厚生委員会速記録第四号

平成二十七年三月十九日(木曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長遠藤  守君
副委員長おときた駿君
副委員長小宮あんり君
理事斉藤やすひろ君
理事山加 朱美君
理事野島 善司君
小松 大祐君
和泉なおみ君
中山 信行君
あさの克彦君
松田やすまさ君
神野 次郎君
斉藤あつし君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
技監前田 秀雄君
理事宗田 友子君
総務部長山岸 徳男君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長笹井 敬子君
生活福祉部長芦田 真吾君
高齢社会対策部長枦山日出男君
少子社会対策部長手島 浩二君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長後藤 啓志君
事業調整担当部長西村 信一君
医療改革推進担当部長矢内真理子君
医療政策担当部長西山 智之君
地域保健担当部長稲葉  薫君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長村田 由佳君
事業推進担当部長松山 祐一君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長上田  隆君

本日の会議に付した事件
福祉保健局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 福祉保健局所管分
・第五号議案 平成二十七年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成二十七年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十四号議案 東京都福祉先進都市実現基金条例
・第六十五号議案 東京都看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
・第六十六号議案 東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
・第六十七号議案 東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
・第六十八号議案 東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第七十号議案 東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 プール等取締条例の一部を改正する条例
・第七十五号議案 食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
・第七十七号議案 東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
・第百二十三号議案 東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十四号議案 東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十五号議案 東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十六号議案 東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十七号議案 東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・東京都食品安全条例の一部を改正する条例について
請願の審査
(1)二六第五二号 東京の待機児童の解消と保育の質の向上に関する請願
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 国民健康保険料又は国民健康保険税の補助に関する条例

○遠藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りをいたします。
 本委員会室の定員は二十名でございますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○遠藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の予算の調査、付託議案の審査、報告事項の聴取及び請願の審査を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○山岸総務部長 平成二十七年第一回東京都議会定例会に追加提案を予定しております議案につきまして、ご報告申し上げます。
 議案は、条例案一件でございます。
 お手元の資料、平成二十七年第一回東京都議会定例会条例案(追加提案予定分)の概要によりご報告申し上げます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、東京都食品安全条例の一部を改正する条例でございます。
 本案は、食品表示法の施行に伴い、自主回収報告制度に係る規定を改めるほか、規定を整備するものでございます。
 この条例は、平成二十七年四月一日から施行することとしています。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十七年第一回東京都議会定例会条例案(追加提案予定分)をご参照いただきたいと存じます。
 以上で、本定例会に追加提案を予定している議案のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○遠藤委員長 報告は終わりました。
 本件につきましては、次に行います予算の調査、知事提出の付託議案及び請願の審査の質疑の際にあわせて質疑を行いますので、ご了承願います。

○遠藤委員長 予算の調査、知事提出の付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び請願の審査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、福祉保健局所管分、第五号議案、第六号議案、第六十四号議案から第七十七号議案まで、第百二十三号議案から第百二十七号議案まで及び報告事項、東京都食品安全条例の一部を改正する条例について並びに請願二六第五二号を一括して議題といたします。
 本案及び報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料及び請願について理事者の説明を求めます。

○山岸総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。資料は、目次にございますように、全部で七項目となっております。
 一ページをお開き願います。二次保健医療圏別NICU病床整備状況といたしまして、都内各二次保健医療圏のNICU病床数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。療養型施設数及び療養病床数(医療保険適用・介護保険適用)の推移といたしまして、施設数と病床数の推移を医療保険適用と介護保険適用に区分して記載してございます。
 三ページをごらんください。地域密着型サービスの事業所数の推移といたしまして、認知症対応型共同生活介護につきましては、平成十七年から二十六年まで、その他の地域密着型サービスにつきましては、創設された年から二十六年まで、それぞれ四月一日現在の事業所数の推移を記載してございます。
 四ページをお開き願います。介護予防・日常生活支援総合事業の実施状況といたしまして、平成二十六年度における本事業の実施保険者について記載してございます。
 五ページをごらんください。地域包括支援センターの設置状況といたしまして、区市町村ごとのセンター設置数、六十五歳以上人口、あわせて職員の配置基準について、六ページにかけて記載してございます。
 七ページをごらんください。地域型保育事業の主な認可基準といたしまして、地域型保育事業の主な国基準を(1)に、そのうち、区市町村において独自に基準を設定しているものについて(2)として、一一ページにかけて区市町村ごとにそれぞれ記載してございます。
 一二ページをお開き願います。障害者グループホームの定員数といたしまして、平成二十六年三月一日現在の定員の総数について、区市町村ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○手島少子社会対策部長 お手元にお配りしてございます請願審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 一ページをお開き願います。整理番号1、請願二六第五二号、東京の待機児童の解消と保育の質の向上に関する請願は、新宿区の公的保育・福祉を守る東京実行委員会代表の橋本宏子さん外九万九千四百三十名の方々から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 第一に、待機児童を早急に解消するため、児童福祉法第二十四条第一項に基づき、区市町村を支援すること。
 (1)としまして、認可保育園の設置のために都有地を無償で提供すること。
 (2)としまして、認可保育園の設置のための補助金を増額すること。
 (3)としまして、公立保育園の増設、増改築のための支援制度をつくること。
 第二に、認可保育園の職員配置基準を改善し、新たに設置する認可保育園に園庭を確保すること。
 第三に、子ども・子育て支援新制度の施行後も東京の保育水準を維持するため、都区財政調整制度、東京都子育て推進交付金、民間社会福祉施設サービス推進費補助などの東京独自の補助制度を守ること。
 第四に、民間保育施設に働く保育士の処遇を向上させるための独自支援を行うこと。
 第五に、認証保育所の認可化を推進し、現在、利用している保護者に保育料軽減対策を行うこと。
 第六に、国に対して、子ども・子育て支援新制度の施行は予定されていた財源の確保を前提とするよう意見書を提出することという内容でございます。
 現在の状況でございますが、第一につきましては、都は、昨年十二月に策定した東京都長期ビジョンにおいて、平成二十九年度末までに待機児童解消を図るため、平成二十六年度からの四年間で保育サービス利用児童数を四万人ふやすことを目標に定め、保育の実施主体である区市町村が多様な保育サービスの整備を進められるよう、国の安心こども基金等の活用に加え、独自の支援を実施しております。
 (1)につきまして、平成二十年三月から、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業の対象施設に民間保育所を加え、都有地の貸付料については五〇%減額しております。また、平成二十六年八月二十日から三十年三月三十一日までに公募を開始した案件について、都内の公示地価平均額を超える場合は、当該超過部分について九〇%の減額を行った上で貸し付ける支援を実施しております。
 (2)につきまして、認可保育所のうち、民間保育所の新設、増改築については、安心こども基金による支援に加え、事業者及び区市町村の負担を軽減する都独自の支援策を実施しております。
 (3)につきまして、公立保育所の整備費については、平成十八年度に区市町村へ税源移譲されております。
 第二につきましては、認可保育所の職員配置や設備などの基準は、東京都児童福祉審議会での意見を踏まえた上で、都議会の議決を経て、平成二十四年四月一日施行の東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例で定めております。
 第三につきましては、都は、子育て支援の実施主体である市町村が、地域の実情に応じて創意工夫により施策を展開できるよう、市町村に対し独自の子育て推進交付金を交付しております。
 また、民間社会福祉施設サービス推進費補助金については、保育人材の確保、定着及び保育サービスの質のさらなる向上を図るため再構築し、来年度から新たに、保育士等キャリアアップ補助及び保育サービス推進事業を実施する予定でございます。
 なお、特別区財政調整交付金は、地方自治法により、都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、並びに特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、条例に基づき交付するものでございます。
 第四につきましては、都は、平成二十五年度から、保育所を対象とした国の処遇改善補助に加え、認証保育所や家庭的保育等を対象とした処遇改善補助を独自に実施してきました。
 来年度からは、国は子ども・子育て支援新制度において、保育所等に対する処遇改善等加算を実施する予定であり、都は、保育士等のキャリアパス導入に取り組む事業者への独自の支援策などを実施する予定でございます。
 第五につきましては、認可保育所への移行を目指す認可外保育施設に対しては、安心こども基金を活用して支援しております。
 保護者に対する保育料軽減補助は、地域の実情に応じて、保育の実施主体である区市町村が実施の有無を含めて判断しているものでございます。
 第六につきましては、都は国に対し、待機児童対策を初めとする子供、子育て支援施策の強化、推進を図るため、恒久的、安定的財源を十分に確保するよう提案要求しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○遠藤委員長 以上で説明は終わりました。
 これより、先ほどの資料を含めまして、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○小松委員 私から、まずは僻地医療について、今回については島しょ地域について質問させていただきます。
 都はこれまで、誰でも、いつでも、どこでも医療を受けることができる医療提供体制の整備を進めてきていると伺っております。島しょ地域においても、医師や看護師等の医療従事者を安定的に確保することは、島民の生命、安全を守る上で必須条件であります。
 現在、八丈町では町立病院が、また、そのほかの町村では診療所が設置、運営されており、都における無医町村はないですが、近年は島民の高齢化が著しく、六十五歳以上の高齢化率は三〇%をどの島も超えているようでございます。これは本土の約一・五倍にも達する状況でございます。こうした中、今後、医療需要というものはますます増大していくことが予見されます。
 また、都は、平成二十五年に東京都観光産業振興プランを定め、島しょ地域を含めた東京の伝統文化などの魅力をブラッシュアップし、国内外の旅行者の増加を目指しているわけでございます。島しょ地域を訪れる旅行者が安心して島固有の自然環境を満喫するためにも、島しょ地域の医療提供体制を整備していくことは重要でございます。
 私も幼少期、小児ぜんそくを患っていたので、例えば箱根などの標高の高い地域に旅行など行きますと、発作が出て両親に迷惑をかけるようなことも多々ありました。やはり観光先には、こうしたときに不安を抱えない安心感を持たせていくことも、今後、促進に向けては重要であると考えます。
 そうした意味から、この島しょ地域は、その地理的な特性などから医療従事者の確保が困難であると聞いているわけですが、島しょ地域の医療従事者の確保については、都は現在、どのような取り組みをされているのか、また、その実績を伺いたいと思います。
〇小林医療政策部長 都はこれまで、自治医科大学卒業医師の派遣や僻地勤務医師等確保事業による医師の派遣のほか、医療系職種の無料職業紹介事業などにより、島しょ地域の医療従事者の確保を支援してまいりました。
 これらの事業の今年度の実績でございますが、自治医科大学卒業医師の派遣は十名、僻地勤務医師等確保事業による派遣は十四名、また、無料職業紹介事業につきましては二十八名を紹介し、二十一名が雇用されております。

○小松委員 今お聞きのとおり、島しょ地域の医療機関に勤務する医師の数は少ないわけでございます。特に人口の少ない小規模な島では、医師が一人で診療に当たっているという現状がございます。そのため、島しょ医療機関においては、医師は全診療科にわたる知識や技量が求められていることになります。医療の専門分化が進む中、このことが負担となって島しょ医療機関に勤務することが回避される、そうした一因になっていることも考えられると思います。
 こうした中、実際に島しょ医療機関において診療に当たる医師を支援するとともに、島民に専門医療を提供するために、東京都としてはどのような取り組みをされているのか伺います。
〇小林医療政策部長 都は、平成六年度から、都立広尾病院と島しょ地域の医療機関との間に画像伝送装置を設置し、CT等の画像を送受信することにより、島しょ地域にいながらにして専門医の助言を受けられるシステムを構築しておりますが、さらに操作性の高いシステムとなるよう、来年度の再構築に向け、現在検討を進めているところでございます。
 また、島しょの町村が、地域の実情に即して眼科や耳鼻咽喉科等の専門診療を行うために医師等を確保する場合、その経費を補助しております。

○小松委員 ただいまの答弁で、操作性の高いシステムの再構築とのお話がございました。
 医療技術、こういったIT化なども進捗、進展していくわけでございますので、適宜導入を検討していただいて、島しょの地理的な特性がそのままハンディキャップにならないよう努めていただきたいと思います。
 同様に、島しょ地域では、研修、また学会に参加する機会というのもどうしても限られてくるわけでございます。また、これに参加したいと考えても、同僚の職員が少ないことからOJTの機会も少なかったり、逆に、ほかの同僚に迷惑をかけてしまうなどのこともあって、なかなかキャリアアップを充実させていくということが容易ではないというふうに伺っております。さらに、本土でこうした専門の研修を受講する場合などについても、こうした理由から研修の受講を諦めているケースもあるようでございます。
 そのため、島しょで医療機関等に就職しても、こういった理由が一つの要因となって、数年で退職をしてしまうという医療従事者が少なくないというふうに予見されるわけでございます。
 島しょに勤務されている医療従事者のスキルアップの機会をしっかりと確保していくことも、こうした課題の解消に重要な取り組みだと思いますが、いかがでしょうか。
〇小林医療政策部長 都はこれまで、島しょ医療機関の医師が研修等で一時的に不在となる場合、代診の医師を派遣し、自己研さんの機会を確保できるように支援しております。
 また、本年一月から島しょ看護職員定着促進事業を開始し、島しょの医療機関や福祉施設等に勤務する看護職員の定着やケアの質の向上を図るための研修を実施しており、一月に新島で実施した研修では、島に勤務する看護職員の約半数が参加いたしました。
 さらに、より多様な研修の受講を可能とし、勤務を継続しやすい環境を整備するため、平成二十七年度は島のニーズを踏まえ、都内の医療機関と連携しながら、代替職員を派遣できるよう取り組んでまいります。

○小松委員 繰り返しになりますが、島しょ地域は都において最も高齢化の進行している地域であります。また、観光需要の増大が見込まれてもおります。島しょ地域の医師、看護師の安定的な確保策については引き続き取り組みを進めていただくとともに、都立病院や公社病院を初めとする医療機関との連携を深めていただいて、医療基盤のさらなる拡充、充実を要望して、次の質問に移ります。
 次は、元気高齢者の活用についてご質問させていただきます。
 地域包括ケアシステムの構築においては、介護支援専門員など介護に携わっている人材や医療職などの専門職だけではなく、住民同士が地域で支え合う取り組みも重要になります。
 高齢者が住みなれた地域で安心して自宅で暮らし続けていくために、介護や医療サービスの提供のみならず、食事の用意、見守り、日常生活でのちょっとした困り事などへの手助けが不可欠であります。福祉サービスへのニーズは今後もますます増大していくものと思われます。
 一方、地域には、団塊の世代を初めとする、定年退職されて地域でまだまだ活躍できる元気な高齢者の方がたくさんおります。都内の六十五歳以上の高齢者の約二四%は現在も収入を伴う仕事をしています。私の母も、積極的にボランティアなどで、こうした地域の活動に参加させていただいているわけでございます。
 現在は仕事をしていない高齢者のうち、前期高齢者では二割以上が仕事をしたいと考えており、在宅の高齢者に何歳まで働ける社会が理想か、こうした質問をさせていただきますと、七十歳ごろまでと答える方が三八・九%と最も多くなっているようでございます。
 元気な高齢者の地域での活躍というものが今後の高齢社会に向けても期待されるところでございますが、都の所見を伺います。

○枦山高齢社会対策部長 都内の高齢者で要介護認定を受けている方は、平成二十六年十一月現在で約一八%と二割を下回り、多くが元気な高齢者でございます。
 元気な高齢者が豊かな経験や能力を生かし、地域において役割を持って活躍することは生きがいづくりとなり、高齢者自身の介護予防という観点からも極めて重要でございます。
 また、今後、都内では、単身高齢者世帯等が増加していく中、生活支援サービスへのニーズが増大してまいります。元気な高齢者が、今まで培った経験や意欲を生かし、地域で活躍できる環境づくりが必要と考えております。

○小松委員 高齢者が担い手として社会参加することが地域を支える力にもなり、高齢者自身の生きがいづくりにもなっていくということで、まさに住民同士が地域で支え合う地域包括ケアシステムを構築していく中でのかなめとなるところであろうかと思います。
 また、急激な少子高齢化の進行に伴い、労働力人口の今後の減少が見込まれる中で、意欲と能力のある高齢者が今後も社会で活躍できるような仕組みづくりというものが不可欠であります。
 介護の分野のほか、共働き世帯の増加等により、今後、さらなるニーズの増大が見込まれる保育の分野でも、現在、既に慢性的な人材不足であることはご承知のとおりだと思います。
 そこで、働く意欲や能力がある高齢者が地域の担い手として福祉サービスの分野で活躍できるように取り組む区市町村を都としても積極的に支援すべきと考えますが、都の所見を伺います。

○枦山高齢社会対策部長 都では、元気な高齢者が豊かな経験や能力を生かし、地域で活躍できるよう、Tokyoシニア情報サイトを通じ、高齢者の地域貢献活動事例や企業の取り組み等の情報発信を行ってまいりました。
 また、今年度から、地域の中で元気な高齢者を担い手と位置づけ、高齢者の日常生活で生じるちょっとした困り事、例えば切れた電球の交換や庭の手入れなど、生活支援サービスの充実に取り組む区市町村を包括補助により支援しております。
 来年度からは、新たに、保育所での読み聞かせや介護施設での配膳など、高齢者を、人材が不足する福祉サービス分野での就労につなげる仕組みづくりに取り組む区市町村を支援することとしており、今後も高齢者の多様な社会参加を促進してまいります。

○小松委員 高齢者の方が生き生きと、元気にこれからもご活躍いただくためには、同時に介護予防の取り組みも重要であると考えます。介護予防というと、機能回復訓練を連想してしまう方が多く、実際の取り組みも身体機能の改善に偏りがちだと聞いています。
 しかし、これからの介護予防は、先ほどの福祉サービスの分野と同様に、元気な高齢者が体操教室のリーダーや講師になるなど、高齢者自身が何らかの役割を担って主体的に活動するということが期待されるわけでございます。体操以外でも、ご自身の関心のある趣味やボランティア活動などに参加することによって日常生活の活動を高め、生きがいを持って暮らしていける取り組みを進めていくということが、これからの介護予防の推進につながると考えます。そして、このような介護予防の基本となる考え方が生活期のリハビリテーションの理念でもあります。
 二〇一五年度の介護報酬改定においても、活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの推進が大きく打ち出されたところでございますが、心身機能に偏ることなく、活動の維持向上や社会参加の促進にバランスよくアプローチしていくリハビリテーションの理念は、これからの介護予防の大きな潮流となるものでございます。
 このような取り組みを推進していくため、区市町村は、リハビリテーションの理念を踏まえた効果的で魅力ある介護予防プログラムを用意し、一人でも多くの高齢者の方の参加を促す必要があると考えます。
 都は、この効果的で魅力ある介護予防事業の普及に向けて、区市町村の取り組みを一層支援すべきと考えますが、都の所見を伺います。

○枦山高齢社会対策部長 都は現在、高齢者を介護予防教室のリーダーとして育成するなど、住民参加型の介護予防を推進する区市町村を包括補助により支援しているほか、介護予防推進会議を通じて、より魅力的な介護予防事業を実施できるよう、区市町村の実務担当者に専門的助言を行っております。
 また、今年度からは、主任介護支援専門員や保健師等を介護予防機能強化支援員として配置する区市町村を支援しており、支援員の豊富な知識や経験を活用した効果的な介護予防プログラムの開発を推進しております。
 来年度は、さらに、リハビリテーションの理念を踏まえた介護予防事業の推進に向けまして、都の指定病院に理学療法士等の専門職をアドバイザーとして設置し、区市町村へ助言を行う事業を開始することとしており、こうした取り組みを通じて区市町村の介護予防事業を積極的に支援してまいります。

○小松委員 よく聞くお話ですが、やはり生涯寿命と健康寿命との乖離、男性で九歳、女性で十三歳もあると。それをいかに埋めていくのかということが、これからの高齢者対策の重要な取り組みであると思いますし、そういった意味で、今、都が取り組んでいる元気高齢者の事業というもののさらなる発展というものは不可欠であると考えます。どうかこういったことを、またこうした機会を通じて、いろいろ理解、研究を進めていただきたいことをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 最後に、不妊治療についてなんですが、来年度の予算案にありました不妊治療助成の中で、男性不妊治療の費用の一部を助成ということに関して質問したいと思います。
 近年、不妊の夫婦は増加傾向にあるといわれており、日本では約十組に一組の夫婦が不妊であるともいわれています。聞くところによると、最近は初婚が高齢化しているので、最近は六組から七組に一組ともいわれているといったお話も伺いました。私の周りでも、こうした不妊に悩む夫婦の話はよく耳にすることがふえてまいりました。
 まずは、この不妊症というものはどのような状態をいうのか、お尋ねします。

○手島少子社会対策部長 日本生殖医学会によりますと、不妊症とは、何らかの治療をしないと、それ以降は自然に妊娠する可能性がほとんどない状態をいうとされております。
 どのくらいの期間、妊娠しなかったら不妊症と考えるのかにつきましては、日本産科婦人科学会では、その期間については一年から三年までの諸説があり、二年というのが一般的であるというふうにされております。

○小松委員 約二年間くらい妊娠をしなかった場合には、まずは産婦人科に相談することになるのが一般的なのだと思います。
 そこで、原因を明らかにするために検査をして、原因が絞り込まれたら、その原因に合った治療法が選択されることになると思います。不妊症の治療にはどのような方法があるのか伺います。

○手島少子社会対策部長 不妊治療には、タイミング法、排卵誘発法、人工授精といった一般不妊治療と、体外受精及び顕微授精といった特定不妊治療とがございまして、順番にステップアップをして行われることが多いというふうに聞いております。

○小松委員 そうしますと、一般不妊治療でも妊娠をしなかった場合には、体外受精や顕微授精という特定不妊治療に移行していくわけだと思います。
 この特定不妊治療は保険適用にならず、高額な費用がかかるとも聞いています。私の周りでも、費用が高そうだということで、なかなかこの特定不妊治療のステップに進むことをちゅうちょする夫婦がいらっしゃるわけでございます。
 そこで、この特定不妊治療に対する経済的な負担を軽減させるために、都ではどのような制度があるのか伺います。

○手島少子社会対策部長 都は、平成十六年度から、国の制度に基づきまして、配偶者間の体外受精や顕微授精を行う特定不妊治療にかかる費用の一部を助成してまいりました。
 今年度から、都は、国の助成制度に加えまして、治療費用の実態を踏まえ、新鮮胚移植を実施した場合は上限五万円、凍結胚移植を実施した場合は上限十万円をそれぞれ上乗せして、最大二十五万円の助成を行っております。

○小松委員 都では、今ご答弁がありましたように、治療費用の実態を踏まえた形で、さまざまな負担の軽減というものを図っているということが確認できました。
 さらに都内では、調べたところによると、十カ所以上の区市町村でも、都のこうした助成額に加えて独自の上乗せの助成を行っているようでございます。私の住む世田谷区でも治療内容に応じた上乗せを実施しているということで、こうした援助があれば、経済的な理由で特定不妊治療に踏み出せないご夫婦の早期の治療にもつながる一歩になるんじゃないかなというふうに考えます。
 そして、このような不妊治療を始めるときには、女性だけではなく、当然、男性も検査を受けることになり、最近では、不妊に至る原因が女性だけではなく男性側にもあるということの認知が大分ふえてきたように聞いております。
 そこで、都では、来年度予算で男性向けの不妊治療助成を実施するということでありましたが、具体的な内容について伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 現在の特定不妊治療費助成制度では、特定不妊治療において男性の治療をあわせて行った場合には、その費用につきましても助成の対象としておりますが、特段の加算は行っておりません。
 来年度からは、現在の特定不妊治療の助成額に加え、男性分の治療費として、別途十五万円を上限に助成をすることといたしました。
 このことによりまして、男性の治療をあわせて行った場合には、最大で四十万円の助成を受けることができるようになります。
 今後とも、都は、子供を欲しいと望んでいる方々への特定不妊治療費を支援してまいります。

○小松委員 男性に対する助成制度によって、都だけでも最大四十万円の助成が受けられるということが、ただいまの答弁でわかりました。
 私の周りを見渡しますと、まだまだこの助成制度について余りよく知らない、ご存じのないご夫婦もいるように思います。そして、まだまだ私も勉強途中でございますが、成功率は約二割ぐらい、特に、四十歳を超えてくると、かなり成功率が下がってくるということもわかっているわけでございまして、なるべく早く知っていただいて、早く活用していただくということが、ご夫妻にとっても本当に結果につながってくるのかなというふうに思いますので、これからも、この助成の拡充も含めまして、十分な周知をしていっていただくことを要望させていただきまして、質問を終わります。

○斉藤(や)委員 委員会の円滑な審議のために、ちょっと質問の順番を変えたいと思います。
 今、私もこの不妊男性の治療加算について質問を用意しておりましたので、最初にそれを回したいと思います。
 不妊の現場におきましては、女性にだけ責任があるかのようにいわれるような、そういったことがよく耳にされるわけでございますが、今、小松委員からもお話がありましたように、WHO、世界保健機関の不妊症原因調査によりますと、ほぼ男女の半々に原因があるという結果が出ているようであります。したがいまして、この問題には男性もしっかり向き合いながら、夫婦が寄り添い合いながら早期に医療機関を受診し、的確な診断や治療を早く受けることが重要であると考えるわけです。
 こういったことから、都議会公明党は昨年、これ、八月でございましたが、特定不妊治療費の一部助成に関しまして、男性を対象とした治療費について要望してきたところであります。平成二十七年度からは、ただいまご答弁ございましたが、我が党の要望も受けまして、男性の不妊治療の費用として別途十五万円分の制度拡充をしたことを評価したいと思います。
 その上で、これまでの事業内容とあわせまして、十分に普及啓発していくことが重要でございますし、男性を対象に積極的に周知を図り、早期の治療につながるようPRすることが重要であると思います。
 そこで、私の方からは、このPRにつきまして、普及啓発につきまして都の見解を伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 都は来年度から、男性分の治療費に対する新たな助成制度を開始することから、改正内容をわかりやすく説明をいたしましたチラシ等を作成し、特定不妊治療の指定医療機関及び区市町村への配布や、広報、ホームページ等で周知を図ってまいります。
 また、これまで男性の不妊について、大学生向けに作成をいたしました小冊子「いつか子供がほしいと思っているあなたへ」において、男性にも不妊につながる要因が存在することを詳しく説明するとともに、妊娠、出産に関する知識を普及するための大学生向けの出前講座や、社会人向けのフリーペーパーの中でも取り上げてきたところでございます。
 今後とも、新たな特定不妊治療の助成制度の周知を行うとともに、早期に的確な診断、治療につながるよう、さまざまな機会を捉え、男性不妊も含めた妊娠、出産に関する知識の啓発に努めてまいります。

○斉藤(や)委員 少子社会というふうにいわれて久しいわけでございますけれども、このように強く望まれているご夫婦に対して温かいご支援を引き続き行っていただきまして、男女ともに、夫婦が寄り添ってその気持ちを埋めていくというか、温かな家庭が築かれるように、私もしっかりと、公明党も応援を続けていきたいと思っております。
 次のテーマに移ります。
 次に、転院支援についてお伺いします。
 医療機関に入院中の患者の方が別の医療機関に転院する際の支援、いわゆる転院支援について質問をしたいと思います。
 都議会公明党はこれまで、予算特別委員会を初め、本会議質問や厚生委員会など、さまざまな場面で、入院三カ月後の転院支援のため全都的な仕組みづくりが必要である、このように求め続けてまいりました。
 これは、入院患者の方が三カ月を境目に転院を余儀なくされる、このような声をたくさん聞くわけでございますが、そこに問題があると思ったからであります。
 入院中の身内が余りに早く転院を迫られたですとか、病院から紹介された転院先は費用も高く、そして遠くて見舞いとかになかなか行けないと大変悩んでいる家族のお声がございます。
 こうしたことを受けまして、都は昨年、転院支援情報システムを構築いたしまして、その運用をスタートさせているところです。このシステムは、患者家族が希望する地域や提供しているリハビリの内容、おおよその月額入院費用など、転院先選定に必要な条件を選択すると、その該当の病院が地図や一覧表に掲示されまして、さらにそこから病院の詳細情報を見ることができる仕組みになっております。
 都議会公明党としましては、先日、遠藤委員長がみずから、地元大田区にある病院で、実際にそのシステムの操作をしているところを視察してきたところでございます。
 ふだんから患者を紹介している病院だけでなく、都内全ての病院の中から希望する条件に合致する病院を検索できるというのは、転院先探しに苦慮される患者家族のご負担軽減につながるものと大いに期待をするところであります。
 そして、重要なことは、病院で実際に転院支援に携わるスタッフに、いかにこのシステムを利用してもらうかであると考えます。さまざまな議論を尽くし、現場の声を反映させて構築したシステムですけれども、使われなければ意味がないわけでございます。
 そこでまず、この転院支援情報システムの現在の運用状況について伺います。
〇矢内医療改革推進担当部長 都は、病院が患者の希望や状態を踏まえて転院先を円滑に選定できるよう、医療機関の意見も十分に聞いた上で、転院先選定に必要な情報を簡単に検索できる転院支援情報システムを開発し、昨年七月に運用を開始いたしました。
 また、このシステムを多くの病院で活用していただくため、都内の全病院にリーフレットや操作マニュアルを配布するとともに、医療ソーシャルワーカーを対象とした説明会や、地域の救急医療機関が集まる会議などを通じて、システムの内容や具体的な活用方法について周知を図ってきたところでございます。
 現在、システムの運用開始から約八カ月となりますが、これまでに約六千件、月平均で約七百五十件の利用がございます。

○斉藤(や)委員 八カ月で約六千件、月平均七百五十件ということで、私はこれは大変アクセスがあるというふうに認識をしたいと思います。システムへのアクセスがこれだけあるということは、そこに必要とされているニーズがあるということ、そして、この仕組みが使いやすいということが理由として挙げられるんじゃないかなというふうに考えます。
 この転院支援に特化したシステムは、全国的に見ても大変珍しいシステムであると思います。そのため、都の担当部署には、近隣の埼玉県とか、西の方では大阪府、九州からは福岡県など、他県からもこのシステムについての問い合わせがさまざまあると伺っております。どんどん紹介をしていただきまして、この取り組みを全国に広げていっていただきたいと思うわけであります。
 一方、このシステムは、利用できる対象を病院の医療従事者に限定してスタートしております。取り扱う情報の内容から、それもまずは第一歩として仕方ないと考えられますけれども、現場を歩いておりますと、地域包括支援センターの職員の方、現場に近い方、都が設置を促進している在宅療養支援窓口の職員の方などからは、こういったシステムはすばらしいので、ぜひ私たちも使いたいという声をよく耳にするわけでございます。いずれも、地域住民の皆様からさまざまな相談を受ける身近な機関、方々でございます。
 そこで、システムを利用できる対象を拡大するなど、システムがもっと活用されますよう、システムの内容や運用方法を充実させていくべきと考えます。見解を伺います。
〇矢内医療改革推進担当部長 都は、転院支援情報システムをより使いやすいものとするため、システムを使用している病院を対象に、使用してどのような効果があったか、操作性はよいか、追加すべき機能や検索項目はあるかなどの調査を現在行っております。
 この調査結果も踏まえ、来年度、学識経験者や実際に病院で転院支援に当たっている医療従事者から成る検討会議でシステムの評価、検証を行い、ご指摘も踏まえながら、その機能や運用方法などの充実について検討をしてまいります。

○斉藤(や)委員 検討をしていただくということでございますので、システムの利用状況をよく把握していただきまして、また、実際に患者家族からのご相談に対応している現場のお声をよく伺って、よりよいシステムになるよう努力を続けていってもらいたいと思います。来年度のシステム充実に向けた検討を期待して、次の質問に移ります。
 次に、リハビリテーションの話でございますが、リハビリテーション医療について伺います。
 国の調査によりますと、要介護状態の原因の第一は脳卒中による後遺症だというふうにいわれております。しかし、脳卒中となりましても、科学的なリハビリテーション、急性期、回復期、維持期と、戦略的段階にリハビリを行っていきますと、七十歳未満であれば歩けるようになる患者の方も多くいるというふうにいわれております。
 この急性期から回復期、そして維持期への一連の流れの中で、身体機能の回復にとりわけ重要なのは急性期から脱した回復期でございまして、回復期のリハビリテーションではないかというふうに思っているわけでございます。
 現在、急性期病院では平均在院日数がだんだん短くなっておりまして、医学的治療後のリハビリを提供する期間も短くなっています。その分、急性期病院での治療を終えまして、原因となる疾患が安定をしてから、理学療法、作業療法、言語療法などを集中的に実施する回復期リハビリテーションの役割がますます大きくなっていると考えられます。
 そこで、都内の回復期リハビリテーション病床数の過去三年間の推移について伺いたいと思います。
〇西山医療政策担当部長 都内の回復期リハビリテーション病床数は、各年の四月一日現在で、平成二十四年が四千四百九十八床、平成二十五年が五千二百二床、平成二十六年が五千四百十床でございまして、近年、増加傾向が続いております。

○斉藤(や)委員 三カ年、二十四、二十五、二十六と増加傾向が続いているということで、実際に数字的にも今のお話が裏づけられるんだと思います。
 回復期リハビリテーション病床の整備が着実に進んでいることが今のお話でわかったわけでございますが、しかし、答弁にありました平成二十六年の病床数が五千四百十床、これを人口十万人当たりで割り返しますと、約四十一床--十万人で割るというのは便宜的な一つの指標でございますが、約四十一床になります。全国平均の約五十四床と比較すると、まだ十分とはいえない。これは人口が、大変人の数が多いわけでございますので、東京都の特徴でもあります。
 また、医療法の改正によりまして、昨年の十月に病床機能報告制度が開始されているわけでありますが、この制度では、病床区分を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの機能区分に分けているわけです。今後、この四つの区分によりまして病床の機能分化を進めていくこととなるわけですが、高齢化のさらなる進展を踏まえますと、その中でも回復期の役割が特に重要となると考えます。
 昨年十一月、私たち都議会公明党、中山委員も入っていますけれども、高齢社会対策プロジェクトチーム、これがまとめた最終提言におきましても、回復期リハビリテーション病床の整備促進に積極的に取り組むべきと提言したところであります。
 そこで、回復期リハビリテーション病床の整備促進に向けた今後の都の取り組みについて伺います。
〇西山医療政策担当部長 都は、回復期リハビリテーション病床の整備促進に向け、平成二十一年度から都独自の整備費補助を行ってまいりました。
 来年度からは、この整備費補助の補助率を従来の二分の一から四分の三に引き上げ、医療機関の病床整備に要する経費負担をさらに軽減いたします。
 また、病床の整備を検討している医療機関に対し、整備後の収支シミュレーションを提示するなど、経営コンサルティングの専門家による支援を新たに開始いたします。
 こうした取り組みを積極的に進め、回復期リハビリテーション病床のさらなる整備促進を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 補助率を上げて経費負担を軽減する支援、そういったことももちろん重要でございます。そして、非常に特徴的なのは経営コンサルティングの専門家支援も行うということで、医療の現場はこういう視点も非常に重要であると思います。期待をしたいところでございます。
 都はこうした事業を積極的に展開いたしまして、回復期リハビリテーション病床の整備促進に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、こうしたリハビリ医療の提供体制整備に伴いまして、それを支える人材、人の方の確保も必要となってまいります。リハビリテーションを担う主な専門職としましては理学療法士や作業療法士の方々がおりますけれども、近年、この有資格者数が一貫して増加していると伺っております。そのこと自体は大変に頼もしいことでございますけれども、若い職員の方がふえているということでございますので、この有資格者全体の年齢構成を見ますと、二十代が全体の約半分、五割を占める状況になっているとも伺っているところです。
 そこで、増加している、ふえた若い方々の職員をしっかりと育成していかないと、今後、全体のサービスの質といいますか、せっかくふえたわけですから、しっかり育成をしていくことが重要となると思うわけでございます。
 リハビリが必要な患者の方に効果的かつ適切なリハビリテーションを提供していくためには、それを担う人材の育成が重要だということです。若手の理学療法士や作業療法士の方々が増加している今だからこそ、その育成に取り組むべきと考えますが、今後の都の取り組みについて伺いたいと思います。
〇西山医療政策担当部長 都では、リハビリテーションの中核病院として、二次保健医療圏ごとに地域リハビリテーション支援センターを十二カ所指定し、センターを拠点として地域のリハビリテーション体制の充実に取り組んでまいりました。
 センターでは、その役割の一つとして、地域のリハビリテーション専門職の資質向上を図るための症例検討会や講演会などを行っております。
 こうした取り組みに加えまして、来年度からは、地域の医療機関等に従事する実務経験の少ない若手の理学療法士や作業療法士を受け入れまして、一定期間、多くの症例に実際に携わりながらリハビリテーションを学ぶ実践形式の研修を新たに開始いたします。
 来年度はまず、三カ所のセンターで取り組みを開始し、順次、実施規模を拡大してまいります。

○斉藤(や)委員 リハビリテーションに関しましては、実際の病院において、学生だけでなく、他の医療機関の職員を一定期間受け入れて研修を行うというのは、これまで余り行われていなかったのではないかと思います。この研修は順次、規模を拡大していくということですけれども、その過程の中で、より効果的な研修になるように、現場の意見を十分聞きながら取り組みを進めていくことを要望いたします。
 経験がないからといって、質の低いサービスだということではありません。思いが深ければ--ベテランの方からよく激励されるようですけれども、思いがあれば、心が大事だと。そういうベテランの方々のもとで若い方々がスキルアップしていくことを強く望んでいるものでございます。
 続きまして、次に、ICTを活用した多職種連携についてお伺いをしておきたいと思います。
 高齢になりまして医療や介護が必要になりましても、住みなれた地域で安心して療養できるようにするためには、医療と介護にかかわる多職種の方々が連携していくことが重要であります。
 そして、この連携を進めていく上では、関係者の間の情報共有、この共有化が欠かせないわけであります。このことは、昨年十一月に都議会公明党、これも提言をいたしました高齢社会対策プロジェクトチームがまとめた提言の中や、あるいは、厚生委員会の事務事業質疑などにおきまして、取り組みを進めていくよう私も求めてきたところであります。
 こうした経緯もありまして、私は昨年の第四回定例会の厚生委員会質疑におきまして、都が新規事業として補正予算案に盛り込んだ在宅療養推進基盤整備事業につきまして伺いました。この事業は、在宅療養患者にかかわる多職種の方々が、ICTを活用して効果的に情報を共有する取り組みを支援するとなっていますけども、現在の取り組み状況について伺います。
〇矢内医療改革推進担当部長 都は、本年一月に、地区医師会や区市町村に対する説明会を開催し、在宅療養推進基盤整備事業の詳細な内容や補助制度の具体的な活用方法などについて周知を図るとともに、個別相談にもきめ細かく対応するなど、地区医師会が早期に事業に取り組むことができるよう働きかけてまいりました。
 これにより、今年度は、二十三の地区医師会で事業を開始し、それぞれの地区医師会では、多職種ネットワークの構築に向け、地域の医療や介護にかかわる関係者が参加する検討会を立ち上げるほか、連携が進んでいる地域では、具体的な情報共有システムの導入まで実施する地区医師会もございます。
 今後とも、本事業の積極的な活用を働きかけ、医療と介護の関係者が効果的に情報を共有し、在宅療養患者を支えていく体制整備を支援してまいります。

○斉藤(や)委員 この在宅療養の多職種の方を含めました推進は、医師、訪問看護師の方、そして多職種の方々、私の地元目黒は大変一生懸命、今この多職種連携を進めていただいているところでもありますけれども、二十三の中に入っております。
 中山委員と過日、八王子のネットワーク事業を見てまいりました。二十四年度から進められている、東京が進めた在宅医療のネットワークづくりの事業があって、そこにICTが重なって、非常にやる気になっている現場のお顔、声があったわけでございますが、やはり始めたばかりでございますので手探りであると。そして、やはりせっかくいいシステムをつくっても、それが持続していくのかどうか。これを地域の方々に拡大をして、そしてこれが長く続けられるようにするためには、財源的な手当て、どこが、誰が責任を持つのかといったことも抱えながらスタートしているわけでございますので、先駆的に進められているところをぜひ本当にバックアップする体制を、東京都はしっかりとっていただきたいというふうに思って帰ってまいりました。
 ICTにつきましては第一回定例会前からスタートしているお話でございますので、質問は以上にさせていただきたいと思います。
 続きまして、今度は障害者の支援のお話でございます。障害者の就労支援についてお伺いをしたいと思います。
 都内には、一般就労が難しい障害者が働く福祉施設が約七百あるというふうに認識しております。障害者の方がみずからの能力や適性を生かして生き生きと働き、やりがいのある達成感を感じながら地域で自立した生活を送るためには、こうした福祉施設で働いていられる工賃の向上が必要だと、重要だと思います。
 福祉施設では、自主製品の生産や軽作業の受注など、利用者の状況に応じまして、さまざまな活動を行い、工賃収入をふやそうと懸命に努力をされている現場がございます。しかしながら、その数字だけを見ますと、都内の施設の工賃水準は決して高いとはいえない。その推移を見ますと、全体で一万四千円の横ばいという、長期ビジョンにもそのように記載があるところであります。東京の事情があると思いますが。
 そこで、各施設が意欲を持って工賃向上に取り組めるよう、いろいろな側面からきめ細かく後押ししていくことが必要だと考えます。そこで、都では、これらの福祉施設の工賃向上のため、現在行っている支援についてお伺いをしておきたいと思います。
〇高原障害者施策推進部長 都は、平成二十四年六月に、福祉施設で働く障害者が地域で自立した生活が実現できるよう、工賃向上のための具体的な支援策を盛り込んだ東京都工賃向上計画を策定いたしました。
 この計画に基づきまして、新たな設備を導入して生産性の向上や販売先の開拓等を目指す福祉施設に対しては、設備整備費の補助を行っております。
 また、福祉施設の経営者や職員を対象に、販路拡大の手法や工賃アップの成功事例等について研修を実施しておりまして、来年度は、より多くの施設が工賃向上のノウハウを学べるよう、これまでの研修内容等を盛り込んだガイドブックも作成する予定でございます。
 こうした取り組みを通じまして、今後とも福祉施設の工賃向上に向けた取り組みを支援してまいります。

○斉藤(や)委員 この生産活動のための整備というハード面と、知識やノウハウなどのソフト面の両面から福祉施設を支援してきたことがわかりました。
 この工賃アップを実現するためには、これらの取り組みに加えまして、都民が福祉施設でつくられた製品に接する機会をふやすことも重要です。
 我が党はこれまで、展示即売会の開催を要望いたしまして、都もこれに応え、平成二十二年度、二十三年度には新宿駅西口広場で、そして、平成二十五年度には都内六カ所で展示即売会を開催し、都民の皆様に触れる取り組みを行ってきたことを評価したいと思います。
 来年度以降はこれをさらに進め、常設店舗である福祉・トライアルショップを平成二十八年度中に開設するとのことですけれども、そこで、この事業の概要と、常設店舗として設置することの意義について改めて伺いたいと思います。
〇高原障害者施策推進部長 お話のとおり、福祉施設では、食品や雑貨、アクセサリー、工芸品など、工夫を凝らしたさまざまな自主製品がつくられております。
 しかし、現状では、都民がこれらの製品に直接触れ、購入する場というのは、福祉施設内に設けられた売り場や、地域で開催される福祉祭りなどのイベントへの出店等に限られておるのが現状でございます。
 そこで、平成二十八年度を目途に、福祉・トライアルショップを常設の店舗として、都庁のほか区部、多摩地域の合計三カ所に設置をし、福祉施設で障害者がつくっている製品について都民に広く知っていただくとともに、販売機会の拡大を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 私も地元でそういったものづくりされている現場に、お祭り、イベントのときに伺って、大変クオリティーが高いものに感動して帰ってくるわけですが、できるだけ多くの都民、あるいは外客、来日者というか、海外からの方々を含めまして、できるだけ多くの方の目に触れるところに、そういった福祉施設でつくられたものを置いていただけるような、そういったショップというのは非常に意義があるというふうに思います。
 福祉施設でつくられる製品には、パンや焼き菓子、クッキーとか、そういった地域の方々に親しまれているものが多くある一方で、やや高額ではありますけれども、大変に手の込んだ製品、クオリティーの高い製品というものもあります。
 私が知る限りでは、これはもえぎの会という地元の目黒の会ですけれども、マフラーとか、それから草木染めスカーフ、こういったものを織ったりしているんですね。大変にこれは価値の高いもの、クオリティーの高いものだと思います。
 こうしたせっかくすばらしい製品がつくられているわけですから、こういったものが地域で埋もれてしまわないように、新たに設置する店舗では、そういった製品に光を当てていくような取り組みも検討していただきたいと思います。これは実際にあるんだと思います。知らないだけだと思います。ですから、ぜひそういったものに光を当てていただきたいと思うわけでございます。
 そのようなすぐれた製品について都民に広く知っていただくためには、店舗や販売商品についてのPRも重要です。多くの方が店舗のオープンを楽しみにしてくれるよう、店舗や製品のPRが重要であると考えますが、今後の進め方について伺いたいと思います。
〇高原障害者施策推進部長 トライアルショップにつきまして、多くの都民に関心を持っていただくためには、店舗で取り扱う製品の魅力を積極的に伝えていくことが必要でございます。
 そのため、来年度は、福祉施設でつくられている特色ある製品等について実態調査を実施いたしまして、えりすぐりの品などを紹介するパンフレットをつくり、配布いたします。また、ウエブサイトを制作し、店舗での取り扱い製品に加えて、福祉施設のさまざまな製品についても幅広く情報提供をしてまいります。
 これらの媒体等を効果的に活用するとともに、各種イベントと連携をするなど、機会を捉えてトライアルショップとその製品に関する情報を広くPRしてまいります。

○斉藤(や)委員 ぜひ積極的にPRをしていただきたいと思います。
 都が設置する店舗は、障害のある方がつくるすぐれた商品を紹介する拠点として象徴的な存在になるということが期待されます。店舗で商品が販売されることで、その商品をつくる施設の工賃が向上する、これが出発点でございますので、直接的な効果だけでなくて、例えば他の施設が刺激を受けて、より魅力的な商品開発をするなど、店舗の設置の効果が周りにも波及していくことがとても期待されるところでございます。
 また、都がリーダーシップを発揮して、これは大変だと思いますが、庁舎内に福祉・トライアルショップが設置されることで、基礎自治体の各庁舎、目黒区もこれはなかなかやってくれません、目黒区の例えば区役所の中とか、基礎自治体の庁舎でも地域に根差したショップが誕生していくようになりますと、地域の福祉施設の製品のPRにもつながるわけでございます。私もショップの愛好者になってしっかりPRをしていきたい、このように思います。
 障害者の就労支援のテーマは以上でございます。
 続きまして、次、福祉のまちづくりのお話でございます。
 二〇二〇年に開催されるオリンピック・パラリンピックには、多くの外国人や障害者の方が開催都市東京を訪れることになります。また、急速に高齢化が進んでおりまして、長期ビジョンにも詳細が書いてありますけれども、平成三十七年には都民の四人に一人が高齢者になる超高齢都市となるわけでございます。これらの人々が安心して、都民が住み、暮らし続け、快適に過ごせるよう、まちづくりを進める必要があります。この点、東京都長期ビジョンにも詳しく掲載されているところでございます。
 特に大事なのは、ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくりを進めることだと思います。そこで、都は、福祉のまちづくりを推進するためにどのように取り組んでいるのかを最初にお伺いしたいと思います。
〇芦田生活福祉部長 都は、高齢者や障害者、外国人など、全ての人が安全・安心、快適に暮らし、訪れることができるユニバーサルデザインを基本理念としたまちづくりを進めるため、福祉のまちづくり推進計画を策定し、福祉のまちづくりに関する施策を総合的、計画的に推進しております。
 平成二十六年度から平成三十年度までを計画期間とする現行計画には、建築物、歩道、公園、鉄道駅等におけるバリアフリー化の推進、心のバリアフリーに向けた普及啓発の強化など、ハード、ソフトの両面からさまざまな施策を盛り込んでおります。
 今後とも、福祉のまちづくり推進計画に基づき、オリンピック・パラリンピック大会の開催も見据え、ユニバーサルデザインの先進都市東京の実現を目指して、福祉のまちづくりを一層推進してまいります。

○斉藤(や)委員 私は、福祉保健局の中に福祉のまちづくり担当があるということが大変すばらしいことだというふうに思っております。まちづくりという言葉が入っているわけでございますので。現在、この福祉のまちづくり推進計画に基づいて、ハード、ソフト両面から取り組んでいるということがわかりました。
 長期ビジョンには、今後おおむね十年間に進めるべき具体的な数値目標なども掲げられております。ハード面につきましては、都内では、鉄道駅のエレベーターや歩道上の点字ブロックの整備、あるいは駅のホームドア設置など、着実に進んでいるというふうに思います。
 しかし、例えばエレベーターを利用する際、十分な健常者がエレベーターを利用することによって、逆にエレベーターが必要な車椅子の方やベビーカーの方が乗れないという状況があったり、最近報道でもありましたけれども、点字ブロックの上に自転車などを放置することによりまして、視覚障害者の方の歩行に支障が生じている、こういったケースも見られます。せっかくハード面を整備しても、本当に必要な方が必要なときに利用ができなければ、これは意味がないわけであります。
 こうした事例をなくすためには、ハードの取り組みだけでなく、ソフトの取り組みがより重要であるというふうに考えます。
 そこで、今後は特にソフト面の取り組みを充実させるべきであると考えますが、見解を伺います。
〇芦田生活福祉部長 ユニバーサルデザインを理念としたまちづくりを進めるためには、ハード面の整備に加えて、ソフト面の取り組みもあわせて強化することが重要でございます。
 そのため、都は来年度から、さまざまな障害の特性等に配慮し、必要な情報を容易に入手できる情報バリアフリーや、思いやりの心を醸成する心のバリアフリーの推進に取り組む区市町村を、新たに包括補助により支援いたします。
 また、現在、学識経験者、民間事業者、障害者団体、都民等から成る福祉のまちづくり推進協議会におきまして、情報バリアフリーと心のバリアフリーを推進する際の課題や効果的な方策などを検討しております。
 今後、こうした議論も踏まえ、区市町村等と連携しながら、ソフト面の取り組みを充実させてまいります。

○斉藤(や)委員 長期ビジョンなどにも書かれておりますけれども、まさしく今、検討しているということでございますので、今後、この議論を続けていきたいと思うわけでございます。ソフト面の取り組みをぜひとも福祉保健局がリードしていただきたいと思うわけでございます。
 質問は、このテーマは以上なんですが、お手元に今、配らせていただいたのは二種類ございまして、あったらいいなというハート・プラスマーク、これは私が平成二十一年、当選して一番最初の第四回定例会でも取り上げさせていただいて、随時このマークについて--内部障害を持った方のシンボルマークでございます。
 内部障害というのは、なかなか外からその障害のありようが見えないために、時に社会の中でさまざまなご苦労がございます。内部障害というのは例えば心臓疾患、ペースメーカーを入れた方もそうですし、本当に見た目は元気なんですけれども、実際は大変だという方がおられるという事実がございます。
 例えば障害者用の駐車場にせっかく車をとめようと思って、障害者用のスペースのところに車をとめようすると、見た目は元気ですから、あなたは何でそんな元気なのにそこへとめるのよということでトラブルになったり、あるいは、とても悲しいことなんですけれども、お母さんの方が高齢で、お子さんの方が内部障害者。お子さんが大変だから椅子に座っていると、何であんたは母親を立たせて、自分は椅子に座っているのよと、こんなふうなことをいわれることもあるそうであります。若い方が優先シートに座っていると、内部障害の方が座っていると、これは残念なことですけど、気がつかないからですが、つえをついた方が、そこは私が座る場所だからどいてくださいというふうにいわれてしまうみたいなことも起こっております。
 外から見えない障害だからこそ、逆にそれが、このような例えば一つのマーク、サインですけれども、こういったものに気づいていくということが重要であると思います。マークがあっても、気づく側がそういうことの認識がなければ、そのサインの意味がないわけでございます。
 そういったことで、今までいろいろ個別にも進めてまいりましたが、思いやりということでは、東京都はヘルプマークがあります。そして、要援護者用のヘルプカードがあります。こういったこともしっかり推進していくことが大事だと。
 それとあわせて、実はもう一枚配らせていただいたものはJIS規格でございまして、これは東京都の福祉のまちづくり条例の整備マニュアルの資料にも添付されておるんですけれども、ピクトグラムでございます。
 一九六四年のオリンピックのレガシーとして、このピクトグラムは非常に有名でございますけれども、二〇二〇年の新しいピクトグラムとして、私はぜひ、この右側の方に、昨年JIS規格になった、さまざまな障害を持ったり、あるいは子育てをしている方のマークが統一デザインになっております。この中に実は内部障害のある方も入っているわけでございまして、ぜひこれを推進していきたい。
 これは施設ではない、どっちかというと交通機関とか人が移動するところに必要でございますので、ぜひとも福祉保健局が旗振り役となって、例えば東京都では交通局がございますが、そういった他局にも声をかけていただいてソフト面の推進をしていただきたい、このように思いますし、国が、国土交通省を初め交通事業者にやる前に、東京都が先駆けて、ぜひともこういったサイン、ピクトグラムを交通機関にも載せていただきたいとお願いをして、このテーマを終わります。
 最後のテーマでございます。条例関連でございます。
 今回、定例議会に食品製造業等取締条例改正案というものがかかっておりますけれども、この条例に関して、質問を最後にしたいと思います。
 近年、都心のオフィス街で、ランチタイムに多種多様なお弁当がワゴンセールとか行商によって販売をされています。
 このような行商という売り方ですけれども、これは実はランチ難民と呼ばれる、高いビルにいろんなオフィスが入っているわけですけれども、高層ビルの集中するオフィス街で働く都民の方々にとっては、特に若い方、限られた一時間しかない休憩時間にランチをとるのは大変なんです。これがなかなか休憩時間にとれないということで、こういった高層ビル街では、ランチ難民といわれるようなお昼ご飯をとれないような方々がいるということでございます。これをランチ難民というふうにいわれています。
 今定例会では、行商により販売されるお弁当につきましては、新たな制度を盛り込んだ食品製造業等取締条例改正案が提案されているわけでございますが、この条例改正に至った経緯について、まず質問をしておきたいと思います。
〇仁科食品医薬品安全担当部長 近年、都心のオフィス街において、炎天下で路上に大量の弁当を陳列して販売するなど、弁当行商本来の、少量を短時間で売り歩く販売形態との乖離が見受けられるようになりました。
 届け出制である弁当行商には、制度上、行政指導に限界があり、抜本的な見直しが必要であるとして、特別区保健所生活衛生課長会から都に対し、検討会の設置が要望されました。
 都、区、市の担当者で構成される検討会が行商による弁当販売の実態調査を実施し、その結果、行商弁当の細菌数及び大腸菌群数の不適合率は、製造時よりも行商販売時の方が高い傾向にあることや、遮光性のない運搬容器の場合、著しく容器内の温度が高くなるなど、衛生上の問題発生が懸念されることが明らかとなりました。
 このため、都として、弁当等の安全性を適切に確保するための合理的な制度を専門家などにより検討する必要があると判断し、平成二十五年七月、東京都食品安全審議会に弁当等に関する食品販売の規制のあり方について諮問いたしました。
 食品安全審議会では、弁当行商に携わる事業者のヒアリングも実施しながら、実態調査の結果を踏まえた科学的根拠に基づき要請が行われ、昨年二月、答申がなされました。
 答申では、弁当等の屋外販売について、温度管理の不備等の衛生上の問題があることから、直射日光等の影響を受けにくい屋内への販売形態へ誘導することを第一として、人力により移動して販売する場合は、温度管理などの衛生管理を確実に向上させるために、必要な要件を整備すべきとされております。
 答申を踏まえ、屋内への誘導策として昨年十月、食料品等販売業の施設基準について、屋内であれば、簡易な施設や設備で弁当等の販売を可能とするよう見直しをいたしました。さらに今般、人力により移動して販売する場合の要件を整備するため、食品製造業等取締条例改正案を提出したものでございます。

○斉藤(や)委員 経緯については、かなり丁寧に答弁をいただいたと思います。
 食品安全審議会の答申を踏まえて、条例改正案の提出に至ったということはわかりました。
 答申では、屋内販売に比べると、屋外での業者による弁当販売は衛生上の問題があるとされていますけれども、これはしっかりと衛生管理に取り組んでいる事業者もいるんです。私はそういう方からもお話を聞いてまいりました。
 そこで、新たな制度では、弁当などの行商に対し、どのような規制となるのかを伺いたいと思います。
〇仁科食品医薬品安全担当部長 弁当等の行商につきましては、現行の届け出制から許可制とし、弁当等の温度管理を確実に行うため、外気温や道路の照り返し等の影響を受けない構造の保冷容器や温度計を備えることなどの設備の基準を規定いたしました。
 また、衛生管理の知識を持った者が販売に従事する必要があるため、食品衛生責任者の設置を義務づけるものでございます。

○斉藤(や)委員 この条例改正によりまして、弁当などの行商が、今まで行っていたものが許可制になると、不適切な衛生管理を行っている事業者がなくなることが期待される、そういった条例改正になっているわけであります。
 弁当行商を行う事業者の中には、私が接してきた方々も含めまして、団体を立ち上げて真面目に衛生管理に取り組んでいる事業者もいると聞いております。
 この新たな制度については、弁当行商を含め、事業者に新しい基準を確実に遵守していただくため、都としましても十分普及啓発を行うことが必要、一層、食の安全を確保していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
〇仁科食品医薬品安全担当部長 条例改正案では、許可制への移行は本年十月から施行することとしており、猶予期間を設定しております。
 都は、この期間に行商を含め、弁当等を販売する事業者やこれらの団体に対し、特別区や保健所設置市と連携しながら講習会を実施するとともに、リーフレットやホームページを通じて、丁寧に新たな制度を周知してまいります。
 許可を取得した事業者には、許可済み証を交付することとしており、消費者にも許可を取得した事業者であることが一目でわかるよう、許可済み証を携行することとしております。
 新たな制度に基づき、今後、食の安全確保を一層推進してまいります。

○斉藤(や)委員 私は、日本というか東京は、本当に食の安全についてしっかりした体制をとっていると思います。私の調べたところによりますと、夏の暑いときに食中毒が起こって、実際に起こって大変なことになったということのニュースを私は知りません。過去においては、そういったこともあったからこそ、こういった条例ができた、そういった立法事実があると思います。
 私は今、冒頭に、この条例が改正に至った経緯を詳しくお伺いしたのはほかでもなく、これは届け出制が許可制になるということで、ある面では経済活動の自由に対して、それは一つ規制がかかるわけでございますので、これは立派な健康を守る、衛生を守るという都としての責務を果たすということで、これは当然のこと、やっぱりやらなければいけないことである反面、現実において再開発地域を初めとして本当に高層ビルがどんどんどんどん建って、若い方が本当にエレベーターを待つだけで休み時間が終わっちゃう。
 都庁の庁舎も心配です。若い職員の方々、お昼はどういうふうにとっていらっしゃるのかなと思ったりすることもありますけれども、そういったことを考えますと、いろんなランチをとる姿があっていいんだと思います。自己責任も大事です。
 ですから、そういったことのちょうど折り合いをつけるために、しっかりとPRをし、衛生を管理した形での販売があって、そして多様なランチを楽しめるような、そういった成熟都市東京になっていただきたいという願いを込めまして、私の質問を終わります。

○和泉委員 私の方からは、初めにまず、子供の甲状腺の健康調査について伺います。
 私は、都内でも放射線量の高い葛飾を地元にしております。この地域の父母の思いを受けて、一昨年、福祉保健局の事務事業質疑、昨年の第一回定例会の一般質問で、子供の甲状腺の健康調査を行う区市町村に都が補助を行ってほしい、そう繰り返し要望してきました。
 その後、福島では、昨年十月末の時点で百九人が悪性ないし疑い例、八十四人が手術を行って甲状腺がんと診断されています。手術結果の詳細が報告をされている県民調査、第四回の甲状腺評価部会では、福島県立医大で手術を行って甲状腺がんと診断確定された五十四人のうち五十一人、九四%が手術をすべき症例でした。
 これまで、この部会は今回スクリーニングによって見つかったがんは、潜在的で放っておいてもよいがんなんだとしてきましたけれども、手術結果の分析はそうではないことを示したといえると思います。
 この結果について、都としてはどのように認識しているでしょうか。
〇中谷健康安全部長 お話の健康調査は、福島県が行っている県民健康調査のうち、甲状腺検査の先行検査として実施されたものであり、国が財政的な支援を行っております。
 対象者は平成二十三年三月十一日時点で福島県在住で、おおむねゼロ歳から十八歳以下であった全県民であり、検査期間は原則平成二十三年十月から平成二十六年三月末まででございます。
 その結果につきまして、福島県においては昨年二月の県議会で、甲状腺検査でこれまでに確認された甲状腺がんについては、県民健康調査検討委員会において総合的に判断して、事故時点において既に存在していたものであり、事故による影響とは考えにくいとの見解が示されている、県としては、今後とも検査を長期にわたり継続して実施し、子供たちの健康を将来にわたってしっかりと見守っていくとの考えを示しております。
 また、国においても、昨年三月ホームページで、今までの知見からすれば福島県の子供の甲状腺がんは事故の被曝によるものとは考えにくいが、環境省としても、福島県県民健康調査を積極的に支援し、推移を注意深く見守っていくとの見解を示しております。
 都としては、福島県や国において見解等が示されていると認識しております。

○和泉委員 確かに、事故による被曝とは考えにくいというのが、福島県の県民調査の見解ですけれども、繰り返しますが、実際、ここの部会はスクリーニングによって見つかったがんは潜在的で、放っておいてもよいがんだと今までしてきたんです。けれども、手術を行った検査結果を分析してそうではないということが明らかになっているんです。
 福島県や国が幾ら放射線の影響はないというふうに見解をとっているとしても、すぐれた医療技術が集積している東京都が、福島県、国がいっていることをうのみにして検査もしない、調査もしない、そういう立場でいいんでしょうか。
 仮に、放射線の影響でなかったとしても、これほど深刻な状況が福島では子供たちの体に起こっているんです。これは間違いのない事実です。これが放射能の影響によるものなのかどうか、放射線量の測定と健康調査を広い地域で行って、データの蓄積の中から分析をする必要があるんじゃないでしょうか。
 アメリカのマサチューセッツというところに本部を置く核戦争防止国際医師会議、通称IPPNWという組織がありますけれども、ここが三月三日にベルリンで記者会見をして、子供の健康調査が福島に限定されていることに対する懸念を示して、事故の影響の全体像把握には、隣県でも検査が必要だと指摘しています。
 都は、このIPPNWの指摘をどのように受けとめますか。
〇中谷健康安全部長 都は現在、都内八カ所に設置しているモニタリングポストで二十四時間継続して空間放射線量を測定しております。
 現在の測定値は、原発事故発生前の範囲内となっております。また、食品についても国の仕組みに基づき、生産地において農産物等の放射性物質の検査が行われております。さらに、都独自に小売店に流通する野菜類や子供が継続的に摂取する乳製品などを中心にモニタリング検査を実施しており、国内産食品から基準値を超えたものはございません。
 こうしたことから、都として現在、特段の健康調査が必要とは考えておりません。

○和泉委員 原発前の数値に戻っているという答弁がありましたけれども、葛飾では、いまだに区の基準を超えるポイントが残っていて、除染が継続されています。昨年の春に三校で除染、このとき最も高かった数値は、地上一センチで毎時四・五三マイクロシーベルトです。昨年の夏には七校で除染を行っています。最も高かった数値は、地上一センチメートルで毎時九・五七マイクロシーベルトです。原発事故前の数値に戻ったなどと安心できる状況ではないんです。
 区民に放射線量測定器を貸し付けて、線量が高いと通報があれば区がはかって、基準を超えていれば除染を行う、食品についても検査を行う、こうして努力しているのは葛飾区だけではありません。お隣の千葉県でも、県立高校や県立公園を継続的に細かく測定をして、毎時〇・二三マイクロシーベルトを超えたところは除染を行っています。
 また、自治体だけではなく、民間でも子供を放射能から守ろうと立ち上がった親たちが、関東子ども健康調査支援基金を立ち上げて、検査を受ける人に千円程度のカンパをお願いしながら、甲状腺エコー検査を行っています。多くの医師たちが全国から無報酬で、この検査に協力しています。
 十八歳以下、千八百十八人の検査結果は、六人が精密検査が必要、一人が悪性疑いで直ちに二次検査の必要ありというものでした。子供たちの体に起こるかもしれない変化を見逃さない、これが重要なんじゃないんでしょうか。
 都は、目をそらさずに事実を見ていただきたいと思います。丁寧に放射線量を測定して、子供たちの健康調査を行う区市町村に対しても、ぜひとも補助を行ってくれるよう強く求めておきます。
 続いて、国民健康保険料について伺います。
 東京二十三区では、平成二十三年に保険料の所得割部分の算定方法が、住民税に賦課率を掛けて算出をする住民税方式から、所得から基礎控除分を控除した旧ただし書き所得に賦課率を掛けて算出する方法に変わりました。
 ご存じのように、住民税は当然配偶者控除、扶養控除、障害者控除や寡婦控除などがされた後に算出をされます。旧ただし書き所得に賦課率を掛けて算出する方法に変わったために、こういった人的控除が一切考慮されないで保険料が算出されるということになったんです。
 これでは、余りにも保険料が上がり過ぎるということで、二年間経過措置をとって、一年さらに延長しました。けれども、その軽減措置も二〇一五年度からは適用がなくなり、保険料の値上げ分とあわせて、さらに大きな負担になります。物価や家賃が高い東京で暮らすことは、ただでさえ大変です。
 さらに、保険料を払えない世帯がふえるのではないかと懸念されますが、国民健康保険料、保険税の東京の収納率というのは、今、全国との比較でどうなっているんでしょうか。
〇稲葉地域保健担当部長 国が公表しました、平成二十五年度、国民健康保険の財政状況の速報値によりますと、国民健康保険の収納率の状況は、全国が九〇・四二%であるのに対しまして、都は、八六・二〇%となっております。

○和泉委員 これは全国で最も収納率が低いのが東京だということになるんです。
 これ以上、値上げが進んだら、収納率がさらに下がることが予測されると思います。あるいは収納率を下げないための強引な徴収強化、これも懸念されます。現にこの間、徴収強化が進められて、どんどん差し押さえて保険料を回収するということが多くの自治体で行われてきました。
 しかし、国民健康保険制度というのは、低所得者や無職の人が多く加入して、公的資金の比率を高めなければ成り立たない制度です。全国知事会もこの構造的矛盾について国庫負担をふやすことを強く求めています。
 国民健康保険が、サラリーマンの加入する協会けんぽよりも保険料の負担が重いという現状を、都としてどのように認識しているでしょうか。
〇稲葉地域保健担当部長 各保険者の比較を行いました国の資料によりますと、平成二十四年度の加入者一人当たりの所得に占める平均保険料の割合であります保険料負担率は、市町村国保が九・九%、協会けんぽが七・六%、健保組合が五・三%となっております。
 こうした状況を踏まえまして、全国知事会としては、国保と被用者保険との保険料負担の格差をできる限り縮小するよう国に提言をいたしましたが、都内の区市町村国保における保険料負担率は七・一%となっておりまして、協会けんぽの七・六%よりも低くなっております。

○和泉委員 都の場合は協会けんぽ並みというようなご答弁でしたけれども、所得水準が低いわけですから、さらに本当だったら低くならなきゃいけないんです。
 また、健保組合と比べればやっぱり高いというのが現状です。また、現在の保険料保険税は、所得の低い人ほど負担が重くなっているというところに大きな矛盾があるんです。
 実際には、協会けんぽ並みという答弁もありましたが、私は二十三区内に住む七十代の両親と息子夫婦、その家族七人世帯の源泉徴収票、それからご両親の年金支払い通知書、保険料の賦課額計算書、実際に見せてもらいました。両親の年金は二人合わせて月額六万六千円です。息子さんの給与は月十四万二千円、これ、額面の金額です。国保料は均等割が五割減免されていても月一万八千五百円です。両親の年金収入は、協会けんぽでいえば収入の扶養の範囲内です。
 もし、この息子さんが、協会けんぽなら十四万二千円の月収に係る健康保険料は八千五百円です。こんなに国保料、国保税は高いということなんです。
 国民健康保険は、社会保険各法の中で唯一、その条文に社会保障に寄与するものであると明記しています。
 国民健康保険制度があるからこそ、皆保険が成り立っていると考えますが、都としてどう認識していますか。
〇稲葉地域保健担当部長 国民健康保険法では、区市町村の区域内に住所を有する全ての住民を一旦は被保険者とした上で、健康保険など他の制度の加入者等を被保険者から除外する仕組みとなっております。
 このように、国民健康保険が強制加入の制度となっていることによりまして、病気にかかった場合に、国民全てが医療を受けることができる国民皆保険が実現されていると認識をしております。

○和泉委員 私は国民健康保険法第一条が法律の目的のところで、この法律が、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって、社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とするとうたっている、この社会保障と明確にうたっている部分についての認識を伺ったんですが、残念ながら、そのことへの答弁はありませんでした。
 しかし、いずれにしても、国民健康保険という制度は、国民全てが安心して医療を受けるための社会保障なんだということは明確です。
 その保険料は、皆保険を成り立たせるにふさわしく、払うことが可能なものでなくてはなりません。皆保険といいながら、徴収強化で保険証を取り上げる、差し押さえで生活を困窮に陥らせる、こんなことがあってはならないと思います。
 払える保険料で収納率を上げ、答弁にあったように、文字どおり国民の全てが、いつでもどこでも安心して医療が受けることができるように、都が財政支援を行うよう強く求めておきます。
 次に、地域医療構想について伺います。
 今のままだと、高齢化のピークとされる二〇二五年までに二百二万床が必要とされるところ、国は四十三万床も減らそうとしています。特に、看護師の人員配置が最も手厚い七対一病床は半減させるという計画で、今年度と来年度で九万床も減らそうとしています。
 七対一というのは、国際的にいえば決して多い配置とはいえません。平均入院日数を短縮する一方で看護師の配置は減らすというのでは、看護師の重労働に拍車をかけ、確保も困難になる悪循環になります。
 地域医療構想は、病床削減を実現するため、昨年成立した医療介護総合確保法に基づき、都道府県に定めさせるものです。地域医療構想は、地域の医療需要を推計し、医療提供体制の必要量や各医療機関の機能、役割などを決めるものとされていますが、厚生労働省が医療機関からの病床機能報告とレセプトのデータを集め、ガイドラインの作成を進めています。
 都道府県がつくるものといっても、厚生労働省が絵を描き、それをもとに病床削減を進めさせるというものになることが危惧されます。
 全国知事会は、二月十二日の地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会で、地域医療構想をつくること自体には反対しないものの、急激な見直しにより現在の医療提供体制が崩壊するおそれもあるなどと懸念を表明し、地域の実情を十分に踏まえた対応を考慮されたいと求めています。
 昨年の予算特別委員会では、我が党の松村都議が、ことしは清水都議が指摘をしたように、東京は病床数が多いとはいえない上に、都心部に医療機関が集中して、多摩や区東北部には少ない、偏在しています。救急搬送にかかる時間の長さなども深刻です。
 また、都も国への提案要求で指摘しているとおり、東京都には、高度医療を行う病院が多く、都外からの患者の流入が多い。今後、高齢化が急速に進んでいくという特徴があります。
 こうした実情を踏まえずに、機械的な病床再編、削減が押しつけられれば、都民が必要とする医療を提供することができなくなってしまいかねない、医療崩壊になりかねないと考えますが、どう認識していますか。
〇小林医療政策部長 平成二十六年六月、一括法である地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律、これが公布されまして、その一つとして医療法の改正がございました。
 各都道府県は、医療法第三十条に規定する医療計画として、地域医療構想を策定することが義務づけられました。地域医療構想は、地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化と連携を適切に推進することを目的としており、医療需要の将来推計や病床機能報告制度の情報等を活用して、二次医療圏を原則とした地域医療構想ごとに、二〇二五年の医療需要と病床の必要量を推計し、策定するものと認識しております。

○和泉委員 国は、国民健康保険を都道府県化することで、都道府県に医療費管理の責任を持たせ、医療費の目的も定めさせようというのですから、医療費抑制の狙いは明らかではないでしょうか。
 私たちは、地域医療構想をつくらせる方針自体を撤回させるべきだと考えますが、政府の姿勢が変わらなければ、都は構想をつくる必要があります。
 しかし、その場合も、国の狙う病床削減を忠実に実行するというのではなくて、東京都民の医療を受ける権利を守る、そういう立場でつくる必要があると考えますが、どうですか。
〇小林医療政策部長 先ほどもお答えしたとおり、地域医療構想は地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化と連携を適切に推進することを目的としております。
 国は三月に策定の指針となるガイドラインを出し、あわせて省令等の制定及び改正を行い、全国一律の基準のもとに地域医療構想を策定することとしておりますが、東京におきましては、特定機能病院等の高度医療を求める患者の全国からの流入、昼間人口の多さなど他の地域とは異なる大都市特性がございます。
 都は、地域ごとの特性を地域医療構想に反映できるよう、今後とも機会を捉えて国に求めていくとともに、医師会等の医療関係団体の意見を聞きながら策定に取り組んでまいります。

○和泉委員 さらに重大だと思うのは、新制度のもとでは都道府県から各医療機関に医療機能の転換、新規開設、増床の中止、稼働していない病床の削減などを要求することができ、従わない場合は、医療機関名の公表、補助金、公的融資からの対象除外、各種指定の取り消しなどの制裁措置を可能とすることです。日本医師会は、強権的なペナルティーが発動されないよう求めています。
 都としては、このようなペナルティーは発動しないようにするべきではありませんか。いかがですか。
〇小林医療政策部長 病床の機能分化は、医療機関の自主的な取り組みと医療機関相互の協議によって進めていくものでございます。
 地域医療構想策定後、都道府県は各構想区域ごとに地域医療構想調整会議を設置し、医療機関相互の協議により機能分化、連携について議論、調整をしていくこととなっております。
 お話の医療法改正等による都道府県知事の措置につきましては、こうした議論、調整を踏まえた上で、個々の事案ごとに判断するものであると考えております。

○和泉委員 あくまで都は、医療機関相互の協議を尊重するということでお願いしたいと思います。
 国は医療費削減のための新たな方策として、医療費適正化計画に医療費の目標を盛り込む仕組みをつくろうとしています。現在は、医療費目標の設定は任意であり、設定している都道府県はありません。
 これについては、一月九日に全国知事会が医療費適正化計画の見直しに係る緊急要請というのを行って、医療費の見通しを目標と見直すことについては反対、都道府県に対して義務づけを強化することは認められないとしています。日本医師会も、医療費の支出目標を設定すると、適切な地域医療を提供する阻害要因となるおそれがあるとしています。
 医療費も目標は設定すべきでないと考えますが、いかがですか。
〇稲葉地域保健担当部長 今回の医療保険制度改革の検討過程の中で、現在の医療費適正化計画をより実効性のあるものとするため、これまでは計画期間における医療費の見通しとして定めてきたものを、地域医療構想と整合的な医療費水準等の目標として定める方向に改める案が示されました。
 これに対しまして、全国知事会としては、都道府県が医療費について管理できる要素が限られ、また、権限もないことから、結果責任を負うような目標設定には反対である旨の緊急要請を行いました。
 このような要請等も踏まえまして、改正法案の条文には、最終的に目標ではなく医療に要する費用の見込みと明記されてございます。

○和泉委員 ただ、実際には括弧書きで目標という文言が残っています。けれども実際には見通しで実務を行うということなんだというようなご答弁だと思いますが、目標と明記されている以上は、都道府県が実現に責任を負うものとなる危険性は十分あるんじゃないでしょうか。
 そうならないよう、本来は法律案から目標という文言自体を削除するよう求めるべきだと思いますが、同時に、今のご答弁からすると、都は目標達成のための無理な医療費抑制を進めるつもりはないということになるはずですから、都としてしっかりその立場で臨んでいただきたいと思います。
 続いて、障害者施設の報酬改定について伺います。
 保育、看護、介護、それぞれの人材不足が本当に今深刻です。障害児者支援事業所でも同様です。
 質、量ともに、人材の確保は大きな課題になっていますが、これに対して、都はどのように認識をしていますか。
〇高原障害者施策推進部長 障害者が身近な地域で安心して生活できるよう、障害福祉サービス等を安定的に提供するためには、質の高い人材の養成確保を図ることが重要でございます。
 このようなことから都においては、高い専門性が求められるサービス責任管理者や相談支援専門員の養成研修のほか、医療的ケアを行うことのできる専門人材を養成するため、介護職員による、たんの吸引等のための研修などを実施しておるところでございます。

○和泉委員 けれども実際には、それでもなお、なかなか人材の確保が難しいというのが現状なんです。
 就労支援B型、それから生活介護の授業をやっているところに聞きましたら、専門学校に募集要項を持っていって直接生徒に手渡して募集もかけた、けれども、一カ月に一人ずつしか決まらない、必要な人員を決めるまでに何カ月もかかってしまうということでした。恐らく給与を含む処遇が悪いことが原因だと思うと話しておられます。
 そのような中で、国の障害者福祉施設の報酬改定について、厚労省は障害福祉サービス等報酬改定の概要を示しました。都は昨年、十月に国に対して、大都市における人件費や物件費の実情が、地域区分やその上乗せ割合として適正に反映されることなどの緊急提案を行っています。
 この緊急提案の内容に照らして、今回国が示した報酬改定の概要を、都はどのように評価しているんでしょうか、伺います。
〇高原障害者施策推進部長 お話しのとおり、都は昨年十月、平成二十七年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて、障害者の高齢化、重度化への対応や福祉介護職員等の処遇改善を図るとともに、人件費や物件費の高い東京の実情等を適正に報酬に反映するよう、厚生労働省に対して緊急提案を行いました。
 これに対し、今回の改定では、障害福祉サービス等の報酬全体の改定率はプラス・マイナス・ゼロ%となる中、重度障害者の支援に係る加算や、福祉介護職員処遇改善加算の充実が行われるなど、都の要望が一定程度反映されたものと認識はしております。
 一方で、福祉サービス等に係る地域区分の見直しが見送られるなど、都の要望が反映されなかったものもあり、引き続き、必要な事項について国への働きかけを適時適切に行ってまいります。

○和泉委員 今回、重度の単価が若干上乗せにはなりましたけれども、訪問系サービスの居宅介護や日中活動系サービスの生活介護など大きく減らされています。
 先ほどの就労支援B型、生活介護の事業所では、目標工賃達成加算や目標工賃達成指導員配置加算をとって、何とかとんとんになるという話でしたが、目標工賃達成加算は、あくまで達成できる確かな見込みがあるわけではありません。人員不足に悩む中で、指導員の人員配置ができるかどうかも大きな不安を抱えています。
 さらに、今でさえ人件費率が七割を超えている、今後の運営が厳しいと語っています。事業所によっては大幅な減収になるところもあります。
 このような事態を、都としてどのように認識しているのでしょうか。
〇高原障害者施策推進部長 報酬の改定に当たって、国は有識者の参画も得て、障害福祉サービス等報酬改定検討チームを立ち上げ、検討をしてきました。これに基づきまして、今回の改定におきましては、各サービスの収支状況等も勘案し、サービスの適正実施の観点から所要の見直しは行われました。
 一方、福祉介護職員の処遇改善のための加算の拡充を行うとともに、障害者の高齢化や障害の重度化への対応を図るため、重度障害者支援加算、福祉専門職員配置等加算及びグループホームにおける重度障害者の支援に係る基本報酬などの充実が図られたところであります。
 その結果、報酬全体の改定率はプラス・マイナス・ゼロ%とされ、全体としては良質な人材の確保と障害福祉サービスの質の向上を促す観点から見直しが行われたものと認識しております。

○和泉委員 全体の改定率はプラス・マイナス・ゼロということですけれども、それは出す方のお財布の側の話をしているのであって、個々の事業所でいったら決してそうならないということになるんじゃないでしょうか。
 しかも職員の賃金全体が低い状況なわけですから、加算をつくるかわりに基本報酬を減らすというのでは根本的な問題は解決しません。処遇改善の加算が行われても、一方で、本体の報酬が引き下げられれば、もともと精いっぱい処遇改善を行ってきた事業所では、賃金引き上げは困難になるんじゃありませんか。
 正規雇用を非正規雇用に切りかえる、そういった後退が懸念されますけれども、確実に処遇改善につなげるために、都はどういうふうに担保するんでしょうか。
〇高原障害者施策推進部長 先ほどお答えをしたとおり、今回の改定では、事業者の経営状況等を勘案し、サービスの適正実施の観点から所要の見直しを行う一方、福祉介護職員の処遇改善が図られております。
 福祉介護職員処遇改善加算につきましては、現行の月額一万五千円相当の加算に加えて、一万二千円相当の上乗せを行う新たな区分が創設をされました。
 同時に、国は加算が適切かつ確実に職員に支払われるよう手続を見直すとともに、来年度は加算の効果検証を行うとしており、これらを通じて福祉介護職員の処遇改善が図られるものと考えております。

○和泉委員 先ほどもいったように、実際には人件費率が七割を超えるなんていう事業所はごろごろあるんです。事業者がきちんと処遇を改善しようと、処遇に反映させようとしても、その原資がふえないと対応できないということが問題なんです。
 障害児者支援事業所の職員への処遇改善、都として独自にどのように取り組むんでしょうか、伺います。
〇高原障害者施策推進部長 都は、これまでも国に対し障害者を支える人材を確保し、良質なサービスを提供するため、人件費等が高額である大都市の実情を踏まえて、サービス全般にわたり、基本的な報酬の改善等を行うよう繰り返し提案要求をしてきており、今後とも要求してまいります。

○和泉委員 実際に大都市の実情を踏まえていないと思うからこそ、国に要望しているはずなんだと思うんです。大都市の実情を踏まえた報酬になっていなければ、事業所の運営が厳しいと十分都も認識しているはずです。
 そうであれば、国に対して引き続き求めていくのはもちろんですけれども、事業所に対して都が独自に加算を行う必要があるということを強く求めておきたいと思います。
 第百二十三号議案、第百二十五号議案について伺います。
 両議案ともに、介護保険法施行規則等の一部を改正する省令の施行によるものです。
 第百二十三号議案は、東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準を国の基準に従って変更するもの、第百二十五号議案は、東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準、これを同じく国の基準に従って変更するものとなっています。
 これによって、サービス提供責任者の配置の基準が緩和されることになります。
 これまで利用者四十人に一人の割合でしたけれども、サービス適用責任者が三人以上いる、その業務に主に従事している人が一人以上配置されている、そういう事業所については、利用者五十人に一人でよいということになります。
 しかし、サービス提供責任者が訪問介護員、いわゆるヘルパーとして兼務している事業所が多いというふうに聞いています。
 国の基準にあるサービス適用責任者の業務に主に従事しているとは、どのような状態のことをいうんでしょうか、伺います。

○枦山高齢社会対策部長 サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成や指定訪問介護の利用の申し込みに係る調整、訪問介護員等に対する指示などを行うものとして、指定訪問介護事業所に配置されております。
 これまで指定訪問介護事業所ごとに、常勤の訪問介護員等のうち利用者の数が四十またはその端数を増すごとに、一人以上の者をサービス提供責任者として配置が必要でございました。
 国が示す解釈案では、サービス提供責任者の業務に主に従事しているとは、サービス提供責任者である者が当該事業所の訪問介護員として行ったサービスの提供時間が一月当たり三十時間以内であることとされております。

○和泉委員 サービス提供時間が一月当たり三十時間以内ということですから、これはもちろん移動時間は含まれていないと思うんです。移動時間も含めれば、相当な時間数になると思うんですけれども、今でもヘルパーさんは本当に忙しく、利用者さんのところを回っています。
 サービス提供責任者の業務に主に従事しようとしても、実際には人が足りなくて訪問介護に入っているというのが現状だろうと思います。そういう中で、今まで四十人分でも大変だったのに、五十人分になったら、ますますこのサービス提供責任者の負担、重くなるんじゃないでしょうか。
 また、ショートステイにおいて静養室に緊急の受け入れをできるよう基準が緩和されます。
 この静養室というのは、従来はどのような位置づけなんでしょうか、伺います。

○枦山高齢社会対策部長 短期入所生活介護は、利用者が一時的に居宅において日常生活を営むことに支障がある場合に、指定短期入所生活介護事業所において、入浴、排せつ、食事等の介護、その他日常生活上の世話及び機能訓練の提供を行うものでございます。
 静養室は、基準上、指定短期入所生活介護事業所に必ず備えなければならず、居室で静養することが一時的に困難な心身の状況にある利用者を静養させることを目的とする設備でございます。

○和泉委員 ということはショートステイを利用しているほかの利用者さんたちとは別にして、静養させる必要がある方のための設備だということになると思います。
 あくまで一時的、臨時的に使用するものだと思うんです。私も静養室というのがどういう設備で、どういう人たちを対象に利用するのか、施設の人にお聞きして実際に見せていただこうと思いました。けれども、実際、使用中で部屋がふさがっているということで、見ることができませんでした。
 こうして、通常の本来の目的で使用されていることも多いというのが、この静養室なんだと思うんですが、そこでショートステイの受け入れをするということは、本来の目的で使用する場合に使用できないという状況になるということも考えられるんじゃないでしょうか。このような基準の緩和はするべきではないというふうに考えます。
 従うべき基準なので、このとおりにやらなければならないんだと局からは、私は説明を受けていますけれども、この従うべき基準というのは、どういうものなんでしょうか。

○枦山高齢社会対策部長 従来、厚生省令で定めることとされていた指定居宅サービス等の事業の人員等に関する基準は、平成二十四年から都道府県の条例で定めることとされております。
 お尋ねの従うべき基準とは、条例の内容を直接的に拘束する必ず適合しなければならない基準でありまして、当該基準に従う範囲内で、地域の実情に応じた内容を定める条例は許容されるものの、異なる内容を定めることは許されないものでございます。
 サービス提供責任者等の人員配置に関する基準は従うべき基準とされております。

○和泉委員 適合と同一は違うと思うんです。従うべき基準は最低基準として設定されていることが多く、それを下回る基準は認められないが、法目的や要件規定の趣旨に合致した合理性があれば、基準を強化することは可能であるというふうに解釈されているはずです。
 基準緩和によって、介護の現場がさらに働く人にとって負担の重いものになる、あるいは、利用者にとっての不利益になる、そういう基準の緩和はやるべきではないということを指摘して、質問を終わります。

○遠藤委員長 それでは、質疑の時間がかなり長くなりましたので、この際、議事の都合により、おおむね十五分、休憩をとりたいと思います。
   午後三時二分休憩

   午後三時十七分開議

○遠藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤(あ)委員 それでは、私の方からは三テーマ伺います。
 最初にまず、感染症対策でございます。
 昨年、東京はエボラ出血熱の疑似症患者やデング熱の感染事例の発生が世間の注目を集めました。
 また一方、世界の方に目を転じると、新種のコロナウイルスによる中東呼吸器症候群、これは、アルファベット四文字でMERSというふうなことで、中東を中心に患者の発生が報告されておりまして、今後も感染症流行の懸念があるんだそうです。
 そして、二〇〇九年に発生した新型インフルエンザ、これについては国内での死亡率が低い結果にそのときはとどまったわけですけれども、アジア、中東で散発的に発生している高病原性の鳥インフルエンザ、いわゆるH5N1型が変異して人から人へ感染というふうなことで、継続的に感染するような形になった場合には、大変人命の危険が大きいということであります。
 昨年度、新型インフルエンザ特別措置法が施行され、そして、東京都は、総務局も含めて福祉保健局も当然入って、東京都新型インフルエンザ等対策行動計画を策定して対策を行っているというふうな状況なんですが、やはりこの対策を有効にして、人命を守っていくというところが福祉保健局の中で、特に保健医療の取り組みというところで非常に大事になってくるんじゃないかと思います。
 新型インフルエンザ等の発生に備えて東京都は、この行動計画に基づいて、保健医療分野でどのような取り組みを行っていくのか、そこを伺います。
〇上田感染症危機管理担当部長 都は、平成二十五年十一月に新型インフルエンザ等の感染拡大を可能な限り抑制し、都民の生命及び健康を保護すること等を目的に、東京都新型インフルエンザ等対策行動計画を策定いたしました。
 この行動計画では、新型インフルエンザ等の発生段階に応じた保健医療等の対策を明記してございます。
 都は、この計画に基づき新型インフルエンザ等の発生状況等の情報を速やかに収集、分析するためのサーベイランス体制を確立するとともに、都民の不安を解消し、適切な感染予防策を促すための相談センターの開設、住民等を対象とした予防接種の実施体制及び医療提供体制の整備等に取り組んでおります。
 さらに、医療提供体制を支えるために必要な個人防護具等の医療資器材や医薬品を計画的に備蓄してございます。

○斉藤(あ)委員 今、答弁で出てまいりました個人防護服、これにつきましては、過去、この厚生委員会で何回かに分けての購入契約というところでも議論があったわけですけれども、医療資器材の備蓄の話ということで、東京都で備蓄している個人防護服については、一般の医療機関に対しては、必要があれば供与されるものなのかどうかという、ちょっと素朴な疑問を投げかけたいと思います。
 一般のお医者さんから見ると、東京都の方はいろいろ用意をしているというふうなことでありますが、なかなか自分たちが関与する部分というのは、どんな感じなんだろうかというのを何となく疑問に持ったままというふうな方もいらっしゃるということで、実際にどういうところに配布をされることになっているのか、ぜひともそこを教えてください。
〇上田感染症危機管理担当部長 新型インフルエンザ等が発生した場合、感染拡大を防止するため、発生早期においては特定の医療機関で外来診療、入院治療を行うこととしております。
 このため、都が備蓄している個人防護具は、発生早期に専門外来を開設して外来診療を行う感染症診療協力医療機関、入院治療を行う感染症指定医療機関及び移送業務を担う東京消防庁等に対して、配布することとなります。

○斉藤(あ)委員 今、個人防護服の備蓄目的、趣旨といったことで伺いました。
 基本的には、指定医療機関というふうなことで、そんなに物すごい範囲で配布をするというふうなことではないということでありますが、個人防護服の備蓄されている数は二百二十万セットということでありますけれども、実際に感染が広がった場合に、必要数がこの数を超えてしまうようなことがあってはいけないというふうなことの前提による二百二十万セットなわけですが、この備蓄数、どのような考え方でこの二百二十万セットという積算になったのか、その根拠について確認をしておきたいと思います。
〇上田感染症危機管理担当部長 個人防護具の必要量は、新型インフルエンザ等の発生後、ワクチン開発及び接種の実施までに要する期間を七カ月間と想定し、この期間内に患者と濃厚接触することが懸念される医療従事者等に配布することとし、積算してございます。
 具体的には、感染症指定医療機関等の配布対象となる機関の数、着用人数、一日当たりの着用回数及び備蓄目標期間の七カ月を勘案し、備蓄数を積算してございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。二〇〇九年のところで、この新型インフルエンザは大変注目をされたんですが、少し時間がたって、また、この備蓄数も二百二十万セットと、普通に考えると途方もない数で、捉えようのない数なので、逆に、一般の医療関係者の方から見たときに、少し前のときには、ある程度細かい部分で認識できたけれども、少し時間がたつと、どうしてもそのときの流れというものはなかなか、少ししてみると、どうだったかなというふうに思うところがありますし、また、自分たちがどういうふうに携わるようになるのか、あのときは非常にばたばたしていて情報の部分がいろんなニュースとかでも来たけれども、やはり少し時間がたってしまうと、なかなかその辺が少しわかりづらくなってしまうということがあるようですので、今回確認をいたしましたが、ぜひほかの感染症に対しても応用が利くような防護服を含めた資器材があったりしますので、ぜひこういった広報についても、わかった医療機関の中で、ついしがちでありますので、ぜひ広く時々広報をして理解を深めるようにしていただきたいというふうに思います。
 さて、二つ目のテーマでございますが、認知症について、きのう、都立の松沢病院の関係で、認知症受診の際の画像診断の話をさせていただいたんですけれども、いうまでもなく認知症への関心というのは大変に今、非常に高くなっております。
 きのうもお話ししましたが、今現在四百六十二万人といわれている認知症患者が、二〇二五年には七百万人という推計が出て、関心が非常に高まったということなんですけれども、東京都でも、まだ、つい最近でございます三月の上旬に、電車のつり広告なんかでも見たりしますが、草野仁さんが出ていまして、(発言する者あり)オレンジ……。

○遠藤委員長 続けてください。

○斉藤(あ)委員 オレンジ色の広告で、認知症の早期発見、早期診療をしましょうというふうなことで、つり広告が出ていたりしまして、また、ホームページなどにも載っています「知って安心認知症」で、認知症の基礎知識の広報をしている最中でございます。
 どのような場で、どのくらい配布をしているのか、これについて伺いたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 都は、都民の認知症への理解と早期受診を促進するため、早期診断の重要性、予防につながる習慣、相談先等を記載したパンフレット「知って安心認知症」を昨年五月に作成いたしました。
 パンフレットは六万五千部印刷し、区市町村、地域包括支援センター、医師会等の関係機関等へ配布いたしました。
 また、都における認知症のポータルサイト、とうきょう認知症ナビに掲載するとともに、区市町村が都の原稿を活用して、それぞれの地域の相談先等を記載したパンフレットを作成する取り組みを包括補助により支援しております。これまでに、区市町村等において累計で十一万九千部が増刷され、各地域の住民に配布されております。
 さらに、パンフレットの簡易版であるリーフレットを約三百七十五万部作成し、昨年十月に新聞折り込みを実施しております。

○斉藤(あ)委員 三百七十五万部のリーフレットということで、都民の四人に一人近くに配布できてしまう数でございますので、相当数でございます。
 それを昨年十月に折り込みということでありますが、この中で、認知症の早期発見の必要性を示すページの早期発見の有益性、この枠の二番目のところに認知症は治療できるものがありますというふうに書いてあるんです。
 そこでは脳血管性の認知症の治療は、手術等での有効性を昔から知られておりますので、その部分でいうと治療できるものがあると、そのとおりだと思うんですけれども、治療の可能性については現在、罹患している患者や家族にとっては、ぜひ詳しく知りたいというふうなところであります。
 ただ、書いてあるところの説明も文章が少なくて、関心を一番引いていきそうなところなんですけれども、物足りないというか、もう少しこれは実際どういう感じなんだろうか、どの程度期待できるものなんだろうかという読み手の方の期待と裏腹に、なかなか細かく、余りたくさんは書いていないわけです。
 この認知症治療の重要性については、どのように東京都というのは考えているのか、そこを聞かせてください。

○枦山高齢社会対策部長 認知症の原因疾患の大多数を占めるアルツハイマー病、レビー小体病等は根本的治療薬はないが、アリセプト等の四種類の薬を症状や重症度によって使い分けることにより、症状の進行をおくらせることが可能とされております。
 また、原因疾患のうち、正常圧水頭症や脳腫瘍、慢性硬膜下血腫等の場合、脳外科的な処置で劇的に良くなる場合もございます。
 また、甲状腺ホルモンの異常の場合は内科的な治療でよくなり、薬の不適切な使用が原因で認知症のような症状が出た場合は、薬をやめるか調整すれば回復をいたします。
 いずれにしましても、症状の早期に受診して治療を開始することで治療効果が上がるといわれており、都はパンフレット「知って安心認知症」等により、認知症がケースによっては治療可能な病気であることや、認知症の早期受診の重要性について、普及啓発を実施してまいります。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。大変詳しく聞けば、一つの共通の認識として、ある程度、認知症の治療の一般論として答えが出せるということです。
 ただ、もちろん私もリーフレットの中に、余りこのぐらいのことも細かく細かく書いてしまうと、余り関係がない、もともとの認知症の発症として種類が違う方について変な期待を与えてしまったり、あと、これはもう当然のことなんですが、本当に改善が図れるといっていい場合と症状の進行を抑えるという程度の、はたから見ると治療といっても治療という定義が大分ずれてくるようなケースもたくさんございますので、認知症の部分については、一般の方から見れば非常に聞いてみたい、非常に注目をして、そこをもう少し教えてくれないかなというパンフレットでありながらも、なかなか実際に細かいところがいえないというジレンマに福祉保健局があるんだろうなということは、非常に想像に難しくはないわけなんです。
 この認知症の種類によっては、当然そういうふうに、ある程度、治療というふうないい方はできるわけなんですが、これを見ると、これは医者にやはり早く行った方がいいんではないかという、見る側にとっては受診をするモチベーションが上がるという、非常にいい言葉というか、この部分だと思うんですね。
 ただ、今いったみたいにケース・バイ・ケース、患者さんによりけりと、そしてまた、ものによっては研究途上ということで、広報の仕方は非常に難しいということでありますが、先々、恐らくこれも一つ一つ見れば研究が進んでいくんだろうと思います。
 そういった場合に、都の広報によってもう一歩、もう二歩、治療に関する情報を取り上げていってほしいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○枦山高齢社会対策部長 認知症は、いまだその病態解明が不十分であり、根本的治療薬や予防法は十分には確立されておりません。
 国の新オレンジプランでは、今後発症前の先制治療の可能性についても追求しながら、根本的治療薬や効果的な症状改善法、有効な予防法の開発につなげていくと記載されております。
 都におきましては、国の研究も含め、認知症の治療に関する最新情報の収集に努めつつ、今後とも区市町村や医師会、認知症疾患医療センター等の関係機関と連携を図りながら、都民の認知症への理解と早期受診を促進するための認知症の普及啓発を推進してまいります。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。このパンフレットを見ると、めくると最初にこういうことをして予防しましょうと、よく運動しましょうとか、いろいろ予防の策が書いてあって、また、早期発見ということで、こういった場合は認知症ですよというのが書いてあります。
 これは結構昔からあったわけですが、治療の部分については、まさに昔とは、本当に毎年違う表現にできるぐらい、治療に関しては少しずつ進んでいるというところであります。そのページの部分を一般の方なんかが見て、予防については、こういうのになったら認知症だというふうなページを見れば、これは前やったなと。でも、治療の部分については、多分少しずつ変わってくるんだと思います。
 そうすると、やはり都民の皆さんが見るときに、一番そこが気になる、だけど、もう少し詳しく教えてほしいというふうなところになってくるんじゃないかと思いますので、ぜひ、ここはある程度、表現については非常に難しいことは承知をしておりますけれども、いろいろ改訂していく中で、ぜひ工夫をして、一般の方が早く医者に行った方がいい、家族が医者に行けというけれども、そのとおり従った方がいいというふうな、きっかけになるような書き方をぜひ今後もしていただきたいというふうに思います。
 さて、三つ目のテーマで介護保険です。
 今回の改正に関しては、いろんな角度からの懸念というかチェックをしなければいけない部分があります。また、当然のことながら、この制度改正が行われた場合には見ていかなきゃいけない部分があります。
 幾つかそういったところで角度を変えながら確認をするんですけれども、恐らく東京都の方も、過去私も厚生委員会で質問する中で、いろんな東京都ならではの提言というものを国に対して、福祉保健局はやってまいりました。そのことはもう承知をしております。
 本来、昨年の十二月の時点で、例えば都内の特別養護老人ホーム、これについて、いろいろ調べたときに、また、取材する中で、約半数において職員が不足しているという状況にあって、実際に入所の抑制、ショートステイの一時停止というものも実際にはあると、そして、多くの施設が介護保険制度の介護報酬の減額については、介護人材の不足に大変悪い影響を与えるということを認識しているということを聞いております。
 東京都は、国にこうした東京の都市事情について、当然のことながら過去もしっかり訴えていると思いますし、もう今年度終わろうとしていますけれども、今年度内でもいろいろ訴えてきたなというふうに思いますけれども、これまでどのような提言を行っているか、そこを伺います。

○枦山高齢社会対策部長 都は国に対し、介護事業者が介護人材の定着、確保を図り、健全な事業運営ができる介護報酬とすることや、良質な介護サービスの提供と健全な施設運営が行えるよう施設基準等の見直しを行うことなどを繰り返し求めてまいりました。
 また、昨年九月には、介護報酬改定に向け、大都市における人件費、物件費の実情や区市町村の意見を踏まえた介護報酬の設定、実態を踏まえた人件費割合の設定、介護職員の処遇改善に対する恒久的な財源措置等について緊急提言を行っております。

○斉藤(あ)委員 この過去の提言の部分で、国の方も東京都の提言をある程度生かしているという部分もあるようですけれども、例えば最後の方で紹介していた介護職員の処遇改善の恒久的財源措置など、まだ不十分というふうなことも幾つかございまして、今回の改定で東京都の課題が大半解決したというふうなことはいいがたいというふうに思います。
 そして、平成二十七年度には介護報酬が平均二・二七%引き下げということになっております。そして、介護職員の平均賃金は二十二万円、初任給ではございません、二十二万円ということで他業種よりも十万円程度低いというような話もございます。
 ですから、処遇改善加算が十万円ぐらい上がるという話であればこういった課題も解決するという話ですけど、それもまだまだですし、いきなりできるかどうかというのは難しいという部分もある程度は理解できるんですけれども、今回一・五万円の加算に加えて、月平均一・二万円の報酬加算というふうなことになっておりますが、しかしながら、業務全体では介護報酬自体がマイナス改定ということで、非常にその部分が事業者側にとっては大変心配の種というふうになっているわけです。
 恐らくこの状況で、事業者が介護職員の賃金を事業者の判断で事業の収益からアップさせるという、普通の会社であれば普通にやるような話なんですけれども、これについては当面ちょっと難しいんじゃないかなというふうな予測をしております。
 そこが今回処遇改善をされたといっても、非常に経営的に不健全なアップというふうなことになるんじゃないかなということを大変心配しています。
 そのようなことで、現在の人材確保の障害になっている介護職員の賃金については楽観視できないわけなんですが、来年度、さまざまな介護人材育成策を東京都は考えているということなんですけれども、この報酬改定のもとで、人材育成や確保の前進を図ることができるのか。今回の介護報酬のマイナス改定を踏まえて、東京都は人材確保をどのように取り組んでいくのか、そこを伺います。

○枦山高齢社会対策部長 都におきましては、これまで介護人材を確保するため、将来の介護ニーズの増加を見据え、介護人材の確保、定着、再就業に向けたさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 来年度は、国の介護キャリア段位制度を活用し、職員のキャリアアップに取り組む事業者を支援する都独自の補助制度を創設するほか、紹介予定派遣を通じた介護人材の確保など、新たな取り組みを実施します。
 また、求人情報を効果的に発信するため、離職者等の人材情報を一元的に管理する人材バンクシステムの構築に向けた検討を開始いたします。

○斉藤(あ)委員 東京都はいろいろ多分、昨年の夏ぐらいからいろいろ、こういうのはどうだろう、ああいうのはどうだろうというふうにきっと東京都の方でも鉛筆をなめながら一生懸命考えていたんじゃないかと私は思うんですけれども、しかしながら、この報酬改定で、そういった本当に緻密な工夫やアイデアが相殺されてしまっては局の方としても大変それは寂しいものだろうと私は心配をしております。
 こういったことを育成の施策をつくる上で、一つの目安として非常に重要になってくるデータというものが幾つかあるわけなんですが、特に目標設定として参考になるところは、いわゆる介護人材の需要推計でございます。
 伺いたいのは、東京都の二〇二五年での、つまり、さっきいった認知症とか割と節目になってくる二〇二五年、このときの介護人材の需要推計というものをどういうふうに現在、計算をしているのか、そこをちょっと伺いたいんです。
 厚労省は二〇二五年において、介護人材の需給推計の暫定値を二百四十八万人ですよというふうに発表しています。でもって、いわゆる需給ギャップですね、つまり、実際に人材を供給できるだろうというふうな推計のずれ、これについては不足分約三十万人というふうに広報されているんですね。
 東京都の場合は、人口比率なので、全国の数の一〇%ぐらいが東京都の数字になることがよくあるんですけれども、つまりそういうような計算で東京都の、つまりそうすると三万人ぐらい不足というふうな計算になるのかななんていうふうに私は考えたりするんですけれども、実際に介護人材の需給推計の現在の状況について伺いたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 都道府県が実施します需給推計は、国の介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針によりまして、区市町村が算定したサービス見込み量に基づく介護人材の需要と、実際に供給可能な介護人材を推計し、需要と供給の差を必要数として算出するものでございます。
 都は現在、区市町村が算定したサービス見込み量の取りまとめを行っており、この見込み量などをもとに、二〇二五年度までの介護人材の需給推計を算出しているところでございます。
 この推計結果を区市町村の介護保険事業計画が確定する三月末、第六期東京都高齢者保健福祉計画に盛り込んでまいります。

○斉藤(あ)委員 これはちょっと私の所見としかいいようがないんですけれども、今答弁の中で、区市町村の介護保険事業計画が確定する三月末に公表する第六期の東京都高齢者保健福祉計画にこの推計結果が反映されるということであります。
 事前にいろいろ調べてみると、国の方も余りはっきりこの推計について、さっき暫定値といっていますけれども、暫定じゃない値、最終値というふうになるんでしょうか、その部分について余りはっきりいってないんですね。
 今ちょうどこの三月議会は、都道府県も市区町村もおおむね予算案を審議していると。そしてまた、大体定例会もこの時期に重なっているという中で、来年四月からいろいろな部分で変わりますよと、介護保険変わりますよといっている中で、じゃあ介護人材がもっと必要なのか、それともある程度少しその部分は制度改正でそこまでのことはないのか、もしくは育成施策をやるのにどのくらいの目標を今からやっておかないといけないのか、そういったことを議論するのにちょうどいいチャンスなんですが、残念ながらそのチャンスに間に合っていない。ましてや制度改正はすぐ四月からあるじゃないかというふうなことになっておりますので、非常にこの部分が議論できないというのは、余りにもタイミングを外してしまった感じがすごくするんですね。その部分で非常に私としては不完全燃焼というふうな感じであります。
 ぜひこの部分をきちんとわかった上で議論をするのが本当にいい議論になると。そしてまた、それがあるからこそ、ちょっとほかの部分で、今度制度改正でいろいろ変わってくる部分に対して、これは大丈夫そうだけれどもこっちはだめかなという話を、こういった推計値、いわゆる介護人材が不足する推計値があることによって議論をしやすくなるという事情がありますので、そういう点ではわかっていないというのは非常に残念なことなんです。
 そういった意味では、私としても議論し切れない部分というのがあるんじゃないかと心配しているんですが、今回の介護保険改正によって介護保険の要支援サービス、これは平成二十九年まで三カ年にわたって各自治体がいつ変更するかというのを決めていける、いわゆる要支援のところが各市区町村の方の事業になるという、この部分の制度改正についてちょっと思っていることなんですが、介護保険の要支援サービスが自治体主体になると同時に、自治体のサービスの担い手は自治体そのものではなくて、さすがにそんなことをやる自治体もあんまり今ないと思いますけれども、民間の事業者が自治体の判断の中で入ってくるというふうなことが報道されております。
 そうだと思うんですけれども、しかしながらその中には、最近の経済誌において書かれていたことなのですが、その市場の規模は五千六百七十億円ともいわれていますみたいなことが書いてあるんですね。
 これはちょっと実は少しデータが古いということがあって、あんまりよくない数字なんですが、そもそもこういった報道されると余りよくないかなと思うのは、現在この五千六百七十億円の市場といわれているところには、今、要支援の人たちに対して普通の有資格者や普通の介護保険事業者がサービスを提供しているわけです。別にここが全く野っ原で何もないというふうなところではなくて、今既に活動している人たちがたくさんいて、サービスを受けている人たちもいるわけです。
 この部分に対して、さも新しい市場がありますよと、全くないところにできますよみたいな感じに報道してしまっているというのが、いわゆる誤解を招いてしまう部分が、これを見た事業者やその業種以外の方なんかにも認識されてしまうというのが非常によくない話だと私も思っています。
 介護資格者等が今、雇用されているのを一掃して、その部分に五千六百七十億円と幾らいっても、これは現実的でないというふうに私は思っていますので、こういった誤解が出ているというのも非常に心配していることであります。別にこれは福祉保健局の責任とかいう話ではないんですけれども、そういうこともまた一般の理解の部分を少し曲げてしまっているんじゃないかなということを心配しているということであります。
 ただ、この部分というベースになっている有資格者がいなくなっちゃいますよというところについては、ある程度の正しい部分があると思うんです。そうすると、有資格者の介護従事者の、恐らくさっきの介護人材の不足の部分の中には、要支援のサービスに対しての介護人材の不足というのは以前もいわれていたわけです。それは、有資格者の数が不足をしますよというふうに恐らくいっていたのとかなり近いと思うんですね。
 ところが、今度は一般の民間事業者が入ってくると無資格者でもいいですよと、相当無資格者が入ってきても構いませんよというふうになると思います。そうすると、介護人材の需要推計と一言でいっても、ついこの間とこれからは中身が少し変わってくるわけです。前は有資格者、今度は無資格者の比率がふえてくるというふうなことになると思うので、今後、有資格者をそんなに介護需要推計の中で、特に要支援サービスであった部分は、地域の事業になったときにカウントする必要がなくなってくるということですね、その有資格者を。
 そうすると、地域支援事業に移行するサービスを担う人材というのも、この三月末に出てくる需要推計の中で見込まれているのか、そこを確認したいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 今回の需給推計では、区市町村が地域支援事業に移行するサービスを含めたサービス見込み量を算定しており、都が実施する需給推計は、そのサービス見込み量に基づき介護人材の需要を見込んだ上で、需要と供給の差である必要数を算出しているところでございます。
 したがいまして、地域支援事業に移行するサービスを担う介護人材の必要数も見込んでおります。

○斉藤(あ)委員 地域支援事業の方もこの介護人材の需要推計には見込まれているということでありますから、恐らく数字的には、はたから見ると同じようなものがそのまま流れている、そのまま二十七年度も継続しているように見えますが、中身はかなり違っているということも考えられるんじゃないかと思います。
 そうすると、どのくらいの有資格者を育成していくかという目標なんかも全部ずれてくるんじゃないかなと私はすごく思っているんです。
 あとそのほかにも、さっきちょっとサービス提供責任者の話なんか出ておりましたけれども、介護事業者は中重度のサービスに特化すればいいですよというふうな感じになりそうですけれども、こういったサービスのいわば、訪問介護サービスに必要となるサービス提供責任者の資格の要件なんかも、基本的には介護福祉士、またヘルパー二級の取得者なんかでは、三年以上の実務経験が必要なんですよ、そしてさらには、何時間の介護の経験が必要なんですよと、結構細かい基準があるんですね。
 こういったものも、今までは要支援のところから入って、そこも介護経験となって、そしてだんだんスキルをためていってサービス提供責任者の資格を取ったり、ケアマネジャーになったりというふうな方もいらっしゃるわけなんですが、こういったことも要支援の部分がちゃんと有資格者につながっていく、さらにハイレベルの有資格者につながっていく実務経験としてどの程度カウントされていくのか、カウントされるような機会に恵まれるのかというところにも影響をしてくるわけです。
 若干規制の部分が緩められている部分もあるといいながらも、ただ、質が下がってしまったり、できるからといって何でもかんでも負担がふえてしまうというのでは、これはやっぱり質が最後は低下してしまうということも心配しております。
 こういったときに人材の裾野を狭めてしまって、一方で厳格な基準を維持すれば、当然、人材確保は困難になっていきますし、今後とも増大する介護ニーズに対応するため、ある程度資格者を、特にハイレベルの資格者を確保していく必要がございます。有資格者の活用を促進する施策というのが当然のことながら必要になってくると考えます。
 こういった状況を踏まえて、質の高い介護人材の確保に向けた東京都の対応について伺います。

○枦山高齢社会対策部長 平成二十二年度における国調査によりますと、訪問介護員養成研修修了者のうち、訪問介護の業務に従事している者は、修了者全体の約一四・四%にとどまっております。
 また、平成二十五年度介護労働実態調査によれば、介護の仕事をやめた理由として、職場の人間関係や法人の運営理念への不満などが挙げられており、就業していない有資格者の介護職場への就業を促進するためには、就業に当たっての不安を解消する取り組みが必要でございます。
 有資格者等の質の高い介護人材を確保するため、来年度からは労働者派遣法に基づく紹介予定派遣を活用し、介護の有資格者を介護職場に一定期間派遣した後、雇用につなげる事業などを新たに実施いたします。
 今後ともこうした事業などを活用し、介護職場における質の高い介護人材の確保に取り組んでまいります。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。確かに資格を取った人が全部仕事をするわけじゃないというのは、どういった資格者でも事業でも同じようにあることですし、もちろん介護の中で賃金という部分がかなり壁になっているということはいわれておりますが、さっきいった人間関係とか、そういう予想外のことでやめられてしまうという方も当然たくさんいらっしゃいます。
 ですから、ある程度パイを広くとって、その中で残っていく人を絞り込んでいくというのが今までもなされてきて、それでも少し足りないよというふうにいわれてきたわけですから、やはり間口が狭くてはいけないですし、その後の裾野も狭くてはいけないんじゃないかなということを私は心配をしているということであります。
 最後にちょっと伺うんですけれども、今ハイレベルの介護者の話をしましたけれども、中重度の利用者の介護サービスを手厚くする、これ自体はすごくわかるところなんですが、一方で介護保険サービスそのものが専門性を増していくと、やっぱり高いスキルでなくては雇用しない、できないというふうなことになっていき過ぎてしまっては問題が出てくるのかなというふうに思っています。
 過去、介護人材をヘルパー二級といった、これは卒業試験はございません。二級のヘルパーを取るのに研修の修了という形になっているだけなんですが、そういった形で業界の方に介護人材を導いてきたわけです。難しい試験はないよ、研修が終わればいいんだよというふうなことで。
 そしてまた、パートタイムで働きたいという人材に対しても、誰でもできそうだなとか、もしくは誰でもできそうだけど社会貢献度合いが高いからやってみる価値があるからというふうなところで、ハードルを低く持って、いらっしゃい、いらっしゃいというふうに誘ってきた経緯というのは確かにあるんですね。
 しかしながらそのように、今回、中重度という話になってきたときに、やはり入り口のあり方、入り口に段差があるというんでしょうか、そういった部分になってくると、少し今までのような誘い水では難しくなってしまうんじゃないかと。介護の人材の裾野がこういった意味でも狭くなってしまんじゃないかということはすごく心配なんです。
 制度改正後の状況も踏まえて、こういったいわゆる裾野の人材不足が起きないようにするために東京都として対応すべきと考えるんですけれども、所見を伺います。

○枦山高齢社会対策部長 都はこれまでの取り組みに加えまして、平成二十六年度から学生、主婦、離職者等を対象とした施設等で介護業務を体験する事業や、希望者に無料の研修による資格取得の支援のほか、離職者等に介護施設等を紹介し、働きながらの資格取得を支援する事業など、介護分野への参入を促進する取り組みを開始しております。
 来年度からは、介護業界の魅力や働きやすい職場環境等を紹介するDVDを作成し学校等に配布することで、生徒の進路選択に福祉職場を入れてもらえるようイメージアップを図ってまいります。
 都が策定している第六期高齢者保健福祉計画では、介護人材対策の推進を重点分野の一つとして位置づけており、今後、二〇二五年度までの介護人材の必要数を踏まえ、人材の確保、育成、定着に向けた総合的な取り組みを推進してまいります。

○斉藤(あ)委員 最後に一言。
 いろいろ、るる答弁をいただきまして、私もその辺をかみしめながら考えていきたいと思うんですが、これは事業者の中とか行政の中だけではよく知られている制度改正であっても、やはり利用する高齢者の側がわかっていないと本当はいけない。現場に行ったらサービスが低下をしてしまっていたことが仮にあったときに、それが事業者の工夫というよりは、むしろこの事業予算の縮小によって起こってしまっているような場合の中で、利用者の方が文句をいったら結局謝るのは現場の人というふうになってしまっては、現場の人はまさに板挟みだと思うんですね。それでまたさらにやめる人がふえてしまっては、またこれは大変な話です。
 ですので、やはり一般の高齢者の方によく理解をしていただくように、今回のサービスというのは、いわゆるさっきの要支援のサービスが地域に行くというのも含めて、高齢者自身に参加してもらうという性格を持っているところは多分にあります。その部分がありながら高齢者にきちんと伝わらなかったら、これは協力をしてもらえませんので、そこをきちんとやっていただくよう最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。

○おときた委員 私は四つのテーマで質問をさせていただきます。
 まず初めに、食品製造業等取締条例の一部を改正する条例について伺います。
 こちらは路上で、主にお弁当などの規制についての条例案になりますが、この条例に至る経緯と条例が施行されたらどう変わるかということに関しましては、斉藤理事の方からも質問がありましたので省略をさせていただきます。
 食の安全が重要なことはいうまでもありませんが、しかしながら一方で、さっき理事からもあったように、真面目にやっている業者さんも既にいらっしゃいます。
 この条例案が施行されると、こういった真面目にやっている方々もやっぱりやり方というのはさまざまですから、設備投資や資格の取得等々で一律にやってしまいますと、事業者の販売コストが上がって、事業から撤退する可能性や販売価格が上昇するという事態も想定されます。これはすなわち、事業者や安価な弁当を購入する消費者たちの利益を損なうことにもなりかねません。
 食品安全審議会は、もちろん食の安全という観点からの議論が中心になりますが、施策が及ぼす総合的な影響を考慮しなければなりません。
 では、まず初めに、この審議会の中で事業者側と消費者側の意見はどのように聴取され反映されたのでしょうか、伺います。
〇仁科食品医薬品安全担当部長 食品安全審議会は、食品関係事業者団体や消費者団体、学識経験者、公募の委員から構成されております。
 今回の弁当行商の審議に当たり、審議会では検討部会を設置し、事業者側として弁当の製造販売事業者の組合や、弁当を販売するコンビニエンスストア等で構成される団体の代表者、また、消費者側としてオフィス街で働く代表者を委員に加え、さらに弁当行商に携わる事業者からヒアリングも実施し、専門的かつ具体的に規制のあり方について検討いたしました。
 さらに、広く都民から意見を聞くため、答申をまとめるに当たってパブリックコメントを実施いたしました。
 審議会では、検討部会での検討結果やパブリックコメントを踏まえ、昨年二月、弁当等の屋外販売については、直射日光等の影響を受けにくい屋内への販売形態へ誘導することを第一として、人力により移動して販売する場合は、温度管理など衛生管理を確実に向上させるために必要な要件を整備すべきと答申がなされました。

○おときた委員 丁寧な答弁をいただきまして、都としては十分に関係者からの意見聴取は行ったという認識だということがわかりました。
 食の安全は何かがあってからでは遅いというのは大前提です。しかしながら、あくまでも一般論としては、こうした食に関する規制というのは、何か大きな社会的な事象が発生して、世論とともに動いていくというケースが多いと思われます。
 今回、なぜこのタイミングで規制が変わるのかというのに関しては、都民目線では少々わかりづらい部分もあるのではないでしょうか。
 路上販売を問題視する声があることは事実でありますが、反社会的勢力が商売を取り仕切っている、道路を不法に占拠している、あるいは既存の飲食店の経営を圧迫しているなど、それぞれの関係者が認識している課題は単一ではなくて多岐にわたります。
 こうした論点が複雑な問題に対して、衛生というアプローチのみから規制をかけるという動きは、あらぬ臆測を呼ぶことにもなりかねません。
 また、規制するということは、同時に事業者の商売の自由や消費者の選択の自由を奪うことにもなりますから、慎重な対応がなされるべきとの意見も根強く存在します。
 こうした総合的な影響も踏まえて、このタイミングで東京都が規制に踏み切る理由をいま一度お聞かせください。
〇仁科食品医薬品安全担当部長 食の安全を確保することは、都民が健康で豊かな生活を送るための基盤となるものであり、消費者の選択も安全が担保されていることが前提となります。
 近年、弁当行商は、炎天下で路上に大量の弁当を陳列して販売するなど、本来の少量を短時間で売り歩く形態と乖離した状況が都市部で多く見られるようになり、制度上の見直しについて、特別区保健所生活衛生課長会から検討会の設置が要望されました。
 都区市の担当者で構成される検討会が行商による弁当販売の実態調査を実施。その結果、行商弁当の細菌数及び大腸菌群数の不適合率は、製造時よりも行商販売時の方が高い傾向にあることや、遮光性のない運搬容器の場合、著しく容器内の温度が高くなることを確認いたしました。
 食品安全審議会は、このような実態調査の結果を踏まえた科学的根拠に基づき、弁当等に関する食品販売の規制のあり方について審議し、答申がなされました。
 都は、審議会からの答申を踏まえ、食品衛生上の危害の発生を未然に防止するため、食品製造業等取締条例改正を本定例会に提出したものでございます。

○おときた委員 安心・安全、また衛生の面からは、しっかりとした科学的な根拠もあり、そういった理由は理解ができるところです。
 ここで少し話はそれますけれども、海外で日本人が被害に遭ったテロ事件などが発生した際も、それに対する渡航の是非が議論されます。危険とわかっている国に行かせるなとか、国が規制しろというような話が出てきますが、渡航の自由、選択の自由というのがありますし、安全を追求し過ぎれば、国や行政が国民の行動の箸の上げ下げまで管理するということにもなりかねませんし、これは非常に難しい議論です。
 こちらの規制の話に戻りますと、やっぱり多少のリスクはあっても、安くて手軽なお弁当を時間もないし買いたいという若いビジネスマン層がいるということは一定の事実ですし、選択の自由を重視してほしいという声は当事者たちからも数多く聞かれます。
 消費者の選択も、安全が担保されていることが前提というのはご指摘のとおりでありますが、その線引きにもまたさまざまな意見があるところです。
 加えて今回の議案提出までのプロセスに当たっては、議論が完全に尽くされているかということは個人的には疑問です。
 食品安全審議会のメンバーになっている消費者の代表というのは、主婦連の方など、いわゆるスーパーとかお買い物をするという意味では消費者の代表なんですが、あと公募委員の方もプロフィール的には、今回の路上販売のお弁当を買うような現役のサラリーマンの方ではありません。
 検討部会の方には、オフィスで働く者の代表ということで、労働組合の方が呼ばれておりますけれども、この方本人も現役の方でもありませんし、今、労働組合というのは若い世代の方の加入率はどんどん下がっておりますので、こういったところの意見を聴取したとしても、果たして本当に当事者の意見が集まっているのかというのも少々疑問が残るところです。
 加えて、パブリックコメントを行った、これは非常によいことだと思うんですが、集まった意見も十四件ということであって、実際に路上でお弁当を買っている当事者たちの声が十分に鑑みられていないのではないかと思います。
 こうした側面から、本条例案につきましては、まだ継続して議論を行うべきとの意見を表明させていただきまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、東京DMATについて伺います。
 昨日の病院経営本部でも質問をさせていただきましたが、DMAT、特にDMATカーをより活用すべきという観点から幾つか確認をさせていただきます。
 DMATカーの運用については、以前から有識者やまた議員からも適正な利用に向けた改善が指摘されているところでありますが、まずこのDMATカーの配置基準、つまりDMAT指定病院の選定基準を教えてください。
〇小林医療政策部長 都は、災害医療派遣チーム東京DMAT運営要綱に基づき、東京DMATの編成について協力する病院を、東京DMAT指定病院として指定することとしております。
 東京DMAT指定病院の選定基準は、救命救急センターを有するまたはこれに準じた機能を有する災害拠点病院及びその他知事が必要と認める災害拠点病院のうち、東京消防庁との連携体制を整え、東京DMATの活動に協力することができる病院となっております。

○おときた委員 ご答弁のように三つの指定理由があるわけですね。
 ここで、DMAT指定病院として中核病院や大学病院など大手の病院が名を連ねてDMATカーが配備されていく中で、規模などを考えると、指定先として一見すると疑問を感じる病院もあります。
 DMAT指定病院の選定には三つの基準があり、そのほとんど、二十五のうち二十三までが救命救急センターを有しているわけですが、救命救急センターに準じた病院というのはどのようなものなのかを伺います。
〇小林医療政策部長 救命救急センターに準じた病院とは、救急患者の受け入れ実績のほか、災害医療に取り組む体制、首都直下地震等の被害想定を踏まえた地理的条件、大学病院であることなどを総合的に判断して、他の救命救急センターを有する東京DMAT指定病院と同程度の東京DMAT活動を期待できると認められる病院でございます。

○おときた委員 救命救急センターに準じた機能を有する病院として選ばれるのは、かなり強い特別な理由があるということが推察をされます。
 実際にDMAT指定病院で、この理由で指定されている病院は二つしかありません。都民目線で見ても、DMATが配置されるぐらいならかなりしっかりした病院ではないかと、そういうふうに感じると思うんですね。
 ところが、この二つのうちの一つである白鬚橋病院は、DMAT指定をした前後の二〇一二年に運営母体が経営破綻をしています。にもかかわらず、この病院がDMAT指定にふさわしいと判断した理由を伺います。
〇小林医療政策部長 都は、白鬚橋病院の現在の運営法人が、救急車の受け入れ体制や、東京DMATの単位数を初めとした災害医療に取り組む体制などを確保し、円滑に事業を継承していることを病院事業計画書等で確認して、東京DMAT指定病院として指定いたしました。

○おときた委員 円滑に事業を継承していることを確認したためとのことですが、具体的に確認をした時期はどのタイミングなのでしょうか、日付で正確に教えてください。
〇小林医療政策部長 平成二十四年七月一日付で確認しております。

○おときた委員 ここなんですけれども、この白鬚橋病院の運営母体が破綻したのが平成二十四年の六月、正確には六月六日のようなんですね。そして、現在の団体が平成二十四年の七月一日から引き継いでいると。その同日に東京都は確認を終えているということになります。
 普通の民間の事業であれば、同じ内容でも異なる団体が引き継いで運営を始めれば、大体一年か二年ぐらいは経過を見てから、これは果たしてしっかりと運営されているのかという、そういった投資を判断するのが通常であると思います。
 母体が変わっても、すぐさま書類上の体制が整っていたからといって、それをもって即座によしとしたことには疑問を覚えます。
 そうした特別な背景があって配備された白鬚橋病院のDMATカーには、都民からの厳しい目が注がれています。
 経営破綻が確実となった後も、DMATカーの配備決定を継続するに当たってどのような判断で行ったのかを改めて伺うとともに、また現時点で白鬚橋病院のDMATカー運用実態をどの程度把握し、運用に当たってどのような管理、指導をしているのかを教えてください。
〇小林医療政策部長 都は、東京DMATが長時間にわたり自己完結型の活動を行えるように、東京DMAT運営要綱に基づいて、全ての東京DMAT指定病院に災害時医療支援車、いわゆるDMATカーを配備することとしております。
 白鬚橋病院につきましても、現在の運営法人が円滑に事業を継承していることを確認して、東京DMAT指定病院として指定したことからDMATカーを配備することといたしました。
 また、都は白鬚橋病院を含め、全ての東京DMAT指定病院からDMATカーの運用状況について報告を受け、状況を確認するとともに、貸付契約に基づいて各指定病院の管理者に適正な管理を求めております。

○おときた委員 一般論としてお答えいただいたわけですけれども、DMATカーの平均走行距離、こちらは年間六百八十キロ程度で、これ自体も決して多い数字はありませんが、この白鬚橋病院のDMATカーはそれをさらに下回る四百四十キロ程度の走行距離だということを聞いております。
 出動回数も七回のみということで、病院転送などにも活用している他の病院と比べると、運用が活発とは思えません。特別な背景を持ちながら高価、高性能なDMATカーが配備されたこの病院には、その運用について都民から厳しい目が注がれており、より一層の活用を強く期待したいと思います。
 こうした個別具体的な事情も含めて、DMATカーの運用は見直しの時期に来ているのではないでしょうか。
 現在どのような会議体で議論が行われ、今後のより一層の有効活用に向けてどのような検討を行っていくのか、見解をお伺いいたします。
〇小林医療政策部長 DMATカーの運用につきましては、知事からの緊急の出場要請に応じて、いつでもDMATカーが出場できる体制を確保していくことが必要でございますが、東京DMATの活動に支障がない範囲で、指定病院が行う転院搬送などにDMATカーを活用することができるとしております。
 都はこれまで、東京DMAT運営協議会におきまして、災害時等におけるDMATカーの運用について検討してきたところでございますが、引き続き指定病院などの関係者の意見も聞きながら、平常時の活用も含めたDMATカーの運用について検討してまいります。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、個別の活用を認めているということなんですが、ところがやはり個別の病院に聞くと、なかなか単独では活用が難しい、東京都がしっかりガイドラインを引いてくれということで、なかなかこの、いい方は悪いんですけど、責任の押しつけ合いみたいなところになってしまっているのかなというふうに感じます。
 こういったことを総合的に鑑みて、配備からかなりの年数がたちますので、しっかりとした活用をDMAT運営協議会の答申に基づいて検討していただきたいことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 それでは次に、予算特別委員会でも触れさせていただいた、有料老人ホームの管理、監督についてお伺いいたします。
 先般、実はフジテレビのスーパーニュースにおいて、町田市のとある施設についての特集が組まれました。
 ここでは、入居間もないうちにひどい扱いを受けて、体調を崩し入院となった事例があること、医師が診断した際に褥瘡などの恒常的な虐待を疑われる症状があったこと、また、医療関係者によると、この施設から病院搬送の複数の事例があることなどが報道されておりました。
 私の手元にもさまざまな関係者から情報が寄せられ、都民の健康、安心・安全を守る上で看過できない事態と考え、こちらで東京都の対応について確認をさせていただきます。
 報道にもあったように、一月二十日に町田市にある該当施設に東京都が立入検査を行っておりますが、これはどのような理由で何のために行ったものなのかを伺います。
〇飯塚指導監査部長 お話の施設は、特定施設入居者生活介護の指定を受けたいわゆる介護つき有料老人ホームであり、都は、介護保険法第二十四条及び老人福祉法第二十九条に基づき立入検査を行うことができます。
 当該施設については、事前に把握した施設の運営に関する情報などから直接状況を把握する必要があると判断し、立入検査を行ったものでございます。

○おときた委員 さきの予算特別委員会の質問でも確認させていただいたとおり、いわゆる期間を定めた定期的な立入検査というのは行っていないというわけですから、何らかの情報が事前にもたらされていたということだと思います。
 そして翌月には、町田市が同施設に立入検査を行っておりますが、これは合同で調査を行わなかったという理由は何でしょうか、伺います。
〇飯塚指導監査部長 町田市の立入検査は、介護保険法第二十三条に基づき、保険者としての立場から行われたものでございます。
 今回は、都と町田市との合同での立入検査という形はとらなかったところでございますけれども、検査の状況等については市と状況を共有しております。
 今後とも、町田市と連携して対応してまいります。

○おときた委員 済みません、一点これは確認になりますが、それでは合同調査というのはどのような場合に行われているのかを念のために伺います。
〇飯塚指導監査部長 都は、介護つき有料老人ホームの運営に関する情報などをもとに、検査対象施設を決定し計画的に立入検査を実施しております。
 その際、施設の所在する区市町村に立入検査への同行を依頼するなど、必要に応じて合同で検査を実施しております。
 また、事故や苦情など不適切な施設運営が疑われる場合には、都は区市町村と合同で緊急に立入検査を実施しております。

○おときた委員 ケース・バイ・ケースでさまざまな事例があるかと思いますが、ただ、こちらの場合は、もし報道のとおりであったとすれば、十分に不適切な施設運営等が疑われる場合に当たる可能性があります。
 虐待の常態化が疑われるなどの報道に対して、東京都は一月二十日の調査も踏まえてどのような事実関係を把握しているのかを伺います。
〇飯塚指導監査部長 現在、都では、一月二十日の立入検査の後、施設から提出を受けた書類の調査や運営会社からの聞き取りを進めているところでございます。
 本件の具体的な事実関係等については、現在検査中でございます。

○おときた委員 現在検査中ということで、検査中のことについては詳細をお示しできないという事情は理解をいたします。
 それでは事実関係の確認なんですが、同施設から出された事故報告書は何件把握されているか。うち、死亡にまでつながった事故報告は何件か。また、これは速やかに提出されたものなのかどうかを伺います。

○枦山高齢社会対策部長 今年度、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針に基づき、同施設について本日までに事業者から都に提出された事故報告書は一件であり、これは死亡事故報告でございます。
 また、この事故報告は都の指導により出されたものでございます。

○おときた委員 ご答弁のように、死亡という、疑いなく事故報告をしなければいけない案件が、東京都の指導がなされるまで出てこなかったというこの実態があるわけですね。
 そして私どもの調査によれば、これ以外にも報告されていない複数の事故がある可能性が指摘をされています。近隣の医療機関にも、この施設から多数の緊急搬送が受け入れられたという事例があるようです。
 このような運営が疑われる等施設に対して、現在、どのような改善指導や処分を東京都として検討しているのかを伺います。
〇飯塚指導監査部長 検査の結果、問題が認められた場合には、施設に対して口頭指導や文書指摘を行った上で改善状況報告書の提出を求めるなど、介護保険法や老人福祉法に基づく指導を行っていきます。
 改善が認められない場合には、介護保険法に基づく改善勧告や改善命令もしくは指定の取り消し等の行政処分など、あるいは老人福祉法に基づく改善命令を行うこととなります。
 なお、当該施設については、現在、事実関係を検査中でございます。

○おときた委員 改善が認められなければ取り消しまで行えるという強い権限を持っておりますので、ぜひ町田市とも連携をして、迅速な対応、検査結果を出していただきたいと強く要望いたします。
 我々もこの件につきましては引き続き調査を進めていきますが、もしこの運営母体が該当施設以外にも複数の施設を運営しているとすれば、そちらにも厳しい検査、指導監督をいま一度行い、都民の命と健康、安心・安全が守られるように重ねて要望し、最後のテーマに移りたいと思います。
 次に、社会的養護についての質問に参ります。
 まず初めに、里親制度の普及促進についてです。
 東京都では養育家庭の名称で、我が国では一般的に里親で定着を見ている社会的養護の一形態ですが、他の先進国と比べて里親制度が普及せず、養子縁組との混同も多く見られます。
 これが、社会的養護が必要な要保護児童の実親が、施設はよいけど他人にとられてしまう里親はだめと里親措置に同意しない原因の一つともいわれています。この原因の一端は、里親というイメージがそもそも間違って普及してしまったことによるものではないでしょうか。
 私が独自に行ったインターネット上の、いわゆるビッグデータ解析といわれるものなんですが、ネット上で使われている里親という言葉は、何と九六%以上が犬や猫などの動物、ペットの里親という文脈で使われておりました。
 ペットの里親というのは、一般的には飼い主、引き取り手を意味しますから、日本における里親と養子縁組の概念がこれで混同してしまったと考えられます。
 冒頭に述べたように、東京都では独自に養育家庭という用語を用いておりますが、残念ながら現段階では一般的にはほとんど普及をしておりません。
 里親制度への誤解を解いて普及啓発を行うため、こうした間違ったイメージを払拭する行政側からの主体的な働きかけが必要と考えますが、この点について東京都の取り組み、対策をお聞かせください。

○松山事業推進担当部長 都は、養育家庭制度を広く都民に周知し理解を促進するため、十月、十一月の里親月間を中心に、区市町村や児童養護施設等と連携した体験発表会を開催するとともに、ホームページ、広報紙、フリーペーパー等を活用した啓発活動を実施しております。
 今後とも、区市町村や児童養護施設の里親支援専門相談員などと連携し、養育家庭の普及啓発等に努めてまいります。
 なお、都では、里親の名称の適切な使用につきまして、動物などと同じような印象を与える不適切な里親の名称の使用がないように区市町村等に周知を図っております。

○おときた委員 こうした一度ついてしまったイメージを払拭するには時間がかかりますが、ぜひ地道な活動をしっかりと、広報活動を続けていただきたいと思います。
 次に、専門養育家庭について伺います。
 虐待された児童や非行等の問題を有する児童及び身体障害児や知的障害児など一定の専門的ケアを必要とする児童を養育する専門里親、東京都では専門養育家庭ですが、こちらへの委託数は平成二十一年度からずっと一名ないし二名のみの委託となっており、数字だけで判断しますと、なかなか活発には動いていないような状況が見られます。
 実際に専門里親に登録しようとされた方のお話によりますと、登録するために必要な講習、レポートなどがあり、それに必要な二万円程度の教科書は里親さんの自己負担になっているそうです。
 高いハードルと登録する里親さんに負担がありながら、それほど活用事例がないというのはいささかもったいないような気もします。
 今後、この専門里親をどのように活用されていくのでしょうか。また、里親側に対する金銭的な負担は都側が負担するべきではないでしょうか。今後の展望をお伺いいたします。

○松山事業推進担当部長 被虐待児、非行等の問題を有する児童及び障害児など専門的ケアを必要とする児童については、一人一人の状況を総合的に判断し、適切に専門養育家庭等に委託しております。
 また、専門養育家庭になるためには、都が実施する専門養育家庭研修の課程を修了していることが必要となります。
 都では、本研修のスクーリング受講料及び施設実習にかかわる経費を負担しておりますが、テキスト代につきましては、受講後、個人の所有となることから本人負担としております。

○おときた委員 教材に関しては、受講後本人のものになるからということで自己負担というのは理屈としては正しいとは思うのですが、二万円というかなり高価なものですので、こちらに関してはなかなか個人では手を出すのが難しいのかなと。図書館でも借りられるということですけれども、やっぱり受験とかは手元に参考書があった方が勉強しやすいと思いますし、仮に十五名程度の専門里親さんであれば年間支出は三十万円ということで、決して高いコストではありませんので、ぜひこちらは都側が負担をして専門養育里親さんを支援していただくように要望いたします。
 次に、里親として受託するまでの交流期間における里親側の自己負担についてです。
 児童相談所から里親措置の打診があり、実際に里親が児童を措置されるまでの交流期間は双方にとってとても大切な期間ではありますが、その間の里親の経済的、心理的、時間的な負担は非常に大きい、そういった声が里親たちから多く上がっています。
 慎重な対応をする東京都は、特に乳幼児期間は長く交流させる傾向があり、半年間が平均ともいわれています。
 こうした交流期間中の負担軽減については、東京養育家庭の会からも毎年要望が出ていると聞いております。
 平成四十一年度までに社会的養護の六割を家庭的養護とすることを目指す東京都として、里親をサポートし促進を目指すためにもこの点は改善すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○松山事業推進担当部長 養育家庭の委託に当たっては、養育家庭の状況をきめ細かく把握し、委託に向けた交流を重ねるなど、丁寧な支援が必要であります。
 そのため、委託前からの支援の必要性について認識しており、既に国に対して養育家庭と施設入所児の交流に要する経費など、必要な補助を行うよう要望しております。

○おときた委員 国に対しては東京都としても要望しているということなんですが、東京は福祉世界一を目指すのであれば、国が先駆けて東京都が独自支援をするということまで視野に入れて行動を起こしてほしいことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、フレンドホーム制度について伺います。
 里親委託ができない事情がある要保護児童たちに家庭を体験させることを主たる目的として創設された本制度ですが、運用が始まり実態は少しずつ変わり始めています。
 登録をする里親の中にも、まずはお試しでフレンドホーム制度に登録という方もいらっしゃるようですし、私の調査によりますと、現在は必ずしも里親措置が絶対に難しいという子ばかりが本制度を利用しているわけでもないようです。
 ところが現在の制度では、フレンドホームはあくまで里親措置とは別制度になっているため、フレンドホーム登録家庭のもとで一定期間を過ごして、非常に関係が良好で双方が里親関係を臨む状態になったとしても、その希望はかなわないという仕組みになってしまっています。
 フレンドホームを利用した児童の里親措置に関しては、こうした利用実績を踏まえて児童相談所による速やかな里親措置を連動できるように改善すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○松山事業推進担当部長 フレンドホームは、実親の承諾が得られない等の事情により、養育家庭委託ができず、施設入所中の児童を対象としたものであり、夏休みや冬休みなどの学校が休みの期間に数日間、施設に登録した家庭に預ける制度でございます。
 養育家庭委託が難しいと判断された施設入所中の児童につきましても、保護者等の面会の有無や家庭への引き取りの見通しなどを総合的に判断し、フレンドホームとして交流中の家庭が養育家庭として都に登録されている場合には、児童相談所はその家庭を含め適切な家庭を選択し、養育家庭への委託を検討しております。

○おときた委員 丁寧にご説明いただいたんですけれども、やっぱりこれは制度としては別の制度で、一回交流期間が終わると、当然含めた検討ということなんですが、ゼロリセット、一端その実績はフラットになって児童相談所からまた新たな選択と申しますか、検討が始まるというような形になっているということかと思います。
 こちらについては、設立から三十年弱が経過いたしまして、運用実態もだんだん変わってきておりますので、こういった声は実際の里親さん、そして送り出す施設の側、当事者、いろんなところから聞こえてまいります。
 このフレンドホームの制度の見直しにつきましては、引き続き検討されることを要望いたしまして、最後の質問に移りたいと思います。
 最後に、民間による特別養子縁組との協力関係について伺います。
 現在、特別養子縁組には行政、つまりは東京都があっせんするものと民間の事業者があっせんするものがあります。
 行政があっせんした場合には、特別養子縁組の事情に応じたそれぞれの行政サービスが受けられますが、民間のあっせんで成立した特別養子縁組の場合には、そうした行政のサービス制度を利用することができません。仮に民間あっせんにより成立したケースに同様のサービスを提供しても、その絶対数の少なさから大きなコストになるとは考えられません。
 東京都がこれから特別養子縁組の取り組みを進めていくのであれば、この部分への手厚いサポートと投資は行ってしかるべきと考えますが、これについての見解をお伺いいたします。

○松山事業推進担当部長 養子縁組あっせん事業は社会福祉法の第二種社会福祉事業であり、営利を目的としたあっせん行為や、実費相当以外の金品の受領が禁止されております。
 しかし、事業者の活動内容がさまざまであり、金品等の取り扱いの透明性などに課題があったため、平成二十五年に都内全事業者に対して訪問調査を行い、あっせん行為の透明性の確保、適正な金品の処理等について指導を行いました。
 中でも二事業者につきましては、実費徴収が不透明である等の問題が見られたため、早急な改善を指導いたしました。
 また、昨年五月に国の指導基準が改正され指導の強化を図っていることから、現時点での連携には課題があると認識しております。
 現在、国は養子縁組で親となった両親に対する支援方法等について調査研究を実施しており、都としては、こうした国の研究結果なども踏まえながら今後の対応を検討してまいります。

○おときた委員 ご答弁のとおり、さまざまな問題が民間団体にあったということは事実であると思います。
 ただこれは、序盤の東京都子供・子育て会議においても委員から指摘されたことなんですが、今、東京都と民間の特別養子縁組のあっせん団体は、監視する側と監視される側という不幸な関係でしかない、もっと協力体制をしくべきだというような提言が出されておりました。
 これはやっぱりご指摘のとおりだと思いまして、特にあとは利用者目線というところから見れば、利用者、特に子供から見れば、行政から受けたあっせんなのか、民間から受けたあっせんなのかというのは全く関係がない話で、なぜこのサポートが受けられないのかというのは、非常に利用者目線で見ればわかりづらいことでもあり不幸なことでもあると思います。
 こうしたことも鑑みて、しっかり民間団体を監視する、指導するところはそういったところで指導する、そして協力することは協力するということで、この利用者目線を第一にして、全ての方がこういった行政サポートを受けられるような体制となることを最後に強く要望いたしまして、本日の私の質問を終わります。
 ありがとうございます。
〇山加委員 私からは社会福祉法人について、端的に三点ほどお伺いをさせていただきます。
 少子超高齢、人口減少が急速に進展する中、都民が必要な福祉サービスをしっかりと利用できるためには、提供する担い手である、その役割をしっかりと福祉サービスの提供者が果たしていかなければならないわけであります。
 平成十二年の介護保険法の施行を機に、福祉サービス提供者として、民間企業、NPO法人など多様な事業主体が参入をしています。
 しかし、その中でも依然として社会福祉法人は、社会福祉事業の担い手として地域における福祉サービス提供の貴重な資源であることはいうまでもありません。
 社会福祉法人が質の高い福祉サービスを提供し地域の福祉を担っていくためには、社会福祉法人がしっかりとした運営を行えるよう指導していくことが重要であることは、私も繰り返し当委員会で申し上げてまいりました。
 それを受け、都がこれまでも社会福祉法人が提供するサービスの質の向上に向けてしっかりと取り組んできたことを私は高く評価をいたしております。
 さて、平成二十五年の四月から同一区市内で施設等を経営する社会福祉法人への許可、そして指導監査等の権限が区市に移譲されました。
 私は当時、区市の指導力には恐らく格差があるであろう、ですから、この広域的な自治体である都は、豊富な経験、そしてその指導経験をもって区市としっかりと連携をし、法人に対する適切な指導をしていただきたいと申し上げました。
 二年たつわけであります。そこで、法人の指導に当たり、この二年間、都と区市はどのような連携を行ってきたのかお伺いいたします。
〇飯塚指導監査部長 同一区市内で施設等を経営する社会福祉法人の指導検査等の権限が区市に移譲されて二年が経過し、区市も実績を積み重ねてきている一方で、指導力がまだ十分ではない区市や困難な案件に適切な対応ができずにいる区市もございます。
 このため、都では、区市の指導力の向上に向けたさまざまな支援を行っております。
 具体的には、区市が実施する法人検査と都が実施する施設検査を同日に実施し、検査の現場における区市職員へのサポートや、区市と連携した研修会の開催、情報共有等を図るための連絡会の開催等の取り組みを行っております。
 さらに、区市だけでは対応が困難な事例については、区市が所轄する社会福祉法人に対しても、都は社会福祉法に基づき区市と合同で検査を実施し、適切に法人を指導しております。
〇山加委員 都と区市がさまざまな連携を行い、地域における福祉サービスの質の向上にしっかりと取り組んでいただいていることがよくわかり安心をいたしました。
 今後ともしっかりと連携をして法人に対する指導を行っていただきたいと思います。
 さて、社会福祉法人については、これまで一部の法人の不適切な運営が指摘されるなど、経営組織のあり方の見直し、また運営の透明性の確保の必要性が指摘をされてきました。
 また、全国の特別養護老人ホーム一施設当たりの内部留保額が三億円を超えるという、そんな報道もありました。
 こうした中、国は社会保障審議会の中で、社会福祉法人制度の見直しについて検討を行い、先月二月に報告書を取りまとめていますが、今回の国の報告書のポイントについてお伺いをいたします。
〇飯塚指導監査部長 国の社会保障審議会では、社会福祉法人制度について、公益性、非営利性の徹底、国民に対する説明責任、地域社会への貢献の視点から見直しの検討を行い、本年二月に報告書を取りまとめたところでございます。
 報告書の制度改正のポイントは大きく二点ございます。
 一点目は、公益財団法人と同程度に法人のガバナンスを強化することでございます。
 例えば、法人の理事や理事長、理事会の権限や責任を法律上明記すること、評議員会を筆致の議決機関と位置づけ、理事や理事長に対する牽制機能を働かせることなどが検討されております。
 二点目は、いわゆる内部留保の明確化でございます。
 法人の内部留保を事業継続に必要な財産とそれ以外の再投下可能な財産に区分し、再投下可能な財産を社会福祉事業、地域公益事業、その他の公益事業の順に充当する再投下計画の作成を法人に義務づけることとしております。
 また、法人の所轄庁が地域ニーズや事業規模の合理性を踏まえ、再投下計画を承認する仕組みが検討されております。
〇山加委員 ただいま、報告書のポイントは大きく二つあるとの答弁でございました。
 ポイントの一つ目である法人のガバナンスの強化については、法人の理事や理事長、幹事の役割や権限等を法律上明記するなど、これまで都が国に提案してきた内容を含むものであり、現場をしっかり見てきた都の先見性を私は高く評価するものであります。
 そして、二つ目の内部留保の問題については、社会福祉法人が地域で安定的に福祉サービスを提供していくに当たっては、例えば将来的に見据えて建物の建てかえ、修繕の費用などが必要になってきますが、国の報告書の段階では、そうした経費をどのように見ていくのか具体的に決まっていないなど、これから議論すべきことが多くあるようであります。
 内部留保についてはさまざまな意見があることも承知をしていますが、内部留保を吐き出すということを前提とした制度とするのではなく、それぞれの社会福祉法人の実情を踏まえた制度としていく必要があると思います。
 今回の制度改正はこれまでにない大規模な内容であり、新制度へ大きな混乱なく円滑に移行するためには、内部留保の取り扱いを初めとした具体的な制度の運用方法について、関係者で十分に議論を尽くすとともに、入念な準備が必要と思います。
 そこで、新制度への円滑な移行に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。
〇飯塚指導監査部長 国は、今回の社会福祉法人制度見直しに伴う社会福祉法改正に係る法案を今通常国会に提出し、平成二十八年四月からの法施行を予定していると聞いております。
 報告書の内容には、例えば再投下計画の算定方法など具体的な運用方法が明らかになっていないものや、評議員会の設置など、実施に当たり、一定の準備期間が必要なものが含まれており、理事ご指摘のとおり、十分な議論なく拙速に新制度へ移行することは混乱を招くものと考えております。
 そのため、都では、新制度の具体的運用を定めたガイドラインを所轄庁等の意見を聞きながら早期に作成すること、制度の開始に当たり、事項によっては必要な経過措置を設けることなどを国に要望してまいります。
 また、区市が所轄庁として新制度に円滑に対応できるよう、都は区市を支援してまいります。
〇山加委員 新たな社会福祉法人制度の導入に当たっては、少子超高齢、人口減少社会における福祉サービス提供の主たる担い手である社会福祉法人が、質の高い事業を展開できるよう、都としても国に対してはっきりと意見をいうとともに、都は広域的自治体の立場から、今までもしっかりやっていただいていますが、今後もさらに区市をしっかりと支援していくことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。
〇中山委員 初めに、精神障害者が自立し安定した生活を送るための働く場の確保や働き続けるための支援についてお伺いします。
 精神障害者についても、平成三十年からは法定雇用率の算定基盤に加えられることとなっておりまして、この点は朗報と捉えております。
 とはいえ、精神障害者は体調に波があるなど、毎日決まった時刻に出勤したり、一定の勤務時間働き続けたりすることができるかどうか、ご本人も不安でありますし、企業側としてもまだまだ理解不足が根強い状況として続いております。今後、雇用が着実に進むかが懸念されています。
 そこでまず、都内民間企業における精神障害者の就労の状況についてお伺いします。
〇高原障害者施策推進部長 東京労働局の発表によりますと、平成二十六年の都内民間企業に雇用されている精神障害者の数は約一万一千人と、前年より約二四%増加しております。
 また、平成二十五年度に都内のハローワークを通じて就職した精神障害者の就職件数も二千百五十件と、前年度から約二九%増加しております。
 一方で、都が昨年度、区市町村、障害者就労支援センター等の就労支援機関を対象に行った調査では、精神障害者が就職後六カ月までに離職した割合は約一三%となっており、他の障害種別より高い傾向にございます。
〇中山委員 離職率が他の障害と比べて高いということであり、やはり精神障害者の就労促進が難事業であることがわかります。それだけにより一層力を入れて取り組んでいく必要があります。
 その壁を破る一つの方策としては、精神障害者の社会復帰を日ごろから熱心に支えている方々にとって、より取り組みやすい環境を整えていくことが有効であります。
 例えば、援助すべき対象としましては、就労支援機関や退院調整に当たる医療機関などが考えられます。
 就労支援機関につきましては、平成二十七年度から就労定着支援体制加算が新設され、定着者の占める割合が高ければ高いほど、その定着期間が長ければ長いほど加算がふえることになります。
 さらに、従来は一般就労の定着者の実績が一定期間ゼロであった場合に適用されていた減算が、定着者ではなく移行者がゼロであった場合に適用されるように改変され、期間設定も減産率も強化されます。
 つまり見方を変えれば、やりがいをより鼓舞する仕組みに転換されるわけで、これ自体は就労促進を願う立場からは歓迎すべきことだと思います。
 しかし、とりわけ精神障害者を積極的に雇い入れる企業はまだ少なく、就労支援機関としては、その点が悩みの種であります。
 障害者を積極的に採用している紹介先企業の選択肢がふえて、また、採用をためらっている企業に対して、こういう企業も採用していますよと説得できるような材料がふえていくことが望まれています。
 また、退院調整に当たる医療機関としましても、退院患者にとってストレスなどを与えにくい工夫を凝らしている企業の職場の実例を見たり、生き生きと働いている姿などを実際に見聞したりすることができれば、より安心して職場復帰をご本人に勧めていくことができます。
 その意味で、就労支援機関が診療を担う医療機関などと連携して、きめ細かく当事者をサポートしていくことが重要であります。
 こうした点を踏まえ、来年度は一層、就労拡大の効果の高い取り組みを仕掛けていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
〇高原障害者施策推進部長 精神障害者が体調の安定を図りながら働き続けるためには、就労支援機関が医療機関と連携をして、職場環境の調整等の支援を行うことが重要でございます。
 そこで都は、来年度、就労支援機関と医療機関の職員が精神障害者を雇用する企業等を訪ね、意見交換を行う見学会を新たに実施いたします。
 また、就労支援機関が職場開拓等の際に活用できるよう、見学先企業の事例から、例えば通院への配慮や定期的な面談による体調変化の把握など、雇用を進める上でのポイント等をわかりやすくまとめたリーフレットも作成をいたします。
 こうした取り組みを通じて、今後とも精神障害者の働く場の拡大と安定的な就労継続を支援してまいります。
〇中山委員 実り多き見学会となりますことを心から念願しております。また、リーフレットの作成につきましても大いに期待しております。
 ところで、先ほど我が党の斉藤理事から、福祉的就労の工賃アップを求める質疑がありましたとおり、障害者が作成したり調理したりした品物や飲食物の販売場所、先ほどはトライアルショップといういい方も出ておりましたけれども、これをふやしていく取り組みが重要であります。
 こうした販売所は障害者の就労の場になるとともに、福祉的就労から生み出された製品などへの都民の関心を高め、需要を喚起する効果が期待できます。
 もちろん需要が喚起されたからといって、直ちに生産を拡大できるわけではありませんけれども、少し供給不足であるくらいの方が単価も上がりやすいですし、工賃アップにつながりやすいものと私は考えております。
 そこで、私からも提案させていただきますが、他局の協力も得ながら販売所設置の促進に向けたインセンティブを今後具体化すべきと考えます。
 例えば現在、都の交通局が地下鉄駅構内で障害者用の販売所を設置していますが、福祉のまちづくり条例の観点などから、エレベーターやエスカレーターなどのバリアフリー設備の設置や、そのメンテナンスの経費への一部補助などを制度化するなどしてインセンティブ化し、建築許可を発する都市整備局や区市とも連携して、にぎやかな駅ナカ商店街の一角に障害者の販売所の設置を目指すべきと考えます。
 地下鉄駅構内でも構わないんですけれども、急いで移動する途中での人通りに向けた販売でもあり、買い物や別の用向きなどの時間的余裕がある中で、より大勢の人の立ち寄りを期待できる方が望ましいと思います。
 また、これからは都営住宅の建てかえも進んでいきますし、そうした際に、高層化に伴う創出用地に高齢者福祉や子育て支援に関する施設の建設が検討されると思いますけれども、そうした一角に障害者用の販売所の設置を検討することも大事ではないかと思います。
 こうした販売所が都内のあちこちに、しかも、できれば目立つ場所に設置されてあるような東京になっていくこと、これがある面では五輪大会以降の新しいレガシーになるかもしれません。
 二〇二〇年前にぜひ大きく前進させていただきたいと思います。
 本日はあえて答弁を求めませんけれども、近いうちによりよい便りを頂戴できることを期待しております。
 続きまして、介護人材の確保、育成に向けた取り組みについて質問します。
 さきの予算特別委員会の代表総括質疑、一般総括質疑におきまして、都議会公明党は、より効果的な運用につながる具体的な提案を含め、都や国による介護職員の処遇改善やキャリアパスの形成を促す取り組みが、より多くの事業所で積極的に活用され広く喜ばれる成果につながるための前向きな質疑を重ねてまいりました。
 その上で、本委員会ではまず、これまでに実施された国の介護職員処遇改善加算によって、介護事業者が介護職員の給与等を引き上げる仕組みの内容という点、そして都が賃金アップを確認できる仕組みがどのように講じられているのかという点、加えて、実際にどの程度賃金が引き上げられているのかという点について見解を求めたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 介護事業者が介護職員処遇改善加算を取得するためには、キャリアパス要件として介護職員の職位、職責等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること、介護職員の資質向上のための計画を策定して研修の機会を設けることのほか、賃金改善の方法や金額などを記載した計画を作成し、全介護職員が閲覧できる場所での掲示やその写しの配布等により周知すること、加算算定額に相当する賃金改善を実施すること、年度ごとに処遇改善の実績を報告することなどが義務づけられております。
 都では、事業者から提出された計画や報告内容につきまして、事業者が受領した加算額や賃金改善の状況が加算要件に該当しているか審査を行っております。
 都に提出されました平成二十五年度の処遇改善加算実績報告の集計結果では、常勤換算方法により算出した介護職員一人当たりの賃金改善月額は一万五千五百七十八円でございました。
〇中山委員 平成二十六年までの処遇改善加算のうち、現時点での最高額の加算Ⅰは、上限、職員一人当たり月額一万五千円相当ということでございます。
 今ご答弁のありました、都に提出された二十五年度の処遇改善加算実績報告の集計結果では、賃金改善月額は、この上限の一万五千円を超えているわけですよね。
 どうしてこのようなことが出てくるのかというと、この加算をつける支給条件が加算額以上の賃金アップ、すなわち職員一人当たり最低でも一万五千円以上の賃上げに結びつけることが支給の条件として求められているためであり、制度設計のもくろみどおり、処遇改善加算それ自体は具体的な賃金アップに結びついていることが明らかになったと思います。
 しかし、これは処遇改善を目的とした加算が賃金アップに差し向けられているかどうかの説明にはなっていますが、問題は実際に支給される賃金の総額がふえているのかどうかという点であります。
 介護事業者それぞれごとにベテランの職員がふえたり新人への交代が多かったりするなど、毎年事情の違いを抱えておりまして、一律に比較することは困難ではありますけれども、国においても介護職員の処遇改善に関する調査を行っていると認識しております。
 その調査結果から、介護職員の給与の状況の変化について何かいえることがあるのかどうかお伺いをいたします。

○枦山高齢社会対策部長 国の介護事業者処遇状況調査では、常勤の介護職員の者のみの平成二十五年度の平均給与月額は、平成二十四年と比べて七千百八十円の増となっております。
〇中山委員 加算申請の有無にかかわらず、常勤の介護職員のみの平均給与を平成二十四年と平成二十五年で比較するという大変大ざっぱな国の調査ではありますけれども、それによると七千百八十円、平成二十五年度の方が現実にアップしているという答弁でありました。
 この国の調査は、あくまで抽出調査ではありますけれども、先ほどの一万五千五百七十八円という都内事業所から提出された報告の積み上げの平均値と同様に大事なデータであります。
 我が党の長橋政務調査会長が予算特別委員会で代表質問に立ちまして、その際に質疑しましたように、平成二十七年一月一日時点で、都内の対象事業所一万五百三十三件のうち、八三・二%に当たる八千七百六十三の事業所から加算の届け出があり、届け出のあった事業所のうちでは、現行の最高額である加算Ⅰを取得している事業所が九八%を占めています。
 国はこうしたこれまでの取り組みに加え、二十七年度はさらに職員一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善加算を上乗せで実行しますし、都も国のキャリア段位制度を活用したキャリアパスの構築支援を独自に上乗せするとのことであります。
 また、都の独自補助の一人年間五十万円のうち二十四万円は、キャリア段位取得者への賃金アップへの割り当てが義務づけられていますが、残りの半分強、二十六万円は当該事業所に所属する職員全体の処遇改善に向けて活用することが認められていると伺っております。
 過去のデータから類推する限り、こうした都や国の加算は、今後も着実に努力を惜しまないで頑張っている介護職員の方々の賃金向上に結びついていくものと期待したいと思いますし、またそうなるよう都も頑張っていただきたいと思いますし、私たちもさらに提案を重ねていきたいと思います。
 その意味で、我が党は本定例会の本会議代表質問の中で、国の経営実態調査が余りにも大きなメッシュに基づくものであることで、より実態を把握しやすい調査を都としても実施するよう求めたところであります。
 今後とも、段位取得者の拡充とあわせ、ご努力をお願いしたいと思います。
 続いて、介護職員の確保、育成と並んで、地域包括ケアシステムの成否を左右するケアマネジメントの質の向上について伺います。
 東京都に提出した我が党の提言書の中でも、都民の健康増進を現実のものとするためのキーワードの一つが、良質なケアマネジメントの構築にある点を強調しております。
 今日では、廃用症候群ともいわれる体を動かさないことによる身体機能の後退が問題となっております。当然ケアプランにおいても、さまざまな要因から結果的にそれを助長してしまうような内容になっている場合については、その是正を図る必要があります。
 その上で、四月からは地域包括ケアシステムの本格実施が実行され、それに盛り込まれるさまざまな新しい取り組みを、本人の状態像に応じて効果的にコーディネートするプランであることが求められることになります。
 既に介護保険事業計画の第五期までの取り組みにおいて、望まれるケアプランニングの訓練に実践的な要素を加味した先進自治体では、高齢者人口の増大化という介護保険費用の、これもまた増大化において適切な抑制を実現しています。
 一方、都はケアマネジメントの質を向上させるためのガイドラインを既に作成し、その普及を図っていきます。
 このガイドラインは、学識経験者、区市町村、介護支援専門員等の協力を得て作成したものであり、非常に評判がよいと伺っております。
 地域包括ケアシステムが本格稼働される平成二十七年度は、ガイドラインの活用を一層促進するために、机の上の講義だけではなくて、すぐれた専門家による、より実践に即した研修や受験の機会を拡充すべきと考えますが、見解を求めます。

○枦山高齢社会対策部長 お話のとおり、都が作成したガイドラインを活用し、保険者である区市町村と介護支援専門員がケアプラン点検を実施することが、ケアマネジメントの質の向上を図るためには必要でございます。
 そのため、都は、区市町村職員百二十人を対象としたケアプラン点検研修会や、介護支援専門員千四百人を対象としたケアマネジメントの質の向上研修会を実施しております。
 あわせて、希望のあった九区市町村に対し専門的助言を行う人材を派遣し、ガイドラインに掲載しているアセスメントを適切に行っているかを確認するための、リ・アセスメント支援シート等を活用したケアプラン点検の円滑な実施を支援しております。
 来年度は区市町村職員は二百人に、介護支援専門員は千六百人にそれぞれ規模を拡大して研修を実施するとともに、新たに十区市町村に専門家を派遣し、ガイドラインを活用したケアマネジメントの質の向上を一層促進してまいります。
〇中山委員 ありがとうございました。専門家の派遣、期待しております。
 私が先ほど、介護保険費用の自然増の増大化を適切に先進自治体では抑制できていると、あえて適切との文言をつけて申し上げましたのは、成果を上げている自治体では、ご本人やご家族の理解もいただいて、介護度が悪化して利用できる介護サービスの総枠が上がっていくことよりも、健康な状態を長く維持できることの方が大切である点をしっかりと受けとめていただいているからであります。
 これは介護保険法第四条第一項に規定される国民の努力、義務ということを、いい意味で皆さんに理解していただいているかどうかという点が大事だということだと思います。
 ぜひ東京都においても、舛添知事みずからに音頭取りをお願いするなどして、そうした認識の都民への普及を積極的に進めていかなくてはなりません。
 あわせて福祉保健局みずからの取り組みとしても、介護予防の重要性をデータでわかりやすく発信したり、楽しみながら成果を上げられる取り組みを普及していったりするなどの努力をする必要があります。
 この点は大事ですので、後ほど別項で触れたいと思います。
 その上で改めて申し上げますが、介護予防は大変重要な取り組みであります。
 しかしながら、介護予防という名のもとに、専門的知見や客観的データに裏づけされない取り組みが行われている例も多々見受けられるようであり、保険料や補助金など都民からの拠出金を原資に運営する介護保険事業の効果的、効率的な執行という点では問題はないのかとの指摘もあります。
 その意味で介護予防の強化は、全ての区市町村における喫緊の課題であります。この点は先ほども質疑がありましたので、重なる点のご答弁は省いていただいて結構なんですけれども、介護予防の担当者の専門性やスキルを高めるとともに、事業の効果検証を適切に行い、専門的知見と客観的データに裏づけされた介護予防事業を強力に推進していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○枦山高齢社会対策部長 都はこれまで、区市町村の介護予防担当者の専門性の向上を図るため、介護予防推進会議の中で自治体による先進的な取り組みの紹介や地域資源の現状を分析して、介護予防事業を企画するグループワークなどを実施しております。
 また、今年度からは、介護予防事業に関して幅広い知識と経験を有した主任介護支援専門員や保健師等を介護予防機能強化支援員として地域包括支援センター等に配置する区市町村を支援しております。
 来年度はさらに、すぐれた事例や効果的な手法等の情報を都と区市町村の相互で共有するシステムを立ち上げまして、このシステムを通じて区市町村から寄せられる相談に介護予防の専門家から助言する事業を開始いたします。
 こうした取り組みによりまして、介護予防を推進する区市町村を積極的に支援してまいります。
〇中山委員 今回の制度改正では、生活支援サービスという全く新たな概念が登場しており、その活用の仕方が大きな課題となっております。
 近隣の住民同士が助け合う互助の仕組みやNPOを活用するこうした新たな取り組みが効果的なものであれば、費用的にも保険料の増大化を抑制することもつながりますし、望ましいと思います。
 しかし、生活支援サービスの提供は、介護保険者である区市町村が配置するコーディネーターに委ねられています。生活支援コーディネーターは資格要件がなく、いわば未知の領域における奮闘を期待されている職であるため、個人の力量や意識によって大きく結果が異なる可能性があります。活動理念の統一を図るとともに、スキルの平準化を図るための支援が不可欠であります。
 生活支援コーディネーターの資質向上の取り組みについて見解をお伺いします。

○枦山高齢社会対策部長 生活支援コーディネーターには、既存の社会資源や地域のニーズを把握し、地域の多様な主体や元気な高齢者の参加を得て、見守りや家事援助などの生活支援サービスの提供体制をつくっていくことが求められております。
 そのため、都は来年度から区市町村が配置する生活支援コーディネーターやその候補者を対象に、業務を行う上での必要な知識や技術を習得するための研修を開始いたします。
 この研修では、コーディネーターに期待される機能や役割を示すとともに、住民主体の支え合い活動をつくり出す具体的な手法等を盛り込み、基本理念の共有化やスキルの平準化を図ることで生活支援コーディネーターの資質向上に取り組んでまいります。
〇中山委員 生活支援サービスが効果的に運営されていけば、高齢者の居場所づくりも生きがいの創出も比較的廉価な費用で区市町村の工夫を生かし推進することが可能になります。
 実は提言書の中で都議会公明党は、既に現時点で地域包括支援センターの業務が多種多様、多忙となっていることを指摘しています。
 ある保険者といっても私の地元足立区なんですけれども、平成二十六年度現在で地域包括支援センターの業務数は既に、私がカウントしたところ二十四種類に上っています。それに平成二十七年四月以降は、今触れた生活支援サービスを含めて、認知症対策や新しい地域支援事業における多様な主体間の連携、調整など多数の新規事業が加わります。
 地域包括ケアセンターの繁忙度が大幅に増す第六期以降の取り組みの中で、都内各区市町村の生活支援サービスが効率的に運営されるよう、コーディネーターの資質向上の取り組みを通じて、区市町村の負担感を和らげてもらいたいと思います。
 続きまして、都の健康長寿医療センターの取り組みが果たす地域包括ケアシステムへの貢献について伺います。
 地域包括ケアシステムの本格稼働によりまして、都は健康寿命の増進と介護保険費用などの社会保障費用の総額の伸びの抑制を同時に果たしていく必要があります。社会保障費用の総額の伸びを適切に抑制できないと、財政運営は破綻の危機に瀕するおそれがありますし、社会全体が大きく活力を失うことにもなりかねません。
 しかもそれは介護サービスの不自然かつ不適切な利用控えによって実現されるべきではありません。あくまで健康寿命増進によって果たされるべきであります。
 その意味で、例えば都の健康長寿医療センターの研究におきまして、高齢期における健康づくり、介護予防の取り組みがどのような効果を上げるか数値で明らかになったものがあれば、その研究内容等をご紹介いただきたいと思います。
〇村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターでは、高齢者の虚弱予防、介護予防について、さまざまな研究を行っております。
 例えばですが、二〇〇一年から十カ年にわたりまして、群馬県草津町と連携して地域の高齢者に対する介護予防の取り組みを継続し、その効果を追跡する縦断研究を行ったところでございます。
 この研究では、生活習慣病の健診に認知機能、心身機能の測定も含めた高齢者健診、地区単位での健康教育を実施するとともに、健診で心身機能の低下が認められた方に対し、運動、栄養等に配慮した介護予防教室を継続して開催をいたしました。
 こうした取り組みにより、二〇〇二年と二〇〇九年を比較しますと、要介護認定の新規発生率が、高齢者全体、後期高齢者ともに半減したという結果が出ているところでございます。
〇中山委員 健康長寿医療センターの研究によりまして、草津町ではわずか七年の間に、要介護認定の新規発生率が高齢者全体だけでなく、介護になる方が前期高齢者に比べて七倍もふえる後期高齢者においても、ともに半減するという成果を上げていることが明らかになりました。
 特に私は認知機能と心身訓練の合わせわざや、運動と栄養の合わせわざが効果を発揮している点と、地区単位での健康教育が効果を上げている点に注目したいと思います。
 私は、認知予防の取り組みにおきまして効果的なものは、一に適切な運動であり、二に適切な睡眠であり、三に適切な栄養補給といわれました筑波大学の朝田教授のお話を、認知症対策にも意欲的な足立区内の精神病院の方々と一緒にお伺いしたことがございます。先ほどのご報告の内容と一致するのではないかと思います。
 また提言書にも記載しましたが、脳トレで有名な東北大学の川島隆太教授も、同じ能トレでも、一人で取り組むよりチームで、できれば幼いお孫さんみたいな子供たちと一緒に楽しく取り組んだ方が効果的であるという報告もされていました。その点とも合致します。
 加えて、同じく提言書に記載しておりますが、インターバル速歩で有名な信州大学の能勢博教授も、初めは見知らぬ者同士であった高齢者の方々を、楽しく自己紹介し合うなどの方法を通して仲のよいチームに仕立て上げて、励まし合いながらインターバル速歩に取り組む実践をされてございますが、その点にも共通しております。
 そうした意味で、都の健康長寿医療センターは、せっかくこのような貴重な研究も行っているのでありますから、今後はセンター内の閉じられた空間内だけでの研究によって成果を上げていくことを目指すだけでなく、むしろ積極的に表に出て区市町村との連携を強化するなどして、ある意味でフィールドワークに該当するかもしれませんが、介護予防などの取り組みを積極的に支援するべきではないかと考えます。見解をお伺いいたします。
〇村田施設調整担当部長 健康長寿医療センターでは、国の介護予防事業が制度化される前の二〇〇一年から、介護予防のためのお達者健診を板橋区で実施するなど、旧老人総合研究所の時代より都内の区市町村と連携をしまして、さまざまな研究活動を行ってきたところでございます。
 近年では、認知症の早期発見、診断、対応を進めるため、町田市で実施した在宅高齢者の実態調査を踏まえ、自記式の認知症チェックリストを開発いたしました。
 今年度は、地域における認知症の普及啓発を図るため、このチェックリストを掲載したパンフレットを都内区市町村等に広く配布したところでございます。
 また、高齢者の孤立死の予防のために、大田区、多摩市など四自治体と連携して実施した調査に基づき、昨年度、高齢者見守りのポイントチェックシートを作成したところでございます。
 さらに、高齢者の閉じこもり、孤立予防のために、今年度より高齢者の居場所となる板橋区内のサロン、二百二十五カ所の利用実態調査に着手しており、来年度以降、その成果を還元する予定でございます。
 今後とも、区市町村と連携しながら実用性のある研究を進め、都内における介護予防等の取り組みを支援してまいります。
〇中山委員 すばらしい成果だと思います。ぜひ今後とも、実用性のある研究に努めていただきたいというふうに思います。
 その上で、今後の課題としてお受けとめいただけるようであれば、要望したい点があります。
 それは、今ご答弁でご紹介していただいたチェックリストのような成果物を通じて都民に研究成果を還元していく方法もあるとは思いますけれども、中核となる人材を育てて、その人材を通して研究成果を都民に還元する、都の健康長寿医療センターというあり方もぜひ目指していただきたいと思います。
 介護予防であれ、生活支援サービスであれ、これまで質疑してきましたように、地域包括ケアシステムを通じての健康増進には、データに裏づけされた取り組みを成果の出せる方法で、しかも都民の意欲を効果的に引き立てながら実践できるキーパーソンの存在が重要であります。
 都の健康長寿医療センターが、今後はぜひそうした人材の輩出にも貢献していただくよう要望します。
 最後に、健康づくりについて伺います。
 健康長寿の増進、専門的には延伸と表現することが正しいようですけれども、健康寿命の延伸のために必要な取り組みは介護保険制度内の努力だけではありません。
 例えば健康増進法は国民全体を対象としたものでありますけれども、一方、老人福祉法に基づく介護保険法や高齢者の医療の確保に関する法律、旧老人保健法などは六十五歳以上を対象としております。
 このように健康に関する法規は年齢などによって分かれているかもしれませんけれども、健康寿命を延ばすためには、全ての取り組みの充実、協力が必要であります。
 そこでまず、国の健康日本21などの取り組みと連動する都の健康づくりについてお尋ねします。
 東京都が平成二十五年三月に作成した、健康推進プラン21(第二次)は、十年間の計画であり、健康寿命の延伸を達成するために事業を充実させていくことが必要であると考えますが、平成二十七年度は新たにどのような取り組みを行うのかお伺いいたします。
〇笹井保健政策部長 都では、健康推進プラン21(第二次)の総合目標に健康寿命の延伸を掲げまして、生活習慣病の発症予防や食生活、身体活動、休養などの生活習慣の改善に向けた取り組みを進めてまいりました。
 こうした中、昨年度実施しました都民の健康や地域とのつながりに関する調査におきましては、地域でボランティア活動や自治会などに参加している人ほど主観的健康感が高いということがわかりました。これは自分の健康状態をよいと感じている方が多いということでございます。
 そこで、来年度はこの結果を踏まえまして、地域活動の事例を紹介するリーフレットなどを作成し、企業の退職前セミナーや経営者向け講演会で活用するなど、職域団体等と連携し、地域活動への参加を促す取り組みを行うとともに、区市町村が行います地域の健康課題を把握するための調査を包括補助事業のメニューに追加し、支援を充実するなど、今後とも区市町村や職域と連携し、都民の健康寿命の延伸に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
〇中山委員 生活習慣病の改善に向けた取り組みは高齢者にとっても必要でありますし、健康増進や若い世代からの取り組みが大切であります。
 一方、我が党の提言書の中でも僣越ながら触れさせていただきましたように、保健所の今日的な課題もあります。健康診断業務などが外部委託化されて都民が保健所を訪れる機会が減ってしまって、周産期の家族とか、あるいは食品衛生などにかかわる関係者などを除けば、なかなか遠い存在になってしまっているという現状を指摘させていただきました。
 現状、限られた人員、予算の中で精いっぱい努めていらっしゃることは理解しておりますが、都や区市が抱える優秀な専門家集団を広く都民の健康増進に役立てるための目前の工夫は、少々費用がかさんでも、将来的にはその何倍もの支出を抑制する効果を発揮するものと考えます。
 私の地元では区長さんが、足立区民の健康寿命を平均で二歳伸ばすことを決意して、医師会などと連携し、糖尿病予防、予備軍への取り組みに努めるとともに、野菜摂取量の増量を事あるごとに区民に訴えていらっしゃいます。
 かつて環境や省エネといった言葉が自治体においてもはやりのキーワードになりましたように、それ以上の逼迫性を持って健康寿命の延伸にまなじりを決して取り組む自治体がふえていくものと考えます。
 都においても、こうした自治体の取り組みを応援するのは当然のことでありますが、むしろその先頭を切って導くような姿勢に立っていただきたいと考えます。
 その意味で、舛添知事が、都民の健康寿命の増進に向けたわかりやすい明確なメッセージを、長期ビジョンの改定やその他のしかるべき機会などに発信することができるように環境を整えることもまた、結果的に都民の幸福の増進に大きく寄与することにつながると考えます。
 今後さらに健康づくりを進めていくためには、福祉保健局の総力を挙げた取り組みが必要と考えますが、最後に梶原局長のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
〇梶原福祉保健局長 健康づくりの三要素というのは、栄養、運動、休養というふうにいわれています。私もなかなかこれを実行するのは難しいということでありますが、健康寿命の延伸を図るためには、この栄養、運動、休養を意識して、まずは都民の一人一人が主体的に健康づくりに取り組んでいただくと、これがまず基本だと思います。
 同時に、それとともに、健康寿命の延伸には保健サービスであるとか医療サービス、福祉サービス、これがいかに使いやすいものなのか、いかに早くつながっていくのか、そういうものが必要です。
 それと、あるいは子供に対しての学校での健康教育であるとか、事業者等による健診の実施であるとか、あるいは区市町村による地域の実情に応じた健康づくりだとか、さまざまな都民の健康にかかわる関係機関が、その役割を踏まえながら、効果的な施策を進めていくということが必要であって、社会的な、全体で取り組んでいくことが必要だというふうに思います。
 私どもの局は、保健医療のほか、高齢者、障害者、子供と幅広く所管している局であります。今後、関係機関とも連携しながら、局を挙げて健康づくりの推進に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

○遠藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十分休憩

   午後五時三十五分開議

○遠藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。
〇大山委員 それでは、東京の待機児童の解消と保育の質の向上に関する請願、それから予算にかかわって、保育のこと、高齢者介護のことを中心に質問いたします。
 まず、保育のことです。
 ここにございますけれども、この請願は、九万九千四百三十人もの多くの皆さんの願い、そして、その背後にいる多くの子供たちの願いがこもっている請願です。予算の審議と一緒に行います。
 認可保育園を整備するために、都有地を貸与する場合の減額制度、整備費についても拡充されたことは重要です。さらなる拡充を求めておきます。同時に、公立保育園の整備費も運営費も財源が不十分なまま一般財源化されてしまったために、公立保育園の民営化が急速に進められ、無理やり民間移譲しようとして、各地で保育現場に混乱が起こっています。
 結局、そのしわ寄せは、子供たちに行くわけです。一般財源化しても、都独自に創設、そして、増改築のために支援制度をつくってほしいというのは当然の要求だと思います。
 2にございます、認可保育園の職員配置基準を改善し、新たに設置する認可保育園に園庭を確保することです。
 園庭については、私、予算特別委員会でも質疑をいたしました。きょうも偶然でしょうが、日経新聞でしょうか。園児の遊び場足りない、なかなかリアルに書いてあります。近所の保育園と鉢合わせすることがほとんど、百人ぐらいの子供が公園内に群がる日もある。別の公園に移動することもしばしばだというような記事が載っていました。
 新たに設置する認可保育園には、最大限園庭を敷地内に設けることができるように支援してほしいです。そして、園庭を代替としているところの子供にも、最大限外遊びを保障する必要がありますから、現状の調査、それからガイドラインづくりなど、区市町村と協力して行うべきことを再度要望しておきます。
 職員配置基準ですけれども、職員配置基準、そして一クラスの子供の人数は、保育の質を支える重要な要素の一つです。だからこそ、最低基準で子供に対する保育室の人数が定められているのです。
 ところが、日本の保育園の保育士配置最低基準は、世界離れして低い状態だということも指摘されています。例えば、イギリスでは勧告基準が二歳未満は三対一です。アメリカの連邦基準でも、ゼロ歳から二歳児はそれぞれ四対一ですけれども、東京都の条例では、ゼロ歳三対一、一、二歳児は六対一です。
 幼児の職員配置はもっと差が大きいんです。イギリスは、二、三歳児が四対一、三歳から五歳児は八対一です。アメリカの連邦基準でも、三歳児は五対一、四、五歳児が七対一です。東京都の条例では、三歳児が二十対一、四、五歳児は三十対一です。まさに世界離れしている日本の基準といわなければなりません。
 福島大学教授の大宮勇雄氏は、欧米の保育園で日本に比べてはるかに高い水準の保育者配置がされている。その最も大きな理由の一つは、保育者の配置状況が子供の発達に極めて大きな影響を与えることを明らかにした保育の質研究が蓄積されてきたからですと述べています。だからこそ、余りにも低い保育士配置基準を向上させることが東京都の大きな役割です。
 東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の改定が、ことし四月一日に予定されています。その内容の一部について、今回、省令がおくれたということで、議案としては出されていません。施行日を二〇一五年四月一日と決めておきながら、省令を第一回定例会に間に合わせないこと自体が許されないことです。国の責任が問われます。
 しかし、保育園の設備や運営の部分については、既に省令が出され、認可保育園のゼロ歳児室の面積基準の緩和の延長についても、児童福祉審議会でも議論されています。
 来年度から、国の制度では、三歳児の保育士配置を子供十五人に一人の配置にすれば加算することになっています。久しぶりの改善です。ところが、せっかく運営の基準を改定する機会なのに、三歳児の保育士配置は二十対一のままになっています。国が加配基準で本体を変えないのは、全く不十分です。しかし、東京都が率先して基準配置を改善して、国をリードするべきであることを求めておきます。
 ところで、国の三歳児を十五対一とした場合の補助額は、一園につきどれぐらいになるんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 都内の認可保育所の平均的な規模であります定員百名の施設で、三歳の児童数を十九名と仮定して試算した場合、三歳児配置改善加算は年額百七十一万円となります。
〇大山委員 年額百七十一万円ですから、保育士一人分にもならない運営費しかふえないということなんですね。
 東京都独自に運営費を補助しているのが、現在はサービス推進費補助、今度は再編して、基本部分はキャリアアップ補助ということなんですけれども、キャリアアップ補助は、年齢別の単価で補助額が定められていますが、せっかく三歳児の保育士配置が十五対一になるのですから、キャリアアップ補助の単価にも反映させるべきだと思いますが、どうでしょう。

○手島少子社会対策部長 三歳児に対する保育士の配置基準は、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例施行規則において、三歳児二十人につき保育士一名以上の配置をすることとしております。
 国の公定価格の三歳児配置改善加算は、三歳児十五人につき一人以上の保育士を配置している場合に、加算として受けることができるものでございます。
 一方、保育士等キャリアアップ補助は、保育士等の職責に応じた処遇を実現するキャリアパスの導入に取り組む事業者に対し、処遇改善に要する経費の一部を補助するものでございます。
 このように、公定価格の三歳児配置改善加算と保育士等キャリアアップ補助は、目的や性格が異なるものでございます。
〇大山委員 キャリアアップ補助の補助額を計算する単価の定め方は、保育園の規模と子供の年齢ごとの単価が基本ですね。つまり、年齢ごとの保育士配置によるということなんじゃないんですか。それならば、三歳児の単価には十五対一を反映させるべきなんですね。そのことによって、東京都は、東京の保育園をよりよい基準に引き上げる役割も果たせるんじゃないんでしょうか。
 キャリアアップ補助でもう一つ伺いたいのは、このキャリアアップ補助と対応する現行のサービス推進費の基本部分は、一歳児の単価の方が二歳児の単価より高いです。これは一歳児の保育士配置が五対一で、二歳児は六対一の保育士配置だからですね。
 それでは、キャリアアップ補助では、一歳児と二歳児と同じ単価にしたのはどういう理由ですか。

○手島少子社会対策部長 国の公定価格の単価は、一歳児と二歳児の単価が同額となっておりまして、保育士等キャリアアップ補助の単価も公定価格の区分に合わせて設定をしたものでございます。
〇大山委員 おかしいんじゃないでしょうか。東京都の条例は、確かに一歳児も六対一にしてしまいました。しかし、東京都は、旧都基準である一歳児五対一を実施できるように、区部では財調、市町村では子育て交付金として保障しています。
 私たち、団で調査をしました。圧倒的多数の区市町村は、現在も一歳児五対一の配置基準を維持しているんです。せっかく保育の質を向上させるために重要な保育士配置を改善できるように、東京都は対応しているんですね。対応しているし、そして実態は、五対一を維持しているんです。ですから、キャリアアップ補助も、今までのサービス推進費補助と同様に、一歳児と二歳児と分けるべきだと思います。
 しかも、国の財源の見通しが立っていませんけれども、一歳児を五対一にしようとしているわけです。ようやく国が都の水準に追いつこうとしているときに、今の低い国基準を追認していいんでしょうか。
 つけ加えておきますけれども、四、五歳児について、東京都の基準は三十対一ですけれども、二十四対一に市独自に改善しているところが都内の市にあります。世界一の福祉都市を目指すというんだったら、子供たちの保育の質を支える人員配置を世界基準に近づける努力をするべきです。
 なお、基準が低過ぎるということは、今定例会に条例案が出されている認定こども園も同じです。しかも、これまで条例本体で決めていた配置基準を規則委任にしています。保育園と同様、引き上げが必要であることを述べておきます。
 もう一つは、ゼロ歳児室の面積基準緩和の延長についてです。
 これは、待機児が百人以上いて、公示地価が一定以上に該当する、現在都内では十七区十一市について、二歳未満児一人当たり三・三平米以上を確保しなければならないという基準を年度途中、つまり、四月二日以降は一人当たり二・五平米に小さくできるという基準の緩和を、二〇一二年度から今年度末まで、一四年度の限定で実施しました。これをさらに延長するというものです。
 この基準緩和については、二〇一二年のときも大議論になったのは、もう皆さんご承知のとおりです。二〇一〇年の十一月四日に児童福祉審議会の本委員会で、ゼロ歳児、一歳児の居室面積について専門部会を設置して検討するということを決めて、三回専門部会で検討会を開いたわけですね。
 しかし、国が指定した地域で、二歳未満児一人当たり三・三平米以上を、年度途中だったら二・五平米に小さくできるという東京都の提案について、区長会を代表して出ていた委員は、区長会の意見として反対だと表明したことを初めとして、社会福祉法人の保育の現場の委員からも反対意見が出て、結局、この専門部会からの報告は、一つの意見としてまとめることはできなかった。これはもう重大なことです。
 私は、その当時の厚生委員会で、ゼロ歳児と一歳児の乳児室または匍匐室の面積が、一人当たり三・三平米から二・五平米に小さくなると、具体的に何人受け入れがふえるのか質問しましたけれども、福祉保健局は、何人待機児が解消できるかの見通しさえ答弁できませんでした。それでも緩和を実施したんですね。
 伺いますけれども、この緩和措置が始まったときから、制度を適用した自治体は幾つあるんですか。

○手島少子社会対策部長 平成二十四年度に策定をされました東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例制定以降、基準面積の弾力的運用の規定を適用したという実績は聞いておりません。
〇大山委員 多くの区市や、それから現場の反対を押し切って緩和したけれど、結局、区市は一度も使っていない、緩和していないんですよね。
 昨年十二月十日の児童福祉審議会では、このことが議題となって、区長会の代表の委員は、実績はないということを確認した上で、設置主体である区市町村が、この四年間そういう選択を一度もしてきていないのに、その制度をそのまま延長を東京都がしたいというのは、私はミスリードにつながるおそれがある、こう厳しく指摘しています。
 この発言を受けて、委員長も、貴重なご指摘として、名前が挙がっている、つまり、実際に発言した区長会の代表の委員の方は、緩和できる自治体の区長さんなんですよね。実際に緩和することができる区の区長さんのご発言ですので、非常に重みがあると委員長は発言しています。
 このような児童福祉審議会の四年越しの議論があり、実際に自治体は面積基準の緩和は使いたくないんです。緩和措置を延長する必要はないんじゃないですか。

○手島少子社会対策部長 条例は、あくまでも最低基準を定めるものでございまして、実際の運用は、保育の実施主体でございます区市町村が地域の実情に応じて行うものでございます。
 基準面積の弾力的運用の規定は、各自治体の選択肢の幅を広げるものでございます。大山委員が引用されました当該児童福祉審議会におきましても、委員長により、東京都として一つの選択肢として残すものであって、これを使うか使わないかは当該区市町村の主体的判断に委ねられているということを確認して、この審議会で承認をさせていただくというご発言がありまして、承認をいただいたところでございます。
〇大山委員 区長会の代表の委員は、この場で態度表明しろといわれれば、私は反対だとはっきり表明しています。そして委員長は、非常に慎重な物いいをしていますよね。あくまでも一つの選択肢を残す、これを使うか使わないかは、今おっしゃったように、当該区市町村の主体的判断ということを確認して、承認させていただくと述べました。区長会代表の委員の意見についても、議事録に残すということでよろしいですかと再度確認しています。
 そもそも一人当たり三・三平米の部屋というのは、ゼロ歳児だと、さっきのモデル園でも九人定員というのがスタンダードなわけですけれども、九人で一人当たり三・三平米ですから、十八畳の部屋に子供九人と保育士が三人なんです。これでも狭いわけですけれども、二・五平米でよいということになったら、十二人の子供と保育士四人です。十八畳の部屋に十六人がいるんです。一畳に一人程度、赤ちゃんと保育士がいるわけですね。
 赤ちゃんにとって体の基礎をつくる重要なはいはいだって自由にできません。体を十分に動かして遊ぶことを乳児期から保証できない。だから、実施主体の区市はやりたくないんじゃないんでしょうか。
 人生の始まりこそ力強く、これがOECD保育白書で国際的にも確認されているわけです。我が党の調査では、ゼロ歳児室を一人当たり五平米の基準を持っている自治体は、十二区十七市町です。三・三平米ではなく、従来どおりの五平米でちゃんと条例を持っている、要綱を持っているところが十二区十七市町です。こうやって量、質とも同時に拡充していくことが東京都には求められています。
 質の問題で、もう一つ指摘しておかなければならないことがあります。
 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準で、第三者評価について、今までは記述がなかったわけですけれども、今度は、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表して、常にその改善を図るよう努めなければならない、こうなっています。つまり、第三者評価を受けることを努めなければならない、こうなっているわけですね。
 その理由として、質の向上に資するものであるためと、こうなっているわけです。これはつまり、第三者評価を受けることを、わざわざ努めなければならないと規定するもので、東京都第三者評価では、かつて、保育士が不足しているのに虚偽報告をして、初の事業停止になったじゃんぐる保育園だとか、食材費を削って一食数十円というわずかな食材費で給食を提供していた認証保育所も、第三者評価はAだとか、Bだとかが並んでいたわけですよ。そういうことを考えると、質の向上に資するとは疑問があるということを述べておきます。
 サービス推進費のことですけれども、サービス推進費を改定して、基本部分はキャリアアップ補助にするということですね。予算特別委員会では、私はこのことを取り上げましたが、このキャリアアップ補助が、知事がいっているように、モデルで月額平均一人二万一千円アップというのは、現在、サービス推進費を受けていないところのことです。
 認可保育園のうち、八割はサービス推進費を受けていますから、実際に基本部分、キャリアアップ補助でふえるのは、モデル園でも月額一人三千五百円程度。これは保育士だけで割り返していますから、職員全体で割れば、もっとさらに少ないということは否定できませんでした。
 同時に、サービス推進費の努力加算のうちの地域支援の部分については、激減であることも指摘しました。賃金を上げるということが重要なときに、総額が下がってしまえば、賃金アップどころではありません。
 地域支援で何をやってきたかといいますと、いろんな保育園に聞いてみますと、例えば、育児講座だとか体験保育、子育て相談だとか親子体操、それから人形劇や高齢者との交流だとか、子育て情報誌の発行だとか、いろいろさまざまな取り組みを行って、家庭で保育している親子の地域の子育ての頼れる拠点になっているというんですね。
 実施している保育園では、最初は保育園の中だけでも精いっぱいなのにと思いつつ、地域に出ていくと歓迎されるし、待っていてくれる。とても重要な取り組みであるということを実感しているという意見も多く聞かれました。
 サービス推進費の努力加算のうちの地域支援について、都はどう評価しているんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 来年度から始まります子ども・子育て支援新制度の実施主体は区市町村でございまして、地域子育て支援についても、区市町村が地域のニーズを把握し、地域の実情に応じて取り組んでいくこととされております。
 このため、都が取り組み内容を一律に設定するものではなく、区市町村が地域の実情に応じて取り組めるよう、包括補助などにより支援をしていきたいと思っております。
〇大山委員 今までだって、別にみんな保育園が一律にやっていたわけじゃないですよ、同じことをね。
 保育園というところは、保育士もいるし、保健師や看護師、それから調理士や栄養士など、子育てをめぐって必要な専門職がそろっているんですね。ですから、地域の子育ての拠点にふさわしい場所といえます。
 地域支援をきちんと位置づけて、予算もしっかりつけて、人も配置できるようにして、充実させることが求められています。それを東京都は、位置づけて、誘導してきたわけですね。ですから、地元の区市も把握していないところが多いわけです。それなのに、はしごを外すように、多くの項目をなくしてしまいました。
 今まで保育園で実施してきた地域支援について、どう存続させていくんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 地域子育て支援事業は、区市町村がニーズを把握し、地域の実情に応じて実施することが重要でございます。
 地域子育て支援の取り組みは、区市町村によってさまざまであり、保育所の機能やノウハウを活用した取り組みを含め、区市町村が地域の実情に応じて実施する事業に対しまして、包括補助などにより支援をしてまいります。
〇大山委員 実施主体が区市町村だから、包括補助で実施すればいいんだと、そういいますけれども、包括補助は区市町村が半分は出さなければならないんですね。
 私たちの調査では、多くの区市町村が、説明を受けたばかりで、しかも来年度の予算は既に組んじゃったと。今後どうするかは未定というところが圧倒的多数でした。
 実施している保育園では、やってみて、地域の子育て支援は非常に重要だということを実感しているし、親子で待っていてくれるし、今までやっていたものをもうやりませんともいえないわけですね。せめて現在実施している事業は継続できるようにするべきです。
 子育て支援で保育料の軽減は重要な要素なわけです。来年度からの国の多子世帯の保育料軽減の仕組みはどうなっているでしょうか。所得制限だとか、子供の数え方などです。

○手島少子社会対策部長 現行の保育所運営費負担金と同様、同一世帯から二人以上の就学前児童が保育所、幼稚園、認定こども園などを利用している場合、二人目は半額、三人目以降は無料となります。
 なお、所得制限は設けないこととされております。
〇大山委員 国の制度で所得制限がないというのは重要です。しかし、保育園に一時期に三人が通っているというケースは、なかなか数としては少ないんじゃないんでしょうか。
 一番上の子が年長さんで、次の子が三歳児で、三番目の子がゼロ歳に入園したら、その年はめでたく三番目の子は無料です。しかし、翌年度は一番上の子が卒園しちゃいますから、三番目の子は第二子ということになっちゃうんですね。無料になるのはわずか一年間ということなんです、このケースだったら。
 第三子の対象を広げようとしているのが福井県です。福井県では、所得制限なしで、第一子が十八歳までの第三子は無料になります。国の制度に上乗せして実施するものなんですね。少子化対策には重要な支援です。
 都内の自治体でも実施できるように、都として、上の子が保育園でなくても、例えば、福井県のように十八歳までとなれば、実質的に第一子、第二子、第三子ということになりますので、都としても、上の子が保育園でなくても実施することを求めますが、どうでしょうか。

○手島少子社会対策部長 保育事業につきましては、実施主体でございます区市町村が地域の実情に応じて行うものであり、都として実施する考えはございません。
 なお、国が定める保育料の基準額に対し、都内の区市町村が定めております基準額は、平均で半額程度となっております。
〇大山委員 保育料を各区市町村が減額しているというのは重要なことです。しかし、実施主体である区市町村がやればいいんだ、それは区市町村の仕事なんだ、そんなことをいいますけれども、福井県は県なんです。県の制度で、今年度までは第三子の保育料無料は三歳未満児だったんですね。それを来年度から就学前まで無料にしようと。第一子が十八歳未満ならいいですから、ほとんど実質的な第三子が対象になるわけですね。
 福井県だけではありません。京都府も、富山県も、保育園に同時に就園していなくても、実質的な第三子は無料にするということを発表しています。実施主体が区市町村だからといういいわけは通りません。
 京都府の担当者は、経済的な部分が三人目を産む上で高いハードルになっているんです、こういっています。富山県の担当者にも聞きました。子育て支援の新しい計画をつくる中でニーズ調査を行って、経済的負担の軽減が重要なんだということがわかったので、実施することにしました、こう話してくれました。
 区市町村が実施主体ではありますけれども、都が補助する制度をつくること、これは十分可能です。そして、ほかの県や府でもやっているわけですね。それどころか、東京都が底上げすることによって、区市町村がさらに充実することもできるわけですね。
 安心して子供を産み育てることに経済的支援は重要です。国の子どもの貧困対策法でも、経済的支援は一つの柱になっているわけです。
 区市町村でも努力しています。例えば、ちょっと卑近な例で申しわけありませんが、新宿区では、国の制度に上乗せをして、認可保育園だけじゃなくて、認証保育所に就園している子にも第三子は無料、これを適用しています。東京都独自の制度なんですから、都としても拡大できるように補助すべきではないんでしょうか。

○手島少子社会対策部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、保育事業につきましては、実施主体でございます区市町村が地域の実情に応じて行うものであり、東京都として実施する考えはございません。
〇大山委員 県や府ではやっていますよというところはさっき話したとおりです。認証保育所の保育料補助は、ほとんどの区市町村で実施しています。しかし、その内容は、認可保育園の保育料と同じにするというものから、一人二万円とか、一人八千円とかというように、かなり差があるんですね。東京都が底上げすることによって、区市町村がその上乗せができるわけです。
 認可保育園に申請して、入れなかったから認証保育所に通うというケースが多いわけですから、都として、保護者負担軽減を行うことを要望しておきます。
 子供の問題の最後に、福祉保健局長に確認しておきたいことがあります。
 私は、予算特別委員会のときに、園庭が敷地内にない保育園が多くなって、一つの公園を五園も六園も七園も代替公園として登録している。十分に遊ぶことさえできない事態になっていることを指摘して、都として、都に対して、区市町村と共同で調査することなどを求めましたけれども、調査もガイドラインの作成も拒否したあげく、自分は休日に子供を公園に連れていく、子供を公園に連れていって十分に遊ばせるのも親の役割だと答弁されました。
 梶原洋さんという個人だったら、どんな考えを持とうがそれは自由です。しかし、予算特別委員会は、福祉保健局長として答弁しているんです。自分はやっているんだからということではなくて、福祉保健局長には、さまざまな困難を抱えた都民全体のことを考えてもらう必要があります。
 その福祉保健局長の役割を確認しておきたいと思います。
 福祉保健局長には、福祉保健局長という役割を果たすことが求められています。福祉保健局長の役割は、憲法を遵守して、児童福祉法を実現して、そして子どもの権利条約に基づいて、どの子にも最善の利益となるように全力を尽くすことということでいいですね。
〇梶原福祉保健局長 私は公務員であります。全体の奉仕者として、憲法を初め、法令や条例を守り、それに従って業務を遂行することは地方公務員の義務であり、服務の基本であります。児童福祉でいえば、子供の最善の利益のために全力を尽くすことは、公務員として当然であります。
 局長の役割というご質問でありますから、我が局の使命は、都民の生命と健康を守り、地域での自立を支える新しい福祉を実現することであり、その所掌範囲は、子供と家庭のみならず、高齢者、障害者、生活福祉といった福祉分野のほか、保健、医療、さらには健康危機管理と多岐にわたっております。
 四千人を超える職員と一兆円を超える予算を抱える福祉保健局のトップである局長には、こうした人員や予算を都民のために効率的、効果的に使い、局の使命を果たす役割と責任が課せられているというふうに認識をしております。
 施策の優先順位を反映した上で、局としての方針を決定し、組織を束ね、職員を守り、局のあらゆる事業に最終的に責任をとることが局長の役割であります。
 私の発言が仮に、私の子供を例に挙げましたが、私の発言が仮にご理解いただけないとしたら、それはひとえに私の不徳のなすところでありますが、今後とも私なりに公務員としての矜持と覚悟を持って発言を行い、行動し、局長としての責任を果たすよう努力してまいりますので、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
〇大山委員 私は、子供の分野のときの話ですから、子供の最善の利益、それから児童福祉法を実現するということで伺ったわけですね。
 釈迦に説法ではありますけれども、児童福祉法はその第一条で、「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない」、そして、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」として、第二条で「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と、国と地方公共団体にはこれを明記して、第三条で、これらは「児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない」とうたい上げています。
 この児童福祉法を真に実現する立場で、東京の全ての子供の幸せを実現して、豊かな成長を発達する立場で全力を尽くしてほしいということを改めて求めておきます。
 それでは、高齢者の分野です。
 介護報酬の引き下げで困難な状況になるということは、予算特別委員会で言及しました。私たちの調査では、定員百人から二百人規模の特養ホームだと、介護報酬の減額は平均二千万円にもなりました。現在でも約半数の特養ホームが、今年度決算は赤字になると回答して、修繕積み立てだとか、当面の運転資金を除く内部留保は、約七割の施設がないと答えています。
 このような状況の中、介護報酬の減額ですから、職員体制の見直し、職員給与の見直しをせざるを得ない、行事等、利用者サービスの見直しを考えざるを得ないというところも、約三割ありました。
 深刻なのは、介護職などの不足が大きくて、在宅での暮らしを支えなくてはならないショートステイを既に受け入れられなくなっていることです。私たちの調査だけでなく、NHKの「おはよう日本」でも、ショートステイを休止せざるを得ないところが紹介されていました。
 東京都社会福祉協議会も、このままでは都内は介護崩壊です。老人漂流社会が到来するとコメントしています。人員確保の分野でも、介護報酬の処遇改善加算は上がっても、報酬の総体が小さくなることは国の予算案でも明らかです。しかも、介護職だけの処遇改善で矛盾はさらに大きくなります。東京都が行おうとしているキャリア段位導入促進のための補助も、ごく限られた人しか対象にならないことも明らかになりました。
 私が特養ホームにこだわるのは、特養ホームが在宅での暮らしを支える拠点でもあるからです。東京都ができることを最大限努力することです。
 現状はどうかということなんですね。介護士の国の配置基準は三対一ですけれども、この国基準以上に配置しているところは、都内の特養ホームのうち、どれぐらいの割合になっていますか。

○枦山高齢社会対策部長 特別養護老人ホームに対しては経営支援事業を行っており、利用者二・五人に対して職員一人以上を配置している施設に対しまして、努力、実績評価加算のポイントを付与しております。
 平成二十五年度の実績では、補助を申請した三百五十五施設に対し、二・五対一以上の職員を配置し、努力、実績評価加算を取得しているのは、三百六施設で八六%となっております。
〇大山委員 八六%のところが二・五対一以上の職員配置をしているということなんですね。
 予特で出していただいた資料を見ましたら、特養ホームの介護士の入所定員に対する割合というのは、平成十二年度が三五・九%なんですね。全国平均はそのとき三四・八%でしたから、人員配置は全国的に見ても厚かったわけです。
 しかし、平成二十五年度、これは東京が四二・七%、平成十二年よりも割合は高くなりましたけれども、全国平均は四四・三%です。ですから、介護職の配置は全国平均より低くなってしまいました。他県の方がより人員を厚く配置できるようになったということなんですね。
 看護師も同様です。私たちの調査でも、多くのところが介護保険の基準配置である高齢者三人に一人の介護職員配置では十分なケアができないということで、一・五対一だとか、それ以上の人員配置を行っています。
 福祉は人です。だからこそ、介護報酬の基準を超えて、多くの事業所が職員を配置しているわけです。しかし、その人員の確保が困難になっているのですから、これはサービス低下につながりかねないということです。
 介護士などの人員配置基準を現状に合わせて引き上げるように国に要求するべきではないでしょうか。

○枦山高齢社会対策部長 都は国に対し、介護事業者が介護人材の定着、確保を図り、健全な事業運営ができる介護報酬とすることをかねてから要求しております。
 また、昨年九月には、区市町村の意見を踏まえた地域区分の設定や人件費割合の見直し等につきまして、緊急提言を行ったところでございます。
〇大山委員 要求しているということは、必要だということは認識しているということなんですよね。人員配置基準の改善が必要だということは、認識しているということなんですね。
 これは(資料を示す)厚労省の補助金を使って調査を行った、介護保険施設等における職員人員配置基準に関する調査研究事業の調査研究報告書というんですね。入居者にとって当たり前と思える日常の生活、つまり、入浴や排せつ、食事や外出など、さまざまな角度から調査しています。日常の生活は、多くの事業者が目指したいと願っている、目指すべき姿なんです。職員だとか、入居者の聞き取りだとか、行動などの調査を行った結果、現状の職員配置では、当たり前の支援さえままならない現実が明らかにされました。
 この調査報告の提言というのがあるんですけれども、理念を実現するには、一・五倍の人員配置基準の構築は不可欠である、それによって社会的な問題ともなっている介護職の高い離職率も改善することができる、介護保険法が到達点として掲げた理念に近づけるためには、法定人員配置基準の適正かつ合理的な見直しは重要な課題である、こう述べています。厚労省の補助金でやった調査研究です。
 国に東京都は要求しているわけですから、必要だと認識しているんだったら、都独自にできることを最大限具体化することだと思うんですね。経営支援事業は、都みずからできることです。基本部分を抜本的に拡充するべきだと思いますけれども、どうですか。

○枦山高齢社会対策部長 経営支援事業は、小規模施設や島しょなどの地理的条件で厳しい経営環境にある施設や、入所者へのサービスの向上に資する取り組みを行っている施設に対して支援を実施しているものでございます。
〇大山委員 東京都独自で、やはり経営支援事業が必要だと思うからやっているわけで、しかも、人員配置の改善は必要だというのは認識しているわけですから、介護報酬が大幅減額になっている今だからこそ、東京都の支援が重要なんです。
 東京都特有の事態に対応するというのは、やはり東京都の役割だと思うんですね。土地の確保が困難な東京で、五階建て、六階建ての特養ホームにならざるを得ない事態があります。建物の階層が多くなるほど、夜勤体制を確保するには、より多くの介護士などが必要になりますけれども、どう認識していますか。

○枦山高齢社会対策部長 特別養護老人ホームの夜勤体制につきましては、例えば、ユニット型施設の場合、二ユニットごとに一名の介護職員、または看護職員の配置を必要としております。
 特別養護老人ホームの施設整備に当たり、事業者は、当初の計画段階から、この人員基準を遵守した上で、適切な介護サービスの提供と安全の確保を見込んだ夜勤体制を組み込んで事業計画を策定しており、これに基づいて、事業者の責任において施設を適切に運営していくものと認識しております。
〇大山委員 事業者の責任なんだと。
 広い土地が比較的確保しやすいところだったら、一フロアで建てられますよね。一フロアで建てられるんだったら、一フロア三人の夜勤体制もとれるんです。
 現場は、三人の夜勤体制を欲しいと思っているところが結構あるんですよね。しかし、二人にならざるを得ないのは、やはりフロアが分かれているからなんです。
 二フロアに例えば分かれていれば、それだけで二人ずつ、一日四人の夜勤が必要です。その上、新宿区内の特養ですけれども、二階、三階部分が特養で、そこにショートもついているんだけど、一階のフロアにもショートステイがついているんですね。ですから、人手不足で、結局ここの別のフロアの一階のショートステイのところには、夜勤体制がとれない。だから、一階にあるショートステイを受け入れることができないんだと。
 こういうフロアが何層にもならざるを得ないというところは、ここだけじゃなくて、都内にはいろんなところにあるわけですよね。それは土地の確保が難しい、困難だというところの、東京特有の条件なんですよ。ですから、東京特有の条件は、経営支援費に新たに項目を入れればいいんじゃないかと、そういうことを求めておきます。
 医療ケアが必要な方への支援も重要です。医療ケアが必要な方の受け入れもできるようになっていますけれども、受け入れるには、看護師や介護士の増員は欠かせません。経営支援費で医療ケア加算があります。これはいつから実施して、どういう理由で始めたんでしょうか。

○枦山高齢社会対策部長 都は、平成二十二年度から、特別養護老人ホーム経営支援事業におきまして、医療ケアの実施により、サービスの向上に取り組む施設を対象に、医療対応強化支援加算を設定しております。これは、喀たん吸引等の医療ケアを必要とする高齢者の増加に対応し、これらの高齢者を積極的に受け入れ、適切な処置を行っている施設の取り組みに対しまして、支援を行うためのものでございます。
〇大山委員 医療ケアが必要だと、どうしても特養に入所できないってことがあって、やはり受け入れてもらいたいという要望がかなり大きくなって、それで受け入れるようになって、平成二十二年度からですか、医療ケアの加算を新たに経営支援事業の中に、新たに項目を立てたわけですよね。
 ですから、このように必要なものについては、新たに項目をつくるということも実施しているということなんです。これは重要なことだと思います。
 ところで、医療ケア加算というのは、どのような基準で、どれぐらいの補助が出てるんでしょう。

○枦山高齢社会対策部長 特別養護老人ホームの入所者のうち、医療的ケアである喀たん吸引または経管栄養の必要な入所者が定員の一五%以上を占めている施設が加算の対象でございます。
 加算額は、こうした医療的ケアの必要な方の割合に応じて設定しており、一五%以上二〇%未満の場合は百万円、その割合が五%増すごとに五十万円が加算され、三五%以上で三百万円が上限となっております。
〇大山委員 百人定員の特養ホームだったら、十五人以上二十人未満の医療ケアが必要な方がいると百万円。これでは介護士一人分にもなりません。余りにも少ないんじゃないでしょうか。
 また新宿区で申しわけないんですけど、新宿では医療ケア、胃瘻だとか経管栄養、カテーテルなどが必要な人が一割以上入所している特養ホームには、定員六十人以下なら看護師一名、介護士一名を配置する。だから、六十一名以上なら看護師二名、それから介護士一名を配置できるように区単独で補助しているんです。
 具体的にいうと、六十人定員だったら、六人の医療ケアが必要な人が入所していたら合計補助額は千百三十六万六千円です。百人定員で十人受け入れていたら、合計千七百七十九万六千円の補助なんです。これがあるから、区内七カ所ある特養ホーム全てが一割以上医療ケアが必要な方を受け入れているんですね。切実な区民の要求に応えて、区独自でも補助しているわけです。
 経営支援費の医療的ケア加算の抜本的な拡充を求めますけれども、どうですか。

○枦山高齢社会対策部長 先ほども申し上げましたが、経営支援事業は、小規模施設や島しょなど地理的条件で厳しい経営環境にある施設や、入所者へのサービスの向上に資する取り組みを行っている施設に対しまして支援を実施しているものでございます。医療対応強化支援加算は、医療的ケアに取り組む施設に対して、一施設当たり最高三百万円を加算しております。
〇大山委員 必要だから項目を新たにつくったわけですよね。しかし、施設の人も、余りにもハードルが高過ぎる、それから補助も少ないということは訴えていらっしゃいました。だから、必要な職員を十分に配置することなしに介護の質を向上させることはできないわけですから、実態をぜひ把握して、そして拡充するように求めておきます。
 介護保険料、利用料のことです。来年度、介護保険料の値上げが予定されているわけですけれども、一定所得以上の人の利用料負担を一割から二割へ引き上げるということを八月から実施しようとしているわけです。介護保険料を抑えようとすれば、サービス量を減らす、質を下げるしかない。介護難民、退院難民、介護辞職もふえる、こう指摘されています。
 これでは、これからの超高齢社会は成り立たないということになっちゃうんじゃないでしょうか。

○枦山高齢社会対策部長 介護保険制度は、世代間、世代内で支え合う社会保険制度であり、全ての被保険者が適正に保険料を負担することや、利用料として一定の自己負担を求めることは、受益と負担の公平性の観点からも必要でございます。その財源は、保険料と公費から成っており、将来にわたり持続可能なものとしていかなければならないという認識をしております。
〇大山委員 私は、それで成り立つんですかって聞いているんです。持続可能だといったって、介護難民や退院難民があふれちゃうんじゃないんですか。今のやり方、保険料と利用料で五〇%を賄うというやり方では、サービスを拡充しようと思えば保険料を上げます、利用料を上げます。それから、保険料を上げたくなければ、利用料をもっと上げたくなければ、サービスはほどほどです。そういうことなんですね。
 だから、私たちは、介護報酬とは別枠で処遇改善を行うことだとか、介護保険財政への国庫負担をふやすことを求めているわけです。
 介護保険料の値上げは、マスコミの調査では、来年度の基準保険料は千円近い値上げをするところもあって、六千円を超すところも出てきています。また、一定所得以上の方から二割負担へ導入する、利用料二割負担を導入することは、介護保険導入後、初の利用料負担増であり、二割負担原則化への布石と危惧の声が広がっています。
 しかも、医療保険の三割負担の基準よりもさらに所得基準を低く設定しており、年金収入が二百八十万円を少し上回る層で貯金が乏しい人には厳しいとか、負担能力があるといっていいのかという疑問の声が、現場のケアマネジャーさんだとかサービス事業者から上がっているわけです。また、特養ホームの相部屋の入居者に対して部屋代を新たに徴収することも入っています。
 予算特別委員会の資料では、低所得の施設利用者への食費、居住費を補填する補足給付について、平成二十四年度に受けたのは、都内で六十四万四千二百八十二人となっていますけれども、この人数は、介護保険のサービスを受けている人に占める割合というのはどれぐらいなんでしょうか。

○枦山高齢社会対策部長 補足給付は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設等の食費や居住費等について、所得に応じた負担限度額を設定し、標準的な費用の額として設定されている基準費用額との差額を支給するものでございます。
 平成二十四年度における介護保険サービス受給者全体の都内年間延べ人数は四百五十四万六千七人であり、補足給付受給者の都内年間延べ人数、六十四万四千二百八十二人の占める割合は一四・二%となっております。
〇大山委員 これは補足給付の全部のサービスに占める割合が一四・二%ですね。現在、補足給付というのは介護老人福祉施設などを利用している方ですから、その割合というのは五九・五%です。ですから、約六割が補足給付を受けているということなんです、対象のサービスを受けている人の中で。来年度から、補足給付の要件に資産などを追加することになりますけれども、影響を受けるのはどれぐらいの人数になりますか。

○枦山高齢社会対策部長 国の社会保障審議会介護保険部会で参考として示された資料によれば、平成二十一年、全国消費実態調査の結果から、夫婦高齢者世帯について、収入二百万円未満の世帯で、貯蓄等が二千万円以上の世帯が占める割合は約八%となっております。
 また、平成二十二年国民生活基礎調査の結果から、高齢者単身世帯について、収入百五十万円未満の世帯で、貯蓄等が一千万円以上の世帯の占める割合は一一%となっております。
 全国の数値ではこうした傾向となっており、実際に影響を受ける人数につきましては、保険者である区市町村が利用者から補足給付の申請を受けることで把握することが可能となります。
〇大山委員 国の予測では、一割前後の方々が今までの補足給付は受けられなくなるということですね。収入百五十万円の方が、補足給付がなくなれば、結局、老後のため、病気したときのため、お葬式のためと頑張ってためた貯金を切り崩せということなんですね。病気でもしたら、保険外負担なども含め、あっという間にお金がなくなってしまうということを皆さん知っているんですね。余りにも冷たいということなんじゃないでしょうか。国に対してきちんと物をいうべきです。
 東京都が上乗せをしているという唯一の利用者負担軽減ですけれども、この軽減を受けるための確認証を交付されている人数が、昨年三月末で千九百三十七人、これは全都の人数です。九月の人数はさらに少ない千七百六十八人ですけれども、利用実績、これが三月分が千四百人、そのうち都の上乗せでの実績はわずか四百三十三人となってます。要介護認定者が、平成二十五年度で、五十二万三千五百三十四人に比べて〇・三%というのは余りにも少ないんじゃないでしょうか。

○枦山高齢社会対策部長 都の利用者負担軽減制度の対象サービスにつきましては、在宅重視の視点から、国の制度の十五種類のサービスに加え、訪問看護や通所リハビリテーションなど十種類の在宅サービスを都独自に拡大して実施しております。また、事業主体につきましても、社会福祉法人以外の株式会社などに対象を広げて実施しております。対象者の収入や資産要件につきましては、国制度に準拠して実施しております。
〇大山委員 対象サービスだとか、事業主体について、都独自に拡大していると威張っていますけれども、私は余りにも利用している人が少ないんじゃないですか、こう聞いたんです。全都でも利用者は千四百人、自治体別で出ていましたけれども、一人だとかゼロ人というところもあります。余りにも少な過ぎるんじゃないでしょうか。この程度の利用者で十分だと考えているんですか。

○枦山高齢社会対策部長 繰り返しになりますけれども、都の利用者負担軽減制度の対象サービスは、都独自に拡大して実施しております。また、事業主体につきましても、社会福祉法人以外の株式会社などに対象を広げて実施しております。対象者の収入や資産要件につきましては、国制度に準拠して実施しております。
〇大山委員 幾ら都独自で広げているというふうにいっても、利用者が、三月分が千四百人、広げてますって威張ってるけれども、東京都の上乗せでの実績は四百三十三人ですよ、広いこの東京の中で。この利用者負担軽減ですけれども、単身世帯だと三百五十万円の貯金があれば、この制度は受けられないんです。非課税世帯で三百五十万円の貯金といえば、本当につましくこつこつためた貯金だと思うんですよね。せめてお葬式代だけは持っていたいんだっていう方、結構いらっしゃるんですよ。その貯金を取り崩さないと補助はしませんよということなんですね、この利用者負担軽減。
 こんなことでいいんだろうかと、収入基準は低過ぎないかとか、事業主負担があるのが障害になっていないんだろうかとか、調べるぐらい--調べた方がいいんじゃないですか。
〇梶原福祉保健局長 社会保障制度全般のお話の中で、介護保険もそうでしたし、保育もそうでありますけれども、介護保険制度、いわゆる現行の社会保障制度というものがさまざまな問題を抱えているというのは、国民健康保険制度にしても共通している、それは委員も同じだというふうに思っています。
 その上で、財政的に、財源も含めてどういうふうに負担をしていくか、つまり制度設計を考えていかなきゃいけない。国保についても、我々はいろんなことをいってきました。介護保険についてもいろんなことをいってきました。
 その上で、やっぱりお金は天から降ってくるわけではないので、例えば現行の社会保障制度っていうのは、社会保障費は大体三十一・五兆円あるわけですね、国全体でいくと。それに対して消費税八%分は、国と地方を合わせて約二十二兆円になる。つまり、その財源をどういうふうに負担していくか、つまり持続可能なものにしていくには、どのようなものにしていくかと、こういう社会保障制度改革全体の話をやっていかなければならないというふうに思っています。
 ですから、利用者負担軽減制度についても、補足給付についても、それぞれミクロの世界ではありますが、根本としては制度を持続可能なものにしていく中で国全体で考えることで、一部のところで、当然、都も上乗せの補助をやっていますけれども、根本的なところは、それを国民的なコンセンサスがとれるよう、例えば消費税を何%にするのか、あるいは国民負担率を何%にすればいいのか、そして、それによって福祉サービスをどのような水準に保てばいいのかと、そこから考えないと、現行の社会保障制度っていうのはもう維持できない段階に来ているというのが私どもの認識であります。
〇大山委員 制度を持続可能なものにする、だから、根本的に考えなきゃいけないんじゃないか。それは、私たちはいつもいっていますけれども、財源はきちんとあるわけですよね。きちんとあるわけですよ。大体、社会保障のためだっていって消費税を引き上げてから、社会保障のためといいながら消費税を八%に引き上げましたよ。で、国の来年度予算は次々社会保障切り捨てですよ。一方で、空前のもうけを上げている大企業には、二年間で一・六兆円もの大減税ですよ。こういうところを変えなきゃだめでしょう。そして、軍事費の支出も、国はもう一番の、支出も巨額になっています。
 東京都の財源でいったって、私たちは毎年、予算の組み替えの提案をしています。ここの無駄遣いをかえれば、こっちに組み替えれば、ちゃんと福祉の予算も出てきます。毎年三%程度の組み替えで、きちんと私たちがいってきたことは実現しますよということを、ちゃんと予算の裏づけも示しながら私たちはやっています。
 ですから、介護保険が、高齢者の負担は大きくなる、それから介護報酬の削減で介護を担う人もますます不足する、そんなことをやっていたら、局長がおっしゃるように制度を持続できないじゃないですか。しかも、介護難民が続出しますよというのは、現場の社会福祉協議会の高齢者部会の人たちの調査によっても明らかです。それから、高齢者の全国の老人施設の協議会の人たちも警告してるじゃないですか。
 制度を持続するというのは、一人一人のきちんと暮らしが立ち行く。そして、高齢者の貧困率でいったら、高齢者の貧困率は依然として高いですよ。そういうところにきちんと注目をして、やはり一人一人がきちんと生きていける、そして安心して高齢期を迎えることができる、それから、当たり前の暮らしができるようにすることこそ、東京都の役割なんじゃないでしょうか。
 きちんと、東京都としてやれることは全てやるぐらいの意気込みで臨んでほしいということを要望して終わります。
〇あさの委員 私の質問に入る前に、今、大山委員の質疑の中で、梶原局長が予特の中での発言の云々の話がありましたが、私は、基本的に福祉を所管する皆様方は、当然、もちろん法令にのっとってやるのは大事なことだとは思いますけれども、福祉というのは、コンピューターやロボットがやるものではないんですね。そこに人の心がなければ私はいけないと思います。
 そういった意味で、答弁の中に、親としての思いを込めた梶原局長の姿勢、大変立派だと、すばらしいと思いましたということをまず申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。
 私からは待機児童対策について伺いたいと思いますが、この時期、統一地方選挙も近づいておりますので、各自治体、基礎的自治体といわれる区市町村の中では、首長さんというトップに出られる方、あるいは議員に出られる方、さまざまな方々が待機児童を何とか解消しなければいけないんだということでいっておられますけれども、その中に、ちょっと私も大変気になることがございます。
 それは、待機児童というのは、これはメディアの報道もそうなんですが、待機児童を一くくりで、待機児童が何人、何人という数字だけがひとり歩きしているんですけれども、先日、認証保育所や、あるいは幼稚園の先生や何か、いろんな方とお話をさせていただいた中で、待機児童の話というのはそんな簡単な問題じゃないよということがよく出ていました。
 もちろん局の皆さんにとっては釈迦に説法な話だと思いますが、そこでまず、待機児童ということも、いわゆるゼロ歳から二歳までの低年齢児と、それから三歳以上の児童と分けて考えなきゃいけないんじゃないかと思うわけですね。
 待機児の解消というのは、まさにこの低年齢児、ゼロ歳から二歳のところが圧倒的なんだということを伺いました。この低年齢児の対策をいかにやるかということが、この待機児童の解消には非常に大切なことでありますけれども、まず、確認をさせていただきます。過去三年間、この東京都の待機児童数、そして、そのうちゼロ歳から二歳児というのが何人いたのかということについて伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 いずれも四月一日現在の待機児童数でございますが、平成二十四年は七千二百五十七人、二十五年は八千百十七人、二十六年は八千六百七十二人でございまして、このうちゼロ歳から二歳までの児童は、二十四年が六千五百四十三人、二十五年が七千二百十一人、二十六年が七千八百九十八人となっております。
〇あさの委員 まさに待機児童の約九割を、ずっとこのゼロ、二歳児が占めていて、三年間見てもその傾向は変わらないわけですね。逆にいうと、三歳になるともちろん幼稚園に入ることもできますし、それから、普通に考えれば、認可保育園も定員はぐんと大きくなるので、そういった意味では入れる人もふえてくるということで、三歳児以降というのは、実はすごく減っていくわけですね。
 先ほどの、例えば直近の平成二十六年の四月一日現在の数で見ましても、八千六百七十二人の待機児童はいますが、三歳以上は七百七十四人しかいない。九一・〇七%を、ゼロ、二歳児が占めているという状況であります。
 一方で、保育園というものの経営という観点から見ますと、先ほどの話にも出ておりましたが、ゼロ歳児はおおむね三人に一人の職員が必要になって、保育士さんが必要になります。一、二歳児で六人に一人、それから、三歳以上になると二十対一だったり、三十対一だったりという形で、一人の職員で多くの児童が見られる状況の方が、保育料が入ってくる金額も多くなりますし、もちろん一人当たりの助成金というか、そういったものも入ってくるので、それを全体で回して保育所というのは運営されているんだと私は思うわけです。
 そうすると、認可保育所を単純に、ただただふやしていけばいいのかというと、認可保育所をただふやしていけば、当然ゼロ、二歳児のところ、さっきいったように待機児童の九割がゼロ、二歳児ですから、この部分の数を担保するだけの保育園を整備してしまうと、実は三歳児以上のところで定員割れを起こしてしまうということが容易に想像がつくわけですね。そして、そのあおりを食うのはどこかというと、もちろん幼児教育をやっている幼稚園だったりとか、あるいはほかの園だったりというところがそのあおりを食っていくわけだと私は思うわけです。
 そういった意味で、大都市のこういった形をうまくコントロールしていく、圧倒的にゼロ、二歳児に偏っているというのをコントロールしていくために創設された、この認証保育所という、東京都が大都市ニーズに対応するためにつくった制度でありますけれども、これは、我が党の予算特別委員会の質問に対して、知事も、認証保育所というのは、現在、東京になくてはならない重要なサービスなんだと、これは保育施設の重要な柱の一つと位置づけ、しっかりと支援していくよということを答弁いただいておりますが、改めて、この認証保育所の意義ということについて伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 認証保育所は、大都市特有の保育ニーズに対応したゼロ歳児保育や十三時間開所、待機児童の約九割を占めます二歳児までの児童の定員を五割以上にすることを義務づけております。
 また、児童一人当たりの基準面積を弾力的に運用することで、転居や育児休業からの復帰など、年度途中に発生をする保育ニーズにも柔軟に対応しているところでございます。このように、認証保育所は認可保育所だけでは応え切れない都民のさまざまな多様な保育ニーズに的確に対応するとともに待機児童解消にも資するものでございます。
 今後とも、認証保育所を東京都の保育施策の重要な柱の一つと位置づけ、設置を進める区市町村の取り組みを支援してまいります。
〇あさの委員 認証保育所の方々と話をしたときに、こんなことをおっしゃっていました。認可に移行していこうかということを悩んでいると。そのときにちらつくのが何かというと、やっと助かったという親御さんたちの顔なんだというんです。つまり、認可は国が基準をつくっておりますし、それぞれ区市町村でもいろんな基準はありますけれども、入れるためには、例えばフルタイムで働いてなきゃいけないだとか、所得の基準であったりとか、いろんな基準があるので、それに応えられない人たちが、もちろん今お話があったように、不足しているから入れない人もいるんですけれども、でも実際問題、認可に預けられない人たちで、認証に行けている人たちも実際にはいるわけで、その人たちにとってみれば、そこが唯一の救いだったというところもあるわけです。そしてそれを、認証を経営している方々は、そういった親御さんの顔を見ながら一生懸命子育て支援をどうやっていこうかということを考えている。
 ただ、この認証保育所は非常に重要なポイントにありながら、現時点では国の制度の中には位置づけられておりません。この間消費税がアップしたことによって、子ども・子育て支援新制度、いろいろやりますよといったときにも、残念ながらもちろん認証の名前は出てこないわけで、やっていらっしゃる方々からすると、非常にそこは厳しいというふうに思われてしまうんですね。残念な気持ちになってしまう。
 自分たちは一生懸命支援している、社会に役立っているつもりでいるんだけれども、国からすると認められていないというように見えてしまうというのが非常に残念なところですが、そういった思いを酌んで、あるいは基準面積の弾力的運用とか、年度途中の弾力的な受け入れとか、そういうさまざまなことをやっていますので、事東京都において必要な取り組みというのは、また引き続き進めていただきたいなというふうに思っております。
 ところで、このゼロ、二歳児の受け入れについてというのは伺いましたけれども、ゼロ、二歳児の定員しか持っていない施設というのも、これは先ほどいったように待機児童の解消には物すごく役立っている施設なんですよね。しかし、その施設はゼロ、二歳児が終わったら、どこかに転園しなければいけません。三歳児からどこかに入っていかなければいけない。この転園先の確保というのも、また親御さんにとっては非常に気になる問題になるんだと思います。
 この三歳児以上の児童に対する保育サービスの提供についての見解というものを伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 三歳以上の児童につきましては、平成二十六年四月現在、三歳児が五百八十八名、四歳以上の児童が百八十六人の計七百七十四人の待機児童がおります。
 都はこれまでも、保育サービスを拡充するために、区市町村や、施設整備を行う事業者の負担を軽減する都独自の補助制度や、未利用都有地の減額貸付、国有地や民有地の賃借料補助など、都独自のさまざまな支援策を実施してまいりました。
 また、来年度は、保育人材の確保に向けまして、保育サービスを支える保育士等のキャリアアップに取り組む事業者を支援する、保育士等キャリアアップ補助を創設いたします。
 今後とも、待機児童解消に向けましてさまざまな施策を講じ、区市町村の取り組みを強力に支援してまいります。
〇あさの委員 今、ご答弁の中では、なかなか三歳児以上というのの転園先の確保というのは、これからの本当に課題になってくるんだと思うんです。
 さっきもいったように、いわゆる待機児童の解消というのは、まさにゼロ歳から二歳までの子供たちを、どう保育をしていくかというところの問題とほぼイコールだと私は思うんですね。そこが解決していくと、三歳児以上のところというのはだんだん解決する。
 それを、ただ単純に、何かセンセーショナルな数字を挙げて、認可保育所が足りないからだといって世論をあおっていく、そして、世論の圧力をもって認可保育所を整備させる。ちょっと考えれば、十年先にはもう人口減少、日本は人口減少社会ですが、東京都だって十年先にはもう人口が減っていくんだといわれているわけです。
 その中で、これから、例えば公立の保育園を仮につくってしまったら、公務員は一切やめさせることができません。定員はふえていきましたが、子供は減っていたのでというので、どう考えても雇用が不安定になったり、過度な財政の負担を強いる結果になることは容易に予想がつくんですね。
 そういった中では、弾力的な、さまざまなフレキシブルな対応が可能な施策というのをやっていく、そういう意味で認証保育所というのは大事だと思います。
 そして、就学前の全年齢の児童を受け入れている認証保育所ですが、来年度からスタートする地域型保育事業など、基本的に低年齢児のみを受け入れているというのがあります。区市町村は、こうしたさまざまな保育サービスを組み合わせながら、待機児童の多くを占める低年齢児、ここの保育サービスの拡充を図るというところになっているんですが、何度もいいますけれども、三歳になったときに切れ目なく適切な保育サービスを利用できる仕組みづくりというのが、これ、本当に大事なことだと思っております。
 こうした取り組みは、実施主体の区市町村の役割とはいうんですけれども、ただ、都としても、やはりここを今後、区市町村の支援をしっかりとお願いをしていきたいと思います。
 さまざまな保育サービスを効果的に組み合わせた、何度もいいますが、フレキシブルです。いろんな要望を持った家庭があって、いろんな要望を持った保育、子供たちも、いろんなことを、応えていかなければいけないと私は思います。それに対してフレキシブルに対応していけるような施策を、都が区市町村をうまく支援していく、それに乗って上手に区市町村が活用できるような、そういった支援策を提供することをお願いいたしまして、私からの発言を終わらせていただきます。
〇松田委員 先ほど小松委員、また中山委員から、健康寿命の延伸についてお話がありましたが、私からは口腔ケア、お口の健康というところの点から何点か質疑をさせていただきたいと思います。
 私の周りでは、七十歳を超えても一回も虫歯になったことがないという方もいれば、また、三十代でインプラントだらけだったり、入れ歯をしている方もいて、インプラントはお金がかかって大変だなとは思うんですが、いろんな方がいらっしゃいます。これには、やはり幼児期から、また老齢期に至るまでずっと一貫した口腔ケアが必要ではないかと思っております。
 おかげさまで、私は三人目、四人目、無償で保育園に通わせていただいておりますが、その四人の子供、全員、今、虫歯はゼロでございまして、それは地域のかかりつけの歯科医の先生方、そして、家庭での指導も非常に大切だなと思っております。
 私の親世代ですと、直接、箸を使って、自分の箸で子供に上げたりしてしまう、これは愛情が伝わっていいんですけれども、虫歯菌も一緒に伝わってしまって、一回入ってしまった虫歯菌は出ていってくれませんので、そういった知識の面でも植えつけていくのは大切なことだと思っております。
 質問に入ります。東京都は、平成二十三年一月に策定をした東京都歯科保健目標、いい歯東京で、生涯を通じた歯と口腔の健康づくりを進めるため、都独自の歯科保健目標を定めております。
 この目標達成を目指して、八〇二〇運動推進特別事業の実施など、区市町村や歯科医師会等、関係団体と協力をして事業を進めてきたと思いますが、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。
〇西山医療政策担当部長 平成二十三年八月に、歯科口腔保健の推進に関する法律が施行される以前から、都は都民、歯科医療機関等に対する実態調査を行い、ニーズや課題を反映した指標や内容を盛り込んだ、東京都歯科保健目標を定め取り組みを進めてまいりました。
 具体的には、生涯を通じた歯と口腔の健康づくりを推進するため、幼児期から高齢期までのライフステージに応じて指標を定め、食育支援のガイドブックの作成や、都民向けの表彰など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 また、生涯を通じて歯科疾患の予防、保健指導、治療を継続するよう、かかりつけ歯科医の定着、促進を推進するため、講演会の開催やポスターの作成など普及啓発を進めるとともに、区市町村の歯科医療連携を支援してまいりました。
 さらに、急速な高齢化の進展を見据え、都立心身障害者口腔保健センターでの研修の実施や講演会の開催など、在宅療養に係る人材の育成を図るとともに、医科歯科連携を進めるなど、総合的な歯科保健対策を進めてございます。
〇松田委員 歯科保健対策に取り組んでいただいていること、わかりました。
 次に、周術期口腔ケアについてお伺いをいたします。
 不幸にも病気になって、入院や手術、その後の回復、このような治療の前後を含む期間のことを専門用語で周術期と呼ぶそうでありますが、この時期に歯科医師や歯科衛生士が口のケアを行うことも、患者さんにとってとても大切といわれております。
 周術期の口の中は大変汚れやすく、例えば肺に汚れた唾液が流れ込むことによって、誤嚥性肺炎が起こることがあります。がんの化学療法では、免疫力が下がってひどい口内炎ができてしまいます。こうなってしまうと、患者は食事をとることも寝ることもできなくなってしまうほどつらく、体力も落ち、治療の継続も難しくなることもあります。
 そこで、入院、手術、その後の回復の時期において、歯科医師や歯科衛生士が適切に口のケアを行い、清潔に保つことで、口の痛みや不快感を解消することにより、食事をすることが可能となり、体力回復や精神的な苦痛の緩和にもつながります。これはある専門家に伺ったお話ですが、口腔ケアにより合併症の発生率が大きく下がったり、術後の入院期間が短くなったりという研究報告もあるということでございます。
 このように、単に口腔の管理だけではなく、体全体の管理の面からも、周術期口腔ケアは大変重要であり、積極的に行うことが求められておりますが、対応できる専門性の高い歯科医師や歯科衛生士は少ないと聞いております。
 そこで、周術期口腔ケアの人材育成について、都の取り組みと実績をお伺いします。
〇西山医療政策担当部長 都では、平成二十五年度に歯科医師、歯科衛生士から成ります周術期口腔ケア体制基盤整備検討会を設置し、周術期口腔ケアに関する人材育成のカリキュラムを策定いたしました。このカリキュラムに基づきまして、歯科医師、歯科衛生士に対して周術期の歯科治療や口腔ケアの専門的知識、技術を付与する研修を行ってございます。
 具体的には、周術期口腔ケアについての講義や症例検討、手技や薬剤の取り扱いについての実習を行うほか、あわせてがん治療の専門的な講義を行っておりまして、平成二十五年度から現在まで、歯科医師三百七十五名、歯科衛生士百七名が修了してございます。
〇松田委員 さて、さまざまな病気がある中で手術して終わりではなく、化学療法や放射線治療が継続することの多いがん治療には、口腔ケアはとりわけ大切であります。
 東京都には、がん診療連携拠点病院など、多くの患者さんが集まり、そこには口腔ケアを必要とする患者さんもたくさんいらっしゃいます。そうした患者さんが、地域の歯科診療所で適切に口腔ケアを受けられるためには、病院と地域の歯科診療所の連携が重要であります。
 しかし、病院から見ると、周術期口腔ケアに対応できる診療所が少ないなどの理由で連携が十分にできていないという現状もあるようです。また、がん患者や家族におきましても、がん治療と口腔ケアの関連性について余り知られていないと思いますし、がんを宣告されたショックと、これからの治療や生活の不安などが先立ってしまい、口腔ケアにまで気が回らないというのが実情であると思われます。
 患者さんやその家族の口腔ケアの必要性の理解が進むとともに、病院からの紹介によって地域の歯科診療所において周術期口腔ケアが実施をされ、口のトラブルによるがん治療の苦しみを減少させていくことができる仕組みづくりが急務であります。
 そこで、手術や治療を行う病院と地域の歯科診療所との連携と、普及啓発が重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いして質問を終わります。
〇西山医療政策担当部長 病院と地域の歯科診療所の連携を進めるため、来年度は、がん診療連携拠点病院等から二病院を選定しモデル事業を実施いたします。この事業では、周術期口腔ケアの必要な患者が地域で円滑に歯科診療所を受診できるよう、連携に必要な診療情報の内容や、病院と診療所との連携状況などを検証いたします。
 また、がん診療連携拠点病院等に周術期口腔ケアの研修修了者がいる歯科診療所のリストを配布いたしまして、さらに連携を進めてまいります。
 さらに、がん患者や家族に対しましては、周術期口腔ケアの必要性をわかりやすく解説したリーフレットやポスターを作成し、がん診療連携拠点病院や研修修了者がいる歯科診療所において、院内に掲示するとともに患者等に配布するなど普及啓発を図ってまいります。
 今後とも、病院と地域の歯科診療所との連携や、患者への普及啓発を進めまして、周術期口腔ケアの取り組みを推進してまいります。
〇神野委員 都は現在、東京都障害者計画と第四期東京都障害福祉計画の一体的な策定を進めており、一昨日の十七日から都民の意見を聞くためのパブリックコメントの受け付けを開始しています。
 この計画は、都の障害者施策の基本理念や、施策目標とその達成に向けた取り組みを明らかにするものであり、障害者施策を展開する上で非常に重要なものです。
 二〇二〇年東京パラリンピック競技大会の開催を控え、福祉先進都市東京の実現を目指す上でも、障害者施策のますますの充実が求められています。
 そこでまず、現在策定中の第四期計画の特色や、どういう点に重点を置いて策定したのか伺います。
〇高原障害者施策推進部長 新たに策定する第四期東京都障害福祉計画では、施策目標として、地域における自立生活を支える仕組みづくり、社会で生きる力を高める支援の充実、生き生きと働ける社会の実現、バリアフリー社会の実現及びサービスを担う人材の養成、確保の五つを掲げております。
 この五つの施策目標のもと、地域におけるサービス提供体制の整備など十四の取り組みと二百四十七の計画事業を体系的に位置づけ、計画的、総合的に施策を展開することといたしております。
 具体的には、新たに障害児支援について、三年間のサービス必要量の見込みを示し、計画的に取り組むほか、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを計画に盛り込み、グループホーム等地域生活基盤の一層の整備促進を図ることといたしました。
 また、障害者権利条約の締結や、障害者差別解消法の制定など、最近の法整備等の動向や、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を踏まえ、ハード、ソフト両面におけるバリアフリーの推進、スポーツ、文化芸術活動の振興などの取り組みを計画に位置づけました。
〇神野委員 現在、策定中の第四期東京都障害福祉計画において、地域生活基盤の一層の整備促進を図るとの答弁でしたが、我が党はこれまでも、グループホームや通所施設など、地域生活基盤の確保について積極的な整備を求めてきました。
 さきの本会議の代表質問において、都議会自民党の村上英子議員が、障害者の地域生活基盤について、都の今後の取り組みについての質問をした際に、現在策定中の第四期計画に地域生活基盤の整備促進策として、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを盛り込むとの答弁がありました。
 そこで、第四期東京都障害福祉計画に盛り込むこととなっている障害者・障害児地域生活支援三か年プランの具体的な取り組み内容について伺います。
〇高原障害者施策推進部長 第四期計画では、入所施設、精神科病院から地域生活への移行の推進や、特別支援学校卒業生等の日中活動の場の確保などのため、新たに障害者・障害児地域生活支援三か年プランを定めまして、平成二十七年度から三年間で、グループホームについては二千人分、通所施設等については四千五百人分、短期入所には二百二十人分の定員をふやすことを目標とし、また、児童発達支援センター十カ所の整備を図ることといたしております。
 これらの目標を達成するため、施設整備費の設置者負担の二分の一について、引き続き都独自の特別助成を実施いたします。
 また、定期借地権の一時金に対する補助制度を拡充し、新たに公有地や五十年未満の定期借地権の設定による整備も補助対象に加えるとともに、定期借地権の設定以外の場合も含め、借地により整備を行う事業者には、初めの五年間、借地料の一部を補助する制度も創設をいたしました。
 これらの取り組みにより、グループホーム等地域生活基盤の整備促進を図ってまいります。
〇神野委員 次に、障害者施設への短期入所について伺います。
 短期入所は、障害者本人の在宅生活を支えるサービスであるとともに、障害者の家族の休養、休息を実現する家族支援としても非常に重要なサービスであると考えます。また、障害者の介護を主に担ってきた親が高齢になり、緊急に短期入所の利用が必要となる事例もふえてきていると聞きます。
 短期入所の充実は切実な課題ですが、特に都市部においては地価が高く、自己所有物件の確保には多額の費用を要するという実情があります。そこで、その設置を進めるに当たっては、賃貸物件の活用なども有効な方法と考えられます。
 先ほどの答弁において、障害者・障害児地域生活支援三か年プランでは、短期入所について、平成二十七年度から三年間で二百二十人分の定員増を目標にするとのことでしたが、この目標を達成するため、都はどのような取り組みを行うのか伺います。
〇高原障害者施策推進部長 短期入所は、障害者の地域移行に向けた宿泊体験などの目的のほか、障害者の家族支援の観点からも重要なサービスであります。
 このため、さきにお答えしたとおり、障害者・障害児地域生活支援三か年プランに基づき、施設整備に当たっては設置者負担を軽減する特別助成等を実施いたします。
 さらに、地価の高い東京において、その設置促進を図るため、賃貸物件の活用により、短期入所を開設する事業者に対して権利金等の家屋借り上げに要する経費を補助いたしますとともに、自己所有の事業者も含めまして、開設に当たり必要な備品など初度調弁等の経費についても支援をいたします。
 これらにより、短期入所の整備に積極的に取り組んでまいります。
〇神野委員 大都市ならではの課題に対しても、ただいまの答弁にありましたような取り組みを実行し、三年間で二百二十人分の短期入所の定員増という目標を確実に実現していただくことを要望いたしまして、私からの質問を終えます。

○小宮委員 子供やお年寄り、障害のある方など、社会的に弱い立場にある人々への支援というものは、政治や行政が果たすべき役割であると思います。常に当事者自身の立場や目線で物事を考えることによって、彼らの本当の思いや真に求めていることが明らかになり、適切に対処することが可能となります。
 特に、福祉の分野においては、まさに人と人との関係や、人への支援というものが課題となることが多いですから、インフラの整備のように決められたものをつくるということと違って、支援の方法というのは多岐にわたると思います。
 特に、自分の意思をはっきりと示すことができない、そういう子供たちの中でも、不幸にして虐待を受けた子供らを、社会的にどのタイミングで、どう支援していくかは大変難しい課題です。
 残念ながら、東京都における児童虐待対応件数は、右肩上がりとなっております。平成二十五年度は前年より六百二十六件増の五千四百十四件と、依然増加の一途をたどっています。
 そうした子らに行政が手を差し伸べる際、冒頭申し上げましたように、困難な状況にある子供たち一人一人の声をよく聞き、その考え方に立脚し、さまざまな受け皿を用意しておくということが重要であろうかと思います。そして私たちは、対処法だけでなく、そうした社会的問題が起こる前への対応も、今後は一歩踏み込んで考えていかなければならないと思います。
 そこで、子供への虐待の未然防止に向けた取り組みについて、まずは伺ってまいります。
 児童虐待防止のキャラクター、OSEKKAIくんの名前に象徴されるように、一昔前の世の中と違って、他人の世話をやいてくれる、おせっかいな人間関係が失われつつあるといわれます。核家族化や地域のつながりの希薄化などによって、子育てに負担感を感じながら誰にも相談できない、孤立した子育て家庭がふえていると聞きます。
 特に、保育園や幼稚園に入る前の子供を育てている保護者の場合、家庭に引きこもってしまうと虐待のリスクが高くなっていても周囲からは見えにくい。虐待を起こさせないためには、そうした孤立している家庭を行政機関が早期に把握をして支援につなげることが必要です。
 都の現在の取り組みについて伺います。

○手島少子社会対策部長 現在、区市町村では、乳児家庭全戸訪問事業や乳幼児健康診査などを行うとともに、保健師等の専門職が保護者の相談に応じております。ほぼ全ての子育て家庭と接する機会となるこれらの事業を活用いたしまして、地域の子育て家庭の状況把握に努めているところでございます。
 都は、支援を要する家庭を発見した際に、育児支援ヘルパーなどの子育て支援サービス事業や、子供家庭支援センターにおける各種相談事業などに結びつける取り組みを行う区市町村に対し、包括補助制度を活用して支援を行っているところでございます。

○小宮委員 支援を要する家庭を早期に発見して対応する取り組みは、さまざまな機会を活用して行われているということですが、妊娠が判明したときに一番最初に相談をする窓口も行政ですから、さらに早期の、早い段階からの支援を相手に対して呼びかけることもできると思います。
 東京都は来年度から、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う、ゆりかご・とうきょう事業を始めるとのことですが、この事業を虐待の未然防止にもつなげるべきと考えます。見解を伺います。

○手島少子社会対策部長 都が来年度から開始をいたしますゆりかご・とうきょう事業は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し継続した支援を行えるよう、専門職の配置や育児パッケージの配布を行う区市町村を支援するものでございます。
 育児パッケージの配布は、支援が必要な方と行政がつながる一つのきっかけとなるよう、妊娠届の提出時等に専門職が妊婦全員と直接面接をすることを実施の条件としております。
 今後、都は、妊娠期から子育て家庭に関するゆりかご・とうきょう事業を積極的に推進し、区市町村における児童虐待の未然防止につなげていく取り組みを実施してまいります。

○小宮委員 育児パッケージは、フィンランドの子育て支援の一つとして知られています。妊婦健診を受けることによって、毎年四万世帯にベビー服や子育てアイテムが配布されるということで、現在ほぼ全員の妊婦の方が健診を受診して、リスクの早期発見や早期予防につながっており、妊産婦と乳幼児の死亡率も大きく改善をしているということです。
 育児パッケージを一つのきっかけとして、さまざまな状況にある妊婦さん一人一人と向き合い、困ったときには相談できる、そういう体制があるということを伝え、虐待未然防止を推進していただきたいと思います。
 しかしながら、未然防止がかなわずに虐待が起こってしまった場合について、児童の安全確保のため保護者と一時的に分離をし、施設や養育家庭などで生活しなければならないケースもあります。
 親子の分離に当たっても、子供のことを第一に考えて、子供の将来を見据えて行うものですが、社会的養護について都の基本的な考え方を伺います。

○手島少子社会対策部長 本来、子供は家庭的な環境のもとで愛情に包まれながら健やかに育成することが重要でございます。そのため、児童相談所は保護者に指導や支援を行いながら、親子がともに生活できる可能性を追求し、困難な場合には親族による養育を検討しております。
 保護者や親族に委ねることが困難な場合、子供の状況を丁寧に把握し、最も適した社会的養護を提供することとしており、その提供に当たりましては、できるだけ家庭的な環境のもとで養育することが望ましいため、養育家庭委託を優先的に検討しているところでございます。

○小宮委員 養育家庭制度が子供らにとって家庭的で望ましいというのは、行き先の環境が子供に合えば当然のことですし、今に始まったことではなくて、既に昭和四十八年から東京都が国に先駆けて設けた大変歴史のある制度です。
 現在、里親約四百五十人に対して二百七十人程度が養い育てられていますし、ファミリーホームやグループホームといった家庭的養護の場の環境整備にも努めていただきたいと思います。
 また、虐待を受けるなどの影響によって心に深い傷を受け、情緒的な問題や行動上の問題を抱える子供も残念ながらふえています。
 過日、私は都議会自民党の児童養護施設政策研究会のメンバーとして、山加理事らとともに、練馬区にある錦華学院という児童養護施設を視察しました。
 その施設には、今申し上げたような心に深い傷を負った子供たちに対して専門的なケアをする先生や教室が整備されていました。施設内は四つの生活グループに分かれ、それぞれ下は幼児から上は高校生まで、十一人から十二人程度の子供たちが養育者の先生方の支えによって、愛情を受けながら共同生活をしている、そうした場を拝見してまいりました。養育家庭とはまた違った、子供たちにとって貴重な受け皿の一つであるということを実感しました。
 こうした施設への機能を強化し、専門性を生かした支援を行うことも大変重要であると考えます。都の取り組みを伺います。

○松山事業推進担当部長 虐待を受けた子供たちは情緒面や行動面に大きな問題を抱えている場合が多く、子供の状況に応じた専門的なケアが必要となっております。
 そのため、都は児童養護施設に対しては、少人数の生活単位で手厚いケアを行う小規模グループケアや、専門的ケアの機能強化を図るため精神科医と心理職員を配置する専門機能強化型児童養護施設に対して補助を行うとともに、知的障害や発達障害等の個別的な援助が必要な子供に対する養育支援など、各施設が行う努力や実績に応じた補助も行っております。

○小宮委員 それぞれの子供らの状況に合わせて住まいや暮らし方が選べるように、複数の選択肢があるということは重要です。引き続き、そうした受け皿を整備、支援していただきたいと思います。
 これまで、虐待の起こる前の取り組みと、不幸にも虐待に遭ってしまった子供たちへの対応について伺ってきましたので、最後に、施設に入所した子供たちの家庭復帰に向けた支援についてお尋ねします。
 社会的養護の基本は、先ほどご答弁にもあったように家庭への復帰です。養育家庭や施設に入ったところで、子供たちへの支援が終了するわけではありません。
 子供たちは、さまざまな事情から家族と離れて暮らすことになりました。親を待つ子供もいれば、拒否をする子供、諦めている子供など、子供の状況はそれぞれ異なっている中で、それでも、やはり家庭復帰という可能性をしっかりと追求していくことは児童相談所の重要な役割です。
 そこで、東京都が児童の家庭復帰に向けて、今後どのように取り組むのか見解を伺います。

○手島少子社会対策部長 児童相談所では、子供が施設に入所している段階から施設の家庭支援専門相談員等と連携をしながら、保護者や子供の心理状況などを確認しつつ、面会から始まり、自宅への短期帰宅、長期帰宅と段階を追った親子の交流に取り組むとともに、児童相談センターにおきましては、家庭復帰に向けた医師、心理職によるグループカウンセリング等を継続的に実施しております。
 さらに、来年度は子供の家庭復帰を見据えた支援を強化するため、児童福祉司を十三名増員いたします。
 今後とも、子供の家庭復帰が進むよう積極的に取り組んでまいります。

○小宮委員 児童虐待という社会的問題に臨むに当たっては、区市町村とともに連携して切れ目のない支援を行うとともに、やはり行政だけでは足りない、地域の目や力をぜひ活用していただくためにも、おせっかいという精神の、OSEKKAIくんもいるということですし、普及啓発もしっかりとしていただきながら、この解決を目指して取り組んでいただきたいというふうに思います。質問を終わります。

○野島委員 既に各委員から、介護制度のあり方についてそれぞれご発言がございました。とりわけ、大山委員の方からは、国がやらなきゃ東京都でやるべきだと、こういう趣旨の発言もあったやに受けとめております。梶原局長の方からは、今後そういう問題というのは、国民負担のあり方も含めてやっていかなければ、持続可能な介護保険制度はできないと、こういう趣旨の答弁だったというふうに受けとめております。
 私は今回、介護報酬の引き下げがなされたわけでありますが、この件について何点か、中核をなすものですから、お尋ねをしていきたいと思います。
 あえて申すまでもなく、介護保険事業、これは国が制度設計を行い、各市町村が保険者として実施するものと、こういう枠組みになっているわけでございます。
 そして、大体、特別会計で転がしていますから、出の方は、国の定めた公定価格である介護保険の報酬額で幾ら出すのかと、そうすると、保険料を市民の負担として求めるために幾らいただくのかと、こういうことを定めていくわけであります。
 そして、この介護報酬が下がったということと同時に、実は介護報酬は各市町村でばらつきがあるんですね。こういったふうなことが、私は、東京という同一経済圏であり、かつ介護事業というのは人件費が大宗を占めるわけでありますから、そういったふうなところにばらつきがありますと、介護人材の確保が困難になるんではないかなと、ずっと制度の最初から懸念を持っていたんですよ。
 そして今回、第六期、二十七年度以降向こう三年間の介護報酬が引き下げられました。一方、介護職員の給与については加算されたと、こういうことであります。いわば、これから介護がどんどんふえていくというところは、何とか圧縮していかなきゃいけないよということだろうと思います。一方、人材の部分はちゃんと手当てをしていかなきゃいけないから、そっちはちゃんと手当てをしますよと、こういうことだと思うんです。
 この課題は、僕は恐らく三年先にももう一回出てくると思います、次回改定のときには。それで引き上げの話は出ないはずです。全体を圧縮していかなきゃいけないから。そのときに出てくるのは、この介護報酬と、それから保険料のあり方、それから利用料のあり方、こういったふうなものが出てくると思いますので、それを視野に入れながら、その中核をなす介護報酬について、ちょっとお尋ねしたいと思います。
 国の公定価格である介護報酬は地域区分、級地に起因していると、こういうことでございまして、こういう構造でなっているわけですね。そうしますと、この介護報酬の地域区分、級地とは何なのか、何を根拠に設計されているのか、こんなところを最初にお伺いしておきたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 介護報酬は、介護サービスの種類ごとに提供したサービスの内容や、要介護度に応じて定められております。国は、各地域ごとの人件費水準の差を調整するために、保険者である区市町村単位で地域区分と介護報酬への上乗せ割合を設定しております。
 来年度からの第六期計画期間中の地域区分ごとの上乗せ割合は、一級地の二〇%から七級地の三%までの七段階となっており、その他、上乗せ割合の設定がない地域もございます。
 地域区分は、人事院が定める国家公務員の地域手当と、総務省が定める地方公務員の地域手当の設定に準拠して定められておりますが、そのいずれの設定もない市町村につきましては、隣接する保険者のうち最も低い地域区分を上限として、市町村が選択可能となっております。

○野島委員 なぜなんだということでお聞きしたわけでありますが、これは国の制度論ですから、私もまだ疑問を持っているところはあるんです、さっきの同一経済圏とか、同一労働需給圏とか。だけど、それはここで議論をしても始まらないので、それはいたしません。
 そこで、具体的に、来年度からの都区内市町村の状況はどうかと、こういうことでお伺いしたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 最も高い上乗せ割合であります一級地の二〇%は、全国で東京二十三区のみが該当いたします。多摩地域の市町村は、二級地の一六%から七級地の三%の間で設定されております。島しょ地域の町村は、いずれも上乗せ割合がない〇%の設定となっております。

○野島委員 ありがとうございました。二十三区は二〇%と、大都市行政ですから、そういうことだろうと思います。多摩はそれぞれの構成がありますと。同時に島しょ地域は〇%、こういうことでありまして、こういう差異があるということは了解をいたしました。制度論から来る問題でございますから。
 それは介護事業にどういう影響を与えているのかということであります。
 具体的に、介護事業のプレーヤーは介護事業者、それから介護サービスの利用者、介護保険料は市民負担、それからプレーヤーとして保険者としての市区町村と、こういうふうなところがあると思うんですが、それぞれに対してどんな影響があるのか、ちょっとお答えいただけますか。

○枦山高齢社会対策部長 地域区分の上乗せ割合が上がると、サービスを提供する介護事業者に支払われる介護報酬がふえるので、事業者の収入はふえます。東京都、区部の平均的な特別養護老人ホームを例にとると、上乗せ割合が一%上がると事業者の収入は一年当たり約百三十八万円ふえます。
 一方、サービス利用者が負担する利用料は、特別養護老人ホームの多床室を利用する要介護四の方を例にとると、上乗せ割合が一%上がりますと、一年当たり千二百六十円ふえます。
 また、上乗せ割合が上がりますと、高齢者の介護保険料の負担がふえるとともに、区市町村や都の公費負担もふえることとなります。

○野島委員 ありがとうございました。マトリックス的にいいますと、上乗せ分が上がる場合、制度論上は介護報酬は当然上がると、こういうことになるわけですね。
 それで、それぞれのプレーヤーでいきますと、まず、事業者は収入増ですから、これはプラス。
 それから、サービス利用者は当然負担増になりますから、これは金目の問題でいけばマイナス。
 それから、高齢者の介護保険料は当然負担増になりますから、これはデメリットと、こういうことになろうかというふうに思います。負担増になるわけですから。
 それから、区市町村の会計上の問題はどうかということになりますと、これは当然収入増にはなりますから、そういう意味ではデメリットといういい方は正しくないと思うんです。必要な事業に必要な財源を張るのが公共事業体の役割ですから、そういう意味では、これはニュートラルだろうというふうに思っております。
 私が先ほど申し上げました恐らく三年先も課題になるだろうというのは、実はここなんです。ここをどうしていくかということであります。
 ここで理論的にいえば、公定価格は下がるわけですから保険料も下がる、利用者の負担も下がるというのは、理論上はなるんです、そこだけは。ところが、全体として要介護者がふえるということ、そしてその保険料を支払う現役世代は先細りだということになりますと、そういう構造にならないだろうというふうに思うんです。
 ですから、そんなことも考えながら、これから私どももいろいろ検討していきたいとは思っておりますが、じゃあ、東京都はこういう実態、今まで私どももいろいろ提案してきましたが、どのように認識し、どのように対応されていたのかと、こんなところをお伺いしておきたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 都は、昨年六月と十一月に、国に対し介護事業者が介護人材の定着、確保を図り、健全な事業運営ができる介護報酬とすることを要求いたしました。
 また、昨年九月には、地域区分の割り当てについて、東京の人件費や物価の実態に合っていないこと、国家公務員の官署が存在しない市町村の設定方法に合理性がないこと等を理由としまして、国に対し緊急提言を実施いたしました。
 具体的には、都市における人件費、物件費の高さ等に鑑み、各区市町村からの意見を聞いた上で、地域の実態を踏まえた設定を可能とするよう申し入れを行いました。
 国は、都の提言を受け、三回にわたり意見照会を行うなど、区市町村の意見を十分に聞いて対応し、多くの区市町村で経過措置が適用されるなど、都の提言の趣旨が反映されたと考えております。

○野島委員 ありがとうございました。国に申し入れもいただき、広域調整機能を担う東京都も、各市町村の実情を、ご意見を伺いながら調整をとっていただいたと。その結果、多くの市町村で経過措置が適用されると、こういうことになったというふうに受けとめております。
 そこで、私のところの東久留米なんですが、これは、多分、細かく調べたら、本則だと六%なんです。それで、今回、経過措置で確定値が一〇%と、こういうふうに相なりました。経過措置ですから、三年先がどうなるのかということはわかりません。
 それで、例えばさっきいった制度論的に、国家公務員とか地方公務員の給与の横引きで、地域手当、あるいは地域区分、そして数字をはじき出していますよということなんですが、例えば東久留米の職員給は地域手当が上ずっていたんですよ。本則だと六%なんです。差額分は国が特交で締めつけるんですよ。そんなことをやっているならば、交付税のときにペナルティーとしてお金を出しませんと、こういうことなんですね。
 恐らくは、これは公務員給与制度とは違いますけれども、枠組みでいくと、そういうことを考えると、これから三年先のときから、また経過措置というわけには僕はなかなかいかないんじゃないかと。
 それはそれで求めていかなきゃいけないと思いますけれども、さっきいったように、私どもはそれぞれのプレーヤーが、これは利害得失ですから、お金を負担する負担しないという、これはそれぞれが現状の中で、社会保障制度を将来にわたって維持していくためという良識的な皆さんと十分議論をしながら、各プレーヤーの役割分担を決めると。その上で当然、市民負担と保険料があるわけです。そういったふうなものですから、市民理解も得ていかなければ、この制度は成らないというふうに思っておりますから、そういう努力をしていきたいと思うんです。
 それをやりませんと国民健康保険の二の舞ですよ。国民健康保険制度とこれの違いは税と料なんです。保険税、保険料なんです。
 市民負担を求めるときに、国民健康保険だって財政がもう行き着かなくて、一般会計からの莫大な繰り入れで回していたわけです。あるとき、一般会計の金もないから禁じ手をやっちゃった。次年度の収入を繰り上げ充当しちゃったんです。そんなこともやりながらやってきましたから、これをしっかりやっていかないと二の舞になっちゃうと思っておりますので、これからも、私ども政策本部でもいろいろ意見を交換させていただきながら、執行側ともいい制度を三年先の改定期に向けて、本来のあり方と、こういうものをご提言申し上げていきたいと思いますので、皆さんのご協力を心からお願いをいたしたいと思います。
 そこで、さっき大山委員から、いわゆる経営支援費のメニューの問題がございました。いわば東京の特殊性、例えば島とかいろいろなところがあります、小規模な特養もありますよと。それは、そのまま放っておくと介護基盤が崩壊してしまうと、人的にも。だからちゃんと手当てしましょうという危機対応です。これは、僕は十分やっていただいているというふうに思っております。
 これからもそういう意味で、それらも十分議論しながらやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それで、意見書がこれに関しても出されておりまして、理事会でさらされております。私どもは私どもの立場で、ほかの提案された皆さんとは別立ての意見書を用意いたしました。決定的な違いはどこかということですと、保険者である区市町村の意見を十分に聞いた上でと、これが差し込みになっているんです、私どもの意見書は。
 何をいっているかというと、制度論としてはそういう制度なんだから、そういうふうなことをちゃんとやっていってくださいよということを、国にご意見として上げていきたいということなんです。
 一方、片方にはそれが入ってないんです。そんたくするに、私は人が悪いものだから物事を悪く悪く解釈する。仮にこれがなかった場合に、国にいったらば、もう十分そういうことは東京都とも連絡調整をとりながらやってるじゃないですか、それ以上のことは東京都の責任ですからってなっちゃうんですよ。
 そうするとどうなるかというと、だから都単でも積めという、こういう主張になっちゃうんです。私どもはそういう主張を持っておりませんから、そういう意味で意見書にこれを差し込んだと、こういうことでありますので、ぜひ採決はあしたでございますから、十分ご吟味いただいて、私どもの提案の意見書に賛同をいただければ、理事会預かりになっていますけど、大変ありがたいなというふうに思っている次第であります。
 この問題は、各党で一定して出しております障害者の訪問系サービスの補助金の問題、これは国の負担の問題です。介護保険料の問題、これは税金の投入の問題です。そういう制度の違いがあるんですが、国は二分の一を義務づけていながら、それを圧縮しているというふうなところで、実は私どもはそれを出しております。いわば社会保障制度というのは、一言に社会保障制度といいますが、医療保険というのは僕は完全な社会保障制度だと思います。介護保険というのは受給者が--医療保険というのは、僕らだって年をとっていきゃ、あるいは若くてもいつ発症するかわからない、高齢になればもっときつくなりますよということでありますから、常にリスクを管理するためにちゃんと保険料を払えというのは、それは当たり前の話。
 一方、介護保険サービスはどうなのかということになりますと、介護を受ける方は何%かわかりません。今は十何%。あるいは希望者はもっともっといるかもしれない。だけども、そういうことに対する手当てというのは、ある意味では、高齢者の老後の介護に対するサービスをどう提供していくか、そのためにどういうふうに国が役割を果たし、都が役割を果たし、市町村が役割を果たすと、その中で市民負担の問題も議論しなければ、この問題は絶対解決しない。
 そんな認識を持っておりますので、最後に私が勝手な見解を申し上げまして、質疑を終わります。ありがとうございました。

○遠藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案……(発言する者あり)ご静粛に願います。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了をいたしました。

○遠藤委員長 次に、議員提出の付託議案の審査を行います。
 議員提出議案第一号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○和泉委員 それでは、今回の条例案の提出理由について説明をいたします。
 国民健康保険は、定年退職後の高齢者や、無職、非正規雇用の方たち、小規模な自営業者が多く加入しており、国保料、国保税の負担が大変重いものになっています。その結果、滞納がふえて保険証の取り上げや差し押さえなど、深刻な事態が広がっています。
 体を壊して収入が減って、払いたくても払えなかったにもかかわらず、短期証の色で子供が差別を受けるからちゃんと払いなさいと役所でいわれた非正規のシングルマザー、業績が落ちて滞納をし、商売の運転資金口座が全額差し押さえられてしまって仕事に行けなかったという自営業者、金曜日に給与が振り込まれた途端に預金口座が差し押さえられた非正規労働者、年金が少なくて生活ができず、生命保険から借り入れをして国保料を払っている高齢者夫婦など、我が党の区市町村議員団が行ったアンケートや生活相談には、暮らしを脅かす国保料、国保税の高さと、生活困窮に追い込む徴収強化の実態が報告をされています。
 健保組合や協会けんぽのように、保険料の事業主負担がない国民健康保険は、公的負担をふやさなければ制度を成り立たせることは困難です。しかし、国保の歳入全体に占める国庫負担の割合は、一九八四年に五〇%だったのに対し、二〇一二年には二四%と半分にまで減らしてきたのが実態です。それが保険料、保険税にはね返り、払えないほど高くなっている一番大きな原因です。
 さらにこの間、多くの自治体で国保料、国保税の算定方法を住民税方式から旧ただし書き方式に変更し、家族が多かったり、障害を持っていたり、母子世帯だったり、暮らしに困難な条件を抱えた家庭にとって、国保料、国保税の負担が重くなるという仕組みに変えてしまいました。
 このような構造的矛盾を解決しなければならない一番の責任はもちろん国にありますが、だからといって、自治体が住民の暮らしの困難に目を背けることは許されません。
 福祉先進都市東京を実現するというのなら、命を守る国保制度が崩壊の危機に瀕していることを看過できません。何より、都民の命と暮らしを守る責任があるという立場で今回の条例を提出しました。
 と同時に、区市町村にとっては、滞納世帯の六割を占める低所得世帯の負担が軽くなれば、収納率が上がり国保財政の改善にも効果があると考えています。
 本条例案は、国民健康保険の加入世帯のうち、国民健康保険料、保険税の均等割と平等割について、二割、五割、または七割の減額が適用されている世帯に対し、保険料、保険税の減免を独自に行う区市町村に対して都が補助を行うものです。
 区市町村が独自の減免を行うために要した費用の全額を都が補助します。ただし、補助額は均等割と平等割の一割を上限とします。本条例で、低所得の被保険者に対して均等割を一律に減免することは、既に大阪市、名古屋市、愛知県一宮市など、各地の自治体で行われているものです。
 対象となる世帯数は区市町村によって異なりますが、おおむね三割から四割の世帯が対象になります。対象となる被保険者一人当たり、三千円から四千円程度の負担軽減となる見込みです。必要経費は約七十億円と見込んでいます。施行日は、二〇一五年十月一日です。
 各会派の皆さんのご賛同を心からお願いを申し上げて、提案説明といたします。

○遠藤委員長 以上で説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時四十七分散会

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