厚生委員会速記録第十四号

平成二十六年十一月十八日(火曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長遠藤  守君
副委員長おときた駿君
副委員長小宮あんり君
理事斉藤やすひろ君
理事山加 朱美君
理事野島 善司君
小松 大祐君
和泉なおみ君
中山 信行君
あさの克彦君
松田やすまさ君
神野 次郎君
斉藤あつし君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
病院経営本部本部長醍醐 勇司君
経営企画部長中野  透君
サービス推進部長野瀬 達昭君
経営戦略担当部長高野  豪君

本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
報告事項(説明・質疑)
・契約の締結について
事務事業について(質疑)

○遠藤委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の事務事業に対する質疑及び報告事項の聴取を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○中野経営企画部長 動産の買い入れ契約につきまして、お手元にお配りしております資料、契約締結報告書に基づきましてご報告申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただき、総括表をごらんいただきたいと存じます。
 コンピューター断層撮影システムの買い入れでございます。
 契約の相手方はシーメンス・ジャパン株式会社、契約金額は二億四千七百八十六万円で、契約の方法は一般競争入札でございます。
 なお、本契約の概要につきましては、二ページに記載しておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 簡単ではございますが、以上で契約締結のご報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○遠藤委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑につきましては、後ほど事務事業に対する質疑と一括して行いますので、ご了承を願います。
 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○中野経営企画部長 去る十月九日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、公社病院の病棟休止状況(平成二十六年十月一日現在)から、6、公社病院における看護職員の固有・派遣職員数の推移までの六点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願いたいと思います。1、公社病院の病棟休止状況(平成二十六年十月一日現在)でございます。
 公社病院における病棟の休止状況につきまして、それぞれ病院別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都立病院及び公社病院におけるがん患者取扱実績(平成二十五年十月十六日ワンデイ調査)でございます。
 昨年実施いたしましたワンデー調査におけるがん患者の取り扱いにつきまして、(1)は都立病院、(2)は公社病院の実績を、それぞれ病院別に記載してございます。
 三ページをお開き願います。3、都立病院及び公社病院における医師の定数及び現員の推移(診療科別)でございます。
 (1)は都立病院につきまして、次の四ページ、(2)は公社病院につきまして、平成二十二年度から平成二十六年度までの常勤医師の定数と各年度十月一日現在の現員の推移を診療科別に記載してございます。
 五ページをお開き願います。4、都立病院におけるPFI事業に関わる経費の推移でございます。
 平成二十二年度から平成二十六年度までのPFI事業にかかわる経費につきまして、各事業別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、公社病院に対する運営費補助金の推移でございます。
 平成二十一年度から平成二十五年度までの各公社病院に対する運営費補助金の推移を記載してございます。
 七ページをお開き願います。6、公社病院における看護職員の固有・派遣職員数の推移でございます。
 平成二十二年度から平成二十六年度までの各公社病院における看護職員の各年度四月一日現在の定数及び固有、派遣別の現員の推移を記載してございます。
 簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終了させていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○遠藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行いたいと思います。
 発言を願います。

○山加委員 きょうの事務事業、十名が質疑を予定しているようでありますので、なるべく無駄な時間を省いて質疑をさせていただきたいと思います。
 東京都で直近、ことしの上半期、一月から六月までに東京を訪れた外国人旅行者は約四百十七万人と、過去最高を記録したとのことであります。六年後に二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えて、今後ますますこの外国人旅行者の数はふえていくことが期待をされています。
 東京は今、世界で最も注目を集める都市であり、東京の魅力を海外に発信するまたとない機会を得ているわけであります。同時に、都民にとっても世界で一番の都市東京であるよう、都議会自民党は、さまざまな角度から政策提言を行い、その実現を目指し取り組んでまいります。
 都民が夢や希望を持ち、幸せを実感できる都市であるためには、何よりも、都民に安全と安心を約束できることが大切であることはいうまでもありません。都民の命を守る医療、私はこれこそが最大の生きるセーフティーネットだと思っています。
 都立病院は、都民の医療ニーズに対応すべき医療課題を行政的医療と位置づけ、高水準で専門性の高い医療を提供することを役割としています。まず、行政的医療の提供という観点から質問をさせていただきます。
 初めに、感染症医療についてですが、現在、世界は、エボラ出血熱という、まさに未知の感染症の脅威にさらされています。西アフリカの流行国では既に一万四千人以上の患者が発生し、死亡者は五千人を超えています。そのうち、治療に当たった医療従事者もエボラウイルスに感染し、三百人以上が死亡していると聞いております。
 日本にとっても、これは対岸の火事ではなく、先日、都内でも二件の疑い例が発生をし、危機感が募りました。これまでも疑い患者は新宿区にある国立国際医療研究センター病院に搬送されていますが、エボラ出血熱を含む最も危険な第一類感染症を治療できるのは、国立国際医療研究センター病院のほかは、都立病院では、専門病床を持つ都立駒込病院、墨東病院、公社荏原病院の公立、公社の三病院だけであります。
 こうした危険性の高い感染症対策はまさに行政的医療そのものであり、エボラ出血熱の国内発生の危機に対して、都としてもしっかりと応えていってほしいと願うわけであります。
 一方で、いざ患者が発生し、受け入れるとなれば、他の疾患で入院している患者、通院患者にとっては、アメリカで起きたような医療従事者の二次感染の事態が生じはしないか、感染拡大のおそれはないか、当然ですが、大変不安を抱くこととなると思います。
 国では、十月二十八日にエボラ出血熱対策関係閣僚会議の設置を閣議決定し、内閣官房に対策室を設置したとのことであります。都では、エボラ出血熱患者の発生に備え、どのような対策を講じているのか、まず伺います。

○中野経営企画部長 未知の感染症に対しまして的確な対応をとることは、目下の緊急かつ重大な課題でございます。
 東京都では、東京都エボラ出血熱対策連絡会議を既に設置いたしました。また、都内で患者が発生した場合には、直ちに知事を本部長とする東京都エボラ出血熱対策本部が設置されることになっております。
 病院経営本部におきましても、既に感染症対策委員会のもとにエボラ出血熱対策専門部会を設置いたしまして、二十四時間の情報連絡体制をしいて受け入れ体制を整えております。
 第一種感染症指定医療機関である都立、公社の三病院につきましては、陰圧装置のある専用の感染症病床や独立したエレベーターを有しておりまして、他の患者さんと接することなくエボラ出血熱患者の治療が可能でございまして、二次感染を防止する構造となっております。
 また、これまでも定期的に防護服の着脱訓練を行ってまいりましたが、十一月十一日には、福祉保健局、東京消防庁、保健所等関係機関と実践的な合同訓練を実施いたしまして、患者発生時点から始まる情報伝達訓練から指定医療機関での受け入れ訓練を行い、一連の流れを確認することで、さまざまな活動を検証いたしました。
 今後も、感染拡大防止に万全を期してまいりたいと思っております。

○山加委員 答弁から、エボラ出血熱に対してハード、ソフトの両面において適切な対応がされていることがわかり、大変安心をいたしました。
 患者の血液や体液に直接触れない限り感染はしない。また、発熱など発症するまでは感染リスクは極めて低いということなので、不必要に恐れることなく冷静に受けとめたいと思います。しかし、都民には正しい情報がしっかりと伝達されるように、啓発もしっかりとお願いをしたいと思います。
 また、ことしの夏はデング熱という感染症が発生し、本来憩いの場である公園が感染防止のために利用できなくなるなど、都民生活に影を落としました。
 オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年夏に向かって、国境を越えた人々の往来がますます活発になります。それに伴い、新たな感染症が国内で発生するリスクもあるわけであります。今後も、感染症への対策には、都として万全を期していただきたいと思います。
 次に、災害医療についてお伺いをしたいと思います。
 昨年十月、大島では台風による大雨で土石流が発生し、多くの方の人命が奪われ、大惨事となりました。震災も風水害も、自然災害はいつ起こるかわからないものですが、都立病院では、東京DMATや医療救護班の派遣体制を整備し、迅速に被災者の救護活動に従事できるようにしています。このことは高く評価をしています。
 しかし、一方で、災害とは必ずしも自然がもたらすものばかりではありません。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催を前に、余り考えたくないことですが、悪意を持ったテロなど人為的な災害をも想定しておく必要があるわけであります。
 こうしたさまざまな災害から都民の命を守り、災害に強い安全な東京をつくるためには、都立病院の果たすべき役割は大変重いものであると思います。
 今までも都立病院は、首都東京の名に恥じないさまざまな訓練を通して対策を講じてくれています。改めて、都立病院における災害医療に対する取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○中野経営企画部長 災害時に一人でも多くの命を救うため、都立病院がその役割を確実に果たしていくことは極めて重要であると考えております。このため、各都立病院では、災害時の優先業務や対応手順等を定めましたBCPを策定いたしまして、都内で震度六弱以上の地震が発生した場合には災害対策本部を立ち上げるなど、迅速に対応できる体制を構築しております。
 こうした初動体制を確かなものとするため、各病院では毎年、首都直下地震等を想定した防災訓練を実施しております。災害対策本部の立ち上げや、多くの傷病者を受け入れるトリアージ訓練など、実践的かつ実効性の高い内容を盛り込んだ訓練としております。
 さらに、広尾病院におきましては、核物質や炭疽菌等が使用されたテロ等を想定したNBC災害訓練を毎年行うなど、人為的な災害につきましても対策を講じております。
 今後も、さまざまな災害に対応した訓練を繰り返し行うことにより、都立病院の災害対応力の強化を図ってまいります。

○山加委員 大規模災害は、きょう、あした発生するかもわからない。いつ起きてもおかしくない災害に的確に対応し、これからもしっかりと都民の命を守れるように、今後も都立病院として着実に災害対策を進めていただきたいと願います。
 次に、救急医療について伺います。
 昨年、東京消防庁の救急出場件数は過去最高を更新したと聞いています。今後も高齢化の進展に伴い、ますます救急医療の需要が増大することは必至であります。
 東京都は、三百六十五日二十四時間の安心を掲げ、初期から三次救急に対応する東京ERを開設してから間もなく十三年がたとうとしています。都民の救急医療に対するニーズは今後ますます高まるばかりであると思います。救急医療の充実を望む都民の期待に応えるため、東京ERを今後どのように強化していくのか、伺います。

○中野経営企画部長 急性期医療を基本的役割とする都立病院では、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターに初期から三次救急までを担う東京ERを開設するなど、これまでも救急医療に力を入れてまいりました。
 高齢化の進展などにより、救急患者は増加しております。また、合併症を有する患者さんや重症患者の増加にも的確に対応するため、救急診療機能をさらに強化していく必要がございます。このため、東京ERに先進的な医療機器を導入することや、心臓冠動脈疾患治療室、CCUなど、疾患別の集中治療室の設置を図っていくこととしております。
 また、墨東病院では、より質の高い救命医療を提供するため、広範囲熱傷などの特殊疾患患者に対する救命医療を行う高度救命救急センターの平成二十七年度中の指定を目指しております。
 今後も、三百六十五日二十四時間の安心、いつでも誰でも適切な医療が受けられる救急医療の充実強化に努めてまいります。

○山加委員 ありがとうございます。ただいまの答弁から、医療環境の変化にしっかりと対応できるよう、新たな機能を備えた東京ERを目指していることがわかりました。今後も、都民に信頼される救急医療を提供していってほしいと願います。
 冒頭申し上げたとおり、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、海外から日本を訪れる外国人はさらにふえていくことが見込まれます。観光で日本を訪れる、あるいは長期にわたり滞在する外国人に世界で一番の都市を実感してもらうためには、医療環境を整えることは大変重要な要素であります。
 九月に公表された東京都長期ビジョンの中間報告によれば、二〇二〇年までに、全都立公社病院では、外国人が安心して適切な医療を受けられる環境を実現するため、多言語による診療体制の整備を行っていくとしています。これこそ東京のプレゼンス、東京の存在感を世界に発信していくために欠かせない取り組みであると思います。
 私たちも海外に出かけるわけでありますが、海外に出かけたときに、急に発熱をする、また、事故に遭って病院に運ばれ、その病院で日本語が通じたらどんなにか心強く思うことでありましょう。ですから、逆も同じであります。日本の高水準な医療を海外の方にもぜひ知っていただきたいと願います。
 そこで、どのようにして多言語による診療体制を整備していくのか、取り組みの方向性について伺います。

○中野経営企画部長 ただいまのお話にありましたように、外国人患者にとりまして、病院を訪れた際に言葉が通じるということは大きな安心感につながるものと考えております。
 このため、英語を初めとします外国語でのコミュニケーションが可能となりますよう、職員の語学力を高める取り組みを進めております。ことし八月から順次、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターにおきまして、看護師などの医療系職員を対象に、語学リーダー養成コースとして英語の研修を開始いたしました。来年度からは都立八病院で語学研修を実施し、病院の各部門において、語学リーダーとして外国人患者とのコミュニケーションを推進する職員を育成してまいります。
 また、診療に当たりまして必要となる問診票なども英語版を用意したり、多言語の対応ができる翻訳ツールを導入することも検討しております。
 さらに、院内の案内表示につきましても見直しを行い、必要に応じ、英語以外の表示やピクトグラムの表記を使用してまいります。
 加えまして、さまざまな文化、宗教的背景を理解することも重要でございますので、今年度から、異文化への理解を深める研修も実施してまいります。
 こうした多角的な取り組みによりまして、外国人患者の療養環境の向上を図ってまいります。

○山加委員 言葉、そして異文化への理解の両面から、外国人患者をサポートする取り組みがしっかりとなされることを期待いたします。
 さて、都立病院の中で最も多く外国人が訪れているのは都立広尾病院だと聞いております。オリンピック・パラリンピック開催時には、オリンピックファミリー、そして観光客への医療提供体制の中で、都立広尾病院はさらに大きな役割を担うことになると思います。また、都立広尾病院は基幹災害拠点病院として都の災害医療の牽引役でもあり、また、東京ERとして救急医療を担う、都民にとっては大事な大事な病院であります。
 昨年十二月、前の厚生委員会で広尾病院の視察を行いました。遠藤委員長もそのとき参加をされております。私も参加をいたしております。ヘリポート、災害時の医療対策施設、レドマスやERを見せていただきました。
 この広尾病院は、昭和五十五年の改築以来、病棟の改修、そして別館の増築などを繰り返し、これまで必要に応じて施設機能の拡充が図られてきたと、そのとき伺っております。広尾病院が持つ重要な医療機能と役割に比べて、視察をさせていただいたときに、余りの施設の老朽化が否めなかった。これは、視察に参加をした者の感想でありました。もちろん広尾だけでなく、大塚病院、神経病院にも同様のことがいえると思います。
 都民の安全・安心を支える医療の充実、これは都民の願いであり、厚生委員会理事としての私の願いでもあります。今後、都立広尾病院を初めとした都立病院が、その基本的役割とする救急医療、災害医療などの行政的医療を適切に提供するために、そして世界で一番の都市東京にふさわしい医療の姿を示すためには、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを目標に、場合によっては老朽化したこの都立病院、建てかえや改築などの抜本的な対策を考えなければならない時期に来ているのではないかと思います。きょう、あしたでできることではありません。十年先のことをしっかり考え、その間の社会の情勢の変化も考えていかなければなりません。
 また、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが確実に来るわけであります。都民の命だけでなく、この二〇二〇年には、五十年前に私たちが迎えた東京オリンピック、この想像を超えた人々が東京に押し寄せてくるでありましょう。どうかしっかりと、都民のみならず、そして、海外、世界の人の命をしっかりと守れるように策を講じていただきたいと思います。
 そんなことも含めまして、最後に、今後の都立病院の運営に当たっての本部長の強い決意を伺って、私の質問を終わります。

○醍醐病院経営本部長 理事が冒頭におっしゃられたとおり、都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との密接な連携を通じて良質な医療サービスを提供することを基本的役割としております。
 現在、国におきましては、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年を見据え、患者ニーズに応じた病院病床機能の役割分担や、医療と介護の連携強化など、持続可能な社会保障制度の確立に向けて、これまでにない制度改正が行われようとしております。
 さらに、これもお話ございました二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催を六年後に控えまして、国際都市東京として、都民のみならず海外から東京を訪れる方々に対しても、安全・安心の医療を提供するという役割も生じております。
 こうした医療を取り巻く大きな環境の変化に、都立病院としてこれからも適切に対応していくためには、ソフト、ハード、この両面から、これまで以上に医療機能を高める取り組みを進めていくことが必要であると認識をしておるところでございます。
 今後とも、都立病院の医療機能を最大限活用し、都民の皆様に信頼される医療を提供するよう、全力で取り組んでまいります。

○中山委員 よろしくお願いします。
 醍醐本部長は、前、危機管理監をやってらっしゃったということで、今回、エボラの対応というのが出てきて、まさにそのご経験を生かされて、都民の安心・安全のために、今、ふさわしい方が本部長になっていらっしゃるんだなということをまたまた感じた次第でございますけれども、そのエボラの問題から、エボラ出血熱対策のことから始めさせていただきたいと思います。
 西アフリカで感染拡大しているエボラ出血熱につきましては、世界保健機構が国際的に懸念される公衆衛生上の、公衆の保健上の緊急事態であることを宣言し、その後も感染が拡大しております。感染スピードは若干弱まってきたという報道がアフリカからもなされていて、期待を申し上げたいところでございますけれども、日本国内でも三件のエボラ出血熱の疑いの例が出ておりまして、いつ陽性患者が発生してもおかしくない状況にあります。これは、日本の方々が国際的にたくさん出ていくようになって、また、海外との接触もふえているということからいくと、そういう可能性というのはいつ起きてもおかしくない状況にあるということだと思います。
 都内で発生した場合には、感染症指定医療機関に指定されている都立墨東病院、駒込病院、公社荏原病院が患者を受け入れることになるため、先週の十一月十一日には、その三病院において、福祉保健局や東京消防庁などと合同で実際の患者受け入れを想定した対応訓練を行い、報道機関にも公開されたところでございます。
 これまでも各病院ではさまざまな訓練を行っているとお伺いしておりますが、先日の関係機関との合同訓練の狙いについて、どういうものであったのか、まずお伺いしたいと思います。

○野瀬サービス推進部長 今回の合同訓練は、エボラ出血熱患者が都内で発生した際にどのように患者を指定医療機関へ搬送し、病院ではどのように専用病床に受け入れるかを実践するとともに、医療従事者への二次感染の防止策などについてマニュアルどおりに対応できたかなど、さまざまな活動を検証するために行ったものでございます。
 患者の搬送には、感染症専用の患者搬送車やウイルスの飛散を防ぐカプセル型の担架であるアイソレーターを使用し、病院内での措置においても、医師や看護師などが防護服を着た上で模擬患者の採血やレントゲン撮影、吐瀉物の処理を行ったほか、防護服の着脱手順を確認するなど、各病院において実際の受け入れを想定した訓練となるよう検討を重ねた上で実施いたしました。

○中山委員 今、吐瀉物の処理の話が出ましたけれども、私、家族が駒込病院でお世話になったときに、やはり吐瀉物の対応というのをきちっと、病院関係者の方が本当に入念にやってらっしゃる姿を見て、安心できるなということを感じた次第でございますけれども、このような実践的な訓練は、医療従事者の二次感染防止や関係機関との連携体制の構築はもとより、都民や入院患者に安心感を与えるためにも重要でございます。
 今回の訓練では、さまざまな教訓が得られたことと思います。合同訓練で得た教訓などを今後の実践の中でどのように生かしていくのか、お伺いしたいと思います。

○野瀬サービス推進部長 十一月十三日には、三病院の感染症科医師や感染管理の看護師などが参加する都立公社病院感染症対策委員会エボラ出血熱対策専門部会を開催いたしました。その中では、ゴーグルが曇って視界が悪くなり、採血などの処置に影響があったため、排気弁のついたマスクを早急に用意することや、ミスが許されない緊張感の中で手順間違いによる二次感染を防ぐため、病院間で連携して看護師の応援体制を検討していくこととするなど、今回の訓練で得た教訓や対応策について議論いたしました。
 今後、実際に患者が発生した際に、訓練と同様に迅速な受け入れや治療などができるよう、病院経営本部を挙げて万全の準備を進めてまいります。

○中山委員 そうですね、ゴーグルが曇って採血などの処置に影響が出るというと大変なことになりますよね。注射針の扱い方を間違ったりすると、それこそ患者さんにも影響を与えますし、病院側の方にも問題が出てまいりますし、そうしたことで換気弁のついたマスクが早急に必要だということがわかったと、大事なことだと思います。早速、会議を開いて、課題の解決に向けての確認とか対応策、そういうものを検討したということを聞いて安心した次第でございます。
 最初の答弁で、マニュアルどおりにできたかどうかという確認もありましたけれども、実際にはマニュアルどおりにいかないことがたくさんあるわけですから、こうした訓練のたびごとに検討会を開いていただいて、今回こうだったけど、こういう事例も考えられるよねとか、そういういろんなやりとりをしていただくことが現実の上での対応力というものを鍛えることにもなるでしょうし、場合によっては、マニュアルそのものも、より確度の高いといいますか、そういうものに仕上げていく上でも役に立つんではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 こうした訓練をきちっとできるということが、私はやっぱり行政としての、病院機能の大事なところだと思うんです。なかなかそういうところにふだん、民間の病院さんでは難しいかもしれない。でも、そこにやはり時間と、また労力をかけて備えていただくということで、ぜひこれからもお願いしたいと思います。
 特に、医療スタッフを守るためにも、看護師の応援体制の確立については早急に対応してもらいたいと思います。また、課題の中には、病院経営本部だけでは解決が難しいものもあると思いますので、福祉保健局等関係機関とも連携を図りながら、今後もスピード感を持って、万全の準備を進めてもらいたいと思います。
 スタッフにつきましてはよく検討していただいて、やはり一人のエボラの患者の方が来られたときにどれだけのスタッフが必要になってくるのかということが、なかなか実際発生してみなければわからない点があると思いますけれども、ただ、スタッフの方々は二十四時間働くわけにいかないということで、時間を決めていらっしゃるわけですよね、交代制でやっていくと。そうなったときに、一人、二人と、最初の段階は各病院に振り分けていけばいいんでしょうけれども、どの程度必要になってくるのか。お伺いした話では、そういう感染症対策に経験のある方々を中心に訓練をされていらっしゃるということですけれども、下地としては、そういう経験をしていく人たちというのを、交代制でもふだんつくり上げておかないと、チームですので、そういう感染症対策のふだんの日常の業務の中にも時々出かけていって経験しておいてもらって、こういうふうな動きをするんだというようなことをやはり味わっておいていただく方を下地としてつくっておかないといけないんではないかと思いますので、もう十分お考えだと思いますけれども、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 次に、都立病院における高度な医療機器の活用状況についてお伺いをいたします。
 先日の公営企業会計決算特別委員会におきましては、駒込病院に導入した高精度放射線治療装置、トモセラピー、サイバーナイフといった高度ながん治療を行う医療機器が有効な治療と患者の負担の軽減に活用されていることを我が党からも確認したところでございます。
 都立病院の使命は、急性期病院として都民に広く高度で専門的な医療を提供していくことであり、そのために必要な医療機器の充実は極めて重要でございます。
 そこで、各都立病院にはどのような医療機器が現在導入されているのか、概要をお伺いしたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 都立病院におきましては、高度で専門的な医療を提供するため、各病院の医療機能に合わせて、CTやMRIなどの診断系の医療機器と、心臓カテーテル装置や放射線治療機器などの治療系の医療機器を整備しております。
 具体的には、区部の基幹病院として救命救急医療を担う墨東病院では、新館の整備に合わせまして、CTと血管撮影が同室で行えるⅣR-CTや、高い気圧環境の中で血液循環を促進させて治療を行う高気圧酸素治療装置を設置しております。
 また、がんの専門治療を行う駒込病院におきましては、ご指摘のございました放射線治療機器のほか、CTと細胞の機能の異常を発見するPETを一体にしたPET-CTや、3D内視鏡と頭部に装着したディスプレーを組み合わせ多角的な視野の中で手術を行うロボサージャンシステムを導入しております。
 さらに、心臓病医療を重点医療としております広尾病院や多摩総合医療センターでは、高度な心臓カテーテル手術を行う心臓専用の血管連続撮影装置を設置するなど、各病院の機能に合わせ、医療機器の適切な導入を図っております。

○中山委員 今のご答弁によりまして、各都立病院におかれましては、医療ニーズを満たすために、その機器に応じて高度な医療機器の導入を進めていただいていることがよくわかりました。
 このような医療機器を導入するに当たりましては、導入における効果や対象となる患者さんへの利益を見きわめていくことが大変重要でございます。都立病院が導入している高度な医療機器は、患者の診断や治療に対してどのような効果を上げているのか、お伺いをいたします。

○高野経営戦略担当部長 診断におきましては、今まで以上に高精細で高品質な検査データを得ることができ、これまで発見することが難しかった病変を見つけることが可能になっております。
 また、治療におきましては、すぐれた性能を有する医療機器を用いることで、より精密で質の高い治療が行えることはもちろん、手術の際に患者さんの体への侵襲を少なくすることにより予後の回復期間も短くなるなどの効果が上がっております。
 このほか、検査に要する回数や時間も短縮され、特に放射線機器については、撮影時の放射線被曝量が少なくなるなど、検査に係る患者さんへの負担を軽減することに貢献しております。

○中山委員 きょうご報告いただいた都立駒込病院におけるコンピューター断層撮影システムというのも二億円かかっているということで、私も不勉強で、ご説明いただいて初めて知ったんですけど、CTとかも二億円とかするんですよね。
 やはり今お話があったように、患者さんへの負担が減るということはとても大事なことだと思います。いろんな病院を経て都立病院にすがる方も大勢いらっしゃるし、また、本当に身体的に厳しい状況の中で都立病院に駆け込まれる方もいらっしゃいますから、検査の回数であるとか、いろいろな身体の負担を減らして、予後の回復に貢献されているというようなことはとても大事なことだと思いますので、都民の貴重な税金を使っての取り組みですけれども、効果を上げているということを確認させていただいて安心した次第でございます。
 これらの最新鋭の医療機器を備え、高い医療技術の水準を保つことは、都立病院が患者から選択されていくことにつながっていくものと考えます。
 一方で、医療機器の性能向上は日進月歩でありまして、最新鋭の機器を有効に活用していくためには、取り扱う医療従事者の方々の側のノウハウも伸びていかなくてはいけない、蓄積しなくてはいけないという、その必要がございます。医療従事者の技術の維持向上に向けた取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 最新鋭の医療機器を導入するに当たりましては、これらの機器の操作技術や、得られた詳細なデータを解析、判断し的確に診断する能力を高めていく必要がございます。
 医療機器の操作技術につきましては、院内カンファレンスなどを通じた技術研さんはもちろんのこと、例えば先ほどの答弁で述べさせていただきました駒込病院のロボサージャンシステムでは、開発元でございます東京医科歯科大学と連携するなど、同等の医療機器を保有する医療機関の協力も得ながら技術の向上を図っております。
 また、学会への積極的な参加や、他の医療機関との症例検討会の共同実施などに加えまして、日常の診療現場におきましても、医師、放射線技師、臨床工学技士がディスカッションを繰り返し、日々、診断能力の向上に努めております。
 さらに、都立病院のネットワークの中で、各コメディカル部門や診療科部門の連絡会を実施いたしまして情報共有を図り、知識や技術の習得に努めております。

○中山委員 ロボサージャンシステムのお話がございましたけれども、本当に、ちょっと前まではSFの世界みたいなことが本当にバーチャルでできるといいますか、現実にいろんな視点からの患者さんの容体を見ながら、部位を見ながらできるということで、すばらしいことだと思いますけれども、それを取り扱うということは、それを使えなければ効果は発揮できないわけですので、その開発段階から連携してやってこられたと。
 そうした事柄が本当にふえて、そう簡単に幾つも一遍に出てくるわけはないでしょうけれども、ただ、積み重ねていくことが、やはり行政医療機関である都立病院や、または公社病院で働きたいという医師の方々とか、また、そうしたチームの一員として頑張りたいという看護師の方々とか、そうした方々をふやしていくという面でも効果があると思いますし、都民としても、それだけ高い--あんまり高さを強調したらいけないかもしれませんけれども、そういう機器を導入していただいて、いざというときに備えて訓練をきちっと、実際の患者さんのお体をかりたりしてやる場合もあるでしょうけれども、積み重ねているということを安心した次第でございます。
 また、この機器につきましては、都立病院はもちろんのことですけれども、公社病院においても積極的に導入されているということはお伺いしました。さらにこれを強めていっていただきたいというふうに思います。
 公社病院は、地域医療との連携という点で大事な使命を担っていただいておりますけれども、それ以外のところは、その周辺の都民からすれば、公社病院も都立病院も変わりません。同じ都立病院だという意識で見ています。そういう面で、自分のところにはあんまり高価な機器も来ないなとか、あんまり医者の方々から人気がないのかななんていうことは、ないと思いますけど、そういうことがあったのでは、それは大変申しわけない事態ですので、そういう面で、都立病院と同じような水準でこれからもご努力をお願いしたいというふうに思います。
 医師を初めとする医療従事者の知識や技術と、それを支える医療機器の充実により、診断から治療に至るまで高度で専門的な医療を提供していくことは都立病院の大きな役割であります。また、今回は都立病院について質問させていただきましたが、高齢化の進展などにより重症患者や合併症を有する患者が増加する中、都立病院だけでなく、地域の医療ニーズに応えていく使命がある公社病院についても、各病院の医療の特色に応じて、同じように医療機器の充実を図っていく必要があると考えます。
 今後もソフトとハードの両面から一層の充実を図り、都民の期待に応え続ける都立病院と公社病院であっていただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○和泉委員 私の方からは、無料低額診療について伺いたいと思います。
 第三回定例議会で病院経営本部の方から、六百六件、六千三百十九万四千五円、この私債権の放棄というのが報告をされました。その後いただいた資料を見ますと、このうち、無保険で受診した件数が三百九十九件、金額にして四千四百八十三万九千七百十六円というふうになっています。
 この無保険での受診三百九十九件の中で、経済的理由で無保険となっている人の数、これは把握しているでしょうか。まず伺います。

○野瀬サービス推進部長 都立病院を受診する患者については必ず保険の確認をしておりますが、患者が無保険者であるかどうかは把握しております。しかし、無保険の理由については直接診療にはかかわりがないため、その理由について患者から相談がない限りは病院から聞き取ることはない、また、聞き取るべきではないというふうに考えております。さらに、未収金の回収の際に患者の事情を聞くことはございますが、無保険である理由を確認しておりません。

○和泉委員 私債権放棄のうち、この無保険の件数というのは全体の六六%、金額の比率でいうと七一%、かなりの比率で無保険者の割合が占めているということになっているんです。そうであるにもかかわらず、その理由を把握してないということでいいんでしょうかというふうに思います。無保険の患者が、経済的に苦しい、そういう人ばっかりではないかもしれませんけれども、それにしても、無保険という状態であれば窓口負担が十割になります。支払い額はかなりの負担になると思うんです。
 受診した人が無保険だった場合、都立病院ではどのような相談、対応をしているんでしょうか。伺います。

○野瀬サービス推進部長 受診の際の経済的な問題につきましては、病院の医療ソーシャルワーカー、いわゆるMSWが個別に相談に応じております。その際には、患者それぞれの事情を伺った上で生活保護の申請を勧めたり、やむを得ない場合は分割支払いや支払い猶予などの説明をしております。

○和泉委員 ただいまの答弁ですけれども、経済的な理由があるとわかった場合の話だと思うんですけれども、無保険の方たち全てにメディカルソーシャルワーカーが対応できているわけではないということだと思います。しかも、生活保護の受給ができない場合には、分割払い、支払い猶予を説明している。生活困難な状況ということになれば、結果的には払えなかったり、完済できずに債権の消滅時効である三年が経過して債権を放棄することになる、そういう患者も相当数いると思いますが、その実態は把握できていないということになります。
 では、無保険者に限らず、都立病院の患者のうち、生計困難者というのがどのぐらいいるか、これは把握しているんでしょうか。

○野瀬サービス推進部長 生計困難者は把握しておりませんが、例えば生活保護であれば、一例として、平成二十六年四月の大塚病院における生活保護を受給している実患者数は、入院で七十三人、外来で五百四十六人でありました。それぞれ全体に占める割合は、入院で四・五%、外来で三・七%でありました。

○和泉委員 大塚病院の数字ということで今お答えいただいたんですけれども、この数字には、無保険者で生活困難な患者の数、これは含まれていないと思うんです。無保険者となっている患者に含まれる低所得者を加えると、その比率は上がるはずなんです。メディカルソーシャルワーカーによる支援の強化が重要だと、充実を求めるものです。
 それと同時に、低所得者、生活困難者が安心して医療を受けることができる制度として、無料低額診療制度がありますけれども、都立病院のような公的病院でこの制度を導入する場合、どのような手続が必要になるんでしょうか。

○野瀬サービス推進部長 無料低額診療事業を公的病院で導入する場合、社会福祉法に基づき、都道府県知事に、所定の事項を記載し届け出を行う必要がございます。

○和泉委員 続けて伺いますが、都立病院がこの無料低額診療制度の認可を受ける場合に満たすべき要件のうち、該当が困難だという事項はあるんでしょうか。あるとすれば、どんな事項でしょうか、教えてください。

○野瀬サービス推進部長 無料低額診療事業の基準で必須項目とされている四点のうち、現段階で都立病院は三点、要件を満たしておりません。
 まず、生活保護法による保護を受けている者及び無料または診療費の一〇%以上の減免を受けた者の延べ数が取扱患者の総延べ数の一〇%以上であること、これが要件となっておりますが、生活保護を受けている患者の統計はとっておりませんが、例えば、大塚病院の平成二十五年度における延べ外来患者数、約二十四万六千人のうち、生活保護を受けていた延べ患者数は一万二千五百六十八人であり、全体に占める割合は五・一%でございますので、要件に該当いたしません。
 このほかにも、生計困難者を対象とする診療費の減免方法を定めてこれを明示することや、生活保護を受けている者などを対象として定期的に無料の健康相談を実施することが要件ですが、いずれも現在、都立病院では実施していないため、要件に該当しておりません。
 なお、都立病院における無料低額診療事業の実施については、単に要件の該当にとどまらず、都立病院の役割、経営に与える影響、地域医療機関との医療連携のあり方や役割分担、加えて国の動向など、さまざまな課題があると認識しております。

○和泉委員 大塚病院の生活保護受給者が五・一%だから、一〇%以上という要件を満たさない、このような答弁でしたけれども、生活保護受給者だけで一〇%以上ということにはなっていないはずです。無料または一〇%以上の減免を受けた患者の延べ数となっています。
 なおかつ、厚生労働省は、この基準についても、都道府県の状況を勘案して判断するとしています。無保険者の中に相当数含まれているであろう生活困難者の実態を把握していない、そういうもとで一概に要件を満たしていないとはいえないと思うんです。
 また、生活困難者を対象とする診療費の減免方法を定めてこれを明示すること、生活保護を受けている者などを対象として定期的に無料の健康相談などを実施することについても、現在やってないというだけで、どうしても無理なんだ、できないんだ、そういう理由にはなっていません。いずれもやらないということであって、やれないということではないんじゃないでしょうか。単に要件の該当のみにとどまらずというのであれば、まさにその役割をきちんと検討する必要があるんじゃないかと思います。
 都立病院の患者権利章典は、都立病院が都民の命と健康を守ることを使命とすると前文に掲げています。さらに、誰でも、どのような病気にかかった場合でも、良質な医療を公平に受ける権利があると最初の項目に書かれています。医療費の負担が重くて受診をためらう、高い保険料を払ったら医療費が払えない、保険料が払えなくて正規の保険証が交付されない、そういう話を幾つも耳にして、私自身も相談に乗ってきました。低所得で生活困難な都民の間にそういう実態が広がっているときに、都民の命と健康を守ることを使命とすると宣言し、良質な医療を公平に受ける権利を保障するべき都立病院が実態を把握していない、打てる手を打たない、そういうことでいいんでしょうか。
 さまざまな課題があるとしても、やらないための理由をつけるのではなくて、導入するためにどうすればクリアできるのか、そういう視点で検討していただき、無料低額診療制度の導入に踏み出すよう強く要望して、質問を終わります。

○あさの委員 私の方からも、手短に幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、公社病院の研修についてお伺いをしたいと思います。
 公社病院では、六つの公社病院全てにおいて、地域との連携という中で、研修、症例検討会等を外部に公開している。地域のお医者さんたち、医療従事者を招いて一緒になってやっているというのが、これは六つの各病院の報告にも載っておりました。これは非常によいことだと思いますし、症例検討会、特に都立病院もたくさんのさまざまな病気を持った患者さんたちがいらっしゃるわけで、その中で蓄積した経験とか知識を、また地域の医療の従事者の方々と共有したり、お互いに分け合っていくというのは、地域全体の医療レベルを上げていくことにつながるわけですから、非常によいことだと思います。
 そこで、この各公社病院で開催している症例検討会などにおいて、外部からの参加者というのがどのくらいいたのかということと、また、特に乳腺外科などを専門に行っているクリニックや地域の病院と連携して、必要な症例検討を行っている事例があれば、またあわせて伺いたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 平成二十五年度におきましては、地域の医療機関の医師等を対象とした症例検討会や講演会を公社病院全体で百回程度開催しており、延べ二千五百人程度が外部から参加をしております。
 また、豊島病院におきましては、乳がんをテーマとした講演会を開催しておりまして、地域の医師会からの参加も受け入れております。

○あさの委員 二十五年度の実績で二千五百人、一回平均が大体二十五名で、各病院、平均とると十六回から十七回、月一以上のペースでやっているということで、これは非常に有効にやっているのかなとは思います。ただ、大きいのから小さいのまでいろいろあるとは思うんですけれども、一回平均が二十五名と。大体、各病院の運営協議会とかというのを見ると、学識経験者だとか地区の医師会さんだとかなんとかという方々、いろいろ含めて大体二十数名程度、運営協議会はいるわけですが、ぜひ、この運営協議会の人数ぐらいは平均が上回るように、今後もより広くPRをして、招いていっていただきたいなと思います。
 唐突に乳腺外科等の乳がんの話を伺いましたけれども、私、実は乳腺外科というか、乳がんの症例検討会、非常に広く公開しているものに参加したことがあります。これは埼玉県の今、放射線技師会の会長をされている田中宏先生という方が、病院の枠にとらわれず、広く看護師さんとか放射線の技師さん、お医者さんも招いて、一般の人も希望があれば受け入れるよという形の中で症例検討会というのをやっておりました。
 その中で、私も乳がんの読影とか、さまざまな症例というのをその場で教えてもらって、非常に勉強になったんですけれども、一方で、病院の報告書を見ると、中にも、放射線のマンモグラフィーの読影医師等養成研修事業というのも行っているようです。これは読影医、それから撮影技師認定講習会を実施することにより、乳がん検診の体制整備、受診率の向上を図るんだという形になっておりまして、この中で、お医者さんを対象にした読影研修というのと、それから、診療放射線技師を対象として、あとお医者さんも含めてですけれども、技術研修ということで二つに分かれているんです。
 この読影研修と技術研修というのが、まずどのように違うのか伺いたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 東京都がん検診センターで実施をしておりますマンモグラフィー読影医師等養成研修では、平成二十五年度に医師対象の読影編を二回、技師対象の技術編を二回行っております。
 読影編では、腫瘍や石灰化の読影の判定など、精細な読影の技術習得を目的としております。
 また、技術編では、ポジショニングや機器精度管理など、撮影技術、あるいは一次読影、スクリーニングの技術習得を目的としております。

○あさの委員 私も先ほどいった症例検討会というので見させてもらいましたが、マンモグラフィーの画像と、それから、エコーによるデータと、さまざまな、もちろん触診の結果とかいろんなものを合わせて、実際には乳がんかどうかというのを判定していくわけです。わかりやすいものはいいんですけれども、非常にわかりづらいものも結構あって、症例検討会ですから、実に微妙なものとかも出てきておりました。
 その中でやはり思ったのは、結局、読影をするとかということを考えて、あるいはマンモグラフィーをかけるときも、最終的にどういうような形で画像データが必要になっていくのか、あるいは、エコーとの組み合わせの中でどう判定していくのかということを深くわかっている方が、やっぱり技術的には高い撮り方ができるんですね。
 今はもちろん、一次読影、スクリーニングの技術習得等もやっているということですし、また、症例検討会というのはまた別の、これはマンモグラフィーの養成研修という形でやっておりますので、当然、症例検討会の中でもいろいろとやっていくことにはなると思うんですが、ぜひ、この技師さんたちもお医者さんと同等の読影ができる、そういった人たちを育てるぐらいのつもりで、これを深くやっていってほしいんです。
 非常に乳房の映像というのは、石灰化とかいろいろ、乳腺炎とかとも区別がつきづらいものがあったりして非常に大変だったということが私も記憶にありますので、ぜひそういう技師も育てていってほしい、あるいは看護師さんも含めて、一緒に育てていくような研修にまた高めていっていただきたいと思います。
 先ほどご紹介いたしました放射線技師会の会長さんがやっていたというものですが、実はタイトルがちゃんとついていて、画像の向こうの患者を診ようというタイトルでその症例検討会をやっております。それはなぜかというと、データをただ見ているだけだと、単なる症例なんですね。これが乳がんかどうか、そしてその乳がんを治療するためにはどうしたらいいのかということを考えて、どういう治療法がいいのかというのをお互いに話し合おうだけで終わってしまうんですが、特に乳がんの場合、非常に問題なのは、女性の象徴ともいわれるような乳房を切除するかどうかというところの問題点があるわけです。
 乳がんというのは、その場で僕も初めて知ったんですけれども、例えば四分の三切除にするのか全摘にしてしまうのかということで、普通に考えると少しでも残った方がいいのかなと思うんですが、きれいな形で復元しようと思うんだったら、四分の三だと実は復元できないとか、そういった知らないこともいっぱい勉強になって、そういうことも全部含めて、患者さんの人生も考えて、その後--その人が若いのか、既に結婚しているのか、子供を産んでいるのかということ全部を含めて、この人に一番向いている治療法は何かというので症例検討というのは進んでいっておりました。
 これはもう、がんの治療はもちろんのこと、患者の今いったような人生を含めた治療判断というのをやっていかなければならない。また、先ほどいったように、患者さん側も知らないんですね。過去になったことのある人って、ほとんど多分いないと思うので、全く知識がない。ましてや、そのご家族の方になるとなおのこと、例えば結婚なさっていて、旦那さんとかまで含めると、ほとんど何も知らない状況で来る人が多いわけで、そういう患者さんたちにも正確な情報を伝えながら治療法を選択していく必要があると思うんです。
 なので、そういったような形での症例検討会というのをぜひやっていくべきだと思うんですが、そういったものを開いているのかどうかについて伺いたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 各公社病院におきましては、定期的に医師や看護師、薬剤師など多職種のスタッフによるキャンサーボードを開催いたしまして、がん患者さんの家族背景や社会的背景、病状認識などの患者背景、また、患者さんの症状や状態、各種検査結果を踏まえ、治療方針などの検討、意見交換を行っております。
 その上で、先生お話の乳がんでは、全摘術、抗がん剤による温存治療などさまざまな治療法について、メリット、デメリットなど正確な情報を患者さんに提供しながら、患者さんと医師がよく話し合い、最善の治療法を決めることができるように対応をしております。

○あさの委員 ことしでしたか、去年でしたか、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子のチェックをして、自分が乳がんになりやすいというので、なる前から全部取っちゃって再生手術を受けるというニュースがございました。ハリウッド女優の方ですので、またいろんな考え方はあるんだと思いますけれども、当然そういったような選択肢もこの先出てくる可能性もありますし、また、乳がんになったときも、いろんなことを考えてくる人たちがいると思うんですね。
 先ほど患者さん側には知識はないといいましたが、今は、逆に、インターネット等の普及によって過剰に情報を手に入れてしまう人たちもいるわけで、そういった方々に対応するためにも、ぜひ今行っているようなものを、より精度を高めていっていただきまして、そういったものも地域の方々にも公開しながら進めていっていただければと思います。
 今まで聞いてきたような、いわゆるお医者さんはもちろんですけれども、技師さんだとか看護師さんだとか、特に若い方々が、これから先、スキルアップをしていく、いろんな技術を身につけていかなきゃいけないという中で、そのスキルアップを目的として、若い技師や看護師を対象とした、いわゆる専門的な、非常に一つ一つに特化した専門的な症例検討会ということも開いているのかについて伺いたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 公社病院におきましては、各部門におきまして、スキルアップや専門性の向上を目的とした取り組みを独自に実施をしております。
 例えば看護部では、三年間で看護師としての専門知識や技術を段階的に身につけられる研修プログラム、いわゆるクリニカルラダーを導入しており、看護師がみずからの目標に向けてレベルアップできるよう研修カリキュラムを設定しております。
 また、薬剤科では、定期的に新人育成担当者会議を開催し、情報交換を通じて、具体的な指導、育成プログラムの構築及びスキルアップのための講習会を開催しております。

○あさの委員 医療従事者の皆さんは、日々、非常に厳しい労働環境というか労務環境の中で仕事をされていて、また、プレッシャーも相当強いと思うんですね、命を預かる現場ですので。ただ、その中で、やはり将来に向けて一つ一つ積み上げていくということは大事なことですから、ぜひそういった研修といったものについて、これまでも十分やってきたと思いますが、今後一層力を入れていっていただきますようにお願いしたいと思います。
 続きまして、これまでも多少質問が出ておりますが、エボラ出血熱を含みます感染症について、少し伺いたいと思います。
 先ほどの質疑等にもありましたが、いわゆる一類、あるいは二類といった感染症というのは、正直、日本の中には入ってほしくない、入ってくると本当に大変な事態になるということで、基本的にはないことが一番望ましい感染症ではあります。
 とはいえ、ないことを望んでいるだけで来ないなら一番いいんですけれども、そんなことはとても実現できないので、いつ、仮に入ってきたとしても、被害を最小限で食いとめる、そういった対策をとっていかなければなりません。
 先ほども聞かれていたような、いわゆるエボラ出血熱等の、非常に厳しい感染症について、職員の方々は実際に医療従事者として現場で担当しなきゃいけない。患者さんが来たら、それを救うために、自分の身を投げ出してというわけじゃないんですけれども、治療に専念をしていかなきゃいけない。そのためには、やっぱりふだん、いろんなことをきちっと学んでおく必要があると思うんです。
 まず、そういった実際に触れる職員に対する研修とか訓練などの人的育成の頻度とか内容がどのようになっているのか伺いたいと思います。

○野瀬サービス推進部長 第一種感染症指定医療機関であります都立墨東病院、駒込病院、公社荏原病院におきましては、平時より、感染症の患者が来院した際の対応マニュアルを定め、毎月一回、医師、看護師などが防護服の着脱訓練を行うとともに、毎年一回は、病院全体で患者受け入れ訓練を実施してまいりました。
 西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行を受け、日本国内での発生に備えて、実際に専用の患者搬送車を使用し、医師や看護師が防護服を着た上で模擬患者に採血などを行うといった実践的な訓練を実施し、対策の強化を図っております。

○あさの委員 私も先日、記者さんに公開されました墨東病院の設備というのを一緒に見てまいりました。その中で、防護服を着ている方もいらっしゃいましたし、実際の設備も見させていただきました。
 現実には、ふだん、当然一類の指定の患者さんというのは、今のところ日本には、東京には入ってきたという事例は聞いておりませんので、墨東病院も使っていない病棟で、かつ、ベッドも使わない状態のまま、ただし、訓練で、ずっと、いつでも使える状態で持っていなきゃいけない。まさにこの一つとっても、行政的医療、公立病院として存在する意味があるんだなという気はいたしました。
 ただ、例えばそのときも、先ほど伺った十一月十一日に行っているエボラ出血熱に対する訓練では、本当の専用の防護服--防護服も実際には二種類あるそうで、いわゆる新型インフルエンザを想定した防護服と、エボラ出血熱等のもっと激しいというか、第一類に属するような感染症を想定した防護服、両方あるというふうに伺っております。十一日には、実際にはより強い感染症を対象とした防護服を着ていたというふうに伺っておりますが、私が行ったときは、たまたま新型インフルエンザ対応のものではありました。
 ただ、どちらにせよ、着脱だとか、そういったところの訓練も行っているということですが、例えばブラックライトに反応するような溶液を使って、実際に本当に体に触れていないのかどうかということをチェックしたりとか、もっともっと、実際にもしかしてやっていらっしゃるかもしれませんけれども、より実践的に訓練の中でも、後でチェック、検討ができる、検証ができるようなシステムを考え得る限り導入して、訓練だからといって、できる範囲に限界はあるとは思いますけれども、とはいえ、できる限り、もっといえば、実際の患者さんが発生したときよりもより厳し目に訓練というのはしておいた方がいいと思いますので、ぜひそこには知恵を総動員して取り組んでいただければと思います。
 今お話しした防護服というのも、実際には、ふだんは備蓄という形で持っているわけでありますが、ただ、この防護服などの必要な資器材というものは、やはり使うときに何か不備があっては困るわけで、そういった意味では資器材の必要数を備蓄し、また、場合によっては最新のものに更新をする、そして、その使用期限というか適用期限などを確認しながら実際に備蓄を行っていかなければいけませんが、そういったことをどのように行っているのかについて伺いたいと思います。

○野瀬サービス推進部長 病院経営本部においては、防護服、二重で使用する手袋、シューズカバーなどの防護具を約五万セット備蓄しており、使用期限を考慮した更新計画を策定し、適切に管理しております。
 防護具の更新に当たっては、都立公社病院の副院長、感染症科医師が参加する感染症対策委員会において、製品の仕様などを検討し、選定しております。

○あさの委員 今のご説明にあったとおり、先ほどの質問の答えでもありましたけれども、実際にもっといいものにした方がいい、ゴーグルの話も出ておりましたが、そういう意見も取り入れて、よりよいものに少しずつ変えていくということも伺っております。
 ぜひ、これはある意味、医療現場で実際に担当していただける方々を守るものですから、そこについては、一切の本当に不備が入り込まないように、より一層の注意と更新等の作業をお願いしたいと思います。
 ところで、実際に医療従事者の皆さん方は、高い専門性と技術、経験、そして研修で身につけたスキルといったものを持って、そして何よりもモチベーションを高く持って、目の前にいる患者さんを救うべく働いていただいております。
 実際、私なんかは、そんな技術もスキルもないわけですから、そういった方々の活躍、活動に敬意を払いつつも、お願いしていくしかない。ただ、その人たちが働く上で、やはりその方々にも家族がいるわけですし、その方々の人生もあるわけですから、ただ医療従事者として救うだけではなく、その方々自身が安心して治療に専念できるという環境を常日ごろから考えておく必要があると思います。
 実際に、例えばエボラ出血熱レベルの、高いレベルの感染症が発生した場合に、実際に患者さんと接するような看護師さんが、どのようなシフト体制を組んで、そして、例えば実際にそういった病気が本当に発生した際は、危険手当というか、そこでモチベーションが変わるとは思えませんが、少なくとも我々ができるのはそういう、お礼というわけではないですけれども、報酬という形で応えることしかできないと思いますので、そういった手当という制度はどのようになっているのか伺いたいと思います。

○野瀬サービス推進部長 防護服を着用しての看護業務は、九十分から百二十分程度が限界であります。このため、三人一組でチームを編成し、防護服を着て患者のケアを行う者、患者のケアを支援する者、ナースステーションで記録作成や院内連絡を行う者といった役割分担を行い、その役割を交代しながら患者のケアを継続していくこととなります。
 患者及び疑似患者の治療、看護や検査業務など、感染症の病原体に接触する可能性のある業務に従事したときなどには、東京都職員の特殊勤務手当に関する条例に基づき、防疫等業務手当が支給されます。

○あさの委員 聞いたところによると、今伺った防疫等業務手当というのも、一日七百二十円というふうに聞きました。それが高額なのかどうかというところもちょっとあるんですけれども、ただ、少なくとも、高い意識、志という意識を持って従事していただいている医療従事者の方々を、できる限り守れる体制、そして何よりも、さまざまな形でその労に報いていけるような形にしていっていただければと思います。
 この感染症というのは、BSL4といわれるレベルでできる機関というのも国の中に二つあるといわれておりますが、実際には、その二つも、いろんな検査はしているようですけれども、住民等の反対があって、なかなかうまい起動ができていないというところも伝え聞いて、話で入ってくるところでございます。
 地域住民の方々にとっては、これは、他のいわゆる迷惑施設といわれるようなものにもいえることでありますけれども、我々から考えれば、実際には迷惑でも何でもない、人が社会としてみんなで生きていくために必要なものだとしても、必要なのは認めるけど、自分ちの隣には欲しくないというのが人情でもあったりします。その部分をただ認めていくわけにはいきませんが、一方でさまざまな説明もしていく必要はあると思います。
 ここで、いわゆるこういった感染症を受け入れる体制を組んでいる病院というのは、ふだんは普通の病院として存在するわけでありますが、実際に、エボラだとか、いわゆる致死性の高い感染症の患者が運び込まれるという事態になりますと、当然のことながら、その地域の方々の不安が出てくるというのもわかることでありますので、これは日ごろから地域の住民の方々への理解の促進というのもやっていかなければならないと思います。
 そこで、そういった病院の地域住民への理解の促進や広報のあり方、あるいはメディアに対する対応といったものはどうやっているのかについて伺いたいと思います。

○野瀬サービス推進部長 感染症医療を担う都立、公社病院においては、日ごろから地元町会などと意見交換を行い、病院の役割や医療機能について説明するとともに、例えば病院の改築時などには内覧会を開催するなど、地域住民の理解を得るよう努めております。
 訓練の実施時など、事前に連絡できる場合には町会長へ説明を行ったり、地域住民にお知らせのチラシを配布するなどの対応をとっております。
 また、実際に患者を受け入れることになった場合は、地域住民に不安を与えないよう、国などの関係機関と連携し、プライバシーに配慮の上、患者の状況などについて、報道機関を通じて周知をしてまいります。
 なお、病院での報道機関対応への応援として、地元警察署には協力を依頼しており、交通整理を行うなど、近隣への配慮も行ってまいります。

○あさの委員 今伺ったとおり、日ごろからさまざまな努力をしていただいて、本当にありがとうございます。特に、一番最後にありました、実際に患者を受け入れる際になれば、当然報道機関も殺到するでしょうし、そしてその殺到した報道機関に、医療従事者の方々が対応するようになってはいけない。だから警察にも協力を依頼しているというのも大切なことだと思います。
 残念ながら、今のメディアの報道の仕方、あるいは取材の仕方というのは、全体的なことを考えた配慮というのがあるとは、ちょっと私には見えない部分もありますので、その部分も準備をしているというのも非常に安心をいたしました。
 今まで伺ってきたとおり、最後の地域住民のこともそうですけれども、実際に、民でできることは民でという言葉もありますが、民間で、たとえ病院だといっても民間でやるとしても、こういった感染症の対応というのは、先ほどいったように、ふだんから全く使っていない病室、私も見に行きましたが、ワンフロアのかなり大きな部分を、たった二つのベッドのためにあんなに大きな部屋を幾つも確保しておかなければいけない。そして、そこには実際には入らないことが一番望ましい感染症のために常にあけて準備しておかなきゃいけない。来ないことがいいと望みながら、毎月のように研修、訓練を行い続けなければいけない。そしてなお、そこに感染症の人たちが来るということがあれば、当然、場合によっては風評被害の影響も考えなければいけない。恐らく民間病院では、やるためのハードルは幾つも乗り越えなければいけないんだろうと。単純に、例えば補助金出せばいいというような問題ではないと私は思っております。
 そういった、そのこと一つとっても、都立の病院、あるいは公社病院といった公立の病院というのは、実に必要性が高いと。実際に厚生労働省が指定している感染症の指定医療機関も、全国レベルで見ても、ほとんどが公立病院でありますから、そういった意味では、その自負と、また、その信頼に応えるべく、訓練等も、研修等も非常にこれからも頑張っていっていただきたいということを心からご期待とお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

○おときた委員 私からはまず、都立病院経営委員会についてお伺いをいたします。
 病院経営本部では、都立病院の医療の質の向上と効率的な経営を実現するためとして、都立病院経営委員会を設置しております。
 まず、こちらの委員会の具体的な活動内容と役割について教えてください。

○高野経営戦略担当部長 都立病院経営委員会は、都立病院における医療の質の向上と効率的な経営を実現するため、病院や企業の経営、財務事務などに精通した専門家による直接指導や実効性の高い改善策の提案を得ることを目的として設置をしております。
 主な活動内容でございますが、都立病院の経営全般や当該年度の事業計画等について助言や提言を行うこと、また、病院への継続的な監査や措置状況について検証等を行うことでございまして、年に二回程度、委員会を開催し、ご議論をいただいております。
 さらに、平成二十五年度には多摩総合医療センター及び小児総合医療センター、平成二十六年度には墨東病院において現場視察及び意見交換を行いまして、各病院に対して専門家の視点から助言を得ております。

○おときた委員 都立病院経営委員会の役割とその活動内容がよくわかりました。
 さて、こちらの委員会のメンバーの変遷を見ますと、平成二十三年度より、従来の九名から十五名へと大幅に委員を増員しています。しかしながら、この間に、特に都立病院の経営規模や、または患者数が大きく変わったわけではないと思います。この増員の理由とその狙いについてお聞かせください。

○高野経営戦略担当部長 少子高齢化の進行等に伴います医療環境の変化や、医療や介護の新たな提供体制への対応、さらに、診断群分類包括評価を用いた入院医療費の定額支払い制度、DPCの導入など、診療報酬の改定といった病院経営を取り巻く環境が複雑さを増していることから、これらに的確に対応するため、医療経済学や病院管理の専門家など学識経験者等を増員し、検討体制を強化しております。
 また、平成二十二年度の包括外部監査におきまして、個人未収金の滞納管理や診療材料等の棚卸資産の管理など、多岐にわたって指摘を受けたことから、抜本的な改善を図るため、公認会計士を増員し、都立病院の財務事務に対する外部監査機能を整備しております。

○おときた委員 検討体制の強化、外部監査機能の整備のためとのご答弁でした。ですが、厳しい財政状況が続く中、こうした外部委員会の活動へも都民からは厳しい目が向けられています。委員をふやせば、人件費を中心に、決して少なくない経費が使われますから、その効果については、明白にはかられなければならないと考えます。
 委員の増員から三年以上がたちますが、具体的にはどのような成果が見られたのか、お聞かせください。

○高野経営戦略担当部長 平成二十三年十一月に、医療経済学や病院管理を専門とする学識経験者など五名で構成される経営部会を設置し、都立病院の将来の方向性を大きな視点からご議論いただいております。
 また、平成二十四年九月には、都立病院が提供すべき医療機能や地域の医療機関との協働のあり方、経営力の強化手法など、今後の都立病院のあり方について委員会報告として取りまとめをいただきまして、これを踏まえまして、都におきましては平成二十五年三月に都立病院改革推進プランを作成しております。
 また、同時期に、公認会計士三名で構成をされます監査部会を設置し、包括外部監査の指摘事項に対する対応策について助言や検証をしていただいたところでございます。その助言を踏まえまして、財務事務に係るマニュアルの見直しや個人未収金の管理体制の強化など、指摘事項に対する着実な改善を図っております。
 現在も継続的に外部監査機能として指導助言をいただいております。

○おときた委員 都立病院改革推進プランの策定や、財務事務に係るマニュアルの見直しなどに一定の功績があることがわかりました。
 同時に、明確な目的のための増員措置であれば、その役割を終えれば適正人数に戻すこともまた大いに検討されるべきだと思います。
 今後も都立病院経営委員会の委員数については、不断の見直しを続け、必要に応じて削減し、またその理由、意義が都民にわかりやすく伝わるように要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、都立病院及び公社病院における言語聴覚障害者対応についてお伺いいたします。
 これは公立の病院に限った話ではありませんが、医療機関の診断をお願いする際の手段は電話が中心です。ところが、これでは、言語や聴覚に障害のある方は、ご自身で連絡をとることができません。現状、こうした方々への対応はどのように行われているのかを伺います。

○野瀬サービス推進部長 都立病院では、基本的役割である行政的医療として、障害者医療を全病院で展開し、積極的に取り組んでおります。
 言語、聴覚に障害のある方についても、多くの患者の診療を行っているところですが、予約の際には、診療情報提供書の有無、ない場合には、それが必要な理由の説明、受診する診療科のご希望、病院指定の日時での受診が可能かどうかなど、さまざまな双方向のやりとりが必要なため、電話での受診予約としております。
 都立病院に電話で受診予約が必要なのは、初診のときがほとんどであり、言語や聴覚に障害のある方については、家族や友人などの代理の方が電話で受診予約をされていることが多く、また、かかりつけ医から病院へ直接、受診予約が入る場合がありまして、これまで特に支障が生じたことはございません。

○おときた委員 電話のみの対応になってはいるものの、代理の方などが対応するので、特に今まで支障は生じていないとのご答弁でした。
 しかしながら、私のもとには、若年層の障害者を中心に、メールやインターネットなどを使って自分自身で連絡がとれるようにしてほしいとの声が多く寄せられております。
 都立病院などのホームページを見ますと、老若男女全ての方に、見やすく、わかりやすく作成されており、また、誰もが利用できるウエブアクセシビリティーという基準についても厳しく配慮されていることがわかります。しかしながら、肝心の連絡手段については、やはり電話番号のみの記載になっておりまして、これでは、特定の障害者の利用をシャットダウンしてしまいます。
 既に、同じ障害者の中にもジェネレーションギャップが存在しており、障害者団体の中心となる高齢者層からは、余りそのニーズは出ませんが、若い障害者の方になりますと、自分のことは自分でしっかりと行いたい、メールやインターネットという技術があるのだからそれを活用させてほしいと、そういう思いを持つ方が多数存在いたします。
 まだまだ多くの医療機関が電話対応のみとなる中で、公的な機関である公立病院こそ先駆けて、言語聴覚障害者対応のため、メールやインターネットによる対応を導入すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○野瀬サービス推進部長 都立病院の受診予約については、さきにお答えした診療情報提供書や受診日時に係る調整のほかにも、適切な診療科の受診につなげるため、具体的な症状や合併症を聞き取るなど、さまざまな双方向のコミュニケーションが必要であります。
 患者ごとに異なる状況をきめ細かく酌み取り、患者が安心して納得できる医療を提供していくことが大切であると認識しており、メールやインターネットの利用は、多くの課題を有していると考えております。

○おときた委員 診療という性質上、電話における細やかな対応が必要となることは一定程度理解できますが、代理の方を挟んで対応する場合でも、同様の欠点は完全には解消されません。また、今、インターネットにおいてさまざまなやりとり、問い合わせフォームなどを使って複雑なやりとりが可能ともなっております。
 繰り返しになりますが、障害をお持ちの方の、自分でできることはできるだけ自分で行いたいという思いは、我々には想像できないほど非常に強いものです。私のもとに来た訴えの中には、代理の方に用事を頼まなければならないたびに、自分は一人では生きていく資格はないのだと、そう思わされているようで、強い悲しみに見舞われるといった切実な声もありました。
 今のこの時代、技術で解決できるようになったことは多数ございます。東京都が所管する公共機関としては、同じく電話での対応窓口しかなかった警視庁の遺失物センターにも、先般、当人たちの強い希望と時代の要請により、障害者用の問い合わせフォームが設けられ、インターネットを通じて、言語聴覚障害者の方々がみずから連絡することが可能になりました。
 ぜひとも、都立病院、公社病院には、こうした状況をご理解いただき、時代と患者に寄り添った対応を早急に導入されることを強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○小宮委員 私からは、地域の中にある、地域に生きる都立病院という、そうした観点から、まちの医療機関との連携、また、今必要とされている在宅に移行するための支援、そして、医療措置だけではない地域住民とのかかわりという視点、また、国が目指す地域包括ケアシステムの中で都立病院が果たすべき役割といった、そうした視点から伺ってまいりたいと思います。
 都立病院の改革推進プランには、その基本的役割、既に山加理事からも再三お話もございました行政的医療というものを都民に提供すること、そして、ほかの医療機関などと密接に連携をすることで、東京都における良質な医療サービスの確保を図るということが期待をされています。これは、都立病院の持つ高い専門性がさまざまな医療機関との連携によって、それを必要とする都民に対して最大限活用されることを目指したものです。
 これまでも都立病院では、地域の医療機関からの紹介患者を受け入れて高度急性期医療というものを提供してきました。そして、症状が安定した患者は、紹介元にお返しをしたり、あるいはより適切な医療機関へとさらに紹介をするといった、地域の医療機関などとの役割分担というものをしっかりと図ってきました。
 そこでまず、都立病院におけるそうした地域医療機関から患者を紹介される割合、また、安定した後に紹介元にお戻しをした割合、さらに都立病院から、より適切な医療機関へと紹介した割合の推移を確認しておきたいということと、それから、そのような関係を支える医療連携の強化に向けた取り組みについて伺います。

○野瀬サービス推進部長 都立病院は、これまでも地域医療機関からの紹介予約制を基本に診療を行うなど、医療連携を推進してきたところであり、それを数値であらわす紹介率及び返送、逆紹介率については、重要な経営指標の一つとして、その向上に毎年度重点的に取り組んでおります。
 三年間の推移でお答えいたしますと、紹介率は、平成二十五年度が七四・二%で、平成二十三年度の七一・八%と比較して二・四ポイント上昇、返送率は、平成二十五年度が四七・三%で、平成二十三年度の四〇・四%と比較して六・九ポイント上昇、逆紹介率は、平成二十五年度が二九・〇%で、平成二十三年度の二六・二%と比較して二・八ポイント上昇となっております。
 この連携関係をさらに強化するため、各病院では、地域の医師会との連携会議を開いたり、連携担当副院長が地域の医療機関を直接訪問して意見交換を行ったり、あるいは地域の医師を招いて症例検討会を開催するなど、顔の見える連携を積極的に推進しております。

○小宮委員 都立病院が地域医療機関と適切な役割分担というものを果たすためには、まさに今おっしゃられた、日ごろからの顔の見える関係というものが欠かせないというふうに思います。
 都立病院は、行政的医療を担うわけですから、都民にとっては、例えば近所にあっても身近な病院とはいえないかもしれませんが、医療連携によって、都民に本当に必要な医療というものが適切に提供される、そうした取り組みを今後も継続をしていただきたいと思います。
 さて、社会の高齢化というのは一層進展をしています。七十五歳以上の後期高齢者は現在、一千五百万人を超えています。またその中でも、高齢者の単身世帯や夫婦のみの世帯、また、認知症高齢者が増加をしておりまして、その傾向というのは今後ますます増大をしていくものと各種調査によって推計をされているところです。
 厚生労働省の調査では、七割以上の国民が、要介護状態になっても自宅で暮らし続けることを希望しています。また、医療が必要なそうした状態になったとしても、やはり六割を超える方が自宅での療養を希望しているという結果が出ています。手術など入院が必要な、そうした病気については、当然、専門機関である病院での治療となりますが、その治療の後は、介護施設への転院というのではなくて、在宅療養への移行を希望する患者が潜在的にも多いものと思います。
 こうした状況を踏まえて、都立病院改革推進プランでは、地域医療機関等との協働の一項を設けまして、その中で、在宅医療を実践する医療機関や訪問看護ステーション、介護施設等との連携というものを強化して、地域との協働体制の充実を図るべきというふうに述べています。
 そこで、介護や福祉関係機関等との連携についてはどのような取り組みを行っているか伺います。

○野瀬サービス推進部長 都立病院においても、患者の高齢化により、重症の患者や合併症を有する患者がふえてきております。
 また、高齢者は病院での治療を終えた後も在宅での療養や介護が必要な患者が多い状況にございます。そうした患者には、病院のソーシャルワーカーであるMSWが個別に対応し、地域のケアマネジャーや訪問看護ステーションなどと連携して、患者の在宅療養移行を支援しております。
 また、地域の在宅医療を担っている関係者との意見交換会や、介護、福祉担当者を含めたカンファレンスなども適宜実施し、連携関係をつくり上げております。

○小宮委員 他の医療機関とだけでなくて、在宅療養を支える、そうした関係者とも積極的にかかわっている、そのような取り組みを評価し、ぜひ今後の活動に期待をするところです。
 さて、都立病院というのは広い敷地を持ち、大きな建物、大勢の職員が働く巨大な施設として、各地域のご理解を得ながら存立できているものと思います。病院として医療を提供するというのは当然のことですが、都立病院が属する地域、例えば私の住む杉並区に隣接する世田谷区の松沢病院に対しては、公的施設として地域への貢献を期待する声を私も杉並区民から直接聞いているところです。
 残念ながら、杉並区は含まれていないんですけれども、松沢病院と世田谷区の町会や自治会、商店会など地域の皆さんとの間で年間を通じた意見交換の機会を設けていると聞いています。
 そこで、都立病院では、地域住民とのかかわりをどのように持っているのか伺います。

○高野経営戦略担当部長 先生ご指摘の松沢病院におきましては、心身喪失などの状態で重大な他害行為を行った人への治療を行う医療観察法病棟の建設に当たりまして、都立松沢病院連絡協議会を設置し、地域の安全対策やまちづくりについて、近隣の町会などと定期的な意見交換の場を設けるとともに、連絡会での検討を踏まえまして、防災倉庫の設置や横断道路の整備などを行っております。
 また、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、神経病院の都立三病院がございます多摩メディカルキャンパスにおきましては、教育関係や療育関係など、病院以外の都立施設も含めた府中キャンパス地域連絡会を設置いたしまして、キャンパス内の施設整備や各施設の運営に当たり、地域住民からの要望などを聞く機会を設けております。
 他の都立病院につきましても、広尾病院の災害医療に関する市民向け公開講座や、町会の定例行事への参加など、さまざまな機会を通じまして、地域と病院との関係づくりに努めております。

○小宮委員 地域住民にとって、近くに都立病院があるということは、いざというときの安心感を得られる反面、夜間や休日の救急車の受け入れなど、さまざまなご理解をいただくこともあります。特に山加理事から質問のあったエボラ出血熱への対応に関しても、近隣の皆様のご理解とご協力があるからこそ、訓練の実施や実際の受け入れが可能となり、結果として多くの都民の生命と健康を守ることにつながると思います。
 都立病院がその役割を十分に果たしていくためにも、今後、各都立病院において、さらに地域との協働というものを進めていただきまして、ぜひ近隣住民からの信頼が得られるよう、医療とは異なる分野もあるとは思いますけれども、ご努力をお願いしたいと思います。
 さて、最後の質問になります。現在、国は、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年を目途に地域包括ケアシステムの構築を目指しています。地域包括ケアシステムは、重度な介護状態になっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的にできる、そうした仕組みです。
 地域包括ケアシステムの構築の主体は区市町村でありますけれども、都立病院についても、前段の質疑で明らかなように、患者が在宅療養に移行する際の連携や、入院が必要となった際の対応といった幅広い協力が求められています。今後はこれまで進めてきた医療連携、介護福祉施設との連携や地域への貢献について、さらに一歩進んだ取り組みが必要であろうかと考えます。
 病院経営本部では、全都立病院に患者支援センターを設置し、患者や家族の相談機能の充実、在宅療養移行支援を強化していくこととしています。そこで今後、患者支援センターでは、地域の医療機関や介護施設等とのさらなる連携強化や支援について、どのような取り組みを行っていくのか伺います。

○野瀬サービス推進部長 都立病院では、来年度に、全病院に患者支援センターを設置し、各病院の医療機能や地域特性に応じた患者相談機能、在宅療養移行支援の一層の充実を図ってまいります。
 具体的には、医師をセンター長とした院内の組織を整備し、区市町村において異なる地域の実情や個々の患者の情報について、複数の職種、部門間で一体的に共有を進めるとともに、MSWと地域のケアマネジャーなどとの調整を組織的に行ってまいります。
 さらに、地域で患者を支える多くの職種との交流会や技術研修を充実強化するなど、地域の医療機関や介護施設などとのさらなる連携強化や支援に取り組んでまいります。
 今後とも、区市町村や関係機関に協力しながら地域包括ケアシステムの構築に貢献し、地域医療機関や介護福祉施設などを支援することで、地域の高齢者を支えるための一翼を担ってまいります。

○小宮委員 在宅療養移行支援については、都立病院だけではなく、地域医療を担う二百床未満の二次救急医療機関におきましても、福祉保健局の取り組みによって、各病院に専門の窓口を設けて職員を配置し、円滑な退院を支援するといった取り組みが始まっています。
 各局が連携をして、超高齢社会に向けた対策を推進する中で、都立病院の新たな役割など、時代に即した柔軟な運営を期待して質問を終わります。

○遠藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩といたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時開議

○遠藤委員長 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤(や)委員 よろしくお願いします。休憩前は比較的都立病院のご質疑が多かったのですが、私は地域医療に係る公社病院の役割についてということで、ちょっとテーマを絞りまして、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 冒頭に、私も過日行われました都立墨東病院でのエボラ出血熱の訓練に参加をさせていただきました。遠藤委員長もご一緒だったのですが、大変士気高く、危険業務ということで感染症の患者の方に接する医療機関の方々は、本当に都民の安心・安全を守るためにという使命感に燃えて携われていることを身近に感じてまいりました。大変厚い防護服を着て、感染予防のためにいろんな装備をされるわけですが、会話もなかなかままならない中で、呼吸も非常に苦しかろうという中で、本当に懸命に任務を遂行される現場の方々に大変敬意を表したいと思います。
 都民の安心・安全のために、引き続き万全な体制をお願いしたいと思います。
 早速質問に入りますけれども、東京都の高齢者人口の割合は今後上昇を続けまして、平成四十七年には、およそ三人に一人が六十五歳以上の高齢者になるなど、超高齢社会が到来することが見込まれております。
 特に団塊の世代が七十五歳以上となる平成三十七年、いわゆる二〇二五年、さまざまな委員からのご質疑もありましたけれども、二〇二五年以降は、医療や介護の需要がますます増加することが見込まれておりまして、高齢者の方が住みなれた地域で暮らし続けていけるよう、地域医療の果たす役割が一層求められることになると思います。
 そうした社会情勢の変化の中にありまして、これは何度も繰り返しになりますけれども、地域医療に係る公社病院の役割についてお伺いをしたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 公社病院は、地域の診療所と病院の役割を明確にし、緊密な連携を推進していく地域医療のシステム化を推進することを目的に設立したものでございます。
 そのため、六つございます公社病院では、全ての病院で地域医療支援病院の承認を受け、地域の診療所や病院との紹介、逆紹介などを通じた医療連携に積極的に取り組んでおります。
 さらに、高齢化の進展を踏まえ、今後とも高齢者が住みなれた地域で暮らしていけるよう、医療と介護が連携した地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域医療に貢献してまいります。

○斉藤(や)委員 都立病院改革等さまざまな経営という観点での改革もございましたけれども、この公社病院というのは、その存在そのものが地域に対する、地域医療のシステム化を推進することを目的として設立されている医療機関でございます。
 地域包括ケアシステム、これは国を挙げて今、基礎自治体などを中心に構築に向けて懸命でございますが、そういった地域包括ケアにも、とても密接に関係している医療機関であるというふうに認識をしております。
 この公社病院は、昭和六十三年の東京都保健医療公社の設立当初から、地域の診療所と病院の役割を明確にし、緊密な連携を推進していく地域医療のシステム化を推進することを目的としてきたということの確認をいたしました。
 これから各自治体が地域包括ケアシステムを構築していく中で、地域の中核病院として、いわば先駆的な挑戦をしてきたのが公社病院であるともいえると思います。
 今後は、高齢化の進行に伴いまして、地域医療の重要性が高まっている中で、地域医療を支える公社病院として、より一層の連携を進めていただきたいと思います。
 さて私、地元は目黒区でございまして、選挙区、目黒区でございますが、隣接する大田区にある公社荏原病院でございますが、これは、区南部保健医療圏の中核的医療機関として、これまでも医療連携に取り組んできたと伺っております。
 そこで、荏原病院における医療連携の具体的な取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 荏原病院におきましては、地域医療連携室を設置いたしまして、大田区、品川区、目黒区、世田谷区の八医師会及び七歯科医師会に所属をいたします医師や病院との協力関係を密にしておりまして、平成二十六年十月一日現在の連携医の数は、医科で八百七十九人、歯科で九百六十一人となっております。荏原病院からこれらの医療機関に紹介した後も、検査や入院が必要になった場合には、いつでも荏原病院で対応をしております。
 また、連絡会、研修会、症例検討会などを開催し、地域の医療機関との交流を図っております。
 さらに、地域医療連携室には相談部門を設けまして、医療ソーシャルワーカー、MSWによる医療福祉相談や看護相談を実施し、患者さんの療養上の問題や退院に向けた援助、経済的な問題の相談を行っております。

○斉藤(や)委員 荏原病院に絞ってのお話になりますけれども、いろいろな公社病院の地域に応じた役割というのが、地域柄があると思いますが、荏原病院はいわゆる大田区と品川区が属する区南部保健医療圏の中核病院でありながらも、今、目黒区とか世田谷区の医師会との連携のお話がございましたけれども、医療圏を超えまして、目黒区や世田谷区の医師会や歯科医師会に所属する医師、病院と連携しているというご答弁でございました。私、ここにちょっと注目をしてみたかったわけでございます。
 医療圏でこだわっているんじゃなくて、地域柄、非常に広い基礎自治体を擁する医療圏もございますけれども、二十三区内の人口密度の高い地域などにおきましては、医療圏の区境でさまざまなそういったニーズが生ずるわけでございますが、荏原病院の場合は医療圏をまたがって目黒や大田にも世田谷にも、そのような連携を図っているとの確認をさせていただいたわけでございます。
 さて、この荏原病院でございますが、いわゆる得意分野あるいは重点を置いている疾病があるというふうに私は思うわけでございます。
 私は先日の決算特別委員会の第二分科会で質疑をさせていただきましたけれども、荏原病院が総合脳卒中センターを設置いたしまして、脳卒中を発症した患者の方の急性期集中治療に積極的に取り組んでいる点、あるいは平成二十五年の七月から高次脳機能障害支援普及事業に取り組んでいる件につきまして質疑をさせていただいたところでございますが、そこで、本質疑ではそれ以外の疾病について、特にがんと認知症について絞ってお伺いしたいと思うわけであります。
 まず、がんについてでございますけれども、東京都では、現在三人に一人ががんでお亡くなりになりまして、今後の高齢化の急速な進展によりまして、都民のがん患者の数や死亡者、亡くなる方の数はますます増加していくことが見込まれております。
 そこで、荏原病院のがん医療に係る地域連携の具体的な取り組み内容についてお伺いをしたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 荏原病院における平成二十五年度のがんの入院患者数は千三百四十三人で、このうち、大腸がんの入院患者数が三百四人となっております。同年度には、東京都大腸がん診療連携協力病院の認定を受けましたことから、こうした患者さんを対象に、がん地域連携クリティカルパスの活用を初め、地域の医療機関との連携の取り組みを進めております。
 さらに平成二十六年度から、地域医療連携室にがん性疼痛認定看護師を配置し、患者さんのがんに関する悩みや相談、地域の医療機関の紹介に対応しております。

○斉藤(や)委員 ただいまのご答弁ですと、例えば東京都の大腸がんの診療連携協力病院に認定されていると。そういったことを地域の方々がよく知っていることも大事であると思うわけでございます。こういったその病院の特徴について、私もしっかりPRをしていきたいと思うわけですが、また、今のお話ですと、がん治療に必要ながん性疼痛認定看護師、こういった認定看護師も配置されているとのことを今、伺いました。
 荏原病院の事業概要によりますと、がん医療に関しましては、患者の負担をできるだけ最小化することを重視した低侵襲治療という、患者のご負担をできるだけ小さくする、そういった治療にも積極的に取り組んでいるということもわかりました。
 次に、認知症治療についてお伺いしてみたいと思いますが、都内で要介護、要支援の認定を受けている高齢者の方のうち、何らかの認知症の症状を有する人は約三十七万人以上に上り、平成三十七年には約六十万人に増加すると推計されている、そういった統計資料がございます。
 さらに、大事なのは、そのうちの約七割は在宅で生活をしておりまして、おひとり暮らしや夫婦のみの世帯の高齢者の増加が推測されているわけであります。
 そこで、荏原病院の認知症医療に係ります地域連携の具体的な取り組み内容について、次はお伺いしてみたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 認知症医療に関しましては、平成二十四年四月から、区南部保健医療圏における認知症疾患医療センターの運営を開始しております。
 同センターの取り組みといたしまして、認知症疾患の鑑別診断や地域における医療機関の紹介を行うとともに、地域の医療機関や地域包括支援センター、訪問看護ステーション等と連携協議会を開催しております。
 また、平成二十五年八月から、認知症早期発見・早期診断推進事業、いわゆる認知症アウトリーチ事業も開始しており、地域の認知症コーディネーターからの依頼に基づき、医師を初めとする認知症アウトリーチチームを派遣し、医療機関の受診を促すとともに、鑑別診断につながるまでの必要な支援を実施しております。

○斉藤(や)委員 今までのご答弁で、がんにいたしましても、また認知症に関しましても、近年、荏原病院で積極的に地域連携を推進していることがわかったわけでございます。
 これからの医療の姿というのは、やはり、かかる患者側の皆様にも意識の変革というものが、ある面では必要かもしれません。どうしても高度医療のある大きな病院に行けば全て対応してくれるという安心感があるものでございますが、それだけでなくてやはり、地域のかかりつけの医療機関、開業医の方々と、また、そういった高度な医療機関、能力を持ったところとが連携をしていく。これが、先ほどお話がありましたが、公社病院がいわゆる紹介、逆紹介、そういったものもあるわけですけれども、こういった連携がますますこれから重要になってくると考えるわけでございます。
 そこで、非常に重要であるということがわかったわけですが、これからの地域医療の連携の取り組みに関しまして、また、これまでの取り組みを通じて明らかになってきている課題について、お伺いをしたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 がん医療に関しましては、がんを抱えて生活していく上での不安、例えば、がんや治療に伴う身体的、精神的苦痛、今後の生活や治療費の問題など、患者さんと家族が生活を継続していくための支援の強化が課題と考えております。
 また、認知症医療における課題は、地域包括支援センターとの情報交換の中で、認知症の自覚がないなどの理由で医療機関を受診しないため、認知症症状が悪化したケースや、独居老人への対応、退院後のリハビリ、訪問看護や介護が必要な方に対する地域におけるケア体制が不足していることがございます。
 このため、がんや認知症に係る相談支援を充実するとともに、地域医療や介護を支える医療機関、訪問看護ステーション、老人介護施設等の関係機関との連携を強化し、地域のケアマネジャーや訪問看護師等に対しまして、がんや認知症に係る講演会や意見交換会を通じ、人材育成や共通理解の促進に努めてまいりたいと思います。

○斉藤(や)委員 ただいままでのご答弁で、荏原病院が地域連携の取り組みにおきましてどのような課題意識を持っているか、また今後の取り組みの方向性についてお話を伺ったわけでございます。
 先ほど他の委員のご質問の中に、患者と家族の生活を継続していくための支援の強化、その一環であるとは思いますけれども、そういった患者支援センターの設置など、本当に重要だと思うわけでございます。
 また、がん医療に関しましては、今後は、治療に伴う身体的、精神的苦痛をいかに和らげていくかという緩和ケアでございますが、これが極めて重要になってくると思います。これができますと、大きな病院でなくても、地域の医療、これはかかりつけ医が主治医となりまして、退院時のケアカンファレンスなど非常に重要ですけれども、地域での受け入れもまた可能になってくる、この緩和ケアというのは、拠点も大事ですが、そういった能力を開業医の方々も身につけていくことも重要であると思っておりますが、こういった緩和ケアなどに取り組んでいることも私は大変これから期待をし、また評価をしていきたいと思います。
 このがんの診療のトータルケアの一環としまして、緩和ケア病棟、これは同僚委員の遠藤委員長も質問をされておりますけれども、緩和ケア病棟につきましては、今後、整備を含め、検討中と聞いております。
 これは、区南部保健医療圏におきましては、緩和病床が少なくて地域のニーズが高いということが背景にあると伺っております。
 また、既に荏原病院の場合は、精神科医師によります他科の入院患者のサポート、これはリエゾン医療というふうに伺っておりますけれども、こういった精神的なケアも含めた医療が脈々と行われてきているという実情を踏まえまして、緩和ケア医療のさらなる充実が期待される公社病院であるというふうに思うわけであります。私もしっかりと今後支援をしていきたいと思います。
 疾病を抱えましても、自宅等の住みなれた場所で生活を続け、自分らしい暮らし、尊厳を持っていく。そして、みとられていく、みとっていく。こういった地域における医療、介護の関係の機関が連携していくこと。包括的かつ継続的な在宅医療、介護の提供を行うことで、それが必要でございますので、実現可能になっていくわけでありますが、今後とも、荏原病院を初め公社病院におかれましては、関係機関との地域連携の取り組みを推進いたしまして、地域包括ケアシステムの充実を図っていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○大山委員 私からも、エボラ出血熱対策について伺います。
 都内でエボラ出血熱の患者が出た場合は、国立国際医療研究センターと、都立と公社病院では墨東病院、駒込病院、荏原病院が受け入れることになっていると。
 国内にエボラ出血熱が入ってきたときに、重要なことは二次感染を防ぐということです。アメリカでも、スペインでも、医療従事者への二次感染が起きてしまったというように、二次感染で一番危険があるのが医療従事者です。
 実際に受け入れる現場として適切に対応できるよう、十分な備えをしておくことが求められています。
 この間もいろいろ出ましたけれども、十一日に三病院で、実際の患者受け入れを想定して訓練が実施されて、墨東病院では多くのマスコミや見学者が見守る中での訓練で、申しわけないなと思ったんですけれども、私も見学させていただいて、とてもよかったです。とてもよかったといういい方は変ですけれども、図上での訓練を実際に丁寧に確認しながら、動いてみてわかったことなども多かったのではないでしょうか。
 私も見せていただいて、防護服を着ての作業というのは、私が想像していた以上に大変なことがわかりました。息苦しそうでしたし、それから、前面のプラスチックの部分は曇っていたり、その中で自分でやっている眼鏡が曇っていて、きっとすぐにでも拭きたいんだろうなと思うような状況でした。真っ赤な顔をして、顔が汗でびっしょりだった方もいらっしゃいました。手袋を二重重ねにして、医療行為だとか、吐瀉物を処理するのも動きづらそうでした。
 訓練というのは、実際にやってみてどうだったのか、検証して改善していくことが狙いだと思いますけれども、訓練を受けて、その後どう対応しているでしょうか。

○野瀬サービス推進部長 十一月十三日に、訓練を実施した三病院の医師、看護師などが参加する都立公社病院感染症対策委員会エボラ出血熱対策専門部会において、発見された課題の検証を行いました。
 ここでは、各病院共通の課題として、訓練で使用した際にゴーグルが曇り、業務に影響があったため、それを防止するために排気弁のついたマスクを早急に用意することなどが議論されました。
 そのほか、墨東病院では、通常、病院職員が院内の連絡に使用しているPHSの端末を、二次感染防止の観点から、病室に持ち込まないようにしたため、職員相互の連絡に時間を要したといった内容があったので、院内で対策を検討しております。
 今後とも、必要な対策を実施し、エボラ出血熱患者の受け入れ体制に万全を尽くします。

○大山委員 本当に実際にやってみてわかったことというのがいろいろ検証されたということです。と同時に、ゴーグルが曇ったというのが共通認識だったということでは、排気弁のついたマスクを用意するということは、直ちに対応するということでは、非常に重要なことだと思っています。
 医療従事者がなるべく仕事をしやすいように環境を整えることが、二次感染を防止するためにも重要だと思いますので、現場からの要望をしっかり受けとめて、最大限応えていただきたいと思います。
 手袋をはめての医療行為、例えば点滴をするために針を刺すことなど、やはりそれぞれ、手技というんですか、練習しないといけないのかなということも実感したんですけれども、どうなんでしょうか。

○野瀬サービス推進部長 患者の診療に当たっては、通常の場合でも手袋をして採血や点滴ルートの確保を行っております。
 エボラ出血熱患者の診療に当たっては、二次感染の防止の面から、特に二重の手袋を装着して各種の作業を行うこととしております。
 そのため、通常の診療やケアを行う場合とは勝手が違う部分がございます。防護服の着脱や訓練手順、さまざまな手技についても、当然、継続して訓練を行ってまいります。

○大山委員 普通の診療のときには、ぴたっと一枚手に密着している手袋だと思いますけれども、先日見学に行ったときは、今おっしゃったように、二重に手袋をはめているからだと思いますけれども、それほど密着していないような手袋だったように見えました。しかも、防護服で動きづらいし、息苦しいし、みんなが注目しているところでの訓練だったしということで、まさに勝手が違ったということだと思います。
 それだけに、防護服の着脱や診療手順、さまざまな手技について、引き続き訓練するんだということですので、重要なことだと思いますので、よろしくお願いします。
 感染しないように細心の注意を払わなければならないし、かなりの緊張が求められているわけです。防護服を着ての仕事は、一時間半から二時間が限度と伺いましたけれども、そのような適切な時間で交代できる人員体制となっているんでしょうか。

○野瀬サービス推進部長 防護服は感染制御の面から気密性が高く、安易な着脱が不可能であるため、水分の補給もできず、また、通常より動きにくい状態で業務を行わなければならない。そのため、連続した作業時間は九十分から百二十分程度が限度となっております。
 このことは当初より認識しておりまして、そのため看護師が三人一組でチームを編成し、防護服を着て患者のケアを行う者、患者のケアを支援する者、ナースステーションで記録作成や院内連絡を行う者といった役割を分担しながら、適宜交代して業務を行い、また、チーム自体も交代しながら診療を継続していくこととしております。

○大山委員 九十分から百二十分で交代しながら患者のケアをするということですね。その勤務を三交代なり、最近は二交代の病院もあるようですけれども、二十四時間をカバーするわけですね。
 感染症病棟の看護師が患者の看護に当たるのだと思いますけれども、感染症看護の専門看護師というのは、墨東、駒込、荏原の各病院に何人いるんでしょうか。

○中野経営企画部長 ご質問のありました病院には、日本看護協会が認定いたします感染管理認定看護師を配置しております。平成二十六年十月一日現在、墨東病院二名、駒込病院三名、荏原病院一名が在籍しております。
 各病院では、院内感染予防対策委員会を設置するとともに、感染管理チームを組織しておりまして、専従の感染管理認定看護師が中心となりまして感染症病棟への指導、助言を行うほか、院内感染対策にかかわる啓発活動、院内巡回チェック等を行いまして、院内感染の防止に努めております。
 なお、エボラ出血熱患者が搬送された際には、感染症病棟や患者に接触する医療従事者に対して指導、助言を行うほか、感染症科医師とともに、関係部署との連絡調整を行ってまいります。

○大山委員 専門看護師、感染管理認定看護師がいて、そのうちの一人は専任で配置されていると。で、指導、助言して全体を進めていくということですね。
 通常の勤務でも、常に病棟の看護師というのは、疲労を抱えているというのが現状です。その上、エボラ出血熱の患者のケアですね。疲労によって注意力が落ちたりすることが、二次感染の危険を呼び込みかねないだけに、各病院での人員体制の拡充こそ求められています。
 今後も新たな感染症の危険は、エボラだけじゃなくてあるわけですから、計画的に看護師、医師の人員増をすることが求められていますけれども、どうですか。

○中野経営企画部長 病院経営本部におきましては、これまで各病院の機能強化や医療環境の変化に応じて体制整備を図ってまいりました。
 医師の定数でございますが、平成二十一年度七百九十九人から平成二十六年度九百三十七人、この間に百三十八人増。それから看護要員の定数ですが、平成二十一年度三千八百二人から、平成二十六年度四千四百五十九人、六百五十七人増。このように増員を図ってきたところでございますが、エボラ出血熱等の感染症患者さんがもし入院した際には、病院間で連携して看護師の応援体制を構築する、あるいは、病院内の他の病棟に勤務する感染症病棟の経験者等、こういった人たちが感染症病棟の応援に入ることなど、さまざまな対策を講じながら看護体制を維持してまいりたいと考えております。

○大山委員 もちろんそうやって非常のときは、そういう体制もとると思いますよ。しかし、定数はこの間ふやしてきたんだといいますけれども、定数をふやすというのは、ふやさなければならない根拠があるわけで、例えば平成二十二年度は、多摩総合と小児総合がオープンしていますし、それから、七対一看護なども改善されたということでの定数増があるわけです。もちろん、定数をふやすこと自体は重要です。同時に、実際の現場はどうなのかということなんですね。
 ことし十月一日の医師と看護要員の現員は、何人になっているでしょうか。

○中野経営企画部長 平成二十六年十月一日現在の現員数でございますが、医師は八百七十六人、看護要員が四千四百三十一人となっております。
 また、看護師に限って申し上げますと、このほかに同日現在、百七十三人の非常勤職員が勤務しておりまして、常勤の看護要員と合わせますと、定数を上回る人員を確保させていただいております。

○大山委員 非常勤を入れれば定数を超えているんだということですけれども、都立病院では、今おっしゃったように、医師は定数が九百三十七人に対して八百七十六人ですから、六十一人も足りません。
 きょう出してもらった資料で、公社病院では、三百五十一人の定数に対して、現員は三百四十人ですから、十一人も足りません。看護要員は、四千四百五十九人の定数に対して、四千四百三十一人ですから、二十八人足りません。きょう出してもらった資料で、荏原病院は二人足りません。
 女性の多い職場ですから、産休や育児休業にも入ります。ですから、本来だったら、その人数に見合うように定数を定める、それから定数以上にしなければならないわけです。にもかかわらず、定数さえも満たしていないというわけなんですね。その上、都立病院の病床利用率は、今年度は九二・六%と高く、これはどういうことかというと、患者の出入りが激しいということですから、現場には負担がかかるわけです。医師も看護師も、日常的に疲労こんぱいしているというのが現実ではないでしょうか。
 都民の命を守るためには、医療従事者が健康で働ける現場をつくるということが不可欠です。計画的に医師も看護要員も増員するように求めておきます。
 十三日のニュースでは、次のようにいっています。エボラ出血熱は致死率が最大で九〇%に上る極めて危険性が高い感染症とされていますが、今回の流行では、初めて二十人近い患者が先進国で治療を受け、助かるケースが相次いでいます。専門家は、点滴や輸血などの支持療法できめ細かい全身管理ができれば助かる可能性は高く、致死率は下げられると指摘しています。退院した三十六歳の男性の治療経過をドイツの医療チームが報告した論文によりますと、男性は激しい下痢による脱水症状や呼吸困難に陥ったりしましたが、一日に十リットル以上の点滴や、呼吸器の装着などの集中治療を行った結果、回復できたということです、こういっています。
 欧米での治療の詳細な検討などももちろん必要でしょうし、こうやって回復できるんだということがあるだけに、受け入れる都立病院、公社病院の役割が重要だと思っています。
 最新の知見もどんどん取り入れられるような体制をとって、二次感染が起こらないよう万全の体制をとって、引き続き取り組んでいただきたいということを要望して、終わります。

○斉藤(あ)委員 それでは、先ほどからエボラ出血熱に関して幾つか質問が出ております。先ほど、私どもの都議会民主党のあさの委員からも、墨東病院の方のプレス公開、報道関係に対する公開の際に見学をしたということで、幾つか質問がありました。
 十一月十一日に三つの病院で時間をずらして訓練の方の公開があったんですが、墨東病院、こちらの方はかなりマスコミ関係が多かったらしくて、もともと感染症病棟はどこもそんなに大きくないわけですが、かなり混雑をしていたというような話は、今、大山委員の方からも話がありましたけど、ちょっと私の方は時間の都合で都立の駒込病院の方を見させていただいたんですね。
 行きましたら、幸いにして駒込病院は感染症とがんの医療センターですから、非常に専門性も高かったのと、あとマスコミの方の公開の対象になっていなくて、消防庁とか保健所とか、そういった現場の専門家に対する公開ということで、かなり近くで見ることができたことと、また、院長先生、副院長先生から直接説明をいただいたり、質問をさせてもらったりということで、かなり詳しく見ることができたのが大変よかったかなというふうに思っています。
 先ほど、あさの委員から幾つか質問をさせていただいたんですが、ちょっと私の方はまた違った視点で二点ほど確認をしたいと思うんですけれども、先ほど大山委員の方から、医療従事者の視点でいろいろ質問があって大変ありがたかったんですが、私の身内も、主に看護系の医療資格者が多くて、ニュースを見ながらやっぱりちょっと気になったのは、アメリカの国内で医療従事者が患者から感染したというところなんか見ますと、エボラ出血熱については、上手な、非常に手技がきちんとしたレベルの高い看護師であっても感染をするんだろうかと。もしくは普通にやっていても気がついたら感染をしているというものなんだろうかと。それだったら相当怖いなというふうな感じで、ちょっと心配しながら見ていたんですけれども、実際には詳細は報道されなかったものの、感染の背景には、感染防止策の基本的な所作の不十分さから、その感染があったんじゃないかというような報道がありました。
 アフリカでも、アメリカでも、スペインでも、患者に直接接する医療従事者の使命感というものに対しては大変頭が下がりますし、ただ感染が怖い話だというんではなくて、やはりどのように、こういった実際に感染者が出てしまった場合に、どういう背景で感染をしたかというのが、今後の対策を打つ上で非常に大事かと思っております。
 アメリカで二次感染が起きた要因と考えられます、先ほどいいましたような基本的な所作の不十分さ、ケアレスミスからの感染、これについて原因の分析、結果を、恐らく都立、そして、また荏原病院といった公社病院、それぞれ感染症の担当部門については、このアメリカでの感染の原因の分析、そしてまた結果を共有しているというふうに思うんですけれども、所見を伺います。

○野瀬サービス推進部長 アメリカでの二次感染は、感染防止訓練の不足などが原因であり、基本的な手順が守られなかったためということでした。
 都立、公社病院においては、常日ごろから院内感染対策の基本であるアメリカ疾病予防管理センターの標準予防策を実践しております。
 また、感染症指定医療機関である都立、公社の四病院では、感染症科医師や感染管理認定看護師の指導のもとに、防護服の着脱訓練を定期的に実施しております。

○斉藤(あ)委員 アメリカでの感染に至った経緯については、やはりちょっと不十分さがあったと。訓練の不足などが背景にあったということで、逆に原因があるとしたら、それは一つほっとした話であり、原因が全くわからず感染をしていたら本当に怖い話であるというふうに思います。
 私も、看護学校時代に感染、これは清潔行為とか不潔行為というふうな分類でいろいろ実習もあれば授業もあったりするんですけれども、感染防止、すごく苦手でございまして、不思議なもので、臨床の実習でも、また学校の実習でも、上手にやろうと思うと大体失敗するんです。力が手に入り過ぎていて、肩に力が入り過ぎたということで。
 触っちゃいけないと思っていると、うっかりして別のところに触ってしまって、そこが不潔な場所だったりするということはよくあって、大変この感染症病棟で働く人というのはすごいなと思いますし、その立場だと思ったら非常に何か、自分がやったらちょっとそんなにうまくいかない、きっと感染とかあって後悔するようなこともあるんじゃないかなというふうなことを思いながら、実はちょっとニュースなどを見ておりました。
 今回、いろいろ伺っている中で、実は私、都立の当時の荏原病院、もう二十年も前ですけれども、平成七年ごろ、私の知り合いの医療関係者の方から、ぜひ、東京都の感染症病棟は非常に立派だよと、すごいよという話で、一度ちょっと見させていただいたことがありまして、その当時まだ法整備ができていなかったので、東京都も独自でこの感染症病棟を維持管理していたようなんですね。
 建物が独立をしていまして、中がエアロックみたいな、いわゆる感染が広がらないようなエアロックのような重厚なドアの中に診察室がございまして、処置室がございまして、大変手間もお金もかかっているけれども、なかなか当時はいろんな予算の部分でも苦労が多かったというふうな感じであります。
 現在は、この感染症対策については法整備と予算確保が進んで、そしてまた、昨今のデング熱や結核、新型インフルエンザ、そして今回のエボラといった感染症については、ここ数年で非常に注目を集めている分野になっておりますので、当時はまだそこまでの注目が集まるような大きな感染症がそんなになかったということも少し背景にあるかと思うんですが、大分隔世の感がございます。
 しかしながら、実際に感染症病棟も備品も使う時期が非常に限られている、全体の流れの中では、使うタイミングが非常に限られた時期というふうなことになっているのが現実かと思います。
 今のように注目を集めている時期に対する感染症の対策、備品の管理というのは非常に力が入るところなんですが、しかしながら、逆に非常に運よく平和な時期が続くと、なかなかその時期に注目をされない中で、こういった感染症、もしものための備品を管理していくというのは非常にモチベーションの上でも大変かなと思いますし、それは継続してやってほしいと思うんです。
 先ほど、あさの委員の質問の中では、この備品の選択については、いわゆる副院長さんや、そしてまた感染症医師などが管轄する感染症対策委員会において選定はされているという話がありましたけれども、実際に選ばれた備品が、この感染症対策備品が特に経年劣化するような場合には、ちゃんとチェックやメンテナンスを行わないといけないわけですけれども、こういったチェック、メンテナンスはどのように行い、またそれを管理している担当者というのはどのように配置をされているのか、ここを確認したいと思います。

○野瀬サービス推進部長 病院経営本部におきましては、防護服など対策備品の経年劣化に備え、使用期限を考慮した更新計画を策定し管理しております。
 また、都立公社病院においても専従の感染管理認定看護師を配置し、感染症対策備品の管理を適切に行っております。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。先日の墨東も六十社ぐらいマスコミが来たということなんですが、注目を集めていない時期が来ることを今望むばかりですし、そしてそのときに、やはりきちんと継続的に管理をされるということについても、我々はしっかり応援をしなきゃいけないと思っていますので、ぜひとも、これからも感染症病棟の運営については不断の努力で頑張っていただきたいと思います。
 それでは、もう一つ大きなテーマとして、都立病院及び都立の公社病院、それと民間病院との関係について、何点か質問をしていきたいと思います。
 この事業概要が配られておりますが、この二四ページには都立病院の病院事業収益の中で、医業収益における一般会計負担金というものがありまして、平成二十五年度予算でいうと二百十一億九千百万円、二十六年度ですと二百五億五千七百万円となっています。
 同様に、医業外収益がございます。一般会計の負担金、平成二十五年度は十二億六百万円、平成二十六年度については十一億二千六百万円です。
 さらに、この医業外収益の中には一般会計補助金が、平成二十五年には百八十八億五千八百万円、二十六年度には百八十一億一千七百万円とあります。
 それぞれ性格の違う面があるということなので、こういうふうに項目が変わっているんじゃないかと思うんですけれども、これについて、根拠と算出方法について教えていただきたいと思います。

○中野経営企画部長 病院経営本部では、病院事業運営に対しまして、一般会計負担金と一般会計補助金をそれぞれ受け入れております。
 まず、一般会計負担金でございますが、地方公営企業法十七条の二第一項第一号に基づき、その性質上、当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費について計上しております。
 病院経営本部では、総務省の繰出金通知に基づきまして、救急医療、感染症医療、結核医療、精神病院運営経費、小児医療経費などを医業収益の一般会計負担金として受け入れまして、病院の建設改良に要する経費につきましては、医業外収益の一般会計負担金として受け入れているところでございます。
 また、次に一般会計補助金でございますが、これは地方公営企業法第十七条の二第一項第二号に基づきまして、当該地方公営企業の性質上、能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認める経費につきまして計上しておりまして、がん医療、周産期医療、難病医療、障害者歯科医療などにつきまして、医業外収益の一般会計補助金として受け入れているところでございます。
 算出方法は、一般会計負担金、一般会計補助金ともに、給与費や材料費などの関係経費から入院外来収益などの関係収入を差し引く方法などにより行っているところでございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。なかなかこういうのを確認する機会というものはないですし、書類を見ただけだと、ちょっと項目だけでは、なかなかその奥にあるこういった算定ルールというのはわかりづらいものですから、ちょっと改めて伺いました。
 例えば一般の病院なんかに関して、大学病院とかになると、また少し三次救急が入ったりして少しレベルも違うかと思いますが、二次救急なんかをやっているような一般病院なんかにしてみると、都立病院もしくは公社病院というと、東京都の方のお金が入っていることになると、どうしても運営上非常に苦労されている病院などから見れば、うらやましいなというか、やっぱり公設の病院については余裕があってというふうに思うところがあると思います。ややもすると不公平感を感じる場面があるかもしれない。
 もちろん小平市なんかが参加しております公立昭和病院など、市立の病院も幾つかございますけれども、なかなか市町村の方の財政が厳しいといった、公設病院も決して余裕があるわけではありませんから、どうしても都立病院、公社病院については経済的に余裕があるんではないかというふうな見方をしてしまいます。
 その部分で、やはりきちんとそういった病院に対して公平性というもの、そしてまたオープンに公開をしていくということが、今後お互いの信頼のためにも、運営の部分についても必要なんじゃないかというふうに思います。
 例えば、都内には二十六カ所の救命救急センターがございます。そのうち大学病院については十四病院、国立病院については三病院、都立病院についても三病院、公的病院についても三病院、市町村立病院については二病院ということで、そして一般病院が一病院というふうな内訳になっております。
 救急救命以外の機能も含めて、効率性の高い特殊な医療を行う病院というのは一般病院の中にも多数ございます。都立病院については、今、答弁ありましたように、一般会計負担金での収入があるわけなんですけれども、この民間病院との公平性というものを、どのように都立病院というのは保っているといえるのか、そこをぜひ教えてください。

○中野経営企画部長 一般会計繰入金につきましては、都立病院の基本的役割である不採算性の高い行政的医療を提供するために不可欠な経費として、法令などのルールに基づいて、行政が負担すべきものとして繰り入れを受けているというのが、病院経営本部としての基本的な考え方でございます。
 ただし、その対象となります行政的医療の範囲は、医療環境の変化に応じて見直しが必要でございまして、効率的な病院運営を心がけつつ、これまでも繰り入れ対象経費の見直しを行ってきたところでございます。
 例えば一例を申し上げますと、都内の回復期リハビリテーション病床、これは平成二十年から二十四年の四年間で病床数が一・七倍にふえました。そうしたことから、都立病院の役割である行政的医療からこれを除外いたしまして、繰り入れ対象からも削除するなどの見直しを行っているところでございます。
 今後とも、一般会計繰入金につきましては、医療環境の変化に応じて不断に見直しを行ってまいりたいと思っております。

○斉藤(あ)委員 どこの時期までが補助金の対象になって、どの時期になると一般的に普及し始めた医療かと。そしてまた、診療報酬のもちろん動きなんかもそれにリンクして、判断の材料になってくるんだというふうなことを思いますが、なかなかちょっとそういうことを改めて聞く機会はなかったので、大変、答弁ありがとうございました。
 ただ、こういった中でやはり上手にやって、一般病院との運営上の格差というものもより小さくしていくと、格差がないようにしていくということは非常に大事なことだと思います。
 重ねて、ちょっと公社病院についても幾つか伺います。
 公社病院においては、こちらの方の事業の、いただいている資料の方にも、公益財団法人東京都保健医療公社において、東京都出捐金が二億円、社団法人東京都医師会出捐金が一千万、東京都健康推進財団寄附額、三億円、社団法人東京都歯科医師会出捐金が三百万円と、多額の出捐を東京都以外の複数の団体にもお願いしており、大変協力をいただいてありがたい限りだなと思います。
 これらを含めた基本財産に基づく運用益というのは、平成二十五、二十六年度が三百四十八万円となっているので、なかなかこの財産運用だけでは財源として限界があります。
 一方で、公社病院も都立病院と同様に補助金を受けているというふうに思うんですけど、配布されている事業概要を見ても、ちょっとあんまり、ぱっと見てすぐはっきりわかるという感じではありませんので、そこについて平成二十六年度の一般会計補助金の予算額について伺います。
 また、あわせて、その根拠と算出方法についても教えていただきたいと思います。

○中野経営企画部長 東京都保健医療公社に対しましては、公益財団法人東京都保健医療公社運営費補助金交付要綱を定めまして、都立病院に準じて、救急医療や、がん医療、小児医療などの行政的医療に係る病院運営費や事務局運営費などの補助金を交付しております。
 平成二十六年度予算における補助金額は、総額百二億七千八百万円でございまして、そのうち病院運営費補助金は六十三億九千七百万円となっております。
 算出方法につきましては、都立病院と同様に、給与費や材料費などの関係経費から入院外来収益などの関係収入を差し引く方法により算出して、交付しているところでございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。今の答弁でも、公社病院の方にも大分補助金の方が入っているということであります。ですので、どうしても公社病院についても、地域医療病院として周辺の地域から、ぜひともいろいろな要望も出てまいります。もちろん頑張っていると思いますけれども、こうしてくれ、ああしてくれと。そしてまた、やはり地域全体の様子を見て、地域のバランスというものを考える立場にもあるんじゃないかなと思います。
 例えば二次医療圏別、公社病院は地域性が高いので、二次医療圏の中では大きなかなめになってくると思うんですけれども、この二次医療圏別の医療資源の状況というのを比較すると、例えば足立、荒川、葛飾の三区で構成されている区の東北部保健医療圏では、人口十万人当たりの病床数、また科別の全種類別の病床数、そして人口十万人に対する診療所の数、人口十万人に対する保健医療従事者数などについては、東京都全域の平均値を下回っているというようなことが、ちょっと資料なんかだと表されております。
 なかなかちょっと厳しいいい方、評価なわけですが、ここの区東北部の医療圏については、都立及び公社病院というと唯一、東部地域病院があるだけなんですね。東京都からの補助金を受けている以上、やはり先ほど申しましたように民間病院以上のものを求められるということがあると思います。
 地域密着というのを旨とする公社病院については、やはりこの二次医療圏の中での医療資源のアンバランス、もしくは不足というものの調整弁になることが期待されると思いますし、そうなってくれたらいいなと思うんですが、なかなか実際には大変なんじゃないかなと思います。
 そこで、区東北部保健医療圏における東部地域病院、こちらの方の、地域の医療水準の向上に対する東部地域病院の役割について伺います。

○高野経営戦略担当部長 東部地域病院は、地域に不足する医療施設を補完することを目的に、区東北部保健医療圏の中核的医療機関として設置をされたものでございます。
 これまでも、地域の診療所等との役割分担と連携を図りながら、限られた病床を効率的に運用するため在宅移行支援を行うなどにより、より多くの患者を受け入れるとともに、症例検討会の開催や高度医療機器の共同利用などを通じて、地域の医療水準の向上を図っております。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。東部地域病院はいろいろ、そういった意味では地域の貢献というのが期待される分だけ大変かと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 そして、またこういった地域医療の中で、救急の部分についても民間病院で頑張っているところが、都立、公社という病院以外に民間病院でございます。病院によって、断らない救急医療を目指して努力をしているというふうな民間病院もございます。もちろんなかなかこれを実際にやることは難しいわけなのは承知していますが、そういったものを追求をしていくという姿勢に対しては非常に敬意を払います。
 しかしながら、一方で民間病院の中には、どうしても東京都、そして二十三区となれば土地や人件費などについては非常に高くて、なかなか運営するのに大変だといっている中で救急医療を行っているところも多数ございます。
 そして、もちろん都立及び公社病院が救急受け入れをしているというのは、受け入れに努力をしているというのは私も承知をしています。しかし、実際には患者の重症度が二次救急程度に満たないような場合もあるし、また、なかなか医師やベッドの状況がうまくマッチングしないということもございます。もちろん民間病院よりもたくさんできて当たり前というふうに思われてしまうような場面があるのかもしれませんが、なかなか実際にはそううまくいかない。
 そこで伺うんですけれども、救急搬送の受け入れ実績、それと並行して、どの程度断らずに済んだかという実績が、もしもわかりましたら教えていただきたいと思います。そして、都立及び公社病院の救急患者受け入れ等、救急医療の実績について伺います。

○高野経営戦略担当部長 平成二十五年度の実績でございますが、まず、都立病院全体の救急患者の数は、延べ十六万九千八百二十人、一日当たりにしますと四百六十五人でございまして、そのうち救急車による搬送患者の数は、延べ三万三千百二十三人、一日当たり九十一人となっております。
 また、公社病院全体の救急患者の数は、延べ八万七千三百三十五人、一日当たりにしますと二百三十九人でございまして、そのうち救急車による搬送患者の数は、延べ一万八千六百五十人、一日当たり五十一人となっております。
 救急車の受け入れ要請に対しまして実際に受け入れることができた割合は、各病院の統計資料によりますと、都立病院全体で約七三%、公社病院全体では約六四%でございました。
 救急医療ではあらゆる疾患に迅速な対応が求められますが、特に夜間では緊急手術中であったり、また、受け入れる病床がないなど、やむを得ず断らざるを得ない状況も生じてしまうことがありまして、一つの病院が限られた医療資源の中で全ての救急要請に応えることは難しいため、医療機関相互の連携体制を構築することで対応を強化しております。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。ちょっと私なんかが思っていたよりも、都立病院の受け入れ、七三%ということで比較的高いかなと思っております。
 ぜひとも、もちろん無理な受け入れというものは、結果的に患者にとってもマイナスになる場合もありますので、非常にそこは慎重であるべきだというふうに思いますけれども、受け入れ体制がきちんと届くような環境整備というのを、ぜひ今後ともお願いをしたいと思います。
 特に、多摩地域の中で唯一の都立病院であります多摩総合医療センター、私の地元の小平市からも比較的近いんですけれども、これに対する救急搬送の受け入れ体制、それと救急医療の実績について、これも確認をさせていただきたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 多摩総合医療センターでは、救急医療を重点医療と位置づけまして東京ER・多摩(総合)を設置し、三次救急に対応する救命救急センターと、初期、二次救急に対応する救急診療科が連携して救急搬送に対応しております。
 多摩総合医療センターの平成二十五年度の実績でございますが、救急車による搬送受け入れ患者の数は八千二百九十九人で、そのうち高度な医療が要求をされます三次救急患者の受け入れ数は千三百十五人、いずれも多摩地域で最多となっております。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございました。多摩総合医療センター、いずれも多摩地域で最多ということで、多摩の都民にとってみれば、その期待にある程度応えられているというふうな感じになるのかなと思います。
 もちろん、こういった多くの都立、そしてまた公社病院があることによって、地域の民間の医療機関というのと連携をすることによって、上手に患者さんの救急や、もしくはそのほかのさまざまな医療で受け入れをして、そして患者さんの方の治療にそれぞれがそれぞれの角度で当たっているというふうに思います。
 そして、こういった、今、救急医療に関してちょっといろいろ話を聞きましたが、都立、そしてまた公社病院が民間の医療機関と上手に連携することによって、民間の医療機関を伸ばしていくということも、やはり私は東京都の方で期待される部分なのかなというふうに思っています。
 そういった中で、足立区の島根三丁目なんですけれども、昨年、救急処置を主軸にした、救急科しかない非常にユニークで期待されている病院というのが、二十二ベッドなんですけれども、こういった病院が昨年オープンをしております。
 こういった、ちょっと私どもも、もちろん救急処置をする、受け入れをすると、それ相応の診療報酬など収益があるので、もちろんその部分で運営ができるようにというふうな計算をされていると思うのですが、今まで救急科しかないという医療機関というのは、なかなかお目にかかったことがなくて、非常におもしろい試み、そしてまた期待される試みだなと思っております。こういった民間病院も出てきております。
 そして、また一方で、少子化への本格的な対策というふうな中では、産婦人科の医療機関についても、やはり安定的な運営ができるようなことも社会的な必要性ということで、期待はされていると思います。
 診療報酬が、かつて民主党政権のときに改善されまして、病院運営に以前よりも余裕が出てきた現在ですが、しかしながら地域に必要とされるという個人病院、民間病院を伸ばすということも非常に大事です。
 都立や公社病院の、この民間病院を伸ばすような取り組み、そしてまた人材輩出ということも含めて、都立病院、公社病院ができることというのは何でしょうか。最後に伺います。

○高野経営戦略担当部長 都立病院や公社病院では、脳卒中、急性心筋梗塞など疾患別ネットワークに積極的に参加するなど、地域医療機関と緊密な連携を図りながら高度な医療を提供しております。
 とりわけ、救命救急医療センターに指定されております都立病院におきましては、二次救急医療機関では対応が困難な重症例を受け入れることで、地域の救急医療に貢献をしているものと考えております。
 また、周産期医療におきましては、総合周産期母子医療センターである大塚病院、墨東病院、多摩総合医療センターがハイリスク、ミドルリスクの分娩に積極的に対応しておりまして、地域の診療所や民間病院と連携、協力体制を構築しております。

○松田委員 よろしくお願いします。
 我が党から、本日の委員会質疑で、先輩議員より、都立病院における行政的医療の充実や地域と連携した医療体制の確保について質問していただきました。こうした医療における事業や制度を効果的に構築することは大変重要なことであります。
 そして、それを支えているのが人材、人であります。それも、医師や看護師などの極めて専門的な知識、技術の高い人によって都立病院は日夜活動し、私たち都民の安心・安全を支えてくださっております。
 昨年、私の妻も出産のために大塚病院に入院をさせていただきました。そこでは四人一組のチームをつくって、ベテランから若手まで幅広い年代できめ細やかな対応をしていただきました。例えば体調の管理や、帝王切開すべきか、それとも自然分娩にすべきか、または陣痛促進剤を打つかどうか、こういったことをチームで話し合って、そして妻と私とに相談をしながら進めていただきました。
 また、二カ月間、双子で、ちょっと早目に、切迫早産ぎみで入院したもので、長い入院生活の間、看護師の方、また助産師の方がいろんな相談にも乗っていただいて、出産後、また退院後もずっとフォローしていただいて、本当に感謝をしております。
 またちょっと話がそれてしまうんですが、ちょうど選挙がありまして、都議会選挙の最終日、私、宣伝カーに八時に乗った瞬間、妻からメールが来まして、陣痛が来ましたと。ただ、きょうの日程が全部終わるまでは病院に来ないでくださいというメールが来ました。こうしたことも、長い入院生活だったということもありますが、先生方との一体感、信頼感があったからこそだと思っております。
 戻ります。こうした専門性の高い人材を安定的に確保していくためには、非常に重要なことであります。
 そこで、私は病院経営本部における医療人材、特に医師確保の取り組みについて確認をさせていただきます。
 病院経営本部では、独自の体制で医師の確保、育成に努めてきたと聞いておりますが、その内容について伺います。

○中野経営企画部長 東京都では深刻な医師不足に対応いたしまして、平成二十年度から、専門医を育成する研修体系でございます東京医師アカデミーを運営し、若手医師の確保に努めてまいりました。
 東京医師アカデミーでは、都立、公社、十四病院、合わせて約七千二百床のスケールメリットを生かしまして、一つの病院だけでは経験できない多様な症例を、複数の病院を回ることによって経験することが可能となっております。
 また、行政的医療である子供の心臓病あるいは腎臓病等の小児特殊医療ですとか、精神科の身体合併症医療等、他の病院では余り経験のできない医療も学ぶことができます。
 さらに、全病院合同の研究発表会を開催する等の研修プログラムもございまして、臨床、研究双方に秀でた医師の育成を図っているところでございます。

○松田委員 ありがとうございます。今、東京医師アカデミーは専門医を育成するための研修体系であるとご答弁いただきましたが、医学部を卒業して、国家試験に合格して医師免許を取っても、患者さんを診察するためには、その後、少なくとも二年間は初期臨床研修を経験しなければならないということでございます。
 さらに、この初期臨床研修の後、診療分野に対する専門性をさらに磨くために、この東京医師アカデミーの行う後期臨床研修制度があるとお伺いをいたしました。こうした実践を経験することで、医師は一歩一歩、専門性を身につけるということでございます。
 そうした中で、東京医師アカデミーは一つの病院だけで研修を行う、そして完結させるのではなく、都立、公社病院が一体となって連携した研修体制を構築しているということがわかりました。
 それでは、東京医師アカデミーには今どのぐらいが在籍しており、そして、これまでにどのぐらいの医師を育成してきたのかをお伺いいたします。

○中野経営企画部長 平成二十六年度でございますが、研修期間が三年から四年の後期臨床研修医を百十名、後期臨床研修を修了した後に、より専門分化した領域を研修いたしますサブスペシャリティレジデントを十名、また、将来は都立病院の中核を担うトップレベルの専門医を目指しますクリニカルフェローを三名採用させていただいております。平成二十六年十月一日現在の在籍数でございますが、三百二十名でございます。
 また、平成二十二年度の最初の修了生を出してから平成二十五年度末までに、合計二百四十一名の修了者を輩出してまいりました。

○松田委員 ありがとうございます。全体の修了者の規模は充実しているということがわかりました。総合診療基盤を持った都立病院ですと、さまざまな診療科の医師が育成できると思います。
 しかしながら、今でも、危険度の高い産科や小児科や麻酔科などについては確保が困難であると伺っております。
 そこで、東京医師アカデミーではどのような診療科の医師を育成しているのか、また、確保の困難な産科、小児科、麻酔科、こういった科の医師の育成をどの程度行っているのかをお伺いいたします。

○中野経営企画部長 現在、都立、公社病院における後期臨床研修のコースでございますが、内科系、外科系を中心としつつ、ほかでは育成が困難な脳神経内科ですとか児童青年精神科などを含めまして、全部で百三十三のコースがございます。その中には、医師の確保が困難な産科、小児科、麻酔科のコースも設置されております。
 産婦人科では、平成二十三年度以降、十人の修了生を輩出いたしまして、そのうち七名が都立、公社病院に採用されております。
 また、小児科では五十五人の修了生を輩出しまして、そのうち二十三人が都立、公社病院に採用されています。
 そして、麻酔科では十三人の修了生を輩出しまして、そのうち七名が都立、公社病院に採用されるなど、都立、公社病院の医師の充足につながっているところでございます。

○松田委員 ありがとうございます。都立、公社病院の確保困難な診療科の医師の充実にもつながっているということがわかりました。このような医療に対応できる医師は今後も必要でありますので、引き続き育成をお願いしたいと思います。
 一方で、これから急速な高齢化に伴い、特定の臓器や疾患を超えた、さまざまな問題を抱える患者の増加が見込まれております。そのような患者にとっては、従来の領域別の専門医という診療だけではなくて、広い視点を持った総合的な診療能力を有する医師による診療の方が適切な場合がございます。
 そこで、東京医師アカデミーでは、このような問題に対してどのような取り組みを行っていくのかをお伺いいたします。

○中野経営企画部長 委員のご指摘のとおり、今後は、高齢化に伴います重症合併症患者の増加などに対応できまして、幅広い視野で患者を診ることのできる総合診療専門医の育成、確保が求められております。
 現在、東京医師アカデミーの内科系コース及び外科系コースでは、多様な症例を診ることのできる能力を身につけるため、ERまたは救命救急における三カ月間の短期研修を義務づけております。
 さらに、今後は、中小病院や診療所での臨床研修も組み合わせる新たなコースを設置することにより、地域とも連携しながら、適切な初期対応と患者の状態に応じた継続的な医療を提供できる医師を育成することも検討してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。これからの超高齢化社会に対応した東京医師アカデミーの取り組みについて、よくわかりました。
 都民に医療を提供する都立病院は、専門性の高い多くの医療人材によって支えられております。今お話のあった総合診療専門医に関しましても、やはり非常に大切、重要で、これから必要とされる科であると思います。ただ、これが器用貧乏というか、いろんなことができるけれども専門性がないといったことにつながらないよう、いい方が適切かわからないですけど、ゲームのファイナルファンタジーの赤魔道士みたいな、そういった存在にならないように、全部できるんだけれども専門性がない、使い道がないというようなことにならないように、高い専門性を身につけた上での総合的な医療ができる医師の育成にこれからも努めていっていただきたいと思っております。
 今後も都立病院における臨床研修を充実させ、医師の確保、育成に努めていくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○遠藤委員長 発言予定者の発言は、これで全部終了いたしました。
 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十三分散会

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