委員長 | 遠藤 守君 |
副委員長 | おときた駿君 |
副委員長 | 小宮あんり君 |
理事 | 斉藤やすひろ君 |
理事 | 山加 朱美君 |
理事 | 野島 善司君 |
小松 大祐君 | |
和泉なおみ君 | |
中山 信行君 | |
あさの克彦君 | |
松田やすまさ君 | |
神野 次郎君 | |
斉藤あつし君 | |
大山とも子君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 醍醐 勇司君 |
経営企画部長 | 中野 透君 | |
サービス推進部長 | 野瀬 達昭君 | |
経営戦略担当部長 | 高野 豪君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
病院経営本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 病院経営本部所管分
・第十七号議案 平成二十七年度東京都病院会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十八号議案 東京都立病院条例の一部を改正する条例
○遠藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がございました。
お諮りをいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
○遠藤委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成二十七年度予算は、予算特別委員会に付託をされておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がございました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略をいたします。
平成二十七年三月十六日
東京都議会議長 高島なおき
厚生委員長 遠藤 守殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(金)午後五時
(別紙1)
厚生委員会
第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 厚生委員会所管分
第五号議案 平成二十七年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第六号議案 平成二十七年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第十七号議案 平成二十七年度東京都病院会計予算
(別紙2省略)
○遠藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、病院経営本部所管分、第十七号議案及び第七十八号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中野経営企画部長 去る二月十三日の本委員会で要求のございました資料について、お手元にお配りしてございます厚生委員会要求資料に基づきご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、十二項目でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、都立病院及び公社病院における医師の診療科別定数及び現員(平成二十七年二月一日現在)でございます。
(1)は都立病院、次ページの(2)は公社病院における医師の診療科別の定数及び現員を記載してございます。
三ページをごらんください。2、都立病院及び公社病院における職種別職員定数及び現員(平成二十七年二月一日現在)でございます。
(1)は都立病院、(2)は公社病院における職種別職員定数及び現員を記載してございます。
四ページをお開き願います。3、都立病院及び公社病院における看護要員の採用、退職者数の推移でございます。
(1)は都立病院、(2)は公社病院における看護要員の採用者数及び四月一日から三月三十日までの退職者数と、三月三十一日の退職者数につきまして、平成二十一年度から平成二十五年度までの推移を記載してございます。
五ページをごらんください。4、都立病院及び公社病院における看護要員の夜勤回数の分布(平成二十六年十月実績)でございます。
(1)は三交代制勤務職場、次ページの(2)は二交代制勤務職場の看護要員の夜勤回数につきまして、それぞれ平成二十六年十月の実績を病院別に記載してございます。
七ページをごらんいただきたいと思います。5、都立病院及び公社病院における看護要員の年次有給休暇平均取得日数(平成二十五年実績)でございます。
平成二十五年の看護要員の年次有給休暇平均取得日数を病院別に記載してございます。
八ページをお開き願います。6、都立病院及び公社病院における研修医受入状況でございます。
(1)は初期臨床研修医につきまして、次ページの(2)は後期臨床研修医につきまして、それぞれ平成二十五年度及び平成二十六年度の定数を病院別に記載してございます。
一〇ページをお開き願います。7、都立病院におけるPFI事業に関わる経費の推移でございます。
平成二十三年度から二十七年度までのPFI事業にかかわる経費の推移を各事業別に記載してございます。
一一ページをごらんください。8、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費につきまして、平成二十三年度から二十七年度までの推移を病院別に記載してございます。
一二ページをお開き願います。9、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
一般会計繰入金と、このうち施設整備関連経費につきまして、平成二十三年度から二十七年度までの推移を記載してございます。
一三ページをごらんください。10、都立病院における経営指標の推移でございます。
平成二十三年度から二十七年度までの都立病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載してございます。
一四ページをお開き願います。11、各公社病院における経営指標の推移でございます。
平成二十一年度から平成二十五年度までの各公社病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載してございます。
一五ページをごらんください。12、各公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
平成二十三年度から二十七年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○遠藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○神野委員 都における高齢化は今後一層進み、人口に占める六十五歳以上の割合、いわゆる高齢化率は、二〇一〇年の二〇%から二〇二五年には二五%に上昇し、都民の四人に一人が高齢者となることが見込まれています。
高齢化の進展とともに、医療ニーズの増加や疾病構造の変化が見込まれますが、こうした医療環境の変化に対応するために、都はこれまで、患者中心の医療、人材育成、再編整備など、ソフト、ハードの両面からさまざまな機能強化をしてまいりました。特に、都立病院の再編整備では、改築や大規模な改修などにより、大幅な医療機能の強化が図られてきました。
急速な医療環境の変化の中にあっても、強化された医療機能を最大限活用し、医療の質を高めることにより、引き続き、安全・安心の医療を安定的に提供していくことができると考えますが、そのためには、それに見合う人材の確保が不可欠といえます。
そこで、五年前からの都立病院の医師数及び看護師数の増減、また、その間の都立病院の患者数の増減について伺います。
○中野経営企画部長 都は、平成二十二年三月に多摩総合医療センター及び小児総合医療センターを開設、また、平成二十三年九月に駒込病院を全面改修、平成二十四年五月に松沢病院の新館を開設するなど、一連の大規模な再編整備を進めてまいりました。
こうした再編整備などによりまして医療機能の強化を図ってきた結果、平成二十一年度と二十五年度を比較いたしますと、この間、医師は七百九十九人から九百十八人と百十九人の増、率にして約一五%の増、看護要員につきましては、三千八百二名から四千四百十六名に六百十四人増、率にして約一六%増となっております。
一方、二十一年度と二十五年度の延べ患者数を比較させていただきますと、入院では十一万四千七百九名増、率にして約八%の増加でございます。外来につきましては、十三万三千二百九十九人増でございまして、率にして約七%増加しているところでございます。
○神野委員 患者数の増減と業務量の増減は必ずしも一致するものではありませんが、患者数を業務量の目安として考えた場合、人員の増加率が患者数の増加率を大きく上回っていることから、従事者の業務負担をふやすことなく、患者に対してより手厚い体制が確保できたのではないかと思います。特に看護師は、大学病院を初め、たくさんの病院が最も看護配置が厚い七対一入院基本料を導入するために多くの看護師を採用したことから、都立病院でも確保に苦労したのではないかと思います。
そこで、六百名を超える看護師を確保するため、どのような取り組みを行ったのかを伺います。
○中野経営企画部長 都立病院の就職説明会では、各病院が趣向を凝らしましたパンフレット等を作成して、それぞれが持つ専門性を効果的にアピールするとともに、学校や民間主催の就職説明会の参加や複数の就職情報サイトへの掲載など、受験者への情報発信を積極的に行っております。
また、全国から幅広く応募していただくため、地方の看護学校を訪問するなどの活動のほか、地方での採用選考も実施しておりまして、平成二十六年度は大阪など六都市で選考を行いました。
さらに、中途採用は受験年齢の上限を撤廃いたしまして、できる限り門戸を広げた採用を行うなど、さまざまな取り組みを行いまして、看護師確保に努めてきたところでございます。
○神野委員 多様な取り組みにより、多くの看護師を確保してきたことがわかりました。
質の高い医療を安定的に提供していくためには、人材の確保とともに、それぞれの専門分野に応じた役割を全うできる勤務環境を整備することも重要です。医師においては、診断書の作成など医療行為以外の業務に係る負担が大きく、これに対し、都立病院では医師の勤務負担軽減に資する取り組みを行っていると聞いていますが、今後、医師及び看護師の一層の勤務負担軽減にどのように取り組んでいくのかを伺います。
○中野経営企画部長 これまで、全ての都立病院におきまして、診断書やカルテの作成補助、検査オーダーなどの診療補助を行います医師事務作業補助者を導入いたしまして、医師の勤務負担軽減に取り組んでまいりました。
しかし、医療の高度専門化や医療ニーズの増加など、今後の医療環境の変化に対応し、さらに医療の質を向上させていくためには、さらなる勤務負担軽減策が必要であると認識しております。
このため、都立病院では、医師事務作業補助者を今年度の約一・五倍に拡充するとともに、看護師の勤務負担軽減の取り組みといたしまして、患者の食事介助や清潔に関する補助業務などを行う看護補助者を、まずは多摩総合医療センターに導入することとしているところでございます。
今後も、医師や看護師が診療や看護業務に専念できる環境整備を図りまして、高度で専門性の高い行政的医療を提供してまいります。
○神野委員 医師事務作業補助者や看護補助者の導入は、厚生労働省の調査においても、勤務負担軽減の効果が大きいとされております。医療を担い、病院を動かすのは人ですから、今後も創意工夫を凝らして人材の確保に取り組んでいくとともに、医師及び看護師の勤務負担軽減策にも引き続き取り組み、継続的かつ、安定的に行政的医療を提供していただきたいと考えます。
次に、PFI事業について伺います。
PFIとは、プライベート・ファイナンス・イニシアチブの略であり、官民連携の一形態ですが、民間資金の導入を通して事業コストの削減やサービスの質の向上を目指す手法として、特にイギリスの公立病院において広く用いられています。
再編整備により、改築、改修された駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、松沢病院の四都立病院においてもPFIが活用されておりますが、都立病院の運営にPFI手法を導入した理由について伺います。
○野瀬サービス推進部長 PFI手法とは、公共の施設の設計建設、維持管理、運営等に民間のノウハウなどを活用することにより、公共サービスを提供する事業手法です。
都立病院においては、これまで個別に委託していた建物管理や医療事務などの医療周辺業務を、長期かつ包括的にPFI事業者が担い、各業務間の縦割りによる弊害を解消するとともに、専門性スキルを高め、一体的にきめ細かいサービスを提供できることを目的として導入いたしました。
また、財務面では、例えば、医薬品や診療材料の調達に関して、値引き率を契約締結段階で設定して、これまでより効率的に調達するなど、事業期間全体を通じての財務負担の縮減を期待いたしました。
○神野委員 サービス面や財務面において、さまざまな効果を期待してPFIを導入したとのことでしたが、PFI手法を活用した病院運営を開始してから、一番長い駒込病院では現在、六年目を終えようとしており、また、多摩総合医療センター、小児総合医療センターでは約五年が経過しようとしています。
そこで、これまでの運営期間におけるPFI手法の導入にはどのような効果があったのかを伺います。
○野瀬サービス推進部長 PFI手法の導入により、サービスの向上と財務負担の軽減に効果がありました。
例えば、財務面では、PFI事業者からの後発医薬品への切りかえ提案や診療材料を低価格の同等品に切りかえる提案に基づき、費用縮減を図りました。また、病院とPFI事業者とが協議の上で重点取り組みテーマを決め、手術室の効率的な運用などの経営改善にも取り組んでおります。
さらに、検体検査の業務手順を見直して検査結果を早く出すことや、受付の増設により外来での待ち時間を短縮するなど、サービスの向上を図りました。
○神野委員 ただいまの答弁にありましたように、これまでの運営期間におきましては、民間のノウハウも活用しながら、順調に効果を発揮してきたということがうかがえます。
ところで、PFI事業の契約では、PFI事業者への支払い額を五事業年度ごとに一度見直すという旨の規定がありますが、この規定を契約に入れた趣旨と、既に行われた見直しの内容について伺います。
○野瀬サービス推進部長 PFI事業者への支払い額を五事業年度に一度見直す旨の規定は、病院とPFI事業者とで行った経営改善を反映させるとともに、類似業務の委託費の実勢価格や患者数などの状況に勘案して、支払い額を適正に見直すことを目的としたものでございます。
また、PFI事業に係る契約期間は、おおむね二十年と長期であり、契約締結時には具体的に認識し得なかったリスクが顕在化した場合に、そのリスクをどのように分担して支払い額に反映させるかという意味合いも持っております。
見直しの内容についてでございますが、駒込病院では見直しのための一回目の協議が終了しており、値引き率の低い新薬、例えば分子標的薬やHIV治療薬などの購入実績が増加しておりますが、医薬品全体の値引き率を維持できるよう協議を整えました。
また、小児総合医療センターにおいては、契約締結時には想定していなかった医療費の定額支払い制度であるDPC対象病院への参加に伴い、PFI事業者に発生する費用の支払いなどについて協議をしており、現在、最終調整中でございます。
○神野委員 契約締結時には具体的に認識し得なかったことが事業費の変動要因となり、既に顕在化しているとのことでした。
これは、長期契約である以上、やむを得ないことであり、こういったことに対して、見直しを行う旨の規定も契約にはありますが、PFI事業の特性から考えますと、都とPFI事業者との創意工夫による業務の効率化を行い、まずは、PFI事業全体としてコストの圧縮ということを考えるべきであると、我が党はこれまでも主張してまいりました。
一方、当事者間ではどうにもならないような変動要因については、適切に対応するようにということも申し上げてきました。駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、松沢病院はそれぞれセンター機能を持つとともに、重点医療において拠点病院や中核病院となっているものもあり、医療の高度化や疾病の複雑化に適切に対応すべく、今後も再編整備をより強化、充実した医療機能を十分に発揮していかなければなりません。
都立病院に求められる高度な医療の提供を一層推進していくことは、事業費の増加にもつながり、将来的にはPFIの契約金額の変更なども必要になると考えますが、どのように対応していくのか伺います。
○野瀬サービス推進部長 高度な専門医療を提供することに伴い、契約締結前と比較すると入院及び外来診療の単価は大幅に増加しており、医薬品や診療材料など、診療に係る費用も増加しております。
また、患者数のさらなる増加や医療技術の進歩などに加え、診療報酬改定などの医療環境の変化もPFI事業費の変動要因となります。
PFIの事業期間は、おおむね二十年であり、事業期間はまだ十年以上残されております。
今後の医療環境の変化に適切に対応していくとともに、必要があれば、しかるべき時期に契約金額の変更や債務負担限度額の変更も視野に入れながら、PFI事業者と一体となった経営改善や業務効率化の取り組みを一層推進し、PFIのメリットを生かした病院運営を行い、安全・安心の医療を安定的に都民に提供してまいります。
○神野委員 病院運営は、医療技術の進歩や診療報酬改定など、さまざまな要因により大きな影響を受けるものです。おおむね二十年という長期契約であるPFI事業において、ただいまの答弁にありましたように、状況によっては契約金額の変更や債務負担限度額の変更が必要となることもあり得ると思いますが、その際には、十分に検証していただきたいと思います。
さまざまな要因がPFI事業費に与える影響を最小限にすべく、病院とPFI事業者とが協力して病院運営を行い、PFIのメリットを最大限発揮しながら、今後も都立病院としての使命を果たしていくことを求めまして、私の質問を終えます。
○斉藤(や)委員 私の方からは、都立、公社病院の感染症医療についてお伺いしたいと思います。
西アフリカで流行する、エボラ出血熱でございますが、昨年の夏に約七十年ぶりに日本で感染が確認されたデング熱のように、このエボラやデング熱、世界的に感染症リスクが高まっているわけでございます。
かつては熱帯など地域的に限られた感染症でございますけれども、都市化や地球温暖化を背景に、また国境を越えまして、人や物が活発に動く現代にありましては、このグローバルな脅威となっているといえると思います。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けまして、海外からたくさんの訪問者が来られることが予想される中で、感染症に対する事前の備えや医療体制の強化は喫緊の課題であります。
そもそも、この都立病院の生い立ちを垣間見ますと、明治初期にコレラやチフスなど伝染病が流行した際に、その対策としまして駒込や本所、現在の墨東病院の位置でございますけれども、この各避病院、感染症ですから、できるだけ一般の方が触れないように、避けるという意味で避病院というふうにいわれているようですけれども、これを開設したころから始まったということでございます。
感染症医療は、そういう意味でいいますと、行政的医療の最たるものと考えるわけでございますけれども、初めに、都立、公社病院におけます感染症の危機に対する現在の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○高野経営戦略担当部長 都立、公社病院では、感染症指定医療機関といたしまして、都立駒込病院、墨東病院、公社荏原病院、豊島病院において、エボラ出血熱など一類感染症に対応した病床を六床、SARSなど二類感染症に対応した病床を七十四床、有しております。
また、新型インフルエンザ等の流行時に、多くの患者の受け入れが必要になった場合に備え、感染症指定医療機関の四病院に多摩総合医療センター、小児総合医療センターを加えた合計六病院におきまして、ウイルスが病室から漏れ出ないように、病室や病棟内を陰圧制御した感染症緊急対応病床を三百八十九床整備しております。
さらに、医療従事者用に感染防護具を約五万セット備蓄しているほか、各病院では定期的に患者受け入れ訓練や防護具の着脱訓練を実施するなど、感染症医療体制の整備に努めております。
○斉藤(や)委員 着実に感染症に対する取り組みを進められていることがわかりました。
特に人類は、この新型インフルエンザに対しましては免疫を持たないため、ほとんどの方が感染する可能性がありまして、感染が急速に拡大するおそれがあります。
実際、平成二十一年の新型インフルエンザ流行時には、メキシコで発生いたしましたが確認された後、瞬く間に世界中で感染が拡大しまして、その威力を目の当たりにしたものでございます。
私の選挙区の目黒区内でも、アメリカ帰りの女性の感染が確定いたしまして、大変に緊張したことが思い出されるわけでございます。区内での初めての発症患者を、目黒に非常に近い公社荏原病院で受け入れられたことを記憶しております。
その後、都立病院では、平成二十一年度から二十三年度の三カ年で、医療資器材を整備してきたわけでございます。過去にも、私も何度か討論や質問で取り上げさせていただきました。
ことし一月には、平成二十五年四月に新型インフルエンザ等対策特別措置法が制定されまして以降、初の全国的な訓練が実施されまして、東京都におきましても、その一環として実動訓練が行われました。その際、都立駒込病院におきましては、保健所や警察署などと連携をしまして、実践的な患者移送訓練が実施されたと聞いております。
そこで、都立、公社病院では新型インフルエンザへの備えにつきまして、平成二十七年度の具体的な取り組み、どのようになっているか状況を伺いたいと思います。
○高野経営戦略担当部長 感染症は、いつ発生するか予測がつかないため、恒常的に備えを行うことが重要であると考えております。
平成二十七年度には、墨東病院におきまして、新型インフルエンザの大流行時に備え、感染症緊急対応病床十二床を新たに整備をいたします。また、平成二十一年の新型インフルエンザ流行時に病院経営本部で備蓄を行った感染防護具が使用期限を迎えるため、計画的に備蓄品の更新を図ってまいります。
○斉藤(や)委員 備えというものは、感染防護具も計画的に整備したわけですが、それは、やはり使用期限というものがあり、順次それを更新していくことになります。
例えば、この感染防護具、五万セット、これを計画的に更新するというふうなことがありますけれども、これは血税でございますのでこれを全て捨ててしまう、すぐにそれをごみ扱いしてしまうのは大変に惜しいことでございます。
したがいまして、使用期限が切れた感染防護具を広く有効に活用する方法を検討するべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○高野経営戦略担当部長 使用期限が切れた感染防護具は着脱訓練の際に使用するなど、可能な限り病院内で活用を図っております。
また今後は、地域の診療所など他の医療機関が着脱訓練を行う際に活用してもらうことも検討してまいります。
○斉藤(や)委員 ぜひ、有効活用もあわせてお願いしたいところでございます。
ところで、昨年十月以降、都内でもエボラ出血熱の疑い患者が発生したことは記憶に新しいところでございます。その十月のすぐ後に、十一月には墨東病院で福祉保健局や東京消防庁と都などと合同で、実際の患者受け入れを想定した訓練も行われまして、私も、また他の議員も視察をさせていただき、真剣に取り組んでいることが確認できたわけでございます。
患者の救急車からの搬送、搬入--病院、施設に入る搬入や、それから病床に入るまでの流れとか、一連の流れをつぶさに視察させていただいたわけでございますが、この防護服を着たままでの作業というのは、大変に困難をきわめるものだというふうに拝察をいたしました。
コミュニケーションも大変に難しいのではないかと実感をしたわけですが、その後作業マニュアル等も訓練などを通じまして、アップ・ツー・デート、進化していると思います。
また、ちょうど一昨日、三月の十六日に西アフリカのリベリアから帰国した都内在住者が発熱をいたしまして、リベリアからでございますので、このエボラ出血熱が疑われ、今回は都立駒込病院で受け入れを行ったということでございます。結果は陰性で、マラリア陽性だったということでございます。幸いだったわけですが、これ、六人目でございます。いずれも陰性とはいえども、しっかりと警戒していかなきゃいけないと思います。
このエボラ出血熱は、西アフリカのリベリア、それからシエラレオネ、ギニア、この三カ国で、事態は改善傾向にあるというものの、去る三月十六日付の世界保健機関、WHOの報告によりますと、累計で患者数は二万四千五百人を超えまして、そして、亡くなられた方も一万人を超えるなど、いまだに猛威を振るっているようでございます。
終息宣言が出されるまでは気を緩めることなく、当時の緊張感を維持しながら、日本国内での、あるいは都内での患者発生に備えることが必要であろうかと思います。
そこで、都立、公社病院におけます、エボラ出血熱患者の受け入れに備えた対応状況につきまして、お伺いをしたいと思います。
○高野経営戦略担当部長 エボラ出血熱は罹患した場合に、重篤な状態となる感染症でございまして、患者に直接対応を行う医療スタッフが、確実な感染防止対策をとることが必要でございます。
そのため、エボラ出血熱の対応に適した血液や吐物が浸透しない感染防護具、ゴーグルの曇りを抑える排気弁のついたマスクを新たに購入したほか、専用病室内でポータブルレントゲンにより撮影した画像を、その場で確認できる機器を整備するなど、体制の強化を図ってまいりました。
また、医療スタッフの病院間の協力体制の構築はもとより、警察や保健所など関係機関との連携も進め、患者の受け入れに万全を期しております。
平成二十七年度には、仮にですけれども、一類感染症に対応する六床全てにエボラ出血熱の確定患者が入院した場合でも、約二カ月間の対応が可能となりますように、感染防護具をさらに一万二千六百セット整備をいたします。
今後も、感染症指定医療機関の使命といたしまして、危険性の高い感染症に対しても全力で取り組んでまいります。
○斉藤(や)委員 対策がしっかりなされていることがわかりました。
公社豊島病院の感染症内科医長の足立医師が世界保健機関、WHOの要請を受けて、昨年の七月と、そして、ことしになってからは一月から二月にかけて、シエラレオネでエボラ出血熱患者の治療に従事されたというふうに伺いました。
先日、ちょうど公開講座で、豊島病院で公開講座という形でこのシエラレオネにおけるエボラ出血熱対策の講座が開かれまして、先生から直接現地の様子を伺うことができたわけでございます。足立医師の話でわかったことは、エボラ出血熱は、インフルエンザのように飛沫感染をしないわけであります。患者や、今、ご答弁ありましたように吐物というか吐瀉物、そういったものに触れない限り、感染はしていかないという特徴がございます。逆にいえば、限られた空間の中でしか感染していないということが、そのお話の中でわかったわけでございます。
また、アフリカのシエラレオネの伝統的埋葬は、亡くなった方に対して儀式上、ご遺体に触れるというのが、そういう葬儀の、埋葬の伝統になっているのでございますが、そういった文化的な特徴が感染を拡大しているということも、お話を伺うことでわかりました。
その上で大事なことは、現地で非常に問題になりましたのは、医療スタッフへの二次感染、こういったことが大きな問題になったというご指摘もございました。都といたしましても、患者の特定と隔離、そして医療スタッフの防護こそが重要であるというふうに認識をして帰ってまいりました。
そういったことからいいましても、防護服の着脱訓練や事前の訓練により感染リスクが減少していくんだと、このように感じたわけでございます。
また、このエボラ出血熱感染者が出ることによります一般社会に対する影響でございますが、感染症は社会的な影響というのは大変に問題になるわけでございますが、これもマスコミの、報道の発信する内容の正確さ、そして、その情報を得る都民の情報リテラシー、そういったものも非常に東京の場合は大事になるというふうに感じました。
災害は忘れたころにやってくるといわれますけれども、感染症もまた、そういうことだと思います。備えあれば憂いなしではなくて、備えもあるけれども、憂いも忘れないという姿勢が必要であるということも都民にしっかりとPRをしていきたいと思っております。
今、世界に目を向けますと、隣国の政情不安とか戦後処理をめぐる対立ですとか、あるいは遠い中東というふうにいわれましたけれども、テロの勢力の台頭だとかイラン、イラクからの核の問題とか、遠いエリアで起こっているということではなくて、今現代においては、これはもう決して遠い話じゃなくて身近なものであるという、そういう認識が必要な時代でございます。
都内における感染症の拡大は絶対に阻止するという強い決意と、危機意識を我々、都議会議員も、また都民も病院関係者の皆さんと共有することが必要であるというふうに思いました。
都民を感染症から守るため、豊島病院の足立医師の貴重な経験を他の病院間でも共有しながら、引き続きしっかりと取り組んでいってもらいたい、このように申し上げまして、質問は終えたいと思います。
○和泉委員 私からはまず、都立病院の病床の休止状況について伺いたいと思います。
昨年十一月に本委員会で配布された要求資料を見ますと、昨年十一月一日の時点で荏原病院、豊島病院の二公社病院でそれぞれ四十三、十九の病床が休止しているということになっていますが、その主な原因について伺います。
○中野経営企画部長 荏原病院につきましては、病棟再開に必要な看護師確保に至っていないことが休止の主な原因でございます。この間、看護師確保に着実に取り組んでおりまして、平成二十二年四月一日現在、看護師の現員は二百七十一人でございましたが、平成二十六年四月一日現在では三百十三名となっております。
豊島病院では、新生児科医師の確保が困難となっているため、NICUを休止いたしました。NICUの後方病床としてのGCU、十九床についても同様に休止したところでございます。
○和泉委員 先ほど神野委員からの質問もありましたとおり、この間、努力をされているんだと思います。確かに定員にまだ足りていないとはいっても医師、看護師ともにふやそうという努力をしていることは、私自身も評価するところです。
実際に、平成二十年十月の同様の要求資料では豊島病院、荏原病院だけではなくて、多摩南部地域病院、それから多摩北部医療センター、ここも休止病棟があります。また、墨東病院や荏原病院の外来も一部休止や縮小があります。
その後、これらの病院に関しては、休止病床はないということでしょうから、努力していただいた成果なんだというふうに思っています。
しかしながら、荏原病院の四十三床、それから、豊島病院のGCU、十九床に関しては、このときからずっと休止のままです。引き続き医師、看護師の確保に力を尽くしていただいて、休止中の病床が再開できるようにお願いしたいと思います。
このように看護師不足が深刻だという事態が、病床を休止しなければいけないような状態も生んでいるということですけれども、働き続けられる環境というものを構築していくことは、この課題を解決していくためにも、都としてできることがあるし、どうしても必要なことだというふうに思っています。
夜勤は、三交代勤務においては月八回以内とするというふうにした一九六五年人事院の行政措置要求に対する判定、いわゆる二・八判定といわれているものですけれども、何か間違いがあれば、それがすぐさま命にかかわるという医療の現場の緊張に耐えて、適切に仕事を行って、看護師みずからも健康に働き続ける上で、これは重要な基準だと思いますが、都の認識を伺います。
○中野経営企画部長 都立病院の看護師定数の算定に当たりましては、複数人の勤務体制、かつ一人当たりの平均夜勤回数が月八回を超えないように設定しているところでございます。
○和泉委員 確かに、今回配布していただきました要求資料4の夜勤回数の分布の平均回数は、三交代の場合で、都立病院全体で七・八九回となっています。
けれども、これはゼロ回の人を含めて算定をしているんではないかと思いますが、どうですか。
○中野経営企画部長 ゼロ回の人も含めました平均でございます。
○和泉委員 これ、ゼロ回の人を除いて計算すると、平均は何回になるんでしょうか。
○中野経営企画部長 夜勤回数ゼロ回の職員を除きまして計算いたしますと、看護要員一人当たりの平均夜勤回数は、三交代制で八・四二回となります。
○和泉委員 先ほど、平均夜勤回数が八回を超えないように看護師の定数算定を行っているという答弁でしたけれども、都立八病院のうち、三交代で平均夜勤回数が八回を超えていないというのは多摩総合医療センター、小児総合医療センター、そして松沢病院の三病院だけなんです。ほかの五病院では、平均が八回を超えています。
さらに、働く人の命と健康を守る、そういう観点からすれば、平均回数だけではなくて、個々人の回数もまた、考える必要があるんじゃないかと思います。
多摩総合医療センターは、平均回数では八回を下回っていますけれども、夜勤九回以上行っている人は七割です。多摩総合だけではなくて、夜勤九回以上の人が五割を超えている病院がほかにも広尾、大塚、駒込、小児総合と、多摩総合を含めて五つあるんです。
夜勤ゼロ回の人を除くと、都立病院全体の平均も八回を超えてしまいます。数字の上で、平均して八回以内に抑えるようにしているといっても、実際の労働の実態としては、そうなっていないということなんです。
夜勤回数を減らすために、都はどのような対応を図って、また、どのように改善されてきたんでしょうか、伺います。
○中野経営企画部長 看護師の夜勤業務でございますが、法定労働時間の範囲内で行われる通常業務でございまして、労働基準法上、回数等の定めはございません。
都立病院におきましては、法令及び関係規定に基づき適切に運用しております。
一人当たりの平均夜勤回数、ゼロ回の方を除くと八回を超えるといいますのは、育児で短時間勤務とか、あるいは部分休業を取得している育児中の職員、あるいは、退職後再任用された再任用職員等の個別の事情に配慮する上で夜勤をしない、あるいは、夜勤回数が少ない、こういった職員の分を他の職員が担う状況となっているものと認識してございます。
なお、日本看護協会の平成二十二年度全国調査と比較いたしますと、都立病院の看護職員、看護要員一人当たりの平均夜勤回数は、ゼロ回を入れた場合、あるいは除いた場合でも、全国平均を下回っているところでございます。
○和泉委員 夜勤ゼロ回の人を入れて平均をとっているということは、夜勤回数がゼロとか少ない人たちが夜勤回数をふやしたところで、実際に月八回を超えて夜勤を行っている人の回数を減らすということにはつながりますけれども、平均夜勤回数は変わらないはずです。
それが、五つの病院で八回を超えているんですから、八回を超えない範囲で設定できていないということになるんではありませんか。
しかも、たとえ平均夜勤回数が八回を超えていても、労基法に違反していないという答弁でしたけれども、いうまでもなく、労働基準法の定める基準というのは最低基準です。下回ることは認められない強行法規が労働基準法です。これに違反しないことは当然のことなんです。
夜勤という特殊な勤務体制が、通常の労働以上に看護師の身体、健康に負担が大きいからこそ、働き続けるのが大変で、育児中の配慮が欠かせなくて、中高齢になるほど夜勤がつらくなるんではないんですか。
夜勤には発がん性があるということも指摘をされています。看護協会の調査よりも少ない回数だといいますが、看護協会自体は、月八回以内の夜勤を求めているんです。二・八判定から四十年以上たってもなお、この基準にさえ届いていないと指摘しているんです。
厚生労働省も五局通知、六局通知を出して、看護師や医療分野の雇用の質を上げる、そういう取り組みをしているではありませんか。労働基準法に違反していないというだけで、適切であるとはいい切れないんです。
育児中の配慮が必要なのは当たり前のことですし、看護師不足を解消する上でも結婚、出産、育児を通じて働き続けられる環境をしっかりと確立することは重要です。根本的な問題解決のために大切なのは、その人たちのためにほかの人の夜勤がふえているんだと、そういう考え方を変えて、夜勤ができない人が常に一定数いるという前提で人の確保をすることではないでしょうか。
都立病院に医師や看護師を集めると、他の民間医療機関とのバランスがとれなくなる、都が人材を吸い上げることになると都はいうわけですけれども、命の現場で働く人たちの身体と健康も大切にされなければなりません。何も特別に恵まれた待遇にしなさいという話ではありません。せめて夜勤は月八回以内にしようということなんです。こうした改善によって離職率を下げることができれば、逆に、看護師不足の緩和につながる側面もあるんじゃないでしょうか。
都立だからこそ、率先してやっていただきたいと思います。その上で、どの病院でも当たり前に待遇改善ができるよう、国に施策の充実を求めるのもまた、都の重要な役割といえるのではないかと思います。
次に、都立病院における超過勤務について伺います。
超過勤務の年間の平均時間はどのくらいになるんでしょうか。
○中野経営企画部長 平成二十五年度におきます都立病院の職員一人当たりの平均超過勤務時間数でございますが、年間七十五時間でございます。
○和泉委員 これはあくまで、超勤の申請が認められて手当が支払われる対象となった時間ということだと思うんですが、都立病院、公社病院における出社、退室、超過勤務などの勤怠管理というのはどのような方法で行っているんでしょうか。
○中野経営企画部長 職員の勤怠につきましては、都立、公社とも、基本的には、出勤時にはカードリーダーの操作、休暇等は休暇職免等処理簿により管理してございます。
また、超過勤務でございますが、超過勤務命令簿によりまして、管理職による事前命令、事後確認を徹底しておりまして、適正な労務管理を行っているところでございます。
○和泉委員 都立、公社ともに、出勤時にカードリーダー操作をするということですが、出勤時しか打刻を行っていないということに対して、公社豊島病院では、労働基準監督署から是正指導が行われたというふうに聞いています。どのような指導の内容で、それに対してどのような改善を行ったのか、伺います。
○中野経営企画部長 公社豊島病院に対する労働基準監督署からの指導内容でございますが、労働基準法により、ICカードによる出社、退社時刻記録を徹底し、使用者として、各労働者の日々の労働時間を適正に把握することを徹底するというものでございます。
これまでも適正な労務管理を行ってきたところでございますが、豊島病院では、本年一月から全職員を対象に、退社時刻を記録シートに記載することとしたところでございます。
○和泉委員 豊島病院だけではなく、他の病院でも同様の問題についてしっかりと調査し、是正していく必要があるというふうに思います。
私は社会保険労務士でもありますので、労働基準監督署が時間外手当というものに対してどういうふうに考えるか、このことについてはよくわかっています。残業は指示命令があった分しか認めないというやり方は、一般的には通用しません。実態として業務であり、働いていた実績がある限り、時間外手当の支払いを命じられます。超過勤務に関しては、超過勤務命令簿において適切に管理しているというご答弁でしたけれども、超過勤務命令簿によって行っているというだけでは、適切に時間管理しているとはいえないんです。
十三日の予算特別委員会で、我が党の曽根議員が取り上げましたけれども、教育庁の残業代不払いに対して起こされた訴訟で、東京高裁は判決文の中で、業務の円滑な遂行のために必要な時間であれば、命令簿に基づかない超過勤務だから認めないとするのは妥当ではないというふうにいって、東京都の主張を退けています。超過勤務命令のあるなしにかかわらず、業務の円滑な遂行のために必要な超過勤務に対して、超過勤務手当の支給を求める判決が確定しています。この裁判の被告が東京都であることを考えれば、当然、同様のことが都立病院で働く看護師にも当てはまります。
懸命に働いて都立病院が支えている人々の労働のあり方に対して、改善するよう強く求めるとともに、苛酷な労働が少しでも改善されるような、そういう人員配置を求めて、私の質問を終わります。
○斉藤(あ)委員 それでは私の方からは、認知症治療に関して幾つか質問いたします。
認知症の治療については、高齢者のみならず、大変多くの成人の関心事かと思います。特に、ことし一月に厚生労働省が、新オレンジプランで見るところの、現在、四百六十二万人、全国で認知症の患者がいるということで、そしてなおかつ、二〇二五年にはその数は七百万人になるというふうな推計を出してから、その関心というのは非常に、またさらに上がったといえるんじゃないでしょうか。
経済雑誌の中で認知症の特集なんかも組んでいたりしまして、これはもちろん読む人はサラリーマンの方なんかも中心に多いんですけれども、働き手の中で認知症になってしまったら、特に重要なポストを持っている年配の方、ベテランの方が認知症になったりすると、これは会社の組織としても大変。また、家族が認知症になれば、働き盛りの人が介護のことと労働を両立させなきゃいけないと、これは大変であるということで、そういう少しジャンルが違う方面の出版物においても大変関心が高いというところであります。
そこで、病院経営本部は、認知症自体が精神科の領域ということで、都立松沢病院を主軸に認知症治療ということを、恐らく以前よりも格段に進めているというふうに思います。もちろん治療といっても、大変まだ未確立な部分が多いというのは認知症の特性だと思いますけれども、それでまず一つ聞くんですけれども、都立松沢病院において認知症受診をした患者に対してどのような対応を行っているのか、伺います。
○野瀬サービス推進部長 認知症にも、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症など、さまざまな種類があり、原因疾患の違いによって症状や予後が異なります。
これらの種類に即した治療が必要であり、松沢病院では、認知症専門外来である物忘れ外来において、心理的検査、MRI検査、専門医による鑑別診断を行い、認知症の種類を明確にした上で、患者の状態に即した治療ケアを提供しております。
また、身体合併症を有する認知症患者や、認知症に伴う徘回、妄想、攻撃的行動などの重度の行動心理症状を有する患者に対しては、入院治療を行っております。
○斉藤(あ)委員 今、答弁をいただいた中で、MRI検査の話がございました。
精神科の領域で、それまで、今もそういうところはあるかもしれませんが、認知症に限らず、患者との問診というものが主軸で、疾患を物理的に、客観的に捉えるという方法はなかなかございませんでした。しかしながら、最近は画像診断--実は先日、たまたま認知症に対する薬の勉強会に出る機会があって、それを聞いていましたら、認知症に対して非常に熱心な診療所のレベルでも、やはり画像診断をしてから薬の処方などに入っていくというふうなことで、かなり広く画像診断が認知症治療という分野において大変大きな絡みが出てきているというのを実感いたしましたが、この画像診断による疾患の診断が可能になっているということで、その中でも伺っております。
具体的には、都立の病院において画像診断をどのような形で認知症の診断に役立てていくのか、そこをぜひ伺いたいと思います。
○野瀬サービス推進部長 認知症の場合は、脳の萎縮が見られる場合があるため、MRI検査は脳の形態を確認し、疾患を診断するための重要な検査の一つでございます。
また、体内に投与した放射線医薬品の分布を画像化するシンチグラムという方法によって脳組織の機能の変化を検査する場合もあります。
いずれの場合も、画像情報のみで診断がつくわけではありませんが、知的機能の障害の有無や程度を判定する心理的検査の結果などと並び、画像診断は重要な診断の根拠となっております。
○斉藤(あ)委員 精神科領域で、診断を助ける検査の考え方全体が画像診断という分野に広がっているという、今までの精神科における診断ということを考えると、大変新しい展開ですし、非常に期待ができるものではないかなというふうに思っています。
今、MRI等による検査の話がありましたけれども、MRIあたりですと、今、いろんな病院の中で機器としても持っている病院が多くて、比較的、患者にとってもよく知られている、認識されている検査なわけでございますから、そういったものを上手に使えるというのは、ただ単にこういう検査がありますよ、珍しい検査ですよ、なかなか出会えない検査ですよみたいなものではなくて、比較的汎用性が広い検査機器を使っての検査というところも、また非常に期待ができるところかなというふうに思っています。
さて、このMRI等による検査以外にも、さまざま新たな機器や手法が、現在開発されてきているというふうに思うんですけれども、これについては、病院経営本部としてはどういうふうに考えているか、そこをぜひ伺いたいと思います。
○野瀬サービス推進部長 認知症の中でもレビー小体型認知症の症状、具体的には、物忘れとともに、実際には存在しないものが見える幻視の症状や、手足、筋肉のこわばりなどの身体症状を来すものでございますけれども、極めて診断が難しく、さまざまな検査が試みられております。
最近では、放射線医薬品を投与して断層撮影を行い、神経伝達物質をコントロールする物質の量を調べる、いわゆるSPECT検査に新たな認可された医薬品を使用する検査法も開発されてきております。
松沢病院においても、こうした検査を実施し、正確な診断に努めております。
○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。MRI以外にも新しい、次の手法が出てきているというのも大変心強いところでございます。
都内では、認知症患者は現在、三十八万人を超えているといわれておりまして、平成三十七年、いわゆる二〇二五年、先ほど、全国で七百万人というふうなことで推計されているという話をしましたが、このときには、東京都内においては六十万人に増加するという推計が出ているわけであります。
そのような状況で、一部の専門機関だけではなくて、多くの地域の医療機関での対応も必要になってくるというのは、当然のことながら予測される話だと思うんですが、MRI検査等を活用した診断となると、どこの医療機関でも、特にこの場合は、少し小さな、入院施設なんかを持っていないような医療機関でもできるというふうにいえるかというと、なかなかその辺は難しいかなと思っております。
全部のところでできる--大きな病院であればある程度できますけれども、そういったところに、まず最初に認知症を疑う、もしくは認知症を心配する患者さんが来たときに、小さな診療所などではなかなかすぐにMRIというふうにならないということなわけですが、しかしながら、そうはいっても、認知症というのは、東京都も広く広報していますけれども、早期発見、そして早期の対応が必要というふうに聞いております。
認知症の診断に有効な高度機器を利用した検査等が実施できる、ここでいうところの都立の松沢病院のような病院は、地域の多くの医療機関とやはり連携することに取り組んで、そして、その機能を最大限発揮できるように努力していくのが道というふうに考えるんですが、この辺についてはいかがでございましょうか。
○野瀬サービス推進部長 松沢病院では、来年度に高機能のMRIを導入する予定でございます。今後も、紹介や返送による地域の医療機関との連携を通じて、そうした検査機器などを最大限に活用するとともに、専門性を生かした鑑別診断を行い、的確な診断、早期発見に努めてまいります。
また、地域における認知症医療の中核となる認知症疾患医療センターとしての役割を果たすべく、地元医師会、地域包括支援センター、家族会との連絡協議会の開催や、認知症対応力向上研修の開催など、地域医療機関などとの連携や人材育成の取り組みの充実を図り、地域での認知症疾患対応力を向上させ、認知症疾患の患者、家族が不安を感じることなく適切な診療を早期に受けられるよう、体制整備に努めてまいります。
○斉藤(あ)委員 ぜひ今後もMRIにとどまらず、先ほどSPECTの話がございましたけれども、新たな機器や検査手法、治療方法を積極的に取り入れて、その有用性の確認や検査技術、診断技術などの向上を図りつつ、精神科医療の質の向上を図ってほしいと思います。
私が二十年前ぐらいに勉強したころには、脳血管性の認知症については、当時、脳血管性痴呆といっていましたので、大分、時代の違いがあるんですけれども、脳血管性痴呆は割と血栓とか梗塞なんかを取ることによって改善されるというふうな、外科的な治療ができる、そしてまた、その症状も、まだら痴呆の部分なんかは、この脳血管性が多いということで、やはり認知症、当時の痴呆には余りわからない部分がたくさんあったし、また、治療というふうに自信を持っていえるものが非常に限られているという時代でありました。当時は、アルツハイマーなどについては、どうやって対応したらいいかというのが非常にわかりづらかったですし、当時はレビー小体というような認知症の形式も全然、世の中にはほとんど知られておりませんでした。
そういった時代から見ると、大変、今、本当に進んでいるんだなということを感じますし、同時に、まだなかなか、認知症、さっきいいましたようなMRIとか画像診断については、最近のトレンドとして非常に重宝されていますが、まだまだそういったことの知識が一般の方にはないので、早期発見だというふうにいわれても、都立病院に行くというのにちょっと抵抗がある。特に松沢病院などは精神科ですから、ふだん行っている病院とまた違うので、本当は行った方がいいんだけれど、もしくは家族の方が勧めるんだけれども、なかなか抵抗があるということがあります。
そういったときに、どういう治療がありますよと、どれぐらい自分に対する侵襲が、いわゆる負担があるのかという部分とか、大体どのくらいで終わりますよとか、検査的な負担もそうですけど、そういった部分もわかれば、ある程度受診をするという抵抗感も減っていくんじゃないかなと、イメージをしやすくなって行きやすくなるんじゃないかなというふうに思いますので、そういった広報もぜひ病院経営本部の方でしっかりやっていただきたいと思います。
最後に、広報とまた画像診断という点でちょっと共通する話なんですが、これについてはちょっと苦言を呈させていただくんですけれども、同じ都立松沢病院の中で、光トポグラフィー検査のことがホームページを少しさかのぼっていくと出てくるんですけれども、実は、光トポグラフィー検査は人体を通り抜けしやすい近赤外線の光を使って、体の外側から脳の血流をはかって、それを画像として可視化して、医師が鬱病などの鑑別をする際に補助的に実施する検査だということで、比較的、精神科医療の中では、患者さんに対しても知られている検査であります。これは非常に歴史が新しい検査なんですけれども、都立松沢病院で、光トポグラフィーの検査については現在、申し込み受け付けを休止しております。これは、都立松沢病院のホームページのトップページを見るぐらいだと余りわからないんですが、少しさかのぼっていくと、休止していることがわかるということなんです。
先ほど話題にしました認知症にとってのMRIの画像診断という関係で、精神科の疾患、特に鬱病を中心とした精神科疾患に対して、脳内の状況は、特に血流の動態を数値化、グラフ化するというもので、非常に画像診断的なところと似ているんですけれども、私の本当に家のすぐそばにあります国立精神・神経医療研究センターなども含めて、都内で幾つかの医療機関で行われている検査でございます。以前、そんなに昔ではないんですが、NHKなどでこれが紹介されたときに患者さんたちが、自分が今使っている薬とか、もしくは今の自分の状況とかという部分について非常に自信がない、もしくは薬がもうちょっと合うものがあるんじゃないかな、もしくは先生の診断がちょっと自分では違うんじゃないかなというふうに思っている方なんかについては、こういったグラフ化できる、数値化できる部分の検査というのが新しいために、申し込みが殺到したというようなことも聞いております。
これについては、精神科において、脳内の状況をこういうふうに画像、グラフ化する、そして診断治療に転嫁させるというアイデアは、MRIの認知症の関係と同様で、非常に画期的ですし、期待できるところなんですが、ただ、あくまでこの光トポグラフィーについては診断補助検査という位置づけでして、判読の人材育成、コストの問題、そして対費用効果、さらには検査の精度など課題がございまして、まさにこれから熟成させていくという機器でもあるといえます。
したがいまして、休止の理由については、直接は多数あるセンサー部分の故障ということで私は伺っているんですけれども、受け付けを再開できるか否かも含めて、休止ですよというふうな、余り説明がないようなホームページの表記になっておりますので、きちんと仕切り直して広報していかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。
しかしながら、残念ながら、なかなか今の表記では読み取れないということで、恐らく利用してみたいと思っている患者さんやその家族にとっては、再開のめどや今後の検査、運営方法についてはよくわからないだろうと思います。ですので、きちんとこういった体制や今後の方針を整えて、その上でぜひ広報していくことを指摘しまして、私の発言を終わります。
○おときた委員 私からは、病院間の転送時における救急車の利用についてお伺いをいたします。
東京都の緊急医療環境を取り巻く状況は年々苛酷さを増しておりまして、緊急搬送の需要は、平成二十二年から増加の一途をたどっています。
これに伴い、救急隊の出場から現場到着までの所要時間は、平成二十一年中で六分十八秒であったものが、平成二十四年中には七分三十五秒と、一分以上も延びています。これはまさに命にかかわる重大な問題です。
その中で、病院間の転送は例年、全搬送の六%強を占めており、東京消防庁の資料によりますと、そのうち軽症患者の割合が例年、一割以上もいるとされています。限られた医療資源を有効に活用するため、救急車の適正利用については、東京消防庁からも医療機関にお願いが出されているところです。
そこでまず、病院経営本部は、所管する都立病院、公社病院について、転院転送をどのような認識の上で行っているのかを伺います。
○高野経営戦略担当部長 救急車の利用に関しましては、救急業務等に関する条例において、医師が医療上の理由により必要があると認めた場合は、救急隊により、他の医療機関へ搬送することが認められております。
都立、公社病院が提供いたします医療は急性期医療でございまして、限りある医療資源を効率よく効果的に提供するためには、地域の医療機関との連携が不可欠でございまして、医療上の理由から、他の医療機関に救急車で転院搬送する件数は少なくはございません。
具体的な例といたしましては、救命救急センター等に救急搬送され、初期医療を終えた重症患者等の転院や、症状が比較的落ちついていても、寝たきりなど身体の自由に制限がある場合や、酸素投与を行っている場合など、容体が変化するおそれがある患者につきましては、救急車による搬送を依頼しております。
○おときた委員 さまざまなケースがあることはわかりましたが、ここで特に、地域医療支援病院についてお伺いしたいのですが、地域医療支援病院、こちらには、指定されるために、緊急車両、もしくはそれに準ずる車両を配備しなければならないはずです。
地域医療支援病院における車両と、その運転の人員の配置はどのような体制になっているのかを伺います。
○高野経営戦略担当部長 患者の搬送が可能な状況にあれば地域医療支援病院の申請が認められておりまして、実際には、多摩総合医療センター、東部地域病院、多摩南部地域病院、荏原病院、豊島病院では各病院が既に所有しておりますワゴンやワンボックスタイプの車両で、大久保病院、多摩北部医療センターでは民間のタクシー会社と契約を結び、搬送手段を確保することで承認を得ております。
また、運転につきましては、多摩総合医療センター、多摩南部地域病院、豊島病院では臨時職員が、その他の病院では事務職員が必要に応じて対応しております。
○おときた委員 地域医療支援病院でも、車両を所有しているところと、そうでないところがあるということです。
さて、ここで、救急車もしくはそれに準ずる車両を持っており、運転手も配置されている多摩総合医療センター、こちらでも一定数の転院搬送が行われています。車両を所有する都立、公立、公社の地域医療支援病院は、少なくともできる限りは自分たちで転院転送を行うべきという指摘もありますが、これらはどういった理由で転院転送になっているものが多いのでしょうか。
また、病院転送に使わないとすれば、ふだん、こちらの庁用車はどのような用途で使われているのでしょうか。伺います。
○高野経営戦略担当部長 多摩総合医療センターは救命救急センターでもあることから、可能な限り救急患者を受け入れることを使命としております。
また、各公社病院は二次救急を担いまして、同様に救急患者を受け入れております。
こうした使命を着実に果たすためには、初期医療を終えた患者に後方病院へ転院していただき、新たな患者を受け入れることができる体制を常時備えることが必要でございます。急性期の患者の転院搬送には、整備が整い、安全に患者を搬送できる専用の車両が適しておりますことから、医師の判断に基づき、救急車を利用しております。
また、救急医療における転院搬送につきましては、医療機関及び搬送機関における協力と効率的な役割分担が重要だとも考えております。
なお、所有する車両につきましては、急性期状態の患者搬送には適していないため、日常的には、地区医師会や医療機関など、関係機関との連携会議に参加する際の移動手段などに利用しております。
○おときた委員 急性期の患者さんなど、適正範囲内で救急車利用をされて、緊急車両やそれに準ずる車両は別の軽作業に従事されているということだと思います。
それでは、ここで関連して、地域災害拠点中核病院を中心に配備されているDMATカーについてお伺いをいたします。
平成二十三年に東京都緊急対策事業の一環として導入が決定され、二年かけて二十五台が配備されているDMATカーですが、運用状況は余り活発とはいえません。
以前に、本会議の一般質問でも我が会派の両角都議が取り上げたところでもありますが、配備後一年八カ月間の全車両の運用実績は、トータルで出場十二回、訓練七十四回、転院搬送が十九回となっています。もちろん災害緊急用ですから、出番がないのは望ましいことでありますが、車両という特性上、ある程度の走行を行わなければ維持管理をすることすらままならないのが現実ですし、これほどの器材を搭載した医療資源を眠らせておくのは余りにも非効率的な面もあるのではないでしょうか。
そこで、緊急医療現場を圧迫している転院転送に、本来業務に支障を来たさない範囲で、このDMATカーをより活用すべきとの指摘が複数の有識者からもなされているところですが、これらについての見解をお聞かせください。
○高野経営戦略担当部長 東京DMATカーは、大規模災害発生時に、東京DMATの被災現場での活動支援を目的として福祉保健局が導入したもので、都立病院につきましては、平成二十五年に基幹災害拠点病院である広尾病院、地域災害拠点中核病院である墨東病院及び多摩総合医療センターに一台ずつ配備されております。
DMATカーの本来の目的は災害現場での活動支援であることから、いつ何どき災害が発生しても速やかに出場要請に応じられるよう、体制を整えておくことが必要でございます。特に都立病院には、行政的医療といたしまして、災害時の医療を最前線で担うことが求められております。
また、DMATカーが配備されております病院は、いずれも救命救急センターを有しており、転院搬送におきましても、医師の判断により救急車での搬送が必要な重症度の高い患者が多いため、患者搬送時の振動を抑える防振架台等が設置されていないDMATカーは必ずしもこうした患者の転院搬送には適しておりません。
こうしたことから、現在のところ、DMATカーによる転院搬送については課題が多いものと認識をしております。
○おときた委員 それでは、これは確認ですが、設備面や運用面で課題が多いとのことで、防振架台を設置するなど、病院に配備されているDMATカーを配置病院が独自にカスタマイズして、創意工夫して運用されるということは、現段階では検討されていないということでしょうか。
○高野経営戦略担当部長 DMATカーは災害活動用の車両のため、内部には通信機器やパソコンモニター、組み立て式簡易ベッド等が備えつけられており、患者搬送用に仕様を変更してしまいますと、これらの機器を使用しての災害活動が困難となります。
こうしたことからも、病院での独自のカスタマイズ等は難しいものと判断をしております。
○おときた委員 DMATカーの一義的な利用方法、そして設備、機能面から、安易に緊急車両として、救急車両として活用するのが容易でないということは理解ができます。
しかしながら、有識者で構成されている東京DMAT運営協議会の中でも、議論の中で、やはり病院経営本部、こちらに配備の病院に頑張っていただいて、もう少しうまく活用してほしいという声は委員からも出ているように仄聞しております。
さらに、確かにこのDMATカーの一義的な利用を規定するのは、こちらはDMATの運営要綱によりますが、災害時医療支援車貸付契約書には、第三条に、貸し付けを受けた車両は、東京都の区域内において東京DMATの活動を含む乙の業務に使用するものとするということで、各病院に柔軟な使用の方が許されるような条文もございますので、こちらも含めて、やはり前向きに検討すべきでないかということを意見として申し上げます。
そして、緊急医療を取り巻く切迫した状況を踏まえて、全体として再検討する時期に来ているように感じます。
多摩総合医療センターの庁有車を活用しての病院転送にしても、病院側が対応するとなると医師及び看護師の同乗が必要となって、病院の医療現場に負担がかかることは事実です。しかしながら、本来であれば、それも踏まえた人員体制を整えるべきであり、それを消防庁の救急隊にアウトソーシングをすれば、東京都全体へ影響を与えることにもなります。また、せっかく独自に持っている庁有車と運転手が適切に活用されているのかについても精査が必要です。そして、繰り返しになりますが、DMATカーについても、導入から三年以上が経過し、その運用面についても見直す時期に来ています。
こうした議論を踏まえて、転院転送など緊急医療への対応改善、適正化に向けて、病院経営本部はどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 高齢化に伴い、重症患者や合併症患者の増加が見込まれておりまして、増大する救急医療のニーズに対し適切に医療を提供していくことこそが、都立、公社病院の役割でございます。
そのため、医師や看護師といった医療人材を治療の現場で活用し、一人でも多くの患者を受け入れてまいります。
○おときた委員 治療の現場の方を優先してということだと思います。消防庁からまた提供されているデータですが、初診時程度別転院搬送人員の推移というのを見ますと、軽症であった、恐らく救急車を使わなくてもよかったのではないかと思われる可能性があるものが全体では一〇・七%程度ありました。都立の合計は五・七%となっておりまして、確かに全体に比べると非常に優秀な数字となっておりますが、決してゼロではありません。
やはりこういった面も含めて、病院ができることは病院でやりまして、限られた医療資源というのを東京都全体で活用していけるように、ぜひ、不断の努力を続けていただきたいということを最後に申し添えまして、私の質問を終わります。
○松田委員 私からは、先日の本会議一般質問で東京医師アカデミーの取り組みについてお伺いをして、本部長から、新たな医師アカデミーの構築について検討を進めていくとの答弁をいただきました。
東京医師アカデミーにつきましては、事務事業質疑でも何点かお伺いをいたしましたが、また、昨日までの予算委員会でも取り上げられておりましたが、本日は、新たな医師アカデミーの出発点として、これまでの取り組みや現状の課題などについて、もう少し詳しくお伺いをしたいと思います。
都では、医師不足が深刻化していた平成二十年度に、都立病院、公社病院の医師確保のため、東京医師アカデミーを設立いたしました。設立から間もなく七年経過いたしますが、東京医師アカデミーの効果はどのようなものかをお伺いいたします。
○中野経営企画部長 東京医師アカデミーでございますが、都立、公社病院における専門医の確保、育成のためのシステムでございまして、修了生により、産科、小児科などの行政的医療の安定的な提供がなされてまいりました。
また、医師アカデミー在職中におきましても、幅広い視野での研さんを目的とする東京ERでの対応ですとか、島しょ地域における派遣医療への参画は、行政的医療の確保にもつながっております。
さらに、都立、公社病院一体となった研修システムによる豊富な症例経験や、多くの研修医が集うことで、指導医が研修医を教え、先輩研修医が後輩研修医を教える、いわゆる屋根瓦方式の指導などによりまして、質の高い医師を育んでまいりました。
○松田委員 ただいま屋根瓦方式と、最近、伝統的な屋根瓦を見かけることも少なくなりましたが、上の人が下の人を教えて、しっかりと上下の関係がつくれて、さらに横のスクラムも組めるという、合従連衡のようなシステムが構築されていることがわかりました。
東京医師アカデミーでは、専門医の確保や育成のためのシステムであるという、今、ご答弁いただきましたが、現在、専門医の認定制度は、制度の統一性や専門医の質の担保に懸念があるとのことで、国レベルの見直しの最中であるとお伺いをしております。
そこで、こうした制度の見直しに対して、今後、東京医師アカデミーではどのように対処していくのか、現在の専門医制度における課題も含めてお伺いをいたします。
○中野経営企画部長 現在の専門医制度でございますが、専門医としての認定基準、専門医になるための研修内容、研修を実施できる施設の基準につきまして、診療領域ごとに細分化した学会がそれぞれ独自の運営を行っております。このため、委員ご指摘のように、制度の統一性がなく、専門医の質の担保に懸念があるとされているところでございます。
こうした実態を踏まえまして、第三者機関として平成二十六年に発足いたしました日本専門医機構が専門医の養成、認定、更新などを統一的に行う新たな制度が、平成二十九年度から開始される予定でございます。
加えまして、医学の著しい進歩や医療を取り巻く技術革新に伴いまして、今後は、新たな治療法や医療機器など高度化する医療に対応するため、専門医の質のより一層の向上が求められているところでございます。
東京医師アカデミーは、各都立、公社病院の強みを生かした研修プログラムの連携強化を行うとともに、研修内容のレベルアップや専門領域の施設等との連携などを行い、新たな専門医制度にも対応した質の高い医師の育成を図ってまいります。
○松田委員 専門医の認定が日本専門医機構によって統一的に運用され、また、医療の質が担保されるとともに、東京医師アカデミーもこれに対応した取り組みを行っていくことがわかりました。
ところで、こうした各領域における専門性も大事でありますが、超高齢社会の到来に向けた対応も重要であります。昨年の厚生委員会事務事業質疑において、高齢化に伴う重症合併症患者の増加に対応し、幅広い視野で患者を診ることのできる総合診療専門医の育成、確保が求められており、東京医師アカデミーでは新たなコースの設置も検討するとの答弁をいただきました。
そこで、超高齢社会に対応して求められる総合診療専門医とはどのようなものか、もう少し詳細にお願いをいたします。
○中野経営企画部長 総合診療専門医でございますが、専門性の深さを特徴といたしますこれまでの領域別の専門医とは異なりまして、扱う問題の広さと多様性、これを特徴とする新たな概念の専門医でございます。新専門医制度のもとで、専門医の一つとして加えられることとなっております。
総合診療専門医には、幅広い領域の疾患と障害等につきまして、適切な初期対応と必要に応じた継続的な医療を提供することが求められております。また、地域のニーズに的確に対応するため、他の領域別専門医や多職種と連携して、地域を支える医師としての役割が期待されているところでございます。
○松田委員 総合診療専門医は、これまでの専門医と異なり、みずから幅広い分野の診療を行うだけではなく、地域の医療ネットワークのかなめとなることが求められていることがわかりました。
先日の事務事業質疑の際、この総合診療専門医が中途半端な形、器用貧乏で終わることがないようということをお願いさせていただきましたが、先日、これについてちょっと妻と、大体、こういった専門といいながら専門ではないような職種ができることについてはどうだろうかという話をしたところ、実はこの初期段階を診ることができる人、これはもちろん重要であって、そこだけをやりたいという人もこれからのニーズではいる。恐らく子育て中のお医者さん、女性に限らずですが、特に女性にとっては、入り口を診て、そして専門性のある人に渡すという、こういったことは、新たなお医者さんのニーズとしてもあるのではないかと、これはぜひ積極的にやった方がいいのではないかということがありましたので、家庭のご報告でございました。
続けます。ここまでの取り組みのお話で、専門医の育成の仕組みや方向性が大きく変わってまいり、医療環境が変化をする中で、新たな東京医師アカデミーの構築に向けた検討が始まってまいります。
東京医師アカデミーでは、行政的医療の担い手としての専門医を育成して、都立、公社病院に輩出をしてまいりました。こうした取り組みは継続されるものと考えますが、今後は、東京の医療を支えるという視点から、新たな医師アカデミーの役割も考える必要があると思います。
そこで、今後立ち上げる委員会においては、新たな医師アカデミーについてどのような検討を行うのかをお伺いいたします。
○中野経営企画部長 東京医師アカデミーでございますが、公的育成機関としては最大級となる規模を有しておりまして、都立、公社病院の医師の育成を目的としまして、これまで七年運営を行ってきたところでございます。
今般、国が進める地域医療構想を背景とした医療環境の変化への対応や、先ほど答弁させていただきましたが、新たな専門医制度、加えまして、高齢化社会に対応した総合診療専門医など、医師の育成に関する課題は多くございます。
このため、都全体の医療を見据えまして、これらの課題を検討するとともに、東京医師アカデミーが今後どのような役割を果たすべきなのかを検討することが求められております。例えば、医師の確保が難しい公的医療機関への医師の派遣、あるいは大規模災害発生時における医師の活用など、具体的に議論を深める必要がございます。
こうしたことから、臨床医学や医学教育学の専門家などから構成されます委員会を立ち上げまして、医師の育成、確保、活用というさまざまな視点から検討を進めてまいります。
○松田委員 今後、東京医師アカデミーに対して、外部委員を含めた委員会でさまざまな検討がなされるということでありましたが、都立病院や公社病院はもとより、東京の医療の充実に向けて鋭意検討を進めていただきたいと思います。終わります。
○中山委員 我が党は、昨年、高齢社会対策プロジェクトチームを立ち上げまして、今後の超高齢化社会の到来を踏まえ、現状分析や課題整理を行った上で、加速する高齢社会を安心して暮らすための提言をまとめました。約八十ページにわたる提言でございます。ちなみに、本委員会では私と斉藤理事がそのメンバーでございまして、なお、遠藤委員長は少子化対策のプロジェクトチームのメンバーでございます。
この中で在宅療養の問題についても触れております。ちょうど五〇ページ目になるんですけれども、訪問看護の活用と人材の確保ということで、在宅療養を可能とする体制の整備が大事だと。増悪時の二十四時間対応の往診と後方ベッドの確保ということでページを設けております。
在宅療養におきましては、在宅療養支援診療所制度がありまして、二十四時間オンコールに対応して往診したり、提携病院との間で後方ベッドの確保を果たしていたりするなどの諸条件を満たして、まさに在宅療養のために医療活動を専門的に展開している医師の方もいらっしゃいます。
しかし実際には、訪問看護のスタートに必要な指示書を発行している診療所の大多数が、在宅療養支援診療所ではありません。当然、職業倫理や社会的責任の上からも、在宅療養支援診療所以外の医師も往診の求めには極力積極的に対応しているものと期待はしております。
しかし実際には、たとえ在宅療養支援診療所の医師であったとしても、体調を崩すときもあるでしょうし、諸般の要件に応じるための、患者側から見ればレスパイト的なものも必要であると思います。
ましてや在宅療養支援診療所以外の医師においては、往診を求める電話やメールでの依頼に反応できるかどうかも不確実でありますし、救急搬送も移送先を確定するのに多くの時間を要したり、初見での診察で診断の精度が落ちたりする可能性も否定できないなどのリスクもあります。
ところが、患者の側からしますと、あくまでも退院をしていく上においては、在宅であっても往診してもらえるということを念頭に置いて、本人や家族が在宅でのみとりも希望している事例もあります。
こうしたことから、都は、訪問看護を利用する都民の不安を軽減するために、そして、訪問看護ステーションが安心して業務に専念できるよう、急な往診依頼に対応できる、公私にわたる医療機関の確保に努めるべきと考えております。その意味で、地域包括ケアシステムを構築していくことが東京都として喫緊の課題であると我が党も認識しております。
そのために、地域医療の中核医療機関として設立されている公社病院と在宅療養の中心的な役割を担う訪問看護師や在宅医との連携が今後より一層進展していくことを念願しながら、幾つか質問させていただきたいと思います。
地域医療を支援する役割を担う公社病院は、まずはみずからの病院に入院していた患者の退院時における在宅移行支援を強化し、退院患者それぞれの地域の訪問看護師や在宅医等と一層連携した取り組みを行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 地域医療支援病院でございます公社病院は、患者が住みなれた地域で安心して療養生活を送れるよう支援していくことが役割の一つであると認識をしております。
これまでも公社病院におきましては、在院時から訪問看護ステーションやケアマネジャー等と連携し、退院後の具体的な支援計画を作成するとともに、在宅医等との合同カンファレンスを通して連携を図るなど、円滑な在宅移行支援に向け、さまざまな取り組みを行ってきております。
平成二十七年度には全ての公社病院に患者支援センターを整備し、在宅医や訪問看護師等との連携強化を図り、在宅移行支援の充実強化に努めてまいります。
○中山委員 ご答弁のありました、二十七年度からスタートする、全ての公社病院での患者支援センターの機能充実に期待をさせていただきたいというふうに思います。
安心した在宅療養生活を送るためには、在宅医と訪問看護師が連携して、二十四時間体制で支えて、見守っていくことが重要であります。患者さんやご家族にとって、急変時に速やかに入院治療ができる後方ベッドの確保が、何よりもその安心には重要であります。
なお、平成二十六年診療報酬改定では、二百床以上の病院で、当該病院への入院希望患者について、緊急時にはいつでも対応し、必要があれば入院を受け入れるといった内容の在宅療養後方支援病院の制度が新設されました。
これを受け、去る平成二十六年の第一回定例会の厚生委員会では、我が党の当時の遠藤守理事から、現委員長でありますけれども、公社病院が在宅療養後方支援病院の施設基準を取得していくように、強く要望させていただいたところであります。
そこで、医療を地域で支えることを基本理念に掲げている、医療で地域を支えることをですかね、基本理念に掲げている公社病院において、今後、こうしたニーズに的確に対応していくため、在宅療養を後方支援していくための病床を確保していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 ご指摘のとおり、在宅療養生活を送る患者さんやご家族にとって、急変時の対応は最優先の課題であると認識をしております。
これまでも公社病院におきましては、地域の実情に応じ、診療所や病院と積極的に連携し、退院患者の急変時の受け入れや紹介された患者の緊急受け入れなど、積極的に在宅療養支援を行ってまいりました。
今年度、平成二十六年度は、多摩南部地域病院、荏原病院におきまして、在宅療養後方支援病院の施設基準を新たに取得し、退院患者の急変時の円滑な受け入れ体制を整備いたしました。
今後、在宅医療を支援する観点から、在宅療養後方支援病院の施設基準を全ての公社病院で取得するなど、医療機関等との連携を一層進め、急変時の受け入れ拡大を図ってまいります。
○中山委員 ぜひ取得を進めていただいて、できる限り早期に完了していただいて、具体的な受け入れ数の増加というもので地域にご貢献いただきたいというふうに思います。
これからの時代、先進医療は必ずしも救急病院や困難疾病に対応する大病院だけの世界ではないと思います。むしろ、在宅において厳かな死を迎える患者のみとりのために必要なプロセスというところにおいても、先進的な医療、知見、経験、ノウハウというものが生かされていくことが求められてくる、そういうニーズも高まってくると思います。
地域包括ケアシステムの中心的な役割を果たす訪問看護ステーションの看護師、老人保健施設の医療従事者は、今後、がん患者や認知症患者の増加が見込まれる中、専門的な看護スキルや医療知識の向上が求められております。
今後、地域医療支援病院である公社病院においては、退院患者に関するケースだけではなくて、訪問看護師等の地域の医療を広く支える人材育成を担い、社会貢献を果たしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 医療従事者の資質の向上は地域医療支援病院の役割となっておりまして、地域医療の充実を図る上でも重要な取り組みと認識をしております。
これまでも公社病院におきましては、開業医や訪問看護師等との在宅移行時のカンファレンスに加え、連絡会や公開講座の開催、勉強会への講師の派遣など、さまざまな機会を捉えまして、積極的にがん医療や認知症などの専門的な知識、スキルの醸成を図ってまいりました。
今後とも、地域医療の充実の観点から、訪問看護師等医療従事者の資質の向上を図り、医療で地域を支えることを基本理念といたしました公社病院としての役割を果たしてまいります。
○中山委員 期待申し上げております。
最後に、公社病院は、設置されている二次保健医療圏の中核的な医療機関として、地域の病院や診療所との役割分担と連携のもと、地域医療の一層の向上を図ることを目的に設立されたものであります。
今後、超高齢化社会の到来を踏まえ、地域包括ケアシステムを構築していく上で、医療機関や訪問看護師と連携した在宅移行支援や在宅療養支援が、公社病院の重要な役割となっていくと考えております。
そのためには、地域の医療機関との顔の見える関係や、安心して患者さんを紹介できる関係の構築がより一層必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 ご指摘のとおり、超高齢化社会の到来を踏まえ、公社病院は、地域の病院はもとより、住民に身近な診療所とより一層連携を強化し、在宅医療を支援していくことが重要であると認識をしております。
これまでも公社病院では、地区医師会との意見交換会を初め、定期的に開催する症例検討会など、さまざまな取り組みを通して医療連携を進めてまいりました。
今後は、先ほどご答弁いたしました、二十七年度に整備をいたします患者支援センターにおきまして退院患者一人一人の在宅移行を支援していく中で、医療機関との緊密な関係を構築しながら顔の見える連携をより一層進め、在宅医療を支援する公社病院といたしまして地域包括ケアシステムの構築に貢献してまいります。
○中山委員 ぜひ具体的な充実を目指して、二十七年度の予算執行における取り組みはもちろんのことでございますけれども、二十八年度以降も、私どもも応援させていただきますので、予算獲得、人員獲得も果たしながら、その機能のさらなる充実をお願い申し上げたいと思います。
私と斉藤理事は、きょうの質問に備えてというわけじゃないんですけれども、きのう、私どもの東村都議の地元の八王子の医師会をお訪ねしまして、八王子まごころネットというものを見学させていただきました。
これは在宅の医師の方々が、病院からの退院後の診療、訪問看護の体制を整備していくために、それぞれの患者さんのために(資料を示す)こういうようなICチップを埋め込んだカードをつくって、それをリーダーにかざすといろんな情報が理解できる。在宅の医師の方々が、どなたかが必ず当番でいて、そして、指示書を出したお医者さんが不在のときであっても、緊急のときに患者情報をしっかり理解した上で対応できるという体制を講じていらっしゃいました。
前の八王子の医師会の会長の孫田先生からお話をお伺いしまして、詳しくは、また東村都議からも何かの機会にいろいろ話があるかもしれませんけれども、在宅療養の方はたまたま病室がおうちだというつもりで私どもは接しているということで、そのために必要な医師や看護師の体制とか情報はきちっと、病院内であれば共有化されているわけですから、そういうものを地域でやっていきたいということでございました。
それで、この中に入っている情報、中には、治療の方針、終末期の意向みたいなものも、これは本当に極秘の、個人情報ですけれども、入っているわけですね。一定のレベルを超えた治療は望まないと。ある限られた範囲内の治療を試みてほしいとかね。
こういうことがはっきりわかっているかどうかで、やはり一一九番通報のときに断られちゃうケース、中にはこういうものもあるというふうに、ある医師の方はおっしゃっておられました。それがどの程度の割合かどうかというのは、私は専門家じゃないのでわかりませんけれども、ただ、そういうものがわかっていれば、やはり安心して受け入れられると。
一一九番通報で入院していくのと、訪問看護ステーション等が訪問した上で、後方ベッドで入院していくのでは何が違うかというと、この情報をきちっと--一一九番通報で入っていくのと後方ベッドで入っていくのでは、ここに違いがあるわけですよね。
やっぱり公社病院としては、そうした事柄をしっかり地域の中で、まずは退院患者さんを通しての取り組みだと思いますけれども、先ほど申し上げた、顔が見える関係というのを広く、できるだけつくっていただいて、地元の医師会、自治体の意向も踏まえながら、ご期待に沿える活動を展開していただければと願っております。
今後の活躍が、さらに充実した実りがもたらされますよう願いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○あさの委員 私の方は、先ほどの斉藤やすひろ理事の質疑とほぼ重なってしまったので、意見表明だけにしようと思ったのですが、一応確認のため、一つだけ、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
感染防護具の件なんですけれども、感染防護具、使用期限が過ぎたものの処理について、どのようにしているかだけお答えをいただければと思います。
○高野経営戦略担当部長 使用期限が切れました感染防護具は、都立、公社病院、東京医師アカデミーにおいて着脱訓練の際に使用するなど、病院内で活用を図っております。
また、今後につきましては、他の医療機関が着脱訓練を行う際に活用してもらうことも検討しております。
○あさの委員 ここから先、意見として申し上げておきますけれども、まず、昨年からずっと、エボラ出血熱等で、感染症、特に一類感染症については非常に関心の高いところでありますけれども、一類感染症というのは本当に危険なものですから、まず入ってこないことが一番大事でありまして、どうしても入ってきてしまった場合には、小さく封じ込めるということが一番大事だと思います。
そのためには、そこに対する適切な考え方というものが広く伝わっていくべきだと思いますし、都立病院だけではなく、都立、公社病院だけではない、着脱訓練というために活用していくということを検討するということでございますので、これについては、ぜひ早急に回答を出していただければと思います。
また、それ以外にも、例えば、昨年メディアに公開された墨東病院の感染症の病棟等、私も見に行きましたし、その場で撮影させていただいた動画をインターネット等で公開もさせていただきました。
その際、見ている方々の感想というのは、やはりメディアを通してやるというのも大事なことなんですが、メディアは限られた時間で放映するために、自分たちの主観を入れて編集をされてしまうんですね。そうすると、時間内でインパクトの強いところの画像だけを使うものですから、なかなか正しく伝わらない。
私が撮ってきた動画、全部、逐次細かく、いろんなところを見せましたら、まず第一に、ここまでやっているなら安心だという感想、そしてもう一つ、都立病院にとってこれも非常に大事なことだと思いますが、よく行政的医療といいますが、つまりワンフロアの大部分を使ってこういった病床を、しかも一類の場合はほとんど、来ないことが大前提でいいわけですから、あいていることが前提でこれを確保し続けるというのをやっているんだと。つまり、この分だけ費用はかさむんだけれども、これはもはや収益につながらないことを前提でやっているんですよということをいうと、なるほどと、だから公立病院というところの存在価値はあるなということを理解してもらえたと思うんですね。
実際、一類感染症を受け入れられるような病院というのは、全国的に指定されているところはほとんど公立病院なわけですから、民間の病院だと、収益を気にするとこういったものを大規模で置くということがなかなか難しくなってくる。そして、常日ごろから訓練もし続けるとなると、やはりこれは行政的医療として非常に大事なポイントだと思います。
そういったことを理解してもらうためにも、例えばこういった着脱訓練で使うということ以上に、例えばメディアのさまざまな広報の戦略の中で使ってみるだとか、あるいは医学部の学生などを対象にした、いかにこういう医療従事者が難しいかというところを伝えるための、例えばイベントとかの使用にも許していいんじゃないのかという気がいたします。
透明な液体を使って、全身にかぶった後、脱いでみて、例えばブラックライトか何かに反応するような液体であれば、それが本当についていないかどうかをやるコンテストとか、そういったようなものでも、実際に、本当に医療従事者は危険にさらされているんだよと、でも、そのための訓練をしているんだということを世の中に伝えるために、こういったものを入れかえるときに、大体、計算すると、平均で一万セットぐらい一年間で出てくるという計算になるというふうに伺っておりますので、そういったことも幅広く検討して、ぜひ有効に活用していただくことをお願いいたしまして、私の発言を終わりたいと思います。
○山加委員 私が最後になりますので--きょう、神野委員も、冒頭、六十五歳以上の方が二〇二五年には四人に一人ですよというご指摘がありましたが、この二〇二五年というのは、いわゆる団塊の世代の方たちも七十五歳を超えてくるんですね。後期高齢者がどんと急増する年代であるわけでありますが、今、私は改めて、この委員会室に約百名ほどいらっしゃる。十年後というのはそんなに遠くない、近い将来でありますが、割と平均年齢が低いなと改めて思ったところであります。二〇二五年にはしっかりと現場を支えてくださる皆様なんだなと改めて心強く思ったところでありますが、医療ニーズも増大をし、慢性疾患が増加するなど、今後、疾病構造の変化も大きく生じてくると考えられます。また、複数の疾患をあわせ持つ合併症患者、そして認知症患者も増加をしてまいります。
人生は、何があっても最後まで病気と共存をしながら、自分の人生の生活の質を維持し、向上を図っていかなければなりません。その意味においても、医療、介護の連携の必要性がますます高まってくるわけであります。
さて、昨年、いわゆる医療介護総合確保推進法が成立をいたしました。十年後の二〇二五年に向けて、医療提供体制の改革は急速に進められています。
一年前、この厚生委員会でも、我が党の野島議員が、医療と介護の連携という新しいステージにおける都立病院改革について質問を行わせていただきました。そして、本部長の決意をそのとき伺っております。
本部長は、答弁で、都立病院は引き続き、都全域あるいは複数の二次保健医療圏を対象とした急性期病院として、一般医療機関では対応が困難な行政的医療を担うとともに、地域包括支援センターや訪問看護ステーションなどの、区市町村が主体となった在宅医療支援のネットワークに患者のニーズを結びつけるために患者支援センターを設置すると答弁なさってらっしゃいます。
そこで初めに、この一年間、医療と介護の連携に向け、都立病院ではどのような取り組みを行ってきたのか、そして、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長 平成二十五年に策定いたしました都立病院改革推進プランでは、地域包括ケアシステムとの円滑な連携を目指しまして、将来を見据えて、各都立病院に患者支援センターを設置するということを計画いたしました。
今年度は、多摩総合医療センターでモデル事業を実施いたしまして、地元府中市、府中市医師会、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、さらに住民の方々などで構成をされます協議会を設置し、地域の医療、介護の現状や病院に対するニーズの把握を行ってまいりました。この取り組みを通しまして、患者情報を共有する仕組みづくりや地域の医療人材の育成への支援など、関係機関との連携の必要性を改めて認識しております。
来年度は、他の都立、公社病院におきましても、各病院の特性を踏まえた患者支援センターを開設し、地域包括ケアシステムの構築の動きや地域の医療ニーズを把握しながら、関係機関との協働を推進することで医療と介護の連携を一層図ってまいります。
○山加委員 国は、医療介護総合確保推進法において、持続可能な社会保障制度の確立を目指し、効率的かつ質の高い医療提供体制の実現を図るため、病床機能報告制度、地域医療構想による医療制度改革を進めることとしました。
高齢者の急増に伴い、当然、医療需要が増大をしているわけでありますから、限られた医療資源の効率的な運用を目指し、これまで一般病床、そして療養病床に分かれていた病床区分を、機能によって、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つに区分することとしています。
今後、都道府県では、地域の医療需要の将来推計や各医療機関から報告された情報を活用して、この二次保健医療圏ごとに、各医療機能の将来の必要量を含めた地域医療構想を策定していくことになっています。
国は、今年度の末までに地域医療構想を策定するためのガイドラインを示す予定で、二〇二五年の医療需要を見据えた、東京都の医療提供体制のあり方の検討が開始されることになります。
さきの予算特別委員会代表で、我が党が福祉保健局に対し、地域医療構想の策定に関して質問をし、また、東京都の医療資源の現状及び特性を反映していくことを国に対して求めていくとの答弁をいただきました。
特定機能病院など高度な医療機能が集積している東京でありますから、その特性を踏まえた議論がなされることを望むところですが、病床機能の分化においては、高度急性期、急性期病床の削減が一つの目標にされていることから、急性期医療を基本とする都立病院、公社病院にとっては、少なからず影響があることが予想されます。
そこで、病床機能分化の動き、地域医療構想策定など、医療を取り巻くこれからの変革期において、都立病院、公社病院はどのように対応していくのか、本部長の見解をお伺いしたいと思います。
○醍醐病院経営本部長 超高齢社会が生む新たな医療ニーズへの対応を図りながら、持続可能な社会保障制度として医療制度を維持していくためには、地域医療構想に基づく病床機能分化を促進し、限られた医療資源を最大限効果的に活用していく、この医療改革というのは必要だというふうに私どもは認識をしております。
しかしながら、これまでも申し上げましたとおり、都立、公社病院が取り組んできました災害医療や感染症医療などの法令に基づき対応が必要な医療ですとか、救急医療や周産期医療など社会的要請から特に対策を講じる必要性がある医療など、いわゆる行政的医療と位置づけてまいりました医療を適切に都民に提供するという基本的役割に、我々は変わりはないというふうに思っております。
今後は、行政的医療の提供という都立病院、公社病院の基本的役割を堅持しつつ、国の動きや福祉保健局による地域医療構想の策定状況を見きわめながら、変革期における新たな都立、公社病院のあり方を検討してまいります。
○山加委員 ただいま本部長から、将来にわたっても、救急医療、災害医療等の行政的医療を都立、公社病院の基本的役割とすることに変わりはないという答弁がございました。
私は、行政的医療を担うという、この都立、公社病院の背負っている、まさに重要な役割を果たすためには、今後ますます医療ニーズが複雑化、高度化する我が国の超高齢社会において、世界のどの国も経験したことのない超高齢社会の到来であります。そしてまた、二〇二〇年東京五輪には、世界で一番の首都東京を目指しているわけであります。世界一安定した、そして質の高い、この首都東京の行政的医療を目指し、都民、そして東京五輪で海外から東京を訪れる多くの観光客の皆様に、先ほど本部長もおっしゃった、高度な医療水準をもって適切に医療を提供していかねばなりません。
私は、昨年十二月の本会議でも申し上げてきたとおり、都立、公社、各病院の医療機能を今後さらに充実させていくことは不可欠なことであり、重要なことであります。そのためにも、都立病院、公社病院がソフト、ハードの両面からしっかりと医療機能の向上を図っていくことを改めてお願い申し上げ、質問を終わります。
○遠藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了をいたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時散会
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