厚生委員会速記録第七号

平成二十七年六月十九日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長遠藤  守君
副委員長おときた駿君
副委員長小宮あんり君
理事斉藤やすひろ君
理事山加 朱美君
理事野島 善司君
小松 大祐君
和泉なおみ君
中山 信行君
あさの克彦君
松田やすまさ君
神野 次郎君
斉藤あつし君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
技監前田 秀雄君
理事宗田 友子君
総務部長山岸 徳男君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長笹井 敬子君
生活福祉部長芦田 真吾君
高齢社会対策部長枦山日出男君
少子社会対策部長手島 浩二君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長後藤 啓志君
事業推進担当部長西村 信一君
医療改革推進担当部長矢内真理子君
医療政策担当部長西山 智之君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長村田 由佳君
子供・子育て施策推進担当部長松山 祐一君
障害者医療担当部長平賀 正司君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長上田  隆君
特命担当部長成田 友代君

本日の会議に付した事件
意見書について
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十六号議案 東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
・第百五十二号議案 権利の放棄について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第九号 東京都歯科衛生士修学資金貸与条例

○遠藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がございました。
 お諮りをいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○遠藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、付託議案のうち、知事提出議案の審査を行います。
 第百三十六号議案、第百五十二号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の報告及び承認について外専決一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○和泉委員 私は、専決の東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例について質問いたします。
 この条例は、大きく三つに分けられます。
 一つは食品衛生管理者に関するもの、そして食鳥処理衛生管理者に関するものです。第四次一括法によって都知事に権限が移譲された事務の手数料を新設するというものですので、国の事業として徴収していたものと同額なので、これには反対はしません。
 二つ目は、医療介護総合確保法によって国が試験を行うことになったものの手数料を削除するものですから、これも賛成です。
 三つ目ですけれども、今までは徴収していなかった手数料を新たに徴収するというものです。これは賛成できません。認知症対応型サービス事業管理者研修、認知症対応型サービス事業開設者研修、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修、この受講は、今までは国が全額を負担して、受講者の負担はありませんでした。
 これらの研修は何が狙いで誰を対象としているのか、まず伺います。

○枦山高齢社会対策部長 認知症対応型サービス事業管理者研修、認知症対応型サービス事業開設者研修、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修は、認知症高齢者に対する介護サービスの充実を図ることを目的とし、認知症介護を提供する事業所を管理する立場にある者等に対し、適切なサービスの提供に関する知識等を習得させるために、国の実施要綱に基づいて実施するものでございます。
 対象者は、認知症対応型サービス事業管理者研修が事業所の管理者、または管理者になることが予定される者、認知症対応型サービス事業開設者研修が事業所の代表者、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修が事業所の計画作成担当者、または計画作成担当者になることが予定される者となっております。
 管理者、開設者、計画作成担当者を事業所に配置するに当たっては、厚生労働省令に基づきまして、これらの研修を受講することが義務づけられております。

○和泉委員 介護サービスの適切な提供や充実のために、認知症グループホームやデイサービス、また小規模多機能などの事業所の管理者や代表者、または予定している人、そして事業者の計画作成担当者、または予定している人、これが対象で、それらの人は必ず受けなければならない研修ということですよね。
 認知症グループホームや小規模多機能は、規模が小さいだけに、運営が非常に厳しい事業所が多いんです。日本認知症グループホーム協会の調査では、四分の一以上が赤字です。その上、ことし四月からは政府が介護報酬を五・七%も引き下げたことが、ますます経営を困難にしています。
 そんな中で、今までは無料で受けられた必要最低限度の研修の受講料徴収です。日本グループホーム協会の副会長さんも、介護報酬は下がるし、グループホームの場合、一ユニット九人で三百万円だから負担が大きいと話をしていました。
 あくまで受講料は受ける人が払い、受講修了証も受講者本人に交付され、配置転換などの場合には、本人が移動した先で新たに受講する必要はない。受講済みの職員がいなくなった事業所は、また新たな受講済みの人を配置しなければならないということですが、本来、事業所に配置するために受講させるわけですから、事業所が研修費として負担する場合も多いんじゃないかと思います。その場合には、職員の退職や異動のたびに、繰り返し受講料の負担が発生するということになります。
 しかし、介護職員の人員不足が深刻で、介護報酬が減らされているもとで、果たしてどのぐらい処遇改善が進むのかということが疑問視されている中です。本人が負担するにせよ、事業所が負担するにせよ、負担増となるのは事実です。
 国の要領で受講料を徴収することとするとしたため、受講料を徴収することになったということですけれども、二〇一四年度はどのように対応したんでしょうか。伺います。

○枦山高齢社会対策部長 国の要綱が改正されましたのが平成二十六年四月であり、その時点では、研修の年間スケジュールを既に公表しており、スケジュールどおりに研修を実施しないと、開設等を予定している事業者の事業運営に大きな影響を及ぼすことから、国と協議の上、二十六年度は受講料を徴収しないことといたしました。

○和泉委員 昨年度は、通知が四月に入ってから来たので、徴収しなかったというわけです。
 今年度の手数料の収入予定額というのは幾らを予定しているんでしょうか。伺います。

○枦山高齢社会対策部長 今年度は百七十九万二千円を見込んでおります。

○和泉委員 約百八十万ということです。
 東京都は十一年間で、認知症グループホームの定員を現在の約二倍、一万人ふやそうとしています。
 また、通えるし、訪問もしてくれるし、泊まることもできる小規模多機能は、高齢者の在宅での暮らしを支えるには非常に重要ですが、この整備も圧倒的におくれています。こういうときこそ、東京都が支援するべきではないんでしょうか。
 約六兆円の東京都の一般会計、福祉保健局だけでも一兆円の予算の中での百八十万円です。しかし、規模の小さな認知症グループホームや小規模多機能の事業所にとっては、これも大きな負担です。
 国からの補助はなくなりますけれども、高齢者の地域での暮らし、在宅だと強調しているわけですから、在宅での暮らしを支えて、現場で働く人たち、事業所を都が支援することこそ都の役割だと考えますので、これは賛成ができません。
 以上です。

○斉藤(あ)委員 それでは、私の方からは、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認というところから伺います。
 いわゆる指定保育士養成施設の指定、指導の権限移譲ということなんですけれども、地方分権改革の推進を進める第四次一括法の交付を受けて児童福祉法を改正する規定整備がなされて、今後、指定保育士養成施設の指定及び指導が国から都道府県知事に移譲されるというふうな予定になっているということであります。
 現在取り組んでいる待機児童解消というものの中には、保育サービスの向上を含めて、やはりそれを支える保育士を確保し、また増員していくということが不可欠になってくると思います。その保育士を養成する指定保育士養成施設ということですから、これもまた同時に、保育施設同様、社会的ニーズが高まっているわけでありまして、それによって新設校も恐らくふえているんだろうというふうに思われます。
 そこで、今回の権限移譲について伺いたいんですけれども、特にこういった養成校なんかの場合は、学校の授業カリキュラムばかりではなくて、それに加えて、実習先の確保と、そこと上手に連携をとりながら実施をするというところが、このタイプの養成校の大変難しいところというか、大変なところであります。
 特に保育士養成校となれば、やはり今いいましたように、順次新しい、今までそういったことに取り組んでいなかった学校もふえているというわけですので、なかなか指導するという点でも、対象もふえるし、内容も重層的になっているので大変かなと思うので、実際に右から左へと簡単に移譲できるものなのかなという疑問がありまして、今回質問させていただきます。
 一つ目なんですが、指定保育士養成施設の指定について、今まで国がやっていたことになっていますが、東京都はこの指定についてどのように関与してきたのか、そこを伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 都は、事業者が指定保育士養成施設の指定を受けようとする場合、児童福祉法施行令に基づき、その設置計画や指定申請書を取りまとめ、国に進達することとなっております。
 また、進達後、国が事業者に対して行うヒアリングや実地調査にも立ち会っております。

○斉藤(あ)委員 今の答弁だと、国だけがやっていて、東京都、都道府県の方は全くタッチしていなかったというわけではなくて、これまでもヒアリングとか実地調査にも立ち会っていたので、ある程度、どういうふうにやっているかというのは経験上、把握をしているということであります。
 こういった経験を生かしながら、適切な指定の事務に今後は取り組んでいくというふうになればと思うんですが、そこで、今申しましたように、今非常に社会的な注目もニーズも集まっているので、恐らくこういった養成校自体は多いのかなというふうに思うんですが、実際にはどのくらい指定保育士養成施設というのはあるのか、そこを伺います。

○手島少子社会対策部長 平成二十七年四月一日現在、都内には七十五の指定保育士養成施設がございます。

○斉藤(あ)委員 指定施設が七十五あるということで、意外と、イメージよりも少し多かったなという感じが僕なんかはするんですね。七十五を相手にして、そこに指導していくし、また実際に中に立入調査なんかも入っていくということなので、業務が国から来たからといって、そんなに簡単に、それこそ業務全体の中で端っこの方でちょこちょこっとやれるような感じでもないんじゃないかなというふうに私なんかは思うんですね。
 そこで、指定事務だけではなくて、基準を満たした上で適切に保育士を養成していくという目的のために、指定保育士養成施設に対する指導も、当然チェックだけではなくて指導も大変重要だと思いますし、それもしていかないといけない。
 今後、指定保育士養成施設に対して指導はどういうふうにやっていくのか。これは、実は今まで国の方でかなり中心的にやっていたので、ちょっとそれを東京都は脇から見てきたみたいな感じはあるかなと思うんですが、今度はその主体となって指導していくわけですので、相当の知識も、またやっぱり現場のあうんみたいなものも経験上、非常に必要になってくるのかなと。
 そういうふうに思うと、やはりそのところについては事務的にというわけにはいかない部分もあるかと思います。ぜひ、この指導をどのように行っていくのか、そこをちょっと教えていただきたいと思います。

○手島少子社会対策部長 これまで国が行ってきました指定保育士養成施設の指定及び指導につきましては、地方分権一括法により、子ども・子育て支援法の施行日でございます平成二十七年四月一日から一年以内に、国から都道府県に権限移譲がされる予定でございます。
 都といたしましては、今後、国が都道府県に対して実施をします権限移譲に関する説明会の内容を踏まえるとともに、現在国が行っている指定保育士養成施設の指導調査に同行し、具体的な調査手法を確認することなどにより、権限移譲後、適切な指導が行えるよう取り組んでまいります。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。
 細かい説明会はこれからということなので、専決処分ではありますが、実はまだ内容的な部分については、まだこれからというのが実際のようです。
 という意味で、今後、恐らくこれを担当するのに、一人ぐらい割けばという話ではなかなかいかないと思います。客観性もなくなりますし。そうすると、やっぱり少なくとも二、三人は人員が必要になってくるのかなと。それに伴う人件費など、あとさまざまな事務コスト、こういうのもあるんですが、今聞いたところ、その辺の具体的な部分は、まさにそれこそ説明会が終わった後じゃないと細かくは決められないのかなと思います。
 そういった中での移譲ということなので、恐らく担当者側の方も、幾らぐらい予算がとれるのかなというのは大変気になるところだと思いますけれども、今、先ほどから申しましたように、保育士の養成自体は、恐らくなるべく早く早くだと思いますし、学校の方も、思い切ってそういった準備をする中で新設というふうになれば、早く許可を出してほしい、早く指導に来て、早くチェックしてほしい、早く話を詰めたいというのが正直なところだと思います。
 そういう点でいったときに、余り東京都の方でふなれな感じですと相手側も不安になってしまいますし、やはり意見の違いなどをどういうふうにまとめていくかというのも、またこれは、少し経験があれば、何とかうまくいいところに指導して、お互いに合致できるという部分もあると思うんですけれども、なかなか最初のうちはそういうところは苦労するかなというふうに思います。
 ぜひ、そういう点ではしっかり予算確保と、それに伴って人員確保もしていただいて、保育士養成がより一層拡充できるように努めていただきたいと思います。
 以上でございます。

○おときた委員 私からは、東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例に関連いたしまして、幾つか質問をさせていただきます。
 まず、改正案のもとになっている条例について、基本的なことを幾つか確認いたしますが、東京都女性福祉資金は、国の母子及び父子並びに寡婦福祉法に規定された寡婦に加えて、東京都が独自にその範囲を広げて対象にしているものと認識をしております。
 東京都における本制度の成り立ちと、その意義はどのようなところにあるのでしょうか、伺います。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 都の女性福祉資金は、修学、就職、転宅などの資金を貸し付けることにより女性の経済的自立と生活意欲の助長を図り、福祉の増進に寄与することを目的とした制度でございます。
 本制度は、昭和三十三年、売春防止法における要保護女子を対象とした制度として国に先駆け開始した、婦人更生資金がもとになっております。その後、昭和三十九年に要保護女子以外にも対象を拡大し、国が昭和四十四年に、配偶者のない女子であって、かつて配偶者のない女子として児童を扶養していたことのある寡婦を対象とした寡婦福祉資金制度を開始したことに伴い、昭和四十五年、都も国の制度の対象者である寡婦も加え、都独自の事業として実施しております。

○おときた委員 国の法律に規定された寡婦という分野だけでなく、さまざまな立場の女性がこの東京都の制度によって支援を受けられることがわかりました。
 それでは、具体的に対象となっている方と、直近でこの制度を利用された方の人数、そして執行額は幾らになるのでしょうか。
 また、今回の改正の対象となっている修学資金の利用者数も別途教えてください。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 都の女性福祉資金は市町村を対象とした制度であり、その対象者は、都内に六カ月以上居住する配偶者がいない女性で、親、子、兄弟姉妹などを扶養している方、年間所得が二百三万六千円以下の、かつて母子家庭の母として二十未満の子を扶養していたことのある方、または婚姻歴のある四十歳以上の方で、貸し付けが自立につながると判断され、償還の計画を立てることができる方を対象としております。
 平成二十五年度における市町村の貸付実績は七十三件、四千四十万円となっております。そのうち、修学資金が六十件、三千五百四十四万円と最も高い割合を占めております。

○おときた委員 この制度によってたくさんの方が助けられている反面、数字だけで見ると、それほど利用者は多くなくて、限られた人数というふうにも思います。
 しかしながら、東京都が実施をしている対象は、ご答弁のとおり、あくまで市町村のみであって、二十三区は対象外です。特別区は区が行う事業となっておりますが、本制度に準ずるものを実施していない区も約半数存在し、同じ区民でありながら、制度が活用できる区民とそうでない区民が存在することになります。
 これは利用者目線から見ると不公平であるとの意見もありますが、この点について、東京都の現状に対する見解をお伺いいたします。

○松山子供・子育て施策推進担当部長 女性福祉資金につきましては、昭和五十年に、特別区制度改革の一環として、特別区に事業移管しております。以後、各区は独自の制度として運用しており、事業の継続については、区議会での審議に基づき、各区が判断しているものと認識しております。

○おときた委員 事業の成り立ちと、広域自治体である東京都の役割、そして地域でできることは地域でという地方分権の流れから、現状に対しては一定の理解をするものではありますが、やはり利用者目線からのわかりづらさと不公平性には若干の懸念が残ります。
 今回の改正案そのものとはやや外れることではありますが、本制度は現在のところ利用者も限られ、制度としても設立から長期間がたったものです。いま一度、制度自体を見直して、都民が公平公正に積極的に利用できる制度を一部再検討すべきではないかということを意見として申し述べさせていただきまして、私の質問を終わります。

○大山委員 私からは、専決処分した東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例について質疑します。
 待機児が百人以上いて、公示地価が一定以上の額だったら、二歳未満児一人当たり三・三平米以上を確保しなければならないという基準を、年度途中、つまり四月二日以降は一人当たり二・五平米に小さくできるという基準の緩和を、二〇一二年度から昨年度末、つまりことしの三月三十一日までの限定で実施をしました。
 今回の条例は、さらに五年間延長して二〇二〇年までにするというものです。そもそも、二歳未満児一人当たり三・三平米だって狭過ぎるんです。国際的に見たら非常に貧弱です。人生の始まりこそ力強く、これがOECD保育白書で国際的にも確認されているわけです。それをさらに狭くていい、二・五平米にしていい、これをオリンピック・パラリンピックの年まで延長するということですね。
 しかも、私たちの調査では、ゼロ歳児室を一人当たり五平米の基準を持っている自治体は、十二区十七市町です。三・三平米ではなくて、従来どおりの五平米で、ちゃんと条例もしくは要綱を持っているところが十二区十七市町なんです。保育の実施主体である自治体は、質を向上させるために必要な基準を維持しているんです。
 だからこそ、この基準の緩和は二〇一二年のときにも児童福祉審議会で大議論になりました。区長会の代表の方は、区長会の意見だとして反対をしました。社会福祉法人の保育の現場の委員も反対をして、結局、専門部会からの報告は一つの意見としてまとめることはできませんでした。
 これはもう重大なことでした。子供たちの成長発達を保障する責任を自覚しているからこその、保育の実施主体と保育の現場からの意見です。
 私は、この問題について、さきの第一回定例会の厚生委員会でも質疑をしました。そのとき明らかになったのは、この緩和措置が始まったときから制度を適用した自治体は、都内に一つもないということです。多くの区市や、それから現場の反対を押し切って緩和できるようにしたけれど、結局、区や市は一度も緩和なんかしていないということなんです。
 体の基礎をつくるゼロ歳や一歳の子供たちにとって、一日のほとんどの時間を過ごす保育室の面積がいかに重要なことか、各自治体は認識しているからです。体づくりの基礎をつくるのは、はいはいを自由にできる場を保障する、体を十分に動かして遊ぶことを乳児期から保障できるようにすることこそ、東京都の役割です。
 この間、都と区市町村は、確かに認可保育園を増設してきました。都は、増設できるようにということで、都有地や国有地、民有地も活用しやすいように制度を拡充して、情報提供も進めてきたこと、頑張っているということを私も評価しているんです。
 しかし、気になることがあります。東京都の計画は、四年間で四万人分の保育サービスをふやす、待機児をゼロにするということなんですね。それに向かって制度も拡充してきたわけです。
 しかし、待機児をゼロにするという目標は、二〇一七年度末です。この特例は、待機児が百人以上いる自治体に適用されるんですね。その条例を二〇二〇年度末まで継続するというのは、二〇一七年度末に待機児ゼロどころか、二〇二〇年度末まで待機児がいる、それも一自治体百人を超える待機児がいるということを想定しているということなんじゃないんですか。つまり、待機児ゼロの目標達成は既に諦めてしまっているということなんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 平成二十九年度末までに待機児童を解消するために、昨年十二月に策定をいたしました長期ビジョン及び本年三月に策定をした子供・子育て支援総合計画において、保育サービスを四万人分ふやす目標を掲げてございます。
 これを実現するため、これまで実施してきた区市町村や事業者の負担軽減、都有地の減額貸付、国有地、民有地の賃借料補助などに加え、今年度からは、保育サービスを支える保育士の確保、定着を促進するためのキャリアアップの導入を支援するために、新たな取り組みも開始をしたところでございます。
 今後とも、平成二十九年度末までに待機児童を解消するという目標達成に向け、さまざまな施策を講じ、区市町村の取り組みを強力に支援してまいります。

○大山委員 そしたら、わざわざ延長する必要なんかないわけですよ。四年間で四万人分、それで待機児ゼロ、これはセットの目標になっていますよね。ですから、こんなことは延長する必要なんか全くないということなんですね。
 しかも、認証保育所の広さが二・五平米で年度途中はいいんだということがあるわけですけれども、この今回の延長について、やはりスペースをきちんと確保するということですけれども、今、やはり東京都の認可保育園をつくろうという、つくれるようにという支援も相まって、認証保育所から認可保育所に移行する、移行した保育園というのも多くなっているんじゃないですか。

○手島少子社会対策部長 昨年度、認証保育所から認可保育所に移行しました保育所は、全部で三十カ所ございます。

○大山委員 認証保育所からも認可保育園に三十カ所、移行しているわけですよね。圧倒的には、認可保育園をつくるという流れがあるわけです。つまり、きちんとしたスペース、それから、正規のというか、保育士の資格を持った人も十割、これは当然ですけれども、保育の質を高めていく条件整備をより整えていこうというのが流れになっているんじゃないでしょうか。
 ですから、この保育の実施主体の区市町村は、このような規制緩和は使いたくないわけですね。認証保育所は認可保育園に移行が進んでいる。そのときに東京都が低い基準を定めるということなどは、子供たちの成長発達をまともに保障するという立場にはないということではないんでしょうか。
 その子のゼロ歳、それから一歳のきょう、これはもう待ってくれないんです。だからこそ、東京都はきちんと、小さくするようなことは延長しないで、より保障していく立場に立つべきだという意見を述べて終わりです。

○遠藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案及び本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。

○遠藤委員長 次に、付託議案のうち議員提出議案の審査を行います。
 議員提出議案第九号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○大山委員 歯科衛生士修学資金貸与条例について、提案理由の説明をいたします。
 現在、東京都には看護師の修学資金貸付条例はありますが、歯科衛生士になるための修学資金貸付条例はありません。
 看護師、歯科衛生士とも国家資格です。就学年限も、看護師は三年、歯科衛生士も二〇一〇年度から三年間になりましたので、看護師と同様の制度が歯科衛生士にも必要です。
 内容は看護師等修学資金貸与条例と同様にしています。
 対象者は、都内の歯科衛生士養成施設に通い、将来都内で歯科衛生士として働こうとしている方で、経済的理由で修学困難な方が対象となります。
 貸与の内容は、一種は、五年間都内で働けば返済が免除されるもので、国公立の大学、養成所で月額三万二千円、私立大学、養成所で三万六千円、大学院修士課程で八万三千円です。
 第二種は、返済免除の規定がないもので、一口、月額二万五千円を最大二口まで借りることができます。一種と二種をあわせて受けることも可能です。
 必要経費は年間約一億六千万円を予定しています。これは、平年度予算額となります。
 実施時期は、二〇一六年四月一日を予定しています。
 先ほどお話ししたとおり、第一種については、五年間都内の指定施設で歯科衛生士として働けば返済は免除します。
 歯科衛生士は、さまざまな職場で必要とされていますから、幅広い施設を指定施設の対象にするのがよいと考えています。具体的には、歯科診療所を初め、保健所や自治体、病院、高齢者福祉施設、障害者施設、学校などを考えています。
 歯科衛生士の不足が課題になっています。歯科衛生士の都内の養成所等での国家試験合格者は、二〇一四年には九百二十六人でしたが、求人は多く、求人倍率はことし四月時点で二・三四倍です。雇用できずにいる診療所も少なくありません。
 二〇一一年八月に公布、施行された歯科口腔保健の推進に関する法律には、第一条の法の目的に、口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしていると述べ、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取り組みが口腔の健康の保持に極めて有効だとしています。
 これらの予防を中心的に行うのが歯科衛生士です。仕事の内容は、歯科衛生士法において、歯科予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導の三つの業務が定められており、それぞれに専門性の高い知識と技能を必要とします。
 歯科口腔保健の推進に関する法律にもあるように、近年では、さまざまな調査研究から、歯、口腔の健康と全身の健康との関係が明らかになり、高齢期の歯の喪失を防止するためにも、虫歯や歯周病の予防に関心が高まっています。
 また、がん等の患者さんの手術や治療において、口腔衛生状態の改善や口腔機能の維持向上を目指した口腔ケアが術後の回復やQOLの向上につながることから、チーム医療における歯科衛生士の役割が重視されています。
 超高齢社会となっている東京で、健康寿命を延ばすためにも、歯科衛生士の役割はますます大きくなっています。
 高齢者が口から食べるということは、生きる力になり、歯科衛生士の役割は重要です。誤嚥性肺炎の予防のためにも、歯科衛生士の役割が重要です。
 筑波大学の寺本信嗣教授は、肺炎患者のうち約六五%が七十歳以上の高齢者であり、そのうち約八割が誤嚥性肺炎だと報告しています。口腔ケア等による感染予防や、嚥下機能改善等の取り組みが行われています。
 歯科衛生士が口腔ケアの指導をしている老人保健施設では、口腔ケアを実施して以降、年間十件程度あった誤嚥性肺炎が年々少なくなり、昨年度はゼロ件になったとのことです。介護予防やリハビリテーションとの関係でも、可能性が示唆されています。
 介護予防事業の中でも、口腔機能の向上が柱の一つとして取り上げられていますが、その事業を担う人材が非常に不足しているのが現状です。とりわけ、歯科衛生士の専門的なかかわりが期待されています。現在でも不足している歯科衛生士ですが、今後ますます歯科衛生士の役割が求められるようになっていることを考えれば、東京都が養成のための支援をすることは重要です。
 看護師と同様に、不足している歯科衛生士についても、養成、定着、再就業を据え、待遇改善などを初めとした総合的な支援策をつくっていくことが求められています。その一環として、今回の条例を提案しました。
 都内に歯科衛生士を養成する学校は十七校ありますが、初年度納付金は百万円を超える学校もあり、三年間の学費だけで二百万円から三百万円、三百五十万円というところもありますから、経済的な理由で、歯科衛生士になりたいという希望をくじくことがないようにしなければなりません。
 実際、授業料の高さで歯科衛生士養成校に進学することを諦めた高校生もいます。国家資格を取得することは雇用の安定にも大きく寄与しますから、重要なことです。
 この条例で重要なところは、五年間働けば返済を免除することです。看護師修学資金貸与条例と同様です。東京都育英資金制度を借りることはできますが、返還免除は基本的にはありません。日本学生支援機構の奨学金も、返済免除の制度はありません。
 返還免除が重要なのは、社会に出た最初からマイナスの出発にしないためです。私立の大学や専門学校で三年間、この修学資金を借りたら百二十九万六千円になり、就職した時点から借金を抱えての出発になります。同時に、返済しなければならない奨学金では、借りたくても借りられません。学費と生活費のために、週五日、夜間アルバイトをしているという大学一年生は、勉強時間を十分に確保することが難しいと述べています。
 高等教育までの学費無償化を目指すことは、一九六六年の国際人権社会権規約で明記され、圧倒的多数の国々のルールとなっていますから、各国が学費無償化に向けて努力しています。OECD加盟国では、約半数の国が大学まで授業料を無償化しています。奨学金制度でも、欧米では、返す必要のない給付制が常識になっています。こうやって教育を受ける権利を保障しているのです。
 東京都ができることは、返済しなくて済む奨学資金を保障することです。
 今回、私たちは、歯科口腔保健を充実させる第一歩として歯科衛生士の養成を支援する修学資金貸与条例を提案しましたが、もちろん必要な施策はこれだけではありません。
 歯科口腔健康推進法では、歯科口腔保健に関する知識の普及啓発、定期的な歯科検診の受診促進、障害者や介護を必要とする高齢者への支援、歯科疾患の予防、口腔の健康に関する調査研究などを総合的に進めるための方針、目標、計画を都道府県が定めるよう努めることを定めています。
 また、同法に基づいて厚生労働省が示した基本事項では、歯科衛生士を初めとした歯科口腔保健を担う人材の確保や資質向上に取り組むことを地方自治体に求めるとともに、地方自治体に口腔保健支援センターを設置することが望ましいと明記しています。
 歯科衛生士の確保対策についても、養成、定着、再就業の総合的対策が必要だと考えています。まずは、今回の歯科衛生士修学資金貸与条例を成立させていただき、さらに引き続いて歯科口腔保健の総合的な拡充をご一緒に推進していきたいと思っています。
 ぜひとも各会派の皆さんのご賛同をいただきますようお願いを申し上げまして、提案理由の説明といたします。

○遠藤委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。

○斉藤(あ)委員 今回、条例案をいただきまして、私ども会派の中でも、いろいろ検討するのに幾つか質問しようかなと思ったんですが、実はその後、提案者の方でも補足の情報とか説明をいただいたものですから、いろいろそれを見て検討して、質問しなくても済むような感じでございました。ただ、私どもとしては、それを踏まえていろいろ検討したものですから、ちょっと意見をいわせていただきたいと思います。
 今説明の中にありましたように、勉強したい、もしくは資格を取りたい、そういった勉強しようという若い人たち--まあ、若くない社会人の学習する人もいますので、そういった思いのある人たちを応援するというのは、私どもの会派も全く同じであります。
 ただ、今回、提案をいただく中で、歯科衛生士という前提でございましたので、その部分について社会的にニーズがどのくらいあるのかと。今、この貸与制度は、歯科衛生士というふうな部分を前提にして、必要性があるかというふうな部分については今回、検討させていただきました。
 そして、今回、公益社団法人の東京都歯科衛生士会の方にもいろいろ取材をさせていただきましたけれども、その中で、会としては、優先される施策として、歯科衛生士の職場定着に向けた取り組みという方を望んでいらっしゃいました。
 理由については、現在、全国の歯科衛生士の免許登録者の中で、働いている歯科衛生士の割合が四五%と低いということで、むしろ優先されるものとして職場定着というふうなことになっているということらしいんです。
 実際にちょっと調べてみましたら、平成二十六年三月末の時点で歯科衛生士の有資格者登録数は、全国で二十四万九千三百四十人ということで約二十五万人なんですが、そのうち、もちろんかなりご高齢の方もいらっしゃいますので、全員が就業可能とはいえないまでも、ただ、実際には恐らく十万人以上の歯科衛生士が職を離れているだろうというふうに推測されると、調べたところ、そういうイメージが出てまいりました。
 では、この数字というのが、四五%しか資格者が働いていないというのが多いのか、それとも一般的な話なのかという疑問も出てくると思います。
 看護師の場合と比較をしてみますと、看護師の場合に、六十四歳以下の就労年齢というふうなことで限定をするんですが、それでも百五十一万人の看護師が全国で働いているんですね。
 では、一体、それ以外の働いていない潜在の看護師資格者というのはどのくらいかというと、数字自体は准看護師や保健師も含んでいるんですが、潜在看護師が七十一万人、つまり働いている人が三分の二いて、働いてない人は三分の一なんですね。六六%ぐらいは働いているわけです。そうすると、四五%ぐらいしか働いてないというのは、やっぱりちょっと少ないのかなと、歯科衛生士会自身が思っているように、やはり少ないのかなというふうに考えます。
 そういう背景もあって、歯科衛生士の就業の定着化というものが求められているわけですが、そもそも、男性も若干いらっしゃるんですが、女性の方が大変多い職種ということで、出産、育児で離職をした歯科衛生士の復職支援対策というのが急務といわれているということです。
 しかしながら、現在も歯科衛生士が出産を機に、仕事と育児の両立が難しいと判断して退職する方が多いんですね。資格は持っていますけれども働いていない、そもそも未就業、歯科衛生士として働いたことがない人というのがいらっしゃいまして、その方が約三割です。そもそも、資格を持っているけれども働いてないという未就業歯科衛生士という方が約三割、そのうちの三割が妊娠、出産を機会に仕事をやめているという調査結果もあると聞いております。
 また、もちろん、働いても家庭の事情や本人の健康問題などでフルタイム勤務が難しくなると、やはりどうしても非正規職員の形でしか働けなくなって、待遇や保障の面で正規職員との格差が出てしまい、残念ながらやめてしまうというふうな事例もあります。いわゆる最近いわれるワークライフバランスの推進というのが求められているというところであります。
 歯科衛生士会においても、しばらく現場から遠ざかっていても安心して再就業ができるための再就業支援研修会なんかを実施しています。そして、やはり知識やスキルを保つフォローアップセミナーや、必要な知識が得られる学術研修会を実施しているということです。
 この事業は予算推計一・六億円というイメージだと条例提案者から伺っておりますが、仮に看護師の貸与制度のように五年間の就労義務についても、その後が自然と継続できるような体制を整えなければならないかなというふうに思っています。
 三年間で学費二百万から、高くなると三百万ぐらいを支払うことができる資格を取得した方がいるにもかかわらず、残念ながらその後、就業しない、または途中でやめてそれっきりになってしまうという現状を考えると、やはりこの予算を上手に生かす上で、看護師でいえばナースバンクみたいな事業がありますけれども、そういった事業を同様に視野に入れるべきかというふうに思います。
 平成二十七年度も東京都の歯科衛生士会が主催して五日間の再就業支援研修会の開催をしているようです。これまでも、そういう歯科衛生士の資格者の就業機会の支援に、東京都はほかの資格者同様、尽力をしてきたかと思いますが、ぜひさらなる支援を東京都には行っていただきたいというふうに要望しておきます。
 そして、私としては、やはりこの予算の見合いも含めると、有効な支援策を検討するにはもう少し慎重でいいのかなというふうに考えます。ただ、そういう意味では、この条例案については賛意を示しがたいと述べておきます。
 ただ、最後に、提案者については、歯科衛生士の不足という問題は、事実ありますので、これに着目をして話題に取り上げていただいた点を感謝しまして、私の発言を終わります。

○遠藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了をいたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十七分散会

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