厚生委員会速記録第六号

平成二十六年六月六日(金曜日)
 第七委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長まつば多美子君
副委員長塩村あやか君
副委員長早坂 義弘君
理事遠藤  守君
理事和泉 武彦君
理事山加 朱美君
山内  晃君
栗山よしじ君
田中  健君
和泉なおみ君
今村 るか君
ともとし春久君
野島 善司君
大山とも子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長川澄 俊文君
次長梶原  洋君
技監前田 秀雄君
理事藤田 裕司君
総務部長中川原米俊君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長笹井 敬子君
生活福祉部長高原 俊幸君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長浜 佳葉子君
障害者施策推進部長山岸 徳男君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長後藤 啓志君
事業調整担当部長手島 浩二君
医療改革推進担当部長矢内真理子君
医療政策担当部長村田 由佳君
地域保健担当部長稲葉  薫君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長枦山日出男君
事業推進担当部長廣瀬  豊君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長古屋 正裕君
感染症危機管理担当部長上田  隆君
病院経営本部本部長醍醐 勇司君
経営企画部長和賀井克夫君
サービス推進部長中野  透君
経営戦略担当部長野瀬 達昭君

本日の会議に付した事件
病院経営本部関係
報告事項(説明・質疑)
・平成二十五年度東京都病院会計予算の繰越しについて
福祉保健局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・東京都東村山ナーシングホームの民設民営施設への転換について
陳情の審査
(1)二六第九号 生活保護業務従事のケースワーカーが無資格者である違法行為の早期改善等に関する陳情
(2)二六第一七号 保育園の増設に関する陳情

○まつば委員長 ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議案法制課の担当書記の小池綾子さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○まつば委員長 次に、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、病院経営本部及び福祉保健局関係の報告事項の聴取並びに福祉保健局関係の陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び福祉保健局関係の報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行い、病院経営本部関係の報告事項につきましては、説明を聴取した後、質疑を終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、醍醐病院経営本部長から紹介があります。

○醍醐病院経営本部長 四月一日付で当本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 当委員会との連絡を担当させていただきます総務課長の大久保達也でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○まつば委員長 紹介は終わりました。

○まつば委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○和賀井経営企画部長 平成二十五年度予算の繰り越しにつきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十五年度予算繰越説明書をごらんください。
 病院経営本部は一般会計と病院会計を所管してございますが、予算繰り越しの対象は病院会計のみとなってございます。
 二ページをお開き願います。建設改良費繰越についてでございます。
 対象となりました事業名は、都立病院建設改良事業でございます。
 病院経営本部といたしましては、平成二十五年度内に円滑に事業が終了するよう努めてまいりましたが、工事の調整に不測の日時を要したため、右から四列目に掲載しました約六億九千五百万円を平成二十六年度に繰り越して継続実施することといたしました。繰越理由等は説明欄に記載のとおりでございます。
 以上、大変簡単ではございますが、平成二十五年度予算の繰り越しにつきましてご説明を終わらせていただきます。
 よろしくお願い申し上げます。

○まつば委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○まつば委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、川澄福祉保健局長から紹介があります。

○川澄福祉保健局長 それでは説明に先立ちまして、このたびの人事異動によりまして、当局幹部職員の交代がございましたので、新任幹部職員を紹介させていただきたいと存じます。
 保健政策部長の笹井敬子でございます。企画担当部長の後藤啓志でございます。医療改革推進担当部長の矢内真理子でございます。地域保健担当部長の稲葉薫でございます。生活支援担当部長の松浦慎司でございます。感染症危機管理担当部長の上田隆でございます。最後に、当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の土村武史でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○まつば委員長 紹介は終わりました。

○まつば委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○川澄福祉保健局長 平成二十六年第二回東京都議会定例会に提出を予定しております福祉保健局関係の議案につきましてご説明申し上げます。
 今回、ご審議をお願いいたします議案は、条例案一件でございます。
 お配りいたしました資料は、平成二十六年第二回東京都議会定例会条例案とその概要でございます。
 それでは、平成二十六年第二回東京都議会定例会条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願いたいと思います。整理番号1、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の改正に伴い、同法の題名が改正されたため、条例中の所要の規定を整備するものでございます。
 この条例は、平成二十六年十月一日から施行することとしております。
 条例案の詳細な内容につきましては、お手元の資料、平成二十六年第二回東京都議会定例会条例案をご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、提出議案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○まつば委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○枦山施設調整担当部長 東京都東村山ナーシングホームの民設民営施設への転換につきまして、お手元の資料、委員会報告事項によりましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 1の対象施設でございますが、東京都東村山ナーシングホームでございます。
 施設の所在地、定員及び開設時期につきましては、記載のとおりでございます。
 現在の運営形態につきましては、都立の直営施設として運営をしております。
 2の運営形態の見直し及び施設整備の概要でございますが、東村山ナーシングホームを民設民営による運営形態へ転換いたします。
 指定介護老人福祉施設特別養護老人ホームについては規模を拡大し、東村山キャンパス内に整備いたします。なお、施設整備は二期に分け、第一期は平成二十九年度末に開設、第二期は平成三十一年度末に開設する予定です。
 介護老人保健施設については、都内の他の敷地において開設を検討いたします。
 3の指定介護老人福祉施設の新施設の定員規模でございますが、現行の百六十一名から二百五十一名へと拡大いたします。
 第一期は、現行と同じ定員百六十一名とし、東村山ナーシングホームの現入所者を継続して受け入れることといたします。第二期は定員九十名とし、ショートステイを併設いたします。
 なお、新施設における東村山ナーシングホーム現入所者の受け入れ終了後、東村山ナーシングホームは廃止する予定でございます。
 4の施設整備・運営法人の選定及び施設整備予定地の取扱いでございますが、指定介護老人福祉施設の第一期については、審査基準を定め、公募により適切な法人を選定し、同法人による整備、運営といたします。また、新施設建設に要する土地については、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業として、都有地の貸し付けを行う予定でございます。
 なお、指定介護老人福祉施設の第二期及び介護老人保健施設については、今後検討してまいります。
 5の今後のスケジュールにつきまして、指定介護老人福祉施設の第一期に関しましては、平成二十六年八月に公募を実施し、平成二十七年三月に事業者を決定し、平成二十八年度中の工事着工を経て、平成二十九年度末に開設する予定でございます。
 資料の二枚目は、東村山キャンパス施設配置図でございます。
 以上、ご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。

○まつば委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○まつば委員長 次に、陳情の審査を行います。
 まず、陳情二六第九号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高原生活福祉部長 お手元にお配りしております陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1でございます。陳情二六第九号、生活保護業務従事のケースワーカーが無資格者である違法行為の早期改善等に関する陳情は、小平市の多摩就労支援サポートセンター代表、増戸健太郎さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、次のことを実現していただきたいというもので、1、都内の福祉事務所に対し、次のことを実施するよう指導すること。
 (1)、生活保護業務に従事するケースワーカー全員に、社会福祉士、社会福祉主事の有資格者を配置すること。
 (2)、就労支援員は、有資格者と実務経験者を配置すること。
 (3)、生活保護者を早期に自立させるため、就労支援員は、週四日勤務ではなく、週五日勤務で正規職員と処遇も同等にすること。
 (4)、厚生労働省の目標である生活保護者の自立六割を設定し、ケースワーカーと就労支援員に研修、資格、責任、義務を負わせること。
 (5)、生活保護者の全員に自立支援プログラム、就労支援プログラムを受けさせること。
 (6)、生活保護者の医療費削減のため、病気の早期発見(健康診断の義務化)、病気の再発防止の食事療法と運動療法(機能回復訓練)の実施、一年以上通院しても改善しない場合や、薬ばかりを与え改善しない医師や病院は、セカンドオピニオン制度で病気改善をすること。
 (7)、精神疾患者の薬漬けを改善し、食事や運動、カウンセリングを行い、自立、復職の施設通所や訓練をすること。
 (8)、年に数回しか行われない生活保護者との支援面談を、二週間に一回行うこと。
 (9)、生活保護者の孤立防止と自立支援のために、生活保護者へケースワーカーや就労支援員への不満の実態についてアンケート調査を行い、改善に役立てること。
 2、偽装離婚などで生活保護費の不正受給が多発していることから、国民に母子家庭の扶養を押しつけず、母子家庭の保護脱却のため、扶養義務者である子供の父親に養育費の請求と面会交流を義務づけるよう、国に意見書を提出すること。
 以上、1が九点、2が一点の計十点でございます。
 現在の状況についてご説明いたします。
 まず、1の(1)から(4)までについてでございますが、都内の生活保護現業員の数は、平成二十五年七月一日時点で計二千四百二十七名、そのうち、社会福祉主事は千六百十名、六六・三%となっております。
 都においては、国の生活保護法施行事務監査実施要綱に基づき、各福祉事務所に対し、生活保護現業員には社会福祉主事有資格者を配置すること及び配置された生活保護現業員が同資格を有していない場合は社会福祉主事資格認定通信課程の受講等により資格取得をさせることについて指導を行っております。また、生活保護現業員の専門的資質を一層向上させるため、社会福祉法に基づき、新任、現任地区担当員、面談相談員等、業務、経験別に毎年研修を実施しております。
 就労支援員は、国の補助事業を活用し、全区市に配置されており、必要な経歴、勤務日数及び処遇については、各区市で定めております。また、国の就労支援員研修に加え、都においても、就労支援等に関する研修や事例検討会を実施し、就労支援員及び生活保護現業員の専門的な知識の向上に努めております。
 次に、(5)についてでございますが、自立支援プログラムは、就労による経済的自立のみならず、日常生活における自立した生活や地域社会の一員として充実した生活を送ることなどを目指すものであり、就労支援員等を活用した就労支援プログラムは全区市において策定されております。また、入院患者の退院支援や児童生徒等に対する学習支援などを行う個別プログラムも策定されており、各福祉事務所において、個々の生活保護受給者の実情に応じた支援を行っております。
 また、(6)及び(7)についてでございますが、生活保護受給者の健康管理支援については、現在、福祉事務所に配置された嘱託医により、生活保護現業員に対し、医療扶助の決定や実施に伴う専門的判断及び必要な助言等が行われております。また、各福祉事務所では、保健師、精神保健福祉士等の保健医療福祉に専門的知識を有する者を配置するなど、受給者の健康の保持及び増進を図ることができるよう、健康、生活面等に着目をした支援を行っております。
 そして、(8)及び(9)についてでございますが、生活保護受給者との面談については、国の実施要領に基づき、生活保護現業員が生活状況等の把握のため、定期的な家庭訪問を実施するほか、関係機関や民生委員と連携しながら、個々の受給者に応じて必要な支援を行っております。
 最後に、2についてでございますが、偽装離婚については、従前と生活実態が変わらないにもかかわらず、離婚が保護の程度を高めるためのものであることが明らかに立証された場合は、同一世帯として取り扱っております。
 また、離婚した場合の父または母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担等については、民法に規定されております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○和泉(な)委員 本陳情ですけれども、ケースワーカーや就労支援員に有資格者の配置等を求めるほか、生活保護者全員に自立支援プログラム、就労支援プログラムを受けさせること、医療費削減のために健康診断の受診を義務化し、病気が改善しない場合にセカンドオピニオン制度で病気の改善を図ること、支援面談を二週間に一回にふやすことなどを求めています。
 生活保護者全員に就労支援プログラムを受けさせることは、高齢や障害、疾病のために受給している方たちにも就労を求めることにもなりますし、生活保護申請や受給を萎縮させることにつながりかねません。慢性疾患や精神疾患を抱える方たちに、一年で改善しなければ一律に別な医師の診察を受けさせるというようなことにも賛成しかねます。
 ほかの社会保障制度の適用を受けることができない方たちにとって、生活保護制度はまさに命をつなぐ最後のとりでです。一人一人丁寧に、その現状を受けとめて支援することこそ必要です。
 しかし、全員に社会福祉主事の有資格者を配置すること、これは、社会福祉法第十五条第六項にも規定されていることですから、現在のような有資格者率六六・三%という状態は、是認できません。
 しかも、足りないのは有資格者だけではありません。社会福祉法によれば、被保護世帯八十件につき一人のケースワーカーを標準として、定数を条例で定めるとしています。しかし、都の資料を見ても、大幅に標準の世帯数を超えている区市が多数見受けられます。
 ケースワーカーの配置について、都が指導検査の際に不足を指摘し、指導した区市は幾つあるか伺います。

○高原生活福祉部長 都が生活保護法施行事務指導検査の対象としております福祉事務所は、都内四十区市が設置する五十八事務所及び都が設置する郡部の五事務所でございます。
 これら福祉事務所に配属される生活保護現業員は、経済雇用情勢が悪化した平成二十年度から平成二十五年度において、被保護世帯の増加等に対応するため、千八百人から二千四百三十四人に増員をされております。
 生活保護現業員に関しましては、各自治体の責任において職員の確保に努めているところではありますが、都は、平成二十五年度指導検査において、社会福祉法に定める標準数を満たしていない状況にある三十四区市に対し、実施体制の整備について勧告を行いました。

○和泉(な)委員 そうしますと、約七割の区市がケースワーカー不足で勧告を受けているということになります。
 ここに、予算特別委員会のときに我が党が請求した資料がありますけれども、都が設置している福祉事務所五カ所を除いて、ケースワーカー一人当たりの生活保護世帯数が標準の八十以下となっているのは、わずか九事務所しかありません。さらに、都が設置している福祉事務所でも、二カ所で八十件を超えています。
 ケースワーカーをふやすために、都としてどのような指導や支援を行っているんでしょうか。伺います。

○高原生活福祉部長 都では、各福祉事務所に対し、生活保護制度を適正に運営できる体制を整備するよう、必要な指導、支援を行っているところでございます。
 具体的には、指導検査において必要な体制整備について勧告を行っておりますほか、健康管理や就労支援等の専門知識を有する支援員の効果的な活用事例などについて情報提供も行っております。
 また、新任及び現任の地区担当員、面接相談員等、業務、経験別に研修を実施しておりますほか、就労支援等に関する事例検討会を行い、生活保護現業員の専門的な知識向上のための支援を行っております。

○和泉(な)委員 ケースワーカーの資質向上のためには、専門的知識の習得はもちろんのこと、経験の蓄積、それからケースワーカー同士の経験交流、こういったものも重要ではないかというふうに思います。
 私の住む葛飾区では、現在、ケースワーカー一人当たりの生活保護世帯数は百三人となっています。仕事が厳しいために、みずから配属を希望する職員は少なく、ケースワーカーの四分の一から三分の一程度が新規採用の職員で、新規採用の比率がどうしても高くなります。さらに、二、三年で異動を繰り返すことになります。
 このような状態で、どの程度経験を蓄積できるのかが気になるところですけれども、ケースワーカーの経験年数というのは平均何年ぐらいなんでしょうか。伺います。

○高原生活福祉部長 生活保護現業員につきましては、高齢、障害などの社会福祉に関連する職場との人事交流も行われているところではございますが、指導検査資料における在職年数から推計した現職場での経験年数は、平成二十五年度末現在、平均三年十カ月程度でございます。
 なお、都では、さきにご説明したとおり、生活保護現業員に対し業務、経験別に研修を実施し、その専門的な知識の向上のための支援も行ってございます。

○和泉(な)委員 三、四年程度で異動になってしまうということでは、専門的資質の向上や経験の蓄積は難しいんじゃないでしょうか。この陳情の提出者は、提出理由の中で、明らかに知識や経験の少ないケースワーカーが多過ぎると指摘しています。
 この陳情者の提出理由の中にあるように、頭数だけそろえていかにも仕事をしているかのように見せかけているとは、私は思いません。私が見た葛飾でも、ケースワーカーの皆さんは本当に一生懸命仕事をしておられました。しかし、所要人数が圧倒的に足りていない中で新規採用や三年ごとの異動を繰り返して、専門的資質、経験を蓄積できない、その現状が、陳情者の目に、能力がない、仕事をしているように見せかけていると見えてしまっているのかもしれません。
 生活保護制度は、高齢や疾病、障害や失業などの社会的事故が起こったときに、ほかの公的保険が受けられない世帯が生活に困窮することのないよう、憲法二十五条が定めた健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する制度です。いわば、この制度によってのみ生存権が保障される世帯にとっての命綱です。
 その世帯の子供たちから高齢者まで、抱えているさまざまな困難に寄り添い、解決のために相談に乗り、支援する、それがケースワーカーの仕事です。当然、高い専門性や豊かな経験と、現業員同士の情報や対応力の共有が必要です。
 ケースワーカーの人数がふえてきているのは、区市の努力も含め、都の指導や勧告の成果であると評価します。
 ケースワーカーがみずからの人間性を高めて、気概と誇りを持って仕事に従事できるようにするためにも、都が設置している福祉事務所の人員体制を整備して、区市が設置している福祉事務所の人員体制の充実と専門性の向上について、一層指導を強めていただくよう強く要望して、質問を終わります。

○田中委員 四問、質問させていただきます。
 陳情の(1)から(4)、また(9)について、まず伺います。
 この生活保護の自立と公的支援からの脱却ということは、納税者にとっても、また行政の担当者にとっても理想とすることは間違いないことかと思っています。そのため、ケースワーカーや就労支援員が結果を出せる体制をつくることが必要であります。
 都から現在の状況を、今、説明いただきましたが、生活保護者の自立支援のためには高い専門性が求められる中、ケースワーカーや就労支援員らの関係者全員の資格取得や研修修了に至っていないのが現状であります。
 まず、この現状について都はどのように考えているのか、見解を伺います。

○高原生活福祉部長 生活保護制度を適正に実施していくためには、生活保護現業員の専門的な知識や技能を高めることは重要でございます。
 都内の生活保護現業員のうち社会福祉主事は平成二十五年七月一日時点で約七割であり、都は福祉事務所に対し、生活保護現業員には社会福祉主事有資格者を配置するとともに、同資格を有していない者についても、社会福祉主事資格認定通信課程の受講等により資格取得をさせるよう指導を行ってございます。
 また、新任、現任地区担当員、面接相談員等、業務や経験別に研修も実施し、生活保護現業員の資質を一層向上させるための支援も行っております。
 なお、就労支援については、各区市において必要な資格、経歴を定めておりますが、国の就労支援、研修に加え、都においても就労支援等に関する研修や事例検討会を実施し、その専門的な知識や技能の向上に努めております。

○田中委員 ケースワーカーや就労支援員の専門的な知識の必要性、また質の向上というのは都も認めているところだと思います。ぜひ、これは個人によって大分、経歴や取得による過程も違うので、全員がすぐに取れるといった状況ではないこともわかっておるんですが、全員が資格取得ないしは今、都がいっています研修修了に至るよう、引き続き指導、また支援を行うことを要望させていただきたいと思います。
 (5)についてです。実際には、生活保護全員にといっても、治療や療養が優先されたり、高齢者や、また難病などで、そういうふうな就労支援や自立のプログラム受講というのは難しい人も多いと思います。
 その中で、生活保護受給者のうち、実際に就労支援というのを実施している人たちはどのくらいの数でいらっしゃるのか、現状を伺います。

○高原生活福祉部長 各福祉事務所においては、高校在学者、傷病、障害等のため就労が困難と判断される者以外の就労可能と判断される生活保護受給者について就労支援を実施しております。
 平成二十四年度における都内の生活保護受給世帯は、全体で二十一万九千四百十五世帯、このうち、働ける稼働層を多く含むと想定されるその他世帯及び母子世帯は、合わせて五万三千六百八世帯でございます。
 これらの世帯を中心といたしまして、就労支援を実施した者は平成二十四年度で三万七千五百六十人であり、このうち、就労意欲を喚起するなど就労支援員を活用する就労支援プログラムに参加した者の数は一万一千八百八十九人となってございます。

○田中委員 いわゆる、今いってもらいましたが、対象となるのは五万三千六百八世帯だと。その中で約七割の三万七千五百六十人が就労支援を受けているということで、この数字が多いか少ないか、かなりの割合で受けているんじゃないかなというのがわかりましたし、現場に私も聞いてみましたが、かなりこれは一人一人違う現状の中で、苦労されているのも聞きました。
 ですので、この陳情では全員ということがいわれていますが、実際、先ほどいいました高校在学者、疾病、障害者等は受けられないということもありますので、この五万三千六百八世帯の一世帯でも多く就労支援プログラムを受けさせることがこれからの課題かと思いますので、ぜひ引き続き、結果を出すというのも一朝一夕にいかないという現場の声も聞いておりますが、引き続きこれに対する努力を期待させていただき、次に移りたいと思います。
 (6)、(7)でありますが、これは就労に向けた健康改善についての陳情であり、重要な取り組みであると思います。健康診断や生活指導というのは、就労を目指す上で積極的に進めるべきであります。
 ただ、薬の処方だけで問題が解決しない場合も多いため、これに対しては、障害者認定などを経て、医師以外にも福祉資源などを活用すべきと考えます。
 実際に、この要望ではセカンドオピニオンを活用すべきとあるんですが、まずセカンドオピニオンの活用が可能であるのかということから伺います。

○高原生活福祉部長 セカンドオピニオン外来は国民健康保険の対象外でありますことから、国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例によるとされている生活保護制度におけます医療扶助においても対象外となります。
 このため、生活保護受給者の健康管理支援につきましては、福祉事務所に配置された嘱託医が医療扶助の決定や実施に伴う専門的判断及び必要な助言等を行っております。
 さらに、国が開発いたしました生活保護レセプト管理システムの点検機能が強化されたことから、向精神薬の重複処方等に該当する者の把握も容易になったことで、迅速に助言等を行うなど健康管理に活用をしております。
 なお、身体障害者福祉法など、他の法律または制度による保障、援助等を受けることができる者につきましては、国の通知に基づき、できる限りその活用を図っているところでございます。

○田中委員 このセカンドオピニオンは健康保険外ということで、使えないということではあるんですが、今幾つか例を挙げてもらいまして、やっぱり生活保護者の医療費の削減は大きな負担となっていることかと思います。この削減は行政にとっても大きな課題であるため、あらゆる福祉資源を使って、今いっていただきましたレセプト管理システムで重複処方箋がよくわかるようになったということもありますので、薬の重複や、薬が多過ぎるんじゃないかといったことも、よく生活保護の医療費の問題では大きな問題になりますので、無駄というか、ぜひそのようなあらゆる資源を使って、効率いい医療を受けて、健康改善に努めていっていただければと思っております。
 最後なんですが、(1)から(5)、また(8)ないしは(6)、(7)も含めですが、このケースワーカーや就労支援員の専門性を高めて生活保護者の自立支援を進めていくために、さらに理想的な体制を構築するためには、予算がやはり大変必要であると思っております。その予算をきちんと確保するほか、都としてケースワーカーの仕事を支援することで保護からの脱却数をふやしていくべきと考えますが、予算について、都の見解を伺います。

○高原生活福祉部長 生活保護制度における財源の確保は、基本的に国の責任において行うべきであり、都は、各自治体の実施体制の整備や事業の推進について必要な財源措置を講じるよう、国に提案要求をしているところでございます。
 さらに都は、個々の生活保護受給者の実情に応じた支援が行われるよう、引き続き生活保護現業員に対し、業務、経験別に研修を実施するほか、就労支援を初め自立支援に関する研修、事例検討会を行い、生活保護現業員の専門的な知識や技能を向上させるための支援を行ってまいります。

○田中委員 ありがとうございました。
 今、幾つか現状を聞かせてもらったんですけれども、この陳情者の指摘の中でも、確かにそうだということも中にはあるのでありますが、現在、都として取り組んでいることも多く、さらにセカンドオピニオンの話や、幾つか実質に、制度的にできないということも多々この陳情の中にはあることから、ぜひ、今進めていることをさらに進めていただくことを一つ要望とさせていただき、陳情は不採択ということでお願いしたいと思います。
 以上です。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二六第九号は不採択と決定いたしました。

○まつば委員長 次に、陳情二六第一七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○浜少子社会対策部長 お手元にお配りしてございます陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 三ページをお開き願います。整理番号2、陳情二六第一七号、保育園の増設に関する陳情は、杉並区の喜屋武定さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、都において、さまざまな事業主体による保育園や託児所の開設を推進し、都内に保育園を増設していただきたいというものでございます。
 現在の状況についてご説明させていただきます。
 都は、認可保育所、認証保育所を初め、多様な保育サービスの整備が図られるよう、国の安心こども基金の活用に加え、事業者と区市町村の負担軽減を図る都独自の支援策を講じ、保育の実施主体である区市町村の取り組みを促進しており、平成二十六年度からは、株式会社やNPO法人などが行う認可保育所の整備に対する独自補助なども開始いたしました。
 土地活用につきましては、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業により、都有地の貸付料を五〇%減額するほか、民有地につきましても、定期借地契約の際に支払う一時金への補助や、土地等所有者と保育所整備法人等のマッチングを行うために要する経費への補助など、区市町村の取り組みを支援しております。
 また、土地活用による整備促進を図るため、ことし三月から、関係局から成る福祉インフラ整備のための土地活用検討チームを設置しまして、公有地や民有地の活用方策について検討を行っております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○ともとし委員 質問はないようでございますので、私の方から意見を申し上げたいと思います。
 陳情者の趣旨においては全く同感でございます。本当に一日も早く、待機児童がいない、そういう環境をつくっていかなければならないというふうに思っております。
 しかしながら、今、部長から説明があったごとく、この陳情の要旨に基づいてのものは既に都がやられているという事実関係のことも聞かせていただきました。今までは一部政党が、認可保育園に対してのそうしたことについては強くいわれていたわけですが、この陳情者はあくまでもさまざまな事業主体、要するに多様な事業、例えば状況報告の中にもあったように、認可保育園、認証保育園、あるいはまた、それ以外の保育ママ等々、さまざまなそうしたものに対して、もっと開放してしっかりやるべきだという内容の中で、都は既に行っているというようなことも確認させていただきました。その意味では、認可保育園に固執しているところの内容とは大きく違ってきているなというふうに思っております。
 きょうも課長から、いろんな資料をいただきました。例えば、定期借地権の地域に対する補助の実績等もいただいているわけですが、陳情者の地元であります杉並でも既に二件行われております。葛飾でも二件行われております。一時金ではありますけれど、さまざまな地域でこうした借地権に対する補助の実績というのがあると同時に、同じように、民有地に対する、区市町村が独自にそういうこともやられているというところも資料としていただきました。例えば、世田谷区であるとか荒川区であるとか、あるいはまた市町村の中でもあるように聞いております。
 ゆえに、そういう内容からいけば、陳情の趣旨にのっとって、もう既に行われている、そういう事実関係のものをあえてまたここで採択するということについては、趣旨採択であってもいかがなものかというふうに思っております。その意味で、この陳情については反対したいと思います。

○大山委員 私も意見を述べておきます。
 この陳情は、都内に保育園を増設していただきたいというものです。保育園に申し込んでも入れない待機児が大勢いることに心を痛めての陳情だと思います。
 私たちは待機児をなくすために、保育園の大増設と同時に、子供たちの豊かな成長を保障できるように、質の充実を同時に進めていくことを求めてきました。だからこそ、認可保育園を中心に増設すべきといってきました。ですから、何でもいいからふやせばよいという立場ではありません。ましてや、ただ預かるという託児所であってはなりません。
 つけ加えておきますけれども、この陳情のどこにも、先ほどの説明にあった多様な保育サービスなどということは書かれていません。しかし、理由に、有効利用できそうな土地が数多くあるとありますように、東京でのネックは土地の確保です。例示されているところが適切かどうかというようなことはありますけれども、都有地、国有地、そして民有地も含めて、東京都が率先して土地を確保できるよう支援することが重要ですから、その趣旨を酌んで趣旨採択といたします。

○塩村委員 陳情二六第一七号について申し述べさせていただきます。
 先ほど、部長からの説明にありましたとおり、この陳情は保育園の増設に関するもので、都においてさまざまな事業主体による保育園や託児所の開設を推進し、都内に保育園を増設してほしいというものです。
 現在、東京都におきましては、認可保育園、認証保育園整備の支援、平成二十六年度からはNPOや株式会社が行う認可保育園の整備に関する独自補助を既に行っています。土地活用に関しても、区市町村への取り組みを既に支援しています。
 ことし三月からは、福祉インフラ整備のための土地活用検討チームを設置し、公有地や民有地の活用方策について検討を行い、今年度中に何かしらの回答が都として出されるものと思われます。その際に、この陳情にある教会、神社、寺、学校、そのほかの施設が持っている有効活用できそうな土地を活用するべきという提案は、否定するべきではないと考えます。
 また陳情者は、さまざまな事業主体による保育園や託児所の開設を推進することを願意として述べられております。小規模保育等とお寺や教会等のマッチングも可能性ある提案と捉え、みんなの党Tokyoは趣旨採択とさせていただきます。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○まつば委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二六第一七号は不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十三分散会