厚生委員会速記録第七号

平成二十六年六月二十日(金曜日)
第七委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長まつば多美子君
副委員長塩村あやか君
副委員長早坂 義弘君
理事遠藤  守君
理事和泉 武彦君
理事山加 朱美君
山内  晃君
栗山よしじ君
田中  健君
和泉なおみ君
今村 るか君
ともとし春久君
野島 善司君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長川澄 俊文君
次長梶原  洋君
技監前田 秀雄君
理事藤田 裕司君
総務部長中川原米俊君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長笹井 敬子君
生活福祉部長高原 俊幸君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長浜 佳葉子君
障害者施策推進部長山岸 徳男君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長後藤 啓志君
事業調整担当部長手島 浩二君
医療改革推進担当部長矢内真理子君
医療政策担当部長村田 由佳君
地域保健担当部長稲葉  薫君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長枦山日出男君
事業推進担当部長廣瀬  豊君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長古屋 正裕君
感染症危機管理担当部長上田  隆君

本日の会議に付した事件
意見書について
福祉保健局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百四十号議案 心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都東村山ナーシングホームの民設民営施設への転換について

○まつば委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書六件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○まつば委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百四十号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○まつば委員長 次に、報告事項、東京都東村山ナーシングホームの民設民営施設への転換についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○和泉(な)委員 この報告によりますと、東村山ナーシングホームを民設民営施設へ転換するとなっておりますけれども、民設民営に転換されて残るのは特別養護老人ホームだけで、老人保健施設は東村山からなくなるわけですから、実質は転換ではなく解体、廃止ということになるわけです。
 老健施設はつくられず、都内の他の敷地にて開設を検討するとなっていますが、現段階でどの程度の規模で、どのあたりに検討しようとしているのか伺います。

○枦山施設調整担当部長 指定介護老人福祉施設、特別養護老人ホームにつきましては、規模を拡大し、二期に分けて整備を行い、第一期は平成二十九年度末に開設、第二期は平成三十一年度末に開設予定でございます。
 一方、介護老人保健施設は、要介護者に対し、医学的管理のもとに介護及び機能訓練等を行う在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設でございます。東村山ナーシングホームの近隣には別の介護老人保健施設が設置されているため、都内全体のニーズや現在の設置状況を勘案し、地元市の意向も踏まえ、都内の他の敷地において施設の開設を検討することといたしました。

○和泉(な)委員 どの程度の規模になるのか、あるいはどのあたりに開設するのか、現段階では具体的な計画が何もないということですね。なのに廃止だけは先に決まっている。
 今でも東京都の老健施設の整備率はかなり低いというのが現実です。第五期の東京都高齢者保健福祉計画には、六十五歳以上高齢者の人口に占める整備率は、全国平均が一・〇五%なのに対して、東京では、土地の確保が困難な区部で〇・六七%、市町村部でも〇・八六%で、量的に不足していると報告されています。
 いただいた資料を見ても、平成二十四年度の必要見込み数、二万一千四百二十三人分に対して、年度末の完成数は一万九千三百五十三人分、平成二十五年の必要見込み数二万二千四百八十八人分に対して、完成数は二万五十七人分です。少しずつふえてはいるものの、必要見込み数に実績が追いついていないというのが現状です。
 第五期の計画の中にも、老健施設は身近な地域に整備することが必要で、整備率の向上を図ると書かれています。そのとおりだと思うんですが、そういう状況であるにもかかわらず、今回、東村山では老健施設はつくらず、ナーシングホームは廃止ということなんです。都は、老健施設の定員の確保と増加にきちんと責任を持つべきだと思います。
 同時に、今回の民営化ですが、これだけの問題じゃありません。今回の報告事項を受けて、私は改めて養育院からの歴史を、大まかにではありますけれどもたどってみました。
 養育院だった時代に、老人ホーム入居者の高齢化、虚弱化に対応するために、昭和三十八年に特殊養老寮、静養寮が設置され、これが老人福祉法上の特別養護老人ホームのモデルになったといわれています。
 さらに昭和五十一年に板橋ナーシングホームが発足したときには、その中にハーフウエーハウスを設置しています。これは病院での基本的な治療や訓練を終えた方が、なお残存障害、あるいは体力の回復が十分でないときに、日常生活に必要な訓練や自立機能の回復を図って在宅に移行する、そのための施設です。これが現在の老健施設のモデルになったといわれています。まさに先駆的な役割を担ってきたと思うんです。
 しかも、多摩北部医療センターが多摩老人医療センターだったころには、養育院所管の老人総合研究所、老人施設等と一体的に運営がされる中で、臨床研究の一体化を図り、老人医療に関し、先駆的、開発的役割を果たすと明確に位置づけられていました。ナーシングホームとして、医療と一体的に運営されてきたことが重要なんだと思うんです。都の直営だからこそできたことであり、これこそが都が果たしてきた先駆的役割だったんじゃないんでしょうか。
 そもそも、ナーシングホームが果たしてきたこのような役割を、都はどのように認識しているのか伺います。

○枦山施設調整担当部長 東村山ナーシングホームは、都において民間施設が不十分な時代に、リハビリテーションや認知症の専門的ケアなどを先駆的に提供する施設として重要な役割を果たしてきたと認識しております。
 しかし、現在では民間施設の整備が進み、都はこれまでのサービスの直接の提供者としての役割を見直し、システム全体の調整者として、インフラ整備など福祉水準全体の向上を図ることに重点を移してまいりました。
 今回、施設の老朽化も踏まえまして、民設民営として転換を図っていくことといたしました。

○和泉(な)委員 ただいま民間施設が不十分だったと、そして、今、民間施設の整備が進んだという答弁がありましたけれども、現在でも、施設は特養ホームも老健施設も数としては不十分です。認知症対策や、ひとり暮らし高齢者の孤独死、老老介護、認認介護、高齢者対策はいうまでもなく喫緊の課題です。
 今の答弁で、都の役割はサービスの直接提供ではなくなったと、見直すんだということでしたけれども、それ自体、異論はありますけれども、そもそも旧養育院は、単なるサービスの提供ではなく、今お話ししたとおり、先駆的な取り組みを通じて都全体の高齢者福祉の向上に役立ってきたんです。
 高齢化が今後さらに進み、高齢者が豊かに暮らし続けるための介護や認知症ケアの質の向上がますます求められている今、東村山ナーシングホームが果たしてきた役割は、低下するどころか重要さを増していると思います。そのためには、施設が都の直営であることが非常に重要だと思います。
 現在の東村山ナーシングホームの案内を見ますと、特養ホームは医療的配慮の必要な方に適切に対応できるよう看護職員の割合が高く設定され、非常勤医師や協力医療機関との連携で、利用者の医療、健康管理を行っていると記載されています。
 都の直営だからこそ、これもできたことだというふうに思いますが、新たに民設民営に転換するに当たって、看護師の配置基準や非常勤医師も含めて、現行の水準は維持されるんでしょうか。伺います。

○枦山施設調整担当部長 民設民営に当たっては、入所者の医療必要度等を踏まえ、近隣の協力医療機関等と連携した急変時の対応や緊急入院対応など、適切な対応がとれるよう公募条件に盛り込む予定でございます。
 先行する板橋ナーシングホームの場合も、公募の条件に適切な医療対応が可能な人員配置、医療機関等との連携体制の確保等の項目を設けて事業者の選定を行いました。これにより、現状と同程度の医療ケア体制がとれるものと考えております。

○和泉(な)委員 同程度の医療ケア体制がとれるとのお答えですけれども、その裏づけとなる看護師の算定基準、配置基準、非常勤医師も含めて、そういったことについては維持するとはおっしゃいませんでした。都立だからこそできていた法定外の人員配置まで民間の施設に条件をつけることはできない。看護師の配置を高く設定することも、非常勤医師の確保も保障されないということになるんじゃないでしょうか。
 そもそも民営になれば、他の施設と同水準の収入です。地代も払わないといけないわけですから、施設が努力をしたとしても、今の体制を維持できるとは限らないと思います。
 民設民営に転換することで研究所や医療機関との一体性が失われ、現在の質の高いケアの維持も保障されなくなるわけです。これでは、先ほど答弁にあったような都全体の高齢者福祉の向上に寄与すること自体、難しくなるんじゃないでしょうか。
 システム全体の調整は、それはそれで必要なことです。しかし、都が直営でやるからこそ提供できるサービスというのもまたあると思います。
 知事も、世界一の福祉先進都市にするといっているわけですから、養育院時代から果たしてきた役割について、終わったものとしないで再評価をし、改めて都政の中に位置づけ直すということが求められていると思います。
 今後ますますその役割が重要になるナーシングホームは、廃止ではなく、都が直営で存続させるべきだと申し述べて質問を終わります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十二分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る