厚生委員会速記録第十号

平成二十七年十月二日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長遠藤  守君
副委員長おときた駿君
副委員長小宮あんり君
理事斉藤やすひろ君
理事山加 朱美君
理事野島 善司君
松田やすまさ君
和泉なおみ君
神野 次郎君
あさの克彦君
中山 信行君
小松 大祐君
斉藤あつし君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
技監笹井 敬子君
理事黒田 祥之君
総務部長山岸 徳男君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長西山 智之君
保健政策部長上田  隆君
生活福祉部長芦田 真吾君
高齢社会対策部長西村 信一君
少子社会対策部長手島 浩二君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長小林 幸男君
企画担当部長後藤 啓志君
事業推進担当部長坂本 尚史君
医療改革推進担当部長成田 友代君
医療政策担当部長矢沢 知子君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長村田 由佳君
子供・子育て施策推進担当部長松山 祐一君
障害者医療担当部長平賀 正司君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長矢内真理子君
病院経営本部本部長真田 正義君
経営企画部長中野  透君
サービス推進部長野瀬 達昭君
経営戦略担当部長高野  豪君

本日の会議に付した事件
意見書について
病院経営本部関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十一号議案 災害救助用アルファ化米の買入れ(平成二十七年度新規分)について
・第百八十二号議案 個人防護具(ガウン等セット)外九点の買入れについて
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・平成二十六年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について
・都立障害者支援施設及び都立障害福祉サービス事業所の民間移譲について

○遠藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がございました。
 お諮りをいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○遠藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○あさの委員 私からは、この私債権の放棄について何点か確認をさせていただきたいと思いますが、まず今回の私債権の放棄の報告を見ますと、病院ごとのばらつきがあると同時に、全体として数の都合がいろいろ違うなということがよくわかります。
 例えば、今回、広尾病院、二百八十七件で一千三百万強の私債権の放棄がございました。
 同時に、大塚病院で百十七件、駒込では十六件、墨東七十三件、多摩総合医療センターでは二百五十四件と、金額もそれぞれまちまちで、これはさまざまないろんな事情があると思うんですが、これを過去五年にわたってどういった感じだったのかと調べてみますと、おおむね、総数で見ますと、平成二十三年度では全体で九十八件、一千九百万強のお金であったのが、二十四年度には二百五十五件で五千百万円、それから二十五年度には六百六件で六千三百万円強、二十六年度では七百九十八件、四千二百万強という形の数字になっております。
 全体的に、年によっての増減は多少あるんですけれども、おおむねどの病院も、それから総数で見ても、件数、それから金額もやや増加傾向にあるのではないかなというふうに思います。
 これは、さきにも申し上げたとおり、地域ごとの特徴とか規模の違いというのもありますので、なかなか一概にはいえないと思いますが、とはいえ、この私債権の放棄、どちらにしても、この診療報酬を取れなかったということは、どこかで補填をしなきゃいけないわけで、これは都民の税金から補填されていることを考えれば、できる限りこれは少なくしていかなきゃいけないと、そのための努力をしていかなきゃいけないと思います。
 とはいえ、行政的医療という、その性質を考え、役割を鑑みますと、この債権放棄が発生するということを完全になくすというのはなかなか難しいのかなということについては理解をいたします。
 ただ、そうはいっても、ただ難しいといって諦めるのではなくて、それなりに努力をして、都民に理解をしていただくということは非常に大切だと思います。
 実は、この私債権放棄、表に出ているのは、例えば患者さんが亡くなったりだとか、あるいはどうしても居場所が特定できないだとか、それによって時効が成立してしまったなどの場合で、もうこれは回収することは不可能ですねという形で放棄をするということになりますが、当然、その前には未収金、つまり放棄になる前にまだ回収の努力をしているというお金があるわけでして、それが各病院ごとに存在していることになると思います。
 そこでまず、この私債権放棄に至る前に未収金の回収をするという努力も当然しているんだと思いますけれども、現在、各病院ごとにどの程度の未収金があるのかについて確認したいと思います。

○野瀬サービス推進部長 都立病院における過年度個人未収金の総額は、平成二十五年度末で約十一億六千万円となっております。
 未収金の多い病院とその金額は、墨東病院で四億七千万円弱、広尾病院で約二億円、駒込病院で約一億三千万円などとなっております。

○あさの委員 今お話があったとおり、今回の私債権放棄というのは広尾病院が非常に多く見えているわけですけれども、未収金という意味では墨東病院が今四億七千万円弱ということで、次いで広尾病院、さらに駒込病院ということで、規模から考えると、多摩総合医療センターなどは非常に大きい規模ではありますが、現在では未収金というのは今の上位三病院の中に入ってきていなかったということで、やはり病院ごとの置かれている環境だとか事情だとか、そういったことによって数字にどうしてもばらつきが出るというのは理解できることであります。
 その病院ごとに未収金をできる限り回収するという努力はされているということについても、既に伺ってはいるんですけれども、とはいえ、病院というのは基本的に診療する機関でありまして、そこに働いていらっしゃるお医者さんにせよ、看護師さんにせよ、あるいはさまざまな方々というのも、まずは目の前の患者さんを救う、患者さんの病気を治す、助けるということに全力を尽くしていくという状況を考えますと、お金を回収するとか、例えば患者さんが困っている、病気を治したいといっているときに、この人、お金を払えるのかなという意識をするのはちょっと難しいだろうなということは、考えるにそんなに難しくないんではないかなと思います。
 病院というところはお金という話からはちょっと縁遠いという意味では、働いている方々も縁遠い働き方をしているといっても過言ではないのではないでしょうか。
 ということを考えますと、できればシステム的に未収金というものが発生しないというのが本当は一番の理想でありまして、そのためにどうしたらいいかというのをいろいろ考えていくのが、我々、理事者あるいは議会として努力をしていかなきゃいけない部分ではないかなというふうに思っております。
 まず、その未収金が発生しないようにする努力というのを確認しなきゃいけませんので、都立の各病院で行われております未収金発生防止の取り組みについて伺いたいと思います。

○野瀬サービス推進部長 未収金の発生防止の取り組みとして、各都立病院では、高額療養費制度や出産育児一時金制度、難病医療費などの公的な医療費助成制度などの紹介や相談に応じております。
 さらに、窓口や病棟の職員が患者さんのさまざまな問題を早期に把握し、経済的な問題を抱えている患者さんに対しては医療ソーシャルワーカーと連携して相談支援を行うなど、積極的な働きかけも行っております。
 また、診療終了時にお支払いいただけない患者さんからは、支払いの約束をしていただくための書類に記入していただき、連絡先を確実に把握するほか、その場で全額の支払いが困難であれば、一部でもお支払いいただけるよう調整するなど、未収金の発生防止に努めております。

○あさの委員 今回報告されました私債権放棄の中身を見ますと、数百万円に及ぶものから、五十円とか数百円だとか、あるいは数千円だったりとかというものまで、本当にさまざまあるんですね。そういったさまざまなものに対して、今のご答弁で、各病院では、そういったいろんなものが発生しないようにありとあらゆる努力をしているんだろうということは、その具体的な取り組みについてはよく理解できました。
 一番最初に述べさせていただきましたけれども、この私債権放棄にかかわるものというのは税金が充てられるわけではありますが、これは同時に、当然、診療している病院あるいはそれを支援する、監督する病院経営本部だけではなくて、実際に受診する患者さんのモラルという問題もきっとあるでしょうし、あるいは今置かれている経済状況、そういったものも背景にあるかもしれません。
 お金がたとえ手元になかったとしても、病気あるいはけがに対して診療、診察を受けられるという安心感というのはとても大切なことだと思います。しかし、それと同じくらい、それを維持するためには、やはり受けた患者さんもできる限りの努力をしていただいて診察代を納めてもらうということも非常に大切なことではないでしょうか。
 病院として不断の努力をするということももちろん大切なんですけれども、未収金が発生する状況をしっかりと分析して、一つでも発生する事案を少なくしていく努力を続けていただきたいと思います。
 今回の報告にある私債権の中身は、先ほどいいましたけれども、本当に金額のばらつきがいろいろあって、やはりケース・バイ・ケースというのは、いたし方ないのかなというふうには思いますが、逆にいうと、その金額だけでは、実はその背景をうかがい知ることはなかなかできないんですね。
 先ほどいったとおり、病院というのはお金の話をするという場所としてはちょっと縁遠い部分もありますので、ぜひ病院経営本部としては、その未収金がどうして発生するのか、そして発生しないようなメカニズムを構築していくためにはどうしていったらいいのかということを我々議会としても考えるためにも、例えば年齢であったりとか、あるいはどんなようなケースが発生しやすいのか、あるいは来た方が緊急なのか否かとか、さまざまな検証可能なデータをいろんな角度からしっかりと蓄積をしていって、これが五年、十年、いろいろやっていく中で、最終的に、できる限り本当に困った人以外の方々がしっかりと病院に納めていただけるような形をつくっていく、そのためのデータの蓄積ということをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○遠藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了をいたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○遠藤委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百八十一号議案及び第百八十二号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を一括して行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑はいずれも終了いたしました。

○遠藤委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について外二件に対する質疑を行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について理事者の説明を求めます。

○山岸総務部長 過日の厚生委員会で報告事項につきましてご要求のありました資料のご説明を申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別職員数の推移といたしまして、職種別の職員数について、平成二十三年度から五カ年にわたり記載してございます。
 二ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの診療科別医師数といたしまして、診療科別の医師数について記載してございます。
 三ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの経営指標の推移といたしまして、入院及び外来の経営指標を、平成二十二年度から五カ年にわたり記載してございます。
 四ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターのその他医業収益の推移と内訳といたしまして、その他医業収益の決算額とその内訳について、平成二十二年度から五カ年にわたり記載してございます。
 五ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに対する運営費負担金及び運営費交付金の推移といたしまして、運営費負担金と運営費交付金の決算額について、平成二十二年度から五カ年にわたり記載してございます。
 六ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける患者の退院先別人数の推移といたしまして、退院患者数について、退院先別に平成二十二年度から五カ年にわたり記載してございます。
 七ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける個室使用料の推移といたしまして、個室使用料について、個室の区分、単価、室数の推移を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○遠藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○中山委員 それでは、私からは、平成二十六年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに係る業務実績報告について質疑させていただきます。
 健康長寿医療センターは、都からの支出金として、二十六年度の実績になりますけれども、病院事業では運営費負担金が二十三億六千八百万円、研究所事業には運営費交付金として十九億九千四百万円が投入されております。
 このほか、当然ながら、入院収入として八十六億五千八百万円、外来収益として二十三億一千四百万円があります。
 研究事業では受託研究費があるんですけれども、二十六年度決算がまだ公表されていないということでありますので、ちなみに二十五年度実績としては、受託研究費収入が一億二千三百万円と伺っております。
 ともかく、都費だけでも四十三億六千万余円を投入しているわけでありますので、その成果は都民利益に大きくかかわるものであります。議会としても大きな関心事であるわけであります。
 今回の報告では、幸い救急医療の充実がS、高齢者に特有な疾患と生活機能障害を克服するための研究など十項目がA、そのほかの項目は全てBでありまして、おおむね良好であったわけであります。いわゆる低評価に当たるCとDはなかったということでございます。
 ただ、おおむね良好であったからといって、手放しで安心しているだけでは今後につながりませんので、今回の質疑では、今回の報告において何がどう評価されたのか、また、今後、センター全体としてどう努力していけば、さらに良好な状態を保っていけるのかを考える上での一助とさせていただきたいと思います。
 まず、平成二十六年度の健康長寿医療センターはどのような成果を上げ、福祉保健局としては、その成果がどういった点で今回の高評価につながったと考えているのかをお伺いいたします。

○村田施設調整担当部長 平成二十六年度における健康長寿医療センターの主な成果といたしましては、病院事業については、当直体制の見直しなど院内の受け入れ体制を強化したこと等により、目標を大きく上回る救急患者を受け入れたこと、重点医療である血管病、高齢者がん、認知症医療において、最新の機器と高度な技術を活用した難易度の高い鑑別診断を実施するとともに、患者の負担が少ない低侵襲な治療を提供したことなどが挙げられます。
 また、研究事業につきましては、染色体のテロメア長測定技術を利用して膵臓がんの悪性度を判別できる診断方法を確立したこと、乳がんホルモン療法を選択すべき症例かについて新たな判定基準を確立したこと、自記式認知症チェックリストを開発したことなどが挙げられます。
 健康長寿医療センターが都における高齢者医療研究の拠点として、その機能を確実に果たし、年度計画を上回る成果を上げたことが評価委員会の高い評価につながったものと認識をしております。

○中山委員 みずから掲げられた目標を大きく上回る成果を出したという点が高い評価につながったというご認識だということだと思います。
 今のご答弁の中で、最新の機器と高度な技術を活用した難易度の高い鑑別診断や低侵襲な治療を提供という表現があったと思いますけれども、受診患者さんの体に負担の少ない診断や治療ができるという点が高い成果につながっているんだと思いますし、高齢者に関する医療ケアの点ですぐれた対応を行えるという評価が定着してきているから、高齢者に関する救急搬送依頼件数も多く、そしてまた、その依頼に応えるための受け入れ体制の整備を行ったというような点が、さらに高い評価に結びついているのだと思います。
 ちなみに、認知症や精神疾患と他の症状の合併症がある、いわゆる身体合併症の救急患者の場合、一般には受け入れをためらわれてしまう傾向があります。
 また、その点が都民の悩みの種にもなっていると私も認識しておりますが、健康長寿医療センターでは、この点、いかがなのでしょうか。
 また、健康長寿医療センターは板橋区内にありますが、区外からの救急搬送にも積極的に対応しているのか、さらには受診歴のない患者でも救急搬送に積極的に応えているのか、あわせて教えていただきたいと思います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターにおけます平成二十六年度の新規入院患者の平均年齢は七十八歳でありまして、八十歳以上の高齢者は約五割を占めております。
 また、高齢の患者さんは、認知症や精神疾患との身体合併症を初め、複数の疾患を有している場合が極めて多うございます。
 こうしたことから、健康長寿医療センターは、精神科及び神経内科とその他の診療科が連携しました診療体制を日常的にとっているとともに、都が指定する地域拠点型認知症疾患医療センターでもあることから、認知症や精神疾患を有する身体合併症の救急患者の受け入れに適切に対応しております。
 また、都の二次救急医療機関であり、地域救急医療センターの指定も受けておりますことから、患者の住所地や受診歴にかかわらず、救急患者の積極的な受け入れを行っているところでございます。

○中山委員 今ご答弁のありました三点、認知症や精神疾患との身体合併症の受け入れという点も積極的に行っていると。また、患者の住所や診療履歴にかかわらず救急搬送に対応しているという点は非常に大切なことだと思います。
 今後もその体制を維持していただいて、具体的な事実の上で継続、拡充していただきたいというふうに思います。
 加えまして、健康長寿医療センターの取り組みの成果は、直接、センターを利用される受診者さんだけではなく、広く都民や関係機関に普及、還元されなければならないと考えます。
 その点、センターとして努力をどう払っているのか、ご説明をお願いしたいと思います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターでは、都における高齢者医療及び研究の拠点として、その成果及び知見を広く社会に発信するよう努めております。
 例えばですが、平成二十六年度の主な成果の一つである乳がんホルモン療法の適応に関する判定基準は、日本乳癌学会による乳癌診療ガイドライン二〇一五年版に掲載をされまして、がん診療における治療指針として活用されております。
 また、自記式認知症チェックリストは、都の普及啓発用パンフレットに掲載され、都のホームページで周知されるとともに、区市町村や関係機関に配布をされました。
 区市町村においては、それぞれの地域の相談先等を追記したパンフレットを増刷するなどしており、地域包括支援センター等の相談窓口などで、地域における認知症の普及啓発や早期発見、早期診断に広く活用をされております。
 さらに、医学生、研修医を対象とした高齢医学セミナーの開催や連携大学院からの学生の受け入れなど、次世代の高齢者医療研究を担う人材を育成するとともに、地域の訪問看護師を対象としました電話相談や研修会を実施するなど、高齢者の在宅医療、介護を支える人材の育成を行っております。

○中山委員 今ご報告のありました健康長寿医療センターの取り組みや成果の普及、還元という視点は、とても大事な点だと私は考えます。成果を上げているからいいというのではなくて、それが実際にどう利用されているのかという点まで含めて取り組みを評価していくということが大事だと思います。
 その成果の普及、還元の状況に関する評価というものは、これもできる限り客観的に行われることが望ましいわけでありますけれども、実際にはどのように取り組まれているのか、この点も説明をお願いしたいと思います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターの評価は、法人において行うものと、法令に基づきまして設立団体である都が行うものとがございます。
 法人におきましては、研究事業に関し、学識経験者や都民代表などで構成する外部評価委員会を設置しまして、年度ごとに還元可能な研究成果が出ているか等の視点で評価を行うとともに、中期目標期間を通じた研究成果についても、普及、還元状況等の評価を実施しております。
 また、都においては、地方独立行政法人法に基づき地方独立行政法人評価委員会を設置し、各事業年度及び中期目標期間の業務実績につきまして、研究成果の普及状況等を評価しているところでございます。

○中山委員 以上の質疑を踏まえまして、ちょっと長目になるかもしれませんけれども、若干意見と提案を行わせていただきたいと思います。
 今答弁ございましたけれども、健康長寿医療センターの関係では、ある意味、二つの外部評価委員会というのがあるわけですね。
 一つは、先ほどの成果、普及の還元状況に関する外部評価委員会というものをセンター独自の取り組みとして設置していると。また、今回の報告にもありました法定の、法律に基づく評価委員会というのがあって、その評価委員会の報告書の中にも、成果の普及、還元状況に関する評価が含められているということだと思います。
 評価委員会という手法については、近年、どこまで独立性が担保されたもので、どこまでその評価を都民なり一般の人々が信頼を寄せてよいものであるのか、疑念を差し挟まざるを得ないようなケースも、他の事例では散見するようであります。
 しかし、評価委員会の動きを、これまた別の評価委員会を設けて評価するというのでは無限の連鎖みたいになってしまいますし、今のところ、私としても、これにかわるよい方法もなかなか思い浮かびませんので、これはこれで尊重したいと思います。
 今回の評価委員会は法定のものでありますし、勝手に評価項目を変えるわけにもいかないとは思いますが、繰り返しになりますけれども、これはこれで尊重させていただきます。
 ただ、評価委員会に求める役割として、諮問対象となる判断の手続のプロセスの妥当性とか、恣意性の排除の確認とか、充当される経費や人員に関する効率性の評価とか、評価の視点はある程度限定して、それにふさわしい専門家などを交えた委員会に調査、吟味、評価を委ねることは、私は大変有効な手法だと思います。
 しかし、総合的な評価を丸ごと外部委員会的なものに委ねてしまうということになりますと、分厚い資料をぱらぱらとめくって意見や感想を述べるといった、確かに専門家かもしれないけれども、作業的には一般のどなたでもできることをお願いして評価に権威を持たせるだけという場合も見受けられます。
 したがって、評価委員会という手法だけに頼っていてはいけないという気がいたします。
 そういったことを踏まえまして、例えば今回の評価委員会の評価とはまた別に、東京都独自の、あるいは健康長寿医療センターさん独自の取り組みとして、数値目標をしっかりと掲げて毎年管理していく、あるいはその数値目標による評価、経年変化というものを都民にわかりやすく説明して直接判断を仰ぐ、そういった姿勢も大切であると思います。
 その意味では、例えば救急搬送における努力を他の標準的な医療機関と比較して、件数や割合などでどういった点で努力しているのかということをPRしたり、年ごとの積み重ねを示すことも大切であります。
 また、研究成果がどの程度一般的な診療機関などで用いられているのかを、これはなかなか大変だと思いますけれども、数字で示していくこと、その積み重ねを示すことも大切だと思います。
 我が党の提案も受け入れていただいて実現した認知症のチェックシート、これがいろいろな自治体で引用されているという話もございましたけれども、それがどのくらい使われているのかということを示すだけでも、都民にとっては大変わかりやすいことであります。
 こうした調査には手間暇も費用もある程度かかるかもしれませんけれども、それが数千万円かかっちゃうというのではちょっと考えものかもしれませんが、ある程度の費用を投入したとしても、都民が健康長寿医療センターの取り組みというものがどういうふうに有益なものなのかということを理解できる、そういう仕組みを積み重ねておくことは大事だと思います。
 例えば、研究成果というのは医療の現場で使われるわけでありますので、実際にその診療を受ける機会がなければなかなかわかりませんし、また、受けたとしても、ドクターが一々、どこの機関で誰が開発したものかと説明するわけでもありませんから、それはなかなかわからない。けれども、実際に使われているということをきちっと都民に対して示していくということが、私は大事だというふうに思います。
 そういう視点を持つことで、そもそもどういう研究をしていくことが、より人員や経費の投入との効率の比較において効率のよい成果を上げられるか、そういう研究目標そのものの設定の仕方にも改善という点であらわれるんだと思います。
 少々プレッシャーを与えるいい方をさせていただいたかもしれませんけれども、見方を変えれば最初に申し上げた、これだけの規模の研究機関を自治体単位で、特に長寿という焦点を持って運営できているのは東京都ぐらいなのではないかと思います。その点を誇りとしていただいて、今後も都内はもとより全国に成果を普及できるような活動を展開していただくことをお願いさせていただいて、私の質疑を終わります。

○和泉委員 私の方からも、報告事項三件のうちの平成二十六年度地方独立行政法人健康長寿医療センター業務実績評価に関して質疑します。
 高齢者の専門的医療と研究を一体化して、生活の質を重視した全人的、包括的医療を提供し、地域医療にも力を入れているという点に対して、昨年も私は評価をさせていただきましたが、さらに膵臓がん悪性度診断法の確立や、乳がんホルモン療法の判定基準を確立して乳癌診療ガイドラインに掲載が決まるなどの成果もまた高い評価に値すると思います。
 しかし、その一方で、新施設建設を機に、これまで取っていなかった個室使用料を取るようになり、その後の収益の増大は、その他の医業収益の平成二十五年度、新施設移行後の変化にあらわれているとおりです。
 また、医師、看護師、技術員等はふえていますけれども、研究員の数はこの間、減っています。平成二十七年度は八十五人、平成二十五年度は九十五人ですから、二年で十人の減少です。
 この研究員の減少はどういう原因によるものなのでしょうか、伺います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターの研究員ですが、中期目標期間における研究計画に基づきまして、必要な人員数を確保しております。
 平成二十五年度から二十七年度にかけての研究員の採用数は十五人、退職者は二十五人であり、その結果、十名の減となっております。
 退職理由としましては、定年退職や任期つき職員の任期満了等が挙げられます。

○和泉委員 私が気にかかっているのは、任期つきの職員が八十五人中三十二人と、四割近くに上ることです。
 任期つきの場合、限られた期間で成果を上げなければなりません。昨年、人事考課制度の見直しによって、学会の発表件数や論文発表件数などの研究実績と、外部研究費の獲得実績や特許出願件数などについて、研究員の成績評価を行っているということに対して、私は、研究とは長い時間を要したり、じっくりと調査、検証を行ったりすることが必要なものではないんでしょうかと申し上げました。
 STAP細胞論文不正問題に対する調査委員会の報告書が昨年十二月に発表されましたが、データの捏造や過失を厳しく指摘して、STAP細胞を根底から否定しました。この報告書によって、なぜこのようなずさんな論文が大々的に発表されたのかというところから、重要な教訓を引き出す必要があると思います。
 報告書は、特許や研究費獲得や著名雑誌への論文掲載に夢中になって、研究の中身への注意がおろそかになったことはないだろうかと指摘して、さらに、研究者倫理の基礎となるのは、論文のインパクトファクターでも、獲得研究費の額でも、ノーベル賞の獲得数でもなく、自然の謎を解き明かす喜びと社会に対する貢献であると強調しています。
 すぐれた研究成果を、学会や論文の発表件数とか研究費の獲得実績に置きかえて成績として評価するのではなくて、研究員が都民への還元と社会への貢献をモチベーションにして研究に打ち込める環境を確立することにこそ、力を尽くしていただきたいと申し述べておきます。
 地域医療連携の推進は地域からも歓迎されていると聞いています。さらに連携する医療機関もふえて、高度医療機器の共同利用を推進し、疾病の早期発見、早期治療に向けた地域との医療連携の強化など、この間の地域連携の取り組みは、評価そのものはBとなっていますが、私は非常に重要だと思います。
 この地域連携にとっても大きな役割を果たしている在宅医療連携病床については、数をふやしたんでしょうか。また、稼働の状況はどうなっているのか伺います。

○村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターの在宅医療連携病床は、在宅療養を継続するため、センターにあらかじめ登録したかかりつけ医の依頼に応じまして、患者を一時的に受け入れる病床でございます。
 その病床は、地域の需要を踏まえつつセンター内で運用しておりまして、平成二十五年度、二十六年度は十床でございます。各年度の受け入れ実績は、平成二十五年度が四十一件、二十六年度が五十四件でございます。

○和泉委員 さらに在宅難病患者一時入院事業にも新たに参画したということです。今後、地域連携が進めば進むほど、あわせて在宅医療連携病床の重要性は増してくるというふうに思います。在宅療養支援を強めていただくようお願いします。
 続いて、経営指標の推移についてですが、平成二十五年六月に新施設に移しているため、新施設移転前の平成二十四年度と二十六年度を比較します。
 資料3を見ますと、外来患者数は増加していますが、入院患者数は新施設になってから、患者数、病床利用率、平均在院日数ともに減少しています。
 その原因と、それでもなお入院収益が上がっていることをどう分析しているか伺います。

○村田施設調整担当部長 新施設では、最新の機器と高度な技術を活用しました低侵襲な治療を提供するとともに、患者の症状に応じた適切な退院支援等を実施しており、こうした取り組みを通じて、平均在院日数が短縮したものでございます。
 これに伴い、移転前と比較をしますと、年間延べ入院患者数や病床利用率は減少いたしましたが、新入院患者は二十四年度の九千四百九十四名に対し、二十六年度は一万一千五百七十六名と大きく上回り、より多くの患者に入院医療を提供することができました。
 入院収益がふえた理由としましては、救急患者や重症患者の積極的な受け入れや、診療報酬上の新たな施設基準の取得等に取り組んだことなどが挙げられます。

○和泉委員 適切な退院支援を行って平均在院日数を減らしたと。新入院患者は大幅にふえているということで、決して経営指標が悪化しているわけではないということだと思います。くれぐれも入院治療が必要な患者さんに退院をせかすというようなことがないようにお願いしたいと思います。
 さらに、収益が上がったのは、救急患者や重症患者の積極的な受け入れや、新たな施設基準を取得したからであるということですが、個室使用料が計上されているその他の医業収益は、平成二十六年度が四億七千九百万円で、平成二十四年度と比べて四億五千三百万円の増です。平成二十四年度と二十六年度の入院収益を比較すると、二十六年度が一億七千百万円の収益増です。収益がふえているのは、この有料個室料にかなり依拠しているということがいえるんじゃないかと思います。
 厚生労働省は、療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等及び保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等の実施上の留意事項についてという通知の中で、特別療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこととしています。
 昨年も、有料個室の利用は本人の同意が前提だという答弁をいただいていますが、同意だけでなく、十分に情報提供が行われた上で、患者の自由な選択に基づかなければならないというこの通知を遵守して運用していただくよう重ねて要望しておきます。
 以上です。

○大山委員 私は、都立障害者支援施設及び都立障害者福祉サービス事業所の民間移譲について質疑したいと思います。
 東京都練馬障害者支援ホーム、八王子自立ホーム、視覚障害者生活支援センターの運営について、現在の指定管理から民間移譲にしてしまうというものです。
 練馬障害者支援ホームは、東京都の心身障害者福祉センターから、高次脳機能障害の方の機能訓練を受けておりました。また、視覚障害者生活支援センターは、都としてはここしかないところです。
 この民間移譲の目的について、先日のご説明ですと、社会福祉法人の自主性や創意工夫を生かしたと、こういっています。
 現在の指定管理による管理ではできないというんでしょうか。できないというなら、それはどういう理由でできないんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 指定管理者制度では、条例等において管理の基準や業務の範囲が定められているとともに、施設運営も指定管理機関に限定されるものです。
 民間移譲では、法人の自主運営になることから、より一層柔軟な予算の執行や人材の活用が可能となり、新規事業の実施や利用定員の拡大など、サービスの向上を図ることができます。
 また、法人が設置主体と今度はなることから、将来にわたって法人が自主的に運営していく施設として長期的な視点での施設運営が可能になるとともに、地域との連携や周辺住民との交流を初めとして、より地域に根差した施設運営が可能となるものでございます。

○大山委員 指定管理では、管理基準や業務範囲が定められている、条例によって定められているということなんですけれども、この条例に定められているのは、ごく基本的なこと、いってみれば当たり前のことが定められているわけですね。
 業務範囲は、具体的には東京都が定めるわけですから、常にその利用者が必要としていることだとか要望だとか、より一層都民が利用できるようにするためにはどうするのかとか、それこそ地域との連携なども含めて、指定管理者と相談して、業務範囲など、よりよくしていけばいいんじゃないでしょうか。
 しかも、視覚障害者生活支援センターについていえば、今、指定管理にしていますよね。その指定管理しているときに入所の訓練もあったんですけれども、その入所の訓練を廃止することになりましたね。理由は利用者の減少です。
 しかし、利用者の減少の原因は、自立支援法による利用者負担の大幅増が大きな原因といわざるを得ない状況でした。二〇〇五年までは、住民税非課税の世帯の中で、障害基礎年金一級のみの場合だったら一カ月三万二千円の負担だったんですけれども、その翌年からは、その三万二千円の負担が四万五千二百四十円になったんです。
 一万三千二百四十円の負担増、それから、住民税課税世帯の場合、障害基礎年金の所得が百二十五万一千円の場合なら月額三万二千円の利用者負担だったのが七万二千五百七十円、四万五百七十円の負担増になったんです。六カ月入所して利用するとしたら、約四十四万円にもなるんですね。これでは、利用したくても利用できない人が出るのは当然なんです。
 こうやって利用者を減らして、入所での支援をやめさせてしまったわけですね。国の制度変更が大きな理由ではありますけれども、東京都自身も継続できるように努力すべきだったんではないんでしょうか。結局、業務を狭めたのは東京都なんじゃないんですか。
 中途で失明した方々ですから、まずは白杖で歩くこと自体を学ぶわけです。ですから、最初から一人で通所するというのは非常に困難なんですね。
 そのことは入所訓練を廃止するときも課題になっていましたから、私はそのときも、この問題を取り上げました。ガイドヘルパーなどの動向について進展はあったんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 視覚障害者生活支援センターに通所する際のガイドヘルパーの利用につきましては、いわゆる移動支援というのは、区市町村の生活支援事業のメニューの一つとして位置づけられていることから、基本的にはガイドヘルパーの利用を認めるかどうかということについては、各区市町村が地域の実情に応じて判断すべき事柄というふうに認識をしております。
 また、視覚障害者生活支援センターでは、利用者が通所を開始するに当たりましては、施設の職員が当初同行し、自宅からセンターまでの通所経路の安全確認を一緒に行うなど、きめ細やかな対応を図っているところでございます。

○大山委員 当初とおっしゃったように、同行して安全確認するんですよ。それは、それが必要だからやるわけですね。
 視覚障害の方でも、少しは見える人もいます。少し見える方だったら、何とか自力で通ってくることもできますよ。しかし、ほとんど見えなくなってしまうという方もいますし、視野が本当に狭くなってしまうという人もいます。
 利用開始時に職員が同行して安全確認することは、さっきおっしゃったようにしています。しかし、毎日迎えに行くということはできないんです。だからこそ、支援センターの所長さんにも、私、お話を伺いました。何とか同行援護を使えるようにしてほしいと話していらっしゃいました。本当に切実な要求です。
 支援法での同行援護と、さっきおっしゃった地域生活支援事業の移動支援がありますけれども、同行援護は通年かつ長期にわたる外出は認められない、そういうことになっているんですね。だから使えません。区市町村事業として、地域生活支援事業での移動支援がありますけれども、これも使えるところと使えない自治体があります。
 私、視覚障害者生活支援センターのことし九月十九日現在の利用状況をもらいました。これを見ますと、二十三区だと、ほとんどの区に利用者がいます。しかし、多摩地域からは、この九月の十九日時点では、立川市、八王子市、三鷹市から一人ずつ通所していますけれども、そのほかの自治体からは来ていらっしゃらないんですね。
 ですから、多摩地域からはほとんど通所者がいないわけですけれども、どう認識していますか。

○高原障害者施策推進部長 新宿区にありますこの視覚障害者生活支援センターは、交通至便な場所にあることから、区部の東部地域や都外からも通所されている方もいらっしゃいます。
 また、通所利用者に対しましては、先ほど申し上げましたように、当初、通所経路の確認といったようなことを行っているほか、利用者から要望がある場合には、機能訓練の一つとして、交通機関等を利用した通所訓練も行っているところでございます。
 今後とも、利用者の拡大という観点から、多摩地域も含めまして区市町村等に対する周知には努めてまいります。

○大山委員 確かにセンター自体は、大江戸線の若松河田駅を、出口出れば二分ぐらいのところにありますよ。大江戸線が利用できるというのと、それから高田馬場駅だとか新宿駅からバスでも来られます。しかし、例えば西多摩方面から通おうと思ったら、それはもう大変なことなんですね。だからこそ同行援護が使えるようにすることが必要なんです。
 視覚障害者の特徴というのは移動が困難だということです。その障害を克服するために通うセンターに、数年かつ長期にわたる外出だからだめなどという理屈は、障害者の自立を支援しようという立場には全く立っていないといわざるを得ません。
 通所するために同行援護が使えるように国に求めるべきではないですか。

○高原障害者施策推進部長 お話のとおり、法定給付であります同行援護につきましては、学校への通学や福祉施設等への通所につきましては、重度訪問介護や行動援護と同様に、現在は国の告示等により認められてはおりません。
 ただ、国の社会保障審議会障害者部会におきましては、障害者総合支援法施行後三年を目途とした見直しの検討が現在行われておりまして、同行援護など個別給付に係る移動支援における通勤通学等の取り扱いについても、その検討項目として検討を行っているところでありまして、今後、その動向については注視してまいります。

○大山委員 動向を注視していくということなんですけれども、国の社会保障審議会の部会で検討しているときだからこそ、具体的に東京都としても要望することが必要なんじゃないんでしょうか。都として要望はしていないんですか。

○高原障害者施策推進部長 この三年後の見直しにつきましては、障害者総合支援法が制定された際に附則に定められて、その検討を行うことの一つとして、この同行援護が挙げられていたところであります。
 現在、先ほども申し上げましたとおり、国の社会保障審議会障害者部会で、同行援護における通勤通学等の取り扱いについて検討が行われているところでありますので、その動向について、都としては注視していくということでございます。

○大山委員 せっかく検討しているんですから、注視するだけじゃなくて、ちゃんとこういう障害を、移動が困難だという障害を克服するためのセンターに通うための同行支援、これ、切実なんですよということを東京都からもぜひ要望していただきたいと思います。
 この視覚障害者生活支援センターのホームページには、機能訓練を受けた方々の状況だとか思いが載っています。例えば網膜剥離で失明した方が、本が読みたい、文字が書きたい、文書で誰かに伝えたい、こう思い悩んでいた方に対して、お医者さんがこの生活支援センターを紹介してくれて、思い切って通うようになったという方の話だとか、それから別の方は、退職してすぐに見えなくなって、老いと暗闇が同時に来るなんて耐えられませんでした、これからどうやって生きていったらいいんだろうと不安でしたというようなことでつづられて、そして、こうした方々が視覚障害者生活支援センターと出会って、出歩けるようになったことはもちろんですが、点字を読めるようになったり、パソコンの操作ができるようになったり、料理もできるようになったり、さまざまなことができるようになって、年齢は違うけれども一緒に学んでいる方々とスポーツしたり、おしゃべりしたりしながら学んで、就職もしているんですね。
 ですから、少しでも多くの方々がこの支援センターと出会って、視覚障害になっても自分らしく生きていくことができるようになってほしいと思うわけです。
 年間どれぐらいの方々が新たに視覚障害によって身体障害者手帳を取得するのかといいますと、二〇一五年版の東京都心身障害者福祉センター、つまり手帳を交付するところの事業概要を見せてもらいました。
 そしたら、昨年度新規に視覚障害での手帳を交付した数は千百十二です。つまり、昨年度は千百十二人の方が新たに視覚障害者となったということなんですね。
 ほとんど見えないであろうと思われる一級、二級の方々だけでも四百五十三人います。中途失明した方がセンターの存在を知ることができるように、眼科の主治医の先生が視覚障害者支援センターというのがあるのよということを紹介してくれるというのは重要なんですね。センターの所長さんも、主治医は一番信頼されているし、その医師が紹介してくれたら、本人も行ってみようかなという気になりやすい、だから重要なんだよっておっしゃっていました。
 眼科医への働きかけを都として徹底することが必要じゃないんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 視覚障害者生活支援センターでは、今後の利用を考えていらっしゃる方に対しまして実施している訓練体験会につきましては、医療機関ですとか相談支援事業者などへの広報を行っているところでございます。
 さらに、お話にありましたとおり、東京都眼科医会が行っております研修会に、センターの職員が講師として参加するなど、センターについての説明も行っているところでございます。
 引き続き、これらの機関等に働きかけを行ってまいります。

○大山委員 目が見えなくなったり、見えにくくなったりして、でも、訓練を受けるということに一歩踏み出すというのはなかなか、やっぱり決意が要ることだというんですね。ですから、やはり医療と福祉をつなぐというのが非常に重要だと思っています。
 一般的な広報だけでなく、都としても、眼科医が体験会などにも参加できるように働きかけていただきたいと思います。
 障害者手帳を本人に渡すのは区市町村ですね。そのときに、どういう制度を使うことができるのかというのを説明するわけですけれども、区市町村の職員も、このセンターの役割を知っているのと知らないのでは対応が全く違ってくるんですね。
 区市町村と連携をして、出前講座だとか訓練体験会を行うなど、対象者の掘り起こしをすることが必要ですけれども、どうですか。

○高原障害者施策推進部長 視覚障害者生活支援センターの利用拡大を図るためには、当事者はもちろんでございますが、相談支援事業者ですとか区市町村の窓口等への周知が重要であると認識しております。
 このため、センターでは、利用を考えている方への、先ほどお話もしましたが、訓練体験会のほか、福祉事務所の職員等を対象とした見学会も実施をしております。
 今後とも、引き続き周知に努めてまいります。

○大山委員 区市町村の姿勢は重要で、昨年は千百十二人が新規の視覚障害者といいましたけれども、新規の方だけではなくて、視覚障害者になって何年かたっても、生活支援センターの存在を知らないで困っている方も多いわけですね。
 例えば葛飾区、足立区、板橋区、府中市は、視覚障害者の人を発掘しているというんですね。それでサービスにつなげているということなんです。
 ほかの自治体も積極的に発掘できるように、都としても働きかけることが必要ではないでしょうかと思いますので、要望しておきます。
 民間移譲についての目的のもう一つが、より弾力的かつ効率的な施設運営、こういうわけですけれども、具体的にはどういうことなんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 先ほども指定管理者制度との比較の中でも申し上げましたが、具体的には、一層柔軟な予算執行や人材の活用が可能となるとともに、将来にわたって法人がみずから運営する施設として、長期的な視点での施設運営が可能となります。
 これらによりまして、新規事業の実施ですとか利用定員の拡大といったサービスの向上が期待できるものでございます。

○大山委員 今、一層柔軟な予算執行や人材の活用ができるんだといいますけれども、自立支援や就労支援ですから、職員の専門性と十分な人員配置が欠かせません。そのためには運営費の補助が不可欠なものです。
 視覚障害者生活支援センターの二〇一四年度の指定管理料は一億円ですね。この年、この年度の実績で計算すると、報酬は幾らになりますか。

○高原障害者施策推進部長 平成二十六年度の視覚障害者生活支援センターに係る訓練等給付費の収入は約五千七百万円でございました。

○大山委員 国から来るお金というのは五千七百万円なんだと。指定管理料が一億円ですから、半分ちょっとということですね。
 指定管理料の内訳を見ますと、一億円のうち、人件費が八千三百万円ですから、ほとんどが人件費です。これはごく順当な人件費割合だと思いますけれども、ですから、運営費が少なくなるというのは、人件費を直撃ということになるわけですね。
 少なくとも現在の職員数を維持できる補助が必要だと思いますけれども、どうですか。

○高原障害者施策推進部長 民間移譲後の施設の運営につきましては、基本的に訓練等給付費の収入に基づきまして、事業者の創意工夫のもと運営されることとなります。
 一方、都では、建物または土地を無償貸与するとともに、現状と同水準のサービスを提供するために必要となる補助金を民間移譲施設の事業者に対して交付いたします。

○大山委員 現行サービス維持のために必要な補助金を交付ということなんですけれども、実際、二〇一四年度の実績でその計算をすると、交付額というのは幾らになるんですか。

○高原障害者施策推進部長 これはあくまで平成二十六年度実績によります推計でございますけれども、サービス推進費等の相当額は約一千五百万円となります。

○大山委員 さっきの答弁は、現行サービスが維持できるように必要な補助をするということですけれども、国からの報酬が五千七百万円、東京都のその交付金が千五百万円、足しても七千二百万円ですよ。指定管理料一億円でしたから、二千八百万円も減額なんです。
 これでどうしてサービス水準を維持せよというわけなんですか。

○高原障害者施策推進部長 先ほども答弁いたしましたけれども、民間移譲後の運営は、基本的には国の給付に基づいて事業者の創意工夫のもとに運営されることが原則であります。
 その前提のもと、この通所施設は、通所利用者だとかその利用率の増加に比例して、報酬であります訓練給付費の収入も増加する仕組みというふうになってございます。
 この視覚障害者生活支援センターでは、通所施設への転換がなされた平成二十二年四月以降、指定管理者の努力もあり、その利用率は平成二十二年度は約三〇%であったものが、直近の平成二十六年度には約六五%まで向上しております。
 さらに、民間移譲後は、先ほど来お話のあるとおり、医療機関や区市町村等への周知により、利用率の向上を図るとともに、法人のさらなる創意工夫や効率的な運営により、安定した施設運営が可能になるというふうに考えております。

○大山委員 何をいってるんでしょうか。訓練給付費はもちろん、利用率が上がれば上がりますよ。しかし、去年は利用率が大分上がってきた時点ですよ。それでも二千八百万円もの減額なわけですよ。自主的な取り組みなんだ、やればいいじゃないかといって、新たな事業をしようと思えば、東京都からはサービス推進費つきますよといいますけれども、新たな事業をするということは人だって要るんですよ。二千八百万円といったら、常勤職員にしたら三、四人分ですか、もっとですか。
 先ほど、一層柔軟な予算執行や人材の活用ができるんだとかいっているわけですけれども、運営費が少なくなるのに、どうして現行サービス水準が維持できるんでしょうか。運営費の八割以上が人件費ですから、人件費を削ることになりかねないわけですよ。一層柔軟な予算執行や人材活用というのは、結局、人を減らしたり、常勤者を非常勤にかえたり、お給料減らしたり、支援のかなめである人が減ったのでは、支援を充実させる、現行水準を維持させるというのはもう至難のわざだということですよね。
 利用者にとったって、よくなるはずがありません。現行サービス水準を維持するんだというのが約束なんだったら、運営費をきちんと保障すべきであることを強く要望しておきます。
 それにしても、どうしてこんなに国の報酬が少なくなってしまうのかといえば、それは最低基準といっている人員配置の基準ですよね。
 視覚障害者生活支援センターの国基準の人員配置だと何人で、指定管理基準だと何人で、そして、現在の人員はそれぞれ何人になっていますか。

○高原障害者施策推進部長 全職種の合計で申し上げますが、国基準では九・七名、指定管理基準では十二・七名及び嘱託医一名でございます。
 また、平成二十七年八月一日時点での現員数は、常勤換算で十三名及び嘱託医一名でございます。

○大山委員 つまり、国基準と現在の職員数は三人以上違うわけですね。
 国基準では事務職員の配置もありませんし、生活支援員や就労支援員などは、利用者六人に一人の配置でしかありません。東京都も、この国の基準が余りにも低過ぎるから、都独自で増配置しているんじゃないんでしょうか。これは練馬の支援ホームも八王子自立支援ホームも同様なんです。
 国の基準を引き上げるよう要望するべきだと思いますけれども、どうですか。

○高原障害者施策推進部長 国が定める職員配置基準は、機能訓練事業等について、全国一律に統一的なサービスを提供するために示された基準でございます。
 当センターでは視覚障害者を対象としてこれらの事業を実施しており、都としては、望ましいサービス水準を維持するため、民間移譲後はサービス推進費により対応していくことというふうに考えております。
 なお、国に対しましては、障害福祉サービスの報酬単価の設定に当たって、人件費、物件費等が高額である大都市の実情に適切に反映するよう、提案要求をしているところでございます。

○大山委員 東京は人件費も物価も高いから、大都市には報酬単価を上げてほしいと、そういう要求はしているということなんですね。それはそれで必要な要求ですから、引き続いて要求していってほしいと思います。
 同時に、報酬と人員配置というのは切り離せないことです。人員配置があってそれを保障するために報酬があるわけですから、前提である人員配置を改善できるよう要求するべきです。
 これらは、今回報告されたほかの二つの施設でも同様です。
 今回、三つの施設を民間移譲する報告ですが、それぞれの施設が、障害を持っても自分らしく生きていくためには重要な役割を果たしています。
 都立施設を民間移譲することを、二〇〇六年二月に策定した福祉・健康都市東京ビジョンで、都立施設のさらなる展開として出したわけですね。ことし四月までに三十もの都立施設を民間移譲してしまいました。この方針で次々進めていっていいのかということをきちんと検証するべきだということを述べ、この民間移譲方針は認められないということを表明して、終わります。

○おときた委員 私からは、報告事項にあります障害者支援施設等の民間移譲について意見を申し述べます。
 今後は、拡充する一方となる福祉政策を考えるに当たっては、民間でできることは民間で、その活力を生かすということは非常に重要です。
 平成十六年からスタートした民間移譲では、これまでおよそ三十施設が移譲済みとなっておりますが、指定管理よりも事業者による創意工夫の余地が多く、民間の知恵によって利用者サービスの向上にもつながります。
 入居施設では、ショートステイの実施や利用定員の拡大に成功、作業所、通所施設では、新たに飲食事業などの展開を開始した事例もあります。
 もちろん質の担保が重要であることはいうまでもないことですが、今後も積極的かつ迅速な民間移譲を進めて、都民にとって利便性の高い福祉サービスを整えていかれることを要望といたしまして、意見とさせていただきます。

○遠藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は、いずれも終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十三分散会

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