 また、一時保護所の不足も深刻かと思います。こうした点は今後、ご担当の方と相談し合いながら、我が会派に設けました福祉都市推進プロジェクトチームとしても具体的な提案をさせていただきますので、よろしくご協力をお願いいたします。
 続きまして、児童養護についてお伺いします。
 さまざまな事情から家庭での養育が困難な児童も、早期に、その困難をもたらしている親側の課題を克服し、実親のもと健やかに育つことが可能な場合には、その選択を優先すべきでありますし、そのため都としてできることは積極的に取り組むべきと考えます。
 しかし、関係機関の重層的な努力にもかかわらず、実親のもとでの養育が困難な児童も少なからず存在するわけであり、都は、その子供たちの養育環境の充実に力を注ぐべきと考えます。
 本年四月に都が策定した東京都社会的養護施策推進計画では、平成四十一年度までに社会的養護に占める家庭的養護の割合をおおむね六割とすることとしています。現状は三割のところ、倍の六割にふやすということであり、極めて意欲的な取り組みと考えます。
 その達成には相当な困難が伴うと思いますが、家庭的養護の選択肢の一つであります養育家庭についても、この目標達成に向けてその委託数を一層ふやしていく必要があると考えますが、課題とその対応策についてお伺いをいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、養育家庭への委託数をふやすため、制度を広く都民に周知するとともに、民間団体も活用して児童を委託している養育家庭をきめ細かく支援してまいりました。
 しかし、養育家庭への委託数はほぼ横ばいとなっており、引き続き養育家庭の登録数を拡大していくとともに、委託数をふやしていく必要がございます。
 そのため都は、本年八月に児童福祉審議会に学識経験者や事業者等から成る専門部会を設置し、養育家庭の登録拡大、委託促進のための体制強化など、家庭的養護を進める具体的方策をご議論いただいております。
 今後、社会的養護施策推進計画に定める目標の達成に向け、専門部会での議論も踏まえながら養育家庭への委託促進に取り組んでまいります。

○中山委員 養育家庭の登録数はふえていても、必ずしも委託数はふえていない。むしろ登録数がふえている分、委託率は下がっているのではと心配しております。
 委託が進まない理由はマッチングの難しさにあると思いますが、都の担当者の方々もさまざまな改善意欲を、現場での知見を通じて抱いていらっしゃると思いますので、今後も福祉保健局の積極的な対応をお願いしたいと思います。
 他方、家庭的養護を推進するためにはファミリーホームやグループホームの拡充も図っていく必要がありますが、都の取り組みについてお伺いいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、ファミリーホームやグループホームの開設準備経費や家賃助成等を独自に支援し、設置を促進してまいりました。
 今年度から、法人型ファミリーホームの補助者の増配置への支援や児童養護施設不在地域でのファミリーホームやグループホームの設置を進めるため、後方支援員を配置するサテライト型児童養護施設の取り組みを開始いたしました。
 これらの取り組みにより、ファミリーホームやグループホームの整備を進め、家庭的養護の一層の推進を図ってまいります。

○中山委員 サテライト型の児童施設に係る経費としましては、都は一五年度予算案に三カ所分の四千二百万円を計上され、職員の配置経費と事務所の賃貸料、開設準備経費、これは初年度のみだそうですけれども、一カ所当たり一千四百万円程度になるそうでありますが、ファミリーホームやグループホームの拡充の成果とあわせて今年度の成果はいかがなのかお伺いをいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 平成二十七年四月から十月までのファミリーホームとグループホームの整備実績は、ファミリーホームが三カ所、グループホームが四カ所となっております。
 サテライト型児童養護施設は、現在、法人において、事業実施に向けて、事務所等の物件や職員体制の確保などの準備を進めているところでございます。

○中山委員 サテライト型は、今年度は無理でも来年度幾つか誕生しそうだということだというふうに思っておりますので、ご期待申し上げたいと思います。
 一方、児童養護施設等を退所された後の状況として、大学や専修学校等への進学率は、都全体では八割強であるのに対して、児童養護施設の退所者は四割弱というふうに伺っております。また、せっかく就職しても退所後一年以内の離職率が高いなど、安定した生活の継続が困難になっているとの課題も耳にしております。
 児童養護施設等への措置は原則として満十八歳までとなっていますが、さまざまな理由により進学や就職が決まらない児童もいるものと思われます。そうした児童には自立するまでの継続的な支援が必要と考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 進学や就職等の進路が決まっていないなど、引き続き、自立のための支援が必要な場合には、児童福祉法の規定により、児童相談所が児童やその保護者の意向を聞いた上で、個々の児童の状況を適切に判断し、満十八歳を超えて、満二十歳に達するまでの間、必要な措置の延長を実施しております。
 また、措置が解除され、施設を退所した児童に対しても、社会で自立し、安定した生活を送ることができるよう、自立支援コーディネーターを施設に専任で配置する取り組みや、NPOと連携した退所者の就職活動支援等を実施しており、児童の状況に応じた継続的な支援を行っております。

○中山委員 ぜひその点、よろしくお願いいたします。
 また、児童が自立した後、社会でつまずいたときなどに頼れる場所があることが、とても大切だと考えますけれども、都の支援状況をお伺いいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 都では、先ほど申し上げた自立支援コーディネーターが、施設を退所した児童の仕事や生活上の悩みについて相談を受け、職場訪問や生活指導を行うなど、児童の状況に応じた支援を行っております。
 また、都内二カ所で実施している、ふらっとホーム事業では、児童が気軽に集まり、意見交換や情報交換、情報発信等を行える場を提供することとともに、専任のスタッフが相談支援、就職活動支援、生活支援などを行い、児童の自立を支援しております。
 今後とも、これらの取り組みにより、社会的養護のもとで育つ児童の自立を支援してまいります。

○中山委員 ふらっとホーム事業は、とても重要な事業だと思いますので、ぜひ今後も、その充実に努めていただきたいと思います。
 できれば産業労働局とも連携して、職業能力開発センターの活用ですとか、そういったこともよろしくお願いしたいと思います。大変就職率が高い取り組みになりますので、ご活用をお願い申し上げます。
 続きまして、児童虐待、家庭的養護と重ねてきましたが、学童クラブの制度についてお伺いしたいと思います。
 学童クラブは、学校に行った後も安心して過ごせる地域での生活の場を提供するとともに、保護者の就労支援のために欠かせないサービスとして認識しております。昨今では、民間委託によりまして、いろいろな工夫がされて、いろいろ好評も博しているというふうに伺っております。
 しかし、事業者からは運営費の補助が実態に合っていないため、運営が安定しないとも伺っております。
 都は、学童クラブの運営に対して、どのような支援を行っているのか、お伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 都は、平成二十二年度から大都市の保護者ニーズに応じて、開所時間の延長や放課後児童支援員の質の確保などを行う学童クラブに対して、独自に運営費の補助を行っております。
 国は、平成二十七年度からの子ども・子育て支援新制度の実施に伴い、運営費や整備費の補助基準額の見直しや補助メニューの充実を図っておりますが、運営費の補助は総事業費を下回っており、都は、さらなる制度の改善を行うよう国に提案要求をしているところでございます。

○中山委員 国の制度では、必ずしも親の就労の実態に即した時間設定とはなっていない面があり、都は独自に、夜七時までの延長をしてお子さんを預かる学童クラブに対して、お話の独自補助を行っているということであったと思います。
 確かに、保育園では延長保育があっても、小学校に上がった途端になくなるということであれば、それは実態に合わないという点があって、都の努力は価値があるというふうに思います。
 いわゆる小学校の一年生、小一でのギャップを打破する役割も果たす取り組みであるというふうに評価したいと思います。
 開設時間も大切でありますが、学童クラブは、子供の安全性の観点からも、保護者は学校内に設置されていくことを望んでいます。現在、都内の学童クラブのうち、学校内に設置されているのはどのくらいあるのか、また、この三年間でどのくらい進んでいるのか、お伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 平成二十六年五月一日現在、都内の学童クラブ、千七百四十八カ所のうち、八百六十七カ所の学童クラブが学校内に設置されております。
 この三年間で七十一カ所増加をしております。

○中山委員 学校内に設置というのは、親にとってみると、昼間の学校の敷地から出ずに、子供たちが夕方まで過ごすことができるということでございますので、大変安心感があるわけですが、その学校内設置が進まない理由として、どのようなことが考えられるのか、また、それに対し、都はどのような取り組みをしているのか、お伺いをいたします。

○手島少子社会対策部長 学校内に学童クラブを設置するためには、区市町村の教育委員会や学校の理解が必要でございます。
 先ほど申し上げたように、この三年間で、学校内の学童クラブは七十一カ所ふえておりますが、既に学校内の空き教室は、カウンセリングルームや授業準備のスペースなど何らかの用途に活用されております。そのため、さらに学内設置を推進していくためには、教室の利用用途の転換について学校との調整が必要でございます。
 都は、学童クラブの学内設置を促進するため、平成二十七年度から、学校敷地内に新設する場合の整備費補助基準額を増額しております。
 今後とも、学童クラブの学内設置を促進してまいります。

○中山委員 ぜひ、特に学校側のご理解をよく得ていただくご努力を重ねていただいて、まだ都内の学童クラブも、待機児童が三千百人ほどいらっしゃるというふうに思いますので、ぜひ学校内設置を進めていただいて、待機児童の解消にも努めていただきたいというふうに思います。
 最後に、ICTを活用したバリアフリーの促進について伺います。
 私は初当選後、経済・港湾委員会に属しておりましたが、小平の東京障害者職業能力開発校や埼玉県所沢市の国立職業リハビリテーションセンターを訪問させていただいたりしまして、障害者の雇用就労の可能性について、先進技術の活用、開発が非常に大事だということを実感したところであります。
 福祉保健局におかれましても、文京区小日向、いわゆる茗荷谷にあります東京都障害者IT地域支援センターでも、障害者の社会参加や高齢者の生活支援に役立つ、各種の機器やソフトが展示されています。ぜひ茗荷谷の施設につきましては、今後、ご担当者の方とも意見を交わしながら、具体的にその活用が進みますよう、私どもも提案をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 来年四月には、障害者差別解消法の施行も控えております。コミュニケーションバリアフリーを実現していくためには、まずは、社会全体のあり方として、みずからに必要な各種の情報を得ていくことが困難な障害者の皆さんに対して、音声や文字など、さまざまな手段により情報を提供していくことが出発点であります。
 その上で、障害者も支障なく、みずからの意思や意見、芸術、創作活動などの表現を不自由なく展開できる社会を目指していくべきであります。
 近年、ICTと呼ばれる情報通信技術の進展は目覚ましく、音声で情報を得ることが困難な聴覚障害者に対する遠隔手話通訳や音声の文字化など、さまざまなシステムが民間企業において開発されています。
 聴覚障害者の情報バリアフリーを進めるためには、このようなICT技術を活用することが必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○高原障害者施策推進部長 聴覚障害者が必要な情報を適切な時期に入手できる環境を整備するためには、多様な情報提供手段を活用していく必要がございます。
 近年、ICT、情報通信技術を活用し、さまざまな情報機器が開発、受注を重ねており、このような機器の活用は、聴覚障害者に対する情報バリアフリーを進める上で非常に有効であると考えております。

○中山委員 今、大変重要だとの認識が示されたわけでありますけれども、ぜひ茗荷谷もコミュニケーションのCを入れていただきたいと。ITでも構わないのかもしれませんけれども、Cが入ることによって、情報が伝達した後の仕事や生活の変化ということも含めて対応していくということの認識になるかと思いますので、ぜひタイミングのよいときにご検討をお願いしたいというふうに思います。
 ICTの活用を進めていくためには、障害者はもちろん区市町村等の行政機関や民間企業など多くの人々や関係機関に対し、ICTを活用した情報機器等を周知し、普及を図る必要があると考えますが、現在どのような普及啓発を行っているのか、お伺いいたします。

○高原障害者施策推進部長 都では、障害者や区市町村、民間企業等に対してICT技術を活用したさまざまな機器の普及や利用支援を行うために、ただいま先生からご紹介もいただきましたけれども、東京都障害者IT地域支援センターを設置し、IT機器の展示を行うとともに、区市町村職員等を対象として、IT利用に関する相談支援やITに関する知識の習得を目的とした研修を実施しております。
 また、聴覚障害に対する理解促進等を図るため、今月八日に、首都大学東京においてTOKYO手話カレッジというイベントを開催し、ICT技術を活用した情報機器などの展示や来場者に対する実演等を行いました。

○中山委員 普及啓発として、東京都障害者IT地域支援センターにおいて相談や研修を行い、さらにはTOKYO手話カレッジを開催したとのことでありますが、都民の反応はどうだったのか、その取り組みの実績や実施状況について、詳しくお伺いしたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 東京都障害者IT地域支援センターにおける昨年度のIT利用相談の実績は二千四百九十四件でございました。
 その内容は、IT機器の紹介や利用方法に関する相談や、IT機器を利用したい障害者に対する支援方法に関する相談などがございました。
 研修事業については、センターにおいて、障害者IT支援のための基礎的な研修を実施したほか、タブレットとスマホの情報支援技術の活用等をテーマとした出張型の研修を実施し、昨年度は合計で八十一名の区市町村職員等が受講をいたしました。
 また、今年度、都として初めて開催をいたしましたTOKYO手話カレッジは、速報値ですが六百名を超える方がご来場いただきました。手話カレッジの会場では、民間企業や障害者団体等の協力を得て、遠隔手話通訳支援システムや筆談アプリなどの機器の展示、実演を行い、来場者からは、展示製品は興味深い、紹介された技術が早く実用化されるとよい、ぜひ活用したいといったような声をいただきました。

○中山委員 最後、ぜひ梶原局長にお伺いしたいと思いますけれども、ICTの進展というと、今までは産業労働局のマターじゃないかと思われがちでしたけれども、もちろんそれでも構わないんですが、やっぱり利用者の目線で捉えた場合に、本当に使いやすいものであるかどうかという点、あるいは補助金をつけなければ使えないというのでは、なかなか日進月歩で発展していくものには追いついていかない。できればスマートフォンのアプリですとか汎用化された機器を使ってやれるようなものにしていった方がいい。
 そういうことで、企業側も費用対効果をどういうふうに投入していけば、実際に使ってもらえるのかということもわかるという点では、福祉保健局の取り組みが非常に大事だというふうに私は思います。
 そうしたことによって、スケールメリットが働いて、利用者が少なければ高いものも安くなるかもしれませんし、また、個人的なものに工夫しなければいけないものは、それは補助金で対応するとか、きちっとすみ分けも図っていけることも大事だと思います。
 そういう意味で、二〇一九年にはラグビーワールドカップ、また二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会というふうに、国内外から多くの障害者も来られると思いますし、東京そのものに大変注目が集まる中、ICT技術の活用に情報バリアフリーを推進することが大切であります。
 そこで、聴覚障害者を含め、さまざまな障害に配慮した情報バリアフリー推進の取り組みについて、局長の見解をお伺いいたしたいと思います。

○梶原福祉保健局長 先ほど部長の方から答弁させていただきましたけれども、今年度初めて手話や聴覚障害についての理解を深めることを目的として開催をいたしましたTOKYO手話カレッジの会場には、非常に多くの方が来場していただきました。情報機器に対する関心も非常に高いということを改めて認識したところでございます。
 障害のある人もない人も互いに尊重し支えながら、ともに生活する社会を実現するというのが、私どもが目指す東京の姿であります。そのためにも情報バリアフリーの取り組みを進め、障害のある人の社会参加等を促進することが重要でございます。さまざまな障害特性に配慮し、多様な情報提供手段の整備を推進すること、このために、特にICT機器の活用というのは極めて有効であるというふうに考えています。
 先ほど利用者目線というお話があったんですが、私が大学に入ったのが昭和五十二年、一九七七年でした。そのときに同じ大学に、初めてその大学に全盲の入学生が入りました。これは今、静岡県立大学で教授をしている石川准という私の同級生になるわけです。社会学をやっていて、アイデンティティー論あるいは感情社会学、障害学ということをやっています。
 東大の先端科学技術センターの特任教授もやっているんですが、その当時私ども、彼がどういう授業をやっていたかというと、僕らは、私なんかは非常に不良な学生だったわけですが、彼は授業の前に一番前に座って、教授の声を聞きながら点字のタイプライターをばばばばばっと打っていました。本当に速いスピードで、それで点字のライターが出てくる。それとともに彼がどういう勉強をしていたかというのは、僕らもボランティアで携わったんですが、本を読むために、僕らが録音をするんです。いろんな本を読んで、それを録音して、それを彼に提供する、そういう作業をしていました。
 それが一九七七年、今から約四十年前の状況であります。彼は、そういう社会学の状況をやりながら、今、二十年ほど前から自分で自動点訳ソフトをつくって、そして音声点字エディターソフトをつくって、今はGPSを活用した歩行のナビゲーションソフトをつくろうとしている。全盲の方なんですがね。
 彼の今の読書方法というのは、本を買ってきて、本を裁断して、そのままスキャナーして、そのスキャナーを音声と点字エディターのソフトにかけると、即音声に切りかわって、点字になって、即読書ができる。僕らなんかよりずっと読書をしています。
 それだけ情報のアクセシビリティーだとかナビゲーションソフトといいますか、そういうものというのは本当にICTによって変わってきている。こういう研究、あるいは民間企業においても、それぞれの障害の特性に応じた研究というのをなさっているというのが、今の状況だと思います。
 もちろんICTというのは、いろんな失敗もあるわけで、試行錯誤もして、それが採算とれないという状況もある、そういう中で、我々としては今後とも民間企業、あるいは、そういう研究者の方あるいは障害者の方々の意見も聞きながら、情報機器に関する普及啓発を図るとともに、庁内の関係あるいは国、区市町村、企業、そういうのと連携して、今後とも、情報バリアフリーの推進に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○中山委員 ぜひ小さな芽も大きく育てていただけるような今のご発言だったと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

○畔上委員 それではまず、児童養護施設について伺いたいと思います。
 先ほどお話もありましたが、虐待の相談件数の増加、それから、個別的ケアが必要な子供の増加など、社会的養護を取り巻く課題というのは、深刻化、複雑化していると同時に、東京での要保護児童がふえているのが実態です。
 生まれ育つ環境を選ぶことのできない、そういう子供たちが、どのような家庭に生まれても、また、どの施設で生活しても、ひとしく生きる権利が保障されなければならないと思います。そのことを貫く支援を求める立場から何点か伺いたいと思います。
 まず、児童養護施設の職員配置です。入所する子供は、虐待によって心に深い傷を受け、情緒的な課題を抱えていたり、また、病虚弱や障害を持つ子供もふえてきて、個別的なケアを必要とする子供がふえていると伺っています。
 東京都は、サービス推進費で、国の配置基準の五・五対一を、五対一に引き上げてきましたが、国が四対一になったことによって差額が生じていると思いますが、その金額をまずお示しいただきたいと思います。
 そして、提言では新たな配置による効果を見定めた上で、改めて都としての対応を検討すべきだと、児福審の提言ではそう書いてありますが、都として配置基準を高める必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 職員配置の見直しについて、国は人材確保等の事情により五・五対一から四対一等の職員配置を、直ちに実施することが困難な施設も予想されるため、職員配置の最低基準の見直しではなく、職員配置の状況に応じた段階的な措置費、保護単価を設ける予定としております。
 職員の人件費は、措置費、保護単価の事務費に算定されておりますが、事務費には、その他事務の執行に伴う諸経費も含まれており、国は、その内訳を示していないため、措置費と民間社会福祉施設サービス推進費の算出には、一部職員配置の見直し以外の影響も含まれていることとなります。
 それを踏まえた上で、職員配置の見直しに係る都財政への影響額を算出することとなりますが、本日の時点で、平成二十七年度国庫負担金の通知が出されていないため、差額を算出することは困難であり、配置基準の引き上げによる効果の判断が難しい状況にございます。
 提言では、新たな配置による効果を見定めた上で、対応を検討すべきとしており、都として、国の動きを注視してまいります。

○畔上委員 今のご答弁を伺っていますと、既にもう四対一で対応している、そういう施設もあるわけですから、実施しているところは施設の持ち出しになっているということになりますね。
 都はこの間、子供へのケア拡充のために小規模化を進めてきたわけですけれども、小規模化に伴い、職員が一人で対応する場面が多くなってきています。食事をつくり、子供を起こし、着がえをさせ、というふうになっていくわけですけれども、大規模の集団では抑えられていたものが、小規模になると、子供は自分に注意を向けてくれるんじゃないかと思って、職員が一人のときには、わざと手をかけてもらえるような、そういう行動をとったりするそうなんですね。
 でも、そのお話を伺ってみて思ったんですが、それはやっぱり子供にとっては非常に自然な、人との関係をつくりたいという前向きの行動であって、子供にとってはやっぱり小規模化というのはいいことなんだなということを私も感じた次第です。
 しかしながら、そういう、その分職員の負担がどうしても大きくなってしまうわけです。
 都内の施設は、基本的に四対一を実現しているんだよということを現場の方からも聞いております。効果の判断は、やろうとすればできると思いますし、何よりも、やはり子供には一日一日が大変貴重な時間であります。早急に職員配置基準の引き上げ、これを求めたいと思います。
 ある施設長さんに伺ったんですが、今の職員の平均の勤続年数、これは八年弱で、一旦十年近くになったそうなんですけれども、小規模化が進んだ分、職員は大変になって、ローテーションを組むのも大変になって、そういう点では、勤続年数が残念ながら短くなっているというふうなお話でした。
 先ほどの提言では、仕事への意欲を高め、人材確保や定着につながる職員の処遇改善、向上やワークライフバランスへの取り組みの推進、これが重要だというふうに書いてありましたけれども、それではそのための具体化、これはどうしていかれるのでしょうか、伺います。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 先ほどの私の答弁で誤解があったようなので、先にその点を申し上げたいと思います。
 国からまだ通知は出ていないんですけれども、国は配置基準について、段階的な措置費の保護単価を設けると申しましたのは、施設が四対一で配置すれば、四対一の措置費が出るということでございます。
 ですので、今年度に関しまして、四対一の配置が行われれば、施設側が持ち出しということはないということは申し上げたいと思います。
 ご質問についてなんですけれども、都では施設職員の資質向上と人材確保、定着を目的として、施設における基幹職員の育成を図るための研修の実施や、施設職員が宿泊研修や施設間研修に参加する場合の研修経費や代替職員の雇用経費を補助するなど、施設の取り組みを支援しております。
 また、今年度から国は、先ほどお話にあったとおり、施設の職員配置を改善するとともに、児童養護施設の職員の処遇改善と人材定着等を図ることを目的として、措置費の民間施設給与等改善費の人件費加算率を平均で三%相当引き上げることとしております。
 今後、国の動向や制度改正の影響等を踏まえながら、都としての対応を検討してまいります。

○畔上委員 ということは、施設側が四対一でやっていれば出ているということですね、今のお話では。そうすると、ことしから出ているんだったら、その実態をつかむことだってできるはずじゃないでしょうか。都として出ているんであれば、きちんとその実数をつかむ、そのことを求めておきたいと思います。
 それから、今のご答弁ですけれども、配置の改善などは、私は前進だと思うんですが、先ほども申し上げたように、虐待による入所などの対応に特別な配慮の必要な子、そういう子供たちがふえていることや、小規模化に伴って職員の処遇改善がさらに必要だと思います。現場の実態をよく把握して、実態に合った支援の拡充を求めたいと思うんです。
 その一つなんですが、子供たちの教育、文化活動の支援、これも私は重要だというふうに思います。高校や大学進学に向けての塾代補助、これが出るようになったことは前進だというふうに思っているんですが、習い事についても補助をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 済みません、また私の説明が不足していて、誤解を生じさせていたみたいなんですけれども、四対一で配置できている施設については、通知が出次第、四対一でお支払いするんですが、人材確保等がやはり厳しいところがあって、都内の施設で全てがまだ四対一では配置できていないという状況にありまして、国の方の措置費の今の予定では四対一、四・五対一とか五対一という形で、かなり小刻みに通知が来る予定になっておりますので、それを見て、トータルで判断ができないということを申し上げたところでございます。
 ご質問についてなんですけれども、都では、入所児童が必要に応じて地域のクラブ活動に参加できるよう、施設に対して民間社会福祉施設サービス推進費による支援を行っております。
 また、施設において各種スポーツやダンス、演劇、音楽等の指導を行うことができるよう専門的指導を行う職員を配置する経費を示しております。

○畔上委員 判断ができないということなんですが、ぜひ現場の実態を早急につかんでいただきたいと思います。
 それで、習い事の方なんですけれども、今、ご説明のようにサービス推進費ということだと、補助は単独補助じゃない、そのために、厳しい運営の中でほかに回っているのが現実のようです。
 多くの家庭の子供たち、文科省の調査では、子供の七三・六%が習い事に通っているといわれています。例えば、スイミングとかサッカーなどのスポーツ、これが四五・五%なんですが一番多くて、約一カ月三千七百円かけて通っているわけですが、施設児童は我慢しなければいけないのが実態なわけです。
 施設でも学校でもない第三の居場所、これがあることは大変子供にとって貴重だというふうに思います。塾代の引き上げとともに、習い事に対する補助も求めたいと思います。
 次に、退所後の子供の自立支援について伺いたいと思います。
 都の自立支援強化事業によって、自立支援コーディネーターの配置は、どこまで進んだんでしょうか。
 また、配置による効果などの評価について伺いたいと思います。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 都は、入所児童の自立に向けた支援や施設退所後の相談支援を強化するため、平成二十四年度から児童養護施設に自立支援コーディネーターを専任で配置する取り組みを行っており、現在、五十三施設で実施しております。
 自立支援コーディネーターは、入所児童の就職や進学に向けた準備から、退所後の継続的な支援を専任で行うほか、進路指導に関する施設職員への助言や学習支援に取り組む地域のボランティア団体との連携など、さまざまな取り組みを行っております。
 退所後の支援の例では、就労により施設を退所した児童に対し、自立支援コーディネーターが定期的に連絡し、家賃や生活費などの金銭管理の助言や、仕事や生活上の悩みについて相談支援を行うなどとしており、施設から児童の自立支援の充実につながっているとの声をいただいております。

○畔上委員 三カ年かけて自立支援コーディネーターを、都内の五十九の全施設に配置することを目指して、あと六施設だということです。配置の評価は、現場のご意見をよく聞いていくことが大事だというふうに思います。
 私が伺った自立支援コーディネーターの方は、都内でも、施設によって大学にどれだけ進めるかに差があるんだというふうにおっしゃっていました。その違いは、専門スタッフの配置が大きいということでした。
 自立支援コーディネーターの役割は、本当に大事だということがわかったわけですが、同時に、これまでローテーションに入って仕事をしていたときよりも、専門職として自立支援コーディネーターになったら給与が下がってしまったと。それから、転院や勤務年数によってコーディネーターの人件費を引き上げてほしい、また、人件費としてだけじゃなくて、アフターケア業務などにかかる交通費などは施設持ちになっているのが実態で、これも何とかしてほしいなどの声を伺っております。
 全ての施設に自立支援コーディネーターを配置することと同時に、補助金の引き上げを求めておきたいと思います。
 先ほどもふらっとホーム事業のような、いわゆる孤立させないアフターケア、このお話が出ておりましたが、これも本当に大事なことだと思いますが、同時に経済的支援も必要だというふうに思います。
 児童養護施設の退所後の家賃助成など支援の拡充を行うべきではないでしょうか、伺います。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 施設を退所した児童が社会で自立し、安定した生活が送れるよう、都は独自に施設への自立支援コーディネーターの配置による支援を行うほか、アパート等への入居時に親からの援助等が期待できない場合の連帯保証の支援や、児童の進路に応じた大学進学等支度金加算や、就職支度金加算などを補助しており、こうした取り組みにより、今後とも都として必要な支援を行ってまいります。

○畔上委員 埼玉県では、退所後の学生寮を低額で提供するなどの支援を実施することになりましたし、また、世田谷区では、退所後の住まいとして、区営住宅の五軒を月一万円で提供するということになりました。
 東京都としても、退所する児童に対して、住まいの確保を支援する家賃補助を実施して、退所後の子供たちの一番の不安に、ぜひ応えていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 次に、金町学園についてです。養護施設の役割を果たしております金町学園という施設がありますが、主に聴覚障害の子供たちの福祉型入所施設です。
 この金町学園とは、どのような施設なのか、改めて伺います。

○高原障害者施策推進部長 お話の金町学園は昭和八年に設立をされ、児童福祉法の制定に伴い、昭和二十三年に同法に基づく、ろうあ児施設として認可を受けました。
 平成二十四年には児童福祉法改正により、障害種別で分かれていた施設体系が一元化され、主として、ろうあ児を入所させる福祉型障害児入所施設として、障害児に対して保護、日常生活の指導及び独立自活に必要な知識技能の付与のための支援を行っております。
 当該施設は、全国から入所児童を受け入れており、本年十一月一日現在、施設定員の三十名に対して現員は二十八名、そのうち都内からの入所は四名となってございます。

○畔上委員 今のご説明のように聴覚障害があって、何らかの事情によって自分の家庭では暮らせない、事情を抱えた子供たちが暮らしている施設だということです。都内からの入所は四名ということなんですが、多くの子供たちは都立の葛飾ろう学校、それから都立中央ろう学校にも通っております。
 全国には、こうした聴覚障害の子供たちを主として入所できる福祉型入所施設は三カ所しかないと伺っています。全国的にも大変貴重な施設といえるわけです。
 金町学園にも行ってお話を伺ってきたんですが、この施設の経営母体である法人が二〇一八年三月三十一日をもって、事業を別の法人に事業譲渡をする予定でしたが、事業譲渡が白紙となって、法人としては、閉園をする予定だということがわかりました。
 聴覚に障害を持つ子供たちにとって、手話という共通した言語によるコミュニケーション手段と聴覚障害に適した学習方法は不可欠だというふうに思います。そして、入所施設が、それを保障する数少ない生活の場だということです。
 東京では唯一の、主に聴覚障害の福祉型障害児入所施設である、この金町学園が閉園ということになったら、その場が失われることになるわけです。
 十五日に行われました、東京都聴覚障害者大会、ここに私も参加したんですが、そこでは、聴覚障害児入所施設存続のために支援をしていこうという特別決議も上げられました。今、入所している子供や今後も生まれる聴覚障害のある措置児童への対応、これは引き続き、きちんと行われなければいけないというふうに考えますが、金町学園に対して、現在どのような対応をされているのか、伺います。

○高原障害者施策推進部長 金町学園の設置法人からは、施設廃止についての相談は受けておりますけれども、現時点で正式に申請が出されているわけではございません。
 都といたしましては、廃止を前提として相談に応じているものではなく、当該施設の入所児童の処遇を最優先に考え、今後慎重に対応していく必要があるというふうに考えております。
 当該施設の設置法人に対しましては、廃止を前提として、入所児童がその意思に反して退所させられるようなことがないよう要請をしております。

○畔上委員 ということは、確認なんですけど、廃止前提にではなく、今いる児童が退所されないようにというご答弁なんですが、そうすると今後発生する聴覚障害のある措置児童については、ちょっとご答弁がなかったんですが、そういう新たに発生するような場合、その聴覚障害児の措置児童が入所できる見通しが持てない以上は、廃止を許可しないよという理解でいいんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、現時点においては相談を受けているという段階でございますので、都といたしましては、今後、慎重に対応していく必要があるというふうに考えてございます。

○畔上委員 施設側に伺ったところ、来年度既に入所希望している児童もいるということであります。
 手話を言語とする聴覚障害の子の場合は、ほかの障害児とのコミュニケーションに大きな困難を伴います。ですから、ほかの障害児施設では、代替が難しいと思います。だからこそ、全国からこちらに来ているんだと思います。
 私は横浜の訓盲院というところにお話を伺ったんですが、そこは主に視覚障害の子供たちが入所している施設です。この施設に伺ったら、訓盲院という名前は残っているんです。それで、主に視覚障害の施設ということで、名前も残して施設運営をされているということでした。
 法改正によって、三障害の施設としての役割、それは果たされているんですけれども、厚生労働省とも何度も話し合って、名前も認めていただいたんだということを伺いました。
 都内には、三障害の施設は現状にはないわけですから、知的障害施設で対応しているようですが、愛育苑がやめることを認めるのであれば、そういうことが、もしそういう事態になったとすれば、やはりかわりに、都として、主に聴覚障害としての障害児施設、これをつくるなどして、聴覚障害の子供たちの人権を守るべきだということを、きょうは意見として申し上げておきたいと思います。
 第三の質問は、保育の質の確保の問題です。
 育児休暇を延長していて、今度保育園に入れなくなったら仕事をやめざるを得ない、教員だけれども、保育園に入る見通しがなく職場復帰ができないなど、本当に待機児解消、これは待ったなしの課題になっております。
 私の地元でも、この時期、認証保育園にも、一つの園に待機児が五十人とか百人とかになっているのが現状です。それだけに認可保育園の増設とともに保育の質、これをどう担保していくのか、これが私は喫緊の課題になっているというふうに思います。
 文京区に、ことし四月に認可保育所になった施設があります。この認可園は、認可の前年度に、当時は認証でしたが、企業買収で実質的に運営会社が変わり、運営方針も保育方針も変わり、そして保護者にとっても、四月からの保育園入所決定を受けたときの名前とは別の保育園名に急に変わって、不安や戸惑いの中でのスタートとなりました。
 さらに、そうした運営の中で、園長の交代を初め職員の大量退職が発生し、保育現場は混乱し、文京区が指導に入りました。
 四月一日から毎日、区の園長や副園長経験者が八月まで、実に五カ月間も保育に入り、その後は週三日程度の巡回指導に入り、手取り足取りの保育指導をせざるを得なくなっている様子が報告文書からうかがえます。
 職員の入れかえが激しく保育のスキルが低いために、区の職員がほぼ毎日、保育の支援に入っている、そういう状況をどう認識していらっしゃるんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 子ども・子育て支援法において、教育、保育の実施主体である区市町村は、運営に関する基準を条例で定め、指導を行うこととされております。
 この規定に基づき、各区市町村は保育所、保育指針にのっとった保育が行われているか、事故防止や事故発生時の対応が適切に行われているかなどを確認し、保育の提供が適切に行われるよう指導を行っているところでございます。

○畔上委員 今のご答弁は、普通の保育園の指導だというふうに思うんですが、この園はそうした状況ではないんですね。
 私は、その訪問報告書を詳細に読んだんですけれども、四月当初から新人保育士に掃除の仕方や離乳食の食べさせ方を介助した。調乳室の扉があいていてポットが倒れる危険がある。ゼロ歳児が十五名いるのに対し、看護師が五時間では心配。インターホンが鳴ると、その都度保育士が廊下に出て対応するので保育が中断される。職員の突然の退職による混乱などなど書かれていて、子供たちの保育環境にこれだけ重大な影響を与えてしまったわけで、保育所が認可され、スタートした日から保育を正常に行えず、そして区が毎日指導に入らざるを得ない、こんな園がほかにあるでしょうか。
 この園は、このために、たくさん待機児童が今いるのにもかかわらず、募集を停止しているのであります。こうした事態は明らかに異常な事態だと思いませんか。
 もう一度伺いますが、こうした状況をどう認識しているんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、子ども・子育て支援法におきましては、教育、保育の実施主体である区市町村は、その運営に関する基準を条例で定めまして、指導を行うこととしております。
 この条例に基づきまして、各区市町村は保育指針にのっとった保育が行われているか、事故防止や事故発生時の対応が適切に行われているかなどを確認いたしまして、保育の提供が適切に行われるよう指導しているところでございます。

○畔上委員 ご答弁を伺っていますと、本当に子供たちへの深刻な影響の認識が薄すぎるといわざるを得ません。
 この認可園に対し、文京区が保護者からの不安の声を受けて、六月に改善課題を洗い出し、各課題の実行スケジュールの作成等を要請しました。それまで、例えばアレルギー対応のマニュアル、それから災害発生時のマニュアルもつくられていませんでした。
 認可申請に当たり、都はアレルギー対応マニュアルや災害対応マニュアルに関して、どのような審査を行っているんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 園独自のアレルギー対応マニュアルや災害対応マニュアルの作成は認可の基準ではございませんので、審査の対象にはなっておりません。
 都は、子供のアレルギーに適切に対応するため、緊急を要する症状や職員がとるべき対応を示した緊急対応時マニュアルを作成し、全ての保育所に配布をしております。
 災害時等の安全確保については、都は、認可基準で二カ所、二方向の避難や毎月の避難訓練の実施を求めております。
 また、保育所の運営に当たっては、消防法において火災、地震その他の災害が発生した場合における消火活動、通報連絡及び避難誘導に関することや、消火、通報及び避難訓練その他、防火管理上必要な訓練の実施に関することなどについて、消防計画に定め、所轄の消防署長に届け出を行うことが義務づけられております。

○畔上委員 今、若干ご説明があったんですが、都の児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例、この条例の第二十条では、児童福祉施設は、非常災害に対する具体的計画を策定するよう努めなければならないと定められています。
 努力義務とはいえ、条例に明記されているわけですし、都の指導検査基準、ここには計画を策定しなければならないとしているわけです。認可の際に確認し、策定するよう強く指導する必要が本来はあるんじゃないでしょうか。
 また、基準条例については、保育内容については、厚労大臣の保育指針に従うというふうになっていて、保育指針では、災害対応やアレルギー対応に触れているんです。保育理念の詳細などは、園の自主性を尊重すべき、そういう面もありますけれども、災害対応やアレルギー対応などは、やはり子供の命を守る上で最低限の基準であります。それも満たさずに認可できる制度になっていること自身が、非常に私は問題だというふうに思います。
 このように、子供たちの保育環境に重大な影響を及ぼすような、保育園の認可は取り消すべきではないでしょうか。

○手島少子社会対策部長 児童福祉法では、都道府県知事は、保育所が認可基準を維持するよう指導検査を実施し、認可の基準を満たしていない場合は改善勧告を行い、その勧告に従わず、かつ児童福祉に有害であると認められるときは、改善命令を行うことができるとされております。
 認可基準を満たさず、かつ児童福祉に著しく有害であると認められるときは、児童福祉審議会の意見を聞き、事業停止命令を行うことができるとされております。
 さらに、児童福祉法もしくは児童福祉法に基づいて発する命令、または、これに基づく処分に違反したときは、認可の取り消しを行うことができるとされております。
 都は、児童福祉法に基づき、適切に指導監督を行っており、事業者が基準に違反した場合には、必要な法的手続を行い、厳正に対処しております。

○畔上委員 児童福祉法に基づいた保育ですから、児童福祉法の発令や処分に違反する園は認可を取り消すのは当然だというふうに考えます。
 認可の経過を調べてみましたら、この園の場合は、今年度、認証から認可保育園に移行しており、東京都が認可したのは三月三十一日でした。営利を目的とする株式会社が運営する保育園が急増している中で、保育の安全、安定が保障できるのか厳しくチェックしなかった、できなかったということが今日の混乱を招いてしまったといっても過言ではないというふうに思います。都の責任は重いと思います。
 認可保育園の質を守るために、認可申請時にどういう具体的な基準を設けていくのかということを早急に検討することを求めておきたいと思います。
 認可保育園だけではありません。先ほどの認可と同じ会社が経営している認証保育園なんですが、江東区のある認証保育園で、六月に職員が大量退職いたしました。この園では、保育料の値上げを二月ごろに申請をして、五月から認められたため、何と四月の入園を断ったそうです。また、園の名前も、やはり急に変わった上、職員の給与の支払いも遅延となりました。
 こうした中で、大量退職が生じたのです。この園は三十名定員、四月当初二十八名いた園児が、九月時には八名まで減ってしまいました。九月二十八日には、突然その保護者に電話をし、リフォームをするので、十月一日からほかの園に転園してほしいと休園の理由を偽って、保護者に突然の転園を迫り、それはさすがに撤回したものの、十月中に園児は三名となり、現在はゼロ、そして休園状態です。
 法人側と職員とのトラブルが原因で、保育士の一斉退職を招き、保育士確保ができず、保護者への説明も不十分でトラブルになり、最終的に休止に至った、こうした施設に対して、都はどのように指導しているんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 認証保育所に対する指導について、都は児童福祉法、認証保育所事業実施要綱及び細目に基づき行っており、保育従事者の配置状況が基準に抵触していることが疑われた場合、立入調査等により、職員配置状況や実際の保育内容を確認しております。
 その結果、職員配置に問題があった場合には、職員の確保、定着を図るための具体的な取り組みと確認状況について報告を求め、改善が図られるまで指導を行うこととしております。
 指導を行っても保育従事者が十分に確保できず、休止すべきと判断した場合には、利用児童に対する保育が休止後においても適切に提供されるよう、利用者への十分な説明と休止後の利用児童の転園先の確保などが図られるよう指導をしております。

○畔上委員 それは職員配置の違反を何度も繰り返す、そういう園に対しての指導だというふうに思います。
 改善が図れるように都が指導しても、毎年のように指導を受けなければ改善できない、そういう施設もありました。江東区のある認証保育園は、指導を受けているにもかかわらず、この十月一日現在でも、二十六名の子供が在籍しているにもかかわらず、有資格者はゼロと、そういう実態でした。
 利用者や職員に不誠実な対応を続け、一方的に休園とまでいう園や、また職員配置が適切でないような認証保育園は、認証を取り消すべきではないでしょうか。

○手島少子社会対策部長 認証保育所の休止は申請により行われるものであり、都は、設置者に対し、休止しようとする日より前に、相当期間の余裕を持って当該区市町村及び東京都に協議するとともに、利用者に対して十分な説明を行うことを求めております。
 その上で、都は、設置者から提出される休止の申請について、利用児童の休止後の転園先が確保されているなど、問題がないことを確認できた場合に休止を認めております。
 また、保育従事者の配置状況が基準に抵触した場合、都は、認証保育所事業実施要綱に基づき、保育事業者の確保に向けた改善指導を行っております。
 改善指導を行っても改善がされない場合、報告期限を付して改善勧告を行います。それでもなお改善勧告に従わず、改善が図られない場合には、児童の処遇を確保した上で、取り消しも含め、厳正に対処しております。

○畔上委員 保護者は働き続けられるために、本当に必死で保育園を探しています。同時に、その絶対条件が安心して子供が生活できる、安定した保育環境です。
 事業実施の最低限のルールも守らないで、子供と保護者に多大な負担をもたらすような施設は、認証を取り消す厳しい対処を求めたいと思います。
 そして、行き場のない、そういう子供たちが生まれないように、自治体がやっぱり責任を持つ必要があると思います。待機児解消のために区が責任を持って、公立保育園を含めて、全力で保育の質と量を拡充するよう区に求めるとともに、東京都としても援助をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○手島少子社会対策部長 保育の実施主体は区市町村でございまして、児童福祉法及び子ども・子育て支援法は、区市町村には、保育を必要とする児童に対する保育の提供体制を確保する義務があるとしております。
 都は、多様な保育サービスの整備を進める区市町村を支援するため、区市町村や事業者の負担軽減、都有地の減額貸付、国有地、民有地の借地料補助など、都独自のさまざまな支援策を実施しており、今後とも、区市町村の取り組みを支援してまいります。

○畔上委員 保育とは、いうまでもなく、子供の健やかな成長発達を保障することであり、また、親が働くことを支えていく、そういうことです。
 子供の一つ一つの成長に、職員の仲間や親とともに喜び合い、そして、保育士として成長していく。保育士の生きがい、働きがいですが、事業者の保育理念が定まらないで、学校で学んできた保育、また、自分が理想と考えていた保育と本当にかけ離れた、そういう実態に保育士自身が失望して、退職をしていく。
 保育の質を軽んじるということは、私は、保育士不足を一層加速させる問題だというふうに思います。そのことを都はしっかり認識していただいて、保育園の認可、それから認証の許可、指導に取り組んでいただくとともに、待機児の解消が喫緊の課題であることから、やはり公的に整備を進めることを強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

○島田委員 私からも、まず初めに、待機児童解消についてお伺いをさせていただきます。
 待機児童解消に向けて、ただいま都は、保育サービスの整備を強力に推進しております。昨年度の保育サービスの整備量は、長期ビジョンで掲げました一万二千人分という目標を超える一万二千六百二人分に上りまして、過去最高となったわけでございます。
 待機児童も三年ぶりに減少に転じ、昨年度より八百五十八人少ない七千八百十四人になりました。
 このことは率直に評価するものですが、一方で、平成二十九年度末までに待機児童を解消するという大きな目標があるわけですけれども、この目標を考えると、まだまだ道のりは厳しいというふうに考えております。
 引き続き保育サービスのさらなる整備促進が求められますが、当然のことながら、やみくもに整備をすればいいわけではありません。待機児童が多い区市ならどこにでも整備していいというわけではなく、その中でもニーズの高い地域に絞って整備する、こうしたきめ細かい対応が不可欠であるというふうに考えております。
 そして、ニーズの高い地域というのは、利便性がよく、多くの人が住んでいますから、えてして、あいている土地、場所は少ないわけであります。こうした地域への迅速な整備にうってつけなのが、既存の建物の空き室などを活用し、機動的な整備が可能な小規模保育事業なのではないでしょうか。
 そこでまず、本年四月の小規模保育の利用児童数の実績についてお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 平成二十七年四月一日現在の小規模保育事業の利用児童数は、前年度の六百七十六人に対し、二千二百六十七人増となる二千九百四十三人となっております。

○島田委員 今お答えいただきましたけれども、昨年度の保育サービス整備数は、先ほどありましたように全体で一万二千六百二人分ですから、定員十九人以下とされておりまして、小規模の保育事業の整備量が、そのうちの二倍近い二千二百六十七人分というこの数字は、大変驚くべき数字だというふうに思っております。
 待機児童解消に向け、引き続き小規模保育事業の整備促進が図られるべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 都はこれまで、待機児童を解消するため、区市町村が地域の実情に応じて認可保育所や認証保育所、認定こども園、小規模保育など、さまざまな保育サービスの整備を進められるよう、国の補助制度に加え、区市町村や整備を行う事業者のさらなる負担軽減など、都独自の支援策を実施してまいりました。
 お話のように、小規模保育事業は、空き家や空き店舗など、既存の建物を活用した機動的な整備が可能となるものでございます。
 今後とも、平成二十九年度末までに待機児童を解消するという目標の実現に向けて、小規模保育を含め、多様な保育サービスの整備に取り組む区市町村を支援してまいります。

○島田委員 ぜひ多様な保育サービスの整備に向けての支援をよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 このように今、小規模保育は数を非常に伸ばしているということでございますが、これは生活文化局の方が所管しておりますけれども、幼稚園型の認定こども園が、私も一般質問をさせていただきましたけれども、二十五園もの園が認定廃止となった、認定返上したということが大きな問題になりました。これは国の方針、あるいは説明不足、財源等の問題があったためだというふうに考えておりまして、大変残念なわけであります。
 待機児童解消に向けては、認可保育園が設立されればいいわけでございますが、やはりその地域地域に合った事情ということがございますので、今答弁にありましたような認可保育園、そして、認証保育園、認定こども園、小規模保育など、多様な保育サービスの整備をぜひともよろしくお願い申し上げたいと、そのように思っております。
 施設整備とあわせて欠かせないのが、保育従事者であります。
 保育は人であります。幾ら箱ができても、保育はできないわけでありますから、保育従事者の確保は、整備以上に大変重要な課題だというふうに思っております。
 保育士確保についての都の取り組みについてお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 都はこれまで、保育人材を安定的に確保するために、潜在保育士を対象とした就職支援研修と就職相談会の一体的な実施や、未経験の有資格者を対象としたセミナー、保育人材、保育所支援センターのコーディネーターによる就職相談や、就職後の定着支援、保育従事者向けの宿舎借り上げ支援など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 これに加えて、今年度から新たに、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育等を対象に、保育士のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援を開始しており、今後とも、保育人材の確保、定着に積極的に取り組んでまいります。

○島田委員 この保育の施設整備とあわせて、保育士の確保が大変重要な課題だというふうに考えております。
 先日も、厚生労働省の方が、小学校教諭や、あるいは幼稚園教諭を保育士として活用する案を、これはまだ決定じゃないと思いますけれども、そういう案がマスコミで報道されたわけでございます。こうした規制の緩和というものも一つ考えられるのかなというふうに思いますが、保育士の処遇改善、これは大変根本的な課題で、重要な問題だというふうに思っております。
 今ご答弁にありましたけれども、今年度から開始されましたキャリアアップ補助、これはモデルケースとしまして、保育士一人当たり月額二万円程度の手当が支給されるといったケースもあるというふうに聞いておりまして、大変大きな改善であると思っておりますので、こうした処遇改善を継続して、保育従事者の確保のための取り組みを行っていただきたいと、そのように思っておりまして、次に、多摩地域の医療についてお伺いをさせていただきます。
 都内には、市町村が運営する公立病院が九カ所ありまして、都心部とは違い、大学病院等が少ない多摩の地域においては、いずれも重要な役割を果たしております。
 都としても、多摩地域の医療確保のために、地域の中核病院として行政的医療を担う多摩の公立病院に対しまして、その運営に要する費用を補助していると聞いております。
 また、医師の確保につきましては、医学部地域枠の設置等の施策もあり、全国でも養成数は着実にふえておりまして、医療に従事する医師数そのものもふえている現状でございます。
 しかしながら、医師数が集中しているように見える東京都内におきましても、一部の地域や診療科では、医師の確保に大変苦労しているというのが実態であります。
 数年前、私の選挙区のあきる野市に公立阿伎留医療センターという病院がありましたけれども、この病院では、産科医、そして、医師数が不足したことにより、一時的に産科が閉鎖され、分娩予定の数多くの妊婦の皆さんが、センターで急遽出産できなくなり、大変大きな問題となったことがございます。
 医師不足は、解消しなくてはならない大変大きな課題だというふうに思っております。
 そこで、都は、地域医療支援ドクターや地域医療医師奨学金といった事業により、医師確保に取り組んでおりますが、その実績についてお伺いさせていただきます。

○成田医療改革推進担当部長 都は、多摩・島しょの公立病院等に対して、都が採用した医師を派遣する地域医療支援ドクター事業を実施しておりまして、平成二十二年度から、延べ二十五名を派遣してまいりました。
 また、小児、周産期、救急、僻地医療に将来従事する意思がある学生に対しまして、奨学金を貸与する制度として、平成二十一年度から医師奨学金制度を実施しておりまして、入学時から貸与する特別貸与奨学金と、五、六年時に貸与する一般貸与奨学金の二つの制度を設けてございます。
 一般貸与奨学金につきましては、事業開始からこれまで八十二名に貸与しておりまして、そのうち三十一名が臨床研修を終え、産科、小児科、救急科等の医師として勤務しております。
 また、特別貸与奨学金につきましては、百四十四名に貸与し、第一期生である五名が今年度から臨床研修を開始しております。

○島田委員 本来、医師の確保は、病院や設置者の責務であるというふうに思いますが、現実に医師確保に苦労している多摩地域の公立病院があることから、地域医療支援ドクターのような形で都から支援を受けられるということは、非常にありがたいことだと思っております。
 今後、さらに多くの被貸与者が臨床研修を終えまして、指定の四分野に従事するとのことでありますが、被貸与者が多摩・島しょ地域で勤務を志すために、都はどのような働きかけを行っているのか、お伺いさせていただきます。

○成田医療改革推進担当部長 奨学金の被貸与者は、都が指定する医療機関において、一定の期間、勤務することが求められております。
 勤務に当たりまして、多摩・島しょ地域の医療への関心を高めるためには、在学中から働きかけを行うことが重要でございます。
 このため、昨年度からは、東京都地域枠を設けている三大学の協力を得まして、僻地医療経験者や多摩地域の開業医など、地域の第一線で活躍する医師による講義やワークショップ研修を取り入れております。
 また、勤務先の選定に先立ちまして、卒業前に実施している指定医療機関の見学会において、今年度からは地域の医療機関の協力をいただきまして、多摩地域を初め、見学先病院を拡充してまいります。
 さらに、僻地における医療の実態、医師の役割とその重要性を学ぶため、島しょの診療所において、外来診療の見学や患者インタビューなどを行う、宿泊を伴う実地研修を実施しております。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、地域医療に従事する医師の育成や就業支援等の取り組みを進めてまいります。

○島田委員 今ご答弁いただきましたが、地域医療支援ドクター制度と並び、今後、地域医療医師奨学金事業による効果が非常に大きく期待をされるところでございます。特に特別貸与奨学金の被貸与者が、数も多い、それから、額も多いわけでございますから、医師不足解消に大変期待されます。
 特に医師が不足する多摩地域や、あるいは島しょ地域で多くの方が勤務をしていただくよう、今ご答弁にありましたけれども、病院の見学会、あるいはその実地研修会の取り組みなどを充実していただきまして、そして、多摩や島しょに多くの医師が来ればいいなと、そういうふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げまして、次に、生活保護についてお伺いをさせていただきます。
 老後になって蓄えが底をつき、そして、日常生活が維持できない状況となっている人々のことがたびたび報道されております。「下流老人」だとか、「老後破産」といった本が出版されて、その内容が大変ショッキングな内容でございまして、多くの方々からも話題になっているところでございます。
 老後を豊かに暮らすためには、老後を迎える前に将来設計をきちんと立てて、健康の維持、住宅ローンの完済、収入に見合った教育費の支出、一定の貯蓄など、現役のときから準備をしていくことが必要であるというふうに考えております。
 また、国民年金や国民健康保険などがきちんと受けられるよう、保険料の納付を怠らないといったことも重要であるというふうに思います。
 しかし、これらの準備がさまざまな事情でできず、老後を迎えて生活が維持できなくなり、周囲からの援助も受けられない、そういった状況になりまして、どうすることもできなかったときには、最後のセーフティーネットとしまして、生活保護制度があるわけでございます。
 そこでまず、生活保護の動向に関してお伺いいたします。
 生活保護の受給者数は増加を続けているといわれておりますが、都内における直近の受給状況、受給している世帯の内訳についてお伺いさせていただきます。あわせて、特に高齢者に関して、十年前のデータとの比較もお願いいたします。

○芦田生活福祉部長 直近の平成二十七年八月における都内の被保護世帯数は二十三万一千七十二世帯、被保護人員は二十九万五千百五十三人となっております。
 そのうち、高齢者世帯の割合は四九・九%、障害傷病者世帯は二七・〇%、母子世帯は五・三%、その他世帯は一七・八%となっております。
 高齢者世帯につきましては、平成十七年八月からの十年間で、六万一千九百四十一世帯から十一万四千七百四十二世帯に増加し、全体に占める割合も四三・四%から四九・九%になっております。

○島田委員 全国的な傾向も同様だと思いますが、生活保護者の内訳では、高齢者数が今、約半数を占めておりまして、数も増加を続けている状況であります。
 高齢者は、就労により定期的な収入を得ることが難しいので、生活費は年金や貯蓄、資産によって賄うしかありません。しかし、貯蓄や資産を使い果たし、年金も十分な額ではない場合は、生活に困窮してしまいます。
 こうした人々の中には、生活保護のことをよく知らない、あるいは知っていても利用をためらうなどにより、生活保護の水準を割り込んでしまうような生活をしている人もいるというふうに思います。先ほどの「下流老人」だとか「老後破産」といった本の中にも、そういった例が紹介されておりました。
 そこで、生活に困窮している人に対して、生活保護においては、どのような対応を行っているのかお伺いいたします。

○芦田生活福祉部長 生活保護制度は、生活に困窮する全ての国民に対して、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としております。
 保護を受けるに当たっては、利用し得る資産、能力、その他あらゆるものを最低限度の生活の維持のために活用することを要件としております。
 また、民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、全て生活保護に優先して行わなければならないとされております。
 保護の実施機関である福祉事務所におきましては、生活に困窮した方が生活保護制度を適切に利用できるよう、生活便利手帳やパンフレット等によって周知を行っております。また、民生委員や水道、電気等ライフラインにかかわる事業者と連携し、生活に困窮している方の情報把握にも努めております。

○島田委員 ご答弁ありがとうございます。
 日本には生活保護を受けることが恥ずかしいと思う文化もあるのかなと思っておりますが、そうしたことが立派なことのように吹聴する政治家も中にはいると私は思っております。
 しかし、老後を迎えて、生活が維持できなくなったときの最後のセーフティーネットとして、生活保護制度があるわけであります。この制度を受けることにどうして恥ずかしいと感じる必要があるか、私は疑問に思っております。
 今ご答弁がありましたように、民生委員や関係者と連携し、生活に困窮している方々の把握、そして、生活に困窮した方々が制度を適切に利用できるように、制度の周知、よろしくお願い申し上げます。
 また、生活に困って保護の申請に来た人が、この制度を適切に利用できるようにしなければなりませんが、都は、区や市の福祉事務所に対して、どのように指導しているのか、お伺いいたします。

○芦田生活福祉部長 都は、生活保護法に基づき、区市に対し、法令等を遵守し、適正な運営を実施しているかについて指導検査を実施し、必要に応じて、助言、勧告を行っております。
 指導検査におきましては、保護の申請時等における適切な対応を重点事項の一つとしており、相談者に対して保護制度や活用可能な他法、他施策の十分な説明が行われているか、申請意思の確認が適切に行われているかについて、相談記録やヒアリングを通して確認をしております。
 また、福祉事務所職員を対象とする研修会議におきましても、面接相談の基本的な考え方や留意事項などにつきまして、毎年取り上げ、説明をしております。

○島田委員 ぜひ、申請した人がこの制度を適切に利用できるよう、よろしくお願い申し上げます。
 そしてまた、保護が必要な人がこの制度を利用するようにすることは重要なことでありますが、一方で、不正に保護を受給するようなことがあっては、制度に対する国民の信頼を損なってしまうことになります。
 先日も渋谷区において、暴力団員であることを隠して生活保護を受給して、その容疑で男が逮捕された事件がマスコミでも報道されました。この男は、三百六十万円もの保護費をだまし取ったそうでございますが、あってはならないことであります。こうした不正受給のニュースは毎年報道されまして、大きな問題になっております。
 そこで、都内における不正受給の状況と、不正受給を防止するための取り組みについてお伺いいたします。

○芦田生活福祉部長 平成二十六年度に都内において生活保護費として支出した合計額は五千六百四十三億七千九百万余円でございます。その中で、不正受給により、生活保護法第七十八条に基づき返還対象となったケースは三千三百五十二件、返還請求金額は二十四億四千九百万余円となっております。
 不正受給の内容につきましては、就労や年金などの収入に関して不正のあったものが全体の九八%を占めております。
 不正に保護を受給することは、大多数の善意の被保護者に多大な迷惑をかけるばかりではなく、制度そのものに対する国民の信頼を失わせるおそれがございます。
 平成二十六年七月に施行されました生活保護法の改正におきましては、不正受給対策の強化として、福祉事務所の調査権限の拡大、罰則の引き上げなどが行われたところでございます。
 福祉事務所におきましては、不正受給防止のため、収入、資産の調査の徹底、生活実態の適切な把握、収入申告書の定期的な徴取、課税調査、年金調査の徹底などに取り組んでおります。
 都は、区市に対する指導検査におきまして、これらの取り組みについても確認し、必要な指導、助言を行っているところでございます。

○島田委員 今ご答弁がありましたけれども、全体の割合からすれば少ないかに見えますけれども、二十四億近い不正受給の額ということは、非常に大きな額でありまして、不正受給はあってはならないことであるというふうに思います。
 保護に必要な人が保護を受けられるように、そして、保護の不要な人が保護を受けることのないように、今後も東京都の役割としての指導、助言、よろしくお願い申し上げまして、次に、介護基盤の整備についてお伺いをさせていただきます。
 我が国では、少子高齢化が急速に進んでおります。東京においても、高齢者人口は増加を続けており、平成二十二年から平成三十七年までの高齢者人口増加数は約六十八万人と推計されております。
 また、戦後生まれのいわゆる団塊の世代が七十五歳以上になる平成三十七年には、四分の一が六十五歳以上の高齢者という状況になります。
 高齢者人口の増加とともに、要介護高齢者もふえ、平成三十七年の都内の要介護、要支援認定者は約七十七万人と、今後十年間で二十万人増加する見込みであります。
 都内には、高齢者単独世帯が多く、常時介護を必要とし、在宅生活が困難になった高齢者の受け皿として、特別養護老人ホームの整備促進が期待されております。
 そこでまず、現在の特別養護老人ホームの設置状況と今後の整備目標についてお伺いをいたします。

○西村高齢社会対策部長 平成二十七年十一月一日現在の特別養護老人ホームの設置数は、施設数四百八十カ所、定員四万三千二十六人でございます。
 また、今後の整備目標についてでございますけれども、昨年十二月に策定した東京都長期ビジョンにおきまして、高齢者人口の将来推計や区市町村が地域のニーズに基づき算定したサービス見込み量等を踏まえ、平成三十七年度末までに定員六万人分を整備することを目標としております。

○島田委員 特別養護老人ホームの定員を六万人ふやすためには、今後十年間で一万七千人分の整備が必要ということになります。これまでの特養整備のペースをさらに加速させなければなりません。
 しかしながら、都市部、特に区部においては地価が高く、特養建設のための土地の確保が困難な状況があります。区部での特養整備を促進し、長期ビジョンで掲げた目標を達成するために、都はどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 都はこれまで、整備率が低い地域の補助単価を最高で一・五倍に加算するほか、施設用地を確保するため、未利用都有地の減額貸付や定期借地権の一時金への補助など、都独自の多様な手法を講じ、特別養護老人ホームの整備を支援してまいりました。
 平成二十六年度からは、整備費補助の単価を引き上げたほか、都有地貸付に当たり、都内平均地価を超える部分の減額率を九〇%に拡大し、さらに、国有地、民有地を借りた場合の借地料補助を創設するなど、新たな支援策を講じております。
 長期ビジョンで掲げた目標達成に向けて、引き続き特別養護老人ホームの整備促進に取り組んでまいります。

○島田委員 土地の確保が困難な地域での特別養護老人ホームの整備を進めるため、都がさまざまな取り組みを実施することがわかりました。引き続き積極的に整備を促進していただきたいと思います。
 関連して、最後にもう一点お伺いします。
 特別養護老人ホームについては、限られた資源の中で、より入所の必要性の高い方々が入所しやすくするよう、今年度から入所要件が、原則として要介護三以上の方に限定されました。いいかえれば、要介護二までの方は、在宅での生活継続が求められるわけであります。
 住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、施設整備、施設サービスだけではなく、在宅のサービスの充実も重要であります。
 先日、私は、あきる野市にあります小規模多機能型居宅介護事業所を視察してまいりました。小規模多機能型居宅介護とは、通いを中心に、訪問や宿泊の各サービスを同じスタッフから一体的、継続的に受けることができます。
 また、この小規模多機能と訪問介護を組み合わせた看護小規模多機能型居宅介護は、医療ニーズの高い要介護高齢者にも対応可能であります。住みなれた地域での生活を支えるサービスとして、都内でも積極的に普及させていく必要があると思います。
 そこで、お伺いをさせていただきます。
 小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護は、現在、都内にどのくらい設置されているのでしょうか。また、設置促進のために、都はどのような支援を行っているのでしょうか、お伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 平成二十七年十一月一日現在、小規模多機能型居宅介護事業所の設置数は百七十四カ所、看護小規模多機能型居宅介護事業所は十四カ所でございます。
 小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスは、区市町村が指定権限を持ち、その整備につきましては、まず区市町村がみずから策定する整備計画に基づき行うものでございます。
 都は、こうした区市町村の取り組みを支援するため、国制度である地域医療介護総合確保基金による補助に加え、地域密着型サービス等重点整備事業によりまして、都独自に宿泊定員数に応じた補助を実施しております。
 平成二十六年度からは、区市町村に対する補助率を二分の一から四分の三に引き上げるなど、施策の充実を図っておりまして、引き続き区市町村の取り組みを支援してまいります。

○島田委員 今ご答弁いただきましたが、要介護高齢者の生活を支えていくためには、在宅サービスと施設サービスなどの介護サービス基盤をバランスよく整備していく必要があると思います。
 高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現に向けて、さらなる取り組みの強化をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○斉藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十分休憩

   午後三時三十四分開議

○斉藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○両角委員 それでは、私から何点か質問をさせていただきたいと思いますけれど、まず最初に、子育て支援の事業について伺いたいと思います。
 平成二十四年に子ども・子育て関連三法が成立をいたしまして、本年四月からは、子ども・子育て支援の新制度がスタートいたしました。
 この新制度では、一人一人の子供の健やかに成長することができる社会を目指して、幼児期における質の高い学校教育、保育の総合的な提供や待機児童の解消、地域での子供、子育て支援の充実を図るということにされているわけでございます。
 そこで、この子ども・子育て支援新制度のスタートに伴いまして、子育て支援の新たな計画づくりが必須となっているわけでありますけれど、これまでの計画策定に向けた都の取り組みにつきまして伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 都は、学識経験者や子育て支援事業者、公募で選ばれた都民の方などから構成される東京都子供・子育て会議の意見を聞くとともに、区市町村の事業計画を踏まえ、東京都子供・子育て支援総合計画を策定いたしました。
 東京都子供・子育て支援総合計画には、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の仕組みづくりを初めとした五つの目標を掲げ、福祉、保健、医療、雇用、教育など、さまざまな分野から成る二百六十七の事業と具体的な目標を盛り込んでおります。
 また、都は、計画策定の段階から、都区市町村連絡会議を設置しておりまして、今後も新制度の事業実施に向けた課題や相互の取り組み状況について定期的に情報共有をし、意見交換を行いながら進めてまいりたいというふうに考えております。

○両角委員 この新制度では、認定こども園の普及を図るということをうたっておりまして、三月に策定をされました東京都子供・子育て支援総合計画におきましても、目標設置数を設定しまして、地域の実情に応じて、認定こども園を設置する取り組みを支援するとしているところでございます。
 そこで、この認定こども園に対する都の取り組み状況を伺います。

○手島少子社会対策部長 認定こども園は、幼児教育と保育を一体的に行うとともに、待機児童解消にも資するものであり、区市町村は地域の実情に応じて、認定こども園を含む多様な保育サービスを組み合わせて整備をしております。
 都は、こうした区市町村の取り組みを支援しており、平成二十七年四月一日現在の認定こども園数は九十三カ所となり、東京都子供・子育て支援総合計画に掲げた目標値を達成しております。
 引き続き認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育事業など、さまざまな保育サービスの拡充に取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。

○両角委員 新しい計画ができまして、それに基づいて、各種の保育サービスなりを組み合わせて、待機児童対策も図るということですので、しっかりと進捗をしていただければと思います。
 引き続きまして、東京子育て応援事業について伺います。
 新聞記事、これは二〇一四年ですから、昨年の二月十九日の日経新聞でありますけれど、若干紹介させていただきますと、東京都は二〇一四年度の当初予算案を発表したと。舛添要一知事の公約を反映した七十七億円の同時補正予算を含め、舛添カラーを打ち出したということで、具体的には、舛添知事が当選をされた直後に、みずからのイニシアチブで七十七億円の知事案件としての同時補正を組んだと、七十七億円の事業を打ったということであります。
 その一つが、この子育て応援事業、子育て応援ファンドというやつでございまして、二十億円を予算化したということであります。
 そこで、知事の査定で予算化をした、いうなれば、舛添知事の選挙公約である目玉事業、これについて伺いたいと思います。
 まず初めに、この東京子育て応援事業の目的並びに概要を伺います。

○坂本事業推進担当部長 子供を産み育てたいと望む人たちが安心して子育てできる環境を整備するためには、行政はもとより、都民、企業など社会全体が連携して子育てを支えることが必要でございます。
 こうした観点から、新たに都の出捐及び都民などからの寄附によります東京子育て応援基金を創設いたしまして、昨年度は、NPOや企業等が実施する先駆的、先進的取り組みの立ち上げの支援といたしまして、活動拠点の整備など、初期投資費用などに対します助成するモデル事業を行ったところでございます。
 今年度からは、モデル事業の成果を踏まえまして、東京都福祉保健財団におきます基金を財源といたしまして助成を行います東京子育て応援事業を本格実施しているところでございます。

○両角委員 都民、企業が社会全体として連携して子育てを支えるということで、基金をつくって実施をするということでありますから、機動的な対応ができるんであろうと、先駆的、先進的な取り組みを支援するんだというお話でございました。
 この東京子育て応援事業は、今お話がございましたとおり、都からの出捐、それとあわせて、企業と都民の寄附による東京子育て応援基金をまず創設すると。そして、この基金を活用して、東京都福祉保健財団がNPOや企業等の先駆的、先進的な取り組みを支援していくという、こんなスキームになっているわけでございます。
 基金が民間の寄附を募るというふうにしているわけでありますけれど、まず、この寄附を募るその目的は何か伺いたいと思います。また、寄附の目標額は定められているのか、募集はいつから始めたのか伺いたいと思います。あわせて、都民、企業からの寄附というのは、どの程度集まっているのか。個人、法人の別で、それぞれ件数と寄附額をお示しいただきたいと思います。

○坂本事業推進担当部長 東京子育て応援基金の寄附でございますが、社会全体で子育てを応援する機運を醸成することを目的としておりまして、寄附の目標額の方は設定してございません。
 また、寄附の募集でございますが、平成二十七年五月から開始しております。現在の寄附実績でございますが、個人から十八件、六万八千円、法人からは一件、五千円となっております。
 今後、社会全体で子育てを応援するという本事業の趣旨に賛同が得られますよう、広く周知に努めますとともに、関係団体の協力を求めてまいりたいと考えております。

○両角委員 この寄附の件で伺ったわけでございますけれど、財団のホームページを拝見いたしますと、寄附の金額は一口千円、一口以上寄附してくださいということで、個人あるいは法人の方に寄附を呼びかけていると。東京都、財団の方では、この寄附に対するパンフレットもつくって周知活動をされてきたと。ご答弁の中では、五月からこの寄附をスタートしているということでございますから、半年ちょっと経過をしていると、そんな状況かなと思います。
 寄附の目標額は特に設定をしていないということで、社会全体で機運を醸成するために、参加意識を持ってもらうための寄附だと、そのように理解をさせていただきたいと思います。
 ご答弁の中で、五月からスタートして、六カ月で十八件、六万八千円、これが個人の方からあったと。法人からは一件の五千円であると。二十億円、都が出捐していますから、参加をいただくには、もっと広範な都民の方から少しでも寄附をしていただけると、さらに事業目的が、まさに社会全体でということにつながっていくのではないかなと思います。
 この十八件なんですが、実は私がこの質問に当たって、一昨日確認をさせていただいた時点では、一件、四万五千円だというお話だったんですが、一夜にして十八件、六万八千円ということでふえているわけであります。
 六カ月間は一件しかずっとなかったようなんですけれど、急にこれだけふえて、十七件ふえたわけですから、このペースで年末までいっていただければ、単純にいうと七百件ぐらい集まって、さらにこれは大変ありがたいことだなと思うんですけれど、都の職員の方が寄附をされているかもしれませんけれど、ぜひこの寄附、六カ月間なかなか動かなかったものが、一日だけで十七件ふえたという大変な成果を示されたわけでありますから、今後も周知をして、今やっぱり全体でいうと件数は少ないと思います。これをもっと多くの方に参加をいただけるような、そんな取り組みをしていただくように要望をさせていただきたいと思います。
 次に、この事業、二十六年度は直接局が所管をして、モデル事業ということで展開をしているということであります。
 このモデル事業の成果を踏まえて、平成二十七年度からは、東京都福祉保健財団が十カ年の期間で実施をするということになっているわけでありますけれど、平成二十六年度モデル事業の効果及び課題、そして、その課題を踏まえて、平成二十七年度はいかなる改善をしたのか、伺いたいと思います。

○坂本事業推進担当部長 都は、平成二十七年度の本事業の実施に先立ちまして、平成二十六年度にモデル事業を実施いたしまして、十四事業を採択したところでございます。
 モデル事業では、子供の無料学習塾や身近な地域で子育てを支える人材の養成など、多様な主体によります子育て支援の取り組みが促進されたところでございます。
 一方、モデル事業でございますが、単年度事業でございましたので、事業者からは実質的な事業の実施期間が短く、補助終了後の自主事業化に向けました計画を立てにくいというご意見もございました。
 このため、今年度からは、事業者が余裕を持って事業の立ち上げを行えますよう、助成対象期間を二カ年としたところでございます。

○両角委員 初年度が事業期間が短かった、事業者決定が十月末であったと思いますので、実質五カ月間程度で事業期間が非常に短いということがあったと思います。それを踏まえて、二十七年度からの事業というのは二カ年度にしたということで、妥当なことかなというふうに考えるわけであります。
 続いて、この事業そのものは、都が出捐した基金を活用して、財団がNPOや企業等の活動を支援するという形であるわけでありますけれど、では局は、この事業の評価や検証にどのようにかかわっているのか、伺いたいと思います。

○坂本事業推進担当部長 東京子育て応援事業の事業採択の審査でございますが、外部の学識経験者等で構成されます公募審査会で行っておりまして、都の職員も審査会の委員の一人として審査に参加しているものでございます。
 また、助成対象事業につきましては、本事業の実施要綱におきまして、都が事業を実施しております東京都福祉保健財団と適宜検証を行いまして、必要に応じまして、協議の上、見直すこととしているところでございます。

○両角委員 やはり財団にやっていただいても、局がしっかりと事業の検証をしていくという姿勢も必要ではないかなと思っております。
 今ご答弁の中で、審査会の一員として都の職員が入っていらっしゃるということで、部長が入っていらっしゃるようでありますから、そこで審査に当たっていろんなチェックもされたということだと思います。
 ただ一方で、財団と局が適宜必要に応じて協議ということでありますから、責任の所在が不明確にならないように進めていただければと思います。
 続きまして、この事業は、五つの事業区分を示しているわけでございます。この五つの事業区分の中の一つとして、出会い・結婚支援というものがあります。
 東京のような大都会におきましては、出会いや結婚支援の事業というのは、現在も営利でも、あるいは非営利でもさまざまな活動がいろいろなターゲットに対して展開をされていると思います。
 そうしたことを考えると、あえて税金である基金を活用して、一部企業を支援する、そういったことに、この結婚の事業に関しては、事業の必要性に疑問も感じるところでありますけれど、事業の見直しについて見解を伺います。

○坂本事業推進担当部長 本事業では、社会全体で子育ての応援を進めるため、若者支援、出会い・結婚支援、親子の健康づくり、多世代交流、その他の子供・子育て支援の五つの事業区分を設定いたしまして、NPOや企業等が創意工夫を凝らして取り組む幅広い事業を支援しているところでございます。
 このうち、お話の出会い・結婚支援事業でございますが、将来家庭を築くための出会いの場づくりや、結婚に結びつけるために支援する事業を対象としておりまして、出会いの機会に恵まれにくい若者同士がつながりを持ったり、若い世代が結婚生活をイメージできるような活動を想定しております。
 また、助成対象事業でございますが、今後の実施状況を踏まえまして適宜検証を行い、必要に応じて見直すこととしているところでございます。

○両角委員 二十六年度は、NPO法人の事業を補助したという事業になっていて、事業名としては三十代、四十代のためのケアと人生を描く夢プロジェクトという事業名のようでございます。
 具体的な内容は、三、四十代の男女を対象として出会いの場を提供すると。交流会、合宿を実施したということでありますが、クッキング交流会というのが四回開催されて、参加が延べ三十人、実人員は十七人ということでありますし、あるいは出会いの合宿というのは、二日間、参加が延べ十三名、実質九名ということでありますので、そういった面で考えますと、この事業費は四百七十万ぐらいの補助が出て、実質、対象にした方が十七人、九人という、かなり限られた方々に直接支援をするという形になっております。こういった事業については、本当に真に手助けが必要な部分に、あるいは結婚支援のやり方としても、ちょっと民間の事業者がやらないような、そういう部分を手がけていただけるような、そんな視点で事業についても検証をいただければありがたいと思っております。
 子供応援事業について、最後になりますけれど、平成二十六年度、二十七年度、もちろん二カ年ですから二十八年度もということになると思うんですが、株式会社のトライが、子供・子育て支援事業というくくりの区分で事業採択をされております。
 ところで、一部週刊誌では、本年一月に、この株式会社トライの家庭教師が家庭教師先の児童への強制わいせつ容疑で逮捕され、有罪判決が下されたと伝えているところでございます。
 基金を活用して現在行われている小中学生の不登校及び保護者向け支援事業も同社が実施をしているわけであります。事件を受けて不安になる保護者もいるのではないかというふうに思うわけでありますけれど、こうした状況を踏まえて、都として何らかの対応を考えているのか、伺いたいと思います。

○坂本事業推進担当部長 お話の一部週刊誌での報道に関しまして、本事業を実施しております東京都福祉保健財団から株式会社トライグループに対しまして事実関係を確認いたしましたところ、家庭教師による刑事事件があったこと、また、民事訴訟につきましては係争中であることとの報告がありまして、また、同社としては既に再発防止策を講じているという旨の報告もございました。
 本件の対応につきましては、事業を実施しております東京都福祉保健財団から株式会社トライグループに対しまして、改めて助成対象事業が適正に執行されるよう求めており、今後とも必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

○両角委員 十一月の十六日、都の方からトライの方に確認をされたということでありますから、事業そのものは直接影響はないと思いますけれど、やはり確認をしていただくのは重要なことだと思います。
 この事業全体を通じてコンセプトを打ち出して、特にライフステージを通じた支援ということの中で評価ができる事業だと思います。特に、知事肝いりで打ち上げた事業でありますから、今後十年間の取り組みということを見据えて、しっかりとこれは実施をして、見直しが必要な部分は柔軟に見直しをしていっていただきたいと、そのようなことをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 引き続いて、救命救急センターへの搬送ということで伺わせていただきたいと思います。
 現在、都内には十三の二次保健医療圏に二十六の救急救命センターがありますけれど、ここ二カ年の救急救命センターの搬送について、収容可能率が七割を切っている救急救命センターの状況を伺います。

○西山医療政策部長 東京消防庁、稲城市消防本部等からの搬送患者の受け入れ要請に対し、収容が可能であると回答した割合が七割未満の救命救急センターは、二十六施設中、平成二十五年は七施設、平成二十六年は六施設でございます。

○両角委員 救急救命センターへの搬送について、収容可能率が七割を切っている、そのような救急救命センターは、二十五年、七施設、二十六年、六施設ということでありましたけれど、年間相当数の患者の方を一旦はお断りを、受け入れられないというような実態であろうかと思います。
 そこで、一旦は受け入れられないとなった患者さんが、その後どのように搬送をされたのか、実態をしっかり把握するということは極めて重要なことではないかなと考えるわけでございますけれど、こうした事例のその後の収容状況はどのようになっているのか、伺います。

○西山医療政策部長 東京消防庁が平成二十六年に救命救急センターを選定した案件、二万八千百十一件のうち、一回の連絡で受け入れ先が決定した割合は七五%でございます。
 その後につきましては、二回目の連絡までに決定した割合が九一・七%、三回目までが九六・四%、五回目までが九九・一%となってございます。
 なお、平成二十六年の搬送先医療機関が決まるまでの連絡時間は平均四分三十一秒でございました。

○両角委員 一回の連絡で受け入れ先が決定したというのは、全体でいうと七五%であると。五回目までに九九・一%が受け入れ先が決まっているんだと、そして搬送医療機関が決定するまでの二万八千、全てトータルの件数の平均は四分三十一秒であるというようなご答弁でありました。
 全体の平均でいえば、極めて短時間の中で対応ができているというふうに評価ができるんだろうと思いますけれど、やはり、実際にちょっと受け入れられませんといった、その方々がどのぐらいかかったかということを分析できないかなというふうに思うわけです。
 厚労省では、全国規模のデータベースをつくると、過去に運ばれた患者の情報を集めた全国規模のデータベースを整備するという方針で、今、動いているというふうに聞いております。
 要は、実際どの患者がどういうふうに運ばれていって、どのぐらいかかったか、そのデータを都道府県が活用して医療体制の見直しに反映をする、そんなことを今考えているということなんですが、東京都において、今ある情報をもとに、できればそういう分析のもと、この東京エリアの、東京都内の救急の体制というのは都の医療計画で定めるという東京都の責務でありますから、そういった根拠となるしっかりとした情報を持って対応していただきたいなということを要望させていただきます。
 次に、周産期医療について伺いたいと思います。
 本年三月策定の東京都周産期医療体制整備計画におきまして、多摩地域における周産期医療ネットワークグループの連携強化を図るということがうたわれているわけでありますけれど、この連携強化の進捗状況はどのようなものか伺います。

○西山医療政策部長 多摩地域においては、都立多摩総合医療センター、小児総合医療センターと杏林大学医学部付属病院の二つの総合周産期母子医療センターが中核となり、四つの地域周産期母子医療センター、三つの周産期連携病院、その他主要な二次医療機関や診療所等が参画して、周産期医療ネットワークグループを構築し、顔の見える連携を目指しております。
 さらに、地域の実情に応じたきめ細やかな連携を進めるため、多摩地域の周産期ネットワークグループを六つのサブグループに分け、それぞれの地域で連携会議を定期的に開催し、各医療機関からの現状報告や症例報告、意見交換等を実施してございます。

○両角委員 今ご答弁もいただきましたけれど、多摩地域では二つの施設が中核となってネットワークを組んでいくということであります。
 この東京都周産期医療体制整備計画ですか、つまびらかにさせて、拝見をさせていただきましたけれど、どうやって周産期の医療の体制を組んでいくか、搬送から何か、しっかりシステマチックに仕組みが考えられているんだなというふうに思ったわけでありますけれど、一方で、この多摩地域では、分娩取り扱いの施設数が減少しているという実態があります。
 出生千人当たりの産科、産婦人科のお医者さんの数は全国平均を下回る状況にもある。連携強化ということがうたわれておりますけれど、そもそも望ましい状況を実現するだけの医療資源が多摩地域に存在をしていなくては、連携そのものがままならないんではないか、このようにも感じる次第でございます。
 そこで、周産期医療に関して、多摩地域における医療資源の状況をどのように認識をしているのか、そして、今後どのようなことに力を入れていくつもりなのか、お伺いをしたいと思います。

○西山医療政策部長 都内の医療資源の分布状況は、二次保健医療圏ごとに状況は異なり、同じ多摩地域内であっても各市町村によりさまざまでございます。
 このため都は、都民に包括的な保健医療サービスを提供していくための地域単位として十三の二次保健医療圏を設定しておりまして、この二次保健医療圏を基本としながら、各圏域の医療資源の状況や疾病事業ごとの特性を踏まえ、医療提供体制を整備しております。
 周産期搬送体制では、総合周産期母子医療センターを中核に、都内を八つのブロックに分けてございます。
 都では、本年三月に策定した東京都周産期医療体制整備計画に基づき、限られた医療資源を最大限活用しながら、周産期母子医療センターを中核としたリスクに応じた役割分担と連携を進めるなど、引き続き周産期医療体制を確保してまいります。

○両角委員 今、現状と取り組みの説明がございましたけれど、この医療資源の、どんな状況に多摩地域はあるのかという認識については、残念ながらお示しをいただけませんでした。
 私、知り合いの産婦人科のお医者さんのところに伺うと、いつも、ちょっと入れよといわれて、ここ何年もの間、地域の産婦人科をめぐる状況が弱っているというようなお話をされます。
 ですので、もちろん総合周産期母子医療センターとか、そういった核になる施設はしっかりと整備されて、ネットワークを組むというふうになっているわけでありますけれど、その下のレベルのいろんな医療資源がどのようになっているのか、弱い部分にきちっと光を当てて対応することが必要ではないか、このように思っております。
 続いて、NICUについて伺いたいと思いますけれど、このNICUにつきましては、平成二十六年度末現在、都内で三百十五床が整備をされております。
 東京都では、NICUの整備目標として、出生一万人当たりに三十床というのを一つの目安として、目標としているわけでありますけれど、多摩地域では出生一万人に対して何床が整備されていて、区部では出生一万人に対して何床が整備をされているのか伺います。

○西山医療政策部長 NICUは低出生体重児等の新生児に対して、呼吸管理等を初めとした専門医療を提供する場であり、新生児科医師の常駐や三床に一人の看護師の配置とともに、生命維持装置等の施設整備も必要でございます。
 そのため、整備に当たりましては、搬送体制を整備しながら、限られた医療資源の集約を図り、高度な医療を集中的に提供する体制を構築することが最も効果的でございます。
 こうした考えに立ちまして、本年三月に改定した東京都周産期医療体制整備計画においても、引き続き都内全域を一つの圏域として、NICU病床三百二十床を確保する整備目標を定めたところでございます。
 現在、NICUの病床は三百二十一床を確保しておりまして、内訳は、多摩に七十二床、区部に二百四十九床でございます。

○両角委員 NICUは三百二十一床を確保されていると、ですからこの整備目標を全体でクリアしているということであります。多摩が七十二床、区部が二百四十九床、私は東京都が整備目標としている、生まれるお子さん一万人当たり、それぞれどのぐらいのNICU床が整備されていますかという質問をさせていただきましたけれど、残念ながらそれに対するお答えはございませんでした。
 私が二〇一三年、平成二十五年の多摩地域、区部、それぞれの生まれたお子さんを数字を使って割り返してみると、多摩地域については出生一万人当たり二十二床、この七十二床トータルというのは、一万人当たり二十二床なんです。区部の二百四十九床というのは、出生一万人当たり三十二床なんです。そういう形になっているんです。
 ご答弁の中では、搬送体制を整備しながら集中することが効果的であると、都内全域が一医療圏なんだと、そういう性質のものだよというお話がございましたけれど、しかしながら、搬送を考えれば、区部よりも多摩地域というのはエリアも広くて、かなり西多摩の方なんか搬送は大変だと思います。
 そういうことを考えれば、この一万人当たり、逆に多摩の方が、計算をしてみると多いぐらいだという形になってしかるべきではないかと思いますけれど、これについては、そういうふうに思うということをお伝えしておきたいと思います。
 最後になりますけれど、在宅療養患者等の搬送体制の構築事業、これについて伺いたいと思います。
 東京都は、平成二十五年度から平成二十七年度の三カ年で、在宅療養患者等の搬送体制構築事業、これを実施しているところでございますけれど、この事業の狙いと概要を伺います。

○西山医療政策部長 在宅療養患者の搬送体制構築事業は、在宅療養患者が住みなれた地域で安心して生活を継続できるよう、区市町村等が患者の病状変化時に地域内で適切な医療を受けられる体制を整備することを目的としてございます。
 事業の概要は、在宅療養患者の病状変化時に受け入れが可能な医療機関の確保や、患者を医療機関に搬送するための病院救急車の確保、さらに地域内で患者情報を共有するための仕組みを、地域の医療機関等と連携して構築する区市町村等を支援するものでございます。

○両角委員 概要等説明をいただきました。この事業は現在、葛飾区と八王子市、さらに町田市の三地域で実施をされているわけでありますけれど、実施主体である区や医師会は、この事業をどのように評価しているのか伺います。

○西山医療政策部長 本事業を実施しております自治体や地区医師会からは、在宅療養患者が病院での治療が必要になった際、患者を受け入れる病院が事前に決まっているため、患者や家族が安心感を得られること、また、かかりつけ医と患者を受け入れる病院との間で情報共有化がなされているため、円滑な入院につながっていることが報告されるなど評価をされております。
 一方、地域包括ケアシステムを構築していく中で、さらに病院救急車を積極的、効率的に活用していくことが課題として挙げられております。

○両角委員 実施主体も評価をしているということで、意味ある事業なんだなというふうに思うところでございます。
 課題ということで、病院救急車の積極的、効率的活用というお話がございました。私も地域の医療関係者に、この事業にもかかわっている方に伺いましたら、まさにその部分のお話をされていましたので、その課題を今後の展開に生かしていただきたい、このように思います。
 引き続いて、この三つの区市において、三カ年限定でこの事業は実施をされているわけでありますけれど、本年度をもって事業が終了いたします。
 そこで、在宅療養患者の搬送体制について、本事業の効果を検証の上、今後はどのように展開をされていくおつもりなのか伺います。

○西山医療政策部長 地域医療再生基金を活用した本事業は、平成二十五年度から二十七年度までの事業として実施をしておりまして、二十八年度以降は、実施主体である区及び地区医師会が事業の実施状況を踏まえて対応を検討することとなっております。
 都では、今年度から新たに地域包括ケアシステム構築に向け、在宅における医療と介護の連携を推進するため、在宅医と入院医療機関の連携促進に取り組む区市町村への支援事業を開始しておりまして、病院救急車等による在宅療養患者の搬送体制の構築につきましても、この支援事業の対象として二十八年度以降は支援していく考えでございます。

○両角委員 二十八年度以降も、これは病院救急車等による在宅療養患者の搬送体制の構築、支援をされていくつもりであるというようなお答えがございました。
 もともと、このスタートが国の地域医療再生臨時特例交付金、これを活用した基金をもとに事業展開をしております。基金で事業展開すると国からお金が来るから、何か事業を考えて、何年かやってということになると思うんですけれど、ぜひ、こういった事業は後から食い散らかしだといわれないようにしっかりとその事業を検証して、さらに今回、二十八年度以降もその必要性に基づいて事業展開をしてくださるということでありますから、そういった基金の有効活用、そして事業の継続ということを進めていただきたい、このように思います。
 質問の最後になります。
 在宅療養患者の搬送というお話がございましたけど、この搬送に、ふだんはほとんど使用されていないDMATカーを活用できないか、このように私は考えます。
 DMATカーは、都内の指定病院、二十五病院に配置をされているわけですけれど、このDMATカーは、もちろん緊急時の活動に使用する車両だということは承知をしております。しかしながら、車というのは、エンジンをかけて日常動かしていかないと、いざというときに動かない、そういったものでもあります。
 私も、地元で広報車というのを、大きい車を置いているんですけれど、しばらく乗らないとバッテリーが上がっちゃったりするんですね。ですから、やっぱり日常的に動かさないと、いざというときにさっと車が出られないという状況があります。
 ですから、このDMATカーも、DMAT本来の活動に支障がない範囲で、しかしながら、日常活用や管理のあり方というのをもう一度しっかりと検討をしていく必要があるんではないか、このように考えるわけでございますけれど、ご見解を伺います。

○西山医療政策部長 都は、都内及び都外で大規模な地震災害等が発生した場合に、東京DMATが被災現場で迅速かつ確実に活動ができるよう、東京DMAT指定病院にDMATカーを配備してございます。
 指定病院に対しては、知事からの緊急の出場要請に応じていつでもDMATカーが出場できるよう、貸付契約に基づいてDMATカーの適正な管理を求めておりますが、東京DMATの活動に支障がない範囲で、指定病院が行う業務への使用も認めてございます。
 現在、平常時における具体的な活用例などについて、東京DMAT運営協議会において検討してございます。

○両角委員 今、東京DMAT運営協議会で検討してくださっているということで、実はこのDMATカーの活用とか管理の問題につきましては、私が都議会の一般質問で問題提起をさせていただきました。ことしの三月には、私どもの会派のおときた議員が予算特別委員会でご質問をさせていただいて、検討をするというご答弁をいただいて、今まさに、二〇一五年の五月から検討していただいているということでありますので、今年度の初めからその検討がスタートしているということであります。
 ぜひ年度内に、管理あるいは運用のよりよい結論を出していただくように期待をして質問を終わります。

○和泉(武)委員 まず、障害者施策についてお伺いしたいと思います。
 東京で二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが開催されるわけですけれども、そこで多くの方が東京を訪れるわけです。その中でも、障害のあるアスリート、もしくは障害者を含む多くの人というものが国内外から東京に訪れるというふうに考えられます。障害者もしくは障害のある方などへの理解を深めるきっかけになるということが、重要な課題になってくるんだろうというふうに思っております。
 その中で東京がやるべきことということが、一つは当然ハード面の整備ということが重要でありますけれども、もう一つは心のバリアフリーの推進といったようなソフト面の取り組みというものが重要になってくるだろうというふうに考えられます。
 そのうちの一つというのがヘルプマークだと思っております。もっとしっかりと取り組みを行っていくということが重要な課題なんであろうというふうに考えております。
 もともと外部障害、視覚障害とか聴覚障害、もしくは言語障害とか肢体不自由とか、外部障害というのは周りから見ても障害のある方だということがわかることが多いんですけれども、内部障害の方というのは、もしくは難病の方というのは見てすぐわからない、こういうケースも多々あるわけであります。
 例えば心機能障害、腎機能障害あるいは膀胱直腸障害、それから呼吸器障害、こういったものというのは内部障害といわれているものであって、確かにペースメーカーがついている方とか、あるいは最近、優先席で携帯が使用可になるとか、そういった問題も起こっている中で、ペースメーカーの問題、例えば人工肛門がついている方とか、ぱっと見てわからない方々というのがたくさんおられるわけで、こういった方々が外見はわからなくても、援助とか、あるいは配慮が必要だという状況の方々というものが、周囲の人に配慮を必要とされていることを知らせるマークでありまして、このヘルプマークに関しては、我が党も積極的に普及を推進してまいっているわけでございます。
 そこでまず、ヘルプマークの普及啓発についてのこれまでの実績をお伺いいたします。

○高原障害者施策推進部長 都では、平成二十四年十月、お話しのとおり、義足や人工関節を使用されている方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、外見からわからなくても援助や配慮を必要としている方のためのマークとしてヘルプマークを作成し、都営大江戸線で配布や優先席へのステッカー表示、車両内へのポスター掲示等を開始いたしました。
 平成二十五年七月からは、これらの取り組みを都営地下鉄、都営バス等の全ての都営交通に拡大し、平成二十六年七月からは「ゆりかもめ」、多摩モノレールにおいて、さらに今年度は都営、民間バス事業者十七社でも取り組みを開始しております。
 また、平成二十六年度から、ヘルプマークの広報等の取り組みを行う区市町村を包括補助により支援するとともに、民間企業等によるマーク活用推進のための特設サイトの開設や、都営大江戸線での車内モニターの放映など、さまざまな媒体等を通じてマークの普及啓発に取り組んでいるところでございます。

○和泉(武)委員 東京都でいろんな取り組みをされている、そして、都営交通等でもさまざまな取り組みをされているということは確かに承知をしております。
 ただ、問題は、障害を持たれている方というのが、東京都内だけじゃなくて都外にも移動するということがやはり当然あるわけでありまして、そういった意味では、他の道府県とか、あるいは民間の企業とかから、さまざまな問い合わせがある中でも、JR等はまだまだ難しい、協力がいただけないと、こんな状況もあるのも承知しております。
 その中で、パラリンピックの開催をされるときには多くの方が東京に訪れるわけであって、また、東京からさまざまな場所に移動されるのも事実でありますから、こういったより広範的な普及啓発というものが重要なのではないかというふうに考えております。
 近隣の自治体を含めて、より多くの方にこのマークを知ってもらって、そして、このマークの意味を理解してもらう必要があると考えますけれども、その取り組みについてをお伺いいたします。

○高原障害者施策推進部長 ヘルプマークを身につけた方が都外でも適切な援助を受けられるよう、より広域的な普及を図っていくことは重要と考えております。
 一方で、京都府など遠方の自治体を含めまして、都外の自治体からも、マークの活用について多数問い合わせを受けております。
 このため都では、多様な主体により、多様な場所でマークが活用されるよう、ヘルプマーク作成・活用ガイドラインを策定し、他の自治体や企業等によるマークの活用を推進しております。
 さらに、国に対しては、障害者に対する理解促進のためのマーク等について一層の普及を図るよう提案要求をするとともに、千葉県や神奈川県など近隣の自治体に、マークの普及について協力を依頼しております。
 引き続き、国や他の自治体等への協力依頼、情報提供を行うなど、ヘルプマークが広く理解を得られるよう、普及啓発に取り組んでまいります。

○和泉(武)委員 どうかお願いでありますから、都は、ぜひもっともっと強力に区市町村に働きかけを行っていただきたい。
 確かに、区市町村の障害者の担当の窓口のところですら、まだ理解してない自治体というのも結構ある状況であります。ですから、この問題、交通局は確かに頑張っているとは思いますけれども、さらにやっぱり各局横断的にこの取り組みを進めていっていただきたいと思いますし、東京発のこのマークを十分に全国に知らしめていただきたい。このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、地域包括ケアシステムについて質問をさせていただきます。
 地域包括ケアシステムの成功というものが、実はこれからの東京での地域の療養生活の成功の鍵というものを握っているというふうに考えられます。そのため、地域包括ケアシステムの最初のフレームづくり、あるいは区市町村事業であるこのシステムをいかに都がきちっと対応していくかということが重要であります。
 確かに、東京都は十二月に東京都長期ビジョンとか、あるいは三月に第六期東京都高齢者保健福祉計画、こういったものでさまざまな施策というものを盛り込んでおりますけれども、地域包括ケアシステム、この言葉がひとり歩きしているという状況も否めないわけではありません。ですから、この地域包括ケアシステムの本質というものをどういうふうにして理解するかということが重要な課題であります。
 こういった中で、現在、幅広い分野の有識者から成る検討会、この会議を立ち上げて、そして、東京ならではの地域包括ケアシステムのあり方を検討しているという状況でありますけれども、まず、この検討会議を設置した目的についてお伺いしたいと思います。

○西村高齢社会対策部長 多くの高齢者は、たとえ介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で生活したいと望んでいることから、都はこれまでも地域包括ケアシステムの構築に向けた施策を展開してまいりました。
 今後、介護需要の増大、ひとり暮らし高齢者や高齢夫婦のみの世帯の増加などが見込まれる中、地域包括ケアシステムの構築を進めていくためには、行政の部局の垣根を越えて政策を連携させ、地域の力や民間の力も活用して、さらなる施策を展開していくことが必要でございます。
 また、東京は、地縁による人と人とのつながりが希薄といわれる一方、都民の地域活動への参加意欲は決して低くなく、NPOなどの多様な事業主体や豊富な経験と知識を持った人材も集まっております。
 本年七月に立ち上げました福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議は、こうした東京の特性も踏まえながら、幅広い視点から東京にふさわしい地域包括ケアシステムのあり方の議論を行っていただき、都の新たな施策形成につなげていくことを目的としたものでございます。

○和泉(武)委員 重要なのは、東京ならでは、東京だからというところが重要だと思うんですね。東京の特殊性というものをいろいろなところで感じるわけです。
 例えば、皆様方がご存じのように、いわゆる二次保健医療圏の問題とか、あるいは小規模多機能の東京でのあり方なんていうのも、これも東京ならではの特殊性というものがあるとは皆様方も存じていると思うんですね。そういった東京ならではということの議論というものを、検討会でも十分に行っていただきたいというふうに思っております。
 私自身、いろいろな県で勤務していたこともありますけれども、その中で、地域によって、患者さん自身の意識とか、あるいはほかの職種の方々のかかわり方の意識というのが全然異なっている印象というのは大変強く感じるわけです。
 例えば、いい方は悪いですけれども、地方に行くと、もうそこしかない、患者さんもほかに行く場所がない、そしてこの人に頼るしかない、そういう現状もありますけれども、東京は、逆にどういった選択肢もまたあるということもあるわけです。ですから、東京ならではということについて、しっかりと検討を進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、検討会議の設置から、現在までで約四カ月が経過いたしました。その現時点での検討の進捗状況についてお伺いをいたします。

○西村高齢社会対策部長 検討会議では、地域包括ケアシステムの幅広い議論を整理するために、医療と介護、介護予防と生活支援、高齢期の住まい方の三つのテーマごとに検討を進めております。
 九月までに会議を四回開催しまして、三つのテーマについての議論が一巡したことから、議論から見えてきた課題と考えられる対応策等について記載した中間のまとめを十月に公表いたしました。
 医療と介護の分野では、ロボット介護機器の効果的な活用や、地域でのみとりに着目した支援と研修の必要性などが提言されております。
 介護予防と生活支援の分野では、住民参加による地域ぐるみの介護予防の推進や、認知症になっても在宅生活を継続するためのケアモデルの普及などが提言されております。
 また、高齢期の住まい方の分野では、空き家等の活用を含めた低所得高齢者等の住まいの供給や、住民同士が支え合う多世代共生の住まい方などが提言されております。
 今月には五回目の会議を開催しまして、医療と介護の分野について、在宅療養の推進や地域密着型サービスの普及、介護人材の確保等に関する議論を行いました。
 今後、年度末に予定されている検討会議の最終報告に向け、仕事と介護の両立支援策、若年性認知症対策、低所得高齢者等の住まいの確保などの重要な論点について引き続き検討を進めてまいります。

○和泉(武)委員 確かに、今の答弁にもありましたように、また、私もその中間報告を見させていただきましたけれども、とりわけ先ほどの地域でのみとりに注目した支援という中で、みとりの問題ということが大変重要な課題になっているというふうに思っております。
 在宅でみとれるという状況があれば、それが望ましいともいわれていますけれども、それだけではなくて、やはり施設なんかでも、とりわけついの住みかである特別養護老人ホームとか、有料老人ホームとか、あるいはグループホーム、こういったところでのおみとりの仕方ということがこれからの大きな課題になってくるというふうに思っております。
 もちろん、国の制度でなかなかみとることができないという現状もあるから、そういった問題は、また置いておかなければならない課題だと思いますけれども、具体的には、例えば医師が、特養に入るときには担当の医師じゃなくて、がん末期じゃないと入れない、もしくは特殊専門家でないと特養に往診では入れない、こういった特別な事情があったりとか、あるいは、この間の診療報酬の改正で集団の施設では点数の引き下げがあったりとかいうことで、なかなか在宅に準じた形での施設でのおみとりということが難しいというのはあるんですけれども、しかしながら、やはりみとりの問題というものを、これは都としてしっかりと、また検討していかなきゃいけない課題だと思います。
 今回、そのみとりの問題について、どのような課題、あるいはどのような対応策というものが示されて、そして今後、都はどのように対応していくのかということについてお伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 検討会議におきましては、現状では、短期集中的なケアが必要な終末期のがん患者等への支援が不十分であるという課題や、ひとり暮らしの人を在宅でみとるための体制が不十分であるといった課題が指摘されました。
 こうした課題に対応するために、みとりができる環境の整備を進めるため、みとりの機能に着目した支援策や、医療、介護人材に対する研修等の必要性が示されました。
 今後、中間のまとめで示された提言も参考にしながら、高齢者が住みなれた地域で、その人らしい充実した人生を全うできるよう、みとりのための環境整備を進めてまいります。

○和泉(武)委員 ありがとうございます。
 ぜひ、そういった形でしっかりとみとりのための環境整備というものを進めていっていただきたいというふうに思います。
 次に、認知症の対策についてお伺いをいたします。
 今回、地域包括ケアシステムの一つの枠組みである認知症疾患医療センターが、今回、拠点型の認知症疾患医療センターが十二カ所あったのが、連携型も含めて四十一カ所ということでふえました。これに関しては、要は地域包括ケアシステムと絡むような話でありますから、各区市町村で認知症疾患医療センターがあるということは、各区市町村と連携をとって認知症対策に取り組めるという意味では大変意義のあるものだと思っております。
 しかしながら、認知症疾患医療センターというものは、いわゆる大学病院でも認知症疾患医療センターになっていたり、あるいは一クリニックでもあったりということで、さまざまな医療機関が一つの認知症疾患医療センター連携型というふうになっておりまして、それらの情報の共有というものが重要であり、また、その活動をおのおのの病院が進めていく上では、いろいろな問題が生じるということが予想されております。
 そのためには、これからも都の指導とか、あるいは支援というものがかなり重要になってくるというふうに思っております。
 そこで、各認知症疾患医療センターが関係機関との連携を円滑に図りながら活動を着実に進めていくための都としての指導の仕方、もしくはどのように支援をしていくのかということについての所見をお伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 都は、地域連携型認知症疾患医療センターとして新たに二十九医療機関を指定した後、地域拠点型認知症疾患医療センターの十二病院も合わせて、四十一医療機関の関係者に一堂にお集まりいただき、十月八日に、都庁で地域拠点型、地域連携型認知症疾患医療センター合同情報交換会を実施いたしました。
 情報交換会では、都から認知症疾患医療センターとしての活動の進め方について説明をするとともに、四十一医療機関から今後の活動計画についてご発言をいただきました。
 今後、都内を四つのブロックに分けて、十医療機関程度ずつの規模で各センターの取り組み内容や課題について情報交換を行う会を開催し、各センターの活動の促進を図ってまいります。
 また、各センターから毎月、診断件数、相談実績、関係機関との打ち合わせに係る実績報告の提出を受け、各センターの活動状況を把握し、必要な助言を行っております。
 さらに、地域拠点型認知症疾患医療センターが開催する認知症疾患医療・介護連携協議会は、区市町村、地区医師会、地域連携型センター等の関係者が一堂に会して意見交換を行う重要な場であるため、都の担当者も出席してセンターの役割について説明を行うなど、今後ともセンターの活動を支援してまいります。

○和泉(武)委員 合同情報交換会というのも、大変有意義な会だったと私は認識しております。
 また、ブロックに分けてという考え方というのも大変重要なことだと思いますし、そういった形で、認知症疾患医療・介護連携協議会というものも含めて、連携をしっかりと--各医療機関の横のつながりというのが大変重要な課題だというふうに思っておりまして、情報の交換の場、情報に非常に飢えているというのが現場の認識だというふうに考えておりますので、そういった取り組みというものをこれからもお願いしたいというふうに思います。
 しかしながら、残念ながら区市町村によっても、各区市町村で認知症施策に対する考え方の差というものがあるというのが現状であると思います。取り組みがまだまだおくれている区市町村というものがあると思いますので、その底上げというものが重要な課題だというふうに思います。
 全ての区市町村において認知症施策が十分に実施されるように、都としてはどのような支援を行っていくのかお伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 都は、各区市町村における認知症施策の推進を図るため、区市町村の認知症施策担当者を集めた会議を年三回開催し、国や都の最新の認知症施策の情報提供や都内自治体の先駆的な取り組みの事例発表、認知症施策の課題についての意見交換等を実施しております。
 また、地域拠点型認知症疾患医療センターが開催する認知症疾患医療・介護連携協議会におきまして、各区市町村の認知症施策の取り組み状況を発表する時間を設けて情報共有を図っております。
 さらに、区市町村単位で設置している地域連携型認知症疾患医療センターでは、区市町村とともに認知症の人の支援に携わる医療、介護関係者のネットワークづくりを推進し、認知症の人と家族を支える地域づくりを進めてまいります。
 島しょ地域につきましては、専門職の認知症対応力を向上させ、認知症施策の推進を図るため、昨年度から、東京都健康長寿医療センターの医師、精神保健福祉士、臨床心理士等の専門職チームが訪問して研修会を開催しておりまして、今年度で島しょ地域の全町村を一巡する見込みでございます。
 今後とも、全区市町村における認知症施策の推進を図ってまいります。

○和泉(武)委員 ありがとうございました。
 いろんな試算がありますけど、認知症の患者もしくはMCI、認知症の予備軍の方々というのを合計すると、もう相当な人数だというふうにいわれております。
 ですから、認知症の施策というのは恐らくもう待ったなしの状況で、この取り組みというものを、今でも十分都は頑張っておると思いますけれども、さらに加速していかなきゃいけないというふうに思っております。
 都がこの取り組みの加速化を図るために、認知症施策をさらにどのように進めていくのか、これについてもお伺いいたします。

○西村高齢社会対策部長 都は、本年三月に策定した第六期高齢者保健福祉計画におきまして、認知症施策を重点分野として位置づけ、地域連携の推進と専門医療の提供、専門医療や介護地域連携を支える人材の育成、地域での生活、家族の支援の強化の三つの目標を掲げ、さまざまな施策を推進しております。
 今後とも、急増が見込まれる認知症の人とその家族を地域で支えるため、区市町村ごとの認知症疾患医療センターの設置、認知症アウトリーチチームや認知症支援コーディネーターの配置といった都独自の取り組みを進めながら、区市町村や認知症疾患医療センター等の関係機関と密接な連携を図り、地域の実情に即した認知症施策の一層の推進を図ってまいります。

○和泉(武)委員 なかなか難しいとは思うんですけれども、できるだけ都が積極的に関与を進めていっていただきたいというふうに思います。
 やはり、地域では、例えば医師会が主導であったりとか、行政が主導していたりとか、あるいは、もしかしたら一医療法人が主導していたりとか、地域でさまざまな取り組みをされながら、主導している場が異なるということもあるわけでありますから、ぜひ情報の交換、共有というものをしっかりしていきながら、東京都にとって何が認知症施策にとって一番いいのかということを考えながらの政策をお願いしたいというふうに思っております。
 最後に、リハビリテーション、地域リハビリについてお伺いしたいと思います。
 高齢化が急速に進む中で、リハビリの重要性というのはますます高まっていると思うんですけれども、最近では、制度改正等によって理学療法士、作業療法士あるいは言語聴覚士の有資格者がかなりの数、ふえてきているというのが現状であります。
 しかしながら、最近急増しておりますので、若い人たちが非常に多いわけであって、以前はPTとかOT、STを探すのにも大変苦労していたと思うんですけれども、最近ではたくさんの若いPT、OT、STの方がおられます。
 しかしながら、その中で、仕事場というのは、大体小さな医療機関であったりとか、デイサービスであったりとか、あるいは、昔の制度の名残じゃないですけれども、訪問看護ステーションにいたりとか、そういったちっちゃなところで仕事をされている方が多いわけでありまして、この方々の実務経験もしくは知識を育成していくような体制が重要な課題の一つだと思います。
 今回、東京都はリハビリの質の向上とか、もしくはその底上げを図るために若手職員の育成に着手しておりますけれども、今年度新たに開始した若手の理学療法士、作業療法士の育成について、事業の内容、あと今後の予定についてお伺いいたします。

○矢沢医療政策担当部長 都は、リハビリテーションを担う若手の人材を育成するため、実務経験が五年未満の地域の医療機関等に従事している理学療法士や作業療法士を対象とする研修を開催いたしました。
 研修の期間は十日間でございまして、多くの症例に実際にかかわりながらリハビリテーションを学べる実践形式の内容としております。
 今年度は、都が二次保健医療圏ごとに指定しております地域リハビリテーション支援センターのうち、区西南部の初台リハビリテーション病院、区東部の東京都リハビリテーション病院及び北多摩西部の村山医療センターの三カ所で実施をいたします。
 来年度以降は、実施するセンター数を順次ふやし、研修規模を拡大してまいります。

○和泉(武)委員 先ほども話をさせていただいたように、その就職先というのが非常に小さな規模の医療機関もしくは介護施設なんかが多いという状況で、いわゆるOJTがなかなかできない、やっぱりOff-JTでやっていかなければならないという現状があるわけです。
 育成する側もそうですし、教える側の人材という問題が、非常に今課題となっているという状況ですので、東京都がこういったリハビリの技術の向上のための研修というものを行っていくというのは極めて重要なんだろうというふうに認識しております。
 来年度以降も、今、研修規模はおっしゃっていましたけど、これをさらに拡大していっていただきたいというふうに思っております。
 先ほど質問させていただいた地域包括ケアシステムの構築というのが、当然、喫緊の課題ですけれども、リハビリテーションというのが、その中でも重要な位置づけになってくるんだろうというふうに思っております。
 リハビリというのは、当然、予防から始まって急性期、それから回復期、維持期、生活期に至るまで、あらゆる場面で必要となってくると思うんですけれども、急性期というのは、今まで病院でリハビリをいろいろ推奨してきたと。しかし、その後のリハビリというのはまだまだしっかりと確立されたものはないということがありますので、とりわけ高齢者がふえていく中で、QOLをより高めていくために、要は、地域のリハビリテーションの提供の体制というのがこれからの大きな課題だというふうに思っております。
 都は、二次保健医療圏の中で、地域のリハビリの中核となっている地域リハビリテーション支援センター、こういったものを指定して、そして、さまざまな活動というものを展開しておりますけれども、地域のリハビリテーションの提供体制の充実に向けて、今後どのように取り組まれるのかをお伺いいたします。

○矢沢医療政策担当部長 都はこれまで、地域リハビリテーション支援センターにおきまして、圏域ごとに理学療法士等の技術向上を図るための症例検討会、訪問通所リハビリテーションの利用促進に向けました介護支援専門員に対する研修や、地域の関係機関の連携強化を図るための連絡会などを開催してまいりました。
 また、昨年度からは、十二カ所ございますセンター間の連携を強化するため、連絡会を定期的に開催し、それぞれの取り組み状況について意見交換を行うなど、情報の共有化を図っております。
 今後は、先ほど申しました若手の理学療法士等に対する研修を全てのセンターに拡大していくなど、センターの活動を強化し、地域におけるリハビリテーションの提供体制を一層充実してまいります。

○和泉(武)委員 リハビリテーションの提供体制の充実というものをぜひお願いしたいと思います。
 リハビリセラピストが就職のための面接のときに必ず聞かれることは、どういった研修がここではできますか、どういったスキルアップをすることができますかということが、面接のときに面接を受ける者が必ずいう内容なんですね。ですから、若い人たちが研修というものをすごく重要視しているということがわかりますので、ぜひ研修の充実体制というものをお願いしたいというふうに思います。
 今まで在宅の医療というものは、十年ぐらい行っている中で痛感したのが、医療の体制、そして看護の体制というものは当初から重要性というのが認識できていたわけですけれども、そのときに常に思っていたのが、脳梗塞で退院された患者さんが在宅に戻ったときに、せっかく在宅で暮らせると本人も喜んで、家族も喜んで、その中で、地域の中でリハビリの体制が十分ではないと。それによってすぐに逆戻りしなきゃいけない、そういう現状がずっと続いてきたわけです。
 ですから、こういったリハビリの重要性というものを、今後とも重要なのは、医療とか、もしくは介護というものが連携をして、そして、福祉保健局の皆様方が一丸となって取り組みを進めていただければというふうに思っております。
 そこで最後に、今後のリハビリテーション施策の推進に向けた局長の決意を伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 今、委員からるる地域におけるリハビリテーションの重要性というお話がありました。それとともに、地域包括ケアシステムの構築ということの重要性というお話がありました。
 都におきましては、これまで、高齢者がたとえ医療や介護が必要となっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、医療、予防、介護、住まい、生活支援が一体的に提供される、まさに地域包括ケアシステムの構築というのが急務になっているというふうに思っております。
 お話にもありましたけれども、リハビリテーションはその中の重要な要素の一つでございまして、低下した身体機能の回復だけではなくて、より健康な生活を継続していくための支援であり、高齢者のQOLの向上に必要不可欠なものとなっております。
 一方で、地域におけるリハビリテーション提供体制の充実や、それを支える地域人材の確保、育成、また、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職と介護職の連携など、今後解決すべき課題も多々あるというふうに思っております。
 リハ医療というのは、昔、私が衛生局の企画主査をやっていた時代、このリハ医療というものの専門調査委員会というのを平成二年から五年ぐらいにかけて検討したことがありました。
 このときから私が非常に痛感していたのは、本当にリハビリテーションというのが、いわゆる早期、専門、地域--急性期、回復期、維持期、この三相体系というのをその当時いっていて、改めてそのときに出された都のリハ医療システムの構築に向けてというのを読んでみますと、マンパワーの確保と資質の向上、三相間の連携体制、保健、医療、福祉の連携ということが書かれています。
 二十数年たっているわけでありますけれども、その中で、特にリハの中でも、例えば専門病床であるとか、急性期医療であるとか、施設整備だと。こういうものはこの二十数年間の中で大きく変わって、非常に充実されてきた。
 それから、お話にもありましたけれども、まさに人材の確保、もともとOT、PTが足らないということから、育成、その資質の向上というものに中身は変わってきているというふうに思います。
 それと、やっぱり制度自体が、老人福祉法、当時の状況に比べて、介護保険制度ができた中で、介護保険制度も十年以上たっているわけですが、ますます保健、医療、福祉の連携というものの重要性、特に地域における重要性というのが必要になっているというふうに思います。
 私どもといたしましては、今後、このリハ医療、リハビリテーションというものの施策というもの、先ほど課題を幾つか挙げさせていただきましたけれども、こうした解決に向けて、これまで進めてきた地域ごとの取り組みというのを加速させながら、リハビリテーション施策の推進に全力で取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

○和泉(武)委員 ありがとうございました。
 まさにその二十数年前の施策が実現に向かって進んでいるということで、先ほども話したように、急性期と回復期、維持期、この連携がしっかりとれることが重要な課題なんだろうというふうに思いますので、どうかその点も含めて、都の施策、頑張っていただきたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○高倉委員 それでは、三点についてお伺いをいたしたいと思います。
 最初は、産後ケアについてであります。
 私ども公明党は、特に出産、育児にかかわることにつきまして、親の負担の軽減といった側面も含めて、さまざまな支援体制の整備を推進してきたところでございます。
 幾つか例を挙げますと、不妊治療への支援、あるいは妊婦健診の必要な十四回への公費助成、あるいは出産育児一時金の拡充、また子ども医療費の無料化、さまざまなことについて推進をいたしてまいりました。
 こうした切れ目のない支援といったものは、出産、育児への支援ということについて、私どもは大変重要であるというふうに思っております。
 そうした中で、今後の課題の一つとして産後ケアといったことがあるのではないかというふうに考えております。
 私ども都議会公明党では、昨年、東京都に対しまして、安心して産み育てられる東京にという第一次提言を行いましたけれども、その中で、地域の総合子育て支援を重要な柱の一つと位置づけまして、フィンランドのネウボラを参考にした切れ目のない子育て支援体制の構築を求めたところでございまして、このことについては、都議会の定例会や委員会においても質問をしてきたところであります。
 東京都におきましても、ことし三月に策定をしました東京都子供・子育て支援総合計画の中で、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の仕組みづくりを目標の一つに掲げております。
 そこでまず、妊娠期からの切れ目のない支援の仕組みを整えていくために、都はどういった取り組みを行っているかについてお伺いをしたいと思います。

○手島少子社会対策部長 都は今年度から、区市町村が子育て家庭を妊娠期から切れ目なく支援できるよう、ゆりかご・とうきょう事業を開始しております。
 この事業は、妊娠届の提出時等に育児パッケージを配布するとともに、保健師や助産師等が全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、必要に応じて支援プランの作成や訪問型の支援を行うものでございます。
 また、任意事業として、子育て経験者等による相談支援や、宿泊やデイサービス等の産後ケアに加え、これらを実施する場所の整備費用についても支援を実施しているところでございます。
 都は、こうした区市町村の取り組みに係る経費を全額補助しているところでございます。

○高倉委員 先ほど申しましたように、産後ケアということは妊娠期から子育て期の母親に対する支援の中でも特に重要でありまして、最近、注目されてきているというふうに思っております。
 ただいま答弁の中で、都は、ゆりかご・とうきょう事業の中で産後ケアに取り組む区市町村を支援するということでありましたけれども、今年度の区市町村の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。

○手島少子社会対策部長 今年度は、十三区市町村がゆりかご・とうきょう事業を実施する予定となっております。
 そのうち、産後ケアも実施するのは文京区、中野区、杉並区の三区で、地域の実情に応じ助産院等に委託するなどして実施をしております。
 また、都は、平成二十二年度から、産後のショートステイや相談事業などを実施する区市町村を包括補助事業で支援しており、今年度も四区市が取り組んでおります。
 都は、今後とも、こうした事業を通じて、より多くの区市町村が産後ケアに取り組めるよう支援してまいります。

○高倉委員 ただいまの答弁にもありましたけれども、私の地元であります中野区でも、都のゆりかご・とうきょう事業を早速活用しまして産後ケアに取り組んでいるわけであります。今、答弁にもありましたけれども、地域の助産師の専門性も生かした取り組みということで進めているわけであります。
 一方、民間においては、産後ドゥーラといったような取り組みがありまして、産後ケアの専門性を身につけた人材が産後ケアに当たっているといった取り組みもありまして、こういった点を私は注目しているところでありますけれども、いずれにしても、今後、都内でより多くの自治体が妊娠期からの切れ目ない支援の体制を整備することが望まれるわけであります。
 特に産後ケアの取り組みがさらに広まっていくように、都としても積極的に区市町村に働きかけていただきたいと思います。
 自治体の取り組みについては、東京都内で大きな差が出ることのないように支援をしていくということが東京都の役割であるというふうに思いまして、ぜひそうした対応をお願いしたいと思います。
 続きまして、二点目に重症心身障害児者施策についてお伺いをしたいと思います。
 先日、重症心身障害児者の通所施設に通う利用者の保護者の方々と対話の機会を持ちまして、さまざまな要望事項、またさまざまな課題について直接お話をする機会がございました。
 特に、在宅で生活をされている重症心身障害児者とのご家族は、大変なご苦労をされているということを実感した次第でございます。
 そこでまず、在宅の重症心身障害児者に対しまして、都として行っている支援について、簡潔にお述べいただきたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 都では、重症心身障害児者が、必要とするサービスを利用しながら希望する地域で安心して暮らせる社会の実現を目指し、施策を展開しております。
 具体的には、重症心身障害児者通所事業により、在宅の重症心身障害児者の日中活動の場を確保し、日常生活の動作訓練や運動機能等の低下防止など、必要な療育を実施しております。
 また、施設等に短期間入所し、入浴、排せつ、食事の介護等を行う短期入所に対する病床確保事業や、訪問看護師が自宅に出向いて、家族にかわって一定時間、ケアを代替する在宅レスパイト事業も実施しております。
 さらに、重症心身障害児のNICU等からの在宅移行支援と在宅での療育支援を図るために、家庭に看護師を派遣し、看護技術の指導や療育相談などを行う在宅療育支援事業を実施しているところでございます。

○高倉委員 都として、在宅の重症心身障害児者に対してさまざまな支援を行っているということであります。
 先ほど申し上げましたように、保護者の方々とさまざまな意見交換をする中で、たくさんの要望があったわけであります。
 本来であれば一つ一つお聞きしたいぐらいの話でありますけれども、その中で、特に参加した方々から共通してあった要望の中では、やはり短期入所についての要望がございました。特に緊急時の利用が非常に難しい状況にあると、こういったお話が何人もの方から聞かれたわけであります。
 短期入所は、在宅の心身障害児者を支える事業としましては非常に重要でありまして、都としても積極的に取り組むべきであるというふうに思います。
 そこで、重症心身障害児者の短期入所についての都の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 都では、介護者の病気や家族の都合等により一時的に家庭での療育が困難になった場合に利用できるよう、短期入所に対する病床確保事業を実施し、平成二十七年十一月一日現在で、四カ所の都立療育センターにおいて六十八床、民間施設等九カ所において三十六床、合計百四床を確保してございます。
 また、超重症児等受入促進員配置事業を実施いたしまして、民間の施設に高い看護技術を持った看護師を受入促進員として配置することにより、特に医療ニーズの高い重症心身障害児者の積極的な受け入れを促進してございます。

○高倉委員 現在、百四床分、病床を確保しているということであります。
 そういう中で、先ほど申し上げましたように、やはり非常に強い声としてありましたのは、予約をするにしても何カ月もかかってしまうと。ましてや緊急時、そして使いたいときにはなかなか使えないというような声があったわけでありまして、ぜひとも今後、都として短期入所事業の充実に努めていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 それから、重症心身障害児者の中には、濃厚な医療ケアが必要であるために、訪問看護を利用している方も多くいらっしゃるわけであります。私もさまざまな方とお話をした中で、このサービスを利用された方がいたわけでありますけれども、そのときに出されたお話としまして、重症心身障害児者になれている看護師が足りないと--つまり、どういう対応をしていったらいいのかといったようなノウハウについて、十分に身につけていないのではないかというような声も多く聞かれたわけであります。
 重症心身障害児者へのサービスを充実させていくためには、こうした人材の確保ということは大変重要な課題であるというふうに思いますけれども、重症心身障害児者に対応できる看護師の育成ということについての都の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 都では、地域において重症心身障害児者に対応できる訪問看護人材を育成するため、訪問看護師等育成研修を実施し、重症心身障害児に特有な症状への看護、在宅での呼吸管理や栄養管理等に関する知識や技術を習得するための研修や訪問実習を行っております。
 また、施設における看護人材の確保、育成を図るため、重症心身障害児施設における看護師確保対策事業により、看護師基礎講座や重症心身障害プロフェッショナルナース育成研修を実施するほか、日本看護協会の認定看護師資格取得のための派遣研修を行っております。

○高倉委員 さまざまな取り組みを行っているということでありますけれども、こうした人材の育成ということは極めて重要であると思いますので、ぜひとも引き続きしっかりとした取り組みをお願い申し上げたいと思います。
 重症心身障害児者のことの中で、府中療育センターの改築についてお伺いをしたいと思います。
 府中療育センターは開設から四十年以上が経過をいたしまして、施設が老朽化、狭隘化をしておりますことから、現在、全面改築に向けて準備が進められているところでございます。
 私も、毎年行われておりますこの施設利用者の保護者会の総会の場に、都議会公明党を代表して出席をさせていただいておりますけれども、さまざまなご要望があります。そしてまた、都が全面改築に向けて極めて積極的に取り組んでこられたということについては、家族の方々も大変高く評価をされていると思います。
 そこで、この府中療育センターの改築についての計画の概要と現在の進捗の状況についてお伺いをしたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 府中療育センターの改築に当たりましては、旧都立府中病院跡地に重症心身障害児等の通園や外来診療等を行っております多摩療育園と一体的に整備し、乳児から成人までを対象に総合的な療育を行う施設とする予定でございます。
 さらに、改築後には、両施設の約一・五倍の床面積を確保することなどにより入所者の生活の質の向上を図るとともに、ニーズの高い短期入所の増床を行うなど、重症心身障害児者に対する支援を充実強化する予定でございます。
 また、改築の進捗状況でございますけれども、平成二十六年九月に基本設計を完了し、現在は、平成三十一年度の建物竣工に向け、実施設計を行っているところでございます。

○高倉委員 平成三十一年度の建物の竣工に向けて、ぜひ着実な取り組みをお願い申し上げたいと思います。
 利用している利用者の家族会の方々からは、やはりさまざまなご要望があるわけであります。もちろん、施設の内容についてのご要望もあるわけであります。
 また一方、入所者の方々が、新しい施設が完成した暁には建物の外に出まして緑の中で森林浴ができるように、車椅子でも緑の中を通り抜けられるような通路も確保していただきたいと、こういった要望もあるわけであります。
 いずれにしましても、改築に当たりましては、こうしたさまざまな利用者家族会の方々からの声にきちんと耳を傾けて進めるべきであるというふうに思いますけれども、この点についてのご見解をお伺いしたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 府中療育センターでは、日常的に利用者家族会の役員との意見交換を行っております。
 また、改築に当たりましても、基本設計完了時に家族会に対して設計の概要等について説明を行うとともに、設計期間中にも、これまで計四回の意見交換の場を設けております。
 引き続き、利用者家族の声を聞きながら、きめ細やかな対応を図ってまいります。

○高倉委員 最後、三点目に、動物との共生ということについてお伺いをしたいと思います。
 私ども都議会公明党では、会派の中に動物との共生を進めるプロジェクトチームを立ち上げておりまして、犬や猫などの伴侶動物を初めとする動物の命を大切にする施策のあり方につきまして、さまざまな調査検討を進めているところでございます。
 こうした取り組みの中で、動物の致死処分をなくすためのさまざまな取り組みを初めとして、さらには、これから高齢化がますます進展をしてくる中で、行き場を失う伴侶動物といったものが出てくる、こういうことも見据えまして、高齢者対策との連携の中でも動物との共生を進める必要があるというふうにも考えているわけであります。
 このうち、動物の致死処分をなくしていくということにつきましては、都の施策の中でも重要なものというふうに位置づけまして、これまでも積極的に取り上げてきたところであります。
 現在、致死処分につきましては、都の取り組みによりまして減少してきているというふうに認識をいたしております。
 そこで、この致死処分についてでありますけれども、どのような場合に、収容した動物がその対象になるのか、また、過去十年間の致死処分数の推移とその内訳についてお伺いをしたいと思います。

○小林健康安全部長 引き取り収容した動物が、生まれて間もないため育成困難な場合や、負傷等により耐えがたい肉体的苦痛にある場合などについて、致死処分を実施しております。
 都における致死処分数は、十年前の平成十七年度は六千五百九十八頭でございましたが、平成二十六年度は千百二十頭であり、約六分の一に減少しております。
 致死処分数の内訳で、子猫が占める割合が最も多い傾向は変わらず、平成二十六年度は約六割を占めております。

○高倉委員 ただいまの答弁によりますと、この十年間で六分の一に減少しているということであります。
 このことについては福祉保健局としても全力で推進をされてきたものというふうに思いますけれども、致死処分数を大きく減少させるためにどういった取り組みを行ってきたのかについてお伺いをしたいと思います。

○小林健康安全部長 飼い主のいない猫から生まれた子猫の致死処分数が多いことから、都は、飼い主のいない猫対策として、不妊去勢手術や普及啓発等に取り組む区市町村を包括補助事業により支援しております。
 また、ボランティア団体との連携により、引き取り収容した動物の譲渡を推進しております。
 さらに、ポスターやリーフレット等を作成、活用し、講習会やイベント等において、動物の適正飼養、終生飼養について普及啓発を実施しているところでございます。

○高倉委員 ことしの第二回定例会の都議会公明党の代表質問におきまして、動物の致死処分をなくしていくための動物との共生を進める施策について取り上げたところでありますけれども、それを受けて、都は今年度、新たな取り組みを実施されております。
 私も、都議会公明党の同僚議員とともに、その現場で取り組み状況をつぶさに見させていただきましたけれども、今年度新たに行った取り組みについて説明をお願いしたいと思います。

○小林健康安全部長 より多くの都民に命の大切さを理解してもらい、引き取り収容した動物の譲渡を進めるため、今年度、新たに都やボランティア団体の譲渡活動を紹介するイベントを都立公園や動物園で実施するとともに、動物愛護相談センターにおいて、犬猫の飼育を希望する親子を対象として、動物と触れ合うサマースクールを開催いたしました。
 また、子供向けに飼い主の責任や終生飼養についてわかりやすく解説した「犬を飼うってステキです--か?」のアニメを作成し、都内の全小学校に配布いたしました。
 今後とも、関係団体等と連携しながら、さらなる致死処分数の減少に向けて、終生飼養に向けた普及啓発や動物の譲渡などの取り組みを一層推進してまいります。

○高倉委員 ただいまの答弁で、都立公園あるいは動物園を利用したというお話もありました。本当に、こういう形も含めて、都の施設を積極的に使っていただきたいなと思っております。
 私も先ほど申し上げましたように、こういう新しい取り組みの中で、例えば井の頭自然園ですとか、あるいは葛西臨海公園で行われたイベントを見てきたわけでありますけれども、本当にたくさんの来園者がいる中で、そういうところにどんどん足を運ぶ方々がいらっしゃいました。その中で職員の皆さんは本当に一生懸命頑張っていらっしゃいましたし、また、ボランティアの方々とも一緒にやっていたというようなこともありまして、大変にいい取り組みではないかと思っておりまして、ぜひ今後とも拡充をしていただきたいなというふうに思います。
 今のご答弁でもありましたけれども、ボランティア団体の譲渡活動といったことは、致死処分をなくしていくためには大変重要なものであるというふうに思います。
 そこで、この都とボランティア団体での連携をした具体的な取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○小林健康安全部長 都は、動物愛護相談センターで引き取り収容した動物を譲渡するため、飼育経験が豊富で、譲渡活動に実績のあるボランティア団体を登録し、現在、四十七の登録団体を通じ、譲渡を実施しております。
 登録団体は、健康面や性格面に問題がある動物についても、治療や訓練等を行って新しい飼い主へ譲渡しております。
 また、動物愛護相談センターでは、譲渡対象となる動物のデータベースを構築し、登録団体とインターネットを通じて情報を共有しております。
 そのほか、先ほどの都立公園等で実施したイベントにおいても、登録団体が譲渡に関する相談コーナーを設置するなど、都と連携して譲渡事業のPR活動を行いました。
 今後とも、ボランティア団体との連携を一層強化してまいります。

○高倉委員 今、幾つか動物との共生にかかわることについて質疑をさせていただきました。
 最近、「犬に名前をつける日」という映画が上映中といいますか、公開中であります。動物との共生をテーマにした映画でありまして、私も先般、同僚議員とともにこの映画を見てまいりました。
 この映画の中では、いろんなボランティア団体の方々も出てくるわけでありますけれども、例えば、ちばわんなんていう名前の団体が出てくるわけでありますけれども、活発に動物の保護とか、あるいは譲渡会に取り組んでいる団体であります。
 その団体の会員あるいは協力者の方々が、行き場を失った動物を引き取って、それをそれぞれの自宅でもって飼育しまして、譲渡会という場にその動物を連れてきまして、新しい飼い主探しをしていると、こういったことなどをされているわけであります。
 本当に行き場を失った動物を何とかしていくためには、例えばある場所にそういう動物を保護する施設をつくるというようなことも必要だと思いますし、例えばこういうボランティア団体のように、より広いといいますか、たくさんの会員の方々が、行き場を失った動物を引き取って飼育しながら、また譲渡会を開いて新しい飼い主探しをしている、これは大変大きな引き取りのキャパシティーがあるというふうにも考えられまして、こういう取り組みにもぜひ目を向けていただければと思っております。
 私は以前、この団体が、品川区だったと思いますけれども、区の公共の施設、いわゆる区民が普通に利用する公共の施設を使って、広い範囲にわたってフロアを使って動物の譲渡会を開いていた、こういう現場も見させていただきましたけれども、今後とも、こういう動物の致死処分というものをなくしていくために、ぜひボランティアとも連携をしながら、自治体としても積極的な支援をしていっていただきたいと思います。
 また、最近、お隣の神奈川県のホームページ等を見ますと、知事が先頭に立ちまして、各界の著名人といった方々も協力をして、動物保護センター設置の寄附活動を歌を歌いながら呼びかけているというようなホームページがあります。
 多くの方々に協力を呼びかけていくという活動は、致死処分を減らしていくために、より理解を広げていくという意味では大変参考になる取り組みではないかというふうにも考えております。
 今後とも、こうした行き場を失った動物について、ぜひ適切な取り組みがさらに行われますように、都の取り組みを求めまして質問を終わりたいと思います。

○斉藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十七分休憩

   午後五時四十四分開議

○斉藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○和泉(な)委員 私からは、きょう、三つのテーマで質問させていただきます。
 まず初めに、放課後等デイサービスについてです。
 放課後等デイサービスは、平成二十四年に、児童福祉法の一部改正に伴って創設をされました。それまで障害者自立支援法に規定されていた児童デイサービスが、児童福祉法の法内事業に移行し、さまざまな特徴を持つ事業所がふえ、マスコミにも取り上げられています。
 この放課後等デイサービスが法内事業に移行する直前の児童デイサービス施設の数と、放課後等デイサービスに移行してからの施設数の推移について、まず伺います。

○高原障害者施策推進部長 児童福祉法改正に伴う法内事業移行直前の旧児童デイサービスの事業所数は、平成二十四年三月三十一日において百十四カ所で、移行直後の同年四月一日の放課後等デイサービスの事業所数は百十二カ所でございました。
 その後、各年四月一日時点で、平成二十五年二百十六カ所、二十六年三百七カ所、二十七年四百五十七カ所と増加し、本年十一月一日現在では五百七十八カ所の事業所が設置されてございます。

○和泉(な)委員 昨年度は百五十カ所の増加、そして今年度は七カ月で百二十一カ所の増加ということですので、ほかの福祉施設と比べても著しくふえているといっていいと思います。
 障害の程度や発達の度合い、子供の得意なことや興味の強いことなど、必要とする支援は子供や家庭の状況によってもさまざまですから、その意味で、特徴のある事業所がふえ、選択の幅が広がるのはもちろんいいことだと思います。
 しかし、一部に、障害に対する専門的知識、経験などを問わず開設でき、収益性の高いビジネスとして紹介するフランチャイズ企業なども見られ、質の確保が十分にできているのだろうかということが心配です。
 例えば、あるコンサルティングの法人は、放課後デイ開業運営支援と称して、一時的な相談で電話だけだと二万円、あるいは開業支援パッケージで最高三百五十万円、このような報酬を設定しています。
 フランチャイズ企業のホームページでは、これは月間です、二百十万円の売り上げで営業利益が九十万円、また、別のフランチャイズ企業のホームページでは、三百万円の売り上げで百万円の月間利益、こういった宣伝が行われているんです。高い収益が見込めるビジネスとして喧伝され、その中から、前例のような高額のコンサルティング料を得るという事業もあるようです。このような状況に対する質の確保への懸念から、ことし四月に放課後等デイサービスガイドラインが出されたんではないんでしょうか。
 現に、昨年七月に取りまとめられた障害児支援の在り方に関する検討会報告書では、支援の一定の質を担保するための全国共通の枠組みが必要であるため、障害児への支援の基本的事項や職員の専門性の確保等を定めたガイドラインの策定が必要であるとして、特に平成二十四年度に創設した放課後等デイサービスについては、早期のガイドラインの策定が望まれるという提言を行っています。
 今後、新規の開設に当たって、ガイドラインを使って質の確保を担保する必要があると同時に、既に開設をされた施設に対してもそのようなチェックが必要ではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○高原障害者施策推進部長 都では、放課後等デイサービスについて、事業所の開設等に関する独自のマニュアルを作成し、事業者に周知、指導をしているところでございます。
 事業者が新規事業所を開設する際には、指定希望月の四カ月前までに、療育内容や区市町村への相談内容等を記載した事前調査票の提出を求め、事前相談を実施しております。
 また、指定に当たりましては、建物の図面や人員要件等を記載した指定申請書類について、厳正な審査を行うことはもとより、別途日時を指定し、管理者等に対する面接を行うほか、事業予定地の現地確認も行っております。
 なお、国の放課後等デイサービスガイドラインにつきましては、指定の際に虐待防止などの資料とともに配布をし、適正なサービス提供を促すとともに、既に開設をしております事業所に対しましても、全事業者に配布をし、周知を図っております。さらに、区市町村においても、事業所指導への活用を図っているところでございます。

○和泉(な)委員 新規開設の際には、面談等を通して放課後等デイサービスの本来の役割、求められている事業の内容、そして社会的責任を果たせる事業所かどうか、何より子供の最善の利益を保障するために、しっかりと見きわめていただくようお願いしたいと思います。
 また、ガイドラインが出される前に開設されている事業所は、更新までの六年間、何もチェックが入らないということでいいんでしょうか。もうけを出すことが優先され、重度の障害児の受け入れを断られたという事例も聞いています。都は、このような実態にどのような認識を持っているのか伺います。

○高原障害者施策推進部長 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例では、指定放課後等デイサービス事業者について、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないと規定をしております。
 都では、サービス提供拒否が疑われる事例があった場合には、事実関係を調査し、必要に応じて、適正な運営を行うよう事業者に対して指導を行っております。

○和泉(な)委員 それを聞いて少し安心しましたが、毎年百以上の施設ができる中で実態を把握し切れているんでしょうか。施設の増加に見合った都の体制の強化も必要だと思います。区市町村に対しても、受け入れ拒否や質の確保ができていないなどの状況が見受けられた場合には都に通知することをぜひ周知していただくようにお願いします。
 一方で、受け入れを拒む正当な理由の一つに、みずから適切なサービスを提供することが困難な場合というのがあり、体制の整ったところをふやさなければ受け入れは進みません。実際に重度の子供の受け入れを積極的に行っている事業所では、当然、人員配置をふやすことになります。しかし報酬が出ないため、受け入れには限度があります。基準を超えて人員を配置しますから、運営は厳しく、働く方たちの処遇も厳しいというのが実態です。
 私が話を聞いた指導員の方は、やりがいのある仕事です、日々成長していく子供とかかわれることはうれしいけれども、この仕事を続ける限り、結婚して家庭を持つのは困難ですと話していました。都として独自に重度加算を行うべきではないでしょうか。
 また、国に対して重度加算などの報酬の改善を強く求めるべきだと考えますが、いかがですか。

○高原障害者施策推進部長 放課後等デイサービスは国の法令に基づく全国一律のサービスでございますので、事業の運営に要する費用につきましては、原則、国の給付費で賄われるべきものと考えております。
 都はこれまでも、報酬単価の設定等に当たりましては、比較的重度の障害のある児童の利用に配慮するとともに、サービス提供の実態に即した報酬水準に改善するなど事業の充実を図ることや、主たる利用者を重症心身障害児以外とする事業所においても医療的ケアが必要な障害児の受け入れが進むよう、看護職員の配置を評価するなど報酬の充実を図ることを国に要望しております。
 引き続き、事業者が安定した事業運営を行うことができるよう、国に要望をしてまいります。

○和泉(な)委員 報酬の改善、事業の拡充を図ることや看護職員の配置を評価することなどが必要だと都も認識しているということだと思うんです。重い障害のある児童を受け入れて、厳しい環境の中でも一生懸命頑張っている事業所とそこで働く方たちの努力が少しでも報われるよう、都としての独自加算をぜひ検討していただくよう求めておきます。
 続いて、子供の貧困対策についてです。
 子供の貧困対策は喫緊の課題です。私は、第二回定例会の一般質問でもトワイライトステイの支援拡充などを求めました。それ以外にも、さまざまな団体、NPOなどが子供の居場所づくりや学習支援を行っています。
 生活困窮者自立支援法においては、区市が任意事業として学習支援、居場所づくりなどを行うこととなっていますが、都としてこのような取り組みを支援すべきではありませんか。都の見解を伺います。

○松浦生活支援担当部長 都内の区市では、生活困窮者自立支援法に基づきまして、子供の学習支援や地域の実情に応じた居場所の提供などの取り組みが始まっております。
 都は、全ての区市が任意事業であります子供の学習支援事業に取り組めるよう、導入のための検討や準備に要する経費につきまして、包括補助により支援することとしております。

○和泉(な)委員 私は、我が党の区議団の力もかりて、国の大綱に基づく貧困対策について東部六区と台東区に取材をしました。
 各区から共通して出されたのは、貧困の定義、生活困窮の基準が明確になっていないなどの理由から対策の対象が絞れないということでした。社会の構成員が一般的に享受している生活の質が獲得できていないという相対的貧困が今日的な貧困であるとすれば、東京における貧困の水準や定義は都において調査分析をして、東京の相対的貧困を定義することは重要ではないでしょうか。
 荒川区では自治総合研究所を設立して、プロジェクトの一環として、子供の貧困、社会排除の問題に取り組んできました。研究者の科学的知見と現場の職員の豊かな経験とのコラボで、ケースを集めて分析をし、世帯が抱える家計の不安定や、疾病、疾患などの七つのリスクと、保護者の就労状況や就労力、世帯に対する支援の有無、保護者の養育状況・養育力という三つの決定因子から貧困に至るプロセスを解析して、職員がその共通の認識に立って、早い段階で貧困の芽を摘む、そういう支援を強化してきました。
 行政が子供の貧困に正面から向き合い、東京から子供の貧困をなくすための本気の取り組みが問われているんじゃないかと思います。リスクの段階で行政がアプローチすることは大変重要です。貧困や虐待など子供が抱えるさまざまなリスクを早い段階で把握し、支援につなげることが必要だと思います。
 その意味では、都が今年度から開始をしたゆりかご・とうきょう事業は、全ての妊婦を対象にした取り組みであり、重要です。この事業の中で、リスクのある家庭をどのように把握し、支援していくのか伺います。

○手島少子社会対策部長 都が今年度から開始をいたしましたゆりかご・とうきょう事業は、子育て家庭を妊娠期から切れ目なく支援する区市町村を支援するものでございます。
 この事業では、保健師等の専門職が全ての妊婦と面接をして、ひとり親や若年の親といったリスクのある家庭を把握し、さまざまなサービスをコーディネートすることにより支援につなげ、必要に応じて支援プランの作成やアウトリーチを行い、就学前まで継続的に支援していくこととしております。

○和泉(な)委員 大変重要な取り組みだというふうに思います。
 さらに、東京で生まれた子供たちだけでなく、東京で暮らす全ての子供たちに目を向けてください。他県から東京に引っ越してきた子供、小学生や中学生のひとり親世帯を初めとして、貧困のリスクを抱える家庭をどう把握して支援するか、さらなる取り組みが必要です。
 低賃金、非正規雇用で家計も不安定な生活では、貯蓄もできません。親の援助が受けられなければ、病気やけがをして働けなくなった途端に、たちまち生活が困窮します。そのような貧困と隣り合わせの状態で多くの若い親たちが子育てをしていることを考えるとき、貧困を自己責任ということはできないと思います。今や貧困は、普通に暮らす人たちのすぐ隣に存在するものになっています。
 第二回定例会でも、都は、生活支援や教育支援、親の就労支援など、子供の貧困対策に係るさまざまな取り組みを実施してきたと答弁しました。しかし、この間さまざまな調査を通して、本当に貧困に苦しむ親や子供たちにその施策は届いているんだろうかと感じています。
 修学旅行費が就学援助から出るのに、後払いのために当日のぎりぎりまでお金の工面ができず、荷物を持って集合場所から自宅に帰ってきたという子供がいます。帰る子供の胸のうち、その子供を迎える親の胸のうちはどんなだっただろうと思うと、本当につらくなります。立てかえ払いの制度をつくるとか概算払いにして後日精算するとか、ちょっと工夫をすれば、この子はみんなと一緒に修学旅行に行けたはずです。都が既に行っている施策も、改めて検証を行えば、もっと多くの困っている子供や親に支援の手が届くんじゃないでしょうか。
 介護の職場で非正規で働くシングルマザーは、一カ月の手取りが十万円前後で、給料日前はカップ麺やふりかけご飯が夕ご飯になるといいます。給料の半分以上が家賃に消えてしまうからです。それでも、働けて住むところがあるからうちはまだいいねと子供と話しているんだそうです。自分が病気になったら、けがをしたらどうしようという不安がいつも暮らしにつきまといます。このような家庭に都はどんな支援ができるのか、本気になって考えてほしいんです。
 これまで行われてきた施策でどのような成果が上がってきたか、今後どんな施策を展開する必要があるのか、具体的な数値目標も設定して、都独自の子供の貧困対策計画を策定する必要があるのではないでしょうか。お答えください。

○手島少子社会対策部長 都は、学識経験者、保育園、幼稚園の事業者、区市町村の代表などで構成をする東京都子供・子育て会議の議論や、子育て家庭の生活実態等も踏まえ、本年三月に東京都子供・子育て支援総合計画及び第三期ひとり親家庭自立支援計画を策定いたしました。
 これらの計画には、ひとり親家庭や社会的養護を必要とする子供や家庭への支援を目標に位置づけ、就業支援や子供の学習支援について具体的な目標や施策の方向性を定めており、主要事業につきましては、毎年その進捗状況を点検、評価し、公表することとしております。
 既に計画に定めた福祉、医療、雇用、住宅、教育など、さまざまな分野の事業を関係各局が連携して実施をしており、この計画に基づき、支援が必要な子供への取り組みを進めていくことこそが重要と考えております。

○和泉(な)委員 子供・子育て支援総合計画というのは、子ども・子育て支援推進法に基づいてつくられているものだというふうに思います。
 ですから、東京都だけではなく、この総合計画を持っている県はたくさんほかにもあるんだと思うんですね。それでも、それとはまた別に、貧困対策に特化して、京都や大阪、神奈川など多くの県で計画が策定されています。
 都内では、荒川や足立が独自の対策に足を踏み出している一方で、子供の貧困に対する認識も定義も持てずにいるというところもあります。都として計画を出してくれるとやりやすいと、幾つかの区からはそのような声もありました。また、子供にかかわる全ての部署が共通の認識のもとに子供の貧困という視点から施策と向き合う意味でも、計画を策定することは重要な意義があります。
 きょうの日経新聞には、首都大学東京に貧困専門の研究所を設立するという記事が載りました。そこでちょっと調べてみたんですが、首都大学東京が十一月一日に、阿部彩さんをセンター長に子ども・若者貧困研究センターを設立したということなんです。
 設立の目的はといいますと、首都大の多彩な学術領域、社会福祉学、教育学、社会学、心理学などの研究者とともに、国内外の他大学や国際的な研究機関とも連携を図りながら、子供、若者の貧困に関する学際的な研究を行う研究拠点を形成することを目的としています。本研究センターで得られた研究成果を、子供の貧困対策が義務づけられている東京都を初めとする自治体に、調査報告や研修プログラム、テキストとしてフィードバックすることも目的としていますとあるんです。
 そしてこのセンターは、これまで、子供を対象とした貧困研究を行っているさまざまな領域の研究者が一堂に集まって、お互いの研究成果を交換し合ったり、共同研究を行う場がなかったことからそういうものを設立したんだ、そして行政機関にフィードバックしていくんだと、明確にこのセンターの特徴と役割を位置づけているんです。
 さらにホームページには、東京都との連携についても触れられています。ぜひ、このように研究段階で既に始まっている、さまざまな分野で貧困という視点から研究に取り組んでいく、もう既に研究分野ではそのような取り組みが始まっているわけですから、それぞれの部署でそれぞれにやっているということだけにとどまらず、この子ども・若者貧困研究センターとの連携を積極的に進めていただいて、東京都が計画の策定も含めて検討していただくよう強く求めておきます。
 最後に、原爆被爆者支援事業について伺います。
 東京都では、被爆二世についても年に二回の定期検査を行い、そのうち一回はがん検診とすることができると聞いています。しかし、この定期健診の時期は限られていて、医療機関の予約が混んでいると、期間内に予約ができずにがん検診を諦める被爆二世が多いという声が聞かれます。
 都は、このような現状を把握しているんでしょうか。改善するための何らかの施策を講じているのかについてもあわせて伺います。

○上田保健政策部長 被爆者及び被爆者の子、いわゆる被爆二世の方々に対する健康診断は、現在、都と契約を締結いたしました二百十九カ所の医療機関において実施しており、がん検診はそのうち二百六カ所で実施しております。
 がん検診は、胃がん検診や乳がん検診などの項目ごとに異なる医療機関で受診することが可能でございまして、特定の検診の予約がとれない場合には別の医療機関で予約することも可能となってございます。
 引き続き、各医療機関の検診体制の実情を踏まえながら、実施体制の確保に努めてまいります。

○和泉(な)委員 がんの種類別に幾つかの病院に予約したりするのは大変なことだと思います。とりわけ女性の子宮がん検診などは、毎回違う医師に検診を受けるなんていうことになったら、当然、抵抗があります。
 せっかく支援制度があるのに、使いづらいものになっているのは非常に残念なことです。ぜひ、受診できる医療機関をふやすことも含めて体制を強化していただくようお願いします。
 厚生労働省は、甲状腺機能低下症についても一定の条件に当てはまる場合には積極的に認定するとして、原爆放射線との因果関係を事実上認めています。被爆者健診においても甲状腺機能に関する検査を加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○上田保健政策部長 甲状腺機能低下症及び副甲状腺機能亢進症の診断のために必要な検査につきましては、健康診断の項目に追加するよう国に対して提案要求をしているところでございます。

○和泉(な)委員 もちろん、国に対して要求することは重要なんですが、都として独自に検査体制をとることも検討していただくよう求めておきます。
 また、胃がん検診に内視鏡を使えるようにすることもあわせて求めておきます。
 健康診断やがん検診など、さまざまな援護策がある一方で、まだ制度や助成について知らない被爆者、被爆二世も多いというふうに聞いています。
 私自身も、母が広島出身で被爆者手帳の交付を受けたと父から聞いています。しかし、両親が離婚して以降、四十年近く母と会っていないために、母の被爆に関する詳細がわかりません。実際に、被爆二世に対しても支援があることを私は知りませんでした。
 都は、被爆二世の全数調査を行うとか施策の周知方法をもっと工夫するなど積極的に取り組むことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○上田保健政策部長 都は、被爆者に対しまして、被爆者援護施策をまとめましたハンドブックや健康診断のしおりを、被爆者の子に対しましても、健康診断のお知らせなどの冊子を定期的に配布するとともに、都のホームページ等を通じまして、被爆者や被爆者の子に対する援護施策等について広く周知しております。

○和泉(な)委員 先ほどの子供の貧困対策にも通じることですが、どうすれば全ての被爆者、被爆二世にこの支援が届くだろうか、そういう視点から、引き続き広報を強めていただきたいというふうに思います。
 都が一般社団法人東友会に委託している被爆者健康指導事業ですけれども、平成八年当時の一千七百六万円から、百二十六万六千円が少ない一千五百七十九万四千円というふうになっています。会として、被爆者や被爆二世に、広報活動やパンフレット等の配布を通じて施策の周知を行っています。このような事業で東友会が持ち出している費用は二千万円を超え、会員の高齢化が進む中で委託事業費が削減されれば、実施が困難になっていきます。
 一昨年も、被爆者の実情に見合った委託事業費の支給を求める請願が全会一致で趣旨採択されています。事業費の削減をしないということはもちろんなんですが、被爆二世の相談もふえていて、年を追うごとに相談の中身も複雑になっていると聞きます。委託事業費の単価を見直して増額をするべきではないでしょうか、伺います。

○上田保健政策部長 平成二十五年十月八日の請願は、都において、高齢化、病弱化が進む原爆被爆者の実情に見合った事業の実施ができるよう、原子爆弾被爆者健康指導事業委託事業費を支給していただきたいということが全会一致で趣旨採択されたものでございます。
 都は、被爆者の健康の保持、増進及び福祉の向上を図ることを目的に、医療生活相談や訪問相談指導などを行う原子爆弾被爆者健康指導事業を一般社団法人東友会に委託して実施し、必要な経費を確保しているところでございます。

○和泉(な)委員 持ち出しが委託費を超えているのに、どうして必要な経費を確保しているといえるんでしょうか。
 被爆者健康指導事業の委託費は、一九九七年に都の財政事情から減らされたものです。減らされたものがずっと復元されずにいるんです。もう二十年近くも前のことで、その後、知事も三回もかわっているのに見直さないということでいいんでしょうか。
 二十年の間に被爆者の高齢化が進み、相談も難しいものがふえています。今の委託費が、唯一、被爆者援護条例を持つ東京都にふさわしいものになっているか、検証して増額に踏み出すことを求めて、私の質問を終わります。

○西沢委員 私からは、まずマタニティーマークについてお伺いをしていきたいというように思います。
 このマタニティーマークというのは、妊婦さんが電車に乗るときなどに周りが配慮しやすいように、これは厚生労働省が考案をした、平成十八年に始まったマークでございますけれども、先ほど、ヘルプマークの質疑がありました。ヘルプマークは東京都がつくって、東京都が推進をしていくということで、ホームページにも動画がつくられていたり、あらゆることで普及をしていくというような、こうした話がございましたが、その一方で、このマタニティーマークは厚生労働省の方なのかどうかわかりませんが、ホームページを見ると、一ページ書いてあって、厚生労働省に申しわけ程度にリンクを張っている程度、何か扱いがやっぱりちょっと違うように感じるんですが、このマタニティーマークについての東京都のスタンスはどういったものなのかお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 マタニティーマークは、妊産婦が周囲から配慮してもらえるよう、交通機関等を利用する際に身につけるもので、国が健やか親子21の取り組みの一環として平成十八年三月に公表したものでございます。
 現在、交通機関、職場、飲食店、その他の公共機関等では、このマークを使用したポスター等を掲示して、妊産婦に優しい環境づくりを推進しております。
 都では、ホームページで紹介するなど幅広く普及啓発し、区市町村や事業者にも取り組みを促しております。
 また、車内優先席付近へのステッカーや駅構内でのポスターの掲示に加え、都営地下鉄各駅等で妊産婦の方にマタニティーマークのチェーンホルダーを配布しております。

○西沢委員 ヘルプマークだけじゃなく、このマタニティーマークについても幅広く普及啓発をしていますというような答弁でございました。
 このマタニティーマークについて取り上げるのは、ちょうどおとといの朝日新聞、十一月十七日の朝日新聞にも出ていましたが、少し、このマタニティーマークについて、逆にこれをつけていることによっておなかを蹴られてしまったという事件などがあったという話がありました。
 また、インターネット上でも、別に病気でもないのにそれをつけて席を譲れみたいな態度が気に食わないというような話があったり、少し誤解といいますか、マークについての理解が余り進んでいないというようなことが報道され、厚生労働省もそれについて理解を進めていきたいというような話でございました。
 それで、この新聞の中にいろいろあるんですけれども、この理由、ネットの声はという中の一つで、身体的、経済的理由で子供を持つことができない人がふえている現在、妊婦であることは、弱者というよりはむしろ特権だというように思われる機会がふえているということなんじゃないかなというようなネットの声を取り上げているわけであります。こうしたことでトラブルがふえていると。
 私自身もネットで調べてみますと、マタニティーマークをバッグにつけている、そのマークを引きちぎって地面に投げつけていかれると。周りの方が何やっているんだといったら、妊婦の方が、いや、いいです、やめてくださいと。それ以上トラブルになるのを避けるためにぐっとこらえたというようなものも、私自身も、検索すればそういったものもすぐ出てくるような状況です。
 こうしたトラブルの発生件数などを、福祉保健局で把握している状況がありましたらお願いいたします。

○手島少子社会対策部長 マタニティーマークについては、つけていることで嫌がらせを受けたという声や、反感を持たれそうなどの理由でつけるのをためらう妊産婦の方がいるなど、さまざまな報道がなされていることは承知しておりますが、トラブルの発生件数については把握してございません。
 なお、都に寄せられた都民の声では、本年八月に、電車を利用して妊婦健康診査に通っている妊婦の方から、マタニティーマークをつけていたが優先席を譲ってもらえなかったという意見がございました。

○西沢委員 今、答弁ありましたが、トラブルの件数としては承知していないけれども、そういった声はある、譲ってもらえませんでしたという声はあるということでございました。きっともう少しアンテナを張れば、いろんな声を拾えるんじゃないのかなと私は思います。
 それで、確かに、これをつけることが逆に怖いという方が多い一方で、であればヘルプマークをつければいいじゃないかというところもあると思うんですね。このヘルプマークも、当然、妊娠初期の方は、見た目、おなかが大きくなっていませんけれども、つわりであったりとか初期にあらわれる体調の変化というところで、周りにやはり配慮してほしいというところで、ヘルプマークの意義というところもあると思うんですけれども、一方で、おとといの朝日新聞で、まちでマークをつけている女性を見かけると、彼女も同じ気持ちで頑張って働いているんだなと励まされますというような声もあるようです。これは、マタニティーマークならではの効果でもあるんだなというように私は感じたわけであります。
 東京都も、ヘルプマークと並んで、当然マタニティーマークも推進、普及啓発を幅広くしていくというようなことでございますので、私から、今、駅など交通機関などで配布されているということですが、医療機関でも配布する取り組みがいいんじゃないのかなと思うんですね。
 それはなぜかというと、病院に行って妊娠していますよといわれた場合、その場で、実際はその前からですが、そこからもう既に自分の体に配慮しなければいけない活動というものが始まるわけですよね。
 当然、区役所に行って母子手帳をもらって、そこでマタニティーマークももらうと、そして説明を受けて配慮していくというようなことになっていくということももちろん大事なんですけれども、そこで産婦人科の先生からも直接、もうあなたの体はこれから今、妊娠をして変わっていくんですよと。その方がひょっとしたら、自分で計画的に妊娠をしていくという方の一方で、そうではない方もいらっしゃいます、妊娠を喜ばれないというような方もいるかもしれません。
 そうした状況の中で、彼女たちに対して、先生がそこの場所でこうしたものを配布して、説明をしていただいたらいいんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○手島少子社会対策部長 妊娠をされた方は、母子保健法では速やかに区市町村に届け出をすることとされております。
 区市町村では、この機会を活用して、妊婦の方に面接やアンケートなどを行うなど、支援が必要な家庭の早期発見に努めており、妊婦の届け出は母子の健康を守るためにも欠かせないものでございます。
 区市町村では、届け出を受けた際に母子健康手帳や妊婦健診の受診票を交付しており、同時に、ほとんどの区市町村がマタニティーマーク入りのグッズを配布しております。
 グッズの配布場所につきましては、母子保健事業の実施主体でございます区市町村がさまざまな妊婦の方の声を踏まえまして対応しているものと考えております。

○西沢委員 もちろん、区市町村での対応というものも当然必要だと思いますが、私は、そこへの空白期間といいますか、区市町村に行くまでの間でも、そこから電車に乗って帰る方も当然いるでしょうから、その場でお渡ししてもいいのかなというふうに思いますので、ぜひ検討いただければと思います。
 電車でも配っているということですけれども、そのこと自体も知らないという方もいますから、その場でそういうことも伝えていただいたら、私はいいんじゃないのかなというように思います。
 それで、このヘルプマークとマタニティーマークですけれども、どっちをつけたらいいのかということ、どっちをつけてもいいんだと思うし、両方つけてもいいのか、その辺を、私なんかは、きょう、ここにいらっしゃる皆さんは両方どういうものなのかわかると思うんですけれども、そうでない方もいらっしゃると思います。
 特にヘルプマークは東京都中心で、先ほど答弁も、議論ありましたけれども、民間事業者に対しても、民間の交通機関に対しても、それから他県についてもという形でどんどんやっているわけですけれども、マタニティーマークは全国区ですよね。
 やっぱりちょっと違うところもあると思うんで、この使い分けというものをどのように整理されているのかお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 ヘルプマークは、妊娠初期の方のほか、義足や人工関節を使用している方など内部障害や難病の方など、外見からわからなくても援助や配慮を必要としている方のためのマークとして、広く普及啓発に取り組んでいるものでございます。
 どちらのマークも周囲の方々に配慮を促すものであり、妊娠初期の方は、ご本人の意思でどちらのマークでも身につけることができるというふうに思っております。

○西沢委員 どちらをつけてもいいということでございます。
 普及啓発は両方しているわけでございますから、厚生労働省がやっていることだからというような、変な妙な壁みたいなものがないように、こちらも取り組んでいただきたいというように思います。
 次の質問に行きますが、次は、受動喫煙防止対策を含めてのいわゆるたばこ対策についてお伺いしていきます。
 受動喫煙については、二〇一一年にガイドラインをつくっているわけでございますが、基本的には禁煙だけれども、原則であって、強制規定でもなく、その内容については疑問視されるところではございますが、東京都における受動喫煙防止対策のこれまでの取り組みと、それから東京都受動喫煙防止対策検討会が昨年十月からことしの五月まで開催されたわけでありますが、これまでどういうことに取り組んできたのか、そして検討会をなぜ開催したのかお伺いいたします。

○上田保健政策部長 都はこれまで、受動喫煙防止ガイドラインを策定いたしまして、都民の理解促進はもとより、区市町村や企業に対する研修会の開催や職場向けハンドブックの配布など、受動喫煙の健康影響や職場の環境整備に関する普及啓発を広く行ってまいりました。
 また、飲食店等に対しまして、分煙方法を紹介するリーフレットや店内の禁煙、分煙等の取り組み状況を店頭に表示するステッカーを配布し、事業者の取り組みを促しております。
 こうした取り組みをさらに進めるため、禁煙、分煙についてさまざまな意見をお持ちの有識者や、飲食、宿泊、たばこ関連の事業者、消費者団体などから幅広く意見を伺うことを目的といたしまして、東京都受動喫煙防止対策検討会を設置したものでございます。

○西沢委員 これまでの取り組みをさらに進めるために、専門的見地から幅広く議論を行う場として設置したという、もちろん、さらに取り組みを進める必要があるということですよね。
 知事も、この間の議会の中で、受動喫煙の防止については誰も異論がないと。自分もやるというようなことはいっているわけですが、意見がさまざまありますというような、そんなトーンになっているわけであります。
 この検討会の報告書を見ますと、当然、飲食業界の方々は、それは愛煙家の方々も、それから嫌煙家の方もお客様です。そういった方々にとっては、余りやってほしくないというのは当たり前だと思いますが、その一方で、保健、健康、医師会などを含めたそういった立場からの方々は全面禁煙するべきなんだと、こうした話になっているわけで、いってみれば、これはもう当たり前の意見だと思います。
 それで、今の答弁からわかるところですが、あくまでもこれは意見を聞いただけですよというような内容だったんじゃないかなと思います。何かの答申である、何かこうした方向性をかちっと決める場ではなかったというようなことも確認をさせていただいたわけであります。
 では、この受動喫煙防止を進めていく中で、足元の例えば都庁舎、都立施設の受動喫煙防止対策がどのようになっているのか、建物そのものになると財務局さんだとか違う局とかになるかもしれませんが、大まかに全体でこの施設についてはどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○上田保健政策部長 都立施設につきましては、都立施設受動喫煙防止基準におきまして、原則禁煙とし、利用者ニーズ等に応じて喫煙可能区域を設ける場合には、原則として独立した喫煙室を設置することに定めているところでございます。
 現在、都立施設におきましては、禁煙または分煙の措置がとられており、今後も関係局が連携して受動喫煙を一層防止するための取り組みを進めてまいります。

○西沢委員 都庁舎を含めて原則禁煙ということですが、喫煙可能区域を設けることができるということで、基本的にやっぱり全面禁煙にはなっていないですよね。議会棟から本庁舎の方に行くときなんかも喫煙室の前を通るんですよね。地元の人と一緒に通ったときに、こういうのまだあるんだというふうにいわれたことがあります。
 こういうのをすごく取り組んでいるのが東京都なのかなと、東京都のまさに本丸であるツインタワーの本庁舎でこういう状態なんだと、やにが、わあってついているような感じを見て、そういわれたのをよく覚えております。
 この取り組みをさらに進めるということなんですが、当然、この受動喫煙防止対策もそうなんですが、大まかにたばこの対策ということで、ほかに普及啓発、それから禁煙を希望する方への支援、それから未成年者の喫煙防止対策ということで、これはまたがん対策のガイドラインの方で、この対策は四つですね。受動喫煙防止対策、普及啓発、それから禁煙希望者支援、未成年者への喫煙防止対策、これは都がやっている対策でございますが、これもあわせて重要と考えるわけですが、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○上田保健政策部長 都は、喫煙の健康影響についての普及啓発、禁煙希望者への支援、未成年者の喫煙防止、受動喫煙防止対策を大きな柱といたしまして、成人の喫煙率減少と効果的な受動喫煙防止対策の推進に向けた取り組みを行っております。
 まず、普及啓発といたしましては、喫煙による健康影響をホームページに掲載し、情報提供するとともに、東京都の取り組みを紹介してございます。
 また、禁煙希望者への支援といたしましては、区市町村や医療保険者などに対しまして、禁煙希望者向けのリーフレットを配布するとともに、ニコチン依存症治療に保険が適用される医療機関のリストをホームページに掲載するなどの取り組みを行っております。
 さらに、未成年者の喫煙防止対策といたしましては、都内の全中学一年生に対しまして、喫煙防止リーフレットを配布するとともに、小中高校生を対象にポスターを募集し、優秀作品を表彰するなど、年少時からの喫煙防止に取り組んでおります。

○西沢委員 これまで東京都のやってきたことということで、普及啓発、ホームページにも書いていますよとか、リーフレットもつくっていますよというようなお話です。
 これが全部といういい方をしましたが、産業労働局の方でも分煙モデル事業というものをやっているんですよね。これは産業労働局の方で観光部がやっているんですね。外国人の方が来て、ホテルなどで分煙を進めるところに補助金を出すというようなもので、本来であれば、こうした対策は福祉保健局が音頭をとって進めていくものなんじゃないのかなというように私は思います。
 今までの対策というのも、啓発、リーフレット、ホームページというところではやはり不十分。これからさらに進めなければいけない段階に来ているというようなことですよね。
 ここで、やはり待ったなしの段階で、条例制定も一つの有効な手段であるというように私は感じるわけであります。さまざまなご意見は聞いてきました。ですから、オリンピックを控えた段階では、そうした方には逆に理解を求めていただくというような段階に来ているのではないかというように私は思います。
 条例制定も一つの有効な方法と考えますが、現在の都としての考え方をお伺いいたします。

○上田保健政策部長 都は、これまで受動喫煙防止対策を進めていくため、受動喫煙防止ガイドラインを策定し、普及啓発を初め、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 条例化につきましては、さまざまな意見があり、受動喫煙防止対策検討会におきましても、委員全体の意見の一致は見られず、関係団体からのヒアリングでは、多くの団体から、条例化ではなく、喫煙者と非喫煙者の共存できる対策の推進を求める声が出されたところでございます。
 若干一問目とも絡みますが、検討会からは、二〇一八年までに条例化について検討することや、国に対して全国統一的な法律での規制を働きかけることなど、今後の受動喫煙防止対策についてのご提言をいただきました。
 今年度、都は、飲食店等における禁煙、分煙の取り組みや店頭表示の有無など、受動喫煙防止対策の状況等につきまして実態調査を行っておりまして、この調査結果や検討会の提言も踏まえながら、実効性のある受動喫煙防止対策に取り組んでまいります。

○西沢委員 余り踏み込んだ答弁ではなかったとは思うんですが、実態調査を行って、実効性のある受動喫煙防止対策を推進していくという答弁をもらいました。
 ぜひ、これは会派もいろいろ動いて進めていくべしという形になると思いますし、二〇一八年までに、今提言を受けたということでございます。こうした方々にも、先ほどもいいましたけれども、やっぱり理解を求めていく段階になっているんだと思います。
 私自身はたばこを吸っていましたが、やめました。議事録になる形でいいますけれども、やっぱり人の迷惑になるようなことになるというようなことだけは、多くの外国人、それからさまざまな方が集まる段階において、リーダーシップを発揮して、東京都がやるぞという姿勢を見せることは非常に重要だというふうに私は思います。これは受動喫煙防止だけではなくて、禁煙希望者、それから普及啓発、それから未成年者の喫煙防止も含めて、最後にさらに取り組みを強化していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○早坂委員 福祉のまちづくりについて伺います。
 一九六四年の東京オリンピックから五十年が経過しました。当時参加した国と地域は九十三、一方で、直近の二〇一二年ロンドン・オリンピックでの参加は二百四、また、選手の数は一九六四年が五千人で、二〇一二年は一万人。今日から振り返れば、規模はおよそ半分でありました。
 しかし、一九六四年東京オリンピックが開催地である都市や国家に与えた影響は、私の感覚では、今日のオリンピックの何倍か何十倍かのインパクトをもたらしたのではないかと思います。
 一九六四年東京オリンピックが残したレガシーはと問われれば、東海道新幹線や首都高速道路の開通、カラーテレビの普及など、いろいろあります。
 また、女子バレーボール日本代表が東洋の魔女というニックネームで呼ばれ、見事金メダルを獲得。それに触発された日本女性がママさんバレーという形で、女性がみずからの楽しみのために、家族を置いて外出するという女性の生き方に大きな変革をもたらしたというレガシーもあります。
 ところで、一九六四年は、オリンピックと同時にパラリンピックも開催されました。この第二回パラリンピックは、参加国数二十二、参加者数三百八十人。一方で、二〇一二年ロンドン・パラリンピックは、参加の国と地域が百六十四、参加者数四千三百人。参加者でいえば十一倍と、大きく発展いたしました。
 では、一九六四年東京パラリンピックが残したレガシーは何かと問われると、一体何が思い浮かぶでしょうか。実は、私には全く思い浮かびませんでした。いろいろ調べるうちに、スポーツジャーナリストの伊藤数子さんのコラムに、一九六四年東京パラリンピックのレガシーを考える上で大変興味深いヒントがございました。
 一九六四年の東京パラリンピックの全参加者三百七十五人のうち、日本選手団は五十三人。その日本選手団がまず驚いたのは、外国の障害者が日常的にスポーツをしているということでした。
 当時、我が国では、障害者には安静が必要という考え方が常識で、多くの障害者が一生家庭や施設、病院などに閉じこもったまま、すなわち、そういう社会環境の中でパラリンピックに出場した我が国の五十三人の選手たちは、自分たちが日本社会では極めて例外的な存在であると自覚していただろうと思います。
 しかし、パラリンピックに参加している外国の選手は、そのレベルをはるかに超えて、日常的にスポーツを楽しんでいる。そのことに、まず驚きました。
 そして、さらにパラリンピック日本選手団を驚かせた事実があります。それは、外国人選手が職業を持ち、結婚して、独立した家庭を持っていることでした。社会とは隔絶された生活を送っていた日本選手団は、自分たちとは余りにもかけ離れた生き方に言葉を失ったといいます。
 また、外国選手が、せっかく日本にまで来たのだからということで、試合が終わった後にタクシーで銀座に繰り出す姿を見て、目を丸くしたそうです。社会から隔絶され、家庭や施設、病院だけが行動範囲の全てだった日本選手団からすれば、障害者がタクシーを呼ぶこと自体が信じられないことだったのです。
 一九六四年から五十年、障害者の社会参画、あるいは福祉のまちづくりは大きく進みました。
 そこでまず、国と東京都における一九六四年東京パラリンピック以降の福祉のまちづくりに関する施策展開がどのようなものであったか伺います。

○芦田生活福祉部長 都は、福祉のまちづくりに関して、昭和六十三年に国に先駆けて、不特定多数の都民が利用する施設全般の整備基準である東京都における福祉のまちづくり整備指針を定めました。
 また、平成七年には、福祉のまちづくり条例を制定し、建築物、道路、公園、公共交通施設等における整備基準を定めるとともに、学識経験者や障害者などから構成される福祉のまちづくり推進協議会を設置し、さまざまな提言をいただきながら、施策を実施してまいりました。
 平成十八年には、国において、いわゆるバリアフリー新法が施行され、公共交通施策や建築物のバリアフリー化の推進が図られることとなりましたが、都においても、同年、建築物バリアフリー条例を制定し、法の基準に加えて、共同住宅や学校などの整備基準も定めたところです。
 また、平成二十一年には、福祉のまちづくり条例を改正し、全ての人にとって使いやすい環境となるよう、ユニバーサルデザインを基本理念とすることを明確に位置づけるとともに、小規模建築物の整備基準を新たに設けました。
 昨年三月に策定した平成三十年度までを計画期間とする福祉のまちづくり推進計画においては、円滑な移動、施設の利用のためのバリアフリー化の推進、心のバリアフリーに向けた普及啓発の強化等、五つの基本的視点を柱に、ハード、ソフトの両面からさまざまな施策を盛り込み、取り組みを進めており、昨年度末時点では、鉄道駅のエレベーターの整備率やノンステップバスの導入率は九割を超えているほか、誰でもトイレの整備も進んできております。
 なお、昨年批准されました障害者の権利に関する条約におきましても、ユニバーサルデザインの考え方が明示されており、また、来年四月に施行される障害者差別解消法に基づく基本方針におきましては、障害者差別の解消のための取り組みは、ハード面のバリアフリー化施策や情報の取得、利用、発信におけるアクセシビリティー向上のための施策等、環境の整備の施策を着実に進めることが必要であるとされております。

○早坂委員 ご答弁には重要な論点が含まれていますので、その幾つかについて伺ってまいります。
 さて、先ほど紹介した伊藤数子さんは、ご自身のコラムで、一九六四年東京パラリンピックのレガシーをこう位置づけています。パラリンピックに出場した五十三人の日本選手団は、体に障害があっても仕事をして結婚することができる、車椅子でもまちに遊びに行くことができる、そういう希望がたくさん湧いてきて、選手たちのその後の人生が変わったはずだ。その一方で、このときに劇的に変わったはずの障害者への理解は、レガシーとして伝えられていない。これから五十年後に、今度は二〇二〇年東京パラリンピックのレガシーは何かと問われた際には、誰もが答えられるように今から準備をしておくべきだと、こう位置づけています。
 伊藤さんのコラムでは、一九六四年東京パラリンピックのレガシーは、障害者への意識改革だというソフト面が強調されています。私は、それを下支えしてきたのが、今ご答弁のあった、例えばエレベーターの整備に代表されるハード面でのバリアフリー化、すなわち福祉のまちづくりだと思います。
 ところで、障害とは何でしょうか。私たちは、足が不自由で車椅子を使う人には障害があるといいます。車椅子の人の行く先に階段があると、そこから先には進めません。しかし、そこにスロープやエレベーターがあれば、車椅子であることの不便は解消され、先に進むことができます。前に進むという目的において、車椅子の人には障害はありません。つまり、足が不自由という体の状態が障害を決めるのではなく、スロープやエレベーターの有無という社会環境が障害を決めているのだともいえます。
 平成二十六年度末では、都内の鉄道駅のエレベーターによる段差解消率は九二%、昭和三十九年当時が何%だったかの資料はあいにく持ち合わせておりませんが、ハード面での福祉のまちづくりは、この五十年間で相当進んだと思います。
 では、なぜスロープやエレベーターなどの社会環境を整備しなければいけないのでしょうか。
 一つの考え方に、そのままでは体の不自由な人に優しくないからというものがあります。車椅子で階段が目の前にあって進めないと優しくない、かわいそうだから、スロープやエレベーターをつくる。すなわち、特別な人のために特別なことをする。この考え方は、スロープやエレベーターが設置されていない状態が当たり前で、そこを特別な人のために改善するというものです。
 しかし、健常者にとって、毎日使う駅は特段優しい、優しくないの問題ではなく、運賃を払えば、当然に使う権利があるわけです。同じように、車椅子の人も運賃を払えば使う権利がある。しかし、もし階段があるために駅が使えないなら、それは不公平。だから、あって当たり前、駅にスロープやエレベーターがないこと自体がおかしいという、こちらの考え方が今日では主流になりつつあるのかなと思います。
 何人もひとしく権利、利益を享受することができる、それが障害者の権利という考え方だと私は思います。
 同じ結果を求めてはいますが、そもそもの出発点、問題意識が両者では全く異なるのです。バリアフリーという言葉とともに、ユニバーサルデザインという言葉も使われます。そこで、それぞれの概念について伺います。

○芦田生活福祉部長 バリアフリーとユニバーサルデザインの違いについてですが、バリアフリーは、障害者などの特別な配慮が必要な人のために、建築物や公共交通、制度や慣行などに存在するバリアを取り除く取り組みでございます。
 一方、ユニバーサルデザインは、バリアフリーの考え方から一歩進んで、年齢、性別、国籍、個人の能力にかかわらず、初めからできるだけ多くの人が利用可能なように、都市や生活環境をデザインすることとされております。

○早坂委員 体の状態にハンディキャップがある人のために、特別なことをして社会環境を改善するというのがバリアフリー、一方で、最初から誰もが使えるようにしておくというのがユニバーサルデザインであります。
 ユニバーサルデザインという概念は、一九八五年にアメリカのロナルド・メイスさんが提唱したものです。二〇二〇年の東京パラリンピックとその先を見据えて、これからのまちづくりはユニバーサルデザインで行われるべきであることは申し上げるまでもありません。
 ところで、冒頭のご答弁で、東京都には建築物バリアフリー条例と福祉のまちづくり条例があるとのことでした。そこで、そのすみ分けについて伺います。

○芦田生活福祉部長 建築物バリアフリー条例は、高齢者や障害者等が利用しやすくなるよう、国のバリアフリー法で定められている対象建築物を拡大するとともに、バリアフリー化に関する整備基準を強化しております。
 一方、福祉のまちづくり条例は、高齢者や障害者、外国人などを含めた全ての人が安全で安心して、かつ快適に暮らし、訪れることができる社会の実現を目指して制定されたもので、建築物バリアフリー条例の整備項目に加え、観覧席、客席及び公共的通路に関する項目を追加するとともに、道路や公園など、建築物以外の整備基準も定めております。
 また、福祉のまちづくりに関する学習の振興や広報活動の充実など、ソフト面の取り組みについても定めているところでございます。

○早坂委員 まず、国の定めるバリアフリー法がある。その対象施設は限定的なので、東京都の建築物バリアフリー条例で対象施設や整備項目を拡大し、東京都は内容を強化した。しかし、この両者はそこに至るまでの移動経路に関する定めであるので、福祉のまちづくり条例で、移動だけでなく、施設の内部、例えば観覧席、客席などの基準も含めて、さらに範囲を広げて定めた、こう理解をいたしました。
 その観覧席、客席のところについて、少し意見を申し述べます。
 競技場などには、一定数、車椅子用の席を設けるべきという数値目標が示されます。では、その目標値を満たせばそれでいいかというと、そうではありません。車椅子用の席のすぐそばには、介助者用の席がきちんと設けられているかということが大切です。
 しかし、この介助者という考え方がくせ者で、介助を必要としない車椅子利用者の場合には、同行する人がいても、介助者用の席には座れません。映画でもコンサートでもスポーツ大会でも、私は一人で行くことに何のちゅうちょもありませんが、多くの皆さんは家族や恋人と行くことが多いと思います。その際、車椅子席と一緒に行く恋人が座る席が離れていては、そもそもそこに出かけようという意欲が失われてしまうかもしれません。
 介助者に限らず、同行者と席が隣り合わせになるよう、つまり、数とともに質も確保すべきであります。
 また、サイトラインという考え方もあります。コンサートでは、観客が立ち上がって楽しむことがよくあります。あるいはサッカーの試合でも、ゴールを決めた直後は観客が総立ちになります。しかし、車椅子の人は立ち上がることができず、大事な場面を見ることができません。
 そこで、前にいる人が立ち上がっても、車椅子席の人の視線が確保されるように、車椅子席の高さをよく研究しておくというのがサイトラインという考え方です。こういった車椅子で動く人の身になってのまちづくりこそが真の福祉のまちづくりといえるのではないでしょうか。
 三年前、私は大腿骨骨折をし、しばらくの間、車椅子生活と松葉づえ生活を送りました。そのとき感じたことを平成二十六年第一回定例会の一般質問で述べ、ハードとソフトではなく、ハードとハートの両者が大切だと述べましたが、舛添知事からのご答弁には、その部分に関する言及は全くありませんでした。
 しかし、今回の厚生委員会での質問原稿を考える上で、ハードとハートの両者が大切だという思いを新たにいたしました。私は、そうした視点で、これからも都民福祉の向上に努めてまいりたいと存じます。
 さて、本年十月に福祉のまちづくり推進協議会から意見具申が提出されました。その内容について伺います。

○芦田生活福祉部長 福祉のまちづくり推進協議会の意見具申では、福祉のまちづくり推進計画の五つの基本的視点のうち、ソフト面の取り組みである心のバリアフリーに向けた取り組みの強化及びさまざまな障害特性等に配慮した情報バリアフリーの充実について、具体的な方向性が示されております。
 まず、心のバリアフリーに向けた取り組みでは、誰もが年齢、性別、国籍、個人の能力、生活状況等にかかわらず、相互に多様な人々を尊重することや思いやることができる社会の実現を目指して、学校や地域におけるユニバーサルデザイン学習の推進のほか、事業者における接遇向上研修の普及促進などが提言されております。
 また、情報バリアフリーに向けた取り組みでは、障害特性等を踏まえて、その人に合った手段、方法で情報を伝えられるよう、音声や点字、多言語等による情報提供の推進のほか、地域のバリアフリーマップの作成や、災害時等における要配慮者への情報提供体制の整備の促進などが提言されております。

○早坂委員 この意見具申を踏まえ、区市町村や事業者にどのように働きかけるのか伺います。

○芦田生活福祉部長 意見具申では、区市町村や事業者に対して、心や情報のバリアフリーの推進を積極的に働きかけていくよう提言をいただいております。
 このため、都では、取り組みの基本方針や標準的な学習プログラム、バリアフリーマップに掲載すべき項目、先進的な取り組み事例などを盛り込んだガイドラインを今年度中に作成し、区市町村や事業者の取り組みを促進してまいります。
 また、作成に当たりましては、障害者など当事者の視点が重要であることから、障害者団体や都民から広く意見を募集し、ガイドラインの内容に反映させてまいります。

○早坂委員 今後の福祉のまちづくりに向けてのご決意を伺います。

○芦田生活福祉部長 ユニバーサルデザインを理念とした福祉のまちづくりを進めるためには、ハード、ソフトの両面からの取り組みを推進することが重要であり、昨年策定しました長期ビジョンでは、交通機関や公共空間におけるバリアフリー化の着実な推進や心のバリアフリーの推進により、思いやりの心の醸成などを政策目標として掲げております。
 都は、区市町村におけるバリアフリーに配慮した公共施設や道路、公園等の整備のほか、心のバリアフリーや情報バリアフリーの推進に向けた取り組みを促進するため、包括補助で支援しております。
 さらに、福祉のまちづくり推進協議会からの意見具申を踏まえ、来年度以降、新たに広く都民や事業者に向けて、さまざまな手法を活用した効果的な普及啓発の実施などを検討してまいります。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会も見据えて、今後とも、高齢者、障害者、外国人など、全ての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることができるユニバーサルデザインの先進都市東京を目指して、区市町村、事業者、都民の参加と協力も得ながら、効果的な施策を展開し、福祉のまちづくりを一層推進してまいります。

○早坂委員 かつてヘレン・ケラーは、障害は不便だが不幸ではないといいました。体が不自由であるという状態を不幸にしないため、スロープやエレベーターに代表される社会状況を整備するのは当然です。
 そして、それを単なるハード整備に終わらせることなく、ハートのこもった福祉のまちづくりを実現することが、二〇二〇年、そして、その先の東京の発展に不可欠だと信じます。ありがとうございました。

○栗山委員 私からは、大きく二点についてお伺いをさせていただきます。
 まず、東京都における死因究明体制についてお伺いをいたします。
 人の死因及び死に至る経過を明らかにすることは、公衆衛生の向上、安寧秩序の維持、医学研究への貢献等からも非常に重要なことでございます。
 一方、近年では、犯罪行為により死亡したものを病死と判断してしまい、犯罪死を見逃してしまった事例があったことなどからも、死因究明の必要性が改めて認識されているところでございます。
 このため、平成二十四年には、死因究明等の推進に関する法律が議員立法により成立をし、平成二十六年六月には、同法に基づき、死因究明等推進計画が閣議決定されております。
 その計画では、地方に対して、死因究明の関係機関等が協議する場を設置し、地方の状況に応じた死因究明に関する施策の検討を進めていくことを求めております。
 こうした動きの中で、昨年、第四回定例会では、知事から、都の死因究明体制に関する今後のあり方について、学識経験者等から成る検討会での議論を踏まえ、多摩・島しょ地域における死因究明体制の一層の強化に努めていくとのご答弁をいただいております。
 多摩・島しょ地域における死因究明体制について、検討会における協議の進捗状況についてお伺いをいたします。

○西山医療政策部長 都は、平成二十五年一月に、死因究明に関する諸課題を整理し、今後の死因究明体制の推進を図ることを目的に、東京都医師会や学識経験者等から成る東京都における死因究明のあり方に関する検討会を設置し、都内の死因究明体制について検討を行ってまいりました。
 また、平成二十七年五月には、これまでのあり方検討会を改組し、死因究明等推進計画に基づく東京都死因究明推進協議会を新たに設置して、主に、多摩・島しょ地域における検案、解剖体制について、現在までに計四回協議をしてまいりました。
 本年十月には、都におけるこれまでの取り組みや死因究明体制の現状を踏まえた上で、検案医の専門性の確保や検案医の確保が困難となっている地域の解消などに関して、協議会として報告書を取りまとめたところでございます。

○栗山委員 協議会でも課題となりました多摩・島しょ地域の検案、解剖体制についてでございますが、多摩地域においては、検案医の確保が困難となっている地域がございまして、周辺の地区医師会に所属する検案医に検案を要請せざるを得ないと、こういった状況になっております。
 今後、多摩・島しょ地域の死因究明を継続的、そして安定的に実施していくとともに、二十三区のみに適用されている監察医制度を多摩・島しょ地域にも拡大していくためには、やはり高い専門性を持った医師の確保が何より必要だろうというふうに思っております。
 人材の育成を含めた東京都の死因究明体制の充実について、これまでの協議会での検討を踏まえ、今後どのように取り組みを進めていくのか、お伺いをいたします。

○西山医療政策部長 多摩地域において検案医の確保が困難となっている地域につきましては、協議会での議論を踏まえ、東京慈恵会医科大学法医学講座の協力を得まして、検案を開始する予定でございます。
 また、現在、専門性の高い検案医の育成に向けて、協議会において大学と協力した研修の実施や東京都監察医務院で行っている多摩検案医育成研修のカリキュラムを見直すなどの検討を行ってございます。
 今後とも、多摩・島しょ地域を含めた都全域の死因究明体制のさらなる充実強化に向け、協議会で議論を進めてまいりますとともに、監察医制度の都全域への適用について、引き続き国に要望してまいります。

○栗山委員 監察医が不在となっている地域の解消を図るため、大学等の協力を得て、専門性の高い医師による検案を実施していくということがよくわかりました。
 専門性の高い検案医の育成については、協議会において検討を進めていくということでありますが、人が受ける最後の医療をよりよいものとして、居住地にかかわらず、それが誰にでも平等に提供される死因究明体制を構築するためには、私は、都独自の人材育成が急務であると考えております。
 今後は、多摩・島しょ地域に監察医制度が適用された後の体制も含めて、推進協議会での議論をさらに深めていただき、都の死因究明体制の充実強化に努めていかれるようお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、児童養護施策についてお伺いをいたします。
 先ごろ、都議会自民党では、オーストラリア、ニュージーランドを視察し、さまざまな調査を行ってきたところでございます。オークランドにおきましては、NPO法人ユース・ホライズン・トラストを訪問し、ニュージーランドにおける児童養護、里親制度について、マオリの伝統的かつ厳粛な歓迎式でお迎えをいただき、関係者からさまざまなご説明を聴取してまいりました。
 ユース・ホライズンでは、年間約三千人の対象者とかかわりを持ち、確かな実績を今日まで上げてきたところだと、こういうふうにお伺いをいたしました。
 児童養護の基本的な考え方は、歴史や伝統を踏まえ、家族的な環境の中で行われているといっても過言ではなく、課題を抱える子供や親に対し、適時適切なカウンセリングあるいはセラピーを実施して、定期的な進捗管理や手厚い研修制度のもとで、対象者をよりよい方向に導いていこうという考えが根底に脈々と流れているという印象を受けました。
 改めて、社会的養護を含め、児童養護のあり方について、どのような制度が適切であるか、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 まずは、都における社会的養護が必要な児童数の推移についてお伺いをいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 社会的養護が必要な児童数は、昭和四十年代後半から五十年代にかけて四千五百人程度で推移し、その後、減少に転じ、昭和六十三年度に四千人を割り込みました。
 平成四年度からの約十年間は三千五百人程度で推移し、その後、増加に転じ、平成十八年度から現在までの約十年間は三千九百人台で推移しており、横ばいとなっております。

○栗山委員 多くの子供たちが社会的養護のもとで生活をしているようでございますが、近年は虐待を受けた子供が多いと、こういうふうに仄聞をいたしております。
 私は、虐待を受ける子供をなくしていくことが、社会的養護のもとで生活する子供たちをなくしていくことに近づいていくのではないかと、こう捉えております。
 そこでまず、社会的養護のもとで生活をしている子供のうち、虐待を受けていた割合はどのぐらいあったのか、お伺いをいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 都は、毎年、児童養護施設等の在籍児童の入退所の経路や心身の状況等を把握するため、社会的養護の現況に関する調査を行っており、この調査によると、平成二十六年三月一日現在、社会的養護のもとで生活している子供たちのうち、虐待を受けていた子供たちの割合は五〇%でございます。

○栗山委員 今ご答弁いただきましたとおり、半分がやはり虐待を受けている子供だ、実に多いということがよくわかりました。
 虐待については、予防的な取り組みを強化することで、社会的養護に陥らないケースもあるのではないかなと考えます。
 ニュージーランドにおきましては、要支援家庭が社会的養護にならないよう、先ほど申し上げましたけど、養育者に対する指導やカウンセリングに力を入れているというふうにお伺いをいたしました。
 社会的養護に陥る前の支援体制を強化する。彼らはクリフといういい方を使っておりましたけど、クリフに落ちない、それは最終的に児童養護施設に入ることをクリフに落ちるという表現なんですけれども、クリフに落ちない、こうした考え方が大変重要なことであろうというふうに思っています。
 東京都では、予防的な取り組みとしてどのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。

○手島少子社会対策部長 虐待の未然防止に向けた取り組みは重要であり、都は、全ての子育て家庭に対し、妊娠期から子育て期にわたって切れ目なく支援を行っております。
 区市町村では、母子健康手帳の交付や乳児家庭全戸訪問事業、乳幼児健康診査などを行うとともに、保健師等の専門職が保護者の相談に応じております。
 また、こうした機会を通じて支援を要する家庭を発見した際に、子供家庭支援センターにおける各種相談事業などに結びつける取り組みを行っており、都は、包括補助事業を活用して、そうした取り組みを支援しております。
 さらに、都は、今年度から、区市町村が全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を行えるよう、相談支援を行う保健師等の配置や育児パッケージの配布を行うゆりかご・とうきょう事業を開始いたしました。
 今後とも、都は、全ての子育て家庭に対する支援を行い、地域の関係機関との連携を強化しながら、虐待の未然防止に取り組んでまいります。

○栗山委員 東京都は、ニュージーランドの養護施策を一つの参考事例として取り入れているというふうにお伺いをいたしております。
 東京都におきましても、社会的養護に陥る前に、家庭の養育力を高める取り組みをしてきていることがよくわかりました。
 今後も引き続き、これらの取り組みを推進していただきまして、社会的養護が必要になったときは必要な措置、支援をしていただくこと、こうした体制を強化していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時十二分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る