厚生委員会速記録第十号

平成二十六年九月二十六日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長まつば多美子君
副委員長塩村あやか君
副委員長早坂 義弘君
理事遠藤  守君
理事和泉 武彦君
理事山加 朱美君
山内  晃君
栗山よしじ君
田中  健君
和泉なおみ君
今村 るか君
ともとし春久君
野島 善司君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
技監前田 秀雄君
理事宗田 友子君
総務部長山岸 徳男君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長笹井 敬子君
生活福祉部長芦田 真吾君
高齢社会対策部長枦山日出男君
少子社会対策部長手島 浩二君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長後藤 啓志君
事業調整担当部長西村 信一君
医療改革推進担当部長矢内真理子君
医療政策担当部長西山 智之君
地域保健担当部長稲葉  薫君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長村田 由佳君
事業推進担当部長松山 祐一君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長上田  隆君
病院経営本部本部長醍醐 勇司君
経営企画部長中野  透君
サービス推進部長野瀬 達昭君
経営戦略担当部長高野  豪君

本日の会議に付した事件
連合審査会開会の申し入れについて
意見書について
病院経営本部関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十一号議案 平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 福祉保健局所管分
・第百五十八号議案 東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百五十九号議案 東京都指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十五号議案 大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十六号議案 東京都食品安全条例の一部を改正する条例
・第百六十七号議案 東京都薬事審議会条例の一部を改正する条例
・第百六十八号議案 東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十九号議案 薬局等の行う医薬品の広告の適正化に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十二号議案 個人防護具(ガウン等セット)外三点の買入れについて
報告事項
・デング熱に対する対応について(説明・質疑)
・私債権の放棄について(質疑)
・平成二十五年度地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価について(質疑)
・都立障害者支援施設及び都立障害福祉サービス事業所の民間移譲について(質疑)

○まつば委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、連合審査会の開会の申し入れについてお諮りいたします。
 本委員会に付託されております第百六十号議案、東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例につきましては、文教委員会と関連がありますので、文教委員会に対して連合審査会の開会を申し入れたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○まつば委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○まつば委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査並びに病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項の聴取を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○まつば委員長 先ほど文教委員長より、連合審査会の開会に同意する旨の回答がありました。
 九月二十九日の日程につきましては、お手元配布の日程のとおり変更させていただきますので、ご了承願います。
 なお、連合審査会の対象事件となりました第百六十号議案、東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例の質疑につきましては、二十九日の連合審査会の質疑をもってかえますので、ご了承願います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百五十一号議案、平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、福祉保健局所管分、第百五十八号議案、第百五十九号議案、第百六十五号議案から第百六十九号議案まで及び第百八十二号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山岸総務部長 過日の厚生委員会でご要求のありました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。資料は、目次にございますように、全部で七項目となっておりますが、このうち、付託議案につきましてご要求がございましたのは、一項目でございます。
 一ページをお開き願います。大気汚染に係る国及び都の制度における平成二十五年度の認定患者数及び十八歳未満の認定患者数の年齢別推移といたしまして、大気汚染に係る国及び都の制度における認定患者数につきましては、平成二十六年三月三十一日現在の患者数を1に、東京都大気汚染医療費助成制度認定患者のうち十八歳未満の患者数につきましては、その年齢別の推移を2に、それぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、付託議案につきましてご要求のありました資料のご説明を申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 これより、ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○山内委員 舛添知事は、さきに発表した長期ビジョンの中間報告において、約四万人の保育サービスを拡充し、二〇一七年度末までに待機児童を解消するとの力強いビジョンを掲げました。
 今定例会に提案された補正予算案は、このビジョンの達成に向け、まさにアクセルを踏み込むものであり、保育サービス拡充に向けた都の強い意欲を非常に感じているところであります。
 保育の実施主体である区市町村においては、ぜひとも都の支援策を活用し、さらなる拡充に取り組んでもらいたい、そのように思っております。
 そこで、提案された補正予算案の具体的な内容を見ますと、定借補助を活用した場合の一時金の補助について、民有地に加え、国有地も対象にするとのことでありますけれども、まずは、これまでの定期借地の一時金への補助実績について伺います。

○手島少子社会対策部長 平成二十三年度及び二十四年度の補助実績は、それぞれ二カ所、二十五年度は四カ所となっております。

○山内委員 昨年度が四カ所ということで、もう少し実績を伸ばしたいところだと思いますけれども、次に、補助スキームの内容がどうなっているのかというのを伺います。

○手島少子社会対策部長 保育所を整備するために定期借地権を設定した場合、土地所有者に対しまして支払った一時金につきまして、路線評価額の二分の一を上限に補助するものでございます。
 昨年度、ある区におきまして、路線価約三十五万円の定期借地に補助を行ったケースがございましたが、仮にこの単価を用いまして都内の平均的な保育所、定員百人で千平米規模の保育所を五十年の定期借地で試算いたしますと、補助額は最大で約一億七千三百万円となり、この場合は年間約三百五十万円の負担軽減が図られることとなります。こうする支援によりまして、保育所用地を取得しやすく、保育所の整備促進を図るものでございます。
 また、都と区市町村の負担割合は、昨年度まで二分の一ずつでしたが、今年度からは都四分の三、区市町村四分の一としており、区市町村の負担を軽減することで積極的な取り組みを促してまいります。

○山内委員 今年度から補助割合をふやして、区市町村の負担を軽減したところですが、それでは、現時点での区市町村のいわゆる手挙げ状況というんですか、そういったところをちょっと伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 区市町村への事前の実施予定調査によりますと、今年度は二区三カ所が補助を希望しております。

○山内委員 現時点の希望数なので、今後ふえる可能性に期待をしつつ、そうはいっても三カ所からそう大幅にはふえてこないだろうと考えると、補助をせっかく拡充しても、なかなか区市町村の取り組みにつながらない状況にあるということだと考えるんですね。
 今回のこの支援策に限らず、都はこれまでも、待機児童解消を目指す区市町村に対して、実に本当に手厚い、さまざまな支援策を用意されてきたと思います。しかし、肝心の区市町村が積極的に取り組まなければ、この保育サービスの拡充といったものは、今後望めないのかなという感があるんですね。
 そういったところを考えますと、都としても、メニューをたくさん用意をするということはもちろん大事なんですけれども、それにあわせて、区市町村にいかに東京都のメニューをしっかりと活用してもらうというか、そういったところをもっともっと力強くやっていかないと、なかなかそういった点で望めないのかな、そういったところも考えております。
 そういった中で、国有地を加えた今回の新たな補正予算案も含めて、この都の支援策をどのように、今後、区市町村にしっかりと周知をして、それを理解してもらって、それを活用してもらうかというところを、東京都の取り組みについて伺いたいと思います。

○手島少子社会対策部長 待機児童解消につきましては、保育の実施主体である区市町村による積極的な取り組みが不可欠であると考えております。
 これまでも、国の安心こども基金に加え、区市町村や事業者のさらなる負担軽減を図る独自の補助などにより区市町村を支援しており、この結果、平成二十三年度以降、三年連続して一万人分を超える保育サービスの拡充が図られてまいりました。
 今後とも、区市町村による保育サービス拡充の取り組みを加速化させるため、区市町村の保育主管課長会や保育事務担当者説明会のほか、特に待機児童の多い区市に対しましては個別の働きかけを行うことによりまして、都のこうしたさまざまな支援策について説明し、積極的な活用を促してまいります。

○山内委員 最後、要望になってしまうんですけれども、これから新たに子育てを応援していきたいという、そういった事業者というのは、多分、年々増加をしてくると私は考えるんです。
 しかしながら、各地域で、新規参入を望む事業者が事業の展開をしづらいということをよく私も耳にするんですね。そういったところで、自治体に事業への参入について、新規参入をしたいという事業者がいろいろと問い合わせると、必ずといっていいほど自治体からいわれるのが、いわゆる実績なんですよね。実績ということが非常にハードルとなって、事業展開の断念を余儀なくされるという話も、私、よく聞くんです。
 確かに、命を預かる事業ですから、慎重に慎重を重ねて、さまざまなことを取り扱わなくてはならないことは、もちろん事業者も十分理解した上で参入をしていくといったことをチャレンジしていきたいというところがあるんですよね。
 知事は、最初に述べたように、四万人の保育サービスの拡充、それから二〇一七年度末までに待機児童を解消するという、力強い、そういったことを打ち出しましたけれども、私は、都がいわゆるイニシアチブをとって、区市町村としっかりと連携をして、さらに連携をして、それで協議をしていただいて、新規参入を望む事業者が参入をしやすいような、そういった環境を整えてあげるということも、これからの早期の待機児童の解消といったことを考えたときには非常に重要ではないかと思っているんです。
 こういう点もしっかりと踏まえていただいて、都としても十分に、もちろん考慮していていただいて、今後の区市町村との連携といったものをしっかりと対応していただいて、最後に申し上げた、新規参入をしたい事業者が参入しやすいような、そういったことを少し考えて区市町村と協議をしていただくなり、そういったことを最後に要望して私の質問を終わりたいと思います。

○遠藤委員 よろしくお願いします。
 私からは、付託議案の中で、補正予算、これについてまず意見を述べます。その上で、薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例、この二点について意見表明並びに質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、補正予算案でございます。これについては、待機児童数の増加等、緊急課題への対応ということで、今回、三十二億、この予算案であります。これについて賛成する、こういう立場で申し上げます。
 我々が今、住み暮らす、そして政治を行う、行政を行っているこの東京は、子育て世代の流入、これは大変ふえてきている、流入しているということで、就学前の児童の人口も増加しているということであります。
 これは人口が、そこに住む方がいなくなるという、こういった危機的な状況を抱えている地方の自治体、消滅自治体とか、こういわれていますけれども、こういう自治体がある中で、就学前の児童の人口がふえているというのは喜ばしい、また東京の魅力がそこにあるのではないかと思います。
 保育サービスの拡充、これについてはいうまでもなく、実施主体は区市町村であります。この区市町村と東京都が連携しながら保育サービスの拡充に取り組んできた結果、昨年度は、過去最高となる一万一千五百七十七人分の保育サービスが拡充されました。この数字というのはなかなかマスコミには出ないんですけれども、そういう意味では、東京都が頑張って、また区市町村と連携して、一万一千五百七十七人分の新たな保育サービスが拡充された。
 しかしながら、一生懸命やっているんだけれども、その一方で、待機児童数も過去最高、これが八千六百七十二人、この数字が結構出ているわけですけれども、保育サービスを拡充するけれども、いわゆる待機児童もそれに伴ってふえてしまっている、こういう状況になっております。
 こうした中、新たに誕生した知事が、平成二十九年度末までに待機児童をゼロにすると、これを達成すると、このように宣言をされました。
 こうした中、我々公明党は、七月三十一日に待機児童解消に向けた緊急要望を行いました。この中で、区市町村や事業所への支援、都有地、国有地、民有地の活用に向けた有効な対策、こうしたものを早急に打って、またはそのための必要な予算を講じるべきであるということで、七月三十一日に要望をさせてもらいました。
 これを受けて、本定例会に待機児童対策として今回の補正予算案が計上されたと、このように認識をいたしておりますし、こうした反応を高く評価いたしたいと思います。
 あわせて、先般、今回の代表質問、一般質問でも大きな議論になりましたけれども、長期ビジョンの中間報告、この中にも、待機児童解消を必ずすると、こういう決意というものがあらわれていたと、このように思っております。
 この保育サービスを拡充する上で最大の課題は、何といっても場所の確保。東京という、日本で最も高い地代がある、家賃や、また土地の賃借料、こういうのもかかるわけでありますけれども、今回、ここにしっかり東京都として目配りをすると、こうした考え方に立っておりますので、大いに期待と評価をしたいと、このように思います。
 待機児童に邁進する、こうした都の決意のあらわれ、舛添知事の決意のあらわれが今回の補正予算案に凝縮をされているんだと思います。我々もあとう限りのことをしていく、この決意を申し述べさせていただきたいと思います。
 この後は要望というか意見でありますけれども、今回は、保育サービスの拡充、この観点で、いわゆる場所をしっかり確保しようという、こうした取り組みでありますけれども、その一方で、場所は確保されたとしても、そこで保育を担う保育人材、この確保もあわせて重要であるわけであります。
 過日、これは九月一日になりますけれども、我々公明党会派内に少子社会対策プロジェクト、こういうものを設けまして、精力的に会派内で議論をしてきました。先般、九月一日の日に、第一次提言ということで、安心して産み育てられる東京にということで、さまざまな子育て分野の政策提言をさせていただきましたが、その中にも、保育士の確保、保育人材の確保ということで提言をさせてもらいました。
 例えば、保育士資格を持つ人の再就職を支援する東京都保育人材・保育所支援センター、この機能をしっかり強化して、潜在保育士に直接働きかけて、こうしたマンパワーを確保してもらいたい、こうしたものだとか、今、保育士の試験は年一回ありますけれども、保育の実務経験はあるものの資格がないという、こうした方々はたくさんいらっしゃいますので、この試験を複数回、何とかできないか。これは国がつかさどっているので、東京都単独というわけにはなかなかいかないという実情もある中で、ぜひこうしたものを、恒常的に、常にというわけじゃないですけれども、例えば一定の期間だけでもこうした試験を複数回やるとか、こういったことを国にぜひ働きかけるべきである等の政策提言をさせていただきました。
 今回の補正予算案の中には、保育人材の確保策は含まれていないわけであります。ぜひ、この点、来年度、予算に向けて、新たな取り組みを検討していただきたい。また、それにあって、私たちも応分の協力と、そして現場のアイデア、知恵、意見を要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 次いで、二番目の薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例、これについて質問させていただきます。
 NHKさんがきょう来ているようですけれども、昼休み、NHKさんのニュースで、私の地元で危険ドラッグについてニュースがありました。大田区内でタクシーの運転手が、営業中に危険ドラッグを吸って、タクシーを蛇行運転させていたことがわかり、警視庁は道交法違反の疑いで逮捕したと、こういうニュースでありました。何よりもショッキングなのは、危険ドラッグを吸って営業車両を運転していた、これは全国で初めての事例だということであります。
 報道によれば、このドライバーは、半年ほど前から危険ドラッグを吸い始めて、この日は、営業所を出てすぐに池袋の販売店に買いに行って吸ったと。調べに対して本人、何といっているか。運転に支障が出ると知っていたが、吸ってしまった。これでハンドルを握っていると、こういうことであります。
 幸い、事故には結びつかなかったわけでありますけれども、これがこの危険ドラッグを取り巻く今の環境なんだなということを、改めてきょう、実感いたしました。
 危険ドラッグについては、さきの代表質問でも、我が党の高倉議員が乱用防止に向けた対策の強化など質問させていただき、今回の条例にも含まれておりますけれども、規制、監視指導、普及啓発、このような柱で質問をいたし、都としても、知事先頭で対策を強化していく、このような答弁があったわけであります。
 危険ドラッグの対策は、柱は三つあるんだと思います。一つは、いかにして手元に来ないか、いわゆる薬物の入手、これをどう規制するかということ。そして、使ってしまったとき、この急性期の医療の対応をどうするのか。そして三つ目、依存症になってしまった人の再乱用防止、これをどう果たし、そして社会への復帰をどう支援するかという大きな三つの柱があるんだろうと思います。
 今回の条例案につきましては、この入手に対する規制、ここがかなり色濃く、強く出ているんだと思います。その一方で、医療の対策、これは重度のアルコール依存症のように、現在では診療報酬上の評価がないということでありますので、残念ながら、都内においては専門的な治療に取り組んでいる医療機関というのは少ないと、こういうことであります。
 以前、私は、我が党は、危険ドラッグではないですけれども、向精神薬の乱用問題、これに関連して都議会でも質疑をさせていただきましたけれども、その際、私、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生という大変著名な方でありますけれども、この先生のお話を聞きに行ってまいりました。おっしゃっていたのは、とにかく薬物依存症にかかわる治療機関がいずれにしても少な過ぎますと、こういうご意見でありました。それが全てかどうかわかりませんけれども、少なくともこの先生はこのような指摘をされておりました。
 現在、国の久里浜医療センターですとか、または東京都関連でいえば都立松沢病院、ここがこうした薬物依存症の治療を行っておりますけれども、私は、これは充実を図っていく必要があると、このように思っております。
 きょうはここに踏み込みません。別の機会にこの議論は譲りたいと思いますけれども、そのような問題意識を持っております。
 そこで、薬物依存症、このようにいわれておりますけれども、この定義というのがいま一つはっきりしないというか、一体何をもって薬物依存症というのか。これは危険ドラッグに限らず、麻薬ですとか覚醒剤等々、この辺も含むと思いますけれども、まず、薬物依存症というのは一体どういうものなのか、これをお聞きしたいと思います。

○熊谷障害者医療担当部長 薬物依存症についてですが、薬物依存症は世界保健機関、WHOによる国際疾病分類第十版、ICD10におきまして、精神疾患の一つとして位置づけられております。
 その要点は、薬物の乱用の繰り返しの結果として生じた慢性的な状態であり、その薬物の使用をやめようと思っても、摂取したいという渇望に抗し切れず、自己コントロールできずに薬物を使用してしまう病的な状態のことであります。

○遠藤委員 今ありました、使用をやめようと思っても、摂取したいという渇望に抗し切れず、自己コントロールできずに薬物を使用してしまう病的な状態と、これはWHOでそう規定をしているということです。
 さっき紹介したタクシードライバー、運転に支障が出ると知っていたが吸ってしまったと、まさにこういうことなんだろうと思います。
 ところで、先日の新聞報道、この危険ドラッグをめぐってはさまざまな報道がありますけれども、さっきいいました入手を規制するということ、使ってしまったときの急性期医療、そして依存症を治療する必要性、そして三点目にありました依存症になってしまった人が再乱用を防止する、社会復帰をする、この三つ目ですけれども、これに関連して、ここをつかさどっているのが全国に六十九カ所ある精神保健福祉センター、こうしたところで再乱用防止プログラム、これは代表質問でも話題となっておりましたけれども、こういうのをやっておりまして、六十九ある全国のセンターのうち、このプログラムをやっているのは十一カ所。これは少な過ぎるということで、国も全国でこのプログラムが実施できるように、平成二十七年度の予算の概算要求にこのプログラムをつかさどる職員の人件費、また研修費を盛り込んだ、こういうことでありました。
 全国六十九カ所あって、やっているのは十一カ所。東京都はすごい。十一カ所のうち、三カ所は東京都の精神保健福祉センター。これはすごいですね。頑張っている。
 そこで、全国の模範であります東京都の精神保健福祉センター、ここにおいて、再乱用防止プログラム、これはどんな体制で、また、その体制によってどういう中身で、現状はどういうふうにやっているのか報告していただきたいと思います。

○熊谷障害者医療担当部長 精神保健福祉センターでは、心理職、福祉職、保健師、看護師といった専門職が再乱用防止のプログラムを実施しております。また、これらの職員に加え、同じ経験を持つ仲間が相互に助け合う活動を行っている民間団体の方が、助言者として参画しております。
 平成二十四年度は、三カ所のセンター合計で百三十五回実施しており、延べ九百五十七人の方々が参加しております。

○遠藤委員 さまざまな専門職、さらには民間団体から、同じ経験、リカバリングスタッフというんですね、立ち直った方ということでしょうか、こういった方々の援助も得ながらこうしたプログラムをやっていると。二十四年度実績は、三つのセンター合計で百三十五回、延べ九百五十七人受講していると、こういったことであります。
 じゃ、このプログラムはなかなか、プログラムといっても中身がよくわからないですけれども、具体的にいうとどんなことをやっているんでしょうか。

○熊谷障害者医療担当部長 精神保健福祉センターでは、認知行動療法の技法を取り入れ、グループ形式により行っております。
 例えば、平成十九年度から、三カ所のセンターで最初に取り組み始めた多摩総合精神保健福祉センターでは、TAMARPPというプログラムを実施しております。プログラムは全八回のコースとなっており、主な内容は、再使用が起こりやすい状況について学び、その合図に気づけるようにすること、使いたい気持ちが出たときにどうしたらよいか具体的な方法を身につけること、薬物のない生活の送り方や問題が起きたときに助けとなる社会資源について学ぶことなどとなっております。

○遠藤委員 ちょっと今、問二、問三とありますけれども、やりましたけれども、平成二十四年実績、三センター百三十五回、九百五十七人で、中身を、今おっしゃったようなことだということであります。
 そこで、内容はともかく、回数、この辺は危険ドラッグの--こういう人、ふえていると。これは総務省のデータでありますけれども、九月十九日に消防庁が発表したデータでありますけれども、危険ドラッグによるものとうかがわれる緊急搬送の状況ということで報道資料が出されました。これはあくまでも思われるということで、確定したわけじゃないですけれども、平成二十一年から平成二十六年、ことしは一月から六月ということですけれども、これは年々増加しております。
 これは全国的な数値もそうでありますけれども、東京都はこうなっています。平成二十一年、十件、二十二年、二十六件、二十三年、百二十七件、二十四年、四百七十三件、平成二十五年、三百四十四件、そして、ことし一月から六月ですけれども百五十件、合計一千百三十人ということで、確実に危険ドラッグに手を染め、そして緊急搬送をされる人がふえてきていると、こういう中であります。
 東京都は一生懸命やっている。こういうプログラムをやっている。これで今後、どうしていきますか。

○熊谷障害者医療担当部長 平成二十六年二月に改定した東京都薬物乱用対策推進計画におきましては、薬物依存からの回復には長い時間がかかり、関係機関の連携による回復支援が重要と位置づけております。
 地域での支援体制を充実し、各関係機関の連携を図っていくためには、専門性を持った職員の育成が必要であることから、都では精神保健福祉センターにおきまして、研修や事例検討会を実施し、区市町村等の相談に携わる職員の専門性の向上を図るなど、人材の育成を推進しております。
 今後も、都は、精神保健福祉センターを初め、民間団体や区市町村、保健所、医療機関など、さまざまな関係者の連携による回復支援の取り組みを進めてまいります。

○遠藤委員 私がいったのは、今いったプログラムを、現状のこういう社会情勢も踏まえて、しっかり質的にも量的にも拡充をしていくべきではないのかと、こういうことであります。
 答弁は求めませんけれども、ぜひ現在の体制等々を精査していただいて、拡充していっていただきたい、このように思います。
 薬物依存の場合、回復への支援のきっかけになるのは、やはり本人がそういう状態ですから、本人が連絡していくことはなかなかないんだと思いますけれども、そういった中で、家族から支援を求められる、こうした声が取っかかりになるんだと、そういうケースが多いんだと思います。現に、私のもとにも今回の危険ドラッグについて、うちの云々が、かんぬんがって、こうした声も直接耳に入ってきます。
 この依存症からの回復支援は、やはり家族の支援、これが非常に重要であると思いますし、また、家族が本当に苦労して、さまざまな困難な状況を抱えているんだろうと思います。ここにどう手を打つかでありますけれども、この辺は東京都の支援、どうなっていますでしょうか。

○熊谷障害者医療担当部長 精神保健福祉センターにおきましては、本人に対するプログラムのほかに、家族が薬物問題について正しい知識を身につけることや、対応法や解決法について学ぶための家族教室などを実施しております。
 この教室では、依存症とはといったことから、依存症への対応と家族の回復や、依存症医療とその実際、依存症をめぐる法律問題への対応などをテーマに実施しております。また、薬物依存症者の家族として同じ経験を持つ方を講師として招き、経験に基づく声を聞く機会も設けております。

○遠藤委員 最後に出た、同じ経験を持つ方を講師として招いて、経験に基づく声を家族に伝えていただく、相談に乗っていただく、これは本当に大事ですね。この問題だけにかかわらず、やっぱり今、ピアカウンセリング等々で、いろんな分野でもいわれていますけれども、行政の職員の方も一生懸命やって、専門職の方も一生懸命やっていただいているわけですけれども、何といっても、同じ経験を積んだ方が大丈夫だよとか、この点に注意してやった方がいいよとか、こういった支えというのは、私は本当に心にしみるというか、応援というか、こうなるんだと思います。ぜひこの辺も力を入れてやってもらいたいと思います。
 今、都では、精神保健福祉センターでこうした取り組みをやっていると、こういう答弁でありました。しかしながら、このセンターでプログラムを受けたとしても、それで終わりということではなくて、地域に帰って、この人たちがどうなっていくのか。また、不幸なことに、同じような道に帰ってきてしまって、また手を染めてしまうと、これは何としても防がないといけないわけであります。一連の中で、答弁もあったと思います。いろいろな連携ということが今いわれておりますけれども、ここの連携をしっかりやる、この中身が大事になってくると思います。
 ぜひ、それぞれのつかさつかさ、専門家の方がいらっしゃり、行政マンもおり、また経験をした方もいらっしゃるわけで、総力を挙げて、やはりもう二度と同じこのルートに乗せないと、こういう取り組みをしていただきたい、このように念願をして私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

○和泉(な)委員 私の方からは、大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例、これに反対の立場から質問をいたします。
 この医療費助成制度ですけれども、大気汚染訴訟の和解条項に基づいて創設をされ、二〇〇八年八月から実施してきました。ことしの第一回定例議会で、私は一般質問でもこの制度の現行のままでの存続を強く求めましたけれども、今回の条例改定で、経過措置を設けるものの、患者さんの新規認定を今年度いっぱいで打ち切る、医療費も上限額を超えた分に対して助成するということになっています。
 質問に入る前に一つ要求があります。今回、条例改定案が提案されていますが、この改定部分の重要な柱である自己負担の限度額、これがまるっきり条例案の中には出てこない、規則委任となっています。
 この規則委任になっているにもかかわらず、その規則がどう変わるのかということも一切の資料もない、そして事前の説明でも行われない、上限額がどうやら六千円になるらしいということを患者会の皆さんの記者会見で知る、こういうことでは審査のしようがないと思うんです。
 今後、こういった形で出てくるものに関して、重要な改定部分が規則委任となっている場合には、その規則がどう変わるのかもあわせて補足資料としてぜひつけていただきたいというふうに思います。
 質問に入ります。自己負担の限度額を六千円として、それを超えた部分について都が助成を行うこととなっていますけれども、どの程度の患者さんたちが助成の対象になるんでしょうか。

○中谷健康安全部長 平成二十五年度の個々の患者の方々に対する医療費助成実績をもとに試算した場合、月額の自己負担額が六千円を超え、医療費助成の対象となる患者の方々は約六五%となっております。

○和泉(な)委員 六五%もの方たちが助成の対象になるということは、残りの三五%の患者さんたちも自己負担上限額六千円近く負担する、そういう患者さんは相当多くなるんじゃないかと思うんです。
 二〇一二年四月に東京公害患者と家族の会の皆さんが行ったアンケート結果では、二九%の方たちが無職です。学生が一〇%。この方たちにとって、月六千円の負担というのは余りにも重いものになるんじゃないでしょうか。
 さらに、ことし八月に、また会の皆さんがアンケートを行っています。その結果を見ても、医療費の自己負担が戻ったら、同じ治療を続けることはできないと六三%の方たちが回答しています。
 どのような影響が出るかという問いに対しては、お金の支払いが心配で、自己負担での治療継続が不安になる。予防薬が使えなくなり、症状の悪化が予想される。通院の回数を減らさざるを得なくなるとなっているんです。
 この結果を見ても、今回の改定によって症状が悪化してしまうという患者さんが出てくることが予測されますけれども、それをどのように認識していますか。

○後藤企画担当部長 今回の大気汚染医療費助成制度の見直しによりまして、お話のように、平成二十七年度から三年間は経過措置として医療費の全額を助成いたします。また、それ以降は月額六千円を超える自己負担につきまして全額助成いたします。
 この自己負担上限額は、これまでの助成実績や、例えば後期高齢者の医療制度におけます住民税非課税の場合の自己負担上限額が国民健康保険制度の七十歳以上の場合と同様、八千円であることなど、他の制度との均衡を踏まえて設定したものでございます。
 したがいまして、高額の医療費負担者への配慮も織り込まれておりまして、患者さんの治療に支障は生じないというふうに考えてございます。

○和泉(な)委員 私は、助成制度がどう変わるのかとか、自己負担額はどういう基準で決めたのかとか、そういうことを聞いているんじゃないんですね。先ほども申し上げたように、治療が続けられなくなるというふうにアンケートで実際に答えているんです。症状が悪化する患者さんが出るんじゃありませんか、そのことをどう認識しているんですかと伺いましたが、支障はないという答えでした。
 さらに重大だと思うのは、この改定によって新規認定が打ち切られるという問題です。現在も新規で認定を受ける患者さんはふえ続けているんです。今後は、この方たちが六千円を超える負担をしなければならない。いつ終わるともわからない闘病生活を大きな負担を抱えながら続けなければいけないということになります。そして、これまで助成を受けていた十八歳未満の患者さんたちに対しても、十八歳になると助成が打ち切られるということになります。
 施行日の時点での有効期間内は引き続き助成が受けられるということではありますが、認定の有効期間というのは二年ですから、最大でも二年。その後は、一切の助成が受けられなくなります。
 どのくらいの負担になるかは正確な数字が出ないということでありましたけれども、現在、この助成制度の事業規模は約四十億円、助成を受けている患者さんは約八万人です。単純計算すると、一人当たり年間五万円の医療費負担ということになると思います。十八歳未満で認定を受けていても、十八歳になると助成が切られ、年間五万円もの医療費負担になるんです。
 患者さんたちの今後の負担はかなり重いものになります。どのように認識しているんでしょうか。

○後藤企画担当部長 今回の見直しにつきましては、和解条項に基づきまして創設されました十八歳以上の医療費助成について行うものでございます。見直しに当たりまして、今回、検証を行いました結果、大気環境が改善し、当初の財源を使い切り、関係者からの新たな財源拠出が困難なことなどの状況を踏まえまして、今年度末で十八歳以上の患者への新規認定を終了することといたしたものでございます。
 したがいまして、十八歳未満の既認定患者さんにつきましても、十八歳に達し、助成の有効期間が満了すれば対象外となりまして、助成は終了いたします。

○和泉(な)委員 そもそも助成の対象を十八歳以上というふうにしてこの制度を創設したのは、十八歳未満には既に医療費助成を行う制度があるからです。十八歳以上の助成制度がありながら、十八歳未満で認定されている患者さんが助成を打ち切られる。これは余りにもひどい話なんじゃないでしょうか。
 都知事への要請はがきは、八月二十日現在、八千八百三十六通に達しています。患者さんたちの声は本当に切実です。
 母が助成を受けています。ぜんそくで働けないため、助成制度がなければ治療を受けられません。どうか助けてください。生活が厳しく、この助成制度で命をつないでいます。病院に通えなくなったら生きていけないでしょう。どうか小さな声を聞いてください。助成制度のおかげで安心して生活ができるようになったのに、また前のようになるのかと思うと、この先が不安です。元気な体で東京オリンピックを見たい。本当に切実です。まさに命綱なんです。
 本来、国が責任を持って制度を創設するべきだということは私も認めます。しかし、今、苦しんでいる患者さんたちを救う必要がある。そうして、都は、国が制度創設に踏み切らない前に、新しいこの制度をつくったはずです。
 今なお苦しんでいる患者さんたちを見放すことは許されません。国に制度を創設するよう強く求めるべきですし、国の制度ができるまでは都が現行制度を存続させるよう強く求めて質問を終わります。

○田中委員 私からは、薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例について伺います。
 六月以降、危険ドラッグの使用者による交通事故が連続して都内で発生をしており、七月十日には、都は、警視庁、厚生労働省と緊急の合同の立入検査を実施しました。
 まず、このときの立入調査内容、その結果、そしてその後の対応についてを伺いたいと思います。

○仁科食品医薬品安全担当部長 都は、七月に、国及び警視庁と合同で都内六十八店舗全てに立入調査を行い、当日、開店していました四十四店舗に対して、池袋の自動車事故との関連品を販売しないよう指示し、在庫品の任意提出を求めるとともに、そのほかの危険ドラッグに対しましても、販売を中止するよう警告書を交付いたしました。
 八月には、国と連携して、指定薬物と疑われる物品を販売していた店舗に薬事法に基づく検査命令を行うとともに、検査結果が明らかになるまでの間、販売停止命令を行っております。
 また、先週からは、危険ドラッグにつきまして、直ちに無承認医薬品として販売停止の警告書を交付するとともに、販売しないよう任意提出を求める指導取り締まりを強化しております。

○田中委員 全ての店舗に立入検査をしたというので、ちょっと遅きに失したかというのもあるんではありますが、それでも初めてのことであり、国や都が一緒に連携したということには大きな前進かと思っています。それでも簡単になくならないのがこの危険ドラッグであり、今回、さまざまな条例改正が行われているかと思います。
 その中で、今回の条例についての中身について伺いたいと思います。
 この危険ドラッグは薬事法で取り締まるために、販売店への立入検査は国の麻薬取締官や都の薬事監視員に限られて、警察では調査できないでおりました。今回の条例改正では、その警察職員への立入調査権限が付与されることとなります。
 話を伺っておりますと、今まで都の本庁の専従でいる薬事監視員は四名しかいなかったとのことであり、余りに少ない人数で驚いたわけでありますが、現在、トータルではどのくらいの薬事監視員がおり、そして、これまでどのような体制で立入検査を行ってきたのかを伺いたいと思います。
 また、今回の条例改正により立入検査権を警察職員に付与することによって、どのような効果が期待できると都は考えているのか、あわせて伺います。

○仁科食品医薬品安全担当部長 現在、都の薬事監視員は約百六十人おり、本庁のほか、保健所、東京都健康安全研究センターに配属されております。緊急の合同立ち入り等には、これらの職員を、班を形成して対応しております。
 立ち入り権限を付与される警察職員は公安委員会規則で定める警察職員であり、警視庁本庁と各警察署に配属されます。これまでの立入調査を実施してまいりました薬事監視員に警察職員が加わることで、都と警視庁との情報共有や連携により、取り締まりや監視の一層強化が期待できるものと考えております。

○田中委員 今、全体では百六十人、これが緊急のときには全員で対応する。また、警察の方の話も、数百人の人が、今回、これで立入検査権が付与されるということでありますので、大きくこの検査の精度が、また検査の頻度が上がるということで大変期待をしておるところであります。
 しかしながら、この警察の立入検査というのは、条例で定めるのは東京が初めてかなという感もあったんですが、大阪府に次いでの二番目となります。
 大阪府は、調べてみますと、二〇一二年の十二月に、国に先行して府独自の薬物乱用を指定したり、購入や使用に加えて、単純な所持にも初めて罰則を設けたり、そして、警察による販売店舗への立入調査や買い上げによる成分分析も実施をしてまいりました。この結果、大阪も、東京と同じく大変多い店舗数がありまして、十一年度には七十三店舗あった違法ドラッグ販売店舗が、直近のことしの五月で三十七店舗にまで半減をしているという結果が出ております。
 同じように、この間、東京では、違法ドラッグの販売店舗数はどのように推移をしてきたのか伺います。

○仁科食品医薬品安全担当部長 平成二十三年度には八十二店舗を把握しておりましたが、ことしの五月時点で六十八店舗、九月十二日現在で三十七店舗となっております。

○田中委員 この七月の一斉の取り締まりと、またこれまでの取り締まりの結果、都においても半数に減ってきた実績があるということがわかりましたが、さらに、今回までは警察の立入調査権がありませんから、今回の条例改正でさらに東京都においては警察の立入調査権がふえ、販売店が根絶できるように、ぜひとも徹底的な取り締まりを期待したいところであります。
 一方で、この十九日に総務省の消防庁が発表した全国調査の結果が出ておりまして、二〇〇九年からことしの六月までの五年半で、危険ドラッグを吸引した疑いで救急搬送された人が全国で四千四百六十九人、そのうち東京が全国最多の千百三十人という数字が出ております。店舗数だけでは大変大きく減ってきたというのはわかるんですが、店舗数だけではわからない危険ドラッグの社会への蔓延というのがこの数字にあらわれているのではないかと思っております。店舗数の減少は大変わかりやすい指標ではあるんですが、それだけではわからない危険ドラッグの蔓延についてもぜひ注視していただき、このような緊急搬送も少しでも減るように、これから減らしていく決意で取り組んでいただきたいと思っております。
 今回の条例におけるもう一つの主な改正点は、知事指定薬物等の収去権の付与というものがあります。収去権というと、法律用語でなかなか一般的にはわかりづらい用語であります。
 この場合の収去権というのはどのようなことを意味しているのか、また、これによって今までの取り締まりとどのように変わるのかを伺います。

○仁科食品医薬品安全担当部長 収去とは、店舗等で陳列、販売している危険ドラッグにつきまして、知事指定薬物の含有の有無を試験するため、試験のため必要な最少分量に限り持ち帰ることでございます。現行条例では相手の同意のもとに任意提出により試験を行っておりますが、収去を拒んだ場合は罰則規定がございます。

○田中委員 つまり、今まで訪問していても、よくいわれるのは店長がいないからわからないとか、もしくは来た瞬間に隠して、任意でありますから提出しないなどといって、なかなか調査がスムーズに行われないということも聞いておりました。この収去というので強制権、また、任意でなくて、罰則の規定によって危険ドラッグを取得することができるということで、これも大きな前進なのかなと思っております。
 その中で、過去に罰則規定があるとの答弁が今の中でありました。今回の条例改正の中で、さらに新しく盛り込まれた規定の中で、罰則が科せられているものというのはどういう内容があるのか伺います。

○仁科食品医薬品安全担当部長 今回の改正案で盛り込んだ規定のうち、罰則が付与されているものは、収去を拒んだ場合の二十万円以下の罰金及び警察官の立入調査について、正当な理由なく拒んだ場合の二十万円以下の罰金でございます。

○田中委員 危険ドラッグの中でも、どうせ逮捕されないとか、どうせ罰金もないということで、かなり軽く見ていたという店舗もあるということも聞いておりますので、罰則が科せられるということは実効性を担保する上でも大きな前進かと思っております。
 今回の改正で盛り込まれる内容も含めて、今いった大きな二つの改正の内容の条例を的確に運用して、危険ドラッグの販売店を減少というよりも撲滅するように取り組んでいただきたいと思っております。
 一方で、都の条例改正と同じくして、調べてみますと、他県でもさまざまな取り組みが行われております。兵庫県は、薬物の成分にかかわらず、危険ドラッグなど健康を害するおそれのある薬物の販売店自身を規制する条例、また、鳥取県では、幻覚や陶酔などの作用を及ぼすおそれがあれば、成分が特定されていなくても、これを危険薬物と認定して全面的に規制する条例の改正案を、ちょうどそれぞれ今議会に提出をしております。
 危険ドラッグは、議会の中でも何度も議論されてきましたが、成分を少しでも変えれば、それが抜け道になってしまって規制を逃れて、常にイタチごっこが続いているというふうにいわれております。このような他県の条例も参考にしていただき、可能な限りあらゆる手段、今回は都が考え得るあらゆる手段を条例に盛り込んだかとは思うんですけど、それぞれいろんな条例が全国で行われておりますので、そのようなあらゆる手段を使って継続的な対策を行うことを最後に要望して質問を終わります。

○塩村委員 私の方からは二議案、質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例に賛成の立場から質問をさせていただきます。
 私も少しぜんそくがあることから、制度はこのまま維持していただくことが本当は一番いいと思ってはいるんですが、責任の所在や財政のバランス等を考えなくてはいけないと思っております。
 質問に入ります。
 国は当該制度には当初から負担しておらず、東京都が当該制度を継続する場合にも、国が原資への協力をする根拠は和解条項上ないものと認識しているとのことですが、その後、患者団体さんは、補助が減り負担がふえてしまうということから陳情請願を行い、東京都に対する補助の拡大を訴えてきています。
 そもそも平成十九年に施行されたこの条例には附則がついており、この条例の施行後、五年を経過した時点で、新条例の施行の状態について検証し、その結果に基づき必要な見直しを行うものとするとされています。結果として負担増となってしまい、患者さんの中には、五年後にこうなるとは思わず戸惑っていらっしゃる方も多いと思います。
 そんな中、今回、全額助成方式が見直され、一部自己負担が生じる助成制度に変わる予定であり、この条例の提出となったわけですが、患者団体さんの声をどのように反映してきたのかお伺いをいたします。

○後藤企画担当部長 今回の大気汚染医療費助成制度の見直しに当たりましては、平成十九年の和解条項に基づき検証を行うとともに、患者団体さんとの間に会合の場を適宜設けまして、都の方針を示しまして、患者の皆さんのご意見を聞いてまいりました。
 検証の中では、大気環境が改善し、当初の財源を使い切り、関係者からの新たな財源拠出が困難ということでございましたけれども、東京都は、患者団体との意見交換も踏まえまして、現行制度の継続を希望される声もある中、制度を創設した立場としての責任を果たすため、既に認定されました十八歳以上の患者の方々への医療費の助成を継続することといたしたものでございます。
 また、今回の見直しにおきましては、月額自己負担上限額を設定することとしておりまして、実施に当たりましては、医療機関の皆さんの協力も得まして、自己負担額の管理票なるものを策定する予定でございます。この管理票は、患者の方ご自身が受診時に携帯いたしまして、医療機関が自己負担額を記入していく仕組みでございまして、これによりまして、患者ご自身が容易に月間の累計額を把握することができるものと考えてございます。

○塩村委員 声を聞いて反映をさせてきたと、そして、管理票なるものをつくって、この管理票は、患者さんにとっては自己負担額の把握が簡単にできますし、助成の方法も返還方式ではなく、自己負担額を超えた分は病院が東京都に請求をするなど、患者さんの利便性にも配慮がされていると、そこは評価ができると思います。
 次の質問に移ります。
 今回、制度の見直しの対象となる十八歳以上の認定患者さんへの助成額及び認定実人数については、平成二十三年度助成額はおよそ三十一億円、認定実人数がおよそ六万八千人。二十四年度は助成額およそ三十四億円で、認定実人数が七万四千人。二十五年度ですが、助成額、三十八億円、認定実人数が七万九千人。助成額、人数とも少しふえているような状況です。
 この条例案の提出により、東京都は今までどおりの三分の一の財源を拠出し、平成三十年三月までは経過措置として、今まで国と自動車メーカーと首都高が補助をしてきた残りの三分の二を助成しますが、経過措置は三年と短期です。
 その一方で、ぜんそくは一旦患うと完治が難しい疾病で、成人の完治率は一割以下とされています。そうしたことからも継続的に支援をすることが必要な疾患でもあり、三年の経過措置後も自己負担上限額を六千円とする予定と聞いています。
 患者負担の軽減を図っていることは大いに評価するべきものですが、この六千円の根拠を伺います。
 また、この自己負担上限額は、ほかの医療費助成の均衡と比較して、施策妥当性はどうなのかという声もあると聞きます。この点についての認識をお願いいたします。

○中谷健康安全部長 私の方からは、まず月額の自己負担上限額六千円の根拠についてお答えをさせていただきます。
 見直し以降は経過措置期間を設けた上で、和解勧告に際して都が負担することといたしました三分の一に相当する額を財源として助成を実施する予定でございます。自己負担上限額は、この財源を前提とし、これまでの助成実績を踏まえて設定したものでございます。

○後藤企画担当部長 施策妥当性の件でございますけれども、今の自己負担額の設定に当たりましては、ほかの医療費助成制度との均衡も考慮して設定したものでございます。例えば、先ほども申し上げましたけれども、後期高齢者医療制度におきましては、住民税非課税の場合の自己負担上限額が、国民健康保険制度の場合の七十歳以上と同様に八千円、また、難病に係ります新たな医療費助成制度の本則におきましては、所得に応じまして二千円から三万円の自己負担上限額が設定されておりまして、こうした制度との比較においても妥当な額と考えてございます。

○塩村委員 ありがとうございます。わかりました。
 最初に述べたように、五年の見直しで負担がふえることになるとは思わず和解をした患者さんにとっては、関係者からの財源拠出がなくなる中、この東京都の施策はありがたいものであるはずです。三年間の経過措置は短いという声は理解ができますが、施策妥当性からいえば、東京都は十分に責任を果たしていると考えます。
 今後も、都民、患者の皆様に耳を傾けた施策をしていただきますようお願いをして、次の質問に移ります。
 次です。
 東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例について、いわゆる危険ドラッグ対策に向けた条例の改正について質問をいたします。
 危険ドラッグの乱用者が重要な事故等を起こすということが頻発をしたことから、東京都はこれまで、全国に先駆けて条例で取り締まりを強化してきました。
 ご存じのとおり、危険ドラッグは、現行の薬事法では薬物の指定に時間がかかるため、こうして条例により少しでも早く対応ができるようにしているものです。
 今回の条例案では、緊急時における指定の特例とし、第十八条、知事は、第二条第七号に掲げる薬物の乱用により都民の健康に重大な被害が生じ、または生じるおそれがあると認める場合であって、緊急を要し、あらかじめ第十九条第一項に規定する東京都薬物情報評価委員会の意見を聞くいとまがないときは、第十二条第二項の手続を経ないで、同条第一項の規定による指定をすることができるとあります。
 簡単にいうと、よりスピーディーに、知事権限で販売や使用を規制できるということだと受け取れます。
 そこでお伺いいたします。
 今回の条例改正は、現行条例と比べ、どのぐらい時間が短縮でき、その結果、どのような効果があると見込んでいるのでしょうか。

○仁科食品医薬品安全担当部長 条例改正案では、危険ドラッグにより重大な健康被害が生じているなど緊急を要するときには、東京都薬物情報評価委員会での審議等の条例で定める手続を経ないで、当該薬物を知事指定薬物に緊急指定することができる特例の規定を整備いたしました。
 現行では知事指定までには数カ月を要しますが、改正により、緊急時には数週間で緊急指定し、健康に重大な被害を及ぼす危険ドラッグの販売や使用などを迅速に規制することができるようになります。

○塩村委員 ありがとうございます。
 二カ月かかっていたものが、緊急時には数週間、報道等では二週間と聞いていますが、明言はされませんでしたが、これにより、当該ドラッグと疑われるものは販売や使用はできなくなりますので、未然に多くの人の使用を防ぐことができるようになるのだと思います。
 次です。
 現在、東京のほか、鳥取を初め大阪など六つの府県が危険ドラッグ対策の条例を設けています。鳥取県では現在、薬物の成分が特定されなくても、販売等を禁止する案を全国で初めて提出、可決される見込みです。
 内容ですが、鳥取県に問い合わせたところ、麻薬や覚醒剤と同じように、興奮や幻覚などの作用があり、健康被害を及ぼすおそれがある、また、人が摂取または吸引するおそれがあるとの要件を満たせば、成分が特定できなくても危険薬物とし、製造や販売、所持、使用を禁止することができますとのことです。
 東京都が今回提出をしている改正案との大きな違いは、薬物の特定ができなくても、健康被害などとの因果関係が確認できたものはすぐに危険薬物として判断し、二日ほどで警告書も出せるスピード感です。さらに、警告に従わなかった場合、二年以下の懲役または百万円以下の罰金が条文に記されています。
 東京都は、八月から薬事法に基づく検査命令を行うとともに、検査結果が明らかになるまでの間、販売停止にできるということで、迅速な取り締まりができるといっていますが、鳥取県は、危険薬物という区分をつくり、罰則まで明示しました。この方が抑止力になるのではないでしょうか。
 東京都は違法薬物検挙者数が全国一です。鳥取県のようにスピーディーに対応することが望まれますが、見解をお伺いいたします。

○仁科食品医薬品安全担当部長 都はこれまで、危険ドラッグの流通実態調査や買い上げ調査を行い、未規制薬物を、東京都薬物の濫用防止に関する条例に基づき、速やかに規制をするとともに、国や警視庁と連携しながら立入調査等を実施してまいりました。
 八月からは、国と連携して、指定薬物と疑われる物品を販売していた店舗に、薬事法に基づく検査命令を行うとともに、検査結果が明らかになるまでの間、販売停止命令を行っております。販売停止命令に従わない場合、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金が規定されております。
 さらに、先週からは、危険ドラッグにつきまして、直ちに無承認医薬品として販売停止の警告書を交付するとともに、販売しないよう、製品の任意提出を求める指導取り締まりを強化しております。無承認医薬品の販売停止の警告に従わない場合には、廃棄等命令をかけ、これに従わない場合は、三年以下の懲役及び三百万円以下の罰金が規定されております。
 お話の危険薬物の規制につきましては、都としては既に無承認医薬品として同様の取り締まりを強化しているところでございます。現行の薬事法や、規制強化される改正条例を的確に運用することにより、迅速な指導取り締まりが可能であると考えております。

○塩村委員 ありがとうございます。
 鳥取県は、さらに東京都にはない知事指定候補薬物という区分も設けています。鳥取県のこの条例案の提出等は報道等でも数多く取り上げられており、広告宣伝費等をかけずとも、鳥取県は危険ドラッグに対して厳しい県だという認識が県民等に広がったのではないでしょうか。罰則を厳しく、そしてスピーディーに対応することで抑止力になると鳥取県は、いっています。
 危険ドラッグは意識障害や呼吸困難を引き起こすだけではなく、大量に摂取をすると、嘔吐や頻脈、けいれんなどを引き起こし、死に至るケースもある大変に危険なものです。
 特に合成カンナビノイドは大麻の二十倍。カチノン系化合物は覚醒剤と同程度の強力な薬物依存を引き起こす作用も有するものもあるといわれています。
 危険ドラッグの動物実験では、動物実験とはいえ、わずか数時間で脳神経細胞が死滅することが確認されています。
 舩田正彦国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所依存性薬物研究室室長は、流通している危険ドラッグは毒物としての特性もあわせ持つ危険な代物で、薬物乱用の入り口となる入門薬のレベルをはるかに超えた依存性の高い薬物である、また、危険ドラッグの乱用は、未知の成分の薬物依存性や細胞毒性等の有害作用を、みずからの体を使って試していることになるとも指摘をしています。
 厚労省の調査によると、クラブイベントの参加者の四人に一人が危険ドラッグの使用経験者とのこと。これはどのように思われますでしょうか。
 先ほどもいいましたが、動物実験とはいえ、わずか数時間で脳神経細胞が死滅する。若者がそれをみずからの体を使って試していることになってしまいます。若者を薬物からの甘い誘いとわなから守るためにも、スピーディーに取り締まること、そして罰則強化をすることは大きな抑止力になるはずです。
 今回の条例の強化が一つのステップになることは間違いありませんが、さきに述べました鳥取県、そして田中委員もおっしゃっていました兵庫県の条例案も参考にしていただきたいと思っております。
 今後も東京から危険ドラッグ乱用をなくし、他県をリードする取り組みを望み質問を終わります。ありがとうございました。

○栗山委員 補正予算の保育サービスの拡充についてお伺いいたします。
 少子高齢化や労働人口が減少する中、少子化対策や就労支援などを行い、女性の社会進出を推進することは重要だと思っております。東京都や各区市町村も、高齢福祉やまちづくりなど、さまざまな行政ニーズがある中、限られた財源と資源で各自治体が知恵を絞りながら、保育ニーズに応えようと努力をしていると私は思っております。
 しかしながら、保育サービスは供給が需要を喚起する側面もあり、今年度も増加する保育ニーズに行政は追いつけていないのが現状です。
 舛添知事は、知事選挙において、待機児ゼロを公約とし、本年も都内の待機児童の増加を鑑み、本来であれば当初予算内で対応すべきところを、フレキシブルに補正予算を編成したことは一定の評価をいたします。
 都議会自民党も、東京を世界一の都市にするために、女性の社会進出や子育て支援など政策を掲げており、今年度の待機児童に対応するよう緊急要望をするなど、常に東京都に提言をしております。
 その政策や提言を受け、今回三千人分の保育の受け皿を確保するため、一般会計補正予算で三十一億円余を追加計上しておりますが、そこで質問をさせていただきます。
 まず、今回の補正予算の目的と、三千人分拡充するという土地賃借料や家賃補助、認証保育所の施設整備補助のそれぞれの内訳、人数、金額、施設数など、どのような内訳になっているのかお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 都はこれまでも、待機児童解消に向けまして、区市町村の取り組みを強力に支援し、昨年度は過去最高となる一万一千五百七十七人分の保育サービスの拡充が図られました。
 長期ビジョンの中間報告では、平成二十九年度末までに新たに四万人分をふやすこととしており、この実現に向け、保育サービス拡充のさらなる加速化を図るために、新たな支援策を今定例会に提案したものでございます。
 今回の支援策の内訳でございますが、まず定期借地の一時金補助と土地賃借料の補助による保育所整備の促進が十三施設、千三百人で約十五億円。
 次に、家賃補助の充実による賃借物件による保育所整備の促進が二十四施設、千六百人分で約五億円。
 次に、定員増を行う認証保育所に対する施設整備費補助が十施設、百人分で約一億円となっております。
 このほか、区市町村と保育事業者の負担のさらなる軽減を図るため、待機児童解消区市町村支援事業として十億円を計上しているところでございます。

○栗山委員 認可保育所は、土地を借りて新たに建物を建てる場合、初期費用がかかり、また認可保育所に適した物件がなかなか見つからないなどするため、賃貸物件を活用して整備する例が多いとお伺いしております。
 昨年度、新規に開設した認可保育所のうち、賃貸物件を活用したものはどのくらいあったのかお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 昨年度、新たに整備されました認可保育所は百十カ所でございまして、そのうち八十三カ所が賃貸物件を活用し、保育所整備を行っております。

○栗山委員 認可保育所でも賃貸物件が全体の八割近くを占めるということは、さらに家賃補助の充実は保育所整備促進には重要であると思います。
 ところで、東京都独自の制度であり、待機児童問題が解決しない中、都が推進している認証保育所は、さらに賃貸物件が多いのではないかと思いますが、昨年、賃貸物件で整備された認証保育所の数をお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 昨年度、整備された認証保育所は三十八カ所でございまして、その全てが賃貸物件によるものでございました。

○栗山委員 認証保育所は、駅近などの東京都独自の保育サービスの利点を生かすために利便性の高いところに整備するのが特色ですから、全ての実績が賃貸物件というのも大都市の事情からすれば当然の結果だと思います。
 しかし、認証保育所は今回の家賃補助の支援策の対象になっていないようですが、子ども・子育て支援新制度の枠内に入らず、都が推進している認証保育所にこそ家賃補助が適しているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○手島少子社会対策部長 今回ご提案申し上げております認可保育所の家賃補助の拡充は、国の安心こども基金を活用した補助につきまして、事業者負担割合四分の一を都が上乗せをすることにより、八分の一まで軽減するものでございます。
 一方、認証保育所の家賃は、開設準備費補助の中で施設の整備費とともに補助対象となっており、都独自の待機児童解消区市町村支援事業と併用することで、事業者負担を十六分の一まで軽減する支援を行っております。そのため、今回の支援策の対象にはしておりません。

○栗山委員 認証保育所については開設準備経費の中で支援しているということですが、開設時の一時金だけではなく今回の補正予算案のように、少なくとも経営が安定するまでの間、継続的に支援することで、より安定的な運営ができるのではないかと思います。
 認証保育所は都の待機児童対策にとっても重要な柱の一つでありますので、さらなる支援を要望いたしまして質問を終わります。

○大山委員 私も補正予算案と、それから危険ドラッグについて質疑します。
 まず、補正予算案ですけれども、長期ビジョン中間報告では保育園の待機児解消のために、四年間で四万人分の認可保育園を初めとした保育施設をふやすこと、それから、特養ホームの整備を最大一万九千人分整備する目標を掲げました。そのために、国有地、民有地の活用をより促進させるための補助を拡充するための補正予算だということですね。
 私たちは一貫して求めてきたものですから、重要な前進だと評価しています。そして、より活用しやすく拡充するために、幾つかの提案をしたいと思います。
 まず、借地を活用した認可保育所及び特別養護老人ホーム設置支援事業です。認可保育所及び特別養護老人ホームの整備を加速させるため、国有地、民有地を借り受けて整備を行う事業者に対して、借地料の一部を補助するというものですね。
 借地料補助については、認可保育園の園長先生に伺いました。こういうのを補正予算で出してきたんだけどっていいましたら、開設して五年間は経営も安定しないから、非常に助かると喜んでいました。しかし、補助するのは五年間なんです。
 借地料補助について、五年間に期間を限定したのはどういう狙いがあるんでしょう。

○手島少子社会対策部長 待機児童解消に向け、都はこれまでもさまざまな支援策を行っており、その結果、保育所の整備は着実に進み、昨年度は新たに百十カ所を整備いたしました。
 今回ご提案申し上げております新たな補助制度は、平成二十九年度末までの待機児童解消を目指して、短期集中的に保育サービスの拡充を図るために、事業者に対して期間を定めてより有利な事業環境を提示することで、保育事業への参入意欲をより一層引き出そうとするものでございます。
 補助対象期間につきましては、収入のない開設前の工事期間中を含め、経営が安定しにくいと考えられる期間を設定しているところでございます。

○大山委員 短期に集中して、年間一万人分ぐらいふやさなきゃいけないわけですから、短期に集中的にやるんだと。それはそれでいいんですけれども、増設するのは短期に集中するけれども、その増設した保育園はそのままずっと続くわけですよね。五年間でおしまいになっちゃうわけじゃないわけです。ですから、経営が安定する期間、そこに補助するというのは重要なんですけれども、その後も経常的にかかる費用ですから、継続的に補助が必要です。
 世田谷区では、区独自に借地料を社会福祉法人に支援しています。世田谷区は五年間などと期間は区切っていません。ですから、安心してこの制度を活用することが、安心して借地することができているわけです。
 二〇一〇年度から昨年度まで、四年間に整備した認可保育園は、約四二%が園庭が全くなくて、公園で代替しています。しかし、こういう借地料への補助だとか含めて、いろんな制度がある世田谷区では、八カ所整備した認可保育園で公園での代替は一カ所のみ。こういうことから見ても、借地料への支援は継続することが重要です。
 二つ目の定期借地権利用による認可保育所整備促進事業。これは拡充ということですけれども、認可保育園の新設のために、定期借地権の一時金に対する補助の範囲を、今までの民有地だけでなくて国有地にも広げるということで、これも重要な前進支援です。
 一時金で多く払えば、それだけ後々の借地料が軽減されるということが重要なんだということなんですけれども、民有地を借りて保育園を整備するときに、八カ所、今までに、去年までに実績がありますけれども、この制度を使った保育園の園長先生は、本当に助かったと喜んでいました。これを国有地に広げるなんてもっと使いやすくなりますね、いいですね、そうおっしゃってました。ですから、重要な提案だと思います。
 今年度から区市町村の負担が二分の一から四分の一になって、より使いやすくはなりましたけれども、今のところは、さっきのご答弁では三カ所ですか。
 そこでですけれども、定期借地権の一時金に対する補助の実績一覧表をいただきました。二〇一一年度から昨年度までの実績は八件。事業者の実際の支出額が補助基準額の範囲内であれば満額の補助を受けられると思うのですけれども、この八件の中には、事業者の実支出額が補助基準額を下回っているにもかかわらず、事業者への補助額がそれよりもさらに低い額となっているケースが幾つかあります。
 事業者への補助額はどのように決められているんでしょう。

○手島少子社会対策部長 定期借地権の一時金に対する補助は、保育の実施主体である区市町村が地域の実情に応じて、補助の活用の有無や、その金額を判断し決定をしております。このため、事業者への補助額が補助基準額または実支出額を下回るケースもございます。
 また、借地料等のランニングコストを対象に、区市町村が独自に事業者支援を実施しているため、一時金の補助としては金額が抑えられているケースなどもございます。

○大山委員 後半に答弁された借地料の補助をしている自治体などは、世田谷区ですね。それはさっき述べたとおりですけれども、経常費の補助があるから、一時金の負担はちょっと減らしておこう。それはそれで経常的には事業者も大丈夫なわけですね。
 そういうところはいいんですけれども、市の負担ができないから結局、本当は基準額まで補助がもらえるんだけど、受け取れるんだけど、半分ぐらいしか受け取れなかったというところは、市の負担ができないからというところでは結局、その影響は事業者にかかってくるということになると思います。
 この厚生委員会でもよく話題になることですけれども、区市町村で財政力が弱いところはやはり厳しいんだと。負担をなるべく軽減できるように、より一層の拡充を求めておきます。
 同時に、国有地も広げたことや、それから区市町村の負担は四分の一に軽減したことだとかを含めて区市町村に周知して、より活用できるように、一方通行ではなくて、どうしたらもっと区市町村が活用できるようになるんだろうかということでは、区市町村の意見も聞いて、ぜひ、より活用できるようにしていってほしいと思います。
 土地確保への支援を拡充するというのは、園庭を確保する上では本当に重要です。
 園庭について、私たちの代表質問のときには主に運動面での必要性を強調しましたけれども、園庭の必要性はそれだけではありません。ことしもかなりの猛暑が続きましたけれども、園庭がないところは水遊びやプール遊びができないんですね。これができないんだというのが本当に子供たちにとって大変なんですって、園庭がないところの職場からも出ています。
 それで、何とか水遊びをできるように工夫しているわけですが、例えば室内にビニールシートを敷いて、ビニールプールを置いて、周りにバスタオルなんかでカバーして、濡れないように気を使いながら行っているんだというところがあったり、それからエレベーターホールと玄関の間にビニールシートを敷いてプールをしたんだとか。それから、区立保育園まで二十分間歩いて、三歳児がプールをもらいに行ったんだと。行くときはいいかもしれませんけれども、思いっきり遊んで、帰りの二十分間の炎天下、三歳の子供たちに、本当にこれは園庭がないことにより起こっていることなんですね。
 泥んこだって子供たちには欠かせないものですし、ボール遊びができる公園というのはほとんどないといっても過言ではありません。だからこそ、代表質問のときに、現在は残念ながら園庭がない保育園が、適切な土地があったらその土地を借りることができるように、定期借地の一時金だとか借地代の支援を、今の新規整備だけではなくて、園庭を広げるとか確保するためにも使えるように、その制度を拡大することが求められています。
 代表質問の答弁では、こうした補助の対象には園庭も含まれていると答弁しているわけですから、園庭として借地をするときには対象にできるように、改めて検討を求めておきます。
 土地をより確保しやすくするために、整備が進んで保育所緊急整備事業等の増額をすること、これも重要です。
 今、整備するときに大きな問題になっているのが建設費の高騰です。入札が成立しないというところがいろんなところで起こっています。
 保育園も例外ではありません。ことし、認可保育園をつくるためにやっと土地も確保しました。設計事務所に建築費を試算してもらったんです。そしたら、厨房だとか、大型の遊具なども含めて、何と二億七千万円もかかることがわかりました。
 国の補助基準額は一億七千八百三十万円ですから、その差額は九千万円以上になるんですね。基準額の八分の一の分は初めからわかっていたことなので、それは何とか準備したんですけれども、九千万円以上のさらなる負担はどうしたらいいのか途方に暮れているんだということなんですね。国の単価はことしの四月から上がったものの、建築費の急激な高騰に補助基準額が追いついていないんですね。
 この問題は先ほどの、今述べた保育園だけの問題じゃありません。例えば、世田谷区では入札不調で工事がおくれて、仮園舎をつくって急場をしのいだというのはニュースなどでも流れたわけです。
 国に対して、建設費の補助単価を実勢単価に見合うようにするよう求めることが必要ではないでしょうか。

○手島少子社会対策部長 国の安心こども基金による保育所緊急整備事業におきましては、保育所工事費の補助基準額を定員区分に応じて設定をしております。例えば、百人定員の保育所を整備する場合の補助基準額は、平成二十六年三月までは約一億六千三百万円でございましたが、この四月からは、資材の高騰や消費税増税分などに対応するために増額をされておりまして、約一億七千八百万円となっております。

○大山委員 今の答弁だと、消費税の増税分と資材の高騰分は九・五%の補助基準額の増額をされているんだから、もう既に措置されているんだという答弁だと思うんですけれども、そういうことをいいますけれども、公共事業で保育園整備を受注した業者が、資材の高騰によって設計変更を申し出たんです。施主は自治体からの補助金が決まっているから、結局、施工業者が泣いて、そのケースは、当初の計画どおりに施工せざるを得なかったんです。これは質を維持したわけですね。
 業者によっては、建築工事を採算に合うように施工して納品をして、後々ふぐあいが出たりして修理をしなきゃいけないという、施主が泣きを見るケースも出ているんだというのは、建築関係の皆さんから話を聞いています。消費税の増税分と資材費、それから労務費の動向を反映して単価を上げたということなんですけれども、現場ではこうした実態があるわけですね。
 ですから、高騰分と消費税増税分を上げたけれども、追いつかないというのは、もともとの単価設定が適正かどうか、これが問われているんじゃないでしょうか。実質的な建築費と単価が合っているのか、これは東京都としてきちんと調査するべきじゃないんでしょうか。
 せっかく増設しようということで、東京都もさまざまな拡充をしても、二の足を踏んでしまいかねないという状況になりかねないわけですね。まず、福祉保健局として実態を把握して、実質的に単価が合っていないんだったら、国に単価を引き上げるように要望する、これはもちろんですけれども、都独自にその分を含めて支援することが必要ではないんでしょうか。
 せっかく待機児ゼロを掲げて活用しやすいように拡充したんですから、それが最大限生きるようにしてほしいし、したいということを述べてこの補正予算案は賛成です。
 そして、もう一つは危険ドラッグです。
 この条例は、最近の危険ドラッグの乱用が拡大している中で、警察職員に立入調査権限を与えるということ。それから、今までは知事指定薬物等を試験するために、お願いして任意で持ってきた品物を、今度は収去権、これとこれとを持ってきちゃうことができるというのを与えること。そして、今までは二カ月ぐらいかかっていた指定を緊急にできるようにするということですね。
 とりわけ、危険ドラッグの使用によって起こっている池袋や赤羽などの自動車の暴走等の事件、それからきょうの、さっきの大田のケースでしょうか。緊急時における指定の特例というのは、早急に店頭から取り除くことができるということからも重要だと思います。
 幾つか伺いたいわけですけれども、第十五条で立入調査について、知事部局の職員と警察職員を区別している。これは重要だと思うんですね。それは、業務上取り扱う場所のほかに立ち入って調査できるのは、知事部局の職員は、前条、十五条の前条ですから十四条各号の行為に関係ある場所としているんですけれども、警察職員は、その他必要な場所、このように立入調査の場所についても区別しています。
 それぞれ立ち入れる場所はどこなのかというのと、どう違うのかというのを教えてください。

○仁科食品医薬品安全担当部長 知事部局の職員は、業務上取り扱う場所及び第十四条各号に規定している違反行為に関係ある場所を対象としており、具体的には製造工場、販売店舗、製品を貯蔵する倉庫、使用、所持した者の自宅、多数で集まって使用した場所等がございます。
 警察職員も、業務上取り扱う場所及びその他必要な場所としてありますが、立ち入りの対象としましては、知事部局の職員と相違はございません。

○大山委員 知事部局の職員も警察職員も立ち入れる場所は違いがないということなんですけれども、それだったらなぜ条文の表現を変えているんでしょうか。

○仁科食品医薬品安全担当部長 知事部局の職員による立入調査も警察職員による立入調査も、第十五条第四項で、立入調査等の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと規定しておりまして、捜査権限との明確な区分を図っております。したがいまして、第十六条第四項に規定しております公安委員会が知事に通知する違反行為につきましても、罰則規定がない第十四条第五号の場所の提供、あっせん行為に限定しているところでございます。

○大山委員 いろいろややこしいわけなんですけれども、つまり、知事部局の職員と警察職員は、製造工場だとか販売店舗だとか倉庫等には一緒に行くけれど、そこには罰則があるところなので、警察職員は犯罪捜査にはしてはいけないということなんですね。それをきちんと書き込んだということ。これは重要だと思っています。
 同時に、危険な薬物を緊急指定することができれば、被害を減らすことができます。危険ドラッグによって危険にさらされるのは人の命であり身体であることを考えれば、条例改正は賛成できます。
 以上です。

○まつば委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

   午後三時開議

○まつば委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○今村委員 それでは、私からも、大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例について伺いたいというふうに思います。
 東京大気汚染訴訟の和解に基づき創設したこの制度は、都が主導して創設したものであり、和解条項上、創設後五年を経過した時点で見直すこととなっています。また、この和解条項では、東京都と原告らで構成する連絡会を設置をし、制度の運用状況並びに見直しに関して意見交換を行うことが決められております。年一回開催するというふうに取り決められていると聞いております。
 ここで大切なことは、当事者である原告団を初め、患者の皆様と真摯な話し合いが行われてきたかどうかだと考えます。
 制度創設から、特に今回の見直しに当たり、昨年度あたりからのことを含め、患者団体とどのように意見交換を行ってきたのか、まず、お伺いいたします。

○後藤企画担当部長 平成二十年八月の今回の制度創設以降、和解条項に基づきます患者団体との連絡会等といたしまして、現在まで、計二十七回の会合の場を設けてまいりました。
 東京都は、この場を活用いたしまして、直近の認定者数あるいは予算の執行状況といった運用状況などを適宜お伝えしてまいりました。
 また、制度創設後五年を経過した昨年度からは、制度見直しの考え方あるいは内容につきまして丁寧にご説明いたしまして、患者団体からの意見もお伺いいたしまして、こうした経過を踏まえて、今回、条例改正案を提出したものでございます。

○今村委員 都の姿勢は、患者団体の皆さんと真摯に向き合ってきているということは理解をできました。
 さて、本制度は、都はもちろん、国、自動車メーカー、首都高速道路株式会社の四者がそれぞれの責任を果たしてきたと考えますが、制度見直し後は、財源がこれまでの三分の一になるとのことです。
 見直しに当たっては、患者団体の皆さんからも、都に和解関係者である自動車メーカーなどに対して強く働きかけを行ってほしいとの要望があったと伺っていますが、都はどのように働きかけを行ってきたのかを伺います。

○後藤企画担当部長 自動車メーカーなど、和解関係者からの新たな財源拠出につきましては、見直しの検討を開始いたします前の平成二十五年七月から接触いたしまして、意向を確認いたしましたけれども、おのおの応じかねるということでございました。
 しかしながら、今後とも関係者に対しまして、本制度への協力を引き続き働きかけてまいりたいと思っております。

○今村委員 都が患者団体の皆様の立場に立って働きかけを続けてきたことは評価をいたします。
 しかし、財源の拠出はますます厳しいことが予想されますので、これまで四者で取り組んできた関係を維持し、拠出金にこだわらず、患者団体の皆様を初め、広く大気汚染防止に役立つ取り組みや、環境に優しい取り組みが引き続きされるよう、福祉保健局だけではなく、都庁全体の中で取り組みが前進されるよう要望をしておきます。
 そこで、関係者からの財源拠出がない中、経過措置として、二〇一五年度から三年間全額助成を行うとしておりますが、この考え方について伺います。

○後藤企画担当部長 関係者からの新たな財源拠出がない中で、引き続いて現行の制度を継続していくことは困難でございます。
 東京都は、制度を創設した立場としての責任から、既に認定された十八歳以上の患者の方々への医療費の助成を継続することとしたものでございますけれども、具体的には、現在の全額助成方式、これを改めまして、月額六千円を超える自己負担につきまして助成する方式に見直すものとしたものでございます。
 しかしながら、患者の方々への影響に配慮するため、平成二十七年度からの三年間は、都単独の財源で医療費の全額を助成いたします。

○今村委員 患者団体の皆様と真摯に向き合い、急に制度が変わることへの不安を払拭しようとする、大変厳しい中での都の判断、姿勢が理解をできました。
 ところで、本制度の見直しは半年後に控えており、残された時間は余りありません。現在八万人余りの方が認定を受けており、これらの方々が混乱することのないように、適切に見直しを進めていく必要があると考えます。
 そのためには、患者団体の皆さんはもちろん、窓口となる市区町村や医師会、そして医療機関などの協力も必要ではないでしょうか。今後、都はどのように進めていくのか伺います。

○中谷健康安全部長 制度の移行に当たりましては、平成二十七年四月に予定している制度見直しに向けまして、今後、ポスター、リーフレット、ホームページなどの多様な媒体を活用し、都民や患者の方々に変更内容や更新手続などをわかりやすく紹介をしてまいります。
 また、窓口となる区市町村や医師会を初めとした医療機関などに対し、制度の見直しに関する情報提供を適宜行い、現場の体制整備を進めてまいります。
 さらに、必要に応じて患者団体との会合の場を設け、その意見も聞きながら、円滑な制度移行を図ってまいります。

○今村委員 改めて、まずは、患者団体の皆さんと今後も、答弁にありましたけれども、真摯に向き合うことを求めておきたいと思います。
 さらに、福祉保健局は、ぜんそくを初め、さまざまな疾病で苦しんでいる都民と常に向き合ってきております。都難病医療費等助成制度や、また小児慢性疾患医療費助成制度を初め、アレルギー疾患研修など、予防対策など多くの施策を実行しておりますが、そうした取り組みがより一層充実されるよう、また取り組みがされるように要望をし、質疑を終わりたいと思います。

○野島委員 議案の大気汚染医療費の助成についてお伺いをいたします。
 私、昨今、社会の一部に牽強付会の言葉的に病に冒されているんじゃないかなということを感じる部分があるんですよね。きょうはそれを論じる場所じゃないので、そんなことはいたしません。
 当委員会は大気汚染医療費助成についての言論戦をやると、それも、時間の限られた切っ先の勝負ですから、そういう中で何点かお伺いします。
 実は私も言葉の力に不安を持っているんですよ。したがいまして、不適切な発言があったら、ぜひこの場でご指導いただきたいというふうにお願いを申し上げておきます。(発言する者あり)いやいや、自信がないんですよ。
 さて、本議案は長い経過があります。私はこの議案が、議案というか、この事態が起きたときに既に都議会におりました。今、所管する厚生委員会に身を置かせていただいているわけであります。この課題は、私の認識としては、当時の政治家石原慎太郎、それと行政体として都の持つ物すごいパワー、これで今日に至ったというふうに理解をいたしております。
 したがって、きょうは、時系列を大事にしながら、かつ行政施策の真髄は、当然のことながら、ファクトとエビデンスです。こんなことを中心に何点かお伺いをいたしたいと思っております。
 質問に入ります。この和解条項に基づく大気汚染医療費助成制度については、今ほども申し上げましたように、平成十八年第三回都議会本会議において、我が党のきたしろ議員の質問に対して、当時の石原知事は、判決のままに任せて、裁判の流れに任せて手をこまねいているだけでは、何ら抜本的な解決にはつながらないと思うと。もはやこの問題は、裁判で対応可能な範囲を超えておりまして、社会全体の課題として位置づけ、解決すべき段階にあると思うという旨の答弁をし、平成十九年八月、被告との間で和解によって解決することで合意したものと、こういう経過をとっているんですね。
 私、その話を聞いたときに、知事の発言を聞いて、政治家知事の発言ということで評価をする一方、政治は旗を立てるところなんですね。この旗を実行していくには、行政の力が必要なんです。その行政とは、さっきいったように、ファクトとエビデンス、この中で政策をつくり上げていかないという、大変大きな制約があるというふうに思って、実は厄介な問題を、知事の政治家としての発言を大歓迎するとともに、これからこの課題に向かう行政職の皆さんのご苦労を推察して余りあるところがありました。
 すなわち、自動車排出ガスで健康を害したとして、都や国、自動車メーカーなどに損害を求めたこの裁判は、政治決断を経て、行政の施策にステージを移したものであるわけでありますが、まず、この現行条例に至った経過について伺います。

○後藤企画担当部長 経過のご質問でございます。若干ちょっと長くなりますけれども、お話しさせていただきたいと思います。
 この訴訟は、いわゆる東京公害裁判といたしまして、道路からの大気汚染物質の排出差しとめ、さらには損害賠償金の連帯支払いを求めまして、都内在住、在勤の気管支ぜんそく、慢性気管支炎、肺気腫患者などの方々が、東京都、国、当時の首都高速道路公団、さらには自動車メーカー七社を相手取りまして起こしたものでございます。
 訴訟は、平成八年五月から平成十八年二月にかけまして、第一次から六次にわたりまして、計六百三十三名の原告の方から提訴がなされまして、平成十四年十月には東京地方裁判所で第一次訴訟の判決が下されたところでございます。
 この判決の中では、メーカーに対する賠償や大気汚染物質の排出差しとめ請求は全て棄却されましたが、国、都、首都高速道路公団に対しまして、道路の管理に関する責任があるとしまして、自動車排出ガスと健康被害との因果関係が容認された原告計七名に対しまして、七千九百二十万円の損害賠償を支払うとされました。
 判決の結果、当時の石原知事は、控訴しないことを即日決定いたしまして、損害賠償金の支払いに応じたところでございますけれども、同じく被告でありました国、首都高速道路公団と原告、こちらにつきましては、平成十四年十一月に控訴を行いまして係争が続きました。
 東京都は訴訟の解決に向けまして、本制度、医療費助成制度の創設を提案いたしまして、五年間で約二百億円の医療費を要すると見込みまして、都みずからが三分の一を負担することを前提といたしまして、国に三分の一、自動車メーカー七社に六分の一、さらには首都高速道路株式会社に六分の一の負担を求めました。
 その後、東京高裁の和解勧告を受けまして、平成十九年八月に和解が成立いたしまして、国は、公害健康被害予防基金から、公害健康被害の補償等に関する法律に定める予防事業の実施に充てるために六十億円、自動車メーカー七社は三十三億円、首都高速道路株式会社は五億円を拠出いたしまして、平成二十年八月に和解条項に基づきます医療費助成制度を創設したものでございます。
 制度実施に際しまして、東京都では、従来から実施しておりました十八歳未満の制度に係る条例を改正いたしまして、十八歳以上の気管支ぜんそく患者を加えたものといたしたものでございます。

○野島委員 ありがとうございました。今の答弁のポイントは、原告七名に対してというところ、これなんですね。損害賠償を支払えということでございます。
 すなわち、大気汚染と、このぜんそくの相当因果関係があると、こういうことであります。じゃ、その根拠は何かと、私、判決文を読んでないのでわからないんですが、法律上は、みなし規定と、相当因果関係の推定の蓋然性が高いという二つがなければ、判決は下せないんです。
 したがって、この判決を下した七名については、多分みなしていないはずなんです。相当因果関係の蓋然性が極めて高いという理屈でなければならないんです。でなければ、この理屈、成り立たないというふうに私は受けとめているんですね。
 何となれば、裁判所がみなすということをどの状況の中から認識したのかということを、判決の中に書き込まなきゃいけないんです。推定の蓋然性は、推定ですから、この七名についてはそういうことでの因果関係が高いですよと、こういうロジックだというふうに私は受けとめております。間違いがあったらご指摘いただければ結構です。
 そして、和解協議が始まりました。これは、結果的には法廷和解というふうになっているわけですが、恐らく、この段階の地裁の判決は、和解勧告がないんですね。全部読んでいるわけじゃないんですけど、七名に対して東京都は幾ら払えと、これなんですね。国の責任、首都高の責任、こういったふうなものを追求しますと、行政の不作為処分行為が違法性があるということをやらなきゃいけないんです。したがって、その両者は控訴したわけですよね。私はそのように認識しています。
 その後、ほかの機関も、高裁の和解勧告を受けて法廷和解に移行したと、こういう経過だろうというふうに理解をしております。
 そこで、大気汚染医療費助成についてであります。裁判がもとになった助成制度であることは現実です。そして、時系列をいえば、和解勧告による、任意和解じゃないんです、司法上の拘束力を持つ判決和解なんですよ。
 そういったことでありますから、それを行政として実施する以上、その対象を原告だけに限ることは著しく困難なんですよ。それは広く、この条例の戒名、戒名なんていっちゃいけないんだな、表題、条例名、僕は大変よくできていると思いますよ。大気汚染に従って健康障害があることを何とかしましょうという、こういう枠組みなんです。
 東京都が問われたのはそこなんです。それで、相当因果関係の推定の蓋然性が高いから七名は認定したんです。僕はそういうふうに受けとめたんですね。それで、さっきいいましたファクトとエビデンスがはっきりしないケースに、とりわけ個人に出金したら、これ、慈善事業なんですよ。
 慈善事業は、憲法を最大に尊重する方々にとっては金科玉条のはずなんです。それをやると憲法を犯しちゃうんです。エビデンスに基づかず出金した金は不当出資なんですよ、監査に耐えられないですよ。そういうことで、私は、これができているというふうに思います。
 そこで、この助成制度の対象となる患者の範囲と、その考え方についてお伺いをいたします。

○中谷健康安全部長 和解に基づく医療費助成制度につきましては、都内に引き続き一年以上居住していることを要件としております。
 現在、ぜんそくについては、大気汚染との個別の因果関係について医学的に立証することは極めて困難であることから、従来から実施しております十八歳未満の医療費助成との整合も図り、都内に居住している方を広く対象としております。

○野島委員 今の答弁のポイントは、都内に引き続きなんです。当時、石原知事がペットボトルを振りながら、この大気汚染を何とかしないといけないと。あれは大都市東京並びに関西圏の大きな課題だったんです。都民以外を対象にしちゃったら全国制度です。国のやることなんですよ。だから、それは全く正しい。そして、十八歳未満との整合性の問題。同じ財政効果が出るであろうところに公費を二つ払っていっていいんですか。財政規律を侵すんですよ。そういうことでは、皆さんの考え方は全く真っ当だというふうに思います。
 そこで、次の質問に移ります。実は健康被害の原因を特定するのが難しいのは、ほかの公害裁判は、公害裁判と一言にいっていますが、公害から発生する身体の健康被害、これは非常に難しいの。僕は全部の事例を調べたわけじゃないけれども、大体和解ですよ。和解勧告があって、当事者間がよく話し合って、それで裁判所のいわゆる強制力を持つ和解になるんですよ。だから、国はお金が出せる、東京都もお金が出せるんです。任意でやったら慈善事業なんですよ。そういうことだというふうに思うんですね。
 したがって、健康被害の原因を特定することが難しいこの事案にあっても、制度を創設する上で都民を対象とするのが当然の帰結なんですね。事実があり、ファクトがあり、行政施策は展開されるんです。そういう意味では当然のことであります。
 そして、この制度で対象となる疾患は、現に気管支ぜんそくにかかっている方を対象としているわけでありますが、大気汚染との因果関係の証明が難しい。これはこれだけじゃないんです、この事案だけじゃないんです。そういう中で、どのように助成対象者を認定されたのか。こんなふうなところをお伺いしたいと思います。

○中谷健康安全部長 この制度は、医師の診断により現にぜんそくにかかっていることを認定の条件としております。
 具体的には、医師の診断書である主治医診断報告書の内容を総合的に判断をいたしまして、その結果をもとに、保健所長等が大気汚染健康被害者であることを認定しております。
 なお、個別の因果関係は問わないこととしております。

○野島委員 今の答弁のポイントは、ぜんそくの大気汚染の相当因果関係を問わない、こういうことですね。個別の因果関係は問わない。これを問うた場合にどうなるかというと、相当因果関係を立証しなきゃいけないんです。
 先ほどの話にもありました、現にこの病で苦しんでいる人はたくさんいるんです。大気汚染が原因なのかどうかというのは、正直なところわからないんです。
 私もぜんそく持ちなんです。小児ぜんそく、親が心配して医療機関にかかった、おまじないまでやっているみたいです。
 今、一番心配しているのは、体力のあるうちは大丈夫だろうと。これから先、私は一番、気管支関係のことは、よわい六十五ですから、どうなるか心配しているんです。そういうものなんですね。
 逆に、相当因果関係を患者に求めちゃうと、苦しんでる人たちが救えないんです。今の対象者の方は、さっきのロジックでやってるわけです。今度やったときに相当因果関係を求めてしまったら、それができなくなってしまう。したがって、私は極めて妥当な判断だろうというふうに思います。
 さて、行政施策は、重ね重ね申し上げてますように、事実と証拠を踏まえながら、すなわち、前知事がおっしゃってましたファクトとエビデンスですよ。そして、納税者の理解を得ながら実施していくことが重要なんです。公金ですから。
 和解に基づく対応を行政施策として組み込むのは、実はほかの行政施策にない難しさがあるというのは、冒頭申し上げました、皆さんは大変大きな課題を抱え込んだなと、いろんな制約がある中で大変ご努力をいただいたなという、私、今、感謝の念を持っております。
 こうしたことも踏まえますと、これまでの制度については、知事の直属機関である知事本局が所管してきただろうというふうに私は受けとめます。七月の組織改正で、知事本局から福祉保健局にこの業務が移管されたわけでございます。そして、それから二カ月後のタイミングで見直しとなったわけであります。今回の見直しの考え方と今後の対応について伺います。

○後藤企画担当部長 今回の見直しは、大気環境の改善、あるいは関係者からの拠出によります当初見込まれた財源をほぼ使い切ること、加えて関係者からの新たな財源拠出が困難なことなどから、当時、和解条項に基づきまして創設いたしました十八歳以上の患者への新規認定を今年度末で終了するものでございます。
 そうした中、既に認定されました十八歳以上の方に対しましては、制度を創設した立場としての東京都の責任を果たすため、経過措置として、来年度から三年間の全額助成を継続いたしまして、それ以降は月額六千円を超える自己負担の全額を助成することといたします。
 また、見直しに当たりましては、患者の方々への情報提供や都民の方々への周知を十分に行いまして、円滑な制度移行に努めてまいります。

○野島委員 私は、この制度が実は全国でも画期的な制度として注目を集めただろうというふうに思ってるんですね。冒頭申し上げました、知事も厄介なこといっちゃったな、行政職は大変だな。しかし、トータル的に今日に至るまで、もう経過、今ずっとお話をさせていただいた。そういう中では、政治家石原慎太郎としての評価は、私は物すごく高まった。
 加えて、その課題をしっかり受けとめながら行政施策に結実させて、今日の条例改正案が出た。このことに対しても、皆さんの業務能力のすばらしさに改めて敬意を表したいと思っております。
 本来は国が対策を講ずるべきだろうと思うんですよ。当然なんです。したがって、これからやることは何なのかと、こういうことであります。
 最後に、大気汚染による健康被害者の救済措置に対する局長の認識をお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 今、委員から、この間の経緯をるるご説明をいただきました。
 この助成制度は、都や国などが被告として争われましたいわゆる東京公害裁判の政治決着により創設されたものであり、平成二十年八月一日から開始をされました。私も当時、健康安全部長として、所管の部長でありました。
 この和解条項には五年後の見直し規定が盛り込まれ、今までのやりとりの中でございましたけれども、この間の検証では、この間の大気環境の改善状況、あるいは財源状況、それから都が制度を創設したという責任という観点から検討を重ねてまいりました。
 また、制度設計に当たりましては、納税者のご理解をいただくため、例えば高額療養費制度であるとか、難病医療費助成制度であるとか、さまざまな他の医療費助成との均衡なども十分配慮いたしました。
 その上で、新規認定は今年度末をもって終了いたしますが、既に認定をされている十八歳以上の方々に対しては、この制度を引き続き継続することとし、関係者からの新たな財源支出がないことも踏まえながら、都単独の財源を使いながら継続することとしたというものであります。
 都としては、今お話ありました、行政がその立場として最大限の対応をしたものというふうに考えております。
 本来、こうした健康被害の救済の第一義的な責任は国にあるというふうに考えております。これは過去の公害訴訟の中でも、昭和四十年代からの公害訴訟の中でもさまざま争われた議論であったかというふうに思います。過去に東京都が、公害局、あるいは公害問題で先頭に立ってやった。その後、国が公害に関する法律をつくって、そしてさまざまな、大気もそうですし、水質もそうです、そういう改善をされる中で制度が変わってきた。それと同様に、今回の制度というのもさまざまな施策によって状況が変わってきている。その上での判断であるというふうに思います。
 健康被害の救済の第一義な責任、こうした意味でも国にあるというふうに考えております。都としては、今後とも国による救済制度の創設というのを求めていくとともに、関係者に対しましては本制度への協力を働きかけてまいりたいというふうに私どもは考えております。

○野島委員 ありがとうございました。
 るる質疑を重ねて、明確なご答弁をいただき、私からも、論点整理しながら論評させていただきました。行き届かないことがあったら、大変申しわけなく思っております。
 その上で、今、最後に局長の答弁をお伺いいたしました。五年間で、患者団体が、患者の団体の皆さんというのかな、それで合意したというのは何なのかということなんですね。社会経済情勢は激しく変動しております。大気汚染にかかわる行政も激しく進化を遂げております。東京の大気汚染、私は随分改善されたと思いますよ。したがって、五年間ですよということなんですね。
 私は、実はこの問題というのを勘違いしてた。終わったんだから、新しい条例をつくったらどうなのという気持ちがあった。だけど、よく考えてみますと、それをやっちゃうと、大気汚染にかかわる疾患については、どんな事情があれ、都の行政施策にしますよという意思表示をしちゃうことになるんです。したがって、この改正案は、私は正しいというふうに思っております。
 その中で、この案件で問われたのは、もちろん、結果としてぜんそくを発症したという個別の七名の話はあります。それ以外については、私は多分、和解勧告、和解条項の中に入っていると思うんですが、いわばそういう大気の環境について努力することというふうになっているはずなんですね。
 それはすなわち、国でいえば、国の道路行政、厚生行政ですよ。この連動なくしてものは解決しない。東京都についていえば福祉保健局、環境局、道路整備を所管する都市整備局、この連携なしには解決しないんです。この連携は、私は国においても東京都においても、とりわけ東京都においては相当進んでいるなというふうに思うんです。
 しかし、社会経済情勢はこれからも激しく変わっていきます。そういう中では、今回は条例改正ですから、今後そういったふうなものを踏まえながら、行政は、夢のある社会に向けて大きな旗を振っていくことと、あと一つは、そこにある危機にどうやってバリアをかけていくか、あるいはマイナスをプラスにするようにどうやって和らげていくか、こういうことだと思うんですね。そんなことで局長以下皆さんにお説教する立場ではございません。ぜひ、一部でも受けとめてくれればありがたいと思っております。
 私、最近、新聞報道とかテレビを見るのが怖いんですよ。小心者だから。なぜかは、ここでは申し上げる立場にございません。
 この件については、いろんな報道を隅から隅まで丹念に拾いました。政策論争ですから。でないと、ファクトとエビデンスを間違っちゃうから。逆に、小心者だから、それが怖いから一生懸命読みました。そして、きょうの質疑に立たせていただいた次第でございます。
 冒頭、私は牽強付会という言葉を使いました。私たちは、この籍を置く立場としては、公選の公務員です。牽強付会を犯したら理屈は成り立たないんです。と同時に、社会生活では、都議会議員という立場と一人の人間として人権を持っているんです。私が申し上げた牽強付会というのはそういう意味でございます。賢明な皆さんに改めて私の方から解釈論を申し上げる立場にはございません。どうぞ意のあるところをお酌み取りいただければ、私の意が間違っているんであれば私をご指導いただきたい。私は、人のことにはちょっかいを出しません。
 以上で質問を終わります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。

○まつば委員長 次に、理事者からデング熱に対する対応について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○上田感染症危機管理担当部長 デング熱に対する対応につきまして、お手元の資料によりご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。まず、1、患者届出状況でございますが、八月二十七日に埼玉県で海外渡航歴のない国内感染患者が発生し、翌二十八日に都内及び埼玉県で国内感染患者が二名発生いたしました。三名は都内の同じ学校に在学しており、三人とも都立代々木公園において蚊に刺されていることから、同公園での感染が疑われるとして報道発表いたしました。これを受け、建設局では蚊の駆除を行っております。
 以降、新宿中央公園や外濠公園など、都立代々木公園以外での感染が疑われる患者、また推定感染地不明の患者も含めまして、九月二十四日現在で、全国で百四十二名、うち東京都は九十三名となってございます。
 なお、重篤な症状を呈する患者は確認されてございません。
 2の福祉保健局の対応でございますが、都立代々木公園での感染が疑われる患者の発生を受けまして、公園内に蚊の捕集トラップを設置し、ウイルス保有調査を実施しております。資料に記載のとおり、初回調査を除き、ウイルスを保有する蚊が確認されてございます。
 ウイルスを保有する蚊の確認を受け、建設局は代々木公園A地区を閉鎖し、蚊の駆除を行っております。
 なお、本日公表いたしましたウイルス保有調査結果では、全ての捕集された蚊からウイルスの保有は確認されてございません。
 二ページをお開き願います。都立代々木公園が所在する渋谷区及び隣接する特別区の九つの公園におきまして、国及び特別区と協力して蚊のウイルス保有調査を実施いたしました。結果は全て陰性となってございます。
 次に、医療機関への対応でございますが、国内感染患者の発生後、国の診療マニュアル等を周知するとともに、健康安全研究センターにおける検査体制を整備し、保健所を通じた検査の実施について医療機関に周知を図りました。
 都民からの相談につきましては、八月二十八日に都庁内にデング熱の専用相談電話窓口を設置いたしました。健康相談や蚊の駆除に関するご相談など、これまでに二千七百件を超える相談に対応してございます。
 また、公園利用時の注意や蚊の発生防止対策等について区市町村等と連携し、都民や公園、学校、社会福祉施設等の管理者に情報提供を行っております。
 さらに、今回の事例の検証や今後の蚊が媒介する感染症の対策を検討するため、学識経験者や医療機関、国や自治体等の関係者から成る対策会議を設置いたしまして、第一回会議を九月十九日に開催いたしました。今後、検討を進め、年内に対策会議の意見を取りまとめる予定としてございます。
 以上ご報告申し上げます。よろしくお願い申し上げます。

○まつば委員長 報告は終わりました。
 次に、報告事項、私債権の放棄について外二件の報告事項につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山岸総務部長 過日の厚生委員会で報告事項につきましてご要求のありました資料のご説明を申し上げます。
 お手元の厚生委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 二ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの職種別職員数の推移といたしまして、職種別の職員数について、平成二十二年度から五カ年にわたり記載してございます。
 三ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの診療科別医師数といたしまして、診療科別の医師数について記載してございます。
 四ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの経営指標の推移といたしまして、入院及び外来の経営指標を平成二十一年度から五カ年にわたり記載してございます。
 五ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターのその他医業収益の推移と内訳といたしまして、その他医業収益の決算額とその内訳について、平成二十一年度から五カ年にわたり記載してございます。
 六ページをお開き願います。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターに対する運営費負担金及び運営費交付金の推移といたしまして、運営費負担金と運営費交付金の決算額について、平成二十一年度から五カ年にわたり記載してございます。
 七ページをごらんください。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける患者の退院先別人数の推移といたしまして、退院患者数について退院先別に平成二十二年度から四カ年にわたり記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願いいたします。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 これより、先ほど説明を聴取いたしました報告事項を含め、報告事項四件に対する質疑を、ただいまの資料を含めまして一括して行います。
 発言を願います。

○山加委員 私からは、ただいま報告のありましたデング熱への対応についての意見の表明だけをさせていただきたいと思います。
 デング熱が叫ばれてから約二カ月がたったわけであります。全国で百四十三名、都内では九十四名、これは医療機関を受診した数でありますが、もしかしたら自分がデング熱にかかったことがわからず、そのまま症状もひどくならずに過ぎ去ってしまった、そんな方も大勢いらっしゃるのではないかと思います。
 しかしながら、考え方によっては、全国百四十三名、この数で抑えられたということは、所管であります福祉保健局、担当部署が長靴を履き、そして、あの広い公園を必死に消毒をしている、そんな姿をたびたびニュース報道で目にいたしました。大変な努力があったと思います。改めて、その皆様方の労にねぎらいを申し上げたいと思います。
 しかしながら、このデング熱、今までは東南アジアを旅行する際に、デング熱に気をつけてくださいよ、そんな注意すべき感染症であったわけでありますが、今後は我が国日本の国内でも感染をすることがあり得るものとして、今後、蚊が多く発生する場所などでは気をつけなければならない感染症となってしまいました。
 デング熱の患者が次々とふえていく、そんな報道がある中で、私の周りでも、お母さん方が、子供さんの腕が蚊に刺されないように虫よけスプレーを塗ったり、また長袖のシャツを着たりと、さまざまな工夫をする姿が見られました。また、不安の声もたくさん耳にいたしております。
 先ほども報告がありましたが、患者発生はひとまず落ちつきを見せ、また来月には蚊のシーズンが終わるということから、今回の感染拡大は遠からず終息するのではないかと考えられております。
 そんな折、昨日はオーストラリア原産で毒性を持つセアカゴケグモ、これが都内で十数匹確認をされてしまいました。このセアカゴケグモは、感染症ではありませんが、かなり猛毒を有するということで、命にもかかわる場合がある、そんな報告もされているところであります。
 私は、十年ほど前ですが、一般質問で動物由来感染症、蚊を介する感染症、これに警鐘を鳴らしたことがございます。動物、そして植物、これが本来あるべきところを超えて、瞬時に移動して、やはり情報文化の発展によりまして、いつでも、どこでも、ユビキタス社会の中で、どこに動物が、そして植物が、本来いないところにいることができるようになってしまったわけであります。
 そして、また地球温暖化も拍車をかけております。今までになかった感染症が、これからもいつ突発するかわからない、そんな危機管理を、今まで以上に感染症の危機管理を持たなければならない時代を迎えているわけであります。
 いずれにしても、毎年、蚊のシーズンは必ずやってきます。そして、六年後にはオリンピック・パラリンピック、多くの来訪者が外国からこの日本に訪れることになります。お迎えをしなければなりません。今後、より一層、デング熱を初めとする感染症対策には、改めて充実させていただくことを私は強く要望させていただきたいと思います。
 そうしたことを踏まえ、先般、九月の十九日、我が党は舛添知事宛てに、デング熱対策に関して、蚊の発生防止対策とサーベイランスの強化、医療機関における検査体制の整備、都民に対する正しい情報提供と普及啓発、この三点を強く進めるよう緊急に要望を行ったところであります。
 都は、デング熱を含む蚊が媒介する感染症の対策会議を開催し、専門家の知見を生かして、今後に向けた諸課題の検討を既に進めているわけであります。多くの患者が発生した今回の事例を十分に検証し、蚊そのものを減らして感染症のリスクを減らすこと、医療機関において早期に診断可能な体制を整備し感染拡大を防ぐこと、都民が正しい知識を持ってデング熱を初めとする感染症の予防に取り組めるよう徹底した普及啓発を行うことなど、多くの課題が存在していることも確かであります。
 都は、対策会議での議論を踏まえ、年内にも今後に向けた方策を取りまとめるとのことでありますが、我が党の緊急要望の趣旨を十分に踏まえ、都民を感染症の脅威から守り、またオリンピック・パラリンピックに向けて、安全な都市をアピールしていく上で、しっかりとした対策を立て着実に実施していただくよう、我が党を代表して改めて強く要望いたします。
 以上です。

○遠藤委員 私からも、今ご報告をいただきましたデング熱に対する対応について、これについて意見を表明させていただきます。
 今回、このデング熱が大変なニュース、話題、また都民の皆さん、不安に思っているわけでありますけれども、なぜなのか。いろんないわれ方はしておりますけれども、幾つかその理由を挙げれば、やはり第一に、七十年間、国内感染がなかったにもかかわらず、今回、国内で発見されたという、この衝撃が一つ。
 そして、それゆえにマスコミ等でも大きく取り上げられた。マスコミに取り上げられたその背景には、やはり海外でのエボラ出血熱の事案というものが、いわば一人の人間の中で、都民の中でシンクロしている。そして、やはりウイルスですから目に見えない。そして、その目に見えないウイルスが、蚊という、なかなか捉えどころがない、こうしたものによって、媒介となって感染するという、こうしたものが複合的に重なって、都民の不安が高まっている、こうしたことだと思います。
 今回の厚生委員会での質疑は、去る九月の十九日に、第一回目の対策会議、東京都蚊媒介感染症対策会議、ここで議論があり、また一定の考え方、また今後の方針について協議がなされたと、これを受けてのきょうは質疑だと思います。
 我々も、この九月十九日の対策会議を受けまして、直ちに都議会公明党として、舛添知事宛てに緊急要望をさせていただきました。それに先立って、この会議でどんな内容であったかというのも、一部ご報告をいただきました。
 今回の対策会議でありますけれども、目的は、いかに今回の事例について検証して対策を打つか、これは自明の理でありますけれども、蚊媒介感染症に関する有識者、また医療関係者、または関係行政機関の担当者による会議体であるわけであります。
 専門的な立場から意見を聴取する、これが目的でありますけれども、どんな発言があったかということで、一部聞いてみますと、やはり何といっても、この七十年間国内感染の経験がない中、日本からデング熱に対応するノウハウが失われていた。七十年間というのが一つの大きい期間損失になっていたと。こんな中で今回のような流行になってしまったと。こうした現状の中、七十年ぶりでノウハウがない中、東京都の対応はしっかりとやっていたと、評価を得ていたということであります。
 しかしながら、しっかりやっていたけれども、次のシーズンに向けては体制の充実を図らなければなりませんよと、こういう総括的な、全般的な総括だったと、このように聞いております。
 確かに、私も関連資料を読ませていただきますと、東京都の対応は、専用相談電話の窓口を設置したり、または舞台となった代々木公園渋谷門付近で蚊の駆除を開始したり、または都内の全ての病院や医師会に事の次第を通知するということを、八月二十八日に矢継ぎ早にとっているわけであります。この辺が恐らく、専門家の方がしっかりやっていたと、こういう評価につながっていたんだと思います。
 しかしながら、その一方で、医療面や、または蚊の駆除、この辺で幾つか注文も出されたと、このように聞いております。
 医療面では、デング熱を疑ったときに、一般の医療機関から専門医療機関へと、どのようにつないでいくのか、これが大きい課題であると、このようにも指摘をされております。
 一方、この媒介となる蚊の駆除につきましては、感染症法に蚊の駆除の規定あるんだけれども、私も不勉強で知らなかったんですけれども、なかなか日ごろから蚊の駆除について、これを都民、国民の皆さんに訴えかけて、していただくのはなかなか、日ごろだと合意形成が難しい。こういう現状がある中で、今後は、平時から蚊を減らす対応、そして、仮にまた流行してしまった場合、蚊の駆除をどうするのかという平時と、そして流行時の両面から対策を考えていく必要がある。そのためには、都民、住民の皆さんに蚊の駆除の必要性を理解してもらって、とにかくこの感染というか、媒介となる蚊をみずから発生しない、させない、また駆除をする、こういう都民的な合意、また国民的な合意がベースにあることが重要だと、このような専門家の指摘があったそうであります。
 先ほど山加理事からもお話がありましたとおり、今回、第一回ということで、十二月に向けて協議を重ねて、十二月の末には対策会議の意見を取りまとめて、直ちに対策に移すと。このような流れになっているということで聞いております。
 この報告を受けまして、話、前に戻りますけれども、我が党はこの会議の直後に、三つの提案、緊急要望をさせていただきました。
 一つは、やはり何といっても、この媒介となっている蚊の駆除の方法、またはその発生防止について、しっかりと、わかっているようでわかっていない部分もあるんで、その対策方針を示してもらいたいと、これが一点。
 そして、二点目、サーベイランス、すなわち、その蚊がウイルスを持っているのか、持っていないのか。または、そのためにトラップを仕掛けて捕獲をする、そして検査をする、こういうサーベイランスの強化やウイルス検査の体制を、充実をして拡充をしてもらいたい。私も本当に不勉強ながら、今回初めて知ったんですけれども、ふだんから東京都はしっかりこういうトラップを都内のいろんなところにかけて、そうした、今回のような感染症が起こらないのかということでやっているようなんですけれども、今回の事例も踏まえて、しっかりこの辺の充実強化をすべきであると、これが二点目であります。
 そして、三点目、これは何といっても大切でありますけれども、都民が正しい知識を得られるように、普及啓発をしっかりと重ねてやってもらいたい、こういうことであります。
 さっき、冒頭申し上げましたとおり、目に見えないウイルスが浮遊する蚊によって感染症になるという、なかなか我々にとっては脅威になるものでありますので、ただ、しかしながら、先ほどご報告ありましたとおり、重症化しているという、こうしたケースは一例もない。一例もないからいいといってるんじゃないです。一例もないんで、ゆえにこそ、このようにすれば防げますよと。仮に刺されて--また、特徴があるそうですね。臨床的特徴ということで、二日から十五日ぐらいの潜伏期間、その後、突如高熱を発する、そして頭痛がする、関節痛がする、そして、血液所見では血小板の減少が見られる。蚊に刺されて病院に行って、こういう事例があれば、デング熱のおそれありという、こうしたことをしっかりと都民の皆さんに知識を普及啓発いただければ、大事に至らないということでありますので、もう一度この辺のことについて丁寧に、わかりやすいように、理解がされやすいようにすべきである、このような三点、要望させていただきました。
 繰り返しになりますけれども、十二月に対策の案が出るということでありますので、我々公明党としても、引き続き、折を見て、この対策会議にも、また皆さんにも、意見、要望をしていきたいと、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
 終わります。

○和泉(な)委員 私の方からは、独立行政法人東京都健康長寿医療センター業務実績評価書についての意見表明、それから都立障害者支援施設及び都立障害福祉サービス事業所の民間移譲について質問を行います。
 まず、健康長寿医療センターですけれども、ここの紹介パンフレットにも記載されていますが、一八七二年に設立をされて、養育院の流れをくむ歴史ある組織です。時の大久保東京府知事が営繕会議所に救貧策を諮問して、その答申に基づいて養育院を創立したとあります。困窮者に医療を施し、生活援助を行う、そのための施設として発足したのが健康長寿医療センターの原点です。まさに医は仁術、これを原点にして、その歴史を今に引き継いできたのが健康長寿医療センターということになるんだと思います。
 独立行政法人化した現在も、高齢者の専門的医療と研究を一体化して、生活の質を重視した全人的包括的医療を提供し、地域連携にも力を入れている。これは、この評価書からもうかがえます。
 しかし、気になるのは、研究者に対する成績評価、それから未収金の回収強化、コスト管理の体制強化などです。人事考課制度を見直して、学会等の発表件数や論文発表件数などの研究業績と外部研究費の獲得実績や特許出願件数等による都民、社会への還元及び法人への貢献、これを二本柱とした成績評価を実施しています。
 研究というものには長い時間を要したり、じっくりと調査、検証を行ったりすることが必要なものではないでしょうか。研究職の方たちの能力やチームワークというのは、いつも数にばかりあらわれてくるものではないと思います。社会保険労務士として百五十余りの顧問先の労務に関する仕事をしてきた経験からいうと、職員同士が成績を競い合うということになると、短期的には効果が出ても、長期的には職場環境がぎすぎすしてくる、本来発揮されるべき協調性が少しずつ失われていく、集団としての機能が低下して、業績が悪化していくというのが私の実感です。
 また、新施設への移転を機に、多床室を百四十床減らして、有料病床に転換して、差額ベッド代を徴収するようになりました。その収益が、きょういただいた資料を見ても、三億五千万になっています。
 健康長寿医療センターに限らず、医療施設は、今、建てかえを機に、有料病床をふやして収益を確保する、そういう傾向があるように思います。独法化し、単独で収益を上げ、採算をとるための対策、これが未収金管理要綱に基づいて、未収金の発生予防、早期回収に努める、コスト管理の体制を強化するというところにもあらわれているんじゃないでしょうか。もちろん、無駄があってもいいということをいっているんじゃありません。民間であろうと、公営であろうと、極力無駄を省いて、効率的な経営というのが求められるのは同じです。けれども、それは病院の評価を上げるためではなく、患者さんや都民に還元されるためのものでなくてはならないと思います。
 救貧策として創設された歴史を持ち、孤立死リスク者早期発見のための高齢者見守りチェックリスト、あるいは認知症アセスメントシート、これらの開発を初めとして、大変すぐれた実績を持つ医療センターです。低所得の高齢者にとって、敷居の高い病院とならないこと、患者さんのためにこそ無駄を省き、効率を上げ、必要な人たちに広く医療が行き届くようにするのが健康長寿医療センターの使命だ、この柱をぜひとも貫き通していただきたいと思います。
 高齢者の暮らし、今、本当に大変です。年金は削られる、消費税が上がる、その上保険料が上がる、手元に残るお金がどんどん減っているというのが現状です。原点である困窮者への医療、生活援護、この原点に立って、ぜひ無料低額診療制度の導入も、昨年に引き続き強く要望して、意見表明といたします。
 続いて、都立障害者支援施設及び都立障害福祉サービス事業所の民間移譲についてお聞きします。
 東村山福祉園の障害者施設八十名分を現地改築し、竣工後に民間移譲する。さらに四カ所の宿泊型自立訓練施設である通勤寮を民間移譲するというもので、その目的は、社会福祉法人の自主性や創意工夫を生かした、より弾力的かつ効率的な施設運営を行い、利用者サービスの向上を図るとなっています。
 そこで伺います。民間移譲することで発揮される自主性、創意工夫とは具体的にどんなことを指しているんでしょうか。また、弾力的、効率的な施設運営とは具体的にどのようなことを指しているんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 民間移譲によります具体的なメリットについてでございますけれども、民間移譲後は、事業者の創意工夫や自主性の発揮により、柔軟で効率的な施設運営が可能となるため、利用者のニーズに応じた、よりきめ細やかなサービスが提供できるというふうに考えております。具体的には、指定管理者制度では条例等において管理の基準や業務の範囲が定められておりますが、民間移譲では法人の自主運営となることから、より一層柔軟な予算執行や人材の活用が可能となり、新規事業の実施や利用定員の拡大など、サービスの向上を図ることができます。
 また、法人が設置主体となりますことから、将来にわたって法人が自主的に運営していく施設として、長期的な視点での施設運営が可能となるとともに、地域との連携や周辺住民との交流を初めとして、より地域に根差した施設運営が可能となります。

○和泉(な)委員 民間移譲すると長期的な視点に立てると、指定管理だと短期的だと、短期の契約になるから、長期的な観点から自主性や創意工夫が発揮されない、地域に根差した施設運営ができないということでしょうか。
 では、これまでの指定管理契約で一期の契約ごとに指定管理業者が変わってしまったと、そういうことがあるんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 これまでの事例で、福祉保健局の指定管理者制度、指定管理者の更新に際して、事業者が変更となった事例はございません。
 また、民間移譲のメリットですが、移譲後、法人は対象施設をみずから設置する施設として将来に向けてより計画的に運営することが可能となります。これまでも民間移譲を行った施設におきましては、例えば生活実習所で新たに短期入所を開始したり、福祉作業所では就労支援のためのパン工房を設置するなど、人材の活用や新たな事業展開を行っていることなどから、移譲によりまして一層の利用者サービスの向上を図ることが期待できるというふうに考えております。

○和泉(な)委員 障害者に限らず、福祉サービスというのはいうまでもなく、マンパワーによって成り立っています。指定管理者となっている事業所は、現在もさまざまな努力をして、利用者サービスの向上を図っているんだと思うんです。それでもなかなか運営は厳しいというのが実態です。民間移譲によって法人の自主運営に移行しても、サービス水準が低下することのないようにすることが必要です。
 さまざまな努力を行っているというふうにいいましたが、それをしないとなかなか運営が大変だということのあらわれでもあるんじゃないでしょうか。
 サービス水準が低下することのないようにするために、都はどのような支援を行っていくんでしょうか。

○高原障害者施策推進部長 民間移譲後は、基本的には介護給付費等の収入に基づきまして、事業者の創意工夫のもと、運営されることとなります。都におきましては、移譲に当たりまして、建物または土地を無償貸与するとともに、現状と同水準のサービスを提供するために必要となる補助金を事業者に対して交付いたします。

○和泉(な)委員 事業者が創意工夫してさまざまな加算をとっている。それでもその分に見合う人の配置ができなければ、結局、職員の負担が重くなります。現にサービス等利用計画、これもその報酬の低さから特定相談支援の指定がなかなか進んでないというのが現状です。また、指定を受けた事業所も利用計画の作成に人手がとられて、ほかの業務が過重になってる、こういう声が寄せられています。
 通勤寮についても、宿泊型自立訓練、国から出る費用だけではとても運営できない。事業者が共通してこのような話をしています。緊急時の受け入れも含めて、常にあきを確保しておかなければいけないけれども、現員数で計算されてしまうために、その分が出ない。職員の配置も常勤換算となっているために、長く働いてくれている職員の皆さんへの昇給分がなかなか捻出できない、このような話がされているんです。
 収益を上げるための効率性というのが求められてしまったら、こういった福祉サービスは、そのしわ寄せが職員に行くか、利用者に行くか、どちらかになってしまうんじゃないでしょうか。収益性を度外視しても必要だからこそ、民間の事業者が一生懸命頑張って担ってくれているわけです。しかし、利用者のために親身になって、良心的に頑張れば頑張るほど施設運営が厳しくなってしまっているというのが現状なんです。
 都には、利用者や働く職員、事業者が背負っている、その荷を少しでも軽くする責任があると思います。利用者と職員にしわ寄せが行かないような補助の増額こそ必要であり、民間移譲は行うべきではないと申し述べて質問を終わります。

○田中委員 私からは、デング熱対応について伺いたいと思います。
 今回のデング熱対応については、代々木公園が感染場所の疑いが認められたということで、先駆けて区が蚊の駆除を行った経緯があります。
 先ほど遠藤理事からありましたが、そもそもこの蚊の駆除というと余りに身近で、誰がやるのかと、どのようにしてやるのかということで、私も不勉強でわかりませんでした。
 局の人の話を聞いてみますと、蚊の駆除を行う指示を出すのは、そもそも区部においては、当該の保健所がまず指示を出すということでありました。
 そこで、まず、この感染症対応における基本的な流れを伺いたいと思います。

○上田感染症危機管理担当部長 デング熱患者が発生した場合の流れにつきましては、患者を診断した医療機関から発生届けが所在地を管轄する保健所に提出され、保健所が患者さんから聞き取り調査を行います。
 調査の結果、蚊に刺された場所など、感染地が推定された場合には、推定感染地を管轄する保健所が感染の拡大を防止するために、蚊の駆除の指示等の措置を行うことが可能となってございます。
 東京都におきましては、特別区、八王子市、あと町田市は保健所を設置する自治体でございますので、例えば区部の公園が推定感染地とされた場合は、当該区が公園管理者に対して感染拡大防止の指示等の措置を行うこととなります。
 なお、今回のケースにつきましては、代々木公園の施設管理者である都が必要性を判断し、自主的に公園の一部閉鎖と蚊の駆除を行ったものでございます。

○田中委員 今のを聞きますと、都が区市町村等を指示するのではなく、区部においては、各区の判断により対応がなされるということであります。
 そうなりますと、都の役割というのは、その保健所が指示また監督をする中で、どのようなことができるのか伺いたいと思います。

○上田感染症危機管理担当部長 今回の対応に当たり、都は、都内の患者情報等を集約いたしまして、国との調整を行うとともに、各区と連携を密にし、一体的な対応を行ってまいりました。さらに、各区において蚊の駆除等が必要な場合には、技術的な支援や助言なども行ってございます。
 また、健康安全研究センターにおいてデングウイルスの検査体制を整備し、保健所を通じた医療機関からの検査依頼に対応する体制を確保してございます。

○田中委員 今回、七十年ぶりの国内感染ということで大きく報道されたこともあり、国民の関心が大いに高まりました。さらに感染症といっても、同時期に報道されていたエボラ出血熱のように、死に至るようなものがあり、心配した方が多かったのも事実であります。国民を、パニックを起こさないためには、このデング熱という感染症の症状や、また、危険性が高いのか、低いのかなどの情報をきちんと伝えることが都の大きな役割であるということであると思います。
 その中で、国や市区町村、今回は報道機関も大きく報道しましたが、さらに医療機関など、どのようなことに配慮して、これらの連絡体制を構築していったのかを伺います。

○上田感染症危機管理担当部長 都は、デング熱の国内感染患者発生後、国や都内及び近隣自治体とも緊密に連携して対応をしてまいりました。
 医療機関に対しましても、都の検査体制や診療マニュアル等を通知するとともに、患者情報等も随時提供しているところでございます。
 また、都内で国内感染患者が発生して以降、患者情報や代々木公園における蚊のウイルス保有調査の結果などを迅速に公表し、都民への情報提供を図っております。

○田中委員 国や自治体との連携という意味では、この感染症といえば、記憶に新しく、また、私たちの身近なものとしては、新型のインフルエンザを思う人が多いかと思います。この新型インフルエンザに関しては、都としても何度も対応してきた経緯があり、実績を積んでまいりました。
 今回、この新型インフルエンザの対応の経験がどのように役に立ったのかをお伺いします。

○上田感染症危機管理担当部長 二〇〇九年の新型インフルエンザ対応の経験を踏まえ、国や関係自治体と緊密な連携体制を確保し、情報共有や必要な対策を迅速に行ってまいりました。
 また、既に構築されている医療機関や区市町村との健康危機管理時の連絡体制により、迅速かつ適切な情報提供を行ってございます。
 さらに、新型インフルエンザ相談センターの経験を踏まえまして、都民の不安の解消を図るため、専用電話相談窓口を患者発生当日の昼二時には設置いたしまして、都民の相談に応えてきたところでございます。

○田中委員 先ほどまでは各区の保健所が対応ということでありましたが、都としても、特に、最後に答えてもらいました専用電話窓口が当日にできたということで、ホームページにもアップされているのを私も見させていただきまして、それらの対応が、このインフルエンザの経験から役に立っているんだということがよくわかりました。
 さらに、蚊の駆除の話に戻りますが、今回は都心で起こったということもあって、近隣には商業施設や住宅地、公園のサンクチュアリー、人が入れないようなそういう地域があり、さまざまな配慮をして行わなければならなかったことが推察をされます。
 今回、専門家のアドバイスを聞くなどして実行したということでありますが、どのように実行したのかを伺って、また、今後の教訓となったものがあれば、あわせて伺いたいと思います。

○中谷健康安全部長 蚊の駆除についてのお話でございますが、専門家を初めといたしまして、公園管理者、駆除の専門業者等と協議をいたしまして、人、鳥、魚類に対する害が少なく、残留しにくい薬剤を選定するとともに、蚊の生息密度の高い茂み等を中心に効果的な薬剤散布を行ってまいりました。
 教訓という部分では、改めて、平常時からの対策ということで、先ほど来、お話がいろいろ出ておりますが、例えば蚊のサーベイランスでございます。都では、平成十六年度から都内の公園等で実施をしておりますが、こうしたことを継続的に行っていくということが重要であるというふうに考えております。

○田中委員 この駆除については、効果的に、また近隣への配慮も行われたということであります。
 一方で、公園内には豊かな生態系があり、それらにも配慮が必要かと思っております。
 今回、福祉保健局を中心に、駆除には建設局や、また、生態系においては環境局など、さまざまな局が関係する事案でもありました。蚊については、他の感染症を運ぶ可能性もあり、平常時からの蚊の調査が必要であります。今、その対応、また、強化も検討しているということでありますので、ぜひ都庁全体での、よりよい感染症対策を今後もされるように要望したいと思います。
 最後に、今後、対策会議で行われると思いますが、今回の対応の検証というのが大変必要だと思っております。例えば今、報告がありましたが、八月二十八日に渋谷区の付近を一部駆除してから閉園するまでに、九月四日でありまして、一週間ありました。その間に、事実でありますが、代々木公園で感染した人がいるということも聞いております。
 今回、マニュアルが、国のマニュアルに沿ってやったとはいえ、この対応がベストであったのかということや、また、先ほど区とも連携するという話もありましたが、最初の三名の感染者が、一人は都内の方でありましたが、二人はこれも報告にありましたが、埼玉県とのことで、これは埼玉県の県と市の担当者がそれぞれ聞き取りをしたということを考えますと、県をまたいでの連携づくりというのもさらに必要となってまいります。また、十分その連絡がとれたのかということも、これからの検証課題だと思っております。
 それらについても、我が党内にもデング熱の対策本部をつくって、市区町村や関係担当者から現在ヒアリングをしている最中であります。
 このデング熱は、この夏が終われば一度終息をするとはいえ、来年の夏にも同じような感染が発症する可能性も否定はできません。今回の対応をしっかり検証して、何ができるのかと、また、何が必要なのかということをしっかりと整理して次に生かしていただきたいと思います。
 さらに、知事からも発言がありましたが、都においては、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催に向け、この感染症対策に万全を期さなくてはならないと思っております。
 そこで、感染症、また疾病対策に取り組む局長の決意を伺い、質問を終わらせていただきます。

○梶原福祉保健局長 今回、我が国で七十年ぶりということで、デング熱の国内感染患者が発生いたしました。
 都といたしましては、この感染源と推定された代々木公園の蚊の調査、駆除から始まりまして、専用の相談電話窓口、あるいはモニタリング調査、それから各区市町村、それから国、さまざまな団体と連携をしながら、これまで対策をとってきたというふうに思っております。
 検証ということならば、あのときに、例えばもう少し早く公園を閉めていたらとか、いろいろなことを今の段階ではご指摘を受けております。
 私どもとしては、そのときそのときの中で、得られた情報の中で速やかな対応を行ったというふうには思っておりますが、結果として、やっぱり感染がこれだけ広がったということを踏まえて、十分に今後の感染症対策というのの教訓にしていきたいというふうに思っております。
 今月十九日には、この感染症の有識者や医療機関、保健所、国や自治体等の関係者から成る対策会議を立ち上げました。この中では、今回の事例の検証、あるいは蚊の発生防止対策、サーベイランスの強化、検査体制の整備など、今後の対策を検討することとしております。
 先ほど山加理事、遠藤理事からもお話をいただきました。私ども、やっぱり一つは、蚊のサーベイランス、蚊の駆除ということが非常に重要だというふうに思っています。
 二つ目は、それをいかに医療につなげるか、あるいは検査、診療ということにつなげるかと、これが二つ目の大きな問題だというふうに思います。
 三つ目は、やっぱり普及啓発ということで、都民、国民の皆様に迅速な正しい情報提供を行っていくと。感染症については、正しく恐れると、必要以上にパニックになる必要はなくて、正しく恐れるということが非常に重要であります。
 私ども、こうしたことを今回の検討会議の中でさまざま検討していただいて、年内には報告をいただくということになっておりますので、来年度以降の対策に十分に反映をさせていきたいというふうに思います。
 国境がボーダーレス化して、人の動きが非常に活発になる中、やっぱり二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを安全な都市として開催をするというのが、私どもに課せられた使命だというふうに思っております。
 今後とも感染症対策、国と十分に連携しながら、しっかりとやっていきたいというふうに考えております。

○大山委員 私もデング熱に関しての質疑をしたいと思います。
 ずっと、今いろいろと質疑がありましたけれども、約七十年ぶりにデング熱の患者、国内での感染の患者が確認されて、蚊に刺されて感染した場所も、当初の代々木公園だけでなくて、新宿中央公園、外濠公園、明治神宮などに広がりました。患者も全国で百四十二人、そのうち都内では九十三人となったということですね。
 都は、蚊の発生を防ぐための対策として、代々木公園の噴水池の水抜き、集水溝のバキューム、やぶへの殺虫剤散布、蚊を採取してデング熱ウイルスのモニタリング調査などをしてきたということは重要だと思っています。
 こうした中で、専用電話の問い合わせも多く、先ほどの報告の中では、八月二十八日から九月二十三日で二千七百四件ということでは、かなりの数だと思っています。虫よけスプレーなどが品切れになるなどの報道もあって、この夏、都民の関心、不安は大きく広がりました。
 都として、今回のこの事態での教訓を引き出して、来シーズンに向けての対策が重要だと思っています。
 まず、ちょっと伺いたいんですけれども、都の代々木公園における蚊のウイルス保有調査、これで一回目は出なかったんですけれども、二回目及び三回目は四カ所から、それから四回目は三カ所からウイルスが検出され続けていました。この状況というか、この現状を福祉保健局はどのように分析しているんでしょうか。

○中谷健康安全部長 海外渡航歴のないデング熱患者発生の情報を受けまして、都は直ちに代々木公園の蚊のウイルス保有調査を実施いたしまして、今お話がございましたとおり、一回目はウイルスが検出されなかったものの、継続してモニタリングをする必要があるというふうに判断をいたしまして、その後、週一回実施を続けてきております。
 二回目以降の調査で、広い範囲から、蚊からデングウイルスが検出されたことを受けまして、安全を確保するため代々木公園のA地区を閉鎖いたしまして蚊の駆除を実施するなど必要な対策を講じてきております。
 なお、九月二十四日から二十五日にかけて実施をいたしました五回目の調査では、捕集した蚊からデングウイルスは検出されていないという状況でございます。

○大山委員 モニタリングをしたから閉鎖することができたんだということで、それで今もA地区は継続して閉鎖していると。
 ウイルスを保有している蚊の密度というのは、なかなか減らないものなんだなと、こう思っていたわけですけれども、今回の発表では、きょう発表ではウイルスの保有されている蚊は検出できなかった、しなかったということなんですね。
 海外渡航者などで、日本でも二〇一〇年、一一年、一二年は、年間二百件を超す輸入例が報告されています。昨年の夏には、日本に旅行に来ていたドイツ人が帰国後にデング熱を発症して、日本で感染した可能性が高いと報告されているわけです。
 また、九月十九日の第一回東京都蚊媒介感染症対策会議の資料五には、十数例の流行だと見過ごしてしまう可能性はあるなどの、そういう報告があるわけですけれども、こういう状況から考えますと、七十年ぶりということになっていますけれども、今までも確認されていなかっただけで、人、蚊、人の感染環があった可能性は否定できないんじゃないんでしょうか。

○上田感染症危機管理担当部長 過去の国内感染患者の可能性につきましては、るるいわれているところではございますけれども、過去に国内感染患者がいたかどうかにつきましては不明でございます。

○大山委員 否定はできないということではあると思うんですね。今回確認できたのは、デング熱の患者さんを診察したことがあるお医者さんが診察したから、渡航歴はないけどデング熱を疑ったことから始まったわけですよね。
 日本でも年間、帰ってきた人が発症するのが二百例、輸入例があるわけですから、国内でも人、蚊、人の感染は十分あるということを想定しておくことが重要ではないんでしょうか。そして、今回の対応がどうだったのかを検証して、どう教訓を引き出して次に生かすかということだと思うんですね。
 今回、最初に発症が見つかった患者さんが埼玉県在住だったために、地元の保健所で聞き取りをして、代々木公園がある地元の保健所では聞き取りが行われなかったわけです。初期対応の課題だと思うんですけれども、人の移動は自治体間を越えるわけですから、関係者間での十分な連絡、それから情報交換、調整など、今回の教訓にどう対応しようとしているのでしょうか。

○上田感染症危機管理担当部長 感染症法に基づく患者調査は、患者所在地の保健所が行うことになっているところでございます。デング熱に限らず患者の所在地と推定感染地は異なる場合も多々ございますので、そのような場合には自治体間で連携して対応しているところでございます。
 今回のデング熱の対応に当たりましては、二〇〇九年の新型インフルエンザの経験も踏まえまして、国や関係自治体と緊密に連携して対応してまいりました。こうしたことも含めまして、今回設置いたしました対策会議では、蚊の発生抑止対策、患者発生時の蚊の駆除方法などの検討を行いまして、蚊が媒介する感染症対策を着実に進めてまいります。

○大山委員 蚊はそれほど、シマカはそれほど移動しないということなんですけれども、人は移動しますから、その対策会議で、ぜひ連携強化できるように議論していただきたいと思います。
 日本の場合は、冬になれば蚊の成虫はいなくなりますので、リセットできるわけですが、あとは来シーズンに向けて準備することです。教訓を生かすということなんですけれども、流行してしまったときには殺虫剤で蚊の密度を下げることをやらなければなりません。
 私も、その対応策について、どうしたらいいんだろうということで、国立感染研の蚊の専門家の研究者に話も伺いました。来年に向けての蚊の対策について、春になって蚊の密度が低ければ流行しにくい。だから、幼虫対策が重要なんだということですよね。
 幼虫蚊対策の徹底ですけれども、そのためには卵を産ませないようにすることが重要だと。自治体としては、雨水ますをきれいにするとか、水を抜くとか、必要なときには殺虫剤をまくとか、個人のレベルでも、植木鉢の水受けだとかペットボトルなどにたまっている水などをなくすことはできるわけですよね。小さな水域をなくす、これが重要だということでした。
 この間、そういうのを聞いてからまちを歩いてみても、小さな水域というのはあるんだなというのが目につくわけですよね。例えば地下鉄の入り口のところと隣の商店の間がちょっとあいていて、そこにビニールだとかペットボトルなんかが置いてあるというよりは捨ててあったりなんかして、そこにやっぱり水が、本当にちっちゃいんですけれども、たまっているということがあるわけですね。
 ですから、どうするかといえば、やはり公園や都道の植え込みなどでも、よく掃除することが重要だし、施設管理者への徹底も必要ですし、個人の住宅などでも水をためない、小さな水域をつくらないことを徹底するということは、これ、私もごめんなさい、この件があって初めて見たわけですけれども、(資料を示す)これは都民向けで、こっちが施設管理者向けということであるわけですが、せっかくあるものですから、ぜひ、あと、どう徹底するのかということだと思っています。
 今回、今までは、こういう流行というのはなかったわけですけれども、これだけデング熱が流行した後ですので、区市町村とも連携して、来年に向けて情報提供と啓発が求められていると思いますけれども、どうでしょうか。

○上田感染症危機管理担当部長 蚊が媒介する感染症対策といたしましては、蚊の発生自体を少なくすることが重要でございます。都は今般、区市町村や学校、社会福祉施設等に対しまして、蚊の発生防止対策の周知を行ったところでございますけれども、今後とも引き続き情報提供や都民に対する啓発を行ってまいります。以上でございます。

○大山委員 区市町村だとか、社会福祉施設だけじゃなくていろいろな、ビルの管理者だとかも含めて、いろいろな事業者とも連携して実施していただきたいと思っています。
 それで、デング熱は人、蚊、人という感染環であるために、都市部、人口密集地を中心に流行すると指摘されています。
 また、東京都感染症情報センターのホームページでは、蚊が媒介する感染症はデング熱だけでなく、ウエストナイル熱、チクングニア熱、日本脳炎、マラリア等を挙げています。これらを媒介する蚊は、アカイエカやチカイエカ、ヒトスジシマカなど東京にも多くいる蚊であるだけに、デング熱だけでなく、ほかの蚊が媒介する感染症対策も強化する必要があるわけです。
 専門の研究者を東京都健康安全研究センターに配置して、研究体制を整えることを求めますけれども、どうでしょうか。

○中谷健康安全部長 申すまでもございませんけれども、蚊は全国で生息をしておりまして、国や民間の研究機関、大学等において、全国的な視野で研究が行われております。
 健康安全研究センターにおきましても、蚊を含む昆虫の研究者を配置しておりまして、先ほどお話ししました、平成十六年度から感染症媒介蚊のサーベイランス事業を実施しております。今お話がございましたように、デング熱のみならず、その他の蚊媒介の感染症も含めて、このサーベイランス事業では行っております。
 さらに、患者や蚊の病原体の検査を適切に行えるように、健康安全研究センターの体制を整備しているところでございます。

○大山委員 蚊を含む昆虫の研究者は配置しているんだということなんですけれども、例えば大阪府の衛生研究所には蚊の専門の研究者がいます。もともとは、日本脳炎の対策で配置をしてきたんだということなんですけれども、その後も蚊が媒介する感染症の対策で配置をしているということなんですね。
 何でこんなことをいうのかといえば、やはり東京というのは人口密集地であり、ですから人も集中しますし、他県からも移動がありますし、それから海外からも流入も流出もあるわけですよね。そういう特性があるわけですから、人も蚊も多い。それから移動も多い。そういう東京ですから、蚊が媒介する感染症などに関して、より体制を強化して調査研究が必要なんじゃないんでしょうかと思っているわけです。強く要望しておきます。
 今回、虫よけスプレーが売り切れて、品切れの店も出ているなどの報道もありましたけれども、虫よけスプレーの成分であるディートは安全ではありませんよね。それで、国民生活センターからは「虫よけ剤 子供への使用について」が、ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策についてが厚生労働省から都道府県、保健所設置市、特別区に出されています。
 都民に対して、とりわけ子供への使用について気をつけること、気をつけるべきことなどを知らせることや、それから、化学物質以外の虫よけ剤もできるというか、あるんだということを知らせることが必要だと思うんですけれども、どうでしょうか。

○中谷健康安全部長 忌避剤の使用につきましては、都が作成をいたしましたリーフレット「蚊をなくして快適な夏を 蚊の発生防止対策」などによりまして、使用上の注意を守り過剰に塗布しないよう、保健所の窓口やホームページ等で広く都民の方々に対して周知を図っているところでございます。
 また、区市町村に通知をいたしました住民の方々からの相談対応QアンドAの中で、ディート剤を含む忌避剤を小児の方が使用する場合の注意点を示すとともに、専用電話相談窓口におきましても、忌避剤の使用に関する都民からの相談に対しまして、強く注意を促しているところでございます。

○大山委員 ぜひ、引き続き子供に対する対応については、よろしくお願いします。
 あと、殺虫剤の散布を請け負った業者の下請けという方から、防護服などの安全対策が全くなくて自分でそろえるしかなかったということだったんですね。区市町村とも協力して、実際に散布している人たちの健康が守れるようにしたいということを求めておきたいと思います。
 東京都蚊媒介感染症対策会議を設置したことは重要ですから、調査検討して、議論を尽くしていただいて、今回の教訓を生かせるようにしてほしいということ、そして、調査研究の体制の強化も含めて要望して終わりにします。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十三分散会

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